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142回国会参議院1998/05/25

経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会 第3号

発言数
58
登壇者
15
会派数
5
開催日
1998/05/25

会議録

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ただいまから経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る二十二日、牛嶋正君、海野義孝君、緒方靖夫君及び山下芳生君が委員を辞任され、その補欠として大森礼子君、武田節子君、須藤美也子君及び橋本敦君が選任されました。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) 中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。堀内通商産業大臣。     ―――――――――――――

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  昨今の不良債権問題への対応や、本年四月から導入された早期是正措置により、いわゆる貸し渋りという事態が深刻になっており、また、最近の金融システム改革の動きを契機として、金融機関による取引先選別強化の動きがあらわれてきていることから、間接金融に依存せざるを得ない企業の資金調達は引き続き大変厳しい状況になることが予想されております。  一方、中小企業信用保険法を初めとする中小企業金融関係法律における中小企業者等の範囲については、昭和四十八年以降改定されておらず、特に卸売業、小売業及びサービス業に関する資本金基準が実態に比べて低くなり、本来であれば中小企業として扱われるべき企業が金融支援を受けられなくなっていることが問題となっております。  そこで、中小企業金融対策において、本来対象とすべき企業の資金の融通の円滑化を図る必要があることから、今般、本法律案を提案した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、中小企業信用保険法、中小企業金融公庫法、環境衛生金融公庫法及び中小企業倒産防止共済法における中小企業者等の範囲を改定し、卸売業の資本金基準を三千万円以下から七千万円以下に、小売業及びサービス業の資本金基準を千万円以下から五千万円以下に引き上げるものであります。  第二は、中小企業信用保険法及び中小企業金融公庫法における中小企業者の範囲について、それぞれの業種の実態に応じ、政令で特例を設けることができることとするものであります。  以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日行うことといたします。     ―――――――――――――

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  経済活性化及び中小企業の緊急対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に参考人として、株式会社三和総合研究所調査部長蔦壁寛明君、株式会社野村総合研究所主席研究員リチャード・クー君、全国銀行協会連合会一般委員長中原眞君、社団法人全国地方銀行協会一般委員長大久保敏治君、全国中小企業団体中央会副会長古川敏一君、大阪商工会議所副会頭小池俊二君。以上の六名の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) 経済活性化及び中小企業の緊急対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、去る十八日、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。  第一班の報告をお願いいたします。林芳正君。

林芳正自由民主党

○林芳正君 自民党の林芳正でございます。第一班の報告をさせていただきます。  去る五月十八日、経済活性化及び中小企業の緊急対策樹立に関する調査に資するため、静岡県静岡市において行われました地方公聴会における公述人の意見陳述及び質疑応答について御報告を申し上げます。  派遣委員は、斎藤委員長、田村委員、成瀬委員、平田委員、保坂委員、今泉委員、前川委員、牛嶋委員、海野委員、梶原委員、緒方委員、島袋委員及び私、林の十三名でございました。  まず、静岡県中小企業団体中央会会長の井上光一公述人からは、地方経済は予想以上に悪く、即効性のある対策の実施が必要であるが、不況期間が長過ぎたために経営者に気力がうせており、さらなる景気追加策を切れ目なく実施することが肝要である。また、四兆六千億円の所得減税の効果はあらわれておらず、法人税の軽減を含めた恒久減税措置が有効である。貸し渋りの状況については、都市銀行において顕著であるのに対して、政府系金融機関は協調融資等でその対応に効果を発揮しつつある。また、大店法の廃止に伴い、新たな法体系の中での町づくりに不安を感じており、大店立地法及び中心市街地活性化法の制定、都市計画法の充実等によって中小小売商業の発展に配慮を願いたい旨の公述がなされました。  次に、中小製造業代表の静岡県家庭紙工業組合理事長及び全国家庭用薄葉紙工業組合連合会理事長佐野廣彦公述人からは、静岡県は中小企業を中心とした家庭紙メーカーの集積地であり、特にトイレットペーパーの生産量は全国の四二%を占めており、ほとんどが古紙の再生紙である。市場は大企業の参入によって生産過剰となっており、過剰在庫による市場価格の暴落で中小家庭紙メーカーは経営状況が一段と悪化している。このため、中小企業信用保険法の特定業種の指定を受けているが、経営資金として保険限度額に不満の企業が多い。また、昨年末以来の円安の影響で、古紙を原料としている中小メーカーでは、燃料費の上昇により製造コストが上昇し、製品価格の上方修正の原因となっている旨の公述がなされました。  次に、中小小売業代表の静岡県商店街振興組合連合会理事長御園井宏昌公述人からは、これまで幾たびか景気対策が講じられてきたが、小売業には効果は余りなく、抜本的対策が必要である。特に、昨年の消費税引き上げで売り上げは伸びず、中小零細小売業はデパート業界以上に困っている。また、金融関係については、土地の担保価値が低下しているため、銀行が貸し出しの回収を始めており、新しく創設される特別貸付制度を早急に実施してもらいたい。流通については、現在大型量販店が無差別に郊外に出店しており、中心市街地の活性化を阻害している。再開発が進まないことも中心市街地に打撃を与えており、駐車場の有無により中心部と郊外との格差が拡大している旨の公述がなされました。  次に、労働者代表の日本労働組合総連合会静岡県連合会会長の石井水穂公述人からは、静岡県内の有効求人倍率は全国に比して若干高いが、かなり冷え込んでおり、直接雇用労働者にもかなりの影響が出ている。また、景気回復の観点からは、六兆円減税の恒久化を要求しているが、少子・高齢化社会への対応を考えると、限られた正規雇用労働者で社会保険料を負担しなければならなくなるため、恒久減税では不十分で、税率の抜本改正が必要である。その際、特に自己資産を充実させる必要のある三十歳から五十歳代の世代に対する税率の引き下げが重要な政策テーマとなる旨の公述がなされました。  以上、公述人からの意見陳述に関して、主に次のような質疑応答がなされました。  まず、中小企業者と金融機関とのつき合いの中で推察される貸し渋りの理由、地方銀行及び信用金庫の貸し渋りの実態について質疑がなされたところ、貸し渋りの要因には、担保価値が少なくなり従来はどの担保に見てくれない場合、また銀行が格付に気を使い本来の貸付業務において危険を避けている場合などがある。また、地方銀行等は地縁や長い取引関係があるので、都市銀行よりは貸し渋りは少ない。なお、政府系金融機関及び信用保証協会は役立っている旨の答弁がありました。  また、失業率が三・九%になった今日、新たな雇用対策が必要ではないかとの質疑がなされたところ、雇用の流動化、失業なき労働移動に当たっては生涯保障の流動化のための環境整備が必要である。また、その流動化を法律で練るべきか否かについて世論を形成していく必要がある旨の答弁がありました。  また、最近の景気の低迷は国民の先行き不安感に大きな要因があり、国民の元気が出る方策について質疑がなされたところ、国民の可処分所得の増大が必要であり、最優先で減税措置を講じなかったことが一番の問題である旨の答弁がありました。  さらに、商店街の衰退理由及び活性化策について質疑がなされたところ、商店街の後継者がいなくなり、自然淘汰されていることが中心市街地の空洞化に拍車をかけている。また、固定資産税の関係で賃貸料が余り下がらないため、よいテナントが入らず、物販中心の本来の商店街がなくなりつつある。商店街活性化のためには都市計画上の用途地区の色分けを明確に守ってもらいたい旨の答弁がありました。  なお、公述人の意見陳述終了後、坂本静岡県副知事から、中小企業金融制度における中小企業の資本金上限額の引き上げに際しての旅館業等の従業員規模の改善、離職者の再就職促進のための施策の充実等について要望がありました。  以上、御報告申し上げます。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ありがとうございました。  次に、第二班の報告をお願い申し上げます。吉川芳男君。

吉川芳男自由民主党

○吉川芳男君 次に、栃木県宇都宮市において行われました地方公聴会における公述人の意見陳述及び質疑応答について御報告申し上げます。  派遣委員は、太田理事、平田健二理事、加藤理事、石井委員、小山委員、宮澤委員、谷本委員、山下委員及び私、吉川の九名でございます。  まず、栃木県中小企業団体中央会会長の橋本吉夫公述人からは、昨今の栃木県の中小企業を取り巻く経済状況は大変厳しいものがある。特に建設、土木はことしの四月以降、公共事業の新規発注は全くないというのが現状である。その他の業種も同様で、自動車の販売、商店街の売り上げ等の減少に伴い、自動車製造下請業者、中小商店業者は大変厳しい経営環境に立たされている。求人倍率もそれに伴い大きく落ち込んでいる。企業の資金調達については、貸し渋りは都市銀行で特に厳しいものとなっている。融資の決定権が支店から本店に移るとともに、赤字企業には貸さないという貸し出し姿勢がうかがえる。貸してもらっても、融資限度額は土地等不動産担保の下落により縮小している。これに比べて地銀、信用金庫は比較的協力的であり、また、商工中金、中小企業金融公庫等政府系金融機関も協力的である旨の公述がなされました。  次に、中小製造業代表として株式会社湯原製作所代表取締役社長湯原五年公述人からは、自動車関係の下請企業を例にとれば、自動車の販売不振を背景に親会社からの受注条件が厳しいものとなっている。特に本年四月からは受注が激減、また、その受注も価格引き下げ要求、多品種少量要求など条件が厳しくなっており、そのための設備投資負担が大きな経営圧迫要因となっている。そうした状況のもと、比較的競争力のある優良企業と経営難に陥っている企業との二極分化が進んでいる。資金調達については、借り入れのための手続、審査が一層慎重になっており、手続の煩雑さや審査の長期化により、事実上借りられないという事例も生じている。こうした状況は、昨年四月以降の特別減税打ち切り、消費税の引き上げ等に伴う国民負担増にあると考えられる。政府は税制を中心に思い切った景気対策を打ち出してほしい旨の公述がなされました。  次に、栃木県商店街振興組合連合会理事長琴寄真之介公述人からは、商店街はバブル崩壊後、長期の売り上げ不振に陥っている。原因は、不景気と数次にわたる大店法の緩和、大型店の郊外立地の激化によるものである。特に中心市街地の商店街は、大型店の撤退等により空き店舗化が進み、衰退が著しい。さらに、昨年四月以降の国民負担増が売り上げ減に拍車をかけている旨の公述がなされました。  次に、日本労働組合総連合会栃木県連合会副会長皆川保雄公述人からは、県下の労働者を取り巻く経済環境は厳しい。賃金は伸び悩み、可処分所得も昨年四月以降の国民負担増で目減りしている。家計消費支出も教育費の負担増が他の消費支出にしわ寄せをしており、これが購買不振につながっている。雇用環境も悪化、特に中高年者の多い下請中小企業労働者の雇用状況は悪化が著しい。親会社からの受注減や製品単価切り下げ要求等を背景として、リストラにさらされている。原因は昨年四月以降の国民負担増にあり、消費税引き下げのほか、恒久的な所得減税、中高年者の雇用促進、雇用関係給付金の充実策を講じてほしい旨の公述がなされました。  以上、公述人からの意見陳述に関し、主に次のような質疑応答がなされました。  まず、政府の経済対策に関して、現在の景気状況の評価と先行ぎ見通し、政府の経済対策の評価について質疑がなされたところ、現在の景気は非常に厳しいことを改めて政府も認識してほしい。四月二十四日の十六兆円に上る総合経済対策は一時的効果にすぎない。公共事業の早期前倒しと発注の促進、中小企業に配慮した思い切った経済対策などが必要である。昨年四月の国民負担増は時期を誤ったものであり、特別減税の打ち切りや消費税五%への引き上げが景気悪化を招いた。経済対策としては金融支援よりも仕事をふやす政策を打ち出してほしい旨の答弁がありました。  また、消費税のあり方についての質疑がなされたところ、消費税自体の中長期的引き上げについては、税制の抜本的改正の」環として検討していく必要性を認めるが、昨年の五%への引き上げ措置は景気に悪影響を与え、早急に撤回すべき旨の答弁がありました。  また、金融機関の貸し渋りの実態及びその防止策について質疑がなされたところ、赤字企業には貸さないというのが金融機関、特に都市銀行の貸し出し姿勢であり、業績のよい優良企業しか経営資金を借りられないというのが実態である。こうした融資態度は、バブル崩壊後における担保不動産の価値下落に起因するだけでなく、BIS規制や早期是正措置といった金融制度、金融政策上の制約もその一因であると思う旨の答弁がありました。  また、大型店の出店状況、商店街、中心市街地の具体的な活性化対策、大型店の郊外立地規制の必要性、商店街の今日的役割等について質疑がなされたところ、中心市街地に立地していた大型店は、店舗面積、駐車場等の制約で大型店同士の競争に敗れ撤退する事例が多い。商店街活性化には地元の努力も必要だが、町づくりをリード、推進していく人材の確保、育成がぜひ必要である。また、大型店の郊外立地に対する歯どめはぜひお願いしたい。商店街の今日的役割は決してなくなってはおらず、町の伝統・文化の担い手や人の交流の場としての役割は依然有しているほか、大型店にはない消費サービス提供者として、高齢者など地元消費者のニーズに積極的にこたえていく役割を担っている旨の答弁がありました。  以上、御報告申し上げます。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ありがとうございました。  以上で派遣委員の報告は終了いたしました。     ―――――――――――――

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) 次に、経済対策、中小企業の経営状況及び中小企業金融に関する件につきまして、参考人から御意見を求めることといたします。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の皆様におかれましては、本日、大変御多忙の中にもかかわりませず、本委員会にお越しをちょうだいいたしましてまことにありがたく、厚くお礼を申し上げます。  御承知のとおり、現下の我が国経済はまことに厳しい状況に立ち至っております。本特別委員会は、こうした厳しい経済状況を立て直し、また中小企業の支援策を検討するため、先般、四月三十日、参議院に設置されたものでございます。  本日は、参考人の皆様から、我が国の経済対策のあり方、不良債権や金融ビッグバンに対応した金融政策や銀行経営のあり方、中小企業の経営状況や資金調達状況などについて忌憚のない御意見を賜り、今後の委員会活動の参考にさせていただく所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず蔦壁寛明参考人からお願いいたします。蔦壁参考人。

蔦壁寛明株式会社三和総合研究所調査部長

○参考人(蔦壁寛明君) 蔦壁でございます。  私からは、景気の現状判断を行った上で、今回の総合経済対策の評価に移り、しかる後に、今後予想される景気のシナリオを提示したいと存じます。レジュメでは最後の方に若干中長期的な視点を触れておりますけれども、時間の関係では質疑応答の方に回すことになるかと思います。  まず、昨年十-十二月の実質経済成長率がマイナスの〇・七%になったわけでございますが、この一-三月期につきましても、公表されております各種統計などから判断してまいりまして、〇%ないし若干のマイナス成長を記録した公算が大きいと考えております。  二四半期連続してマイナス成長を記録いたしますと、米国ではリセッションと申しますけれども、その定義によりますと、まさしく日本はリセッションに入っているというところでございます。  こうした状況を生んだ背景といたしましては、そもそも資産デフレのさなかにあった日本経済が、多少回復の兆しが見えた段階で財政再建に軸足を移すような政策、すなわち消費税引き上げほか合計九兆円の個人から財政部門への所得移転を行った。そのことによってすっかり国民の消費意欲が冷えてしまったこと、これが第一に挙げられると思います。第二に、昨年秋に大型の金融破綻を経験し、先行きに対する不透明感が各経済主体の間で増幅してきたこと、これが挙げられると思います。  財政再建につきましては、いずれ手をつけなくてはならない問題であったと認識をしておりますので政策選択としては間違っていないとは思いますけれども、タイミングを読み間違えたために政策が逆噴射を起こしたというのが実感でございます。  その結果、経済は現在大変な需要不足に陥っているわけでございます。資産デフレに加えて、フローのデフレに突入しかねない状況になってきております。卸売物価を見ますと、昨年八月から九カ月連続で前月比マイナス。消費者物価も弱含んでおります。いずれ卸売物価の低下の影響が消費者物価にも波及してくるものと思われます。  また、最近注目されますのは、マネーサプライあるいは広義の流動性といった金融指標でございますけれども、二カ月連続して大幅に前月比で低下を見せていることであります。いわゆる信用の収縮と呼ばれる現象が発生しているように思われます。  こうした一連の動きが本格化いたしますと、需要の減少、物価の下落、それが企業の売り上げの減少になり、それが企業収益を圧迫し、雇用調整を起こす、この雇用調整が新たな需要の減少となるという、いわゆるデフレスパイラルに陥る。今はまさにその瀬戸際に立っているという状況かと思います。  そうした中で、経済対策十六兆円余りの決定を見たのでありますが、既に超低金利政策が大分継続しておりますために、金融政策はその余地並びに効果両面において既に限界に来ている。そういう状況でありますだけに、財政政策の発動は当然と理解しております。  問題は、その効果であります。真水十二兆円ということで、それだけのお金が投入されるのですから効果のあることは疑いありません。しかし、公共投資を初めとした財政の刺激策にはそれ単独の効果でなく民間需要に対する呼び水効果が期待されるわけでございますが、現在の局面ではこの後者の効果について過大な期待を寄せるのは無理ではないかと思っております。  まず、今までの経済対策が打たれた局面との決定的な相違というのは、金融システム不安に起因いたしますところの社会不安でございます。定量化することは不可能ですけれども、企業、個人、各経済主体ともコンフィデンスクライシスに陥っているように思います。  次に、近年の経済対策でございます。九五年九月の大型経済対策、このときには九六年度に三%を超えるパフォーマンスをもたらしたわけでございますが、あの局面と現在とを同列に論じることはできないと存じます。当時は、対策と前後いたしまして住宅投資ブームが沸き上がりましたが、これは消費税率引き上げ前の駆け込み需要によるものでございまして、対策の有無とは関係が薄いと思われます。また、他の需要の地合いを見てみましても、パソコンではウインドウズ95とか携帯電話の急激な普及でありますとか、情報関連の設備投資や情報関連の個人消費もまずまずの底力を当時は持っていたと、そう思うからであります。  そうした事実に引き比べまして、現状は投資、消費ともリードする主役が存在しておりません。むしろ余りに物がさばけないために在庫率は平成不況突入以来の最悪のレベルに達しております。  ちなみに、在庫率水準を見ますと、大体一貫して一二〇レベルでございましたけれども、現在は鉱工業全体で一二〇、建設財では一七〇、資本財では一六五というレベルでございます。公共投資で資材の発注があっても一義的には在庫の取り崩しで対応されるために、生産にはそれだけおくれて波及する地合いになっているということであります。  また、潜在成長率と現実のGDPとの乖離、いわゆるデフレギャップを私どもなりに試算してみますと、九五年半ばごろでは約三%、それが足元では六%程度に拡大しているものと思われます。これも公共投資が民間需要を誘発する際の制約要因になると思われます。また、需要不足がそれだけ大きいわけですから、対策の規模の割に回復感が乏しいという感じになる結果ではないかと思います。  レジュメの中では中期構造要因として三点指摘しておりますけれども、そのうちの二つ、公共投資の乗数とバランスシート調整についてはよく聞く議論でございますのでとりあえず割愛させていただきまして、二点目の企業の期待成長率の低下を問題にしたいと思います。  この春実施いたしました経済企画庁の企業行動に対するアンケート調査、これによりますと向こう三年間にわたる企業の期待成長率は一・四%まで低下してきております。換言いたしますと、仮に投資をしてもそのリターンというのは一%半ばしかないという状況でございます。片や中期的な借入金利というのは二%半ば、あるいはそれを多少上回るという状況でございますから、仮にキャッシュフローが来ますと、返済に回した方が企業にとっては合理的な行動になるという状況があるわけでございます。民間投資を誘発しない理由はここにも存在するというように考えております。  次に、減税の効果に移りたいと存じます。  二月に所得税減税があったにもかかわらず、消費性向が上昇したというニュースはいまだ皆様のお耳に新しいと存じます。実は、これと同じ現象が九四年に五・五兆円の減税を実行した際にも生じているのであります。個人が所得のうちどれだけ消費に回すかという最大のポイントは、その所得が将来にわたって安定的に入ってくるかどうかという点でございます。通常、月給に対する消費性向は高く、ボーナスに対する消費性向は低いのが常でありますけれども、一時所得というのもボーナス同様に受けとめられるというわけでございます。  加えますに、現状は、将来に対する不安というものが消費者の心理の周りに山積しております。向こう一年間を見ても、みずからの職場が確保できるのかという雇用不安が非常に高まっております。最近の失業統計を分析してみますと、世帯主の失業が徐々に拡大の兆しを見せておりまして大変不気味でございます。また、私どもの試算でございますけれども、最近は企業収益が圧迫されまして過去のトレンドを上回って労働分配率、いわゆる付加価値のうち個人の取り分が上昇しておるわけでございますが、これを仮に九〇年代の平均まで企業が圧縮したらどういうことになるか、それを調整圧力と見まして試算してみますと、企業内の過剰雇用というのは約百八十万という一応結果を得ることができます。現在の失業者は実際は二百八十万弱でございますから、百八十万ということはそれだけ雇用調整圧力が強いということでございます。片や、日本型雇用環境あるいは労使関係というものが存在するとはいえ、雇用をめぐる環境は大変厳しく、先行き不安感を原因とした生活防衛型の貯蓄パターンというのはそう簡単には是正されない可能性が高いと思います。  以上、公共投資並びに減税の効果についての評価をしてまいりました。これらを踏まえまして今後のシナリオをラフに描いてみますと、レジュメにお示ししたような姿かと存じます。  経済対策の効果は幅を持ってとらえねばなりませんが、一から一・五%程度GDPを押し上げると見られます。効果発揮の時期は夏場も遅いころと見ております。その結果、年末から年度末にかけては現状の不況感が徐々に薄らぐことが予想されます。ただ、るる指摘してまいりましたように、民間需要に火がつくという要素はなかなか見当たりませんので、明けて九九年度が自律回復の年になるのか、あるいはことし打ったようなさらなるカンフル剤を必要とするのか、その判断にはもうしばらく景気の地合いをじっくりと見る必要があろうかと存じます。  冒頭での意見陳述は以上にさせていただきます。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ありがとうございました。  次に、リチャード・クー参考人にお願いいたします。クー参考人。

リチャード・クー株式会社野村総合研究所主席研究員

○参考人(リチャード・クー君) 御指名のありましたクーと申します。  私も日本経済の実態は大変厳しいものだという理解をしておりますが、私の立場上、国際的に見て、つまり内外から見た、または投資家、市場という視点から見た日本経済がどう見えるかという視点でお話しさせていただきたいというふうに思います。  私も日本経済の流れについては、特に政府の政策には大変批判的だった一人だったわけですけれども、私は、十二月以降に幾つか打ち出されている政府の政策は、すべてとは言いませんけれども、幾つかかなり評価に値するものがあるのではないかというふうに思っております。特に金融救済策、そして十六兆円と言われる財政の出動というのは私は方向としては正しいというふうに思いますが、残念なことにこの金融または財政もそうですけれども、海外で、これは内外でと言った方が近いかもしれませんが、大変誤解されております。これが誤解されている結果、海外の日本に対する見方は極めて悲観的になっている。  私も三週間前ワシントンに行く機会がありまして、いつものとおりFRBに電話してアポをとったわけですが、もう十何年つき合っている向こうの局長が、私が電話に出た途端、あんたまだタイタニックに乗っているんですかという声を上げたくらい、それは本気に心配していたんです。日本はこのままいったらめちゃくちゃになるんじゃないかというくらいの懸念を海外の投資家、これはアメリカに限らず全世界で持っております。  そうなりますと、日本でそれなりの対策が打たれているにもかかわらず、海外が一部誤解に基づいて非常に日本に対して悲観的になりますと、円安、株安というものが進行するわけですが、円安、株安は両方とも日本の銀行の自己資本を直撃します。円安の場合は、日本、特に都銀が持っている海外の資産を円安の分だけ大きくしてしまいますから、これはドル建て資産ですから円安になった分だけ海外の資産が大きくなってしまう。そうなると、足りない自己資本に対して資産がさらに大きくなりますから、そこで貸し渋りを強いられる。一方で、株安は銀行の自己資本を直撃しますから、これも貸し渋りにつながる。  円安だけ見ましても、かなりラフな試算ですが、為替が一円円安になることによって貸し渋りが一兆円ふえるという計算になります。そのくらい邦銀が持っているドル建て資産というのは大きい。これに株安が加わりますと、最近円安と株安の相関は〇・九という大変高い相関係数を出しているわけです。そうすると、円安になると株安になる、また円安になると株安になる、こういう状況ですから、これが銀行に与えている影響というのは大変大きなものだと思います。もちろん、円安は一部輸出企業にはプラスになりますが、一円一兆円くらいの規模で貸し渋りが進む。これに株安をくっつけますと一円一兆円ところがその何倍のプレッシャーになりますから、それで日本経済が本当に回復するのかという非常に大きな問題が出てくるわけであります。  もう一方の財政ですけれども、公共事業中心の財政は、いろいろ異論はありますけれども、私は一応正しいというふうに思います。  減税という議論もありますが、これが十一月前だったら、大型金融倒産が起きる前の状況であれば減税も機能したと思いますし、また大変大幅な減税、国民がびっくりするくらいの規模の減税であれば、これはそれなりのショック効果といいますかアナウンスメント効果で、人々が人生の計算を全部やり直すくらいのことであればそこに一つ大きな効果があると思いますが、今議論されているような規模の減税ではむしろほとんどが貯蓄に回ってしまうのではないかという気がします。  一方で、公共投資の方はこれは必ず使われるわけですから、これで中央突破を図るべきではないか、その上に減税が乗っかっている、公共事業がメーンで減税がサブという形が現時点では一番いいのではないかという気がします。一  公共事業に関しては、変なプロジェクトばかりつくっていてむだ遣いが多いからこういうのはやめるべきだという声が非常にたくさんあるわけですけれども、それはいいプロジェクトがあればそれにこしたことはないわけですが、景気回復というのは死活問題であります。いいプロジェクトか悪いプロジェクトか、これはぜいたくな話であって、いいプロジェクトがないからやるべきではないというほど日本経済に今余裕はないのではないかという気がします。いいプロジェクトがあればそれにこしたことはない、しかしこのまま景気がおかしくなっていきますとそれこそ大変なことになりますから、そういう意味ではできるだけいいプロジェクトを選ぶという前提でとにかく財政はやっていただきたいというふうに思います。  ただ、財政を幾らやっても、一方で円安になり株安になりそれで銀行の貸し渋りが進んでしまうということになりますと、全部そっちで相殺されてしまうリスクがあります。今そういう状況になっているのではないかというのが私の危機感です。例えば一円で一兆円ということになりますと、ここ数日間での円安、百三十六円とか百三十七円とかそっちの方向へ行っているわけですが、そうなりますとここ数週間での円安だけでも何兆円の銀行の貸し渋りにつながるということですから、一方で政府が一生懸命財政支出をふやして景気を浮揚させようとしても、もう一方の方で崩れてくれば結局は何の意味もなくなってしまう。  そこで、海外が日本に対して持っている懸念、これをどうやって払拭するかということになってくるわけですが、例えば金融問題で海外の論調、これはアメリカの財務省の論調も含めてですけれども、多くの銀行にいい悪いを問わずに公的資金をつぎ込んだのはおかしいではないか、いい銀行と悪い銀行に分けて、悪い銀行は舞台からおりてもらい、残ったいい銀行に資金投入して、それで健全な金融システムをつくるべきだという論調が海外には依然として非常に強いわけであります。  ただし、この点に関して、日本が置かれていた去年の十一月、十二月から二月ぐらいまでの状況というのは、そういう選択肢を許さなかったのではないか。先ほど申しましたように、私も三週間前にワシントンを回ってこの点を非常に強く強調してまいりました。  つまり、普通の金融不安の状況であれば、いい銀行と悪い銀行と分けて、悪い銀行をつぶしていい銀行に支援してそこからスタートすればいいわけですけれども、その場合、悪い銀行の預金者はどうするか。これは預金保険で対応できる。その銀行から借りていた人たちはどうするか。そういう貸出資産は売ればいいわけであります。そうすると、その業界に入りたかった人、そういう企業に貸し出しをふやしたかった銀行、こういうところが喜んでそれを受け入れますから、そうするとその銀行からお金を借りていたところも救えるわけですし預金者も救える、銀行はつぶれてもらう、こういう対応ができるわけであります。  ところが、去年の十一月以降の日本の置かれている状況というのはそれよりはるかに厳しいもので、全国的な金融不安、全国的な貸し渋りという状況であったのではないかという気がします。そういう状況になりますと、そこでいい銀行と悪い銀行と分けて、悪い銀行をつぶすということになりますと、預金者は預金保険で何とでもなりますが、その悪い銀行からお金を借りていた善良な企業、これは大変なことになります。といいますのは、そういう銀行を別の銀行に受け継いでもらおうとしても、ほかの銀行もみんな自己資本が足りずに真っ青になっているわけですから、つぶれた銀行のその先を受け入れて融資をふやそうということはできないわけです。  実際、それが北海道で起きたわけで、北海道拓殖銀行がつぶれた後に政府、大蔵省、日銀も一生懸命北海道拓殖銀行のいい資産をほかの銀行に移そうとしたわけですが、結局なかなかできず、北海道経済は大打撃をこうむってしまった。つまり、もしもあのときにアメリカが言っているようにいい銀行と悪い銀行をもっと峻別してやろうとしたら、日本じゅうが北海道のような状況になりかねなかったわけであります。そういう状況ではとにかく貸し渋りをとめるという、実際に政府がとられた政策の方が私は正しかったのではないかという気がします。  この話をアメリカや海外でしますと、まず北海道のことは全然皆さん知らない。そうすると、そういう状況があったのかということでまず皆さん驚かれるわけです。それで、同じような状況にあったアメリカ、九一年から九三年に、アメリカでも全国的な貸し渋りが発生して大変な事態になりました。それでジョージ・ブッシュ大統領が落選するという結果にまでつながったわけですが、そのときアメリカも同じように全部の銀行を救っております。あのときはFRB、アメリカの中央銀行ですけれども、そこが全部の銀行に貸出レート、プライムレートは六%に維持したまま調達金利を三%まで持っていくという政策をとりました。それで全部の銀行に三ポイントの利息が入るということを二年以上続けまして、それが景気回復になったわけです。それでアメリカ経済は景気回復に向かったわけですが、そういう話をアメリカでしますと、みんなびっくりして、ああそれだったらわかると言ってくれるんです。  しかし、そういう話を日本からしないものですから、結果として日本はとんでもないことをやっているということで、ますます不安心理は高まってしまう。そうすると株安、円安、貸し渋りの増加という悪循環に陥ってしまうのではないか。そういう意味では、もう少し政府のやってきたことを正しく海外に説明するということもぜひとも必要ではないかという気がします。  最後に、財政ですけれども、今の財政政策十六兆円というのは、私はそれなりの効果は期待できるというふうに思いますが、私がこの点で非常に怖いなと思いますのは、これで例えば景気がことし後半から翌年にかけて少しよくなったとしますと、今の法律ですとまた財政構造改革法が発動します。そうすると、またそこでブレーキがかかる。またそこでブレーキがかかるとまた今のような状況になります。こんなことを繰り返していると、それこそ日本経済はどうしようもなくなってしまう。  今回の間違いだけでも、つまり時期尚早なときに財政再建をやろうとしてしまったことによって、本来九兆円の節約をするはずだったのが、結局景気対策から金融対策から二兆円の特別減税まで足しますと四十八兆円の赤字をふやす結果になってしまったということを考えましても、ストップ・アンド・ゴー、つまり景気がよくなるとすぐ財政再建をやろうとしてまた景気が悪くなる、それでまた景気対策を強いられるという、こういうことはぜひともやめていただきたいというふうに思います。  先週、IMFの方と話す機会がありましたが、IMFは財政再建を去年日本政府にやれと言って日本の国民の皆さんには大変迷惑をかけてしまったというふうに謝っておられましたが、その彼らが一番心配していたのは、今のままではまたストップ・アンド・ゴーになってしまうのではないか。したがって、ぜひここでは本当に景気の足腰が強くなるまで、なれば財政再建というのはぜひやっていただきたいわけですけれども、それまでは景気の足腰を強くする方を最優先していただきたいというふうに思います。  以上です。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ありがとうございました。  次に、中原眞参考人にお願いいたします。中原参考人。

中原眞全国銀行協会連合会一般委員長

○参考人(中原眞君) 中原でございます。このような機会をちょうだいして大変ありがたく存じております。  まず、貸し渋りという問題につきまして申し上げたいと思います。  この貸し渋りの問題の基本的背景でございますが、二つ挙げておきたいと思います。今既にクー参考人からもお話しございましたけれども、第一に、種々の条件からもたらされる銀行の自己資本の制約によりまして、どうしても資産を圧縮せざるを得ない状況に現在あるということでございます。それから第二は、景気の低迷の長期化によりまして企業の財務内容が悪化しておりまして、また担保価値が劣化するということで、銀行が貸し出しに慎重にならざるを得ない状況が現在の状況である、こういうことでございます。  このうち、前者の資本面の制約につきましては、先般成立いたしました金融機能安定化緊急措置法、これによりましてラストリゾートとして公的資金による自己資本充実のスキームが用意されました。今後、平成十二年度末までは、基本的に健全な金融機関ということであれば必要に応じて資産圧縮を回避するためにこのスキームにより公的資金を利用させていただく道が開かれたと存じております。実際、この三月末に二十一行がこのスキームにより資本増強を行いましたことは御承知のとおりでございます。  ただ、いわゆる貸し渋りにつきましては、その後も引き続き大変厳しい御批判をいただいておりまして、まことに遺憾に思っております。全銀協といたしましては、昨年十二月二十四日、全国銀行各行に通達を出しました。また、ことし三月十日には理事会の場におきまして全銀協会長から、金融円滑化に向けて適切な対応を求めたいということで話をしてございます。また、先月二十七日には大蔵大臣から改めて御要請をちょうだいしましたことを極めて重く受けとめておりまして、翌二十八日付で再び全銀協から通達を発出して大臣からの御要請の趣旨を各行にお伝えするとともに、特に大臣の方から御指摘のございました、この趣旨を現場の支店長レベルまで十分に徹底しろと、こういう話を傘下の銀行にお願いをいたしましたところでございます。  貸し渋りの問題のいま一つの大きな原因は景気の低迷でございます。民間の信用調査機関、商工リサーチの調査によれば、企業倒産件数は二月が前年比二九・五%増、三月もふえ、そして四月も前年比二一・六%増と前年の件数を大変大きく上回っておると聞いております。  企業の業績が悪化いたしますと、通常、金融機関は再建計画の提出を受けます。それによりまして再建のめどが立つと判断いたしますとその企業を全面的に支えるというのが一般的な銀行のビヘービアでございます。  大蔵省がことし一月に全国銀行の貸し出しの自己査定の集計額を発表されましたけれども、分類債権総額七十六兆円、大変大きな数字ではございましたが、このうち第Ⅱ分類が六十五兆円ございました。第Ⅱ分類の中には一時的に業績が悪化いたしまして銀行から支援を受けている企業に対する貸し出し、それから再建計画が既にでき上がってその途上にあるというような企業に対する貸し出しが多く含まれております。先般発表されました日銀のレポートによりますと、このような第Ⅱ分類の銀行の支援を受けているような企業の中でも、三年以内にこれが不良化してしまう、本当に不良債権になってしまうというのは一六・七%にすぎない、こういうレポート結果が出ておりますが、裏を返せば大多数の企業は再建計画を達成し立派に立ち直るということが言えようかと思います。  銀行としましても、こういうように企業を立ち直らせ、そして長きにわたり取引先の信頼をかち得る道を慎重にとっていくということ、この点に努力しておるところでございます。  一方、再建の見込みが低い場合、あるいは企業が粉飾決算をしておる、あるいは実質的に債務超過である、こういった企業に新たに貸し出しを行う、あるいは担保条件を緩和するということは、法律的に言いますと経営者としての善管注意義務に違反する、あるいは背任行為ということで株主代表訴訟の対象となることがございます。民間金融機関といたしまして、この問題につきましてはこのような法的な限界がいろいろとあるということをぜひ御理解いただきたいと存じます。  先般、総事業費十六兆六千五百億円の総合経済対策が発表されました。これは、総事業費が過去最大ということに加えまして、減税の上積みとか情報通信など新しい分野の社会資本の整備とか、創造的中小企業の支援、土地・債権流動化トータルプラン、あるいはアジア諸国の経済改革支援など大変幅広い具体的な政策が盛り込まれております。この総合経済対策を財政的に手当てする補正予算、あるいは税制改正関連法案の早期成立、これによりまして景気が一刻も早く自律的な回復軌道に乗ることを強く期待しておるところでございます。これこそまさに貸し渋りへの対応の最も有効な手段の一つであろうかと考える次第でございます。  なお、貸し渋りにつきましては、従来にはなかったような明るい兆しがちょっと出てきたのではないかというふうに感じております。  先週、五月二十二日に通産省が「貸し渋りの現状と今後の見通しについて」という調査を発表いたしました。中堅・大企業ではございますが、中堅・大企業におきましては貸し渋りを受けたとする企業の割合が五月時点では一四・九%と、三月時点が三一・九%ございましたので、これが半減しておるようでございます。もちろん、中小企業につきましてはいまだに厳しい見方が続いておるようでございましてこれからも引き続き対応が必要と思いますが、その中でも多少明るさを感じさせるニュースではなかったかと感じます。  また、五月十一日に全銀協が発表いたしました四月末の預貸金速報、これによりますと、都銀、長信銀、信託の四月の月中貸し出し増加額は三兆三千億円、このうち都銀は二兆九千億円の増加となっております。こうした状況が今後も継続していくかどうかにつきましてはまだまだ予断を許しません。断言できませんが、金融機関の貸し出しに対する前向きな取り組みや政府の総合経済対策の早期実施によりまして、今後は貸し渋りの現象が次第に改善の方向に向かうのではないかというふうに考えております。  次に、私ども東京三菱銀行の貸し出し姿勢、経営方針について若干お話をさせていただきたいと存じます。  先ほど申し上げました貸し渋り問題に対する全銀協の通達を受けまして、私どもも頭取から全支店長に対しまして大臣の御要請を伝達しました。実体経済への円滑な資金供給が銀行業の重大な使命である、これを肝に銘じて、基本的に健全な取引先から貸し渋りという御批判を受けることのないよう、現場の末端に至るまで徹底するよう指示をいたしております。また、その中で、お取引先のすぐれた資質、技術、事業の強み、特徴、こういうものを支店長自身がしっかりと把握してきめの細かな、誠実な対応をお取引先に対して行うよう改めて指示をいたしました。  私どもといたしましては、業績や財務内容が悪化して預金者からお預かりした資金をお貸し出しする先としては適当でないという場合はともかく、健全な経営を続けておる中小企業に資金が環流しないような事態はこれは絶対に回避する必要があると考えております。私ども、今年度も中小企業向け貸し出しは引き続き積極推進方針をとっております。また、一方で、自己資本比率という観点からは、リスク・アセットの圧縮のために大企業の貸し出し債権を中心に流動化を積極的に進めたいと考えております。  景気の低迷が長期化する中で、不良債権処理の問題は引き続き経営の最重要課題として取り組んでまいりたいというふうに思います。今後は、単なる引き当てが済んだということではなくて、不良資産をバランスシートから落としていくという実質的な処理が重要でございます。  不良債権の処理につきましては、基本的には問題債権一件一件お取引先とよく話し合いながら地道に着実に対応していくということでございますけれども、一方、不良債権をまとめて流動化するバルクセールというような手法を積極的に開発しましてできるだけ早く不良債権から脱却する、回収効率のアップを図るということに努めておる次第でございます。現在、SPC法案とかサービサー法、さらには総合経済対策の中での土地・債権流動化トータルプランというようなものの御検討が進んでおります。環境整備が進んでいるわけでございますが、私どもこのような制度を最大限活用しまして、できるだけ早く一層の不良債権の処理、圧縮に努めたいというふうに考えております。  さて、この四月一日に改正外為法が施行されまして、今国会では日本版ビッグバンに伴う規制緩和措置を定めた金融システム改革法案を御審議いただいております。現在、欧米のマーケットでは、これまでに想像もできなかったようなダイナミックな大型再編、統合が起こっております。我が国の金融マーケットもこれらの有力な外資系金融機関、ほかの業態からの新規参入、こういう企業を含めましてまさに優勝劣敗の競争の時代に突入しているということだと思います。  この競争を通じて、中小企業の皆様にも資金の調達、運用の両面でさまざまな金融サービスをより安い値段でお選びいただけるようになろうかと思います。ビッグバンのメリットというものも十分に御享受いただけるものと考えております。  このように、日本版ビッグバンに対応し、日本の銀行が国際競争に勝ち抜いていくためにも、また不良債権の実質処理問題を一日も早く解決して資産を健全化させるためにも、私ども、経営の合理化策の着実な実行と収益力の向上が焦眉の急でございます。一刻も早く国際競争を戦い抜くための財務体質の構築を進めていくことが銀行にとっての私どもの課題だろうというふうに考えております。  以上で、私の意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ありがとうございました。  次に、大久保敏治参考人にお願いいたします。大久保参考人。

大久保敏治社団法人全国地方銀行協会一般委員長

○参考人(大久保敏治君) 横浜銀行常務取締役の大久保でございます。また、全国地方銀行協会の一般委員長も務めているということで、本日この場にお招きをいただいたと思います。まことにありがとうございます。  本日は、中小企業金融についてということでございますので、私からは、地銀界としての中小企業金融に対する取り組み方針、中小企業向け貸し出し強化のための方策などにつきまして、若干の資料をお手元に配付してございますけれども、説明させていただきまして、引き続き、中小企業への円滑な金融を行うために先生方にぜひお願いしたい要望事項につきまして簡単に述べさせていただきたいと存じます。  金融ビッグバンを迎えまして、地域金融機関であります地銀の戦略は、当然のことでございますけれども、個々の銀行によってそれぞれ異なっておりますものの、一般的に申し上げますと、地域金融機関としての役割をさらに強化するということでございます。すなわち、地元重視、地元回帰、あるいは経営資源を最も得意な分野に投入すること、いわゆるリテール分野に投入すること、それから地域のお客様により充実したサービスを提供するということでございます。そして、地域金融機関としての役割のうち最も重要なものの一つが地元の中小企業の育成、あるいは中小企業への資金供給でございます。  この考え方で過去一貫して地銀は取り組んでおりまして、現在、地銀におきます総貸し出しに占める中小企業貸し出しの割合は平均で約七〇%に達しておりまして、これに住宅ローンなどの個人ローンを含めますと、総貸し出しのほとんどが中小企業及び個人向けローンということになっております。  昨今、いわゆる貸し渋りということで銀行の融資スタンスが問題になっておりますけれども、地銀といたしましては、特に優良な、健全な地元中小企業に対しては積極的に誠意を持って対応しておるわけでございます。  しかしながら、個別のケースにおきまして、銀行は貸し渋っているというふうに感じている中小企業の方々がいらっしゃることも存じておりまして、先般、橋本総理あるいは大蔵大臣初め先生方のこの問題に対する御要請につきまして、地銀協会長であります私どもの頭取から、例会等の場で各頭取方に実効ある対応をお願いしているところでございます。  それでは、いま少し地銀の中小企業融資に対する取り組み方針、方策について申し上げたいと存じます。  当然のことでございますが、銀行によって多少の違いがございますけれども、地銀の対応といいますのはおおむね次のようなものでございます。  まず第一に、中小企業、個人に対する融資推進をトッププライオリティーに置いた経営方針を今までも続けておりますし、これをさらに継続を堅持するということでございます。  第二は、保証協会保証によりまして信用補完をしながら、また、地方公共団体とタイアップをして制度融資を推進するということでございます。  第三は、政府系金融機関との連携を強化しながら中小企業のニーズにこたえていくということでございます。  第四には、中小企業向けの融資の目標をつくっておりまして、さらに中小企業向けの融資枠を設定する場合もございますけれども、これらを行内キャンペーンによりまして融資推進を図っているということでございます。  第五は、これはまだ一部の銀行でございますけれども、債権の流動化を図ることによりまして資産の圧縮を促して、その資金を中小企業金融に回すという考え方でございます。  そして最後に、親切な丁寧な対応ということで、専門の相談窓口を設けるといったようなことを地銀界として推進をしているわけでございます。  また、一般に、いわゆる銀行の貸し渋りと銀行の自己資本比率との関係につきましていろいろ議論されておりますけれども、私ども地方銀行の自己資本比率は平成九年三月の時点におきましては平均で九・六六%、平成九年九月においても九・七五%と非常に高いわけでございまして、国際基準の八%と比較しましてもかなり上にいるということでございますので、貸し出しを中心にした資産圧縮を自己資本の比率の関係で急ぐ状況にはないというふうに認識をしております。  それでは、本日、資料として日本銀行経済統計月報の「貸出伸び率の推移」、それと「地方銀行における中小企業向け融資への取組み状況について」、あるいは「新たな中小企業向け融資強化策」という資料をお手元に御用意しました。それをごらんいただきたいと思います。  まず、資料一の「貸出伸び率の推移」をごらんいただきたいと思います。  この表は銀行の五業態、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、この五業態の合計でございますが、それと地方銀行の貸し出しの伸び率、総貸し出し平残の年間増加率の推移をグラフ化したものでございます。  ごらんいただければおわかりいただけますように、地銀六十四行の貸し出しの伸び率は五業態平均と比較しましても引き続き堅調に推移しているものと考えております。  次に、資料二の「地方銀行における中小企業向け融資への取組み状況について」、さらに資料三の「新たな中小企業向け融資強化策」をごらんいただきたいと思います。  これらにつきましては、地銀各行の中小企業向け融資の取り組み状況につきまして、昨年十二月とことしの二月末にそれぞれアンケート調査を実施しましてまとめた資料でございますが、各地銀とも地元の中小企業向け融資に対しましては極めて積極的に取り組んでおります。多種多様な対策を講じて企業の資金ニーズに的確に対応できるように努力をしているところでございます。  銀行は経営の健全性や効率性を高めるということでリスク管理の強化や収益性の向上に取り組んでおりますけれども、一般的に地方銀行の場合、取引先との関係が大変深いものがございまして、取引先の先行きが暗くなったからと申しましてすぐ手のひらを返すようなことはできないのでございます。融資の審査に当たりましても、一定の外的基準のみで企業を判断するのではなくて、個々の企業の個性や成長性などを十分議論いたしましてきめ細かく対応してきております。  しかしながら、長期にわたる不況によりまして、実際には赤字に陥っている中小企業で先行きの展望のはっきりしない企業も多いわけでございます。これらの企業につきましても、支店、本部ともに何とかできないかと日ごろ努力しているのが実情でございまして、その意味で、現在の景気対策が早期に効果をあらわすことを切に期待しているわけでございます。  以上、中小企業金融につきまして地方銀行としての考え方と現在実施しております対策等について申し上げましたけれども、最後に地銀界としましての要望事項を述べさせていただきたいと思います。  地域の中小企業へのより円滑な資金供給のために、ぜひ現行の信用保証協会の保証枠、特に無担保の保証枠の大幅な拡大をお願いしたいというふうに考えております。  このたびは、信用保証協会の保証対象となる中小企業者等の範囲を拡大する中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案を御審議いただくこととなりまして、先ほど堀内通産大臣から趣旨説明があったというふうに聞いております。  今回の中小企業信用保険法の改正案は、中小企業に対する事業資金の融通の円滑化という観点からは極めて有効で意義のある内容であるというふうに認識をしております。しかしながら、現場を通じて特に感じておりますことは、今回の改正案に盛り込まれております中小企業の範囲を拡大することとあわせて、信用保証協会の保証枠、先ほど申し上げましたように特に無担保の保証枠そのものの拡大を望む声も非常に多いということでございます。  現在、中小企業信用保険法では、不動産などの担保つきで保証される普通保険限度額が二億円ということになっております。これに対して担保なしの無担保保険限度額は三千五百万円というふうに定められております。昨年の緊急経済対策では、担保不足等によりまして資金繰りが悪化した中小企業を支援するために特定業種の指定要件等が緩和され、中小企業信用保険法の特例保険の適用対象業種が大幅に拡大されております。現時点では九十三業種に拡大されたというふうに理解しております。  しかしながら、この特定業種に認定されますには、御存じのように売り上げが前年比でマイナス一〇%以上という条件が課されているということが非常に対象業種が少ないという理由であろうかと思います。仮に、そのような制約がなくて現在の信用保証協会の対象業種となるすべての業種に対して信用保証限度額。特に無担保保証限度額の大幅拡大をすることができれば、個人事業主を含めましてすべての中小企業に運転資金を供給することができ、今回の法改正案とも相乗しまして、そのようなお取引先の資金繰り改善に極めて大きな効果が出てくるものと考えております。  以上、地方銀行としての要望を申し上げまして、今後、私どもとしましても一層中小企業金融の円滑化のために努力をしてまいりたいというふうに考えております。  ありがとうございました。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ありがとうございました。  次に、古川敏一参考人にお願いいたします。古川参考人。

古川敏一全国中小企業団体中央会副会長

○参考人(古川敏一君) 御指名をいただきました京都の古川でございます。現在、全国中小企業団体中央会の副会長をいたしておりまして、なお、京都府中小企業団体中央会の会長を十六年間相務めておる者でございます。  まず第一に御礼を申し上げたいと思います。  本日は、国会の場で最近の経営状況等につきまして中小企業の立場から参考人として意見を述べる機会をお与えいただきまして、まことにありがとう存じます。斎藤委員長さんを初め、委員の各先生方に心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。  限られた時間でございますので、まず第一点に現在の景気状況、特にこの景気状況につきましては、全国中央会が非常な熱を込めて調査をしておりまするその調査結果、これは別紙にございますが、それについて御報告を申し上げ、生の声をお伝えし、結びに三点、国会の諸先生方に心からお願いいたしたい御要望事項を申し上げて終わりたいと思います。  既に御高承を賜っておりまするように、これはもう常識的でございまするが、我が国の国民総生産の実質成長率は内需の不振により平成九年四月以降急速に低下し、民間消費支出を初め内需項目が軒並み減少傾向に転じておりますことは御理解をいただいているとおりでございます。  この内需の動きを反映いたしまして、生産も全体として低下傾向をたどり、平成二年を一〇〇といたしました生産指数は、本年三月は大企業で九八・八、中小企業では実に八九・五と、特に中小企業の不振が目立っておるところでございます。  雇用情勢につきましても、この三月には有効求人倍率が約十五年ぶりに〇・六を割り、完全失業率もまた三・九と過去最悪を記録しているところでございます。したがいまして、中小企業の倒産も昨年の年末以来高水準で推移をいたしておりまして、三月には件数、負債総額ともに対前年比で三割強増加しておりまして、まだ増勢に向かっておるところでございます。  このように、我が国の景気が一層厳しさを増す中で、特に中小企業の景況の悪化は極めて深刻でございます。ビッグバンと申しますと、一般的に金融のみをお考えのようでございますが、事、中小企業の構造的な不況はまさにビッグバンと申しても過言ではなかろうと、このような感じを持っている次第でございます。  先ほど申し上げましたように、お手元の資料の二ページに、私ども全国中央会が全国の各業界に配置しております三千名の情報連絡員の協力によりまして毎月実施しておりまする月次景況調査に基づきまして、最近の中小企業の景気動向を見たグラフと表を掲げております。  これらを見て御理解をいただけまするように、中小企業の景況は消費税率の引き上げが行われました昨年の四月以降、月を追うごとに悪化の度合いを強め、殊に昨年十一月以降今年にかけましては、景況、収益、資金繰りを初め、売上高、販売価格、雇用人員などの主要指標、DI値でございますが、軒並み連続して調査開始以来の過去最低値を更新する状況が続いております。三月の末にはすべての指標が過去最低値を記録するという事態となっているわけでございます。  ただ、四月の状況は、景況、売上高、収益状況、資金繰りなどの指標につきましては、三月に比べましてやや改善をされましたけれども、依然過去最低値並みの大幅なマイナスを示しているところでございます。また、取引条件あるいは設備操業度、雇用人員の三指標につきましては、さらに過去最低値を更新すみ等、依然として深刻な状況が続いているわけでございます。  今申し上げましたように三千名の情報連絡員が所属をいたしまする業界の景況を集約いたしておりますので、具体的にコメント形式の報告を生の声としてひとつ皆様に御披露いたして、御参考に供したいと思います。  まず、繊維製造業でございます。殊に滋賀県の織物の組合からは、過去にないほどの減産が続いている、特に四月は前年同月比六一%の大幅な減産となって、受注は少ロット化し、単価は下がり、苦戦がますます続いておると。  また、木材・木製品製造関係では、徳島県の業者の組合でございまするが、住宅着工不振が需給のバランスを崩しまして、月を追うごとに先行きは不透明になっている、当面はますます混迷が続くと、こういうコメントでございます。  電気機器製造業の業界におきましては、福岡県の組合から、半導体、メカトロ機器ともに受注が低迷をしており、景況回復の見込みはさらさらないと、こういうことでございます。  また、商店街振興組合では、岐阜県の大垣市の商店街振興組合から、昨年は消費税率アップ前の駆け込み需要の反動で大幅な売り上げのダウンだと、これは常識でございますが、今年はさらにその上前をつけて減少していると。  また、建設業界におきましては、その例といたしまして岡山県から、公共事業、民間工事等仕事の絶対量の不足を訴える声が依然多く、少ない工事をめぐりまして中小企業同士の価格競争の激化から採算が非常に悪化していると、こういうことでございます。  なお、私ごとを申しまして恐縮でございますが、私は、京都におきまして繊維染色加工資材、これには合成染料あるいは工業薬品あるいは糊剤、さらにそれに関連する機械業の卸を営んでおる者でございます。京都の業界につきまして、ちょっと詳細に御参考に供したいと思います。  京都は、御高承を賜っておりまするように、繊維を中心とする伝統産業、ハイテクを中心とした近代工業、さらに観光産業、この三つが並立をいたしまして順調に伸びていったわけでございまするが、繊維が非常に悪くなりました。例えば一つの例でございまするが、京都には反織物工業組合という大きな協同組合がございます。最盛時は組合員が一万一千名、当時は日本最大の協同組合でございます。生産量も一千百万名を超えておったんですが、直近では組合員も六千名強に半減、生産量も実に三百万反を割る惨たんたる状況でございます。これにはもちろん単なる不況のほかに二つ、三つ理由がございます。  その一つは、この原料の生糸が、生糸の一元化という非常に歪曲された制度のもとで国際的に非常に高い生糸を無理に使わされたということ、これは現在大分是正されております。しかし、これがその体質を弱めたことは否定し得ません。その次に、いわゆるASEANから最近非常に安いものが、しかも輸入量が無制限に入ってきておるということ、それで最後に今の非常な不況、言うなればトリプルというようなことで、開闢以来の非常に厳しいというよりも大変な事態に遭遇しているわけでございます。  あと、西陣織、また京友禅、皆様にそれぞれ奥様方に御愛顧いただいておりまする製品につきましても、同じような状況が続いておるわけでございます。  こういう厳しい状況下でございますが、ちょっと触れたいと思うのはいわゆる金融機関の貸し渋りでございます。これは中央会の立場から見ますると、四月に入りましても政府の非常な金融の御支援にもかかわりませず、実際の身に肌で感ずる感としては、いささかもそれは緩和をされておらない、こういうふうに思います。  ただしかし、そういうさなかにありまして、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、さらには商工中金、そしてまた信用保証協会を含めましたいわゆる政府系の機関、この方たちがこの非常事態に非常に積極的にまた親切に応対をしていただいていることは、中小企業にとりましてこれは非常に御評価をしておるところでございます。もともと政府系の金融機関につきましては、平常時におきましては、どうも民業を圧迫するじゃないか、そんな政府系の機関要らぬじゃないかという御説もあったように聞くのでございますけれども、先般来のこの厳しい貸し渋りの状況で、よくこの三機関がおられたと、まさに政府の皆様方の先見の明に心から感銘をいたしている次第でございます。この場をおかりしまして、ほんまにこれ心から御礼を申し上げる次第でございます。  また、それに付随するわけでございますが、商工中金の増資でございます。昨年の民間への移行というような問題のときに、自後政府出資あかんと、こういうお墨つきをいただいたわけでございまするが、私どもがまたお願い申し上げましたところ、非常事態であると、早速それじゃひとつ百六十一億の非常に大きな増額を、間もなく通過をするように聞いておるんですが、こういうことがありまして、中小企業の皆さん方にいかに非常に大きな応援歌を贈っていただいていると。これはほんまに、決してお世辞でございません。これがやはり政治であろうと思いますので、また重ねてお礼を申し上げる次第でございます。  それで、このようなことでございますので、厳しい状況ばかり申し上げてもせんないことでございます。こういうことを踏まえまして、国会の諸先生方に三点、ひとつ御理解を賜りましてお願いを申し上げたいと思います。  第一点は、先ほどもお話のございましたように、総額十六兆六千五百億円、まさに過去最大の対策でございまして、私ども心から感銘をいたしておる次第であります。ただ、一番反応すべき株式マーケットが案外冷淡であると、これはいろいろの原因がございましょう。それは一つは、やはり政府の御対策が、今度は早いと思います、今の商工中金の増資に見るように、間髪を入れずやっていただくというようなことで、今度はもう大丈夫と思うのでありますが、さらにこれは、やはりインドネシアなんかの関係を見ましても、非常に世界的に流動化している。先ほどクーさんがおっしゃったように、よくなったらまた後退するんじゃないかという不安もあるわけです。だから、こういう不安を払拭する意味におきましてどうかひとつ、現下の政策、産業の振興あるいは景気の回復を政府は全力でやると、次の参議院の選挙でそれをお聞きすると思うのでありますが、これをとにかく声を大にして即刻実行していただき、もしそういう景気に切れ目があったらその節目節目に即刻お手を打っていただきたい、このように思う次第でございます。  二番目は、中小企業に対しまする特別貸付制度の創設なんかは非常に感銘をいたしておる次第でございまして、殊に、このたびは政府系中小企業金融機関等の対象範囲の拡大ということにおきまして格段の御理解を賜り、早速、小売、サービスにつきましては千万から五千万円、卸は三千万から七千万という増額をしていただきますこと、非常にこれもありがたいことでございますので、どうぞひとつ一刻も早く国会の御通過をお願いしたい。  三番目でございます。大店法にかわる新たな大規模小売店立地法案と都市計画法の一部改正法案及び中心市街地活性化に関する法案がいよいよ御審議をいただくわけでございます。ただいまは参議院にて御審議中と承っているわけでございますが、この町づくりに対します一般の不安、抽象的で本当にどうなるんだと、またこれは各地区によってそれぞれ業況によって非常に大きな差が出るんじゃなかろうかと、いろいろと心配をしている向きがございます。ぜひとも委員会の審議におかれまして、附帯決議等の形でも結構でございます、これら法律の運用が地域の町づくりアンド中小小売商業者の発展に資するものになるよう、明らかにするんだと、中小企業の皆さんの不安は要りませんよというようなことで特別の御配慮を賜りますればまことに幸いと思う次第でございます。  どうも長時間、時間を経過いたしましたけれども、常日ごろの御礼を申し上げまして、お願いを申し上げます。どうもありがとうございました。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ありがとうございました。  次に、小池俊二参考人にお願いいたします。小池参考人。

小池俊二大阪商工会議所副会頭

○参考人(小池俊二君) 小池でございます。  大阪商工会議所の副会頭をしております。きょう意見陳述の機会を与えられたことにつきまして、厚く御礼申し上げる次第でございますが、日本商工会議所におきまして、特に金融システム改革は中小企業経営にとっても大変重要な課題であるという認識から、この六月には金融システム改善問題研究会というものを発足させるわけでございまして、私がその座長になるということからこの機会が与えられたのではないかというふうに思っておるわけでございます。  きょう申し上げることにつきましては、既にお手元に「中小企業の当面の課題」ということで五項目にわたって資料を添付して差し上げてありますので、これをお読みいただければ大体おわかりいただけるかと思います。  きょうは、そういう意味で、時間も九分から始まりましたので十九分には終わりますので、問題点をかいつまんでお話ししたいというふうに思っておるわけでございます。  中小企業にとって景気の回復が最大の願いである、こういうふうに申し上げてよろしいかというふうに思います。景気悪化の長期化が続いている原因は、金融機関の貸し渋りに絞られるというふうに私は思っております。  なぜかといいますと、中小企業の借入依存度は率として五二%に上りまして、金融依存度が非常に高いわけでございます。貸し渋りは中小企業経営の活性化の芽を摘むものでもございます。せっかく公的資金として金融安定化のために三十兆円が用意されているわけでございますから、各金融機関におきましては、自己資本比率の向上はもちろんのことですが、至急に不良債権の徹底的な処理をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。見たところ非常にだらだらと続いているようでございますので、これではなかなか中小企業金融の活性化が得られないというふうに思っておるわけでございます。  日銀のつい最近の発表によりますと、金融五業態において、四月残高が前年に対して二・五%マイナスと、要するに貸し出しが少なくなっている。それから四月の残高が三月に対して二・一%減っていると。したがって、五業態で五百十六兆円弱貸出残高がございますので、十三兆円が貸し渋りに充てられているというふうに見てもいいんじゃないかというふうに思うわけでございます。  さて、日商では、五百二十一の商工会議所、その中から三百九十一回答が寄せられています。七五%でございますけれども、いずれ一〇〇%回収できると思います。五月十八日から二十一日の結果をまとめております。  当面、四月に対して悪化しているというのが六%、変わらないというのが六一・一%、改善されているというのは五・九%にすぎないわけでございます。特に関東、近畿、中国が悪いわけでございます。どちらかというと、東北、四国、北海道、九州というところが比較的貸し渋りが少ないというふうな報告が来ておるわけでございます。  大商、大阪商工会議所は四万二千の企業を抱えておりますが、二十三支所を持っておりまして、直接にヒアリングを五月十五日から二十日の間にしたところ、今までより厳しくなったというのが五六・三%、変わらないというのが四一・三%、よくなったというのが二・五%ということでございますので、いずれにしても貸し渋りの現況は悪化さえしても変わらないという現状でございます。これが続いていると改善される余地が非常に少ないんじゃないかという不信感が現在中小企業の中にはございます。  それから、特にどこが貸し渋っているかというアンケートでございますけれども、日商の調査では、都市銀行が一九・七%、地方銀行が五六・九%、信用金庫が一三・五%という数字になっております。これは、日商は北海道から沖縄まで抱えておりますので、都市銀行は地方にはございませんので、そういう意味で地方銀行がそういうふうになるのが当然かと思います。  大商では、これはむしろ都会でございますので、調査しますと、九一%は都市銀行、それから三五・四%が地方銀行、信用金庫が五・二%という割合でございまして、都市銀行の貸し渋りが非常に激しいということでございます。  貸し渋りの内容について申し上げますと、融資の拒絶と減額、それから金利の引き上げ、繰り上げ返済の要請、担保、保証人、書類の追加、手形割引の選別、それからマル経ほか信用保証協会等へのあっせんというふうなことでございます。経済論からいいますとそのとおりでございまして理解できますけれども、社会的公正さから見ますと、バブル時代に貸し込んで、一転して返済を強要するということでございますので、中小企業にとってのショックは非常に大きいわけでございます。  全銀協で指示しているとはいえ、現に私自身の経験から見ても、支店の機能は既に麻痺状態でございまして、不全状態でございます。本店へ本店へという、いずれも同じ繰り返しの状況が今もって続いてくることでございますので、さらに徹底して支店権限をふやすか、支店を統合して権限がある、即座に判断のできる環境をつくっていただきたいというふうに考えているわけでございます。  もう既に中小企業では都市銀行ブランドは要らないというふうな考え方に変わりつつございます。過去、手形においては実際は信用金庫から資金調達して都市銀行の手形を使うということでございましたが、もう都市銀行のブランドは通用しない、私はそう考えていいというふうに思っておるわけでございます。  それから、借り入れ困難に対する対応としてどうしたかというと、先ほど古川参考人がおっしゃったように、公的金融機関が大変活躍していただいたわけでございます。もちろん信用保証協会も含めてでございますけれども、そういう意味では商工中金、中小公庫、国民金融公庫、当時は行革の標的になったにもかかわらず、支店長以下、本当にそういう意味では貸し渋りに対して今回大変な対応をしていただいているわけでございます。  それに対して、金融において調達できない部分は有価証券の売却だとか不動産売却、これは大変高い比率がございます。合わせて二五・七%ということでございますし、公的金融機関への依存は二八・五%という数字が出ているわけでございます。直接金融あるいは取引先の借り入れ、要するに取引先から借り入れをするというふうなことは極めて少ないような状況でございます。  したがって、経営上の問題としては、まず中小企業としては設備投資の抑制、これは複数回答でございますが、三五・一%、賃金の抑制三四・七%、従業員のいわばリストラというのが二一・二%、それから諸経費の制限が三六・一%というふうなことで、大変苦しい経営を現に貸し渋りの中で行っているわけでございます。  その中で、政府系金融機関のことにちょっと触れますと、商工中金は昨年に対して、去年の十二月一日からことしの四月三十日までの間でございますけれども、一一七・七%、国民金融公庫は一二五・二%、中小公庫は一三七・五%というふうに貸し出しをふやしているわけなんです。したがって、私どもにとっては政府系金融機関のさらなる充実拡大、こういう時期においてはもう補完というより主役の金融機関でございまして、補完するような状況というよりも、そういう主役に立つような状況に既に来ているというふうに申し上げていいかと思います。  もう時間が来ましたので、最後に要望でございますけれども、すべて政策が決まったら、決めるのにはタイミングよく、スピーディーに、それから実際に行動していただくような、先ほど中小公庫法等の改正でサービス、卸等についての枠が拡大されましたが、四十五年前の中小企業金融公庫法の規定によっているわけでございますから、そういうふうなタイミングのずれというのが大変まずい結果になるというふうに思っています。  以上でございます。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

保坂三蔵自由民主党

○保坂三蔵君 自由民主党の保坂でございます。  恐れ入りますが、座ったままお尋ねいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。また、きょうは参考人各位におかれましては、お忙しいところまことにありがとうございました。  特に、マクロ的なお立場からの分析と、それから実体経済の中から極めて厳しい景況感を御報告いただきまして、私どもといたしましても政府を中心にその対応に懸命のところではございますが、改めて身につまされるお話を拝聴した思いでございます。  また、特に本院におきましては、経済活性化及び中小企業対策特別委員会、この委員会でございますけれども、新たに設置いたしまして、とにかくTPOを間違えないで、またツーリトル・ツーレートなんて言われないようにしっかりとやっていこうという意気込みがありますことを改めてお知りいただきたいと思っている次第でございます。  中原参考人にお尋ねをしたいのでございますけれども、ただいまお話しいただきましたとおり、日本経済が極めて厳しい実態にあることはどなたももう共通の認識に立っているところでございますが、特に現在進行中のデフレなんでございますけれども、これは政府はなかなかデフレスパイラルに入っているとは認めておりません、経企庁も。  しかし現実には、私どもささやかな知識の中から心配しておりますのは、昭和初期のデフレ以来の七十年ぶりという深刻な事態に陥るのではないかという可能性について心配しているわけなんです。これは言ってみれば昭和恐慌の前夜と似ているということなんです。考えてみますと、当時、金の解禁に伴って緊縮財政が行われた、銀行は多額な不良債権を持って悩んでいた、また国際貿易も縮小していった。そういう中で世上の不安が一気に高まって、先行き閉塞感というか、そういうものが漂っていたわけです。昔と違って今は金融のセーフティーネットもいろいろ準備しましたし、また国際的な枠組みの強化なども行われておりますので、そう時代はめぐるとは言えないかもしれませんけれども、余りにも経済メカニズムの中で実態が酷似しておりますと心配だけが募ってくるわけなんです。  そこで、中原参考人に伺いたいんですが、現在の状態は本当にこのまま、総合経済対策だとか金融システムの安定化策が生きてくればもちろん解消してはいくのでありましょうけれども、複合的なデフレというものはどんなところにあって、救いようがあるのだろうかというところについての総合的な見方を私にお示しいただきたいのでございます。

中原眞全国銀行協会連合会一般委員長

○参考人(中原眞君) 先生の現状経済に対する大変厳しい御判断、ある意味においては私も全く同感でございます。現在の不況感の最大の問題というのは根底にある金融システム不安ということだろうと思います。  正直に申しまして、私も去年の十一月の状況は果たしてどうなるのかと。実は、私ども去年の九月に大変大幅な債権償却と赤字決算を中間決算で発表いたしましたわけですが、あの段階では十一月以降のああいう状況を夢想だにしない状況でございました。その後、十一月の状況、信用収縮の中で本当にどうなるのかということについて大変心配をいたしました。  しかしながら、その後、先生方のクイックアクションといいますか、金融安定化措置二法案が急遽成立いたしまして、私どもも三月末にちょうだいしたわけでございますけれども、この法案成立の見通しがある程度ついた段階で、株式マーケットはかなり回復、安定の兆しが出てまいりました。期末の株価そのものは必ずしも期待したほどにはいかなかったかもしれませんけれども、やはり金融二法案の成立というのは大変大きな意義があったのではないかというふうに思っております。  また、期を越えまして新しく経済対策、特にその中で不良資産処理が最大の課題であると。債権・土地流動化のトータルプランも現在議論が大体固まっておりますし、またこれからサービサー法あるいは不良債権処理に係るいろいろなインフラ面の整備、これを進めていただくというふうに了解しておりまして、私どもも全力を挙げて不良債権処理に邁進したいと思っております。  このような金融システム不安、これをまず解消する。あわせて十六兆円の経済対策、この経済対策が力があるうちに早く不良債権処理を進めなきゃいかぬ。この辺両方相伴いますと、私は、多少の時間はかかると思いますけれども、日本経済は回復の過程に入ってくるのではないかというふうに考えております。

保坂三蔵自由民主党

○保坂三蔵君 ありがとうございます。  クー参考人にお尋ねいたしますけれども、先ほどのお話を承りまして、IMFが間違ったことを言ったというお話があったのでございますけれども、一方ではそうは言いましても、対症療法では日本もかなり積極的にやってきたわけでして、特にまた現在も進行中ですから、山崎政調会長がきのうも、不良債権処理にはさらに十七兆プラスアルファ、これも用意したいと踏み込んだ発言をされております。  バーミンガム・サミットにおきましても厳しい話がそれほど出なかったという話も漏れ聞いたんですけれども、一方では、さっきお話しのアメリカの見方は非常にまだ厳しいということなんです。例のグリーンスパン・アメリカ連邦準備制度理事会議長さん、あの方はもう日本の金融システムの問題は一応片づいたと、こういうふうな談話かコメントか、インタビューに答えて言ったのか、どの部分で言ったかちょっとわかりませんけれども、そういうことを聞きましたし、それからまた、ジャパン・プレミアムもかつて一%あったのがもう〇・二五ぐらいまで安定してきたということも聞くわけです。  そうするとそれなりに、内外というけれども、表側からの見方は日本もやっているじゃないかという見方が一体あるのか、こういうこと。もう一つ国債の格付け、この間ムーディーズがこの一、二年の執行猶予つきなんといううわさもありましたけれども、ネガティブに落とした。ネガティブというのは弱含みという意味でしょうか、いずれにいたしましても格付けが下がる見通しを国債については行ったということなんです。国債と株価あるいは日本の実体経済、これは当然連動していると思うわけなんですけれども、そのあたり、日本の金融安定化策というのは表から見てまだまだだめだと見られているんでしょうか、それとも成功しつつあると見られているんでしょうか。

リチャード・クー株式会社野村総合研究所主席研究員

○参考人(リチャード・クー君) 大半の海外の見方、海外の見方というのはこの場合、英語圏、国際金融にいる我々は、ロイターですとかニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルとかこういうところから全部情報を得ますから、結局アメリカのジャーナリストがどう見るか、イギリスのジャーナリストがどう見るかというのが世界の見方に残念ながらなってしまうんです。ここの見方は残念ながら今非常に厳しいです。私も三週間前ワシントンを回って、本当に袋たたきに遭って帰ってきたと言ってもいいくらい、めった打ちされて帰ってきました。  ただ、その中でかなりの部分、固定観念というのが海外にあるんですね。したがって、その固定観念から解きほぐしていかないと日本のことは正しく理解されないんではないかという気がしております。固定観念というのは、例えば護送船団方式というのは、銀行が何よりも望んでいる非常に生ぬるいしかも居心地のいいものであって、これを維持するために三十兆円が使われているのではないかという点。それからもう一つは、日本の政権、自民党ということですけれども、自民党と銀行はべったりであって、銀行と自民党の利権が一致しているものですから、だからその銀行を救うためにああいうプログラムをつくったんじゃないかとか、何かそういう書き方なんです。一部、日本のマスコミにもそういうふうに書いて喜んでいる人たちもおりますけれども、実際は大分違うわけですね。そういう点を細かく説明していく。  例えば、実際は自民党も銀行に対しては非常に厳しい見方を持っているし、銀行に対して非常に嫌な思いをされたところもあるようですけれども、そういうところを説明して、決して銀行と自民党はべったりじゃないと。  また、護送船団方式につきましても、なかなか公的資金が入れられない中で、一時これは非常にタブー視されていたわけですが、そういう中で問題があるときには、しようがなくて護送船団の中のいい銀行を無理やり頼んで悪い銀行の支援に充てるというようなことをやっていた。  私もこの時期、だから三、四年前からですが、多くの銀行、経営内容のいい銀行からですけれども、今何が一番恐ろしいかなって大蔵省から夕食の招待を受けるのが一番恐ろしいんだよと、大蔵省から夕食の招きを受けますと必ずどこかの銀行を救済しろという話になるので、何としてでもこれには出たくないんだと。こういう話をしますと、欧米のジャーナリストはびっくりします。それが護送船団の実態だったんだと。いい銀行にとっては決していい話ではなかったけれども、ああいう状況で外部から金を入れられない中で、残念ながらそういう方法しか当時なかったんだと。だから、この辺から解きほぐしていかないと私は海外の誤解はなかなか解けないという気がします。  そういう意味では、幾つか悪い銀行をシンボリックにつぶすというのも一つの方法かなと思うんですが、海外ではそういう論調が非常に強い。つぶすんでしょうと、つぶすんだったら認めましょうと、こういうことを言われる政府高官は非常に多いんですが、私はやはり北海道の二の舞を、日本じゅうが北海道のような状況になってはいけないということですから、ちゃんと受け皿の準備ができてからのみ整理していくという方法を今後とも進めるべきで、欧米はちょっと長い間待っていた、八年間も待ってやっと今動き出しているということで、彼らは八年間も待ったんだからもうすごいアクションが出てもいいじゃないかと思う向きもありますが、ここは日本のペースで事を進めていくべきじゃないか。ちゃんと説明すれば、アメリカだって同じ状況に同じことやったじゃないかというふうにボールを向こうに投げ返すと、そう言われてみればそうだったという話になります。  ただ、そこまでちゃんと議論しないとどんどん誤解がひどくなる。誤解がひどくなると円安、株安。円安、株安、貸し渋りということですから、なぜこういうことをやってきたのか、北海道の状況はどういうことだったかというようなことは強く説明された方がいいんではないかというふうに思います。  あと、国債の格付についてですけれども、十八カ月の執行猶予をもらったような形になっていますが、今の日本の状況、確かに数年前に比べるとかなり厳しいというのはここでも出てきた意見で、にもかかわらず、ムーディーズが何もしないのかと言われると今度ムーディーズが困っちゃうわけですから、そういう話が出てきたんだと思いますが、ただ、ムーディーズの分析の方を読んでみますと、長期的な財政再建がないがしろにされかねないとか、そういう見方で分析が書かれているんですね。それは私はちょっと的外れじゃないかというふうに思います。  つまり、日本が今こういう状況になってしまったのはかなりの部分時期尚早の財政再建が原因だったのではないか。それを理由にムーディーズが格下げするのは非常におかしいわけで、もしも時期尚早の財政再建をやっていなければ恐らく今のような状況にもなっていなかったし、今のような状況になっていなかったら、日本のその他のファンダメンタルズ、貿易収支がこれほど大きな黒字がある、経常収支もこれほど大きな黒字がある、本来そういうところでムーディーズは判断するわけで、世界最大の黒字国を格下げするというのは本末転倒なんですね。でもそれは、余りにも日本経済のほかの部分がおかしいから、こっちをちょっと無視してでもネガティブにしたいというような機運があるようですけれども、こっちがちゃんと手が打てれば、後はまた日本の強い方に目が向いて、必ずしも格下げになる理由はないんじゃないかというふうに思います。

保坂三蔵自由民主党

○保坂三蔵君 ありがとうございました。  ムーディーズのことにつきましては、格付会社につきましてはいろんな意見がありますけれども、現実に、かつて日本では、国内では不良債権問題は何とか片がついたんじゃないかと大蔵省が言ったとき、あの時点で海外の格付会社が危険信号を出していたわけですから、我々としてはやはり謙虚にこれを見ていかないといけない。そして、執行猶予というのは実際にそこにいくというのでなくて、努力次第だと。それはアメリカにおいて加藤幹事長が述べた、あと都市銀一、一行はおかしいところがあるというような言い方は、何もおかしいんではなくて、努力しないとそうなるよという自戒の念を込めた日本経済、日本政府の決意であると、こう私は受けとめてきたわけなんです。  ところで、今マクロ的な見方を承ったのですが、では、そういう状況の中から、現実的なポリシーミックスといいましょうか、どういう具体的な経済政策をこれからもさらに進めていったらいいか。もちろん現在、きょうも財革法の見直しについての委員会が開会中でありますし、努力はしているわけなんですが、ここでドクター・クーにまたお尋ねをしたいのでございますけれども、かつて、財政再建で我々が財政構造改革法案を論議しているとき、日本の財政再建というのは極度の貧血状態にあるときにダイエットをやるようなものじゃないかと言われましたですね。まずは健康体だと。いみじくもアメリカの発言、私どもはルービンさんやサマーズさんの発言みたく聞こえたんですけれども、しかし現実にそうなってきてしまった。  構造改革や規制緩和というのは、確かに長期的に見れば景気の底上げにもなるし、実効性が上がってくることはあるわけですね。経企庁などは、堂々と九八年から二〇〇三年までの経済企画庁の試案として、経済構造改革の効果、実質成長率年〇・九ポイント上げる、こう堂々と発表していたわけなんですが、現実これが即効的には怪しくなってきてしまった。クー参考人は財政出動しかないとはっきり言い切っているわけですね。  この財政出動の効果ということに関しましては、先ほども減税と公共事業とお話がありまして、公共事業についても青天井でやれということじゃないと思うんですね。選別的にいろいろ実効性のある、費用対効果でいろいろとあると思うんですけれども、即効性という点で、減税と公共事業、これは両方やった方がいいんでしょうけれども、減税をこのまま続けていく、あるいは公共事業をこのまま青天井で続けていくというぐあいにはいかないわけですね。ですから、即効的にやっていくという点ではどちらが効果があるんだろうか。  それから、アメリカの三〇年代のケインズの教訓を知れと再三クー参考人もおっしゃっていますけれども、ついこの間までの日本の分析ではケインズは死んでいるんだと、こういう見方まで堂々と財革会議でまかり通っていたんですね。その乖離というのは私たち本当に悩むんです。そうすると、一体今の財政構造改革法案というのはどう扱ったらいいか、私的な見解でも結構ですけれども、教えていただきたいと思います。  それから、最後にもう一つあわせてお尋ねしたいんですが、低金利政策、これは景気と連動していると思っているわけなんですけれども、一方では〇・二五まで下げるという意見もあると言っているんですけれども、我々はもう上げるべきじゃないかと思っているんですが、このあたりあわせて、恐れ入りますけれども。

リチャード・クー株式会社野村総合研究所主席研究員

○参考人(リチャード・クー君) まず即効性、あと減税か公共事業がまたは構造改革かと。  即効性でいいますと、私はやはり公共事業が一番即効性があると思います。公共事業というのは政府がみずから金を使うわけですから、金を使った時点で次の人の所得が発生している。GDPというのは発生した所得を足していくわけですから、即効性という意味では最も有効だということになります。  これを青天井でやるのかという点につきましては、はっきり言って青天井でやってもいいというくらいの決意を表明された方が最終的に納税者のコストは安くなるのではないかという気がします。  つまり、けちってけちってやって八年間もこういう状況になっている。それでまた景気がよくなるとまた財政再建をやると、またポシャって今回のようにクラッシュみたいな状況になる、またやる。こういうことを繰り返されるよりも、むしろ何年間かはとにかく景気の足腰を強くしなくちゃいけないのだということで、必要なものは幾らでもやるというくらい言われた方が最終的に納税者にかかるコストはかなり小さくなるのではないかという気がします。  つまり、本当に青天井で、それで財政赤字が膨らんでどうしようもなくなるというよりも、もう少しダイナミックに考えていただいて、みんながびっくりするくらいの公共事業、またこれはびっくりするくらいの規模の減税でもいいわけですが、そういうことを打ち出して、不安心理に動揺してしまっている今の日本経済をとこか中央突破していただきたい。  これは、いや、ここは五兆円やるけれども来年はまた財政再建ですねと、このことをIMFでさえ心配し始めているわけです。ことしは十六兆円で何とかなるかもしれないけれども、来年はまた財政改革法がキックインしちゃいますとまたポシャっちゃうんですねと。こういうことをみんなが心配し始めたら、何をやってもきかなくなります。それは一番日本にとって恐ろしいわけで、そういう意味では、青天井と言うと語弊がありますけれども、かなり大胆にそしてこれが最優先課題なんだと。財政再建と景気対策と両方欲しいというと結局両方とも失う可能性があるわけで、実際に過去の数年はそういう結果になってしまったわけですから、ここではひとつ大きく決意をされて、とにかく景気の足腰を強くしていくことを最優先しようと。アメリカでも、今財政黒字で喜んでおりますけれども、あれは景気がよくなったからああいう結果になったわけで、アメリカ版財政改革法案ですが、グラム・ラドマン法というのが大分前につくられましたけれども、結局それで財政均衡に行ったわけじゃないんです。  したがって、即効性という意味では公共事業です。ただ、中長期的に人々の景気に対する不安感を払拭するという意味では、大変大胆な減税または公共事業という考え方で打ち出された方が最終的な納税者のコストはかなり安くなるのではないか。  ここ数年間を見ても、もっとそういう形で当初からやっておれば、今ごろこんな状況にならなくても済んだのじゃないかという気がするんです。結局するずる小出し、兵力の逐次投入と言うんですか、やっていたがために全滅しちゃったという感じが非常に強くします。そういう意味では大胆にやっていただきたいというふうに思います。  構造改革につきましては、これは今のアメリカ、イギリスの例を見ても、よくアメリカやイギリスで言われるんですが、結局レーガンがやったことで得をしたのはクリントンとトニー・ブレアてあると。ブッシュのときまではその効果が出てこなかったじゃないかと言われるくらい、構造改革というのは時間がかかります。  これは絶対必要で、ぜひできる限りのスピードで進めていただきたいんですが、経済企画庁が言っているように、すぐことし何%これで景気がよくなるというような考え方は間違いじゃないか。これはアメリカが一番よく知っているんです。なぜかといいますと、レーガンがその間違いをしてしまった。レーガンも構造改革はマクロ政策だと思って、これをやれば景気はよくなると言ってやったわけですが、結果は財政赤字ばかり膨らんじゃって、景気はなかなかよくならなかった。構造改革というのは、人々のそれこそ人生観を変えるというくらいまでしないと景気はよくならないわけで、それにはかなりの時間がかかります。  日本は残念ながらかなり構造改革がおくれていますから、それは早急に進めていただきたいんですけれども、それをやれば財政はやらなくてもいいということではないと思うんです。むしろ財政をやりながら、人々の不安心理がこれ以上拡大しないような状況を維持している間に、体力があるうちに構造改革を進めていくというコンビネーションが望ましいのではないかという気がします。  最後に低金利政策ですけれども、私は、低金利政策には余り期待すべきではないというふうに思います。これを一層下げるという点についてはもっと期待すべきではないんじゃないか。  といいますのは、今でこそ貸し渋りが去年の十一月ごろから大変な事態になって、多くの中小企業は銀行がお金を貸してくれないものですから、公的金融機関に行ったりまたは最悪の場合消費者金融の方まで向かっている。そうすると、少しでも金利が安い方がいいじゃないかという議論が一部で出てきていますけれども、その前の状況、去年の十一月までの状況つまり貸し渋りが始まる前の状況を見てみますと、ほとんどの金融機関が運用難でした。運用難というのは、金があるけれども貸す先がないということなんです。そういう状況が実はバブル崩壊以降すっと続いておりまして、日本はそういう意味では世界でも非常にまれな状況が去年の十一月まで続いたわけであります。  それはどういうことかというと、普通、銀行の不良債権問題がありますと、銀行は貸し渋りまくってそれが庶民を直撃するという形になるんですが、日本の場合は銀行の不良債権問題があったにもかかわらず、去年の十一月ごろまで貸し渋りはほとんど起きていなかった。むしろ銀行は運用難で、一部上場企業の課長なら無担保で何百万も金を貸すというようなことが実際に行われていたわけであります。  したがって、銀行が積極的に融資をしたかった、しようとした時期があったにもかかわらず、景気がなかなか回復できなかったということは、金融政策、金利が問題ではなくて、やはり景気全体に対する見方、そして構造改革のおくれ、こっちが日本経済の足を引っ張っている基本的な問題じゃないか。  したがって、財政による内需拡大、そしてそれに並行して構造改革を早急に進めていただきたいというふうに思います。

保坂三蔵自由民主党

○保坂三蔵君 構造改革については、ルビコン川を渡ってしまったと言ったんですが、まだ渡らないうちにストップ・アンド・ゴーではだめだと言われて、非常に戸惑うわけなんですけれども、お話は概略わかりました。  お時間の関係で詰めてまいりますけれども、貸し渋りについて、全銀協の中原参考人にちょっとお尋ねしたいのでございます。  貸し渋りというと何となく道義的にも非難のニュアンスが定着しているんじゃないかという反発もありましたけれども、現実にはクレジットクランチ、これは文字どおり信用危機ですから、我々にとりましては、先ほど大商副会頭さん、それと古川さんからもお話がありましたように、中小企業にとっては命綱を断たれるというような重みがあるわけだと思うんです。  北海道の例も先ほど出ましたけれども、あれはあれなりに拓銀の処理というのは間違ってはいなかったと思いますけれども、それにしたって北海道の実態は私も拝見してまいりましたが、物すごい厳しい状況下にある。中小企業だけじゃないんです。中堅・大企業までも、当然北海道だけじゃないんですけれども貸し渋りの被害を受けているんです。  一方、三十兆円の金融システム対策も出てきたということで、これは先ほど中原参考人は効果ありということで評価していただいているわけなんです。その証拠に八%の自己資本比率規制に関しましてはほとんどの地銀はクリアできたわけです。当然、四月、五月と好転していくと言われましたけれども、お話の中では、貸し渋りの理由としては、自己資本比率のBISの判断だとかいろいろ現実的にはそういう要請にこたえてやむを得ず資本の圧縮をしていくという状態のお話がありましたけれども、一方では取引先の悪化、あるいはまた景気の低迷というふうに、どちらかというと景気待ちだというふうに聞こえたんです。  景気待ちはいいんですけれども、全銀協の会長さんの談話も私、拝見したんですけれども、資金注入で金融システム安定化の目的は果たしたと言い切っているんです。政府のスタンスを非常に評価してくれまして、いわゆる銀行の貸し渋り状況は緩和されたと言い切ったんですが、現実的には数字の上では全く、頑張っているのは地域金融機関だけ、あるいは第二地銀だけだというような、どちらかというと非常に厳しい見方がされているわけなんですけれども、一体貸し渋りをなくしていこうという決意は本当のところなんでしょうか。

中原眞全国銀行協会連合会一般委員長

○参考人(中原眞君) 貸し渋りの背景ということで先ほど資本面の制約とそれから景気あるいは業績の悪化ということを申し上げたんですが、実は数字の方は先ほどいろいろと御引用されておる参考人もおられましたんですが、実は四月に入りまして、先ほど申し上げましたけれども、全銀協の数字によりますと、月中の貸し出し額はかなりペースが戻ってきておるということでございます。確かに、日銀の数字そのものは四月の平残でございまして、三月期末に流動化を相当やったとかあるいは債権を償却したとかということで貸し出しが期末には相当落ちておりまして、その落ちた水準からスタートしているものですから、四月の貸し出し平残というのはかなり低く出ておる可能性がございまして、私ども全銀協でとらえております四月の末残の数字でいきますと、かなりふえてきておる。  それから、四月に入りましてもいろいろな調整要因、流動化とかそういう要因がございまして、その辺を全部勘案いたしますと、例えば全銀協の末残の数字でいきますと、三業態合計で実は調整後では前年同月比、四月は二・八%伸びている、こういう数字が出ております。  数字の点、この一月ぐらいのものを見て判断できませんけれども、全体の流れとしては期末をクリアし、自己資本比率を達成し、そして金融安定化二法案がスタンドバイしてくれておると、こういう状況で事態は改善の方向に向かっておるんではないかと期待をしておるわけでございます。  それから、全銀協としてのコミットメントといいますか、決意といいますか、これにつきましては説明でもお話し申し上げましたように、会長による指示あるいは傘下銀行に対する通達というのをたび重ねて出しておりますが、いかんせんこれは全銀協という組織上の問題もございまして、もちろん強制力のあるものではございませんが、会員銀行の意識をさらに高めてもらうよう努力をしておるところでございます。  それから、個別銀行といたしましても、中小企業取引は平成十年度も最重要な営業の分野の一つということで位置づけておりまして、申し上げましたとおりいささかも貸し渋りの御批判を受けることのないよう、また円滑な資金供給が我々の責務であるという意識を現場にまで徹底しようということで、支店長会議等で指示をしておるところでございます。  中小企業との取引というのは、実はほかの銀行さんも全く同じようなことだと思いますけれども、コマーシャルバンクとしては今後の戦略的な分野というふうに理解しておりまして、この点はほかの銀行さんも同じと思いますが、大企業取引というものが次第に直接金融の方に移っていくという中で、コアの収益、ベースとなる基本的な部分での収益の安定化を図るためには、商業銀行といたしまして中小企業取引、それからリテール業務、これをしっかりとやっていかなきゃいかぬ、こういう認識を持っております。ミクロの部分ではいろいろな御批判をいただいており、またそれを一つ一つ丁寧に直していかなくてはならないというふうには理解しておりますけれども、全体的な位置づけといたしましては、中小企業取引、これは非常に重要な分野だと、こういう認識でおりますし、その方向でさらに強めていきたいというふうに考えております。

保坂三蔵自由民主党

○保坂三蔵君 そうはおっしゃいますけれども、先ほど大阪商工会議所の副会頭の小池さんからもお話がありましたとおり、都市銀に対する恨みつらみはすごいですよ、これは。今のリテールの話もありましたし、基本的なスタンスとしてはわかりますけれども、現実的に普通貸し渋りなんて起こすのは資本の内容が悪いところに金融機関がやるなんという相場ですよ。ところが、今はいいところにやるわけです。    〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕  これは、僕はある意味では都市銀行の宿命的な、例えば国際競争力だとか、あるいは内外からの評価だとか、そういうものは気にしていけば、当然もう九七年あたりからあれでしょう、各支店長にまで目標を掲げて資本圧縮の方針を打ち出しているわけでしょう。そういうものと今言っていることはちょっと合わないんですね。現に、十年前と違うのは、さっきお話があった株安、円安ですから、この含み資産も減少しているだろうし、それから、海外の資産の膨張なんというものでは現実には自己資本比率を下げるわけですから、そういう中でいけば、優良な金融機関までがそういう方向でやらざるを得ないということからいくと、どうも都市銀というのは、中小企業が最も命綱としている、貸し渋りということは、現実には選択融資だとかあるいは行内の融資枠なんか、支店長レベルでやったって本店の違う判断でぱっと切られたら、実際問題としては支店長が右往左往するだけです。そういう混乱が今起きているということをあえて指摘しておきたいんです。  この間、帝国データバンクの、金融機関の姿勢に批判が高まっている、倒産の中で貸し渋りの実例を聞きましたけれども、ひどいものなんですね。私も、現に同じような例で貸し渋りのために某銀行と交渉しましたけれども、現実にはこれ救えなかった。長い取引で、もう七十年も取引している地元の顔とも言うべき中小企業が倒産したんです。そういう例は枚挙にいとまがない。苦情処理機関が全銀協の中にあるわけでしょう。そういうところにだって恐らく来ていると思うんですよ。我が党は、去年の暮れから今年の四月まで、苦情処理と救済についての、貸し渋りについての窓口を設けましたら、ここへ何と三百二十二件来ていますよ。大半は政府系の金融機関で救済しました。  来ましたけれども、僕は公的な資金の投入までやっている全銀協、都市銀行は本当に中小企業や地域の金融から手を引くならば、もう地銀さんだとか、あるいは全信連に任せますよと言った方がいいぐらいな厳しさを私はあえて申し上げたいと思うんですね。クー参考人だっておっしゃっているとおり、内容の悪い信用機関は貸し渋りというのはリストラじゃないか、やるのは当然だというふうなことは前にどこかで私講演で聞いたことがあるんですが、やっぱりそれは内側から見ればわからないわけじゃありませんけれども、もっと貸し渋りというものが言葉のあやだけで、我々は適正な判断をして、相手が悪いんだと。さっきも出ましたよ。健全な企業になれば支店長に任せる。健全じゃないんです、相手が今。だったら、もう少し支店長レベルで行内の格付をしっかりとできるような、表からもわかるような一つの基準を内外に明らかにすべきじゃないか。そしてまた、そういうものではなくて、事業の方向性だとか、あるいは経営者の資質によって評価できるような成功例や何かを示して、そのとおりやりなさいというような誘導をやるべきじゃないかと思うんです。そのあたり、言いっ放しで恐縮でございますけれども、全銀協の方にお願いをしておきたいと思います。  特に、倒産の中で貸し渋りによる倒産がデータの中でも、これ全国企業倒産集計の九七年の速報では十五兆一千二百億円、戦後最悪で昨年を上回っている、こういう状況下にありまして、貸し渋りはこれはもう絶対に、私どもからいえば企業がどう言いわけしようと悪である、こういうふうに申し上げたい。  特に、さっき申し上げた信用組合あるいは信用金庫は、これ東京の例なんでございますが、間接融資で信用保証協会を使って頑張っていますけれども、昨年は対前年度比で二四・〇%、信用保証の承諾ベースを上げているんです。ところが、都市銀は、そんなによくなったと言いながら一二・二%ダウンなんです。これ数字が物語っているんですね。本当のことを言うと、もっと経営体質、厳しい環境下にある地域銀行が頑張って、しかし自己資本比率は都市銀より高いですけれども、そういう実態を考えますと、もう少し両方で頑張っていただきたいということをあえて申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  お尋ねしない参考人の方々ございましたけれども、時間の関係でどうも失礼いたしました。    〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕

今泉昭民主党・新緑風会

○今泉昭君 民主党の今泉でございます。  私は、野党という立場におりますけれども、同じ国会に身を置く議員として、今我が国が直面している最大の課題というものが、我が国の現況のこの不況をいかに克服していくかということについては同じような考え方で、何とかしていかなきゃならないという気持ちを持っている者の一人でございます。  そういう中でいきょう参考人の先生方から、大変お忙しい中をわざわざこの会に御出席いただきまして、大変参考になるお話を聞かせていただきましてありがとうございました。  時間的に制限がございますので、最後の方まで全部質問が行くかどうかわかりませんけれども、お一人ずつ質問させていただきたいと思います。  まず最初に、蔦壁参考人に三点ほどちょっとお聞きしたいと思うわけでございますが、先ほど先生のお話をお聞きしておりますと、どうも我が国の経済の今の実態というものに対して大変希望を持ちたくても持ちようのないような暗い気持ちに実はならざるを得ないわけでございまして、私自身もそういうことについて今大変な焦りを持っていることは事実でございます。  先生のお話によりますと、今のこのような状況は年度末いっぱいまで続くのではないか、年度末いっぱいになってやっと底を打つのではないだろうか、それから一つの屈折点を迎えて回復に向かうのかあるいは次なる何か起こるのかというような御説明をいただいたと思うわけでございますが、仮にその屈折点において我々が今一番注意をしておかなきゃならない点というものはどういう点だろうかということについて、もし御意見があればひとつお聞かせ願いたいというふうに思います。  それから第二点は、先ほど保坂先生の方からの御質問にもありましたように、我が国の今の金利政策の問題でございます。  現在の実態を見てみますと、卸売物価も一般的な物価もすべて下がっているような状態でございまして、そういうような状況におきまして、実質的金利は逆に高まるというような形にならざるを得ないんではないだろうかというふうに思います。  特に、先ほどからお話をお聞きしておりますように、貸し渋りが起こってまいりますと、どうしてもどこからか借りなければ企業をやっていけないということになりますと、高い金利でもいいから町の金融機関から借りざるを得ないということでありまして、実際上デフレの中で実質金利が上がるということに加えて高い金利でもって企業を運転していかなきゃならないというような実態でございますから、こういう日銀におけるところの低い公定歩合、低金利政策というものは何らもう意味がなくなっているんじゃないか。むしろ、逆に高齢者の預金が減っちゃって購買意欲が一つもわかないというような悪い方面に波及が行っているんではないだろうかというような気がしてならないわけであります。  もう一つは、今、日本が低金利でやって、結局いい思いをしているのはアメリカだけじゃないか、海外だけじゃないかというような気がしてならないわけでございまして、そういう意味で、現在我が国がとっているこの低金利政策というのをこれから先も続けていく意味があるのかどうかということについてお聞きしたいというふうに思います。  それから第三点、これは非常に小さいことでございますが、実は昨年の十一月に財政構造改革法案を審議いたしました。その際に、私どもは野党の立場でもございましたけれども、今の景気実態というものに大変色慎を抱いておりまして、大反対をしたわけであります。その際に、政府が盛んに言っていたのは、投資もまだ上向いているじゃないか、所得も向上している、順調な回復過程だというのがその理由の一つであったわけであります。我々は、春先からの消費税の引き上げあるいはまた減税の打ち切りから、逆に消費は低迷をしているという見方でございました。  今振り返ってみますと、専門家の方々は我が国の景気の山は三月だったという方々と、むしろ去年の一月だったという方々がいらっしゃいます。そういうことを考えてみますと、既にもう我々が昨年審議をした十一月の段階においては、我が国の景気は明らかに下降傾向にあったことは間違いなかったんじゃないかというように思うわけでございまして、そういう意味で、先生は景気の山というのを去年の何月ごろにあったというふうに考えていらっしゃるのか。  その三点、まずお聞きしたいと思います。

蔦壁寛明株式会社三和総合研究所調査部長

○参考人(蔦壁寛明君) 最初の問題でございますが、景気の先行きが非常に厳しいものがある、暗いものがあるということで、ことしの年度末ぐらいに底を打つが、その後一体どうなるのだろうか、その場合何を注意していったらいいのか、こういう問題でございます。  実のところ、先ほどクー参考人からの御指摘がございましたとおり、放置いたしますと、九九年度というのは再びまたデフレ的な様相に逆戻りしてくる可能性が非常に高いという可能性がございまして、それがはっきりしてくるかどうか、そこら辺が見えてくる時期というのがことしの年末ぐらいの時期になろうかと思うわけです。折から予算審議本格化という時期に、まさしくそういう経済の翌年の地合いがはっきりしてくるということで、今度こそ間違いのないように官庁並びに民間エコノミストの景気判断によく耳を傾けていただくしかないという形でございます。  そのときの政策選択としていかなるものがあるかということにつきましては、先ほど来公共事業の方が即効性はあるということで御意見があったわけでございますけれども、私としては恒久減税というのも考えております。  この理由につきましては三点ほどございますけれども、一つは、恒久減税をやるということは、当然のことながら、財源問題とリンクした構造改革とのパッケージじゃないとできないということがあると思います。いずれの段階かにせよ、財政構造改革をやらなければいけないという課題は将来的にあるわけでございまして、それとリンクさせる形でパッケージ化した恒久減税というのがなされるようであるならば、恒久減税に一つの価値があろうと思います。第二の恒久減税の利点というのは、当然のことながら、一時減税よりも消費性向が高くて消費促進効果が高いということでございます。それからさらに三つ目といたしまして、私も検証できているわけではございませんが、公共事業については何となく過去何十年にわたって行われてきたけれども、その効果たるやある特定業界を通じて流れているというところに何となくうさん臭さがある。しかしながら、個人の財布を通じて個人の選択に任せた結果、いろんな産業にあまねくお金が流れるということでは、資金の最適配分という面で減税による景気促進策があっても悪いものではない、そういうような理由があるわけでございます。  公共事業の追加とそれから恒久減税とどちらを選ぶかということは、まだ十分に議論しなければなりませんけれども、双方を土台に乗せていただきたいというのが第一の観点でございます。  次に、金利政策の問題でございますけれども、九五年に最後の公定歩合が下がりまして、それから昨年の半ばぐらいまでの間に日銀短観で分析してみますと、大企業、中小企業分けて、利益率がそれぞれ改善しているわけでございますけれども、その中で中小企業の場合には改善のポイント幅がほとんど利下げ効果で実現してきております。ということは、この過程においてはそれだけの効果があったということでございます。片や大企業においては、利下げ効果のポイントもそこそこあるわけでございますけれども、みずからの雇用調整等リストラの効果も片方で読み取れるということでございまして、金利低下の過程での利下げの効果は双方にあったというのが昨年の半ばまでの状況だと思います。  しかるに、今後どうかということでございますけれども、おっしゃるとおり物価がどんどん下落してまいりまして、実質金利が高くなってきております。しかしながら、マイナス金利の世界というのは私は想定できるものだとは思っておりませんので、政策の幅としては〇・五%しかないということでは、多少〇・五下げたところで実質金利低下幅については限りがある、ここはやはり最終的には財政政策の出番ではないかという形でございまして、金利政策については確かに実質金利の上昇効果はあるものの、余り期待すべきではないと考えております。  それから、景気の山、谷の議論でございますけれども、実は私、まだこちらの方へ就任してわずかしかたっておりませんのですが、私どもの研究所の当初の主張では昨年の五月というのをいち早く提示しておりまして、その後いろいろと精緻な統計が出てまいりまして、今は三月説、一月説などあるわけでございますけれども、一応私どもの研究所では昨年の春先には既にピークを打ったということで認識しておりました。それが一月になるのか三月になるのかというのは、今後公的な場で詰めていただければよろしいと存じております。

今泉昭民主党・新緑風会

○今泉昭君 ありがとうございました。  次に、クー参考人に三点ほどまたお聞きしたいと思います。  第一点は、一般的に報道されるように、日米の経済の明暗というのはもう全くすごい差があるわけでございまして、両国の経済の実態から比較しまして、何でこんなに差が出なきゃならないのかという疑問が私どもとしては大変あるわけです。  確かに、アメリカの場合は財政が好転をしてきまして黒字になるということでございますけれども、アメリカは世界にお金を借りまくっていて、実は債務国の最たるものでございます。しかも、月々の貿易収支なんというのは毎月のように赤字を垂れ流しているわけでございます。そういう国が、実は株はぼんぼん上がるは、景気はいいはというような状況にあるのに反しまして、日本の場合は、御存じのように毎月百億ドルからの貿易の黒字を重ねながら、しかもアメリカなんかには二千億ドルからの金を貸しているとか、方々に金を出していながら、どこから見ても日本経済のファンダメンタルズは今にもパンクしそうな状態だとは言えないような我が国がこのような危機的な状況にあると世界各国から言われているわけでありまして、この明暗の確たる差というのは一体どこにあるのかということをまず第一点にお聞きしたいと思います。  それから第二点、実は三月の決算期におきまして、先ほど参考人も申されましたように、要するに株がどれだけ上がるか、為替がどれだけ上がるかによって、実は企業の貸し渋りのふえる状況がますます拡大をしていくということをおっしゃいました。  また、あわせまして、三月の決算期の状況が結局のところ、それぞれの企業、特に金融機関の資産の実態を明確に示すことになるから、これが金融不安を増大させるからということで、一部の政府筋からはPKOという問題が盛んに論議されておりました。要するに、プライス・キーピング・オペレーションを政府が意図的にやるんだと、あるいは政党サイドで意図的にやるんだというようなことが盛んに実は流された時期がございました。こういう動きに対しまして、先生はどのようにお考えでしょうか。そういうことを意図的に国の立場でやるべきなのかどうか、政府の立場でやるべきなのかどうかということを第二点としてお聞きしたいと思います。  それから、第三点でございますけれども、三十兆円からの公的資金の投入がありました。このことによりましていわゆる金融機関の資本面からの強化を行っていく機会をつくったわけですが、実際に活用されている、例えば優先株の購入の実態を見ましても二兆円程度しか利用されていない、こういう実態があるわけであります。これだけのものを用意しながらほとんどそれが活用されていないのではないだろうか、もっと活用すればこの貸し渋りというものが解消されるはずなんだというふうに私ども素人は思うわけでございますが、このことについて、システム上の欠陥というものがあるのかどうか。  あるいは、いろいろ聞き及ぶところによると、各都市銀行はみんな嫌がっていると、特に何とか委員会にいろいろと審査をされて余計な干渉を受けるのは嫌だというようなところから敬遠をしているという話も聞くわけでございますが、その点について三点お聞きしたいと思います。

リチャード・クー株式会社野村総合研究所主席研究員

○参考人(リチャード・クー君) 日米経済の明暗といいますか、すごい差という御指摘だったわけですが、確かに今の日本を見ると私もそういう印象を受けます。こんな国にいつまでもいていいのかなと思うくらい海外に行くと日本のことをぼろくそに言われるわけですけれども、これは確かにそういう部分はあると思いますが、その認識ギャップも私はかなりあるという、この二つがあると思います。  今のアメリカ経済というのは、八〇年代から九〇年代前半にかけて大変苦しいリストラをやり抜いた。その結果、企業もまた個人も筋肉質といいますか非常に強い力を持ってきたわけで、それが今花咲いているということだと思います。このプロセスは実は十五年前にまさにレーガン革命から始まったわけで、当時レーガンがああいうことをやろうとしたときには随分いろいろ非難を受けたわけですけれども、今、十五年後に振り返ってみると、あれは正しかったんだなという見方に多くの人がなってきている。ということは、構造改革というのは十年から十五年かかるんだという覚悟でやらなくちゃいけないわけです。  レーガンは当初、先ほどもちょっと触れましたように、これをやったらすぐ景気がよくなるというようなことを言っちゃったわけですけれども、結局十何年かかる。ということは、今からやってもその効果が五年、十年、十五年後に出てくるわけですから、これは余りおくらせてもらっては困る。そういう意味では早く構造改革も進めていただきたいという気がします。  日本の場合は、残念ながらバブルの発生と崩壊というのをこの間に経験してしまったわけで、一回バブルが発生して崩壊してバランスシートが壊れてしまいますと、これの修復は大変な時間がかかります。といいますのは、これは個人もそうですけれども、銀行または企業もみんなそうだと思いますが、結局、バブルが発生して崩壊して何が残ったか、負債だけが残ったんですね。資産価格はもう暴落していますから、ここに物すごいギャップが発生している。  アメリカでこういう状況が発生しますと、多くの人たちはまあいいやと。ウオークアウトというんですね。ウオークアウトというのは、借りた家からかぎを銀行に返しちゃって、車に荷物を積んで隣の町に行って新しく始めちゃうというのをウオークアウト、リターン・ザ・キーというか、かぎを戻すという発想なんですが、もうどうせ債務超過ですからこんな家の借金を払ってもしようがないじゃないかと。  日本にはそういう選択肢はないんですね。日本の社会または日本人の発想の中にそういうものはない。やっぱり所得がある限りはできるだけ借金を返しましょうというのが個人の行動でもあり、企業の行動でもあり、銀行の行動でもある。そうなりますと、日本じゅうが今どういう行動をとっているかというと、資産がここで負債がここなんですが、それを少しずつ減らしていって借金を返していって、これがバランスすればまた元気を持って新しいスタートを切ると思いますが、このプロセスにおいては景気はなかなか回復しないわけであります。それを支えてきたのが財政であって、この間、所得さえあれば日本の人は極力借金を返そうという行動をとるわけですから、それが今までの日本経済を維持してきたのかなと。私はここでもしも財政をやっていなかったらもっと日本経済はひどくなっていただろうというふうに思います。  これがファンダメンタルズの部分ですけれども、イメージのところでちょっと御指摘があった点、これも実際にそのとおりでありまして、今は残念ながら日本の投資家の皆さんも含めて、アメリカにさえ投資していれば大丈夫だと。もうアメリカ万々歳なんですね。一年前、アジアに同じ理由で行っていた人たちが今アメリカに行っているということで、私は、アメリカ経済のファンダメンタルズは確かにすばらしいところがたくさんありますが、その上にバブっている部分もかなりあるような気がします。  御指摘になりましたとおり、アメリカの経常赤字、貿易赤字は大変な金額であります。やがて、その貿易赤字がアジア経済危機を引き起こしたということを考えますと、アメリカでもそういうことが起きないとは限らない。ただ、今投資家の皆さんはそれを全部無視してアメリカの強いところはかり見て投資している。私はこれはちょっと怖いことだというふうに思います。一回マーケットが指摘された貿易収支に注目して、これはドル高が危ないということになったら今度は全部が逆に回り始めますから、そういうことも考えてアメリカを見るべきじゃないか。  一方の日本は、今悪い方ばかりが強調されていますけれども、御指摘のありましたように、貿易収支、経常収支は極めて大きな黒字になっている。ということは、アメリカのエコノミストなどは、今回はアメリカの生産性が物すごく上がっているから景気が拡大しているんだということを言っておりますけれども、本当に生産性が上がっているならあんなに貿易赤字が大きいはずがないということを考えても、もっと日本の評価が高まってもいいんじゃないかという気がします。したがって、実際に悪いところといいところはお互いにあるわけですけれども、今のイメージはそれをはるかに超えてしまっているという気がします。  三月の決算期の問題と株と為替という御指摘がありましたが、確かに三月が過ぎて四月になってから貸し渋り問題は少し楽になったというふうに聞いておりましたが、どうやらまたここに来て貸し渋りがひどくなってきているんじゃないかというのが私の受けている印象であります。  それは残念ながら無理もないことで、これだけ株安、円安になれば当然銀行の自己資本、これはもちろん来年の三月がどうなるかというのはありますが、今の国際金融市場というのは、日本では三月三十一日というのは非常に注目されますけれども、世界の銀行界、金融界というのは日々の市場価値みたいなもので判断しますから、これだけ株安になり、円安になれば日本の銀行は苦しいだろうという判断になってくる。そうすると、銀行の経営者もそういう中で行動をとらなくちゃいけないわけですから、非常に貸し渋りみたいな行動にも追いやられていくのかなと。これは私は銀行の経営者を責めるべきではなくて、外部環境、円安、株安をどうするべきなのか、特に円安に対してどういう行動がとれるのかということを強く打ち出すべきじゃないかという気がします。  この三月末についてもう一つの御指摘は、PKOとかこの辺はどうかということですけれども、私はPKOは大失敗だというふうに思います。やるべきじゃなかった。PKOで一万八千円は大丈夫だというようなことを言いますと、三月の終わりぐらいになりますともう売り物ばっかりになっちゃうんですね。一万八千円で買ってくれるならぜひ売りたいと、それが重なっちゃうだけで一万八千円は絶望的ということになってしまうわけで、PKOですとか会計制度を変えて土地の含みを入れるとか入れないとか、ああいうことも私はやるべきではなかったんじゃないか。  特に自己資本投入をするというときに同時に会計を変えたという、この二つを一緒にやったのは私は大失敗だと思います。もしも政府が自己資本強化をするのであれば会計制度は変えるべきじゃなかった。もしも会計を変えるんだったら自己資本の投入はすべきじゃなかった。両方やっちゃったものですから非常に海外の人気は落ちてしまいまして、これはネットではマイナスだったのではないかというふうに思います。あの会計制度を変えなくちゃいけなかったのは、恐らく金融安定化策が本当に国会を通るかどうかわからなかったのでとりあえずこっちを出しちゃったという当時の事情はあったと思いますが、結果は海外の評価はがた落ちということになってしまって非常に残念だったというふうに思います。  この三十兆円の投入について一・八兆円しか導入されていないのはシステム上の欠陥があるのではないかという御指摘でしたが、銀行という世界は非常に特殊な世界なんですね。これはもう信用があれば何でも可能、信用がなければすべてが不可能という世界です。  一九三三年のアメリカで同じように自己資本強化ということで優先株を銀行に発行させようとしたときにも日本と全く同じことが起きております。あのときもアメリカの銀行は名乗り出なかった。それに対してあのときはルーズベルト大統領が一番格付の高いモルガン銀行を呼んできて無理やりモルガンに発行させて、それでほかの銀行が安心して発行したという経緯もありますので、そういう点では日本とアメリカとよく似ているなどいう気がしております。  嫌がっているのではないかという御指摘ですが、ここが今日本の銀行の置かれている非常に厄介な点でありまして、マクロ的に、つまり日本経済全体という観点から見ますともっともっと貸し出しはふやしてほしいわけですし、そのためにもっと自己資本を強化するというのは必要なわけですが、一方で多くの欧米の銀行アナリスト、または格付機関からは銀行は全く別のことを言われているんです。  今の銀行の資産に対するリターン、資本に対するリターンを見ると日本の銀行の資本は大き過ぎるではないか、もっと減らせよというこれまた猛烈な圧力を受けているわけであります。そうすると、ミクロから見ると、もっと貸し出しを減らしてもっと自己資本のリターンを上げなくちゃいけない、一方で、マクロで見るともっと景気を維持するために貸し出しをふやしてほしい、この二つが今日本の銀行の、ミクロとマクロが全く矛盾しているんですね。  個々の経営者は当然ミクロで物を考えなくちゃいけないわけですから、自己資本をふやすことについて。そうするとますます自己資本に対するリターンは落ちますから、これはどうしたものかと。株主代表訴訟に遭っても困るなと、こういうことになるわけですね。マクロはしかしこれをやってもらわないと日本経済は沈没してしまう。私は、こういうときにはミクロはちょっと我慢してもらってもマクロを優先すべきじゃないか。  政治家の皆さんも含めて、そういうことをはっきりと世界の金融界に向けても、またはアメリカの政治家に向けても言っていただきたい。じゃないと、この二つの全く違う流れの中に銀行が置かれてしまって、銀行も身動きがとれないんですね。自己資本をふやそうと思うと徹底的にたたかれるという部分もあるわけで、その辺はまさに皆さん政治家の方々が海外に向けて、今はこういう状況だからこれをお願いしているんだとやっていただきたいというふうに思います。

今泉昭民主党・新緑風会

○今泉昭君 ありがとうございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 公明の加藤でございます。  きょうは、参考人の方々、大変お忙しい中御苦労さまでございます。大変にありがとうございます。  私は、北海道札幌に住んでいるわけですけれども、先ほど来いろいろ話がございました、中小企業の状況というのは極めて厳しい中にあるわけでありますけれども、まず最初にクー参考人にお尋ねしたいわけであります。  先ほどの意見陳述の中についてでありますけれども、総合経済対策十六兆円のことに関しまして、そこに言及した際に、公共事業の関係で、よいプロジェクト、悪いプロジェクト、そういったことを言っている段階ではないという話がございました。確かにそのような局面にあることは事実だと思いますが、ケインズが言っていますように、穴を掘って埋めることに金を使ったとしても効果がある、それはそうなんですけれども、確かにそういう一面も、そういうことがあることは事実なわけです。  先ほど来の回答の中にもありましたように、公共投資は即効性がある、いわゆる建設効果は当然一時的にあるにせよ、問題なのは、やはり共有効果といいますか利用効果、そういった波及性が非常に恒久的に続くことが大事だというふうに考えるわけです。やはりそういった意味では、きちんとした社会資本の整備を今の超低金利といったときにやるべきだと私は思っているわけです。  そういった意味から考えていきますと、情報通信とかあるいは福祉だとか新しい分野に投資をして、いわゆる産業を育てる、経済構造の改革につなげていく、そういった政策を進めるという観点も極めて重要ではないかなと思っているわけです。そしてその効果をもって雇用の受け皿をつくる、そういう道筋も大切だというふうに考えているわけですけれども、この辺についてどのように思っているかということが第一点です。  二点目は、減税の関係なんですけれども、今の規模の減税ではだめだ、やるべきならびっくりするぐらいの大減税が必要であると。一体それはどのくらいの規模がびっくりするような規模になるのか、その場合に恒久減税というアプローチになるのかあるいは特別減税という話になるのか、そこが第二点目なんです。  第三点目としては、先ほどからずっと話が出ているわけですけれども、いわゆる海外の日本に対する懸念というのがあって、円安あるいはさらに株安につながっているという話があって、相関係数が〇・九程度ぐらいになっているという話がありました。  海外から見て経済運営については非常に不安がある、そういうことでさらに財革法の絡みでストップ・アンド・ゴーと、そういうふうになってはいけないということを我々は受けているわけですけれども、端的に言って今の財革法は私は執行停止にすべきだというスタンスなんです。この辺についてもっと言ってしまいますと凍結とかそういった形にすべきだと思うわけですけれども、その辺についてはどうでしょうか。これが第三点目であります。  以上です。

リチャード・クー株式会社野村総合研究所主席研究員

○参考人(リチャード・クー君) よいプロジェクト、悪いプロジェクトという点は、私は今の日本の世論が余りにもよいプロジェクトプラス景気回復という欲張りの議論になっているような気がしたのであえて極論のような話をさせていただいたわけで、もちろんこれは御指摘のあったような将来性のあるプロジェクトにどんどんお金が行くことにこしたことはない。私もそうなってくれればもっといいなというふうに思いますが、そうならないからといって景気対策がきかないんだという論調が出てきているのは私は非常に要注意だと思うんですね。非常に危険であるという気がします。  私は財政は大変きいていたというふうに思います。きいていなかったら、あれだけ財政を切ってこんなに日本経済ががたがたになるということはあり得なかったわけであります。つまり、財政が支えていたもの、中にはいいプロジェクトもあり中には悪いプロジェクトもあったかもしれませんが、財政が支えてきたものというのは絶大なものだったんですね。その柱を切ってしまったものですから今のような状況になってしまったわけで、そういう意味ではもしもやっていなかったらどんな状況になっていただろうかというところから波及効果という計算をしてほしいなという気がします。  何もやらなくても今の状況、やればもっとよくなるというのが多くのエコノミストの財政支出に対する非難なんですが、もっとよくならなかったからきかなかったんでしょうという話になっているわけですけれども、実はやっていなかったらそれこそ我々どん底になっていたわけで、それを財政で支えてきたと、そっちから計算すれば財政が支えできたものは非常に大きかった。したがって、余りプロジェクト内容で議論が左右されないようにもっと根底の部分も評価すべきではないかということでお話ししたわけで、それがいいプロジェクトに向かえばそれはそれにこしたことはないということであります。  びっくりするくらいの減税というのはどんなものかという御指摘でしたが、結局どうも余りびっくりするようなものをやると国民がついていかないんですね、この国は。マスコミでは大胆な政治決断とかいうことが盛んに言われますが、実際に大きな話をやると何かもうたたかれてしまう。  例えば、何年か前の十八兆円減税、私はあれは正しい政策だったと思います。まさにアメリカから見ればあれは正しい政策だった。ところが、出てきた途端もうたたかれまくっちゃって、それで結局にっちもさっちもいかなくなった。あのとき、十八兆円やっていれば、今ごろ日本経済は絶対こんなことにはなっていなかった。恐らく、世界から非常に高い評価を受けていたんだと思います。  でも、そういうつまり余り大きなことをやっても、まだそこまで国民の危機感が行っていないのか、それともマスコミの危機感が行っていないのかわかりませんが、結局たたかれちゃうんですね。そうだとしたら、残念ですけれども公共事業で中央突破を図るしかないのかなと、そういう気がしております。  本当は、恒久減税で、しかもそれは税制改正を伴う恒久減税と。単にお金を配るということではなくて、もうビッグバンも実際に進行しているわけですから、ビッグバンで人々がリスクをとれるような税制体系にしていく。アメリカやイギリスの投資家と十分日本の人たちが勝負できるような税制にしていく、そういう大規模な恒久減税というのが私は一番中長期的に日本にとっては必要なんじゃないかという気がします。ただ、あの十八兆円の結末を見ていますと、なかなかそういうことを言う気もなくなってしまうんですが、私はまだまだ税制面で日本でやることはたくさんあるというふうに思います。  あと、ストップ・アンド・ゴーについてですけれども、もうこれだけ同じ間違いを繰り返してきた。せっかくこれまでも十五兆円とか十四兆円とかいろんな景気対策が打たれてきたわけですけれども、ちょっと景気がよくなると、またそれをたたいてしまってすべてがポシャってしまうというこの繰り返しなんですね。それだけはもう何とかやめてほしいなという気はします。そういう意味では、財政改革法の凍結ということも私は考えてもいいんじゃないか。  どうしても今の日本の議論というのは欲張りの議論だと思うんですね。いいプロジェクトも欲しいけれども景気回復も欲しいとか、景気回復も欲しいけれども財政再建も欲しいとか、こういうちょっと欲張った議論があるもんですから、いつになっても本当にこの国はどっちへ向かっているのかということが見えずに、結果として両方ともやられてしまう。私は、こついう緊急事態ですから、どっちが先だということを皆さんが決めでいただいて、それでまさにそういう方向で突き進んでいただきたいというふうに思います。

加藤修一公明

○加藤修一君 蔦壁参考人にお願いしたいのですけれども、先ほどの陳述の中では、一時的な減税ではだめであると。私なんかも、大減税が一つの大きなポイントではないかなと思っているわけですけれども、ただ大減税をやったとしても、国民の先行き不安感、それが必ずしも払拭されるわけではないと思うんですね。不安がまだまだ解消されないで残る可能性がある。先行きというのは、やはり将来のいわゆる年金の給付などそういった面での不安も当然あるわけでありますし、そういった点から考えていきますと、やはり総合的な社会福祉政策、そういったプログラムを示すことも一つの政府からのシグナルとしては大切ではないかなと思います。それが第一点です。  それから二点目は、クー参考人の話とも関係するわけですけれども、先ほどたしか蔦壁参考人は公共事業の関係で特定の業界云々という話をなされたように思うんですけれども、その辺のことについてもう少し詳しくお話をお伺いしたいと思います。  以上二点でございます。

蔦壁寛明株式会社三和総合研究所調査部長

○参考人(蔦壁寛明君) 一番の御指摘については、先ほど言葉足らずでございましたけれども、当然のことながら、恒久減税を考えるに当たっては、その財源手当てとして行政改革を中心としたプログラム及び税制改革のプログラム、これがパッケージでないとできないというような認識を持っておりまして、そういう面におきましては、恒久減税は総合的な社会保障のプログラムとセットであるという御指摘については全く同意いたします。  次に、公共事業の場合、特定の業界というのは特に実際はこの場合に建設業を指すわけですけれども、現実の建設業は七百万人の雇用者がいるという中で、非常に今不況感が強いわけでございます。だからゆえにその対策を打つ必要があるという面と、一方で七百万の建設労働者が年間で今二十万、三十万という単位で減少しているという状況にあるわけでございます。だから、そういうところにお金が行くことによって雇用の拡大に直接的につながるんだろうかと、ほっておけばどんどん減っていくところに入れた場合にそれが効果としてどうなんだろうかという議論からした場合に、私はちょっと欲張りでございますので、公共工事のほかに減税というものも考えておいてもいいんじゃないかというふうに考えた次第で、そのような発言になったわけでございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 中原参考人にお伺いしたいのですけれども、先ほどからさまざまな質疑が繰り返されております。BISの自己資本率八%、非常にきつい数字でありますけれども、都銀は現在ある話によりますと一五%を目指しているということを聞くわけですが、こうであると余計やはり貸し渋りということが進むということにもなりますし、きょう全銀協の代表ということで来ていらっしゃいますので、今後貸し渋りを改善していきますということをもう少し具体的に述べていただきたいということが第一点。  それから、不動産の価値がどんどん下がっている中、いわゆる不動産担保至上主義といいますか、そういった考え方も変えなければいけないような部分があるかもしれないわけですけれども、そういった意味では、企業の知的所有権とかあるいは無形のいわゆる技術資産、そういったものも積極的に評価すべきだという考え方もあるわけですが、この辺についてどのようにお考えでしょうか。

中原眞全国銀行協会連合会一般委員長

○参考人(中原眞君) まず自己資本比率でございますが、おっしゃいましたとおり八%というのがBISで決まっておるわけでございますが、先生今一五%を目指しておるとおっしゃられましたけれども、これは物すごく高い数字でございまして、恐らくROEか何かの点をおっしゃっておられるのかと思いますが、基本的に自己資本比率は私ども最終的には一〇%を何とか達成したい。実はもう何年か前に一〇%近いところまで行っておりました。それから、一部の都市銀行さんで既に九%を超えているところも何行かございますし、一〇%という数字はそれほど実現不可能な数字でもございません。これは一般的に欧米のマーケットで優良銀行と言われるためには一〇%の自己資本比率が要るという議論がされておるわけでございまして、一応それを目指しておるというのが現状でございます。  それから、BISの方でも八%という自己資本比率というものが果たして妥当なのかと。この数字の根拠というものは実は余り具体的なものはございません。銀行のとるリスクというものは非常にふえてきておるという状況からいえば、もっと高くてもいいという議論もあり得ると思いますが、欧米の銀行等も八%はやや高いのではないかということを言っておるところもあるようでございまして、この議論はいずれ出てまいると思います。  現在、金融安定化のための諸施策のおかげで三月末も八%を超え、一部九・何%、また地銀さんの方はかなり高い数字を既に達成しておりまして、今後不良債権処理、それから債権の流動化、資産を圧縮するためには、貸し渋りというよりは、私ども持っておる資産をできるだけ効率的に使うという意味で資産をマーケットで売っていく、あるいは不要な資産をどんどん圧縮する、場合によっては不動産、建物、こういうもので不要のものはどんどん売るというようなことで総合的な資産対策をとっております。何とか早く安定的に九%から一〇%を達成できないかと思っておるわけでございます。  それから、貸し渋りにつきましての具体的な対策ということでございますが、これにつきましては今申し上げたとおり、貸し渋りにつきましてはやはり個々の経営の問題でございますので、全銀協としてはなかなか一概に対応をとるというわけにまいりません。また、貸し渋り、総論としてはそんなものはやらないということはわかっておりながら、現実の問題としてはお客様の財務内容が悪くなっている、いや、これは大丈夫だと、こういうあたりの判断はなかなか現場レベルではやはり問題がどうしても起きてくるのではないか。これにつきましては、やはり銀行としての社会的責任、それから長年の取引関係、こういうものを判断して、個々の銀行の経営の良識といいますか、責任感、これに任せていくしかないんではないかという気はしておりますが、引き続き現場レベルまでこの辺の意識を徹底するような施策は手を緩めずにとっていきたいというふうに思っております。  それから不動産担保至上主義、この点につきましてはまさに先生のおっしゃるとおりでございまして、例えばコンピューターソフトとかその他の無形資産的なもの、あるいは将来の企業の市場にかかわる評価というようなものについて、それを審査する、評価する能力を高めていくべきだというお話だと思います。これは先生のおっしゃるとおりでございまして、大分コンピューターソフトを担保に融資するというようなものも出てきておりますし、また私どもも銀行内にそういう新産業を発掘する、それを評価する、こういう専門部署を設けてこの辺の能力、機能を拡大していこうというふうに考えております。

加藤修一公明

○加藤修一君 終わります。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 初めに蔦壁参考人に伺います。  蔦壁参考人のレジュメを拝見いたしますというと、最後の方の経済の活性化ということで、構造改革の必要性を説いておられます。二つの柱を挙げておりまして、そのうちの二番目がサプライサイドの強化ということで、規制緩和の推進と産業構造の高度化ということが強調されております。  私は、庶民生活から見てみますというと、安心して暮らせる地域社会というのが崩壊してきている。これはかなり大きなウエートを占めているのではないかというような気がいたします。  御存じのように、規制緩和、市場原理の徹底が行われるようになってまいりましてから自営業が崩壊する時代に入ってまいりました。商店街が閉店街と化す、そして地域社会が崩壊をしていく。農村部も同じような現象が今進んでおります。庶民生活の基礎とも言うべき地域社会が崩壊をするという恐るべき現象が進んでいるわけであります。  こうした地域社会をつくってまいりましたのは、そこで生まれ、そこで育ち、その地域の人たちを相手に暮らしをしている農家であり、それから商店であり、中小企業の皆さんであります。  それで、今こういう状況の中で、例えば商店で申し上げますというと、やっぱり商店を再興していこうということでぽつりぽつりと始まってきておりますのは、商店街の皆さんが組んで高齢者のケア活動を始めるといったような例等々が生まれております。ともかくも、安心して暮らすことができるそういう地域システムづくりをどうしていくかということが高齢化時代を迎えての最大のテーマになってきた。  今の景気問題で見てみましても、家計支出の動向が最大のかぎを握っているわけでありますから、財布のひもを締めたゆえんというのは、直接的には賃金が上がらない時代、そして消費税の問題、医療費の問題等々が重なって、よりひもがきつくなったということでありますが、その背景には、やっぱりもう一つ大きい問題として生活不安の時代、地域社会の崩壊というのが私はあったと思うんです。その辺のことについてどうお考えになるか伺いたいのです。

蔦壁寛明株式会社三和総合研究所調査部長

○参考人(蔦壁寛明君) ここを意識して項目として挙げましたのは、今の米国の八年間にわたる繁栄、このもとは何かということを考えておりましたときに、結局、先ほどクー参考人からあったのと同じ意見になるわけでございますけれども、レーガノミックスで規制緩和をやったということが、五年、十年たって九〇年代に入って花開いてきたという認識を持っております。それは規制対象になった通信とか金融とか、それから石油、ガスとかそういう産業の生産性を時系列で比較してみたところ、初めのうちはやっぱり規制産業でございますから、他産業より生産性が低い。八〇年代を通じてようやくキャッチアップした。九〇年代に入ってようやくそれが一気に花開いて高い生産性を伸ばしている。こういうことがあったわけでございまして、基本的に経済の活性化というのは企業が牽引していく、企業の創出した付加価値の分配が個人に適正になされることによってうまい循環に入っていくと、そういうふうに考えた次第でございます。ですから、先生のおっしゃったのと一面通ずるのですけれども、ある意味ではプロセスが逆だったということでございます。  ですから、私の論理に従いましたら、大店法でありますとか、あるいはありとあらゆる規制が撤廃されることによって新たな産業が生まれ、それには十年、十五年かかるかもしれませんけれども、それによって生み出された雇用がその地域を活性化する。そういうメカニズムを通じて、新たな少子・高齢化社会の中での地域コミュニティーの崩壊を防ぐ、こういうようなメカニズムを頭の中で想定していたわけでございます。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 次に、中原参考人に伺います。  先ほど貸し渋り解消についていろいろと努力をされておるお話を伺いました。伺いましたが、やっぱり中小企業の皆さんが異口同音におっしゃるのは、もう銀行からの借入金は全額を返すな、金利だけ払うようにしなさい、そうしないと、後を借りることができなくなりますよと。これは皆さんそうおっしゃっていますね。  先ほど小池参考人のレジュメの一番最後の肝心な製造業の空洞化、ここまでお話を聞けなかったのが非常に残念なんですが、実は貸し渋りというのがかなりそういう状況を起こしているという事実に注目していただきたいんです。  私もごく最近友人にこういうふうな話を伺いました。これは、工作機械をつくって新商品を開発するということで市中銀行に持ち込んだ。ところが銀行に聞いてもらえなかったというんですね。そこで、結局しようがないから中国へ工作機械を持ち込んでその商品の開発に入ったというんです。専務も御存じだと思いますけれども、この間の長野オリンピックでばか受けしたバッジ類なんかにしても、日本の工作機械を中国へ持っていって、そして中国でつくったものを日本に入れたのが非常に多かったという話も伺いました。  この種の話は実は非常に多いのでありまして、もう一つ例を挙げておきますというと、海のない県で私の友人が水族館をやろうとしたら、これも銀行説得に大変なエネルギーを必要としたということをおっしゃっておりました。先例のないもの、独創的なものには貸してくれないというんですよ。長いこと土地本位制に依存してのんびりと商売なさっていた、そういう状況というのは今なお続いているというんです。これではベンチャー企業の育成といったってできやしませんよ。製造業の空洞化防止といったってこれは防止になりませんよ。だから、その辺のところをやっぱり市中銀行はもっと考えてやってほしい。  先ほど専務のお話の中でも、公的資金の支えで自己資本の充実をすることができたというお話がございました。やっぱり銀行の持つ公益性というのを評価してそれをやってきているわけでありますから、もっと公益性発揮という意味で、ベンチャー企業の育成や製造業の空洞化防止についてもっと具体的な話を聞かせていただきたい。いかがでしょうか。

中原眞全国銀行協会連合会一般委員長

○参考人(中原眞君) 銀行の公益性ということについては、都市銀行の場合全国展開をしているわけでございまして、どこか一地方に引きこもって今後商売をやろうというつもりはございませんし、また地方で有力な、また将来性ある企業を発掘していくというのが今後の営業の展開の一つの大きなポイントになっていることは重々承知しておりますし、またそのつもりで経営しておるわけでございまして、決して地域にこもる、あるいはもうある特定の地方から撤退するというようなことを今後いろいろと進めていくというようなことは毛頭考えておりません。  それから、空洞化という問題でございますが、多くの場合、今まで東南アジア等に安い労働力を求めて出ていくということで日本が空洞化する、あるいは金融の場合は日本の規制が厳しい、あるいはマーケットの自由度がないというようなことからむしろ香港だ、シンガポールだというところに行くことによって日本が空洞化するという点ございましたが、この点については今回の金融ビッグバンにより東京マーケットが国際マーケットとして生まれ変わるわけでございまして、心配はなくなると思います。  金融がつかないから東南アジアに出ていくというような意味での空洞化は、私もまだちょっとそういう例があるかどうか理解しておりませんけれども、現在東南アジアにつきましては御承知のような状況でございまして、現地の金融も非常に私ども苦労しております。また、東南アジアの場合にはいろいろと現地の規制もございまして、現地通貨での融資というものも大変厳しい状況でございますので、金融のために空洞化というような状況はそう簡単には起きないだろうと思います。むしろ私どもは、中小企業が大企業さんについて海外へ進出する、あるいは独自の技術を持ってマーケットを開拓するという意味で海外に出ていかれる企業については積極的に応援したいという気持ちでございまして、先生の御指摘の点、十分心にとめてなお努力したい、そこまでしか申し上げられないのが現状でございます。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 参考人の皆さん、きょうは御苦労さまでございます。私、日本共産党の須藤美也子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座ったままで質問させていただきます。  まず最初に、中小企業の皆さんから先ほど来もいろいろ御報告があったわけですが、三十兆円の公的資金を導入しながらその効果を期待したわけですけれども、現状はそういう貸し渋りは是正されていないと、そういうお話がいろいろ出されております。そういう点で、五月二十三日の日本経済新聞では、中小企業向けの貸し出しを減らしている銀行もあると。三和銀行は七千五百億円、あさひ銀行は一千億円貸し出しを減らしていると、そういう記事が載っておりました。  そこでお聞きしたいんですが、こういう事実が実際あるのかどうか。それを中原参考人にお尋ねしたいと思うんです。

中原眞全国銀行協会連合会一般委員長

○参考人(中原眞君) ほかの銀行さんの数字、状況につきましては私も何ともお答え申し上げる立場にございませんのですが、先ほども申し上げましたとおり、中小企業取引というのは、基本的には各都市銀行とも今後の営業展開の中で非常に重要な営業分野であるということを考えておるわけでございます。私どもの個別行の立場で申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、平成十年度も中小企業との取引を積極的に推進しようということで考えております。  ちなみに、数字が出ましたので、先ほどの私どもの数字を申し上げますと、私ども平成十年三月の中小企業に対する貸し出しは、表面上二千五百億ぐらい前年同期比増加しておりますが、実は期末に向けての債権償却やいろいろな条件がありまして、全体としては約五千億円弱増加しております。また、中小企業に対する比率も、私ども合併いたしました三年ほど前は六四%程度でございましたけれども、これを逐次上げてまいりまして今六八%弱ぐらいのところまで上昇しておりまして、少なくとも私どもにつきましては中小企業取引は非常に大事な分野であるという意識をはっきり申し上げておくことができると思います。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 冒頭の調査へ行った方々の報告、栃木県の報告をお聞きいたしますと、「赤字企業には貸さないというのが金融機関、特に都市銀行の貸し出し姿勢であり、業績のよい優良企業しか経営資金を借りれないというのが実態である。」と、こういうふうに報告されました。本来健全企業はそんなに融資を借りなくとも自力でやっていけるというようなことが先ほど来お話あったわけですけれども、企業が成り立っていかない、借りなければ赤字が出ていく企業こそ借りたいわけですよ。それに対して実際は赤字企業には融資はしないと、こういうような状況が報告されました。  それで、中小企業からはこのように先ほど来いろいろな報告があったわけですけれども、以前と条件を変えられているという話ありましたね、お二人の方から。そういう点で事実はどうなっているのか。また、大蔵省から三十兆円投入後融資条件について何か新たな指導があったのかどうか。その点についてお尋ねしたいと思うんです。

中原眞全国銀行協会連合会一般委員長

○参考人(中原眞君) 赤字企業には貸さないというケースが見られるというお話でございましたが、基本的に銀行の場合、私御説明の中でも申し上げたんですけれども、赤字だから直ちに融資を引き揚げる、あるいは貸さない、新貸し出しをストップする、担保をふやす、こういうことはございません。  プレゼンテーションの中で申し上げましたけれども、まずは御相談をいただいて、じゃ赤字を黒字にするにはどうしたらいいのか、再建策はどうかというあたりについてじっくりお取引先と御相談させていただく。そこでしっかりとした再建計画、将来に対しての見通しがはっきりしてまいりますれば、赤字企業といえども銀行は融資を続けますし、そういう企業に早く立ち直って、もっと拡大した取引をさせていただきたいというのが銀行の願いでございます。  私どもは先週末に決算を発表いたしましたが、実は今度リスク管理債権という概念で、従来の公表不良債権をさらに拡大した概念での問題債権を公表いたしました。私どもの貸し出し条件緩和先債権、これは要するに再建中である、あるいは今ちょっと左前だから少し金利をまけてほしい、返済を猶予してほしい、こういうことでお客様と話し合いをした上で融資を続行している債権が八千四百億円ございます。  これは大変大きな数字でございまして、実は記者発表の席で私も大分言われたのでございますが、私どもの八千四百億円の貸し出し条件緩和先債権の中には非常に細かい、これは何百件もございまして、中小企業のお取引先で困っておるからしばらく待ってくれ、こういうものが入っておるわけでございまして、これこそまさに銀行としての社会的立場であろうということだと思います。  それから、条件をどんどん変えられているという話でございますが、審査の考え方そのものは基本的に私どもは変えておりません。  ただ、お客様の方が、どうしても財務内容が以前と比べて十分でない、また再建計画を検討といいましても、なかなか現実の問題としては今のように先行き不透明で再建計画がお出しになれないというようなこともあろうかと思うんですけれども、私どもは基本的に審査の考え方は変えておりません。  ただ、もう一つ申し上げておきたいのは、私どもは一方で、預金者の方から大切なお金をお預かりしておりまして、この運用を私どもはやっておるわけでございますから、もう不良債権をふやすわけにいかない、これはまた私どもに課せられた大変厳しい使命でございまして、その辺を考えて何とかやっていくという立場に置かれているのが私どもの今の状態でございます。  それから、三十兆円について大蔵省から何か条件がついたのかというお話でございますが、この点は一切そのようなことはございません。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 それじゃ古川参考人と小池参考人にお尋ねしますけれども、ただいま全銀協の中原参考人からお話がありました。  しかし、お二人の資料によりますと、四月以降も貸し渋りが続いている、こういう深刻な状況になっているというお話でした。従来、融資を受けていたような企業も融資が受けられない、こういう具体的な状況がお話しされました。  そこで、実際に融資を受ける条件が今おっしゃったように以前と変わらないのか、それとも変わったのか、その辺は実際、具体的に中小企業の皆さんはどういうふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

古川敏一全国中小企業団体中央会副会長

○参考人(古川敏一君) 今、須藤先生の御質問につきまして、中小企業と申しましても非常に範囲が広大で、約六百万ほどを擁している。したがいまして、貸し渋りということが、貸す方と借りる方の両方の立場から見まして、こちらが正しい、こちらが全然だめだと言うのはなかなか難しいと思うんですね。  ただ、全体のこととして二点申し上げたいと思います。  一つは、この参議院の国会の中でこれだけ貸し渋りについての御関心が非常に濃い、これは非常に結構なことなんですね。先ほど保坂先生もおっしゃいました、貸し渋りは悪であると、私は国会でそのような決議をしていただければ、常識的な貸し渋りが現在行われているかどうかは別としまして、銀行にも御反省があろうし、借りる方も借りる方としてのあれが出てきて、やはり接点ができるんじゃないかと思います。国会においで、貸し渋りは悪だという非常に大きなPRをしたら、これは物すごくいいと私は思います。  それから、二点目です。  私は京都商工会議所の副会頭を長年やっておりまして、現在、京都の信用保証協会の理事をやっております。毎月理事会が二つあるわけですが、現実に固有名詞の銀行を申し上げることはできませんけれども、市中銀行の十九行はほとんど保証残高が減少です。これは間違いございません。それはやはり原因は貸し渋りなのかどうか、そこまではっきりわからないですね。これは固有名詞ですから、信用の問題もあるので、それは申し上げられません。  しかし現実の問題としまして、京都においては、市中十九行の保証残高が減少しているということは貸し付けが減っているということです。しかも、三月の末では、京都の信用保証協会といたしましては過去最高の五千億を突破しています。総額五千億を突破し、非常に激増していながら、市中銀行の保証残高は減少している。こういうところを見ますと、貸し渋りの意味についての見解がいろいろあると思いますけれども、現実に市中銀行からの貸し付けが減少しているということは、これは否めないと思います。  もう一つこれについて付言したいのは、やはり土地価格がまた下がっているという現況なんですね。これがやはり、貸す方にすれば担保の不足の上にさらに土地は下がっているじゃないかと、借りる方は、しかし借りるときは、君、もっと借りると言ったではないかというような、いろいろあるわけです。  したがって、国民の一人として、私はやはりその土地価格の安定化、多少でも下がるのをとめないと、先ほどおっしゃった深刻なデフレという感じをみんな持っているわけです。だから、これが非常な不安の材料で、銀行も貸し渋り、いや決して銀行の貸し渋りを是とはしませんけれども、しかしその立場としてはそうなるだろうし、借りる方にそう言われるとと、こうなんですね。  しかし、難しい問題でございましょうけれども、私は土地価格の安定、多少今のダウンをストップする、これをひとつここらで何か一つの強力な政策を出していただくことが貸し渋りの一つの防止策になるんじゃなかろうか。  三点申し上げて、ひとつきょうの御関心に感謝を申し上げ、意見開陳を終わります。  どうもありがとうございました。

小池俊二大阪商工会議所副会頭

○参考人(小池俊二君) お答え申し上げます。  ある銀行では、都市銀行ですけれども、格付表をつくったんですね、十項目にわたって。ランクを決めているわけです。ちょうど銀行が格付されるように、銀行が中小企業に対する格付をしているんです。その表を私、手元に持ってこなかったんですけれども、あります。上位の三ランクまでは貸せると、そうするともう大抵の中小企業はその対象に入らぬわけですね。しかも、その格付されたところに対しては金利を上げる。したがって、都銀全体としては六兆円を中小企業向けに貸し出す、こういうことを全銀協で発表していますけれども、果たして内容がどうかというと、今言った格付のいいところ、ここに貸せる。  だから、中小企業というのは雇用の七八%を維持している大変な産業でございますが、それに該当するのはたかだか一割くらいですね。ですから、これからそういう六千四百万人の雇用を維持していくかどうかという瀬戸際にございますので、やはりそういう格付によって決められたところだけが貸し付けを受けるということでは問題があるというふうに私は言いたいと思います。  もう一つ、一体貸し渋り対策でどのようなことを希望するかという、日本商工会議所で調査をした内容を見ますと、ずらっと全部政府系金融機関に対する依頼なんですね。ですから、その証拠に今度の総合経済対策に対しても、中小企業運転資金円滑化特別貸し付けたとか、それから中小企業事業展開支援特別貸し付けたとか、これは二億七千万限度でございますが、さらに開銀を通じて金融環境対応融資制度と、政府も真剣にこれを考えているんですね。ですから、まさに政府金融機関がこの貸し渋りに対して主役になったと、僕が先ほど申し上げたとおり。  実際問題、都市銀行に私自身、もう経験済みでございますので、もう本当にぎりぎりまで三十日の支手決済するのにこれだけの資金が必要だと。そうすると、本店に決済を頼むからということで、二重に対応しておくんです。案の定だめなんですね。ですから、三重くらいやっておくわけです。ですから、資金が倍、三倍くらい必要だという、何回も苦い経験を積んできました。そういう意味で、政府系資金はきっちり明確になっていますので、政府系資金の充実ということをこれは考えていただきたいと、信用保証制度の問題を含めてお願いしたいと思います。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 時間ですので、ありがとうございました。

斎藤文夫自由民主党

○委員長(斎藤文夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり、有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会      ―――――・―――――

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