財政・金融委員会 第17号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/05/26
会議録
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る二十二日、松村龍二君及び菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として加藤紀父君及び峰崎直樹君が選任されました。 また、昨日、笠井亮君及び加藤紀文君が委員を辞任され、その補欠として吉岡吉典君及び野村五男君が選任されました。 —————————————
○委員長(石川弘君) 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案の四案を一括して議題といたします。 本日は、参考人の意見陳述及び参考人に対する質疑を行います。 まず、午前中は四案審査のため、参考人として全国銀行協会連合会会長岸曉君、社団法人生命保険協会会長藤田讓君及び社団法人日本損害保険協会会長小野田隆君、以上三名の方々の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。 参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 本日の議事の進め方でございますが、まず、岸参考人、藤田参考人、小野田参考人の順序で、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。 また、御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。 それでは、まず岸参考人からお願いいたします。岸参考人。
○参考人(岸曉君) ただいま委員長から御指名をちょうだいいたしました全国銀行協会連合会会長の岸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 本日は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案など、金融システム改革関連四法案の御審議に際しまして、私どもの意見を述べさせていただく機会をいただき、心より感謝を申し上げます。どうぞよろしく御指導くださいますようお願い申し上げます。 さて、この金融システム改革関連四法案は、これまでに金融制度調査会や証券取引審議会といった各審議会が、我が国金融市場の抜本的改革の方向性につきましてさまざまな角度から議論していただいた結果を具体化する内容となっております。 銀行法の改正を例にとって申し上げますと、金融制度調査会の金融機能活性化委員会におきまして、平成七年八月の委員会設置から平成九年六月の答申取りまとめまでのほぼ二年の間に、合計二十四回にわたって議論をしていただきました。さらに、その議論は都度、金融制度調査会の総会に報告され、その場でも御審議いただきました。 そうした長期にわたる議論を経て昨年六月に発表された審議会の答申には、学者、評論家の先生はもちろん、経済界、労働界、主婦、マスコミなど各界を代表された委員の先生方の御意見が集約されております。その答申の中で、利用者の選好が的確に反映される、公正で効率的、かつ国際的な標準に整合的な市場が形成されることが重要であるという形で、我が国金融市場の改革の姿を描いていただいたのであります。 金融機関の利用者の皆様には、一つの金融機関に行けば金融に関する用事をすべて満たすことができるというワンストップバンキングに対するニーズが非常に高いように感じております。 この点に関しましては、御審議いただいております四法案のうち、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、いわゆる金融システム改革法案を成立させていただきますと、銀行の窓口で投資信託という形で証券運用商品を購入していただけるなど、預金以外の商品をお選びいただくことができるようになり、利用者の皆様の御要望にかなりの程度おこたえできるものと考えております。 もちろん、銀行の窓口で元本保証のない預金以外の商品を販売することに関しましては、利用者保護の観点からさまざまな御指摘があることは承知をいたしております。 しかし銀行は、既に外貨預金や商品ファンドのように元本割れの可能性がある商品を取り扱っておりまして、そうした商品を提供する際にはお客様が誤解されないよう説明するなどの経験を積んでおりますので、利用者保護に関しましては必要な対応を講じることができるものと考えております。 また、今回の金融システム改革法案には、さまざまな規制緩和措置と同時に非預金商品に対する説明義務のほか、ディスクロージャーの充実、銀行経営の健全性確保に関する規制など、利用者の皆様に安心して金融取引を行っていただくための規定も手当てされております。 例えば、銀行のディスクロージャーにつきましては、現行の銀行法では罰則のない訓示規定となっておりますが、改正法案では罰則が設けられております。また、独占禁止法を改正していただき、さらに持ち株会社の設立解禁に伴う金融関係法律整備法を制定していただいたことなどから、グループ形態による業務展開を予想して、グループ経営の視点から銀行の健全性を確保する規定も盛り込まれております。 なお、このような規制の遵守方法は、従来のような監督当局の事前指導ではなく、事後的なチェックによって行うという制度になりました。 このように今回の金融システム改革法案は、これまでどちらかといえば金融機関の立場からつくられていた金融制度に関する法律の枠組みを利用者の立場に立ってつくり変えようというものであります。すなわち、制度改革の趣旨は、利用者の皆様と金融機関との関係の公平性を担保するとともに、金融機関に対して経営の透明性を高めることを求めるというものであります。 なお、この金融システム改革法案を成立させていただくことによって、我が国の金融制度改革が終了するというわけではありません。利用者の方々の利便性をさらに高めるためには、例えば証券子会社の健全性や公正競争の確保を目的としたもの以外のファイアウォール規制を撤廃するといった措置を講じていただく必要があると考えます。 米国では、一昨年の十月に続いて昨年の十月にもFRBがファイアウォール規制の緩和を実施し、証券子会社の健全性やアームズ・レングス・ルールが確保されれば十分であるという考え方に立って、大半の規制を廃止ないし緩和いたしました。我が国では、現在、親銀行が証券子会社に代行して有価証券の募集、売り出し、売買の媒介といった行為をすること、すなわちクロスマーケティングが禁止されておりますが、この規制は利用者の皆様の利便性を損なっていると考えられます。その他のファイアウォール規制につきましても、利便性向上の観点から見直していただきたいと存じます。 次に、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案並びに特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律案、いわゆるSFC関連法案に関しまして申し上げます。 企業の資金調達の多様化、投資家への魅力ある投資商品の提供といった観点から債権流動化を進めていく必要がありますことは、金融制度調査会が平成七年五月の答申で指摘をしております。 SPC関連法案は、債権流動化の手法の一つであります特定目的会社を利用した方式の使い勝手を高め、投資家の皆様による投資を容易にすることによりまして債権流動化市場の育成を図るものと理解しております。 国際的に活躍している金融機関は、既にケイマンなどの海外の特別目的会社を利用してSPC方式による債権流動化を手がけております。ちなみに私ども東京三菱銀行は、こうした方式を利用したグローバルベースのアセットバックトCPの発行残高で、シティバンクに次いで第二位グループにあります。これまでは制度上の制約から海外の特別目的会社を利用せざるを得なかったわけでありますが、我が国金融機関にはSPC方式を利用して国内における債権流動化市場を育成していく力が既に備わっているように思われます。 本法を成立させていただくことによって債権流動化がこれまで以上に活発になりますと、金融機関にとりましてはリスクアセットを削減することができ、融資対応力を高めることができると存じます。欧米の金融機関の自己資本比率が高い一因といたしましては、債権流動化の活用によってリスクアセットをコントロールしているということがありますが、SPC関連法案を成立させていただきますと、我が国金融機関にもそうした選択肢が与えられることとなるわけであります。 ところで欧米では、御高承のとおり、大型合併が相次いでおります。昨年末にはスイス・ユニオン銀行とスイス銀行の合併発表がありました。世界最大の資産運用会社の誕生ということで、私ども金融業界に身を置く者といたしましては大変なビッグニュースであったわけであります。ところが、四月には米国でシティコープとトラベラーズ、ネーションズバンクとバンカメリカ、バンクワンとファーストシカゴの合併が相次いで発表され、昨年末以上の驚きを感じることとなりました。このうち、シティコープとトラベラーズの合併は、銀行、証券、保険のサービスを幅広く提供する金融コングロマリットが形成されることになります。また、そのほか二件の合併は、個人の運用資産の獲得のために規模の利益を追求するものと報道されております。欧米金融機関のこのようなダイナミックな動きは、遠からず我が国の金融資産の取り込みを目指してくることになるのではないかと予想されますので、我が国の金融機関にとりましては大変な脅威であります。 四月一日に改正外為法が施行され、内外資本移動が自由化されたことによりまして、国内で魅力的な金融商品を提供することができなければ、我が国の個人貯蓄がそうした欧米の金融機関に流出してしまうことが懸念されております。 格付機関のムーディーズは、四月二日に我が国の外貨建て長期債務のカントリーシーリングを安定的からネガティブに変更いたしました。その際の発表資料を見ますと、見通し変更の理由の一つとして、経済成長と財政収支に関する問題などと並んで指摘されておりますのは、ビッグバンによる金融自由化が始まったことでポートフォリオの外貨へのシフトもあり得ることであります。今回のムーディーズの発表は格付見通しの変更であり、最上級のトリプルAという我が国の格付自体が引き下げられるものではありません。しかし、我が国の市場に魅力がないことで外為自由化に伴う資産の海外流出が進み、万一我が国の金融市場が空洞化する事態に陥るようであれば我が国の格付に影響を与えかねない状況にあります。 そうした事態を避けるためには、我が国金融市場を利用者の視点に立って抜本的に改革し、欧米の国際金融市場と競争できる市場としていただくことが不可欠であります。その場合、欧米の一流金融機関が我が国に本格的に進出することとなりましょうが、それらと我が国金融機関とが切磋琢磨して新しい商品やサービスの提供に創意工夫を発揮することによって、利用者の皆様に御満足いただけるとともに、我が国金融市場の活性化も達成することが可能であると存じます。 金融システムが不安定な状態にあるということを理由として、日本版ビッグバンの実施スケジュールを延期すべきではないかという意見も耳にいたします。確かに、我が国の金融システムがかつてのような安定性を回復したかどうかということになりますと、厳しい見方が多いように思います。ただ、バーミンガム・サミットでは、議長声明にありますように、総理から不良資産問題を断固として解決することを含め金融システムを強化する御意思を表明していただきました。私どもも、不良債権の実質処理問題を極めて重要なものと受けとめて、金融システム安定化のため、その解決に向けて全力で取り組んでまいります。 むしろ、改革のペースを緩めることは、先ほど申し上げましたように、我が国金融市場の空洞化を招くこととなり、国民経済にかえってマイナスの影響を与えかねないと存じます。改正外為法の施行によって金融システム改革の扉が既に開いたわけでありますから、国民の皆様の金融資産が海外に流出して我が国金融市場が空洞化することを回避するために、金融システム改革関連四法案を早期に成立させ、我が国金融制度の抜本的な改革をぜひ実現していただきたいと考えております。 最後になりますが、重要な法案が数多くある中で金融システム改革関連四法案を御審議いただいておりますことにつきましては、金融界に身を置く者といたしまして心よりお礼を申し上げます。 以上で私の意見陳述とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 —————————————
○委員長(石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、伊藤基隆君が委員を辞任され、その補欠として和田洋子君が選任されました。 —————————————
○委員長(石川弘君) 次に、藤田参考人にお願いいたします。藤田参考人。
○参考人(藤田讓君) 生命保険協会会長の藤田でございます。 最初に、昨年の生命保険会社の破綻等の業界諸対応につきまして賜りました先生方の御心配、御尽力に深く感謝を申し上げたいと存じます。この場をおかりして厚く御礼を申し上げます。 また、本日は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案の御審議に当たり、意見を述べる機会をちょうだいいたしまして、心より感謝を申し上げます。 初めに、生命保険事業の役割について簡単に申し上げますが、これまで私ども生命保険会社は、遺族の生活保障を初め、老後保障、医療保障、介護保障など、多様な生活保障手段を提供してきており、これは国民生活の安定と向上に少なからず寄与してきたものと考えております。 一例を申し上げますと、生命保険業界が平成八年度において死亡、満期等の保険金としてお支払いした金額は九兆六千億円に達し、入院・手術・障害給付金は七千億円に上っております。また、個人年金保険の契約件数は一千四百万件、団体年金保険の受託金額は五十一兆円に達しており、生命保険、年金保険は生活保障の手段として国民生活に欠かせないものとなっております。 また、我が国では、急速に到来する少子・高齢化社会に向けて、給付と負担の均衡のとれた社会保障制度の構築が不可欠となっていることから、今後、国民の生活保障に対する自助努力の必要性が高まるとともに、自助努力の中心的手段である生命保険、年金保険の果たすべき役割がますます大きくなるものと認識しております。 私ども生命保険会社は、今後、従来以上に利用者ニーズに対応する商品・サービスを開発、提供することにより、さらなる役割発揮に努めてまいる所存でございます。 続きまして、生命保険業界の現状について申し上げますと、大きな課題は二つございまして、一つは生命保険事業の社会的信頼の維持向上であり、もう一つは新保険業法のもとでの事業運営の定着、推進でございます。 まず、一点目の生命保険事業の社会的信頼の維持向上についてですが、昨今の生命保険業界を取り巻く環境は、景気の停滞、超低金利の継続、株価の低迷など、保険営業、資産運用両面において厳しい状況が続いております。また、昨年の四月には、特異なケースであるとは申せ、戦後初めて生命保険会社に対する業務停止命令が発出される事態が生じ、生命保険事業の安定性確保が強く要請されているところであります。 生命保険事業の根本は、御契約者から負託された保険料を安全有利に運用し、さまざまな生活上のリスクに対する保障を確実に提供することにあり、生命保険事業に対する社会的信頼の維持向上を図るためには、この点をより確かなものとすることが不可欠であります。 そのためには、事業運営の効率化や資産内容の充実を図り、強固な経営体質を構築していくとともに、自己資本の充実を図り、支払い余力を高めることにより、事業経営の財産的基礎をより一層拡充することが現在の私ども生命保険会社に強く求められているものと認識をしております。同時に、生命保険商品や資産運用方法が多様化、複雑化する中で、リスク管理体制や内部管理体制の一層の充実を図るなど、より適正で透明性の高い事業運営にも努める必要がございます。 生命保険各社は、それぞれ、現在こうした課題に真摯に取り組んでいるところでございまして、こうした地道な取り組みを継続することが生命保険事業全体に対する信頼性の維持向上につながるものと考えております。 二点目の新保険業法のもとでの事業運営の定着、推進についてですが、御承知のとおり、平成八年四月に約半世紀ぶりに保険制度の抜本的な改革を盛り込んだ新保険業法が施行され、将来にわたって揺るぎない生命保険事業を構築していくために、新しい制度のもとでの業務運営がスタートいたしました。 新保険業法は、規制緩和を通じて保険分野の競争促進を目指すものございまして、早速、平成八年十月には、生損保の相互参入等により、新たに十二の会社が生命保険事業に参入をいたしております。 私ども生命保険会社は、みずからの事業運営にこの新たな制度をしっかりと定着させ、フェアな競争を通じてお互いに切磋琢磨し、創意工夫を凝らして、ますます多様化、高度化するお客様のニーズにおこたえする高品質な商品やサービスの提供、募集チャネルの高度化に努め、また安全かつ効率的な資産運用を行うことなどにより、利用者利益の向上に向けて一層の経営努力をいたす所存であります。また、こうした過程におきまして、生命保険各社独自の経営戦略、経営判断により、いわゆる経営の個別化が従来以上に進むものと考えております。 では、こうした生命保険業界の現状を踏まえまして、今回の金融システム改革のための法整備における保険関係の規定について意見を申し述べさせていただきます。 今回の保険業法改正の中で最も注目されるものは保険契約者保護機構に関する規定でございます。 先ほども申し上げましたが、昨年の四月に生命保険業界において戦後初めて業務停止命令を受ける会社が発生し、御承知のとおり、生命保険協会が保険管理人に選任されることとなりました。生命保険協会では、現在の保険業法に規定のございます保険契約者保護基金、以下基金と申し上げますが、これは大蔵大臣の指定を受けて生命保険協会が運営しておりまして、この基金による二千億円の資金援助と破綻保険会社の契約移転を受け入れる新会社の設立を中心とする保険契約の移転計画を作成し、御契約者の意思確認を経て、昨年の十月一日に契約の移転を実施いたしました。 この移転計画の実施により、破綻保険会社の御契約の継続は確保されたわけでございまして、基金は導入の目的どおり保険契約者保護に大いに貢献した次第でございます。しかし一方で、基金が救済会社が出現しなければ機能せず、また基金のもとでは御契約者保護の範囲が明確でなかったことから、移転計画の策定が難航したこともまた事実でございます。 そこで今回、以前から保険審議会等で御議論いただいておりました支払い保証制度、法案では保険契約者保護機構という名称になっておりますので以下機構と申し上げますが、この機構に係る規定におきましては、こうした基金の制度上の限界が補われたものと理解をしております。 具体的には、機構のもとでの契約者保護のための基本スキームは、基金の場合と同様に、救済会社に対する資金援助による円滑な契約移転の確保でございますが、救済会社が出現しない場合には、機構みずからが破綻保険会社の契約移転を受け入れ、保険契約の継続を確保することとなります。また、機構による補償対象となる保険契約や補償の範囲は、法令において明示されることとなります。 また、機構のもとでの支払い保証制度においては、随所に制度の信頼性、安定性確保のための措置が盛り込まれております。まずはすべての保険会社に対しまして機構への加入が義務づけられております。現行の基金もこれまで実態的には全社加入となっておりましたが、加入義務はなく、制度の趣旨にかんがみますと、制度上全社加入が担保されていることが制度の信頼性、安定性確保に資するものと考えられます。 続きまして、機構に対する負担金についてですが、これは破綻会社の御契約者保護と制度の負担金を担う保険会社及びその御契約者の負担とのバランスを十分に考慮した水準に設定されるものと理解しております。もちろん、破綻会社の御契約者に対しまして手厚い保護がなされることが望ましいのは言うまでもありませんが、一方、そのために制度の負担金が過大となり、他の保険会社の健全性にまで影響を及ぼすようでは、制度の趣旨に反していると言わざるを得ません。したがいまして、負担金の設定に当たり、破綻会社の御契約者保護とその他の会社の御契約者負担とのバランスは重要でございます。 さらに、二〇〇一年三月までの措置でございますが、機構による援助資金の借り入れの際には、政府保証の付与、日銀借り入れといった公的支援が可能とされております。機構は、いわゆる事前積み立ての制度でございますが、制度創設当初に保険会社の破綻が発生した場合、機構には資金援助を賄うのに十分な積立金が積み立てられていない可能性があり、したがって資金調達が必要となります。もちろん、機構の借入金は将来の負担金により確実に返済できる金額とすることが前提であろうと考えますが、円滑な資金調達を可能とするための措置として資金調達に係る公的支援が設けられたことは制度の信頼性、安定性確保に資するものと考えております。保以上、申し述べてまいりましたとおり、当制度は現行基金の制度上の限界を補うものであり、かつ制度の信頼性、安定性確保のための措置が随所に盛り込まれておりまして、機構の設立は、生命保険事業の安定性確保が強く要請される今日、生命保険事業の社会的信頼の維持向上に大きく資するものと考えます。 もとより、私どもは、さきに申し上げましたとおり、事業運営の効率化、資産内容の充実を通じた強固な経営体質の構築、自己資本の充実等の地道な努力を継続することにより、生命保険事業の社会的信頼の維持向上に懸命に取り組んでまいる所存でございます。 さて、その他、今回の金融システム改革法におきましては、保険会社の子会社規定の整備が行われておりまして、保険会社が子会社として持ち株会社、いわゆる川下持ち株会社を保有できるようになるとともに、子会社及び持ち株会社方式による保険と金融他業態との相互参入が可能となります。 持ち株会社の活用や金融他業態への進出は、あくまでも生命保険会社各社の経営判断によるものですが、このような経営の選択肢が拡大すること自体望ましいことでございまして、さきにも申し述べましたような、いわゆる経営の個別化の動きがさらに促進されるものと考えております。 一方、こうした子会社、持ち株会社を通じた業務範囲拡大のもとでは、保険会社グループとしての健全性確保が必要となるわけでございまして、今回の法案は、あわせてそうした保険会社グループとしての健全性確保のための措置が講じられているという点におきまして、まことにバランスのとれたものであろうと考えております。 また、今回の法案では、保険会社単体及び保険会社グループに関するディスクロージャーの規定が整備されております。生保会社はこれまで、生命保険協会のディスクロージャーコード、開示基準の見直しを通じて業界全体でディスクロージャーの拡充に取り組んでおり、平成九年度決算からは、生保会社の健全性に対する関心の高まりを受けまして、ソルベンシーマージン比率を開示基準に加えることといたしましたが、今後とも、法律の規定にのっとることはもちろん、各社の自主的な判断により、さらなるディスクロージャー拡充を通じてより公正で透明な事業運営に努めてまいる所存でございます。 以上をもちまして私の意見陳述とさせていただきます。大変ありがとうございました。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 次に、小野田参考人にお願いいたします。小野田参考人。
○参考人(小野田隆君) ただいま御紹介いただきました日本損害保険協会会長の小野田でございます。 本日は、財政・金融委員会にお招きいただき、金融システム改革法案に関し私どもの考えを申し述べる機会を与えていただきまして、心から御礼を申し上げます。 さて、今回の金融システム改革法案には、私ども損害保険の関連として、保険業法並びに損害保険料率算出団体に関する法律と大きくはこの二つの改正が含まれておりますが、まず損害保険業界の現況を御報告申し上げた上で私どもの考え方を述べさせていただきたいと存じます。 現在、損害保険業界は、国内保険会社が外資系会社四社、生保系子会社六社を含め三十三社、支店等で日本に進出している外国保険会社が三十社、合計六十三の損害保険会社が営業を行っており、従業員数は十万人、保険の募集を行う損害保険代理店が六十二万店、その代理店の募集従事者として百二十万人を有しております。取扱高につきましては、八年度の年間保険料が十兆六千億円とその規模は米国に次いで世界第二位となっております。また、保険の普及状況は、火災保険が五七%、自動車保険が対人賠償の場合で六九%、そして傷害保険が七五%となっており、今や国民生活に欠かせないものとなっております。 次に、去る平成八年四月に実施されました保険制度改革についての現状を御説明いたします。 現在の保険業法は、平成七年の通常国会でその改正を御審議いただき、平成八年四月に施行されました。この五十六年ぶりの大改正によりまして、生損保間の子会社を通じた相互参入、ブローカー制度の導入、さらには一部保険商品の届け出制への移行、大口火災保険における保険料の自由化など、新たな制度が数多くスタートいたしました。 この結果、生損保間の相互参入につきましては、損害保険会社のうち十一社が生保子会社を、生命保険会社は六社が損保子会社をそれぞれ設立し、平成八年十月から営業を開始しております。ブローカー制度につきましても、現在約五十のブローカーが登録されております。また、企業物件関係の商品が届け出制に移行され、大口火災保険契約の多くが保険料の自由化に移行する等、改革の成果が着々と出ているところであります。 それでは、今回御審議いただいております金融システム改革法案につきまして、私どもの考えを述べさせていただきます。 今回の保険制度改革の背景には、急速に進展する経済社会環境の変化への的確な対応はもちろん、日本版ビッグバン構想と平成八年十二月の日米保険協議の決着という事情もあったものと考えております。日米保険協議は、平成五年七月以来たび重なる交渉を経て、最終的に平成八年十二月に決着しました。合意内容には、算定会制度を抜本的に改革するとともに、疾病、傷害、介護保険といった、いわゆる第三分野の商品については激変緩和措置をとることなどが盛り込まれました。 このようなビッグバン、日米保険協議という二つの改革要請を背景に、その後、保険審議会において二十一世紀を見据えた保険業のあり方が論議され、平成九年六月に保険審議会報告として取りまとめられました。今回の法改正はまさにこの報告をベースに自由化、規制緩和をさらに推し進める内容となっており、我が国経済の活力向上を目指したビッグバンの趣旨に十分かなうものと考えております。 保険業界にとってこの法改正は、自由化の中でかつてない厳しい競争をもたらすことになりますが、その反面で、各社の経営努力がいかんなく発揮され、また事業領域も広がるなど、ビジネスチャンスも大きく膨らむものと思われます。 それでは、法案の中の個別項目について触れさせていただきます。 まず最初に、損害保険料率算出団体に関する法律の改正についてでありますが、現在、損害保険のうち火災、自動車、傷害、自賠責、地震の各保険については、中立的な機関である算定会が保険料率を算出し、会員保険会社は使用義務に基づきその料率を使用しています。この会員保険会社の使用義務を廃止するというのが算定会改革のポイントです。 新しい算定会では、保険料率のうち保険金に充当する部分である純率について、参考となる数値、いわゆる参考純率を算出し、あわせてその料率に適応した標準的な保険約款を作成することになります。参考純率の使用を選択する保険会社は、事業費に相当する付加保険料率を上乗せし、独自の営業保険料率を算定することになります。また、新しい算定会では、保険に関する各種データを収集するデータバンク機能や保険会社へのコンサルティング機能を果たすことなども予定されています。 これまで算定会は、会社のデータをもとに公正、妥当な保険料率を算出し、結果的に世界でトップレベルの低廉な保険料の提供と保険の安定供給に大きく貢献してまいりました。今回の算定会改革は、損保業界にとって事業の根幹にかかわる大改正ではありますが、フリー、フェア、グローバルの理念に沿った二十一世紀のあるべき損害保険事業を展望する中では避けて通れない制度改定と考えております。 こうした保険料自由化は、よりよい商品を低廉な価格で利用者にお届けするという観点からさらに推進していかねばならないのはもちろんですが、他方、自由化によって保険本来の使命、すなわち保険の相互扶助機能や安定的供給に支障を来すような事態は何としても避けなければならないと考えております。事実、外国においては、保険の引き受け拒否等により必要な保険が買えなかったり、また過度な保険料引き下げ競争による保険会社の倒産例も見受けられるところです。 現行の保険業法では、こうした事態を招かないために、行政当局が法令の審査基準に基づき商品、料率のチェックを行うことになっておりますが、我々業界としても、金融システム改革の理念を踏まえ、従来にも増して的確かつ健全な事業経営を心がけた上で、多様化する利用者のニーズにこたえる商品、サービスの提供を行っていく必要があると考えます。 二点目に、保険契約者保護機構について申し上げます。 損害保険事業の自由化が急速に進展していく中においては、万が一保険会社が破綻した場合に備え、保険への信頼を維持し、保険契約者を保護する制度を確立しておかなければなりません。 今回の保険契約者保護機構では、救済保険会社への資金援助はもちろんのこと、救済保険会社があらわれない場合でも保護機構が破綻保険会社から契約の移転を受ける保険契約を存続させる制度となっており、今後の自由化に十分対応できるものと考えております。 この保険契約者保護機構が必要とする資金は保険会社が事前に拠出いたしますが、積み立て中の資金だけでは破綻処理ができない場合には当然外部から資金を借り入れることになります。この点に関しましては、二〇〇一年三月までの経過措置に対応して、今回の法案には政府による保証等の公的支援が盛り込まれておりますが、契約者に迅速に対応するという観点からはこれらの公的支援はぜひ必要と考えます。 さらに法案では、大型破綻等により健全な保険会社の経営をも揺るがすような事態が生じる場合には、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置が検討されることとなっています。損害保険業の場合はこれまで破綻などの事態は発生しておりませんが、地震や台風など巨大な自然災害の発生も十分あり得ることから、これらの手当ては最悪の場合に備える意味でぜひ必要と思われます。 私どもといたしましては、こうした制度が発動されるような事態を招かないことが何よりも重要と考えておりますが、そのためにも経営が悪化した保険会社に対する早期是正措置が不可欠と考えています。また、契約者がみずからの責任において保険会社を的確に判断できるよう、ソルベンシーマージン比率を九年度決算から開示することといたしております。 なお、このソルベンシーマージン比率は、通常の予測を超える危険に対して保険会社にどれくらい支払い余力があるかを示す数値ですが、消費者にいまだ浸透しない手法であるだけに、数値のひとり歩きや単純なランクづけなどによって混乱や誤解が生じないよう、消費者に正しく理解していただくための工夫が必要と考えています。 これら早期是正措置、ソルベンシーマージン比率の開示が保険契約者保護機構とともにいわば三位一体で運営されてこそ真の契約者保護が図られるものと考えます。 三点目として、金融他業態との相互参入について申し上げます。 今回の法案では、保険会社と銀行や証券との間での相互参入について二〇〇一年三月までの具体的解禁スケジュールが示されております。日本版ビッグバンの大きなねらいは、利用者の多様化、高度化するニーズにこたえることができる新しい金融システムを構築することにあり、今回の銀行、証券、保険という金融業態間の相互参入はまさにビッグバンの趣旨にかなうものと考えます。 しかしながら、相互参入に関しましては、一方では利用者保護の観点から、本来の業態での影響力を行使した販売等の弊害を生じさせないよう、実効性のある弊害防止措置を講ずることが特に重要であると考えます。 また、業態間の相互参入の一環として今回の法案に盛り込まれています改正証券取引法では、損害保険会社にも投資信託の販売が認められることになっております。損害保険会社及びその代理店が新たに販売の担い手に加わることにより、利用者の利便性も大いに高まり、その普及に貢献できるものと考えております。 以上のとおり、今回の金融システム改革関連法案について私どもの考え方を説明させていただきましたが、相次ぐ保険制度改革により、損害保険の従来の枠組みが今大きく変わろうとしております。一連の改革は正直申し上げて大変厳しいものではありますが、損害保険各社がいかなるときも利用者の利益と利用者の保護を最優先に位置づけ、さらに創意工夫を凝らし着実に経営努力を重ねていけば、必ずやビッグバンの趣旨を完遂できるものと考えております。 また、今や国民の金融機関に対する信頼も大きく揺らいでいますが、改めて気持ちを引き締め、今後とも適切な企業活動、健全な事業運営に努め、利用者の信頼をさらに高めていきたいと考えます。そのためにも、私ども損害保険業界は、今回の金融システム改革法案が本国会において成立しますことを切望いたしております。 先生方におかれましては、私どもの要望を十分お酌み取りいただきますとともに、今後ともどうか一層の御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 どうもありがとうございました。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○河本英典君 自由民主党の河本でございます。 きょうは、銀行を代表して岸参考人、生命保険を代表して藤田参考人、それから損害保険業界を代表していただきまして小野田参考人、我々のこの委員会のためにお忙しい時間こうしてお出かけくださいまして、また意見陳述を伺ったわけでございますけれども、まことにありがとうございます。 それぞれの業界の総括的な全般のお話、そしてまた内容につきましては、各調査会、審議会等の大変な検討のもとにこの金融システム改革関連法案が出てきたわけでありますが、そのことは専門的な分野といたしまして、私は、きょうは立法府の法律をつくる側につきましての基本的なといいますか、今回の法案がどのように利用者にとって意義あるものなのかということを中心にお伺いしたいと思うわけでございます。 お話の中にもございましたように、今までは金融機関サイドの法制度を整備されておったわけでありますが、今回の大きな改正の主眼は利用者サービス、利用者にとっての利便性にあるというふうに述べられておったわけでございます。 もとより、この金融ビッグバンでございますが、昨年から日本銀行法改正に携わらせていただいたり、それから外為法の改正もやらせていただいた一連の法整備でございます。その中で、もう一度繰り返しになるかもしれませんけれども、それぞれの参考人から、先ほど申しましたように、今回のシステム改革法案の成立によって利用者はどのような恩恵を受けられるのかということをそれぞれの参考人のお立場、そんなに詳しくなくても結構ですので、ダイジェスト的にといいますか、わかりやすくお願いしたいと思います。
○参考人(岸曉君) ただいま先生が御指摘になりましたとおり、今回の金融システム改革法案の一つの一番大きな目玉と申しますか、利用者に対する利便というものをいかに向上させるか、こういう点にあろうかと思います。 従来、金融関係の法律は、どちらかといえば業者の側から、金融機関の立場に立ってその論理で法律がつくられておったと思うのでありますけれども、今度の金融システム改革法案は利用者の観点から法案を検討してきたというふうに理解をいたしております。 例えば、私ども銀行は、この金融システム改革法が成立いたしますと、取扱商品が従来よりも広がります。今までは元本保証の預金が中心でありましたけれども、今後は投資信託といったような株式絡みの商品も扱うことが可能になります。資金を運用される方のお立場から見ますと、ワンストップショッピングというんでしょうか、銀行に行けば預金だけではなくてそういう投資信託のような商品も買うことができる、こういうふうに御利用範囲が広がってまいります。 それから、資金を調達される、つまりお借りになる方の立場も非常に重要なわけでありますけれども、今度はABS、資産担保証券というようなものの取り扱いが認められますので、例えば非常に規模の小さい、格付なんかをとることが難しい会社であっても、お持ちになっている債券、資産というものが良質であればそれを資産担保証券に化体することによりまして今までよりも安いコストで御調達をすることができるようになります。 これは一例でございますけれども、そういう取扱業務の範囲の拡大を通じまして御利用される方のメリットがふえる、一口に言いますと、御利用される側は自由な競争というものを通じまして、また十分なディスクロージャーによる公平性というようなものを保ちながら金融機関を利用することができると思います。その辺が利用者の恩恵であろうかと思います。 以上でございます。
○参考人(藤田讓君) 今回の保険契約者保護機構の制度内容につきましては、先ほども述べさせていただきましたが、まず、制度の安定性、信頼性確保への配慮というものがなされたものと考えておりまして、このことは、いわゆる保険契約者保護ということを第一に置きまして、かつ保険業の信頼性維持というものに資するものだと考えております。保現在ございます保険契約者保護基金ということとの比較で申し上げますと、保険会社の保護基金自体は保険会社の相互扶助制度でございまして、救済保険会社があらわれないと発動できないとか、また基金への加入自体が任意加入であるという点で制度上の限界がございます。そういった点でやや保険契約者保護が不十分であったということが言えると思いますが、今回の法案に基づきます支払い保証制度のもとでは救済会社があらわれない場合であっても保険契約者保護機構自体が保険契約を引き受ける、そのことによってその破綻会社の保険契約が継続されるということでございます。また、法律に加入義務というものが規定されておりますので確実に全社の加入が確保されるという点がございます。 また、業務停止命令中におきましても一定の要件のもとで必要に応じてこの機構自体が保険契約者等への貸し付けも行うことができるというような手当てもされておりますので、破綻処理期間中の契約者への一時的な資金供給も可能である、こういった点でも利用者といいますか消費者保護という観点から資するものであると思います。 また、保険契約者保護機構以外の、法案で子会社及び持ち株会社方式によって保険と金融、他業態との相互参入が可能となるということでございますが、このことも保険会社グループとしての健全性確保のための措置が設けられているという点、この点についても保険契約者保護に資するものだというふうに考えております。 以上でございます。
○参考人(小野田隆君) 損害保険業界について一言申し上げますと、このたびの改正法案で算定会料率の使用義務が廃止され自由化されるということでございますが、この自由化、規制緩和というのを私どもとしてはどういうふうに受けとめているかといいますと、結局これが利用者の利便になる、自由競争によって、経営の創意工夫によって各社が切磋琢磨する、あるいは経営努力をすることによってより安い、よりよい商品を提供できる、こういうことで利潤者の利便になるというふうに理解しております。 ただ、一方、利用者の利便にはなりますけれども、競争が厳しくなって過当競争の結果保険会社が破綻するという事態、これはかえって利用者あるいは消費者に迷惑をかけるということかと思うのでございますが、これにつきましては、今回新しい支払い保証制度が法律に入っておりまして、保険契約者保護機構というものが立ち上がればこれについても万全のカバーができるということで、私どもとしては今回の法改正は利用者にとって非常にプラスであると、こういうふうに判断しております。
○河本英典君 そうしたら、少し関連してお聞きしたいんですが、損害保険の方でちょっと伺いたいのは、保険料率の自由化ということで競争になってどうこうするといいんですけれども、その逆に、非常にリスクが高くて、自動車保険なんかの場合で、引き受け拒否というんですか、あるところは非常に保険料が安くなるのはいいんですけれども、リスクの高いところは引き受け手がないということで、保険に入らない自動車がたくさん走るというような状況がアメリカなんかでは大分起こっておるようでございますけれども、そういったことに対して業界としてどのようにお考えかということを少し伺いたいと思います。
○参考人(小野田隆君) ただいまの御質問でございますが、確かに料率競争が非常に厳しくなって、例えば今自動車保険の例が出ましたけれども、やはり統計的には若年者の事故が多いということで、自由だからということで若年者の引き受け拒否、こういうような問題が起こることが懸念されるわけでございます。これにつきましては、御当局の方で先般ガイドラインというものを定めまして、いろんなリスク細分型の引き受けは可能なのでございますが、一定の枠をはめて、あくまでもそういう引き受け拒否あるいは料率の著しいダンピング、こういうことがないようなガイドラインが現在設定されているということによってカバーされると。 それから、私ども保険会社としても、我々保険の使命というのは保険の安定的供給ということ、これが非常に重要であるということと、それから自動車保険の場合は被害者保護、この使命というのは絶対我々としては忘れないように、引き受け拒否などは絶対に行わない、こういうことで対処していきたいと思っております。
○河本英典君 それから、生命保険の藤田参考人にお聞きしたいことが一つあるんですが、会社の業態に相互会社という形態があるわけですね。ちょっと読ませていただいたんですけれども、会社更生法が適用されないのでそれを考えてもらいたいというような話を少し伺ったのでありますが、そのあたりのお話をお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(藤田讓君) 今回の改正法案に盛り込まれました制度は、保険業法上のいわゆる包括移転という方法を活用した破綻処理方法というふうになっております。破綻処理の透明性であるとか公平性であるとかあるいは多様性という観点から、倒産法制に基づく破綻処理手続、特に会社更生手続を活用した破綻処理手法というのは私どもは有用な方法だと考えております。 しかしながら、現行の倒産法制では相互会社にはおっしゃられたとおり会社更生法が適用されないという点等の問題がございまして、この点は今後の検討にゆだねられたものと認識をしております。したがいまして、そういった点につきましては今後できる限り早急な検討を開始していただければ大変ありがたいと考えております。 以上でございます。
○河本英典君 損害保険の小野田参考人、それから生命保険の藤田参考人に少し伺ったわけでございますけれども、私も一般利用者といいますか、消費者としてそれぞれの業界に何らかの形で接触させていただいておるわけでございますけれども、何といいましてもやはり一番縁が深いなといいますのは銀行の業界でございまして、ホームバンキングもやっていただき、大きいわけですが、そんな意味でちょっと銀行を中心にお話をお聞かせいただくことになって申しわけないんですが、よろしくお願いいたします。 今回の金融ビッグバンというのは、今言いました金融機関サイドの考え方から利用者サイドへの考え方に移るということなんですけれども、もう一つの言い方はよく言われますグローバルスタンダード、世界基準、これはアメリカ中心なのかイギリス中心なのか知りませんけれども、海外の基準に合わせていくということが一つのタイミングとして空洞化云々、それから東京の金融市場の空洞化の問題ということで進められておるわけでございます。 しかし、金融破綻の問題、不良資産の問題といいますのは、これは偶然なんでしょうけれども、バブルとの連動といいますか、ちょうど十年ぐらいたって、不良資産との関連で今別の意味で金融を取り巻く問題というのが起こっているところへこうした日本版ビッグバンをやらなければいけないという大変せっぱ詰まった状態になっておるということで、金融状況が安定してから、景気が安定してから、少しずらしたらどうかというような話がよく言われるわけでございます。 先ほどのそれぞれのお話の中でも、やはり大変業界としてはつらい思いをしながらこの状況を乗り切っていきたいというお話でございました。一般的にはリストラで何人減らしたというような話ばかり出ますけれども、本当に業界としてどういった決意でもう避けられないこの金融ビッグバン、大改革を乗り切っていく御決意なのかということを改めてお聞きしたいのでありますが、よろしくお願いいたします。
○参考人(岸曉君) ただいま先生が御指摘になられましたとおり、現在の日本の金融機関でございますけれども、バブルの後遺症といいますかこれまでにない不良債権を抱えましてこの処理が完了していない状況でございます。そういう中で外国に門戸を開きまして、外国の金融機関とのメガコンペティションといいますか非常に大きな競争の中に巻き込まれる、これはもう大変じゃないかと、こういう御指摘で、その点は我々金融界に身を置く者といたしましては本当に大変な事態で、よほどの決意を持ってこれに当たらないとこの当初のもくろみであります日本経済の活性化、東京市場の活性化というものが実現しないで、逆に金融システムが非常に弱ってしまうということになりかねないわけであります。 しからば、これを少し延期したらどうかという御意見も間々あるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、既にことしの四月一日に改正外為法が施行されておりまして、資本移動というものが内外で自由になっております。そういたしますと、我々がビッグバンによりまして、例えば先ほど申し上げた新しい金融商品、金融技術の開発、提供というようなことに取り組むことができませんと、外国の金融機関だけがそういう先進的な金融商品あるいは金融技術を持って日本の国内マーケットを攻めてまいります。 例えば、我々の非常な宝であります千二百兆円の個人貯蓄というようなものが海外の金融機関に流れていきますと、こういうものが日本の国内で回って日本経済の発展のために機能しない、外へ出ていってしまう、こういう事態になりますので、我々は、大変な事態ではありますけれども、やはりこの法案を成立させていただいて、早く外国の金融機関と同じ基盤に立って競争してこの千二百兆円の個人貯蓄の有効活用というようなことに一役を果たしたい、こういうふうに思うわけであります。 じゃ、金融機関というのは当面どういうことを心がけたらいいんだということでありますけれども、私は、やはり何よりも早くこの不良債権の処理、これはそれぞれの銀行のことでありますけれども、それぞれの銀行において不良債権の処理というものを一日も早く終わらせるということと、それからやはりリストラをやりまして効率的な筋肉質の経営体質というものをつくるということが必要であろうと思います。それに加えまして、もう一つ非常に重要なことは、やはり情報システムの問題でありまして、金融の仕事というのがグローバルになればなるほど大規模なすぐれた情報システム、コンピューターシステムを持っておりませんと海外に太刀打ちができませんので、これも相当の投資負担がかかることではありますけれども、この三つを持って外国の金敵機関との競争に対応していきたい、私はかように考えております。 以上でございます。
○河本英典君 今、御決意を聞かせていただいたわけですけれども、今まで護送船団方式で悪く言えば割とのんびりとやってきたところでありますが、一挙に開国というような形で大変な荒波を受けられるわけです。 私は、本当にリストラのことばかりが最近よく言われるのは余り好きではないんですが、金融機関の技術力というのは、言葉は適切かどうか知りませんけれども、新しい商品の開発であるとか、それからもちろんリストラ、人員ということも含むんでしょうけれども、効率的な生産性の高い事務をされているかどうか、それは情報化の処理の問題もおっしゃいましたが、そんなことも含めてやはり海外の金融機関というのはかなりそういうことが進んでいるというか、それを当たり前のようにして今やってこられて、日本の金融機関は向こうの基準に我々は合わすわけでありますからその辺の立ちおくれの分がありましょうし、本当にしっかりやっていけるのかなということで、海外の金融機関ばかりに日本のお金を預けるというのは何となく不安にも思うわけでありますからその辺大変心配しておるわけでありますけれども、海外の金融機関との競争というのはやっていけるんでしょうか。
○参考人(岸曉君) ただいま日本の金融機関の技術力というものがやはり外国に比べて劣っているのではないかという御指摘があったわけでありますけれども、残念ながら今の段階ではそういうことを認めざるを得ない面があると思います。 これはやはり規制の問題がございまして、金融の技術に限らず、例えば通信技術であれ何であれそうだと思うのでありますけれども、規制が加えられておりますとやはり民間会社としてはなかなか開発意欲がわいてこないわけであります。そういう開発をいたしましても、これを事業機会に生かすことができないということになりますと、どうしてもそういう意欲がわいてこない、したがって現段階でいえばかなり立ちおくれがあるであろうというふうに思っております。 それではそれがずっと永久にもう回復できないかということになりますと、私個人はそういうふうに考えておりません。私はよく申し上げるのでございますけれども、一九六〇年代の初めに日本が貿易の自由化をいたしました。貿易の自由化をいたしますときに、私は今でも覚えているのでありますけれども、もう日本の産業は外国の競争力の強い産業にじゅうりんされてしまって日本経済は壊滅するんじゃないかと、こういう議論がございました。 そして、例えば自動車なら自動車という産業の中から一番強い代表選手を選んでその代表選手は育成するけれども、そのほかの代表から漏れた会社はつぶしてしまえと言うとちょっと極端かもしれませんけれども、退場してもらったらどうだと、こういう議論がございまして、特定産業振興法案という法案にまでなりました。その法案は成立しなかったのでありますけれども、その整理をつけないままいわば開国をしたわけであります。その後の経過を見ますと、外国との競争の中で日本の産業が非常に強くをりまして、それから高度成長につながったわけであります。 そういう前例もございますので、私どもも非常に大変なことだとは思っておりますけれども、この競争を通じて我々自身がやはり強くなって外国の金融機関とも対抗できるようになりたい、こういうふうに決意をしているところでございます。 以上でございます。
○河本英典君 今、岸参考人がいみじくもおっしゃいましたけれども、実は貿易自由化のときの話で昔でありますが、アメリカの自動車のビッグスリーが出てきたら日本の自動車メーカーはひとたまりもないという話をよく聞いて、大変なことなんだなということを思っておりましたけれども、結果は今の結果でございますので、本当に奮起していただいて、もともと金融機関には我々の学生時代の大体成績のいい方が行っておられますので知能指数は高いと思いますが、それだけ規制の中でかたくなってしまっているかもしれませんけれども、どうかもうちょっと頭を柔軟にしていただいてこの荒海を乗り切っていただきたいなというのが私の希望でございます。 最後でございますけれども、今、規制があって商品の開発なんかに障害があったという話ですけれども、金融システムの改革としての今回の法整備というのはこれで終了したということじゃなしに、これからもいろいろまたやっていかないかぬということで、先ほどちょっとお話の中にございましたけれども、そんなことも含めまして、ぜひとも早く対応していくということがやはり国にとって大事なことでありますので、早目早目の対策ということは大事じゃないかなと。大体ちょっと後手じゃないかなというような感じがしておりますので、我々も頑張ってやりますので、業界の方もよろしく頑張って御努力いただきたいことをお願い申し上げまして、終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○今泉昭君 民主党の今泉でございます。 きょうは、金融関係四法案の国会におけるところの我々の作業に対しまして参考になるいろいろな御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。 今、我が国が抱えている最大の課題というのは、もう七年近くになる我が国の不況、景気の低迷というものをいかに乗り切っていくかということが当面する最大の国民的な課題であろうというふうに私どもも実は認識しているわけでございますが、その際に、やっぱり最大注目を浴びているのは、産業、経済の動脈と言われている金融業界の混乱というもの、これが我々の目から見ると歯がゆくてしようがない、この問題を解決しないことにはどうしようもないような事態に実は映っているわけであります。 私は、この金融関係の問題を考えてみますと、二つの大きな壁を乗り切っていかなきゃならないなというふうに考えているわけであります。 一つは、先ほど申し上げましたように、バブルの崩壊以降におけるところの金融界の混乱。特に不良資産を償却できずにその重みに呻吟している、火傷を負っている金融業界を健全なものにするためにはどうしたらいいかという一つの課題があると思うわけであります。 それからもう一つは、世界の潮流の一つとして避けることのできない自由化という問題に対しまして、この問題をどのようにこの金融業界が乗り切っていくかという問題。今まで我が国の金融業界はどちらかといえば国内だけで、競技者でいうならば競技者が日本の国内だけで競技をして、やれ日本記録が出たどうのこうのと言って自己満足をしていたような状況にあったわけでございます。 最近の流れというのは、そういう箱の中で競争をして自己満足をして太平の夢を見ているのではなくして、世界の中で競争に乗り切っていかなきゃならない。そのためには世界の基準に合わせた、金融業界にとりましては国内法のいろいろな足かせもあったでしょう、そういう意味では国の立場から、政治の立場から条件をいろいろそろえていかなきゃならないという実は二つの問題があるわけでありまして、この二つの問題をいかに上手に解決をし、金融界の健全なる発展を図っていくかということを大変大きな命題として我々としては考えているわけでございます。 そこで、まず最初に、きょうはこの四法案にかかわる細かい技術的な問題に対する御質問ではなくして、基本的な問題につきまして少し御意見をお聞きしたいというふうに思うわけであります。 実はきのう、私が所属いたしますこの参議院に設けられました特別委員会、経済活性化・中小企業対策特別委員会がございまして、この委員会におきましてもそれぞれの分野の専門家の方々に御出席をいただきましていろいろな御意見をいただきました。 そういう中で、銀行界の代表の方が来られまして意見の開陳をされたわけでございますが、その中で言われましたことは、今この産業界で大変問題になっている、例えば産業の動脈になっている金融の流れが貸し渋りのために全然流れていかないという問題について、銀行の立場でいうならば、一つは資本的な面での制約があると。それからもう一つは、景気の低迷、すなわち株価の低迷あるいは為替の円安という面からくるところのいわゆる資金に対する制約から、どうしても資金が順調に産業に流れていかないという制約を実は背負っているんだということを開陳されました。銀行の立場からいうならば、これは当然のことだろうというふうに私は思っているわけでございます。 そこで、まず最初にお聞きしたいと思うのでございますが、きょう、実は新聞の一面、各新聞が大々的に報じました大手各行におけるところの不良資産の処理の状況、決算の状況が発表されました。大変なことだろうというふうに我々は思っているわけでございます。 この内容を見てみますと、現在の株価の動向、それから円安の動向、きのうの話によりますと円が一円下がると大体一兆円ぐらい資金不足になると、したがって市場から一兆円程度資金が流れなくなっていくのは当然だというような話も専門家からございました。 こういう中に加えまして、最近はアジアを中心とする大変な金融不安が生じているわけでございまして、日本の金融界においては十兆円を上回る実は資金の供給をしている。特に世界各国が三十数兆円に上る資金をアジアに投入しておりますが、その大体三割以上は日本の銀行が関与して貸し付けをしているというような報道もございました。 加えまして、アジアのこの混乱の中において、アジアの中におけるところの先進国の貸付資金をどのような不良債権として消していくかという問題はECを初めアメリカでも相当真剣に論じられているようでございまして、ECあたりは大体一五%から二〇%ぐらいはもう不良債権として覚悟しなきゃならないという対応策を進めているという話も実は聞きました。日本においても、仮に欧州やアメリカが考えているような形で不良債権としてこれを処理しなきゃならないというふうになりますと、日本の各大手都銀がアジアに貸し付けている、特にインドネシアを中心として貸し付けている不良資産の処理をやった場合に、低いところで一千億、多いところの銀行になりますと三千億からの不良資産を消していかなきゃならないような状態になっているわけでございます。 株安、円安に加えましてアジアの金融不安というものを考えてみますと、きょうの新聞の報道によりますと一挙に十兆円を上回る不良債権の償却を行うというふうになっておりまして、次の期にはそれが二割ぐらいに減っていくというふうになっているようでございますが、そういうふうな形で考えられないような次のステップの心配が実は我々としてはあるわけでございます。 こういう問題について金融業界として今どのように考えていらっしゃるのか岸参考人にちょっとお聞きしたいと思います。
○参考人(岸曉君) ただいまの先生の御指摘でございますけれども、今、日本の金融機関が多額の不良債権を抱えている、そして株安、円安というものがそれに非常な追い打ちをかけ、その資本の制約により資金の循環が阻害されていることによって経済の、景気の回復等に非常に悪い影響を与えているのではないかそれに加えてアジアの問題が出てきたけれどもその点については今後どうかというお尋ねであったかと思います。 まず、全体としての不良債権の処理でありますけれども、御指摘のように、今回の決算におきまして巨額の償却、引き当てを行いまして、我々は赤字決算を余儀なくされたわけでございます。 従来は、どちらかといいますとこの債権の処理というものが、いわばやや抑制的な指導を受けておったわけでありますけれども、ビッグバンを前にいたしまして、これはやはり抜本的な解決が必要だということで早期是正措置の導入がなされまして、今度は償却、引き当てというようなものを促進するという方向にかなり変わったわけであります。それで、そういう方針に従いまして銀行が一斉に不良債権の洗いかえ、自己査定を行いまして償却、引き当てを行ったわけでありまして、これについては不良債権の処理が少なくとも財務的には今回の決算で相当進んだというふうに考えられるのではなかろうかというふうに思います。 それで、アジアの問題でございますけれども、アジアの中でもインドネシアを初めといたします五カ国が今非常に注目の対象になっておるわけでありますけれども、御指摘のように、日本の銀行全体の貸し出しは十一兆ございますし、私どもの銀行でも二兆円弱のものがございます。 一口にアジア向けの貸し出しと申しましても、その中身に相当いろんなバラエティーがございまして、アジアに進出しております日系企業に対する貸し出しもアジアに対する貸し出しに入ってまいりますものですから、私どもの個別銀行のことを申しますと、大体半分ぐらいはそういう日系企業に対する貸し出してございます。これはそれぞれ親元企業の信用で貸し出しをやっているわけでありますから将来にわたって余り問題はないかと思いますけれども、それ以外の地場企業の貸し出し、地場のリスクで貸している貸し出しについては、当然のことながらこれは引き当てを要するところでございます。 例えば、インドネシアについて申し上げますと、私どもは個々の企業の信用度を算定して、信用度の低いものについては個社則に債権償却特別勘定を引き当てまして、それでそのほかにそれに入っていない貸し出しについても、例えば為替管理が行われて持ち出しができなくなったとか、支払い能力はあるんだけれどもドルの入手が難しくなったというようなことが考えられるわけですから、そういういわゆるトランスファーリスクに当たるものの金額に対して一五%程度の引き当てをいたしましたので、この三月現在の状況ではまずは欧米並みの安全度を保てたのではないかなというふうに思っております。 もちろん、これは非常に大変なのでありますけれども、インドネシアの状況も、もちろん先のことはわかりませんけれども、やや沈静化に向かっておるようでございますし、これは政治的な安定が回復いたしますれば、インフラとしても国民の勤勉とかなんとかということから考えて、必ずまた立ち上がってくる経済であろうかと思いますので、もちろん楽観はできませんけれども、ただいまの日本の金融界に対しましてとどめの一発だみたいな感じはないというふうに確信をしております。
○今泉昭君 なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、ここに用意をされている法案等はいずれも世界的な金融自由化に向けての我が国の体制整備を行っているわけでございますが、その競技者であるところの金融機関が競技に参加する前にけがをしてしまったり、こけてしまって、せっかく国の段階でこういう整備をしてもそれに参加できないようになったら何にもならないわけでありまして、我々としてはそれを最大限懸念しているということを一つだけ申し上げておきたいというふうに思うわけであります。 そこで、きのうの経済活性化・中小企業対策特別委員会で特に問題になったのは、都銀を中心とするところの産業界に対する貸し渋りの問題であります。一部、四月には多少貸し渋りが緩んできたという意見の開陳もありましたけれども、全体的には逆にこれからさらに貸し渋りが強まるのではないかという懸念すら意見として出されておりました。 そこで、私、ちょっとお聞きしたいと思うんですが、これまで我が国の産業の体質、産業政策というのは、どちらかといえば金融資本を中心とする大きな柱がワンセット主義に基づきまして金融グループを中心とした大きなグループ対応をされていたということは否定できない事実だと思うんです。例えば、三菱グループであるとするならば金属、化学あるいはエネルギーというようなそれぞれの優良企業をグループの中に抱えて、そういう中において一つの大きな産業界の存在感を示してきて、それの協力によって日本が大きな国際競争力をつけてきたという功績は、これは否定できない事実であろうと思うわけであります。 ところが、最近の国際化の流れの中で、日本のこれまで持ってきたワンセット主義、それにつけ加えるところの系列の打破というような、系列中心におけるところのあり方の見直し、特にこれは株の持ち合いという面から来ている見直しの問題が浮上してまいりまして、昔は企業がちょっとおかしくなったら銀行が実は債権者を送り込むような形でその企業を再建していく、グループの企業であるなら特にそれを中心にやってこられたという流れがあったんですが、最近はどうも銀行自体、金融界自体の体力が弱まってしまった。だから、とてもじゃないけれどもそんなことは面倒が見られなくなってきたということが一つ。 それからもう一つは、その株の持ち合いというものを新たに見直さなきゃならないというところから、今までのような形で無理をしてでも融資をするという姿勢がほとんど銀行の中、金融界の中にはもうなくなりつつあるのではないか。そういうところから、優良企業であってももうこれは切っていった方がいいという形でどんどん企業整理をある意味ではしているということもいわゆる貸し渋りの中の大きな柱になってきているんじゃないかというふうに思うわけであります。 そういう意味では、これからの金融界がただ単に力をつけた、あるいは今までついていた傷がいやされてきたからといって貸し渋りの問題が解決するというふうには考えられないのでありますが、金融業界としてそういうような方針の大幅な転換というものを気持ちの中でお持ちでございますか。
○参考人(岸曉君) ただいまの御指摘の中で、企業が行き詰まり経営上の困難にぶち当たったときに今までは銀行がちゃんと救済したではないか、それが今やそういう気持ちも力もなくなっているのではないか、こういう御指摘であろうかと思います。 一つは、やはり日本のメーンバンク制の伝統というものはまだ厳然と残っておりまして、銀行どお取引先の関係というのがただ単に損得だけで、利益が得られればつき合うけれども利益が得られなくなったら途端に離れていく、そういうような乾いた関係になっているということは全くございません。メーンバンクというのはそれぞれ相当の責任感を持ってお取引に当たっているつもりでございます。 ただ、一つ申し上げられますのは、従来の右肩上がりの経済のもとでは金融機関が手をかすことによって企業が立ち直るということがかなり容易であったわけです。つまり、金融機関というのは資金面では御支援ができますけれども、それぞれの専門分野での経営については全く素人でございますから、そういう専門分野での経営の部分につきましてはそれぞれの専門分野からお力をかりてきまして、例えばその業界の他社でありますとかそういうところのお力をかりて、金融機関は資金面での支援をして、つまり両者一体となって再建する、こういうのが一般的な事例であったわけでございます。 右肩上がりの経済から現在のように非常に景気の低迷が長引いておりまして、各社ともリストラというようなことをそれぞれに苦慮しているような時代になりますと、専門分野でのお力をかそうという方がなかなか見つけにくくなっていることは事実でございます。金融というのはどうしてもお金をつけるだけという限界がございますから、何とかしてそういうことは産業界と金融と一緒になって再建を図りたいわけでありますけれども、そういうことが容易にできなくなっていることは事実でございますが、しかし銀行としての責任というものは従来より薄れているということはございません。 それから、株の持ち合いにつきましても、この持ち合いというものが解消に向かうのではないか、あるいは向かっているんだというようなことがよく言われるわけでございますけれども、実際には私は余りそういうことはないのではないかと思います。もちろん、こういう効率経営を目指さなくちゃいけない時代でございますから、我々が持っている資産については、株であれ何であれ、全部資産が有効に経営の中で働いているかどうかということをチェックいたしまして、有効に働いていない資産についてはリストラをしなくちゃいけない、これは当然のことでありますけれども、非常に親密な関係にありますお取引先との株の持ち合い制度そのものを見直して解消していくんだというようなことまでは、私はそれは一般的な傾向としてはないと思っております。 以上です。
○今泉昭君 お三人の参考人の皆様方にそれぞれお聞きしたいと思うんですが、我が国が低金利政策に入りましてもう五年近くになってきているわけであります。これまでの金融政策というのは、とにかく景気が悪くなれば低金利でもって乗り切っていくという手法がとられてきたことは過去の例を見れば明らかなのでございますが、〇・五%という史上最低の金利を続けていながら一向にそれは景気には一つも呼び水になっていないし、逆に最近はこれが景気に対してマイナス作用を起こしているのではないかという論議すら出てきているんじゃないかと思うのであります。 というのは、先ほど申し上げました貸し渋りの問題と絡みまして、一つは、特に我が国の産業を占める九九%というのは中小企業というものに代表されるわけでありまして、そこで働いている従業員も就業労働人口の七八%に該当するわけでございますが、これらの企業におきましては、銀行が今自分の自己体力をつけなきゃならない、それぞれの金融機関が自己体力をつけないがためになかなか金を貸してくれないだけではなくして逆に金を引き揚げていくというところから、何とかして金を調達しなければならないわけであります。 したがいまして、金を調達するためには、いわゆる直接金融の手をかりまして高い金利で実は手当てをしなければならない、実体金利というものから離れた形での金融操作を考えて今手当てをしているような状態であります。金融機関の中には逆に金利を高くするというような形で渋々金を貸すというような状態が出ているわけでございまして、これでは何のために低金利政策をとっているかわからないわけであります。 加えまして、最近は御存じのように景気が悪いものですから卸売物価もマイナスの状態になりつつある。いわゆる物価が、特に生産現場におけるところの物価がマイナスになるということは、金利面で言うならば実質金利が上昇することと同じことなのであります。企業というのは名目経営をしているわけでありますから、物価が上がらない限り売上高が逆に減ることにもなるわけでございまして、売上高が減るということは固定費が全然減らない中であって経営を圧迫していく、こういう悪循環を逆に今生じているような状態ではないかと思うんです。 加えまして、もうこれは生保でも損保でもそうだろうと思うのでございますが、金利が低いがためにいろんな商品の運用、資産の運用というものに対して大変苦慮をされているんじゃないかと、魅力的な商品を国民に提供でき得ていないと。特に高金利、高金利という表現はおかしいかもしれないけれども、日本に比べますと海外の金利の方がはるかに高いわけでありまして、海外からの魅力的な商品の提供がむしろこれからますます強まってくることは火を見るよりも明らかだろうと思うのであります。それがために、生保も損保も資産が大変苦しい状態にあるのではないかというふうに思うわけでありまして、これまで我が国がとってまいりましたこの低金利政策の転換期というものをそろそろ国の立場でも考えなきゃならないのではないかという気がしてならないわけであります。 このまま続けていきますと、今マネーゲームに狂奔しているアメリカにただ得をさせているばかりの話じゃないか、日本の資金をアメリカにみんな持っていかれちゃって、アメリカがただひとりもうけをするというような状態を続けさせるんじゃないかという危惧さえしているわけでございます。 確かに、一面では低金利であるから資金調達で安くて経営に対しては負担が少ないんだという原理原則はあるかもしれないけれども、実体経済の面では皆さん方の専門家の立場でどのように見ていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせを願いたい。
○参考人(岸曉君) 今の低金利を上げたらどうかということでありますけれども、いろんな角度からの見方があると思います。 私どもがお取引先の決算状況、今三月期の決算がずっと出そろってきているところでありますけれども、決算状況を見ておりますと、もちろん会社によって違いますけれども、おしなべて言えることは、やはり価格要因から非常に営業利益が圧迫されている、上がらない、数量はたくさんさばいたんだけれども値段が下がって利ざやが少なくなったために営業収入が伸びない、経費も減らしたんだけれども追いつかなくて営業利益ではマイナスになったと。これを支えているのはその下の営業外収支、つまり金融収支なのでございます。支払い金利と受取金利の差額でございます。ここのところが金利が下がっておりますものですから、借り入れの多い企業の方が大半でありますけれども、そこで少し息をついて経常利益を何とか確保している、こういう状況にあります。 そこで、ここで金利を上げますと、今度は金融収支のところが一遍に悪化をいたしますから、営業利益の苦しいのがそのまま経常利益にはね返ってしまうということで、企業の収益に与える影響というのは無視できないのではないかなという気がいたします。 しからば、じゃ今度は逆に下げたらどうだということでございますけれども、どうも今の設備の需給バランスでありますとか在庫の状況でありますとかを見ておりますと、金利が下がったからといって、何か設備投資をやるとか、新しい事業の方へ展開するとかという意欲まではなさそうに思います。それから、消費の方も、これは将来へのコンフィテンスの問題で冷え込んでいる部分が多うございますから、金利が下がったらそれじゃ消費が盛り返してくるかといいますと、ちょっとそういうことも望めないのではないかということで上げることもできない、下げることもできないという状況でありますけれども、金利についてはまさにそういう状態であると思うのでございます。 今度の十六兆円の総合経済対策、こういうものがやはりこれから効果を発揮してきて、実体経済面でこれは必ず効果が出てくると思います。そして、明るさが戻ってくればまた金利もいじりようがあるんじゃないかなという、大変歯切れが悪いんですけれども、そんな感じでございます。 以上です。
○参考人(藤田讓君) 私ども生命保険会社の立場からこの低金利について申し上げさせていただきますと、生保会社は固定で長期の負債、責任準備金を抱えておりますので、その保険料計算上のいわゆる予定利率というものと実際の運用利回りとの間のミスマッチ、いわゆる逆ざやというものが発生しておりまして、これが現在の生保会社の収益、収支の最大の圧迫要因になっております。その意味では、おっしゃられるとおり、金利が上昇する、それによって運用利回りが向上するということは私どもにとって望ましいことでございます。 ただ一方で、先ほど岸参考人が言われましたとおり、現実の経済を見ましたときに、この景気の低迷の状態から見て、現在の低金利政策の変更が可能かどうかという点はいろいろ難しい問題があるのではないかという気がいたします。例えば、こういう状況で金利が上がるということになれば株価への反応がどうなのか、株価がさらに下落するということになる可能性もありはしないか等々でございます。 したがいまして、できるだけ早い時期にやはり景気が回復軌道に乗る、そのためには、いろいろ対策を打っていただいておりますが、景気が早く回復軌道に乗る、いわゆる金利は景気の体温というふうに申しますので、景気が回復に向かえばおのずから少なくとも長期金利は上昇に向かってまいりますので、そういった形で金利の上昇に向かうのがやはり一番望ましい姿ではないのかなというふうに感じております。
○参考人(小野田隆君) 私は一言だけ申し上げますけれども、現在の日本の経済の状況からしますと、やはり経済の活性化というものを優先すべきということで、低金利政策の転換はなかなか難しいのではないかなと思います。そのかわり、損保業界では、やはり低金利政策の影響を受けまして、利配収入確保の面では非常に厳しい環境下で、その中で我々は運用の効率化、多様化、あるいは健全性の確保にも留意しながら利配収入の確保に鋭意努力している、これだけ申し上げておきます。
○今泉昭君 ありがとうございました。
○益田洋介君 私は、まず岸参考人に対して質問を申し上げます。 ことしの二月二日、全国銀行協会会長就任の記者会見を岸会長は行いました。そこで、大蔵省金融検査官への接待問題について、こういうコメントを述べられている。いわゆるMOF損の存在は、法律解釈の問題や大蔵省から金融界の実情についての問い合わせがあった場合に窓口として機能を果たしてきている、こうした機能自体はコンプライアンスの面から必要であると考える、それからさらに、確かに東京三菱、個別行として過去における接待が社会的通念の範囲内であった、過剰であったと思っていない、どこから過剰であるかという線引きは難しいのでと、そのようにお述べになっている。 翌々日の二月四日、衆議院の大蔵委員会で、自由党の小池百合子委員の質問に対して、小池さんは昔新進党で一緒だったわけでございますが、この発言についての質問がなされた。それに対して参考人はこのように答弁されている。私の就任の記者会見での発言は極めて不適切であった、反省しておると。わずか二日間でこのように発言を翻している。どういうふうな基本理念でいらっしゃるのか。日本における主要金融機関の団体の長としてこういう姿というのは正しいのかどうか。二日間で基本的な理念を変えているんだ。本当にこういうことで職を全うできると思っているんですか。現在のこの問題に対する考え方を確認しておきたい。
○参考人(岸曉君) まず、私どもは大蔵省さんとの関係におきまして、こういう不祥事に至りましたことにつきまして、私どもの不徳のいたすところで、深くおわびを申し上げます。 それで、大変言葉が足らなくて誤解を招きまして申しわけなかったのでございますけれども、途中で変わっておるわけでありませんで、私が申し上げたかったのは、当時はこういうことが社会通念の範囲内ではないかというふうに思っていたんだけれども、そういうふうに社会通念の範囲内だと思っていたことが我々の非常な間違いであり不適切なことであった、そのことについて深く反省いたしまして、今後そういう疑わしいことがないように身を持してまいります、こういうことを申し上げたかったわけでありまして、言葉が足らなくて誤解を招きましたことにつきましてもおわびを申し上げます。
○益田洋介君 身を持していくとおっしゃったけれども、具体的にどういうことを言っているの。どういうお考えているのか。 それから、なぜ座ったままで発言するんだ。質疑者は立って質問しているのに、何で座っているんだ。
○委員長(石川弘君) それは、座っていいとちゃんとはっきり言ってあります。許可してあります。発言は着席のままということで、そう宣言してあるんですから。
○益田洋介君 理事会でそんなことを聞いていないですよ。
○委員長(石川弘君) 今までの参考人も全部こういう形でやっています。
○益田洋介君 そんなことはないですよ。興銀の頭取は立って発言したじゃないですか。
○委員長(石川弘君) この委員会における参考人は……。後で理事会でお話しします。
○参考人(岸曉君) まず、私どもの銀行としての対応の仕方でありますけれども、倫理コードを設けまして今後そういう社会的な行動についての倫理をきちんと詳細に定めて、これを守るように徹底をいたしました。 また、組織といたしましても、コンプライアンス室を設けまして、各部門、各業務においてこの倫理コードが守られているかどうかということについて徹底をすることといたしました。 また、経費の支出につきましても、細かく厳格に経費の査定をする、同時に検査部がその支出状況について検査を実施するということによりまして今後こういうことがないように再発を防止いたしました次第でございます。
○益田洋介君 それでは次に、六行会というのがございますね、全銀協の中に。これはどういうふうな会合であるか、さらに現在構成する銀行はどういう銀行であるか、六行会の目的、それから実際の機能、こういうものについてお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(岸曉君) ただいま全銀協の中には六行会というものはございません。全銀協の中でございますのは一般委員会あるいはその他の専門委員会が多数ございますけれども、問題によりまして随時関係銀行が集まることはございますけれども、それはその時々の問題の関係銀行でございまして、例えば常時常設の六行会というようなものはございません。御理解をいただきたいと思います。
○益田洋介君 間違いないですね。
○参考人(岸曉君) はい、間違いございません。
○益田洋介君 非公式ではあるけれども六行はあるんじゃないですか。それで、持ち回りで全銀協の会長をこの六行の中で回しているんじゃないんですか。そういう存在はないとはっきり認められるの。
○参考人(岸曉君) 全銀協会長の選び方につきましては、六行会とは関係ないわけでありますけれども、臨時機構等調査委員会というのが全銀協の中にございまして、この臨時機構等調査委員会において検討いたしまして、現在、六行で順番に持ち回りで一年間ずつ就任することとなっております。 以上でございます。
○益田洋介君 それを称して六行会と言っているんじゃないんですか。六行で持ち回ると言ったじゃないですか、今。
○参考人(岸曉君) ただいまの六行というのは、どこの銀行の頭取が会長に就任するか、こういうルールを定めたものでございまして、六行会というものとは別でございます。
○益田洋介君 全銀協の会長を務めている銀行については会長の任務期間中は大蔵省の検査が入らないことになっている、こういう慣習はありますか。
○参考人(岸曉君) そういうことについては、聞いたことがございません。
○益田洋介君 例えば、東京三菱の会長が任期を終えた九三年の四月、任期満了直後に検査が入っている。それから、住友銀行については、住友銀行の頭取が会長に就任することが決まった直前、九四年一月、検査が入った。このようにして、会長の任期中は大蔵の検査が入らないという慣習になっている。違いますか。
○参考人(岸曉君) 大蔵省検査がいつどこの銀行に入るかということは銀行局の検査部がお決めになることでありまして、そのことに関して全銀協に御相談があるとか一緒に決めるとか、そういうことばもう一切ございません。
○益田洋介君 今回の一連の宮川宏一、それから谷内敏美等の検査官が実際に逮捕されて今起訴されているわけですけれども、その収賄容疑の一つになっているのが検査日を事前に漏えいしたということになっている。大体それの予測が立っていると言っているんだ、銀行の中の当事者たちは。検査のための書類づくりは大変で、検査が入ってからでは不可能に近くなる、したがって事前に正確な検査情報が欲しい、こういうふうに都銀の幹部は言っているんだけれども、会長の任期中は検査が入らない、こういう慣行になっている、そうじゃありませんか。
○参考人(岸曉君) 銀行局の検査部がなさる検査がどういう判断で決められているかということについては、私どもの方は存じません。
○益田洋介君 それでは次に、コミットメントラインという金融新商品がありますが、これはどういうものか、言ってください。
○参考人(岸曉君) お取引先と契約をいたしましてあらかじめ一定の金額まで貸し出しの枠を設けるお取引でありまして、その枠を設けていつでもお取引先がこれを利用できるということについて一定の手数料をいただく、こういう商品であります。
○益田洋介君 ことしの二月十六日、東京地検の特捜部によって谷内敏美容疑者が再逮捕された。このときの再逮捕の容疑は、東京三菱銀行と住友銀行から約三百四十三万円の接待を受けている、こういう容疑です。 それで、このコミットメントラインについての法解釈、利息のかわりに手数料収入を得る、これが出資法や利息制限法に違反しないかどうかという問い合わせを、御行の当時の企画部調査役から相談を受けた、谷内容疑者が。今までは、コミットメントラインを大蔵省は認めていなかった。何でかというと、この両法に違反する疑いがあるから。ところが、この相談を受けた谷内容疑者は、行政指導がクリアできるように、これは違反でないという解釈を初めて示した。そして、この新商品が認められて、東京三菱が初めてだった。それで商品としてマーケットで販売できるようになった。 九三年の九月から九七年八月にかけて、この企画部調査役が約百十一万円相当の接待を谷内にした。これが再逮捕の容疑なんです。これは認めますか。
○参考人(岸曉君) コミットメントラインでございますけれども、利息制限法等の法律に抵触するかどうかという疑義があったということはそのとおりでございます。しかしながら、国際的には広く行われている金融取引でありますし、経済のグローバル化に従ってお取引先からの要望もだんだんふえてまいりましたので、改めてこれについて本当にこの法律に抵触するのかどうかということでございます。 それで、これは本来はもちろん大蔵省の仕事ではなくて法務省の仕事になるわけでありますけれども、大蔵省にここのところの確認を求めた、お願いをした、こういうことと理解しております。
○益田洋介君 法務省の見解は、結局、利息制限法の解釈でのみなし利息ですから、貸出額が小さい場合には手数料額が法律で定める上限額を超える、そういうケースが出やすい、したがって違法である疑いが強い、こういう見解を示している。これについてどう思いますか。
○参考人(岸曉君) そういう見解が出たというふうに理解をしております。
○益田洋介君 今後はこの商品をどういうふうに扱いますか。
○参考人(岸曉君) 現在のところは取り扱っておりませんけれども、今後法解釈が変わらない限りはそれは取り扱わないと、こういうふうに思っております。
○益田洋介君 この贈収賄容疑が持たれた九三年九月から九七年八月にかけて、谷内容疑者と接触した御行の企画部調査役はどなたですか。
○参考人(岸曉君) 現在、谷内さんにつきましては公判が行われているところでございますので、この内容にかかわる具体的な事項あるいは個人名についてはお許しをいただきたいと思います。
○益田洋介君 谷内さんの話をしているんじゃないんですよ。当時の御行の職員の名前です。企画部調査役がだれかというのが私の質問なんだ。谷内さんのことは何も聞いていないよ。
○参考人(岸曉君) 先生のお尋ねのことはもちろんわかるのでございますけれども、一連の私どもの事件の関連でお尋ねのことでございますので、この一連の事件は現在公判が行われているところでございますから、これについてのお答えはぜひお許しをいただきたいと思います。
○益田洋介君 グローバルスタンダード化をこれから進めなきゃいけないと先ほど会長さんはおっしゃったけれども、こんなことを隠匿してもしようがないでしょう。もっと透明性を増さなきゃだめだよ。全銀協の体質を変えなきゃだめなんだ。この人は井桁潔さんという人なんだ。わかっているんだ、そんなことは。何で言えないんだ、国民の前で。 まず、井桁潔さんということを認めますね。
○参考人(岸曉君) 井桁調査役に間違いはありません。
○益田洋介君 とにかく透明性を増してもらいたい。銀行協会も大蔵省もみんな隠ぺい工作をしている。それが今回の一連の不祥事の原因なんだ。こういうことを今後は避けたいと言うんだったらば、透明性を増すべきですよ。違いますか。 それで、最後の質問。この井桁潔さん、どういう処分をしたの。
○参考人(岸曉君) 譴責処分にいたしました。
○益田洋介君 現在は何をしているんですか。現在の職務。
○参考人(岸曉君) 譴責処分にいたしました。
○益田洋介君 終わります。
○三重野栄子君 社会民主党の三重野栄子と申します。 本日は、御三方とも大変お忙しいところ、参考人として御出席いただき、現在までいろいろと審査に関する御意見をいただきまして、ありがとうございました。 御存じと思いますけれども、金融ビッグバンの本格的な活動を目前にいたしまして、金融機関に対する不安が大変多様化しております。昨年十一月に比べて今日はいささか沈静化したものの、株価低迷が続く中で預金者、投資家の不安はぬぐい切れておりません。加えて、不良債権の処理といいますと、言いかえれば税金が投入されるということになりまして、広く国民の不満と不安と怒りが蔓延しているという状況でございまして、また一方ではこの問題について関心が高いということも言えると思います。 私は、預金者、投資家はもちろん、広く生活者の立場に立ちまして、幾つかの課題につきまして御意見をいただきたいと思います。 なお、本日、参議院としてはインターネットで公開中でございますので、幅広く皆さんが注目しておられると思いますから、わかりやすいな言葉でお話しいただければと思います。 なお、私のいただいておる時間は十九分でございますから、その点もよろしくお願い申し上げます。 まず、岸参考人に御意見をいただきたいと思います。 今回、審議中の金融システム改革法によりまして、消費者に対して金融商品をわかりやすく説明することが金融機関に義務づけられています。その商品が預金保険の対象がどうか、新しくできる保険契約者保護機構の保護範囲など、消費者にとってはわかりにくいものがございます。具体的には、東京三菱銀行や長期信用銀行が取り扱います例えば金融債などを例にとりますと、預金保険料の算定基礎になっていないけれども、法律上保護対象外にあるにもかかわらず運用上は保護される余地を残しているのではないかと。この不透明な状況が続いております。 本年二月に当委員会に出席した日本興業銀行の黒澤会長は、「御当局において金融債を預金保険機構に含める場合にはどの程度の保険料を取るべきかということを現在御審議中というふうに承っておりまして、私どもはその御結論に従うつもりでございます。」という御答弁がございました。また、佐伯前会長も検討が必要と述べておられますけれども、岸全銀協会長といたしまして預金保険機構の運営委員でもあられますし、以上二点につきまして御意見をいただければ幸いです。
○参考人(岸曉君) まず、金融債が預金保険の対象になるかどうかということでございますけれども、これは平成十三年の三月末までは預金と同様に預金保険法の対象として全額保護されるということを大蔵大臣が国会で宣明しておられます。現在は預金保険法の対象となっておりませんので、これは臨時異例の措置でありますから保険料が決まっていないわけでございますけれども、これは保険料が幾らであるべきかということを検討して、基本的に預金保険の対象とするのか、それとも臨時異例の措置が終わったらまたこれは転々流通するものでありますから預金保険の対象外とするのがいいのかそれは今後議論されることになるだろうと思います。
○三重野栄子君 その点はいつごろとか、めどはございますでしょうか。
○参考人(岸曉君) その点の検討に関しましてはまだ具体的な日程を伺っておりません。
○三重野栄子君 それでは次に二点目を伺います。これは岸参考人と藤田参考人に御意見をいただきたいと思います。 変額保険などの問題でございます。六百件に及ぶと言われておりますけれども、現在多くの訴訟となっております変額保険の問題を例にとりますと、新しい金融商品を理解するのがなかなか難しい高齢者、大変失礼でありますけれども、高齢者にハイリスクの商品を販売した保険会社が一つ課題です。また、土地等を担保に相続税対策になるからということで積極的に保険料を融資しましょうと銀行が勧めだということも一つの責任でございますが、それらのことがこの訴訟で問われていると思います。 全銀協では金融商品に関する契約を消費者本位に見直す方針と報道がされておりますけれども、金融ビッグバンでリスクのある商品がこれからもますます多くなるというふうに思いますが、その販売方法についてお二方の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(岸曉君) 今後、ビッグバンによりまして銀行が取り扱える金融商品が多種多様になってまいりますと、当然のことながらその中に元本保証のついていない商品が入ってまいります。その点につきましてはもうこれは従来も、例えば外貨預金あるいは商品ファンドといったようなものは、外貨預金の場合は為替レートによって元本が目減りすることがございますから元本保証がついていないわけでございまして、銀行もそういう商品をこれまで取り扱ってきておりますので、この商品はこういう有利な点はあるけれどもこういう点は元本保証がついておりませんよというようなことを説明して取り扱ってまいりました。 今後、取扱商品が拡大いたしました場合にも十分そういう点に気をつけまして、御利用になる方が元本保証がついているかどうか、どこにどういうリスクがあるかということを十分おわかりいただけるように御説明をしていきたい、かように考えております。
○参考人(藤田讓君) 生命保険商品は基本的にニーズの潜在型商品でございます。また、非常に契約期間が長期性で複雑な商品でございますから、販売の際には十分に商品の説明を行ってお客様に御理解をいただいて御契約いただく必要がございます。したがいまして、私ども生保各社は、これまでも募集人の教育、つまりセールス教育、それから販売資料の充実化ということに努力をしてまいりました。 御指摘の変額保険につきましては、これは運用実績に応じて保険金額が変動するという商品でありまして、死亡保険金額には最低の保証がございますけれども、満期保険金あるいは解約返戻金ということについては保証がなくて、運用のリスクが御契約者の負担になるという商品でございます。そういう今までの商品と違う商品の性格を持っておりますから、生保協会におきましては、この変額保険を販売する販売資格制度、変額保険を売るための資格制度というものを設けました。また、リスクの存在についてもお客様に十分に御理解いただくように、各社におきましても募集人の教育、そして販売資料の作成ということに努力しているところでございます。 今後、御指摘のとおりビッグバンによりまして従来にないいろいろな商品が出現する可能性がございます。その場合もお客様には十分に商品の御理解がいただけますように、商品の特殊性にかんがみた募集人の教育と充実した販売資料の作成ということに今後とも努めてまいりたいと思っております。 以上でございます。
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。 今、募集人の資格制度だとか訓練だとかいうお話をいただきましたけれども、これは変額保険で訴訟が起こる前からそういうことになっていたのかというところが一つ。それから、銀行と保険と御一緒にタイアップしておいでになったということでございますけれども、そういう例もあるようでございますが、そういう募集方法というのはどのようにお考えでございましょうか。それぞれお二方から御意見をいただきたいのでございます。
○参考人(藤田讓君) 変額保険という商品が登場したときからそれを売るに当たっての販売資格という特別の試験に合格をしなきゃいけないという制度はございました。
○参考人(岸曉君) 変額保険は生保さんの商品でございまして、私どもの方はそういう保険料のお貸し出しをしたということであります。これは別々の話なのでございますけれども、一緒にお伺いして話を一度にやるというようなこともあるいはあったかと思います。 いずれにしましても、一部のお客様がバブルの崩壊とはいえお困りになっていることは事実でありますので、かってどうであったかということは別といたしまして、できるだけ誠意を持って対応していきたい、このように思っております。
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。 やはりそういう事故が、御本人の問題もあろうかと思いますけれども、これからリスクが高い商品がたくさん出るようでございますので、そこらあたりの教育と申しましょうか、消費者の立場に立っての御説明をぜひともいただきたいというふうに思います。 最後の私の質問でございますが、小野田参考人にお伺いいたしたいと思います。 今審議しておりますSPC法案で不良債権の証券化のための環境が整備されることになります。そこで、SPCが発行する資産担保証券などのリスクのある商品に投資家の投資を呼び込むためには損害保険会社の保証などによって証券の信用を補完することが市場を形成するための重要なかぎとなると聞いておりますが、いかがでございましょうか。
○参考人(小野田隆君) ただいまの資産証券化への取り組みということかと思いますが、基本的には個別会社の判断になりますけれども、いずれにしましても損害保険業界は資産証券化市場の中で、一つは投資家としての役割をもちろん担いますが、もう一つは保証者、発行商品の元利金の支払い保証、これを保証するという役割が非常に期待されております。 例えば、損保会社の大手四社は現在トリプルAというような格付を持っておりまして、非常に信用力があるということでそれを利用しまして、それからまた債権のリスク分析力がすぐれているというような評価もいただいておりまして、今後この市場でそういう意味での役割を十分担えるんじゃないか、こういうふうに承知しております。
○三重野栄子君 だんだんとこの新しい法律によって淘汰されていくということも言われておりますけれども、破綻をされた会社に働く人たちがその後どうなっているかということをお伺いしたいんです。 藤田参考人、いかがでしょうか。
○参考人(藤田讓君) 生保会社が破綻いたしましたのは戦後初めて、昨年の日産生命でございます。その新会社として、契約者の契約を移転する会社としてあおば生命というものを設立いたしました。 したがいまして、まずいわゆる事務という、一般の内勤といいますか一般の事務的な仕事をしている人の大半は、一部はもちろん業務をリストラしましたからおやめいただいた方もありますけれども、そのままシステム関係とか何か等はあおば生命に移っていただいております。 それから営業職員、いわゆる募集をする営業職員の方々、今回あおば生命というのは募集をしない会社でありますので営業職員の方はあおば生命に行くことができないわけです。したがって、その方たちは生保各社がそれぞれ何名かずつ希望によって採用しております。そこで働いて、もちろんおやめになった方も若干あるでしょうけれども、基本的には生保各社で新たに採用した形で募集活動をしておられます。
○三重野栄子君 あと、ちょっと時間がありますから、かわります。
○志苫裕君 社民党の志苫といいます。座ったままで失礼させてもらいます。 さっき変額保険のお話が出ましたが、これはもう御存じのように今訴訟になっているようですから余り詳しく聞いてもまた返事もしにくいでしょう。でも、一応状況だけ申し上げておきましょう。 大変な社会問題になったことは事実なんでして、これはもちろん勧誘なさったのは保険会社ですが、ただ保険はもともとうまいことを言いますからそんなに頭から信用はしないんですが、やっぱり銀行さんがやってきますと、銀行というのは手がたい人間ですから、これが大丈夫ですよ、私らが金を貸しますからと言ったものだからついついはまったというのがいきさつになっているのでこれは双方に責任ありというのが私らが被害者の話から受けた印象ですが、現実に何か具体的な対応をなさっていますか、双方とも。
○参考人(岸曉君) 私どもの方では、これは単に変額保険だけの問題ではございませんけれども、特に変額保険の場合お困りの度合いがひどいものでございますから、例えば利払いが滞っておる、あるいは元金の返済が滞っておるというようなお取引先につきましてはこちらの方から個別にアプローチをさせていただきまして、どんな状況におありになるのか、これからどういうふうになさるお考えがあるのかいろいろ御相談ずくでお話を伺いまして、それぞれのケースに応じて対応しているところでございます。 おかげさまで、そういうことによりまして相当たくさんの件数が解決して動き出しているということでございます。
○参考人(藤田讓君) 一言、私どもの例で申し上げますと、変額保険顧客対応委員会という委員会を設置しておりまして、そこで引き続きこういうリスク性商品であります変額保険というものに対しての職員の教育、指導ということの再徹底を図るとともに、変額保険にかかわる苦情だとか相談だとかあるいは訴訟というものに関する顧客対応をこの変額保険顧客対応委員会で行っております。 以上でございます。
○志苫裕君 終わります。
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡といいます。 岸参考人にお伺いします。 先ほどお話をお伺いしていて私感じましたのは、大蔵省からの法案内容説明を聞いているような感じを受けました。それで思うんですが、大蔵省と銀行との関係というのは、先ほども話題になりました接待でいろいろ深い関係が今問題になっているわけですけれども、法案をつくる過程というのも、私が聞くところでは、まだまだ法案の案として固まらないうちに金融機関に大蔵省が出して検討してもらいながらつくっていく、そういう過程があるんだというふうに聞いておりますけれども、法案作成に金融機関としてのかかわり方というのは従来どうなっていたのか、それは変わりつつあるのか、従来のままなのか、お伺いします。
○参考人(岸曉君) 今回の金融システム改革法案でございますけれども、一昨年の十二月でございますか、フリー、フェア、グローバルという三大原則に基づく金融改革という構想が打ち出されましてから、金融制度調査会を初めといたしまして、六つでございましたか、いろんな審議会で議論がなされました。 この審議会にはそれぞれ民間金融機関からもメンバーが入っておりまして、そこで非常にオープンな形で議論いたしました。それが昨年の六月の答申になり法案化されたということでありまして、この金融システム改革法の法案の作成過程で大蔵省と銀行だけが密室で相談したとかそういうようなことはもう一切ございません。 以上でございます。
○吉岡吉典君 一切ないとおっしゃっていいんですか。そうじゃないんでしょう。 例えば、大蔵省のまだ固まらないいろんな案の段階のものを、あなた方のところの例えば都銀懇ですか、こういうふうなところで検討し調整するというふうな過程を繰り返しておられるんじゃないですか。そういうのは、オープンにオープンにとおっしゃるのならそういうことを、やったことはきちっとしてくださいよ。
○参考人(岸曉君) 審議会で答申が出ましてからこれを法案化される過程で当然のことながら細部にわたっていろいろ細かく取り決めていかなくてはなりませんので、そういうことについて意見を聞かれれば申し上げますし、こういう点についてはどうなっていますかというようなことをお尋ねすることはあろうかと思いますけれども、これは日本の金融システムをこれからどう改革し、どう運営していくかという話でございますので、我々も当然のことながら考えを申し上げていいのではないかなというふうに思っております。
○吉岡吉典君 私はオープンにしろと言っているんです。あなたはオープンにしないで、答申までの間はオープンだったと言って、あとは何にもないなんて言ってオープンにしないからそう言うんですよ。 また、個別じゃなくて都銀懇なんかで銀行が集まっていろいろ協議し合っている。国会は何にも知らない。銀行は案を示されて協議している。こういうことで私は、やはり金融機関と大蔵省の関係というのはそういうオープンでない部分があるからいろいろな問題が起こってくるというふうに思います。その点は半ばお認めになりましたから、次に進みます。 今、変額保険の問題が出ました。私も変額保険の問題をずっとやってきましたからあれですけれども、販売資料の話がさっき藤田参考人からありました。販売資料というのは、セールスに来る個人がつくって渡すのは今後も起こり得るのか、それはどこが責任を負うのか。 例えば、変額保険の販売資料を私見て驚いたんですが、リスクは全然書いていないんです。その資料を見る限りリスクというものは出てこない。まるで金が天から降ってくるような、こんな新しい保険ができたのかと思うような、あなたの場合は何年後にはこうこうこうなるという細かい計算書、それを見たら、銀行の保証があるということになれば、これはそのとおり思い込むんです。 ですから、そういうものは今後も続くのかどうなのか。それで、それは個人の責任で、会社としては責任を負えないというふうなことになったらこれは全然話にならないわけで、これからますますそういうことがきちっとしないとまずいと思いますので、その販売資料について、そういう個人の、責任を負えないものは一切使わないのか、使うこともあり得るのか、これははっきりしてもらいたいと思います。
○参考人(藤田讓君) お客様にきちんと渡して説明する販売資料は会社作成のものでなければならないわけで、個人で作成するというものは基本的にはないはずです。今後ともとおっしゃることについていえば、販売資料の一層の充実とかその辺の教育ということをしておりますのは、やはり会社がきっちりとつくった、リスク管理の説明をしてある、あるいはいろいろ法律に触れないような販売資料を会社はつくりますから、それを持って販売するというのが今後とも基本でございます。
○吉岡吉典君 ないはずと言われても現に持って歩いてやっているわけです。私は、ここで大蔵省との論議のときに 僕も知っています、若干セールスのことは。知っていますけれども、そんなものは置いて帰るなと言って持って帰らせたものですよ。それが今は堂々と置いて帰っているんだね、そんな資料を。だから、どうなっているのかと言って大蔵省に聞いたことがあるんですけれども、今までやっていたんですよ。それに名前、あて先まで、何々様、あなたの場合はこうなりますといって計算して、そんなものを持ってきてちゃんと置いて帰っているわけだから。御存じですかそういうことを。
○参考人(藤田讓君) 個人で作成したということの資料等があれば、これは違法ですから当然本人を処罰の対象にせざるを得ないと思います。
○吉岡吉典君 これは僕はいい話を聞きました、違法であり処罰すると。僕は大蔵省にその当時質問したら、口頭で補足してあれば違法ではないので、その文書をもって直ちに違法にならない、こういう答弁を大蔵省からもらって、そのときに、あなたらは一体だれのために答弁をしているのかと言ったことがあるのです、今にしてみれば癒着の深さのあらわれの答弁であったかなという気もするわけですけれども。だから販売資料は本当にきちっとしてもらいたいと思います。 その販売資料に関連して、消費者保護ですけれども、岸会長にお伺いしたいんですが、今後、銀行でも元本保証のない商品を扱うということになるわけです。日本国民の多くは、これまで銀行というところは元本が返るものだという認識を根強く持っているわけで、そこで元本が返らない商品が扱われるということになると、ちょっとやそっとでは徹底しないと思うんです。 それを徹底し尽くすということ、預金と違うんだということは本当に責任を持ってやっていただけるというふうに言えるのかどうなのかお伺いします。
○参考人(岸曉君) 何か全銀協として規則を設けるとか、そういうことは考えておりませんで、やはり個別銀行でそういうことをどういうふうにしたらお客様に誤解がなく御理解いただけるかということをそれぞれ工夫することになると思います。 例えば、販売するコーナーをちょっと変えるとかもちろんパンフレットとか何かは当然でありますけれども、口頭説明に加えまして、お客様がこれは今までの預金と違うんだなということをできるだけ直観的に理解できるような、そういうやり方を考えよう、こういうつもりでおります。
○吉岡吉典君 変額保険の例があるわけですから、そこは徹底してもらいたいと思います。 最後に、これも岸参考人にお伺いしますけれども、外国の金融機関が日本に盛んに進出してきている。それで、テレビでも新聞でもそこが日本の金融機関をスカウトしていると。スカウトして、何だあなたは今までこれだけしか給料をもらっていないのかと盛んに言っているとかなんとかで、まるで外国の金融機関というのは日本の金融機関と違って優遇しているように宣伝されているわけで、日本では一方でリストラ、リストラと言われ、片方ではそれをスカウトしてえらい高給を払っているみたいな印象を受けるマスコミの取り上げ方があるわけですけれども、本当にそうなっているのかどうなのか、ちょっと教えてください。
○参考人(岸曉君) 外国の銀行とか証券会社が人によって相当の高給を払うということは事実のようでありまして、日本の銀行から若手の優秀な行員がそういう外国系の金融機関、証券会社に移っている例があることも事実であろうと思います。 ただ、一つは外国の証券会社とか銀行というのは非常に変わり目が早うございまして、もうかると思うとどんどん拡大するんですけれども、余りもうけがよくないと思うと急に縮小をしたりなんかすることがあるわけでございます。その辺はやっぱり日本の銀行とやり方が随分違うと思うんです。ですから、そういうところに仮に移りたいという行員が出てきたときは、よく先々のことも考えて行動した方がいいですよということは、これは老婆心ながらアドバイスいたします。 それからもう一つは、そうは言うものの、先ほど来お話が出ておりますように、やはりこれからグローバルな競争の中で戦っていかなくてはならないわけですから、それ相応の働きのある人には今までのきちっと決められた、決められたとは言いがたいんですけれども、外国から見れば非常に窮屈な年功序列のそういう処遇ではやはり外国の会社の方へ移ってしまいますから、私どもの方では、先般発表させていただきましたけれども、フィナンシャルエキスパート制度というのをつくりまして、自分の腕に非常に自信のある人は基礎的な年俸のほかに働きに応じて給料がもらえる、だけれどもずっと一生命までの行員みたいな保証はない、そういうものに希望があれば外からでもいいし中からでもいいし、そういう職についていただいて結構ですよと、こういう道は開きました。 以上でございます。
○吉岡吉典君 終わります。
○星野朋市君 自由党の星野でございます。 私は、先日も大蔵省の保険部に対して意見を申し上げたんですけれども、今回の金融ビッグバンについては六つのキーワードがあると思っております。 それを申し上げますと、一に利用者の利益をまず第一に考えること、二番目はそのために規制緩和で経済活動の自由化を進め競争を促進すること、三番目にそのためには情報開示して自己責任原則を徹底すること、四番目に横並びや護送船団方式と言われる保護行政をやめること、五番目は行政のルールをつくり透明性を確保し、できるだけ裁量行政をやめること、六番目は問題の先送りをしないこと、こういう六つのキーワードを私は持っておるんですけれども、お一人お一人に御感想を聞く前に、何か御異論があったらおっしゃってください。——別にございませんか。おいと思うんですね、私も自信を持って言ったわけですから。 ということで、それにのっとって、じゃ今までの金融行政というのはどうだったかというと、かなりこれに反するようなことが多かったんじゃないかと思うんですね。ここら辺は議論の余地はこれからいろいろあると思うんです。 そういう意味から見てみると、今度の金融ビッグバンの法律に関して、私は一つだけ、保険契約者保護機構について非常にまだ未成熟な部分があるんじゃないかと思っているわけです。それはどういうことかといいますと、いわゆる破綻保険会社のために保険会社が十年間で四千六百億積み立てていくわけですね。プラス日産生命の破綻分二千三百億、合計六千九百億、年間六百九十億ずつを積み立てていくという条文が一つあるわけですよ。これは非常にあいまいとしているんですが、根拠が余りないんですね。藤田参考人、その件についてどうお考えですか。
○参考人(藤田讓君) まず、支払い保証制度は、冒頭の陳述でも申し上げましたが、保険契約者保護を図ることによって、あわせて保険業の信頼性を維持するということを目的に、救済保険会社に対する資金援助あるいは救済会社が出ない場合に破綻した会社の契約を機構自体が引き受けるという制度でございます。 その資金につきましては、いわゆるファンドにつきましては、まず一つは万一の事態に対応可能な金額であるということ。一方で、ファンドを負担するのは破綻した以外のいわゆる健全な保険会社が負担するわけですので、その負担が余りにも大き過ぎますとその負担する会社の健全性を損なうおそれがあってはならない。 したがって、万一の事態に対応可能であるという金額であると同時に、負担する会社の健全性も損なおない水準という、この二つのバランスが必要でございまして、その線からいろいろと御議論いただいて、現在の水準、今申されたような水準が想定されているものだというふうに認識をしております。
○星野朋市君 業界はそういう形で納得したんですか。
○参考人(藤田讓君) もう一度あれしますが、ベストなのは破綻保険会社の契約者保護のためにはできるだけ厚い方がいい、これは一つの考えなんですが、逆に負担するサイドのぎりぎりの線というものがありますので、その辺のところについて一応出された数字というものは、我々としてもその辺がぎりぎりなんだろうというふうに認識をしております。
○星野朋市君 しかし、これはいわゆる二〇〇一年まで政府保証とか日銀の借り入れができる制度になっていますね。だけれども、純粋な公的資金の導入というのはないんですよ。そうでしょう。要するに、業界内の相互扶助にしかすぎない。 それで、この負担割合というのがまだ決まっていないんですね、要するに規模別なのかどうなのかということが。そういう形で法律として出てきたということに対して、だから未成熟であり、私は非常に疑問を持っているんですが、その点に関して、参考人、どうお考えですか。
○参考人(藤田讓君) その辺の負担の仕方等の細かいところは、今後政省令とかいろいろなところで示されていくんだろうと思います。 一つ、負担金の算出について、加盟会社、これはいわゆる強制加入ですから全社加盟することになるんですが、保険料の一定率と責任準備金の一定率を基礎として算出をすることになるんだろうと理解をしております。その率が具体的にどう決まるかということになりますと、これからまだいろいろと議論していくことになると思いますけれども、基本的には加盟会社の納得感がある考え方が必要だ、そう考えております。
○星野朋市君 銀行と違って保険会社の数は少ないんですよ。それで、その中で残念ながら破綻する会社が出てくると、残った会社がその分をどんどんいわゆる規定の額に達するまで積み立てていかなくてはならないという、そういう仕組みになっているわけですね。 これは非常に問題じゃないか、憲法違反じゃないかという論議さえ出たはずなんですけれども、それについてどうお考えですか。
○参考人(藤田讓君) 一年間当たりの負担金額、そして累計の限度額、この辺のところが今おっしゃられたような議論をしてぎりぎりのところに落ちついたんだというふうに認識しております。 したがって、無限大に幾らでも大きくなるということについては、おっしゃられたとおり、それはそれぞれの会社が株主であるとかあるいは契約者の社員総代会でのまず理解が得られないということで、その辺についてのバランスのぎりぎりのところが今おっしゃられた数字のところに落ちついたんだろうというふうに理解をしております。
○星野朋市君 時間がございませんので、他の問題に移らせていただきます。 岸参考人にお伺いします。 私は、先日、予算委員会で銀行局長にこういう質問をしたんですよ。主要十八行、これが公的資金を導入するときに、SECの基準によって、不良債権という言葉は私は使っていないんですが、問題債権というものを開示する。三行だけはSEC基準で開示したわけですね。残りの十五行というのは間に合わないからというのでそのときは開示しなかった。そして、開示した三行について見ると、自己査定でやったものよりも大体三〇%ぐらいオーバーした金額になっているじゃないか、残りの十五行はどうしているんだと。それで、しかも公的資金を導入するに際して七人委員会は何をしていたと、こういうふうに質問をしましたところ、銀行局長は、今その件については十五行を督促しておる、五月末までにこれは出させるということがありまして、その後七人委員会は頭取を呼んでその事情を聞くというような話まで出たんです。 きょうの新聞に主要十八行の決算内容、不良資産、私はまだ不良資産とは言っていないんですが、問題債権の全容が明らかになった。そうすると、この主要十八行については三割じゃきかないですね、三九%、十兆四千九百億の償却をした。そして、自己査定よりも三九%多い問題債権、こういうことがどうして早く開示されないのか、いつも銀行は横並びで出してくる、これが私は今日本の信用を著しく落としている一つだと思うんですけれども、協会長としてどうお考えですか。
○参考人(岸曉君) まず、不良債権公表の基準でございますけれども、従来、長い間使っておりました公表基準、これをできるだけグローバルな基準に直そうではないかということに相なりまして、全銀協で議論をいたしまして新たにディスクロージャーの公表基準をつくったわけであります。先生も御指摘いただきましたけれども、これは不良債権と言うのは必ずしも適当ではございませんで、全銀協ではリスク管理債権と言っておりますけれども、この基準を作成いたしまして、今回これは公表されました。 それから、三月の問題でございますけれども、例の金融危機管理審査委員会、これに所要の資料を提出することに相なったわけでありますけれども、これはもう全く事実の問題といたしまして、三月中に三月末の数字を出せという話でありますから、実際問題として不可能なことでありまして、見込みということではありましたけれども、余り見込みと実績が相反する、差が出るようではやはり、審査委員会に提出するわけですからなるべく正確でなくてはいけないだろうということで、これは本当に物理的に間に合わなかったというのが実態でございます。この五月の発表までに全行それぞれの立場で数字を固めましたので、これは審査委員会の方に改めて提出をいたしました。 今後、この公表基準、これは単体ではございますけれども、全くSECが採用している公表基準でございますので、こういうものを通じまして銀行の資産内容の透明性というものが高まるということを確信いたしております。
○星野朋市君 終わります。
○菅川健二君 参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。最後でございますので、しばらくお時間をおかしいただきたいと思います。 先ほど来話がございますけれども、きょうの新聞に各銀行の、大手十八行でございますけれども、三月期決算が発表になっておるわけでございまして、先ほど岸参考人の方から不良債権の償却につきましてはほぼ見通しが立ったようなお答えもあったわけでございますが、今後のことを考えますと、景気の一段とした冷え込みとかあるいは地価の下落がまだ続くのではないか、さらにはアジアの経済危機がまだ尾を引くのではないかということで、銀行の厳しい対応がさらに求められるのではないかと思うわけでございます。また、不良債権の引き当てにいたしましても、最終処理という問題が一番大きな山として残っておるわけでございます。 あれこれ考えますと、きょうの新聞の社説にも載っておりますけれども、銀行の経営陣はまだまだ身を切る厳しさに欠けておるのではないかという指摘があるわけでございます。例えば、支店網について外国の銀行等と比べますと、かなり日本の支店網というのは過剰ではないかとか、あるいはよく言われております役員、それから行員の給与が他の業種に比べて依然として高いのではないかさらには経営陣の経営責任もあいまいではないかと。中には七十過ぎてもまだ相談役等で残っておられる銀行もおありのようでございまして、そういったこれまでの行政頼りあるいは護送船団方式、そして横並び体質、そういったものからなかなか脱し切れていないのではないかという批判があるわけでございます。 ビッグバンに積極的に対応すべきであるという御指摘につきまして、岸参考人、どのようにお考えでございましょうか。
○参考人(岸曉君) 全く先生の御指摘のとおりでございまして、この三月期の決算で不良債権の処理、この時点ではもう完了しているというふうに申し上げましたけれども、これは先生が御指摘になりますように、あくまでも財務的な処理の問題でございまして、これを実際に実態的に解決するには債権そのものを流動化して売却するとかあるいは担保不動産を売却して回収するとか、そういう実態的な処理がまだ残っておるわけでございまして、なかなか困難な状況ではありますけれども、先般もトータルプランの中で例えば権利調整委員会でありますとかあるいは税制の問題でありますとかいろいろこれから手が打たれるというふうに理解をしておりますので、こういう手だてを十分に活用いたしまして、不良債権の一刻も早い実態的な処理を行って前向きに資金が回転するようにしたいと思っております。 店舗なんかについてもどうかという御指摘がございましたけれども、余り目立たないかもしれませんけれども、実は相当のリストラを進行中でございまして、なかなかアメリカのように、例えばある一つの県の店舗を全部売ってしまうとかそういうことは日本ではできないものでございますから、一つ一つ利害関係者のお立場も十分考えながら、従業員の立場も考えながらリストラを進めてまいりますので、ちょっと手ぬるいなというお感じをお持ちかもしれませんけれども、我々は決して立ちどまっているわけではありませんので、今後ともこういう努力を続けまして金融体力の回復、そして金融システムとしての責任を果たせるように努力をしていきたいと思っておる次第でございます。
○菅川健二君 リストラの徹底ということは、さらに努力していただくということは重要だろうと思うわけでございますが、ただ若干気になりますのは、最近、御案内のように失業率が史上最高といいますか四%近くになってきておるわけでございまして、リストラの中に人員の削減というのも当然入っておるのではないかと思うわけでございます。またさらに、倒産ということになりますと皆さん全員が掃き出されるというようなことにもなるわけでございます。 そういった流れの中で、協会とされても雇用問題について精いっぱいの対応を考えていただく必要があるんじゃないかと思うわけでございますが、その点について何かお考えをお持ちでしょうか。
○参考人(岸曉君) 協会として何かができるかということにつきましては、ちょっとただいまアイデアを持ち合わせておりませんので何とも申し上げられませんけれども、一方ではやはり金融関係につきましては相当仕事はふえておりまして、例えば整理回収銀行でありますとかあるいは預金保険機構等においては破綻処理につながってくるいろんな問題の処理、これは相当の仕事の量なのでございます。 ですから、今まで一生懸命働いてきた行員のそういう能力というものを、金融界のために生かせるわけですから、なるべくそういうところで吸収いたしまして、全体としては何とか雇用が少しでも保てるようにというふうに考えております。
○菅川健二君 ただいまの件につきましては藤田参考人にもちょっとお聞きしたいのでございますけれども、昨年の日産生命の倒産のあおりを受けまして、実はその影響で解雇された方の相談も私は受けたわけでございますが、その方からお聞きしますと四十過ぎになったらどこも雇ってくれないと。それから、あおば生命に移った方も、これは若い方でかなり給与もダウンしたというようなことで、その方も半年くらいいろいろなところで求人広告を見ながら応募してやっと条件の悪いところに就職したというような状況があるわけでございます。 生保業界においてもやはり現実にそういった例もあるわけでございますので、雇用問題についてどのようにお考えかをお聞きいたしておきたいと思います。
○参考人(藤田讓君) 初めて破綻ということは昨年の日産生命があったわけでございますが、まず、先ほどのことでお答えもしておりますけれども、営業職員については各社でそれぞれ希望のとおり引き受けさせていただきましたし、また内勤の職員につきましては、必要な方についてはあおば生命へお移りいただいて、それ以外の方も極力各社へ雇用についての働きかけはいたしました。 そういうことで、雇用問題につきましては、先生のおっしゃるとおり、できる限りの配慮は今後ともしてまいりたいと思います。
○菅川健二君 雇用問題におきましては、それぞれがひとつ真剣に取り組んでいただきたいと思います。 次に、いろいろなビッグバンのスケジュールの中で特に保険業、生保業の規制緩和が他の業態に比べて不徹底であり、あるいは遅過ぎるのではないのかという批判があるわけでございますが、それにつきまして、藤田参考人、いかがでございましょうか。
○参考人(藤田讓君) 相互参入という分につきましては、昨年六月の保険審議会報告で「二〇〇一年までに実現を図ることが適当である。」という意見が出されておりまして、このことは、やはり利用者利便という観点と利用者利益という観点の二つの観点からこの辺の問題は議論をされたんだと思います。 そういう意味におきまして、利用者利益という観点からこの二〇〇一年までの実現が適当であるという審議結果がなされたものであるというふうに認識しておりまして、今回の法整備もその方向性を踏まえたもので進められているというふうに認識をしております。
○菅川健二君 先ほど岸参考人からアメリカの合併の例を出されまして、銀行、証券、保険のサービスを幅広く提供する金融コングロマリットが形成されつつあるという御指摘があったわけでございますが、特に銀行が保険販売に参入する場合にかなり制限的になっておるわけでございまして、これらの規制撤廃について早期に実施すべきであるという意見というのは銀行協会の方ではいかがでございましょうか。
○参考人(岸曉君) その辺の意見について銀行協会として取りまとめたことはないと思いますけれども、私の個人的な見解を申し上げますれば、トラベラーズとシティコープの合併というのは証券、金融、保険、全分野にわたってコングロマリットができたということでありまして、こういうコングロマリットが日本に進出してくるだろうという状況にございます。また、現にINGという会社がございますけれども、これは日本に現地法人がございますけれども、このINGは既に今現在、金融業と証券業と保険業、三つ営めることになっております。 そういう状況下にありますので、これは多分二〇〇一年までに政令で定める日、こうなっていたと思いますけれども、私どもとしてはできるだけ早くその指定をしていただいて、さっき申し上げましたワンストップショッピングというもの、利用者利便が実現し、かつ外国のそういう金融コングロマリットに対抗できるような制度的な措置をお願いしたい、こう思っております。
○菅川健二君 終わります。
○委員長(石川弘君) 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 —————・————— 午後一時三十分開会
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、峰崎直樹君及び牛嶋正君が委員を辞任され、その補欠として萱野氏君及び海野義孝君が選任されました。 —————————————
○委員長(石川弘君) 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案の四案を一括して議題といたします。 午後の委員会には、四案審査のため、参考人として日本証券業協会副会長・専務理事関要君、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員長澤藤統一郎君及び京都大学教授森本滋君、以上三名の方々の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。 参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 本日の議事の進め方でございますが、まず、関参考人、澤藤参考人、森本参考人の順序で、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。 また、御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。 それでは、まず関参考人からお願いいたします。関参考人。
○参考人(関要君) 日本証券業協会の副会長を務めております関でございます。 財政・金融委員会の諸先生方には日ごろから証券市場、証券界に対し御理解、御支援をいただいており、この場をおかりして厚く御礼申し上げます。特に、長年の懸案でございました有価証券取引税及び取引所税の半減を盛り込んだ租税特別措置法等の一部を改正する法律案が今国会において成立し、四月から施行されておりますことを深く感謝申し上げる次第でございます。 また、本日は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案等の御審議に当たりまして、意見を申し述べる機会を与えていただきましたことを大変ありがたく存じております。 私からは、今回の金融システム改革のうち、特に証券市場改革につきまして意見を申し述べたいと存じますが、その前に、最近の証券市場の状況につきまして少し触れさせていただきたいと存じます。 ことしに入ってからの我が国株式市場の動きにつきましては、年初から急反落し、一月半ばには日経平均が一万四千円台とバブル崩壊後の三番底をつける場面がありました。この背景としましては、アジアの通貨、株価の下落に歯どめがかからず、我が国経済への悪影響が懸念され、需給面でも外国投資家の売り越し基調が続いたことが響いたと見ております。 この流れを変えましたのは土地再評価や自社株取得規制の緩和等を含めた金融システム安定化策及び景気対策であり、三月二日には年初来の高値である一万七千二百六十四円まで戻しました。しかし、その後は、企業業績予想の下方修正もありましたが、追加酌な総合経済対策にもかかわらず、方向感がつかめないまま日経平均は再び一万六千円を割り込む模様眺めの展開となっております。 一方、公社債市場はおおむね堅調に推移しております。国債指標銘柄である百八十二回国債相場は、四月以降の各種経済統計の内容が景気実態の悪さを改めて認識させるものであったことや、金利引き下げ観測が出たことなどにより、機関投資家の押し目買いにより相場が押し上げられ、四月末には利回りが一・四五〇%まで低下して過去最低の記録であり、最近では一・二二〇%前後までさらに低下している状況となっております。 投資信託市場につきましては、今月十八日に公表された四月末の投資信託の純資産残高を見ますと、三月末と比べまして三兆七千四百億円、約九%も増加し、四十一兆九千七百七十億円となりました。これは、年度初めという季節的要因のほか、金利選好が働いたことにより、MMFを中心とする公社債投信が大幅に増額したものと思われます。 一方、アメリカの投資信託の純資産残高は現在約五兆ドル、約六百五十兆円と我が国の投資信託市場の低迷とは対照的であります。投資信託はビッグバンの有望商品とされており、我が国でも今後一層魅力ある商品の開発、販売に取り組んでいく必要があると思われます。 以上、最近の証券市場の動向につきまして簡単に報告させていただきましたが、これらの状況を踏まえ、金融システム改革法案に関する意見を申し述べさせていただきたいと存じます。 日本版ビッグバンの背景には、ニューヨーク、ロンドンなど、世界的な市場間競争に対する危機感があろうかと思います。しかし、それ以上に、経済の成熟化、社会の高齢化に伴いまして、資産運用面では千二百兆円に達する個人金融資産のより効率的な運用手段の提供、資金調達面ではこれからの日本経済をリードするベンチャー企業等への資金供給の円滑化等が必要になっております。金融・証券市場の総合的改革が時代の要請になっていると認識しております。 次に、今回提案されております金融システム改革法案につきましては、特に次の四点について申し述べさせていただきたいと存じます。 第一に、改正案では、資産運用手段の充実を図ることに非常にアクセントが置かれていることであります。証券投資信託の制度について全般的な見直しが行われ、従来からの懸案であった会社型投信が導入され、また私募投信も盛り込まれております。また、投資信託につきましては、商品設定の自由化だけでたく、その販売チャンネルを広げるべく金融機関にも販売が解禁されることとなりました。さらに、有価証券店頭デリバティブも全面的に解禁されることとなっております。これらの措置により、ますます多様化していく投資家のニーズにこたえ、投資家がより有利な資産運用を選択できるようになるものと存じます。 第二に、仲介機能の向上等の観点から、証券会社の参入について従来の免許制を改め、登録制に移行することとされていることであります。また、銀行の証券子会社につきましては、現在業務範囲が制限されておりますが、一九九九年度下期中には完全撤廃されることになっており、証券業務における競争は一層激しくなると思われます。証券会社の業務範囲につきましても、市場の利便性、質の高いサービスを提供する観点から思い切った多角化が図られることになっております。 我が国証券会社はこれまで証券業に専念しなければならないことになっておりましたが、この専業義務が撤廃され、広範な業務に進出することが可能とされております。特に、証券会社の資産運用サービスを充実させるため、投資顧問業の兼営を認めることとし、アメリカ等で行われているラップ口座の導入も可能とされております。また、資産運用能力を強化するため、投資信託委託会社や投資顧問業者がみずからの運用のほか、より専門的な運用を外部に委託することも認められることになっております。このような措置は、各証券会社が自社の顧客ニーズに合った個性的な経営を進めていく上でぜひとも必要なものであると存じます。証券界といたしましては、選択の幅が拡大した中で、個々の証券会社の経営にそれをどう結びつけていくかが重要な課題になっております。 第三に、証券市場の取引システムの多様化についての措置が盛り込まれていることでございます。 我が国の証券市場は、従来、証券取引所への市場集中義務が厳格に適用されておりましたが、今回、アメリカ、イギリス等欧米諸国と同様に上場株式の市場外取引を認めることとされております。また、アメリカで定着したいわゆるPTS、私設取引システムについても証券業務として認知され、その開設や運営を認可制とするという考え方がとられております。 さらに、本協会が運営している店頭登録市場につきましては、従来の取引所市場を補完する市場という立場から、取引所市場と並列する市場として位置づけられることとされております。本協会といたしましても、金融システム改革法案の趣旨を踏まえ、店頭登録市場がマーケットメイク機能を中心とした市場として発展していくよう努力してまいる所存であります。 第四に、証券会社の健全性、投資家保護に関する措置について申し上げます。 証券市場改革が実現するためには、証券市場は投資家が安心して参加できる公正で信頼できるものでなければなりません。多様な新商品を顧客に仲介する証券会社等が適合性原則等に準拠した営業を行うことが必要であります。こうした観点から、今回の改正案においては証券取引に関する行為準則、公正取引ルール等の遵守に係る規定が十分盛り込まれているところであります。 また、証券会社の業務の多角化が認められることとなりますが、これにあわせて投資家がどの証券会社を選ぶかの判断材料にするという考え方に基づき、証券会社の業務や財務状況の開示がこれまで以上に充実されることとなります。 さらに、万一、証券会社に経営破綻が発生した場合に備えて、証券会社に対する分別管理の強化や投資者保護を拡充するため投資者保護基金の設立が盛り込まれておりますほか、本協会におきましても証券会社に対する法令遵守の体制整備や紛争処理制度の拡充が行われることになっております。私といたしましては、このような措置が法的に確立されることにより、金融・証券市場への信頼確保が一層進むものと存じております。 ただいま申し上げました項目以外にも、今回の金融システム改革法案には、私ども証券会社が日本版ビッグバンに対応していく上で欠くことのできない措置が多数盛り込まれております。 私は、この日本版ビッグバンはこれから始まるのではなく、既にスタートし、走り出しているものと認識しております。例えば、抜本的に改正された外国為替法は本年四月から施行され、グローバルな資金移動、国際的な資金調達、外貨の国内における活用が可能になっております。また、株式委託手数料につきましては、一九九九年末までに完全自由化を実施することが決定されておりますが、取引金額五千万円超に係る部分の自由化はこの四月から既に実施されておりますし、店頭登録株式に係る株式売買委託手数料はこの四月から完全に自由化されております。 我が国の証券市場を取り巻く環境は長期にわたり極めて厳しいものとなっており、証券会社の三月期決算も多くの国内証券会社が赤字決算となっております。また、業界全体の従業員数も十万人を割り込むなど、日本版ビッグバンを遂行するに当たりましてまさにつらく厳しい状況に置かれております。しかし、この改革は二十一世紀の金融・証券市場の構築に向け、避けて通ることができないものであります。証券市場が真に国民共有の財産として効率的に、かつ健全に機能するようにすることは、証券界だけの問題ではなく今後の経済運営における喫緊の課題であると存じます。 私ども証券界にとりましても、今回の金融システム改革を乗り切ることは決してたやすいものではありませんが、今後とも経営の健全性の確保、効率性の向上に一層配意し、証券市場の仲介者として投資者等の信頼を高めるべく努力してまいる所存であります。 諸先生方におかれましても、証券市場の今後の発展のため、一層の御支援を賜りたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 次に、澤藤参考人にお願いいたします。澤藤参考人。
○参考人(澤藤統一郎君) お招きいただきましたことを感謝いたします。 私は、金融システム改革のあり方に関して消費者の立場から意見を申し述べます。消費者の立場とは、金融市場あるいは証券市場に資金を提供する国民大多数の立場ということになります。結論として、日本版ビッグバンの進展にはその前提として消費者の権利を確立する諸施策が必要であるとの見解を申し述べることになります。 日本弁護士連合会は、社会正義と人権擁護を目的に多様な委員会活動を展開しております。一九八五年に設立されました消費者問題対策委員会もその一つとして国民の消費生活の側面における利益を擁護し、消費者の権利確立に向けた諸活動を活発に展開しております。現在、当委員会にはビッグバン・規制緩和対策部会が設けられ、日本版ビッグバンが銀行、証券、保険の各分野における消費者にどのような影響をもたらすのかという観点から検討を続けてまいりました。その時々の検討結果は、例えば昨年六月あるいは本年三月に日弁連の正式な意見として公表しておりまして、本日はこの意見書に沿って見解を申し述べる次第です。 当委員会の活動の特徴は、現実に生起している消費者被害から出発し、これをどのように救済し、予防すべきかという実践的な観点で貫かれていることです。ビッグバン問題の検討の出発点も近年の金融機関における消費者被害の実態にあります。つまり、社会のアウトローによる消費者被害ではなく、銀行や証券会社、保険会社、こういう本来信用秩序の内にあるはずの許認可業者による消費者被害が蔓延している実情が問題を考える出発点であります。私は、ビッグバンの進展はこれらの消費者被害の実態を見据えた上で、その原因を究明し、消費者被害の予防策と救済措置とを視野に入れてなされるべきであると考えます。 まず、銀行による消費者被害に触れなければなりません。 バブル崩壊の直後から銀行の提案型融資による消費者被害が顕在化いたしました。それまで揺るぎない信用を誇っていたはずの銀行が実は多くの市民に融資をセットに危険な投資勧誘をしていたことが明らかになりました。投資対象は株式であったり、不動産共同投資であったり、ゴルフ会員権や変額保険などでありました。提案型融資というのは品のよい呼び名ですが、押しつけ融資というのが銀行が行っていたことの実態にほかなりません。 勧誘を受けた消費者は、銀行が勧めるものだからと素朴にこれを受け入れ、その結果、銀行を信用したというただ一点の落ち度によって自己責任の名のもと、巨額の負債を負うことになりました。この被害回復のための唯一の手段である民事訴訟を提起した被害者はごく一握り、そして勝訴判決を得て、現実に被害を回復し得たのはさらにそのうちの一握りにすぎません。 生保業界は一九八六年七月、変額保険という新種商品を売り出しました。最初は大した売れ行きではなかったのですが、バブルのさなか、銀行融資とセットになった保険料一括前払い方式とすることによって、一円もかけずにできる相続税節税商品という宣伝のもと爆発的な売れ行きを示しました。その結果は惨たんたるものとなり、その後私たちが把握できただけでも五百件を超える民事訴訟が提起され、現在なお紛争係属中であることは御高承のとおりです。 この新種保険商品を認可した大蔵省銀行局保険部が当時次のような見解を述べておられます。保険金が資産運用の成果によって増減するという仕組みは、従来の定額保険になれている顧客にとって非常に目新しいものである、もし正確な理解がないままに顧客に変額保険を売り込むようなことになるとその後において思わぬトラブルが発生し、変額保険のイメージ、ひいては生命保険そのものの信頼に悪影響を及ぼすおそれすらあろうと。その後の事態はまさにこの大蔵省の危惧が的中したことを物語っています。再び同じ轍を踏んではならないと思います。 証券業協会も消費者被害を出しております。特に顕著なのはワラント販売による被害です。ワラントとは新株引受権つき社債から切り離された新株引受権を表章する証券と説明されても素人には何のことかさっぱりワカラントという商品であります。多くの消費者は、購入ワラントの値段が下がったから上がるまでじっと待っていようと考えているうちに、権利行使期間を過ぎて文字どおり一銭の値打ちもない紙くずにしてしまったのです。これも消費者にとって目新しいハイリスク商品の発売がたちまちに大規模な消費者被害をもたらす典型例として、ビッグバンを本格的に進行しようとしている今、教訓としなければならないと思います。 このように、銀行も保険も証券も大規模な消費者被害を出しています。これをバブル期の一過性の現象ととらえるのは正しくないと思っております。日本の金融システムが消費者の権利に十分な配慮をできるほどの成熟性を持たず、各業者がアンフェアな体質を払拭し切れていないことに根本の原因があります。消費者保護、消費者の権利擁護の仕組みの不足も明らかです。今のままでは新規のハイリスク商品の開発のたびに悲劇は必ず繰り返される状態であります。 現行のシステムのままビッグバンを進展させ、業者の参入規制や商品規制を緩和、撤廃した場合、無防備な消費者が複雑でハイリスクな金融商品を多くの業者から強引に押しつけられることとなり、大規模な消費者被害が噴出するであろうことは目に見えていると言って過言ではありません。 ビッグバンの理念はフリー、フェア、グローバルと言われておりますが、実は業者のフリーのみが強調され、フェアの理念が軽んじられてはいないでしょうか。撤廃されるべき規制は業者の既得権を守るような不公正な規制であり、不当に煩瑣な官僚的規制であります。公正な競争秩序を確保するための規制あるいは消費者を保護するための規制は不可欠であり、むしろ強化する必要があると考えます。それなくして、金融市場は無秩序な弱肉強食の場となり、結局は国民の個人資産のスムーズな市場への流入は期待できないことになりましょう。ビッグバンの目指すものは秩序ある公正な競争の環境整備であると理解いたします。具体的に、金融市場における業者の公正を確保し、消費者の権利を確立するための手段として金融サービス法の制定が不可欠の、しかも喫緊の課題であると考えます。 金融サービス法とは、本家イギリスにおいて一九八六年のビッグバンの開始と同時に制定されたフィナンシャル・サービス・アクトに倣ったものです。このイギリスの法律は、現在の日本法の消費者保護の水準をはるかに凌駕するものとして、ビッグバンの進展に伴う消費者被害を相当程度防止したと評価されるものです。しかし、それでも十分なものではなく、やはりイギリスでも消費者被害は出ております。証券部門の自由化に限られていたイギリスのビッグバンに比較し日本のビッグバンははるかに規模が大きいこと、これまでの消費者被害の実態にかんがみれば、我が国の金融サービス法はさらに進んだグローバルスタンダードをリードするものが必要であると考える次第であります。日本版金融サービス法は、資産運用に関するサービスを広く対象とし、厳格な売り手注意を基本理念としなければならないと考えます。 具体的には、金融サービス業者の顧客に対する誠実公正義務を宣言し、適合性の原則とその前提としての顧客の属性の調査義務、書面作成・交付義務、情報提供・説明義務などの業者の義務を明定し、さらに禁止事項として、不実告知、重要事項不告知、依頼のない勧誘、断定的判断の提供、威迫・困惑させる言動による勧誘、執拗な勧誘、判断能力の不足につけ込む勧誘などの行為規制を行う必要があります。これらの行為規制はすべて現行の種々の業法に散在するもの、あるいは既に判例に支持されているもの、イギリス法に見られるものなどで、特にそれ自身として目新しいものはないのですが、集約することによって消費者被害防止に実効ある法体系となりましょう。 金融商品という目に見えず、素人には理解が困難な、それでいて本質的に大きなリスクを内在する商品の売買において参入規制と商品規制を緩和あるいは撤廃するとなれば、それにかわる民事ルールとしてこれだけのものが必要になるということです。これに違反する場合には無効、取り消し、解除、損害賠償請求権等私法上の効果を認め、必要な場合には差しとめも行えるような救済制度を持ち、そのほか、証拠書類の開示義務等、紛争の防止、解決に関する規定、業者の信用状態開示規定等も含むことが必要であるというふうに考えます。 また、金融サービス分野における消費者被害の教訓の一つは、法や制度を構想する上で想定すべき消費者像のあり方です。現実の消費者は当然のことながら社会的弱者層を含み、少なからぬ部分が業者の意のままに操作可能なのです。また、現実の消費者の広範な層が多かれ少なかれそのような弱点を抱えております。この現実を見ることなく、あるべき水準の消費者像を想定して、その水準に及ばぬ消費者を自己責任原則の名のもとに切り捨てる姿勢では消費者被害は拡大し混乱が生じます。あくまで現実の弱い消費者像を出発点に法や制度をつくるべきと考えます。 法案の具体的内容にかかわって二点申し上げます。 まず、投資信託の販売方法の改革案についてです。この問題につきましても、現実の消費者被害の実態を踏まえた対策が必要と考えます。 言うまでもなく、投資信託は元本保証商品ではありません。リスクも多種多様です。にもかかわらず、初心者になじみやすく安全性のある商品と宣伝されることが少なくありません。顧客に元本割れリスクの告知がなされず、むしろ過去の実績を強調して利回りにつき断定的判断を提供する勧誘が行われ、民事訴訟が頻発してまいりました。最近、業者に厳格な多数の判例が公にされております。多くは元本割れの危険についての説明がないこと、あるいは当該の具体的状況下では説明が不十分であるとして説明義務違反を根拠に損害賠償を認容するものです。証券会社からの購入においてさえ、多数の顧客が商品の性格につき誤解しているのが実情です。基本的には、元本保証商品しか扱ってこなかった銀行が投資信託商品を取り扱うことになれば当然に商品性格を誤解する顧客はふえ、紛争は多くなると思われます。当該投資信託商品の仕組みの説明、リスクの開示を厳格に義務づける必要があります。 次に、デリバティブ解禁の問題について申し上げます。 デリバティブ取引は極めて投機性が高く、本来は証券会社や金融機関、機関投資家、事業法人等の大口投資家だけが行うべきものでありまして、一般投資家、つまりは消費者の手を出すべきものではないとの原則から出発すべきものと考えます。したがって、ここでは厳格に適合性の原則を適用し、一般投資家を勧誘対象としないとする規制を明文化すべきと考えます。また、顧客がみずからの意思で取引を行おうとする場合にも売り手側に取引適合性の調査義務や商品の危険性についての警告を発する義務を明示し、その違反に対する民事的な効果をはっきり規定すべきと考えます。デリバティブ、投資信託、いずれも金融サービス法が活躍する主な分野となると考えます。 以上のとおり、ビッグバンの進展には消費者被害防止の施策が不可欠です。そもそも、ビッグバンといい規制緩和といい、その終局の目的は国民の福利にあることは自明なのですから、消費者被害を噴出させながら、つまりは国民に不幸の種をまき散らしながらのビッグバンの成功はあり得ません。また、フェアな競争の実現によってこそ金融システムは国民の信頼をから得て金融市場に個人の金融資産の流入を期待し得ることになります。自由で公正な、信頼に足りる金融市場が形成される前提としても、消費者被害の防止、救済を不可欠なものと考える次第です。法案審議の参考にしていただければありがたいと存じます。 以上です。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 次に、森本参考人にお願いいたします。森本参考人。
○参考人(森本滋君) 森本でございます。 本日、参考人として意見を申し述べる機会を与えられたことを大変光栄に存じます。私は、大学で商法と証券取引法を勉強しており、また証券取引審議会の総合部会等において証券取引法制の改革問題にかかわってまいりました。したがいまして、金融システム改革法案の中の証券取引法の改正問題を中心に意見を述べさせていただきます。 今回の金融システム改革の基礎となった平成八年十一月の「我が国金融システムの改革」と題する総理指示におきまして、ルールを明確化、透明化して、我が国金融市場を市場原理が効率的に働く公正かつ自由な信頼できる市場とするための改革を進めることが強調されました。これは時宜を得た的確な指示であり、金融システム改革法案の内容は基本的にこの指示に沿うものであろうと考えております。 なお、平成四年にも金融システムの改革がなされました。しかし、当時は、バブルが崩壊したといっても日本の金融システムはなお強固であり、早晩回復するというような期待もあったためか、従来の制度設計ないしその運用の抜本的改革にまで踏み込まれませんでした。 これに対して、今回は、このままでは我が国の金融機関の国際競争力が失われてしまうのではないか、東京市場が空洞化し、国民の金融資産の効率的運用が阻害され、結果として我が国の安定的な経済運営に大きな支障が生ずるのではないかという強い危機感がばねとなって、これまでの漸進的な規制緩和手法とは異質の、我が国金融システムの抜本的改革を行う提案がなされました。 今回の改革を一言で説明いたしますと、いわばドメスチックな横並び安定的な金融システムから、市場原理と自己責任原則に基づくグローバルな動的金融システムへの移行と言うことができます。また、法的な観点からは、行政による支配から法の支配への変更と言うこともできます。 その内容を一べついたしますと、行政について、従来の事前規制型システムから決別し、公正確保のための明確なルールを設定し、その違反に対して事後的に規制する役割に徹することとされています。これに関連して、これまで行政が有していた免許・承認制度あるいはカルテル的規制が撤廃されることとなっております。 市場につきましては、取引所集中義務が撤廃され、特色ある多様な市場の創出が企図されています。とりわけ、私的取引システムの発展により、抜本的な市場改革につながることが期待されております。 市場仲介者については、免許制が原則登録制に変更されます。証券会社の業務制限が原則として撤廃され、持ち株会社解禁とあわせて、巨大証券会社は総合的金融サービス業者として発展する道が開かれました。また、新規参入が促され、とりわけ異業態からのイノベーションとして、これまで金融業務と関係のなかった例えば小売業者等の者が証券業ないし金融業に参加し、新たな発想と創意工夫によりこれまでの証券界の固定観念を打破し、改革の強い推進力となることが期待されます。 さらに、証券投資顧問や投資信託等の資産運用業の運用能力の強化が図られます。証券投資信託については、運用対象の弾力化だけではなく、新たに私募投信と会社型投信制度が導入され、法律の名称と目的規定という基本的な事項も改正されます。これは、欧米の趨勢に従い、投資信託制度を個人投資家だけでなく大口投資家の需要にも配慮して根本的に改正しようとするものです。とりわけ、商品設計が自由化され、運用指図の外部委託や銀行の窓販が認められることになりました。 このように大規模な改正がなされるわけでありますけれども、この法案の内容は東京市場の再生、我が国金融機関の国際競争力強化という国民経済的課題を早期に実現するために不可欠なものであろうと思われます。とりわけ、自己責任に基づく自由な業務展開の基礎を確立することにより、業者や機関投資家が改革法の基本原則ないし趣旨を十分に理解して、みずからの創意工夫を発揮して業務を遂行することを期待しているのです。バブル後遺症と護送船団方式を基礎とする横並び的体質に安住し、国際的金融競争において大きく立ちおくれている我が国の現状からはこのような改革は基本的に支持され、金融並びに経済再建のためにこの法案の成立が望まれます。 しかしながら、法の理念は法律が成立しただけで実現するものではありません。理念の実現を確保する制度的手当てや、さらには社会的、経済的枠組みの再構築についても配慮する必要があります。とりわけ、この改革は根本的なものであり、我が国の金融システムの根本的改革かごの法案の成立により終着駅に直ちに到達するわけではありません。法制度や経済社会制度のさらなる改革が必要なのです。これは、とりわけ公正の確保という観点から個人投資家保護について問題となります。この改革の内容はプロと申しますか、業者の観点からは非常に意義あるものとなります。 しかしながら、個人投資家保護問題について考えてみますと、一般的な理念的な配慮はなされていますけれども、その具体化は基本的に今後の運用にゆだねられています。今後、幅広く個人投資家保護システムを構築する必要があります。 個人投資家は機関投資家と対等の関係で競争することはできません。個人投資家は専門家のアドバイスを受けたり、さらには専門家に投資判断をゆだねさるを得ません。このため、いよいよ他人の財産を預かり、それを他人のために運用する業者その他の投資に関連するサービスを提供する者の役割か重要となります。先ほど、投資信託について一言述べましたが、この関係で投資信託制度の改革か個人投資家保護にとっても重要なものとなります。 しかしながら、先ほども少し申しましたように、今回の投資信託制度は個人投資家とともに大口投資家にも適合的なものにしようという改革も含んでおります。いわば二兎を追っておるものでありまして、現在の我が国の状況をかんがみますと、これはやむを得ないと思いますけれども、二兎を追うことによるひずみについても十分に考えなければならないと思います。 とりわけ、業者との関係で過度に個人投資家の自己責任を強調することは疑問です。投資家といいましても、世界をまたに何千億、何兆円という金を運用する巨大な機関投資家と国民というものと、同じ投資家レベルで議論することはいかがかと思います。もちろん、自己責任の理念は機関投資家についても個人投資家についても、個人投資家にも何十億の個人投資家もいますが、せいぜい千万前後の個人投資家を念頭に置きますか、こういう個人投資家の間に自己責任原則が異質のものというわけではありません。しかし、相対的に区別して議論される必要があるように思います。 とりわけ、個人投資家について、ディスクロージャーをベースに業者選択に係る自己責任を求めることは、余りこれが過度になるといろいろの問題を生ずるように思います。つまり、投資家は確かに合理的な注意をする必要がありますけれども、制度としては、まず証券会社その他の業者の財務及び業務の健全性を確保し、不当な投資勧誘かなされたときには即時に厳格なペナルティーを科し、悪質証券会社を市場から退出させるスキームの確立が必要となります。この関係で金融監督庁の監督機能の意義か強調されるべきであります。これはいろいろなところで言われておりますけれども、アメリカやイギリスの状況に比べまして余りにこういう監督機関の状況かお粗末だということは否めません。金融監督庁の人員の量的のみならず、質的な抜本的拡充か望まれます。 さらに、裁判制度の抜本的改革ということが現在いろいろなところで言われておりますけれども、この金融システム改革についても決定的に重要であります。金融監督庁の監督行政のルールの透明化と厳格な運用が求められます。しかし、行政権の行使である以上、ある範囲の裁量がなされることは否めません。また、司法的なものにしても、こういう監督行政の枠組みの中の決定について裁判所による法の支配を及ぼすことか必要になるといいます。このため、裁判所に迅速かつ妥当な問題解決能力か求められています。したがって、金融ないし経済に明るい法曹・法律家か多数出現することか金融システム改革に不可欠であり、このための施策があわせて積極的に検討されるべきであろうと思います。 さらに、自主規制機関の役割が今後重要となります。欧米におきまして、自正規制機関の苦情処理・紛争処理システムに大きな期待が寄せられております。証券業協会が業界の利益に偏しない公正かつ妥当な紛争処理システムを構築し、国民の証券取引に対する信頼を高めることが必要であります。 さらに、金融監督庁は法に基づく監督をいたします。証券業協会は、法をベースにそれよりも高度の、業者の健全性確保のためにいろいろの活動をすることが可能であります。したがいまして、金融監督庁と緊密な連携を行う必要はありますけれども、単にその下請機関化するのではなく、相対的に独立してその役割を今後積極的に担うことか求められていると思います。 この金融改革は、現在の我が国の状況を前提とするとき、先ほど申しましたように推進されるべきであると思います。しかしながら、金融システム改革の理念の実現に向けて検討しなければならない課題はなお少なくありません。 そこで、立ちどまって全体的にいろいろと検討する必要があるのか、あるいは突き進むのかということになるわけてありますけれども、現在の状況を前提とするとき、今立ちとまるのではなく、この改革を実現し、その勢いをかりてさらなる経済社会の変革に突き進むことか合理的なように思われます。これは、単に金融の問題ではなくて、司法制度や日本の社会秩序全般にも根底的にかかわるいろいろな問題と深く結びついております。したがいまして、これを契機に、金融改革を通して日本の経済社会改革を進めるために幅広く今後議論をしていただければ幸いであります。 これで私の意見を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○林芳正君 自民党の林芳正でございます。 三人の参考人の先生方、お忙しいところをお運びいただきまして、ありがとうございました。きょうは午前中、銀行、損保、生保、三人のそれぞれエキスパートからお話を聞き、それに引き続きまして午後は、証券、そして澤藤参考人、森本参考人からは全般にわたるお話という中で質疑をいたしたいと思うわけです。 証券の各論に入ります前に、全般に通しるテーマとして、今、自己責任のお話が特に澤藤先生と森本先生からあったわけてございまして、私もなるほどなと思って聞いておったわけでございます。それに関しまして若干御質問させていただいてから証券の各論に入らせていただきたいと思っています。 そこで、ビッグバンをやっていきますとやはり自己責任というものが出てくると。 澤藤先生のお話を聞いておりますと、やはりその陰でといいますか、なかなかそのレベルへ行かないという方に合わせていった方が、その視点を失ってはならないということでごさいましたけれども、私は、年齢的なものもあるかもしれませんが、なるべく自由にやって、先ほど森本先生がおっしゃったように、事前に行政によってなるべくそういうことか起こらないようにするというのではなくて、自由にやった後でルールだけはきちっと決めて、まさに法の支配に移っていくというパラダイムのシフトが行われなけれはならないのではないかなと、こういうふうに思っております。 一方で、いろいろな提案があったというか、押しつけ融資の話もありましたけれども、先ほど森本先生から、法の支配で司法制度の充実というものが欠かせなくなってくる、そういった中で裁判制度の抜本的改革や特に金融や経済に明るい法律家の方がどんどん出てきてもらわなければならないという御指摘があったわけでございますが、この辺について澤藤参考人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(澤藤統一郎君) まず、自己責任の御質問がございましたが、私は、業者の自己責任と業者と対峙する側にある消費者の自己責任とはやや様相を異にするのではないかというふうに考えております。 つまり、営業活動をみずからの責任で行う事業者に対しては情報を収集し、みずからの判断を期待することができる。そういう意味では、みずからの判断、自分が選択し、自分が判断したことに責任を持てという、こういう原則を当てはめることは当然可能であります。しかし、現実の消費者と、もっとそれより力のある、つまり情報もあり、判断能力もあり、交渉能力もすぐれている事業者との取引において、実際に消費者がみずから選択し、みずから判断をしていると言えるかというと、なかなかそうではありません。 先ほど来、少し私もお話ししましたけれども、現実には、専門的な分野で何もわからない素人が専門家の手の内で踊らされて、みずからの判断ではなく専門家の判断を押しつけられ、いわば操られているという、こういう取引の実態があります。こういうときに、つまりみずから情報を収集し、みずから判断する能力のないそういう消費者に自己責任というふうに言うのは、いわば悪徳業者が最初はもうかるよというふうに消費者に水を向け勧誘し、最後に損の出たところで自己責任の世界ですとほうり出す、そういう言葉でしかないというのが実感です。つまり、自己責任を問うにはそれなりの前提が必要で、その判断主体がみずからの選択をしたと言えるために情報を収集し、判断をする能力を持っていなければならないというふうに思います。 ですから、私ども、消費者の自己責任というのが矛盾した概念だというふうに申し上げているわけではなくて、消費者が自己責任原則を負い得る条件を整備することが大事であると。そのためには、まず業者の側からの情報提供義務や説明義務が不可欠のものであるというふうに申し上げているわけです。 ただ、ある特殊な分野、大変専門性の高い分野で、しかもある属性の方には到底情報収集も無理だ、判断も無理だということもあり得るわけです。私は、デリバティブなどはそういう分野だと思いますが、こういうときに情報提供義務や説明義務を問題にするのでは問題の解決にはならない。やはり、適合性の原則の遵守によってそういう方にそういう危険な取引に近づいてはならないという原則をとるべきである、そこは自己責任原則の限界があるということを申し上げたいと思います。 続いての御質問で、司法のあり方についてお尋ねがございました。 先ほど森本先生が言われたことに一部賛同する点もございます。ただ、今現実に多くの消費者被害が司法の場で解決をされているのかというと、なかなかそうなっていない現実があります。 それは、今いろいろありますけれども、私は基本的には、今のシステムそのものに問題があるというよりは、例えば法律扶助制度の充実であるとか、あるいは公益的な法律事務所をつくるとか、それから弁護士会自体がもっと透明性のある報酬ルールをつくるとか、そういうことが大変必要だろうというふうに思っております。 それから、司法の容量を大きくするということについても私は賛同する立場ですけれども、基本的には森本先生が言われた経済に明るい弁護士が少ないわけではありません。しかし、もっと弱者の側に立って活動できる弁護士の環境を整えることがかなり重要ではないかというふうに考えております。 それぐらいでよろしいでしょうか。
○林芳正君 ありがとうございました。 我が党でも今、司法制度調査会というところで日弁連の方にもお見えいただいていろいろ検討しておるところでございますが、一朝一夕に弁護士の数がどっとふえて、向こうのSECやああいうような事後規制がすぐにできるとは思いませんけれども、私は方向的にはその方向ではないかなと思いましてお聞きをしておりました。 そこで、今、自己責任の限界と適合型というお話があったわけでございますが、デリバティブ等も、言ってみれば砂糖とか金とかああいう商品先物取引というのはだれでもやっていいということになっている、これもデリバティブの一類型であるわけでございまして、やはり事前に行政でここまではというのはなかなか難しいなという気がいたします。それよりも、例えば民法、商法、刑法といったところで、本当に条件を知らずに欺罔されて契約関係に入ったということであれば、やはりそちらの方で救済という方がなじむような気がいたしますし、それが今後の大きな流れではないかなと、こういうふうな気がいたしますが、その辺について、森本先生、御所見をいただければと思います。
○参考人(森本滋君) 今のお話に基本的に同意するものでありますけれども、自己責任のことを少し申させていただいてよろしゅうございましょうか。 証取法とか金融の世界では自己責任ということを申しておりますけれども、こういうところで精神が高揚して大きい話をして申しわけないんですが、憲法の方を見ますと、憲法十三条に個人の尊厳というものがうたわれております。この個人の尊厳につきましては、自己決定という形で言われます。すなわち、ある程度教育を受け、そして十分に情報を得られたら自分で決定するんだと、その決定で万一自分が過酷な状況にあったとしてもそれは人生として耐えるんだと、そこでもう一度乗り越えてより大きな人間になると、こういうものが個人の尊厳、自己決定というものでありまして、そういう大きな物の流れの中で自己責任原則があるのだと思います。 したがいまして、先ほどおっしゃいましたように、適合性原則ということでありますけれども、業者は顧客の経験や財力、さらにはその意向を十分に配慮して、顧客に適合的な商品ないしサービスを提供するように努力しなければなりません。そして、適合性に反するような商品を提供した場合には、相手方は判断能力がないわけですから業者が専ら悪いと、こういうことになろうと思います。 そういう処理をどのようにするかということでありますけれども、非常にさまざまな、あるいはこれから何が生ずるかわからないような金融商品につきまして、それらのすべてに対応する規定をつくることは非常に難しいわけであります。これに対して、民法におきましては不法行為の発展化傾向というのがございます。また、こういう業者と顧客の関係は、不法行為のレベルではなくて、債務関係がありますので、信義誠実の原則ということに基づいていろいろの処理をすることが可能であります。しかしながら、現在、我々法律家も反省しなければなりませんけれども、新しい金融の問題につきまして、ともかく従来は免許業種であるからそれほど悪いことはしないだろうという金融機関性善説に立って訴訟になりましたときにも立証が困難だということもありますけれども、ややもすれば消費者、顧客に不利な状況にあったことは否めません。 しかしながら、それを抜本的に改革するためにもこのような法律を成立させ、そして業者の責任を強く強調するとともに、先ほど少し申させていただきましたけれども、法律に違反しないからいいというのではなしに、業者の健全な活動を確保するということで証券業協会が法律のレベルを超えるいろいろな要求をする、それが不法行為や民法の信義誠実の原則にまたはね返るという形でケースロー、判例法を通して消費者保護を確立するということも、こういう日々発展する領域においては合理的なものだろうと思います。 先ほどの質問に正面からお答えしたかどうかわかりませんが、そのように考えております。
○林芳正君 大変ありがとうございました。 このビッグバンの法案というのは、まさにそういった精神の構造改革といったようなものが中に含まれておるのではないかなという気がいたすわけでございますが、そういう前提で今まさに証券業協会、業界の自主規制というお話も出ました。 そこで、関参考人にお尋ねいたしますけれども、まず各論に入る前に、先ほど市場の状況についてお触れになりましたのでちょっと二点ほどお聞きしたいことがあるんです。 一つは、昨年度末、三月末でございますが、いわゆるPKOをやるやらない云々という話があったわけでございます。今、日本の証券市場、大体半分以上は外国人の投資家だと、こう言われておるわけでございますが、特に海外の投資家から見た場合にこのPKOというのが私が知る範囲では余り評判がよくなかったわけでございますけれども、この点についてどういうふうにごらんになっているのか。 それから、今、年金制度の来年の再計算に向けましていろんな制度論が華やかなわけでございます。確定拠出型の年金ということを議論いたしておりまして、これが導入されますと、アメリカは四〇一Kプランということで既に入っておるわけでございますが、投資信託を通じて株式市場に今まで以上に年金等の資金が入ってくるということもあるわけでございますが、これについてまた海外の投資家がどういうような見方をしておるか、もし御見解があればお尋ねしたいと思います。
○参考人(関要君) 外国投資家が今の日本の株式市場で大変大きな比重を占めているというの点私も先ほど申しましたし、また先生の御指摘のとおりだと思います。 外国投資家の投資は、基本的にその中心はいわゆる機関投資家という投資を専門にしている外国勢でありまして、こういった外国勢の投資は広く世界的に、いわゆるグローバルなストラテジーで投資をしていく。その中で日本の株式にどういう割合で投資して、どういう業種に、あるいはどういう企業にということをかなり精密にリサーチして投資をしてまいります。というのが基本的なパターンだと思うんです。そういう意味では、我が国に進出しております外国証券会社、これは日本の証券会社もそうでありますが、対外向けには大変多くのリサーチのレポートというようなものも提供して、それによって海外投資家の投資を促す、こういう努力をしているわけでありますが、その中には当然、日本のそれぞれの企業の収益状況がどうなるかというような調査のほかに、市場状況、市場の需給関係ということがどういうふうに反映するだろうかということも織り込んで報告をしていると、こういうことであります。 したがって、いわゆる政府の資金、公的資金を株式市場に投入するという、いわゆるPKOと言われたような施策についてはかなりきちんとフォローをいたしまして、それを踏まえて投資をしてきているということだと思います。したがって、このPKOという手段について、人為的にとにかく何が何でもこの線を維持するんだと、こういうことをやるということについてはそれは批判を持つかもしれませんが、公的資金というものが株式市場にどれだけ入ってきているかということについては、それはそういう前提で外国の機関投資家が行動してくるということでありますから、要するに公的資金が株式市場に流れてくるということ自体にはそれほど批判的な対応はとっていないというふうに思っております。それが第一点。 それから、第二点の確定拠出型年金、これはアメリカで四〇一K、これはアメリカの税法の条文でございますけれども、確定拠出型の年金というのが非常に大きな比重を占めていることは先生御指摘のとおりでありますし、またこの確定拠出型年金制度というのは必ずしも投資信託だけに適用される制度ではありませんが、あちらでミューチュアルファンドと言っている株式投信が四〇一Kの方式で非常に使われて、かつそのことがアメリカの株式市況に非常に活況を与えている、これが今の現象だと思います。 私ども証券界はこういった現状には少し前から関心を持っておりまして、これは先生方の方が詳しいわけですが、国全体の年金制度が今のままでいいのかという議論も基本的にあるわけでありまして、国の年金制度のいろいろな見直し、今までのような確定給付型の年金制度でずっとやっていけるのか、年金制度自体としても新しい工夫を、例えば確定拠出型の制度というものを考えなければいけないんじゃないかこういう年金制度自体の御議論も最近出てきております。 そういった動きとあわせて、もしそういう確定拠出型の商品というものができるようになれば、証券業としてはどういう手段、どういうやり方でこの制度を投資信託の商品としてつくり上げて、これを投資家の皆様に提供していけるだろうか、またそれを投資するに当たっては税制上どういう配慮を政府、国会にお願いしなければならないかというようなことを今検討を始めております。
○林芳正君 ありがとうございました。 まさに、年金というのは、今、制度論的に少しお触れになられましたけれども、確定拠出というような考え方を少し入れていかないと、高齢・少子で人口構造が極端に変化をしております現状で、なかなか確定給付だけでは立ち行かないのではないかなと我々も認識を持っております。 一方で、今度出ていく方は、今、関参考人がおっしゃいましたように、いろんな新しい展開が出てくるわけでございまして、先日も、興銀と野村さんだったと思いますが、それが一緒になっていろんなことをやられるという中で、一つのその業容の展開としてこれが入っておるというような記事も出ておったわけでございます。ぜひ、先ほど森本先生がおっしゃいましたように、新しいことをやるときにできるだけ自主規制を証券業協会でやるということで頑張っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 それで、先ほどお話しいただきました中、それから関参考人のお書きになったものも少し読ませていただいたわけでございますが、新しいルールになります、新規参入もございますが、退出のルールということで、寄託補償基金というものを少し充実させて、証券業が勝手に退出してもらってお客さんが困っては困るということでございますが、その中で、今後の課題といたしまして、今言ったようにリテールとホールセールというのが分かれてくると。それから、強いところと弱いところというものがどうしても出てくるわけでございまして、そういった方々を十把一からげにして同じ負担といいますか、同じ保険料率みたいなことのお願いが果たしてできるのだろうかということでございまして、これは今からの検討になるわけでございますが、そういったことについてどういう御見解かというのがまず第一点。 それから第二点は、これについて政府の保証がつくということになりまして、私も財政部会で大分逆の意見を実は申し上げたわけでございますが、預金保険機構に最終的に三十兆円のプランをつくりましたけれども、政府保証がついたり公的資金が入るというのはまだわかるわけでございます、銀行はいろんな人が預金をするわけですから。ただ、証券の場合はあらかじめ、先ほど自己責任の議論をさせていただきましたけれども、証券に行くというのは嫌ならやらなければいいわけでございまして、その辺は銀行とは若干違うのではないかなと。必ずどっちかでなければいけないという気はしませんが、証券の場合はむしろ自分のところできちっとやってもらいたいというような気がいたしまして、そういう意見を申し上げたわけでございますが、この辺について、将来的にずっと政府保証が要るのかどうかという件について何か御見解があればお伺いしたいのが二点。 その二点、お願いいたします。
○参考人(関要君) 今度の金融改革法案の中で、先生方御承知のように、投資者保護基金という制度を設けることになっておりまして、この投資者保護基金は、証券会社の経営破綻が発生をしたときに顧客の預かり資産が返還できないというようなことにならないように、証券市場全体としてのセーフティーネットとして設けるという考え方でございます。 現在、これは民間の方で財団法人の形をとりまして財団法人寄託証券補償基金というのが動いておりますが、それを新しい法律による投資者保護基金に承継していくという考え方になっております。この投資者保護基金は、実は通則ではそれぞれの投資者に対しまして、また投資者といいましても、今、先生おっしゃられましたように、いわゆる機関投資家、プロの機関投資家はその補償の対象にせず、専らリテールの一般投資家だけを補償の対象にする制度として、まさに一般投資家のための制度としておこうということでありますが、その制度としては実は上限を設けまして、一投資家当たり一千万円という上限にしようと、こういう考え方になっております。 しかしながら、今の預金保険制度も二〇〇一年三月末までは預金保険の上限であります一千万円を超えて預金保険の効果を保証しようという考え方になっていることと関連させまして、投資者保護基金の方もその間だけはやはり上限をないようにしよう、こういうことにしてあるわけであります。 しかし、もし経営破綻が一たん発生いたしますと、一時的に非常にその基金に資金負担がかかってくる。先ほど申しましたように、一般投資家だけといいましても、上限がない状態でそういうことをやり、かなり多くの投資家に全部払っていくというときには非常に資金負担は大きくなると。最終的にその資金を税金の形で賄っていただくというのは今度入っていないわけでありまして、そこは預金保険の方と違っておりますが、一時的に資金不足が発生したときに基金が借り入れをしやすいように、借り入れについて政府保証をつけていただく、それからまた日銀からも借り入れをできる道を開いていただくというのが今度の法的措置の中身だろうと思っております。これは一時的な資金繰りとしてそういう措置をとっていただきますが、そのお借りしたものは結局、証券会社全体で投資者保護基金において後からお金を出してその借入金を返済する、こういう考え方になっているんだと思います。 今申しましたように、これは一般投資家のものであります。いわゆる先ほどの澤藤参考人のお言葉では弱い投資家も含めてこういうセーフティーネットの措置をとっているわけでありますから、これについてはそういう公的な御支援を一部ぜひいただきたいなというのが私どもの考え方でございます。
○林芳正君 ありがとうございました。 政府の保証でございますから、最終的には財政の負担にならないと、そのようにお願いをしたいと思うわけでございます。 もう一点、今回の法案の中身でございますが、取引集中義務の緩和、これは大変大事なことだな、こう思っております。実は、参議院では貸し渋り対策等を含めまして、経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会というのをつくりまして、そこで別途法案を審議しているわけでございます。いわゆる貸し渋りというものをいろいろ地方へ行きましてお聞きしたり、参考人の方からいろいろお話を聞いておるわけでございます。一方で、八〇年代のアメリカでやはり自己資本比率規制が入ったときに、どうしても自己資本比率規制が入りますと、間接金融というものは制約を受けまして選別的になってくると。そこで、アメリカの場合も、直接金融といいますか、エクイティーファイナンスの道がいろいろ花を開いたということでございまして、御存じのとおり、例えばNASDAQもそうであろうと思いますが、ピンクシートですとか、OTCのビュレッティン・ボードですとか、そういうところから、逆に言えば新しいベンチャー企業がいろんな資金を調達できて今のアメリカの好況を支えておるのではないか、私はこう思っておるわけでございます。 そういった中で、まさに関参考人のところの協会が果たす役割というのはますます重要になってくる。上場銘柄の場外取引もそうでございますし、ちょっとこの間雑誌を読んでおりましたら、証券会社そのものが、何といいますか、インターネット上で証券市場のようなものをおつくりになっていると、ハイメックスと言うそうでございますが、そういった新しいピンクシートみたいなのが次々と出てくるということでございまして、気配値だけを出されるというようなことだとお伺いしておりますが、そういったものをぜひ推進していってもらいたいと思うわけでございます。 いろんな部会がおありになると思うんですが、そういうことについてもし御検討をされておられれば、その状況をお聞かせ願いまして、私の最後の質問にさせていただきたいと思います。
○参考人(関要君) まず、市場集中義務が撤廃されることによって市場外取引ができるということになるわけでありますが、これは証券取引審議会でも非常に議論があったところでありますが、上場株式について市場外取引を認めるに当たって一体どの範囲で認めるかという議論があったわけであります。 アメリカの制度は、市場外取引の方にも独自の価格形成力を持たせて、それぞれの市場が競争的に価格形成をすることによってその市場間でいわゆる裁定取引が働いて、それで全体としての市場が効率的になり、投資家の方も自分の好む市場を選択できるということで全体として市場の機能は向上すると、こういうふうに踏み切っているわけでありますが、日本の場合に、市場外取引を認めるにしても、初めから外の市場にそういった独自の価格形成力を持たせるというところまで踏み切っていいかという議論がございました。 結論的には、やはりそこまではちょっと当面は無理だろう、いずれそういうところに行くにしても当面は無理だろうと。したがって、上場株式についてはまず本来の取引所市場の価格というのをベースにして、その価格を基準にしてその一定の幅の中で市場外取引を認めることにしようと。当然そのほかお客が市場外取引を選ぶというのであれば、その市場外取引を選ぶということをはっきり確認させると。それから、市場外取引でどういう価格でどういう取引ができているかということもきちんとディスクローズする、情報をあれする、そういうような配慮は別途しなければならないわけでありますが、価格をどの幅で市場外取引を認めるかと、ここが実は今、技術的に一番難しい問題になっております。 これも昨年の秋から、私ども日本証券業協会と東京証券取引所が共同で実務家の検討会をつくりまして専門的な検討を進めております。基本的な考え方は、小口の取引、いわゆるリテールの投資家の取引は、どちらかというとなるべく取引所市場で執行する、こういう考え方の方がいいだろうと。市場外取引は認めないというわけではありませんが、どちらかというと取引所市場で執行する方がいいだろうと。大口の機関投資家等の取引は市場外取引をかなり活用できるようにしようではないかこういう考え方ですね。小口取引についてはその幅をやや狭目に、大口取引については少し幅を広げると、そういうような方向で今議論しております。最終的にどういう数字にするかということにはもうしばらく時間がかかりますが、そういう検討をいたしております。 それから、もう一点の店頭市場、店頭の特則銘柄とかピンクシートに当たる店頭取扱銘柄、これについては協会が新しい制度として導入いたしました。まだ大きな市場になっておりませんが、今後それが十分その制度創設のねらいが達成するようにいろいろな意味で努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
○林芳正君 終わります。
○久保亘君 民主党の久保亘です。 澤藤さんの御意見を日弁連の多くの方の御意見と伺いましたけれども、それでよろしゅうございますか。
○参考人(澤藤統一郎君) 済みません、よく聞き取れなかったんですが、私の意見が日弁連の意見かということでしょうか。
○久保亘君 あえて日弁連と申さなくても、大多数の御意見と考えてよろしいかということです。
○参考人(澤藤統一郎君) はい。 御存じかと思いますが、日弁連、一万六千人の大所帯でございまして、日弁連の意見をまとめるということはなかなか大変でございますけれども、それぞれの委員会から出ました意見を、理事者の会議というものがありまして、これは百名を超える理事者、それから正副会長を含めた理事者の会議で日弁連の意見として正式に決議をいたします。それから、そのほかに総会の決議という形もとりますが、今、私が述べました意見は、日弁連の正式な意見としてまとめられたものの範囲内で申し述べております。そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○久保亘君 私、大変共感を持ってお聞きいたしました。 特に、消費者の権利の問題、それから銀行、証券、保険等による消費者被害に対する救済措置の問題など、十分に考えられなければならない大事な問題だと思っております。社会的な公正を期することや消費者の、特に弱者の救済というような問題について日弁連の消費者問題対策委員会において御検討になったことをお話しいただきまして、大変感謝いたしております。 それで、関さんにお尋ねしたいんですが、今、澤藤さんが申されましたような視点というのは、業界団体においても重大にお考えになっておりますでしょうか。あなたの御意見を伺いたいと思います。
○参考人(関要君) 今回の市場改革の理念の一つには、先生も御承知のように、フェアという原理が入っておりまして、証券取引審議会の一連の審議、あるいはこの金融改革法案の中にもそういう観点からの法整備というのが種々行われているわけであります。この法律の中に、証券会社の忠実義務とか適合性原則の遵守義務とか、そういったものが幾つか条文化されておりますし、またこの一連の証券規制の中で、このところ私どもの日本証券業協会が担当しております自主規制の役割をもっと重くすべきだというお考えが強く打ち出されておりまして、それに対応いたしまして証券業協会の方でも、これは会員に対して強制力のある規則ということで、今申しました忠実義務とか適合性原則とか、そういったものの規則の整備というのはきちんと行われておるわけであります。 問題は、実際に第一線までそういった規則をきちんと適用して営業活動、投資勧誘を行っているかどうか、それがどこまで徹底するかという問題だと思います。 それはあらゆる機会をとらえて協会としては最も強調しているところでありますし、またこれは協会が規則をつくるということだけで成り立つものではありませんで、今時に重視をしておりますのは、それぞれの証券会社の内部管理、法令遵守の部門、これは英語ではコンプライアンスの部門と言っておりますが、そういった部門がこういう問題について営業の第一線まできちんと目を配るようにと、そういったことを強く会員に対して要請しているというのが今の体制でございます。
○久保亘君 金融システムの改革の前提として考えられるのは一般的に市場経済原理であり自己責任原則に基づくと、こういうことで考えられてきました。それは金融システムの改革を論ずる場合に間違ってはいないと。ただ、そのことによって消費者の保護や権利が侵害されたり救済措置がおろそかになったりするということになればこの改革は成功をおさめることにはならない、こう思っておるのであります。 澤藤さんがおっしゃいました改革は消費者の権利の確立が前提であるという御意見について、今、金融システム改革のための四つの法案がこの委員会において審議されておりますけれども、そういう権利の問題、消費者の救済の問題というものに対して、例えば金融サービス法のような法律が同時に制定されるということがなければ、金融システム改革法だけが先行する形では問題であるとお考えになりますでしょうか。
○参考人(澤藤統一郎君) 先ほど御意見を申し上げましたように、私どもの基本的な考え方は決してビッグバンの進展に反対するという立場ではございません。しかし、ビッグバンが進展するに当たって消費者保護の施策をきちんとしなければ大変なことになると。私ども一万六千の弁護士会の構成員、それぞれビッグバンの進展には意見を持っておりますけれども、全体でまとまってビッグバンに反対というようなそんな意思統一をしたことはもちろんございません。むしろ、ビッグバンの進展に関しては好意的といいますか、推進をすべきだという考えの方が優勢だというふうに私は考えておりますけれども、今の消費者被害の実情から見て、今のシステムのままでこれを推進したら大変なことになるというのは日弁連が一致した見解として出せる実情の認識だということになります。 先ほど金融サービス法の問題について申し上げましたが、実は消費者保護の民事ルールといたしましては、今、国生審の答申に基づいて経済企画庁が、仮称ですが、消費者契約法という法律を制定しようという努力をしておられます。私どもは、この消費者契約法は画期的な法律であって、ぜひこれを早期に実現すべきだという立場で、先週の五月二十三日、日弁連の定期総会でそういう決議をいたしました。 しかし同時に、日弁連定期総会決議は、いわば広く薄い消費者契約法の包括的ルールだけでは足りず、ビッグバンの進展に伴う金融サービス部門については特別法としてやはり金融サービス法が必要だ、この部門については特にもっと手厚い消費者保護の施策が必要であるという決議をしております。 中身は、先ほど私が申し上げましたように、今までいろんな業法の中で多彩に集積されてまいりました消費者保護の諸規定を集積するような、集大成するような法、そういう行為規制が必要だと。これは必ずしも行政による事前規定ということだけが眼目ではありませんで、後で事後的に司法救済をする際にも民事ルールとして行為規制をすべきだという立場でございます。 ただ、私ども事後規制だけでは不十分ではないかというふうに感じておりますのは、いわばデフォルトリスクと言われるものが顕在化して、業者が倒れた場合に事後的な救済が無意味であるということはこれはもうおわかりのとおりであります。すべてが事後的な救済ということで済まされることではない、ある程度の事前の規制も必要だという立場で、繰り返しますが、広く薄い消費者に対する保護である消費者契約法だけでは足りず、金融サービス法の分野で手厚い消費者保護の規定、つまり金融サービス法が必要だと、こういう立場に立っております。御理解いただきたいと存じます。
○久保亘君 今お話ししておりました問題で、学者の立場で森本さんの方で何か御意見がありましたらお聞きしたいと思います。
○参考人(森本滋君) 二つの点から申させていただきたいと思います。 一つは消費者概念でございます。 消費者というのは国民すべてと言った方がいいのであろうと思います。しかし、普通の消費生活に必要な食べ物であるとか日常必需品というのはあらゆる人が利用しなければいけません。そういうものについてはまず安全でよいものであることが必要です。安全でよいものをできるだけ安く、そして必要な分だけ適宜に購入できるようにする、これが消費者保護の理念でありまして、消費者保護基本法にもそういう趣旨の規定があると思います。 それに対しまして、こういう金融商品というのはある程度余裕のある方が、このごろは、ちょっと言いにくいですが、銀行預金では不十分だということで、銀行預金にもいろいろ投資商品が出てまいりましたので一世代前の話をさせていただきますが、安心な銀行の預金をある程度しつつその上のものを、ちょっとリスクがあるかもわからないけれども、ハイリターンを目的にやろうかと、こういうものでありまして、現在、証券業協会に加盟する証券会社にお客さんがどのくらいおられるかというと、消費者の数よりもぐっと低いものであろうと思います。 そういう国民一般の一部の者が現実に投資者である、そういう人たちの、つまり本当に証券投資ないしは金融サービスに積極的に関与するにふさわしい人に対してどのような法が必要かという問題と、そういうものにふさわしくない人を強引にいわばだまして引き込むことを防止するにはどうしたらよいか、これは二つ分けなければいけないと思います。 そして、この改革は、少なくとも適合する人たちにはできるだけ多様な品ぞろえをし、自己責任、自己決定してもらおうと、こういうスキームであります。もちろん、その中でもいろいろな商品がありますから、適合性原則がそこにも当てはまります。 他方、この下のレベルの、下というのはお金が少ないという意味ですけれども、そういう人たちのためにはやはり証券投資からは身を引いてもらわなければいけないという面があると思います。これがわかりやすく言えば適合性原則なんですけれども、そのときに法律で禁止するのか、そうすると年収幾らで禁止するのかこういう話になってまいります。 それではなくて、個別具体的に、適合性の原則というのは非常に抽象的ですけれども、その原則に依拠して、この場合にはだめ、そういうだめな人を強引に勧誘すればもう証券業界から出ていってもらいましょうといったような極めて厳しいサンクションを科すことによって、そしてまた裁判所なり証券業協会の仲裁規定によりまして損害賠償を明確に認める。あるいは具体的な契約条項だったら三倍賠償だって不可能ではありませんので、そういう厳しい損害賠償責任を課すという形で保護しましょうと。つまり、危ないとだれかが判断して、これは危ないから年収がこれ以下の人はさわりなさんなと。それがある意味で消費者保護の伝統的なものだったのかもわかりません。 そういうものではだめなんだというのが投資者保護ですし、それから最近の消費者保護問題につきましても、そういう生活必需品でない消費者保護の問題もありますので非常に難しく、そこで消費者契約法というものもあると。これが第一点であります。 第二点の金融サービス法の問題でありますけれども、イギリスにおきましては一九八六年まで日本の証取法に対応するものはございませんでした。一九五八年に制定された詐欺防止(投資)法という非常に限定された法律があるだけでした。あとはすべてシティの自主ルールによっておったわけでありますけれども、証券ないしは投資業務がどんどん拡大してきまして、自主ルールだけでは不十分だということでアメリカや日本に倣ったような形の金融サービス法をつくった。ただ、日本と違うのは、日本は有価証券概念がある程度限定的でありますけれども、イギリスの場合には有価証券概念を投資物件といたしまして非常に広くなったということで、日本で言うところの証券取引法の適用範囲が非常に広くなったと、こういうことであります。 そこで、証取法の有価証券に該当する限りはアメリカやイギリスとそれほど遜色のない法システムは従来からもあったし、今回の改正でより一層拡充したと。しかし、こういう言い方は誤解を招くかもわかりませんけれども、わかりやすく言えば仏つくって魂入れずで、運用が必ずしもうまくいかなかった、その運用をうまくするために裁量行政から法の支配へということが言われていると。 したがいまして、まとめてみますと、確かに消費者保護は必要であります。その消費者保護の場合、こういう金融サービスにおきましては適切でない人は参加させない、そして適切な人には十分に情報を提供して自己決定していただく。ただ、適切でない人に参加させないということを法律が決めるのではない、行政が決めるのではない、ケース・バイ・ケースで決めるんだと。それを事後的に、おかしいとなったら厳しいサンクションを科す、こういうシステムにしようかと。私はその方がいいと思いますけれども、そのためには証券業協会の自主規制や金融監督庁や裁判所システムが非常に不備と言わざるを得ない。そこの緊張関係を今後考えていただきたい。しかし、今この一歩を踏み出さなければ国際競争に負けてしまうということで慎重にやっていただきたいということを最初の報告で申させていただきました。 以上でございます。
○久保亘君 時間が短くなりましたが、関さんにちょっとお尋ねしたいことがございます。 東京市場は、かつてニューヨーク、ロンドンと覇を競うような時代がございました。今では東京市場はニューヨーク、ロンドンに比すべくもない状況になっておりますが、特に株式の所有分布状況において、アメリカの場合と日本の場合とは極端にその性格が違っているのではないかと思うんですが、その実情となぜそうなっているかということを少しお話しくださればと思います。
○参考人(関要君) 株式の所有者の中で個人がどのくらいを占めているかという数字をとりますと、日本は平成九年末の調査で二三・六%であります。それに対しまして、平成九年ベースでアメリカで約四四・三%という姿になっております。それでまた、間接的な株式投資ということとして投資信託というものを入れましても、アメリカと日本とはかなりの差があるということであります。要するに、両方をひっくるめまして、確かに日本においては個人投資家の株式市場離れという現象がやはりあるわけであります。 〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕 それからまた、その株式投資家がなぜそういって市場離れしてしまったかということにつきましては、基本的には株式投資に余り魅力がない時期が長く続いたということが一つの状況だと思います。つまり、投資家は、もちろん特定の企業に関心を持つということもありますが、やはり投資のリターンを主な目的にするわけでありまして、キャピタルゲインとか配当とかそういったものがどうであろうかそういった観点から他の金融商品と比べて株式投資を選択する、こういうことだと思います。 その意味におきまして、日本のそういう投資の利回りという点を見ますと、株式投資がリスクに比べて有利でないという状況が長く続いたと。それからまた、現状においても、それじゃその状況が急に変わってくるのかということにまだ確信が持たれていないというのが一つの原因だと思います。 もう一つは、日本の場合は、よく言われますように、金融の仕組みが間接金融に重点があった。直接金融の比重が非常に低かった。これは歴史的、沿革的な部分もありますが、実際そういうことが長く続きまして、個人の金融資産選好の分野にもそういった考え方が反映をいたしまして、個人の金融資産の主要な部分が銀行預金とか生命保険の方に回っていっているというところがあると思います。これは少し長い間です。 それからもう一点、多分、先生はここを指摘されているんだと思いますが、そういう状態をつくったことに対して株式市場の仲介役をしている証券会社の過去の営業姿勢はどうであったか、そこのところに何か問題がなかったのかという点がもう一つあると思います。そこは、例えば現在の投資信託に対する個人のイメージ等を考えますと、過去の証券会社の営業姿勢も反省すべき点がいろいろあったんじゃないか、こういうことはやはり認めざるを得ない、こういうふうに考えております。 〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕
○久保亘君 あなたは大蔵省におられるときに銀行局、証券局の要職を図られ、そして保険部長も務めておられますから、金融三部門の重要な大蔵省の役職を務められた方です。 それで、十分おわかりになっていることだと思うんですけれども、今度の金融システム改革をやりますと、そのことによって東京市場に活性化がもたらされるものなのか。であるとするならば、東京市場の空洞化が言われ始めてからもうかなり長い時間がたつんです。そのことに余り集中的な努力を払われなかったのではないかと思います。 それで、今度の四法案が成立いたしますと証券市場はどういう影響を受けるのか。もう時間がございませんから、簡単にひとつあなたのお考えをお聞かせください。
○参考人(関要君) 大変大きな御質問でありますけれども、やはりこの証券市場の改革あるいは金融全体の改革ということがこれだけ広範に行われますとそれだけ、改革を利用して新しい仲介業をやりたいとか、新しい投資運用をやりたいとか、それからまた新しい業者が参入するとか、こういう動きはやはり活発になってくると思います。それからまた、既に具体的な動きがありますけれども、業者自身もいろいろな連携を図るとか合併をするとか、そういった新しい動きも出てくるわけであります。 そういったいろいろな動きが重なって、先生おっしゃいますように、かつて他の市場に伍して日本が一番であったという時期もあるわけでありますが、それに比べて少し元気がなくなっている日本の金融・証券市場に活気を与えるきっかけをつくることになると、こういうふうに考えております。
○久保亘君 時間が参りましたので、これで終わります。 大変ありがとうございました。
○海野義孝君 公明の海野でございます。 きょうは三人の参考人の方々、御多忙のところ大変ありがとうございます。今まで十五分ずつにわたって御意見をお述べになり、それに対して二人の同僚委員から御質問させていただいておりますので、かなりこの法案について理解できました。 最初に私がお聞きしたいのは、先ほど久保委員からかなりの部分、私の思っていることをお聞きになりましたのでありますけれども、今回の金融システムの改革という問題、つまり金融制度の大改革に絡んでの今回は四つの関連法案ということでありますけれども、既に四月にいわゆる外為法が完全にフリーになったということから、前大蔵大臣はこれを称してまさにビッグバンのフロントランナーであると、私はそうは思わなかったのでありますけれども、そういうお話をされまして、現実にはビッグバンが大きく動き出しているというわけでございます。 そうした中で、これは内外の情勢、また我が国における景況等々からしまして今、市場商品は大変振るわないと。つまり、為替、金利あるいは株式とトリプル安と言われるように、大変低迷状態が続いているということであります。 そういった中で、この金融制度改革に伴う四つの法案が現在審議中であります。それぞれ御三人の方々から陳述がございましたけれども、お聞きしておりまして、いろいろ問題がそれぞれないではないなというように感じたわけであります。 そういうことで、御三人の方々それぞれ、今回のこの金融システムの改革を含めた四法案、これが成立することによってどういうようになるかという点、ビッグバンがどういうように進むのかという点と、それから先ほどもそれぞれお述べになっていたようないろいろな問題点、まだまだこれではいろいろと問題が残るんだというような点、それぞれ三人の方々、関参考人から順次簡潔にひとつお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(関要君) 直前の久保先生の御答弁でお答えいたしましたように、このビッグバンがきっかけになって日本の金融・証券市場の機能の向上という面がこれから一段と進むだろうと思いますし、またこれだけの改革をしていただいた以上、それぞれの業界あるいは私ども協会等、そういうことが実現するように全力を尽くしていかなければならないなと、こういうふうに考えております。
○参考人(澤藤統一郎君) ビッグバンの進展に反対をする立場はとりません。しかし、ビッグバンが進展することによって、恐らく消費者被害はさらに大きな規模になるということが予想されます。だから、それに対する対処がどうしても必要だというふうに考えます。 つまり、ビッグバンによって業者の規制がなくなる、だれでも金融分野に原則入ってこれるということになりますと、これは今までにないいろんな業者が消費者と接触をすることになります。それから、商品規制がなくなるということになりますと、消費者にとっては新規な、今まで接したことのない、理解が難しい、複雑だけれども、本当はリスクの高い商品が消費者に売りつけられることになろうかと思います。 しかも、今まで護送船団方式と言われていたもの、これのもちろんデメリットは当然あるわけですけれども、同時にこれは業者を保護する規定でもありましたが、その保護がなくなって、今まで金融秩序の中で信用の権化と言われていた存在の業者が倒れることによって、それと契約していた消費者はデフォルトリスクを顕在化させて、やはり被害を受けざるを得ない立場にあります。弱い消費者がオオカミの群れの中に入るというのはちょっと言い過ぎなのかもしれませんけれども、恐らく金融ビッグバンの進展の中で規制がなくなるということは、弱い消費者にとってはそういう事態になろうかと思います。その手当てとして、ぜひ金融サービス法をつくっていただきたいというのが基本的な考え方です。
○参考人(森本滋君) 私は最初の報告で、この四法案の成立は金融システムの根本的改革の出発点にすぎないと言おうかなと思ったんですけれども、それは余りにということで、終着駅ではないというふうにさせていただいたわけであります。 法律をつくりまして、そしてこれまでのいろいろのグローバルな競争の障害はなくなったと。そこで、御承知のように外国証券会社なり外国金融機関が、少し見ますと日本を席巻しているようになっていると。それに対して日本の業界や投資家がどうするか、そういう戦場に入る道をつけたと。そこで、そういうグローバルスタンダードの金融システムに係る法システムはつくったんだから、その他の法制度や運用も一緒にするようにこれから努力しましょうと、そうしていけば、ことし、来年というのは無理であっても、また勤勉な日本人のことでありますから、十年前とはまた別の意味でのアズ・ナンバーワンかどうかは知りませんけれども、何かやれるのではないかと期待しております。 そして、どういう点を心配するかというか、注意すべきかという点でございますけれども、一言で言えば、これは自分の業界のために発言しているわけでは決してありませんが、法の支配、法律家をもう少し利用するというんですか、そういう社会になると。つまり、あらゆる紛争は最後は公開の裁判の場で白黒がつけられると。ただ、それだけでは不十分だからいろいろ多方面の紛争解決手段が必要ですけれども、最後はそこに行って思う存分自分の利益をそれぞれが主張して、公正な第三者である法の専門家に判断してもらうんだと、そういう道筋を確保する手当てをぜひいろいろなところでお考えいただきたいと思います。 以上でございます。
○海野義孝君 今、大変重要な点をそれぞれ御指摘いただいたと思います。 私も今回の法案によりまして一歩前進ではあると思いますけれども、基本的には今回の金融システム改革法案というのは、例えば証取法とか銀行法とか既存の業法を一度に二十二本のものをそれぞれの基本形態をそのままにして部分的に改正していくという手法をとったと。ですから、例えば市場法であるとか、金融サービス法であるとか、そういったところに、ここから新しい日本が抜本的なというか改革的な出発をするときですから、御指摘のあったように、やはりそういった踏み込んだ抜本的な法律をつくるべきじゃないかという点、これは私は今後に残された課題であると、このように思います。 次に、関参考人にお聞きしたいと思いますけれども、これは証券だけでなくて、先ほど澤藤参考人でしたか、保険、銀行、それぞれこれまで近年いろいろな問題があったという御指摘がありましたけれども、先ほどからいろいろとお話に出ておりますいわゆる消費者といいますか投資家といいますか、の保護という問題、当然これには片や自己責任という問題があろうかと思いますけれども、そういったサイドから見てのいろいろな問題点、不安な点があろうかと思うんです。 一つは情報開示という問題であります。これは関参考人にお聞きするわけですが、情報開示の問題はいわゆる取り扱い商品の開示の問題と、もう一つは、先ほどいろいろおっしゃっていましたけれども、それを扱っている業者、証券会社の経営とかいろいろな状況、そういう開示の問題、これがあると思うんです。 それからもう一つ、従来いわゆる銀行とか保険とか証券、これはいわゆる垣根がありました。業法によってストップがかかっていたということでありますけれども、近々にその点がなくなるわけです。そこで、利益相反の問題ということがやっぱり大きな点じゃないかと思うんですけれども、ファイアウォールがなくなるということ自体は大変あれでありますけれども、しかし果たして一般消費者、投資家等から見た場合、これは主として個人の場合ですけれども、そういった自己責任ということだけで片づけられるような、到底これだけでは避け得ないいろいろな問題がやはりこれから出てくるのではないかと。 これはちょっと例が悪いんですけれども、先ほどいわゆる投信の銀行窓販という話が出ましたけれども、投信を証券会社の社員が売るとどうも信用しない。ところが、銀行で投信を売るとこれは大丈夫だからというような錯覚に陥るということがあろうかと思うんです。 それから、きょうの新聞だかきのうの新聞では、最近の投信の設定で外資系証券の取り扱っている投信が日本系をついに凌駕したというようなことが出ていた。外国の投信の方が信用されるというか、パフォーマンスが高いというように信じて買うんでしょうけれども。 いずれにしましても、そういうことで今後保険、銀行、証券、そういった垣根が取り払われる、そしてまた銀行系の証券子会社、こういったところの現在のいわゆる株のディーラー業務とか、そういったことが禁止されているのが自由になっていく、こういうふうになった場合に利益相反の問題と自己責任という問題、この二点ですけれども、業界としては今後どのようにこれに取り組んでいかれるか、その辺のところ。やはり、先ほどの久保先生のお話ではないけれども、今後の証券界が再びよみがえるかどうかという問題は、一にかかって個人の善良なそういった投資家が証券界に戻ってくるかと、それを戻るようにするのはやはり業界の責任ではないかという点で、今の点についてやはり特に真剣にお取り組みになっていらっしゃると思いますけれども、その辺、ちょっと教えていただきたい。
○参考人(関要君) 個人投資家が証券市場や証券会社を信頼して市場に戻ってくるということが基本的に大切じゃないかという先生の御意見は全くそのとおりだと思います。 御質問の二つの点でありますけれども、まず証券会社の情報開示の点でありますが、一つ一つの多様になる商品を顧客に販売する、あるいは投資勧誘するときのその商品についての情報開示、いわゆる説明義務というようなことはこれはそういう問題がありますけれども、今の御質問は多分証券会社自体の内容の情報開示の問題だと思いますので、それにつきましては、証券会社は現在約二百九十社ありますけれども、いわゆる公開会社として情報を継続的に開示している会社というのは二十五社ぐらいきりありません。ほかの会社はいわゆる非公開会社であります。技術的な問題で、その中でも有価証券報告書等を継続的に開示している会社が何社かありますけれども、一般の多くの会社はそういった非公開会社でございますから、いわゆる投資家への情報開示という観点では情報は開示されていないわけであります。 ただ、今度の証取法の改正の中に、今後投資家がどの証券会社を自分の仲介役として選ぶかということについても、それを判断する材料を情報として提供する必要があるという観点から、投資家への情報提供ではなくてお客さんに対する情報提供という意味で、すべての証券会社に対して財務の内容、業務の内容、そういったものを開示するということを制度として規定されているわけであります。 問題は、そういった情報開示をどういう内容でするかというところでありまして、これはまたそれぞれの会社がいろいろ工夫を凝らすという余地は残さなきゃならないと思いますが、目的が複数の証券会社を比較してそれで判定しようという目的でありますから、基本的な情報項目というようなものはある程度統一を図ってなければならない。その意味で、その条文が施行されるのが来年三月末の決算からということになっておりますので、それまでにそういったガイドラインを協会において取りまとめをしようということでその作業に今入っているところであります。 それから二番目の業務が多様化する、証券子会社の業務範囲も撤廃されるということに伴ってファイアウォールとかそういったものをどういうふうに処理していくのかという御質問でありますが、業務範囲が拡大をしてまいりますと、同じ会社の中で行う業務間の利益相反の問題というのが出てくることは予想されるわけであります。そういったものについては、それぞれの法律の中でも必要なものについては、これは過度な、いろいろな業務範囲を広くやるということを抑えてしまうような、そういった意味を持つまで強くすると改革の目的を達成しませんけれども、そういった業務の多角化と同時に、利益相反が起こらないように最小限度のルールというものは法律の世界でも、またいわゆる協会の自主規制の世界でもしておく必要があるんじゃないか、こういうふうに思っております。 また、銀行の投資信託の販売というお話が出ておりましたけれども、基本的にはいわゆる規制あるいは投資家のためのルールという観点では、銀行が投資信託を売った場合と証券会社が投資信託を売った場合と、これは同じ内容がかからないといけないだろうというふうに思っておりまして、その意味で法律の方でも整備をお願いしているわけでありますし、また自主規制の立場から、私どもの協会でも銀行と証券会社と両方がパラレルな規制がかかるように細かく検討していきたいと、こういうふうに思っております。
○海野義孝君 もう一ついいですか。 じゃ、簡単に申し上げます。 今、総合経済対策の中でも出ておりますけれども、不良債権の問題、いわゆる土地の流動化等の問題に絡みまして、今回の法案の中の一つにも例の特定目的会社による特定資産の流動化云々という、いわゆる債権とか不動産、こういうようないわゆる資産対応証券、こういったものを金融商品として流動化させるという大きな問題があるわけですが、これは大変前向きのことであります。具体的に資産対応証券の流通市場が存在していないわけでありますけれども、これは現実問題としてどのように流動化できるかという問題点が一つ。 もう一つは、例えば不良債権等の流動化、証券化した場合に、要するにこれを投資した方に対する、個人投資家などに対する保護といったらあれですけれども、そういったものをどういうように考えていらっしゃるか、その点、関参考人にお願いします。
○参考人(関要君) 今度の特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律、いわゆるSPC法案が施行されることによって、こういった証券あるいは証券化商品、これをいろいろ工夫するということがかなり広まってくると思います。 ただ、この商品が一体どういう形で市場に出てくるかということにつきましては、例えば機関投資家向けの商品として始まるのか、そうでなくて、特定の人だけの私募の形で行われるのか、あるいは先生おっしゃるように広く一般の投資家にも勧誘される商品として出てくるのか、これはまだこれから状況を見てみませんと必ずしもはっきりしていないわけでありますが、アメリカのこういった資産担保型証券の市場などの姿を見ますと、日本でもこういった措置によって市場が次第に広がってくるということは予想されると思います。 しかし、こういった証券化商品は基本的には証取法の有価証券の一種、こういう扱いに会っておりまして、先ほどから議論しております法律、あるいは自主規制の中のいわゆるルールの対象になるわけであります。 また、先生が今言われました市場の、今度は流動化するときの例えば価格形成の問題とか、これもどういうふうに整備していくかということも、今申し上げましたような商品、どういう商品がどういう形で定着するかに合わせてやっぱり整備していかなきゃならない、こういうふうに思っております。
○海野義孝君 どうもありがとうございました。
○志苫裕君 参考人の皆さん、御苦労さまです。貴重な御意見をありがとうございました。 実は、私は体が不自由なので座ったままで発言させてもらいますが、お許しください。 最初に、澤藤参考人にお伺いしますが、銀行、保険、それから証券の相互参入で金融商品が複雑になってまいります。そうでなくても金融商品というのはその筋の者でないとなかなかわかりにくい。率直に言いまして、私なんかは郵便貯金しかわかりません。 そこで、しばしばお話が出ておりますように、消費者保護といいますか、消費者サービスの法制が望まれるわけですが、イギリスの場合にはビッグバンの仕上げとして金融サービス法が制定されたというようなお話もありました。 ところで、日本の当局は、イギリスと違って、我が国はサービス法のようなもので一くくりにしなくても、それぞれの商品に関して縦割りで入念な規制も設けられておる仕組みになっておるから包括的な法案は要らぬだろうという立場をとっているんですね。もっともだと思わぬわけでもありませんけれども、包括的なそういうサービス法なり保護法を設けることと、それぞれの商品に関していろんな規制が設けられるという日本の仕組みのメリット・デメリットについてちょっと御所見をいただけますか。
○参考人(澤藤統一郎君) 私は体は健康なんですが、座ってお話をさせていただきます。 御指摘のありました問題につきましては、必ずしも大蔵省を初めとする関連省庁が金融サービス法に後ろ向きだとは認識しておりません。余り積極的ではないなという印象を持っておりますけれども、ぜひつくっていただきたいというふうに考えております。 例えば、先ほど来問題になっております商品を販売する際の説明義務あるいは情報提供義務というものについて、これは実は今の法体系の中でどこにもないんですね。法律の中で、消費者を保護するために、事業者が消費者に対して勧誘をする際、あるいは契約の前提として契約内容について、あるいは販売する商品の内容について十分説明をしなければならないとか、判断のための情報を提供しなければならないというふうには法律がなくて、どこにあるのかといいますと、民法の中の信義則から出発をするような、そういう法体系の中で私ども裁判をやっておるというのが実情なわけです。もし、今度初めて消費者契約法というものができますと、情報提供義務というのが明定されますが、これは包括的にすべての消費者と事業者との間の契約に適用されるということになり、また私どもとしては画期的なものだというふうに考えております。 ただ、これも先ほどちょっと触れましたけれども、広く薄いので個別具体的にそれぞれの分野に必要な消費者保護の手当てがこの消費者契約法でなされるわけではありませんで、例えば書面交付義務というようなものですらと申し上げてよろしいかと思いますが、現在の検討段階の消費者契約法案には規定がされておりません。そういう意味では、ぜひ金融分野で説明義務あるいは情報提供義務などもきちんと明定をした法律をつくっていただきたいということになるわけです。 今、先生からも御指摘のありましたように、今までは業法の仕切りでやっていたわけですが、業法がだんだん垣根がとれてまいりますと、これは包括的な規制というのがどうしても必要になってくるというふうに私どもは思います。商品につきましても、今までそれぞれの業界ごとに発売されていましたものが、今度はハイブリッドといいますか、業界の垣根を越えてセットになった金融商品が多数販売されることにもなろうと思います。そうしますと、今までの業法では足りない、やはり包括的な金融サービス部門の行為規制法が必要になってぐるというのが私どもの理解です。 その決め方ですけれども、業法としていわば行政規制を前面に出す法律であるよりは、やはり民事的なルールを設定する法律というのが本筋であろうというふうに私どもも考えております。俗な言葉で言えば裁判で使える法律、今まで取締法規が民事法規として効力があるのかどうかというような議論をしておりましたけれども、そんなことではなく民事的な法ルール、消費者と事業者との間のルールをきちんと明定をしていただくことが事後的には裁判のルールとなり、そしてそういう事後的にきちんと制裁がある、あるいは救済があるということが行為時にきちんとした行為規制のルールとして働くことになろうかと考えておりますので、基本は民事ルールでつくっていただきたい。 私どもも金融サービス法は基本的には民事的なルールだと、つまり民法の特別法として消費者契約法があり、さらにその特別法として金融サービス法があるという、こんなイメージを考えております。
○志苫裕君 続けて聞きますが、自己責任原則というのがありますけれども、よくお金の貸し借りとか、こういう場合は借りた方が悪いのか、貸した方が悪いのかという議論になるんですよ。何かドンコ筋みたいですが、借りた私が悪いのか、貸したあなたが悪いのかみたいな話ですが、今のケースに当てはめますと、やっぱり商品を売る側が消費者の立場に立ってちゃんとよく説明をして、場合によっては責任もとるという、そういう考え方をはっきりさせた方がいいですね。
○参考人(澤藤統一郎君) 一般論として言えば、貸した方が悪い場合もあり、借りた方が悪い場合もあり、双方が悪い場合もあるということだろうと思います。 ですから、きちんとした民事ルールを定めて、そのルールに基づかない金融商品を販売した業者にはそれなりの責任をとってもらう。しかし、過失相殺その他の理論で、購入をした消費者の方にも落ち度があったというのであれば、それなりの過失相殺ルールで何対何の責任をとりなさいという、こういうことが公平にか狂っているのではないかと思います。それを、判を押したら全部だめだ、あるいは膨大な約款の中に、虫眼鏡で見ればこんな条項があるんだからもう消費者は救われない、こういうことではやはり大変まずい法制度になっていると思います。そこは変えていただきたい。
○志苫裕君 ありがとうございました。 日本の役所というのは、ああそうですかとなかなか言いませんで、またいろいろとお知恵をおかりしまして取り組んでいきたいと思っています。 関参考人にお伺いいたします。 先ほどもお話がありましたが、個人の金融資産が一千二百兆円、そのうちの約半分が預貯金、こう言われておるわけでありますが、それが証券の方に向いてこないのは一体どういうところに一番の原因がございますか。言うなれば、魅力がないの一言で終わっちゃうんでしょうか。それとも皆さんの方に努力不足のところがあるんですか。その辺はどう考えればよろしいんでしょうか。また、ビッグバンでそれは改善されますかどうか。
○参考人(関要君) 金融市場全体というようなとらえ方をいたしますと、実は預貯金とか生命保険とかという形で銀行とか保険会社に入った金が、今度は銀行の運用として、あるいは保険会社の運用として証券市場にお金が回り、それが株式投資とか債券投資に回っている、これが非常に大きな率を占めているわけですね。日銀の毎年のマネーフロー表というのを見ましても、一年間の金融の流れで、そういう証券形態を通って資金が流れたというものが、年によって違いますけれども、大体四割から六割を占めているわけです。 ただ、個人の、あるいは家計と言った方がいいと思いますが、家計のベースでどこにまず最初に金が行くかというところについては、先生おっしゃるように、非常にいわゆる間接金融、銀行預金等に行っている。それは、前からそこの問題点は指摘されておりまして、やはり証券市場に個人が投資をするように何とかいい方法がないかということが長年議論になっておりました。 しかし、先ほど来御説明いたしましたように、今の状況というのは必ずしも個人が証券市場を優先的に選択するというような状況に遺憾ながらなっていないということだと思います。その原因は何かというと、先ほど申しましたように、いわば資産選択という観点から見て証券市場の商品が必ずしも魅力がないという問題点が一つあると思います。しかし、これは実は必ずしも証券会社だけの問題ではなくて、例えば日本の企業の配当が高くないのかとか、そういう問題もあると思います。 それからもう一つは、例えば今までの投資信託の売り方とか、それから証券市場のいろいろな不祥事というものがあって、どうも証券会社というものは信用できない、ああいうところにお金を投資するのはどうだろうか、そういった面が全く影響していないということは言えないと思います。したがって、そういうところは過去の教訓を踏まえてできるだけ努力をしていきたいということだと思います。 市場改革との関係は、そういった問題もありますけれども、いろいろな個人向けの商品を開発できるというところの自由度が大変広まったという問題だと思うんです。ですから、それをどういうふうにこれから活用して投資家の資金を証券市場に持ってくるようにするかというのが、この市場改革における個々の証券会社等の目標になるだろうと、こういうふうに思っております。
○志苫裕君 わかりました。 御存じのように、この不良債権の処理にかかわってSPC法案が用意されておりますね。この商品は証券会社は扱うんですか。扱うとすれば例の投資者保護基金の対象になる商品ですか。簡潔に答えてください。
○参考人(関要君) 証券会社が扱う商品でありますし、法律的にはこれは証取法の有価証券の一種という扱いになりまして、その意味で投資者保護基金の補償対象にもなる、こういうものだと思います。
○志苫裕君 山一、野村などのビッグビジネスにダーティーな事件がつきまといましたけれども、このことは証券市場にどんな影響を及ぼしておりますか。
○参考人(関要君) 先ほどもちょっと触れましたように、やはり証券市場あるいは証券会社全体に対する信頼に非常に悪い影響を与えた、こういうことは否めないと思っております。
○志苫裕君 関参考人にもう一つお伺いします。 不良債権の処理が問題になっておりますが、つまるところ不良債権の処理というのはだれかに不良債権を引き取ってもらう以外にないわけでありまして、引き取ってもらうのを公的資金にするのか、あるいは物好きな投資家にするのかわかりませんが、自己努力でこれを処理しようとすると不良資産償却の引当金を積まなきゃなりません。引当金を積むことは企業経営を悪化させて倒産を招いたりしませんか。これはいかがなものでしょうか。
○参考人(関要君) 今の問題は実は不良債権をお持ちの金融機関の方の問題でありまして、ちょっと私がお答えする問題ではないように思います。 ただ、先ほどからの御議論との関連では、いわゆる証券化商品をつくりましてそれを証券市場の方に向けてくるその債権あるいは特定の不動産というものでありますが、これは証券化する段階で時価評価をいたしますので、それが証券市場に出てくるときには適正な時価を反映して証券市場に出てくる。それで、簿価か何かできょう計上されているものは時価表示をして証券化するというところで、今持っているそれぞれの金融機関において処理される問題でありまして、それは証券市場に出てくる前の問題だというふうに一般的に言えるように思います。
○志苫裕君 最後にいたしますが、自己資本比率が金融機関の健全性のメルクマールとされておりまして、例えば早期是正の基準にもされておりますが、場合によってはそれで取りつぶされる金融機関も出てくるという大変厳しいものでもあり、果たして四%とかあるいは八%という数値というのは絶対的なものなんでしょうか。その根拠はどこにあるんでしょうか。ほかに健全性のメルクマールになるものはないものかどうか。また、この基準を満たすためにいわゆる貸し渋りが行われているということが専らの指摘でありますけれども、その因果関係をどのようにお考えになりますか。 金融機関の立場で関参考人、学者の立場で森本参考人からお伺いできれば幸いであります。
○参考人(関要君) 今の四%、八%という問題は、これは銀行の方に適用されているものでございまして、これについてはちょっと私、答える資格がないと思います。 ただ、先生御提起の自己資本規制比率、この問題は証券会社にもこれから導入をされるということでありまして、それについては具体的な準備を今、行政の方ともお打ち合わせしながら進めているところであります。
○参考人(森本滋君) 前段の八%、四%、もう既におっしゃいましたけれども、それは銀行のBIS規制なりなんなり国際的な基準で定められておるものでありまして、国際的と申しますと、各国の個々の事情を捨象してというか、指導的な国の一つの基準に従ってルールが定められますので、個々の国、例えば日本においてそれがどのような意味を持つのか根本的な議論をしなければならないと思いますけれども、幸いこれは金融論の先生の話でありまして、私の専門外ということで問題点の指摘だけでお許しいただきたいと思います。
○志苫裕君 わかりました。 ありがとうございました。
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。 関参考人に最初に簡単にお伺いしますが、金融ビッグバンのトップランナーだといって、去年、外為法が改正されました。それからこの一年間、金融をめぐっていろんな事件が起こりましたけれども、東京の金融市場としての信頼性はこの間結果として高まったんですか、低くなったんですか。
○参考人(関要君) 先生御指摘のように、証券界におきましては幾つかの問題点が露呈したわけでありまして、先ほども申し上げましたように、それは証券市場に悪い影響を与えたように思いますが、それぞれについては行政の方も私どもの業界においても再発防止の対策を講じるというようなこともいたしております。 そういった効果でどれだけカバーできたかということについては数字的に申し上げることはできませんけれども、それによって外為法の改正等のねらった政策が大きく阻害されたというふうには思っておりません。
○吉岡吉典君 この問題は論議しないで、次に澤藤参考人にお伺いいたします。 ずっと参考人も強調されましたように、消費者保護の問題が私はやはり一番大事にしなくちゃならない問題だと思います。私も去年までずっと大蔵委員をやっていまして、随分たくさんの被害者の人にも会いまして、私の部屋に来てでっかい声で、廊下まで響くような声で、銀行は詐欺集団がといって大きい声を出される人もいるという状況でありました。 こういう不信というのは一掃しなくちゃならないわけですが、その上で、今度のこの法案をつくる過程で、午前の論議のときに私は銀行協会の会長さんにお伺いしたんですが、金融機関とは大蔵省は法案を仕上げるまで協議、調整を続けたようですけれども、もし消費者保護が念頭にあれば同じように消費者、とりわけ被害者等といろいろ意見を聞き、銀行関係とやったのと回しような協議も調整もやる、被害者の団体もありますし、それからまた弁護を担当しておられる日弁連等もあるわけで、そういう作業はやられたと見ていいのかどうなのか、まず澤藤参考人の立場から見てどうだったでしょうか。
○参考人(澤藤統一郎君) お答えはしにくいんですけれども、今まで私ども一生懸命消費者の立場から立法の提言をしたりいろいろと御意見を申し上げてまいりましたけれども、大蔵省へ行ったり通産省へ行ったり経企庁へ行ったり、意見書を持って歩いて、何とか受け取ってくださいということで二十分か三十分か担当者とお目にかかって、こういうことですと一生懸命お話をして何とか御理解をいただくという程度のことを繰り返しておりまして、この問題につきましてこういうふうにきょう参考人として呼んでいただいたことは、大変ありがたいと思うんですが、これまで法案審議の中で私ども、つまり消費者の利益を守るという立場から発言を行政に十分聞いていただいたという経験はほとんどございません。唯一、訪問販売法の改正の際には通産省消費経済課に私どもの意見を随分と聞いていただいたという印象はございますが、それが唯一の例外で、ほかは余りございません。この法律についても同様でございます。
○吉岡吉典君 銀行の方に対しては法案を国会に出す前に示して、それで検討してもらったという経過らしいんですね。ですから、今のお話を聞くと、陳情を二、三十分受けるということじゃ、やはり被害者、消費者とはそういうのがやられていないということだというふうに今のお話で私は受け取りました。 それで、そこをどう改めていくかという問題が残るわけですが、被害者のいろいろな問題を考える場合に、情報公開、情報開示と自己責任の関係ですけれども、情報が一体どこまで開示されるのかという問題ですね。 去年、日産生命がああいうふうになった後、大蔵省は大体かなり早くから知っていたと、知っていたのをもっと早く公開しておれば、そこと契約を結ぶということによる被害は出ないで済んだんじゃないかということを当時、大蔵委員会で私なんかも提起していろいろ論議したんですけれども、それはやっぱり取りつけ騒ぎが出るような情報開示はできないんだと、こういうことでした。 そうすると、取りつけ騒ぎが起こるような情報開示はできないということになると、経営状態というのは結局開示できないということにならざるを得ないと思うんですね。それで自己責任を負わされたんじゃたまったものじゃないと思うんですけれども、その点は、情報開示のあり方というのは、先ほども商品ごとと会社の経営などを含む信用度、それがわかる程度のものが出なきゃ情報開示が行われたと言いがたいと思うんですけれども、どの程度行われるかということは関参考人にお伺いするとして、澤藤先生に、今の情報公開と自己責任との関係の問題、どういうことをお考えになっているかお伺いしたいんです。後で関参考人に、どこまで公開されるか。
○参考人(澤藤統一郎君) 今お話ございましたように、日産生命の破綻の後に生保協会の会長がこう言っております。契約者にも一定の自己責任があり、納得いただけると思うとコメントをしておられます。しかし、日産生命の、私ども被害者と言いますけれども、全く納得しておりません。まさに天から降ってきたような、そういう災害であったわけです。これは自己責任というふうに言われる意味合いが私どもよくわかりませんが、破綻するような生命保険会社と契約したことがよくないんだ、だから損害を納得しろと、こういう意味と理解するしかないわけですけれども、一体だれが自分の契約している生保会社の経営内容をよくわかっているか、あるいは経営破綻必至のところに契約する人なんていないわけですから、これは情報が隠されているとしか言いようがないわけです。 私どもは、自己責任というのであれば、情報を開示しなければならない、これはもう大原則だと思います。そういう意味では、やはり情報公開は必要だと思いますし、金融機関も今一生懸命やっています。 私どもも金融機関の情報開示の文書を集めたりしていますが、はっきり言ってわかりません。諸先生方も、ぜひ銀行に行って、ディスクロージャー文書があるはずだから見せてくれといってごらんになっていただきたいと思うんですが、それを見て、あるいは幾つかの銀行を比較して、どの銀行が安全でどの銀行が危ないかなんということの比較は私ども全くできません。 しかし、ないよりはあった方がいいわけで、そこはプロの皆さんがいろいろと分析をされる材料にはなるという意味ではあった方がいいわけですけれども、それがあったから、ディスクロージャー文書を出しているから、あとは自己責任だ、つぶれたってそれは消費者の責任だよと言うことは、これはだれが考えても暴論だと思います。要するに、消費者の自己責任と言われる場面は、経営なりあるいは行政なりが責任を負いたくないときに、責任はこっちじゃないよ、そっちだよというときに使われる言葉でしかないというのが私の実感です。 そういう意味では、ディスクロージャーをしたから、財務内容の公開をしたから免責されるというような制度であってはならない、私はそういうふうに思います。しかし、ないよりはあった方がいい、どんどんやってもらいたい、そういうことを考えております。
○参考人(関要君) 先ほども御説明いたしました証券会社のディスクロージャーにつきましては、今御審議をされております法案の中の証券取引法の五十条に、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を作成して各店舗に備えおけと。それから、五十二条の条文に、証券会社の自己資本規制比率をやはり書類にして営業所に償えて供覧をしなさいと、こういうふうになっております。 業務及び財産の状況に関する事項を記載する、この事項の内容は法律上政令で定めることになっておりまして、これから具体的に決まっていくと思いますけれども、先ほど御説明しましたように、これで証券界としては一体どういったものを公示すべきかということについて今検討に入って、この政令を作成していただく資料として政府に御提出しようと、こういうふうに思っているところでございます。
○吉岡吉典君 消費者がここの銀行は大丈夫、大丈夫でないということが一目でわかるようなものになるとは今の答弁でもちょっと思いませんね。去年、日産生命のときにも、大蔵省の人に説明を求めたら、これは委員会でじゃありませんけれども、要するにプロが見て、プロが論評する材料が提供されることになるだろうというような説明でした。 そうすると、僕は、ないよりあった方がいいと、澤藤参考人がおっしゃったと同じように、できるだけ公開した方がいいと思いますけれども、しかし今の宣伝が余りにも強い期待を与えて、もう金融機関の実態が全部明るみに出されて、それと同時に自己責任ということになりそうだというふうな印象を広く与えていて、これはちょっと実態と違うんじゃないかという気がするんですけれども、森本参考人、その実態はいかがなんでしょうか。
○参考人(森本滋君) 私もそのとおりだと思います。 先ほども少し投信のところで申しましたけれども、証券会社ないしは証券に関連する業者の財務、業務の内容は詳細に開示される必要があると思います。それは、開示されることによっていろいろな人が批判する可能性がある、そういうことがある種のチェックになるということであります。しかし、それを見たからといって、投資者が、じゃ、ここをやめよう、こちらにしようというようなことは、傾向はわかるにしても、決定的なものであるというわけではありません。 ただ、ちょっと気になりますのは、銀行と保険と証券、それぞれに業者の財務内容が悪化したときの顧客と申しますか、消費者のこうむる被害が質的に異なります。銀行は預金が返ってこないと。保険の場合には、解約返戻金と申しますか、払い込んだものが返ってくるということとともに、保険事故が起こったときにはその払込金の何十倍の保険金が入ってくるはずですが、それがだめになっちゃうと。そして、生命保険ですと、二十五で掛けていたところが、四十でその会社がパアになったらまた非常に高くなっちゃう、そういう問題があります。それから、証券会社の場合には、これは先ほども申しましたけれども、顧客資産の完全分離保管制度がこの法案で提唱されておりますので、それが本当に守られたら、タイムラグという形で投資者保護基金からいろいろな手当てはする必要がありますけれども、基本的に、預けたものは返ってくると、こういうことになるわけですから、証券と保険と銀行を金融サービスと十把一からげにするんじゃなくて、それぞれの問題点ごとに、一緒に議論するべきものと違う問題とを整理しながら議論していただければありがたいと思います。
○吉岡吉典君 ありがとうございました。
○星野朋市君 自由党の星野でございます。 時間の関係上、森本参考人と関参考人にお伺いをいたします。 私は、この財政・金融委員会で橋本総理に、あなたは声高らかに金融ビッグバンを唱えられておるけれども、大きな血を流す覚悟があるのかという質問をしたんですね。そうしたら、橋本総理は、それは公式のあれですから大きな血を流すなんということを言うはずがありませんわね、できるだけ少なくという答弁があったわけですけれども、私はむしろビッグバン賛成派なんですから、その点を踏まえてお聞き願いたいんですけれども、現状から見てどうしても大きな血が流れざるを得ないと思っているんです。 その意味はどういうことかというと、いわゆる企業の買収、合併、それから破綻、そういうことを含めて、労働人口の移動といいますか、新たな雇用が生まれるかもしれませんけれども、失業者も相当出てくると、こういうことが第一の意味なんです。 だけれども、そのほかに、大きく考えれば、今、個人の金融資産というものがどれだけ海外へ流れていってしまうか。それから、この間、ヤクルトが一千億という損害を出しましたね。これは「文春」に出ていますが、そのうちの多分六百八十億ぐらいがデリバティブの大失敗であると。こんな例は枚挙にいとまがないわけですよ。 極端に言うと、こういうことがもう日常茶飯事になるんじゃないかと思うんですが、森本参考人の御見解はいかがでございますか。
○参考人(森本滋君) 今のお話は、金融システム改革だけではなくて、もう少し広い問題としてお考えになっているんだと思いますけれども、私もそういう危険性はあると思います。 そして、そういう危険な状況になぜ立ち至ったかと申しますと、やはり我が国の広い意味での金融機関の経営者ないしはスタッフが、必ずしもこの十年の国際的な金融競争ないしは金融の技術革新に十分に対応してこなかったというのが第一点。あと、ヤクルトの例が出ましたけれども、事業会社につきましても、ともかく提案されれば我も我もということで、みずからはリスク管理をきちっとしなかった。両面があると思います。 したがいまして、それをどうするかということで、前者の問題につきましては、金融システム改革を進めて、要するに今まではいわゆる護送船団方式において守られ、国内では大きい顔をしておったというものを大海にほうり出して、場合によっては破綻覚悟で、これも不用意に言うと大変ですけれども、そういう形でいこうとすると。 事業会社の方はどうかというと、ともかく金融機関の言うとおりにしていようというのではだめだというのはよくわかったわけです。そこで、やはりきちっとしたリスク管理をしようと。これが事業会社ないしは株式会社におけるコーポレートカバテンス問題で、昨今、取締役の人数を減らして執行役員制度をふやしましょうとか社外取締役制度をふやしましょうといったような議論があるとともに、専門家である公認会計士や弁護士のコントロールをきちっとするために、そしてそのようなコントロールシステムを営業報告書なり有価証券報告書なりで開示する、つまりコンプライアンス、法遵守状況をいろいろと詳しく開示する、そして市場あるいは投資者の批判にさらすと。 こういう両面の改革をしながら、リスクがある程度生ずるのはやむを得ませんけれども、最小限度にする。そして、リスクをこうむったときの回復力をきちっとするようなシステムをこれからそれぞれの企業が考えるし、それを促進するような枠づくりを法制度として考える必要があると考えております。
○星野朋市君 今の日本の現状というのは、金融ビッグバンに際してはいい条件ではないんですね。景気は悪い、それから為替は円安に向かっている。きょうも安いんですよ、実は。きのう、私は行財政改革委員会でそういうことを言ったら、総理が、市場の問題をこの議会の中に持ち込んで、この国会はそれが一番多いんだと、こういう答弁をなさいました。だけれども、今、私どもにとっては、こういうことを審議している最中ですから、この問題というのは深刻に考えざるを得ない。 そうすると、条件が非常に悪いところへもってきて、森本参考人も今お述べになられたように、日本の金融界というものが実は足元はかなり脆弱だったということが一連のここでわかってきた。そうすると、本当に単独でやっていけるような企業というのはあとどのぐらい残っているのか。強者のアメリカは巨大なものがさらに巨大になりつつある。そういうものに向かって蟷螂のおののごとく立ち向かっていけるのか、垣根がなくなっちゃうわけですから、国境もなくなっちゃうわけですから。それを私は率直に心配しているんですが、さらに御意見を。
○参考人(森本滋君) ちょうど昨年の今ごろに証取審の総合部会の報告書の取りまとめの最終段階になったんですが、一年後のこの状態、私、全く想像できませんでした。その意味で、私がどれだけの貢献をしたかはともかく、個人として不明を恥じるわけですけれども、しかしそのような報告書が出、それに基づいて法案が提出される、そしていろいろとそういう諸施策が講じられているときに、世界的にこれは既定の方針となって外資がどんどん出てきております。したがって、もう後戻りはできない。 そこで、何か浪花節なのか鉢巻きになるのかよくわかりませんけれども、こういう状況をもとに、やはり私はこの日本でもう少し何かやれるだろうということで、それぞれの場におる者が必死の覚悟でいろいろの活動をしなきゃいかぬと。そういう形で、つまり苦労をしながら乗り越えて何かをつくり出す努力を各方面の方が協力し合いながら誠実になさる、そういう機運もあるのではないか。やっぱりこういう国難というか苦難の道になると協力し合う道ができてくるんじゃないかと思いまして、そういうものを期待したいと、何か精神論になって申しわけありませんが、感じております。
○星野朋市君 一方、これは関参考人にお伺いしたいんですが、これで東京の市場というか日本の市場がいろんな規制が取っ払われて国際的になれば、一つはチャンスが生まれると思うんですね。 私は、一九九五年四月二十日、まさに円が一番高かった日に、時の大蔵大臣は武村正義氏だったんですけれども、あなたは円はどれくらいが適正と思うかと聞いたんです。そうしたら、責任ある者が答えられないと言うから、そんなことはわかっていると。だけれども、いろんなメッセージを出してみると。 それからもう一つは、日本の貿易構造というのが輸出が約四〇%、輸入が二〇%、円建て比率はそうなっているんですね。正確にはもう少し三十何%、十何%ということなんですが、大まかに言って四〇、二〇。それから、ことしを見ても、ずっともう十年ぐらい前からその構造でいくと円建ての比率というのは変わらないんですよ。そうすると、大きく見ると為替の変動による輸出入の収益というのはパーなんですね。ところが、円高になってくると輸出は即あらわれますから、もう今にも日本はつぶれそうだと、こう言う。そうならば、円というものの比率をもっと高めるように努力しなくちゃいけないんじゃないかと、業者も。そうしたら、円を持った国が東京の市場でそれを運用するときに、日本の市場がいろんな規制があって外国並みでないという答弁があったんです。 今それだったらチャンスじゃないかと。日本の円がいつまでもローカルカレンシーで終わるのか。片方でユーロという新しい通貨が出てきた。今非常に条件は悪いんだけれども、一方で日本の市場というのがそういう対応をこれから心がけるべきであると私は思うんですが、関参考人はいかがですか。
○参考人(関要君) 先生の提起されている問題は、従来いわば政策の課題として円の国際化という言葉でずっと議論されてきた問題だと思います。 それで、先生御指摘のように、ユーロの出現とか、アジアの金融危機に対する我が国としての支援のやり方とか、そういったものとも絡めてそういう議論がまたここで新たに政府の中でもいろいろ検討されるということだと思います。 それで、証券界といたしましては、資金調達、資金運用のいろいろなお手伝いをするときに、グローバルな市場を頭に置いて、かつそのグローバルに選択できる通貨をどれを使っていったらいいかということについて、それを視野に入れて行動すると。これはもう随分前からそういう動きになっているわけでありまして、こういったグローバルの傾向がますます強まる中で、証券界としても一層そういった問題については努力をするし、また技術的にもいろいろな意味で向上を図らなければならない課題だろうと、こういうふうに思っております。
○星野朋市君 終わります。
○菅川健二君 改革クラブの菅川です。 参考人の皆さん方、大変貴重な御意見をありがとうございました。先ほど来参考人の皆さんの御意見をお聞きしておりますと、金融サービス法の制定というのは大変重要なことではないかというふうに認識いたしたわけでございます。いずれにいたしましても、こういった法制化につきましては時間がかかるわけでございまして、それまでの間いろいろ金融商品がはんらんしてくると、既にいろいろな形での苦情相談というのは出てきておるのではないかと思うわけでございます。 そういった観点から、従来、消費者相談というのはいろいろな弁護士会、それから地方団体その他でも行われておったわけでございますが、新たにやはり金融ビッグバン時代に備えた形の専門的な相談窓口というものを設定する必要があるんじゃないかと思うわけでございますが、澤藤参考人には弁護士連合会での取り組みについて、どのようになさっておるか、あるいはどのようになされようとしておるのか、また関参考人には業界としてどういう対応をしようとしておるのか、またしておられるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(澤藤統一郎君) ありがたい御質問です。 実は、消費者被害というものは随分多様でありますが、分類しますと、古典的な悪徳商法と、それから最近の金融被害と大きく分かれます。典型的には豊田商事に代表されるようなああいう悪徳商法がかつては私どもの主なフィールドだったんですけれども、そうでなくて、銀行や保険や証券、そういうところに今だんだん比重が移ってきているわけです。 現在、私は東京弁護士会に所属しておりますが、東京弁護士会の法律相談の中で圧倒的な数を誇っておりますのは実はサラ金の多重債務法律相談なんです。これはかつては私ども消費者被害事件として法律相談の中身に取り込んでいたんですけれども、これは大変大きな一つの分野になりまして、昨年で七万一千件の自己破産、ことしは恐らく十万を超える事態ということで、これは特別にサラ金相談をやっております。 そのほかに消費者相談窓口というのをつくっておりまして、消費者法律相談の専門家を養成して研修を受けた者がこれに当たるということになっておりますが、その中で圧倒的に多いのが実は先物取引被害です。これは金融サービス分野の取引被害として、しかもブラックマーケットや海外ではなく公認の国内公設取引所における大きな被害が相変わらずずっと出ているわけです。これが一つの大きな分野になっております。 それから、そのほかに証券、これはもう四大証券や中小を問わず、引きも切らずに今でもございます。そういう意味では、金融サービス分野の消費者被害の苦情は過去のことではなく、今日もございます。 何か事件が起きますと、例えばヤオハンが倒れるというようなことになりますと、実は前にイタリア共和国国債を買っていたのにある日突然ヤオハンがいいですよと電話で勧められてヤオハンに電話一本で乗りかえさせられた、その後見る見るうちにヤオハンが下がって、とうとう破綻をしてしまった、八百万円の被害をこうむった。何か一つ経済事件が起きますと、消費者被害が必ず消費者相談窓口に出てくるというのが現在の実情でございます。それに私どもは対応できるように努力はしておるつもりでございます。
○参考人(関要君) 日本証券業協会は前からこの苦情処理の仕組みというのを設置しております。特に、平成四年の証取法の改正の後、証券業協会でそういったあっせん、調停の制度というのを全国的に整備いたしまして、そちらでそれぞれの専門の弁護士さんをお願いいたしまして、そういった案件が持ち込まれた場合はそこで処理をするという体制をとっております。また、今御審議中の法案の中でも、このあっせんの制度というものをもっと制度として整備をしようという趣旨の改正が行われておりまして、それに対して対応していこうと、こういうふうに思っております。 それから、そういう体制は整備いたしておりますけれども、非常に多くの件数がそこのあっせん、調停に持ち込まれているかというと、実際は必ずしもそうでないわけであります。 それで、問題は、もし証券会社と顧客の間に苦情の問題が発生いたしますと、まずそれぞれの証券会社とお客さんとの話し合いになるわけであります。そこで、もし証券会社がこれはやっぱり自分の方にまずいところがあるということになりますと、そこで実は損害賠償で一体どういうふうに処理したらいいかというお話し合いになって、それを証券事故として行政の方に確認していただいて処理をすると、今そういう手続になっています。 一方、証券会社として、これは自分の方に非がないということになりますと、結局これは訴訟に持ち込まれる、こういうパターンをとる場合が多くなっておりまして、せっかく協会の方でそういう制度を用意いたしましたけれども、数としては余り使われていないということでございます。 ただ、制度的には平成四年の法律では、協会であっせん、調停でまとめましても、それをまたもう一回、証券事故として行政の確認を要しなきゃならないという制度になっておりまして、それが裁判所におけるいわゆる民事調停と差がありまして、その意味でなかなか協会の制度を使いにくいということがございました。その部分は今度の改革で直されるということになっておりまして、その結果、今までよりもあっせん、調停の制度というのが使われるようになるのではないかと期待しているわけであります。 ただ、いずれにいたしましても、そういう制度を整備して、そういった苦情が発生しないということが一番いいわけでありますが、どうしても大量の取引の中ではそういう問題が発生いたしますので、発生した場合の処理については力を尽くしていこうと、こういう姿勢で臨んでいるわけであります。
○菅川健二君 どうかこの機会にひとつ強力に推進していただきたいと思います。 それから、先般、衆議院の大蔵委員会におきまして、証券業協会の加藤会長代行の速記録があるのでございますけれども、その中で、きょう関参考人がそこの部分というのをお話しにならなかったので、若干お聞きしてみたいと思うわけでございますが、それはグローバルな証券市場をつくるためには個人投資家のすそ野を広げる必要がある、そのためにはグローバルだけでなく、むしろリージョナルな観点が重要になってくる、そのための御配慮をお願いしたいというような記述があるわけでございます。 これにつきまして具体的にどういう政策をお望みか、御指摘があればお聞きいたしたいと思います。
○参考人(関要君) いろいろ時間との関係もありまして、そこの部分は経営者としての会長代行が御発言するのは適切だと思いましたが、私の場合はちょっとそこを外させていただいたという経緯であります。 そこで申されている会長代行の問題意識は、今度市場改革というものをするといろいろな改革が行われるわけでありますが、その改革によって証券会社の選択肢が非常に広がったといたしましても、例えばデリバティブとか資産運用サービスとか、それから新商品とかSPCの新商品とか、そういうものを使いこなせる証券会社、これはあるいは銀行もそうかもしれませんけれども、すべての銀行、証券会社がそういう非常にハイブリッドな商品まで使いこなせるだろうか、この問題があるわけであります。 そうすると、二百九十社もある多くの証券会社、比較的中小証券会社の立場から見ると、こういう市場改革でいろいろな努力をしなければならないけれども、一番基本的に重要なのは、自分のふだん接している顧客あるいはその地域の顧客に定着をしていく、これが必要なことではないか、リージョナルも大事なんだと、こういうふうに強調された理由だと思います。 具体的に何かと申しますと、これはずっときょうの御議論で出ておりますが、要するに顧客に信頼されるような仲介サービスをどうやって提供していくか、それから商品が多様化してもお客のためになる商品を提供する、ここをどこまでやれるか言うならば基本の基本をもう一回きちんとやっていくということになるのではないか、これから多様になる投資信託とか資産運用サービスとかそういったものをどういうふうにそれぞれの地域において活用していくか、これが課題になると、こういうふうに思っております。
○菅川健二君 最後に、一言だけ簡単にお答えいただきたいと思いますが、先般、私は委員会におきまして、地方の証券取引所の役割について大蔵省にお聞きいたしたわけでございますが、これからはむしろ地方取引所とあわせて証券業協会自身がいわゆる場外取引あるいは店頭取引で非常に重要な役割を果たしていくということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても両者が共存共栄して市場が拡大していくということが重要だと思うわけでございますが、地方証券取引所の関係につきましてお話しいただきたいと思います。
○参考人(関要君) 証券取引所をどういうふうに今後運営していくかという問題は、必ずしも証券業協会の問題というよりも、各取引所がお考えになる問題だと思うんです。 取引所を実際に会員として支えているのは証券会社でありまして、そういった方々の御意見、考え方をあえてまとめて申し上げますと、基本的にこれだけ情報化が進んでいるときに、それからまた地方の取引所といいましても、それぞれの取引所でその取引所しか上場していないという、単独上場銘柄と言っていますが、これは非常に数が少ない。大体は東京でも取引している、大阪でもしている、それから地方の取引所でもしている、こういう銘柄が多いわけでありまして、しかもそうなりますと、ほとんどの実際の売買は東京に集中している。そういう状況を踏まえると、本当に地方取引所が価格形成の場として今後どれだけ役に立って機能を発揮していけるだろうか。むしろ、これはある程度時間はかかるかもしれませんけれども、しかるべく統合なりなんなりしていくべきではないかという考え方が比較的多く業界の中にはあると思います。 ただ、しかし、そうは申しますけれども、地方取引所もそれぞれに地方の企業の育成、特に経済政策として重要になっておりますベンチャー企業の育成というようなものについて、取引所としても役に立ちたい、こういう考え方でいろいろな努力をされているわけでありますから、そういった努力が実を結んできちんと経営をされていければ、それはあえて存在意義がないというようなことを申し上げる必要はないんだろう、こういうことだと思います。
○菅川健二君 終わります。
○委員長(石川弘君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十三分散会 —————・—————