行財政改革・税制等に関する特別委員会 第6号
- 発言数
- 121 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/05/28
会議録
○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。 財政構造改革の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。 本日は、四案の審査に関し、参考人の方々から御意見を承ることとしております。 参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様の忌憚のない御意見を承り、四法律案の審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。 それでは、まず富田参考人からお願いいたします。
○参考人(富田俊基君) 御指名をいただきました野村総合研究所の富田俊基でございます。 国と地方の借金残高が国内総生産を超えるという事態を迎えた我が国経済と財政運営のあり方について、意見を申し述べさせていただきます。 昨年来に銀行と証券会社が相次いで破綻し、アジアの国々で通貨・経済危機が深刻化いたしました。戦後の我が国が経験したことのなかった悪条件が内外で重なって起こったため、ビジネスマインドは萎縮し、個人消費も落ち込みました。これに対処しようとするために、財政構造改革法が改正され、十六兆円の景気対策が発動されようとしております。 だが、こうした伝統的な景気対策は今回でもう打ちどめにしなければならないと思います。冷戦後に世界レベルで進行している産業構造の歴史的な大変化に我が国も積極的に対応を進めねばならないからであります。そして、政府の債務残高が本年度当初予算の段階でGDPを上回るという新しい事態を迎えたからであります。 合計四兆円の特別減税では不十分なので、レーガンの大規模減税に倣ってそれを恒久化すべきだという主張が散見されます。しかし、八一年のレーガン大規模減税によって財政赤字が巨額になり、金利が高騰し、八〇年代のアメリカ産業界が大きな打撃をこうむったことを忘れてはなりません。 この反省から、第二期レーガン政権は八六年に課税ベースを広げ、所得税と法人税の最高税率を引き下げるという税収中立の税制改正を行いました。だが、八一年大規模減税のもたらした負の遺産は極めて大きく、九〇年にブッシュ大統領が、そして九三年にクリントン大統領がそれぞれ増税を行わざるを得なくなりました。この八一年のレーガン減税の教訓は、減税がもたらす税収増は減税規模にはるかに及ばないこと、このためにやがて増税が必要になるということであります。 現在のアメリカの好景気は、レーガン減税がもたらしたものでは全くありません。企業の事業再構築と情報通信技術の積極活用、そしてそれらを容易にしたカーター政権から今日に至るまで継続しております息の長い規制緩和によるものであります。企業は大胆なリストラクチャリングを実施し、労働インセンティブを高めながら雇用コストを抑制いたしました。そして、柔軟な労働市場が産業構造の転換を円滑にしたのであります。 我が国の財政構造改革法もアメリカに倣って弾力化すべきであるということになりました。確かに、アメリカのOBRAには、戦争と低成長の場合、歳出拡大や減税でキャップを超えても一律削減は行わないという弾力条項があります。だが、アメリカでは弾力条項を発動したことはありません。 OBRAの歳出一律削減の停止要件は、二四半期連続して見通しがマイナスあるいは実績が一%未満の成長の場合です。この停止要件を満たすという報告が九〇年十一月のOBRA導入時点から九一年七-九月までの間に三回行われました。しかし、三回とも財政健全化が優先されるべきだとして、上院で圧倒的多数で否決されました。また、下院では一度も採決が行われておりません。弾力条項は発動されなかったのであります。アメリカに見習うべきはこの点にあると私は思います。 ヨーロッパ通貨統合の参加国にも、財政赤字をGDP比で三%以下にするという基準があります。それを守らないと制裁を受けます。制裁が免除されますのは、その年の実質経済成長率がマイナス二%以下という厳しい弾力条項であります。 こうした欧米主要国に照らして考えますと、今後我が国で経済成長率がプラス一%未満が半年続いた、あるいは続きそうだということで安易に弾力条項を発動するとなると、日本はGDPまでPKOする国なのかと、市場経済の基本原則まで問われることになりはしないだろうか。さらに、景気が少しでも後退すれば政府が公共投資や減税を行ってくれるということでは、国民、企業の行政依存心を助長し、古い産業構造が温存され、我が国経済は活力を本当に失ってしまうことになりかねません。 既に、国と地方の債務残高は一〇〇%を超えました。政府債務が高い水準で国債を増発すると予期せざる現象が発生することがあります。景気対策が将来に対するコンフィデンスを悪化させ、逆に景気後退を深刻化させるという危険な現象が発生することが知られております。これは非ケインズ効果、ノンケインジアン・エフェクトとして知られております。九一年から九四年のスウェーデンでは、減税によって逆に景気後退が深刻化しました。八九年から九三年のイタリアでは、歳出拡大が持続的に行われたことで九三年に深刻な景気後退に見舞われました。 政府債務が巨額に達しているのに、国債を増発して恒久的な減税をすると、きょうの減税はあすの悪いニュースだという予想が国民の間に広がります。国債の負担が将来世代にではなく、みずからに増税として降りかかってくることを国民が悟るようになります。つまり、最後の審判の日が近づいたと感じる。このために、消費が抑制されるという非ケインズ効果があらわれることになります。 逆に、持続的な歳出削減を行うと景気拡大につながる可能性があります。政府の債務残高対GDP比が上昇から下降に転じ、その持続性が確信されますと、将来増税されるであろうという国民の不安感が軽減されるためと考えられます。八三年から八六年のデンマーク、そして八七年から八九年のアイルランドがこの事例であります。 日本には巨額の貯蓄があるから、まだまだ国債を発行しても大丈夫だという主張があります。しかし、貯蓄は個人の私有財産であって、国債の償還財源ではありません。国債は我々が自分から借金をするという不思議な政策手段であります。しかし、その本質は将来の税負担の現在価値であるということであります。国債の負債としての側面を無視して、国債の増発と減税は歓迎などというのは、国という共同体を忘れた身勝手で無責任きわまりない主張というふうに私は思います。 今後の我が国の経済・財政運営は、政府債務が先進国ではまれに見る高水準に達したことを踏まえたものでなければなりません。右肩上がりやバブルの時代が終わったのであるから、規制緩和と構造政策によって民間経済の持てるダイナミズムを最大限に引き出し、持続可能な成長を促進していくことが必要であります。 九二年から九五年までと同様に、景気が後退したからといっては安易にカンフル的景気対策を累次にわたって繰り返し、将来の税負担をふやすことは今後はできないと考えられます。将来の国民負担率を五〇%以下に抑えるという財政構造改革法の根本を遵守し、粛々と財政の健全化を進めるべきであります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。 次に、芹生参考人にお願いいたします。
○参考人(芹生琢也君) 連合で経済・産業政策を担当している芹生と申します。 本日は、当委員会において私たちの意見を述べる機会を与えていただきましてありがとうございます。経済対策のあり方を中心にいたしまして連合の見解を申させていただきたいと思います。 まず、今日の日本経済の現状でございますが、今デフレスパイラルの危機に直面しているということで、戦後最悪の不況だということはそれぞれ専門的な機関からも指摘されているとおりであります。そうした中で、雇用情勢、この三月の完全失業率は三・九%と統計史上最悪を記録しておりまして、有効求人倍率も〇・五八%、職を求める人二人について職にありつける人はほぼ一人といった状態が続いております。今有効な対策が打たれなければ、我が国においても大失業時代を招来しかねないという懸念があります。 こうした深刻な不況を一日も早く打開し、雇用と国民生活の安定を図ることこそ今日の政治の最優先課題であるということを強調いたしたいというふうに思います。 そしてもう一点、私が申したいのは、この不況の引き金を引いたのはほかならぬ政府であったということでございます。 一年前の九七年度の予算では、財政構造改革元年と銘打ちまして、消費税率の引き上げあるいは特別減税の停止、医療負担増など九兆円に及ぶ国民負担増が行われました。その結果、個人消費が停滞し、さらに昨年秋以降、金融不安の高まりで景気が急速に失速する中で、昨年秋の臨時国会では財政構造改革法というのが成立いたしました。そのもとで、九八年度の予算というのはこれまた超緊縮で編成され、そして今国会で成立したところであります。 確かに、今回の不況というのはいろいろな要因が重なっておりますけれども、景気に対する判断を誤り、デフレ政策をとった政府の政策の失敗というのをその大きな要因に挙げるべきではないかというふうに思います。その意味で、まさしく政策不況であると言うべきだというふうに考えます。 政府も、九八年度予算が成立した後で、ことしの四月二十四日、総合経済対策を発表いたしました。この総合経済対策は、総事業費十六兆円超ということで過去最大の規模の対策となっております。しかし、これで十分なのか、この深刻な消費不況と高失業を打開できるのかというふうに問いますと、この経済対策の内容では残念ながら不十分と言わざるを得ないというふうに思います。 景気を回復させるためには、GDPの約六割を占める個人消費の回復が不可欠であります。そのために最も有効な政策というのは所得減税であろうというふうに思います。今回、二兆円の特別減税が追加実施され、さらに来年度も二兆円の特別減税が実施をされるということでありますけれども、一時的な特別減税では消費刺激効果というのは限られたものにとどまらざるを得ないというふうに思います。こうした特別減税の小出しではなく、恒久的な制度減税として減税は実施されるべきであろうというふうに考えます。 公共事業につきましても、二十一世紀につながる生活、環境、福祉基盤の拡充あるいは高度情報社会に向けた新社会資本の整備にシフトすべきであろうというふうに私たちは考えております。今回の景気対策として行われる公共事業が果たしてこのようなものになっておるかどうか、参議院選挙を控えて従来型のばらまきとなっていないかどうか検証する必要があろうかというふうに考えております。 このような政府の経済対策に対しまして、私たち連合としては、雇用と生活安定のために以下のような経済対策を実行すべきであるというふうに考えております。 まず第一には、先ほどからも申しております所得減税の制度化を中心にしまして、政策減税、投資減税を含めて総額六兆円規模の減税というのが実施されるべきであるというふうに考えております。あわせて、可処分所得や消費支出の落ち込みが顕著な子育て世帯あるいは高齢者に対する施策として、児童手当あるいはシルバー手当の支給というものが行われるべきであろうというふうに考えます。 さらに、私たち労働組合の立場から特に強調いたしたいのは緊急雇用対策の実施であります。特に、当面は五十万人規模の雇用創出を目指した緊急雇用対策が実施されるべきであろうというふうに考えます。 新しい雇用創出が期待できる分野としては、私たちは住宅あるいは情報通信、環境、福祉・医療といった分野を挙げているところですが、連合と日経連が共同して、こうした分野における新規事業あるいは新規雇用の創出対策というのを政府に求めているところであります。特に、福祉につきましては、新ゴールドプランの前倒し実施、さらにはスーパーゴールドプランというものを策定して介護マンパワーを確保するといった面の充実を図り、この面における雇用創出というものを図るべきであろうというふうに考えます。 あわせて、新規雇い入れに対する助成策として特定求職者雇用開発助成金について、これは今回の総合経済対策の中でも年齢を四十五歳に引き下げるというふうになっておりますけれども、この年齢制限を外し、あるいは助成率についても思い切って引き上げるといった措置が必要であろうというふうに思います。 そのほか、雇用調整助成金制度の拡大あるいは労働者個人を対象とした教育訓練の給付金制度の拡充、さらには地域雇用対策の強化といった対策というのが直ちに実行されるべきであろうというふうに考えます。 私が強調したいのは、雇用と福祉に対する先行きの不安といったことが現在の国民の消費マインドを萎縮させているということであります。したがって、経済対策の基本は、雇用の安定と福祉の再構築を中心とする国民の暮らしの安定に置くべきだというふうに考えます。 財政構造改革法の見直し問題ともこれは関連いたしますけれども、医療や年金に関するこの間の政府の政策あるいは政府首脳の言動というものを見ておりますと、社会保障に対する国民の不安をかき立て、先行きに対する不安から国民を自己防衛に向かわせ、消費を一層萎縮させる方向に働いているというふうに言わざるを得ません。 私たちは、政府に対して、今後の少子・高齢社会のもとで国民が安心できる安定的な福祉、社会保障の全体像を示す二十一世紀福祉ビジョンというものを策定し、そのもとで負担と給付のあり方を検討するということを求めております。 財政再建の必要から、毎年の社会保障費にキャップをかけるというのは転倒したあり方であろうというふうに考えます。二十一世紀福祉ビジョンのもとで必要となる社会保障費を確保するために歳出構造をどう変えていくか、そうした政策の優先順位を明らかにして、限られた財源を必要なところにシフトさせていくというのが本来の財政構造改革のあり方ではないかというふうに考えます。 財政構造改革法について、私たちは従来から、第一に、この財政構造改革法の内容は、歳出の量的削減に傾斜して政策の優先順位に基づく歳出構造の改革とはなっていない、つまり構造改革の名に値しないということ。また、財政再建の基盤は経済成長なしにはあり得ません。中期的に持続する経済成長なしには財政再建というものは成功したためしがありません。そして、今の状況のもとで歳出削減を行うということは、不況を深刻化することになり、かえって財政再建を失敗に終わらせるということになるのではないかといった点を指摘してまいりました。 今回の財政構造改革法の改正案を見ますと、まず第一に、経済情勢において特例公債の発行枠を弾力化する、そういう弾力化を可能とするといった措置、さらには財政健全化目標を二〇〇三年から二〇〇五年へ二年間延長する、さらには来年度当初予算において社会保障費のキャップを緩和するといったことが内容になっておりますけれども、いかにも中途半端であるというふうに言わざるを得ません。政府の改正案では恐らく制度減税には対応できないということは明らかであります。 したがって、私たちは、財政構造改革法については、景気回復が確実となるまで、当面二年程度全面的にこれを凍結した上で、二十一世紀の少子・高齢社会に対応した財政構造とするために抜本的な修正というのを行うべきであろうというふうに考えます。 いずれにしても、今日の深刻な不況を一日も早く打開し、雇用と国民生活の安定を図るためにどうか立派な政策をお願いしたいということを指摘しまして、私の意見表明を終わらせていただきたいと思います。 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。 次に、高木参考人にお願いいたします。
○参考人(高木勝君) 私は富士総合研究所の客員理事及び明治大学の政治経済学部の教授として日々経済あるいは金融状況をフォローしている者でございます。 本日は、参考人といたしまして当特別委員会にお招きをいただきましたことにつきまして、まことに光栄に存じております。これからいろいろ私なりの意見を発表させていただきますが、十分間ということでもございますので、論点を絞った上でポイントのところをお話しさせていただきたいと思っております。 第一は、現在御審議中の財政構造改革の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、この中で特に気になる点あるいは申し上げたい点を申し上げてまいります。 まず、景気の認識でありますけれども、九七年の春、既に景気がピークを打ってその後は景気後退局面にある、しかも昨年の十一月ぐらいからはそれに金融システムの混乱あるいは金融機関の破綻という事例が起きて、一段と景気の状況を悪化させて今日に至っているのではないかというのが私の見方であります。 そういった点で今回改正する法律案を考えますと、既に景気が後退をしてから一年以上たってようやく法律を改正して弾力的に財政運営をしていこうということですが、残念ながら余りにも遅かったのではないか、景気の実態とは大分タイム的にギャップがあったというふうに私は思っております。 いろいろと理由はあると思いますが、このような政策転換の大きなおくれ、その一つはやはり政府が財政構造改革あるいは財政再建にどうもこだわり過ぎたのではないかと力いつまでもこれに足を引っ張られた結果、景気の方は冒頭申しましたように日に日に悪くなっていたんですけれども、対応がおくれてしまったのではないか、このように認識をしております。 今申しましたように、今回の景気は相当厳しく、デフレ的な色彩も非常に強まっているわけでありますが、やっぱり景気認識の誤り、そしてその後の気がついたときのおくれ、これがかなり大きな問題になって、結果的にはこういった法律の改正もおくれたのではないか、かように認識しております。 今回の景気がなぜ悪くなったかというそもそもの議論でありますけれども、金融機関が破綻したりあるいはアジアの通貨が混乱したことが原因ではないと思います。とかくこのように言う見方もございますけれども、やはり昨年度の初めからなされた財政デフレ四点セット、これは私が勝手に自分でつくっている言葉でございますが、いわゆる消費税の三%から五%への引き上げ、あるいは特別減税の打ち切り、そしてまた医療費の自己負担の増大あるいは一部社会保険料の負担の増大、もう一点は公共投資を縮減したと、九七年度の話でありますが、こういった四つの財政デフレの結果、起こるべくして景気は悪くなったのではないか。そういう意味では、文字どおり政策によってもたらされた不況というふうに言わざるを得ないと私は考えております。本来なら避けられた不況ではないか、人為的に引き起こされた不況だろう、このように現状をとらえております。こういった点にまず判断の誤りが一つあったと思います。 それから二番目には、そういう中で政府の景気認識は、昨年の後半まで緩やかな回復ということを言い続けてきました。月例経済報告を見ても、いつまでも回復という一文字がとれなかった。ようやくここへ来て厳しいとなっておりますが、こういったそもそもの現状認識の誤りとそのおくれというのが結果的には景気をここまで悪くしたわけですし、またその政策対応も今言いましたように一年以上もおくれてしまった最大の要因ではないか、かように考えております。 さて、中身の問題でありますけれども、今回の総合経済対策でいわゆる所得税、住民税の減税規模を四兆円にするというのが既に発表されておりますけれども、実態的には私は新たな追加の減税規模というのは二兆円にすぎないのではないかと考えております。残る二兆円は来年の早い段階で実施されるということですが、そもそも来年の話でもありますし、ことし二月に行われた特別減税二兆円の単なる継続にすぎないのではないか。となりますと、経済的な効果という点では、来年の分についてはプラマイゼロでありまして、景気浮揚、個人消費を引き上げるという意味では、これから行われます二兆円がすべてではないか。既にこの二月に二兆円をやっておりますけれども、これからという点では二兆円にすぎないのではないか、このように思っております。 それからもう一点は、そういう意味では金額が非常に少ないということでございますし、二番目の問題点は、特別減税という形で相変わらず実行しようという点でございます。特別減税ということは、いずれ打ち切りになる。その時点では増税になることと等しいわけですから、どうしても消費に与えるプラスの刺激効果というのは低下してしまう、こういう問題が残っているのではないか。したがって、私は金額も少なかったと思うし、それから同時に特別減税ではなくてやはり恒久減税、制度減税にすべきではなかったかというふうに思います。 このような視点に立ちますと、結局は弾力条項だけでは不十分でありまして、そういう意味では、今回は一部改正ということになっておりますけれども、抜本的にいずれ見直さないといけない時期が来るのではないか。今回の総合経済対策でも、所得税全体を制度的に見直すという文言も入っております。ということは、いずれ恒久減税という話になると思うんですが、こうなれば、二〇〇三年度から二〇〇五年度に財政目標の時限を二年延長したところで、結局はそれはまた果たせない話になるのではないか。 いずれにしても、今回は仮にこの一部改正で可決、成立したとしても、早晩また財政構造改革法の抜本的見直しが必要になってくるのではないか、このように考えている次第であります。 もう一点は、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案であります。 私はこの面で申し上げたい点は、現在は公共投資を追加するよりもやはり個人の所得税減税を第一に考えるべきではないかというのが基本的な見方であります。公共投資を追加するというのももちろん経済にはプラスの効果がございますけれども、あくまでも関連する業界にとどまる。かつてのように、それが一定の時間を置いて日本経済全体にプラスの効果が波及するというのであれば結構なんですが、どうも九〇年代以降の公共投資の追加による効果を見ますと、非常に一時的なものにとどまっておりますし、そのプラスの範囲も非常に限定的なものにとどまっておるということが言えるのではないかと思います。 一方、減税の方につきましては、納税者に対して全員プラスのメリットが及ぶということで非常に幅広いわけですし、同時に現在の不況はある意味で消費不況でもあるわけであります。そういった面では、とにかく消費を持ち上げていく、回復させるというのが第一ですから、やはり減税を中心に考えるべきではないかというふうに思っております。 このような考え方に対して、公共投資の方が経済効果は大きいんだ、減税はほとんどが貯蓄に回って効果が余りないという意見があることは重々承知しております。確かに実施の初年度においては減税というものの四割から五割は貯蓄に回るのは過去の経験則で示されているわけでありますが、問題は次年度以降にも減税の効果というのが残るという点であります。ところが、公共投資の方は財源を使い果たしますと一応その限りでプラスの効果は消えるということでありまして、初年度だけをとって公共事業の方が効果があるんだというのは必ずしも適切な分析ではないんじゃないか、このように思っております。 それからもう一点は、小さな政府というのを中長期的には我々日本は目指さなきゃいけないわけですが、そういった点からも減税というのは小さ唐政府に向けた第一歩ではないか。減税をするということは歳入を減らすわけですが、そのことが結果的にはその後の歳出削減へのプレッシャーになるというのも間違いないと思います。ところが、公共事業の追加というのはまさに歳出の増加であって、これは大きな政府をさらに進めるということでもあるわけで、中長期的な視点からいっても減税主体で対策は考えるべきではないか、私はこのように考えております。 そういった中で、減税については、先ほどもちょっと触れましたように、新たな減税の規模二兆円というのは不足であります。新たな追加としてやはり五兆円程度はやるべきではないかというのが第一点であります。 二番目は、扱い方でありますが、特別減税ではなくて恒久減税を展望すべきではないか。必ずそのときには財源が必要になりますが、直ちに消費税を引き上げるといった短絡的な意見ではなくて、歳出の徹底的な見直しがなされていないのではないかというのを常々感じております。 九八年度予算でもいろいろ努力したということでありますが、歳出総額は前年対比ふえてい各ということで、果たして抜本的な切り込みがなされているかどうか甚だ疑問であります。徹底的な歳出削減というのがまず第一であって、そしてどうしても足らないときには間接税あるいは消費税の引き上げ等を考えていくというのが順序ではないかと思います。 それからもう一点は、せっかく減税をやるんですが、支給方法にも一工夫が必要ではないかと思います。前回、二月に行われたものというのは基本的には給料振り込みでありますから、結局は預金通帳の残高がふえているだけであります。したがって、それをおろさないということであれば結局は貯蓄に回るわけです。 減税をやるに際しては、商品券というのも一つのアイデアではありますが、なかなか難しい面もあるようであります。少なくともこの減税の分については現金支給をしたらどうか。昔は給料は全部現金袋に入っていたわけですが、いわゆる現金で支給をする。そうなると、またそれを金融機関に持っていって預金する人というのは余りいないんじゃないか。額が多ければ別でありますが、今回の一人当たりあるいは一世帯当たりの支給額から見ると、結局それは消費に使うのではないかということで、減税の具体的な支給方法にも一工夫あっていいのではないか、このように考えております。 私からは以上でございます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○三浦一水君 自由民主党の三浦一水でございます。 参考人の皆様方には、本当にお忙しい中、きょうは駆けつけていただきまして、また貴重な御意見を賜りまして、心からお礼を申し上げたいと思います。 今回、財革法の改正と所得税減税の法案、私はこの二点について三人の参考人の皆様方に御質問をしたいと思うわけでございます。 きょうの赤字はあすの増税ということで、私はこの財政改革というものは基本的に避けて通れないという認識であります。それがまた我々の世代の責任であるという思いを持ちながら、昨年来、この改革法案に取り組みをしたところでございます。 残念ながら、予測をはるかに上回るというと予測は甘かったと言わざるを得ないわけでございますけれども、大変な景気不況の中でこのような緊急避難的な取り組みをしなければならない。したがって、総合経済対策をかつてない規模で打っていかなければならないという状況につきましては若干の残念な思いも持つわけでございますが、そのような中で、きょうは三人の先生方の御意見を伺ってまいりたいと思います。 まず、富田先生にお尋ねをしたいと思うんですが、総合経済対策の評価という点についてでありますけれども、今回の総合経済対策につきましては、いわゆる国内経済の立て直しという面だけではなくして、アジアまでを見通したその支援策も盛り込んだものであると私は理解をしているわけでございます。広くアジアの景気回復に努力をしていくというのは我が国の一つの責務ではなかろうかと考えておるわけでございますが、その意味におきましても、補正予算とともに、この裏づけとしての財革関連法案、この一刻も早い成立が私は必要だと考えております。 富田先生は、政府が発表した総合経済対策をどのように評価なさっており、またアジア経済の回復にどのような貢献を具体的に果たすことができるか、その点につきまして参考人としての御意見を賜りたいと思います。
○参考人(富田俊基君) この十六兆円の景気対策の効果という先生の御質問でございますが、効果の尺度をどこに持つかということが非常に重要かと思います。 成長率は高ければ高いほどいいんだということでいきますと、それなりの効果を、つまり成長率を高める、数字を高めるという効果はあると思います。しかしながら、非常に重要な点は、世界で起こっております産業構造の変化に対して我が国の産業が供給サイドから適応力を持つということが大きな課題でありますので、それに対してどういう効果があるかということについては私はいささか消極的に評価せざるを得ないかと思います。成長率の押し上げ効果という点では、乗数効果で試算すれば成長率は二%程度高まるというのは、さまざまなモデルでそういう試算が可能かと思われます。 また、先生お尋ねのアジア経済回復への貢献ということでございますが、アジア各国は非常に大きく通貨が切り下がっておりましてその影響も出てまいりまして、アジアからの輸入は、アジアから見れば日本が円高になっているわけでございまして、この三月、四月、かなり回復の兆しが見られます。昨年、非常にアジアからの輸入が落ち込んで、このこともアジア各国の経済を悪化させる一因になったということが言えようかと思うんですけれども、年が明けて三月、四月とアジアからの輸入は、アジア通貨の下落ということを反映いたしましてふえてきているということで、こうした景気対策による需要面での効果よりも価格によります調整といったことが大きな効果を持っているんではないかというふうに存じます。
○三浦一水君 次に、富田先生、芹生先生、高木先生、それぞれにお尋ねをしたいと思うんですが、景気対策と財革の整合性についてであります。 我が国の経済の悪化といいますのは、大企業においてはもちろんであります。山一証券、北海道拓殖銀行、例を挙げるにいとまはないという感じがするわけでございます。同時に、こうした大企業だけじゃなくして、私の地元でございます熊本県も実に中小零細企業が多いわけでございますが、このようなところの悩み、うめきというものは相当ひどいものがある。それはもう三人の先生方もよく御存じのところかと考えております。このまま中央経済におきましても経済の悪化が続いていくならば、大変その状態に憂慮をするところでございます。 今回の経済対策は、先ほど申しましたように、史上最大規模の十六兆円ということでございますけれども、これは政府及び我々自由民主党としましても景気回復に対して強い決意で臨みたい、そのようなあらわれだとお受けとめをいただければと思うところでございます。 しかしながら、今回の財革法の改正におきましては、あくまでも我々は緊急避難的な措置であるという認識を持っておりますし、財政改革の必要性は、先ほど申しましたように、変わるものではないというふうに考えております。また、政府もこのような答弁の中に見解を述べられているわけでございます。 しかるに、経済対策と財政構造改革につきましては、先ほど来先生方の所見の中にもありましたように、相反する面も多々あるのかという思いがいたします。 そのような状況の中で、参考人の皆様方に改めてこの景気回復とそれから財政構造改革の整合性について、あるいはそれをどう図るべきか、それぞれの御意見を賜りたいと思います。
○参考人(富田俊基君) 景気回復と財政再建の整合性という非常に重要な問題についての先生の御質問でございますが、時間軸で考えるということが一つの考え方であろうかと思います。 現在、戦前にはよく起こっていたわけですけれども、戦後には経験したことのないことが去年起こったということで、一時異例ということで財政再建のテンポを緩めるということをとったわけでして、短期的にはこういう措置でありますが、長期的に考えますと、基本的にはより重要な問題がある。それは今の人口予測でありますと、二〇〇七年から我が国の人口が減少する、そしてよく言われますように急速に高齢化する。そういう中で、果たして社会保障でありますとかさまざまな国の制度が、維持可能な形で現在設計されたものになっているかということをやはり問わねばなりません。 そういう意味におきまして、私は、今回全くの一時異例の対応でありまして、やはり基本的にはそうした我が国におきます長期的な維持可能な社会保障制度を中心といたします諸制度をどう構築していくか、それと財政健全化ということがやはり表裏一体の問題としてあるというふうに認識しております。 政府が、景気が悪くなったら対策をやれば景気はよくなるのだというものでは決してないというふうに私は思います。言葉をかえますと、景気が悪くなって、企業家、経営者が古い事業を整理し、新しい事業の準備をしなければ景気は回復しないわけであります。つまり、構造が変わらないまま事業を拡大いたしましても、それは新しい景気の拡大をもたらさないということであります。そうした民間の持てるダイナミズムということを前提にして、またそれを引き出すように規制緩和を促進する。 そういう意味におきまして、先生御指摘の景気回復と財政再建ということは、我が国の方向として、財政健全化と規制緩和を両軸として活力ある社会を建設することが極めて重要だというふうに考えます。
○参考人(芹生琢也君) 景気対策と財政構造改革の整合性ということですけれども、まず私たちも、財政構造改革というのは二十一世紀の少子・高齢社会に向けまして中長期的に非常に重要な課題だというふうに認識をいたしております。 しかし、そのための経済的な基盤というのは、先ほども申しましたように、ある程度の持続的な経済成長というのが不可避ではないかというふうに考えております。アメリカあるいはイギリス等で財政状態が好転したということですけれども、それもやはり経済の好調さというのがその条件になっていたというふうに理解をいたしております。 もう一点、財政構造改革法の最も重要な側面というのは、そうした財政赤字の量という問題というよりは、むしろ政策の優先順位を見直して歳出構造をどう変えるかということにあろうかというふうに考えております。その点からいえば、社会保障を今後の重要な政策の中心目標にするということ、それから公共事業についてもその事業内容と仕組みにメスを入れるということこそが重要ではないかというのを考え方として我々は持っております。 以上です。
○参考人(高木勝君) お答えいたします。 財政再建の必要性あるいは財政の構造改革の必要性というのは、これは当然であります。中長期的に、この大変厳しい状況を一刻も早く直していくというのは極めて重要であります。しかし、当面という点で言えば、景気がここまで悪化している以上は、まず景気を回復させるというのが優先順位としては先だろう。 したがって、必ずしも両者は矛盾することではなくて、中長期的には財政構造改革を思い切って進める。しかし、短期的には景気の悪さというのを受けて、まずは景気をよくするということでよろしいのではないか。必ずしも両者は矛盾するものではなく、時間軸の違いで整理できるんではないか、このように思っております。 それからもう一点、現状について言えば、経済あっての財政再建であって、財政再建あっての経済ではないと。本末転倒の議論が時々ございますけれども、これはやはり短期的にはまず経済をよくする、経済を安定した状況に持っていくというのが先であって、今の時期において財政構造改革、財政再建というのは全く逆の考え方ではないか、このように考えております。 以上でございます。
○三浦一水君 ありがとうございました。 ところで、富田先生にお尋ねをしたいわけですが、先生の先般、五月二十五日の「金融財政」という雑誌の中で書かれました論文でありますけれども、今回の財軍法改正案のいわゆる弾力条項につきましては、その基準が甘いといったような御趣旨で御意見を述べておられました。 富田先生は、それでは我が国の財政構造改革については具体的にどのようにすればいいとお考えなのか、あるいはまた財革法に対する弾力条項は具体的にどのようにすればいいというお考えなのか、この二点、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(富田俊基君) この改正案におきましては、成長率でいえば実績で一%未満、あるいは先行指標となります三つの重要な経済指標で見て、それに相当するような景気の状態が非常に悪いという判断でございます。 しかしながら、この前期比年率一%という基準を私が甘いと考えますのは、これまでは非常に高い右肩上がりの成長であった、またその末期にはバブルというものがあって非常に高い成長率であったわけでございます。 八〇年代を振り返ってみますと、我が国の持てる潜在成長率は四%程度でございました。しかし、冷戦が終えんいたしまして世界レベルで大きく産業構造は変わる、中国等が安価で豊富な労働力で世界市場に参入したわけでございまして、大きく産業構造が変わる。そういう中で、我が国の持てる潜在成長力も二%弱のところにまで低下してきております。加えて、生産年齢人口の低下でございます。そうした持てる力が二%なのに、一%未満というのはいかにも甘い。 もし、これを厳密にといいますか安易に一%未満になったらすぐに景気対策をやるんだということをやっておりますと、これは崩壊してしまった計画経済みたいな感じを恐らくは先進工業国は持つんではないか。また、民間企業、国民におきましては、景気が悪くなった方がいい、どんどん減税してくれるんじゃないか、公共事業をやってくれるんじゃないかということで、国全体のモラルがめちゃくちゃになりまして、かつてのソビエトのように崩壊してしまう危険すらある。 そういう意味におきまして、アメリカにおいて、弾力条項があってもそれを議会で冷静、厳密に判断いたしまして発動することはなかったということは極めて重要だと私は思います。また、欧州におきましては、制裁が解除されるのはマイナス二%成長未満という非常に厳しいいわば弾力条項であるというふうに考えます。 以上でございます。
○三浦一水君 ありがとうございました。 重ねて富田先生にお尋ねをしたいと思うんですが、地方の財政問題についてちょっと御所見をいただきたいと思います。 財軍法では地方財政の健全化も定めているところでございますが、その一方で、今回の総合経済対策の中で地方の単独事業につきましては一兆五千億を地方に対して要請しているという状況があるわけであります。財革法が成立する際、我々参議院としましては、政府に対しまして地方公共団体の自主的かつ自立的な財政運営が可能となる環境の整備に努めるよう附帯決議をしたところでございます。 現在、地方自治体は国以上に財政的に苦しいと言えるのではないかと思います。このような地方自治体に対しまして国が財政出動を要請することに対していささか疑問も持つわけでございます。 富田先生、あるいはほかの先生もお考えがあれば、この点につきまして、国と地方自治体の財政分担について御意見を賜りたいと思います。
○参考人(富田俊基君) これは私の理解でありますが、今回の判断が戦後国民が経験したことのない事態だということ、そして国民生活に及ぼす影響が極めて重大だというふうな判断があって、国だけではなしに地方にもそういう要請があったのだという解釈ができるかと思います。 しかしながら、基本的には、やはり地方におきます地方債の累増、そのことが利払い費の増加をもたらして将来の地方住民の生活を圧迫する可能性というのが当然あるわけでございまして、まさに私、先生がおっしゃられました御指摘に同意させていただきます。
○三浦一水君 ありがとうございます。 芹生参考人、この点、御意見ございますか。
○参考人(芹生琢也君) 確かに、今回の総合経済対策の中で公共事業、特に地方単独事業についての一・五兆円というのは政府からの要請ということでありまして、これが果たしてそのとおり実行できるかどうかというのは甚だ疑問のあるところであります。特に、地方の財政状況というのは今、先生がおっしゃったとおりの状況であろうかというふうに思います。 私たちは、国と地方の財政のあり方については、これは現在進んでおります地方分権推進委員会での議論、この中でも特に財政構造の分権化も含めて十分見直すべきであろうというふうに考えておりまして、したがって、そうした基本的な構造的な改革というのを目指すというのが基本的なあり方であろうと思います。 そういう点で、確かに地方においても経済対策というのは努力すべきでありましょうが、それを許す財政事情というものであるかどうかという点については極めて憂慮しているところでございます。 以上です。
○三浦一水君 貴重な意見、ありがとうございました。 次に、所得税の減税についてお尋ねをしていきたいと思います。 今回の所得税改正法案におきましては、夫婦と子供二人の標準世帯で七万二千五百円という減税額を考えておるわけでございますが、これは定額方式であります。国民の中には、中高年齢所得者ほど消費が落ち込んでいる、したがって定額方式よりも定率方式による方が景気刺激策になるんではないかという考え方もあるようでございますが、この点、富田先生はどうお考えになりますでしょうか。
○参考人(富田俊基君) 景気対策の効果として定額がいいのか定率がいいのかというのは私にはよくわかりません。 減税というのは、国民もなかなか長い視点で自分の生活を考えるようになっておりますので、いずれどこかで増税があるんではないかというふうに考えますので、いわゆる乗数効果というのは非常に低いものになってしまいます。 しかし、定額というのは、所得税を払わない方の数を著しくふやす。それの意味することは、我が国の民主主義にとっても極めて重要な危険な状況をもたらすんではないかと思うんです。やはり税を支払うというのは政治参加の必要要件、基本要件であるわけでございます。 そういう意味におきまして、一時異例の対策ということで定額になったんでしょうけれども、やはり基本的には定額、定率ということよりも税制全体のあり方を、税収中立の前提で税制改正を検討していくというのが基本であろうというふうに存じます。
○三浦一水君 最後に一点。 時間の関係もありますので、富田、芹生参考人に端的に、減税は効果として是か否かということについて所見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○参考人(富田俊基君) 減税は将来の増税につながるという予想がだんだん高まってまいりますので、これは否定的に考えねばなりません。 したがいまして、税による経済の活性化を図るということであれば、税収中立を前提にして課税ベースを広げ、そして限界税率を低めるということが基本的な方向であると存じます。
○参考人(芹生琢也君) 現在の不況の性格、特に消費不況の現況を考えますと、選択すべき政策という意味では減税、特に所得減税というのが一番有効であり、またこの間の国民生活の改善に資するものであろうというふうに考えます。
○三浦一水君 ありがとうございました。
○石田美栄君 民主党の石田美栄でございます。 ただいま三人の参考人の皆様には、経済対策あるいは財政再建を軸に、日本の将来をいろいろ心配し、国の将来展望を描く上でどうかという理論を展開なさいました。それぞれに御専門の長いそういう研究の立場で、私はそれに対等に議論をというようなことはとてもできないんですが、いずれにしましても、こうした将来を考えるときに、バブルの後遺症を引きずる中で、これからの日本全体の少子・高齢化、人口構造が高齢化する将来にどう対応するかということが非常に重要であるわけです。 その中で、私は、国会議員になってまだ五年で、それ以前は女性学という分野の研究者でございました。岡山の出身なのですが、岡山といったような地方でも、私の体験でも二十年近く以前から、地域の女性が集まって公民館で研究会をずっとしておりました。 そこでの議論は、私たち、日々の生活を担い、子供を産み育て、そして老人介護、嫁しゅうとの問題を含めて、そういうことを話している中で、バブルに踊っていたそのときにも、今みんなが大騒ぎしているような人口の高齢化、こんな景気がいいときに、私は瀬戸大橋のできたすぐそばの方に住んでおりますが、瀬戸大橋にしても、瀬戸内海に三つも橋がかかるというバブルをどんどんやっている中で、私たち女性はもう将来の介護のことを考えて、こんなにお金がたくさんあるときにどうしてもっと福祉とか考えられないのかという議論はよくしておりました。 そして、人口が減っていくことも、やがて人口が半分になるだろうということも議論しておりました。日本の人口が半分になったときのことを考えると、それはひょっとしたらいいのかもしれないけれども、世代間のギャップをどう乗り越えるかという立場から、今回のいろいろな議論の中にも、確かに高齢化のことは平成七年に高齢社会対策基本法ができて、白書が出され、この二、三日中にも十年度の白書が出るようでございますが、高齢化対応には介護保険も含めて、介護保険のことなどももう本当に十何年も前からみんなで議論しておりましたし、いろんな活動もしていたわけです。 高齢化のことについてはいろいろと始まっているようですけれども、私は特に少子化のことは、本当にこれでいいのかな、国家が人口をコントロールするというふうなことはいろいろな懸念がございます。例えば建設国債を考えても、六十年の償還、六十年先を考えてしているとすれば、それはそのときには社会資本として将来に残るんだというけれども、道路ができ空港ができた、今の計算ですと、今から約五十年すれば人口が一億くらいになる、百年たてば五千万になると言われている。 私たちの思うのは、出生率ですね、今一・四二。これも予測を上回ってどんどん修正されているし、今のような日本の社会、子供の環境も含めていろんな意味で日本の社会全体の価値観に由来すると思うんですけれども、少子化、出生率の低下というのは、私はもっと今の予測以上に進むと思っております。 将来のそういうことを含めて、今の経済、景気のことが議論の中心に、そして将来の財政構造、国全体の財政の問題が論じられているんですけれども、人口構造の高齢化、少子化、こういうことを含めて御専門の立場で今までの御研究の中、どういうふうにお考えになっているのか、あるいは私が今申し上げたことで、それはこう考えるというふうな御意見を、三人の参考人からそれぞれにお伺いしたいと思います。
○参考人(富田俊基君) 非常に難しい問題で、先生の方が詳しいように私、御質問を伺っていて存じたんですけれども、少子化は、私も余り勉強したことはないんですが、やはり結婚なさらない女性、一生子供をおつくりにならない女性の比率が上がっていることが大きな要因だろうと思います。それ以前は晩婚化で少子化が進んでいるんだろうというふうに思われていたのですけれども、どうも今のところは結婚なさらない女性がふえてきた。 我が国は、当然、市場経済と民主主義を軸とする国でありますので、それに対してとやかく政府の介入がある、あるいは政治の介入があるというのは、私は基本的にはおかしなことかと思います。 とはいえ、経済面で考えるべきことは、男女における雇用の問題、これはやはり能力をベースとして平等にあるべきだと。また、そういうことから考えまして、ただ女性の出産に対する配慮等の問題といったこともあるかと思います。しかしながら、昨今起こっていますことは、いろんな新しいタイプの保育所ができたりいたしまして、結婚して出産しても仕事が継続できるような環境というのが徐々に整い始めたのではないかなというふうに思います。 こういう問題を、例えば教育費がかかるから課税最低限を引き上げると申しますか、税額控除するとか、いろんなことが一部に提案なされておりますけれども、実はどこかの年齢で、幼稚園までのところは減税するといえば、小学校に入った途端増税になるという話がまた出てまいります。また、高校生、大学生に粒金がかかるんだから減税だということになれば、じゃ社会人になったっていいだろうとか、わけのわからない理屈にもなってまいります。 そういう意味で、私は個別に税制面から政策減税で優遇していくということについては問題があろうかと。やはり民間におきます介護サービスも徐々にそういうものが活発になってくると思いますけれども、保育、介護等の民間の活動といったもののニーズが高まれば出てくるものだというふうに私は存じます。
○参考人(芹生琢也君) 少子化対策というのは非常に重要な課題だというふうに考えております。 今の日本の現状というのは、子供を産み育てる条件、環境というのは非常に厳しいものになっておると思います。それが基本的に少子化を考える上での重要なポイントだと思います。ただ、いわゆる育児というのを女性だけの任務にするといったようなあり方、これも同時に改めていかなければならないのではないかというふうに考えております。 いずれにしても、少子化あるいは高齢社会に対応するというのは、今後の私たちの政策の最も基本的なテーマであろうと思いますし、景気対策もそういった基本的なテーマに沿うというふうな形で実行されることが望ましいというふうに考えております。 そうした考え方から、私たちも今回景気対策の内容の一つとして、児童手当制度の抜本的な改革というのを含めているところであります。児童手当というのは、確かにヨーロッパの事例等とか見ても一つの有効な手だてかというふうに思います。現行は、児童手当は三歳までということでありますけれども、これを少なくとも義務教育終了時点までというふうに延長させまして、支給額も現行の倍程度には、つまり第一子、第二子については一万円、それから第三子以降は二万円といったような引き上げというのは早晩行われるべきだと思いますし、私たちは、今回景気対策ということで財源等々を投じるなら、こういう児童手当制度というものの抜本的な改正というのも行うべきであろうというふうに考えております。 以上でございます。
○参考人(高木勝君) お答えいたします。 先ほど財政構造改革の必要性は中長期的には極めて重要ということを申しましたが、それと同時に、現在非常に急ピッチで進んでおります少子化、高齢化ということを考えると、ますます歳出の各項目の徹底的な見直しが必要ではないかというのを考えております。 具体的に言えば公共事業関係費でありますが、これまでの公共事業関係費の決まり方はあくまでも増分主義、前年度対比幾らふやすんだと。ようやくここへ来まして財政構造改革ということで、キャップ制ということなんですが、これもあくまでも前年度の数字をどうするかということで、すべて基準は前年度に置かれている。もうこういった時代はそろそろ終えないといけないのではないかと思うんですね。 特に少子・高齢化が急ピッチで進む以上は、もう一回ゼロベーストパジェット的にゼロから考え直していくということが極めて必要であって、このまま毎年のように額がふえていくとなりますと、当然人口の減少も起こってまいりますし、高齢化というようなことから考えますと、極めてむだの多い公共投資の構造になるのではないか。最近は公共事業も非常にむだが多いということが指摘されております。 そもそもコストが民間ベースと比べても二、三割高いという問題があるし、それから同時に、本当に有効に活用されていない。ただばらまかれたお金を使ってとにかく何かやるんだと、これでは全く意味がないわけで、特に最近の非常に残念な例としては、苫小牧東部の開発でありますが、巨額な金が既に累積的には流れているわけですが、結局はすべてうまくいっていない。どうもこれでは事業の継続は無理だというようなことが言われておりますが、こういったものは、結果論かもしれませんけれども、やはりむだが多かった。ましてや、これから少子・高齢化ということが進みますと、本当に有効活用できるのかどうか、費用対効果がどうなのか、これを徹底的に分析し、公共事業を毎年ふやすなんという増分主義はこれからは一切とれないのではないか、また、とってはならないのではないか、かように考えております。 それからもう一点は、いわゆる社会保障関係費についてもそうなんでありますが、黙っていますと少子・高齢化でますますその費用は膨らむわけであります。しかしながら、やはりどこかに必ず限界が起こるわけで、いよいよ我々は選択を迫られているのではないか。高福祉高負担でいくのか、あるいはもう小福祉小負担でいくのか、こういった選択を我々はしなきゃいけない時期に来ているのではないかと思います。高齢化、少子化ということを考えると、今のような体制を続けていくことは難しいのではないか。あくまでもいわゆる若年層、現役層の日々の生活を守るということが極めて重要でございますから、そういう意味では基本的には小福祉小負担あるいは小福祉中負担で推移させるべきではないか。 そういったことで、この辺も発想の大転換をしていきませんと、黙っていると社会保障関係費はどんどんふえる。今回の財政構造改革法の改正でも、九九年度の社会保障関係費についてはキャップを外されたというのがありますけれども、これも果たしてよかったのかどうか。こういったことがそもそも出発点で起こると、今後もそういうことで例外事項がどんどん生じて、ますます歳出の規模が膨らむ一方ではないか。やっぱり国民的選択をもう求めなきゃいけない時期にあるのではないか。あくまでも高齢者も自助努力といいますか、自分のことは自分でやるんだという考え方をもっと強めていく時期にあるのではないか、このように考えております。 以上でございます。
○石田美栄君 ありがとうございました。 私がちょっと質問の要領が悪くて、うまくいかなくて申しわけないなと感じながらお聞きいたしました。 私がお聞きしたかったのは、高齢化社会とかそういうことをもう一つ乗り越えて、例えば五十年たてば一億人を切るという、そういう国の状況を想定すると今のような理論はどうなるかということをお聞きしたかったのです。高木参考人からはかなりそういうふうに御回答いただいたのですが、もう時間もございませんので、ぜひこれからの理論の展開の中で、公共事業を申し上げたのは、それでも六十年だから、五十年先の日本全体の人口を想定すると、というふうな考え方というのをお願いしたいなという思いでございました。 少子化対策については、このことを議論しますと非常に長い。私は、今後ともこのことについてはいろいろと議論していきたいというふうに思っております。 時間がございませんが、残り時間でもう一点お三人に一言ずつ御意見を伺いたいんです。 今、減税のことが中心に議論されておりますけれども、将来の減税を含めて税制改革、もっと言えば直間比率、このことについてはどういう御意見をお持ちでしょうか。一言ずつお願いいたします。
○参考人(富田俊基君) 税制の方向といたしましては、できるだけ経済活動に対して撹乱を及ぼさない、中立的であるということがこれからの世界の税制の方向であろうかと思います。そのためには、課税ベース、税金がかかる対象をできるだけ広くとりまして、そして税率を低くするということが重要であるというふうに考えます。 ただ、こうしたことを実際の政治の中で実現していく場合によくありますことは、例えば所得税の減税だけ先にやって赤字がそのまま残ってしまうということになれば、まさに石田先生一番御憂慮なさっております、人口が半分になる中で一人頭で非常に大きな国債を抱えてしまう。 これから生まれてくる子供は赤ちゃんのとき二回泣くんではないかということを外国の方から聞いたことがあるんですけれども、一回目はまさに呼吸をするためでありまして、二回目におぎゃあと言うのは余りに大きな国債の負担でおぎゃあと言ってしまう。そういうことになりませんよう、やはり税制改正というのは税収中立の中でいかにあり得べき方向に持っていくかということが議論の大前提でありまして、減税を先行するというようではなかなか理想像には近づきません。 以上でございます。
○参考人(芹生琢也君) 税制のあり方という点では、一般的に申しますと、私たちは、所得、消費、資産に対するバランスのとれた課税という姿が実現されるべきだというふうに思っております。特に消費課税でございますが、今日消費税というのが導入されているわけですけれども、これは私たちは、将来の少子・高齢社会に対応するための非常に大切な税財源だというふうに考えております。 ただ、我々、今後、少子・高齢社会化が進みますと、ある程度さまざまな負担というのは高まっていかざるを得ないと思いますけれども、その前提としては負担の公平というのが絶対の条件であります。したがって、現在、税制について言えば、さまざまな形で言われている不公平税制、これを正す、公平な税制を築き上げるということが何より重要な当面の課題であろうというふうに考えております。
○参考人(高木勝君) お答えいたします。 現在の直間比率は大体七対三でございますが、やはりこの現状というのはおかしいんではないか。やはり直接税の比率を下げ、どこが適正かというのは必ずしもわかりませんが、五対五ぐらいに持っていくのが当面必要ではないか。 いずれにしても、所得税、税率が地方税まで入れますと大変高いものになっていて、こういった形で今後も続きますと、当然勤労意欲を失うことにもなる。あるいは法人税も、実効税率は今回ちょっと下がりましたけれども、それでも四六・三六%ということで先進諸国の中では非常に高い。こういう意味では法人活動あるいは企業活動の活力も失われる、こういったことも当然予想されますので、やはり経済力を高める、民間活力を高めるという意味でも、私は直接税を下げ一方で間接税を上げていくというのが望ましい姿ではないか、このように考えております。 以上でございます。
○石田美栄君 ありがとうございました。(拍手)
○海野義孝君 公明の海野でございます。 本日は、三人の参考人の方々には御多忙のところを大変ありがとうございます。 それでは、三人の参考人の方に御質問させていただきます。 最初に、現在国会で審議中の財政構造改革法の改正問題につきましての御意見を承りたいと思うのでございます。 先ほど芹生参考人からは、少なくとも財革法につきましては二年ぐらいの凍結が必要ではないか、こういうお話がございましたけれども、この理由につきまして簡潔に、もう一度まとめてお願いしたいと思います。
○参考人(芹生琢也君) 先ほども申しましたけれども、財政構造改革、特に財政再建を進める基本的な前提、基礎的な条件というのは経済の状態であるということを申し上げました。 今日の経済の状況ということを考えまするに、御案内のように戦後最悪の不況というものに直面しております。私が二年と申しましたのは、一応めどとして申したわけですけれども、その心は、景気回復が軌道に乗り、日本が少なくとも二%程度の成長というものを回復すべきであろうと考えておりまして、景気回復が軌道に乗るまでの間ということで、めどとしてはそういうふうに申しているというところでございます。
○海野義孝君 次に、高木参考人にお聞きしたいと思います。 先ほどからお話がありましたように、財政再建とそれから経済の再建、この問題は、年次的に言うと財政再建の方が大変中長期を要する、経済再建の問題は差し当たって喫緊の問題であろう、このように思うわけであります。そういったことはともかくとしまして、先ほど芹生参考人からもお話がありましたように、基本的には政府が現在進めておられるいわゆる財政構造改革の改革集中期間三年間、二十一世紀に向かっての平成十年からの三年間、これを改革の集中期間とすべきである。こういう取り組みをされているわけですけれども、昨年十一月の財政改革法の制定に当たっての論議の中でもこの辺が大変大きな議論を呼んだところでございまして、私どもとしてはやはり経済再建を先行すべきではないかと。まず国民も、つまり企業も家計も元気になって、そういった中で財政再建に取り組んでいく、その集中期間をもうちょっと先に置くべきではないかということでありまして、そういう意味では経済再建集中期間三年間、このように私どもは思ったわけであります。 したがって、財革法については現在改正の議論が出ておりますけれども、これはすなわち経済再建か財政構造改革再建かという面の、要するに手順の問題、それの集中の問題、この辺を取り違えたところに現下の不況が来て、やむを得ず財軍法を改正せざるを得ないというようなことに追い込まれたといっていたらくであります。 したがいまして、そういう意味では、財革法の改正につきましては、これにも問題があり、それ以上に問題があることは、私としてはまず現下の財政改革法を当面は凍結すべきである、二年ないし三年。少なくとも先ほど芹生参考人がおっしゃったように、いわゆる景気回復二%程度の成長軌道のめどがつくまではやはり凍結すべきである、こういうお話でありましたけれども、そのことも踏まえて、実は目標年次を既に今回の改正におきましては二年先ずれさせようとしているという、つまりこれまでの六年間では無理があるということがまず理由だということがあります。 それからもう一つは、当初予算においてはキャップをはめるというようなことをやりますけれども、ところが補正予算においては、結果的にはいわゆる財政改革どころかかなり財政赤字を膨らませるようなことをやっていると。例えば、皆様御承知のとおり、平成九年度の当初の公債収入予定は、いわゆる建設国債九兆二千億、これが補正によって九兆九千、特例公債七兆五千が八兆五千、したがって十六兆七千億が十八兆五千というように一兆八千億円既にオーバーすると。それから、平成十年度についても、当初予算では建設国債八兆四千、これが補正後では十二兆五千、さらに赤字公債については七兆一千が九兆一千、つまり十五兆六千が二十一兆七千、今年度だけでも当初と補正とで見ましたら既にこれだけで六兆一千億公債をふやさなくちゃならぬと。こういうようにこの財軍法自体が既に使い物にならない、こういうことであります。 高木先生、この点から考えて、私は、財軍法の現在の矛盾点、それから経済再建を先行すべきであるということから、財革法は当面凍結するべきである。そして需給ギャップ、これは現在の生産あるいは雇用、それから在庫状況等々から考えまして、少なくとも現在の需給ギャップから見たら、一〇〇の能力に対して雇用それから資本、設備、そういったものから考えてもやはり三〇%ぐらいのギャップがある。つまり、三%成長能力に対してゼロ成長である。このギャップを埋めるためのいわゆる経済再建に当面取り組むべきである。したがって、財政構造改革については凍結すべきである。そして、その間に財政構造改革についての法案の抜本的な改正をすべきである。このように思いますけれども、高木先生の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○参考人(高木勝君) お答えいたします。 先ほども経済情勢の認識についてはやはり判断を間違えたということをはっきり申し上げたつもりでございますが、そのことがこの財政構造改革法においてもやはりうたわれているわけで、特にこれからの三年間を集中改革期間という形で強力なキャップをかぶせる、こういうことになっていたわけですが、もうその時点で景気は大きく下り坂に入っていたわけですね。それに気がつかないで財政再建に一〇〇%目が行き、そういった条項を入れたと。これがやはり致命的な欠陥になっているわけで、正しく経済の現状を認識していたならば、こういった集中改革期間なんというのは現実的にはとれないということがわかったのではないかというふうに思います。 そういった中で、今回、補正予算もいよいよ組まれるわけですが、大事な点は、当初予算ではかなり厳し目にやっても補正予算で大幅な歳出の増加をやる。最終的な決算でどうかというのが一番重要なんですが、どうもこの議論をずっと見ていますと、当初予算の段階では皆さん大騒ぎをする、マスコミも騒ぐんですが、どうも補正になると、文字どおり補正ということなんでしょう、関心が薄れている。 ましてや、決算ベースなんというのはほとんど関心も払われていない。でも、やはり中心は決算ベースだと思うんですね。別に当初予算と補正あるいは決算との間に色がついているわけではないので、財政再建をしていくというのであれば最終的にはこれは決算ベースで議論すべきであろうと思うんですが、とかく議論は当初予算だけで、あとは忘れちゃっている。補正の段階以後ほどんどんふやしても構わないという間違った意見があると思うんですが、これでは財政再建はむしろますます悪化するのではないか、このように思います。 こういったことから考えますと、財政構造改革法の一部手直してはやはり不十分でありますし、先ほども言いましたように、減税についてはやはり私は恒久減税をやるべきだというふうに考えておりますので、二年延長したところで、恒久減税であればちょっとそれは無理な話だろうと思います。それに集中改革期間というようなことも非現実的になっているということですと、とりあえずは凍結ということかもしれませんが、最終的にはさっきから言っておりますように財政構造改革法をもう一回ゼロからつくり直す。どうしたらいいか。国民の英知を入れながら経済の情勢の変化を踏まえて、現実あるいは将来に耐え得る、すぐ壊れるような財政構造改革法じゃなくて、耐え得るきちっとしたものをもう一回つくり上げたらどうでしょうか。何も今回のものを継ぎはぎで絶えず修正修正というのが私はベストではないんじゃないか、このように考えております。 以上でございます。
○海野義孝君 大変よくわかりました。 富田参考人にお願いします。 私もかつて富田先生と同じようにシンクタンクでいろいろと日本経済のこと、世界経済のことをやっておりました。そういう意味で、学者というかそういう研究の立場から現下の日本の問題を踏まえて大変厳しい御発言があった。これはこれとして私は大変傾聴に値したわけであります。 そういった中で、財政構造改革法案の中に今回いわゆる弾力条項的なものを盛り込もう、こういうことでありますけれども、先生のいろいろな書物等を読んでおりましても、あるいは先ほどのお話でも、アメリカの場合そういった財政については大変厳しい措置をやっている。議会にしても大統領にしてもこの点は大変良識のあることをやってきているということであります。ですから、三回の弾力条項を発動すべきときにも議会で否決されたというようなお話もありました。 そういったことからしますと、これからの我が国の当面の問題というのは、財政構造改革ということにつきましては、これはだれもがこのことについては推進すべきであるということについて異論はないわけです。問題は、そういった中でこの財政構造改革を進めていくという点で、当面景気が大きく後退しているということで、そういう財政構造改革法に沿って、年次計画に沿って進めていく問題が初年度から既に挫折をしたという問題がありますけれども、そういった中でも、富田参考人としてはそういった弾力条項的なものを取り込むべきではない、あるいは取り込んでもこういったものを発動すべきではないと。 ということになりますと、少なくとも当面の今年度の補正予算、こういった問題についても支障を来しますし、それからもう一点、昨日、これは片山先生からお話がありまして私も計算したら、さすがすばらしいな、六年間続けて二兆円特別減税じゃないかと。これはやはり先行き増税含みの減税だから国民の心理がシュリンクするのは当然じゃないか、先行き不安じゃないかと。これはけだしそのとおりでありまして、したがって、そういうことを考えれば、やはりここで抜本的な所得課税あるいはまた法人税等々についての恒久的なそういう税体系の大きな改革というか変更、こういったことをやらなくちゃならぬ。これとの絡みからいっても、この財軍法の問題、先生は厳しくこれは運用していくべきだといっても、なかなか厳しくできない、当面はやはり弾力的にやらざるを得ない、こういう面の矛盾があろうかと思うんですが、その点についてはいかがお考えですか。
○参考人(富田俊基君) まず、財政構造改革法の基本と申しますのは、財政赤字、国と地方の財政赤字の対GDP比を三%以下にする。このことの持っております意味は、国債残高の対GDP比を早く一定に保つということでございます。その意味は、国債及び地方債の利払い費の対GDP比をできるだけ早く一定に保つ。そのさらなる意味は、国民負担率、租税及び社会保険料負担率をそういったことによりまして五〇%以下に保つということが最終的な目標なんです。そういう意味で、我が国の経済活動が長期にわたって維持可能な水準に国債残高、地方債残高、そして租税負担率を設定するということでありまして、そのリミットについては、やはり戦後の団塊の世代が退職年齢に達するというときまでにこれをやりませんと、それ以降非常に深刻な事態になるということでございます。 そういう中で、景気との両立が不可能じゃないかということでの御質問でございますけれども、それを両立させようとするのがこの財軍法の改正であるというふうに位置づけることができると存じます。ただ、私は、その一%未満というのは、現在そしてこれからの日本経済や先進主要国を眺めた場合にいかにも甘い基準である。将来の世代にまで責任を持った政策を行うという観点に立った場合には、将来世代に負担を残さないということで、減税とか公共事業の追加ということについてはやはり極めて慎重に行わねばならないということでございます。 それから、当初予算、補正予算の議論があるわけですけれども、これは当然赤字を三%以下にするという基準でありますのでその差はないわけでございますが、いずれにしても将来の租税負担率を民間経済が活躍できる水準に設定するということが重要だということでございます。
○海野義孝君 残念ですが、時間が来ましたのでこれで終わります。 ありがとうございました。
○渡辺四郎君 社会民主党の渡辺でございます。 きょうは、三名の参考人の先生方、大変御苦労さまでございます。 御専門でございますから私みたいな素人から申し上げるのもどうかと思いますが、きょうは私は、国の行財政あるいは経済を考えた場合に地方自治体を抜きには考えられないんじゃないか、そういう立場に立って、特に地方財政問題を含めてお聞きをしたいというふうに思っております。 まず、今度の補正の中でも、先ほどもお話がありましたが、地方の単独事業一兆五千億ということで、ここにもたくさん各社の新聞がありますが、「自治体〝倒産〟の危機」とか、あるいは「国・地方・金融機関「協調体制」きしむ」とか、「地方債、十一道県繰り上げ償還 財政難、金利負担重く」、こういう格好でたくさん出ております。 そういう中で、今時に地方のいわゆる借金、国でいえば国債なんかですけれども、建設国債を含めてそうですが、平成十年度末には百六十兆円に達するんではないかというふうに言われておりますが、調べてみますと一九九一年度で約五十五兆円あったわけです。それがこの八年間で三倍近くふえてきた。特にここ四、五年の間に非常に急激に借金がふえたわけです。これは、御承知のように、国の経済全体が落ち込んだ中で何とか景気対策をやらなきゃいけないということで、今日までの四、五年間政府が一生懸命とってまいりました経済対策、その一環として特に地方の単独事業あるいは国の公共事業をやりますとどうしても裏負担が必要になってくるものですから、自主財源がないものですからどんどん借金をしていった。 ここで、国と地方の違いということをおわかりだとは思うんですが申し上げておきますが、国の場合は例えば金が足らなければ建設国債なり一般国債を発行する。確かにこれはいろいろ国民的な批判はありますが限度はないわけです。自治体の場合は、もう御承知のとおり公債発行率が一五%以上になれば危険信号を出しまして、一八から二〇、二〇を一、二年続ければ御承知のようにいわゆる赤字再建団体ということで自治省、国という管財人がついて、それから後のすべての事業計画を一々国と相談しなければ運営ができない、こういう仕組みに実はなっておるわけです。 ところが、これは民間の企業でもそうですが、経営が少し不安になってくると、私も商売人の息子でありますから、そうしますと一番に手をつけるのが、高い金利の部分の借金返済に一番最初に目をつけるわけですね。リストラの中でもそこを 一番にやるわけです。調べてみましたところが、七%以上の金利の部分が、これは平成七年までですがまだ十三兆円近く残っておるわけです。 各自治体はそれぞれ努力をして起債の借りかえなりをやって、これ縁故債、もう御承知だと思うんですが、地方のローカルの銀行なんかからお借りするお金、こういう関係の部分では、もう十一都道府県が、いろいろ国、自治省から言われても背に腹はかえられないで金融機関と御相談申し上げて借りかえをやっておるわけです。ところが、国の方は絶対に借りかえを認めない、やっぱり郵便貯金とかそういうものを原資とした財投があるものですから。しかし、これを認めてもらいたいというのが今日地方六団体の非常に激しい実は要請として上がっておるわけです。 ですから、ちょっと計算をしてみたわけですけれども、七%から九%までの金利がありますが、平均七・五%ということで十兆円を借りかえして、大体現行の金利が今二・三%程度になっておるものですから、それで計算をいたしますと、一年間にこの金利だけで五千二百億円いわゆる償還分が減るわけです。その後、約八十兆ばかり平成七年段階であったわけですが、これを例えば二十兆円だけでも借りかえをしてもらうということで、平均六%の金利で今払っておると仮定をして、これを二・三%に借りかえを認めてもらえば、これだけでも七千四百億円その支払いが減るわけですね。 こういう部分について、民間であれば借りる方もお客さんです、貸す方から見れば借りる方はお客さんなんですね。ところが、国と自治体の場合は、この公的資金を借りている方、自治体はお客さんじゃないわけです。国はこれを絶対に守るためにということで、自治体六団体の言い分については一切認めないというふうに動くわけです。そういう点について三人の先生方から御所見をひとつお伺いしたいというのが第一点。 それからもう一点は、特に富田参考人の意見と全く同じでございますが、今の制度減税を平成六年度にやりましたよね、三兆五千億の制度減税をやって、その年にプラスの二兆円の政策減税をやったと。そのときけんけんがくがく議論しまして、後の穴埋めはどうするのかということで消費税の二%を、私らも大変な議論をし反対もしましたけれども、やっぱり財源の穴埋めにと。しかし、国民から見れば、懐ぐあいから見れば増税に映るわけです。 ですから、減税政策というのは慎重にやらなきゃいけない。さっき高木先生もちょっとおっしゃったけれども、やるならば現金で支給をする、こういう方がいいんじゃないかという気がいたしますから、その点についてまた富田先生の方からお伺いしたいと思うんです。
○参考人(富田俊基君) まず、先生最初に御質問なさいましたこの低利借りかえの問題でございます。 金融慣行で日本ではなかなか、借金を返すのになぜ反対するんだという風潮があるようでございます。これはお金を借りた側からすると、お金を返すのに何でしかられるんだということなんです。しかしながら、お金を借りるということは、契約期間と金利を最初に約束して借りるわけでございます。しかも、低利借りかえができるということになりますと、低利借りかえができる分、高い金利を支払いませんとお金は借りることはできないというのが金融の世界における国際的なルールでございます。 このルールに照らして考えた場合に、地方債の繰り上げ償還、低利借りかえというのはこのルール違反でございます。地方政府までルール違反をいたすということになれば、我が国の信用は失墜いたしまして、言われるところのジャパン・プレミアムも上がってしまうかもしれません。そういう意味におきまして、国に対する低利借りかえ要求というのは極めて合理性を欠いたものだと私は思います。
○参考人(芹生琢也君) 初めにおっしゃいました地方債の借りかえの問題ですけれども、先生おっしゃったのは恐らく財政投融資問題に絡む問題じゃなかろうかというふうに思います。そうすると、地方の立場からすれば当然そういう要求があろうかと思いますし、それは満たされるべきであろうと思いますけれども、その場合に、穴があく財政投融資の資金運用をどうするかというのを国において実施するということが必要になろうかというふうに思います。 それから、税制のことは私への質問ではなかったですが、一言だけ言わせていただきますと、前の三・五兆円の制度減税それから二%の消費減税、これも我々非常に悩みましたけれども、あり得べき税制のあり方ということで選択したわけでございます。したがって、慎重であらねばいけないというのはそのとおりですけれども、前回の経緯はそういうことでございます。
○参考人(高木勝君) お答えいたします。 現在のいろいろな体系から考えると、なかなか低利の借りかえというのは難しい面がありますが、本来のあるべき姿という点ではやっぱりおかしい話ではないか。超低金利政策がなぜ今必要なのかということを考えた場合には、いろいろ実体経済の悪さその他から当然こういう水準に落ちてきているわけなんで、それが一部に浸透していないというのは金利体系のゆがみを生じさせている。本来の日銀の金融政策が全国すべてのところにきちっと浸透していないということでもあると思うんです。 したがって、私は仕組みを変えたらいいと。あるいは郵貯の問題もあると思います。定額郵貯で十年間ずっと同じ金利、こういった問題がありますから、現実にはなかなか変えられないんですけれども、そういった商品まで変えたらいいと思うんです。そして、今本当に必要な低金利をすべてに波及させるというのが本来あるべき姿ではないか、こう考えております。
○渡辺四郎君 どうも済みません。時間オーバーしました。 ありがとうございました。
○須藤美也子君 参考人の皆さん、きょうは本当に御苦労さまでございます。 日本共産党の須藤美也子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 先ほど来、三人の参考人の皆さんの御意見をお伺いしながら、今の日本経済の混迷と、国民生活は大変深刻な状況になっている。昨年度の経済成長率は第一次石油ショック以来二十三年ぶりのマイナス成長で、失業率は史上最悪の状況になっている。個人消費の落ち込みはもう全国各地とこに行っても大変な状況になっております。 そういう中で、高木先生にお尋ねしたいと思うんですが、高木先生は今回のこういう不況を招いた原因について四点おっしゃいました。私どもは、消費税の増税と医療、福祉の改悪、さらにこれまでの特別減税の打ち切りで九兆円もの負担を国民に押しつけた、それが主な原因になっていると。そういう状況の中で、まず消費税をもとに戻す、そして医療、福祉の改悪ももとに戻す、そういうことを主張しております。さらに、短期的な減税ではなくて恒久的な大幅減税を行うように、こういうことを主張してまいりました。 そこで、五月十八日に時事通信がまとめた世論調査の結果なんですけれども、景気対策として何を望むのか、これに対して消費税の引き下げが五九・三%、断然トップであります。国民の世論は消費税減税を求めている。これはどのマスコミでもそういうふうに報じられていると思います。そういう中で、今回の政府の総合経済対策は効果があるのか、こういう問題については、余り効果がない、全く効果がないを合わせますと六四・八%であります。 こういう状況のもとで、先ほど高木先生が不況の原因として四点セットを挙げ、政策によってもたらされたものである、つまり人為的なものだ、こういうふうにおっしゃいました。 そこで、今回の総合経済対策費十六兆円の中で、七三%は相変わらず従来型の公共事業であります。私どもは、公共事業五十兆円、社会保障二十兆円という、アメリカやヨーロッパに比べて逆立ちしたような状況のもとでは国民の景気対策にもならないし、この国の全体の経済的な回復にもつながらない、こういうことで、アメリカ、ヨーロッパ並みに社会保障を上乗せする、多くする、そしてむだな公共事業はやめるようにと、こういうことをそれぞれ申し上げてまいりました。 そこで、先生は、大幅な恒久減税と、むだな公共事業をやめること、これは四月に出されたエコノミストにも高木先生の六つの経済対策の問題点というのが書いてありますけれども、そういう点で、私が今申し上げました問題点についてどのようにお考えになっているのか、少し具体的にお話しいただければ大変ありがたいと思います。
○参考人(高木勝君) お答えいたします。 先ほども冒頭に申しましたように、最近は公共事業の経済に与える影響が非常に小さくなってきている、そういったことから、同じ財源を使うのであれば減税中心でやるべきだということを申しましたけれども、それに加えてもう一つ重要な点は、我が国の経済構造を見ますと公共投資依存型の経済になっている。全体の実質GDPで見ましても、七、八%は公共事業に依存した経済でありまして、欧米諸国と比べてもこれはかなり高過ぎる数字であります。そういった面もあるし、先ほどもちょっとお答えしましたが、少子・高齢化という点からいっても余り公共事業にすべてを乗せてくる、あるいは重視していくというのはもう本当に決別しなきゃいけない時期にあるのではないか、こう思っております。 それから一方で、減税の重要性は先ほども申し上げたとおりで、これはそもそも中長期的にも勤労意欲の増大、あるいは法人税でいえば企業の活力の増大という意味でも制度減税をやるべきだというふうに考えております。 ただ、問題は消費税率が三%から五%に上がって、これを戻したらどうかという意見がかなり今一般化しているのは十分承知しております。それも一つの案でありますし、先ほど申し上げた四点セットが景気を悪くしたという点では、それを外す話でもございますから一つのアイデアであることは間違いないと思うのでありますが、ただ私は直間比率の是正あるいは所得税、法人税の制度減税ということを考えると、やはりここで消費税をさらに下げるというのはなかなかちょっと、それを両方できればいいのでありますが、それこそ中長期的な財政構造改革という点からいくと、上がった以上はやむを得ないのかなと、消費税についてはとりあえず現状維持をキープし、一方で先ほど来申し上げているような直接税を制度減税としてきちっと下げていくというのが現実的ではないか、こう考えております。
○須藤美也子君 私はやっぱり低所得者もあるいは年金世帯の方々も一律に消費拡大できるのは消費税の減税以外ない、こういうふうに考えております。そこで、恒久的な減税を主張しておりましたね。 それで、富田先生にお伺いいたしますけれども、先ほど来、減税は日本経済の景気回復に効果はない、歳入の分だけでなくて歳出の分野で、そういうことも含めてちょっとお聞きしたいんです。 先生が「岐路に立つ財政構造改革」、これをお書きになりました。これは財政構造改革についてもそうなんですけれども、財政構造改革がキャップをつけて聖域なしに福祉や医療を削る、しかし公共事業には聖域を持つ、今回も十六兆円のうち七三%は従来型の公共事業と。そういう状況の中で、財政構造改革というのは多くの党の方々も反対した中で強行して、五カ月でこれがまた改正されるという、この財政構造改革のあり方について、それから先生がおっしゃった、なぜ減税は景気回復に効果がないのか、国民的な立場でどうお考えになっていらっしゃるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○参考人(富田俊基君) 減税が効果がないということからお話しさせていただきますと、短期的な極めて小さな効果しかないということの理由でございますけれども、そもそも減税を国債を増発して行いますとどういうことになるかということなんですが、国債というのは我々が我々自身にした借金証文であります。それの元利を返すのは税金によってでございます。国民の多くはそのことを暗黙には知っているはずでございます。つまり、国民は多くの方は合理的であります。そうすると、あたかも錯覚を利用して、国債は増税じゃないんだという錯覚があるので景気拡大効果があるんではないかという御指摘であろうかと思うんです。国民の錯覚を利用して景気拡大のために減税をやるというのはいかがなものかというのが私の考え方でございます。 それから、先ほど来、九兆円の負担が景気を悪くしたというふうに御指摘になられたわけですけれども、それ以前に五兆五千億円の減税を三カ年にわたってやっている。もとに戻せというお話なんですけれども、そうしたら五兆五千億の減税ももとに戻すということに御主張は等しいものだと思います。そういう意味で、去年たまたま九兆円の負担増になったわけですけれども、それ以前に十六兆五千億円も減税があったということを認識すべきだと私は思います。 それと、景気が悪くなった理由も、九兆円の負担があったからではなしに、九五年度、九六年度というのは二・八%、三・二%というふうに我が国の持てる潜在成長力を超えて好景気が続いた結果、景気が循環的に悪くなった。消費税の引き上げというのは決してその原因ではないというふうに考えるべきだと思います。 財革法の重要性については、これまでも本日申し述べさせていただいたとおりでございますけれども、公共事業についても極めて厳しいキャップがかけられております。これは公共事業の水準をGDP比で見てバブル以前の状態に戻すということが目標になっております。この十年度の当初予算では七%の削減となっておりまして、社会保障関係費は高齢者人口の伸びに合わせて二%増というふうになっているので、財革法の基本的な考えは先生が御懸念の社会保障費よりも公共事業をより厳しく削減しているというのがこの財章法の集中改革期間における基本的な措置の内容であるというふうに私は理解しております。
○須藤美也子君 時間ですのでもう終わりますが、ただ国民感情と実際は違うということを申し上げておきたいと思います。
○星野朋市君 自由党の星野でございます。 減税についてお伺いをいたします。 この二月に行われました減税は橋本総理がASEANへ行ってこられて急にそれを言い出したわけでございますから、大蔵省の頭のいい人たちがこれは財革法に触れない、抵触しないという形で、要するに税の年度は暦年ですから一月から十二月まで、それから会計年度は四月一日から三月三十一日、この差をうまく利用して一兆円、一兆円で分けて実行されたわけです。だから、ほとんどの人間が実感としてこの減税というのを感じていないわけです。それでまた、今度の十六兆円の経済対策でもう二兆円減税ということになったんだけれども、結局これから生ずる大きな問題というのは、課税最低限が何と四百九十一万円になっちゃったということです。 そういうことになると、平成十一年度はまた二兆円特別減税を追加すると言っても、これは増税になるわけです、その先ほどうなるかということがまだわかっていませんから。そうすると、特別減税というのは、何のことはない、ここ数年間ずっと続いているんです。この特別減税がいかに効果がないか。それで、今言ったような、ことしやったようなこそくな手段でやりますから、ほとんどの人がわからない。 それで、先ほどから制度減税というお話が出ておりまして、私は高木参考人の御意見には全く賛成なんですが、あえて高木参考人ではなくて芹生参考人に、この今の実態と、それからどうすべきかということ、この両方についてお伺いをしたいと思います。
○参考人(芹生琢也君) 私も認識は先生とほぼ同じかというふうに思いますけれども、確かに特別減税というあり方では減税で期待する景気刺激効果というのは非常に弱いものであろうというふうに思います。特に今回行われた特別減税というのは年度の途中ですから、定率減税というのは恐らく難しいかと思います。したがって、定額にならざるを得ないということがあるかと思いますけれども、それにしてもその実感が薄いというのは我々も感じているところであります。 したがって、これは心理的な方法ではありますけれども、私たちとしても消費と結びつけるための減税のあり方として、例えば何とかキャッシュバックのような方法まで含めて、これを消費に結びつけるというあり方が特別減税の場合は必要ではないかということ、しかしそれ以上に減税については制度減税という形で実行すべきであるという考え方に立っております。 以上です。
○星野朋市君 富田参考人にお伺いしますけれども、参考人は今度の財革法の改正について、弾力条項の点について甘いという言葉を使われましたけれども、私にすると、甘いんじゃなくてあいまいだと思っているんです。 それで、既に二年以上前に政府は構造改革を伴う経済政策という一つの指針を出しているわけです。それがいい証拠に、そこで構造改革を伴わなければ日本の経済成長率は一・七五だと、構造改革ができれば三・五%の成長を遂げられるという大前提のもとに、特に大蔵省の中期財政試算というのはこの二本立てでやっているんですね。 そういうようなものがありながら、今度の場合は一%というこの境界線をめぐっていろいろ、私に言わせれば、要するに一%ダウンしてきたらアクセルを踏める、一%を超えたら急にストップをかけなくちゃならないというふうにもとれる弾力条項なんです。 それからもう一つ、これは先日も片山議員、私が大蔵省に問いただしたんですけれども、今年度の当初予算の赤字国債七・一兆円というのを、今度は延ばしましたから一兆円ずつ減額していくというんだけれども、では今度の特別減税について発行される赤字国債二兆円の取り扱いはどうなるんだ、また発行される二兆円はどうなるんだと。そうしたら、大蔵省は混乱しちゃったんですよ。しばらくたって、この二兆円については通常の赤字国債のように六十年償還だと、こういうふうなことを答弁されたんですけれどもね。 そんなふうに、専門家である大蔵省が即答えられないあいまいさというものが残っていると思うんですけれども、総合的にお考えになってお答えをいただければありがたいと思っています。
○参考人(富田俊基君) 財革法の弾力化につきまして、改正の法案を何回も読みましたら、決してあいまいではないというふうに私は思います。三つのケースに分けて弾力条項が発動できる要件というのが書いてあって、これは非常に機械的に読めるものだと思います。あいまいではない、明確だけれども私は甘いというふうに思います。 星野先生は一・七五%成長の数字を引用なさったわけですが、私は、我が国の持てる経済成長力というのは二%弱に落ちてしまった、それから考えますと、プラス一%未満であれば発動するということを続けますと、これは景気循環によって芽生えるべき新しい産業も芽生えてこない、古い産業も温存されてしまうということになってしまうのではないかというふうに懸念いたします。 もちろん、これは自動的に一%未満だから発動するんだという問題では決してないと私は思うんです。むしろ、その問題は、景気対策を行うことのコストと現在そして将来の国民に及びます国民の負担を十分に勘案した上で、またそれが経済構造改革に資するのか逆行するのかということも考えた上でフリーハンドで臨むべきだと思います。そういう意味で、私は明確だけれども甘いと。 しかし、これを発動するかどうかというのはその時々検討すべきであって、先ほども御報告申し上げましたけれども、アメリカでなされましたように、やはり適用要件を満たしても議会がそれを発動しないということを決めていくというのが民主主義として私は望ましいのではないかというふうに存じます。
○星野朋市君 終わります。
○委員長(遠藤要君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 本日は、長時間にわたり貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに厚く御礼を申し上げます。(拍手) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ―――――・――――― 午後二時一分開会
○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、財政構造改革の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案外三案を議題といたします。 引き続き、四案の審査に関し、参考人の方々から御意見を承ることといたします。 参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様の忌憚のない御意見を承り、四法律案の審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、まず貝塚参考人からお願いいたします。
○参考人(貝塚啓明君) 私は、中央大学法学部教授の貝塚でございます。どうも本日はお招きいただきましてありがとうございます。 最初に、簡単に私のこの問題に関する意見を述べさせていただきます。 現在、日本の景気情勢は相当深刻でありまして、私の個人的な意見では、普通言っている恐慌ないし大不況という状況に近くて、かなり憂慮すべき状態だと思われます。今回のような状況は、基本的には何ら財政構造改革法がそれほど頭の中に置いておらなかった状況でありまして、したがって、ある意味で緊急的な措置が必要になるということであります。 全体として財政再建は必要であり、長期的に財政構造改革法は非常に重要でありますが、今回のところ、しばらく緊急回避的な意味で少し財政赤字の数値その他をとりあえず単年度的に緩めて、今後の状況を見るのがふさわしいということで、この特別措置法の一部を改正する法律案について賛成いたしたいと思います。 皆さんも多分よく御存じだと思いますが、日本の現在の景気の状況は、四月がどうなっているかというのは、要するに単純に申しますと自動車の売り上げは昨年に比べて十数%減り、それから消費は多分一〇%以下ではありますが減っておりまして、四月はスーパーマーケットの売り上げは多少ふえたと言われておりますが、本当に消費が回復したかどうかはわかりません。 恐らく、日本の最近の景気が悪くなった状況でこれほど消費が落ちたというのは初めてでありますし、それからもう一つは、これも御存じだと思いますが、住宅投資が物すごく落ちているわけです。消費は典型的には自動車です。自動車の売り上げが物すごく減っておりますが、それからあと住宅が、これまたすごく減っています。 なぜそういうことになったのかというのは、これも普通に考えてみれば当たり前の話ということにもなりますが、やはり自動車とか住宅は、自動車の場合は、買いかえする必要は、一年ぐらい延ばしても、あるいは二年延ばしても大丈夫でありまして、日本の自動車は多分とこの国の自動車に比べても一番耐久性に富んでいて、そう故障しないというわけでありますから、一年や二年延ばすことは簡単でありますし、住宅につきましても、これまた今、日本は住宅事情は非常に改善されまして、相当の方が持ち家に住んでおられて、それ以外の方も、いろいろこれから住宅を取得しようとしておられまして、とりあえず今アパートに入っている人も、しばらくはそこにいても大丈夫という状況で、平たく言えば新しく家を買うとか、新しいマンションに入るとか、そういうことは少し先に延ばした方がいいというふうに、そういう状況が重なりまして現在の情勢に立ち至っていると思われます。 アメリカその他でも同じような財政構造改革法に近いようなものは法律としてでき上がっておりますが、やはり緊急避難的な条項があります。したがいまして、日本の場合もそうせざるを得ない状況にあるということで、そういう意味ではこの法律案に賛成ということでございます。 それから、細かい点では、私はたまたま厚生省の関係の年金審議会というのに出ておりますが、年金の問題は、これは相当大変な問題であります、どういうふうにするかということは。 したがいまして、私の個人的な意見としては、やはり社会保障全体を一体どうするかという話があと一年少々ぐらいで全体の感じがまとまる。その中で社会保障の今後の経費をどうするか。当然、従来よりは抑えることになるのは間違いありませんが、そういう点で、まさに社会保障も改革が必要であって、その中で財政のそれなりの応分の負担はやむを得ないと思いますが、その辺のところは、まだそれほど細目が決まっておらない状況で、そういう意味では、社会保障についての取り扱いもやむを得ないというふうな気もいたします。 以上、簡単ではございますが、私の意見を述べさせていただきました。 御清聴に感謝いたします。(拍手)
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。 次に、早房参考人にお願いいたします。
○参考人(早房長治君) 早房でございます。 委員長が忌憚のない意見を申せと言うから忌憚なく申し上げますけれども、経済の情勢については専門家の貝塚さんのおっしゃることに全く同感であります。相当めちゃくちゃな状態であります。 それに一つつけ加えれば、その経済ががたがたになっちゃった結果、経済の関係でいえば、ここで今問題になっている財政構造改革、それから金融システム改革、いわゆるビッグバンもがたがたになっちゃった。構造改革の方も僕は事実上破綻の状態だと思っております。 問題は、何でそんなことが起こっちゃったのかなということですけれども、原因をなぜちょっと言わなきゃいけないかというと、それは対策を講じなきゃいけないわけですから、対策を講ずるためには原因が正確にわからなきゃだめなわけであります。これも世間でずっと言われていることですから、余り繰り返す必要もありませんけれども、やっぱりこの不況は明らかに政策不況、要するに僕は橋本内閣の大失政だと思います。 それだけじゃなくて、ただ単に九七年度予算で経済の見通しを完全に間違っちゃったということだけではなくて、要するにその後その間違いを早く直せばよかったんですよね。それを特に去年の九月から暮れまでほとんど何にもしなかったということで、経済がどんどん悪化する方向へ行って、拓銀もつぶれる、山一証券も廃業することになるというふうなことが起こってしまった。そして、やったことも、その後少しずつ手を打っていますけれども、減税やなんかの規模で見るとおり非常に中途半端であります。それから、いわゆる株価の対策、PKOみたいなことをやって一万八千円にしますなんという話をするものだから、当たりっこない、できっこないことをやるものだから、これは全く方向違いのことをやってしまう。そうするとさらに傷が大きくなる。こういうことですね。 そしてもう一つ問題は、残念ながら橋本内閣はアジア経済、それから世界経済に対する認識をほとんど欠いていたということ。例えば、昨年の七月にタイから例のアジア金融危機が現実に始まっておるわけです。では、その七月以降去年の暮れまで何か手を打ったか。打っていないでしょう。一体あのアジアの金融危機、タイで始まったものを何と考えたか。これは非常に問題であります。 それで、構造改革に対する影響というのも非常に大きいわけでして、本来やり方をちょっと間違っていたと思うんです。ビッグバンは結構ですけれども、その前に不良債権の処理というものをほとんど終えておくべきだった。それをしないでああいうことをやると、要するにビッグバンというもののマグニチュードを僕は軽く見過ぎていたということだと思います。 それから、今ここで問題になっている財政構造改革、一番気になりますのは、今度補正予算で現実の形になって出てきます大型経済対策十六兆円とか真水十二兆円とかいうやつがありますが、あのやり方は僕は財政構造改革の流れと非常に逆行することをやってしまったなと。 全部言うには時間がありませんから、簡単に言えば、本来は、要するに予算の規模を広げる公共事業をやるよりも、将来にとっては予算の規模をむしろ小さくする可能性のある減税中心でいくべきであった。それから、同じ特別減税をするんでも、定額法でやるんじゃなくて定率法でやるべきだったと。そういう種類のことがいっぱいございます。それから、要するに新社会資本というようなものをふやすためには赤字国債と建設国債の区別をなくさないとなかなかできません。だからそういうことも配慮していないんです。 問題はどうしたらいいかということですけれども、一つは、景気を早期に回復させるためには減税を中心にした景気対策をもう一回やらなきゃだめかなと。それをやるためには、この財革法を今度の改正程度でとめないで、もっと大幅に改正するか、場合によっては一時ストップ、サスペンドするぐらいのことを考えなきゃだめかなということです。 二番目は、やっぱり構造改革にきちんとした道筋をつけ直した方がいい。それはどういうことかというと、例えば公的資金を使っていろんな処理をするのはいいんですが、要するに沈む船を助けちゃいけない。周りに影響が出ないように直すのはいいが、沈む船を助けちゃいけない。英語で言うと、クリーンアウトはいいがべールアウトはだめと、こういうことであります。 三番目は最大の問題でありますが、これを余りはっきり言うとちょっと問題になりますけれども、今何といっても景気を回復しなければ構造改革もできないという状態ですから、景気を回復するためのポイントというのは消費を回復することです。そして、消費を回復しなきゃ経営者は設備投資をしません。今もうマイナスになっていますね。そうすると、消費を回復するために問題は、国民が橋本内閣の政府のやることを信用してくれなきゃ困るんですね。 ところが、それじゃ今橋本内閣に信用があるか。そうすると、どうもないと。ないとすると、やっぱり天下国家を考えると深くのいていただいた方がいいかなと私は思っております。 以上であります。(拍手)
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。 次に、北野参考人にお願いいたします。
○参考人(北野弘久君) 北野です。 風邪でちょっと体調を崩しておりますので失礼になるかと思いますけれども、できるだけ努力をいたしたいと思います。十分いただいておりますので、十分間で私の意見を述べたいと思います。 九八年度の予算編成時におきまして、皆様御存じのとおり、日本の国と地方の借金総額は九八年度末で約五百二十九兆円に達すると指摘されております。これは国内総生産高、GDPの五百二十兆円を超えるという指摘もございます。日本は大変な赤字国家であるということを我々は認識しないといけません。日本の赤字財政を克服することも目下の国民的な課題であると私は考えております。もっとも、私は既に実施されております財政構造改革法につきましては基本的な疑問を抱いておりまして、この点につきましては後ほど申し上げます。 昨年、消費税の引き上げ、所得税の特別減税の不実施、そして国民の医療費負担増などによりまして、約九兆円の負担増が私たちを苦しめました。日本経済の景気がこれによって一段と悪化することになったのであります。 今日の構造的不況を克服するためには、特例公債の発行枠の弾力化であるとか、あるいは財政構造改革の当面の目標達成年度を二年おくらせまして平成十七年度、二〇〇五年度とするということ、それから平成十一年度の当初予算の社会保障関係費のあり方の規制を若干緩める、こういった内容の財政構造改革法の改正が本委員会で目下審議中であります。そのほかに、所得税の特別減税約二兆円の追加措置を行うなどの関係法律案が目下審議中でございます。 私としましては、景気回復の観点から、こういった措置もそれなりに評価できると考えております。しかし、もっと本質論的な観点から申しますと、例えば今回のような内容の所得税の特別減税には景気回復の観点からは余り意味はない、こういうふうに私は考えております。 それから、大企業の実質法人税率は非常に低いのでありまして、それに対しまして、ことし行われました現行の比例税率を前提とした画一的な法人税率の引き下げが行われましたが、これに私は反対であります。そして、さらに法人税率の引き下げを行おうという動きがございます。 所得税減税を行うというのであれば、その課税最低限額を大幅に引き上げるということが目下の急務でありまして、そうすることの方が景気回復にもつながると考えております。 現在、基礎控除額は三十八万円です。夫婦、子供二人の世帯の基本的生活費控除額はわずか百五十二万円であります。もう数年前になりますが、ドイツの連邦憲法裁判所が生活扶助基準額を下回る基礎控除額は憲法に違反するという判決を書きましたが、日本の憲法に則して申しますと、憲法二十五条の健康で文化的な最低生活を保障するという憲法の生存権的自由権条項に違反するという問題になります。 そういうことは別としましても、いずれにしましても課税最低限を大幅に引き上げるということが大事でありまして、私としましては基礎控除額を百二十万円にする、そして四人家族の基本的な生活費控除額を二百数十万円に引き上げる、しかもそれを所得控除の方式でやるのではなくて税額控除方式でやるということを検討すべきであると考えております。 それから、所得税の課税最低限の引き上げに加えまして、本当の意味での景気対策のための減税を考えるのであれば、何ゆえにこれが国会で問題にならないのか非常に疑問に思うんですが、むしろ消費税引き上げの分の凍結を行う、さらには消費税そのものの凍結を御検討いただきたいと思います。この方がはるかに景気の刺激になるということであります。 財政構造改革について申しますと、私はこの際、次の幾つかの措置を講ずることを二十一世紀に生きる日本の国民の皆さんのために、我々は年輩でありますので、我々の後に続く若い人たちのためにも真剣に検討すべきであると考えております。 第一に、現行の財政構造改革法から抜けておりますポイントの一つでありますけれども、財政収入面の合理化を行うということであります。それは憲法の応能負担原則、能力に応じて公平に負担するという憲法原則に従って税制を抜本的に整備するということであります。具体的に申しますと、租税特別措置の全廃であります。 それから、最低生活費非課税の原則の具体化、そして一定の生存のために供する、生存権的財産と私は言っておりますが、それに対する課税のあり方を見直す。非課税にするか、さもなければ課税するとしましても利用価格、ユースバリューをベースにして課税するという措置などを検討すべきであるというのが憲法の要請でありまして、そういうことも考えるべきであるということです。 そして、法人税につきましては、むしろ現在の税率は引き上げまして、法人税につきましても超過累進税率をこの際導入すべきであるということであります。これも憲法上の要請であります。こうしますと中小企業の活性化にもなるのであります。累進税率になりますから、中小企業は所得が低いですから低い税率が適用されるということになります。 中小企業の活性化と申しますと、中小企業の生存権を確保するために国家としてむしろ必要な規制を行うべきでありまして、昨日廃止になったそうでありますが、大型店舗法などの合理的な展開こそ国家として考えるべきであるというのが私の考え方であります。 それから、高額所得者に対しましては、何億という所得のある人に対しましては、むしろ最高税率を上げるということも検討すべきであります。それから、所得でつかまえることのできない隠れた担税力を財産の面からつかまえることも検討すべきでありまして、そういう意味で憲法の要請に従った財産課税の整備も行うべきであるということであります。 そして、消費課税は、課税対象が限定された、課税対象の性質に応じた免税点の策定であるとか、あるいは税率等を区別することが可能な、つまりそれなりに応能負担原則を生かし得る個別消費税をもって考えるべきであるというのが私の主張であります。 第二の問題ですが、歳出面について申しますと、二十一世紀の国際社会の動向に配慮しまして軍事費の大幅な縮減を行うべきであります。二十世紀の前半は第一次、第二次の世界戦争の世紀でありました。恐らく私は二十一世紀には世界戦争は起こらないのではなかろうかという観測を行っております。なぜかと申しますと、そのときは核戦争となりまして、地球の全滅が必至であるからであります。アメリカを含む各国が軍縮の方向にございます。日本は依然として軍拡の方向にあります。日本の実質軍事費は世界第二位とも指摘されております。軍事費の大幅な縮減を行うことは財政の構造改革のためにも必要であります。この点につきまして財政構造改革法は全く配慮していないと言っていいと思います。 それから、二十一世紀の高齢化社会あるいは高齢者社会に向けまして、福祉国家を建設するために真の意味での福祉政策が具体化されねばならないと考えております。私は、人々が定年後の熟年時代をビビッドに生きるようにすること、つまり若いころ身につけました技術であるとか知識であるとか経験などを生かして、生涯現役という形で各人の人生を全うし得るような、そういう働く場を国家が税金を使って提供する、こういうことこそ最大の福祉であると考えておるのであります。そして、各人は生涯現役という形で働いてもらいまして、所得とか財産の直接税を各人の労働の成果に応じて納税してもらう。こういう形で、直接税をもって各人のタックスライフを考えることが人々の生活を豊かにするというふうに私は考えておるのであります。 それから、これに関連して申しますと、中小企業対策費でありますけれども、消費税が導入された後に、逆に中小企業対策費が絶対額において大幅に減っておるのでありまして、これはまさに憲法の要請する方向に逆行するものであります。数字を申しますと、導入前の八八年度は二千五百三十九億円でした。それが九八年度の予算では千八百五十八億円に縮減されておる。企業の活性化、中小企業の保護育成、あるいは人々の働く場を提供するという福祉の方向からいきまして、これは大変逆行することであります。 第三に申しますことは、財政構造改革及び二十一世紀の福祉国家の建設のためにも、従来の中央集権的な租税国家から地方分権的な租税国家への脱皮が本当にまじめに検討されねばならないと考えております。この点も現行の財政構造改革法から欠落しておる点であります。 福祉は各地域社会の問題であります。中央政府では本当の意味での福祉はできません。中央政府固有の仕事は防衛と外交であります。さきにも指摘しましたように、今後、防衛の重要性は大幅に減退いたします。かつて外交の中心は国家機密、軍事機密の擁護ということが言われました。今後はそういう意味での外交の重要性も減退いたします。 このようなわけで、私は、今後は中央政府は各地域社会のナショナルミニマムを確保するための連絡調整事務に徹するという方向で行財政改革を抜本的に行うべきである、こういうふうに考えております。事務権限も大幅に市区町村、都道府県に移管する。そして、国の機関委任事務はもちろん全廃する。優秀な人材は中央政府じゃなくて、むしろ市区町村、都道府県に、地方に登用するということであります。 そして、一番大事なことは税源配分構造を抜本的に変える。明治以来の伝統的な、国がほとんど税金を取りましてそれを都道府県、市区町村に返すという構造を抜本的に改めまして、市区町村あるいは都道府県でほとんどの税金を取る。そして、余ったものを大蔵省等の国の機関に持っていくという形で、抜本的な税源配分構造を変えるべきであるというのが私の主張であります。 そして、主要な税金は、今後いろいろ検討しながら、地方で取るということも真剣に考える必要があるんじゃないか。そして、それに応じまして、地方財政調整制度を本当にそういったことにふさわしい形で、抜本的に客観化あるいは透明化、合理化するという形で、ナショナルミニマムを確保する方向で検討すべきであるということであります。一口で申しますと、中央集権的な租税国家は発展途上国のスタイルでありまして、福祉国家としましては、地方分権的な租税国家の確立こそ真剣に考えるべき時期に来ておるということを申し上げて、終わりにしたいと思います。 以上です。(拍手)
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。 これより質疑に入りますが、それぞれ質疑者の持ち時間の中には参考人の御答弁も含まれてのことでございますので、参考人の答弁の時間がほとんどなくなるというような質疑でなく、その点も十分御配慮願っていただきたいということを申し上げておきます。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○釜本邦茂君 自由民主党の釜本でございます。先生方には、大変御多用中の中、当委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。時間も限られている中で、早速御意見を賜りたいと存じます。 私は、今大阪に住居を構えている中で、私の友人も中小、個人の経営者がたくさんおるわけでございますが、会うたびに、釜本、景気を何とかしろよ、よくしろよという声をお聞きするわけでございますが、これが本当に日本じゅう満ちあふれている状況じゃないかというふうに思います。私は、そのたびに声を小さくして、もうちょっと辛抱しろよ、そのうちよくなるからなと言う以外にないわけでございますけれども、今回総合経済対策が打ち出されました。それについてお伺いいたしたい、こういうふうに思います。 政府は、十六兆円規模の総合経済対策を打ち申しました。現下の本当に厳しい我が国の経済の深刻な状況に対処するため、厳しい財政事情の中でぎりぎりの選択であったように思います。 そこで、参考人の先生方にお尋ねいたしますが、今回の政府の総合経済対策の効果についてどのようにお考えになっているか、それぞれ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(貝塚啓明君) 今回の対策は当然効果はあると私は思いますが、政府筋では大体二%程度のGDPの成長に役立つと。したがいまして、短期的には効果があるということは間違いないと思います。 ただし、私が多少心配しておりますのは、現在の不況は、いろいろ公共事業をふやしたり、そういう従来型のやり方でうまく乗り切れるかどうかということが多分一番の問題でして、私の意見を申し上げれば、先ほど申しましたけれども、現在の日本の皆さんは将来に非常に不安を持っておられます。 不安というのはどういう意味かといいますと、かなりの部分は社会保障その他が一体二十一世紀にどの程度確実に保障できるかというのが一番の問題でして、レベルが下がるということは皆さんある程度予想されております。問題は、要するにここまでは大丈夫という線を政府が出すべきであって、そういう点で保険、医療、それから年金その他、介護保険も入りますが、そういうところをきちっと、先ほど早房さんが言われましたけれども、要するにあとは政府の信用のもとでこれはやりますということを確実に保障することが重要で、そうであれば、これからある程度大丈夫だということになると、おのずから皆さんそれなりに生活の必要からいろんなことに使われるし、やがて景気もよくなるであろうというのが私の考え方でございます。
○参考人(早房長治君) それは、十二兆真水が本当にあるとすれば、今、貝塚さんがおっしゃったように二%強ぐらいのGDPを押し上げる力はあるんでしょう。しかし、それはお金が出てきて初めて少しずつ出てくるわけで、それには随分時間がかかります。 ですから、私ちょっと先ほど申しましたように、景気がある程度何となく温かくなってきたなという感じがするのは早くてことしの暮れでしょう、遅くすると来年の夏でしょう。だけれども、マイナス成長の状態が長く続くと、これをもとへ戻すというのは大変なことですね。ですから、二%台の成長に戻ればみんな世の中の空気は変わるんですが、本当言うと僕はそこまではなかなかいかないと。 それから、貝塚さんが今社会保障のことをおっしゃいましたけれども、やっぱり社会保障の問題の一つは、生命保険みたいなものを含めてですけれども、金利の問題がありますね。余りにも低金利ですから、年金も生命保険もうまく回らぬ、こういう問題が起こっちゃっているわけですね。だから、景気の悪さの根というのが非常に深いんですね。それをどうやって変えるかということ。 それから、やっぱり景気は気でありますから、その部分が物すごく大きいですから、その気をどうやって変えるか。だから、それは政府に対する国民の信用であるということは貝塚さんも今おっしゃいましたが、僕も先ほど言いましたように、さてそれを総理自身がどう考えるかというのが一番の問題ですよ、これは。
○参考人(北野弘久君) 先ほど特別減税についてはかなりネガティブな評価をいたしました。 それ以外の全体としての政策ですが、私は必ずしも経済の専門家ではありませんので専門的な立場から申すことはできませんけれども、伝統的な公共事業中心型の政策ではだめなんじゃないかと考えております。この際むしろ、今、早房さんがおっしゃったように、国民の金利を引き上げるということも考えることが非常に大きな明るい展望として、年金生活者とか老人の方たちは大変困っておるのでありまして、我々研究者も困っておりまして、基金をつくっても全く利息がつかないんです。それで研究費ももらえないんです、大学では。そういうことで〇・五%ですか、今ね。何かめちゃくちゃな国でありまして、かつては定期預金などは六・五%ぐらいありましたでしょう。 そういう方向を自民党の皆さんがお出しいただければ、それだけみんな明るい展望を持って景気を刺激するようになるかと思いますが、ひとつよろしく御検討願えればと思います。
○釜本邦茂君 どうもありがとうございます。 そこで、所得税のあり方についてお伺いしたいと思います。 今回の総合経済対策の大きな柱の一つに四兆円の特別減税があります。この四兆円のうち二兆円は来年度分の実施、そして残りの二兆円は本年の実施分であり、この本年度分が実施されますと所得税の課税最低限は給与所得者の平均的な世帯で四百九十一万七千円に上がることになると言われています。この最低限の水準は諸外国と比較して非常に高い水準であるというぐあいに言われております。その意味では、我が国の所得税が先進国の中でも非常に特殊な形態になっていると言えるわけであります。 また、今回の総合経済対策では、将来の個人所得課税のあり方についても言及し、「公正・透明で国民の意欲が引き出せるような税制を目指し、幅広い観点から検討を行う。」こととしております。私も、特に国民の意欲が引き出せるような税制を目指すことについては個人的にも大賛成であります。 さて、そこで参考人の先生方にお尋ねいたしますが、今後の我が国の個人所得税のあり方はどのような姿が望ましいか、それぞれ忌憚のない御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(貝塚啓明君) ただいまの御質問に、私は財政学を専門にしておりますので、私が率直に考えていることを申し上げますと、所得税というのは実を言うと日本の場合は、単純にアメリカ型の所得税を輸入したと言うと、そこに主税局の方がおられて、けしからぬことを言うと思われますが、しかしアメリカ型の税制を入れたわけですね。しかし、やはりどうもかなり難しい点がいろいろありまして、だんだん減税をやっていくと、今御質問の趣旨にありましたように、課税最低限がどんどん上がっていきまして、結局は中堅サラリーマン以上の税金になってしまう。 これでいいのか。これでいいのかというのはどういう意味がといいますと、やはり昔と違いまして、現在、サラリーマンの人が二十五ぐらいから勤め始めて六十ぐらいで定年になる。そういうところだけを対象にして、それで減税をどんどんやってくると、やはり全体としては税制はいびつなものになる。今の時代は単純に言えば、よくは知りませんが、大体八十近くまで皆さん生きるわけで、全体をならして生涯でどれぐらい稼いで、生涯で稼いだ額に対して公平に税金をかける。ですから、生涯所得の高い人は、ならしてみてそれだけ高い税金をかけた方がいい。それは、正直言うと所得税では結構難しいと思います。ですから、話としてはやっぱりどうしても消費税的なものをある程度入れていかないと、ならして皆さんの負担が公平になるということは難しいんじゃないかなと。 ですから、今の形で減税ばかりやっていくと所得税というのはだんだん小さくなっちゃいますが、そこはとりあえずは所得税減税のやり方はやめて、所得税はしかし何といっても公平性というのがありますので、ある程度以上の所得の人は必ず税金がかかっているということはかなり重要ですから、相続税とともにそういう点で役割はあると思いますが、余り今のような減税の仕方を今後続けていくのは好ましくなくて、ほかの方向でいろんなことを考えた方がいいというのが私の意見でございます。
○参考人(早房長治君) 所得税の最高限度を僕は、五〇%は現実としてはちょっと低過ぎるかなとは思いますけれども、五〇%から五五%まで下げてもいいのかなと。 さて、課税最低限を上げるのがいいのかどうかと、こういう問題ですが、税金というのは国民全部、要するに生活に困らない、生活ができない人以外は納めた方がいいわけですよ。貧しい人は少なくてもいいんです、それは納めた方がいいんです。ですから、課税最低限がどんどん上がるというのは僕は賛成ではありません。 ただ、釜本さんは自民党だからあえて申しますが、表向き自民党は課税最低限を上げるのはいつでも余り賛成じゃない賛成じゃないと言いながら、最後になると自民党の税調もそれに賛成しちゃうんですね。これは多分選挙を考えるからでしょうね。大体国会はみんなそうなっちゃうんですよ、みんなそういうことになっちゃう。ですから、課税最低限を上げるのは望ましくないと言うのは、僕は気楽に言えるんですけれども、議員の皆さんはもうちょっと実際自分がそっちの方へ行動するかどうかを考えて発言をしていただきたいと思います。 結局、僕は、北野さんとちょっと意見が違いますが、課税最低限を余り上げることに反対。今回の総合経済対策で、僕が先ほど言いましたように、定額法でやるのは本当を言うとまずかったな、定率法でやればよかったなと言っている意味は、もし特別減税を恒久減税に直していくということを考えると、定額法でやると、先ほども釜本さんが言われたように、三百九十一万七千円まで標準家庭の課税最低限が上がっちゃうわけですね、もしそれを恒久減税の形に直すと。やっぱり僕はそれは余り望ましくない。定率法でやればそうならなかったはずです。そうすると、世間からは金持ち減税と、こういう悪口が出てくるかもしれませんけれどもね。 逆にもう一つだけつけ加えれば、もしかしたら、課税最低限は上がるのはしようがない、これは政治の論理もあるからしようがないと言うならば、所得税を払っていない人からはある程度は消費税で取るか、こういう話になっちゃうでしょうね、理屈は。
○参考人(北野弘久君) 今、委員がおっしゃった課税最低限が非常に高いという数字は税法学の観点からは誤りでありまして、先ほど紹介しましたドイツの連邦憲法裁判所も、特殊な事例の場合の控除額は加えてはいけない、こういうことを判決ではっきり言っておるのでありまして、あの数字はなぜあんな大きな数字になったかと申しますと、まず給与所得控除額を加えておるんです。事業者にない給与所得控除額を加えておるんです。これは生活費控除じゃないんです、給与所得控除額は。サラリーマンの個別の必要経費控除等をしない、あるいは給与所得はレーバーインカム、労働の所得だからという所得の性質を考えるとか、あるいは源泉徴収で早目に税金を納めておるからという諸事情を考慮した特別の控除でありまして、こういう特殊なものは加えてはいけないんです。事業者の場合は三十八万を超えますと税金がかかってくるんです。夫婦と子供二人になりますとその四倍です。これが税法学上の正式の課税最低限なんです。 それから、大蔵省で発表している数字は、そのほかに専業主婦控除、特別配偶者控除です、それを加えておる。それから、社会保険の控除を加えておるんです。社会保険はあくまでも一種の租税です。租税を所得控除したからといって課税最低限が上がるはずはないのでありまして、もし控除しなければ理論的に言えば二重課税になります。 それから、扶養控除額の割り増し控除分を加えておるんです。高校生とか大学生の子弟のおる家庭におきまして割り増し控除の扶養控除を適用するという、サラリーマンの中で税法上一番利用できる場合の最大の金額を使って、しかも日本の円高と比較して計算しておるのでありまして、私はこれは虚構の数字だと言っているんです。この委員会でも何回も申しました、衆議院、参議院の委員会に二十回近く参考人として呼ばれておりますから。もう何十年も前からこれを言ってきておるんです。 学問的には、基本的な人的控除である、生活費控除である基礎控除額、配偶者控除額、扶養控除額の本控除額だけで計算すべきなんです。そうしますと、先生がおっしゃったような数字になりません。 それから、サラリーマン税制につきましては、これには大変な欠陥がありまして、日本のサラリーマン税制は基本的には昭和十五年にできたままなんです。世界の法律学者から物笑いになっているのでありまして、五千万人の個人納税者のうち四千三百万人程度がサラリーマン納税者であって、八十数%の個人納税者です。日本式の源泉徴収制度によりまして彼らはほとんどが納税申告権を奪われてしまったんです。 納税申告権は、私の理論から申しますと、主権者である国民の主権的権力行使が納税申告権でありまして、それが日本式の年末調整の強制等によりまして税務署へ行けない、納税申告権を事実上奪われちゃっているということです。これをまず改めるということです。したがって、年末調整制度を選択制にするということです。 それからそのほかに、毎月の源泉徴収の段階でサラリーマンは不服の申し立てができないんです。あるいは奥さんが病気になって保険がきかない、そういう人は天引き徴収の納税の猶予をしてもらえない。そういうことを事業者並みにきちっと保障するということもやらないといけません。 それから、所得税について最後に申しますと、総合課税の原点に戻る。今いろんな形で分離課税が行われておりますので、利子配当の所得を含めまして総合課税の原則に戻って、あるべき税制の方向を探るべきであるというのが私の考え方です。
○釜本邦茂君 どうもありがとうございます。 それでは、貝塚先生にお伺いしたいと思います。 法人課税のあり方についてでございますが、「今後三年のうちにできるだけ早く、国・地方を合わせた総合的な税率を国際的な水準並みにするよう、検討を行う。」と今回の総合経済対策で言っております。現在の我が国の法人課税の実効税率は四六・三六%である。今日、世界は大競争、グローバルエコノミーの時代に突入し、我が国の企業も国際的に生き残りをかけた熾烈な生存競争にさらされているというぐあいに言われます。そのことを考えれば、法人課税の実効税率を米国並みの四〇・七五%の近い水準にまで下げていくべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
○参考人(貝塚啓明君) ただいまの釜本議員の御質問は、私はおっしゃるとおり御意見に賛成であります。 結局、企業課税というのは、要するに企業がいろいろ仕事をするときにその分は負担しているわけですから、ほかの国の企業に比べて負担分が重ければ、それだけ結果的には競争上不利になります。それがもう非常にはっきりした状況であるとすれば、やはり税制上それなりの国際的な水準にさや寄せしていくのが望ましいのではないかと思います。 ただし、法人税というのはやや複雑なところがありまして、世の中でなかなか理解が得にくい。要するに、法人税というのはだれが払っているんだろうか。普通の納税者の方は法人税はだれか別の人が払っているというふうに考えておられると思いますが、最終的にはやはりみんなの負担になって、最後は個人の所得にもはね返って、日本の企業が今後競争力を持って国際的な場で活動できるということが最終的には日本の経済を支えるということになりますので、おっしゃるとおり国際水準に下げることに賛成でございます。
○釜本邦茂君 それでは次に、時間も余りございませんが、貝塚先生にもう一つお願いしたいと思います。社会資本整備の問題についてお伺いしたいと思います。 今回の総合経済対策では、社会資本整備のために国と地方を合わせて総額にして七兆七千億という事業を実施することにしております。また、今回の総合経済対策では、二十一世紀を見据えて、それらのうちでも特に環境や新エネルギー、情報通信高度化や科学技術振興、少子化、高齢化に対応した福祉、医療、教育といった分野に重点を置いた社会資本整備を行うこととしております。 このように、二十一世紀を見据え、戦略的な視点から公共投資を行っていくという今回の措置に私は大いに賛成でもあります。今後、高齢化社会の到来を前にして、限られた財源の中で社会資本整備を行っていくために戦略的な視点を持ってこれを遂行することが非常に重要ではないかと思います。ひとつ貝塚先生の意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(貝塚啓明君) ただいまの御質問、戦略的な分野に公共投資を配分していくべきだというのはそのとおりでありまして、私も賛成であります。 ただし、私は多少猜疑心を持っておりまして、戦略的と言った途端にあらゆる分野が戦略的になるという可能性がありまして、古いタイプのいわゆる公共事業型の部分というのは相当多いと思います。それが多分、先生方たくさんおられるわけですが、ある意味で地元の振興とかそういうことをお考えになればそういう型の公共事業が必要であるとお考えかもしれませんが、だんだんやはり効果が薄くなってきております。それから地方を回ればすぐわかりますが、端的に言えば、自動車がほとんど走っていないところに真っすぐに道がついているとか、そういうところがたくさんございまして、本当にある部分はもう十分であると私は思います。したがって、転換すべきでありますし、インフラ的なものに転換することは非常に重要だろうと思います。 いろんな基盤整備がございますが、今後は多分教育、私は大学におりますが、教育ということも単に若い学生のための施設というのじゃなくて、今は社会人がどんどんふえてきておりまして、やはりそれなりの弾力性を持って、例えば夜間の教育とか、そういうものの充実がうまくできるような、物的というよりはむしろ人的かもしれませんけれども、いろんな移り変わりが激しいわけでして、その辺を支持するようないろんな、必ずしも公共投資だけではなくて、平たく言えば文部省の経常的な予算の配分とか、そういうことも新しい時代に対応するように考えていただければありがたいというふうに思います。
○釜本邦茂君 最後になりますが、ほんの一言で結構でございます。先生方にお伺いしますが、現在の金利水準についてどうかという問題でございます。上げるべきか、このままでいいかどうか、二言。時間がもう本当に一分しかございません。貝塚先生からひとつ短くお願いいたします。
○参考人(貝塚啓明君) 私は今のまま、そのまま据え置くべきであります。多分、少数意見かもしれませんが。そうしないと、上げると中小企業とかそういうところに響くと思います。
○参考人(早房長治君) 上げるべきですが、今は上げられませんね。こんなに景気が悪くちゃ上げられません。
○参考人(北野弘久君) 私も早房さんと同じですが、最終的には近い将来、今まで金利をこれだけ下げても景気の回復がうまくいっていないんですから、それをそろそろ決断しまして、国民が喜ぶような金利の引き上げをこの際検討すべきであると考えています。
○釜本邦茂君 どうもありがとうございます。
○石田美栄君 民主党の石田美栄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 最初に早房参考人にお尋ねしたいのですが、私は、実は先ほどの意見陳述されました経済政策とかこのたびの財革法とか今の政権に対するお話、非常に忌憚のない率直な御意見でわかりやすく拝聴したのですが、いただきました資料で地球市民ジャーナリストという御紹介だったものですから、資料をいただいた準備の中で、そういう視点のことを期待して前もって勉強してまいりました。そういう点で、御経歴からいっても広い御見識の方だと存じ上げて、少し持論も含めて議論を吹っかけてみたい気持ちになって質問に立ちましたので、よろしくお願いいたします。 お書きになっている中に、例えば「中央公論」の中に出ています、「グローバリゼーションが加速度的に進むなかで、倫理の再構築」というふうなことを言われていて、特に過去数千年の歴史の中でというふうなことで、「七つの社会的大罪」というところに「原則なき政治」だとかという七つをお挙げになっている。その中で、特に私は「人格なき教育」だとか「人間性なき科学」、こういうところに注目いたしました。 実は私、女性学というものを議員になる前は専門にしておりまして、特に一九七五年の国際婦人年、これのことについてはいろいろ関心を持って活動もしてまいりましたが、今からもう二十年以上前のことになるわけですけれども、その当時、たしか世界の状況というのは冷戦、そして核戦争のおそれがあって、一触即発というような恐怖を感じるような、新聞記事等を見て日々そういうことを感じた時期でございました。 私、国際婦人年ができましたときに、あらゆる形態の差別撤廃条約、そしてそれが日本に持ち込まれたときには三つの、家庭科教育の男女共修だとか国籍法、そしてさらには雇用機会均等法につながっていくわけですけれども、まだその当時は本当に、女性の政治参加を叫びながらも、まだまだそういう世の中の意思決定のところには女性の登場が少なかったときに、なぜこんなに地球的に非常に男性社会が女性に気前のいい国際婦人の十年というものがあったのかなと思って随分いろんなものを読んで探しました。 そうしましたら、ある人の書いている記事に、その当時、今度核戦争があれば地球が破滅する、それを防ぐには一体どうしたらいいのかと世界の哲学者たち、思想家たちが頭を絞った、いろんなことを考えたけれどもいい案がなくて、行き当たったところは地球の歴史を、先生も書いていらっしゃる人類の数千年の歴史という立場に立ちますと、ずっと歴史の流れ、男性社会でありましたが、破壊して復興してまた破壊してという歴史を繰り返したけれども、今二十世紀の地球が何が違うかというと、世の中の意思決定機関のところに女性、それは何といっても生命を生むという人間、そういうものの登場があって、そういう人たちが世の中の意思決定をするところに入る権利を持った、このことは人間の歴史の中で初めてだと。ですから、地球破壊を防ぐ最後の一つのとりでとして女性の地位を向上しておくことが地球的に大事だと言い始めてなったという記事に行き当たって、私は非常に跳び上がった経験がございます。 結果は、一九七五年から今に至る中、地球上を見ますと、やっぱり世界規模で女性が登場してきております、いろんな国で、国会議員を初め。つい最近では、環境会議においても女性の活躍が目につきましたし、対人地雷の全面禁止条約の活動でも女性が先頭に立っている。その効果は明らかに出てきていると思うんです。 そういう点で、日本を考えたときに、少子化、子供を産まない、出生率の低下、そして日本の人口が一億を切りやがては半分になる、こういう予測の中で、何が原因なのかというのは、子育て支援とかいろいろございますが、私が最近深刻に考え出しましたのは、早房先生も書いていらっしゃるような、そういう価値観というか、科学技術の発達、産業化、工業化、効率、合理化という中で、すべてのことがスピードアップされ、合理化され、衣食住を考えても、住むところも食べることだって着るものだって商業化される。そういう中でただ一つ、妊娠する、子供を産む、そして子供を育てる、この営みだけは、例えばつわりをして苦しいから病院に行って薬をもらえば治るという話ではない。何カ月、場合によっては五カ月、六カ月と非常につらい状況を耐えなきゃいけない。こういう効率の悪さというか、価値観のギャップですね、こういうところに非常に日本の全体の問題があるんじゃないかというふうに感じております。 ちょっと前置き、私の話ばかり進めましたが、早房参考人のこの地球市民ジャーナリストというお立場での御意見を伺いたいと思って参りました。
○参考人(早房長治君) 随分答えにくい質問ですね。何を答えていいかちょっとわからないところがありますが、しかし、こういうところは、私は新聞記者やっていましたので、余り長く答えると質問者に悪いと思いますからごくごく簡単に答えますと、御婦人の方にも闘争心の強い人はたくさんいますから、必ずしも常に平和の女神というわけじゃございませんけれども、今、石田さんが言われたことは全体とすれば正しい。 確かに、戦争するときに、わっとやろうやろうと言うのは大体男でありまして、女性の方はやっぱり子供さんのことを考えるんでしょう、大体子供が出征するときはもう本当言うと出したくないと思われて、実際に大きい声を出すか出さないかはともかくとして、平和の方に動くというのが女性だろうと思います。 そして、日本の場合は確かに女性の進出というのが、これはヨーロッパ、アメリカに比べてだけでなくて、ほかのアジアの国に比べても少ない。僕は新聞記者をやっていたときに一時驚いたのは、衆議院に自民党の女性議員が一人もいなくなっちゃったんですね。それで、あれっと言って、何だ、女性の首相候補が自民党には一人もいないじゃないかと言って自民党の方々を冷やかしたことがございます。 事ほどさように、最近女性の議員が中央、地方、大分ふえてまいりましたが、まだまだ少ないですね。僕は女性の議員が平和の女神としてではなくて、やっぱり男性の視点と女性の視点は違うし、それから女性の視点というのも非常に重要です。特に世の中を変えようとしますと、男性というのは企業においても、多分この政治の世界においてでもでしょうけれども、大体既得権益みたいな方に、ばさっと切るということをなかなかやりませんが、女性の場合は企業にいても、例えば同期の桜という言葉がしばらく前までありましたけれども、冗談じゃないわ、何が同期の桜よと言うのは男性じゃなくて女性であります。だから大企業は機会均等法ができても実質的にずっと女性をとらない時期というのがありましたね。しかし、物を変えるとなったら女性をやっぱり相当とらないとどうにもならないということが実質的に起きておりますから、最近は企業なんかは比較的積極的にとるようになりました。政治の世界でももう少し女性が進出することを、僕はそれほどフェミニストじゃないですけれども、そう思いますね。
○石田美栄君 こうした議論をもっと続けたい思いもございますが、本当にそういう価値観、日本全体、最も教育が重要だと思うのですが、この財政構造改革、日本の将来、財政を考える、少子・高齢化社会を切り開く、将来の国の形を描くというところで、早房参考人にお伺いしましたのは、そうした二十一世紀の日本全体を描くときの、本当に人間の価値観というものがどうなのかということをもっと議論したいと思いましたけれども、余りそちらに行くと外れてしまうかと思いますので、次に行かせていただきます。 次は、貝塚参考人にお伺いしたいのですが、きょうのお話もそうだったし、いただいた資料でも、消費の動向が極めて重要であって、消費を決定するのは人々の将来に対する期待のいかんである、将来の不安を取り払えということで週刊東洋経済にもお書きになっているのですが、私も本当にそう思います。 今のこの一連の国の動きをごく普通にとらえて考えるとすれば、一般の市民というか、消費は実際にお金を出しているのは女性が多く占めています。自動車とか家とかも、実際に支払われるのは御主人の方でしょうけれども、決めるときというのは女性、奥さんが大いにかかわっているし、このたびの減税の政策にいたしましても、その恩恵を受けるというか、実際に関心を持っているのは、そういう家族を持っているくらいの年代の人たちであって、どういう受けとめ方をしているかなど考えると、多分、国が大変な借金でとても大変だということはわかっているわけですね。 このたびの財政構造改革法が成立すれば、なるほど多分歳出が抑えられて、二〇〇三年には赤字は出さないようにするのかなと思っていたら、実際には今やっている議論、公共投資、そういうものも削減されていって、財政の建て直しに向かっていくものと思っていた矢先、実際には財政構造改革元年の平成十年の予算が成立するや否や、いろんなことがめちゃくちゃになってきて、実際にはこれは補正予算にも縛りがなかったし、建設国債にも余地が残されていたということでこのたびの改正に向かっている。 そういうことを耳にすると、それならそれで本当に国の将来を考えて自分たちも辛抱しなきゃいけないんだと思っていた矢先、そういうものが外れていく。それで減税が一度行われて、じゃ景気がよくなるかというとそうでもない。そうするとますます不信になってきて、思い返すことになりますが、一昨年の住専のときにも六千八百五十億円を投入して、それがその後非常に超低金利で、金融の安定のためということでそれもあきらめていたと思うんです。 ところが、またまたこのたび金融安定化ということで、金融機関救済で三十兆円も準備するというそんな中で、埋め合わせという感じで二月、三月に二兆円の特別減税があって、そういうときに財布を握る立場ですと、一体これはどうなるんだろう、年金も医療も介護保険も始まるけれどもと。そして、このたびも景気が一向によくならないということで、結局従来型の公共事業を中心にして十六兆円をつぎ込むという中で、何だかまたまた以前と同じようにちょっぴり減税をつけ加えられるといったのが実感かなと思うんです。そうすると、やっぱり使う気にはならない。 実際に、衣服なんかにいたしましても、今それがなければ寒くて困るという状況ではありませんから、三枚買おうと思っても一枚で済ませられますし、そういう状況になっているというふうに思うのですが、こういった減税をしても消費につながらない、消費が非常に重要なのにという部分、そういう国民の感想を述べてみたつもりなんですけれども、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(貝塚啓明君) 先ほど申し上げましたように、確かにこの経済対策である程度景気は下支えはできると思いますが、ただその先の展望が余りはっきりしない。 それはやや長目に見て、自分たちの生活で、私が先ほど申し上げたことですが、年金はここまで保障する、それから介護保険はこうなっています、医療保険はこうです、二十一世紀に入ってかなりお年寄りがふえるわけですから、それはレベルが多少下がっても、皆さん大体レベルが下がるということは予想されていますが、その中で、ここまでは確実に保障するということがある意味では政治の責任であって、それがみんな、うん、なるほどということになれば、そこでもとへ戻って普通の生活をまたやり始める。今は、とにかく消費はしませんとか、何も買いませんとか、そういう話、ムードが強いんですが、そこらあたりの見通しをきっちり立てられるような政策の提示といいますか、そういうものが必要です。 それは本当の政治の問題で、先ほど早房さんがかなりはっきりおっしゃったんですが、私も基本的にはある意味でそういう政治の信用の問題で、それをちゃんとやりますよということをきっちり言って、皆さんが信用されるならばおのずから道は開けるというのが私の意見でございます。
○石田美栄君 今のことに関連いたしまして、ナショナルミニマムというか、教育も年金も医療も介護もという、私も本当にそういうふうに思います。 それでもう一度、早房参考人にお伺いしたいのですが、こういう何千年という歴史も見て、地球規模でとかというお立場ですが、私たち日本人の身の丈、そういう観点からもう一度、今の私たちが取り組もうとしている財政構造改革法そして目下の経済対策、それをどういうふうに考えたらいいか、御意見を伺いたいと思います。
○参考人(早房長治君) 基本的には、特に国内的に考えた場合は、貝塚さんが今言われたことと全く同じです。ちゃんと社会的なセーフティーネットを張って、それが多少高かろうが低かろうが、しかし下へどんと落ちないよということさえはっきりすればみんな安心して、もう少し目の前の楽しむことも考える、こういうことだろうと思うんです。 ただ、先ほど僕が冒頭陳述で申し上げましたように、日本というのはもう少し世界全体を考えていく立場になっちゃったと、別段偉くなったとかということじゃありませんが。日本の経済が世界第二のこれだけの規模になり、ソフトは弱いですけれども、割合レベルの高い経済になると、日本の経済は直接世界経済に影響する、世界経済は直接日本経済に影響する、そういうことになってしまっているわけです。これは理屈じゃなくて事実でありますから、そういうことをもし認識しないで経済運営をやったりすると、今回みたいなことの大きな原因になって、こういうことになっちゃうという一つの証左だと思います。 さらにもう少し考えなきゃいけないのは、最近、グローバリゼーションと言われまして、グローバリゼーションは大変いいことのようにみんなが言っていますけれども、確かに雇用の機会がふえる、ビジネスの機会がふえる、それはいいことですよ。だけれども、もう一つは、弱肉強食になっちゃうわけですね、これは。やっぱり強い国、今で言うと一強はアメリカですけれども、アメリカみたいな国が相当わがままもやりかねない。それから、多国籍企業がいろんな業界にたくさんあって、さらに大きい企業が出てきそうですが、そういうところがわがままをやって、例えば本社はタックスヘーブン、要するに税金を取らないところに置いたり、ある国に投資をするときにも、税金をまけてくれなきゃ投資してやらないよと、そして税金を高く取ったら今度は別の国に打っちゃうよというようなことをやりかねないわけです。 そういう種類のことを一体どうしたらいいのか。日本の国民の福祉のためにもアジアの人たちの福祉のためにもそういうことを考えていくときが来て、それが実際は二十一世紀の経済運営。しかも、それは国内の問題と国際的な問題と両方ちゃんと考えていかなくちゃいけない。ですから、政府または政府の責任者たる、特に首相になる人は相当の見識と能力が要求される、こういうことです。
○石田美栄君 どうもありがとうございました。
○荒木清寛君 公明の荒木清寛です。 まず、貝塚参考人にお尋ねをいたします。 冒頭、恐慌、大不況に近いというお話がございましたけれども、こうなりました原因、ある方は政策不況と言い、ある方はこれは循環型の不況なんだと言う。きょうの参考人のお話の中にもそれぞれあったわけですが、その原因をどうお考えかという点。 それから、従来型の対策ではだめだと。お話を聞いていますと、福祉のビジョンをきちんとして不安をなくすということが大事だと。私は全く同感です。 ただ、それだけでこの不況を脱出できるというわけではないと思いますので、どういう処方せんをお持ちなのか、その二点をお聞かせ願いたいと考えます。
○参考人(貝塚啓明君) ただいまの御質問にお答えします。 原因は何かということですが、私は、やはり住専問題が一番最初にありまして、金融危機に対する対応がおくれた。大体、金融危機とかそういう危機に対する対応がおくれればおくれるほどツケがたまりまして高くつく、まさにそういう状況じゃないか。これは非常に複雑な問題ですけれども、金融機関の救済は本当はできれば早い時点で救済した方がいい。それが必ずしもそうはうまくいかなかった。これが税金を入れるという話と結びつきまして、非常に複雑になりましておくれたのが原因だと思います。 現在は、もうそうなった以上、今の状況を前提にして考えると、これは先ほど早房さんも言われましたけれども、要するに日本の国内だけの話じゃなくて、外から、日本は大丈夫かというふうに思われています。ですから、日本の中だけじゃなくて外に対しても、例えば外国へ行っていろんな人に会うと、一体どうしているんだ、どういうつもりなんだということを前から質問を受けるんです、日本政府はどうする気なんだと。そこが目に見えて、こうするんであって、こういうやり方でここまで行けば大体金融機関の話も何とかなりますよと。できるだけ早くそういうふうに措置をする。 これは最終的には税金を食うということにもなりますが、今はもはやそういう議論をしている段階じゃなくて、やはりなるべく早くけりをきちっとつける。それでけりがついたということがわかれば、ああなるほど日本はもうこれでけりをつけたんだ、じゃこれから先はこうなるんだという見通しが立つ。外国の方もそう思うんですよ。日本の中でもそういうふうに皆さん考えるんです。その辺のところは今の段階でなるべく早くというのが、私の金融に対する処方せんはそういうことでございます。
○荒木清寛君 関連しまして、早房参考人にお尋ねしますが、不良債権の処理というお話を先ほどされておりました。この場合、貝塚参考人がおっしゃるように、やはりこれはもうある程度の公的資金を投入してでもやるべきだというお考えなのか。どういう形でこれを解決していくべきだというふうにお考えなんですか。
○参考人(早房長治君) 私も公的資金の導入には賛成ですよ。わかりやすく言えば、アメリカ型の導入の仕方をすればいいんじゃないですか。 先ほど、べールアウト、要するに沈みそうなボートから水をくみ出すやつですね、だから沈みそうなやつを何とか助けるということと、クリーンアウトというのは、自分で自立できないものはきれいにさっぱりつぶしてしまう、こういうことですけれども、問題は公的資金を使うときに、だめになるものをわざわざ助ける、それはだめです。要するに、つぶすために使うなら結構です。 特に、ある程度の大きさのものが、これは必ずしも銀行とは限りませんが、ゼネコンでもそうですけれども、倒れればそれは船が沈むのと同じで、ばっと波が立ちますから、そこでいろいろ被害が出ます。それが被害が出ないように国の金を使ってそれをなるべく早く処理してあげる、そういうやり方じゃないですか。 アメリカは、レーガン政権のときには先送りしましたけれども、ブッシュ政権になってそれをばっと八七年からやったわけですね。非常に短期間にやりました。そのときに、要するに金融の不良資産も、それから土地の不良資産も、両方とも短期間に処理しちゃったわけですね。それで、一時は十五兆ぐらいのお金がかかりましたが、実際はそれを売りましたから、最後は十兆円ぐらいの国の資金の持ち出し、こういうことになりましたが、そのおかげでアメリカの金融機関はみんな相当強くなって、今断トツの実力と、こういうことになります。 一つこれだけつけ加えれば、今の金融の世界というのは半分ぐらいはマネーゲームでありますが、マネーゲームに強くなったと。それが世の中のためにいいかどうか知りませんよ。知りませんけれども、しかし、ともかく国際競争力というのは物すごくついている。だけれども、それは先ほど言ったような不良債権の処理をしたから強くなった、そういうことだと思います。
○荒木清寛君 早房参考人にその関連で、我々は不良債権の処理に関しては日本版RTCといいますか、そういう強力な権限を持った不良債権の回収機構のようなものを設けるべきだというような提言もしたわけですが、この点はどうお考えでしょうか。
○参考人(早房長治君) 僕は賛成です、ちょっと遅きに失していますけれども。
○荒木清寛君 貝塚参考人にお尋ねしますが、公共工事のあり方についても言及がございました。余り使わないようなところに道路が真っすぐ走っているというようなむだが数々指摘をされているわけですね。やっぱりそういうことにきちんとメスを入れていくといいますか、むだ遣いをなくして真に必要な公共投資をするというのが本来の構造改革だと思うんです。そういう意味では、従前いろいろ言われるようなむだな公共工事が実際に執行されてきたということは、どの辺に原因があるというふうにお考えなのか。そしてまた、今回の財軍法でそういう点にきちんとメスが入った改革になっているのか、その点はどういう見解をお持ちですか。
○参考人(貝塚啓明君) ただいまの御質問は、予算の配分ということの極めて重要なポイントでして、従来は公共事業というのは、各省の配分がありまして、そのパーセントがなかなか変えられなかったわけですね。主計局がある程度頑張られたんですが、結局やはりある枠があって、その枠とおりの、額の配分というのはそう変わっておりません。あとは知恵を絞って、実際に各省庁もある程度はそれは新しい分野にお金を出しておられると思いますが、そういう状況で、簡単に言えば少しずつ手直しはしてきたんですが、全体として見ると、やはり結果において随分時代からおくれたと。 それはなぜかと言われると、これはある意味では地元の方もそうですが、例えばわかりやすく言えば、ある省庁のある課がありますよね、何とか局のある課。その課は、何か知らぬけれどもある特定の補助金で成り立っている課というのがあるんです。そうすれば、それは行政改革とかなんとかいっても、役所の機構として賛成するというのは非常に難しいでしょう。ですからもともとは、もちろん地元の利害とかそういうことがあるんですが、各省庁の利害、各課の利害、各係の利害、そういうことがありまして、そこはなかなか動かないというところがあると思うんです。 具体的に言うと、現在、橋本総理が行政改革というのは非常に熱心にやられておるわけですが、どうももう一つまだちょっとはっきりしないところがあるんですが、その辺のところが本当は極めて重要でして、ある意味で予算の配分をある程度変えられる、あるいは行政機構のそういう基本的なところを少し変えるということを本当はやらないといけない時代ですが、それがなかなか難しいということは、その辺に多分どうしても官僚制とかあるいは後ろにある政治の話とかいろんなことが絡み合って、基本的には、昔の利益といいますか今の利益といいますか、過去からずっと引き続いていた利益の部分の配分を変えるというのは大変難しいですね。そこのところはある意味では政治力と。それは当然選挙の話とかいろいろなことが絡みまして、国民の皆さんが基本的にはもうそろそろ変えた方がいいと。その辺のところが本当にうまく選挙で議論の対象になればいいんですが、そういうことではないかというふうに思います。
○荒木清寛君 早房参考人は、この景気対策も公共事業よりも減税中心だというお話がございました。この場合、当然財源をどうするんだという話が常に出るわけでして、それはどのようにお考えなんでしょうか。
○参考人(早房長治君) 橋本首相やそれから自民党の執行部がどっちかといえば公共事業の方へウエートをかけるということを考えたのは、それはいろんな理由がありましょう。選挙の理由もあるし、いろんな理由もありましょうけれども、基本的には、この財革法を変えて減税をやるとなると赤字国債を増発するということになります。公共事業だったら建設国債で済むわけですけれども、ほぼ旧来型公共事業ですよ。幾らふやしても建設国債を増発すればいいわけですから、余り法律を変える必要はない。やっぱりそこのところが大きな原因になったと思いますね。 だけれども、先ほど言いましたように、これは非常に単純な話なんだけれども、公共事業をふやすということは、建設国債でやろうが赤字国債でやろうが、どっちにしても歳出をふやすということ、大きくするということですよ。それを今度は縮めるというのは非常に大変なことですよね。政治の論理としても大変なことですね。減税というのは、確かに一時的には赤字国債を出さざるを得ないけれども、歳入が小さくなりますから、歳出が特別ふえるわけじゃない。歳入は小さくなる。確かにギャップは大きくなる。大きくなるけれども、どっちかというと力としては、将来、じゃ歳入が小さいから歳出も減らそうやという方へ動く可能性はありますね。 そうすると、行革なりそれから財政構造改革の大きなポイント、この財政構造改革法の唯一の長所は、実は今までどんどん膨らます一方でした財政を、ともかく少し小ぶりの方へ持っていこうやと、少なくともそういう意図でおつくりになったという点が僕は唯一の実は長所だと思っているんです。結局しかし、今回みたいな七兆七千億円ですか、公共事業をやって、しかもほとんどは旧来型の公共事業だと僕は思います、これをやっちゃったら、せっかくの財軍法の長所はほとんど消えます。だから、僕は今度の総合経済対策というのは財革法つぶしてはないかと思っているぐらいですよ。
○荒木清寛君 北野参考人にお尋ねします。 私も、今回の不況の大きな原因の一つは消費税の税率アップだと思います。ただ、一たん上がったものを今下げる、三%に戻すことが本当に景気対策になるのか、その点は疑問がありまして、むしろ大型所得減税の方がいいと思っているわけです。 といいますのは、当然、この税率を下げるとした場合、準備期間が要るわけでありまして、その間は駆け込み、買い控えという現象が起きるはずです。そうなりますと、これ以上物が売れなくなるということが本当にいいのかという意味で、かえって逆効果もあると思っているんですが、この点はいかがですか。
○参考人(北野弘久君) それはいろいろ分析の仕方はございますけれども、僕は四十数年間この学問をやっております関係上、消費税の方が日本の国民の心理からいきましても、やめると言っているんじゃないですよ、税制を改正するということを言っているんじゃなくて、当面二%引き上げ分を凍結する。凍結するための法律を一条つくればいいわけですから、そういうことで何の準備期間も要りませんし、そういうグッドニュースが日本社会に伝わるだけで国民は明るい展望を持つということであります。 それから、所得税の減税は納税者だけが利益を受けることになりますし、それから減税の仕方にも、いろいろ議論がありましたように必ずしも消費に回らないという面があります。ところが、消費税の方は、年金生活者も、いろんな方がそれによって恩恵を受ける、また政治への明るい展望を抱くということで、私は効果があるのじゃないかと考えております。
○荒木清寛君 終わります。
○渡辺四郎君 三名の参考人の方々、大変御苦労さまでございます。 社会民主党の渡辺でございます。 私は特に地方財政問題についてお伺いをしたいと思います。 私は以前から地方財政は危機だということをずっと訴え続けてまいりましたが、現在、既に百六十兆に及ぶ大変な借金ができ上がっておる。近々のマスコミにも、ここにもありますように、「国に反旗、高利の地方債抱え、単独事業もう限界」と。 これは今度の追加補正の中でも一兆五千億の単独事業、国が実施をします公共事業の裏負担等々を含めますとまた四、五兆円の赤字国債を発行しなきゃいけない、こういうことで百六十兆円になんなんとするわけです。 一つ問題になるのが、各六団体がいろいろとやっておりますように、余りに高利な借金が、いわゆる財投資金を利用した部分ですから政府資金の部分をお借りしておるわけですけれども、その部分で七%以上あるいは七・五%以上、全体的に見ますと六%以上ぐらいのものが三十五兆円ないし三十八兆円ぐらいまだ残っておる。ですから、この部分を低金利の方に切りかえたいということで、地方のいわゆる縁故債の方は十一都道府県でそういうことをやりながら金利の安い方に借りかえをしたわけですが、どうしてもこれを大蔵が認めないということで非常に自治体も困っておるわけです。やはりこれほど金利が下がったわけですから、私は当然認めていいのじゃないかという、これは私の主観ですけれども、そう思うんですが、参考人の皆さん方にそれぞれ御意見をお伺いしたいと思うんです。
○参考人(貝塚啓明君) かなり難しい御質問で、やはり金利については、結局、今の国債ないし地方債も原則的には、最初借りたときに十年なら十年、それで金利は固定の金利で、昔ですから七%に近いところで借りて十年で返しますと。それで多分、地方財政の状況が本当によくなったときには早期に償還するということがあります。 今の状況で借りかえをするというのは、普通は財政の原則的な、こういうので借りますということを途中で変えちゃうわけですから、言ってみれば最初十年で出すつもりが三年で変わっちゃったという、例えばあと七年は低利で出すと。財政上は確かにその必要性がありますが、借金証文を、単純に言いますと国、地方が債務証書を書いたときの条件を守るかどうかという割合と制度的な、形式的な話ですが、そこを変えちゃっていいのかなというのが私の率直な疑問です。
○参考人(早房長治君) 確かに面倒くさい非常に難しい問題なんですね。ただ、私の意見を言いますと、それは地方の方もそのつもりで借りたわけですから、本来は約束を守るべきなんです。ただ、金利がこれだけ下がってしまって、短い間に物すごい変化をしたわけですね。そうすると、本当を言うと長期債という長い期間のものというのはうまくいかないんです。 また、国債の長いものをいっぱい出しておりますけれども、例えば金利が何かの拍子でぼんぼんと二%ぐらい上がっちゃったとしますと、今出ている安い利率の国債はきっと暴落しますよ。だから、本来はそういう債券の出し方というものはこういう時期にはある程度変えなきゃいかぬのです。本当を言うと、前もって変えておけばよかったんだけれども、どうもそれをやっていないからこういうことが起こっているわけで、僕はこれだけの状況の変化があれば、その約束を全部変えろ、全部借りかえを認めろというのはなかなか難しいことだと思いますが、やっぱりそれは話し合いでここまではしようがないね、そうしないと今度は地方の方が大変だねということでやるべき話ではないかと思います。
○参考人(北野弘久君) 今の高金利の借金の方は、これはバブル時代の産物ですから、大きく日本経済の構造が変化したわけですから、ケース・バイ・ケースですけれども、私はこの際、日本の非常時だということで、諸事情を考慮しながら借りかえその他の方法で何らかの政治的な決断をすべきであると考えております。
○渡辺四郎君 ありがとうございました。それぞれ御意見があるようです。 民間の保険経理を見ても、こんなに利ざやが変わってくる、下がってくるという段階の中でお互いに見直していったわけですから、そういう点から見て、国のこの部分だけができないというのはどうしても私自身も理解に苦しむわけです。 おっしゃったように、例えば今あります公定歩合四・五%は四・五、それ以下に下げろといえば無理があるかもしれませんけれども、九%、八%という金利をそこら付近まで借りかえするわけですから、返すわけじゃない、借りかえするわけですから、という気持ちがしておることだけ申し上げておきたいと思います。 それからもう一点、景気回復と消費拡大との関連の問題で、先ほど北野先生もちょっとおっしゃっておったようですが、私は以前からの持論として零歳児からの育児手当、児童手当――今、年収六百五十万から七百五十万ぐらいの若い世帯層の皆さんたちが子供を保育園に預けますと、場所によって違いますけれども、保育料が六万五千円から八万円ですよ。そうしますと、二人預けますと十三万から十五万円要るわけでしょう。手取りの中からそんなに保育料を取られますと、やっぱり勤めの方を考えるということがあるわけです。 そして、一番消費につながるのは赤ちゃんであり、子供のころはもう下着から全部、あるいはおじいちゃんおばあちゃんになると、おもちゃを買ってやったりなんかするわけです。消費に完全につながる。そうすると、育児手当を増額するという一つの方法がある。しかし、民間、中小は非常に難しさがありますから、民間、中小の税制として、納税額として手当を出した部分は見てやるという方法が一つあるんじゃないか。北野先生がおっしゃったように、課税限度額を引き上げて、そして児童あるいは小さな子供さんたちに、そうすれば若い二人の世帯の皆さんは勤労意欲もできできますし、これから先、国家五十年、百年を考えた場合に、子供をどうふやしていくかというのも一つの大きな財産ですから、国の計画でなきゃいけないわけです。 私はそういうふうに思うんですが、簡単にお三人の方からひとつ見解をお伺いしたいと思います。
○参考人(貝塚啓明君) 少子化対策ということの御質問だと思いますが、今まで日本の政策は、厚生省にしても少子化とかそういうところで個人の決めることに入るのは差し控えるという考え方ですが、やはり今の状況ではそういうのを少し変えて、いろんな税制上あるいは社会保障の中で少子化対策に役立つことであれば、もし有効に役立つならば少し変えてみようという雰囲気は出ておると思います。 非常に重要なポイントで、恐らく育児サービスとかそういうところが完備していればそれなりに少子化はとまる可能性もありますし、いろんなやり方があると思いますが、今相当その辺は真剣に考える時期に来ているというふうに思います。
○参考人(早房長治君) 少子化対策にはなると思いますから、僕は賛成です。 それから、消費を拡大する対策、そういうやり方は政策減税といいますけれども、そういうことを考えるのもまた悪くないということであります。 ただ、少子化対策ということを考えると、これは本当に総合的な問題でありまして、やっぱり世の中余りよくないぞ、余り明るくないぞと思えば、保育所が隣にできても、安いのができても、もしかしたら子供を産まないかもしれません。だから、それはもう少し大きく考えなきゃいけないということはあると思います。
○参考人(北野弘久君) 先生の御意見にはほぼ賛成ですが、ちょっと参考までに私の専門の学問から申しますと、公的保育所の父兄、保護者たちが負担している負担金、場合によっては保母さんたちの人件費まで場所によっては負担させておるということでありますが、これは形を変えた租税だと私は考えているんです。 福祉国家では、共稼ぎの夫婦がやむを得ず子供を預ける、これは一定の事情があれば国家あるいは地域社会が一般の税金を使って面倒を見るべきでありまして、若干の手数料程度はもちろんいただくとしましても、何万円という大変な負担金を払わなきゃいかぬということで、これは税という形をとらない形を変えた租税でありまして、憲法学上一種の租税であると私は言っておりますので、そういったことも考えながら政治はやっぱり真剣に考えるべきだということです。
○渡辺四郎君 どうもありがとうございました。
○有働正治君 日本共産党の有働でございます。 きょうは御出席、御所見、どうもありがとうございます。 御発言をお聞きしまして、現在の不況の深刻さ、とりわけ消費の落ち込み等々について極めて深刻だという所見が述べられたわけであります。そこで、この消費の落ち込み等の原因をめぐって同じ質問をお三方にしたいと思います。 一つは、国民から見まして、個人消費が落ち込んだ原因というのは、やはりいろんなマインド的な要素はあると思いますけれども、直接的な引き金として重要なあるいは決定的な意味を持つのは、消費税率の引き上げ、特別減税の打ち切り、そしてまた医療費負担、合わせますと九兆円。これは四人家族でいいますと年間三十万円、一人七万五千円。非常にかつてない問題が直結しているということは明瞭だと思いますけれども、この点についての御所見。 二つ目は、その対策としていろいろ私どもは述べていますけれども、消費税の減税が決定的と私は言えるんではないかなと。国民の皆さんもそのことを、世論調査を通じましても、ほかの選択肢を抜きまして断トツに、大方六割ほど要望しておられる。経済界の中でもそのことの要望が強い。ある経済雑誌で第一勧銀総合研究所の専務理事の方が、一〇〇%景気浮揚に役立つのは消費税減税だ、これが今の景気対策の決め手だと、こういうことまで主張しておられるわけです。 それは、消費税減税というのは消費を拡大しないと消費者自身にも減税効果が及ばない、消費すれば減税効果に直結するという、その消費税の持つ性格からいって言えると。消費税減税が消費の落ち込みをもとに戻し、あるいは景気回復の重要な決め手になるということは理論上は言えると思うのであります。 この二点について、簡潔にお三方にお述べいただければと思います。
○参考人(貝塚啓明君) 後の方からお答えいたしますが、消費税は減税すれば効果があるということはそのとおりです。ただし、世の中で言われているほど効果があるのかなという気はいたします。 要するに、単純に言えば、物の値段が少し安くなるということなんです。だから買いましょうと、消費者にとっては。ですから、安くなるから買いましょうというところでそれは多少は効果があると思いますが、それで物すごく消費がふえるとは私は思いませんが、効果があるということはそのとおりです。 それから、第一の質問は、ちょっと私、今……
○有働正治君 原因です、消費落ち込みの。
○参考人(貝塚啓明君) それは消費税ももちろん関係しておりますが、社会保険料と一緒に上がっちゃったと。税金のケースの方ははっきりしているけれども、保険料のケースは、例えばお年寄りが病院に行って、この四月から上がりましたというわけで、普通は知りませんね、それで窓口に行って、一割が二割になりましたと。それはそのときはそうなんですが、そこでもうある意味ではショックを受けちゃって、しばらくお医者さんに行くのをやめようと。 ですから、医療保険料は、私は昔、医療保険審議会に多少関係したことがありますが、やはり相当慎重に考えるべきことであったというふうには今の段階では思っております。
○参考人(早房長治君) 不況の原因については、有働さんが今言われたことにほぼ一〇〇%賛成であります。最大の原因は政策不況、九兆円の負担増ということがきっかけになったことは間違いないと思います。 それから、消費税の問題ですが、僕は実を言うと消費税の引き下げというのには余り賛成しないです。いろんな減税の仕方があります。所得税減税とか法人税減税とか、いろんな減税の仕方がありますが、消費を引っ張り上げる効果、それはその中では一番あります。間違いなくありますよ。それは三%に戻すかゼロにするか。ゼロにしたら非常にあるでしょう。ただ、最近安売りしても余り物が売れないそうですけれども、まあそれにしても効果は非常にあると思います。 ただ、その消費税の問題というのは、では消費税を三%に下げたと。だけれども、国民は何と考えるかというと、多分そのうちにまた上がるんじゃないか、凍結してくれたけれども、またその凍結を解除して五%に上がるんじゃないかなと。だから、特に将来に対する不安がそう解けるわけではないと、消費税を下げても。やっぱり国民の中には、消費税というのを全くなくしちゃうということができるのかなと、そういう疑問が非常に強いし、私自身もそう思っています。 それから三番目は、僕がどちらかというと余り賛成しない理由は、これは今の消費とすぐ関係ありませんが、しかしこれは一つの大事なことで、将来の税体系というものを真剣に考える。それは一人一人がどういう税金を払うかということですよ。その場合に、僕は消費税抜きというのは考えられないと思います。そうすると、例えば一度ゼロにしちゃったり、上がったものを下げちゃった場合に、これがどういう影響を与えるか、そこをもう一度しっかり考えておかないと、そう簡単に判断、判断というかやっていいことじゃないと思いますね。
○参考人(北野弘久君) もう時間がないようですから、大急ぎで申しましょう。 九兆円が最近の不景気の直接の大きな原因であるということは先ほど申しましたとおりであります。有働さんと同じ意見です。 それから、消費税そのものにつきましては、確かに消費税の引き上げが国民感情とか日本経済の特殊性からいきまして消費不況の大きな原因になったことは事実であります。ですから、最終的に消費税を廃止するという方向で日本の行財政改革を考えるべき時期に来ておると思いますが、そういう意味で早房さんとはちょっと違った意見を持っております。 そこで、消費不況のほかにもう一つ大事なことは、消費税は付加価値税なんですね、企業にとっては。しかし、税務行政の現実では、特に中小企業につきまして売上高に対する企業税になっておるんですね。仕入れ税額控除を否認するケースが非常にふえてきておりまして、もう自殺に近い状態にまで中小企業のオーナーたちを追い込んでおる、そういうことが九九%と中小企業の多い日本の資本主義の構造に対して大きな悪い影響をもたらしておる、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
○有働正治君 北野参考人にお尋ねいたしますけれども、財政構造のゆがみの是正の問題で先生も幾つかお述べになられました。先生は時間の関係でお触れにならなかったと思うんですけれども、公共事業のむだや浪費の問題、そして国際的にも異常な偏重の姿、国と自治体の公費負担はおよそ年間五十兆円が公共事業、これに対して社会保障は二十兆円であります。国際的に公共事業の公費負担は、GDPをとりますと数倍あるいは十数倍、逆に社会保障費の公費負担は数分の一、それ以下と非常にゆがんでいる。公共事業は国民に密着したいろんな施策をやらなくてはいけないけれども、むだや浪費が余りにも大きいというのが国民的指弾になっている。日本の財政構造もいびつな姿になっている。この問題にメスを入れる。しかも、公共事業は経済成長にプラス、社会保障はマイナスと言うけれども、最近の研究ではそういうことでもないという経済効果も言われているわけであります。 これについての所見と、もう一点あわせて財源問題で、私は軍事費の問題とか公共事業のむだとか大企業の優遇税制等々にメスを入れれば、財源対策もきちっと国民本位に財政民主主義を貫けばとれると思うのであります。この点についてあわせ簡潔に。
○委員長(遠藤要君) 時間の関係がございますので、結論だけで。
○参考人(北野弘久君) 一言で終わりますが、財源は十分、今おっしゃった、あるいは私たちが論文で明らかにしておりますような憲法の応能負担原則に適合する形で日本の税制を再編成することによって、あるいは支出のあり方についてもきちっとやることによって出てくると思います。 それから、借金財政の一番大きな原因は社会保障費じゃなくて公共事業費であるということはいろんな経済学者が実証的に明らかにしたところであります。ですから、箱物だけをつくるという従来型のゼネコン型の公共事業を見直すということも大事だと思います。
○有働正治君 どうもありがとうございました。
○委員長(遠藤要君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 本日は、長時間にわたり貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに厚く御礼を申し上げます。(拍手) 次回は明二十九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十四分散会