P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
142回国会参議院1998/03/23

予算委員会 第8号

発言数
313
登壇者
34
会派数
2
開催日
1998/03/23

会議録

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十年度総予算三案についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日及び明日の総括質疑の割り当て時間は二百八十分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党百十五分、民友連五十二分、公明三十七分、社会民主党・護憲連合二十五分、日本共産党二十二分、自由党十五分、二院クラブ七分、新社会党・平和連合七分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ─────────────

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十年度総予算三案の審査中、必要に応じ、日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、本日の委員会に預金保険機構理事長松田昇君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより総括質疑に入ります。寺崎昭久君。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 おはようございます。  総予算の質疑のトップバッターを仰せつかりまして、内外の課題を考えるとき、いささか緊張しておりますけれども、同時に気の抜けたビールをあてがわれたような脱力感あるいはいら立ちというんでしょうか、そういったものも感じております。  と申しますのは、参議院における予算審議の日程を協議しているときからも感じたことでありますけれども、総予算は三十日たてばいずれ成立する、参議院は消化試合をやっているんだから、余りつべこべ言わずにさっさと切り上げたらどうかというような雰囲気があったり、あるいはエリツィン大統領との会談もある、バーミンガム・サミットにも出かけなければいけない、私は忙しいんだというような総理のお立場をおもんぱかってかの発言もこれあり、どうも参議院軽視の空気が充満しているように思えるからでございます。  それはそれとして、私は有権者を代表して政府に対して予算あるいは政策をただす立場にありますし、総理には国民にしっかりお考えを、メッセージを伝えてもらわなければなりませんので、気持ちを新たにして質問を申し上げます。  そこで第一問。総予算成立直後に補正予算の編成を伴う経済対策、景気対策を打ち出すお考えがあるのかどうか、率直にお尋ねいたします。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今私どもは平成十年度本予算並びに特別予算、機関予算等々参議院でこれから御審議をいただこうといたしております。議員は消化試合という言葉を使われましたけれども、私はそういう申し方を、これはどこをお調べいただきましてもそのような言葉を使ったことはございません。そして、むしろ衆議院を通過したときに、報道機関から質問がありましたものに対しても、参議院の審議がこれからあるという以上の言い方をいたしていないことをぜひ御理解いただきたいと思います。私は、それだけこの御論議は重みがあるものだと思います。  その上で、平成十年度予算、私どもは何としても一刻も早く平成九年度補正予算から引き続いて運営ができますように院の御協力をお願い申し上げたい気持ちであることは、これは偽りありません。そして、その中において、今、世上いろいろ言われておりますことも私は全く知らないわけではございません。しかし、政府としてそのようなことを申し上げたことがないこともまた御承知のとおりであります。  同時に、私は先日、インドネシア・スハルト大統領との会談のためにジャカルタに参りましたが、このアジア経済全体を考えましても、日本は日本なりにこれに協力するという部分があることは間違いありません。また、国内の景気動向を見ましてもさまざまな対応を必要とする場面はありましょう。  しかし、今、私がお願いを申し上げたいこと、それはあくまでも、平成十年度予算が平成九年度補正予算と年度がかわりまして引き続いて執行できる状態に、また関連の法律案、予算関連法案、税制改正等々が年度の切れ目を生じないようにぜひ審議の御協力をいただきたい、ここに尽きております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 ただいまの総理の御発言について、私はどれほど国民が正確に受けとめているのか甚だ心配でございます。  もちろん、総予算を一刻も早く通すべきだというお考えはよくわかるわけでありますけれども、例えば、衆議院がこの総予算を通過させた三月二十日の株価は一万六千八百三十円でございまして、前日に比べて百五十一円しか動いていないんです。もう三十日たてば少なくとも予算は上がる、そのことが確定したんであればもう少し株価というのは動いてもいいんではないか。それが動かないということは、さらなる追加景気対策が出されるんではないかとか、あるいは総理がお考えになっていることが正確に伝わっていない証拠ではないかと思うわけであります。ここが大事なポイントだと思うんです。  いずれにしても、総予算を一日も早くと言うだけでは総理のお考えが伝わるというわけには受け取れませんので、総理の発言というのは綸言汗のごとくというのに似ておりますし、やはり値千金でなければならないと思いますので、今後の経済運営についてはこうするんだ、そのために今の総予算をこうしたい、その後はこうするんだというようなことに踏み込んで御発言いただきたい。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、私どもは本当に、平成十年度予算並びに関連する税制を含みます法律案、これを三月三十一日から四月一日にとカレンダーがかわりました時点でそれぞれがその役割を果たせるようにしていただきたいということを何よりも優先して考えております。  そして、議員から今御指摘のありましたような問題点と申しますものは、我々として気になるものはいろいろ出てきております。例えば、けさの報道でも、主要産油国の中で石油の減産に踏み切る、原油価格が相当落ちておりますので、今後生産量を減少させることによって原油価格の上昇を図りたいという合意ができたという報道もあります。我々にとってはこれはエネルギーコストとしてまさにはね返ってくるものでありますし、こうした問題はそのようにとらえていけば私はたくさんあると思います。  同時に、日本自身が今規制緩和を進めております。その規制緩和による影響といったものも、これは国の中と外と両面に分けて考えていかなければなりませんが、当然ながらこうしたものも、これは我々は並行して作業しておりますので続けてまいります。そうした意味での臨機の措置をとっていく、これはもう今までも繰り返し私は申し上げてまいりました。  そして、もし議員の御指摘が補正をするのかしないのかというお問いかけでありますなら、私は、今まで、そして今後も、この予算の御審議をお願いしている中において、まずその予算の成立をぜひというお願い以上のことを申し上げる状況ではありません。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 角度を変えて、経企庁長官にお尋ねいたします。  長官は、二月の月例経済報告の際に、桜の咲くころには順調な軌道に乗るという御発言をされております。これが熊本の桜なのか青森の桜なのか定かではありませんけれども、今月末には長官のお国元でも桜の開花が予想されております。  そこでお尋ねするわけですが、我が世の春というのはいつ来るんですか、第一点、我が世の春は本当に来るんですか、いつ来るんですか。二点目は、順調な軌道というのはどういう状態を言うんでしょうか。三点目は、九七年度はマイナス成長が必至だと言われる中で、経企庁は一・九%の成長をおっしゃられておりますけれども、下方修正する必要はありませんか。三点についてお尋ねします。

尾身幸次自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(尾身幸次君) 現在の景気動向でございますが、純輸出は、輸出が強含みに推移していること、輸入がおおむね横ばいで推移していることを背景に増加傾向にはあるわけでございますが、設備投資は全体として伸びが鈍化をしております。  GDPの六〇%を占めている個人消費でございますが、年度当初の消費税引き上げに伴う反動減がございまして、予想以上に大きくありまして、その後一時回復をいたしましたが、秋口からアジアの経済状況あるいは相次ぐ金融機関の破綻等によりまして、経済の先行きに対する信頼感が失われたことによりまして大幅に下がっている状況でございます。九月の消費性向、七一・九%でございましたが、十月、十一月、十二月、一月と連続で下がってきておりまして、一月には六八・六%と四カ月間で三・三ポイント下がっているわけでございます。これをGDPに換算いたしますと約十兆円以上消費だけで低下というような状況になっております。  住宅投資も相変わらず百三十万戸程度の状況でございますが、横ばいで推移しているという状況でございまして、その水準は低い状況でございます。  そういう状況の中で、私どもは、株価等に見られますように、金融システムに対する不安感というものは、金融システム安定化法案が通り、その施行が行われることによってかなり改善をされてきているというふうに考えておりますけれども、しかし実体経済の面ではなお停滞が続き、厳しい状況であるというふうに認識をしております。  そこで、政策面では、御存じのとおり、一月—三月の間に特別減税、補正予算あるいは金融システムの法の施行等がございまして、さらに引き続きまして現在お願いしております十年度予算がぜひ四月の初めから使い得るように、そしてまた法人税の減税あるいは土地関係の減税等も含みます税制改正も含めまして四月から実施できるように願っているところでございます。さらに、いわゆる四月一日の早期是正措置を控えての貸し渋り現象も三月いっぱいで解消するのではないか、四月からはそういう意味での貸し渋りが改善をされてくるというふうに見ているわけでございます。さらに、一連の情報通信あるいは土地利用等に関する規制の緩和も法律が通りますれば施行される。そういうことでございますから、三月いっぱいは厳しい状況が続くと思いますが、四月からは、ある意味で言いますといろんな政策の効果があらわれ始めてくるというふうに期待をしているところでございます。  なお、九七年度につきましては、昨年の十月—十二月のGDPが〇・二%マイナスという状況になりました。そういう状況を踏まえますと、修正見通しの九年度プラス〇・一%というものを達成することにつきましてはかなり厳しい状況にあるというふうに認識をしている次第でございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 これからの一・九%についてはかなり難しい見通しだというお考えでありますけれども……(「九年度です」と呼ぶ者あり)九七年度ですね。この先はどうなのかというお尋ねをしました。九八年度は一・九%ということをおっしゃっておりますけれども、それは下方修正しなくてもよろしいんですねと。  経企庁の設置法を見ますと、「経済に関する基本的な政策の総合調整」というのが入っております。この先、今やっていること程度で一・九%は大丈夫と、こうおっしゃっているわけでしょうか。

尾身幸次自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(尾身幸次君) 平成十年度の見通しにつきましての一・九%でございますが、先ほど申しましたような各般の施策を行い、そしてまた十年度の予算及び法人税の減税等を含みます関係法案が予定どおり通過するという状況のもとにおきまして、四月以降に経済は徐々に回復基調に乗り始めるというふうに考えている次第でございます。  私どもは、総理の御指示もございまして、自民党の第四次緊急国民経済対策を受けまして、昨年十一月の規制緩和を中心といたします緊急経済対策のフォローアップやさらに追加的な規制緩和等の経済活性化の対策につきまして現在検討中でございます。  また同時に、かねがね申し上げていますように、経済は生き物でございますから、内外の金融、経済の状況に応じまして適時適切な経済運営に努め、そのことによりまして政府の経済見通し十年度実質一・九%は達成をしていきたいと考えている次第でございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 経済活性化のためにこれからも景気刺激策を御検討されるというのは大変結構なのでございますけれども、また先ほど総理は、補正予算については私は言及していないと。私もいろいろ調べてみました。そのとおりでございます。  ただ、総理のそうした姿勢と異なりまして、総理の周囲からはいろんな格好で、補正をやるべきだとか十兆円組むべきだとかという声が聞こえてくるわけであります。これは後でもう一度触れますけれども、それは国の外からも同様の声あるいは経済運営に対する批判というような格好で伝わってきております。  つい先日の十九日、サマーズ・アメリカ財務副長官が日本のマスコミと会見して、日本の景気を反転させて回復軌道に乗せるにはGDPの二%程度、つまり十兆円規模の経済刺激策をとる必要があるというようなことが報道されております。  これまでも、アメリカの関係だけでも財務長官であるとかグリーンスパンFRB議長であるとか、その他大勢の人が日本の経済運営についていろんなことを発言されている。これに対して、時々余計なことだというような趣旨の御発言も散見されますけれども、大変小さな声で、国民には恐らく届いていないんだと思うんです。  こういう声に対して、総理、どう対処されるんですか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに余り大きな声ではないのかもしれませんが、お尋ねがありましたときに私どもが申してきたこと、これはアメリカばかりではなく、海外といいましても、例えばヨーロッパにはヨーロッパの声がありますし、今金融情勢が混乱しておりますアジア地域においてはアジア地域として、それぞれやはり日本に求めるものがあります。  そして、私は、そういう中で出てくる声というものは耳を傾ける必要性のあるものでありますけれども、日本は日本自身がその声の中にありますものを分析し、その中で我々が確かに受けとめるべきものというものは受けとめていきますけれども、それはやはり日本の判断で決していくべきことであります。そして、いたずらに海外からこういう声があるという報道に対し打ちかけ合いのような議論をすることも、市場に与える影響等を考えますとよいことではありません。  議員からお尋ねでありますが、これはまさにアメリカでよく出ております声、そしてアジアで出ております声、同じような文脈になってまいりますもの、それは何かといえば、日本の経済がしっかりしてくれ、内需主導の経済運営で景気回復を達成してくれということに要約されるでありましょう。こうした点は我々自身が自分の国のためにも必要とすること、私はそのように思います。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 外国から内政干渉まがいのことを言われれば、私だって腹が立ちます。まして、それに対して総理の声が国民に伝わっていないとすれば、国民は屈辱感すら味わうのではないか、それを心配しているわけであります。あるいは腰砕けにやっているのじゃないか、それでなくても日本というのは外圧に弱いなんということを前から言われているわけであります。また、アメリカが繰り返し繰り返し言っているということは、こちらの意図が果たして伝わっているのかという問題もあると思うんですが、総理は国民に向かって、私はアメリカに対してこう言っているんだということをもう少しはっきり言われたらどうですか。そうでなかったら伝わらないですよ。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) この言い方が適切かどうかには多少問題があるかもしれませんが、日本から例えばアメリカにつけている注文、それは国連分担金の滞納分を早く払えということであります。そして、国連における日本の分担金の率が上昇しております。もっと求める声があります。アメリカの払うべき分担金を肩がわって払う気はないよ、こういう言い方をしたこともございます。  そして、日本の政策というものは、それはどこの国から、あるいはこの国の中のどこから出てくる声であっても我々はもちろん耳は傾けていきます。しかし、その政策選択は日本自身が決定することであり、その点は本当に誤解がないようにしていただきたいと思うんです。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 それにしても、世界じゅうからいろいろ日本の経済運営に対して注文がついているわけであります。アジアからも悲鳴が上がっていると思いますけれども、昨年夏以来のアジアの通貨危機とか経済の失速について我が国の景気との関係が取りざたされている昨今でありますけれども、そのことについて総理はどのような御認識あるいは対応策をとられているのか、お尋ねします。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) アジアにおける通貨あるいは経済変動の原因というものがそれぞれの国によって状況が違いますので、一概にこれを律することはできませんけれども、単純に申しますならば、共通するものとして、それぞれの国の通貨を過大評価していた、そしてそれに伴って経常収支赤字がどんどん拡大していった、あるいは海外から大量に入ってまいります資本の一部が生産的な用途でないところへ使われた、そうしたところから市場の信認が低下し、短期の資金が一斉に引き揚げられた。これは私は否定のできなかったことだと思います。  今日、韓国あるいはタイは既に危機から脱しつつあり、新たな歩みを始めておられると思っておりますけれども、まだインドネシアは大変な苦労をしておられますし、先日私が飛んでいったのもそうした思いからでございました。  そして、これはいろいろな議論がありますけれども、確かに私は、昨年度を振り返りましたとき、消費税の税率引き上げに伴って一—三の駆け込み需要の幅が予想よりはるかに大きかった。その影響は四—六で私どもの予測よりも低下した、影響は大きかった。しかし、確かに七—九をごらんいただくとプラスに転じていたわけでありまして、その限りにおいてその方向はそう大きな間違いではなかったと思います。  ただ、確かにバーツが引き金となりました金融市場の混乱、アジア経済における影響というものは我々の予測をはるかに超えるものでありました。そして、日本国内における大手金融機関の破綻と相まって間違いなく我が国の金融システムに対する信頼低下は起こりましたし、家計あるいは企業の業況感、景況感というものが非常に厳しくなり、それが個人消費にも設備投資にも影響が出た、これは否定のできない事実でございます。  その意味では、日本は、今回の経済不安のもとになりました各国の金融、そのためにその変動に対応してIMFを中心とした国際的枠組み、これを基本として積極的にそれぞれの国にそれぞれの国に応じた支援というものを進めてまいりました。特に、今続いておりますインドネシアにおける困難な状況、これは先般、政府といたしましても東南アジア経済安定化等のための緊急対策、これを閣議決定いたしております。  これから先も、関係各国、またIMFを初めとする国際機関と密接に連携をとりながら対応していこうと考えておりますけれども、このIMFのルールを超えた部分として、例えば輸出保険を活用する手法、その他それぞれの国で一番必要とされる人材育成のための協力のプログラム、こうしたものを重ね合わせて実行していく考えであり、委員におかれましても御協力をぜひ得たいと考えておる分野でございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 先日、インドネシアのハビビ副大統領が来日されまして日本の都市銀行の代表にお会いになられたそうでございますが、その際に、インドネシアの民間企業に対する邦銀の短期債務の元本と利息の返済について一年間猶予してもらいたいという要請があったようでございます。三月二十日のことです。  これは、インドネシア政府は事実上リスケジューリング要請をしたわけでありますけれども、これに対して日本政府は何らかのアクションを起こすのかどうか、それとも、あれは民間同士の問題であるからということで放置されるのか。今後の日本の姿勢を問われる大事な問題提起だと思いますが、総理、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ハビビさんは私のところでは実はその話は出されませんでした。また、スハルト大統領と二時間半にわたる個人的な会談の中でも御指摘の問題は出ておりません。むしろ、スハルト大統領、ハビビ副大統領共通して私に言われましたことは、インドネシア経済の中に占める日系企業のウエート、そしてそこにおける雇用というものでありまして、引き続き日系企業がインドネシアで仕事ができるような協力を頼むというお話はございました。  そして、邦銀の、これはインドネシアだけではなくアジア諸国に対する資金供与のあり方、これは最終的には各行の経営判断ということになりますけれども、私たちはやはり日本を含みました先進各国、また国際機関の支援体制、そしてアジア各国におけるそれぞれの国での経済安定のための努力がどのように払われているか、こうしたことを十分説明することによってアジア経済に対する信頼回復のお手伝いをしたい。今御指摘になりましたような方向というのは、まさにその延長線上の問題だと思っております。  そして、韓国の場合もそうでありましたけれども、インドネシアに対しても私がIMFとの枠組みが大事だということを強調しておりますのは、言いかえれば、IMFのスキームを維持するという約束がなされている限りにおいて、民間金融機関にそれだけの信頼性を持ってもらい、行動してもらえるということが一つのポイントだからであります。  また、その意味では、今回公的資金による自己資本充実策を実行に移させていただきましたが、これはまさに金融の危機的な状況に対応して我が国における金融システムの安定化を図ることを目的としているものでありますけれども、同時に、これは金融機関の自己資本比率の向上を通じて、その資金供給能力の拡大というものは国内だけではなく外にも向かい得る、そうした要素も持つものだと私どもは考えております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 アジア経済の問題に関して、金融面で我が国が国際機関等を通じて支援するというのは大事なことだと思いますし、ぜひやっていただきたいと思うんですけれども、しかしながら、もう一方においては、根っこの問題についてもこのままでいいんだろうかという気持ちが大変強くなっております。  と申しますのは、最近、アメリカの統計などを見ておりましても、アジア諸国からの輸出圧力が、対米圧力が大変強まっているという懸念の声が伝わってきます。となりますと、アメリカからまた日本に対して、もう少し買ったらどうだ、東南アジアの商品を買えというような話が出かねないという懸念もされるわけであります。  となりますと、アジア諸国の輸出圧力を低下させるためにも、日本は輸入増加策を講じるとか、あるいは日本の企業の進出のあり方について政府としての見直しを行う、検討するというようなこともやらないと、金融だけではなかなかアジアの経済が立ち直るというのは難しいんじゃないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) その御指摘は私は非常にいい御指摘をいただいたと思っておりますし、この面でも委員の御協力を得たいというのが率直な気持ちであります。  なぜなら、先ほども申し上げましたが、政府は二月二十日に「東南アジア経済安定化等のための緊急対策について」というものを閣議決定いたしました。そして、その中においては、日本輸出入銀行の輸入金融の活用など、アジアからの輸入促進のための措置を講じますと同時に、アジア各国の現地日系企業の事業環境を整備いたしますために、貿易保険あるいは日本輸出入銀行の活用などの措置を既に講じつつあります。また、ジェトロを通じて緊急に輸入ミッションを派遣することにいたしました。本日はまさに韓国におきましてこの輸入商談会が既にもう行われ始めている時間だと思いますけれども、こういうことが動いております。こうした努力は当然のことながらいたします。  さらに、私どもが承知をいたしております限りにおいて、多くの現地の日系企業、これはアジアの長期的な発展の可能性というものに着目して事業を継続していかれる方向、そういう方向について私どもも非常によい方向だと考えておりますし、今申し上げましたように、その事業環境整備のための措置を講じつつあります。こうした方向によりまして、地道ではありますけれども安定した関係が築いていき得る、私はそのように考えております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 輸入拡大努力によるアジアの支援というのはぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  内需拡大につながる話が出たところで、もう一度国内景気の問題に戻らせていただきますが、先ほども若干指摘しましたように、総理が幾ら私は補正予算の話は一切しておりませんと、こうおっしゃられても、総理の周囲、与党の幹部からは連日のように内需拡大のための、あるいは補正予算に向けた御発言があるわけであります。  一々御紹介するまでもなく、総理にもお耳に達していると思いますのでそれはやめますけれども、不思議なのは、総理がなぜこれを放置されておくのか。国民は今までも政府・与党一体なりと、こう思ってきたわけであります。にもかかわらず、総理は、私は補正予算のことは一切触れていないと言いながら、総理の周りは毎日のように十兆円の補正が必要だとか、あるいは二兆円の特別減税をやるべきじゃないとかいろんなことを言っているわけで、国民は迷うばかりで、ここでけりがつかないから景気がよくならない、そういうことなんじゃないですか。総理、答弁をお願いします。(「素直に言っちゃった方がいいよ」と呼ぶ者あり)

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 素直に我が党は党内での議論を公開いたしております。そして、自由民主党はまさに自由な党でありまして、それぞれが行っている意見を決して隠しておりません。(「あなたの姿勢を聞いているんだから」と呼ぶ者あり)だから、私自身のその姿勢は自由な議論を封じるということにあるわけではありません。むしろ私は、オープンな議論の中からよりよい方向が生み出されると考えておりますし、それだけの議論をすることが悪いとは決して思っておりません。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 総理が自由な党内の議論を抑えないとおっしゃっても、国民はそのことによって迷っているんです。どう思うかといえば、史上最低の金利の中ではもう金融政策を打つ余地がないな、財政政策に頼らざるを得ないなと。だけれども、それを言うとすれば財政改革路線を変更しなくちゃいけない、これは内閣の公約だからそうやすやすと旗を下げるわけにはいかない、だから周囲に言わせてなし崩し的に政策転換を図ろうとしているんではないかと受けとめるのが世間の常識だと思うんです。そのことが株価をなかなか押し上げない、景気も安定軌道に乗せないという原因になっていると思うんです。  総理、もうこの辺で、決心して方向転換しますよと、政府・与党は一体なんですということをおっしゃられたらどうですか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府・与党は間違いなしに一体でありますけれども、内閣はあくまでも予算編成権に基づいて編成いたしました本予算を国会で御審議をいただいております。そして、私たちはこれを一日も早く実行に移せるように院にお願いを申し上げております。院は審議権を持っておられ、それを今行使しておられます。  そして、その中の議論で例えばこんなことがございました。  私に対しまして衆議院でありました御質問の中で、財革法の中で、アメリカ式の免責条項を入れることを考えるべきではないか。私は、これは立法政策上一つの判断だ、そう評価をした上で、しかし、なかなかこれは難しいんじゃないでしょうか、とり方によっていろんなことが考えられますということを質疑でありますから真剣にお答えをいたしました。ところが、その後この答弁は報道でもひとり歩きをいたしました。同時に、衆議院におきます国対委員長レベルの問題として、そういう答弁をしたことがけしからぬというおしかりをちょうだいいたしまして、それを理由に私は、理由と申しますよりも正式にちょうだいをいたしたことでありますから、御質問を受けましたことにお答えをすることに役割を限定して今日まで参りました。  私は、今まさに平成十年度予算の審議を本日から参議院においてお願いをし始めております。そしてでき得る限り真剣に、誠実にお答えをしていきたいと思いますけれども、既にそのようなかせがかかってしまっておりますことも御理解をいただきたいと思います。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 総理がこう考えておられるであろうということを想像できても、下世話に言うと、踏ん切りをつける大事な局面というのがあるんだろうと私は思うんです。  この二月の施政方針演説で、総理は教育問題について特に時間を割かれて言及されました。この国の将来を担う子供たちのことに触れられて、ナイフによる殺傷事件あるいは薬物の乱用、学校でのいじめ等々具体的な例を挙げられながら、子供たちにこの世に生を受けて本当によかったと思ってもらえるようにするためには、学校だ親だとお互いの責任をあげつらうことではなくて、マスコミも地域も含めてそれぞれの大人の責任を果たすことが大事だ、心の教育が大事だということをおっしゃられました。  私も、総理の見識に珍しくと言っちゃ失礼ですが感動いたしましたし、共鳴を覚えました。だけれども、その後の総理の御発言を聞いておりますと、どうも言行不一致としか受け取れない。これは私だけじゃなくて、国民がみんなそう思っているんですよ。先ほど例を紹介しましたけれども、どうせこういうことをねらっているに違いない、でも言えないから言わないだけだろうというような人が少なくないわけであります。そういう言行不一致というのをいつまで続けていいんだろうかと。  昔、私の子供時代に、腕力はあるけれども少々お人よしなのがいまして、そいつをけしかけていじめをやらせる、自分は手を汚さないでいい子になっているという秀才がおりましたけれども、みんな橋本総理のことをそう思っているんじゃないか。私はそれを心配しているわけです。その人自身だとは言いませんけれども、こういう問題というのは教育にも悪影響が出ると思います。どうですか、総理。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ありがとうございます。私は、多分議員が御指摘になられました暴れん坊でお人よしの方の学生生活を送ってまいりました。ただし、人に使嗾されていじめをしたことはないと思うんですが、もしそのような誤解が国民の中にあるとすれば、その秀才で人をけしかけていじめをやらせている方ではなく、おだてに乗りそうな暴れん坊、それがみずからの行動を慎んでいると御理解いただきたいと思います。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 総理の人格を云々するほど私も高潔な人格だと思いませんし、それをあげつらってどうしようということではありません。  ただ、こういうことに関連してもう一つ思い出しますのは、今から十六年前の鈴木内閣が退陣声明を出されたときのことでございます。一九八二年十月十二日だったと思いますが、いろんな退陣に至る原因はあったにしろ、増税なき財政再建と赤字国債の八四年度脱却、この公約が守れなかった、そういう情勢になったということが直接のきっかけだったと思います。つまり、長期化する不況を読み誤ってこういう方針を公約として掲げたが、巨額な税収不足に見舞われたというのが実態であり、今日の橋本内閣とやや状況が、全くとは申しませんけれども、似ているんではないかと思います。  ただ、鈴木総理がなされたことは、私は公約は守るということで退陣されたということでございます。そして政策転換のきっかけをつくった。これが大事なことだと思うんですが、総理は、鈴木内閣の退陣についてどういう御感想を御自分の立場と照らし合わせてお持ちでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、鈴木総理の行政改革をスタートされる時点における決意というものを今でも大変高く評価をいたしております。  そして、退陣の意見を公表されましたとき、ちょうど私は北京におりまして、その状況をつぶさに存じておったわけではありません。ただ、いわゆる土光臨調というものをスタートさせる、その中において人事院勧告の凍結を非常に早い時期から総理は決断しておられたと思っております。そして、その決意の前提として、あの年の生産者米価の決定に際し非常に慎重な姿勢でこれに臨まれ、人事院勧告凍結への布石を打たれました。閣内においても両論がありましたが、最終的に人事院勧告の凍結は鈴木総理の裁定によって決しました。  そして、私は、鈴木総理としてみずからの目指された方向にきちんとした位置づけを終えられてその職を引かれた、そのように考えておりますし、私は心から敬意を持っております。  その上で、人の進退、これはそれぞれおのれで決することではなかろうか、そのように考えます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 政策転換の問題をこれ以上申し上げても水かけ論に終わりそうな感じがいたしますから、そろそろ打ち切らなければいけませんが、最後に大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。  財政法の二十九条に、予算編成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出または債務の負担を行うため必要な補正予算を作成することができるという趣旨のことが書かれております。もし本予算の成立直後に補正予算を作成しなければいけない事態が生じたとすると、仮定の話は答えづらいかもしれませんが、それは法の精神に反するのではないかと思いますし、本予算が通った、さあ次は補正だというのは財政民主主義の考え方にも反するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) 先ほどから総理が答弁をしておられますように、政府としては、今御審議をお願いしておる平成十年度の予算、そしてそれに関連する税法等の法案を速やかに成立させていただいて、九年度補正予算と切れ目のないような状態で十年度の予算が実行できるようにさせていただきたいというのが政府の立場、私も全くそのとおりであります。  ただいまの委員のお話は仮定の話だと承ったわけでありますが、これは仮定の話だから答えられないというのも大変不親切な答えになると思いますので、一般論として申し上げますと、補正予算を組むという事態になった場合には、当然のことながら財政法二十九条の精神を厳正に解釈し、受けとめて対応しなきゃならぬというのが大蔵大臣の立場であろうというふうに思います。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 今の御答弁というのはよく理解できないんですけれども、本予算作成後に生じた理由の中には、経済を読めなかった、読み誤ったというのも入っているんですか。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) 本予算の作成後というのは、本予算を閣議決定した日のことなんだと理解いたしますが、その後に生じた事由ということになってくるわけでありまして、そのとおり解釈をして、そして対応していくべきであるというふうに思います。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 天変地異が起こったのならいざ知らず、本予算が通って、直後に補正予算をつくるというのはやはりおかしいんじゃないですか。それは単に景気あるいは税収の読み違いがあったということだけで、それを救済するようなことはこの法律は予定していないんじゃないでしょうか。  もう一度御答弁願います。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) 今の御議論は、結局、財政法二十九条の解釈問題だろうと思うのでありますが、私は、財政法二十九条の規定を、素直にといいますか厳正に解釈をして対応しなきゃならぬというふうに思っております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 私の申し上げている意味が通じていないのかもしれませんが、何でもありというようなお考えが根底にあるのかなという受けとめ方をせざるを得ません。  ところで、総理にお尋ねしますが、景気が悪くなれば企業業績が下がる。そうすると株も下がる、株が下がれば金融機関の自己資本比率も下がる、下がれば内外に貸し渋りも起こる、貸し渋りが出ればまた経済が上向かない、経済の足を引っ張るという悪循環は申し上げるまでもないと思いますし、それをどこかで断ち切らなければいけないわけであります。  しかし、このところの報道を見ておりますと、その循環を断ち切るためでしょうか、いわゆる郵便貯金、あるいは簡易保険のお金を使って株式操作をやろうというようなお考えがあるやに受け取られる節があります。つまり、PKOとかPLOとか、そういうことを言われているわけであります。先日も与党の幹部がそのことに触れられまして、直接株式市場に公的資金を投入するとか、あるいは与党は三月中に一兆三千億の公的資金を株式市場に投入するというようなことを検討されているやの報道がございます。こういうことがあっていいんでしょうか。総理に伺います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かにそういう活字が、あるいは報道がなされていることを私も知らないではありません。ただ、郵貯なども含めまして、公的資金による株式への運用、それはそれぞれの公的機関の資金運用手段の多様化、そして長期的、安定的な資金運用という観点から行われているものだ、私はそう考えています。  そして、現在議論されております公的資金による株式の運用というものにつきましても、私は公的資金運用のあり方、そうした観点から検討されているものだと考えておりまして、政府による株式市場操作というような観点で検討されているものだとは思いません。  また、市場というのはまさに生き物ですから、そういう意図を持って対応する、それが効果を発するといった単純なものでもないと思います。むしろ、運用手段を多様化しております中で、そのときにおいて資金運用上一番これが望ましいという方向の中から出てくることではないでしょうか。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 資金運用のあり方から出たお考えだということなんですけれども、随分と報道のされ方と角度が違うように思います。  昨年三月末の一万八千円は何としても維持しなければいけない、だから一兆三千億であろうと株式市場に直接投入したいというような受けとめ方、あるいはそう報道されておりますから世間の人もそう思っているんじゃないかと思うんです。私はそう受け取るのは自然だと思います。にわかに、株式でなければ資金運用できないなんていう、そういう状態ではないようにも思えます。  株式市場を支えるというのは、透明性だとか公正だとかあるいは安全性、そういったものに裏打ちされたものがなければ、これから日本がビッグバンしようということにも合致しないわけでありまして、経済の実態を反映しない株価操作というのは投資家の不信感を招くだけであろう。一時的には株価を押し上げる効果があったとしても、もうそれはすぐ消えてなくなるものであり、私は基本的にはやめるべきだと思います。  それから、後でも触れますけれども、今回の金融システムの安定化ということを考えた場合に、株式の下落が信用不安を引き起こした引き金になっているわけでありますから、銀行に対しては株式の保有というのは制限するべきだと思っているわけであります。  総理が資金運用のあり方を検討されているというお答えをされるのは私は意外なんですけれども、本当にそうですか、総理。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) むしろそれは郵政大臣に。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 そうですか。それでは郵政大臣、お願いします。

自見庄三郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(自見庄三郎君) 寺崎委員にお答えをさせていただきます。  郵貯資金、簡保資金の運用を一般論として申し上げれば、委員の今御発言の中にもございましたように、確実で有利な方法で行うことによって、確実、安全、有利あるいは公共の利益のために運用しなさいと、こういうふうに法律の中にも書いてあるわけでございます。そういった中で、郵貯資金、簡保資金というのは国民の方々からお預かりした大変貴重な資金でございますから、そういったことを踏まえて、やはり郵便貯金事業、あるいは簡易保険事業の経営の健全性を確保すると申しますか、健全ならしめ、そして御利用いただいています預金者、利用者の利益の向上を図るということが私は目的だというふうに思っています。  さっきの株式の購入についてでございますが、これは今の法律では、簡易保険事業団がございますが、ここを通じて、単独運用指定金銭信託いわゆる指定単と申しますけれども、指定単契約を信託銀行と締結して行うことになります。この際、御存じのように、売買する株式の銘柄、それからどれぐらい買うか、数量でございますね、あるいは時期などについては信託銀行そのものがみずからの投資判断において決定するものでございまして、郵政省が具体的な指示を出せる仕組みになっておりません。  自民党内において、指定単を通さず郵貯・簡保本体で直接株式を購入することについて議論されているということは承知していませんが、それをめぐっていろいろな報道があるわけでございます。いずれにいたしましても、指定単を通さずに郵貯・簡保本体で株を購入することについては、さまざまな問題があるため、慎重に検討していく必要があるというふうに思っております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 ただいまの指定単を通じないものは慎重に検討するということは、株式投資を考えるということでございましょうか、それも視野に入っているということですか。

自見庄三郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(自見庄三郎君) お答えをいたします。  今、株式は簡易保険事業団を通じて指定単契約を信託銀行と締結して行うわけでございますが、これは株式が債券等他の運用対象と異なった動きをすることがございます。これを組み入れることによって、ポートフォリオと申しまして資産構成、どういった割合で資産を運用していくかということが大変大事なことでございますが、を改善することができることから、株式というのは資産運用に対して必要な資産であるというふうに考えております。  ちなみに、今平成九年度末でございますが、どれくらい自主運用しているかと申しますと、郵貯資金で約四十六兆円自主運用いたしております。これは昭和六十二年以来でございます。また、簡易保険は創業以来、大正八年以来基本的に自主運用させていただいておりまして、これは百四兆円のお金を自主運用いたしております。合計百五十兆円の、国民からお預かりした、加入者、預金者のお金を自主運用させていただいておるわけでございますが、その中で平成九年度は約十九兆円指定単運用させていただいております。これは指定単運用でございますから、基本的に信託銀行に投資判断をお願いしておるわけでございますから、全額株式に行くというものではございません。  しかし、株式に行くとすればこれは指定単運用しかないわけでございますが、約百五十兆円のうち十九兆円でございますから、全体の一三%を今こういった指定単運用していただいているということでございます。  そして、先般も衆議院の逓信委員会で答弁を申し上げましたように、この十九兆円の内訳でございますが、郵貯が約七・五兆円、それから簡保資金が十一・四兆円でございまして、平成九年度はこの指定単運用で郵貯関係も簡保関係も黒字になるというふうに御報告をさせていただいた次第でございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 今、どういうふうに使われているかというお話はございましたけれども、株式に直接投資されることを検討されるかどうかということはお答えいただいていないように思います。お答えされますか。

自見庄三郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(自見庄三郎君) いろいろな御意見が与党の中にもあるようでございますが、やはり信託銀行を通じて指定単契約をさせていただくというのは極めて常識的な話ではないかなというふうに思っております。いずれにいたしましても、いろいろな論議がございますから、その辺を慎重に見きわめて対処したいというふうに思っております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 厚生大臣にお尋ねしますが、三月十六日に衆議院の予算委員会で、公的資金の投入に否定的な見解を示されたように聞いております。意図をお聞かせください。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小泉純一郎君) 厚生省は年金資金を預かっておりますので、年金福祉事業団を通じて一定の資金が確実に有利に運用されるように民間に委託されております。  その際に、年金福祉事業団が一定の資産構成割合に基づいて、投資会社とかあるいは信託会社、生保会社、この民間の金融機関を通じて委託しているわけですが、国民の大事なお金ですから、株式というのは上がるときもあれば下がるときもある、言いかえれば株式投資によって利益を上げる場合もあれば損を出す場合もある、元本を失う場合もある、高い利益を上げようと思えば大きな危険も覚悟しなければならない、そういう性質のものでありますから、これは慎重に運用しなければならないということで、厚生省が株価操作を促すような、今の資産構成割合を崩して株価操作の疑いを持たれるようなことは決していたしません。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 先ほど郵政大臣は指定単で運用しているから問題はないんだと言わんばかりの御発言でございましたけれども、指定単だって下がるんです。それから、指定単の運用に関して当局が、きょうは株価がいいようだねとか、こういう組み合わせが最近はやっているようだよとか、サジェスチョンするというのはこれはもう隠れもない事実なんですね。  運用の面はこれぐらいにしまして、金融システムの安定化という観点から大蔵大臣に伺いますけれども、アメリカの銀行というのは元本保証のない株式の保有、引き受け、ディーリングを禁止しております。それから、英国の商業銀行は株式保有を禁止しております。また、ドイツは自己資本の六〇%未満しか株式を保有しちゃいかぬ。これはいずれも預金者保護、それから株式の上下、特に下がったときに銀行が貸し渋りなどということをやるような事態になってはいかぬということが根底にあるわけでありますけれども、日本の銀行でも同様な措置をとる必要があるんじゃないでしょうか。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) 今、寺崎先生御紹介いただきましたように、各国それぞれ株式の保有につきましてはいろいろな仕組みを持っておりますが、我が国の場合は、我が国の資本主義の発展過程におきましても株式の持ち合い構造というのが従来からございます。これは、例えば株主の安定工作という言葉にもありますように、長期的な経営戦略を立てる意味でもしっかりした株主になっていただきたいというようなことで株式が持ち合われているという構図がございます。  先生のお考えは資本市場としての株式市場のあり方ということでの御提言ではございますけれども、これを一挙に強制させるということでありますと、株式市場にも大変な混乱が招来するわけでございます。  ただ、長期的に見ますと、マーケットとしましてはこうした採算のとれないような株式保有というものについてはだんだん解け合いが進んできております。一挙にこういったものが進むとは思いませんけれども、徐々に徐々に採算のとれない株式を放出するというような形でやってまいっておりますので、それを政策的に急激にやっていくということについてはやや慎重でなければならない問題だというふうに考えるわけでございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 グローバルスタンダードというんだったら早急に取り組むべき課題じゃないんですか。もう一回お尋ねします。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) グローバルスタンダードという御指摘でございますが、各国ともそれぞれの資本主義の成り立ち方、株式会社の構造、いろいろ事情がございます。すべていわゆるデファクトスタンダードに合わせていくということになった場合に、これが国民経済的に大きな混乱を起こすということであれば、それは徐々に徐々に長い期間をかけてやっていくべきものだというふうに考える次第でございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 徐々に徐々にとか、それが我が国の金融システムにまずいことになればとかおっしゃっていますけれども、今それが起こっているじゃないですか。だったらすぐ手を打つのが当たり前じゃないですか。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) そういった問題に対しましては、今回貸し渋り対策の一環でもとりましたが、低価法を原価法の選択も認めるというような形で株式市場に余り左右されない経営が選択できるような方策もとった次第でございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 原価法に変えたり時価法に変えたり、余り変えるものじゃないと思いますよ。私は、株式というのはそういう上がったり下がったりするものだから、なるべくそこのところは少なくするべきではないですか、あるいは社債とか、せめてそういうものにウエートを落とすべきじゃないですかと申し上げているんですよ。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) 先生の問題意識と私どもの問題意識はそれほどは違わないと思いますが、それは長期的な問題として取り組むべき問題でありまして、それを今強制して、例えばそれを禁止すべきだというような考え方は余りにも経済に対する激変でもございます。そういったものは、マーケットの例えばROAを重視していくという物事の考え方からしますと、だんだんそういった株式の持ち合いが崩れていくという方向に進んでおります。それが次第次第に加速していくのであろうと私は考えております。そうした動きを私どもとしてはよく見てまいりたいというふうに考えております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 この問題に関する総理の御見識を伺いたい。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) 今、担当局長が御答弁申し上げたとおりでございますが、もう一つ私の方からつけ加えて答弁させていただきますならば、銀行等の持っておる有価証券、それの含み益、これは自己資本にカウントされるのでありますけれども、その場合、株式等の有価証券は上下の変動があるものですから、そこで自己資本にカウントされるその率は四五%どまりですよ、こういう国際的な基準というのがあります。その基準に基づいて銀行等は自己資本比率の計算をしているもの、こう思うのでありまして、その面からの歯どめは当然なされるものだ、こう思っております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 BIS基準でそういう決めがあるというのは承知しておりますけれども、それでもなお不安定なんじゃないですかと、こういうことを申し上げているわけであります。  金融機関に対する公的資金の投入の問題について議論を進めさせていただきたいと思います。  最初にお断りしておきますが、民友連は、公的資金は預金者保護に限って投入するべき、使うべきという立場に立っておりますけれども、しかし実際には資金投入を決めてしまったわけでありますから、これが有効に働いているかどうなのかということを検証していく必要があると思います。  預金保険機構にお尋ねしますけれども、審査基準のポイントの第一番目に、経営の状況が著しく悪化していないことを条件に挙げておられます。金融システムの安定化ということがこの公的資金の投入の目的であれば、いい銀行だろうと悪い銀行だろうと、特に悪い銀行に対しては余計資金をつぎ込まなかったらシステム全体は安定しないんじゃないですか、どうですか。

松田昇預金保険機構理事長

○参考人(松田昇君) お答えをいたします。  先生御指摘の部分は、審査基準で申しますと基準第一にそれが書いてございます。それは、法律によりまして、第一の要件として経営状況の著しく悪化している金融機関は対象としない、こう書いてございますので、それを受けまして審査基準で細かな基準を設けました。このスキームは、もともと個別銀行の救済ではございませんで、内外の評価が著しく落ちている日本全体の金融システムの安定をいち早く回復させること、また内外の評価をいち早く回復させること、それを目的とした緊急措置でございます。その観点から申しますと、この法律に書いておるように五つの基準がございますが、それをすべてクリアしたものだけこの際緊急措置としての資本注入を認めようと、こういう考え方でございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 個別金融機関の救済でないというのは、私も法律を読んでわかりますけれども、ただ、目下の関心事というのが金融システムの安定だということであれば、何もいい銀行、悪い銀行を区別することはないじゃないですか。全体というのであれば、それこそ護送船団方式でやるしかないんじゃないですか。二兎を追うようなことで本当に金融システムは安定するんですかとお尋ねしているわけです。

松田昇預金保険機構理事長

○参考人(松田昇君) 委員御指摘の御意見もあると思いますけれども、私どもは与えられた法律の中で運用いたしております。そういたしますと、個別銀行の救済はしないということでございます。  先ほど申し上げた理由ともう一つ、これは大事な税金を背後に控えた、あるいは国民の負担に帰すべき可能性のある大事な資金を使っての投入でございます。そういたしますと、投入いたしました資本が、これは優先株とか劣後債になるわけでございますから、それが将来私どもは確実に回収をするということが非常に大きな眼目でございまして、そのための手当てとして基準の四と五では、著しく破綻の可能性のある銀行とか、あるいは将来受け取った優先株とかの処分が著しく困難になるような銀行等は排除しよう、こういう考え方がございますので、その点を総合的に勘案いたしまして先ほど申し上げたような基準の運用をいたしております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 法律の枠内で基準を決められる立場ですから今のお答えしかないんだと思いますけれども、法律を御検討されてきた大蔵省の立場からいうと、二兎を追うということは本当にいいことなんでしょうか。私も、税金を投入するというのは慎重でなければいけないし、預金者保護に限るべきだという立場をとりますけれども、それにしても法律の目的自体がどうも不明確なんじゃないかという気がしますけれども、大蔵大臣いかがですか。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) 委員よく御承知のとおり、これも申し上げればわかっているとおっしゃるかもしれませんけれども、預金者の預金の完全な保護、これは御存じの交付国債七兆円、そして政府保証十兆円、これ十七兆の口でございます。今議論の対象になっているのが交付国債三兆、そして政府保証の借り入れ十兆とこうなっておるわけであります。合計十三兆となっておるわけでありますが、今預金保険機構の理事長も申しましたとおり、資金を注入した後、資金注入というのは劣後債なりあるいは優先株なりを預金保険機構が買い取ることでございますね。それはできるだけ早い機会に売るわけですね。その場合に万が一損が出たならば交付国債の方でしりぬぐいをするという形に実はなっておるわけであります。  要するに、もう護送船団方式じゃなくして、大いに国内の金融に活躍してくれるようなそういう安定性のある金融機関に資本を注入することによって日本の金融システムの安定と強化を図っていこうという考え方でございまして、危ないところはこれは対象にしない。こういったことで、護送船団方式じゃない、日本の金融システムを全体として安定させそして強化していくという考え方に立った今回の施策でありますので、その施策に基づいて法律の規定どおり基準を設けて対応したということでひとつ御理解賜りたいわけであります。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 危ないところがあるから金融不安が起きているんだと私は思います。  預金保険機構にもう一度お尋ねしますが、審査基準はどのように決められたのか、またその審査基準を決めるに際しての議事録をぜひ当予算委員会にも出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松田昇預金保険機構理事長

○参考人(松田昇君) お答えいたします。  金融危機管理審査委員会というものが当預金保険機構に設けられまして、本年の二月二十三日と二十六日に委員会を開催いたしまして、先生御指摘の審査基準と、それから申請行に出してもらう経営の健全性を確保するための計画の中にどういう中身を盛るか、ひな形を含めて検討いたしまして、それを決定いたしました。二十六日にそれを決定いたしまして直ちに公表いたしました。全文公表しております。  その後審査が行われまして現在に至っているわけでございますけれども、審査基準の中身は、先ほど申し上げましたように、破綻した金融機関を引き受ける受け皿銀行の場合と一般の申請銀行の場合と二つございます。今まで受け皿銀行の場合ございませんので、一般の銀行の場合を例にとって申し上げます。  一つとしては、先ほど申し上げましたような経営状況が著しく悪い機関は排除しますよ、そういうことが第一でございます。第二が、どういう状況であればそれを引き受けることにしましょうかと。自己資本を充実させなければこういうような事態が起きますね、その場合には引き受けることにいたしましょう、それが第二でございます。第三番目が、個別銀行は救済をしませんよ、それなりの自助努力をした銀行のみ入れますよ、こういうのが第三番目の基準でございます。第四と第五は、先ほども申し上げましたとおり、優先株を発行しております銀行等が近い将来あるいは優先株を引き受けた後に破綻を来すような状態なのか、あるいは引き受けた優先株等の処分が著しく困難になるような状態であるか、そういう状態がない銀行を引き受けの対象にしようと、こういうことで決めまして、それを公表したところでございます。  なお、先生御指摘の議事録でございますけれども、これはやはり法に定めがございまして、二十五条でございますけれども、審査委員会の委員長は優先株等の引き受けなどの承認の議決を行ったときは速やかに議事の概要というものと、それからもう一つ、審査委員会が適当と認めて定める相当期間経過後にその議事録をそれぞれ公表しなければならない、こう決めてございます。  そこで、当審査委員会といたしましては、前段で申し上げました議事の概要は、この優先株の引き受けを決めました三月十日と十二日にそれぞれ公表いたしました。ただ、議事録につきましては、「相当期間経過後」とございますので、現在いろいろな議論を踏まえながら検討しているというところでございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 今回の公的資金の投入について見ますと、結果として横並びの数字が並んでおるわけであります。若干のでこぼこはありますが、大方で横並びであります。そういうことがどうして起こったのかということも気になりますし、もともとこの法律、基準に基づいて運営するわけでありますけれども、運営の特例があるのかないのか、あるいは基準の解釈というのがどうなのか、どんな議論がなされたのかというのは大事なポイントだと思うのであります。それなので議事録を早目に出してください、早急に出してくださいとお願いしているわけであります。出せませんか。

松田昇預金保険機構理事長

○参考人(松田昇君) 議事録を早期に公開すべしという先生の御意見、これは確かに有力な御意見でございます。  ただもう一つ、法においてわざわざ相当期間経過後に公開をするべしと決めてあるのも、例えば審査の内容は、個々の申請してきました銀行等の個別的なあるいは経営の根幹に触れるような事項も多々ございます。それについて慎重に審議したわけでございますので、その議論を直ちに公表することは、マーケットその他いろんな点で微妙な影響を与えるのではないか、そういう観点から法も「相当期間経過後に」と書いてあるのだと思います。  いずれにしましても、二つの意見をいろいろ考えまして、今後審査会で検討していくことになろうと思います。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 引き受けに関する審査について私は公表してくださいとお願いしているわけじゃない。審査基準を決めるときにどういう議論があったんですか、その議事録を公表してくださいと申し上げているわけであります。どうなんですか。

松田昇預金保険機構理事長

○参考人(松田昇君) 少し私の言葉が足りなかったのかもしれませんけれども、法が決めております公表すべき議事録というのは、議決をしたとき、つまりこういう優先株を引き受けますよ、そういう議決をしたときの議事録は公開しなさいと書いてありまして、審査基準をつくったときの議事録は法律上は制限されておりません。  そこで、どういうことを我々考えたかと申しますと、やはり公的資金の絡みでございますので、二月二十六日に審査基準を発表しますときに審査基準の内容そのものは全文そのまま公表したわけです。そして、そのときに委員長が記者会見をいたしまして、そのとき起きた議論の主な点について記者会見で述べまして、そこで法律には書いていないけれども、審査会としてやるべき公表をやった、このように理解をしているところでございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 私たちから見ますと、お話しいただいたといっても、報道を通じて知るぐらいが関の山でございまして、どうも十七行に対する貸し付けについては一行当たり平均五分で決めたというような報道もあるわけであります。本当に審査されたのかということも心配ですし、審査基準自体が本当にちゃんとした意見の中からできたんだろうかという懸念もありますので、その点については今後、引き続き提出を御検討いただきたいと思っております。  時間が余りなくなりましたので先に進めますが、今後、中小の地銀とか第二地銀に対しても公的資金を投入する予定があるのかどうか、大蔵大臣に伺います。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) 先般のは三月末までに行うための申請の受け付けをした、その結果としての審査でございました。これはまだあと三年あるわけでありまして、その間にまた受け付けを公表し、そして申請があれば適切に審査がなされるものというふうに思います。ただし、先ほどから議論がありますように、基準に合致した金融機関でなければなりませんし、それからまた、同時に提出する経営の安定化に関する書類というものをきっちり出していただいて、その内容を厳しくチェックして決まるという、そういう手順になっているということを申し上げておきたいと思います。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 大蔵省にお尋ねいたしますけれども、今回の公的資金のお金はどこから調達するんですか。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。  先般決定されました優先株等の引き受けに係る費用は一兆八千百五十六億円でございますが、預金保険機構の考えでは、今回は民間金融機関及び日銀からの政府保証つき借り入れにより賄うというふうに聞いております。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 法律にそう書かれている、借りることができるのは私も法律を読んで知っておりますけれども、預金保険機構が民間企業の優先株や劣後債を買うために銀行からまたお金を借りるんですか。何のために国債三兆円を交付したんですか。貸し渋りは一般の企業に対して行っても、大蔵省には貸し渋らない。そのお金で自分のところの優先株を買ってもらう、こういう理屈ですか。大蔵省、お願いします。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) 何のための三兆円かというお尋ねでございますが、もちろんこれを現金化して使うことも可能でございます。ただ、この三兆円は、加えて機能としては、例えば値下がりして売らざるを得なかったというようなときの損をカバーする費用でもありますので、これは損失の補てんに使われるという性格もありますので、今回は借り入れの方で対応しようという御決定をされているようでございます。  それから、各金融機関それぞれに自己資本の充実のために資金を注入しておりますけれども、今回、民間金融機関はそれぞれの銀行が個別に対応して資金を供給するのではありません。一般競争入札をやりまして、それで資金を調達している、残りは日銀からの借り入れということで、そこには一対一の対応はないわけでございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 一対一の対応はないかもしれません。ですけれども、集めたお金で株を買うわけでしょう。お金を貸した銀行は一時期はそれによって自己資本比率は下がるかもしれません。だけれども株を買ってもらえばまたその分上がるわけです。それに、借りたお金というのは当然のことながら利息がつくわけでしょう。おかしいじゃないですか。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) 株を買うということは、金融機関にとってみますと自己資本比率が上がるということでございます。その金をそのまま貸し出すわけではありません。それでもって融資の枠がふえるという効果もある、あるいは国際的に八%という基準をカバーできるというものでございます。  先生がおっしゃいました、もちろんそれを買うには有コストでございます。ただでやるわけではありません。それから一方、そのファイナンスはあくまで個別金融機関の融資でございますので、その融資は別途余裕のあるところはそういったアプライをするわけでございます。もし貸し出しがこれ以上ふやせないというところは応札をしなかった、こういうことになっておるわけでございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 お金を貸し出せば自己資本比率が下がるのは当たり前です。だけれども、また株を買ってもらうんですから、その分カバーされるでしょうと、そのために何で利息を払うんですかと私は言っているわけです。この議論はもうちょっと時間があるときにやらなければいけません。  ところで、借り入れをするとすれば、一兆八千百五十六億ですか、政府保証が使われるわけでありますけれども、この政府保証のシステムから考えますと十年度の政府保証限度額は残り幾らになるんですか。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) この措置は九年度の補正の措置でございまして、十兆円の政府保証の枠がございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 十兆円新たに生じたということで間違いありませんか。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) 今申し上げたのは、政府保証の枠として十兆円用意してあるということでございます。したがって、そのうちの一兆八千百五十六億円が政府保証つきの借り入れということでございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 政府保証というのは既に使われているわけですから、残りというのは八兆幾らになるということではないんですか。おかしいじゃないですか。一兆八千百五十六億を十兆の政府保証から引かなければいけないので、八兆千八百四十四億が十年度において本来だったら保証できる限度額じゃないですか。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) 九年度の補正における措置でございます。十年度は新たに今御審議いただいている予算におきまして十兆円の政府保証の枠をお願いしているということでございます。これを成立させていただきますれば、十年度もその枠は確保されるということでございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 九年度の予算総則にそんなこと書いてありますか。

山口公生大蔵省銀行局長

○政府委員(山口公生君) 九年度の補正予算、成立させていただきましたものに十兆円ということが書いてあります。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 どうも質問の趣旨が通じていないのか、はぐらかされているのか、そんなことしか思いませんけれども、関連質問もございますので、お許しいただきたいと思います。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。本岡昭次君。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 民友連の本岡です。  今公的資金の議論がありましたので、それに関連して先に質問いたします。  金融機関なりあるいは預金者保護というふうなことで、公的資金が住専初め、今回も三十兆円というふうに大量に国費から投入されますが、私どもが阪神・淡路大震災の被災者に対して公的な資金を国から出せと言えば、いや、それは出せないんだ、できないんだとずっと言い続けてきましたけれども、こういう形で公的資金が出せるなら、被災者に対する生活再建の支援のための資金を国が直接出すことについて何ら問題がないんじゃないかと。だから、政府としてそのための法整備を早急に急ぐべきだと思いますが、いかがですか。

亀井久興自由民主党国土庁長官

○国務大臣(亀井久興君) 今公的支援のことについてのお尋ねでございますが、金融システムをいかにして守るかというそのことと、被災者の支援のことにつきましてはいささか次元を異にするのではないかというように思っておるところでございます。  阪神・淡路大震災の被災者に対する支援ということにつきましては、御案内のように、地方公共団体がつくっていただいております復興基金に対しまして国としての地方財政措置ということで御支援申し上げているということでございます。今そうした地方公共団体が何と申しましても一番被災者の実情をよく御存じのことでございますし、またその基金に対する国の支援を要請してこられた、それに対して誠意を持っておこたえしているという現状でございます。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 今の答弁で、既に政府は地方交付税の措置として公的支援をやっているということであるならば、今までできないと言っておったことができるんだというふうに言い直してください。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員は今まで政府が努めてきた内容はよく御承知のはずであります。国費をもって被災者の生活再建のためにさまざまな支援策を講じてきたことも御承知であります。そして、兵庫県、神戸市が各般の行政施策を補完し、各種の施策を機動的、弾力的に進めることを目的として阪神・淡路大震災復興基金を設けて、生活再建支援金の支給など、生活再建支援策を行っておりますことも御承知であります。そして、このような基金の性格から、政府としてはこれに地方財政措置による支援を行っております。  言い直せということでありますから正確にもう一度今のとおりのことを申し上げますけれども、引き続きこうした形で適切に支援をしてまいりたいと存じております。議員よく御承知のことであります。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 よく承知していますけれども、政府は公的支援はできないと言ってきたんだけれども、現に地方交付税でやっているならできますというふうにはっきりしてくださいと言っているんですよ。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、今も申し上げましたように、同じことを繰り返すことになりますが、兵庫県、神戸市が阪神・淡路大震災復興基金を設けておられます。その目標は、各種の施策を機動的、弾力的に進められる地方自治体として、私は住民に対して一番身近な立場としてお考えになった当然の施策と思います。そして、その中の仕事に生活再建支援金の支給など生活再建支援策が含まれておることも事実であります。こうした基金の性格から、政府としてはこれに地方財政措置による支援を行っております。  以上、正確に申し上げます。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 きょうはその辺にしておきます。  それでは、教育問題について質問をいたします。  教育は国家百年の計と言われております。しかし、二十一世紀を目前に子供をめぐる悲惨な事件や問題が多発し、今、教育と子供の問題、子育ての危機に直面していると思いますが、総理の御認識をお聞きしたい。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、確かに非常に問題は深刻だと思います。ただ、それをその子育ての危機といった一言で片づけられるのだろうかという思いもあります。そして、それは家庭にも地域社会にも学校にもそれぞれの立場で真剣に考えてもらわなければなりません。子育ての危機と言い切ってしまったらそれで終わりじゃないでしょうか。  確かに今、青少年の問題、これは先般来多発いたしましたナイフなどによる殺傷事件、あるいは薬物乱用の問題、あるいは性をめぐる問題、いじめの問題、いろんな問題があります。しかしその一方で、つい数日前に薬物乱用防止に対する「ダメ。ゼッタイ。」運動の代表の高校生八人がオーストリアに向かって昨年度一年間集めました募金を持ってまいりました。非常にすぐれた子供たちです。  そして、私自身もある高等学校の薬物乱用防止教室の授業を拝見しました。始まる時点では相当ざわついていましたし、これ最後まで行くとどうなるんだろうと思っておりましたけれども、たまたま薬物乱用の体験を持ち、そこから中毒症状を抜き後遺症に今悩まされている、その学校の先輩だと聞きましたが、女性からの後輩に与える手紙を講師の方が披露されました後、雰囲気は全く変わりました。そして、非常に粛然とした感じで授業が終わりましたこと、私もいろいろな思いでこれを見詰めておりました。  これはだから、地域社会の中に起因する問題、あるいはその青少年自身、社会全体の価値観、いろんな原因が私はあるのだと思います。しかし同時に、大人が真剣に呼びかけ、中に入ろうとしたときにこたえないほど私は今の子供たちがひねくれた状況だとは思っていません。言いかえれば、親も地域社会も学校も真剣に努力をして、彼らとともに語りながらその問題を拾い上げていく工夫が要るんじゃないでしょうか。  政府の立場といたしましても、実は青少年問題、さまざまな角度で議論をしていただく審議会は幾つもありました。しかし、それぞれが役割を持って、その置かれた責任で議論をしておられます。三月六日、次代を担う青少年について考える有識者会議という形で、関係審議会の会長方、それにまた一般の方の代表も入っていただきまして、今もう一度これを全体で議論してみよう、そしてその全体で議論した共通項を、例えば教育制度なら教育制度に、何なら何にというそれぞれの専門審におろして対応していきたい、そう考えてスタートを切ったところです。  教職におられた経験をお持ちの委員でありますから、ぜひこうした問題についても御協力を賜りたい、この場をかりてお願いを申し上げます。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 私は、教育に国はどれだけのコストをかけるかということが極めて大事だと思います。日本の教育にかけるコストはGNP比の三・七%、イギリス、アメリカ、フランス等は五%台という国際比較もあります。  教育は何のためか、そのコストはだれが負担すべきなのか。結局、教育を通じてこの二十一世紀に日本社会の主役となる子供たちの人づくりというものをやることでありまして、その危機的状況、これを立て直す時間はもう余り残されていないと私は思っております。結局、教育は国にとって最も重要な人づくりと言われる公共事業だというふうに私は言い切ってもいい、こう思うのであります。  文部大臣、大蔵大臣、総理のお考えをお聞かせください。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 公共投資、公共事業というその定義の問題は別といたしまして、二十一世紀に向けての先行的な投資であるといった委員の御指摘はまさにそのとおりであろう、こう考えておりまして、大変厳しい財政事情のもとではございますが、平成十年度予算の中でも、心の教育の充実でありますとか、私学助成の充実あるいは学術研究の振興、こうした分野で最大限の努力をしてまいりました。  また、これはお金のことばかりではないと私は思っております。教育というものに対する、戦後五十年余たったその考え方をどうこれから組み立てていくかといったようなことも大変重要かな、かように思っております。直接お金でどのくらいということをあらわすことは難しゅうございますが、私ども今教育改革の中で四つの大きな柱を立てて、心の教育でありますとか、創造性のある教育をできるような、学校現場にできるだけ権限を渡していく地方分権の話でありますとか、選択が可能な学校制度をいろいろつくっていくとか、あるいは研究の振興、大学、大学院の充実、こうした四本柱で、それらは最終的にはどこかで金目に移っていくかもしれませんが、必ずしもお金に全部換算できない、そういう教育改革もあるなということを今しみじみと感じている、そのことを先ほど総理は御指摘されたのではなかろうかと思っております。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) 委員御指摘のように、教育は国民一人一人の人格の完成を目指すいわゆる人づくりでありますが、同時にそれは国づくりの基本というふうに私も認識いたしております。  そういう意味では、国家的な大事業だとは思っております。しかし、だからといって、それが財政法四条に言う公共事業というふうに言うことができるだろうか。財政法四条の規定は、公債発行に歯どめをかけるという見地から、それに見合う物的資産の残るものという解釈になっておるわけでありまして、その点はひとつ御理解願いたい、こう思うのでございます。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私、公共事業という言葉を使われたのには大変抵抗があります。果たして教育というものを公共事業というようなとらえ方ができるんでしょうか。  これは、議員は教職に立たれ多くの生徒を育ててこられました。しかし、その生徒たちは今親になっておると思いますけれども、自分の子供に対する投資を公共事業と考えるんでしょうか。私はそうじゃないと思うんです。  親から子への知識の伝承であれ、地域社会における先祖から伝わったものの伝承であれ、私はそれは皆広くある意味では教育ととらえていくことのできることだと思います。そして、未来への先行投資と考える、それはそのとおりです。その意味での施策の重要性を全く私は否定いたしません。そして、それを教育現場だけの問題としてとらえるのでもありません。その上で、教育を予算だけの数字の比較で考え、それを公共事業と位置づけられる議員のお考えは私には納得ができません。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 大いに論争したらいいと思う。  私は、だから財政構造改革法なるものがあって、そこで横並びに教育予算もカットされて、教職員定数改善の法案も二年延長された。赤字国債、建設国債という種類があって、そしてその建設国債と赤字国債の純然たる枠はめの中で、そうしたら教育は一体何かというときに、公共事業というのは学校を建てるところだけが建設国債であって、あとはだめだと、こうなる。  未来への先行投資というなら、私はこれほど大きな、公共事業というのがそれほどひっかかるなら、公共的事業はない、こう思うんですよ。未来は子供たちがつくるんでしょう。そういう意味で、私は予算の配分においても、財政構造改革の中においても、教育に対する予算を、公共事業ということがともすれば優先されがちな、それはなぜかというと、建設国債という枠の中にそれをはめてきたという経緯が今まであるわけなんですよ。  そういう意味で、本当に先行投資であり、教育国家百年の計というならば、そうした問題の公共的な性格というものをもっと前面に押し出して、私的な意味で親が子供を育てる、そして教育費は親にどんどんと負担させるというところから方向転換すべきではないかということを理念的に私は申し上げているんです。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨日、私の一番下の娘が義務教育課程を修了いたしました。たまたま小学校の三年の段階で、私の仕事の変化から家内が郷里でずっと時間を費やすことができなくなりましてその子供も小学校の四年から東京に移しましたけれども、私は五人の子供を全部私の郷里の公立の小学校に学ばせました。中学校、高等学校も、その子供とその上の兄はやりたいことがありまして県内の私立を選びましたけれども、皆自分のふるさとで育ててきました。  私は、公立の小学校、中学校に自分の子供を学ばせてきたことを誇りに思っておりますし、そこで与えられた教育にも誇りを持っております。同時に、設備の投資も十分行われているが、もっといいものができればそれはそれにこしたことはないでしょうが、より伸び伸びとした環境をつくっていこうとする、それには全く異論がありませんけれども、どうもどこか議員の御議論にかみ合わないものを感じております。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 いや、私はかみ合わそうと思ってわざわざ公共事業なんというような言葉を使ったんですよ。それにあなたがひっかかっただけなんです。  それで、私はやはりこの財政構造改革法は改正すべきだと思うんです。今の経済のいろんな状況を見ても、今、縮減縮減でやっているときじゃない。だから、そういうことの中で教育が本当に国家百年の計、そして未来に対する先行投資、今の子供たちが二十一世紀をつくっていくんだとなれば、横並びで教育予算も縮減するんじゃなくて、それはそれなりのある特別な配慮というものができるような財政構造改革法に改正できませんかというのが私の言いたいことなんです。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) だからやっぱりかみ合わないんだと思います。どうも議員の御議論は財政だけに視点を合わせて、財政さえあれば教育……

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 予算委員会でしょう、ここは。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) そのとおりです。予算委員会であることを承知しております。そして、予算として文教予算を個別に御論議いただくことに異論がありません。  しかし、青少年問題、子供の問題として取り上げられました場合、私は、例えば中高一貫教育など選択肢のある学校の仕組み、これを今までとは変えていこうという考え方、これもやはり議論はしていただきたいと思うんです。あるいは子供たちの真剣な悩みを受けとめる力のある先生をどう養成するかだって予算の使い道として議論をしていただきたいんです。家庭と地域社会と学校がどうやったら力を合わせて心の教育というものができるかを、専門家でおられる議員に一層私はそういう点での御意見もいただきたいんです。そして、私どもは、その意味ではより学校に権限もお渡しをするが責任も持っていただく、現場の自主性を尊重した学校づくりなど地方の教育行政システムも変えていきたいと願っております。  そうした方向を踏まえながら文教予算は編成しておると思いますが、ですから、どうぞ中も御検討をいただきたい、予算委員会でありますからこそその中に含まれているものも御検討いただきたいと私は願います。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 もう時間もなくなりましたから、もう一点総理と論争したいんですが、総理の今言っていることと僕はそうすれ違いはない、総理は何か違う違うとおっしゃっているけれども。  それで、二十一世紀ということを目前にしていろんな改革改革と今やっているわけですよ、このままではいけないということで。そこで、二十一世紀に日本の担い手になる子供はどういう子供であったらいいのかということなんです。それは、やはり自立した子供をどう育てるか、自立した人間をどう育てるかということと、子供の持っておる能力を最大限引き出していく、そういう個別の個性豊かな教育をどうすればいいかということになってくると思うんです、たくさんあるけれども。  そういうときに、今の学校の教育条件は果たしてこれでいいのか。三十人学級、あるいは小学校も専科制の教員の仕組みにしていく、あるいはまた子供の問題に関して学校に臨床心理士とか社会福祉士とか、そうしたものも配置していくという万全の教育条件整備というものをどうするかという問題をもっと具体的に前へ出していただかなければいけないと思うんですが、最後にこの点についてお伺いして、終わります。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 現下の厳しい財政状況のもとで、昨年十二月に財政構造改革法が通り、その中では委員御指摘のとおり教職員定数も二年後倒しという形になったわけであります。私ども、それは財政にゆとりがあれば本当にやりたいことは多々ございます。委員御指摘のような小学校の専科担任制でありますとかあるいは臨床心理士とか社会福祉士等々、今後の検討していくべき課題として、委員の提言も確かにこれからの課題としてあろうと思いますが、当面私どもは、とにかく平成十二年がさらに後倒しにならないように、まずそれをしっかりと仕上げていく。そしてその過程で、その後のあり方については、また委員からもいろいろ御指導いただきながら、私ども真剣に幾つかの今御指摘のあったことも含めて考えてまいりたいと思っております。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 もう一問、外務大臣にお願いします。  韓国の朴定洙外交通産大臣が従軍慰安婦問題について、被災者個人に対し日本政府が補償措置を行うのが当然と明言されたという報道がございますが、外務大臣、国民基金でなく国の責任でこの問題を解決するというふうに政府が新しい方針を打ち出すべきだと思いますが、いかがですか。

小渕恵三自由民主党外務大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 委員の御指摘は、恐らく新しい朴外交通商部長官と邦人の記者との懇談の席でお話があった、こう聞いておりますが、私も訪韓する前でございましたので注目をしておりまして、その真意を先にお伺いいたしましたが、そのような考え方で韓国としての従来の考え方に変更はない、こういうことでございました。

本岡昭次民友連

○本岡昭次君 終わります。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。寺崎昭久君。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 関連質疑をお認め願います。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。角田義一君。

角田義一民友連

○角田義一君 まず、外務大臣にお尋ねいたしますが、二十一、二十二日に韓国を訪問されて、金大中新大統領を初め政府要人と大変精力的な会談をされた、非常に有意義だったというような報道がされてございますけれども、せっかくの機会でございますから、その会談の状況、成果等についてまず御報告いただきたいと思います。

小渕恵三自由民主党外務大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 私は、二十一、二十二日まで韓国を訪問してまいりました。滞在中、金大中大統領及び金鍾泌国務総理署理への表敬を行いました。また、朴定洙外交通商部長官と会談を行いました。  外相会談におきましては、二十一世紀に向けて強固で幅広い日韓パートナーシップを構築すべく、日韓友好協力関係をさらに強化していくことで意見の一致を見ました。また、漁業問題や対北朝鮮政策につき意見の交換を行いました。  特に、漁業問題につきましては、一月二十三日、現行協定を我が国として終了通告をいたしました。その結果、韓国側におかれましては、長年の協定を日本が一方的に破棄したのではないかということで、いろいろ世論も若干沸騰されました。こういう事態でございますが、何といっても日韓の間にこうしたわだかまりがあり、かつこの協定が新しく結ばれないということは不正常でございますので、私、参りまして、新外交通商部長官と真剣にお話をいたしました。その結果、来月に新たにこの協定に向けて交渉を始めるべきだということで一致をいたしました。  前回の経過にかんがみまして、私ども、両国間の海の中の線引き問題もさることながら、やはり両国の漁業関係者自体がこうした問題について真剣に話し合いをしていかなければ、最終的な協定はできましても、実際の実行が行われないということでございますので、今週、たしか水産関係の代表の皆さんもソウルを訪れまして、そうした方々の話し合いを進めることによりまして、新しい協定が結ばれるように全力を挙げていくということで一致を見ましたことは大変意義深かったと認識いたしております。

角田義一民友連

○角田義一君 新聞報道によりますと、金大中大統領は大臣とのお話し合いの中で、今後、歴史の前に恥ずかしくない日韓関係を構築していきたい、こういうふうにおっしゃったそうでありますし、さらに、日本は過去を清算し、韓国は日本を正しく評価することを関係発展の基礎としなければならない、こういうふうな趣旨のことを金大中大統領は述べられたというような報道がございますけれども、こういうことでございましょうか。

小渕恵三自由民主党外務大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 金大中大統領は、我が国との関係をさらに緊密なものにしていかなきゃならぬという強い御決意を持たれているように拝察をいたしました。近い将来に我が橋本総理と首脳会談等が行われることとなるかと思いますけれども、大統領といたしましては、過去をいたずらにさかのぼることのみならず、新しい時代に向けて真剣に日韓の関係を構築していきたいという御意思を述べられておりまして、我々といたしましてもそうした考え方に基づいて今後とも努力をしていくということを申し上げてまいった次第でございます。

角田義一民友連

○角田義一君 今、大臣からお話がありましたけれども、報道のとおり、金大中大統領が、日本は過去を清算し、韓国は日本を正しく評価しなければならぬと、この発言の意味は非常に私は重いと思います。特に、日本は過去を清算しというふうにもし大統領が言われたとすれば、日本とすれば相当この発言は重く受けとめる必要があるんじゃないかと思いますが、総理、どうでございますか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 敗戦五十周年の際、当時村山内閣総理大臣が内閣としての談話を発せられた。当然ながら私どもも閣僚としてこれに参画をしたわけでありますけれども、その中において、我が国自身過去に対する反省とおわびの気持ちというものはこの中に込めてこられました。  私は、その言葉を今も大切にしなければならないと思っておりますし、そしてそれが将来に向けていわば歴史の上に足をきちんと置きながら前進を図っていくその土台になると思っております。

角田義一民友連

○角田義一君 きょう、私はこれから新ガイドラインについていろいろお尋ねをしてまいりたいと思っておりますけれども、巷間例えば朝鮮有事というようなことが言われるわけでありますが、韓国の人々あるいは朝鮮の方々は、朝鮮有事というような言葉を聞くだけでも、相手の立場になれば不愉快ではないかというように私は思うんです。やはり日本の基本的な対朝鮮半島外交というのは、朝鮮有事というものが起きてはならない、絶対に起こしてはならない、こういう基本的な覚悟を決めて私は対応すべきだというふうに思いますが、まず外務大臣のその辺のお考えをお聞きしたいと思います。

小渕恵三自由民主党外務大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 朝鮮有事という言葉は使っておりませんが、現実に今、韓半島は南北に分かれまして、その休戦ラインには双方のかなりの軍事力が集結しているということは厳然たる事実かと思います。  そういった意味で、この地域が将来にわたっても安定、平和をもたらすためには、それこそ南北が話し合いを進めていただくことによりまして、そうした万が一にも有事というようなことが起こらないように、我が国としては韓国並びに北朝鮮とも国交正常化しながら対処していく努力をいたしていくべきもの、このように考えております。

角田義一民友連

○角田義一君 総理、いかがでございますか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、外務大臣から触れられましたように、正常な状況でないことは事実問題としてこれはだれもがそう思っていると思います。  そして、この数年間を振り返りましても、その中において北朝鮮サイドにいろいろなことが報道されてまいりました。その中には、真実であったこと、誤っていたこと、あるいは誇大に伝えられていたこと、さまざまなものもあったと思います。そして、その情報が不確実であること自体が、今国際社会の中における北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国というものの置かれている立場をある意味では証明していると思います。それだけに私たちは、アメリカ・クリントン大統領、当時の韓国の金泳三大統領から四者会談の提案がありましたとき、いち早くこれに賛成をしてきました。  これは、あくまでもやはり朝鮮半島が平和的に安定をしていく、そうした方向に向けての一つのステップという位置づけでこれを受けとめたからであります。その姿勢は今も変わりませんし、同時に、もしこれが、今提起をされております、そして進行しようとしております四者会談とは別に、日本も加わった六者といったような御提案が近いうちに行われるとも報ぜられておりますが、日本がその中で果たし得る役割があるなら、そうしたことを模索していくことは当然のことだと思います。

角田義一民友連

○角田義一君 私は、朝鮮半島の安定ということが日本の平和、安定にとって本当に大事だというふうに思っておりますし、そういう立場からいいますと、北朝鮮は今日まだかなり深刻な食糧難にあるというふうに聞いておりますけれども、外務大臣、いろいろ行方不明者の問題等もございますけれども、この食糧援助というような問題については人道的な立場で基本的に臨まなきゃならぬというふうに思います。その辺の基本的な原則について改めてお伺いしておきたいと思います。

小渕恵三自由民主党外務大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 過去、食糧に対しましては当初五十万トンの援助をいたしました。その後、WFPの要請に第一にこたえまして現在七万トンのお米を援助しつつあるところでございまして、その過程でございます。  北朝鮮における食糧事情等につきましては、その実態もすべて理解をされておらないわけでございまして、近々与党自民党の代表団もその状況につきましてつぶさに視察をされてこられる予定とも聞いておりますので、そうした報告等を承りながら、政府としてこの問題にどう対応するかということにつきましてはさらに努力をしていきたいと思っております。

角田義一民友連

○角田義一君 総理にお尋ねいたしますが、本日の新聞を拝見しますと、昨日、総理が防衛大学校の卒業式の式辞というんでしょうか祝辞というんでしょうか、その中で、いうところの新ガイドラインにまつわる法整備、あるいはアメリカとの取り決め等について言及をされたというような記事が載っておりますので、どんなごあいさつをその中でされたのか、新ガイドラインに関する部分についてお話しいただければと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 防衛大学校卒業式における訓示の中におきまして触れましたポイント、これは要約をいたしますと、指針の実効性を確保するために必要な法的措置、これにつきましては、昨年九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえ、現在関係省庁間で鋭意検討を行っているところであり、政府としては今後、今国会に提出できるよう事務的作業を精力的に進め、できるだけ速やかに成案が得られるようにしたいと考えておりますという趣旨を述べております。

角田義一民友連

○角田義一君 今、総理がおっしゃった実効性確保の法整備と、それから、私はいいとか悪いとかその価値判断はちょっと言いませんが、いわば余り言葉はよくないですけれども、ACSAの有事版といいましょうか、改めての日米間の一つの条約といいましょうか、そういうものと法整備とは一体なものとして今国会にお出しになる、こういう御趣旨と承ってよろしいでしょうか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 相互にやはり関連性もあるわけでございますので、私どもとしては平仄を合わせるように今努力しているところでございます。  ただ、国内法の整備は国内だけでございますけれども、取り決めの場合はアメリカとの関係がございますので、そのために向こうとのいろいろな関係もやっていかなければなりませんが、できることなら一緒にやっていきたい、そういうふうに思っているところでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 私はこの新ガイドラインというものの法整備あるいは新たな条約というものは、日本の戦後の五十年の国家のありよう、あるいは社会のありようというものに本質的に変化を来すものではないかというような気がしてなりません。  例えば、地方自治体であるとかあるいは民間の協力を得て、いわば周辺事態のときの後方支援としてアメリカ軍に協力をする、自治体あるいは民間を含めてやるということは、これは日本の戦後五十年の社会あるいは歴史というものを本質的に変えていくものじゃないか。私はこういう認識を持たざるを得ないというふうに思うんですが、総理なり防衛庁長官はどういう認識を持っておられるんですか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 戦後五十年たちました。そして、前のガイドラインからも二十年たったわけでございます。その間にいろんな状況も変わってまいりまして、我が国が有事になった場合、いわゆる我が国が攻撃されるというようなことは少なくなったかもしれませんけれども、それ以外の分野で何かが起きて我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす場合があるんじゃないか。そういうときにどうやって協力していくかということでございまして、決して我が国が今までかかわってきたことと大きく本質的に変わるということではないんじゃないか、そういうふうに思っているわけでございます。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、新たな指針及びそのもとにおける作業、これは日米安全保障条約及びその関連取り決め、これに基づく権利とか義務の変更を伴わない、これを前提にいたしております。そして、その関連取り決めの中には事前協議に関する岸・ハーター交換公文、これをも含んでおります。  ですから、政府として考えておりますものは、今この指針のもとの作業等、これを進めていくことが変質といいますか、大きく変わる、そういうことではないと思っております。むしろ、今まで明確にルールをお互いに決めてこなかった、そのルールを決めてこなかったものをきちんとしておこう、それは当然ながら日本国憲法のもとであり、日米安全保障条約及びその関連取り決めのもとであり、その権利及び義務を変更しない、これを前提にするものでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 総理にあえてお尋ねしますけれども、自衛隊は今日相当の歴史を踏んで国民の理解も得ておる、その存在の理解を得ておるというふうに私は思っておりますが、自衛隊の存在が国民的な理解を得ている理由といいましょうか根拠といいましょうか、どういうふうにお考えになっておられますか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 警察予備隊から保安隊、そして自衛隊と変わってまいります中で、その存在について過去には随分いろいろな議論がありました。そして、一つ大きく流れておりましたものは、他国に対して武器を向ける存在になるのではないかという懸念からの御議論であったと思います。同時に、もしそれを考えないのであれば、果たしてこういうものが要るのかという議論もございました。  今こういう場面で例示を挙げるには余りに大きな事件でありましたけれども、阪神・淡路大震災発生後の自衛隊の活動あるいはナホトカ号重油流出事故発生後の対応、さらに地下鉄サリン事件の起こりました後に原因物質を特定し救助に入りましたときの活動、さまざまな場面で、平時においても自衛隊というものが国民の暮らしの安全を守る、平和を守るというそうした存在であるという認識は、私は国民の中に定着していると思います。  そして、ある制服組の幹部が退官いたしますときに私の執務室でしみじみ言っておりましたのが、三十年余り自衛隊に奉職し、何か事があるときのために全力を尽くして訓練に努力をしてきた。そして、それを一度も生かす機会がなく退官できることが最も幸せと。私はこの一言にすべてが尽くされているように思っております。

角田義一民友連

○角田義一君 私も今、総理の述べた見解、そこまでは全く同じですね、気持ちは同じです。  ただ、今度このガイドラインで、日本が攻められてもいないのに周辺有事の場合に後方地域支援において、もちろん武力行使と一体とならないとかという憲法上のいろいろ制約はありますけれども、自衛隊が米軍のために輸送とかさまざまな業務に従事するということですね。これはもう明らかに自衛隊の今までやってきたこととは違う新たな任務づけなんですよ。これはもう当然自衛隊法を改正しなきゃできないと思うし、そこまで自衛隊というものが踏み込むのか、そこまでアメリカ軍といろいろな協力をしなきゃならないのかと。  これは現時点で国民的な理解を得ているというふうに防衛庁長官、考えておりますか、そこまでやるということについて。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 委員御指摘のとおり、日米安保体制ができておるために大変これが我が国のために機能してきたということはそのとおりでございますが、それの一環として我が国周辺で何か事態が起きて我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす場合、そういう場合に活動する米軍に対する支援の仕方が今まで余りはっきりしておりませんでした。  やはりこれをきちっとして、有事になったときでもこれはできるけれどもこれはできないということをかえってはっきりさせておくことが、日米安保体制のそういう機能を強化する意味ではもっと必要なんじゃないかということで、今度のガイドラインで後方地域支援についてはっきりとそれをやろうとしたわけでございまして、これは私は、自衛隊の本質を変化させるものではなくて、どこまでができるかということをはっきりさせることによってかえってこれがいいんじゃないか、国民もそれは納得してもらえるんじゃないかと、そういうふうに思っておるわけでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 ここは根本的に私と防衛庁長官と認識が違うんです。  現行の安保条約はそのような義務を自衛隊に課しているんですか、課していないでしょう。課していないですよ、どうですか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 現在の安保条約でも第六条では発進の基地としての使用の提供は条約上書いておりますけれども、それ以外でも、安保条約目的達成のために必要なことにつきましては、これはやはり日本として、我が国として我が国の平和と安全に重要な影響がある場合ですから、そういう場合には何らかの対応をしなければならないわけでございます。  そのときに我が国は憲法上武力の行使はできないということをはっきり言っておるわけでございますから、だからできないのはどこまでかということをはっきりしておかないと、アメリカの方はここまではしてもらえるだろうと思って、我が国はそれはそのときになってできませんよじゃいかぬわけでございますから、こういう平時のときに十分国会等の御審議を得ながら、どこまでができるかということをきっちり法律が必要なら法律をつくってやっておくことが必要じゃないか、そういうふうに思って今回ガイドラインの取り決めに基づいて、それを実効性あるものにするためにどういう法整備が必要かということを今検討しておるわけでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 では、ちょっと時間があれですから先に論を進めますけれども、長官、今の自衛隊法では自衛隊が実際に動くときに国会との関係、どういうふうに規定されていますか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 国会との関係を言いますと、防衛出動の場合は国会の承認でございます。また、治安出動についても事前あるいは事後の承認でございます。それとPKOについては報告でございます。そして、同じような武器の使用を伴うことになるかもしれませんけれども、海上警備行動についてはこれは国会との関係はございません。それで、先ほど言いましたように、PKFについては承認になっておるわけでございます。これは国会の方で修正されたわけでございます。そういうような格好で、例えば機雷の掃海なんかは国会との関係はございません。  そういうふうに、それぞれの出動する内容によりまして国会と係らしめておられるわけでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 国会がそういうふうに自衛隊を動かすことについて、いろいろ承認をしたり報告を受けたりするということの本質的な意味、なぜそうなのかということについてどういうふうに考えておられますか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) これは私の考えが正しいかどうかわかりませんけれども、やはり防衛出動の場合あるいはまた治安出動の場合、これは国民の基本的な権利等の関係でかなりそれを犠牲にする場合が出てくるわけでございます。そういう意味で、これはまずやはり国会との関係できちっと承認という制度をとられたんじゃなかろうかなと思っております。  それから、海外に出ていく場合、PKOについては報告でございますけれども、PKF、これはまた国会の意思でそうされたわけでございますから私の方からはわかりませんけれども、やはり初めて我が国の部隊として外国に行くというようなことから特にPKFは凍結されておりますけれども、この規定については国会で承認ということにされたんじゃないかと思っております。  したがいまして、海上警備行動については治安出動と似たような形式でございますけれども、海上における行動でございまして、しかも早急にやらなければならないとかいろんなことがあるんじゃないかと思います。そして、国民の権利義務との関係でもその関連性が薄いから、それは治安出動の場合と同じ警察行動でございますけれども、違う扱いをされたんじゃないかなと思っておりますが、この辺は、法律をつくられたときのいきさつについては私もつまびらかでございませんけれども、今法律を見る限りで、やはり国民の権利義務との関係でそういうふうにいろんな温度差といいますか、そういうのを設けられておるんじゃないか、そういうふうに思っておるわけでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 まことに法制局長官のような偉い人を煩わしちゃ恐縮ですが、憲法の前文の最初の丸のところのフレーズをちょっとお読みいただきたい。最初の丸のところまででいいですから、偉い人ですから申しわけないけれども。

大森政輔内閣法制局長官

○政府委員(大森政輔君) ただいま委員がお求めの前文の第一段でございますね。  「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」。ここまででよろしゅうございますか。  このように前文では規定しております。

角田義一民友連

○角田義一君 一口で平和憲法、平和憲法というふうにずっと言われてきました。なぜ平和憲法なのか。  要するに、過去の戦争の悲惨な歴史の教訓を学んで、政府が勝手に軍隊を動かさない、軍隊という言葉は使わない、自衛隊でもまあいいや、国軍を動かさない、政府が勝手に国軍を動かしてその惨禍が国民に及ばないようにする。だから、自衛隊法でも非常に厳格に国会の承認を求めているわけです。国会というのは国権の最高機関ですから、一番国民の、主権者の意思を代表しているんです。その国会の意思を無視して国軍というのは動かしてはならぬよと、この憲法の前文の精神はそういうものだと私は理解しているんだけれども、どうですか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 基本的には全く委員の御指摘のとおりだと思います。  ただ、政府あるいは自衛隊が行動を早急に起こさなければならないようなそういうケースもあるわけでございまして、今いろんな議論をしている中で出てまいりますのは、例えば在外邦人の救出あるいはまた避難民がわっと押し寄せる場合に果たして国会に承認を求めるような時間があるのかどうかとか、その前に政府が行動しなければならないようなケースもあるんじゃなかろうかとか、いろんな議論が今出ておるわけでございまして、今の委員の御意見等も御審議の中でいろんな意見をこれから先も拝聴しながら、我々としてもこれから先法整備を進めていきたいと思っておるところでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 総理のその辺の御見解をちょっとお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今までの御議論、私はほとんど問題点は尽きていると思うんです。  現行憲法が、大日本帝国憲法における統帥権の独立ということから、国会あるいは政府自身の軍に対する統制力が減少し、失われるという原因をつくった。そして、軍が軍の意思で勝手に行動することを当然ながら極度に警戒する風潮のある中で現行憲法が生まれてきた。そして、現行憲法において、法制局長官が今述べられたようなその基本的な土台というものは今日も引き継がれていると、そこは私は議員と全く変わりません。  そして、今もう一度長官に念を押したんですが、防衛出動あるいは治安出動、これは代表的なケースでありますけれども、この場合に、今、防衛庁長官が答弁で申しましたように緊急性を要する場合においても事後の報告を義務づけている。それは、シビリアンコントロールというものを徹底するという基本的な考え方、そしてその中に、政府もそうです、行政府としての政府もそうでありますけれども、国権の最高機関である国会、衆参両院というものをシビリアンコントロールの頂点に据えた、そうした考え方のもとで、防衛出動あるいは治安出動に対する緊急性のある場合には事後の報告を義務づけている、そうした体系がつくられているように私は思います。──失礼、報告と言ったのは、承認に訂正させてください。

角田義一民友連

○角田義一君 私は、憲法前文あるいは日本の憲法のあり方から考えますと、今回の新ガイドライン、周辺有事の際に軍を動かす、自衛隊を動かす、あるいは認定のプロセスそのものに国会というものが全く関与しないということはあり得ないと思うんですね。どうですか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) これにつきましては、今いろいろと法整備の内容について議論しておりますが、その中の一環として、認定の手続あるいはまたその手続の過程においての国会との関与の仕方、そういうことについてもやはり議論をいたしておりますけれども、今この時点でどういうふうになっているということはまだ確定していないわけでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 本年の三月五日に、第三回のこの問題についての関係省庁局長会議が総理府の五階の特別会議室で開かれているんです。この開かれたことはもうそのとおりだと思いますけれども、どんなことが議論されたんですか。

佐藤謙防衛庁防衛局長

○政府委員(佐藤謙君) 先ほどお話が出ましたように、昨年の九月二十九日の閣議決定に基づきまして、新ガイドラインの実効性確保のための検討を関係省庁各局長クラスのメンバーでもって行っております。  これの第三回の会合をこの三月に行ったわけでございますが、それはそれ時点までの検討状況、こういったものの御報告を行った、またそれに基づいて今後の取り組みについて議論を行ったと、こういう内容でございます。

角田義一民友連

○角田義一君 その第三回の非常に重要な会議で、指針の実効性の確保に係る法的措置の検討状況についてということで、基本的な考え方、法定事項として考えられる主要検討項目あるいは後方地域支援等の実施に関する事項、法形式のあり方、考えられる法形式、主たる論点並びにこれに対する考え方、有事法制の研究の取り扱い等々、非常に重要なことが文書で提示されているんです。  私は、国会はこの文書の提示を求めて議論に供すべきだと思っています。この文書出してくれませんか。

佐藤謙防衛庁防衛局長

○政府委員(佐藤謙君) 当日議論されましたのは、捜索・救難それから在外邦人等の輸送、船舶の検査あるいは後方地域支援等について検討状況の御報告をし、今後できるだけ速やかに成案を得られるように検討作業を精力的に進めていこう、こういう議論をしたところでございまして、あくまでもまだその検討段階、行政部内の検討段階の進捗状況を御説明したと、こういう段階でございます。

角田義一民友連

○角田義一君 私は、これは非常に重大な文書だと思っているんですよ。これは日本の命運を決する文書です、討議の内容は。法案ができてから我々に見せるんじゃなくて、今や情報公開の時代だし、明治憲法だって万機公論に決すべしと言っているんだよ。このくらいの資料を国会に出して国民の議論に供さなきゃ、国会としての機能を果たせません。出してください。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 先ほどから私も申しましたし、今、佐藤局長も述べましたように、まだ正直言いまして細かく議論が詰まっていないわけでございます。そして、私がみんなに言っているのは、思い切って議論していい、たたき台でも何でも自分の案は出していいというようなことを言っておりますために出ましたのが、ややもすると間違って、私も知らないようなのがきょうの新聞でもどこかの新聞に出ておりましたが、こんなこと聞いたことないなというようなことが出ておりまして、そういう意味ではまだ本当に煮詰まっておりません。  だから、そういう経過について、こういう議論がありますよということについては、それは総理にも三月五日にみんなで会議した後報告をいたしておりますけれども、それは方向について、今述べられましたようないろんな項目について、こういう項目でどうだろうかというようなそういうようなことでございまして、中身につきましては全く、先ほど言いました国会等の承認の関係にしましても、今の私どもは、こういう周辺事態が起きたら困るわけでございますけれども、将来にわたってもない方がいいわけですけれども、将来起きたときにそのときの政府が困らないような内容にしておかなければならないわけでございますから、そういう意味でもどういう形がいいのかというようなことについて慎重に今議論しているところでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 事務方が適当に議論されて国の方向を誤っちゃ困るんだ。出してください。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 速記を起こして。  ただいまの角田議員の御発言の趣旨につきましては、理事会におきまして慎重に協議いたします。

角田義一民友連

○角田義一君 防衛庁長官に聞きます。  あなた、この五日の次の記者会見で、国会の承認というのは必要ないと。時間がないから粗っぽい言い方をします。国会の承認なんというのは必要ないんだというようなことを言っているんですね。言っているんです。そして、しかもこの文章の中には国会のコの字も出ていないんだ、承認を求めるという。  聞きますけれども、国会の承認を求める事項と求めない事項とあるわけですね。そうすると、当然基準というのはあっていいわけですね。理念、基準があってしかるべきですね。どうですか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 私は、国会の承認は必要ないということを言っているわけじゃございませんで、シビリアンコントロールとの関係で、国会の承認がなければシビリアンコントロールができていないというようなそういう言い方を衆議院でされましたときに、それを受けた後の話でございましたから、国会の承認がなければシビリアンコントロールができないということではないという我が国の法制の話をしたわけでございます。  それはだから、シビリアンコントロールというのは、政治が軍に対する優先をきちっと守っておけばいいということであって、それが行政府と国会との関係を制約するのがシビリアンコントロールだとは必ずしも言えないということで言っているわけでございまして、その辺はちょっと誤解のないようにしていただきたいと思います。  なお、国会承認をどういう関係で要るものと要らないものと整理するのかという、その基準は何かというお話でございますけれども、これはやはり、私が先ほど言いましたように、国民の権利義務を、例えば義務を課すとか、あるいは権利を剥奪するとか、そういう関係や影響が大きいものとそうでないものとによって違うと思いますし、また先ほど言いましたように、外国へ出ていくようなものとそうでないものとも違うと思います。それとまた、緊急性があってすぐ対応しなければならないものと時間的に余裕があるものと、これもあろうと思います。  そういう幾つもの基準があって、その中で国会承認をこれはどうしても必要だ、時間が急を要する場合であっても国会承認がなくてはならないというようなそういう分け方もあるかもしれませんので、そういういろんな尺度からいろんな問題について決めていかなければならないんじゃないか、そういうふうに思っておるわけでございまして、決してしないとかするとか、そういうようなことはかたくなに考えているわけじゃございません。

角田義一民友連

○角田義一君 私が聞いているのは、その日に題名のない法律案が出ているんですよ。これははっきり言いますと、総則、船舶検査業務、後方地域支援等、雑則、四章十二条の法律ができている、草案が。その中には国会のコの字もないんだ、書いていない。あなた方は今盛んに国会の承認とかなんとか言っていますけれども、現実にこの草案には国会のコの字もないんだ。だから私は聞いているんだ。国会承認をするケース、しないケース、基準の統一見解を政府は出してください。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) まだ具体的に素案の形までできていないわけでございまして、どういう項目があるかということをやっておるわけでございます。そういう項目を精査して要綱等にまとめる段階で、国会承認が要るのか要らないのか、その辺はまた整理して国会に、あるいは要綱の形になる直前でも結構ですけれども、そういう場合には、これはやはりこういう考えで国会承認が必要でございます、これは必要ございませんという形で仕分けができるんじゃないかと思うんです。  だから、そういう段階までまだ正直言って行っていないわけでございます。今国会中にとにかく速やかに出さなければならないと、総理からも指示をいただいておりますけれども、何せ各省各庁にまたがるわけでございますし、今、内閣官房副長官をヘッドにしまして、そのもとで会議をつくりましてやっておるわけでございますから、どうかひとつそういうような意味で、これが固まってきて国会承認が本当に必要なのか必要でないのか、その辺の仕分けをしなければならないときになってきたら、これはきちっとまたそういうふうに判断をしていこうと思っております。  そういうときに、基本的な考え方といいますのは、先ほど私が言いましたように、今までの自衛隊法なりなんなりで何が国会承認になっているかなっていないか、そういうようなバランスというものを総合的に考え、それと同時にそのときの政府がやはり後になって手おくれにならないように出動を、出動といいますか、活動をしやすいような状況もまた考えておかなければならない、そういうような立場でございますので、今現時点でというよりも、そういうことまで考えましてこれから先議論を煮詰めていきたいと思っているわけでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 あと少し時間がありますから聞きますけれども、岸・ハーター交換公文というのはどういう内容ですか。

高野紀元外務省北米局長

○政府委員(高野紀元君) お尋ねの岸・ハーター交換公文、これは事前協議に関する岸・ハーター交換公文ということでございますが、これは事前協議にかかわる三つの次第について定めておるものでございます。  一つは戦闘作戦行動としての我が国の施設・区域を基地として使用する場合、それから我が国への重要な装備の変更をもたらす場合、それから三つ目が我が国に対する、これは陸空の場合は師団規模でございますけれども、そのような部隊の配備をする場合、海軍の場合には一機動部隊を基準としておりますが、そのようなものを米国として行う場合に事前協議を行わなければならないという関係を、この岸・ハーター交換公文によって我が国と米国との間の権利義務関係を設定しているという内容でございます。

角田義一民友連

○角田義一君 この周辺有事の際に、日本の本土から、あってはならぬことだと思いますけれども、第三国に直接アメリカ軍が出撃するというときには同意事項ですね。

高野紀元外務省北米局長

○政府委員(高野紀元君) 周辺事態におきまして、仮に米軍が今申し上げましたような事前協議の主体に該当するような行動をする場合には、当然事前協議が行われることとなります。

角田義一民友連

○角田義一君 その場合の承認は国会との関係ではどうなりますか。

高野紀元外務省北米局長

○政府委員(高野紀元君) 従来からこの点、事前協議が仮にあった場合の我が国国内の手続でございますが、これに関して申し上げておりますのは、閣議の決定を経て行われることが通常であろうと。しかし、事態が緊急を要する場合等においては、場合により外務大臣、防衛庁長官、それに総理にお諮りした上で決定することもあろうということは申し上げておるところでございます。  国会との関係におきましては、特別な事由がある場合を除いてこれを御報告することもあり得るというふうに申し上げているところでございます。

角田義一民友連

○角田義一君 私は、あえてじゃ政府に言います。今の事前協議も含めて、一体どういうときに軍を動かす、国会承認をするかしないか、この基準、統一見解を出してください。出してくださいよ。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 委員もよく御存じと思いますけれども、国会承認を必要とする場合は法律で明記されているわけでございます。したがいまして、国会承認を必要とする出動等の場合の基準を政府で出せと言われましても、先般の例えばPKFの場合、これは法律を出しましたとき、私どもは、これは部隊として行くけれども、国連のあれだからということで出しましたのが、PKFについては国会での承認に係らしめられたわけでございまして、国会の修正でなったわけでございます。  したがいまして、政府に対して自衛隊が出動する基準を一律に今示せと言われましても、法律によって規制されたら政府はそれに従うわけでございますので、立法府でむしろどういう場合に係らしめているか係らしめていないか、政府だけではちょっとこれは返答できないんじゃないでしょうか。  そういう意味で、私の方で基準を今示せと言われましても、それは非常に困難でございます。

角田義一民友連

○角田義一君 法案を出すのは内閣ですよ。その内閣が、こういうときに国会の承認が要るか要らないか、理念も基準もなくて法案つくれないでしょう。だから、僕はその基準を出せと、こう言っているんですよ。無理じゃないでしょう、私の言っていることは。ちっとも無理じゃないでしょう。(「いや、国会が修正されるなら」と呼ぶ者あり)国会は国会でやりますよ、修正が必要なら。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) いや、でき上がった法律で決まっているわけでございまして、政府はその法律に縛られるわけでございます。今度の場合も、出しますときには、もしそれが国会承認に係らしめておれば、これはこういう理由で私どもとしては国会の承認に係らしめましたと、出す法案については御説明いたしますけれども、今そういう意味で私どもは私どもとして議論をしているわけでございますので、どうかひとつその辺は御勘弁願いたいと思います。

角田義一民友連

○角田義一君 議論はいいと言っているんですよ、議論は幾らしてもらっても。しかし、基本なり基準がない、理念がなきゃできないでしょう。出してくださいよ。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 時間でございます。

角田義一民友連

○角田義一君 答弁になってないですよ。答弁してないですよ。(「議事進行」と呼ぶ者あり)答弁になってない。始末つけてくださいよ。始末だけつけてくださいよ。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 速記とめて。    〔速記中止〕

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 速記を起こして。  ただいまの御発言につきましては、後刻理事会において協議をいたします。  時間でございます。

寺崎昭久民友連

○寺崎昭久君 終わります。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 以上で寺崎昭久君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 次に、岡部三郎君の質疑を行います。岡部三郎君。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 自由民主党の岡部三郎でございます。  党を代表いたしまして、総理並びに関係大臣に、外交・安保、沖縄問題等につきまして質問をいたします。  なお、後ほど現下の最重要課題であります景気対策等経済問題について井上孝委員から、そして明日になろうかと思いますが、教育、高齢者福祉等について中曽根委員から関連質問をいたしますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  本題に入ります前に二、三総理にお伺いをいたしたいと思います。  先般の長野オリンピックは大成功に終わったわけでありまして、関係者に対して心から敬意を表する次第でございます。私もあの時期、夜は大抵テレビにかじりついて見ておりましたが、ジャンプ競技場においても、またスケートリンクにおいても大変な数の観衆が手に手に日の丸をはためかせながら応援をしておりました。それからまた、優勝した選手も大きな日の丸を掲げながらリンクを一周する、そして観衆の声援にこたえる、まさに感激の一瞬であったと思うわけであります。一人一人の選手個人に聞きますと、いやそれは自分自身のためにやったんだ、あるいは家族のためにやったんだというような返事をするわけでありますが、しかし少なくともあの光景を見る限り、スポーツの世界においては国家と国民というのはあたかも一体になっているかのごとき感を受けるわけであります。  ところが、現実の日本の社会においては、例えば各種の選挙の投票率等もだんだん下がってくるというふうな傾向も見えますし、またこの間もある新聞が世論調査をやっておりました。官僚は信頼できるのかという問いに対して、信頼できないというのが七一%、信頼できるの二六%をはるかに上回っているわけであります。こういう状況を見ますと、現在の日本においては国家と国民は一体どころか、その差がだんだん開いてきつつあるのではないかというふうな懸念さえ持つわけでありますが、総理はどのようにお考えでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) これは大変難しい問題を冒頭ちょうだいしたように思うんですが、長野オリンピックあるいはそれに続きますパラリンピック、私は本当に、画面であるいは会場で応援をしている方々、その選手の勝利と同時に、流れる国歌、そして国旗というものに対しみんなが心を一つにした、そんな印象は確かに持ちました。  問題は、それがそれではほかの部分でということに、一つは選挙における投票率の低下、もう一つは官僚に対する信頼感の低下というその二つの現象をとって挙げられております。  確かに、選挙の投票率の低下というのは、これは私どもも本当に深刻です。そして、投票時間の延長とかいろいろな工夫もなされておりますが、これがどれだけの効果のあるものか、まだ我々もわかりません。そして、政治に関心を持っていただくための努力はお互いが全力を尽くさなければなりませんし、官僚の諸君にも、このところの不祥事の連続する中において信頼が低下したと言われることを恥と受けとめて、その信頼を回復するための努力をしなければなりません。  ただ、これはむしろ制度以前の問題ではないのか、そしてその意味において、まだ私はそれぞれが心の中の問題としてみずからの行動を律しながら国民の信頼を積み上げていくという以外の特効薬はないけれども、その努力を払っていることを国民に認めていただければ私はその評価を変えることができるのではないか、そのような願いも持っております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 私は、やはりその原因の大きな部分に残念ながら先般来の政治家あるいは大蔵省の官僚の一部による一連の不祥事というものがあると思うわけであります。  司馬遼太郎さんの小説「坂の上の雲」の中に秋山兄弟というのがよく出てくるわけでありますが、この二人は、陸海軍の差はありますけれども大変仲がいい。そして、兄が弟に与えた手紙の一節に、国家の衰退は常にリーダー層の腐敗より起こるという意味の言葉があるわけでありまして、このことが実は現実に今、日本の社会に起きつつあるのではないかとさえ思うわけであります。総理は、その原因はやはり個人個人の倫理観の問題だと、こう今おっしゃったと思います。そのとおりだと思いますが、制度的な面でもやはりそれをサポートするような制度の改善ということもまた必要なのではないかと思うわけであります。その点、総理、いかがでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、確かにいかなる法制度よりも個々人の倫理観がという思いは今もございます。  そして、先年、公務員の綱紀粛正というものについて倫理法制定の声が本院においても随分強く私にも向けられましたとき、むしろ倫理規程を制定することにより私は効果が生まれるだろうということを申し上げ、倫理規程をつくりました。  しかし、結果として、今回起こりました一連の事件の中で、この倫理規程をつくりました後にもその以前と行動が変わっていなかった人間がいたことが明らかになりました。これは本当に私は情けない思いでこの事態を迎えましたし、こういう問題が起きるその土台は、結局、事前管理型の行政、そしてその中に含まれる公務員の裁量の幅が拡大したこと、そして仕組みの上で本当に直そうとすれば、事前管理型の行政から、そのかわり国民にも自己責任を求めなければなりませんけれども、事後チェック型の行政に変わっていくこと、そして裁量というものの余地を減らしていくと。完全になくすとまで言い切れるかどうかわかりませんけれども、縮めていくことに尽きるだろうと思います。  そして同時に、この事態の中で、倫理法をつくらなければならない、そういう思いに立ち、政府部内に公務員倫理問題に関する検討委員会を設けまして、いわゆる公務員倫理法の制定を期して今検討を進めております。法律で規制すべきものが一体どういうものなのか、そして国家公務員法上の懲戒処分あるいは刑法との関係をどうするかといった問題は確かにございます。また、対象とする公務員の範囲をどこまでにするかということについても議論がございます。そして、こういう法律的な議論をきちんと詰めて、法案の内容を固めようと考えているところであります。  そこで、一つ私にためらいがございますのは、その法案の提出の形式についてでありまして、その公務員倫理法というものを公務員である政府がつくることが本当にいいことなのか、この点は、私は与党とも御相談をしたいと考えております。    〔委員長退席、理事永田良雄君着席〕  幸いに、現在自民党でのこうした問題に関する委員会で検討が行われております。与党三党の間においても協議が行われているところでありまして、これらと密接な連携を図りながら今国会中に御議論をいただけるよう早急に作業を進めていくことには変わりがありません。  ただ、公務員である政府自身で公務員倫理法をという点に、それが本当に今度は逆に国民から信頼がいただけるかという意味をも含めまして、迷いがございます。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 きょうは人事院総裁においでをいただいておりますが、人事院は国家公務員法第十七条によって人事行政に関する調査権を有しておるわけであります。しかも、これは百十条で罰則までついた立派な調査権でございますが、こういう重大な時期になぜこの調査権を発動して人事行政のどこに問題があるかということの調査をされないのでしょうか。

中島忠能人事院総裁

○政府委員(中島忠能君) 先生よく御存じのように、例えて言いますと不祥事に係る調査権及び懲戒権というのは各省大臣と人事院がそれぞれ持っております。併存している、こういうことでございます。その場合、不祥事に係る職員とかあるいは関係書類というのを管理しているのが各大臣でございます。  そこで、そういうことを前提に人事院と各省大臣の調査権、懲戒権というものを考えました場合に、現在の国家公務員法ではいかなる場合に人事院が調査をするのか、いかなる場合に各大臣が調査をするのかということの調整といいますか、権限配分というのがしっかり規定されてございませんので、今まで人事院が調査に乗り出すということよりもむしろ各省大臣がおやりになったと。そして、人事院としても各省大臣にお尋ねしたところが、私のところでやるという返事が返ってきますので各省大臣の方にお願いしておったわけでございますけれども、先生が今おっしゃいますように、一部の省庁における調査というのが不十分であったということがございました。  そこで、新しい公務員倫理法というものを制定するという作業が進んでおるわけでございますから、私たちは現在の国家公務員法十七条というものが発動されないその原因というものをよく御説明して、そこの権限配分といいますか、調査に着手するに当たっての権限配分というものをしっかり規定していただくようにお願いしておるところでございます。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 ぜひ、そういうことで積極的に調査に乗り出していただきたいと思うわけであります。  これはもう国家公務員法三条で、言うまでもありませんが、懲戒というのはやはり人事院の任務の一つであります。それに対する調査を今まで全くやってこなかったということは、これはやはり人事院が怠慢だと言われても仕方がないのではないかと思いますので、その点をよろしくお願いいたします。  あらゆる手段を講じて汚職をなくし、国民の信頼を取り戻すということが今最も必要なことでもありますし、疑惑のあるところは徹底的に調査をしてうみを出し切るということが必要だと思うわけでありますが、同時に一部の不心得者のために行政全体が信用を失う、また公務員はみんな悪者だというふうな風潮が世の中にはある。これでは公務員は精神的な活力を失ってしまって、これから六大改革を進めようというときに、まじめに自分の任務を遂行するために昼夜を分かたず努力している者もたくさんいるわけであります。大部分の公務員はそういうことでありますから、そういう者に対してはしっかりとこれを評価し、勇気づけ、やる気を起こさせるということが今一番大事なことだと思いますが、総理、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) この点は、我々一番やはり気になるところです。そして、確かに一部の人間により不祥事が起こされ、その不祥事の結果、公務員制度全体に対する信頼感が低下をし、むしろまじめに日夜努力してくれている圧倒的に多くの公務員までその批判の対象になっている状況というのは、現実にその姿がありますけれども、私はこの風潮は変わってほしいと思いますし、そのためにも倫理法が必要だという考え方をいたしました。  そして、議員が述べられましたように、こうした職員が士気を保ち、そして公務に取り組む姿をより活性化していくために、むしろまじめに働いている職員を適切にどう評価するかという問題が倫理法の問題と裏腹に議論をされなければならないと思っております。そして、昨年十二月三日、行政改革会議が取りまとめました最終報告におきましても、今後の改革の検討の基本的な方向の一つとして、客観性の高い人事評価システムをどう確立するかというテーマが与えられております。  政府としては、この最終報告を受けまして公務員制度調査会に現在検討をお願いしておりますけれども、これをも踏まえながらさらに具体的な検討を進めていきたい。そして、その中で本当にまじめに努力してくれている公務員に対する評価を世評の上からも変えていきたい、そのように思います。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 次に、外交・安保の問題に入りたいと思います。  橋本総理は昨年来、ユーラシア外交ということを提唱されてまいりました。この中心が日ロ関係であることは言うまでもありません。総理が表明をされた日ロ関係改善三原則、いわゆる信頼、相互利益、長期的視点、この三原則をロシア側も高く評価し、そして先般のクラスノヤルスクの会談等を通じまして、今、日ロ関係というのは近年になく良好な状態にあると思います。  しかし、対ロ外交というのはタイミングが非常に大事だとも言われておるわけでございます。どうかこれからもひとつ積極的な外交を展開していただきまして、二〇〇〇年までに日ロ間の平和条約が締結されるという目標が達成できますように御努力をいただきたいと思いますが、対ロ外交に当たる御決意を承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、例として挙げていただきました昨年のクラスノヤルスク合意、それをまとめました後にも、本年、小渕外務大臣にロシア訪問をお願いし、その実行上のプロセスとしての枠組みを既にスタートさせていただきました。そして、この東京宣言に基づいて二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くしたいと考えており、ぜひ衆参両院の御支援もお願いを申し上げたい。そして、今世紀中に起きたことはやはり今世紀の間に解決をしたい、そうした思いでこれに取り組んでまいります。    〔理事永田良雄君退席、委員長着席〕  四月、エリツィン大統領を今度は日本にお招きし、川奈でネクタイなしの雰囲気の会談をするわけでありますけれども、ここでは特定の目的を持つといいますよりも、クラスノヤルスクで生まれました友情、合意というものをさらに一層しっかりとしたものにしていく、そして申し上げましたような平和条約締結へのしっかりとしたプロセスの一つとしてこれを位置づけていきたい、そのように考えております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 小渕外務大臣は昨日ソウルからお帰りになりまして、大変御苦労さまでございました。  それに先立ちまして、今、総理からもお話がありましたように、ロシアを訪問されまして、エリツィン大統領の四月の訪日の日程、またチェルノムイルジン首相の訪日、さらには十五億ドルの融資供与等、いわば平和条約締結交渉へ向けての布石を打たれてこられたわけありますが、そういう御経験の上に立って、これからの日ロ交渉の見通しをどのようにお考えになっておられますでしょうか。

小渕恵三自由民主党外務大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 今も総理から御答弁ありましたけれども、クラスノヤルスクの会談というものは、私は戦後の日ソ、日ロ外交史の中で特筆すべきことだろうと思っているんです。いわゆるノーネクタイ、非公式と言われますけれども、ここで定められたことは、本当に多年の日本とロシアとの関係を最後にまとめるべく、平和条約締結に向けての大きなステップだったと思っております。  その後、プリマコフ外務大臣が東京に参りました。その後、私が二月に訪ロいたしまして、エリツィン大統領、チェルノムイルジン首相、ネムツォフ第一副首相、そしてまたプリマコフ外相等とお話をいたしましたが、特に平和条約締結問題日ロ合同委員会の第一回を行うことができました。ここで、東京宣言に基づいて二〇〇〇年までに平和条約を締結するというクラスノヤルスクで両首脳が話し合ったこの結果を、念には念を入れて何度も確認をしていく必要があろうと思いまして、ロシアでもいたしました。  したがいまして、この勢いでぜひ二〇〇〇年までにまとめ上げなければならぬという決意のもとにあるわけでございますが、特にまた四月十一日から十三日までエリツィン大統領も再訪されるわけでございますので、この首脳会談に大変大きな期待も寄せておりますが、我々としては橋本・エリツィン・プランというようないろいろな話し合いを着実に一つ一つ今実現する方向で成果が上がりつつある、こう認識しております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 そこで、領土問題についてですが、これについてはけさの新聞なんかで若干の動きがあるようでございますが、ロシアの国会の中でもいろいろな意見がある、特に地元サハリン州に返還反対の空気が非常に強いということを聞いております。  これに対しては、エネルギー開発等、日本とやはり経済協力をこれから大いに進めていく、そのことが地域の発展にもつながるし、サハリン州の利益にもなるんだということを十分理解してもらうことが必要だと思います。さらに、ロシア側からは北方領土における共同経済活動というものがこの問題を解決するために必要だということで、サハリン州から具体的な幾つかの要請も出ておるようでございます。  私は、こうした経済協力は我が国の主権が侵されない範囲内で行われるという面では大変に結構なことだと思うわけでありますが、サハリン州及び北方領土に対する経済協力を具体的にどのように進められようとしておられるのか、お伺いをしたいと思います。

小渕恵三自由民主党外務大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘のように、日ロ間の経済活動につきましては、より活発に進めていかなきゃならないことは申し上げたとおりでございます。  そこで、この共同経済活動という問題につきましては、プリマコフ外相から池田外務大臣時代にお話がございました。したがって、我々といたしましては、そうしたロシア側のいろいろな考え方につきましては一つ一つ検討していかなきゃならぬと思いますが、特に四島におきましてこの問題をどう取り扱うということは、今、岡部委員御指摘のように、主権の問題にかかわることでございますので、我々としてもより慎重に考えなきゃならない点であろうかと思っております。  ただ、ロシア側といたしましては、先般、日ロ間に漁業協定が結ばれまして、海の上ではこの問題につきましてお互い理解し合った上で話し合い、そして漁業を進めるということを決定いたしましたので、ロシア側としてはぜひこの問題につきましてもさらにこの考え方で進めたいという希望はありますけれども、日本としては、申し上げましたように主権の問題、管轄権の問題にかかわることでございますので、慎重に対処いたしていきたいと思いますが、経済的協力として可能なものは何かということを今一生懸命に検討させていただいておる、こういうことでございます。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 次に、日中関係でございますが、ことしは日中平和友好条約締結二十周年ということで江沢民国家主席も来日をされる、そういう予定だというふうに聞いております。中国の国家主席が日本へ来られるのは初めてだということでございます。これを契機に日中友好協力関係が一層進展が図られる年ではないかと思うわけであります。日中間では既に新しい漁業協定も署名をされましたし、先般は遅浩田国防部長が来られまして久間防衛庁長官との会談も東京で行われました。こういうことで日中関係は著しい進展を見ております。  つい二、三日前ですか、朱鎔基新体制のもとで、知日派として知られておる唐家セン氏が外相になられた。これもまた歓迎すべきことではないかと思うわけであります。  日本の外交は、これはもう言うまでもなく日米関係が基軸ではありますが、こうしたロシアあるいは中国との対話を重ねて積極的な外交を図っていくということが非常に大切だと思います。  対中外交に臨まれる総理の御決意をお伺いいたします。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員からもお触れいただきましたように、日中平和友好条約締結二十周年という今年、初めて我々は江沢民国家主席を迎えることになります。そして、それだけではなく、今回の全人代で新たに選任されました胡錦涛国家副主席も間近に日本を訪問する意向と伺っておりますし、今お話に触れられましたように遅浩田国防部長は既に訪日をされた。今おかげさまで非常にそうした往来が活発になってまいりました。  昨年、ちょうど訪中をいたしました際に合意をした安保・防衛分野での交流、こうした面でもことしは一層その範囲は拡大していくことになると私は思いますし、その交流はお互いの間の見ていないがための疑いの念というものを払拭する上では非常に大きな役に立つでしょう。そして、さまざまな分野でこうした対話と協力の一層の増進に努めていき、日中関係というものをより深いものにしていきたい、これは心から今我々が願っていることです。  同時に、中国の改革・開放政策というものを引き続き支援していくこと、そしてWTOの早期加盟の支持などによって中国と国際社会との一層の協調を促し、国際社会により受け入れていく素地を拡大していく、これもまた日本の役割だろうと考えておりまして、そうした努力の一つ一つを丁寧に進めていくことでより大きな関係をつくりたい、そのように考えております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 小渕外務大臣は、二十一日、二十二日とソウルへおいでになりまして、金大中大統領にもお会いになり、また外相会談もされまして、大変御苦労さまでございました。  その内容につきましては、先ほどお話もありました。特に漁業交渉は、やはりこれからの新しい日韓関係を構築する上においても最初に取り組まなければならない大変重要な課題であります。内容が大変複雑であるということもありますが、旧協定は既に破棄されたわけでありますから、この一年の間にはどうしても結ばなきゃならない性質のものでございます。これにどのように対処されるか、お伺いをいたします。

小渕恵三自由民主党外務大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 旧協定といいますか現行協定は、十条二項によりまして一月二十三日に終了通告をいたしまして、実は一年間有効でございます。したがいまして、政府といたしましては、この間にぜひ新協定に移りたい、こう念願をいたしておりますが、実は現協定におきましては、一方が通告すれば終了できるという条項を、これを適用したために韓国としては大変不満の気持ちがあったことは事実でございます。  しかしながら、新しい国際条約によりまして、海洋法によって二百海里時代を迎えておるわけでございますから、いずれ協定が結ばれねばならぬ、こういうことでございます。幸いに、二十一日に参りまして、金大中新政権のもとにおける朴外交通商長官とお話しいたしましたところ、ぜひ早い機会に立ち上げようということになりまして、四月には改めて新協定を結ぶための話し合いを始めたい、こういうことで考えております。  ただ、この協定を、通告せざるを得なかった背景には、やはり両国の利害当事者、すなわち漁民の皆さんの長い歴史的ないろいろ関係がございまして、そういった点を本当に払拭しませんと、新協定が成立をいたしましても実効が上げられないということがあってはいけませんので、こうした意味で、今週から、日本側といたしましても責任者がソウルに参りまして、韓国の漁業関係者の皆さんと真剣な話し合いを始めるというところからスタートをさせていただきたい、こう願っております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 橋本総理は、先般ジャカルタへ行かれて、スハルト大統領との会談をされました。そのときに、インドネシアは約束したことは必ず守るということかという総理のお尋ねに対して、大統領はそのとおりと答えられたと報道されております。  一方、先週も日本においでになっておりましたハビビ副大統領は、山崎政調会長等に対しまして、率直に、IMF合意をした五十項目のうち四十項目は実行できる、八項目については修正をすれば可能である、二項目については今のところ実施することが大変困難であるというふうな回答をされたということであります。  この点は、きのうあたりの新聞を見ますと、両者間で歩み寄りの交渉が進んでおるというふうにも聞いておりますが、いずれにいたしましても、IMFの求める緊縮策というのは、各国の事情により多少の強弱はあるものの、一般的には厳し過ぎるという意見がアメリカの中にも相当ありますし、また、いわんや対象国の国民の中にはそうした不満が相当あるわけであります。  我が国としては、やはりIMFとの協調を維持しながらも、アジアの現状については、先進国では日本が一番よく知っているわけでありますから、それを踏まえて独自の支援策を打ち出していく、そういうことによってこの問題に積極的に関与して経済の安定に貢献すべきだと思います。そうしませんと、この金融不安がもし政治危機に発展するというようなことになりますと、この地域の安全保障の根底が揺るがされるということになります。そうなっては大変でありますから、そうならないような努力を一層日本はすべきであると思いますが、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、IMFが特定の国と結びます合意、これが全く訂正されないものかといいますなら、昨年以来今日までの間、タイ、韓国、インドネシア、このアジアの通貨危機の中で次々にIMFとの合意をつくりました国のうちで、既にタイは改定交渉を終わり、その内容が変化いたしております。その意味で、IMFが正当な理由があるときに無理な私はコンディショナリティーを押しつけるという姿勢ではないと信じております。  ただ、そこには厳しさが求められることは当然でありまして、その上で国際社会はその相手側の国がIMFとの合意、枠組みを守ることを前提に支援を行ってきている、これがルールであることは申し上げるまでもありません。  そうした中で、インドネシアという国、御承知のように一万七千の島からできている国であります。ある程度人が住んでいる島だけで五千ということでありました。当然ながら、その島から島への物資の移送は船または航空機によらざるを得ませんし、陸続きの場所での流通のルールはそのままにうまくいくかといえば、必ずしもそうはいきません。そうした問題点を率直にスハルト大統領と議論し、私は社会的な弱者を公正なルールで救うという視点でIMFと話し合われることを勧めました。そして、国際社会も弾力的になってほしい、自分もそうする用意があるという大統領の言葉を受けました。  そして、出しなに実はスハルト大統領に対して、マスコミの諸君はIMFの合意を守るか守らないかということしか多分関心がないでしょうと、そういう聞き方をされたときに私は、大統領は、インドネシアは約束したことは守ると一言言われたとそう言いますよと、結構ですということで、そのとおりに申し上げてきました。  同時に、日本とインドネシアの間を考えましたときに、当然ながら、金融関係においてはこのIMFの支援の枠組みというルールを守ってもらわなければなりません。同時に、人道的な支援として、既に透析用の注射器でありますとかそういうものは現在インドネシアに到着しつつありますし、この後にも、あるいは医薬品、子供用の粉ミルクといったものはインドネシア側の求めに応じて我々は協力をする用意を持っておりますし、基本的に食糧にも協力をする意思を明らかにしております。あとは、そのIMFのルールと分かれた部分でなし得ることとして、貿易保険を活用すること。ただ、これには相手側もそのつもりでなければ困るわけでありますけれども。  そうしたことを今まで率直に申し上げ、協力できるところはするという姿勢で今日まで参りました。今ちょうど先週からIMFとインドネシアの話し合いが始まっておりますので、私どもとしてはこれ以上の言及は差し控えたいと思いますが、いずれにしても、インドネシアが早くこの危機を脱出できるようにできる限りの協力をしていきたい、そのように考えております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 次に、先ほど角田委員も質問されておりましたガイドラインの問題についてお尋ねをしたいと思います。  最近はこのガイドラインという言葉がいろんな方面に使われておりますが、ここで言うガイドラインは言うまでもなく日米防衛協力のための新たな指針についてでございます。  先日、ワシントンにありますブルッキングス研究所の主任研究員にマイク・モチヅキという人がおられますが、この方が来日をされまして、私もお会いをしました。彼はこういうことを言っておりました。日米間には認識のギャップが大きいが、また期待のギャップも大きいということでございます。これを私流に解釈しますと、こういうことじゃないかなと思うんです。  アメリカ人は日本人がアメリカのことを知っているほどには日本のことをよく知らない。これは当然といえば当然の話であります。日本は同盟国であるということは知っておる。それからまた、安保条約が結ばれているということも知っているかもしれない。しかし、その中身まで知っている人はほんのわずかである。したがって、何か事が起きたときに、日本は同盟国であるにもかかわらずこんなこともやってくれないのかといったような不満が国民の中から起きてきて、そのことが日米関係にも悪い影響を及ぼすおそれがある。期待が大きいだけに、落胆も大きくなる。  そういうことにならないように、これからは私の意見でありますが、平穏無事な今のうちから、先ほど防衛庁長官も言われましたけれども、憲法のもと、さらに言えば集団的自衛権は行使できないという解釈、これは政府が今とっておる解釈でありますから、そのもとで一体何ができて何ができないのかということを明らかにして、それで日米の役割分担というものをはっきりさせておくということが今必要である、それが今回新しくガイドラインを結ぶ意義ではないかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 意義という点であれば、私は今、議員が要約されましたことに尽きるかと思います。  強いて四角い言い方をいたしますと、この新たな指針、これは両国の政府が平素及び緊急事態における日米両国の役割と協力、そして調整のあり方について一般的な大枠とか方向性、これに関する両国の共通の認識を示したもの、そう言いかえることもできると思います。そして、このような共通の認識に基づいて今後作業を行っていく、そういう政治的な意図を表明するためにこれが発表されました。  この指針、二十年ぶりに生まれた新しい指針であります。私は、これによりまして日米安保体制のもとでの両国間の防衛協力関係というものは一層効果的なものになる、そしてそれは日米安保体制の信頼性を一層向上することになる、そのように考えております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 したがって、このガイドラインというものは、安保条約を堅持するという立場に立つならば、これは当然整備しなければならない問題である。今までそれがおくれてきたということの方が不思議なことであって、いささか遅きに失したという感があるわけでありますが、なぜ今まで整備されてこなかったのか、この点を御説明願います。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 遅きに失したというわけではございませんけれども、やはり今まではどちらかというと冷戦構造下にずっとあったわけでございます。我が国が攻撃された場合というのを中心としましていろんな研究等が行われておったわけでございますが、冷戦構造が解けた今日、日米安保体制を見てみたら、我が国が武力攻撃を受けた場合だけではなくて、いろんな機能を果たしておると。その日米安保体制のおかげでアジア太平洋地域まで平和の恩恵があるということになると、これをきっちり大事にしていかなきゃならない。  大事にするならばということでいろいろ考えてみますと、平素からの協力とか、あるいはまた我が国有事じゃなくても、周辺で何か起きて我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす場合、こういう場合にはどうするのか、この辺の課題については従来ほとんどされていないじゃないかというようなことから、今、委員は遅きに失したと言われていましたけれども、やはりある意味では、冷戦構造が終わってこの時期にもう一度見直して、見直すことによってしっかりしたものにしていこうということで取り組んだわけでございます。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 そこで、このガイドラインが昨年の九月に決まったわけでありますが、これだけできても何も役に立たないので、やはり関連する法律の整備ということが必要であります。これがなければ、まさに絵にかいたもちになるわけでありますが、この法律の整備の状況はいかがでしょうか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) これも先ほどこの委員会でも御答弁申し上げましたように、法整備も必要であろうということで、まずその前に、九月二十九日の閣議におきまして政府としてこのガイドラインをしっかり受けとめるという閣議決定をしていただきまして、それを実効性あるものにするにはどうすればいいかというその中の一環として、法的整備が必要なものについては法的な整備を行うということで取り組んだわけでございます。  そして、今日まで来ておりまして、先ほども言いましたように、官房副長官をヘッドとしまして会をつくりましてそのもとでやっておりますけれども、まだまだ法律の問題、先ほどちょっと指摘がございましたけれども、議論すべき中身が多岐にわたっておりますから、そういう議論を今やっておるという状況でございます。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 ただ、今も申し上げましたように、既に昨年の九月に決まってもう半年たっておる。にもかかわらず、まだその法律の全体像が見えてこない。個々の法律を必要に応じて出すというのではやはりこの問題は十分ではないんで、まず全体像を固めて、その中で急ぐものから順次出していくということが必要だろうと思いますが、その点はいかがでしょうか。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) こういう問題につきましては、個々ばらばらにできたものからまとめていくというわけにはまいりませんので、やはり全体をしっかりと議論をして、その中でどういう法律の立て方をするのか、取り決めはどうするのか、そういうものをまとめましてその中で法律をくくっていかなければならない、そういうことでございますから、できたものから順番に送っていくというわけにはまいらないというのも一つの理由でございます。  それともう一つは、委員も御承知のとおり、やはり政府としてどうしても予算とか補正予算とかそういう予算が伴います場合には、予算関連法案の方を先にやりますために、各省庁またがっておりますだけに、いろいろとハッパはかけておりますけれども、作業が進んでいないというこれまでの事情もございました。しかし、先般、三月五日に総理の方にも中間報告をいたしまして、こういう項目でこういう形で今整理をやっておりますということを報告申し上げまして、そういう方向で急げというような指示もいただいておりますので、今急ピッチでやっておるというところでございます。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 なかなか関係省庁の数が多くてその調整が容易ではないという話も聞いておるわけでありますが、事はやはり国益に関する重要問題でございますから、ひとつ総理、リーダーシップを発揮していただいて今国会に必ず提案していただけますように、御決意をお願いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨日、防衛大学校の卒業式に参り、その訓示の中で、私は初めて、今国会に提出できるよう事務的作業を精力的に進め、できるだけ速やかに成案が得られるように努力しているということを申しました。今、ようやく今国会に提出できるようということを申し上げられる程度まで進んでまいりましたので、その方向で一生懸命に努力をしたいと思います。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 次に、温暖化対策と原子力開発について御質問をいたします。  先般の地球温暖化防止に関する京都会議は大成功に終わりまして、議長を務められた大木環境庁長官初め関係者の皆様方の御努力に心から敬意を表する次第でございます。  そこで、温室効果ガスの六%削減の問題でありますが、これはなかなか大変な話で、産業界はもちろんのこと国民全体の理解と協力を得ないとなかなか実現できない問題ではないかと思います。長官の御決意と基本的な方針をお聞かせください。

大木浩自由民主党

○国務大臣(大木浩君) 今お話がございましたように、六%というのは正直申し上げましてなかなかきつい目標でございますが、京都で決めました議定書の中では、この温暖化の対策としまして、つまり排出ガスを抑えるための方策として、一つは排出ガス自体の削減、それから森林等が一たん排出されたガスを吸収するという吸収、これが二つ目でございます。それから、諸外国との、例えば開発途上国と協力する、あるいは例の排出権取引というようなことで、国際的な協力で結果的にはこれも排出を抑えるという効果が出てきますから、これが三つ目。この三つが並んでおりますけれども、この二つ目の吸収というものにつきましてはまだ科学的な知見が十分に得られていないという面がございます。京都でもいろいろと議論があって、どこまで認めるんだというような議論がございました。  それから、三つ目の国際的な協力、もちろんこれも間接というか結果的にはそれなりの効果はありますけれども、各国が国際的なことだけで削減を実現しようということでは自国内における努力というのがおざなりになるということですから、やはりこれは自国で排出ガスの削減に努力するというのがまずはこの基本になるんじゃないか、こういうことがいろいろと交渉の過程でも議論されておりました。ただ、その六%を何によって実現するかということは、各国ともどこで何をやるかということは決めておりませんけれども、日本の場合にもこれはやはりまずはみずからの削減というところからスタートすべきであろうと思っております。  そういうことで、御存じのとおりに、排出の主体と申しますか分野と申しますか、これは産業界もありますし、運輸、交通の方もありますし、また民生もあると。ですから、この三つそれぞれにおいて頑張っていただかなきゃいかぬ、こういうわけでございまして、産業界については今通産省が既に立法措置を考えておられますから、まずは省エネという形で、これは間接というか結果的にはガスの削減にもなるわけですから、これはひとつ進めていただく。それから、私ども、産業界ばかりではなくて運輸部門あるいは民生においてもいろいろと削減努力できるところもあるんじゃないかということで、これは総括的なできればひとつまとめた法案というものができないかなということで検討をしております。  ただ、今直ちにあらゆる方策を並べた法案というよりは、まずは国民に御理解をいただいて、今申し上げました各部門でできるだけ自発的、自主的に対策を進めていただく。そのためのいろいろとまた政府として協力できるところをまず固めていく、そういったところを中心にしての方策ということがスタートではないかというふうに考えております。  もちろん、必要に応じまして何か規制的な措置を相当きちっとそろえることが必要だという面もありましょうし、それからいろいろと御議論の中ではあるいは科学的な手法で何か税金を考えたらいいじゃないかと、こういうのもありますけれども、今直ちにそこまで考えるよりはできることからやった方がいいんじゃないかと考えております。  と申しますのは、結局、京都会議でできました議定書の内容もまだ十分に固まり切っていないところがございますから、今申し上げましたような対象をどこまでカウントするのか等、どういう手法で実現するかというようなことについては、まだまだ今後COP4以降に議論しなきゃならぬ問題が多いわけでありますから、私どもといたしましては今はできるところからまずスタートすると。  しかし、いずれにいたしましても、京都会議でせっかくあそこまで合意したわけですから、日本政府としてはぜひともひとつできることはきちっとやっていく、そういう政治的な意思と申しますか、これだけは内外にきちっとわかるようなスタートをさせていただきたいということで、もう先般来、御存じのとおりに総理を本部長といたします対策本部もできておりますから、これから環境庁も一体となりまして頑張らせていただきたいと思っております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 排出ガスの削減という面から考えると、確かに長官おっしゃったように省エネということが一つの大きな項目であると思いますし、それからもう一つは、やっぱりエネルギー源の転換といいますか、今まで炭酸ガスをたくさん出す化石燃料から原子力に変えていくということが一つの大きな項目になるのではないかと思うわけであります。  ただ、この原子力開発の問題については昨年来いろいろな問題が起きまして、国民の間にもこの安全性についての疑いを持っている人がたくさんいると思うんですが、原子力開発と安全性ということが両立するのかどうかということをひとつ科学技術庁長官にわかりやすく説明していただきたいと思います。

谷垣禎一自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、環境庁長官からもいろいろお話がございましたけれども、もともと原子力は資源小国であるという資源論の観点から開発が進められてきたわけでありますが、最近では地球温暖化等の環境論の観点からもその重要性、なかんずく核燃料サイクルを確立していくということがやっぱり大事だということになるのではないか、こう思っているわけであります。  その前提として何よりも必要なことは安全の確保ということであることは間違いございません。もう原子力政策に御造詣の深い岡部先生に申し上げるまでもありませんけれども、この安全対策につきましては原子炉等規制法を中心としまして厳格な安全管理を行っている。それから、行政の仕組みとしても、通産省である場合もあれば科学技術庁の場合もございますけれども、まず第一に行政庁で安全審査をやって、二次的に原子力安全委員会で二次チェックを行う、こういう体制のもとで厳格にやっているわけでございます。  しかし、最近動燃の一連の事故等、これは事故の問題性もさることながら、同時に社会的な対応のまずさから問題が大きくなったわけでございますけれども、先生御指摘のように、国民の間に不信が高まってきていることは事実でございます。したがいまして、これらの一連の事故の対応ということでもございますけれども、現地を重視する厳格な安全管理体制という対策をいろいろ手を打ってまいりました。例えば、情報を一元的に集中する方法あるいは二十四時間の管理体制、そのほか詳細に申し上げるのは政府委員からまた御必要であれば説明をさせたいと思いますが、現地を重視した安全管理体制というのをやってまいりました。  それと同時に、国民の皆様に御不安を与えないように、原子力委員会あるいは原子力安全委員会等の審理の公開、あるいはいろいろな情報等の公開ということも進めてまいりました。したがいまして、外から見たときにやはりこれは安心であるということがわかっていただけるような体制を私たちはますます推し進めていかなければならない、こんなふうに思っております。  こういう政策を信念を持って進めてまいりたい、このように考えております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 言われるとおり、これはエネルギーの安全保障という面からも、また環境対策という面からも大変重要な課題であると思いますので、ひとつ全力投球をしていただきたいと思います。  次に、食糧の安全保障について農林大臣にお尋ねをしたいと思います。  ことしはエルニーニョ現象ということによってインドネシアが大変な食糧不足に襲われて、この秋には三百万トン前後の不足量が生ずるんではないかとも言われておりますし、また北朝鮮も引き続き食糧の不足が起きるであろうと思われます。  九〇年代に入ってから、人口一人当たりにしますと食糧の供給量というのは確実に減ってきておるわけでありまして、今大体ピーク時の九割ぐらいになっていると言われておりますが、人口がますますふえていく、あるいは生活水準が上がっていくということになりますと、この傾向はさらに継続するのではないかと思うわけであります。  もちろん、食糧が不足すれば、経済力さえあれば外国から輸入をすれば事足りることでありますが、ただ輸出国は必ず輸出してくれるという保証はないわけであります。したがって、やはり食糧の安全保障というのは、基本的には不測の事態が起きても必要最小限の栄養を国民に供給するだけの食糧生産力といいますか、そういうものは国内に維持していくということが必要だと思います。そのために必要な農地だとか水だとかあるいは技術を持った担い手だとか、こういうものに対する将来の見通し、また施策についてお尋ねをしたいと思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  御指摘のとおり、我が国の食糧自給率は年々落ち込んでおりまして、昭和四十年当時、カロリー換算七三%あったものが現在では四二%に落ち込んでおります。穀物自給率におきましては、六二%から現在二九%と激減をしてきているわけであります。  なるほど、食に対するいわば国民のニーズの変化というものも非常に大きく左右しておることは事実でございますが、やはりこれらを将来的に考えますと、まさに中長期的な世界の食糧需給動向に照らしまして安閑としているということは決して許されないことでございます。国民が安心して暮らすことができるようにするために、仮に輸入に長期的あるいは構造的な障害が生じても、最低限必要な栄養を国内で供給できるよう食糧供給力を確保していくことが必要である。  特に、先般、私が行かせていただきましたOECDの閣僚会議でも、農業輸出大国と我々の間に大激論が交わされました。その際に、今、先生御指摘のとおり、常にあなた方が供給を確保してくれるわけではあるまい、特に我々の場合では、日本の国は極東の島国であり、世界のいわば人口の増大あるいは飢餓人口の増加、あるいはアジアの厳しい食糧事情等々に照らしまして、我々は二九%の穀物自給率で、あなた方だけに依存しているわけにはいかない、やはり最低限度、我が国は我が国としての農業を維持しなきゃいけないという事情を理解してもらいたい、こんな主張をしたところであります。  また、ただいま御指摘ありましたけれども、かつて一九七二年には世界同時不作がありましたし、翌年には米国の大豆禁輸がございました。熱波とか大干ばつとか大洪水、天候不順等々、自然現象の揺さぶり等もこれあり、輸出国といえども万全の保証があるわけじゃないわけでございまして、我々はこれらに対処していくことが必要である、こう考えております。  また、具体的には、平素から優良農地の確保、整備、また農業水利システムの維持管理、担い手の育成あるいは確保、農業技術の開発普及等を図ることによりまして国内生産基盤の確保に努めているところでございます。  なお、食糧供給力確保の具体的なあり方につきましては、先生御高承のとおり、食料・農業・農村基本問題調査会で鋭意今御検討をいただいておりまして、この夏をめどに御回答をいただくことになっておりますので、我々はこれらと並行して将来に資していきたい、そう考えております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 私は、食糧自給率を上げろとは言っていないわけであります。食糧自給率というのは飽食をすれば幾らでも下がっていくものでありますから、そうではなくて、例えば昭和三十年ぐらいの食糧事情、このぐらい不足のときには国民が耐えなきゃいかぬ、そのときに必要最小限の食糧を供給する能力を維持しなきゃいかぬということを申し上げているわけであります。もう農林大臣はよく御存じのことだと思いますので、これ以上申しません。  そこで、最後に沖縄問題についてお尋ねをしたいと思います。  二月六日に行われました大田知事の海上ヘリポート建設反対表明、これは私も本土復帰以来多少なりとも沖縄の振興のために努力をしてきた者の一人としまして、まことに残念というか、むなしささえ覚えるような気がするわけであります。私ですらそうでございますから、いわんやこの問題を国政の最重要課題の一つとして、大田知事とも十七回もお会いになって、文字どおりこの解決のために心血を注いでこられた総理の御心境はいかばかりかと思うわけであります。  一昨年の九月十七日に、総理は御就任後初めて沖縄に行かれました。そして、宜野湾のコンベンションセンターで大田知事を初め各界の代表約三百名ほどの前で演説をされたわけであります。私も当時沖縄開発庁長官として御同行を申し上げたわけでありますが、あのとき総理は、まず御自分が対馬丸事件を初めとするさまざまな沖縄とのかかわり合いについて述べられた上で、沖縄が今抱えておるこの負担を何とかして少しでも減らすためにはどうしたらいいかということを考え、またアメリカともさんざん折衝をしてきた結果、今回のSACOの中間報告にたどり着いた、これが実現できれば沖縄の米軍基地は面積にして約二〇%削減することができる、したがって当面政府としてはまずこの実現に全力を尽くすんだという決意表明をされたわけであります。  それで、特にその中の中心的な課題である普天間飛行場については、撤去可能な海上ヘリポート案というものをあのとき初めて総理が提案されたわけであります。  今の普天間飛行場は、言うまでもなく宜野湾市の市街地のど真ん中に四百八十ヘクタールという面積であるわけでありまして、その周囲には教育施設だけでも十四ほどあります。いつ事故が起きてもおかしくないような状況に置かれておるわけであります。これを名護市の沖合数キロメートルの海上に移す。そうすれば面積も五分の一になる、また騒音の被害も少なくなる、また安全性は抜群に向上するということであります。そしてまた、不必要になればいつでも解体撤去できるということでありますから、私は、これこそ我々が多年にわたって主張してきた沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小、こういう目標にぴたりと合うんだという感じを持ったわけであります。  沖縄県の方々は、かねがね我々はオール・オア・ナッシングという態度はとらないんだということを言ってまいりました。そういう面から考えれば、この案は確かにオールではないかもしらぬけれども、しかし現状からすれば一歩も二歩も百歩も千歩も前進した案であると思うわけであります。  そこで、総理にお尋ねしますが、この普天間飛行場を名護市沖の海上に移す、この地域、この地点以外にはない、移す先は名護市沖以外にはないというお考えは今でもお変わりになっていないんでしょうね。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 普天間飛行場の現況というものは、議員から今お触れをいただきましたような状況でありますし、就任直後、大田沖縄県知事にお目にかかりましたとき、知事さん御自身からその状況を非常に強く訴えられ、私自身もそれ以前に沖縄を訪問いたしましたときに拝見をしておりました記憶の中で、そのとおりと思い、この危険な状況を本当にほっといちゃいかぬ、そうした思いからアメリカ側との返還合意にこぎつけました。そして、その代替施設としてさまざまに考えました上で、現時点における最良の選択肢として海上ヘリポート案を提示させていただいたわけであります。  政府としては、今後ともに大田知事を初め地元の皆さんの御理解と協力が得られるように粘り強く取り組んでまいりたいと考えておりますし、先日も大田知事の御希望ということを聞きまして、関係省庁の審議官クラスを現地に派遣し、数時間にわたる議論をさせていただきました。なお話し合うと言ってくださるのであれば、そうした機会も繰り返してつくりたいと思いますし、私もお目にかかりたい、一日も早く市街地の中にあります普天間基地というものの危険な状況を除去する、そして周辺住民の方々に与えている不安をなくしたい、その思いに変わりはございません。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 これが実現できなければ、日本政府はアメリカに対してやはり信義違反ということになって大きな痛手をこうむることになる。ひいては安保条約にも影響がなしとはしない。また、アメリカも周辺住民の協力が得にくくなる、得られなくなるという面ではマイナスかもしれません。また、沖縄県も今県が進めようとしている国際都市形成構想、この目玉は何といってもこの普天間の跡地利用でございますから、そういうことが不可能になるという面で障害があります。  三者三様に被害を受けるわけでありますが、しかし、それよりも何よりもやっぱり一番被害を受けるのは今おる周辺の住民であります。それなるがゆえに、総理も大田知事の強い要請を受けてサンタモニカでクリントン大統領に直接交渉をされたということだろうと思います。  そこで、防衛庁にお尋ねしますが、今考えられているこの海上ヘリポート案、これはもちろん地元市町村の振興策も含むわけでありますが、そういうものはどの程度までまとまっておって、今からでも、例えば地元からここはこういうふうに直してくれというふうな意見が出た場合にはそれを取り入れる余地があるのかどうか、その辺をお伺いします。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 先ほど総理から申し述べられましたように、とにかく普天間飛行場のあの機能を残すというのがアメリカと日本政府とのもう最低条件でございまして、そういう中で一番ベストな方法ということで考えましたのが海上ヘリポート案でございました。だから、これは本当に今現時点での最上の選択肢だと思っております。  ただ、私は、普天間移設対策本部長として沖縄県あるいは名護市の方にこの基本案を持っていきまして、これに基づいていろいろと実施したいということを申し上げたわけでございますが、言うなれば一方的に記者会見みたいな形で回答が来ておるようなことでございますから、具体的に県としてここをこうしたらいいとか、あるいはどういうふうにしたらいいという話は伺っていないわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、これからどういうふうにやっていったらいいのか非常に頭を悩ませているところでございますけれども、何としてでもやはり御理解を得て、今の普天間をとにかくどういう形でやればいいか、これについてこれから先も心血を注いでいきたいと思っております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 そうすると、地元から要望があれば十分それを取り入れる用意があるということと考えてよろしいですね。

久間章生自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(久間章生君) 具体的にとにかくそういう要望等あるいは変更等についてこうしたらいいというような話があれば、私どもとしてはいつでも聞かなければならない立場でございますので、それは十分に聞いていくわけでございます。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 意見があればどんどん出してもらって、それをしっかり取り入れて、住民合意の上でこの案をもう一度実現する以外には方法がないと私も思います。  大田知事はかつて、普天間飛行場の全面返還が決まった一昨年の四月ですが、橋本首相が非常な決意で取り組んでくれたことが幸いだった、日米両国政府が一生懸命取り組んでくれた成果だ、より望ましいのは無条件返還だが、厳しい情勢の中で県がそれを望めば実現できないというふうに言われております。また、SACOの最終報告が決まった、これも一昨年の十二月ですが、完璧ということはあり得ない、基本的には県内移設に反対ではあるが、SACOの決定には一定の評価をするとも言われておるわけであります。  私も大田知事とは何回もお会いをし、時には二時間も三時間もお話をしたこともあります。特に、この沖縄決戦のときのさまざまな御体験等を承りますと、私も同じ年代の人間でございますから、共感するところも非常に多かったわけであります。  ただ、先日の名護市長選の二日前からとられたあの行動は、どのような圧力がかかったのかわかりませんけれども、どう考えても私には理解ができないわけであります。どうか、きょうはテレビであるいは沖縄の方も見られているかと思いますが、もう一度冷静になっていただいて、この海上ヘリポート案についてお考え直しいただきたいと私からもお願いをいたしたいと思います。  次に、振興策につきましてお尋ねをいたします。  沖縄県全体に対する振興策は既に第一次、第二次が終わりまして、今第三次の途中でありますが、今回その根拠法規である沖縄振興開発特別措置法を改正しまして新たな振興策を加えようとしております。この新たな振興策の内容と、特に沖縄県においては本島北部の地帯が、いわゆる山原地域と申しますが、大変開発がおくれておる、これに対する振興策についてどのようにお考えになっているか、お尋ねをいたします。

鈴木宗男自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(鈴木宗男君) 沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案、国会に出しておりまして、今衆議院を通りまして、今度参議院で審議をしていただくわけでありますけれども、これは特別自由貿易地域制度の創設が一つの柱であります。課税の特例、これは所得控除三五%、これをまた一つの目玉にしたり、新たに自由貿易地域を中城湾につくりまして、そこに企業創出等を図って沖縄の慢性的な失業者対策等に備えていこうというふうなことを考えております。  さらには、空港にはデューティーフリーショップも備えて、沖縄は観光立県を目指しておりますから、去年もおかげさまで運賃を八千円安くしたものですから四十一万人観光客がふえております。その流れを何とかことしも維持してもらいたい。そうすれば、五百万の観光客誘致を目標にしておりますから、去年が三百八十万ぐらいでありますから、あと三年ぐらいでその目標にも到達するわけであります。そういった意味でもデューティーフリーショップ、しかも二十万円まで免税という大胆な仕組み、制度にしておりますので、これを生かして沖縄に活力と自立を何とかしてもらいたい、そんなふうに思っております。  同時に、今、岡部先生からお話があった北部振興策、御承知のとおり沖縄本島のあの山原十二の市町村で六割の面積です。しかし、そこには一割の人口しかおりません。私はやはり国のサポートが必要だと、こう思っているんです。  同時に、私はこの北部振興をやる際、絶えず頭にありますのは比嘉鉄也前名護市長の言葉であります。昨年の十二月二十四日、橋本総理との会談で、海上ヘリポートを私は受け入れる、同時に市長を辞任することを表明する、国益は県益、県益は市益であり、市益は県益、また国益に通じる、私の尊敬している喜屋武眞榮先生は国土の〇・六%の県土に米軍基地の七五%が集中するこの沖縄の現状を、小指の痛みを全国民がわかってほしいと訴えられた、普天間の周辺の人々はまさに長い間小指の痛みに苦しんできた、海上ヘリポートは普天間の周辺の人々の大きな痛みをなくするためにしばらく預かってくれというものだ、名護は新たな痛みを負うわけであるが、その痛みどめとして振興策を国が示してくれた、この振興策をぜひともやってもらいたい、これが私の遺言であるというのが比嘉鉄也前名護市長さんの言葉でありますので、私は沖縄振興を預かる者としてこの言葉をしっかりと頭に、胸に入れて北部の振興にこたえていきたい。  同時に、沖縄の皆様方にもぜひともおわかりいただきたいのは、橋本内閣総理大臣は、通常国会における施政方針演説でも、あるいは臨時国会における所信表明でも絶えず沖縄問題は最重要課題と言ってきております。私は、歴代総理が一生懸命沖縄をやってこられた、特に橋本総理は全身全霊を打ち込んでやっていると、こう認識しておりますので、私もその姿を見ながらしっかりやってまいりたいと思っております。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 この新たな振興策は、沖縄がその立地を生かして経済的な発展を遂げるためには極めて重要な改正だと思うわけでありますので、早急に実施できるように希望をいたしたいと思います。  我々も参議院でこれからいよいよこの法案の審議をするわけでありますが、しっかり審議してまいりたいと考えております。また、北部振興策は、今も鈴木長官が言われましたように、比嘉前名護市長のいわば政治的な遺言でもありますから、これは必ずやり遂げなきゃならない問題だと思います。  そこで、最後に沖縄の基地問題について重ねて申し上げます。  沖縄の中には、そして最近ではアメリカの一部の人たちにも、沖縄における海兵隊の基地を国外、例えばグアム島だとかオーストラリア、こういうところに移すべきだ、またそういうことを政府はもっと真剣にアメリカ政府に交渉をしろという意見が強くあります。私は、今の国際情勢のもとにおいて、やはり沖縄における米軍の存在というものは、これは日本のみでなくてアジア各国の平和と安定のために欠くことのできない存在だと思います。  また、昨年の夏、私も与党調査団の一員としてアメリカの国務省、国防省、またハワイにあります太平洋軍司令部にもお伺いをしてこの問題についていろいろ意見を伺いましたが、その時点ではこの海兵隊基地を移転するという考えはアメリカ政府には全くありませんでした。現在も恐らくないことだと思います。  しかし、やはり国際情勢というのは時々刻々変化するものでありますから、将来それに応じてこの地域の兵力配備を再検討しようという時期が来ないとは決して考えられないわけでありまして、我々はそのためにも先ほど来申しましたガイドラインとかSACOとか、アメリカときちっと取り決めしたことについてはこれを完全実施する、そして同盟国としての責任を果たすということが大変必要だと思います。  同時に、この沖縄に米軍基地がたくさんある、全体の四分の三もの米軍基地がわずか〇・六%の地域に集中している。このことによって沖縄県民が多大の負担をこうむっている、負担をしょわされているということは紛れもない事実でありますから、そのことを全国民が深く認識をして、ともに苦しみ、ともに戦うという気持ちでやはり負担を分け合うということが大変重要なことではないかと思うわけであります。  橋本総理、この問題を解決できるのは私はあなたしかおらないと思います。どうか引き続きこの沖縄問題、国政の最重要課題の一つとして掲げていただいて、粘り強い御努力をお願いいたしたいと思います。我々もそれに対しては全力を挙げて応援してまいりたいと思います。  最後に、総理の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、SACOの合意、そしてそれに対する議員の御評価をちょうだいいたしました。そして、この場をかりてその決意をということでありますが、私は改めて歴史の重み、年月の重みというものをこの問題に深入りをすればするほど痛感せざるを得ない思いであります。  往々にして、このSACOの最終合意、そしてその中の普天間飛行場の海上移設の問題について、知事の姿勢を明確にされました後、政府部内におきましてもこの二年余りの歳月は何だったんだという声を出す者があります。私は、真剣に努力してきてくれた諸君がそういう思いを持つことも当然ながら理解ができますが、そのとき私たちが忘れてはいけないこと、その思いは沖縄の皆さんからすれば、ならば沖縄戦終結からのこの五十二年というより既に三年、その重さはどうしてくれるんだという言葉を恐らくお返しになりたいでしょう。しかし、沖縄の方々は今その言葉は控えていただいております。  我々は、沖縄県からのその無言の、あるいは沖縄県民からの無言の声は受けとめなければならないと思います。また、受けとめるべき責任があります。その上で、現実的に今できることがこれだということについての理解をぜひ沖縄の皆さんからちょうだいをしたい。私がこの職にあります限り、そのような思いで全力を尽くしたいと考えておりますし、少なくとも沖縄戦終結の日から始まった占領、本土復帰後の二十五年間、この歳月の重みを全く意識せず、この二年間のSACO合意に至る政府の苦労のみを強調するつもりは私はない。その上で、現実的にできる部分、わかっていただきたい、そんな思いで取り組んでまいります。

岡部三郎自由民主党

○岡部三郎君 井上孝委員の関連質問をお許しいただきたいと思います。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。井上孝君。

井上孝自由民主党

○井上孝君 自民党の井上孝でございます。  私はきょうは主として景気対策について総理初め政府のお考えを明らかにしていただきたいと思っております。  その前に、昨年からの相次ぐ金融・証券不祥事、また大蔵省検査官の汚職、こういうものに加えて三月十一日にはついに日本銀行の幹部、証券課長が逮捕されるという大変な事件になりまして、内外の日本の金融システムに対する信頼を著しく失墜させたということになりました。また、中央銀行として独立性、中立性を保つため日銀法が改正され四月から施行される、こういう時期にこういうことが起こり、しかも日本銀行の幹部が接待の見返りに極秘であります公開市場操作とか日銀短観調査の重要機密を漏らしておった。こういうことで、世界の市場から日本の中央銀行がマーケット機能をゆがめておったということですっかりその信頼を失墜したのではないか、こう思っておりますが、幸い総理が極めて速やかに御判断をなさって、三月二十日、先週の金曜日でありますが、日銀総裁を初め幹部の更迭を行われました。  四月から再出発する日銀がこの不祥事の真相を究明し、再発防止を急ぐという体制ができたわけでございまして、一日も早く日銀の業務を軌道に乗せなきゃならぬと思っておりますが、きょうは日銀新総裁にもおいで願いました。初めに、総理の今回のこの日本銀行の事件に対するお考えとこれからの日本銀行に対する期待、それから新しい日銀総裁のお考え、抱負というようなものを冒頭お聞かせ願いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 総会屋への利益提供ということから始まりました今回の一連の事件は、その捜査の進行に従いその状況は大きく変化をし、大蔵省職員の逮捕、そして議員から今御指摘をいただきましたような日銀の歴史始まって以来の幹部職員の逮捕という事態にまで発展をいたしました。  どこの国におきましても中央銀行というものの果たす役割というのは極めて大きいものがありますし、その業務の公共性というものにかんがみてその社会的責任や社会的な役割というものを自覚した運営が求められているところでありますし、我が国よりもはるかに強い権能を中央銀行に与えている国もあります。我が国もこの四月一日から新たな日銀法によってより強い権能を持ち、また役割を果たしてもらうことが期待されているわけですが、その直前にこうした事件が発覚しました。  私どもとしては、捜査当局による厳重なる捜査というものを見守るということにその中においては尽きるわけですが、同時に日本銀行自身の立場におきましても、内部調査などを踏まえてこれに対する厳正な措置がとられると私は確信をいたしております。  この事態がはっきりいたしました直後に、松下総裁からは責任をとって辞任したいという意思の表明がありました。そして、たしか今月の十三日であったと思いますが、副総裁からも辞任の意向が総裁を通じてもたらされました。さまざまな思いの中で、その後任に、総裁に速水氏、そして副総裁に藤原氏を選び内意を伺い、お二人とも、この厳しい状況の中で大役だが全力を挙げてやりましょうというお返事をいただき、去る二十日発令をいたしました。  私は、従来から当然のことながら求められております日銀の役割に加えて、新たに新総裁、副総裁には国民や金融市場の信認を回復するという役割がつけ加えられている、その重みを十分自覚しておられると信じておりますから、新たな金融システムの中核にふさわしい日銀に正副総裁の手によってよみがえってくれることをかたく信じております。

速水優日本銀行総裁

○参考人(速水優君) 私は二十日に内閣より第二十八代の日本銀行総裁を拝命いたしました。  お尋ねのとおり、日本銀行の職員が逮捕されるという事態、まことに遺憾でございます。現在の私の立場から国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げます。  日本銀行総裁という立場で改めて日本経済の現状を見ますと、景気、金融システムの両面にわたって非常に重い課題を抱えていると言わざるを得ないと思います。そうした中で日本銀行が適切に対応していくためには、一刻も早く日本銀行内部の立て直しを果たして国民の信頼を取り戻すことが極めて重要であると考えております。  この点、松下前総裁が日本銀行の服務基準、「服務に関する準則」、それから「日本銀行員の心得」の策定、さらに新しい組織に必要な管理体制の見直しなどに着手されてきたところでございます。また、役職員と外部の方との交際の実態につきましては内部の調査を進めているところでございまして、その引き継ぎを受けております。  私といたしましては、現在進められております捜査当局の捜査や内部調査の結果を踏まえまして、今回の事案の当事者になりました者はもちろん、関係者につきましても事実に即して厳正な処分を行っていくつもりであります。その上で、決別すべき過去からははっきりと決別し、新法のもとで名実ともに新しい日本銀行をつくり上げてまいりたいと考えております。  中央銀行は一国の経済の良心であるべきということが私の年来の持論でございます。職員に対しましては、広く信頼を得るために職務に誇りを持ってみずからの良心に恥じない行動をとるように、先週の就任の日に全員に申したところでございます。  このような気持ちを持ちまして、これから与えられた使命を果たすべく全力で取り組んでまいるつもりでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

井上孝自由民主党

○井上孝君 速水総裁、きょうは恐らく初めて国会で御答弁になったと思います。大変慎重になられたように私はお見受けをいたしました。二十日の御就任の記者会見では、たしか低金利の問題に触れたり、あるいは円相場の問題にお触れになっておられました。きょうそういうお話は一言もございませんでした。その方がいいんじゃないかなと私も思っておりますので、よろしくお願いいたします。  総理に申し上げますが、先週、三月二十日、平成十年度の予算が衆議院で成立をいたしました。御苦労さまでした。きょうから参議院の審議が始まることになったわけであります。  今、問題になっておる景気対策に入りますが、最大の景気対策というのは、もうここまで来ましたら、速やかに予算の成立を図って、そして十年度予算の執行に入るということが景気対策の第一だと思っております。しかし、何とか暫定なしでこの予算を上げたいと思っておりますけれども、日数が足りません。  与野党の従来の慣習にとらわれないこれからの参議院の予算審議のやり方について、与党としては野党の協力を得て国民のために早くこの予算を通す。たしか昨日も中小企業の社長が自殺をなすったという報道があったと思います。私はこの国会対策のやり方に期待を持っておりますし、また祈るような気持ちで十年度予算を暫定予算なしに成立させていただきたいな、こういう気持ちでいっぱいでありますが、総理はどのようにお考えでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、議員が今御自身の意見を述べられながら私に聞かれましたこと、非常にじっくりとした気持ちで聞かせていただきました。  衆議院通過、御苦労さまでしたというお話をいただきましたけれども、衆議院で一番の景気対策はおまえがやめることだという御意見をいっぱいいただいたことも事実です。しかし、私は、予算案、税制、いずれをも含めまして、三月三十一日から四月一日に切りかわる、その移り変わりにきちんと対応できるように両院で御審議をいただきたいということを願い、思い、また答弁をし続けてまいりました。  今、日数が非常に厳しい、そして従来の慣習にとらわれればという御質問をいただきましたけれども、あえてお願いが許されるならば、私は従来の慣習を変えてでもその空白をなくしていただきたい、時間的に税制もきちんと新年度から、年初からスタートできるようにしていただきたいと心から願っております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 去る三月十三日の経企庁の国民所得統計速報によりますと、平成九年十—十二月期のGDPの成長率は前期比〇・二%減、年率換算で〇・七%減というように落ち込んでおります。これによって平成九年度の実質経済成長率はオイルショック以来二十三年ぶりにマイナスになるという大変なことになりそうであります。  我が自由民主党といたしましては、御承知のように、昨年の十月からこの厳しい景気情勢に対して四次にわたる経済対策を講じてまいりました。しかし、これらは基本的には財政出動を含まないで実現可能な対策を内容とするものでありました。このような対策を講じたこともありまして、一時一万四千円台であった株価も一万七千円を挟む動きに回復してまいりました。  さらに、自由民主党におきましては、現在、十兆円を超える規模の総合経済対策を検討しているところであります。その内容はまだ明らかにされておりませんけれども、恐らく情報通信、科学技術、環境対策、福祉、教育というようなものに関する公共投資、あるいは政策減税等によって景気を刺激しよう、こういう内容になるのではないかと思っておりますが、この対策が有効な結果をもたらすように私も願っておるわけであります。  まず、景気対策と、それから午前中の寺崎委員の御質問にもありましたが、財政構造改革との関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  総理は、衆議院におきまして、財政構造改革と経済対策とはタイムスパンが違う、決してこれは矛盾をしない、景気対策と財政構造改革は両立できるという認識をお示しになりました。財政構造改革は私どももぜひやり遂げなければならない重要課題だと思っておりますけれども、これは平成十五年を目標に立てておる中長期的な目標であります。  この景気対策と財政構造改革の関連につきまして、総理のお考えを、衆議院でもおっしゃっていますけれども、再度確認をいたしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は今の日本はどなたがごらんになりましても財政構造改革が不必要だという方はおられないと思うんです。これを何とかしなければならないということは恐らくどなたも変わりますまい。そして、その中期的な目標というものに御異論がない、同時に当面の景気対策、経済情勢に対する対応、それぞれにその局面その局面で臨機の措置が必要になること、これも私は当然のことだと思っております。  衆議院でもそうした御議論が随分ありました。財政構造改革と経済対策は相対する二つの概念という御議論がありましたが、私は、タイムスパンの違うものであって、これは両立できるんだということを申し上げてまいりました。財政構造改革の必要性と当面景気回復のためにとっていく対策、これは私は相反するものではないと思っております。そして、その観点からも、予算の、また税法を含む予算関連法案の早期成立をお願い申し上げていることも同様の気持ちの中からであります。

井上孝自由民主党

○井上孝君 しかし、先ほど申し上げましたように、実体経済は二十三年ぶりにマイナスになるというような落ち込みを見せております。したがいまして、この際、平成十年度予算が成立した後に財政出動を含む積極的な景気対策を速やかに講ずる必要があると思いますが、特にその景気対策では、公共事業の重点的な増額を含む有効な景気対策、補正予算を組まなければならない、こう思います。  こういう自民党の考え方に対して総理はどのようにお考えになり、どのように対処されるつもりか、さらに突っ込んでお伺いをいたしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、私ども経済認識を問われました場合に、現実に極めて厳しいものがあるということをお答え申し上げてまいりました。そして、より正確に申し上げるなら、私どもは確かに昨年一—三月期における消費税増税の反動的な駆け込み需要の増というものの幅を小さく見ていた。それは四—六における落ち込みの影響を過小評価していたこととも連動をいたしております。しかし、七—九は回復基調に向かった。  ところが、そこでアジアの通貨危機というものが発生し、秋に我が国の金融機関幾つかが相次いで破綻をするという事態になった。それぞれの金融機関にはバブル当時の安易な貸し付けあるいはその後の簿外債務の膨大な隠し立て、いろんなことがありましたけれども、こうした事態の中で金融システムに対する信頼が低下する、一方で貸し渋り現象というものが起こる。こうした中で一層不安感を強められた方々は消費に対して非常に消極的になられた、あるいは企業によって十分な資金が得られない、思うような事業展開ができないという状態が起きた。  経済の状況というものは今申し上げたような粗いまとめ方ができるかもしれません。そして、アジアの市場で起きております状態というものは、各国ごとに様相は違いますけれども、これも非常に深刻な状況になりました。こうしたすべてが家計あるいは企業の景況感を非常に厳しいものにしている、そしてまたそれが個人消費や設備投資に影響を及ぼしている。非常に厳しい状況にあることは御指摘のとおりです。  ですから、私どもは、制度改正を予定しております法人課税にいたしましても、あるいはその他の税制にいたしましても、予算そのものにつきましても、早くこれが通過、成立をし執行に移せるという状態にしていただきたいということを繰り返しお願い申し上げております。  今、議員からその後についてもっと踏み込んだというお尋ねでありますけれども、今我々は何といいましても十年度予算を御審議いただいている。そして、その十年度予算の御審議自体が、通常であればと先ほど議員が言われましたように、通常であれば非常にこれから時間を要する。その時期に私として、その後を申し上げるよりも、何としてもこの予算を一分一秒でもぜひ早くということを繰り返させていただきます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 今度は大蔵大臣にお尋ねしますが、昨年のGDPの落ち込みの主な原因は個人消費だと。しかも、この個人消費を見ますと、総理が今いみじくもおっしゃいましたが、消費税の影響で四—六月期はマイナスになる。しかし、七—九月期にプラスになっている。それがまた十—十二月期でマイナスに転落してしまった。  この動きを見ますと、もう昨年の消費税アップの影響じゃなくて、これは一遍回復したわけですから、むしろ秋以降の金融破綻、それに伴う雇用不安、こういったものが消費者をいわゆる生活防衛、具体的に言いますと貯蓄、あるいはローンがありました場合はローンの返済、そういうようなものに向かわせたのではないかな、こういうふうに思います。  したがって、この金融システム、雇用に対する不安、こういうものを取り除く対策をいろいろと政府が講じておられますが、これが成功して消費マインドが回復しない限り個人消費の増大は期待できないんじゃないかな、こういうふうに思うわけでございます。  米国あたりから日本の内需拡大策として大型減税をやれというようなことを盛んに言ってきておりますし、また経済界の中からも減税と公共事業半々でやれというような御意見も伺っております。しかし、財政構造改革法の定めからいきますと、赤字公債発行額を前年度並みにいかに抑えるかということになりますと、もう補正でも組みましたから、一兆四千億弱しか発行できないということになっております。  先ほども申しましたように、少子・高齢化になりますし、雇用不安もあります。耐久消費財の普及もしておりますので、国民は消費より貯蓄に向かうという傾向が非常に強くなっているように私は思います。ここで減税を考える場合には、貯蓄に回る度合いの大きい所得減税よりも、福祉とか教育とか住宅とか、あるいはきょう新聞にも出ておりましたけれども、子育て減税というようないわゆる政策減税にシフトすべきだ、こういうように思いますが、大蔵大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) お答えいたします。  委員申されましたように、去年せっかく七—九で消費が伸びてきた、消費性向が高まってきたといううれしい事態があったわけでありますけれども、それが何で十—十二でぐっと落ち込んだのか。その原因は、東南アジアの金融・通貨危機もあったでしょうが、やはり日本国内で大型金融機関の破綻、そういったことから国内での金融不安、それに伴って自分の働いている企業にもそういうことが起こるのじゃなかろうかということから失業の不安、こういったことで消費マインドが冷え込んできたのではなかろうか、こういうふうに分析する人がいるわけでありますが、私もあるいはそうかもしれぬと思っておるわけであります。  そういったことから、去年暮れ近くになりまして橋本総理が二兆円特別減税を決断され、同時にまた金融システムについての内外の信頼を回復するための思い切った政策をやらなきゃいかぬということになりまして、金融安定化緊急措置法をことしになりまして成立させていただいて、そしてそれに基づく措置を実はやらせていただく、こうなってきたわけであります。  これはすなわち、金融が不安でありますというと、どうしてもいろんな面での経済活動というものが伸びてまいりませんし、消費者の心理にも大変不安を及ぼす、それは消費マインドの落ち込みにつながってくる、そこで金融システムの安定化が極めて大事なことだと、こう思って努力をしてきているところであります。  なお、新たな減税等の話がございましたが、私の頭にあるのは、先ほど総理も申されましたけれども、平成十年度予算の成立と、同時にまたそれと一体をなす平成十年度の法人税法その他税法関係の成立、それをまずやらせていただきたい。そういたしますれば、実は平成十年度で八千億以上の減税措置になってくるわけでありますし、それから二兆円の特別減税も、二月、三月で実施されたのは一兆円、六月になりますというと住民税分が六千億、年が明けますというと申告納税者の分が四千億、こうなってくるわけでありまして、そういった措置をきちっとやることが今一番大事なときだというふうに思います。  新たな減税の話が党内で非常に論議されていることは承知いたしておりますけれども、そのことについてコメントすることはこの段階では差し控えさせていただきたいというふうに思います。

井上孝自由民主党

○井上孝君 先ほど総理にも申し上げましたように、今自民党としては、十年度予算が成立直後になるべく早く公共投資を重点とする思い切った補正予算を編成してはどうかというようなことが検討されております。  それに関連して、建設大臣にお伺いいたしますが、私どもとしてはこういうことがあるのではないかという見通しで、ゼロ国債を平成九年度の補正予算で思い切って従来一兆円だったものを一兆五千億組みました。それから、災害復旧あるいは防災対策等について公共事業を一兆円組みました。これは実は二月四日の補正予算で成立したんですから、ゼロ国債というのはもう三月までに使わなきゃいけない。防災の方も一兆円ですが、これも繰り越しということも考えられますけれども年度内に使う、こういうつもりで組んでおるわけであります。  この短い期間に一体できるのかなという実は心配をいたしておりますが、建設大臣、まだ三月中ですからはっきりした数字は出ていないと思いますが、見込みなり意気込みなりをお聞かせ願いたいと思います。

瓦力自由民主党建設大臣

○国務大臣(瓦力君) 井上委員から九年度補正の執行状況いかんというお尋ねでございますが、今ほどお話がありましたとおり、建設省関係では約一兆円のゼロ国債、約六千億の災害関連経費等が計上されておるわけでございます。トータルいたしますと委員お話しのとおり一兆五千億でございますが、建設省関係では今申し上げたものになるわけであります。  これはまたお話しのとおり史上最大規模でございまして、委員が精通しておられますとおり、補正予算成立後二カ月弱という限られた期間内で執行する必要があり、また災害関連経費も緊急を要するものでございます。  直ちに各機関に対して執行通達を発する、入札手続に関する期間の短縮等も実施しつつ、例年以上に速やかな執行に努めているところでございまして、執行状況につきましては今精力的に取り組んでおり、限られたところでありますので努力をしてまいりたい、こう思っておるところであります。

井上孝自由民主党

○井上孝君 当面の景気対策、先ほど私が十年度当初予算をなるべく早く通して早く執行に移りたいと申しましたのは、予算としては減額になっておりますが、平成十年に組まれております公共事業をなるべく早く執行することによって景気の維持あるいは振興を図りたい、こういうつもりでございますので、今党の方では上半期の契約率、前倒しでなるべく早く契約をし、そして景気を刺激していこうという対策を講じなきゃいかぬということでこの予算の成立を待っておるわけであります。過去の実績でいきますと、促進して前倒しをした年と普通の自然体でいった年といろいろございますが、一番多かったのが昭和六十二年の公共事業全体では上半期八〇・一%というのが最高だったわけであります。  これに加うるに、ことしは思い切ってゼロ国債、このゼロ国債は前倒しの契約ですから、前年度の契約ですから前倒しにプラスになるわけでありますけれども、このゼロ国債を一・五倍の一兆五千億にしたというのも前倒しをやろうという意図があったわけでございます。この公共事業の執行に当たる建設、農林、それから運輸三省のこの前倒しに対する考え方、まだ方針が決まっていませんからはっきりは言えないだろうと思いますが、どのぐらい前倒しできるんですか、こう聞かれたときのお返事をいただきたい。

瓦力自由民主党建設大臣

○国務大臣(瓦力君) 井上先生から、平成十年度予算の執行に当たりましてどういう消化の仕方をするのかということでございます。  先ほど総理、大蔵大臣からも御答弁がございましたが、まずは平成十年度予算を一日も早く成立するために全力を挙げておるところであります。その上で円滑な執行を図ってまいるということは、これまた総理から御答弁をいただいておりますが、臨機応変にやり、また適時適切に公共事業の執行を図ってまいらなければならぬ。景況全般を見渡しながら、当然政府といたしましては一体となってこれらのことは検討すべき問題でございますので、目下は全力を挙げて予算成立に我々は邁進をするというところで御理解を賜りたいと思うわけであります。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(島村宜伸君) 平成十年度予算の執行につきましては、予算の成立後、景気の動向等を踏まえながら政府全体として検討すべき事柄と考えております。いずれにいたしましても、景気回復を確実なものとするために平成十年度予算の一日も早い成立とその円滑な執行がぜひとも必要であると考えております。  また、農林水産省といたしましては、農林水産公共事業が地方中心の公共事業でありますことから、当然に地方の活性化に力を入れていきたいと今からいわば待ち構えているような気持ちでおりますし、また立ちおくれた生産基盤やあるいは生活環境施設の整備水準の向上を図ることの必要性が大きいことなどを踏まえつつ、予算成立後、政府の方針を受け、適時適切な公共事業の執行を図ってまいりたいと考えております。  なお、実績率につきましては、先ほど先生は六十二年には八〇・一%の数字をお示しになりましたけれども、農林水産予算といたしましては、六十一年度に八〇・三%、六十二年度は八三・七%の実績を持っております。念のために。

藤井孝男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。  既に建設大臣、農水大臣から御答弁申し上げましたように、運輸省といたしましても、また先ほど総理、大蔵大臣からも御答弁がありましたように、この十年度予算の一日も早い成立を願っておるところでございます。  そしてまた、景気をより確立するためにも、そのときそのときの状況を踏まえ、また政府全体として取り組まなければなりませんけれども、やはり成立後は適時適切な対応を運輸省といたしましてもやっていかなければならない、こういう決意でございますので、一日も早い予算の成立をぜひともお願いいたしたい、こういうことでございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 ここでちょっと話がわき道へ入りますけれども、経済企画庁長官に伺いたい。  最近、識者と称する人々あるいはマスコミの一部で、公共事業はもう乗数効果が著しく低下しておる、波及効果ですね、経済活動を活発化させる効果はないというような批判があります。しかし、経済企画庁の出しておられます世界経済モデルの最新の第五次モデルによって乗数効果の推移を見ますと、公共投資の効果は一年目でも一・三二、所得税減税は〇・四六、三年目でも公共投資は二・一三、減税は一・二六というように出ております。公共事業の乗数効果が著しく落ちている。それは昔に比べては落ちているかもしれないけれども、減税と比較してもうんと大きいんだということで、だから先ほどの批判は全く当たらないんじゃないか、こう私は思っております。  また、この間の国民所得統計を見ましても、G7、主要七カ国の実質経済成長率を見ると、平成八年、おととしの暦年ですが、日本の成長率はプラス三・九%だった。七カ国中断然トップですよ。それも他を引き離しておる。米英が二%台、日本は三・九、イタリーに至っては一%以下、こういう状況でありました。しかも、内需の寄与度がプラス四・八、外需がマイナス〇・八、ほとんど内需で稼いでおる。  この平成八年度の成長というのは、いろんな要素がありますけれども、平成七年度、前年度に、阪神大震災もありました、円高もありました、そういう関係で二度にわたって緊急経済対策を立てました。特に二度目は七兆円と言われる公共事業の追加をしておる。これが翌年、平成八年の成長率に反映した、こう思っております。しかも、この七年の経済対策は二度とも減税はゼロです。ほとんど公共投資の増額によって平成八年は大変景気がよかった。景気がよかったというか成長率が高かった。  それがこの間の三月十三日の、去年の経済成長率では全く逆転しておる。一転して、七カ国の中で経済成長率は〇・九、やっとマイナスにならなかった。これは暦年です。アメリカやカナダは三・八と、前年と逆転です。しかも、日本の場合、内需はマイナス〇・五、外需がプラス一・四で、ようやく外需のおかげで〇・九でおさまった。  こういう状況を見ますと、私は、昨年の大変な落ち込み、逆転した落ち込みは平成八年に平成七年のような経済対策をとらなかったことも大きな原因の一つではないか、こういうように思われてならないのであります。  しかも、これは企画庁長官に少し嫌みを言いますけれども、平成八年六月の経済白書、これがまさに公共事業の乗数効果は落ちたと言わんばかりのことを書いている。これが学者とかマスコミとかの、もう公共事業には経済成長率の効果はないんだという論調に拍車をかけた、あるいはその根拠になったというふうに私には思えてならないんですが、経済企画庁長官のお考えをお聞かせ願いたい。

尾身幸次自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(尾身幸次君) 平成八年及び九年の経済成長の数字及びその実質的な意味等につきまして委員のお話がございまして、私は大略おっしゃるとおりであるというふうに考えております。もとより、この何回にもわたります公共事業を中心とする政策が経済の下支えをしてきたということも事実であるというふうに考えている次第でございます。  ただ、最近においてもし公共事業の乗数効果が従来より少なくなったとすれば、これはいわゆる経済の空洞化といいますか、公共事業によって需要がふえて、そこで働く人たちが収入をふやす、そしてその人たちが自動車やテレビを買う。そうするとまた自動車やテレビの工場で生産が拡大されて、そこで働く人たちがまた収入を得るという循環になるのが従来パターンでございました。  そこで、自動車やテレビが、概して言いますと、日本だけではなしにアジアに工場が進出してそちらの方から生産されたものが来るというような現象が起こってきている、そういう構造的な問題もいろんな意味であろうかと思う次第でございます。さらに、バブル後の不良債権の処理がおくれた等々の理由もあったと思うわけでございますが、いずれにいたしましても平成九年暦年の経済成長率は〇・九%ということになりました。  そこで、乗数効果は公共投資と減税とどちらがあるかということでございますが、全体として見ると、少なくとも公共投資は物を一度買う、一度仕事があってそこから先の乗数効果という点であります。減税の方は、国民の懐にお金が入る、その減税をされたお金が懐から出て使われるかどうかというところで経済の効果があるわけでございますから、そういう意味で、需要増大効果という需要面だけの効果から見ますと、公共投資の方が減税よりも効果は大きいというふうに考えております。  ただ、経済構造全体に対する効果等、構造的な問題についての御議論はいろんな点があると思いますが、需要面の効果としては、公共投資の方が減税よりも同じ金額で行うのであれば効果は大きいという点は一般的に認められているところであると考えております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 公共事業について、私は最近非常に誤解されておるんじゃないかと。例えば、公共事業というのは社会資本を整備するわけでありますから、その社会資本の整備の目的が達成され、そして国土の基盤あるいは国民生活の基盤として役に立つ。道路でいえば、早く行ける、安いコストで物が運べる、こういうのが本来の公共事業の社会資本整備の目的であります。  さかのぼるとどうも第一次オイルショックになるらしいんだけれども、あの辺から公共事業をやることによって雇用がふえる、乗数効果はある、資材、機械等で、要するに景気対策として、これはフロー効果と呼んでいる人もおりますけれども、こういう面ばかりが強調されて、それで先ほども言いましたが、毎年毎年公共事業をふやして、そして経済対策を図る、前倒しを図る、前倒しすれば後半が足りぬから補正で追加する、こういうことを繰り返したから公共事業が誤解をされてきておるということであります。  私は、公共事業というのは、あくまでも物ができてその物がお役に立つ、国民生活を豊かにする、こういうことが目的であって、これを最も重視すべきだと。それがどうも景気対策に流れておるということで、これがまた公共事業罪悪論とでもいいますか、むだが多い、あるいは縦割りで各省別の相互の調整が不十分、その結果十何年もシェアが変わっていないじゃないか、こういうような批判を受けております。  戦後、荒廃した国土を復興し、経済を再建するために公共事業に投下した金額は大変多い。これはようやく先進国にキャッチアップするというのに役立ってきたわけでありまして、まだまだ現在でも欧米に比べて整備がおくれておる部面もたくさんありますけれども、しかし相当効果が出てきておるし、相当整備が進んできて、時にはむだと言われるようなものも出てまいります。  こういうことから考えますと、基本的な国土のネットワークというものはある程度計画もでき仕事もある程度できてきた、まだまだですけれどもある程度できてきた。したがって、この基本的なネットワークについては今の基本計画、基本線にのっとって完成になるべく近づける、まだまだ完成していませんから完成に近づける。  そして、これからやらなきゃいかぬ公共事業、社会資本整備はむしろ地域的な社会資本整備、それからより住民の生活に近いところの整備というようなものに移ってくるのではないか。まだ移っているとは申しませんけれども、だんだんウエートがそっちへ向いてくる。したがって、中央の統制を弱めて、むしろ地方、都道府県あるいは市町村という組織に力をつけて、そしてそういうところに計画なり施行を任せるという方向に行くべきではないかと思っております。  これは先般ありました中央省庁の行政改革、こういうものにも連なるわけでありますが、こういう公共事業に対する誤解といいますか、考え方をもうちょっともとへ戻すということをやってもらいたい、誤解を解いていただきたいということを私は主張しておるわけでありますが、建設大臣、いかがお考えですか。それから、行革担当の総務庁長官のお考えをお尋ねしたいと思います。

瓦力自由民主党建設大臣

○国務大臣(瓦力君) 先生御指摘のとおり、フロー効果に偏って公共投資の是非を論ずるということは本来の役割を見失うことになる、ここのところは私は非常に重要なところだと思っておりまして、ストック効果の発現を基本とし、時々の経済情勢をもバランスよく配慮しながら適切な実施に努めてまいりたい、こう思っておるわけであります。一九七〇年代のアメリカにおきますいわゆる社会資本ストック上昇率と生産性の上昇率との比較はまさに日本の場合もちょうど当てはまるわけでありますが、私どもはストックの問題とフローの問題をしかと考えておかなければ間違いを起こすという御指摘を大切にしてまいりたいと思っております。  また、広域的、さらに根幹的な社会資本の整備、管理は国みずから責任を持ってやるわけでありますが、今住民生活に身近な社会資本の整備や管理は地方にもお願いをしながら、これからの時代は権限移譲であるとか補助金の問題であるとか、そして生活により密着しながら社会資本を整備していくということが大事な視点であろうというぐあいに考えております。  また、むだを排して効率的なものにしていかなければならぬという御指摘もありますので、これらを踏まえて考えてみますと、戦後五十年を経てつくり上げてきた社会資本整備をさらに強い国土に立って効率的に動かせる、また財政の上からも有効に発揮できる社会資本整備の方に移行していく大事なときだと、かように考えておるものでございます。

小里貞利自由民主党総務庁長官

○国務大臣(小里貞利君) この道にも大変造詣の深い先生から行政改革に関連しての御指摘でございますが、確かに公共事業あるいは社会資本整備の推進におきまして、その目的と申し上げましょうか、あるいは焦点も若干これは前進しなけりゃいかぬよというお話の意味も含めまして、そして国、県、市町村のいわば仕事、行政区分についてのお話であったかと思う次第でございます。  確かに、中央省庁の今次の改革、スリム化を徹底して進めていかなければならないと、あるいはただいま先生からお話がございましたように、地方分権も徹底してやらなけりゃいかぬよと、公共事業といえども地方に権限をゆだねられるべきものは徹底してゆだねるべきではないかという趣旨のお話でございますが、全く同感でございます。  お触れいただきましたように、今次の中央省庁改革基本法案におきましても、国が行うべき事業はできるだけ全国的見地から限定して行うべしと、これが一つ。ただいま建設大臣も若干お触れになったようでございます。あるいはまた、その他の事業はできるだけ地方公共団体にゆだねるべしと、この思想が一つきちんと入っておるわけでございます。あるいはまた、国の補助事業にいたしましても、特定の補助事業に限定をいたしまして、そのほかは統合的な補助金行政というものを考えるべきではないか、そのような趣旨におきまして、たとえ国の補助金行政といえども地方公共団体の裁量性というものを尊重すべしと、こういうような精神が込められておりますことも御理解をいただきたいと思います。

井上孝自由民主党

○井上孝君 再度、建設大臣にお伺いいたします。  先ほども触れましたが、平成十年度の公共事業予算が成立いたしましたならば、大幅に前倒しをして執行しようということになりますと下半期に息切れが生じます。これは従来のパターンでありますと補正予算で追加するということが考えられるわけでありますが、ただいたずらに今までのように足らなくなった予算を執行するためにふやすというのではなくて、やはりこういうときですから、現下の急務である景気対策に最も役に立つ効率的な使い方をするということを十分お考え願いたいと思います。  すなわち、追加する事業は、従来型というよりも、その中から今言いましたような趣旨で厳選をする。その厳選は、例えば民間投資を誘発するような仕事、中心市街地の問題は時間がありましたら後ほどまた触れますが、こういうときに区画整理なんかをやりますと民間事業がどんどん出てくる。二倍、三倍の効果が出てくる、こういうようなものもありますし、それから用地補償比率が余り大きくないもの──大きなものでこれから用地を買い、補償費もやるというのは時間がかかってしようがありませんし、また用地補償費というものがどれだけ景気刺激効果があるかもわかりません。  それから、災害の危険箇所、これは調べると随分あるようでございますが、こういうものは特に効果があるわけでありますから、こういう波及効果の大きいものあるいは即効性のあるものを重点的に選んでいただいて、これを追加するという準備を──まだ早いですかな、予算が成立していないときに。まあ予算成立と同時にできるように今からもう準備をしていただいていいんじゃないか、こう思いますが、御見解を。

瓦力自由民主党建設大臣

○国務大臣(瓦力君) 井上先生御案内のとおり、平成十年度予算編成におきましても、厳しい財政事情のもとでございますから、現在の景気動向に十分配慮しながら効果的に出動できる、そういったものを念頭に置きましてこのたびの予算をつくり上げておるものでありますから、御指摘のとおり、物流効率化に資する事業といたしまして高規格幹線道路網の整備などがございますし、また経済構造改革等に資する分野といたしまして情報ハイウエーの構築支援といったものもございます。加えて、緊急に生命、財産を危険から守る、こういったところにもちゃんと気を使えということでございますが、いわゆる土砂災害対策などにも気を配っておるわけであります。  また、用地比率の問題にもお触れをいただきまして、短期的により高い事業効果が発現できる分野というようなことで、重点化につきましては、九年度事業費に比しまして、財政は厳しい中でございますが、それぞれにプラスの予算を配置してめり張りをつけたところでございます。そういう意味からも、実は今度の予算につきましては、私ども一丸となってお願いをしながら、ひとつ成立を見て執行に至れる状況にしてもらいたいと委員各位にまたお願いを申し上げるところでございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 いろいろ細かいことやら建設大臣に注文をいたしましたが、最後にもう一つ注文があります。  来年度予算は、少なくとも当初は公共事業は七・八%も減額になっている。配分をいたしますと、あちらこちらで非常に減額の大きなところが出てくると思います。今申しましたように、重点化を図るということも結構でありますが、実は私が一番心配しておるのは、公共投資の中に、公共事業の中に見てあります維持管理、それから施設の更新、この費用を一番先に確保していただきたい。予算が減ると、我々政治家もそうですけれども、あれにつけろこれにつけろと言って新規事業とか大きな事業に要望が非常に殺到しますが、あの道路の穴ぼこを埋めろとか、あるいは維持費をけちるななんと言う人は一人もおりません。  ところが、御承知の方も多いと思いますが、一九七〇年代のアメリカはベトナム戦争もあり、折からの小さな政府という国民運動もありました。それから、聞くところによると、スペースシャトルの開発に随分金がかかったというようなこともあって、連邦予算で公共投資をうんと減らした。数字がありますけれども、ともかく道路なんか十年間で半減しているんですよ、倍になったんじゃなくて、半減しています。そのために物すごい社会資本の荒廃を来した。道路は穴ぼこだらけになるし、上下水道は水漏れする。それから、ニューヨークとか東部アメリカはああいう社会資本を整備してから百年ぐらいたっているので、ちょうど耐用年数が来ているんですね。それで、橋は壊れて通れなくなる。  こういうようなことがありまして、急にレーガン大統領のころになって、これはいかぬということで、例えば道路の場合はガソリン税を一ガロン四セントから九セントに上げるというんだから急に倍以上にしたわけです。こういうことで、大変な財政支出をやって、十年ないし十五年でやっと今のようになった、こういうことを私どもは聞いております。私もそういう実情をアメリカに見に行ったことがあります。西海岸の方は割によかったんですね、おくれて開発されたから。東海岸は大変なことがありました。  建設大臣、予算配分に当たって、この過酷な荷重にさらされている社会資本というのは見る見るうちにだめになりますから、手を抜かないように、この点を十分お気をつけていただきたいと思います。

瓦力自由民主党建設大臣

○国務大臣(瓦力君) 今、井上先生から大変肝心なところを御教授いただいておるわけでございます。私どもが日ごろ先生を御尊敬申し上げておりますのは、昭和二十三年に建設省ができましてからずっとそこにお勤めになっていらっしゃって、戦後の社会資本整備につきましては精通しておられるわけでございますし、時代時代の対応についてもいろいろうんちくをちょうだいするわけでございますが、確かに我が国の社会資本整備は、若い段階はそれでもいいが、これから更新の時期や管理の時期というものを考えるとおろそかにできないぞと、この問題は私どもも注意深く伺っておかなければならないと思っておるわけであります。  これは私から申すまでもなく、先生が今お触れになりましたが、八〇年代のアメリカの生産性の低下は七〇年代における公共投資の低水準の結果である、こういう説もございますし、また社会資本の赤字をつくることは、言ってみますれば社会資本を削減した、そういったことが大変悪い影響を残すという学説もあるわけでありまして、ストックの有効活用をするために維持、管理、更新の費用はしっかり確保していくことが社会資本整備に重要な観点だと心得て取り組んでまいりたいと思っております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 公共事業の執行について細かいことばかり申し上げて大変恐縮でございます。  景気対策に戻りますが、景気対策をやりますと大型減税とかあるいは公共事業の増額とかになりますが、一つ心配なのはやはり地方財政でございます。  自治大臣に伺いますが、公共事業をふやしますと地方負担の増大があるし、また地方単独事業もそれにつれてふやさなきゃいかぬということで、現在、平成十年度末の地方債残高は百五十六兆にも上ると聞いておりますけれども、この景気対策に伴う地方財政について一言お願いします。

上杉光弘自由民主党

○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  地方財政、御指摘のように大変厳しい状況にあることはもう申し上げるまでもございません。また、財政構造改革は国とあわせて地方もいたさなければならないわけでございまして、この基本を踏まえた地方財政計画を立てなければならない、大変厳しい状況に財政がございます。  地方財政は八十七兆九百六十四億円という枠を決めたわけでございまして、今お示しをして御審議をいただいておるとおりでございます。昨年とほぼ同額でございます。ただ、大変厳しい状況でございまして、五兆四千億の財源不足が生じまして、一つには地方債で二兆五千億、そしてもう一方で交付税の特別会計の借入金で二兆九千億という形で措置いたしまして、財源不足で地方の財政運営に支障のないように五兆四千億はきちっと対応いたしたところでございます。  そういう中にございまして、財政構造改革の基本がございまして、国が国債からの脱却を目指し、地方は地方債からの脱却を目指さなければなりません。したがいまして、地方債については九・一%減の十一兆三百億ということにいたしたわけでございます。しかし、さは申せ、地方の公共事業等を中心にいたしました社会資本の未整備、立ちおくれ、また非常に地方住民のニーズの高い地方単独事業につきましてはこれに対応いたさなければならないということでございまして、この点につきましては十九兆三千億を確保し、四%の縮減といたしたわけでございます。  私は宮崎でございますが、地域経済、公共事業が三〇・一%を占めております。そのように大きな割合が地方にはたくさんあるわけでございまして、そのような地域の経済に直撃した影響が出ないようにという意味から地域経済対策債を三千億用意させていただきました。このように、厳しい中にありましても、景気対策等もにらんであらゆる創意工夫、知恵を出したところでございます。  加えまして、平成十年分の所得税及び平成十年度分の個人住民税にかかわります二兆円の特別減税もきちっと対応いたし、あるいは法人関係税の減税等の幅広い措置を講じているところでございまして、景気対策のためにも切れ目のない予算執行ができますように予算を一日も早く上げていただくと同時に、関連法案の成立をぜひひとつ御理解いただきたいと思います。  なお、一般論で申し上げますが、国の補正予算が編成されます場合には、投資的経費の地方負担については、地方債の増発によりまして、経常的経費については、あらかじめこの地方財政計画に計上いたしております追加財政需要額六千三百億円程度でございますが、これで対応することが通例となっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、その内容に応じまして地方財政の運営に支障の生じないように対処してまいる必要があろうかと存じております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 ありがとうございました。  次に、国土庁長官に一言伺いますが、二十一世紀の国土のグランドデザインを策定するということで平成七年から国土庁において新しい全国総合開発計画、これを第五次開発と言っちゃいけないんだそうですが、今年度中にできるというふうに伺っておりましたが、進捗状況等をお聞かせ願いたいと思います。

亀井久興自由民主党国土庁長官

○国務大臣(亀井久興君) 新しい全国総合開発計画についてのお尋ねでございますが、御承知のように現在大変厳しい財政的な制約があるわけでございますが、二十一世紀に向かいまして国民の皆様に夢と希望を持っていただけるような、そうした計画を何とかつくりたいということで現在取り組んでおるところでございます。本年度末を目途に閣議決定いたすべく、現在、国土庁におきまして最終的な検討作業を進めているところでございます。  その概要を簡単に申し上げますが、先ほど御指摘がございましたように、昭和三十七年以来今まで四次にわたる計画をつくってきたわけでございます。今日、我が国をめぐる状況はすっかり変わっているわけでございまして、国内におきましても高齢化、少子化あるいは情報化が進展をしておりますし、また国際化、グローバル化が進んでいる。いわば地球時代と言ってもいいような、そういう時代を迎えるわけでございますから、こうした中で新しい発想と長期的な視点に立った計画をつくっていくことが必要ではなかろうか、このように思っておるところでございまして、そうした観点からの国土の総合的な開発、利用、保全のありようを何とかその計画の中に織り込んでいきたいと考えております。  少し具体的な話でございますが、今かなり大都市圏への人口集中がとまってきたと言われております。しかし、わずか国土面積の三・六%しかないこの東京圏に人口の二六%が集中している現状でございますし、中部都市圏あるいは関西都市圏、こうした大都市圏が太平洋沿岸に集中をしているという状況でございます。その一方で、国土面積の約半分の地域がいわゆる過疎地域になっているわけでございますから、こうした国土構造を何とか変えていきたいということが基本的な考えにあるわけでございます。  したがいまして、いわゆる一極一軸型の国土構造から複数の国土軸を持ちます多軸型の国土構造へ何とか転換をさせたい、そのことを基本的な方向として打ち出そうといたしております。そしてまた、御承知だと思いますけれども、計画年次を二〇一〇年から二〇一五年までの間というようにいたしておるわけでございます。  先ほど申し上げました四つの国土軸、複数の国土軸を持つ国土構造を具現化するために幾つかの戦略を今考えているところでございまして、その一つは、これは新しい言葉でございますけれども、多自然居住地域の創造ということでございまして、御承知のように、今全国それぞれの地域にすばらしい歴史によって培われました伝統文化があるわけでございます。そうした伝統文化を何とか二十一世紀に向かってさらに発展させていかなくてはならないということでございまして、中山間地を含みます山村あるいは漁村、そうした地域はその町村だけで幾ら発展を考えてもなかなか難しい面がございますので、そうした地域に隣接をいたしました地方都市と一体として広域的にこうした地域を発展させていく、そのために多自然居住地域という新しい発想を持ったところでございます。  さらにまた、地域間の連携というものがこれから特に必要でございまして、その複数の国土軸を具現化するためには、それぞれの地域の持っております魅力とか個性とかそういうものを共有するところを、行政単位を超えたいわば地域連携というものを進めていかなくてはならない。そういう考え方で地域連携軸という新しい構想も出しておるわけでございます。  そのほかに、大都市のリノベーションでございますとか、あるいは国際化をにらみました国際広域交流圏の形成とか、こうしたことを戦略として掲げているわけでございますが、いま一つ今度の全総におきまして参加と連携ということを強く打ち出しているわけでございます。この参加と連携によりましてこうした戦略を何とか推進したい、かような計画にいたしたいと思っております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 ありがとうございました。  再び景気対策の方へ戻りますが、特に中小企業についてお伺いしたいと思います。  初めに、通産大臣にお願いします。  中小企業の経営が非常に厳しいということは今さら申し上げることもありませんし、先ほども申しましたが、もう随分経営者で自殺者が出ておるというような悲惨な状況になっております。    〔委員長退席、理事永田良雄君着席〕  これは売り上げが伸びないという景気の問題もありますけれども、銀行の貸し渋りというようなことで資金繰りが悪化して倒産してしまう。中には黒字倒産もあるというようなことでございますが、これに対しては自民党は貸し渋り対策本部なんかつくって随分手を打ってきたつもりでありますけれども、特に通産省所管でございましょうか、政府系金融機関の融資枠を拡大したり、あるいは信用保証協会の保証制度を充実させたり、いろいろと貸し渋り緩和対策をやってこられたはずでありますが、その効果がどのぐらい上がっているのか、ちょっとお尋ねを申し上げたいと思います。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、貸し渋りは大変な社会問題にもなっておりまして、非常に厳しい状態でございます。したがいまして、少なくともこういう期間に政府系の金融機関がしっかり中小企業の方々の対策に出てまいらなければいけない、真剣に今取り組んでいるところでございます。そういう意味で、貸し渋り対策につきましては、新聞への掲載や経済団体を通じての広報などの手段を用いましてその周知徹底を図っているわけであります。  また、政府系の金融機関及び信用保証協会に特別な相談窓口を用意いたしまして、中小企業者のニーズを的確にくみ上げて、いやしくも政府系金融機関で貸し渋りによる、まともな経営をしている人たちがそれによって倒産するようなことのないように真剣に現在取り組みを行っております。  このような貸し渋り対策の実績につきまして、ただいま先生から御指摘をいただきましたが、対策が始まりましたのが昨年の十二月でございまして、十二月から二月の末まで三カ月間におきまして政府系の金融機関全体で約二兆円の貸し出しがなされて、前年同期比で約三〇%の伸びを見せております。これは伸びの金額でございます。また、無担保無保証の融資、マル経資金と申しておりますが、このマル経資金につきましては、一千四百億円、約六七%の伸びとなっております。また、信用保証協会におきましても約四兆円の保証を実行いたしているところでございます。  なお、これから年度末に向かいましてさらに厳しい事態であるというふうに考えまして、予断を許さない状況にありますことから、当省といたしましても、今後の企業の資金調達の円滑化に万全を期していかなければならないということで、政府系金融機関及び信用保証協会に対しまして窓口において親切な対応を徹底するようにただいま指導を行っておりますが、それにいたしましてもまだなおかついろいろと御指摘をいただいております。さらに、先日、総理からもこういう問題について完全を期すようにという指示をいただいております。  私の方から改めて政府系金融機関及び信用保証協会のトップを呼びまして、また窓口に対しての徹底した指導を行うように、年度末を間近に控えて資金繰りに不安を抱く中小企業の資金調達の円滑化に向かって最善を尽くして取り組んでまいり、万遺漏なきを期してまいるつもりでございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 同じく中小企業について、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  中小企業の借り入れの中では、ただいま通産大臣のお答えになった公的金融機関からの借り入れというのはいろんな制限があって一割程度だと伺っております。したがって、大部分はやはり民間金融機関の貸し渋りに対して手を打たなきゃいかぬのではないかな、こう思っておりますが、これまで政府あるいは我が党が打ち出してきました公的資金による資本注入というような問題や土地の再評価問題といった自己資本充実策によりまして貸し出し余力が高まるわけでありますから、その政策の恩恵を受けた金融機関に対してはもっと強く貸し出しの拡大を要求するというような行政指導があってもいいんじゃないかなと思うんですが、何かおやりになっていますか。

松永光自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(松永光君) お答えいたします。  まず、政府系金融機関の関係でございますけれども、これは委員御承知のように、今までは政府系金融機関は民間補完という姿勢であったわけでありますが、今回の事態にかんがみまして、もう少し踏み出して貸してよろしいという仕組みに変えたところであります。  それから、民間金融機関でございますが、もちろん中小企業者に必要な資金を供給することこそまさに民間金融機関の本来の務めでなければならぬはずだというふうに思います。しかし、貸し渋りと言われるような非難があるようなところがあるわけでありまして、これは大変遺憾なことと思うのでありますが、今回の公的資金を活用しての資本注入をするに当たりましては、申請銀行に対して経営健全化計画というのを出させたわけでありますが、その経営健全化計画の中で金融の円滑化、貸し渋り問題へどう対応するのかということをきちっと書かせて出させたわけであります。  どういうことを書いて出したかということは既に公表されているところでありますが、すべての銀行が金融の円滑化に努力しますとか、あるいはこの程度の融資の金額の拡大をしますとかいろいろ書面で約束しておるわけでありまして、こういう銀行に対しては今後とも、預金保険機構あるいはまた六月までは大蔵省が民間金融機関の監督官庁になっておりますので、その期間の中では約束したことはしっかりやってもらいたいという形でのきちっとしたフォローアップをして、そして貸し渋りの解消に向けて努力をしていきたい、こう考えているところでございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 よろしくお願いいたします。  中小企業に限りませんが、一月の失業率は三・五%になり、特に男性のそれは三・七%、過去最悪になっておると伺っております。しかもその中で、自発的にやめるんじゃなくて、会社側からやめさせられたとか、非自発的な離職者がふえておるということでございます。  これからの労働情勢、特に経済構造が変わってきて欧米諸国と同じような高失業率社会ができるんじゃないかというようなことも一部に言われておりますし、これからの雇用の先行き、それから構造がどういうふうに変わっていくのかというようなお見通しがありましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○国務大臣(伊吹文明君) ただいま先生からお話がございましたように、失業率の数字または有効求人倍率等を見ますと、現在の雇用状況は非常に厳しいものであると認識をいたしております。    〔理事永田良雄君退席、委員長着席〕  特に従来雇用の受け皿でありました建設業、それからそれに引っ張られてだと思いますが製造業で失業率が高くなっておりまして、従来安定的に推移しておりましたサービス業でも雇用の吸収力はやや落ちてきているというのが現状でございます。  これらの雇用は、ただいまるる御質問がございました景気情勢のやはり一つのあらわれでございまして、労働省といたしましては、雇用調整助成金でございますとか、あるいはまた雇用保険、そしてまた求人と求職のマッチングというような施策に万全を期したいと思っておりますが、やはり一番大切なのは景気を持ち直させることだと思います。  特に、これは先ほど来お話がございましたように、金融不安を引き金とした将来の生活防衛ということから、消費性向が非常に落ちております。私はこの消費性向をもとへ戻さねば景気は回復しないと思いますが、その最大のかぎは金融二法によってお許しをいただいた金融機関への公的資金の導入が円滑に進んで貸し渋りが解消されて、安心感を取り戻すということだと思います。  そして、中長期的には構造改革、規制緩和等を通じまして、技術開発と規制緩和で新しい産業を創出していく。先生がおっしゃった公共事業の分野でも、シェアも変わってまいりますでしょうし、従来のような直轄あるいは補助型の公共事業から、民間資金導入のアクアラインとか、あるいはまた関西空港方式の少ない財政支出で大きな有効需要、大きな雇用創出力を持つ事業へ転換を図っていくというようなことについて、労働省も積極的に発言をしていきたいと思っております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 地方都市ばかりではございません。都内の都市部もそうだと思いますが、いわゆる大店法の廃止、その前にモータリゼーションの普及というようなことで、郊外に店ができるという傾向が全国的に非常に強まってきていると思います。したがいまして、中心市街地というものが非常に空洞化してきておる。駅前商店街なんというのはどうもシャッターをおろしたような店がふえてきておるというような傾向が見られまして非常に大きな問題になっております。  これにつきましては既に前から相当問題になりまして、関係するのが十一省庁あるそうです。十一省庁が寄っていろいろと対策を練り、結果として建設、通産、自治、この三省が主体となってこの問題をまとめていこうということで、私は非常に大きくこれに期待をいたしておりますし、既にこれに関する法案も提出されておるというふうに思います。  そこで、建設、自治、通産省にお願いをしたいんですが、建設省は町づくりという観点からこれに取り組んでいただいている。その際に、古い商店街の商店を振興するというようなことでなくて、思い切って区画整理をして緑地もふやす、公園もふやす、環境をよくする。それから、一番必要な駐車場、場合によっては地下駐車場をつくるというようなことをやるためには区画整理、それから都市再開発というような手法をとらなきゃいかぬと思っております。これに対する建設大臣の所感。  それから、こういう問題はもう国がああせいこうせいと言うんじゃなくて、地元の市町村が主体となって、場合によっては政府に相談をする。主体はあくまでも市町村だというようなことになりますと財政負担も市町村が大きくなる、こういうようなことになりますので、地方財政上、この中心市街地再活性化問題について自治省のお考えを伺いたい。  それから最後に、これは市町村もさることながら、地元の商店街、民間というものが主体となって、商工会とか商工会議所なんというところが主体となってやらなきゃいかぬ。民間事業者を誘導して活力を引き出すことが重要だ、こういうふうに言われておりますが、民間事業者がこういうものに参画した場合に何か魅力といいますかメリットがないといかぬ。優遇措置とかそういうものについてどのようなものがあるのか、通産大臣にお伺いをしたい。  この三省、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

瓦力自由民主党建設大臣

○国務大臣(瓦力君) 先生御指摘の中心市街地、まさに危機的な状況でございまして、町の活性化を図る、そのことにつきましては十一省庁、また通産、自治、認識は一でございまして、協力し合いながら町づくりに私どもも前面に出て仕事をしなきゃならぬ、こういうことで取り組んでおるわけでございます。  今、私に対します先生からの御質問でございますが、いわゆる面的な面で言いますと、建設省は、低未利用地の集約であるとか街区の再編を行う必要がありますので、土地区画整理事業の換地手法を活用した土地の入れかえなどがございます。これらのことが極めて有効に働きますので、私どもも積極的に取り組まなければならない、関係省庁の取りまとめ役といたしまして中心市街地の活性化に向けて最大限支援してまいりたい、こう思っておるわけであります。主体は何といいましても自治体、住む人たちの意欲にかかわってくる問題でありますが、一体になって進めたい、こう存じております。

上杉光弘自由民主党

○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  中心市街地の活性化は全国を通じた重要な課題でございまして、自治省といたしましても関係省庁と連携をとりまして法案を提出いたしておるところでございます。  また、十年度の地方財政計画の中でも、御審議いただいております予算として措置いたしたところでございますが、私は自治大臣になりまして幾つかのプロジェクトチームの設置を指示いたしました。特に地方における中心市街地の活性化についてのプロジェクトチームを置きまして、予算編成までに間に合うようにその政策的な方向等をそこで研究、検討いたしてきたところでございます。  結果といたしまして、中心市街地の活性化のための基本計画の策定や人材育成等のソフト的な事業に係ります経費、これは普通交付税で措置いたしましたが、平成十年度は四百五十億のソフト事業関係を予算的に方向づけをいたしました。  また、地方単独事業として実施いたします街路や駐車場の整備あるいはイベント広場や産業振興のための施設整備等のハード事業につきましては、中心市街地再活性化特別対策事業を創設いたしまして、これに五百億円程度対応いたしたところでございます。  また、自治省におりますといろんな相談を受けますが、空洞化したり空き地がありますと、これを逆手にとりまして、都市計画事業等で、例えば大きな市でございますと、そこに国の出先を全部集めて総合事務所をつくるとか、都市計画事業の目玉としてむしろ逆手にとったそういう展開等もあるようでございまして、私はこれらの事業等も十分効果的なものではないか、こう思います。  いずれにいたしましても、初めての試みでございますから、これらの事業等を活用いただきまして、地方団体におきましてはそれぞれ個性を生かし、あるいは伝統的な文化等を十分踏まえた総合的な町づくりが進むことを心から期待し、またその点に対する我々の取り組みも全面的に支援をしていかなければならない、このように考えております。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。  委員御指摘のとおり、中心市街地活性化の問題につきましては、国や自治体はもちろんでありますが、それのみならず地方の民間事業者の積極的な参加によって初めて成果を上げることができるというふうに思っております。このために、今回の市街地活性化におきましても、民間事業者が出資する第三セクターあるいは商店街組合、こういうものによる施設の整備に支援をする、あるいは新規開業の促進のための支援を行うというようなことを考えております。  通産省として、民間事業者を主体とした事業といたしましては、第一に商業者が利用する商業基盤施設の整備、こういうものに応援をする、あるいはタウンマネジメントという一つの機関をつくりまして、そこで空き店舗を活用した新規事業者の開業の促進、こういうものの支援をいたします。あるいは消費者ニーズに即応する都市型の新事業の展開を促進する施設、こういうようなものを実施する場合には、補助、融資、課税の特例、こういうものを講じることにいたしておりまして、民間事業者が参加しやすくする取り組みをいたしているわけでございます。  例えば、特別償却制度を設けて民間事業者が設備を行う場合の特別償却を行う、あるいは日本開発銀行による低利の融資を行う、あるいは中小企業公庫による二・一%のこれまた低利融資の実施など、そういうような問題にすべて取り組みまして、そして個々の事業者が行う商業施設の整備だとか、空き店舗の取得あるいは関連設備投資について支援措置を行ってまいりたいと考えております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 時間がもうなくなってまいりました。  総理、大変申しわけありませんでした。総理に税制の問題で御質問をしようと思ってお願いしておったんですが、時間がありませんのでこれで終わります。  一つだけ、法人税を今度の税制で相当下げていただきましたけれども、まだ実効税率四六・三六、これをアメリカ並みの四一に下げる、非常に強い要求もございますが、国際競争力をつけるためにも必要だと思います。この点についてだけ一つお答え願いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私の方からも一点だけ、先ほど来のやりとりの中で感想を申し述べたいことがございます。  先ほどの公共事業費の関連の御議論の中で、維持管理費の削減というものがその後においてどう影響するかという議論を私は非常に関心を持って聞きました。と申しますのは、日米の自動車協議の際に事故の発生率を、同時にその中における整備不良が原因の事故の発生率を私は日本側の議論のベースにいたしたことがありますが、その際に事故の発生率、死亡率、我が国に比べて、おっという感じでその数字を見ました。それだけに、先ほどの公共事業費の数字とその後の事故の計数、これは一度だれかに調べさせてみたいと思っておりまして、大変おもしろい視点をちょうだいできたと思います。  それから、法人税、確かに法人課税についてその水準を国際水準に近づけていくことが重要であるというのは御指摘のとおりであります。そして、今回の改正内容はもう既に議員が御承知のとおりでありますが、これから先どうするかということになりますと、当面、法人事業税における外形標準課税の問題がございます。この検討が法人課税の実効税率の議論にもつながる、こうしたことも念頭に置きながら引き続き検討させていただきたい、そのように考えております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 ありがとうございました。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。中曽根弘文君。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 自由民主党の中曽根弘文でございます。  私は教育問題、青少年問題、また高齢社会の問題等について質問をいたしたいと思います。  本題に入ります前に、ロシアのチェルノムイルジン首相が解任されたとの報道があるようでございますが、総理は承知されておられますか。総理にお聞きいたします。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今お尋ねをいただきました第一報は、しばらく前に入ってまいりました。そして、その時点ではチェルノムイルジン首相だけのような話でありましたが、今の時点で、その後幾つかの変化がありました中、一番最後に参りましたもの、これをその文章のとおり読み上げさせていただきますと、二十三日、エリツィン大統領はロシア政府の総辞職を決定したところ、インタファクス通信の報道概要以下のとおりということであります。  エリツィン大統領は憲法第八十三条及び第百十七条に従い以下を決定した。一つ、ロシア連邦政府を総辞職させる。二つ、連邦閣僚は新政府ができるまで職務を継続する。三つ、エリツィン大統領が臨時に首相職を兼ねると。そしてなお、ネムツォフ第一副首相が、エリツィン大統領の決定に関するコメントは避けながら、後刻、大統領と会談をするということを述べておられる。これは大統領と新政府においての話し合い、地位に関する話し合いが排除されないということを述べたというのが一番新しい報道であります。そして、今情報を集めさせておりますけれども、最新のものがただいま御報告をした内容であります。  この結果、当然ながらロシアの政府は今のメンバーとはかわる、あるいは重複しつつも全体において変化する内閣ができるのでありましょうけれども、私は、日ロ関係は少なくとも日本側からこの今の流れを変えるつもりはない、あくまでもクラスノヤルスク合意に基づく前進を図る意思には変わりないことを先ほど来外務大臣と話し合っておりました。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 大変な事態が発生したわけでありますけれども、総理には日ロ交渉等、またしっかりやっていただきたいとお願いを申し上げます。  それでは本題に入らせていただきますけれども、昨年、神戸で少年によります連続児童殺傷事件が発生いたしましてからほぼ一年が経過しようとしております。この事件が日本の社会に与えた衝撃というのは大変大きなものがありました。また、それ以降も、特にことしに入りましてから刃物を使った少年による殺傷事件が多発をしております。このような不幸な事態、不幸な事件の再発防止と青少年の健全な育成、これが今我が国の最大の課題の一つであろう、私はそういうふうに思っております。  総理も教育改革を六大改革の一つに掲げられまして、大変積極的に取り組んでこられました。総理も御卒業になられました慶応義塾の創立者の福沢諭吉は「教育とは人を教え育つるという義にして、人の子は、生れながら物事を知る者に非ず。先きにこの世に生れて身に覚えある者が、その覚えたることを二代目の者に伝え、二代目は三代目に授けて、人間の世界の有様を次第次第に良き方に進めんとする趣意」であると言っておりますし、さらに「政治は人の肉体を制するものにして、教育はその心を養うものなり」とも言っております。  総理は、家庭教育がすべての教育の出発点であり、親の果たす役割が極めて重大であるとも述べておられました。三つ子の魂百までと言われるとおり、家庭におきましては親が子に、子がまた孫に、人として社会生活を送る上での基本的なルールをしっかりとしつけていくことが最も重要でないかと私も思っておるところでございます。  核家族化や少子化が進む中で、家庭教育の機能は低下の一途をたどってきておりまして、その結果、学校に対して本来家庭が果たすべき役割まで求めるようになってきておることは反省しなければならないと思います。今の子供たちの姿が二十年後、三十年後の日本の姿となる、そういうことを考えますと、家庭や学校やまた地域社会、そして行政、それぞれが教育問題に今真剣に取り組まなければならないと思います。  青少年の犯罪はまるで流行ででもあるかのように今続発しておりますけれども、もはや現在の教育はがけっ縁に立たされていると言っても過言ではないと思います。ここで、二十一世紀を見据えた、しっかりとした教育理念をつくり上げて、それに基づいて教育システム全般の改革を行っていくことが重要であると思いますが、総理の教育改革の理念と方針についてお考えをお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変かた苦しくなく申し上げたいと思うテーマでありながら、どうしてもかたくなることを多少お許しいただきたいと思うものであります。  今起きている事象の中から、要するに大人たちが子供たちにきちんと伝えていくべきもの、そういうものから議員の問いかけは始まりました。そして、当然、私たちは子供たちに対して生命を尊重する心あるいは思いやり、倫理観とか正義感、私はこうしたものが全部ひっくるまって豊かな人間性というものは生まれるという言葉になるんだと思います。  その豊かな人間性をどうやったらはぐくめるかということと同時に、形式的な平等性をどうやったら脱却できるだろう、そしてそれぞれの子供さんたちがみずからの個性を伸ばしながら自分で本当にテーマを決めそれを追っかけられる、そうした創造性あるいはチャレンジ精神というものを重視できる教育がどうやったらできるのだろう、そんな思いに駆られております。  先ほども私はちょっと触れましたけれども、私の子供たち、一番下の子を除きましては小学校は全部地域の郷土の学校、公立の学校におりました。中学、高校もほとんどの子供たちはそうであります。私自身は私学育ちでありますけれども、逆に自分の子供たちの育ち方を見ていて、地域における義務教育というものはなかなかよいものを持っている、ここでなぜ問題が起きるんだろうという思いをよくいたしました。そうすると、やっぱりそこに家庭というものと、地域社会が自分の子供以外の子供にどう触れていくかという問題を避けて通ることができないと思います。  そして、そんな思いの中で文部省の諸君も今、家庭、地域社会、学校が力を結集した心の教育の充実ということを言うようになりました。これは当然のことながら責任も大きくなるわけでありますけれども、現場の自主性を尊重した学校づくりということも地方教育システムの中で論ぜられるようになりました。この場合、当然ながらその学校という中には父母の協力がなければうまくいくものではございません。ですから、自主性を持った教育現場をと言うからには、それに父母も共同して責任が負えるような仕組みがどうすればつくれるかということを我々は考えていかなければならないと思います。  また、何といいましても子供たちの悩みを本当に受けとめられる先生方をどうやって我々は確保していくのか、このテーマも捨てることはできません。  申し上げたいことは多々ありますが、そのような思いを持って教育改革ということを言い始めたということだけはぜひおわかりをいただきたいと思うのであります。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 ありがとうございました。  それでは、具体的な問題について質問してまいりたいと思いますけれども、最初に道徳教育についてお尋ねをいたします。  今の教育現場を見ていますと、即刻解決しなければならない問題点が数多くあります。例えば、子供たちの心を育てる上で中心となるのは道徳の時間でありますけれども、学校の道徳教育の実施の状況は必ずしも十分なものではないようであります。  道徳教育の実施状況と学習指導要領での道徳の学習指導計画がどうなっているのか、文部大臣にお尋ねいたします。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 道徳教育の現在の姿をどう考えるかというお尋ねでございます。  よく知徳体と言われておりますが、この徳の部分であります。私は基本はこれも家庭による部分が実は相当大きいんだと思っておりまして、徳にかかわるものをすべて学校教育にというのには若干無理があったと思っておりますが、さはさりながら、集団生活の中で学ぶこと、あるいは親以外の大人としての先生から学ぶこと、いろいろあろうと思います。  そのような意味で、戦後、昭和三十三年ごろからですか、道徳教育を導入してやってきているわけでありますが、率直に言って量、質ともにいささか不十分である、こう私は認識をしております。年間三十五時間という目標はあるのでありますが、実態はそれにやや未達でありますし、内容の面も、ややもすると徳目を表面的に字面を追っておりまして、いまいち心にすっと入るような教え方の工夫も足りないし、あるいは実体験とかボランティアの経験とかそういった工夫もいささか足りないといったようなことから、今全体として見た場合に余りいい成果を率直に言って上げ得ていない。  もちろんこれには、道徳教育の時間をつくるときに、戦前の修身の復活である等々の批判がいろいろな方々からありまして、一部教職員組合からもありまして、そんなことがこの道徳の時間の十分な活用といいましょうか、うまく使われてこなかった一つの原因にもなっているのかな、こう思っております。  指導要領のことにつきましては、政府委員の方からお答えさせます。

辻村哲夫文部省初等中等教育局長

○政府委員(辻村哲夫君) 道徳教育につきまして、学習指導要領では全体計画と年間指導計画を作成するということになってございます。  全体計画は、それぞれの学校の道徳教育の基本方針を示しますとともに、ただいま大臣から御説明がございました、週一時間の道徳の時間の位置づけを明確にする、そして全体としての道徳教育計画を明確にする、これが内容でございます。それに基づきまして年間の指導計画というものを作成するというふうになってございます。道徳の時間におきます具体的な活動内容、これを計画的、発展的に行うわけでございますけれども、その具体的な内容を明示する、これが年間指導計画の内容でございまして、この両々相まちまして道徳教育を展開する、このように学習指導要領でなっております。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 学校の現場におきましては、学習指導要領に、道徳の指導計画については「固定的なものと考えず、必要に応じて計画に弾力性をもたせるものとする。」と書いてある一節を都合のよいように勝手に解釈しまして、道徳の時間を他の授業や体育祭や音楽会の練習や、あるいは教科名を道徳から人権と変えている学校もありましたけれども、また、教職員団体が反対していることから、道徳の授業が完全に形骸化しているところもあると聞いております。  お尋ねいたしますけれども、先ほど大臣も年間三十五時間が未達だとおっしゃいましたけれども、どれぐらいの学校が達成をしていないんでしょうか、あるいはどれぐらいの学校が達成しているんでしょうか。

辻村哲夫文部省初等中等教育局長

○政府委員(辻村哲夫君) 三十五時間でございますけれども、小学校につきましては、三十五時間実施しております学校が五六・五%でございます。中学校は二七・三%でございまして、全体の平均をいたしますと、小学校は三十五時間のところ三十三・三時間、中学校は二十九・三時間、これが現状でございます。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 ただいまの御答弁で、小学校の約四割、中学校の約七割で完全実施されていない、逆にそういうことになります。文部省はこうした道徳教育の現状をどのように考えておられますでしょうか。

辻村哲夫文部省初等中等教育局長

○政府委員(辻村哲夫君) 文部省といたしましても、三十五時間を確保するということは当然のことであるという前提に立ちまして指導をしております。  悉皆をやるというのは随時でございますけれども、悉皆調査を行いました場合には、その結果を踏まえまして、各都道府県教育委員会等を通しまして強くその趣旨の徹底を図っているところでございますし、また指導部課長会議等その他さまざまな場がございますが、そういう場におきましても道徳教育の重要性をるる説明しその趣旨の徹底を期している、そういう努力をしているところでございます。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 道徳の時間の完全実施のためには、先ほど私が申し上げましたように、指導計画について「固定的なものと考えず、必要に応じて計画に弾力性をもたせるものとする。」と、こういう一節がありますから、勝手に解釈といいますか、いいように解釈をして道徳の時間以外の科目をやっているんではないかと思います。この一節を削除したらいかがかと思いますが。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 指導要領のあり方につきましては、今新しい指導要領を教育課程審議会のもとで検討しておりまして、どのように表現をするか、今の委員の御趣旨も踏まえながらと思っておりますが、弾力的にという意味はその中身のことでありまして、時間数のことまでどうぞ適当にということではないことは委員の御指摘のあったとおりでございます。  実は平成五年の調査を受けて平成六年に通達を出しておるんですが、その通達の結果が今どうなっているかということをきっちり追いかけていないものですから、新年度早々にも調査をやりまして、本当にどこまでしっかりとこの三十五時間が現在実施をされているかとか、あるいは有効利用が本当にされているのかどうだろうか、その辺の実態についてはもう一度最新時点での調査をして、調査を通じての周知徹底を図ってまいりたい、かように考えております。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 調査中ということでございますけれども、新しい指導要領をつくる場合には誤解を生じるような文言は削除していただいて、はっきりとわかるように指導計画をつくっていただきたい、そういうふうに思います。  それから、現在、道徳の時間に使用する教科書はどうなっていますでしょうか。文部省、お願いします。

辻村哲夫文部省初等中等教育局長

○政府委員(辻村哲夫君) 道徳の時間につきましては、市販の副読本あるいは教育委員会等が作成いたします教材を使用して行われているところでございます。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 文部省の調査によりますと、道徳の時間が楽しい、または非常に興味や関心を持っていると答えた子供は、小学校低学年で八四%、小学校の中学年では六七%という高い率に達しております。文部省が決めたきちんとした教科書のようなものがないのは私は問題ではないか、そういうふうに思っております。  そこで、道徳教育を充実させるためには、今副読本のお話がありましたけれども、これにつきましても生徒に配付しているところと配付していないところがあるようでありますし、都道府県によってその内容もまちまちのようでありますので、副読本などに頼るのではなくて、やはりもっと子供たちの心に響く教材をつくるべきであると考えますが、文部大臣の御見解をお願いいたします。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 三十三年に道徳という科目ではなくて領域が新たに設定をされました。そのとき相当強い御批判もありまして、これは戦前の修身の復活ではなかろうかとかいろいろありました。そのときに、また修身の教科書をつくるのかといったような御議論もあった結果、教科書という形はとるまいということもあって、結果的には副読本というような姿に当時の政治状況からしてならざるを得なかったということは間違いなくあったようであります。  では、今日の状況でどうかというと、この種の教科書をつくるというのが果たしてうまくできるのかなという、率直にそんな感じもいたします。教科書も一つの方法かもしれませんが、もっと多様な教材が今検討され、開発され、ビデオをつくったり、あるいは実際に生きた人の話、例えばオリンピックのメダリストの話を聞くとか、そういう教え方、あるいはその地域の、立派な先輩がいるでしょうから、そういう人の話を聞いたりとか、ただ決まった教科書を読んでそれで何か徳目を暗記するということではないわけでありますから、そういう方法じゃなくて、多様な教え方、多様な学び方、あるいはさっきちょっと申し上げましたようなみずから介護のボランティアの体験をするとか、老人ホームに行っていろいろなお年寄りと接する、あるいは子供たちと接する、そんなような形がいいのではなかろうかと私は思っております。  ただ、委員の御指摘でもございますので、教科書の必要性をも含めてさらに検討をさせていただきたい、こう思っております。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 確かに道徳はほかの科目みたいな教科ではないんですね。ですから、教科書はつくれないんだろうと思いますけれども、やはり持っている子と持っていない子、たとえこれが副読本にいたしましても、そういう差がある。家庭に帰って自分で道徳の本を読みたい、道徳の本と言うとあれですが、そういう子供もおられるかもしれません。ですから、教科書が無理ならば、例えば道徳読本とか、そういうようなもので最低限の子供として習得しておいてほしいようなものを記したものをつくられたらいかがか、そういうふうに思います。  現在の道徳教育につきましての総理の御所見をお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) そういえば、たしか私が大学の三年のときです。その道徳というのが復活しそうだということで、私のころには大分はね上がった学生運動もございましたので、そういう諸君が騒いでおりまして、何で教えちゃいけないんだいといって大変やり合いになった時代でございました。  その上で、今振り返ってお話を伺いながら、そういえば本当に子供たちの授業の中で道徳という教科書はなかったな、だけれどもその意味ではどの子も先生に恵まれたんだな、私の郷里の町の公立の小学校、中学校はなかなかよかったな、率直に今そんな思いを持ちながら、同時に果たして教科書という形で活字にして本当に人を打つものができるだろうかと。  しかし、例えば先般行われましたパラリンピックの、何の気なしにスイッチをつけられた方々は恐らくあの真剣な競技というものにはみんな心を打たれたんじゃないでしょうか。あるいは、私は長野は大変いいことをされたと思うのは、冬季オリンピックに参加される一つの国に小学校、中学校それぞれ一国一校運動、一校一国運動でしたか、言い方は忘れましたが、その国のことをよく勉強して親しむということをやられた。  先日、ニュージーランドの首相御夫妻が見えましたときに、官邸で行いました晩さん会に、ニュージーランドの選手を担当した、またニュージーランドの歴史を担当した小学校と中学校の校長先生に来ていただきましたが、その交歓の写真なんかを見ましても、これが本当の教育というものじゃないのかな、そんなほのぼのとした思いでこれを私は眺めました。  私は、先ほど町村文部大臣の方から、教材というものの質の変化というものを受けて研究してみますという話がありました中にはこうした映像を利用したもの等も含まれているといいな、そしてむしろ作り物ではない、あの選手たちのみずからの記録に挑戦する姿、その一つだけでもすばらしい教材になるのではないかな、それにしても授業の時間をとってくれないんじゃどうにもならないので時間はきちんととってもらいたいな、そのような思いで拝聴しておりました。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 道徳の教育というのはいろいろな形で行われるでしょうから、教科書だけではありませんので幅広くやられたらいいと思いますが、よりどころとなる教科書があればと、そういうふうに思いました。  また、都道府県によって子供さんに副読本が行っているところとないところがあるわけですから、そういう意味では、たとえ副読本でも児童生徒が持てるように私は各教育委員会にお願いをしたい、そういうふうに思います。  ただいまパラリンピックの話がありましたけれども、さきの長野オリンピックでは私は各国の選手たちの活躍に大変な感動を覚えました。健闘した選手の皆さんの努力と栄誉に改めて敬意を表したい、たたえたいと思いますが、ただ一つ残念に思いましたのは、外国人選手が自国のみならず他国の国旗や国歌に対しても礼を尽くしている姿勢に比べて、我が国の選手の姿の中にそういうものが十分に感じられなかったことであります。それは選手個人の問題というよりも、学校教育において国旗・国歌を初めとする国際儀礼をきちんと教えてこなかったことに原因、責任があるものと思います。  学校における国旗・国歌の指導はどのようになっているのか、また具体的には何年生のどの科目でどういうふうに教えるのか、学習指導要領における取り扱いについて御説明をお願いいたします。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 現行の指導要領では、小学校、中学校の社会科において国旗・国歌の意義とかそれを尊重する態度を育てるということを決めてございまして、特に小学校四年では、我が国や諸外国には国旗があることの理解、それを尊重する態度の育成、さらに小学校六年生で同様に、我が国の国旗・国歌の意義の理解、我が国及び諸外国の国旗・国歌を尊重する態度の育成ということになっております。同様に音楽の時間では、国歌君が代は各学年を通じて指導するということになってございます。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 国旗についてはわかりましたけれども、国歌君が代につきましては音楽の時間で指導するということでありますが、君が代を知らない、歌えない子供が大勢いるわけであります。何年生の音楽で指導するんでしょうか。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 小学校一年から六年まですべての段階でございます。すべての段階の教科書に入っております。  では何で知らない子がいるんだという御指摘があります。私の子供たちも札幌の公立の学校に通っておりました。四年、五年、六年と公立の学校にいたのでありますが、六年の終わりに娘たちが知らないことに気がつきました。どうしたんだと言ったら、先生がこれは覚えなくてもいいのよと言って飛ばしたと言うんですね。これは明らかに問題であろう、私はこう思っております。  指導要領上は明確になっておりますし、さらに国歌君が代、そして国旗は入学式や卒業式、そうした場において、その意義を踏まえて国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導すると明記されております。その現実の実施状況というのは都道府県によってばらつきがありますが、これを始めた平成二年ごろと比べると大分改善はされてきております。平成七年の春で小学校の国旗掲揚率は九八%、国歌斉唱率八八%、これは卒業式ですね。入学式の方では国旗掲揚率九八%、国歌斉唱率八六%というぐあいで、従前よりはかなりの改善はしているという実情にはございますが、地域により相当ばらつきがあるのも委員御承知のとおりでございまして、私どもとしてはしっかりとした教育委員会を通じての指導に努めてまいりたいと思っております。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 大臣のお子さんも教わっていなかったということですから、私は大変大きな問題だと思います。現実に歌えない子供がいるということは、学習指導要領を遵守しない先生方がおられる、あるいは学校がある、そういうことだと思いますし、きちんと教えていないということになります。  日本の国民が日本の国歌を歌えないということは私は恥ずべきことだと思いますし、大変大きな問題ではないか、そういうふうに思います。ぜひ国歌君が代につきましては、全生徒が歌えるようになりますように指導をよろしくお願い申し上げます。  ところで、二〇〇二年にはサッカーのワールドカップが開催されますけれども、これを日本と共催するお隣の韓国では、小学校一年の教科書で、国旗に敬礼しましょう、真っすぐに立って左胸に右手を置いて国旗に注目しますなどと国旗に対する敬意の払い方などの国際常識をきちんと教えていると聞いています。  我が国も世界が注視するワールドカップで選手が恥ずかしい思いをしないように、また外国に対して礼を失しないようにしなくてはなりません。自分の国の国旗・国歌を尊重することのできない者が外国の国旗・国歌に対して敬意を払うという国際マナーを持てるはずはないと思います。  教育改革プログラムにおきましては、文部大臣による教育長の任命、承認の廃止など、県の教育委員会、学校現場の主体性を大幅に認める方向で改革を進めているようです。私は自主性を尊重するということはいい方向だと思いまして賛成をいたしますけれども、県によっては教職員組合などが国旗・国歌に対して否定的な見解を有することから、学習指導要領どおりに生徒に対しての指導を行っていないところがあります。  学習指導要領を明らかに無視、違反した教育を教育委員会や学校が行った場合には文部省は今後どのように対応するおつもりですか、文部大臣、よろしくお願いします。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 先日、ワールドカップ・サッカーの予選のときに、韓国との試合が国立競技場でありました。どんなふうにやるのかなと思って実は心配しておりましたけれども、日本の著名な歌手が歌いましたら、その辺でわあわあ騒いでいて上半身裸で一生懸命走り回っているというか、踊っているように私には見えましたが、サポーターの人たちがぱんとみんな居ずまいを正して一斉に君が代を歌い始めました。私はむしろその姿に感銘を覚えましたし、ぜひこれから二〇〇二年に向けてそういったことがいろいろな機会に実行されたらいいなと思っております。  今、委員お尋ねの指導要領などを逸脱した場合、文部省はどうするのかという御指摘でございます。  これは文部省の役割というのは教育において一体何なのかという大きな問いかけでもあるわけでありますけれども、要するに大きな教育の枠組みでありますとか、あるいは指導内容の、どういうところまで勉強してもらったらいいかというような基準の設定といったこと、あるいは学校一クラスは何人ぐらいがいいか、そういう大きなフレームワークを決めるのが文部省の役割で、個々の都道府県、市町村、そして学校現場にできるだけ自主性を持たせていこうというのが今の方針、考え方であります。しかし、さはさりながら必要な法令に基づきまして必要に応じて指導、助言をやるというのが現在の姿でありますし、これからも指導、助言というものは私はあっていいと思います。  ただ、かつてのように文部省がはしの上げ下げまでといったような批判もございました。私は、大きな意味で教職員団体のそれまでのいささか不正常であった姿も今は正常化しつつある。これも県によって相当差があるのでありますが、全体として見たときにはかなり正常化しているという状況を踏まえたときに、生き生きとした教育が学校現場で行えるためには、先ほど総理もお答えになられましたように、校長先生の責任においてそれぞれの学校の中で一番いいと思う教育をできるだけやってもらう。ただ、基準は基準としてしっかりと国が定めるという中で工夫をしてもらうということがこれからの教育の中では極めて大切だろう、こう思っております。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 自主性を尊重するということは先ほども申し上げましたように大事なことだと思いますけれども、日本人としてどうしても身につけていなければならないことはやはり文部省もきちっと指導をしていただきたいと思います。  国際人の育成ということについての総理の御所見を伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私も、オリンピックの表彰台に日の丸がかかるとき、また国歌が演奏されるとき、本当にすばらしい思いを皆受けるだろう、受けてくれているだろう、そしてその感動がふだんのものになってほしいと心から願います。その上で、私は、本当に国際人、先ほど一国一校運動ですか、一校一国運動ですかの話に触れましたのは、これも一つの国際人というものを育てていく試みだ、そのような思いでこれを見ていたからです。  議員が先ほど来指摘をしておられるように、どこの国においても国歌・国旗に対する姿勢というものは当然の礼儀として求められるものです。そうした基礎的な要件、これは教育の中できちんと教えてもらわなければなりませんが、国旗と国歌に対する礼だけを持てば国際人が育つわけではありません。私は、その意味では基礎的に、どこの国に行こうが、お互いが守らなければならない礼儀を身につけた上でより多くの人々がより多くの国際社会の中で活躍できるようなマナーを育てていってもらったらありがたい、そう思います。  なお、先ほど議員に道徳の教科書をつくるのは難しいんじゃないですかと申し上げていたんですが、本当に要るのは型にはまった教科書ではなくて、道徳の授業をする上での手引ではないでしょうか。むしろ、それぞれのふるさとにおいてその地域の歴史等をも踏まえながら話していけるような、いわばその組み立て方のような手引がいいんじゃないかなとさっきからずっと考えておりました。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 手引のようなものでももちろん結構だと思いますけれども、子供が家に持って帰って、持ち歩いて、そして好きなときに読める、そういうものも大事なのではないかと思います。  次に、歴史教育についてちょっとお伺いをしたいと思いますけれども、文部大臣は歴史教育の重要性についてどのようにお考えでしょうか。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) もとより、それぞれの国の歴史、文化、そうしたものを大切にするという気持ちがなければなりませんし、当然また日本人としての自覚とか誇りというものが必要であることは歴史教育の大きな目的であろう、こう思っております。特に、先ほど来委員御指摘の国際化というものが現実に急速なスピードで進んでおりますが、そういう中であればあるほど、むしろそれぞれの自分の国の歴史を正しく理解し、また同時に外国の歴史、外国の動きというものもしっかりと理解をするということが真の国際人としての要件ではなかろうか、こう思っておりまして、そういう意味で歴史教育の重要性というのは今後ますます高まるであろう、こう理解をいたしております。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 教育課程審議会では歴史教育の内容の改善について検討されているというふうに伺いましたけれども、どのように検討しているのでしょうか。

辻村哲夫文部省初等中等教育局長

○政府委員(辻村哲夫君) 現在、教育課程審議会では次の教育課程の基準の検討を行っております。  その中で歴史教育でございますが、小学校につきましては、国家、社会の発展に大きな働きをした先人の業績あるいはすぐれた文化遺産に関心と理解を持たせ、人物を中心に歴史に親しませる学習を展開すると。それから、中学校におきましては、中学校は通史の学習をするわけでございますけれども、歴史の各時代の特色と移り変わりを理解させつつ、今日までの先人の努力等、あるいは我が国の文化、伝統の特色といったものを広い視野に立って学習させる、こういうことが重要であるというような議論が行われているところでございまして、こうしたこれまでの歴史教育の経験を踏まえながら、そして我が国の歴史に対する理解と愛情を深める、こういった視点等に立ちまして今検討が行われているところでございます。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 ということは、検討が終わりましたらば、どういうふうに扱うのかよくわかりませんけれども、学習指導要領を改訂して教科書にそういう趣旨を適切に反映するようにする、そういうことでございますか。文部大臣、お願いします。

町村信孝自由民主党文部大臣

○国務大臣(町村信孝君) 御指摘のとおりでございます。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 歴史教育の改善を図るためには教科書の充実が重要と考えます。教科書に写真とか記述とか挿絵とかいろいろ載っておりますけれども、事実と違うようなものも随分あるようでございます。時折、識者やマスコミに指摘されて内容を変更することもあるようでありますけれども、内容の正確さを把握しないで教科書に載せるということは私は教科書の信頼性を著しく低下させるというふうに思います。そのためには、歴史についての記述の正確さだけではなくて、写真とか挿絵とかあるいは証言とか、そういうものにつきましての正確さを求める一つの基準、検定基準が必要ではないかと思いますが、御答弁をお願いいたします。

辻村哲夫文部省初等中等教育局長

○政府委員(辻村哲夫君) すべての教科書に共通でございますけれども、教科書の内容が公正かつ正確であるということは絶対必要なことでございます。そのために、教科書の検定に当たりましては、専門家から成ります教科用図書検定調査審議会におきまして、客観的な学問的成果あるいは適切な資料等に照らして審議が行われ、それに基づいて検定が行われ、その誤りあるいは不正確がないような努力がされているところでございます。  今、先生具体の御指摘の写真とかあるいは挿絵の点でございますけれども、この点につきましては、検定申請に当たりまして出典の一覧の提出を求めているところでございます。そして、検定基準におきましても、引用、掲載された教材や資料については必要に応じて出典、年次など学習上必要な事項が記載されていること、あるいはまた著作物、資料などを引用する場合には評価の定まったものや信頼度の高いものを用いること等の規定がございまして、写真や挿絵などにつきましても、こうした基準に基づきまして教科用図書検定調査審議会において厳格適正な審議が行われているところでございまして、誤りのない、不正確なところのない教科書づくりにこれからも努力をしてまいりたいというふうに思います。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 では、現在、写真とか挿絵とかそういうものについてきちっと検定しているということですね。その割にはそういう写真とか挿絵とかで事実と違うものが随分あるようですので、検定はきちっとやっていただきたい、そういうふうにお願い申し上げます。  時間なので、私の本日の質問をこれで終わりにさせていただきます。

岩崎純三自由民主党

○委員長(岩崎純三君) 残余の質疑は明日に譲ることといたします。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗