外交・防衛委員会 第5号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/03/26
会議録
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨日、横尾和伸君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。 また、本日、岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として鈴木政二君が選任されました。 —————————————
○委員長(及川順郎君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に吉田之久君を指名いたします。 —————————————
○委員長(及川順郎君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件、大陸棚に所在する固定プラットフォームの安全に対する不法な行為の防止に関する議定書の締結について承認を求めるの件、千九百七十一年九月二十三日にモントリオールで作成された民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約を補足する国際民間航空に使用される空港における不法な暴力行為の防止に関する議定書の締結について承認を求めるの件、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約第十条2を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とカタル国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とバハレーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上九案件を便宜一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。小渕外務大臣。
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。 改正の第一は、在デンヴァー日本国総領事館(アメリカ合衆国・コロラド州)の実館としての新設を行うことであります。 改正の第二は、国名変更等に伴い、在ユーゴースラヴィア、在西サモア、在コンゴー及び在ザイールの各日本国大使館の名称等の変更を行うことであります。 改正の第三は、在デンヴァー日本国総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めるとともに、最近における為替相場及び物価水準の変動を踏まえ、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額の改定を行うことであります。 改正の第四は、同様の理由から、在外公館に勤務する外務公務員の研修員手当の手当額の改定を行うことであります。 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額の改定は、在外公館に勤務する外務公務員の生活に直接関係することであり、四月一日から実施する必要があります。また、名称変更は、各国の国名変更等が既に行われていることから、早急に行う必要があります。さらに、在デンヴァー日本国総領事館の新設についても、法律成立後に行う先方政府との協議その他の諸準備に相当の時間を要しますことから、できるだけ速やかな法改正が必要であります。 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。 何とぞよろしく御審議をお願いいたします。 次に、海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この条約は、昭和六十三年三月に国際海事機関の主催によりローマで開催された国際会議において作成されたものであります。 この条約は、船舶の奪取、破壊等を犯罪として定め、その犯罪についての裁判権の設定等につき規定するものであります。我が国がこの条約を締結することは、海洋航行の安全を増進するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、大陸棚に所在する固定プラットフォームの安全に対する不法な行為の防止に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この議定書は、昭和六十三年三月に国際海事機関の主催によりローマで開催された国際会議において作成されたものであります。 この議定書は、大陸棚等に所在する固定プラットフォームの奪取、破壊等を犯罪として定め、その犯罪についての裁判権の設定等につき規定するものであります。 我が国がこの議定書を締結することは、大陸棚等に所在する固定プラットフォームの安全を増進するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。 次に、千九百七十一年九月二十三日にモントリオールで作成された民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約を補足する国際民間航空に使用される空港における不法な暴力行為の防止に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この議定書は、昭和六十三年二月に国際民間航空機関の主催によりモントリオールで開催された国際会議において作成されたものであります。 この議定書は、国際反間航空に使用される空港における不法な暴力行為等を犯罪として定め、その犯罪についての裁判権の設定等につき規定し、民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約を補足するものであります。 我が国がこの議定書を締結することは、国際反間航空に使用される空港における安全を増進するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。 次に、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約第十条2を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この議定書は、平成四年六月四日及び五日にマドリッドで開催された大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締約国の全権委員会議において採択されたものであります。 この議定書は、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約に規定する分担金の算出基準を改正することにより、同条約の円滑な運用を促進することを目的とするものであります。 我が国がこの議定書を締結することは、大西洋におけるまぐろ漁業に関する国際協調の促進及び我が国のまぐろ漁業の安定した発展を図るとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。 次に、航空業務に関する日本国とカタル国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、カタル国との間で航空協定を締結するため、カタル国政府と交渉を行いました結果、平成十年三月四日にドーハにおいて、我が方永井駐カタル特命全権大使と先方アハメド通信運輸大臣との間でこの協定に署名を行った次第であります。 この協定は、我が国とカタル国との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。 この協定の締結によって我が国とカタル国との間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 次に、航空業務に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、オマーン国との間で航空協定を締結するため、オマーン国政府と交渉を行いました結果、平成十年二月二十四日にマスカットにおいて、我が芳香田野オマーン特命全権大使と先方ガザ一ツー交通大臣との間でこの協定に署名を行った次第であります。 この協定は、我が国とオマーン国との間の定期航空業務を開設するしと等を目的としており、それらのための権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものでおります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。 この協定の締結によって我が国とオマーン国との間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 次に、航空業務に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、アラブ首長国連邦との間で航空協定を締結するため、アラブ首長国連邦政府と交渉を行いました結果、平成十年三月三日にアブ・ダビーにおいて、我が方小池駐アラブ首長国連邦特命全権大使と先方ターイル交通大臣との間でこの協定に署名を行った次第であります。 この協定は、我が国とアラブ首長国連邦との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。 この協定の締結によって我が国とアラブ首長国連邦との間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。最後に、航空業務に関する日本国とバハレーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、バハレーン国との間で航空協定を締結するため、バハレーン国政府と交渉を行いました結果、平成十年三月四日にマナーマにおいて、我が方目黒駐バハレーン特命全権大使と先方ハマル運輸民間航空担当次官との間でこの協定に署名を行った次第であります。 この協定は、我が国とバハレーン国との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。 この協定の締結によって我が国とバハレーン国との間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 以上八件の条約の締結につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○委員長(及川順郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 九案件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(及川順郎君) 速記を起こしてください。 暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 ────◇───── 〔参照〕 外交・防衛委員懇談会速記録 平成十年三月二十六日(木曜日) 午後三時五十九分開会 ————————————— 出席者は左のとおり。 委員長 及川 順郎君 理 事 笠原 潤一君 須藤良太郎君 武見 敬三君 吉田 之久君 高野 博師君 委 員 国井 正幸君 塩崎 恭久君 鈴木 政二君 野間 赳君 二木 秀夫君 宮澤 弘君 齋藤 勁君 竹村 泰子君 広中和歌子君 木庭健太郎君 田 英夫君 吉岡 吉典君 田村 秀昭君 佐藤 道夫君 ————— オーストラリア国外務大臣 アレクサンダー・ダウナー君 (通訳 池田 薫君) (通訳 加藤 紀子君) ————————————— 案件 ○日豪関係とアジアについて —————————————
○委員長(及川順郎君) ただいまから外交・防衛委員とダウナー・オーストラリア外務大臣との懇談会を開会いたします。 本日は、オーストラリア国外務大臣アレクサンダー・ダウナー閣下をお招きいたしております。 参議院外交・防衛委員会を代表いたしまして、一言ごあいさつ申し上げます。 本日、アレクサンダー・ダウナー・オーストラリア外務大臣閣下を当委員会にお迎えし、オーストラリアと我が国の友好関係の促進、アジアに対するオーストラリアのかかわり方などにつきまして意見交換ができますことは、私の深く喜びとするところであります。 御承知のように、オーストラリアと我が国は、アジア太平洋地域における二大経済国として、これまで地域の繁栄と開発に重要な役割を果たしてまいりました。加えて、昨年八月には、政治、文化を含む幅広い協力を進めるため、今後の日豪間協力の具体的課題を取りまとめた日豪パートナーシップ・アジェンダを採択したところであります。 来るべき二十一世紀は太平洋の時代になるであろうと言われる中で、日本とオーストラリアの関係の重要性は一層増大しております。その意味からも、このような機会を得ましたことは、まことに意義あるところと確信いたします。 本委員会の進行は、まず冒頭、ダウナー外務大臣閣下から日豪関係とアジアをめぐる諸問題につきまして、基本的な御所見を拝聴し、その後、委員各位との意見交換をお願いいたしたいと考えております。 私は、両国関係が二十一世紀において、よりよく進展するよう心から期待をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、アレクサンダー・ダウナー閣下からお話をお聞きいたしたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳) まず冒頭に、委員長及び委員会の皆様方にこのような機会を与えてくださったことに対し深く御礼申し上げたいというふうに思っております。また、参議院の皆様方、このような外交・防衛委員会をおつくりになったということをとてもうれしく思っております。 オーストラリアにおいてももちろん上院というのがございまして、日本の参議院に当たると思うんですけれども、我々のところにも同じような外交・防衛委員会ができております。このような委員会をおつくりになったことをお祝い申し上げたいと思いますし、行政府の仕事ぶりについて上院議員としても注視しているところであります。 さて、日豪関係というのは最も重要な二国間関係の一つであるというふうに思っておりまして、何が一番大事かと言いますと対日関係だというふうに思っているわけであります。もちろん豪米関係というのも重要であり、中国、インドネシアとの関係も同じように重要視はしております。 また、日豪はそれぞれたくさんの共通点を持っていると思います。歴史ですとか伝統の面では変わっている点もあると思いますけれども、民主主義的な国家であって議会制度を標榜しているところであります。こちらの国会にお邪魔しても国にいるようなイメージがあります。非常に似ております。議会をベースにした民主主義ということでやっているからであります。私は外務大臣でありまして議員でありますけれども、小渕外務大臣ももちろん国会議員であられるということで、非常に深いきずながあるというふうに思っております。 そして、非常に二国間の理解が樹立できているというふうに思います。制度について、またそれぞれ市場ベースの経済であったということで経験も豊かであるわけです、日豪両方とも。ですから、近代的な自由化されたマーケットがどのように機能するのか、そして民主的な政治機構についても、十分その機能の仕方についてはよくわかっているわけであります。しかし、アジア太平洋地域のその他の国はそこまでは行っていないということも言えるかもしれません。我々同士は、似た経済及び政治の体制を持っているということであり、開発の度合いということにおいても共通点が多いというふうに思っております。 これ以外にもたくさん共摘要因があります。違いを重視するよりは、日豪間でいかに類似性が多いかということに注目すべきであるというふうに思います。 外交問題についてもそうであるというふうに思います。アジア太平洋地域において日豪がそれぞれ非常に似通った立場をかなりの点についてとっているわけでありまして、こちら側の太平洋諸国のことを見ますと、どうしても日豪間の見解の似通った性格というのが強いというふうに思っております。だからこそ、私は対日関係を大切にしているわけであります。 また、現実的な観点からもいろいろな側面を二国間関係は持っております。例えば、日本はオーストラリアにとって最大の輸出市場である、オーストラリアは日本にとって第四番目、第五番目からの輸入国ということになっているわけであります。もちろん大きな貿易黒字を日本は持っておりますが、貿易赤字が多いから日本に対して文句を言うといったような立場には全然ないわけです。 また、かなりの日本の投資がオーストラリアに来ておりまして、こういった直接投資というのはバランス上非常にいいというふうに思っております。日本から投資なさっておられる企業は大いに裨益しておられるところだというふうに思います。というのは、日本からの投資で大いに助かっておりまして、雇用が創出され、そのおかげで生活水準を維持し改善することもできているからです。 最初に申し上げましたように、オーストラリアと日本というのは非常に似通った点が多い国同士であります。 さて、これを申し上げた上で、本日は特に集中的に二つの話題に絞ってアジア太平洋地域の問題を考えてみたいというふうに思っております。 第一番目は安全保障環境、第二番目は経済環境ということであります。そして、この二つのことについてお話し申し上げるということで、日豪がいかに意見が似通っているかということがまたわかってくるというふうに思います。 まず、安全保障環境についてでありますけれども、アジア太平洋地域においては、御存じのように、この地域というのは必ずしも簡単な関係を持ってきたところではございませんでした。ぎくしゃくしていたんですけれども、冷戦が終わったということで大きなチャンスが開けてきたということで、平和と安定を力強いものにするチャンスを与えられたわけであります。このチャンスを使わない手はありません。このチャンスを逸してしまえば、最終的にはそのチャンスをものにすることなく時代が通り過ぎてしまうということになるからです。 この安全保障については引火点ということで結構きな臭いところがあります。北朝鮮との関係ですとか中国、また台湾の扱いといったようなことについては紛争点になるかもしれないということ、南シナ海をめぐっても問題があるということで、三つの領域はすぐ紛争が起こるかもしれない地域ということでアジア太平洋で挙げることができるぐらいであります。何か事が起こってしまえばエスカレートしてしまうという危険をはらんでいるわけです。 日豪関係の現状なんですけれども、アメリカの関与が当該地域において安全保障では欠かせないというふうに思っております。基本だというふうに思っております。例えば、アメリカをこの地域から排除してしまえば全く違った形での安全保障のダイナミズムが働いてしまう、ダイナミックな力学が働いてしまうということで危険になってしまうというふうに思います。 日本はアメリカの同盟国であられる。同様にオーストラリアもアメリカの同盟国であるということで、こういった取り決めを通しまして日本は北にオーストラリアは南に控えているということであります。この地域にはもちろん韓国もあるわけで、韓国もアメリカと同盟を結んでいるという関係になっているわけです。このような同盟関係があるからこそ、アメリカの安全保障における役割が確固たるものに当該地域でなっているということであります。 同盟関係につきましては、もちろん日本でも問題視されるときもある。また、オーストラリアの中でも何でアメリカと同盟関係を結ぶのかと批判めいたことを言う人はいるんですけれども、それでも国民の大半は単純な点をちゃんと理解してくれています。アメリカをこの地域から排除することはできない、なぜならそんなことをしてしまえば安全保障環境はもっと危険な状態になってしまうということは国民の大半がわかっていることであります。 また、日豪それぞれが意を尽くしまして当該地域の安全保障を構築しようとしております。そして、目指すは協力的な安全保障体制ということであります。それぞれASEANリージョナル・フォーラム、ARFのメンバーになっているわけで、毎年一回外相会議も開かれております。それからまた、セッション間の会合ということで年次会合の途中にも会合を開くということになっておりまして、非常に歯にきぬ着せぬ形で安全保障問題について意見交換が忌憚のない形で行われております。 まだ四回しか会議は開かれておりません。ことしの会議は七月に開かれる。これが第五回目のARFの会合ということになるんですけれども、これは非常に重要なイベントであるというふうに思っております。こういったところを通してアジア太平洋地域の安全保障を構築することができるからです。 また、オーストラリア、日本両方について言えることなんですけれども、対話のネットワークということでいろんな安全保障についての討議のネットワークをつくろうというふうにしております。例えば、防衛庁の人たちも含めて日本とオーストラリアとの間で会合を持ちまして、域内安全保障について話すという機構を持っておりますし、同様に中国ともそのような機会を持っております。また、インドネシアは近隣諸国なんですけれども、こういったところと話すということになっております。 以上が安全保障関係ということなんですけれども、非常に緊密な形で日豪間では協力が安全保障の面で進んでおります。 それでは、経済関係についてなんでありますけれども、既に申し上げましたように、日豪両方とも市場をベースとした経済国である、工業先進国であるということ、そして域内経済の発展はこうあるべきだということについては似通った見解を持っているというふうに思います。だからこそ今まで緊密に協力し合ってまいりました。そして、全体的なアジア経済の危機が今回もたらした影響についても対処しようとしてきたわけであります。もちろん深刻な問題でありまして、現在我々も検討しているところであります。というのは、すべてのオーストラリアの輸出の六一%は東アジアに出ているということであり、また七五%はAPEC諸国向けといったような形になっておりますので、当然のことながら我々はアジアの危機については頭を痛めているわけであり、国益も絡んでいるということで心配しているところであります。 特に、韓国の問題ということでありますけれども、これは我々にとって第二に大きい輸出市場であり、またタイもインドネシアも我が国にとって同様に重要であります。 日豪はそれぞれいろんな点について合意をしています。例えば、第一にIMFのパッケージとリストラの方策ということが不可欠要因になっておりますけれども、これを実行するということがこの三カ国がこれから立ち直っていく上で前提条件になるということであります。 構造的な問題を抱えているわけですから、それを解決するためにはかなりの程度経済のリストラをやっていかなくてはいけないということ、そのためにはIMFのプログラムを実行しなくてはいけないということです。日本とオーストラリアというのは、唯一世界で東アジアの三つのIMFのプログラムをサポートしている国であります。これは非常にいいことだというふうに思っており、日豪関係の緊密さを示すものであるというふうに思っております。 さて、インドネシアとIMFの関係なんですけれども、我々が予想したようには展開しなかったということは言えます。この数週間に橋本総理もインドネシアにいらっしゃった、ジャカルタにいらしてスハルト大統領とお話をなさったところであります。私自身はワシントンに参りましてカムドシュIMF専務理事ともお話をしてまいりました。また、ウォルフェンソン世銀総裁とも話をしてきたわけであります。もちろんアメリカの方たちともいろいろお会いしてまいりました。 ですから、日豪はそれぞれ勤勉に働いてきたわけでありまして、IMFとインドネシアがうまくいくようにということで心を砕いてきたわけであります。もしインドネシアとIMFとの結婚ということがうまくいかなければ、もちろん非常に深刻な打撃がインドネシア経済に及んでしまうということになり、これが伝染効果を必ずやその他の国にももたらしてしまうということでありますので、だからこそ日本とオーストラリアは非常に心配をしているわけです。 日本の場合ですけれども、邦銀はかなりの貸し付けをインドネシアになさっておられるということであります。また、オーストラリアの銀行はそれほどインドネシアに対してのエクスポージャーは多くないんですけれども、一番の近隣諸国はインドネシアでありますので、我々としてもぜひインドネシアが繁栄を維持し安定してほしいというふうに思っております。そして、不安定が広がってしまうといったようなことがインドネシアで起これば、結局我々にとってもマイナスの影響が出てしまうということは否めません。 ということで、以上ざっと御説明申し上げましたけれども、日本とオーストラリアというのは、非常に同じような考え方を持った共摘要因の多い二国であるということを御説明したつもりであります。これからも緊密に協力をし合いまして、さらにより繁栄をきわめるような地域にしていきたい、そのために貿易をもっと自由化していきたいというふうに思っております。 日本とオーストラリアはAPECの創設国でもあるわけでおります。このAPECの関係を通しても緊密に協力し合いましてボゴール宣言がちゃんと実現できるように、先進国にとっては二〇一〇年までには自由化する、そして二〇二〇年までには途上国を対象にしても自由化するということを目指して今鋭意努力しているわけであります。APECを通して貿易をさらに円滑化、自由化したいと思っております。 もちろん、今はアジアにとっては困難な時期に当たっておりますけれども、貿易の自由化というのは手を緩めてはいけないというふうに思っております。もし自由化が進まないということになると域内経済、グローバル経済は大いに打撃を受けてしまうということでありますので、アジアの経済危機に対応するためには保護主義ではいけないということです。みずからを孤立させて閉鎖してしまってはマイナスの影響がグローバル経済に出るだけであります。日本とオーストラリアはこの点を十分踏まえております。だからこそ緊密に協力し合って、APECのようなところを促進しているところであります。 かなり一方的にしゃべってしまいましたので、もう一度戻りますけれども、参議院の皆様方、この委員会の方々に申し上げたいんですけれども、こういった外交的な問題、経済的な問題についてこれから意見交換することを楽しみにしております。 また、考えてみますと、どちらかというと昔はオーストラリアというのはヨーロッパの出先のような形態を持っていたわけでありますけれども、もうこの数十年歴史的な転換を誇ってきたわけであります。本当の意味で多文化、多元社会をつくっておりまして、百三十カ国からの出身の人たちがオーストラリア国民になっておられる。宗教も違う、人種も違う、文化も違う。しかし、出身は違うけれども非常に調和して、みんな幸せにオーストラリアで暮らしております。非常に誇りに思っております。 それから、もう一つ大きく変わったことは、アジア太平洋地域全体が変わったということで、オーストラリアは今やこの域内に対して、国際経済政策、外交政策の中でアジア太平洋を一番重要視するようになってきているわけです。オーストラリアも確固たる統合をアジア地域にしているということで、とてもうれしく思っております。そして、アジア太平洋地域に菊いて、いいときも悪いときもずっと統合した形でいきたいというふうに思っています。今は悪いときと言えましょう、景気も悪いですけれども、それでもアジア太平洋の一員としてこれからもやっていきたいというふうに思っております。 お時間をいただいてどうもありがとうございました。このように現役の外国の議員がこの席にお邪魔して意見を申し上げさせていただくのは初めてと伺っております。もちろんジミー・カーター氏も先日お邪魔したようでありますけれども、もう現職の政治家ではあられませんので、現職ということでは私が初めてかもしれませんので光栄に思っております。これからもぜひこれを契機にいたしまして日豪関係を促進していきたいと思っております。 以上です。どうもありがとうございました。(拍手)
○委員長(及川順郎君) ありがとうございました。 それでは、ただいまから意見交換を行いたいと存じます。 御意見のある方は挙手を願い、私の指名を待ってから御発言願いたいと存じます。 なお、時間も限られており、より多くの委員が発言できますよう、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。 それでは、御意見のある方は挙手を願います。
○武見敬三君 自由民主党の武見と申します。 本日は、ダウナー外務大臣閣下がこの外交・防衛委員会の懇談会に御出席いただけたこと、心から感謝を申し上げます。 特に私が閣下を歓迎したいのは、やはり二十一世紀の南北を結ぶ最も重要な二国間関係が日本とオーストラリアとの二国間関係であろうと考えるからであります。そして、特に閣下も御指摘のとおり、日本とオーストラリアはともにアメリカの同盟国であります。そして、冷戦が終結した後のアジア太平洋の安全保障のあり方についても極めて共通の考え方を持っているわけであります。 我が国も一九九六年四月に日米安保共同宣言というものを出しました。また、アメリカと豪州との間でもその同じ年の七月に同様の宣言が出されたと聞いております。これはいずれも、冷戦後もアメリカの軍事的プレゼンスをアジア太平洋で維持することにその意義を認めたものであります。 アメリカとの間で、貴国の場合には既に情報通信の施設などを置いておられるほかに、近年はアメリカの海兵隊との合同演習なども行って、より緊密な関係を持つようになっておられると伺っております。 したがって、こうした貴国オーストラリアとアメリカとの同盟関係が今後いかなる方向に向けて緊密な関係を確立していくのか、その点についての閣下のお考えをお聞かせください。
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳) 武見先生、非常にお詳しくて事情通であられるということがよくわかりました。 共同宣言ということで言及なさいましたけれども、確かに九六年四月に日米間で宣言が出されたわけで、オーストラリアとしても公の場でサポートしてきたわけであります。これは新たに強化されたアジア太平洋地域における安全保障についての了解ということであり、また九六年七月は同様にオーストラリアとアメリカの間で宣言が発出されておりますので、この九六年というのはアジアにおける安全保障にとって非常にいい年であったというふうに評価しております。 我々の期待としましては、向こう十五年間ということを考えてみますと、もしくは十五年以上ということかもしれませんけれども、これからもずっとアメリカが基本的に重要な一国としてアジア太平洋の安全保障に関与し続けてほしいというふうに思っております。ですから、今の安保取り決めが多分ずっと続くというふうに私は思っております。 共同施設ですとか、また共同安全保障維持の施設の利用ということについても取り決めを持っているわけです。武見先生がおっしゃったように、頻繁に軍事演習というのもアメリカと一緒にやってございますし、またアメリカはオーストラリアの一部を利用して訓練、演習をするといったようなこともしております。ですから、こういった形での米豪間の軍事的な協力というのは非常に緊密なものがございまして、これからもそうあり続けるであろうというふうに思っております。 グローバルな出来事におけるアメリカの果たす役割というのはこれから減っていくというふうには思っておりません。向こう十五年、二十年ということで申し上げているわけで、二十年以降どうなるかということはとても私としてはまだ予想はできないんですけれども、当面のところはアメリカの関与というのは非常に重要であり続けるというふうに思っております、世界的に。 アメリカは、確実に世界でも最も強力な国として向こう十五年、二十年ずっと存在を続けるでありましょう。だからこそ、我々としても、基本的にアメリカに重要な役割をアジア太平洋の安全保障維持に果たしてほしいと思っています。
○広中和歌子君 民友連に所属いたします広中和歌子でございます。 私は、オーストラリア・エイジア・インスティチュートのボードメンバーでございまして、この会議に出席するのをいつも楽しみにしております。 貴国オーストラリアが白豪主義を捨て、そしてアジアの一部という認識のもとに、アジアとのつながりの中で共存共栄を図っていくという御方針を打ち出されてきていることに私は心から歓迎の意を表すると同時に、事実、一九八〇年にはPECCを軌道に乗せられたり、また一九八九年にはAPEC創設に関してリーダーシップを発揮されたことにも心から敬意を表しているものでございます。 さて、アジアというのは世界の成長センターとして考えられ、二十一世紀はアジアの世紀と言われていたのはつい半年ぐらい前でございました。それが香港返還あたりから様相が変わり、タイのバーツの下落を皮切りにアジア各国で連鎖的に金融不安が広がっているわけでございます。日本に関しましても、日本は経済大国ですけれども、バブル崩壊後、金融に絡む問題から経済が長期にわたってリセッションが続いているわけです。 こうしたことがアジア全体の実体経済にマイナスの影響を及ぼしているということはもう明らかなことでございますけれども、こうした中でオーストラリアというお国は現在どういうふうに対応していらっしゃるのか。そしてまた、将来アジアの経済についてどのような展望をお持ちなのか、そのためにどういうリーダーシップを発揮されるのか、お伺いいたします。 IMFパッケージについてのお考えはお伺いいたしましたけれども、さらに突っ込んだお話を例えればと思います。 どうもありがとうございました。
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳) ただいま広中先生より御質問いただきました。 我々としては、二十一世紀は今でもまだ太平洋の時代になる、アジアの時代になるというふうに思っています。 と申しますのも、もちろん確かに幾つかのアジア諸国は今は経済的に不安定でありますけれども、絶対この問題は克服できるというふうに思っております。いつまでにとはあえて申し上げませんけれども、それほど遠い将来を待つことなくちゃんと克服できるというふうに思っておりますし、困難を回避できるような国もあると思います。例えば、中国は困難に陥らないだろうという楽観的な見解も出ているところでありますし、また多くの地域における国もそうであろうというふうに言われております。ですから、アジア太平洋地域のはずみそのものはスピードは少し落ちるかもしれません。しかし、また将来必ずやこのスピードは回復できるというふうに思っております。 先ほどの講演でも申し上げましたふうに、アジアの経済危機が起こったということで、悪いニュースもあったけれども、朗報もあるということです。悪いところは皆さんよくおわかりだと思いますけれども、朗報もあるわけです。 なぜかと申しますと、日本とオーストラリアを見てみますと、結局こういう危機が起こったからこそいや応なしに我々はリストラを強いられている。そして、これがうまくいけば構造的にもより強いものになって、より透明性のある制度を持って、より自己責任を持った形で生まれ変われるというチャンスを与えられたということであるからであり、より民主的な度合いを上げて、新しいまたより強くなった構造を持った国として生まれ変われるチャンスが来たということで、朗報でもあるというふうに思っているわけであります。 それから、中期的な見通しということになると、楽観的に思っております。短期的な見通しということになると、上下変動があるんじゃないかというふうに思っております。これがオーストラリアとしての見解です。 もちろん、APECについて私の講演でも触れたところでありますけれども、APECにはハッパをかけまして、もっと貿易の自由化を続けるようにということでプッシュしているところであります。このはずみを当該地域でキープしていくことが困難な時代だからこそ重要であるというふうに思っております。 また、IMFはこの三カ国を対象としたパッケージに絶大な支援を送っているところであります。この三カ国、それぞれ経済の規模が大きいということもございますし、またオーストラリアはIMFのもちろん理事とも緊密に連絡をとりまして、ちゃんとこのパッケージが現実味を持ってバランスのとれた内容になるようにということで作業しているところであります。金融コミュニティーの支援をちゃんと得ること。ができるように、そしてそれほど大きな社会混乱をもたらすことなく実施に移されることを願っているということであります。 また、オーストラリアはさらに努力をしまして、人道的な観点からの支援パッケージをまとめようとしております。大いに影響を受けられている人たちもいますので、特にインドネシア向けということなんですけれども、二億人の人口を擁している国であり、生活水準もかなりの程度まだ低いということがございます。ますます物価が上昇してきて、今度は基礎的な食料品の物価の値上がりがひどいということ、失業率も急速に伸びているということでございまして、非常に厳しい環境になっておりますので、こういった国々に対しては、特にインドネシアに対しては人道主義的な援助、支援を出すことが適切と思っております。 日本もアメリカもまた世銀も含めまして、オーストラリアももちろんなんですけれども、ともに協力をし合い、何とかお互いの支援策の調整をしようではないかというふうに考えています。 世銀が四月一日にワシントンで会議を開くということになっております。そこで各国が集まりまして、オーストラリアもアメリカも集まるわけなんですけれども、多分EUの参加もあると思うんですけれども、そしてインドネシアの方々も出席なさるということで会議を開きまして、何が一体必要なのか、どういう対策が必要なのか、だれが何をするのかということを決めるという手はずになっております。こういった人道的な支援を出すということについてもオーストラリアはかなりの働きをしております。 これはIMFとは直接は関係ないということで、別にIMFのコンディショナリティーに準拠するようなものでは全くございません。あくまでも人道主義的な観点からの支援ということです。 また、広範な形で外交活動もアジアで展開しております。もちろんアメリカともそうです。私はアメリカに行ってきたばかりなんですけれども。また、ヨーロッパとの関係も重要です、オーストラリアにとっては。 EUの銀行もこれからは非常に重要な役割を債務のリストラクチャリングに果たすべきであるというふうに思っております。もちろんこれは日本にとっても重要であるということなんです。また、日本は世界にとっても重要であるということなんですけれども、いずれにしても、最大限尽くしましてアジアのために働きたいというふうに思っております。 ただ、最終的には、それぞれ主権国家である、みずからの国民が統治するそれぞれ独立した国家でありますので、その意思決定はみずからその国に任せるということで、きっといい決定をしてくれるのではないかというふうに思います。 いい決断というのはするのが難しい、人気がとれないかもしれません。しかし、困難なことでも決定はしなくてはいけないということです。まさにオーストラリアもこれを実体験してまいりました。今のところはやっとオーストラリアの経済はうまくいくようになってきましたけれども、それにたどりつくまでには痛みを伴った非常につらい時期もあったわけです。 以上です。
○高野博師君 公明の高野でございます。 本日はダウナー外務大臣と意見交換する機会を得られまして光栄に存じます。 二つお伺いしたいと思います。 アジア太平洋の安全保障、安定と平和のためにオーストラリアの重要性というのが最近非常に強まっている、高まっていると私は認識しておりますが、中国で最近朱鎔基首相が誕生し、そして韓国では金大中の新しい体制になった。そこで、オーストラリアとの安保対話というのは今後進展するのかどうか、その点を一つお伺いしたいのと、もう一つは、これは教えていただきたいのですが、米国とオーストラリアの安全保障条約、防衛協力、これは地理的な概念で適用されるのかどうか。 つまり、先ほど大臣から、北朝鮮とか台湾もちょっときな臭い面があるという御発言がありましたけれども、朝鮮半島とか台湾等についてこの米豪安保条約というのは有事の際に適用されるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。というのは、日本とアメリカとの防衛協力のガイドラインの中で周辺事態という言葉があるんですが、この概念が非常に議論になっておりますが、オーストラリアはどういう防衛協力になっているのか、お伺いいたします。
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳) まず第一に、朱鎔基氏が首相になられたということでとても歓迎しているところであります。偉大なリーダーであられますし、オーストラリアでもよく知られた人物であります。よく頻繁にオーストラリアを訪れられていたこともあり、国際的にも優秀な方ということで定評があります。オーストラリアとしても朱鎔基氏とは非常にいいコンタクトを持ってきたということ、改革派であられますし、もう既に非常にいい仕事をなさっておられるということで、中国の経済のリストラなどを手がけておられる方であります。 今回首相になられたということは、非常に前向きの展開であるというふうに日豪の二国間関係からも見ております。また、中国としても強いコミットメントを持って経済を改革しリストラしていくんだという気概がさらに強くなったというふうに思います。 そして、中国はより建設的な形で当該地域における安全保障構築にもこれから加わってくるというふうに思います。中国を封じ込めるということにつきましては、アメリカの行政府とは言いませんけれども、アメリカの一部の人で中国を封じ込めた方がいいんだというふうに言っている人がいますけれども、これはそういうふうにはならないというふうに思います。中国をもし敵と呼んでしまえば本当に中国は敵になってしまうということでありますので、こんなことがないように中国を巻き込むということが必要であるというふうに思います。中国を参画させるということです。 APECにも入れる、ARFでも活躍してもらうという形で中国が関与し続けるということが重要であると思います。それのかぎとなるのが朱鎔基氏であるというふうに思います。コミットメントが強い方でありますから、もう本当に朱鎔基さんのように高い資質を持ったリーダーはなかなかいないんではないかと思います。 金大中さんとは二日前にソウルでお会いしてきたばかりであります。この金大中氏という人は、オーストラリアは何度もコンタクトが過去にございまして、よく存じ上げている方であります。金大中氏は、オーストラリアがずっと彼の味方をしてきたということを忘れていません。一回死刑判決を韓国の監獄で受けたわけでありますけれども、そのときでも我々は支援をずっとし続け、その後恩赦が出たということであります。 五十年ぶりに、今回初めて韓国においては政府の与党から野党の方に政権が移譲されたわけであります。そして、その前にちゃんと選挙が行われたということで、今回初めてだったのでありますけれども、韓国もこのプロセスをちゃんと経てきたということで、自由民主主義をベースといたしました形で活動をしてきたということであると思います。ですから、金大中氏はやはりコミットメントを強く持ってこれから南北朝鮮の対話についても働いてくれるんじゃないかというふうに思います。 金大中氏は、北朝鮮とはまず経済的なきずなを樹立すべきだということ、そしてその後政治的な関係に広げていけばいいというふうにお考えになっている方です。いろんなことがトライされておりますが、まだうまくいっていないということで北朝鮮がどうしてもこの孤立状態から抜け切れないという状態はあるんですけれども、金大中氏の戦略がよりよい成果を出してくれることを願っております。双方向の建設的な成果を出してほしいというふうに思いますし、北朝鮮もできるだけ関与させるということで建設的な形で対話を続けてほしいというふうに思っております。 アメリカについて一言申し上げたいと思います。 このことが日本で非常に討議されてきたということ、安全保障のガイドラインということで、地理的な概念が適用されるのかどうかということが問題になっていることは承知しております。しかし、オーストラリアの場合はアメリカとはANZUS条約というのを持っているわけで、一九五一年に調印されたものなんですけれども、これは地理的な概念というのは全く適用されておりません。単にこれは枠組み協定という形になっております。その法律上の解釈はさておいて、安全保障の面で広く協力するということになっているわけです。 例えば、オーストラリアの軍というのはクウェートですとかペルシャ湾岸地域に今派兵されているわけです。これは、アメリカ軍と共同でサダム・フセインのいるイラクに対してちゃんと核施設の査察ができることを促進するということで兵を派遣しているわけであります。もちろんイラクとは全然地理的には離れているんですけれども、それでもオーストラリアの軍を派遣しているということになっているわけでありますので、地理的な概念に縛られているというものではございません。
○田英夫君 社会民主党の田英夫です。 ダウナー外務大臣は日本の外務省の出しております「外交フォーラム」に、「オーストラリアの将来はアジアにある」という一文を寄稿しておられるのを拝見いたしました。その中で、特にこの地域では日本、アメリカがオーストラリアにとって重要な国であるということを書いておられますし、先ほどもおっしゃいました。日本の中でも、あるいはアメリカの中でも中国の中でも、最近アジア太平洋で日米中トライアングルを基軸に築き上げるべきだという意見が出てきております。 私も実は日本の中でそのことを主張している一人ですが、この日米中トライアングルという考え方、従来日本は日米基軸という外交をとっていたわけですが、それを変えようということです。そして全体もみんな、二国間だけでなくてそういう関係を中心にしてアジア太平洋を安定させていくべきだという考え方ですけれども、ダウナー外務大臣はこのことについてどうお考えか、お聞きしたいと思います。 そしてもう一つ、これはお礼を申し上げておきます。日本の南極観測隊が毎年行きも帰りもオーストラリアで大変お世話になっていることを、私は第一回の南極観測隊員なものですからこの機会にお礼を申し上げます。
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳) それは知りませんでしたのでおっしゃっていただいてよかったです、南極観測隊のことを。 さて、この日米中の三角形の関係というのをどう見るかということでありますけれども、もちろん確かに最もまとまった力というのがどこかということになりますと、そして当該地域における安全保障について一番大きな力を持っている国はどこかといえば、それは日本、アメリカ、中国であるということは確かであると思います。 しかしながら、権力構造というのを当該地域で眺めてみますと、韓国ですとかまたほかの国の果たす役割というのも要素として加味して考えなくてはいけません。インドもその面ではそうです旧ロシアもそうですし、またASEAN間で緊密に今も行っているように協力を続けていくということになると、ASEANの国も見落とすことはできないということだと思いますので、日本とアメリカと中国の三国間関係に尽きるということではないというふうに思います。ほかの国もそれなりに当該地域における安全保障には影響を持つ要素であるというふうに思っております。 それから、さらに申し上げれば、良好な二国間関係がアメリカと中国で持たれるということが非常に重要であるというふうに思っております。 これは中国の人にも言っているんですけれども、アメリカ人にもよく言うようにしております。アメリカの議会の人たちを見ていますと、必ずしもこの地政学的な重要性が理解されていないようであります。米中間が良好な関係を持つということがいかに重要か十分理解していないアメリカの議員の人たちもいるんです。もちろん米中間、大いなる違いはありますけれども、ぜひ良好な関係を維持していってほしいというふうに思っています。 敵というふうにお互いをみなすのではなく、協力し合う相手というふうに米中間で見て怪しいというふうに思っております。アメリカの政府も中国の政府も、多分そのような協力を望んでいるんじゃないかというふうに思います。 江沢民主席が非常に成功裏に昨年の暮れにアメリカ訪問を達成なさったわけで、あれがよい契機になりまして、アメリカの中国に対しての見方もよい意味で変わったんじゃないかというふうに思います。たしかクリントン大統領も年央には中国をお訪ねになるということだと思いますので、これがやはり成功をおさめれば、直近で困難な問題があっても、大所高所からは米中間がいい関係に進んでもらえるんじゃないかというふうに思います。 それから、もう一点申し上げたいんですけれども、私からもお礼があります。橋本総理が中国を昨年訪れ、非常に成功をおさめた御訪問であったということでお祝い申し上げます。日本と中国というのは、もちろん歴史では暗い部分も持っている国ではありますけれども、やはり今の日中関係というのはよい方向に進んでいるというふうに我々は評価しているところであります。 我々としては、すばらしい形でお互いを理解しつつ、敬意を表しつつ共生をしていきたいというふうに思っております。もちろん日米中それぞれ違いはあります。また、ほかの国ともいろんな違いがある。すべて同じではないということは確かなんですけれども、それでも成功裏での共生ということをしてほしいというふうに思います。ぜひ日米間もうまくいってほしい、かつ日中間もうまくいってほしいというふうに思っております。 そして、中国を必ずこの地域に関与させるということが必要です。中国を封じ込めるということでは決してありません。先ほども申し上げましたけれども、中国を敵だと一たん呼んでしまえば実際に中国というのは敵になってしまうわけです。ですから、そんなことは皆さんお考えになっておられないと思いますし、アメリカの行政府も考えていませんけれども、ぜひいい関係ができることを願っております。そして、ラジオですとかコメンテーターですとかアメリカの新聞ですとか、時々中国を敵視するようなことを言うんですけれども、アメリカ行政府はそのように思っていませんので、ぜひ米中関係もうまくいってほしいと思っています。
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡と申します。 私は、昨年七月、参議院が派遣しましたオーストラリア訪問の一員としてお伺いしました。そのときにキャンベラ委員会の核兵器の廃絶に関する報告書をいただいて帰りました。そして、帰って読み、その内容を非常に重視しているところであります。 その報告書を見ますと、キャンベラ委員会は、核兵器とその及ぼす脅威を世界から除去するため即時の断固とした努力が必要であると信じている、核兵器の破壊力は強大である、そのいかなる使用も破滅的であるということが強調され、特にこれを廃絶する必要として、核兵器には独特の安全保障上の利点があると主張し、しかもそれを持つ権利を自分たちだけに限ろうとする一握りの国家だけが核兵器を保有している、これは不安定な状況だというようなことが書かれており、これをなくすためのいろいろな段階を経ての方策まで提起されているのを、被爆国の議員として非常に注目いたしました。 このキャンベラ委員会の活動というのは前労働党政権下に開始されたものであり、現政権のもとではどうなっているのだろうかと。私、その後余り日本に情報も伝わってまいりませんので、この活動は続けられているのか、どうなっているのか、現政権ではこの報告書というのはどのような位置づけに置かれているのだろうかということをぜひお伺いしたいと思います。
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳) 吉岡先生、元キャンベラ委員会の委員長は、現在UNSCOMの、国連のイラク特別委員会のバトラー委員長なんです、実は。 バトラーさんの活動範囲は変わったんですけれども、キャンベラ委員会というのは特定の職務を持って設置されたものであります。つまり、職務というのは、核軍縮をどうやってやるべきかというロードマップをつくるために設置された委員会であったわけです。 たしか九六年八月でしたでしょうか、こういったところで一応作業が行われたということでレポートが出まして、私自身も当時の国連事務総長であったブトロス・ブトロス・ガリ総長に報告書を提出いたしました。それから、国連の総会でも討議されましたし、私も国連の演説で申し上げたところであります。九七年の一月にジュネーブに参りまして、そのときに国連の軍縮会議が開かれたんですが、やはりこの報告書を携えて私自身が出席してまいりました。 このキャンベラ委員会のレポートが目途としているのはロードマップをつくるということです。これは、もちろんこの報告書に入っていることすべてを支持するということではございません、これは非政府の文献でありますから。しかしながら、どうしたら核の軍縮が達成できるかということが書かれているわけです。 しかし、スケジュール的なものは提示されておりません。もちろん日本ではないんですけれども、世界じゅうでいろんな国が、強くそのスケジュールを掲げるべきだというふうに言っている国もあるわけです。こうこうこういう期日までに核軍縮をすべしというふうに言っているわけです。しかし、五カ国の核保有国はそれには合意しないわけです。 ですから、核の不拡散条約を実際に実施していくためには何が必要なのでありましょうか。この五カ国の核保有国も調印しているということなんですけれども、どうしたらよろしいかということは、累積ベースでやっていく以外にないというふうに思っています。小さな努力を重ねるということであります。 この二年間我々がやってきたことは、オーストラリアも含めて、いろんな国も含めて、包括的な核実験防止条約に調印してきたということだと思います。すべての締約国はもう核実験はしないということで調印しているわけでありますので、核兵器が開発されるということもこれからは限定的になるということになるわけです。実験をすることができなければ、結局開発してもその能力を試すことができないということでなかなか開発がしにくくなるということになりますので、これを歴史的な出来事であったというふうに思っております。 また、ほかにもいろんな方途がキャンベラ委員会報告書に入っております。長期的な観点からどうやったら核軍縮ができるかということを述べているわけですけれども、忍耐強くやっていくということであります。余り時期にとらわれないで努力をするというような形で書かれているわけであります。 最終的に目指すところは世界が非核地帯になるということであるんですけれども、あともう一つ、ぜひ申し上げたい点があります。 この討議では二つ。意見が分かれているわけです。まず第一の討議点としては、五カ国の核保有国というのがあるわけですが、彼らが本当に核を廃絶してくれるかどうかという問題もあるわけですし、もう一方では、この核兵器の不拡散という問題があるわけです。 どちらかというと、核を持っている国の方がずっと少ないわけであります。そして、みずからが望めば簡単に核の開発はできるけれどもあえてしないという国の方が多いわけですから、オーストラリアの国が一緒になって、この包括核実験防止条約の調印ももちろん重要だったんですけれども、核保有国に対して核廃絶を呼びかけていくということが重要であるというふうに思います。 それから、ニュークリア・ストレージ・ホールド・ステーツと呼ばれている、インド、パキスタン、イスラエルといったような国をどういうふうにしたらよろしいかというところであります。いま一つ核を持っているのかどうなのかというところがはっきりしない国々ということなんですけれども、もしかしたらもう核保有国になろうとしているような国かもしれないということで、こういった国々に対しては強い圧力をかけ続ける必要があるというふうに思います。そして、核プログラムをつくらないようにということを強く働きかけていくことが必要であるというふうに思います。 現実的に申し上げますと、我々のほとんどの外交努力というのは核不拡散の方に向けられるべきであるというふうに思います。最終的には核の保有国に対しても核廃絶をしてほしいんですが、一こっちの方はかなり時間がかかるというふうに思います。我が国の政府は核不拡散条約の締約国でありますからそれを望んでおり、日本も同じようなことを望んでおられると思います。この面でも日豪は緊密に努力をし、協力をしているところであります。
○田村秀昭君 自由党の田村でございます。 まず、閣下に質問させていただきますことを大変光栄に思っております。 その前に、まず心から御礼を申し上げたいと思います。数年前と思いますが、日本の「あかつき丸」という高放射性廃棄物の運搬船が、これは日本の海上保安庁の船でございますが、フランスからインド洋を通りまして貴国の南をずっと通って太平洋に出て我が国に帰港したわけです。その際、マラッカ海峡もロンボク海峡も通ってもらっては困るということでございまして、インド洋のところからずっと貴国の海軍にエスコートしていただいたということについて、心から御礼を申し上げたいと思います。 質問に入りますが、先ほど中国の敵視政策は、アメリカでそういう人がいるけれどもよくないというお話でございましたけれども、私は全然敵視していないんです。今、太平洋とインド洋はアメリカ海軍が守っておる。二十一世紀に中国は石油その他の資源の輸入国に転ずる。そうすると、中国は必ずシーレーンを自分で守ろうとする。日本のシーレーンはアメリカに守ってもらっていますが、中国はそういうことをしないのじゃないかと。 そういう衝突が起きたときに、外務大臣はアメリカ・オーストラリア防衛協定の中でどのようになさるのか、お聞きしたい。
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳)放射性廃棄物の輸送についてただいまコメントをいただきましたけれども、我々としては国際法に従っているということで、国連海洋法の遵守国でございますので、船というのは一〇〇%公海を航海する権利を持っているわけであります。ですから、我々としては、全然問題がなかったということで申し上げたいと思います。 それで、中国の御質問だったんですけれども、外務大臣というのはアナリストではございませんで、あくまでも実践家であります。ですから、外務大臣として、仮想的なシナリオをベースに分析をするということはいたしません。というのは、世界じゅうでどのくらい敵国がいるんだろうなんということを公に分析することはできませんし、プライベートにもできないというふうに私は思っております。 御存じのように、確かに中国は経済を伸ばし続けているということで、ことしもかなりの成長率で八%ぐらいであろう、ここ数年間は一〇%ぐらいの成長率を誇ってきたということでありますから、単純に考えても、もう少しおくれるかもしれませんけれども、二〇二〇年ぐらいまでには中国経済の規模というのは多分アメリカに匹敵するぐらいに伸びているであろうと予想できます。 エネルギーを大量に消費する国になる。ですから、かなりのエネルギーを輸入に頼らなくてはならないということになるのだと思います。多分、中央アジアの共和国から輸入するようになるのじゃないかということで、中東からは石油を余り輸入しないのじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、ただ、どうなるかはわかりません。正直申し上げて、確実にそうなるとまでは申し上げられないんですけれども。、しかし、必ずしもシーレーンについてそれほどセンシティブな問題にはならないというふうに思うんです。もちろん供給の問題というのがあるわけで、日本もそうです。一〇〇%でしょうか、石油は輸入に頼っておられるということを聞いております。原材料のほとんども輸入物であるということで、御国にとってはシーレーンというのはとても重要なわけです。ですから、もちろん中国としてもシーレーンをカットされては困るということで重要視していると思います。だからこそ、域内の安全保障体制をどのように組むかという問題になってくるわけです。 日本は同盟関係をアメリカと持っておられる。どこかの国が日本のシーレーンを断ち切ってしまうといったような行動に出ればどうなるかということなんです。逆に、中国のシーレーンもだれかがカットしてしまうとか、もしくはだれかのために守るといったような形でシーレーンが使えなくなるようなことになると、もちろん域内に深刻な安全保障上の問題を投げかけるということになるわけです。だからこそ、アメリカの関与が域内の安全保障体制に重要であるということにもなるんです。 これは米中関係のみならず大きな意味合いを持つ関係になるわけであります。だからこそARFなどを通して、いかにこういったところで、二国間レベルではなく、条約でもなく、安全保障の全般的な関係をこの地域でどうやって組んでいくかというところが非常に重要になるというふうに私は思っております。 それから、一つ非常に論議を呼んでいる問題がありまして、これがもしかしたらエネルギーに大きな影響を将来もたらすかもしれません。南シナ海における領有権争いの話です。 中国、フィリピン、ベトナムが絡んでいる問題ですけれども、あとマレーシアもたしか領有権を主張していると思います。インドネシアではなくマレーシアだったと思います。この問題は未決ということでまだ解決されていないわけです。南沙諸島関連の問題ということなんです。 いずれ実効性の高いメカニズムをつくりまして、このようなホットな問題を解決しなくてはいけないということだと思います。まだその問題を解決するような体制や制度はできていないわけなんですけれども、ARFのようなものも今はできておりますけれども、ぜひ今よりもっと能力を上げて、問題が出たら対処してほしいというふうに思います。
○佐藤道夫君 二院クラブの佐藤です。どうかよろしくお願いいたします。 私は、インドネシア問題についてお尋ねしたいと思います。 端的に申し上げますれば、インドネシアの民主主義体制の確立が果たして可能なのか、可能だとすればその具体的方策はと、こういうことであります。 もちろん、その国の政治体制がどうあるべきかはその国の人たちが決めるわけですけれども、周辺諸国として決して無関心ではおられない。今、インドネシアのスハルト大統領は七期三十年その地位にあるわけでありまして、身内、一族、側近が政府部内の要職にもついておる。また政府関係企業の経営者の地位にもいる。これはもう民主主義国とは言えないのではないか、こういうふうにも言われております。スハルトファミリー企業、こう言ってもおかしくはないのではないかと思います。 いずれにしろ、人道主義の名のもとにインドネシアに対して行われようとする支援が、果たしてあの国の人たちの、人民といいますか国民の本当の幸せにつながっているんだろうか。ファミリー企業を助けるためならばそういう支援はいかがなものであろうか、こういうふうに言う人も多いわけですけれども、閣下の御所見を承れればと思います。
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳) まず第一に、言うまでもなく、政府の質ということについては余り入り込んでコメントはしたくないというふうに思っております。アナリストではないということを申し上げたわけでございますし、こういったことについてはコメントをしないということにしているんです。 インドネシアについての御質問でありますが、もちろんインドネシアはインドネシアとしてのみずからの政府をお持ちであるということで、各国にはそれぞれ政府がある。だれが政権につくかというのはその国の国民が決めることでありますから、決まった後我々ができる限り支援をするということになるんだと思います。 ですから、外から介入いたしまして現行政権を倒すとか、そんなことは絶対しないわけでありますし、影響を与えるということはしないわけであります。ですから、今のままをそのまま受け入れるということになるわけであります。 インドネシアの政府というのは、性格的には日本ですとかオーストラリアの政体とはかなり違うというのは確かです。だからこそ論議を呼んでいるということで、日本やオーストラリアでも話題になっている。自由で民主的な国家でいろんなことをインドネシアに対して現在言っているわけです。北米の人たちもヨーロッパもそうです。彼らの言っていることもわかるんですけれども、ちゃんと成功をおさめてきた政権でもあるわけです、スハルト政権が樹立されて以来。就任時は六〇%の国民が貧困状態にあったのですが、昨年の半ばごろまでにはもう一四%から一五%ぐらいまで貧困層は減っているわけです。 人権の問題というのはもちろん経済の権利にも大いにかかわっているわけです。経済的な権利、政治的な権利というのは人権にももちろん及んでくる問題ということで、スハルト大統領はこの貧困をまず削減しようと努力なさっているわけでありますし、かつ急成長を遂げる経済に何とか対処していこうと言ったわけであります。もちろんこの数カ月間は決していい景気だとは言えませんけれども、全体的に見れば、スハルト政権が今までなし遂げてきた実績というのはかなりのものがあるというふうに思います。 自由民主主義的な運動、もしくは動きというのがインドネシアにはないというふうに思います。日本やオーストラリアにはあったのですけれども。強烈な形で自由民主運動が沸き上がるといったような環境にはないわけです、伝統もなかったわけですから。しかし、時間をかけていけばインドネシアでも徐々にそういった政治体制ができてくるのだというふうに思っております。私は信じております。 ただ、もちろん大いなる敬意の念を持って申し上げているわけなんですけれども、支援を出さない方がいいのじゃないかといったような話も出てきますけれども、やはりこれは熟慮すべきであるというふうに思います。本当に打撃を受けている国民がいるということです。貧困層の人たちです。最も打撃を受けるのは貧困者であるわけで、こういった人たちを苦しめたくないと思うわけです、援助を出さないということで。これが第一点。 それから、第二点として、国際社会として政権の足を引っ張って倒させてしまうといったようなことになると、そして無理に日本流、アメリカ流、オーストラリア流の民主主義になれといったような強要をするということもいかがでありましょうか。 というのは、率直に申し上げて、例えばインドネシアの政権が状況によって倒れてしまうと。西欧社会の状況を考えてみますと、例えばこのインドネシアに対しての支援を引き揚げてしまうと、結局現行の体制というのはよりナショナリスティックな政権に取ってかわられるかもしれない。より閉鎖的になって、国際社会とはやっていけないといったような政権にかわってしまう危険も残っているわけです。 ですから、こういったことも十分考えた上で、その支援を出し続けるべきなのかそれとも断ち切るべきなのかということは慎重に考えるべきであるというふうに思います。もちろん、政府としてその支援を出し続けるということをやっているわけであります。 別にこの政権だったらいい、この政権だったらだめといったようなことを言っているわけではありません。こんなことをやり始めたら、もう永遠に終わらないわけです、世界じゅうで。ですから、お互い内政干渉はしないということをよしとしているのであります。他国の内政にはかかわらないということであります。そして、どの政府がいい悪いといったようなことも言いたくないと思っています。
○委員長(及川順郎君) どうもありがとうございました。 まだまだ御意見がおありのことと存じますが、お約束の時間が参りましたので、意見交換はこの程度とさせていただきます。 一言ごあいさつ申し上げます。 アレクサンダー・ダウナー・オーストラリア外務大臣閣下におかれましては、大変お忙しい中、本日はまことにありがとうございました。貴重な御意見を承るとができ、また、忌憚のない意見交換ができましたことを大変うれしく存じます。当委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日の意見交換にもございましたが、アジア太平洋地域をめぐる昨今の情勢には極めて厳しいものがございます。しかし、このようなときこそ地域諸国の相互協力、特に日本とオーストラリア両国のより一層緊密な協力が不可欠であると確信いたします。 私たちは、本日の意見交換を踏まえ、今後さらに一層日本外交の推進に貢献してまいりたいと存じます。 閣下におかれましては、御健康に留意され、一層の御活躍をなされますよう祈念いたしまして、ごあいさつとさせていただきます。 本日はまことにありがとうございました。(拍手)
○オーストラリア国外務大臣(アレクサンダー・ダウナー君) (通訳) 本日はありがとうございました。
○委員長(及川順郎君) これにて懇談会を散会いたします。 午後五時五分散会 —————・—————