文教・科学委員会 第26号
- 発言数
- 118 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/06/04
会議録
○委員長(大島慶久君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、上山和人君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(大島慶久君) 学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○北岡秀二君 久しぶりに質問させていただきます。 直接この法案に関連のある質問ではないのですが、つい先日、科学技術庁の方から白書が出されまして、その白書の概要でちょっと気になる数字が出ておったものですから、その点からちょっとお伺い申し上げたいと思うんです。 これはもう既に御承知だろうと思いますが、国立教育研究所が子供たちにアンケート調査をとられていらっしゃる。このアンケート調査の内容によりますと、科学技術庁の白書で特にこの部分だけを取り上げておるんですが、「科学のために世界がだんだん破壊される」というこのイエス、ノーの答えで、小学校五年生に対してのアンケート調査の結果が、六四%の小学校五年生の子供たちが科学のために世界がだんだん破壊されるという結果を出されたと。 私は、科学技術庁のこの白書の表に出されておる数字を拝見させていただいたときに大変心配をいたしました。ある一面確かにそのとおりだろうとは思うんですが、私どもの国というのは科学技術立国で、科学技術者の人材養成をしていかなければならないという観点から申し上げますと、科学技術に対する認識が、子供の時代から科学技術によって世の中が悪くなっていますよというような認識をとられるところに、将来の我が国の人材養成という観点から非常に心配をしておるわけでございます。 実際にこの研究所がとられましたアンケート調査の内容を精査いたしますと、児童生徒の意見で「科学に対する価値観」という領域に関しては、生活が科学技術によって豊かになっている、あるいは日常生活の問題解決に役立っている等々の部分はかなり肯定的な数字が出ておるわけでございますが、「科学技術の功罪」という部分で、科学のために世界がだんだん破壊される、さらには、科学の発明は世の中を余りにも複雑にし過ぎた、そしてまた、科学的発見はよいことより害をもたらすことの方が多い、さらには、世の中の困った問題の多くは科学技術が原因となっているという、この功罪の部分のアンケート調査では小学校五年生の御意見が軒並みそういう罪の部分を肯定する部分が多い。 これは私は非常に心配な数字と思っておるんですが、文部省はこの数字のあたりをどういうふうに解釈されていらっしゃるのか、まずお聞き申し上げたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 私も、委員御指摘のとおり、この科学技術白書の結果を見ていささか考えさせられたといいましょうか、ある意味では確かに心配になったわけであります。 委員御指摘のとおり、科学に対する価値観という意味ではかなりプラスの、「生活が豊かになる」というのを肯定する児童が五七%とか、「日常生活上の問題解決に役立つ」七三%、「国の発展に重要」六九%、非常にそういう面も見ているわけです。 他方、功罪ということになると、やはりこれは昨今の環境問題でありますとか、あるいは原爆、水爆の実験の問題等々、そうした罪の部分の方がむしろより大きく世の中に報道されるといったようなことなども影響するんだろうと思いますが、今の子供たちのそういう意味の情報量とか知識量というのは私どもの小さいころとは比べ物にならないほど大きくなっている。そういう意味でいささかマイナス面の評価も大きくなっているのかなと、こういう気がするわけであります。 ただ、もう一つ、ちょっと救われるかなと思いますのは、その欄の下に高校を出た後六年たった方々の調査結果も出ております。例えば、「科学のために世界がだんだん破壊される」というのが、小学校五年生が六四%、高卒後六年の方は四〇%とか、「科学的発見はよいことより害を多くもたらす」、小学校五年生が四三%で高卒後六年が一五%というように、やっぱり世の中に出てみると少しくそうした功罪というものの冷静な評価ができるようになってくるという意味では、ある意味では楽観できるところもあるのかもしれない。 しかし、いずれにしても学校教育の段階で、こうした科学技術によります社会発展への貢献とか、あるいは子供たち自身が未知の世界を知ることの喜びでありますとかあるいは発見する喜び、こうしたものを体験などを通じて科学技術の重要性、大切さ、しかし同時に私は、そのマイナスの面、影の部分もやっぱりあるということを認識しながらプラスの面をいかに伸ばしていくのかというバランスよい受けとめられ方ができるように学校教育の中でもしっかりと教えることができるように心がけていきたいし、これから新しい学習指導要領等もつくるわけでございますから、今後そうした面に十分留意をしながら、よりプラスの面をしっかりと認識できるように努めてまいりたいと考えております。
○北岡秀二君 方向はそういう形でよろしいかと思うんですが、ここ何年か前から、何年か前というか、何十年か前から子供たちの理系離れという現象もかなり顕著にあるのではなかろうかと思うのですが、そのあたりの理系離れの実態というのは文部省ではどのように掌握をされていらっしゃるのか、具体的におわかりであればお教えをいただきたいと思います。
○政府委員(辻村哲夫君) 理系離れにつきましては、小中高だけでなく大学への進学動向等も含めましてさまざまに言われております。まず、大学の理工学部への進学志願者の割合の低下でありますとか、あるいはもう少し上の段階での若者たちが科学等に対して興味を示さないということ、これは量的になかなか示しにくい点もあみわけでございますけれども、そういう指摘がございます。私ども、小中高の段階におきましても、この点については心配をしつつ検討をいたしております。 言えますことは、今回の学習指導要領の改訂作業の基礎となります達成度調査という、今の指導要領をどのくらい子供たちが達成しているかという形の調査をいたしております。全国の子供たち、小・中・高等学校の各学年一万六千名ずつ選びまして、小学校は五・六年生、中学校は各学年でございますけれども、そうして達成度の調査をいたしますと、子供たちの成績はおおむね良好という結果になっております。 それから、国際数学・理科調査というものがございまして、各国との国際比較も行うような機会があるわけでございますけれども、その場合でも、いわゆる学力の点におきましては中学生、小学生ともに大変高い順位を示しているわけでございます。 ただ、そうした中で、今先生御指摘の点を踏まえて分析いたしますと、国際比較の点におきましては、では高い結果を示しておる子供たちに対しまして将来科学を使う仕事をしたいと積極的に思うかという問いを生徒に発しますと、日本の子供たちは下位でございます。そういうものに対してイエスと答える子供たちが大変少ない。それから、端的に理科を好きと答える子供の割合、これも、下位ということではございませんけれども、国際の平均値よりも低いというような状況になってございます。 したがいまして、子供たちは、お勉強と申しましょうか、学力の点では高い成績を示しつつ、しかし、ではそれを使って将来生きていくか、それを積極的に評価していくかということになりますと大変低いという状況が統計的にも出ておるわけでございます。 そういう点をもちまして私どもは、科学に強いというだけでなく、科学に対して知的好奇心とか、科学が好きな子供たちというものをどのように育てていくのか、このことが大事なことであろうと。これを裏返せば、理科離れでありあるいは科学技術離れと言われることに対する取り組みということになるんではないか、こんなふうに分析をいたしております。
○北岡秀二君 私は、前段に申し上げましたとおり、今の日本の国ということを考えてみましたときに、資源も土地もない、人間という側面である程度世界に伍した一つの経済大国をつくっておるという状況から申し上げますと、これはもう申し上げるまでもないことなんですが、科学技術に頼る部分というのはかなりある。これは将来的にもそうなんですが、そういう観点から申し上げると、日本の国にとって将来科学技術に従事する優秀な人材を育成していくというのは本当に国策の中の一番大きな柱の一つだろうと思うんです。 そういう観点から申し上げますと、そういう部分での人材を育成していくという一つの必要性のみならず、今の教育改革という流れから申し上げますと、子供たちに夢がない、そういう部分で心の教育をどんどんしていかなければならないという、この場面だけをとらえても、科学技術に対して夢を持っていただいて、将来こういう大人になるんだ、こういう仕事をやるんだという夢を持っていただくこと自体、今荒れている学校教育の改革の助けの一つにもなるんでないのかなというふうに感じておる次第でございます。 ついさっきも科学技術庁のある幹部の方と話をしておりまして、今の科学技術の現場での若い技術者の状況というのをお伺いしたんです。最近、皆さん方御承知のとおり、例えば技術系でいくと就職に有利だとか、あるいは経済的にある程度保障されるという観点で、ともすると受け身の立場で理科系に入っていらっしゃる方が結構いらっしゃる。これは理科系だけじゃなくて、我が国の若い方々全般にそういう傾向が強いわけでございます。特に今の日本の状況を考えてみますと、最近は欧米諸国に比べて科学技術の水準がともするとおくれがちになっておる、どんどんこれから将来の先端産業を中心としたグローバルスタンダードをつくっていかなければならない状況の中で、日本の技術力というのは外国におくれをとりつつありますよという話もよく聞きます。 そういう状況から申し上げますと、これはただ一つのアンケートを見て私は申し上げるつもりはないんですが、今の日本の特に小学校の子供を取り巻く理科系、科学技術に対する夢を持っていただいてどんどんそういう部分の人材をつくるという側面をとらえていったときに、非常に大きな欠陥を持っておるような感じがするんです。 確かに今の世の中、環境ホルモンだとかあるいは原子力問題にとか、あるいは産業廃棄物とか、あるいはトータルの環境間値全般、科学にまつわる世の中の影の部分というのが取りざたをされておるものですから、親やあるいはマスコミや、ひょっとしたら学校の現場でもそういうマイナス情報を子供たちに提供しているばかりに、本来であれば、素直な形で科学技術というのをとらえるのであれば夢を持っていただかなければならない領域に、ともするとマイナスの要因が入っているんじゃなかろうか。これはもう単純に考えてみてもそうなんですが、当然光と影がある。その影の部分を解決するのも科学技術。今取りざたされております環境ホルモンにしてもダイオキシンの問題にしても、それを解決するのもまた科学技術であることもほかならない。そういうふうに認識をするわけでございます。 そういう観点から申し上げますと、文部省としても今までも取り組んでいらっしゃっておるだろうとは思うわけでございますが、ともすると世の、中がそういうネガティブキャンペーンに対応するような社会構造になりつつありますので、ぜひともそのあたりを心して、将来の人材づくりという観点から、夢を持っていただくという理科系の人材育成に教育の現場でぜひとも力をいただきたい。 大臣、所見がありましたらお述べをいただいて、次の質問に移りたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 北岡委員御指摘のとおり、確かに光と影と両方あると思うんです。ですから、昨今の環境問題を勉強する、それへの適切な対応を考えるということもまさに御指摘のとおり、影の部分をしっかりコントロールしながら、いかに光の部分を伸ばしていくか。影の部分がないんだと言う必要は私はないと思うんです。それはそれとしてしっかり対応を考えながら、あといかに夢を持ちながら光の部分を伸ばしていくかということだろうと思います。 私のふるさと北海道から宇宙飛行士の毛利さんが日本で初めて飛ばれました。そして、毛利さんが宇宙から子供たちに呼びかけたあのすばらしいメッセージでありますとか、あるいは、私地元で毛利さんがしゃべっているその会場の子供たちの顔が映ったのを見たことがございますが、本当に目が輝いて、もう食い入るような目で毛利さんの話を聞いていた子供たちの顔が非常に印象的でございました。 ですから、私はそういう意味で、子供たちはそうした部分で非常に大きな夢と希望、期待というものを持っているという、潜在的にはそういうものがあるんだということを強く感じますので、子供たちが自然に持っているそうしたものをいかに伸ばしていくのかということを心がけていきたい。 理科教育振興法という特別な法律も既にあるわけでありまして、それに基づいて、十分かどうかわかりませんが、学校への理科の器材のきちんとした整備でありますとかいろいろな対策も打ってきております。そうしたことなどを含めて、子供たちが科学技術に夢や希望を持てるようにしっかりと教育の現場でも努力をしてまいりたいと考えております。
○北岡秀二君 ぜひともよろしくお願い申し上げます。 これは私は目に見えない部分で非常に大きな問題だろうと思いますので、マイナス思考の方向に入らずに、特に今の日本の状況を考えてみますときに、プラス思考の領域で子供たちに接触をしていただくという部分でぜひとも今後のなお一層の努力をされた対応をお願い申し上げたいと思う次第でございます。 時間の関係で、直接法案の方に入らせていただきます。このたびの中高一貫教育、学校教育法の改正ということで、今まで何日間か議論をされました。文部省のいろいろな御意見というのは私どもも拝聴させていただきまして、基本的には賛成なんですが、私は、中高一貫教育を現場に普及させていくという過程の中でちょっと一部心配な点がございます。 そういうことでお伺いしたいわけでございますが、今度の法律では、中高一貫教育を実質普及させていく過程の中で、一貫型あるいは併設型、連携型という三つのスタイルで実際にやっていただきたいというような形の内容になっておろうかと思うんです。この三つのスタイルに区分けをして、こういう形で奨励をしていこうとする文部省のねらい、どういうところにねらいがあるか、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(辻村哲夫君) 先生御指摘のとおり、中高一貫教育の形として三つ考えてございます。そのうちの二つ、中等教育学校というものと併設型の中高一貫校を法律でお願いをしているものでございます。もう一つは連携型と称しておりますが、これは現在の中学校と高等学校というものを前提にして、実態として中高間のカリキュラムですとかその他をつなぐ形で中高一貫教育を実現していこうと、こういう形のものでございます。 ポイントだけ申し上げますと、中等教育学校というのはずんどう型と申しましょうか、六年間原則同じ生徒が生活をともにして卒業していくという形を想定してございます。したがいまして、組織としては大変かたい組織になってございます。六年間原則生徒は同じ、教師も同じというものでございます。 ただ、この中高一貫につきましては、問題点としていわゆる中だるみですとか、あるいはこの長い学生生活になじめない子供が出るんではないかというような指摘がございます。そこで、中学校と高等学校と組織は一応別々にしておきますけれども、同一設置者が設置して中と高の間は選抜なしにつなぐという形で、高等学校の段階でずんどう型ではない、別のところからの中学卒業生を高校に入れ得るような少し柔軟な形を想定してございますのがこの併設型というものでございます。これは現在ある高等学校を前提にして、それに同一設置者が中学校を併設するという形で設置できるという形で、かなり現実的な創設が可能なのではないかという意味も込めてございます。 それから、もう一つの連携型はまさに今の中学校、高等学校を前提にしてございますので、これは各地域地域の状況によって柔軟に実現できるわけでございます。 そうした三つの型それぞれに特色がございますので、各都道府県等の設置者においてどんな形でこれを活用していくのか、そうした幅を三つほど設けて選択をして中高一貫教育を広く実施していきたい、こういう気持ちであるわけでございます。
○北岡秀二君 先ほど申し上げましたとおり、この法律がいざ実施段階になって、当然今の段階では積極的に取り組んでいきたいという地域はかなり多いんだろうと思うんですが、いざ実際取り組む段階になって考えてみますときに、これは文部省の見解はどういうようなのか私はわかりませんが、かなり地域間格差が出てくるんじゃなかろうかな。やりたいんだけれども、やれる現実にないと。 また、これはもう少しはっきり申し上げますと、都市部で取り組むに当たっては、都市部は都市部なりに悩みはあるだろうとは思います。高校数も多いし中学数も多い、それだけ選べるメニューがたくさんありますから、逆にメニューがたくさんあり過ぎてそのあたり最終決断するのが難しいかもわかりません。逆に、私ども郡部の過疎地域に住んでおるんですが、その郡部の過疎地域でも、その学区内に中学校が複数で高校が一つしかないというようなところはえいやで思い切ってできるかもわかりませんが、その他の中途半端な地方は、非常にこれは私現実問題として、取り組んでいくに当たって取り組みづらいんじゃないのかなというような懸念を抱いておるわけです。 ですから、これはあくまで文部省の当初の方針自体が、とにかく選択肢をふやすんですよ、これは強制的に全国に普及さすつもりもないことであろうし、やりたいところだけがやってくださいというようなことですので、基本的には全国津々浦々どこの学区でも一つというようなことも別に想定はしていないだろうとは思うんです。 ただ、これがある程度成功をおさめてかなり全国的に、少なくとも学区内に一校は選択できますよというような形で普及された状況を想像してみたときに、中途半端な地方、これは非常にそのあたりの地域の中高一貫教育に対する現実的な取り組みというのはかなりおくれをとるであろうし、現実問題としてそういう学校制度を新しくつくろうにもつくれない状況というのが出てくるんじゃなかろうかなというふうに直感するわけです。そのあたりは文部省として、どういうふうにお考えで、そしてまたなおかつ、やりたいんだけれどもできない地域ができ得るとすればどういうふうに対応していくつもりなのか、ちょっとお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○政府委員(辻村哲夫君) 私どもも、具体的に量的にそれぞれの地域に何枚という形で示すということは差し控えるべきであるし、それは各地域地域の御判断であろうと思っております。 ただ今回の措置が、実質的に三三で歩もうとする子にはその道を、しかし、それをつなげた形の中高一貫という形がニーズに合う子供たちにはそういう機会が与えられるようにということでございますので、実質的な機会が与えられるだけの整備は望まれるところであろうというふうに思っております。そのときに三つの型をいろいろな形で工夫してやっていただくというわけでございます。 一つの具体的な例でございますけれども、岡山市で来年度からやろうとして考えておりますのは、市立の商業高校と工業高校を統合して総合型の学科をつくると。四つの系列でそれは構成するわけでございますけれども、そういうふうに高等学校をつくる。そのときあわせて併設型の中学校を設ける。その第二の形で中高一貫校をやろうとしている例がございます。これはこれで岡山市の実情を踏まえた形での中高一貫校の実情だと思います。 それ以外にさまざまな形で中高一貫の試みがございます。ですから、一概にどうということはないわけでございますけれども、例えば人口が非常に小さいところでありますと、実質的に現在の中学校と高等学校のままでありましても、いわゆる連携型という形で中高一貫校ができるということであればそれはそれでいいかとも思います。しかし、さらに進んだ形ということであれば、三年だけではない、六年間生徒がともに生活をするということにメリットを見出すということであれば、高等学校を中心に中等教育学校をつくる、あわせて中学校は併置してあるという形のものも考えられると思います。 ただ現実問題として、都市部の中で高等学校もたくさんある、中学校もたくさんあるという場合にどんな形でその中等教育学校をつくるのか、併設型をつくるのか、あるいは連携型をしていくのかというのは、個別にはなかなか決断が難しいケースはあろうかと思います。それは各都道府県等におきます研究、検討会議の場でじっくりと御検討いただいて進めていただく、こんなふうに考えておりまして、それぞれのニーズを踏まえた形での取り組みが進められていかれればいいのではないかと、こういうふうに思っております。
○北岡秀二君 私は、地域間格差がひょっとしたら、いざ実際にその実施段階になれば出てくる可能性が大いにありだろうと思うんです。特に田舎へ行けば行くほど当然学校数、高校数は少なくなりますし、なおかつ、これは田舎の特性でありますが、非常に地域エゴというか地域性が強くなってきますので、その組み合わせは難しいし選択肢は少ないしということで、多分私は、ある程度普及して成功裏におさまるような形になれば、やりたくてもできない地域というのは必ずできるだろうと思いますので、そのあたりの対応というのは、文部省、今後の一つの課題として全国的な普及、教育の機会均等、少なくともどの地域でもその選択肢の一つとして必ず機会が均等に与えられるような体系をぜひとも、また今後これから先の将来の課題としてお考えをいただきたいと思う次第でございます。 本当はもっと大臣に聞きたかったんですが、時間が参りましたので、以上で終わります。
○江本孟紀君 よろしくお願いします。 この中高一貫教育というのは、基本的には先ほどの先生と同じで私も賛成をしておりますけれども、この制度を取り入れるとしたらいろんな問題点も当然ありますし、それから取り入れるんであればこうしてほしいというのが何点かありまして、そういったことを中心にお話をさせていただきたいと思います。 中高一貫は、大学の入試、それから高校入試、こういった入試地獄みたいなところから子供を早く解放させてやろう、中高一貫を六年間やっている間にゆとりやいろんなものを子供に与えようというような趣旨のようですけれども、しかし、これはそこだけ直せばいいかという問題じゃなくて、戦後の教育の一つの仕組みからいえば、やはり大学入試、それから大学のあり方、ここに本来問題があったんではないか。 今みたいに学歴社会の、いい大学に行かすためには小学校から中学校から高校からというようなところで、いい学歴を得るために、また社会もそれを受け入れているわけですから、そういった部分において今の子供のさまざまな問題が出ているんではないか。だから、中学校から高校へ行く間だけ受験地獄をなくしてやれば子供に余裕が生まれるとか、教育の改革が全部できるかというと、そうでもないんじゃないかなという気がしております。行く行くやはり大学に対する問題点、こういったものもこれを踏まえて考えていただきたいなと思います。 そこで私は、どうせこういったもの、どうせと言うのはおかしいんですが、こういうものができた以上は、やはりもっときちっとした方針といいますか、あいまいではなくて問題点をもっとはっきり出して、例えば、これは明らかに学力エリート養成学校であるというぐらいに言ってもいいんじゃないか、こう思います。それは、そういう学校が一つぐらい公立にあってもいいんじゃないかというふうに理解したいと思います。 例えば五ケ瀬の中高を見ましても、卒業している人たちの進路、ここに堂々と有名大学を書いてありまして、私の出身は書いていませんけれども、これを見たら相当いい学校ばっかりなんですね。そうすると、こういうのに、卒業した人はこういうところへ、いいところへ入っていますよとはっきり言っているわけですから、これはそれでいいと思うんですね。 それを別の意味で、ゆとりとか子供の受験地獄を解消するとかというようなことじゃなくて、どうせなら堂々と、各県に一つぐらいは公立のエリート養成学校があるんだ、私立の中高一貫のエリート学校というものは金がかかって高いんで、そういうところばかり行かす苦労を、公立でこういったところもあるよというものをつくった方がいいんじゃないかなというふうに私は思いますけれども、その私の考えはどうなんでしょうか。その辺をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 委員のお考えはお考えといたしまして、いわゆる受験エリート校というもの、どういうふうに定義するかということもありましょうが、よく巷間言われている受験エリート校は私立の中高一貫に見受けられるわけでありますが、例えば高校二年の段階までで全部のカリキュラムを終わって、最後の三年生のときはもうひたすら決めた大学の受験勉強だけをやるというような姿があったり、あるいは入学の際に極めて難問奇問的、とても小学校六年生にはわからないような試験をやってその点差で採る、そういう形で受験エリート校というのができ上がってきているのかなとも思うんですが、そういうものを私は今回つくりたいとは思っておりません。むしろそういうのはつくってはならない、こう思います。 なぜならば、受験エリートのなれの果てといいましょうか、行く末といいましょうか、それは一体何なんだろうかというと、いい学校を出て、いい大学を出て、それはいい会社に入るかもしれない。しかし、それは人生のエリートでも何でもないんです。むしろ、江本委員のようにプロ野球でエリートになるという方がある意味でははるかにエリートかもしれません。だから、ただ単にある部分、どちらかというと記憶力だけが異常にすぐれているということをもって人間のエリートでも何でもないと私は思うのであります。 だからこそ、私どもは七つのパターンと申し上げておりますけれども、例えば、じっくりと学びたい子供たちに合ったような学校をつくったり、あるいは国際化教育に特色を出す学校とか、あるいは環境教育をしっかりやる学校とか、あるいは情報化問題に対応できる学校とか、あるいは体験学習を非常に重視する学校、そういうようないろいろな特色を持った中高一貫校というものを目指すべきだろうし、したがって、小学校六年生、受験生に対して学力試験というものは課さないというのもそうした考え方に基づいているわけでございます。 じゃ、世の中にいろんな意味でのエリート、それはいろんな分野でのまたいい意味のエリートというのは僕はあると思うんです。それがこの世の中必要ないかといえば、それはそうではないんだろうと私は思います。ただ、それが日本ではえてして受験エリート、すなわち何か日本社会のエリートみたいになっちゃっているところがむしろおかしいんだろうなと、こう思っておりまして、そういう意味の受験エリート校を私どもはこの中高一貫で全く考えていないということをはっきりと申し上げたいと思います。
○江本孟紀君 私はそういう言い方をしましたけれども、受験エリートというよりも人間形成も含めたエリート養成ということをちょっと言いたかったんです。それは条件が私も一応ありまして、ただもう勉強だけできればいいということじゃないんです。 スポーツの部分においてもちょっとお聞きしたいことがあったんですが、関連して言いますと、五ケ瀬のパンフレット、これはモデルになると思いますけれども、このパンフレットの表紙に「志忠恕妙気」、何かよく読めない、私もちょっと理解しづらいんですけれども、これの説明をこのパンフレットに書いてあるんですけれども、これちょっと私は不満なんですね。 それは何が不満かといいますと、ちょっと引用させていただきますけれども、お茶の水女子大の藤原正彦教授は、あるものに書いてあったんですけれども、まさしく私はこのことを言いたかったんですが、多少中略をするところもありますけれども、「道徳的な教育をもっと盛り込んで、日本人に昔からある「形」というものを、国語教育を通じて教えて行く必要がある。」。そして、「われわれの子供のころは、卑怯と言われたら人間性を否定されるようなことだった。卑怯を憎む心は武士道精神の中でも一番大きなものの一つである。そういう「形」を教わっていない。「形」は理屈ではない。広い意味の国語を通して「形」をきちんと教えないと、日本の様に宗教のない国家では、座標軸がなくなりどうしようもなくなってしまう。」。そして、「「形」をきちんと教えれば、いじめを前に身を呈して助ける子供が出てくる。」。そして、「座標軸としてあった武士道精神を、家庭と学校で理屈なしでたたきこまなければならない。」ということを言っておるんですけれども、要するに、今の教育をめぐるさまざまな問題の根本的な部分というのは座標軸を持てないということであります。 だから、公立ですから、国がやっぱりもっと、国家はこういうものである、国はこういうことであるぞということを、昔だったら士官学校だとか何かがあって、勉強も武道もできるというような学校があったんですけれども、今やそんな時代じゃありませんので、むしろこれからの日本を考えた場合に、子供のときから、国家はこういうものであるぞ、お前たちが大きくなったらこういうふうに社会に貢献するんだぞというような、そういう学校があってもいいんじゃないか。まさしく公立だったらそれをやるべきなんですね、私に言わせれば。 だから、これは非常に生易しいんですよ。これはもう明らかに勉強だけの学校になっていますから、私は、むしろ各県に一校ぐらいは、文部大臣がいつでも行って堂々と君が代を歌えるような、日の丸を出せるような、そういう学校を堂々とつくってもいいんではないかなというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 日の丸・君が代は、これはもうすべての学校でしっかりとやっていただかなきゃならぬことは言うまでもないので、新しくできる中高一貫校だけでやってそれでいいというわけにはまいりません。 それはさておきまして、今、私は大変重要な御指摘があったと思います。一体日本の教育の座標軸はどこにあるのか。これは非常に根源的なお問いかけで、なかなか私も短い時間でうまくお答えをするだけの能力も知識もございませんけれども、例えば、委員は宗教というお話を言われた。日本に宗教というのがあるのかないのか、もちろんあるわけでありますが、諸外国のように、例えばイスラムのような形で国を挙げてみたいなことはもとより日本ではございません。およそ宗教というものは、何かすべて学校教育の中で触れられていないような感じがするわけです。指導要領を見ると、宗教の重要性は教えなさいと言っているんですが、率直に言って余りそれはなされていない、一部の私立の学校においてのみではないのかなと思います。 例えば、どの宗教がいいですよとか悪いですよと言う必要はありませんけれども、世界にはキリスト教もあるしイスラム教もあるし仏教もあるし、それぞれこういうことを教えているんだ、こういうのが教義である、こういうのはそれぞれ人間生きる上にとって大切なんだということをもっとしっかりと公立の学校の中でも指導してもいいのではないんだろうかなと私は思っております。 しかし、それはあくまでも勉強じゃないかと。まあ身につけてほしいんですが、では何が戦後の日本の教育の座標軸であり得るか、もっと言うと、日本の教育の中でどういう人間に育ってもらいたいかということに関して私は文部大臣就任以来いろいろ考えておりますけれども、正直言って、答えはないんじゃないのかなと私は思っております。 戦前であれば、よかれあしかれ一つの修身という姿があったし、あるいは江戸時代からのある意味ではよき遺産といいましょうか、武士道とか商人道とかいろいろな道というものがありました。そういうものは戦後ほとんど否定をされてしまった中にあって、例えば昭和二十七、八年ごろ天野文部大臣がある種のそういう望ましい人間像みたいなのを出そうとして葬り去られました。昭和四十一、二年ごろに期待される人間像というのを中央教育審議会が出したけれども、それも葬り去られました。いずれも上からの押しつけはだめだという形で葬り去られて今日に来ております。 ですから、日本の教育で一体どういう姿が望ましい人間像なのか、教育の目標は何なのかということについて、率直に言って日本はコンセンサスがないまま今日に来ているところにいろいろな問題点が実は生まれてしまっているのではないのかな、こう思います。ではつくればいいじゃないかと言っても、またこれは文部省がやれば三回目の失敗になってしまうでしょう。 ですから、今こういう時期だからこそ、むしろ民間の有識者が幅広く集まって下から盛り上がった形で、こういう教育、こういう人間像がいいのではないのかなということをむしろつくっていただきたい、そんなことを僕は今まで数多くの民間有識者、マスコミの方等々を含めてお話をしているのでありますが、よしやってみようかという方がなかなかいらっしゃいません。本当に何をもって座標軸とするか。それはあるんですよ、形式的というか、教育基本法も憲法もあります。 しかし、それはそれでいいんですけれども、ちょっと表現が不適切だったらお許しをいただきますが、どうもいま一つ建前に過ぎているような感じがして、日本人としてという部分がいささか見えてこないのが今の憲法、教育基本法といったものの制約というか限界というか、何かそんな感じがして、ちょっと取りとめのないお話で申しわけないのでありますが、中高一貫からどんどん離れた答弁になって申しわけありませんでした。
○江本孟紀君 その辺は非常に難しいと思いますが、せっかく国がこうして中高一貫で教育改革をしようとするのであれば、そういったものをもっと推し進めていただいて、単なる私立の中高の受験校のような形にしてほしくないというのが一方ではあるわけです。 それで、先ほどちょっと触れましたけれども、スポーツ関係のことについてお話をさせていただきたいと思います。 この中高一貫をやりますと、さまざまなスポーツ活動といいますか、こういったものもちょっと難しい面が出てくるんですね。このパンフレットを見ますと、「体育的クラブ・部」とか書いてありまして、これはちょっと意味がよくわからないんですね。中学と高校を一緒にグラウンドの中でやらせますと、グラウンドが仮に一つしかない場合は、例えば野球なんかの場合だと中学と高校では道具も違いますし、それからボールだとかバットだとか、そういったものの違いがあるわけですね。そうすると、これは一緒にできなかったりするわけですね。 そういう意味でいいますと、この学校がうたっている、幅広いスポーツをやりたい人だとか、文化的クラブというのもありますけれども、こういった幅広いものを自分が選択したいときに、私は野球だから言うわけじゃないんですけれども、野球はないんですわ。これが本当にこの学校の本来の姿なのかどうかという点について多少疑問がありますので、そういったやりやすいスポーツしかしないというようなことではいけないんじゃないかなと思いますが、その点についていかがでしょうか。
○政府委員(工藤智規君) 野球について申し上げますと、中学校は軟式野球が中心なわけでございますが、全国の中学校で野球部のある学校というのが約八〇%でございます。高等学校レベルですと八六%で、いずれも結構多いのでございますが、逆にやっていない学校もあるわけでございます。 この五ケ瀬の場合は、調べてみますと、例えば野球ですとか卓球ですとか、ほかの学校では多いクラブが残念ながら置かれていない。これは、お聞きいたしますと、生徒数が少ないことによりましてなかなか部員構成が難しいとか、あるいはグラウンドの広さの問題でございますとかそれぞれの要因があるようでございますが、いずれにしましても、中高一貫だからできないということよりは、別の要因でそれぞれの学校が御判断いただいていることであるわけでございます。 また、中と高で用具が違うというのは運動の場合にあるわけでございますが、それは既に私立の中高併設校でも同じ経験をしながらそれぞれ独自に活動していらっしゃるわけでございますし、また、小学校レベルでも低学年と高学年はかなり体力の違いもございます中で、いずれもそれぞれの学校の事情に応じて、しかも子供たちが楽しく勉強でき、楽しく学校生活を送れればいいわけでございますから、それぞれ多様な活動をやっていただくことが大事なのではないかと思うわけでございます。
○江本孟紀君 この中高一貫教育の中で野球にかかわることを言ってはあれですけれども、高野連なんかも多少気にしておりますし、これはちょっと御意見を聞いてもいい面と悪い面があるよというような話をされておりましたので、ぜひ選択の幅を広げられるようなものをつくっていただきたいと思います。 それからもう一つお聞きしたいんですけれども、簡単に言いますと、この学校は障害児についてはどうされるのか。一緒に学ばせるのかどうかというような問題も出てくると思うんですね。当然こういった障害者も含めたいろいろな人たちと一緒にこの学校に学ぶということが非常に大きなプラスになると私は思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) この点につきましては、現行の中学校、高等学校におきまして障害を持った子供たちをどのように受け入れるかということと同じ問題だと思っております。したがって、この中高一貫校がどんなふうな形でこうした生徒たちを受け入れるかはそれぞれの設置者、学校の判断によるということだと思います。 ただ、身体障害者等を理由にして入学決定に当たって不利益になるようなことがあってはならないというふうに考えておりますが、どうするかは設置者等の判断にゆだねられるということになると思います。
○江本孟紀君 時間がありませんけれども、私はこの委員会で質問するのが最後になるかもしれませんので、もう一つだけ最後にお聞きしたいと思います。 ちょっとこの問題とは離れるかもしれませんが、文部大臣の諮問機関でありますさまざまな審議会があると思うんですけれども、自民党の先生方も、大変すばらしい参議院の文教委員の方もいらっしゃいます。どうも今度の参議院選挙を見ますと、さまざまな審議会の役員をされた、会長もされた有馬さんという方が自民党から選挙に出られるそうです。そういう人がいろいろな役職についておいて、いきなり国政の場に出てくるということはちょっとどうかなという気もするんですね。公平で公正である立場で審議会等に参加をされておるわけですから、そういう方の政治参加というのはちょっとどうかなと思います。自民党の先生方も文教委員の立派な方々ばかりですから十分かと思いますが、今さら来ていただいて、その方にここで言っていただくような話じゃないと思います。 審議会のあっ方といいますか、これはある程度公的な機関だと思いますので、こういった人選も含めて、またその審議会のあるべき姿というものについて文部大臣のお考えを最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 有馬前中教審会長、五月二十日付で委員をおやめになりました。そして、同日、自民党の加藤幹事長以下と会って、最終的に立候補の決意をされたということでございます。立候補の自由というのは、これは憲法が保障する基本的な人権でございますから、あなたはこれこれの今公職についているからだめですよというわけにはまいりませんし、また私がそれを云々することもできないわけでございます。 もとより審議会の委員の決定に当たりましては、法律上もそうはっきり書いてありますけれども、例えば、「中央教育審議会は、人格が高潔で、教育、学術又は文化に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから、文部大臣が内閣の承認を経て任命する二十人以内の委員で組織する。」、こうなっております。私どもそういう観点で、審議会の特性に合った、また立派な方々を委員にお願いをするということをこれまでも心がけてまいりましたし、これからもそういうことで臨んでいきたいと考えております。
○江本孟紀君 ありがとうございました。
○小林元君 小林でございます。よろしくお願いします。 今、江本委員からもいろいろ質問なり個性的な考え方を披瀝されましたけれども、答申の中でもこの中高一貫教育につきましてはメリット、デメリットが論ぜられております。ただ、現実にもう先行しておりまして、国立大学の附属中学校あるいは附属高校、そしてまた私立関係の一貫校、そういう二種類というんでしょうか、そういういろんな形で、詰め込み教育といいますか、受験準備校だというような批判もされているのは御承知のとおりでございます。 国立てすと十三校ですか、私学は高校だけですと千三百余校ありますが、一貫校になりますと六百四十五というようなことでございます。これらについて私学の方は、あるいは国立の方もそうかもしれませんが、いわゆる日本の教育を進める上でいろいろ実験的なごとをするために附属高校あるいは附属中学というようなものがあったと思います。そういう中で、特色あるといいつつも受験校化といいますか、そういう道を歩んできてしまったのか、意図してそうなったのか、いろいろあると思います。そしてまた、私学の方では個性ある教育といいますか、そういう中で受験予備校化、受験準備校化という道を歩んでしまったのではないかと思います。 そういうことで、いわゆるデメリットといいますか、日本の教育に及ぼしている影響というのは大変大きいわけでございますが、そういう中で今回の中高一貫教育というものは選択肢の幅を広げる形で出てきて、デメリットはなるべく排除してメリットを生かそうということでスタートしたいと、こういう考え方だと思います。これまで中高一貫教育をしてきた国立あるいは私学に対して、どのような対応をするのかしないのか、どういう考え方をお持ちなのかをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 個人的なことを申し上げて恐縮ですが、私も国立大学附属の小学校・中学校に通っていた者でございます。 そもそも国立大学の附属というのは、やっぱり一つは実験的な研究をやる、今委員御指摘のとおりでありまして、例えば、私は小学校のときから英語の授業があったと記憶をしておりますし、あるいは小学校は週五日制でございました。そういう意味での実験をやっていたんだなということが今思い返せばありましたし、また教育実習、学芸大の大学生の方々が非常にたくさん年じゅう実習に来ておられて、教生の先生と僕ら言っていましたが、教生の先生がいない月がないぐらい頻繁に実習の大学生が来ておりました。そういう役割はあったんだろうなと思いますし、今でもあるわけであります。 ところが、今委員御指摘のように、ややもするとそれが大学受験のいわゆる括弧つき受験エリート校化しているという問題、確かに現実に指掛をされているわけでございますし、受験競争をあおるようなことを国立大学の附属の中学や高校がやってはいけないと、私もそう思っております。今までもそうしたあおってはいけませんよということで指導はしてきておりますが、率直に言って余り効果は上がっておりません。いささか文部省の、余り指導指導というのはいいのかどうかわかりませんが、しかしどうせ言うのならば、国立大学に対してその附属の教育というものをどう考えるのかということをもう少しはっきりとした方針を出して、いたずらに受験校として有名な何とか大学附属高校ということにならないようにしっかりとした方針で臨んでいきたいと、こう思っております。 それから、私立の学校の方はどうかというと、これはもう基本的には各学校の建学の精神というものに基づいておやりになるので、国立大学の附属に対して言うのと同じことは言えないと私は思いますが、さはさりながら、例えばそっちの学校の卒業生に対して極めて難しい難問奇問といったようなものを出したりするような学校があって、そのことがまたカリキュラムを無視した受験戦争をあおっているという面もあると思いますので、これはそれぞれの学校の一応協力のもとにという前提つきなんですが、国立教育研究所に委託をいたしまして、入試問題の調査分析をしてその結果を発表しております。 そういう形でソフトに、こういう問題は余り好ましくないですよというようなことはやっているわけでありますが、どれだけの効果が上がっているか率直に言ってよくわかりません。しかし、基本的にはこれは私立てございますから、余りああしなさいこうしなさいということを言うのにはやっぱり一定の制約があるということは御理解をいただきたいと思います。 もう一度申し上げますが、国立の附属の方についてはもう少し、実験校である、あるいは実習を受け入れる学校であるという性格をよりはっきりするような、そういう学校として位置づけていく必要があるのではないだろうか、そういう方向に沿って大学の方にしっかりとした話をしていきたいと考えております。
○小林元君 大学にしましても大学の自治ということもあるでしょうし、それから私学の方につきましては建学の精神といいますか、これまで自分たちの力で、いろいろ批判は受けてはいるけれどもこのような道を選んだといいますか、歩んでこられた誇りといいますか、そういう気持ちもあると思います。いわゆる強権的な行政指導というもので改善をされるというものではなくて、やはりこれは国民世論の中で改善をすべきことだろうと思いますし、大学の入試制度につきまして今回の答申でもいろいろと触れられておりますから、これまでのいわゆる知識詰め込み偏重、偏差値中心といいますか、そういうものでない入試制度のあり方というものが広く求められれば全体として制度がきちんとしたものに立ち上がっていくんではないかと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 一貫校のいわゆる七つのパターンといいますか、教育内容とかいろんなことを大分答申で触れております。例えば、先ほどもちょっと出ましたけれども、全県で一校、宮崎でこういう形で先行しておりますけれども、ということでいきますと、通学区の問題等がありまして、選択肢の幅を広げだといいながら必ずしもそれは広げたということにならない。やっぱり特定の者を集めて、それがエリート校化するかどうかはわかりませんけれども、特殊な学校、特別な学校ということで一般的に希望しても行けないというようなことになって、一校にするか、例えば通学区ごとに何校かにするかということでは大分対応が変わってくるわけでございます。 そういう中で、六年間という非常に長い期間の一貫教育ということになりますから、その後半の後期三年、高校部分につきまして多様な進路がある、選択肢ができるというふうなことになりますと、いわゆる総合学科の高校に近いような巨大校づくりになってしまうんではないか。いわゆる総合学科と一貫校というのは全く別だと思いますけれども、その辺の考え方についてどのようにお考えになっておりますか。
○政府委員(辻村哲夫君) 中高一貫教育の中身につきましては、小学校を卒業してこの中高一貫校に入る、その三年間の間にいろいろと考えながら後期課程に進んでいく、そのときにその学校の中に多様な選択肢があれば、それはそれでより円滑な後期課程への進級ができるであろうということで、総合学科はこの中高一貫校において考えられる一つのパターンであるということが中教審の答申にも言われているわけでございますけれども、私どもは総合学科のみが中高一貫のパターンであるというふうには思っておりません。専門学科、普通科、いずれもあり得るというふうに思っております。 そして、どのような規模、内容の専門学科をつくるのか、あるいは普通科としてどのような規模のものにするのか、これはそれぞれの設置者において慎重な御検討をいただいて御決定いただければいいのではないかというふうに思っております。 したがって、総合学科が唯一であるというふうには思っておりませんが、総合学科は総合学科でこの中等教育学校にある意味でフィットしたメリットを持っておりますので、それはそれで各設置者においてお考えいただければいいのではないか、こんなふうに思っております。 それから、総合学科であるからといって直ちに大規模化というふうにも必ずしも私どもは考えておりません。岡山で来年度発足予定のものでございますが、これは四つの系列を想定してございますが、その系列もいろんな形のものがあろうかと思います。生徒や保護者等のニーズを踏まえながら構想していただけばいいわけでございまして、そこのあたりのところは柔軟にお考えいただければよろしいのではないか、こんなふうに思っております。
○小林元君 いずれにしましても、中高一貫教育の導入ということにつきましてはこの委員会でもいろいろ議論をされておりまして、そういう中で、やはり何とかメリットを伸ばすといいますか、そういうことをしていただきたい。いろんな研究協議会等も地域ごとにつくるということになっておりますが、文部省としても、全国的な視野でぜひそのメリットを伸ばすといいますか、そういう形で進めていただきたいということを希望しまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○松あきら君 私は、先日も参考人質疑を種々させていただきました。今、学校という場所が再構築をされなければならない段階に来ているというふうに思っております。それはもう皆さんもちろんそういう認識でいらっしゃるし、教育という原点にもう一度立ち返れば、いつも申し上げておりますように、知育、徳育、体育というものを含めた知識一辺倒でない教育の原点に立ち戻るということで、今回もその選択肢の幅を一つ広げるということで中高一貫教育というのを打ち出されたんだと思っております。 しかし、この中高一貫教育、中学から高校への入試で非常に苦しむ子供たちが多いということを何とか和らげようとおっしゃいますけれども、私はこの入試ということを考えますと、入学試験もさることながら、今、内申書という問題が非常に大きいんではないか、これを見過ごして単に中高一貫をまずつくればいいということではないんではないかというふうに非常に思っているわけでございます。 高校の合格は内申書と学力試験の双方で選択されているけれども、実際は内申書が大きく物を言って、受験校を選ぶ段階から幅をきかせているというんですね。そして、受験競争でいえばよく偏差値がやり玉に上がりますけれども、高校受験に限って言えば根本的な問題は内申書だというわけですね。そしてまた、この内申書ということに関しまして、子供さんたちだけではなくて親御さんも非常に心を痛めていて、部活なんかでも、やめたいんだけれどもこれをやめると内申書に響くというようなことが非常にあると。ですから、入学試験云々ということも大事ですけれども、何か非常に見落とされてしまっているんではないかなと。 中高一貫はもちろんできるにしても、大多数のお子さんは今までどおり中学と高校で試験があるというわけでございますから、私はこの問題は非常に真剣に考えていただかなければいけないと思うんですけれども、それに対して大臣のお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(町村信孝君) かつては内申書というもの旭高校に入るときほとんど無視されていたといいましょうか、余りカウントされてなかった。一応出されてはいたようなんですが、少なくとも私が高校に入った昭和三十五年のときは、内申書という制度はあったんだろうけれども、そんなのはみんな重きを置かずに、ひたすら試験の点数だけだったと記憶をしております。 でも、当時からそのやり方には批判があって、たまたまその日熱があるとか体調が悪いとかで実力が発揮できなかった、平素はできるのに運が悪かったね、たった一日のその日の都合でということもこれありまして、できるだけ平素の実力がわかるようにした方がいいんじゃないかとか、あるいは点数化されないその子供のいい面もあるじゃないか、あるいは中学生のうちからいろんな、例えば最近ですとボランティア活動をやったりというような学校外の活動でもいろいろ特色がありますねと。そういういい点を含めて高校の入試の際の判定材料にしてもらおうということで、非常にある意味では善意でといいましょうか、この内申書というものがより制度化されていき、まあ県によって違いがありますけれども、大部分の県では試験の点数が半分、内申書が半分というようなウエートで判定が行われるようになっているのが今の姿だろうと思います。 そうすると、今度どんどん行き過ぎて、その内申書を使ってある意味では生徒の管理をしようとするような非常に不心得な先生までが出てきてしまうということになっているわけで、あくまでも内申書というのはその子供の一回の学力試験の点数だけでは点数化できないいい面をアピールするためにあったんだという本来の内申書、調査書の姿に立ち返れば、決してそういうことにはならないはずなんだろうと、こう私は考えております。 ただ、それだけでもなんでしょうから、最近は面接をしたりとかあるいは小論文を書いたりとか、各都道府県でさまざまな工夫によって高校入試の多様化というものが図られているのは大変いい傾向だと思いますので、引き続きそうしたそれぞれの県に合った形での、あるいは学校に合った形での工夫をより一層していただきたい、こう考えております。
○松あきら君 確かに初めはそういう善意でと申しましょうか、その日一回限りの入学試験の結果だけでは判断できないということで内申書ができたんだと思いますけれども、今大分その状況が変わってきているなというふうに思います。 これは本当はきょう申し上げるつもりじゃなかったんですけれども、私は今の日本の入学試験等々を見ておりまして、教育そのものを見ておりまして、やはり日本は切り捨ての教育であり切り捨ての入学試験制度であるなどいう感を強くしているわけなんですね。 それは、今大臣がおっしゃったから私もちょっと思い出したんですけれども、うちの子供は中学校からイギリスの学校へ行っておりました。御存じのように、イギリスの教育制度あるいは入学試験制度というのは日本と全く違うわけでございます。例えば、一回限りの入学試験で落とすのはおかしいということであれば、GCSE、十六歳とか十八歳の全英の検定試験でございますけれども、都合三回あるわけですね。 腕に自信のある、つまり能力に自信のある子は自分の本来受ける半年前に受けられると。そして、落とした科目は本当のところで受けて、また半年後にさらに落としたものを受けられるということです。普通の子は自分の本来の受けるときに受けて、落としてしまったものに対してはまた半年後に受けられて、すべて通ったのが点数につく。しかも百点満点で、その試験の成績はそれがもちろんいい点であればそのままつくわけでございますけれども、仮に二回やった試験で余りよくなくても、ふだんの成績あるいはふだんの授業態度、そしてふだんの宿題も加味されて一番いいところがつくと。 やっぱり私はこういうのが本当の意味の内申書にかわるべき姿じゃないかななんて、これは根本的な問題なので今すぐに云々ということじゃないんですけれども、内申書の始まった理由と申しましょうか、それを大臣がおっしゃられたので、内申書というものが本来のあり方と違ってきているということをちょっと申し上げたかったので、私はこのことを申し上げました。 では、中高一貫にまいりたいと思います。 かつて、都立世田谷工業高校では一九五九年に附属の中学校を設置いたしました。設置のねらいは、六年間にわたってじっくり工業教育を行い、有能な技術者を育てると。こういう工業教育を行い技術者を育てるということは今ちょっとなくなりつつあるので、私もとてもいいことだと思ったんです。当時は附属中の入試に合格すれば世田谷工業高校に無試験で入れるということで非常に保護者の関心が高くて、開校直後の受験倍率は三倍になったというんですね。しかしその後、一九七三年には一クラスの編制がやっとになってしまって、とうとう廃校になっちゃったというわけでございます。 そのPTAの会長は附属中の校史にこんな恨みつらみを書き残しているわけですね。「そもそも本校は、一部の教育行政屋の単なるアイデアから出発した。教育法令を無視した、まことにけったいな中学校であった」「一皮めくれば、教育行政屋の単なるモルモットでしかなかったわけである」なんて、こんなことを書いているわけなのでございます。そして、今回の中高一貫校設置の動きに対しても、アイデア先行で、理念や哲学が構築されていないんじゃないかというような声も聞かれるわけでございます。 六年制にしてじっくり生徒に技術教育をしようというもくろみがあったわけでございますけれども、生徒が集まらなくなった、人気がなくなったのはどんな理由だと把握されておりますでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) この点につきましては、東京都教育委員会の方を通しまして私ども承知いたしておるわけでございます。 先生がただいま御指摘になりましたような経緯で、四十八年の三月に閉校に至っておりますが、その理由の一つといたしましては、全国的な大学進学率の上昇に伴いまして大変普通化志向が高くなってきた。その中で、当時まだ高等学校への進学率も低い三十四年の段階と比較いたしまして、四十八年という段階になりますと、ほとんどの子供たちが高校へ行き、さらに多くの子供たちが大学へ行くという状況の中での進学動向の変化、それに伴います普通化志向の増大というのが一つあるというふうに聞いております。 それからもう一つは、中学校卒業後、附属中学からこの世田谷工業に入るわけでございますけれども、その際、科としては機械科、電気科、それ以外にも二つの科がございますが、必ずこの機械科か電気科へのみの進学だというふうに進学が限定をされていたということもございまして、敬遠をされるというような傾向に拍車をかけたというふうに聞いております。このような事情が背景にあって四十八年の三月に閉校に至ったというふうに承知いたしております。
○松あきら君 今のお話を伺っておりまして、もちろんこれは、工業離れと申しますか技術離れでということはわかります。 中高一貫は、ゆとりのある教育をしたいということで選択肢の一つ、その幅を広げるということができるわけでございますけれども、その理想と現実はなかなか違ってきておりまして、私立のようにお金もかからなくて、そして学力が保証されて有名大学にでも入れれば一番いいというのが本来親が自然に持つ気持ちだと思うんですね。中高一貫に入れれば、私立てしたら幾らでもあるわけでございますけれども、そうすると非常にやっぱり学費などが高いということで、やっぱり公立でこういうふうな教育をしてくれればいいということだと思うんです。 ここは工業高校ということはありますけれども、もしこれがおっしゃっているように、打ち出されているように、エリート校にしないぞということをおっしゃっていますよね、エリート校にはしないんだというふうになると、実際これがこういう工業高校でなくて普通の高校にしても、エリート校じゃなくて大学受験もままならなかったら、結局はまた人が集まらなくなっちゃうんじゃないかなというふうに思うんですね。 先ほど江本さんもおっしゃっていました。いっそのことエリート校にするぞと言った方が早いんじゃないかなんという話もあったんですけれども、例の五ケ瀬中学・高校のお話も校長先生に伺いまして、ああこういうふうに教育すればと、うらやましいなと思ったんですね。 一つは、やっぱり宮崎ですから非常に場所もいいですし、さまざまな自然環境にも恵まれておりまして、もしこういう一貫校を東京のど真ん中につくってもなかなかこういうふうなわけにはいかないかもしれないなと。そしてまた、テレビなんかでもニュースしか見せないとか、夜でも勉強する時間を設けていたり、自主的にということだそうでございますけれども、ああいうふうに教育をしていけば、エリート校にするつもりはなかったとおっしゃるんですけれども、結局はいいところにみんな入るエリート校になっちゃっているんですね、現実問題としては。 ですから、私はやっぱりそこのところ、エリート校じゃないぞと言っておきながらわざわざ一貫校をつくる必然性というものは何かと。何か理念が見えにくいという点に関しましては、文部省としてはいかがでございましょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) 先生、エリート校というお話でございますが、私どもが否定しておりますのはいわゆる受験エリート校ということで、この受験エリート校というのは定義がなかなか難しいわけでございますけれども、先ほど大臣から御答弁がありましたように、私どもとしては、ひたすら大学受験準備というものを優先させて教育課程を編成する、そしてその教育課程に従って教育を展開する、そのために入学に際しても試験学力の高い生徒をできるだけ多く入学させるような、そういう形で運営されている学校というふうに考えるといたしますと、今回の中高一貫校で考えておりますのはそういうものではないと。やはり六年間一貫して系統的な教育をする、そのことによってゆとりのある安定的な学校生活を送れる、あるいは六年間という長い視野でその子供を見られる、そういうメリットを生かした形の学校教育というものを考えているわけでございます。 ですから、そこに入りました子供が個々に勉強をして大学の準備をするということは、これは当然否定されるわけではないわけでございます。ただ、学校としてそういう姿勢で運営されるようなものであってはいけないということを繰り返し申し上げているわけでございます。 そういう観点に立ちますと、現在の中等教育段階での子どもたちの状況を見ましたときに、そうした趣旨あるいはメリットを持った中高一貫校というものは一地域地域のニーズに応じて設置されていけば必ずメリットを発揮するであろうというふうに考えております。
○松あきら君 では、その中高一貫校でございますけれども、いろんな設置の仕方があるというふうに示されております。一つは市町村立の中学校と都道府県立の高校との連携。二つ目は同じ設置者による中学、高校の設置、併設型ですね。三つ目は六年制の中等学校でございます。 一つ目と二つ目はいいんですけれども、三つ目の六年制中等教育学校の場合、設置した初年度というのは生徒は一体どういうふうに入学させるんでしょうか。例えば中学一年生に入れて順番に持ち上げていくのか、あるいはせっかく設備もつくるわけですから全部の学年を入れるとか、全学年を募集して抽せんか何かで一遍に入学させるとか、入学の仕方はどう考えているのか。 あるいは、それはそれぞれの裁量に任せるのか。もしその裁量に任せるとなると、今度はいろいろな裁量権というのをもう少し校長に与えるのかというようなことに関しましてもお答えいただきたいと思います。
○政府委員(辻村哲夫君) 中等教育学校がつくられた後、学年進行としてどんな形で完成させていくかというお尋ねだと思います。それは基本的には設置者の御判断だと思いますが、例えば五ケ瀬、これは厳密な意味の中等教育学校ではもちろんありません。現行制度での中学校・高等学校ですが、中学校の一年生とそれから高等学校の一年生とを同時に入れて、そして二年、三年と並行的に学生を満たしていって、今、中学も完成しているし、高校も完成しているという形になっております。最終的には設置者の判断ですが、そうした形もあり得るであろうというふうに思います。 それから、どんな形でやっていくかということについてもっと学校の校長に裁量をということでございますが、これも各設置者において御判断いただければいいと思います。ただ、予算的な措置でありますとか規模の問題とかいろいろございますので、やはり設置者と十分な御相談の上でつくられていくということになろうかと思います。
○松あきら君 それから、今ゆとりの教育ということで中高一貫を提唱なさっているわけでございますけれども、長野県の小海町ですか、ここでこういうのがあるんですね。町予算で独自に教員を採用し、十八人と十九人の少人数学級を設けようとしたところ、県の教育委員会が国の教員配置基準、四十人以下の学級ですね、に違反すると阻止する騒動があったと。結果的にはチームティーチングの名目で双方妥協したということなんでございます。 私は、これに関しまして、せっかく町の予算をつけていいことをしようとしているのに何でこういうことになっちゃったのかなということで非常に疑問でございます。大臣いかがでございましょうか、この記事に関しまして。
○政府委員(御手洗康君) 学級編制につきましては、現在、一般的な教員につきまして都道府県が給与を負担するということになっておりますので、各市町村が学級編制を行います際には、教員負担あるいはそれに伴います財政負担ということとの関係から都道府県に認可を受けて編制するということになっているわけでございます。 したがいまして、それ以外の形で、例えば非常勤講師で配置するというような現在の法律の枠の中で各市町村がさまざまな御工夫をしていただくということは何ら問題ないわけでございまして、当初の小海町の教育委員会と長野県の教育委員会とのそういった現行法律制度に関します解釈、運用の問題に行き違いがあったということであろうかと存じております。
○松あきら君 これは行き違いがあったということで、仮にこれがほかのところでもこういうことをしようとした場合、今度はどういう指導をするんでしょうか。
○政府委員(御手洗康君) 繰り返しになりますが、学級編制基準につきましては国の、今回も法律改正をお願いしておりますいわゆる標準法に基づきまして、通常の場合は四十人以下で編制するということに定めております。 これをもとに都道府県の場合は特段の事情がない場合にはいずれも四十人というものを上限にして編制するという基準を定めて、それに基づいて認可を行うとなってございますので、各都道府県教育委員会が定めた基準に基づいて認可をされるということであろうかと思います。 そういった意味では、一般論として申し上げますと、三十六人や三十八人を二つの学級編制をして出発するということは、特別の事情がない限り各都道府県教育委員会はこれを認めないということであろうかと思いますし、私どももそういった形で指導してまいりたいと考えております。
○松あきら君 私はそういうこと自体がおかしいと思うんですよ。これは参考人にも実はお聞きしたんです。これは児島先生だったと思いますけれども、事実関係は予算の関係とかいろんなことがあるんでしょうけれども、しかし、今こういうことをそれこそ規制緩和をしなければいけないときなんであると。やはり教育に関しては、これは個人的な意見だけれども、まさしくこういうところから頭をやわらかくして切りかえていかなければおかしいんじゃないか、おかしいとまではおっしゃらなかったけれども、もうちょっとやわらかい表現をしていらっしゃいました。私は先生がどうお思いになるかと思って伺ったんですけれども、そういうふうにおっしゃっておりました。 これ、統計も実はあるんです、子供たちが荒れる統計。これは人数が少なくなればなるほど問題が少なくなっていくんですね。そういう統計があるんですよ。やっぱり、子供たちの人数が多くて学校自体も大きい、学級もたくさんあるというところほどいろんな問題が起きてきて、人数を少なくするとやっぱりそれだけ先生の目が届いたり心が交流したりということなんでしょう。 そういう統計も出ているときに、私は、基準がこうだからこうだということは非常におかしい、こういうこともきちんとこれからは変えていくべきではないかと。もうこれはお返事要りません。これは要望として、ぜひ頭を切りかえていただきたい、いつまでも基準基準ということでなく、ぜひ変えていただきたいというふうに思います。時間がありませんので次に行きます。 奨学金の制度について質問をします。 平成八年度版の厚生白書によりますと、子供が成人するまでの子育てに要する費用、これはこの間から新聞等に出ておりますけれども、仮に幼稚園から大学まですべてが国公立てあった場合千九十二万円、すべてが私立てあった場合千九百十四万円、高校と大学が私立てあった場合千四百三十二万円、非常にお金がかかるわけでございます。今本当にこれだけ子供の教育にお金がかかるのは日本が断トツではないかと、物価も諸外国に比べて日本は高いんですけれども、そういうふうに思います。 やはりこの経済的負担は大きい。これがすべてとは言いません、もちろん住宅とか子供の保育、そういう問題もありますけれども、これも大きいんですね。子供を持てないと、若いお父さんやお母さんたちの間には。ですから、私はやはり奨学金の制度をもっと充実しなければいけないと思います。 やはりもう少しゆとりも欲しい。今、日本育英会の奨学金制度でも二百万程度ですね。この前も申し上げましたとおり、育英会には申しわけないけれども、職員十四万人もいらして平均で九百万も年俸をもらっているとか。奨学金をもらっていても返さない人がいるので、こういう方に職員の人が一々手紙を出して、ああだめだ、くれないなんて、こういう形でございますので、こういうこともきちんとしていかなければならないと。 一貫教育とともに、奨学金の改善をあわせて実行してくださるように文部大臣にお願いいたしますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 国の財政全体が厳しい中ではございますが、私ども奨学金の充実というのは大変重要な課題だと、こう思っておりまして、ちなみに平成十年度予算の中でも、大学院の貸与人員の増でありますとか、高校在学中に奨学金の予約をする予約採用の増でありますとか、あるいは私立大学の貸与人員の増、あるいは有利子貸与事業における専修学校専門課程の貸与人員の増等々、あるいは今回の補正予算の中でもこの奨学金の関係も充実をすべく審議をお願いしているところでございます。 ただ、現状で本当に十分かと言われれば、委員、御指摘のとおり私どもまだまだ改善の余地はあろう、こう思っておりまして、貸与人員あるいは貸与月額、あるいは、今は親の所得水準によって一定の段差がついているわけでありますが、そうしたことの改善といったような面でさらに充実をする必要がある、こう思っておりますので、委員からも教育資金貸与制度といったような御提案もいただいておりますが、そうした御提案も含めて今後さらに日本育英会の奨学金制度の充実ということを考えてまいりたいと思っております。 なお、ちょっと私の聞き間違いであれば失礼かもしれませんが、日本育英会の職員の数は大体五百人程度でございます。さっきちょっと違う数字を言われたかなと思いましたので、念のために申し上げさせていただきます。
○松あきら君 今のはよろしくお願いいたします。 ちょっと時間がありませんので次に参ります。 この新聞にも出ておりますように、区域外の通学がすごく多いんですね。大田区なんかでは小中新入生の一割が区域外から来ているということなんです。公立の小中学校は教育委員会から指定された地元の学校へ行くという通学区域制度をとっておりますけれども、最近では指定校とは別の進学校へ進む地域が出現しているんです。学区を設ける意味というのはどういうところにあるんでしょう。大田区なんかですと理由が一から十まである。一、「引き続き友人関係を保ちたい。希望校に友人が多い。」、二、「学年途中なので、学年末まで通学したい。」等とありまして、一番最後なんか「その他。」なんというのがあるわけですね。 そういう学区を設けている意味はどこにあるのか、あるいは指定校以外のところに入学を認める基準というのはどういうふうになっているんでしょうか。簡単にお願いいたします。
○政府委員(辻村哲夫君) 通学区というのは、法令で必ず市町村教育委員会が設けなければならないとなっているわけではございません。法令上は、通うべき学校が複数ある場合には市町村の教育委員会がどちらかの学校を指定しなきゃいけないというものになっているわけでございます。 ただ、どちらの学校に通うかということは生徒にとっても保護者にとっても大変関心が高いところなものですから、従来は、地理的事情というものが多分原則でございますけれども、それを踏まえながらあらかじめ通学区域というものが指定されて、ここに住所のある子供はここの学校にという予告されるような形の運用が行われ、それに沿って指定が行われているのが実情でございます。しかし、昨今の学校に対するさまざまな保護者の意向をできるだけ尊重するようにということで、これをできるだけ柔軟に対応していこうというのが私どもの考え方でございまして、それを踏まえまして具体的な基準等を教育委員会が設けて、それによってやっているというのが実情でございます。
○松あきら君 中高一貫校を設置する場合、学区は広い範囲になるわけでございますので、今お答えいただきましたように、今までの学区制も新しい視点で見直すべきであるということを御要望させていただきます。 先ほど私、十四万人の人たちが払っていないということを言おうと思ってちょっと間違って言ったみたいです。済みません、そういうことでございます。 それから、あと、三分しかないんですけれども、ぜひ私申し上げたいのは、中高一貫とは全然違う話なんですけれども、今の中学生、高校生の携帯電話の話なのでございます。これは私、大臣に御要望といいましょうか、お考えもお聞きしたくてちょっと申し上げさせていただきたいですね。 実は今、御存じのようにいろいろ問題になっておりますけれども、PHSも含めて中高で八人に一人の子供たちが携帯電話を持っている、高校生は四人に一人と言われているわけでございますね。そして、調べましたら、いろんな会社があるわけなんですけれども、NTTドコモは親の承諾書があればいいわけです。親の承諾書といいましても、自分たちが勝手に名前を書いて三文判を押してもそれが承諾書となるわけなんですね。ほかの会社は親の実印、印鑑証明とかが要るわけなんです。 そうしますとどういうことが起こっているかというと、中学や高校生の子供たちが自分の名前で銀行の口座を、NTTドコモと契約をしてそこから引き落としとかになるわけですけれども、二万も三万にもなる子が多い、平均でも七、八千円だというんですね。そうするとどうなっちゃうかというと、携帯電話にお金がかかるものですから援助交際をするということが非常に今ふえているという事実があるわけなんです。 そして今、教育の中で子供たちが寂しい、疎外感がある、電話を持っていて始終かけたり、かかってこないと不安で仕方がないということが非常に多いわけですね。アンケートもございます。 私はやっぱり、これは郵政省の問題でしょうとか、NTTドコモは民間の会社でしょうということでは済ませられない問題であると。 実は、国民生活調査会で何でもいいから好きなことを質問しなさいと言われまして、私、持ち時間十五分で、仲間の委員が質問して残り時間八分しかなくなっちゃったものでほとんど質問できなかったんですけれども、私が郵政省にこれを聞きましたときも、郵政省がそんなはずないでしょうとおっしゃったわけですよ。支払い証明書みたいなものがないはずはないでございますでしょうみたいな答えで、親がきちんと把握をしていないんですね。 私は、もちろん民間の会社であれば利益が上がらなければおかしいとは思いますけれども、働いていない中学生や高校生が仮にこんな電話だけで二万も三万も普通なら払えるのがおかしいと。ダイヤルQ2ですか、あれは親が知らない間に何十万とか何百万にもなっちゃったために問題になって変わったわけでございますけれども、こういう問題こそやはり文部大臣が率先して郵政大臣等とお話しいただいたりきちんとした対応をとっていかないと。私はこの援助交際という名前は嫌いなんです。もう大体テレビでも今言っていますよね、援助交際という名前は格好いいと。売春と言われたら自分たちは嫌だけれども援助交際という名前ならいいでしょうと。 こういうことも大きな問題があるとは思いますけれども、やはりこれは見過ごしておいてはいけないんではないか、こういうことをぜひ取り上げていただきたい。そうじゃないと、肩先生がいつか薬のお話もいたしました。非常に今子供たちに、ヤクですね、ドラッグが広がっている、こういうことにも私はつながっていく問題であると。 ぜひ私は文部大臣にもこの問題を一度検討していただきたいという要望を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(町村信孝君) 本当に高校生、中学生が携帯で教室同士で話し合っているという姿はどうも私ども想像ができないんですが、実態は委員が御指摘されたようなこともあるようでございます。 いろんな会社の実情を、ちょっと関係書類を見てみたんですが、確かにNTTドコモは親の同意書が必要というだけでえらく簡単なんですね。ほかの会社はもう少しちゃんと、親権者の印鑑証明が必要とか親権者に電話で確認をするとかもう少しきっちりやっているんですが、どうもこのドコモだけえらく簡単だという実態もあるようでございます。郵政大臣とも話をしたりして、どういう取り組みができるか早急に考えてみたい、こう思います。 ただ、いずれにしてもこれは親が絡むわけであります。当然稼ぎがないわけですからね、収入がないわけですから。やっぱり、買ってあげたり電話料を結局支払ってしまったりということを、いいよいいよと言ってどんどん渡してしまう親も相当数いるという話も聞いておりますから、子供の保護者としてやっぱりまず家庭でしっかりこうしたことは対応してもらうというのが基礎であろうと私も思いますが、貴重な御指摘をいただきましたので、郵政省ともよく相談をしたいと思います。
○日下部禧代子君 まず最初に、今回の法改正の意義について確認をしておきたいと存じます。 文部省が今までお進めになっていらして、そしてまた今後もお進めになっていらっしゃろうとする中等教育改革の一環として今回の法改正をとらえてよろしいのでございましょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 日下部委員御指摘のとおりでございまして、今までも高等学校の段階での総合学科の導入とか単位制高校とか、あるいは選択肢の広げられるような教育課程の編成といったさまざまな工夫をしてきたわけでございまして、今回はそういう意味では三と三を足して六という初めて制度そのものに手をつけて、中高一貫を選択できるようにするという意味で選択肢の多様化という観点からこれを進めると同時に、その結果としてゆとりのある学校教育ができる、学校生活が送れるといったことが期待をされるということを私どもはねらいとしているわけであります。
○日下部禧代子君 いわゆる今までの、そしてこれからの中等教育の改革の一環ということでございますと、今年度予算で措置されておりますいわゆる中高一貫教育研究会議は非常に重要になってくるというふうに思います。その目的においても、またその構成、どういう方が構成員になるのかということ、あるいはまた研究を継続していくということも含めまして非常に重要だというふうに思います。その重要性について文部省の御見解をいただきたい。 それからもう一つ、実践協力校の関係者がやはりどのぐらい一生懸命になるかということが非常にかぎだろうというふうに思うわけでございますね。自分たちのやっていることが日本の中等教育を改革するんだ、そして今自分がそのための学校をつくろうとしているんだという意欲を持つということは非常に肝心なことではないかというふうに思います。そういった関係者の意欲的な取り組みをエンカレッジする配慮ということも文部省として大変重要だと私は思うわけでございます。その対策の一つとして、いわゆる研究開発校というような指定をするというふうなことは御検討の中に入っておりますでしょうか。その点もあわせまして御見解を承りたいと存じます。
○政府委員(辻村哲夫君) 二点のお尋ねがございました。 第一点でございますが、中高一貫教育研究会議の趣旨等でございます。 これは私ども平成十年度予算に一億円余を計上させていただきまして、中高一貫教育実践研究事業という形で各県に役立てていただく経費として計上しているわけでございますが、その経費等を活用していただいてこの研究会議を実りあるものにしていただきたいと思っております。 その会議は、それぞれの都道府県等におきます中高一貫教育のあり方あるいは中高のあり方につきまして研究いただく大変重要な場でございます。校長、教職員、学識経験者、教育委員会関係者、PTA関係者等の幅広い関係者からこれを構成していただきたいというふうに思っております。そこで研究をしていただくわけでございますが、中高一貫教育の実践協力校というふうなものも設けて、実践的な研究も含めてお願いできればというふうに思っております。 そこで、中高一貫教育の実施形態、あるいはそこで行われます教科・科目の開設、あるいは中高間の教職員の連携協力のあり方、あるいは高校入学者選抜の改善等について幅広い御研究をいただければと思っております。これは各県でもう既に研究に着手され、またこれからも精力的に行われるわけでございますが、単年度ということではなくてきるだけ長い期間にわたって継続して研究できるような体制がとれるように、私どもも財政当局の理解を得ながら努力をしていきたいと思っております。 それから二番目の実践協力校でございますが、活発な御研究をお願いしたいと思っております。御提言の研究開発学校は、教育課程の基準の改善に資するということで、学習指導要領にとらわれない研究が行われるというメリットがあるわけでございます。したがいまして、必要に応じましてこの研究開発学校への指定ということも含めて検討していきたいと、こんなふうに思っております。
○日下部禧代子君 いわゆる研究会議において検討された内容というのは、どのような形で一般の方たちが知ることができるわけでございますか。
○政府委員(辻村哲夫君) まず、それぞれの都道府県等に置かれるわけでございますので、私どもは都道府県の教育委員会等に活発な広報をお願いしたいというふうにまず思います。 それからもう一つ、これは予算的にも、この研究会議の状況あるいは実践協力校の状況につきましては、定期的に私どもが会を招集いたしまして実践研究の状況を報告していただくようなことにいたしております。そこで得られました情報につきましては、私どももいろいろな広報媒体を使いまして全国の関係者にできるだけ広く伝わるような努力をしていきたい。 このように、各都道府県等の取り組みの対応とそれから私ども自身の対応と、この両面からできるだけの広報に努力をしていきたいというふうに思います。
○日下部禧代子君 その場合、一般の方々の声というのが反映できるシステムというのはございますか。そういう広報をごらんになった方が、自分はこう思う、この辺が問題ではないか、ここを改善すべきではないか、考慮すべきではないかといったその辺の声の反映はどのような形でできるんでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) まず、この中高一貫教育研究会議自体の中にも、単に教育関係者という狭い範囲ではなく、PTA関係者あるいは学識経験者といった幅広い方々の参画を得てこれを行っていただきたいと思っておりますが、その検討状況につきまして各県がいろいろな形で広報する、我々も広報する。そのフィードバックの仕方につきましては、各県は各県で御工夫いただきたいと思いますが、現在ではさまざまな形での公聴のシステムができておりますので、それを活用していただければと思いますし、文部省は文部省でそうした公聴の仕組みができてございますので、そういったものを使って我々はさまざまな意見を入手できるというふうに思っております。
○日下部禧代子君 私ども、その研究の結果がちゃんと反映されるように、そしてまた一般の方々の声がそこに反映されるような情報公開、そしてそのシステムをきちんと確立していただきたいなということをお願いしておきます。 次に、どの制度でも、改革する場合には当然のことではございますがポジティブな面と、それからまた問題点について配慮しなければならない部分がございます。この中高一貫教育の導入ということが目的のとおり、ゆとりある学校生活を保障する、そしてまた一人一人の個性や創造性を伸ばす、そのような結果がもたらされることを私も心から願っているわけでございますが、一方では、やはり偏差値偏重による教育というものも完全に解消されておりません。また学校閲の格差というものも存在している。 そのような現状の中では、受験準備校化するのではないかとか、あるいは受験競争が低年齢化するというような、本委員会におきましてもまた各方面からも問題点が指摘されているところでございます。これから文部省といたしましては、もちろんこの改革の意図に沿ったポジティブな部分をさらに拡大伸長させていくということと同時に、問題点をどのようにして取り除いていくかというその両面が当然必要になってくるだろうというふうに思うわけでございますが、その両面に対する対処をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のことは、私どもも最大限の注意を払っていかなければならないポイントだと思っております。局長が先ほどお話ししたような中高一貫教育実践研究事業といったようなことなどを通じまして、要するに受験エリート校はつくらないという前提で各都道府県でそれぞれ御検討をいただくというところから作業が始まるんだろうと、こう思っております。 また、受験競争の低年齢化を招かないようにするために、前回からも申し上げておりますけれども、入学者の決定に当たっては学力検査を行わない、それにかわって学校の個性とか特色に応じた形で、面接であるとか実技でありますとか、あるいは小学校からの推薦でありますとかあるいは抽せん、こうしたいろんな方法を組み合わせて入学者の選定をしていくということであろうと、こう思っております。 いずれにいたしましても、この点はこの委員会の審議におきましても数多くの委員から御指摘もいただいておりますから、私どもとしてはこうした国会の審議の内容というものも正確に各都道府県にお伝えをしながら、こうした問題が起きないような対応をそれぞれの都道府県にも促していきたい、かように考えております。
○日下部禧代子君 我々の審議いたしました点も、今大臣おっしゃいましたように、こういうことが問題になったのだ、この辺について考慮しろというふうな広報をぜひともやっていただきたいというふうにお願いしておきます。 次に、今問題点として取り上げました受験準備校化、エリートという言葉はいささか私やはり抵抗がございます。本当の意味のエリートというのと今ここで使われているエリートというのはちょっと私としては違うような気がいたします。いわゆる受験準備校化というふうに申し上げておきます。あるいはまた受験競争の低年齢化、そういうことがないようにこれからいわゆる中高一貫の学校をつくっていく場合に考慮しなければならない点というのは、やはり入学者決定の方法が一つございましょうと思いますし、また一つは、やはり通学区域の設定ということもかなり重要なことではないかなというふうに思うわけでございます。 先ほど松委員の方からもお示しございましたけれども、大田区の場合、昨年の十二月でございますか、文部省の教育における規制緩和という点で通学区の弾力化ということが図られました。その結果、大田区の場合ですと、千人ぐらいの方が小学校、中学校、指定校とは別の希望校に進んだというふうな報道も出ております。特にまた、ある小学校におきましては、大田区でございますが、入学者のほぼ四割が区域外から通う子供たちで占められている、これはある有名な小学校だそうでございます、そういう問題も今出てきております。 そのことを踏まえまして、これから中高一貫制というものを導入する場合に通学区域をどういうふうに考えていらっしゃるのか、あわせて御質問したいと思います。
○政府委員(辻村哲夫君) 現在の小学校、中学校の就学指定と申しますのは、市町村の教育委員会が通常は通学区域というのをあらかじめ指定しておいてそれに沿って行うと。それにつきましては、できるだけ保護者の意向を踏まえた形での運用ということで、今先生から御紹介ありましたような形で柔軟な就学指定が行われるという実態が進んでいるということであったわけでございます。 今回の中高一貫校の通学区域でございますけれども、それは、その新しく設けられます中高一貫校にかかわる通学区域というものの設定ということになろうかと思います。したがいまして、現在小学校や中学校について行われておりますものとは別に、それぞれについて通学区域が設定されるということになるわけでございます。そのときにどういう形の通学区域を想定するかというのは、また先ほどの会議等での慎重な御審議を経て設置者において決定いただくということになろうかと思います。 参考に、ただいまいわゆる中高一貫として公立でございます宮崎県の五ケ瀬の中高の例で言いますと、寄宿舎を持っているというようなこともありまして宮崎県下一円から志願を認めるという形の、ある意味で全県一円の通学区ということになっているわけでございますけれども、これから各都道府県等においてさまざまな形で中高一貫校はできてまいりますので、それぞれについてそれぞれの通学区域が設定されると。そのときには、生徒たちや保護者たちの機会の均等、機会が実質的に確保されるという観点が一番重要かと思いますが、そういう観点に立って設置者等において御判断される、こんなふうに思っております。
○日下部禧代子君 これからこの制度を導入していくわけでございますから未知の部分がいっぱいあると思います。しかしながら、今現状で起きている事実、そういったものもやはり考慮に入れていかなければならないと思います。今私が挙げました大田区の場合、いわゆる通学区の弾力化ということが、一つの名門と言われている学校に集中していっている。 つまり、弾力化ということイコールまたいわゆる名門校に集中するという、こういうことが今度の制度導入におきまして起きないような、そういう配慮というのは常にやはり文部省としては目を光らせておかなければならない、その都度やはり注意していただきたいなというふうに思うわけでございますが、大臣、お言葉ございましたらぜひとも。
○国務大臣(町村信孝君) 通学区域の話は私はこう考えるのであります。 今、それぞれの公立の小学校、中学校、高校はもとよりですが、特色ある学校にしていかなければいけない。特色ある学校として地域住民に十分情報発信もしていく、そしてそれぞれの学校が地域社会としっかり結びついた形で学校運営もこれからされていった方がいいだろう。そういうことで今、中央教育審議会の地方教育行政のあり方というところで教育行政のシステムとしての議論をしてもらって、夏ごろには答申をもらおうかなと、こう思っておりますが、いずれにしても、個性ある学校、子供の個性を伸ばすためには学校そのものにもいろいろな特色と個性があっていいんだろうと思います。 その際に、特色とか個性がただ単にいわゆる上の学校に行くのにいいからという、そういう個性ばかり競い合っても何にもよくならないと思います。あそこの小学校は非常に音楽の教育に特色があるとか、あの中学校はこういう面でという特色をつくっていく。しかし、幾ら特色をつくっても、あなたはここに住んでいるんだからこの学校だけですよというのでは何のための特色ある学校づくりかわかりません。 したがって、大田区の例などもございますが、小学校、中学校、幾つかの選択肢をつくって、そして一校だけではなくて複数の学校から自分の希望に合った、その特色に合った、あるいは子供の特性に合った学校を選べるように選択肢を広げていくということは、私は現下の教育改革の中で非常に重要な課題だと思っております。大田区の試みなどは、これがもしいわゆるかぎ括弧つき受験エリート校的な意味のそれを促進するのであれば論外でありますけれども、そういう意味ではなくて、特色のある学校をつくるためにできる限り選択肢を子供と親に提供していくということは、公立学校の中でこれから一層追求をしていかなければならない大きな課題であろう、こう思っております。 ただ、一遍にやるとそれは混乱が起きますから、少しずつこうやって大田区のように、あるいは他の地区にも。先般NHKテレビを見ておりましたらば、埼玉県で調整区域というものをつくって、この調整区域に住んでいる方はA、B、Cどこの学校を選んでもいいですよと。そのA、B、Cの学校は非常に特色があったと私は記憶をしておりますが、そういう形で選択肢をより多く提供して、よりよい学校づくりにつながっていくというところに目的があるわけでございますので、そういう方向でこの通学区域の拡大というものにこれから前向きに積極的に取り組んでいく必要がある、かように考えております。
○日下部禧代子君 大臣のおっしゃることは非常によくわかります。ですから、肝心なことは、評価の物差しというのを今のように偏差値、それからまた有名大学ということにつながっていく、入学者が何%、何人という物差しではからないというところがきちんとされれば、今大臣のおっしゃったことも非常に私は理想的だろうというふうに思います。 今私が申し上げた問題のところ、物差しが一つしかないところをどうやって変えていくかということがやはりこれからの教育改革の一番難しいところ、しかしやらねばならないところではないかというふうに思っております。その点をぜひとも留意していただきたいなというふうに思っています。 ところで、今おっしゃいましたようなお言葉に従ったような今度の法改正ということになるためには、そしてまた一部の子供たちのためのものだけではないという中等教育改革になるためには、やはりさまざまな形の一貫校、つまり、いわゆる六年型のみならず、併設型のみならず、また連携型ということもこれは役割として非常に重要ではないかなというふうに思うわけです。どうも連携型の方が現実的には進めやすいかもわからない、現実にもうあるわけですから。ところが、どういうふうにしてこの連携型ができていくのかなという一つイマジネーションがなかなかわかないという言葉も多いんです。政省令というようなもので準備がされていくだろうというふうに思うんですけれども、少し具体的に整備の方途につきまして御説明いただけますか。
○政府委員(辻村哲夫君) いわゆる連携型の中高一貫でございます。これは今回の法律に盛り込まれているものではないわけでございます。 中等教育学校、これは新しい学校制度として法律にお願いしてございます。もう一つ、併設型という県立の中学校と県立の高等学校を想定し、あるいは市町村立もあり得るわけでございますけれども、そこで試験なしにこの中高を接続する。この二つにつきましてはこの学校教育法の中に規定をするという形でお願いをしているわけでございますが、もう一つ、今先生からのお尋ねの連携型の中高一貫と申しますのは、現在の市町村立の中学校、都道府県立の高等学校、この設置者は違いましても、この間をさまざまな形で連携させることによって、実態として中高一貫教育を行うような中高にしていこうというわけでございます。 したがいまして、制度と申しますよりも、まずはある中学校、それとある高等学校が教育課程の上で系統性を持つ、あるいは連携性を持つということが必要でございます。したがいまして、連携型ということのためには、高等学校側と中学校側がそうした面で協議をする、そしてカリキュラムをつくるということがまず必要かと思います。そして教師も、中と高、高と中、相互に指導に当たる、あるいは生徒たちも交流し合う、あるいは行事を同時に持つというような形で、実態として中高一貫教育を実施していくというものでございます。ですから、高等学校サイドと中学校サイドのまず協議、これが前提になるというふうに思います。その際には、さまざまな検討課題があろうかと思いますけれども、両者の一致ということになるわけでございます。 そうした形で連携型の中高一貫教育というものが整いました場合には、私どもとしては、これは私どもの仕組みもかかわってくるわけでございますけれども、中等教育学校あるいは併設型に準ずる形で中高一貫教育が行われるわけでございますので、他の中から高の接続とは違った形の接続というものがあっていいのではないか。したがって、現行制度の中学校と高等学校を前提にしておりますので、選抜を全くなしということになりますと他の中、高との間で均衡を失するというようなこともありますので、選抜ということは浅さざるを得ないと思いますが、その選抜のあり方について、国会の御議論もさまざまあったわけでございますけれども、簡便な形での選抜という形で中高を接続するということが考えられていいのではないか、こんなふうに考えているところでございます。
○日下部禧代子君 その連携型の学校でも、先ほど私ちょっとお尋ねいたしました研究開発校の指定ということもあり得るわけですか。
○政府委員(辻村哲夫君) 研究開発学校の制度は一般の学校にあるわけでございます。現行の学習指導要領、小中高それぞれございますが、それによらない研究開発をしていただく、そのために学習指導要領の適用の除外をしてまで研究していただく、そういう制度でございますので、この連携校につきましても、そうした研究をしたいということで、その研究テーマがそれにふさわしいものであれば研究指定校の指定をさせていただいて、現行の学習指導要領の枠を超えた形での研究ということも当然あり得るというふうに思います。
○日下部禧代子君 次の問題に移りたいと思います。 今回の中等教育学校の設置の趣旨というのは、ゆとりある学校生活の中で子供たちがさまざまな試行錯誤をしたり体験を積み重ねることなどを通じて豊かな学習をし、個性や創造性を存分に伸ばしていくということにあるとされております。また、中教審は、じっくり学びたい子供たちの希望に対する手厚い指導を特色とする中高一貫校もあってよいというふうにしておりますし、また、第三次臨教審の答申は、統合教育ということにつきまして、障害の状況等を考慮し、できる限り障害者と健常者が同一の場所で教育を受けることは両者の健全な発達にとって有意義なことであるというふうにしております。 こういう観点から、今回の中等教育学校制度の創設に伴いまして、国としてその統合教育をパイロット的に創設するということは全く考えられないのでありましょうか、その点いかがでしょうか。私は、この中高一貫教育制度の導入の趣旨にまさにふさわしいことではないかと。先ほど大臣は、同僚議員の御質問に対するお答えとして、国立の学校というのは実験校としての特色が必要である、その方向に指導していきたいというお言葉もございました。特色ある学校ということは、この統合教育ということもやはり大いに特色ある学校の一つではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) 障害のある子供の教育につきましては、その障害を子供が克服しながら社会参加、自立に必要な力を培う、これが最大の教育課題であるというふうに思っております。そのために、その障害の種類、程度に応じてよりよい環境を整えて手厚い教育を行うということが基本だと思っております。そんなふうに考えますと、統合教育はややもしますと、障害の種類、程度にかかわらないで、ただ障害のない子供とともに学ぶということになりがちであるわけでございますけれども、もしそういうことであるとすれば、障害を持った子供の社会参加、自立に必要な力を培うということをかえって困難にするのではないかというように考えております。 ただ、障害の種類や程度によりまして、高等学校の教育課程を修了する見込みのあるような子供につきましては、中高一貫も含めましてでございますけれども、障害のない子供とともに学ぶ機会を与えるべきだというふうに思っております。このことは、この中高一貫教育実施にかかわらず大切なことだと思っております。そういう意味で、この中高一貫教育の入学者の決定に当たりまして、障害があるということだけを理由として入学を許可しないというようなことがないように指導していきたい、こんなふうに思っております。
○日下部禧代子君 私は、ぜひこの今の機会を生かして統合教育を国で率先して実践していただきたいなというふうに思うわけです。そのことがとりもなおさず、いわゆる受験準備校、受験エリート校化にはしないんだということのシンボルになるというふうに私は思います。そして、障害を持つ子供あるいはまた保護者の選択の幅を広げる、いわゆる今回の教育改革の象徴的な一つの、まあ実験と言ってはいけないかもわかりません、先ほどの大臣のお言葉をおかりいたしますと、有意義な実験になるのではないかということを私は強く申し上げておきたいと存じます。 最後の質問を一言お伺いさせていただきます。 それにつけ加えまして、特殊教育ということの特殊という言葉も検討していただきたいなということでございます。参議院の議員立法で、精神薄弱という言葉を知的障害というふうに改める法律が参議院で採決されております。学校教育法なども、文部省関係の法律も改められることになるというふうに思いますが、その点もあわせて御検討の中にこれからぜひとも入れていただきたい、これからの学校教育もなさっていくということで、その中に私は一つ入れておいていただきたいなというふうに思います。 一つ、これはまた違った観点からの心配があるわけです、この中高一貫制度導入ということで。これは男女平等の点からということで、私は幾つかの女性団体から申し入れをいただいております。 いわゆるエリート校化とかあるいは選択肢を拡大するということが教育の男女差別を拡大することにならないのかというふうな御心配を、私はいろいろな方々あるいはいろいろな団体から聞かされております。ですから、今後、新しい試みの中高一貫の学校ができるときにもし男子校のみというようなことなどが起きた場合には、このときこそ文部省は指導力を大いに発揮して、そういうことがあってはならないということをぜひとも御指導いただきたいというふうに切にお願いしておきたいと思います。 その点に関しまして、両方あわせまして大臣のお言葉をいただきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 私も、この特殊という言葉が本当にいいかどうか率直に悩んでおります。もうちょっといい言葉がないのかなというふうに思っているんです。何せ知恵がないもので今のところこのままの言葉で使っておりますが、ぜひ本委員会におきましても皆様方のお知恵をおかりできればと思っているところで、何ら特殊という言葉にこだわるつもりもございません。今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。 それから、今、公立高校では男子校が一・一%、女子校三・一%、四二一%の学校が男女別学ということなんです。一校にとどまるということはない、どんどんふえていくと思いますが、仮に一つの県で一校で、それが例えば男子だけだったとかあるいは女子だけだったというと、男女ともにひとしく中高一貫を希望するときに、それが現実に閉ざされているという場合はやっぱり問題でありましょうから、中高一貫を男女とも選べるという意味で共学の方がいいんだろう、こう思います。 ただ、こちらに男子校の中高一貫があり、その隣に女子校の中高一貫があった場合はまずいのかなどうなのかなと考えると、ちょっとそこはいささか迷ってしまうので、そこのところの判断は各設置者にしっかりお考えをいただこうかな、こう思っております。
○日下部禧代子君 終わります。
○阿部幸代君 前回の質問で、私は深夜に及ぶ小学生の塾通いの実態を取り上げました。別の資料、「小学生の生活と文化」、九四年のNHK世論調査ですが、これによりますと、夜眠れないという子供が三三・七%もいたり、疲れやすいという子供が二七・九%、朝、食欲がないという子供が二六・五%もいます。 塾通いの実態ともあわせて、こうした子供たちの生活のゆがみの主たる背景、原因に受験競争があるというふうに思うんですけれども、違いますか。 〔委員長退席、理事小野清子君着席〕
○政府委員(辻村哲夫君) 塾通いの要因の一つとして、受験競争の問題があるというふうには思っております。
○阿部幸代君 いじめや不登校などさまざまな問題行動についても、受験競争やあるいはそれを引き金とした詰め込み教育、ここに大きな原因があるということは広く国民の共通した認識になっているというふうに思います。 子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる全編の「豊かな国 日本社会における子ども期の喪失」と題する報告書があります。この中で、 近年では、勉強のできる、すなおな良い子とされている子どもたちにこそ、たくさんの問題があることが報告されている。「よい子の息切れ」「よい子の燃え尽き症候群」といったことばで象徴される現象である。「勉強のできる子はよい子、勉強のできない子はダメな子」という序列化の中で、馬車馬のように追い立てられ、疲れ果て、燃え尽きていく。このような症状は、高校に入り、あるいは希望の大学に行ってから、あるいは大学を卒業してからも現れている。 このように言って、人格形成を阻害され、成長発達の機会を奪われている子供たちのことを子供期の喪失と特徴づけています。 日本の子供たちの生活実態にあらわれているこうした子供期の喪失とも言うべき事態は本当に深刻な問題だと思うんですけれども、そういう認識をお持ちでしょうか。これは大臣に。
○国務大臣(町村信孝君) 知識の量、そして記憶力のよしあしだけで子供のすべてを判断してしまうような今の現状というのは、決していい現状だとは私も思っておりません。さまざまな個性があり、さまざまな能力があり、さまざまなすばらしい点がある、それをそれぞれに認めていくという社会、そしてそういう学校の子供に対する接し方、また親自身も、勉強ができなきゃだめよという形でひたすら点数だけを上げさせるように子供を遣い込んでいく親、いろいろな面でそれは意識を変えていかなければいけないんだろう、こう思っております。 だからこそ、例えば高校入学の選抜の中でも、先ほどもちょっと他の委員からございましたが、内申書というのができた当初というのは、点数化できない子供のいい点をいかに見つけていくのかというような観点で、それをうまく使ってもらいたいわけですし、あるいは面接でありますとか、あるいは推薦入学でありますとかさまざまな方法で、ただ単に記憶力あるいは知識の量だけで高校入学選抜をやらないように皆さん今工夫しておられますが、そういう形のものがどんどん広まっていくと、今言われた受験戦争あるいは子供期の喪失という事態もよりよくなっていくのではないだろうかな、こう期待をしております。 もとより、それは高校入学選抜だけを変えればいいというものではなくて、日々の学校の中でのあり方、あるいは、今度学校週五日制にいたしますが、その中で思い切って教える内容を厳選すること、そして土日はまさに親子の触れ合いの場であったり、ボーイスカウト、ガールスカウト等々の、違う年齢の子供たちと触れ合う場であったりというような形で幅広い体験をしていくというような中から、もう一度子供期の復活が期待できるのではないかと期待をしているところであります。
○阿部幸代君 私は、身近なところで本当に子供たちの燃え尽き症候群というのを何人も見てきたんですね。本当に痛ましいというふうに思っているんです。 法案の六年制中等教育学校と中高併設型一貫校の入学について、中教審答申では、学力試験は行わないこと、抽せんや面接、小学校からの推薦、調査書、実技検査など多様な方法を組み合わせて入学者を定めること等が提言されていますし、今までの大臣のお話などでもこのことが繰り返されてきたと思うんです。しかし、個性を尊重し、特色ある学校づくりを進めようというわけですから、単純な抽せんのみということは考えられないわけです。結局、何らかの形の選抜が行われることになります。 全国唯一の公立中高一貫校の宮崎県五ケ瀬中学校では、九七年度、面接や調査書などを点数化し、全県下から応募する小学生から点数上位者六十人を選び、そこから四十人を抽せんで入学させているというふうに伺っています。つまり、入学者選抜を何らかの形で行う以上、それをめぐる選抜競争、受験競争が生まれるというのは避けがたいんだというふうに思います。 こうした選抜競争が、子供期の喪失とも言われるほどの子供たちの生活実態を一層悪化させないという保障があるんでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) 今回の中高一貫教育の実施に当たって、いわゆる受験エリート校化させない、それから受験競争を低年齢化させない、これは中高一貫教育実施に当たっての二つの大きなポイントだというふうに思っております。 したがって、そういうことを十分に踏まえて、では具体的にこの制度をどのような形で活用していくかということにつきましては、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、各設置者において、幅広い関係者からの意見を踏まえた慎重な取り組みが求められる。その際には、それぞれの地域等の生徒あるいは保護者のニーズ、実態というものが十分に踏まえられる。そういう状況を十分見きわめて、それぞれの地域においてどんな形で中高一貫教育を実施していくかという慎重な検討が求められるということがまず一点でございます。 現在、各都道府県等におきまして検討が始まっておりますけれども、どの都道府県におきましても、この二つの点につきましては大変重く受けとめて検討が進められているというふうに承知をいたしております。 そしてまた、公立の学校につきましては、先ほど先生からも御指摘がありましたように、学力試験は行わない、さまざまな方法で行うということであるわけでございますが、これはただ形式的に学力試験を行わないという意味ではなくて、受験競争の低年齢化を招かない、そのための具体の実施の方法としてそういうことが中教審からも言われておるわけでございます。 こうしたさまざまな取り組みを進めていくことによって、中高一貫教育がメリットを生かした形で運用されていく。そのことによって現状がさらに悪化するようなことはないというふうに私どもは考えております。
○阿部幸代君 都市部で、主として大都会でしょうね、私立の中学や私立の中高一貫校入学をめぐって、小学生が本当に際限もない受験競争に巻き込まれているという深刻な実態があるわけです。それを今度は公立の中高一貫校を導入することで全国に拡大していくことになるんだと思っているんですね。 そもそも、高校入試のない子供とある子供が公立中学入学段階、義務教育段階で生じてしまう根本的な矛盾。六年間じっくり学べる子供と、高校受験という受験競争に追われる子供が生じてしまうという根本的な矛盾をどう思いますか。
○政府委員(辻村哲夫君) 中高一貫教育につきましても、メリットを生かした形でこれを広めていきたいと思っているわけでございますけれども、必ずしもメリットだけであるわけではございません。六年間同一の生徒が生活をともにするということになじめない生徒も出てくるという問題もあるわけでございますし、また、いわゆる中だるみと言われる問題もあるわけでございますし、さまざまなデメリットとして指摘される点もあるわけでございます。しかしメリットもある。これにつきましては繰り返し御説明してまいりましたので繰り返しませんが、そういう形での中高一貫教育であるわけでございます。 したがって、現行の中高がそれでは全くだめかというとそうではなくて、現行の中高というものが十分機能している子供たちも大勢いるわけでございます。したがって、各地域地域の実情に応じて、現行の中高も置きつつ選択的に中高一貫教育の機会が確保できるようにという形で今回この選択的導入ということを考えているわけでございます。したがいまして、そのためにはどんな形で中高一貫教育を導入するのか、規模それから内容その他、それらを地元のニーズ、生徒や保護者のニーズを十分に踏まえてやるということでこれに対応しているわけでございます。したがいまして、どちらをとることが生徒にとっていいかということは一概に言えないというのが我々の認識でございます。 そういうことで、一方の中高一貫校に進んだ者はメリットのみがあり、そうでない子にはというような先生の御指摘であったかと思うわけでございますけれども、私どもはそこは生徒や保護者たちの選択に任す形での、メリット、デメリットをそれぞれが生かす中で、生かす中でと申しますか、メリットをより生かす形での運用ということを期待しているわけでございます。
○阿部幸代君 たくさんお話しになるんですけれども、どうも答えになっていないような気がするんです。 単純なんです。高校入試のない子供とある子供が義務教育段階、公立中学校段階でできてしまうということなんです。中教審の第一次答申では、「教育は、」子供たちの「「自分さがしの旅」を扶ける営み」だ、こう言っています。そこから個性尊重を強調しているんですけれども、参考人質疑の際、太田参考人が次のように述べておられました。青年期の教育は、子供・青年が自分の持っている能力や個性を引き出すために、さまざまな可能性に挑戦し、試行錯誤を重ねることを保障するものでなければなりません。また、青年期はもともと危機と困難に満ちたものですが、それだけに、その教育は生きる希望と力に支えられ、それを培うものでなければなりませんと。ところが、この大事な時期が受験競争によってゆがめられているわけです。受験競争というのは、目先のこと、受験に受かることしか考えなくなるんです。このことも強調しておられたと思います。 法案は、一部の子にじっくりとした「自分さがしの旅」を保障し、そのほかの子にはそれを保障しないということになります。こういうことは子供・青年の共感を得られると思いますか。
○国務大臣(町村信孝君) 御承知のように、高校進学者、かつては少なかったわけですが、もう今やほぼ全入という状態に、九七%ですか、希望する人には十分間口も広がっているという状況にございます。 ただ問題は、高校の評価というものが、先ほど委員もちょっと言っておられましたが、一つの基準だけで、要するに偏差値のいい悪いとでもいいましょうか、それでとんとんと切られちゃっているから、あなたの偏差値ならここですよというような形の非常に単純な評価になっちゃっているわけです。 今、例えば大学とか大学院は第三者評価とか自己評価とかいう形で、いかにその大学のいい点あるいは悪い点をきっちりと目に見えるように評価するかということを試み始めているわけで、欧米ではかなり進んでおります。私は、まだそういう手法がどこまで開発されているかわかりませんが、小学校も中学校も高等学校も、そうした客観的評価といいましょうか第三者評価といいましょうか、そういったものをうまくできるような仕組みをつくって、そしてその情報をどんどん発信して、そういう特色のある学校なら自分はそこに行きたい、多少遠いけれどもその学校は非常に自分に合っているという形で高校受験というものが行われる。すなわち、その子供の能力・適性とか興味・関心とか、あるいは自分は将来農業をやるんだといって農業高校に行くとか、そういった将来の進路希望を含めて、そうした多様化した基準の中から多様な特色を持った高校を選ぶ。 しかも、収容規模は既に十分あるわけでありますので、そういう意味で、高校受験イコール一〇〇%苦痛に満ち満ちたものという今の御指摘、そういう面があることは私は否定しませんよ、否定しませんけれども、そうばかりでもないと。そして、昔と比べれば、ある意味では本当は楽になっているわけですよね、間口は変わらずに現実に子供の数は減ってきているわけですから。 〔理事小野清子君退席、委員長着席〕 そういう意味で、私は、高校の入学者選抜はもっと多様化した姿で今後ともあってもいい、こう思っております。ただ、その際の判断基準が、何度も申し上げるように、余りにもワンパターン化しているところに今日の問題があるんだと、こう思っております。
○阿部幸代君 高校多様化と高校入試の多様化の深刻な実態については、埼玉の例を話して前回の質問の際に取り上げたと思います。高校入試のある中学校とない中学校、これは個性の尊重でも何でもありません。差別の導入だと思います。教育の機会均等を義務教育段階から踏みにじる法案は、子供や青年はもとより、広範な国民の理解と納得は得られないと思います。 前回の本委員会における審議並びに参考人質疑で、六年制の中等教育学校が現在の高校多様化の中に別の特色ある学校として加えられるということが明らかになったんですけれども、そこで伺いたいんですが、新しい特色ある学校としてなぜ六年制の中等教育学校なのか、よくわからないんです。なぜですか。
○国務大臣(町村信孝君) 多分、委員がおっしゃりたいことは、今までの中学校も高等学校も同じように特色を持つべきだという御指摘だろうと、私はそのとおりだと思うんです。むしろ、今までの中学校、高等学校が特色がなさ過ぎる。どこへ行っても金太郎あめのように同じだということをもっていささかよしとしてきた嫌いがあるので、それはやっぱりこれから変えていこうよという発想で、私どもは今、各学校の校長先生や教育委員会に、それぞれの公立学校もどうぞ特色を持つようにしてくださいということを申し上げています。 今回の中高一貫は、その中でやっぱり中高一貫なりのまた特色の持ち方というのも持てるでしょうし、それは既存の中学、高校が持てるように、ある意味ではやっぱり六年間ずっといるということの先ほど局長が言ったメリット、デメリットのそのメリットの方という部分は確かにあると思うんですね。デメリットもあるけれどもメリットもある。そこで、メリットを生かすような形をこれまた選択できるようにするという意味の選択肢の拡大ということでありますから、既存の中学校、高等学校、三年、三年、それぞれまたもっと特色を出す努力をしていただくことが大切なんだと、そう私は考えます。
○阿部幸代君 よくわからないんです。 中教審答申では、中高一貫校における特色ある教育の展開として、「(a)体験学習を重視する学校 (b)地域に関する学習を重視する学校 (c)国際化に対応する教育を重視する学校 (d)情報化に対応する教育を重視する学校 (e)環境に関する学習を重視する学校 (f)伝統文化等の継承のための教育を重視する学校 (g)じっくり学びたい子どもたちの希望にこたえる学校」と、七つの特色が例示されているんですけれども、これらの特色は、新たに六年制中等教育学校がつくられなくても、現行の学校の中でもそれぞれ内発的にといいますか、それぞれの学校なり地域なりが考慮して築き上げていく特色づくりでもあり得るんだと思うんです。 ですから、そこでなぜ六年制中等教育学校なのかがわからないんです。
○政府委員(辻村哲夫君) 先生御指摘のとおり、こうした特色は今の中高におきましても当然考慮されるべきものだと思います。 なぜ六年制かということでございますけれども、今の中学校三年、高校三年、これは我が国の教育制度として定着をし十分に機能を発揮しているわけでございますけれども、一方、中高の間を選抜なしにつないで六年間安定した学校生活を送るという形でメリットを生かす、そういうことでの試みも当然考えられていいわけでございます。現行の六三三四を前提にしての学校制度として中等教育のところに個性をより重視した形での多様化を図る、そういう形でこの三年と三年のところの部分につきまして新しい学校制度としてこの制度を導入する、それが三三ということでございますから、六年間の中等教育学校、中高一貫教育ということになるわけでございます。
○阿部幸代君 つまり、個性を尊重するとか多様化を一層推進するとかそういうことではなくて、物事は極めて単純で、中高一貫の六年制と中高三三年制の二つ、選択肢が二つになるだけだと思います。今まであった一つの選択肢が二つに、つまり高校受験のない学校と高校受験のある今までの学校と二つになるだけです。 中教審では飛び級や飛び入学が検討されました。飛び級については、小中学校では行わないとされ、高校でも適当ではないとされましたが、大学入学については十七歳以上と一年早め、将来的には十六歳以上のものも構想されています。これらの議論とあわせてみても、新たないわゆる特色というのは、結局えり抜き校、エリート校というのは何も受験準備校という意味ではなく、私はえり抜き校と言います。いわゆるえり抜き校をつくること、こういうことにならざるを得ないと私は思っています。 私は、六年制中等教育学校等の導入による義務教育段階からの差別という根本矛盾を解消するためにも、もう高校入試を全廃して希望者全入の道を踏み出すのが一番よいと思います。希望する限りどこかに入れるという、そういう仕組みをつくるということです。人間が人間を選抜する限り、完璧な選抜などあり得ないと思います。ですから、今日、高校入学を希望するというそのこと自体を適格性とみなして、いわゆる適格者主義による排除はやめるべきだと思うんですけれども、どうですか。
○国務大臣(町村信孝君) 現状は、委員おっしゃるように希望する人はみんな入れるんです。昔は中学浪人というのがありましたよ、高校の増設が間に合わなくて。昔は頻繁にあったけれども、今は余りそういう人はいないはずです。若干いるのかもしれません。 いずれにしても、さっき私申し上げましたけれども、やっぱりその特色ある、例えばこの高校に合った子供を選びたい、それが点数だけではなくてという形での、うちの学校はこういう人がほしいんだと。しかし、どうしたって物理的な収容規模というのがあるでしょうから、そこに一定の選抜制もある。しかし、結果的には今、高校に行きたい人で現実行けないという人はないはずなんです。
○阿部幸代君 高校入試を全廃するということなんです。今、適格者主義というのをとっているわけです、文部省は。それで入試競争が激しく行われているわけです。私は、養護学校の高等部訪問教育が、対象者のいない県を除いて全都道府県で実施されるようになったことを関係者と一緒に喜んでいます。本格実施を切望するものです。この精神を徹底することが高校入試の全廃、高校希望者全入の道につながっていくというふうに考えます。 子どもの権利条約第二十九条は、締約国に児童の教育が「児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。」を求めています。児童というのは十八歳未満の子供たちです。思春期の子供たちを受験競争から解放し、子供の子供期を回復させるために高校入試の全廃、高校希望者全入の道に踏み出すべきだと思います。大臣、もう一度。
○国務大臣(町村信孝君) 昔、たしか京都だったと思いますが、十五の春は泣かせないと言ってとても人気を博した知事さんがいらっしゃいました。どういうことになったかといったら、十八の春に京都のお子さん方はみんな泣きました。それでは困るというので、みんな京都から遠くの大阪の高校に通うようになりました。 一見、入試全廃ということになって、あたかもとてもすばらしいことのように言われますけれども、私はやはり先ほど申し上げましたような幾つかの理由から、その子供の能力・適性、興味・関心、進路希望、多様化した能力に、その希望に応じて希望が満たされるような学校が現実に十分取りそろえられているかというと、それが単純な偏差値輪切りというだけの特色になっちゃっているのが問題であって、もっと高校自体の特色をつくっていき、その情報を十分中学生に発信すれば、それに見合った形で中学生も高校を選ぶ。ただ、どうしても定員をオーバーしたときには何らかの選抜が必要になる。でも現実には十分な間口があるので、高校にはどこか行けるという姿に、今それに近づいていると私は思いますけれども、さらにもっともっと特色のある高校づくり、そして中学、小学校、こういうふうにやっていくことが大切なんだろう。そして、評価基準を偏差値あるいは記憶力というただ一つの物差してやることを、すべてのあらゆる段階で、そういう単純な発想をやっぱり変えていくことが私ども大人の責任として必要なんだろうなとは思っております。
○阿部幸代君 文部省に重ねて伺いますが、一九六三年、以前文部省は通知の中で入学者選抜の根本問題ということを明らかにしていますが、そのときは、現在の高等学校は義務制でこそないが、国民全体の教育機関として中学校卒業者で希望する者はすべて入学させることを建前とする、こういう立場をとっていました。しかし、今現在はどうかといいますと、高等学校教育を受けるに足る資質と能力を判定して行う、こういういわゆる適格者主義をとっているんです。これを改める気があるかどうか伺います。
○政府委員(辻村哲夫君) 新しい高校制度がスタートしたときにそうした考え方が示されたことは、そのとおり我々も承知いたしております。 ただ、先ほどから大臣からお答えがございますように、当時の進学率と今日とは全く状況が違っているわけでございます。高等学校としては、預かった子供を責任持って教育をして次のステップに送るという責任があるわけでございます。そしてまた、さまざまな特色があるわけでございますので、高等学校としてどういう子供を入学させるかということは必要だろうと思います。 ちょっと加えますと、大臣からもお話がございますように全体のキャパシティーはあるわけでございますが、中教審からも指摘されておりますように、現在の高校入試を取り巻く状況といいますのは、特定の高等学校に集中している、したがってそこに定員を超えた形での志願者がいる、そのときにその志願者をどういった形で入学者を決定するかということが一番大きな課題でございます。そして、そのときの選抜の仕方が偏差値といいましょうか点数という形で、一つの尺度で行われているところが課題であるわけでございまして、そういうところを我々はいかに改善していくかということに取り組まなきゃいけない。したがって、高校全入と申しましょうか、高校入試を廃止するという考え方は適切なものとは思われないというふうに考えているわけでございます。 ―――――――――――――
○委員長(大島慶久君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、田沢智治君が委員を辞任され、その補欠として山本一太君が選任されました。 ―――――――――――――
○扇千景君 今国会も終盤に近づきました。きょうの委員会が最後になるのか、あるいは何かうわさによると、延長があってもう一回ぐらい委員会があるのかな、ないのかなという大変微妙なところでございまして、きょうがもし最終の委員会となれば、これも今国会を振り返って、この出されております学校教育法の一部を改正する法律案、私は今までの審議をお伺いしておりましても、大変大きな問題であり、第三の教育改革と言われておりますことの意義がやっぱりここに出てきているんであろうと思います。 橋本内閣ができまして、御存じのとおり、一番最初に行政改革とおっしゃいました。また、経済構造改革、そして金融改革、社会保障改革、財政改革、そして最後に教育改革というのが橋本総理がおっしゃった六大改革の一つでございます。最初に私が伺ったときはたしか五つだったんですけれども、プラス教育改革ということで最後に一つ出てきたんですね。 今回のこの法案の中高一貫教育、これは言ってみれば三年前の参議院選挙で私どもの政党が、当時新進党でしたけれども選挙公約に挙げておりました。ですから、私は中高一貫教育に関してはもちろん賛成ですし、中身がどうこうというのはまた別問題として、要するに中高一貫教育をしようという、これはもう選挙に訴えて出たことですから当然図られるべきであろうと思っておりますし、その中身に関しては、同僚議員のきょうまでの参考人を呼んだり委員会での質疑の中で問題点がるる出てまいりましたし、重ねて同じ質問をしようとは思いません。 第三の教育改革と言われるのであれば、御存じのとおり、明治初期の学制改革が第一の改革であり、第二の改革は戦後のいわゆる教育改革。御存じのとおり、戦後の日本の中でアメリカ主導の占領政策のもとで教育改革が進められ、またそのときの目玉が、小学校に新制の中学を加えての六三制にして普通教育を義務化したこと、これは私は大きな改革であったと思います。そして、その新しい普通教育を新しい教育基本法、そしてそれに基づいて学校のあり方を定めた学校教育法が昭和二十二年、一九四七年ですけれどもスタートしたわけです。ちょうど六三制になって昨年が五十年目、本年は五十一年目に入ったわけです。 今の六三制のこの戦後の教育改革、日本における第二の教育改革と言われたものの五十一年目の総決算として、私は今現在はどうなんだろうと。橋本総理がおっしゃった教育改革というものは、現在のいじめや登校拒否十万人というようなものを考えれば、五十一年目にしてやはり制度疲労が来ているなというのが現実であろうと私は思うんですけれども、制度疲労が来ているという感覚に関しては大臣はいかがお思いでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 今回の六大改革のうちの教育改革、確かに六番目に出てまいりましたが、私ども文部省は一番重要だと、こういう思いで取り組んでいるわけでございます。 戦後の教育のよかった点は多々あると思います。ただ、今委員は制度疲労という言葉を使われましたが、そういう感覚で私どもも、戦後の教育というもののよかった点はそのまま伸ばしながら、おかしくなってきた点をいかに改めるのかということが教育改革の原点であろうと思います。 例えばどういうことかというと、これもこの委員会で各委員から御指摘をいただきました。余りにも知育偏重になり過ぎていることの弊害でありますとか、あるいは余りにも権利とか自由の主張が多過ぎて義務とか責任といったものが軽んじられている今の教育あるいは社会全体の風潮、あるいは、平等ということでよかったんでありますが、それも行き過ぎるとやっぱり悪平等といいましょうか行き過ぎた平等といったような感じになってきて、子供の個性を伸ばすという面が欠けてきたのではないだろうか、あるいは、科学技術創造立国というようなことでうたわれているわけでありますが、それをさらに大学なり大学院という場でどう実現していくのか、そうした戦後のあり方というものを踏まえながら昨年の一月に教育改革プログラムをつくり、また二回改訂をいたしましたが、私どもとしてはそういう基本的な考え方に立ってこの教育改革を進めていきたい。そして今、今回御議論をいただいている中高一貫のこの法律を含めて着実に前進をしていると、かように考えております。
○扇千景君 大臣のおっしゃることもよくわかりますし、私も戦後教育のよかった部分は残すべきだとは思いますけれども、今までの審議を私も伺っておりまして、やはり今回の実行プログラム、これが果たしてこのままでいいのかなという疑問も出てまいります。 と申しますのは、御存じのとおり戦後の第二の教育改革、先ほど申しましたように一斉に日本じゅう行われて六三制になりました。大混乱をいたしました。しかも、六三三というものができたために、現実的に私は旧制度最後の受験生でございました。私たちはそのときに教育改革の変動に遭って、新制になっちゃいますから、落第したら行く学校がないというような大変な過渡期を過ごした経験からしますと、今までの御意見を伺っていて、この中高一貫教育のあり方、今後のプログラム、今いろいろありました。趣旨とか何かは重なりますから質問はしません。 例えば、モデル県として全国十県の中で一、二校ずつ実験的にやってみる。しかも、私が一番心配しておりますのは、中高一貫教育研究会議というものができて、各都道府県にお任せをしてそこで中高一貫教育の研究会議をすると。いいことだとは思いますけれども、各都道府県というのは一律ではない。各都道府県の特色も生かしながら、それもいいことかもしれませんけれども、それぞれで全部ばらばらな意見が出て、それぞれの都道府県で別々に答えを出して、あるときは独走するでしょう、ある県はおくれるでしょう、しかも、御存じのとおりの地方財政で、いい意見は出たけれども実行するのに財政措置がない、足りないということも出てくるでしょう。 そういうことを考えますと、これが戦後の教育改革で一貫して一斉に、まあこれはアメリカの施政権下ですから別ですけれども、そういうことが行われないで、大臣の答弁を聞いておりますと、各県の自治を大事にしながら、特色も生かしながら、そこで出たものを順次民主的に移行していただくというように、聞いているとさもいいように聞こえるんです。ところが、考えてみますと、今私が申しますように、ある県は財政的にも恵まれていてどんどんやる、そういうふうになるとかえって格差を助長することになって、一番困るのは親と子供であろうと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 特に出だしのころは格差ができると思います。それは率直に言って認めざるを得ません。同じ県内でも行ける子と行けない子とあって、しばらくの間はそういう状態ができるかもしれません。しかし、なるほどこれはいいなということで広がっていけば次第にそこの格差というものは、県内の格差も縮まるでしょうし、あるいは各県のばらつきもだんだんなくなってくる。ある程度のばらつきは導入時期というのはある意味ではやむを得ない。 ただ、私どもも全くどっちでもいいですよと言っているのではなくて、法律を出して進める以上は財政的な負担もということで、これは予算補助という形ではありますけれども、高等学校段階の建物の整備などには来年度予算要求をしてそれをぜひ実現しようと思っておりますが、そういう形での支援は国としてはやっぱりやっていきたい、こう思っております。 それから、都道府県の格差ということを言われました。私は、確かに義務教育とか、あるいは高校もそうですが、ある一定の水準は担保されなきゃならないと思いますが、それを超える部分について各都道府県、市町村、格差があっても何らおかしくはないし、むしろ、私の村、私の県は一生懸命教育をやる県ですよということであれば、より多様なより充実した教育が行われ、うちの県は教育はそこそこにしてむしろ介護を重点にいくよという県があったって、それは私はいいんだろうと思います。 これからは、そういうばらつきが出てくる時代がまさに地方の時代だろうし地方分権の時代ではないだろうか。教育の世界においてもそういう意味の一定の水準がある程度現在確保されたと思いますから、これから先の教育はある程度のばらつきはあってやむを得ない、私はそう割り切りたいと考えております。
○扇千景君 それはそれで、第三の教育改革であるとうたわれておりますから、性急に過ぎるかもしれませんけれども、私は戦後の第二教育改革の体験者でございますので。 要するに、臨教審で四次の答申が出てまいりました。そして、文部省は各審議会等々で今まで出されたものを踏まえて今日の教育改革に取り組まれてプログラムとしてお出しになったんだろうと思いますけれども、今まで出された臨教審の答申、あるいは例えば先ほどからも問題になりましたけれども通学区域の弾力化、それだって結局、九六年十二月の政府の行革委員会の「規制緩和の推進に関する意見」、第二次答申の中にも既に提案されていることなんですね。 ですから、総理の教育改革という六大改革の中の言葉を聞いて、文部省が慌ててということもないでしょうけれども、去年の一月に教育改革プログラムというものをお出しになりました。そこでおっしゃっております理念として、教育制度の弾力化や学校外社会との連携を打ち出すと、こう書いてあるんですけれども、私がいらいらしておりましたことは、臨教審の答申で四次にわたり、しかも延々と臨教審は一九八三年から始まって今日までかかったわけです。 ですから、私が申し上げたいのは、第三の教育改革だとおっしゃるのであれば、中高一貫は目標は九九年ですか、でもこれはまだ部分ですから、全国一斉にこれが早くできなければ、今文部大臣がその県の特色があっていいじゃありませんかとおっしゃいますけれども、その県の特色に合わないでもっと向こうへ行きたいという子も出てくるわけです。 ですから、全部選択が広がるという意味においては全国一斉にできるぐらいのスピードがなければ、大臣も最後を見届けていただくまで大臣をしていただくわけにいかないだろうと思いますので、私は何としてもそういうスピードアップということでなければ子供が迷い親も迷うであろうと思うんですけれども、重ねて、いかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 例えば金融改革、ビッグバンといいますと四月一日を期してばんと制度を変えることができます。どこでも外貨預金等々のことができます。教育は、私も大臣になりまして数カ月たちますが、何か審議会というのを全部立ててやるわけです。もうちょっと早くやれないものだろうかと私もいささかいらいらすることもありますが、考えてみると、関係する方々の数が、親御さん、子供さん、そしておじいちゃん、おばあちゃんを含めてある意味では全員が関係者というと、この大きな船をある日突然四月一日を期して急にハンドルを回すと倒れちゃうかもしれない。したがって、文部省は伝統的に多分審議会というもので時間をかけながら大勢の皆さん方の意見を聞き、そこで審議会を動かすというのは、要するに関係者の納得を得るための時間なんだろうと思います。 でも、今全部の審議会を相当動かしておりますし、かつ、新しく都道府県で中高一貫についてもそうしたある種の審議会的なものをつくっていただくという形で、若干時間はかかっても、ある時間がたてば必ずこれは進むというものにしたいと。気持ちだけで言えば、来年の四月一日から全国何百の中高一貫校がぼんと一遍に生まれ出る姿が望ましいかもしれないけれども、なかなかそうはいかないんだろうなという意味で、いささかの時間がかかることはお許しをいただきたいと思います。
○扇千景君 もう一つ確かめておきたいと思います。 いろんな御意見を伺っていて、大臣の答弁も伺っていて、今私が申し上げましたように中高一貫教育研究会議というものを各都道府県につくって、それぞれの県で特色あるものをモデル校としてつくっていくと。例えば、今いろいろ委員がおっしゃったように、辻村局長もおっしゃったように欠陥もあると。いいところは言いません。けれども、もしそれを実行してみて実験校で出てきた場合、文部省として中高一貫教育というもの、後戻りすることはないんですか、あるんですか。
○政府委員(辻村哲夫君) 学校教育法の中に中等教育学校を初め中高一貫教育の制度が導入されるわけでございますので、これを各都道府県が慎重に、しかし積極的に御活用いただいて資していただきたい、こういうふうに思っております。
○扇千景君 私はなぜこういう失礼なことを聞くかといいますと、今の適齢期あるいは将来適齢期が間近に来ている子供たち、お母さん方も大変注目をして見ていると思うので、モデル校としてやってみたけれども、どうもうまくいかなそうだからもとに戻りましょうなんて言われたのでは身もふたもない。ですから、私が先ほど全国一斉にやるということができないのかと申しましたのもそれも含めてのことだったので、私は文部省として今おっしゃったように後戻りというものがないということを聞いただけでも、お母様方は虎視たんたんとして、どこの県のどの学校が特色あるいい学校がなというのをごらんになると思いますので、私はぜひ早く推進していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 それから、時間があとわずかになりましたので、今、参議院では行政改革の特別委員会をしておりますけれども、この文教・科学委員会で省庁編成については一度もそれを集中的に質疑する時間がございませんでした。あとわずかな時間ですけれども、一問一答で大変失礼ですけれども、大臣にちょっと御意見を伺わせていただきたいと思います。 今度、行政改革において文部省は教育科学技術省に名省変更されます。教育科学技術省って、科学技術庁と文部省を教育に変えただけで、二つを一つにしただけではないかと思うんです。余りにも単純過ぎないかと思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか。
○国務大臣(町村信孝君) 名称は私もベストだとは率直に言って思っておりません。したがって、法律の何条だか忘れましたが、ここは引き続きさらに検討する、変える余地があるものということで、仮置きと言っては法律を出している以上失礼なんですが、検討の余地のある名前だと、こう思っております。
○扇千景君 また、今の現状では幼稚園は文部省、あるいは保育所は厚生省、そういうふうに二つに分かれているわけですね。例えば幼児にかかわるこれまでの行政のあり方というのは、私はそのままでいいとは思わないんですね。今日これだけ子供が早く成長するようになったら、幼保の一元化というものはもうそろそろ実現化されてもいいだろうと。そのときに幼稚園と保育所が文部省と厚生省にまた裂きではいけないと思うんですけれども、この幼保一元化ということに関しても大臣は頭の中におありでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) こちらは教育機関、こちらは保育機関という、確かにこれもその設立の趣旨の違いはあるんだろうと思いますが、現実の機能は非常に共通したものになってきている。したがって幼保一元化という話が出るんだろうと思います。一挙にそこまで行かないので、例えば施設の面でどこまで共用化できるかという話を先般答えを出しました。今後さらに、幼稚園の教師と保母さんの共通のカリキュラムというのができないだろうかとか、あるいは今、預かり保育というのがあるわけですね、幼稚園の後。これもきちんと教育として位置づける、そうするともっと似てきますね。あるいは一緒に研修をやるというようなこともできないだろうかとか、機能面でできるだけ近づけていく努力をしようと、こう思っております。 最終的にどういう姿にするのか、ここはまだいま少し議論が煮詰まっておりませんが、現実に果たすべき機能、幼児教育の重要性というものに着目をしながらしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○扇千景君 私は、今の国立大学の設置形態というものもそろそろ見直すというか、改めて考え直さなきゃいけないのではないかなと、こう思っているんですね。私は今の国立大学の形態というものはこのままでいいとは思っていな、いんです。きょうは深くは入れませんけれども、独立行政法人化等々、別の設置形態等も私は考えるべきだと思いますので、これはまた追って追及していきたいと思いますし、別途お時間があれば今の行政改革一般について話をしていきたいと思います。 また今後の問題で、各省にまたがっております要するに文化ですね、余暇を含んでいわゆる文化行政。あるいはさっきも話は出ましたけれどもスポーツ行政。例えばスポーツ行政を見ても、さっきの話から飛びますけれども、オリンピックは文部省、パラリンピックは厚生省ですか、そういうふうに分かれていますね。こういうこともやっぱり私はもうそろそろ行政改革の中ですべて整理していかなきゃいけない問題であろうと思いますし、国民が見ていても、オリンピックが文部省でパラリンピックが厚生省って、何で同じ場所でという、そういうものも幾つも例がございます、こういうものも集中的に審議するべきだろうと思います。 例えば今申しました行政改革というものも踏まえて教育科学技術省、そういうもののあり方、個々の問題は別としましても、大臣に、今後どのように臨まれるかという行政改革に対する御意見を伺って質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のように、ただ単に一足す一が二であっては何の意味もないと私どもも思っております。 そういう意味で、例えば文部省でいうと高等教育局とか学術国際局とか、そういう部分でやっている仕事と科技庁の科学技術の研究とかなりオーバーラップするといいましょうか、似たようなことをやっているところも正直言ってあると思います。その辺を今両省でプロジェクトチームをつくって、一体どこでどういう調整ができるかな、よりよい研究ができるかなという詰めをやっておりますし、また文部省は文部省独自で今プロジェクトチームをつくって、いかに行革の実を上げるのかということで、今の組織のあり方、人員、あるいは仕事、予算、全面的に見直しをやってできる限りスリムな役所にしていかなければいけない、ただホチキスでとめただけということになっては何のための行政改革かわからない、そういう意識で今、文部省を挙げて行革の実が上がるような両省統合にしたいなと、こういうことで努力をしている最中でございます。
○扇千景君 ありがとうございました。
○委員長(大島慶久君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法等の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行いたいと思います。 反対理由の第一は、今回の法改正の主な内容が、今ある中学校・高校と並立して新たに六年制の公立の中等教育学校を設置したり、高校に中学校を併設できるようにするものですが、同じ公立義務教育でありながら、一部の生徒だけが高校受験のないゆとりのある学校生活や六年間の一貫教育を受けることができ、ほかの多くの生徒はこれまでどおり高校受験の重圧にさらされることになることです。 反対理由の第二は、中高一貫校の選択的導入が受験競争の低年齢化をもたらすということです。今でも深夜に及ぶ塾通いやよい子の燃え尽き症候群と言われる現象などさまざまな弊害が生まれているのに、公立中高一貫校への入学をめぐる選抜・受験競争が加わり、小学校段階からの受験競争にこれまで以上に拍車をかけることは明らかです。 第三の理由は、中高一貫校の導入で中等教育の多様化を一層推進するとしていることも問題だということです。これは、子供たちの個性ではなく偏差値や内申書の点数で高校が決まってしまい、子供たちの個性や希望とは無関係に細分化され、希望しない高校に入らざるを得ないなど、現在進められている高校多様化の弊害を拡大する危険があります。 第四の理由は、この中高一貫校に多様なコースを設けるとともに、専門学科タイプの一貫校もつくるとしていることです。これは、判断力の不十分な小学生に進路決定を迫るだけでなく、将来の進路をも狭め、固定してしまうおそれなど、多くの問題が危惧されます。 今必要なのは、高校入学試験をなくし、高校入学を希望するすべての子供に高校教育を保障することです。これによって、受験戦争でゆがめられている現状を改革するとともに、中学校と高校教育を一貫性のある豊かなものにすることが可能になると考えます。 このことを強調して、私の反対討論といたします。
○委員長(大島慶久君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 学校教育法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島慶久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、小林元君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
○小林元君 私は、ただいま可決されました学校教育法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び関係者は、中高一貫教育の選択的導入に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一、中高一貫教育の導入は、新しい学校種を設けるなど今後の中等教育全体の改革の端緒となるものであることを踏まえ、児童・生徒や保護者のニーズ、地域の実情に十分に配慮して実施すること。 二、中高一貫教育の内容は、「ゆとり」のある学校生活の中で、生徒の個性や創造性を大いに伸ばすという本旨にのっとり検討され、受験準備に偏したいわゆる「受験エリート校」化など、偏差値による学校間格差を助長することのないように十分に配慮すること。 三、中高一貫教育の導入は、中等教育を多様化し、生徒や保護者の選択の幅を広げることを趣旨とするものであることに鑑み、大学の入学者選抜方法については、その学習成果が生かされるよう工夫改善に努めること。 四、中高一貫教育を行う公立の学校では、入学者の決定に当たって学力試験を行わないこととし、学校の個性や特色に応じて多様で柔軟な方法を適切に組み合わせて入学者選抜方法を検討し、受験競争の低年齢化を招くことがないように十分に配慮すること。 五、いわゆる連携型の中高一貫教育については、その有機的連携を可能たらしめるように十分に検討すること。 六、各都道府県等においては、中高一貫教育の導入に際して、「中高一貫教育研究会議」等を通じて、幅広い関係者による協議を行い、一貫教育の内容、入学者の決定方法、通学区の設定など地域の実情等を踏まえたものとなるように努めること。 七、国は、中高一貫教育の推進に係る実践研究事業の一層の充実に努めること。 八、児童・生徒が中高一貫教育を行う学校を実質的に選択できることとなるように、設置者の意向を踏まえ、必要な財政措置を講ずること。 九、中等教育における選択の幅が広がることに伴い、児童、保護者に対して十分な情報提供を行うとともに、小学校における進路指導の在り方についても検討すること。 十、本法施行に伴う学校教育法施行規則その他政省令の改正に当たっては、中高一貫教育の導入の趣旨及び本委員会における審議を十分に踏まえ、これを行うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(大島慶久君) ただいま小林元君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島慶久君) 多数と認めます。よって、小林元君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、町村文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村文部大臣。
○国務大臣(町村信孝君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に留意いたしまして対処してまいります。
○委員長(大島慶久君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十三分散会 ―――――・―――――