予算委員会 第16号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1998/04/06
会議録
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 外交・防衛、国際経済、福祉に関する集中審議を行います。 質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。 ─────────────
○委員長(岩崎純三君) この際、内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣橋本龍太郎君。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 二日から四日までロンドンで開催されました第二回アジア欧州会合について御報告いたします。 我が国からは、首脳会合に私、閣僚会合に小渕外務大臣が出席をいたしました。 一昨年のバンコクの第一回会合がアジアと欧州が一堂に会したことそのものが画期的でありましたのに対し、今回の第二回会合は、幾つかのアジアの主要国が経済・金融危機に直面し、欧州は一つの通貨の導入を間近に控えた時期に開催されました。会合における議論では、これらの問題につき各国首脳と率直な意見交換を行い、相互の理解を深め信頼を高めることができ有意義であったと考えております。 特に、ASEM参加各国が強い関心を示したアジア経済情勢につきましては、首脳間で、アジア諸国が市場の信認を回復するための構造調整措置を断行する決意を表明したことを歓迎するとともに、アジアの危機という状況の中でも、保護主義を排除し、貿易・投資の自由化を一層推進することの重要性について共通の認識が得られ、議長声明とは別建ての声明が発出をされました。欧州側からもこの問題にみずからの問題として取り組んでいくとの意思が確認された意義は大きいと思います。 また、政治対話として、アジアと欧州が共通の関心を有する朝鮮半島、ボスニア・コソボ情勢、カンボジア等の国際・地域情勢についても忌憚のない意見交換が行われました。 ASEMの新規参加問題につきましては、二〇〇〇年にソウルで開催される第三回首脳会合に向けて、今後、外務大臣会合及び高級実務者会合において議論を進めていくことになりました。 小渕外務大臣の出席した閣僚会合では、アジア金融・経済危機及びカンボジア情勢、環境など広範囲な政治情勢や地球規模問題について自由な意見交換が行われました。 以上、今回のASEMは、アジア経済情勢という現下の重要な課題について、アジア・欧州が一致して取り組む決意を国際社会全体に示すとともに、政治対話につきましても、前回会合に比べ一層広範なテーマについてより掘り下げた議論を行うことができました。我が国としては、アジアに属し、欧州との関係も深いとの立場から、また、タイとともにアジア側の調整国の一つとして会議の成功に向け積極的な努力を行いました。 このようにして、今次会合は経済、政治、文化・人的交流という各面において、アジア・欧州間の対話と協力を深めるというASEMの目的にかんがみ、極めて建設的かつ有意義な会議であるとともに、我が国としても所期の目的を達することができたと考えております。 また、今次ASEMの機会に、韓国、中国、英国、フランス、スペインの首脳と二国間で会談する機会を得、忌憚のない意見交換を通じてこれらの国々と一層の友好関係を深めることができたことをあわせ御報告申し上げます。 ─────────────
○委員長(岩崎純三君) それでは、これより質疑を行います。武見敬三君。
○武見敬三君 総理並びに外務大臣、ロンドンにおけるASEMの会議から帰国されて直ちにこうした形で御質問させていただきます。お疲れとは思いますが、ひとつよろしくお願いを申し上げます。 まず、ここ二カ月あたりの国際社会の主要な関心の対象というものは一体何であったのかというところから御質問に入らせていただきたいと思います。 今年の三月二日、覚えておられると思いますが、我が国と英国との共同提案によるイラク情勢に関する安保理決議一一五四が国連で採択をされました。すなわち、三月の上旬までの国際社会の主要な関心、そして国際社会の主役というのはイラクであったわけであります。その主役というのは総理や外務大臣と同い年だと言われているサダム・フセイン大統領でありました。 そして、三月十五日、この日は総理みずからジャカルタを訪問されて、インドネシアのスハルト大統領と会見をされ、そして構造調整に関する同国の積極的な取り組み姿勢を引き出すことに成功されました。 こうしたインドネシアの積極的な協調姿勢というものは、残念ながらその前にジャカルタを訪問されたモンデール元米国副大統領では実はできなかったことでありました。この三月中旬の主役は、明らかに最大の危機を抱えていると思われていたインドネシアであり、その主役はスハルト大統領であったと思われます。そして、四月以降、その主役はどうも日本になりそうであります。その日本の内需拡大を核とした景気対策に国際社会の主たる関心が集まり始めているようであります。五月中旬のバーミンガム・サミット、先進国首脳会議がそうした関心のまさに頂点になるという流れが私は見えてきたように思われるわけであります。 そこで、総理、まずこの国際社会の主たる関心がこのような形で変遷をしてきている状況についての私の理解、これについての総理の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は議員の分析に決して異論を唱えるものではございません。ただその場合に、日本の景気回復という取り上げ方をされましたが、やはりそれは当然大きなウエートでありますけれども、それは広くアジア経済全体の中においてその日本の果たすべき役割という形からの問題提起であろうと存じます。そして、それは並行して、日本自身のことばかりではなく、インドネシアを初めとする今非常に厳しい状況にありますアジアの国々がIMFの構造調整プログラムを受け入れ、それによってどう着実な景気回復にそれぞれの国の努力を傾注していくのか。やはり大きな流れは、私は一つはそれだろうと思います。 同時に、これはアジア、ヨーロッパ共通の問題として我々もその中におるわけでありますけれども、雇用の確保、言いかえますと双方が非常に多くの失業者を抱えてしまうという状況について、恐らくバーミンガム・サミットの大きなテーマの一つは失業と雇用という問題になろう、そのような予測をいたしておりますが、いずれにしても、その中で日本が果たすべき役割を問われることは事実であります。
○武見敬三君 そこで、私自身の今申し上げた主たる国際社会の関心の対象、その前二者のところから、まず我が国の外交、特にアジアにおける我が国の役割と密接に関連する部分を引き出しながら御質問させていただきたいと思います。 実は、三月二日の我が国と英国との共同提案のイラクに対する決議でありますけれども、これはまさに大量破壊兵器の拡散の防止という原則をいかにより現実に確立していくかということが問われた決議でありました。アナン国連事務総長がバグダッドで事態を収拾した直後に、イラクに対し約束を遵守させる効果を持つ決議を極めてタイムリーに採択せしめた。そのいわば合意形成上、日本が果たした役割というものは実は決定的に重要でありました。イギリスだけでは、あるいはアメリカだけではそうした合意の形成はできなかったのであります。 同じく、先ほど申し上げましたとおり、総理御自身がインドネシアを訪問され、そしてスハルト大統領をしてこのIMFとの構造調整についてより積極的で協調的な姿勢を引き出したことも同様に欧米諸国の指導者ではできなかったことであります。 こうした一つの我が国の外交の最近の成果というものを見たときに、私は、実は明治の時代、福沢諭吉の脱亜入欧という議論以来、我が国でさまざまに議論をされてきたアジアにおける我が国の役割というものがこうした外交の成果の中から浮き彫りにされてきたように思います。 すなわち、欧米諸国だけでは国際社会のコンセンサスはつくり得ない。そこで、特にアジアにおいては、そうした国際社会で当然確立されるべき原則等については、我が国がまさにその仲介役として重要な役割を担い得るのだということを私は示したように思います。 そして、そのことが象徴的に示されたのは、実はこのロンドンにおけるASEMの会議に参加されていた総理に対してスハルト大統領が直接御本人でお電話をされて、そしてIMFとの協議が最終段階に入っていることなど実際に御説明をされたということ、これは非常に重要な実は外交の成果が象徴的にあらわされた出来事だったと私は理解しております。 そこで、総理に、このスハルト大統領からのお電話の内容と、それをどういう形で総理がその会議の場で生かされたのか、まずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) インドネシアに対しましては、先般、自由民主党の調査団がまず、そして続いて政府の調査団が同国を訪問いたしました。そして、私自身がインドネシアに参りましたときには、与党三党の政調会長にも御同行願い、私がスハルト大統領とお目にかかっております間に、与党三党の政調会長にはハビビ副大統領を初めとする関係者とのより実務的な議論をしていただきました。これは、私は非常にじっくりと話をしていただいた効果は大きかったと考えております。 ですから、私自身本当に予想外でありましたけれども、ロンドンに到着をいたしました二日の夕刻にスハルト大統領御自身からお電話をいただきまして、IMFとの再交渉が民間債務の部分を除いてほぼ整理がついた、そして民間債務の部分についてもこういうスケジュールで話し合いを行うということとともに、インドネシアは、先般私にお話があったと同じように、約束した合意というものは必ず守る、だから国際社会もぜひ協力をしてほしい、特にASEMに出席されている欧州首脳に対して私からそのような電話のあったことをぜひ伝えてほしいという御依頼を受けました。 私はこの状況を非常に喜んでおりますし、現に現在も民間債務についての話し合いはジャカルタで多分昨日からかあるいは一昨日から始まっておると思います。 私は、このメッセージをその日の夕食会でASEMの各首脳にお伝えをしましたところ、大変喜んでいただきました。そして、私は、これは民間銀行団とインドネシア側の話し合いが今精力的に行われておりますだけに、IMFとの交渉とあわせて、インドネシアが再び国際的な信認を得る土台は生まれた、そのように感じております。 この民間銀行団との話し合いができるだけ早く合意に達することを今願っておりますが、その中におきましても日本側は、引き続き仲介役と申しましょうか、ある面では当事者でもあるわけですが、合意の形成に全力を挙げているさなかでございます。
○武見敬三君 そこで、四月以降の、私なりに理解をする三つ目の主役である、国際社会の主役となってきました我が国の、日本のいわゆる景気対策、これに関する国際社会の関心というものは極めて高いものになってきているように思うわけであります。それは、言うまでもなく、我が国の景気の回復というものが今日のアジアの経済危機を収拾していく上において欠かせない大きな柱になるからであります。 そこで、総理にお尋ねいたしますが、このASEMの会合及び先ほど御説明になられた各首脳会談等において、我が国のまさにこれから打ち出すであろう総合的な経済対策についていかなる御説明をされたのか、そして各国の首脳及び諸外国のマスメディアの反応というものを総理はいかに受けとめておられるのか、まずこの点についての御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一に、先ほど御報告をいたしましたバイの会談におきましてこうした問題にお触れになりましたのはフランスのシラク大統領のときだけでありまして、個別会談でほとんどこうした問題が論議をされていないということを冒頭申し上げなければなりません。 その上で、今回のASEMの首脳会合の場所におきまして、私は、現在予算の御審議をお願いしており、その予算案の前に九年度補正そして特別減税、金融システム安定化策、こうしたものが先行し、現在御審議をいただいております予算にも関連をし、我が国の税制改正の中で法人課税あるいは証券関係税制、土地関係税制においてこれだけの政策減税が盛り込まれておること、こうした点について概略を説明するとともに、三月二十七日、与党三党から御提案のありました総合経済対策の基本方針というものはこういう中身であり、政府としては早期にこれを具体化しながら必要に応じて大胆な措置をとっていくという考え方を申し上げました。 同時に、こうした方針ばかりではなく、これまでとってまいりました一連の内需拡大策、また三月三十一日に策定をし、この四月一日にスタートをいたしました新たな規制緩和推進三カ年計画、さらに金融システム改革、こうした問題について我が国が今多大な努力を払いつつある、そうしたことを御説明するとともに、これはアジア諸国に対してもまたヨーロッパに対しても非常に貢献するものになるということを御説明申し上げてまいりました。 同時に、ある試算によりますと、九七、九八の二年間でアジアから失われる資産というものは九百二十から九百三十億ドルというような試算がございます。IMFを経由するものとは別に日本自身が既にこれまで表明をいたしております、例えば第二線準備あるいは貿易保険等、さらに人道支援等々の支援は四百億ドルに近いものになる、その努力を現在日本は既に行っている。こうしたことも御説明を申し上げ、これは大変歓迎をされると同時に、既にそれだけ日本がしてくれているんだなというイメージを改めて持っていただけたと思っております。 そうした意味で、これから先、私どもにはなお努力をする必要があるということは間違いがありません。それだけに、こうした考え方を御説明しながら改めて役割に対する期待の大きさというものを痛感しながら帰国をした次第であります。
○武見敬三君 我が国の報道の中では、総理が初めて本予算採択後の総合的な経済対策についての外枠についてある程度御発言をされたというような内容の報道がございました。 私は、実際に今我が国の置かれている経済状況というものは、恐らくここにいらっしゃる皆さんも本当に感じておられるほど深刻な事態であろうと思っておるわけであります。四月一日のいわゆる外国為替の規制の緩和などと、それから景気動向についての厳しい見方を示した日銀の短観、またこうした短観を受けた形で我が国の国債等に関する動向をネガティブとしたムーディーズの格付、そして動揺する我が国の債券、株、為替市場の動向というもの、これを憂慮しているわけであります。 ただ、私、例えばこのムーディーズに関しては、これはアメリカの一企業でございますし、本来ここは貸したお金をちゃんと返してもらえるのか、その信頼度をはかるのがこの会社の役割であります。その場合、国の信用度をはかる基本と申しますものは、対外資産であるとか外貨準備高であるとか国内の貯蓄高であるとか貿易収支でありますが、我が国はいずれもこれらの分野においては世界でも有数の好条件を満たしている国であります。それだけに、今回のムーディーズの判断というものには多くの適切さに欠けるものがあったと思います。 しかし問題は、そうであるにもかかわらず、市場が敏感に反応をし、動揺をしてしまうような状態にあるという事実であります。その意味で、我が国の経済対策というものは、単に景気対策のみならず、危機管理的な側面からの対応も常に求められるような状態に入っているというふうに認識すべきだろうと思います。 このような経済情勢下において、私自身は内閣の最大の政治責任というものは、早急に財革法を修正し、弾力条項を導入することを含め、内外の信頼を回復し得る大型の各種の減税措置及び波及効果の大きい需要を喚起する公共投資を策定し、実行することにあるだろうと思います。 この政治責任のとり方に対する国民の判断というものは、三カ月後の参議院選挙において国民の投票にその判断はゆだねるべきであって、不必要な混乱を回避し、そしてまさに民主主義に基づく、憲政の常道というものに基づいて対処するということになるとするならば、こうした総合的な経済対策というものを、内外の関心を持つ人たちが我が国の経済に対する信頼を回復し得るような経済対策を実施すること、まさにそれが最大の政治責任になってきているように私は思うわけであります。 こうした時局に対する対処の仕方、そして参議院選挙に向けての政治責任のとり方についての私の理解、総理はいかにお考えになられるでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、改めましてロンドンで行いました記者会見のメモを振り返っております。そして、恐縮でありますけれども、その筆記をちょっと読ませていただきたいと思いますが、私が申し上げておりますこと、それは、今の景気は恐らく第二次大戦後初めてあらゆる悪条件が重なっており、極めて厳しい状況に直面していると言える。さきに与党が発表した十六兆円を上回る経済対策に対応して政府がどういう景気対策を打ち出すかを国民の皆様や国際社会全体が注目していることも承知している。私は、これまでも内外の経済・金融情勢に対応して臨機応変の措置をとると言ってきており、今の景気の実態に照らして何が本当に有効かつ必要な方策なのか、与党の御提言を参考にしながら私自身真剣に考えている。今申し上げられることは、内外の危機的な経済状況を踏まえて、やらなければならないことは大胆にやっていくということである。つまり、財政、金融上の措置を軸に、内容の充実した実効性のある具体的な対応策を考えていきたい。参議院で予算を御審議いただいている最中だが、予算が成立した段階のできるだけ早期に財政構造改革会議を招集したい。今申し上げられることはここまで、私はそのように記者懇談でも申しております。 そしてまさに、ここに申しましたことがすべてでありますし、私は、国民の審判を受けるということがその責任を明らかにする最大の道であるということは議員の御指摘のとおりであると思います。それだけ国民の審判というものは重いもの、私はそのように受けとめております。
○武見敬三君 それでは次に、IMFの体制と我が国のあり方についての質問に入らせていただきたいと思います。 最初に、我が国のアジアにおける役割というものの一つの輪郭が見えてきたということを申し上げたわけでありますけれども、それはただ単に欧米の価値観というものをアジアの中に普及させるのが我が国の役割だなどという一面的なことを言っているのではありません。このIMFのあり方についてはさまざまな議論が行われていることは総理御自身も御存じのとおりであります。 例えば、フォーリン・アフェアーズの最新号の中に、実はハーバード大学のフェルドスタイン教授、この方はたしかブッシュ政権のときに大統領の経済諮問委員会の委員長をされていた方でありますが、このフェルドスタインの論文がございますが、これには現在のIMFのアジアにおける構造調整政策に対する厳しい批判が書き込まれております。本来のIMFの役割に戻るべきだというのがその趣旨なのでありますけれども、例えば、非常に重要な今後のIMFのあり方についての三点の指摘がそこで行われております。 第一点と申しますものは、当該国の国際資本市場へのアクセスを回復させる本当に必要な改革かどうかということをしっかり吟味しなければいけない、これが第一点であります。第二点は、主権国家が本来独自に解決すべき問題に対して不必要にIMFが干渉しない、そういう節度を持った改革であるのかどうかというのが第二点であります。そして第三点は、欧州主要諸国について同じような深刻な課題が生じた場合、欧州の主要諸国に対してもIMFが強制し得るような改革であるのかどうか。この三点に基づいてその改革についてのありようというものを議論すべきだということが言われているわけであります。 こうした考え方というものは、非常に重要な考え方であって、まさにアジアにおけるIMFの役割というものを正しく私は指摘しているもののように思うわけであります。 そこで、このASEMの会議におきましては、IMFの機能の強化という点についての御議論がなされ、そして先ほど総理が指摘されたようにアジアの金融・経済情勢に関する声明が出されたわけであります。その中でも指摘されていることでありますが、このIMFの今後のあり方と改革という点について、今私がフェルドスタイン教授の論文の内容について引用させていただいた部分をも含めて、いかにその改革の方向はあるべきであるのか、総理に御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員が引用されましたフェルドスタイン教授の論文、この中では一九八〇年代のメキシコあるいはブラジルにおける中南米の危機を取り上げながら、当時のIMFの役割というのは現在でも有効だと。そして、ただ現在のIMFのプログラムがそれを超えてしまっているのではないかという問題を提起されているように私は思います。 八〇年代の中南米における危機の原因、これは間違いなくそれらの国々が積極的な国内開発計画などにより膨大な財政赤字を生じさせた、あるいは輸入の急増とこれに対する対外債権の増という形であらわれておりました。ですから、IMFのコンディショナリティーというのは、当然のことでありますけれども、財政収支の改善とインフレ抑制のための金融の引き締めというところに主眼が置かれていたと思います。 今回のアジアの通貨危機、これは各国の状況によって必ずしも一概に言えませんけれども、やはり為替の過大評価、そしてこれに伴って民間資本の流入というものが続いていたところですが、それが必ずしも適切に活用されていなかったところに市場の信認が失われた。そのために、一転して為替の急激な減価あるいは民間短期資本が流出する、そしてさらには脆弱な金融部門の抱えている問題が顕在化する、こうした状況を招いたと思っております。 ですから、今回の通貨危機におけるIMFのコンディショナリティー、これが経常収支の改善を目的としたものに加えて、経済構造の調整、なかんずく金融セクターの強化というものに重点が置かれた。そういう状況の中で、さまざまな議論を確かに議員御指摘のとおりに呼んでおります。 私は、IMFは、発生した危機の性格でありますとか各国の状況を踏まえて適切なコンディショナリティーを設定するように努力しているとは理解しておりますけれども、プログラムの実施に当たって、当然ながら定期的にレビューを行う、そして必要があればコンディショナリティーに調整を施しているわけです。 タイについては既にレビューが行われました。そして、黒字を義務づけておりましたものを、たしかマイナス二%ぐらいまでだったと思いますが、赤字を許容するといった調整を施しております。 インドネシアとの間で現在行われておりますその話し合いにいたしましても、非常にたくさんの島から構成されている、例えば物流一つをとりましても人の手で運ぶことはできない、航空機または船舶を必要とする、そうした島が非常にたくさんあるという特異な国土形成というものもその考慮の中に入っているでありましょう。こうしたインドネシアの実情に即したプログラムというものを目指して議論が行われ、関係者が努力をしている。私はその中で実質的に民間債務の部分を除いてほぼ内容が固まったことを喜んでいると先ほど申し上げました。 そして、このプロセスの中におきましても日本は、IMFのコンディショナリティーというものが今回の通貨危機に表明されましたような新しい形の危機というものに即応できるようなものにするべく、今後とも調査、研究、分析というものに鋭意取り組みながら積極的に発言を行っていきたいと思っております。 ちょうどこの危機がスタートいたしましたときには、その状況というものが従来の中南米型とどこまで違うのか、必ずしも十分な認識を持たずに我々も議論をした部分がございました。IMFとしても、当然ながらこの中で学んでいったことは多いと存じます。 そして、今回のASEMにおきましても非常に論議が集中しました一つのポイントは、短期間の巨大な資本の国際間の移動というものに対して単独でそれを防ぐ能力はどの国にもない。その場合に、IMFというものが十分にワークできるようにするためには今後どういう方途を講じていくことが必要か、こうした点について一層論議を、また研究を深めていかなければならないというのがお互いの共通認識でありました。
○武見敬三君 まさに総理が御指摘のとおり、過剰となった国際社会の資金、特に短期の資金というものが急激に流動することによって生ずる金融不安というものを、いかに各国が協力をし、そしてIMFのような組織を使っていかにこれをきちんと監視をし、そして阻止をするかということが大きな課題になってきているということはよくわかるわけであります。 しかし、また同時に、IMFというのは、何も主権国家の極めて骨格にかかわる構造調整の問題等について、あるいは制度改革について一々口を挟むような、そういう政治的、道徳的な権利などを持っているような組織ではございません。したがって、その点については我が国としてもきちんとこうした社会で発言をしておく必要性があるように思います。 また同時に、IMFの構造調整については、非常に深刻な教訓が八〇年代にあったということを外務大臣、伺っております。 これは、例えば構造調整をいたしますと、やはり経済の再建に向けての資金の集中ということが行われ、結果として社会保障その他の政府のサービスにかかわる財源がカットされてしまう。それが社会的な弱者としての貧困層に深刻な影響を及ぼし、時に人道的な問題をも引き起こしたというのが八〇年代の教訓であったというふうに伺っているわけでありますが、私はこのようなことをアジアにおいては起こしてはならないと思います。そして、最も豊かな日本という国がこの問題にいかに対処するのかということは、非常に大きな責任も伴う課題ではないかと思うわけでありますが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) IMFを通じまして、それぞれの危機的な経済状況を乗り越えるためにかなり力強い政策がとられる、その結果、それぞれの国の状況の中では、どうしても自国通貨の下落等に伴いまして、いわゆる弱者とかあるいは貧困層にインフレーションを通じて大きな影響が起こってきたことは過去にもあったわけでございます。 今回、アジアにおきましても、IMFの金融に対する通貨安定のための努力は多といたしましても、それぞれの地域におきましてそうした困難な状況を惹起いたしてはいけないわけでございまして、そういった点で、我が国といたしましては、アジアの経済危機の中で貧困層や社会的弱者への影響の実態をよく把握しながら、我が国としての協力をいかになすべきかということで現在努力を傾注いたしておるところでございます。 あわせまして、並行的にこうした問題につきまして、日本としても世界の経験に学ぶことから、欧米あるいはASEANの専門家の参加を得まして、近々「アジアの経済危機と健康―人間中心の対応」というシンポジウム等を開催いたしまして、こうした貧困層や社会的弱者への生活の影響につきまして実態の把握をいたしますとともに、その対策につきまして検討いたしてまいりたいと思っております。
○武見敬三君 ぜひ御推進方、お願いを申し上げる次第であります。 この分野というのは、どうも構造調整の陰に隠れていて研究者も非常に限られているようでございますし、その実態の把握というものに加えて、それに対する処方せんをいかに書くかということもそれぞれの国の状況によって異なっているようでございます。 それだけに、この問題というのは、まさに二国間の協力の案件ということだけではなくて、WHOであるとかあるいは世界銀行であるとか、そういった国際的な組織、機構との連携というものが不可欠であると思いますし、また同時に、政府のみならずNGOの果たす役割というものもきめの細かい対応をする上において決定的に重要になってくるだろうと思います。その点についてのいわばイニシアチブを外務大臣にはぜひ積極的におとりいただけるということを期待するものであります。 また同時に、こうした人道的な問題ということになりますと、私がすぐに思い出すのは、外務大臣御就任直後に、これは十二月でありましたけれども、ノルウェーのオスロで対人地雷の全面禁止条約に我が国が署名するときに大変積極的なイニシアチブを発揮されました。 聞くところによると、事務当局の方が随分逡巡しているときにさっさと大臣は署名の方向に向けて動かれたということを伺っているわけでありますが、大臣がこの問題に対して特にそういうふうに強く思い入れを持たれるということの根源にはどういうものがあるのか、一度伺ってみたいと思ったものですから、よろしくお願い申し上げます。
○国務大臣(小渕恵三君) 今、委員お話しのオスロではこの問題についての決着は見ませんでした。その結果、最終的には十二月の初頭、オタワで開かれました対人地雷の禁止条約につきまして我が国としてどのような対応をすべきかという判断がございましたが、総理の御指示もございまして、政府といたしまして、安全保障の面からも極めて重要な問題でありますので、防衛庁とも十分御相談をいたした結果、政府としてはこれに署名をいたそうという決断をいたしたわけでございます。 あくまでも対人地雷というものは、無辜の民がこの地雷によって毎日数百人の方が世界的に負傷しておるというような状況もございまして、戦争自体でなくてそれが終わった後大きな被害を受けているということで、人道的にもこの対人地雷禁止について世界的な大きな動きがあったわけであります。我が国も平和国家として、もとより安全保障の問題も十分考慮しなければなりませんけれども、そうした観点に立って世界に先駆けてこれに署名しよう、こういうことの決断をいたしたわけでございまして、人道的な立場でこの地雷の問題について日本の立場を世界に明らかにできたということは大変よかった、こういうふうに認識をいたしております。
○武見敬三君 今回、そのロンドンの会議に御出席された後にボスニアを訪問されて、サラエボで実際に地雷の除去作業を御視察になられたということを伺っているんですけれども、ここは三百万個とも言われているような対人地雷というものが埋められているところであります。 実際に現地を御視察になって、どのようにその実態を受けとめられ、さらに具体的にどのような貢献を我が国としてし得るとお考えになるのか、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 対人地雷につきましては、専らアジアの中ではカンボジアが大変な被害を受けているところでございますが、一方、欧州におきましてはボスニア・ヘルツェゴビナ、この地域におきまして今御指摘のように数百万個にわたる地雷が散布されておるということでございまして、ボスニアに参りまして、この地雷除去のために国連の機関が大変御苦労されておる現地に参りましてその実態を拝見いたしてまいりました。 特に、山野にばらまかれたわけではありませんで、市街の中での、市街戦を対象にしたといいますか、民家の周辺にばらまかれておりまして、この除去というものは非常に大変でございます。そういった意味で、今黙々として大変苦労をされておられる方々の状況を視察させていただきました。 除去のための努力を目の当たりに見ますると、いかにこれが大変なことかということを実感させられたわけでございます。大体一平方メートルのところに竹串で千回ぐらい刺してみて地雷の存在を確かめないとなかなか発見ができないということでございます。一部言われておりますように、対人地雷製造のためには邦貨にして一個三百円から五百円のものが、こうした努力を計算いたしますと一個除去するために五万円、十万円というお金がかかることを考えますと、世界のこうした地域の地雷をなくしていくという運動は大変なことだろうと思いますが、そうした地道な努力を世界の多くの方々がされておられるということに対して、日本といたしましてもその地域の地雷のセンターの立ち上がりのために、例えば百万ドル基金を提供するとか等々いたしておりますし、また世界的には五年間に百億円の基金を提供することを総理もかねて発表されておりまして、これを実行し続けているところでございます。
○武見敬三君 それから、外務大臣、二月十六日のこの通常国会の外交演説の結びの部分で、「国民とともに歩む外交」ということを非常に強くおっしゃいました。大変印象に残っております。この「国民とともに歩む外交」というのを具体的にどのように考えればいいのか。例えば、私が考えるところでは、やはり行政府と国民の代表である立法府との関係、特に外務省と立法府との関係というものをさらに緊密化させることが重要ではないかという考えを持っております。 一つの象徴的な事例としては、特命全権大使というものが実際に任地国に赴任する前に、国会の例えば参議院の外交・防衛委員会といったようなところに実際にいらして、そして国民の代表として実際に任地に赴くということに関して事前にその所見を述べ、そしてまた国民の代表である私どもの意見を聞いていただいて、その意見の交換を通じて理解を深めておくということが重要だと思います。 こういうことを通じてやはり「国民とともに歩む外交」というものの具体化が進んでいくんじゃないかというふうに思うわけであります。こうしたことは、実際に今後行革が進み、国内の巨大官庁がもし生まれていくというような流れが出てくるとすれば、外交上そういう調整機能というものをつかさどる外務省の立場というものは相対的に弱体化するおそれがあります。それだけに、その調整能力というものをより強化していくためにも、国民の支持というものは今後外務省にとってより重要になっていくように思うわけであります。そのための具体策としてもこういうことを実際に行っていく必要性があるのだという認識を持つのでありますが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 諸外国との外交につきましては、政府が専権でこれを実施するという建前になっております。がしかし、現下やはり外交は単に政府並びに外務省だけのことでなくして、広く国民全体の支持と理解がなくしては遂行できないという認識でその言葉を使わしていただいたわけでございまして、例えばODAにつきましても、残念ながら十年度予算では一兆四百億と前年度に比べてかなり削減をされておりますけれども、しかし国民自体がこのODAにつきましても、本当の意味で世界に貢献する日本としてこれだけのタックスぺイヤーが負担をしているという認識のもとに置かれるべきものだと思っております。 話はそれますけれども、例えば郵政省のボランティア貯金なども、その貯金の利子の中から世界のそれぞれの地域に大きな役割を果たしている。これも貯金をしていただいている方々のお気持ちに沿っていることでありまして、広く言えばこのODAについてもそういった認識がなければならないわけであろうと思っております。 そこで、今御指摘の、外務省の大使その他の赴任につきまして議会としてどうあるべきかと、こういうことでございますが、実は今国会から参議院の外交・防衛委員会におきまして、たまたま日本に帰りまして会議をいたしております、それぞれの任地に行っておる大使等をお招きしていただきましていろいろ活発な御議論をしていただいておりまして、大変意義深いことだと思っております。そういう意味からいいますと、改めて親任を受けてそれぞれの国に赴任する大使その他につきましても、議会の立場からいろいろと御意見を承るということは非常にいい機会じゃないかと思っております。 アメリカは、御案内のように承認する権限を議会が有しておるということでございますが、それは日本の場合にはそういう建前はとり得ませんけれども、少なくとも、それぞれの任地に向かう大使が十分なその国に対する考え方を国民の前にも明らかにしつつ、かつ議員外交等を通じまして衆参国会議員の皆さんも多数外国に行っておられまして、選挙で選ばれた者としてのいろいろな感覚でそういう国々を見ておって非常にいい御意見等を持っておられるわけでございますから、そうした方に積極的に御注文を出していただくということは私はいい機会だと思っておりますので、ぜひそういう機会がありますれば出席をさせていただければありがたいと思っております。
○武見敬三君 私は、本来ならばそこにいらっしゃる厚生大臣にも医療、福祉について質問をさせていただきたかったわけでありますが、それについては同僚の阿部議員の方から関連質問としてさせていただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。阿部正俊君。
○阿部正俊君 それでは、お時間をちょうだいいたしまして、武見先生の関連で、医療・福祉サービスというふうな点を中心に御質疑をさせていただきたいと思います。 質問に入ります前に、昨日あるいはきょうの新聞、テレビその他を拝見いたしますと、どうも現在審議中の予算があたかも成立した、あるいは成立するのが既定の事実のごとくされた上でのさまざまな対応が報道されておりますけれども、少なくとも来年度予算案は、今マラソンで言えば、いわばちょうど三十五キロ過ぎといいましょうか、一番苦しい山場に来ているんだというふうなことを十分念頭に置いて、どうかひとつ政府の方でも御対応いただきたいということを一言申し上げて、質疑に入りたいというふうに存じます。 まず、それとも若干関連するわけでございますけれども、医療・福祉サービスという本題に入る前に総理に一つだけ御確認したいのでございますけれども、いわゆる国債の償還期限の問題でございます。 現在では、一律六十年の償還ということで、次の世代あるいはその次の世代にいわばツケを回すような構造になっているわけでございますけれども、果たして六十年も効果がもつ、効用が続くものがあるのだろうか。橋にしろ道路にしろ建物にしろ、十年、二十年、三十年というのが限度ではないかな、こういうことでございます。 なぜ六十年になったかということをお聞きしますと、どうも永久資産である土地について百年と仮定すると六十年になる、こういうふうな話を聞いたように思いますけれども、何かへ理屈のような気がしてなりません。どうかひとつその辺、長年の慣例を引きずらずに、耐用年数に応じた、例えば五年償還、十年償還、二十年償還というふうなきちっとしたものをつくって、現役世代が使うものは現役世代でお返ししましょう、将来の世代にはツケを残さないという約束を守るということをはっきりさせる。 そうした上で、我々の世代で使う分については、そのやり方というものは、今までの六十年国債の発行、償還のルールとは別なルールをつくってきちっと対応していくということが必要なんじゃないか。どうかその辺、きょうあすということではございませんけれども、これから先の課題としてお取り上げいただきたい、こんなふうに思います。 総理も先日の当委員会でこれに関連するようなことをちょっと言われたように思いますけれども、できますればこの機会に、もう一度はっきりその点についての御確認のお答えをちょうだい願いたいというふうに思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに公債につきましては、海外の例を見ましても建設国債に限るというやり方、あるいはそうした区分をしないやり方、さまざまな例があるようであります。ドイツは従来から建設公債を原則としておったようでありますし、イギリスではブレア政権になりましてから我が国の建設公債類似の考え方を導入する方針というふうに聞いてまいりました。そして、我が国は、財政法で健全財政主義という原則のもとに、世代間の負担の公平の観点から、合理的と考えられる範囲において例外的に建設公債の発行を認めるというルールをつくってきているわけであります。 財政の現状は特例公債の発行を余儀なくされる状況にありますけれども、だからといってこうした財政法の原則を捨ててしまってよいのか、財政運営の健全性の観点から意味があるのではないか、よく検討する必要がある、従来政府としてはこう御答弁を申し上げてまいりました。 そしてこれに関連して、本院におきましても、また衆議院におきましてもさまざまな御質問がありました。その多くのケースは特例公債と建設公債の壁を一つにしてしまうのがいいのではないかという御指摘だったわけでありますが、私はそこはどうだろうと。むしろ、議員が今述べられたように、五年あるいは十年というそうした公債発行というものを考えられないだろうかということを私自身の考え方としても申し上げてまいりました。これは政府の答弁という意味からは多少逸脱しているのかもしれませんが、私はこういう問題は十分議論を深めていただくだけの価値があることだと考えておりまして、議員が提起をされることにも私は全く異論はありません。
○阿部正俊君 どうもありがとうございました。ひとつよろしくお願いします。 さて、本題に入らせていただきます。 医療サービスとか福祉サービスということにつきましては、従来のとらえ方として、いわば経済成長という面から見ますとその恩恵を受けて実施されるものではないかというふうな見方が多かったのかなというふうに思います。経済成長にとって医療サービスとか福祉サービスを拡充、充実していくことはうっかりすると阻害要因になりかねないんだというふうな認識があったのではないかなと思いますけれども、これから先も果たしてそうなのかなというふうに思います。 もし仮に、医療サービスなり福祉サービスなりを受ける方が極めて限られたような方々である時代、あるいは特定の経済的な余裕のある方が贈り物としてそうしたサービスを提供するという時代ならあるいは理由があったかもしれませんけれども、今や全く変わりました。考えてみるまでもなく、医療サービスについてはすべての方々が利用されますし、福祉サービスに至っては、介護とか保育とかいうことの例を見るまでもなく、圧倒的大多数の方々が利用になっているわけでございます。 そういうふうに考えますと、こうしたサービスは国民経済に深くかかわるテーマになっておりますし、その将来のあり方いかんによりまして日本経済のあり方を左右するというふうにも言えるのではないかな、こんなふうに思います。 今さまざまな方面から経済拡大、消費拡大ということが指摘されます。日本経済の再生のための切り札かもしれません。こうした沈み込んだ消費の拡大ということを考えますときに、従来型の物づくりというふうなもので、あるいは物の購入というふうなことで回復するのかなと率直に思います。むしろ、どちらかというと、今申し上げました福祉サービス、医療サービスというふうな個人に対するサービスをどう実現していくのかというのが大きくかかわってくるような気がするわけです。 したがって、こういう点について何人かの大臣、閣僚にお尋ねしたいわけでございますけれども、個人消費の中のサービス部門の中で今実現していない消費は何なのか、これを実現することが消費の拡大になる、あるいは一応スタートしているけれどもまだまだ不十分なレベルにとどまっているものは何なのかということについてどういうお見通しを持っておられるか。 これが結局、内需拡大とかさまざまな消費拡大とか言われますけれども、やっぱり一番の決め手になるのではないか。即効性は遅いかもしれませんけれども、これからの日本経済を考えますと、そうした消費構造の転換、それが産業構造の転換になり、経済構造の転換につながっていくというふうに思うわけでございますけれども、そうした点についての見通しをお聞かせ願いたい。 まず、経企庁長官、そういう点についてどう見ておられるのか。多分、経済計画でも触れておられると思いますけれども、展望とそのための条件についての見解をお聞かせ願いたいと存じます。
○国務大臣(尾身幸次君) 二十一世紀にかけまして少子・高齢化社会が進むというふうに考えているわけでございますが、そういう中におきまして、介護や育児等に関しますいわゆる社会的支援へのニーズが今後も高まるというふうに考えております。 そこで、医療機器とかあるいは医療サービス等、従来型のサービスにおきます需要もかなり高まってくるというふうに考えられますし、さらに医療に付随をいたします情報の問題とか診断サービスの問題とか、そういう周辺部分の需要、あるいは福祉用の用具に対する需要、そういうものもふえてくるというふうに考えている次第でございます。 経済企画庁の試算によりますと、医療保健・福祉関連分野の生産額は一九九三年の三十七兆円から二〇一〇年には六十九兆円と約倍近いところまで伸びてくるというふうに考えております。 ただ、私、そこで考えておりますのは、こういう介護などの医療、福祉の分野の需要が伸びるわけでございますが、こういう分野への民間企業の進出といいますか、民間活力を使うということが実は大変大事でありまして、サービスを受ける弱者への配慮も十分しつつ、そのサービスの提供側で民間活力を使ったいわば競争原理を生かすような方向に進むべきではないか。福祉、医療の分野におきましても、いわば靴に足を合わせるようなやり方ではなしに、足に靴を合わせるようなやり方にだんだんすべきではないか。もとより、今でもかなりそういう方向に行っておりますが、今後ともそういう方向を目指していくべきではないかと考えている次第でございます。
○阿部正俊君 次に、通産大臣にお伺いいたします。 狭い意味での医療、福祉ということだけではなくて、関連のさまざまな産業が今動き出しておるんだろうと思うんです。 せんだってテレビを見ていましたら、小型エンジンをつけて走る自転車がございますね、あれが若者向けに売れるんではないかというふうに予想したけれども、実は圧倒的大多数は七十、八十、人によっては九十歳以上の人もいたというふうな話がございました。 そういう意味で、いわば老人対策ということじゃなくて、新しいこれからの人生長生き時代の産業といいましょうか、ということでの今後の見通しはどうでございましょうか。
○国務大臣(堀内光雄君) お答え申し上げます。 先生御指摘のように、これからの福祉の問題について非常に幅広い産業の効果が拡大されるというふうに考えております。国民のニーズに合った医療あるいは福祉関連サービス、こういうものを適切かつ効率的に提供するためには、こういう分野──医療、福祉の分野でございますが、こういう分野が産業として健全に発展をすることが必要だというふうに思います。 通産省としましては、経済構造の変革と創造のための行動計画におきまして医療・福祉関連分野の二〇一〇年の市場、こういうものの規模は現在の三十八兆円から約九十一兆円に増加するという見通しを立てております。また、雇用の規模におきましては、現在の三百四十八万人から約四百八十万人に成長するという見込みを立て、推定をいたしておるところでございます。 そのためには、今まで進められておりますところの第三者による病院評価制度の早期の実施、こういうものを行うとともに、医療分野での遠隔医療の早期の実用化とかあるいは保健医療機関の迅速な情報化、こういうようなものを行うとともに、企業による病院の経営、あるいは高齢者介護に関する社会福祉事業への民間企業の参入、こういうものを検討するなどの必要があるんではないか。そういうことによって、規制緩和を通じて民間活力の最大の活用を図っていくべきだというふうに考えておりまして、こういった処置が先ほどのお話のように非常に幅広い新規産業創出の観点から極めて有意義になってまいるというふうに考えております。
○阿部正俊君 次に、労働大臣にお伺いいたします。 医療サービス、福祉サービスは、言うまでもなく大変労働集約型のサービスでございます。ただ現在、残念ながら、介護なりさまざまなサービスがまだ十分な体制になっていないこともありまして、介護のために職場を離れるというんでしょうか、離職するというふうな例も多いというふうに聞くわけでございます。 これから先、医療サービス、福祉サービスというふうに伸びていきますと、いわばそうした離職をやむなくしていた方々が職にとどまれるという状況になるわけでございますけれども、その方々は同時に、いわばサービスの受け手からむしろ税の納付者あるいは保険料を納めるというふうないわば支え手といいましょうか、そういうものにとどまれるということになりますし、そういう雇用構造というのがこれから期待されるのではないかというふうに思います。そういう意味でも二重の雇用拡大の効果になるんではないかな、こんなふうにも思うわけですけれども、大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま通産大臣がお答えいたしましたように、産業の場としての医療、福祉、介護というのはこれから大変大きな場に一つなります。そこで働いている人が今おっしゃったように納税者として国家に貢献をし、お互いに支え合う原資を出してくださるという部分が一つ、御指摘のとおりだと思います。 それからもう一つは、現に自分自身が自分の両親、あるいはおじいさん、おばあさんを介護したいという方が当然出てくるわけでありまして、その人たちは働き続けながら今御指摘のように介護あるいは福祉等の仕事に従事できれば、これは納税者としての立場を維持し続けられるわけでございますし、雇用の場としても維持し続けられるわけです。 労働省としては、御承知のように、育児休業制度というのを既に入れておりますし、先般、本院の御了承を得て成立をいたしました雇用保険法におきましても、平成十一年四月から介護休業制度が導入されますとそれに従って介護休業給付制度というものを導入しまして、育児あるいは介護のために休暇をおとりになっても所得保障ができる、そしてまた職場にお戻りになれるような制度の仕組みをつくっていって、委員が今御指摘のような雇用構造へ持っていくのがやはり適切だと思っておりますので、御指摘は全く同意見でございます。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 ところで、少し福祉論についての考え方について、私なりの理解で問題提起をさせていただきたいというふうに思っております。 今日まで、医療サービスだとか福祉サービスを論じますときには幾つかの尺度があったように思えてなりません。その一つは、いわゆる国庫負担がふえれば福祉は進んだ、逆に国庫負担の割合が減れば福祉は後退したんだというふうな見方があったのかな。あるいは全くその裏腹でございますけれども、患者さんとか福祉施設の利用者のいわば窓口での御負担がふえれば福祉の後退であり、減れば前進であるというふうな物の見方。これはやはり余りにも一面的過ぎる見方なのではないかなというふうに実は思います。 コストはだれかが必ず負担するものでございます。国庫負担がふえるならば逆の意味で納税者としての国民負担が、国民の税負担がふえるという関係でございますし、患者さんの窓口での負担を減らすとするならばその分保険料の負担がふえる、いわば若い方の負担がふえるという関係になるわけでございますので、そのことはやはりきっちり認識していなきゃいかぬのじゃないかな、こんなふうに思うわけでございます。 だから、それぞれの負担が多いのか少ないのかという論理だけをぶつけ合ったのでは将来展望はなかなか切り開けないというのが現実ではなかろうかな、こんなふうに思うわけです。従来の右肩上がりの経済成長があったときにはあるいはそういう論法での手法もできたかもしれませんけれども、今後はなかなかそうはいかないんじゃないかな、こんなふうな気がするわけです。 話はちょっとそれますけれども、私の地元の山形で、ようやく春の初めになってきておりますが、四月末になりますと、前にも取り上げましたが最上川の舟下りというのを新緑の中でやります。どうかひとつ機会がありましたらおいでいただきたいと思います。ちょっと宣伝が過ぎましたか。 実は、その船着き場、発着場に国民健康保険発祥の地という碑が建っているわけでございます。これは何なのかというと、昭和十年に実は村民全体が参加した国民健康保険組合がつくられました。今と比べれば全く貧しい時代でございました。したがって、保険給付もようやく外来給付だけ五割給付、入院は個別承認、いわゆる高額療養費なんという制度は全く影も形もございません。保険料をみんなで貧しいながらでも出して助け合いましょうという精神だったろうと思います。 したがって、豊かだから保険をやるわけではないのでございまして、逆に貧しいからこそ助け合おうという精神だと思います。いわゆる相扶共済、お互い助け合おうというふうな相扶共済の精神を私どもは少し原点に返って改めて学ばなきゃいかぬのじゃないかな、こんなふうな気がするわけでございます。 今の医療保険をめぐる諸状況といいますのは、そうした相扶共済というよりも、一方的に私は受ける人、あなたは出す人というふうな感覚で論議が展開される傾向がないのかなという気もするわけでございます。したがって、また繰り返しますけれども、いわゆる一人一人の負担論、高い低いという論議の中では将来の展望は開けないのじゃないかな、こんなふうに思えてなりません。 したがって、ここでは負担論から一歩距離を置きまして、まず私たち国民にとりましてどういう医療サービスなり福祉サービスなりが必要なのか、何が必要なのかということから問題を考えていかなきゃいかぬのじゃないか。その量と質も含めて確かなものにしていく、実際に手に入る手法とはどんなふうなものが考えられるのかということを考えるのが先ではないのかなという気がするわけで、それを前提にした上でそれを実現するための費用の賄い方を考えていくという順序で、いわば今までのとは逆の順序で考えていく必要があるのではないでしょうか。 そして、そのときに考えなきゃいかぬのは、我が国は、言うまでもなく、いわゆる計画経済の国家ではございません。可能な限り市場経済の原理を適用することもあえて辞さずに物を考えていかなきゃいかぬのじゃないかというふうな気がします。市場原理といいますのは、いわば最適な価格で最適なサービスが確保されることを予定するということだろうと思うわけでございます。 もちろん、福祉サービスや医療サービスが全く裸の市場原理で調達できるとは決して思いませんし、私も望むものではございません。ただ、だからといって、すべていわば国家統制的な中で組み立てなければならないというのにも無理があると思えてならないわけでございます。例えて言えば、勝手なたたき合いの戦争をするのではなくて、我が日本の国技の大相撲のように土俵をちゃんとつくって、ルールをつくって、それで自由に競わせるというふうな手法も医療なり福祉サービスなりに適用される部分というのはありはしないかというふうに思えてならぬわけでございます。 そうした考え方を一部取り入れましたのが先国会で成立いたしました介護保険という手法ではなかったかな、こんなふうにも思うわけでございます。 そこで、厚生大臣に二つお尋ねいたします。この介護保険につきましてでございます。 ただ、介護保険といいますのはあくまでも介護というものを手に入れるための経済的なシステムでございますので、介護保険ができたからすべて介護については大丈夫だということでもないような気がするわけです。したがって、逆に介護保険についてはどこまでできて、ここは個人個人がやるんだよというふうな役割といいましょうか、介護保険はどこまでできて、できないのか、逆に個人としてはここまでしなきゃならぬよというようなことをスタートの前に、国民に何か下手な幻想だけをばらまくようなことがあってはならぬと私は思いますので、逆にはっきり申し上げておくべきではないかなというようなことが一つ。 もう一つは、介護保険というものの柱の一つがたくさんかかる経費をみんなで賄いましょうという面もあったかもしれませんけれども、もう一つはやはりいわゆる施設中心の福祉構造というものを改めていこう。つまり、老後といいましょうか体が不自由になっても御自宅で過ごせるような条件づくり、これは我が国は決定的におくれていると思うんです。そこを打開しようというのが一つの考え方ではなかったかなというふうに思いますけれども、その依然たる家族介護の現状、どういうふうになっておるのか。 あわせて、在宅というものをやるためには相当やはり意識改革というものが私は必要だろうと思うんです。従来の福祉といいますのは、どうしてもお上から何か下げ渡されるような感覚で受けとめている住民なり市町村の担当者なりはまだまだ少なくないのでございます。相当な意識改革が要るんではないかというふうに思いますけれども、この二点について、厚生大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(小泉純一郎君) 委員はもう厚生省出身でありますから十分御存じだと思うんです。まして総理が厚生大臣のときの秘書官であられましたから、むしろ私よりも詳しいんじゃないかと思います。その上での御質問だと思います。 介護保険というのは、昨年国会で御審議いただき成立し、平成十二年度実施を目標にしております。当然初めての保険制度でありますからさまざまな不安もあると思いますが、ともかく介護というのはもう個人や家族では限界がある、地域においてあるいはお互いが助け合おう、公的にも支え合おうということで成立させていただいたわけでありますので、今後、この介護保険ができますと、施設サービスと在宅サービス、これをうまく調和、連携させていかなきゃならないということであります。 この問題については、まず、介護の度合いが人それぞれによって違います。それから、すべて介護は全部介護保険でやってくれるんだろうという誤解を持たれる方もいると思うんですが、そうじゃない。基本的には今六段階の認定制度を考えております。介護の必要度によって、一番多く介護サービスを必要とする方と、軽い方と。その六段階においては、一番重度の介護サービスを受けられる方は三十万円程度、一番軽い方は六万円程度、その一割を負担していただきましょうということでありますので、その問題は、介護の認定制度は全国統一基準にして、できるだけ不公平感、不平等感がないような基準、標準を定めていきたい。これは今準備を進めております、間に合うように。 それ以上のサービスを期待すると。介護を受ける方にとってはできたら二十四時間世話人、介護人がそばにいてもらった方がいいわけです。一週間に二回、三回おふろに入るよりも、できたら毎日おふろに入った方が快適になります。それを全部介護保険でやってくれといったって無理がある。決められた段階以外のより多くのサービスを要求するんだったら、ある程度自己負担はしてもらわなきゃならない。しかし、基本的なサービスの段階は保険で適用できますよということをまず御理解いただきたい。 そして、今までのように、介護となると、家族もいない、すぐ施設に入るというのではなくて、数日間の短期入所、ショートステイとかあるいは訪問介護、デイサービス、これからそういう人員もふやしていく。在宅で家を留守にした場合は二、三日預かってもらう施設を多くしていく、あるいはだれかに来てもらうというのも、人数の面においてこれを養成していかなきゃならない。いろいろな面があると思います。すべて施設に入るというのじゃなくて、できるだけ在宅で介護サービスを受けられるというように在宅介護支援整備を充実させて、何でもかんでも介護になったらすぐ施設に入るという観念を一掃していただきたい。まず、家にいて自立できるような社会的な支えをつくるということ、ここをよく理解していただくというのが大事な点であると思います。 また、今言ったように発想の転換をする、行政と住民の双方の意識改革が必要だという二点目のお尋ねでありますが、そのとおりだと思います。 これから市町村が介護の主体的な役割を担います。となると、住民も地方団体に対していろいろ要望を出していただく。私は住民も介護サービスの質を決定的に変える大きな要素を担っていると思います。どういうサービスを要求するのか、どの程度まで負担するのか。市町村長の役割というものは非常に大きくなりますので、全国的な基盤は国で、厚生省で決めますけれども、市町村ではサービス競争が若干出てくるかもしれない。それは住民の意欲と要望と、それに進む取り組みのいかんによって変わってくるものでありますので、むしろ民間の企業もそれに参加してもらいたい。農協とか生協とかあるいはボランティア団体もこの福祉サービスに参加してもらって質の向上を目指していただくことによって、あるいは市町村がそういう民間団体にサービスを委託するということによって、私は効率的で活力のある福祉サービスの水準が上がっていけばということを期待しております。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 ただ、私も昔は厚生省におりましたけれども、昔の名前で出ているわけではございませんので、そこは新しい立場で御理解を願えるように私も頑張りますので、どうかひとつよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。 実は、私は山形という地元で皆さん方と介護保険のお話をするときにこういう質問を受けることがあるのでございます。介護保険というふうなものをつくりますと、日本の美風である家族関係とか親子関係を壊すことになるんじゃないかというような話を聞くわけです。子供は親の介護をするのは当然ではないかというふうな物の考え方を壊すんじゃないか、こういうことかなと思うんですけれども、そのときに私はこういうお話をすることにしてございます。 例えは適当かどうか知りませんけれども、介護をデコレーションケーキに例えまして、丸い十五センチぐらいの高さのケーキを考えますと、その土台をなすカステラの部分、これが介護保険だと。それから、周りをきれいに飾る生クリームなりあるいはイチゴなりというのは地域社会の努力なりボランティアの役目ではないのか。最後に何本かのろうそくを立てたり、あるいはお誕生日ならばお誕生日おめでとうというサインをできるのは家族しかいない、こういう例えをいたします。 つまり、三つそろってこそ初めて安心できるといいましょうか、見通しの立つ老後ができるのではないか。どれかがどれかの役目をかわりにするものではないということでございます。うっかりしますと、お誕生日おめでとうと書いてほしい家族が心の余裕を持って書けずに、家族だけに介護を押しつければ介護を受ける方に対して悪い感情を持ってしまうこともなりかねないというのが現実ではないのか。だから、これからの日本、これだけ豊かになった国ではないですか。そういう介護制度なりなんなりというようなシステムをつくることが大事なのではないかなというふうな例えをいたしますけれども、それがどうだというわけじゃありません。何か御参考になればなという感じもするわけでございます。決して日本の美風を壊すとかそういうものではないということをぜひ国民の皆さんにも御理解願いたいものだな、こんなふうに思うわけでございます。 最後に、残り時間もわずかしかございませんが、医療と医療保険の問題に触れてみたいと存じます。 平成八年と九年の予算委員会で、医療保険でカバーする範囲について私も論議をさせていただきました。そのとき、総理からはこんなふうなお答えがありました。基礎的な部分は公的な保険で見て、選択的な部分は民間保険と組み合わせる考えはないだろうかとか、あるいはホスピタルフィーというのとドクターズフィーというのを、病院にかかる経費とお医者さんの技術料と言ったらいいんでしょうか、というように分けて物を考えてみることはできないだろうかというふうな御示唆をちょうだいしたわけでございます。 その後一年数カ月たつわけでございますけれども、医療保険の改革論議の中で総理がかつて申されたようなことがどういうふうに生かされてきたのか、現時点での総理の御見解をお伺いしたいと存じます。よろしくお願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私は議員の御論議を聞きながら改めて過去を振り返っております。そして今、在宅介護というものを取り上げるのが当然の議論になってまいりました。しかし、昭和四十年代の半ばぐらいまでは、医療の世界だけではなく福祉の世界でも大きな施設をつくることが前進というとらえ方の時代があり、これをだれもが疑わなかったと思うんです。しかし、それは高崎の国立コロニーをつくってみて、必ずしも大きな施設をつくることがすべての方の幸せにつながるとは言えないという問題を我々に突きつけました。そして、できるだけ身近なところに施設ができる方がいい、そして施設長さんが入っておられる方々のお顔を見ればそのときの状態から御家族までわかる方がいい、その方がいいんだという時期がしばらく続きました。その上で今、在宅というのが医療の上でも福祉の上でも議論をされるようになってきた。私はこれはすごい前進だなと思うんです。 そして、その中におきまして、議員から今医療保険というものについてのその後の論議というお尋ねをいただいたわけですが、私は以前から保険診療と自由診療との二つしかない医療の仕組みというのはおかしい、その間に私の保険、民間保険が入ってもいいじゃないか、保険診療に継ぎ足して好む医療を受けられる体系があっていいではないかという問題提起をしてまいりました。また今、議員からドクターズフィー、ホスピタルフィーという医師自身の技術の評価、それに伴う医師の収入、そして医療機関というハードの部分にかかるコストを分けられないだろうか、そういう問題の提起も私はいたしました。 そして、実はこの壁を越えないと、病気になってしまった人を治すときにはお医者さんに対しての収入が出てきますけれども、病気にならないようにお医者さんが努力をする部分に対しては今の仕組みではなかなかうまい報酬の組み立てができないわけです。ですから私は、ハードの部分に係るものと医師の技術に係るものとを医療保険の中で、診療報酬体系の中で分けられないだろうかということも申し上げてまいりました。 そして、二十一世紀に向けてだれもが安心して良質な医療を受けられるように、そうしていくためには国民皆保険というこの枠組みは我々は本当に守らなきゃいけないと思います。そしてその上で、医療サービスというものに対して国民が求めているものも非常に多様化しているわけでありますから、国民の選択の幅が拡大するような方向にこれを進めていかなければならない。 そうなりますと、この前私はちょっとその辺を短絡して申しましたけれども、医療サービスの基本的な部分は保険がカバーする、医療保険が賄いながら、その保険給付とそれ以外のサービスをどう組み合わせればいいか。これはいろんなケースがあり得ると思いますけれども、これを組み合わせることも含めて医療保険のあり方を考える必要があるということを申し上げてきました。そして、現在厚生大臣のもとで取り組みを進めていただいている医療保険制度の抜本改革の中においても、議員からも今御指摘のありましたような考え方に立った見直しが進められている、そういう状況にありまして、この部分についての議論はこれからも深めていただく必要のあることだと思います。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 それでは、もう時間も余りありませんので、最後に厚生大臣にお聞きしたいと思うのでございます。 厚生大臣は本当にまなじりを決したようなお顔をしながら、これからのふえる医療費なりあるいは年金の財政なりというのを非常に深刻に受けとめられて頑張っておられるというふうに拝見しているわけでございます。確かに、医療サービスなりについてはまだまだコストの削減という点から見ても可能な部分というのはあるのかなと思います。 その例として私なりに見ますと、例えば病院に行くときに持っていく被保険者証がございますけれども、依然として家族、被扶養者も含めて書いた紙切れ一枚ですね。ところが、今ああいう、米の何とか通帳じゃないわけでございますが、というようなことをやっているところはあるだろうか。銀行の預金にしてもどこにしてもみんなカードでやっている時代に、まだ被保険者証で紙に文字で書いてやっているところがあるだろうかなというふうな気がします。 あわせて、いわゆるレセプトと言われる診療報酬の請求の仕組みがございます。これもいわば手書きを原則にしている状況ではないかなというように思うんです。実際は、病院で一回電算処理した上でもう一回アウトプットしてそれを審査機関に持っていって、そこでもう一回審査してまた電算処理してもとに戻すというようなことをやっているわけです。もっと隠れているかもしれませんけれども、この辺も事務コストとして決して無視できないんじゃないのかなと思うわけでございます。 ただ、そうした削減ということだけでこれからの医療費が解決するとも思いません。となりますと、やはり先ほど総理が言われましたように、基本的な部分とそうでない部分とに分けまして、お互いで分け合っていく金の持ち方というのが要るのではないかな、こんなふうに思うわけです。例えばの話ですけれども、ホスピタルフィーに近いのかもしれませんけれども、お部屋代とかあるいはお食事代とか、個人でも、患者さんが素人でもわかる部分については御自分で持ってもらう、保険からは一定しか出さないけれども残りは御自分で持ってもらうとか……
○委員長(岩崎純三君) 時間です。
○阿部正俊君 ただ一方で、技術料についてはやはり重点的に公的保険で見るというふうな方向も考えてみる必要があるんじゃないかなと思いますけれども、最後に厚生大臣の御見解を聞いて終わりたいと思います。
○委員長(岩崎純三君) 簡潔に御答弁願います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 前段の診療報酬明細書、いわゆる患者さんのレセプト、これは今十二億枚ですね。これを一々見ては全部審査し切れない。当然であります。これはできれば電算化に向けて合理化を図っていきたい。これも医療費のむだ、効率化を図る点で大事でありますから、これは鋭意電算化に向けて努力をしていきたいと思います。 それともう一つが、公的保険で見るのは全体、基本はそうです。しかしながら、いい部屋に入りたい、あるいはいい食事をしたいという点については、いわゆる医療の周辺部分といいますか、基本的な医療の診療とはちょっと違うんじゃないか。大部屋よりも個室を望む、冷蔵庫のある部屋、テレビのある部屋がいいと言う人はある程度高い部屋代を払ってもらおうじゃないか。病院もそういうことは提供していい。それは自己負担してもらうという部分、これは考えてもらうということで今審議会で議論していますから、基本的なものは公的保険で見ますけれども、より多くの快適なものを望む場合は自己負担だというようなことも検討していいのじゃないか、そう思います。
○阿部正俊君 終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で武見敬三君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、寺澤芳男君の質疑を行います。寺澤芳男君。
○寺澤芳男君 民友連の寺澤芳男です。 橋本総理、小渕外務大臣、きのうまでロンドンで大変お疲れさまでございました。 二年前の第一回のASEM、あのときのアジア経済は非常に成長していた。ところが、今度のASEM、これはアジアの金融危機、通貨危機の真っただ中で行われたわけであります。特に最近、我が国に対する国際的な非難が非常に強まっている。 二月二十一日のG7のときに、アメリカのルービン財務長官は、弱い日本がアジアの弱さの原因であると言っております。日本責任論の大合唱だったと伝えられております。三月二十七日のフィナンシャル・タイムズでは社説で、「日本の政策の無能ぶりを以前にも増してさらけ出した」と痛烈に批判しています。今回のASEMでも日本に対して厳しい要請が相次いだと報じられております。アジアの経済大国の日本として本当に政策転換を明言して景気回復しかないとか、あるいは市場を開放してアジアの製品を受け入れろというような声が非常に高かったと思います。 橋本総理に、このASEMでどのようなリーダーシップを発揮されたのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますけれども、例えば日本の経済状態を具体的に尋ねられた二国間での首脳はシラクさんだけでありましたということを先ほど申し上げました。 同時に、確かに報道にそういうものがあったことは私承知しておりますけれども、非難が云々とかそういう状況はなかったということだけは、私は正確に申し上げておきたいと存じます。 そして、ASEMだけではございません、その全体会合の前にアジアの首脳だけが集まりまして、アジア側として足並みをそろえて全体会議に臨みますために意思統一をいたしました場面でも、私が実は調整国側のその発言の要約をする役割だったわけですが、議員が今お述べになりましたような非難、批判というものはございませんでした。これは責任を持って明らかにしておきたいと思います。 そして、私は、その上で大変この会合が実りがあると先ほど申し上げましたのは、議員からも御指摘がありましたように、第一回の会合はむしろ対等な立場でアジアとヨーロッパの首脳が一堂に会すること自体に意味があった。そして、アジアの経済は好調であった。そして、今度は中身が必要になる第二回目の会合だったわけでありますが、幾つかの主要国が経済の、また金融の危機に直面している。一方、欧州側は一つの通貨を導入する、これを間近に控え、しかもEU拡大という方向に向かっている。これに対して、当然ながらアジア側にはその拡大していくEUというものがいわば閉鎖社会になってしまうのではないかというおそれの気持ちを持っておりましたし、その導入されるユーロというものが使いやすいものになるかどうかについての不安も持っておりました。 これは、昨年十二月のASEANプラス1のときでもその懸念は出ており、そのときにおきましても、ユーロに対してアジア側がどういう立場で臨むかということは足並みをそろえておく必要があるという問題を私が提起しましたときに、シンガポールのゴー・チョクトン首相からも、それは必要だからいずれにしても全体会合になる前にアジア側で集まらなければならないということをお互いに確認したところであります。そしてその上で、私たちはEUに対し、EUの拡大というものを基本的に支持する。しかし、それは開かれた市場であるべき、またその統合のプロセスが透明なものであるべき、そしてアジアはそれぞれの国が自分の責任においてこの状況に立ち向かうことは当然だが、ヨーロッパ側もこのアジアの抱えている問題をみずからの課題と受けとめてもらいたい、これが一点。 基本的に基軸通貨がもう一つ生まれる、これは非常によいこと。ただし、それは安定した使い勝手のよいものであってほしい。そして、そのユーロ圏というものが閉ざされた社会にならないようにしてもらいたい。そして、そのユーロについての情報は、ただ単に政府レベルでのみ我々に知らされるのではなく、それぞれの国の民間に対してもヨーロッパ側からも十分な説明があるべきだ、我々はそう願う。こういう率直な議論が行われたのが今回のASEMでありました。そして、そういう中で、日本はアジア側の調整国という立場で会議を主導してまいりました。 あるいは韓国の金大統領が、日本は五月に投資環境調査団を民間の方々がおつくりをいただき韓国に行っていただくわけですけれども、ヨーロッパ側からもそういうものを求めたいという希望を漏らされたのに対し、最終日、私からこれを提起し、そうした方向に全体をリードできたこともよかったと考えております。
○寺澤芳男君 ちょうど四月二日、総理がロンドンにいらっしゃった日だと思いますが、ソニーの大賀会長が外国人特派員クラブというところで、日本経済は崩壊の瀬戸際にあるんだ、景気がこれ以上下降線をとり続けるなら世界経済に大きな打撃を与えるのはもう疑う余地がないんだという大変大胆な発言をされて、英国のガーディアンという新聞が、橋本総理がロンドンに着くのを待ち受けるようにして一面トップでそれを伝えた。これで橋本総理もASEMの会合で非常に困る立場に置かれるのではなかろうかというような論評もあったかに聞いております。 総理はロンドンでの記者会見で、景気対策について、経済の実態に照らして本当に必要かつ有効な方策は何か、与党が三月の末に発表した対策を尊重しながら慎重に考え抜いていると記者会見で述べておられます。また、やらなければならないことは大胆にやっていくともおっしゃっておられます。この記者会見を衛星中継で私も見ておりましたが、総理の、本当に必要でかつ有効、やらなければならない景気対策とは一体何なのかよくわからなかった。 そして、四日の日本の新聞の夕刊には各優良紙全部が、大型減税へ財革会議招集、初めて今度の法改正に向けて首相が表明をしたということで、日本ではまだ参議院で本予算が審議されているのにもかかわらず総理大臣がどうしてこういうことを言うんだろうということを非常に疑問に思っておりました。 橋本総理は本参議院の予算委員会において、本予算は現時点では最良の予算であるとずっと言い続けてまいりました。所得税減税などについては一切言及されなかった。しかるに外国において大型補正あるいは所得税減税について言及している。この新聞の報道が真実だとしたら、橋本総理大臣は本院の予算委員会を全く無視されている。 先輩の議員に聞きますと、今までの総理大臣の中で橋本総理大臣ほど本院の予算委員会に対して不信な行動をとった、あるいは失礼な行動をとった総理大臣はいないということが先輩議員の証言であります。我々は、まだ審議が終わっていないにもかかわらず総理がどうして補正を示唆するような、そして大型減税を示唆するようなことを外国でおっしゃっておられるのか、そのお気持ちをぜひお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 二つに分けてお答えをいたしたいと思います。 まず第一に、ソニーの大賀会長の御発言というのは私は詳細を存じておりませんけれども、仮に日本経済にしっかりしてもらわなければ困るということでありましたなら、私としても経済の停滞から一日も早く抜け出し力強い日本経済を再建する必要性は十分理解をしておるつもりであります。そして、ロンドンでもその大賀さんの発言について、日本経済は崩壊寸前だと大賀さんが言っておられるという質問がブレア首相とのASEM終了後の記者会見で出ました。私は、我が国がネットの対外資産を八千億ドル、外貨準備も二千二百億ドル以上保有をしている、公的債務は対外的に負っていない、こういう国が崩壊寸前と言えるだろうかと申しましたら、もうそれでそれ以上の質問はございませんでした。 それから、報道を前提に今大変厳しいおしかりをいただきましたけれども、先ほども読み上げましたが、私は記者諸君の質問に対して、今の景気は恐らく第二次大戦以後初めてあらゆる悪条件が重なっており、極めて厳しい状況に直面していると言える。さきに与党が発表した十六兆円を上回る経済対策に対応して政府がどういう景気対策を打ち出すかを国民の皆様や国際社会全体が注目していることも承知している。私は、これまでも内外の経済・金融情勢に対応して臨機応変の措置をとると言ってきており、今の景気の実態に照らして何が本当に有効かつ必要な方策なのか、与党の御提言を参考にしながら私自身真剣に考えている。今申し上げられることは、内外の危機的な経済状況を踏まえて、やらなければならないことは大胆にやっていくということである。つまり、財政、金融上の措置を軸に、内容の充実した実効性のある具体的な対応策を考えていきたい。参議院で予算を御審議していただいている最中だが、予算が成立した段階のできるだけ早期に財政構造改革会議を招集したい。今申し上げられることはここまで、これが私の発言でございます。 そして、真剣に考えておることは事実でありますし、これまでも状況に応じて臨機応変の対応をとるというのは当然だと思いますという御答弁も申し上げてまいりましたが、それ以上のことを私は申しておりません。その上で報道がどう書かれましたかにつきましては、これは私として責任を負いかねることでありまして、今これはそのメモをそのまま読み上げさせていただいた次第であります。
○寺澤芳男君 時間が参りましたので、午後にさせてください。
○委員長(岩崎純三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、平成十年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。寺澤芳男君。
○寺澤芳男君 それでは、視点を変えまして、銀行の貸し渋りについて議論をしたいと思います。 大蔵大臣、貸し渋りということは一体どういうことでございますか。
○国務大臣(松永光君) 銀行は、預金者から預金等を集めまして、その資金をもって堅実な事業活動をしている企業に対して必要な融資をするというのが本来の業務であるというふうに思いますが、昨今言われていることは、必要以上に融資について消極的なといいますか厳しい姿勢をとって、必要な資金が中小企業その他に円滑に融資をされないという事態を貸し渋りというのだと私は思っております。
○寺澤芳男君 通産大臣にお願いします。貸し渋りの定義を教えてください。
○国務大臣(堀内光雄君) お答え申し上げます。 いわゆる貸し渋りという名称は厳密な定義があるわけではないと存じます。現在では、株価の低迷だとかあるいは金融機関の自己資本比率の問題などによる資産の圧縮の動きなどを背景といたしまして、本来、銀行というものの事業は金を貸すのが仕事であるはずなのでありますが、その金融機関の融資態度が非常に厳しくなって、貸付金の回収だとかあるいは金利の引き上げというような形で経営に特別に問題のない健全な企業へ円滑な資金供給をしなくなってくる、支障を来すようになったというようなものを貸し渋りというふうに考えております。 当省の調査などでは、具体的には金利の引き上げを求めたり、あるいは新規の貸し出しだとかあるいは定期的に更新をしている貸し出しをロールオーバーといいますか延長するのを断られたりする形、これを貸し渋りというふうに私は考えております。
○寺澤芳男君 ありがとうございました。 堀内通産大臣の答えが一番現実の貸し渋りを的確に示していると私は思います。大臣が言ったように、今の状況を端的に言えば、貸し渋り、要するに普通我々が使っている日常用語の貸し渋りというと、銀行へ行ってお金を借りようとしたら銀行がちょっと今ということで貸すのを渋った、こういうふうにどうしても思われる。しかし、貸し渋りというのは銀行による資金の回収である、こう思います。 つまり、企業が銀行に行って新たな設備投資をしたいので融資を申し込んだら断られた、これもありますが、そういうことではなく、長い間当たり前のように銀行が貸してくれていた例えば一億円の運転資金をいきなり来月までに返してくれと言って銀行が回収をする、そういう貸し渋りがあったがゆえに何人もの中小企業の経営者が自殺をするという大変な悲劇が起こっているわけであります。 三月十日と十二日に大手十八行、地方銀行三行、二十一行に対して一兆八千百五十六億円の公的資金の注入をいたしました。これは金融システムの安定、そしてなるべく貸し渋りをこれ以上とめようという意図で公的な資金を注入したわけであります。この一兆八千百五十六億という公的な資金を注入し、銀行の自己資本比率八%、これを維持するとすれば、その逆数である二十二兆六千九百五十億円の貸し出し余力が少なくとも机上の計算だと生まれます。 大蔵大臣、せっかくの公的資金による資本注入は、貸し渋り対策としてどのぐらいの効果があるとお考えなのか教えてください。
○国務大臣(松永光君) 詳細なことは必要に応じて局長に答弁させますが、総論として申し上げれば、銀行等の自己資本というものが資本注入によって増額されますればそれに応じて貸し出し余力が強まってくる、それを通じて貸し渋りの解消には貢献してくる、こういうふうに私は思っております。 細かい数字については局長から答弁をさせます。
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。 先生おっしゃいますように、約二兆円の資本注入が自己資本比率を上げるために使われずに分母をふやすためだけに使われれば十二・五倍がふえる計算になります。しかし、自己資本充実、自己資本比率を上げるという目的が半ばありますので、いわゆるリスクアセットという、分母の拡大というのは限られるわけでございます。そこで、健全化計画で示されました資本注入をしない場合に比べて資本注入をした後にどれくらいいわゆる貸し出し等のリスクアセットがふえるかということを三月末時点で出していただきました。それによりますと六兆円という答えが出ております。 大臣から申し上げましたのは、しかし長期的に見ると自己資本比率が上がるということは貸し出し等をふやせるということでありますので、中長期的に見れば自己資本充実が貸し出し増につながる、こういうことでございます。
○寺澤芳男君 一日も早くこの貸し渋り現象が少なくとも正常化されることを望みます。 去年の暮れ以来、自民党の政調会長あるいは幹事長代理などの与党の幹部がたびたび、三月三十一日の決算の最後の日の東京証券取引所の終わり値を一万八千円にしたい、そういう表明をし、財政出動をにおわせる何度ものたび重なる口先介入、これがマーケットを、市場を乱高下させたわけであります。最終段階で政府は公然と一兆円近い郵便貯金あるいは簡保の資金、こういった公的資金を投入して、株価維持策PKO、プライス・キーピング・オペレーションを行いましたが、結局三月三十一日午後三時の終わり値は一万六千五百二十七円十七銭だったわけであります。 与党の幹部が目標とする株価を公言してはばからない。さらには公的資金まで株式市場に投入する。これは市場経済においては信じられないことであります。諸外国でも聞いたことはありません。アメリカであれば、多分インサイダーとして懲役十年に当たるのではないかと思います。 我が国の証券取引法にも第百五十九条に相場操作の禁止が定められております。 証券取引等監視委員会は、こういった与党幹部の発言をどのように考えているのか、お聞かせ願います。
○政府委員(堀田隆夫君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のございました証取法の百五十九条が禁止する相場操縦でございますけれども、これは株価全体を総体としてとらえるというものではなくて、個別の銘柄と申しますか特定の有価証券に関しまして、有価証券の売買取引等を誘引する目的をもってその有価証券を変動させる一連の売買取引等を行うというふうに解されているところでございます。 今お話のございました件は、特定の有価証券に関するものではございませんし、またそもそも有価証券の売買取引等ではないということでございまして、ただいまのお話をもって相場操縦に当たるということは考えられないと思います。
○寺澤芳男君 証券取引法第百五十九条二項、「何人も、証券取引所に上場する有価証券等について、有価証券市場における有価証券の売買取引等を誘引する目的をもつて、次に掲げる行為をしてはならない。」「当該有価証券等の相場が自己又は他人の操作によつて変動するべき旨を流布すること。」、このように自由市場を守るルールというのは非常に厳しいものがあります。 さらに、政府は、口先介入あるいはPKOで株価が十分に上がらないと見ると、通達を出して金融機関の決算の方法についてこれまでの低価法から原価法の採用を認めてしまいました。 原価法というのは、ある銀行が十年前に五千円で株を買った、今その株が千円になった、その場合に、買ったときの五千円の株の値段を貸借対照表に書いてもよろしいというやり方であります。ですから、四千円の含み損に関係なく、取得価格の五千円をバランスシートに書き込む。これによって金融機関の決算は三月三十一日の株価に関係なくなってしまった。幾らでもいい、高い方を書けばいいわけですから。これは当然、株価の時価、これを基準にする国際的に通用する会計原則と全く相反しております。 今、日本という国はほかの国からどう見られているのだろうか。ほかの国の銀行の貸借対照表は、もちろん時価あるいは低価法、時価か買ったときの値段か安い方。もっともアメリカの場合は銀行が普通株を持つことができませんから、銀行によるバランスシートには株の評価ということは全くありません。我が国も商業銀行が普通株を持てなくなるような法律をいつかぜひ成立させたいというのが私の長年の念願でありますが、きょう私が申し上げたいのは、世界から日本はどう見られているのか、もう一度我々は真摯に考えてみなければならない。 この原価法もそうです。与党の幹部が、軽く株価を幾らにしたいというようなことをこの市場経済の世の中で言うこともそうです。郵便貯金や簡保の資金を株が安いからといって株式市場に注入させるということも一つです。自由市場のおきて、これを政府が破っている。この原価法に至っては政府ぐるみの粉飾決算であると言っても過言ではない。少なくとも、何をやっているのかわからないというふうにほかの国に見られてもやむを得ない。 総理にぜひ申し上げたいんですが、確かに日本の経済あるいは景気はよくありません。しかし、私がそれよりももっと憂慮しているのは、市場経済を採用しているほかの国から見て、日本の市場が透明ではないとか、あるいは日本の市場が公正ではないということの方が私は非常に心配であります。 総理は、フリー、フェア、グローバルということをおっしゃった。そのとおりです。私事にわたって恐縮ですが、アメリカで生まれた私の四人の子供たちは、最初に覚えた英語がフェアという英語でした。四人の子供に一つしかお土産を買ってこないと、あとの三人がイッツ・ノット・フェア、この大合唱だった。まあ日本の男の子の言葉で言えば汚いぞと。このフェアということは、グッドとかバッドとかというものよりもノットフェアである方が少なくともアメリカでは重い。彼はフェアではないと言われれば、もうそれでまず最後の言葉になります。彼は頭がよくないとか勉強ができないとかということはどうということはない。 これからのこういった資本主義、市場経済の厳しいおきて、これを守っていかなければどうしても世界の仲間に日本は入れない。私はこれが一番大事な問題でないかと思います。例えば、日本は完全に民主主義、市場経済の国でありますけれども、何となく政府が民間がやるべきことに口を出して、何となく官主導型の政策が続いております。 経済企画庁長官にお伺いしたいのですが、ずっと経済企画庁では、去年の十一月までひたすら、経済は緩やかな回復基調にあると言い続けてまいりました。そのとき既に経済の実態は悪く、自殺者が出るほどでした。「緩やかな回復基調で倒産し」という川柳が世の中でおもしろおかしく言われました。春になれば、桜が咲けば景気はよくなると長官おっしゃって、日本の桜は秋咲くのかと言われて困ったことがある。 長官、国民がみんな実感として気づいていたあの経済の悪い状態を経済企画庁はどうして気づかなかったのか。その辺の御説明をお願いいたします。
○国務大臣(尾身幸次君) 経済の実態についての私どもの報告なりレポートは、統計数字その他関係の経済人等からヒアリングをするなど、ありとあらゆる情報源を使いまして、私自身、先ほどのお言葉をかりればフェアに妥当なレポートをしてきたつもりでございます。 もとより、昨年の九月秋口までは私どもは経済は回復基調にある、そういうふうに判断をしておりまして、そういうふうに申し上げてまいりました。そして、昨年の秋十一月、十二月ごろにアジアの問題あるいは金融機関の相次ぐ破綻によりまして、急速に将来に対する企業家あるいは消費者のマインドが悪くなった、そのことがさらに経済状況を厳しくしたというふうに理解をしているところでございます。
○寺澤芳男君 四月一日からいわゆるビッグバン、これがスタートいたしました。ビッグバンはとにかくフェアで情報の開示があって、そしてだれもが同じような量の情報を受けられるというその上での競争、これが大原則だと思います。 ところが、実際問題として今アメリカや英国の銀行で行われているサービスというのは、大口の預金者と小口の預金者をはっきり区別しております。すなわち、大口の預金者、銀行によって違いますが、仮に二千万円以上の預金者、これにはいろんな意味でいいサービス、情報の面でもいいサービス、それから手数料も安い。画然と分けているわけであります。したがって、小口の預金者への情報提供がないがしろにされる、そういうこともビッグバンでは大いにあり得ます。 ちょうど十二年前の英国のビッグバンでは、証券分野での思い切った自由化と同時に金融サービス法というのが制定されました。この金融サービス法によって金融商品を扱う業者は、たとえみずからに不利なものであっても重要な投資情報を公開することが義務づけられております。言ってみればこの金融サービス法は製造物責任、PL法の金融版であると言えるのではないかと思います。 今、五木寛之さんの「大河の一滴」というのがベストセラーですが、彼もきょうの世界を市場原理と自己責任であるとし、もう覚悟を決めるしかない、こう書いております。 我々は、果たして今の日本の土壌になじむのかなじまないのかよくわからないながら、覚悟を決めてこの自己責任体制のビッグバンについに突入した。この件については、橋本総理とはこの間の委員会で福沢諭吉の独立自尊の話まで展開しながら、この欧米の個人主義的ないわゆる競争社会、マーケットエコノミーというのが日本の今の土壌に合うのかどうかということについていろんな議論をさせていただきました。そのときに総理がおっしゃった、セーフティーネットの整備というのは必要かもしれませんと。この英国の金融サービス法というのはまさしくそのセーフティーネットの一つであろうかと私は思います。 この金融ビッグバンによって、小さいなるがゆえに、預金の金額が少なるがゆえに、投資の金額が少ないなるがゆえに負け組に回るかもしれないような普通の国民を救ってやる、こういう意味で、私は十二年前の英国の金融サービス法というのを我が国でも真剣に考えなければならないと思います。 総理の御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員が御指摘になられたそうした懸念、そしてそれに対する対応は昨年六月十三日に出されました金融制度調査会の答申の中にも、あるいは同じ日に出されました証券取引審議会の報告書の中にも、議員が例に引かれましたイギリスにおける金融サービス法あるいはECの投資サービス指令を踏まえたフランス、ドイツにおける制度整備の方向というものとともに紹介をされております。 そして、確かに議員が御指摘になりましたような問題意識というのは我々も共有いたします。しかし同時に、まさにフリー、フェアというものを求める、そうした世界的な流れの中で、特定の人間にだけ利益を与えるような不祥事が起こる、こういう風土は変えなきゃならぬということは私は議員も同様にお考えだと思います。そして今、総会屋への利益提供に端を発しました捜査が進行中であり、既に判明いたしました部分について、当然ながらそれぞれの処分が行われております。 そうした中で、今後金融システムの改革が進むにつれまして、業態にとらわれない自由な市場への参入あるいは多種多様な金融商品が、またサービスが提供されるというのは一層進展していくだろうと思いますけれども、逆にそれを国民の立場から見ましたときに、何が何だかわからなくなってしまうという懸念があることは、私は議員の御指摘のとおりだと思います。 こうした状況の中では、従来それぞれの業法中心の縦割りの枠組みをつくってまいりましたけれども、これを見直して、利用者の立場に立って、市場参加者共通に適用される横断的であり公平なルール、公正なルールの確立というものを考えなければならないことは御指摘のとおりであります。 こうした問題意識に基づいて、今私どもとしては、金融サービス法という名前は使っておりませんけれども、幅広い金融サービス全体に対する整合性のあるルールをきちんとつくる、そのための新しい法的な枠組みなどを視野に入れながら、中期的な視点で幅広く同時に理論的な検討を行っておることをこの機会に御報告を申し上げます。
○寺澤芳男君 ビッグバンというのが、単に証券や金融のいろんな業態の自由化だけではなく、日本全体を改革しなければならない大きなうねりであるということを申し上げて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(岩崎純三君) 以上で寺澤芳男君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、風間昶君の質疑を行います。風間昶君。
○風間昶君 通告外でありますけれども、先ほども話題になっておりましたように、総理が海外でさまざまな発言をするのは結構なんだけれども、自分のうちのことを、このまさに今年度の、またあるいは二十一世紀へ大きな期待を持たせる意味での予算の審議中に言っていることはまことに私は遺憾だと思いますけれども、総理、どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども私はその発言のメモを振り返りながら、そのままそれを御紹介することで御答弁にいたしました。 この中におきましても、参議院で予算を審議していただいている最中ということを申し、その上で私が申しましたことは、成立後、できるだけ早い機会に財政構造改革会議を招集したいということでありました。そして、必要に応じて対応するということは申し上げてまいりましたが、予算の内容その他に対しての発言は、私はいたしておりません。 その上で、さまざまな報道がありましたために、けさほど来、御注意をいただきました。これは、私として各位に対し不快な思いをさせたとすればおわびをいたしますけれども、同時に、先ほど来御紹介をいたしました発言は、そのとおりのメモでありまして、それ以上のことを申し上げていないことは御理解をいただきたいと思います。
○風間昶君 地元に行きましたら、おれたちは何も悪いことをしていない、どうしてこんなにだんだんぐあいが悪くなるのか、人の健康だけじゃなくて社会がもう本当に不健康だと。ある人は、総理にやめてもらった方が景気回復になるんだけれども、突破口になるかもしれないという意見を言っていたんです。どう思いますか、総理。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、御郷里でなくても、この院の中で議員のお答えに賛同だと言っておられる方もおられます。その上で私どもは、国民の審判というものを受ける場面が一番の明らかな評価だと思っております。
○風間昶君 それでは、午前中も話題になりましたけれども、新しい二十一世紀初めに、さまざまな世帯の規模が縮小したりあるいは高齢者や若者の一人世帯がふえていく。言葉は余り的確ではないかもしれないけれども、超少子・超高齢社会を迎える中で、家族がかなり崩壊する過程に行っている。あるいは家庭の地域での孤立、こういった新たな社会問題が起こって、痴呆あるいは寝たきり老人、あるいはその介護に伴う精神的、肉体的負担、子育てへの不安、さまざまな生活にかかわる不安の中での深刻な事件も実は起こっている。こうした社会変化に社会保障がどう対応していくかというのが大きな問題であると私は思っておるわけです。これも午前中、さまざまな閣僚からその見通しについても御意見がございました。 公明は、二十一世紀の社会づくりの目標として新しい福祉文化の創造ということを掲げて、欲張りかもしれないけれども生活のあらゆる分野、それから人生のどのステージにも福祉という理念を組み込んだ新しい構造社会をつくっていきたいということで、今、新福祉トータルプランを策定中であります。この目指すべき二十一世紀の社会像、医療、年金、介護を含めた福祉を含めて、どんな社会にしていくのかということを明確にしないままだと、社会保障制度改革そのものが国民の不安をある意味ではいたずらにあおる格好、結果になってしまう、そういうことについて心配している人が大多数だと思うんです。 そこで、先ほど各閣僚からはお聞きしましたけれども、総理から、この点についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) かつて厚生大臣をいたしておりましたころ、既に高齢化の心配というものを私はいたし、その上で日本型の福祉というものは、世代間同居を中心に、あるいは世代間同居直接ではなくても、本当に近距離に世代を超えて家族が集結することにより守られることが望ましいという考え方を持ち、そういう方向で物を考えておりました。 ただ、その時点におきましてこれほどの少子化というものが進展するという、まだ出生率は落ちるだろうとは思っておりましたけれども、これほど急速に低下をすると予測をいたしておりませんでしたために、今、世代間同居という枠組み自体が考え方の変化を求められておる状況にあります。 そういう中で、やはり社会保障制度というものが、個人の自立を基本にしながら、病気あるいは老後の不安、生活不安といった個人の力だけでは対応し切れない問題に対する社会全体での支え合いの仕組み、正確には社会全体で支援するとかいうんでしょうけれども、私はむしろ支え合う仕組み、そして国民生活のセーフティーネットになるべきものだ、そのような考え方を持ち続けてまいりました。そして、それは今でも私は同じことであります。 その上で、私が予測をいたしていました以上に進展をしました少子化という状況の中で、従来考えてきた考え方の中にも一部修正を迫られている部分がございます。これは世代間の公平ということ以上に負担というものを意識せざるを得なくなっている。そして、この急速な少子・高齢化の進展の中で、社会保障費用というものは当然ながら増大するわけでありますけれども、その増大は覚悟をした上で、安定した社会保障制度というものの限界がどこにあるのか、これを模索し、その上で安定した制度を構築する、そのためには、必要な給付は確実に保障しながら、制度そのものも効率化等図っていかなければならないと思います。 そして、その場合にもう一つ大事なこと、それは所得の低い方でありますとかさまざまな意味での社会的なハンディを背負う方々に対して過重な負担とならないような配慮というものをどう組み込んでいくのか、そしてそれによって必要な給付あるいはサービスというものを確実に保障していかなければならない、問題はその部分にあろうかと考えております。
○風間昶君 そこで、総理が出された財政構造改革法の考え方、これによって今度の十年度社会福祉施設整備費は九・七%もマイナスになっている。そのため現場では、補助金カットなんかで施設整備に手を挙げる社会福祉法人がもう出てこないのではないかという声があるのも事実であります。 施設関係者が懸念するように、社会的入院解消と言いながら社会的入院を逆に公認する結果になってしまうのではないか。また、これは実勢価格に見合った単価の問題、あるいは寝たきりつくらず、職員が過労で倒れずに済むような人員の配置基準、こういったいわゆる新ゴールドプランを達成することは極めて難しい状況にあるのではないかというふうに予測されるわけですけれども、財革法がある限り、当面三年間は厳しい緊縮予算にならざるを得ないわけで、この財革法の三年間の縛りがあっても、厚生省として、新ゴールドプラン、いわゆる福祉、それからエンゼル、障害者プラン、必ず達成できます、あるいはしますというふうに約束できますか、厚生大臣。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今年度予算は財政構造改革法の強い枠の中でぎりぎり費用の削減に取り組んだところでありまして、確かに、今言った三プランについて、事業量についてはマイナスになっていますが、これは基準単価の見直し、費用を縮減して事業量は確保していますから、私は、必要な事業量を確保するために、今後必要な予算を確保するために全力を尽くして必要な施設づくりには取り組んでいきたいと思っております。
○風間昶君 ですから、取り組んでいく気持ち、決意は大いに受けとめられるんだけれども、達成できますか、約束できますか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 達成するように全力を尽くす。だからこそ費用の見直し、重点化、効率化に全力で取り組んで、今回の予算においても数十億円、数百億円単位で見直しを進めたと、そのためにこれからもそういう努力を続けていくということであります。
○風間昶君 まともに受けとめさせていただきます。 そこで、デイサービスセンターやあるいはデイケアの拡充それから特別養護老人ホーム、老人保健施設それから老人病院、療養型病床群、そういう整備促進、いわゆる施設のサービスの着実な装備に関して、私のとらえるところでは、大ざっぱに言うと、都市では箱物が、あるいは地方ではマンパワーが不足しているというふうな結果が見えているわけであります。特に、中山間地などの農村地域では、介護する側もされる側も、またそのコーディネートあるいはそのマネージをする人たちも皆老人という高齢農村が多いところも事実あるわけでございます。 そういうときに、民間の積極的な参入という部分での税法のインセンティブを与える、あるいは北海道のように一市三、四町村ぐらいで広域的に取り組むような地方自治制度の特例など、思い切った柔軟な対応も考えなきゃならないと思うんですが、そこについてのお考えはどうですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) その考え方については基本的に賛成です。 民間事業者の参入を促進するような措置を考えておりますし、市町村がやる場合においても民間事業者に委託する、できるだけ民間の活用を図っていくような措置は講じたい。さらに、民間が意欲的に福祉事業に参入してみたいというような何か助成措置とか刺激的な措置を講ずることができればなと。今言った考え方においては、基本的に私も賛成であります。
○風間昶君 大蔵大臣、厚生大臣は今そうおっしゃっております。突然振って申しわけないんだけれども、どうですか、今の厚生大臣のお考えに対して、金を出す側の方の面で。
○国務大臣(松永光君) 財政構造改革法の中での予算編成が現在の状態では続くわけでありますが、その中で今の問題は大事な問題である、こういうふうに認識いたしておりますので、厚生大臣とも相談しながら適切に対処していきたい、こう考えます。
○風間昶君 ありがとうございます。 もう一点、このマンパワーの問題で先日、母子家庭の皆さん方からお話を伺ったんです。特に、離婚した女性が比較的取りやすい仕事というか資格というのは、ホームヘルパーがほとんどのようでございます。しかし、一生懸命研修を受けて資格を取っても今度は年齢制限がどうもあるようでございまして、なかなか就職できないというのも実態のようでございます。民間の特別養護老人ホームへの就労も、介護福祉士だとか若年者の方々が最優先されておりまして、実際には採用されないで母子家庭のお母さん方はパートで働かざるを得ないということもあるわけであります。 社会福祉法人は民間だから労務管理上いろいろ問題がある、いろんな支障もあると思うけれども、少なくとも母子家庭のそういったお母さん方のニーズに特別枠を設けるとか、あるいは特養ホームに中途採用ができるとかという工夫をしていくことがまた一つはマンパワーの不足の解消につながると思うんです。ここについてのお考え、また決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) これから福祉事業、介護サービスのみならず、いろいろな分野に民間人からも参加してもらいたいということを考える場合に、介護サービスとか福祉サービスに母子家庭の就労者が参入してもらうということも大事ですので、全般的に労働省とか各省は、福祉サービス、介護サービス等を一般の方々を対象に行っておりますが、厚生省としては、特に母子家庭という特殊な事情も考えまして、そういう方々の就労を促進するような措置を講じようと現在でも取り組んでおります。 これからもそのような施策を、特別に必要なことがあるということを念頭に置きながら、母子家庭の方々の就労促進のための支援措置を講じていきたいと考えております。
○風間昶君 今、全国で聞いていらっしゃる七十八万か七十九万世帯ぐらいにわたる母子家庭の中で、介護にかかわっていきたいというお母さん方にとってみれば大変力強い大臣からの言葉だったというふうに思います。ありがとうございます。 ところで三月三日、ある新聞の夕刊の社会面トップで問題提起された、「橋本首相の母親はなぜ長期入院できるのでしょう 国立の病棟、計九年」という見出しで、六十七歳の匿名の男性からの手紙の内容を読ませていただきますと、 私たち庶民の間で現在、高齢者の病人を抱えた家庭では「老人の長期看護・入院」が深刻な問題となっている。多くの家庭で高齢者の治療・入院先がなく、また、運よく入院できたとしても三カ月を経過すると、他の施設に転院を勧告され、その受け入れ先を探すことに苦闘している。橋本首相の家庭の「プライバシー」と言えようが、一国の首相の動静として公表されているので、あえて首相の家庭の高齢者問題を例として、①国立病院はどのような基準と手続きで高齢者の長期入院を認めているのか②全国の国立病院でも、個室の経費を負担すれば長期入院は可能なのか──を教えてほしい。 という記事が載っていましたけれども、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) お答えを申し上げます。 国立病院に限らず、入院治療につきましては、主治医が医学的観点からその必要性を判断するものと考えております。 それで今、先生がおただしの三十日を過ぎたら病院を追い出されるとか、かわるように勧められるということが実際現場では起きているというのも私たち聞いてはおりますけれども、これはそれを過ぎたから入院できないということではなくて、診療報酬点数上の仕切りとして三十日を過ぎると病院の経営の収支がだんだん悪くなってくるからできるだけかわってほしいということで病院がお勧めになって、それは待っていらっしゃる患者のこともあってそうお勧めになっているものと解釈をしておりますが、現実に大事なことは、医師が判断をして継続入院が必要な方は継続して入っていただくことが大事だと、このように思っております。 それで、ちなみに国立病院全体でいいますと、現在でも一年半以上の入院という患者さんは、全部で三万六百八十六人のうち六百二十二人、二・〇%の入院患者が一年半以上入っているという実態でございます。
○風間昶君 総理が高齢のお母様のお見舞いをされることは、私は総理自身がみずからに課した義務であろうというふうに感じているし、また非常に美談だとも言えるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、これは国民的には、いみじくも総理がおっしゃったように、厚生大臣をやっていたから、あるいは厚生族のドンだからということがあるのじゃないかという声もあるわけですから、ここで総理はやっぱりきちっとこの疑問に対してお答えすべきだと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 恐らく、このテレビ自身を母も見ておると思いますし、その結果、影響を受けることを私は心配いたします。 その上で、あえてのお尋ねでありますが、私の母親は日本ユニセフ協会の専務理事をいたしておりました。そして、その仕事の中で、超党派のユニセフに対する国会議員連盟をつくっていただきたい、国会の中を飛び回っておりまして、その発会の日、その発会の会場でごあいさつをいたしまして、これからのユニセフをよろしくお願いいたしますという超党派の議員の皆様にごあいさつをし、帰りのタクシーの中で状態が悪くなり、ユニセフの事務所の前から救急車で運ばれましたのが国立医療センターでありました。 そして、その後数回の手術をいたしまして、幸いにリハビリができるところまで回復をし、一時転院をいたして弟の方に世話になっておった時期がございます。その後、また医療センターに入ることになりましたが、今、厚生省からお話がありましたように、私は主治医の先生の医学的な御判断というものが患者の入退院を決めるものだと考えております。 一言だけ今言わせていただきますならば、ロンドンに出発いたします前、点滴を必要とする状態でありまして、非常に心配をしながら私は立ちました。帰国をいたしまして帰りましたとき、その点滴を外していただけるところまで戻っておりまして、ほっといたしました。今後も、私は主治医の先生の御判断に従いたいと思います。 なお、一点だけ、自分に課した義務と言われましたが、私は義務と思って母の顔を見に行っているんじゃありません。これだけはわかっていただきたい。
○風間昶君 関連質問をお願いいたします。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。高野博師君。
○高野博師君 最初に、ASEMの首脳会議についてお伺いいたします。 ASEMの主要テーマは、アジアの経済危機への対応をどうするかということでありました。結論として、アジア諸国は即効性のある支援を求めたのでありますが、通貨統合等を控える欧州の関心は低かったということが指摘できると思います。 〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕 総理は、アジア経済危機に対する我が国の支援あるいは責任、特に内需拡大、景気対策を強く求められた、非難とかあるいは批判等はなかったという言い方を午前中されておられましたが、一方でクリントン大統領も減税を含む景気対策を求めていると。我が国に対する国際世論というか、いわゆる外圧が高まっているということは言えると思います。 我が国のアジア経済危機に対する支援は、金額にすると五兆四千億円にも相当する、これだけ膨大な援助をしていても十分ではないと。結局、金を出すだけではだめだと。我が国がやはり内需拡大の景気対策をとることが我が国のみならずアジアの経済危機を救うことになる、そういう認識が共通だと思います。 そこで、ちなみに橋本総理に対しては一九三〇年代の恐慌時代のアメリカのフーバー大統領と重ね合わせる識者とか、あるいはマスコミ報道もふえている、不名誉な評価であると私は思います。景気対策のための財政改革路線の一時的な棚上げ、これは政策転換でありまして、いずれにしても総理の責任は回避できないということを私は指摘しておきたいと思いますが、一言、総理の所見を求めます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員から御指摘がありました問題、大きく分けて二つの問題があると思います。 一つは、今度のASEMに対する議員の御評価でありまして、私は日本についての部分を別に改めて申し上げたいとは思いませんけれども、例えば我が国は、既に私自身が大蔵大臣のころに世銀あるいはアジ銀に日本特別基金を創設いたしまして、それなりのこの枠を使って、スキームを使っての支援をしてきましたが、今回ヨーロッパ側がイギリスの提唱でASEM信託基金というものをつくろうと。そして、我々の信託基金とリンケージしながら、協力をしながらアジアの金融セクター改革に向けての支援を行おうというような問題も出ておりますし、また韓国を初めとするアジア地域にハイレベルのビジネスミッションを派遣する、こういう意見の一致を見ておることもございます。 同時に、日本の経済情勢の認識については先ほど来もお答えを申し上げておりますけれども、私自身第二次大戦後初めてとも言うべき複雑に組み合わさった厳しい状況の中にあると考えておりますし、今御審議をいただいておりますこの予算案が通過、成立をいたしました段階で、できるだけ早く財政構造改革会議を招集したいということまで申し上げて、申し上げ過ぎだというおしかりも受けております。しかし、それだけの認識を持っておりますということは事実でありますし、必要以上に私は日本が非難、攻撃を受けたとは思っておりません。
○高野博師君 そこで、インドネシア問題についてお伺いいたします。 アジアの経済危機の中心はインドネシアの危機だということも指摘できると思いますが、我が国政府が、インドネシアに対しては二百億円の円借款あるいは二十億、三十億円の緊急無償援助あるいは五十万トンの米の支援、こういうことを行う予定だと言われております。IMFが金融支援の交渉の中でスハルト大統領のファミリービジネスを改善するように求めている、あるいはまた、シンガポールのリー・クアンユー上級相がファミリービジネスの独占を批判されております。最近では、大統領の退陣を求める、あるいは民主化を要求する学生運動あるいは暴動等もふえております。 そこで、総理は現スハルト政権、そしてまた、そのファミリービジネスをどう評価あるいは認識されているのか、簡単で結構ですので、お伺いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) インドネシアがインドネシア国内において国民の支持によりどういう政権をつくり、どのような国内の運営をしていかれるかは、私はインドネシアの内政問題であると存じます。そして、それは国民が判断をされることでありましょう。 私が申し上げたいことは、今IMFと最終的な合意の努力がジャカルタでなされておるということであります。そして、これがきちんと合意をされましたならば、日本は、既に表明をしております第二線準備あるいは貿易保険を活用した対応、その他人道支援等々組み合わせながら、その支援をインドネシア国民に対して行っていこうとしております。 今、食糧の問題で数字を挙げられましたけれども、その食糧の支援は数量までを確定している状況ではないことを申し添えます。
○高野博師君 大統領のファミリービジネスについては、関連企業は数百もあると言われております。国内のありとあらゆる分野にわたって経済社会構造そのものになっているという指摘もあります。インドネシアは見せかけの民主主義だ、あるいは大統領一族の支配は縁故資本主義だ、こういう報道もあります。そこで、大統領一族の独占的な支配でさまざまな弊害が出ているということも以前から指摘されてきました。我が国の経済協力、ODAがインドネシアの経済社会発展あるいは民政の安定に貢献してきたということも確かだと思います。しかし、一方で同時に特定のグループを利するような結果となってきたのではないかと見る向きもあります。 そこで、少なくとも今回の経済危機に関連しての我が国のさまざまな経済支援については、特定の利益集団あるいはファミリーに利益を与えることはないということは明言できるでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 例えば、我が国が無償資金協力の分野で最初に十億円の枠の中でできる支援を考えましたとき、インドネシア側と打ち合わせて緊急に必要であるとされましたものはたしか注射器等々医療用の基礎的なものであったと記憶をいたします。これは、赤十字のルートを使って配付が行えることを確認して、日本政府としては援助に踏み切りました。あるいは医薬品等、そのとおりであります。 構造調整支援の円借款あるいは食糧の問題についても、今後WFP、FAOの合同調査の結果を踏まえて進めていくことでありますが、私は、外交官御出身の議員はよくその点言葉を選んで私が申し上げていることを御理解はいただけると思いますけれども、この支援というものは、インドネシアの国民、インドネシアという国を助けるために、支援するために友人として努力をしているものだということを申し上げたいと思います。
○高野博師君 それでは、ロシア関係についてお伺いいたします。 エリツィン大統領の訪日が延期になったということでありまして、これはロシアの国内政治が理由でありますが、ロシアでは常にあらゆるものが突然に変化すると同時に何も変わることがない、そういうことも言われております。この意外性とか急進性、これと保守性の同時存在がロシアだ、そういう見方をしている人もいますが、今回のエリツィン大統領の訪日はそもそも非公式だということでありますので、日本側がこれに対して焦りを示したり、あるいは過剰の反応をすることは適当ではない、したがって日ロ関係は基本的に今回の訪日の延期によっては何ら影響を受けることはない、そういう冷静な受けとめ方が必要ではないかと私は思います。 そこで、北方領土問題についてもロシア国内世論もかなり環境整備がされてきた、したがって二〇〇〇年までには両国首脳の相互の公式訪問等もあるので、しっかりこれを手順を踏んで両国の信頼関係、協力関係を強固にしていけばいいのではないかなと思います。 ただ問題は、平和条約締結とか北方領土返還後、政権浮揚のためとかあるいは人気取りのためとか、そういう利用するような思惑があると足元をすくわれるのではないかと私は思います。 この交渉がロシア側で政争の具に利用されるようなおそれも出てこないとは言えないと私は思いますが、総理の今の日ロ関係についての現状認識、そして日ロ関係の見通しについて簡単にお伺いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 訪日の延期の御連絡をいただいたときは、確かに私は準備を進めてきたことだけに残念でしたが、日時を限っての御要請ということは逆に日本を訪問したいというそのお気持ちのあらわれだと私は素直に受けとめました。そして、東京宣言に基づいて北方領土問題を解決しながら、平和条約を締結して日ロ関係を完全に正常化する、これは我が国の対ロ外交の一貫した方針であると私は考えております。
○風間昶君 終わります。
○理事(岡部三郎君) 以上で風間昶君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○理事(岡部三郎君) 次に、日下部禧代子君の質疑を行います。日下部禧代子君。
○日下部禧代子君 総理、御苦労さまでございました。 本格的な高齢社会を迎えまして、社会保障にかかわる費用をだれがどのくらい負担するのか、この問題は国の政策課題としてはもちろんのこと、国民一人一人にとりまして重大な関心事でございます。 年金及び医療財政の逼迫あるいは財政赤字の増大、それに伴う行財政改革、社会保障の見直しが論じられる際に国民負担率という言葉が用いられております。給付と負担のあり方を決定する上で、我が国では極めて重要な指標として用いられると存じます。国際比較にも使われております。また、財政構造改革五原則の一つにも規定されているわけでございます。 ところで、大蔵省は平成十年度の国民負担率といたしまして次の三つの数値を出しております。すなわち、三八・三%、五〇・七%、そして四四・二%でございます。それぞれの数値について説明を願います。
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。 まず、三八・三%の数字でございますが、これはいわゆる国、地方を通じての租税と、それから社会保障の負担、租税負担率が二四・五、社会保障負担率が一三・七、計三八・三でございます。 〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕 それから、五〇・七という数字でございますが、これは財政構造改革の推進に関する特別措置法におきましては、国民負担率をいわゆる租税及び社会保障の負担率プラス国及び地方の財政赤字を加えたもの、これをこの法律におきましては国民負担率とし、それが五〇%を上回らないよう今後の財政運営に当たっての留意点とするというようにこの法律に規定されております。この法律の国民負担率の計算は、そうしますと三八・三プラス財政赤字が一二・四に平成十年度はなります。そうしますと、それが五〇・七ということになるわけでございます。 なお、四四・二という数字があわせて説明されておりますのは、実はこの財革法上の国民負担率でいきますと、平成九年度は四五・〇、平成八年度は四四・七でございます。それが平成十年度は五〇・七と大幅に上昇しているわけでございますが、実はこれは今年度、国鉄の長期債務及び国有林野の累積債務につきまして、これは一般会計が承継することにより平成十年度に一時的に財政赤字が膨らんだことによるものでございます。そのために、この特殊要因を除いたところでは四四・二であるということで御説明申し上げているわけでございますが、法律上の国民負担率は五〇・七ということでございます。
○日下部禧代子君 それでは、今回のように特殊要因を除くという措置はことしだけでございますか。
○政府委員(涌井洋治君) 国鉄の長期債務及び国有林野の累積債務のようなものが毎年毎年あるとは考えられません。今後どういうものが出てくるかは今の段階ではっきり申し上げる根拠はないわけでございますが、通常ベースでいきますと、こういうものは毎年毎年出てくるものではないと考えております。
○日下部禧代子君 そこで、総理にお尋ねいたしますが、総理は国民負担率をどのように理解し、どのように位置づけていらっしゃいますか。そして、平成十年度の国民負担率は三つのうちどの数字をお持ちになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 従来から我が国において国民負担率、言いかえれば国民負担の面から公的部門がいかに国民経済に寄与するか、関与するか、そういう観点から使いますときには、租税と社会保障負担が国民所得に占める割合である国民負担率、言いかえれば社会保障と租税の負担を足したものというのが従来の概念でした。 しかし、今、日本の状況というのは公共サービスの供給など租税と社会保障負担だけでは賄い切れない状況にあって、公債の発行に頼っております。これは、従来申し上げてきたような意味での国民負担率の計算には含まれないわけですけれども、やはりすべて最終的には国民の負担になる性格、そういうことを考えますと、財政赤字というものが租税あるいは社会保障負担の後世代への先送りという結果になります。 そういうことを考えましたときに、財政運営を考える場合、従来の国民負担でありました租税と社会保障負担に加えて、財政赤字も含めた国民負担率、これをやっぱり抑えていくということを考えなければいけないのではなかろうか、そう考えてまいりました。
○日下部禧代子君 どれをお使いになりますか、今の三つの数字のうち。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、正確に申し上げるならば五〇・七というのを言わなければならないのかもしれません。しかし、私は、国有林野あるいは国鉄長期債務、この二つを加えたというのはことしの特殊要因ですから、やはり四四・二という数字が今その意味では申し上げるのに一番適した数字ではないかと思います。
○日下部禧代子君 今までの議論でも明らかになったと思いますけれども、国民負担率という概念が今、赤字財政を含まない場合、それからまた赤字財政を含む場合でも、国鉄長期債務及び国有林野の累積債務を含む場合と含まない場合と、三種類に概念が分裂しているわけでございます。 それぞれの対策というのはみんな違わなければならない、違うはずであります。そうなりますと、大蔵省のお答えでは、このような特殊要因というのは今の段階では先にはないであろうというふうにお答えをなさいました。しかし、やはり社会保障の給付と負担の政策指標として使われている以上、ことしは財政赤字にはこの部分が入る、ことしはこの部分が入らないというようなことでは、これはなかなか論議ができないと思うわけでございます。 それでは、一体今回のような特殊要因とは何かという定義がぜひとも欲しいのでございますが、いかがでございましょうか。それと同時に、これはことしだけの措置であるというお答えも約束していただきたいと存じます。
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。 従来型のいわゆる租税及び社会保障負担率の概念は毎年毎年変わるわけでございませんが、今回数字が二つ出てきましたのは、先ほど申し上げましたように国及び地方の財政赤字の部分でございまして、国鉄と国有林野の赤字を一般会計が引き継ぐことによって、それを除いて五・九であったところが、それが一二・四、その結果として五〇・七と四四・二という数字が出てきたわけでございます。 この概念は、そもそも計算上の財政赤字の概念によってくるところでございまして、その国鉄長期債務及び国有林野累積債務の扱いが、国連の世界共通の基準に基づいて行っている計算上、財政赤字になってきたということでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、このようなケースが毎年毎年あるということではございません。今後こういうものがいつ起こるかはもちろんわかりませんけれども、すぐにそういうものが出てくるとは私の頭の中では考えられないのではないかと先ほど答弁したところでございます。
○日下部禧代子君 国の財政、それも将来の財政を考えますときに、いつ起こるかわかりません、私の頭ではというふうなお言葉というのは、非常にこれは私は承服しかねます。 きちんとしたお答えをいただきたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 主計局長の答弁を私が補足するのもちょっと変なんですが、確かに私は議員がおっしゃろうとしている意味はわかります。 そして、私がその五〇・七を採用しなかったのは、まさに本年度におきまして長年の懸案でありました国鉄清算事業団の累積債務並びに国有林野特別会計における累積債務、これを一般会計で承継してしまおうという決断をいたしましたとき、それは特殊要因としてことし確かに大きく全体の数字を膨らませました。主計局長が言おうとしておりましたのは、そのような意味での累積債務というものは現時点において考えられないということでありまして、私は特殊要因という言葉が適切かどうかわかりません。ここまでそれの解決が延びてきたという問題と裏腹でありますけれども、国有林野と国鉄清算事業団の長期累積債務を一般会計で承継するがために今年度ふえたように、同じようなケースは現時点において想定できないという言い方に変えさせていただきたいと思います。
○日下部禧代子君 ということは、またいつかこのような形で財政赤字というものの中身が変わってくる可能性があるということでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、もしこれから何らかのケースにおいて累積債務が発生し、その解決を先送りしていけば理論的に確かにそのような問題に逢着する可能性はあります。しかし、今そういう状態を解消するために今回国鉄清算事業団の長期債務、国有林野特別会計における累積債務を一般会計として承継し、これによって処理をしようとしているわけでありまして、むしろこれから先、我々はそうした累積債務を発生させないように、あるいはそういうものが生じたときには早期に解決する努力をすることが先決ではないか、私はそう思います。
○日下部禧代子君 財政構造改革法の第六条一項で言う財政赤字というのは、それでは一体何を指すかということになってまいるかと存じます。財政構造改革五原則において、財政赤字を含め国民負担率が五〇%を超えない財政運営を行うというふうになっております。そのときには、この財政赤字と言う場合に、この国鉄長期債務及び国有林野の累積債務というものは含まれていたのではないかと私は思うわけでございます。だとすると、国民負担率五〇・七%というのは、この原則が既に破綻していることを示しているということになるわけでございます。すなわち、財政構造改革法第六条に違反していることになると思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。 この五〇%という概念は、国民経済における公的部門のウエートをできるだけ大きくしないということが国民経済の健全な運営のために必要であるという考え方から留意点として規定されているわけでございまして、これが直ちに法律違反ということにはならないということとあわせて、これが来年度以降はまた今の段階ですと大体四四とか四五%ぐらいの数字に下がることが想定されるわけでございます。そういう意味で、今年度限りの特殊要因であると申し上げているところでございます。
○日下部禧代子君 昨日のNHKの日曜討論で尾身企画庁長官は国民負担率について四四%というふうな数字をお挙げになりましたね。これは、ここに大蔵省の数字として五〇・七というのもきちんと出ている中で、四四・二%も四〇%もなさったと思うんですけれども、やはり国民は今大蔵省が説明したようなことはわからないわけであります。そのことを信じてしまうわけであります。その点についてどのような影響があるとお思いですか。
○国務大臣(尾身幸次君) 赤字を含まない普通の負担率は三八%でございます。アメリカが三六%、ヨーロッパの国々……
○日下部禧代子君 それはわかっております。
○国務大臣(尾身幸次君) はい。 日本の場合、赤字を含んで計算をすると、さらにそれに上乗せ六%いたしまして四四%という数字になります。 そして、ことし五〇・七という数字は、実は国鉄清算事業団と林野特別会計という、両方とも国の組織でございますが、そこに借金がたまっておりました。その借金を国として肩がわりするという意味で、国がその借金を一般会計の中で肩がわりするという操作をいたしました。したがいまして、国鉄清算事業団も林野特別会計ももともと国のものでございますが、それを一般会計という国の別の正式の金庫の中で肩がわりをしたという意味で負担率が上がったわけでございまして、一回限りの特殊事情であるというふうに考えております。 したがいまして、普通の赤字も入れました負担率は四四%というふうになるわけでございますから、財政構造改革法の基本的な考え方からいいますと五〇%をまだまだ下回っているということになると考えております。
○日下部禧代子君 時と場合によりまして赤字財政の概念が変わり、その範囲が拡大されたり縮小されたりする、そういうのでありますと長期的な議論というのは全く成り立たないと私は思うわけでございます。 ここで財政赤字あるいはまた国民負担率の定義というものをはっきり出すべきである、そして政府見解も出していただきたいというふうに思います。いかがでございましょうか。
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。 国民負担率につきましては、この財政構造改革の推進に関する特別措置法の中で、国民負担率というのは一会計年度において国及び地方公共団体の租税及び印紙収入、それから当該会計年度における国民経済計算の体系における社会保障負担、それから国民経済計算における国及び地方公共団体の財政赤字、それを足したものが国民負担率として定義されております。 そういう意味では、この財政赤字の計算を国連が定める国民経済計算体系に基づく基準に基づいて計算しているわけでございまして、この基準そのものは客観的でございますが、たまたま今年度は国鉄及び国有林野の債務を一般会計が引き継ぐことによって国民負担率が五〇・七と高くなったものですから、その特殊事情についてあわせて我々の方は説明した数字を出しているということでございます。
○日下部禧代子君 どうも最後まで議論がかみ合わなかったように思います。 三つもあるということ自体が、やはり重要な数値であるだけに国民の議論の混乱を、そしてまた誤解を招くということで、ぜひともきちんとした見解を出していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(岩崎純三君) 以上で日下部禧代子君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、吉岡吉典君の質疑を行います。吉岡吉典君。
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。 総理、沖縄からキャンプ・ハンセンで演習による火災が頻繁になっている、何とかしてくれ、こういう訴えが届きましたので、その問題を取り上げたいと思います。 総理初め政府は、SACOの取り決めで沖縄県民の苦しみと負担は軽減されると、こうおっしゃり続けてまいりました。しかし、例えば名護市における海上ヘリ基地の問題は沖縄に新たな困難な問題を持ち込みました。そして、キャンプ・ハンセンについても、県道一〇四号線越えの百五十五ミリりゅう弾砲実弾射撃訓練は本土に移された。これは本土で新しいいろいろな問題を引き起こしております。しかし、沖縄についてはこれで負担が軽減されるはずでした。ところが歩兵部隊による演習が激化して山火事はふえてきた、こういう訴えであります。 昨年度の山林火災は、これまで最多だった昭和五十八年度の二十二件に次ぐ二十一件、こういう状況であります。沖縄県の資料によれば、キャンプ・ハンセンの演習による山林火災は七二年の復帰からことしの三月までの間に百四十三件発生しております。焼失面積は判明しているだけで累計十七・三平方キロメートルとなっております。この面積は東京の千代田区の面積よりもはるかに広い面積であり、日本の村で人口の一番多い沖縄の豊見城村の全面積とほぼ匹敵する面積です。金武町の基地を除いた住民居住区域の面積が約十五・一平方キロメートルですから、それを上回る面積が演習の火災で焼失した、こういうことになっております。 総理、こういう状況、特に山林火災がふえているという状況を御存じでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) キャンプ・ハンセンにおける山火事、これは昨年度の発生件数が例年より多かったこと、そしてそれが沖縄県内の新聞等で報道されておりますのは、私自身も目を通しておりますので存じております。
○吉岡吉典君 昨年十一月の内閣委員会で私がこのキャンプ・ハンセンの山火事の問題を取り上げたとき、久間防衛庁長官は、そのようなことのないように努力しなきゃならないと答弁されました。 私は、この答弁によって少しは事態が改善されるのかと思っていたら、長官の答弁のあった直後の昨年十二月には三件、そしてことしに入ってから二月に一件、三月には四件と、こういうふうにふえ、この四カ月間で計八件、約八十三ヘクタールを焼失しているという状況であり、改善されるどころかふえている。 防衛庁長官、どのような努力をなさったのか、あわせて、自衛隊でも一体こういう射撃訓練による火災というのは起こっているのかどうなのか、米軍はなぜこれほど山火事を起こすのか、お答え願います。
○国務大臣(久間章生君) 火災の都度、当庁からも米軍の方に申し入れておりますし、また沖縄には原島大使が設置されましたので、大使からも申し入れているところでございます。 なぜ沖縄で去年からことしにかけて火災がこんなに多いのか、その辺につきましてはいろんな理由があるんだろうと思いますけれども、確かに昨年は多かったのは事実でございます。これらについてこれから先もそういうことのないようにしていこうと思います。 当庁としては、今までそのために、火災が起きた場合も広がらないようにということで、防火対策としての防火水槽を設置する、あるいはまた防火用のヘリコプターの離発着場を設ける、またそのための給湯施設をつくる、あるいはまた消火道路をつくる等、いろいろやってまいりましたが、さらに防火水槽を八年度からつくっているところでございます。これから先もそういう面で努力していこうと思います。 なお、沖縄では実は自衛隊は演習をやっておりませんので、このためにちょっと比較することができないわけでございます。北富士等でやっておる場合には、自衛隊の場合は着弾地の清掃等をやるのと、それから場合によってはいわゆる野焼きをやるわけでございますけれども、沖縄みたいな暖かいところといいますか、ああいう野焼きができるかどうか、そういう問題等もございまして、直ちに自衛隊との比較というのがすぐには困難な状況でございます。
○吉岡吉典君 いろいろ申し入れなど努力をやったがふえたという結果になっているわけですね。申し入れるとふえるという因果関係はないでしょうけれども、しかし申し入れただけでは効果がないということは明らかになったわけですね。ですから、新たな対策が必要だということに私はなると思います。 そこで、今自衛隊の話もありました。私は、沖縄で自衛隊がということじゃなくて、自衛隊が日本の演習の場合にということですけれども、今のお話でも自衛隊は余り火災を起こしていないというのなら、自衛隊は火災を起こさないのに米軍の場合はなぜ火災が起こるのか、これをちょっと説明してください。
○国務大臣(久間章生君) 同じ気象条件、同じ場所でございませんと、比較して片一方は少ないと言われましても、自衛隊の場合は主として今言いましたように北富士とかあるいは北海道とか、そういうところでございまして、沖縄みたいな気象条件、温度が非常に高くてすぐ発火しやすい場所との比較が直ちにできないという点もあるわけでございます。沖縄で演習を今やっておりませんので、これをもって自衛隊はないけれども、米軍ならあるんだということが直ちに言えるかどうか。そういうふうに決めつけてしまわれますと、若干またそうかなという問題もございますので、この辺について私どももまたいろいろと調査してみたいと思います。
○吉岡吉典君 何か気象条件でやむを得ないように聞こえるんですね。 私が防衛庁から聞いたところによりますと、自衛隊は曳光弾の使用はできるだけ控えており、使用する際には放水するなど類焼防止に努めている、そういう努力によって曳光弾を使用しっ放しで起こる火災も防止しているんだと、こういう説明を受けております。 曳光弾を使用すれば、その後ほったらかしでは原野火災、山林火災を引き起こすのは当然で、そういうことをほっておきながらやるのは、これはもう未必の故意の山林放火だ、こういうのが実態なんだ、そうしないように自衛隊は努力しながら演習をやっていると。せめて自衛隊がやっているその程度のことをやらせる必要があるんじゃないんですか。どうですか。気象条件の違いではだめですよ。
○政府委員(萩次郎君) 今、気象条件の違いが大きな要素と申しますのは、自衛隊の場合は本土の各演習場で演習をやるわけですが、大体どの演習場も春先に野焼きをやります。したがって、最初に燃えるようなものをなるべく燃やしてしまう、それから演習をするというのが大変大きな要素の一つだろうと思っております。 沖縄の場合は、気象、気候の関係で、どうもかえって野焼きすると全山燃えてしまうという危険性もあるところなものですから、そういう影響もあるのではないかということで、野焼きをやるかやらないかというのは大きな要素であろうかと思います。 それから、先生がおっしゃいましたように、自衛隊の場合は消火隊というのを待機させて、火がつきそうになると消すようにしておるんですが、米側の場合は必ず消火ヘリコプターを用意しておりまして、燃えるとすぐ消すように努力をしている、そういうことで一応努力はさせていただいておるということでございます。
○吉岡吉典君 私は、今の答弁も聞いていると、やはり米軍の山林火災はやむを得ないということを一生懸命に弁護なさっているように聞こえてしようがない。沖縄がそういう状況で火災が起こりやすいというのなら演習をやめるべきですよ。火災が起こる可能性が本土と比べて非常に強いところで演習をやらせておいて、それでこう違うなんという、そんなことで日本の安全が守れますか。私はそう思います。 それで、自衛隊は余り起こしていない、同時にアメリカでも起こっていない、沖縄では起きている、そこに今我々の考えなくちゃならない重大な問題があると思います。 総理、総理もごらんになっていると思いますが、ここに沖縄県と沖縄の金武町が発行しているパンフレットがあります。この金武町のパンフレットには二ページと三ページに、もう見るも無惨に焼けた山の写真が大きく出ております。そして、沖縄県が発行したパンフレットの七ページには、同じ演習場でもハワイのスコフィールド演習場は山が青々と茂っている。その下に焼けただれて山肌をむき出しにしたハンセンの演習場が写真で載っております。 委員長、総理にちょっと見ていただきたいと思いますので、お渡しするのをお許しください。
○委員長(岩崎純三君) はい、どうぞ。(吉岡吉典君資料を手渡す)
○吉岡吉典君 今のこの対比された写真は、実は沖縄の大田知事と金武町の吉田町長らが一九九五年五月に訪米し、ハワイのスコフィールド演習場を見てきたときの写真であります。 金武町長の吉田さんが我が党の調査団に説明されたところによると、これがアメリカでの演習の実態です。ハワイでは住居地域から四千二百メートル離れている緑の山には撃たないし、着弾地点は原野に設定している、撃ち込んだ弾についてもガンポイントと着弾地点で数を数え不発弾があればきちんと処理している、こういうふうに山に向かっては撃たないようになっている、法律でも決められている、こういう話なんですね。ところが、それに反してキャンプ・ハンセンは住宅地から七百メートル、撃ちっ放しで不発弾がごろごろしている、山火事があっても米軍側も近寄れない、ヘリコプターで消火はやるが不発弾が怖いからうっかり足を踏み入れられない、こういう状況だという説明であります。少なくとも米国内と同様の措置が実施されるべきだ、何とかしてくれというのが金武町長の訴えであります。 私は、この写真を改めて見まして、アメリカでは火災を起こさないように万全の措置をとった射撃訓練をやっている。ところが、日本ではかかる状況の火災が頻発している。これは気象条件でも何でもありません。措置をとらない。やめれば全然起こる余地のないものですね。私は、こういう状況、アメリカが日本で今こういう演習をやっていること、この実態を知って、本当に放置できないと思います。 総理、こういうアメリカの演習のやり方に怒りを覚えませんか。国民なら怒りを覚えると思いますよ。どうですか。
○国務大臣(久間章生君) 米軍の運用所要に係ることでございますから、あるいは外務省かもしれませんけれども、私どもとしてもこれから先、米軍と外務省、私ども施設・区域を担当するものとしては、とにかく火災のないように努力していきたいと思っております。 ただ、やめるということは、これはやはり日米安保条約上、施設・区域の提供をしておる私どもとしてはそういうわけにはいかぬわけでございますので、そういう中で住民に被害の起こらないようにできるだけの努力はしていきたい、そういうように思っております。
○吉岡吉典君 これまで国会でこの種のものが何回も問題になってきました。今国会でも我が党は、米軍機の超低空訓練による国民の被害、この問題を取り上げ、アメリカ本土では演習もルートも予告してやっている、日本ではルートも演習時期も予告しないで突然米軍機があらわれていろいろな問題を引き起こす、なぜ日本ではこういうことをやるのかということを問題にしました。何年か前、この国会でも大問題になった問題に劣化ウラン弾の演習があります。本国では禁止されている劣化ウラン弾を千五百二十発も沖縄の鳥島射爆撃場で発射していた、こういうこともありました。今また演習、アメリカでは火災がないような措置をとりながらの演習、沖縄では国民、県民を不安に陥れる演習をやっている。 アメリカは日本を主権国家、独立国家として認めていない、日本を何をやってもいい国だと思っていることのあらわれだと私は思います。私は、憤りを持ってこのようなことに根本的な策を求めるべきだと思います。もちろん、私は基地は最終的には撤去すべきだと思います。特に、今二十世紀が終わろうとするとき、これを二十一世紀までも引き継ぐことは私はできないと思います。そういう点、あわせて総理、この問題についての決意のほどをお伺いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 具体的に努力をしていく、その気持ちは先ほど防衛庁長官から御答弁を申し上げました。 その上で私は、やはり国際社会において引き続き不安定要因が存在する中において、在沖縄米軍、その高い機動力あるいは即応性などを通じて在日米軍の重要な一翼を担っておる、そして、この存在は我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与していると考えております。 こうしたことを考えますとき、議員が御指摘になりました具体的な事象である例えばその山火事の問題、こうした点についてはなお関係当局に努力を指示いたしますが、私は、国際社会において完全に不安定要因が除去されていない中において、我が国としては日米安全保障条約というものは必要だと考えておりますし、その中において基地の提供義務というものを負っているという状況もこれは否定のできないこと、そのように考えております。
○吉岡吉典君 最後に一言ですが、今私が申し上げましたことは、これはもう総理が国民の安全を守るためにもまた民族の尊厳を守るためにも先頭に立ってやるべきことであって、関係当局に任せて済むものではないと思います。 私は、総理が責任を持ってこのような問題が起こらない措置をとられることを強く要望して、質問を終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で吉岡吉典君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、平井卓志君の質疑を行います。平井卓志君。
○平井卓志君 短時間でございますから、二つ三つだけお尋ねをしようかと思います。 本予算については、同僚諸公からいろんな角度でいろんな意見が述べられまして、私は繰り返して申し上げません。ただ、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのは、財政の構造改革、かつて直面したことのないような非常な複雑な構造の中での大不況等々のさなか、さらには、あなたは大変御苦労なさっておるが、大蔵、金融、証券の大不祥事、そういうさなかであなたは就任なさった。私が今申し上げた後段の話は、本来の職責からいえばもう別の負担になるんです。きちっとしていれば、そんな綱紀粛正、綱紀粛正とやることないんです。きちっとなっていないからやらざるを得ない。 そこで、御就任になってからいろいろ通達も出し、さらには、私は余り意味があるとは思いませんけれども、五百何十人、全部自己申告をやらせた。そういう一連の今までの手法で、モラルが退廃した中で本当に綱紀の厳正な維持ができるんだとお思いでしょうか。どうでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 私の考え方を述べさせていただきます。 四名の大蔵省の職員が委員御承知のとおり逮捕され起訴され刑事裁判にかかっておる、まことに遺憾千万なことでありまして、私としても何回もおわびをしておるところでございます。 問題は、こういう問題が二度と起こらぬようにしていくということが大事なことだ、こう思っております。綱紀の粛正、倫理の確立といいますけれども、ぜひそれをやり遂げるのが私の重い責任だと、こう自覚をしておるわけであります。 刑事捜査の対象にならなかった者であっても、長い間に民間の人たちから過剰な接待を受けた人がいるかいないか、いるとすればどの程度の接待を受けておったのかということをできる限り正確に調べ上げた上で、国家公務員法に基づく厳正な処分をすることによって私は大蔵省内に倫理の確立を図りたい、こう思っているわけなんです。 なぜそう思っているかというと、委員も御承知と思いますが、平成七年に倫理の厳正な保持という措置とか、あるいはまた平成八年にも実は倫理規程というのが設けられた。設けられたけれども、必ずしもそれが守られていなかった。 倫理というのは、制裁によってその遵守が担保されるんじゃなくして、本来は各人の心の問題として守られるべきものであるというふうに思いますけれども、しかし実際に守られてこなかったということがある以上、やはり制裁というのをすることによって倫理の遵守が確保されるようにしていかなきゃならぬ、こう思って取り組んでいるところでございます。
○平井卓志君 そこまであなたがかみ分けておっしゃるなら、私も二、三申し上げたい。 一連の不祥事を見ておりますと、やはり相当程度一つの組織の中でモラルが退廃しているなと。私流に解釈して申し上げたら、モラルの退廃というのは、いいことと悪いことの、やっていいことと悪いことの境目とけじめがなくなる、そういう退廃した組織の中から必ず腐敗が生まれるんですよ。これも私流に申し上げれば、腐敗というのは、悪いことと知りながらやる、最後はばれなきゃいいと。 ですから、いろいろな御苦労をなさっておるようですが、私はこれは非常に根が深いと思う。余り役人の世界はぎりぎりやってみても私は必ずしも効果があるとは思えない。特にやってならぬことをやった人は厳重に処罰する、これは当たり前ですよ。しかし最近、公務員の倫理法を制定してさらに厳しくやれという話がありますが、そういう話が出てくるたびに私は思うのは、じゃ倫理法があれば、厳しい法律があれば不祥事は起きなかったのか。 ちょっと参考までに一つの新聞記事を読んでみたい。これは三月三十日付の夕刊、全国ネットの新聞でありまして、あえて紙名は言いませんけれども、責任者の署名入りで載っておる。さまざまな業種の中で犯罪者の発生率が一番高いのは何か。別に統計はないが、トップは暴力団だと書いてある。これはだれも否定できない。二番目はどこだろうか、データがない。私が思うのに、国会議員ではないかと思う。この十年間だけで逮捕、起訴された人はちょうど七人、逮捕直前の自殺者は一人、犯罪の疑惑を持たれた者、数知れず、この間、何回選挙があっても基本的に分母は衆参七百五十二、ちょうど一%強になるんですね。 こういう記事を見てどう受け取るかというのは人さまざまでしょう。しかしながら、少なくとも最高機関である立法府において現実に並べた数字がこういう高率な犯罪者を出している。これは何も私が言っているのではありませんで、ちゃんと文責署名入りで載っておる。 だからといって私は言うんじゃないけれども、公務員の倫理規程を厳しくして、それで処罰することも無用だとは言いませんが、私はこれだけではこの問題は律し切れない。あなた今、心の問題だと言われたけれども、翻ってみると、どうしてこういう社会になったのか。これも私流に申し上げれば、非常に膨張した経済で消費経済の拡大はもう歯どめがないほどまで来てしまった。そこにある種の社会の風潮もある。 同時に、中野孝次さんという方が書いておられるが、「清貧の思想」というのがある。清貧の思想、清く貧しく。何も清く貧しく美しくということを私は言っているんじゃないんですよ。自己の哲学と自分の思想で本当に簡素な生き方を選択できないかと。これは、明治、大正、昭和初期まであったんです。残念ながら、今もう社会からほとんどその風潮は消えてしまった。 卑近な例で申しわけないが、私の故郷に小豆島という島がある、かつて「二十四の瞳」という壺井栄さんが書いて映画化された。これは当時としては大ヒットですね。アメリカの豪華けんらんたる映画に日本の国民は本当の意味で拍手を送ったんじゃない。本来は清貧の思想なる考え方を持ってそこはかとなく自他を律してきた、こういう構造が日本の社会から全部消えてしまった。その上に今申し上げたような膨張消費経済。 いろいろ考えてみますると、単に大蔵省の汚職がどうしたとか国会議員の犯罪率が一%だとかいうことのみでなくて、小中学生の最近の不祥事、その他すべてもやはり何となくこういう背景の中から生まれたものだとするならば、一法律で律しても到底これはやり得ない。 そうなってきますと、おまえ何が言いたいんだ、どうすればいいんだということになると、これは私わからないからお聞きしているんですが、この立法府というのはほかにないんですよ。七百五十二人、質がよくても悪くても。ここがよっぽどきっちりしないと、顧みて他を言うということになりはしませんか。この点、質問通告はしておりませんけれども、総理のお考え、どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員が述べられたような感じを、私自身かつて倫理法の制定を求められましたときに、倫理規程で対応したいと言ったとき、胸の中に持っておりました。果たして法で倫理というものが強制できるものかという思いは確かにあったんです。しかし、結果として法が犯された。法ではありません、その倫理というものをみずから守ることができない者があった。そして、やむを得ず法をという決心をいたしました。 しかし同時に、その上で、これも本院で正直に申し上げましたけれども、公務員の集合体である政府みずからが倫理に違反したときの法律を政府の立場でつくることが本当にいいんだろうかという問いかけをいたし、与党とも相談をいたしております。 しかし、いずれにいたしましても、こういうことを論議いただかなければならないということ自体が情けないことでありますし、また今の御注意、その中に込められました、むしろ罰すべき者は罰する、しかし同時に公務員全体の名誉というものも考えてしかるべき考えをというお教えと私は拝聴しておった次第であります。
○平井卓志君 せっかくお出ましでありますから、防衛庁長官にこれも一問だけお伺いしたい。 同僚委員からさまざまな沖縄の問題等々非常に議論が出ました。私はもう全然別の角度から、周辺整備、ガイドラインの問題等は、防衛庁長官、あなたよりまだ私の方が自分では理解者だと思っている、そういう立場でお聞きしているんですよ。 最近、ほとんど話題にならないのが憲法上の問題ですね。立法府の一部議員とか与野党のやりとりだけで理解をしておって済む問題ではないと思うんです。俗に世に平和憲法と言われておる、占領下にできた。これは武力は放棄していますね。その後で、御案内のような経過で現在の自衛隊ができた。素直に憲法を読みますと、どこにも自衛隊の入るすき間はないんですよ。自衛力は当然だとか、そういう問題じゃない。憲法を素直に読んだら、そこには自衛隊の座るべき場所はない、私はこう申し上げている。そのことをあなたに聞いているんじゃないんです。 その結果どういうことが起きただろうかと私はずっと見てまいった。私なりの考えを一つだけ申し上げますと、武力、武に対する考察が全くなされなくなった。武力と言ったらみんな顔を背けて通るんですよ。そういうふうな風潮が湾岸戦争と言わずペルーと言わず折々に出てくる。最後は、アメリカの同盟同盟と言いながらも、同盟の中身について不信を買うようになる。 もう時間がありませんから、後日この問題については改めてお尋ねしたいと思います。 終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で平井卓志君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、西川きよし君の質疑を行います。西川きよし君。
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。 以前、総理に、「福祉の原点と未来」という御本を、もう何十年も前になるんですが、いただきました。 冒頭に総理大臣にお伺いしたいのは、この本の中にもあるんですけれども、常々お述べになっておりますが、「公平なチャレンジの場」というこのお言葉について、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 何十年もたっていないと思うんですが、十何年か前に差し上げた本を残しておいていただいてありがとうございました。 そしてその中で、「公平なチャレンジの場」という言葉を使いましたのは、私の父親が障害者として偏見と闘いながら育ってまいりました中で、常に自分の障害は障害、これは仕方がないんだけれども、その不自由な足の部分を除いては公平な競争のチャンスを与えてほしい、挑戦のチャンスを与えてほしいと。彼の場合はそれが入学試験でありましたり就職試験でありましたり、それが公平な競争のチャンス、チャレンジのチャンスということでありましたけれども、そういうものを常に求め続けた。それを見ておりました。 それだけに、私は、その本の中でも使いましたのは、これはハンディキャップというのはいろんなハンディキャップがあります、肉体的なあるいは精神的な、年齢的な。そのハンディは認めた上で、公平な挑戦の機会を与えられるように我々は考えていかなければならない。政治はそういうふうな方向に行政を持っていかなきゃいけないんじゃないだろうか、そんな思いでこの言葉を使いました。
○西川きよし君 ありがとうございました。 七分という時間ですので、大切に使いたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 それできょうは、先日、厚生省が糖尿病実態調査を発表いたしました。糖尿病の疑いの強い人は六百九十万人、さらに糖尿病の可能性を否定できない人が六百八十万人、合わせて千三百七十万人もの人がいらっしゃるわけですけれども、決して人ごとではないというふうに思います。 アメリカでは、一九八四年にレーガン大統領が、毎年十一月を糖尿病の月という法律案にも署名をいたしておりますし、厚生省でも本予算に糖尿病の関連施策を盛り込みましたが、大臣、一言お願いいたします。
○国務大臣(小泉純一郎君) 糖尿病をばかにしちゃいけない、十人に一人が糖尿病の潜在病患者だということで、糖尿病というのはあらゆる病気の温床だと。これは日ごろの食生活とか生活習慣を変えることによって治る病気なんだと。 特に、最近は人工透析患者がふえています。今、二万五、六千人。これは、一度人工透析をしますと、一週間に三回、一日五、六時間から七、八時間、一生外すことができない。これは大変なんです。しかも、月に費用は五十万ぐらいかかりますから、年間五百万から六百万かかる。しかしながら、新規に糖尿病の患者から人工透析患者になってしまうような患者は毎年三割ぐらいいるのじゃないか。というと、八千人ぐらいですね。この方々が日ごろの食生活とか生活習慣を変えることによって、むしろ費用はかからない、人工透析を受けないで済む。これは実に大事なことだということから、この糖尿病に関してもっと国民に関心を持ってもらって健診事業、早期診断、そして食生活、生活習慣を変えてもらうということによって大きな効果を発揮するのじゃないかということで、いろいろな施策をこれからとっていこうと。 平成十年度におきましても、各種シンポジウムを開催したり指導要綱を作成して国民に対する啓発運動を開始していこう。医療費もかからない、人工透析も受けない、そういうことで健康になってもらうということによって、私は、大きな効果が出てくるのじゃないかと期待しております。できるだけ食生活と生活習慣、国民も関心を持っていただきたいと思います。
○西川きよし君 御丁寧にありがとうございました。 次に、労働大臣にお伺いしたいと思います。 平成三年当時、私は労働委員会にお世話になっておりました。そこで、子供さんが糖尿病だというお母様からお手紙をいただいて発表させていただきました。 就職にハンディキャップをつけないでほしい。 就職に際して糖尿病患者を採用しない企業などが多くあります。かといって規則により一定の人数を採用してもらえる障害者としても認めてもらっておりません。小児糖尿病患者は小さい頃から自己管理を行って育っています。決して職場に支障を来すようなことはありません。しかし現実では、病気を隠して就職している人がほとんどです。結果、医療費は保険も使えないのでかなりの金額になります。給料の大半は医療費に消えてしまいます。 アルバイトしている方々も大変です。いつまでも家族の負担になります。 健常者でもなく障害者でもない、福祉の谷間でゆれている小児糖尿病患者を、病気を隠さずに就職ができるようによろしくお願いをいたします。 ということでございます。 当時の小里労働大臣より、大変大事な問題であるから、集中的に調査をさせていただきますという御答弁をいただきましたが、ぜひ伊吹労働大臣に御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(伊吹文明君) 今、御指摘のように、小里大臣の答弁を受けまして、平成四年から四年間、労働省で委託調査をいたしました。その結果、小児糖尿病の方々は病気の再発に不安を抱く方が多いため、主として身体的な負担の少ない職種を選んで勤めていらっしゃる。それから、定期的な通院や自己管理さえすれば働く上で何ら問題はない。それから、就職に当たっては、通院等の配慮や健康管理体制等を事業所で整えることが重要であると、こういう結果が出まして、全体的な数字が実は政府部内でいろいろ調べてみましたが、ございません。 ただ、日本小児内分泌学会では、平成七年に千十三例について調べましたところ、二十六歳以上の男子で八七%の方が御就職になっているという数字がございます。 これらの数字を受けまして、労働省では、小児糖尿病だけではなくて、難病の方も生きておられるわけでございますから、働くことによって生きる喜びを感じていただくために、事業所の皆さんにこういう形でならお仕事をなすっても大丈夫であるということを啓蒙いたしますとともに、職業紹介等には特にコーナーを設けて努力をしているというのが現状でございます。
○西川きよし君 御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。お年寄りのことも子供たちのこともどうぞよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。
○委員長(岩崎純三君) 以上で西川きよし君の質疑は終了いたしました。 ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、栗原君子君の質疑を行います。栗原君子君。
○栗原君子君 新社会党の栗原君子でございます。 まず、総理にお伺いをいたします。 PKO協力法案におきましては、上官の命令で武器使用をすることになっているわけです。日本から派遣されました軍隊が組織的な武力行使に踏み切ることは、国際紛争を解決する手段としての武力行使を禁じた憲法九条に違反しないでしょうか、お伺いします。
○国務大臣(久間章生君) 今回、PKO法の改正法案を国会の方に出させていただいておるわけでございますけれども、御承知のとおり、自衛隊が海外に国際平和協力隊の要員として出ていく場合に国際紛争に巻き込まれないというようなために、いわゆる停戦合意に基づいて出ていくことになっておるわけでございます。 そういう形で、本院でも御審議していただいて法律をつくっていただいたわけでございますが、ただ、日本国内におる場合と違いまして、外国に出ていった場合、治安状況その他、いろいろ悪いことがございます。したがいまして、そういう中で武器を持っていくことについて、あるいは武器を使用することについても認めていただいたわけでございますけれども、これまでのいろんな経験によりまして、帰ってきた隊員からいろいろ話を聞いてみますと、現在の法律では個人個人が判断して、いわゆる自然権的な防御をする場合に個人個人が判断してやっている、そういうことに法律の建前はなっております。 しかしながら、やはり効果を高めるため、あるいはまた無用の混乱を起こさないためには統一して武器の使用をやった方がいいというようなことから、今回、上官の命によって使うことにした方がいいんじゃないかということでやったわけでございます。 平和協力業務で出ていっている隊が、その目的のために武力を行使するわけでもございませんし、これによってまた武力紛争に巻き込まれることもないということから、憲法には何ら抵触しないという従来の解釈の中でやれるということで私どもは法案を出させていただいた次第でございます。
○栗原君子君 それでは、実際に武器の使用の方法で、現地において混乱をしたり、あるいはまた危険にさらされた事例とか経験があったというふうに解釈をしてよろしいわけですね。 もう一点。それで、正当防衛のためには部隊としてでなく、個々の自衛官の判断にゆだねることが基本的に適切だと。これは九一年十二月、その前の九月あたりから当時の宮下防衛庁長官とかあるいは海部総理が国会で何度も答弁をしていらっしゃるわけでございます。だから、海部首相やあるいは宮下長官の答弁が間違っていたと、このように解釈してよろしいですか。
○国務大臣(久間章生君) 今、私が言いましたように、そういうようなことが効果的であると言いましたのは、今までに幸いに日本の要員が襲われたことはございません。しかしながら、海外のこれまでの二年間の経験の中で絶えず周りでそういう状態があった、あるいはまたざんごうを掘って要塞をつくって寝なければならないというような状況がございました。あるいはまた、周りで銃声が聞こえた、それでやっぱり寝るに当たっても非常にみんな心配しながら寝たというような、そういうようなことから武器の使用があり得るという、そういう状況についてはやはり蓋然性はあるわけでございます。 そして、もう一つの時の総理あるいはまた防衛庁長官の発言でございますけれども、これは初めて出るわけでございますから、その方でよかったというふうに思って判断されたんだろうと思います。 しかしながら、行ってきた隊員のそういう声を聞きますと、やはりそうじゃなくて、組織的に訓練されたみんなは、上官がちょっと待てということで制止することによって、個々の隊員が発砲しないで済むような場合にもかえって発砲してしまう場合もあるわけでございますから、そういう組織的に訓練した者たちにとっては組織的に訓練されたそれをより効果的にやることによって正当防衛も達成できるということもあるわけでございます。やはりそういう意味では、経験に基づいて考え方も変わってきているということも言えると思います。
○栗原君子君 相手側の部隊と日本の部隊が結局武器で交戦するという状況をつくってしまうわけでございます。だから、場合によりましたら日本の自衛隊が相手側の部隊を武力制圧または殺傷してしまうということも想定されるわけでございます。そういうことになりますと、紛争当事国の一方を日本の自衛隊が爆破することにもなりまして、日本はいや応なく紛争の当事国になりかねないという、私はそういうことを大変心配しております。 時間がございませんので、次に一線を画すという文言についてお尋ねをいたしますけれども、新ガイドラインでは、米軍に対する後方地域支援や捜索・救難は戦闘地域と一線を画される公海やその上空で行うことになっている。これを理由に政府は、戦闘にも巻き込まれないし日本が直接に戦闘に参加することにはならない、このような答弁を繰り返しておられるわけでございます。一線を画されているから憲法が禁じる集団的自衛権の行使にもならないと答弁をしているわけでございます。 そこで、お尋ねをしたいと思いますのは、三月二十七日でございますけれども、航空自衛隊の平岡幕僚長は記者会見で、一線を画するのはなかなか難しい、このように語っていらっしゃるわけでございます。後方支援を担う自衛隊の責任者が政府見解を否定する声を出していらっしゃることについて、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(久間章生君) その前後の文章もよく読んでいただきたいと思いますけれども、航空優勢を確保しているから一線を画されたと、そういうふうに言われるとそれは難しいと。やはりほかのいろんなことの組み合わせの中で一線を画す、要するに武力による紛争に巻き込まれない一線を画すことはしなければならないということで、航空優勢が確保されていればそれでいいんだというような、そういう判断は難しいということを言ったわけでございますので、どうかそういう意味で、その新聞報道等のそこの部分だけではなくて、記者会見した全体を眺めていただきたいと思います。
○委員長(岩崎純三君) 時間です。
○栗原君子君 終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で栗原君子君の質疑は終了いたしました。 これにて外交・防衛、国際経済、福祉に関する集中審議は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十二分散会