本会議 第29号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/05/22
会議録
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。 日程第一 国務大臣の報告に関する件(第二十四回主要国首脳会議出席等に関する報告について) 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。橋本内閣総理大臣。 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 十五日から十七日まで英国バーミンガムで開催された第二十四回主要国首脳会議について御報告いたします。 昨年のデンバー・サミット以降に発生したアジアの通貨・金融危機は、本年のサミットにおいて焦点の一つとなりました。特に、先日来大きな展開を示しているインドネシア情勢に関しては、当然ながらサミットで活発に議論されましたが、その結果、我々は人命の損失を深く懸念し、当局と市民の双方に暴力の高まりを回避するよう呼びかけるとともに、経済改革プログラムの履行を完全に支持し、さらに、インドネシア当局に対し必要な改革の迅速な実施を呼びかける声明を発出いたしました。 なお、インドネシアでは、昨日スハルト大統領が辞任し、ハビビ副大統領が新大統領に就任いたしました。我が国としては、インドネシアの民生の安定と経済の回復が一日も早く実現することを願っており、インドネシア国民の改革努力に対し引き続き支援を惜しまない考えであります。 アジアの経済情勢に関する議論の場で、私は、総額四百二十億ドルに上る我が国の支援策につき紹介するとともに、G8諸国として引き続き精神・物質両面で危機克服努力への支援を継続すること、アジア経済危機を契機として保護主義が台頭しないよう警鐘を発すること、また、良好なファンダメンタルズを持つアジア諸国経済は、苦渋に満ちた調整期を経つつも、やがて必ず力強く復活するであろうと国際社会が信ずることが、今日最も重要である旨強調いたしました。これらの点は、国際資本移動のモニタリング等、国際金融システムの強化に関する私の主張とともに、各国首脳の賛同を得、一連の文書の発出に反映できたことは幸いでありました。 また、世界経済の現状に関する討議の中で私は、我が国の現下の経済運営につき、第一に、景気回復に向けた減税と社会資本整備による内需の拡大、第二に、不良債権問題の本格的な処理と金融システムの強化、第三に、構造改革の実行という三つの柱につき説明し、その早期実施に向け必要な補正予算や減税法案を既に国会に提出していることを述べました。こうした我が国の総合経済対策は主要国首脳より強い歓迎を受けましたが、このことは、必ずや日本経済に対する内外の信頼を高める結果となるものと確信しております。 グローバルな経済問題としては、アジア経済のほか、貿易、開発、環境、エネルギーが取り上げられ、私からは、第二回アフリカ開発会議への協力要請、国際寄生虫対策、京都議定書の実現に向けた取り組みの継続と途上国の自主的参加慫慂の重要性等に言及いたしました。 ブレア首相が特に重点を置かれた雇用については、深刻なアジアの失業問題に言及しつつ、神戸会議が提起した活力ある雇用社会の実現や新規産業の育成等の重要性を指摘し、国際組織犯罪については、特に薬物、なかんずく覚せい剤対策の重要性等を指摘しながら、国内、国際両面にわたる取り組みを強化していく決意をしました。 インドの核実験について、私より、インドに対しては一連の核実験を非難し、新規円借款の停止を含む強い措置をとり、同時にパキスタンに対しては最大限の自制を呼びかけるとの我が国の立場を説明し、G8としてのメッセージが強くかつ明確なものになるよう主張しました。 また、今次サミットの機会に、米国、ロシア、英国、ドイツ及びイタリアと二国間の首脳会談を行い、共通の関心事項につき有意義な意見交換を行いました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。須藤良太郎君。 〔須藤良太郎君登壇、拍手〕
○須藤良太郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま橋本総理より御報告がありましたバーミンガム・サミットを中心に質問いたします。 まず、インドネシア情勢についてであります。 スハルト大統領が辞任し、混乱が収拾に向かいつつあることにひとまず安堵しておるところでございます。これも、インドネシア国内の改革努力とともに、サミット諸国が一致して政治改革を強く求めた結果でありますが、スハルト大統領といえば、ASEANの盟主とも言うべき存在であり、その辞任はこの地域に極めて大きな影響を及ぼすものであります。橋本総理は、スハルト大統領の辞任、それがもたらす影響についてどのようにお考えか、まずお尋ねをいたします。 インドネシアは、今後ハビビ新大統領のもとで国民が期待する民主化と経済の立て直しを順調に進めることができるかどうか、その動向が極めて注目されるところであります。 我が国としては、今後の推移を見きわめつつ、混乱で事実上中断している融資事業の再開や、経済支援の強化などを通じて、インドネシア国民の改革努力を支援していくことがぜひ必要であります。今後の対応について総理の御意見を承ります。 これに関連して、私は、今回政府がインドネシア在留邦人の保護についてとった措置は極めて適切であったと思います。このことを多といたしますが、依然一部に混乱要因が残っていることからいたしますと、今後の治安の回復状況を十分見きわめつつ、今後とも安全に一層の配慮を期待するものであります。 なお、今国会に提出されている自衛隊艦船による在外邦人救出を可能とする自衛隊法改正案が、まだ成立していなかったことはまことに残念であります。今日の厳しい国際情勢の中で、各国に多数の邦人が活躍、滞在している現状からして、この改正法案の一日も早い成立を願うものであります。 さて、今回のサミットは、ブレア首相の強い意向で、首脳が自由、率直かつ十分に意見交換できるよう、従来同時に行っていた閣僚会合と首脳会合を分離し、首脳会合の議題も、国際組織犯罪、世界経済問題及び雇用という、より今日的な三つの問題に絞って行われたと聞き及びます。これは、冷戦終結後、サミットの無力化、不要論が唱えられる中、サミット再生のための試みであると説明されております。 しかしながら、新聞報道によりますと、第二回首脳会議では、もう議題がないとのことで午後突然休憩となり、夕食までの間、首脳たちはサッカーのテレビ観戦などに当てたようであります。EUの通貨統合、米国の株式の高騰等、他にも緊要な問題がメジロ押しの中で、このようなことで世界じゅうに拍子抜けの印象を与えたのではないかと心配であります。総理は、今回のサミットの意義、成果をどのように受けとめられておられるのか、まず全体的な評価をお伺いいたします。 次に、インドの地下核実験であります。 サミット声明は、核実験を非難し、インドがNPT、CTBT等に参加するよう要請する一方、パキスタンには最大限の自制を呼びかけました。しかし、その作成過程では、インドに対する制裁に積極的な日、米、カナダと、消極的な英、仏、ロシアの意見が対立し、非難声明は全会一致で採択されたものの、それ以上の具体的な制裁措置を打ち出すことはできなかったのであります。各国の異なる思惑と利害の結果でありますが、インドは意見不一致をよいことに核実験正当化の姿勢を示し、パキスタンも対抗措置としての核実験実施に傾いているようであります。 これでは、サミット宣言で幾ら国際的な核不拡散体制を支援するための協力関係を継続し、強化すると言ってみても、空念仏に過ぎず、その実効性が問われかねないわけであります。サミット諸国が一致して、国際秩序への重大な挑戦である核実験は、あらゆる意味で実施した国の不利益となることを明確に示す厳しい具体的意思表明を送ることがどうしてできなかったのか、総理にお伺いいたしたいと思います。 核実験の強行に対して、我が国はいち早くインドに対する制裁を発表し、無償資金協力と円借款の停止等の措置をとったのでありますが、インドへの制裁効果を総理はどう見ておられるのか、お伺いいたしたいと思います。 インドの地下核実験に伴って、今後最も憂慮されることは、パキスタンの出方であり、南アジア地域の緊張が一層高まることであります。そうした事態を回避するためにも、パキスタンが核実験をしないよう最大限の自制を求めるだけでなく、国際社会が明確な意思を表明し、具体的な行動をとる必要があると思います。既に政府は首相特使を派遣するなどしておりますが、さきに本院が行ったインドの地下核実験に抗議する決議が明確にしておりますように、この地域における緊張の緩和と信頼醸成措置の構築に努めることが必要かつ不可欠であります。こうした点につきまして、今後、インド、パキスタンの両国に対し、どのような措置を講じていくことが有効であるとお考えか、総理の率直な御意見を伺います。 今日の事態は、他の核保有疑惑国がインドに追随し、その結果、さらなる核の拡散を助長することが危惧されるのであります。我が国としては、この機会に、唯一の被爆国である立場を踏まえ、核兵器の究極的な廃絶を目指して、冷戦終結後の世界における新たな、真に有効な核管理体制の構築に主導的な役割を果たすべきであると思うのであります。総理の御決意をお聞かせいただきたいと思います。 次に、サミットにおける日ロ、日英首脳会談についてお尋ねいたします。 川奈会談における橋本総理の国境線画定提案に対する正式回答は先送りされたわけでありますが、我が国が期待する回答が得られるようにするには、今後、我が国にはより綿密な分析と慎重な対応が求められます。総理の対処方針をお伺いいたします。 日英会談では、天皇、皇后両陛下の英国御訪問が話題となりました。明二十三日より、天皇、皇后両陛下におかれましては、ポルトガルにお立ち寄りの後、英国とデンマークを公式に御訪問される予定でありますが、二週間の長期にわたる御訪問でもあり、何より御健康で、日本とそれぞれの訪問国との間の友好関係が増進され、御訪問が大きな成功をおさめられるよう、政府としても万全を期すべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。 次に、今回のサミットでの焦点でありましたアジアの経済問題について、日本の関与のあり方を含めてお尋ねいたします。 まず、アジア各国に対しては、市場開放の推進、保護主義への警鐘などの強い決意が表明されました。 さらに、今回、総理は、経済・金融危機の再発防止に向けて、資本移動の監視、IMFの強化等の問題を中心に国際金融システム強化の緊急性を強く訴えられ、各国の賛同を得られたと聞き及んでおります。総理は、インドネシアの今回の事態等を踏まえ、国際的支援体制の新たなあり方についてどのような認識をお持ちなのか、伺いたいと思います。 最後に、アジア経済にも大きな影響力を持つ国内の経済対策についてお伺いいたします。 今回の総合経済対策がサミットにおいて高く評価されたことは大変喜ばしいことであります。この期待にこたえ、内外の信頼を得るためには、財革法の改正案を初め、減税法案、補正予算案等が一日も早く成立し、それを実行に移すことが必要であります。 また、サミットで強い要請があった金融機関の不良債権の処理も重要な政策テーマであります。自由民主党は臨時不動産関係権利調整委員会の設置や、民間事業者による債権回収等を内容としたトータルプランを示し、これを受けて、政府も総合戦略を打ち出しております。これにより不良債権の実質的償却が進み、さらに公的資金三十兆円を活用することによって、傷んだ金融システムに完治の道筋がつけられるものと期待しております。 アジア経済の先輩格である日本は、不良債権処理、経済構造改革を進めることに全力を挙げ、アジア経済にも大きく貢献することを肝に銘じて取り組まねばならないと思います。 今後の経済政策について御決意を総理にお伺いするとともに、まさに難題山積の中で、総理の持ち前の不屈な闘志と強い指導力を存分に発揮されることを心から期待して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 須藤議員にお答えを申し上げます。 まず、スハルト大統領の辞任が地域に与える影響についてという御質問をいただきました。 インドネシア憲法にのっとり新大統領が最小限の混乱の状況の中で誕生いたしましたこと、これは私どもにとってもある意味でほっとする部分でございます。しかし、なおさまざまな課題が残っております。東南アジアの重要国でありますインドネシアが、早急に政治的、社会的混乱を克服し、経済の回復や民生の安定を実現していくことがこの地域全体にとって極めて重要なことであり、我が国としては注意深く見守るとともに、引き続き協力をしてまいりたいと考えております。 また、サミットの閣僚会合あるいは首脳会合の分離を含めた、今回のサミットの再生の試みという説明に対しての御質問がありました。 私は、今回のサミットは、首脳だけで親密な雰囲気の中で会合をし、予定されましたアジア経済等の少数の課題に焦点を絞って集中することができたこと、また、ロシアが新たに参加しておりましたことは、インドの核実験等に対する論議の場合にも極めて有益な部分であったと考えております。 同時に、時間があいたという御指摘をいただきましたが、確かにそういう時間がございました。そして、日本としては、その時間をイタリアとの首脳会談に当てて、予定をしておりませんでした首脳会談が一つできた、そのような活用がありましたことも御報告を申し上げます。 また、インドの核実験に関するサミットでの声明についてお尋ねをいただきました。 各国の考え方に相違があったことは事実でありますが、議員がくくられました形とイギリスの立場は私はちょっと異なっておったように思います。その上で、インドの核実験を非難し、インドが国際世界の大勢に従って無条件にNPT及びCTBTに加入することを求め、同時に、パキスタンに対し最大限の自制を保つよう要請すること等を内容とするメッセージを一致し、明確かつ成功裏に発することができたという点は、私は評価されてよいと思っております。 次に、インドに対する無償資金協力及び円借款の停止等の制裁措置の効果というお尋ねをいただきました。 今回の新規無償資金協力の原則的停止及び新規円借款の停止等を内容とする強い措置を打ち出したことは、我が国の断固たる意思をインドに伝え得たと考えております。 また、これに伴い南アジアに起きる緊張緩和と信頼醸成措置の構築について、どう考えていくのかという御指摘をいただきました。 パキスタンとインドは、独立以来カシミール地方の領有等をめぐり対立をしており、両国間の緊張緩和、これが南アジア地域の安定に極めて大切なものであることは御指摘のとおりであります。ARF等の組織もございますけれども、今回のインドによる核実験は地域の安定を脅かすものでありまして、我が国としてはパキスタンに核実験の実施につき最大限の自制を求めながら、両国間の対話を引き続き慫慂していく考えであります。 次に、核管理体制の見直しという点の御指摘をいただきました。 我が国としては、核兵器国による一層の核軍縮、NPT締約国のさらなる拡大、CTBTの早期発効、カットオフ条約の即時交渉開始と早期妥結等を通じ、核軍縮を推進し、また、国際的な核不拡散体制を着実に強化していくことが重要であると考え、そのために尽力をしてまいりたいと考えております。 カットオフ条約につきましては、交渉の早期開始のため、五月十一及び十二の両日、日本が主宰をし、ジュネーブで条約に関する専門家会合を開催いたしました。これにはインドも参加をいたしておりますことをあわせて御報告いたします。 次に、日ロ首脳会談についてお尋ねがございました。 今回の首脳会談でエリツィン大統領は、川奈会談で私が行いました提案について現在検討中であり、回答は秋の訪ロの際に行いたいと述べられました。私としても、いわゆる川奈合意に沿いまして、平和条約に関するクラスノヤルスクでの合意を実現すべく、今後とも精力的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、天皇、皇后両陛下の欧州御訪問の成功に向けて、政府として万全を期すべきとの御指摘をいただきました。 さきの日英首脳会談におきましても、私から、両陛下の御訪英が現在の日英両国の関係の豊かな協力、将来への展望にかんがみ、ぜひとも成功するようにブレア首相に協力を求めたところでございます。今後とも、両陛下の欧州御訪問が大きな成功をおさめられますよう、政府として万全を期してまいりたいと考えております。 次に、アジアの経済問題についての論議、また国際的支援体制の新たなあり方についてという御指摘をいただきました。 今回のサミットでは、私から、インドネシアのIMFプログラム履行のための努力を可能な限り支えていくべきこと、また、IMFを中心として支援を行ってきた国際社会はその姿勢を改めるべきではない、きちんとした支援を継続していくべきであるという旨を指摘し、各国の賛同を得ました。インドネシアが一日も早く社会の安定を取り戻し、経済の回復を実現するよう心から願っております。 我が国としては、今後とも関係各国や国際機関とも密接に連携しながら、インドネシア国民の改革努力など、アジア諸国の努力に対して最大限の支援を行ってまいりたいと考えております。 最後に、今後の経済政策について、アジア経済にも貢献することを肝に銘じて、その決意をというお問いかけをいただきました。 現時点におきましても、我が国はアジアからの輸入の実績において世界第二位の国でありますが、国民一人頭に直しますと、アメリカの一位をはるかに抜きまして日本は最大の輸入をしている国でございます。 今般、政府が行おうとしている総合経済対策、これは当面の景気の回復のための内需拡大と、景気回復の足かせとなっております不良債権問題の本質的な処理を目指しております。同時に、やり遂げようと強く決意をしております構造改革を見据え、それに沿う内容といたしました。今回の総合経済対策における社会資本整備や特別減税等、各般の施策が相まって、景気に効果的に作用するとともに、アジア経済の安定にも資する、そう考えております。 私の責任は、構造改革を推進しながら、一刻も早く景気回復を図ることにあると考えており、今後とも御協力を心から願う次第であります。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 前川忠夫君。 〔前川忠夫君登壇、拍手〕
○前川忠夫君 私は、先般行われたバーミンガム・サミットに出席された橋本総理大臣に対し、民主党・新緑風会を代表して質問を行います。 まず、多忙をきわめる日程の中、サミットに出席された橋本総理にお疲れさまでしたと申し上げたいと思います。 さて、このたびのサミットが、グローバルな経済が加速する二十一世紀を目前にして、近代産業革命ゆかりの地イギリス・バーミンガムで開催をされたことは象徴的なことだったと思います。 しかしながら、期待とは裏腹に、今回のサミット開催国イギリスのブレア首相の努力にもかかわらず、冷戦後の地球的な諸課題解決に向け、成果を上げ得たのかと問われたとき、残念ながらノーと言わざるを得ません。それは、サミット直前のインドネシアをめぐる情勢とインドのたび重なる核実験に示されるように、いわゆる首脳国サミットという枠組みが、これらグローバルな問題に果たして有効に対処できるのかという疑問であります。まず、この点について総理の見解をお伺いしたいと思います。 次に、世界経済における我が国の役割についてであります。 言うまでもなく今回のサミットは、世界経済に占める我が国の位置からして、低迷状態が続く経済の活性化を促すといういわゆるジャパン・プロブレムが焦点となっていました。しかし、幸か不幸か、インドの地下核実験、インドネシアの騒乱というアジアの危機により、橋本総理が矢面に立たされずに済んだのではないでしょうか。G7議長声明は、その中で、我々は先月発表された日本政府の大規模な経済政策パッケージ及びその実施に向けた進展を強く歓迎する。これは信認を回復し、長期に持続する内需主導の成長を達成するためであると述べています。 総理は、十七日の記者会見において、総合経済対策は大変に強い歓迎を受け、日本経済に対する内外の信頼を高めたと確信すると語っていますが、しかし、どうも自画自賛の感がしてなりません。 新聞報道によれば、サミット前の外相・蔵相会議において、ドイツのワイゲル蔵相やアメリカのサマーズ財務副長官から、日本の経済再生には税制改革が不可欠、あるいは不良債権の流通市場の創設や金融機関の隠ぺい体質一掃に向けた監督機関の強化が求められたと伝えられています。もしも伝えられているとおりならば、主要国が強い危惧の念を持って日本政府の対応を見詰めていることになります。 総理、自画自賛している余裕はないのではありませんか。サミットを踏まえた今後の決意をお聞かせ願いたいと思います。 そこで、総理がサミットで強い評価を受けたと言われる総合経済対策について幾つか質問をいたします。 まず、特別減税と公共事業を柱とした景気対策の性格と効果についてであります。特に、旧来型の公共事業では持続的な効果は期待できません。サミットの首脳宣言でも、健全なマクロ経済の枠組みの中で国内の経済的、社会的構造を近代化することが重要であることを認識すると述べています。 そこで、総理にお尋ねしますが、政府の総合経済対策はこの経済構造改革とどのような関係にあるのでしょうか、明快にお答えください。 民主党は、今求められているのは、一時的な特別減税ではなく、恒久減税であると主張しています。私たち民主党が提案している平成ニューディール計画は、六兆円の恒久減税と従来型の公共事業とは異なる未来への投資などを中心としたものであり、この実施によって景気回復を図るとともに構造改革を実現していくものであります。 橋本総理、こうした野党の主張に謙虚に耳をかし、旧来型の発想を思い切って転換し構造改革を進めることこそ、世界経済に果たす日本の役割だと考えるのですが、いかがですか。 次に、不良債権問題と金融システムの強化について伺います。 G7議長声明は、日本は不良債権問題を断固として解決することを含め、金融システムを強化する意思を説明するとともに、構造改革の促進の重要性を強調したとうたっています。 また、総理は十六日の同行記者団との懇談で、不良債権処理に本気で取り組む、これをやり遂げないと本当に信頼を取り戻すことができないと決意を述べられたそうですが、決意は決意として了としますが、しかし、バブルが崩壊し、不良債権問題が深刻化してからどれだけの期間が過ぎているとお考えですか。本気で取り組むというのは、これまでは本気ではなかったということでしょうか。 また、金融システムの強化について、これまでもたびたび指摘をされているように、三十兆円の公的資金の投入によっても依然として貸し渋りは解消をしていません。今週の月曜日に参議院の経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会は地方における公聴会を開催し、私も参加をいたしました。この中でも、公的資金を投入した大手都市銀行の貸し渋りが依然として続いている実態が報告をされています。公的資金は預金者保護にのみ使われるべきですが、このような実態について総理はどのようなお考えを持っておられるのか、現状についてお聞かせをいただきたいと思います。 次に、雇用問題について伺います。 五月の月例経済報告は、雇用情勢について、既往最高になるなどさらに厳しさが増しているとしています。雇用問題は主要国共通の課題ですが、サミットを受け、どのような新たな対策をお考えでしょうか、お伺いをいたします。 さらに、環境問題についてお聞きをいたします。 八カ国首脳共同声明は、法的拘束力を有する目標を含む議定書の京都における採択は、温室効果ガスの排出を削減するための我々の努力における歴史的な転換点であると京都会議を高く評価しています。それだけに、ホスト国としての我が国の姿勢が問われています。今国会にも関連法案が提出をされていますが、十分とは思えません。今後の継続的な取り組みについて、総理にお伺いをいたします。 共同声明はまた、薬物及び国際犯罪について強い危機感を表明しています。我が国でも、薬物の被害が青少年をむしばみつつあり、また銃による犯罪も多発しています。これらの対策をどのようにされるのか、総理の決意を含めてお聞きしたいと思います。 続いて、今回のサミットの緊急課題となったインドネシア情勢とインドの核実験問題について質問をいたします。 サミットが特別声明でインドネシア当局と民衆の双方に自制を求め、同国の政治改革の必要性を訴えたことを私たち民主党は歓迎をいたします。インドネシアの暴動のきっかけは、IMFの構造調整プログラムに沿った燃料価格の引き上げ等が原因と言われていますが、その背景に、スハルト政権の長期化による政治構造のゆがみが民衆の怒りを呼んだことは間違いありません。にもかかわらず、新聞報道によれば、G8の冒頭で橋本総理は、スハルト大統領の去就について、かわりにだれがいるのかと問いかけたと言われていますが、その真意は何であったのか。昨日、大統領が辞意を表明した、この事実とあわせて、現時点における総理の感想を含めてお伺いをしたいと思います。 インドネシアのみならず、アジアの不安定、経済危機は、その国の問題にとどまらず、日本自身の問題でもあるという総理の認識は、私たちも共有しているつもりです。インドネシアの経済危機に対して、我が国の資金援助の実績を総理は強調されましたが、果たしてそれだけで十分なのでしょうか。日本が有効なアブソーバーとしての役割が求められており、そのためにも我が国経済の力強い回復が求められているのではないでしょうか。 IMFのあり方についてもお尋ねをいたします。 今危機に陥っているアジア諸国のファンダメンタルズは必ずしも悪くはなく、グローバルな国際的な資金の動きが危機の背景にあるとの内外のエコノミストの指摘が正しいとすると、硬直的なプログラムにこだわるIMF自身にも問題があると言えなくはないでしょうか。総理の見解をお伺いしたいと思います。 さて、サミットに照準を合わせたかのようにインドが地下核実験を行ったことは、核のない世界を目指す諸国民の悲願を無視するものであり、どのような理屈づけをされても断じて容認できるものではありません。遺憾ながら、サミットでは制裁措置の発動をめぐって一致せず、非難声明を発するにとどまりましたが、被爆国としての我が国は、ODAの全面的な見直しや大使の召還など毅然たる態度を示すべきではなかったでしょうか。同時に、隣国パキスタンに自重を促すさまざまな手だてを講ずるべきです。内閣外政審議官を派遣されたと報告をされていますが、今後の方針を含めてお聞かせいただきたいと思います。 また、インド、パキスタンの両国が核拡散防止条約と包括的核実験禁止条約へ加盟するよう働きかけるべきではありませんか。総理の所見をお聞かせください。 また、今度の事態は、現行の核不拡散体制が、保有国が核兵器を持ったまま非保有国に対して不拡散を求めるという、不平等性を持っていることをはしなくも示したものです。核保有国の核実験の永久停止と時間を定めた着実な核軍縮を進め、核廃絶を目指すためあらゆる努力を続けることが被爆国の務めだと考えますが、総理の見解と決意をお伺いいたします。 最後に、サミット終了後、ジュネーブにおいてWTOの第二回閣僚会議が開かれました。この会議は、二〇〇〇年における農業交渉の枠組みが焦点となる重要な会議だったと聞いていますが、農林水産大臣は国会日程を優先して出席をしなかったと聞いています。どのような会議の結果で終わったのか、このような重要な会議を欠席することについて、総理自身はどのようなお考えなのか、見解をお聞きし、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 前川議員にお答えを申し上げます。 まず、首脳国サミットという枠組みがグローバルな問題に有効に対応できるかどうか疑問であるという御指摘をいただきました。 しかし、私は、サミットは、その時々に世界が直面する重要な問題について意見交換、政策調整を行う場として有効な機能を今日までも果たしてきたと考えております。 さきに報告で述べましたとおり、今回のサミットにおきましても、インドネシア情勢あるいはインドの核実験といった焦眉の急の問題についてまず議論を行い、今後の国際社会の進むべき方向を示すことができる、そうした意味ではやはり意義は非常に大きいものだと考えております。 また、今後の経済運営に関する決意について御質問をいただきました。 先ほども御報告を申し上げたとおり、今回のサミットでは、三つの柱から成る経済運営の考え方と、その早期実施に向け必要な措置を講じていることを説明し、それに対して主要国の首脳から強い歓迎を受けたわけであります。これは、実行に向けた努力が始まったということに対する評価と相まち、これから先の経済構造改革を進め、一刻も早く景気を回復すべく適切な経済運営を進めていくということであり、自画自賛ということではなく、それだけの責任を負わなければならないということでありまして、ぜひ御協力を賜りたいと願う次第であります。 政府の総合経済対策と経済構造改革の関係についてというお尋ねをいただきました。 我が国の潜在的な力を発揮し、個人と企業が主役となる力強い経済を取り戻すためには、今後とも経済構造改革等のそれぞれの施策を進めていくことが不可欠であると考えております。今般の総合経済対策は、こうしたことを踏まえたこととなっております。 旧来型の発想を変え、構造改革を進めることが大切だという御指摘をいただきましたが、今般政府が行おうとしている総合経済対策は、当面の景気の回復のための内需拡大と、景気回復の足かせとなっている不良債権問題の本質的な処理を目指すものでありますとともに、やり遂げようと強く決意している構造改革を見据え、それに沿う内容となっております。私の責任は、これを推進しながら一刻も早く景気を回復させることにあると考えており、全力を尽くしていきたいと考えております。 また、不良債権問題と金融システムの強化についてのお尋ねがありました。 こうした課題については、これまでもさまざまな努力が払われ、また払ってまいりましたが、今回はそれをさらに進め、SEC基準並みのより強化された基準によるディスクロージャーや、不良債権処理の環境整備などを講ずることとしており、断固たる決意で本格的な処理に取り組んでまいります。 これと同時に、公的資金の活用、その他各種の施策を講じていくことにより、金融の資金供給の機能の強化を目指してまいります。 また、貸し渋りについてお尋ねがございました。 五月に行いました調査によりますと、民間金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなったとする企業の割合は低下しておりますが、その中で中小企業については低下幅が小さく、依然として高水準であります。貸し渋りの状況については、引き続き厳重に注視する必要があると考えております。 また、雇用情勢が厳しさを増す中での新たな対策というお尋ねをいただきました。 三月の完全失業率が過去最高の三・九%となるなど、厳しさが増しておる状況であります。このため、総合経済対策の実施により景気の回復を図るとともに、その一環である緊急雇用開発プログラムを実施することにより、国民の雇用不安を解消し、雇用の安定に努力してまいりたいと考えております。 また、八カ国共同声明での京都会議の評価、そして我が国の取り組みという御指摘をいただきました。 政府は、この地球温暖化問題に対し、関連法案を今国会提出することに加え、総合経済対策の中でも温暖化防止のための社会資本整備を加速するなど、着実に対策の具体化を図っておりますが、さらに、本年六月を目途に地球温暖化対策推進大綱を策定し、今後ともに具体的かつ実効ある対策を強力に進めてまいるとともに、国際的にも積極的な役割を果たしていきたいと考えております。 次に、薬物及び銃器対策についてお尋ねがありました。 薬物は、まさに第三次の覚せい剤乱用期とも言うべき時期になっており、銃器も暴力団抗争事件の増加の兆しなど、非常に厳しい状況にあります。薬物も銃器もそのほとんどが国際的な犯罪組織の関与のもとに我が国に密輸されたものであり、国内での取り締まりや啓発活動等の強化にあわせて、各国捜査機関との連携による供給ルートの遮断を徹底してまいりたい、そのように考えており、上杉国家公安委員長に、既に中国の関係当局首脳と協力の話し合いを始めていただいておるところであります。 また、スハルト大統領の去就についてのお尋ねがございました。 スハルト大統領は、三十年以上にわたりインドネシアの発展と国際的地位の向上のために大きな業績を残され、かつて石油危機のときに日本にも大きな支援を送っていただいた、また、ASEANの中でも非常に重きをなしたリーダーでありました。 G8においての私の発言についても御意見がありましたが、私としては、インドネシアの問題への対処というのは、大統領個人の問題ではなく、この国の経済の安定、世界経済への影響の問題、この地域の安定の問題であるという趣旨を述べたことであります。 我が国がインドネシアの経済危機に対し、資金援助の実績だけでいいのかという御指摘をいただきました。そしてそのためにも、我が国経済の力強い回復をということであります。 政府としては、御指摘のとおり、我が国の一日も早い景気回復がアジア経済の安定という観点からも重要であると考えております。今回の総合経済対策における各種の施策というものは、日本の景気に効果的に作用するとともに、アジア経済の安定にも資するものと考えておりますが、現時点におきましても、アジアからの輸入についてはアメリカに次いで日本が第二位でありますが、国民一人ずつとしてこれを計算しましたとき、日本は第一位であることを申し添えたいと存じます。 また、IMFは硬直的なプログラムにこだわっているのではないかという御指摘をいただきました。 IMFは、急激な資本流出というアジア通貨危機の特徴を踏まえたプログラムを作成するように努め、必要であれば調整を施してきております。我が国としても、インドネシアの例でも示されるとおり、IMFプログラムがアジア通貨危機の実情に即したものになるよう、今後とも努力してまいりたいと考えております。 次に、インドの核実験に対する対応についてお尋ねがございました。 我が国は既に、ODA大綱原則にかんがみ、我が国として、新規の無償資金協力の原則的停止及び新規円借款の停止等を内容とする強い措置を決定し、また、今後ともインドに対し、核実験及び核開発の即時停止とともに、NPT並びにCTBTの無条件での締結を粘り強く働きかけてまいります。 パキスタンにつきましては、インドに対抗してパキスタンが核実験を行うことがあってはならないという立場から、今般、登外政審議室長を私の個人的代理として派遣をし、最大限の自制を求めてきたところでありますが、引き続き各国とも協力しながら、さまざまな手段を講じ、パキスタンが核実験を行わないようあらゆる努力を傾注してまいりたいと考えております。 また、我が国の核軍縮等への取り組みについても御意見をいただきましたが、インド、パキスタン両国に対して、引き続きNPT及びCTBTの早期締結を粘り強く求めていくとともに、核保有国に対しても、米ロ間の戦略兵器削減条約の着実な実施等、一層の核軍縮を求めてまいります。我が国は、核廃絶のための措置は現実的かつ具体的であることが重要であると考え、今後ともそのような努力を積み重ねてまいります。 先ほども御報告を申し上げたことですが、例えば、カットオフ条約につきまして、交渉の早期開始のために、五月十一、十二日の両日、ジュネーブで条約に関する専門家会合を我が国は主宰をいたしましたが、これにはインドも参加をいたしておりました。こうした努力を積み重ねていくことが私は大事だと考えております。 次に、WTO閣僚会議についてお尋ねをいただきました。 今回の会議では、今後における広範な自由化交渉につき、第三回閣僚会議に向けて準備過程を開始していくこととされました。農業などの分野に関する既に合意されたスケジュールは尊重されることが確認されました。こうした重要な会議でありましたために、我が国からは、外務、農水、通産各省の政務次官が出席をいたしたところであります。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 風間昶君。 〔風間昶君登壇、拍手〕
○風間昶君 私は、公明を代表して、総理並びに関係閣僚に対して、ただいま議題となりましたバーミンガム・サミット帰朝報告について質問をいたします。 まず、インドネシア情勢。スハルト大統領がついに辞任をいたしました。一連の暴動による死者は五百名を上回り、在留外国人にも被害が拡大する中、国民の不満に加え政権内部からも辞任要求が吹き出して、圧力に抗し切れなくなったものであります。 当初、スハルト大統領は十九日に国民向け演説の中で、改革の前倒しを表明しつつも、改革の時期については明確な表明を避けており、ずるずると年内は政権の座に居座るつもりではないかとの観測も流れておりました。二十日に行われた学生集会においても、大統領続投に対する批判が集中しており、民主化勢力の指導者は改めて即時辞任を要求することを確認いたしました。 これを受けて、オルブライト米国務長官は、民主的移行を用意した政治家として名を残すべきとスハルト大統領の退任を期待する演説を行いました。一方、我が国は、流血の事態を回避してほしい、邦人保護にも万全を期してほしいと要請するのが精いっぱいだったのであります。政府は情勢を大きく読み誤ったのではないでしょうか。まず、この間の情報分析と情勢判断について、総理及び外務大臣に伺います。 政権が移譲されたとはいえ、ハビビ新大統領は前大統領の腹心中の腹心で、事実上スハルト・ファミリーの一員として利権ビジネスで大もうけをしていると言われている人物であります。スハルト大統領退陣で国民の不満が一時的に和らぐとはいえ、ファミリーによる経済支配が解消され、民生の安定が得られなければ混乱が収拾するとは考えられないのであります。事態はいまだ予断を許さない状況です。 インドネシアの民主的な政治経済改革のプロセスについて、我が日本政府はどのような情報と観測を持っているのか、また、事態の収拾に今後どう貢献していくのか、総理の御決意を伺います。 このような中、政府は民間機、自衛隊機を合わせて航空機による帰国体制について在留邦人の人数分を確保したようであり、その御努力には敬意を表します。 この間、艦艇の派遣も検討されたようでありますが、結局、海上保安庁の巡視艇の派遣で決着をし、十八日と二十日、それぞれ那覇港を出港したようであります。しかしながら、海路で那覇からインドネシア領海近辺までは約五日、最大の緊張が予想された二十日の学生集会へはどうやっても間に合わず、派遣艇は公海上で今回の政権移譲を迎えることになってしまったわけであります。我が国はまた時期を逸したとの批判を免れないのではないでしょうか。御所見を伺います。 あわせて、今回の派遣艇は、今後、引き続きインドネシア領海付近まで航海して待機するのかどうかを外務大臣にお伺いいたします。 ところで、巡視船を邦人救出に活用するかどうかに関しては、八三年三月、本院の運輸委員会で当時の海上保安庁長官による、直接当庁の任務ではないとの答弁が残っております。海上保安庁の巡視艇が邦人救出に活用される場合、委員会答弁との整合性はどうなるのか、運輸大臣にお伺いしたいと思います。 次に、インド核実験、パキスタンの件につきまして、総理がバーミンガムに旅立たれる直前、インドは二回にわたる核実験を強行いたしました。国際社会に対する大きな挑戦であり、これを許すことは断じてできません。しかしながら、サミットにおけるインドに対しての非難声明は率直に言って弱腰であり、到底評価できるものではありません。 そもそも、インドが包括的核実験禁止条約に参加しなかった時点で、このような事態もあり得るとの予測は十分にできたはずであります。この間、我が国を初めとするG8構成国が、国際社会のリーダーとしてインドに対してどのような説得を行ってきたのか、国民の前には全く明らかではありません。その上、制裁措置で一致できないばかりか、抗議声明の表現を非難にするのか遺憾にするのかさえ容易に議論がまとまりませんでした。国際社会が冷戦崩壊後の新たな脅威に迅速に対応する準備ができていないことを露呈するものであり、核兵器廃絶を願う世界民衆の期待を裏切る大失態だと言っても過言ではありません。 先日、インドに対する新規円借款の凍結が発表されましたが、制裁措置はこれで十分なんでしょうか。唯一の被爆国として、また、最大の援助国として、さらに強い態度で臨むことが我が国の責務であり、核兵器を保有していない国としての権利でもあります。 まず、総理に対し、今後インドに対してどのような追加措置をとるおつもりなのか、とらないのか、具体的な対応について伺います。また、アメリカが主張している国際協調のもとでの経済制裁や核拡散防止条約、包括的核実験禁止条約への無条件参加への筋道のつくり方について、総理御自身に展望とその決意があるのかをお伺いいたします。 憂慮すべきことに、パキスタンがインドに対抗して核実験を実施することを発表いたしました。パキスタンが核実験に踏み切れば、この地域の緊張が一気に高まります。総理は、早速特使を派遣されてパキスタン政府の説得に当たられております。しかしながら、軍に近いパキスタンのカーン外相は、核実験再開は時間の問題であるとの認識を重ねて強調する一方、中国を初めとする各国に特使を派遣しており、核実験を再開した場合に、制裁が最小限で済むようにあらかじめ根回しをかけているとの論評をする報道すら見受けられます。ミイラ取りがミイラになるおそれはないのか、我が国がどのような説得をしているのか、その内容を明らかにしていただきたいと存じます。 パキスタンに限らず、核兵器保有が懸念される国々では、包括的核実験禁止条約発効前に駆け込み実験を行うおそれがあります。この問題は、人類の生存そのものに対する脅威であり、発効前だから許されるとか、発効後だから許されないといった性質のものでは断じてないはずであります。 〔議長退席、副議長着席〕 先般、世界じゅうから寄せられた、核兵器を二〇〇〇年までに全廃してほしいという署名が、ジュネーブの国連欧州本部において核拡散防止条約再検討会議準備委員会に提出されました。冷戦は終結したのだから、核兵器の時代も終わりにしようというのが全人類の願いであり、核兵器の全廃に向けたふだんからの粘り強い対話が今ほど求められるときはありません。 先日、我が党の浜四津代表も質問させていただきましたが、カットオフ条約締結に向けた交渉に、インド、パキスタンにも参加するよう呼びかけることが必要ではないでしょうか。総理のふだんおっしゃっていらっしゃる平和外交戦略のまさに真価が問われる問題であると思いますが、総理の御決意をお伺いいたします。 さて、サミットにおきまして、総理はさらなる不良債権の処理と構造改革とを公約して帰ってこられました。特に、十六兆円の総合経済対策については強く歓迎すると、破格ともいうべき評価が寄せられています。あとは要は実行あるのみと存じます。 四月の倒産件数は、前年同月比二一%増の千七百四十一件となり、四月としては過去二番目の数字となっております。また、金融機関の貸し渋りが直接の原因と見られる倒産が二カ月連続で七十件を超えており、三月に期末の貸し渋り対策として、都銀など二十一行に公的資金約一兆八千億を投入したものの、銀行の慎重な融資姿勢は変わらず、護送船団方式による金融対策で貸し出しを下支えしようとしたものの、効果は薄かったことを証明した結果となりました。 総理に、これ以上の貸し渋りによる倒産を出さないよう、政府として緊急にさらに追加措置を講ずる用意があるのかないのか、総理の責任のある回答を求めます。 また、破綻した金融機関について、受け皿銀行を活用していくのか、体力のある銀行が吸収合併していくのか、与党内では議論が分かれているようであります。金融機関の不良債権の処理に当たっては、何にも増して情報の開示が必要であります。今までに破綻した金融機関で、不良債権額についてきちんと情報開示をしたところが一つとしてあったでしょうか。処理の方策もその都度、大蔵省主導で密室の協議により行われる。 総理は、このようなことで国際的な信頼が回復するとお考えでしょうか。総理は、情報開示制度の緊急整備についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 十九日、政府税調が所得税、法人税の抜本的改正に向けて本格審議に入りました。我々公明が主張してきた恒久減税の実施に向けた環境が整いつつあることについては、率直に評価をいたします。税調の慎重審議を見守るというのではなくて、総理が強い決意と指導力を発揮され、一日も早い実施が行われるよう念願いたします。あわせて、我々公明は、景気浮揚の観点から一人三万円、総計四兆円の商品券による特別戻し金を主張しており、また先ごろ、パソコンや自動車については取得のための取得減税を実施し、負担軽減を図ることを提言いたしております。 我が国の経済的安定がアジアの経済的安定につながることは明らかであります。そして、経済を軌道に乗せるためには景気浮揚が不可欠であります。後追い政策を弄して一歩一歩滅びに向かうのではなくて、その景気浮揚という最大課題を念頭に、総理はどのように税制改革に対処されるおつもりかを伺って、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 風間議員にお答えを申し上げます。 まず、インドネシア情勢についてのお尋ねがございました。 十九日のスハルト大統領声明が受け入れられず、二日後に辞任に至りましたのは、基本的にはその声明がスハルト辞任の延期策と受けとめられ、スハルト即時退陣を求める圧力が与野党勢力を問わず強まったためと思われます。 政府としては、従来から、邦人保護の側面だけではなく、インドネシアをめぐる情勢全般について、あらゆる角度から全力を挙げて情報の収集と分析に努めてまいりました。その上で必要な対応をとってきた次第であります。 インドネシアの今後のプロセスについてお尋ねがありました。 新大統領はインドネシア憲法の手続にのっとって選出をされております。そして、ハビビ新大統領は政治・経済改革を断行することを明言いたしておりますが、今後、副大統領を含む新内閣の顔ぶれがどのようなものになるか等、注意深く見守っていきたいと考えております。また、その必要があると思います。インドネシア国民の改革努力に関して、我が国としては引き続き支援を惜しまない考えであります。 次に、インドの核実験に対する対応についてのお尋ねがございました。 我が国は、米国を含む主要国と緊密に協議をいたしておりまして、今次サミットでは、インドの核実験を国際の平和と安全に悪影響を及ぼすものとして非難する明確なメッセージを打ち出しました。我が国としては、引き続きG8などの各国とも協議をしつつ、インドに対し核実験及び核兵器開発の即時中止とNPT、CTBTの無条件での締結を粘り強く主張し、そのための努力を払っていく考えであります。 パキスタンに対する説得についてお尋ねもございました。 登外政審議室長は、シャリフ首相ら要人に対して、インドの核実験は我が国として容認できず、新規円借款の停止を含む強い措置の実施を決定したこと、また、G8首脳からインドを強く非難する声明が発出されたことなどを説明いたし、その上で同国に対し、大局的見地から核実験を自制するよう強く要請をいたしました。 インド、パキスタンのカットオフ条約交渉参加の働きかけに対するお尋ねがございましたが、核兵器のない世界に向けた現実的かつ具体的な核軍縮措置であるこの条約に、両国が参加をすることは極めて重要であると考え、その交渉に入ることも議員御指摘のとおりの必要性を持っております。 この条約交渉の早期開始のために、五月十一及び十二日、ジュネーブで条約に関する専門家会合を主宰いたしましたが、インドはこれに参加をいたしました。しかし、パキスタンの参加は残念ながら得られませんでした。今後ともこうした努力を払ってまいります。 また、貸し渋りについてのお尋ねがございました。 先ほども他の議員にお答えを申し上げましたとおり、調査の結果としての中小企業の経営環境は極めて厳しいものがあると、そして政府としては、先般決定した総合経済対策につき、金融面での中小企業の支援対象範囲の拡大と新たな融資制度の創設等の対応策を盛り込み、それに伴う予算措置を補正予算案に計上したところであります。今後とも貸し渋り対策に万全を期してまいりたいと考えております。 また、金融機関の不良債権処理や情報開示についての御意見をいただきました。 金融機関の不良債権の開示につきましては、本年の三月期からSEC基準並みに強化された基準に基づくことになりますほか、来年三月期からは連結ベースでの開示を義務づけるなど、実態をより反映したものになると考えておりますが、今後とも破綻処理も含め、金融行政の遂行に関しまして一層の透明性と公正性の向上を図り、内外からの信頼確保に努めてまいります。 最後に、景気浮揚についての御党のお考えを述べられながらの税制改正にどう対応するかという御提言をいただきました。 今般の総合経済対策では、四兆円を上回る減税を行うこととしておりまして、社会資本の整備など、各般の施策と相まって、消費者や企業のマインドを高めて景気に効果的に作用するものと考えておりますが、個人所得課税につきましてはさまざまな課題について幅広く、きちんとした検討を行い、公正、透明で国民の意欲を引き出せるような制度改正を目指したいと考えております。 法人課税につきましては、今後三年のうちにできるだけ早く総合的な税率を国際的な水準並みにしたいと考えております。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) お尋ねの一点は、インドネシアの情勢について、政府としての情勢判断誤りなかったか、こういうことでございますが、ただいま総理からも御答弁いたしたとおりでございます。 ただ、政情の動きにつきましては、正直申し上げましていろいろと変化の多いことでございまして、そういった点につきまして不明な点はあったかもしれませんが、情報といたしましてはあらゆる手段を講じまして、我が国としてはその把握に努めてきておるところでございます。 また、外務省といたしましても、既に二十四時間体制をもちましてオペレーションセンターを開設いたしまして、あらゆる情報を懸命に収集いたし、誤りなきを今後とも期してまいりたいと思っております。 次に、海上保安庁の巡視船の派遣につきましては、緊急事態が発生した場合、邦人の安全な退避に万全を期すべく、私より運輸大臣に対し、巡視船を同国方面に出航させるよう依頼したものであり、状況に応じた適切な対応だと考えております。 今後、この巡視船をどのように待機させるかにつきましては、インドネシア情勢の動向を引き続き注意深く見守りながら判断いたしてまいりたいと思っております。 以上です。(拍手) 〔国務大臣藤井孝男君登壇、拍手〕
○国務大臣(藤井孝男君) 風間議員にお答え申し上げます。 海上保安庁の巡視船の派遣の時期についてのお尋ねでありますが、また、巡視船の今後の動向についてのお尋ねでありますが、ただいま小渕外務大臣が御答弁を申し上げたとおりでございます。 次に、昭和五十八年参議院運輸委員会での当時の海上保安庁長官の答弁と、今般の巡視船派遣の整合性についてでありますが、御指摘の答弁は、在外邦人の保護に関することは一義的には外務省の所掌事務であり、これに関する邦人の輸送は、その意味で海上保安庁の直接の本来の任務とは言えない旨を述べたものであります。 一方、外務省の協力要請を前提とし、外務省が行う邦人の保護に必要な輸送手段の一つとして、海上保安庁の巡視船を活用するといった観点から邦人の輸送を行うことは、海上保安庁の任務の範囲内であると考えております。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) 及川一夫君。 〔及川一夫君登壇、拍手〕
○及川一夫君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいまの橋本総理のサミット報告に関連して、主にアジア通貨危機、なかんずくインドネシア問題、我が国の不良債権処理策、日ロ、日中問題などについて御質問いたします。 橋本内閣が発足してから早くも二年四カ月たちました。社会民主党は、平成六年六月に発足した村山内閣以来、自民党、さきがけとともに与党を形成してまいりました。三党による与党体制は既に四年を経過したわけであります。 この四年を長いと見るか短いと見るか、村山、橋本と続いた自・社・さきがけ連立政権の成果をどう評価するか、このことは国民の皆さんが判断されるものであると考えますが、私は総括的に見て、自・社・さきがけ政権は、苦労は多かったが、よくやったではないかという気持ちでいっぱいでございます。いわゆる政策調整の現場では激しい議論もありました。三党の枠組みを崩さず今日まで与党を形成し続けられたのは、少なくとも一党が過半数を占めないという会議構成、そして徹底した民主的運営を図ったことが大きな要因だったと私は思っております。この原則を守りながら三党は、四年にわたって予算を成立させ、重要法案の改正、新規法律の成立を果たしてきたのであります。 総理は、当然のことながら、この自社さ与党体制を基盤として首班指名を受けられ、今回のサミットにも参加されたわけでありますが、サミット報告についてお聞きする前に、まず、総理がこの四年の三党協力をどのように受けとめ、総括しておられるか、率直な所見を承りたいと思います。 さて、幅広く言えばアジア経済問題、絞って言えばアジア諸国の通貨危機について質問をいたします。 通貨危機については、昨年初めから断続的に発生した各国の状況は一応鎮静しているかと思いますが、やはり急速なグローバリゼーションといいますか、資本移動の拡大がまだまだアジア的なシステムを残している各国の対応能力を上回ったと見るのが現実でありましょう。ありていに言えば、市場の自由、市場の開放を強調する余りに、血も涙もない欧米の投機筋がまだ脆弱性を残すアジア諸国を襲撃し、まんまと巨利を得るチャンスを与えてしまったとも言えるのではないでしょうか。 冷酷無比の投機筋にねらわれているという意味では、我が国、日本市場も例外ではありません。未成熟な資本市場を抱えている現実を直視しなければ、アジアには日本を含め再び通貨危機が起きないという保証はありません。 これらの課題について、サミットではどのような論議が交わされたのか、特にサミットの場で保護主義が台頭しないよう警鐘を発し、主張された理由は何か、できるだけ具体的に御説明をお願いいたします。 次に、インドネシア問題について伺います。 インドネシアの情勢は刻々と動いており、サミットが行われた時期とは情勢にも大きな変化があったことは否めません。その前提でお聞きしますが、スハルト体制に終止符が打たれ、新大統領が誕生したことについて、総理はスハルト大統領と親密な関係を保たれていただけに、率直な御見解をお聞かせください。 政権の指導者がだれになろうとも、インドネシアにとって最大の問題は、IMFによる経済改革の方針がインドネシア国民、特に弱者の生活を直撃する心配はないのか。この問題について日本はいかに対処しようとしているのか、支援策を含めて御所見を伺いたい。 次に、サミットでも大きな議題であったと思われますが、我が国の経済運営、とりわけ総理が公約された不良債権の抜本的処理策のあり方についてお尋ねをいたします。 私たち与党が、国民の厳しい批判の目があるにもかかわらず、預金の保証を万全なものとし、かつ、破綻銀行の処理を円滑に進めていくために、公的資金の投入も含めた金融システム安定化二法を本院において成立させたのは二月でありました。 これによって、破綻金融機関の処理を円滑に進めていくことを基本としながら、銀行等の体質強化も図り得る金融危機管理勘定の創設による公的資金投入の枠組みも用意されました。社民党などの主張を受け入れ、受け皿金融機関の自己資本比率回復策が大前提であることが鮮明になるとともに、重大な雇用不安につながりかねないといった国民的な心配に耐えられる発動基準も整備されました。 これに加える形で、サミットにおける総理の国際公約を受け、土地・債権流動化に向けた与党協議が本日の朝から行われることになりました。 しかし、仮に金融安定化二法で用意された三十兆円の公的資金枠を土地・債権流動化にも投入することが視野に入れられているとすれば、金融安定化二法が最大の目標とした預金者保護及び貸し渋り解消と、果たしてどのような直接的な関係を持ち得るのか、私自身は慎重にならざるを得ません。 確かに、日本経済の回復をおくらせている要因に不良資産問題があることは衆目の一致するところであります。したがって、金融機関の損切りを促すための総合的な施策を講じていくことは現下の最優先の政策課題になり得る重みを持ちます。政府・与党の経済対策においても、不良債権の担保を売却し資金を回収する実質的な処理等を強力に進める観点から、さまざまな施策が盛り込まれております。 また、この舞台装置が整い、その運用実績も見定めてから、初めて損失処理の引き当てや実質処理のために、債務超過に陥った銀行の自己資本充実策の一環としての公的資金投入が検討の対象となり得ると思いますが、橋本総理及び大蔵大臣の見解をお伺いいたします。 いずれにしても、市場の淘汰作用によって破綻せざるを得ない金融機関の延命にまで手をかす愚かさだけは避けなくてはなりません。公的資金の投入が、新たな護送船団方式の裏づけとなり、金融界に求められている新陳代謝さえも阻むことになっては、金融ビッグバンの荒波を乗り越えることなど夢のまた夢と言わざるを得ません。
○副議長(松尾官平君) 及川君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
○及川一夫君(続) はい。次に、日ロ関係についてお伺いいたします。 総理とロシアのエリツィン大統領の関係はリュウ・ボリスの間柄であると言われています。首脳同士がよい人間関係を築くことは喜ばしいことであります。しかし、国と国との関係は、ある意味では国益と国益のぶつかり合いであります。首脳同士の仲がよいから懸案がきれいに解決されるというものでもありません。 今回、正式の議題ではなかったようですが、エリツィン大統領から、次の日本におけるサミットの開催権をロシアに譲ってほしいとの申し出があったと報じられています。この申し出の真意は何かということをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 及川議員にお答えを申し上げます。 まず冒頭、四年間の自社さの三党協力についてのお尋ねがありました。 この間、あるときは大変な御苦労を、政策調整の場で御尽力を、さらにまとめ上げたときの喜びを現実に感じてこられた議員ならではの率直なお気持ちを伺いました。同じような思いであります。そして、三党によって選ばれた首班であるという気持ちを私はこれからも持ち続け、この関係を保ちたい、そう願っております。 次に、サミットにおけるアジア通貨危機に関する論議のお尋ねがございました。 私から、今後通貨危機を未然に防ぐための国際資本移動のモニタリング等、国際金融システムの強化を主張し、各国首脳の賛同を得ました。 保護主義の台頭への警鐘を鳴らしましたのは、大国の立場も小国の立場も、アジアの発展というものが国際的な貿易・投資の自由化の中で実現したものであること、そして力強い成長を回復させるためにも、多角的貿易体制というものを強化していくことが重要と考えたからであります。 次に、スハルト体制に終止符が打たれ、新大統領が誕生したことについての見解をお尋ねいただきました。 昨二十一日、スハルト大統領が辞任され、ハビビ副大統領が大統領に就任されました。流血の事態を招かず、憲法の規定に従って政権交代が実現したことは評価しておりますが、副大統領を含む新内閣の顔ぶれなど、今後の動向を注視しております。そして国民経済の回復と民生の安定が一日も早く実現することを期待しております。インドネシア国民の改革努力に対しては、引き続き支援を惜しみません。 インドネシアの経済改革につきましては、同国の実施しておりますIMFのプログラムは、三月中旬、与党三党政調会長の御同行をいただきながら、私がスハルト前大統領との会談等を通じ、社会的弱者に配慮すべく修正強化されたものであります。我が国としても、一刻も早く経済の回復と民生の安定が実現するように期待しており、必要な支援は惜しみません。 次に、我が国の不良債権処理についての御意見をちょうだいいたしました。 金融システム安定化二法に定められた公的資金につきましては、同法の枠組みに沿って金融システムの安定化のため有効に活用しなければならないと考えており、適切に対処してまいります。 いずれにいたしましても、政府は、ディスクロージャーの強化などとともに、先般の総合経済対策を着実に実施することなどにより、政府、与党一体となって不良債権問題の抜本的解決に取り組んでまいります。その際、議員から御指摘のありましたような不良債権の実質的な処理を進めるなど、バランスシートから落とすことが重要だと、そのように考えております。 最後に、二〇〇〇年のサミットの議長国に関する御質問をいただきました。 エリツィン大統領からは、日ロ首脳会談においてこの問題が提起をされました。そして、これは真剣に受けとめるけれども、開催地は順番に決められているので日本だけで決められるものではなく、G8で議論をする必要があると発言をし、その後G8に場を移したところであります。 この件につきましては、他のG8諸国の立場も考慮しながら、議長国を中心に慎重に検討をすることになると考えております。 この申し出の真意というものについては私もわかりませんし、また種々そんたくすることは避けたいと思います。いずれにいたしましても、今回の首脳会談を含め、日ロ間の関係改善のために今後とも努力をしてまいりたいと考えております。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
○国務大臣(松永光君) 及川議員の御質問にお答えいたします。 私に対しましても、不良債権処理に関してのお尋ねがございました。 総理から御答弁がございましたが、私から一言付言いたしますと、金融システム安定化二法に定められた公的資金の活用については、同法の枠組みに沿って適切に対処し、我が国金融システムの安定強化に努めてまいります。その際、法律の規定にもありますように、破綻せざるを得ない金融機関を延命させるようなことはいたしません。 以上でございます。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) 緒方靖夫君。 〔緒方靖夫君登壇、拍手〕
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、バーミンガム・サミットと日本の進路にかかわる重大な問題について質問いたします。 今回のサミットは、参加国首脳の成功という自画自賛にもかかわらず、世界の主要な報道機関も報じたように、G8の無力さを露呈しました。それはまず、世界平和にとって極めて危険で絶対に容認できないインドの核実験に対して、サミットが核軍拡競争をやめ、非核の平和をという諸国民の悲願にこたえる有効な対応ができなかったことであります。 核保有五カ国の核兵器独占を正当化する不合理な核不拡散、NPT体制を解決する道は、核兵器全面禁止を緊急課題として、世界政治がその方向でイニシアチブをとる以外にありません。これこそ新たな核保有という社会進歩への挑戦を抑え込む道理ある立場です。ところが、逆にサミットは、G8こそ核拡散防止のための努力の最前線にあると述べて、NPT体制への固執を宣言したのであります。 総理、サミット参加国の四カ国を中心とする核保有だけは正当で、それ以外の国の新たな核保有は不当だという差別条約をどう考えられているのですか。 唯一の被爆国である日本には、国際政治の場で最も切実な課題である核兵器廃絶そのものを提起する歴史的な責務があるはずです。にもかかわらず、その日本の総理としてサミットでなぜ核兵器廃絶を訴えられなかったのですか。明確な答弁を求めます。 次に、サミットではアジア各国の金融危機が重大な課題となり、共通してIMF体制の問題点が鋭く突きつけられました。ドイツのコール首相が、IMFが求めた経済的忍耐が今アジア国民をたたきのめしていると発言したことは、決して誇張とは言えません。国の予算から賃金、雇用、物価まで国内政治の方向を決めてしまうアメリカ主導のIMF超緊縮政策の押しつけは、各国で危機的な状況を招いております。 サミット宣言は、IMFとの合意の完全実施こそ安定の回復と強調していますが、IMF路線の強化を図るのか、それとも主権と国民の意思を尊重するのか、日本にとっても重要な問題です。総理、IMFが各国の内政の方向づけをするやり方は見直すべきではありませんか。 実際に、アジア各国に金融の自由化が押しつけられた結果、金融危機を深刻化させているではありませんか。現在、交渉大詰めと言われている多国間投資協定は、多国籍企業の発展途上国への投資の自由を保障し、先進国に圧倒的に優位な不平等条約であるとヨーロッパで大問題にされております。日本政府はこの協定をあくまで推進されるのですか。 インドネシアでは、国民の闘いの高揚の中で、昨日スハルト大統領が退陣に追い込まれ、緊迫した新しい政治局面を迎えています。去る十八日、政府は在留邦人の国外脱出を口実に自衛隊機を派遣しましたが、自衛隊機とは軍用機のことです。旧日本軍が占領した国に、日本の軍用機が乗り込むほど現地の国民感情を逆なでする無謀はありません。そもそも今回、軍用機を派遣した国は日本以外にあったのですか。 インドネシアでは国際空港すべてが正常に機能し、各国の民間機を受け入れているもとで、現地の邦人の間で、もっと早く民間機を、なぜ自衛隊機派遣なのかという声が上がったほどです。重大なのは、インドネシア政府が十八日、軍用機派遣は必要ないと不快感を表明したことです。現時点でも、インドネシア政府の自衛隊機受け入れ了解は得られていないのではありませんか。 事前了解なしに軍用機の派遣を行うことは、たとえ待機とか準備ではあっても、相手国の主権をないがしろにするに等しいものです。国の主権にかかわるこの重要な基本問題をどう考えているのか、総理の認識を伺います。もともと自衛隊機での救出の見通しは立っていなかったのではありませんか。 これら一連の事実は、在留邦人の安全を理由に、この機会に自衛隊機の海外出動の既成事実を一挙に進めるねらいがあったことを浮き彫りにしております。まさに、日米間の新ガイドラインの実績づくりにあるのではありませんか。米政権は、かねてからインドネシアへの新ガイドラインの適用を主張してきましたが、去る六日、ジョセフ・プルアー米太平洋司令官は米議会公聴会で、インドネシアを含めてアジア地域の安全保障には新ガイドラインが不可欠であると証言しています。インドネシアは、事態の進展によっては新ガイドラインの適用の対象になり得るのですか。 この春、米海軍の水陸両用強襲艦ベローウッドが、第七艦隊の旗艦ブルーリッジなどとともに沖縄から三千人の海兵隊員を乗せインドネシア沖に派遣されました。沖縄米軍基地で市街戦作戦の訓練を積んだ在日米特殊部隊の派遣であり、米軍は必要があれば再度派遣すると公言しております。米当局は、沖縄を発進基地として利用していると認めていますが、総理はこれを容認されているのですか。 インドネシアは、アメリカのアジア戦略上の要衝にあり、日本にとってもODAの最大の援助国です。スローコム米国防次官は、七日の米議会公聴会で、アジアの金融危機を地域の安全保障問題とみなして米軍が対応すべき第一の課題と強調しています。サミットでのクリントン米大統領との会談で一致したというインドネシアへの共同対処の内容には、新ガイドライン、安全保障上の共同も含むのですか、明確な答弁を求めます。 次に、日本問題についてであります。 総理はバーミンガムで、総合経済対策が強い歓迎を受け、日本経済に対する内外の信頼を高めたと胸を張られました。しかし、この発言を翌日の東京、ロンドン、ニューヨークの外国為替市場は、六年八カ月ぶりの円安水準で迎えました。日本の新聞も、十六兆円に対する各国の関心も低く、サミットで日本経済に対する世界の信頼を回復するという日本政府のシナリオは大きく狂った形だと論評しました。それなのに、総理、一体何をもって内外の信頼を高めたと言われるのですか。 さらに、総理は、不良債権処理を中心とした金融システムの強化と構造改革の促進を表明し、早速、政府・自民党は不良債権の処理を促進するための新機関を設置し、債権回収強化を図り、最終処理を急ごうとしています。これは、総理の国際公約ですか。 不良債権の処理を急速に推し進めると、償却財源が不十分な中小の金融機関の経営が急激に悪化し、破綻に追い込まれる金融機関が急増するおそれがあります。総理、あなたはサミットでのみずからのこの国際公約を看板に、不良債権の処理を口実に、一気に金融機関の再編を加速し、そのために総額三十兆円という公的資金の支出を具体化しようとしているのではありませんか。 国民は今、平和の問題でも、不況克服、経済再建の問題でも、自民党政治の転換を強く求めています。しかるに総理、あなたがやろうとしていることは、国民の願いに背を向けた政策ばかりではありませんか。二十一世紀を目前にして、日本がアジアと世界でどのような存在となるのか鋭く問われているとき、非核、平和、社会進歩、アジア諸国との真の友好こそ日本の進むべき道であることを強調して、質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 緒方議員にお答えを申し上げます。 まず、核兵器の保有についてお尋ねがございました。 NPT上、核兵器国は核軍縮のために誠実に交渉する義務を負っております。我が国は、核兵器のない世界を実現するには、御指摘の国々を含む核兵器国が積極的に核軍縮を推進するとともに、他の諸国への核不拡散に取り組むことが重要と考えており、このような考えのもとに、大多数の国が支持している核不拡散体制の堅持、強化に努力いたしております。 今次サミットにおける主張についてのお尋ねがございましたが、我が国のイニシアチブもあり、首脳声明においてG8が一致してインドの核実験を非難した上で、G8がNPT、CTBTを完全に遵守することを強調するとともに、インドに対し両条約への参加を求める強くかつ明確なメッセージを発しました。唯一の被爆国として核廃絶の意思を声明に反映できたと考えております。 次に、IMFのプログラムの完全履行を求めることは見直すべきであるという御指摘をいただきましたが、タイ及び韓国の例に見られるように、IMFと合意したプログラムを着実に実施することが市場の信認の回復に必要不可欠であると思いますが、同時に、IMFのプログラムも定期的に見直し、必要であれば修正し、各国の実情により即したものとする努力も重要だと考えております。 OECDにおける多数国間投資協定交渉についても御意見をいただきました。 経済の相互依存が高まる中において、投資に関する多数国間の規律を策定することは、今後の世界経済にとって極めて重要です。これまでも協定交渉の早期妥結に向けて積極的に交渉に参加してきましたが、今後ともその努力を継続していく考えであります。 次に、インドネシア問題につき、人命救助のために軍用機を派遣した国はあったのかというお尋ねがございました。 インドネシアに滞在している自国民輸送のために同国に軍用機を派遣した国は、これまでのところ、オランダとマレーシアの二カ国と承知をいたしております。なお、我が国の自衛隊機と同様、近隣国に軍用機を待機させている国はほかにもございます。 自衛隊機受け入れに関するインドネシア政府の了解についてお尋ねがございました。 シンガポールに移動させた自衛隊機は、緊急時に速やかにインドネシアから邦人等を輸送できるよう、その準備として移動させたものでありますが、現時点で、インドネシアへの自衛隊機派遣が必要な段階にあるとは考えておりません。いずれにせよ、インドネシア政府とは在留邦人の安全確保について密接に協議をいたしており、自衛隊機のシンガポールでの待機については、出発前に我が方在インドネシア大使よりインドネシア要路に対し説明し了解を得ております。さらに、実際にインドネシア国内に派遣することになれば、事前の同意を求めるのは当然のことであります。 また、インドネシアとガイドラインについてお尋ねがございましたが、今後インドネシアにおける情勢が変化した場合、それが指針に言う周辺事態に該当するかどうかについては仮定の問題であり、お答えをすることは控えます。 一般論として申し上げれば、ある事態が指針に言う周辺事態に該当するか否かは、その態様や規模等を総合的に判断し、日米両国ともそれぞれ主体的に判断をいたします。 また、在沖縄米海兵隊員のインドネシア沖派遣という御質問がありましたが、政府といたしましては、米軍の運用の一々について承知する立場にはございません。 なお、一般論として申し上げれば、米軍の部隊が極東以外の地域に赴き、またはかかる地域から帰投するいわゆる移動については日米安保条約上何ら制約は課せられておらず、事前協議の対象となる戦闘作戦行動のための施設・区域の使用でもございません。 日米首脳会談でのインドネシアについての議論についてもお尋ねがございました。 インドネシアにつきましては、指針や安全保障上の観点からの対応について協議をしたわけではなく、一日も早く平穏を取り戻し、政治経済改革が進んでいくことを希望し、今後の対応について日米がよく協議し連携しながら対応することが大事だということで意見の一致を見ました。 サミットにおける総合経済対策に対する各国の反応についての御質問がございましたが、各国の強い歓迎は、G7議長声明の、我々は先月発表された日本政府の大規模な経済政策パッケージ及びその実施に向けた進展を強く歓迎するとの記述に明らかに示されております。 また、不良債権問題についてお尋ねがございました。 我が国の経済がバブルの後遺症から抜け出し、力強い回復を進めていくためには不良債権問題の本格的な処理と金融システムの強化が必要です。こうした考えはサミットでも表明いたしましたが、これは我が国自身が断固として取り組まなければならない問題であり、国際公約か否かという問題では私はないと思います。 本日設置いたしました政府・与党金融再生トータルプラン推進協議会を中心にして、政府、与党一体となってさきの経済対策で盛り込んだ土地・債権流動化のためのさまざまな施策の具体的な推進を図るとともに、さらに金融システム再生のための実効ある施策に取り組んでまいります。 不良債権処理について、金融安定化二法に定められた公的資金の活用については、同法の枠組みに沿って対処してまいります。 政府としては、ディスクロージャーの強化などとともに、さきの総合経済対策を着実に実施することなどにより、政府、与党一体となって不良債権問題の抜本的解決に取り組んでまいります。(拍手)
○副議長(松尾官平君) これにて質疑は終了いたしました。 ─────・─────
○副議長(松尾官平君) 日程第二 国際民間航空条約の改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件 日程第三 国際民間航空条約の改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件 日程第四 サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件 日程第五 国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件 (いずれも衆議院送付) 以上四件を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。外交・防衛委員長及川順郎君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔及川順郎君登壇、拍手〕
○及川順郎君 ただいま議題となりました条約四件につきまして、外交・防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、国際民間航空条約第三条の二の改正議定書は、一九八三年の大韓航空機事件を踏まえ、同様の事件の再発を防止するため、国際法の原則である民間航空機に対する武器の不使用を条約上の義務として明文化するものであります。 次に、国際民間航空条約第八十三条の二の改正議定書は、航空機の国際的なリース等が行われる場合に、条約に基づく航空機登録国の一定の任務及び義務を、航空機の運航国に移転できるようにするものであります。 次に、サービス貿易一般協定の第五議定書は、金融サービス分野について、世界貿易機関の関係加盟国が、一層高いサービス貿易の自由化達成を目的として、最恵国待遇を基本としつつ、市場アクセスの自由化、内国民待遇の付与等を約束するものであります。 最後に、外国公務員に対する贈賄防止条約は、国際商取引に関連して行われる外国公務員に対する贈賄行為を、自国の法令のもとで犯罪とすること、同行為について一定の範囲内で裁判権を設定すること等について定めるものであります。 委員会におきましては、改正議定書の国会提出がおくれた理由、金融自由化が途上国に及ぼす影響、贈賄防止条約の発効見通しと贈賄事犯に対する刑罰規定のあり方等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の立木委員よりサービス貿易一般協定の第五議定書に反対する旨の意見が述べられました。 次いで、それぞれ採決の結果、国際民間航空条約の改正議定書二件及び外国公務員に対する贈賄防止条約は全会一致をもって、サービス貿易一般協定の第五議定書は多数をもって、いずれも承認すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) これより採決をいたします。 まず、国際民間航空条約の改正に関する千九百八十四年五月十日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件、国際民間航空条約の改正に関する千九百八十年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件及び国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。 三件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百八十 賛成 百八十 反対 〇 よって、三件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○副議長(松尾官平君) 次に、サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百八十 賛成 百六十八 反対 十二 よって、本件は承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○副議長(松尾官平君) 日程第六 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。経済・産業委員長吉村剛太郎君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔吉村剛太郎君登壇、拍手〕
○吉村剛太郎君 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、経済・産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、企業の負担軽減及び国際的整合性の確保等の観点から、より効率的で機動的な制度の運用を行うため、合併や株式所有報告等の事前届け出制度における対象企業の範囲の縮減を図るとともに、国外における合併等についても規制の対象とする等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、銀行法等の業法と独占禁止法との関係、公正取引委員会の合併審査における事務処理基準の透明化、国外での合併に対する審査、排除措置の実効性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山下委員より反対する旨の意見が述べられました。 次いで、採決に入り、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百八十一 賛成 百六十九 反対 十二 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○副議長(松尾官平君) 日程第七 都市計画法の一部を改正する法律案 日程第八 都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案 日程第九 国土利用計画法の一部を改正する法律案 (いずれも内閣提出、衆議院送付) 以上三案を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。国土・環境委員長関根則之君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔関根則之君登壇、拍手〕
○関根則之君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、国土・環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、都市計画法の一部を改正する法律案は、地域の実情に対応した市街地の整備の推進を図るため、特別用途地区の多様化及び臨港地区に関する都市計画の決定権限の見直しを行うとともに、市街化調整区域における良好な居住環境の維持及び形成を図るため、地区計画の策定対象地域及び開発許可の対象範囲の拡大を図ろうとするものであります。 次に、都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案は、市街地の再開発を促進するため、都市再開発方針の策定対象区域の拡大、特定事業参加者制度及び認定再開発事業制度の創設を図るとともに、臨時の措置といたしまして、一定の大都市における都市計画道路に係る都市開発資金貸付金の償還期間を延長しようとするものであります。 次に、国土利用計画法の一部を改正する法律案は、最近の地価動向等を踏まえ、土地取引規制を合理化し、土地取引の円滑化に資するため、全国にわたる大規模な土地取引についての事前の届け出に関する措置にかえて、土地取引後の届け出に関する措置を設けるとともに、地価が相当程度上昇している区域に限り大規模な土地取引について届け出を事前とする等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、三法律案を一括して議題とし、参考人からの意見聴取を行うとともに、商業調整における都市計画の役割、都市計画における地方分権の推進、今後の土地政策の課題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して緒方理事より三法律案に対し反対の意見が述べられました。 討論終局の後、順次採決の結果、三法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、都市計画法の一部を改正する法律案に対して、附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) これより三案を一括して採決いたします。 三案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百七十七 賛成 百六十五 反対 十二 よって、三案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○副議長(松尾官平君) 日程第一〇 種苗法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長松谷蒼一郎君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔松谷蒼一郎君登壇、拍手〕
○松谷蒼一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、植物の新品種の保護に関する新たな国際条約の締結に伴い、品種登録制度について、育成者権その他登録品種に関する権利を設定することにより新品種の育成者の権利を拡充するとともに、対象となる農林水産植物の範囲の拡大、品種登録の要件及び手続の整備等を行うため、現行種苗法の全部を改正しようとするものであります。 委員会におきましては、新品種育成の促進、審査体制の強化、農業者の行う自家増殖の取り扱い、品種登録制度と特許制度との関係等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百七十六 賛成 百七十六 反対 〇 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○副議長(松尾官平君) 日程第一一 研究交流促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。文教・科学委員長大島慶久君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔大島慶久君登壇、拍手〕
○大島慶久君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教・科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、科学技術に関する国の試験研究について国と国以外の者との間の交流を一層促進するため、国以外の者が国と共同して行う試験研究に係る施設の用に供する土地の使用について、当該土地の使用の対価を時価よりも低く定めることができることとするものであります。 委員会におきましては、国の機関と民間等との共同研究のあり方、産業振興政策と産学官連携の関係、国立大学等の敷地に民間が整備する研究施設の管理権等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して阿部委員より反対の意見が述べられ、続いて採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○副議長(松尾官平君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○副議長(松尾官平君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百七十八 賛成 百六十六 反対 十二 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○副議長(松尾官平君) これにて午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時九分休憩 ─────・───── 午後一時三十一分開議
○副議長(松尾官平君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 この際、日程に追加して、 中央省庁等改革基本法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松尾官平君) 御異議ないと認めます。小里国務大臣。 〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
○国務大臣(小里貞利君) 中央省庁等改革基本法案について、その趣旨を御説明申し上げます。 我が国の行政システムは、戦後、経済を効率的に発展させるという明確な目標のもとでは有効に機能してきましたが、近年、これまでと異なるさまざまな課題に直面し、限界を見せつつあります。我が国の将来を見据え、活力と自信にあふれた社会を創造するためには、戦後五十年を経て、もはや今の時代に合わなくなってきたこのシステムにとらわれることなく、二十一世紀型の行政システムへの転換を果断に行い、これを突破口として、自律的な個人を基礎とした、より自由かつ公正な社会を実現することが不可欠であります。すなわち、我が国の歴史を変える大改革が今求められているのであります。 この目的に向け、内閣機能の強化、新たな中央省庁のあり方、行政機能の減量、効率化、公務員制度の改革等、広範にわたる内容を盛り込んだ行政改革会議の最終報告が御承知のとおり平成九年十二月三日に提出され、政府は、これを受けて直ちに、同報告を最大限に尊重する旨の閣議決定を行い、同報告に基づいて本法律案の策定作業を進めてまいりましたが、ここに本法律案を提出申し上げる次第であります。 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。 第一は、中央省庁等の改革に関する基本理念、国の責務、新体制への移行の目標時期等であります。 まず、中央省庁等の改革の理念としては、内外の社会経済情勢の変化を踏まえ、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、かつ、有効に遂行するにふさわしく、国の行政組織並びに事務及び事業の運営を簡素かつ効率的なものとするとともに、その総合性、機動性及び透明性の向上を図り、これにより戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、もって自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものとしております。 また、中央省庁等の改革を推進する国の責務について規定し、新体制への移行の目標時期については、遅くともこの法律の施行後五年以内に、できれば平成十三年一月一日を目標として新たな体制への移行を開始するものとしております。 第二は、内閣機能の強化であります。 内外の情勢変化や危機に機動的、弾力的に対応できる行政をつくり上げていくためには、国政運営に当たり最高の責任を持つ内閣の機能を高めるとともに、内閣総理大臣の国政運営上の指導性をより大きく明確なものとし、さらに内閣及び内閣総理大臣を補佐し支援する体制を整備していく必要があります。このような内閣機能の強化を図るため、内閣総理大臣の発議権、国務大臣の数、内閣官房の任務及び組織のあり方、内閣府の設置並びにその任務及び組織のあり方、担当大臣の設置その他内閣機能の強化に関する措置について定めることとしております。 第三は、国の行政機関の再編成であります。 社会経済情勢の変化や多様な政策課題に対し、国の行政が本来果たすべき機能を十全に発揮し、国民の期待にこたえ、内外の主要な行政課題に的確かつ柔軟に対応し得る省庁体制をつくり上げるため、国民の立場に立って総合的に政策を展開できるよう、中央省庁を行政目的別に大くくりし、総務省等の新たな十省の編成を行うこととしております。この十省については、それぞれその名称、主要な任務及び主要な行政機能を定めるとともに、各省の編成方針を定めることとしております。 また、政策の企画立案機能と実施機能の分離を基本とした内部部局及び外局の担うべき機能のあり方、国の行政機関の間における政策についての協議及び調整のための制度の整備、客観的な政策評価機能の強化、審議会等の整理合理化等の措置について定めることとしております。 第四は、国の行政組織等の減量、効率化等であります。 簡素で効率的な行政をつくり上げるため、国の事務及び事業の見直しを積極的に行い、国の行政組織並びに事務及び事業の減量、その運営の効率化並びに国が果たす役割の重点化を積極的かつ計画的に推進することとしております。 その具体化のための措置として、現業については、郵政事業に関し国営の新たな公社を設立するために必要な措置を講ずること、国有林野事業に関しその抜本的な改革を推進すること並びに造幣及び印刷事業に関しその経営形態のあり方を検討することとしております。 また、事務事業の自律的、効率的な実施を図る見地から、独立行政法人制度を創設することとし、これに係る基本的事項について定めることとするほか、国の施設等機関等の見直し、国の規制及び補助金等の見直し、地方支分部局の整理及び合理化、公共事業の見直し、国の行政組織の整理及び簡素化等について定めることといたしております。 第五は、関連諸制度の改革との連携であります。 中央省庁等改革の達成のために必要となる国家公務員制度の改革、行政情報の公開、地方分権等の関連諸制度の改革について定めることといたしております。 第六は、中央省庁等改革推進本部であります。 中央省庁等改革による新たな体制への移行の推進に必要な中核的事務を集中的かつ一体的に処理するため、この法案を成立させていただきました上は、直ちに内閣に中央省庁等改革推進本部を置くこととし、その所掌事務、組織等について定めるとともに、その設置期間を設置の日から三年間とすることとしております。 なお、この法律は、中央省庁等改革推進本部に関する規定を除き、公布の日から施行することとしております。 以上が中央省庁等改革基本法案の趣旨であります。 本法律案を行政改革の具体化に向けての確固たる指針として、その具体化に当たっては、国会における十分な論議を踏まえ、さらに磨きをかけ、前後比類なき行政改革が画期的に前進する実効あるものとなることを期するものであります。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。陣内孝雄君。 〔陣内孝雄君登壇、拍手〕
○陣内孝雄君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました中央省庁等改革基本法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。 経済社会のグローバリゼーションやインターネットに象徴される情報革命等の一大変化、さらに冷戦が終わって十年、制度疲労を来した感を強める社会構造等を背景に、システム改革が世界の趨勢であることが、文明論的見地を初めさまざまな角度から語られる時代となってまいりました。 もとより、我が国もその例外でなく、数多くの予測しがたい事態に直面する日本をして意外性の時代に入ったと指摘する識者もおり、今やグローバルスタンダード化を目指したパラダイムの転換を迫られていることは御案内のとおりであります。 橋本内閣が景気回復とあわせ最大の努力を傾注している六大改革も、このような変革の必然性の中から生まれたものであって、これまでの予定調和的な世界から意外性が強まりつつある世界の中の日本として、生き残りと再生をかけた挑戦であると理解するものであります。 そして、その六大改革のかなめが行政改革であります。省庁再編、規制緩和、地方分権といった幾つかのキーワードから成るこの複合的な改革の断行なくしては、再びこの国の活力を回復していくことが困難なことは、既に国民各層の共通認識として成り立っていると考えます。 本日議題となっております中央省庁等改革基本法案は、二十一世紀への確かな展望に基づく新しい「この国のかたち」の構築に向けて、時代の要請に即応し得る政府組織の確立への道筋を示すものであり、その改革構想の速やかな実行が望まれております。 本法案第一条では、内閣機能強化や国の行政組織の再編成、事務事業の減量、効率化等の一連の改革を中央省庁等改革として定義づけるなど、これまでのいわゆる中央省庁再編にかわる、より包括的な概念も提示されております。 そこで、この中央省庁等改革により、二十一世紀に向けてどのような新たな行政、社会経済システムの構築を目指すのか、その改革理念をより一層国民に浸透させるため、総理にわかりやすく御披瀝願います。 昨年九月の行革会議中間報告公表後、同報告で示された改革方向について、我々も国家の行く末に責任を持つ与党としての立場から、これを真剣に論議いたしました。その論議の結果生じた中間報告と最終報告及び基本法案の差異をもって、行革は後退したとの一部批判も見受けられますが、その差異は、終始一貫して国民本意の行政の効率化に資する大枠の設定のために検討を深めた結果であって、後退批判は今回の改革論議の基本を見誤ったものと指摘せざるを得ません。 広範な内容を盛り込んだ基本法の中でも、特に改革の最大の課題でもある内閣機能強化については、各方面から高く評価され、内閣法改正による総理の基本方針発議権の明確化、内閣官房の企画立案機能付与を初め、総理を補佐、支援する戦略的趣旨に立って、内閣府の創設等が提示されております。 こうした制度、組織の改正により、従来の官僚主導による行政運営が改められ、総理主導のもとに政の官に対するリーダーシップ発揮による機動的な政策決定の促進が図られることは画期的であり、ますます不確実性が高まる内外情勢の変転を乗り切っていくためにも、この総合的、戦略的な内閣機能の早期確立が望まれます。 政府としては、この内閣機能強化については、省庁再編に先行して、既に危機管理機能向上のために行革会議の提言を受けた危機管理監の設置を決定しております。また、政府は現在、インドネシアの邦人出国のために努力されているところでもあります。 これらのことも踏まえ、行革会議が提言した一連の内閣機能強化について、その実行時期とあわせ、総理の御所見をお伺いいたします。 また、この内閣機能強化策によりトップダウン型の政治が明確化されますが、これが一方で官邸の独走につながらないよう、より一層国会との連携が重要となってまいります。この点については、官房副長官の増員でも一定の措置がなされていると理解しておりますが、総理の御所見を伺います。 我が国の国家行政機構は、一八八五年の内閣制度発足時より、第二次大戦後の再編等幾多の改編を経て、今日まで行政需要の増大に応じて肥大化の一途をたどってまいりました。現行体制を一府十二省庁に改める今回の再編案は、この省庁体制に抜本的なメスを入れるものであり、国の担うべき新たな役割論に立脚したものです。 この再編について、機構いじり等の批判も聞かれますが、これに対しては、行政のあり方の転換と並んで、国の事務事業を大胆に見直し、規制緩和や地方分権を具体的に進めながら、国の組織、定員を減量、効率化していくことが重要と思いますが、それをどのように図っていくのか、総務庁長官にお伺いします。 また、再編に当たって、行政目的別に大くくりする新体制について、巨大官庁化の批判もあります。その一つ、公共事業に携わる国土交通省についてでありますが、欧米先進国に比べて総じて大幅に立ちおくれている我が国の社会資本整備の現状を効率よく改善して、将来の豊かで活力ある安全な経済社会を効果的に築くためには、この国土交通省の新組織は極めて適切なものであると考えます。問題は、後世に喜ばれる社会資本をいかに効率よく整備し、その透明性を確保するかにあります。 新たな目的別編成によるこのような省庁体制の巨大化批判に、総務庁長官はどうこたえていかれるのか、お尋ねいたします。 また、こうした省庁数の削減は、効率化への具体的道筋を明確にしていかないことには所期の目的を達することは困難となりますが、この点についても、本法案では中央省庁の業務を企画立案機能と実施機能とに分離し、後者の一部は独立行政法人に移行する方針が明示されています。 本法案成立後、中央省庁等改革推進本部において、こうした独立行政法人の具体的選定や減量、効率化の計画の策定、各省庁設置法等の改正作業に入ることになりますが、このように今回の改革プラン実現にはいまだ膨大な作業が残されており、これからが行革の本当の正念場でもあります。 今後、具体化作業の過程で改革の趣旨が貫徹されるよう、我々与党も全面的にバックアップすることはもちろんのこと、総理の改革へ向けた信念とリーダーシップが改めて問われることになりますが、改革推進本部におけるその取り組みの方針とあわせ、総理の御決意を伺います。 また、公務員数削減が行革推進の指標として国民に受けとめられていることも踏まえ、この定員については、新規増員も見据えた上で、純減ベースとしての分野別管理を別途明確化していく必要があると存じますが、総務庁長官の御所見を伺います。 以上、伺ってまいりました減量、スリム化を推進していくに当たり、政府として与党との緊密な連携のもとに総合的、効果的に具体化に取り組んでいかれることが肝要ですが、同時に、その進捗状況を監視する機関についての総理の御見解を伺います。 本法案では、中央省庁改革に密接に関連し、その一環として位置づけられる地方分権についても言及されております。党としても、地方分権推進にはその受け皿となる地方行政体制の整備が不可欠であることから、合併市町村への財政措置の拡充、また、人口段階等に応じた事務権限の移譲を初め、市町村合併促進に向けての考え方をまとめております。政府の今後の市町村合併についての方針を総理にお伺いします。 今回の基本法は、新たな中央政府全体の器づくりであり、それにあわせて、その組織で働く人、すなわち公務員のあり方についても見直すことが肝要であります。昨今の一部公務員による不祥事により、国民の公務員全体に対する信頼は大きく失墜し、その再発防止に向け、与党として公務員倫理法案を国会提出の予定であります。 もちろん、不祥事を起こしたその責任は当人自身に帰せられるべきでありますが、公務員の皆さんは、その初心において、国家公務員法にありますように、国民全体の奉仕者たるその職分に魅力を感じ、公共の利益にみずからの一生を捧げたいという高邁な理想、使命感を持っていたものと推察いたしますと、その個人を取り巻く環境についても我々は看過してはならないのであり、新たな体制にふさわしい制度のあり方について検討することが必要であると考えます。 その場合、その閉鎖性や硬直的組織運営が指摘される中央官庁の体質をいかに改めるかが眼目となり、メリットシステムの導入や、省庁間のみならず、民間も含めたさらなる人事交流促進の具体化、天下り規制と退職年齢をどうするかといった論点が考えられます。 公務員制度の見直しについては、本法案でも触れられており、具体的には公務員制度調査会において検討中と伺っておりますが、いずれにせよ、国家的視野を持ち、使命感あふれる人材をいかに登用し、確保していくかが中央省庁の再編の成否に大きく影響を与えると言っても過言ではなく、これに向けた公務員制度の改革なくしては行革の完成もまたあり得ません。 そこで最後に、公務員制度改革についての御所見を総理に伺い、行政改革について総理が一層のリーダーシップを発揮されんことを期待して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 陣内議員にお答えを申し上げます。 まず、改革の理念についてお尋ねがございました。 今回の改革は、肥大化し、硬直化し、縦割りの弊害が目立つ戦後型の行政システムと、その背景にある官民や国と地方との関係を全面的に見直し、簡素で効率的かつ透明な新たな行政システムを構築して、二十一世紀にふさわしい自由かつ公正な社会の形成に資することを基本的な目的とするものでございます。 内閣機能の強化についてお尋ねをいただきましたが、行政改革会議の提言は、行政全体の戦略性、総合性を確保し、機動的で迅速な意思決定を可能とするために、内閣総理大臣がリーダーシップをより発揮しやすい仕組みを目指すものであり、中央省庁の再編と一体的に進めてまいりますが、そのうち、危機管理機能の強化につきましては、内閣危機管理監の設置等、先行して実施させていただいております。 また、国会との連携強化についてお尋ねをいただきましたが、新たに増員されます内閣官房副長官につきましては、政治的判断を要する高度なレベルでの総合調整機能を強化するために、いわゆる政務を担当させることを考えておりまして、これにより、国会、与野党との調整といった面においても強化が図られ、国会との一層の連携が図られるものと考えております。 次に、中央省庁等改革推進本部についてお尋ねをいただきましたが、今次改革による新たな体制への移行の推進に必要な中核的な事務を集中的かつ一体的に処理するために、総理を本部長、全閣僚をメンバーとする中央省庁等改革推進本部を設置し、簡素で効率的な行政、機動的、効果的な政策遂行を実現すべく、内閣を挙げて改革に取り組む決意であります。 また、推進本部に、行政の減量などの進捗状況を監視する機関が必要だという御指摘をいただきました。 推進本部が事務を実行していくに当たりまして、広く有識者や国民の意見を伺いながらこれを進めるべきことは当然であり、これにつきましては、第三者的な立場からの機関を本部に設けるべく、目下検討を進めているところであります。 次に、地方分権推進のための市町村合併についてのお尋ねをいただきました。 実行段階に入りました地方分権の成果を上げるとともに、行政を取り巻く環境の変化に適切に対応するため、市町村合併により行財政基盤を強化することが重要です。政府としては、その機運の醸成に努めるとともに、地方制度調査会の答申などを踏まえまして、実効ある方策を取りまとめ、自主的な市町村合併を積極的に支援していきたいと考えております。 最後に、公務員制度改革についてのお尋ねがございました。 御指摘のとおり、行政運営の基盤である公務員制度の改革は、行政改革の一環としても極めて重要な課題であります。このため、今、公務員制度調査会におきまして、公務の活性化等を目指し、長期的、総合的視点に立った公務員制度全般の見直しを進めており、本年度内に基本答申を得て、必要な改革に速やかに着手いたします。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
○国務大臣(小里貞利君) 三点お答え申し上げます。 まず、事務事業及び組織等の減量についてのお尋ねでございます。 御承知のとおり、今回の省庁再編におきましては、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現するため、国の権限と仕事の減量を進めた上で、二十一世紀において国家が担うべき機能及び課題に的確に対応すべく、新たな省庁体制への移行を行うものでございます。 このため、規制緩和や地方分権、官民の役割分担の見直しなどを徹底的に行い、これらの取り組みにより国の権限と仕事を徹底的に絞り込んでまいりますとともに、本法案に規定されている現業の改革及び独立行政法人の創設、公共事業の見直し、国の行政組織の整理簡素化、定員の削減等について、本法案の成立後に設置される中央省庁等改革推進本部におきまして、逐次その具体的かつ計画的な推進を図ってまいるつもりでございます。 次に、省庁体制の巨大化ということが言われているがというお尋ねでございます。 今回の省庁再編におきましては、高い視点と広い視野からの政策立案機能の発揮と縦割り行政の弊害排除等のため、省庁を行政目的別にできる限り大くくり編成するとの基本的な考え方に基づきまして省庁の再編を行っております。 その一環といたしまして、国土の総合的、体系的な開発利用、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進等を主要な任務とする国土交通省を設置することとしております。 また、御指摘の公共事業につきましても、国と地方の適切な役割分担の確立、本省の権限の地方支分部局への委譲、業務の効率化、事業の決定過程の透明化、評価の適正化を図る等、各省行政の徹底したスリム化、効率化を進め、簡素で効率的な組織を編成することとし、巨大化といった御懸念を招かないよう、適切な行政運営に努めてまいりたいと思っております。 最後に、国家公務員の定数についての話でございます。 特に、削減という言葉を使われなくて、純減をというお話でございますが、いわば純減をベースとした分野別管理のお話であろうと思う次第でございます。 御承知のとおり、国家公務員の定員につきましては、純減をベースとして分野別管理を明確化すべきとのお尋ねでございますが、定員の問題につきましては、今次の改革に当たりましても内閣府及び新たな省の編成にあわせ策定する新たな定員削減計画におきまして、少なくとも一〇%、一〇%以上、さらにこれを相当上回る削減の実現を目指すと同時に、各年度の新規増員を厳しく抑制することによって、この削減をそのまま純減とするほどの旺盛な気構えで最大限の努力を行い、さらに新たな公社、独立行政法人への移行により、定員を一層大幅に削減してまいる所存であります。 しかしながら、純減数は、毎年度御承知のとおり新規増員についてその時々の新たな行政需要に応じまして厳正かつ適切に対応した上で、その都度具体的に定まるものであることから、これを将来にわたる目標として固定的なものとすることは困難な事情もありますが、中央省庁等改革基本法案においても削減としていること、一応御理解をいただきたいと思います。 いずれにいたしましても、今後とも、個々の分野の行政需要も踏まえ、定員の再配置を図りつつ、大幅な純減に努めてまいる所存であります。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) 吉田之久君。 〔吉田之久君登壇、拍手〕
○吉田之久君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま提案されました中央省庁等改革基本法について質問いたします。 今、世界は大きな変動の時代を迎えています。我々は、歴史のうねりの中でともすればその姿を見失いがちになりますが、目を凝らせば世界の大きな潮流が見えてまいります。すなわち、世界は工業化から情報化社会へ、ハードからソフト重視社会へ、また、二十世紀型の大きな政府から小さな政府へ、官主導の社会から民が復権し力を取り戻す真の民主社会へと、時代は大きくさま変わりしようとしております。まさに変革の時代と言うべきであります。 このような世界における歴史的変化の激流の真っただ中にあって、日本は全く行き詰まりの状況にあります。経済は低迷し、失業率も最悪の水準にあります。これは、単に目先の経済政策、財政政策の破綻としてのみとらえられるものではありません。 戦後、今日まで日本を支えてきた政治、経済、社会のさまざまなシステム、すなわち、民を軽視した官主導、中央集権、そして大規模公共事業優先の政治、行政のあり方が完全に壁にぶち当たり、これらの矛盾がここに来て一気に噴き出し、現在の閉塞状況をつくり出していると思われます。もちろん当面の経済状況を回復することが緊急の課題でありますが、それとともに戦後の日本の、さらに言えば明治以来の日本を形づくってきたさまざまなシステムを、これからの新たな世界、新たな時代に適合するものに大きくつくりかえていくことであります。 しかし、残念ながら、今回提案のあった中央省庁等改革基本法は、このような構造的変化に対応するものとはなっておりません。この法案にある中央省庁の再編は、行政改革のほんの一部にすぎませんが、今こそ二十一世紀に向けた歴史的な行政改革が始められる時代に来ているはずです。これまでの論議を見ても、橋本内閣の対応にその気迫が著しく欠如しているように思われます。 そこで、私は、この大改革を行うために、まず基本戦略を描くべきであると考えます。具体的には、第一に、行政手続法と情報公開法を制定させ、中央省庁の許認可権限を整理縮小することであります。次に、規制緩和によって省庁と業界と企業との関係を改革し、そして地方分権によって省庁と地方自治体の関係を改革するのです。そのプロセスの中で、現在の行政のどこをどう改革するかを明らかにしなくてはいけないと思います。 先日成立した改正日銀法も、せっかく攻め込んだものの、基本戦略に欠けたがために、結局予算認可権を存続させ、廃止したのは業務命令権や解任権だけでありました。同様に、行政改革の基本戦略並びに行政改革全体の青写真を描くことなしに、単に省庁の看板のかけかえに終始している本法律案を真の行政改革と認めることはできないのであります。これこそ、総理のお名前をかりて失礼でありますが、まさに龍頭蛇尾に終わるであろうと言わざるを得ません。 そこで、まず地方分権についてであります。 今回の行政改革において最も優先されるべきは中央省庁のスリム化、すなわち、事務の縮小及び効率化です。例えば、行政改革会議の報告の中にはキーワードとして、総合性、機動性、透明性、効率性が挙げられております。 地方自治体は地域住民に対する総合サービス機関であり、既に保健衛生部や環境土木部などは全国の市町村に存在しており、その総合性や機動性の面においては自治体の方がよほど進んでいると言えます。常に住民の身近に存在し、あるときは住民の協力を得ながら行政サービスを提供している自治体は効率的にならざるを得ません。現在の自治体に非効率的な部分があるとすれば、それは中央政府の過剰な関与がもたらしているのであります。自治体に対して積極的に住民のニーズに密着した政策を形成するインセンティブや能力を与え、自治体みずから決定する権限と財源を持つならば、もっと効率的な行政を展開することができます。 中央政府がすべてを背負い、規制し、保護する社会に活力は生まれません。民主党の掲げる「自由であって、安心できる社会」の主役は当然に国民でありますが、それをつくる主役もまた国民一人一人なのであります。 同様のことが規制緩和にも言えます。 たとえ中央省庁の官僚がいかに努力しようとも、複雑さ、変化の速さ、多様さが加速度を増して進展する現在の我が国社会を行政がコントロールすることは不可能であり、また行政がコントロールできると錯覚していることが社会の成長を阻むようになってきているのであります。国民それぞれが縦横にその能力を発揮できる環境を整備するとともに、社会に弊害をもたらす行為に対しては、事前に明確なルールを設定し、事後にこれをチェックする監督・監視型体制に転換すべきときに来ていると思います。 例えば、ニュージーランドにおける行政改革によると、各省庁の機能を収益部門と非収益部門に分離し、収益部門はすべて法人化して独立採算の国有企業化し、次に可能な限り民営化しています。我が国の許認可事項は、行政改革会議のキーワードである効率性を実現するには余りにも多過ぎます。全省庁の許認可を合計いたしますと、本法律案施行前が一万一千三十二、施行後が一万一千六であります。これで許認可権の削減と言えるでありましょうか。 そこで、私は仕事の内容の効率化、簡素化を図るためには、民間でできることは民間で、地方でできることは地方で行うべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。総理にお伺いいたします。 また、許認可権の削減と同時に、定員削減を行わなければ行政改革は不発に終わってしまいます。 本法案では、国の行政機関の定員を十年間で一割削減するとしています。これは独立行政法人化や新たな公社に移行する人員を除いて、その上で一割を削減するということでありますが、十年間で一割の削減というのはまさに百年河清を待つのたぐいで、甚だ疑問であります。民間でもしこんなにのんびりしたリストラを行うとしたら、笑われ者になります。先般、大手二十一行に公的資金を投入する際に銀行が提出したリストラ案も、削減目標こそ一割前後でありますが、期限はすべて今後三年間であります。人員削減について、もっと大胆な決断が必要だと考えますが、総理、いかがでありますか。 次に、今回の省庁再編の進め方についてであります。 これまでも述べたように、今回の改革を素直に考えれば、地方分権、規制緩和、実施部門の分離等により中央省庁のスリム化を実現した上で、残った事務について行政目的別に大ぐくりすることが自然な流れであると考えます。しかし、総理はすべてを同時に実行した結果、現在の中央省庁の事務をそのまま前提とした中央政府再編案ができ上がり、当然のことでありますが、新しい省庁の多くがいよいよ巨大な存在となっております。このような結果は、少なくとも議論の途中で総理もお気づきになっていたとは思いますが、それでもなお一府十二省庁の再編にこだわられたのは何ゆえでありますか、お伺いいたしたいと思います。 次に、改革の中身でありますが、先ほど申し上げましたように、本法律案には改革のメニューはなかなかに盛りだくさんであります。 例えば、政策評価機能の充実でありますが、これについては、会計検査院の機能強化や総務庁の行政監察機能の拡充などが考えられます。さらには、公共事業における中央省庁の役割の限定が規定されるべきでありますが、当然にこれは関連法の改正が必要であります。しかし、この法改正はいつ用意されるのでありましょうか。 また、総理は、各省の内部組織の具体化について中央省庁等改革推進本部にゆだねると言われておりますが、実質的にはその下に置かれる事務局が法案化作業に当たると思われ、事務局の人事に霞が関の関心が既に集中していることに間違いはありません。もし中央省庁等改革推進本部を設置するならば、中立公正な立場から判断のできる第三者機関を設置すべきであり、この点を基本法案に盛り込むべきであると考えますが、いかがでありましょうか。総理の御見解をお伺いいたします。 さて、今回の中央省庁再編の発端は一昨年の大蔵省改革であり、与党三党で金融と財政の分離の合意がなされて始まったはずであります。さらに、財政政策の破綻、大蔵省の不祥事の続出などから見て、財政と金融の分離の必要性は最重要課題となっております。にもかかわらず、大蔵省と全く同形態の財務省が存続する内容になったのは、一体何のための改革なのか、首をかしげざるを得ません。早急にこの財務省の設置について再検討されるべきであると思いますが、総理の御答弁をお願いいたします。 次に、総務省についてであります。 この総務省は、他に行き場のない役所を寄せ集めたため、定員三十一万人、年間予算十四兆円の全く奇妙な強大な怪物になってしまいました。 そこで、お伺いいたしますが、今回の省庁再編の原則は行政目的別に再編されたはずであります。しかし、この総務省の行政目的とは一体何なのか、全く意味不明であります。およそ、地方分権という重要なテーマを扱う役所がこの総務省という巨大な省の一局であってよいとお考えなのか、伺います。 さらに、この法案によると、総務省の中に公正取引委員会が含まれております。公正取引委員会は本来の第三者監督機関であるべきであり、いわば行政の検察庁であります。この公正取引委員会がなぜ総務省にあるのか、また、日本の公正取引委員会に当たるアメリカの連邦公正取引委員会、FTCでは見事なチェック機能を果たしておりますけれども、このアメリカのFTCをどう評価するのか、総理にお伺いいたします。 次に、アウトソーシングのあり方におけるエージェンシーの問題についてお伺いいたします。 既に、世界の国々でエージェンシーの導入がかなり実績を上げているようでありますが、先日も在日英国大使館のデビッド・フィットン氏のお話を聞きましたが、英国では、例えばパスポートの交付などをエージェンシーに委託し、極めてスムーズに手続が行われ、利用者からも好評で、また手続収入も増大し、既に財政支援も必要なくなったとのことであります。どこまで政府が手伝うか、あるいは限りなく民営に近づけるか、初めに衆知を集めて検討し、それぞれのエージェンシーがそれぞれの試みを行い、逐次成果を上げているようであります。 エージェンシー化や民営化を積極的に行ったイギリスの事例は特に参考にすべきであると考えますが、総務庁長官の御見解をお伺いいたします。 次に、公共事業についてお伺いいたします。 政府・与党は、先般の総合経済対策において新社会資本整備に重点を置くといいながら、結局、従来型の公共事業であるいわゆる箱物優先から脱却できないことを明らかにしました。この行政改革においても、省庁という箱物が優先され、肝心の中身の改革が明確ではありません。 国土交通省は定員五万人、年間予算十兆円、補助金三兆三千億円、許認可数二千五百三十二という巨大な省庁になりますが、この批判を回避するために、本法律案第四十六条には、わざわざ公共事業の見直しなどがうたわれています。その考え方は評価いたしますけれども、中身についてはまことに不明確であります。公共事業の何を地方へ移譲するのか。例えば、二級河川の管理や指定区間外国道の管理は地方に移譲されるのか、すべてを今後の検討にゆだねるのではなく、具体的な回答を総務庁長官にお願いいたしたいと思います。 最後に申し上げます。国民は総理の博識を知っています。また、答弁の都度、精緻なレトリックを組み立ててお答えになっておることを存じております。しかし、綸言汗のごとき重みや気迫を感ずることは久しくありません。財政構造改革で各省庁の予算歳出に厳しくキャップをかけたと思ったら、すぐに外して、今度は十六兆円規模の財政出動をするというのでは、国民は一体この国の財政は逼迫しているのか、あり余っているのか、さっぱりわからないありさまであります。 信なくば立たずと申します。行革についても財政再建についても、総理みずからが日本国民に告ぐの気概を持って語ることができないのであるならば、そろそろこの辺で潔く退陣されるべきではないかと申し添えて、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 吉田議員にお答えを申し上げます。 まず、民間でできることは民間で、地方でできることは地方で行うべきであるという御指摘をいただきました。 民間で行うべき、この点につきましては、国の権限と仕事を減量して、簡素で効率的な行政を実現するために、国の果たすべき役割を根本から見直していき、規制の撤廃、緩和、官民の役割分担などの徹底を着実に進める、御指摘のように、民間にゆだねるべきは民間にゆだねていくことが極めて重要であり、中央省庁等改革基本法案の中にもその趣旨を規定として盛り込んでおります。 同時に、国は国際社会において国家としての存立にかかわる事務など国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体は地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担っていくべきであり、国と地方の役割分担について、これは地方への権限移譲等を進めていく、そうした対処をすべきであると考えます。 次に、定員の削減についてお尋ねがありました。 まず第一に申し上げておきたいことは、新たな体制への移行時まで現在の定員をそのままにしていくのではありません。当然ながら、毎年の定員管理の中で定員の削減は図ってまいります。同時に、その上で新たな公社あるいは独立行政法人への移行などによりまして総定員数は大きく変わります。その変わりました新たな体制への移行時に総定員法を改正して、その上で新たな定員削減計画に基づいて十年で一〇%を相当上回る削減の実現を目指そうとしており、この点についてはぜひ御理解と御協力をいただきたいと存じます。 次に、初めに一府十二省庁体制ありきではなかったのかという御指摘をいただきました。 今回の改革は、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行というものを実現していくために、規制緩和や地方分権、官民分担を徹底していく、国の権限と仕事の減量を進めながら、それと並行して、二十一世紀に国家が担うべき機能と課題に的確に対応すべく中央省庁の再編を行うものであります。 次に、本法案における諸改革の関連法の改正時期というお尋ねをいただきました。 今次改革の緊要性にかんがみ、改革を集中的に行うために三年間の時限設置である推進本部を設けることにいたしております。お尋ねの改革につきましても、この推進本部におきまして法改正の必要性及び時期について検討した上、適時必要な措置をとってまいります。 次に、推進本部の第三者機関についてお尋ねがございました。 推進本部が事務を遂行していくに当たりまして、広く有識者や国民の意見を聞いてこれを進めるべきことは当然であり、これにつきましては機動的、弾力的に対応する必要がありますために、法案には設置を規定しておりませんが、第三者的な立場からの機関を本部に設けるべく目下検討を進めております。 次に、財政と金融についてのお尋ねがございました。 本件につきましては、行政改革会議並びに与党の間におきましても議論が行われ、その結果、金融破綻処理制度ないし金融危機管理への対応に限って大蔵省に担当させるという措置は、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする、等とする合意が与党間で取りまとめられ、行政改革会議に報告されました。 政府としては、この与党合意の内容をさまざまな観点から議論し尽くされた結果として重く受けとめ、中央省庁等改革基本法案の中に忠実に盛り込み、国会において御審議をいただいているところであります。 また、総務省についてのお尋ねがございました。 総務省の基本的な任務は、国と地方を通じた基本的な制度に関する行政や、電気通信及び郵政事業に関する行政など各省行政に広くかかわり、社会経済的にも重要な行政機能であり、今後地方分権の推進についても適切な役割を果たしていくと考えております。 また、公正取引委員会につきましても、総務省の外局として現行の機能を継続することとしており、その特性にふさわしく機能を発揮するものと考えております。 なお、アメリカの連邦取引委員会は、我が国の独占禁止法に相当する反トラスト法を運用し、市場における競争の維持の任に当たっている機関と承知をいたしております。アメリカでの市場における、公正かつ自由な競争を実現する上で、連邦取引委員会の活動は重要な役割を果たしているものと考えます。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
○国務大臣(小里貞利君) 二点についてお答え申し上げます。 まず、イギリスの事例に即してのお尋ねでございますが、今回の中央省庁等改革においては、御指摘のイギリスのエージェンシー制度も参考にいたしまして、我が国の法制度などの実情に即し、業務の効率的、効果的な運営が十分に図られる仕組みとして、独立行政法人制度を創設することといたしたところでございます。 なおまた、共通点は、もうお話がございましたように、業務実施を独立の機関にゆだね、自律的、弾力的な運営を可能といたしておること、統一的な評価の実施を制度化していることなどにより、業務の効率化やサービスの質の向上などが図られるところでございます。 次に、公共事業の見直しについてのお話でございますが、御承知のとおり公共事業につきましては、国と地方が適切な役割分担のもとに協調、協力して事務を進めることが必要であるとの観点から、これまでも地方への権限移譲、補助金等の整理合理化等を進めてまいっておるところでございますが、今回の基本法案におきましても、このような観点等も十分踏まえまして、公共事業に関し、国が直接行うものは、全国的な政策及び計画の企画立案や全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的事業の実施に限定をいたしました。その他の事業については、地方公共団体にゆだねていくことを基本といたしておるところでございます。 もとより、本法案は、今後の個別的、具体的な制度を改革するに当たっての方向を示す基本法でありまして、今後、この基本法に沿いまして、直轄事業及び補助事業の限定等の具体的な改革に着実に取り組んでまいる所存でございます。(拍手) ─────────────
○副議長(松尾官平君) 但馬久美君。 〔但馬久美君登壇、拍手〕
○但馬久美君 私は、公明を代表いたしまして、ただいま議題となりました中央省庁等改革基本法案につきまして、総理並びに関係大臣に若干の質問をさせていただきます。 さて、世界が本格的な大競争時代へと向かっている中、日本を取り巻く内外の状況も大きく変転しています。その激変する政治、経済、社会環境に的確に対処するため、制度疲労の著しい中央集権型社会システムを根底から改革することができなければ、二十一世紀の日本の健全な発展は極めて困難になるのではないかと私は心配いたしております。 バブルがはじけて七年も経過しているのに、いまだに不良債権の問題は解決していなく、行政改革も一向に進展していません。そればかりか、最近の多発する官僚汚職は常軌を逸しており、前代未聞であります。大蔵官僚や日銀幹部と金融業界との癒着を象徴する事件を初め、政権与党の政治家と業界、官界の癒着による事件など、政官業癒着の構造汚職に国民の怒りは爆発しています。 今日の日本経済は、橋本総理の長期経済見通しの誤りと経済運営の失敗によって大変深刻な事態に直面しています。金融機関への公的資金の投入が行われているにもかかわらず、依然として続く貸し渋りなどによる相次ぐ中小零細企業の倒産と失業、賃金カットによる家計圧迫などまことに深刻な状況であります。 今日の不況の発端となった消費の低迷は、昨年の消費税の五%への引き上げ、特別減税の打ち切り、医療費負担の引き上げなどのデフレ政策によるものであります。ところが、橋本総理はこれにとどまらず、今後さらに医療保険制度や年金制度を改定して国民の負担をふやす計画をメジロ押しに進めています。国民は、こうした橋本総理の政治姿勢に大きな不安を持っております。 今こそ、トップリーダーが確固たる政治信念のもと、緻密な現状分析と的確な解決策を国民に示して、二十一世紀の将来展望を明らかにすべきであります。しかるに橋本総理は、何らリーダーシップを発揮することなく、いたずらに時を浪費しているだけであります。これでは国民の不安は解消されません。 橋本総理は、平成八年十一月、第二次橋本内閣の発足に当たり六つの改革を掲げました。しかし、今日、その改革路線には改革の理念もビジョンもなく、そして火だるまとなってもやり抜くとの当初の決意とは裏腹に、改革を貫徹する信念もないことが今や衆目の一致するところとなっております。 ここで改めて、橋本総理にとって改革とは何なのか、その改革の理念とビジョンをお示し願いたいと思います。 二十一世紀を展望した行政改革は、何よりも国から地方へ、そして官から民へ、すなわち、徹底した地方分権と規制緩和の推進が前提でなければなりません。 しかしながら、本法律案は、省庁再編条項等に比べると、この点については全く抽象的で具体性に乏しいと言わざるを得ません。最初に省庁再編ありきというのは順序が逆であります。どうしてこのようなことになったのか、また、今後の地方分権及び規制緩和の推進の内容とスケジュールについて、総理の御所見をお伺いいたします。 次に、本法案の主要テーマであります省庁再編についても、数多くの問題点が指摘されております。確かに省庁の数で言えばほぼ半減することになりますが、中央省庁が実質的にどのようにスリム化されるのか、その道筋は全く不明であります。 また、一方においては、国土交通省や労働福祉省、総務省のような巨大官庁が出現することとなります。このような巨大官庁の出現は、特に公共事業をめぐる政官業の癒着構造の解消や国民に対するきめ細かい雇用福祉行政の確立、あるいは地方分権の推進といった行政改革の課題に反するのではないかと思われます。なぜなら、各省の設置法に規定されている官僚のあいまいな裁量権限は温存されたままであるなど、国民本位の行革になっていないからであります。 本法律案は、そうした課題にどう対処しようとしているのか、総理並びに小里総務庁長官の御説明をお伺いいたします。 また、省庁再編の焦点は大蔵省のあり方の見直しであります。 財政、金融、そして徴税の三部門を有する大蔵省はこれらの権限を思いのまま行使し、戦後我が国において官庁の中の官庁として大きく君臨してきました。その結果はどうだったでしょうか。累増する公債残高等、財政危機の招来、金融機関の相次ぐ経営破綻や巨額の不良債権の発生等、今日の深刻な金融危機、そして大蔵省の一連の不祥事に見られる業界との癒着体質は目を覆うばかりであります。中央省庁の再編は、何よりも大蔵省の財政と金融の分離から出発すべきであります。 そこで総理に、なぜ金融危機管理部門を財務省に残すのか、その理由をお伺いいたします。 〔副議長退席、議長着席〕 次に、本法案においては、省庁再編と並んで内閣機能の強化を強調しておりますが、内閣府の位置づけを他省庁と同格扱いにしたり、総理の各大臣に対する指揮監督権の強化が不徹底であるなど、その機能強化の実効性が疑問視されています。総理は、なぜこのときにみずからの権限強化のために奔走しないのか。阪神・淡路大震災当時の教訓を踏まえて、国家の危機管理体制の総合的な整備が急務だと考えますが、この程度の改革で果たして対応できるのでしょうか。総理の御所見をお伺いいたします。 また、この内閣府に、予算編成の基本方針等についても審議する経済財政諮問会議が設置されます。この経済財政諮問会議の設置により、予算編成のプロセスをどう変えていくのか。また、予算編成の権限そのものを大蔵省から分離し、内閣の直属にすべきであるという主張が昭和三十九年の第一次臨時行政調査会以来たびたびなされております。こうした長年の主張を尊重し、総理はその実現に向けて努力すべきと思いますが、どう対応されるのか、あわせてお伺いいたします。 次に、民営化が期待された郵政事業も、事実上の特殊法人でありながら、職員の身分が国家公務員という、珍妙な形態の郵政公社へ移行されようとしており、また郵政事業は将来にわたり、「民営化等の見直しは行わないものとする」という条項を付加しておりますが、今、行政改革の大きな柱として、特殊法人の徹底した整理合理化が要請されている折、全く理解に苦しむものであります。総理の御所見をお伺いいたします。 次に、行政経費の削減効果についてでありますが、臨調行革に見られるように、行政改革と財政改革は表裏一体の関係にあります。しかし、今回の行革ではどれだけの経費削減効果があるのか、全く明らかにされていません。中央省庁の再編は、単に省庁の削減のみならず、スリム化で機能的な行政機構を構築することが目的であったはずであります。したがって、総理は、行政改革によってどれだけの行政経費を削減するのか、国民に対して明らかにする説明責任があると私は思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。 また、国家公務員の定員削減や局・課の削減につきましては、一応の削減目標が示されておりますが、どのような形でそれを達成していくのか、小里総務庁長官に御説明を願いたいと思います。 最後に、本法案においては、中核的事務を集中的かつ一体的に処理するため、内閣に中央省庁等改革推進本部を設置することとしております。しかしながら、その実践部隊は、各省庁の意向を体した出向官僚で占められていると言われております。 そのため、各省庁の利害対立や駆け引きで中央省庁等改革の内容が実質的にゆがめられ、後退するおそれは多分に予想されます。そうした事態の発生を防ぐとともに、中立公正な立場から中央省庁等改革推進本部の行動を監視し、意見を具申する第三者的な機関を設置すべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 但馬議員にお答えを申し上げます。 まず、冒頭、改革の理念とビジョンについてのお尋ねがありました。 私は、この日本社会を支えているその基は個人だと思っております。その個人がそれぞれみずからの希望と能力に応じ学び働くことができること、そこに活力がある社会があり、国全体としての力が出てくると思います。 教育面では、長い間、平等を求める教育が中心でありました。その画一性を廃し、その結果、子供たちが自分の勉強したいこと、進みたい道、かなえたい夢をみずからの意思で選択できるようにすることです。 経済面では、知恵、技術力などを生かした企業、個人が新たな事業や産業を興すことができる。役所に何十という許可のための資料を出さなくて済むような、しかしそのかわり、成功も失敗も自分の責任になります。 社会面では、個人の自立を基礎としながら、家庭では親から子へと知恵や正義感などが伝承される。地域では自分の子供ばかりではなくお隣の子供をしつけることもあるでしょう。そして真に手を差し伸べなければならない方々に、セーフティーネットとしての社会保障が用意される。一言で言うなら、創造性やチャレンジ精神を持ち、みずからの夢や希望に実現の可能性のある社会、こうしたものをつくり上げることが私の考えであります。 次に、まず省庁再編ありきというのは順序が逆だというお尋ねがありました。 しかし、既に地方分権につきまして、機関委任事務制度の廃止、権限移譲等を内容とする地方分権推進委員会の四次にわたる勧告が出されております。 また、規制緩和につきましては、三カ年計画を三月三十一日に終了した後に、本年四月一日以降の規制緩和推進計画を既に政府は策定しております。そうしたものを土台にした上で、国の権限と仕事の減量を進めながら中央省庁の再編などの改革を行おうといたしております。間もなく地方分権推進計画を作成し、これを確実に実行してまいりますし、既に発表いたしました規制緩和推進三カ年計画も着実に実行をしてまいります。 また、中央省庁のスリム化の道筋についてのお尋ねがありましたが、今回の改革におきましては、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現いたしますために、今申し上げましたような規制緩和、地方分権、官民分担の見直しを徹底し、国の権限と仕事の減量を進めますとともに、行政組織の整理簡素化、定員の削減等についても具体的かつ計画的な推進を図ってまいろうと考えております。 巨大官庁化あるいは裁量権限の温存という点についてのお尋ねもございましたが、大ぐくり後の省庁において、規制の撤廃、緩和や地方分権を進め、徹底したスリム化、効率化を進めていき、行政のあり方を事前規制から客観的かつ明確なルールに基づく事後チェックに変えていくこと等により、御懸念を払拭し、国民本位の行政改革を実現すべく十分配慮してまいりたいと考えております。 また、財政と金融についてのお尋ねがございました。 本件につきましては、行政改革会議並びに与党間で議論が行われ、その中におきましては、金融システムの安定は財政と深い関連を有し、特に危機管理の場合には財政とともに迅速な対応が必要等との御意見も出されたところであります。 こうした御意見も含め、さまざまな観点から種々論議が尽くされた結果、与党三党間で合意が取りまとめられたところでありまして、政府としては、この与党合意の内容を重く受けとめ、中央省庁等改革基本法案の中に忠実に盛り込んだものであります。 また、内閣機能強化と危機管理についての御質問をいただきました。 本法案におきましては、内閣総理大臣がリーダーシップを十全に発揮し、機動的で迅速な意思決定を可能とする等の観点から、内閣総理大臣の指導の明確化、内閣官房の強化、内閣府を他省と異なり内閣に置くこと等を規定しております。 危機管理に関しては、内閣危機管理監を先行して設置させていただきましたほか、本法案におきまして、さらに機能を強化するため必要な措置を講ずることといたしております。 また、予算編成についての御質問をいただきました。 基本法案におきましては、内閣総理大臣が国政運営における指導性を十全に発揮するために、内閣府に経済財政諮問会議を置き、予算編成の基本方針について審議することとなっております。具体的な予算の編成作業につきましては、行政改革会議におきまして、内閣総理大臣自身が担当することは現実的に困難であり適当でもない、そうした議論から、これを内閣の所管とはいたしませんでした。 次に、珍妙な形態という御指摘をいただきました郵政事業についてでありますが、利用者の利便性に配慮しながら、国民が真に望んでいる改革とは何かを十分検討した結果、企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門は郵政事業庁とした上、さらにこれを従来の公社とは異なり、自律的、弾力的な経営を可能とする新たな公社に移行することとし、民営化等の見直しは行わないことといたしました。これによりまして、郵便局の地域に根差した機能は維持しながら、国の企業としての性格にふさわしい主体的で創造性に富む柔軟な業務運営を通じ、効率性を確保することができると考えております。 また、行政改革による行政経費の削減というお尋ねをいただきました。規制緩和や地方分権、官民分担を徹底し、国の権限と仕事の減量を着実に進めることによって、財政的な面でも当然のことながら効果が出てくることは考えられますが、この歳出削減効果を全体として定量的にお示しすることが困難であることは御理解をいただきたいと思います。 また、推進本部に第三者機関を設置すべきという御意見でありますが、推進本部が事務を進めていくに当たりまして、広く有識者や国民の意見を聞き、これを進めることは当然であり、これにつきましては、第三者的な立場からの機関を本部に設けるべく、目下検討を進めているところでございます。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
○国務大臣(小里貞利君) 三点についてお答え申し上げますが、ただいまの総理答弁と若干重なるところが質問の関係でございますから、お許しをいただきたいと思います。両方にお尋ねでございましたので、御了承願います。 まず、第一点でございますが、中央省庁のスリム化の道筋についてのお尋ねでございますが、今回の省庁再編におきましては、簡素で効率的な行政、そして機動的で効果的な政策遂行を実現するため、国の権限と仕事の減量を進めた上で、二十一世紀において国家が担うべき機能及び課題に的確に対応すべく、新たな省庁体制への移行を行おうとするものであります。 このため、規制緩和や地方分権、官民の役割分担の見直しなどを徹底して行いまして、これらの取り組みにより国の権限と仕事を絞り込むとともに、本法案に規定されている現業の改革、独立行政法人の制度の創設、公共事業の見直し、国の行政組織の整理簡素化、定員の削減等について、本法案の成立後に設置される推進本部におきまして、逐次その具体的かつ計画的な推進を図ってまいるつもりでございます。 なおまた、巨大官庁及び裁量権限の温存の懸念のお話がございましたが、これはただいま総理の方から御答弁ございましたから、私の方は省略をさせていただきます。 次に、三点目でございますが、組織、定員の削減についてのお尋ねでございますが、今回の改革を進めるに当たって、行政の減量、効率化等を図ることが極めて重要であります。国の権限と仕事の減量にあわせ、組織の簡素化、定員の削減に積極的に取り組んでまいる必要があると思っております。 定員削減につきましては、先ほど総理の方から答弁もございましたし、その仕組み等については御了承いただきとう存ずる次第でございます。 以上でございます。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 日下部禧代子君。 〔日下部禧代子君登壇、拍手〕
○日下部禧代子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました中央省庁等改革基本法案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。 社会民主党は、分権、透明の視点を基本に、憲法の理念を生かした市民のための行政改革を強調してまいりました。そしてこの中央省庁等改革基本法案につきましても、与党行政改革協議会の場において、二十一世紀の市民と行政との新しい関係をどうつくり上げていくのかという問題意識を持ってその準備に参画してまいりました。 今回の行政改革については、明治以来の中央集権、官主導型の国家を、地方分権、情報公開の徹底等により、国民に開かれた主権在民の憲法の理念に沿うものとするという大きな目的を有するものと理解しております。 小里長官は、趣旨説明において、我が国の行政システムが近年限界を見せつつあると述べておられましたが、どのような点に限界があり、また、それはなぜ生じたのかということについて、より具体的な御説明をいただきたいと思います。 その上で申し上げたいのは、中央省庁改革の手順についてであります。 行政改革会議の議論も含め、初めに一府十二省庁体制ありきというのでは極めて問題があるのではないでしょうか。国から地方への地方分権、官から民への規制緩和、ガラス張りの透明な行政を目指す情報公開などを徹底していくことによって、おのずと新たな省庁の役割や仕事が決まっていくべきものであります。まず、すべての行政の事務事業の必要性やそのあり方について時間をかけた網羅的な検討を行い、その結果に基づいて新たな省庁体制を決定すべきではなかったのでしょうか、順序が逆ではないのでしょうか。総理の御見解を伺いたいと存じます。 次に、国の事務事業の見直しの中で、特に注目すべき論点として地方分権を取り上げたいと思います。 地方分権は、市民のための行政改革を実現し、住民により近い場で必要な行政が行われるようにするために極めて重要なものであります。加えて、地方分権は、単に国の業務を減らすという量的な側面のみならず、国として行うべき事項を精選して絞り込むことにより、重要な政策課題に関する国が果たす役割をより高めるという質的な面での効果を有するものでもあります。 地方分権については、地方分権推進委員会を中心にその推進が図られてきておりますが、今回の中央省庁等改革の中で、分権推進委員会の議論はどう生かされていくのでしょうか。 さらに、地方分権が必要となる具体的な事例について申し上げたいと思います。 新たな一府十二省庁のうち、国土交通省については、いわゆる巨大利権官庁の代表のように批判されております。このような批判にこたえるためにも、公共事業の見直し、中でも地方分権の趣旨に沿うよう、財源の面も含め、公共事業をできるだけ地方公共団体にゆだねていくことが重要ではないでしょうか。 以上二点について、小里長官にお伺いしたいと存じます。 さて、私は行政の質の改革を忘れてはならないと思うのです。一つは省庁設置法の問題であります。 大蔵省、日銀を初めとするさまざまな官僚不祥事や汚職は、倫理の問題とともに官庁の広大な裁量権限の問題を浮き彫りにいたしました。この仕組みを制度化している設置法の権限規定を削除しなければ、官と民とのもたれ合い構造から生じる汚職の根源を絶つことはできず、明治以来の官僚主導のお上の行政からの脱却も、官僚制自体の変革もできません。また、規制緩和、地方分権も進まないのであります。総理、いかがでしょうか。 本法案では、政策評価機能の充実強化がうたわれております。秘密主義で硬直的な行政の体質改善のためには不可欠な視点であります。単なるお題目や省庁の都合のよい隠れみのとならないよう、見直し内容の情報公開、政策への反映についての国民への説明責任をどこまで徹底できるのか、また、第三者的評価を可能にする仕組みの検討が必要だと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。 次に、新たに設置されることとなる環境省についてお尋ねいたします。 地球環境、地球資源の保全は、二十一世紀の日本が重点的に取り組むべき重要課題の一つであり、これを主要任務とする環境省の創設を社会民主党として強く提唱してきたところであります。 昨年、京都で地球温暖化防止会議が開催されましたが、環境省の創設を機会に、日本として地球環境問題の解決に向けて国際的なリーダーシップを発揮していくことが期待されております。総理の力強い御決意をお伺いいたします。あわせて、環境省創設の意義についてのお考えもいただきたいと存じます。 次に、独立行政法人制度の具体的な適用に当たっての基本姿勢についてお伺いいたします。 与党三党は、昨年十二月の行政改革会議最終報告に関する確認において、独立行政法人については制度設計にとどめられたものであると理解する、その適用に当たっては、職員団体等、各方面の十分な理解を求めつつ行い、一方的な適用は行わないこととすると確認しております。 独立行政法人の対象となる業務及びその職員の身分等を決定するに当たっては、この考え方に従い、これまで維持されてきた良好な労使関係に配慮し、職員団体等、各方面の十分な理解と納得を得て行うべきであります。また、その際には、いささかも雇用不安を招くことのないよう雇用問題に万全を期すべきであると考えます。 本法案第四十七条には、定員削減の具体的な数値目標が掲げられておりますが、雇用問題への配慮なくして円滑な定員削減は進まないと考えます。 以上の点についての小里長官の御認識を伺いとうございます。 最後に、政治不信への対応についてお伺いいたします。 相次ぐ不祥事によって、国民の行政への信頼はかつてないほど失墜しております。誠実かつ不断の改革を実行することによって初めて、行政もまた失われた信頼を取り戻し得るのではないでしょうか。国民から批判されている補助金漬けや通達行政等は、政官業の癒着の温床とも言われております。これらの弊害の克服は当然でありますが、行政とともに政治家もまたモラルを厳しく問われております。 行政改革には政治のリーダーシップが不可欠でありますが、官僚バッシングなどで国民感情をあおることだけでは許されません。政治家みずからも襟を正していかなければ、国民に信頼される行政改革は不可能であります。公務員倫理の確立とともに、政治倫理の確立と政治腐敗防止の実現、とりわけ政治と金の不透明な関係を正し、政官業の癒着にメスを入れるあっせん利得罪の創設を強く求めるものであります。総理の御見解はいかがでしょうか。 これからの行政は上から与えられるといったものではなく、透明、公正で、国民に信頼される開かれた行政でなければなりません。本法案にも明記されている行政情報の公開に対しては、国民の大きな期待が寄せられております。今国会に提出されているいわゆる情報公開法案についても、早期制定が図られますことを切に希望して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 日下部議員にお答えを申し上げます。 まず、初めに一府十二省庁体制ありきではないかという御指摘をいただきましたが、議員御承知のとおり、今回の改革は、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現するために、規制緩和や地方分権、官民分担を徹底し、国の権限と仕事の減量を図りながら、二十一世紀に国家が担うべき機能、課題に的確に対応すべく中央省庁の再編等を行うものでございます。 設置法から権限規定を削除すべきであるという御指摘をいただきましたが、中央省庁等改革推進本部における設置法その他の関係法律の立案に当たりまして、行政指導の乱用や裁量による恣意的な行政を排除すると同時に、行政機関の行為の範囲の限界を明確にしながら、臨機の、かつ複雑多岐にわたる行政活動の柔軟性を損なわない観点に立ち、各省設置法及び関係法律のあり方を検討してまいりたいと考えております。 また、政策評価等についてのお尋ねをいただきましたが、政策評価の実効性を確保するためには、情報の公開と評価結果の政策への反映について、国民への積極的な説明が必要であることは御指摘のとおりであります。また、政策評価の客観性を担保する観点から、今後、制度の設計に当たりまして、第三者的評価の視点も重要であると思います。 また、地球環境問題への取り組みについて御質問をいただきました。 基本法案におきまして、環境省の編成方針として、地球温暖化の防止等の環境行政における国際的な取り組みに係る機能及び体制を強化すること、との規定が盛り込まれているところでありまして、この具体化の中で、地球環境問題の解決に向け、我が国が国際的なリーダーシップを的確に発揮できるよう対処していきたいと考えます。 環境省創設の意義については、申し上げるまでもなく、極めて重要な行政として、二十一世紀の主要な政策課題であります環境問題に、戦略的、総合的に取り組み得るものと考え、特に力点を置いた一つであります。 次に、政治腐敗の防止、政治倫理の確立についての御意見をいただきました。 国会議員等が公務員に対してあっせん行為をすることの報酬として、利益を収受することを処罰する罪の新設を含む立法措置、これにつきましては、与党三党間において議論が行われてきているところであり、政府としては、この議論の推移を見ながら、適切に対処していきたいと考えております。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
○国務大臣(小里貞利君) 五項目についてお答え申し上げます。 一つは、行政システムの現状認識についてどうかというお尋ねでございます。 非効率な政策運営や縦割りによる肥大化、硬直化、これが一つございます。もう一つは、不透明性と政策評価、フィードバック機能の不在。三つ目に、政策の戦略性、機動性の不足や全体調整機能の不十分さ等が特に行政改革会議等におきましては指摘されたところでございます。 これらの問題は、我が国の行政システムが戦後五十年を経て時代に合わなくなってきていることに起因するものと考えられます。今回の中央省庁の改革は、これらの問題点を踏まえ、国の権限と仕事を減量し、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現しようとするものであります。 次に、地方分権については、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限尊重いたしまして、今国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成し、確実に実施することといたしております。今次の中央省庁等改革においても、地方分権の推進は国の権限と仕事を絞り込んでいく一つの重要な要素と判断をいたしておるところでございます。 三つ目に、公共事業の見直しについてのお話でございました。 公共事業については、国と地方が適切な役割分担のもとに協調、協力して事務を進めることが肝要でございます。このような観点から、これまでも地方への権限移譲、補助金等の整理合理化等を進めてまいったところでございます。今回の基本法案におきましても、このような観点等も十分踏まえまして、公共事業に関し国が直接行うものは、全国的な政策及び計画の企画立案、そして全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的事業の実施に限定をいたしました。その他の事業については地方公共団体にゆだねてまいりたい、これを基本といたしております。 四番目に、独立行政法人についてのお尋ねでございますが、この創設に当たりましては、お話のとおり、いたずらに雇用不安を招くことがあってはならないものと考えております。この趣旨から、行政改革会議の最終報告や与党間での協議を踏まえ、基本法案においては、第四十一条に「独立行政法人に行わせる業務及びその職員の身分等を決定するに当たっては、これまで維持されてきた良好な労働関係に配慮する」旨の規定を置いておるところでございます。 また、五番目に、定員削減に関する雇用問題への配慮についてもお尋ねがありました。 今回の改革を進めるに当たりましては、行政の減量、効率化等を図ることは極めて重要でございます。そして国の権限と仕事の減量と同時に、組織の簡素化、定員の削減に積極的に取り組む必要があると考えておりますが、ただし、お話がございましたように、定員の削減合理化を進めるに当たっては、御指摘のとおり、雇用の不安をもたらすことのないよう十分留意するべきことは当然であり、各方面に配慮してまいる所存でございます。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 橋本敦君。 〔橋本敦君登壇、拍手〕
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表し、中央省庁等改革基本法案について総理に質問いたします。 総理は、昨年の五月、六大改革に関して、国民の一人一人、特に二十一世紀を担う子供たちが将来に夢や目標を抱ける社会を目指すと強調されました。ところが、一年たった今日、社会意識に関する世論調査の結果は、日本の将来について悪い方向に向かっているという人が七二・一%、よい方向に向かっている、これはわずか一二・六%にすぎません。なぜこういう深刻な事態になったのか。それはまさしく消費税の増税、財政構造改革法の強行などによる国民生活の一層の苦しみと、不況深刻化をもたらした政策の破綻が国民から夢と希望を奪ったのであります。このような橋本内閣には、もはや百年の計を語る資格がないことは明らかではありませんか。 新しい二十一世紀に向かっての国づくりと言うなら、この行き詰まった自民党政治を、国民が主人公のまともな政治に転換するとともに、政官財の癒着構造を断ち切って、国民に奉仕する清潔な政治こそ目指すべきではありませんか。 そこで、法案の具体的な問題について、まず首相の権限と内閣機能の強化について伺います。 行革会議の最終報告は、内閣機能の強化として、内閣総理大臣の指導性の強化を提起し、法案でも内閣総理大臣の国政運営上の指導性を明確なものにするとしています。しかし、憲法第六十六条は、「内閣は、」「その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」と規定し、総理大臣と他の閣僚との関係は、明治憲法のように同輩中の首席とするのではなく、明白に機関の長として首長の地位を与えています。それでもなお、総理大臣の指導性が弱いという理由は一体何なのですか、具体的にお示しいただきたいのであります。 また、最終報告では、内閣がその機能を強化して総合政策立案と政策決定を進めるとしています。しかし、国会を国権の最高機関とし、議院内閣制を定める憲法の理念に忠実に基づくなら、国会こそその機能を強化して国民のための総合的政策の立案決定を行い、内閣は誠実にこれを執行する、これが主権在民のもとでの本来あるべき姿ではありませんか。 今、なぜ内閣機能の強化なのか。昨年の七月、橋本首相はみずからの判断でカンボジアへの自衛隊機の派遣を強行し、総理の独断専行ではないかと厳しい批判を受けました。本法案は、首相権限の強化によるトップダウン方式や内閣官房の抜本的拡充、安全保障室の改組などとともに、こうした批判を排除し、さらには新ガイドラインの日米軍事協力の強化と、アメリカ有事参戦態勢にも即応できる将来の国家づくりを進めることを意図しているのではありませんか。このような内閣機能の強化は、議会制民主主義と憲法の平和原則に反することは明白であります。 次に、省庁再編の具体的問題として、国土交通省をつくり、公共事業の七割を占める巨大利権官庁をつくることも重大な問題であります。これは、既に破綻をした苫小牧東部、むつ小川原開発などに続いて、五全総に基づき、海をまたぐ六本の大型橋梁道路工事を進めるなど、巨額の浪費構造にはメスを入れることなしに、大手ゼネコン浪費型の国家プロジェクトを一層進めるものとなります。これでは、国民本位の財政再建をいよいよ困難にするばかりか、公共事業には年間五十兆円もつぎ込み、社会保障には二十兆円しか回さないという、先進諸国でも例のないいわゆる逆立ちした政治を二十一世紀にまで続けることになるのではありませんか。 ところが、その一方で、本来国の責任で行うべき国民生活に密着した部門を大幅に縮小しようとしていることは重大な問題であります。 労働福祉省の編成方針では、社会保障制度の構造改革を推進するとしています。これは、既に破綻が明らかになっている財政構造改革路線を反省もなく、さらに進めようというものにほかなりません。 そもそも社会保障や雇用は、憲法第二十五条で保障された重要な国民の権利であって、国にはその向上と増進が義務づけられているのであります。にもかかわらず、これまで政府は保険あって介護なしと言われる介護保険の強行や、医療、年金制度の全面的な切り下げを進めてきましたが、この労働福祉省はさらにこれを進めて、規制緩和や民間移管で国の責任と分担を減らすことに対応して、厚生、労働両省のスリム化を進めるものではありませんか。 これはまた、今必要な戦後最大と言われる二百七十七万人もの失業者の雇用状況の改善や、国民のための社会保障の充実、こういった積極的役割を果たすという国の行政本来の責務をないがしろにするものではありませんか。 次に、簡素で効率的な政府を目指すとして、地方分権推進とともに基幹的な公共事業以外は地方公共団体にゆだねていくという問題であります。 衆議院における地方公共団体代表の参考人からは、権限移譲するなら財源移譲との一体化が必要であるとの意見が相次いで出されました。深刻な今日の地方財政悪化の根本的原因は、地方財政白書でも、経済対策に対処するため、国、地方を通じて大量の公債が発行されたためと指摘しています。 にもかかわらず、本法案で財源の具体的保障もないままに、地方公共団体にさらなる財政負担を強いるような権限移譲や公共事業の押しつけをするなら、それは今でも盛んに取り組まれている自治体のリストラ、すなわち民営化、民間委託にさらに拍車をかけ、ナショナルミニマムの投げ捨て、住民奉仕という行政本来の役割を一層放棄することにならざるを得ないではありませんか。これは真の地方自治に逆行する道であります。 次に、独立行政法人制度の問題であります。 これは、国民生活にかかわる公共の分野を国の事業の効率的な実施の名で切り捨てる仕組みを進めるものであります。政府は、これまでも地域住民や労働者の反対を押し切って国立病院の統廃合を強引に進めてきましたが、その国立病院を初めとして、最終報告では数百にも上る国立の機関、研究所について、そこで働く人々の意見を十分に聞かないまま独立行政法人の対象リストに挙げました。これに対して、労働者や関係者から大きな批判が上がっているのは当然であります。なぜ当該機関関係者からの聴取を含め、具体的な調査を行わなかったのですか。 今日、地震対策や環境問題、あるいはO157などの感染症を初めとして、食糧、食品の安全問題など、国民の科学技術と研究に寄せられる期待はますます大きくなっています。衆議院の論議では、国立試験場研究機関を初めとして、国立大学なども独立行政法人の対象であることを政府は認めました。さらに、小里総務庁長官は、気象庁の事業も、法案成立後具体的に検討すると答えています。しかし、これらの研究は、効率性と採算性などの企業論理で成り立つものではありません。国立試験研究機関でこそ可能な組織的、長期的、そして創造的な研究が必要不可欠ではありませんか。 にもかかわらず、企業会計原則を導入し、効率性を第一義的目標とする独立行政法人化は、結局、これらの国ならではの必要な研究や国民生活部門の事業を切り捨て、国の責任放棄につながるものと言わなければなりません。総理の見解を伺います。 さて、最後に、大蔵汚職など政治と行政の腐敗が厳しく問われている今、本法案や最終報告では、政官財の癒着構造を断ち切るための政治の改革がただの一言も触れられていない。これは一体なぜですか。それは、新しい国づくりの根本的理念を欠く政府の行政改革の重大な欠陥ではありませんか。 我が党は、国民の福利と基本的な人権の保障を実現し、自民党政治にかわる真に国民に奉仕する清潔な行政と憲法が生きる新しい国づくりのために奮闘する決意を表明して、質問を終わるものであります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 橋本議員にお答えを申し上げます。 まず、今日の不況の責任についてどう受けとめているかという御質問をいただきました。 私の責任は、国政を停滞させず、構造改革を推進しながら一刻も早く景気回復に努める、そして一層の努力を進めていくということにある、そのように考えております。 次に、政官財の癒着構造を変えるべきという御意見をいただきました。 今回の改革におきまして、規制緩和の推進等により、行政のあり方を事前規制から事後チェックに変えていくほかに、情報公開の推進や政策評価機能の強化などにより、透明性の向上を図るとともに、国家公務員制度の改革など各般の課題に取り組むこととしており、国民の立場に立って改革を進めようといたしております。 次に、憲法六十六条を引用され、内閣総理大臣の国政運営上の指導性をより明確にしようとする趣旨についてのお尋ねがありました。 行政改革会議の提言は、行政各部中心のいわゆる縦割り行政の弊害を改めて、内閣の指導のもとに、より総合的、戦略的な行政を行うよう求めるものであります。本法案はそれを受け、内閣、とりわけその首長である内閣総理大臣がよりリーダーシップを発揮しやすいような仕組みを整備しようとするものであります。 内閣機能の強化と国会の関係についてもお尋ねがございました。 本法案による内閣機能の強化は、内閣が日本国憲法の定める国務を総理する任務を十全に発揮することができるようにする、これを目的とするものであり、もとより今回の内閣機能の強化は、国会と内閣の関係に影響を与えるものではありません。国権の最高機関としての国会の権能にいささかの変わりもないものと考えております。 また、本法案による内閣機能の強化の意図について御見解をいただきました。 アメリカ有事参戦態勢というような御指摘もございましたけれども、今回の改革は、今申し上げましたような行政各部の総合性を確保しながら、機動的で迅速な意思決定を可能とするために、国政運営の上で、国会で指名された内閣の首長である内閣総理大臣がよりリーダーシップを発揮しやすい仕組みを整えるものでありまして、御指摘は私は当たらないと考えております。 次に、公共事業のあり方についてお尋ねがございました。 本基本法案に基づき、公共事業の仕組みについて、国と地方の適切な役割分担の確立等の見直しを行うことのほか、財政構造の改革を推進する見地も踏まえ、その重点的、効率的な実施を図ることとしているところであり、御指摘は当たらないと考えております。 また、財政構造改革及び社会保障制度の構造改革について種々御議論をいただきました。 これらの改革については、今後ともこれを進めていくべきものであると考えておりますし、そして、特に労働福祉省の担うべき政策の重要課題としても、これらの省の編成方針として規定をいたしております。 雇用の確保、労働条件の整備あるいは社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上増進、こうした目的を一体的、総合的に進めていくとともに、関係施策及び事務事業の効率化を目指していく、これは議員が御指摘になりましたような、国の本来の責務に反するという御指摘は私は当たらないと考えております。 また、財源保障のない地方分権の推進という御指摘をいただきました。 地方分権の推進に当たりましては、地方の自主性と自立性を高めるために、国と地方の役割分担を踏まえて、補助金等の整理合理化や事務権限の移譲などに応じて地方税財源の充実確保を図ることが重要です。 政府としては、地方分権推進委員会の勧告を踏まえ、地方分権推進計画を作成し、これに沿って地方税財源の充実確保に努めてまいることとしております。 次に、独立行政法人についてのお尋ねがございました。 独立行政法人制度は、一定の公的な事務事業について弾力的な組織、業務運営を可能とし、効率性だけではなく、質や透明性の向上を図ろうとするものであります。 また、独立行政法人化の対象業務につきましては、行政改革会議ではさまざま論議が交わされましたが、具体的に確定はせず、今後の作業に資する見地から、会議の論議で取り上げられたものを整理して掲げるにとどめております。 国立試験研究機関についても御意見をいただきましたけれども、国立試験研究機関への独立行政法人制度の導入につきましては、議員御懸念のように、効率性のみを追求し、基礎研究を軽視するというものではありません。各研究機関の多様性を尊重し、自律性、柔軟性及び競争性を高める、こうしたことを通じて基礎研究を含む試験研究機能の一層の向上を図るものと考えております。 国の責任等についてもお触れがありましたが、独立行政法人制度は、一定の公的な事務事業について、目標管理や評価などの仕組みを通じ、効率性の向上とともに国民の求める質の向上等をも実現するものでありまして、必要な場合には運営費の交付等所要の財源措置を行うなど、国としての責任も的確に果たしていくことになります。 最後に、行政改革会議最終報告における政治改革の記述の不在について御意見がありました。 しかし、行政改革会議は、社会経済構造の転換を促進すべく、行政の面から、官と民、国と地方の関係等について踏み込んだ討議、検討を行い、最終報告を行ったものでありまして、政治改革については、各党各会派で御論議をいただくべき性格のものと考えております。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 平野貞夫君。 〔平野貞夫君登壇、拍手〕
○平野貞夫君 自由党を代表しまして、橋本総理に質問いたします。 この法案は、本来なら憲法に規定すべき内閣の権能や行政府の責務、すなわち国益に直結する諸問題が含まれております。橋本総理が六方を踏んで、火だるまになって大改革に臨むというなら、その前に国益を侵したと言われている中国とのODA疑惑を晴らしてからにすべきであります。 この疑惑は、売国の行為とまで論評されております。このままでは、行政改革を行う政治的、道義的資格はありません。 冒頭に、若干の事実関係を確認しておきます。 まず、総理は、国会で一貫して問題の朱連平さんの職務を通訳だと答弁しております。国際協力事業団の「ベチューン医科大学 日中連誼病院機材整備計画 事前調査報告書」と、同じく基本設計調査報告書の二つの報告書には、朱さんの職務を衛生部外事司官員と記載し、通訳としては別に四名の氏名を記載しております。 なぜ総理は通訳にこだわるのか理解できません。個人的に通訳を依頼したのなら別ですが、日本の公文書にきちんと職務が記載されていることをどう説明されますか。総理の国会答弁は虚偽の答弁であることを認めますか。 次に、総理は自民党幹事長代理のとき、一九八八年八月十三日、ベチューン医科大学病院を視察し、そこで無償援助がうまくいくよう関係者から陳情を受け、そのとき朱連平さんは、衛生部外事処の実務責任者として対応していると、中国現地で関係者に確認した記事と写真を雑誌「諸君!」は載せております。これらの事実をお認めになりますか。 さらに、このプロジェクトの無償援助には多くの不透明さがあります。日本側が一たん二十一億円と回答したのに対して、中国側は陳情を重ね、最終的に五億円が上積みされ二十六億円になっております。総理はこの時期大蔵大臣でした。中国の関係者は、橋本先生が大蔵大臣に就任されたのが幸いして増額を認めていただいた、感謝の言葉も見つからないと雑誌「諸君!」に証言しております。どのようなかかわりがあったのですか。ここに国益を侵したと言われる総理に対する疑惑があるのであります。 これらの記事を書いた筆者は、日本人としての怒りから質問状を出したところ、総理の事務所の回答はノーコメントだったそうです。ノーコメントで済ませる問題ではありません。 この問題を総括すれば、朱さんはODA対策の交渉員であり、橋本総理は彼女の働きかけを長年にわたって受け、彼女の任務に政治家として手をかしてしまったということになります。総理はこの責任をどう感じておられますか。 中国ODA疑惑に対して、国民が納得する説明を要請しまして、本論に入ります。 政府が提出した中央省庁等改革基本法案は、まず第一に理念、哲学のない法案であることを指摘しておきます。 その理由は、提出の根拠を行政改革会議という政府の隠れみのの報告書に置いていることであります。橋本内閣には全責任を持って改革を断行するという気迫が感じられません。また、主権者国民のためという目的意識に欠け、国益のために再編、内閣を拡充するという観点がなく、その結果法案の文体に活力がありません。法文というものは、策定にかかわる政治家の魂が宿るものでございます。こんな空虚な法文を見たのは初めてでございます。もしこのまま成立するなら、再編される省庁や内閣の機能は、理念のない単なる肥大化した事務所に変わるものと危惧するものであります。総理の御所見を伺います。 第二は、省庁等再編の手順に重大な誤りがあります。 今日、実現しなければならないのは小さな政府です。各省庁の権限、機能をできるだけ地方に分権し、さらに民間でやれることは民間に移していけば省庁の縮小、再編、数はおのずから必要最小限のものとなります。初めに一府十二省ありきで、権限、機能等をほとんど変えずに数合わせで再編し、巨大な府や省をつくるという暴挙をやろうということでは国民のための行政改革にはなりません。我が国内外の政治、経済等の混迷の中で、今直ちに行政当局を数合わせで再編する必要はありません。まず、当面統合させて障害が少ない十五省程度に整理し、地方分権、民営化などのめどをつけてから本格的再編を行う二段階方式で行うべきだと思います。 本法案は、五年以内を再編のめどとしていますが、設置法をつくり、人事を定着させ、引っ越しをやるといったことに相当な年数がかかります。その間、行政が手につかなくなるおそれもあります。実効性のある省庁再編にはなりません。この法案による手順は、行政の混乱を生じさせる危惧があります。総理の御所見を伺います。 第三は、内容について重大な問題があります。 第一条の目的で、基本的な理念及び方針を定めると規定していますが、新しい省庁の理念とか方針等はほとんど規定されておりません。結局、各設置法で規定することになると思いますが、省庁の目的、理念、方針はこの法律に規定しておくべきであると思います。各省庁の所管を羅列しているだけで、従来どおりの官僚主導の裁量行政を続けていく内容であります。改革への逆行であります。 率直に申し上げて、今日、時代が要請している改革は、省庁再編といった形だけのものではありません。政治、行政、経済、教育など、あらゆる分野にわたる日本の停滞したシステムを構造的に改革することであります。そのためには、あらゆる分野を総合した日本再生構造改革基本法を制定し、経済の立て直し、財政の再建を中心とする十年計画の戦略、戦術を立案して日本の再建に臨むべきであります。省庁再編はその一環として位置づけるべきであります。 失政を続けている橋本総理が、この中央省庁等改革基本法案を人気取りの格好づけのために強行して成立させようというのなら、とんでもない間違いであります。この法案は廃案とすべきであります。仮に成立するようなことがあれば、一年先、いや半年先には財革法の二の舞となることは目に見えて明らかであることを申し上げて、質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 平野議員にお答えを申し上げます。 冒頭、ベチューン医科大学病院に関連し、幾つかの御質問がございました。ベチューン医科大学の件を私が初めて中国側から聞きましたのは、記憶が必ずしも定かではありませんけれども、たしか昭和五十六年ぐらいではなかったかと思います。日本でなら命が助かる発展途上国の方々の生命を一人でも多く救いたい、この世に生をうけた乳幼児の死亡率を一%でも下げたい、そうした思いから、私は発展途上国への医療協力には積極的に取り組んでおりました。そしてそのプロジェクトに日本から経済協力をしてほしいという、その話を中国側から初めて伺ったとき以来、私はその重要性を、必要性を折に触れて訴えてまいりました。たしか、日本語による医学教育を行っていたこともありまして、日中友好病院のバックアップにもなるし、歴史的にも密接な関係にある東北部の中核も必要だと、そうした判断であったと思います。 なお、お尋ねの方は、私が中国に行き、また中国の衛生部の要人が来日されたとき、中国衛生部の通訳として仕事をしておられました。その方が通訳以外にどういう仕事をしておられたのかは私は存じません。また、昭和六十三年に訪中した折、たしかその方はおられたと思います。関係者から陳情を受けたかというお話がありましたが、昭和五十六年ころからこのプロジェクトについてのお話は伺っておりました。ですから、そのときにどうこうという記憶はありません。 また、この無償援助につきましては、平成元年十月に中国側から三十五億円の正式な要請を受け、その後十分な検討、調査を行い、案件の妥当性を確認した上で、平成二年十一月に二十六億円で交換公文の署名が行われたと大筋は承知をいたしております。 以上申し上げましたように、私は、昭和五十六年ごろ以降、政治家としての私の信念に基づいて、我が国の協力を進めるべく努力をしてきたものであります。 次に、行政改革本体について御質問をいただきました。 まず、改革の理念と省庁の肥大化というお尋ねをいただきましたが、今回の改革は、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現するために、規制緩和や地方分権、官民分担を徹底し、国の権限と仕事の減量を進めながら中央省庁の再編を行おうとしております。行政改革会議は私自身会長となり、その最終報告は、各界の有識者が広く国民の意見をも踏まえて、論議を尽くして取りまとめられたものであります。 数合わせであり、手順が違うという御指摘もございました。 今申し上げましたように、規制緩和や地方分権、官民分担を徹底し、国の権限と仕事の減量とを並行しながら、二十一世紀において国が担うべき機能、課題に対応すべく省庁再編等を行おうとするものであり、御指摘は私は当たらないと思います。 行政の停滞についての御懸念につきましても、二十一世紀を目前にして内外に懸案が山積する今日こそ、問題を先送りすることなく、旧来型の行政組織、業務を全面的に見直し、重要な政策課題の解決に万全を期する体制をつくり上げることが政府の責務だと考えております。 なお、二段階でこれを行えば、議員の言われるような混乱は一層大きくなるんじゃないでしょうか。 また、新たな省の目的等が示されず、真の行革になっていないという御指摘につきましては、新たな省が担うべき主要な任務及び行政機能を示した上で、それぞれの省の編成方針において、具体的に重要課題への取り組み、政策の転換の方向等を明記するとともに、裁量行政からの転換についても方向を示しているところであり、御指摘は当たらないと考えております。 また、あらゆる分野にわたる長期戦略を前提としていない本法案は廃案にすべきという御意見でありました。 私は、これをやり遂げることがこの国の将来に対して必要だと考えております。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十三分散会 ─────・─────