文教・科学委員会 第22号
- 発言数
- 94 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/05/21
会議録
○委員長(大島慶久君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十九日、照屋寛徳君及び魚住裕一郎君が委員を辞任され、その補欠として上山和人君及び山下栄一君が選任されました。 また、昨日、山下栄一君が委員を辞任され、その補欠として山本保君が選任されました。 —————————————
○委員長(大島慶久君) 研究交流促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。 研究交流促進法の一部改正法でありますけれども、この法律は、そもそも研究交流というものはよろしいものだ、促進すべきものだと、そういうことで制定されたものだというふうに思っております。しかし、科学技術白書を見せていただきましたけれども、政府の研究費支出というのは、科学技術基本法ができまして年々かなりふえてきておりますけれども、まだ日本は欧米に比べますと必ずしもトップバッターではないという状況にございます。 それから、政府が支出したいわゆる負担源というんでしょうか、支出の源になるのは国とか産業界とかいろいろありますけれども、そういうものが自分の組織の中、自分だけで使うというような傾向が非常に強いのではないかと思います。国際比較でいいますと、日本は政府から産業界へ行ったのが千百五十二億で一・一%、ところがアメリカは一五%、あるいはフランスは一八%行っている。それから、産業界から大学へお願いをするというんでしょうか、委託をするというんでしょうか、そういうものが日本では二・三%、ところがアメリカでは五・八%、フランスは日本と余り違いませんが、それでもわずかに多いというような状況でございます。 その辺の現状はわかるんですが、これは一体、協調性が日本にはないのか、組織で抱え過ぎているのか、その辺の理由がわかりましたらお願いしたいと思います。
○政府委員(近藤隆彦君) 政府の負担に比べて、それが実際に使われているのは政府だけで、民間に流れていくのが非常に低いではないかという御指摘でございますけれども、今先生おっしゃいましたとおり、最近御理解を得まして政府の研究開発の負担が非常にふえてはおりますけれども、まだまだ日本全体で見ますと、研究費総額につきましては民間負担が八〇%ぐらいを占めているというふうに、政府の負担が低いということが基本的な理由かと思っております。 このように、民間の方はまだまだ自分の資金を自分で使っているということが非常に多いということで、政府の負担する研究費に必ずしも十分依存していないという点が大きな原因かと思います。今後は、なお一層政府としましても努力しまして、その資金の確保といった点が基本的には重要だというふうに考えております。 もう一点、政府の資金が特に他の国に比べまして民間に流れ方が低いではないかという御指摘に関しましては、国防研究費という分野がございまして、特にアメリカの関係がそうでございます。先ほど先生がおっしゃいましたとおり、日本の数字に対しまして、アメリカは政府から産業に回っている研究費のシェアが産業界全体で使っているうちの一五%ぐらいだということでございますけれども、これはやっぱり国防の関係が実際には民間に相当回っているという面が大きいと思っておりまして、こういった傾向は大小なりともフランスやイギリスに行ってもそういった傾向がございます。 このようなことから、基本的に政府の負担がまだ低いという点、それから国防研究費が欧米では相当民間の方に回っているという点、こういったことが今おっしゃったような問題点の背景にあるというふうに考えております。
○小林元君 確かに国防費の関係は日本は非常に少ない、聞くところによりますと一千百億程度というふうに聞いておりますけれども、そういう面で流れが少ないということがあるかもしれません。ただ、日本の場合、ほかに移転していないと思われますのが、特殊法人ですか、特に宇宙開発事業団ですとか動燃ですとか原研ですとか、要するにビッグプロジェクトの関係でかなりの予算がついている部分が、政府自体というんですか、政府という範疇の中で使われているというようなことがあって、これは日本の特殊性なのか。外国ではそういうことはなくて民間に委託をするというような思い切ったやり方でやると。ということになりますと、これは偏見と独断でそう思っているんですけれども、本当にそうなのかどうか。 あるいはそういうことであると、特殊法人というのに研究費を支出する、お渡しするということは、いろいろ科学技術開発の評価の問題が出ておりますけれども、ロケットの問題でも総務庁からいろいろ指摘があったわけでございますが、そういう問題がどうしても出やすい体質を持っているのかなと。その辺は杞憂であればいいんですけれども、そういうことは大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、特殊法人というものが存在するから国の研究費が必ずしも国と民間研究との連携、あるいは国の資金が民間に流れて活発な研究を促していくという側面が弱くなるのではないかという御指摘だったと思うんですが、私はちょっと委員の御指摘とは違った考えを率直に申しますと持っております。 確かに国の研究機関と民間の研究機関というのはそれぞれやはり得意なところ、それから得意ならざるところというのがあるんだと思います。ところが、どうしても民間の研究機関であればやはり営利ということがございますから、なかなか民間の研究機関ではできない研究開発というものがございます。じゃ、それは全部国立の試験研究機関でやるかということになりますと、国の試験研究機関ということになりますと、どうしてもそれは公務員でございますし、やはり国の予算制度の厳格な縛りがあるということになりまして、なかなか柔軟性がとれないという場合が私はあるような気がいたします。したがいまして、特殊法人というのは、人材を弾力的に使っていく、あるいは運営を弾力的にやっていく、それから資金の投入も、国の試験研究機関に予算を使うより、より柔軟にできるという意味で私はメリットがあるのではないかというふうに実は思っております。 ただ、この特殊法人もいろんな特殊法人がございまして、先生がお挙げになりましたようなビッグプロジェクトということになりますと、なかなかまだこれは、大分宇宙開発等につきましても実用的な面といいますかビジネス的な面がかなり進んできているとはいいましても、じゃ今の日本の宇宙開発の技術が衛星やあるいはロケットにおいて全部民間でやれるかというと、まだそこまで来ているわけではないだろうと思います。それから原子力についても同じところがあると思いますので、国のビッグプロジェクトはそういうところでやるという必然性があるのじゃないかと思います。 それからもう一つ、若干違いますのは、例えば理化学研究所というのが、これもやはり特殊法人でございますけれども、実は私もこの連休中に、ボストンやシリコンバレーでいろいろなベンチャーがどうやって起こってくるのか、あるいは日本の研究環境とアメリカの研究環境はどう違うかというようなことをいろいろ見聞きしてまいったわけでございますけれども、理化学研究所の評価は、やはり自由な研究ができる、国立大学等はとかく公務員制度で縛られて窮屈であるけれども、理化学研究所はそういう意味で自由なところができるという御評価もございました。 現に、流動的な研究体制のもとに、産学官だけではなく海外の人材も結集して先端的基礎研究を行っているとか、それから、理研で行われた研究成果をもとにその周辺に民間企業と一緒になってベンチャーを起こしていくというような工夫が起きております。これは多分、国立大学はもちろん基礎的な研究やなんかいろいろな特徴があるわけでありますけれども、国立大学、国の試験研究機関等ではなかなかできない面があるのではないかな、私はこんなふうに思っておりまして、特殊法人はやはり国の機関よりも柔軟である、しかし民間よりも営利ということを考えずにできるという特色をむしろこれから生かしていくべきじゃないかなというふうに私は思っております。 ただ、先生がお触れになりましたように、じゃそれの評価をどうしていくかという問題がやっぱりきちっとやられなければいけないということじゃないかと思います。 それで、「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」というのがございますけれども、これに沿って、研究開発を行う特殊法人についても機関評価をきちっとしていくということが必要でございましょうし、こういう評価結果を活用して研究開発活動を効率化していくとか活性化していくとか、そういうことを考えていかなければならないんじゃないかというように考えているところでございます。
○小林元君 特殊法人は特殊法人なりにそれぞれの特色といいますか特徴もあるというふうに私自身も考えております。ただ、長官おっしゃったように、やはりその欠点といいますか、そういう問題もいろいろあるというふうに考えておりますが、できるだけ特徴を生かすような今後の展開が望ましいのではないかというふうに思っております。 それから、この問題に関連しまして、国費を産業界に出す、委託というんでしょうか、共同所有という形で出せれば一番いいんだろうと思いますけれども、特殊法人ですと全額国が経費を負担するといいますか支出をする、そして研究開発をする。しかし民間に出せば、その出したお金だけでいわゆる委託をするという形ではなくて、さらに民間の方でも将来の自分のメリットということも考え、それ相応の負担といいますか支出についても出てくるのではないかなというような気持ちがありますので、どうぞそういうことも、いわゆる官民癒着とかいろんな問題あるかと思いますけれども、それはそれとしまして、そのようなこともお考えをいただければと思っております。 それから、共同研究というのは、この資料によりますとかなりふえできていると。平成四年は七百二十件ぐらいだった、研究所の場合ですね。平成八年ですとそれが千件。大学ですと千二百件ぐらいが二千件になっているというような状況でございます。 その共同研究のための規定が促進法にもありますが、休職をして出向するということがあります。通産省がかなり出向職員も多いようでございますが、二十八人いると。国全体では六十一人というようなことがございますが、そういう共同研究として、今ちょっとお話ししましたけれども、企業に直接行くというのは余り多くないようにお聞きしているんです。これは法律を見てもあるいは政省令を見てもどこがだめだというふうには書いてないんですけれども、国でどのような考え方があってどういうところに行っているか、現状をちょっとお伺いしたいと思います。
○説明員(澤昭裕君) 工業技術院の研究所からの休職出向につきましては、研究交流促進法第六条及び人事院規則に基づきまして、国との共同研究または国からの委託研究に係る業務であって当該研究者の職務に関連あると認められるものについて、人事院の指定する施設において従事する場合において認められております。実際に派遣するときには、総務庁及び人事院と協議しつつ決定されてございます。 この基準に基づきまして、工技院としては、委員御指摘のように延べ三十一件に今上っておりますけれども、研究所に蓄積された知見、研究成果などを活用するために、国の技術開発政策に係る大規模プロジェクトの実施主体、例えば技術研究組合の新情報処理開発機構、あるいは株式会社でありましても、特別認可法人であります基盤技術研究促進センターが出資している株式会社などに休職出向を実施してきたところでございます。
○小林元君 共同研究でない場合でも、公益法人あるいは特殊法人、特に特殊法人の場合にはこの法律によらなくても出向できるわけですね。
○政府委員(宮林正恭君) 先生御指摘のとおり、特殊法人の場合はこの法律によらなくても出向することは可能でございます。
○小林元君 国家公務員法のいわゆる出向規定というんでしょうか、そういうものに適合すればできるということになりますね。 次に移ります。 今回の追加条項のところに、法の十一条に、現行法では国有施設の使用、共同研究に使用する場合には提供できるという規定があるんですが、この実績はないというふうに聞いたんですが、せっかく法律をつくって、実態に合わない、これはもう使えないというのか、どういうことなんでしょうか。
○政府委員(宮林正恭君) お答えさせていただきます。 現行の十一条に基づきます国有の試験研究施設の廉価使用につきまして実績がないではないか、こういう御指摘かと思います。 これまで使用許可がなされた案件の多くが施設の使用料が比較的少額であったということから、余りその廉価使用のメリットがなかったということが主たる理由ではないかというふうに考えております。しかしながら、今後科学技術関係の施設といいますのは大型化あるいは高度化をしてまいります。したがいまして、結果といたしまして使用料が多額にわたるというふうな可能性は高いということが考えられますので、今後は廉価使用が進むのではないか。 特にベンチャー企業を初めといたします中小企業、これまではどちらかといいますと、国立試験研究機関等におきますこういう施設の使用者といいますのは比較的大きな企業であったわけでございますが、ベンチャー企業等の育成というふうなことから中小企業などの方でこういう施設を使おうということになりますと、こういう廉価使用という制度は生きてくるんではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
○小林元君 今局長からお話があったんですが、どうもそういうことじゃなくて、国の研究所あるいは大学の施設等について、必ずしも企業あるいはベンチャー企業にしましても魅力ある施設というんでしょうか、共同研究はたくさんふえつつある。しかし、実際に研究所へ来て施設を使ってやる、あるいは大学へ来て一緒にやる。ところが、そういう目新しいものはない。いわゆる施設が陳腐化しているんではないかというような、勝手にそういうふうに思っているんですが、そこはどうでしょうか。
○政府委員(宮林正恭君) 私の方は国研の関係でございますけれども、国研の関係につきましては近年、補正予算でございますとかいろいろな形で設備の近代化といいますか、そういうことはさせていただいております。かつまた、国有財産法に基づきます試験研究施設の使用許可の使用実績例を見ますと、例えば大水深の実験水槽でございますとか大きな風洞、それから海洋関係の研究施設でございますとか、津波の造波水路でございますとか、こういうふうな民間企業ではなかなか整備しにくい施設についてはやはり活用されているということではなかろうかと、こういうふうに考えているところでございます。
○小林元君 時間がありませんのでちょっと質問を飛ばして、時間があれば後でまたお聞きしたいと思います。 茨城には筑波研究学園都市があることはもう既に御承知のとおりでございます。そういう中で、通産省の所管だと思いますが、全国的に十年ぐらい前から、例えば頭脳立地法ですとか多極分散法とか民活法ですとか、ちょっと名前は長々としていますので省略をさせていただきますが、例えば民活法、これは民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法という大変長い名前がありますけれども、それによって国の研究所あるいは大学等と研究交流をする、あるいは技術の指導をいただくというような形で、貸し部屋というんですか、貸し施設等々をつくりまして、筑波の場合には筑波研究支援センターといいますけれども、今やっと経営が何とかやっていけるというような状態になっております。 こういう施設につきまして、筑波の場合には国の研究施設というのはかなり敷地的にもゆとりがあります。ですから、恐らくこの法律改正によっていろんな申し込みが出てくるんではないかという反面、この筑波研究支援センターというのは現在五十数社入っておりまして、上り坂というような状況の中で今十年目ぐらいでありますが、四十億円の投資をした。国からの補助金が一億、県が十四億、それから会員の融資、無利子融資だそうですが十四億、それで民間の企業が十一億ぐらいでしょうか、そういうことでやっているわけでございます。 そうはいいましても、現在でも累積赤字といいますか、これは第三セクターの株式会社になっておりますけれども、二億円ぐらいまだ累積赤字があるというようなことですが、筑波は非常に民間の企業から見てもそういうような研究の場所としては大変いい場所である。 したがって、この法律改正によって国の研究所に施設をつくりたいという希望は殺到するんではないかというふうに思っております。それはオールジャパンで見れば歓迎すべきことなんですが、この筑波ばかりではありませんけれども、全国内にこういういわゆる研究場所を提供するというような、テクノセンターですとかサイエンスパークですとか、そういう名前でもって全国に百カ所あるわけですね。百企業といいますか、財団法人、株式会社、いろいろでございます。そういうものにこの法律がいろいろ影響するんではないかということを危惧しているわけです。 この法律改正に私は賛成でありますし、大いにこれは結構なことであるということでありますが、そのような先行投資というものがありますので、その辺の関係について十分な調整をお願いしたいし、その辺についてどのようにお考えがお伺いしたいと思います。
○説明員(西川泰藏君) 今、民活法に基づきますリサーチコアの御質問が出たわけでございますけれども、私ども民活法に基づきますリサーチコアを所管いたしておりまして、このリサーチコアにつきましては先生御指摘のとおり、開放型試験研究施設でございますとかあるいは人材育成施設、交流施設、企業育成支援施設といったような四つの施設から構成されておりまして、リサーチコアの全国での箇所数は現在十二カ所あるわけでございます。 その経営状況につきましては、各事業それぞれ違いがあるわけでございまして、一概に言うのは非常に難しいわけでございますが、株式会社形態をとっております十社について見てみますと、八年度におきましては四社は単年度の黒字を計上しております。残り六社につきましては、うち二社は事業が立ち上がったばかりということで、その二社を除く四社につきましては収支好転してきている傾向にはございますけれども、総じてまだ入居率の向上、あるいはコスト削減に向けた努力が引き続き期待されているといったような状況でございます。また、財団法人の形態をとっております二カ所につきましては、この法人みずからの営業努力に加えまして自治体からの支援策等もございまして、おおむね収支は均衡している。 いずれにいたしても、非常に経済状況が厳しい中ではございますけれども、各事業者は努力を重ねて経営状況とかの向上改善に努めておられるものと認識いたしております。
○政府委員(宮林正恭君) 先生御指摘の点につきましては私どもも少し調べてみておりますけれども、筑波研究支援センターのケースを見ますと、いわゆる共同研究のためにこの施設が使われているという程度は余り多くないようでございます。むしろ、いわゆる貸し研究室ということで民間企業が筑波で研究するためにお使いになっている、こういうふうに聞いております。 そういう意味では、大きな影響は筑波の場合は出ないのではないかというふうに考えておりますのと、現実に、現在この共同研究のための施設をつくるということになりますと、当然それに伴いましてまた民間側といたしましては建設費用等がかかる、こういうふうなこともございますので、先生御指摘の点は今後留意をさせていただきたいと思いますが、直ちには大きな悪影響はないのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
○小林元君 ありがとうございます。
○山本保君 公明の山本保です。 最初に、谷垣長官、私実はきょう初めて質問させていただきます。 今現在、我が国の産業経済というのが非常に変化していると一般に言われます。その中で、情報産業でありますとかバイオ関係でございますとか医療関係の技術というのは、私はこれから福祉・高齢社会という中で非常に重要な意味を持つんではないかなと思っておるのでございますけれども、今後の二十一世紀の日本の科学技術はどうあるべきなのか。それと、今度のこの法律改正はその中で当然位置づくものであろうかとも思いますけれども、その中でこういう交流を促進していくというのはどんな意味があるのか、この辺についてお話しいただけますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 山本先生からの御質問、私も当委員会でたびたび御答弁申し上げているんですが、我が国の科学技術政策を考えますときに、平成七年でしたでしょうか、科学技術基本法を議員立法で超党派でつくっていただいたということの意味が私は極めて大きかったと思っております。今さら申し上げるまでもありませんが、とかく内閣提出の法案が多い中でこういう重要な法案を超党派で議員立法でおつくりいただいたということは、私は、後から考えてみて日本の政治の転換点の一つだったと言ってもらえるんじゃないか、またそういうふうにしなければならないと思っております。 その科学技術基本法を受けまして科学技術基本計画というのをつくりまして、そして科学技術創造立国を実現していこう、こういうことが一番基本にあるわけでございます。 それで、今バブルがはじけまして何となく元気のない日本でございますけれども、いろいろな経済対策はもちろんのこととして、この何となく閉塞感のある現状を打ち破っていく、科学技術には光の部分もあり影の部分もございますけれども、この壁を打ち破っていく一つの大きな方法が科学技術なのではないかというふうに考えているところでございます。 それで、そういう基本的な考え方の中でどういうところに重点を置いてやっていくかということになりますと、この科学技術基本計画に沿いまして、一つは社会的なあるいは経済的なニーズに対応した研究開発というものに重点を置かなきゃいかぬだろう。その中で、一つは新産業の創出とか情報通信の飛躍的進歩といった諸課題に対応した研究開発というものがございます。それから、環境、エネルギーといった地球規模の諸問題の解決に資する研究開発、こういうものも進めていかなきゃならないだろう。それからもう一つは、健康の増進であるとかあるいは災害の防止といった我々の生活者としてのニーズに対応した諸問題の解決を図っていく、そういう研究開発が必要だろう。そういうこととあわせて基礎研究を積極的に振興していかなきゃならない、こういうことを重点的な目標としているわけでございます。 それと同時に、こういう研究開発を進めていくためには、研究開発の場といいますか環境といいますか、柔軟で競争的で開かれた研究環境をつくっていかなければならないのではないか。そういう研究開発システムを築いていくということがもう一つの我々行政としても積極的に取り組んでいかなければならないところだと思っております。 今度御審議をお願いしております法案はその中の一環でございまして、産官学の交流であるとか、あるいはこういうことによって国の試験研究機関を柔軟に使っていくことによってそこにベンチャー等が生まれてくるきっかけ等もつかめるのでは、その一助になるのではなかろうか、こういうようなことを考えまして御審議をお願いしている次第でございます。
○山本保君 どうもありがとうございます。 それでは少し細かくお聞きしたいのでございますが、最初に、今ちょうど長官もお話がございましたのでそれに絡めて、ちょっと御連絡しておいたのと順序が違うかもしれませんけれども、国立研究機関というものと国立大学というものがあるわけでございまして、この辺私ども、特に文科系の方でやってきた人間にとりましては、この両者がどういう立て分けといいますか機能を持っているんだろうかと。 国立研究機関といいますと、何か各省庁がその省の目的に沿って非常に狭いといいますか、特殊なことについてのみやっているのかなという気もいたしますし、大学というと学生のための教育ということが中心といいますか、一つの仕事ではあるとは思いますけれども、しかし非常にいろんな最先端のことをやっておる大学の研究機関というものも目にするわけでございます。この両方が各省とまた文部省と分かれているというふうに思うわけでございますが、この大学及び国立研究機関というものの関係、これはどのように考えたらよろしいのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 文部省からのお答えもあろうかと思いますけれども、それぞれ私は設置目的に従った特色を有していると思っております。 それで、国立試験研究機関の場合は、今先生が御指摘になったように、行政上の必要性を直接的に研究に反映できるということがやはり一つの特色だろうと思います。ただ、今先生がおっしゃったように、余り細分化されて細かな研究だけをやっているということでいいのかどうか。国の試験研究機関もいろいろございますから、今先生が御指摘になったような点があるのもございますし、ある程度幅広くやっているところもあろうかと思いますが、行革の中で今後はどうやったら中核的な国立試験研究機関をつくっていけるのか、そういうことがこれからもっと議論されなければならないだろうと思います。 もちろん、国の試験研究機関の場合は先ほど行政上の目的を反映すると申しましたけれども、実際に創造的な研究をしていく場合には、こういうことに戦略的な目標を置いて研究してもらおうということがありましても、もちろん研究者の自発性とか創造性とかいうものをつぶすような形では創造的なものができるはずはありませんけれども、基本的なものは行政目的あるいは国の戦略的目的というようなことに資することができるということにあるのではなかろうかと思います。 それに反しまして大学の方は、一つは先ほど先生おっしゃったように教育ということがございますけれども、それと同時に、アカデミックフリーダムという言葉がございますけれども、どちらかというと研究者の自発性に即して研究をしていただくということで、それぞれの特色があろうかと思っております。 今度の行革では、教育科学技術省ということで二つが一緒になることになっておりますけれども、文部省の今までやってこられました大学の学術行政と申しますか、それと私どもの科学技術行政、若干それぞれ観点が違うところがございますので、そのよいところをつぶし合わないように、いいところを引っ張り出すようにということを考えていく必要があろうかなと。これはこれからもっと集中して議論をしなければいけないところだと思っております。
○政府委員(雨宮忠君) 基本的に今大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、若干補足して申し上げますと、国立の試験研究機関と大学一般というように比較して考えた場合に、一つは今も大臣からお答え申し上げましたとおり、ある行政上の目的に応じてどうこうということではなくて、研究者の自発性に基づいて自由な研究をするということ、その結果にもなるわけでございますけれども、分野としても人文社会から社会科学、自然科学まで、ほぼあらゆる分野をカバーしているというのが大学の研究の特徴でもあるわけでございます。 また、よく研究内容を基礎研究、応用研究、開発研究というような形で分けることがあるわけでございますが、大学とそれから試験研究機関とを比較した場合に、どちらかと申しますとやはり大学は基礎研究の度合いが非常に高いという特徴があろうかと思うわけでございます。 それと、先ほど大臣申しましたように、教育と一体となって研究を遂行するというところがまた大学の特徴になっておろうかというように思うわけでございます。
○山本保君 短い時間で全部お聞きするとか、あとここで議論するわけにいきませんので、ちょっと一点だけ。 これは予定していなかったんですが、前にも担当の方とお話ししたんですが、お話の中でちょっと気になったので確認させていただきたいのです。国立研究機関ではそうしますと学問の自由というのはあるというふうに言ってよろしいんでしょうか、ないと言ってよろしいんでしょうか。
○政府委員(宮林正恭君) 国立試験研究機関でどういうふうにして枠組みをつくるか、こういうことでございます。 それぞれ国立の試験研究機関は設置法に定められた任務というのがあるわけでございまして、その中において、それぞれ国立試験研究機関の中で仕事の進め方といいますか、研究の進め方あるいはテーマの選び方というようなことをお決めになっております。したがいまして、そういう意味では、いわゆる大学内における学問の自由とかそういう趣旨のものではありませんけれども、一方でやはり研究開発というのは基本的には自主的な創造性、こういうものを非常に尊重しなければ結果としてはいい成果を生まないということでございますので、そういう意味では十分自由度が高いことになっていると私は思っております。
○山本保君 まず、きょうはそのことだけ確認させていただいた上で、もう一点ございます。それは、両方の特徴というものを見ていくときに、いろんな今内容論についてお話がございましたけれども、それはひとつ置きまして、行政的に言いますと国立試験研究機関については独立行政法人にすべしといいますか、そういう方針が打ち出されているというふうに聞いております。国立大学についてはそんな方針はないのかなというふうに思うわけでございますが、これは余り議論をする時間がないかもしれませんけれども、まず独立行政法人についての考え方についてお話しいただけますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 独立行政法人につきましては、これも率直に申しましてまだ中身が完全にコンクリートになったものではないと思っております。 ただ、先ほども小林先生が特殊法人はどうかということをおっしゃいましたけれども、そこで御答弁した中に、やはり国の試験研究機関、国の予算制度そして公務員制度の枠内では、柔軟性とか競争性といいますか、臨機応変というようなことがやりにくい場合がございます。特殊法人というのもその工夫の一つであったのではないかと思うわけでありますけれども、独立行政法人というのも基本的にそういう発想のもとで考えられたことでございます。 ただ、国の試験研究機関、それから大学のこともお触れになりましたけれども、それぞれ多様な目的がございます。一概に全部一つの考えでいけるのかどうかというのは、私ももっとここは深く議論をしなければならないところだと、こう思っております。
○山本保君 では、法案の内容に関係しましてお聞きしたいのでございますが、平成四年にこの法律が改正になっておるわけです。これと今回の法改正、たくさんお聞きしたいのですが、もう時間がありませんので一つだけお聞きしたいんです。 といいますのは、この十一条についてではないんですけれども、いわゆる特許について。いただいた資料などを見ますと、諸外国、アメリカなどでは基本的にお金を出した方、民間の方にその特許権などは帰属するというのが原則であろうと思うわけでございますが、日本の場合は、この法改正を見ましてもまだ原則国のものであるというふうに読めます。しかしながら、外国との共同研究などの場合においてはその外国の状況に応じた対応をしなさいというふうに読めますが、こうなりますと、日本の研究者とか日本の企業が何か非常に不公平を得るのではないかという気がするんです。 今回、この辺についての改正はせずに国有施設の使用にのみ改正事項を絞られたということについて、私はこれよりまずこの特許権の関係の方が大事じゃないかという気もするのですが、いかがでございますか。
○政府委員(宮林正恭君) お答えさせていただきます。 特許権の取り扱い、特に共同研究の場合の取り扱いのことを御指摘されているのだろうというふうに思います。 まず、これまでの国立試験研究機関におきます研究成果の取り扱いにつきましては、すべて国に帰属するという取り扱いになっていたことがございました。 しかしながら、科学技術基本計画、これは平成八年七月に閣議決定されたわけでございますが、これにおきまして、研究者個人による研究成果の利用に道を開くために、各省庁は必要に応じて特許権の研究者個人への帰属を導入するようにというふうなことを指摘しておりまして、各省庁はそれぞれの判断によって平成八年度から職務発明規程を改正する、こういうふうなことをやっております。これによりまして、特許権についてはその一部を個人に帰属させることができるというふうになっております。 それから、これは一般則でございますが、いわゆる共同研究をいたしましたときにつきましては、国とそれから共同研究した相手方との間の貢献度の度合いに応じて分けていく、こういうふうなことが基本的な枠組みになっております。ただ、これにつきましても、最大五〇%までは相手方に譲り渡すことができる、こういうふうな枠組みをおよそ設けている、こういうことでございます。
○山本保君 ちょっとわかりにくいんですけれども、私が不勉強でわかりにくいんだと思います。 アメリカのこの規定を見せていただきますと、アメリカなどはそういう点は非常にはっきりしていまして、外国との関係のときはアメリカの国が持つぞと、国内だったらそれは自由だぞと、まさに国益を考えましてやっているのじゃないか。つまり、国内の場合は、国が持つのではなく民間の企業がどんどん使ってくださいよ、こういう感じであって、しかしながら外国との関係は国でやるんだと国が出てくる、外国に簡単に渡さないぞ、こういうふうに読めるんです。 日本の場合はそうじゃなくて、日本の国内の企業や国内の研究者に対して国が出しゃばっていって国が持つんだと、こう言っているような気がしてしようがないんですけれども、どうでしょう、私のその感覚は間違っておりますでしょうか。
○政府委員(宮林正恭君) 海外につきましては相互主義の原則というのがございまして、我が国の場合につきましてもアメリカと同じ、アメリカと共同研究をした場合にはアメリカと同じことをする、こういうふうな形になっております。例えば、その国が日本側に特許の無償実施権を認めるような制度になっていれば、日本はその海外への委託に関しては特許の無償実施権を与える、こういうふうなことでございます。 先生のおっしゃっているところは、委託研究の場合と共同研究あるいは国の研究機関がみずからやる場合とあれでございますが、委託の場合につきましては、我が国の場合はやはり国の資産であるという思想がございまして、ある程度委託をした相手方に渡すという考え方は最近はとっておりますけれども、そのあたりのところは、特にアメリカのケースのように割り切った考え方がなかなかできていないというのも事実かと思います。
○山本保君 そうしますと、確認でございますが、今回法改正はしなかったわけですが、もう実態的には問題はなくなっているという御回答なのか。私は、どうも今お聞きしましても、国の財産だからという考え方はもうそろそろ変えた方がいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(宮林正恭君) それにつきましては、相手方に優先実施権を付与するというふうなことで現在進めておりますので、現在のところ、それでいけるのではなかろうか、こういうふうな判断をしたところでございます。
○山本保君 それでは、ちょっと細かいことといいますか、一つだけ。先ほど少し出た議論にも絡むのでございますが、確かに法律の改正として、私も研究者に聞いてみましたところ、先ほど御説明ありましたように、今までは大企業などの大きなものが中心だった、今度こういうことで地場産業なども参加できるのではないかという声があるというふうにもお聞きしておりますので、この辺は結構がなと思っているんです。 そこで、一つ確認したいのでございますが、今回、この国会でNPO法案が通りまして、アメリカなども、こういうベンチャーの場合にリスクが非常に高いですから、まずNPO、つまり非営利の団体をつくりまして、そしてそこである程度業績が上がった段階で企業化していく、そういうことが普通よく行われるわけです。今回こういう法律改正になったとき、地域のそういうNPOのようなものが大学を使いたい、こういったときにはこれは可能なのでございましょうか、考え方としてできると私は思っておりますけれども。
○政府委員(宮林正恭君) 今私が思いますところでは、特に問題なしにできるのではないかと思っております。
○山本保君 ありがとうございます。 実は、法律だけを見ますと、教育分野については社会教育という概念が使ってあるんです。ただ、これは法案審議の間で、社会教育というのははっきり言えば実はちょっと間違った用語でございますね、これは社会における教育一般だというふうに提案者説明をしました。 それから、研究法人といいますか、研究のNPOというのはないじゃないかという議論もしたんですけれども、研究法人的なものはつくっていないけれども、しかしその研究内容がいろいろな場合に当てはまればいいんだ、こういう議論をしておりますので、NPOの一つの機能として、こういう研究を中心にやるようなNPOというのもこれからはぜひ出てきていただきたい。この場合に、実際こういう国の持っている機関のノウハウなり、また設備を利用するということは、それをしなければなかなか立ち上がりが難しいわけですから、これはぜひやっていただきたいなというふうに思っております。 ちょっと時間が中途半端になってしまって、あとたくさんお聞きしたかったんですが、私立大学とか私立の研究所への補助というのが日本の場合非常に少ないんじゃないかと私は思っておるわけでございます。この法案も国立だけを対象としていると思いますが、私立の研究助成でありますとか私立の大学補助というものについては、今後ふやしていくような考え方があるのかどうかお聞きしたいんです。
○政府委員(佐々木正峰君) 私立大学の関係でございますが、御案内のように高等教育の約八割を私立大学が我が国の場合担っておるわけでございまして、高等教育あるいは学術研究の推進に大きな役割を果たしておるわけでございます。このような役割の重要性にかんがみて、文部省といたしましては従来から、教育研究条件の維持向上に資するように、経常費助成を初めとして私学助成の充実を図っておるところでございます。 平成十年度予算におきましても最大限配慮をいたしまして、経常費助成につきましては、例の財政構造改革の推進に関する特別措置法で定められた金額の上限でございますところの、対前年度同額の二千九百五十億五千万円を措置いたしたところでございますし、また教育研究施設等の整備に要する補助につきましては、対前年度に比較いたしまして三十五億七千万円増の二百二十五億五千万円を計上したところでございます。それらを通しまして経常費助成あるいは特別補助、さらには、例えば学術フロンティア推進事業等を拡充いたしまして、全体として社会的要請の強い特色ある教育研究プロジェクトの助成を重視して対応しておるところでございます。私学助成につきましては、今後とも引き続きその充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。 なお、私立の研究所に対する助成措置といたしましては、現在そのような制度は設けておらないところでございます。
○山本保君 どうもありがとうございます。 私は、私立の関係についても構造的に助成方法を変えているとは知っておりますけれども、一般的に私立と国立ては一人当たり二十対一も差があるとも言われております。この辺の改善というのを今後もぜひよろしくお願いしたいと思います。 ありがとうございました。
○日下部禧代子君 長官は、本法律案の提案理由の御説明におきまして、「産学官それぞれの研究セクターがその特色を生かしつつ、共同研究をより一層密接な連携のもとで効果的かつ迅速に行っていくことが不可欠」であるというふうにお述べになっていらっしゃいます。 そこで、確認の意味もございましてお尋ねしたいのでございますが、国立試験研究所、大学、そして民間企業で行われる研究のそれぞれの特色、それぞれの目的、またそれぞれの役割についてどのように認識していらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど山本先生に御答弁したところとも重なるわけでございますけれども、まず、民間のセクターの研究はどういうところに特色があるかと申しますと、基本的には、最終的には営利に結びつくということだろうを思います。その中で新しい技術を開発したり新しい製品を開発するということを究極の目標に置いて研究をされるというのが民間の基本的な姿だろうと思うんです。 それに対しまして国立試験研究機関の場合は、先ほども申し上げたことでありますけれども、国家戦略的な目標といいますか、あるいはちょっとスケールの小さい言い方をしますと、行政の必要性を直接的に研究内容に反映させるということがその使命だろうと思います。これも先ほど申し上げたところですが、さはさりながら、研究というものは全部国の行政として縛るというようなことではなかなかすぐれた研究結果というものが期待できませんので、その中でやはり自由度というもの、あるいは研究者の自発性というものを尊重していくということが必要であろうかと思います。 それから、大学におきましては、科学そのものの創造といいますか、そういうものを根本に据えまして、研究者個人の自由な発想を重視してやっていく、あわせて教育とともにやっていく、こういうことではないかな、こういうふうに考えております。
○日下部禧代子君 民間の場合は営利を目的としたというふうなことの違いですね。 先ほど、共同で研究を行うことのメリットについてはお答えを同僚議員になさっていたように思いますが、それでは、このように国立試験研究所、大学、そして民間のそれぞれ目的、特色、役割が違うことによる問題点というのはどういうところにあると考えられますか。今度共同で行うということになっておりますけれども、共同研究でメリットはわかります。問題点がございましたら、考えられるところをおっしゃってください。
○政府委員(宮林正恭君) 民間の性格、大学あるいは国立試験研究機関の性格からくる共同研究をする際の問題点ということでございますが、一つは、事務的な面からいいますと、いろいろな経理システムとかそういうところにはまさに大きな問題点がございます。それから、そこで実際に仕事をする方といいますのは、それぞれ人間でございますので、それぞれ育ってきたカルチャーといいますか、こういうふうなものが違うわけでございます。それで、そういうカルチャーの差によるいろいろな共同研究のしにくさ、こういうふうな問題点は当然出てまいります。 それから、それぞれ目的意識というところが異なっているケースというのも、共同研究に実際に着手しようとしますとそういうケースも当然出てまいります。しかしながら一方で、そういうふうな問題点を克服しながら共同研究をするということは、大臣が先ほど申し上げましたように、国全体としての大きなメリットがある、こういうふうに私どもは思っております。
○政府委員(雨宮忠君) 大学と試験研究機関との性格の違いが共同研究において何らかの問題点を生じないかというお尋ねでございますが、私は、基本的にそういう問題点はないと。むしろ問題点があるとするならば、共同研究ということでありますので、今、科技庁の局長からもお話しございましたように、いいマッチングができるのかどうかということであろうかと思うわけでございまして、ある共同研究のテーマを設定するに当たって、それぞれの人的な資源、能力というようなこと、それからそれぞれの研究の関心度、それらを総合していい取り組みができるのかどうか、その辺のところがうまくいきさえすれば共同研究といつのはそれなりの成果が出てくるというように思うわけでございまして、それができるかどうか、できない場合にはそれが問題点となってくるというように思うわけでございます。
○日下部禧代子君 今度の法改正によりまして、民間が廉価で国立試験研究所あるいは国立大学に土地を借りることができるということになります。例えば、国立大学の場合ですと主務官庁は文部省です。そして国立試験研究所の場合は科学技術庁ですね。そうしますと、手続とかあるいは成果の帰属ということもこれはそれぞれ主務官庁は違うんでしょうか。それとも、これは同じというふうに考えてよろしいのですか。
○政府委員(宮林正恭君) お答えさせていただきます。大学と国立試験研究機関が違うかということでございますが、基本的には国有財産法なり財政法なりそういう国の一般通則に従って処理をされるわけでございますけれども、それぞれやはり組織組織によってやり方が違うというふうな部分も存在するかと思います。 それから、ちょっと訂正をさせていただきますが、国立試験研究機関につきましては科学技術庁が全部を管理しているといいますか所管をしているということではございませんで、国立試験研究機関につきましてはそれぞれ各省庁が、自分の所管しておられる研究機関については管理監督をされているということでございますので、そういう意味では少しずつ違うところもあろうかと思います。
○日下部禧代子君 今、管理権についてお述べになりましたけれども、例えば土地を借りたのは、国立大学の場合あるいはまた国立試験研究所の場合、それは国に管理権は帰属するわけです。そしてもう一つ、そこの中に建物を建てた場合には、それはそこに建物を建てた、その施設を整備した民間の施設に管理権が帰属するということになれますね、施設そのものについては。そうした場合に何らかの問題ということは出てこないんでしょうか。 例えば、私、先般地方公聴会で東海村へ参りましたときに、火事の問題で消防署の問題が出てまいりました。村長さんが一生懸命におっしゃっていたことの一つでございましたけれども、動燃の事故の場合に、火災が起きたときに、その火災の消火ということに当たったのは動燃の中の消火体制という部分で処理されて、そしてその自治体、つまり東海村の消防は中にまで入れなかった。もし自分たちが中に入ることができたらば、十時間後にまた爆発を起こすような、本当に火が消えているかどうかというのを確かめることができたんじゃないか。返す返すもこれは残念な問題であるし、またそれは非常に大きな問題であるというふうにおっしゃっていたのでございます。 そういうことから考えますと、そういう事故はないにこしたことはないんですけれども、もし事故があった場合に、そういった管理権がどこに帰属するかによって問題が、動燃の場合には非常に大きな問題になってしまっております。そういう過去の事故があったわけでございますから、その辺のところをどのように反省し、今回それをどのように生かそうとなさっているのかということも含めて、もう一度この管理権についてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(宮林正恭君) 今回の法律でお願いをしております共同研究施設につきましては、これは確かにその建物の管理権は基本的にはその建物を整備した所有者ということになると思います。しかしながら、一方で、その建物は明らかに大学なりあるいは国立試験研究機関の敷地内に存在する、こういう実態がございます。したがいまして、そういう意味では、少なくとも国立大学なり国立試験研究機関の側も、当該施設の管理運営についてある種の責任もあれば、逆にそれに対して影響力を及ぼす必要もあるだろう、こういうふうに思っております。 そのあたりにつきましては、むしろ私どもが画一的に決めるというよりは、恐らく施設の中身でありますとかそういうことによりますので、それぞれ当該研究所あるいは大学と、それから土地を一時使用してお建てになる共同利用研究機関との間でお決めいただくということではなかろうかと思っておりますが、そしてかつ十分その土地の所有者でございます大学なり研究機関が影響を及ぼす方法というのは、これはまずその使用の許可をいたしますときにいろいろな条件を付したりすることができます。 それから、当然のこととして、具体的な建物の管理運営についてどんな管理運営の仕方をするか。つまり、先ほど所有者に責任があると申し上げましたけれども、実態的には共同研究をするわけでございますので大学の職員も一緒に使用するという部分が出てまいりますので、そのあたりは、やはり実態に合わせて両者の間で十分協議をして、ちゃんとした協定を持ち、明らかにしておく、こういうことになろうかというふうに思っております。
○日下部禧代子君 今の御説明はわかるような気もいたしますけれども、やはり実際に動燃のような事故が起きているわけです。そして、そのときに火災ということ、その後に今度は爆発ということなんですね。そうした場合の具体的な悪い例があるわけです。ぜひともその例をちゃんと生かすということが、事故が起きないとは限らないという前提の上で、やはり起きた場合にはそれをいかに生かすかということでございます。ですから、私が今ここでこういう質問をいたしましてもし何か事故があった場合に、私は大変にこれは問題を追及するということになります。 おどかして申しわけございませんけれども、これから特に国立との問題ということになりますと非常にいろいろな問題、民間と国立というのはいろいろな点で違います。可能性が出てきそうな感じがするものでございますから、そこで私はこのように念には念を押した物の言い方をしているわけでございます。ぜひその辺のところをきちんと考慮した対応を考えておいていただきたいというふうに思います。 それで、そのことにも関連してまいりますけれども、先ほど同僚議員の御質問に対しまして、この改正案の第十一条でございますが、国有施設の廉価使用ということ、施設に関しては今まで、安く借りることができるということが十一条に規定してあるにもかかわらず、その実績はないというお答えでございましたね。そして、その理由というのは、借りるメリットがないからだというお答えがございました。 だったらば、なぜそのメリットがないのか、そういう調査をしたことがありますか。そして、もし借りるということになるんだったら、どの辺のところが問題だからみんな借りないのか、こうすれば借りるようになるのだというふうなことの調査をなさった上で今度の法改正、つまり、今度は建物じゃなくて土地を貸したら、それじゃいろいろとアプライするだろうということでこの土地利用ということになったんでしょうか。 例えば、いろいろな借りなかったということの理由の中に、今私が少し触れました国の施設であるというふうなことと民間ということの問題点があるんじゃないか。例えばお上意識というものに対して民間というものが、そういう中で研究なんかしたくないというふうな気持ちもあるかもわからない。つまり、さまざまな手続とか規則とかそういうことが、非常に管理されるようで制約が多過ぎるというふうな問題があったのかもわかりません。これは自治体なんかと共同研究している民間の研究者からも、自治体でさえもそういう問題があって非常に腹に据えかねることがいっぱいあるというふうなことを私は研究者仲間から聞いたこともございます。 そういうことも含めまして、果たして本当に民間と国側が対等な立場ということで対応していたのかどうか。そういう反省も込めて、なぜ国有施設の廉価使用というのがメリットがないというふうな理由で実績がなかったのかということをもう少しお答えいただきたい。
○政府委員(宮林正恭君) 今御指摘の点でございますけれども、十一条関連の、施設の廉価使用条項が使われていないという点でございますが、これにつきましては、私ども今回研究交流法全般につきましての調査をいたしましたけれども、この条項がなぜ使われないかという具体的な形での調査は明文的にはいたしておらないということは事実でございます。 しかしながら、私ども一方で国立試験研究機関などにいろいろな場でお話を差し上げたりいろいろ情報交換をする場がございます。そういうふうな場などで伺いますと、一つは、比較的金額が小さいというふうにいたしますと、先生御指摘の、いわゆる手続とかそういうふうなことのコスト、あるいはそれの面倒さというふうなこととの見合いで、それなら全額払った方がいい、こういうふうに判断されるケースは確かにあるようでございます。 ただそれは、要はその使用料が大きくなってまいりますと、ある程度そういう手続をしても使おう、こういうふうな動きになってくるということではないかと思いますし、それから、そういう事務的な簡素化の努力といいますのは各研究所なども一生懸命しておりますので、私どもとしましては徐々にそういうことはふえていくのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
○日下部禧代子君 これからふえるかもわからないということは、その利用手続、利用条件の見直しなどをなさるということを意味しているんですか。今までのとおりで利用がふえていくというふうなお答えなんですか。私の今のお尋ねは、こういう施設の場合のことを言っているわけです。だから、土地になるとこれはどの辺がどう違っちゃうわけですか。 それから、重ねて聞きますけれども、今度土地を借りた場合にはどのくらいのニーズというものを見通しでいらっしゃるのか、そのこともあわせてお答えいただきたい。
○国務大臣(谷垣禎一君) 細かなところはまた政府委員から御答弁をさせますが、今の先生の御指摘はよく考えなければならないところがあるなと思って伺っておりました。 と申しますのも、今まででございますと、これは国の試験研究機関である、あるいは国立大学だから民間と一緒なんてとんでもないという発想で、それは国の土地であり、国の予算で運営されているところであり、公務員は全体の奉仕者である、こういう考え方であったと思います。しかし、余りそういう考えでは物事は進んでいかないということでこういうことを取り入れてみようとやっているわけでありますから、先生の御指摘のような、おれたちは国であるぞよというような意識ではなかなか進んでいかない面が私はあると思います。そういうところは気をつけていかなければならないと思っております。 一方、土地の面で申しますと、今度の法律改正をした後どうなるか。北海道大学に関しまして、ある財団法人が具体的に北大との間で共同研究を進めてこういう施設をつくりたいという要望がもう既にございまして、こちらの方は現実に使っていただける雰囲気ではないか、情勢である、こう思っております。
○政府委員(宮林正恭君) 少し補足させていただきます。 一つは、土地の方につきましては、これはある程度何年か継続使用していく、こういうことになりますので、累積しますと比較的大きい額になるということがありますのでより効果は大きい、こういうふうに考えております。 それから、先ほどの試験研究施設の使用許可の使用の実績、私ども全部が調べ尽くされているかということになりますとちょっとあれでございますが、平成四年から平成八年まで五百六十五件ございます。しかしながら、大口は非常に少のうございまして、おおむね数万円とか数十万円というオーダーの使用料のものでございますので、そうしますとやはり使われる方も、その程度であれば半額とかなんとかそういう手続をしなくてもと、こういうふうな気持ちになっておられるのではないかというふうに思っております。
○日下部禧代子君 そういう事情も考えて、いわゆる利用条件についての見直しということのお考えはあるわけですか。
○政府委員(宮林正恭君) 一般的に国の各機関につきましても、特に一律的に使用条件の見直しとかなんとかということではなくて、事務を簡素化する、あるいは権限をより下部の方におろしていく、こういうふうなことをやっておりますので、そういうようなことを通じて徐々にふえていくのではないかと。 ただ、先ほど申し上げましたように数万円から数十万円ぐらいのオーダーですと、それでも手続をどれだけするかという民間側のニーズの問題というのは当然あるかと思います。
○日下部禧代子君 ぜひそれはきちんと実効あるものにしていただくようにお願いしておきます。 ところで、今回の法案でございますが、国の土地を廉価で利用するということでございますから、利用していただく相手の選定に当たりましてはやはり透明性とか公平性ということが絶対に前提条件になるだろうというふうに思うわけでございます。それにまた、いわばトップダウン式の国立研究所と違いまして、大学の場合は大学の自治ということがございます。いわばボトムアップという感じの国立大学独自の自治ということに対する配慮ということも必要であろうかと存じます。 そうすると、相手先の選定をするときにどのような基準で、そしてそれはどのようなプロセスにおいてなさるのか。これは国立研究所とそれから国立大学それぞれ違うんですか。違うんだったらそれぞれお答えいただきたい。同じだったら一つのお答えで結構でございます。
○政府委員(雨宮忠君) それぞれ大学それから試験研究機関、ある事柄を決定するときにどういう手続を経るかというのは、多分全く同一ではないかとは思います。 ただし、共同研究ということでございますので、相手方がふさわしい相手がどうか、テーマとしてどういうものが適当なのかどうか、その共同研究をするということによって本来の研究活動に万が一支障が生ずるというようなことがあってはならないとか、いろいろないわゆる選定の当然考えるべき基準というようなものはあろうかと思うわけでございまして、それらについては私は基本的には共通のものであろうかというように思うわけでございます。
○日下部禧代子君 共通か否かということのお答えだけだったんですけれども、例えばどういうことが本当に基準になるのか。法律を改正するわけですから、そういう基準あるいはそのプロセスについてのきちんとしたものがもうでき上がっている、具体的なものができ上がっているというふうに思いますけれども、時間がございませんから一つ二つおっしゃっていただいて、あとはペーパーでいただきたいと存じます。
○政府委員(雨宮忠君) 一つ二つということでございますので例えば大学に即して申しますと、そのことによって大学の本来の用途とかあるいは目的を妨げるようなことになるのかならないのか、それから使用許可条件が一体遵守できるのかどうかというようなこと、それから、先ほど申しましたが、これは原則的なことでございますけれども、その共同研究が双方にとって有益なものなのかどうかというようなこと、それだけの共同研究を行うに足るだけのリソースをそれぞれ持ち合わせているのかどうかというようなことが条件と申しますか、考えの基準になってこようかと思うわけでございます。
○日下部禧代子君 有益かどうかというのは当たり前の話なんですけれども、何が基準になって有益かどうかというふうなこととか、そういうふうなお答えを私は聞きたかったわけでございます。例えば大学の場合ですとどういう機関がこの選定に当たるわけですか。教授会ですか、それとも何か特別なそういう委員会のようなものをおつくりになるわけでしょうか。
○政府委員(雨宮忠君) 現在、国立大学の場合で申しますと約二千件の共同研究が行われているわけでございまして、そのテーマといたしますのは、例えば機器開発でありますとか、あるいは材料開発でありますとかソフトウエア開発でありますとかということであります。これは当然反間企業の方もそういう分野の研究をぜひ大学でいたしたいということでそのようなテーマが出てくるわけでございまして、それを実施するに当たるだけの人材というものを、あるいは研究関心というものを一体大学側が持っているのかどうかということは当然いわゆる判断の基準として出てくるわけでございます。 どの機関がそれを判断するか、教授会の場合もありましょうし、またあるいはもう少し全学的な機関によってそれを判断するということも当然あろうかと思うわけでございまして、どれがということは必ずしも法律で決められているわけではございません。
○阿部幸代君 初めに、法案の趣旨にもかかわって質問したいと思うんですけれども、法案は、国立大学、国立試験研究機関等の敷地に国以外の者の共同研究施設を整備できるように地代を時価よりも安くして使用できるようにするというものですけれども、なぜこういうことをするのか、いま一つイメージをつかむことができないでいます。 国立大や国研の敷地になぜ民間の施設をつくるのか、具体的な要望があったのか、またどういう内容なのか、今後の見通しはどうなのか伺いたいと思います。
○政府委員(雨宮忠君) 先ほど大臣からお答え申しましたように、土地の関係で申しますと、北大の敷地の中に財団法人北海道地域技術振興センターが共同研究のための施設を建設しようとする構想がございます。北海道大学としても全面的に協力するということになっておるわけでございまして、そのために私どもに対しまして土地の廉価使用ということにつきましての相談が来ているわけでございまして、この法律に御賛同いただきましたならば、当然具体的に案件がこの法律にのっとって活用されるであろうというように考えておるところでございます。
○阿部幸代君 今後の見通しについてはお触れにならなかったんですが、現行法第十一条の、今まで大分話題になっていましたが、国立大、国研の研究施設を民間企業が廉価で利用した実績があるのかどうか私も伺ったところ、一九八六年から今日に至るまで一件もないわけです。今度はじゃどうなるのかということがやっぱり心配になるわけで、今、北大の、また北海道の産業界のお話をなさいましたけれども、だとすると、まるで北海道産業界と北大のために法律をつくるようなもので随分問題だなという感じがいたします。 次の質問なんですが、研究交流、つまり産官学共同研究の実情がどうなっているか調べてみますと、国立大学では、一九八三年度五十六件六十六人から、九六年度二千一件二千百九十二人ですか、大変増加が著しいものです。国研も同様で、八三年度百八十四件から、九六年度一千十七件ですか、これも著しく増加しているように思うんですけれども、つまりこの増加を見ますと国立大も国研も相当に民間産業に貢献しているのではないかなというふうに思えるんですが、この程度ではだめだということですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 産官学の役割というのは、先ほども御答弁を申し上げたわけでありますけれども、やはり最終的には研究開発というものは、民間の場合は営利に役立つものを開発していくということがございますけれども、国の場合もあるいは大学の場合も、最終的にはその研究成果が国民に還元されていくということが私は必要なんじゃないかと思います。 そのためにどういう手段を講じたらいいか、いろんな考え方があるだろうと思いますが、国の試験研究機関は研究開発成果を国民生活にすぐ役立つものにしていくというようなことに必ずしも十分なノウハウがあるわけではありません。またそういう研究開発の結果を、アメリカなどはベンチャーが随分できておりまして、全部アメリカがいいというわけでもありませんが、研究開発成果をベンチャーという形で民間に生かしていくためにはどうしたらいいかというノウハウも、民間の自由度の方があるような場合があると思います。 先ほどのようなことで足りないのかという数字を挙げての御質問に対して、私は、もっと可能性があるんだったらもっと可能性を広げていきたい、こう思っているところでございます。
○阿部幸代君 その一環として国有地の利用ということですね。 日本学術振興会の学術月報九七年七月号の座談会に、「新しい産学協働の構築を目指して」の中で、小野田武・三菱化学株式会社取締役が次のように言っておられます。「日本の最大の知的資産は大学にある」、「有効に広く活用されているか」、こういう投げかけをしているんです。 それから、通産省の九七年十二月付の「産学連携政策の推進について」では、「我が国の研究者総数約六十七万人のうち、三分の一強にあたる約二十四万人は大学等に在籍」、国研は約一万人ですね。「我が国の研究資金約十四兆四千億円のうち、二〇%強にあたる約二兆九千八百億円は大学における研究費。」、「大学には、我が国の技術研究のリソースの多くが集中。しかしながら、大学は学術研究を一義的な目的としており、我が国では、これまでそのリソースが産業界において十分に活用されてきたとは言い難い。」、こういうふうに言っています。 法案は、こうした産業界の意向を受けて産業界が大学に入りやすくするということですね。今までより一層大学が産業界に協力していくようにさせるということですね。これは文部省に伺います。
○政府委員(雨宮忠君) 大学の役割につきまして、特に大学の研究の果たす役割につきまして、先生今御指摘のように、社会的な要請にこたえる、例えば共同研究というようなことを通じて社会的な要請にこたえるという機能ももちろんあるわけでございます。しかし、もちろんそれだけではないわけでございまして、必ずしも民間との共同研究ということを通じて社会的な要請にこたえるということだけが世間全体に対しての大学の責任を果たすということではないと私どもは思っておるわけでございまして、いろいろな方途があるわけでございます。原理原則を研究する、それが一体いつの世に民間にとってためになるかということはさておいて、とにかく原理原則を研究するということも、これまた広い意味での大学の役割であるわけでございます。 一方でまた、共同研究ということを通じて、民間企業と共通の目的のためにあるものをこしらえていく、あるいはあるものを開発していく、これもまた重要な大学の役割であるわけでございます。その場合に留意しておきたいところは、それは単に一方通行に民間企業に対するサービスとして行っているというわけではございませんで、大学側にとってもあるいは大学の研究者にとっても、それがまたみずからの研究に対してあるいはその大学の研究活動にとって刺激となり、これからの研究を発展させていく上でためになるものである、そういうことがあって初めて共同研究というのが成り立ってきたわけでございます。 先ほど、もう天井を打っているのではなかろうかというような趣旨の御発言もございましたけれども、私どもは、ここ十数年来これだけ共同研究というものが伸びてきたことの一つの原因は、大学の方としても、これはやはりみずからの活動にとってもいいことであるという認識があってこそ初めてこういう伸びになってきているのではなかろうか、こういう認識を持っているわけでございます。
○阿部幸代君 誤解のないように。私は一般論として産学協同を否定しているわけじゃないんです。事実をちょっと確かめたくて質問してきているんです。 通産省も、産学官連携施設の整備に当たっての支援として、国立大学の構内、国有地の無償使用の特例等を含む支援措置が必要、こういうふうに言っているわけです。ですから、客観的には、大学がやっぱり今までより以上に産業界と力を合わせよと、そのための措置だということですね。 それで、私は、大学構内にまで民間研究施設をつくるのはやっぱり節度を超えたものだというふうに思うんです。つまり、問題は産官学協同のあり方が問われていると思うんです。節度あるあり方が問われているというふうに思っています。それは、産官学それぞれ固有の目的や役割が尊重されることが大事で、一体化したら協同と言いませんから、一体化したり従属したりしてはならないのだというふうに思うんですね。 そこで、これも重要なことなので重ねて伺うことになりますが、産官学それぞれ固有の目的と役割は何なのか、伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど御答弁申し上げたこととあるいは重なるかもしれませんけれども、国立試験研究機関の場合には、これも繰り返し申し上げでいるところでありますが、個々の研究を進めていく場合には研究者の自発性とか自主性というものを尊重しなければ成果が上がらないことはもちろんでありますけれども、基本的には行政目的なり国家の戦略的目的からこういうところに重点を置いていかなければいけないということで研究開発をしていく場である、こういうふうに思っております。 それから大学の場合は、文部省から御答弁いただいた方がよいかと思いますが、国立試験研究機関と比べますと基礎的な研究にウエートがかかっていると申しますか、ボトムアップと申しますか、研究者の自発的な目標設定に基づいて、あわせて教育も行いながらやっていく機関であろうと思います。 それから民間の場合には、営利と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、最終的には経済活動に結びついていくための開発をしていくということだろうと思います。そういうことによって民生に研究内容を役立てていく、それぞれの目的はそういうところにあるのではないかと思っております。
○阿部幸代君 大変興味深いのは、さきに述べた学術月報誌上の座談会で山田康之・奈良先端科学技術大学院大学学長が次のように言っておられるんです。 「一番恐れておりますことは、大学が大学本来の姿を失ってはいけないということです。大学は大学、企業は企業という本来の姿があってこそ連携・協力があるのであって、大学が企業と同じような姿になり、企業が大学と同じ姿になったのでは日本の産業も科学も衰退していく」、こう述べています。 また、筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会の副議長は次のように言っておられます。 科学技術の研究開発をなぜ国家公務員がやっているかを知ってもらいたい。第一は、国民の生命財産を守る仕事ということだとして、阪神・淡路大震災の際の通産省工業技術院の地質調査員の奮闘ぶりや、二十年もかかって果物の品種改良をした農水省傘下の国研の例を挙げています。また、第二として科学的データの蓄積を挙げ、気象研究所の研究者の二十年にもわたる南極観測の結果、南極オゾンホールを発見して、フロンガスの規制が始まったことを例に挙げています。また、第三として基礎研究の重要さを挙げ、これも二十年にわたる経常研究の結果、生きたイカの巨大神経の研究で、神経を情報がどのように伝わるか分子レベルで明らかにしたという、こういう例を挙げています。 つまり、国立大、国研が短期の市場原理になじまない固有の目的と役割を持っていること、その尊重なくして科学と産業の健全な発展はないということは明らかではないかと思うんですが、長官、どうですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 一般論としては、私は阿部先生がおっしゃったことに全く同感でございます。教育科学技術省という新しい役所をつくっていく場合にも、大学が大学の本来の役割を失ってはいけませんし、また、国立の試験研究機関のビッグプロジェクトが持つ特色というのも失ってはいけないんだろうと。違うものが集まってよいものを発揮するようにしなきゃならないと思っております。 それからもう一つ、しかし、さはさりながら申し上げたいことは、幾ら産官学の共同研究を推し進めると言いましても、あらゆるところで全部産官学が一緒になってやるというわけのものではもちろんないと思います。ここはやはり国の試験研究機関が長い間地道にこつこつとやらなければならないというところもあるだろうと思います。大学によってそういうことを担われる場合もあると思います。しかし、ある分野では産官学が一緒になって、どうすればこの研究開発の結果を民生に応用することができるかということをやっていただいたら、うんと成果が上がるという場合もあろうかと思います。 全部一律に一つの色に染めてしまう必要は、私は毛頭ないものだと思っております。
○阿部幸代君 産官学の共同研究そのものを私も否定しているわけじゃないんです。今問われているのは、どうしたらそれぞれの固有の目的や役割を尊重した節度ある協同ができるのか、このことが問われているんだというふうに私は思っています。 国立大や国研の固有の目的や役割を尊重するためには、やっぱり何よりも物質的な裏づけ、財政的な裏づけが必要なんだと思うんです。私は大学について以前から何度も問題にしてきたのですが、教官当たりの積算校費、もっと増額をするべきだと思っています。校費は、一九八一年から九年間、単価が据え置かれ、一九八三年には減額もされて、一九七〇年と比べると、九六年時点でせいぜい二倍程度にしかふやされていません。この間の物価上昇率がおよそ三倍ですから、校費は物価上昇率にも及ばないほど低い水準に据え置かれています。とりわけ今年度は、財政構造改革法の縛りで前年度より減っています。 国研の方で言いますと、人当研究費をもっと増額するべきだと思うんです。こちらの方も一九八一年から八九年まで据え置かれ、物価上昇によって実質的には減額同然、九〇年代に入っても余りふえていません。 科学技術基本計画の策定で科学技術振興予算の増額は図られましたが、最も基礎的な研究費の底上げがされていない。これは整合性を欠くし、問題だと思うんですが、長官、端的に答えていただきたい。
○国務大臣(谷垣禎一君) 阿部先生だけでなく、阿部先生の党の方の今までの御議論、たびたび例えば人当研究費をもっと充実すべきだという御議論をされてまいりました。私もそういう御議論また根拠もよく理解できると思っております。決して人当研究費を無視してよいというふうには私は思っておりません。 しかし、それと同時に、先ほど申し上げましたように、それぞれの国の行政目的あるいは国家の戦略目標というようなものを達成していくためには、資金の弾力的な使い方、重点的な投資ということも私はあわせて考えていかなければいけないと、こういうふうに思っております。
○阿部幸代君 物価上昇率にも満たないという、本当に低く据え置かれている実態を私はもっともっと直視していただきたいと思うんですね。 それというのも、二十年とか数十年単位の日の目を見る研究成果、それを築き上げるのは、本当にささやかな校費とか人当研究費の時代があったわけでしょう。そういうものをやっぱり重視してほしいということなんです。 それから、国立大や国研の固有の目的や役割を尊重するための裏づけとしてもう一つの側面があります。大学の自治と学問の自由、自主、民主、公開の原則の尊重、これが必要だというふうに思うんですが、法案では、大学等の構内に民間の研究施設がつくれるようにするだけで、国立大や国研の固有の目的や役割を尊重する財政的裏づけの保障ももちろんありませんし、大学の自治と学問の自由や自主、民主、公開の原則の保障もありません。違うんでしょうか、大臣。
○政府委員(雨宮忠君) 学問の自由ということにつきましては憲法で規定されていることでございます。それに関連して大学の自治ということが慣行的に認められているわけでございますし、また、教員人事の上でも教特法上認められているわけでございます。 今回の共同研究ということに関連して、大学の自主的な判断ということがもっと当然尊重されるべきでありまして、共同研究ということに当たっての判断ということにおきまして大学の自主的な判断ということは当然かかわってくるわけでございまして、そういう意味におきまして今回の廉価使用しようということと大学の自治ということを考えてみた場合に、特段にそのことによって大学の自治がどうこうということにはならないというように考えておるところでございます。
○阿部幸代君 今の問題、科技庁長官も。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私もこのことがすぐに大学の自由とか学問の自由に関連してくる問題だとは考えておりません。 一つには、それぞれの大学なり研究機関がそれぞれきちっと判断をされて、これが自分たちの研究なり学問、教育の目的に資するものだと判断をした場合に設置を許可すればよいわけでありますから、そこで基本的に大学なり研究機関の自由というものは担保されているのではないかと考えております。
○扇千景君 今回の法案の提出に当たって、各種報告書というものがどれだけか過去にございました。そのことに関して、例えば平成九年十一月十八日、「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」経済対策閣僚会議決定ということの中で「産学官連携による共同研究の推進及び大学等の研究成果の活用等」という項目がございますけれども、その中で、「国立大学の構内における国以外の者による官民共同研究施設の整備を促進するため、早期に大学敷地の使用条件等の整備を図る。」ということも記されております。また、それが「産学官連携を推進し、大学等から生じた研究成果についての民間企業等における活用及び共同研究の促進等を図るため、所要の法的措置を含め検討を進める。」と、こういう報告がされております。また、平成九年十二月二十四日、同じく「経済構造の変革と創造のための行動計画(第一回フォローアップ)」という閣議決定の中にも記されております。「産学官連携等新たな研究開発環境の整備」という項目になっておりますけれども、そこでも「産学官連携による共同研究開発をより一層促進するため、国立試験研究機関や国立大学の施設内に共同研究開発のための国以外の者による所要の施設の整備を早期に図ることとし、このため、使用条件の整備を図るなど国立試験研究機関や国立大学を管轄する省庁において適切な措置を講ずる。」。 また、言っていると時間がなくなりますから項目だけ申し上げますけれども、平成九年八月五日、文部省の「教育改革プログラム」、この中にも「産学連携による研究の推進」、その中にも「共同研究開発のための国以外の者による所要の施設の整備を早期に図るための適切な措置を講ずる。」こと。また、九年の三月三十一日にも、「産学の連携・協力の在り方に関する調査研究協力者会議まとめ」、この中にも「企業等が国立大学との共同研究により学内スペースを活用して研究活動を展開する場合の在り方」ということにも触れておられます。もう一つ最後に、平成九年十二月十九日の「産学の連携・協力の推進に関する調査研究協力者会議(中間まとめ)」の中でも、「技術移転促進のための環境整備に向けて」、「大学キャンパス内に民間等による共同研究施設の整備を推進すること」という、これらの今申し上げましたような各種委員会の報告等々で、早くこれをしなさいということが調査室の参考資料の中にも記されております。 今申しましたようなことも含めて、今回の研究交流促進法の一部を改正する法律案、これは遅きに失したと言ってもいいくらい私は日本の科学技術にとって必要だと思いますけれども、やっと今日に至ってこの法案を提出された。なぜもっと早くできなかったかという点について、御意見があれば伺いたい。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、扇先生から遅きに失したとおしかりをいただきましたが、私も率直に申しますと、もう少し早くこういうものを考えていてよかったのではなかろうか、それから、この法案の御審議をお願いしておいて閣僚の私が申し上げるのはやや踏み越えているかもしれませんが、少しささやかなものであるなという気持ちも実は率直に言って持っております。余り長々申し上げてはいけませんけれども、やはりもう少し日本が元気よくなるためにベンチャー等が積極的に起きてくるにはどうしたらいいのか。それから、日本人だけが集まって研究開発をしていてもなかなか同じような考えだけでは刺激がありませんので、諸外国の研究者が日本に行ったらああ活気があっておもしろいなと言っていただけるためにはどうしたらいいのか、そういうことをもっともっと考えていかなきゃならないと思います。まさにささやかな一歩でございます。
○扇千景君 細かいことは同僚議員からいろいろ質問が出ておりますので、今長官のお答えの中にあったことで私もほとんど意見を同じくするもので、大賛成で、もっと大きなことがないかなと思う部分も多々あるんです。 そうしますと、一九九八年の科学技術白書、長官がお出しになりました。私、それもざっとでございますが拝見させていただいたわけでございます。その科学技術白書の中でも大臣がお考えになっていることの一端があろうかと思いますけれども、日本が経済のグローバル化や情報化、少子化、高齢化社会の進展、環境、エネルギー、食料問題等々さまざまな課題を抱える変革期にあるとし、科学技術の果たす役割は大きいと強調されております。そのとおりだと思います。 けれども、今長官が私の言ったことは小さいとおっしゃいましたけれども、その中で私はぜひ細かくどういう長官の御意見があろうかなということで、項目の中から、一、二、三とあるんですけれども、総合的な俯瞰的視点からの研究目標設定と分野間の協力というものがございます。私は、この分野間の協力というのを長官としてどのようにお考えになって、今後どのようにお進めになりたいのかということを伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私はちょっと頭がラフなものですから余り緻密なお答えはできないのでありますけれども、基本的に思っておりますのは、ちょっと先生へのお答えとあるいは違ったことになってしまうのかもしれませんが、いろんな人たちがちまちま集まらずに、失敗を恐れずに集まってくるというような雰囲気をどうやってつくれるかということが一つあると思います。 それで、失敗を恐れずに集まってきたときに、もう一つはやっぱり、失敗していいというわけじゃありませんから、失敗してもただでは起きないというような感じ、あるいは失敗した人に石をぶつけて、何というか、失敗したじゃないかと言うのじゃない雰囲気、これを小さくまとまらないでいろんな分野の人が集まって、活気ある雰囲気の中で今のような雰囲気をどうつくったらいいのか。そういうことを考えますと、いやに大きな大ぶろしきを広げましたので、お答えは何か非常にささやかなことを申し上げているという先ほどのようなことになってしまうわけでございますが、そういう気持ちで進めていきたいと思っております。
○扇千景君 私は、それは理想だと思いますけれども、今の日本の現状からいいますと、世界じゅうから日本に行って一緒に研究しよう、あるいは私たちの研究はここまでだから、もっと力を合わせて、日本の力も一緒にして研究しようということになるのであれば、科学技術白書を拝見しておりましても、各省庁間の連携の強化、これが総合的な政策推進を図るためにも、今長官がおっしゃった世界じゅうからということに関しても大変必要なことであって、これから各省庁間の連携強化ということに対して長官の力を発揮していただく場がまさに今与えられているというふうに私は感じる次第なんです。 それから、長官にはこれはもう努力していただくことしかございませんから、努力していただきたいとお願いするしかないんですけれども、その二つ目に世界に通用する研究運営体制づくりという、これも長官のお言葉をかりれば大ぶろしきといいますか、世界に通用する研究運営体制づくり、その運営体制づくりはどういうことを目標にしていらっしゃるのか。 例えば、きょうの法案はこの白書から見れば割合ちまちましたことの一つかもしれません。おっしゃることからすればですよ、表現をかりれば。けれども、今ここに掲げられております白書の中の世界に通用する研究運営体制づくりというのは、どういうものを想定してこういう言葉が出てくるのかお伺いしたいと思います。これは長官でなくても結構でございます。
○政府委員(宮林正恭君) まだ最終的に確定した像というものを私ども持ち合わせでいるわけではございませんけれども、ことしの三月に研究開発システム検討会という、元京都大学の総長であられた西島先生を中心として、メンバーといたしましてはむしろ国際的に活躍されたといいますか、海外で研究経験をお持ちになっている、こういう方々を中心とした検討会をやりました。その報告書が三月に出たわけでございますが、その中では、やはり研究開発のシステムをグローバルスタンダードに合わせるといいますか、国際的なスタンダードに合わせた形にしていかなきゃいけないんじゃないかと。 例えば、インセンティブがあるような競争的環境をつくり出すとか、それから積極的に研究者と研究機関の意欲と能力を引き出すようなことが必要だとか、あるいはスピードと国際競争力をつけるとかというふうなことをおっしゃっておりまして、具体的には、世界に通用するマネジメントといたしまして人中心のトータルマネジメントとかリーダーシップ、あるいは研究者の雇用形態の多様化、あるいはその中では例えば研究戦力の中にポストドクターを三割ぐらい入れたらどうかとか、こういうふうな話とか、あるいは競争の奨励をすべきだ、あるいは外部昇格というふうなことなどが述べられております。
○扇千景君 それは国内のことであって、ここにふろしきを広げております世界に通用するということでは、私は、余りにも今のお答えはちまちましているな、情けないな、白書で言われていることとは違い過ぎるなという感がなきにしもあらずなんですね。 でもそれは、小さなことからでも積み上げていこうという姿勢であればそれなりに評価できると思うんですけれども、もう一つその白書の中で大事なことは、世界に通用する運営体制の見直しというのは別としても、白書の中で厳正な研究評価ということが三つ目に挙げられております。まさに今厳正な研究評価というものが今の日本の科学技術の中では大変大事なことであるという意味で、今局長が科技庁の中の研究開発システムの報告書というのを例に挙げられました。 私は、同じ報告書でも今局長がおっしゃったことではなくて、その研究開発システムの報告書の中で「夢と戦略のある研究開発システム」という題で、「夢と戦略のある」というとこれもまた大ぶろしきなので大変困るんですけれども、そういう報告書が出されております。その中で私が一番重視したかったことは、今局長が言ったことをもう少し膨らませて、国の研究機関に対して競争原理の導入と今おっしゃいました。けれども、研究者が活躍の場を求めて異動できる環境整備と研究組織や研究者の雇用のあり方の改革を訴えていますね。 私はその中で大変注目しましたのは、雇用制度では全員終身雇用制は時代おくれ、そこまで言い切っているんです。研究者の意欲をかき立てるために任期制の採用や、実績が認められた研究者にのみ終身雇用を保障するテニュア制を導入するように提言されているんです。私はこういうことこそ国際レベルに対応していく制度の見直しであろう、こう思うんです。 もう一つ言わせていただければ、研究所で指導的な役割を果たす研究者の採用については、組織活性化を図るために、内部からの昇格を禁止する。こんなことできるかなと思うんですけれども、あえて提言ですから言わせていただきます。あるいは最低限にとどめる措置を講ずるべき、はっきりこういう提言が出ております。 なぜ私がこれを言いますかといいますと、今回の研究交流促進法の一部を改正する法律案もやっとここまで来てできた。これでやっと国際レベルにちょこっと近づいたかな、研究開発の促進のための一つの方法であると。産学官とさんざんみんなはおっしゃっていますけれども、そういうことが一歩前進、まあ一歩と言えない、まだ半歩かもしれません。であるならば、局長がおっしゃったこの研究開発システムの検討会の提案というものは私は大きな意味があろうと思うんです。 ですから、私がさっき申しました、長官がお出しになった白書の厳正な研究評価というもの、研究評価というものがどうあるべきかというのは私もさんざん言ってまいりました。何十年ここで言ったことでしょう。評価システムをつくるべきだと言いました。だけれども、今局長が例を挙げられた研究開発システムの中でも、研究組織そのものについては、縮小・廃止と新設を定期的に見直すシステムの必要性というものを完全に脱いでいらっしゃるんです。 それであれば、評価制度というものの法案を一刻も早く出すべきではないか。スクラップ・アンド・ビルドでもいいです、何でもいい。要するに、一度決めた政府の研究というものが、国際レベルにいかに貢献し得る研究であるか、あるいは日本の研究体制を世界に誇示しなくてもいいけれども世界に先んじた研究であるということを示すためには、私は評価システムというものがなければならないと思います。 これはできなければ議員立法で出そうと思っておりますけれども、用意もしておりますけれども、今局長がたまたま例を挙げられましたので、研究開発システムで提言されているようなこと、それから長官がおっしゃったことしの白書の中に言われております厳正な研究評価という言葉があるのであれば、私は評価制度というものの法制化というものの方が、今回の法案がむだとは言いませんよ、今回の法案がちまちまとさっき長官がおっしゃいましたけれども、半歩前進であれば、二歩も三歩も前進が評価システムだと思うので、その辺を最後にお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(近藤隆彦君) ちょっとちまちました御答弁になるかもしれませんけれども、現在の評価につきましては、先生御指摘のとおり、各省ばかりでなくて政府全体で科学技術会議の指針に従いまして各研究機関がおのおのふさわしい指針をつくっておりまして、それに基づきまして厳正に評価しておると思っております。 外部の評価でありますとか、評価のシステムをできるだけオープンにするとか、それから失敗は成功のもとといった観点を入れるとか、さらには評価の結果を大いにいろんな研究資源配分に生かしていこうとか、そういったものをまさにこれから評価をしていこうと思っております。また、全体の評価につきまして、政府全体の姿をいわば評価白書的なものをつくって公開したいと思っておりまして、評価のまた評価を広く進めていこうと考えております。 若干事務的な答弁でございますけれども、現状につきましても大いに頑張ってこうと思っている次第でございます。
○扇千景君 長官に一言伺って。
○国務大臣(谷垣禎一君) 大分きょうは大ぶろしきを広げたようなことも一部申し上げましたけれども、先生のおっしゃった中で、私もう少し具体的にできないかなと思っておりますことの一つは、三十代ぐらいの研究者がもっと積極的に事実上のプロジェクトリーダーとしてはしばし仕事ができるような雰囲気をどうやったらつくれるか。それで、そこに先生のおっしゃったような、じゃそのプロジェクトチームのリーダーとしてやったことの評価はどうなんだと。そこのクリアをした人には、先ほど言われたようなテニュアというんでしょうか、そういうような終身雇用的なきちっとしたポジションを与えるというような、そういう仕組みがやはり国際的にすぐれた成果を上げているところは共通のようでありますから、何かそういうものを導入するシステムを積極的に考えていきたい、こう思っております。
○扇千景君 終わります。
○委員長(大島慶久君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、研究交流促進法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。 一般的に言って、国や民間を含めた研究者の交流は研究の発展にとって有意義であり、大学や国研と民間企業との研究交流も、大学、国研の研究成果が広く社会に生かされていく一つの道筋と考えます。 しかし、こうした研究交流は、各研究者、各研究機関が持つ固有の目的や役割がそれぞれの自主的な研究活動によって尊重されてこそ生かされるものです。そのために今一番求められているのは、基礎的な研究費など、大学、国研の研究基盤を抜本的に拡充することです。 ところが、本法案は、国有地の使用料を安くすることによって、大学や国研の敷地内に民間が所有し管理する研究施設の建設を促進しようというもので、大学、国研の管理権限の及ばない施設・領域を大学、国研の内部に持ち込むことによって、大学の自治や大学、国研の学問研究の自由と自主的な発展を侵害する危険があります。 また、研究者の自主的な研究の物質的な保障ともいうべき校費や人当研究費等が厳しく抑制されたままで本法案のように企業を支援する産学官協同が推進されれば、真理の探究や環境、福祉など広く公共性を持った研究が求められる大学、国研の活動を企業の営利に直結する研究に漏らせる危険があり、長期的に見れば日本の科学技術や産業の健全な発展を妨げるものとなります。 実際、今年度、大学の施設設備経費など共同利用研究の基盤的経費が削減されて、科学者の熱意に水を差すと日本学術会議会長談話が出されているように、研究基盤の拡充こそ急務です。 以上、反対の理由を述べて、私の討論といたします。
○委員長(大島慶久君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 研究交流促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島慶久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十四分散会