財政・金融委員会 第4号
- 発言数
- 247 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/02/12
会議録
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十日、牛嶋正君、齋藤勁君及び笠井亮君が委員を辞任され、その補欠として荒木清寛君、岡崎トミ子君及び山下芳生君が選任されました。 また、本日、中原典君及び菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として松浦孝治君及び今泉昭君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(石川弘君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(石川弘君) 預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保亘君 大蔵大臣、この「金融に関する緊急対策について」という国民向けに出された大蔵省のパンフレット、御存じでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 私が衆議院の予算委員長をしている当時にそういう資料がつくられまして、そして国会議員等に配付されておるという事実はよく承知しております。
○久保亘君 それでは、このパンフレットに述べられていることを念頭に置きながらお尋ねいたします。 今度の金融システム安定のための法案の中で金融危機管理勘定から整理回収銀行への貸し付けが必要となる仕組みが提案されておりますが、この金融危機管理勘定と名づけられる金融危機というのはどういう状況をお考えになっておりますか。
○政府委員(山口公生君) 金融危機は、一言で言えばシステミックリスクという表現をさせていただいております。 例えば、昨年の十一月から十二月にかけての株価下落がきっかけになりました危機でございますが、当時、危機の報道が盛んになされまして、ある銀行では窓口に預金の引き出しの列ができました。コール市場ではすくみ現象が生じまして、金融市場で必要者どころにお金が回らないという現象が生じました。 また、海外でも、これはアジアの金融機関等も同じでございましたけれども、外貨の調達が非常に困難で、ジャパン・プレミアム一%を出しても資金が取りづらくなったというような現象が起きました。 こういった現象は、ひとり金融界のみならず、不安が不安を呼んでこれが極端な貸し渋りの現象につながり、経済として大変危機的な状況を招来しかねない状況になったわけでございます。そういったようなことがさらに続くようなことが現出しますと、これは経済全体が大変な危機的な状況というようなことかというふうに存じております。
○久保亘君 このパンフレットは預金者の保護を中心に金融システムの安定化のための緊急対策ということで出されておりますが、この中に今あなたが述べられたような事態は私たちの生活を守っていく上であってはならないことである、したがってその事態を未然に防ぐための用意をしておくことは不可欠だからこのシステムの安定化を図るんだということが書いてあるんです。そして、その前の方には、何よりも預金者の保護のために、それから企業活動や雇用のためにということで、未然に金融危機を防ぐ、その用意のためのシステム強化だということでやられておりますが、これを見ますと、何か全く責任のない立場から国民に向かって説教をされているような感じがするんですが、そうではなくて、あってはならないことを未然に防ぐということではなくて、現に起こっている事態に対してどのように緊急に責任ある対策を講ずるかということなのではないでしょうか。いかがですか。
○政府委員(山口公生君) 現に起こっていることに対する対処ということも一つの大切な要素だと思いますが、特に金融におきましては不安が不安を呼ぶ、あるいは萎縮した行為がますます萎縮した行為につながっていくという側面を持っているということを考えましたときに、例えば直近でいいますと、次の三月期の決算を心配して企業も金融機関も大変に行動に慎重になり過ぎてきているというようなことも起こり得るということで、そのための用意をさせていただくということでございます。 それから、破綻にしましても、大きな破綻を起こさないように最大限努める必要はございますけれども、万一そういう場合にも預金者の方々がそれを心配の余り必要のない資金移動を、預金の移動をなさるまでの行為をおとりにならなくてもいいですよという形での安心感を与えさせていただくための措置だというふうに考えておるわけでございます。 しかし、先生がおっしゃいましたように、現に起きている状況、例えば極端な貸し渋りの現象等がやはり金融活動のいろいろな萎縮状況からきているとすれば、それはそれとして対応をしていくべきものだというふうに考えております。
○久保亘君 やはり、現に起きている状況、さらにこれから予想される状況について対策を講ずる場合には、なぜそういう状況が起きているかということに対する責任を明確にするということがとても重要なことだと私は思っております。 このパンフレット全体を通して見ますと、日本政府が破綻から預金者である国民を守ってやるんだ、そしてまた破綻を生じさせないために銀行を守らざるを得ないんだ、そのことのために必要な公的資金の投入が重要になってくるという、そういう論理の組み立てになっているように思うのです。 それでは、私は具体的にお尋ねしたいことがあります。 九六年の六月に成立いたしました預金保険法の改正案と今回提案されております預金保険法の改正案で、預金者の立場から見た場合にどこが違っておりますか。
○政府委員(山口公生君) 預金者の立場から申し上げますと、前回の預保法の改正におきましても全額を保護し得る体制をお認めいただきましたので、預金者からだけ見た場合には、そこは仕組みとしては今と変わらない、今回御提案申し上げているものとは変わるものはございません。
○久保亘君 そうだと思います。 あのときも二〇〇一年の三月末までは預金は全額保護されるという立場で法改正は行われました。今回も二〇〇一年三月末までは全額保護される、それ以後は一千万を限度とするということについても同じでございます。預金者の立場からは今回の改正案と前回成立いたしました法改正とは何も変わりはない。 どこが違うかというと、その必要な財源をどう予測するかという点において違いがあると思うんです。そして、その予測される必要な財源の確保の仕方が違う。今回はそこへ公的資金の投入の可能性を十七兆円設定するということが大きな違いだと思うんですが、そのとおり理解してよろしいですか。
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおりだと思います。
○久保亘君 そのようになってまいりますと、今回の改正はいろいろと預金者の保護ということがうたい文句にされておりますけれども、実際はそのための公的資金の投入の総枠を十七兆、破綻処理を入れますと三十兆設定をするというところに法改正の大きな目的があるんだろうと思っております。 そこで、今度は具体的な内容についてお尋ねしたいのでありますが、預金全額保護のための特別資金援助の必要な額はどこでどなたがお決めになるんでしょうか。つまり、預金保険機構が可能性として持たされた公的資金の投入枠を実際に整理回収銀行や受け皿金融機関に対して投資していく場合のその金額の決定というのはどこで、どなたがおやりになりますか。
○政府委員(山口公生君) 預金者保護のための特例業務勘定でございますが、これは、例えば北海道拓殖銀行が破綻しましたが、債務超過額というのは今八千四百億という数字になっておりまして、少なくともそれ以上の額がロスとして生じるという見込みでございます。そうしますと、北洋銀行の方が受け皿銀行になって営業譲渡を受けてくれますが、そのロスまでは受けてくれ層せんので、それにつきましては、預金保険機構の運営委員会におきましてそのロス額を、資金を贈与する、金銭を贈与するということを決めます。 それから、それだけではなくて、また不良債権、つまり北洋銀行が受け取っていただける債権、貸国債権等はそのまま北洋銀行に行きますが、受け取っていただけない債権がございます。これは不良債権と決めつけるわけにはいきませんけれども、恐らく不良債権でしょう。それは預金保険機構、または整理回収銀行が時価で買い取るということになります。それは預金保険機構の運営委員会で決定するというふうに仕組みがなってございます。 そういうことによりまして、破綻の処理がロスの穴埋めと必要な資産の買い取りという形で預金保険機構の中で処理されていきます。その結果、預金者は全額保護されるという仕組みになるわけでございます。
○久保亘君 私がお聞きしているのは、十七兆の特別資金援助を行う枠が特例業務勘定として決まっておりますね、その中から幾ら出すかというのはどこで決まるのかということで、それは運営委員会が決めるんですか。運営委員会が決めるということでありますならば、どういう判断に基づいてその金額が決まってきますか。
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。 幾ら出すかということにつきましては運営委員会で最終的に決定されますが、特例業務でございますので主務大臣の、今は大蔵大臣、いずれは監督庁長官でございますが、その必要性の認定等の法律上の行為があって、それで運営委員会にかけられて決まるわけでございます。最終的には検査で幾らがロスで金銭贈与に必要な額ということを決めるわけでございます。 そうすると、先生の御指摘は恐らく十七兆円全部そこへつぎ込むのかという御趣旨かなと思いますが、二〇〇一年三月までの期間の特例業務でございますので、それにつきまして破綻が生じ、それに対するロス埋めで、しかもペイオフコスト分を除く部分がいわゆる特例業務の部分でございますから、その部分に必要額が七兆円の方から充てられるということでございます。 十七兆円は、七兆円の分が国債でございまして、十兆円が日銀等からの借り入れの政府保証でございます。七兆円は交付国債の形で渡してありまして、それが保険料でもってもまだ賄い切れない場合は国の方へ償還をお願いするわけです。そうしますと現金化できます。その現金化されたものでその穴埋めをその都度やっていくということになるわけでございます。 十兆円の方は、先ほど申しましたような買い取りのためのファイナンスとかそういった資金繰りのための資金でございまして、この十兆円の方がロスの方に充てられるということはございません。七兆円がそのロス埋めのための財源で、もちろん七兆円を全部使うということはないと思いますが、必要な部分は現金化をしてそこに充てられるという仕組みでございます。
○久保亘君 私もそこはよくわかっておるんです。 それで、私がお聞きしているのは、整理回収銀行や受け皿金融機関に贈与される金額というものをどこで決めるのかということをはっきりしたかったのと、それから、改めてお聞きいたしますが、二〇〇一年三月末までの時限措置でありますから、二〇〇一年の三月といいますと今から約三年後であります。三年たちましたときには、そのときまでにどれだけ贈与されたか、それからまた整理回収銀行によってどれだけ回収されたか、そういうものを一切清算した上、その清算に伴う残金は国庫に返納される、こういう仕組みだと思いますが、そのとおり理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(山口公生君) 先生がおっしゃいましたように、二〇〇一年三月までの特例的な措置でございますので、その後必要な期間があると思いますが、業務はそこで終わっておりますからあとは清算業務でございます。その穴埋めをして、それで国債の形でまだ残っているものはすぐその国債を戻します。そうすると、償却をされてしまうということでございます。もし、そこで余りや、例えば時価で買い取ったものが地価等が少し上がりかけて回収がより進みましたというような場合におきましては、それは国庫へお返しをするということになると思います。 したがって、大きく言えば、今、先生の御指摘のような仕組みにしてございます。
○久保亘君 そのときに清算によって生じた損失は、これは贈与されたものでありますから当然財政支出として残る、こういうことになりますね。
○政府委員(山口公生君) おっしゃるとおり、支出して使ったものは財政支出ということになるわけでございます。
○久保亘君 次に、金融危機管理勘定の方の三兆の交付国債と十兆の政府保証による日銀融資についてでありますが、これは整理回収銀行に貸し付けられることになると思います。整理回収銀行に貸し付けられると整理回収銀行が金融機関の発行する優先株や劣後債を引き受けるということになりますが、まず最初にお聞きしておきたいのは、この引き受けた優先株や劣後債も二〇〇一年の三月末をもってすべてこれは償還されるということでよろしゅうございますね。
○政府委員(山口公生君) これは優先株等、「等」と言いますと劣後債、劣後ローンでございますが、あるいは優先出資というのもあり得ますが、これの引き受け等をやる期間が二〇〇一年の三月まででございます。 したがって、もちろんその間に市場がよくなって売却をしたということも例としては出てくると思いますが、二〇〇一年三月ですべてそういったものを整理回収銀行が手持ちにないようにするという意味ではございません。そういった引き受け行為をするのが二〇〇一年三月まででございます。したがって、場合によってはそれを超えて適切な期間に優先株を売却して回収をするということが想定されております。
○久保亘君 それでは、この優先株や劣後債の発行条件というのは発行する金融機関によって決められるのですか。こういう特例的な優先株、劣後債の引き受けというのは引き受ける側との協議によって決まるんでしょうか。
○政府委員(山口公生君) 引き受けるか引き受けないかも最終的には審査委員会が決めるわけでございます。したがって、発行条件につきましても、もちろん発行体の方の希望もありましょうけれども、最終的には審査委員会が審査をして決めるということになります。
○久保亘君 株式の発行や社債の発行などでその発行条件というものを引き受ける側と協議して、今度の場合でいいますと審査会が決めるというようなことでよろしいんですか。
○政府委員(山口公生君) 先生のおっしゃいます趣旨が発行条件を決めるのがだれかという意味でありましたら、それは銀行でございます。 それで、私が申し上げておりますのは審査委員会がそれが適切かどうかということの審査をするという意味でございますので、その辺ちょっと私の言い方が正確でなかったかもしれませんが、発行条件自体は発行体が決めるわけでございます。
○久保亘君 もともと優先株とか劣後債というのは企業が資金調達を市場でやるために発行するものであって、今度のこのような特例的な優先株の発行を引き受けるというようなことが先例として幾つもございますか。
○政府委員(山口公生君) 先生がおっしゃいますように、もともと金融機関は、増資するにしろ債券を発行するにしろ、それはマーケットで調達をするものでございます。現実に優先株の発行状況はこれまで九件ございまして、累計で九千百二十六億円、それから劣後債や劣後ローンなどの負債性の資本調達、これが九年九月末現在で残高が十四・四兆円ございます。現に市場でも調達は行われているわけでございます。 しかし、こういった政府機関といいましょうか、整理回収銀行あるいは預金保険機構が、通常のマーケットの外からそういったものに資金をファイナンスするということはこれまではないわけでございます。 諸外国では、米国でRFCという形でフーバー、ルーズベルトのころに一回大々的にやっております。それから、最近ではヨーロッパの北欧の三国でやはり金融不安が起きまして、そういったことをやっております。 それで、もともとマーケットで調達をするものをどうしてこういった形でやるかということが御議論の中心だと思うのでございますけれども、非常にそういったものの調達が難しくなっているという状況があるわけでございます。つまり、金融市場のすくみ現象といいましょうか、本来なら金の足りないところが金の余っているところからいろんな形で融資を受ける、あるいは資本市場で若干条件をよくすればすぐそういったものが売りさばける、あるいはお金の余っていると思われる保険会社等がすぐそういった劣後性のローンを出してくれるという状況でありますればこういった仕組みに頼らなくても貸し渋り現象等を起こさないで済むわけでございますけれども、現にそういった機能が非常にすくみ現象を起こし、それがうまくいっていないと。 せんだって新聞にも出ておりましたけれども、大手の某銀行がアメリカの市場で優先株を出すというニュースがありました。ただ、ロットが非常に小さい。これはアメリカの市場でしか出せないし、また格付が相当高いのが条件であり、また条件をかなり上乗せしてようやく調達ができるというような状況でございます。そういった状況のときに、市場のすくみ現象にちょっと力を与えてあげるということが必要ではないかと。 一方で、三月末を控えて各銀行はのどから手の出るがごとき資金が欲しい、あるいは自己資本を引き上げる手段が欲しいと。それがラッシュしますと、ますますそういったことが難しくなるというような状況にあるということでございます。
○久保亘君 大臣、政府が、政府と申した方がいいと思いますが、政府が資金を使って企業の優先株や劣後債を多量に引き受けるというやり方は、金融改革の方向から見るならばこれに逆行する、いわゆる俗に言われてきた護送船団方式を政府が改革のさなかにみずからやるということにならないだろうか、私はその点、このことのよしあしはまた別に論ずるとして、これ自体はそういうことにならないかということで非常に疑問を持っておりますが、いかがですか。
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。 市場が極めて正常な状態で作動しているような場合には、先生御指摘のように、公的資金云々ということは考えなくてもいいんじゃなかろうかというふうに思いますが、現在の我が国の状況、先ほど局長もお答えいたしましたけれども、市場の活動も萎縮しているという状態、そして一方、我が国の金融システムについての内外の信頼も相当低下しておる、こういう特別の状況のもとでありますから、この状況から早く脱却していくための緊急的な措置だというふうに私は理解いたしております。 しかしながら、護送船団方式というのを温存させるわけにはいかぬわけでございますから、そこで銀行側が、民間側が優先株等の発行引き受けの申請をなさる場合には、その前に審査機関で条件を決めてそれを公表して、そしてそれに基づいて申請をしてもらうということが一つ。もう一つは、著しく経営の悪いような銀行等は対象外にするとか、あるいはまた申請をする場合にはその民間機関が経営の改善計画をきっちり定めてそれを提出する、そういったことを条件がそろった上で公正な審査機関が厳正、公正に審査をし、かつ審査の議事録も公表し、そしてまた閣議で決めて行うということでありますから、私は護送船団方式を温存するような形にはならないものと考えておるわけでございます。
○久保亘君 今、市場のことを言われましたが、最近の報道によれば、市場における企業の発行いたします社債は空前の発行量になっているんじゃないでしょうか。そういう中で、なぜ政府が企業の劣後債を引き受けなければならない状況があるのだろうか。株式についても、報道されるところでは、東京三菱を初めとして自社株を買い戻して消却するという状況にあるときに、なぜ市場に特別な配当を行う優先株が売り出されなければならないのか、この点については金融の問題として非常に疑問が残るわけですが、どう御説明になりますか。
○政府委員(山口公生君) 最近、資本市場におきまして企業が社債にラッシュしているという報道がございます。これは、一方で企業が自己防衛といいましょうか、貸し渋りに対する自己防衛のために資金を手厚く取ろうという動きだと思います。 ただ、我が国の社債市場はかなり優良企業でないとなかなか出せないという事情もございますし、社債市場全体のキャパシティーといいましょうか、広がりというものにもそれぞれ限界がございます。金融機関におきましてはいろいろな自助努力はもちろんすべきだと思います。すべきだと思いますが、これが三月期末の株価等をにらんだときにそういった努力だけでは不十分だと。先ほどアメリカでの優先株の発行の例も申し上げましたけれども、これはこれで自助努力として評価すべきだと思うのでございますけれども、それだけでこの危機を乗り越えられるのかという問題があろうかと思うわけでございます。 それから、先ほど優良銀行のお話がございました。優良銀行におきまして自助努力によって対応できればそれにこしたことはないのでございますけれども、仮に優良銀行とはいえ、先般見られたような外貨調達の困難な時期という側面におきましては、かなり窮地に陥ったとまではいかないにしても、相当な緊迫感を持って外貨調達に走ったということがあります。 それからもう一つは、一行一行で見たときにはそういった外貨調達の問題が辛うじてクリアされても、もし他行でそういった事態が起きたときに、肩がわりを迫られるというときにその対応力がないということも言っておりました。だから、優良銀行だからといって全くこういった金融危機の対応の対象外に最初からしてしまうということは、やはりこの法の趣旨からいうと、そういうことではないのじゃないかと。つまり、全部の金融機関がそういった萎縮現象を起こした場合ということもいろいろあり得るということは頭に置いておく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。 金融機関は、自己資本比率が仮にある程度の高さにあっても、例えば株価の状況によってはそれが大変に資金調達に困難を来す、ひどいときには黒字倒産、資金繰り倒産をしてしまうということだってあるわけでございますので、その点をやはり考慮に入れておくべきことであろうと思います。ある大手の銀行が仮に黒字倒産にしろそういう破綻をしますと、この間、私は他の委員会でお聞きしたんですが、九百万人ぐらいの雇用に影響が出るという試算もあるということでございますので、そういった意味では大変な危機管理の必要な要素をはらんでいるのじゃないかと思うわけでございます。
○久保亘君 先ほど大臣が、この優先株等の引き受けに当たっては企業の業績が将来どうなっていくかというような問題を含めて経営の状況について報告を求めていくということでございましたが、そういうものが審査の対象となってまいります場合に、これは優先株の引き受けを決定いたしました場合には、これらの審査の対象となった調査資料等はすべてこの資金の負担者である国民に向かって報告される、発表される、このように解してよいかということ。それからもう一つは、発行条件について審査会がこれをのむかどうかを決める権限を持つということでありますならば、通常の株式に比べてどの程度の配当の上乗せで優先株の引き受けに応ずる考えなのか、その点を説明してください。
○政府委員(山口公生君) 今回、法律にもできるだけの透明性を確保するための規定を置かせていただいておりますが、まず審査基準というものを審査委員会でお決めいただいてそれを公表するということをいたしております。それから、その審査の前に計画書を出していただく、つまり金融機関がどういうふうな健全化のための計画をするかというのを出してもらって、それも審査をしてもらうということであります。それから、議事につきましても、まず議事概要を公表するということにいたしておるわけでございます。ただ、先生のおっしゃった資料すべてと言われますと、その中には例えば個別の取引の話とかいろいろなことがあるかもしれませんのですべてというわけにはいかないと思うのでございますが、そうした出された計画あるいは審議の概要、後ほどでは審議の議事録、これも公表するということにさせていただいておりますので、その辺は明らかな形になっていくというふうに思うわけでございます。 それから、発行条件についてどの程度上乗せをすれば認めるかということにつきましては、これはその時々の状況、いろいろ考えるべき要素が多いと思いますので、審査委員会の先生方が例えば民間のアナリスト等に十分に聞いた上でやはり御判断をされるというふうに思うわけでございまして、何%でなければ受けちれ広いということを今決めるのは、その時々の情勢を判断する必要があることからいうとちょっと無理があるかなと。しかし、いずれにせよそういった条件も明らかになるわけですから国民の皆様の目にそれはきちんと映る、そういう透明性を確保するということになるわけでございます。
○久保亘君 一般の株式を所有している投資家の場合でも、実際には議決権を行使しない人はたくさんいるわけです。しかし、この人たちから見ると、こういう政府の金融システム強化策によって配当率が高い優先株が発行されるということは一般株主にとって非常に利害に影響が出てまいります。したがって、この決定は当然に議決権を持つ株主たちの意見というものが反映しなければいけないものだと思いますが、その点はどう思っておられますか。
○政府委員(山口公生君) 大変重要な点の御指摘の一つだと私も思います。 したがいまして、まず優先株を発行できるできないは株主総会で定款を定めなければならないわけでございまして、定款にどこまでの範囲でというようなことの限度も設けてございます。つまり、そういった株式がどんどん出回るということは、ほかの株主の立場からいうと先生が今おっしゃったような側面が否定できませんので、そういった手続をまず踏むということが決められております。 そうした枠の範囲内で出すわけでございますけれども、じゃ一方的に株主の権利を阻害する、あるいは希薄化するといいましょうか、それだけの意味しかないかといいますと、考え方を変えていいますと、むしろそういったことで危機を脱して金融機関が正常な金融機能を十分に発揮できるようになるということは、経済もよくなるということもあって、これが逆に株価全体としてはプラスという面もあろうかと思うんです。配当率の問題にしてもプラスの面もあろうと思います。したがって、株数がふえるという点と、それからこれによって金融機関がその機能を十分に発揮できるようになるというプラスの面と両方あるのかなというふうに思います。 したがって、先生の御指摘のところは、やはり商法の規定どおりそこは株主総会で厳格な手続で厳格な制限を加えてというふうになっておるという、そこの調和点をどう求めるか、金融機関の経営者もそれはいつも頭に置いておりますのでプラス面、マイナス面、その辺を総合勘案してやると。ただ、経済全体から見ると、私どもはこれはプラスが相当多いんだろうなというふうに思っておる次第でございます。
○久保亘君 時間がなくなりましたので、もう一つどうしても別の問題でお聞きしておきたいことがございますので、そちらのお尋ねをいたしたいと思います。 貸し渋りという言葉が今新しい言葉としてもうどこでも通用する言葉になってまいりましたけれども、貸し渋りというのは実態は何のことだと考えておられますか。
○国務大臣(松永光君) 私の感じていることを申し上げさせていただきますが、融資の申し込みをした企業に対して、経営の将来性についてもそう心配はない、担保もちゃんとある、であるのに必要な資金を企業の方に融資をしないという状況のことを言うんじゃなかろうかというふうに思います。民間金融機関としては、との企業は先行き非常に心配だ、もう相当担保割れしているという場合のことまで貸し渋りと言うのかな、それらのことはまずまずであるのに融資をしないというのを貸し渋りと言うのではなかろうかなというふうに私は考えておるわけでございます。
○久保亘君 私は、きのうも飛行機の中である中小企業というよりは零細な企業の社長と隣り合わせになりましていろいろ話を聞いたのでありますが、前から思っておったことです。というのは、例えば取引銀行から千五百万お金を借りている者が、ある時期までにそれを使ってまいりますから、返済金と合わせて新たにまた借り入れをしてそれで返済金を返し、残りを足して千五百万にして事業を運営するというようなことがずっと繰り返されてきた。ところが、今、金融機関の方がそれをやめただけでなく、約定どおりの返済を強力に求めるようになった。そういうことで、企業の側は資金が枯渇して経営が困難になるというような状況が起きているのであって、新たな貸し付けに対して決られているというような問題じゃなくて、今まで借りていたものが続けられなくなっているという状況で中小零細企業の人たちは非常に困っている。 そういうことに対してもっと抜本的な解決策というものはないのだろうかと。早期是正措置を弾力的にやるというようなことでもだめ、政府系等の金融機関に二十五兆円融資枠をふやしてみても審査が厳しくてとてもじゃない、こういうようなことが言われているわけですが、この貸し渋りの抜本的な解決策というものをお考えになっておりますか。
○政府委員(山口公生君) 今申されたような現象、つまり約定どおりにもうここは期限だから返してくれと、こういうことがしばしば言われているということは私もよく耳にします。なぜこういうことを銀行がやっているか、これは恐らく自己資本比率を気にしているからだと思うんです。 例えば、直近でいいますと三月末の自己資本比率、そんなのはどうでもいいじゃないかという意見があるかもしれませんが、しかし八%基準のところはもう国際的にそれは義務づけられていると言っても過言じゃありません。それから、国内銀行でも四%というのはどうしても必要な数字だと言われています。そうしますと、資産を圧縮するということを図るわけですね。いいも悪いもない、何しろ資産を圧縮しろという行動をとる。そうすると、大臣がおっしゃったような貸し渋り現象が起きると。 そうすると、どういうことをやるべきかというと、いざとなったら三月末は何とかなるという気持ちを与えるしかないと思うんですね。そのために、例えば早期是正措置の話、それから同時に株式評価の選択制、それから預金とのネッティングの話、いろいろな手だてを与えました。それでもどうしようもない、もう受けてくれない。それなら政府系で何とかしましょうということもやりました。 それから、今回の法律も、銀行が余り三月末を心配して萎縮してしまうのを、いざとなったらこういう準備があるんだ、いざとなったら入れるんだということで、そこをほぐしてあげるしかないと思うんです。ただ、最終的にどういう行動をとるかはこれは銀行の責任ですから、完全になくするということを私はそれは胸をたたくわけにいきません。しかし、そうならなくて済むような環境を整えてあげるというのが政策だろうと思って、この法案もぜひ成立させていただきたいということでお願いしているわけでございます。
○久保亘君 終わります。
○伊藤基隆君 政府案は預金者保護のための預金保険機構の勘定不足の穴埋めに十七兆円、優先株等の引き受けに十三兆円、合計で最大三十兆円の公的資金の投入を見込んでおります。国民の負担をお願いしようというのであれば、なぜ十七兆円であるか、なぜ十三兆円であるか、政府は国民に納得のいくような説明をする義務があるのではないか、私は九日の本会議において総理に対してそのように質問を申し上げました。質問は他の問題点と合体でやっていたために、この件についての直接の御答弁がございませんでした。 〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕 一九九〇年十二月十七日にアメリカにおいて当時のシードマン連邦預金保険公社総裁は下院銀行委員会で証言して、一九九一年の倒産処理に約百億ドル、さらに四百億ドルあれば九二、九三年の銀行倒産に対処し得るとの詳しい見通しを明らかにいたしました。そして、三年間で五百億ドルという要処理額のうち百八十億ドルは預金保険料収入で賄い、足りない部分について議会に検討を求めたわけであります。 同じことがアメリカでできて日本の優秀な大蔵官僚にできないわけはないというふうに思います。まさか政府がどんぶり勘定で十七兆円プラス十三兆円という数字を出してきたとは思いませんが、その根拠を改めて大蔵省にお尋ねいたしますので明らかにしていただきたいというふうに思います。
○政府委員(山口公生君) アメリカの例を御紹介いただきましたけれども、当時、アメリカの状況はSアンドLの。破綻が相当数に上っておりました。当時のSアンドLのための預金保険制度も破綻をしておりました。したがって、ほぼこの程度のお金は必要だということがまずわかっておったわけでございます。それから、SアンドLの状況が非常に壊滅的な状況ということで、これからどれくらい破綻があるかということもほぼわかるような状況でありました。そういう状況のもとで多量の財政資金が現実に必要になったわけでございます。つまり、ある意味では大まかな積算をしてこれくらいは財政資金がないと解決できない、処理費用を考えざるを得ないというような状況にあったわけでございます。 翻って、我が国の状況をごらんいただきますと、確かに昨年の状況、その前の状況、久保元大臣からも御紹介ありましたが、前の預金保険で三法をやったころは信用組合の破綻がかなり多くありました。今は一服感があって落ちついておりますけれども、信用組合の破綻の状況が非常に激しいということで二・七兆円、つまり七倍胆保険料を上げて対処しようという考え方でやると同時に政府保証も信用組合に関してつけたと、こういう状況であったわけです。 昨年の十一月ぐらいに一般金融機関の大型の破綻が生じました。その前も幾つか、阪和銀行等がございました。一般の金融機関の破綻も現実問題としてかなり起きてきたわけですけれども、そういった事態に立ち入ったということで万全の構えをさせていただきたいということでございますけれども、さてこれから何打破綻が生じるであろうか、どれくらいの規模の破綻が生じるであろうかということになりますと、これは破綻がないことを願っていると私も申し上げましたように、見込める状況ではないわけでございます。 見込める状況ではないけれども、昨年の例に見たように、預金者の方々が保険料を集めるだけで本当に我々の預金が全額保護されるんだろうかと御心配になったんだと思うんです。店先に何百人とお並びになったわけです。そうしますと、保険料の見直しは十年度中にもやりますけれども、絶対大丈夫ですということをお示しさせていただきたいということで今回お願いしているということでございます。 確かに、十兆円のうち七兆円を預金者の保護、三兆円を金融危機管理勘定のための三兆円というふうに置かせていただきました。ファイナンスとして十兆円、十兆円、こういう形にさせていただきました。じゃ、七兆円というものについても、せんだってお示しした私どものⅠ分類からⅣ分類までの状況を見まして、ⅢとⅣを足すと十一兆、これもかなりの額が償却をもう済ませつつある数字でございますけれども、そのような数字の感覚、あるいは要処理見込み額は四兆五千というような数字を見まして、それですべての金融機関が破綻するわけではもちろんありませんので、そのための準備として七兆円を用意させていただければ、これは何もその七兆円を全部使うということではなくて、そのためのいつでも現金化できるものが用意されているということで御安心いただけるのではないかということでございます。 それから、もう一方の三兆円、これは融資を加えますと十三兆になりますが、三兆円の方は融資に使ってもいいですし、もし万一優先株等が値下がりしたときの穴埋めにも使えるようにしてございます。例えば、その融資の方の十兆円を使うとしますと、仮に主要十九行のうち半分に資本を注入すると海外の一流銀行と同じぐらいの自己資本比率になるというような数字を前に御披露したことがありますが、別にそこに入れるという意味で申し上げておるわけじゃありませんが、それくらいの準備があれば御安心いただける状況ではないだろうかということで万全の体制をしかせていただいたということでございます。
○伊藤基隆君 今の説明の中の預金者保護ということは、いわば危機が起こってしまってから起こる事態が預金者保護であります。その危機が起こらないためにというのが言ってみれば優先株等引き受けの部類だろうというふうに思っておりますけれども、危機を起こさないところに力点があるわけだと思いますが、実際株価の変動その他は銀行の自己資本比率だけによって動いたのかどうか。例えば、コール市場でストップされるようなことが起こって危機が起こってくるなんてことがあったとすれば、かなり作為的ではないだろうかというふうに思っております。 ですから、預金者保護という国民全体に対する安心感というものをきちんと打ち出したということと同時に、起こさせない方の力点というものをどのように考えているのか、自己資本比率ということだけで行き得るのかということについて、ちょっとこれは事前の通告をしていないので申しわけないのですが、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(山口公生君) ちょっと御質問の趣旨にぴったり合っているかどうか、もし違っていればまた再答弁させていただきますが、自己資本比率だけですべて銀行の健全性が図れるとは私も思いません。これは自己資本比率というのも確かに一つのメルクマールでございますし、国際的なメルクマールでもあるということは否定できませんけれども、もう一方でもっと効率的な金融活動、まあざっくり言えばもうかる仕事をするということだと思うんです。そういうようなもっともっと高度化された経営というものが必要になるだろうと。それがROAだとかROEだとか、つまりリターン・オン・アセットとか、リターン・オン・エクイティーというような言葉でも言われておりますけれども、少なくとも自己資本比率だけでその銀行がいいか悪いかということを議論すべきではないと思うんですね。 先ほどの久保先生の御質問でもありましたけれども、どんどん株式を出すだけで、過大な資本を抱えるだけで健全かというとそうでもないと思うんです、それは配当負担にはね返ってくるわけですから。だから、自己資本比率だけの問題ではないことは、もうそれは伊藤先生のおっしゃるとおりです。しかし、今緊急に問題になっているのは自己資本比率なんです。それは不良債権を大量に抱えてきた金融機関が格付機関にどこで一番評価されるかというと、いかに不良債権を償却、引き当てしたかということなんです。 償却、引き当てというのは何を意味するかといいますと、それは自分の利益あるいはこれまでの蓄積したもの、あるいは株の含み益とかそういったものの利益を使って引き当てあるいは償却をするわけです。そうすると、それを急けば急ぐほど自己資本比率は必然的に下がるわけです。自己資本比率が下がってくると、格付の方はそこでクリアされたとしても、今度はBISがどうだ、国内基準がどうだと最低限求められるそういったもう一つのテストみたいなものがあるわけです。そこで彼らが非常に悩んで、それで貸し渋りというような現象、つまり資産圧縮に走ろうとするということなのでございます。 だから、もう少し中長期のレンジで見ますと、基本的には自己資本比率も収益性を上げることによってどんどん自己資本比率を上げていくというのが私は一番いいと思うんです。つまり、内部留保をこれから高め、そのためには今度は金融技術を発達させて、いわゆる利潤の高い仕事をするということが最終的には目標だと思うわけでございます。
○伊藤基隆君 今、銀行局長の答弁の中で私もそのとおりだと思いますのは、日本の銀行というのはまさに技術革新ということについては非常におくれているんじゃないかと。特に、局長がおっしゃっていた従来の経営手法、顧客から預金を集めてそれを貸すという仲介業みたいなことをもう大々的にずっとやってきまして、これはかなりがっちり固まっている、そういう伝統でありますが、そこから脱皮し切れていない。もう少し資金調達については市場から、リスク管理が必要なんでしょうが、さまざまな手法で集め得るということが可能だと思います。 そういったことと同時に、あらゆることを業務として行っているいわゆる金融デパートのような感じでありますが、もう少しこれを特化していくというんでしょうか、それぞれ得意の分野があって、不得意な分野は業務提携するとか、そういうことでやっていくということがずっと言われていますよね、金融業界の中でもその周辺でも。この辺は少しも進んでいないということもまた聞くのですが、そういう自己改革努力、すなわち自分の敵というか戦う相手は世界の銀行なのであって、それと戦うために日本の生産部門、製造業がやったようなさまざまな技術革新ということをやってこなきゃならなかった。 しかし、ビッグバンを前に、グローバルな金融戦争みたいなときに彼ら銀行業界が言ったのは、郵便貯金がけしからぬという言い方。私はそれにかかわった者として大変不思議なのは、郵便貯金なんて相手じゃないんじゃないかと。そうじゃなくて、世界でどうやるのかということが主眼なのに、大きな声でみんなが、私はかつて与党の行革プロジェクトに入っていまして、その中で金融機関に聞きましたら、ビッグバンを目指しても郵便貯金があるからできないということを都市銀行が言っただけならまだしも、地銀も第二地銀も生保も言って、果てには損保まで言った。一体どうなっているのかと。そこで私は反論できなかったので次の機会にやろうと思ったら、そのうちいろんな再編が進みましてそういう機会がなくなっちゃったんですけれども、そもそも相手が違っていたんじゃないかと。 そういうものが今ここへ来ているので、今の優先株引き受け等によって自己資本比率を高めるという、今の時点で非常に重要な問題ということは私もよくわかりますが、自己資本比率が高まってもなお受ける者の状態がぐずだったらとても諸外国の有力な銀行と戦いなんかできなくて、出ていってはやられて、帰ってきて大蔵省に母ちゃん助けてと言うのかもしれない。そんなことではこの措置をとることの本当の効果というか、やりがいがあるのかどうかということについて心配なわけです。 この辺について、これもまた通告していないので申しわけないんですが、銀行局長ですからぜひちょっと状況についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 私もどれぐらい正確に状況を把握しているか自信がないわけでございますが、一つの例で申し上げますと、これまで雑誌等で銀行のランキングがよく出ました。それは資産規模で並べられているんですね。つまり、大きいことはいいことだ、大きいことは強いことだという考え方なんですね。 したがって、これまではそれが一般化していたと思うんです。つまり、プレゼンスを大きくしておけば、これは見ばえもいいし、一流銀行だということを言われるという考え方で、私どももそういう考え方をとりがちだったという反省はありますけれども、金融機関はもっとそういう気持ちがあったんじゃないでしょうか。あっちが抜いたらこっちが抜くと、かつてはそうだったと思います。それが利益率等の概念がかなり入ってきていることも事実だと思うんです。しかし、それが完全に先生が今おっしゃった海外と太刀打ちできるほどに変わったかというと、まだまだそこには違いがあるだろうなと。非常に誤解がありますのは、金融技術そのものがおくれているんじゃないかということを言われる方がありますが、金融技術といいましょうかテクニックは結構海外で身につけて帰ってきておりますから、よくわかっていると私は思うんですね。 ただ、残念なことに二つぐらい私は問題があると思うんですが、それをどうやって管理職が日々管理をできるか、つまり計量的、計数的というメンタリティーですね。つまり、全体としてうまくいっているらしいなぐらいなら日本人はよく目配りがききますからできると思うんですけれども、それがビビッドに、しかも計数管理としてやって、それで成功したか失敗したかがまた人事管理にもすぐつながるような、そういうドライといえばドライな経営の体制が欧米の中心なんですね。そういうふうになっておるだろうかと。何となくあいまいな、だれかが見ているんじゃないかというような形だと、これは例えばデリバティブ等でだんだん元本をふやしていった場合、その辺のところはちょっとおくれがあるのかなと思います。 それからもう一つは、海外で競争するにはクライアントのネットワークといいましょうか、ただ金融技術があったってお客さんがいないと商売にならない。しかも、国内のお客さんに例えば財閥系だからと言って、大きい会社を数社持っていたって、それは商売にならないと思うんです。 だから、世界じゅうでやはり信頼できる実績を上げると同時に、世界じゅうでそうした顧客の、つまり出し手、取り手、どういう状況にあるか、その出し手の中には公的な機関もあるかもしれません、諸外国の年金もあるかもしれません、いろんなところにどうやって食い込めるか、そういったところが、ちょっと日本のことについてこういうアドバイスを得たいというときにぱっと答えられる関係になっているかどうかということになりますと、そのあたりの力というのはこれは単に数字ではあらわせないパワーだと思うんです。 そうしますと、やはり国際的に活躍していくにはそういったものを経験としてこれからやっていかなきゃいけないという、そのためには今度は人事管理だとか評価だとか、だからリストラといってもいろんな形のリストラがあると思うんですが、そういったものをやらなきゃいけないという形。 しかし、一つ申し上げたいのは、日本の銀行が全部そういうインターナショナルなビッグバンクだけじゃございません。大多数の銀行は、大体千ぐらい銀行とか信金、信組がありますけれども、これはやはり場合によっては地域に密着した銀行もあるわけです。それから、スーパーリージョナルといいましょうか、専らリテールを目的とした銀行もあります。そういう人たちが、いや、デリバティブの話が出たらみんなデリバティブ、こういうふうに動かれてもそれは本当にそれでいいのかなという議論はある。やはり特色を生かして、いかにお客様にいい商品、いいサービスを提供できるかというのはそれぞれ違うと思うんです。その意味では、一部の銀行だけの問題ではなくて、すべての銀行あるいは協同組織の金融機関がどうあるべきかを考えていくべきものだと思うんです。 郵貯の話が出まして、私はなかなか答えにくいんですけれども、銀行等が申し上げておりますのは、恐らくだんだん市場原理が働く経済になるでしょうと。市場原理が十分に働く経済の中で仮に働かない部分が存在するとすると、それは全体としてひずみを生じるんじゃないかと、こういうことを言いたいんだろうと思うんですね。それがやや商売上の表現となっていろいろ出ているのかもしれませんけれども、それはそれとして一つの問題提起としては首肯できる部分があるのではないかと思うわけでございます。しかし、ただこれはこれでまた行政組織の問題としての側面もあるわけでございます。 そういうお答えでよろしゅうございましょうか。
○伊藤基隆君 突然の質問で申しわけありませんでした。 私は、確かに局長が今おっしゃったように、金融機関がどれほど情報が集まるかということによって運用のパワーを持つわけでありますから、ネットワークの重要性というのはますます高まっていくでしょうし、そのようにリードしていかなくちゃならないと思います。これらを主題に後々の議論をまたしたいと思っています。 それから、人事の面でいきますと、銀行の不祥事等で逮捕されて車で連れていかれる人のテレビをよく見るんですが、見かけだけというか、話をちょっと聞いただけで判断するのは間違いかもしれないけれども、何となく事なかれ主義の人が上の方にい過ぎはしないかという気がいたしまして、事なかれ主義がありますとその下で働く者はたまったものじゃございません。 ある銀行の話で私も聞いておるんですが、バブルのときに不動産投資について体を張って阻止した人たちが窓際に追いやられて、しかし結果的にはその銀行は力を温存したというか、力を落とさないで来たという話も聞いておりますと、人事管理というのは、どこでも同じなんでしょうけれども、非常に重要で、私は思うんですが、日本全体に事なかれ主義が横行しているのがちょっと厳し過ぎやしないかなという気がいたします。 今、市場が働かない部分と郵貯に関しておっしゃられまして、私はその部分については、市場が働かない部分ということについてはそのとおりだと思います。しかし、市場原理、市場主義で行き過ぎてひずみが起こっていて、欧米ではそのひずみをどう解消するかということの政策が金融監督行政の立場で強力に推し進められているという話も聞いております。これはまた後の議論で大蔵省と議論したいと思います。 さて、公的資金による優先株の購入によって早期是正措置の自己資本比率をクリアできる、大蔵省の業務停止命令を回避し生き残ることができるということになろうかと思うんですが、この場合、破綻したときに明らかになることが多い経営者の不正行為などが隠ぺいされたままで終わる可能性が否定できないと思います。特に、この不正行為に政治家がかかわっていたような場合には政治的な圧力によって購入対象の金融機関に指定されるおそれがあって、この点についての心配はなくはございません。 この点についての考え方を大蔵省からお聞きしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 金融機関が破綻した場合に預金保険機構がその穴埋め等をやるわけですけれども、それで預金者保護をやるわけですけれども、そのときいろいろな不正行為があればそれは厳正に厳しく対処していくということは特に必要なことだと思います。 したがって、今度の法律改正をお願いしているのを機に預金保険機構に責任解明委員会、これはまだ名前はちょっと確定しておりませんが、責任解明委員会というのをつくりまして、司法界等の、検事さんをやった方とか弁護士さんをやったような方を顧問にお迎えして、その辺は民事、刑事の責任追及をやりたいと思います。と同時は、その手足になる機動部隊みたいなものですけれども、機動調査課という実動部隊を設けさせていただこうと思っております。これはその分野でのかなり専門家を集めまして、それで破綻した金融機関で回収行為をやりますから、そのときに出てくる民事、刑事の不正は徹底解明し、しかるべき法的な措置をとるということをやらせていただきたいと思っております。
○伊藤基隆君 法律案の三条三項の二、破綻処理における受け皿金融機関の自己資本増強を支援する場合は自己資本の悪化した金融機関というふうにあるわけでありますが、支援の判断上のレベル、どのぐらいになったときのという計数上の判断基準となるレベルを考えておられるか。さらには、すべての受け皿金融機関を平等の対象とするのか、地域的な金融機関、業態、規模などで対応を変えるというような考え方がおありなのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 今、申されました三条三項のお話でございますが、まず破綻金融機関の受け皿の銀行になる場合についてお尋ねがございました。 これはどうしてこういう点をお願い申し上げているかといいますと、ある金融機関が破綻して、それである金融機関にその業務を営業受け皿としてやっていただく、例えば北拓と北洋とよく言われますが、その場合に北拓のロスは預金保険の方で穴埋めさせていただいて預金者保護をやります。それから、不良債権については整理回収銀行あるいは預金保険機構が買い取る、これは時価で買い取ります。そういう措置をした後、恐らく優良債権だと思いますが、それが北洋銀行に引き継がれるわけです。 そうしますと、せんだってもちょっと委員会で御説明申し上げましたように、分母が増えるわけですね、貸し出しがふえる。しかし、資本金はもう全部そのロス埋めに使っていますから、資本金がゼロなんです。資本金がゼロで、貸し出しだけいただくわけです。そうしますと、自己資本比率がそういう受け皿になってあげた途端に下がってしまう。例えば、今まで六%だったのが五%になったりするわけですね。そうすると、その地域のためにいろいろお助けをしようとしたのに、自分のところの自己資本が下がって、それで評価が下がって、経営がおかしいというふうに言われるとなると、それは余りにも気の毒なわけです。 今までも、この措置がないときには私どもがどうですか、受け皿になりませんかというお話をやっても、自己資本比率が下がってしまうんだったらちょっと無理ですということを言われる銀行が多かったんです。それで今回そういったことで、例えば六で五と申し上げましたが、前の六にまでは戻してあげるための資本の注入をやってあげればその受け皿銀行としての評価も下がらないわけですし、むしろ地元のために尽くしてくれたということで評価は上がるのではないかというふうに思うわけであります。 それからもう一つの御疑問の点は、その受け皿銀行がその次の号の一般金融機関にも当たるかというお話だったと思います。 それはそれとして、両方当たり得ると思います。それは一号でそうなった場合はもう二号は適用除外というふうにはなっておりません。しかし、恐らくそういった金融機関は、この一号の方の受け皿として資本注入を受けたいと手を挙げられれば、これも審査委員会が審査なさるんですけれども、そこで認められることになると思います。
○伊藤基隆君 一般に金融危機管理審査委員会の優先株などの購入基準によった場合、この優先株引き受けの話が出た当初マスコミ等で盛んに言われた買い取り対象となった金融機関の経営に対する不安をあおることにならないかという心配、これは今は余り言われておりませんけれども、まだそういう心配があるのではないかというふうに思います。 また、いち早く幾つかの銀行が手を挙げました。それはやはり政治の側からの誘導があったのではないかという疑いもささやかれております。そういったことが起こってしまうと根底から金融システムが崩れるわけでありまして、その点の危惧について、この段階で大蔵省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 最初の御指摘につきましては、当初いろいろマスコミでもそういう意見が散見されたと私も承知しておりますが、それは個別金融機関の救済というような受け取り方をするとそういう議論が多いと思うんですけれども、これはあくまで危機に対する対応で、しかも今日のこういった貸し渋り現象のように経済全体にいろいろ問題を生じているわけでございますので、若干その辺のニュアンスの論調は変わってきているかなと。今御指摘になったような懸念が余り喧伝されますと、もう手を挙げた途端に今度は市場が排除すると、何のための制度かわからなくなってしまいますので、そういったところを私どもも十分にPRしていく必要があるだろうなと思っております。 それから、政治の方の話を御指摘されましたけれども、どこの金融機関をどういうふうにしてというような話は一切私どもはいたしておりませんで、いろいろなことが言われているということで、大蔵省としても全く関知はいたしておりません。早いところこの法案を成立させていただきますれば、早く公正な審査委員会を立ち上げる、そのために学識経験者三名の委員も国会承認をいただくというふうになっておりますので、そういう手続をさせていただきたいなという気持ちでおります。そういったところで客観的な審査をしていただけるものと確信いたしております。
○伊藤基隆君 今は念のためにお聞きしたわけであります。 時間も参りましたので、質問を終わります。
○荒木清寛君 今回、金融機関に公的資金を投入するという議論をするわけでございますので、前提として大蔵省の倫理というのが厳しく問われなければなりません。今回の大蔵官僚の不祥事の再発、私は単に個人の問題というよりも非常に根の深い構造的な問題であるという認識をしているんです。 そこで、大臣にお聞きしますが、大蔵官僚の倫理観が坂道を転がるように転落をしたきっかけというのは、私は実は昭和五十四年の公費天国事件であったという見解を持っています。いわゆる鉄建公団からの過剰接待という有名な事件でございます。 この事件、刑事事件にはなっていないようですが、実際に接待を受けた大蔵官僚、ノンキャリの方が二名、くしくも今回と一緒ですけれども、処分を受けている。それ以外にもキャリアの方が責任を問われている。特に、直接の上司としての管理責任を問われた方が三人いまして、小粥さん、角谷さん、尾崎さんの三名。いずれも現、前、元の運輸省担当の主計官であったわけですね。その部下の過剰接待ということで訓告処分ですか、受けているわけでございます。 〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕 問題は、その三名の管理責任を問われた方がその後どういう人事展開になったのか、私が言うまでもありませんが、小粥さんも尾崎さんも両方とも事務次官になられた。もう一人の角谷さんも国税庁長官という処遇であったわけですね。要するに三名ともいわゆる事務次官クラスのトップまで上り詰めたわけなんです。 私はこんなことは世間の常識としてはあり得ないと思うんですね。考えましても、運輸担当の主計官に三代続いてそういう次官クラスの優秀な逸材が集まるということは余りにも偶然としてもない話じゃないかと思うんですね。しかし、そういうあり得ないことが実際あったということは、これは言葉は悪いですけれども、処分太りということではなかったのか、要するにそういう処分を受けた人というのは被害者なんだと、だからみんなで守っていかなければいけないという大蔵省の体質がこういう処分になったんじゃないかというふうに私は思うわけなんです。 これを前提に大臣にお聞きするわけですが、大臣は二日の大蔵職員への訓示の中で官庁の中の官庁という言葉を取り戻そうというふうにおっしゃったそうです。しかし、私は悪い意味でのそういう特権意識、そしてまた批判を拒否する体質、これがこういう汚職の再発ということになっている根源ではないかと思うんですが、そういう認識はございませんか。
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。 私は、権限を持っている人は権限の大きさに比例して、地位の高い人もそれに比例してより一層の倫理観を持っていなきゃならぬという基本的な考え方です。欧米にノーブレスオブリージュという言葉があるそうでございますが、それがヨーロッパでは行われておるということでございまして、我が国の昔の武士道精神というのはそういうものではなかったかな、私はそう思っているわけであります。 私自身は、大蔵省の官僚は官僚の中の官僚と自分で表現したことはありませんが、しかしそう言われるにふさわしい人格を持ってもらいたい、そういう意味で申し上げたわけであります。今回の不祥事を契機にして原点に立ち返って、多くの権限を与えられていると、ならば一般の公務員より以上に厳しい倫理観を持ってもらいたい、そして他の省の公務員からさすが大蔵省の官僚は立派だというふうに評価されるようになってもらいたい、そういう気持ちを込めて申し上げたわけであります。 今後とも、綱紀粛正はもとより過去の悪い習慣、そういったものを徹底して打ち砕いて、そして国民から信頼される大蔵省に立て直したい、私はそう考えております。
○荒木清寛君 そこで、その公費天国事件のときに、昭和五十四年十月二十九日付で「綱紀の厳正な保持について」という官房長名の通達が出ているわけです。それも非常に厳しい内容でございまして、これは世間の批判があったから当然です。 会食については、「職務上の関係者からの会食等への招待には、原則として応じないこと。」「暑中見舞についても、これに準ずること。」、歳暮、中元等についても「職務上の関係者から歳暮、中元等の提供がなされるような場合には、これを受取らないこと。」とはっきり明示された通達が全機関の長あてに出ているわけです。 これが守られていれば今回のようなことはなかったわけですが、この厳しい通達というのは一時期でもこのとおりになされたことはあるんですか。
○政府委員(武藤敏郎君) 御指摘のとおり、昭和五十四年十月に、鉄建公団事件というものを深く反省いたしまして、職務上の関係者からの会食等に原則として応じないということを定めました綱紀粛正通達が出されました。職員はこれを受けて気を引き締めて綱紀の保持に努めてきたというふうに思いますけれども、時の経過とともに一部に緊張感に緩みが生じたと言われてもやむを得ないような状況があるというふうに思います。その後も平成七年、それから平成八年とそれぞれ通達あるいは倫理規程というものが制定されました。にもかかわらず、今回このような事件が起こったということでありまして、このことにつきましてはまことに遺憾というふうに思います。 確かに、倫理規程の遵守を職員みずから自主的に行うという仕組みが機能しなかったということが明らかになったわけでございますので、金融服務監査官を新たに設置いたしまして、非行事件の未然防止、調査を行わせることといたしました。こういう金融服務監査官を最大限に活用いたしまして、綱紀の保持と不祥事の再発防止に全力を挙げたいというふうに考えております。
○荒木清寛君 今のお話ですと、時の経過とともにということですから当初はこのとおりにやっておったということかと思います。 そこで、長野証券局長にお越しいただきましたのでお尋ねしますが、その昭和五十四年当時も御在職でありましたが、こういう通達が出てこのとおり現在までやっていらっしゃいましたか。こういう会食等への招待には応じないとか、中元、歳暮等も職務上の関係者からのものは受け取らないというふうにやっていらっしゃいましたか。
○政府委員(長野厖士君) 鉄建公団事件当時は私は主計局に勤務いたしておりましたけれども、今回いろいろと問題が起こっております金融関係の職務につきましたのが五年前かと存じます。 自分のこういった交際につきましてもありのままに申し上げるのが適当だと存じますので、どういう考え方をしておったかと申し上げますと、この通達が出ておることはもちろん大事な事件でございましたから承知いたしております。ただ、その一方で金融機関との間である種のかみしもを着ない、本音を言える、聞けるような人間的なつながりを持つというのも仕事の上では許されることか、あるいは必要であるという考え方も気持ちの中にございまして、そういう意味で全く会食を一度もしなかったということはございません。 ただ、そういった会合を持ちますときに、それがいささかも仕事の公正さを害することのないよう、つまり仕事上は必要だと思ってやっておるわけですから、全く自分の遊びであるとかいうことでないというおのれの規律は持っておったつもりでございます。例えば、自分から要求することはしないとか、特定の方に偏ることはしないとか、場所についてはそれにふさわしいものでなければいけないとか、反復継続しないとかいったような枠の中で若干の会合を持ってきたことは事実でございます。 ただし、私自身の名前がいろんな週刊誌等に多々出ておりますのでこのことだけは申し上げたいと存じますけれども、京都でとか大阪でとか新宿でとかいうような、今おどろおどろしくでっち上げられておるような事柄は全くございませんことはぜひとも私自身として申し上げさせていただきたいと思います。
○荒木清寛君 若干のそういう接待はあったというお話だと思います。ただ、今、御自分からおっしゃったように、週刊誌等では過剰な接待ぶりが長野さんについて報じられているわけです。私は、報道による人権被害ということに非常に関心を持っていまして、国会議員になる前はそういうことも一生懸命やっておりました。ですから、週刊誌に謝罪広告等を出させたことも二回ばかりあるわけでして、報道があったからすべて真実だという立場は私はとりません。 しかし、それにしましても今るる言われていることは、これはもう本当に事実無根なのだというお話なのか。具体的にお聞きしますと、毎週土日は接待ゴルフをしていたとか、MOF担から商品券やゴルフクラブを贈ってもらっていたなんというふうに書いてあるわけですが、そんなことはないというふうに言い切れますか。
○政府委員(長野厖士君) 私自身、自分の名誉を回復する必要があると考えておりますので、現在法的な手続を進めております。その上で、ただいまおっしゃいましたような記事につきましても事実無根であるということで訴訟の手続をさせていただいております。
○荒木清寛君 そのように承りました。 そこで、日銀総裁にお越しいただきましたのでお尋ねします。倫理問題をちょっとお尋ねしたいんですが、その前に超低金利政策についてお尋ねをしたいと考えております。 言うまでもありませんが、この超低金利政策が三年目に入っているわけであります。当初は景気の下支え策として機能してきたでしょうが、その長期化によりまして家計の金利収入の目減り、特に年金生活者への影響が深刻化しているわけであります。今では消費意欲の減退、企業年金の積み立て不足化等、かえって副作用が拡大をしまして、私は国民生活と経済活動にとっては逆効果になっているという認識を持っています。しかも金利環境が変化をしてきているわけです。これまでは不良資産、不良債権対策あるいは金融不安への対処も超低金利政策に依存をするという部分が非常に多かったわけでありまして、我々はそれを無為無策と言って批判してきたわけであります。 しかし、今回こういう法案を提出されまして、金融界への公的資金の導入ということも議論になっているわけであります。そういう意味で、弊害が大きくなる一方で金利をめぐる状況も大きく変わってきているわけでありますから、もうそろそろこういう類を見ないような超低金利政策は見直して、せめて国際水準並みに引き上げるべきであるというふうに私は考えておりますが、この点、所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(松下康雄君) 私どもの九五年九月以来採用いたしております思い切った金融緩和措置についてでございますけれども、これは国民経済全体という観点に立ちまして、日本経済を自律的な回復軌道に移行させていくということをねらいとして今日まで維持してきているところでございます。 実際、こういった緩和措置によりまして、あるいは設備投資とか住宅購入とかそういう場合の資金コストの引き下げ、あるいは企業収益の下支えというような面から経済活動を支える機能は果たしてまいっているというふうに考えております。また、企業面での活動を支えるということがひいては雇用でありますとか給与所得の増加というような点を通じまして家計の部門にもプラスの効果が及んでいるというふうに見でいるところでございます。 ただ、御指摘のように、家計の部門全体としましては金利の支払いを要する住宅ローンのような債務よりも金融資産、利子収入を生む資産の方が二倍に達しているというのが現状でございますから、金利が低いということは差し引きの受け取り金利が減少するということでございまして、そのことが特に金利収入に依存される割合の高い方々にとりまして大変問題になるということも私ども十分承知をいたしているところでございます。 ただ、私どもといたしましては、やはり経済全体を力づけで、これが自律的な回復軌道に乗っていくことを通じての経済全体のプラスというものがひいてはまたすべての家計の状況に対するプラスの効果を生み出すということを期待しながら進めているわけでございます。現状、いろいろの政策手段も講じられまして、それらが経済の活性化に寄与するということも今後期待されるところでございますけれども、現在の状況におきましては、今なお金融システムに関連をいたしました先行きの不透明さから金融機関の貸し出し態度は非常に慎重でございます。そのために金融市場におきましても、むしろそのままで置きますというと多少短期の金利が上昇しかねない状態でございまして、私どもは現状の市場に対して大量の資金供給をいたしまして、ターム物の短期金利の上昇が企業あるいは金融機関の経営に対してマイナスの影響を持たないように努めているという段階でございます。 そういうことでございますが、今後におきましても私どもは引き続いて経済、金融の情勢につきましては十分これに注意を払って観察をいたしてまいりまして、その状況に応じた適切な金融政策手段をとってまいりたい、そういうふうに考えております。
○荒木清寛君 家計にプラスの効果を生み出すことも期待したいとおっしゃられても、国民としてはそれを素直に受け取ることはできないわけです。超低金利政策によって利子所得が国民から銀行に移転をする、その上今回の法案によって三十兆円もの公的資金の投入、これでは私は踏んだりけったりじゃないかと思うんです。そういう庶民感情というのもぜひ私は大事にしてもらいたいと思います。 そこで、綱紀粛正の話ですが、日銀についてもここ数日報じられているわけです。先ほどの五十四年十月二十九日の綱紀粛正の通達というのは、実は松下官房長の名前で当時お出しになっています。 その経緯についてはもうお聞きをしませんが、ただ総裁は、大蔵省を退官されまして、その後さくら銀行の頭取に就任されているわけです。そのときに、いわゆる銀行のMOF担に対して、この通達に言われているように接待等を自粛するようにということはきちんと徹底されましたか。これは総裁としてのやっぱり倫理感覚にもかかわることですから、お答え願いたいと考えます。
○参考人(松下康雄君) 日銀総裁という立場を離れましてお答えを申し上げさせていただきたいと思いますけれども、この大蔵省の綱紀粛正に関します通達は、確かに当時の主として官庁間のいろいろな接待関係を原因といたしまして、それに伴う経費の不当支出といったような問題も絡みまして非常な問題になりまして、これが原因で官庁のみならず民間も含めてでございますけれども、広く一般に民間からの接待等を受けることについての厳格な基準を定めたものでございます。 この実効につきましては、私もその当時大蔵省在職中には実効が上がりますように専心努力をしてまいったところでございます。その後、御指摘のように民間の金融機関の方に参りまして、当時の私の職務から申しまして一々の官庁との具体的な取引あるいはつき合いの仕方というものにまで立ち入るような立場ではございませんでしたけれども、私自身は官庁におりましたときに民間との間のつき合いの仕方については公明でありきちっとした筋目の通ったものでなければならないと思っておりましたので、民間側から官庁に対しますときにも一般的に申し上げまして民間の守るべき節度というものを踏み外すようなことはいたさなかったつもりでございます。
○荒木清寛君 総裁がそういう厳しい倫理観をお持ちであれば、なぜ今回こういう報じられるような貸出部門担当者二人が複数行から百万円以上等々と言われるような事態になったのかという気がするわけです。 それで、この問題なんですけれども、各紙がそういう問題を報じた。早速、日銀としては内部調査をしますという発表をしました。そういう迅速さというのは私は評価をするわけです。しかし、この内部調査をすると発表された鴨志田理事の発言ですと、記者会見でしょうか、内部調査をするというんですけれども、自己申告なので限界があることはわきまえているというふうに初めから言われているわけです。こんなのだったら形だけの調査になることははっきりしているわけでして、単なるアリバイづくりにしかすぎないじゃないかという印象を私は持ったわけです。 やるんだったら、そんな限界がありますなんて最初から言うような調査じゃなくて、徹底して総裁の指揮のもとやるべきではないですか。
○参考人(松下康雄君) ただいま御指摘の点につきましては、私どももこれまで職員につきましてむしろ中央銀行員としての視野を広げるという観点からは世間一般の金融、経済の実態を知るように接触を行うということも大切だという考え方を持ってまいりました。ただ、その際におきまして、中央銀行としての公共性が重要であるという点にかんがみまして、社会通念の範囲内で節度を持って対応するように機会あるごとに行内でも徹底を図ってまいったところでございました。 今回、私どもとしましては、一連の報道を踏まえまして早急にこれまでの外部とのつき合い方に関しましては事実を把握いたしまして、誤解があればそれを解き、また不適切な形での接待を受けていたという事実があれば厳正に対処することによって中央銀行としての使命を全うしていくという考え方で、今回幹部職員の全員につきましての実態調査を開始いたした次第でございます。 内容につきまして自己申告の形をとっておりまして、管理者、上司がそれぞれ面接をいたしまして聞き取りをするという形をとることにいたしておりますけれども、それはいろいろの職場におきまして民間とのつき合い方というものにもいろいろの特色がございましょうから、そういう実態に応じた実情把握をきめ細かく行ってまいりますためには申告用紙に記入というようなことよりも口頭で聞き取りをいたした方がよろしいという判断でそういう方法をとることにいたした次第でございます。 この間におきまして、私どもは決してこれを対外的な申しわけにするために形式を整えるというような考え方は毛頭持っておりませんので、あくまでも私どものできる限りの努力をいたしましてこれまでの事実関係の把握をし、そしてその事実に基づきましてあるべき中央銀行と民間との接触の仕方というものにつきまして厳しい基準をつくり上げることにいたしたい。その基準を、今度日銀法の改正法が四月一日に施行になりますけれども、なおこれに関連をしまして職員の服務の準則をつくるということになっております。この準則の考え方の中におきまして、そういう外部との不適切なつき合い方は厳にこれができなくなるように厳しい基準を設けてまいりたいと考えております。
○荒木清寛君 大蔵省は昨年の内部調査が不十分だということで今回は申告用紙に詳細に接待の事実を書かせて調査をする、しかし日銀はそういう申告用紙という手法をとらないとおっしゃっているわけで、それ自体やはり腰が引けていると私は思うんです。 今、不適切な接待という言葉を何回かお使いになりましたが、この鴨志田理事は、風俗店での接待は不適切だが料亭は不適切とは言い切れないということを言って大変な非難を浴びているわけですね。まさに、これはある新聞の見出しをかりたら、日銀の常識は社会の非常識ということになるんじゃないですか。私はそれは基準をおつくりになるのは結構ですけれども、その前に非は非としてきちんと認めるということがなければ、幾ら綱紀粛正と言ったってそんなこと国民が信じるでしょうか。
○参考人(松下康雄君) 私どもも今後の中央銀行としての厳しい態度を確保できるような基準をつくりますために、その前提としての事実関係の把握をいたそうということでございますので、私どもの考え方といたしましては、社会通念とか不適正というような言葉が用いられるわけでございますけれども、その解釈のあり方は普通一般の社会常識というものよりも中央銀行としての公共性を強く反映いたした厳格な基準でなければならないというふうにかたく考えております。そういったものをつくり上げてまいらなければならないと思っております。
○委員長(石川弘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時一分休憩 ―――――・――――― 午後一時開会
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、鈴木政二君が委員を辞任され、その補欠として保坂三蔵君が選任されました。
○委員長(石川弘君) 預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○荒木清寛君 先ほど先行の議員から、なぜ十七兆円でなぜ十三兆円なのか、私も最も知りたい点について質疑がありました。 昨年の末に、梶山前官房長官の十兆円の新型国債構想が上がりまして、それが一月もすると、今度は三十兆円になってしまったわけでございます。ですから、そういう経過からしても、私はこれはつかみ金ではないのかという疑念を持っていたわけです。 住専のときは六千八百五十億円、一応こういう積算根拠というのが出てきたわけです。債権が十三兆何千億円あって、第Ⅰ分類何々、最終的にこういう金額であるという提示がありました。しかし、それでも我々は政治決着ではないかといって追及をしたわけなんです。 先ほどの銀行局長のお話を聞いておりますと、今回のこの十三兆円あるいは十七兆円というのは積み上げた結果としてのこういう金額ではないわけですね。
○政府委員(山口公生君) おっしゃいますとおり、積み上げて、例えば破綻を予測して七兆円が必要ですというような性格のものではございません。これだけの用意をすれば国民の皆様、預金者の皆様に安心していただけるだろうというような性格のものでございます。
○荒木清寛君 積み上げたものでないとすれば、どうしてこれで安心だと言えるんですか。 大蔵省が先般発表しましたいわゆる予備分まで含めた銀行の不良債権というのが七十六兆円だという公式数字です。それ以外の農系とかいろいろ含めれば百兆円はあるんじゃないか、そういう意味では。もちろん、全部が回収不能ではないとしても、それだけの規模のいわゆる不良債権があって、どうしてこの三十兆円で大丈夫ですというふうに言えるんですか。それなりのやはり試算というか、見積もりがなかったらそんなことは言えないじゃないですか。
○政府委員(山口公生君) いろいろな数字が不良債権として取りざたされておりますけれども、せんだってお示し申し上げました分類での三分類とⅣ分類を足しますと十一兆円ぐらいになります。それから、今やっております公表不良債権ベースでの要処理額が四・三兆という数字をお示ししておりました。 今、先生はそれについて回収が可能か不可能かというふうな話でおっしゃいましたが、不良債権のそういった数字がございますが、本来それは各金融機関がゴーイングコンサーン、つまり継続企業として自分の自助勢力でそれを償却あるいは引き当てしていくべきものでございます。 したがって、今申し上げたような数字が全部破綻処理として処理しなければいけないという金額ではございません。現に、千ぐらいある金融機関のうち、今まで破綻処理したのが二十数行だったというふうに記憶しておりますが、ほとんどの金融機関は自助努力でもってそこを乗り越えているわけです。不良債権の一切ない銀行というのはまずはあり得ないでしょう。しかし、それは不良債権をみずからの努力で、みずからの利益で償却していくわけでございます。そうすると、そういうことができなくなった金融機関が今度は破綻という状況に陥ります。そうすると、破綻した場合に預金者が保護されませんので、そうした金融機関に限って今度はロスの穴埋めを預金保険機構がやるということになるわけでございます。 確かに、先生がおっしゃった不良債権額と七兆円との関係がよくわからないという御指摘はしばしば受けるのでございますけれども、例えばあの十一兆、先生は第Ⅱ分類までで七十六兆ということをおっしゃいましたが、それが全部破綻して処理をするべき性格のものでは全くございませんで、そうしたものの不良資産の処理を各銀行がやっていく中で、残念ながら破綻した場合の処理をしっかりしておきませんと預金者の保護が図れないということでございますので、七兆円の用意をしていただいておればまずは御安心いただけると、こういうことでございます。
○荒木清寛君 そうしますと、大臣にお尋ねしますが、預金者保護あるいは金融システム安定のための公的資金の導入はこれで最後である、三十兆円を超えることはないと、そういうお約束はいただけるわけですね。
○国務大臣(松永光君) 今、局長が申し上げましたとおり、二〇〇一年三月末までの時限措置ではありますが、特例業務勘定に十七兆円入れて用意することによってすべでの預金者に対して完全な安心感を与えることができると、そう考えているところでございます。それから、金融危機管理勘定の方へ十三兆の資金を用意したことによって、日本の金融システムを安定化させ内外の信用を高める、そういったことがきちっとやれるものというふうに考えております。
○荒木清寛君 二〇〇一年三月末まではこれ以上のことはないというお話かと思います。 そこで、今回の金融安定化法案の方につきまして今後質疑をしてまいります。 大臣は、このスキームは金融システムの安定化のためであって個々の金融機関の救済ではないということをしばしばおっしゃり、本会議でもお聞きをしました。しかし、今回のスキームはそういうようにはなっていないわけなんですね。この法案によりますと、金融機関等の申請があった場合に優先株等の引き受けを検討するという仕組みなんです。 大臣、これは報道ですけれども、私は財政・金融は素人で常識で判断するのが基本だというふうによくおっしゃっていますけれども、常識で考えれば、これは素朴な常識、法律的な常識と言ってもいいかもしれませんが、で考えても、個々の金融機関が公的資金を導入してほしいというふうに要請した場合にやるというんですから、まさにこれは個々の金融機関の救済そのものじゃないんですか。そういうシステムの安定という話じゃないんじゃないですか。
○国務大臣(松永光君) 詳しいことは局長に答弁をさせることにいたしますが、要するに経営内容が著しく悪いものについては、これは対象にしないということが法律に書いてあります。経営内容は悪くはないけれども、その時点における金融市場等の影響で資金繰りが厳しくなるような銀行である、そしてそれが厳しくなることによって地域経済に大きな影響を与えるような、そういう銀行を念頭に置いておるわけであります。 同時に、どういう銀行を対象にするかということについては、この法律と国会における議論も参考にしながら審査委員会で基準を決めていただいて、それに基づいて審査をしていただく、審査の議事録は公表する、そして全会一致で決議をしていただいたならば閣議にかけて閣議で承認をする、こういう仕組みにいたしておるわけでございます。 個別の金融機関の支援というよりは、今申したようなことで、金融機関が自己資本を充実することによって全体としての日本の金融システム安定に大きく貢献する、そのためにこういうシステムを構築して日本の金融システムが安定するようにやっていく、こういう考え方でございます。
○荒木清寛君 システムの安定化というのであれば、申請のあった金融機関しか引き受けをしないというのはおかしいと思うんです。今、大臣がおっしゃった、悪い金融機関は対象としないと。仮にそういうものをCランクの銀行としますと、優良銀行のAランク、Bランク、Cランクとよく言われる分類があるわけなんです。もしシステム安定化のためのスキームだというのであれば、少なくともBランクですね、ちょっと助けてあげなきゃいけないという銀行は、申請があるなしにかかわらず、すべからく強制的にそういう優先株を引き受けるということじゃなかったらシステム安定化ということにならないんじゃないでしょうか。要らないと言ったところは引き受けないというのでは、やはりこれは個別の機関の救済ということに尽きるんじゃないですか。
○国務大臣(松永光君) 理屈を言うつもりはございませんけれども、優先株を発行するかどうかということはまさに民間金融機関が自主的に判断してやるべきことでございますから、強制的に云々というのは私はあってはならぬことだというふうに思います。
○荒木清寛君 もちろん、優先株ということでいえば、これは強制的に発行させることはできないわけですからおっしゃるとおりですが、ただ公的資金の導入の仕方としてはそれに尽きるものじゃないわけですから、もっと別のやり方もあるわけでありまして、本当にシステム安定というのであれば、そういうちょっと危なっかしいなというのは全部そこにお金を入れていかないと安定しないんじゃないでしょうか。
○政府委員(山口公生君) 大臣の御答弁にちょっと補足させていただきたいと思いますが、考え方をちょっと変えまして、システムが何で不安定になっているのか、なったかということを御説明させていただきたいと思います。 株価が下がる、そうすると含みが減る、そうすると金融機関は八%がクリアできるかできないか、四%をクリアできるかできないか心配になる、貸し渋る、貸し渋ると企業は倒産をする、そうするとまた株価が下がる、株価が下がると金融機関はまた自分の含みが減る、こういう悪循環をたどる危険性があるわけでございます。 どこでそういう悪循環を起こさないようにするかという手法としては、いざとなったら八%をクリアできる手段が例えばこの方策でもありますし、貸し渋り対策でもやりました。また、いろいろ御議論されております土地の評価でもあります。いろいろな手段がありますということ、まず環境を整えておいてやるということが一番そこに効き目があるというふうに思うわけであります。 したがって、確かに先生がおっしゃられるように、手法としては個々の銀行を通じています。個々の銀行が申請を出してきて、それに対応するしないというのを決めてやるというシステムはそのままとりますけれども、考え方として、そういう八%のBIS基準を超えなきゃいけない、あるいは国内の四%の基準を超えなきゃいけない、株価が仮に物すごく下がっても超えなきゃいけないと、こういうところを不安なくしておくということがその悪循環をとめる手法としては一番有効ではないかというふうに思うわけでございます。 そういうふうに考えていただきますと、確かにシステム安定のためにいろいろな手法があるのかもしれません。もっと広げてやるかもしれません。しかし、今起きている不安定性のもとが、どうしてもそういう金融不安から、不安が不安を呼んでまた悪い循環に陥ってきたというその事実を踏まえて判断させていただきたいと思っているわけでございます。
○荒木清寛君 それとちょっと性質が異なる話でありますが、大蔵官僚に対して接待工作をしたと言われているあさひ銀行、第一勧業銀行、三和銀行、破綻しましたが北海道拓殖銀行、要するに贈賄によって金融検査をねじ曲げようとしたという疑いが持たれており、捜査の対象になっているんですね。まさかそんなところには幾ら申請があっても今回の優先株等の引き受けはなされないですね。そんなことがあったら私はまさにモラルハザードじゃないかと思うんです。この点はいかがでしょうか。
○政府委員(山口公生君) 確かに今御指摘になったような報道がございますし、社会的にいろいろ批判が起きておることも事実でございます。 ただ、今回の措置はこの金融危機のプロセスにどう対応するかの問題でございますので、直接的にそれがもう排除してしまう要件だということになるかどうかは、それは審査委員会が中立公正で、また全員一致でそういう基準をお決めになるわけでございますので、そういったことは審査委員会の御判断にゆだねるべきことであろうというふうに思うわけでございます。
○荒木清寛君 そう言ってしまえばそうなんですが、大臣にお聞きをしますが、しかしそんな金融検査について贈賄工作をしたようなところまで公的資金が投入されたら、自己責任もいわゆる法律的な正義も、私はもう何もなくなってしまうと思うんですが、大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(松永光君) 法案に書いてありますように、両院の同意を得て任命していただく三名の民間人の方、そして大蔵大臣、日銀総裁、預金保険機構理事長、それから金融監督庁長官、その七名の審査委員会で御審議願っている法律を一番の土台にするわけでありますが、それに国会における議論も踏まえていただいて審査委員会が基準を決める、こういう仕組みでございますから、今の段階で私が先生のおっしゃったことをごもっともでございますからなどということを言うことはできないんです。すべてこれは審査委員会で定めていただく基準、それに基づく審査、こうなってくるんだということを御了解願いたいと思うんです。
○荒木清寛君 今、法案の審議をしている段階ですから、この投入基準を全部その七名の審査委員に任せてしまっていいものなんでしょうか。やはり法律上あるいは国会の議論としても、自己責任なりモラルハザードを来すような引き受けはしないということはきちんとどこかに、法案なら法案にうたっておくべきじゃないんでしょうか。全部それは七名の方の厳正な審査に任すという白紙委任でいいんですか。
○国務大臣(松永光君) 先ほども申し上げましたけれども、法律とそれから国会における審議の状況等も参考にしていただいた上で審査委員会がお決めいただく基準と、こう申し上げたわけでありまして、その基準は公正中立な委員の人たちが決めることでありますから、それにお任せすることが最も適当ではないかと。基本となる法律は国会で決めていただく、それを前提にして、国会における議論も踏まえた上で基準を決めていただくということで御了解が願えるのではなかろうかと、こう思うんです。 今ここで私が先生の意見をこうします、ああしますということを申し上げるわけにはいかないんです。すべてこれは国会の論議も参考にしていただいて基準は決めていただくと、これ以上に私は言えないんです。
○荒木清寛君 ですから、私はやっぱりそこが一番問題だと思うんです。衆参の議論を通じて言われていることは、さんざん議論されてはきたけれども、どういう金融機関を選別するかという基準が抽象的であって法文ではよくわからないと言われているわけです。私はその一例を単なる例として、単なる例という言い方はおかしいですが、一例として申し上げたわけでありまして、やはりこの法律の成立する段階できちんともう少し選別の基準が明確になっていなければいけないと私は思います。 それで、公的資金まで投入するということでありますから、当然これは金融機関等のリストラの徹底ということが大前提であろうかと思います。しかし、バブル崩壊後の八年間を見ましても、金融機関が身を切るようなリストラをしたということははっきり言って私には思われないわけです。きょうの朝刊で、何か金融機関が真剣にリストラに取り組むなんということが出ているわけでして、逆に言うと、じゃこれまでやってこなかったのかという話になるわけです。大臣も先週、この銀行の頭取とお会いになってみずからリストラを要請された。要するに、今になってやっと本当に真剣になってきたとしか思えないわけなんです。 そうなりますと、放漫経営といいますか、そこまで言わなくても、厳しいリストラをしなかったがために今日の事態を迎えた金融機関等に公的資金を投入していく、大臣は先ほど護送船団を温存しないとおっしゃいましたけれども、これはまさに護送船団じゃないですか。しっかり自分でやらなかったがゆえに危なくなった、そこに救済の手を差し伸べるということになりはしませんですか。
○国務大臣(松永光君) 民間金融機関は今日までもみずからの生き残りのためにある程度のことはしてきたと思いますが、細かい数字は政府委員に答弁させますけれども、しかしそれが十分であったとは私も思っておりません。したがって、先ほどお話がありました公的資金による資本注入を受けたいと申請する金融機関は徹底したリストラあるいは経営改善計画、それを出していただくと。それも実は資本注入をするかどうかの大事な審査の条件になるわけでありまして、それなりの努力は当然のことながら民間金融機関はやらなきゃならぬ、こういうことであります。 なお、先般、全銀協の新しい会長さんがお見えになったときに、このこともはっきりお願いしておきました。公的資金を入れての金融システムの安定化のためにやっていくことであるから、今までより以上に厳しい経営の合理化は特にお願いしたいというふうに申し上げたところでございます。
○荒木清寛君 まさに大臣がおっしゃったように、ある程度のリストラはしてきたけれども十分ではなかったわけです。そのツケをなぜ国民が負わなければいけないのか、私は納得できないわけです。 そこで、一昨年の三月四日に与党三党の「住専問題に関する新たな措置について」という合意があります。「民間金融機関は、今後七年間で一・五兆円規模の経営の合理化・効率化を行い、五千億円程度の税収増をもって国への新たな寄与を行う。この実施状況について定期的にフォローアップし、公表する。さらに、大蔵省を通じて国会に報告する。」という公的資金導入に当たっての一つの合意があるわけです。 このフォローアップした状況というのは国会に報告されているんですか。
○政府委員(山口公生君) 平成九年の六月十日付で参議院の行財政改革・税制等に関する特別委員会への資料ということでお示しをいたしておるわけでございます。 その中で、人員の八千名程度の削減あるいは店舗の削減、それから各行別にリストラ状況が列記されまして国会へ私どもが取りまとめて御報告申し上げている状況でございます。
○荒木清寛君 私もこの資料だと思って今見ておりますが、しかしこの一・五兆円規模の経営の合理化ですとか五千億円の税収増ということは、その点についてのフォローアップはどこに出ているんですか。
○政府委員(山口公生君) これは七年間で一・五兆円規模の合理化、効率化ということがうたわれておりまして、これはまだ初年度の報告をこの間やらせていただきました。この間の予算委員会でも御質疑がございましたけれども、数量化してどれくらいの効果があったということを出すのはなかなか難しい状況だというふうに思います。
○荒木清寛君 いや、なかなか難しいと言われましても、この合意によれば定期的にフォローアップすると。これは主にこの「五千億円程度の税収増」というところに意味があるわけですから、何人減らしたかということじゃなくてどれだけ国の税収に寄与したのかということがこの合意のポイントであって、そのためのフォローアップなんですから、なかなか計量的に報告できませんじゃだめじゃないですか。きちんと報告してもらえますか。
○政府委員(山口公生君) この合意文書をお読みになるとわかりますように、三党で「新たな措置について」ということで金融界に投げかけられておるわけでございまして、金融界で七年間で一・五兆円規模の合理化をしてほしいということを三党から申されているわけでございます。その結果、税収として見ると五千億程度であろうという推測が成り立つのでこういう文書になっていると思います。 これは三党と金融機関との関係での文言でございまして、私どもとしては、そういうものが公表されたら国会に御報告しますという形になっているわけでございます。 いずれにせよ、初年度のそういった合理化あるいはリストラ、それはすべて各行から取り寄せて御報告を申し上げたということでございます。 いずれにしても、七年間でこれくらいのことはやりますということを三党と金融界の間でこういった理解がされているということでございます。
○荒木清寛君 いずれにしましても、国民の立場から見れば、この五千億円という約束がどの程度進捗しているか全くわからないわけです。そういう状況においてさらなる公的資金の投入ということになれば納得していただけるんでしょうか。 最後に、経営悪化の金融機関に公的資金が投入される以上は、バブル期の経営に関与した経営者は総退陣をするというのが当然であろうかと私は思います。 大臣、今回の法案はそういうスキームになっておるんでしょうか。
○政府委員(山口公生君) 今回の法案は二つになっておりまして、一つは破綻処理のためのものでございます。これは責任追及をきっちりやる体制を整えております。 もう一つの危機管理勘定の方は、先ほど来何度も申し上げて恐縮でございますが、金融を通じた経済の危機を救うということが眼目でございますので、それぞれの金融機関が健全化のための計画を出していただくということで、それは審査委員会の審査にかかるということで、そうした中において、今、先生が意味しておられるようなことも、ケースケースによると思いますけれども、それはあり得ることかなという感じがいたしておるわけでございます。 両者はやや違えて考えるべきものであると思いますし、少なくとも破綻をした金融機関の経営者の責任は、先ほども申し上げましたように、解明委員会あるいは機動調査課の創設というようなことできっちりやっていくつもりでございます。
○荒木清寛君 終わります。
○山下芳生君 総理は、今国会冒頭の演説で金融の根本は信頼だと、こうおっしゃいました。これは私も賛成であります。預けたお金はちゃんと守られる、健全な企業に対しては必要な資金が供給される、これらのことを通じて国民の中に金融に対する信頼が私は培われるのではないかと考えます。 その点で、今、社会的な問題となっております中小企業に対する銀行の貸し渋りの横行というのは、これは金融に対する国民の信頼を掘り崩すものだと私は思いますが、大臣、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 民間金融機関の中小企業に対する融資姿勢、これについて貸し渋り等の批判があるということ、承知いたしております。 中小企業の方で堅実な企業経営をやっておる、多少の担保も出す、そうであるのに金融機関の方でこの早期是正措置をにらみながら資産を縮小していこうという動きがあるということが事実であれば、これは民間金融機関が公的な金融機関としての責任感を余り持っていないということになってくるわけでありまして、これは甚だ遺憾なことだというふうに思います。 ただ、民間金融機関も、実は貸して稼ぐわけですからね、本来言えば。本来は資金を必要とする企業に融資をして、それによって利子を稼ぐというのが金融機関の事業のあり方だというふうに思うわけでありますが、貸せるのに貸さないという事態があれば、それは金融機関が公的な、公共性のある金融機関であるということの認識が必ずしも十分でないということになるんじゃなかろうかと、こういうふうに私は思います。 そこで、そのわけが自己資本比率が下がっておる、あるいはこの三月期、三月末で下がるということがあるという想定のもとに貸し渋りをしているというのであるならば、これはこの早期是正措置の運用の弾力化を我々の方としては図っていかにゃならぬ、あるいはまた金融機関の持っている株式の評価方法の改善、これほしたわけでありますけれども、そういったこと等を通じて民間金融機関が四%条項をクリアしやすいような、そういう条件をつくり上げて貸し渋りがなくなるように努めていきたい、そう考えているところでございます。
○山下芳生君 貸せるのに貸さないということがあるならば、これは銀行の公共性に照らしてみて遺憾だと大臣は認識しているとはっきりおっしゃいました。これは大事なことだと思うんですね。同時に、そういうことがあるならばと、今あるかないかわからないかのような答弁だったのは、これは私は不満なんです。 貸し決られている側、中小企業を含む企業の側の調査というのはいっぱい出ております。もう一々紹介しませんが、一つだけ言いますと、これは中小企業庁が一月中旬に調べました「民間金融機関のこれまでの貸出姿勢」、「条件厳しく」あるいは「条件不変・サービス低下」、合計すると二四・九%が貸し渋りの動きを感じている。それから、今後の貸し出し姿勢について、「かなり厳しく」、「やや厳しく」を合計すると五三・一%という答えになっている。 それからもう一つだけ、国民金融公庫も同じく一月中旬に調査をしておりますが、民間金融機関の貸し出し姿勢について、「借入条件が厳しくなった」と回答した企業の割合は三三・〇%、今後の貸し出し姿勢について見ると、「やや厳しくなる」四六・三%、「かなり厳しくなる」二〇・二%、これ合計六六・五%、三分の二の中小企業が今後銀行の貸し出し態度が厳しくなるであろうということを予想しているわけですね。 つまり、現在貸し渋りが広がっている、これからもさらに広がるであろうということが借りる側、貸し決られている側からすれば、いろんな調査が出ておりますが、はっきりしているわけです。私は、その点で大臣が先ほどそういうことがあるとすればという仮定の議論をしているのは、これは中小企業に対してのそういう態度は極めて納得できない答弁ではないかと思うんです。 この際、貸し渋っている側、貸し手の側、銀行の側がどういう実態で貸し渋りをやっているのか、これはやはり金融に対する信頼が揺らぎかねない遺憾なことだと大臣がおっしゃるんだったら、金融機関側の貸し渋りに対する調査をやるべ きじゃありませんか。
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げますが、個々の貸し渋りの原因といいましょうか、借りる側の中小企業の経営内容がいいのか悪いのか普通なのか、あるいは著しく悪いのか、そこを見ないと明確には言えない点があると思うんです。今お示しのいろんな数字がありますね、その中にはそこらのところが私は明確になっていないような感じがするんです。先ほど申しましたとおり、借りる側の中小企業の経営がほどほどにやっておる、将来性もそう暗いわけじゃない、であるのに貸さないということは、これは銀行の公共的な性格からいってよくないことだと、こう申し上げたわけです。
○山下芳生君 今そういうことが起こっているということが今の私の数字、それから一般的にも言われているわけですよ。それは遺憾だと大臣もおっしゃっている。それを調べもしないでそういうことがもしあるならばなどという仮定の議論になぜ終始するんですか。もう一般的にはそういうことがある、けしからぬということが言われているときに調査もされないんですか。そして、仮定としてそういう中小企業がもし経営が悪いんだったら貸し決られてもいたし方ない面もあるみたいなことを今言うのはいかがかと私は思うんですけれども、調査しないでそんなことを言っちゃいかぬですよ。
○政府委員(山口公生君) この貸し渋りの話は昨年から起きておりまして、私どもも銀行を呼んでいろいろ聞いております。銀行の中には、それはリスク管理を厳しくしましたと言う人もおります。リスク管理を厳しくすれば本来貸せるところにというお話がボーダーラインでかかってくるわけですね。そういう主観的な見方からすると、これはリスク管理の強化だという見方もできるんです。 しかし、いろいろこれまでの貸し出しの態度からいうとかなり厳しくなってきている。そうすると、先生が今おっしゃったように、社会的に見てもちょっとそこはやややり過ぎではないかという現象も出てきていると私どもも思います。 じゃ、なぜそういう現象が起きるのかと。けしからぬ、けしからぬと言うだけで済まない問題があるわけです。それはそうせざるを得ない民間企業としての金融機関の立場があるからです。それは、含みがたくさんあって、いつでもそういう償却に補てんできる財源を持っている時期ならいざ知らず、かなり株の簿価も上がった、そういうときに償却もしなければいけない、そうすると自己資本比率が下がってくる、株価が下がるとこれは大変だということで予防線を張ってどんどん資産を縮小する、こういう現象があるわけです。そういう現象を解消してあげない限り、これはだめだ、社会的におかしいと言うだけでは問題は解決しないという感じがします。
○山下芳生君 今起こっていることというのは、銀行局長がこれは社会的に見ていかがなものかということが広がっているんだと、これがもう大体どの中小企業団体の調査でも明らかになっているわけですよ。呼んで銀行から話を聞いたということですが、私はもっときちっとした調査をやる必要があると思いますよ。銀行法二十四条には報告または資料の提出を求めることができる、二十五条には立入検査をすることができるとあるわけですよ。大蔵省は権限がある。今これだけ銀行の経営に関する社会的な批判が集中しているときに、呼んで話を聞いただけでは済まないんじゃないか。これは改めて権限を行使した貸し渋りについての銀行に対する調査をきちっとやって、国民に明らかにすべきじゃないですか。そうじゃないと対策がとれないじゃありませんか。大臣、どうですか。
○政府委員(山口公生君) 調査をしろというお話ですが、例えば貸し渋りという言葉一つにしても、どういう定義をしてどういう統計をとるか、それはなかなか難しいと思うんです。リスク管理の強化ですと一言で言われてしまったらそれはそれで終わりになってしまう。そういうものではないと思います。実態をよく見て、どういう方針でやっているのか、逆に今度は借り手側の方からの意見も聞いたりして、それで実態をよくつかみながらやっていくと。 ただ、もっと大事なことは、早く手を打つということだと思うんです。そういう現象が起きなくて済むように早く手を打つということがまずは先決だと思います。
○山下芳生君 今、実態をよくつかむことが大事だとおっしゃいました。つかむんですね、大蔵省として。
○政府委員(山口公生君) それは常時私どもとしては把握してきているところでございます。
○山下芳生君 借り手の側の実態からすれば大変な事態になっているということは明らかですから、そういう立場で私はぜひ調査をやる必要があるということを指摘しておきたいと思います。 それで、先ほどから大臣も銀行局長も手を打つ必要があるということでいろいろおっしゃいました。改めてどういう貸し渋りに対する対策を打たれたのか、簡潔に説明していただけますか。
○政府委員(山口公生君) 大きく言うと三つあると思います。一つは、政府系金融機関での対応、二十五兆円の対応ということです。二つ目は、大臣より全銀協会長へ要請するとともに、貸し渋り対策ということで早期是正の弾力運用とか、あるいは株式の評価とか、あるいは預金とのネッティングとか、いろいろな方策を出しました。三つ目が、今回の公的資金による資本注入策の持つ効果をここでぜひ発揮させていただきたいということでございます。 そのほかに、党では土地の再評価の話等が進んでいるやに聞いておりまして、いずれにせよ、そういう資本対策というものが有効だろうというふうに思います。
○山下芳生君 一つ目の政府系金融機関などに対する二十五兆円の資金確保、これは私当然だと思うんですね。ただ、中小企業向けの貸出残高を見ますと、政府系金融機関の構成比というのはわずか八・三%です。圧倒的多数、九割以上は民間金融機関が中小企業に対する貸し出しを行っているわけですから、やはり民間金融機関に対する貸し渋りの是正策をやらなければ問題は解消しないと思います。 その点で、早期是正措置の緩和ということなどがもう一つお答えとしてありましたが、この点も参議院の予算委員会に参考人として出席された全国商工会連合会会長の近藤英一郎さんが調査した報告書によりますと、早期是正措置の一年間の猶予などの政策が講じられて以降も金融機関の貸し出し姿勢に変化はなかった、あるいは貸し渋りはさらに厳しくなっているという回答が全国の商工会の大体九割あったという御報告でしたね。ですから、現場ではなかなかそれが功を奏していないということなんです。 私、きょうぜひ議論したいのは三つ目の、今度の法案が貸し渋りの対策になるというふうにおっしゃっている、これはなぜかということなんです。三十兆円支援策と私どもは思っておりますが、何で今度のこの二法案が貸し渋り対策になるんですか。
○政府委員(山口公生君) 金融機関の最近の行動を分析してみるとその辺のことがわかるような気がするわけでございますが、結局、現時点において期末の状況をどう読むかということを非常に心配しているわけです。 仮に株価が思ったような水準に上がっていないということになると、自分のところの含み益はこれくらいになる、あるいは場合によっては含み損が出るかもしれない、低価法をとったらこうなる、原価法をとったらこういうふうになる、いろいろ考えるわけです。それから、今後の貸し出し、あるいは金利動向、あるいは経済全体の動き、そういったものを考えて、三月末終わってから修正はできませんから、それに合わせて必ずクリアできるように行動をとるわけです。 ということは、分母分子の関係からいうと分母を圧縮しようとするんです。それが過大に起きるとなると好ましくない現象が起きるということなんです。つまり、経済的に見て先を心配して今の行動をより萎縮させてしまうという現象が起きているわけです。 先生は先ほど早期是正措置の弾力運用では十分ではないという御指摘がありました。彼らがまだ自信が持てないのかもしれません。彼らが自信が持てればそういう現象がとまる、またとめられると思うんです。つまり、いろいろな手だてを用意してあげる、どんな手段でも用意されている、いざとなったらこういう手段があるということが一番大事だと思うんです。だから、今の貸し渋り現象というものの解決策は、彼らが自信を持てるような手段を用意するということだと思うんです。そういうことをしませんと経済全体がだめになってしまう。ひとり金融機関が倒れるとか倒れないという事態ではなくなって……
○山下芳生君 法案との関連は。
○政府委員(山口公生君) 法案との絡みで言いますと、ある銀行がこのままいくと、株価がこれくらいのときはBISが七・五か六ぐらいにしかならないと仮に思ったとしましょう。そうしたら、それに見合うだけどうしても資産を圧縮します。そういうビヘービアをとらざるを得なくなります。したがって、いろんな手段を講じてそれは大丈夫だという形をとればそういうことをやらなくても済むということなんです。そのための一つの手段がこの資本注入だと思うんです。 これは、だから金融機関の救済だという御意見もそれはあります。ありますけれども、もっと大事なねらいは、それと取引をしている企業あるいはそこに働いている人たちの雇用、そういった問題がここにかかっているということだと私は思うのでございます。
○山下芳生君 資本注入すれば貸し出しの枠がふえるであろうというのは、私は理論上はあり得ると思うんです、机上では成り立つ話だと思うんですが、しかし実際に民間金融機関で今どんな事態が起こっているのか、これは私も実際に金融機関で働く方々から話を聞きましたけれども、貸し渋りの実態というのはもう貸出金の回収ですよね。 それで、どうやって起こっているかというと、取引先を格付表に基づいてランクづけする、低いランクのところから資金を回収している。それは取引先企業の経営意欲などはもう関係ない。とにかく格付の点数で判断するわけです。だから黒字でも融資が受けられずに倒産するケースが出ている。 何でそんなことになるのかというと、これは背景にビッグバンを控えた銀行の飽くなき自己資本比率引き上げ競争がある。よその銀行もやっているんだからうちも貸し出しを圧縮して自己資本比率を引き上げなければ競争に負けちゃう、そういう競争があるわけですね。自己資本比率が高ければ高いほどその金融機関は健全な金融機関だ、もうかっている金融機関だという評価につながって、その資金調達コストが安くなるということが実際あるわけですから。 そういう状況のもとで公的資金によって自己資本の充実を行っても、自己資本引き上げ競争のさなかにそれが貸し出し増につながる保証は全くないんじゃないかと私は思うんですね。貸し出しをふやしたら分母が大きくなるわけですから、せっかく引き上がった自己資本比率を引き下げることになる。 公的資金による自己資本の充実というのは、これは貸し渋り対策になる保証はないんじゃないですか。
○政府委員(山口公生君) 確かに、その資本注入が全部自己資本先案に充てられるとすれば分母は変わらないということになりますから、それは理論的には先生のおっしゃるようなことは当たってはいると思うんです。 しかし、今私が申し上げているのは、先行きを心配して今過剰な行動をとっているところが問題なんです。ビッグバンを控えて、自己資本比率を上げでいい銀行になって、調達コストを安くして、それで国民にあるいは企業にいい金融サービスを提供したいわけです。これは企業としては長期的に見ればそういう戦略をとるのは自然だと思うんですね。しかし、金融危機として私どもが意識しておりますのは、先を心配して今の行動が萎縮して、それで社会的に問題を起こしているということだろうと思うんですよ。そういうふうに物事をよく理解し、そうすれば自己資本注入策ということ官体がその貸し渋り減少にも資するし、効果的であると。 それで、そのほかに先ほど申し上げた手段とかあるいは土地の再評価も御議論いただいているということで、そういうあらゆる手段を使ってそういったことに対処していくということが必要な時期であるというふうに私は思います。 だから、これは二〇〇一年三月までの措置だというふうに考えております。
○山下芳生君 私は、それは本当に国民に誤解を与える宣伝だと思うんですよ。資本注入が貸し渋り対策にならないというのは、これは私が勝手に言っているんじゃないんです。いろんなマスコミも専門家も、それは共通して指摘しているじゃありませんか。 この朝日新聞の記事ですが、「資本注入でどこまで貸し出しが増えるのかが最大の問題だ。優良な銀行は預金を受け入れて融資する伝統的な銀行業務からの脱却を図り、証券分野などへの参入をねらっているため、融資の増加にはそもそも慎重とみられている。逆に経営の悪いところは不良債権の償却に回すため、貸し出しは必ずしも増やさないという見方がある。」、神奈川新聞も「政府が打ち申した公的資金による株式引き受けを柱とした金融機関の自己資本増強策は、優良な大企業はともかく、財務体質がぜい弱で大半が赤字とされる中小企業への貸し渋り解消には効果薄、との見方が経済界で有力となっている。」と。 これは先ほど銀行局長自身も最終的には銀行が決めるんや、貸し渋りの解決になるというふうに私は胸をたたけませんとおっしゃったばかりですよ。ここは私ははっきりしていただかないとだめだ。あなたの金を注ぐんじゃない、公的資金、回り回れば国民の税金を使うんですよ。それをあたかも貸し渋りの対策になるかのようなごまかしの宣伝をやってこれを認めさせようなどというやり方はやるべきじゃない。そんな宣伝はやめるべきじゃありませんか。
○政府委員(山口公生君) 先生よく御存じのとおりですが、これは別に資金贈与をするお金ではありません。マーケットが十分に機能していないということでその資本の注入策というのを考えるわけであります。場合によっては値段が上がってアメリカで経験したようにおつりが来るかもしれません。そういう性格のものであります。だから、税金を使って助けるとかいうふうに言われますけれども、それはあくまでマーケットを補完するというようにまずお受け取りいただいた方が私はいいと思います。 さらに、その貸し渋りとの関係で、これは何度も繰り返すようですけれども、やはり資する効果はあると思います。それは、これがなくてそれでは貸し渋りをやめなさいと私どもが言ったときに、彼らが、いや、三月末が心配ですということになるわけです。場合によっては四月以降九月末がまた心配ですということになるかもしれません。 だから、長期的に見たリスク管理をどうしていくかという問題と今こういう危機的な状況でもってそれが経済全体をだめにするおそれがあるということとはちょっと次元の違う話だというふうに私は理解せざるを得ないと思うんです。
○山下芳生君 私は、だから銀行がなぜ貸し渋りをしているのかをもっとつかむ必要があると思うんですね。 銀行が貸し渋りをしているのは体力がないからじゃありませんよ。体力がないから貸せないんじゃないですよ。だって、都市銀行、地方銀行の自己資本比率、これは大蔵省の資料で昨年の九月末現在で見ますと、大体、ほとんどすべての主要銀行、地方銀行が早期是正措置の発動要件である国際統一基準の八%をクリアしていますよ、このとき既に。このときの株価というのは、私調べますと、一万七千八百八十七円ですよ。今だって一万七千二百五円ですよ。そんなに落ちていませんよ。ですから、こういう体力というのは依然として維持されていると。体力がないから貸し渋っているんじゃないんです。もっと体力をつけよう、もっと自己資本比率を高めよう、それで国際競争に乗り出していこうという動機が働くから貸出資産を圧縮しているんじゃないかと。 これは日本経済新聞に載りました、「地銀、海外撤退・縮小相次ぐ」、その背景に「経営資源を国内に集約して、地域の顧客との取引を拡充した方が経営基盤も強化されるとの判断が働いている。」と。その記事の中に、自民党の加藤紘一幹事長が「「地銀は海外から撤退し、地元企業への融資を最優先すべきだ」との考えを表明」したということも述べられております。 もし加藤さんが言った言葉が、国際競争に乗り出すために国内の中小企業に対する貸し渋り、公共性の放棄をやるんだったらそんなことやめなさいと言っているんだったら、私はこれは賛成できる話だと思うんですね。自分のところの、国内地域の世話になった中小企業が貸し決られてつぶれていっているのに、自分の自己資本比率を守るためということで貸し渋ってもそれは仕方がないというのは、さっきから銀行局長はそればかり言っている。それで一体大蔵省として銀行に公共性を果たさせる指導をやっていることに塗るのか。あたかも自然現象のような言い分じゃありませんか。 指導がないからそんなことになる。体力のある銀行に公共性を発揮しろ、そういう指導もしないでそれを容認する姿勢は私は納得できないし、ましてや、この公的資金を注入したところで、そういう指導もしない大蔵行政のもとでそれが貸し出しに回る保証は全くない。そんな計画は撤回すべきだと私はあえて大蔵大臣に伺います。 どうですか、大臣。貸し出しに回るということが言えないんじゃないですか。
○政府委員(山口公生君) 大蔵行政も、いろいろな御批判がありまして、手とり足とりそういったことはやるべきでないということで事前調整型から事後チェック型にだんだん移っていくわけでございますが、その中にあっても銀行がやはり社会的に期待される機能はぜひ果たしていってもらいたいという気持ちは変わりないわけでございます。 しかし、あくまでそのベースとしては各金融機関が自分で判断をし自分でそういったことを意識して行動するということでなければ、一つ一つあなたのところの中小企業の貸し出しは幾らふやしなさいなんということをやるのはまた行政が逆戻りすることになります。そういったことを考えたときに、いろいろな手段を与えることによってそういった機能を発揮させていくということが必要ではないだろうかというふうに考えております。
○山下芳生君 最後に、私は公共性を発揮させる指導なしに資本注入に走っている大蔵省の姿勢は国民には理解できないと思うんです。 アメリカでは地域再投資法という銀行が地域経済に貢献しなければならないという規制がありますよ。銀行は地域で得た利益の一部を当該地域に再投資する、還元する、そういう社会的な責任を負うという法律です。実際、これで住友銀行やバンク・オブ・アメリカなどは一定地域に貢献している。そういうことをやらせてこそ銀行の公共性が発揮されるし貸し渋りの本当の解消になる、それやらないで三十兆円投入というのは反対だということを述べて質問を終わります。
○星野朋市君 まず、松永大蔵大臣にお聞きをしたいのですが、先日の予算委員会で問題になりました例のプロ野球選手の事件とそれから大蔵省の中島元主計局次長の処分の問題に関しまして、大臣はこれは問題ないからもう調査はしないと新聞記者に語られたそうなんですが、昨日の朝日新聞が第二面に山田厚史編集委員という署名入りの記事で「「中島疑惑」再調査を」という囲み記事を出したんですね。朝日が二面に署名入りのこういうことを出すなんというのはこれは異例なことだと思うんですよ。 それで、ここに書いてある論点だけ申し上げますと、「大蔵省の現役官僚やOBの接待汚職は、日本興業銀行の元常務にまで波及した。官界や金融界の根幹に触れる構造汚職に、ぽっかり穴が開いているのが「中島問題」の不透明な処理だ。タニマチと呼ばれる業者から多額の現金をもらったり、主計局次長室まで舞台にしたサイドビジネスに走ったりで、大蔵官僚の権限に群がるひとびとから一億円にも上る贈与があったとされるが、申告をごまかしていた。」、「金融不安が広がり、蔵相の姿勢がいまほど問われているときはない。エリート官僚の腐敗を再調査しない限り、信頼回復は口先だけに終わるだろう。」、こういう囲み記事を署名入りで出したわけですね。 そして、たまたまきょう発売された週刊文春には、大臣と記者との間の言葉のやりとりが主な論点になって、調査をさせると言ったか調査をすると言ったかということで細かいやりとりが出されておるんですけれども、どうしても大臣から直接私どもはこれに対する御見解をお聞きしたいと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(松永光君) これは予算委員会で佐藤議員からの質問であったと思うんです。 佐藤議員のおっしゃることは、簡潔に言えば、プロ野球選手に対する処置は極めて厳しい、それに比べて中島氏に対する処置は甘過ぎるんじゃないかと。ということは、身内に甘い処置をしたんじゃないか、それは平等じゃないねと、こういう質問でございました。私は、身内といいますか大蔵省のOBに対する処置が甘いのであればそれは不公平、あるいは法のもとの平等という理念に反するおそれがあるのでよく調べてみましょうと、こう答えたつもりであります。 そこで、時は今、申告納税の申告時でありますから、まず第一にプロ野球の選手に対する処置が厳し過ぎたのかどうか、それをまず担当者から事情をよく聞きまして、そして私自身わかりました。 申し上げますと、まあ個別案件ですからそう詳しく言うわけにはいきませんけれども、あれは大がかりな脱税請負人という組織があって、それに依頼しての脱税であって、かつ虚偽の領収証などを使っての脱税であったと。したがって、脱税の犯意が明確に立証できる、関係する人数も多い、こういったことから告発、刑事処分という道をとったんだという話でございましたので、それはよくわかりましたと。このプロ野球の件が重過ぎるという感じは持ちませんでした。 一方、中島氏の方でございますが、これはまた身内に甘いという批判が起こるようではいけませんので、二度、三度にわたり国税の担当者から話を聞きました。そうしますと、中島氏は平成七年七月に辞職しておられる。したがって、その後のことについてはこれはOBということになるわけですね。事の始まりは、OBの人がやめた後二、三カ月してから自分で申告に来たと。申告に来たんだけれども、それはいずれ調査があるかもしれぬということを予知しての申告だというふうに国税の方は認定をして、無申告加算税というのを賦課して課税をしたということでございました。 そして、その後さらにいろいろの風評等も耳にしたので、国税の担当者が半年にわたって徹底して調査しました、百何カ所も調査をしましたと。その結果、相当額の課税漏れの所得があることがわかったと。もちろん、その調査の過程では告発も念頭に置いて調査をしたと。しかし、その犯意を明確に証明することが難しいということ等もあって、そこで一部は修正申告、一部は更正決定、重加算税か何かをつけたそういう形で処理したんだという報告でした。一番のポイントは、犯意の立証について確信が持てなかったということでありました。今まで私が担当者から聞いたところは概略そういうことでございました。 OBに甘いという批判でございますが、OBに厳しくしろというのが国民の声かもしれませんが、この分野は何であろうと法と証拠に基づいて処理すべき分野だというふうに思います。犯意の証明に自信がなければこれは告発はできないかもしれません。そして、この調べに当たって国税の担当者は真剣に調べたと、私はそう認めました。認められると思います。もし甘いならこれほど真剣に調べなかっただろうと、こう思いますので、ただいまのところ私の認識としては、当時の国税の担当者は一生懸命やったのであって、甘いということでやったんじゃないというふうに言えようかと思います。
○委員長(石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として牛嶋正君が選任されました。
○星野朋市君 大臣、この時期に、十六日から確定申告が始まりますから、脱税の問題について国税庁がいろいろなニュースを流すのはよくあることなんですよ。例えば、高級乗用車のベンツを購入した人間の所得を調べてこんなベンツが買えるはずはないとか、そんなことをやることも今まではあったわけです。ただ、この中島さんについては、大蔵省で国税も担当していながら借名口座までつくっているんですよね。 こういうことも含めまして、時間がありませんから端的に申し上げますと、再び調査をなさるおつもりはもうございませんか。
○国務大臣(松永光君) 再び調査というのは、私が調査するということですか。――今まで二度、三度話は聞いたわけでありますが、私自身は国税の担当者から何回でも話は聞いていいと思っているんです。 ただ、既に二年前か三年前に、今申したようなわけで担当者が半年にわたって真剣に調査をして、そして発見した課税漏れの所得等について重加算税をつけて処置をした。ただ、犯意の立証について自信が持てなかったということであったわけでして、その点についても聞きました。国税庁の方では、新たな事実でもあればいつでもそれはやりますという話でございましたが、新たな事実がなければやれないということでございました。 個別案件でございますから、私が国税庁の方にやれとかやるなとかということを言う立場にはないわけでして、あくまでも国税庁は厳正公平に、かつ法と証拠に基づいて適切な処理をしていただきたい、一般論として私はそう申し上げなさやならぬと、こう思っております。
○星野朋市君 それでは別の件について大蔵省にお尋ねをいたしますが、昨日これはもう質問通告をしておりますのでお調べいただいたと思うのですが、太田省三現大蔵省大臣官房審議官は現在どのような職務を所管しておられますか。 〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕
○政府委員(武藤敏郎君) 同人は、現在、大臣官房担当の審議官でございます。所掌事務は、規制緩和等の行政改革、年金、住宅・土地政策等を所掌しております。
○星野朋市君 この方が地方財政関係の主計官をやっておられたのはいつごろで、そのときの大蔵大臣はどなたでございましたか。
○政府委員(武藤敏郎君) 同人は、平成元年六月二十三日から平成三年の六月十八日まで主計局の主計官として地方財政等を担当しておりました。 当時、平成元年の八月十日に大臣がかわっておりますけれども、八月十日までは村山達雄議員、元年の八月十日からは橋本龍太郎議員でございます。
○星野朋市君 一九九六年三月十七日発行のサンデー毎日、これによると、ちょうど二年前ですね、富士銀行不正融資事件の中村元富士銀行赤坂支店課長の検事調書の中で「大蔵省のA主計官から銀行の人事の上層部に、転勤をさせないように話してもらったりもしました」との供述があります。私どもの調査ではこのA氏というのは太田省三氏だということが確認されておりますが、大蔵省というのはそういうところまで口出しをするのか、これは全く個人的なことなのか、どちらかお伺いしたい。
○政府委員(武藤敏郎君) ただいま委員から御指摘がありました職員本人に確認をいたしましたところ、記事にあるようなことを依頼された事実は全くないということであります。また、富士銀行にも確認いたしましたところ、当時の記録を調べてみたがそうした事実は一切なかったということでございます。また、この職員本人は同様の記事を掲載いたしました出版社に対しまして名誉毀損で訴訟を提起しておりまして、現在係争中でございます。 以上のようなことでございますので、私どもの方から当該職員の氏名を申し上げることは適当でないというふうに考えております。
○星野朋市君 確かにサンデー毎日の編集長に対しまして内容証明つきでこの記事を書かないように警告がされているんですね。ところが、実際には掲載されてしまった。それで、官房長のお話では今係争中だというんですが、それはそういう法的な処置をとったということですか。
○政府委員(武藤敏郎君) 今、委員のお話のありましたサンデー毎日の記事は本人の名前が具体的に引用されずにA氏ということで引用されているわけでございますが、サンデー毎日には抗議を行ったと。その後、ほかの週刊誌等が同様の報道を実名入りでやったということで、これに対して裁判を提起したということでございます。これが係争中であります。
○星野朋市君 私どもの調査では、検事調書にはっきりと太田省三氏の名前が出ております。この方の問題はきょうは時間がございませんからまた別にゆっくりやりますけれども、橋本総理の大蔵大臣時代にその秘書の小林秘書と大きくかかわっていろいろな事件に関与している疑いがございます。きょうはそこの指摘にとどめておきますけれども、我々はこれからこの問題についてもう少し詳しく調査をしたいと思っておりますので、それは予告をしておきます。 それから、いよいよ法案の問題でございます。 たしか、今度の公的資金の導入に関するスキームについて、まずどなたもお考えになることは、真っ先に手を挙げたところは非常に危ない銀行だと思われがち、これを回避する意味で最も優良だと思われる東京三菱銀行が真っ先に優先株一千億円を引き受けるという情報が流れました。これは予算委員会理事会の席上で村岡官房長官が釈明をするほどの情報として流れたわけですね。だから、これは全くうそではなかったんですけれども、東京三菱には逆にこの優先株の規定がないんです。東京三菱銀行と日本興業銀行には優先株の規定がありませんから、とても三月末までにはこれは間に合わないわけです。 それから、各行の定款で優先株は一定期間後、一定期間後というのはいろいろ問題があるんですけれども、強制的に普通株に転換されるけれども、そもそも国が私企業の株主になるのはおかしいという見解を持っている。この点について、銀行局長、どうお考えになりますか。
○政府委員(山口公生君) 優先株等の所有主体は国そのものではなくて整理回収銀行ではありますが、法律上、整理回収銀行も発行金融機関等の経営に不当な関与をしてはならないという旨の規定をしておりまして、本来そういう形で間接的にしろ私企業の経営にいろいろ口を差し挟むということは避けるべきものだというふうに思います。
○星野朋市君 これはやっぱりいろいろ問題がございまして、政府が今考えているような仕組みでこの優先株もしくは劣後債というのを都市銀行に持たせると、これは非常に難しい論議になりますので簡単に申し上げますと、余り自己資本の充実にならないんです。そうすると、恩恵を受けるのはどこかというと、この前も私は申し上げましたけれども、例の銀行の自己査定の中で、部長信、それから地銀、第二地銀とある中で、なぜ都市銀行と長期信用銀行、信託銀行を分けないのかと申し上げましたけれども、都市銀行自身は余りこれの影響がない、もしやるとすると恩恵を受けるのはどこかというと地銀もしくは第二地銀、こういうところになると思われるんですが、銀行局長はいかがでございますか。
○政府委員(山口公生君) 先生の御質問に直接答えるのはちょっと私は差し控えたいと思います。 ただ、先生がおっしゃっておられるのは、例えば先ほど御披露ございました定款変更がなされているかなされていないかというのがまず三月期対策としてはかなり意味があると思います。ただ、これは二〇〇一年三月までの措置でございますので、それは中期的に考えればクリアできる問題。 それからもう一つ、恐らく先生がおっしゃりたいのは、残りの枠がどれぐらいあるということがある。それから、劣後債の場合はティア2ですから、ティア1の範囲内でしかカウントできません。その辺のことお詳しいですから、そういう点の御指摘だと思うんです。ただ、株価次第によってはティア2の額だって日々変わっているわけです。含み益の四五%というのはある意味では日々変わる数字でありますし、昔はティア1には入り切れないぐらいのティア2があったのですが、しかし最近はティア2の方が小さくなって、むしろすき間ができてきているという状態でもございます。したがって、一概にどこの銀行が一番メリットがあって、どこの銀行がメリットが少ないというのはちょっと今は決めかねると私は思うのでございます。
○星野朋市君 一つだけ反論いたします。 株価がもし上がればこれはやる必要はないんですよね。そういうことになると思います。これ以上の論議はまた別のときにやりましょう。 最後に、大臣にお聞きしますけれども、私は、この前の予算委員会の席上、銀行というのは晴れた日に傘を貸して、それで雨が降ってきたら傘を取り上げると。この前も申し上げましたけれども、一九・三%というのは繰り上げ返済を要求されているわけですよ。これはまさに傘を取り上げようという、そういうところですね。 それで、こういうスキームがなされようとしているときに、私は別の切り口から申し上げますけれども、天下り官僚まで含めて、このバブルというものをつくって、そしてこれだけの問題債権をつくってしまった経営者、そのときの経営者がまだ会長であるとか取締役、相談役であるとか、こういう形で主な銀行二十行だけで六十三人も残っているんです。何のために残っているのか。要するに、秘書つき、個室、自家用車、こういうフリンジベネフィットを堪能しているんですよ。さっきも共産党の議員、それから荒木さんからも話があったリストラの話というのは、よく今までほうっておいたなという感じなんですね。この銀行が主力銀行である系列会社がおかしくなったときにどういう言い方をするかといったら、まず経営者みずから首を切り、それからリストラを図り、不要不急資産を売れと、必ずこう言ってくるんですね。そしておどかすわけですよ。それじゃおまえたちは今どういう状態にあるのだと、国民全体からそれを突きつけられているんじゃないか、私はそう思いますね。 それから、この前も申し上げたけれども、安田信託銀行を筆頭に、要するに体力もない、ノウハウもないのに一斉に外国へ出ていって、総やられでやられている銀行がいっぱいあるわけです。そんなものはもう向こうの業務を引き揚げてくればいいんですよ、そうすれば自己資本比率は四%で済むわけですから。こんなことまで何とかして助けてやるなんということがこのスキームにあるとすれば私は言語道断だと思うんですが、最後に大臣の所感をお伺いいたしまして質問を終わります。
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。 私も、数年前に知り合いの中小企業の経営者から、今、委員のおっしゃった、銀行というところは天気のいいときに傘を貸して雨が降ったときには取り上げるものだということをその人のお父さんから聞いたということを聞かされまして、そういうものかなと思ったわけであります。 それは話は別として、あのバブル期に金がだぶついておる状況の中で銀行の融資の姿勢が相当放漫じゃなかったんだろうか、そのことによって回り回って銀行の経営体質が悪化しておるという面は私は否めない点があると思うんです。しかし、そういう経営の責任というものは本来的に言えば株主の皆さん方が追及するというのが本筋だろうと思います。そのことについて行政の側が余り厳しく言うのもちょっと行き過ぎになりゃせぬかなと、こう思いますが、しかしさはさりながら、公的資金導入ということが行われるという時期でございますので、これは銀行の経営者に徹底した合理化、リストラ、これをやるようにという促しをもっと強くやっていきたいと、こう考えております。
○星野朋市君 終わります。
○菅川健二君 私は、一昨日に続きまして質問させていただきたいと思います。 一昨日は、金融対策に三十兆円もの公的資金を大盤振る舞いするということでございますと、その前提といたしまして金融機関の情報開示の徹底とリストラを最低限思い切ってやらせるべきだということを申し上げたわけでございます。 本日は、法案に関連いたしまして若干の質問をさせていただきたいと思います。 まず、十七兆円の預金者保護対策につきましては基本的に賛成でございますが、預金保険の対象外になっております金融証券や信託などについても保護の対象になるやに聞いておるわけでございます。関係金融機関に対して、これらの点について保険料も払わないのに救済をするといいますか、預金だけは保護するということについては公平性を欠くのではないかと思うわけでございますが、それについての考え方をお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) しばしばこの議論が出てまいって繰り返しになりますけれども、我が国の預金保険の本来的な対象、守るべきものというものは、考え方としては大衆預金を一千万円まで、こういう考え方で成り立っていると思うのでございます。したがって、本則として対象としてあるのは預金とか定期積み金とかあるいは元本補てんの契約のある貸付信託等なんですね。じゃ何で今おっしゃった金融債とかあるいはCDとか公金預金とかあるいは一千万円を超える預金とかあるいは利息とか、そういったものが保護されるのかというと、法律としてそれを可能としている仕組みをお認めいただいているということなのでございます。したがって、それは附則でもって特別資金援助、穴があいたときにそれを全額埋めることができるという規定があるから結果としてそれが救えます、だから国民の皆様御安心くださいということを申し上げることができるんです。 先生の御指摘のような御議論は確かにいろいろあります。ただ、これはあくまで二〇〇一年三月までの措置でありまして、もともとそれを対象にするというふうに法律で書いたわけじゃなくて、対象にできるスキームがあるということでございます。もしそこを変えるとすれば、じゃ本来対象とすべき範囲はどこまでで、いつまで保護するのか、どれだけ保護するのかという議論をしなければいけないということになってくるわけでございます。 したがって、今の体系としては、そういう保険料の本来払われている、本則にある預金が対象となって保険料が納められている、こういう実情にありまして、あと三年ばかりの臨時異例の仕組みからくるいろいろな御議論だということを御説明させていただきたいと思います。
○菅川健二君 そういう理屈もあるわけでございますが、巷間、例えば金融証券等ということになりますと、おのずから特定の銀行の顔が浮かんでくるわけでございまして、特定の銀行に対する証券の保護対策に使われて、より強固に使われておるんじゃないかという疑念が出てくるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
○政府委員(山口公生君) 今、現に預金保険の発動をしておりますのは、大体預金取り扱いを主としてやっている金融機関でございます。 今いろいろ先生のおっしゃったような御議論というのはあり得るとは思いますけれども、預金保険制度を抜本的に変えるということであれば、もっと基本のところからの議論をしなければならない問題だというふうに考えておる次第でございます。
○菅川健二君 次に、金融機関の自己資本を充実し、現況の貸し渋り対策等で公的資金による優先株の引き受けの件でございますが、この点につきましては先ほど来たびたび質問があるわけでございます。 しかしながら、どのような銀行にどういった条件で優先株の引き受けをさせるのかという点についての基準といいますか、そういうものが非常にあいまいでございまして、法律からもなかなか全体像が見えてこないわけでございます。そこで、答えを求めますと、いわゆる審査委員会の審査基準に基づいてやるんだということになりますと、まさに我々国会では何を審議しておるんだということになるわけでございます。 いずれにいたしましても、私も長い間役人をやっておったわけでございますが、法案をつくる以上、法案の目的としておるねらい、大体どういう銀行にどの程度の優先株を引き受けていただくようなことが望ましいといいますか、そういった面の標準的なパターン、一つのイメージ、そういったものがあって初めて法案を提出するということになるのではないかと思うわけでございます。 その点につきまして、全体像についてもう少し何か法案提出者としての意思を明確にしていただきたいと思うわけでございます。
○政府委員(山口公生君) 法律には、まず受け皿金融機関となる場合が書いてございます。これは、破綻処理のときの受け皿になってくれる銀行について、その自己資本の充実を図るため資本注入があるということでございます。もう一つは一般の金融機関でございますが、経営の状況が著しく悪化している金融機関等でない金融機関ということですので、例えば債務超過が予想されるとかあるいはそれに近い状態になりつつあるというようなところはまず全部除外されております。 それで、状況としましては全国的なシステミックリスク、しばしば私が御説明申し上げておる、繰り返しで恐縮でございますが、そうした金融の機能不全の危険性がある場合が考えられます。もう一つ、地域でもそういったものがあるわけでございます。連鎖的な倒産が起きて大口の預金等が抜け出す、そうするとうわさが広まる、そうすると大勢の方が窓口に引き出しに並ばれる、こんな状況が地域で起きることもある。これは地域的なシステミックリスクだと思います。 そういった状況のもとで、じゃ具体的にはどういった審査基準をつくるかということになりますと、それは審査委員会がお決めになって、それで公表されるわけですけれども、その際に少なくともこれだけはそれに織り込むべきだという要件がございます。 受け皿金融機関の場合は、その必要な範囲を超えないものという規定で、これは余り問題にはされておりませんけれども、一般の金融機関の場合について申し上げますと、優先株式等の引き受けがその発行金融機関の経営の再建を目的としたものではなくて信用秩序の維持を目的とするものであること、それから当該発行金融機関等が破綻する蓋然性が高いと認められる場合でないこと、それから協定銀行が優先株式等の引き受け等を行った後相当の期間が経過しても処分することが著しく困難であるという場合でないことというような最低限のものは決めておられます。 こういうものを含めた審査基準を審査委員会が決め、しかもそれをかなり具体化した形でお決めいただいた上で公表される、こういうことでございます。そのときには国会でのいろいろな御議論等を受けて審査委員会が決めるということでございます。 〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕 私ども行政当局の方でそれを決めていくというのは、この法律の立て方あるいはこういう客観的、また国会の承認を得た人たちが三人含まれる公平公正な審査委員会が主体的におやりになることでございますので、それ以上当局の方から申し上げるということは適当ではないのかなというふうに思っております。
○菅川健二君 今の法律におきましては、局長が言われたとおりでございますけれども、どうも私の印象としては、あんこの側については書いてあるんですけれども、中身のあんこが何が入っておるのかというのがさっぱり見えないといいますか、それが皆審査委員会の審査基準によっておるんだということでございますと、国会での審議というのはなかなか、これ法律事項で狂いということになりますと、大変審議しにくいなということでございまして、もう少しきちっとした形で法案ないし法案に基づく基準のガイドラインというものを設けるべきではないかと思うわけでございます。 受け皿金融機関につきましては、当然これは対象になるということは問題ないわけでございますが、一般金融機関につきまして、若干中身をお尋ねいたしたいと思います。ただいま言われましたように、個別の金融機関の救済でなくて、全国的な信用秩序の維持とか地域経済の安定に大きな支障を来すということになりますと、そういった銀行、金融機関ということになりますと、おのずから規模等において限界があるのではないかと思うわけでございます。 具体に申しますと、例えば信用金庫とか信用組合、そういったレベル産で対象になるのかどうか、恐らく形式的には対象になるんだと言われるんだろうと思うんですけれども、実質上、今申し上げましたように信用秩序の維持という観点からしますと、おのずから限界があるのではないかと思うわけでございますが、いかがでございますか。
○政府委員(山口公生君) 法律の立て方自体が先ほど申し上げたような形になっておりますので私の方から非常に答えにくいお話でございますが、全国的なシステミックリスクということになりますと、先生が今おっしゃったような感じが多いと思います。しかし、地域の問題、しかも連鎖的な破綻とかいうことになりますと、それは大小にかかわらず対象から外れる、外してしまうべきだということにはならないというふうに私は思うわけでございます。したがって、対象としては、大きくても小さくても排除を一切いたしていないと、こういうことでございます。
○菅川健二君 それから、優先株等を引き受ける場合についてのいろいろな想定でございますが、これは申請主義だから全くわからないよということではあるわけでございますが、一番極端な例から言いますと、いわゆる申請されたら全部認めるのよと、これはもちろん法制的な制約がございますが、そういったもの。それから、先ほど来話がございますように、余り信用不安のある銀行に手を挙げさせるわけにはいかないので、最も優良な東京三菱銀行から内々了解をとって入れさせるんだというやり方。それから、植田東大教授が言っておるわけでございますが、自立可能な優良行あるいは債務超過に近い不良行は対象外とし、中間の銀行に経営責任を問うた上で優先株を購入させるべきだと、これはA、B、CランクがあればBランクを重点に置くべきだということでございます。 また、さらにこれを厳しく考えますと、こういった優先株の引き受けについては、内外の金融情勢の大変危機的な状況のときに初めて発動されるのであって、こういった制度が設けられておること、存在そのものが意味を持っておるんだと、いわば伝家の宝刀的な役割を果たすんだという見方もあろうと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、先ほど来申しておりますように、審査基準が審査委員会の判断にすべて任されておるということについては甚だ私は疑問に思っておるわけでございまして、余りにも審査委員会の裁量が大き過ぎるんじゃないかという点について疑念を持っておるわけでございます。 次に、仮にこの法律が通るということになりますと、いずれにいたしましても三月の金融危機ということが一番問題になろうかと思うわけでございます。そうしますと、まだ若干質問をしなければならない日にちはあろうかと思うわけでございますが、法案成立後のタイムスケジュール、これから手続がいろいろあろうかと思いますが、当局で今考えておるスケジュール等につきまして、わかる範囲内でおっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。 決算期末の自己資本比率が金融機関の経営上極めて重要な意味を持つということはしばしば申し上げておるところでございまして、そういう意味では体制整備を一日も早くやる必要がある、そのためにぜひ早く成立させていただきたいということを念願しているわけでございます。 タイムスケジュール的なことをお尋ねでございますが、例えば優先株の発行に際しましてはまず審査委員会ができているということが大事でございまして、それからまた審査委員会が審査基準を作成するということ。その審査委員会の前にメンバーを国会の御承認を得て選定していただかなくてはなりません。それから今度は、個別の優先株の引き受け等になりますと、審査委員会の議決、それから閣議の決定という手続が要ります。それから、新株発行取締役会決議の公告を行わなければなりません。商法上は公告のための期間が少なくとも二週間以上は必要だというふうになっております。もちろん、金融機関が自分でどう判断するか、自分で計画をどうつくるかという時間的な余裕もかなり要るのではないかと思いますので、そういうことを考えますと、しばしば申し上げて恐縮でございますが、ぜひとも法案の早期成立をお願いいたしたいと、こういうことでございます。
○菅川健二君 いずれにいたしましても、仮に参議院でスピードアップいたしたとしましても、三月末の危機対策ということになりますと、かなり泥縄式になるのではないかというふうに思っておるわけでございます。リストラの問題につきましても、もっともっときちっとしたたたきをしなければならないと思うわけでございますし、審査基準自身も十分精査していかなければならないと思うわけでございます。 そういった面で、この法律が機能するかどうかということについても疑問を持っておるわけでございまして、この資本注入の法案につきましてはいろいろと問題が多いということを指摘いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○委員長(石川弘君) しばらくそのままでお待ちください。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(石川弘君) 速記を起こしてください。 ―――――――――――――
○委員長(石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、山下芳生君が委員を辞任され、その補欠として笠井亮君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(石川弘君) 次に、参考人の意見陳述及び参考人に対する質疑を行います。 本日は、両案審査のため、参考人として全国銀行協会連合会会長岸曉君、株式会社野村総合研究所主席研究員リチャード・クー君、財団法人日本証券経済研究所主任研究員紺谷典子君、以上三名の方々の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。 参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じておりますので、よろしくお願いいたします。 本日の議事の進め方でございますが、まず、岸参考人、リチャード・クー参考人、紺谷参考人の順序で、お一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。 また、御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。 それでは、まず岸参考人からお願いいたします。岸参考人。
○参考人(岸曉君) 岸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 本日は、預金保険法の一部を改正する法律案、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案に関しまして私どもの意見を述べさせていただく機会をちょうだいいたしまして、心より感謝申し上げます。私は、今月二日、全国銀行協会連合会の会長に御指名をいただいたばかりでございまして、先生方の御質問に十分お答えできるかどうか甚だ心もとないところでございますけれども、よろしく御指導くださいますようにお願い申し上げます。 さて、現在御審議いただいております金融二法の目的は、我が国の金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させ、経済全体が危機に陥る事態を防ぐことにあろうかと思います。その背景には昨年末にかけて我が国金融システムが不安定化したことがありますので、金融界に身を置く者の立場から、まずはその経緯について若干お話をいたしたいと存じます。 昨年十一月、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券と我が国金融界にかつてないような大型の破綻が相次ぎましたことから、内外で我が国金融機関に対する信頼が揺らいだわけでございます。三洋証券の破綻に際しましては、金融機関相互間の短期金融市場で初めて債務不履行が発生いたしましたことから、市場参加者は金融機関の倒産の危険性に非常に敏感な状況に陥りました。また、スタンダード・アンド・プアーズやムーディーズといった海外の格付機関は我が国金融機関の格付を相次いで引き下げました。 こうした中で、機関投資家は破綻時の回収に懸念がある優先株や劣後債の購入に慎重になりました。このような金融システムの不安定化に反応して、円ドル相場は十月末の一ドル百二十円から十二月五日には一ドル百三十円と十円も下落いたしました。また、日経平均株価は十月下旬の一万七千円台から十二月下旬には一万四千円台へと急落いたしました。 以上の結果、一部の金融機関では、実際には健全であるにもかかわらず預金が大量に流出し、また市場での資金調達も厳しくなるといったケースが発生いたしました。私どもが親密なお取引をいただいております金融機関にも思わぬうわさによって資金調達に支障が出まして、私どもが急速資金をお回しするという例もございました。また、金融機関の中には調達に対する懸念から急激に資産を削減するといったところも出たようでございます。 十二月に入りますとこういった動きが一般企業にも影響し、有力な大手企業ですら資金の取り入れを急ぐといった動きにもつながったわけでございます。この時期の借り入れ需要は極めて旺盛で、例えば弊行の貸し出しは十二月一カ月の間に約一兆円増加しております。また、社債市場におきましても従来を大きく上回る規模の調達があり、十二月一カ月で普通社債の国内発行額が初めて九千億円を上回りました。 一方、金利面では調達コストが欧米金融機関を大きく上回るいわゆるジャパン・プレミアムが発生いたしました。米ドル建ての三カ月物の調達に関するジャパン・プレミアムは、十月の末には〇・〇六%から〇・〇九%程度にとどまっておりましたけれども、十一月下旬には〇・五%、そして十二月上旬には一%にまで拡大いたしました。 以上のような我が国金融システムの動揺はアジア地域に波及する気配を見せましたが、まさにそうした中で総理が日本発の金融恐慌、経済恐慌は決して起こさないと強い決意を述べられ、金融二法で三十兆円の公的資金を投入する御方針を示されたわけで、このことは市場の心理に極めて大きな影響を与えたのではないかと存じます。 次に、金融機関の自己資本比率といわゆる貸し渋りの問題について申し上げます。 BIS規制は海外展開をする金融機関の自己資本比率を八%以上に保つことを求めておりますが、一部に円安、株安の影響などから今年度末の自己資本比率が八%を切るおそれが出てきたわけでございます。 ちなみに弊行の場合、分母を構成する総資産の約三割は外貨建てでございまして、五円の円安によって円建ての資産が約七千億円膨れ上がります。一方、分子である資本金等の自己資本の中には八千億円弱の有価証券含み益がございまして、株価の下落によってこれが目減りいたします。 ところが、機関投資家のマインドは冷え込んでおり、含み益の目減り等を優先株や劣後債の発行によって補うことがかなり困難になりました。こうした中で、自己資本比率を維持するために銀行が資産を圧縮せざるを得なくなる状況があったと存じます。しかし、十二月半ば以降、上場株式評価に関する原価法・低価法の選択制、土地の再評価益を自己資本に算入する方法など、自己資本比率対策を相次いで御検討いただいております。さらに、金融機能安定化法案では、緊急の特例措置として、万一の場合に優先株や劣後債という形で自己資本を増強する枠組みが示されました。資産規模は基本的には個別の銀行の経営戦略の問題でありますから全銀協という立場からの発言は差し控えますけれども、私個人といたしましては、現在各行ともこうした対策をどのように利用し、お客様の資金需要にどのようにおこたえしていくかについて検討を重ねているものと思います。 なお、現在貸し渋りと言われている現象の中には、このほか景気の低迷を背景といたしまして業績が悪化している企業に対して金融機関が貸し出しに慎重な姿勢をとらざるを得ないというケースがふえていることもあります。こうした企業にも資金が行き渡るためには、金融機関の自己資本対策に加え、やはり景気対策、経済対策によって我が国経済がはっきりと上向き、経営者が景気回復を実感できるようにしていただくことが最も有効であると考えます。 さて、御審議いただいております預金保険法の一部を改正する法律案は、信用組合に加え一般金融機関の破綻につきましても公的資金を導入することにより、預金者保護の手当てを万全とするためのものであると理解しております。平成十三年度末まではペイオフ制度を発動しないという特例措置を確実に遂行する御方針を保証するスキームであります。これは、都銀初の破綻となった北海道拓殖銀行のようなケースが今後万一再発したとしても、預金者の皆様が不安感を抱かれることのないような枠組みであると思います。 次に、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案でありますが、国内のマーケットの動向を見ます限り、ひところの我が国金融システムに対する不安感は緩和をしております。しかしながら、金融機能が完全に旧に復したというわけではございませんので、いつまた不安心理が再燃するか心配される状況でございます。 公的資金を金融機関の資本に投入することの是非に関しましては、さまざまな御議論があることは承知をいたしております。ただ、古い事例で恐縮でございますが、一九三〇年代の米国におきましても、復興金融公庫が公的資金を利用した優先株等を購入した事例がありました。このとき、十五年間に政府の得た配当収入や金利収入は株式投資の償却や資金コストを大幅に上回ったと報告されております。つまり、当時の国民の税金は損失に充てられたのではなく、最終的に政府に戻ってきたということであります。 今回の法律案におきましては、優先株等の買い取りスキームの詳細は今後金融危機管理審査委員会が定めることとされておりますが、このような例をも参考といたしまして特例措置を発動し、公的資金によって優先株や劣後債を購入する際には投資資金の回収可能性という点に重点を置いていただくことも一つのポイントになるのではないかと考えております。 最後に、このところ私ども金融機関と監督官庁であります大蔵省との関係のあり方について諸方面より大変厳しい御批判、御叱責を賜っているところであり、この点については心よりおわびを申し上げます。 以上で私の意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 次に、クー参考人にお願いをいたします。クー参考人。
○参考人(リチャード・クー君) ただいま御紹介にあずかりましたリチャード・クーと申します。 私は、今の日本の状況は、先ほどもいろいろ御指摘あったわけで、大変厳しいものだというふうに受けとめております。もう一部には、特に国際金融で見ますと金融恐慌ではないかと言われるような状況も起きてしまったわけで、そういう中でこういう政策、法案が審議されているということは非常に心強く思っております。 といいますのは、日本の実体経済は非常に厳しい状況にあり、恐らく短期的にはこれからももっと厳しい状況を迎えるのではないかというふうに思います。政策論議を見ますと、一時この金融の問題も随分議論されてはきたわけですけれども、全くメスが入らなかったものがここ三カ月でかなりその話は進んだのではないか、バブル崩壊から八年間我々はこの金融不安の問題を抱えてきたわけですけれども、なかなかそこにメスが入らなかったのがここ三カ月、皆さんの大変な努力のおかげで三十兆円のパッケージも出てきたわけですし、そういう意味ではやっと八年ぶりにこの問題の核心に迫ることができるようになっているのではないかという気がしております。そういう意味では大変元気づけられるわけで、マーケットを見ましても、山時日本売りのような状況が年末年始に見られたわけですけれども、最近はかなり安定してきているということであります。 私もこういう商売に身を置いている者ですから海外の機関投資家とはもう毎日のように連絡をとって話をしておりますけれども、やはり去年の終わり、ことしの初めぐらいからもしかしたらもしかして日本はいい方向に行くんじゃないかということを皆さん気にし始めました。それまではもうどんどん悪くなるという前提で日本売りを仕掛けて、それは結果正しい判断になってしまったわけですけれども、ここに来て彼らも相当日本株の持っている分は減らしてしまった、円も減らしているというときに日本が正しいことをしますと、今度は円が上がる、株が上がる、しかし彼らはそれを持っていなかったということになりますと、逆に彼らの評価が落ちてしまうわけですね。そういう意味では、彼らも今、日本のマーケットに戻ってきているということですから、私はすべて政策面またはそのマーケットの反応はどんどんといい方向へ向かっているのではないかというふうに思います。したがって、実体経済は非常に厳しい状況にあるわけで、また恐らくこれはもっとひどくなると思いますが、政策面、そしてそのマーケットの反応が正しい方向へ行っているうちはかなり期待を持てるのではないかという気がします。 ただ、ここで今回の法案に関して一つ非常に私は懸念を持っている点があります。それは何かと申しますと、この三十兆円の中で十七兆円は預金保険の強化に回される、この点は大変すばらしいことだと思いますが、もう一方の十三兆円の金融機関の資本増強というこの資金の使い方について、またこれがどういうふうに銀行に実際に支払われるのかという点については私は非常に大きな懸念を持っております。 といいますのは、皆さんも御存じのとおり、この法案には一応七人の委員会というものが設定されることになっておりまして、またマスコミ等の報道によりますと、この七人の委員会と検察が一緒になっていろいろ責任を問おうという形になっているようであります。しかも、この七人の委員会に対しては銀行が個別行ごとにそれなりのリストラ案を持って、頭を下げてぜひこれでお願いしますという形になるわけですね。それに対して、この七人の方がああでもないこうでもないといろいろ条件をつけたり、また過去を問うたり、いろいろすることになるということだと思うんです。しかも、これは七人の方が全員一致でなければこの金は出せないということになっているわけですが、果たしてこのような状況の中で銀行がこの七人委員会の前に名乗り出るのかどうかという点であります。もしも皆さんが銀行の経営者だったら、銀行員だったら、果たして検察まで後ろで待ち構えているようなところにのこのこ出ていってぜひお願いしますと本当に言うのかどうかという点なんですね。 私も海外で、年始はヨーロッパを回りまして、先週はオーストラリアを回ってこの話をしてきたんですが、それで私も日本政府は正しい方向へ行っているから日本はこれからいい方向へ向かうんだという話をしたんですが、やはりこの七人委員会のところでひっかかりました。私はここにこういうちょっとした問題があるという説明をしましたところ、オーストラリアやヨーロッパの投資家の皆さんは真っ青になりまして、もう目玉が飛び出るぐらいびっくりされました。そ、そんな話だったのかと、げげっという感じなんですね。つまり、だれがそんなところに出ていくんですか、そんなところへ出ていく銀行ほど不自然じゃないか、よほど政治家の圧力や大蔵省の圧力を受けて出ていくんじゃないか、そんなシステム信用できないじゃないかと、こういうリアクションなんですね。ここは私も一番気にしている点で、しかもこの七人委員会の審議というのは全部公開されるということになっているわけですから、そうするとこれは下手すると人民裁判になりかねないわけですね。 人民裁判になるような状況ですと、よほど自信のある銀行はここへ名乗り出ていくかもしれませんが、ちょっとでもあそこをつかれたら困るなとか、ここは嫌だなと思われる銀行は、もういいよ、我々で何とかやっていけるんじゃないか、八年間我慢したんだから、あと三、四年我慢すれば、これで貸し渋りを続けて貸し出しを抑えていけば何とかなるんじゃないか、こういう判断をされる銀行も出てくるのではないかという気がするんですね。恐らく皆さんが銀行員だったらそういう選択肢も当然あるわけで、銀行は一応民間企業ですから強制するわけにはいかない、そういう形で足並みがそろわない。 また、本当に資金注入しなくちゃいけない銀行が結局名乗り出なくなってしまいますと、結局問題は何一つ解決しないということになります。しかも、自己防衛に走ろう、名乗り出ずに自分たちで何とかやっていこうという銀行は当然貸し渋りをさらに強化させなければいけないということになりますから貸し渋りはさらに厳しくなってしまう、そうすると何のためにこの十三兆円を準備したのかわからなくなってしまうという危険性がここにあります。 つまり、今、日本経済が抱えている多くの問題の解決にかなり近づいているわけで、景気対策も政治家の方がいろいろ動いてかなりまともなものができそうになっていますし、金融の問題にも三十兆円のパッケージができたということで非常に元気づけられるわけですが、山を登っていて山頂一歩手前で足を踏み外してしまったら谷底に落ちてしまうわけで、やっぱり最後のステップまでこれは油断できないわけであります。やっぱり最後はちゃんと頂上に到達しなくちゃいけない。そういう観点から見ますと、この七人委員会というそのハードルをどういうふうに考えるべきかということを我々は真剣に検討しなければいけないのではないかという気がします。 私の受けている印象ですけれども、この七人委員会は結局二つの目的を一つの手段で達成しようということになってしまっているのではないかという気がします。 ここで二つの目的といいますのは、一つは銀行の貸し渋りに向けての対策、つまり自己資本を強化して、銀行が自己資本を心配することによって貸し渋りに走らないで済むようにするという点、もう一つは銀行の峻別なんですね、いい銀行と悪い銀行と分けましょうと。悪い銀行にまで政府の金を入れるのはどんなものか、こういう批判がマスコミを中心にあるわけで、それにこたえようということでいい銀行と悪い銀行と選んでから、悪い銀行は舞台からおりてもらって、いい銀行には資金を投入しましょう、こういうことだと思うんですね。 ところが、先ほど申しましたように、銀行を峻別するということになりますと銀行の方が今度は自己防衛に走りますから、結果としてキャピタルインジェクション、自己資本の強化もできず、下手すると貸し渋りがさらに悪化するということで、この二つの目標はかなり矛盾している部分があるわけですね。両方できたらそれにこしたことはないわけですけれども、今のような状況で両方やろうとして、結局両方とも失敗してしまったらこれは大変なことになってしまうのではないかという気がします。 大変なことというのはどういうことかと申しますと、政府が一回こういう条件でお金を出しますと銀行側に言って、銀行側がそういう条件ならちょっと勘弁してもらいます、我々は自分たちで何とかやりますと言ってしまった場合、一回条件つきでお金を出したわけですから、今度はみんなが名乗り出ずに出ていってしまった場合、あっ、しまったしまった、さっきの話はなかったことにして、条件なしでもお金出します、これはもう格好悪くてできないわけですね。ということは、その時点で政府はこの問題に対しての主導権を一切失ってしまうということであります。 それは海外の金融機関、格付機関が見て、今までは日本政府もどんどん前向きに向かっているじゃないか、動いているではないかということで評価していたものが最後の一歩で、あっ、これ以上もう何も言えなくなってしまったということになるとこれが一気に全部ひっくり返ってしまうというリスクがあるわけで、そこが金融を見ていると非常に怖いなという気がします。 そこで、この二つの目標に対して今一つの手段でやろうとしているからこういうことになるわけで、私はこれは二つの手段を準備してはどうかというふうに思います。つまり、銀行の貸し渋り問題、これはシステムリスクといいますか全体の問題ですから、こういうことに関してはとにかく一律でお金を出す、いい銀行も悪い銀行も峻別せずに金を出す、そうしますと全部の銀行に政府の支援が入るということですから国民の、特に預金者のこの銀行危ないんじゃないか、あそこはどうかという不安は一気に解消されるわけです、全部の銀行に政府の支援が入ったと。また、政府の支援が入りますと貸し渋りの問題も解消に向かうのではないかという気がします。 そうすると、じゃ悪い銀行はどうするのかという問題が残りますが、これに関してはまたモラルハザードの問題、銀行経営者に甘えを許すのではないかという問題、これに対しては実はそれ用の制度があります。 銀行業というのは民間の中で唯一政府の検査が入る業界なんですね。なぜ政府の検査が入るか、なぜ銀行検査官というものがいるのかといいますと、それは銀行業というのは政府の信用で預金を集めて仕事をやっているわけですからもともとモラルハザードが発生しやすい業界である、第三者の信用をかりてきて仕事をするわけですから。自分の信用ですともう少し真剣にやりますが、ほかの人の信用ですとどうもルーズになってしまう、これがモラルハザードの根底にあるわけで、私はここを徹底的に強化すべきではないかというふうに思います。 日本の場合、残念ながら銀行検査体制というのは極めて脆弱でして、アメリカではプロの銀行検査官が八千人おります。彼らは普通の公務員よりも高い給料をもらってこういう問題に日々対応しているわけですが、日本では銀行の検査官は四百人しかいない。銀行の資産額はアメリカよりも欠きいわけですから、この四百人で八千人の仕事をしろといってもこれはしょせん無理ですから、そういう意味でここが今非常に脆弱であると。 したがって、私は、貸し渋り問題は一律に対応して、そのかわり問題がある銀行に対しては銀行検査体制を総動員してもここにメスを入れる、その結果清算すべきか、どこかと合併すべきか、場合によっては国営にすべきかという幾つかの判断、またそこにはいろんな技術的な可能性があると思いますが、そこで対応された方がマーケットの大きな混乱を起こさずに、また人民裁判みたいな状況にならずに両方の目的を達成できるのではないかという気がします。 銀行検査官が調べて、やっぱりこの銀行はつぶした方がいいという結論になったときには、それ以前にその銀行の優先株を政府は買っているわけですからこの優先株は全部損失化してしまうわけですけれども、ただこれはもしも買わなかったらどうなるのか。 例えば銀行が一兆円の負債を抱えていたとします。その一兆円の負債を、例えば、三千億分優先株を買ってしまった、そうするとその三千億もなくなりますし、あと七千億も損失があるわけですが、結局それは預金保険から埋めることになるわけですね。そうすると、十三兆円のところから三千億が来て、十七兆円の方から七千億を埋めるという結果になるわけですが、もしも優先株を買っていなかったらどうなるか。そうすると、その一兆円全部を預金保険からカバーしなくちゃならなくなるわけですね。そうすると、どっちに転んでも一兆円は負担しなくちゃならないということになります。十三兆円からどのくらい負担するのか、十七兆円からどのくらい負担するのかの問題が残るだけであって、結局は負担する金額は同じであると。 そうだとしたら、七人委員会で峻別するのではなくて、まず貸し渋りの問題、これは全国的な問題ですからそれを最初に対応されて、それからその峻別の方を時間をかけて専門家を動員してやられた方が全体の安定につながるのではないかという気がします。 以上でございます。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 次に、紺谷参考人にお願いいたします。紺谷参考人。
○参考人(紺谷典子君) 財団法人日本証券経済研究所の紺谷でございます。 私は、今回の三十兆円の投入に本当は反対なんですけれども、現状の余りの経済の悪さを考えますとやむを得ない、本当はもっといい方法はあると思いますけれども、それは百年河清を待つに等しいので、この緊急事態を脱するためには次善の策、三善の策であってもやむを得ず何でもおやりいただきたいと。三十兆円が見せ金にすぎなくなっても、それはそれでいいのではないかと。ありとあらゆる方策をなりふり構わずとらなくてはならないぐらい今の日本の経済の現状は悪いと思っております。 どうしてか。例えば、法人税を四〇%まで引き上げますという御発言も政府からありましたね。あるいは六兆円の追加補正予算案というのも幹部から出ていますね。そうであるにもかかわらず株価が一万七千円やっとぐらいしか維持できないということは、そのぐらいに悪いということなんです。もしこれが一年前に出ていたならば、あっという間に二万円をかなり超えていたのではないかと思うんですけれども、現在に至ってはその程度の力しかそれらの対策は持っていないということです。 つまり、日本は不良債権処理というのはほとんど進んでいない、何もやっていないと言ってもいいくらいであるにもかかわらず、単なる円安と消費税駆け込み需要による神風を景気が回復したというふうに誤解して緊縮財政をとってしまった。そもそもが財政赤字なんというのは非常に大げさに宣伝された大蔵省のうその一つであると思っておりますけれども、緊縮財政をとることによって日本は大変景気を悪化させてしまった、そこへもってきてアジアの金融不安が起きたわけですから、もうだめ押し的に経済は悪いわけです。 世界じゅうが日本発の金融不安を心配するほどになってしまったということでして、ここで万一日本発の金融不安を起こしてしまったりしましたならば、そのことによって子孫に残すツケというのは財政赤字のツケどころではない、もう何十倍、何百倍に相当する大きな大きなツケ回しということになると思いますので、この危機だけは何があっても避けていただきたいと思うわけです。 ですから、現在の一万七千円の株価、がけっ縁からほんの二、三歩後退したところにある日本経済の現状というのは、ほんのちょっと手を緩めただけでもまたずるずるっとがけ際に引き寄せられてしまうほどの際どい状況にありますから、この金融安定化二法案というのはぜひともお通しいただきたいと思うわけです。 もちろん、銀行責任というのは非常にあると思うんですけれども、これがやむなしと思いますのは、世論に逆らってでもおやりいただきたいと思いますのは、それ以上に行政責任が重たいからです。つまり、景気悪化というのはそもそもが経済運営の失敗なんですね。バブルなんというのはそっとソフトランディングをこそ図るべきなのに、たたきつぶして経済の地面までえぐるような、つまり実体経済まで深く深く傷つけるような誤った金融政策、経済政策をとってしまったわけですから、その結果バブルの破裂の傷が必要以上に大きくなったということがあります。 そこへもってきてさらに不良債権そのものを隠ぺいし処理を先送りしてきた大蔵省、金融行政当局の責任というのも非常に大きいわけです。住専処理でも何でも、銀行でさえもがやっと処理を言い出しているにもかかわらず、大蔵省がまだまだといってやらせなかったという経緯もございます。そして、こういう不良債権問題を先送りしてきた結果が百兆円を優に超えると言われる不良債権が生じて経済の活性化を大きく損なうという大きな病巣をつくってしまったわけです。さらに、緊縮財政をとるべきじゃないときにとるという方法で二段も三段も経済を悪化させたということでございます。本来でしたらばアジアの金融不安に日本は大きな責任もあり、かつ一番最も大きな影響を受ける国でもあり、かつお金を支援するに当たっても最大お金を出せる国であるという条件がそろっているにもかかわらず、なぜヨーロッパとアメリカが日本を頭越しにアジアの金融対策を論じなくてはいけないのか。非常に日本の金融行政当局が信用を失っているからにほかならないのではないかと私は思うんです。 そのきっかけは山一の破綻です。金融行政の責任について語るべき場所で経営責任のみを追及し、行政責任のギの字も言わない。本来だったらば国内外を不安から救うために誠意ある事情説明をし、責任ある対処について語るべき局長会見において非常に無責任、無能をさらけ出した。つまり、さんざん報道されていた飛ばしを初めて知ったみたいなことを言った、そのことによって失った信用というのは非常に大きくて、それが財閥系の大銀行まで株価その他で売り浴びせられるとか格付の低下というようなさまざまな金融不安をいや増したわけです。 そういう行政当局の責任というのは非常に大きいですから、ですからその部分を国として保証せざるを得ない。ついては金融行政当局の責任も大いに追及していただきたいと思うのでございますけれども、そういう問題があります。つまり、金融機関破綻の責任は一つに経営責任だけではなくて行政責任も大きい、行政責任については国費を使ってでも手当てすべきであろう、そういうことでございます。 それからもう一つは、貸し渋りにはほかの対策も必要なんです。実は早期是正措置というのが非常に貸し渋りに影響を与えているわけです。ですから、この金融安定化二法案が貸し渋り対策としても大きな意味を持っているということなんですけれども、それだったらば早期是正措置なんてやめちゃったらどうなんでしょうか、国内行だけを対象に一年間先送りなんという中途半端なことではなくて。早期是正措置なんてとっている国はアメリカだけです。BIS規制はさまざまな国々に及んでおりますけれども、早期是正措置を何で今やらなきゃいけないのか。アメリカだって不良債権問題は全部片がついてはいませんでしたけれども、少なくとも金融不安が静まってから早期是正措置は投入しているんです。それであっても貸し渋りは起きたんです。ところが、日本では金融不安の真っただ中で早期是正措置を入れようという誤った政策をとったわけです。だとしたらば、これをやめるのが一番いいのではないかと。 それから、貸し渋りに関しましては、アメリカでは貸し手責任の追及ということが行われております。今現在、銀行が行っているような詐欺同然の融資引き揚げとか、あるいは融資の契約をしておいて途中でやっぱりやめた、本店がだめと言ったからみたいな、そういうことで追加担保だけ要求して、その追加担保だけをとってしまって追加融資はしてやらないというような詐欺同然の融資引き揚げを行っているわけです。あるいは担保の積み増しをさせているわけです。 そういうやり方というのはどうしてもいろんな、日本でも民法その他でどの程度カバーできるのか私は司法の専門家ではないのでわかりませんけれども、ある程度は法的責任を問えるものではないかと思うんですね。アメリカでもたしかコモンローで貸し手責任を追及しているはずでございます。ですから、貸し手責任をきちんと追及するよと、そういうことをおやりいただいても相当効くのではないかと。一方で、アメリカではSECが証券会社の不正行為やなんかについて投資家からレターを募っておりまして、それで弁護士団が書式を整えた上で証券会社にこういう直訴があったけれどもどうなんだというようなことを問い合わせているんですね。そういう方策もおとりいただいてよろしい。つまり、詐欺同然の融資の引き揚げなんかが行われたときには、きちんとその訴えを聞いて、それにきちんと措置をとっていくというような方法もおやりいただいたらいい。 それから、一方で優良資産、優良債権の流動化、証券化ということも銀行の自己資本規制を和らげる大きな方策であるにもかかわらず、証券化、流動化の対策が極めておくれていて、十月に法案をつくるなんてちょっと遅過ぎるんじゃないのかなというような状態にあるわけです。 ですから、私は行政責任は非常に重たいと思っておりますので、しかも国費を三十兆円も使う、今までのものも入れたらもっともっと使っているわけですから、そういうことの行政責任をきちんと追及していただくという前提で今回の金融安定化二法案には賛成させていただきたいと存じております。
○委員長(石川弘君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○河本英典君 自民党の河本でございます。 きょうは、三人の参考人の先生方、それぞれのお立場で来ていただいて、大変限られた時間で申しわけないんですけれども、少しお伺いしたいわけでございます。私も限られた時間で少し断片的な質問になるかもしれませんけれども、それぞれの先生方にお話を伺いたいと思うわけでございます。 〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕 経済は生き物だというふうに言われておるわけですが、経済政策といいますのはやはり機動的であり、タイミングよく、それからダイナミックに行うということが一番効果があるというふうに思うわけでございます。そういった意味で、今回のこの金融二法案でございますけれども、速やかに成立させていただいて実行していただきたいなというふうに思っておるわけでございます。 二つの観点といいますか、私の見方でございますけれども、預金者保護ということが言われます。それからもう一つは、金融システムの安定化ということが二本の柱になっておるわけでございますけれども、一方で公的資金を使うということが何か随分アレルギーのような状況といいますか、若干誤解があると思うんです。そういった意味で、預金者保護は何となく理解できるけれども、金融システムの安定化の方が実は大事だというふうに私は認識しておるわけでありますが、そっちの方の説明は若干力が弱いんじゃないかなというふうに思うわけでございます。これは政治という、そういった立場があるかもしれませんけれども、実際の政策としては金融システムの安定化ということが大事じゃないかというふうに私は認識しておるわけでございます。 そういった意味で、紺谷参考人は余り賛成じゃないけれどもここへ来たらやむを得ぬ、だから一応認めるということで早くやれということでございますし、クーさんのお話で私が大変印象的だったのは、七人委員会が大変ひっかかるんだというお話、これはちょっと意外に思ったわけでございます。私は、最初に聞いたとき、なかなかうまいこと考えたなというふうに思ったわけです、浅はかであったわけですけれども。外側から見れば、だれものこのこと自分の財産まで取られるようなことになりかねないところへ出てこないという話はなるほどと思ったわけでございますけれども、その辺が大変印象に残ったわけであります。 あと、岸参考人のお話で私が聞きたかったのは、今、銀行が、業界が何かいじめられていると言ったらおかしいですけれども、給料が高いとかリストラが余り進んでいないとか、そういうことが言われるわけでございますが、公的資金を投入するからこそそういうことが余分に言われるのかもしれませんけれども、先ほどのお話の中でその辺が余り聞けなかったのでちょっと聞かせていただきたいなと思います。 一遍にお願いいたしましたけれども、岸参考人からよろしくお願いいたします。
○参考人(岸曉君) 今の御質問、いろんな内容を含んでおられると思います。 この金融二法案の特に安定化措置法案、それの中の十三兆円の特に一般金融機関に対する資本注入の部分、この部分に非常に焦点があったように思いますけれども、私は少しクー先生の御見解、非常にシャープな見方で大変深い強い印象を受けるわけでありますけれども、私は中身につきましてはやや意見といいますか感触が違っております。審査委員会がこれから成立後発足するわけでありますけれども、その審査委員会に対して申請、手を挙げる銀行、個々の銀行が手を挙げたその瞬間から人民裁判みたいなことで銀行が過去の経営責任であるとかあるいはずたずたのリストラだとか、そういうものを求められるというふうには我々は理解をいたしておりません。まず審査委員会が審査基準を公表されると思うのでございます。これは法律もそうなっております。その審査基準というもの、非常に透明かつ公平な審査基準というものが公表されて、申請した銀行はそれによって審査を受ける、こういうことになろうかと思います。 私はかねて思っておるのでございますけれども、この審査というものをどういうふうに運営するかという一番ポイントになるところでありますけれども、これは公的資金十三兆円のうちの一部になろうかと思いますけれども、一般金融機関の優先株なり劣後債なりの形で投入したその資金、公的資金が数年後に本当に返ってくるのかどうかというところが一番ポイントなのではないかと思うんです。もしこれが返ってこなければ国民の税金がそういう後ろ向きのものに向けられてしまったということでございますし、返ってくればそれは一時は投入したけれどもちゃんとある程度のイールドも持った資金が数年後に返ってくるということになればいいわけなんだろうと思うんですね。 したがって、そのために銀行としてはきちんとした経営計画を出す、その経営計画が達成できなかった場合は経営責任を問われる、こういうことになるのではなかろうかと思っておりまして、そういうふうになることを切に希望しております。
○河本英典君 余り時間がないので申しわけないですけれども、ちょっと質問が大き過ぎたので申しわけなかったんですけれども、あとお二人の参考人の方、私の触れたことで補足説明なり、何かあればお願いいたします。
○参考人(リチャード・クー君) 私も、この七人委員会の点については、まさにどうやって運用されるかということにすべてがかかっていると思うんですね。 今、岸参考人からありましたように、非常にはっきりした審査基準があって、それだけでかなり短い時間にすんなりいくということであればそれなりに成果は期待できるのかなというふうに思いますが、議事録を全部公表するとか検察も一緒に後ろで待ち構えているとか、こういうことも一方で言われているわけで、そういうことをやってしまったら本当の話がそこでできるのかどうか、そこが心配なんです。したがって、運用面で今緊急事態ですから早く手を打っていきましょうということであれば、つまりそういう運用をされればかなりの問題は解消されるんじゃないかという気がします。 ただ、審査基準をつくる、またどういう法制度でこのお金を実際に出していくか、これは私は少し時間がかかってしまうのではないかというその時間の問題、マーケットが待ってくれるのか、日本経済が待ってくれるのか、一律でやればこういう問題は全部なくなるわけですが、それをやっているうちにまたとんでもないことが起きてしまうのではないかという時間の問題はリスクとして残っているというふうに思います。
○参考人(紺谷典子君) 私もクーさんと同じように一律に申請があったらば全部出すという方法がいいと思います。どうしてかと申しますと、一つはさっき申し上げた行政責任が重たいということと、それから破綻する金融機関が本当に経営責任が重たいのかというとそうじゃない、残っているところが健全かというと全然そうではなくて、従来いい位置につけていたとか、むしろあくどい経営をやってきたからたくさん蓄えて残っているということもあり得ますから、一律ということでおやりいただきたい。むしろ、それよりも審査委員会に来るか来ないか、その前に大蔵がため押ししているとか、だめだと言っているとか、そういう危険の方がずっと大きいと思います。 ですから、ここに来た分についてはきちんとした基準で審査されたとしましても、審査委員会に来る前に破綻させられてしまうような破綻基準の方がよっぽど難しいんじゃないでしょうか。山一破綻に関しては大きな疑義ありと思っておりますので、大蔵省の判断のいかんを私は問いたいと思います。
○久保亘君 私は民友連という会派に所属いたしております久保亘でございます。 きょうは三人の先生方の率直な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。 少しお尋ねをいたしたいと思いますが、今、クーさんがおっしゃったことについて、岸さんからも紺谷さんからもそのことに触れての御発言がございましたが、特に全銀連の会長である岸さんに重ねてお尋ねいたしますが、この審査委員会の制度というのはこの制度を活用するに当たって障害となるとお考えになりますか。
○参考人(岸曉君) 十三兆円の公的資金を一般金融機関に導入するに当たりまして、やはり私は何らかの審査というものを経ないと公的資金でありますから難しいのかなと、そして審査をするということに相なりますと、こういう構成でこういう委員会で申請に応じた審査をするのかなというふうに受けとめております。
○久保亘君 私、伺いたいのは、今、クーさん、紺谷さんの方から一律に出したらいいんだと、こういう御発言でございましたが、銀行協会としてもその方がいいとお考えですか。
○参考人(岸曉君) 銀行業界といたしまして、実はまだ法案が成立しておりませんから正式にそういう点について、一律がいいのか、それとも他の方法がいいのか、これは我々の方はまないたの上に乗っている方でありますので、ちょっと我々の方から注文をいろいろつけるという立場ではないように思いますので、その議論はいたしておりません。
○久保亘君 その問題はなかなかあなたのお立場からは発言のしにくい問題かもしれません。 次に、紺谷さんの方から行政責任ということについて厳しい御意見がございましたが、今日の金融危機と言われるこの状況が生まれていることについての責任ということについて、岸さん、クーさんの方から御意見ございましたらどうぞ。
○参考人(岸曉君) お尋ねは金融界の側から見て行政の責任はどうかという……
○久保亘君 責任論ということで結構です、行政の。
○参考人(岸曉君) 今の状況が公的資金三十兆円を投入していただくような、こういう危機的な状況に陥っているわけでありますけれども、こういう状況になりましたことにつきましては、非常に大きな過去に資産価値の暴騰があり、それに続いて急落があったということで、金融機関の資産に非常に大きなダメージを受けたということであります。 そういう過程においてだれに責任があったかということになりますと非常に難しい御質問でありまして、もちろんこれは銀行のビヘービアにも問題があったかと思いますけれども、いろんな原因が複合してこういう大きなマグニチュードの変動があったというふうに考えざるを得ませんので、ちょっと責任を特定いたしかねるような気がいたします。
○参考人(リチャード・クー君) 責任論についての御質問ですけれども、このバブルという状況に関して、バブルが実際に進行しているときにバブルという言葉はありませんでした。だれもあれはバブルと思っていなかったからこそあれがバブルだったんですね。つまり、全員間違えたわけであります。今、銀行の責任を問うている多くの評論家の方々が八年前テレビでどんなことを言っていたか、これ一つ見ればいかにみんなが間違えていたかということはもう歴然としているわけですね。 あのバブルの中でバブルに乗らなかったのは私が知っている限り二種類の方だけてあります。明治生まれの経営者の方々、つまり昭和恐慌を実際に経験されている方々、前田建設の会長さんですとか太陽生命の方、この辺は乗らなかった。わかっていたからですね。あと外国人。ずっと株をこの時期売っていたわけですが、彼らは世界で似たようなことが随分いろんなところで起きていましたからこれは見えていたわけですけれども、日本国内はほとんど全員がもう日本の実力だ、円高なんか怖くない、アメリカから学ぶものはないと、こんな雰囲気でどんどんいっていたわけですね。 そういう評論家の話を聞いた銀行員がそれをもとに金を貸した、そうしたら今こういう結果になってだれの責任かといっても、私はそんなに銀行員だけ捕まえてしょっぴいてみるのはどうかなという気がします。全員が間違えたからこそバブルは発生したわけです。 もう少し話を広めますと、もしも大半の金融機関は正しい行動をとっていて、二、三の金融機関が間違えたのであれば、ほかの人はちゃんとそこで正しい判断をしたにもかかわらずあなた方は間違えたんだから責任を問いますといってもこれは筋が通った話になると思いますが、全員が間違えたときにその中の何人かを引っ張り出して今のCクラスの銀行のだれだれとやっても、これはちょっと厳し過ぎるのではないかという気がします。 つまり、全員が間違えたとき、全員が間違えたからこそ今こういう状況になっているわけで、そのときはまさに船が沈んでいるわけですから、その船の底にだれが穴をあけたのかということを議論するめではなくて、まずとに。かく穴をふさいで、責任の話はちょっと後回しにするということが肝要ではないかという気がします。
○久保亘君 参考人の皆さんから責任論を聞いてあげつらうという問題ではなくて、これらの問題で金融危機を克服していくための的確な手法をやるためにはやっぱり原因というものもしっかり見きわめることが重要だと、そう思ったからお尋ねしたのであります。 〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕 次に、岸さんに伺いたいのでありますが、紺谷さんの方から早期是正措置不要論と言ってもよい御意見がございました。この早期是正措置は私が大蔵大臣のときに法制化されたものでございますが、岸さんとしては早期是正措置というのは銀行の、金融機関の経営にとってもなければない方がいいと、それから貸し渋りなどについてもこういうものが障害になって起こっているんだということについてはそうお考えかどうか、率直な見解を聞かせていただきたい。余り遠慮せずに言ってください。
○参考人(岸曉君) これも業界として議論をしたことではございませんので全く私個人の考えということでお聞きをいただきたいわけでございますけれども、私どもの銀行ではこの早期是正措置というのはやはり銀行の健全性を回復して前向きにお客様のお役に立つように対応していくためには一度通らなくてはならない関門なのではないかというふうに考えておりまして、それをいつ、どのように通るかということはこれは個別銀行の事情になりますので何とも申し上げられませんけれども、私どもの方はこれをむしろ早く対応しようということでいろんな処置をしたところでございます。これは貸し渋りとはちょっと関係が薄いのではないかなというふうに思います。 と申しますのは、この早期是正措置は資産内容をランクづけしてリスクに応じた対応をとろうということでありますから、つまり具体的に申し上げれば九の格付とか十の格付とかいう、そういう破綻に近いようなもの、資産はできるだけ圧縮をして健全な資産を増強していくということでありますから、自己資本の制約からくる貸し渋りというのとは全く違って相手の信用度からくる問題でありますから、これは今言われているような貸し渋りとは関係がないのではないかなというふうに私は理解しております。
○久保亘君 今、貸し渋りとの関係でお話がございましたが、私ども一般的に素人の議論をいたしますときには、銀行というのはお金を貸すのが商売ですね、結局預金という形で仕入れたものを運用として貸すことによって銀行は利益を得ていくのが仕事なんだというふうに思いがちでありますが、今のように貸すのはぐあい悪いと言って貸さなくなるということの場合には銀行は何で利益を上げていかれるわけですか。
○参考人(岸曉君) 実は、貸し渋りという言葉なのでございますけれども、貸し渋りという言葉から連想いたしますことは貸せるのに貸さないという、そういう行動を連想させるわけでございますけれども、今、金融界に起こっている現象というのは貸したくても貸せないと。 それはなぜかというと、自己資本比率の規制によりまして不良債権を償却いたしますと自己資本が減ります。それから、株が下がれば含み益が減ります。一方、先ほど申し上げたように、円安になれば資産はふえます。そして、その八%の基準というものが目の前にちらちらしてきて、その貸し出しの資産をやりたくないんだけれども圧縮しなくちゃいけない、そのためにこの金融二法によりまして自己資本の注入をしていただいて少し余裕を拡大させていただきたいと、こういうことでございます。
○久保亘君 それでは、自己資本の問題を今お話しになりましたけれども、あなたの最初の御意見の中で十二月には社債が九千億に迫る状況だというお話がございましたね。それで、今、日本の市場では自己資金の調達ということが市場を通じて行われることは非常に難しいのですか。先ほどのお話からしますと、市場でかなりの調達が可能なのではないかという感じがするのでありますが、あえて財政資金を投じて資金調達に直接政府が力を入れなければならない状況なのですか。そこのところはどういうふうに理解したらよろしゅうございますか。
○参考人(岸曉君) 先ほど社債の発行量が非常にふえているというお話を申し上げましたけれども、これは金融以外の産業の方の調達手段として社債の発行が非常にふえているということを申し上げたわけでございまして、これは主として大企業でございますけれども、銀行からの調達、その他資金調達に不安を感じてそういう手当てをしておこうということで社債を発行した額が九千億を超えるようなことになった、こういうことであります。 一方、金融機関の方の自己資本の調達でございますけれども、株式市場の方は当然のことながらこういう状況で株数を大幅にふやすことはできませんし、生保等のいわゆる機関投資家が金融機関の優先株や劣後債、劣後ローンにお金を投じるということは、昨年来の金融危機の結果、非常にマインドが冷え込んでいるわけでございます。非常に警戒的になっておりまして、そういうものが国内の劣後調達のマーケットで調達がなかなかできない、こういう状況になっておりますので公的資金の投入というものの期待が非常に大きい、こういうことであります。
○久保亘君 優先株とか劣後債というものは本来企業が、金融機関が市場で資金調達するためのものであって、今回金融システム安定化のために論議されているこの法案は非常に特例的なものであるというふうに思っております。 そういうことを意味づけるように、先ほど紺谷さんは、三十兆の投入には反対であるけれどもこのような状況下ではやむを得ない、こういうお話がございましたが、その反対であるけれどもというところを少し御説明いただけませんか。
○参考人(紺谷典子君) 山日銀行局長も認めていらっしゃるように、我が国の銀行が総体としては十分な体力を持っているというのは本当だと思うからです。 どうしてか。例えば北海道拓殖銀行にせよ、買い手が見つからなかったとはいえ、本体を売りましたけれども、本店を売りましたが、それは関連子会社が買い取っているんですね。欧米の銀行のリストラというのはもっともっとずっと激しいものでございまして、骨を削るようなリストラをやっているんです。日本の銀行でそんなことをやったところはただの一つもありません。ですから、本当は困っていなんだなということが外から見ていてもわかりますし、住専のときあれだけ騒がれるまで年俸を削っていた銀行さえなかった、役員報酬は多少は削っていたりいたしましたけれども、年俸には北海道拓殖銀行でさえ手をつけていなかったということが二年前にわかったわけです。そういう状況だということが一つ。 それから、日本の大銀行のほとんどは石油ショックの前後に不動産管理子会社をつくりました。一〇〇%子会社でございます。ほとんど一事業部門と言ってもいいところでございますけれども、そこに優良な不動産の多くを移してしまいました。そこの含み益については、ここのところ土地の再評価が議論されているにもかかわらず、ほとんど言及されておりません。私は、そこの子会社の分も含めまして優良資産もぜひぜひ公開してほしいと思います。 ですから、不良債権のディスクロージャーも大いにおくれましたけれども、一方で優良資産のディスクロージャーも極めて不完全ということですから、優先株その他を買い取ってもらうところは少なくともディスクロージャーは完璧にせよということを要求していただきたいと思います。
○久保亘君 どうもありがとうございました。
○益田洋介君 益田洋介でございます。 三人の参考人の方には、大変お忙しいところ、御苦労さまでございます。 私は、まず企業の交際費について、三人の先生それぞれの御意見をお伺いしたいと思います。 堺屋太一さんという小説家であり評論家である方がいらっしゃいますが、その方が「接待文化」ということをテーマにして次のような文章を書かれておりますので引用させていただきます。 「徳川時代でも、武士は個人消費は質素倹約を旨としたが、江戸で藩費による饗応贈答をするのには、銭金を惜しまなかった。このため、元禄以降になると、大抵の藩では総支出の四割から五割が「江戸御入用」となった。少数の江戸詰武士が、吉原や柳橋で饗応を繰り返し、豪華な贈答品を交換していたことが、藩財政の破綻と国元の疲弊の一因だった。」、その伝統を受け継いでいるのが現在の企業の接待贈答のシステムであると。「国税庁の発表によると九六年の民間企業の交際費総額は五兆四千億円余、」、そして「株式配当額よりもずっと多い。国民所得との比率で見ると、アメリカの五倍、ドイツの八倍といわれている。」、そして「最近では、バレンタイン・デーに女性が男性にチョコレートをばら撤くという奇習さえ定着している。」と。 私は長いことロンドンにおりましたけれども、セント・バレンタイン・デーというのは男性が女性にバラの花を贈るのがどういうふうな経緯でチョコレート会社をもうけさせることになったかわかりませんが、こうした日本の企業の交際費の実態について、まず紺谷先生、御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(紺谷典子君) 企業の交際費全体について私はよく承知していないのでございますけれども、大蔵省が非常な接待を受けているということはよく承知しております。 私があるとき大蔵省の人にたまには市場のことについて話し合いましょうと誘いを受けまして行ったところ、聞いたら大蔵省の予約が入っていないと言うんです。あれ、七時からなんですけれどもと言ったら、ああ○○証券様と言われまして、そうしましたら非常なごちそうが出ました。お土産もつきまして、送りのハイヤーもつきました。しゃべって歩いたせいか二度とそういういい目には遭いませんでしたけれども、ああこういうことがしょっちゅう行われているんだなと私は思いました。立派な料亭でございまして、これじゃ会費は幾らになるのかなと心配しながら行ったのでございますけれども、心配無用という状態でございました。 それから、私はこういう経験もいたしました。大蔵省といえども私の友人が何人かおりまして、役目を終わった方を招待したんです。それで、小さな小料理屋でしたけれども、私は会費のことが話題になると困ると思いまして十分なお金を用意して封筒に入れておかみに渡しておいて、これで絶対勘定してくれと言っておきました。私がお呼びした方たちは局長クラスの方でございますけれども、勘定については一切言及なさらずにお帰りになりました。ところが、同じ方をつい最近会合に誘いましたところ、会費制でなくては困るとおっしゃいまして会費制でいたしましたけれども、少なくとも数年前にはそういう状況があったということは確かです。 その結果としてさまざまな行政のゆがみというのも生じたであろうということも想像にかたくないわけでございまして、検査官の方たちが逮捕されたりいたしておりますけれども、本当はもっともっと上のキャリアの方たち、ないしは局長クラスの方たち、もっと上の方たちの接待の方が非常に金額も大きいし、また権限も大きくて行政のゆがみが大きいということも事実でございます。ですから、ぜひそこにメスを入れていただきたいと思うんです。 先ごろ中島問題について蔵相は再調査をお約束くださったにもかかわらず、聞いたらば意図的であるという証拠はなかった、野球選手は領収書を偽造したりとか意図的だと考えられる理由があったんだけれども、中島さんに関してはそれがないというお返事でしたけれども、とんでもないと私は思います。 どうしてか。マル査の課長補佐をなさっているからです。税務署長を経験なさっているからです。あるいは、借名口座も利用なさっているんですね。借名口座なんというのは普通は国税庁が脱税の見本みたいに追及なさるものでして、それをなさっているんですね。そこに収賄の疑いの強いお金を振り込ませて、御自身がキャッシュカードを使って現金を引き出しに行ったところが銀行のビデオに残っているという話なのでございますけれども、借名口座を使っているというだけで私は意図的なものだと思います。 交際費と直接関係なくて申しわけないんですけれども、この疑惑は参議院で問題になったことでもありますから今後もぜひ追及していただきたいと思います。そうでないと金融行政に対する信頼が確保されません。金融行政に対する不信がさまざまな金融不安の大きな大きな原因の一つになっていると思いますので、金融行政への信頼確保というのは三十兆円のこの法案と同じかそれ以上に非常に重たい要素であろうと思っております。
○益田洋介君 ありがとうございました。 次に、リチャード・クーさんにお伺いします。 最近になりましてから経済同友会の代表幹事である牛尾治朗さんが、企業の交際費は原則としてない方がいいんだという発言をされ、これを受けた形で九日の定例記者会見で経団連の豊田章一郎さんが、大蔵省の官僚に対する金融機関からの接待に関して、日本には社用族という言葉があるが外国にはない、交際費はなくして接待は自分の金でやるべきだ、ニューヨークに滞在していたときの自分の経験では経済界のお偉方でも自分で自分の車を運転してレストランへ行き自分の財布から支払いをしていた、こうしたことをかんがみると日本の慣習が国際化社会の中で非常識であると言わざるを得ないのが現状ではないか、こういう発言をされております。 この点についてどうお考えですか。
○参考人(リチャード・クー君) 今、国際社会という御指摘があったんですが、私も海外から来ている者としましては日本の交際費の使い方は随分すごいなと思わせられることは随分あります。料亭に行くくらいなら現金で欲しいなと思ったこともあるくらいで、あの金額を見ると大変なものなんです。 ただ、一律に交際費は悪いからこれを削るという議論に今なっているのは、例えば日本の場合、限界税率が非常に高いということで、結局交際費が使えるということが多くの会社員の最終的な目標みたいになっているところがあるわけです。海外ですと、特にアメリカは限界税率はそれほど高くない。つまり、全部上げるからあとの問題は自分の所得の中から出してくださいと言っても、日本の場合は限界税率が非常に高いわけですから、結局そういう変な方向へ行ってしまっているのではないかと。そうすると、これは日本の税制の問題でもあるわけですね。もう少し日本の税制が個人にお金が行くような形になっていればこんなに銀行、銀行に限らず、企業が交際費をつけなくてもよかったんじゃないのかなというふうに思います。 もう一つ、国際社会という点でお話しさせていただきますと、今回いろんなスキャンダルが言われているわけですが、日本の企業の議論になっているわけですけれども、海外でも交際費というのはかなりあります。例えば、ウィンブルドンのテニスを見に行くとき、一番いい席はほとんどロンドンの金融・証券会社が持っております。海外に行きますと、外資系になりますとヨットを持っていてヨットでお客さんを接待するとか、大変な迎賓館みたいなクラブを持っていてそこで接待するとか、そういうことも行われているわけです。そうすると、じゃ日本企業だけが縛られて動けなくなるのか、それとも国際的にどういう状況になっているのか全体を見て対応しなくちゃいけないのか、一律にこれはけしからぬじゃないかということでやってしまっていいのかどうか、もしも例えばこのスキャンダルの中で幾つか外資系が同じようなことをやっていたときにこれを日本の法律でどうするのか、例えばそれがロンドンで行われたときにどうするのか、こういう問題もあるんじゃないかなという気がします。 我々の業界ですと、証券会社というのは一応セルサイドと言われるわけですけれども、バイサイド、いわゆる我々の反対側、または発行体、こういうところは結局物すごい競争になるわけで、そうするとどのくらいいい情報を出せるか、そういう情報はそういう場で出すというようなところも今まであったわけですから海外でもこれはかなりすさまじいと言っているぐらいの競争になります。 したがって、国際社会ということを言うと、じゃ本当に日本だけでこれ議論できるのかどうか、海外の慣習みたいなものも当然あるわけですからそういうものも含めて、もちろん今の日本の状況がいいとはとても思えませんし、紺谷さんが指摘されたとおりひどいところがたくさんあるわけですはれども、一律にもう交際費は全部やめましょうというのも、今度はそうすると日本の金融機関や日本の企業が海外で仕事をする上で問題が出てくる可能性もあるんじゃないかという気がします。
○益田洋介君 それでは、岸参考人にお伺いします。 九日、日本興業銀行が東京地検特捜部の家宅捜索を受けました。そして、元常務の梅津興三容疑者が贈賄容疑で逮捕されました。これは道路公団前理事の井坂武彦容疑者に対する贈賄という嫌疑でございますが、言われるところによりますと、興銀の支出した接待費用、井坂容疑者に関してですが、総額で四百七十五万円に上ると言われております。これに対して同日、九日、興業銀行の西村正雄頭取が記者会見を行い、この接待については当時として社会的通念の範囲だった、こういうコメントを出しています。これについてどうお考えですか。
○参考人(岸曉君) 行き過ぎた接待があったのであろうと思います。ちょっと他行のことはあれでございますけれども、私どもの銀行といたしましても過去に監督官庁との会食とか接待とかというものがありましたわけでございますけれども、程度がどうであれ、やはり監督される立場の者が監督する立場にある方を御接待したりするということは、やはりこれはやるべきではないと思いますので、今後はこういうことはないように厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。 私どもの方のことを申し上げますれば、こういう状況下で四つ手を打ちまして、一つは倫理規程、詳細なものでありますけれども、これを設けて、そういう疑わしきものがないようにして、これは近々、来週から発効する予定でございます。 それから、公務員とかみなし公務員の接待は禁止いたしました。全面的に禁止でございます。 それから、法務部の中にコンプライアンス室を設けまして、銀行が全体としてそういう遵法がきちんとできるようにという手だてを打ちました。 それから、交際費につきましては、その予算をさらに厳格にいたしまして、支出状況を検査部において検査するというようなチェックを施すことといたしまして、これからは行き過ぎがないようにというふうに思っております。
○益田洋介君 御自分の銀行のことではないからというおっしゃり方をなさいましたが、要するに犯罪を構成するかもしれない懸念のあるそうした行為を行ったことについて、社会的通念の範囲内だったということを記者会見でずばりと言うような人たちが全銀協の会員の中にいるわけですよ。このことについてどう思いますか。
○参考人(岸曉君) 不適切な表現だったのではないかなというふうに思います。
○益田洋介君 ありがとうございました。終わります。
○志苫裕君 御三方、御苦労さまでございました。大変有益な御意見をいただきました。ありがとうございました。失礼ですが、私体調がすぐれませんので、座ったままで失礼いたします。 最初に、岸参考人にお伺いしますが、御存じ金融不祥事で今大変国民の不信が高まっております。これはよく見ますと、もちろん役所に問題がありますが、賄賂には贈る側と贈られる側がおるわけでありまして、金融界にも反省すべき点がないわけでもない、そういう意見を私は持っておりますが、その辺についての所見を伺いたいことと、行政の顔色をうかがわないとやっぱりまずいという出来事がなければけちな金融界がこんなことをするわけはないので、具体的にそのような事実でもあれば、あるいはまた顔色をうかがうことが悪かったものだから具体的に損をしたとか、そういう事実でもあればこの機会にお教えいただければと思います。
○参考人(岸曉君) これまでの歴史を振り返ってみますと、我々金融界といたしましては、一九四五年以来、成長通貨の供給というものが非常に我々の大きな責務でありまして、成長通貨の供給を果たすためには資金調達、資金吸収というものが非常に重要になる、資金吸収には店舗網というのが非常に重要になる、こういうことでございますけれども、一方でこれを野放しにいたしますと国民経済のリソースがそういう方面に非常にたくさん流れましてかえって別の弊害を生ずるということがありまして、これは一例でございますけれども、店舗の出店に関しては非常に厳しい規制がございました。 そういう規制のもとでは、例えば行政のことしの運用方針というのはどういうことなんであろうかというような、これはある意味では政策に御協力する上でもそういうことを我々がよくそしゃくしよく知ってそれに対応していくということが必要であろうと思いますので、そういう御方針についてはいろいろ詳しく伺いました。 そういう監督官庁との連絡が必要でありましたものですから、そういう中で例えば会食をしながらいろいろ忌憚のないところを伺うとかというような習慣が出てきたのではないかと思いますけれども、これが資本の蓄積も進みまして金融行政というのが非常に自由化されてまいりました。外国の金融機関なんかが今どんどん日本に進出をしてくるというような状況でございますけれども、そういう自由化のもとで、規制緩和の中で監督官庁と銀行との関係というのは本当に急速に変わっておりまして、今後もなお急速に変わっていくと思いますので、これまでに生まれましたようなそういう習慣というのは本当にこれからなくなっていくのではないかというふうに私は思っております。
○志苫裕君 私は余り金融界に詳しくない人間ですが、それでもこのスキームを見せてもらったときに、弱みを抱えた町の人が七人の侍が控えておる町奉行所へ一体行くものだろうかと、率直にそんな感じがしていましたが、先ほどのクーさんのお話でそういうふうなもやもやが少し解けました。クーの音も出ないというところです。ありがとうございました。 それで、このスキームが発表されたときに、すぐに東京三菱銀行が名乗りを上げられましたね。おれのところの優先株を出したいみたいな話がありました。ところが、日経の「逆風銀行経営」という特集記事によりますと、岸頭取は「当行は優先株発行のための定款変更がまだだ。検討はしているが、現在の商法の下では三月末までの定款変更は時間的にかなり難しい」というお話をしておりますが、ちょっとこの辺の事情を聞かせてもらえますか。
○参考人(岸曉君) このスキームが出てまいりまして、新聞に東京三菱銀行が優先株の発行に前向きであるというような報道がなされましたけれども、ちょっと報道の方が先走っておりまして、私どもの方はまだ実はそういう方針を決めておりません。 いろんな要素があるわけでございまして、低価法・原価法の問題、それから土地の資産再評価の問題、マーケットにおける劣後調達の問題、それから資産の側では三月末のお客様の資金の御需要というものが一体どうなるのであろうかというような調査もまだ積み上がっておりませんものですから決めておりませんけれども、金融システム全体の信認回復のためにこういうスキームを準備していただいたわけでありますから、個別銀行の都合だけではなくて、全体の金融システムの信認回復のことも十分頭に置いてこれから検討しようと思っております。 それで、優先株につきましては、御指摘のとおり、私どもの方に定款の定めがございませんので今期中には間に合いません。私は、個人的な見解でございますけれども、この際優先株であるか劣後債であるかという形式のことはほとんど問題ない、関係ないのではなかろうかと。要は注入された資金が金融システム安定のために有効にワークするかどうかという問題でありまして、優先株というような形式にこだわる必要はないのではないかと思います。各行それぞれ資本構成が違いますものですから、これは全く個別の選択でございまして、優先株をお選びになるところは優先株で申請をすればいいし、劣後債で申請すべきところは劣後債で申請をすればいいのではないかなというふうに思っておりまして、優先株を発行することはできませんし、そういう予定をしておりません。
○志苫裕君 先ほどクー参考人のお話ですと、一体手を挙げて行く人がいるんだろうかと。いないとすれば何でこんな大騒ぎをしておるのかちょっと意味がわかりませんが、確かに不健全な銀行が債券の購入を申し出るとあの銀行は貧乏だなということで評判になりますわね。そうすると、ピラニアのすむような業界では市場からねらい撃ちをされちゃうんですね。あげくの果てには、七人の侍から断られたとなりますと、これは取りつく島はないですね。その店には行列ができます、金をおろしてくれと。そうすると、せっかく金融システム安定のためにつくったシステムが逆に店をつぶす役割をしてしまうというふうに私も考えないわけじゃありませんが、銀行業界としてはその辺については不安はございませんか。
○参考人(岸曉君) この法案でございますけれども、個別銀行の救済のためにこういうスキームが設けられたのではなくて、一般金融機関にそういう資本を注入することによって金融全体の信認回復の機能を果たそうということでありますから、手を挙げた銀行は直ちに救済を要するような非常に危険な銀行であるということにはならないのではないか、その辺のところはもう少し皆さん理解をしていただきたいと、こういうふうに思っております。
○志苫裕君 岸さん、もう一問。 実は、なぜ七兆円なのかということについては、率直に言いまして納得のいく説明やデータの提示があるわけでもないんです。事が起こってみなければわからないという性格のものでもあるようです。ですが、結局は破綻処理に要する費用と掛金である保険料の額で決まってくるんだろうと。したがって、七兆円のうち実際はどれだけ使われるのかもわからぬし、見せ金であるかもしれないという感じがないわけではありませんが、全銀協の立場で七兆円について納得のいく説明ができますか。
○参考人(岸曉君) 全銀協はそういう計数について、あるいは幾らなら十分なのかというようなことについて検討する役割にございませんものですから、私からはちょっとお答えをいたしかねます。
○志苫裕君 また、金融債も保護の対象になるということにかんがみまして、長信銀でも都市銀並みの保険料負担を求めてもよろしいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○参考人(岸曉君) 何が預金保険の対象となるべきか、預金保険料をいかにすべきかについては今後預金保険料の見直しの中で別の議論がなされるのではないかというふうに理解しております。
○志苫裕君 クーさん、一、二問、お願いします。 政府は予定どおりビッグバンを進めると言っております。とすれば、これと矛盾する一切の施策はそれまでに撤廃をされるか解消をされていなきゃなりません。とすれば、このスキームの預金者保護も二〇〇一年の三月で時間切れになるはずで、四月にはどんな事態が想定されるんだろうかということを時々考えることがあります。とすれば、三月から四月の間にはえらいどんでん返しみたいな事態が起きないとも限らない。そして、当然三月から四月へ移行するシナリオのようなものがあって、それがあらかじめ示されて、事前事前に手を打っておく必要があるように思いますが、ちょっとその辺の所見がございましたら。
○参考人(リチャード・クー君) 今のはこの三月、四月のことではなくて……
○志苫裕君 時間切れの二〇〇一年の。
○参考人(リチャード・クー君) それまでにはこういう問題が解決していなくちゃいけないんだということだと思いますが、先ほど預金保険等についてもいろいろな意見が出て、早期是正措置についてもいろんな意見が出たわけですけれども、これは偶然かもしれませんが、私はここ数カ月で今まで日本になかった法的制度がかなり準備されてきたような気がしております。これは金融安定にとっては大変大きなプラスになるのではないかと思っております。 例えば、今まで大蔵省が銀行にディスクロージャーさせようとしても、またはつぶそうと思っても、預金保険にお金が入っていなかったわけですね。預金保険にお金がないときに大蔵省が強く銀行に言っても、銀行側から、じゃこれディスクローズしますけれども、ディスクローズしてもしも我が銀行がつぶれたらどうするんですか、預金保険にお金ないじゃないですかと言われたら、大蔵省としてもどうしようもなかったんですね。公的資金で預金保険を早く強化しようという議論も最近までなかなかできなかったわけですから、それである意味でこのディスクロージャーもおくれたというのはあるわけです。 ところが、今回十七兆円が預金保険に入ります。十七兆円あれば相当な銀行をつぶしても大丈夫だと。つまり、そこに受け皿が一つできるわけですね。この受け皿ができたことによって大蔵省や日本銀行の銀行検査官は逆に銀行に強く出ることができる、経営改善を半ば強制することもできるということになります。 先ほど早期是正措置について紺谷さんからちょっと違う意見があったわけですけれども、私はこれも非常に重要な法整備だと思うんですね。今まで日本の銀行検査官というのはほとんど銀行に対して発言権を持っておりませんでした。特にアメリカなんかと比べると、アメリカですと銀行検査官がこれはもうだめじゃないか、すぐ償却しろといったらもう償却しなくちゃいけないんですね。そういうことが今までモラルハザードの対応策としてあったわけですが、日本の場合はこれが非常に弱かった。これが今回の早期是正措置でかなり強化されるということは、先ほど申しましたように、こちらの方向から銀行をこれから三年、五年の間に徹底的にきれいにしていくという努力がなされなければいけないんじゃないかと。したがって、私は一方で一律で貸し渋り対応ということであっても、もう一方では銀行検査体制というものを今の数倍強化していただきたい、そういうことを国民に約束していただきたい。そうすると国民もそういう悪い銀行に対して、法的制度もできたわけですし預金保険にも金があるわけですから、強く出られるわけで、それがかなりこの問題に対しての対応策になるんじゃないかという感じがします。
○志苫裕君 時間がないものですから、あと一問だけクーさんにお願いします。 先ほど緊縮財政が金融不安の元凶だという明快なお話がありましたが、さりとて財政を甘くも見ちゃいけないと私は思います。この金融クライシス、財政クライシスはトレードオフの関係にあるような感じもします。 ただ、今はお金をどんどん使えば後でペイするというような、予定調和路線が成立するような右肩上がりの時代じゃないということについてどのようにお考えですか。
○参考人(リチャード・クー君) 財政をどんどん使って景気を支えるというのは私自身もそれほどいい方法だとは思いませんが、ただこれだけの事態に日本経済が陥っている、これだけ資産価格が下がって、本来なら日本経済はとうの昔に大恐慌になっていたはずであります。大恐慌にならずに済んだのが今までの財政の下支えだったんですね。確かにその使われた金が変なところに打っちゃったというのはありますが、でもそこにみんな目がとられていいものをつくらなかった、変なものをつくったというところに目が奪われて実際使われたということが重要なんですね。 それが当初ゼネコンに支払われたとしても、そのゼネコンはそれで資材を買い、従業員の給料を払って、それで経済というのは回っていくわけですから、これが支えていたものは非常に大きかった。何百兆円の経済活動をそれが支えてきたということを考えますと、これを今まだ日本経済がこれだけ疲弊している中で私は続けるべきではないかという気がします。ただ、これを続けているとやがて財政は破綻しますから、そうならないように構造改革を同時に進めてほしいと。 構造改革は財政をやらなくていいということではなくて、財政をやりながら、つまり大恐慌に落ちてしまいますと本当にこれはもう修理費は想像を絶する金額になるわけで、今既に財政再建路線というのは私は破綻していると思います。もうここで三十何兆円金融機関のために使うわけですから、それだけ見ても財政赤字は一時的には膨らむ。そういうことですから、私は先に景気の問題、特にこれ以上落ち込まないようにする資金は惜しまず出すべきで、それでそれは時間を買っているわけですから、その間に構造改革を大いに進めていただきたいというふうに思います。
○志苫裕君 最後に紺谷さん、一問だけお願いします。 ここまで来ますと、さあ保険はどうする、証券はどうするというこの扱いが当然それなりの問題提起がされてくると思いますが、それとあわせて、二〇〇一年から始まるペイオフの上限も引き上げたらどうだという意見がないわけではありませんが、それらについての御意見はどうですか。
○参考人(紺谷典子君) ペイオフの上限を引き上げるということについては賛成でございます。 どうしてかというと、日本の個人一人当たりの金融資産が他国よりも多いからです。 ただ、金融ビッグバン全体について申しますと、日本の金融ビッグバンというのは、明確なビジョンがあったりとか十分な準備があって行われたわけではなくて、今まで大蔵省と大銀行がやりたくてなかなか進められなかったことを金融ビッグバンという新しい名前をつけて国会とマスコミを通したというようなたぐいのものですから、どこにも責任者はいない。だれもビッグバンというのがどういうものなのか、何から何までをビッグバンと言うのかというのも新聞によってまちまちだという状態になっているのはそこでございます。ビッグバンを日本のように景気の悪い時期に取り入れた国は一つもありません。 つまり、金融制度改革なんというのを行いますと過当競争が行われますから、弱者の利用者の切り捨てということが行われるわけです。当然貸し渋りだって起きるというわけでございまして、今みたいな投入の仕方は私は大反対です。一たん棚上げにしてもいいくらいだと思っております。そもそも投資家とか預金者を金融機関の不正な行為から保護するための金融サービス法の制定が最も後回しになるということもありますし、それから外資と国内の金融機関が全く規制が違う、不正行為については外資については一切見張る気もないというような状態で外資に席巻させるようなことがあっていいんでしょうか。 私は、ビッグバンがウィンブルドン型になるというふうに言われておりますけれども、つまり主役は外資になっても国内の金融証券市場が活性化されて経済が元気になるのならいいではないかという意見がありますけれども、私はそうはならないと思っております。外資の不正に関して見張る役割というのはどこにもないからです。 現に、今まで外資はさんざん悪いことをしてきました。今、アメリカで「FIASCO」という本がベストセラーになりかかっておりますけれども、米系の証券会社がいかに日本の金融機関や商社をだまして大もうけしたかということの内部告発の本です。そういう実態に対して何ら手も打たないままビッグバンを進めるということは、日本の金融市場を外資の草刈り場にするということでありますし、本当に利用者のための金融ビッグバンという構想になっていないということを考えましても、ビッグバンはとりあえず棚上げして初めから考え直した方がよろしいと思っております。
○志苫裕君 ありがとうございました。
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。 きょうは三人の参考人の方々、ありがとうございます。 岸参考人に伺いますけれども、先ほど金融、大蔵省の関係について厳しい叱責を受けたことについておわびしたいということがありました。私は法案の前提にかかわる問題で幾つか伺いたいと思いますが、まず参考人側自身が大蔵省の幹部職員を料亭やあるいはホテルで接待をされたという御経験がありますでしょうか。
○参考人(岸曉君) 経験ございます。
○笠井亮君 それは、局長あるいは審議官、どういう相手で何回ぐらい御経験がありますか。
○参考人(岸曉君) 部長の時代でございますから二十数年前のことでありますので、局長が入っておったように思いますけれども、記憶が定かでございません。
○笠井亮君 先ほど対策をとられると、接待はよくないということを言われて四点言われましたけれども、私は、御自身の経験も含めて、やっぱりこの癒着という問題が大きく問題になっているので、これは徹底的にそれ自身実態を明らかにするということが、解明し、そしてきちっと今後していくということでの前提になると思うんですよ。その点はぜひ記憶も定かにしていただくということを含めて、銀行協会、各行含めて必要じゃないかと思っております。 じゃ次に伺いますけれども、霞桜会という会があるということが明らかになって、大蔵省の金融検査部の現役とOBの親睦会だというふうに言われておりますが、そういうメンバーが銀行にいわゆる天下りをしたりする、あるいは大蔵省から銀行に、これは東京三菱御自身も含めてだと思いますが、いわゆる天下りという方がいらっしゃると思うんです。それで、検査を受ける銀行あるいは指導監督を受ける銀行が検査官とかあるいは大蔵省の幹部職員を天下りとして受け入れるということについてなんですけれども、これはどういう目的で、なぜこういうことがやられるんでしょうか。
○参考人(岸曉君) 天下りという言葉で表現いたしますといかにも何か魂胆があるような印象があるわけでありますけれども、銀行は人材を非常に必要としているわけでありまして、そういう金融関係の経験のある人材をこういう仕事をやってもらうために受け入れるというようなことは、これは当然許されることだと思いますし、これから日本の金融、経済がいわゆるグローバルスタンダード化していく中ではもっと人材の交流というものはやはり活発になるのではないかなというふうに、私個人はそう思っております。
○笠井亮君 受け入れるという問題、これは主に大蔵省の側の要請なんですか、それとも銀行からの要請なんですか。
○参考人(岸曉君) 主として銀行からの要請と理解しております。
○笠井亮君 主として銀行からと。 大蔵省からもあるという場合があるんですか。
○参考人(岸曉君) 私は直接そういうことにかかわり合ったことは今までございませんけれども、時にはこういう人材がいるんだけれども必要ですかというお尋ねは広い業界全体の中ではあるのではないかなというふうに思います。
○笠井亮君 それ自身が大問題だと思うんですね。同時に、人材が必要ということですけれども、実際に天下り問題が今これだけ問題になって、そして癒着の問題も問題になっている、そういう中で信頼回復の道ということで言われるならば、実際に必要なんだということで人材を受け入れられる、しかし同時にその中ではもうルートができる、連絡を密にするとかさまざまな情報が来るということで国民からそう思われるわけですから、そういうことも実際あるんじゃないかと思うんですね。そうしますと、これは天下りは一切やらない方が信頼回復の道になるんじゃないかと思うんです。 先ほど銀行と大蔵省の関係ということで、これまでの習慣はなくなっていくんじゃないかと伺ったので、当然こういうことについても、信頼回復ということでこれだけ問題になっているわけですから、なくすということできちっとやるべきだというふうに思うんですけれども、そういう国民の考えあるいは意見に対してどういうふうにお考えでしょうか。
○参考人(岸曉君) 全銀協としては、何か銀行に対して縛りを加えるというふうな、そういう性格の団体ではございませんので全銀協としてはどういうことになるかわかりませんが、東京三菱銀行としては現役に大蔵省出身の方は現在おられませんし、これからもそういう方を受け入れる予定はございません。
○笠井亮君 金融検査官が業界に天下りする、東京三菱にはないように私は承知しているんですが、そのことについては松永大蔵大臣も好ましくないということで答弁をしているんです。 そうしますと、人材というお話がありましたが、金融検査官というのを人材として銀行業界が必要とするということはないはずですから、どういう検査をするのかを知るという点では人材として必要になって、逆にそれにうまく対応しようということに当然なると思うんですけれども、じゃ銀行業界としては検査官ということについては、少なくとも岸さんの今おっしゃった立場からいっても当然天下りということは絶対あり得ないですね。
○参考人(岸曉君) 金融業界の中にもいろんな規模の業態、歴史、それからこれからどういう方向に経営をやっていこうかという銀行、さまざまな業態がございまして、例えば新たに国際関係のスキルを持った人が欲しいんだとかいろんなニーズがあろうかと思います。大蔵省の中でも金融の部門を御経験になっておられる方というのはやはり一部でございまして、税の部門とか主計の部門とかあるわけでございますけれども、やはり大蔵省の中で金融の御経験がある方というと検査部におられた方お相当の部分になるのではないかと思います。例えば検査部を離れられて相当長いことたっているとか、そういう場合と直近におられたというような場合といろいろ差がありますので、ちょっとこれは一概には申し上げられないところでございます。
○笠井亮君 私は、そういうことでは本当に信頼を国民からから取ることはできない、回復することはできないというふうに率直に思いますので、そう申し上げておきたいと思います。 この際あわせて、癒着ということで問題になっておりますけれども、政党に対する政治献金の問題、特に自民党に対する銀行業界からの政治献金というのがありますが、これについても、やはりこういう法案審議についてもそれが前提問題でいろいろ議論になっておりますが、私はこの際銀行業界としてはきっぱりやめるべきじゃないかと思うんですけれども、参考人としてはどういうふうにお考えでしょうか。
○参考人(岸曉君) これはあくまで個別銀行でやっていることでございますので、全銀協としてどう対応するということについては今のところ考えておりません。
○笠井亮君 最後に、もう一問だけ伺いたいと思いますが、預金保険料の問題であります。 自民党の幹部の中からさえ銀行の一定の負担を求めるという声が出ていて、テレビでも自民党の加藤幹事長が特別保険料についてはその期間を二〇〇一年からその後も続けて集めるようなこともこれから考えるべきじゃないかということも言われておりますが、こういうことについて私は、体力はあるという先ほどの銀行局長の答弁も話で出ましたけれども、何か岸会長御自身もその答弁のとおりだと言われた経過もありますので当然そういうことは考えられるべきだと思うし、十年度末までに見直して、上がりましたらそれは受け入れられるということになるんじゃないかと思うんですけれども、こういうことについてどういうお考えでしょうか。
○参考人(岸曉君) 預金保険料を引き上げたらどうかという御指摘であろうかと思いますけれども、八年度から特別保険料を含めまして七倍に引き上げられました。これが預金のコストとしての預金利息と支払い保険料というのがどういう関係になっているかということでありますけれども、平成四年度には預金利息に対して預金保険料というのは〇・三%だったわけです。それが八年度からは五・七二%に上がったわけでありまして、銀行にとりましての負担というものは非常に大きいわけであります。 今後、さらに預金保険料が上がるとか特別保険料の期間が延びるとかということになりますと、やはり日本の金融機関、金融界全体の体力を弱めさせまして、今後起こるであろう国際競争の中で非常に難しいことになるのではないかという、率直にそういう感じを持っております。
○笠井亮君 今いろいろ言われましたが、おっしゃっているような立場そのままでいきますと、この三十兆円銀行支援策ということで国民は納得しないということがあると思いますので、時間が来ましたから終わりますが、そのことを申し上げておきたいと思います。 ありがとうございました。
○星野朋市君 自由党の星野でございます。 きょうほお三人、まことに御苦労さまでございます。時間に制約がございますので紺谷参考人に絞ってお伺いをしたいと思います。 その前に、先ほど大蔵大臣の例の中島元主計局次長についての御助言がございましたけれども、この前の委員会で私は大蔵大臣にしつこく質問しておきましたから、我々は決してこういうものをおろそかにするわけではございません。 それから、私は、この一月十二日に大蔵省が発表した銀行の自己査定の集計額、このことに非常にこだわっておりまして、予算委員会、それからこの財政・金融委員会を通じてかなりの時間をこれに費やして質問をしているんですね。 ということはどういうことかといいますと、これをせっかく出しながら、なおこの数字に疑問点が多過ぎる、要するに日本の大蔵省は情報開示がまことに不十分であるということで、まだ隠された部分がたくさんあるんじゃないかということがずっと続いている、これが最大の欠点だと思っているわけです。 それで、生臭い話を申し上げますと、株価が一万四千幾らだった一月、いよいよ一万四千円を割るかもしれない、一万三千円台になったら橋龍内閣はつぶれるぞという話し合いをしていた中で、いや、ここのところで外人買いが入る、株価の問題にはちょっと触れるのはやめようと私は申し上げた。そのとおりになっちゃったんです。 それで、ここでもうけた連中は要するに外人なのか、黒い目の外人もかなり入っていると思いますけれども、要するに一種のリークがあったと私は思っています。 それで、去年までは二十二兆ぐらいの不良債権と言っていたのが、ことしになって突如として七十六兆七千億になった。その理由は何なのか。そして、これは全銀協も多少は知っているんですけれども、全銀協はこの集計に対しては関与していないと、大蔵省がじかに集めたと。それじゃいつから集めたんだと言ったら、去年の暮れだと言うわけですね。去年の暮れだと言うんですよ。それじゃこの数字は明らかに今度の金融二法に対する一種の、言葉は悪いですけれども、おどかし。こんなにたくさんあるんだぞというのを国民に知らせるためにかと言ったら、そういうことはありませんという当然の答えです。 それから、この報告は銀行のと言っているのであって、信用金庫、信用組合その他の金融機関はどうなっているんだという質問に対しては、いや、そういうところは中間決算をやっていませんと。だから、そういうばかな答えをいつまでもしていたらだめだというんですよ。木津信用組合一行だって一兆円という金を使っちゃったわけですからね。 この不信感がいつまでもいつまでもあって、株価も一定までは行きましたけれども、そこでとまっていると。それから、解決策も要するにつかみ企みたいなものなんですね。十七兆、十三兆というのは根拠は全くないんですよ。ということは、七十六兆七千億の問題債権プラス今言ったあれを含めれば、巷間伝えられるところによれば約百兆でしょう。それを超えるかもしれません。 それから、外国に対する債権、特にアジアのNIESとASEAN、このグループに対して日本の金融機関はどのくらい貸しているんだ。二千五百二十六億ドル、三十兆円だと。これはいつの時点だったのか。去年の六月だと言うわけです。じゃ、その後東南アジアの通貨はこんなに下落したじゃないか、どれだけ要するに損失が出ているのか。いや、ドルでヘッジしていますから、デリバティブをやっていますから大丈夫ですと。とんでもない、そんな素人だましみたいなことを言うなと、こう私は言ってきたんです。 そういう一連のあれを通じて、根底は私は情報開示が完全になされていないというのが一番問題だと思っているんですけれども、いかがお考えですか。もう残りの時間全部使って結構です。
○参考人(紺谷典子君) おっしゃるとおりだと思います。 山一証券に飛ばしという簿外債務があって、粉飾決算のゆえをもって場合によっては自主廃業さえ許さないという証券局長の談話がございましたけれども、この大蔵省が発表してきた不良債権は粉飾決算と言わずして何と言ったらいいのかということでございます。しかも、この期に及んで何で急に基準を変えて、不良債権の定義を広げて巨額の金額を持ってきたのか、極めて戦略的なにおいを感じるわけです。 そういうことに関しましていえば、山一証券の破綻も、自分たちが公的資金を言い出すのではなくて、政治家に慌てていただいて、政治家の方から公的資金を導入しなくては日本経済はもたないのではないかという危機意識をあおろうという意図があったとも言われております。その辺の追及が一切なされていないんですね。 どうしてか。大蔵省は、その後調査した結果、山一は債務超過ではなかったと言っているわけです。債務超過でもなくしかもこのところ国会の質疑で明らかになっているように証券局長の指導のもとに飛ばしを行っていたとしたならば、何のために山一証券をつぶしたのか。山一証券あるいは北拓の破綻をきっかけに急に金融不安というのは非常に強まってしまいました。ですけれども、北拓に関してもやはりディスクロージャーの問題があります。北海道銀行がなぜ合併を拒否したかといえば、北海道拓殖銀行の不良債権額が余りにも不透明である、どういう経営状態がわからない状態で合併はできないということだったわけですね。 ですから、今日の金融不安を招いたのは大蔵省の金融行政、しかもよらしむべし知らしむべからずというような、そういうディスクロージャーをしないというような行政が今日の危機を招いているんだと私は思うんですね。それだけではなくて、責任も一切明らかにしていないわけです。ですから、この金融安定化法案を通すに当たっては、三十兆円の国費を使うに至ったと。あるいは住専問題に関しては六千八百五十億の国費を使ったと。しかも、それだけではなくて、さまざまな財政赤字とか、問題を生じているわけです。そういう行政の失敗に関して何ら大蔵省は責任をとっていない。官の中の官と言われて巨大な権限を行使しながら一切責任を負わない、こんな怖い行政組織があるでしょうか。今まで何にも責任をとっていないですね。それはもう恐るべきことだと私は思います。ですから、国会の場で一つ一つの行政失敗についてぜひとも責任追及をしていただきたいと思います。こういう三十兆円もの国費をあるいは投入するかもしれないというような事態に至った行政責任というのは非常に重たいんじゃないでしょうか。 ですから、バブルに関しましても、先ほどバブルはみんなの責任だという御意見がありましたけれども、でも私が申し上げたのはバブルじゃないんです。バブルの破綻に際してどういう行政が行われたかという問題なんですね。バブルは世界じゅうで生じました。バブルの破綻も世界じゅうで生じました。だけれども、バブル破綻の傷をここまで深くした国はほかにないんです。ほかの国々はもっともっと早く不良債権の処理に入り、もっともっと早くに行政当局が責任を負って、税金を使って経済の立て直しに成功しているんですね。 日本のバブル時代の株価上昇というのは、国際比較をしてみましても決して異常でも何でもありません。日本の過去の歴史に比べましても異常でも何でもないんです。異常だったのはむしろ下げの方なんですね。それから、こんなにも長引いた資産デフレなんですね。そのことによって国民がどれだけの損失をこうむったのか。こうやって直接的に税金投入した部分だけではなくて、例えばGDP比で見まして、年々三%から四%の実質で成長する実力がある経済をずっとゼロ成長で持ってきてしまった。国民は毎年十五兆から二十兆の所得を失ってきたと言ってもいいくらいですね。それだけではなくて、資産デフレで国民資産が一千兆円以上失われている。そこへもってきて資産デフレの処理のおくれとか、財政赤字ということで失った国としての信用ということを考えますと、甚大な被害を受けているわけです。そうであるにもかかわらず、金融と財政を一体化して任せてもらえれば信用秩序が維持できると、どこの口が裂けたらそういうことが言えるのか私は不思議でたまりません。一体で預かってきてこの財政破綻、この金融不安でございますから、とてもとても金融・財政を大蔵省に任せてはおけない。 それだけではなくて、例えば住管機構の中坊さんにまで税務調査を入れたということが国会でも問題になったそうですけれども、つまりやり過ぎだということなんですね。大蔵省と銀行が申請した不良債権額が間違っていた。もう引き受けた段階でもっと額が少なかったんだから追加の資金を出せと中坊さんが銀行におっしゃったということが気に入らないということで大蔵省は中坊さんに税務調査を入れたのではないかというふうにマスコミは推察して報道しているわけです。そういうような強権発動というのをこれ以上許していていいんでしょうか。政治家の皆さんまで大蔵省に予算編成権と税務調査権でいいように使われてしまっているというふうにマスコミは書いておりまして、私が申しているのではないんですけれども、そういう状態から脱却するためにも大蔵省の権限の解体ということはぜひおやりいただかなくてはいけないと思うんですね。今日の日本経済の混乱を招いた最大の責任者は私は大蔵省であると思っております。その責任追及をぜひぜひおやりいただきたいと思っております。
○星野朋市君 終わります。
○菅川健二君 改革クラブの菅川健二です。 ただいまは参考人の皆さん、大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 私、先ほどの委員会におきまして、特に自己資本充実のための政策について、法律ではあんこの側だけ決めておるんだけれども、中身はすべてと言っていいぐらい審査委員会の裁量行為にゆだねられておるわけでございまして、これは大変危険ではないかということを申したわけでございます。クーさんが非常にいいことを言われたわけでございますが、おっかないおじさんが七人おって、それに向かってだれが申請をするかということはまさにそういうことではないかと思うわけでございます。したがって、やはり審査基準というものを決める場合に、客観的なきちっとした審査基準を決めて、そしてその審査基準に該当すればほぼ機械的に認めていくということで、余り見識の高いいわゆる審査委員がけんけんがくがくと議論する余地のないような形の基準をつくることが重要ではないかと思ったわけでございます。この点についてお三人の御意見というのは趣旨はほぼ同じだろうと思って意を強くいたしたわけでございます。 それから、これは岸会長さんに質問でございますけれども、これも私は委員会の中で申し上げたんですけれども、公的資金を三十兆円も導入するということになりますと、やはりその前提として情報開示を徹底するということとリストラを徹底するということがどうしても前提になるのではないかと申し上げたわけでございます。 情報開示につきましては、先ほど来もお話しございますように、金融情報ほど信用されていない情報はないわけでございまして、この点についてぜひ情報開示をきちっとしていただきたいと思うわけでございます。 それから、リストラにつきましては、やはり私どもずっと地元でいろいろな業界の方々と話をしておりますと、金融機関の従業員の給与の問題、役員報酬の問題等々、特に製造業などリストラを徹底している業界から比べるとはるかに緩やかな状況であると。これも大蔵省の護送船団方式によって、過保護によって守られた結果、そういう状況になっておるのではないかと。 公的資金を導入するということでございますと、この際リストラのチャンスじゃないかというふうに思うわけでございますが、情報開示とリストラの問題につきまして銀行協会としてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(岸曉君) 情報開示につきましては、全銀協で今までの不良債権の定義というものをもう一回見直しまして、米国並みの三カ月以上の延滞債権とか金利引き下げ返済猶予債権等を開示するということで、この三月から、これは任意でございますけれども、各個別銀行の判断でございますけれども、相当数の銀行が開示をするであろうというふうに思います。 それから、これは御質問の中に入っているかどうかちょっとわかりませんけれども、先ほどの早期是正措置の方の不良債権、これは非常に違うんじゃないかというような御印象が強いかと思うのでございますけれども、早期是正措置の方の不良債権といわゆる公表不良債権というのは全く基準が違いまして、公表不良債権の方は誤解の余地のない形式基準でもって一定の額をディスクローズするようになっているわけですが、早期是正措置の方はそれぞれの銀行の判断で回収可能性をどのぐらいに見るかということによって非常に変わってまいります。 ですから、横の比較というのはなかなか難しいように思いますけれども、早期是正措置による自己査定というのは実はことしから始まった話でございまして、まだ十分習熟もしておりませんし、お互いにこういうところはどういうふうにするんだろうという疑義をまだ解明しない段階、本当にまだテスト的に出している数字でございますので、これも今後公表していくのかどうか、これは大蔵省が公表されたので、我々の協会が公表したわけではありませんから今後どういうお扱いをされるのかわかりませんけれども、だんだんそういう信頼性というものが上がってくるのではないかなというふうに思っております。 それから、リストラでございますけれども、企業としてやはりリストラというのはどういう時代にありましてもリストラの余地はないかということを我々経営者といたしまして絶えず念頭に置き、それに努力をしているところでございますけれども、こういう三十兆円の金融二法というものを政府において御準備をしていただいているところでございますので、平常にも増しましてリストラに真剣に取り組まなくちゃいけないというふうに考えております。
○菅川健二君 紺谷参考人にちょっとお聞きしたいと思います。 大蔵省の行政責任を非常に厳しく追及しておられることにつきましてはそれなりの敬意を表するわけでございますが、私も長い間役人をやっておりましたので、大蔵省の役人ではございませんけれども、なかなか責任を追及される立場もつらいなという感じがいたしておるわけでございまして、国の場合は御案内のように大臣は政治家がやっておりまして、また昨年の経済政策を見ておりますと橋本内閣の経済政策の失敗が非常に大きいんじゃないかと思うわけでございまして、あんまり役人ばかりをいじめてもどうかなという感じもしなくはないわけでございます。 ともあれ、大蔵省のそれぞれがおやりになったいわゆる刑事上の責任についてはきちっと厳しく追及されるべきではございますけれども、行政上のいわゆる政策判断ミス、これについて、確かに大蔵省の権限そのものの解体という問題はあろうかと思いますが、そうでない段階における行政責任のとらせ方といいますか、そういったものについてどのようなお考えを持っておられるか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
○参考人(紺谷典子君) ひとり大蔵省にとどまらないのでございますけれども、日本の官僚体制というのはすべて組織の意思決定ということで責任者が明確になっていないのでございますね。 ですけれども、仄聞するところによりますと、例えばアメリカなどではポジションごとの権限が、例えば課長はこれこれ、部長はこれこれ、局長はこれこれというふうにある程度明確になっているのだそうでございまして、どの意思決定がどこでなされたかということが後で結果責任を問えるような形になっているわけです。 今の状況ですと、例えば不良債権の先送りとかディスクロージャーの不完全性とか、そういう幾多の問題があったにもかかわらず、大蔵省全体としての意思であったかのように思われている、それから審議会が隠れみのになってしまっている、そういう非常に責任関係があいまいな状態で重要な運営の意思決定がなされてきたという問題が非常に大きいと思います。 ですから、公務員倫理法などの制定が御議論の中にあるようですけれども、倫理の問題だけではなくて、一般の民間企業の経営者であるならば問われるはずの株主に対する忠実義務と同様の国民に対する忠実義務、あるいは民法における善管注意義務、つまり任務の過怠、重大な過失においてもある程度の責めを問われるような形にしておかないと今後も無責任な行政、問題の先送りということがどんどん続きまして、最終的には国民の犠牲において、つまり税金においてツケを払うという形になるのではないかと思いますから、その予防措置はぜひおやりいただきたいと思います。 ちょっと重ねて申し上げますと、財政赤字に関しましても非常に過大な報告がございます。つまり、国債の発行残高が丸々赤字にカウントされておりますけれども、実は日銀保有分、資金運用部が自分で持っている四十兆円の資産のうちで保有している部分とか、国債整理基金にほんのわずかであっても積んである部分というのを一切引かずに国債発行残高をそのまま財政赤字であるかのように大蔵省は喧伝している。 それから、公共事業の不透明性についても大蔵省のさる幹部の方に、ひょっとして緊縮財政をとるための大蔵省のキャンペーンじゃないんですかとお聞きしたら、そうですよという御返事が返ってきたということがあります。 それから、早期是正措置に関しましては、実はアメリカでは幾つも論文が発表されておりますけれども、自己資本が高いからといって金融機関の破綻の可能性が低いという実証結果も得られていない、あるいは自己資本が低いからといって不良債権額が大きいという相関関係もないということがずっと前から何本か論文が積み重ねられて報告されております。ですから、BIS基準そのものが見直ししようという機運のある中で、なぜこういうように金融不安の強い中で早期是正措置を入れなくてはならなかったのか、つまりバブルの再発を防ぐためのものでございまして、銀行の過剰融資にストップをかけるためのものでありまして、こういう金融不安の強い時期に入れるものでは全然ないんだということを申し上げたいと思います。 それから、もう一つだけ申し上げます。 先ほど銀行の体力は十分だと申し上げましたけれども、私は護送船団のツケは護送船団の中で払うべきだと思っております。つまり、高度成長期、国民が超低金利、今ほどではありませんけれども、低金利で我慢してきた問、銀行は歩積み両建てで貸して高い高いコストを取ってきたわけです。つまり、産業の資金コストを下げるという名目で行われた低金利政策の高度成長期の期間、銀行はずっと利ざや稼ぎをしてまいりまして、それで株式投資、土地投機を行って巨大な資産を蓄えて、かつそれもディスクロージャーしていないという状況にございます。ですから、確かに経営が危ない銀行もございますけれども、そうでない銀行もこれありということでありまして、自己資本比率が高いとかあるいは十分な利益を上げているからといって決して健全とは言えないのでございまして、ただ単にたくさん稼いだねというだけの銀行なんですね。 ですから、学者の皆さんは奉加帳方式は護送船団行政の続きである、もうやめよとおっしゃるんですけれども、護送船団のツケは護送船団の中で償うべきであると私は思っておりまして、百年河清を待つに等しいですから、金融安定二法案には反対いたしませんけれども、だけど本当は銀行の優良資産も含めましたディスクロージャーを促して、その中できちんと相互に金融不安から立ち上がるような政策をこそとるべきであると考えております。 どうも失礼いたしました。
○菅川健二君 終わります。
○委員長(石川弘君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十二分散会 ―――――・―――――