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142回国会参議院1998/04/23

経済・産業委員会 第10号

発言数
153
登壇者
18
会派数
7
開催日
1998/04/23

会議録

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る十六日、林芳正君が委員を辞任され、その補欠として中曽根弘文君が選任されました。  また、十七日、奥村展三君が委員を辞任され、その補欠として水野誠一君が選任されました。  また、昨二十二日、鈴木和美君が委員を辞任され、その補欠として清水澄子君が選任されました。     —————————————

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案及び特許法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

畑恵自由民主党

○畑恵君 おはようございます。自由民主党の畑恵でございます。  本日は、国会の日程上審議時間が短縮されたこともございまして、二つの法案に対する質疑、多少先を急がせていただくこともあるかと存じますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  さて、まさに現代は情報化そしてグローバル化の時代でございます。これまでの箱物やハードにかわりまして、情報ですとかソフトこそがより重要な価値を持ち、またそうした価値が国境を越えてボーダーレスに大競争を巻き起こす世の中と言えると思います。  そうした中、我が国としても、知的財産を国家的資源として明確に位置づけた上で、経済、外交上の戦略手段として活用できる環境の整備を行うことは喫緊の課題と思っております。そのために、創造された知的財産をまず適切に保護をして、そしてそれをさらに効果的に活用するといういわゆる知的創造のサイクルをつくることは非常に重要だと思われます。今回の二つの法案は、その知的財産の保護と活用というそれぞれ両面に資することで、私自身もその法律の効果について大いに期待しているところでございます。  さて、まず特許法の改正について伺いたいと存じます。  四十年ぶりの大改正ということで、たしか昨年でございましたか、荒井長官もことしを特許ビッグバンの年にするんだということで、その意気込みどおり、非常に本質的なところが抜本的に改正されて、私自身も評価させていただきたいと思うんです。  初めに、損害賠償制度の見直しについて伺わせていただきます。  法案によりますと、逸失利益の算定方式としまして、権利者の一製品当たりの利益額に掛けることの侵害人の販売数量を適用するということでございますけれども、侵害した側のその販売数量というのが果たしてそう簡単にわかるものなのかということについては多少疑問がございます。やはり侵害したとされる者に対して手持ちの資料を提出させる何かしらの義務を課すことが必要ではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがお考えになりますでしょうか。

荒井寿光特許庁長官

○政府委員(荒井寿光君) ただいま御指摘ございましたとおり、侵害者の販売数量を把握していくということは大変難しいわけでございますので、これからさらにまた計算鑑定人制度とか文書提出命令とかいろんなものをやっていかないと不十分じゃないかという御意見もございますが、現在のところはまだ意見がまとまっておりません。  いずれにせよ、今の御意見も踏まえまして今後ともよく検討してまいりたいと思っております。

畑恵自由民主党

○畑恵君 ぜひ今後も御検討いただきまして、さらに進めていただきたいと思います。  今回は実質の損額ということでございますけれども、それ以外にも侵害行為が特に悪質と認められるようなものに関しましては、米国のように裁判官の裁量で損害額の三倍まで請求できるというような、できましたらば、そのような仕組みも今後御検討の俎上にのせていただきたいと思います。  といいますのも、訴訟を起こして賠償までこぎつけますには、日本では膨大な時間とそして費用、とにかくコストがかかるわけでございます。せっかく特許法がこのように改正されましても、侵害された者が訴訟を起こす気になれないようでは知的財産権の保護はなかなか思うように進まないのではないでしょうか。  たしか工業所有権審議会の昨年末の答申の中には、敗訴者、裁判に負けた方の裁判費用負担ということが盛り込まれていたように記憶しておるんですけれども、今回それがこの法案の中に盛り込まれなかったのはどういうことなのか伺いたいと思います。

荒井寿光特許庁長官

○政府委員(荒井寿光君) 今御指摘ございましたけれども、損害賠償請求を求めた人がせっかく賠償額を取っても弁護士費用にみんないってしまうということでは不十分なわけでございますので、せめて弁護士費用については敗訴者に負担させるべきだという御意見はございました。  しかしながら、そういう制度を導入すると訴訟の抑制につながるんじゃないかというような御意見もございまして、今回は導入すべきだという結論にはいかなかったわけでございます。

畑恵自由民主党

○畑恵君 ぜひこの点につきましても今後も検討を続けていただいて、侵害された者がきちんと訴訟を起こして、そしてきちんとした利益回復というのができる実質的な仕組みというのをなるべく早く整備していただきたいと思います。  さて、費用もさることながら、日本のこの侵害行為の裁定裁判にとにかく時間がかかるというのはかなり以前から問題にされていることでございます。何とかスピードアップをして、侵害得と言われています現在の知的財産権の現状につきまして、状況を打破していただきたい。  そのためには、やはり知的財産権問題に通じた弁護士の育成、そしてしかるべき人数の確保、これが必須だと思うんです。司法試験合格者を千人にふやすということを伺っておるんですけれども、米国等と比べますと、グローバルスタンダードに達するにはまだまだ大分時間がかかるのではないかと思うんです。その司法試験合格者数を今後大幅にふやして、よりプロパテント政策に資するというような、そういう計画はおありなのか。  また、現在の司法試験合格者の人数でプロパテント政策に関して支障はないのかということについて伺いたいと思います。

河村博法務大臣官房司法法制調査部司法法制課長

○説明員(河村博君) 御説明申し上げます。  今後、規制緩和によります事後チェック型社会への移行、あるいは委員御指摘のように社会の国際化、情報化、グローバル化等を初めといたしましてさまざまな変化が生じてくるわけでございます。国民の司法に対するアクセスを容易にする、そして紛争を事前に防止いたしますとともに、国民の権利、利益に関します紛争を裁判によって適正迅速に解決するといったような、国家の基礎を支える司法の果たすべき役割はより一層重要なものになっていくと考えられるわけでございます。法務省におきましては、このような観点から、法曹人口の大幅な増加が必要であると考えております。  そのためには、司法試験合格者を増加しなければならないということでございまして、まずこの司法試験合格者を早急に増加させる。しかも、現在のさまざまな指導態勢、人的、物的体制等のもとで速やかに増加させるということで、当面千人ということを考えておりまして、そのための裁判所法等の改正につきまして現在法務委員会で御審議を願っているところでございます。  法務省といたしましても、これでおしまいというわけではございませんで、千五百人程度ということは中期目標として考えてございまして、それにつきましても今後、裁判所でございますとか関係方面とも十分協議してまいる予定を組んでおります。  以上でございます。

畑恵自由民主党

○畑恵君 当面千人とおっしゃらずに、今後千五百人と言わずに、どうぞさらにもっと大台に乗せた数も含めて早期の計画というのを表に出していただいて、私どもも支援させていただきたいと思いますし、どうか中長期的な計画を国家ビジョンとともに打ち出していただきたいと思います。  それから、もう一つ裁判の仲なんですけれども、プロパテント、知的財産権の保護に特化した裁判所、例えば米国の連邦巡回控訴裁判所のようなものに匹敵する知的財産権裁判所のようなものを今後やはりつくる必要があるのではないかと思うんですけれども、この点はいかがでございましょうか。

河村博法務大臣官房司法法制調査部司法法制課長

○説明員(河村博君) 委員が先ほど来御指摘のように、この知的財産権につきましてこれを適正に保護すると申しますか、そして手続を充実するなどいたしまして、適正迅速な処理の体制を図るということは非常に重要なことであろうと考えております。  アメリカにおきましては、特許の侵害訴訟、一審につきましては通常の裁判所でございますけれども、控訴審を集中的に処理する巡回控訴裁判所というものが設けられていることは承知しております。  委員御指摘のように、日本の場合におきまして集中的にやってはいかがかということにつきましては、特許関係訴訟の迅速化の方策といいますといろんな角度からの検討が必要であると考えておりますが、これを専門的に処理する体制を整備するということもそのための一つの方策になると考えております。我が国におきましては、制度的にはことしの一月から施行されました新民事訴訟法におきまして、特許侵害訴訟等につきましては専門部が充実しております東京、大阪に競合して管轄を認めるという規定が設けられ、これが施行されているのでございまして、この種事件を東京と大阪に集中することができるようにされております。  そして、裁判所におきましては、今月から東京地方裁判所におきましては知的財産権を専門に扱います知的財産部を増設しておる。また、大阪の方でも専門的な部の増員措置を講じているところでございます。

畑恵自由民主党

○畑恵君 ぜひ今後とも検討していただきたいと思います。  とにかく、冒頭に申し上げましたようにボーダーレスな現代でございますので、やはり常にグローバルスタンダードを頭に置いた上で各分野で連携をとり合っていただきたいと思います。  そうした意味からも、商標の国際出願や登録を可能としますマドリッド国際条約、こちらへの早期加盟にもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、ぜひここで大臣に知的財産の保護に対する決意のほどを御表明いただきたいと思います。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 委員御指摘のように、我が国におきまして科学技術創造立国の実現が喫緊の課題となっているわけでありまして、こういう観点から知的財産権の重要性が非常に高まっております。  こうした状況を踏まえまして、平成九年五月に閣議決定されました「経済構造の変革と創造のための行動計画」、これにおきまして適切な知的財産権の保護の強化という方向性が打ち出されたわけであります。この考え方に沿いまして今回の法律の改正をお願いいたしているところでございます。具体的には、特許法の改正によって知的財産権の強い保護の実現をいたしたい、また一方におきましては、大学等の技術移転の促進法によりまして大学における知的財産権の取得支援を行う、また休眠特許の有効活用等が行えるように法改正のお願いをしているところでございます。  また、商標の問題、こういう問題につきましても積極的にその条約に加盟する方向に向かって今取り組んでいるところでございます。通産省といたしましても、こういう点を踏まえまして今後とも知的財産権制度強化のために総合的に努力をしてまいる覚悟でございます。

畑恵自由民主党

○畑恵君 大臣どうぞよろしくお願い申し上げます。  実は大学における技術移転についても伺いたかったんですけれども、時間がなくなってしまいました。  一点だけ。いろいろな盛りだくさんの内容でございますので、やはりそうした事業を行う人材の確保と養成ということが大事な問題だと思いますので、ぜひその点につきましても取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 おはようございます。大臣、御苦労さまでございます。  初めに、大学の所有する技術移転の方から御質問申し上げていきたいと思います。  産官学と申しますか、こういった連携というのは、日本がこの惨たんたる不況から抜け出すための切り札ともいうべきことではないか。そういう動きがベンチャービジネスを巻き込んで、それで経済の活性化に向かうということが今たった一つの抜け道のように私は感じております。  それで、現状では、大学の所有している技術、こういうものについて、この法律の趣旨に沿うような動きが可能な、あるいはそういうことを心がけている大学はどのくらいございましょうか。まず事務方からその辺をお伺いします。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 現在私どもの把握しておりますところでは、北海道から九州に至るまで幾つかこういう動きがございまして、主要な大学十から二十ぐらいでこうした動きが検討されているというふうに承知しております。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 恐縮ですが、どういう大学か具体的にお教えください。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 例えば、北の方からまいりますと、北海道大学、東北大学、それから首都圏におきましては筑波大学ですとか東京大学とか東京工業大学、名古屋大学、近畿の立命館大学ですとかそれから九州におきましては複数の大学、これは九州大学ですとかあるいは福岡大学ですとかこういったところが複数で共同でTLOをつくろうというふうな動きも検討されていると聞いております。  それから、私立大学におきましても、早稲田大学とか東海大学、東海大学はもう既に実は実質的にこういう動きが始まっております、あるいは慶応大学ですとか、こういった私立大学におきましても活発な検討が行われているというふうに承知しております。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 かなりな数があるわけです。  ただ、私ちょっと気になりますのは、地方の大学がこういうことについて非常に熱心に動いてもらえるようなそういう下地があるのかどうか方々テクノポリスや何かができている地区におきましてはいろいろそういったあれもあると思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。地方は少し寂しいように思いますが、いかがでしょうか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 今通産省の方からお答え申し上げましたのは、この法案に直接関連する技術移転機関設立の動きということにつきまして御紹介申し上げたところでございます。  これの前提となりますいわゆる産学協力ということに関して申し上げますと、国立大学で約百あるわけでございますけれども、ほとんどの大学におきまして産学協力が現実に実施されておるわけでございます。いろいろな形態があるわけでございますが、最も典型的なのは共同研究ということで、現在国立大学だけで約二千件の共同研究が行われているわけでございます。また、企業等からの委託を受けて、かくかくの分野の研究をしてくれというような意味合いでの受託研究ということで言っているわけでございますが、これにつきましても三千件の受託研究を実施しているわけでございます。これらの実施件数と申しますのは、ここ十年のところ非常に急増しておるわけでございまして、特に共同研究の場合には、ここ十年の間七、八倍の伸びを示しておるということでございます。  分野といたしまして、素材開発もございますし、機器開発もございますし、ソフトウェア開発もございますし、いろいろな分野があるわけでございます。それらの分野におきましてはやはり地域の企業等のニーズに応じて共同研究あるいは受託研究を行っていくということでもございますので、全体を眺め渡した場合に、単に都市部の大学だけで産学協力が行われているということにはなっていないということでございます。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 ありがとうございました。  そういうふうな広範な動きというものが下地になってこの法律がスムーズに実行されるということを祈っております。  それから、せっかく文部省からおいでいただきましたので、これは私がかねがね疑問に思っていることをちょっとお伺いしたいと思うんです。  今のこの法律は自然科学系といいますか、そちらの方が大体中心になっていると思うんです。特許という関係からしますとそういうものが中心になっても決しておかしくありませんが、やっぱり学問の中の社会科学系といいますか、そういったものもできればこの法律に準ずるような試みといいますか考え方といいますか、それができないものかというふうに私は思うわけでございます。  特許というわけにはまいりませんが、例えば著作権とかいろんな権利もあるわけでございますから、大学から民間のニーズに応じてシステムとかそういった面で提供できないかどうか。そういったことはいかがでございましょう。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 今先生御指摘のように、大学では人文・社会科学、自然科学まで幅広い学問分野をやっておるわけでございます。  ただ、今回の法案におきましては、それぞれの学問分野からの研究成果のうち、特に発明あるいはそれに類似する分野につきまして着目いたしまして、それが十分生かされていない、あるいはそれが個人の教員の中にしまわれているというようなことで、商品化の過程に生かされていないのではないかという問題意識のもとに法案が形づくられているわけでございます。  発明ということに関して申しますと、やはり先生御指摘のように、自然法則を利用した技術的思想の創作ということでもございますので、例えば人文の分野でありますとかあるいは社会科学の分野、一部にはそういうものに当てはまるものもあるかもしれませんけれども、一般的にはなかなかなじみにくい分野ではなかろうかと思っているわけでございます。  ただ、この法案自体がどの分野からの発明に限るとかということを言っておらないわけでございますので、理論的にはいろいろなことがあり得るとは思いますが、実態上はなかなか難しかろうというように考えておるわけでございます。  ただし、先ほど申し上げました一般的な産学協力ということから申しますと、例えば社会科学の分野におきましても、地域産業の立地でありますとかあるいは新製品のマーケティング等に関する民間企業との共同研究が現実に行われてもおるわけでございます。金融・保険制度等に関しまして民間企業等から寄附を得て、その寄附をもとにして寄附講座を設けるとかあるいは寄附研究部門を設けるとかという動きがあるわけでございます。こういうような取り組みにつきましては今後とも私どもとしても支援してまいりたい、かように考えておるところでございます。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 ぜひそういうふうにお願いをいたしたいと思います。  それから、これはちょっと違った面から通産省の方にお伺いしたいと思うんです。  現在、日本テクノマートという組織がございまして、これは特許庁の関係がと思いますが、技術の流通、つまり技術を持っている主として会社、それを必要とする会社、企業相互間でそういう技術の流通というものが行われるように今なっているわけであります。  私、白状しますと、この日本テクノマートをつくりますときに、おまえ理事長を兼務しろというので、大変苦労した覚えがございます。今はちょっとどういうふうになっているかわかりませんが、日本テクノマートのシステムというものと今回のこの手法というものは、これがやはりお互いに結びついていく必要があるのではないか、そんな気がしております。  日本テクノマートでは、技術についてのデータが十分豊富に即時に提供できるように、そういうふうな仕組みになっておるわけであります。またそういう点で、これからどういう方向に自分の事業を展開していこうかと考えている人にとってはその選択肢が非常に広いということであります。これは一方では、とにかく技術をたくさん持って寝かせているというところもあるわけであります。そういった意味では全体として技術が十分に使われていくということは、テクノマートの組織を通じて大変に活発に行われるであろうということを考えますと、その線に乗って大学からの技術が流れていくということは大変有効であろうというふうに思うわけでございます。  テクノマートの組織と今度法律でつくられるTLOの組織と、お互いの相互の関係といいますか、そういう点についてひとつお考えをいただきたいと思うのでございますが、これは通産省の方にお願いします。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 今先生御指摘の財団法人日本テクノマートでございますけれども、これは企業間あるいは地域間の技術の交流ですとか、それから技術移転を促進するための技術情報の提供ですとかあるいは商談会、あるいは特許流通アドバイザー派遣制度といったようなことをやっておる団体でございます。  一方、この法案で考えておりますのは、大学の研究成果に着目いたしまして、これを大学から個々の企業への技術移転の促進を図るということで、このTLOがその橋渡しをするということでございまして、知的財産権の管理とか流通面から大学をサポートする機関ということを期待しているわけでございます。  それで、御指摘のとおり、大学から産業界への効率的な技術移転を図るということのために、このテクノマートと今回の事業というものが連携をとるということは非常に有効だというふうに私どもも考えております。  例えば、具体的には大学とかTLOに、テクノマートがやっております特許流通アドバイザー派遣制度というものがございますが、こういったところの方を大いに活用するということを考えております。それから、今委員のおっしゃったテクノマートのつくっている技術のデータベースにTLOが大いに協力をいたしまして、TLOの所有しております特許をデータベースの中に入れまして、企業の方々の便に供するというようなことを考えております。こういったことを通じまして両者の連携を図りまして、技術移転の促進をさらに推し進めたいというふうに考えているところでございます。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 ありがとうございました。  この問題については最後になりますが、結局このシステムがうまく作動するためにはTLOというものがうまく動かないといけないのじゃないかと思うんですけれども、そこにどういうふうに人材を集めるか、結局はこれ私は人の問題になると思うんですが、大臣、その辺いかがでございましょうか。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 委員の御指摘のとおり、大学からの技術移転事業というものを成功させるためには、事業の目的に見合った人材というものが確保できなければだめだというふうに思います。  具体的には、技術の内容をよく把握しまして、同時に市場性の観点からもその技術が評価できる、あるいはマーケティングを行う能力があるというような人が必要になってくるわけでありますが、現時点では我が国では必ずしもこういう人材は十分ではないというふうに思っております。  そういう意味で、当面は、企業の知的財産管理部門のOBのような方、あるいは弁理士の方々、こういう方々を活用するということが一つでございます。同時に、実際に発明を行った大学の教授がその移転先の民間事業者に対しての指導あるいは技術評価を行うなどという協力をお願いするというようなことも出てくると思います。  そういう意味で、通産省といたしましては、特許庁において今推進をいたしております特許流通アドバイザー派遣制度がございまして、これを活用してまいりたい。また、この法案に基づく技術移転事業に関する情報提供を行うことがその業務に入っておりますが、こういう予算を通じて情報提供を行って一般的に社会的にこの事業を認知していただいて、そしてその結果、こういう人材の育成や、あるいは入っていただく環境づくりを進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 ありがとうございました。  それでは次に、特許の問題の方に移りたいと思います。  技術創造立国ということを大臣もおっしゃいましたけれども、まさにそういうことが日本のこれからの使命だと思います。それで、そのためにはやはり知的財産権と申しますか、それについての保護が十分に行われるということがもう絶対に必要だと私は思っております。  そういうふうな点から見ますと、損害賠償の問題というのが浮かんでまいります。今度のこの法律の改正によってこの損害賠償の問題というのがどれだけ緩和されるか、その辺について最初にお伺いをしたいと思います。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 委員の御指摘のとおりに、科学技術創造立国の実現には知的財産権の重要性が非常に静まってきているわけでございます。こういう中で、我が国の知的財産権侵害訴訟における損害賠償額は、ライセンス料相当額にとどまっているケースが今まで多いわけでありまして、知的財産権の権利行使が十分確保されていないというのが現状でございます。それが研究開発へのインセンティブを損ねているという指摘がございますので、今回の改正案によりまして損害賠償制度の見直しを行って、知的財産権の保護強化を図っていこうということでございます。  今度の法律改正によりまして、知的財産権が適切に保護されて、我が国における創造的技術の開発を一層促進することが実現できるのではないかというふうに期待をいたしているところでございます。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 ありがとうございました。  それで、ちょっと気になることなんですけれども、この改正の法律案の場合ですと損害賠償の認定について裁判官の裁量の範囲が非常に広いというふうに思うわけでございますが、この辺については運用上どういうふうに欠点を修正していくか、これは実際の運用の問題になると思うんですが、その辺いかがでございましょうか。

荒井寿光特許庁長官

○政府委員(荒井寿光君) 今回、法律改正をしていただければ損害賠償についてかなり改善していくんではないかと思っておりますが、その際、具体的に裁判所でどのような運用がなされるかということは非常に大事な点でございますので、今回の立法の趣旨をよく裁判関係の方、弁護士の方、企業の方に周知徹底してしっかりした損害賠償の制度ができ上がっていくように運用してまいりたいと思っております。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 時間が参りましたので最後の質問になりますが、特許庁は膨大な審査案件を現在でも抱えておられる。このスピードアップにはかなり苦心されておられると思うんですけれども、今回の法律改正でこの後のスピードアップについてはどういうふうにお考えになっておられるか、これをお伺いしたいと思います。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 御指摘のとおりに、この知的財産権の研究成果に早期に権利設定を行い保護していくことが非常に重要なことでございますし、これがまた新規産業の創出だとか大競争時代への対応という観点から大変重要になってくると考えております。    〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕  特許の審査期間は、現状では二十二カ月かかっているのでありますが、これを二〇〇〇年には十二カ月に短縮する、二〇〇五年には世界一早い権利付与まで短縮するということを大きな目標として、ペーパーレス計画の推進だとかアウトソーシングの問題などの活用も含めて総合的な施策を強力に今推進しておりますので、御期待にこたえられるような対応ができると思っております。

小島慶三民主党・新緑風会

○小島慶三君 これで終わります。大臣、どうもありがとうございました。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 特許二法の質問に入る前に、十七日に堀内大臣が記者会見をされました。その内容についてちょっとお伺いいたしたいと思います。  大臣は十七日、民間金融機関の貸し渋り対策として中小企業金融公庫等の法律を改正して、中小企業の定義を見直し現行より中小企業の枠を拡大し融資の対象を拡大する、こういう記者会見をされました。  私は大賛成でございまして、現下の情勢にかんがみてぜひこういったことを実行してほしい。問題は時期なんです。やはりこういう時期ですから早く法案を提出していただきたい。大臣、ぜひ今国会中に法案を提出していただいて実効あるものにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 貸し渋りの問題は非常に現在でも厳しい状態が進んでおりまして、特に民間金融機関からの貸し渋りというのは相変わらず、改善されたとはいいながら厳しい状態であります。そういう意味で、民間金融機関から締め出された中小企業の方々で、政府系金融機関の窓口に来たいんですが、その資格を満たさないために来られない方がいらっしゃいます。  というのは、現在資本金が小売業あるいはサービス業では一千万円以下ということになっております。現在では株式会社では資本金の一番最低が一千万でありますから、それ以下ということになりますと、一般的な株式会社ではもう不可能という人が多いわけで、そういう意味で窓口に来られない方がいっぱいあるわけでございます。  そういう意味で、政府系金融機関の融資対象にならない企業が存在しているものを解消しようということで、現行の中小企業金融公庫などの融資対象基準であります卸売業においては資本金三千万円以下、小売・サービス業では一千万円以下ということになっております基準を見直して、これらの基準を例えばそれぞれ、卸売業では七千万円以下あるいはサービス・小売業におきましては五千万円以下というふうに上限を上げまして、可能な限り融資対象を拡大してまいりたいというふうに思っております。これは直ちに行わないことには効果がございませんので、今国会に必要な法律案を提出させていただこうと考えて取り組んでいるところでございます。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 ぜひひとつ今国会中に提出をしていただきたい、重ねてお願いをしておきます。  それでは、特許法についてお伺いいたします。時間も限られていますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず、先ほどもございましたが、権利者の保護の強化についてちょっとお尋ねいたします。  特許が侵害されて権利者がもらう賠償金が、従来の制度ですと正規のライセンス料相当の金額から相当少ない額しか賠償されなかったわけですけれども、今回の改正では正規のライセンス料の相当金額を一〇〇%賠償されるということです。これは権利者保護という観点から見ますと、一〇〇%賠償されるということですけれども、やっぱりちょっと不十分だというふうに思われます。  一つは、販売数量の証明の問題ですが、これは数量の証明だけに立証責任が軽減されていますが、被害の数を一〇〇%立証できないんです。本当に一〇〇%、これだけですべてですと、こういうのがなかなか立証が難しい。ですから一〇〇%賠償はされない、こういうことであります。    〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕  それから二つ目の問題としては、数量を算定するには権利者に大変な労力とコストがかかるわけです。今回のこの制度ではそうした企業の防衛努力が考慮されていない。数量を一〇〇%確定する労力、コスト、こういったものが考慮されていない。権利者保護の強化という観点から、最大で一〇〇%までということではなくて、一二〇とか一五〇ぐらいまで賠償額の上限を上げないと権利者の保護にはならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

荒井寿光特許庁長官

○政府委員(荒井寿光君) 特許の特質からいきまして、目に見えないものでございますから侵害されたときにどれだけ相手に侵害されたかわからないというような特質がございますので、御指摘のように、特許権の侵害に対する損害賠償額は、立証されたものよりも多く認めてそれで初めて公平になるんじゃないかという強い御意見がございます。しかし、一方、損害賠償額の認定というものは、証明された実際の損害の範囲内で行われるというような議論もございまして、今までのところはまだいろんな議論がまとまっていないわけでございますが、お話も踏まえまして今後さらに検討してまいりたいと思います。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 さらに、権利者保護という点では、賠償額の問題とともに模倣品が出回った際の被害をどう最小限にとどめるか、あるいはまた速やかな賠償金の支払いという問題が重要になってくると思われます。  今回の改正では、刑罰の親告罪から非親告罪への転換、侵害者が裁判の長期化を図るために講ずる無効審判の迅速化等工夫されておるものの、大きな前進とは必ずしも言えないと私は思っています。工業所有権審議会の答申には、文書提出命令の充実、あるいは計算鑑定人制度の導入等、極めて具体的な制度も検討されているようなんですけれども、もっと抜本的な対策が必要ではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

荒井寿光特許庁長官

○政府委員(荒井寿光君) ただいま御指摘ございましたが、損害賠償をしっかり取れるようにして権利者が守られる、それによって技術開発が進むということが私どもの考えでございます。今回の法律改正は従来に比べたらかなり変わった方向へ進もう、前へ進もうということでございますが、なお不十分じゃないかという御指摘につきましては、私どもとしても今後ともさらによく社会の実態、企業の様子、そういうものを踏まえましていろいろな制度について検討してまいりたいと思います。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 先ほどもお話がございました、知的所有権をめぐる我が国の国際戦略といいますかこういったものについて大臣にちょっとお尋ねをいたします。  二十一世紀を生き抜くためには、通産省の産業構造審議会で言われていますように、知的創造立国として生きていくことが重要だと、私もそう思います。その際、知的所有権の持つ意義は極めて重いと思いますし、日本の発明あるいは技術が世界で正しく保護される、正当に評価されるということは大変重要なことだと私は思っております。  知的所有権をめぐる世界基準づくりや国際出願制度の整備に向けて、日本が世界に働きかけていくことは極めて重要であると思います。しかし、先ほどもございました、商標のマドリッド条約に我が国はまだ調印していません。先ほど大臣から積極的に調印の方向に向けてというお話もございましたけれども、知的所有権政策について我が国の国際的な対応におくれがあるんではないかと私は思っておりますが、いかがでしょうか。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 委員の御指摘のとおり、科学技術創造立国の実現を目指す我が国にとりましては、知的財産権制度の国際調和というものは非常に重要な課題であると考えております。  こういう認識のもとに、商標の面でも国際登録制度でありますところのマドリッド・プロトコルにつきましては、我が国の出願人にとって有用な制度であると考えておりますので、その加盟に向けて検討を進めているところでございます。制度上の整備を国内的にもしていかなければならない問題がございますので、そういう点を一日も早く整備をして加盟に取り組みたいというふうに考えております。そういう意味で積極的な取り組みをいたしてまいります。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 次に、大学の技術移転についてお尋ねをいたします。TLOの採算見込みについてお伺いをいたします。  現在通産省が行っております特許を収入源とする組織ということでは、基盤技術研究促進センターというのがございます。これは、過去十三年間、二千三百八十八億円の出資をしながら特許の収入は一%以下、十九億円しかないんです。全国にTLOが幾つもできるようですけれども、この程度のTLOの規模で収支が大丈夫なのかどうか。先ほど言いましたように、技術研究促進センターも二千三百八十八億円の出資をして十九億円の収入です。このTLOは採算がとれるのかどうか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) TLOの採算の問題でございますけれども、TLOは技術移転先企業からのライセンス収入というものを主たる収入源にするわけでございますが、移転先の企業におきましてその事業が成功して初めてライセンス収入が入ってくるということでございますから、TLOの立場から見ますと立ち上がり期間においては収入が安定しないということで、その意味で事業の本格化までの懐妊期間が長いということが予想されると思います。したがいまして、この法案に基づきまして、こうした立ち上がり期間におきまして、助成金の交付ですとかあるいは債務保証などを通じまして支援措置をしよう、そういうことによりまして立ち上がり期間の不安定さを解消しようということでございます。  今、基盤センターのお話が出ましたが、基盤センターの場合はみずから資金を投じて試験研究をするということをやっているわけでございます。私どもが今回考えておりますTLOは、みずからは試験研究をするのではなくて、大学等において将来事業化できそうだと見込みのありそうな技術を評価しまして、それを特許権化して譲り渡すということでございますので、研究をするということを伴っておりませんので、その分のリスクは相当軽減される。したがいまして、基盤センターとそこが非常に違うんではないかというふうに私ども考えております。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 このTLOという組織には弁理士だとかそういった人が専従で、専門にいるんじゃないんですか。どうなんですか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 人材としては弁理士ですとか、先ほど大臣からも出ましたけれども、企業の知的財産の管理部門にいたOBの方とか、そういった方が何人かそこに職員として働くということを想定しております。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 そういう方の人件費とかいうのはどうなるんですか。このTLOで負担するんじゃないんですか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 御指摘のとおりでございまして、もちろんそういった方の人件費を含めた経費は、TLOが譲り渡した事業から上がってくるライセンス収入で賄うということでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、研究そのものをTLOがやるわけではないわけでありまして、つまり大学等において行われた研究の成果で事業化に成功しそうだなというものを厳選して、それを譲り受けて特許権化して、それを企業に譲り渡すということでございますから、自分自身が研究するわけではないわけですから、そこのリスクは相当違うと思っております。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 私が理解できないのか、ちょっとよくわかりませんが、また次に聞きます。  次に、産学連携のあり方についてお伺いしたいんですが、通産省内に今、大学等連携推進室ができておりまして、三年たっております。この間、通産省の産業構造審議会答申などを見ても、どんどん連携をしよう、こう言っておるわけですけれども、現実には産学が連携した大学の姿あるいは教室の姿というものがなかなか具体的に見えてきません。連携を推し進めようとする通産省が、あるべき産学連携の姿、企業と協力した大学の教室の姿を示す必要があるんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 私ども、日本の経済構造改革を進める上で、新規産業の創出とかあるいは産業の技術の向上による既存産業の高度化というのは非常に重要だというふうに思っております。そのための手段として大学との研究の共同化といいますか、大学等の研究成果を産業界で生かしていくということが非常に大事だというふうに思っているわけでございます。  その際、もちろん、大学における研究者の自由闊達な発想ですとかあるいは研究意欲の源泉というのもこれまた非常に重要でございまして、そういったものを基本として、つまり学術研究の特性ということを十分配慮しながら進めるということは非常に大事だと思っております。  こうしたことの具体的な進め方として、平成八年に科学技術基本計画というのが決められておりますし、また平成九年には「経済構造の変革と創造のための行動計画」というのが決められておりますけれども、こういった中で産学連携を促進するための具体的な進め方について述べられているわけでございます。  こうしたものに基づきまして、今後とも文部省とも十分連絡をとりながら、委員の御指摘の点も踏まえまして、産学連携の具体的な進め方につきましてさらに明らかにしていくようにしたいというふうに思っているところでございます。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 最後に、大学の研究費について文部省にお伺いいたします。  例えば、トヨタ自動車の年間の研究費、これは五千四百六十億円、松下電器四千三百四十九億円。一方、平成九年度の国立学校特別会計の予算、これは六千三百七十四億円。日本の主要企業の研究費と国全体の学校の研究費がほぼ同じぐらい、同程度ということです。どちらが多いか少ないかという基準はわかりません。しかし、一企業の研究費と国立学校特別会計の予算が大体同じという程度では、幾ら大学で研究といってもこれはちょっと予算が少な過ぎませんかというふうに思っています。これは年々下がっていますね。  大学の国立学校特別会計の予算規模が年々少なくなっておるような気がするんですが、大学の研究予算の拡大については文部省はどう考えていますか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 今先生御指摘のように、諸外国と比べまして日本の科学技術関係の投資の一つの特徴といたしまして、民間企業の投資に比べて政府関係の投資が少ないというのがあるわけでございまして、これをもっとふやすべきであるということがございます。それが先ほど来話題になっております科学技術基本計画にもつながっているわけでございます。  政府全体の科学技術関係投資のうちの四〇%余りが文部省関係でございまして、そのゆえに大学の研究ポテンシャルというものにやはり期待が大きくなされているわけでございます。この大学の研究ポテンシャルというものをどう高めていくかということによって、今回の法案で御提示申し上げているようなすぐれた発明というものがどの程度生み出されるかというのも左右されるわけでございます。  そういう意味合いにおきまして、先生今御指摘の研究費の問題もございますし、あるいは大学の施設というようなこともございますし、それらをくるめましていわゆる研究条件をどう高めるかというのは非常に大きな課題になっておるわけでございます。具体的には、今先生、国立学校特別会計のことをおっしゃいましたけれども、それ以外にも例えば科学研究費補助金というのがございまして、これは国公私立大学共通でございます。国立大学だけの研究費ではございません。これにつきましては、例えば今年度、十年度におきましては一千百七十九億円という数字でございまして、対前年度五%余りの増ということでございます。  したがいまして、いろいろな手段を講じまして、研究条件あるいは研究基盤を高めるということにつきまして今後とも努力してまいりたいというように考えておるところでございます。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 終わります。ありがとうございました。

加藤修一公明

○加藤修一君 公明の加藤修一でございます。  まず最初に大臣にお願いしたいわけでありますけれども、技術開発、技術移転の視点からお願いしたいと思います。  昨年の京都会議で法的拘束力を伴う議定書がお互い約束されたというわけでありますけれども、温暖化防止技術開発に向けたそういったことについて政府は本腰を入れておりますと、そういうシグナルをやはり企業に対しても与える必要が非常に重要ではないかと思っているわけなんです。  通産省が今国会におきまして提出しています省エネ法改正案、それから環境庁が現在準備中であります地球温暖化対策推進法案、これが車の両輪というか鳥の両翼、そういったような形の中で六%削減を可能にしていこうというふうに私は理解をしているわけなんですけれども、私の耳に入っている事柄、あるいは報道なんかで言われている事柄についてはその辺の関係が必ずしもしっくりいっていない、摩擦があるように聞こえできます。こういう表現はなんですけれども、環境庁といがみ合うんでなくして、協力して温暖化防止に取り組むことが非常に重要である。今後、環境庁が出してくる法案について、その辺を含めてどのようにして温暖化防止に取り組んでいく決意であるのか、お伺いしたいと思います。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 地球温暖化問題というのは、委員の御指摘のとおり、人類の将来に向けての極めて重大な問題でございますから、その対策を着実に講じてまいらなければならないと思っております。それには地球温暖化の防止ということが一つ、経済成長というものが一つの柱、それからエネルギーの安定供給というものがもう一つの柱になりまして、三つのバランスを図りながら技術的にあるいは経済的に可能な最大限の対策を講じていくことが通産省としては必要だというふうに認識いたしております。  そういう意味で、委員の御指摘の地球温暖化対策推進法案につきましては、現在政府部内で調整中でございます。地球温暖化の防止に向けて、昨年十一月に地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議の報告をいただいておりまして、それを踏まえながら、国と地方公共団体と事業者と国民といったあらゆる主体の自主的な取り組みを喚起することが重要であるという認識は環境庁と全く一致いたしており、共通認識のもとで調整を行っているわけでございます。通産省としてもよりよい法案を国会に提出できるように、環境庁と協力しながら、一般に言われているようないがみ合うようなことは全くございませんので、その点は御心配ないようにお願いしたいと思います。

加藤修一公明

○加藤修一君 海外との排出権取引の関係とかあるいは吸収源ということを最優先に取り上げるような形をしないで、六%削減についてなるべく国内で対応できるような形にしていただきたい。しかも、温暖化防止技術の開発あるいはその技術移転、そういったものが十分立ち上がってくるようなシグナルを産業界に向けて発するような、そういう本腰を入れた形で進めていっていただきたいと思います。  それからもう一点、これは大臣十分御承知のことだと思うわけでありますが、予算委員会の質疑に関連して、この場をかりましてお願いしておきたいことは、これも代替製品の開発、技術移転という観点からも考えられるわけですけれども、ダイオキシンの発生に関連しまして、塩ビ製品の生産・使用規制について先進各国ではどのように進めているか、その辺について資料要求をしたいと思います。それにつきましてはできるだけ連休明けぐらいに提出をお願いしたい、この場をかりて要請しておきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

並木徹通商産業省環境立地局長

○政府委員(並木徹君) 委員御指摘の、産業界に技術開発を含めて対策のシグナルを発してということでございますけれども、今現在関係審議会等々を通産省の中において進めておりますので、そういった方向につきまして具体的に検討してまいりたい、このように考えております。  それから、ダイオキシンの件につきましての資料の関係でございますけれども、委員会の御指示等を踏まえましてそのように今後対応を検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 要求されました資料につきましては、後刻理事会で協議したいと思います。

加藤修一公明

○加藤修一君 次に、コンピューターのソフトウエアの開発の関係です。  要するに、開発言語の適応を社会的に考えていかなくちゃいけない、あるいは技術移転といったことも十分なされることが重要であると私は考えています。いわゆるデファクトスタンダードになるような開発言語を日本が開発できればいいんです、言うことはないわけでありますけれども、日本はこの面で非常におくれている。  情報産業に係るこれらの開発言語だけじゃなくして、言語に係る教育に関して効果的に取り組むのも非常に大切だと私は認識しているわけです。その辺は非常に情報化にとって大切である。前回これに関して取り上げているわけでありますけれども、そのときの答弁を考えていきますと、常に見直しをする必要があると。すなわち、それは何に関してかといいますと、情報処理技術者試験の内容について常に見直しをする必要があるということなんですけれども、この常にという時間的な感覚についてはどういうふうにとらえていらっしゃいますか。

広瀬勝貞通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(広瀬勝貞君) 情報処理技術者試験は、先生にも前回御指摘賜りましたように、技術の進歩あるいは産業構造の変化に応じて、そういう世の中の動きに応じて見直していく必要があるというふうに考えております。これは昭和四十四年に制度ができておるわけでございますけれども、私どもこれまでも平成六年、平成九年と見直しを行ってまいりました。そういう意味で、やはり最初に申し上げました技術の進歩や産業構造の変化をよく見きわめながらやっていくということが大事だと思います。  他方、この試験は情報処理の現場の技術者を育成するという面がございます。それゆえに今、年間五十万人に受験をしていただいているというようなことでございます。また、こういう試験を一つの基準にしまして、そして専門学校等でもカリキュラムを組んで勉強していただいているというようなこともございます。そういう多くの人が勉強をして準備をして、そして試験が受けられるようなそういう一定の期間というのもまた必要になってくるわけで、その辺をよく見ながら見直しをやっていくというのが大事なことではないかというふうに考えております。

加藤修一公明

○加藤修一君 常に見直しあるいは技術の進歩に対応してやっていかなければいけないという答弁が前回あったわけですけれども、二、三年に一度ぐらいの見直しは私は必要だと思いますが、その辺についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。

広瀬勝貞通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(広瀬勝貞君) 試験問題を毎年つくるわけでございますが、そのときには当然のことでございますけれども、試験の全体の構成からこれでいいのかどうかというようなことは試験委員の先生方に議論をしていただいているわけでございます。そして、どうしてもやっぱり試験区分がおかしいとかいうようなことになりますと試験区分の変更ということが出てくるわけでございます。そういった意味で、私どもは常に状況の変化を把握しながら見直しを行っている、そしてその結果必要な制度の改革もやっているというふうに考えている次第でございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 よろしくお願いしたいと思います。  前回、ソフト開発企業が使用している開発言語の実態把握については、情報収集さらにその分析を行っているという答弁があったわけですけれども、これに関しまして資料を提出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

広瀬勝貞通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(広瀬勝貞君) かしこまりました。

加藤修一公明

○加藤修一君 それから、技術移転という点も含まれると私は思うんですが、別な話になりますけれども、例えばコンピューターの関係で二〇〇〇年問題の危機的な状況についてどういうふうに官庁が取り組んでいるか。オートマチックに中身をうまく変えられるような技術の開発とか、そういうことも十分考えられるわけです。  政府がこれまでアンケート調査なんかも結構やっているように私は聞いております。二〇〇〇年問題に対して十分対応していかなければいけないという姿勢は見受けられるように思います。ただ最近、企業に対してこの二〇〇〇年問題にどういうふうに対処しているかということで情報公開を要請したようでありますけれども、この辺についてはどういう判断なんでしょうか。これは通産省にお聞きしたいわけです。  もう一つは、アメリカでは四半期ごとに議会予算局が中央省庁の二〇〇〇年問題に対する対応を調査して議会に報告している。日本の省庁もその必要があるのではないかと私は考えますけれども、総務庁、この辺はどういうふうに考えておりますか。

広瀬勝貞通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(広瀬勝貞君) 民間の企業に対する対応という御質問でございますので、私の方からまずお答えをさせていただきます。  二〇〇〇年問題につきましては、かねてより私ども大変重要な問題だというように考えておりまして、企業に対しましていろいろ啓発活動を行ってきております。平成八年の夏に企業を調査いたしましたところ、二〇〇〇年問題について認識があるというふうに答えた経営者の数はわずか七%でございましたけれども、平成九年の夏に調査をいたしましたら、おかげさまでこれが六二%に上がっておりました。そういうことで、PRの効果等も出てきておるのかなというふうに考えております。  あわせまして、措置をとってくれと言うだけではいけませんので、低利融資とか債務保証とかあるいは税制上の措置といったようなことを準備いたしまして、この二〇〇〇年問題に対応するために必要な資金あるいは新しい設備の買いかえといったようなことについて、それをしやすいような支援策を講じているというところでございます。  どういう措置をとったかということについての情報公開といったようなことも内部ではいろいろ議論をしておりますけれども、これについては今特段に私ども対策を考えておるわけではございません。

藤井昭夫総務庁行政管理局行政情報システム企画課長

○説明員(藤井昭夫君) いわゆるコンピューター西暦二〇〇〇年問題に対する国の行政情報システムの取り組み状況と、それと国会への御報告についてのお尋ねの件でございますが、これにつきましては、中央省庁のシステム担当者の専門家会議の場などを活用いたしまして、また通産省の御協力も得まして、従来各省庁に注意を喚起するとともに適切な対応を求めてきたところでございます。  また、最近におきましては、我が国全体のコンピューターシステムの西暦二〇〇〇年問題に適切に対応するというために、政府部内に関係省庁連絡会議が設置されたところでございます。その場において、国、地方公共団体、民間部門、それぞれ保有するコンピューターシステムについての対応状況を調査するとともに必要な対策を講じることとされたところでございます。  そのうち、国の行政情報システムについては総務庁が担当することとなったところでございますが、例えば給付関係とかあるいは航空管制システムとか、国民の生活や安全にかかわりの深いシステムを中心に緊急に各省庁の対応状況を調査したところでございます。その結果、平成十年一月末現在、調査対象三百九十五システムの約四割に当たります百四十九システムは既に措置済みとなっておるところでございますが、残りのシステムについても一九九九年十二月までに必要な措置をすべて完了するというふうに承っているところでございます。  加えて、このような調査結果について国会に御報告するという件につきましては、御指摘を踏まえまして、必要に応じて御報告するということで対応していきたいと思っております。

加藤修一公明

○加藤修一君 先ほどの通産省の答弁でございますが、企業に情報公開を要請したということは、アンケート調査をやっても正確に実態が把握し得ない、企業がまともに回答していないという可能性もあり得るので、何とか情報公開ということを要請したというふうに私は伺っているところなんですけれども、実態はかなり対応し切れていないんじゃないかと僕は思うんです。これは、対応し切れないと社会システムが本当に破綻に向かうという可能性だって十分あり得ますから、情報公開を要請したということの現実的な中身というのは一体どういうことでしょうか。

広瀬勝貞通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(広瀬勝貞君) 非常に社会的に影響の大きいシステムについては、これは重点的に二〇〇〇年問題への対応をやってもらわなきゃいかぬ、こう私ども思っておりますし、現に大きな社会システムについてはそういう対応が非常に進んできていると思います。むしろ問題はやはり中小企業の業種でございまして、こういうものについては、これから先ほど申し上げましたような金融上税制上の措置等も活用しながら啓発活動をより進めていかなければならないというふうに考えている次第でございます。  処理状況の公開につきましては、いろいろ議論をしているところでございます。先ほど申し上げましたように、どういうふうにやったらいいのかということは今内部で議論をしている段階でございまして、まだそういう方針で動き出しているということではないわけでございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 日本の電子製品に組み込まれたプログラム、これが誤作動した場合、実際カーナビでは国内であったわけですが、特に海外で製造物責任の訴訟が起こされる可能性があるわけです。政府は今からその対応について十分検討すべきだと私は思っていますけれども、この辺についての見解はどうでしょうか。

広瀬勝貞通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(広瀬勝貞君) 二〇〇〇年問題というのはまさにそういうことでございまして、そういう問題が起こらないように二〇〇〇年までにコンピューターシステムをとにかく対応できるように見直しておいてくれ、点検しておいてくれということで今PRなり指導をしているという状況でございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 可及的速やかに十分検討を深めていただきたいと思います。  それで、先ほどの総務庁の答弁でございますけれども、国民生活とかかわりの深いものだけを調査したように私は思っていますけれども、では生活関連とそうでないものとの線引き、それはどうなんでしょうか。日本の省庁の対応の必要なシステム全体数、それから対応済みの割合、それから対応コストの見込み、あるいは各省庁のコンピューター二〇〇〇年問題に対する予算措置、これはどういうふうになっておりますか。

藤井昭夫総務庁行政管理局行政情報システム企画課長

○説明員(藤井昭夫君) 国民生活にかかわり合いの深いシステムとは何かということと、あと予算措置についてのお尋ねでございます。  国民生活にかかわり深いシステムというのは、国が保有している行政情報システムの中には、内部管理業務とかあるいは情報交換とか、そういう内部管理的なものも相当あるわけでございますが、今回はそういったものは調査していない。それ以外に、いろいろ給付関係の事務に使っているシステムがございます。それから、先ほど例示したかと思いますけれども、航空管制等、非常に安全にかかわりの深い事務に使っているものがございます。こういった後者のものについては、一たん問題があると大変国民生活、安全に深刻な影響があるということで、そういったものを緊急に今回調査したところでございます。  それから、予算措置等についてでございますが、今回の調査におきましては、予算措置についてまでは調査しておりません。しかしながら、日ごろ私ども担当者と情報交換はしておるんですが、そういう中では、各省庁とも限られた予算のやりくりやあるいはシステム更新の機会をとらえて取り組みに適切に努力しておられるというふうにお聞きしているところでございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 この二〇〇〇年問題について私が質問して答弁が返ってくる中身というのは、大体対応が大丈夫だという答弁が非常に多いように私は印象として受けているわけですけれども、国民を安心させる説明と証拠を提示してほしいと思います。  果たしてコンピューターの年月日、その管理は二〇〇〇年問題だけなのか、ほかにはないのかどうか、その辺についてお伺いしたいんです。

藤井昭夫総務庁行政管理局行政情報システム企画課長

○説明員(藤井昭夫君) 私の方からお答えするのが適切かどうかの問題はありますが、先ほど申し上げましたように、この問題については、官民、地方公共団体を含めて適切に対応するために政府部内に連絡会議が設置されているところでございます。そういったような場において、今先生の御指摘も踏まえて適切に対応するということを申し上げて推進していきたいと思います。

加藤修一公明

○加藤修一君 UNIXが抱える時限爆弾ということもあります。米国のAT&T社が開発したパソコンからスーパーコンピューターまで、特にワークステーションの関係ですけれども、そこで使われているOS、二〇二七年ぐらいに時限爆弾が爆発する話になっております。その辺についての対応も含めて私は二〇〇〇年問題を考えていかなきゃいけないというふうに理解しておりますので、その辺十分よろしくお願いしたいと思います。  それでは、法案の話に直接入ってまいります。  大学等の関係ですけれども、法案の第三条に技術移転事業の実施指針を定めることになっておりますが、一番目として事業の推進に関する基本的方向、二番目として事業実施者の要件、三番目として事業の内容、実施方法、四番目として配慮すべき事項、こういう形で書いてあります。これは非常に本法案の重要な部分だと思うんです。中身が書いてないんです。中身がわからないんです。こうした内容もあらかじめ法案に明文化する必要があるんではないですか。この辺についてはどこまで考えているのか。あるいは、実施指針というのは状況により即応的に見直しをすべきかどうか。例えば、事業実施者の要件はどういう中身になっていますか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 今御指摘の実施する者の要件ということですが、例えば法人組織でなきゃいけないとか、そういうようなことが中心になると思いますけれども、主として組織形態の問題について言及するということになろうかと思います。

加藤修一公明

○加藤修一君 要するに、もっと詳しい話が聞きたいんです。第一点から第四点の配慮すべき事項なんかについても、あの法案を見る限りにおいては非常にわかりづらい。これに関連する資料とか項目とか、そういったものをちょっと出してほしいんです。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) この実施指針の問題でございますが、これは今後所要のプロセスを経まして、文部省と御相談いたしまして定めるということになるわけでございますけれども、現時点で検討しております主な点を申し上げます。  まず、一号にございます基本的な方向でございますけれども、これは、こういう技術移転事業に関する目的、必要性あるいは現在の社会的な背景といったようなことに触れるということになろうかと思います。  それから二番目の要件、これは先ほど申し上げましたように、主として組織形態の問題が中心になろうかと思います。  それから、三番目の事業の内容ですとか実施方法の問題でございますけれども、これは、こうした移転事業に必要とされる一連の業務。具体的に申し上げますと、企業化し得る研究成果の発掘、あるいは評価、選別の問題。それから二番目としては、研究成果に関する技術情報の提供の問題。それから三番目としまして、民間事業者へのライセンシングの問題。それから四番目に、実施料等収入の配分あるいは大学への還流の問題。そういったことが中心になろうかと思います。  それから、配慮すべき事項でございますけれども、これは二つございまして、一つは学術研究の特性ということで、研究者の自主性の尊重、あるいは教育と研究の一体的な推進、こういったことが中心になるわけでございます。つまり、この移転事業の実施が、今申し上げましたような研究者の自主性の問題とかあるいは教育と研究の一体性に支障を及ぼさないように配慮しなきゃいけないということだと思います。それからもう一つの点が、中小企業者への配慮ということも触れる必要があるというふうに思っております。  大体そんなことを中心に今検討しているところでございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 今の配分の話、実施方法の中で配分の話というのはロイヤルティーの話になりますか。配分とおっしゃっていましたね。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) これは、TLOが特許権化したものを実施させる企業にそれを譲り渡すわけです。そのときに契約を結びまして、それでうまくいきますとそこからライセンス収入が上がってくるわけですけれども、その得た収入をどのように配分するか。具体的には、TLO自身がどのぐらいそれを取るか、それから研究者自身がどのくらい取るかそれからその研究者の所属する大学がどのくらい取るかという問題でございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 今の配分の話ですけれども、アメリカのスタンフォード大学の場合は、ロイヤルティーの扱いについては、TLOに大体一五%入れる、残り八五%を発明者、学部、大学に均等配分しているということです。  自分の研究成果が技術移転されることによって自分にも研究費がふえてくるような形になるとか、あるいは大学、学部に対してもそれが反映されるということになれば、ある程度事業の公共性というのが出てくるわけですけれども、この辺のロイヤルティーの配分の具体的な数字というのは大体どういうふうにお考えですか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) この指針におきまして配分の具体的な数字まで触れるということは現在想定をしておりませんけれども、この事業そのものが大学の研究活動の支援にもなるということが大目的でございますので、TLO自身が収入をうんと上げるということよりも、大学と企業との橋渡し役の機能を果たすということでございますので、今おっしゃられたような事例も参考にいたしまして、大学における研究資金の充実といいますかあるいは研究者自身の研究資金の充実、こういったことに十分寄与するような方向で実施指針を定めたい、このように考えております。

加藤修一公明

○加藤修一君 兼職禁止の規定について、特に国家公務員の特例の関係でいろいろ議論されているわけですけれども、国立大学の教員が営利企業の経営に参加することは認められていない。そういったことで、技術移転事業、このTLOの役員等になれないわけですけれども、これを特例で改正するということについては極めて難しい、無理があるというふうに私も理解していますし、そこまでやることはどうかなという懸念も持っています。  ただ、研究者、大学の教官等が、こういう問題について、インセンティブがかかるような形で、何らかの形で積極的に参画できる方法がないものかというふうに考えているわけですけれども、文部省、これはどういうふうにお考えでしょうか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) TLOの役員でありますとかあるいはそれに関連する企業の役員として経営参加するということに際して、国立大学の教員がその身分を保有したまま兼職することについてどうか、こういうお尋ねでございますが、それについてお答えする前に、現在どこまで認められているかということをまずお答えしたいと思うわけでございます。  昨年の四月から兼業許可の基準を緩和いたしまして、国立大学の教員が営利企業におきます研究開発に従事したりあるいは研究開発に関する技術指導に従事するということにつきまして許可し得るというようにいたしました。また、これまで、許可は何件以内でありますとか、あるいは一週間当たり何時間以内でなければならないというような基準を定めていたわけでございますが、これを撤廃いたしたわけでございます。  その結果、勤務時間外でございますけれども、国立大学の教員等が企業での技術指導あるいは研究開発を行うために兼業をするということの許可件数を見てまいりますと、昨年の四月から十二月まで約一千件の許可が行われている、こういう実態でございます。  それから、TLOとのかかわりでございますが、今申しました技術指導やら研究開発従事ということに関連してさまざまなコンサルティングをTLOに対して行うということも、これまた昨年四月以来の緩和基準に該当するわけでございますので、それは可能であるわけでございます。  さらに進んで、では役員はどうかということでございまして、技術の目ききというような立場で役員になってもいいではないかという御議論もあるわけでございます。これにつきましては、公務員の立場からくるさまざまな規制との関連を見ながらでございますけれども、十分検討してまいりたいというように考えておるところでございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 それでは、大臣にお願いしたいんですが、TLOの運営に関して人材育成が必要ではないかと思うんですけれども、この運営に求められる人材というのは、単なる特許の事務手続に精通した弁理士、そういった人材ではないように私は理解しているんです。  要するに、研究成果をどう評価するとかあるいは特許等のマーケティング、あるいはこの機構の運営資金の確保、あるいは広範多岐な分野に十分対応できる、あるいは技術とそのマーケティングに通じた、今答弁がございましたけれども、いわゆる技術の目きき、マーケットファインディングができる、そういったスペシャリストが私は必要だと思うんです。  先ほど小島委員からも日本テクノマートの話がございました。私の友人もやっておりますけれども、なかなか十分に対応はし切れないという話もあるわけです。スリーピングという話、そこまではいかないにしても、なかなか対応し切れないということを考えていきますと、弁理士云々という話じゃなくて、やはり技術の目きき、そういった人材を養成する、づくっていく、そういうことも非常に大切ではないかと思うんです。  この辺について大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 先ほどもお答えを申し上げたのですが、このTLOの場合には人材を得るか得ないかということが一番ポイントになってくると思います。この事業の内容としては、もちろん教授が来て基本的な問題に取り組めるわけですが、委員の御指摘のとおり、技術の内容を評価したり、マーケティングが行えて、しかもそれが有利に販売できるかどうかとか、あるいは現時点においてこれからの有用性があるかとか、いろんな面での管理能力のある人間を持ってまいらないとこの成功というのは期しがたいのではないかというふうに私も感じられます。  したがいまして、委員のおっしゃるとおり、弁理士を活用するとか企業の管理部門のOBを活用するとかいうことは、まず最初のとりあえずのスタートの問題でございまして、しっかりとした人材を育成していかなければならないというふうに思っております。  そういう意味で、通産省としても、今までのアドバイザー派遣制度のようなものや、あるいは技術移転に関する情報の提供などを行い、まず周知徹底をしながら、そういう人たちを育成したり、求めたりしながら体制をつくり上げていくことになっていくというふうに思っております。そう簡単な問題ではなくて、これがポイントになってくる問題だというふうに思っておりますので、大いに力を入れて取り組んでまいります。

加藤修一公明

○加藤修一君 ちょっと問題の内容の発言部分が最後の方にあったように私は理解しているのですけれども、それはともかくとして、大臣にもう一つ質問したいわけです。  このTLOの運営の評価、これをどうするかという話なんです。こうした事業の立ち上げの時期というのは、やはり法律の趣旨に添った形で運営がされていくわけですけれども、何年かたっとどうしても当初の趣旨から外れぎみで、例えば天下り先になってみたり、あるいは既得権の保護のために形骸化することも間々ある。こういったことから考えていきますと、その運営の評価をするに当たって数年間でサンセット方式を導入すべきだとか、そういういろいろな考え方が私は成り立つと思うんですけれども、その辺についてどのようにお考えでしょうか。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) このTLOの制度自体は、大学で行われた研究成果を生かしてそれぞれ民間の活力を活用しながら技術移転を図ろうとするシステムでありますから、個々のTLOの経営責任主体というものは、本来当該経営主体が負うべきものであるということになってまいります。  しかし、TLOの社会的な意義や役割も踏まえて、技術移転の現状を改善するためには、TLOに対して相当なバックアップをしていかなければならないだろうというふうに考えております。そのためには特別認可法人である産業基盤整備基金による支援を行ってまいりたいと考えているわけであります。同時に、産業基盤整備基金を通じたTLOの活動に係る情報提供事業を本年度から開始いたしまして、その中で、技術分野別の特許取得の実績だとか、あるいは技術移転の成功事例などの情報交換を行うことにいたしてまいります。  通産省としても、各TLOの活動状況を適切にフォローアップしてまいらなければならないと考えております。

加藤修一公明

○加藤修一君 時間がないですからちょっと一問だけスキップします。  今回、こういうTLOをつくろうという中身を持った法案になっているわけですけれども、要するにこの法案は一つはアメリカの法律を相当参考にしている。今までのケースを考えていきますと、通産省はアメリカにあって日本にないものをつくろうとしているように私には見えるのです。それが悪いというわけじゃないんですけれども、やはり日本とアメリカではさまざまな条件が違うということを考えなければいけないと思うんです。教育、研究の環境、これは非常に違う。日本の場合は教育、研究ともにやっていくケースが非常に多い。しかし、アメリカの場合は教育教官、研究教官という形で分かれているように私は聞いておりますけれども、そこをどのように考えるかということだと思うんです。  技術移転はどっちかというと基礎研究より応用研究という話だと思うんです。そうなりますと、文科系より理工系ということも想定されますし、技術移転の活発な学部とか研究室は資金が潤ってくるという話にもつながってぐる。それが潤わないところは学内摩擦の可能性がなくはないということもあり得るわけです。  要するに、研究者の評価というのをどういうふうに考えるか。ある意味では逆インセンティブが働かざるを得ない場合も出てくると思うんです。教官の教育とか基礎研究へのエネルギーに偏りが生じる可能性も十分あり得る。だから、教育の現場がかなり違った形に進む可能性もなくはないと非常に私は心配しているところなんですけれども、その辺について文部省はどうお考えですか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 大変重要な御指摘でございまして、二つあったかと思うわけでございます。一つは教育と研究との関係でございます。  大学審議会でいろいろ議論されておりますが、大学はもとより教育も研究も一体的にやるということにはなっておるわけでございますが、その教育活動、それから研究活動に対する評価、それぞれを比べた場合に、えてして研究活動の方が余計に評価されるという傾きがあるのではないかということが指摘されておるわけでございます。一方におきまして、進学率が現在五〇%に近づいているわけでございまして、昔のように数%の一定の層だけ相手にしているという大学教育でなくなってきているわけでございます。そういう意味におきまして、学生の能力、意欲も大変多様化してきているということで、いよいよ教育活動の重要性というのが出てきているわけでございます。したがいまして、大学審議会の考え方として、従来以上に教育面での評価というものをしっかりやらなきゃならない、これが一つでございます。  もう一点は、研究活動のうちで、今先生御指摘の基礎的な研究、それから応用的な研究、その辺は相対的な区分でございますが、そのうちどちらかというと基礎的な研究の方に重きをなして評価される傾きがあるのではないかこれもまた指摘されておるわけでございます。せっかく先生が発明をしたということにおきましても、何かの立派な論文を書いたというのと比べまして必ずしも十分な評価が得られていないという指摘もされておるわけでございまして、これにつきましてはやはりそれ相応の評価を得なければならないという指摘があるわけでございます。  そのように、教育面の評価、それから発明と関係のあるような応用研究の評価というのも基礎研究と遜色なくそれ相応に認められるべきであるという考え方が提起されておりまして、これに沿いまして、私どもといたしましても大学に対しましてそのような考え方を提示し、考えていただいているところでございます。

加藤修一公明

○加藤修一君 終わります。

梶原敬義社会民主党・護憲連合

○梶原敬義君 持ち時間が十分でありますので、意見を申し上げ、答弁されるときは簡単に要領よくしていただきたいと思います。  最初に、特許法等の一部を改正する法律案についてでございますが、これは特許権等の権利の保護強化、知的財産権の保護強化ということが一つであるし、創造的デザインの保護強化、あるいは特許料の引き下げ、こういうことですから全く賛成でありますし、早く実施に移していただきたいと思うのであります。  先ほど審査処理の促進についてお話がありました。私も商工委員会は長いのですが、ペ−パーレス化のときから何回か特許法改正に立ち会ったんですが、当時、在庫といいますか未処理の分がどんどんたまって大変国際問題にもなりました。それが今二十二カ月、そしてこれは二〇〇〇年には十二カ月。  そして、大臣が言われましたように、近い将来にはリアルタイムで処理するということ、本当になかなか想像もできなかったことですが、これが特許特別会計という独立採算でみずからの力でやられた、あるいはそういう方向に進んでいるということは大変感銘を受けましたし、よく聞いてみますと立派なことが進んでいるなど、このように思います。我々もその当時は特許庁に行って書類の山を見たんですけれども、今度はパソコンで処理ができる、出願ができると、そういう状況というのをまた一度見させていただきたいと思っております。ぜひさらに頑張っていただきたいと思います。  大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案ですが、先ほどからもお話がありますように、これは公布後三カ月以内に施行と、こうなっております。これはTLO、特定大学技術移転事業、これがうまくいくかいかないかにすべてがかかっているわけであります。  この中身を見ますと、国が実施に当たっての指針をつくる、各大学から出てくるその実施計画を文部大臣や通産大臣が見て承認をする、承認したものについては政策的な支援を幾つかやる。その政策的な支援の中に、一つは二千万円を限度に産業基盤整備基金から補助金、助成金を出す、一方では債務保証を行う、こういう内容になっておりまして、これらは大体大筋においてそう問題はないと思うんです。  申し上げたいのは、三カ月後に実施をしようかというものに対して、少なくとも国会で審議をするときに指針案ぐらいは、指針の中身について我々に知らせてくれないとなかなか審議がしにくいわけです。役所の悪い癖で、あとは私たちに任せてくださいと。法律をつくるときはアウトラインを示して、あとは全部政令や省令や何かに移していくという形にして、役所は非常にルーズなところがあるんです。そういう点はぜひ反省をしてもらいたいと思います。  そこでお尋ねしますが、TLOというのは、株式会社を想定しているのか、あるいは特殊法人みたいな形のものを想定しているのか。私立大学と公立大学との違いもあるでしょうが、それが一つ。  それからもう一つは、大学の教授会との関係で、教授会の議決が要るのか要らないのかこういうものをつくるときに。今いろいろやっておるが、これはどういうことなのか。  私は、東海大学の前総長松前重義さんとあることで二人で何回か話をしたことがあるんですが、彼自身が海底ケーブルの特許を持っておりまして、その成果を大学にどんどん投入していった話もちょっと聞きました。そういう人がトップにおる場合は、御承知のように東海大学は今非常に日本では進んでおります。さもありなん、こういうように思います。なかなか大学の教授会、問題があるし、そこらは難しいところがあるんじゃないかと思います。それが第二点。  それから、国立大学の職員、教員の兼職について先ほど加藤先生から質問がありましたが、兼職すると収入にかかわるものが恐らく出てくると思うんです。それは、そんなものはないんですよなんということでは済まない、何らかの形であると思います。そこらの問題について文部省に伺いたいと思います。  そして、もう一つお伺いしたいのは、TLOがうまくいくとは限らない。特に国立大学の系統でそういうのが失敗した場合というのは大変大きな社会的混乱というものを生じかねない、そこらの心配等もあります。  以上、質問をして、大臣から一番最後に決意だけお伺いして、終わりたいと思います。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) TLOの事業の形としてどういうものを考えているかというお話がございました。  まず、大学の中に置かれるか外に置かれるかということですが、これはどちらもあり得るというふうに思っております。アメリカなどにおきましては大学の学内の組織で置かれているものが多いわけですけれども、その移転する事業の効率性あるいは柔軟性、そういうことを考えますと、日本におきましては学外の組織で置かれるということも十分あり得るというふうに思います。どちらでも認定、承認対象にできるというふうに思っております。  事業の主体の性格ですが、これは非常に幅広い事業を行いますので個人という格好ではぐあいが悪いというふうに思っておりまして、法人格を持っている必要があると思っております。一番多いのは恐らく株式会社形態だと思いますが、そのほかあり得るものとしては、公益法人的なものもあると思いますし、それから学校法人自体が直接行うというケースももちろん認めていいというふうに思っております。  ただ、先生おっしゃった特殊法人が行うということは、全くこれは想定しておりません。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 二点目と三点目につきましてお答え申し上げます。  教授会の議決が要るかどうかということでございます。この法案で議決が要るというようには書いてございません。教授会につきましては、御案内のように大学の自主的な運営ということでございまして、教授会としてどんなことを議決事項にするかどうか、これにつきましてはそれぞれの大学の教授会の判断ということでございます。  ただし、TLOの設置ということにつきましては、産学連携という広い立場から非常に大きな問題でございまして、その大きな問題の中でTLOがどう位置づけられるかどうかということは、教授会の議決事項云々はさておいたといたしましても、大学として、組織としてきちんとした対応を図らなきゃならないというように考えております。  それから三番目のお尋ねで、収入の点でございます。これにつきましては、昨年四月以来の扱いといたしまして、兼業に対する報酬の額が社会通念上合理的なものであれば構わないと、こういうことにいたしております。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 総括的に私の所感をというお話でございますので申し上げます。  委員の御指摘のとおり、独創的なあるいは基礎的な研究というものは我が国の将来にとって極めて重要なものでありますし、科学技術基本計画においても「基礎研究を中心となって担うべき大学、国立試験研究機関等における研究の重要性」が指摘をされているところでございます。私どもとしても、独創的な基礎的研究は新産業の創出に貢献するものであるというふうに考えております。  同時に、このTLOの将来というものを考えますと、委員も御存じのように、米国で八〇年以降にこうしたTLOが設置されました大学において、スタンフォード大学だとかマサチューセッツ工科大学などに代表されるように、大学の研究成果というものを活用された企業が飛躍的に伸展をいたしておりますし、これが新規産業創出の原動力になってアメリカ経済の活性化に大きく寄与しているということも事実でございます。  アメリカと日本とは全く違う面もございますが、これからの日本の将来の産業を担う意味で一つの大変大きな意義を持つものというふうに考えて、これの積極的な推進に向けての努力をしてまいりたいというふうに思っております。

梶原敬義社会民主党・護憲連合

○梶原敬義君 文部省、社会通念上なんということでこの問題はちょっと片づけられないと思うんだ。少しまた説明に来てください。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 まず、大学等技術移転促進法案について伺います。  文部省にお尋ねをいたします。  私は、国立大学、国立試験研究機関の研究成果は基本的に、成果を上げた研究者のものであると同時に、国民共通の財産であると思います。したがって、その利用に当たっては、必要とする国民がひとしく利用できるものでなければならないと思いますが、この点、いかがでしょうか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 今御指摘のように、大学でさまざまな研究が行われておりまして、その研究成果というのは例えば論文というような形で世の中に公表されるわけでございまして、そのこと自体、いわばだれもがアクセスし得る、そういう財産という形になっていることが多いわけでございます。  しかし、もう一方におきまして、特に応用研究の分野におきまして研究の成果から発明というのが出てくる場合があるわけでございます。この発明につきましては、発明から特許化されるということを通じて権利化されそれが保護されるという仕組みもあるわけでございます。したがいまして、両様の保護のされ方があるというのが実態ではなかろうかというように考えております。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 質問とちょっとずれているんです。国民共通の財産であるから利用は国民がひとしくできるものでなければならないんじゃないのか、国立大学や国立試験研究機関の研究成果というのは。基本願則なんですけれども、この点いかがですか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 広い意味におきましては、研究成果というのは何らかの形で利用されるわけでございますので、そういう意味では先生おっしゃるとおりでございえす。  ただし、その中におきましては、発明あるいは特許という形態でそれが商品化されるプロセスを通じて世の中に利用される、あるいは広い意味での財産となる、そういうルートもあるということでございます。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 しかし、その機会はひとしく開かれておらなければならないという点は当然だと思うんです。  今回の法案では、移転事業の対象というのは基本的には工業所有権のみとなっておりますけれども、なぜそれ以外の研究成果、例えば著作権や独占的な権利を付与しない研究成果など、広い意味での研究成果の移転を考えていないのか、御説明願えますか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 特許権につきましては、御案内のように、極めて産業活動における実用化ということが念頭に置かれて仕組まれている制度であるわけでございます。もう一方におきまして、著作権制度のお話がございましたけれども、これはいわば知的所有権という意味におきましては共通の面はございますけれども、学術論文やあるいは著作などの表現物を文化振興の観点から幅広く保護しようというものでございまして、その形式につきましても御案内のように無方式主義ということでもございます。また一般に、これはすべてとは申しません、特許と比べまして、産業活動のかかわりというのは、かかわりの程度ということからいたしましてかなりの差があるのではなかろうかということ。  それから、著作権の対象としております著作物の性格でございますが、著作物が生み出される場として大学というものは特異な立場にある。特異なというのはちょっと難しい表現でございますが、要するに特許というのは技術の問題である、技術を生み出すポテンシャルを持っているものとして大学が非常に高く期待されている、そういう意味合いとの関連で申したわけでございます。  それらのさまざまな違いがあるということで、今回の法案では、発明が商品化されるその過程を重視する、それに着目するということにポイントを当てているということで、特に掲げていないわけでございます。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 その工業所有権の移転のあり方でありますけれども、想定されているのは、特許権ないし特許を受ける権利を譲渡する、承認事業者、TLOに。譲渡というのが基本的な移転のあり方として想定されているんでしょうか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) TLOができました場合に、契約によって権利がどのような具体的な形になるかということが決められていくわけでございます。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 私は譲渡というのも非常に主要な形態になるであろうと説明を聞いて判断しているわけですが、大学の研究成果を民間企業が活用すること自体、私も問題だと言っているわけではございません。ただ、譲渡ということになりますと、これは研究成果を譲渡された者しか使えないこと。になりまして、これは国民共有の財産の取り扱いとしてはふさわしくないんではないのかという感想を持つわけです。例えば、移転を受けたTLOが仮に倒産した場合、これはその研究成果の取り扱いがルーズになる可能性、危険性もある。  したがって、権利は発明者に残しておいて、通常実施権のみを設定するというやり方の方がいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤壮郎工業技術院長

○政府委員(佐藤壮郎君) ただいま御指摘ございましたように、国の研究開発の普及という点に関しましては、特許権だけではなくて論文、それから学会等による発表もあるわけです。  特許権につきまして申し上げれば、決して権利の譲渡だけに限ろうということではございませんで、そのほかに、従来やってきましたように通常実施権の許諾あるいは専用実施権の設定も今後とも続けていくということで、そういう普及の選択肢をふやそうということが本法案の趣旨でございます。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 承認事業者、TLOは、先ほどの答弁では株式会社でもいいし公益法人でもいいし学校法人でもいいということです。研究者も個人として参加することもあり得ると思うんですが、しかし主要な構成メンバー、とりわけ出資や経営を支援するという面での比重から考えるとベンチャーキャピタルが中心になるのではないかと私は思うんですが、この点いかがでしょうか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 委員御指摘のベンチャーキャピタル、それから地元の地方自治体、あるいは必ずしもベンチャーキャピタルではないんですが地元の通常の事業会社、あるいは大学の研究の教官の方々御自身、そういったことがこの出資者として想定されると思います。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 ところで、国有特許の移転を受ける認定事業者については、移転された特許をみずから実施できないということが明文で規定されておりますが、承認事業者であるTLOもみずから実施することを禁止されるのでしょうか。これは、TLOの性格、役割を規定する上で非常に重要な意味を持ちますので、明快な御答弁をお願いしたいと思います。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 認定を受ける事業者の方に関しましては、今先生がおっしゃったように、みずから実施しないということをはっきり法律に書いてございます。  一方、支援措置の対象になります承認を受ける事業者の方でございますけれども、これは法律の定義上、つまりこれは法律の第二条の一項に技術を移転するというのがこの移転事業者ということになっております。ですから、みずから実施するというのは想定していないということでございます。  ただ、非常に厳密に申し上げますと、主たる事業者が技術移転をやっていた、しかし、ごく一部で自分で実施するということが将来出てきたという場合に、直ちにそれを排除すべきかどうかという点については検討する余地があろうかというふうに思っております。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 これは非常に大事な問題だと思うんです。TLOが大学などから技術的な情報を入手して、それを例えばデータベース化して閲覧に供する、この程度の仕事であれば何も新しい法律などつくらなくても現在でも可能だと思うんです。やはり、研究や教育が本来業務である大学の先生などの研究成果を産業界が実施できるものにするためには、その研究成果の技術的あるいは産業的、経済的可能性も含めて総合的に評価をしなければ、しかも実際にそれを利用して企業が製品化するまで見届けなければ、単に情報を仲介するだけでは改めて法律をつくってやるような役割にはならないんじゃないかと思うわけです。  したがって、これは相当大学と企業の間に立って技術情報の移転あるいは製品化のためのさらなる共同研究が要るんじゃないかあるいは企業化するためにはこういうふうにした方がいいんじゃないか、相当立ち入った仕事が必要になってくるんじゃないか。そういうことをやる過程で、これは実施すれば企業化もあり得る、非常に展望があるということになれば、みずからも実施に参加するということにもつながっていくのが自然だと思うわけです。ですから、そういうことをまだ認めないともお言いにならない、可能性として排除はしないということです。  そうなりますと、私は次の問題として、もしそういうことを排除しない、認めるということになりますと、これは実用化して利益の上がる技術であればTLOみずから実施した方が効率的だ、TLOにとってもそれは都合がいいということになるわけです。そうしますと結局、俗的な表現かもしれませんが、おいしいものはTLOが自分で実施する、ほかのものをどうぞ紹介しましょうということになりはしないか。つまり、TLOに出資をしている、背景にはベンチャーキャピタルなどがあるわけですから、そういう出資者のもうけ、利益のためにのみこの法が利用される危険が生じないかと私は思うんですが、この点はいかがでしょうか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) この移転事業者というのは、あくまでも大学の研究成果を産業界に橋渡しをするというのを主たる任務というふうに私ども考えている事業でございますので、三条にございます実施指針におきまして、主たる事業としてみずから事業化を行うというものについては承認の対象にしないということをはっきりさせたいというふうに思っております。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 別の角度から伺います。  新しい技術を積極的に開発したり導入しようとするような大企業は、現在でも必要な情報はみずからの努力で収集していると思います。どの大学のどの先生がどんな研究をしているかというようなことは既にきちっと把握しております。だからこそ大学の先生と現在でも直接共同研究をしたり技術の移転を受けたりしているわけです。したがって、そういう大企業がTLOを必要とする可能性は私は低いんじゃないか。まして一々TLOを経由すればコストもかかるわけですから、あえて使う必要はないんじゃないか。  そうなりますと、TLOを必要とするのは、主としてそういうことを自前でできない中小企業になるのではないか。ところが、TLOの出資者の中心に仮にベンチャーキャピタルなどが座るということになりますと、前回の中小企業投資事業組合契約法の審議の際も指摘させていただきましたけれども、現在、日本のベンチャーキャピタルというのは、アーリーステージから中小企業を育成するという観点ではなくて、投資の対象として見ている傾向がある。そうなりますと、大学の研究成果を用いて企業化していこうなどという中小企業に対する支援ではなくて、やはりそこそこの企業に対して情報提供をするというふうに傾斜しがちじゃないか。  そうなると、大企業は自分でそういうことをやっている、そういうことができない中小企業、アーリーステージの企業に対してはなかなか支援が当たらないというふうな、ごく限られた役にしか供さない危険性がこれまたあると心配するんですが、この辺どうでしょうか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) 中小企業が大企業に比較しましていろいろな意味で劣後にあるということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、今御提案しております法案に基づきまして中小企業が技術の移転を受けたからといって、直ちに事業化に成功するというわけではないわけでございます。その意味で、この法案でお願いしております措置以外に、資金に係る問題あるいは人材に係る問題あるいは技術開発に係る問題、こういった総合的なベンチャー企業の支援策といいますか振興策、こういったことをあわせて講ずる必要があるというふうに私どもも考えております。こういったことによりまして、技術の移転を受けた中小企業が十分それを事業化する力をつけるということを想定しているわけでございます。  私ども、特に大学の成果を生かすということを考えた場合に、私が申し上げるまでもないかもしれませんが、中小企業は非常に機動性があるとかあるいは意思決定が早いとか、それから大企業にとっては必ずしもその市場規模が大きくなくて事業化にちゅうちょするものも、中小企業にとっては取り組みやすいという分野もあるわけでございます。こういった中小企業の特性を生かして、かつ先ほど御指摘のあったようないろんな劣後の点を他の施策でカバーしながらこの施策の中心的な役割を担うようにしていきたいというふうに思っているところでございます。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 もう一度、文部省に伺いますけれども、現在、国立大学や国立試験研究所の研究予算は、プロジェクト研究でありますとか競争研究など特定の研究費はふえておりますけれども、経常的研究費は低く抑えられております。こうしたもとで今度のシステムが導入されると、TLOを通じて産業界から求められる、いわばすぐもうけにつながる研究に研究の内容がシフトされていくのではないか基礎的な研究が軽視され研究活動がゆがめられるおそれがあるのではないかと私は危惧しております。先ほどの答弁を聞きまして、余計その危惧の念を強く持ちました。  先ほどの答弁では、応用研究にさらに比重を、評価を高めていこうという、それが目的なんだとおっしゃいましたけれども、今でもそういうふうにだんだんシフトされつつあるのではないかという声が大学研究者の中からも出ている中で、私、今答弁を聞きまして、このシステムが導入されることによって余計そういう危険が広がるんじゃないかと思ったわけです。先ほどの答弁は私はそういう点ではちょっと納得できないんですが、本当にそれでいいんでしょうか。大学の研究が基礎的お研究から応用的な研究に移っていく、それを促進していくという文部省の姿勢、それでいいのかどうか。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 二点分けてお答えしたいと思います。  一つは、いわゆる基盤的な研究費と競争的な研究費との関係でございまして、先生御指摘のように、科学技術基本計画におきまして両様それぞれ伸ばすべきだということにはなっておりますけれども、どちらかと申しますと競争的な資金というものの拡充の方が伸びておるということは事実でございます。これは一つには、全体の財政状況が大変厳しいということを反映してのことでもございますけれども、私どもとしてはそういう中にありましても、競争的資金、それから研究基盤的な資金、両様につきまして今後とも努力してまいりたいというように考えております。それが一つ。  それからもう一つは、基礎研究と応用研究の関係でございまして、大学におきましては基礎研究もやっておりますれば応用研究もやっております。ただし、先ほど私が申し上げましたのは、えてして基礎研究をやっている人の方より応用研究をやっている人の方が評価として、シフト云々ではございません、十分な評価が得られていないのではないか、それは改めるべきではないかという大学審議会の指摘があるわけでございまして、これはやはり尊重しなきゃならぬということでございます。  私どもとして、この法案を通じて、あるいはこの法案に限らずでございますけれども、応用研究の方を余計に振興していくとかということを考えているわけではございません。基礎研究も大事でございますし、応用研究も大事である、こういうように考えております。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 しかし、それは理念としてはわかるんですけれども、実際、研究費が、パイが小さくなっている中で、このTLOを利用すれば何らかの研究費が大学に還元されるということになれば、そういう研究にシフトしていくのは、これはやはり危険性としては排除できないんじゃないかということを危惧しているわけです。  最後に改めて伺いますけれども、この事業の中で大学の自治や研究の自主性がどのように確保されるのか、例えば実施計画の中でこの点が具体的にどのように担保されるのか明らかにしていただきたいと思います。

雨宮忠文部省学術国際局長

○政府委員(雨宮忠君) 大学の自治とかあるいは大学の研究の自主性というものにつきましては、今回の法案におきましてもそれなりの手当てと申しますか必要な措置を講じておるわけでございます。御案内のように、例えば実施指針ということにおきましても、第三条におきまして、大学における学術研究の特性というものも配慮すべき事項として掲げておるわけでございます。これらを通じまして、今回の法案によりまして、大学における自治でありますとか、あるいは研究者の自発性でありますとか、研究の自主性でありますとかということについて影響を受けるものというようには考えておらないわけでございます。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 次に、特許法の改正案について伺います。  特例法第三十六条の改正で、現在特許庁の審査官が作成をされている要約書を指定調査機関であるIPCCが作成できることになっております。要約書というのは、技術を簡潔に理解し有益な発明を探し出すために極めて重要な情報であります。これを特許庁自身が作成しなくて大丈夫なんでしょうか。

荒井寿光特許庁長官

○政府委員(荒井寿光君) 御指摘のとおり、要約書は極めて大事なものでございまして、それを的確に調査をしていくということで、この業務を指定調査機関にお願いしようと思っておりますが、法律上科学技術に関する一定水準以上の能力を求めておりますし、さらに必要な研修もしていただくという法律上の手当てもなされておりますので、そういう指定機関に委託をしても的確に業務が遂行していただけると思っております。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 二〇〇五年特許行政ビジョンの中でも、積極的なアウトソーシングとして、先行技術調査、いわゆるサーチの外注件数を拡大するでありますとか、外注分野を拡大するということが強調されております。  厳密で幅の広いサーチというのは権利を確定する上で極めて重要な過程でありまして、国として権利を付与する、特許庁自身が責任を持って行うことが私は前提であるというふうに思います。これを安易に外注化することは許されるべきではないと思うんです。ましてや権利範囲の確定でありますとか技術情報の検索のキーになる分類付与、これまでも外注化し、特許庁の審査や審判の形骸化につながるような事態になるとすれば、これは一層看過できないというふうに思うわけですが、この点いかがですか。

荒井寿光特許庁長官

○政府委員(荒井寿光君) 今御指摘ございましたが、二〇〇五年特許行政ビジョン、科学技術創造立国に向かって日本としてもしっかり特許も果たしていかなきゃいかぬという社会的な要請にこたえていこうと思っているわけでございます。  その要請の中で極めて強い要請は、審査期間を短くしてほしい、技術の陳腐化の時代でございますので早くしてほしいという要請を受けております。そういう観点から、私ども、中でできるものは一生懸命やりますが、中でできないものについては外部の方、民間の力を貸していただいてそういう社会的な要請にこたえていきたいということでございます。そのための一つの仕事としてサーチという仕事があるわけでございますが、先行技術に関する調査について定型的に行うことが可能なものについては外部の力を貸していただきたいということでございます。ただ、最終的に特許というものは国としての判断が必要でございますので、もちろん最終的な判断は特許庁の中の審査官が行う、こういう仕組みは変えないでやっていこうと思っております。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 定型的な部分とおっしゃいますけれども、それは独立して切り離された仕事ではないわけです。最終的に国が権利を付与する、そのために必要な重要な過程なんです。やはり責任ある使命感を持った方がその過程をきちっとされることが最終的には国民に対しての責任だというふうに私は理解しているわけです。  最後に、通産大臣に、特許法の改正に当たって、私が今申しましたことも含めて御見解を伺って、質問を終わります。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 知的財産権の重要性というものは、委員の御指摘のとおり、非常に高まっている状態でございますし、研究成果についても早期に権利設定を行っていくことと同時に保護をしていくことが重要だというふうに思っております。それがまた新規産業の創出だとか大競争時代への対応といった観点からも非常に重要視されてきていると考えております。  同時に、早期の権利設定ということに基づいてのアウトソーシングだとかサーチの問題とかいうことを今御指摘いただきましたけれども、外注によって行われますサーチについても、審査官が行う場合と同等に出願の内容に十分に適合した範囲を対象として適切なサーチが行われているものと、すべての面において万全を期してまいりたいと考えておりますので、その点は御理解を賜りたいと思っております。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 終わります。     —————————————

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、倉田寛之君が委員を辞任され、その補欠として阿部正俊君が選任されました。     —————————————

平井卓志自由党

○平井卓志君 二つ、三つお尋ねいたしますが、基本的に本法案の趣旨には私は賛成なんです。  ちょっと角度を変えまして、一口に言えば、この産学連携を通じて技術移転を進めるということです。その場合に、あえて私は申し上げるのをやめようと思ったんですが、昨今の情勢を見ているとそうもまいらぬ。例えば、特定の大学教員と特定の企業との間に不透明な癒着関係ができる可能性があるのかないのか、そういうことになりますと、当然これはお金が絡んできますから利権構造へつながっていく、この法案に基づいて技術移転においてはそういうふうな危惧はありませんかどうでしょうか。    〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 従来、我が国の大学の研究成果というものを見てまいりますと、研究者による特許の取得だとか管理に要する金銭的あるいは時間的な負担をカバーするというようなサポート体制に欠けていたものでありますから、研究を行った研究室と長期的な特定な関係にある企業が特許出願をしてくれるというようなケースも少なくないわけでありまして、かえってそういう意味では不透明さが現状においては指摘をされている面もあるわけなのでございます。  そういう意味で、今度の法案に基づく技術移転のシステムというのは、技術移転機関であるTLOが大学と民間事業者の間をつなぐ橋渡しのような役割を果たしていくということになってまいりますので、従来欠けていた大学の研究者に対するサポートの役目を果たすということができるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、大学における研究成果の移転を一面においては透明かつオープンな形で実現しようとするものでありますので、かえって法律案によって委員の御指摘のような点の危惧を解消する方があるのではないかというふうに考えております。

平井卓志自由党

○平井卓志君 これはぜひとも一般の人にわかりやすいようにオープンにしていただきたい。  いま一つ。TLOがライセンスによって収入を得ます。これは先ほどもいろんな考え方が出ましたけれども、その相当部分は大学の研究資金として還流されるべきじゃないか。そうなりますと、そのときに、各所のTLOにきちっとした配分のルールがあるのかないのか。でないと、公明正大に行われる保証がない。この法律案でそういう点はどういう形で担保されていますか。    〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) この技術移転事業でございますけれども、この法案におきまして、これはそもそも定義規定にありますように、大学における研究の進展に資する事業でなきゃいけないというふうになっているわけでございまして、これが要件になっているわけでございます。具体的には、実施許諾などによりまして得た資金の一部を大学へ還流する、それによって大学の研究の進展に資するべきだということを実施指針にはっきり書きたいというふうに思っております。  それから、今御指摘のライセンス収入の配分ルールの問題でございますけれども、TLOは民間の企業でございますからできるだけ自由な活動を認める必要があるというふうに思っております。そういう意味で、市場原理にゆだねることによって効率的な技術移転を図るということを考えているわけでございますので、ルールについて具体的な数値までを定めるということは適切でないというふうに思っておりますけれども、公明正大な配分のルールというものは決める必要がありまして、これを私どもとしては各TLOごとに公表する。つまり、自分のところが扱う特許のライセンスはどういう配分にいたしますよということをあらかじめ公表しておいて、それを見た上で企業なりあるいは大学なりがTLOにアプローチできるということによって公明なルールが確保できるのではないかこのように考えておるところでございます。

平井卓志自由党

○平井卓志君 おっしゃるように、各TLOはルールをきちっと公表すべきだと思う。  いま一つ。ずっと読んでみますと、実施計画というのがあります。これが出て、承認するかしないか。承認されますと政策的な支援がある。Aが承認されてBが承認されなかったと。その場合に、私が心配しているのは、行政側の裁量権の幅が大き過ぎるとまた不透明な問題が出てくる。A、B、Cとあって、何でCだけ承認されたのか。理屈は後からついできますけれども、そこのところは公平性を担保できるようにやはり事前にある種のルールがきちっとあるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

江崎格通商産業省産業政策局長

○政府委員(江崎格君) その点につきましては私どもも最も大切な点の一つだと思っておりまして、実施指針を定めるときに、承認を受ける方々にできるだけ明らかにして、どういう要件を満たしていれば承認を受けられるのか受けられないのかということがはっきりした形でわかるようにしたい、このように考えております。  こうした形で、極力裁量の余地を少なくしまして、その実施計画が承認される蓋然性が高いのかどうかということを判断できるようにしたい、このように思っております。

平井卓志自由党

○平井卓志君 いずれにしても、これからの運用の問題にかかるわけですが、この問題も前に大臣に申し上げましたように、こういう産学連携の問題というのは、アメリカと国内事情は違いますけれども、こんなのはもっと早くやらなきゃいかぬ。何でも遅いんです。今言ってもそれはしようがないけれども。  やる以上はやはり公明正大なルールでオープンにしていくということでないと私はこれからは通らないと思うんです。もうこの席では言いませんけれども、ましてや余りに各省で不祥事が多過ぎる。したがって、これからそういう可能性のある法律案についてはきちっとルールを決めて公表する。  終わります。

水野誠一新党さきがけ

○水野誠一君 この両法案については各委員からさまざまな視点からの質問がもう出ておりますので、私は四月九日の当委員会でも同じ質問をさせていただいたんですが、ベンチャー支援策としての特許情報のオンライン化について、また改めてお尋ねをしたいと思います。  このすべての特許情報をインターネットで検索できるようになる時期について、そのときは特許庁の御答弁としては、「できるだけ早いうちに」ということでありました。  現在取りまとめられています総合経済対策においてもこの施策が盛り込まれているわけでありますが、恐らくその額というのはあすにならなければ具体的な数字はわからないということだと思います。しかし、もくろみとしては本年度中に数十億円をかけて整備をしていきたいということではないかと思います。  そこで、お尋ねをしていきたいわけなんです。財政情勢が非常に厳しい中でありますから、この特許情報についてインターネットでアクセスできるシステムをつくるということは私は大賛成なんですが、できるだけ少ない費用で効果の高いものをつくっていく、費用対効果の高い考え方が必要だというふうに思います。  そういう観点から見ますと、特許情報検索システムの開発委託については、できる限り公正、透明な委託手法として競争入札の手法を用いるべきではないかというふうに私は考えています。  前回、この競争入札の問題についてもお尋ねをいたしました。政府開発委託や政府調達においてベンチャー企業支援策の一環として競争入札をぜひ検討していただきたいというふうに申し上げたところ、大臣から、非常にいい考えだ、ぜひそういう方向で取り組んでいきたいという力強い御答弁をいただいたわけであります。  そこでお尋ねをしたいわけなんですが、例えば、本当にベンチャー企業へのチャンスを開くあるいは門戸を開くという意味からいけば、入札参加資格要件を緩和するとか、そういう意味での門戸を開く検討というものが相当必要だというふうに思うわけでありますが、そういう施策が具体的に今検討されているのか、もうそれをスタートされているのかお尋ねしたいと思います。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) 御指摘の点につきましては、先般の質疑の中でお答えを申し上げたとおりでございまして、前向きに取り組んでいるところでございます。  通産省におきましては、平成十年一月一日付で、資格申請において従来二年間の実績が必要であったところでございますが、営業年数が二年に満たない申請者に係る特例というものをいたしました。これは、六カ月の場合には六カ月の実績掛ける四というような形で資格要件の緩和をいたしておりまして、事務取扱要領の改正を行ってベンチャー企業の入札機会が増大するように制度改善を、一つの例でございますが、行ったところでございます。  また、当省としましては、他の省庁に対しましてこのような対応をとっていただくように要請を行っているところでございます。さらに、先般の御質疑もいただきましたので、今後さらなる取り組みを行うように事務所に指示をいたしているところでございます。

水野誠一新党さきがけ

○水野誠一君 大変結構なことだというふうに思います。  そこで、この具体的な特許情報をインターネットで検索できるようにいかにしたらいいかという問題なんであります。こういったシステムの開発、これは実はいろいろ私も調べてみましたら、もう既に民間業者が数億円の開発費でかなり確度の高い検索システム、大体今二百万件の情報がその中にはもう既にインプットされているようでありますが、こういうものを構築した実例というのがあるわけでありまして、これは既に稼働し始めているということであります。  これと同じようなものを、政府は四千万件というような非常に膨大な情報量をお考えのようでありますが、またつくっていかれるということであります。新たにゼロからサーチエンジンのシステムを開発していくということになりますとかなり予算のむだになっていくのではないか、こういう印象も持ちます。  民間に、特に小さなベンチャー企業の中にすぐれたノウハウがある、こういう事実もあるわけであります。企業規模にとらわれずに、こういう先行技術を活用していくというようなこと、こういうチャンスが果たしてあるものなのかどうか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。

荒井寿光特許庁長官

○政府委員(荒井寿光君) 私ども、特許情報を中小企業の方とかベンチャー企業の方を初め、全国広く使っていただくということは非常に大事なことだと思っておりまして、特に最近のインターネットの技術の開発によりましてそういうことが相当可能になってきたというふうに思っております。この辺、先生の御指摘のように、私どもも全く同じような考えを持っているわけでございますが、そういう観点から総合経済対策あるいはいろいろな補正予算の議論においても、そういう社会の要請にこたえていくためにはどうしたらいいか、今議論をして検討しているところでございます。  そういうことで、いろいろな対策がはっきりして、どのようなシステムが認められていくか、具体的に明らかになった段階で公正な適正なシステムの開発をしていきたいと思っております。

水野誠一新党さきがけ

○水野誠一君 この特許情報のオンライン化ということ自体がベンチャーにとって非常に有益な情報提供であるということと同時に、そのシステムをつくる上でもベンチャーの知恵とか能力を大いに活用するということがこの特許のオンライン化ということの非常に大きな意味ではないかというふうにも思いますので、大企業に偏重せず、ぜひこういったベンチャー企業のすぐれた技術というものも御検討いただきたいというふうに思います。それを一言申し上げて、質問を終わりたいと思います。

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案の討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

山下芳生日本共産党

○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案に対し、反対討論を行います。  日本共産党は、大学や国立の試験研究機関における研究成果は、基本的には成果を上げた研究者のものであるとともに、国民共有の知的財産であり、これらの成果が工業所有権を含め、さまざまな形態で広く社会的に還元され活用されることは有意義なことであると考えるものであります。  しかし、本法案は以下述べる問題点があるので、反対せざるを得ません。  反対する最大の理由は、本法案が大学等の学術研究を大企業の利益追求に従属させ、真理の探求を通じて人類社会の進歩に貢献するという本来の役割を阻害するおそれがあるからであります。  近年、大学や国研の経常研究費が抑制される一方で、提案公募型や競争特研などの研究費が急増し、特定大企業に直結する研究が重点的に促進されています。こうした現状のもとで、本法案の第九条で「特定研究成果の民間事業者への移転の促進に資するため、大学における学術の応用に関する研究の進展が図られるよう必要な配慮をする」ことを文部大臣に義務づけ、技術移転事業が促進されれば、基礎研究が一層抑制され、特定大企業に奉仕する研究への重点化が進むことは明らかであります。これは大学等における学術研究の豊かな発展を阻害し、ゆがめることになるのであります。  以上、本法案に反対する理由を述べて、討論を終わります。

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決に入ります。  まず、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  平田健二君から発言を求められておりますので、これを許します。平田健二君。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 私は、ただいま可決されました大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合、自由党、新党さきがけの各派及び各派に属しない議員椎名素夫君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、民間事業者への特定研究成果の円滑かつ効果的な移転促進を図るため、国立大学等の研究者が技術移転機関の役員等の職を兼ねることを可能とする措置について、早急に結論を得ること。  二、国立大学等の研究者が、その研究成果を事業化しようとする民間企業の事業活動に、主体的に参画できるような制度について、積極的に検討を進めること。  三、大学等からの民間事業者への技術移転の促進を図る上で、特定研究成果に対する市場性の評価が重要であることにかんがみ、技術評価やマーケティングに精通した人材の養成及   び確保に努めること。  四、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転を促進するための措置がとられることにより、いやしくも基礎研究に対する取組が軽視されることのないよう、十分に注意すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) ただいま平田健二君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 多数と認めます。よって、平田健二君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堀内通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堀内通商産業大臣。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 次に、特許法等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  畑恵君から発言を求められておりますので、これを許します。畑恵君。

畑恵自由民主党

○畑恵君 私は、ただいま可決されました特許法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合、新党さきがけの各派及び各派に属しない議員椎名素夫君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、知的財産権の侵害訴訟の解決の迅速化を進め、権利の保護強化を図るため、文書提出命令の拡充、計算鑑定人制度の創設等、訴訟手続きの見直しについて引き続いて検討を行い、早急に結論を得るよう努めること。  二、工業所有権制度の国際調和の重要性にかんがみ、特許制度の調和を目的とする特許法条約の制定に最大限の努力を払いつつ、商標の国際登録制度への加盟についても、その実現に積極的に取り組むこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) ただいま畑恵君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 全会一致と認めます。よって、畑恵君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堀内通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堀内通商産業大臣。

堀内光雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(堀内光雄君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉村剛太郎自由民主党

○委員長(吉村剛太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会      —————・—————

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