文教・科学委員会 第11号
- 発言数
- 181 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/03/31
会議録
○委員長(大島慶久君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。 国立学校設置法の一部を改正する法律案及び日本育英会法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳です。よろしくお願いします。 今回の改正は、単に岡山大学、鹿児島大学併設の医療技術短期大学部の廃止ではなく、新たな看護系大学の新設を含めた看護系大学の整備の一環であると考えます。そこで、どういう趣旨のもとに看護系大学の整備が今後行われるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 今回の法律の改正の趣旨は、今、馳委員御指摘のとおりでございまして、一つ特定の大学を変えていくというだけではなくて大きな流れに沿ったものだと、こう御理解をいただければと思っております。すなわち、高齢化が進んでおりますし、病気の方も複雑化しておりますし、またそれに対応した医療技術の高度化等々、非常に環境が変化をしているところでありますので、これに対応できる看護婦等の資質の向上というものが従来以上に求められているのは皆様方御承知のとおりでございます。 こうしたことを背景として、平成四年に看護婦等の人材確保の促進に関する法律というものが制定をされまして、文部省だけではなくて、厚生省、労働省、政府一体になりまして基本指針というものをつくり、看護系大学の整備充実を推進していこうということが決まったわけでございます。 文部省といたしましては、この基本的な方針にのっとりまして、国立大学におきます看護学科等の整備を進めるということに加えまして、公立大学あるいは私立の大学、これらにつきましても、原則として今は大学の新増設は抑制をするという基本方針があるわけでございますが、この看護の分野は特に例外的な分野として今後その整備に努めていくというふうに考えているところでございます。 したがいまして、今後とも厚生省などの関係省庁としっかり連携をとりながら、国公私立を通じまして看護系大学をより一層整備を進めてまいりたい、かように考えているところであります。
○馳浩君 看護系大学の整備というのは、今後看護職員の需要が著しくふえ、このままでは供給体制が間に合わないことを大前提にその整備計画が進められているという認識でありまして、いわゆる厚生省作成の看護職員需給見通しに基づいて計画されるものと言ってよいのでありますが、その見通しは、実は平成三年十二月策定のものが現在最も新しいものであります。少々古いのではないかとの懸念が生じております。また、この見通しの前は平成元年五月に策定していることからも、新しい見通しを策定すべきではないかと思います。実は、この平成三年の看護職員需給見通しの後に、昨年でありますけれども公的介護保険制度も整備されまして、公的な裏づけもありますし、ましてや在宅者に対する看護体制もより一層支援していかなきゃいけないという社会の現実というものもあります。 こういった中で、平成三年策定のものに基づいてというのでは、看護系大学の整備といいましても、ちょっと後手を踏まざるを得ないのではないかという気もいたしますが、まず厚生省にお伺いしたいと思います。新しい見通しを策定する考えはないのでしょうか。
○説明員(久常節子君) 先生御指摘のように、平成三年に策定されました看護職員の需給見通しは、平成十二年に百十五万九千人で需給が均衡することになっております。平成八年には百二万三千人の看護職員の確保が見込まれたところでございまして、需給見通しにおいて見込まれておりました百一万四千人を少し上回って、順調に推移してきております。 この需給見通しは、新ゴールドプランといいまして、介護保険等に関係します訪問看護などが含まれております数はすべてこの中に一応見込まれております。しかし、これは平成十二年までの策定でございますし、さらに医療の抜本改革等がございますので、そういうことを考えますと、数、質を見直す必要性、要件としないといけないのかなと、そういうことも今考えております。
○馳浩君 まさしく医療保険体制の抜本的な改革ということもありますので、これは目標が平成十二年でしたね、百十五万九千人に向けて十年間の見通しがなされたわけでありますが、見通しを新しくつくらなきゃいけないという認識はもうこれは国民だれしもが感じているのではないかと思いますので、早急にまず見通しを策定し直していただいて、文部省に対して看護職員を供給する体制をぜひ早く整えていただきたいというふうにむしろプレッシャーをかけていただきたいというふうに思いますが、何かコメントがありましたらどうぞ。
○説明員(久常節子君) 先生も御指摘のように、医療の抜本改革に関しましては看護の質が非常に重要だと思っておりますし、またもちろん数も必要でございますし、そういう質、数が医療効果を高めまして在日数の短縮等に非常に貢献すると思っておりますので、そういう点からも文部省と連携をとりまして、今後とも看護職員の需給に努力してまいりたいと思っております。
○馳浩君 厚生省さん、もうこれでいいんですが、平成十二年ですか、二〇〇〇年の四月一日から介護保険制度が実施に移されるようになりましたら、要はできるだけ在宅介護サービスの充実というのが、自宅で介護しておられる、私の家も実はそうなんですけれども、より専門的で、より具体的に、より優しく御指導あるいは訪問していただげるなど、訪問看護婦さんに対する期待というのは非常に大きいわけなんですね。そういう人材の育成の面についても、文部省とも連携をとりながら育成をより一層充実していただけますようにお願いを申し上げたいと思います。 続きまして、現在整備を進めている短大も含めた看護系大学は、都道府県を単位とする各自治体の看護人材の供給、看護体制の確立、看護教育の普及等の中心的役割を果たす組織ではないかと考えますが、どのように認識しておられますか。
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘のとおりでございまして、それぞれの地方自治体におきましては、地域医療あるいは在宅医療等の制度を確立するための看護体制の整備、さらには看護教育の普及・充実等が重要な課題となっておるところでございます。これらの要請に対しまして、看護系大学は資質の高い看護婦等の養成ができるよう看護教育の充実を図るとともに、看護婦等の学校、養成所の教員など指導者の養成を図るものでございまして、量的な拡大を図るとともに質の高い教育を行う、その意味で看護大学が果たす役割と責任は非常に大きいものがあるというふうに認識をしておるところでございます。
○馳浩君 国は以前、無医大県解消計画、すなわち各都道府県に少なくとも一つの国公立の医大を創設する計画を立て、整備してまいりました。そして、今の答弁を聞いておりますと、看護系大学が各都道府県の看護問題の中心的存在となるべきことが明らかでありまして、同様な趣旨で無看護大県解消計画なるものがあってしかるべきと考えますが、この点をどう考えておられますか。関連して、現在、国公立の短大も含めて看護大がない県はどこでしょうか。また、私立のない県はどこでしょうか。教えてください。さらに、これらの県への看護系大学の整備計画も含めて、全国の看護系大学の整備計画は現在どうなっており、今後どうするおつもりでしょうか。以上、三点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) 文部省といたしましては、各地域において看護系大学が果たす役割というものを踏まえ、各地域の要請にこたえて対応してまいりたいと考えておるところでございまして、より多くの県に看護系大学が設置できるよう、国公私立大学を通じて積極的な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。 看護系大学、短期大学の設置状況でございますけれども、平成三年度には大学が十一校、短期大学が六十二校でございましたが、平成十年度の設置予定を含めますと、大学で六十五校、短期大学で六十九校と、その数が需要にこたえて急増しておるわけでございます。この結果、国公立の大学、短期大学が所在していない県は栃木県の一県のみとなっておりまして、私立も含めた看護系大学、短期大学が存在しない県はなくなっております。また、四年制の看護系大学について見ますと、三十六都府県において国公私立いずれかの大学が設置されているという状況でございます。 今後、四年制の看護系大学が所在していない県についての整備を積極的に進めたいと考えておるところでございまして、国立大学につきましては、地域の要請、あるいはそれぞれの大学の整備状況、さらには国の財政状況等を踏まえつつ、引き続き、医療短期大学部の医学部保健学科への転換、それから新設医科大学に対する看護学科の新設等につきまして積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。また、公私立大学につきましても、原則抑制という方針の例外として取り扱っておるところでございまして、設置認可の申請があります場合にはこれに積極的に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
○馳浩君 四年制の看護系大学がないのが十一県ですね、道県になるんですか、まだないということでありますから、まずここがポイントだと思いますので、より一層整備計画を推進していただきたいと思います。 それで、実は私の地元の石川県におきましても平成十二年開学で看護大学の創設を予定しておりますが、看護系大学の教員の確保が大変困難をきわめておりまして、地元の看護大学創設準備室でも、教員確保が非常に難しくて教員の争奪戦が展開されておるという現状であります。 今お話がありましたように、急激に看護系大学の整備が必要になってきたということは、むしろその大学における教員も必要になってくるというのはもう当たり前のことなんでありますが、文部省としましてはこの教員の確保に向けてどういうふうに考えておられるのか、今後早急な対応が必要だと思われますので、まずこれをお伺いしたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘ございましたように、看護系大学を設置するに当たっては、教員となるべき人材が絶対的に不足しているということは事実でございます。したがって、教員の確保というものが極めて難しい状況にあるということは十分承知をいたしておるところでございまして、今後とも引き続き看護系教員の確保のために積極的な対応が必要であるというふうに考えておるところでございます。 そのため、教員等指導者の確保を図るとともに看護教育の充実を図る、そういう観点から見て四年制の看護系大学を整備していくということが極めて重要であるというふうに認識をしておるところでございます。現在、国公私立大学を通じて看護系の大学あるいは大学院の整備に積極的に取り組んでいるところでございまして、引き続きこの点、努力をしてまいらなければならないと思っておるところでございます。 このような看護系大学・大学院の整備を通じて看護系教員の育成確保というものに努めてまいりたいと考えておるところでございます。この点、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
○馳浩君 関連してでありますが、きょうは看護課長の久常さんが来ておられるのでお伺いしたいんですけれども、今現在、四年制の看護大学が整備されてもだめなわけで、その大学での教員ということを考えれば修士課程あるいは博士課程の整備が欠かせないと思うんです。 久常さんにお伺いしたいのは、それぞれの都道府県の看護系大学が今後整備されていく中で、恐らく教員確保について地元の自治体から要請が大変多いと思うんですけれども、どうですか、十分に対応できる体制は今整っているとお思いですか。ぜひお聞かせください、率直な御意見を。
○説明員(久常節子君) 感想でございますけれども、確かにこれだけ看護大学ができてくるとどこの大学も看護の先生が足らないのは当たり前でございますけれども、それでもそれなりに確保していっているのは、各県が奨学金を出したりいろんな努力をなさって確保なさっているなというような気がいたします。
○馳浩君 文部省にお聞きいたしますが、今現在、修士課程、博士課程を整備しておる四年制の看護系の大学は全国で幾つあるんですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 平成十年度の新設予定を含めまして、大学院の修士課程が二十二大学、博士課程が七大学でございますが、平成十年度の設置予定で申しますと、八大学が修士課程の設置を考えておるところでございます。その意味におきまして、教員養成あるいは研究者養成の必要性に応じて大学院整備がここ数年で急激に進みつつあるというふうに考えておりまして、文部省としても引き続き積極的な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○馳浩君 わかりました。本当によろしくお願いいたします。 今、久常さんから、折しも各自治体において奨学金制度も充実してきておりますという御発言もありましたので、続きまして、日本育英会法について質問をつなげたいと思います。 平成九年六月に出されました「今後の育英奨学事業の在り方について」によりますと、国の行う育英奨学事業自体の基本的方向として、すぐれた資質、能力を持つ英才を育成する育英的要素と、資質、能力より経済的条件に重点を置くいわば教育の機会均等を図る奨学的要素のいずれを重視すべきか、引き続き検討すべきと報告されております。なぜこのようなことが議論されるようになったのか、その背景をまず伺いたいと思います。 加えて、これは大臣にお考えということで伺いたいんですけれども、育英という点に関連しますが、エリートの養成ということであります。私は、そのエリートの養成こそが日本の国を繁栄させる、あるいは守っていく意味で大変重要な観点があると思います。エリート教育こそどんな人にもチャンスを与えるのでありますから、これこそ平等教育の最たるものではないかと思います。いろんな分野におきまして教育というのは必要な分野でありますが、大臣はこのエリートの養成についてどのようにお考えになっていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。この二点をお願いいたします。
○国務大臣(町村信孝君) 今の日本育英会の奨学金というのは、結局、一定の財源の制約というものがあるものですから、これまでのところは、すぐれた学生であって経済的な理由で修学困難な者を対象に奨学金を差し上げますという意味で、学力基準というのと家計基準という二つの基準で奨学生を選ぶということをやってきたわけであります。 今委員御指摘の、昨年六月の育英奨学事業の在り方に関する調査研究協力者会議の報告でも明快な結論を出していないということは、どちらかというと、非常に財源が厳しいという財政構造改革法の動きもあったものですから、この際は、結論としては今後引き続き検討しようということになってきたんだろうと私は思っております。 厳しい予算の中ではありますけれども、平成十年度予算でかなりの工夫をいたしておりまして、例えば大学院が非常に今委員御指摘のように整備充実が図られてきているということに対応して大学院の貸与人員を三千四百名ふやすとか、あるいは高校の在学中から大学進学後の奨学金を予約するという制度がありまして、その予約採用を二千人ふやしますとか、あるいはどうしても今までは私立大学の貸与人員が少のうございましたのでそれを千人ふやすといったいろいろな工夫はやっておりますが、ただ基本的にはまだまだ不足している状態というのがあるんだろうと思います。 しかし、一つは現実に非常に大学進学率が上がってきているという状況、あるいはかってと比べますと全体として所得水準は上がってきた、その中で果たしてこの奨学金というのは親のすねかじりで、親からもらって行くという方式がいいのか、あるいはもう高校まで出た後は自分で稼いで、アメリカなんかは高校を出てから一年、二年働いて、自分で学資をためてから大学あるいは大学院に行くというような現実がかなり一般化しておりますので、そういう形がいいのか、その辺についてまだまだコンセンサスができていないといいましょうか、もう少し議論が必要だと。 こんなこともあって実は明確な結論を昨年の協力者会議の報告ではまだ出していないという状況にありますので、全体として今後充実が必要であるという前提に立って今後さらにその辺は議論を煮詰めていく必要があるなど、こう思っているところであります。 それから、今委員からエリート養成についてどう考えるかという御指摘がございました。エリートとは一体どういう人たちを指すのかという定義の問題もあろうかと思いますけれども、やはりいろんな意味で秀でた能力を持った人の能力を開花させていくということは必要なんだろうと思います。 一番わかりやすい例が、釜本委員もいらっしゃいますけれども、例えばサッカーですぐれた人、あるいは先般のオリンピックで清水選手を初めとして例えばスケートで、あるいは音楽でと。こういうところですと非常にある種のエリートというのはわかりやすい話なんですが、そうでない、いわゆる一般的な分野でエリートというのはどういうふうに位置づけたらいいのかなというのはなかなか難しい部分もあろうかと思います。 しかし、一つ言えることは、これは中教審の昨年の答申にも出ておりますが、ややもすると形式的な平等ということに余りにも戦後の教育の力点が置かれていて、とにかく全員が一斉に年齢とともに同じ段階で上がっていくというのが戦後の教育の一つの特色だったと思います。それはそれでいい面もあったかと思いますが、ややもすると伸びるべき能力を十分伸ばしてこなかったという反省もあるんだろうなと思いますので、そうした面で今後国際的に通用する人材をいろんな角度で育てていく、あるいは本当に日本のリーダーとしてふさわしい資質を身につけていくためのそうした教育というのもいろんな形で行われる必要があるだろうと。 一つの例として、既に学部の三年生から大学院に進むということはかなり行われ始めましたし、また平成十年度から、まだごくわずかではありますけれども、高校二年生から大学に進んでもいいですよという道も開けるようにしたり、少しずつそういう意味で今の学校制度の中で選択肢を広げていくというようなことはこれからやっていく必要があるんだろうと思います。 ただ、どうしても最後に一点だけ申し上げなきゃならないのは、立派なところに勤めているとか学歴がいいとか知識が豊富だとかいう点だけではなかなかエリートとは言えないんだろうというふうに思います。やっぱり人間の恋とでもいいましょうか、高い倫理規範を持っているといったようなことも、昨今のいろいろな一連の事件を見るにつけても、それは経済界であれ、官界であれ、いろんな分野でそういう志というものが戦後ややもすると薄れてきたという感じが私はしておりまして、それではいい意味のエリートというのはまだまだ育っていないんだなという感じがいたしますので、どうやったらそういういい意味のエリートを育てることができるか。率直に言って、文部省の政策の中でエリート育成というのは戦後いわばタブーに近い話でありましたから、今後そうした面をどう行政的に扱っていったらいいか。一つは先ほど申し上げましたように、要するに選択肢を複数にして、いろんな選択肢があるようにしていくというようなことがそれにつながるのではないのかなと、こう考えているところであります。
○馳浩君 大臣が最後の方に述べられた点は、私も今後の文部省に非常に期待する点でありまして、やっぱりしっかりとした国家観を持ち、いい意味でのエリート意識を持って政界でも官界でも財界でも活躍をしていただく、そういう能力を持っている人材を選んで育てていく、それを政策的に支えるのが私は文部省の非常に大きな役割だと思いますので、この点を政策に反映させられますように大きく私は期待するものであります。 それから、私はこの法案には賛成なのでありますが、実は一点、これは不満といいますか申し上げたいのは、なぜ大学院生は返還免除があるんだと。私はむしろもう簡単かことで、借りたものは返すと、基本的に。そして、財政事情が厳しいから今回学部の大学生の方は返還免除の特例がなくなるわけでありますけれども、むしろ大学院生も含めてもう皆借りたものは返すと。そのかわり、財政をもうちょっと潤沢にして、国家予算としてもしっかりとっていただいて、奨学金が与えられる基準というのがありますよね。例えば収入金額を引き上げるとか、より多くの人にこの育英会の事業に基づいて教育の機会が与えられますように、そしてエリートが養成されますようにというふうに私は考えるんですけれども、まだやっぱり納得できないのは、なぜ大学院生だけ返還免除の特例があるのかという点、これは当初から私、疑問に思っておりますので、もう一度お答えいただきたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) 大学院生の返還免除につきましては、卒業後研究職についた場合と教育職についた場合、その双方について返還免除制度があるわけでございます。 まず、研究職でございますが、御案内のように我が国は現在科学技術創造立国を目指して、学術研究分野への若手研究者の確保ということが極めて重要な政策課題となっておるわけでございます。このようなすぐれた若手研究者を確保するためには、経済的に支援をしていくという施策も重要不可欠でございまして、文部省といたしましては今回、研究職の返還免除制度を存続させる、つまり有為な若手研究者を確保する上で返還免除制度の果たす役割は大きいという考え方に立って、研究職については存続をさせるということといたしたわけでございます。 それからまた教育職でございますが、現在、学校につきましてはいわゆる病理現象への対応として、児童生徒の問題行動への積極的なかかわり等が学校においても求められるわけでございまして、学校教育にはさまざまな分野で専門性の高い教員がいわば組織として協力していくことが従来にも増して求められるわけでございます。例えば、大学院で児童心理や、さらにはわかりやすい授業というものをさらに追求した教科指導法等を学び、さまざまな特定分野で専門性を高めた教員が協力して組織として教育に当たるということが、学校全体としての質の高い教育をする上で極めて大切であるというふうに考えておるわけでございます。そういう観点から見た場合、現在、大学院を修了した大学院レベルの教員の数というのは極めて少ないわけでございまして、今後さらに大学院レベルの教員をふやしていく、それを通して資質の高い教員を確保していく上でこの教育職の返還免除制度の存続が必要であるというふうに考えたところでございます。
○馳浩君 先ほどもエリートの問題で大臣にお話ししていただきましたが、要は志の問題なわけでありまして、教育職につこうとする、あるいは研究職、学問の世界を志そうという人間は基本的にやっぱり借りたものは返す、十分しっかりと回収をしていただいて、そして回収したお金でさらにたくさんの人に育英奨学制度の恩恵に浴してもらうというのが私は教育に従事する人間としての根本的な態度ではないかなと思うんです。それは私の個人的な考えかもしれませんのでこれ以上は追及いたしませんが、要は育英奨学制度のより一層の拡充を期待するという点におきましては一緒なわけであります。 次の質問に移ります。科学技術創造立国を推進するための若手研究者の育成の観点から質問させていただきます。 特別免除を受けられるためには、院生は学業修了、すなわち卒業、修了、退学後一年か二年以内に所定の職種に常勤として就職しなければなりません。しかし、この一年または二年は日本の現状から考えて余りに困難と言わざるを得ません。審議会の答申でも、特別研究員についてこの免除職就職期限の延長をしてきております。しかし、今回の法改正ではこの点の改正が見られませんが、なぜでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 研究職の返還免除制度につきましては、大学院修了後原則として一年以内に免除職に就職することが条件とされておりまして、就職期限延長が認められるのは日本学術振興会の特別研究員などでございます。したがいまして、他の機関の特別研究員、例えば理化学研究所の基礎科学特別研究員などとして一定期間、例えば三年程度研究に従事しますと一年の就職期限が過ぎてしまうことから、御指摘のございました今後の育英奨学事業のあり方についての調査研究協力者会議報告におきましては、着手研究者支援のためにもこれらの研究員等について就職期限の延長を認めることが適当であると指摘されておるところでございます。 就職期限延長が認められる職等につきましては、日本育英会の業務方法書という文部大臣の認可を受けた日本育英会の内規で定められているところでございますので、現在、協力者会議報告等を踏まえまして、日本学術振興会の特別研究員以外にどのような研究員等についてその範囲を拡大するのが適当なのか、またいつから拡大をするのか等について検討を行っておるところでございまして、今後、報告の趣旨に沿った対応を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
○馳浩君 なかなか就職の厳しい昨今でありまして、研究職や教育職に携わる人たちもいわば就職したくてもできない現状というものがありますので、この辺は弾力的に考えていただきたい。よく考えてみれば、逆に一年か二年以内に就職できなければ返さなきゃいけないということでありますから、それはそれでもいいのかなという気もするのでありますが、この点はもうちょっとやっぱり現実に即応して、期間の延長も視野に入れることも必要ではないかということを申し上げたいと思います。 最後になりますが、若手研究者に対する支援策として日本学術振興会が実施する特別研究員制度があります。これは御承知のように、博士課程後葉の大学院生には月額二十万円の研究奨励金を貸与ではなく支給しまして、博士課程修了者等には月額三十四万四千円を同様に支給する制度であります。しかし、この特別研究員制度と日本育英会奨学金とは重複が不可能でありまして、なぜなのでしょうか。若手研究者支援策のリサーチアシスタント制度やティーチングアシスタント制度は重複がオーケーであります。 私は、この点は重複を可能に改めるべきであると提案したいと思います。その理由は、奨学金の方は学問を続けたいという個人の自己実現の問題であり、特別研究員への研究奨励金は科学技術創造立国を目指して着手研究者を育成するという個人とは離れた国家的目的を実現するためのものでありまして、町者はその目的を異にしていると考えられるからであります。この点、どう文部省は考えますか。
○政府委員(雨宮忠君) まず、育英会の奨学金とそれから学術振興会の特別研究員の研究奨励金との関係でございます。 今、先生御指摘のように、例えば育英会の奨学金を得ていた者が途中日本学術振興会の特別研究員に採用されるということになりますと、学術振興会の特別研究員の募集要項に書いてあるわけでございますけれども、日本育英会の方につきましては御遠慮いただくということになっておりまして、これはいわゆる先生が今おっしゃいました重複不可という扱いにしておるわけでございます。 先生今御指摘のように、奨学金それから学術振興会の特別研究員、それぞれ求める制度のねらいとするところは異なるわけでございまして、奨学金の方は、すぐれた学生で経済的理由で修学が困難な者に対してできるだけ教育の機会均等を図るという観点から貸与を行っているということでございますけれども、振興会の特別研究員は、いわゆる若手研究者の育成というかなり明確な政策目的のために、貸与とかということではございませんで、給付を行ってということでございまして、さらに科学研究費補助金の上でも最大年額百五十万円ぐらいの研究費もあわせてつけるという取り扱いをしているわけでございます。 ただ、そのように趣旨自体は異なっているとはいいましても、いわば経済的な側面という観点から考えてみた場合には、多かれ少なかれ国費によって経済的に遇されるというところにおいては共通なわけでございまして、特別研究員の方は先生御指摘のように月二十万円、来年度の予算におきましてはさらにこれを二十万二千円に、月額でございまして、給付ということでさらにそれがアップするというような扱いをしているわけでございます。 重複を可能にするということも、理論的な問題といたしましては選択が全く不可能だと思っているわけではございませんけれども、限られた国費の中で、一方において特別研究員の月額を返さずに済む奨励金を得て、その上でなおかつ日本育英会のより有利な奨学金を得るということ、併給と申しますか、両方可能とするよりは、特別研究員に採用されたならばやはり一方は御遠慮いただく、それによってよ力教育の機会均等ということで、もし経済的に困った方で奨学金をもらえればそれで助かるという人があれば、そちらの方に国費を回すということの方が少なくとも現在の国家財政のもとではより適当な方法であろうかなという考えでおるわけでございます、 それからもう一つ、ティーチングアシスタント、それからリサーチアシスタントについての言及がございました。ティーチングアシスタントは教育補助業務ということで、修士課程の学生やらあるいは学部の学生やらにいわば教育補助業務をしてやる、こういうことでございますし、またリサーチアシスタントの方は研究プロジェクトを手伝うということでこれまた業務でございまして、それに対する報酬と申しますのはいわばそれに対する労働の対価という性格のものでございますので、それはそれとして別途支給されてしかるべきだというように考えておるわけでございます。
○馳浩君 私は、この点はやっぱり納得できないと思います。財政上の問題というのが結果的にどうしてもひっかかるのは、これは私も与党の一員でありますのでむべなるかなとは思いますが、奨学金制度の方と特別研究員制度の目的が違うわけでありますから、私はこれは重複可にぜひすべきだと。 むしろ、この点に結びつけたくて最初に大臣にお伺いしたのはエリートの養成という観点でありまして、国家として育てていかなければいけない研究者あるいは教育者に対する経済的なこういう国としての支援というものは、あらゆるからめ手を使ってでもしっかりしなければいけないと。それをもってして、本人に自分がやらなければいけない仕事に対する自覚を与えていけばいいわけでありまして、制度としては、日本育英会の方の奨学金制度も、そして特別研究員制度で科研費で賄える方も、目的が違うのでありますから、両方とも重複されるように、私は今後ともこれはぜひ注目していきたいと思います。今回の御説明の点は私も理解せざるを得ないんですけれども、これは今後の問題点として申し上げていきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○長谷川道郎君 自由民主党の長谷川道郎でございます。 きょうは、育英会の質疑を通じまして、行政改革という観点から今後文部行政がどのように変わらなければならないかという点で、幾つかの例示を挙げて質疑をさせていただきます。その例示の中でやや重箱の隅をつつくような例示もございますが、ケース・アンド・スタディーということでお許しをいただぎたいと思うわけでございます。 まず、日本育英会の質疑をさせていただくに当たっていろいろ資料を集めさせていただきました。特殊法人というのは政府が出資するから特殊法人だということなんでしょうけれども、私が財務諸表を拝見して受けた印象では、お金の動かし方がどうも特殊だから特殊法人と言うのではないかというような感じがいたしました。私は民間の出でございますが、民間の財務諸表とはかなり違う会計処理をしていらっしゃる。これはひねくれた見方かもわかりませんが、税金という公金を扱う意味ではやや緊張感がないのではないかなと邪推もしたくなる印象を受けたわけであります。 まず冒頭、育英会の決算書に貸し倒れ損失が平成八年三月期では一千十六万円の計上がございます。貸し倒れ損失の一千十六万円は、全体の貸付金残高が一兆八千億でございますので、一千万円という貸し倒れ損失は率としては少ないわけでありますが、しかし金額としては大変な金額でございます。この貸し倒れ損失の内容と、それから今回の法律改正で問題になっております返済免除額が、同じく八年三月期、九年三月決算でありますが、二百二十八億六千万円という計上がございます。この二点、貸し倒れ損失並びに返済免除、この内容と性質についてお伺いをいたします。
○政府委員(佐々木正峰君) まず、日本育英会の貸し倒れ損失でございますが、これは貸与しました奨学金のうち、日本育英会会計規程第八条、これは債権の放棄等について定めたものでございますが、第八条に基づき定められました回収不能債権の認定基準に該当する奨学金でございます。 具体的には、奨学生であった者が行方不明あるいは破産等によって資力喪失の状態であり、かつ将来もその資力を回復する見込みがなく、連帯保証人、保証人が死亡、行方不明、あるいは強制執行、破産等の理由により著しく返還困難と認められる場合、これが一つございます。また二つ目といたしましては、返還未済額が督促手続費用等に満たない場合等がこれに該当するわけでございまして、いずれも文部大臣の承認を受けたものでございます。その額が御指摘にございましたように平成八年度には約一千万円程度となっているところでございます。 次に、日本育英会の奨学金の返還免除でございますけれども、これには二種類ございます。一つは、日本育英会法第二十三条による奨学生が死亡あるいは心身障害によって返還不能になった場合が一つございます。それから二つ目は、日本育英会法第二十四条によるものでございまして、奨学生が教育職または研究職に一定年数勤務した場合でございます。 この二種類が返還免除でございますが、平成八年度の実績で申しますと、死亡、心身障害による返還免除額が約八億円、それから教育職または研究職についた場合の返還免除額が約百四十一億円、それから、現在は制度としてなくなっておるわけでございますけれども、昭和五十八年度までにあった特別貸与に係る返還免除額が約七十六億円、合計約二百二十五億円となっておるところでございます。
○長谷川道郎君 次の答弁でお聞かせいただきたいんですが、さっき貸し倒れの中にも死亡云々というお話がございました。免除の中には当然死亡、障害が入っておるわけですけれども、貸し倒れの中にも死亡、障害が入っているのかどうかお聞かせいただきたいのであります。 たまたま今、死亡、障害者に対して免除額が八億円という金額が出ている。これも全体から比べればパーセントとしては低い率の金額でありますが、しかし八億円ということになると事穏やかな数字ではない。通常、社会一般の債務負担行為で死亡によって免除されるというのは私は余り聞いたことがございません。もちろん死亡によって債務が相続されるか、もしくは相続放棄という場合もありますが、通常の金銭貸借の場合は担保もしくは生命保険の質権設定でこれを保護するというのが通常なわけです。死亡者に対して償還免除をするということは社会的に非難されるようなことでも何でもありません。それはいいことなんですが、しかし、やはり通常の民間の金銭貸借上の債務担保、保険に質権を設定するというようなことも実はお考えになっていただけないかなということであります。何しろ八億円という金額であります。 例えば、一カ月間の償還金額が一人命一万円前後、一番最高で一万四千円ぐらいになるんですか。したがって、千分の一としても、一カ月一人十円ないし十二円ぐらいで済むわけです。償還をしていただくとき一カ月十円程度の保険料をいただくということも、これは普通の一般の債務行為では当然のことでありますが、そこら辺のお考え、まだ検討されていないでしょうけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) まず、最初に御指摘にあった点でございますが、奨学生が死亡した場合には返還免除制度が適用になるということでございまして、死亡の場合は貸し倒れ損失には該当しないということでございます。 それから、保険についての御指摘でございます。本人に不慮の事故等があった場合の債権の回収を確実にするという観点から、例えば保険に入るということも御指摘のように一つの方法であろうかとは思うわけでございますが、育英会自体は、先ほどから御議論されておりますように、勉学の意思があり、かつまた能力があるにもかかわらず、経済的理由から修学に困難を伴う者に対して奨学金を貸すことを通して勉学の機会というものを提供するという、そういう制度に立ってございます。 したがいまして、どちらかといえば経済的に恵まれない方々を対象としているということから、新たな負荷として保険金を課すことについていかがなものであろうかというふうにも考えられることでございますので、この点につきましては今後の研究課題とさせていただきたいと考えておるところでございます。
○長谷川道郎君 もちろん、学資に困窮をしている学生さんに奨学金を差し上げるわけでありますので、新たな負荷というようなことは極力避けるべきだと思うのでありますが、申し上げましたように月額十円程度のことでありますので、ぜひひとつお考えをいただきたいというふうに思うわけであります。 次に、同様の財務諸表の中で返済免除金が二百二十八億ございますが、この返済免除が繰り延べ資産に計上をされております。通常、会計処理上、返済免除ということは、もうお返しいただかなくても結構ですよということで債権放棄をしたものであります。したがって、債権放棄をしたものは当然経費に計上すべきであると思うんです。言い方はちょっと悪いですけれども、これは将来とも戻ってくる見込みのない、もちろん中身は違いますけれども不良債権と同じなわけです。その不良債権と類似するようなものを資産計上するということはちょっとおかしいのではないか。というのは、普通、民間会社で粉飾決算でよくやる手なんですが、将来とも返却の見込みのない資産を資産計上していれば、世界じゅうに赤字の会社なんか出てこないわけです。これを繰り延べ資産に計上した理由についてお伺いをいたします。
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘のとおり、日本育英会では貸借対照表上、奨学生に返還免除した額と同額の債権を繰り延べ資産として計上しておるところでございます。 奨学生に対する返還免除は、日本育英会法の第二十三条及び二十四条の規定により、死亡、心身障害による場合、または教育・研究職についた場合に行うものでございますが、この返還免除を行った場合、育英会は、日本育英会法第四十条第二項の規定により、政府から免除額と同額の償還免除を受けることができることとなっておるわけでございます。 この償還免除が当該年度中の返還免除の総額に対して行われるために、年度中の免除額が確定する次年度にこの償還免除が行われるという扱いとなってございます。そこで、貸借対照表上、育英会といたしましては繰り延べ資産として返還免除額を計上しておるところでございます。この扱いにつきましては、日本育英会も公認会計士と相談をし、また文部省におきましても大蔵省と協議の上で行っておるところでございます。
○長谷川道郎君 ちょっと細かい質問になって恐縮ですが、文部省と協議されてそのような処理をされているということでありますが、育英会の定款もしくは会計規則上そういう規定はあるんでしょうか。——いいです、済みません。根拠がなくてやっていらっしゃることじゃないと思いますので、多分何かおありだと思うのであります。 今お伺いしましたことで、返済免除金を繰り延べ資産に当期計上し、次年度の予算で政府の借入金が償還免除になる。そうしますと、ことしはこれを資産にしておくけれども、来年それを償却するということであります。しかし、来年予算が通るとは限らないわけです。決算というのは、決算単年度主義というのがあって、決算は単年度で決算をするというのが原則であります。来年政府から、償還、まあいい、勘弁してやるよということがあるということが前提になっての決算でありますので、決算単年度主義にこれは反する処理でありまして、犯罪的な行為ではありませんのであえてこれ以上はお伺いいたしませんが、特殊法人といえどもあくまでも法人でありますので、とらぬタヌキの何とかではありませんが、来年政府がお金をくれるかどうかわからないのを、当然のことのように予想した決算というのは、これは法人経理上ちょっとあり得ない決算ではないかという感じがいたしましたので申し上げておきます。 次に、返済金の滞納の問題でありますが、総務庁の勧告や会計検査院の指摘の中で、日本育英会の償還金が滞っていることについての勧告並びに指摘があるわけです。平成八年の第一種奨学金の返還通知書、これは請求書でありますが百十三万通出ております。そのほかに償還が滞っている返還督促状が四十九万。ですから、通常の請求書が百十三万、督促状が四十九万、督促状が非常に高率で出ております。第二種奨学金によっても、通常のいわば請求書が十八万通、督促状が五万通、約三割ないし三割近くの率。全体の返済通知書、いわば請求書の中で三割が督促状であるということでありますが、こんなに高い率での督促状というのはどういう理由でありましょうか、お伺いいたします。
○政府委員(佐々木正峰君) 滞納者に対する督促でございますが、従来、二年以上滞納した場合に連帯保証人に対する督促を行っておったわけでございますけれども、これを一年滞納した場合に連帯保証人に対して督促を行うというふうに変えておりますし、また、滞納期間が三年未満の滞納者に対して督促状を発しておるわけでございます。督促状の発出が多いのは、こういった新たな事務処理、つまり督促体制というものを整備した結果でもあろうと考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、滞納というものが極力なくなるような努力、事務処理を引き続き進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○長谷川道郎君 いろんなことを整備した結果督促状がふえたということでありますが、請求書を発行して、そのうち赤紙といいますか督促状が三割というのは異常な数字であります。これは管理上何らかの問題があるのではないかというふうに思わざるを得ません。ぜひひとつ厳重なチェックをしていただきたいと思いますし、先ほど馳委員からのお話がございましたが、借りたものを返すなんてことは当然のことであります。大学で勉強するためにお金を貸与され、勉強した結果金を返さないというのは、これはいかにも考えられないことでありますが、先ほど申し上げましたように管理上の問題点も何かあるのではないかという点でまた御検討をいただきたいと思うわけであります。 次に、行政改革という観点で文部行政が今後どういうふうに変わるのか、またその具体的な方法という点でお伺いいたします。 平成十三年、行革ということで各省庁三万五千人の人員削減ということがこれから行われようとしているわけでありますが、行革という観点で文部行政は今後どういうふうに変わるのか、できましたら具体的な御説明をお願い申し上げます。
○国務大臣(町村信孝君) 今、橋本内閣挙げて行革に取り組んでおりますし、そのための抜本的な中央省庁再編の法律もこの国会に出されようとしているわけでございますが、昨年十二月に出されました行政改革会議長終報告におきまして、文部省の場合でありますと科学技術庁と統合するという点、さらには再編に伴って行政機能の減量、効率化、スリム化ということを大いにやっていきましょうという提言が出されております。 それを受けまして、文部省も従来から組織定員の見直しでありますとか補助金の廃止でありますとか、あるいは規制緩和ということに積極的に取り組んできたつもりでございまして、例えば、平成十年度の予算の中でも百八十七件の補助金の整理合理化を、今予算御審議をいただいておりますが、御提案しているところであります。あるいは規制緩和につきましても、本日の行革本部の会議におきまして、平成十年から十二年までの規制緩和三カ年計画というのを新たに決めまして、その中に文部省も二十数項目うたっているわけでございますが、あるいはこの三月末で終わった三カ年計画の中にもかなり規制緩和をやってきているところでございます。 ただ、それだけで決して十分ではなかろうということで、昨年十二月の行政改革会議の最終報告を受けまして、文部大臣を本部長といたします文部省行政改革本部というものを直ちに設置いたしまして、今委員御指摘のような組織とか業務、そうしたものの見直しを全省的に取り組んでいる。さらには、科技庁との間では合同プロジェクトチームをつくりまして、ただ単に二つの省が一緒に重なるということだけではなくて、そこには当然業務のスリム化というもの、あるいは重複を省くといったような観点から作業をこれから大いにやっていこうと思っております。 また、ちょっと角度は違いますけれども、中教審の地方教育行政のあり方ということにつきまして先週の金曜日に中間報告を出していただきましたが、これは地方分権という観点を踏まえまして、国のやるべきことをできるだけ精選をし、厳選をしてスリム化していくというようなことで、いろいろな指導行政というのが今までございました、ややもすると事細かにいろいろなことをやってきたわけでございますが、できるだけ学校の現場で物事が決められるように、あるいは地方教育委員会の方にそうした権限を移していこうというようなことで、今後ともその具体化を図っていこうかな、こう思っております。 いずれにしても、委員御指摘のような行政改革の観点、これは文部本省あるいは各種の特殊法人、全部含めて精力的にやっていかなきゃならない非常に重要な課題であるという認識で今後取り組んでいこうと思っております。
○長谷川道郎君 大臣、大変ありがとうございました。 今、大臣のお話の中で、百八十七の補助金についてはこれを整理、統合するという点で御検討中であるというお話がございました。行政組織にかかわらず、あらゆる組織はいわばパーキンソンの法則でどんどん肥大化するという原則があるわけでありますが、今回のこの法案審議に当たって調べさせていただいて一つびっくりしたことがございます。 文部省所管もしくは地方の教育委員会所管の財団法人、社団法人、公益法人が非常に多いということであります。国全体の公益法人が七千四百ございます。このうち文部省の所管が千七百七十八、何と国全体が所管をする公益法人のうち二四%が文部省の所管。地方には、昨年の資料でありますが、地方の所管の公益法人が一万九千二百二十六ございます。このうち教育委員会が所管する公益法人が四千五百四十五、これも二四%。日本全国の公益法人のうち四分の一が教育関係であります。 どうしてこんなに教育関係に公益法人が多いのか、ちょっとお伺いさせていただきます。
○政府委員(小野元之君) ただいま御指摘ございました公益法人の関係でございますけれども、文部省の所掌事務が教育、学術、文化、スポーツの振興ということで、そういった事務を行っておるわけでございます。民法三十四条で実は公益法人、社団法人や財団法人の許可の基準になります目的が五つあるわけでございますけれども、祭祀、宗教、学術、技芸、慈善というふうになっておるわけでございます。この中で文部省の所掌事務は祭祀、宗教、学術、技芸、これと非常に関連が深いということが一つございます。 それから、教育、学術、文化の関係では、育英奨学の関係の法人でございますとか、留学生あるいは学術研究の助成法人、あるいは社会教育や芸術、文化、スポーツ関係の振興を目的とする法人が非常に多いということもございまして、御指摘のとおり数の上では全体の約四分の一ぐらいが文部省所管になっておるわけでございます。 私どもといたしましては、こういった法人について、その目的が公益性が非常に高い、公共性が非常に高いという観点から文部省でも許可を行っておるところでございまして、こういった法人の果たしている役割というものは、それなりの社会において大きな役割を果たしていることは事実でございます。 ただ、こういった行革の時期でございますので、私どもとしても、新しい許認可等につきましてはきちんと公益性を審査した上で許可を行っておるところでございます。
○長谷川道郎君 もちろん公益法人でありますので、公益性の高い法人、そして社会的に役割を果たす法人に文部省は認可をされていらっしゃるものと思うわけであります。公益法人といっても、例えば補助金をむだ遣いするとか税金をむだ遣いするとか、そういう組織なら問題でありますが、一般の教育上の研究をされるというような組織はもちろん問題ないわけであります。しかし、公益法人というのは例えば所得税が免除されたり固定資産税等の税金が免除される、細かくいえば印紙税が免除されるというような税法上の特典が与えられているわけです。 幾つかの文部省所管の公益法人の中で、これが果たして社会的に役割を果たしているのか、公益性の高い法人であるのかいささか疑問であるというのが大変たくさんあるんです。 例を申し上げますと、ちょっと固有名詞は避けますが、○○修練合、これは某大学の附属小学校の後援会であります。それから、某国立○○大学同窓会、これも財団法人。私は同窓会を財団法人、社団法人にするというのはどういう公益性があるのかわかりません。また、日本編物協会なんというのが社団法人にあります。これも社会的にどういう評価があるのかわかりません。 そういった意味で、今までそれなりの社会的な理由があって公益法人を文部省は認可されていらっしゃるとは思いますが、申し上げましたように税制上極めて特異なといいますか、優遇措置を厚く盛られておるのが公益法人であります。行革という観点からも、今後の公益法人の設立認可については慎重にあらねばならないというふうに申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○本岡昭次君 本日議題になっております法案の審議に入る前に、自民党がお決めになった十六兆円規模の総合経済対策の基本方針問題について幾つか町村文部大臣の所見を伺いたいんです。 まず、ここは予算委員会じゃありませんが、来年度の予算にかかわることを皆で懸命に議論をしておるときに、早々と大型の補正予算を組むんだと、こう言われたらとても審議をやっていられないんです。それで、私は一言で言ったら財政法二十九条に違反するんではないかと考えます。閣僚のメンバーである文部大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(町村信孝君) 参議院の予算委員会の方でも既にこの件につきまして昨日相当な議論があったことは議員も御承知のとおりだろうと思います。二十六日の日に与党で決定された総合経済対策の基本方針、この考え方は今さら申し上げるまでもございませんが、なかなか経済状況が厳しいということに対応して、新たな対策が必要であろうということで与党の皆さん方がお決めになった。政府はそれを受けまして、これは与党の御提案でありますから、それは重大な重みのあるものとして今後真剣に勉強させていただく、こういう答弁をきのう総理あるいは大蔵大臣が再三しておりましたので、現段階で私がそれ以上のことを申し上げる立場にないということはひとつ本岡先生も御理解を賜ればと思います。
○本岡昭次君 現段階ではそうだと思うんですが、閣僚たる者は、私は文部行政だけだと、もちろんそういうこともあります。だけれども、こういうものは閣議決定がなされてくるわけで、それぞれの閣僚メンバーがやはり大臣としての考えをきちんと述べていかなけりゃだめになるんじゃないかと思います。中にはそういうことを堂々とおっしゃる方もおられますね、名前を挙げませんけれども。 どうか、日本の国の政治を間違えないようにやっていくための閣僚の重要な任務をひとつ認識して頑張っていただきたいと思います。ここは財政法二十九条問題についてあなたと議論する場ではないということはわかっております。ただ、私は、財政法二十九条に明らかに違反する措置を今やっておられると。それを、あれは自民党がやっているんだ、私たちは政府だと。自民党と政府を巧みに使い分けながら世論操作をしたということであり、どうも我慢がなりません。まあそれはそういうことで申し上げておきます。 それで、総合経済対策の基本方針を新聞で見ていろいろ勉強しました。その中に教育研究機関の充実という言葉があります。それでは、総合経済対策で教育について何をどのようにやろうとなさっているのか、これは私は知らぬというふうにはおっしゃらないと思うんですが、何をやろうとしているんですか。
○政府委員(小野元之君) 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、この総合経済対策の基本方針、与党の方でお決めいただいたものでございまして、私どもとしては、これは一つの大きな御提言と受けとめながらも、今国会におきましては今御提案申し上げております予算の成立を強く願っておるところでございます。 ただ、お話しございました教育研究関係でどういったことが総合経済対策に触れられておるのかということでございますけれども、教育等について社会資本の緊急整備を行うというような文言もございますし、科学技術の振興、情報通信の高度化等についても緊急整備を行うといったような文言も触れられておるわけでございます。 私どもといたしましては、現段階でこの具体的中身について申し上げる立場にないわけでございますけれども、一般的には教育関係、大学を含めまして施設整備の充実であるとか、あるいは科学技術創造立国に対応することでございますとか、さまざまな課題を抱えておりますので、具体的な問題が出てまいりましたときには、そういったことも含めて私どもなりに勉強してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○本岡昭次君 それでは、これは予算委員会のところで私は質問したんですが、教育の分野についていろいろと予算を考えていく場合に、赤字国債、建設国債という枠にいつもぶつかります。それで、今回何をやるのか私はわからぬというふうにおっしゃいますが、しかし何かを自民党がやろうとなさっているわけで、こうした場合に、建設国債、赤字国債の関係の中で、教育なり研究機関の充実ということで建設国債の債券発行対象というふうに枠を拡大しようという考えがあると見ているのかどうか。
○政府委員(小野元之君) こういった問題につきましてもまだ私どもも勉強している段階でございまして、具体的なことは申し上げられないわけでございますけれども、現在の財政法の関係から申し上げますと、第四条に、公共事業費等については「国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」という規定があるわけでございます。 文教関係におきましては、この公共事業費の中に、その他施設費ということで、公立学校施設でございますとか国立学校施設、それから社会、体育、文化施設等が一般論としては含まれておるわけでございますが、こういったものの対象をどうするかということにつきましては、私どもの立場としてはコメントする立場にないわけでございます。
○本岡昭次君 そういう姿勢だから困るんです。予算委員会でも私が公共事業と言ったら、途端に総理が食いついてきて筋違いの話をして、本当に総理の頭のレベルはあの程度かと落胆したんです。文部大臣はさすがに、私が何で公共事業ということをあえてそこで言及したかということをきちっと受けとめたんですよ。あれでよかったと思うんです。 それで、育英事業も要するに人材を育成するということなんでしょう。人材の材と言ったら何だということになり、人づくりと言うつくりとは何かと。単に箱物をつくることだけが何か公共事業というふうなちっぽけなことじゃなくて、教育というものもやはり大きな公共投資なんだと。未来への先行投資とか言われる意味において、どういう人材を次の時代に送り出していくのかということは最もすぐれた先行投資だという発想がなぜ生きてこないのかということを私は申し上げた。ところが、全く筋違いな議論になってしまいまして、落胆したというわけです。 それで、財政構造改革法を改正せにゃいかぬという議論もあります。私たちは財政構造改革法の中で一番頭にきたのは、教職員定数改善の最終年度を二年先延ばししたということなんです。財政構造改革法を改正するのなら、この二年先延ばしをやめさせるということもその中でぜひ文部省は、私は知らぬじゃなくて、やっていかなければならぬと思うんですよ。なぜ二年先延ばししたかというと、全体の予算の縮減という問題を他の公共事業と同じように横並びに、長期計画を皆二年延ばすから文部省の中の長期計画も延ばさにゃいかぬという横並び方式で並べさせられていったんですよ。だから、そこの点については私たちは絶対納得しておりません。 そこで、この財政構造改革法を改正しなければならぬということになったときに文部省はいかに対応すべきかというときに、教職員定教法改善の二年先延ばししたものを最低もとに戻す、このことは命がけでもその中に飛び込んでいくということを私はやるべきだと思うんですが、文部大臣、もうこれは余り私はほかのことは言いません、決意を一言聞かせていただきたい。
○国務大臣(町村信孝君) 先般の予算委員会での総理と本岡委員とのやりとり、私も聞いておりました。おっしゃるとおり、未来への先行投資という意味では、幅の広い意味での公共的な投資ということにそれはもちろんなるんだろうと思います。 ただ、財政法で言ういわゆる狭義の公共事業といいましょうか、これは要するに建設国債の対象であり、それは道路とか橋とかあるいは建物とか、要するに便益がずっと長く物理的に続くという意味で、ここまでがいわゆる狭義の公共事業で建設国債対象ですよという仕切りになっているわけでありまして、委員の御指摘も私も個人的には理解できないではございません。そうしますと、例えば科学技術の投資とか、そういう意味では国のやっている政策というのはすべて公共的な色彩があるから全部建設国債の対象になるのかといってどんどん議論が広がっていくと、それはいささかどうかなということになるんだろうと思います。 いずれにいたしましても、まだ具体的に政府の中でどういう形で与党の提案を受けとめて議論をしていくのかという段取りその他も全く決まっていない、それ以上に、今むしろとにかく平成十年度本予算の御審議をできるだけ早くと、こういう段階でございますので、今この時点でその先の話をあれこれするのは、本予算を御審議いただいている立場からするとそれはかえってまた失礼に当たるんだろう、こう思いますが、委員の御指摘のあったことは私なりに受けとめさせていただきたい、こう思っております。
○本岡昭次君 もうこれ以上申し上げませんが、失礼なのは自民党の方になるわけですよ。きょうの二つの法律も予算にかかわる法案だということで急いで今やらせていただいておるわけで、そういう意味でまことに失礼なことを今やっておられるわけだけれども、それは大臣の責任でないということで先に行きます。 それで、法律二つ出ておりますが、育英会の奨学事業のみについて質問いたします。両案とも賛成でございます。 まず、教育・研究職特別免除制度から大学、高専分を廃止するのは、財政構造改革法による文教予算削減のためにこれを取り上げたという単純な意図なのか、それとももっといろんな意図があるのか、ここのところはいかがですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 教育職の返還免除制度でございますけれども、これ自体は戦前、師範学校が給費制度でございました。これを戦後、日本育英会の返還免除制度として引き継いだという歴史的経緯があるわけでございまして、これまで学校教育の分野に優秀な人材を確保する上で大きな役割を果たしてきたというふうに考えておるところでございます。 しかしながら、近時の状況を見ますと、公立学校教員等の採用状況が、競争倍率というものが非常に高くなっております。また、教員の給与も一般の公務員と比較して優遇されたものとなっております。その意味で奨学金の返還免除が教員の人材確保を図る上で果たす役割というものが薄れてきておりまして、各方面から見直しが指摘されてきたところでございます。 今回の法改正は、このような状況を踏まえ、また日本育英会の奨学金が本来貸与制であることも考慮をし、厳しい財政状況の中で奨学金に充てる資金の効率的運用を図る、そういう必要性に基づいて大学学部等の返還免除制度を廃止することといたしておるものでございます。 ところで、この効果ということでございますが、平成十年度の入学者からこれを廃止することといたしておりますので、例えば大学学部で奨学金を受けた者で申しますと、平成十四年度から毎年約七億円ずつ返還金が増加をしてまいります。高専、短大についても同じような形で返還金が毎年増加をいたしまして、平成二十八年度以降になりますと全体で年間約百十億円の返還金の増加が見込まれるわけでございます。その意味では、効果があらわれるのが数年後から徐々にあらわれ、全体的な効果というのは平成二十八年度以降ということでございますが、この増額分につきましては今後の育英奨学事業を充実するための財源として活用してまいりたいと考えておるところでございます。
○本岡昭次君 それでは、大学院の特別免除制度を特に残した理由は何ですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 大学院の返還免除制度は、研究職につく場合と教育職につく場合があるわけでございます。 まず、研究職でございますが、現在、若手研究者の支援制度を充実することによりまして、学術研究分野にすぐれた着手研究者を確保することが極めて重要な課題となっておる、そういう観点に立ちまして研究職の返還免除制度は存続をするというふうにいたしておるところでございます。 また、教育職でございますが、児童生徒の問題行動への対応等、学校教育には従来以上に専門性が求められております。大学院で教育を受けた専門性の高い教員を確保する必要があるというふうに考えておるわけでございますが、現在、学校の先生のほとんどは学部率で、大学院卒はまだまだ少ない状況にございます。そういった意味で大学院卒の人材確保の要請というものが極めて高い、そういう状況を踏まえまして教育職の返還免除制度につきましては今回存続をさせることといたしたところでございます。 大学院の返還免除のあり方につきましては、特に研究職への就職期限の弾力化について指摘がなされているところでございまして、これらの点も含めまして今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○本岡昭次君 何で大学院を残すかということは、文部省の説明としてはわかりました。 それでは、政策的にそうした一つの目的があれば、特別免除枠というんですか、免除制度というものは今後拡大をどんどんしていくというのか。いや、これは将来はなくしていくんだというのか。そこのところの方針がありますか、ありませんか。
○政府委員(佐々木正峰君) 国の財政事情が厳しい中で資金の効率的運用が求められるということが一方にあるわけでございますが、他方、この返還免除制度というものは特定の分野にすぐれた人材を確保するいわば誘導策、呼び水として存続をさせておるわけでございます。したがいまして、それらの要請に沿うような分野としてどのようなものが考えられるのかということについて、現時点では若手研究者の確保あるいは大学院を修了した教育者の確保という点に絞って対応しておるところでございまして、今後この制度を人材確保という観点からどのように運用していくかということについては研究課題としていく必要があると考えておるところでございます。
○本岡昭次君 なぜ私はこれに賛成しているかというと、奨学資金制度は貸与制から給付制に皆移っていくべきだという考えを持っているから、貸与制の中である特定のところを免除するとかしないとかという議論の中に入りたくないから賛成だと言っておるんです。みんな給付制に将来持っていくようにどうするかということの議論をぜひともやっていかねばならぬと思うんです。 そこへ行くまでにさまざまな議論をしなければなりません。それで、我が国の奨学資金制度を先進国のアメリカ、イギリス、ドイツ等々とも比較をすることが必要です。日本育英会の方でもそれぞれ先進国に職員を派遣して調査もやっているようであります。 そこで、調査の内容を若干見てみますと、日本の奨学資金制度がどう見てもすぐれているとは言えないんですね。平成九年版「教育指標の国際比較」の八十六ページですか、ここに「政府機関等奨学制度の国際比較」というのがあるようです。それを見ますと、一九九七年度、これは日本です。この制度は貸して返すという貸与です。年間の予算が二千五百三十八億円、それから受給対象者が四十九万三千人。間違いがあったら言ってください。アメリカは、一九九五年で、このときの一ドル九十四円換算です。今は百三十一円ですか。その内容を見ると、いわゆる給付する、返さなくてもいいというのが全体の二〇・五%で六千二百六十二億円、対象人員が五百二十九万三千人。それから貸与、これは返すというものですね。七九・五%、二兆四千三百五十億円、七百九十万人。合計すると、予算が三兆六百十二億。これは九十四円換算ですから、これを百三十一円換算にすると四兆円ぐらいの規模になってしまうんじゃないかと思います。そして千三百十九万三千人であります。人口で言えば日本の約二倍だと思うんですが、四十九万に対して千三百十九万。約十二倍ですか、これだけが受給者になっておる。イギリスは、これは給付ということで、返さなくてもいいということで五千五百九十七億円。一ポンド百五十五円換算です。それからドイツが、一マルク六十六円換算で、給付、これも返さなくてもいいというのが四百二十八億円、対象が十八万一千二百二十六人。それから半額給付、半額は返さなくていいけれども半額は返しなさいという制度の中でつき込まれているお金が千四百六十四億円、対象人員が四十四万二千四百九十二人。合計が千八百九十二億円、六十二万三千七百十八人というふうな内容になっているんです。 それで、私が決してすぐれていないと言ったのは、どこでも給付というものをそこに導入しているということがありますし、それから対象の人員もはるかに日本に比べて多いという、こういう状況をこの資料から見ることができます。 そこで、私は、奨学資金制度の抜本的な改革という立場から、希望者には全員奨学資金制度の中の奨学金を、今は貸与ですが、貸与なら貸与を全員とにかく対象にするということへ向けて計画的に内容を拡大すべきだ、こう思います。その希望者というのは、受けたいという場合に、全員という場合もあるでしょうし、一応経済的な面、学力的な面で適格者を決めた中での希望者ということになると思いますが、一体現在希望者がどのぐらいいるのか、希望者に対してどの程度の学生が受給されているのかというその実態を私たちが知る必要があると思います。 しかしながら、私は今のように学力と経済の問題と両方セットにした適格というのはまずいと、やはりそれはもう経済力だけに絞って、希望者には全員貸与をすると。そして段階的に給付にその内容を高めていくというふうな方向への改革がぜひとも必要ではないかというふうに思うんです。 だから、教育は未来への先行投資、先行投資という分野はたくさんあると思いますが、やはり優秀な人材を育てるという意味の中におけるこの育英奨学資金制度というものはもっと大きなウエートを占めてもいいのではないかと私は考えます。余りにも日本はその分野がちっぽけ過ぎるという点、ぜひともこれは町村文部大臣のときに、この奨学資金制度、未来への人材を確保していくという意味において大改革の火の手を上げられたらいかがかと。もしそれが文部省の方でできない、大蔵省が気になってできないとおっしゃるんなら、これはやっぱり議員の側からでも議員立法として未来に向けてきちっとした奨学資金制度というものを打ち立てるべきではないかというふうに私は思っております。 文部大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 今、委員るる御説明をいただきましたように、それぞれの国により実際の大学に行く人たちの数も違えば、また大学の制度も違えば、あるいは奨学金の歴史もまたそれぞれ違っているということであろうかと思いますので、この国はこうだから日本もこうするということにはなかなかならないのかなとは思いますが、しかし全体を総括して見たときには、私も委員と基本的な認識はそう変わっていないのだろうと思っております。すなわち、日本のこの奨学金の現在の姿が十分かと言われれば、それはまだまだ改善の余地があるだろうと、私もそう思っております。 ただ、先ほど御議論がちょっとございましたように、向こう三年間は集中改革期間といったように非常に財政が厳しい状況のもとでございますから、今ここで直ちに例えば委員御指摘のような希望者全員に、しかも貸与でなくて給付でということになりますと、どういう金額になるか私もちょっとまだ試算をしていないのでわかりませんが、相当のお金がやっぱりかかるんだろうな、こう思いますものですから、私どもとしては今できる範囲内で、しかし最大限の努力をしながら、今回の平成十年度の予算の中でも、大学院生への貸与人員の増でありますとか、あるいは高校在学中に留学ができる人員の増でありますとか、私立大学の貸与人員の増とか、あるいは専修学校の専門課程の貸与人員の増というようなことで、少しずつではありますが、着実にこれを広げていくということなんだろうと思います。 ただ、抜本的にもっとおやりなさいよという委員の御指摘でございますので、この辺はいま少し財政状況がよくなったあたりのころの方がむしろそういうことを考えやすいのではなかろうかなと、こう思っておりますので、引き続き大いに勉強していかなければならない、非常に大きな課題であろうとは私ども受けとめているわけであります。
○本岡昭次君 日本育英会法の一部を改正する法律案ということで、それで私たちが審議をするんですよ。その内容が、今までやっておった教職員にそれをカットするんだというふうなことだけがこの中身、寂しいと思うんですよ。奨学資金のこの問題を議論するなら、もっと基本的なことをきちっと議論して、将来こういうふうにやりますと、その中で教職員の分は政策的な意味というのか目的も達成したのでこうしますと言うんならいいんですけれども、どう思っても内容的には貧弱なものですから、反対はしませんけれども、納得いかないというところになってくるんです。 ちょっと教えていただきたいんですが、希望者というのは、現在のいわゆる学力と経済的な条件があって、その条件にマッチして申請するんだけれども、だめだと言って外される人、その申請をするのは希望者ですが、それはどのぐらいあるんですか、現状。
○政府委員(佐々木正峰君) 適格者数に対してどれだけ採用されたかという採用率でございますが、それで申しますれば、国公立は平成八年度で六九・四%、私立大学は六三・八%、全体では六五・七%となってございます。
○本岡昭次君 一〇〇%申請したけれども、六九・四%が適格者として奨学資金をもらえるようになった、残りの今言った約三〇%の人は奨学資金を貸与できなかったというふうに理解をしていいんですね。
○政府委員(佐々木正峰君) 数字的に申しますと、奨学資金を受け得る適格者数が国公立大学の場合、平成八年度で申しますと三万九千七百八十二人、そのうち採用者数が二万七千六百十一人でございます。私立大学の適格者数が八万二千四百四人、採用者数が五万二千六百七人という数字でございます。したがいまして、トータルといたしましては、適格者数が十二万二千百八十六人、採用者数が八万二百十八人となっておるところでございます。
○本岡昭次君 十何万人のうちの八万人ですか。なぜ奨学資金、あなたはだめよと言うんですか、その理由は何ですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 奨学金として貸与をし得る資金量の関係でございます。
○本岡昭次君 申請したけれども資金力の関係で外すというときに、その外す人と残される人の差はどこで基準を設けるんですか。
○政府委員(佐々木正峰君) それにつきましては、主として現在の育英奨学生の選定決定は学力基準と経済的な基準によっておるわけでございますので、その両者をかみ合わせて決定を行うということでございます。
○本岡昭次君 しかし、出した人はそれに合っているから出すんでしょう。それをまた金がないから削っているというこの事実ですよ、文部大臣。 だから、希望者というのは全員ということじゃなくて一定の、いわゆる親の経済力というんですか、それとその子供の学力ということの中で、申請してもこっちに予算がないからといって外されている子供がおるわけだから、最低その子たち皆に与えても余り大きな予算を必要としないんじゃないかということも私は基本的に思うんですよね。 そのことと、十五年前になるのか、前回のときに私も大議論をやったんです。あなたはそのときは文部大臣でなかったんだけれども、要するに、成績のいい者は返すときに利子はつけないけれども、その下のランクでどうしても借りたい人は三%の利子をつけて貸しますというようなとんでもないことを育英会の制度でやってのけたんです、あなた方は。あのときはもめてもめて、もう何回も審議がおくれて大変な事態になったことを今思い起こしたんです。 文部大臣、今言っているように希望者が全員借りられない状態がある。しかも、一定水準以下の学力の子供は借りたければ三%の利子を返すときにつけるんですよというような、成績のところでランクをつけるということをまだこれからもずっとおやりになるつもりですか。 これはいかに財政的にノーであれ、成績によって一方は返済のときに無利子であり、一方は三%の利子がつくというようなことは、機会均等とか勉強するためのみんな平等な立場で経済条件をそろえるんだというふうなときに学力によって差をつけるなんというのは、もともと学力と関係なく、経済的に非常に厳しい者については奨学資金制度でどうぞ学校へ行ってくださいという仕組みだと思います。 文部大臣、そのときあなたがおやりになったんじゃないんだけれども、これは私は、全体の抜本的な改革ということじゃなくても今すぐでも変えられる問題であり、その三%の利子をつけていることがどれほどのそれでは全体の奨学資金制度の中の資金そのものを一方で豊かにするというのか、一方ではそれだけ削減に役立っているというのか、どういう役割を果たしているのかということを思うんですよね。 このことを私はいろんなところで言うとみんなから失笑が漏れますよ。私の話なんて余りおもしろくないからだれも笑わへん。だけれども、これを言うとみんなふふふと笑うんですよね。だから、ちょっと本当にまずい政策だと思うんです。何とかこれ、文部大臣、おやめになりませんか。
○国務大臣(町村信孝君) これは昭和五十九年から制度を導入、有利子制度ですね。私は五十八年の年末に初当選をしてまいりましたので、多分当選直後の最初の文教委員会でこれを議論させていただいたという記憶がかすかにはございます。相当な御議論があったことも私も衆議院文教委員会でよく記憶にあるところでございます。 有利子貸与制度でありますが、現在は予算の事業規模の中では約四分の一を占めるというぐあいにかなりのウエートになってきております。私は、財投の活用という観点から、むしろこれがもし有利子がなければさらにもっと絞られているということに結果的にはならざるを得ないんだろうかなと、こう思いますから、有利子であれ、要するに財投の活用という意味でそんなに悪い制度ではないと、私はそう思っております。 むしろ、昨年十一月の「財政投融資の抜本的改革について(資金運用審議会懇談会とりまとめ)」、こういう中でも、この分野につきましてはむしろ活用を考えられる分野であるという提言も出されておりますので、具体的に今後どういう形でやっていくのか、さらにこれも具体策を検討しなきゃなりませんが、委員が言われたように希望する人には全部行き渡るようにしなさいよということを考えたときに、この有利子制度の活用、有利子といっても三%という一つのシーリングがあり、それを超える場合にはちゃんと国が利子補給をするということになっているわけでありますから、そんなにこれがいけない制度がなと言われると、むしろ量的拡大にそれだけ貢献したという意味で私は一定の評価をしているものでございます。
○本岡昭次君 今の大臣の議論の中へ私も入っていきます。 百歩も千歩も譲って、有利子というものを拡大の手法として認めたとしましょう。しかし、そのときに何で学力で差をつけるんですか。経済的な面で利子の問題についてもたえられるだろうと、将来。それから、返すのは親が返すわけでなくて本人が主として働いて返すわけですね。その返すときにその人がどういう職業につき、どういう収入を得ているかということとその利子というものほかかわってくるんでしょう。だから、高い収入を得られる職業についていく人はその三%の有利子は余り負担にならぬでしょう。ところが、そうでない、収入が非常に低いところへ就職した人はその三%の返還のための利子というのは非常に厳しいでしょう。 そういうことを実態に合わせて考えてくると、成績の優秀な人は大体収入の高いところへ就職していくという、こういうことになるんじゃないか。そういう人たちは無利子で、そして成績の悪い者に——そういう言い方をしたら、僕の言っていることも後で、本岡、何てことを言ったのやと言われそうなことを私言っていると思いながら、汗かきながら言っておるんですが、あなたと議論するために言っておるんですよね。 そういう意味からいっても、成績のいい者が利子がなくて成績の悪い者に利子をつけるというのはちょっと拡大の論法からしてもまずい。だから、むしろそれをやるのなら学力じゃなくて経済的な分野においてそういうふうなことを考えなければならぬだろうというのであれば、百歩も千歩も譲って何か理解を私も一緒にと、できるだけ僕らもこれから共通点を見出すための議論をせにゃいかぬ、何か違いを見つけるための議論をしたくないと私は思っておるものですから、そういう意味からいくと、あのとき何でああいうふうなことになったのか、私もちょっと記憶にないんですけれども、そこ、どうですか。その三%が有用だというならば、民間の銀行から教育ローンを借りて行く子供もおるでしょうから、それならば国の方の三%の奨学資金でも借りて行きますかというときに、なぜ成績を前面に押し出すのかという点の考え方を変えることの議論はおやりになりませんか。
○国務大臣(町村信孝君) 結局今の日本のあれは、多分財政を一定の前提に置きながら、育英、奨学という両面があると。先ほど自民党の議員の方からもそういう議論がありまして、むしろ奨学というふうに絞ったらどうだという御意見があったわけでありますが、現実に一定の絞りをかけるために育英という輪と奨学という輪を二つかけて、それで要するに成績基準と親の収入基準というので一定程度絞りをかけているということなんでしょう。ですから、委員御指摘のような考え方も私も十分成り立つと思うんです。もう育英という部分は外して奨学という面に絞ったらどうかというお考えもあろうかと思います。その辺を実は大分御議論をいただいて昨年の「今後の育英奨学事業の在り方について」という調査研究協力者会議の報告が出されておりまして、相当議論はしていただいたけれども、結局そこにまだ一定の結論を見出すには至らずに、結論的には実は両論併記になっているわけであります。 私は委員の御議論がわからないではありませんし、むしろ一つの御見識だと、こう思って今のお話を受けとめさせていただきました。財投を積極的に使う中から、できるだけ希望する人には、特に奨学という観点からそちらの方にシフトしていくというのは、私は個人的にはむしろそちらの方に賛成でありますが、なかなか関係する方々も多いもので、一遍にそちらにまだ今の段階では踏み切ることはできておりませんが、抜本改革という御示唆も先ほどいただきましたので、そうしたことも含めてもう一回議論をやる必要があるなとは受けとめているわけであります。
○本岡昭次君 今、財投のとおっしゃいましたが、私も財投の見直しということがあります。財投が今までどういうところに使われてきたかという、その使い方のところにいろいろ問題があるなどいう議論があります。私も感じております。 だから、未来の人材を育てるための知的な社会資本、これを充実させるために財投を使うということをもっと大胆に考えて、そして、さまざまな制限を設けて有資格者を狭めずに、希望者が全員借りられると。ある段階では利子をつけるということも覚悟しながら、まずその枠を広げて、そして少なくとも親のすねをかじらないで自分の力で借りて大学行くんだと、それがやっぱり自立ということの基本だと思うんですね。親も子供を育てるために何ぼ教育費が要るということを当然考えねばならぬけれども、しかしそこのところの負担はできるだけ少なくするということが政策的にあってしかるべきだし、そういう意味でのこの奨学資金制度というのは、やはり国の基本的な、いわゆる単に教育という問題じゃない、もっと大きな視野に立った仕組みだろうというふうに私は思うんです。 そういう意味でこれはひとつ抜本的に改革をして、そして二十一世紀に生きる青少年がいかなる人間に育てばいいのかというそのことにかかわってのコストを公的に持っていく重要な部分である。そのことを給付にするのか、あるいは返させるのか、利子をつけるのかというのは、そこをきちっと決めた上での、その時々の財政上の話として政策的にやっていけばいい。お金があれば全部給付にすればいいし、できなければこれは貸与をしなければいかぬわけで、もっとなければ利子をつけて返してくれということにも相なるという議論があっても私はいいと思うんですね。 こういうふうな形での奨学資金制度というものを、教育改革という改革の旗印を上げるならばぜひとも大きな旗を立てていただきたいと思うし、財政財政とおっしゃるけれども、十六兆円もの大きなふろしきを今広げようとしているのですから、その中にどれだけのものを教育が入れられるのかというのは、これは自民党というよりも文部省の力量の問題だと、私はこう思うんですよね。だから、財政構造改革法に言った精神なんてどこかにもう吹っ飛んでおるんじゃないですか。もっと新しい観点に立って教育はいかにすべきかということを文部省はお考えになった方がいいんじゃないかというふうに私の意見として申し上げておきます。 最後に、先ほども不良債権の問題が出ました。奨学資金の滞納を不良債権と言っていいかどうかということはちょっとなにですけれども、しかし、不良債権には間違いないと思います。 それで、不良債権になっている金額を、どこだって不良債権はあるんですから、できるんですから、それを公的に三十兆も出して何とかしようと言ったり、住専に六千八百五十億出して公的資金でやろうというふうなところまで不良債権処理が行っている今日ですから、何も育英会のところに五十年たって二百億のいわゆる焦げついた回収不可能な金ができたからといって、そのことに目の色を変えてあれこれと言うのはやっぱりためにする話だと私は思うんですよ。 だけれども、累積していったらこれはどうなるかという問題は必ずありますよね。だから、これの処理を法的にどうするのかということをやはりきちっとしておかなければ、国鉄の問題だってそうだし、問題を先送りするとどうしようもない事態が来るんですよ。会計検査院が指摘したいわゆる不良債権化している二百億円というのがあるならば、やはりこの時点でその処理をどういうふうにするのかということをきちっと一つの政策的な意味で、あるいはまた法律をつくらにゃいかぬのだったら現在の法律を改正するなりなんなりして明らかにしていかにゃいかぬのじゃないですかと、私はこう思うんです。 この点については文部大臣、そういう処理について明確な対応をこれからしていきますという点はぜひともしていただかなければ、もう議論しておっても結局また先送りになってしまいますよ。
○国務大臣(町村信孝君) 先ほど来、委員から奨学金のいろいろな意味での改善充実の御指摘をいただきました。今の不良債権化といいましょうか、返済ができない部分をどうするかといったようなことも私どももいたずらに先送りしていいと考えてはおりませんので、そうしたことをもろもろ含めまして、今後の奨学金政策といいましょうか、奨学金のあり方につきまして、今委員の御指摘の点を含めましてしっかりとまた検討することをやっていかなければいけない、御指摘のとおり教育改革の中でもそうしたことをこれから取り上げていきたいと、こう考えております。
○本岡昭次君 終わります。
○委員長(大島慶久君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
○委員長(大島慶久君) ただいまから文教・科学委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、国立学校設置法の一部を改正する法律案及び日本育英会法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山下栄一君 国立学校設置法の改正案に関連いたしまして、きょうは限られた時間でございますけれども質問させていただきたいと思います。 午前中も議論がございました看護職員の育成、そしてそれを育成される教官の育成、そういう観点から医療技術短期大学の三年制から四年制への改組が今回の法律案の中心になっておるわけでございます。同じように、心の病といいますか、今、心の教育ということも叫ばれておるわけでございます。目に見えない病でございますと、なかなか実態がつかみにくいということが学校現場でもある。学校に限らず、地域、会社でもそうかもわかりません。これからますます二十一世紀というのは心の時代といいますか、心の病が非常にふえてくるのではないか。そういう観点からの人材育成、指導者の養成が非常に重要になってくるというふうに思っております。 それで、まずスクールカウンセラーの問題でございますけれども、不登校の子供たちが大変ふえてきておる。どんな子供もそういう不登校になる可能性があるという観点からいろんな対策の充実も図られてきたわけでございます。その中で、このスクールカウンセラーの制度というのは平成七年度から始まったわけでございますけれども、いよいよ四年目を迎えるわけです。私は非常にこのスクールカウンセラーの配置は成功してきているのではないかというふうに思っておるわけでございますけれども、四年目に入るこのスクールカウンセラーをどう評価されておるか。これは研究委託事業という形で今進んでおるわけでございますけれども、スクールカウンセラーの配置の評価をお聞きしたいというふうに思います。
○政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生御指摘のとおり平成七年度から始まりまして、平成九年度現在の配置状況は小・中・高等学校合わせまして、千六十五校に配置されております。平成十年度の予算案におきましては、今年度に比しまして一・五倍程度に拡充するということで、積算の上では千五百六校分を予算案に計上しているところでございます。 この評価でございますけれども、全体として大変高い評価を得ているというふうに聞いております。ただいま先生からも御指摘のありました不登校、いじめ、その他さまざまな課題が各学校にあるわけでございますけれども、やはりカウンセラーという専門的な知識、技術を持った方がきちっと相談に当たる。その相談に当たる相手としては、先生の場合もございますし、直接子供たちが相談することもありますし、場合によっては保護者の方々をも相談の対象にするわけでございますけれども、いずれの方々に対しましても専門的な能力を持ってきちっと的確なアドバイスをするということで高い評価を得ているというふうに私どもは承知いたしております。
○山下栄一君 これは学校の中に配置しようというわけですから、それほど問題は切実であるというふうに思うわけです。地域の教育センターにそのカウンセラーの方を配置することも大事でしょうけれども、それも進んでおるわけですが、学校の中に配置する、非常勤の形で週二回ということですので、具体的な子供たちの相談ということもございますけれども、教員の相談に乗る専門家が学校の中にいらっしゃるということが非常に教員に安心感を与える。先ほど申しましたように目に見えない話ですから、学校に来ないのは怠けておるのか病気なのか、それが非常に判断に悩むわけですね。それが病気であるということがわかれば対応も変わってくるわけですけれども、それで非常に現場の先生方も困っておられる。 そういう意味で、教員の相談に乗られる方が、教員免許を持っておられないけれどもそういう専門家が学校にいらっしゃるということ、これはもう画期的な成果が出てきているのではないかなと、このように今私自身は評価しておるわけでございます。 ところが、大変な勢いで数をふやしているわけですけれども、そういう専門家の養成はどうなっているのかという観点で私は非常にこれは現実は厳しいのではないかと。今、研究委託ということで二年間配置しているけれども、二年たったらなくなってしまう。もっと本当はいてほしいけれども、仕方がないので、国の体制ではないので地元の自治体で引き続き単独予算でやられているところもあるわけですけれども、それほどニーズは高い。だけれども現実は、ふやせばふやすほどこれは将来どうなっていくのかなということが心配になってくるわけです。カウンセラーの配置について将来の方向性をどのようにお考えになっておられるか。
○政府委員(辻村哲夫君) ただいま現状を申し上げたとおりでございます。平成九年度時点では千六十五校、平成十年度では一・五倍増程度の千五百六校分ということで、そこまでの配置は定まっているわけでございますけれども、それから先の今後の配置状況でございますが、これはこの配置が研究委託事業ということで、評価をしつつ、今後どうしていくかということについては決めたいということでございまして、平成十年度から先、十一年度以降につきましてはなおこの内容を分析しつつ決めてまいりたい、具体的な計画というものは今まだ持ち合わせていないのが現状でございます。
○山下栄一君 いただいた資料でございますけれども、スクールカウンセラーとして配置されている方々は、例えば臨床心理士の資格を持っている方、場合によっては医学の観点から精神科医の方、また大学の教授というのはそういう心の教育の専門家ではないかなと、心の専門家といいますか、そういう観点からの大学の先生だと思うんです。臨床心理士の資格という観点から考えますと、この方々が比重としてはスクールカウンセラーとして大変高い比率を占めているというふうに思うわけです。 臨床心理士に限りましたら、例えば高知県、これはいただいた資料ですけれども、高知県では資格を持っている方々が十六人だと、ところが実際十九校に、これは平成九年度でしたか、その段階で配置されている。臨床心理士の資格を持っている人の方が少ないわけです。長崎県でも資格を持っている方が十八人だと、実は二十校に配置されている。 こうなってくると、来年、心の専門家が具体的に配置できるのかなという、こういう問題があるということを考えますと、この専門家の養成というのは本当に緊急の課題ではないかなというふうに思うわけです。臨床心理士という資格そのものをとってみてもそうだと、精神科医の方々もそんなにたくさんいらっしゃらないだろうと。ましてこれほど心の病がふえてくると、学校に頼まれても行く時間がないという現実ではないかというふうに考えましたときに、この養成というのが本当に重要な問題であると思うんです。 ちょっと医学じゃなくて心理学の観点に絞らせていただきますが、私はこれを平成七年の五月にも質問させていただいたんですけれども、心の専門家の養成のための大学、大学院、特に臨床心理学の学科、講座、大学の先生、これがニーズに追いつかないほど少ないのではないかというふうに感じておるんですけれども、実態はどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 臨床心理士につきましては、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の資格審査規定がございますが、これによりますと、幅広い教養に加えて高度の専門的知識、能力を必要とするために、学部段階にとどまらず、大学院で心理学や心理隣接諸科学を専攻し、修了後一、二年以上の心理臨床経験を有することが要件とされておるところでございます。 そこで、心理学関係の大学院でございますが、平成十年度の整備予定も加えて申しますと、国立大学では十二大学、十七研究科、十九専攻で、入学定員は修士課程が二百十二人、博士課程が七十二人でございます。それから、公立大学では二大学、二研究科、一専攻で、入学定員は修士課程が九人、博士課程が四人でございます。私立大学では三十大学、三十研究科、三十専攻で、入学定員は修士課程二百九十五人、博士課程七十一人でございます。したがいまして、全体では四十四大学、四十九研究科、五十一専攻で、入学定員が修士課程五百十六人、博士課程百四十七人となってございます。
○山下栄一君 局長からそういう御報告をいただいたわけですけれども、聞くところによりますと、学部段階でもそういう学科を持っている学科の入学試験は大変難しくなっている。そして、具体的に臨床心理を専攻する段階でも物すごく希望者が多くて、定員が少ないのでなかなか入っていけない。まして大学院というのは、今もお話を伺いましたがもう本当に少なくて、僕は少ない評価ですけれども、国立大学の大学院でも二百人ぐらいですか、修士課程で。だから、ニーズはすさまじくて、大学院の倍率も所によっては七十倍を超えるような高い倍率のところもある、だけれども教える先生が少な過ぎる。だから、これは本当に専門家を養成するためには教官もふやしていかなきゃいかぬと思うんですけれども、大学院そのものの定員が少なくて、教える先生も少ないという非常に厳しい実態があるのではないか。 冒頭申しましたように、時代はますます心の病がふえてくるという状況を考えましたときに、医学じゃない、心理学の部門でございますけれども、日本のこういう心理学の流れも、臨床心理という部門が後発部隊で、予算の厳しい国立大学の状況から、ふやすのが難しいという実態があるのではないか。 したがいまして、私は昭和四十八年に、すべての大学にお医者さんの専門養成の学科をと。また、先ほど申しましたように、看護職員もこれから物すごく必要だと。例外的に力を入れるんだという文部大臣のお話もございましたけれども、この心の専門家の養成もそういう観点からやはり例外的に力を入れるというぐらいの迫力で臨まないと、もうとてもじゃないけれども、スクールカウンセラー、これほど今学校現場で求められている状況の中で、もう来年どうするんだと迫られている厳しい状況があることを考えましたら、臨床心理学を中心とする大学院の充実、特に臨床心理士は大学院資格がないとこれは基本的に難しいということですから、緊急の課題ではないか。大学院の臨床心理部門の充実、さらに学部段階も充実強化、そして心の観点からの専門大学を日本に幾つかつくらなきゃいかぬほど、将来のことを考えたら緊急を要するというふうなことを思うんですけれども、この点、文部大臣どうですか。
○国務大臣(町村信孝君) 今、山下委員からスクールカウンセラーの重要性、そしてそれに伴っての臨床心理士の養成のお話をいただきました。いろんな方と話をしてみると、確かにスクールカウンセラーの重要性、また現実に果たしている役割、非常に大きいんだなということを今さらのように感ずるわけでありまして、そういう意味からもこの臨床心理士の養成がとても大切になってきているということもよく理解をいたしております。 ただ、なかなか試験も難しいようでありますし、大学院を出てまだ一定の期間経験を積まなければいけないということであります。したがいまして、こうした分野の大学院の充実、あるいは学部レベルの充実ということは、これは国公私立を問わず整備充実に努めていかなければならない、こう考えます。 ただ、それを待っていてもなかなか追いつかないという面もありますので、私は、現職の教員あるいはこれから教員になろうとする人たち、本当のプロではないけれども、要はカウンセリングマインドとでも言いましょうか、あるいは一定の素養を先生方に持ってもらう、一般の教員に持ってもらうということも非常に有効なんだろうと、こう思っておりまして、そうした面での研修でありますとか、あるいは教員免許取得に当たってのそうした方面の科目の充実でありますとか、そうしたこともあわせて充実をしていかなければいけない、このように考え、そうした方向で努力をしてまいりたいと考えているところであります。
○山下栄一君 私は、今大臣が答えられた観点とちょっと違う観点で申し上げておりまして、足らない分は学校の先生の経験者で補っていこうということじゃなくて、教員免許を持っておられるということじゃなくて、心の専門家としての心理学、特に臨床心理学の充実強化、そういう教育の段階、それはやっぱり大胆に強化する必要があるのではないかということを申し上げております。 きょうの午前中の審議でも、看護職員の養成、またその指導者の育成の観点から三年制の短期大学をやめて四年制のということ、これについてはちょっと例外的に力を入れるんだと。まさにその同じ問題が心の問題なのではないか。臨床心理学の専門家の数も少ないから、国公立大学も含めて大幅な予算の問題を含めた思い切った対策が必要ではないかと、このことを申し上げたいと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 今の委員の御指摘を踏まえながら、今後の充実を期してまいりたいと考えております。
○山下栄一君 終わります。
○松あきら君 平成七年六月の総務庁の監察結果、平成八年十二月の財政制度審議会報告、平成九年一月には高等教育の将来構想についての大学審議会答申、六月には文部省の協力者会議から育英奨学事業のあり方について報告が出されております。今回の育英会法の改正案はこれらを受けて出されたのかと私は思っておりました。しかし、一つは、もう子供も少なくなったことだし、教員希望者はたくさんいるし、免除をやめましょうという法案。また、余裕金を信用金庫にも預けさせてほしいという法案。三つ目は、せっかく法改正するんですから、昭和五十九年以来改正されていない育英会に対する罰則をこの際引き上げておこうという提案がなされました。 現在、残念なことに、御存じのように少子化が進んでおります。もちろん、晩婚化あるいは住居、あるいは子供を預ける施設に問題があるということでございますけれども、しかし今一番何が問題かというと、やはり教育費が高い、こういった声が多いわけでございます。少子化という問題は日本の将来にとってとても深刻な問題でございますけれども、この問題に全国のお父さんお母さんよ、安心してくださいと、こう回答を与えようと法改正が提案されるんでしたらいいんですけれども、今回の改正ではそういったことに至っていない。非常に残念でございます。 まず、教育職についての返還免除の廃止についてお尋ねをいたします。 教育職の返還免除を受ける条件は、卒業後一年から二年以内に教員に採用され五年勤続したら免除を受けられる。そして教育職に対する返還免除の廃止について、教員の給与と大卒行政職初任給の格差はとっくの昔になくなっているわけですね。現在、大卒で行政職の初任給は十七万三千円、教育職の初任給は二十万百円と優遇されているわけで、これはもう昭和四十年代から続いております。教員の方々も今種々いろいろな悩みをお抱えだとは思いますけれども、しかしそれでもなおかつ教員になりたい人が多く、教員確保ということに問題がなくなってきているわけでございます。 そこで、私は、この免除廃止というのはもうとっくの昔にしてもよかったんではないかというふうに思っておりますけれども、これは一歩前進がなという気持ちでおります。 大学院の教育職、研究職について免除を続行することになっておりますけれども、特に特殊法人、公益法人に就職した者でも対象となっているわけですね。免除しなければならないほどの収入状態じゃないと思うんです。今後、その免除のあり方についてその妥当性を調査していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘のように、大学院を修了して研究職についた者については、国、地方公共団体の試験研究機関のみならず、特殊法人あるいは公益法人の試験研究機関に就職した者についてもこの制度が機能するわけでございます。これは、若手研究者を確保することが我が国にとって極めて喫緊の課題であるということを踏まえて今回返還免除制度を残すこととしたわけでございまして、この制度の運用につきましては引き続き研究をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○松あきら君 それであれば、これは実は国公立を除いた民間学術研究機関と特殊法人の表なんですけれども、ざっとたくさんあるわけでございますけれども、やっぱり理系が多いんですよね。例えば文系の考古学とかそういうところには余りお金が出ていないわけで、ぜひそちらの文系の方にも、もしこれを続行なされるんであればよろしくお願いしたいと、これは希望しておきます。 次に、午前中に長谷川先生からも種々御質問がございましたけれども、育英会の平成八年度の財務諸表を見ますと、この事業の一般管理費が年間で七十六億円もかかっています。職員数は約五百人くらいです。借入利息の支払いが百六十三億円です。これは貸付利息収入の六十一億円と政府補給金百一億円の合計が対応いたします。一般経費が八十億円ありますけれども、これは国庫補助金の七十億円などで対応をしております。貸付金は、第一種無利子分が累積合計一兆四千六百八十一億円。第二種、有利子分ですね、これが累積合計三千三百三十一億円となっておりまして、この貸付金は国からの長期借入金で対応をしております。一般会計からの一兆四千九百七十三億円は無利子分の貸し付けに、また資金運用部からの三千四百十九億円は有利子分の貸し付けに振り向けていることがわかります。 長谷川先生もおっしゃっておりましたとおりに、毎年貸付金が一般会計からずっと出ておりますので、多分疑いもなくまた来年も出るということを前提にしていられるんだと思います。 一般会計から育英会に幾ら貸し付けてきましたか。そして、その返済は何年後でしょうか。今まで幾ら返済してきたんでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 事業総額が平成九年度二千五百三十八億円でございますが、そのうち一般会計からの借入金が八百七十四億円、全体の四五・七%となってございます。
○松あきら君 返済は何年後か。
○政府委員(佐々木正峰君) 返済期間は三十五年でございます。
○松あきら君 今まで幾ら返済してきましたか。
○政府委員(佐々木正峰君) トータルした金額が一兆三百九十八億九千六百万円でございます。
○松あきら君 その返済は何年後ですか。一兆何ぼも返してきたんですか、今まで。そのお答えでいいんですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 今申し上げましたのは要回収総額でございまして、返還金の総額ではございません。
○松あきら君 要するに八百七十三億ですか。これ三十五年後から返済ということで、返済してきてないんじゃないんですか。私が調べたところではそうでございます。 要するに、国は毎年七十億円の補助金を出し、校長や学長から推薦される学生生徒に平成八年度で年間二千三百九十三億円を貸し付けるために、日本育英会に貸し付け業務を委託しているということになりますね。お金を貸し付けるだけで七十億もの補助金がもらえて、その上育英会も返済免除を受けているわけです。 文部省に伺いますけれども、国民金融公庫など教育資金を扱っているところで見積もりをとって、例えばその委託料としてこれやってくださいといったら三十億円ぐらいで十分引き受けてくれるところがあるんじゃないですか。いかがでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 育英会への事業に要する経費についての補助金でございますが、平成九年度予算額で約七十四億円を計上しておるところでございます。そして、育英会におきましては、四十九万人の奨学金の貸与を行うとともに、約百四十万人の返還者からの奨学金の返還回収業務などを行っておるところでございます。 具体的には、貸付業務あるいは回収業務等多々の事業があるわけでございますが、育英会の奨学金については、採用に当たりまして人物、健康、学力、家計の基準に照らして判断をする。そして、成績不振者に対しましては激励をしたり、あるいは奨学生との相談を行うこと、あるいは貸与終了後の経済状況や就職先による返還猶予を行うことなど、学生本人への貸与事業という特質に基づいて業務を行っておるところでございまして、国民金融公庫に業務委託すること等はなかなか難しいものがあろうかと考えておるところでございます。
○松あきら君 現在、滞納者は何人おりますか。手短によろしくお願いいたします。また、滞納額は幾らぐらいになるんでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 滞納状況は、平成八年度末で延べ約十五万人でございます。滞納額が約二百二十四億円でございます。
○松あきら君 有利子分と無利子分はどんな比率になるでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 二百二十四億円のうち、無利子貸与が約十四万人について約二百五億円、有利子貸与が延べ一万人について約十九億円でございます。
○松あきら君 計算すると無利子分が六倍ですか、多いわけですけれども、何か無利子になると借りたということがもらったつもりになってしまうんでしょうか、とても私、考えてしまうんですけれども。 成績が優秀で経済的に困窮している者が校長、学長などの推薦を受けて奨学金を無利子で借りると。しかし、返さないあるいは返そうとしない者が、いろんな事情のある方、死亡者とか入っていらっしゃるのかもわからないけれども、十四万人もいると。そして、これを回収する職員が三百人ぐらいで滞納分を回収していると聞いておりますけれども、そうですね。
○政府委員(佐々木正峰君) おっしゃるとおりでございます。
○松あきら君 私は、一番問題なのは、返してもらえなくても銀行のように困らない体質がやはり育英会にはあるんだというふうに思うんです。これが民間の会社だったら経営も大変になってしまうわけで、こういったところで経営がどうこうなるわけじゃないからというようなところもあるんではないかなというふうに私は思います。 文部省はこういった育英会の体質をどのように指導するおつもりなんでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 滞納状況については、文部省といたしましても、育英会が貸与ということで幅広い人員を対象にして運営されているということを踏まえたときに、極めて遺憾なことと考えておるわけでございます。 したがいまして、今後さらに返還意識の徹底、口座振替による月賦払いの推進、滞納者保証人に対する早期督促体制の整備等必要な措置を講じ、返還がスムーズに行われ、速やかに返還金が確実に回収をされますよう育英会に対してさらに強く指導してまいりたいと思っているところでございます。
○松あきら君 川村日本育英会理事長が一年前、九七年二月二十四日にお書きになっているんですけれども、ずっと読ませていただくととてもすばらしいことをお書きになっていらっしゃるんですよ。その中で、 日本育英会の組織も変わらなければなりません。現在、日本育英会には五百人弱の職員がいますが、実にその半分以上が返還業務、とりわけ三年以上の滞納者三万七千人に対する督促に携わっているのです。 これは考えてみればおかしな話です。もしここが銀行であるなら、最も重要な仕事は、融資を受ける人に返済能力があるかどうか、融資先の会社の成長性はどうかということを判断することではないでしょうか。現在の日本育英会は、そうした機能を全く持っていないことが問題です。今後はコンピューターなどを有効に活周して、徐々に性格を変えていかなければならないでしょう。 こういうふうにおっしゃっているんですね。 本当にこれはすばらしいんですけれども、一年たっても全然変わっていないというのは、やはり私は、育英会がどんな状態でも経常経費は国から補助金がもらえると、だから経営的には何も問題がないという甘えの構造にさせているんじゃないかなというふうに思います。今一般の本当に財政が厳しい状態でございますから、この際抜本的な改革をすべきだと思いますけれども、大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 今、松委員から大変大切な御指摘をいただいたなと、こう思っております。たまたま川村理事長の文章も引用されましたけれども、本来であれば、借りた人は黙っていても全部返してくれるというのが理想でありましょうし、そうすればそれだけの人員が要らなくて済む。しかし、現実にはなかなか督促や何かをしても返ってこないという非常に嘆かわしい現状があるわけであります。しかしそれにしても、五百名弱で人件費が四十七億ですか……
○松あきら君 七十六億ですよ。
○国務大臣(町村信孝君) そのうちの人件費だけを見ると四十七億だそうなんですよ。ということは、一人頭九百万ということですね。これはちょっと私の直観でいってもいささか高過ぎはしないかなという印象を率直に言って持ちます。何か理由があるのなら後でちょっと聞いてみたいと思います。 いずれにいたしましても、今定員削減計画などもあって、定員削減をやっていくという方向も出されておりますし、それが十分なのかどうかもっと精査をする必要もあると思いますし、さらに今御指摘のあったコンピューターの導入等によって、もう既に導入はしているはずなんですが、より一層のスリム化を図るといったようなことで、まさに国の財政も極めて厳しいわけでありますから、日本育英会もそういう意味で一層の体質改善を図っていく必要があると考えます。
○松あきら君 ありがとうございます。そのお言葉でもう結構なんでございますけれども、返還金というのは次代の奨学生に循環運用する制度でございますので、これをどうしてもきちんと返してもらうべきだと。 ついては、今なかなか就職も難しい時代ですけれども、大体の方はきちんとした雇用関係を結ぶ、例えば大学を卒業したら。例えばそうした人からは給料から天引きにするとか、そういうことも考えたっていいんじゃないか。発想をそこまで考えれば、資金を貸すのに税金を使い、回収するのに税金を使うなんということは言われないで済む。そして、そういうことをして一銭でも多く、成績あるいは親の収入に関係なくたくさんの方に貸してあげられる制度というのをぜひお考えいただきたいということを申し上げて、はしょりましたけれども、質問を終わらせていただきます。
○日下部禧代子君 看護婦問題あるいは看護教育問題につきましては、当時私、厚生委員会に所属しておりまして、平成四年の看護婦等の人材確保の促進に関する法律の成立、さらに、同法に基づく文部、厚生、労働の三大臣告辞による基本指針の策定などにかかわってきた者といたしまして感慨深いものがございます。 と申しますのも、平成三年九月十日の厚生委員会の会議録を見ますと、当時の大学における看護教育の状況についての私の質問に対して文部省のお答えは、看護課程のある大学が国立が六、公立一、私立四、合計で十一大学にしかすぎませんでしたし、また、修士課程のある大学院は五、そして博士課程に至りましては二つの大学院しかございませんでした。入学定員も、大学五百五十八人、修士課程が六十八人、博士課程が十三人。今日、平成十年には、看護課程のある大学が六十五大学、そして修士課程二十二、博士課程が七というふうに、当時から約四倍から五倍の増加ということがわかります。この間の文部省の努力は一応評価したいというふうに思います。 しかしながら、この進行の度合いを非常に急速にというふうに申し上げでいいのかどうか、次の質問から推測しなければならないと思うのでございますが、まだ国立大学の医療技術短期大学部が十五ございますね。今回の法改正を含めましてたしか十五になると思います。その中には、北海道大学を初めといたしまして京都大学、九州大学など、かなり古くからの伝統を持つブロックの代表のような大学がございます。 そこで、いつまでも短期大学でおるということは問題ではないかというふうにも思うわけでございます。その地域の需要なども勘案いたしまして、計画性を持って四年制に昇格すべきだというふうに私は思いますけれども、どのような御方針をお持ちでいらっしゃいますか。また、その推進にはどのような問題があるのでございましょうか。もし問題があるとしましたら、その解決にはどういうことが必要というふうに考えていらっしゃいますでしょうか、大臣の御所見をいただきたいと存じます。
○国務大臣(町村信孝君) 詳細はまた局長の方からも補足をしてもらいますが、基本的な方向は、日下部委員御指摘のとおり、積極的に転換をするということで今日まで六大学、そして今回二大学ということで、しかしまだ残っているのが十幾つあるという状況でございます。 国の財政事情などもありまして一遍にどんどん進めるというわけにもなかなかいかないのでありますが、医療の高度化に対応できるような十分な看護婦の育成ということの重要性にかんがみまして、今後とも着実に、かつ積極的にこれを進めでまいりたい、こう考えております。 なお、どういう問題が現実にあるかというのをちょっと局長の方から答えさせます。
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘のように、残る医療技術短期大学部は十五大学となるわけでございますが、今後これを転換するに当たっての課題といたしましては、一つは、大学において教員となるべき人材が不足をしておりまして、教員確保が困難であるという状況がございます。それともう一点といたしましては、財政構造改革等によりまして国の行財政事情が非常に厳しい状況にあるということが課題としてあろうかと思います。 これに対応いたしまして、教員確保については現在、看護系大学あるいは大学院の設置を進めており、人材養成に引き続き努めてまいりたいと考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、大学、大学院での人材養成に対するニーズが極めて強いということを踏まえまして、それぞれの大学における準備状況なども勘案しながら、医療技術短期大学部の四年制大学への転換について積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○日下部禧代子君 先ほどから同僚議員の御質問に対しましても、非常に積極的に推進なさるという御意思はわかるのですけれども、それに対する計画とか計画性というものについてまだお聞きしていないような気がするのです。アトランダムにやっていくというのではちょっとこれはおかしいと思います。何か計画というものがおありでしたらお知らせいただけますか。
○政府委員(佐々木正峰君) 平成五年度から医療技術短期大学部について四年制の医学部の学科への転換を進めておるわけでございますが、その推移を見ますと、平成五年度、六年度、七年度、八年度は一大学でございます。平成九年度が二大学、そして今回お願いしております十年度が二大学ということで、一ないし二大学ずつ転換をしてきたというふうな経緯がございます。 これは、その転換に多額の経費を要するということもございますし、それぞれの大学において準備が整う、教官配置あるいは教育内容等も含めて準備ができるということが必要でございます。 そういった観点で今後とも医療技術短期大学部の転換を進めてまいりたいと思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、例えば御指摘いただきました北海道大学等について医学部の学科とするような人的な整備というものができるのかどうか、そういった状況を十分見きわめながら対応していかなければならないと考えておるところでございまして、何年計画で漸次という形にはなかなかまいらないというのが率直なところでございます。
○日下部禧代子君 やはり計画性のあるもの、計画に基づいて進めていくということは必要ではないかということを申し添えておきたいと思います。 次に、大学医学部附属の看護婦養成所が今現在東大と千葉大だけだと思うんですが、これは廃止して四年制看護学科に編制すべきだと思いますが、なぜ二大学にだけ残っているのかという御説明と同時に、これは廃止の方向にあるのかどうか、これはここで今廃止の方向とおっしゃってしまうといろいろな影響があるかもわかりませんが、そのことも含めまして御説明いただけたらと存じます。
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘にございましたように、国立大学医学部の附属看護学校は現在、東京大学と千葉大学にそれぞれ一校ずつ設置されておるわけでございます。 この東京大学と千葉大学につきましては四年制の看護系学部・学科も有しておるわけでございますけれども、看護学校を存置しておりますのは、それぞれの大学の附属病院の看護婦の確保を主たる目的としてその養成を行っているというところにあるわけでございます。 看護学校の四年制への転換につきましては、それぞれの大学において既設の看護系学部・学科との関係も含めて十分な検討を行うことが必要であろうと考えておりまして、その検討結果に基づいてしかるべく御判断をされるというふうに考えておるところでございます。 文部省といたしましては、それぞれの大学における検討状況あるいは国の財政状況を勘案しながら、今後適切な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○日下部禧代子君 今、看護学部・学科があるにもかかわらず看護婦養成所が二つ残っているということの意味として看護婦の確保というふうにお答えがございましたけれども、これから看護婦さんというのはさまざまな高度の医療そして需要、非常に広いものがあると思うんですね。そういたしますと、やはり看護婦さんも看護大学を出た看護婦さんということで、看護婦さんの確保は養成所で教員は大学というふうな、そういう考え方は改めるべきだというふうに私は思います。やはりその点、私は承服しかねます。 それでは次の質問にいたします。 まだ看護学科を持っていない、あるいは掌部を持っていない大学、公立が二十五、私立大学が二十七あると思いますが、これらの公立、私立の看護教育の大学化についての支援はどのようになさるおつもりでございましょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 具体的な支援策といたしましては、国全体で見た場合、公立大学につきましては、地方公共団体が看護系大学を設置する場合、校舎等の施設整備費及びその用地費に対して起債が認められているところでございます。私立大学につきましては、大学が設置をされてから例えば経常費助成等が行われるというのが基本でございまして、大学を設置する際に国として財政的な支援を講ずることは困難であると、現在そういった制度はないところでございます。 文部省といたしましては、公私立大学の設置につきまして、大学等新増設は原則的に抑制という方針をとりておるわけでございますけれども、その方針の例外として取り扱うこととしておりまして、今後、看護系大学の設置につきまして引き続き積極的な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○日下部禧代子君 先ほどの質問にもつながるかと思いますが、最終的に看護系大学あるいは学部・学科は何枚ぐらいにするというふうなお考えでこの推進を進めていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 具体的に何枚という整備方針を現在立てておるわけではございませんが、厚生省における看護婦の需要数等を十分勘案しながら対応する必要があると考えており、看護系大学の設置、整備につきましては厚生省と十分相談しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○日下部禧代子君 次に、看護教育の充実の問題について質問いたします。 平成九年度で学年進行が完了した十二の国立大学の看藩学部・学科の教授百二十四名のうち、医師免許所有者が五十一人で四一・一%、それから 看護免許所有者が五十七人で四六%ですね。公立、私立を含めた二十八大学の教授クラス二百六十二人のうち、医師免許所有者が八十七人、三三・二%、それから看護婦免許所有者百四十八人、五六・五%、よろしゅうございますか。 同じような質問を私は平成三年十二月十七日の厚生委員会において質問をさせていただいております。その当時の会議録、私の質問などを見てみますと、当時の文部省のお答えにはやはり教員の確保が絶対的に不足であると出ております。きょうも同僚議員の御質問に対するお答えがございました。 特に、絶対数についての問題というよりも、私がきょう質問したいのは、看護教育の充実には医師免許所有者よりもむしろ看護免許所有者の教員がふえなければならないというふうに平成三年のときの厚生委員会においても私は文部省に対して申し上げたのでございますが、当時は非常に医師偏重が甚だしいときでございました。例えば弘前大学教育学部の場合には、その教員養成課程におきましては医師が一〇〇%でございました。それから、東京大学医学部の保健学科では医師が六七%、看護一一%、そしてまた京都大学の医療技術短期大学部では医師が一〇〇%という時代がございました。 それから見ますと、私が先ほど申し上げた数字というのは、看護免許を取得している方がかなり教授になっていらっしゃるというので大変に増加したというふうに見てよろしいと思いますが、でもやはり国立大学を見ますと、公私立を含めた二十八大学の割合と比べますと、どうも国立大学においてはまだ看護職の割合が相対的に低いというふうに思うのですが、これから看護職の教授あるいは教員の割合を高くするということについてどのような方策をお考えでいらっしゃいますか。
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘にございますように、国立の看護系大学における看護職の免許を有する教授は平成九年五月一日現在で四六・〇%でございまして、国公私立大学全体の割合の五六・五%から見ると低い状況にあることは御指摘のとおりでございます。 文部省といたしましては、やはり看護職の免許を有するということで、看護学について深く研究をし、同時に実際の教育においてより実地に即した指導が可能である看護系教員の確保というものが今後の看護学教育の充実を図る上で極めて大切な課題であると認識をしておるところでございます。そのため、国公私立を通じて看護系の大学、大学院の整備に積極的に取り組んでおるところでございます。 特に、大学の教員ということでございますので、大学院の整備というものが極めて大切でございます。平成三年度には修士課程が五、博士課程二であったものが、平成十年度予定では修士課程二十二、博士課程七となっております。この点については先ほど御指摘をいただいたとおりでございますが、特に近年設置された看護系大学については、その学年進行の完了に伴い引き続き大学院の修士課程の整備を進めてきておりますことから、平成九年度及び平成十年度の二カ年間で見ますと、国立が七、公立が五、私立二の計十四の修士課程が設置をされたところでございます。 今後とも、看護系大学院の整備を通じて看護系教員の育成確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○日下部禧代子君 なぜ看護学部あるいは看護学科の看護免許所有者の教員がふえなければならないかという点は、これはもう当然のこととしておわかりだろうと思うんですね。今まではどうしても医師の視点に立つ看護教育が行われてきたわけでございますけれども、これからはいわゆるキュアとケアでむしろケアの方が重点を置かれるような状況になっておりますし、また在宅医療、在宅福祉サービスということもこれからの高齢化社会には不可欠でございます。医療とそれから福祉というのは、これは主従の関係ではなく対等の形でそのサービスが要求されているわけでございます。 また、患者のクオリティー・オブ・ライフということを考えますと、医師の指導のもとにという形での看護婦養成ではなく、医師と対等、そしてまた違った立場における専門家ということが必要であるわけです。そのためにはどうしてもやはり看護免許取得者の教員をふやすということが不可欠だろうというふうに私は思うわけでございます。 それに関連いたしまして、国立大学の看護学部あるいは学科の年間の学生一人当たりの教育に要する費用を医学部の場合と比較していただきたいと存じます。
○政府委員(佐々木正峰君) 医学部と看護学部においては教官の定員や学生定員等が違うわけでございまして、人件費、教育研究費あるいは施設費、整備・備品費等の学部運営に要する経費には大きな違いがあるわけでございます。したがいまして、学部運営に要する経費を学生数で割った額を学生一人当たりの経費とする、そういう考え方に立ちますと、平成七年度の学校基本調査により推計すれば、医学部で約四百七十万円、看護学部で約百七十万円というふうに差異が生じているわけでございます。 文部省といたしましては、看護教育の充実、教育研究の質の維持向上を図っていくことが重要なことと考えておりますので、厳しい財政状況のもとではありますけれども、引き続き主要な経費の確保に努めてまいりたいと考えております。
○日下部禧代子君 平成元年度の場合、これは当時の会議録での私の質問に対する文部省のお答えでございますが、医学部の場合は年間一人当たり三百七十万円、看護学部の場合には百七十万円というふうなお答えをいただいております。当時からそれほど上がってはいないし、両者の差も狭まってはいないというふうに思います。 それと同時に、この統計の出し方でございますが、看護学部は学部として設置されているのは千葉大学のみであるというふうに限定されているわけですね。医学部については、医学科のほか看護学科、保健学科等を含んでいるということであります。これはどういうことを意味するかと申しますと、医学部の中に看護学科、保健学科があるということは、予算はそれを丸めた形で、そして看護学科の方に配分されるということであります。 ですから、医学部と看護学部との格差だけではなく、看護学科として医学部の中に含まれるのではなくて、看護学部としてやはり独立する必要があるということを私はもう一つの問題として申し上げておきたいわけであります。 これは、先ほども申し述べましたけれども、医学部の中の看護学科となりますとどうしても医師中心、医師主導の発想のもとにつくられていることになるわけでありまして、学科をどこの学部に併設すればいいかということになりますと、むしろ教育学部とか福祉学部など、すなわち人間科学に関係する学部の中に含まれる方がこれからの看護学教育においては望ましいのではないか。 と申しますのも、やはりこれからは疾病中心というよりも人間中心ということで、医学と看護学とは違うわけであります。そこのところをきちんとしなければ、これからの本当のニーズに対応し得る看護婦さんあるいは看護教員というのはなかなか養成されないのではないかというふうに私は思っておりますし、また、多くの看護学の専門家に伺いましても、私の意見に同意、同感の方が非常に多いことも申し添えておきたいというふうに思います。 次に、看護それから保健だけではなく、これからの高齢社会に対応するには福祉関係の人材養成も急務であるというふうに思います。 ところで、国立大学に福祉学部はございますか。
○政府委員(佐々木正峰君) 国立大学に福祉学部はございません。
○日下部禧代子君 福祉学部はございませんというふうなお答えが返ってくるのは、これはやはり意外と思っていただきたいのであります。公立大学に福祉学部ができましたときは、それまで公立にもなかったものですから新聞に載ったぐらいだったわけであります。福祉ということが大変な国民的課題、国家的課題になったにもかかわらず、福祉学部というのはこれまで大半が私立の大学が担ってきたわけであります。 これから福祉学あるいは社会保障学、一つの重要な学問の一部として、一学問の分野としてと申し上げた方がよろしいと思いますが、この研究体制の確立ということも非常に私は国家として支援しなければならない大きな課題ではないかというふうに思うわけでございます。国立大学に福祉学部あるいは社会保障の専門の学部がないということは、片方で福祉問題の深刻化とか、日本の福祉問題は大変な国家的課題であるというふうな言葉が叫ばれているのと非常にこれは矛盾する状況ではないかというふうに私は思います。 今、私立は福祉学部、福祉学科の新設ラッシュでございます。ところが、なかなかその教授陣がそろわないんですね。私も福祉学界の友人たちみんなに声をかけて何とか教授陣を紹介してくれないかというお声にこたえようとするのですけれども、ほとんどの方たちがかけ持ちは当然のことという状況になっておりまして、なかなかこの部門においても教育に当たる専門家というのが不足しているわけであります。ですから、今、社会保障あるいは社会福祉を教えている方々というのは経済学の御出身という方が非常に多いんですね。 こういう状況を国としてどのようにとらえていらっしゃるのか。これから福祉学部のある国立大学、国として社会保障あるいは社会福祉というものをどのように学問の分野としてとらえていこうとなさっているのか、御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) まさに高齢者介護等々で福祉の重要性が国全体で認識され、またそうしたことに関する社会的要請が非常に高まっているのは日下部委員御指摘のとおりであろうと、こう思っております。 現実を見ますと、確かに私学が中心ですが、例えば平成九年度と十年度を見比べましても、福祉学部・学科の設置状況は、学校数で十五校ふえて七十四校、それから入学定員で見ても千九百十名ふえまして八千六百六十九人、大変急速にふえております。 こういう状況で、公私立大学を中心に設置をされているわけでございます。現実にそういう状況があるということに加えまして、それぞれの国立大学がそうした学部なり学科なりをつくろうという考え方の方々がどれだけいらっしゃるだろうか。これは文部省からこういうものをつくりなさいと言って命令をするわけにはなかなかまいりません。ある部分ではどうしても学問の自由とか大学の自治というものもありますので、確かに社会的要請があるからといって、国立大学ですから文部省が全部言うとおりにしてもまたいいわけでもございません。そういうようなことやら現実の行財政事情、こういったことを総合的に勘案しながら対応していかざるを得ない課題ではないのかな、このように考えます。
○日下部禧代子君 福祉学界の多くの先生方が私の今申し上げたような考え方であるということをお知りおきいただきたいと存じます。 次に、文部省は昨年、平成九年三月三十一日に、高等学校における看護教育の充実・振興に関する調査研究会議報告をお出しになっていらっしゃいますね。そこで、現在准看護婦を養成している高等学校衛生看護科につきまして、現行の三年教育に二年の専攻科を上乗せして看護婦養成を事実上変更するというお考えを示したものと受けとめてよろしゅうございますね。 それで、文部省が准看書婿養成というものを廃止するというふうにとらえてよろしいのかしら、それとはまた違うんですね。どのようにこの准看護婦養成を廃止するというふうに御計画をなさっているのか、その御計画を具体的にお示しいただきたい。 それから、今この看護教育の四年制の大学化が進む中で、十五歳の生徒に五年間の教育をいたしまして看護婦養成をするというのは、これは資格としては高卒になると思いますが、矛盾はしないのでしょうか、その点も含めてお答えをいただきたい。
○政府委員(辻村哲夫君) 看護婦養成のあり方につきましては厚生省の方で御検討になりお決めになるわけでございます。厚生省の方では、平成八年十二月に准看護婦婦問題調査検討会という検討の場を設けられまして、一定の方向を出されました。その方向は、現行の准看看護婦養成課程の内容を看産婦養成課程の内容に達するまで恒改善し、二十一世紀初頭の早い段階を目途に君書婿養成制度の統合に努めることということで一応の方向が出されたわけでございますが、まだこの具体的な統合の時期あるいは具体的な方法といったものがなお厚生省において検討中でございます。したがいまして、今後どうなっていくかという具体的な像は必ずしも明確にはなっていないということでございます。 そこで文部省でございますけれども、こういう厚生省におかれます検討とあわせまして、私ども衛生看護科をどのようにしていくべきかということで検討会を設けまして、その方向を示していただきましたのが先ほど先生御指摘になりました平成九年三月の結論でございます。そこで統合の方向ということを一応は示されておりますので、もしそういうことになったとするならば、衛生看護科に二年間の専攻科を加えて五年間の一貫した看護婦養成機関としてこれを位置づけるという方向は示してあるわけでございますけれども、なお一つの方向として、いつ、どのようにということがまだ具体的なものになっておりませんので、現時点では国として具体的な計画を策定するには至っておりませんで、各学校におきます専攻科の設置に任せてございます。ちなみに、現在、衛生看護科は全国で百三十校ございますが、そのうち専攻科は五十三校に設けられているというのが現状でございまして、当面は各学校の判断にゆだねられるということでございます。 それからもう一つ、専攻科の位置づけでございますけれども、これは普通科の上に精深な程度においてさらに教育研究を深めるということになってございます。衛生看護科以外にもさまざまな専攻科があるわけでございますけれども、その専攻科が充実され、看護科のように君看護養成機関として指定される、そういう前提で三年間の本科衛生看護科と二年間の専攻科という形で五年間の一貫教育を施す、これはこれで一つの看護婦養成機関としてあるべき一つの方向ではないか、こんなふうに考えております。
○日下部禧代子君 時間が迫ってまいりましたので、次に日本育英会法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。 今回の返還免除制度の見直しというのが財政状況を踏まえたものというごとであるならば、財政状況が好転すればまた改めて検討するということになるのかということが一点でございます。 次に二点目として、見直しの理由として日本育英会における学資の貸与に充てる資金の効率的運用が挙げられておりますけれども、今回の改正の結果、具体的にいかなる効率的運用が行われるのかということについてが二点目でございます。 それから三点目は、返還免除を廃止した分は返還分がふえるということになりますが、その試算はどのくらいになっているのか、それが三点目でございます。 それから四点目でございますが、これは様式の問題です。借用書に本籍欄がございます。何のために本籍欄が必要なのか、これは人権の問題からしても私は廃止した方がよろしいのではないか、廃止すべきではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 最初の点だけ私の方から、あと二点目、三点目、四点目は局長の方からお答えをさせていただきます。 確かに財政状況というのが一つの大きな理由にはなっておりますが、それと同時に、今の教員の採用状況、御承知のように大変競争率は高くなっておりますし、また教員の給与も人材確保法等々によりまして一般の公務員よりは優遇をされているという状況もありますので、奨学金の返還免除で教員の人材確保を図るという必要性はむしろ今日薄らいでいるのではないかというような考え方があるわけでございます。そのようなことから、こういう形でより収支はその分好転するわけでございますので、それは条件の改善なりあるいは貸与人員の増といったような形で今後むしろそれを有効活用していった方がいいのではなかろうかなと、こんなふうに考えているところでございます。
○政府委員(佐々木正峰君) 二点目でございます。返還事業でございますが、貸与を受けた奨学金を卒業後返還し、返還された奨学金を次代の学生の資金とするという貸与制度のもとで運用されておるわけでございますが、教育職または研究職についた場合には、人材確保という観点から特例として返還免除制度が設けられておるわけでございます。この返還免除に関する特例を廃止し、本来の貸与制に戻して返還させることによりまして、その返還金を今後の貸与事業のための資金として活用してまいりたい。そのことを資金の効率的な運用と述べさせていただいたところでございます。 それから三点目でございますが、その効果の問題でございます。この返還免除制度を平成十年度入学者から廃止するということになりますと、例えば大学学部では平成十四年度から年々約七億円ずつ返還金が増加をしてまいるわけでございまして、短期大学、高等専門学校につきましても同様な形で増加が見込まれまして返還金は毎年増加していくわけでございます。そして、平成二十八年度以降は全体で年間約百十億円の返還金の増加が見込まれるところでございます。この増額分につきましては今後の育英奨学事業を充実するための財源として活用してまいりたいと考えておるところでございます。 それから四点目でございますが、奨学金借用証書の本籍の記入でございます。これは、本人が住所不明等となった場合であって連帯保証人にも連絡がつかない、そういったような場合に本籍から現住所を確認する以外に方途がない場合がある。そういった際に必要となることから借用証書に本人の本籍を申告させているわけでございます。 しかしながら、この問題はプライバシーの保護の観点からいかがかという点がございますし、また、一般的に金融機関において債務者に対し本籍を申告させている例も余りないというふうに承知をいたしておるところでございまして、日本育英会に対しては本籍の申告の廃止を指導しておるところでございます。育英会においても現在検討中であるというふうに伺っておるところでございます。
○阿部幸代君 初めに、日本育英会法の一部を改正する法律案について質問いたします。 ほかの会派の委員さんと若干ダブるところもあるんですけれども、文部省の「教育指標の国際比較」、平成九年版の「政府機関等奨学制度の国際比較」によりますと、日本は一九九七年にすべて貸与で、年間予算は二千五百三十八億円、受給者数は四十九万三千人とあります。アメリカは一九九五年のデータで、貸与がふえてきているというものの、給費と貸与を合わせると三兆円を超える予算で、受給者数は千三百万人。大学生の数が日本の約二・五ないし三倍になあと思うんですが、奨学事業費は約十二倍になります。イギリスはすべて給費で、年間予算五千六百億円。日本の二倍以上です。ドイツでは給費もしくは半額給費、半額貸与で、受給者数は六十二万三千七百人。日本よりも多い受給者数になっています。各国とも給費が主流で、貸与がふえてきているアメリカの場合でも、給費予算は六千二百六十二億円、その受給者数は五百二十九万人に上ります。アメリカの場合は、給費分で足りない分をほかの制度と組み合わせて利用しているということも伺っています。 各国とも日本のような高い学費に悩まされるようなことはない。つまり学費はゼロか、あっても安いわけで、これらの奨学制度というのは、ですから学生の生活支援になります。日本ではせいぜい国立大学の授業料負担を賄うのが精いっぱいではないかと思うんですが、グローバルスタンダードで見て日本の奨学制度は余りにも劣悪だと思うんですけれども、文部大臣どうでしょうか。 〔委員長退席、理事小野清子君着席〕
○国務大臣(町村信孝君) 今それぞれの国の状況をお示しいただきました。それぞれの国の大学の仕組みも違いますし、それぞれの国の奨学金の歴史というものもまた違うようであります。 日本の場合は日本育英会という形で始まった現在の姿があるわけで、先ほど来の他の委員の御指摘にもありましたように、私も現在の姿で決して胸を張って国際的に見て十分であるということを言うつもりは率直に言ってございません。さらに改善の余地があるであろう、こう思っております。 ただ、本当にもし学費が高くて大学に行けない、あるいは奨学金が非常に少ないからとても大学に行けないという状況であるのかどうなのかなとと考えたときに、現実にこれだけ大学あるいは短大進学率が急速に上がっているというのは、一面から考えればそれだけ熱心だということのあらわれでもあるでしょうし、一面から見ると、要するに日本人の所得水準が相当高くなってきているから、ある意味ではこの程度の負担は自前で賄えるんだよということの意味合いかもしれない。本当にこれがネックであるならば、そんなに急速に大学等への進学率が上がらないんじゃないのかなと思ったりもいたします。 いずれにいたしましても、先ほど来諸先生御指摘のとおり、さらにいろんな面で改善をしていきたいし、特に私は数の面でもっとより多くの方々に奨学金が提供できるような、例えば財投の活用といった方法も一つあるかと思いますけれども、そうした方向でより一層充実、拡充を図ってはいきたいな、こう考えております。
○阿部幸代君 財政構造改革法案審議の際の議論を蒸し返すようなことはしたくないのですが、その際、私は世界一高い高等教育費について取り上げ、それを下げるための財政支出の増額を求めました。きょうはその問題は省略しますが、世界一高い高等教育費に対処するためにあるのが奨学制度だと思うんですけれども、違いますか、大臣。
○国務大臣(町村信孝君) この日本育英会は昭和十八年か十九年という戦争中に始まったわけで、あるいは戦後のずっとある時期を見ても、日本が諸外国と比べて当時から図抜けて高かったわけではない。戦時中はよくわかりませんが、戦後はまさに国民全体の低い所得水準の中で学びたい方々へという意味合いが大変あったんでしょうし、今日に至るもこの奨学金が大きな頼りになっている学生さんが相当数いることもまた事実でありましょう。 したがいまして、世界一高いかどうか、それはどこをレベルに置くかによって、アメリカの私学などと比べればまだまだ日本も安いという見方もできるかもしれませんし、いずれにいたしましても、できるだけ学生の負担を軽くしながら一生懸命勉強できるような、そうしたもろもろの環境整備には幅広く私どもも努めていかなければいけない、それは文部省の本来的な責務であろうとは考えております。
○阿部幸代君 学費問題の議論の場ではないので、ただ、世界一高い学費というのは常識ですから、文部大臣、認識をしていただきたいと思います。 学費に対処するための奨学制度という問題ですが、このことは臨時行政調査会ですら建前上認めざるを得ないんですね。ですから、「高等教育の機会均等を確保するため、授業料負担については、育英奨学金の充実等によって対処することとし、」こういうふうに八二年七月の臨時行政調査会答申では一応述べているんです。 教育基本法の、教育の機会均等、また日本育英会法の、すぐれた学生及び生徒の人材育成と教育の機会均等という二つの目的を実効あるものにするために、私は育英奨学制度を希望者全員が利用できるよう健拡充する方向が求められているというふうに思っています。 そこで伺いたいんですけれども、文部省の高等教育局学生課締の「大学と学生」第三百九十号、平成八年度学生生活調査報告というのがあります。ここで、大学昼間部の場合、「全学生数の約半数が奨学金の受給を希望していることとなる。」と、こういうふうにあるんです。 〔理事小野清子君退席、委員長着席〕 文部省にあらかじめお願いして人数を試算していただいたんですけれども、学部学生に奨学金を希望者全員に貸与する場合、このアンケート調査に基づく試算によりますと、増員分は九十七万人になります。また、大学院生に奨学金を希望者全員に貸与する場合、試算してみますと増員分は六万六千人になります。間違いないと思うんですが、どうですか。
○政府委員(佐々木正峰君) おっしゃるとおりでございます。
○阿部幸代君 つまり、育英奨学制度の大規模な拡充が実は求められているんだと思うんです。 ところで、今回の法改正によりますと、学資の貸与に充てる資金を効率的に運用するということで、教育職の返還免除制度を廃止するというふうになっています。先ほど来のほかの会派の委員さんへの答弁の中で、平成七年から一年間に七億円資金がふえていく、回収金がふえていく。それが繰り返されて平成二十八年から百十億円の資金増が見込まれて、これが当てにできるわけですね。このことによって一体何人分の奨学金受給者増を見込んでいるんでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 平成十年度の入学者から返還免除制度を廃止するとすれば、平成二十八年度以降、全体で年間約百十億円の返還金の増加が見込まれるわけでございます。 この百十億円について、現行の平均貸与月額により奨学金の貸与を行う、こういう仮定を置きますと、大学学部の場合は約一万八千人、大学院修士課程の場合は約一万一千人、大学院博士課程の場合は約八千人の奨学生を新たに採用することができることになろうかと思います。
○阿部幸代君 百万人からの希望者がいる中で、平成二十八年から百十億の返還金の増が見込まれるということで、奨学金受給者教の増は今おっしゃられたとおりで、希望者からははるかに離れた数でしかないわけですね。 次に、日本育英会のいわゆる滞納金問題に関連して質問したいと思うんです。 会計検査院の平成七年度、一九九五年度決算検査報告によりますと、日本育英会の平成七年度末の滞納額が二百億余円に上っていたとあり、このことは波紋を呼びました。この問題は私は正確、厳密にとらえる必要があるのではないかというふうに思うんです。 日本育英会は、大臣もおっしゃいましたけれども、一九四三年十月十八日に財団法人大日本育英会として創立され、翌年特殊法人になり、戦後一九五三年に日本育英会と名称が改められて、五十余年の歴史を持っています。ですから、滞納額も歴史的に見る必要があるんだと思っています。 文部省にこれもあらかじめ資料を出していただいたんですけれども、平成八年度の累積の要回収額は一兆六百二十三億円、回収額は一兆三百九十九億円。つまり、回収額の要回収額に対する比率、回収率ですね、言いかえると返還率というふうになるんだと思うんですが、これは九七・九%に上るんですね。回収率、返還率九七・九%、非常に高い回収率だというふうに私は思います。累積した滞納額はこの年二百二十四億円になります。つまりこの数字は、回収率、返還率は高いけれども、でも一九八六年から始まったいわゆる解消不能債権の償却規定には該当しない額で、なお一層の努力をと、こういう数字だというふうに思うんですけれども、一違いますか。
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘のとおりに、平成八年度末までの奨学金の累積の要回収額は一兆六百二十三億円でございまして、このうち一兆三百九十九億円を回収しており、滞納額は二百二十四億円となってございます。 この滞納額は、平成七年度末に二百億円であったものが一年間に二百二十四億円と一二%増加をしたものでございます。これは、当年度に新規に発生した要回収額についての滞納率が増加していること及び前年度以前に発生した滞納額についても回収がなされず滞納となっているものの割合が増加していること等に基づくものと考えておるわけでございます。 卒業生の返還金を次代の学生の奨学金の資金に充てているという日本育英会の事業のあり方からは、このように滞納額が毎年増加していることは非常に深刻な問題であるというふうに考えておりまして、返還回収に引き続き真剣に取り組まなければならないと考えておるところでございます。
○阿部幸代君 滞納額がどうなってもいいとか、もう回収しなくてもいいとか、そういうふうに私は思いません。ただ、歴史のリアリズムとして、回収率、言いかえると返還率なんです。まあ、よく返しているなというふうに思います。まじめに返しているなどいう数字だと思いますよ、九七・九%というのは。なお一層努力をしていただきたいという数字として滞納額があるということを押さえたいというふうに思います。 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案に関連して質問いたします。 国立大学等の施設の老朽化と狭隘化対策について質問したいんですけれども、初めに国立大学の果たしている役割と使命についてです。 家計が大変だった私の場合など、育英奨学金と学生寮と国立大学の三点セットというのは本当に心強い存在でした。その後学費がどんどん引き上げられてありがたみが薄れた感は否めませんが、やはりすべての国民に高等教育を受ける機会均等を保障する役割を国立大学は担っているのだというふうに思います。同時に、最も基盤的な学術研究機関としてその果たすべき使命は大きいのだというふうにも思います。 国立大掌の役割と使命について大臣はどのようにお考えになるか、基本認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) その時々によってかなり国立大学の使命というのは、例えば戦前と戦後とまた今日と、それは相当変わってくるんだろうなと思いますが、基本的には相対的に低い学費で、しかも一生懸命勉強したい、高等教育を受けたいという人たちに教育の機会を提供する、そして国家あるいは社会が求める有為な人材を輩出するという意味では、基本的には私は阿部委員と同じ認識に立っているかなど、こう思います。 例えば、学費の話はきょうは余りしないことにいたしますけれども、私立との格差が余りあり過ぎるじゃないかという御議論もあったして、少しくその格差縮小に努めておりますが、それでもまだ私立よりは安いという実情はございます。 あるいは地方と大都市部というんでしょうか、東京なり大阪なり、私学はどうしても大都市部集中。地方のそれぞれの県で学ぶ意欲のある方々に国立大学という学ぶ場を提供するという意味合いもあろうかと思いますし、それから特に大学院、これは私立の大学院も相当充実してきてはおりますが、まだまだ理工系あるいは医学部系を中心に国立大学の大学院が充実をしている。現実に果たしている機能というのは相当そこの部分では大きいものがあるんだろう、このように思っております。
○阿部幸代君 大臣おっしゃるとおり、やはり高等教育を受ける機会均等を保障し、最も基盤的な学術研究機関としての役割を果たすのが国立大学だというふうに思います。それで、その役割や使命にふさわしい条件整備が求められているというふうに思うんです。国立大学の施設設備というのは当然国民の共有財産ということになると思うんですね、その役割や使命からして。 このことに関連するんですけれども、今後の国立大学等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議が「国立大学等施設の整備充実に向けて」という、「未来を拓くキャンパスの創造」という報告をまとめています。その中の「はじめに」の部分で、「施設整備の状況は危機に瀕している」、「老朽・狭隘化の解消はもとより、社会の変化・大学改革に伴う新たな諸課題に対応した施設整備が必要な状況にあり、昭和五十年代後半のような文教施設整備費の減少を繰り返すことがあってはならない。」、「厳しい財政状況下であっても、その整備充実に向けて、国の予算全体の中で優先的な投資が必要である。」とも述べています。 大臣の基本認識なんですが、危機に瀕しているという認識がおありかどうか伺いたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 今の国立学校施設、三十年代後半から四十年代に建ったものが現在かなり老朽化、狭隘化しているというようなことで一生懸命改修に努めているんですけれども、過去のトレンドを見るとかなりふえたり減ったりふえたり減ったりしておりまして、いささか山と谷が少し大き過ぎるなと思うんです。 ですから、やっぱり国の財政事情を反映したりあるいは景気対策ということを反映したりするんでしょうが、それにしてもちょっと過去のアップダウンがいささか激し過ぎるな、もう少しコンスタントなこういった設備に関係する、あるいは施設に関する投資が行われてくればよかったのにな、こう思ったりもいたしております。 いずれにいたしましても、極めて危機的な状況であるという認識のもとに、厳しい財政事情ではございますけれども、今後とも一層施設の整備充実に努めてまいらなければいけないという、大変に危機感は私ども持っております。
○阿部幸代君 私も本委員会で大学施設の問題を取り上げたことがあるんですけれども、大変な危機感を持っております。ですから、この報告書でも国民的な議論を喚起して理解を得ていくということが言われてるんです。その努力を私もしていきたいというふうに思っています。 具体的に見るとそのことはよくわかるんですね。老朽化の問題ですが、報告書によりますと、現在国立大学等が保有する全施設面積の約五二%に当たる約千百四十万平方メートルですか、これが二十年を経過している、その約七割が改築、改修等の措置を必要としていると言います。経年二十年といっても、その中には三十年以上とか、それから四十年以上とか五十年以上も含まれているわけなんですね。大変深刻です。 財政的に随分多かったり少なかったりが激しかったというお話がありましたけれども、耐震上の改築、改修が必要なもの、今のままの推移に任せてよいのかどうかということが大変心配なんです。というのは、報告書も言っているんですけれども、平成九年度の予算ベースで改築、改修を進めると、十年後には経年二十年以上の建物が現在の一・四倍、全保有面積の約七割に達するというふうに言っているんです。どんなふうに見通しておられますか。
○政府委員(小野元之君) 先生御指摘の報告書にもございますように、国立学校の施設につきましては特に昭和三十年代後半から四十年代にかけて建設したものがかなり老朽化、狭隘化が進んでおるわけでございます。当時、三十年代後半以降に高等専門学校を新しくつくったり、あるいは十八歳人口がふえてきたということでいろんな施設、設備が飛躍的に伸びた、ちょうどそれが二十年、三十年たって現在に至っておるということでございます。 私どもといたしましては一耐震性能の向上については、これまさに命に影響があるわけでございますので、そういった特に緊急に改築や改修を要するものを優先的に取り上げながら、しかし文部省といたしましては、大変厳しい財政事情の中ではございますけれども、重点化を図ったりあるいは工夫、改善を図るなどいたしまして、施設の計画的な整備に最大限の努力を払ってまいりたいと思っているところでございます。
○阿部幸代君 めり張り、重点化の問題が出てくると私も必ずしも完全に一致しなくなるんですけれども、つまり建物の構造耐力上あるいは耐震上改築、改修が必要というのは、重点化とかそういうのとはなじまなくて、やっぱり安全を確保するということですからひとしくやらなければいけない。やっぱりその財源を確保していく努力が求められているというふうに思うんです。 次に、狭隘化の問題にちょっと触れたいんですけれども、この問題についても私は取り上げたことがあります。私のところに陳情に見える大学院生が、研究室がないとか机がないとか建物が一つ足りないとか、あるいはこれは東大に直接行って当時の総長から伺ったんですけれども、東大でも近くのアパートの一室を借りて研究室がわりに使っている、そういうのもあると。大変狭隘化しています。 大学改革のひずみも生まれているわけで、この問題も私取り上げました。名古屋大学の共通教育実施上の諸問題の集約のためのアンケート、これを使って取り上げたんですけれども、教室の収容可能人数を超えるようなオーバーフロー、解消したくても教室不足と教官の負担増に悩まされるという例でした。報告書ではこうした実態を写真入りで示しています。 そこで提案なんですけれども、私どもは日本の国家財政上公共事業というのが大変浪費をもたらしているというふうに基本的には考えています。ですから、その圧縮は必要だと思うんですけれども、その中身が問題で、港湾整備とかあるいは道路整備とかそういうものばかりやるのではなくて、いわば国民の共有財産でもある大学の施設等、こういうものを整備していくというのに必要なんだという、そういう観点での声を大いに上げていただきたい、文部省には。そしたら応援をしていきたいと思います。これはよろしくお願いいたします。
○扇千景君 時間もたってまいりまして、最後でございますし、同僚の質問を聞いておりましたら、文部省に対して質問要旨を出しましたけれども、ほとんど既にもう御意見が出て、文部省のお答えも聞いておりましたら大体わかってまいりました。 学校設置法に関しては一つだけ私聞きたいんですけれども、日本が高齢化社会に向かうというのはもう皆さん認識が一致しているわけです。看護や介護を担う専門職の確保、これが重要だけれども一体どうなるのかという方向が見えてこないんですね。ですから、高齢社会に対して人材確保をするのが大変だというのはわかっているんですけれども、要するに需要と供給のバランス、あるいは二十一世紀に対してどうするのかという、そういうシミュレーションは見れないのかということをちょっとお示しいただければありがたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) 文部省といたしましては、御指摘いただいておりますように、例えば高齢者介護サービス提供体制を整備する、そのためには具体に介護サービスを提供する福祉・医療・保健関係人材の養成というものを質的、量的に充実する必要があるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味から、介護福祉関係人材の専門教育の充実、あるいは育成段階からさまざまな職種間の連携の強化等に努めておるところでございますし、また国立大学の整備あるいは公私立大学の設置認可に当たっての積極的な対応等を進めておるわけでございます。 今後、厚生省とも十分相談しながら、需要に応じた供給が適切になされるよう対応してまいりたいと考えておるところでございます。
○扇千景君 総論なのではっきりまだ図面が見えてきません。 厚生省はどう考えていらっしゃるんでしょうか。
○説明員(久常節子君) 看護職員の人材確保に関しましては、平成三年に策定しました看護職員需給見通しというものがございまして、平成十二年に百十五万九千の数、これが必要な数でございますけれども、その需給が均衡することにしておりまして、平成四年に作成されました看護婦等の人材確保の促進に関する法律及び基本指針に基づきまして、その達成に向けて人材確保対策を講じておりまして、その結果といたしまして、平成八年度には需給見通しにおいて見込まれておりました百一万四千を上回りまして百三万三千人の看書職員が確保されるなど、現在は需給見通しを少し上回って順調に推移しております。
○扇千景君 人員確保だけは需給を上回ったというお話なので結構だと思いますけれども、問題は中身なんですね。それはもう皆さん御存じのとおり、これからいかにそれらの人たちの中身をよくしていくか。あるいは社会福祉士、介護福祉士、あるいは看護婦、保健婦等の総合的な研究・教育者の育成が必要なんですけれども、そのために大学院の整備というものは私は大変必要だろうと思うんですね。 ですから、そういう意味では今後皆さん方に、数はやっと足りた、けれども、より社会の現状としては高度な技術を持った人を必要とする、そういうことに対処するように私はぜひ頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。そのことに関して大臣、何かございますか。
○国務大臣(町村信孝君) 御指摘のとおりだと私ども考えておりまして、今、厚生省の方から看護については一定の計画に基づいてというお話もさせていただきましたし、また先ほど来の御答弁で質の方の面も、大学院の整備充実、特に福祉の関係でありますとか医療の関係、あるいは看護といったような大学院の整備も着々と進んできているのかなと、こう思っておりますので、量、質ともにしっかりとした対応ができるように、これは文部省だけではなかなかまいりませんので、厚生省あるいは労働省とも連携を保ちながらしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○扇千景君 あとの質問はもう出ておりますので、省略させていただきたいと思います。 ただ、日本育英会法の一部を改正する法律案に関しまして、平成八年七月十九日、財政制度審議会から出されております育英奨学事業の見直しという点があると思うんです。それに関して、申請手続の簡素化、これが一つ。二つ目は奨学金の振り込み時期の見直し。三番、事務手続の改善。四番、口座振替制度の改善と、四つ提案されているんです。これは本来は平成七年二月二十四日付の「財政構造改革を考える」というところから出されまして、それを平成八年七月十九日、財政制度審議会で諮られているんですけれども、これにどのように対処したか、御報告ください。——皆さんが質問なさった後なので、質問をダブらないようにしようと思いましたので、即座に資料がないなら私は後で結構でございます。 あえて今どうこうというわけではございませんけれども、やっぱり改善計画というものを指示された以上は、少なくとも育英奨学事業というもののあり方はぜひ改善していただきたい。それでなければ、今回輩の皆さんおっしゃっていることが達成できないだろうと思うんですね。ですから、私は、今の示されたことぐらいはどのように改善していくか目に見えるようにしていただきたい。 改めて、今申しました四点に関してだけでも、あるいは将来においてもそれに努力するということだけは明言していただきたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) 返還業務について、口座振りかえによる引き落としを直ちに行うようにすべきではないかというような点につきましては、口座振りかえによる月賦払いを主な返還方法とすることといたしまして、本年三月に貸与を終了する者については全員が口座振替に加入するよう取り組んでいるところでございます。 それらの点も含めまして、御指摘されました四点につき、できる限り改善を図ってまいりたいと考えております。
○扇千景君 法案に対する質問はもうほとんど出尽くしていると思います。今、私が質問要綱をお見せしただけですからお答えにくい点があれば申しわけないんですけれども、全くこの法案と関係ないことですけれども、まだこの委員会で一般質問の時間がございませんので、時間のある間で結構ですからぜひ大臣にお聞きしたいことがございます。 実は新聞等々で、テレビでもやりましたね、問題になっておりますけれども、日本人の拉致疑惑というのがございます。全く関係ないとお思いになるかもしれませんけれども、私はきょうは文部大臣に申し上げたいと思いましたことは、北朝鮮の金正日の政治軍事大学で学んでスパイ教育を受けた安明進という方がいらっしゃいます。拉致疑惑の本も出していらっしゃいます。けさ払お会いしまして伺いました中に、彼はその大学でスパイ教育を受けた中に、横田めぐみさんと思われる人、また、同じ大学でスパイ教育を受けている間に、あれが日本から拉致してきた女性だということを拉致した人間から聞いて、私たちにけさも証言をしてくれました。 私が申し上げたいのは、拉致をどうこうということではなくて、もちろん拉致に関係あるんですけれども、例えば彼の証言の中には大臣の北海道から連れていったという人もいるんです、日本語教育をしているんですけれども。それは別にして、横田めぐみさんというのは、当時、学校でクラブ活動をしてその帰りに忽然と消えたんです。帰宅途中忽然と消えたけれどもわからなくて、何年かたってどうも拉致されたということがわかった。私は御両親にもお目にかかりました。 それで、これは中学一年生、義務教育中なんです。何年かは行方不明でわからなかったけれども、拉致されたということがわかって、例えば新潟県の教育者あるいは学校、それがこれはただの失腺ではなくて拉致されたと。義務教育途中の生徒がある日忽然と神隠しにあったようなことは県から文部省に報告が上がるものなんでしょうか。そのときは行方不明者であったけれども、拉致されたであろうということがほとんどわかった時点ではそれはどのように対処するものなんですか。
○政府委員(小野元之君) 個別の事案でございまして今直ちにお答えはできないわけでございますが、一般論で申し上げますと、教育委員会といたしましては、義務教育中の子供が拉致されたということでございますと、これは当然行方不明ということで、どうしていなくなったのかということを、家庭と連携を図ったり、あるいはクラブの先生方あるいは地域の方々のお話を聞いたりして恐らく手を尽くして捜すと思われるのでございます。そのあげく、どうしてもなかなか見つからないということであれば、校長がそういう捜索を行いまして、その上で多分市の教育委員会に報告をする、市の教育委員会の方としてはその報告を多分県の教育委員会に報告をするというふうに思われます。 この横田めぐみさんの事件につきましては、昭和五十二年にいなくなったということでございますけれども、学校教育法上のいわゆる除籍の手続を昭和五十七年の十月にとっておるわけでございます。もちろん、この時点ではこういった国際的な拉致ということがわからなかったと思われますので、この時点での文部省への報告というのは多分なかったと思われるものであります。
○扇千景君 私は、今わからないことをこの委員会でどうこうしろということではございません。ただ、私がけさ安明進氏に会って、彼は自分の目で見たと、しかも拉致した男から聞いたということがわかった以上は、みんな怖がってますけれども、少なくとも我々国会議員は日本人の人権と安全と財産の保障というものを守らなければいけないのですから、少なくともこの義務教育の女生徒の人権というものに関しても北朝鮮に堂々とするということ、文部大臣以前の国務大臣としてもぜひ私は動いていただきたいということを要望しておきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 扇委員から重要かつ重大な御指摘をいただきました。 もとよりこれは政府全体で、外務省あるいは法務省、警察庁、関係するところも数多くあろうかと思いますが、政府全体としてしっかりとした対応をしなければならない、そういう課題であろうかと、こう思っております。そういう方向で取り組んでまいります。
○扇千景君 もう一つだけ伺いたいと思います。 町村文部大臣は、私学助成は憲法違反だとお思いですか、憲法違反でないとお思いですか、お答えいただきたい。
○国務大臣(町村信孝君) 憲法違反だとは思っておりません。
○扇千景君 私は大臣になぜこのことを申し上げるかといいますと、御存じのとおり憲法八十九条、皆さん御存じだと思いますけれども、失念した方もあるでしょう。憲法八十九条、公金その他の公の財産は云々、公の支配に属しない教育あるいは事業に対し、これを支出し、またはその利用に供してはならない、これが今お手元で見ていらっしゃいます憲法八十九条でございます。 私は余り学がございませんけれども、これを素直に読みますと、私立学校への助成金というのは、この文章から見ると助成金は許されないという印象を受けるんですけれども、これは自然でないでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 極めて学識豊かな扇委員にこういうことを申し上げると大変失礼かと思いますが、公立学校はもとよりでありますが、私立学校につきましても学校教育法あるいは私立学校法あるいは私立学校振興助成法といったようなもので各種の監督規定などが設けられておりまして、そういう意味で公の支配にこれは属している、こう私ども理解をいたしておりまして、現行の私立学校に対する助成は憲法上問題ない、こういう解釈を伝統的に文部省はとっているところであります。
○扇千景君 ありがとうございます。 私は無理に文部大臣に憲法違反だと言えと言っているわけではないんです。今おっしゃいましたように、私学助成は今の憲法第八十九条に合意しているという点の趣旨が、例えば一つは公金の浪費の防止になっているということですね。第二に、私学の自主性の保護をしているからこれには当たらないというのが大きな理由だろうと思うんです。現在の私学助成では、私学の自主性に対する介入にならない程度に、しかもきちんと監査が行われているので公金の浪費も許していない、だから問題はない、今大臣がおっしゃった点も含めてこう一般に言われているんですね。 ですけれども、教育法制があるから私学も国の支配下であるという解釈、今大臣がおっしゃいましたけれども、少なくとも日本の社会において学卒者の大多数が私学から輩出されているというのはだれしも認めるところなんです。しかも、各分野においてその人たちは貢献をしている。それなれば今この私学助成を廃止してしまえばどうなるか。御存じのとおり私学の経営が圧迫されるし、あるいは廃校に追い込まれるところもあるかもしれない。また父母の負担金というものが大変に重くなってしまって、私学に通わすことができないという親も子も出てくるという、大変な社会問題になろうと思うんですね。 ただ、私は大臣になぜこのことをお願いしたかといいますと、橋本総理が六大改革の中に教育改革という項目を挙げられました。その教育改革の中身は何かということが私たちに見えてこないんです。国会の論議で質問しても、例えば中高一貫教育、これは私は根本的な教育改革ではないと思うんです。ですから私は、教育改革とおっしゃる中に町村文部大臣にぜひこのこともしていただきたいという要望をあえてしておきたいと思います。 それは、学問上は、あるいは今の言葉で言うと、私学助成は憲法違反ではないという解釈もあり得ます。けれども、学問を守りつつ資金援助をするというためには、ひもつきでないという公金の助成が最も望ましいと思うんです。公金を使用してはならないといっていても住専には公金を使用しちゃったんですけれども、これは別として、少なくとも文部大臣として町村先生には、例えば八十九条から教育という言葉を削除するとか、現行の条文に、ただし私学助成はこの限りではないという一文を加えるぐらいのことを、橋本総理がおっしゃる教育改革の一つの方法として、将来ある町村文部大臣が私学助成というものの正当化というものも大臣御在任中にしていただければ、大きな未来への一つの指針になると、名文部大臣になられるであろうと私は御期待申し上げてあえて申し上げます。 時間ですから、大臣のお言葉を聞いて終わりたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 橋本六大改革の中の一つの教育改革、中身が見えてこないというおしかりをいただきました。 大変に幅が広いものでございますので、今度四月の上中旬に改めて、半年とか数カ月に一回改定をしていこうと思っておりますので、それをまとめる際に、四本柱で今私どもはPRをしておりますので、ぜひ委員の皆様方にも、文部省が進めております一本日の柱は、心の教育の充実、二番目が、個性ある学校教育ができるようにするためのいろいろな制度改革、三番目は、現場の自主性を尊重した学校教育の実現、四番目が、大学あるいは大学院の充実、こういったような四本柱でそのエッセンスを今PRしているところでございますので、それはそれとして、改めて委員の皆様方にも御理解をいただく場をいただければと、こう思っております。 なお、憲法改正のお話をいただきましたので、なかなか私の多分短いであろう在任期間に憲法改正までできるとも思いませんが、貴重な御意見として受けとめさせていただきます。
○扇千景君 終わります。
○委員長(大島慶久君) 他に御発言もなければ、両案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、日本育英会法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。 今日、国際的には高等教育費の無償化の流れが本流であり、奨学制度も給費を主体とした学生の生活支援が基本となっています。 世界一伺い学費が、学生の勉学生活はもとより、家計をも大きく圧迫している日本において、奨学制度の量的、質的拡充は極めて切実な国民的要求です。 ところが、今回の法改正案によると、奨学金の返還免除を拡大するのではなく、教育職の返還免除を廃止するとしています。資金を効率的に運用するとしていますが、百万人を超える奨学金貸与希望者が想定されているのに対して、それにこたえるにはほど遠いと言わざるを得ません。 奨学金の返還率は、平成八年度、九六年度で九七・九%と高い水準にあり、奨学制度の抜本的拡充という国民的要求にこそこたえるべきであるとの立場から、国際水準にも国民的要求にも背を向けた本法案改正案に反対いたします。
○委員長(大島慶久君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより順次両案の採決に入ります。 まず、国立学校設置法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島慶久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、日本育英会法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島慶久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、小林元君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
○小林元君 私は、ただいま可決されました日本育英会法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民友連、公明、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 日本育英会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び日本育英会は、憲法、教育基本法の精神にのっとり、教育の機会均等を実現するため、育英奨学事業の拡充を図るとともに、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一 育英奨学事業の予算の増額を確保し、貸与人員、貸与月額の拡充に努めるとともに、貸与金額・貸与方法の多様化についても検討すること。 二 大学等への進学の希望を持つ者が安心して勉学に取り組めるよう予約採用に比重を置くとともに、奨学生の選考については、経済的基準についてその収入限度額を大幅に引き上げるよう努めるとともに、学力基準の弾力化に努めること。 三、奨学金受給者の割合について国公立と私立との格差の是正に努めること。 四 研究者の養成・確保が、我が国の文化及び科学技術の発展のための最優先課題であり、大学院に優秀な学生を確保するための経済的支援の充実が緊急の課題となっていることにかんがみ、大学院学生に対する育英奨学事業の一層の充実を図ること。 五 多様な回収方法を講ずることにより返還金回収率の向上に努めるとともに、育英奨学事業の運営にあたっては、その簡素化、効率化等の改善を図ること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(大島慶久君) ただいま小林元君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大島慶久君) 全会一致と認めます。よって、小林元君提出の決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決しました。 ただいまの決議に対し、町村文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村文部大臣。
○国務大臣(町村信孝君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意いたしまして対処してまいりたいと存じます。 どうもありがとうございました。
○委員長(大島慶久君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時八分散会 —————・—————