国民福祉委員会 第14号
- 発言数
- 203 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/05/19
会議録
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十二日、高橋令則君及び和田洋子君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君及び釘宮磐君が選任されました。 また、昨十八日、今井澄君及び木暮山人君が委員を辞任され、その補欠として朝日俊弘君及び平野貞夫君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(山本正和君) 国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案について九名の参考人の方々から意見を聴取することといたしております。 まず、午前は五名の参考人に御出席をいただいております。 参考人を御紹介いたします。全国市長会社会文教分科会委員長、大阪府守口市長喜多洋三君、全国町村会副会長、京都府園部町町長野中一二三君、日本労働組合総連合会生活福祉局長桝本純君、健康保険組合連合会東京連合会副会長、日本通運健康保険組合理事長安岡正泰君、上智大学文学部教授山崎泰彦君、以上の方々でございます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 本案につきまして、参考人の皆様から忌憚のない御意見をいただき、委員会の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人十分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず喜多参考人から御意見をお述べいただきます。喜多参考人。
○参考人(喜多洋三君) おはようございます。大阪府守口市長の喜多でございます。現在、全国市長会の社会文教分科会委員長をいたしております。 本日は、参議院国民福祉委員会の皆さんに、国民健康保険法改正案につきまして、国保保険者として意見を申し述べる機会を与えていただきましたことに対し感謝いたしております。 さて、今回の改正案のうち、特に老人保健拠出金と医療費の不正請求対策の二点につきまして意見を申し述べたいと思います。 まず、老人保健拠出金についてでございますが、現在の医療保険制度の危機と言われるものは、実は老人医療費の問題でもあると考えております。 若い方の五倍という多額の老人医療費をどのように負担していくのか、この問題の処理のためにつくられたのが老人保健制度でございます。しかし、その前提である医療保険制度間の不公平などの欠陥是正に手をつけず、各健康保険からの財源の拠出と保険者間での複雑な財政調整により解決を図ったわけでございますが、昭和五十八年に制度が発足して以来、拠出金をめぐっては国会での審議段階から現在に至るまで争いがあり、二、三年に一度は拠出金計算方法の修正を繰り返しています。 社会保障としていかにあるべきかという視点が隅に追いやられ、財源負担をめぐっての国民健康保険側と被用者保険側の無用のせめぎ合いだけが目立つような事態は不幸なことと言わざるを得ません。このような欠陥のある制度を十五年間維持できたのも、高い経済成長という歴史的には特異な環境に支えられたからであります。これからの低成長、少子・高齢化社会に耐え得る制度とするには、部分的な改革ではなく、医療保険全般に切り込むことが必要であります。 健康保険制度間の年齢や所得の格差が是正されていれば、さらに言えば、健康保険制度が一本化されていたなら今回のような拠出金論議もしなくて済んだのではないかと考えます。そのためにも、前提となる医療保険制度の抜本的改革を早急に実現するようお願いする次第であります。 今回の拠出金についての二つの改正点は、国民健康保険にとって財政的には改善される内容であります。しかし、私どもは、現状が老人を全国民が公平に支えるという理念とかけ離れていることを問題にしているのであります。国民健康保険の運営を預かる立場として改正案には賛意を表しますが、素直に納得できるものではありません。 まず、第一点目の老人加入率の上限問題でございますが、老人の医療費を国民全体で支えるとすれば、高齢化により特に大きな負担を担っている保険者を支援するのが制度の公平であります。何となれば、老人の加入率が高いことは各保険者や加入者に責任のないことであり、これによる大きな医療費負担を緩和する必要があるからです。このような事情に対し、老人加入率に上限を置いて高い拠出金負担を放置することは、制度の理念や法のもとの平等に反することと言わざるを得ません。上限という制約は、過疎化に悩む財政的にも困難な地域をさらに苦しめることになっています。 老人保健制度の発足当初はこのような不公平な状態もごく一部の団体に限られていましたが、今やこの制約によって大きな負担を強いられる団体が、三千余りある国民健康保険者の三分の二以上になろうとしています。本来は上限を完全に撤廃すべきですが、少なくとも老人保健法に定められたとおり上限を超える団体が三%程度になるようにという基準が守られるべきであり、現状は違法な状態であると考えます。 今回の改正案では、加入率の上限重二〇%に引き上げることとされておりますが、この場合でもなお三分の一、約一千二百の保険者が上限を超え、いわれのない負担が解消されないこととなります。さらに、法案では上限の改正は医療保険制度の抜本改革が行われるまでの間の措置となっていますが、制度改革がおくれた場合、異常事態を固定化することになりかねないという点について大きな危惧の念を抱いています。いつ制度改革がされるのか、目標時点を明確にすべきであると考えます。 ちなみに、私が運営の責にあります守口市の国民健康保険にあっては、老人加入率が約一六%ですので、現行の老人加入率の上限二五%を下回っています。このため、今回の改正により被用者保険と同様むしろ負担が増加いたしますが、制度の公平という点ではやむを得ないと考えております。 二点目は、退職被保険者についての拠出金問題であります。 本来、全員が平等に負担すべき老人保健拠出金を退職被保険者は負担せず、その他の加入者に転嫁されています。なぜこのような不公平が放置されていたのでしょうか。今回、それを二分の一だけ是正しようということですが、なお半分が一般の国保加入者の負担として残されることについて不満が残ります。できるだけ早期に全面的な是正をお願いしたいと思います。 以上、老人保健拠出金についての意見を申してまいりましたが、くどいようですが、今回の改正案は根本的な解決ではなく、十分納得しているわけではありません。現在の財政状況を若干改善できること、他の健康保険では負担が増加する場合もあることから、痛み分けという意味での理解をしているものであります。老人医療については、医療費総額の抑制などほかにも重要な問題がありますが、少なくとも財源負担のあり方としては公平を目指すことが理念の中心になければなりません。根本的には、年齢で切り分けるのではなく、若年者を含む総合的な保険制度を目指す中で解決すべきと考えます。 次に、診療報酬の不正請求対策強化でありますが、現在の診療報酬支払いシステムは請求に不正がないことを前提として成立をしており、不正には無防備な状態にあります。このような信頼関係を破る行為は犯罪であり、厳正な対応を望むものであります。 なお、不正防止については、患者自身が請求内容を確認できるような手だても講じるべきと考えます。技術的な検討も種々必要でしょうが、医療についても消費者保護の視点を重視すべきと考えます。 また、この際付言すれば、診療報酬について請求内容の点検のあり方を大きく改善する必要があります。現在、国保連合会での点検に加えて各保険者においても再度点検をしていますが、旧態依然とした紙による請求方式を改め、一部地域で試行中の磁気による請求方式を早期に導入するなどして、事務の効率化、点検の充実を図るべきであります。 以上、国民健康保険法改正案のうち、老人保健拠出金と不正請求対策について意見を申し上げましたが、これらはあくまでも与えられたテーマにすぎません。市町村国保の運営に当たっております全国三千有余の市町村長が最も訴えたい点は、このような狭い範囲の議論ではなく、より根本的な検討をしていただきたいというところにあります。国民福祉委員会の委員の皆さんにおかれましては、今回の改正案にとどまらず、引き続き医療保険制度の抜本改革実現に向け御尽力いただきますようお願いいたしまして、私の意見表明を終えたいと思います。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 次に、野中参考人にお願いいたします。野中参考人。
○参考人(野中一二三君) 全国町村会の副会長をいたしており、京都府園部町長の野中でございます。 本日は、町村の国民健康保険事業等について意見を申し述べる機会を与えていただき、厚くお礼を申し上げたいと存じます。 このたび、国民健康保険法等の改正案が提出されまして、国会で御審議をいただいているところでございますが、今回の制度改正に当たっては、制度の抜本改革を行うまでの間における当面の措置としての改正でありまして、私どもといたしましても、まだお願いしなければならない点もございますが、現時点ではやむを得ないものとして、賛成の立場から意見を述べさせていただきたいと存じます。 まず、国民健康保険制度の現況について簡単に申し述べさせていただきます。 御案内のとおり、国民健康保険制度は、被用者保険と比べ、高齢者や低所得者の極めて多くを被保険者として受け入れる仕組みとなっておりますので、その財政基盤は弱く、しかも近年の医療費の増嵩等により保険料の負担が著しく高くなっており、被保険者に対してこれ以上の負担を求められない現況に来ております。 特に、市町村国保は老人加入率が極めて高く、健保組合の老人加入率は二・九%、政管健保は五・三%となっているのに対し、市町村国保は二一・八%となっております。また、七十歳以上の者を除きました加入者の平均年齢を比較いたしましても、国保が四十二・三歳、組合健保が三十一・五歳、政管健保三十三・七歳という状況でございます。また、無所得の方や低所得の方の多くを抱えており、国保加入世帯におきましては、無職世帯の割合が約四割、所得なし世帯は二割以上をも占めております。一方、加入者の平均年間所得について見ましても、国保は二百四十二万円であるのに対しまして、組合健保は三百五十万円程度、政管健保二百八十万円程度となっております。 ちなみに、私の園部町につきましても、老人の加入割合は二七・九%、また退職被保険者の加入割合も一一%となっております。また、所得なし世帯についても二八%であり、他の市町村国保同様、率直に申し上げて極めて厳しい財政運営を行わざるを得ない現況になっております。 このように、市町村国保が抱える困難な問題は、高齢者の加入率が高いこと、被保険者の所得水準が低いことなど、そもそも構造的な問題に由来するものであり、保険者としての責に負いかねる面が強いことをまず御理解いただきたいと思います。このため、市町村の多くは国保会計に対して毎年多額の繰り入れを行わざるを得ない状況にあります。 この数を見ますと、国保会計の赤字補てん等のために一般会計から法定外の繰り入れを行っている市町村は全体の約六割、法定外繰入金総額は約三千百億円に上っており、さらに、我々町村においては国保事業だけを実施しているわけではなく、他にも多くの施策を抱えておりますので、町村財政において国保は大きな負担の原因となっておるのが実態であります。 このような国保の構造的な問題を解決するためには、何よりも医療保険制度の抜本改革が一日も早く実現されることが必要でありますが、一方、抜本改革が簡単に実現できるものでないことは承知をいたしているところでありまして、当面は現行制度の枠内においても公平の観点からすぐに着手できる問題について、市町村国保の構造的な厳しさを踏まえた上で、できる限り現行制度における不合理の見直しを行うことが必要であると考えます。 御案内のとおり、老健拠出金の算定方法に関しましては、平成十年三月を目途に所要の見直しを行うこととされており、今回の改正はその一環として負担の公平化を進めるものと理解をしております。 思えば、老健制度の趣旨は国民のすべてで老人の医療費を公平に負担しようとするものでありますが、現在、加入率の上限を超えた保険者は、超える分については調整されることなく負担するという状況が続いております。御案内のとおり、平成九年度は老人加入率上限は二五%でありまして、この二五%を超えている市町村割合は、市町村国保の約六割にも達しているということであります。 そもそも、市町村保険者において老人の加入率が高いということについては、保険者の責に帰さない事由でありまして、これに上限を設け、老健制度の趣旨を否定するような仕組みにしていること自体が不合理であると言わざるを得ません。特に、上限を超えているような市町村は、先ほども申し上げましたとおり、過疎地域等の財政基盤の弱い町村が多い現況であり、老健制度の趣旨に照らせば、ぜひとも上限は即撤廃すべきであるというのが私どもの気持ちであります。 次に、退職者に係る老健拠出金の半分を退職者医療制度を通じて負担することについてですが、退職被保険者は確かに国保の被保険者でありますが、もともと退職者医療制度は、被用者保険に属していた方が退職してから市町村国保に加入することによる負担の偏りを是正するために、退職者に係る費用は被用者保険において負担するということをその制度の考え方としているものであります。しかし、現在の老健拠出金の算定に当たっては、保険者における加入者数に応じて負担することとされているために、退職被保険者の数も国保の被保険者として算定されている一方で、その老健拠出金は退職者以外の一般被保険者が負担することになっておりますことはやはり不合理であると言わざるを得ません。 退職者医療制度創設時におきましては、市町村国保に占める退職者の数も少なく、その不合理さもさほど問題にはなりませんでしたが、市町村国保における退職者数の増加に伴い、退職者に係る老健拠出金の負担が高まってきており、その額は現在約二千億円程度にも達して、これは制度創設当時と比較いたしますと二倍以上に膨れ上がっているところであり、これ以上一般の被保険者に負担のしわ寄せをすることは不合理であると思います。 このように、老健制度の原則や退職者に係る費用は被用者保険が負担するという退職者医療制度の趣旨を踏まえれば、町村会としては、加入率上限は撤廃すべきであり、また退職者に係る老健拠出金は全額退職者医療制度を通じて被用者保険が負担すべきものであると考えますが、今回の改正が抜本改革までの間における痛み分けの措置であるならばやむを得ないものと考えており、改正案について賛成せざるを得ないというのが現況でございます。 また、医療保険制度を健全に運営していくに当たっては、老人医療費を初めとする医療費の適正化を図ることは極めて重要な課題であり、町村の立場としても、保健事業をさらに推進する等の取り組みを行いたいと考えております。 また、不正請求に対しては厳しい姿勢で臨むことが肝要であり、今回の不正請求防止対策の強化については評価をいたしているところであり、また、保険医療機関の病床数等が多い地域は入院医療費が高いという関係が見られ、今回の保険医療機関の病床指定制度に関する改正案につきましては市町村国保の運営の健全化を図る上からも妥当な策であると考えております。 先ほども申し上げましたとおり、高齢者や低所得者が多く偏っているという構造的な問題に対し抜本的にメスを入れていかなければ、市町村国保が抱える現在の困難を解決することは不可能であり、世界に冠たる国民皆保険制度をこのようにゆがんだ形で支え続けていくことはもはや限界に達していると言わざるを得ません。私ども町村国保の立場からも、ぜひとも医療保険制度の抜本改革を早急になし遂げていただくことを切にお願いしたいと思います。 私どもといたしましては、医療保険制度の一本化など医療保険制度の立て方に踏み込んだ抜本改革が必要であると考えます。 また、受益を受けた方についてはそれ相当の負担をしていただく必要もあると存じます。今後の高齢化の進行を踏まえれば、持てる高齢者には一部負担金や保険料は相応の負担をしていただくことも必要であろうと存じます。 また、いかに健康を維持し、できる限り病気にならないようにする動機づけを医療保険制度の中に組み込む必要があると考えます。 ともあれ、医療保険制度をめぐる問題解決は極めて緊急性を有し、重要な課題であります。市町村行政を預かる立場といたしましては、今後とも保健、福祉と連携した公平、効率的な国保運営の取り組みを積極的に進め、また健康づくり等の保健事業の充実を図っていきたいと考えております。このためには財源の確保とともに公平な費用負担がどうしても必要になってくるわけでございまして、何とぞ先生方の特段の御尽力をお願い申し上げる次第であります。 最後に、先生方にお願いいたしたいことは、今回の法案の成立のおくれは直ちに市町村国保の財政に多大な影響を及ぼすものであり、このような事態を避けるためにも一日も早く法案を成立させていただきたいというのが私たちの最大の願いでございます。 これをもちまして、私の意見とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 次に、桝本参考人にお願いいたします。桝本参考人。
○参考人(桝本純君) 労働団体の連合におります桝本でございます。 毎日働きながら月々のお給料から健康保険料を払っている、そしてまた病気になったときには保険証を持ってお医者さんのお世話になる、こういう生活をしております普通の労働者の立場から、今般国会に提出されております国民健康保険法等の一部を改正する法律案について、特に老人拠出金の負担の見直しにつきまして意見を申し述べたいと思います。 政府は、平成十年度予算の編成に当たって、まず財政構造改革という観点から社会保障関係費の大幅な伸びの圧縮、特に集中的に医療関係の国庫負担の削減ということを至上命題にし、あらゆる形での政府の負担の削減、そしてその負担の国民への転嫁というものを図ってまいりました。 昨年九月から、私どもの保険料が引き上げられると同時に、患者の病院へ行ったときの自己負担が一割から二割に引き上げられ、さらに薬剤を理由にした追加負担が加えられた。このことは、現在の不況下で一般の労働者、サラリーマンにとって大変大きな打撃であっただけではなくて、我が国の社会保障の将来に対する不信を非常に強めたものであります。 今回、ここで議論をされております老人医療費拠出金の負担の見直しは、さらにそれに追い打ちをかける負担の増加措置であります。 例えば、今の現役サラリーマンの保険集団、健康保険組合の中でも比較的年齢が若い人たちが多いところで申しますと、月々労使で払っている保険料の半分以上、場合によっては六割近くが、自分たちの医療費のためではなくて、この老人医療費拠出金に、言い方は悪いですけれども、吸い上げられていると、これが実態でございます。さらにそれに加えて、退職して国民健康保険の方に籍を移したOBの人たちの拠出金の半分が、総額で言いますと一千百億円程度が現役のサラリーマンの保険に新しく加えられようとしている、こういう内容でございます。 もちろん、高齢化に伴って全体としての社会保障関係の負担が傾向的にふえていかざるを得ないということは私たちも承知をしております。これが全体で納得のできる形で提示をされ、納得のできる形で負担をするのであれば、それはだれも拒否することではありません。 しかし、今回こうした措置が医療制度の改革の展望とも関係なく、当面の単年度の予算措置のために無理やりにひねり出されたという一方の事実。他方で、これの裏側で、これをつくるときには厚生省の皆さんは、全くお金がないのでやむを得ないのだと、こういう説明をされておりながら、他方では九百七十億円の措置が、人件費、物件費等の見合いを含めて、率で言うと二・二%の医療費の上昇というのが何の説明もなく他方では出てまいりました。この両面は果たしてどういうバランスなのか、これは全く納得のいく説明がなかったわけでございます。 加えまして、この問題について医療関係の審議会では大変意見が紛糾してついにまとめることができなかった。それだけではなくて、与党三党の医療改革協議会自身がこれについてはっきりと見解を取りまとめることができなかった。そして、予算編成のぎりぎりの時期に、特定団体の圧力としか私たちには理解できない状況の中で政治決着が図られたのがこの内容でありました。したがって、この政府案のつくられ方そのものが余りにも国民に対して国民の目が届かない不明瞭な形で提出されたことをあわせて指摘をしておきたい、そのように思うわけでございます、結論からいたしまして。 その後の状況につきまして、二つ新しい事態がございました。 一つは、一方で医療保険の抜本改革ということに着手すると、これは九月の患者負担の引き上げの前に政府が国民に約束をしたことでございますが、にもかかわらず、今国会にその改革の第一弾として予定をされておりました診療報酬並びに薬価制度の改革のための法案はついに出されておりません。つまり、改革は先送りされ、相次ぐ負担増だけが我々の前に突きつけられてきている、こういう事態でございます。 もう一つ新しい事態は、この平成十一年度予算の編成の前提になっていたいわゆるキャップ制と言われるものが厚生大臣の御努力もあって外されることになりました。したがって、こういった無理やりの予算編成をする根拠は既に失われているはずでございます。 私どもとしましては、来年度予算についての社会保障関係費のキャップを外すことになったことを踏まえ、当初の予算編成の前提がなくなったということを踏まえて、必要な社会保障及び医療関係の予算を確保していただくことがぜひとも必要である。その観点からするならば、今回のような措置をとる必要はなくなったのではないだろうか。したがって、今回の改正法案のうち、老人医療費拠出金の被用者保険に関する転嫁の部分に関してはこれを廃案とすべきだ、そのように考えるわけでございます。 他方で、今お二人の国保の関係者から御報告がありましたように、現在の国民健康保険の財政状態が極めて厳しいことは国民あまねく承知しているところでありまして、これに関して制度改革へ至る過程の間、来年度については補正予算での措置をも含めて別個の手当てをしていただくのが妥当なのではないだろうか。そして、その措置を踏まえ早急に医療保険制度における高齢者の位置づけにつきまして制度の改革に着手をしていただきたい。現在の老人保健制度は既に制度的に破綻をしております。これを破綻させた基本的な構造的な原因は、医療保険のみならず現在の医療そのものに内在しているというふうに考えます。 お手元に二色刷りの冊子をお配りしてございます。時間の制約上、内容については詳しく申しませんが、特にこの資料の中で、私どもは診療報酬や薬価制度と並んで高齢者医療制度のあり方について新しい提案を出したところでございまして、その中身につきましては冊子の九ページ以降、特に現在の制度にかわるものとして提起をしております退職者健康保険というものについては十二ページに図がありますので御参照、御検討を賜れば幸いでございます。 いずれにしても、国会におかれましては、昨年八月与党協議会が出した二〇〇〇年度をめどとした医療並びに医療保険制度の抜本改革を是が非でも推進するというお立場からこの法案につきましてよろしく取り扱いをいただきたい、このように思います。 以上でございます。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 次に、安岡参考人にお願いいたします。安岡参考人。
○参考人(安岡正泰君) ただいま御紹介いただきました健康保険組合連合会とそれから日本通運健康保険組合の安岡でございます。 先生方には大変日ごろ御指導を賜っておりまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。また、本日、国民健康保険法等の一部改正につきまして、参議院のこの国民福祉委員会におきまして意見陳述の機会を与えていただきましたことをありがたく思っております。 最初に、健保組合の現状について御説明を申し上げたいと思います。 昨年九月に施行されました健保法の一部改正によりまして、保険財政に多少の改善が見られたことについては感謝をしておる次第でございます。しかしながら、長引く経済不況のもとで企業の活力は非常に沈滞をしておりまして、被保険者数の伸びや保険料収入の伸びの鈍化が見られております。一方、収入の伸びを上回る医療費、とりわけ私ども被用者保険が拠出しております老人医療費の増嵩によりまして、健保組合の多くは依然として厳しい状況であります。平成七年度の健保連傘下は千八百十五の組合がございますが、約七割を超える千二百九十三組合が経常収支で赤字になっております。 お手元に資料としてお配りしてございますが、その中の三枚目に健康保険組合財政収支というのが平成三年度以降、時系列的に示してございます。 まず、収入の保険料収入を見てみますと、平成三年度を一〇〇といたしますと、平成七年度で一一一、八年度で一一四という収入の推移になっております。一方、支出で見ますと、法定給付費で平成三年度の一〇〇に対して七年度で一一〇、八年度で一二三という上がり方、特に老人保健拠出金につきましては、平成七年度で一三一、八年度で一四一というような形で大幅な増嵩になってきているわけでございます。 これに関連をいたしまして、私どもの日通健保ではどうなっているかということを二枚目に資料としてつけてございます。 私どもの事業主であります日本通運というのはいわゆる物流企業でございまして、各産業がほとんどお客様という形で、産業の動向がよく読み取れる企業でございますけれども、非常に今物流動向も厳しい状況になってきている。そういうのを受けまして、日通健保におきましても、保険料収入については、この場合には平成五年度からにしてございますが、日通健保の場合には平成五年度に初めて七千六百万の経常収支が赤字になったわけでございます。 それを一〇〇といたしますと、保険料収入は七年度で九九・五九、八年度で九九・五二というような形で下がりながら横ばい状況という形であります。それに対して保険給付費は、平成七年度で一〇〇・九七、八年度で一〇二・一四。特に老健拠出金につきましては、七年度で一二〇・四二、八年度で一二二・六九というような形で大きなウエートで上昇をしてきている。それで、保険給付費と三拠出金を合わせますと、平成八年度で六三・二と三三・五でありますので九六・七になるわけであります。 そういたしますと、健保組合としてのもう一つの大きな柱であります疾病予防、保健活動、福祉活動というものが全くできないというのが現状であるわけでありまして、老健拠出金の増嵩が非常に大きな形で経営を圧迫しているということでございます。十年度予算編成をいたしましたが、もうこれで別途積立金もほとんどつぎ込んでしまったという形で、十一年度の予算編成は非常に厳しい状況になってきているということでございます。 以上の現状の上に立って意見を申し上げたいと思いますが、今回の国保法等の改正につきましては、昨年暮れに日経連、連合とともに共同声明を発表したところでありますが、四月十七日も国会内で小泉厚相と会見いたしまして、別添の資料で緊急要請という形でつけてございますが、再度意思表示を行ってきたところであります。その立場、考え方は現在も変わっておりません。すなわち、国庫負担を削減するために被用者保険への拠出金負担のつけかえには絶対に反対であります。 改正の内容は、退職者に係る老健拠出金を被用者保険に負担させるものでありますが、現行の老人医療費の負担方法は、生まれたばかりの赤ちゃんも成人並みに負担の対象とされていること、また老人自身が払っている保険料は老健拠出金に全く反映されていないことなど、いろいろな矛盾点や問題点を含んでおります。これらの問題は、審議会等で私どもが再三指摘し、制度の改正を主張し続け、その結果平成九年度中に全体的な見直しをすることが三年前の老健法の改正で決まっていたものであります。 その約束に反しまして、先ほど連合の桝本局長からもお話がございましたけれども、審議会で議論らしい議論もされないままに国庫削減に役立つ部分だけをつまみ食いするという大変御都合主義の改正を行うことについて、内容の決定過程も含めまして全く納得できないところであります。さらに、平成十二年度には医療制度の抜本改革が予定されておりますが、今回の国庫の削減を優先させた小手先の改正を行うことによって抜本改革の支障となることを懸念しております。 なぜ、今回の措置を含め、老人加入率上限の引き上げ等の小手先の改革しかされてこなかったのか。それは、増大する老人医療費問題に対する改革をしてこなかったからなのではないかと思います。問題の本質は、この増大する老人医療費をどうするかであります。既に診療報酬には一部定額制は導入されておりますが、現行出来高払いを全面的に定額払いにすべきだと思います。また、老人に出される薬の異常な多さも問題でありまして、諸外国と比べても薬の医療費に占める比重が高いのは周知の事実であります。現行の薬価基準制度から生じる薬価差が問題であります。薬価差を解消するため、現行制度を廃止して新たに参照価格制度を導入すべきであります。 四月十七日の三団体の緊急要請でも、平成十二年度の抜本改革の第一段階となる診療報酬制度、薬価基準制度に関する改正法案を今国会に提出するよう要請したところでありますが、仄聞するところ、一部関係者の反発が強くて意見の集約ができず、今国会への法案提出を断念したということで、まことに残念であります。 我々は、老人医療費の負担を回避しようとするのではございません。公平で将来も負担可能な制度が実現されることを基本目標としております。そのためには、現行老人保健制度を廃止して、新たな高齢者医療保険制度を構築すべきであると考えております。世代間の公平の観点から、若年世代との均衡を図った保険料や一部負担をしてもらうべきだと考えております。今後の超高齢社会を考えると、制度を早急かつ抜本的に改正しないと我が国の医療及び保険制度全体が早晩崩壊してしまうのではないかと懸念しております。 最後に、小泉厚生大臣は、財政構造改革法に基づく社会保障関係のキャップ制の撤廃を強く主張されました。平成十一年度はキャップ制が外される方向になりました。このように今回の改正法案の根底にある社会保障予算のキャップが外されることから、前提条件が大きく変わってきているわけでございます。そのような情勢の変化も踏まえていただきまして、企業と勤労者に負担増をもたらそうとしている国保法等の改正について、ぜひ再考されるようお願いいたします。 以上で陳述を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 次に、山崎参考人にお願いいたします。山崎参考人。
○参考人(山崎泰彦君) 上智大学の山崎でございます。本日は、国民健康保険法等の一部を改正する法律案について意見を申し述べる機会を与えていただきましたことにつき、心からお礼申し上げます。 私に求められていますのは、改正法案のうち老人保健制度における老人医療費拠出金の見直しについてであります。 御承知のように、我が国の医療保険制度は、大きくは被用者保険と国民健康保険に分かれ、さらに被用者保険につきましては健保組合や共済組合が設立され、また国民健康保険では市町村国保のほかに同業者による国保組合も設立されているわけであります。こういったことは、職域の労働者や地域住民の自治というものに価値を置いた分権的な皆保険体制だというふうに私は見ております。したがって、経営努力による効率的な運営だとか個別集団の加入者の意向を反映した事業運営が可能になるというメリットがあります。 しかし、その半面で、この体制のもとでは保険者間の財政力格差の発生が避けがたいために、その調整が皆保険達成以来今日に至るまでの一貫した大きな課題になってまいりました。つまり、個別集団内の連帯と社会保障という観点から求められる国民全体の連帯をどのように調和させるかということであります。調整の方法は二つあります。一つは財政力に応じた国庫負担の傾斜配分であります。もう一つは保険者間の財政調整でありまして、現在の医療保険制度はこの二つの調整方法を巧みに組み合わせているものであります。 ところで、見直しが提案されています老人保健制度の老人医療費拠出金は、財政調整の手法として導入されたもので、老人加入率という個別の保険者の責任に帰せられない構造的な格差要因に着目して、国民連帯の観点からすべての保険者がひとしく老人を支えるというのが調整の趣旨であります。その趣旨からしますと、拠出金の算定基礎となる老人加入率の見直しにおいて、依然として三〇%という上限があり、この上限を超過する保険者数の割合が国保では三八%、医療保険の全保険者に対する割合でも二三%も残るというのは、やはり大きな問題があります。 同様に、退職者に係る老人医療費拠出金につきましても、退職被保険者等が支える側に回っていないわけでありまして、その分だけ一般被保険者の保険料等に負担がしわ寄せされているわけであります。しかも、退職者の比率が今後高まるにつれて、さらに矛盾が拡大するという放置できない問題があります。私は退職者医療制度創設時のケアレスミスだと思っております。本来は退職者に係る拠出金についてはその全額を退職者医療制度によって負担すべきなのであって、提案されている二分の一の負担というものには理論的な根拠はなく、日本的な利害調整の産物として提案されているとしか考えられません。 いずれにしましても、現在の制度の調整の趣旨に照らしますと、極めて不十分な提案ではありますが、現状よりは改善されるという意味において改正法案を承認したいというふうに思います。 しかしながら、二十一世紀の高齢社会を展望したとき、現在の老人保健制度の費用負担の仕組みには限界があって、歴史的使命、役割を終えつつあるのではないかというふうに考えております。その意味で、老人医療費拠出金の見直しにおいて、改正法案が医療保険制度等の抜本的な改革が行われるまでの間の暫定的か措置としていることには、基本的に賛成するわけであります。 さて、高齢社会に対応した医療保険制度の抜本改革を進めていく上で大きなヒントになるのは、平成十二年度からスタートします介護保険制度であります。現在の老人保健制度につきましては、制度創設以来、拠出金をめぐっては被用者保険対国保、さらに一部負担や診療報酬をめぐっては保険者対診療担当者という激しい抗争が展開されてきました。しかし、介護保険制度の骨格につきましては、今申し上げた利害が対立している関係団体の間でも最終的には合意を得たわけであります。それは、次に述べるような理由によるものと私は考えております。 第一は、既存の社会保険制度から分離した独自の保険制度だということであります。年金や医療保険の保険者は、介護保険の保険料徴収をお手伝いするいわば協力機関として位置づけられています。したがって、介護保険料の徴収によって年金や医療保険の財政が圧迫されるというものではありませんから、財政の透明性が確保されています。 第二は、被用者と自営業者等の区別のない一本化された制度だということであります。少なくとも六十五歳以上の高齢世代につきましては、保険料の算定方法も含めて完全に同一基準になりますから、世代内の公平性が確保されます。 第三は、高齢世代にも個人単位で負担能力に応じた適切な財源負担を求めでいるということであります。一人当たりの平均的な保険料は高齢世代、現役世代ともに同一でありますから、現役世代が減り、高齢世代がふえても保険料収入には影響しない仕組みになっているわけであります。つまり、保険料負担面での世代間の所得移転は生じない、そういう意味で高齢社会対応型の財政システムであります。 第四は、保険者を市町村にお願いすることによって、市町村が第一号被保険者の保険料を財源として介護給付の支給限度額を引き上げたり、独自の給付を設けることも可能になりました。老人保健制度では市町村は実施主体ではありますが、財政的にはその大半を医療保険制度からの拠出金だとか、国や都道府県の公費負担に依存しています。そういった関係からしますと、市町村独自の施策は老人保健制度では極めて大きな制約を受けているわけであります。つまり、地方分権を推進するという観点からも、介護保険制度は評価できるわけであります。 私は、この介護保険につきましては当初からの推進論者でありました。しかし、制定された介護保険制度が完全なものだとは思っておりません。しかし、多くの関係者の間で合意を得たということに大きな価値を置きたいと思います。また、今申し上げましたように、新しい時代を切り開くことのできる可能性を秘めている制度であることも確かだと思います。 この介護保険の考え方を基本にして、老人保健制度にかわる高齢者医療制度を構築することこそが医療保険制度の抜本改革への道を切り開くものと考えております。 以上で私の意見陳述を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○田浦直君 自由民主党の田浦でございます。 きょうは、参考人の皆様には貴重な御意見を御披瀝いただきまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。 私、衆議院の議事録もずっと読ませていただきましたけれども、おおよそ皆さんがおっしゃられているのは一時的なしのぎのこの法案ではだめだ、やっぱり抜本案を早くつくるべきだということではほとんど皆さん一致しておられたような気がいたしております。それで、私どもにもそういう責任があるんだということをおっしゃられておられたんじゃないかなということで、その御意見は私どもとしても深く受けとめておきたいというふうに思っておるわけでございます。 細かいことをいろいろお尋ねしたいんですけれども時間の関係がございますので、その抜本案につきましてひとつお尋ねをしたいと思うんです。これは喜多参考人、野中参考人に関係があると思いますが、この老人医療制度、今抜本案づくりは、一つはこの薬価の問題、もう一つは診療報酬、そしてもう一つはこの老人医療制度をどうするかということをテーマにしてやっておるわけでございますけれども、市町村段階から見まして、厚生省で出された案に限らなくても結構ですが、あれでも結構ですが、どういうふうなのが市町村としては一番望ましい、いい抜本案であるか、老人医療制度だけに限ってひとつ御意見を述べていただきたいと思うんです。 それからもう一つ、これ細かいことですけれども、喜多参考人のところでは今度の改正で老人加入率が一六%だから負担がふえる、野中参考人の方は逆に今二七・九%だから非常にプラスになるということになるんじゃないかと思うんですが、もしわかれば、どのくらいの金額がマイナスでありプラスであるのか教えでいただければというふうに思います。 以上、二点についてお尋ねをしたいと思います。
○参考人(喜多洋三君) 田浦先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。 まず、老人医療制度についての抜本案でございますが、それ以前に現行の被用者保険、国保の間のいろいろな制度の不公平さ、公正さ、そういうものをまず是正する必要があるんではなかろうか。 少し駄弁になるかもわかりませんが、被用者保険についてはその保険料の算定は基本報酬といいますか、月額、月給で計算をされております。もちろん、家族構成とかそういうものでは加算をしたり減額をしたりというものはないわけでありまして、月給を幾らもらっているから幾らだということに決まっております。 一方、国保の方は、先生御案内のようにいわゆる世帯割がございますし、均等割がございます。それからもちろん所得割はありますし、資産割も採用しているところはありまして、つまり幼児もそしてお年寄りも均等割という観点からいきますと保険料を掛けておるという実態があるわけであります。 しかも、国民健康保険料は保険料の方が高くて反対に給付が、被用者保険、先ほど一割が二割になったということをおっしゃっていましたが、国民健康保険は三割の負担になっておるわけでございます。つまり、我々の立場から申し上げますと、もうこの時点で既に医療保険制度の中で国保と被用者保険のやはり制度間の公平さが欠けておるのではなかろうかな、このように考えております。 したがって、老人医療制度をどうするかということになりますと、同じ国民としてだれもがどのような立場であっても公平さを感じられる制度にしていただきたい、できれば一本化して制度を実施していただく。人間である限りオギャーと生まれてから死ぬまで同じ制度の中で、保険制度があるとするならば。先ほどの御意見の中にもありましたが、年代間の不信感といいますか、年代で輪切りをしますと若い人は年寄りの分を持つのは嫌だという感覚があることも事実でございますし、年寄りは年寄りで今まで社会に尽くしてきたんだから、わしらは優遇してもらってもいいんじゃないかというような考え方もあるわけでございます。しかし、全員通る道でございますから、一本化をすればそういういわゆる不満なりというものは解消するのではなかろうかな、つまり一本化した医療保険制度にするのが一番手っ取り早い方法だと、私はこのように考えております。 なお、具体的に、拠出金が私の方はプラスになるわけでございますが、一般の方の上限の分はちょっと計算ができないわけでございますが、退職者分の二分の一の減は保険料五千万円ぐらい減になるわけであります。これは保険料で見ますと一%相当でございます。 以上でございます。
○参考人(野中一二三君) 今、田浦先生がおっしゃいました保険の抜本的な改革、私たち町村側にいたしますと一番課題になりますのは町村間の保険料に格差があり過ぎるということでございます。隣の町と我が印とで保険料に違いがございます。やはりこれを一本化するというのが我々一番最大の課題ではなかろうかというふうに思っております。老人の加入率の高いところほどどうしても保険料を高く取らざるを得ないというような一面がありますことを御理解いただきたいというふうに思います。 我々町村会といたしましては、でき得れば都道府県単位ぐらいの地域保険制度に抜本的に変えていただくことが公平性を保つ上で一番大切じゃないか。これは連合さん等いろいろ御意見があろうかと思いますけれども、やはりお互いに子供のときと働けるときと老人のときと同じ道を歩まなくちゃなりませんので、そういう点でいきますと、せめて都道府県単位ぐらいで保険料や負担の公平さというのを保っていくことがこれからの社会のために大切じゃないか。 これは、先ほど山崎先生もおっしゃいましたように、介護保険に料金的な格差がないという点を考えますと、やはり同じように医療保険についてもこの辺を配慮いただくことが一番大切じゃなかろうか、このように私たちとしては思っておるのが実際でございます。 今、我々町村には資産割というのがございますけれども、もはや農村部の農地や山林に資産価値のあるものはほとんどないと言われるほど、もうただでも取ってほしいというような感じがあるような問題があるわけです。そういう方々からも資産割というものをもらわざるを得ない現況がありますので、この辺も私はこの機会にお考えをいただくことが一番大切じゃなかろうかと思います。まずはそれが一点。 拠出金のあり方については、連合さん等も拠出金のあり方にいろいろ御意見を出されておりますが、正直申し上げまして私たち国民健康保険も拠出金を持っているということでございまして、私の町で申し上げましても、一年間の保険料は国民健康保険として十億持っております。このうち医療費は七億でございまして、三億九百万余りは拠出金として老人保健の拠出を持っているというのが実態でございます。この辺から考えますと、二七・九%ございますが、この影響がどれだけあるかというのは今即計算をするわけにはまいりませんけれども、何はともあれ他の関係団体からおっしゃっておりますが、我々国保も拠出金を三割持っている、この三割近い負担がなければ、我々国民健康保険も健全な運営ができるということになるわけでございまして、お互いに同じ立場にあるんじゃないかというふうに思っておりますので、この辺を抜本改革で改革していただいたらありがたい、このように思っておるのが本意でございます。
○田浦直君 次に、桝本参考人、安岡参考人にお尋ねしたいんです。 桝本参考人は診療報酬が二点に上がったということで非常にお怒りでしたけれども、実質的には薬価が下がるわけですから、診療報酬がプラスではないと私は思っておるんです。そのことはさておきまして、その発言の中で、手続が悪いというお話なのか、上げたことがけしからぬというお話なのか、その辺をもう一度お尋ねしたいと思うわけです。 それから安岡参考人には、今組合としては、抜本案の中の一つの柱である薬価については参照価格制度というお話がありましたけれども、先日、医師会からは、保険者でそういう薬を買う機構をつくって、それで物を配るというふうなことをやったらどうかという御意見が出されておるんですが、こういったものについての御意見なども聞かせていただければと思います。
○参考人(桝本純君) お尋ねのところに限ってお答えをさせていただきます。 引き上げたことが悪いのか、手続が悪いのかということでございます。引き上げることそのものについて私どもは一般に反対しておりません。医師の方々あるいは医療機関で働く我々の仲間もおりまして、当然のことながら、それに適正な処遇が確保されるということは、それ自体としては必要なことであります。 しかし、今回の引き上げ方は明らかに不正常なものと言わざるを得ません。一方で、一銭もお金がないからこれだけおまえたちは拠出金をさらに引き受けろ、一千億円以上引き受けろ。そのための予算は別にないのか。いや、どこを探しても、もう出すものはべろも出ないんだと、こう言っておいた裏から、いつの間にかそちらのお金が一千億近く出てくる。それだけのものがあるんであれば、これは政府の予算編成の問題ですよ、それだけの予算が、財源があるのであれば、あんな無理した拠出金の取り扱いをする必要はそもそもなかったはずで、そこでの取り扱いは極めて、まず政府案のつくられ方がおかしい、それからそれの決定過程が極めて不正常なものである。 したがって、一般に診療報酬を引き上げることに我々は反対したことは一遍もありません。しかし、今回の引き上げる過程、引き上げる内容、そしてそれの意思決定過程すべてについて極めて不明瞭であって、私どもとしては到底納得できないということでございます。
○参考人(安岡正泰君) 今御質問の、医師会の方から新しい薬価制度についての提案が出されました。その内容というのは、要するに保険者の方で一つの機関をつくって、そこで一括購入をして、それで病院、医療サイドの方から要請があったらそこに出していくという内容だというふうに思っております。 まだ詳しくは検討はこれからしなければならないと思いますが、ただ、その新しい保険の方でつくった配付機関に病院の方からこういう薬を下さいというような形で出てくるんだと思うんですが、そこら辺のチェック体制というのが一体どうなるのかなということが非常に大きな問題ではないかと思うんですね。 それで、医療機関サイドから、やはり高い薬を使いたいということは必然的に出てくると思うんですね。患者さんに対してやはり薬をできるだけ出していくという今までのような体制でもしも医師会側が出てくるとすれば、それに対するチェックをどうしていくかということは大変大きな問題になってくるわけでありまして、一概にあの案が出たからいい案であるということは、私は即答はまことにできかねる。それに対する対応をどうしていったらいいんだと。いずれにしても、やはり患者さんのことを考えなければならない。そういう形の中で、やはり現在の薬の大量投与という基本的な面での問題を解決しない限り、なかなか抑えていくのは難しいのではないのかなというふうに感じております。 まだもう少し検討はしなければならないと思っておりまして、そう簡単にはいかない問題ではないのかなというふうに理解しています。
○直嶋正行君 参考人の皆さん、本日はどうもありがとうございます。 今、一通り御見解をお伺いしまして、私なりに感じたことがあるんです。いずれの皆さんも今の老人医療制度はこのままではもうだめだと、ですから抜本改革が必要だと、このことは共通しておっしゃっていました。 問題は、今回のこの改正法案についての立場の違いといいますか、あるいはそれぞれのお考えの違いが出ていたと思うんです。さっき桝本さんの方から、今度の改正はそもそも平成十年度予算編成に当たって非常に財政改革法との関係で厳しいキャップを設けた、その結果としてこういうことがなされたというような趣旨の御発言がございました。 しかし、実際にこういう経済情勢ですから、補正予算も組みますし、十一年度はもうキャップを外すということになったわけです。したがって、前提が変わったんじゃないか、こういう御見解がございましたが、私も将来の抜本改革は、これはできるだけ早くやらなきゃいけないと思うんです。それをやらずに、ある種こういう形で、言ってみれば細々とした部分で解消していくというのはいかがなものかという御指摘には説得性もあると思うんです。 まずこの点について、喜多参考人、それから野中参考人の御見解をお伺いしたいと思うんです。
○参考人(喜多洋三君) お答えをいたしたいと思います。 先ほど田浦先生のところでもお答えを申し上げましたけれども、現行の制度間にいろいろ欠陥がある限り、できるだけ国民の皆さんに理解をしていただくためには、やはり急いでわかりやすい制度にすることがまず第一だと思います。 例えて申し上げますと、私自身は共済組合ですから被用者保険に入っております。所得は相当あるわけですが、それで年額二十九万四千円払っております。私の娘はフリーターでございまして、税込みで年収が二百万円でございます。それで国民健康保険料は二十万円払う。いつも家の中では、うちの市の市長は悪代官やということを言われております。 つまり、国民健康保険と被用者保険の間でこれだけの差があるわけであります。その中でお互いにせめぎ合いをして老人医療の拠出金を出すということは、これはもう説明をしなくても困難であるということは御理解をいただけるわけであります。これは先ほど申し上げましたように一本化をして、生まれてから死ぬまでの間一つの制度の中ですべてを賄える制度そのもの自体を一日も早くしていただきたい。そのことが市民、国民の皆さんに大いに理解をしていただける方策ではなかろうかな、このように考えております。
○参考人(野中一二三君) 今、先生がおっしゃいましたように、被用者保険なり健保組合等の皆さんは、元気で働いて所得のある皆さんばかりをお抱えになっておるわけでございまして、我々国民健康保険はそうじゃなしに、一番所得の少ない、こういう人たちを抱えているというその違い。それだけに国費の一定の助成制度というのがあることも事実でございます。この辺について我々はそれなりに理解をしていかなくちゃなりませんが、その後、老人保健、また退職者医療という関係になりますと、元気で働いている間、病人になりにくい間はいわば被用者保険であったり、健保であったり、入っておられて、そして病気をするような年になってきたら国保に入り、または退職者医療に入ってこられたら、当然被用者保険や健保組合が一定の負担をいただくのは私は条理だと思っております。この辺、我々としてそう無理を申し上げているつもりはございません。 先ほども申し上げましたように、当然我々国保も、園部町で申し上げましたように、十億の医療費の国民健康保険のうち三億余りを拠出金として出しているという事実も私は大切に見守ってほしいなと。そんな中で、我々が被用者保険の皆さんや健保連の皆さんとけんけんがくがく論議をする必要性も私はないように思うわけで、お互いに立場を謙虚に理解をいただいたらもう少し助け合える道というのをみんなで見出せる要素はあるんじゃないか。それが地域的な形で一本化した医療制度に変えていただくことによってそういう誤差をなくしていくのが我々お願いをする本意ではなかろうか、このように思っておるのが本意でございます。
○直嶋正行君 続きまして安岡参考人にお伺いしたいのでありますが、きょう参考人からお配りいただいた資料の中の3の②なんですが、今回はこの「改正案の内容は見直しすべき事項の「つまみ食い」であること」と、こういうことで一枚目の意見骨子の中に記載されておりますが、ここのところのお考えをもう少し詳しくお聞きしたいと思うんです。
○参考人(安岡正泰君) つまみ食いという表現がお気にさわられたかどうかよくわかりませんけれども、私どもは何もすべてを反対しているわけではないのでありまして、基本的にはもっともっと基本的な形での抜本的な改正案をお願いしていきたい。何か国庫の方も非常に厳しい状況であるので被用者の方にそれを簡単に振ってしまったというようなことで、それぞれ各立場に立てば厳しい状況であることはどこも間違いないわけでありますね。それは国保さんも非常に厳しい立場であるでしょうし、我々被用者健保も政管も含めまして非常に厳しい状況になってきている。国も厳しい状況であることは間違いないであろうけれども、その中で国がそういう形で回して転用してしまうということはちょっと安易なのではないか。もっと突っ込んだ形での論議をすべきではないのかなということでつまみ食いという表現をしたわけであります。 いわゆる審議会が何のための審議会であったのかと。審議会でいろいろと真剣に論議をしている中で、何か一方でそういうことが国庫の費用を削減しなくちゃいかぬからということだけでぽっと出てきてしまったということに非常に反発を感じるわけでありまして、一方でそういう審議会で論議をしていながら、片一方では何かひょこっとそういうものが出てきてしまったということに不信感を感じるということでつまみ食いというような形で申し上げたわけでございます。 以上です。
○直嶋正行君 山崎参考人に一点お伺いしたいんですが、先ほど今後のあり方とがのお話があったんですが、今回のこの法案を見ますと、それぞれ国保、被用者保険、財政が大変厳しい状況なんですね。それで、それぞれ違いはあると思うんですが、ただ、これは見方によると国費で今回この改正で五百六十億円マイナス、いわば経費削減になっています。つまり、五百六十億円の国の経費を削減して、それをいわば民間部門にとりあえず振った、振ったといいますか、そちらへ回したと、こういう受けとめもできるわけですね。 そこら辺が、確かに保険制度それぞれ違いがありますから、国保と被用者保険というふうに見るともちろん有利不利あるんですけれども、僕のような見方をした場合に、やはりこういうことを今ここでやることが本当にこれから抜本改革で冷静な議論がされるかどうかというとちょっと心配もあるんですけれども、この点に関して山崎先生の御所見をお伺いしたいと思うんです。
○参考人(山崎泰彦君) 私は、財革法との関連がいろいろ議論されていますが、基本的に今の老人保健法で三年後の見直しという規定があって、それに基づいて行われる見直したというふうに考えております。したがって、老人保健法の趣旨に照らせばやはり完全に調整しなければいけない、その未調整部分を今回改善するんだというふうに受けとめております。
○直嶋正行君 あとちょっと喜多参考人にもう一点お伺いしたいんですけれども、先ほどの議論の中でいわゆる診療報酬基準の引き上げ九百七十億円のお話がございました。引き上げはさることながら、いろいろ手続的にも問題が大きいと、こういう御指摘があったんですが、確かに全体的に医療費の抑制を言われている中でやむを得ない面があるかもしれませんが、診療報酬基準だけが引き上げられた、その決定過程も御指摘あったようにいろいろあったと、こういう御見解があったんですけれども、この点についての御所見があればお伺いしたいと思います。
○参考人(喜多洋三君) 私、先ほど申し上げた中には診療報酬の基準の発言はしてなかったと思うんですが。
○直嶋正行君 こちらから御意見があったことについて喜多参考人の御見解を。
○参考人(喜多洋三君) それに対する私の考え方ですか。
○直嶋正行君 はい。
○参考人(喜多洋三君) 保険制度をもう少し円滑にいくためには、桝本参考人がおっしゃっていたことも大いに効果があるんではなかろうかなと、このようには思っております。
○直嶋正行君 ありがとうございました。 あと、桝本参考人に一点お伺いしたいんですけれども、連合のいろんな主張というのは私どもよく拝聴させていただいているんですが、例えばキャップ制の問題とかあるいは将来の社会保障費については、財政事情もいろいろあるんですけれども、やはり基本的には必要な予算は確保すべきだと、恐らくこういうお立場ではないかと思うんです。 その場合に、やはりどうしても今こういう財政事情といいますか、国の財政が大変厳しい中で社会保障予算を確保していくということになりますと大変難しい問題がいろいろあると思うんですが、この点についてもう少し御所見があればお伺いをしたいと思うんです。
○参考人(桝本純君) お答えいたします。 財政状況の厳しさの問題は基本的には経済活動の動向と深くかかわるわけですね。ですから、財政状況が厳しい、したがって国庫負担を削減する、先ほど先生の御指摘のお言葉を拝借すれば、民間へ転嫁をする、そのことは民間の経済活動の余力そのものをそぐ、したがって経済活動はますます縮退をする、今まさにこの悪循環の中に陥っているというのが私どもの認識でございまして、まずこの悪循環をどう突破するのかということが現状を踏まえたときの基本的な方向設定だろうと思います。 財政構造改革法、それのもとでのキャップ制、そのもとで国保に対する助成に名をかりた政府財源の削減ということは、実はこの悪循環をスパイラル的に悪化させてきているのではないか。それに対して突破する方向というものを将来を展望して言うとすれば、一つはまず現在の医療費そのものの支出構造の見直しがなければいけないと思います。 安岡さんからも御指摘がありましたように、我が国の医療費の支出を見ますと特に高齢者の一人当たり医療費というのが外国に比べると突出しております。若い世代に比べて約五倍ぐらい。これは私どもの資料の中にもちょっとグラフをつけさせていただきましたけれども、外国ではせいぜい三倍程度。実はそこにかなりのむだが行われていて、それを国保なり被用者保険なりがそれぞれの制度のアンバランスの中で負担を強要されている。まずこれを改革すべきだと。ここが制度改革に三十年間も、つまり、かつての三K赤字以来三十年間も手をつけずに来たことにようやく手をつけなければいけないという今世紀末の共通の課題があるわけです。そこを抜きにした議論はやっぱり改革に逆行するんではないだろうか。それが結果として短期的に見れば今のような悪循環的なスパイラルを生んでいるのではないかというのが一つでございます。 それからもう一つ、もっと長期的に見ますと、これは野中町長が強調されておられたところですが、全体としての健康づくりの問題をやはり本当にみんなで真剣に協議すべきだと思います。 これは医療保険審議会の中のある先生が、日本人の寿命は延びたけれども健康で働ける健康寿命というのはむしろ最近短くなっているんだという御発言を何度かされております。そうだとすると、我が国の医療の果たしてきた役割は国民の健康度を引き上げることに役立つのではなく、不健康になってから亡くなるまでの間を引き延ばすことに役立ってきた。そこのところで幾らでも医療費が膨張することを避けられないはずでございます。 私ども労働組合としても、例えば三十代、四十代、それこそ仕事中毒だとかなんとか言われるような働き方をして、大体六十ぐらいになれば個人差はあってもがたが来るのは当たり前なんで、その意味では、もっと長い間みんなが健康で元気で働けるようにするためには、これは高齢者対策ではなくて生涯を通じた健康づくり、その中で働き方その他を検討していかなきゃいけないし、例えば労働時間の短縮といったような課題も、単に余暇時間をたくさんくれということでなくて、元気に高齢期を迎えられるようにするための暮らし方の問題として考えなきゃいけないんじゃないか。それは経営者も労働組合もそれから医療関係者もあるいは保険制度そのものもそういう意味での健康づくりのインセンティブというものをみんなで考える、これは大変大事なことだと思います。 その制度改革とそれから健康づくりへのシステムの構築、これが相まって医療費全体の削減を保障しながら、かつ同時にみんなが病気になったときには安心して医療を受けられるという安心感が言ってみれば経済活動に対する人間の活力の基盤だと思いますので、社会保障費負担というのは何か空中に消えていってしまうお金のように考えるべきではないので、社会保障関係の予算を充実するということはむしろ国の経済活力の基盤になるんだというふうに考えていただくべきではないだろうか、そのように思います。
○直嶋正行君 どうもありがとうございました。 終わります。
○渡辺孝男君 貴重な御意見をいろいろお聞きかせいただきまして、ありがとうございました。 私の方からはまず喜多参考人、それから野中参考人の方にお聞きしたいと思うんです。 私の住んでおる山形県も、国保関係者の方はやはり高齢者が多いものですから、上限を二〇%に引き上げても現在の段階でもそれを超える国保の保険者があるということで、何とかこの上限は撤廃してほしいというような声が大きいわけであります。前に国保中央会の方の調査で、上限を三〇%に引き上げても平成九年度に比べて改善される期間は三年程度である、平成十年度以降にも三〇%を維持した場合にはむしろ市町村は負担増となるというようなお話がありましたけれども、この点に関しまして市の場合と町村の場合でやはり同様の状況になり得るのか、抜本改革がない場合になりますけれども、そういう状況であるのかどうか、もう一度御確認したいと思うんですけれども、よろしくお願いします。
○参考人(喜多洋三君) 渡辺先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。 私どもで国民健康保険の総額が大体百二十億が年間の所要量でございますが、そのうち拠出金に出しておるものが三十三億ほどございます。したがって、相当なウエートを予算の中で占めておるということを御理解いただきたいと思いますし、冒頭の意見の陳述で申し上げましたように、老人加入率が一七%弱、一六%強でございますので、私どもは相当の額をさらにまた上積みがなるんではなかろうかと、このように思っております。 したがいまして、将来の国保会計はますます苦しくなるというのが現状でございます。
○参考人(野中一二三君) 今、先生おっしゃいましたように、三〇%に引き上げていただきましても四割余りはまだ適用になりませんので、これから毎年それが逆に四割が五割にふえ六割にふえという悪循環になることは事実でございます。 そういう点で、特に過疎地域を抱えた町村ほどその負担率が高くなるという実態になっておりますので、この辺の見直しをぜひ私たちは早期にお願いをしたいというのが本意でございます。
○渡辺孝男君 ありがとうございます。 私の考えるには、上限が今回二五から三〇%ということになるわけですけれども、やはりこれも抜本改革には当然つながらないものであって、とにかく皆さんのおっしゃるように抜本改革を一日も早くして、それで納得いけるような制度を早くつくってほしいということであると思います。 私、ちょっと老人医療費に関しまして疑問に思うことは、やはり都道府県間でいろいろ格差があるということであります。この点に関しまして参考人の皆さんから御意見をお伺いしたいんですが、老人医療費、都道府県の格差がやはり大きな問題になるんではないかと。皆さんから見てどういうふうに都道府県間の老人医療費の格差を是正していったらいいのか、その点に関しまして御意見があればお伺いしたいと思います。 実は、山形県の方は老人医療費は少ない方の部類に入っておりまして、我が県のようなやり方でほかの老人医療費の高いところが是正に取り組んでもらえれば大分助かるのかなという考えを持っておりますので、都道府県間の老人医療費の是正に関しまして御意見があれば、各参考人からお伺いしたいと思います。
○参考人(喜多洋三君) 非常に難しい問題でございまして、先ほどどなたかおっしゃっておられましたが、やはり医療に直接お金を払う前に、病気にならないようにヘルス事業を充実していく、健康問題を認識していただいて充実していくということが肝要であろうかと思っております。 私どもでは昨年、健康管理センターを新しくつくったわけでございますが、そこでは高齢者の方がみずからトレーニングをしていただく、また食事療法なんかも学んでいただくというような部分もその中に含めてつくっております。できるだけ病気にならないように皆さんが努めていただく、このことがやはり一番肝要ではなかろうかなと、そういうことに力を入れていきたい、かように考えております。
○参考人(野中一二三君) 老人保健の都道府県の格差ということでございますが、都道府県の格差以前に市町村の格差をまずなくするために、我々としてはできるだけ都道府県単位の医療保険制度にしていただくことによって都道府県内の市町村間の格差をまず是正する道をあけていただきたいなというふうにお願いをしたいのが一点でございます。 あわせて、先ほど喜多さんもおっしゃいましたように、いかにして健康を維持したり、できる限り病気にならない施策、これがやはり重要な課題だというふうに思っております。例えば私の町でございますと、節目健診という形で三十歳、四十歳、五十歳という節目節目に町民の皆さんに町が独自で健康診断をしていただくという制度が一つ。 もう一つは、私たちは四十歳以上の町民の皆さんには全員万歩計を持っていただいて、毎日自分の歩いた歩数をきちっと記録していただいて、この記録帳を町民一人一人にお渡しをして、それを一年トータルし、また三年トータルしてそれぞれ表彰制度等を行うことによって少しでも町民の健康が維持できる、こういう施策を行っているわけでございますが、こういうものがこれからやはり健康保険制度の中で適用されるようなことができないのかということが一つ。 もう一つは、やはり老人医療制度の見直し。老人の皆さんでも大変所得の多い方がおいでになるわけでございますので、こういう皆さんにはやはりそれなりの保険料や負担をきちっとしていただく。 私がぜひお願いをしたいのは、例えば私の町で、二十前後の高校を卒業した子供たちが役場や農協へ入って一年間に保険料をどれだけ払っているかを調べてみますと、一番少ない二百万前後の所得の子供で一年間に八万円から十万円程度、そして二百四、五十万の大学卒の初任給の皆さんであっても十三、四万円は最低一年間に保険料を払っているわけでございます。一方、お年寄りは六十歳以上になって年金を三百万、四百万もらっておられる方であっても七十歳以上になりましたら保険料は要らないという、こういう矛盾があるわけでございます。 やはり若い人たちの負担をもう一遍見直してやらないと、これから子育てをしていかなくちゃならない若い人たちの負担が多くなって、そして年金等、所得の多いお年寄りはのうのうとして保険料が要らないというような矛盾がございます。この辺をやはり私たちは思い切って改革をしない限り根本的な是正にはならないんじゃないか、これが私たちの本意でございます。
○参考人(桝本純君) 先生お尋ねのところは、都道府県の間で見たときに老人医療費に非常に大きな違いがあるということでございますね。 例えば、気候風土の違い等々も我が国の日本列島の中で非常に小さくないので、当然そういうことから生ずる費用格差というのは出てはまいると思いますが、それにしても現在問題になっております地域間格差というのはやはり異常だと思います。 例えば、薬剤費にかかわる西高東低というふうに通常言われているような都道府県の格差あるいは入院にかかわる費用の格差、こういったものはやはり社会的な要因によるものであって、その中の多くは現在の制度の欠陥から出てきているのではないか。その中の非常に大きなものは、あえて挙げればやはり出来高払い診療報酬とそれから薬価制度との組み合わせ、その相乗作用から生まれているものというふうに私どもは認識しております。したがって、この点についての改革は急を要しているものだろう、そのように考えます。 それから、あわせまして、改革まで何もしないでいいのかということではなく、現行制度のもとでも、いわゆる不適正な医療費の支出に関しては、保険者自身の努力も含めてこれは厳重なチェックを加えていくことについてもっと多くの努力が必要なのではないか。この両方が相まって初めて医療の基盤である医療機関あるいは医療に携わる人々と患者との間の信頼関係が生まれるのであって、現状はまさにその信頼関係が多くのところで危機に瀕している、このことが一番現状としては心配されるところでございます。 以上でございます。
○参考人(安岡正泰君) 私どもの企業はもう北海道から沖縄まで店商がございまして、健保組合の立場から見まして地域的な格差というものが非常に大きいわけでございます。病名で言えば、やっぱり北の方は、特に東北方面は脳溢血関係が多いとか、食生活というものが相当影響しているのではないのかなということを感じるわけでございます。ただ、それじゃといって、いつまでもそうしていればいいということではございません。健保としては、やはり対象者に対してとにかくやらなくてはならないことは、第一次予防ということ、健常者を病気にさせないということが非常に大事なことでございまして、そのための施策というものを地域別にいろいろと展開をしているわけでございます。 そういう中で見てまいりますと、やはり一つは、基本的なこれも抜本改革にも結びついていくんですけれども、いろんな意味での医療提供体制は一体どうなっているのかなと、それからそれに対する今度保険者機能というものをもっと強化していかなければならないのではないのかなと。 そういう中で、患者さんといいますか、高齢者に対する保険機関からの、医療保険といいますか、保険者としてのもっと情報を流してあげたい、あるいはこういう施策を打ち出していきたいというものが相まってそういう医療費の節減あるいは薬価の節減、そういうものにつなげていく施策というものを一体となって打ち出していかなければいけないのではないのかなというふうに考えております。 以上です。
○参考人(山崎泰彦君) 地域差があると言うんですが、老人医療費について見ますと、北海道が一番高くて長野が低いわけであります。北海道は長野の一・八倍ということであります。それから、同じ北海道でも最高と最低で二・五倍の格差があります。私自身は長野に学ぶというのが一番大事じゃないかなというふうに思っております。 ですから、随分昔から、長野はそれこそ食生活の改善から始まる健康管理活動を始めましたし、それから在宅医療福祉も随分進んでおります。ですから、薬価制度やあるいは診療報酬制度がすべての問題では必ずしもないと私は思うんですね。長野も薬価、診療報酬制度は同じでございます。ですから、現在の体制のもとでも、長野に学ぶと言いましたが、かなり地域の努力によって医療費の適正化を図ることは可能だというふうに思っております。 以上でございます。
○渡辺孝男君 ありがとうございます。 山崎参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど介護保険の件で、非常に今後の高齢・少子化社会の医療の抜本改革にも参考になるのではないかみたいなお話がありましたけれども、その場合、当然高齢者の自然増という、医療費が自然にふえてくるということがあるわけでありますけれども、それに対して国がどの程度まで負担をふやしていくべきなのか。その点に関して、私の考えでは、少しはやはり負担がふえていってもこれはやむを得ないのではないかなと思うわけであります。先ほどの介護保険の考え方というのとはちょっと違った面もありますので、その点、国の関与といいますか、負担をふやすことに関しましてどのように山崎参考人はお考えになっておりますか、その点お伺いしたいと思います。
○参考人(山崎泰彦君) 社会保険という考え方からしますと、すべて保険料で財源を賄うというのは一つの考え方で、そういう国もあるわけです。ただ、現実には日本は国保に二分の一、政管健保に一二%、あるいは一部の健康保険組合にも国庫補助をつけているわけです。したがって、国庫負担をどの程度つけるべきかというのは理論的な根拠は私はないと思っているんです。 結局、そういう意味で、いろんな利害調整の過程を経て落ちつきのいいところはどんなところか、こういうふうに考えてみますと、介護保険で一応合意を得ているのが公費が五〇、保険料が五〇ということでございます。それが一つのヒントになると思います。それから、今の老人保健で拠出金が一般医療につきましては七〇、それから公費が三〇ですね。これも拠出金と公費の割合としては一つの落ちつきを得ている数字かなというふうに思います。 ですから、地方負担を含む公費というのが老人保健では三割、介護保険では五割、その辺が一つの目安になるものというふうに思っております。絶対的な基準というものはないというふうに思います。
○渡辺孝男君 ありがとうございました。
○清水澄子君 社会民主党の清水でございます。 それぞれの参考人の皆さん、ありがとうございました。いろいろ考えさせられるところが多くありました。 皆さんたちが大方おっしゃいました今回の改正案には納得をしていないというところは、私どものこの委員会の中でも議論をしているところでございます。その問題点は法案作成の経緯とか政策的な根拠が明確でないという御指摘も、私どもも問題意識を持っております。そして同時に、私の党でも抜本改正こそがまず先にあるべきだという考えで取り組んでおりますことをまず御理解いただきたいと思います。 そこで、質問させていただきたいわけですけれども、重複は避けます。喜多参考人、野中参考人、それから安岡参考人、いわゆる保険者団体、保険者の立場の皆さんたちからお聞きしたいのは、医療費抑制策ということが非常に大きなテーマだと思うんです。それは、今ある老人保健の拠出制度についてはいろいろな御指摘がございましたので、その他の点からお伺いしたいわけですけれども、喜多参考人は最初の話で、診療報酬は不正がないものという前提に立っているとおっしゃいました。今後そういう消費者保護といいますか、患者、利用者が本当に質のよい医療を受ける、そしてそれが本当に適切な医療費であるかどうかということについても、患者自身がもっとそういう情報をキャッチできるシステムが必要なんですが、今はそれをちょっと横に置きまして、先ほど安岡参考人は保険者機能をもっと強化しなければならないのではないかとお話になりました。 その点についてお三人の方に、保険者機能は受け身、非常に受動的だと思います。とても強い力、立場にいながらすべて政府やいろんなところで決まることについて不満を述べるという状況があると思いますが、不満じゃなくて、もっと積極的にその政策に関与していくといいますか、そういう立場に本来は立っておられるんだと思うんですが、その機能をどのようにしたら強化していけるのか。その意味で、その方法とか制度がこういうふうにあったらそういう役割と機能を強化できるという面でお考えがあれば三者からお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(喜多洋三君) 保険者機能の強化という問題で御質問でございますけれども、極めて難しい問題だと思います。 御質問の中で保険者は非常に強力な権限を持っておるという前提でお話をなさっておられると思うんですが、現実はそうじゃないと思います。例えば、先ほど他の方からも御質問があったわけでございますが、報酬基準の改正にしても薬剤費の問題にしても、我々市町村が保険者でございますが、何らそれにタッチする権限はないわけでありまして、まさに保険のお金の移動する部分についてのみ保険者の役割があるわけであります。 法律を改正していただいて、例えば医師会と対等に太刀打ちができるとか、別途の規制もそれから医療の内容も我々保険者に権限を与えていただければ、これは本当の意味の権限の強化ということになろうかと思いますが、遺憾ながら現行ではそうはなっておりません。 その辺も含めて、今後抜本改正をしていただければ非常にありがたいなと、このように思っております。
○参考人(野中一二三君) 今、喜多さんがおっしゃいましたように、我々は保険者でございますけれども、保険者機能というのはほとんど発揮できないのが現在の保険者の実態であると言っても言い過ぎでないというふうに思っております。お金を集めて、町民からは不満を聞かされるだけでございます。 例えば、私たちも常時二人の職員でレセプト点検を徹底してやっております。それによって、園部町では十億余りの医療費でございますけれども、大体三、四千万のレセプト点検によりますいわば資金が出てくるということも実態でございまして、八百万余りの費用はかけでおりますけれども、やはりそれ以上の内容が出てくるというのが実態でございます。 ただし、これだって、本当を申し上げましたら、問題点を国保、国民健康保険の連合会に提起をして是正をしていただくという形で、保険者が権限を行使できる分野は何にもないというのが実態でございます。自分たちの保険料を少しでも守るためにレセプト点検をしているにすぎないわけでございまして、悪意があるのか間違いがあるのか、この辺とても我々はただす権限もございません。やはりこの辺が本当は問題ではないのか。我々がきちっと保険者としての機能を果たせる分野があれば、もっと医師会に対しましても厳しい物の言い方もできますし、住民の皆さんに対しましても明確に出せるわけでございます。 また、医療費の公開制度というのが大変問題になっております。町民の皆さんからは、時には、私の医療費について明確に出してほしいという要請が出てくる場合もございます。しかし、ほとんどが専門用語でございますので、これが公開されたとしても町民の皆さんや我々職員に理解のできる内容はほとんどないということでございます。この辺のあり方についても、我々は日本人でございますので日本語で的確に書いていただいて、これが住民の皆さんにだれでもわかるような内容に改めてもらわないと、ドイツ語ばかり使われて、先生方だけは理解できても住民の皆さんに理解できるレセプトではございません。 この辺やはり、公開制以前に、内容について先生方でもう少し点検をいただいて、住民の皆さんに公開できる内容にしていただくことが一番重要じゃないか、このように思っております。我々保険者機能を確立していくためには、やはりこの辺を十分お願いしたいなというのが一点。 もう一つ、大変厚かましいお願いでございますが、やはり薬価と医療というものの完全分離を行っていただくべきじゃないのか。いわば医師会の先生方も安易に薬価で少々もうけなくては経営ができないところに問題があったり不正があるんじゃないのか。むしろ医者としての技術的な機能をどう与えるのか、こういうものの技術評価をして、その技術料というのを一方で見るような制度。そのかわりに、薬価で安易に利益を得なくてもいい道あけというものをしていかないと、やはり医者の存在価値、ことし医師になった先生も、三十年、四十年の経験のある先生も同じ診療報酬にすぎません。 やはり、この辺も見直していかないと、人に格差をつけることには問題があるかもわかりませんけれども、やはり技術というものはそうじゃない。出たての先生と、十年、二十年経験のある先生に格差をきちっとつけて、それなりの信頼をして診療報酬が払えるような制度にすることが、また住民の皆さんも納得のいく道じゃないのか、このように思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
○参考人(安岡正泰君) お答えいたします。 保険者機能の強化、今まで強化されていなかったから一生懸命これから強化しようという形で基本的には取り組んでいるわけでございます。 ただ、お医者さんと患者というのはどうしても患者の方が弱い立場と言ってはおかしいんですけれども、やはりお医者さんに診ていただくということになるわけでありますから、そこら辺に一つ立場の違いがあるわけでございます。 ただ、そういう患者さんを持った我々保険者機能をこれからどう強化をしていくかということについては、やはり保険者として医療費の審査にも積極的に関与していきたい、これが一つ。それから、保険者に対する審査情報の提供をしていただきたい。逆に言えば保険者による患者調査の自由化もしてみたい。さらには、医療機関を利用するのにどういう病院がいいですよというような保険者の選択制の導入、こういうものも力を入れてやっていきたい。あるいはレセプトの点検なんかも、うちの日通健保でいいますと大体支払基金でチェックをして当健保の方へ送ってくる。審査して送ってこられるわけですけれども、その中からやはり二億から三億ぐらいまだ出てくるのですね。それは不正なのか、不当なのか、単純な間違いなのか、いろんな理由はあると思いますけれども、そういう数億のチェックがまた出てくるという実態でございますので、そういうレセプトのチェックというものをもっともっとやっていかなければいけないだろうというような形の中から保険者の機能というものをもっと強化をしていきたいなと。 それは患者さんのためなんだと、何も我々保険者のためでもない、お医者さんのためでもない、要は患者さんのためにそういうことをしていかなければいけないのではないのかというふうに考えております。 以上です。
○清水澄子君 ありがとうございました。 それでは、桝本参考人にお伺いします。 先ほど、資料を見てくださいと言われたのですが、退職者健康保険制度というのはどういう考え方かポイントだけお話しください。
○参考人(桝本純君) お答え申し上げます。 たびたび指摘されておりますように、雇われて働いている労働者にはいわゆる被用者保険、それからそのほかの国民の方々に対しては地域での保険というこの二重構造になっておると、法律的にもそのようになっております。現状は、実はこの本来の役割が非常にゆがんでしまっているというふうに私どもは認識しておりますし、これをやはり制度の趣旨に沿ってきちんと筋を通したものにしていこうということが基本でございます。 まず、労働者には医療保険をといったときに問題になるのは退職者でございまして、かつての民間労働者には年金がないか、あっても貧しかったために、退職後は自分の子供がサラリーマンであればそこに扶養家族としてとどまったわけでございます。そして、地域保険の方は農業者を中心にして広範に存在した自営業者の方々を中心にした皆さんの保険制度として設立され、そのように展望されていたはずでございます。 しかし、その後、年金制度が一定の充実を見るにつけ、退職サラリーマンも所得が捕捉されるようになりました。所得を捕捉されたとなりますとどこかに所属をしなければいけない。しかし、既にかつて現役のときに属していた被用者保険には属すことができない。結果、市町村国保に籍を置かざるを得ない。このことが実は市町村国保の側にいわば高齢者が非常にたまるという制度本来の趣旨とは違うものになっていったと。それから、被用者保険に関していえば、元気で働ているときに保険料をいっぱい払っておいて、それでろくに病気をしないうちに退職して、退職してからがくっときたと思ったらば今度は国保の世界になる。 これは、いずれから見でも不合理な世界でございまして、この不合理さを調整するために導入されたものが現在の老人保健制度でございますが、これまた極めて過渡的な制度として、とりあえずのものとして出発をしたものが十数年たってもう行き詰まってしまっている。これをどうやって打開したらいいのだろうかという問題意識でございます。 私どもは、統合保険というところへの議論もございますが、とりあえずは健康保険法と国民健康保険法の二重構造になっている現状を踏まえ、制度本来の趣旨に沿うためにどうしたらいいのかと、もう少し現実的なことを考えたつもりでございます。 それは、退職したサラリーマンは国民健康保険の方にお世話になるのではなく、引き続き被用者保険グループの世界の中にとどまる。これがこのパンフレットで申しますと十二ページに書いております図でございます。これは一気通貫だとか吹き抜けだとかいろいろな形容詞がついたいわくつきのものでございますけれども、これが何か国民健康保険の方から比較的保険料を余計払っている人間を抜き出すものとして受け取られたのは大変心外でございました。そうではなくて、国民健康保険が本当の地域の方々の健康保険制度ではなくて元サラリーマンの高齢者のたまり場になっているような事態を改善したいということが趣旨だったわけでございます。 退職した人たちは現役のときにはいろんな保険に分かれております。例えば、健康保険組合千八百幾つ……
○委員長(山本正和君) 桝本参考人、時間が限られておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○参考人(桝本純君) 済みません。 どのあれに属していようと、退職者は退職者として全体の中に属すると、こういう構想でございます。
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。 きょうは参考人の皆さんに貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。 参議院の段階で今国保法の審議を私たちが始めておりますが、一度委員会の審議をいたしまして、それから新潟の地方公聴会で先般地域の皆さんの御意見を聞いたわけでございます。また、きょうは参考人の皆さんから御意見をお伺いするということなんですけれども、まず桝本参考人と安岡参考人にお伺いしたいと思うんです。 この国保の法案といいますのは財革法が大前提じゃないかということで、お二人の方はその大前提がなくなったんだから廃止は当然じゃないかという御意見を述べられました。これは衆議院の段階で既に私ども日本共産党は、財革法そのものももちろん反対でございましたけれども、そもそも政府の中からも財革法でいろんな意見が出ているときに、大前提が崩れているからこの国保法の改正案そのものをやっぱり廃案にすべきだという、衆議院の段階で既に意見は述べていたんですが、いよいよ参議院に参りまして、既に政府自身が財革法の改正法案を出している、補正の予算案を出している、こういうもとで、今参議院の段階はこの国保法の五百六十億の国庫負担の削減という中身を含めた法案を議論しているわけです。 ですから、私たちも前提が崩れたんだからもちろん廃案だと、こういう立場で意見を述べているわけですけれども、その点でお二人の方から、先ほど御意見の表明はございましたけれども、何かつけ加えて御発言をいただければと思います。 〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
○参考人(安岡正泰君) 確かに財革法がこういう状況になってきて、補正の段階になってきたと。基本的にいえば、この法案については老人の拠出金の問題、あるいはお医者さんの方の不正行為をした場合の問題、二年間を五年間にするとか、そういう問題も入っていると。 部分的に見れば、私の方の立場からすればそれはそれでいいところもあるということなんですが、一番大きな問題はこの拠出金の問題、これはもう徹底的に反対をしなくちゃいかぬということで意見を述べさせていただいているわけです。ただ、財革法がこういう状況になってきて、いわゆるまた新しい形で十六兆円投入をするんだとかそういう話になってきているということは、仮に十六兆円を景気回復のために出すならば、その中にこんな大事な社会保障関係の費用を、つけかえが五百六十億という話になっているわけですけれども、十六兆円の中の五百六十億ですから、つけかえというようなつまみ食いではなくて、それはその十六兆円の中に入れて対処するという方向でやっていただきたいということを申し上げたいと思っております。 以上です。
○参考人(桝本純君) 先生お尋ねの点は既に私が先ほど見解表明の中でも要点だけ申し上げたところでございますが、私どもは財革法があるのであればこの措置がやむを得ないというふうに思っているわけではいささかもないのでありまして、こういう措置そのものが不当であり、それを強要した財革法の考え方そのものが不当であると考えておりました。しかし、提案者の側からすれば、そこには一つの論理があったはずでございます。今やそのキャップが外れたということは、その論理そのものが崩壊したのではないだろうかと、このように思うわけでございます。 あと、安岡さんの方から数字を挙げて言っていただきましたのでつけ加える点は特にありませんが、ここで五百六十億だけが問題なのではないことについては注目をしておきたいと思います。 実は、五百六十億というのはあくまでも政府の負担でございまして、これに倍するものが我々に降りかかってこようかという状況でございます。この点をもとへ差し戻しますと、政府の負担は五百六十億増で済むのかもしれませんが、国保の側にはそれに倍する負担が今度は旧法どおり残るわけでございまして、これに対する臨時措置をあわせてぜひともとっていただかないと、またこの問題をめぐって同じ国民である国保の皆さんと我々被用者保険とが相変わらず何か次元の低いところで対立をさせられる。この対立こそ今回のこの措置が生み出した極めて悲しむべきことでございましたし、逆にいえば、こういうことを生み出すような素地そのものをなくすための制度改正ということを私たちがつとに強調してきた必要性を改めて照らし出したものと、このように考えております。 以上です。
○西山登紀子君 退職者医療制度にはもともと国庫負担がありませんよね。そういう中にぼんと一千億円かぶせるということで国庫の負担が減っていくと、三百六十億、それからそのほかで二百億、合わせて五百六十億が今回の法案で国庫負担が減るというような仕組み、ある意味でいえば非常にうまく考えたといいますか、国庫負担をどこから削減するかという点におきまして、国民の間で争わせるというようなことになっているわけです。 次に、私もお伺いしようと思っていたんですけれども、今度皆さんに対して拠出金の負担をかぶせるということによって、それでは被用者保険の引き上げの引き金になるんじゃないかという心配を指摘いたしましたらば、代表質問の答弁を見ますと、その心配はないんだと、というのは、医療費を削減するということは、あわせて制度改正をお願いしているので保険料の負担はむしろ軽減される見込みだと、こういう答弁を小泉大臣が参議院の本会議でしているんですけれども、その点は桝本参考人、どのようにお考えになりますか。あわせて、昨年の九月一日から医療費が負担増になりまして、確かに受診抑制が全国的に起こっております。とりわけサラリーマンの方が一割が一割負担になったということから、本人の受診抑制が極めて深刻に起こっていると思うんですが、その関係も含めて、こういう政府の答弁についてどのようにお考えになりますか。
○参考人(桝本純君) 医療費の削減というのは厚生省の見通しでございまして、これは先生御指摘のように受診抑制に伴うものと、それから薬価等の手直しの問題と両方ございました。それをあわせて被用者保険の負担はむしろ軽減されるだろうという発言があったとすれば、これは重大な問題でございまして、実際には政府管掌健康保険にしろ組合健保にしろ、その負担が軽減されたということは現実にはございません。 〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕 しかし、その負担はふえていても予想ほどではないということがあるとすれば、それは受診抑制そのものである。受診抑制というのはある意味では治療の先送りでございますから、確かにそのうち何とか治っちゃったというのであればいいんですけれども、治るかなと思っていたら治らなかったというのは、後でもって二倍、三倍、十倍の医療費がかかる可能性を実は秘めているわけでございます。そのことの方がむしろ医療保険財政の将来にとって非常にリスクの高いものではないだろうかと。ここは日本医師会の先生方も医療の側からいろいろなときに御指摘でございました。 その意味で、何か今回の措置全体として負担が結局は小さくなるというふうなことが言えるとしたら、受診抑制をしたけれどもいつの間にか治っちゃうという僥幸をすべての患者に期待した場合だけではないかと、そのように思います。
○西山登紀子君 それでは、国保の関係で喜多参考人と野中参考人にもお伺いしたいと思うんですけれども、確かに構造的な問題で国保の中にしわ寄せが非常に強く起こっているということ、これは非常に問題であろうかと思います。 それで、国保の未納者数ということで私も昨年介護保険のときに質問いたしましたが、厚生省が明らかにいたしました未納者の数、二百九十六万世帯という数を初めて昨年明らかにしたところです。こういう国保の未納者の増加傾向、喜多参考人、野中参考人のところでそれぞれ現状はどのようになっているのか、またそれが近年ふえできているということですが、その原因は何だとお考えでしょうか。
○参考人(喜多洋三君) 未納者の問題でございますが、いろいろ御指導を受けたりおしかりを受けておりますが、残念ながら私どもの市では徴収率が八七%でございます。 ほぼ横ばいの状態でございますが、そうなっておる事情はいろいろございます。努力はいろいろしております。これは言いわけになりますからこの際そのことは申し上げませんが、それよりも私どもの国保の加入者の七〇%が生活保護費をもらっておられる世帯よりも低い所得の方である。このことで御推察をいただけると思います。そのうち所得がほとんどないという方が三〇%あるわけでありまして、しかも大阪市に隣接しております過密都市でございます。一人世帯といいますか、若い方々がそれぞれ来られて、ワンルームマンションなんかに住んでおって、権利だけは受け取ってその行使はされておりますが、義務を果たすということになるとなかなかつかまえられないという実態もございます。 そういうことで、今後ますます苦しい状態になるのではなかろうかと非常に心配をしておりますし、これに対する対抗措置というものも考えていかざるを得ない。いろんなことはやっておりますけれども、なかなか効果が上がらないというのも現状でございます。
○参考人(野中一二三君) 今、喜多さんがおっしゃいましたように、私の町におきましても収納率は全体で九七・四%でございまして、まだ我々市町村国保としては収納率は高い方だというふうに思っております。やはり町民の皆さんの理解が多いということも一面ございます。 ただ、先ほど申し上げましたように所得なしの世帯が二八%余りおいでになることも事実でございますし、その点と、やはり収納率が高いという理由の最大の要因は減額処理の適用を多くしているという一面があることも事実でございます。七割、五割、三割というような三段階による減額処理を相当いたしておりますので、それとやはり所得なしの世帯についてはそれなりの施策をいたしておる、こういうものによって収納率が高くなっているということは事実でございます。 ただ、収納されない町民の皆さんにどう対応していくのかということで、これは短期的な形で保険証をお渡しして、その間に医療におかかりになった場合にはそれなりにみずから進んで収納していただくように指導的な立場で対応いたしているというのが実際でございます。所得もないし病人であるのに医者にかかれないで放置をするというわけにはいかないのが、顔が見える市町村国保の実態であることだけは事実でございますので、この辺はお金があろうとなかろうと、やはり我々放置するわけにはいかない。これがそういう顔の見えるよさだというふうに私は理解をしながら対応いたしているのが本意でございます。
○西山登紀子君 あと一分なんですけれども、今少子化の時代におきまして、市町村の段階で乳幼児医療の無料化ということで大変努力をされていらっしゃる、私も大変その点は野中町長さんに敬意を表したいと思うんですけれども、そういう点で何か御努力あるいは国に対する御要望がありましたら。
○参考人(野中一二三君) 私の町で本年度から中学校を卒業するまでの間については医療費を無料にするという制度をつくりました。私は、率直に申し上げてせめて義務教育の間、やはり一番若い人たちの所得の少ない時期に国が施策としてできるだけ子供の医療費等の負担がかからない、こういう制度というのは今の少子社会の中で一番重要じゃないか。 私の町はそれ以外に子宝条例という少々変わった条例をつくって、子供を三人以上産み育てられる条件、またはその子供たちに一人目、二人目、三人目に五年間の健やか手当制度というのをつくっております。そして私は、いつでもお父さんやお母さんにお願いするのは、健やか手当五年間、一子目は二千円でございまして、二子目は三千円、三子以上は月五千円の健やか手当を出しております。これについては、一日に一回でいいからお父さんやお母さんが子供を力いっぱい抱き締めてやってほしい。そして、あなたは私の子供よ、元気に育ってねと言って毎日語りかけてほしいんだと。そうしたら、今の社会のように親子がいがみ合ったり殺し合ったりするような社会はなくなるはずなので、三つ子の魂百までといいますので、ぜひ私はそういう子育てのできる条件づくりを、保険制度はもちろんでございますけれども、日本の中につくってほしいなというのが実感でございまして、私の町は既に十年目を迎えておるのが現実でございます。
○西山登紀子君 どうもありがとうございました。
○平野貞夫君 五人の参考人の方々には大変御苦労さまでございます。私は自由党の平野でございます。自由党には木暮さんという先輩の方が本来ここの専門的な知識を持ってお聞きするはずでございますが、きょうはお休みでございますので、かわりに私がお尋ねしたいと思います。 五人の方々のお話を拝聴しておりまして医療の難しさをつくづく勉強したわけでございますが、医療というのは機会の平等でなくて結果の平等を要請されるという非常に難しい問題があると思います。それで、国民健康保険法の改正案について五人の方々賛否はいろいろ分かれておりましたのですが、共通した問題意識として二つあったと思います。 一つは、老人医療費がどうしてこんなに高くつくかということ、これが医療保険制度そのものを壊しかねないという危機意識と、もう一つは、なぜ早く医療保険制度の抜本改正をやらないかという私たちに対するおしかりがあったと思います。 そこで、第一点としまして、喜多市長さんと野中町長さんにお尋ねいたしますが、なぜ老人医療費がほかの一般の人たちの五倍もかかるのか、その原因について現場にいらっしゃる立場からどのようにお考えでございましょうか。
○参考人(喜多洋三君) 医者でございませんので、病気の中身までについては分析をしたことはございません。ただ、私ももう高齢者の中の一人に入るわけでありますが、先ほどからいろいろ議論の中で出ておりますように、若いときには元気でお医者さんというのは余りかからずに済みますが、やっぱり六十を超しますとだんだんちょっとしたことですぐにお医者さんに行くということになるわけで、結果として私どもの数値で言いましても若い人の五倍ほどの医療費がかかっておるというのが現状でございます。分析をしたことがございませんので、詳細にはちょっと申し上げることができないのを残念に思います。
○参考人(野中一二三君) なぜ医療費が高いのかということでございますが、案外お年寄りといいますか、七十歳以上になってもお元気な方がおいでになるわけでございますが、この人たちに仕事がなさ過ぎることが一つでございます。やはり、暇な時間があり過ぎる、だからつい近くのお医者さんや診療所がサロンになってしまうという一面。お越しにならない人があったら風邪を引いて寝ているというような形で、医者に何をしに来るんだろうというような感が、ちまたでそういう話が出るわけですね。 だから、やはり私たちはもう少しお年寄りにこれからどう仕事を与えていくのか、やはり老人医療費を少なくする一番最短の道は仕事をどう与えるか、生きがいをどう与えるかということを我々市町村、国も含めて真剣に考えていただくことが医療費が安くなる私は最大の要因ではないか、このように思っております。
○平野貞夫君 私も第二番目にその部分について御意見をお聞きしたかったわけでございます。 確かに、喜多市長さんのそういう医療プロパーの問題もあると思いますが、私はやっぱり老人医療費がかかることは社会構造上の大きな問題があるんではないかという野中町長さんと同じ意見を持っております。特に、お年寄りの生きがいの問題、それから家族のきずなというのが非常に薄くなっております。要するに、我が国の国家、社会が高齢者をどういうふうに位置づけるか、どういうふうに働いていただけるかという、むしろ医療診療の側の問題よりそっちの問題の方が深刻ではないかという意見も持っております。やはり医療費を低く抑えるのは決してお医者さんだけの責任でなくて、我々社会の仕組みをどうつくるかという側の責任だということはただいまの町長さんのお話に全く同感でございます。 それから、二番目の問題としまして、抜本改革をなぜ早くしないのか、先送りばっかりしているんじゃないかという五人の先生方の共通した認識でございます。実は、自由党の宣伝をしてまことに悪いんですが、私どもは高齢者医療とそれから介護、年金の基礎的な部分は消費税を福祉目的税にして消費税で賄うべきだという方針を立てております。 こういう考え方について、桝本参考人、それから安岡参考人、山崎参考人の御意見を賜りたいと思います。
○参考人(桝本純君) お答えいたします。 介護保険につきましては、保険でやるべきか税でやるべきか、これは私どもの内部でも大変激しい議論をいたしました。とりあえず保険方式をとるにしても、そこにおける公費負担の割合を少なくとも五〇%は確保するということが必要だろうというふうに思いました。基礎年金につきましては、せんだって私どもの見解をまとめてございますが、これは将来は全額税方式に移行すべきだろう、このように考えております。 では、なぜ介護と年金とで違うのかということでございますが、介護の場合にはこれは現物給付でございます。この現物給付の内容については個々さまざまでございまして、要介護者の側の選択が必要でございます。選択に伴う自己責任の問題もまたついて回ります。その意味では、現金給付の年金とは性質がかなり違うのではないか。 そこで、我が国の場合の全額税方式が従来から、これは明治維新以来でございますが、お上による恩恵の下げ渡しのように、言うなれば措置制度という言葉のもとで行われてきた。この精神からの脱却を図るということが大変大事な時期に差しかかっておりまして、その意味で、そういういわば一つの精神的な構造の改革も含めた転換のために、当面は介護保険、保険方式というのは一定の有効性を持っているかと思います。ただし、これは全額保険方式で賄えるものでもないし、将来そのあり方については十分な検討の余地があるだろう。 それから、高齢者医療でございますが、高齢者医療を税方式でやるというのは、これは一つの考え方として各方面から出ております。けれども、世代間の助け合いというのは、やはり保険の中に組み込まれていることなのであって、我が国の場合に保険方式でやってきたものについて一部公費負担を入れるという、このやり方は引き続き有効なのではないだろうか。特に、高齢者だけを切り離した別な制度ということについては、老人保健制度そのものがそうでございまして、こういうやり方について私どもは深い疑問を持っております。
○参考人(安岡正泰君) お答えいたします。 老人医療費を初め税で賄うのがどうかという御質問だと思うんですけれども、老人医療の特性から見て、いわゆる間接税による財源調達ということは公平の観点からいえば検討に値することだと思います。 ただ、現実的にいえば、介護についても保険制度という形をとっているわけでありまして、そういう意味からすれば現実的には保険制度の方がマッチをしていくのかなという、介護との関連でいえばマッチをさせていくという形になりますので、現段階では現実的なのかもしれませんが、ただ将来的に税制改正の際には徹底的に検討すべき内容の問題であるというふうに考えております。 以上です。
○参考人(山崎泰彦君) 介護と老人医療と基礎年金をすべて税でと、その財源は消費税だということなんですが、非常に明快で一つの考え方だと思います。 ただ、私自身は、日本で全額税にした場合には何らかの形で受給に制限がかかるのではないかということを懸念しております。すべて税負担で財源を賄いながらお好きなように医療機関にかかってください、介護を受けてくださいというふうになかなかいかないのではないか。 例えば、対象者を制限したり、少なくともすべての人に利用はできるけれども、負担の面で応能負担を入れたりということで何らかの形で不自由な部分が入ってくるのではないかということを懸念します。 しかも、消費税をということでございますが、高齢者の伸びの方が消費の伸びより率で言いますと高いはずですから、したがって毎年消費税の税率を上げていかなければいけなくなる。そういう過程で、恐らく国会等では消費税の税率の引き上げを抑制するために受給を制限する、あるいは費用徴収を高めるという格好にならざるを得ないのではないかという懸念をします。 それからもう一つ、すべて高齢者関係については税でというのであれば、じゃ現役もすべて税でやったらどうかというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
○平野貞夫君 働ける人たちあるいは相互扶助で医療保険等で財政的な補助なんかを余り必要としないという世代、これはやはり保険という制度が適切だと思いますが、障害者だとかあるいは働けなくなった方たちは、私はやはりその人たちの人権あるいは生きがい、そういうことからいって国や社会が基本的には責任を持つべきではないかという考え方を持っております。 と申しますのは、グローバリゼーションの世の中になって、我が国でも相当な自由競争といいますか過激な競争の社会になってくるわけでございます。そういう社会の仕組みをつくるためには従来の社会保障制度というものに保険を多少入れて、困っている人たちを恩恵的に助けてやるんだという発想ではなくて、やはり本当に困った人はセーフティーネットとして国や社会がガードしていくんだ、飢え死にしたり変なことになることは絶対ないんだというシステムを国や社会がつくることが二十一世紀へ向けての私は国家のあり方じゃないかという思いを持っておるわけでございます。 そういう意味で、高齢者をどこで線を引くか、どういう区別をするかということは難しい話でございますが、やはり考え方としてはそういう方たちの生きてこられた社会的貢献も含めて、中期的には大きな改革の中で、抜本改革といえば結局そこに行かざるを得ないんじゃないかという思いを持っております。 時間の関係で、桝本参考人、私の意見に対して何かコメントしていただければ。
○委員長(山本正和君) 時間が少ししかありませんので、ひとつよろしくお願いします。
○参考人(桝本純君) 社会保障制度の充実ということは大変必要でございますが、昨今言われているような、先生のお言葉を拝借すれば過激な競争社会のセーフティーネットという以上の課題があると思います。 つまり、今全体として世の中が非常に不安に満ちているわけです。将来不安というのがこれほど強まった時期はないのであって、この将来不安を少しでも緩和する社会的なシステムがぜひとも必要で、これは子供も大人も高齢者も女性もみんな不安であり、もう少し高じると不満であり、その先は不信になるという、これを和らげる措置が社会の活力の基盤だと、そのような意味で私どもはとらえております。
○西川きよし君 参考人の皆様方、きょうは御苦労さまでございます。私で最後でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。 我が家は本当に老人医療、老人福祉の真っただ中でございまして、私はこちらで日々頑張らせていただいておりますが、頑張る中で皆さん方に本当にお願いをしている議員の一人でございます。 実は、私からきょう皆さん方にお伺いいたしたいことは老人医療費の適正化ということでございます。厚生省では、全国の市町村におきまして老人医療費の伸びを極力抑えようということを目指した医療費の適正化対策というのを推進しておるわけです。その主な取り組みの中の一つといたしまして長期入院患者の家庭復帰、我が家も含めまして本当に大変でございますけれども、家庭復帰の促進ということで、一口に家庭復帰と申しましても、その受け皿となる家族、家庭というものが本当に大変でございます。その環境づくりというのがなかなかうまくいかないんですけれども、結果的に三カ月、四カ月、半年というようなことで病院から出されてしまう。最近は、全国的にもところどころ老人下宿というようなことも現実にございます。病院から出られて、しばらくは次の病院を探すまで学生さんのように下宿をなさるお年寄りが徐々にふえてきております。 そういう中にありまして、今度は喜多市長さんと野中町長さんに、市町村の立場から実情と厚生省に対する何か御要望等がございましたら、ぜひきょうはお伺いしたいなと思います。
○参考人(喜多洋三君) 私どもの町の例として申し上げましても、時々そういう高齢者の方を抱えた家族の方がいろいろ頼み事で私のところにお見えになります。そのほとんどが病院を追い出された、どこか適当なところがないかと。何で家で見ませんねんと言っても、いや、家は小さくて狭くてどうもいかない、二人とも働きに出ているからどうも面倒が見れないとか、いろんな問題がたくさんあるわけであります。 基本的には、先ほど野中参考人がおっしゃったように、私は家族のきずなというものがやはり今の日本の社会の中でだんだん薄れてきているんじゃないかな、このような思いもいたしております。やはり、一番支えるのは家族、そしてその次には皆さんにいろいろ努力をしていただいて社会的に救済をするという制度があるのが一番理想的だと思っております。 しかしながら、西川先生は大阪選出でございますから私ども守口市の事情もよく御存じだと思いますけれども、十二平方キロの中に十六万の市民がおりまして、全国でも有数の過密地帯でございます。先ほども申し上げましたように、年間相当数の若い方が出入りをされておりまして、市民の数は一応整っておっても現実につかまえるのが難しい。そういうところで家族のきずなをどうしていくかということをいろいろ市民の皆さんに申し上げても、なかなか理解してもらえないというのが現状であります。 したがいまして、実は私のところ、老人保健施設も老健計画の目標値を既に上回っておりますけれども、やはりそういうことも必要だということでいろんな方になお増強するお願いもしておりますし、そういう努力をしていただいておるのが現状でございます。 逆に田舎へ行けば、田舎という表現は悪いかもわかりませんが、過疎のところに行けば今度はそれなりにまた別の苦しさがあろうかと思いますけれども、都会だけで申し上げれば、家族のきずなが薄れてきたものをどう社会的に支えるかというものが行政のこれからの中心になってくるんではなかろうかなと。市議会等ではそれが首長の責任だという言われ方をいろいろしておりますけれども、まさにこれからの政治の中心はそういうことに向いていくんではなかろうかと思っていますし、努力をしてまいりたい、このように考えております。
○参考人(野中一二三君) 今、西川先生から御発言がございましたように、私たちが一番痛切に感じておりますのは今の日本の戸籍のあり方、若いときに結婚をして親から別居すれば、戸籍上分けられれば別世帯という形になります。同じ家に同居しながら行政の上では別世帯という形で老人対策をしなければならないという矛盾が起きてまいります。やはりこの辺の正し方が大切ではないかということが一つ。 ということは、本当に同居しながら親の面倒をまじめに一生懸命見ている人がほとんど報われません。むしろ法律的にうまく活用して、仕事の上で別居されたり大都会に行かれている人はそれなりにやむを得ないといたしましても、隣の町や隣近所に住みながら見ない人もおいでになるということでございます。これは法律や制度を最大に悪用した人のあり方でございます。この辺の整理をやはりきちっとしないと、まじめに一生懸命親の面倒を見ながら少ない所得の中で苦労している人たちがほとんど報われない。この辺に私たちが一番大きな問題を感じておるのが実際でございます。 そういう点から考えまして、私の町では十年前から触れ合い介護制度という制度をつくりまして、三十時間の介護の研修をしていただいた皆さんに隣近所や親戚、身内、こういう形の中で介護をしたり面倒を見合えるような制度というのを触れ合い介護制度ということでつくっておるのが実際でございます。 ところが、この辺にも問題がございます。これから介護保険が出てきたら必ず出てくるというふうに思いますけれども、人間には好き嫌い、好みがございます。だから、だれでもいいというわけにはいきません。たとえ寝たきりになられても、人間は感情の動物でございますので、あの人は好きだ、嫌いだという人たちが出てまいります。 そういう点で、私のところの場合は民生・児童委員さんにお願いをして、どの方がどの家で介護の面倒を見たらいいかということのあっせんは民生・児童委員さんにしていただいているのが実態でございます。そういうところまで配慮をしないと、国は介護保険さえすればすべての介護ができるような錯覚を起こしておいでになりますけれども、お金だけでは解決できません。やはり人間は感情があるんだ、この辺を忘れて保険制度だけつくっても、それで運用できるという国の考え方は少々是正をしていただいて、大切な人間の心に我々はどう対応していくのか。少々介護は下手であっても人の心をとらえたり人の気持ちを大事にするような介護の仕方の方が大切なわけでございますので、この辺は医療も介護も私は同じだと思っております。 それと、私が先生方に特にお願いしたいのは、相続のあり方について抜本的に見直してほしいというお願いでございます。 お年寄りだけは田舎や町村に残しておいて、頭がよくて運がよかった人は東京や大阪へ出て隆々としておいでになるわけなんです。ところが、この人たちの面倒は運が悪かったり少々頭が悪かったり、地元に残った若い人たちがみんな面倒を見るわけなんです。ところが、お亡くなりになったらすべて財産や残った金はみんな持って帰ってしまう。こんなばかげた制度がどこにあるんだということでございます。 だから、今私の町ではお年寄りの面倒を見てほしいなら相続権を放棄してくださいという大変厚かましい物の言い方をしております。若い人たちが外へ出られるのも経済的な関係、仕事の関係でやむを得ません。しかし、それなら相続権を放棄して、年金も財産もみんな町で自由にしていただいていいからひとつ親の面倒だけは見でやってほしいと言えるような、日本の官僚であったり出世をされる人たちの心がけを一遍考え直してもらわない限り、私は日本の社会の公平な医療も介護も成立しないというふうに思っております。 この辺をひとつ国会議員の先生方で思い切って見直しをして、地元に残って面倒を見る若い人もおってくれなかったら日本の社会は成り立たないわけでございますので、そういう人たちも報われるような制度の確立というのが医療にも介護にも必要なんだと、この辺を特にお願いしておきたいというふうに思います。
○西川きよし君 ありがとうございました。 戸籍から相続、多岐にわたってお伺いしたわけですけれども、まさしく我が家も、八十、八十五、九十歳という三人の親ともう三十年生活をしておるわけです。私は五人家族で末っ子で、よく若いころに父親が、間違ってもおまえの世話になることはないというような話をしておったわけですけれども、えらいおれの計算違いやったということで、今はありがたく思っているというような家で、まじめな笑い話があるわけです。親孝行ができるということは子供としては大変幸せでありますけれども、本当にいろいろなお話をお伺いさせていただいて参考になりました。私自身もしっかり頑張りたいと思うんです。 次に、国庫負担のあり方についてお伺いしたいんですけれども、地方自治体が単独事業として医療費の一部負担の免除等の医療・福祉制度を実施している場合、国庫負担金が減額調整されております。地方自治体からいたしますと、この制度によって地域住民の福祉に大きく貢献していると、減額調整は廃止すべきではないかという御意見がございますが、この点についてもう一度野中町長さんと喜多市長さんにお伺いしたいと思います。
○参考人(野中一二三君) 今おっしゃいましたように、私たちはいろんな施策を住民に、顔が見えるという身近さの中で痛切にこれに対していろんな施策を行っていかなくてはならないのが現実でございます。ところが、国の法律、規定、規約や通達の壁によって補助制度というのがほとんど見込まれない要素があるわけでございます。 例えば、この医療保険制度問題でありましても、保険料または保険税というのを市町村はもらっているわけでございます。ところが、一番我々がお返ししなくてはならないのは、いわば保険料は満額もらいながら一度も医者にかからないで健康を維持していただいている御家庭があるということでございます。こういう人たちに我々が減額をしたり感謝金を出すなんという制度は法的に認められないわけでございます。 だから、私は、税で取ったり保険料でもらったとしても、一年間一度も医者にかからない家族に対しては何とか返せる制度がないのかと、こんな問題の提起をしているんです。むしろ今、西川先生からはそれなりの施策についての、減額制度の問題等がありますけれども、私はもっと保険以外で活用できる分野についても道あけをしていただいたり、そして市町村が選択幅をもっと多くできる形というのを私たちに与えていただくことが、住民の皆さん多岐多様にわたっているわけでございますので、そういうものの選択をどれだけさせていただくかということも今後の課題として私もお願いをしておきたいというふうに思います。
○参考人(喜多洋三君) 野中参考人がおっしゃったこと以外でございますが、大阪府では御承知のように六十四歳から六十九歳まで老人医療費のいわゆる上乗せという制度がございまして、これによって国費が削減されておる、このことも含んでの御質問だと思います。 今回、大阪府が措置をやめる、五年間で上乗せ分をやめるということになりまして、我々大阪府下の市町村はそれぞれ条例を改正して府の方針に従わざるを得ない。八〇%のお金を府からもらっている限りそのまま続けていくということは非常に困難でございます。しかし、一方ではお年寄りはそれに大いに期待をされておる。そういう現状からいたしますと、我々はそのはざまに立って非常に苦慮しておるのが現状でございます。 何とかそういう悩みがないように、そして国民の皆さんが喜んでいただけるシステムに変えていただきたいなと、このように考えております。
○西川きよし君 四十一分まででございますので、今まで町長さんと市長さんのお話をお伺いさせていただいて、長期入院患者の家庭復帰、この問題について山崎先生に、国民健康保険の負担のあり方について最後に一言お願いしたいと思うんです。
○参考人(山崎泰彦君) 日本の高齢者の医療費が高いというのはいろいろ要因があるかと思うんですが、やはり長期入院が一番大きいと思います。看護団体などの調べでも、在宅の支えがあれば退院できる患者さんが相当いらっしゃるということですから、もっともっと在宅の医療、福祉にお金をかける、介護保険も十分お金をかける方向で問題を解決していただきたいというふうに思います。 国の負担についても、むしろ私はそういったところに重点的に国の負担をつけるべきだというふうに思います。ですから、在宅の医療、福祉、それからもう一つ、先ほど来議論にありましたが、子供にもっともっと手厚い国庫負担をお願いしたいというふうに思います。
○西川きよし君 ありがとうございました。
○委員長(山本正和君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時四十二分休憩 ―――――・――――― 午後一時二十分開会
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、平野貞夫君が委員を辞任され、その補欠として都築譲君が選任されました。
○委員長(山本正和君) 休憩前に引き続き、国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から意見を聴取いたします。 午後は四名の参考人に御出席をいただいております。 参考人を御紹介いたします。全国保険医団体連合会副会長、医師河野和夫君、鹿児島県医師会長鮫島耕一郎君、社会保険診療報酬支払基金理事長末次彬君、弁護士濱秀和君、以上の方々でございます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 本案につきまして、参考人の皆様から忌憚のない御意見をいただき、委員会の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人十分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず河野参考人から御意見をお述べいただきます。河野参考人。
○参考人(河野和夫君) きょうのテーマは病床指定と不正請求問題でございますけれども、病床指定に関しましてはこの後の鹿児島県医師会長の鮫島先生が恐らくお述べになると思いますので、私は、不正請求問題に関連して保険診療の実態とか審査、指導の実態、これに対する改善要望について主として述べたいというふうに思っております。 不正請求に対しましては、我々の団体は、社会的正義を重んじ、患者さんとの信頼関係、国民との信頼関係を大切にするという立場から、原則的に明らかな不正請求に対しては断じてこれを容認もしないし擁護もしないという立場をとっております。 したがいまして、本法案にあるペナルティーの強化については基本的には反対いたしません。しかし、いろいろ審査、指導には問題点がありますので、それについて若干触れたいというふうに思います。 四点述べたいと思います。まず第一点目は査定額についての情報提供の問題で、厚生省は正確で十分な情報提供を国民に対しても国会に対しても行っていないという問題です。それから二番目に、厚生省は保険点数とか保険診療のルールについての周知徹底を行う必要がありますが、これも十分行われていない。それから三番目に、審査の内容についてでございます。四番目には、保険医、保険医療機関についての指導問題について述べたい。この四点をお話ししたいと思います。 まず第一の問題点、審査に関する、査定額に関する情報提供の問題です。高木保険局長が四月三日の衆議院厚生委員会の中で、支払基金の査定額のうち、資格問題が金額の約半数、残りの半数が診療内容の査定額だという、減点額だということを述べております。しかし、この査定額には減点分と返戻分、返戻というのは医療機関に請求明細書が突き返されてきた分でございます、この分があります。 この内容について、私の出しました資料の下に表がございますが、これを見ればわかりますが、全国社会保険診療報酬支払基金労働組合の分析によりますと、査定額千五百九十四億円のうち資格関係が千百六十二億円と実に七二・九%、約七三%。しかも、それは後日請求される返戻分ということであります。それから、事務上の間違いが百四十億、八・八%。診療内容は約一九%弱という推計になります。 この数字をもとにすれば、厚生省が保険者あるいは被保険者に対して資格喪失をしたまま受診しないよう徹底させればいいということになります。 それから、診療内容にかかわる査定額の中には、病名漏れのために病名と請求内容が一致しないということで減点されるという間違いもございます。それからまた、減点されても、金額が非常に低いために、かなりの保険医が手続が面倒だからということで再請求をしないというような内容もございます。 それから二番目は、保険診療の点数とかルールの周知徹底を厚生省は十分していない、特に本年四月一日から点数が改定になりましたけれども、この周知徹底が十分でないということを申し上げたい。 毎度、厚生省に対して点数改定の折には少なくとも一カ月以上の期間をおいて実施するようにということを申し上げて要望しておるんですが、実際に新たな点数表やそれについての解釈が出るのが実施の三週間前ということで、しかも後から次から次へと点数表の解釈が追加してきます。中には、四月に入ってもう既にその点数で診療が行われている時期になって、前の訂正のような通知が出てくることがございます。こういうことでは十分やはり保険医が正しいルールで請求ができないということになります。 それから次に、審査の問題ですが、高木保険局長が審査は療養担当規則や点数表や関連通知の保険診療のルールについて行われるということを言っておりますが、医師の判断によって、あるいは患者の容体や病態によりかなり治療内容というのは幅が当然あるということを述べています。しかし、実際には、最近は保険者からの再審査請求件数が非常に数がふえできております。 その再審査のもとになっているのは、例えば日本医薬品集の適応症であるとか、あるいは検査に関する本であるとか、そういうものを見て機械的にその適応症に合っていないということで再審査請求してきたり、あるいは薬剤には常用量というのがありますが、当然この常用量には患者の症状とか病態によって変化するものですけれども、それを認めないで機械的な減点要求をしてくると、数が多いものですからどうしても支払基金の方でこれを十分全部見ないで返してくる、減点してくるという例がございます。その実例については、後の方に資料として日経メディカルの記事を載せてあります。 それから四番目、保険医療機関に対する指導問題ですが、我々は年に一遍は全部の保険医を対象にした集団指導をしてくださいということを厚生省に要求しておりますが、厚生省は会場の確保等があって都道府県にそのような通知はできない、指導はできないということを言っております。 それで、九五年十二月に新しい指導大綱、監査要綱を改定しまして、これでは集団的個別指導という制度が導入されましたが、本年度からこの要綱、大綱に基づく集団的個別指導をやめて従来の個別指導に変えるということを通知しております。この指導大綱の内容と全く変わって昔に戻るということであればこの指導大綱そのものを変更しなきゃならないわけですけれども、一片の課長通知で今度またもとに戻るという問題があります。 やはり保険医療機関、保険医が正しい診療、正しい請求をするためには、やはり厚生省としても十分な保険ルールの周知徹底とそれから指導、これが大切であろうかというふうに思います。また、個別指導については、行政手続法の趣旨を踏まえて、被指導者の希望する人の帯同、指導内容の録音を認めるように我々は要求しておりますが、この二点についてもいまだに認められておりません。 私たちは、やはり不正請求は許さないし、正しいルールに基づいた保険診療を行うように厚生省としても対処していただきたい。我々は自主的努力としてこの点数改定の際、新しく開業をした人に対してわかりやすいテキストを作成して、説明会を開くなどして努力しておりますが、当然行政官庁である厚生省がこれらについて十分な改善を行うことが望ましいことだと思います。 以上をもって私の発言を終わらせていただきます。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 次に、鮫島参考人にお願いいたします。鮫島参考人。
○参考人(鮫島耕一郎君) 時間の制約もあり、医療計画に絞って意見を申し上げます。 今、私が手にしておりますところのこの二百ページにわたる分厚な冊子は、昭和六十二年に制定されました鹿児島県の保健医療計画であります。五年ごとに見直され、昨年十二月には療養型病床群や地域医療支援病院構想などを盛り込んだ第三次の改正が行われました。 医療計画の策定に当たりましては、事前に医療関係者や県民のアンケート調査を実施し、そのデータも参考にしながら、行政関係者、学識経験者、医療関係者などにより構成される県保健医療協議会におきましてあらゆる角度からの協議を重ね、成案を作成いたします。次いで、県医療審議会の議を経て県知事に答申し初めて公布される仕組みになっております。すなわち、単なる行政当局の押しつけでなく、関係者の意見が十分反映されるようになっております。 計画の中には、あらゆるライフステージに合わせた保健医療体制、いわゆる予防からリハビリに至るまでの包括的体制が盛り込まれており、この基本計画にのっとって毎年着実に諸般の整備が推進されつつあります。 必要的記載事項では、県下を十三の二次保健医療圏に分け、各地域ごとの病院必要ベッド数が性別・年齢別人口、流出患者、流入患者の割合、入院率、病床利用率などを参考にして定められております。 平成九年十月一日現在では、鹿児島県における病院ベッドは約千六百床オーバーしている計算になり、地域別では一カ所のみがなおベッド枠が残っております。要するに、県下のすべての医師、医療機関はこの病院必要ベッド数のルールを遵守して何らのトラブルもなかったのでございますが、最近の数年間に至り某特定医療法人の一方的強引な手法による進出計画が続き、あちこちで地域医療が混乱に陥りつつあり、ついには県との間の訴訟問題にまで発展していることはまことに遺憾にたえません。 ちなみに、同法人または系列下の施設は全国で約百カ所と言われておりますが、鹿児島県では現在病院十一カ所、クリニック十四カ所、計二十五カ所の多くに上っております。これに対しまして県下には十カ所の医師会病院があり、いずれも経理も技術もオープンにされ、病診連携によりすべての医療機関が利用できる共同利用型でありまして、全国的にも高く評価されておる次第でございます。 そもそも昭和二十三年に定められた医療法が昭和六十年に至って改正されたゆえんは、国民に良質な医療を効率的に計画的に提供するという目的、並びに毎年約一兆円ずつ増加する国民医療費の相当部分を占める病院の入院費を何とか少しでも抑制して国民皆保険制度の破綻を防ごうという政策的目的、この二つの目的が相まって制定されたものと理解しております。つまり、過剰な供給体制が過剰な需要を生み出すという通説が導入されたものと言えます。 しかし、医療法の第七条三項に定めてある一定の条件をクリアすれば知事は病院開設を許可しなければならないのだから、病院の開業は自由であるといういわゆる自由開業医制は病院に限っていえば医療法改正により原則として歯どめがかかったものだと私たちは考えております。すなわち、ベッドオーバー地区では、医療法三十条により県医療審議会の議を経て、知事は新しい病院開設や増床計画の中止を勧告できる、また勧告に従わない場合は、保険局長通達により、保険医療機関の指定申請があった場合に、著しく不適当な場合に該当するものとして、地方社会保険医療協議会に対し指定拒否の諮問を行うことと、二段、三段構えの歯どめがかけられております。 このルールを現在係争中のA病院の申請に当てはめて考えてみますと、もともと十四床の有床クリニックでありましたが、建物だけは最初から大きく建築されており、これを百四床の病院に格上げしたいという申請であります。同地域は三百三十床の既にベッドオーバー地区であるために、知事は計画の中止を勧告しました。しかし、相手方は拒否しましたため、やむなく開設の許可を与えました。しかし、保険指定の知事諮問の段階で県保険医療協議会は全会一致でこれを否決しました。 その理由をいろいろ考えてみますと、まず同クリニックのレセプト審査において、特に老人デイケアの請求において適応外患者が多数を占めていること。デイケアというのは、精神障害者または脳血管障害による運動障害者に対し、寝たきりにならないためにリハビリテーションを行うということを目的としたもので、平均して一回につき約一万円の医療費が支払われております。ゲートボールや農作業に元気で従事できる方は適応外であります。 加えて、適応外のそういう人たちにほぼ全例、CTやエコー検査、胸部や両ひざのレントゲン写真、肝臓機能などの血液検査、さらに大腸や胃の内視鏡検査まで行われている。したがって、一カ月平均の医療費が県下一般の診療所平均の約三倍以上にも達しておるという審査委員会の事実が報告されております。 その他、同法人の過去における所得税法あるいは健康保険法違反、これは以前、衆参決算委員会でも取り上げられたこともございますが、そういうような情報がいろいろと伝えられておりまして、協議会の委員の皆様の心証が非常に悪く、健保指定条件の中にある「著シク不適当」の項目に該当すると判断されたのではないかと思っております。そのほか、県が最近実態調査して近く発表されますが、他の系列クリニックにおいても同様の傾向にあり、審査委員会では本当に困っております。 また、国保財政の赤字続きに悩む奄美大島名瀬市の実態調査の結果も同様であり、国保連合会に対して多額の返還を要求しております。 以上、問題点の一部を時間の都合上要約して述べましたが、一日も早く本法案が成立して地域医療が正常化し、秩序あるものとなるよう切に希望する次第でございます。 以上で終わります。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 次に、末次参考人にお願いいたします。末次参考人。
○参考人(末次彬君) 御紹介いただきました社会保険診療報酬支払基金理事長の末次でございます。 本日は、医療費適正化の観点から意見を述べよという趣旨と理解いたしまして、健康保険法等の被用者保険制度におきまして審査、支払いの実務を担当しております支払基金の立場から、審査を中心としました当基金の業務の状況と今後の課題につきまして申し上げたいと存じます。 まず、初めに当基金の概要について申し上げます。 社会保険診療報酬支払基金は、昭和二十三年九月に社会保険診療報酬支払基金法に基づいて設立されまして、健康保険組合、共済組合などの保険者と病院、診療所などの医療機関等との間に立ちまして、医療機関から請求された診療報酬明細書、つまりレセプトの審査と保険者等への診療報酬の請求とその医療機関等への支払いを業務の柱としております。 現在ではそのほかに、老人保健法や生活保護法など多くの公費負担医療制度の医療費の審査、支払いの業務、さらには老人保健制度及び退職者医療制度の創設に伴い、これら両制度に係る保険者からの拠出金の徴収、市町村に対する交付金の交付業務も行っております。さらに、昨年十二月に成立いたしました介護保険法によりまして、平成十二年からは介護保険制度に係る医療保険者からの納付金の徴収及び市町村に対する交付金の交付の業務も担当することになっております。 次に、支払基金の業務の流れにつきまして御説明を申し上げます。 約十九万三千カ所の保険医療機関等では、診察、投薬、検査などの診療行為をレセプトに一カ月ごとにまとめ、翌月十日までに都道府県に一カ所ずつございます当基金支部に提出をいたします。その件数は、最近では月約六千万枚に上っております。 なお、老人保健のレセプトは我が国全体で平成八年度におきまして約二億五千万枚、当基金ではその約四分の一強の六千八百万枚を取り扱っております。 受け付けましたレセプトは各支部で、記載漏れがないか、また請求点数に誤りがないか等を調べ、誤りのあるレセプトはこれを補正し、記載内容の漏れや不明な点があるものにつきましては一たん医療機関に戻して確認を求めるなど、事務的な整備をいたします。また、請求内容に疑問があるレセプトにつきましては、事務局におきまして、疑義附せんと称する疑問事項を記入した附せんを張ったり、投薬、注射、検査等がその月の何日に行われたかの経過等をレセプトから別の紙に一覧表の形で抜き書きをし、審査委員が審査を効率的に行うことができるような事前準備をいたします。このような作業が終わったレセプトは、医療機関ごとにまとめて審査委員会に提出をいたします。 審査委員会は各都道府県の基金支部ごとに設置されておりますが、厚生大臣の定める一定点数以上の高額のレセプトにつきましては、別に基金本部に設置されました特別審査委員会で審査をいたします。 審査委員は、平成九年度におきまして、特別審査委員会の委員を含めて四千五百二十七名でございます。 審査委員会は通常レセプトの提出されます毎月十日過ぎごろから始まり、支部の規模などによりましてそれぞれ期間は異なりますが、三日から一週間程度開催されます。なお、審査委員会は、必要に応じまして土曜日、日曜日にも開催をしております。 審査委員会では、レセプトに記載されている診療内容が医療保険の療養担当規則等に適合しているかどうか、言葉をかえれば、保険ルール上適当なものかどうかについて審査をいたします。そしで、診療内容が適当でないと判断されるものにつきましては査定し、また診療行為の適否が判断しがたいもの等につきましては、医療機関に戻して回答を求めるか、あるいは診療担当者に基金事務所へ来所いただき、審査委員に直接説明を願うことにいたしております。 なお、基金の審査は制度上、レセプトに記載された診療行為は実際に行われたものとして、その診療行為が保険診療として適正かどうかを原則として書面により判断するものでございます。架空請求あるいは水増しなどの不正請求のようなもともと存在しない診療行為を発見し、あるいは確認することは、支払基金の仕組みや権限から見て本来予定されていないものであることは御理解いただきたいと存じます。 こうじて審査が終わりましたレセプトは、保険者が負担する費用を請求するために、今度は約一万二千六百の保険者ごとに分類をいたします。 なお、この作業は、従来は手作業で行っておりましたが、業務の合理化、効率化を図るために、コンピューターで作成された紙レセプトにつきましては、記載された数字を光学的に読み取り、分類とあわせてデータの入力もできますレセプトOCR処理システムというシステムを順次各支部に導入しつつございますので、かなりのレセプトにつきましては、機械による分類と同時に、保険者への請求額、医療機関への支払い額の集計が可能となるわけでございます。それ以外のレセプトにつきましては、従来どおり、職員によりまして個々に分類と計算作業が行われるわけでございます。 全国四十七支部でのこれらのデータは、計算センターで全国レベルでの保険者別及び医療機関別に再集計されまして、この結果をもとにして、各支部から診療翌々月の五日までに各保険者に診療報酬が請求されまして、各保険者は請求されました額をその月の二十日までに払い込み、医療機関へは診療した月の翌々月の二十一日までに診療報酬が支払われるわけでございます。平成八年度におきましては、レセプト件数で七億一千二百五十六万件余、金額で十一兆七千四百四十二億円余を取り扱っております。 以上が、審査、支払い業務の一連の流れでございます。 各県基金では、量的にはレセプト枚数が増加し、質的には診療内容が高度化、複雑化するという状況下にありまして、このサイクルを毎月一カ月という限られた期間内に滞りなく実施できるよう、審査委員、基金職員が頑張っておりますが、依然として機械作成のレセプトと手書きのレセプトが混在するという状況が続いております。また、昨年九月からの健保法改正によりまして設けられた薬剤一部負担の確認等、業務処理にも大変苦労しております。しかし、審査委員、基金職員は、基金の使命と役割を自覚し、我が国の医療保険制度が円滑に運営されますように全力を挙げて取り組んでいるところでございます。 とりわけ、当基金の審査は医療保険制度の健全な運営を確保する上で欠くことのできない役割を担っていると認識しておりますが、特に、近年、医療費適正化の観点から、関係方面からより一層充実した審査について強い要望が寄せられております。 このため、平成十年度におきましては、まず、重点審査を推進する観点から、基金本部の高点数レセプトを対象とした特別審査委員会におきます審査対象レセプトを、従来の四十五万点以上から四十二万点以上に引き下げまして、また、支部の重点審査対象レセプトを、従来の十万点以上のものから八万点以上に引き下げまして、対象レセプトの拡大を図りました。あわせて、すべての老人保健分レセプトと入院分レセプト等を重点審査対象といたしております。 また、さきに述べましたレセプトOCR処理システムの導入による支払い業務部門の日程の短縮によりまして、審査部門への職員の投入が可能になっております。 これに加え、今回、厚生省令の改正によりまして、かねてから懸案でございました審査委員会の審査期限が従来の毎月二十日までという規定から月末までという規定に改められまして、必要に応じ繰り下げることが可能になりましたので、従来必ずしも十分確保できていなかった事前の事務点検と審査事務共助のための日程を確保することが可能になっております。 また、これに加えて、現在、基金では、審査業務をさらに充実させるべく、これまで二十五日間で行っております医療機関からのレセプトの受け付けから保険者への診療報酬の請求までの業務処理を、保険者の理解を得まして、保険者への請求を五日ずらすことによりまして、三十日間のサイクルで行うといういわゆる三十日方式の早期導入につきまして、現在、関係方面と鋭意協議を行っているところでございます。 これによりまして、さらに業務処理日程を全面的に見直し、審査委員会の会期を繰り下げ、事前の審査事務共助期間を十分確保いたしまして、過去の具体的な事例に即した的確な疑義附せん貼付、高点数レセプトの診療内容の抜き書き等の充実強化を図りたいと考えております。 支払基金といたしましては、今後とも、先ほど述べましたレセプトOCR処理システムの導入あるいはレセプト電算化処理システムに対応可能な全国的なネットワークの整備とその活用によりまして、業務処理の効率化、的確、迅速な情報の処理とその活用を図るとともに、各般の施策を総合的かつ積極的に推進いたしまして、審査支払い機関としての責務と役割を全うしてまいりたいと考えております。 今後とも、私ども基金に御理解を賜るようお願いいたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 次に、濱参考人にお願いいたします。濱参考人。
○参考人(濱秀和君) 私は、このままですと時間が超過してしまうかと思いまして、要領を記載してお手元に差し上げてありますので、多少省いて説明していきたいと思います。 私が意見を申し上げたいのは、健康保険法四十三条ノ三の改正案についてのみです。 今回の改正案によりますと、医療塗二十条の七の規定による勧告を受けてこれに従わないときには、知事は保険医療機関の指定を拒否することができるとしているわけであります。この点は、現行法の扱いにおいても、保険局長の解釈通達があって、今回の改正案と実質は同じようにしておりますけれども、ただ、この解釈通達は、「著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」の中に勧告を入れるという点において非常に問題があるというふうに考えておりますけれども、今回の改正によって、それが一層明白になるということを申し上げたいと思います。 従来、今申し上げたとおりの解釈通達どおりの扱いがされた場合も同じなんですが、今回の改正案では、一層明確に地域医療計画の定める病床数を超える病床については病院の開設ができないことになります。この点の問題点を述べてみたいと思います。 我が国は、世界に冠たる国民皆保険の制度をとっています。保険医療機関の指定を受けられない病院、すなわちいわゆる自由診療の病院は経営できません。保険医療機関の指定取り消しがあり、保険診療ができなくなれば、病院の経営は成り立たず、即廃業になります。これは極めて重要な点です。この点の問題の重要性については、既に昭和六十年の改正時に共産党の委員の方によって指摘されています。注に挙げておきましたのでごらんいただきたいと思います。 自由診療で経営が成り立つのは一部特殊な医療をする診療所に限られます。ということは、今回の改正では、明文の上から、地域医療計画の必要病床数を超える病院開設の申請について知事の開設中止の勧告を受けた者は、この勧告によって、事実上も法律上も病院の開設ができないことになります。言葉は知事の勧告ですが、実質は病院開設の不許可と同じであります。当局も、このことは十分御承知の上で改正案を出してきたものと思われます。 医療法は、昭和二十三年の制定以来、病院開設の自由、自由開業制をとっています。このことは、医療法七条の規定を見ればわかります。そして、医業の自由開業制については、医療法が昭和六十年に改正され、目的規定が置かれ、地域医療計画の制度が採用されるまではだれもが疑問を持たなかったはずであります。 地域医療計画の策定による病床規制が行われ、そして、さきに述べました保険局長の通知があってから、我が国では医療法の建前が自由開業であるのに自由開業ができなくなる、今回の改正は一層このことが明白になっております。医療法では病院の開設の自由をうたい、勧告を間に挟んで健康保険法と連動させ、医療法の建前を崩すということになっております。 この問題は、まず憲法に関係します。御承知のとおり、憲法二十二条一項は、職業選択の自由、営業の自由を認めています。これは、公共の福祉という合理的な理由があれば制限されますが、勧告に従わないから営業ができないようにするなどということは、どう考えても合理的な規制ではなく、違法きわまりないことであります。病床規制の目的とその手段の合理性を欠く点、憲法に違反します。 勧告という言葉は、我が国の幾つかの法律の中でしばしば用いられ、法律用語としては行政指導の一種であるということが定着しております。当局も、医療塗二十条の七に定める知事の勧告は病院の開設等をある方向に誘導することを内容とした行為であり、病院の開設計画の変更を勧めることを内容とした行為であると言っています。この点は、勧告に強制力がないことを明らかにしたもので、勧告が行政指導であることを認めているわけです。そればかりでなく、行政指導であるため、勧告の要件が書かれていても、この要件を満たさないものについても安易に勧告が行われています。この例を挙げるのは極めて簡単です。 今申し上げたとおり、勧告が行政指導であるとすると、勧告に従わないことで病院開設ができなくなる保険医療機関の指定をしないということは、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」と定めている行政手続法二十二条二項の明文の規定に真正面から抵触します。 行政指導と不利益取り扱いの禁止については最高裁判所も何回か判示しています。有名な武蔵野市の事件では、建築指導要綱に従わなかった業者の建てたマンションに上水道の給水を拒否し、下水道の使用をさせないのは違法であるとしています。 当局は保険医療機関の指定が契約であるということをしきりに述べています。これは、昭和六十年の地域医療計画の制度を取り入れた医療法の改正当時からのことです。契約だから保険医療機関の指定をするかどうかは自由であるという考えでしょうか。 これは大きな誤りです。武蔵野市の事件の上水道の給水も契約であることは間違いありません。しかし、契約締結の自由はないのです。まして、健康保険法は保険医療機関の指定拒否の要件を厳格に定めているわけです。その厳格に定めている要件の中に任意の行政指導である勧告に従わない場合を入れるのは、その結果が病院開設の形を変えた不許可となる点から考えて立法措置として無謀と言うべきです。勧告の要件が極めて多義的であること、勧告が乱用されることを前提とすると一層不都合です。 これまでは、今回の改正が憲法上重大な疑義があることを純粋に法理論と実定法規の相互の整合性の面から述べてきました。しかし、ここで問題としたいのは、法律を支える社会的事実、法律の改正を必要とする事実、立法事実の重要性です。 第一点として、地域医療計画による病床規制の合理性です。 地域医療計画は医療費の増加を抑制するものではないということが昭和六十年の医療法の改正のときに言われてきました。これは当時の増岡厚生大臣も明言しておりますし、厚生省の健康政策局長も述べています。しかし、今日現在においては、病床を規制することにより保険医療費のさらなる増加を防ぐことが目的であるかのように説かれています。衆議院の厚生委員会における議論などを見ますと、専らそのような議論がされています。厚生省当局の考え方もそのとおりと思われます。 しかし、病床の増加と医療費の増加が因果関係があるかどうかについては大きな疑問があり、統計的にも当局の言うことの合理性は疑われます。例えば、衆議院厚生委員会の秋葉委員がこの点を突っ込んだ質問をしておりますが、これに対する当局の答えなどごまかしてはないかとすら思われます。法改正においては、この点の確定、殊に六十年の改正との整合性も検討しなければならないと思います。 第二点は、地域医療計画の果たしてきた機能を十分に見なければならないと思います。 地域医療計画の制度をつくって十年余りになります。この地域医療計画を前提に法の改正をもくろむには、まずこの十年余りの地域医療計画が現実に果たしてきた役割を事実の面で正確に認識すべきです。委員の先生方に対してまことに釈迦に説法ということになりますが、法はそれを裏づける事実がなければ制定、改正すべきではなく、単なる観念の産物であってはならないのです。 地域医療計画には、病床規制のほかに重要なことがたくさん書かれているはずであります。休日診療、夜間診療、救急診療の確保はできていますか、機能を考慮した病院の整備ができていますか、三時間待って三分診療は解消していますか。お寒い限りと思います。 過去十年余り、地域医療計画の果たしてきた役割の中心は病床規制であっただけではありませんか。病床規制の結果は、これは言わすと知れた既存医療機関の権益の保護です。少なくとも、多くの医師会はこの地域医療計画を利用して新規参入者を阻んできました。そして、各県の知事の補助機関はこれを慫慂してきました。 ここで、地域医療計画ができた当時の社会的背景を考える必要があるかと思います。 昭和五十五年ごろは、医師会による病院開設の統制が数多く行われていました。これは当時の公正取引委員会の審決例を見ればわかります。当局は医療計画を定め、これに従うことによって独禁法違反の非難を受けないようにしたものと思われます。 昭和六十年の医療法の改正時に、地域医療計画に反する病院開設は、公的病院だけでなく、民間病院についても病院開設を不許可とする方向で検討が進んだようであります。 しかし、昭和五十年に薬局開設の距離制限が憲法二十二条一項に違反するとした最高裁の大法廷判決が出たことでもあり、正面から地域医療計画に反する病院開設を不許可とすることは薬局の場合と同じく憲法に違反するという司法判断を受けるおそれがあって、知事の勧告にとどめたようであります。 そして、知事の勧告に従わない病院開設については、さきに言いました保険局長通知によって、保険医療機関の指定を認めないとすることにより、結局は病院開設の距離制限の目的を達したというのが……
○委員長(山本正和君) 濱参考人に申し上げますが、与えられた時間が十分でございますので、もう少し要約していただきたいと思います。
○参考人(濱秀和君) もうちょっとで終わります。 昭和六十年の改正以降の経過から認められる事実であります。 そして、簡単にあとは申し上げますと、この医療法の定める地域医療計画というのは統制計画ではなく、これは任意の計画であります。計画には統制計画も任意の計画もありますが、これは任意の計画で、国民に義務づけるわけではありません。このことだけは御理解いただきたいと思います。 若干時間が超過しまして、失礼いたしました。
○委員長(山本正和君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○尾辻秀久君 自由民主党の尾辻であります。 本日は、参考人の方々には貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。私の持ち時間は十五分でございますので、限られた方に限られた質問しかできません。お許しをいただきたいと存じます。 そこで、まず鮫島先生にお尋ねをいたします。 先生は長い間審査にも携わっておられますので、審査する側と請求する側、もちろんその請求する側のお立場はお持ちでありますから、この両方の事情をよく御存じな方であります。そういうお立場をお持ちの方として、保険請求にかかわる問題点を簡単に御指摘いただければと存じます。
○参考人(鮫島耕一郎君) ただいまお話しのように、当初二十年ほど審査委員をやりまして、その後会長として十年間社会保険の医師会側の責任者として関与してまいりました。その三十年の経験を通じまして二、三の意見を申し上げます。 一つには、先ほど河野参考人からもお話がございましたが、保険医療費適正化の名のもとに審査は年々厳しさを増してきて、医師の裁量権はかなり狭められてまいりました。その結果、必要な診療も控えるというような萎縮診療の傾向が出てきておるのではないかと懸念しております。人によりましては、医学的審査ではなくて経済的審査ではないかという極端な意見を言う方もおるようでございますが、これは審査委員の、また審査委員同士の格差もありますので、そういうことも考慮に入れるべきかと思います。 しかし、いずれにしましても、この三十年間、私の方では一銭たりとも一円たりとも不正は断じて許さないと、不正を働く者は泣いて馬謖を切るというこの基本理念は徹底してまいりまして、会員にもそのように指導をしてきたつもりでございます。幸いに、そのせいか違反者は非常に少なくなってきております。 二番目に、社保と国保の審査委員会の間の格差の問題でございます。一方の審査委員会では通り、一方の審査委員会では同じ薬が通らない、そういう両方の審査委員会がそれぞれ縦割りになっておりますので、非常に現場の保険医としては困ることがございます。私自身もたびたびこれに困らされております。 そこで、つい先日、文書をもちまして、両方の審査委員会に事務連絡協議会的なものをつくって、審査委員の審査基準の格差是正に努めてほしいという要望を出してございます。以前も出したのですが、支払基金の本部の方で否認されました。本日はちょうど私の右に責任者がおいででございますので、この席をかりまして審査の格差是正をよろしくお願いしておきます。 なお、最後に、私ども医師会では自主的に保険の研修会を県下各地で開催しまして、保険診療が円滑に実施されるように努力しているつもりでございますが、今後とも会員の啓蒙普及に努力していきたいと思っております。 以上でございます。
○尾辻秀久君 次に、河野先生と濱先生にお尋ねをいたします。 濱先生も御指摘のとおりに、私どもは世界に冠たる国民皆保険制度を持っております。この医療保険制度を守るためには、私はもう死守しなきゃいかぬと思っておるんですが、そのためには、私は医療費全体をもうこれ以上はふやせない、こういうふうに考えております。お二人の先生の御意見をお聞かせください。できるだけ簡単にお答えいただければありがたいです。
○参考人(河野和夫君) 私どもの認識では、日本の医療費というのは、先進国の中でGDPに対する比率は十六位というような低い数字でございます。それからもう一つは、日本の医療費は非常に低医療費でございまして、病院においては欧米に比べると患者当たりの看護婦とか医師の人員が非常に少ない。そういう少ない状態でしか経営ができないような診療報酬でございます。また、開業医も一日に取り扱う患者数を数多く診ないと経営が成り立たない。こういう状況で果たしていい医療が提供できるでしょうか。まだまだ日本は医療費をもっと欧米先進国並みに、少なくともG7諸国並みに上げても大丈夫、日本の経済大国はそんなことでつぶれるようなことはないと私は確信しております。
○参考人(濱秀和君) 私は法律家でありますので、今、先生からお尋ねになりました点は極めて技術的な、私がここで申し上げる範囲外でございますので、ひとつ御勘弁いただきたいと思います。
○尾辻秀久君 それでは、濱先生にもう少しお尋ねをいたします。 冒頭で現行法の解釈について述べられました。ただ、先生もお認めのとおりに、改正案は現行法を一層明確に規定しようとするものである、私はそのように理解をしております。先生もどうもそのように御認識だというふうに考えます。 そこで、現行法の解釈は置いておいて、むしろ内容を議論すべきじゃないかな、私どもが今やるべきことは内容の議論じゃないかなと思っておるのでありますけれども、このことについて先生のお考えがあれば、これもまたできるだけ簡単にお述べいただければと思います。
○参考人(濱秀和君) 私は内容というより法の体系、国の法律の体系というものを重視しているわけであります。法の解釈、実務法律家としてどういうふうに解釈すべきか。そして我が国は法治国家であります。法治国家というのはよく国民が法律に従うべきだというふうに誤解されますけれども、法治国家というのは権力を行使する者は法律に従わなければならないということが中心になっています。これはどこの国でもそうです。法治国家ですから、法律に従って法律に定めたとおり国民の権利を制限したり国民に義務を負担させたりするのが当然であって、法律を離れて政策目的のために国民の権利を制限したり国民に義務を負担させたりすることは大きな誤りで、これは法治国に反すると思います。
○尾辻秀久君 そこで、中身の問題の一つとして、先生も述べておられる病床のコントロールについてちょっとお尋ねをしてみたいと思います。 私は医療保険がもう破綻に瀕しているというふうに認識をしておりますから、先生は法律家だからというお答えでありまして、この点についてはお答えがなかったのでありますが、いずれにいたしましても、必要な範囲の病床のコントロールはしないと医療費が無制限に上がっていくと私は思っておるのでありますけれども、改めて先生のそのことに対するお考え。それから、これはドイツやフランスでも病床コントロールをやっておりますね、こういうことに対する先生の評価がおありであれば、あわせてお尋ねをいたしたいと存じます。
○参考人(濱秀和君) 私は、病床の規制が必要ならば、今、先生のおっしゃったような事実を確定した上でどうしても病床を規制しないとぐあいが悪いというのだったら、法の体系として憲法に違反しないように、あるいは医療法との整合性を欠くことがないようにやること自体について私はいろいろ批判しているわけではありません。現行法を前提に医療計画がおかしい、その運用がおかしいということを申し上げているだけであります。立法機関が新たな立法事実を認定して、それによって統制計画をつくるということについては私は別にそれを批判しているわけではありません。
○尾辻秀久君 そうしますと、今、先生が問題にされたのは運用上の問題でありますが、これは法律の御専門の先生に対して口幅ったいのかもしれませんが、私が思いますに、法律を運用上の問題で云々するというのはむしろ本末転倒でないかな、運用上の問題というのは別途検討すればいいわけでありますから、そういうことがないようにみんなで努力すればいいわけでありますから、その運用上の問題と法律の中身とを一緒にして議論するのはどうかなと、ついこれは素人として思ったものですからさらにお尋ねするんですが、この点はいかがでありましょうか。
○参考人(濱秀和君) ちょっと誤解があるんじゃないかと思いますが、私は運用上の問題を申し上げているわけではございません。医療計画というのが国民を拘束する統制計画であるか、あるいは現行法はこれは単に一つの方針を定めた任意計画、法律的に言いますと非拘束的計画と言います。そして、先生のおっしゃったのは、拘束的計画のことをおっしゃっているんだと思います。拘束的計画をつくるんだったら、それは立法機関が立法事実を認定して拘束的計画をつくればいいと思うんです。 私は、現行法は拘束的計画ではない、任意計画なんだ、だからこれによって国民に義務を負担させるということは違法なんだと、こういうことです。運用の問題ではありません。
○尾辻秀久君 もう限られた時間でありますから余り議論できないのが残念でありますが、私どもやっぱり実態を踏まえてやらなきゃいけないという立場がございます。 そこで、もう最後の質問になろうかと思いますけれども、実態として先生がどういうふうに御認識なのかどうかということをお聞きしてみたいのであります。 私は、先日の質問でも言ったんですが、医療の世界というのは需要と供給というのがほかのものとは違う性格を持っている。普通は需要があって供給をするんですが、そしてまた需要が満たされていくわけでありますけれども、医療というのは先に供給すると需要がすぐ追いつくといいましょうか、供給が需要を生むといってもいいと思うんですが、そういう性格を持っていると思うんです。ですから、病床規制なども必要だというふうに考えておるのでありますけれども、この医療の持つ需要と供給の関係についての先生のお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(濱秀和君) 残念ながら、これもまた私、法律実務家としてちょっとお答えすることができないことですが、ただ今、先生のおっしゃった中で、需要、供給の問題に関連して、昭和六十年のときの医療計画の策定の立法目的というのは、現在、おっしゃられたようなものと全くかけ離れているわけです。行政の継続性、あるいは法を裏づける事実の一貫性というものに著しく欠けるのではないか、こういうふうに私は考えております。
○尾辻秀久君 あと一分あるようでございますから、最後の質問と言いましたが、ではもう一問聞かせていただきたいと思います。 先生、先ほど来国民の利益といいますか、地域間の平等みたいなことでのお話もございました。そこで、逆に私はこういうことも思うのであります。 過剰な地域にさらに病床をふやすということは、その地域の皆さんはそれなりの利益、恩恵を当然受けられるわけでありますが、一方、今不足している地域の皆さんはやっぱり同じように保険料を納めておられるわけです。そして、同じように保険料を納めておられるのに過剰な地域の皆さんにさらに恩恵が行くということは、どうも逆に不平等が生じるんじゃないだろうか、地域間の不平等が生じるんじゃないだろうか、国民の利益に反するんじゃないだろうかという思いもするものですから、そこのところについて、まさにこの平等という観点から先生はどういうふうにお考えか、お尋ねいたします。
○参考人(濱秀和君) 今おっしゃいました前提になります過剰な地域であるかどうかということはかなり問題でありまして、それは大阪、名古屋のように非常に過剰なところは一見明白でありますけれども、地方によりましては、過剰といっても大きな都市の中心部に大きい病院があって、その外れた方には相当の時間をかけなければ救急病院に運ばれないような地域でもそれが二次医療圏になっておれば過剰だと、こういう評価を受けるわけなんです。 こういう点で、医療圏のとり方あるいは病床規制、これは非常に不平等という点から見ると先生のおっしゃられたのと逆の意味で不平等ではなかろうか、そういうふうに私は考えております。
○尾辻秀久君 終わります。
○水島裕君 民主党・新緑風会の水島でございます。 午後のテーマは病床規制と不正請求でございます。私は、後ろの方から質問させていただきたいと思います。 不正請求と申しましても、先ほど河野参考人もどちらかといえば不当請求ということについてのお話であったし、末次参考人の方もそれに関連したことだったと思いますので、それについて御質問をしたいと思います。 査定額のうち約九百億円、先ほどのお話ですと診療内容が保険ルールから見て妥当ではないというお話でございましたね。私ども医学界でも随分いろんなことを調べまして、これは国際的常識から考えても、あるいは国内の学界などの常識から考えても、当然こういう適応症、あるいはこういう用法、用量は使ってもいいだろうというのが保険に認められていないのがたくさんあるんですね、そういう一部が一つ。それから先生がおっしゃいました、患者の経過によってはどうしても弾力的にこのぐらいは使ってもいいはずなのがひっかかってしまうという群。それからもう一つ、最後が本当の不当請求に当たるものというふうに、大体三つぐらいに分かれるんじゃないかと思うんです。お二人の参考人に、大体そういうことであるのか、それからそれが大体どのくらい、感じとして九百億のうち何分の幾つぐらいになっているかということ。あと末次参考人には、弾力的に運用する、あるいは当然こういうものは保険には通っていないけれどもいいだろうというのが県によっても結構違うような気がいたしますので、その地域格差というものについてもお答え願えればと思います。 では、お二人からお願いいたします。
○参考人(河野和夫君) では、私の方から最初にお答えいたします。 審査によりまして、保険医療機関が請求した額から支払い確定額、残りの差額がいわゆる過誤調整額と言われておるんですが、この中には実際に審査委員会が削った分と、それから医療機関に返してきた分と両方あります。今、水島委員がおっしゃられたのは、削った内容等についてだと思います。必ずしも学問、学界で認められているとおりのことが保険診療では許可になっていないという例があります。 それは、例えば私の専門であります消化器についていえば、消化性潰瘍の原因としてヘリコバクター・ピロリが今大きな原因になっている。これはもう世界じゅうの常識ですが、この保険適用は認められておりません。つまり、これを認めるためにはこれに使用する抗生物質が適応症として認められない限り認められない。治療が認められないので治療目的でない検査も認められないということで、これは保険診療できません。なぜかというと、製薬会社が適応症の申請をしないからです。
○水島裕君 その辺はもうわかっていますから、大体どのぐらいあるか。
○参考人(河野和夫君) そういうことがあります。 それから、個々の患者について、実際人間ですから、かなり薬剤の適応とか使用量には幅がありますけれども、特に保険者からの異議申請は非常に標準使用量にこだわって、これを超えているものについて異議申請をしてくる。あるいは適応症について機械的に異議申請をしてくるという例がございます。それは先ほど資料につけました例の中にも入っておりますけれども、例えばアトピー性皮膚炎が全身にあるのに、ワセリンを一回に百グラム投与したのを半分に、五十グラム削ってくる。この点数の差はどのぐらいあるかというと、二十三点を十一点に削ったということで十二点、百二十円しか金額的にはないわけです。 こういう実態に合わない減点が行われましても、このくらいの金額だと面倒だからといって異議申請しないでそのまま泣き寝入りしてしまうというようなことがありますので、実際にはこの診療内容上の減点といっても、全部が全部間違った診療をしている、請求をしているというわけではないということでございます。
○参考人(末次彬君) 診療内容上の問題あるいは不当請求、それがどれぐらいの比率になるかという御質問かと思います。 実際問題としては不正請求といいますか、これはもうほとんどケースとしてはまれであろうというふうに思っております。私どもの方で扱っております診療内容上問題があるというケースがほとんどであろうかと、かように思っておりますが、その内容につきましてはこれは千差万別でございます。今例として挙げられましたように、薬の適応の問題というのも事実としてあることはあるわけでございますが、ケースとしてどのぐらいあるかということは私どもとしてはそうはないのではないかというふうに考えております。 私どもの審査は健康保険法、療養担当規則、あるいは点数表、これに関連する行政通知に基づいて原則が決められておりますから、これに基づいて審査をする。その中でやや現実の医療水準と申しますか、医療の実態に即応して判断すべき部分というところは、それぞれの審査委員会の判断に任されているというふうになっております。したがいまして、基本的なルールは共通でございますが、部分的に異なる部分が出てくるということもこれは事実でございまして、各県別に見ますと、やや支部によって判断に差があるという御指摘もございます。 これにつきましては、私どもとしては事例によって県別に差が出るということはケースによっては好ましくないケースも当然あるわけでございますので、平成七年に審査に関する支部間差異解消のための検討委員会というものをつくりまして、各県の審査委員会で個々の事例を各ブロック別に検討いたしまして、中央でその結果を持ち寄ってさらに話し合いをする。その結果をまた各県審査委員会にフィードバックをするということで、各県でどういう審査が行われているかということを各県審査委員会で改めて認識をしていただくという作業を現在続けておるところでございまして、この作業をもう少し進めてみたいなと、かように思っております。 それから、各県で国民健康保険との差異というのもまた問題になろうかと思っております。これにつきましては、私どもとしては各県の審査委員単位で連絡あるいは打ち合わせを行うこと、これは大変好ましいことだというふうに思っておりまして、県によりましてそういう取り組みを行っているところも多々あるわけでございます。
○水島裕君 ありがとうございました。 末次参考人にもう一つお尋ねしたいんですけれども、支払基金の審査では、ある決まりに従って、しかも多少弾力的にいろいろやっていただいているということで、大変それはそれで結構じゃないかと思うんです。これは医薬品でも医療器具でもあるいは検査でも承認審査をもう少しきちっとして、それから保険で認めるものもちゃんと認めるようにして、実際の診療に合ったようなところまでは仮に入れるとしますと、今は決まりによってなかなか入れられないんですけれども、その半分ぐらいはその査定額というのは減るぐらいに直観的にはお考えでございましょうか。つまり、普通に患者のために診療をやっているのが削られているわけでございますね、実際には。それが大体どのくらいになるかということ、大変難しい質問で恐縮でございますが。 つまり、申し上げたいことは、これから我々も努力してこの制度をいろいろ変えていきますと、それがどのくらい減るかということを御質問しているわけでございます。
○参考人(末次彬君) 比率としてどれぐらいかというのは大変難しい問題でございますが、私ども現実に審査をお願いしている立場からいいますと、ルールは明確な方がいいと。診療報酬の点数表につきましても、できるだけ簡素化された方がいいのではないか。それによって、かなりケースとしてはそういう事例は減るんじゃないかという気持ちを持っております。
○水島裕君 御無理な質問をして申しわけありません。 それでは、次の病床規制でございますけれども、病床規制を法的にしない方がいいというのはそう思いますけれども、一方において日本は恐らく先進国の中で患者に対する病床数は一番多いと思うんです。それから、やはり病床が多ければ医療費もかかるということも、完全に比例するかどうかは別としてそうだと思いますし、またその支払う方は全部統制経済の保険で払っているということで、やはり病床も余りふえない方がいいということは確かだと思いますので、そういうふうに法律では規制しないで、しかも余りふえないようにするという何かいい方策をお考えかどうか。 これは、鮫島参考人と濱参考人に残りの時間をうまく割って答えていただければと思います。
○参考人(鮫島耕一郎君) その前に、先ほどの薬のところで私に半分御指名があって手を挙げかけたんですが、それをちょっと申し上げてよろしゅうございますか。 その問題はいつも論じられておるんです。もう古くて新しい問題なんですが、それは基本的には二十年前の武見会長と橋本龍太郎厚生大臣との間に交わされた覚書、ここにもあるわけで、つまり、今の効能書きにずっと病名が書いてあります。これを病名主義といいます。これによって保険の審査が行われておるんです。ところが、武見会長の方は、それはメーカーからただつけてきた病名じゃないかと。その薬はもっとこんなことにも効くという薬理作用によって医師が判断してやるべきじゃないかと。そのとおりでございますと橋龍さんの方は言って、そうしてきたんです。 ところが、だんだん片一方は偉くなられ、片一方は亡くなられまして、その辺がもやもやとして今日に来ている……
○水島裕君 こちらもよく理解しております。
○参考人(鮫島耕一郎君) はい、よく理解されておると思います。ここを解決していかないと、もうどこまで行ってもこれは水かけ論。 さて、今の御質問ですけれども、私は今までは欧米先進諸国に比べて日本のベッド数は多く、また入院日数も長かったということはそのとおりだと思います。しかし、今後介護保険制度が導入され、そして老人保健施設あるいは療養型病床群あるいは在宅医療等が充実していくに従って、世に言う社会的入院はかなり減少していくし、また現在もいきつつあるように思います。
○水島裕君 そんなに規制する必要はなくなるという御意見でございますね、そうすると。
○参考人(鮫島耕一郎君) いや、総量の規制は置いておって、その中でいろんな変化が今後起こっていくという意味でございます。
○参考人(濱秀和君) ここで病床規制がいいとか悪いとかいうのは、一つの政策の選択なんです。だから、病床規制をするんでしたらきちんと法律でやっていただきたい、だれでも理解できるような合理的な方法でやっていただきたい、そういうことなんです。 私は、病床規制がいけないとかいいとか、そういう政策問題を言っているわけでなくて、現行法は任意の計画でありながらそれを強制しているのはおかしいじゃないか、あくまで法律に従わないで権力が行使されるというのは私は看過できないと、こういうことを申し上げているんです。
○渡辺孝男君 公明の渡辺でございます。 〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕 最初に、河野参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど資料を見せていただきまして、いわゆる査定がかかってくるものの中で、診療報酬の内容の分としては一九%弱であるというような数値が出ておりました。国民が一番問題にするのはやはり不当な過剰診療として請求されるのが一番問題だということで、そういう点に関して怒りを持っているわけだと思うんです。そうしますと、そういう部分というのはおおよそ先ほどの一九%弱の部分のうちのどの程度になるものなんでしょうか、そういう国民が本当に怒っている部分というのは。
○参考人(河野和夫君) 過剰診療、過剰請求分がどのぐらいになるかというのは、ちょっと……
○理事(尾辻秀久君) 河野参考人に申し上げます。委員長の指名をお待ちください。
○参考人(河野和夫君) はい。数字的にはこの中身の割合が、過剰診療がどのぐらいあるのかというのはちょっとわかりません。 ただ、私どもの言いたいことは、この診療内容上問題があるといって減点されたものが全部過剰であるということは言えないということを先ほどから申し上げております。 それから、中には診療の実態として病名が漏れておりまして、そのために請求されると病名に対して診療内容が一致しないということで減点されることがあります。これはしばしば起こることで、長期間通院している患者が途中で何か病気を併発すると、その病名を確定するために検査をします。検査の結果が出てから病名をつけようと思っているうちに、月末にそういう事態が起こると、患者さんが来院するのが翌月になってしまうので病名をつけ落としちゃう、そのまま請求が出てしまう。それで、病名と薬や検査の内容が不一致ということで減点されるということはしばしばあることでして、判断の問題だけじゃなくてそういった事務上の問題等もありますので、この診療内容上の減点全部が過剰診療であるというふうには言えない。しかし、それがどのくらいの金額が、どのくらいの割合かということは私にはわかりません。
○渡辺孝男君 ありがとうございます。 では次に、末次参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほど、レセプト点検の点数が少し低い方まできちんと審査をするようになったと、四十五万点が四十二万点云々。こういう高額レセプトというのが、先ほど言いましたような過剰診療とか問題になるような、悪意ではないんでしょうけれども、経済的な理由で過剰にしたというような率が高いんでしょうか。低いレセプトの方と比べてこういう高額レセプトというのがそういう過剰診療に結びつく可能性が高いというふうに見ていらっしゃるんでしょうか。
○参考人(末次彬君) 高額レセプトの内容というのは千差万別ではございますけれども、どちらかといいますと、かなり先進的な試みをやってみるというようなケースもございますし、高額になる理由の中に、非常に長期間あるいは高額な薬剤の投与が続くというようなケースもございます。こういったケースにつきまして、専門家の目から見て果たしてこれが妥当かどうかということを保険診療のルールの上で見ていただくと、どちらかといえばやはり高額のレセプトの方にそういうルールに適応しないケースが出てくるということは事実だろうと思っております。
○渡辺孝男君 ありがとうございます。 次に、先ほどからいろいろ病床規制について問題になっているんですけれども、その点に関して河野参考人、末次参考人、濱参考人にお伺いしたいと思うんです。 いろいろ委員会答弁などでは、厚生大臣の方は、医療に関しては、病院等の診療機関がふえても、競争によって医療の質が向上したり、医療費の抑制には直には結びついてこないんだということをおっしゃっておりますけれども、やはり計画的な手法も必要であるというような内容でお話しされるんです。 このように、医療には供給が需要を生み出すというような、お話が先ほどありましたけれども、そういう医療の特殊性、すなわち規制緩和とか競争が直に患者さんのメリットに結びつかないというような御意見があるわけなんですが、この点に関して、それが本当に真実なのかどうか、日本の場合あるいは外国でもそのように考えていらっしゃるのかどうか、御見解をお聞きできればと思います。
○参考人(濱秀和君) 私は、今おっしゃられたような事実について十分確認する資料も持っておりませんし、単なる風評とかその辺の情報だけでありまして、ここで参考人として十分お答えするだけの材料を持っておりません。
○参考人(末次彬君) 私どもの方の立場は、請求されましたレセプトに基づいて審査、支払いするということでございまして、この規制が私どもの仕事にどういうかかわりを持つかということについては、私どもとしてはちょっと確たる考え方をお示しする立場にないんじゃないかというふうに考えております。
○参考人(河野和夫君) 甚だしく病床がふえれば、それは医療費増加の要因にはなると思いますが、どの程度が適正かということはまた別の問題だろうというふうに思います。
○渡辺孝男君 患者さん側から見て、競争によって医療の質が向上したり自己負担が軽減するというようなことには直にはやっぱり結びつきそうにないということでよろしいんでしょうか。河野参考人にお願いします。
○参考人(河野和夫君) そうでございます。
○渡辺孝男君 次に、必要病床の中身について河野参考人にお尋ねします。 今、一般病棟、一般病床というようなものがありますけれども、地域医療に関しましては、慢性病棟と急性病棟とかあるいは難病の患者さんの病床とか、そういう中身をもう少し細かく分けて必要病床を算定した方がいいんじゃないかというような御意見もあるわけですが、その点に関しまして何か御見解をお聞かせいただければと思うんです。
○参考人(河野和夫君) この問題、そう簡単にお答えできないと思います。 病床の必要数については、一つは入院期間の問題もあります。日本は外国に比べて非常に入院期間が長いということを言われております。事実、そうですが、これにはやはり、例えば先ほども言いましたけれども、入院患者に対する医師、看護婦等の医療従事者の数が外国から見ると二分の一、三分の一という少ない人員でやっているわけで、こういう状態でどうしても入院日数が長引くということがあります。ですから、入院期間が短縮できればベッド数はもっと少なくて済むということは言えると思いますけれども、その辺の現実との兼ね合いがありますので、非常に難しいというふうに思います。
○渡辺孝男君 ありがとうございました。 次に、末次参考人にお聞きしたいんですけれども、現在、診療報酬に関しましては定額払い制をより広く導入しましょうというような流れにあると思うんですけれども、もし定額制の診療報酬が拡大していけば、そういう不正請求というようなものは少しは減ってくるような関係性にあるんでしょうか、それとも余り関係なさそうなんでしょうか。レセプトを見る立場から見ますとどうなんでしょうか。 〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
○参考人(末次彬君) 先ほどの御説明の中でも申し上げたわけですが、不正請求というのは本来存在しないものを請求してくるということでございます。私どもの審査は、存在した診療行為をどう評価するかということでございまして、そういう意味から申し上げますと、定額制にするかしないかにかかわらず、不正請求の問題とはちょっと別次元の問題になるんではなかろうかと、かように考えております。
○渡辺孝男君 不正という言い方が間違っていたのかもしれませんが、不当になるんでしょうかね、過剰というか不当なレセプト内容というようなものは少なくなるのかなというふうに思うわけなんですけれども、不正と不当、その辺どうなんでしょうか。出来高払いと考えますと、定額払いの場合は審査の方もやりやすくなるのかなという感じもするわけなんですけれども。
○参考人(末次彬君) 定額制という言葉の中にはあるいは二種類あるのかなという気がしております。一つは従来から言われているマルメのような形、もう一つは現在検討されていると言われておりますDRG-PPSですか、これの両面あるんじゃないかなという気がしております。 マルメの点につきましては、それは一種の包括払いといいますか、いろんな診療行為をそこの中に包括して請求を一括して行われるという意味で、請求のパターンが非常に決まってくるという意味で言いますと、裏返して言うと請求の幅がなくなるということで、審査の上からいえば定型的な審査が多くなると、かようなことになろうかと思います。
○渡辺孝男君 次に、河野参考人にお伺いしたいんですけれども、病床規制とともに医師の人数の規制的なものが今後また進んでくると思うんです。先ほど過剰ベッドの地域と過疎のベッドの地域とありますけれども、前にちょっと勉強したところでは、過疎地域というのは結構御高齢のお医者さんが診ていらっしゃるところもあるということで、前に厚生省の方では医師の定年制というような話もちょっと出たことがあったわけです。定年制をしくとかえってまた過疎の地域もドクターがいなくなって、ふえてくるのじゃないかというようなお話もあったんですが、その辺に関しましては河野参考人はどういう見解を持っておられますでしょうか。
○参考人(河野和夫君) 現在の開業医の状況からいいますと、必ずしも過疎地域でなくても都会でも開業医の平均年齢が高くなっております。私の地元の川崎市の例を言いますと、例えば七十歳定年制をしきますと、現状では開業医の半数近くがもうひっかかってしまうという状態のところが非常に多いわけです。特に都市部の古い地域ではそうです。それから、開業医の年齢が若いのは、比較的最近開けた地域に新規開業医が集中している地域は年齢が若くなっています。 しかしながら、定年制をしかなくても現状では問題ない。つまり、我々の年代が一番多いわけです。七十歳前後の医者というのは、これは戦争中の最後の入学で、しかも軍役につかなかったので生き残ったわけですから、この層はもう七十歳を超えてきていますので、黙っていても自然に死ぬかリタイアしてしまう。その後の世代というのは非常に戦後この養成を絞りましたので、五十から六十代ぐらいは数が少ないんです。 問題は、一県一大学主義で大学がふえてから後の卒業生で、これが四十代。だから、この四十代の人たちが非常にふえてくるだろうと。だけど、この人たちは定年制をしいても七十歳になるまでまだ二十何年もありますから、かなり先の話です。今直ちにこの定年制をやるというのは現実に合わないということです。
○渡辺孝男君 ありがとうございました。
○清水澄子君 参考人の皆さん、ありがとうございました。 まず、濱参考人に伺いたいと思います。 先ほど、立法をする場合はもっと事実をちゃんと掌握しなさいという御意見がありました。そこで伺いたいわけですが、地域保健医療計画ができてから十年がたっていると思うわけですけれども、この計画の目的に沿った成果というのは日本の医療の面でどこまで推進されているのか。本当にプラスの面で推進できているかどうかという点ではどのようにお考えですか。
○参考人(濱秀和君) これはもう自分の見た範囲だけですけれども、地域医療計画というのが医療法の三十条の三にいろいろ書いてございます。また今回改正になったようですが、実際そこに書かれてあるような目的のために推進されているのではなくて、専ら病床規制、地域に病院をつくらせない、こういう面の機能というのは非常に多い。ほとんどそうではないか。ただ医療計画があって、その医療計画の中ですらまた既存医療機関が制限をしていく。ですから、今回改正で問題にする背景、事実と現実とは随分乖離があるのではないかという認識を持っております。
○清水澄子君 では、そういう病床規制というのは、皆さんがこれはやむを得ないんだという考えがやっぱり一面でありますね。それは非常に医療費が高くなると。しかし、医療費が高くなるのは、そこで入院患者とか長い入院をするとか、いろんな問題が別にあると思いますけれども、病床規制による地域医療計画という、今いろいろ問題があるとおっしゃったんですが、その問題点といいますか弊害が実際にどんな形であらわれているのか。何かどこかの地域とか具体的な例があれば、具体的にこういうことがあるから問題というのをぜひお話しください。
○参考人(濱秀和君) 先ほど尾辻先生のときにもちょっと申し上げましたけれども、病床規制がされています。医療圏の設定がされています、二次医療圏ですね。二次医療圏の設定の仕方によって、そこでは都市の中心部に大きな病院があればその周辺部には全然病院がない、こういう現象が発生します。これは非常に、もう周辺部に住んでいる人たちは大変な、先ほど逆に尾辻先生からみんな保険料を払っているんじゃないかというお話がありましたが、みんな保険料を払っていても、たまたま都市の中心部に病院が集中している、そして周辺部にはないという現象、これはもう極めて不合理である、こういうふうに一つ考えます。 そしてもう一つ、病床規制があるということによって新たな病院の進出を阻む、現実に阻んでいるわけなんです。ただ、どういうことが行われるかというと、病床の余剰が何百ベッドかあると、ですから、そこは当然申請すれば面倒を見てもらえる、許可してもらえるんじゃないかということで申請します。そうすると、既存の医療機関が途端に全部一斉に申請をして、そして県の担当、衛生部、厚生部、保健福祉部とかいろいろ名称はありますけれども、そういうところで既存の医療機関を優先的に扱って、新規参入者を阻むということでやっておるんです。 それがこちらの調査室からいただきました参考資料の中に、当局の言うのには過剰病床のところに許可申請をするのはけしからぬと言っているんですが、申請したときは過剰病床ではない。ところが、引き延ばされて終わるころ過剰病床になると、こういう手法が使われているわけです。この手法が違法であることは、最高裁判所が既にもう数年前に、宮城の方でトルコぶろの進出についてほかの都市施設をつくってそれを阻んだ県に関して違法であるということを明確に言っているんです。 そういうことが公然と行われている。これはちょっとまずいんではないか。これも医療計画という枠の中でやっているわけですね。
○清水澄子君 最近、公正取引委員会から勧告を受けているところもあるんですが、そういうどこかの例を御存じですか。何か立川市で事件があったように思いますが。
○参考人(濱秀和君) 立川のものは日本経済新聞の去年の一月ころの情報ですが、産婦人科の先生が病院を移設すると言ったら、今度は移設先の病院の先生が反対して、医師会に働きかけて、そして医師会にその移転すると言った先生を呼んで、医師会から出ていけというような話があって、結局、公正取引委員会に申し立てをして救済してもらった、こういう話があるわけです。 このたぐいの話というのはそう珍しくないんです。一番ひどいのが、これは私、自分で認識したことですが、香川県で、去年の四月までは医師会が全部病床の規制をしていたわけなんです。医師会が、おまえのところは幾ら割り当てるというふうに、割り当てるどころではなくて全部制限していたために、新規に病院を開設したい人たちが困って、結局、公正取引委員会に泣き込んで、そしてここは排除勧告をやったようですが、排除勧告に従わないで今審決手続が進められているように理解しています。
○清水澄子君 ことしの一月に厚生省が全国の国保関係の局長会議を開いていますけれども、その中でちゃんと医療計画において勧告をするときには開設者同士の調整を行わなきゃいけない、そして今後ともそういう透明性を確保しなさいという文書を出しているんですが、そういうものは実際には運営されにくい環境というのですか、何か現実があるんでしょうか。
○参考人(濱秀和君) ちょっと質問の趣旨がわからないので、もう一回お願いしたいんですが。
○清水澄子君 ことしの一月に厚生省が各県の国保担当者の人を集めて、知事が医療計画において勧告を発するときには、関係者同士、いわゆる開設をしたい病院とかそういう人たち同士が話し合って、そしてお互いに調整をするようにやってくださいと書いてあるんですね。そして、透明性をもっと確保してくださいと書いてありますけれども、それは実際には運用しにくいということですか。
○参考人(濱秀和君) それはことしの一月ころじゃないかと思うんですが、それがあったせいか、もう一床もやらないよということでみんなに騒がれていた滋賀県、これはもう許可がおりましたから申し上げますが、滋賀県の担当部が、二百床ずつ申請がありましたところ、四百、五百近く余っていたんですが、それを分けて調整をしまして二百ずつ許可したというような事例もあります。そして鳥取では、病床の削減勧告をしまして、その削減勧告をのんで許可を得たとか。これは、恐らく厚生省の指導があった結果ではなかろうかと私は推測しているんですが、確かなところはわかりません。
○清水澄子君 それでは、先ほどの陳述の中でも非常に法律として問題がある、医療法との関係とか憲法との関係で問題があるとおっしゃいましたが、法律の実務家として、この法律がこの国会で成立した場合、もし裁判所でだれか争う人が出てきた場合どういう判断が出ると予想されますか。
○参考人(濱秀和君) 私はこれは薬事法の距離制限と同じ結果になるのじゃないかと思うんです。薬事法の距離制限のときには衆議院で共産党の委員の方が二人反対しただけで、あと全会一致、参議院も全会一致で法律が成立しました。それから十年たって、昭和五十年四月に最高裁の大法廷によって憲法違反だということになりました。 薬事法のときには、薬剤師会の会長さんが率先して国会議員の皆さん方を説いて、そして全会一致に持っていくという方法をとられたようですけれども、今回の法律も勧告と連動させて、そして保険医療機関の指定の拒否、これはいかにもやり方として不透明であり、権力の乱用と言おうか、めちゃくちゃじゃないか。これは私だけでなくて、私は行政法を専攻しておるものですから、私の親しい行政法学者、行政法の専攻者に聞いてみると、これは随分ひどいな、ひどいことをやるんじゃなかろうか、国会の先生方はこういうことを黙って見過ごすだろうか、こういう話があったくらいです。 ですから私は、衆議院は通ってしまいましたが、良識の府である参議院において、せめてそこを十分掘り下げて、これから十年後に、あるいはそのころは私どもはいないかもしれませんけれども、憲法違反で問題になるというようなことのないようにしていただきたい、そういうふうに考えております。
○清水澄子君 どうもありがとうございました。 それでは、末次参考人にお尋ねいたします。 午前中の話の中で、これは健保連の方が、レセプト点検をしているけれども、支払基金で大体審査が終わったという通知を受けた後、また二億円ぐらい不当なものがあるというふうなことが起きる、非常に大きな金額がこういう形で行われるんだということで説明があったんですけれども、支払基金でレセプトの書面審査だけでは不正というのを見つけるというのは、人数と時間いろんな意味で非常に困難な状況にあるんではないかと思いますが、どうすれば最も効果的な方法がとれるとお考えでしょうか。
○参考人(末次彬君) 今不正というお話でございましたけれども、私ども先ほど来申し上げておりますように、不当といいますか過剰といいますか、そういう趣旨でお答えをさせていただきたいと思います。 確かにレセプト点検で再審査が出てきておる。その中でまた容認事例があるということも確かに事実でございます。これは先ほど冒頭の説明で申し上げましたとおり、従来手作業を中心に仕事をやってきたということで、いかに支払いを迅速に正確にやるかというところにウエートがかかっていたというのは事実だろう、かように思っております。 先ほど申し上げましたように、いろいろ今機械も入れ、日程も変え、業務のスケジュールをより合理化して、事前の審査事務共助といいますか点検といいますか、これに力を入れていきたい、かように考えておりまして、そういう努力によりまして相当その部分は減らしていけるのじゃなかろうか、かように考えております。
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。 きょうは午後からの参考人の皆さん、本当に貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。 私は不正請求の問題につきまして、まとめて御質問をいたしたいと思います。 まず、河野先生にお伺いをしたいわけですけれども、先ほどの陳述は少し時間が短くて十分御意見をいただけなかった点もございますので、まず第一に、点数の改定を厚生省がやった場合に医療機関に当然きちっと周知徹底されている、これは素人考えですけれども、そういうふうに私は思っていたんです。どうもその点が、後から訂正が行われたりというようなことを先ほど言われたわけですけれども、そういう点につきまして、やはり医療機関としてはこういう点が問題だとお考えの点がありましたら、加えて御意見をいただきたいと思います。
○参考人(河野和夫君) まず、この点数改定の内容というのは非常に膨大な内容なんですね。それで、とにかく厚生省が出す本でもこんな厚い本が出てくるんです。それには点数だけではなくて関連する通知とかそういうものがいっぱいついてくるんですね。この点数をどう運用し解釈するかという通知がいっぱいあるわけです。この膨大なものが三週間前でないと我々の方に手に入らない。しかも、その通知が後からまた追加で出たり、前に出た通知を訂正するというようなことが出てくるわけです。 例えば、この四月一日からの改定で、老人の外来総合診療料、この場合に外来管理加算は取れないという規定をつくったわけですが、今度は四月になってから、外来管理料を請求する、月二回までは外来管理加算は認められないけれども、その月のうちに三回目に来た場合には三回目だけ外来管理加算の請求を認めますという通知が、もう診療に入っちゃって、かなりおくれて四月半ばごろになってそういう通知が出てくる。こういう実態でして、非常に周知徹底も難しいような状況が現実に毎回行われているということです。
○西山登紀子君 私もいろいろな開業医の医療機関を訪問いたしますと、やはり奥様がやっていらっしゃったりとか、いろいろ電卓をはじいていらっしゃるとか、そういう現場にも出くわすんですけれども、非常に膨大なものを横に置いてやっていらっしゃる。それは、ミスというんでしょうか、ミスがない方がおかしいような、そんな感じもするんですけれども、非常に複雑で。その上に厚生省の方から、後からこういうふうに訂正訂正ということになりますと、本当に混乱するというふうにも思うわけです。 そういう混乱が起きないように保団連の方から厚生省に要望をされているんですけれども、それが実施されないということなんでしょうか、先ほども少し御紹介ありましたが。
○参考人(河野和夫君) もう何年も前から改定のたびに要望していますが、現実的にはそういうことが繰り返されているということです。
○西山登紀子君 その周知徹底が不十分だということは、年々きつくなっているんでしょうか、それとも少しずつは改善が図られてきているんでしょうか。そういうことはどうでしょうか、傾向として。
○参考人(河野和夫君) 特に改善は見られないと思います。しかも、この点数改定の内容がやはり一つの医療費削減の手段になっておりますので、非常に細かい解釈がついできますので、内容を理解する、あるいは周知徹底するのはまずます困難になっているという事情があります。
○西山登紀子君 それでは次に、レセプトについていろいろな審査がされるわけですけれども、その審査のあり方について非常な意見があると。医学とか医療の実態を無視して非常に機械的な審査が行われている場合もあるというようなことが先ほどございましたけれども、具体的な事例があれはその事例、そして、そういう機械的なチェックで実際的には減点ということになるわけでしょうけれども、そういうことが診療に、患者さんにどのような影響を及ぼしているか、具体的な例なども示してお話をいただけたらと思います。
○参考人(河野和夫君) きょうの資料の最後の方に日経メディカルのコピーが出ています。この中に具体例が出ていますが、例えばあるドクターが、気管支ぜんそくの患者を診ていてぜんそくの治療に使うテオフィリンを、基準では常用量一日四百ミリとなっておるんですが、四百ミリでは発作を抑えられないということでもう百ミリ追加をして夜の分をふやしたら明け方の発作が起こらなくなったというのでそれを請求したところが、常用量の四百ミリを百ミリ超えているということで百ミリ切ってきた。それで、そのドクターは患者さんに支払基金からの減点通知を見せて、あなたもわかっているように薬の量をふやしてやっと抑えられたのに、これを認めないと言ってきたと言って患者さんに訴えたところ、患者さんはその所属している組合に苦情を言いまして、その減点が行われなくなった、こういう具体例があります。 それに類したことはたびたびあります。実際に製薬メーカーが書いている添付文書には、常用量は幾ら、ただし年齢、症状について適宜増減すると書いてあるんですね。ところが、保険者の再審査の参考にしている日本医薬品集では一つ一つその用量のところに適宜増減するということを書くのは煩雑ですのでそれは省略になっているわけです。そういうので非常に機械的な用量で、ちょっとでもそれを超えているとこれは過剰診療、過剰請求であるといって再審査に保険者から出てくる。その言い分がストレートに通って我々のところへ減点されてくるということが非常にあります。 しかも、その請求した一年ぐらい後になってそういう減点が行われるというのが非常に多いわけです。この保険者のレセプト点検は、一方には認められている点がありますけれども、約七割は支払基金の方から原審どおりということで保険者の申し立ては認められていないというのが実態です。 それにしても金額が多いということは、いかに保険者からの異議申請の件数と金額が多いかということになると思います。
○委員長(山本正和君) 参考人の方に申し上げます。速記の関係がありますので、私の指名を待って御発言を願うように、よろしくお願いいたします。
○西山登紀子君 もちろん、不必要な医療を受けてそして不必要にお金を払う、これはもうやはり患者としても国民としても納得いかない点だと思います。しかし、必要な医療、本当によい医療をしてほしいというのもまた私たちの要求でもございます。 そういう点で、レセプトチェックというのがむしろ経済的な観点で点数を低くするというふうな方向で、もし審査がそういう方向で行われているとすれば、これはまた国民のための審査なのかというふうに言いたくなるわけです。その点で、私は京都なんですが、京都の民医連中央病院が昨年六月に百十四万円相当の利用を減点されたということで、これは裁判に訴えまして、大阪高裁で全面勝訴をしたということがあるんです。 末次さんにお伺いいたしますけれども、もちろんそんな目ばかりでいつも審査しているわけじゃないと思いますけれども、患者さんとお医者さんの信頼関係をやはり医療の大前提ということでお考えになって、こういうふうなレセプトチェックする際の審査に当たる支払基金の基準といいますか物差しというか、そういうものはどうなんですか。経済的な効果ばかりで見ていらっしゃるわけじゃないとは思いますけれども、今、河野先生がおっしゃったように、たびたびだとか多いだとかというふうな御意見があるわけですが、この点どうですか。
○参考人(末次彬君) これは保険者、療養担当機関それぞれの立場でいろいろ御意見があることは事実でございます。全く相反する御指摘を私どもしばしば受けるわけでございますが、私どもとしましては、やはり保険のルールということが大前提でございます。したがいまして、社会保険の保険医療のルールにのっとっているかどうか、さらにそれが実態に即してどうであるかという観点から中立的な立場で審査をお願いするということに終始一貫しておりまして、どちらにも偏しないような公平、中立な審査ということを心がけておるつもりでございます。
○西山登紀子君 それでは、薬剤の二重払いということにつきまして、河野先生と鮫島先生と末次先生にお伺いをしたいと思うんです。 昨年の医療保険、私たちから言わせれば改悪で、厚生委員会でも私も薬代の二重払いということ、二重取りといいますか、そういうことについて質問をしたことがあります。京都の保険医協会の先生からいただいた資料をもとにいたしまして質問したんですけれども、結局、薬剤負担をレセプトでどうチェックをするかという点は大変難しいんだと。いろいろと今は個々の薬剤が何回に分けてどう処方されたかというようなことは一々記載しなくてもいいんだけれども、二重払いをすることになるときちっとそれも記載しなけりゃいけないし、そうでないと、七通りぐらいの処方の仕方があって、一体どういうふうな処方せんでこういう医療費負担になったのかということがわからないんだというお話がありまして、現場に非常な混乱が起こるんだという御意見があって、私も厚生省に聞いたわけです。これから、九月一日以降からはきちっと処方せんも全部一々一々医療機関からとるんだという保険局長の御答弁がありました。 その点で、苦労されているというお話が末次さんの方からございましたけれども、どんなふうに苦労されているのか、その点をお伺いしたいのと、あと、先生方の方から、この薬剤費の二重払い、二重取りというのが現場ではどんな混乱を起こしているのか、その点、簡単にお伺いして終わりたいと思います。
○参考人(末次彬君) これは、薬剤の一部負担制度そのものは国会で成立した法律に基づいて実施されているわけでございます。 私どもが苦労しているという意味の一つとしましては、やはりチェック項目がふえているということで、明らかに誤りであるというケースにつきましては、これを補正するように努力をいたしておりますが、いずれにしても、その手間がかなりなものになっているということは事実でございます。
○参考人(河野和夫君) 確かに、医療機関によっては過剰な投薬をする医療機関も中にはあると思いますけれども、実際に薬剤の種類数によって負担金がふえるということですけれども、いろんな病気を持っている患者さん、殊に今高齢化のために老人の方々はいろんな病気を持っている。しかも、それぞれ重要な病気で治療せざるを得ない、それに対して薬をたくさん出さざるを得ないという患者さんが、幾らなるべくむだな治療をしまいと思って努力しても、患者さんによってはそれだけどうしても出さざるを得ないという患者さんがいるわけです。それは、患者の責任でもないし医者の責任でもないのに、過大な負担を強いるということは、これはおかしいんではないかと私は思っております。 そういう意味では、医療機関としては患者さんに余計な負担をさせないようにということで、我々も何とか薬剤の種類数を減らす工夫をしたり努力をしたり、自分の診療を点検してやっておりますけれども、どうにもならない問題というのはあります。
○参考人(鮫島耕一郎君) 粗筋はただいまのお話のようでございますが、大分、当初に比べましてそのような窓口での混乱等は減少してきた、落ちつきつつあると思っております。
○西山登紀子君 どうもありがとうございました。
○都築譲君 自由党の都築譲です。 きょうは、四人の参考人の方には本当に貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございました。私は、不正請求の問題について幾つか御見解を承りたいと思います。 まず最初に、末次参考人にお伺いをしたいと思いますが、先ほど水島委員の質問に対して、不正請求はまれだと考える、こういうふうにおっしゃっておられましたが、不正請求をまれと考えるその理由というか根拠についてお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(末次彬君) これは、数量的に私は把握しているわけではございませんが、不正請求の結果としていろいろ処分等が行われております。その件数等を拝見いたしますと、件数としては、総件数、私どもで年間受け付けておりますレセプト枚数からいきますと七億枚からあるわけでございまして、その中で、その比率から考えますと、そう多くはないんではないかというふうに考えているわけでございます。
○都築譲君 社会保険診療報酬支払基金の方は、先ほどからお話がございましたように、大変重要な役割を担っておるわけです。ただ、私自身が理解をする限りでは、恐らく、健康保険法とか療養担当規則とか、あるいはまた各種通達、点数の基準、そういったものと照らし合わせながら、実際の医療行為が妥当なものであったかどうか、当不当、あるいはまた適正、不適正の判断を実際には行っておられる、こういうふうに思うわけです。 私自身が大変衝撃を受けたのは、ことしの三月に新聞に出ましたが、東京新宿に稲吉眼科というところがございます。そこが、九五年四月に保険医の指定を受けて以来、九七年三月までの二年間で九億五千万円の診療報酬を受領した。うち、政府管掌保険関係と国保関係で約八億円の不正請求であったということで詐欺罪で告発をされた、こういう事例があったわけでございます。 新聞によりますと、その医師自身が言っておりましたのは、診療報酬を請求すれば幾らでもくれたということでありましたし、そしてその手口は、これまた新聞報道によりますと、同じビルにあるコンタクトレンズの会社と提携をしておりまして、検眼に来る女性を中心にした患者さんたちの保険証の番号を全部控えておいて、一切の診療行為もあるいは投薬行為も治療行為もないままに診療報酬支払基金などに請求をしたらその費用を幾らでもくれた、こういう話であったわけであります。 これはもう、診療報酬支払基金の審査の枠を完全に超えてしまった話になるのかなというふうに思うわけでして、こういった事案について、実際には、恐らく架空請求の伝票というかレセプトがいっぱい回ってきて、それを一枚につき百十三円の手数料を取りながら一生懸命審査の方たちが審査をしてお金を回していったという構図に乗せられでしまったということについて、どういうふうにお考えになるかお伺いをしたいと思います。
○参考人(末次彬君) 先ほど来何度か申し上げましたとおり、私どもは診療行為が現実に行われたということを前提にして審査をするということでございます。 しからば、こういう不正請求はどういうことで見つかるのかということになるかと思いますが、これはやはり、現実にそういう診療行為が行われたかどうかということを知っているのは患者と医師しかいないわけでございます。したがいまして、患者さんの方にいついつ診療を受けたということになっていますがというような、いわゆるお知らせといいますか医療費通知といいますか、そういうものが保険者の方から回る、それに基づいて事実が明らかになってくる、その事実の確認はさらに行政当局によって行われる、こういう構図になるんではないかというふうに考えております。
○都築譲君 事実、今、末次参考人がおっしゃったように、患者と医師しか実際に診療行為、治療行為があったかどうかということはわからないわけでありまして、その意味で幾つか改善すべき方向というものがあるのではないかな、こんなふうに考えるわけであります。 今回の国民健康保険法の改正によりまして、不正請求に対しては保険医の指定取り消し期間二年をこれから五年に延長する、それから返還の加算金を四〇%にふやす、こういう話です。これ自身は厳しい懲戒といいますか罰則が待っているということで一つの抑止力にはなるのかなというふうに考えるわけですが、今、末次参考人みずからが言われたような物の本質の解決にはならないのではないかというふうな気がいたしますが、いかがお考えでしょうか。
○参考人(末次彬君) これは、法案として政府はその必要性を認めてお出しになったわけでございます。それなりの効果は当然期待されてのことだというふうに考えておりますが、そのほかに考るべき問題があるということは御指摘のとおりかと思います。
○都築譲君 それでは、鮫島参考人にお伺いを申し上げたいんですが、今保険医の指定の取り消しということで一つの、本当に悪いことをするお医者さんがいなくなるように、あってはならない話でございますけれども、保険医ということであればそれは社会保険の枠組みの中でお金を、保険料を納めて、そしてまた医療行為が適切に、適時に行われるようにという契約関係のもとで行われますから、保険医療行為を担当する職を外されるというのは当たり前のことだろう、こういうふうに思うんです。 しかし、お医者さんの倫理として、医師会長をされておられるお立場から、そういう架空請求のようなことをやるお医者さん自身がいることについてどういうふうにお考えになるか、あるいはまた、そういったことが露呈した場合にお医者さんとしてこれからも医業をやり続けることが許されるのかどうか、そういったことについてどうお考えでしょうか。
○参考人(鮫島耕一郎君) どのような世界にも全く我々の想像を絶するような悪い人がおるということはこの世の事実でございますが、ただいまの眼科の問題など私よく存じませんでしたが、聞いてただただあきれるばかりでございます。 ただし、これは保険審査ではやはりわかりません、あれはペーパー審査でございますので。ほとんど内部告発的なものでわかるわけですが、今後もし少しでも予防の上で役に立つとすれば、医療費通知といいまして保険者の方から患者さんに病院にかかったことがあるかというのを、余り細かくいろんなのを書き過ぎるとプライバシーに関しますからそこまでは書いてありませんが、そういうことで、要するにそういう架空、水増しあるいは安い薬を使ったのに高い薬を使った、つけ増しとかそういうのはもう全く密室内の犯罪でございますので、これはもう審査委員会ではわかりません。 それから二番目に、そういうのはもう極めてまれなんですけれども、しかし私はだんだんこういう索漠たる時代になりましたので医学部の教育、着い時代の医師の教育を単なる技術だけでなくて人間教育というものをしっかりやってもらわないといけないということも、これも単にそういうお金の面だけでなくて、いろんな医療の問題を含めて教育の面もつくづくそう思っております。
○都築譲君 それでは、次に河野参考人にお伺いをしたいんですが、先ほどの東京の眼科の稲吉さんでありますけれども、保険医の指定を受けているということになりますと、恐らく全国保険医団体連合会の方にも保険医として加入されておられたのかなというふうな気がするんです。もしそうでなければ大変失礼を申し上げることになりますが、そういう不正請求はあってはならないんだと、こういう形できょうの委員会の参考資料でもお示しをいただいておりますけれども、実際にそういう本当に悪質な人に対して保険医団体としてはこれからどういうふうに対応されていこうとしておられるのかお考えをお聞かせください。
○参考人(河野和夫君) 我々の団体は参加は自由なんです。それで、必ずしも保険医だからといって我々の会員であるとは限りませんし、その新宿の例が東京の会員であるかどうかは私よく知りません。 我々は常に会員に対して、やはり国民に対して、患者さんに対して我々は信頼関係を大事にしなきゃいけないんだと、そういう意味で不正請求というのは全く道義にもとることであるし社会的正義にも反することであるから、こういうことは決してあってはいけないということは我々としては明確にしておるし、会員の前でもそのように言っております。 ただ、モラルの問題ですので、団体としてこれをどうするかと言われましても非常に難しいと思うんですね。会員であることを除名するとかせいぜい対応策としてはそういうことしかないと思うんです。
○都築譲君 確かにモラルの問題でありまして、先ほど鮫島参考人からもお話ありましたように、医学部の教育の問題とかいろいろあるんだろうと思います。 ただ、現実に一人の悪質なお医者さんがこういう架空請求をするだけでわずか二年間で八億円、恐らく組合健保の方はこの数の中には入っておりませんから相当な額になるのかなと。それから、去年明らかになりました関西の安田記念病院、これが二十億円の不正請求、こんな話もあるわけです。その保険財政に与える影響というのはごくごくわずかですが、実際に起こってみると相当な金額に上ってしまうわけでありまして、モラルの問題で済む状況ではないのかなというふうな気もいたします。 ただ、患者さんとお医者さんとの信頼関係を本当にしっかりと築き上げていくという上でも実は今の診療報酬の点数の問題もいろいろあるのかなと、むしろ、逆に低く抑え過ぎているからいろんな問題も起こるのかなという印象を私自身は持っております。先ほど来次参考人からもお話のありました患者と医師しか実際の治療行為があったかどうかわからないというような本当に初歩的な基本的なところだけでもはっきりとさせていく必要があるんではないか。レセプトの内容と、それから患者さんが受領する例えば請求明細書とかあるいは領収明細書、こういったものをしっかりともらう。あるいはまた、一カ月なり二カ月、あるいはまた半年後かもしれませんが、医療通知が保険者の方から回ってくるという形でその突合ができるような形になれば、実際に懲罰規定を強化するよりもはるかに効果的なものになるのではないかなと、こんな感じが私自身はしております。 そういった意味で、大変恐縮ですが、河野参考人、そういう形での改善といったものは保険医団体としてはどういうふうにお考えになられるか御見解をお聞きして、私の質問を終わります。
○参考人(河野和夫君) 特に、医療費通知については非常に問題があります。つい最近わかったことで、京都府の職員の健康保険組合、これが医療費通知をやったところ、その医療費通知を組合が直接やるんではなしに外部委託して、その外部委託した業者がさらに下請に出してというようなことが行われまして、医療機関を取り違えで医療費通知が出された。そういうのが何件も出できたわけです。それで、患者さんは私の受けた治療内容あるいは点数と著しく違うということを訴え出まして、それが間違いであったということが表面化しました。このことについては厚生省にも非常に問題として我々は抗議申し入れ、改善方を申し入れしました。 確かに、不正を摘発する場合もありますけれども、逆に保険医と患者の間の要らぬ不信関係を助長するという問題があります。それから、個人のプライバシーの問題があります。個人のプライバシーが漏れるということが非常に問題だと思います。
○委員長(山本正和君) 河野参考人、時間が超過しておりますので、なるべく簡単にお願いいたします。
○参考人(河野和夫君) はい。
○都築譲君 終わります。 ありがとうございました。
○西川きよし君 本日は御苦労さまでございます。よろしくお願い申し上げます。私が最後になります。 まずは、河野先生にお伺いしたいと思います。 テーマとしてはむしろ午前中のテーマになるかもしれませんけれども、五月七日の朝日新聞に、在院日数短縮の診療報酬改定についてという解説記事がございまして、記事の中で先生が、「アメとムチで、退院を促進させようとしている」という記事を読ませていただきました。恐らく先生はいろいろなお話をなさった中でこの部分が新聞に載ったと思うんですけれども、この新聞を読ませていただきまして、きょうこうしてお会いできる機会がございましたものですから、先生に詳しい内容をお伺いしたいと思いまして、ぜひよろしくお願いいたします。
○参考人(河野和夫君) 診療報酬の上で、長期入院患者について、もうかなり前から入院日数が長引けば診療報酬が減ると。入院時医学管理科、これは入院患者についての医師の診察料みたいなものですけれども、これが逓減性がありまして、これが年々強化されてくると。 今回の改正の中では、百日を超えて入院した場合に、その患者についてはもう定額にしてしまうというような内容になってきまして、とにかく診療報酬の面で病院は長期入院患者を抱えると経営が苦しくなるような点数誘導がされておって、そのために、病院の方も入院期間が長くなると退院を強要せざるを得ないということで、いろいろ患者さんが困る例が出て問題になっていることはございます。
○西川きよし君 次に、末次理事長に、支払基金における審査の体制について私の方からもお伺いしたいわけです。 先日、当委員会におきまして、現在の審査体制で十分な審査が行われているんでしょうかということを高木局長さんにお伺いしたわけですけれども、現行の審査のあり方はもう限界に来ておりますと、点数表自体の簡素化、近代化、そういう審査体制に向けて今検討を行っているところであるというふうにお答えをいただいたわけです。 この点につきまして、理事長さんはどういうふうにお考えになっておられるのか、ぜひお伺いしたいなと思います。
○参考人(末次彬君) そういう御答弁があったということは私どもも承知いたしておりますが、私どもの立場といたしましては、現在与えられている条件下でベストを尽くすということをモットーとしております。 そういう意味で、先ほど来申し上げましたようないろんな合理化あるいは改革をしながら、より精度を向上させていきたいというふうに考えております。
○西川きよし君 一枚大体三秒から五秒というようなお話もございまして、大変でございますけれども、審査委員会のメンバーについてお伺いしたいんです。 厚生省にお伺いいたしますと、このレセプトの内容が専門的で医学的な知識が必要であるというふうにせんだっても御答弁をいただいたわけです。医師、歯科医師が参画することが適当と考えているということでございましたけれども、この点について、例えば調剤レセプトや看護レセプトがふえることを考えますと、薬剤師や看護婦の参画も必要ではないか。そういう方にも入ってやっていただきたいというふうに思うわけですけれども、この点について理事長さんはいかがでございましょうか。
○参考人(末次彬君) 私どもは、今現実に提出されておりますレセプトの実態、さらにその審査の内容に即して、どういうメンバーが一番ベストであるかということから今のような構成をとっておるわけでございます。 ただ、薬剤につきまして確かにレセプト数が増加しているという実態があるのも事実でございます。そういう意味からいいまして、平成八年五月から、一部の支部でございますが、調剤報酬専門役という形で薬剤師を配置したところでございまして、今後その状況を見ながら積極的に活用していきたいと、こういうふうに考えております。
○西川きよし君 ありがとうございました。 次に、もう一度河野先生にお伺いしたいと思うんですけれども、減額査定、これによる患者さんの一部負担の返還についてお伺いしたいと思うわけです。 先日、こちらの方も厚生省にお伺いいたしました。お答えでは、実務的に難しい問題で、厳密に実行するとなるとシステム的な検討がこれは必要だと。患者さんが一部負担を支払った後に減額査定がされた場合、患者さんへの返還という点について、医療機関のお立場からの御意見を本日お伺いしたいと思うんですけれども、こちらの方はいかがでございましょうか。
○参考人(河野和夫君) 今の御質問ですけれども、医療機関としての立場からいいますと、減点されてもそれは最終決定ではないと。また異議申請、異議申し立てをすることができるわけで、最終確定に至るまではやはりこれは請求する側に権利があるというふうに考えております。先ほど言いましたように、実態に合わない例の減点という問題もありますから、この分まで査定減点を受けたのを、さらに患者さんに負担金を返すということはやはり大変抵抗があります。
○西川きよし君 終わります。 ありがとうございました。
○委員長(山本正和君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十九分散会 ―――――・―――――