財政・金融委員会 第15号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/05/19
会議録
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十二日、常田享詳君が委員を辞任され、その補欠として野村五男君が選任されました。 また、昨日、野村五男君、笠井亮君及び松浦孝治君が委員を辞任され、その補欠として谷川秀善君、須藤美也子君及び田村公平君が選任されました。 —————————————
○委員長(石川弘君) 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○楢崎泰昌君 自由民主党の楢崎泰昌でございます。 本法案の趣旨につきましては既に提案理由説明ということでお伺いをいたしておりますが、いずれにいたしましても、保険機構の財源の充実を図る、というよりも、政府保証を取り入れることによって機構の財源を間違いないものにするとともに、機能を強化して劣後債であるとかあるいは不良資産の買い取りというようなことに資するというぐあいに受けとめております。 まず最初に基本的な事項についてお伺いをしたいと思いますが、農水産業協同組合貯金保険機構の制度は、農業協同組合あるいは漁業協同組合が万一経営破綻をした場合に資金援助やさらに保険金を払うというものでありまして、貯金者の保護、信用秩序の維持のためには最終的な担保になっている基本的な法律だというぐあいに思います。 この法律は昭和四十八年に成立をしたものでありますが、一方、金融機関、銀行等の預金者を対象としての保険機構は昭和四十六年に成立しているわけですが、両制度によって我が国の貯金あるいは預金、それらが信用秩序の維持という構えで確保されているというぐあいに承知をしているわけでございます。 これまでも貯金保険制度につきましてはたびたび見直しが行われてきたところでありますが、昨年の臨時国会で両制度の見直しが行われているわけですね。両者は同趣旨のものであると思われますが、今回なぜ預金保険機構に若干おくれて改正がなされているのかということ、普通なら一緒にやるのが当たり前だと思いますけれども、農協、漁協については若干おくれたということについて、基本的な話ですから大臣にまずお話を願いましょう。
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。 今国会の冒頭におきまして御審議いただいた預金保険法の改正につきましては、これは金融機関の大型破綻等が発生する中で預金の全額保護と金融システムの安定化を図るために預金保険機構の財政基盤の強化あるいは整理回収銀行の機能の拡充等を行ったものでありまして、特に財政基盤の強化につきましては早急に予算措置を講ずる必要があることから補正予算関連法案として提出し、成立したものと承知しておるところであります。 一方、今回の貯金保険法の改正につきましては、預金保険法と同様、貯金者のいわば保護と農漁協系統金融における信用秩序の維持に万全を期する観点から行うものではありますが、貯金保険機構の財源状況につきましては当面は予算措置を講ずる必要はないものと考えられることから予算非関連法案として提出し、御審議をお願いしている、この点の違いにあるわけであります。 以上でございます。
○楢崎泰昌君 今おっしゃいましたが、貯金保険機構の方は財源的にはまだ余裕があるんだよと、したがって若干おくれてこちらの法律案をお出しになったという御説明のように思いますけれども、現実に貯金保険機構の財源の状況は本当に大丈夫なんでしょうか。片や金融機関の預金保険機構の方は財源的に大変苦しいので今やパンク寸前となっておりますけれども、農協、漁協の場合には大丈夫なんでしょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 貯金保険機構の財源の状況でございますが、現在、この貯金保険機構におきましては積立金が千五百四十五億円の見込みでございます。また、それとあわせまして毎年の保険料が二百億円強見込まれております。 これに対しまして、これまでのところの資金援助の実績を申し上げますと、平成八年度が四億円でございます。また、平成九年度におきましては五十四億円の支出が見込まれておるところでございます。 早期是正措置に伴います農協の合併、破綻組合の処理等が今後予想されるわけでございますが、その組合の処理の見込みにつきましても現在の保険料の収入の範囲内で賄えるという見込みでございますので、そういう意味では財源的には十分なものが用意できているというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 千五百数十億円の責任準備金がある、しかも実際の破綻に際して平成八年度は四億円、九年度は五十四億円しか払っていないよ、したがって大丈夫なんだ、こういう御説明のように思います。私は、先ほど申し上げましたように、預金保険機構の方はあっぷあっぷであると、農協はそんなに健全な経営をしているのかなということについて若干の疑問を持っているわけですけれども、実際問題として、しかも財源的には預金保険機構と貯金保険機構では保険料の支払い料率が違うんですね。その点、なぜ違うのか、なぜそれでも大丈夫なのかということを御説明願いたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) 保険料率のお尋ねがございました。 確かに現在、預金保険機構と貯金保険機構の保険料率では、預金保険制度の方が十万分の八十四になっております。それに対しまして貯金保険機構の方は十万分の三十ということになっておるわけでございます。これは平成八年度にこの両制度の改正がございました際に保険料率の改定も行われたわけでございますが、その当時、預金保険機構のサイドでは相当規模の信用組合の破綻が生じていたという状況にございました。そのためにかなりの支出が見込まれたということでかなり大幅な引き上げ、つまり七倍の引き上げが行われたものというふうに承知をいたしております。 他方で、貯金保険機構につきましては、先ほど申し上げましたように、その当時では支出が四億円でございました。また、平成八年度におきましては、先ほど申し上げましたように、五十四億円でございますけれども、そうした従来の支出の実績、今後の見込み、そういうことを勘案いたしまして、貯金保険機構につきましては水準として二・五倍、十万分の三十ということで現在の保険料率を設定したところでございます。
○楢崎泰昌君 確かに、預金保険機構法を改正するときに七倍という非常に大きな保険料率の値上げがあったわけでして、金融機関その他から大変重い保険料であるというような問題もございました。農協、漁協ではそれを十万分の三十に抑えられたということはそれなりに評価をするわけですけれども、しかしそんなに差があって、潤沢な積立金を持っているところが何で政府保証を今導入しなきゃならないんだというのは基本的にきちんと御説明を願わないといかぬだろうというぐあいに思いますが、どうですか。
○国務大臣(島村宜伸君) 昨年秋以降、金融機関の大型破綻等によりまして我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく低下いたしまして、信用秩序の維持と国民経済の円滑な運営に重大な支障を生ずることが懸念されたところであります。このような中で、我が国金融システムの一翼を担う農漁協系統金融におきましても、農漁協の貯金者の保護のための基幹的制度である貯金保険制度について、預金保険制度と同様、貯金保険機構の借り入れについて政府が保証することによりまして貯金者の保護に万全を期し、信用秩序の維持に資するためにこういうことが行われた、こういうことでございます。
○楢崎泰昌君 預金保険機構と貯金保険機構との間でアンバランスになっては国民的な信頼性が失われるだろう、したがって制度としては同じような制度を確保しておきたいということだろうというぐあいに私は思います。 それは結構なんですけれども、公的資金を入れる、すなわち政府保証を入れるということは、政府保証というのはただ入れておけばいいというわけじゃないので、もしパンクしたときには国が補助をするんだよ、国がその支払いをやるんだよということを意味しているわけですね、政府保証というのは。 そうなってくると、先ほど御説明があったように、保険料率が片や十万分の八十四である、片や三十である、こういうアンバランスは許されていいんでしょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに、政府保証をするということでございますので、御指摘のように、もしそのような事態が生ずれば政府保証が発動され得るという道が開かれるわけでございますが、他方で現在の貯金保険機構の財源状況、これは積立金が千五百四十五億と申し上げましたけれども、これはこれまで積立金を取り崩した実績がございません。現在、保険料の収入が約二百億円ございますが、平成九年度の支出が五十四億円と見込まれておりますけれども、現在進められております破綻農協の処理におきましても基本的には県内での処理を基本としておりますので、全国段階、つまり貯金保険機構が発動する事態が見込まれる件数というのは必ずしも多くないという状況にありますので、現在では保険料の収入の範囲内で賄えるだろうというふうに考えられております。 そのような意味で、現時点では当面、平成十年度の予算に予算措置を講ずる必要はないということで予算非関連法案として御審議をいただいているわけでございますが、先ほど来大臣からお答え申し上げましたように、また先生からも今御指摘がございましたように、やはり系統金融機関が我が国の金融システムの一員として全うしていく、その役割をきちっと果たしていくために、最終的にはこの貯金保険制度によって貯金者の保護がきちっと図られている、最終的には政府の保証がある、その点が金融システムの安定のために大変重要であるということでこの法案を提出し、お願いしているところでございます。
○楢崎泰昌君 確かに、ことしの予算には限度額を決めていないわけですから、本年度においては発動する必要はもちろんないだろうという御推察をされたものと思っております。それから、両制度が整合性を持って国民に信用維持についての安心感を与えるという意味では意義があると私は思っています。しかしながら、保険料にこれだけ差があって、そして先ほども申し上げたように、保証というのは最終的には税金を出すという話をしているわけですから、そのときには十万分の八十四と三十というアンバランスの形で、しかも税金でそのまま負担するというのは若干論理的にはおかしいんじゃないでしょうか。すなわち、私が申し上げたいのは、もし政府保証が実行されるという見込みがあれば直ちにこの保険料を改定し、金融機関の預金保険機構の料率と同じような考え方をとるべきではないだろうかと。 もちろんのことながら、農林水産省ではそのような事態にはならないだろうということを頭に入れられていると思いますけれども、これは先ほど申し上げたように両制度が信用秩序維持のためにバランスを失ってはならぬ、すなわち、都市、農村とは言いませんけれども、銀行にだけ手厚く農村漁村に対して手ぬるいということではやっぱりバランスが欠けると思いますから、制度をつくること自体はそうかなというぐあいに思っておりますけれども、同時に、もし破綻をする、そのときにはそのときの覚悟というものがなければならぬというぐあいに思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに先生御指摘のとおり、このたび両制度がまさに最終的には政府が保証し得るということで、特に今回の法案改正では、この政府保証を付与するということによりまして農協系統の金融機関に対する信頼感、安心感を与える、そういうことで金融秩序の安定に資するためにお願いをしているわけでございます。御指摘のように、保険料につきましては、私どもできれば現在の積立金、さらには毎年の保険料の収入で賄えるような状況で推移するということを当然のことながら望み、かつ現時点ではそういう状況で大丈夫であるというふうに見込んでいるわけでございますが、万が一保険料の収入で貯えない、さらに積立金を取り崩して、さらにその上で貯金保険機構が日銀あるいは農林中金から借り入れをせざるを得ない、そういう状態になった場合には政府保証をお願いするわけでございますが、その際にはやはり先生が今御指摘になりました保険料率の改定というのは当然検討すべき課題というふうに考えております。
○楢崎泰昌君 先ほど金融機関が七倍になった、八十四になったというのは、大変苦しいという意見ももちろんあるわけですけれども、それなりに努力をしておられるわけですね。農協、漁協についても、こんなことを言っては恐縮ですけれども、なおみずから自助努力をしてやるべき余地も残っている。後でまた農協の経理、漁協の経理のことをお伺いいたしますけれども、そういうことでなければ国民の理解はなかなか得られないだろうというぐあいに思います。 それから、さらに先に進めさせていただきますけれども、要するに貯金保険機構と預金保険機構の差の大きなものとして相互援助制度というのが農協にはございますよね。これは、実際上は信用金庫、信用組合等もそれらしきことをやっておられるわけですけれども、農協の場合には法律でもってそれが定められている、言ってみれば貯金保険機構と相互援助制度とが両輪のようになって農協信用制度を支えているんだというぐあいに思いますけれども、それとの関連はどういうぐあいに考えておられましょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 貯金保険制度は貯金者の保護ということでそれに関連する支援措置も貯金保険機構として有しておりますけれども、基本的には保険料でその財源を賄うということでございます。 他方、相援制度につきましては、これは農協系統の自主的な相互援助措置でございます。中金、信連、それから農協がそれぞれ資金を供出いたしまして、相互扶助の理念から、経営の困難な農協が生じた場合にそこへ相互扶助の精神のもとで支援をしていこうということで発足をし、運用されている制度でございまして、現在、系統内での積立金が四百六十億円になっているわけでございます。これはまさに、言ってみれば系統組織の中の互助組織でございますので、現在の運用といたしましては貯金保険制度に基づきます貯金保険機構による支援、それと両々相まちまして系統、特に農協の経営の健全化、それに対して支援を行う制度として活用されているということでございます。
○楢崎泰昌君 今、両々相まってというぐあいに言われましたけれども、両々相まってになっているのか片方だけが働いているのか、制度としては二つあるわけですけれども、若干疑問に思っているところがあります。 今、相援と申されましたけれども、相互援助制度ですよね。相互援助制度の方には実は貸付制度とそれから特別助成というんでしょうか、特別支援というんですか、という制度が大宗としてはあるわけですね。この制度は実は実行が余りなされていない、件数としてもごくわずかだというぐあいに聞いております。貸し付けの方は資金融通であって元本は返ってくるわけですけれども、特別支援の方は本当に支援をして出し切りになるわけですね。 特別支援というのはどれぐらいやっておられるんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 特別支援につきましてはこれまでのところ五件発動いたしておりまして、最近では貯金保険機構が支援を行った事例が五件ございますけれども、それに対しましてこの全国相接の制度でも一部を負担して支援するということで発動がなされておるわけでございます。
○楢崎泰昌君 その二つは先ほど来両輪であるとかなんとか言っていますけれども、その片方が落ちれば片方が膨らむわけですね。どういうことになっているんですか、それは。
○政府委員(熊澤英昭君) 基本的には、まず農協が破綻をした場合に原則として県内の系統組織が支援できるところは支援をする、あるいはその以前の段階としまして、経営困難に陥った農協がみずから経営改善をし、例えば不良債権の処理に全力を尽くすということは大前提でございますが、その上で県内の系統組織におきまして経営破綻を来した農協に対して支援を行うというのが通常でございます。 その上で、県内で負担し切れない事例につきましては、全国段階の支援ということでこの貯金保険機構の発動が行われるというのが実態でございますが、その際に、この貯金保険機構の発動と相まちまして、系統組織内の互助組織としての立場からそうした破綻組合に対しても支援するということで、従来支援の一部を負担してきているということでございます。主体としては貯金保険機構による支援が相当部分を占めておりますけれども、一部は相互支援の精神から負担をし、支援をしている、そういうことで両制度が、両制度と申しますか、貯金保険機構による支援措置とこの相互援助制度によります支援と双方が同時に発動されまして支援措置が行われているというのが実態でございます。
○楢崎泰昌君 甚だあいまいな説明でよくわかりませんね。すなわち、破綻をしたときには相互援助制度で何割やるのかねと、いやそのときそのときに応じてやれるだけやるんですというのか、大体保険機構の方でまあ八割なら八割は持ってくれるから二割は相互援助制度で持とうやというような運用をなさっているのか、もう少し詳しくお話しください。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 基本的には、やはり経営困難な農協、破綻した農協を処理する、債権について処理する場合に貯金保険機構による制度によりまして支援するというのが原則でございますが、これは財源の状況もございますけれども、従来の発動の例で申し上げますと、貯金保険機構が負担する部分が四・五ないし五に対しまして、相互援助制度で負担する部分が一、すなわち二割程度の部分につきまして相互援助制度のもとで支援をしているというのが実績でございます。
○楢崎泰昌君 そうすると、制度的にははっきりしたルールはないんだけれども、系統間でできる限りの、協同組合組織ですから仲間内としてできる限りの援助をやるよという趣旨であると、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
○政府委員(熊澤英昭君) まさに御指摘のとおり、相互援助の精神からできる限り支援をしたい、ただ財源その他あるいは破綻組合の破綻の状況にもよりますけれども、そのような意味でできる限りの支援をするということでございますけれども、現実には財源状況その他制約があるということで二割程度の支援をしているというのが実績でございます。
○楢崎泰昌君 今度の法律案では、相互援助制度に基づく資産の買い取りに対する支援ということが新たに条項として加わっているように思います。すなわち、経営困難組合から資産買い取りを行う信連の子会社、それに対する支援をするんだというぐあいに書いてありますが、具体的にはどのように考えたらよろしいですか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 破綻した農協、経営困難な農協を処理する場合に、まず破綻した農協がみずから資産を処分し、あるいは出資を減ずる、そういった努力をまず行うというのが大前提でございますけれども、その上で不良債権の処理が円滑に行われませんと再建あるいは合併への道がなかなか開けないという実態にございます。 そこで、その場合に、通常県内での処理を基本といたしておりますので、これまでにも実績がございますけれども、県内に系統関係で債権の買い取り子会社を設立するという手法を用いております。そこで、基本的にはその債権買い取りの回収会社が不良債権を分離、買い取りをいたします。その上で経営困難な組合の合併を促進する、あるいは再建を行うという手法を通常とってございます。 その際、この債券買い取り会社に対しまして通常は信連その他が融資面での支援を行うのが実態でございます。そうした場合に、その信連の債権回収会社に対して資金援助をする際のその資金に対しまして貯金保険機構からも資金援助ができる、そういうことで今回お願いしているわけでございます。
○楢崎泰昌君 もう一遍聞きますけれども、信連その他は資金の融通ですか、資金の援助ですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 通常の場合で申し上げますと、破綻した農協の不良債権を分離する場合には、信連等が設立をいたしました債権回収会社が時価でその不良債権を買い取るということが実態として考えられます。その際に、通常信連が債権回収会社に対しまして買い取り資金の貸し付けを行うということになろうかと思います。そこで、その信連が債権回収会社に対して貸し付けを行う資金に対して貯金保険機構が支援をできるということになろうかと思います。
○楢崎泰昌君 そのときに、時価で買い取ればその単協に対して貸し倒れが起こるわけですね、損益面では赤字になるわけですから。それはどうするんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 破綻した農協が不良債権を時価で債権回収会社に売却した場合には確かに御指摘のように損金が生ずるわけでございまして、その損金は系統内で資金を援助いたしまして償却をするというのが現在の処理スキームの通常の形態であろうかと思います。
○楢崎泰昌君 ということは、すなわち系統内で資金援助をすると言われましたが、それは相互援助じゃないんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) その場合には、確かに理念としては相互援助でございますけれども、システムとしては通常県内で信連が中心となりましてその債権の償却、これは短期というよりむしろ長期的な計画で償却する場合が多いわけでございますけれども、そうした長期的な償却スキームを作成して償却を行うというのが実態がと思います。
○楢崎泰昌君 そうすると、先ほど言われた相互援助五件のうちには件数としては入っていないと、そういうことですか。
○政府委員(熊澤英昭君) その場合の資金の手当てにつきましては、相互援助組織によって資金を調達する場合もあろうかと思いますけれども、県内の系統内での資金で賄われているのが通常でなかろうかと思います。
○楢崎泰昌君 そういうことで、相互援助制度というものと貯金保険機構とが両輪になるわけでしょうけれども、何とか信用維持に努めてこられたし、これからも努めていかれる、こういう趣旨だろうというぐあいに思います。 そこで、ちょっと場面が変わりますけれども、この法律案では信連と農林中金が貯金保険機構の対象になっていないんですね。それはなぜですか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 これも御承知のところでございますけれども、系統金融機関の場合には農協段階で約六十八兆の貯金量がございます。これに対しまして貸し出しの割合が三割程度でございますので、相当の資金が県の信連段階に預けられる、さらに信連段階から農林中央金庫、系統の中央銀行のような役割を果たしているわけでございますが、農林中金に資金が預けられるということで系統の資金全体が運用されているわけでございます。その意味で申し上げますと、信連と中金の場合にはその貯金の相当部分が農協、つまり農協に貯金をされた資金が上部団体に預け入れられるということでございます。 そこで、この貯金保険制度におきましては、その最初の段階の農協に預け入れられております貯金について現在では全額保護されているということでございます。そういう意味では、農林中金と信連における貯金も農協段階においてこの貯金保険機構で保護されているということでございますので、農林中金と信連の貯金について保護するということはいわばダブルになってしまいますので、その意味で農協系統においてこの貯金を保護しているということでございます。 他方、農林中金と信連につきましては、昨今の信用秩序維持、金融システムの安定化の一環として今国会冒頭で御審議いただき成立を見ました金融機能安定化法の中で農林中央金庫と信連は対象にしていただいておりますので、そういう意味では他の業態と同様、金融機能安定化の中での金融システム安定化のための制度の一員として位置づけられたというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 ということは、すなわちこの貯金保険機構というのは預金者、この場合でいえば貯金者ですが、貯金者の保護ということでこの法律案ができており、そのためには単位農協の段階で貯金者の保護をすればいい、確かに信連あるいは農中はそれぞれ単協あるいは信連から貯金を預かっているけれども、それは安定化法の方で考えているんですと、こういう意味だというぐあいに思います。 ところで、新聞その他で見ると、今、農中はA1+というような格付を格付会社からいただいているようですけれども、信連はこの信用不安のもとではないか、相当困っているのではないかというぐあいに報ぜられる、あるいは思われているわけですが、特に一昨年の住専騒動のときには信連は経営状態が赤字になるというようないろんな話がございました。 現在、信連の経営状態はどのようになっており、赤字組合がどの程度あり、全体としてはどういう状況になっているのか、御説明ください。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに、平成七年度の信連の決算におきましては、住専処理に要します二千億円の負担ということもございまして、その時点の決算では過半の二十四の信連が赤字になったという状況でございました。平成八年度におきましては、御承知のとおり、金利水準が低下をしている状況の中で調達コストが低かった、あるいは、これは比較の問題でございましょうが、国債を中心に債券市場が堅調に推移していたということもございまして、平成八年度の決算におきましては 辛うじて黒字になったという信連も含めまして、すべての信連が黒字になったということでございます。ただ、一信連当たりで申し上げますと経常利益で三十八億円ということでございますので、全体に必ずしも楽な経営であったというふうには考えておりません。まだまだ経営環境は厳しいというふうに考えておるところでございます。
○楢崎泰昌君 先ほど言われたように、平成七年度の決算では二十四の信連が赤字決算になっていたわけですね。今、金利が低下をいたしましたのでというような御説明がありましたけれども、金利の低下だけが原因なんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) やはり大きな要因としては金利低下に伴う調達コストの低下というのが一番大きな要因だったかと思いますが、同時に国債あるいは債券市場が比較的堅調に推移した、そういうことによって一部においては益出しも可能であったというふうに理解をいたしております。 同時にまた、こうした経営環境の中で信連自体も合理化に取り組んでいるところでございますので、そういう効果が総合的に出まして何とかすべての信連が赤字を脱したというふうに考えておりますが、他方で一信連当たりの経常利益が三十八億円ということでございますので、必ずしもすべての信連が楽な経営になったというふうには考えておりません。
○楢崎泰昌君 私も、金融機関の一つですから、三十八億円あったから経営は楽だねというようなことは決して申しません。むしろ金利が急激に下がったということに関連して、より多くの利益を確保すべき性質のものだと思いますが、さらに申し上げますと、信連も、先ほど言われましたように、その大部分を実は農中に再預け入れというんでしょうか、再々預け入れというんでしょうか、しておられるわけですから、農中の方の金利も当然下がっていくわけですよね。ですから、なかなかそう簡単に収益がよくなってくるとは思われないというぐあいに思います。 同時に、農水省も大変御心配になっておられて、後でまた再編・合併の話もちょっと触れたいと思いますけれども、信連についてはどうも独立させておく必要はないのではないか、それを農中に統合したらどうだということで国会でも御議論を願い、法律案も出したということでございますけれども、その信連の扱いは現在どのように考えられ、どのように措置されていますか。
○政府委員(熊澤英昭君) 最近の金融情勢の変化、そういう中で系統金融が生き残っていくために大変厳しい経営改善、体質の強化を迫られているということは、これは紛れもない事実でございます。そうした環境の中で系統組織全体といたしましては、全体として組織の整備、リストラを図っていこうということで、信用事業を含めまして、現在、全国団体、県団体、それから単位農協という三段階のシステムをとっておりますけれども、これを全国的に将来は二段階、つまり全国団体と県団体に統合していこうということで系統組織を挙げて取り組んでいるところでございます。 その中で、信用事業につきましても、現在、農林中金と県の信連との統合についての具体的な条件、方針を検討しておりまして、この六月にも統合のための基本方針をまとめるという段階になっておりますので、そういう意味では、そうした基本方針に基づきまして、今後農林中央金庫と幾つかの県の信連との間で具体的な統合の取り組みが進められる状況にあるというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 当然そういう機運が出てきているんだと思いますが、どの程度の信連がそういうことを希望され、どの程度の信連が希望されていないと考えてよろしいんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 農協系統組織全体としては、これは信用事業にかかわらず経済事業等も含めまして、全国的に二段階の方向に進めようということで方針を打ち出しておりますけれども、信用事業につきましては県の信連と農林中金との統合をしよう、将来的には統合していこうということで、既に二十五の県ではそういった方針を県段階において決定しているという状況にございます。 先ほど来申し上げましたように、具体的な統合の方針につきましてこの六月にもまとまるという状況になっておりますので、そこから具体的な統合についての話し合いが始められるというふうに考えておりますが、私ども数県については具体的に農林中金との統合の話し合いが始まるだろうというふうに見ております。
○楢崎泰昌君 いや、何というんですかね、県連サイドから見ると、具体的な名前を挙げてはあれかもしれませんが、長野県とかあるいは兵庫県とか北海道とかいうのは信連としては割合に健全というんでしょうかね、利益を上げている県連になっていると思います。そういうのは現在の客観的、経済的事情によって農中と今統合せにゃならぬということにはなかなかならないんだろうというぐあいに思っています。 そうすると、農水省の御指導、今余り指導行政ははやりませんけれども、考え方としては、信連は残りたいと言って手を挙げたところは残すし、いや、一緒になりたいよというところは一緒にしていく、そういう中途半端な態度ですか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 今、確かに先生が御指摘になった信連につきましては基本的に大変経営内容のいい信連でございます。農協系統、つまり全中を中心といたしまして系統組織全体で将来全国的に二段階の方向に推進していこうという方針は決定しておるわけでございますが、しかしながらやはり具体的な統合に当たりましては、それぞれの県の事情、あるいは信用事業におきましてはそれぞれの信連の経営状況といったものも当然配慮されるわけでございますので、そのような意味では今御指摘になったような信連については農林中金との統合ということを決定いたしておりません。 これまで農林中金を中心として系統の中で協議されている中でも、農林中金と県の信連との統合のほかに一県一組合のJAが成立する場合もあり得る、あるいは県の信連が信連としての機能を維持したまま連携を強める、そういう道もあるという考え方も出されておりますので、そこは状況に応じて、基本的には系統組織の信用事業の効率化、健全化が基本でございますので、そうした具体的な状況は加味しながら統合についても進められるというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 状況に応じてなんて都合のいい言葉で、一体何を言っているんだかさっぱりわからぬというような感じがします。要するに、つぶれそうな信連は農中に吸収しようやということにすぎないのではないかと、大変失礼な言い方ですけれども、そのような感じもします。したがって、基本的な考え方としてどのような系統金融を考えるかということは非常に重要な問題だと思いますね。 それから、ついでのことに申し上げますけれども、私どもの印象としては、信連は大部分の資金を農中に預託し、さらに貸付事業もやっておられます、有価証券の運用もやっておられますけれども、大変人数が多いんですね。それで、恐らく農中と合併をなさるということになれば当然そういうリストラを十分考えていかなきゃならぬのじゃないかというぐあいに思いますけれども、その点についてはどのように認識され、やっていこうと考えておられますか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに、農林中金と信連が統合いたします場合に、そのメリットはやはり農林中央金庫と信連が合併したことに伴う経営体質の強化、経営の合理化ということだと思われます。そのような意味でいえば、支店あるいは店舗の減少、あるいは従事している人員の削減、そういったことも効率化の上では基本的に重要なことだろうというふうに考えております。 農林中金と信連の統合に伴いまして人員がどの程度削減されるかというのはこれからの問題でございますけれども、それまでの過程といたしましても、信連自体も現在経営の合理化には取り組んでおります。信連自体の職員あるいは店舗の数を見ましても、信連段階で平成七年三月には八千八百三十八名の職員がおりましたけれども、平成九年の三月末では八千三百六十四名ということで職員が減少いたしてきておりますので、そういう意味では、農林中金との統合という今後の合理化への道もございますけれども、現在でもなお信連自体としても努力をしているという状況でございます。
○楢崎泰昌君 リストラというのは、言うのはやすいんだけれども実に大変なことで、要するに職員をやめさせなきゃいかぬ、人件費を払わぬよということですから、大変申しわけないんですが、私もリストラをやれよというようなことを平気で言いますけれども、そういうことで失業者がふえる、どこかでそれを吸収せにゃならぬというようなことがあって、なかなか実際上は難しい問題なんですね。 それで、信連を農中に合併していくという御方針は御方針として結構なんですけれども、同時に各県に支所を設けるんだと。農中は各県に支店がございますよね。それと一緒にしていくのか。連合会並みにどこか別にまた事務所をこしらえてクッションをまた置いちゃうというようなことになると非常にむだなことになるわけですね。 これから審議会をお開きになって何かしら御結論を出そうという考えだと思いますけれども、やっぱり合併するなら合併するらしく何かしらちゃんとしたメリット、方針を置いてやらないと非常に安易な合併になるというぐあいに私は思いますが、いかがですか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 まさに御指摘のとおりだと思います。農林中金と県の信連との統合におけるメリットの一つは合理化あるいは経営基盤の強化ということであろうと思います。そういう意味でいえば、支店あるいは支所の重複した部分の整理あるいは人材の適正な配置、それは人員の削減を伴うということになろうかと思いますが、そうした点も含めて現在統合についての基本方針についてかなり農林中金を中心に具体的な統合の方針を決めるという最終段階に入っておりますので、そういう中でそうした視点も踏まえた統合へのプロセスというのが始まるというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 信連に関連して、統合を図っていく努力をやることは結構ですけれども、非常に困難な道であるということをまず認識いただくのと、しかし基本はきちんとやっぱり締めなければ、何のために農中と統合するのかという意味がないわけですね。それぐらいの覚悟を持っておやりをいただきたいというぐあいに思います。 それから、今度は信連の話から外れて単位農協の話を若干お伺いしたいと思います。 単位農協では、実は貯金事業だけじゃなくて共済事業もやられている。購買もある。住宅もある。いろいろな事業をともにやっておられるわけですね。言ってみればどんぶり勘定の経理をやっておられる。伝え聞くところによりますと、共済と貯金事業以外は全部赤字で、貯金、貯金というのは信用ですね、信用部門とそれから共済のところの利益で食っておるんだというような話もございますが、実態はいかがでございますか。
○政府委員(熊澤英昭君) 御指摘のとおり、確かに農協の経営は信用事業のほかに販売事業、営農事業、共済事業、多岐にわたった形で総合的な事業をやっておるわけでございます。従来、確かに御指摘のように信用事業と共済事業での利益、これがほかの部門での赤字を補ってきたという実態にはございます。 ただ、昨今の状況の中で申し上げますと、やはり今後信用事業あるいは共済事業がなかなか厳しい経営環境になる、そうした意味でいえば農協の事業全体として従来のように信用事業あるいは共済事業におんぶをして経営を行っていくということがだんだん厳しい状況になっているということは御指摘のとおりでございます。 そのような意味で、私ども、農協経営全般につきまして部門別にきちっと収支勘定を明らかにして組合員にも開示をすべきであるということで、平成八年十二月の農協法の改正の中で部門別損益の開示を義務づけたところでありまして、これは本年の事業年度、平成九年の事業年度からそうした部門ごとの損益を組合員にも開示をするようにということで義務づけたところでございます。 したがいまして、今後そうした部門別の収支状況が組合員にもきちっと開示をされ、そして組合員と役員、あるいは幹部の間で組合の経営についてきちっと相互に情報交換、意見交換が行われて、全体として組合が総合事業体としてどのように生きていくべきか、さらには信用事業、共済事業に依存できないような状況が強まっていく中で、他の部門についてどのような合理化を図っていくか、そうした点についてさらに改善がなされるというふうに考えておりますので、私どもそうした点を踏まえながら農協全体の運営についても指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 私の手元に持っております資料によれば、一農協、総合農協でございますが、それの一単位当たりというんでしょうか、総平均というんでしょうか、平成八年ですけれども、それでは信用部門で一億二千五百万円の黒字、それから共済部門で一億九千百万円の黒字、それからあとは軒並み赤字で購買事業で七千九百万円の赤字、販売部門で三千六百万円の赤字、倉庫部門で七百万円の赤字、加工部門で五百万円の赤字、みんな赤字なんですね。利用部門でも二千三百万円の赤字、その他で大体五百万円の赤字というぐあいに並んでいるということで、経理部門で経理を分けてやるのはいいんですけれども、分けたって帳じりは全部どんぶり勘定になっているわけですね。これは合計でいうと一億五千九百万円の黒字ということになっていますけれども、それは先ほど申し上げたように信用部門と共済部門の黒字が全部補っているということになっていると思うんです。 要するに、どんぶり勘定という意味で、総合勘定と言ってもいいですが、こういうことでいいんでしょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) 確かに、従来の信用部門、共済部門の黒字がかなり大きな利益を生み出してきたという中で、他の事業部門についてそれを充当したという実態にはございます。 それは言ってみれば、例えば購買、販売におきまして独立採算を高めようといたしますと、どうしても手数料あるいは販売価格に反映をさせざるを得ないということもございますので、そのような意味では組合員にとりましては販売の手数料と信用部門での利益の相殺というのが一面でもあろうかというふうに考えております。 しかしながら、昨今の信用事業あるいは共済事業をめぐる環境の厳しさを考えますと、今後、従来のように信用部門、共済部門の黒字をほかの部門に充当するということがなかなか難しい、あるいは厳しくなっていくであろうということは想定されるところでございます。 そのような意味でいえば、ほかのそれぞれの部門におきまして、購買、販売等でございますが、そうした部門におきましてもできるだけ採算の合う方向にシフトしていくということが重要であろうというふうに考えます。 その意味で、先ほど申し上げました農協法の改正によりまして、各農協におきまして部門別の損益をきちっと組合員にも開示をし、それぞれの部門における合理化というものを組合員と組合の経営者の間で十分に認識をし、議論をしていただく、そうした中で農協経営全体として健全化を図っていく、そういう方向が必要であろうと。そのために部門開示についても義務づけをしたところでありますので、そうした点を踏まえながら私どもとしても農協経営全体としての改善について十分に配慮して指導してまいりたいというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 私は、経理区分をすることはもちろん必要だし、それを開示していくというような御方針は御方針で結構なんですけれども、そしてまた購買部門の赤字をこちらの方で埋める、いろんな会社がございましていろんな事業をやって相互に、内部補助というんでしょうか、そういうことをやるということ自体に問題があるとは考えていませんけれども、実はここで政府保証というのが貯金に入ってくるわけですね。要するに、購買部門だとか何とか部門だとかいうのに一生懸命貫いているわけでしょう。買いだ結果、赤字になっちゃった、政府に助けてくれよというようなことが行われると問題が生じてくるんです。ただ、破綻農協というのは恐らく貯金がだめになっちゃったので全体として破綻しているのでほかの赤字までしょうというようなことはできぬでしょうからあるいはそういうことかなというぐあいに思いますけれども、私は、貯金部門が政府保証の一端につながっているということになれば、やっぱり経理区分だけじゃなくて独立させたらどうだという意見が当然出てくると思うんですね。 先般の日経新聞では、こういうぐあいに書いてありますね。農協は本業の経済事業が赤字を続け、それを金融や保険事業の収益で補ってきたと。農協幹部は、経済事業が赤字なのは当たり前だと。今、農水省の方が言われたとおり、当たり前だというぐあいに思っておられるわけですね。このどんぶり勘定を改め、本業でもうかる体質に改めない限り、農協の健全化は望めないと。それもそのとおりだと思います。金融事業は農業投資銀行として独立したらどうだ、それが本当なんだけれども、今は余り急激に変えられないからせめて経理区分だけというようなことがこれに書いてあります。 投資銀行で全く経理を別にする、投資銀行という名前をつけなくてもいいですけれども、そういうことについてはどういうぐあいにお考えでございましょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 まさに御指摘の経済事業が赤字というのは、これは実態としてそういうことでございますが、確かに従来、信用事業あるいは共済部門の利益が相当大きかったということでかなり他の購買事業、販売事業に対して資金的に余裕があって回せたという実態があることは事実でございますが、しかしながら、先ほど来申し上げていますように、金融事業あるいは共済事業が昨今のような厳しい状況の中で、そうした部門での利益に依存するという体質はやはり改めていかなければならないというふうに私ども考えております。 そのような意味で、できるだけほかの部門についても採算性に近づくようにという指導を現在しているところでございますが、その一環といたしまして、先ほど来申し上げましたように、部門別の経理を明らかにして組合員、そして組合の経営者が農協全体の経営について見直す、それぞれの部門についての改善合理化を図っていく、そういういわば経営改善のための土台、ベースを示すという意味でまずは経理部門の分離、公開ということを現在進めているということでございます。 他方、農協の信用事業の分離論というのが日経新聞でも上げられているわけでございますが、この農協の信用事業の分離論につきましては、従来、一部にそういう御意見を上げられた方もございまして、農政審議会でも平成八年八月に御議論をいただいたことがございます。 その際、この審議会におきましても、農協が行っております信用事業につきましては農協の基本的な重要な活動であるという位置づけの上で、一つには農協が信用事業を行うということで農協が農業者の経営状況をより正確に把握し、的確な営農指導等が行われる、さらに農業者サイドといたしましても、信用事業を含めて農協と取引を行うということで、これは営農に限らず生活全般に関しまして農業組合員、農業者のニーズが農協の方で一元的に充足できる、それから農協の信用事業における決済機能を通じまして農協の貸出原資が自動的に調達される、つまり調達コストが安いということでございますが、それから信用事業を別組織とした場合には当然のことながら組織運営のコストがかかる、そうした点から全体として信用事業を含む農協としては総合事業体として活動を行うことがメリットが大きいという御議論のおまとめをいただいております。 私ども、そういうことで、やはり農協としては信用事業を含む総合事業体として機能を強化することが重要ではないかというふうに考えておるところでございます。
○楢崎泰昌君 私も今直ちに経営を分離しろというようなことを言っているわけではありません。確かに、今御説明になったように、農協というのは農家に対する施策を総合的にやっているところですから、いろんな情報が入ってきて、それが複合されて農家のためになるという形で運営をされなければならないことは間違いないと思います。早急にしろというわけじゃありませんけれども、今おっしゃったように、だんだんそういう形に持っていかないと農協自体の経営がおかしくなっていくというようなことになるんじゃないかというぐあいに思っているところでございます。 そして、さらに言えば、農協の信用事業というのはこれから一体どういうぐあいにあるべきなんだろうかというような議論が出てくるように思います。二〇〇一年にいわゆる金融ビッグバンという形で相当の、実のことを言うと現在もうビッグバンになっちゃっていると言っていい感じでございますが、金融機関によっては、いわゆるホールセールというんでしょうか、都市銀行のようにあらゆる金融部門を全部やろうというところもあるし、地方銀行のように、おれはこれに特化するよと、アメリカなんかでは金融機関といっても非常にバラエティーに富んでいるというようなことで、自分の専門部門に特化してやるというようなことを各金融機関は生き残りのためにやっているわけでございます。 そういう感じで言いますと、農協はトータルの言い方としては農村地域を中心とする地域金融機関である、言ってみれば信用金庫も同じような位置づけになるかと思いますけれども、そのようなことでやっておられて、そして今、金融ビッグバンがあるとなかなかこれからの運営は難しいというぐあいに思いますね。そのようなことを前提として考えると、規制緩和とかその他のことによって商社との競合も行われる等々、なかなか他の事業も厳しい場面にさらされているというぐあいに思うんですよ。 それで、ちょっと漠然とした聞き方になるかもしれませんけれども、そういうことを踏まえて、これからの農協の信用事業はいかにあるべきかということについて、これはちょっと大きな問題ですから農水大臣に御答弁願います。
○国務大臣(島村宜伸君) 二〇〇一年の金融ビッグバンに向けまして、農協系統金融機関におきましても他の金融機関との競争がますます激化することが予想され、経営環境を取り巻く状況は一段と厳しさを増すものと予測されるところであります。 このような中で農協系統金融機関については、組合員のための金融機関であるとともに、地域金融機関でもあるという性格を踏まえまして、組合員と地域の貯金者の信頼を得るとともに、貸し付けによって農業及び地域経済社会の振興を図ることが基本であると考えております。 このような機能を十分に発揮していくために、農協系統におきましては、二〇〇〇年に向けて農協の広域合併及び信連と農林中金の統合を推進するとともに、経営の効率化、健全化に取り組んでいるところであります。 農林水産省といたしましても、農協系統のこのような取り組みを積極的に支援し、農協系統金融機関がその期待される役割を果たしつつ、我が国金融システムの一員としての責任が全うできるようさらに指導を強化していこうと、こう考えているところであります。
○楢崎泰昌君 今、一つの方法として農協の合併、要するに拡大というお話がございました。確かに、拡大していく、合併をしていくということは、それがリストラないしは何かに、そういうことにつながってくればあれですし、それから集約されたいろんな考え方、事業の推進を一つのところにまとめてやれるんだというメリットは確かにあると思うんですね。 農林水産省では合併ということを打ち出されて既に着手をされているというぐあいに思いますけれども、それはどういう状況でございましょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 農協の合併の状況でございますが、現在、農協組織は基本的には広域合併と全国連と県連との統合といった合併を進めているわけでございますけれども、農協における合併の状況につきまして申し上げますと、最近の数字で申し上げますと、平成五年の四月一日では三千十二の農協がございました。本年、平成十年五月一日、現時点で千八百三十三農協ということで、最近五年間で千百七十九農協の減少を見ているところでございます。 系統全体といたしましては、二〇〇〇年に約五百三十農協にしようということで合併の目標を立てまして、現在推進をしているところでございます。 これは従来のペースで考えますとかなり順調に進められているというふうに考えております。今後とも、こうした農協の取り組みに対しまして私ども積極的に支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 二〇〇〇年までに五百三十に集約しよう、それはそれで結構なんですけれども、実は集約しても、さっき申し上げたように、リストラが伴わないと何の役にも立たないんですね、何をやっておるんだと。従来、お伺いしているところでは、農協を合併しますとみんな農協の支所を残すんですね。職員も残すんだというようなことを聞きますけれども、合併によるリストラ効果というのはどの程度あるんでしょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 合併の効果は幾つかあると思います。一つには、経営効率の視点から申し上げますと、支店あるいは支所の削減、それから人員の削減、管理部門の強化、経営基盤の強化、こういったところでございます。 具体的に申し上げますと、平成六年にJA、農協系統全体として三十五万人の役職員がいたわけでございますが、それを二〇〇〇年までに三十万人体制にしようということで五万人の職員の削減を目標として取り組んでいるところでございます。平成八年度におきましては、三十四万二千人というのが平成八年度における職員の数でございますので、そういう意味でいえば人員の削減、支店の合理化、そういった面についてもかなり真剣に取り組んでいるというふうに見ておりますので、私どもそうした動きにつきましても積極的に今後とも支援してまいりたいというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 私の承知しているところでは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、支所あるいは支店の数は若干は減っているかもしれないけれども、その減り方は非常に微々たるものである、これは実のことを言うと、信用事業だけじゃなくて他の事業も入っていますから、風評によれば農民と農協との距離がかえって広がっちゃった、アベイラブルでないというような声も聞かれます。 そういう意味では、東京でいえば区役所がいろんなところに支所をつくっているのと同じようなことかもしれません。しかし同時に、私の属している区役所なんかは電算化が行われて、本所との連絡は全部電算化システムでやっている、したがって印鑑証明、住所変更等は即座にできるというような状態になって定員の削減をやっているんだと思いますけれども、そういう効率化が図られています。 だから、農協を合併するときも何かしら、支所を残さないと人との接触が悪くなるとかいろんなことがあるというぐあいに思いますけれども、同時にやっぱりリストラをやらなきゃいかぬ。 持っている資料によりますと、一万八千ぐらいあった支所は現在は一万六千五百ぐらいになっていると。確かに減っていますよ。減っていますけれども、それくらいの減りでいいんでしょうか。さっき三十五万人だと言われたのは実は最盛期の話なんですよね。現在は三十四万人ぐらいですか、若干減っている傾向は見えますけれども、そういうことで良協の改革はできるんでしょうか。それを非常に心配するんです。 同時に今度は、皆さん方も悩んでおられると思いますけれども、農協と農民との間の距離がどうなのか、農民に対するサービスがどうなのかということもあると思います。それは農政の問題との絡みなんですね。貯金事業ということになると若干ニュアンスが違ってくる。結局、経済原則の話と農政の話とはペースが違いますから同一にはもちろん議論されないわけですけれども、そういうことについてどのように認識をされているんでしょうか。 すなわち、大臣が言われたように、合併ということを推進していくんだと、そうすることによって金融機関としての荒波を乗り切っていきたいんだということと、農政との絡みでそうは言ってもリストラというのはそんなにはできないよということ、その辺についてどういうぐあいにお感じでございましょうか。これは農林大臣にお伺いした方がいいかもしれません。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 まさに先生御指摘のとおりだと思いますが、やはり系統組織全体として、これは信用事業も含めましてこうした他業態との競争が激化する中で、系統組織全体として合理化を進めていくということは基本的に重要であろうと。これは系統組織みずからもそのように強く認識をいたしておりまして、三年前から基本的な方針を立てまして、人員の削減、これは先ほど申し上げましたように三十五万人体制から三十万人体制に削減していこう、それから全国段階と県段階の組織もできるだけ統合していこうということで進めてまいっているわけでございます。それはとりもなおさず系統組織全体として組織の経営の効率化、体質の強化ということが目的でございます。 他方で、御指摘がございましたように、そうした農協の広域化が進む過程の中で、農協と組合員との距離が遠くなってしまう、組合員の意思あるいはニーズが農協に伝わらないという弊害が出てくるという指摘もなされております。そこで、それはやはり組織自体としても農協の広域合併に当たりまして一つの留意すべき点として認識をいたしております。 例えば、具体的には先生がおっしゃいました支所を残すというようなこともございますが、この支所も従来どおりの数で残したのでは合理化になりませんので、どうしても支所の数も集約していかざるを得ないということになるわけでありますけれども、その際に事務の合理化、つまり電算その他の機器の使用によります事務の合理化がまず基本的に必要でございます。同時に、例えば支所に指導員を集中的に配置をいたしまして、そうした指導員が巡回をして各農協の組合員との意思疎通を図っていく、あるいはそうしたセンターにおきます指導員が地域におきます県の普及職員あるいは市町村の担当者との連携を強めていく、そうしたことによりまして農協の組合員のニーズができるだけ吸収されるようにそうした配慮が必要であるということで営農センターの設置というような構想も現在進められているところでありますので、確かに二律背反的な部分もあるわけでございますけれども、やはり経営の合理化とそうした組合員への配慮というものも双方きちっと配慮しながら経営の合理化を進めていくべきだろうということで、農協みずからもそうした取り組みを進めておりますけれども、そうした点に私ども配慮しながら指導してまいりたいというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 当委員会は財政・金融委員会ですから、営農指導とかそういうことを議論しているわけではありません。信用事業についてどういうぐあいに物を考えるかということを議論させていただきたいと思います。 信用事業については、支所その他は電算機器化をどうするのか、それから支所でどういうぐあいに物事を運ぶのか、従来と同じようにやるのか等々の議論が当然なされなければならないだろうというぐあいに思っているところです。 そこで、ちょっとまた質問を変えますが、漁協の信用事業、これは農協以上に漁協というのは大変だというぐあいに思いますよ。これは、合併するといったって、港、港に漁協はあるんですから。それから、こんなことを言っては悪いですけれども、漁業権は漁業権で港、港にあるわけですから。 これはどういうぐあいになさるんですか。現在どれくらいあり、どういうぐあいに合併その他を考えておられるのか、お答えください。
○政府委員(嶌田道夫君) 今、先生が言われましたように、漁協の合併はいろいろと難しい問題がございます。 現在、平成九年度で申しますと、千八百九十六の漁協がございます。一般的に言いますと、漁業を取り巻く情勢が非常に厳しいことから漁獲量が減少してきているというようなこともございまして、漁協の経営がもう非常に困難になってきておるというわけでございます。ただ、他方、そういう中で海洋法条約の批准に伴いまして二百海里体制が本格化してきているというようなこともございまして、漁協が組合員に対しまして経営指導でございますとか資源管理を行うというその役割の重要性は非常に増してきているというそういう問題もございます。 そういうことで、非常に経営が厳しい中で漁協の役割の重要性が増してきているという中で、漁協系統全体といたしまして、新たに一県一漁協または一県複数自立漁協というのを目指しまして昨年の五月に系統みずからが機関決定しておりまして、現在これに基づきまして漁協合併に積極的に取り組んでおるという段階にございます。 水産庁といたしましても、このような漁協系統の取り組みを支援いたすために現在いろいろな予算措置等を行っているところでございますが、実は今国会におきまして議員立法によりまして漁業協同組合合併助成法の拡充、延長が行われました。これとともに、先ほど申しました予算措置とあわせまして、この漁協合併がさらに促進されますように今後とも水産庁といたしましても努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○楢崎泰昌君 合併を促進するのは、もちろんそのように従来も答弁されていますし、我が方も期待しているわけですが、具体的にはいつごろまでにどうするんですか。
○政府委員(嶌田道夫君) 全漁連の方は、漁協系統でございますが、漁協系統の目標といたしましては十年後、平成十九年度末ということを目指しておりますが、それまでに先ほど言いましたように一県一漁協、それができない場合には一県複数自立漁協と言っておりまして、おおよそのめどといたしましては先ほど申しました現在一千九戸弱の漁協を二百ぐらいに持っていきたいというふうに考えております。 ただ、いきなりは無理でございますので、その中間の五年後の目標というのも一応つくっておりまして、平成十四年度末には七百ぐらいにしていきたい、それを平成十九年度末には二百ぐらいにしていきたいというような計画を持っておるところでございます。
○楢崎泰昌君 割合のんびりした話ですよね。実際上やろうと思えばいろんな障害があり、いろんな意見があってなかなか実現しないよということであろうと思いますけれども、先ほど大臣が言われたように、ビッグバンの状態で世の中が非常な勢いでやっぱり変わっていっているわけですよね。それに応じていろんな組織が変わっていかなきゃいかぬという状態でございますので、せっかくのお話でございますから、それなりに御努力を願いたいというぐあいに思います。 それから、ちょっともう時間も詰まってきましたのでディスクロージャーの話を若干お聞かせ願いたいと思います。 先ほどから部門別にディスクロージャーをするというお話がございましたが、どういう原則でディスクロージャーをやると考えておられるのか、お話しください。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 農協系統のディスクロージャーの状況でございますが、既に農林中金と四十七の信連は不良債権のディスクロージャーを行っております。また、ことしの三月期の決算からすべての農協におきましても不良債権のディスクロージャーを行うということで、ことしの五月、六月に決算期を迎える農協が大半でございますが、その時点で各農協においても不良債権の開示が行われる、そういう予定になっております。
○楢崎泰昌君 ディスクロージャーをなさるというけれども、その項目はいわゆる全銀協基準、あれと同じようなことを考えてやっておられるんでしょうか、大体一年おくれになっておるんだというぐあいに思いますけれども。それで、その総額はどれぐらいになっていますか。
○政府委員(熊澤英昭君) 従来の農林中金と信連のディスクロージャーにつきましては全銀協の基準と同じ内容で開示をいたしております。 なお、全銀協の方が十年三月期より米国証券取引委員会基準、つまりSEC基準で不良債権の開示の対象を拡充したというふうに承知をいたしておりますので、農林中金につきましては十年三月期よりこの基準で開示をするということにいたしております。なお、信連と農協につきましては、従来の金利減免債権、延滞債権、破綻先債権の三種類の債権を開示いたすということにいたしております。 それから、お尋ねの不良債権の実態でございますけれども、一番新しい時点で、これは大蔵省の方で取りまとめ公表した資料でございますが、昨年の九月期におきまして、農林中金と信連の不良債権の合計額は四千四百七十億円でございます。農協につきましてはこれまで破綻先債権だけ開示をいたしておりますが、これは全農協を合わせまして二百八十七億円でございます。これは破綻先債権でございます。それから、貯金量が一千億円以上の農協につきましては延滞債権を公表しておりますが、これは合計で六百四十一億円でございます。
○楢崎泰昌君 いずれにしても、若干SEC基準からおくれているというぐあいに思います。 先ほどのお話では、各農協についてもディスクローズを徹底していきたいというお話でございます。今お伺いした金額からいえばそれほど大きくはないなという感じはしますけれども、これは実は貯金量が少なく貸国債権が少ないんですからこういう数字になっているわけですね。むしろ、貸国債権に対する比率からいうとどれくらいになるかちょっとわかりませんけれども、相当のパーセンテージになっているように思います。 いずれにしても、金融ビッグバンで国民がこれから金融機関を選んでいく、そういう場面になるわけです。金融機関の資産内容について厳しい目を持って国民は見ているはずだというぐあいに思います。そういう意味で、ぜひこのディスクローズを早く正確に国民にわかりやすくおやりをいただきたいということを要望します。 時間が来たようですので、これで質問をやめさせていただきます。
○委員長(石川弘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。 午前十一時四十一分休憩 —————・————— 午後一時五十二分開会
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として萱野茂君が選任されました。 —————————————
○委員長(石川弘君) 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○今泉昭君 民主党の今泉でございます。 まず最初に、農協の今後のあり方というか、その中でも特に重要な役割、仕事でございました信用事業の今後のあり方に関する行政当局の考え方を少しお聞きしたいというふうに考えております。 これは私が言うまでもなく、農協には四つの大きな使命がありまして、一つは信用事業、もう一つは組合員の共済事業、そして購買あるいは販売等の経済的な事業、そしてまた指導事業という大きな事業があったと思うわけですが、この歴史をずっと振り返りますと、社会の大きな変革、そしてまた農業というものの社会的な位置づけの変革に伴いましてこれらの業務の力点の置き方というものが大きく変わってきているのではないだろうかというふうに私自身は考えております。 言うまでもなく、これまでの高度経済成長の時期におきましては信用事業を除く事業というのはほとんど赤字のような状態ではなかったかと思うわけでありまして、むしろ農協自体の活動というのはこの信用事業でもって赤字を埋め合わせていたというような実態にあったんじゃないかと思うわけであります。特に、金融行政が規制で守られていたということもございましたし、預金量が不足をしていたということがございましたから、特に現場から金を集めてくる力のある農協が都市銀行、特にお金を集める力のない都市銀行にお金を貸すとかあるいは証券を運用するとかによって利ざやを稼ぐというのが安易にできた時代だったと思うわけでございますが、そういうものが一つは時代の変化とともにむしろ金融業というものの厳しさというのが規制緩和とともに起こってきた、バブルの中では住専に対する無理やりな、野方図な貸し付けによって逆に痛手をこうむらなきゃならなくなってきた、むしろこの信用事業というものが大変な重荷になってきたような時代になってきたのではないかと思うわけであります。そこで、いろいろと実態を調べてみますと、例えば農協、もちろん信連、農林中金も含めまして調べてみますと、貯金に対して貸付率のパーセントなんかも見てみますと、農協の場合は貯金を集めた中のわずか二七・八%程度しか貸し出していない。信連においては二割を切ってしまっている。一番大きなのが農林中金だと、全国的な規模で。 そういう状態でありまして、これを都市銀行と比べてみますと、都市銀行などは貸し付けの方がむしろ一〇〇%を上回っている。地方銀行でも七八%もある。それから、第二地銀では八四%もある。そしてそのほかの信用組合におきましても七割から八割近くの貸し付けを行っていく力を持っていたわけでございますが、農協関係、系列の信用事業というものは結局ほとんど自分の力で貸し付ける力がなかった、集めることは集めたけれども、集まった金をいかに運用していくかという力がなかった、なくなってしまったというのが現実の姿ではないかと思うわけであります。そういう中において専門家も十二分に育成をしてこなかったということが今日の特に系統におけるところの金融機関の大変な苦悩の状態を生じているのではないかと、こういうふうに思っているわけでございます。 この状態を見てみますと、例えば現在の中において預金を貸し付ける力がないものだから有価証券等の運用に力を入れざるを得なくなってきている。例えば、農協においてはその割合が七・四%、これは少ないんですが、農林中金あたりは六割近く、六一%程度を有価証券の運用に充ててやっと生き延びているという状態だと。信連においても二五%近くの運用にかけなければならなくなっているわけであります。かつてのように、農業に従事する組合員の生活の安定であるとか、あるいは農業事業の近代化のための投資をするという役割というものがだんだんと低下をしてきているというのが現在の農協の実態ではないかというふうに思うわけでありまして、これまでと同じような姿勢でもって農協を初め信連、農林中金のいわゆる信用事業というものを行政が指導していくつもりなのかどうか、新しい時代に向けてどのような指導を考えているのかということをまずお聞きしたいと思うわけであります。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに先生御指摘のように、農協の段階では約七十兆の貯金があるわけでございます。その貯金の運用につきましては、確かに貸付比率が低い。それは農協段階で三割弱、信連段階では十数%、農林中金で四割強という状況はまさに先生が今御指摘になったとおりでございます。 基本的には、農協というのは農業者の相互扶助組織でありますので、本来的な業務でいえばやはり農協の組合員のためにサービスを提供するということが基本的な使命でございます。また同時に、先生が今御指摘のような信用事業以外に共済事業、購買事業、あるいは所によっては福祉事業等もやっておるわけでございますが、そういう意味では地域の中では、特に中山間地域においては公共的なサービスを提供するような役割も負っているという意味で総合的な事業体として地域で活動するということになるわけでございます。 他方で、現下の農業情勢の中でいえば農業に対する投資が制約を受ける、伸び悩んでいるという実態にございます。また、他方で員外利用の制限がございます。これは、農協が本来的には相互扶助組織としての基本的な理念があるわけでございますので、そのような意味で員外利用の制限というのは付きざるを得ないわけでありますが、その中でも地元の産業についてできるだけ投資をし、優良な企業を育てていく、地域の経済の活性化に役立てていくということが基本的に重要だというふうに考えておりますので、私どもそういう点につきましてはできるだけ地域の経済発展のために農協が一定の役割を果たしていくべきであるというふうに考えて、そのような考え方のもとに指導しているわけでございます。 他方で、実態といたしまして農協系統の貯金の投資が限度があるわけでございますので、どうしてもその点についていえば債券の運用と上部団体への預け入れということはせざるを得ないわけでありますが、その過程におきまして、確かにおっしゃるように、人的な要因の制限から申しますとどうしても安全な債券、証券の運用をせざるを得ないということもございますので、かなりの部分がやはり信連に預けざるを得ない。信連におきましても、産業に対する投資はやはり制限がございますので、県一円あるいは県域を越える投資、資金運用というのがございますが、基本的にはやはり農林中金に預け入れる部分というのもかなり出てくるわけでございます。 そういう意味でいえば、現在、農林中央金庫が有しております役割、すなわちかなりの部分を関連会社への投資と債券の運用、さらには最近では海外での活動にも力を入れているわけでございますけれども、そういうことで全体として系統の資金がそうした債券運用、投資、そして農協の段階でいえば地元の農業の振興、地域経済の振興、そういった意味でバランスのとれた形で運用せざるを得ない、そういった点は私どもとしても考慮に入れながら全体としての資金運用、経営の健全化について指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○今泉昭君 私は、農業に従事する人たち、農協が金融、信用事業に携わっていることを全面的に否定するものではございません。特に、農協の場合は地域に根差した活動というのがほかの金融機関に比べて大変重要な役割を持っていることを重々承知しているわけでございます。 例えば、農協自体が持っている店舗数というのは全国で約一万六千近くある、信連は二百近くあるというようなこの店舗数で数えてみましても、いわゆる一般銀行の店舗数総体、全部を加えてもそれの半分に該当するぐらいに大変各地域に細かく店舗を持っているわけでございまして、そういう意味では地域に根づいた信用事業というものを一挙に私は否定するものではないわけでありまして、それなりの新しい展開の方法を考えていくべきだろうというふうに考えているんですが、依然として私どもに伝わってくるのは、農協の事業の一部、下部機関という形でのメッセージしか通ってこない。特にこれからは、郵貯の民営化の問題でもいろいろ論議をされていましたように、高齢化時代において福祉サービスというものにつながる展開の仕方があるのではないかということが郵便貯金でも言われているぐらいでございますから、やはり農協としても信用事業をただ単に農業という枠の中で考えているのではなくして、地域社会としての活動という分野を広げていく意味での新しい展開を考えていかなければ私は生き延びていけないと思うわけであります。 御存じのように、今までどちらかといえば守られてきた機関でございますから、こんなことを言ったら失礼だけれども、専門家がほとんどいないというような状態の中で、どちらかといえば地域の有力者、農業従事者の中でも有力者が理事構成を行ってやってきているわけですから、そういうものを続けていたのでは将来の展望が私はないと思うわけであります。 特に、そういうことを考えてみますと、午前中の質疑の中にもありましたように、これからはいろんな形のリストラをやっていくと言われる。確かに、信連と農林中金の業務が各県単位で大体競合しているような仕事をやっているようなものはもう全く整理してもいいような私どもの感覚からいうならば受けとめ方をしているわけでございまして、そういう意味ではリストラというのも一つであるかもしれないけれども、信用事業でいくとするならば、もっと抜本的なあり方というものを論議していかなければ生き延びていけないのではないだろうかというように実は受けとめているところでございます。 特に、一店舗当たりの貯金量、そしてまた貸出量などを都市銀行と比較してみますと、全然けたが違うわけですね。一店舗当たりの比較をしてみますと、信用組合との比較でも、信用組合も大体地域に根づいているわけでございますけれども、信用組合に比べても半分しかないわけですよ。これは貸し出しもそうであります。都市銀行などと比べてみますと、貯金量なんか十五分の一、貸出金なんというのは五十分の一という、要するに一店舗としては大変効率の悪い信用事業をやっているということですから、単純に競争していったら当然もう負けるに決まっているわけでありまして、新しい展開がこれから必要じゃないかと思うわけでありまして、こういう新しく貯金保険法に基づいて貯金者を守るという法律も当然必要なことの一つでありますけれども、それとあわせて抜本的な将来展望を行政当局として考えていく時期に来ているんじゃないかと思うわけですが、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 まさに先生の御指摘のような環境あるいはそのような転換期に来ているというふうに私ども考えているわけでございますが、ただ基本的には農協が相互扶助組織を理念としているということもございますので、やはりそこはどうしても員外利用制限というのは付きざるを得ない、そこがやっぱり協同組合組織の一つのメルクマールということもございますので、そこはなかなか払拭しがたい面は御理解いただけるかと思います。 他方で、先生御指摘のように、それでは地域における農業の振興あるいは地域経済社会の振興という点で努力が足りないのではないかという点につきましては、まさに御指摘のとおりだと思います。ただ、残念ながら、農業経済全体で申し上げまして、やはりここ数年停滞をしているということは事実でございますので、そのような意味で農業部門での新規投資の増加というのがなかなか見込みがたいということがございます。 そこで、他方、地域経済社会の振興という意味で員外利用の部門での活用という道があるわけでございますが、確かにこの点で申しますと、多くの農協ではまだまだ員外利用の利用制限いっぱいまで活用し切れていないという面がございます。そういう意味でいえば、各農協にとりましてもまだまだそうした地域産業への投資という余地はあろうかというふうに考えます。 同時に、一つの融資先といたしまして地方公共団体があると思います。これは従来制限を課していたわけでございますけれども、先般の法律改正で地方公共団体に対する融資の制限を廃止いたしておりますので、最近では地方公共団体への融資という部門が伸びているということもございます。そうした部門も合わせながら、さらに各単協が幅広い活動ができるように今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。 なお、先生が御指摘になりました福祉事業でございますけれども、これは信用事業の面から福祉事業への進出というのは私もなかなか難しいかと思いますが、最近、特に中山間地域におきましては、これは厚生省とも連携をとりつつ現在対応しているところでございますけれども、地方公共団体あるいは市町村から福祉事業に対して農協が果たす役割を期待しているという面も出てきております。現在、それぞれの地域において既に福祉事業への取り組みを始めておりますけれども、系統組織全体といたしましても福祉事業に取り組もうということで、現在そういう方面でも力を入れ始めたところでございますので、私どもそうした活動に対しても支援してまいりたいというふうに考えております。
○今泉昭君 違う問題について少しお聞きしたいと思います。 かの住専国会におきまして、系統の場合は住専に対する五兆五千億の貸し付けの中から損失負担としてはわずか五千三百億でこれを切り抜けたという経過がございます。その際、国会の論議におきまして、「農協系統は、今後七年間で少なくとも六千〜七千億円規模の経営の合理化・効率化を行い、千八百億円程度の税収増をもって国への新たなる寄与を行う。」、そしてこのことについては定期的にフォローアップして国会に報告するということが約束をされていたというふうに思っているんですが、その後のこの努力というのはどういう状況になっておりますか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 与党三党の合意を受けまして、系統組織全体として相当な覚悟で現在組織の再編、リストラに取り組んでいるところでございます。 具体的には、まず農協の合併でございますけれども、現在、二〇〇〇年、平成十二年を目途といたしまして、五百三十農協にまで数を減らそうということで進めております。これは平成五年四月時点で三千十二農協ございましたけれども、本年四月一日現在では千八百三十三農協ということで、まず合併を推進しているところでございます。 また、人員の合理化でございますが、平成六事業年度におきましては三十五万二千人でございましたが、系統といたしましては二〇〇〇年、平成十二年には三十万人体制にしようということで人員の削減を目標といたしております。これにつきましては、平成八事業年度末の時点で約三十四万二千人となっておりますので、六年度から八年度にかけまして九千九百二十人、二年間で約一万人の人員の合理化をこれまでに既に行っているところでございますので、今後これらの目標に向かって系統組織全体として取り組んでいくということでございます。
○今泉昭君 午前中の質疑の中でもそのリストラの経過はお聞きいたしましたけれども、私がお聞きしたいのは、具体的に国へのフォロー、千八百億程度の国への新たなる寄与を行うということが出ていたものですから金額的にどういうものかなと、どの程度の寄与が行われているのかなということを聞きたかったわけでございます。 あわせまして、銀行局長もお見えになっているものですから、民間金融機関も同じように三党合意に基づくところの義務を負っていたと思うわけでございまして、「今後七年間で一・五兆円規模の経営の合理化・効率化を行い、五千億円程度の税収増をもって国への新たなる寄与を行う。」、こういうようなことになっていたわけでございますが、そういう意味では、数字でどれぐらい増収になっているかというのを言うのは難しいかもしれないけれども、おおよその目安としてどうなのかということ、これは国会へ報告をするということにもなっておりますから、ちょっと聞かせていただければありがたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 今泉先生の御指摘のような経緯がございますが、この八年三月四日の与党三党合意では、今おっしゃいましたような内容の国への寄与、これを定期的にフォローアップして公表する、民間金融機関がそうすることとされております。すなわち、そういったリストラをどういう状況でやっているかということを報告するとなっております。大蔵省はそれをまとめて国会に御報告申し上げるという姿になっております。 先ほど農水省からのお話もありましたが、民間金融機関におきましても、八年度中で職員で約八千人、店舗では東京銀行と三菱銀行との合併減の五十を含めて百四十店の削減等いろいろございますが、いずれにせよかなりのリストラを本格化させている。この九年度におきましてもリストラをさらに深めようとしております。 ただ、先生の御指摘の数字的にどうかということになりますと、まだリストラが始まったばかりで、何を基準にどれくらいの効果というのを出すのはなかなか難しい。ただ、もし金融機関の方で大体これくらい寄与したというようなことを内部的に御計算されれば、それは私どもがまた国会の方へ御報告できると思いますけれども、今の時点でこれが幾らに当たるんだという数字については各銀行ともまだ計算等もしておりませんし、また今すぐやれと言ってもなかなか難しいことだろうと思います。 ただ、一つだけつけ加えさせていただきますと、その後に、これは八年六月でございますが、さらに新たなる寄与ということで、いわゆる通常第二基金と呼ばれている新たな寄与の基金をつくりました。これは系統金融機関、民間金融機関を合わせて八千億円の第二基金をつくっております。これの運用益を国庫に納付して、六千八百億、できるだけその負担を小さくするという努力もしておりますので、その点もひとつ御考慮賜れば幸いだと存じます。
○今泉昭君 またもう一つ別な点でお聞きしたいと思います。 資料によりますと、いわゆる農水協同組合の貯金保険制度の保険料は一般が〇・〇一八%、特別の保険料が〇・〇一二%というふうになっております。その他の民間の金融機関の場合はおおよそ二・五倍程度の保険料を取っているわけでございますが、これはさかのぼってみますと平成七年十二月に出されました「金融システム安定化のための諸施策」という報告書に基づいて、実は一般金融機関の場合は去る国会におきまして一般の保険料が三倍、特別が四倍に引き上げられたという経過がございます。農水の場合も実は同じような検討を行うようにというものがこの報告書についていたというふうに判断をしているわけですが、ここではほとんどそれから変わっていないわけです。それはどういうわけなのか、農水関係では全く必要ないと安心し切っていらっしゃるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のとおり、平成七年度まで貯金保険制度と預金保険制度の保険料率は同額であったわけでございますが、平成七年の改正によりまして平成八年度で貯金保険制度の方が〇・〇三というふうに引き上げを行ったわけでございます。 その際に、保険料率の算定に当たりまして、貯金保険制度におきましてはそのときのこの貯金保険機構の財源、すなわち積立金の状況、それから保険料収入の状況、さらにそれまでの保険料の支出の状況、そういったものを勘案いたしまして私どもとしては一般保険料の〇・〇一八と特別保険料の〇・〇一二ということで、この保険料で収入が大体二百億円ぐらいになるわけでございますけれども、この保険料の収入で対応できるという判断のもとに料率の引き上げをこの水準にしたということでございます。
○今泉昭君 同僚の伊藤議員の時間を少しいただいてもう一点だけお聞きしたいと思うんですが、農協の信用事業というのは都道府県が中心となって監査、監督、行政指導をされて、これは農水省の業務委託という形でやられているのではないかと思うわけですが、ここのところずっと見てみますと、不良農協というんでしょうか、資産状況が悪くなった農協に対する地方自治体の援助額というのが物すごくふえ始めてきているわけですね。ここには出てこないわけでございまして、各都道府県のそれぞれの議会でその農協の破綻に対する援助に大変な苦慮をしている、相当な予算を計上していかなければならないような状況がここのところ大変実はふえてきているわけでございます。 そういう状況の中でこのような低い保険料率で、今までは余り破綻した農協がなかったからということで安心されているかもしれないけれども、むしろこれからが大変な局面になるのではないかと思うんですが、一般行の預金保険制度と違って、この農協の場合の保険料率がこんな低いもので果たして安心して対応できるかどうかという心配があるんですが、その点についての見通しはいかがですか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 まず、貯金保険機構自体の財源の問題でございますが、積立金としては現在千五百四十五億円ございます。それと毎年の保険料の収入が約二百億円、十年度で二百二億円を予定しておりますが、二百億円強の保険料の収入がございます。これまでの支出が平成九年度におきましては五十四億円、平成八年度が四億円でございます。今回の早期是正措置によりまして、債務超過の組合が五十六農協ございます。基本的には、これらの農協につきましても原則として県内での処理ということでそれぞれの県組織が対応しているわけでございますが、そのうち数県は全国段階での支援が必要であろうと、すなわちこの貯金保険機構の発動が必要になろうかというふうに見込んではおりますけれども、そのような支出を勘案いたしましても保険料の収入内で対応し切れるのではないかというのが現在の見込みでございます。 なお、都道府県におきましては、それぞれの農協が信用事業、共済事業のみならず、購買事業その他のサービス事業を行っているということで地域の経済社会にかなり大きな影響を与える経済活動を行っている、そういう中で農協の破綻に対しましてそうした影響を勘案しながら支援を行うということで各自治体が自主的な判断のもとに支援をしているものでございますが、ただいま私どもが承知している限りでは、都道府県による支援の特に経営困難な農協に対する支援といたしましては、特に融資が中心でございますけれども、七道県で低利融資が約三百億円、利子補給が二県で約三億円ということで、私ども承知している限り、融資を中心にいたしまして三百億円程度の支援が行われているというふうに理解をいたしております。
○今泉昭君 ありがとうございました。 時間が参りましたので、終わります。
○伊藤基隆君 私は、民主党・新緑風会の伊藤でございますが、今泉委員の農協系金融機関の問題点質疑に続きまして、関連して質疑を申し上げたいと思います。 せっかく農林水産大臣がおいでになっているわけですが、主として私は大蔵省に質問してまいります。さりとて今回の提出されている法律案に全く関係ないわけじゃございませんで、実はこの財政・金融委員会でずっとビッグバンにかかわる質問をシリーズ的にやっておるわけでございますが、今回は特にビッグバンによって引き起こされる日本社会の影の部分、特に過疎地域、個人、小口、高齢者等に対する対応が果たして準備されているのだろうか、それを農協金融に引きかえて言えば、農協金融がそれに対応できる経営体制があるのだろうか、人材の育成についてどうなんだろうかというふうに大変に危惧される問題が多々あるというふうに考えております。 今回は貯金者保護のシステムを強化するということで、私どももこれに対しては賛成でございますけれども、午前中の自民党の楢崎委員の質疑にありましたとおり、リストラに対する進捗状況は極めて遅いということからすれば対応し切れないんじゃないか、ないしは、特化の話も楢崎委員がされましたが、特化できるだけの土壌といいますか、力量があるのかどうかということさえ指摘せざるを得ない。外部から入ってきたさまざまな業界、業者の誤ったニュースに侵されない防衛体制もあるのかどうかということになればそういった心配もございます。 しかし、トータル的にビッグバンが引き起こす問題点と地域性または協同組合組織の金融等のあり方をどう考えていくかの基本となりますので、もしよろしければ農林水産大臣にお聞きいただいて、最後に感想でも述べていただければありがたいというふうに思うところでございます。 まず、大蔵省にずっとお聞きするわけですが、日本における金融自由化政策の経過と現状と日本版ビッグバンとの関連についてお伺いします。 日本の一九八〇年代半ば以降の金融自由化政策は三つの特徴を持っていたのではないかというふうに思います。第一は、国際的な金融ビジネスの規制緩和を先行させ、国内市場の規制緩和を後回しにした。第二の特徴は、法人部門、すなわち企業金融の自由化を先行させて個人部門の自由化を後回ししたことであります。第三番目は、大口の取引から自由化し、小口の零細な金融取引の自由化が後回しになったことであります。すなわち、以上三つの特徴の中で後回しになった部分、ファクターを考えると、国内にいて個人で小口であるという三つの性格を持った社会的な階層が金融革新、あるいは金融自由化の恩恵を受けることがいまだ十分でない状況になっているのではないかというふうに思います。 金融自由化の経過を見ますと、国際的な金融ビジネスの規制緩和を先行させた背景には、当時アメリカの財政と国際収支の双子の赤字があって、大変膨大なもので海外資金導入で埋めざるを得ないというアメリカの事情があって日本へのそういった開放要請が来ている、一方、日本には大幅な経常黒字に伴う過剰資金の海外投融資をしなければならないという事情があってそのような動きにしたのではないかというふうに思われるわけであります。 預金金利自由化の歴史を見ると、まず昭和六十年に始まったのが自由金利定期で、金利自由化が十億円という単位から始まっている。それらからずっと来て、小口・個人部門の金利自由化を具体化させたのはバブル経済崩壊後の九〇年代に入ってからで、制度上は金利自由化が欧州に二十年、アメリカに十年おくれて九四年秋に完了しました。だが、既に金利は低下局面にあって預金者、個人預金者、小口預金者は特に実感なき金利自由化時代ということを迎えておるわけであります。 私は、それぞれ節目節目に政策的な判断を大蔵省はしたんだと思いますけれども、国際先行、企業金融先行、大口先行という政策判断はどのような分析、どのような判断をして行ったのか、このことについて冒頭お聞きしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 伊藤先生の御指摘を今の時点からさかのぼって考えてみますと、後回し、例えば国内の後回し、個人の後回し、小口の後回しというような表現をなさいました。逆に言いますと、対外優先、法人優先、大口優先というような表現をおとりになりました。これは今振り返ってみると結果的にそういった形になったと言えることは当たっていると思います。 しかし、当時どういうことを考えていたかというと、規制の中での金融秩序の安定、信用秩序の安定を図ってきたものが、自由化をしていく中で安定を維持しなければならない、信用秩序を守らなきゃいけないという命題にぶち当たったわけです。そのとき当然出てくるのは、やはり対外関係、あるいは大口、あるいは大きい法人の相手のところからと考えるのが自然でございます。それは、一挙にやった場合に、小口の、あるいは個人の、あるいは国内の零細な人たちにしわが寄ってしまわないか、かえって不安が大きくなって金融秩序ががたがたになって、結果的に弱い者に影響が及ばないかという配慮をしたからだと思います。 したがって、今となってみるとほとんど自由化しておりますから何か取り残された者は損をしたというような感じをお持ちになる向きもわからぬでもないんですけれども、しかし当時の自由化の進め方としてはそういう考え方で私はいったものと、またそれはある意味では当然の選択ではなかったのかなというふうに思うわけでございます。
○伊藤基隆君 今の銀行局長の答弁にある選択判断について私も否定するものじゃございません。なぜ取り残された階層について特段取り上げたかというと、今後ビッグバンを推進していくに当たって、それらの取り残された階層に対する配慮、そういう社会的政策といいましょうか、が必要なんじゃないか、そういった面についてどのように考えているかということについて一つは概括的にお聞きしておきます。
○政府委員(山口公生君) 個別的な話としてはいろいろなことはあると思いますが、概括的にという御指摘でございますので申し上げますと、これから進めようとしておりますビッグバン、これはある意味では選択肢をふやすということだろうと思います。個人、私も個人でございますが、零細、私も零細でございますが、そういう人たちも選択をできるようにする、これしかないというのではなくていろいろ、これも選べるこれも選べるという形にしようというのがビッグバンの大きな意味だというふうに考えるわけでございます。
○伊藤基隆君 ただいま選択肢をふやすということが言われまして、私もそういうことにはなるんだと思っておりますけれども、その選択肢をふやしたことによってどういうことになるかということをテーマに少し話をしていかなきゃならないというふうに思っています。 少し話題がそれで、後々のことでお聞きしたいのでありますが、銀行への公的資金の投入が行われて預金保険機構の金融危機管理審査委員会の結論を受けて、三月十三日、三月十七日、二回にわたっての閣議決定がされまして、一兆八千百五十六億円が投入されました。ほぼ一千億円横並びの状況が出てきたわけであります。一千億円横並びの受け入れでございます。 なぜこのような横並び状況になったのか。これは法を制定したときの目標からすると少しおかしな対応が起こってきたのではないかというふうにだれしもが疑問に思うわけであります。各銀行はみずからの経営の実態による判断をしたのではない、すなわち真に金融安定化のためにみずからの銀行の公的責任を果たすというところの視点がないのではないかと言われても仕方がないんじゃないかというふうに私は思います。かねがね何回も自由党の星野委員もこのことを指摘しておりますけれども、私も、この状況について大蔵省としては満足すべき法の制定趣旨に合った対応を民間銀行がやったのかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 御承知のとおり、この法律でもって申請主義で各銀行の希望額をとったわけでございますが、それが先生の御指摘のようにほぼ一千億で横並びの銀行が多々あったということでございます。 これについては、確かに各銀行の実態がみんな同じであれば当然のことですけれども、それは違っているはずだという前提に立ちますと、なぜそういう横並びになったのかなということについてはややいろいろな意見があるだろうというふうに思います。結局、私ども護送船団方式の行政という批判を随分受けておりますけれども、これに関して見ますと、今度は銀行間でやはり横との並びを気にする体質、気持ちというものがいろいろまだ残っておる面もあるという指摘もわかる、こういうふうな言い方をさせていただきたいと思うのでございますけれども、ただこれからの時代そういうことでいいのかという先生の御指摘はそのとおりだと思います。やはり、公的な責任を果たすということになりますと、よその銀行がどうだこうだというよりは自分の銀行がしっかりして世の中に貢献をするということが一番大切だというふうに思うわけでございます。 ただ一つだけつけ加えさせていただきますと、今回申請銀行からとりました健全性確保計画の中には公共性を重視したいろいろな記述を織り込んだものをいただいております。そこにはかなり自覚をした表現があります。これは単なる表現だけではなくて実際上これを実行に移していただく必要があるということでございますけれども、対外的にこういう形で銀行が意図を表明しているということは大変重要なことだと思っております。
○伊藤基隆君 ただいま答弁にありました経営健全性確保計画、これが提出されておるわけですけれども、その内容、詳細なシナリオについて、当初提出計画はどうであったか、審査経過はどうであったか、結論はどうなったか、このことについてまさかここで一行一行聞くわけにもまいりませんので、まとめた文書資料というのを提出していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(山口公生君) 優先株等の引き受けの議決に係る議事の概要、あるいは最終的な健全性確保計画については法律の規定がございますので預金保険機構より既に公表がなされております。 今、先生がおっしゃいました最初の計画がどういうふうに途中で修正されたかということにつきますれば、その点についてはいろいろな不備な点の修正とかそういうことが主でございますし、法律的にも最終的な健全性確保計画の公表というふうになっておりますので、そうした形での公表をさせていただいておるところでございます。
○伊藤基隆君 私は、日本版ビッグバンを推進するに当たって着々と法整備がなされているけれども、果たして民間金融機関というものがそれに対応できる体制があるのかどうかということに大きな疑問がございます。護送船団、横並び、これは行政にもあったし民間の体質的になってしまったものがあるわけですけれども、それらがこの期に及んでといいましょうか、今、日本経済を混乱させている元凶とも言える不良債権の問題、経営体制の問題、それぞれ外部のやみの勢力との癒着の問題等が果たしてどうなのか、どういう認識を持ってどのように改善しようとしているかというところを一番知りたいわけでありまして、そのことについてぜひ詳細な経過、当初計画からどういう指摘をされてどのように直してきたかということが知りたいわけなんです。 ぜひともその辺については理事会等で文書、資料による報告を受けるように検討していただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いいたします。
○委員長(石川弘君) ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。
○伊藤基隆君 お願いします。 さて、民間金融機関において、近年、金融資本自由化によって内外市場を資金が自由に移動するとともに、大企業を中心に資金調達手段が多様化してきた、いわゆる直接金融の時代になってきました。同時に、都市銀行を中心とした普通銀行と協同組織金融機関、地域金融機関、専門金融機関など、いわゆるその他金融機関との間での業態間の差異が縮小して同質化していると言われております。 しかし、直接金融を担う資本市場については、発行主体は当然にして規模その他から限られているわけでありまして、貸し出し形態に頼らざるを得ない中小企業のような経営主体も存在するわけでございます。 確かに世の中の大きな動きは間接金融から直接金融だと思いますが、大部分の中小企業にとってはやはり間接金融以外に資金調達の道はない。そういう企業に対するリスク管理をいかに上手にやり、将来の企業をどうやって育てていくかというのは非常に重要な銀行の機能ではないかというふうに思っているわけであります。 今までの銀行業務の預金、貸し金、為賛決済はだれでも参入できるようになるわけですが、本来の銀行機能はだれでもできるかというと、私はそうはいかないんじゃないかというふうに思っております。そこに銀行としての社会的というか公共的機能の問題があるのではないかと思っています。 ビッグバンといっても、この基本はシステムの中で消し去ってはならないというふうに考えておりますが、大蔵省の考え方と、制度として金融行政として銀行の公共的役割をどのように確保していくのかということの見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 今、伊藤先生のおっしゃいました機能は私も全く同感であります。 これからは直接金融がかなりウエートを増してきてその役割を果たすと思いますが、直接金融でのマーケットが許容するものというものは、まず大きな信用のある企業が主になると思います。 ただ、若干これから発展していくような企業が店頭登録市場等でリスクキャピタルを集めてベンチャービジネスを始めるというようなこともこれからは可能になってまいりますので一概に大企業だけの市場だと申し上げているつもりはございませんが、主にそういうマーケットでのプライシングができる部分、そうでない部分がやはり中小企業の資金調達、これはやはり私も間接金融がかなりの部分を占めると思います。 それはマーケットではなかなかわからない、評価しようにもなかなか大衆が評価しようがない。そうすると、勢い銀行がそのおつき合いで、あの中小企業はどの程度の将来性があるのか、どのくらいのリスクを抱えているのか、どれくらいの経営能力があるのかということをよくつかんで、それでここはこれくらいの金利なら貸せる、これくらいの担保をとれば貸せる、ここは担保なしでも貸せるというふうな判断をするわけでございます。 銀行がそういった中小企業に対してきめ細かなプライシングをやって、それで中小企業金融を間接金融の形で手当てしていくという機能は、これは先生がおっしゃるとおり、私は引き続き変わらないと思います。それがマーケットメカニズムを通じた社会的な責務の果たし方、広く言えばそういうことだと思います。 そういうことで、社会的な責任を銀行がきっちりリスク管理を行い、また審査能力を高め、それで資金の適正な配分を行うという形で果たしていくということが大切だろうというふうに考えております。
○伊藤基隆君 今の銀行局長の答弁にかかわってこの場でちょっと質問しますけれども、今の答弁はやはり中小企業が間接金融に頼らざるを得ない状況も市場メカニズムにゆだねるということになります。そういうことだけでいいのか。それは、今の貸し渋りの状況を見ても、あれも市場メカニズムでそうされているわけです。私はこれは悪口で言っているわけですが、批判で言っているんですが、市場メカニズムにゆだねた場合にそういうことがなくなっていくんじゃないかという心配があって、何らかのそういうシステムをつくるか、ないしはそのシステムを守るための行政的な介入の余地があるんじゃないかというふうに思ってお聞きしているわけです。
○政府委員(山口公生君) 今、伊藤先生のおっしゃった点は実は銀行行政で将来にもわたる一番難しい点になろうかと思います。 しかし、私どもの行政は基本的には市場メカニズムをメーンに考えるべきだというスタンスをとっております。それは、銀行が相手を査定するにしても、リスクの程度に応じて金利をつけるという意味で私は申し上げているわけでございます。 貸し渋りの問題を言われましたけれども、貸し渋り問題は貸せるにもかかわらず貸せないというようなことはいけないふということで言っているわけでございますので、必ずしも私が申し上げていることと矛盾していることではないと思います。 したがって、基本はそういう形だと思うのでございますが、ただ、先生がおっしゃいましたように、もう少し何かプラスアルファの、マーケットメカニズムだけでは十分に果たせない部分があるとすれば、それは何らかの対応が必要ではないか、こういう御指摘だと思うのでございます。 そういう意味では、これからのビッグバンを進めながらも、そういった銀行の存在というもの、社会的な責務というものをやはり忘れた行政をやるのも誤りだろうと思うのでございますけれども、ただ、余りにもそれを強調し過ぎてがんじがらめにした上で、こうあるべき論だけでマーケットを無視した行政をやってはいけないというのもある意味では私どもの反省点でもあるということでございます。
○伊藤基隆君 きょうの段階はこの問題はそのくらいにしておきます。後々また詳しく大蔵省の意見をお伺いしたいし、私の方からも申し上げたいと思っています。 アメリカにおいても、金融排除の行き過ぎの中で、例えば地域的な金融排除システムに対して地域社会再投資法などというものが制定されたというふうにある資料で読んでおりますけれども、それなんかも、中身を私は詳しく知りませんけれども、補正していくという動きが出ているんじゃないかというふうに思うから今からその準備が必要なんじゃないかと思っておるわけです。 さて、金融ビッグバンが成功すれば民間金融機関は多様な商品を開発、販売することになるだろう、さまざまな選択肢というふうに銀行局長はおっしゃいましたが、そういうことになるだろうと思います。利用者はそうした多様な金融商品を選択、購入できる機会を得られることになって、えてしてバラ色の状況がずっと語られてきました。しかし、その多様な商品の中から望ましいものを選択するには豊富な情報と一定の知識が必要でありまして、そしてそれを得るためのコストも負担しなくてはならない。 ところで、一九九五年の勤労者世帯の平均貯蓄残高は千二百六十一万円でありますが、最頻値は三百二十万円であります。このような小口の利用者は情報や知識を得るためのコストを負担し、または山間僻地の利用者は交通費や時間などを費やしてまでもハイリスク・ハイリターン的な新商品を選択することになるんだろうかというふうに常識的に思うわけであります。世の中にハイリスク・ハイリターンと言いますけれども、実態はハイリスク・ローリターンが大部分で、中に特別な人がハイリターンを受け取るというようなことがあるんじゃないかと。さる有名な企業がデリバティブで大損したというのもそういうことかもしれませんけれども、多くの人たちは多様な商品の世界とかかわりのないことになるんじゃないかと。 これは大蔵省が言っているかどうかは別にして、市場メカニズムの世界であるから、いわば選択しようとしまいと、かかわろうとかかわるまいとそれは個人の自由の範疇で放置していくのか、あるいは情報の公開、伝達の公平、消費者に対する相談機能、ないしはそれらを総合的に考えていく行政のあり方など整備を行う必要があるのではないか、そんなことを言っていればできないということかもしれませんけれども、せめてそういう情報公開、相談機能というぐらいのものは必要なんじゃないかというふうに考えます。 さらには、小口の利用者や山間僻地などの居住者の多くは、農協にかかわる人たちなどは、利回りは低くとも、豊富な情報や高度な知識を必要とせず、または交通費や時間の負担も少なくて済む安全な商品を選択することになるのではないかというふうにも考えるところです。 それらに対応する役割を持った金融機関の必要性、重要性についてどう考えるか、情報の問題とそういった特化された金融機関の必要性、重要性についてどう考えるか、このことについてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 確かに、選択肢が広がるといっても、情報がなくては選択のしようがないということになるわけでございます。情報をいかにきっちり公開するか、これはディスクロージャーでございます。当委員会でもしばしば先国会からもディスクロージャーの重要性を御指摘いただきました。 その結果、私どもとしても、例えば不良債権についてはSEC基準でやるということを決めました。しかも、このたび御審議賜ります法案では、今年度の決算、つまり来年三月期から連結ベースでディスクロージャーを義務づけるというところまで用意させていただいております。さらに、商品についての説明義務ということも書かせていただきました。当国会におけるいろんな御議論を参考にさせていただいたわけでございますが、そういった形で金融機関は利用者に対してできるだけ情報をきっちり正しく伝えるということをすべきだという考え方を重視してまいっておるわけでございます。その結果、誤った判断をされた方についてはそれは自己責任ということになろうかと思いますが、そういった誤った判断をしないようにしてもらうということが大切であろうと思います。 そういった形でのいろいろな、どちらかというと利用者の方の保護と言うとちょっと力点の置き方が違うかもしれませんが、利用者というものを重視した金融行政というものを大切にしていくべき時期に来たという理解をしております。 それから、先ほどの安全な商品をということでございますが、これは、現に例えば定期預金とかいうものはございますし、そういったものを選好されるのであれば、そういったものを十分に提供できる金融機関は多数ございますので、そこで御利用いただければと思うわけでございます。
○伊藤基隆君 今、答弁にあったように、市場主義経済社会でありますからリスクの世界であります。リスクがあることを前提としてリターンがある、リスクをとることに対して正当な報酬を認める、そういう経済である。弱肉強食とまで言いませんけれども、個々人が自己の能力と責任においてリスクに対応すると。しかし、そういうことだけで行き切れるのか。アメリカがそうなんだと果たして言い切れるのか。アメリカにおいてもさまざまなバラエティーに富んだ金融機関があって、地場の金融機関は地場で機能を発揮して、そこで活動している。幾らニューヨークがあるアメリカであっても、田舎の金融機関がニューヨーク市場に出ているわけではない。さまざまな防衛システムというのが金融システムの中に組み込まれていると思うんですね。ところが、日本の、私の周辺だけかもしれませんが、ビッグバンに対する議論をするときにはそういうものは全部取っ払いになってしまうというような、そういう認識が最初広まってしまって、今やや警戒感も出ておりますけれども、そういう状況が議論の中では認識として進んできたというものがございますから、そこに危機感があるわけであります。 ですから、幾ら金融ビッグバンが進んで市場化が進んでリスク分散の金融技術が進んでも、やはり不管理市場でリスクを十分に分散できない可能性が残ってくるんじゃないか、社会的なリスクというものを考えなくちゃならないんじゃないかと。 例えばアメリカで、今大変に景気がいいわけでありますが、何らかのショックで不況になって失業がふえて株価の暴落で年金基金が巨額の損失をこうむるなどという事態がもし起こったとするときに、それは起こってからどう対応するかじゃなくて、あらかじめそういうこともあり得るのが市場経済ですから選択幅の中にローリスク・ローリターン的なものが存在して、そこに誘導されるものがあっていいのではないかというふうに思うわけです。 だから、安全保障機能というものが同時並行的になければならないんじゃないかと。それが公的金融システムなのか、または協同組織なのか、いろいろなスタイルがあると思いますけれども、そういうものの存在を、ビッグバンを進めると同時に、先進的に取り組んだところとの関連において、日本においては十分最初の段階から準備しておく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(山口公生君) 公的金融のお話はちょっと別にしてお答えを申し上げたいと思うんですが、ビッグバンという言葉が非常に目新しいということもありまして、世の中すべて爆発的に変わるというようなイメージだと思いますが、ある意味では選択肢を広げるということは各金融機関がそれぞれの特色を生かしていくということになってまいりますので、例えばマネーセンターバンクのビッグバンの行き方とリージョナルバンク、地方銀行あるいは中小の金融機関の行き方はおのずと違ってくると思います。お客さんも大切にするということも一つのビッグバンの対応だと私は思うわけであります。したがって、すべてがリスクに囲まれ、リスクに押しつぶされそうな社会をつくるわけではありません。 そこはそういうふうに受け取っていただきたいというふうに切に私は思っておりますが、加えて安全保障機能とおっしゃいました。これは実は預金保険機構、貯金保険機構もそうでございますが、まさにそれはその機能を果たしております。これは、仮にペイオフの時代に入っても一千方までは預金は保護しますというふうに仕組みがなっております。したがって、そこは民間の金融機関の活動の中でも最低限の安全保障といいましょうか、そういったものが確保されているわけでございます。それが確保されているがゆえにまた決済機能というものが働くということだと私は考えておるわけでございます。この特例期間中はそれが全額保護という形でより保護されているということでございます。
○伊藤基隆君 ちょうど切りでございますので、ここで終わっておきます。
○牛嶋正君 公明の牛嶋でございます。 限られた時間ではありますけれども、この法律について若干の御質問をさせていただきます。ただ、午前中の楢崎委員、それから先ほどの今泉、伊藤委員にほとんど私が用意いたしました御質問を先にしていただきましたので、少し重複するかもしれませんが、観点を変えて御質問をさせていただきたい、こんなふうに思っております。 その観点でございますが、調査室からいただきました参考資料によりますと、平成八年度まで組合員から集められた貯金額は六十七兆六千九百六十二億円に達しております。我が国における民間金融での預貯金額に占める割合を出してみますと、一八%を占めております。これは郵便貯金を除いておりますから民間金融だけということになります。しかし、一八%というのはかなり大きな割合ではないかというふうに思います。したがって、今後我が国において金融システムの安定化という問題を議論するに当たりまして、この農協の信用事業がそこでどのような位置づけになるのか、どのような役割を果たすのかというのは非常に重要な意味を持っていると思います。そういう観点からきょうは御質問させていただきます。 組合組織という点では今の民間の金融機関の中では信用組合に近いというふうに考えられます。しかし、平成八年度末の貸出額二十兆五千九百三十四億円の貯金額に対する割合は三〇・四%にすぎません。したがって、もちろんこれは全国平均でございますのでそれより高いところ、それからそれより低い農協もあるのでしょうけれども、総じて言うならば、これは貯蓄銀行としての性格が強いというふうに考えられるわけであります。そういたしますと、金融機関といたしましてはむしろ郵便局に近い性格を持つことになります。 そういう意味で、私は農協の信用事業というのは信用組合型と郵便局型の二つの性格を持っているというふうに考えておりますけれども、信用組合の貸出比率は七八・四%でございます。それに対して郵便局の方はということになりますと、これは郵政省の自主運用を考えて出しますと、それでも五%以下でございますね。それからいうと三〇・四%というのは私はむしろ郵便局型ではないかというふうに思っております。 これからの方向づけとしましては、そうであるけれどもできるだけ信用組合型の方向へ持っていくべきであると、これが農協の信用事業の一つの方向づけではないかというふうに思っておりますけれども、まず農水大臣に今の私の農協の信用事業に対する性格づけについてコメントがございましたらお伺いしたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) 農協は農業者の相互扶助を目的として設立されたもので、御指摘のとおり、協同組織金融機関としての役割、あるいはまた地域住民等に対して金融サービスを提供する地域金融機関としての役割、また信用事業以外に購買あるいは販売、共済、営農指導などの幅広い事業を行う総合事業体としての役割を担っておるわけであります。 そういう意味で、金融システム改革の進展等、農協をめぐる情勢は大きく変化しておりますが、農協は経営体質の強化を図りながらその役割を十分果たすことにより今後とも農業、農村の活性化に貢献するという重要な役割を担っておると考えておりまして、いわば信用組合と郵便局と両方の性格を有している、確かにそういう面も感じないではありませんが、これからはある意味では立場上いろいろ内容が大きく異なるものになっていかざるを得ないではないか、私はそう感じております。
○牛嶋正君 先ほど挙げました数字、三〇・四%というのは全国平均でございますね。お聞きするところによりますと、かなり個々の農協によりましてこの比率が違うように聞いておりますけれども、地域的にそういった特色みたいなものは貸出比率に見られるのかどうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに、農協は全国的にカバーをしておるわけでございますので、全部で二千弱、現在では千八百数十になったわけでございますが、そういう意味でいえば農協の立地条件が都市に立地するものあるいは都市近郊に立地するもの、さらに中山間に立地する、あるいは離島等に立地する、そういうことで土地条件、社会条件の大変異なったそれぞれの社会環境、経済環境の中で活動をしているという面がございますので、まさにおっしゃるように、それぞれの置かれた地域の中であるいは農業関連の投融資が基本的に主体を占める、地方によってはそういった農業投融資に加えまして地元の産業に投融資の重点もある、そういうことでかなり地域地域によって条件は違うということがございます。 しかしながら、県段階で申し上げればやはり県の信連がそうした条件の異なる農協をいわば束ねる形で資金運用を行う、さらにそうした全国的な信連を農林中央金庫か中央銀行としての立場から相当の資金運用を行うということで、基本的には相互扶助の理念を持ちます農協がベースではございますけれども、農林中央金庫、信連、そして農協、そうした系統組織全体として系統の資金が適正に運用される、そういうのが現状ではないかというふうに認識をしております。
○牛嶋正君 今お聞きいたしますと、農協が置かれている地域の経済的な構造あるいは社会的構造というものが非常に異なることによりまして農協に課せられる役割も異なってくるということがわかりました。 こういうふうに考えますと、ここで我々は農協一本で議論する場合に全国一律の考え方でいきますけれども、私は、これからの農協の立て直しというのはかなりそういった地域性を十分に勘案しなければならないのではないか、こんなふうに思っておりますが、そういうことを一応念頭に置きながらさらに御質問させていただきます。 地域によりましては、恐らく信用組合と競争関係にある場合もその地域によってはあるのではないかというふうに思います。 そこで、先ほども組合組織ということで信用組合と非常に近い性格を持っているということでございますので、両者の経営効率についてちょっと比較をさせていただきたいと思います。 私が使いましたデータは、先ほど今泉先生は一店舗当たりの数字をお出しになりましたが、私は従業員一人当たりの預貯金額と貸出金額を比較してみたいと思います。 預貯金額プラス貸出金額で申しますと、実は農協の方が信用組合を上回っているわけですね。十一億九千万、それから信用組合の方が十億二千万でございます。ところが、貸出金額で比較いたしますと、農協の方は二億八千万であるのに対して信用組合の方は四億五千万であります。 経営効率を比較する場合、私はやっぱり貸出金額で比較すべきではないかというふうに思います。そういたしますと、かなり農協は信用組合よりも劣るわけであります。逆に言いますと、それだけリストラの可能性があるということであります。 この場合に、経営効率を高めるためにはリストラという方法もありますけれども、私は先ほどから聞いておりましてリストラが非常に難しい面があると思います。これは農協の性格だと思います。地域に行きますと、農協はもう唯一の雇用機会でありまして、人材をその地域にとどめるためには農協は必ず必要であるというふうに思っております。そんなふうに考えますと、むしろ一人当たりの貸付額をふやすという方向で効率を高めるというふうに考えたらどうだろうかと。 それでいきますと、今彼に信用組合と同じぐらいの経営効率を持ったといたしますと、貸付比率は、これは単純な計算ですけれども、四八・九%、もう五〇%近くまで貸付比率を高めることができるわけでありまして、地域金融としての役割を担うことができるというふうに思っております。 こういった農協の経営効率を高めるに当たっての今申しました二つの方法について農水省はどんなふうに考えておられますか。
○国務大臣(島村宜伸君) 細部、専門的なことになりますと、先生のような方を相手に答弁の正確さを欠くといけませんので、後ほど経済局長から補足説明をしてもらいますが、ただいま先生御指摘になりましたように、なるほど一人当たりの貸付金につきましては、農協と信用組合の経営指標を比較いたしますと、これは平成八年度の数字でございますが、農協が二億八千万円に対して信用組合が四億五千万円と農協が下回っております。 一方で、一人当たりの貯金量で見ますと、農協は九億一千万円で信用組合は五億八千万円ということでむしろ農協が上回っておりまして、また同時に、農協は中山間地域を含めまして全国的に事業地域をカバーしていることから、これを一概に比較することは困難であると考えます。 しかしながら、農協系統金融におきましても、金融ビッグバンの実施により他の金融機関との競争が激化するなど経営環境は厳しくなる中で、機能、体制の充実とあわせて一層の経営の合理化、効率化が求めるられるところであることは重々承知をいたしております。 ただ、今、先生も御指摘になりましたように、久方ぶりに、私は十五年前に農水の政務次官をいたしましたが、全国を歩いて農協の関係者のいろいろな話などを聞いてみましても、いい意味では非常に家族的なといいましょうか、身内といいましょうか、親戚づき合いといいましょうか、非常に腹を打ち割って信頼ベースでお互いが物事を運ぶという意味ではいいのですけれども、ある意味では企業としての経営という意味合いから考えますと、そういうことの中に逆にリストラなどには極めて不向きないわば体質があるんだろうと、こんなふうに考えています。 さはさりながら、それを言っていたのでは今後の農協の経営にはいろんな問題が生じますので、我々は少なくも二〇〇〇年に向けて農協の広域合併あるいは信連と農林中金の統合を推進するとともに、例えば都市などに見られる一般の金融機関の極めて効率的な近代化した経営の体質というものをどんどん吸収しながら新しい時代に向けての対応ができる農協にいわば育て上げなきゃいけないと、こんなふうに感じているところであります。 細かくは経済局長からもう少し補足させます。
○政府委員(熊澤英昭君) 基本的な考え方は大臣から今申し上げたとおりでございます。 ただ、ちょっと補足して申し上げたい点は、確かに一人当たりの貸付額が信用金庫と同じ程度になれば貸付率も四八%とか四九%になるというのは、これはまさにそのとおりでございますが、ただ農協の場合には二つ制約がございます。一つは、員外利用が原則として二割に制限をされている、これは協同組織としての理念から出発しているところでございますのでここはなかなか議論のあるところでございますが、現実にはやはり員外利用制限というものは受け入れざるを得ない。それからもう一つは、農業関係の投資がやはりここ数年伸び悩んでいるということで、農業関係の投資が増大するという状況がなかなか見込めない状況の中で必ずしも安易な融資を推奨することができない、促進することができないという状況で農業関係の投融資がどうしても横ばいになっているというこの二つの制約が大きな要因かと思われます。 ただ、員外利用の制限については、農協によりましてはまだまだいわゆるすき間があると申しますか、員外利用として投資すべき余裕がある農協も多々ございます。ただ、その際に大変気をつけなければいけないのは、当該員外利用の融資につきましてともすれば安易な融資が行われる場合もあるわけでございますので、そういった融資姿勢についてきちっとした対応がとれるということが前提かと思われますので、それは昨今の金融是正措置の導入も絡めまして、農協の経営体質の改善ということで現在配慮しながらそういった点を進めているという状況でございます。
○牛嶋正君 郵便局型の場合、農協と郵便局の類似点がもう一つございます。それは、先ほどから御議論がありましたように、農協も郵便局も信用事業以外の事業を行っているということです。その事業の内容は異なりますけれども、やっていることは確かであります。 このことについて思い出しますのは、昭和五十年の初めごろでございますが、民間金融の預金が貯金の方に物すごくシフトをいたしました。そのときに全銀協の方からイコールフッティング論が提示されたわけです。実はこれについて大蔵省の方にそのときの内容をお尋ねするあれでしたけれども、これは後の十分のところでやらせていただくことにいたします。 そのとき私が思ったことは、全銀協の議論というのは幾つかありましたけれども、一つは郵便貯金事業に係る費用が郵便事業や保険事業の方へ振りかえられる、いわば資金調達のコストを非常に低く見ているということが一つ挙げられていたと思うんです。これに対しまして、やはり郵便局に対する一つの問題提起でありましたので、私はこれに基づきましてその後、もちろん大蔵省の一つの働きかけもあったと思いますけれども、郵便貯金事業はそれなりに効率を高めていったと思うんですね。努力したと思うんです。そういう意味では、イコールフッティング論というのはその後の郵便貯金事業について考えた場合に非常にプラスであったというふうに思っております。 しかし、農協に対しましては全銀協からそのような批判は出ません、同じ民間金融の仲間ですから。そうしますと、このことは農協の内部できちっと規律を保っていかなければならないので、先ほどそういうことで部門別の経営というふうなことも御提示いただきましたが、でも私は根本のところでちょっと先ほどの御答弁の中で問題があるのではないかと思っております。と申しますのは、もう一度やっぱり農協の本来の役割というのは何かということを考える必要があると思いますね。それは幾つか挙げることができると思いますけれども、私はまず農業の健全経営というのが大きいと思います。それから、できれば農業の振興を図っていく、それから組合員の生活を守っていくというふうなことだろうと思います。 その場合に、先ほどから御議論がありますように、どうもほかの部門が振るわないために信用事業の方に精力が向けられている、そしてそこでほかの方の赤字をカバ一するということですけれども、私はこれは逆じゃないかと思うんです。結局、そうだからもう投資する場所もなくなってくるわけであります。むしろ私は、本来の役割をもう一度見直して、農業の健全な経営、それからまた農業の振興を図る、そしてそれをサポートするように資金がそちらへ流れていく、こういうことでなければならないのではないかと。逆、逆でいきますと、だんだん縮小していくということになろうかと思います。 そうだとしますと、私は農協の信用事業のあり方を議論する前に、先ほども御指摘がありましたように、農協の本来の役割をもう一度見直してその中で信用事業のあり方を論ずべきではないか、こんなふうに思いますが、この点について大臣の御見解がございましたらお願いします。
○政府委員(熊澤英昭君) ちょっと事実関係も含めて私の方からお答えさせていただきたいと存じます。 確かに先生御指摘のとおり、これまで信用部門あるいは共済部門が割合好調な事業経営を行い、収益を上げてきた、そういうことで他の購買、販売あるいは指導事業にその資金を回して農協活動全体として行ってきたということは御指摘のとおりでございます。確かに、農協は本来、やはり農業者に対しまして必要な情報の提供、サービスの提供、営農の指導、そうしたことを通じましてその地域の農業の振興を図る、これが基本的に農協の役目であろうというふうに私どもも認識をいたしております。 その際に、もちろん指導事業というのは利益を生む事業ではございません、全く経費のかかる事業でございますので、指導事業につきましてはどうしても経費がかかる、それを農家の負担で行うかどうかという基本的な議論がまずございます。それから、販売につきましても当然のことながら農協系統が販売手数料を取る、それによって農家の方々の農産物を一手に加工しあるいは一手に販売をするということでございますので、採算が合わないとすれば、やはり基本的には良家の手数料を徴収してあるいは引き上げて販売部門、加工部門の採算をとるというのが一つの道であろうかというふうにも考えられるわけでありますが、ただ他方で、従来やはり信用部門と共済部門の利益が順調に上がってきたということになりますと、農協全体としていえばその上がってきた利益の一部を販売事業あるいは指導事業に回して農協全体としての活動を行うというのも、これも従来は一つのそういう農協活動のあり方であったかというふうに考えられるわけでございます。 ただ、先ほど来申し上げましたけれども、最近のように信用部門あるいは共済部門の環境が極めて厳しくなってきている、そういう中で従来のように潤沢な利潤、利益が上げられない、またさらに今後の見通しも厳しい、そういう中でいえばやはり農協経営、農協の事業全体といたしまして経済事業はどうあるべきか、あるいは本来的な業務でもございます指導事業をどうすべきか、それを従来のような信用事業の利益で賄うのか、あるいは農家の方々からきちっと指導料を取るなり負担金を取るなりして経営を行うのか、そういうところは組合の中できちっと経営者と組合員との間で基本的に議論されるべき問題だろうというふうに考えるわけです。 そこで、私どもその前提といたしまして、まずは部門別にきちっと収支を明らかにする、そうしたことで組合員の方々にもそれぞれの部門におきます収支の状況をきちっと把握していただく。さらに、昨今でいえば信用事業あるいは共済事業が大変厳しくなっている、そういう状況も組合員の方にも御認識いただく、そういう中で今後基本的な指導事業あるいは経済事業をどのように農協経営全体として運営していくのか、あるいは、信用事業についてもさらに合理化していかざるを得ないというふうに考えられますけれども、それを従来ともすれば役員あるいは管理職のサイドで検討されて進められたものをできるだけ幅広く組合員の方にも開示をして議論していただく、そういう中で農協経営の今後のあり方を検討し改善していただく、そういうことがこれから極めて重要になるというふうに考えているわけでございます。
○牛嶋正君 私は、住専問題のときに少し農協系統信用事業につきまして勉強させていただきましたが、あれからずっと離れておりまして、今度この法律について質問するに当たりまして先ほど申しました調査室からいただきました資料を見て少し勉強させていただきましたが、その中で二十四ページの「農協系統信用事業の資金の流れ」というのがやっぱり一番目につきました。これを見ておりますと、せっかく貯金を六十七兆も集めながら、地域の経済に還元されている部分というのはわずか二十兆にすぎないわけですね。全部上の方へ上がっていきまして、信連、それから農林中金というふうに上がっていきます。これを見ておりまして、農協系統信用事業の資金の流れはやっぱりバブルを引き起こした一因であったのかななんというふうに思っております。 恐らくこれからはそういうことはないでしょうけれども、バブルということの解釈の仕方ですが。今彼に資金の配分といいますか、資金をどういうふうに配分していくかということで申し上げますと、私はバブルの問題点というのは、資金が非常に誤った形で配分された、あるいは非常に非効率な形で資金が配分されたということではなかったかというふうに思います。そういうふうに考えますと、その危険性はまだこの資金の流れの中に要素としては含まれているのではないかというふうに私は思います。 そういう意味で、先ほどから申し上げておりますように、できるだけ信用組合方式の方へというふうな申し上げ方をしたわけでございますけれども、今のこのような貸出比率でありますけれども、バブルの当時の資金の流れ、恐らく額は違いますけれども、今のこの流れとバブル当時の資金の流れにどういう変化、変化がなければいいんですが、もし変化があったとするならばどういうところに変化があったかということを教えていただけますか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。バブルの時点がいつからというのはなかなか難しいのでございますけれども、例えば農協の段階で貯賃率を申し上げますと、実は昭和五十年代というのは五割近くございまして、これは当然のことながも農業投融資がかなり大きかった時代でございます。また、全体としても貯金量が今のように大きくない状態でございますが、その後、平成元年あたりを見ますと大体二七、八%でございますので、ここ数年は貸出率が大体二七、八%で推移をしているという状況でございます。 ただ、昨年度はやや貸出率が増加して三〇%を超えておりますけれども、これはどうも農業投資というよりも、むしろ農家の方々あるいは准組合員の方々の住宅ローンとか、そうした個人向けのローンが伸びているということもございまして、結果として三〇%を超えているという状況にございます。そのような意味では、基本的にはここ数年貸出率はそんな大きな変化はないというふうに見ております。
○牛嶋正君 全体の資金の流れから見て私が言いたいことは、やはり上の方へ持っていきますと資金の一点集中みたいなことが起こるわけでありますから、できるだけ地域で還元するということが、先ほどから議論されておりますように、地域性に合ったような貸し付けをしていけば、それは資金の配分からいいますと非常に効率的な配分がなされるのではないかというふうに思いましてそういうことを申し上げたわけです。 以前はもう少し貸出比率は高かったということでありますので、そういう経験値もあるわけでございますからそのあたりまで引き上げていかざるを得ないのではないかと思います。問題は、今、貸出比率だけで議論しましたけれども、貸し出しの内容です。私は随分と生活改善みたいなものに貸し出しがなされているのではないかなというふうに思います。 それから、先ほど出てまいりました員外利用、そのあたりもうちょっと貸し出しの内容を教えていただいて、貸し出しをふやしていく余地があるのかないのか、ちょっと御見解をあわせていただきたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに、農協の貸し出しの状況を見ますと、農業関係の貸し出しがほぼ横ばいであるということは事実でございますので、そういう意味では平成七年度が二九%、平成八年度が三〇・四%と貸出比率が伸びているわけでございますけれども、一つにはやはり組合員向けの住宅とかあるいは自動車ローンを中心とした貸し出しが伸びているということがございます。また同時に、地方公共団体への融資ということで力を入れておりますので、この点がかなり最近は伸びているということでございます。 また、員外利用の制限がございますけれども、かなり多くの団体、多くの農協では員外利用の制限にまで達していないという農協が相当数だと思いますので、その点については地元の産業への貸し出しはまだ伸ばす余地があるというふうに考えております。 ただ、その際に、よく言われることでございますけれども、やはりきちっとした融資を行う必要があるわけでございます。いわゆる水増し融資あるいは不適切な融資によって不良債権が生じるようでは困りますので、そこは慎重な融資姿勢のもとで地場の産業の育成にも力をかす、そういうことで伸びていくことが大変大事じゃないかというふうに考えております。
○牛嶋正君 終わります。
○志苫裕君 農水大臣、御苦労さまです。 私、この席で初めてお目にかかりますが、社会民主党の志苫です。 実は私、目下車いすの生活を余儀なくされておりまして、委員長から座ったままでの発言を許されております。そんなわけで、失礼ですがこのまま質問をいたしますので、どうぞ御容赦いただきます。 けさほど来、同僚議員も大分細かく質問をしてくれまして、大体予定した部分の半分ぐらいみんな質問を聞いてしまったという感じもします。ですから、ダブっておりましたらどうぞ御容赦いただいて、簡単に答えていただいて結構です。 それでは、法案に沿って順次お伺いします。 まず、最近の金融環境の変化に対応して本法を制定したいという趣旨ですが、当委員会はさきにほぼ同じ趣旨の預金保険法改正案を審議し、成立を図りました。その際にこの法案が提出されておってもよかったわけですが、農漁協の信用事業に関してはどうして時間差をわざわざ置いたのか、何か特別のわけでもあったのか。ごくまた最近になって差し迫った事情でも起きたのか。さもなければ役所の縄張りがあって、そっちはおたくさん、こっちは私というので連絡なしにちぐはぐなことをしておったのか。仮にここ数カ月の間に農協金融に不測の事態でも起きておったら一体どういうことになったんだろうという懸念が若干なかったわけでもない。その辺のわけをじっくり聞かせてくれますか。これは大蔵も後で言ってください。
○政府委員(熊澤英昭君) 預金保険法の改正は今国会の冒頭に補正予算関連法案として政府として提出をし、御審議いただいて成立したわけでございます。今回御審議をいただいております貯金保険法の改正も、基本的には農協系統の貯金者の保護の充実と貯金保険機構の機能の充実、それによりまして農協系統金融システムの安定化を図るという意味で同様の趣旨で御審議をいただいているわけでございます。 ただ、預金保険法につきましては、その財源状況から、国債の交付、そして政府保証枠を予算総則に計上するという喫緊の要請がございまして、補正予算関連法案として提出をしていただき、冒頭で御審議いただき成立を見たわけでございますが、この貯金保険法につきましては、貯金保険機構の財源状態が当面十分である、すなわち積立金の状況、保険料の収入の状況、さらに支出の状況等を見まして当面、平成十年度の予算で予算措置、すなわち予算総則に政府保証の保証枠を計上する必要がないという判断のもとに予算非関連ということで提出をいたしましたので時期的に御審議をいただく時間がずれたということで現在御審議をいただいているということでございます。
○志苫裕君 局長、答弁するときは言葉を選んだ方がいいよ。貯金保険機構は資金的には大丈夫だということであったというならこんな法案は要らぬ、これは。 特別の事情が生じたというわけでもないようですが、いずれにしましても、いざというときに備えて万全の構えをしておきたい、そうすることによって利用者から安心して貯金をしていただこうという趣旨だと解して次に行きましょう。 機構が農林中金または日銀から資金を借り入れる際に政府保証をつけるということになっているんですが、平成十年度予算にも、今出ておる補正予算にもこれの裏づけになる予算は何も出ていないじゃないですか。普通の場合、予算が出て予算関連法案として法案が出てくるというのがセオリーだよね。何でこれだけはあべこべになっているんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 貯金保険機構の今回の改正でお願いいたしておりますのは、貯金保険機構が財源が不足をして農林中金あるいは日銀から借り入れを行うような状態になったときに政府保証を付し得るということをこの法案改正の内容としてお願いしているわけでございます。これはまさに最終的にはこのシステム自体が政府によって保証され得ると、そういう道を付与するということで貯金者の保護ということを基本に置いてお願いをしているわけでございます。 ところで、政府保証を付し得るという場合に、他方で予算総則では通常の場合に、当該年度において政府保証の保証枠がどの程度必要かと具体的に予算総則に保証枠を計上するのが通常でございます。 預金保険法の場合には、御承知のとおり、喫緊に財源の強化が必要だということで政府の保証枠を十兆円設定しているわけでございますけれども、この貯金保険機構につきましては積立金が現在千五百四十五億ございます。それから、毎年の保険料の収入が二百億ございます。さらに、他方で支出が現時点で、九年度は五十四億円、十年度においても保険料の収入の範囲内で賄えるであろう、対応できるであろうということで当面、十年度に政府保証の保証枠を予算総則に計上する必要はないというふうに判断をいたしまして政府保証の条項をお願いすることにいたしまして、予算非関連法案として御審議をお願いしているということでございます。
○志苫裕君 いずれにしても、機構が農林中金あるいは日銀から資金を調達しないと間に合わないという事態は予想されない、したがってことしの予算にはのせなかったということなんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 御説明申し上げましたとおり、現在の積立金の状況と保険料の収入と予想される支出の状況から見まして、本年度はこの貯金保険機構が農林中金または日銀から借り入れることはないだろうというふうに考えております。
○志苫裕君 わかりました。いずれにしても、不測の事態は起きないだろうというので結構でしょう、起きない方がいいわけですから。 基金の資金状況は、しばしばお話がありますように、約千五百億円ですね。年々二百億円ずつ入ってくると。それで大分打ち出の小づちを持ったような気になっているようですが、しかし、とりあえずの資金需要は見込んでいないというんですが、そこが不測の事態というのでして、周辺事態じゃありませんが、不測の事態が起きたときには何とかしなきゃならぬというのでこういう予防措置を講じておくわけですが、その場合には、先ほども同僚の議員の質問がありましたが、保険料率の引き上げも視野に入るんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 現在の貯金保険機構の積立金の状況と保険料の収入、さらに支出の状況を考えますと、当面貯金保険機構が日銀あるいは農林中金から借り入れをする事態はないというふうに考えておりますが、ただもし今後不測の事態が生じまして貯金保険機構が借り入れをするような事態、さらにそれに対して政府保証を付与する、そのような事態が生ずる場合には保険料率の引き上げについては当然検討すべきものというふうに考えております。
○志苫裕君 自己責任原則を腹構えとして持っておくことは多としますが、安易に保険料率を引き上げるということについてはやっぱり慎重に構えた方がいいと、私の意見を申し上げておきます。 いずれにしましても、不測の事態が起きれば、財政当局との協議の上、予算が出る、国会の議決が求められる、こういう段取りになるわけですが、財政当局、大蔵省に、こういう法案を出すについて、いよいよになれば財政措置をしてもらわなきゃなりませんがよろしいですなという相談はあったんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 私ども、この法案を出すに当たりまして、それは当然その前に、この国会の冒頭で預金保険法の改正法案が提出されたわけでございますけれども、全く同じように法案の内容を検討いたしまして、基本的には貯金者の保護、貯金保険機能の強化ということで預金保険法と同様の内容で提出をするということで財政当局とは十分に打ち合わせをして法案の提出をさせていただいているところでございます。
○志苫裕君 破綻処理の受け皿組合に対して機構が資金の供与を行う仕組みになっておりますが、一定の基準に適合する場合とはどういう場合か、その基準というものはどこで決めてだれが認定をするのか。裁量で決められては困るということをこの機会に申し上げておきます。いずれにしろ、透明性を求めておきます。 それから、この資金供与はくれるんですか、貸すんですか。なぜ劣後ローンなのか、そのわけを言ってください。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 まず、釣後ローンの供与の基準でございますけれども、これは受け皿組合に対しまして劣後ローンの供与をするというふうにいたしておりますが、受け皿組合が破綻した組合を引き受けることによりまして自己資本率が低下をする場合が予想されるわけでございますので、その場合に、農協の場合には海外事業を行っておりませんので基準は四%でございますが、四%の自己資本比率が低下するような場合にはこの劣後ローンの供与の対象にいたしたいというふうに考えております。 なお、この支援につきまして。資金贈与と劣後ローン、これは考え方としては両方あるわけでございますけれども、受け皿組合の場合には基本的には健全な組合でございますので、まずは劣後ローンを供与し、将来当然のことながら経営内容がよくなればこのローンは貯金保険機構に返済されるということで、資金の効率的な活用を図る意味からも劣後ローンでやりたいというふうに考えております。
○志苫裕君 局長、私は簡単に聞いているのであなたも簡単に答えてくれればいい。 金にはいろいろなたちがありますが、なぜ劣後ローンなのかと聞いているわけですよ。
○政府委員(熊澤英昭君) 基本的には返済可能ということで、資金の活用という意味では劣後ローンでやりたいということでございます。
○志苫裕君 説明になっていないな、それは。返済不可能な金を借りるわけないじゃないですか。 金融機能安定化措置法とこれの違いはどこですか。なぜ取り扱いを違えておるのかということもお聞きしたい。
○政府委員(熊澤英昭君) この貯金保険法におきましては、農協が総合事業体であるということで、農協の貯金の保護につきましては預金保護法とは別な法体系として従来から措置してきたわけでございます。そこで、今回も受け皿組合の資本充実、劣後ローンの供与につきましてはこの貯金保険法で対象にするということにいたしたわけでございます。 なお、中金と信連につきましては金融機能安定化法の対象としているところでございます。
○志苫裕君 大蔵当局、それで説明になりますか。
○政府委員(山口公生君) 今の御説明のとおりで、金融安定化二法では金融をやっているところだけでございまして、農協のように他の事業もやっているところを入れますと法体系として非常におかしいということで別途にしてあります。
○志苫裕君 わかりました。 不良債権の処理のために資産の買い取りを行うことができる、こうなっているんですが、合併助成法によって合併推進法人も資産の買い取りを行うことになっています。これは相互関係は一体どういうことですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 確かに、合併助成法とこの貯金保険法による固定化債権の買い取りというものが両方あるわけでございますが、合併助成法の方は破綻組合の処理を前提とするということがございませんで、基本的には健全な組合の合併を推進する目的で措置されているわけでございます。 他方、今回の貯金保険法におきましては、基本的には貯金者の保護でございますけれども、それに至らないようにということで、破綻した組合を救済する、あるいは不良債権を処理する、そのような場合にはこの貯金保険法において対処したいということでこの条項を設けさせているところでございます。
○志苫裕君 この場合の資金の供与、援助は何ですか。くれるんですか、貸すんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 二つございますが、一つには貯金保険機構が直接不良債権を時価で買い取る場合がございます。もう一つの手法は、県段階におきまして系統が債権回収会社を設立いたしまして、そこに不良債権を時価で買い取らせるという手法を考えております。 後者の債権回収会社を設立した場合には、その資金を通常は系統の信連等が融資するわけでございますけれども、そうした融資に対しまして貯金保険機構が援助、支援を行う、融資を行うというふうに考えております。
○志苫裕君 信連の子会社が行う資産の買い取りにも援助をするんですが、信連というのは御存じのように県単位ですね。エリアが小さいわけです。もっと大きい舞台でお互いに力をかし合う方が有効ですよね。 そういう意味で考えれば、例えば整理回収銀行のような破綻処理専門の受け皿機関が農漁協の場合にもあっていいんじゃないかなという感じもしますが、そういうふうに考えなかったのはどういうわけですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 私ども、今回早期是正措置の導入に当たりまして、各県で系統組織を中心に破綻組合の救済スキームが作成されたわけでございますけれども、その際、破綻組合の有しております不良債権というのは県内あるいは地元の企業に対する不良債権がほとんどでございますので、そのような意味では、債権の回収に当たりましては地元の事情を知っておる信連が行うのが一番、よく事情を知っているし適当であるということで、原則として県内処理を行うのがいいということで主として県段階で債権回収会社を設立する、そういう方向で進めているところでございます。
○志苫裕君 お説はわかりましたが、助け合いの枠組みはでかい方がいいですよね、安心感もあるし。そう思って聞いてみたんですが、小さい方でいいんだというならそれでもいいでしょう。 ところで、系統資金を運用した住専をめぐって大騒動があったのはそんなに古い話じゃないんですが、その始末記をちょっと聞きたいんだけれども、この問題の処理はもう完全に終わっているんですか、それとも後遺症とでも言えるものがどこかに残っているんですか、どうですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 住専処理に伴います農協系統の負担、特に信連の負担につきましては、平成七年度の決算におきまして贈与を行いまして直接の負担というのは終了したわけでございます。ただ、その結果、平成七年度の決算におきましては過半の信連が赤字を計上するということになったわけでございます。 その後、平成八年度の決算におきましては、その後の金利低下が続いている状況、これは資金調達コストが安く済んだということがございます。あるいは、他方で国債、債券等の環境が堅調であった、そういうこともございまして、辛うじて黒字になったという信連も含めまして何とかすべての信連が黒字を計上したという状況でございますが、ただ一信連当たり三十八億円の経常利益ということでございますので、必ずしも内容がいいというような状況にはなく、なおなかなか環境としては厳しいというふうに考えているところでございます。
○志苫裕君 続いて現時点での系統資金の運用状況を尋ねたいんですが、細かく聞いておるというと私の持ち時間も来てしまいますので、ちょっと問題意識だけ申し上げておきましょう。 ノンバンクに対する農林中金、各信連の貸出額が相当額に上っています。私の調べたところでは、この調査室の資料によっても、例えば農林中金の場合には貸出額が十六兆八千億円、このうちの二〇%がノンバンクに出されている。信連では六兆五千億、このうちの七六%、約八割がノンバンクに出ている。一方、不良債権の額を見ますと、ノンバンク向けはその地向けよりも三倍に及んでいますね。というのは、ノンバンクの方は貸すとなかなか返ってこないということです。 ところで、このノンバンクというのは、ハイカラな名前を使っているが、サラ金のことですね。サラ金には御存じサラ金地獄という社会現象がつきまとっています。警察庁の調べによりますと、夜逃げと自殺の半分はサラ金です。これは借りた方も貸した方も生き地獄みたいなものでして、毎日電話は来るわでね。ドイツなんか見ますと、サラ金の返済請求を電話でしちゃいけないんですよ。テロホンと言うんですね。テレホンじゃなくてテロホンと言われて、それほど社会的に規制が厳しいんですが、日本の場合には依然としてまだ夜逃げが出たり自殺が出たりして、多重債務によって奥さんもおちおち眠れないと語る人が多いですよ。 それで、その暴力団のような資金になっておるのが農協の金なんです。何でそういうところに金を出すのかな。細々と農家が納めたお金がノンバンクへ行って社会現象を起こしておるというのは余り褒めた話じゃないよ。これは何か使い方に一定のあれはないんですか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 先生がおっしゃられた数字と私の手元の数字がちょっと違うのでございますが、昨年の三月末時点で農林中金と信連の貸出金が二十三・四兆円ございますが、そのうちノンバンク向けが四・九兆円、二一%でございます。なお、同時点におきます農林中金と信連のノンバンク向けの貸し付けのうちのいわゆる不良債権でございますが、千四百億円、先ほど申し上げました貸付額に対して三%というふうに報告を受けておりまして、必ずしも不良債権率が高いというふうには考えられないのでございます。
○志苫裕君 私がもらっている資料はそうではないので、それぞれが自分に都合のいい資料を見ていたってしようがないので、あなたの資料をちゃんと私のところへ提出してください、系統資金の貸出残高とどういうところへ幾ら行っているかというのを。それと不良債権の額、よろしいですね。それは要求しておきましょう。 いずれにしても、お釈迦様でも御存じあるまいじゃないですが、農家の人はまさかおれの金が高利貸しのところへ行っているとは思っていないですよ。どこかの奥さんが死んだのはうちの金のせいだったでは寝ても眠られないじゃないですか。これはおたくの方も少し注意をするということにしてください、資金の行方について。 貯金保険に関する質疑はこの辺で一区切りつけますが、言うまでもなく、この法案は直接的には農協や漁協の信用事業が破綻したときの貯金者の保護、すなわち救済の制度を整えようというものなんですが、本質的なことは保護や救済の対象にならなくてもいいような安定的な経営をすること、それを取り巻いている農業、農村、その辺がいわば振興をして経営も安定することが本筋だと思います。そうでなければ、本体はぐらぐらさせておいて手当ての方ばかり手を入れるというのは、これは本末転倒ですね。 その意味で、最近の農業及び農業経営を見ますと、規模の大きい農家の多くが経営不安を抱えておることが目につきます。例えば米作でいいますと、去年の米価の下落で恐慌に近い大型農家の場合がそれです。十アール前後の規模拡大農家で見ても、生産費は安くはなっていますが、小作料とか規模拡大のために追加投資の返済金などがたまって、小作料等を含めますと米代金の三割ぐらいがそういう費用になっている。言うならもうけが三割もはや最初からなくなっているということでしょうね。そこへ米価が一五%以上下がったところでは、手取りがさらに減って所得半減という状況になっています。 そのほかに、地域共同体の助け合いの機構で名義の貸し借り、お金を借りるときに名義の貸し借りをします。それでお互いに連帯保証人になりますが、この仕掛けのために一戸でもつぶれますと封じゅうがつぶれてしまう、こういうケースがないわけでもない。特異な例をあげつらうようで恐縮ですけれども、村へ入ってみると必ずしもそれは例外じゃないんです。 このところ、例外なき規制緩和だとか自由化とか、自立自助原則とかが経済社会を覆い尽くして、これに異を唱える者はもう保守派、守旧派というレッテルを張られて追放されてしまいますね。いつかこんなことがありましたけれどもね。 政府は農業にも市場原理を一枚看板のように持ち込みますけれども、米穀市場の自由化で生じておる状況というのは私が以上述べたようなとおりでありまして、このように農家経営を不安定な状況に追い込んでおいて信用事業だけを安定させて繁盛させるといってもこれは無理だ、本末転倒だということをまず言っておきましょう。この状況は米作に限ったことじゃないと思うんですよ。 価格安定に向けてこれからどういう施策や努力が行われようとしておるのか、この機会にじっくり所見を伺っておきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○政府委員(堤英隆君) さまざまな今の農業をめぐる情勢の中で、先生御指摘のような事態が生じているというふうに私ども認識をいたしております。 例えば米につきましても、昨年、非常に厳しい状況でございましたけれども、そういう中で米のための対策を講じまして農家経営の安定という観点から新たな対策を講じたところでございますし、それからまた、まだ検討中でございますけれども、麦につきましてもそういった面での検討を始めている段階でございます。 そういう意味で、先生は市場原理を唯一のという感じでおっしゃいましたが、私どもとしましては、農業や農村の持っている特性、これをきちんと踏まえた上で、その上でなお市場原理なり、それから需給実勢なりあるいは銘柄評価なり、そういうものがやはり適正に反映される形の農政でなきゃならないんじゃないかというふうに思っておりまして、そういう方向で進めていきたいと思っておりますが、その過程で、今おっしゃいましたように、そうした措置をとることが規模の大きな農家にとって非常に大きな不安を与えるということであれば、これはやはり先ほど申し上げましたように昨年秋の米対策のような別途の経営安定対策を講じていくべきじゃないか、そういう基本的な考え方でこの問題に対処していきたいというふうに考えております。
○志苫裕君 安心しました。 EUの場合は、市場原理の導入とあわせて直接所得政策の拡充も図っておりますね。にもかかわらず我が国は構造政策一本やりのようですが、そうではなくて、今お話しのように、農業が持っておる特性というようなものを踏まえた対応を慎重にやってもらいたいというのが私の要望です。 そもそも、市場原理とか自己責任原則をばかの一つ覚えのようにこの国の政府は言っておりますけれども、自然を相手にしてインターバルの長い農作物の需給が市場だけで調整されるとは思えない。市場だけで合理的価格が形成されるというふうに考えるのも無理がある。工業製品であれば足りないからすぐつくろうとか需給調整はできますが、一年に一遍しかとれないようなものを簡単に需給調整できるわけがない。そんな不安定なところで合理的な価格形成ができると考えるのは無理があるということを特に主張しておきたいわけです。 どうかそういうことを念頭に自由主義経済を選択する経済理論があるんじゃないかなとアダム・スミスに聞いてみたいと思いますけれども、これは大臣、何か所見がありますか。
○国務大臣(島村宜伸君) 私は、就任以来一貫して申し上げ続けてきたことでございますが、我が国の農業というのは極めて特殊な環境の中に置かれているわけでありまして、その一つは何といっても先進国の中では日本だけが取り残されたように極端に規模が零細であるということが一つあります。また、中山間地域に占める農地が約四割を占めるという現実もございます。 そういうことごとを含めまして、例えば米を初めサトウキビにしてもビートにいたしましても、国際比較では初めから成り立たないという現実があるわけでありますし、加えて最近の異常気象等を考えますと、まさに先生今御指摘のとおり、そう簡単に需給調整できるような性質のものでもございませんので、これらについては十分それらの実情に配慮したことを我々は農政の背景に持たなきゃいけない、こう考えています。 特に、我が国の穀物の自給率、もう二九%ですから、これらにつきましても最低限度の食糧自給というものは我々は考えていかなきゃいけないという意味合いで考えますと、当然農業に対する多面的機能、公益的機能というものを無視して農業を考えたら間違いだと、このことはOECDでもきちんとその確認を得、共同コミュニケにも盛り込んでもらったところであります。
○志苫裕君 ただいまの所見は、大臣、この間OECDの閣僚理事会ですか、お出になってお話があったということは私も後日、物の記録で読みましたが、大変な見識で評価をしておりますが、ひとつそれでしっかりやってもらいたいですね。 農協合併に関して若干聞きますが、住専以降、農協合併の動きが加速しているようですが、農協が広域化をすれば事業規模も大きくなるし、効率化と利益も向上する。だが、その反面では農家と農協の距離が開く、これは否定できない。米の転作が全国平均で三割以上も拡大をしてくるという状況のもとで、当然市町村とのいろんな連携も密にしなきゃならぬときですが、どうしても大きくなりますとその辺にちぐはぐも生じますし、生産調整と関係の深い営農指導もきめが粗くなって、さらに農産物販売の事業への影響も少なくない。 言うまでもないが、農業生産はそれぞれの地域の土地条件や気象によって左右され千差万別ですから、信用事業のように大きくくくれば効率が上がるという代物じゃない。販売事業から見ても大型合併に必ずしもメリットがあるとは考えられない。よって、大型合併が営農や経済活動の衰退を招くという皮肉な結果を招いておることにも目をそらしてはならない。さらに、合併は普通の場合、職員の配置とか業務の機能が俗に言う本所に集中しがちなんです。ですから、昔、小さかったところには支所がなんかが、出張所みたいのができますが、これが非常に地元の農家にとってはなじみがなくなっちゃって、えらくサービスが悪くなったなと思いがちなんです。ですから、効率性とか利益、一時的なお金のことばかりに没頭しないで、永遠の生命を持っておる農業、農村、ひいては地域のことを念頭に置いてくれというのが私の主張したいことです。 ところで、農協の大型化を突き詰めていきまずと、上部構造である信連とか経済連の組織のありようにもかかわってくる、さらには農業会議などを含む農業団体の再編にもかかわってくると思うんですが、これには今どんな動きがございますか。
○政府委員(熊澤英昭君) 確かに、農協合併の促進に伴いまして、先生御指摘のように、農協と組合員との距離が遠くなるという点は従来から指摘されているところでございます。支所という話もございましたけれども、むしろ全中組織としては支所というよりは営農センターを設置してそこに専門的な指導員を配置する、そうした方々が巡回指導を行うような形態をとりまして農家の方々の意向をくみ上げる、そういったきめ細かい配慮をしながら合併を促進するということで現在取り組んでいるというふうに考えております。 他方で、全体として信連、経済連の組織整備というのが当然のことながら生じておるわけでございますが、現在、全中あるいは系統組織といたしましては基本的には将来全国二段階を目指して統合をしていこうということでございます。信用事業につきましては、農林中金と県の信連との統合ということが一つの柱でございますが、現時点では二十五の信連におきまして将来農林中金との統合をしようという方針を固めております。これまで統合のための基本方針を取りまとめている状況でございますので、今後具体的に統合の話が進むというふうに考えております。 他方、経済連につきましては、現在二十四の経済連が二〇〇〇年までに全農と統合しようということを決定しておりますが、この経済連と全農の統合につきましてはやや進度が進んでおりまして、現在三県連が本年十月の全農との統合を目指しまして既に具体的な手続に入っている、そういう状況にございます。
○志苫裕君 大臣、農山漁村という言葉がありますが、私の村では、私の家でもいいですが、私の家は農協の組合員ですが漁協の組合員です。同時に森林組合の組合員です。これはそんなに珍しいケースじゃないんです。本人一人だけで頭が幾つにも分かれている、経済組織が。これも恐らくいろんな検討の余地があるんだろうと思います。 先ほど来話がありましたけれども、農協には幾つかの経済活動部門があって、何とか商売になっているのは信用事業と共済事業ぐらいなもので、あとはみんな不採算部門で、そいつを抱えておるわけですが、さらに漁業とか森林とかという経営部門があると思えば、これをみんなまとめてみてもそれほど今の農協とは変わらないものになる。この辺は何か今検討の余地があるんですか。
○国務大臣(島村宜伸君) なるほど御指摘のとおり、農山漁村地域におきましては農協、漁協、森林組合が併存しておりますし、これらの組合員が重複している事例が存在することは承知をいたしております。 このような地域におきまして、組合の人材あるいはノウハウ等を相互に有効に活用し、それぞれがより効率的かつ的確に機能を発揮するため、農協、漁協あるいは森林組合間において連携や役割分担を進めることも当然考えられるところであります。 しかしながら、これらの組合を統合することにつきましては、それぞれの組合の設立目的が異なりまして、例えば森林組合では森林整備に関する事業が必須事業となっているなど事業範囲も異なっていることにかんがみれば、これは先行きの課題としては当然慎重な検討の必要があると、こう考えております。
○志苫裕君 銀行局長、ちょっと聞いてください。 農協というのは山の向こうの小さい村にある機関なんですよ。金を集めたり貸したりしておる限りにおいては金融機関だけれども、町場にある門構えの立派な銀行じゃないんです。たんすに近いような程度の貯金箱かもしれないですね。だけれども、あなた方の手にかかると、やれ自己比率がどうとか早期是正措置とか、いろんな規制があるわけです。そもそもビッグバンというのは規制をなくしようということなんだけれども、やたらと規制だけは残しているんですね。それで、気に食わなければお取りつぶしとなるわけですね。こんなに画一的にやらぬといかぬものですかね、あんな山の向こうの小さいところまで。
○政府委員(山口公生君) 今、志苫先生が金庫的な役割もあるとおっしゃいました。お金を預けるということは、幾ら小さいところであれ、それは健全に経営をしてもらいたいとみんな思うと思うんです。それは信用金庫でも信用組合でも同じでございますので、協同組織金融機関としては同じ扱いをする方が私はいいというふうに思います。一つだけ違った取り扱いをするということがどういう意味を持つかということになりますと、かえって不安をかき立てるのではないかという心配もあります。
○志苫裕君 返事はそうなるんですが、私はあなた方の画一的な頭が気に食わないんです。あれは金融機関だと思うが、あれは互助会なんですよ、村の人の感覚は。それに偉そうに大蔵省が出てきて、自己資本比率が多いとか少ないとか、これは危ないから仕事をやめるとか、そんなこと言われちゃかなわぬという気持ちは強いと思うんですよ。だからといって、野放しにしろと言っているんじゃないですが、ちょっとその辺、うまい表現がないけれども、考えてもいいんじゃないかなということをこのことを通じて思い出しましたね。 最後になりますが、農業基本法の見直しというか、新農業基本法の制定論議が浮上しているようなので、これは公式、非公式な舞台で展開されておるから、そしてこの秋には食料・農業・農村基本問題調査会の答申が集約される段階だと聞いておりますが、主な論点及び作業の進捗状況を簡潔に言ってください。
○政府委員(堤英隆君) 御指摘のような形で現在検討を進めておりますが、その中での主な論点と申しますのは、やはり二十一世紀に食糧の安定供給に対しまして非常な不安がございますので、そういった安定供給の確保、それから消費者にどういった形でこれから農政を展開していくかという消費者への視点、それから農業構造の変革を進めなきゃいけませんが、先ほど御指摘ありました農業経営の安定をどういうふうに図っていくか、それからこれも大臣から御説明を申し上げました農業、農村の公益的、多面的機能の発揮のためどういう確保措置があるのか、それからもう一点は中山間地域を含めました農村地域の振興をどう図っていくか、こういった点が現在議論されているところでございまして、大変重要な課題というふうに私どもとしては受けとめております。 こうした議論を踏まえまして昨年十二月に中間取りまとめをいただいておりますので、今年の夏ごろを目途に答申をいただきまして、来年の通常国会には新しい食料・農業・農村基本法及び関連法案を提出して御審議を賜りたいというふうに考えて現在鋭意検討を進めているところでございます。
○志苫裕君 そろそろ私の質問時間も来ましたが、もはや戦後ではないと日本経済の復興と経済成長を高らかにうたいとげたのが昭和三十一年、一九五六年ですね。そうした背景を持って農業基本法が制定されたのが一九六一年、昭和三十六年ですね。以来三十有余年の歳月が流れて、経済社会も大きく変容した。だが、一体この農業基本法は何を目指し、どんな成果を上げたのか、三十七年間の農政の総括といいますか、そういうものを我々はまだ伺う機会に恵まれていない。 去年の九月の経団連が行った農業基本法の見直しに関する提言では、政策目標は当時の状況下では適切だったけれども、ほかの諸制度の改革が十分ではなかったので挫折をしたと言っています。私は挫折をしたと言うほどすげなくはないんですが、政策当局の農水省としてはこの表現は穏やかでないでしょうね。だとすれば、農業白書にちゃんと所見を述べるべきだ。農業白書は、御存じのように、第六条で所見を述べることになっています。ところが、あなたのところは所見を述べたことはないじゃないですか。若干解説はしていますが、解説じゃなくて所見を述べなきゃいかぬのですよ。所見というのは農水省の考え方なんですね。それがないので、これはぜひ所見を述べるようにして、今私が指摘したような問題点にも答えるようにしてもらいたい。 農基法の政策目標について六〇年代と今日の九〇年代を比べてみますと、これも指標をできればコメントとあわせて後ほど提出してもらいたい。私の見る限りにおいては、改善はされていないでむしろ農業が縮小しておる、格差が開いておるということを納得させるような資料しかない。そういう意味で、これも後刻資料を提出してください。就業者の所得格差も開いていますし、農業と製造業との格差も開いておる。 くどくどと述べましたけれども、これらの比較結果から見ますと、農基法の大きな政策目標であった他産業との生産性の格差も従業者の所得格差も縮小するどころか拡大をする結果に終わっておる。農家戸数も減った、農家人口も減った、農業面積も減った、経営規模も大きくはなっていない。農村集落は実に十数万までなくなってしまった、全国で。いずれも農業の縮小、農村社会の崩壊を物語っておるんです。にもかかわらず、白書では、政府は何も語らない。 私がこういうことをくどくどと言っていますのは、実は私自身にまつわる身の上話のようなことなんですよ。私は実は日本海の向こうの佐渡ケ島の小さな村に生まれた人間なんです。条件不利地域といったら、これが恐らく代表的なものでしょう。その生まれ在所を時折訪ねますけれども、村は行くたびごとに寂れているんです。昼間でも人影がない。空き家が目立つようになっているんです。労働移動で家庭の崩壊が進んでいる。したがって、家庭の崩壊は地域社会の機構を消滅させてしまう。共同体の機能が衰えていますね。先祖伝来の田畑は荒れ放題。村一番の若者はだれだと調べてみたら、市役所をやめた私と同じ仲間の悪童で、これが一番若いんです。これはもう寂しいというよりは悲しいわ、本当に。こういう実態なんですよ。 だから、私の身の上話が実は農基法農政を物語っているんです。このことだけは強く指摘しておきたいですね。だから、これら問題が新しい農業基本法の制定に向けて生かされるようにぜひしてもらいたい。 農業基本法の第一条を読んだら、憲法のような非常に気宇壮大な高邁な精神をうたっているじゃないですか。あんな法律はないんだよ。読んでみますと、私は憲法を読んでいるのかと思ったぐらいなんです。こんな法律を持っていて、予算をつけるのにびびっておったのではどういうことにもならぬですよ。農家にはむだな金を使っておるとかなんとか言われると農水省の動きもびくっととまっちゃうんじゃだめです。大臣、これは胸を張って、今の農政はまさに日本や地球の生存にかかわっている、そのことを強く要求して、私の質問を終わります。
○須藤美也子君 日本共産党の須藤美也子です。よろしくお願いいたします。 午前中から午後にかけて、いろいろな質問に対する農水省の答弁に対して私は納得していませんので、繰り返しの質問になると思いますが、しつこく質問させていただきます。 まず、前回の十二月十一日の農協貯金法改正のとき、農水委員会で同僚委員が、保険事故や資金援助が多発してきたら準備金が足りなくなって枯渇するのではないか、こういう質問をいたしました。それに対して農水省は、貯金保険機構の財源につきましては心配はない、こういうふうにきっぱり答えましたね。そして、先ほど来そういう答弁を繰り返しています。 それならば、なぜ政府保証をつけるために今回改正しなければならないのか、その理由が私はわからないんです。この半年間に機構の資金を心配するような事態は起きていない、不測の事態も起きていない。ただ、抽象的に将来に向けて万全な体制をとる、それだけでは納得できないんです。 そういう点でもう一度、なぜ今回の改正で政府保証をつけるのか、明確に答弁をお願いします。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 昨年の法案改正に続きまして今回の貯金保険法案の改正をお願いしているわけでございますけれども、今回の貯金保険法案の改正は、今国会の冒頭で御審議をいただき、成立を見ました預金保険法案と基本的にはその趣旨内容を同じくするものでございます。 そこで、預金保険法案の審議の際にも御論議があったかと存じますけれども、昨年の秋以降、金融機関等の大型の破綻が相次いだ中で、日本の金融システム全般に対する信頼感の欠如、日本の金融システム全体の安定感を要請される、そういう状況が起きたわけでございます。そういう中で、預金保険者と貯金保険者の保護を万全にするという意味で両制度の改正法案を今国会に提出をし御審議をいただくということになったわけでございますが、その際、預金保険法案につきましては、大型の銀行の破産が既に生じており、今後も見込まれるという状況の中で、早急に予算措置、財源措置を手当てする必要があるということで、国債の交付と政府保証枠十兆円ということで予算措置を講じて予算関連法案として冒頭に御審議をいただいたということでございます。 他方、貯金保険機構につきましても、同様に貯金者の保護を基本的な役目として持っているわけでございますが、同じように他業態の預金者と同様に農協系統の貯金者の保護につきまして、最終的には政府の保証がある、そういう信頼感を与えることが日本の民間金融あるいは金融全般の中で一翼を担っております貯金保険制度の安定の基本的な部分にかかわる、そういうことで政府保証が付されることによりまして農協系統の貯金者も他の業態の預金者と同様に安心感、信頼感を得る、それによりましてこの系統金融を含みます日本の金融システム全般が信頼感を得、安定感を得る、そういう意味で大変重要な改正内容として御審議をいただいているところでございます。
○須藤美也子君 つまり、横並びですね、預金と貯金は。というのは、預金は三千九百五十一億円の赤字、ところが貯金機構は、先ほど答弁なさいましたように、千五百四十五億円の残高、昨年より二百億円上積みになっております。何も政府保証をつける必要はないと私は思うんです。将来の貯金者の安全のために、あるいは安心感のために、そんな抽象的なことで、穴があいたときに公的資金の導入を取りつける、そういうようなことは国民は納得できないのではないか、こういうような仕組みは私は国民の合意を得ることはできないというふうに考えます。 そういう点で今回の改正は、趣旨説明でるる述べておりますけれども、経営困難組合との合併をする組合に劣後ローン供与、合併援助のため機構が不良債権を買い取るということは、金融ビッグバンを前に負債を抱えている農協を整理して大型合併を促進するために組合の保険料による機構の財源が使われる、このことは貯金者保護、この目的から変質しているものではありませんか。 それからもう一つ、午前中もたしか質問なさったと思いますが、不良債権の買い取りは二次ロスが出る。一次でなくて二次ロスも心配される。この二次ロスについては一体だれが支援するのか、県内の系統内で処理するというような答弁も先ほどあったようですけれども、この二次ロスについてどう考えているのか、答弁をお願いいたします。
○政府委員(熊澤英昭君) まず第一点のお尋ねでございますけれども、今回の貯金保険機構によります資金援助の対象といたしまして破綻した農協に対する資金援助というのがあるわけでございますけれども、これは預金保険法でも同様でございますけれども、基本的な使命と申しますのは貯金者の保護でございます。 貯金者の保護というのは、まさに保険事故として扱うか、破綻した農協に対して資金援助をして合併ないし吸収、あるいは自主再建によって再建をさせる、どちらがコストが安いかということにもかかわるわけでございますけれども、基本的にといいますか、一般的にはやはり破綻した農協を解散させて不良債権を処理し合併で再建をするという方がコスト的には安い、かつ貯金者に対しても円滑、スムーズに新組合に移行できる、そういったメリットがあることから、これまでも破綻農協につきましては解散、合併といった手法で処理をしてきたということでございます。 他方、今回の破綻組合の処理に当たりまして信連等が設立をいたします債権回収会社の債権の回収について二次ロスが出るかどうかという問題でございますが、確かに理屈と申しますか理念の上では二次ロスが発生するということは考えられるわけでございますが、私ども考えておりますのは、通常破綻組合が有しております不良債権というのは、農協の場合ですと地元に関連する債権がほとんどであろうというふうに考えられますので、そのような債権の評価に当たりましては信連が専門家、例えば弁護士とか不動産鑑定士とか、そうした専門家の方の意見を聞いて時価で評価をして引き取るということでございますのでかなり客観的な評価がなされるというふうに考えております。多少の評価についての誤差というのは当然考えられるわけでありますから二次ロスが発生するということは考えられますけれども、多額の二次ロスが発生するというふうには考えられません。 なお、仮に二次ロスが発生したというような場合には、現在では一般的には債権回収会社の出資者、これは信連が中心でございますが、そうした県内組織で吸収するということが一般的であろうというふうに考えております。
○須藤美也子君 貯金者保護のための財源は十分にあると先ほど来から繰り返しおっしゃっております。このままなら機構や信連子会社の債権回収会社は不良債権の廃棄物処理場、そういうふうになるおそれがあるのではないか。こういうものをつける必要はないわけでしょう、今の財源は十分あるわけですから。 そういうような状況の中で、不良債権の理由はそれぞれの信連、農協でいろいろあると思います。農政による原因もあれば農業停滞を背景にした不動産投機による不良債権もあります。そういう不良債権を出した結果、そのツケを国民や農家に負わせようとするようなやり方はまずいのではないかというふうに私は考えます。つまり、ツケを農家や国民に回すようなことはしてはならないのではないか、そういうことを強く申し上げたいと思います。 次に、先ほど来いろいろお話ありましたが、農協の信用事業はそれだけがひとり歩きするものではないと思います。農協は農家組合員の貯金、出資金で成り立っている協同の組織であります。「一九九三年私たちとJA」で述べているように、「一般の金融機関からは敬遠されがちな組合員がお互いに貯金し合い、貸し合う相互金融によって営農と生活の改善向上を図る」というのが基本的性格であると言っております。 協同組合も銀行も一緒くたにして早期是正措置だ、業務停止だ、こういう指導に対しては私は強い疑問を感じております。先ほど来お話もありました。農協だからこそ組合員は融資を受けられるんです。経営危機の理由も乱脈融資などの問題があるところもありますが、しかしその根本的原因は輸入自由化、新食糧法による農畜産物価格の暴落による打撃によって農業の活性化が失われた、このような原因による経営困難に対しても一律の基準を設けて債務超過は業務停止、経営改善計画を提出せよ、そして最後は合併せよ、こういう過酷なリストラを要求するようなやり方は無理があり、問題があります。 一般の金融機関と農業協同組合の金融との違い、特殊性をどのように大臣は認識をしておられるのか、その点をお伺いいたします。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 まず、早期是正措置あるいはビッグバンに対して画一的に農協等に当てるべきではないという視点でございますけれども、確かに他の銀行と相互扶助組織であり地域機関であるという特質を持っている農協、あるいはさらに他の事業を有している総合事業体としての農協、そういった特質を考えますと、他の銀行と一律に論ずるということは必ずしも当を得ない面があるということは私どもそのとおりだというふうに考えております。しかしながら、他方でそのことが今回この貯金保険法案を預金保険法案とは別に御審議いただいているということも、それはまさに農協あるいは農協系統組織の持つ特殊性の上で独立の法案を持たせていただき、御審議いただいているということにもつながるということになるわけでございます。 また、全体の経済状況あるいは金融状況の変化の中で、金融機関の一翼を担う、民間の金融量では一割という地位を占めておるわけでございますので、そうした金融機関の一環として今後も健全に信用事業の機能を果たしていくという意味でいえば経営の健全化、情報の開示、これはやはり基本的な重要な部分だというふうに考えておりますので、私どもその点につきましては経営改善、経営効率化の観点からやはり厳しく経営改善の一環として受けとめて対処すべきであろうというふうに考えております。 ただ、今後の経営のあり方についていえば、一般の銀行のように一般貸付を全面的に押し出すというような性格ではなく、一定の制約を受けた中での活動をせざるを得ないというわけでありますので、そういう意味でいえば基本的には農業の振興あるいは地域の産業振興、そういった視点に重点を置きながら経営の健全化に努力してまいりたいというふうに考えております。
○須藤美也子君 時間が限られておりますので答弁はできるだけ手短に、簡潔に、私にわかるようにお願いしたいと思います。 今、全国で五十六農協が債務超過になっている、経営改善計画の実施が迫られております。私は、先日、岩手県に調査に行きました。岩手県は大農協が債務を抱えて、合わせて三十七億五千万円。この大農協、それぞれ全部が山間地域にあります。先ほど志苫先生がおっしゃったように、山間部の農協です。経営が大変になった農協は今まで十カ年計画、これで再建計画を立ててきたんです。ところが、ビッグバン前にそんな悠長なことはできない、直ちに本年度は赤字を解消し、三年間で債務超過の解消を迫られ、県にその計画書を出せと、こういうふうに言われているわけです。 住田農協というところは、せっかく八年度、九年度黒字になった、上向きになっていたやさきに早期是正措置によって一気に役員の報酬が八五%カット、それから農協職員の給料は凍結、ボーナスもカット、こういう状況になっています。組合員の出資金は増額、機構の縮小などのリストラが要請されております。しかも、最後にそういう努力をしながら広域合併であります。その住田町は山間地域で、あと何もないんです。農協がなくなればその地域は何もない。そういう状況の中で、私は、この住田町の農協だけではなく全国各地にこういう農協が数多くあるのではないか、そういう農協の自主的な努力、計画を尊重して、一律に早期是正措置、業務停止、リストラ、広域合併、これはすべきではない、こう思います。 例えば、先ほどおっしゃったように、農業というのは三年間で計画が成り立つというものではないんです。肉牛は幾ら頑張っても二年間かかります。米は一年に一回しかとれません。果樹はどうですか。「桃栗三年柿八年」と言われるように、長くかかるんです。 そういう中で、財革法は五カ月で見直しをやったわけですから、これは省令ですから弾力的な見直し、一律にやるというのではなくて、それぞれの農協の自主性とかそういう問題も配慮したやり方というのが私は必要だと思うんですが、これは大臣が決めることだと思うので大臣の簡単な答弁をお願いします。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 一律の意味でございますけれども、私ども、この早期是正措置の導入に当たりまして、これはもうここ二、三年系統自身も合併を促進してまいりました。それは、必ずしも早期是正措置以前に経営の悪い農協を一体どうするか、そういうことも含めまして全体として農協を再編していこうということで、これは従前は農協合併助成法に基づきまして合併を促進してまいったわけでございます。その時点で既に広域合併の方針が農協自体からこれは自主的に打ち出された方針でございます。決してその時点でいえば役所の方から一律に押しつけた方針ではございません。 さらに、今回の早期是正措置の導入に当たりましても、必ずしも一律に一定の方針というよりも、むしろ地域の実情に応じまして県段階で、県の中央組織とそれぞれの個々の経営が悪化した農協の間で相当に事前に話し合いを続けております。そういう話し合いの経緯も承知をいたしておりますが、かなりそうした具体的な積み重ねの上で今回早期是正措置が導入されているというふうに私ども理解しているところでございます。
○須藤美也子君 話し合いをなさっておられるというのであれば、その話し合いの内容を尊重しながら、ぜひ無理のない措置をとるべきだというふうに思います。 特に、住田農協の場合は、その赤字の大きな部分は牛肉の自由化による影響であります。すなわち、山間部ですから肉牛を生産する。出稼ぎのない町づくりということで、今、七千六百人の人口の中で畜産に携わっている農民は五百人。家族も合わせると二千人は畜産の産業に携わっているその住田農協ては肉牛長期平均払い事業を行った。輸入自由化のときに、本来牛肉の価格が下がったときに政府がこれを補償するのが当たり前なんだと思います。それを肩がわりして農協がやった。この事業が十億円ほど赤字になった。それで平成二年にさかのぼって役員の報酬も全部カットということなんですね。ですから、そういう点では農業振興で町の人口を維持する、山間地域、僻地で一生懸命努力をしてきた結果がこういう結果になっている。これは先ほど悲しいことではありませんかとおっしゃいましたけれども、こういう農業を農水省はつくろうとしているんですか。中山間地や山間部にもっと手厚い保護をするというのが農基法の一つの柱でもあるわけでしょう。 そういう点では、私は、政府の不十分な価格保証制度、しかも今度は米の制限をなくしていく、価格制限、値幅制限を取っ払う、麦も民間の市場原理にゆだねるというようなことをやっているということ自体は、農業の現場をわからない、農業にますます困難を持ち込む、そういう問題であるというふうに思います。 そういう点では、今回のこういう半年前に改正してまた改正する、しかもその改正が農民や地域にとって役に立つ改正ならいいんですけれども、それが逆にこういうふうに首を縛るような改正で、私は、住田町の農協に行って、この組合長が自殺しなければいいな、こういうふうに思ったほどであります。そういう点で、私は、そういう農協や農村の実態を踏まえて、そういう一律に厳しい規制をするのではなくて、話し合いをなさっているということですから、そういう自主的な判断、組合員の合意を得た上で進めるということを基本にしてやっていただきたいというふうに思います。 あと漁協の問題で質問したかったんですけれども、漁協はもっと大変だということ、三割が赤字だということで、そういう点では魚価の問題と資源枯渇の問題、こういう問題に取り組むべきだということを申し上げまして、時間ですので私の質問を終わります。
○星野朋市君 この委員会でこういうアイテムを取り上げると、大体農協の現状とあるべき姿ということになって切り口がちょっと変わってくるわけです。けさからの質問を聞いておりますと、大体私の言わんとしていることはもうほとんど言い尽くされてしまっておる、後になればなるほどそこら辺が苦しいところでありますが、そのすき間を縫って御質問をしようと思っております。 まず、非常にプリミティブな問題なんですが、農協の姿というのをちょっと思い浮かべる上で、日本で一番大きい農協はどこですか。これは組合員の数であるとか、それから主な仕事である信用事業、これの大きさ、そういう分け方はあると思うんですけれども、日本で一番大きい農協というのはどこで、どれくらいの規模ですか。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 いろいろな基準があるかと思いますが、例えば組合員規模で申し上げますと、正組合員が最大の農協はことしの四月に合併をいたしました秋田県の秋田おばこ農協がございます。正組合員の数が約三万二千人でございます。 それから、准組合員を加えた場合を考えますと、広島県の広島市農協が准組合員もまぜまして八万二千百七十八人という規模の農協がございます。 それから、貯金量で申し上げますと、静岡県のとぴあ浜松農協がございます。これは平成七年に合併した農協でございますが、貯金量が六千五百四十四億円でございます。
○星野朋市君 それから、しばしば質問に出て農水省もお答えになっているんですけれども、いわゆる農協の収益部門が主に信用事業、それから共済部門。その他は、営農部門はちょっと難しい問題ですけれども、赤字になっておるというお答えでございます。これは、これから実例を挙げて申し上げますけれども、赤字になるのは私は当たり前だと思っているんです。 ということはなぜかというと、商業関係の、いわゆる商系の販売部門に対して農協の販売部門、購買部門、ここら辺は要するに全く競争になるような体系になっていないわけですよ。それで、農協の上に昔はいわゆる全購連、全販連ですか、今は全農と言っていますね、この全農は一年間にある程度の販売量を確保して、まず利益を先に計算しちゃうんですね。いろいろな購買をしたりした物の値段というのをそれから決めていくわけですよ。だから、最初のうちはみんな暫定価格なんですね。 そんな状態ですから、本物の原価、本物の販売価格という形で商売していないんです。これは後で須藤議員が今取り上げた岩手県の肉牛の農協の問題についても私はちょっと触れますけれども、実際の単価というもので動かしていない、ここら辺の商売というものが私は黒字になるわけはないと思っているんですが、いかがお考えですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 基本的に全農と農協での経営についてちょっと分けて言わせていただきたいと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、確かに農協段階では信用事業、共済事業を除きまして販売事業、購買事業、指導事業が赤字になっておるわけでございますけれども、これは確かに農協によってはきちっとブランドを統一して利益を上げる、そういう農協もございますけれども、時として、やはり手数料が低いというようなことから、どうしても信用事業の利益をそちらに回して全体として経済事業を行うという形態がこれまでかなりの農協で行われてきたと、これが実態かと思います。 ただ、全農の場合にはかなり全国的に活動をしておりますので、それ相応に利益は上げているわけでございます。その際に各農協との、あるいは各県連との契約の中で手数料を決めていく、あるいは量を決めていく、そういう構造はあるということは御指摘のとおりでございますが、一定の商品、例えば農薬とか肥料につきましては一定のシェアがございますので、全農自体が肥料メーカーあるいは農薬メーカーに対してかなり交渉力がある、そういう交渉力を背景に農家に対してできるだけ有利な価格で提供する、そういう努力も行っているという面もあろうかというふうに考えられます。
○星野朋市君 そういうものも含めまして、そうすると、全農協のこれはまたシェアの問題というとなかなか難しいんですよね。片方は信用事業で片方は販売量だったり、片方は共済であったり、それから営農部門というのは明らかにこれはもう技術指導料みたいなものですからなかなか難しいんですけれども、そういうところを平均して農協というのはどのぐらいの割合でこのシェアというのを保っているのか、それはおわかりになりますか。
○政府委員(熊澤英昭君) 御質問に正確にお答えできるかちょっと自信がないんですが、平成七事業年度の購買事業でシェアを申し上げますと、例えば飼料の場合には全農のシェアが二三%、肥料で三一%、農薬が三三%、農業機械が一八%ということでございますので、物によりましては二、三割の事業シェアを有していると言えるかと思います。
○星野朋市君 私の言い方がちょっとまずかったのだろうと思うので、必ずしも私の意図に答えてはおらないんですが、どういうことかというと、農協の中で信用事業はどのくらいなのか、それから今言った購買事業とかそういうものはどのくらいなのか、共済事業はどのくらいなのか、そういうことをお聞きしているわけです。シェアという言葉を使ったのでまずかったかもしれません。
○政府委員(熊澤英昭君) 確かになかなか比較が難しいわけでございますけれども、ちょっと信用事業について例を申し上げますと、これは全国の農協でございますが、全国の農協の職員数が現在、八事業年度で二十九万三千人でございますが、そのうち信用事業に従事する職員が七万四千人、全体の約二五%でございます。この職員のシェアでございますけれども、ここ十年を見ておりますと、全体の職員数が四千二百人減少している中で信用事業の担当職員が三千九百人減少しておりますので、そういう意味でいえばむしろ信用事業のウエートが少しずつ低下しているというふうに思われます。
○星野朋市君 どうしてそれをお聞きしたかというと、要するにその他の事業がマイナスで、結局、次第に信用事業と共済関係に特化していかざるを得ないと思うんですね、こういう状態でありますと。しかしながら、その信用事業がそれでは今のような貸し出しの割合、それから債権の保有状況、それから多分系統の金融機関からはいわゆるコール市場への供給源としてお金が出ていると思うんですけれども、そういうものが非常に低いレートであるということで、これからの事業というものが、他の銀行は多分為替であるとかデリバティブであるとかそっちにこれから収益源を見つけようとしていくわけですね。単なる預貸の問題だけではなかなか成り立っていかない状況。そうすると、いわゆる系統金融機関というもの、特に農協の問題はそこら辺が非常に厳しくなると思うんです。それについてどうお考えになっているのか、そういう意味で今の質問をしたわけです。 —————————————
○委員長(石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、三重野栄子君が委員を辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。 —————————————
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに御指摘のとおり、農協の信用事業につきましては非常に厳しい環境にあるというのはそのとおりでございます。特に、金融商品が多様化するような中でいえば、単位農協におきましてそうした金融新商品、デリバティブというような商品を扱うというのはなかなか難しい状況にあろうと、特に中山間に位置しているような農協において。これは地元の人あるいは農業者の方々がそうした商品を選択するということもなかなか考えにくいわけでございますので、そういう意味でいえば、基本的には農協としては農業投融資、あるいは地元の産業への融資、さらには地方公共団体への融資、そういった点を中心に考えざるを得ないというふうに考えます。 したがいまして、資金的に活用の道に限度があるということでございますのでどうしても信連に預け入れる。信連の段階におきましても、貸し付けの比率がかなり低いという実態がございますので、一定の債券の運用は、これは信連段階ではかなり専門家がおりますので一定の債券の運用はやっておりますけれども、やはり相当な部分を農林中金にゆだねざるを得ない。農林中金の場合には既に海外での事業活動も行っております。また、専門家の養成も行っております。証券等の子会社も設立したところでございます。そのような意味でいえば、系統の資金全体の運用におきまして農林中金の系統資金、系統金融における中央銀行的な役割、その運用におきます役割というのは大変重要味を増す、農林中金を中心として今後とも系統金融全体の経営の健全化を図っていく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○星野朋市君 先ほど山日銀行局長が農林中金と信連については不良債権というか問題債権はSEC基準でやるということをおっしゃっていましたね。このSEC基準は、都市銀行その他についても、私はずっとこれを求めているんですけれども、五月末に提出するということになっているんですね。 実は、例の公的資金を導入したときに三行だけSEC基準で出したわけです。残り十五行は間に合わないと言って出さなかったんですね。それで、今度五月末にこれは出すと言っているんですが、私に言わせれば、例の一月十二日に発表した七十六兆七千億、これから主要十八行がことしの三月末に十兆三千億の不良債権の償却をしているんです。それを七十六兆七千億から十兆三千三百億を引いて、なおかつSEC基準で三月末の問題債権は幾らかと言ったら、恐らく九十兆以上の金額になると私は推定しているんですね。これは予算委員会でやろうと思っています。 それと同じ感覚で、実は今は農林中金の問題を問題にしているんじゃないので農協の問題について言いますと、SEC基準とは関係ないんですけれども、先ほど須藤議員がちょっと触れられた岩手県における酪農事業というのは、これは相当いわゆる農業基準というものによって過大投資をさせられて、それで実は、さっき私が一番先に申し上げたように、農民との間に、飼料であるとかそういうものの販売その他が農民がほとんど知らない状態でどんどん加算されている。農民が実際にお金を出して買っているんじゃないんですから、ツケみたいな形でどんどん、それで金利までどんどんそういう形でもって相当なあれがやられちゃったわけですよ。 それで、これを廃業した人たちについての債権というのは恐らく破綻先の債権に入っていると思いますね。ところが、利息を払えないんだけれどもまだ営農しているという人たち、これの取り扱いは恐らくこの問題債権の中に入っていないはずだと、こういうことなんですが、そこについてはいかがですか。
○政府委員(熊澤英昭君) 先ほどちょっと私が間違えて申し上げたかもしれませんが、農林中金につきましてもSECの基準で公表するのは今三月期の決算からでございます。 次に、今お尋ねの点でございますけれども、確かに農協の不良債権につきましては、破綻先債権につきましては一千億以上の貯金量を有する農協については既に公表いたしております。一般の農協につきましては、今三月期の決算から不良債権を公表するということを義務づけておりますので、ことしの五月、六月の総会で公表されるということになるわけでございます。 他方、先生が御指摘になりました破綻した農家の債権につきましては、これは破綻先債権として公表されるということでございますが、営農をしている、その際に利息も払えない、いわゆる延滞債権でございますが、従来の基準ですと六カ月の延滞債権は不良債権として公表されるということになろうかと思いますのであるいはかなりの部分のそういった方の延滞債権は表面に出されてくるのではないかなというふうに考えております。 なお、現在、そうした債権の返済が大変難しいという農家に対しましては、これは資金の種類によりますけれども、負債の借りかえ資金、これは低利なものでございますけれども、借りかえの資金を用意してございますので、特に畜産の経営の場合ですとかなりの部分が借りかえの資金で対応している場合も多々あるのではないかというふうに考えております。
○星野朋市君 ここのところ急速に農協の数が減っていますね。これは合併その他ございますけれども、今の状態で千八百三十三、これを西暦二〇〇〇年には五百三十寸らいにするということは、これからこういう措置も含めて、いわゆる問題になる農協がある程度出てくるのを予想していることも事実だろうと思いますし、それから効率化を図るという意味で合併させていくという両方があると思うんですが、そういうことを含めてこれからの農協のあり方というのを改めて大臣にお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) ちょっと事実関係だけ言わせていただきます。 これまでの農協の合併、これは基本的には系統組織がみずから基本方針を立てて進めておりますけれども、それは必ずしも不良というか破綻した農協の救済あるいは処理ということで進めてまいったわけではございませんが、たまたまことしの四月から早期是正措置が導入されるということで、その際に各県におきまして、これは私ども十分相談をしておるわけですが、経営の悪化している農協あるいは破綻に瀕している農協、そういった農協についてはきちんとやはりそうしたものを表面に出して、経営が立ち行かないものはきちんと不良債権を合併で処理した方がいいということで県も組織と一体となりまして取り組んでまいったわけでございますので、そのような意味でいえば、今回の是正措置を契機といたしまして、全国的に相当経営の悪い農協がきちっと表面化した、そういうメリットがあったかと思われます。 しかしながら、今、五十六の債務超過の農協がございますけれども、そうした意味でのかなり経営の悪化した農協はほぼ表面化したというふうに考えられますので、今後の農協の合併についていえばむしろ健全な農協同士の広域合併が中心になるのではないかというふうに考えているところでございます。
○星野朋市君 終わります。
○菅川健二君 私は、法案に関連して、農協の信用事業のあり方、それから検査体制の問題を中心にしてお尋ねいたしたいと思います。かなりこれまで出ておりますので、若干の重複をお許しいただきたいと思います。 先ほど来お話ございますように、農協の貯金量というのは七十兆円にも及ぶ大変大きな資金量を持っておるわけでございまして、地域の金融機関として重要な役割を果たすべきであるというふうに考えておるわけでございますが、現状から見ますと、これらの資金というものが地域経済の発展のためにどの程度活用されておるのかということになりますと若干疑問を持つわけでございます。 これも先ほど来話がございますように、農協系統の貯賃率が現在三〇%程度であるということからも、他の金融機関に比べましてはるかにその率が低いわけでございまして、地域に十分な資金還元がされていない。それから、極論しますと、農協は組合員や地域住民から貯金の獲得だけに専念しまして、その運用に当たっては、貸し付けにより地域に還元するというよりも上部団体への預け金や有価証券運用により利益を上げることに、専念しておると言ったら語弊がございますけれども、大変それに熱心であると。 そういう状況におきまして、農協は本来、地域金融機関としてもっともっと資金供給といった面で地域に貢献すべきではないかと思うわけでございますが、農林大臣、この点についていかがでございましょうか。
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。 農協系統信用事業につきましては、貯賃率が他の金融業態に比して著しく低いこと等を踏まえますと、今後、資金運用を改善し、六十八兆円に上る農協貯金を融資あるいは有価証券等で農協系統全体として健全に運用していけるようにすることが重要な課題である、こう考えております。 このような中で、地域で集めた貯金を事業資金あるいは生活資金として適切に地域社会に還元していくことも課題の一つと認識しているところであります。土のため、農協につきましては、農業者の相互援助を目的として設立された協同組織金融機関であるとともに、地域住民等への金融サービスの提供等、地域金融機関としての重要な役割を担っていることを踏まえ、地場産業、地方公共団体等を含めて着実に地域社会への融資の拡大を図っていくことができるよう、一昨年の農協法の改正により、一つは指定組合の員外貨し出し規制の緩和、これは百分の十五から百分の二十でございますが、それから第二に員外貨し出し規制の対象外となる地方公共団体等貸し付け条件の緩和等といった措置を講じたところであります。 農協の地域金融機関としての役割はますます増大していることから、協同組織としての性格を維持しつつ、地域経済の活性化に資するよう今後とも指導してまいりたい、こう考えております。
○菅川健二君 ぜひひとつ地域の金融機関として重要な役割を果たしていただきたいと思うわけでございます。 ただ、最近いろいろ報道等を見ますと、農協の中には倒産直前の証券会社に多額の有価証券貸し付けを行ったり不動産業者に多額の貸し付けを行ったり、あるいは私の選挙区におきまして大型ショッピングセンターとかあるいは土地開発事業等を手広くやって大変な不良債権をつくっておるような農協もあるわけでございます。このような実態に目を向けますと、農協は資金を集めるのには大変熱心だけれども、果たして資金を運用する能力がいかがかなという心配もあるわけでございます。 これまでは、御案内のように護送船団方式でいういろな保護を受けてきたわけでございまして、そういった面での収益が出てきたということもあるわけでございますが、これからの金融ビッグバンということになりますと、自己責任の原則によりまして、他業種との間で積極的に生き残り策を講じなければならないという状況にあるわけでございます。 そういった面では、貸し付け体制というものを充実強化しなければ、他の業態の金融機関に食い荒らされる残り物だけを何か拾うようなことになりはしないかと思うわけでございます。 そこで、特に農協の役職員の資質の向上を含めて経営執行体制の強化について農林省としてはどう御指導なさるのか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。 確かに、まさに御指摘のような点が従来から系統金融機関についての批判としてあるわけでございます。 それに対応するために、平成四年の農協法の改正におきまして、実務家の登用を促そうということで員外理事の粋をまず拡大したという経緯がございます。また同様に、昨今の金融情勢が厳しくなる中で、平成八年のいわゆる農協改革二法でございますが、その改革二法におきまして、他の金融業態と同様に役員の兼職・兼業の原則禁止という規制を導入したわけでございます。 また同時に、これは農協独自の経営形態でありますけれども、実務と経営管理を分けてはどうかということで経営管理方式を導入したわけでございます。これはまだなかなか日本になじみがないということで現実に導入はされておりませんけれども、今後こうした経営管理委員会制度も選択肢として採用されるべきであろうというふうに考えられます。 さらに、役職員の資質の向上というのが基本的に重要でございます。これは全中を初め系統の組織、さらには信用事業でいえば農林中金を中心といたしまして役職員の研修の強化を図っているところでございます。 そうしたことによりまして、専門的な知識を有する者の育成に努めるということで、私どもこうした取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。
○菅川健二君 農協の執行体制の強化というのは、特に今の御指摘のようにぜひ図っていただきたいと思いますが、あわせて、やはり他の金融機関でも問題になっておる監査・検査体制の充実というものがどうしても必要ではないかと思うわけでございます。 他の金融機関につきましては、行政検査、日銀の考査、それから金融監督庁による検査等々、充実強化されるわけでございますが、さらに公認会計士あるいは監査法人による外部監査が義務づけられておるわけでございます。 農協系統につきましても、平成八年の農協法の改正によりまして、信用事業を行う組合に対して農協中央会の監査が義務づけられたわけで、この四月以降開始される事業年度に実際に適用になると承知いたしておるわけでございます。ただ、農協中央会の監査といいましても、これは外部監査といいながら、実質的には身内の監査という状態に陥って、やはりなあなあの甘えが出てくるのではないかと思うわけでございます。 不良債権を抱えて経営困難になっている農協につきましても、これまでの中央会の検査がきちっと行われておればここまでは深刻化しなかったのではないかということもあるわけでございまして、外部監査としての中央会の監査というのはもちろん期待するわけでございますが、さらに公認会計士とか監査法人による監査についても進めるべきじゃないかと思うわけでございますが、御見解はいかがでございましょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) 確かに今御指摘がございましたように、平成八年の法律改正によりまして、中央会に公認会計士を必置するという義務を課したわけでございます。その意味でいえば、御指摘のように内部監査ではございますけれども、この公認会計士が中央会の監査機能を強化する、助言をする、場合によってはこの中央会の依頼によりまして監査に参加をする、そういうことでこの中央会の監査を外部監査と同様な厳しいものに制度として高めていくということが基本的に重要だというふうに考えておりますので、そのような方向で指導してまいりたいというふうに考えております。
○菅川健二君 あわせて行政監査というのが非常に重要ではないかと思うわけでございます。農協の経営状況に対する検査は都道府県がその検査職員によって行っておる現状にあるわけでございます。ただ、これも先ほど来申しておりますように、いろいろな違法貸し付けとか職員による貯金の着服とか、あるいはいろいろな形の不祥事が起こっておるわけでございまして、必ずしも検査が十分行われておるかということについてはやや疑問に感じておるわけでございます。 私自身、県で商工関係の部長をやっておりましたときに、県に信用組合の検査権限があるわけでございますが、大体四、五名程度の検査職員がいるわけでございますが、他の行政事務職員と人事異動をしなければならないというようなこともございまして、検査職員に専門家を育て上げるということが県のシステムとしては非常に難しいわけでございます。農政関係につきましても同じようにやはり専任職員をきちっと置いて、しかもそれを定着させて安定した職にしておくということについてはなかなか難しいのではないかというふうに思っておるわけでございます。 そこで、都道府県における農協検査の実態、それからそれに対して今後の強化のあり方について御見解をお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(二木三郎君) お答えいたします。 御指摘のとおり、農協の検査につきましては都道府県知事に委任しているところでございます。都道府県全体では五百人程度の検査員、これは専門家でございますが、により検査を行っているところでございまして、総合農協に対しておおよそ二年に一回検査が実施されておるところでございます。 御案内のとおり、農協につきましては経営環境も厳しく、また農協合併が相当程度のペースで進んでおりますので、都道府県においても農協に対する検査の一層の充実強化を図る必要があると考えておるところでございます。 私どもといたしましても、検査を強化するためには、先生おっしゃったように、専門家を養成する、検査能力を持っている人を養成するという観点から、各種研修の実施等を通じて都道府県の検査官の資質の向上を図るとともに、検査の充実強化に向けまして適切な指導を行っていきたいと考えておるところでございます。
○菅川健二君 今の検査体制の充実ということにつきまして、もちろん研修等が重要でございますけれども、やはり検査員として十分誇りを持って、ある程度年数をかけて、そこで定着をしていく、さらに安んじてその待遇も受けられるというようなことで、ぜひ検査体制の充実ということを図っていただきたいと思います。 最後に、農協の再編の問題につきまして農水大臣に若干お聞きいたしたいと思うわけでございます。 先ほど来、農協合併につきましてはいろいろな見方があったわけでございまして、きめの細かい農業者へのサービスを行うことについては、やはり単位としては非常に小さければそれなりに目が届くということの利点はあるわけでございますが、しかしながら、これから一つの農協を経営体として考えますと、やはりある程度の人員と機能、能力、基盤を持っておかなければならないのではないかと思うわけでございます。 そこで、現実に農協系統においては二〇〇〇年には現在の千八百の農協を五百余りにするということについて全農が中心になって進めておるということはそれなりに評価するわけでございますが、しかし、現状においてはほぼ順調に進んでおるというふうにお聞きしておるわけでございますが、難しいのがだんだん残ってきておるのではないかと思うわけでございます。これから本気になって取り組んでいただくということが要るかと思うわけでございます。 また、あわせて、一つの例でございますけれども、やはり貯金量というのは二千億ぐらい、それから農協の職員が一単位当たり五百人ぐらいというのが適正ではないかという見方もございまして、これは地域によってそれぞれ違うわけでございますが、そうしますとさらなる合併といいますか、そういう事態も要ることも考えられるわけでございます。そういった面で、農水省として一定のガイドラインを示すとか、より一歩進めた形の再編のあり方について御指導していただく必要があるんじゃないかと思いますが、その点についてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(島村宜伸君) 農業、農村をめぐる状況が大きく変化する中で農協系統組織がその役割を的確に果たしていくためには、御指摘のとおり、事業機能の一層の強化と経営の効率化、健全化を図ることが急務であります。 このため、ただいまお触れになりましたけれども、農協系統におきましては、平成十年五月一日、すなわち本年五月一日現在、千八百三十三農協を二〇〇〇年には約五百三十農協に集約する農協の広域合併の推進を図っているところであります。同時に、二〇〇〇年までに県連と全国連の統合の推進、さらには三十五万人体制から二〇〇〇年には三十万人体制とする等、人員の削減、施設の統廃合、業務執行体制の強化等の改革に取り組んでいるところであります。 こうした改革の実効を上げるために、単なる合併を図るだけでなくて、合併農協の目的とすべき機能体制の指標について農協系統において検討しているところでありますが、当省といたしましてもこのような農協系統組織の改革の取り組みに対しまして積極的に指導、支援してまいりたい、こう考えておるところであります。
○菅川健二君 終わります。
○委員長(石川弘君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(石川弘君) 速記を起こしてください。
○伊藤基隆君 大蔵大臣、大変御苦労さまでございます。実は引き続きの質問をしたかったわけですが、こういう質疑になりまして……。 まず第一点は、金融排除の問題について大蔵大臣に御質問申し上げたいと思います。 アメリカ、ヨーロッパで金融革新が進む中で、その一方で金融排除という社会現象が問題になっております。英語でファイナンシャルエクスクルージョンと言うようであります。すなわち、金融サービス取引をめぐるアクセスの機会やサービスの提供に関して、金融機関の側から利用者、預金者に対して制度的、継続的に差別的取り扱いや締め出しが行われ、その結果、社会的差別が起こっているというものであります。 個別の状況については後ほど機会を設けて大蔵当局にお伺いしたいと思っておりますけれども、きょうは総括的な大臣の見解をお伺いしたいわけでございます。 ロンドンにおける金融排除の状況によりますと、近年、賃金の銀行口座振り込みが増加し、銀行口座を持っていることが就職の条件とされていることが多いなど、金融サービスが生活に不可欠の要素となっている、ところがロンドン市内の住民の三二%が銀行口座を持っておらず、その多くは女性、若年層、老年層、失業者、低賃金労働者層ということだそうです。一九九〇年から九五年の間にロンドンの銀行支店数は二百七十一も減少した、銀行支店閉鎖率は貧しい地域ほど高く、支店閉鎖が金融排除を助長している、こういう状況がロンドンで見られておると。 アメリカでも多くの例があるわけでありますが、七〇年代からの自由化による過当競争の結果、国民の四人に一人が銀行口座を持てない事態が発生している、三千ドル以下の預金しかない人は口座が開設できないと。 どういうところで金融排除が起こっているかというと、過疎地域、構造問題業種に依存する地域社会、大都市のスラム街、都市と地方における低所得者層、小口・零細な預金者、投資家、パソコンなど電子機器の使用や金融端末機の使用が困難な高齢者、身体障害者、社会的差別を受けている階層、こういうところに起こっているようであります。 社会的問題に対するアメリカにおける問題点が列挙されていて、それを少し申し上げたいと思いますが、年金の受け取りなど金融ライフラインが喪失されている、割高な金融取引コストの負担がふえている、有利な投資機会やリスク回避手段が喪失されている、起業や技術、技能習得に必要な資金入手が困難になっている、銀行口座を持たない階層を対象とする金融業者や非合法業者への依存などに伴う負担とリスクがふえている、公認金融機関の利用をみずからあきらめて可能性を追求しない自己差別層がふえている、金融差別による所得機会格差による社会的機会の格差が拡大し、階級対立が起こっている、大変な社会的病理現象のような状況が起こっていると。オーバーではないようでございます。 このような金融排除は金融改革の進行の中で必然的に生まれてきたのではないかというふうに思うわけでございます。とすれば、人間社会が長年積み上げてきた社会安定システムが根幹から崩れかねないというふうに考えます。社会の中で安定というのは非常に重要な要素でございまして、政治の役割は社会の安定を図ることにこそあるとすれば、金融改革と同時に進めるべき社会システムの構築が必要ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。 大蔵省はこのことについてどのように分析して、どのような課題があって、どのようにそのシステムの形成を図ろうとするのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(松永光君) 伊藤先生にお答えいたします。 今般の金融システムの改革法を成立させていただいて、そしてそれが施行になってまいりますというと、金融機関はそれぞれがその特性を最大限に生かした経営を行って、そして創意工夫を発揮して顧客のニーズに合致した多様な金融サービスを提供することが可能になる、そういったことからビジネスチャンスの拡大につながっていくものと、こう考えておるわけであります。 今御指摘のような問題が生じるということは、これは大変好ましからざることだというふうに私は思っておるわけでありますが、我が国の場合は地方農山村に至るまで農協もあれば郵便局もあればということで預貯金をするシステムがある、そしてまた金融サービスも提供してくれるというシステムがあります。また、地方の小都市にも小さい銀行等がある、そういうことが日本の一つの特性ではなかろうかというふうに思うのでありますが、そうした地域の金融機関が実は今回の金融システム改革の趣旨を踏まえながら今後とも地域に根差した経営を行って、地域の利用者、すなわち地域の個人または小・零細企業との間に金融サービスを提供する、あるいは預貯金を預かる、こういったきめ細かいサービスの提供に地方の小さい中小金融機関が特化した形での活動をしていくことによって都市の大きな銀行では十分にこたえることのできないような役割を地方農山村の小さい機関が特化した機能を果たしていくことが必要であるし、またそれをすることによって地方の小さい金融機関も活躍を続けていくことができると、こういうふうに私は考えます。それが日本国内隅々に至るまで預貯金の受け取りあるいはまた融資を受けること、あるいはまたそういう金融機関を通じての新たな金融商品の購入とか、そういったことを通じて自分で長年にわたって働いて蓄えた資産のより有利な運用のチャンスに恵まれると、こういうことになるだろうと思うのでありまして、それぞれの金融機関が特色を発揮して、そして活動をしていくという状態になることが望まれることだというふうに私は思っております。
○伊藤基隆君 ただいまの大臣の見解は確かに承りました。後々また詰めていきたいなというふうに思うわけでございます。 さて、金融改革が進む中で、アメリカの経済実務者の分析を引用しますと、光と影の部分があると。光は、資金調達手段としての株式や債券など証券が活用されることになった、投資信託などが急成長して個人の資産運用に積極的な役割を果たしている、この結果、伝統的な金融機関の金融市場における役割は小さくなってきた、デリバティブなどの技術革新が行われた、金融資産取引の速度が加速したと。影の部分としては、金融革新が進んでもリスクが除去されるわけではない、これは当然でございますが、リスクの拡散があって影響が拡大する、金融制度が複雑になって専門家でさえも市場全体を把握できないと。 問題は、小幅の金利変動が資本の大移動を誘発し、為替相場や経済活動に大きな影響を与えるということなどが指摘されております。特に、この資本の大移動がアジアを直撃したわけでありますし、アメリカの好況もアジアの逆説的な現象であって、その将来性への不安な要素が内在していると言わなきゃならないと私は思っています。 世界経済が生産調整の時代から価格調整の時代を経て、今は金融調整の時代と言われておりますけれども、金融調整は実は調整がきかないのじゃないかというふうに危惧するわけです。人はみずから生産した以上に消費することはできないという原理に基づいて経済活動は行われるわけですが、金融を介入させて信用創造をすることによって実態を超えた経済状況が起こってきている。金融機能を含めて、相対的な市場メカニズムというか経済メカニズムを制御不可能にしているんじゃないかというふうに考えます。日本のバブルの発生と崩壊も実はそうした現象の中に入っているんじゃないかというふうに思うわけです。 金融革新をする上で金融当局は、金融の限界とも言われるこういう経済現象に対して、その経済現象が日本の社会システムを大幅に変えてしまう、そのことが国の安全というか安定というものを壊してくるということを私は危惧するわけでありまして、大蔵省がそのことについてどのような予測、予見をして、どのように対応しようとするのか、あるいは全くそんなことは心配することはないというのか、その辺に対する大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 大臣の御答弁の前に。 確かに先生がおっしゃいますように、大変複雑化してまいるこの金融情勢の持つ潜在的な社会的リスクというものの御指摘は大変私どもも重要視しなきゃいけない観点だと思います。 まず、金融機関そのものについて見ますと、金融機関そのものがリスクをうまく制御するノウハウを身につけるということが大切だと思います。前も御答弁申し上げましたが、我が国においては計数的な管理というものがいま一つ不足しているのではないかというふうな感じがいたします。そういった面のノウハウというのが必要だと思います。 それから、私ども行政にとってみましても、システミックリスクというようなものを起こさないための制度的な枠組みを構築しておくということが必要だと思うわけであります。 それから、我が国だけでは対応できない部分があります。これについては我が国と諸外国の金融当局との緊密な連携、いざというときにどう対応するかという備え、そういったものを確立していく必要があろうかと思います。そのための制度整備をやること自体が私どものこれからの重要な行政だと心得ております。
○伊藤基隆君 終わります。
○牛嶋正君 公明の牛嶋でございます。よろしくお願いいたします。 先ほど農協の信用事業について御議論させていただいたときに、貯蓄銀行ということでは郵便局と非常によく似ているというお話をさせていただきました。そして、あわせて郵便局とよく似ている点は信用事業以外の事業も抱えているということでございました。それと関連いたしまして、昭和五十年代の初めに銀行の預金から郵便貯金の方に資金シフトが起こりました。そのときに全銀協の方からイコールフッティング論が出されたわけです。私は、このイコールフッティング論というのは戦後の日本の金融問題の本格的な問題が起こってくる先駆けではなかったかなというふうに思っておりまして、そういう意味で、今ここでもう一度この問題について振り返ることは決してむだではないのではないかというふうなことで御質問させていただこうと思っております。 まず最初に、イコールフッティング論の内容について改めて確認したいと思いますので御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 全銀協からのイコールフッティング論は、主として法人税の納付等の応分の負担をやってほしいというふうなこと、それから収入、経費等の内容や事業ごとの分担についてのディスクロージャーの拡充をやってほしい、そういったものであったというふうに承知しております。
○牛嶋正君 いずれにしましても、そういう形で税制面でも一応イコールフッティングではない、競争条件が郵便貯金の方が有利だというふうなことだったと思うんですけれども、このイコールフッティング論に対して、これは全銀協と郵政省の問題ではありますけれども、金融行政の担当者としての大蔵省としてはこの場合レフェリーの役割を果たさなきゃいけないわけですけれども、どういうふうにこの問題を調整されてイコールフッティングの条件を整えていかれたのか、この点について説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 全銀協のこういった主張と、それから郵政省が担っている、特に郵貯が担っている役割というものとの関係をやはりできるだけ整合的なものにしなければいけないという問題意識は常にあるわけでございまして、郵便貯金について言いますと、これはまさに郵便貯金法第一条に書いてありますような「簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、」云々、この精神を生かしていくという考え方、一方、全銀協からの先ほどのイコールフッティング論に見られますように、金融市場という民間が担っているものとどう郵貯の活動を整合的にするかということの調和点をどうするかということに私どもも腐心したわけでございます。 具体的に言いますと、例えば金利の設定ルール等をやはり民間の金利と整合的な形でルール化しようというようなことをやったわけでございます。以前はただただ対立しているという形の関係ではございましたけれども、今はそういった民間の市場ルールにいかに整合的にしていくか、こういった形での調整をやらせていただいておるということでございます。
○牛嶋正君 その場合、私は二つの方法があると思うんですね。いわばイコールフッティングでない、一方の方がげたを履いていて、それをイコールフッティングにする場合に、げたを脱がせる方法ともう一方の方にもげたを履かせる方法があると思うんですね。 今の説明を聞いておりまして、どうもそこのあたりがちょっとまだ私としては理解できなかったんですが、今私が申しましたようなげたを脱がせるのか履かせるのかということ、その後の金融行政とかなり関連をしますので、そういう比喩の仕方がまずいのかどうか知りませんけれども、レフェリーとしての役割を果たさなければならなかった大蔵省としてこのイコールフッティングの条件をどのように整えられたのか、もう一度御説明いただきたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 確かに先生の比喩というのは非常に的確でございますけれども、一方で郵貯の持っている性格、これは官業であるというものからくるおのずとそのげたがあるのかないのか、履くとか脱ぐとかいう議論をしていいのかという議論があると思うんですね。 それからもう一つは、やはりあまねく公平に簡易で確実な貯蓄の手段ということから限度額も設けてございます。いろいろな形で、げたを履くにしても、そのげただけの比較ではない問題があるわけでございまして、そういったものを総合的な関係からいるいろいろんな御意見があることはよく承知しておりますけれども、まずできるところ、できるものからそういった調和点を図っていくというのが現実的な解決だろうと思っているわけでございます。
○牛嶋正君 私、なぜそういうことをしつこくお尋ねしたかと申しますと、前に護送船団方式の議論をさせていただいたときにそれなりの御回答をいただいたわけですけれども、私は護送船団方式の一つのきっかけがここにあったのじゃないかと。そして、あの当時の大蔵省と郵政省の対立から考えて、私は全銀協の方にげたを履かされたのではないかと。そのことがずっと後に金融行政を展開される場合に一つの制約になってきているような感じを受けたわけですが、これは私の危惧かもしれませんけれども、そういうことがありましてちょっとしつこく質問をさせていただきました。 もう一問しかできませんので、最後に大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。 私がきょうこの一連の質問をさせていただくに当たりまして、最初にこういう観点から質問させていただくということを申し上げました。それは、平成八年度末の農協の集められました貯金額というのは六十七兆六千九百六十三億円ですが、これは民間金融の預貯金額の中で一八%も占めているんですね。だとしますと、ここをどういうふうにするかということで我が国の安定した金融システムができるかどうかということにかなり大きな影響を与えると思うんですね。それから考えますと、本当に二十一世紀の安定した金融システムを構築していくに当たりましては、もちろん公的金融のところも大事ですけれども、ここの部分もやっぱり看過できないのではないかというふうに思いますが、最後に大蔵大臣のこの点についての御見解をお尋ねして、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(松永光君) 信用事業を営む農協、これは農業者と組合員に対して金融サービスを提供する協同組織金融機関であるとともに、その地区内の住民あるいは地方公共団体等に対しても金融サービスを提供する地域金融機関としての役割も果たしているというふうに承知しております。したがって、農協は我が国金融システムの一部を構成していることからも、その安定した金融システムの確立に当たっては他の協同組織金融機関と基本的には同様に経営の健全化のための措置を図ることが必要と考えております。 こうした観点から、早期是正措置を他の協同組織金敵機関と同様に導入し、現在御審議中の法案においてもディスクロージャーや財務諸表の作成等について他の協同組織金融機関と同様の措置を講じることになっておるところでございます。
○菅川健二君 大蔵大臣、お疲れさまでございます。せっかくの機会でございますので、若干本題と外れますけれども、一問だけ大蔵大臣にお聞きいたしたいと思います。 このたびの総合経済対策におきます公共投資についてでございますけれども、特に地方団体との対応が可能であるかどうかについてお聞きいたしたいと思います。 国、地方を合わせて七・七兆円に及ぶ社会資本の整備が行われることになるわけでございまして、その効果的な実施が必要であるわけでございますが、このうち公共事業の大半、恐らく九割以上だと思いますが、それと地方単独事業の一・五兆円の事業は実際は地方団体が行うということになるわけでございます。 これを地方団体サイドから見ますと、仮に社会資本整備というものが大変重要であるということを認識するにいたしましても、既に地方団体におきましても国の当初予算、いわゆるデフレ予算に合わせまして七%減の公共事業、それから地財ベースで四%減の地方単独事業、これは現実には財源難のために都道府県でいえば七・五%減の予算計上にとどまっているようでございますが、そういった事業につきまして何とかやりくりをつけて当初予算に計上して、執行体制、人員ともそれに合わせて減量体制を引きまして四月から事業実施を始めたばかりでございます。 こういったやさきに急にまた公共事業、単独事業の積み増し施行を実施せよということになりましても、効果的な事業があるかどうか、それから事業執行体制がとれるかどうか、また公共事業の地方負担額、それから単独事業の財源の手当てができるのか、まさに適当な玉なし、人手なし、金なしというないない尽くしてございまして、こういった中で地方団体は現在非常に悩んでおるところでございます。まさに国の、橋本内閣のダッチロールの経済政策が地方団体を翻弄しておるというような状況ではないかと思うわけでございます。 国がこういった形で景気対策を地方団体に要請する以上、国が責任を持って財源措置をするということは当然のことでございますが、あわせて地方が十分に公共事業あるいは単独事業を実施できるような環境を整えるということが重要ではないかと思うわけでございます。 そういった点につきまして、大蔵大臣の配慮をお願いいたしたいわけでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(松永光君) 現在の極めて深刻な経済状況、景気の状態、こういったことから速やかに脱出することができるように、そういう考え方で総合経済対策を講ずることにしたわけであります。この場合、地方公共団体も言うなれば我が国の公経済の、国と地方公共団体は車の両輪であるという考え方のもとに、地方単独事業等を通じて地方公共団体にも御協力をお願いしながら公共事業の執行をやっていただく、こういうふうにしたところであります。 この公共事業及び地方単独事業の追加分の円滑な実施が図られるよう地方交付税を四千億円増額することとするなど、地方団体の財政運営に支障が生じないよう適切に措置をして、そして予定しておる公共事業や地方単独事業が執行されるように措置をしたところであります。 いずれにしても、先ほど申したとおり、国と並ぶ公経済の車の両輪として、今後とも経済対策の必要性、地域経済を下支えし、その地域の活性化に少なからざる役割を果たすのが地方公共団体の行う公共事業でもあるわけでありますので、その点に理解をしていただいて対応を図っていただくよう期待をしておるところでございます。
○菅川健二君 ひとつ自治大臣とも十分協議の上、公共投資が所期の効果を上げるように全力を挙げていただきたいと思います。 以上でございます。
○委員長(石川弘君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 第一に、貯金者保護のため、財源に十分な責任準備金を持っている貯金保険機構の借り入れに対し、政府保証をつけるという点であります。 財政的に心配ないことは、つい半年前の審議でも本日の審議でも農水省がはっきり言明しています。あえて必要のない中で、国民から大きな批判を浴びた大銀行への公的資金を投入した仕組みを農水産業の金融機関に持ち込むものであり、国民の合意を得られることはできません。 第二に、劣後ローンの供与や不良債権処理の促進は、金融ビッグバンに備えた農水産業協同組合の整理、再編、広域合併化のためであるという点です。 我が党は、金融ビッグバンは、金融規制の全面緩和と自由化によって日本経済と国民生活に重大な影響を与え、中小金融機関の整理、淘汰をするものであり、反対です。特に、協同組合金融にあっては、その自主性を尊重すべきで、一律な早期是正措置や業務停止の発動は慎重を期すべきであります。 最後に、農漁協の経営の困難は、輸入自由化、新食糧法、価格保証の後退など、国の政治の反映です。食糧自給率向上、日本農業・漁業の振興を図ることが農漁協金融、貯金者保護に通じることを指摘して、反対討論を終わります。
○委員長(石川弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、久保君から発言を求められておりますので、これを許します。久保亘君。
○久保亘君 私は、ただいま可決されました農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合、自由党及び改革クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改 正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 本法の運用に当たっては、貯金者の保護という視点を明確にしつつ、経営困難な組合の合併や経営再建等に活用するよう十分指導すること。 また、貯金保険機構は、安易に政府保証債務の履行が行われることのないよう適切な運営に留意すること。 一 貯金保険制度と相互援助制度は、それぞれの目的に応じた役割分担を踏まえ、両々相まって貯金者保護に資するよう両制度の適切な運用に留意すること。 一 貯金保険機構の資金援助等に当たっては、安易な救済措置につながることのないよう留意するとともに、機構は、資金援助等の決定の経過、理由等の概要を公表すること。 一 早期是正措置に基づく自己資本比率改善計画の合理性、実行の確実性を適正に判断するよう都道府県に対し適切な指導を行うとともに、自己資本比率の充実への対応が貸し渋りにつながらないようきめ細かい指導を行うこと。 一 経営困難な組合の役員等の経営責任を明らかにするとともに、不良債権及び経営実態に関する情報開示の一層の充実が図られるよう指導すること。 一 農漁協経営の健全性を確保するため、行政検査及び監査体制の一層の拡充、強化を図ること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
○委員長(石川弘君) ただいま久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、久保君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、島村農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。島村農林水産大臣。
○国務大臣(島村宜伸君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
○委員長(石川弘君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(石川弘君) 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案の四案を一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。松永大蔵大臣。
○国務大臣(松永光君) ただいま議題となりました金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案、特定園的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、我が国内外の社会経済情勢の変化に即応し、諸外国との調和を図りつつ、自由かつ公正で内外の利用者に資する金融システムを構築するため、証券取引法、証券投資信託法、銀行法、保険業法等関係法律の整備等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、投資者の多様化するニーズにこたえ、国民のよりよい資産運用を可能とするため、証券投資法人制度の創設や私募投資信託の導入のほか、金融機関に証券投資信託の受益証券の募集の取り扱い等を可能とする等の措置を講ずることとしております。 第二に、活力ある仲介活動を通じた魅力あるサービスの提供を可能とするため、証券業について現行の免許制を原則登録制に改めるとともに、その専業義務を見直し、幅広い業務を行うことを可能とするほか、株式売買委託手数料の完全自由化、保険会社と銀行及び証券会社との間の相互参入の促進等の措置を講ずることとしております。 第三に、投資者や資金調達者にとって多様な市場や取引の枠組みの利用が可能となるように、証券業協会が開設する市場を店頭売買有価証券市場と定義し店頭登録市場の機能強化を図るほか、いわゆる私設取引システムを証券業として整理する等の規定整備を行うこととしております。 第四に、利用者が安心して取引を行えるように、企業内容の開示を連結主体に移行することや金融機関及び証券会社に説明書類の公衆縦覧を義務づけること等のディスクロージャーの充実、公正取引ルールの整備や銀行及び保険会社の子会社の範囲の明確化並びに破綻の際の備えとしての投資者保護基金及び保険契約者保護機構の創設等の措置を講ずることとしております。 次に一特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案及び特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、証券の発行による資産の流動化が資産保有者の資金調達の円滑化、投資商品の多様化等に資することにかんがみ、特定目的会社が業として特定資産の流動化を行う制度を確立するとともに、発行される証券の購入者等の保護を図ることにより、一般投資者の投資を容易にすることとし、これらの法律案を提出した次第であります。 以下、これらの法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案につきましては、特定資産の流動化をその業務とする特定目的会社を新たな法人として創設し、特定資産を裏づけとした有価証券を発行する仕組みを創設するとともに、投資者等の保護を図るため、コーポレートカバテンス機能を活用した措置等を講ずることとしております。 第二に、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきましては、特定目的会社が発行する優先出資証券及び特定社債券を証券取引法上の有価証券に位置づけるとともに、これらの取り扱いを証券会社のほか銀行、保険会社等の金融機関にも認める等の措置を講ずることとしております。 次に、金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、特定金融取引の決済の安定性の確保と取引の活性化を図ることにより、我が国の金融の機能に対する内外の信頼の向上等に資するため、本法律案を提出した次第であります。 本法律案は、銀行、証券会社等の金融機関を一方の当事者とするデリバティブ取引等について、当事者の一方が倒産した場合、当該取引に関する多数の債権債務を一括して清算した後の一本の債権を破産手続または会社更生手続上の債権として取り扱う旨を規定することにより、いわゆる一括清算ネッティング契約の法的有効性を明確化することとしております。 これらの法律案は、金融システム改革の一環として金融の基本的枠組みの整備を図るものであります。 以上が四法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(石川弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 四案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時十九分散会 —————・—————