労働委員会 第15号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/05/15
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、来る十八日月曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、よって、そのように決しました。 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、よって、そのように決しました。 —————————————
○田中委員長 議事を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本惟子さん。
○松本(惟)委員 おはようございます。早速質問に入らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 私は、本日は、時間外労働の上限規制の問題と、それから前回積み残しました労働契約の締結についての問題とその他一、二お伺いをさせていただきたいと思います。 まず、時間外労働の上限規制についてでございますけれども、五月六日の当委員会の審議におきまして、同僚の玉置委員が、女子保護規定解消により女性労働者の残業時間がふえて離職をせざるを得なくなるとの質問をいたしました。労働大臣は次のように御答弁なさいました。 昨年、男女雇用機会均等法を改正したときになぜ特例措置を設けなかったのかと思う。本来ならば、女性の方々について、母性保護を別にすれば性による差別をしてはならないという権利を女性にも認める。これは筋である。権利を得るということは義務も果たすこと。母性の見地からの特別措置を設けておくべき。来年の法施行は、このままでは女性にとって不利だ。大臣の定める上限以外に、ここから先が私は大事だと思って伺っておりましたけれども、大臣が定める上限以外に、当委員会の審議の中で、つまりこの委員会の審議の中で、女性についての特別措置が設けられるのかどうか、建設的な議論が重ねられ、この問題は解決をされていく。このように大臣は御答弁をなさったというふうに思います。 大臣のおっしゃる、特例措置をなぜ設けなかったのかという御感想は、私も同感でございます。 昨年の五月、均等法改正審議におきまして、私は、女子保護規定の撤廃が女性労働者に及ぼす影響の大きさを考えますと、家族的責任を有する労働者の深夜業の免除と同様に時間外・休日労働についても免除すべきではないかと強くその実現を迫ったわけですが、当時の岡野労働大臣からは、事業主に対する十分な配慮をすることが望ましいことを指導する、このような御答弁にとどまっております。あの時点で特例措置について十分な合意が得られていれば、今回の法改正審議においてもう少し議論が整理をされたのではないかと今さら大変残念に思っている次第でございます。 そこでまず、このいわゆる激変緩和措置についてお尋ねをいたします。 改正法第百三十三条の特定労働者についてでございますけれども、「時間外労働を短いものとすることを使用者に申し出た者」とあり、この申し出についてはいわゆる請求権ではないということを伊藤局長はお答えになっておられますが、仮に育児、介護等をする女性労働者で命令で定める者に該当している者が申し出たとして、使用者が拒否することがあるということでございましょうか、局長の御答弁をお願いしたいと思います。
○伊吹国務大臣 今の先生のお尋ねについては後ほど政府委員より答弁をいたさせますが、最初 の、私の発言の御引用がございましたので、誤解があるといけませんので、少し私の考えを申し上げておきます。 当時の均等法の際の議事録等も私は読み返してみました。当委員会においても各党各会派の中にいろいろな御意見があったようですし、参議院においても特に今先生が御指摘になったような議論が交わされておりました。そこで、当時の岡野労働大臣が、先生が御引用になったような答弁を申し上げて、そういう形でやっていくというのは一つの考えであったと私は思います。しかし、今この労働基準法という、言うならば男女雇用均等法と別途の法体系の議論をしている中で女性に対する激変緩和の議論が出てくるというのであれば、立法論としては、当然男女雇用均等法の中で例外措置というか時限的な激変緩和措置を入れておくべきだったのではないのかという立法論としての立場を私は申し上げたわけでございます。 そして、母性保護の点はもちろんですが、激変緩和ということになりますと、やはり日本の現実から見て、育児、介護等についても女性の方にかなりのウエートが男性よりかかっているということを考えれば、先生が今御指摘のようなことをやはり講じておかなければ、四月一日から均等法が施行されたときには現実問題としては女性に大変な負担がかかるのじゃないか、こういう趣旨のことを申し上げておりますので、立法論としての発言だということを御理解いただいておきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 この激変緩和措置の制度でございますが、御指摘ございましたように、現在育児・介護休業法等に盛り込まれております深夜業の免除の請求権といったような形には法律上構成はいたしておらないという意味で、請求権ではないというふうに申し上げました。 しかしながら、今回の激変緩和措置は、労働基準法の中で時間外労働の上限基準を、しかも労使の遵守義務がついた形で定める枠組みを利用しておりますので、届け出の際には、こういった家族責任を有する方で申し出た方については、必ず短い残業時間を上限とする旨が織り込まれておることになるわけでございます。 したがいまして、そういった方が実際に申し出て事業主がそれを拒否して残業命令を出せば、それは三六協定を超えた残業命令ということになりますので、それ自体が労働基準法違反ということになりますので、事業主にはそういったことをしてはならない、また、もしあれば厳しく是正勧告が出ていく、こういう形になりますので、事実上拒否はできない、こういう仕組みにいたしております。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。 大臣の御所見を承りましたけれども、私は、立法はもちろん筋が通っていないといけないと思いますけれども、それが現実にどのような作用を及ぼすかということも無視できません。この関係というのは非常に大切だということを申し上げさせていただきたいと思います。 それから、局長の御答弁、大変ありがとうございました。第百三十三条の趣旨を考えると、これは育児・介護休業法にある深夜の免除請求と同様の請求権とすべきである、私もそのように思っておりますので、受けとめさせていただきました。 この百三十三条は、激変緩和措置として命令で定める期間、三六協定で定める限度についての基準より、今局長がおっしゃられましたように、短いものとするということですが、その時間につきましては、少なくとも現行の女性労働者の時間外労働の制限水準、つまり年間百五十時間を超えることがあってはならないというふうに私は思っておりますが、この点につきまして大臣からの御答弁を伺いたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 恐縮ですが、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。 ただいま激変緩和措置の具体的に定める水準についてのお尋ねがございました。今まで女性一般について残業時間の制限があったわけでございますが、今回は家族的責任を有する方という考え方でこの激変緩和措置を定めてまいりますので、それにふさわしいレベルというもので私ども審議会で十分労使の意見を聞いて定めたいと思います。いずれにいたしましても、現在、こういった家族的責任を有する方も今までの保護規定のもとで生活設計がなされていることは事実でございますので、そういった生活の急激な変化をもたらさないようにすることを念頭に置いてこの適切な水準を決めていくという気持ちで臨んでまいりたいと思っております。
○松本(惟)委員 お考えは承りました。 しかしながら、家族的責任を有する者というふうに、つまり男女というふうに変わったので、そこにふさわしいものを審議会の中で御議論をなさるという意味合いかと受けとめましたけれども、私は、やはり百五十時間を超えるものであってはならないというふうに思っておりますので、そのことも十分御留意をなさいまして御検討をいただきたいというふうに思います。
○伊吹国務大臣 今政府委員が答弁を申し上げましたのは、この法案を提案している立場としては、今政府委員が御答弁を申し上げたようなことになると思います。 しかし、日本の憲法のもとで内閣が提案いたしました法律について今国権の最高機関である国会の中の当委員会で御審議をいただいているわけですから、今先生がおっしゃったことも含めて、これは必要があれば各党各会派の中で御協議をいただくべきものだと思いますし、それについて、社民党、さきがけ、自由民主党は、議院内閣制の立場からいってこの法律を是として提出いたしておるわけでございますから、そういう立場に立って各会派間のお話し合いがされるということがあれば、内閣としては当然それに従うということだと思います。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。御答弁もっともだと思います。やはり国会の審議の場でございますので、審議会に下がって私が申し上げたのはちょっと間違いだったかもしれません。 したがいまして、これまでやはり家庭と仕事の両立ということでどちらかというと女性の方が大変苦労をしてまいりましたので、そういった立場も十分勘案されまして、男性の側の条件整備もお考えいただきたいというふうに思います。 次に、改正法附則第十一条につきましてお尋ねをいたします。 本条は、百三十三条の命令で定める期間が終了するまでに、育児、介護など家族的責任を有する労働者の時間外労働についてのあり方を検討するもので、いわばポスト激変緩和措置について触れている条項でございます。この点についても既に同僚議員が質問をされております。大変重要な点でございますので、重ねて私からも伺わせていただきたいというふうに思います。 育児・介護休業法において、深夜業を免除される者として一定の条件が付与されておりますが、基本的には、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する者、それからもう一つは要介護状態にある対象家族を介護する者というふうになってございます。今後検討するに当たりまして、方向性といたしまして、この対象者と期間、それからさらに、激変緩和に引き続くものということからいえば、制限水準は百五十時間ということが考えられると思いますが、いかがでしょうか。 特に申し上げさせていただきたいのは、就学前までの措置は講じられているわけでございます。これは努力義務としてでありますから、実際にこれを実施している事業主というのはまだ少ないと私は思うんですね。困っているのはそこまでではなくて、それから先、つまり、共働きの家族がふえている中で、いわゆる小学生の子を持つ親、十二歳でございましょうか、両親が大変困っていて、とりわけ女性労働者が仕事を続けようかどうしようかという迷い道の一つにもなっていることでございます。 したがって、この点につきましてもお伺いしたい。できれば大臣からのお答えをちょうだいしたいと思います。
○太田(芳)政府委員 お答えいたします。 改正法の附則十一条に基づく、育児や家族の介護を行う労働者の時間外労働に関する制度のあり方の検討に当たりましては、これらの労働者の時間外労働の動向とか激変緩和措置の適用状況、さらに、育児・介護休業法の施行がされますので、先生が今御指摘のようなもろもろのことをいろいろ判断をいたしまして、今後、そういう状況を調査もした上で具体的な措置の内容については検討してまいりたいというふうに考えております。
○松本(惟)委員 今お伺いしてもそのような御答弁しか出ないであろうということはわかりますけれども、日本が、国際公約とも言えるというように言っているわけですが、千八百時間到達目標、これを達成するためには、将来的には時間外労働は、将来というのもいろいろな将来があると思いますが、百五十時間を設定しなきゃいけないというようなこともございますので、私は、そのことも考えながら、家族的責任を有する労働者については特段の御配慮をいただきたいということを申し添えさせていただきます。そして次に移らせていただきます。 労働契約の締結の問題についてでございます。前回の質疑に続きまして、契約にかかわる事項。 まず、今回の法改正で、賃金に関する事項に加えて労働条件についても書面による交付が実現するということにつきましては、長年の要望でございましたので、遅きに失した感もございますけれども、基本的には賛成できる点でございます。 しかしながら、五十年ぶりの改正として、特に契約等にかかわる事項については事実上は今回が初めての改正ではなかろうかというふうに思うわけです。それにしても、他に見るべきものがないのが大変残念という立場から幾つかの点についてお尋ねをさせていただきます。 まず一つ目は、就職協定が廃止されまして二年目、新聞報道などによりますと、来春卒業を予定する学生たちの就職内定が協定時代と比べまして二カ月近く早まって、現在では三月からピークを迎えようとしているというふうに思います。 採用内定の法律的な問題につきましては、最高裁が昭和五十四年に大日本印刷事件で一定の判断を示しております。それによりますと、就労の始期を大学卒業直後とし、それまでの間、採用内定取り消し事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するというふうにございます。採用内定の取り消しは使用者による労働契約の解約に当たり、通常の労働者の解雇の場合と同様、労働基準法の適用があるということになります。 採用内定が労働契約の成立というふうになりますと、内定取り消しは解雇予告の適用となるだけではなく、場合によっては損害賠償を求めていく場合もあると思いますが、この点についていかがですか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のとおり、採用内定につきましては、労働契約の締結に対する意思表示、こういうふうに受けとめられるケースが多いことは事実でございます。そういった労働契約が成立していると判断されるような場合には、内定取り消しは当然労働契約の解約に当たりますので、解雇予告制度を規定いたしました労働基準法の第二十条、こういったものが適用になるという考え方で、私ども、事業主の方へも周知に努めているところでございます。 それから、損害賠償の問題でございますが、これは労働契約であるという一種の契約でございますので、その不履行に対して、もし実際の損害が出ていれば、損害賠償の請求が民法に基づいて行い得ることは当然でございます。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。 次に、労働基準法研究会報告で、これは平成五年に出されたものでございますが、ここでは、労働契約の締結には採用内定を含むことを法律上明確にすることが適当である、それから、採用内定期間中の権利義務関係を明確にするよう内定期間中の研修、採用内定の取り消し事由等の事項について明示するとともに、内定期間中の労働基準関係法令の適用のあり方についてさらに検討することが適当、このように指摘をしています。 この点につきまして、今回の改正法案に触れられておりませんが、どのように検討されたのかを伺わせていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 労働大臣の私的諮問機関でございます労働基準法研究会におきまして、平成五年に、先生御指摘のような報告がなされておるわけでございます。私ども、それを受けまして、その後、中央労働基準審議会でこの採用内定に係る事項につきましても御議論をいただきました。平成七年には中央労働基準審議会で中間的な取りまとめを行ったわけでございますが、その段階では、こういったものの扱いにつきまして法規制を必要とする、しない、両論が併記で報告をされておるところでございます。したがいまして、中央労働基準審議会でも、さらに議論を深めていくべき対象の項目を絞った際には、その中にこの契約法制的な意味合いの採用内定のものについては含まれておらなかったという経緯がございます。 今回御提案申し上げている労働基準法の改正案の審議に際しましても、労使の方から意見をちょうだいして検討対象項目をあらかじめ定めて議論に入ったわけでございますが、その際も、労使の方からこの点についての主張がなく、結果的に建議の段階でもこの問題は触れられておらなかったという経緯がございます。 ただ、今回の改正法案の審議に際します中央労働基準審議会の中間的な取りまとめの段階では、こういった契約法制的な、労働基準というよりは一種の契約としての民事的な効果、手続等に及ぶ問題については将来の重要な課題として引き続き検討していく必要があるという指摘もいただいておりますので、先生御指摘のような点につきましては、そういった中央労働基準審議会の意見に沿って、私ども、今後検討を深めていくように努力してまいりたいと思っているところでございます。
○松本(惟)委員 現実が思ったよりも早く動いているということを認識されまして、ぜひ検討の際にスピードを上げていただきたいということを御要望申し上げます。 次に、採用内定取り消し問題につきましては、これまで主として新卒の方にかかわって問題が生じてきたと思いますが、いわゆるヘッドハンティングなんかによってスカウトをされた労働者の採用内定取り消し問題が裁判で争われておりますように、労働移動が激しくなるにつれまして、新規学卒者の問題だけではなくて、むしろ、実社会において勤務経験のある労働者の内定取り消しの問題がこれから多発をしていくのではなかろうかというふうに懸念をされます。しかも、場合によっては新卒者以上に極めて深刻な事態を引き起こす可能性もございます。 新卒者の内定取り消し等につきましては、労働省の方でもこれまでいろいろな対策を講じられまして御努力をされてきたということについては私も十分承知をいたしております。しかしながら、一般の労働者の内定取り消しにつきましてはどのような対応をなさっていらっしゃるのか、または検討をされていらっしゃるのか。さきの最高裁判決に照らし、少なくとも、労働契約の締結には採用内定を含むことを法律上明確にすべきであるというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、中途採用等々を含めまして、労働移動のウエートは高くなってきておるわけでございます。そういった中で起きてまいります労働条件をめぐる問題については、そういった状況の変化を受けて的確に対応してまいりたいと思っております。 今回の改正法案の中でも、労働条件の明示、また個別の労働条件をめぐる紛争についての迅速な解決処理システムの提案等をさせていただいているのも、そういった状況を私ども認識いたしておるところに基づくものでございます。 ただ、採用内定の問題については、目下私ども、平成五年にその指針を出しまして、その中でも、例えば先生御指摘の問題につきまして、内定 のこの問題は一般的に労働契約の締結と見られる場合が多いということを事業主に十分留意させるようにとか、そういった先生のお考えに沿う指針を出して、指導をいたしておるところでございます。 さらに、法的な今後の扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、労働契約法制的な問題につきましては将来の重要な課題として引き続き検討する、こういうことが審議会でも指摘されておりますので、先生の問題意識につきましては、私ども、そういった検討の中で、そういう場に紹介を申し上げながら検討を進めていくようにいたしてまいりたいと思っております。
○松本(惟)委員 この問題につきましては、おっしゃられるように、労働契約にかかわって大変重要な問題というふうに私、認識をしておりますので、今の御答弁を伺っておりまして、労働省も同様の認識をいただいているというふうに思います、緊急にぜひ対処をしていただきたいということを申し添えさせていただきたいというふうに思います。 次に、就業規則の適用の問題について伺いたいと思います。 就業規則につきましては、常時十人以上の労働者を使用する事業場について作成が義務づけられてございます。しかし、労働基準法ができて以来、十人未満の事業場では作成義務を課せられていないわけでございます。労働省は、それなりに予算措置を講じられまして、十人未満の小規模事業場の就業規則の普及促進を図る取り組みを進めてきているということも承知をしております。それから、事業主もそれなりに御努力をされてきたというふうに思われます。 労働省の調査によりますと、十人未満の事業場で就業規則を作成している事業場の割合は四三・一%、そして五人以上十人未満では五八・五%というふうになっております。小企業への普及率が過半数を超えまして六割に近いという現実が見えます。 これを見ましても、なぜ今回法改正されなかったのだろうか、大変疑問に思われますし、残念でもございます。大臣はこれまでの何回かの御答弁の中で中小零細企業の厳しさについてるる訴えられておりましたけれども、やはり法のもとの平等という観点から見ますと、この問題もなおざりにはできないという立場から伺っております。 仮に普及率が一割を切るような状況にあるならば、現在労働省がお取り組みになっていらっしゃいます普及促進に対する支援策をさらに強化をするというようなことが必要かとも思いますけれども、今申し上げましたように過半数を超えているわけでございます。小企業の事業主の理解が広がっているとも読み取れるわけでして、検討を先送りをされました理由が私は理解ができませんので、どうぞ理由をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、就業規則、十人以上の事業場に対しましてその作成を義務づけておるわけでございます。これを十人未満へも適用してはどうかということは、今回の改正法案の御議論をいただいていた審議会におきましても、論点の一つでございました。 就業規則は、集団的な労働条件の管理をするという意味合いで作成を義務づけておるわけでございますが、十人未満のいわば中小零細規模になりますと、やはり個別管理の方がウエートが高いのではないか。そういう意味で、基本的な労働条件については、就業規則というよりも、あらかじめ雇い入れの際に義務としてしっかり明示させて、お互いにそれを守る、こういうものをまず先行させてはどうか、こういう御議論がございました。審議会の方では全員一致してこういったことについて御理解をいただきまして、まず労働条件の明確化を、とりわけパート労働法の強化というようなことの意味合いも込めまして、この労働基準法の中で義務づけて、これは十人未満にも当然義務づけられるものでございますので、労働条件の明確化がまず図られる。 一方、十人未満の事業場においても、先生御指摘のように、就業規則の作成が普及していくことは大事でございますので、私ども、予算措置におきましても一層の支援事業を拡充いたしたところでございますので、これを活用いたしまして、さらに十人未満での就業規則の普及が進むように、これは予算措置によって十分な対応をしていくというつもりでございます。
○松本(惟)委員 おっしゃられていることは何回か伺いましたので、私もそれをお聞きした上で今の質問をかけさせていただいたわけでございます。個別管理的なニュアンスでもって雇用管理をされる方が適当だから、助成措置を講じてなさるということですが、ぜひとも、やはり同じようにこれを義務づけるという方向での御努力をいただきたいと思います。 次に、労働基準法研究会報告で触れられておりますけれども、当面、常時五人以上の労働者を使用する事業場について、就業規則の作成を義務づけることが適当であるというふうに研究会報告で述べております。そしてまた、昭和六十二年改正の際にも、平成五年改正の際にも、附帯決議にこの問題は盛り込まれていますね。確かに、今回の中基審の建議では、普及促進に関する支援事業の実施にとどまっておりますけれども、今申し上げましたようなこれまでの経緯を考えますと、やはり私は、今の御答弁、納得というわけにはいかないということを申し上げさせていただきたいと思います。 就業規則は、労働条件を決定する上で今日もなお重要な意味を持っているというふうに思います。労働協約を締結することで一定の労働条件を確保できる労働者はともかくといたしまして、それ以外の労働者にとって、就業規則は決定的な意味があるというふうに私は思っています。無論、今改正で労働条件の文書明示が盛り込まれておりますけれども、なお、それ以外の条件、つまり賃金以外の労働条件が文書明示をされると言っておりますが、それ以外の条件についてもあろうかと思います、そんなことにつきまして明らかにする意味からも、就業規則の義務づけは私は必要だというふうに考えております。 労働基準行政は、こうした十人未満の事業場に働く人々に対してこそ温かい目を注いでいただきたいなというふうに常々思っているわけですし、常時五人以上の従業員を使用する事業場につきまして社会保険への加入が義務づけられていることでもございます、当面、五人以上の労働者を使用する事業場については就業規則作成を義務づけるよう、この際修正をしたらどうかなというふうにさえ私は思っておりますので、この点につきましても申し添えさせていただきたいと思います。 最後に、今回の法改正には触れられておりませんけれども、労働者の病気休暇制度の法制化の問題について述べさせていただきたいと思います。 私、あえてこの点について触れさせていただきますのは、御承知のように、労働基準法には今規定されていないわけで、家族の介護のための休業制度が先に法制化をされてしまったんですね。本人の病気休暇が何も規定されていないというのは、どうしても法制度上の不備だというふうに常々考えています。 御存じかと思いますけれども、今、民間の労働者というのは、年次休暇をこれに充てている、長い病気の場合には欠勤というふうにもなっているわけでございます。公務員の方はどうかと申しますと、一般職の職員の勤務時間、休暇に関する法律第十八条に病気休暇について規定がされてあります。民間との格差を是正する意味からも早急な検討が必要というふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。 さらに、病気休暇の法制化については、先ほどの就業規則についても同様、六十二年の改正、平成五年の改正、このときにも審議をされておりまして、その時々の大臣は検討を約束をされているわけでございます。にもかかわらず今回もまた改正が見送られたこと、これは大変残念でございますが、この点について、大臣の御所見、あればお 伺いをしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今までの検討の経緯等もございますので、まず私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。 御指摘の病気休暇の問題につきましては、労働基準法研究会の御指摘等もありまして、私ども、重要な検討課題であるというふうに認識をし、常々そういったものについて問題意識を持ってきているところでございます。 ただ、この休暇、休業の問題につきましては、政策的なテーマと密接に関連いたしまして、私ども今まで、育児休業、さらに介護休業、そして今回御提案申し上げておりますような年次有給休暇の付与日数の増加と、矢継ぎ早に、そういった政策的な要請に応じて休暇、休業制度を実施してまいりました。 そういった中で、この病気休暇についても、もちろん優先順位がどうのという意味合いでもなくて、これを制度化するに当たって私ども第一に頭に置きますのは、実際の普及率がどの程度までいって、それが中小企業等をも含めて、各種の休暇制度が今義務づけられてきて、定着が課題になっている中で、一気に病気休暇まで持ち込めるほどの普及率になっているかどうかということが大きな関心事でございます。ただ、残念ながら、まだ二四%程度の普及率になっているわけでございます。 したがいまして、私ども今、ゆとり休暇推進要綱というようなものを定めまして、その中で、病気休暇制度の導入について、労使の取り組みをこんなふうにしてお願いをしたいということで取り組んでおるところでございます。私ども、そういったものに一層力を注ぎまして、そういった成果を見ながら、今後、年次有給休暇等の取得促進とあわせまして、この課題にひとつ取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
○松本(惟)委員 事情は今の御説明でわかりました。優先順位というのはもちろんあると思います。それから普及率も無視できないというふうに思いますけれども、もう二割を超えているということが一つと、それから既に公務員に実在しているという問題でございます。従来は、民間の法律を制定するときに言われておりましたのは、普及率もさることながら、公務員は民間の法制化を見てというふうなことがよく言われましたけれども、この件に関しては、長年官民の格差がそのままになっているということについて指摘をさせていただきます。 ともあれ、二十一世紀に向けて男女がともに家庭生活と職業生活の両立を図ることができる社会を実現をしていくということは、私たち、男性も女性も、同世代の責任ではないか。これまで、どちらかというと経済優先に走ってきた、しかも、男は仕事、女は家庭という長い慣習のもとで、ともすると家族に対する制度が労働の分野では先送りになったということは否めませんので、そのはざまで子供たちも大変苦しんでいるわけです。かといって、女性よ家庭に返れという時代ではないというふうに私は思います。そういった点から、同世代の責任として政策の充実に当たるということは大切だと思います。 その意味で、今回の基準法の改正に積み残された課題初め、育児休業期間の延長や看護休暇制度の法制化、さらには内容の充実、先ほど述べさせていただきました小学生の問題、これは厚生省の方の法律で既に改正をされているわけです、労働法の方がまだそこに追いついていないという問題もございますので、よろしくお願いをしたいということが一つ。 それから、もう時間が迫りましたので質問はできませんが、今回の法改正の中で、新しく労使委員会というのが裁量労働との関係でできています。私はこの委員会の機能の問題についてお尋ねをしたいのですが、別の機会があればさせていただきたい。つまり、組合のないところの問題もさることながら、組合のあるところにおいては、労働組合が本来これは扱うべき課題ではなかろうかというふうに思っているわけです。組合のあるところにおいてもこの委員会をつくるということにされているわけですから、労働組合と労使委員会の運用次第ではさまざまな問題を引き起こすのではなかろうかと思っています。 これをやり出すと大分深い議論になりますので、今回は、御感想があれば大臣から伺わせていただいて、討論はまたの機会にさせていただきたいと思います。
○伊吹国務大臣 ただいまの御質問というか先生のお考えを述べられた前半部分については、やはり現実を見ながら、働く方にも、また働く方に雇用を提供している企業にも結果的に無理が行かないような形で今回の御提案を申し上げましたので、経済のパイが力を合わせて大きくなっていく将来への過程としては、大変大切な御提案をいただいたと思います。 後の部分については、これはもう今議論をしているときではないということでございますが、率直に労働省としての立場を申し上げれば、できれば、五千五百万の人を代表する大きなナショナルセンターができることは私は一番結構なことだと思いますし、またそれだけの魅力のある組合になってもらいたいと思います。 特にホワイトカラーの方々の組織率が圧倒的に低い状況でございますので、今回は今のような御提案を申し上げておりますけれども、むしろ、これをてこにしてホワイトカラーにも中小企業にも労働組合ができていって、そしてそれが実質的に労使委員会という形になるというのが一番経営者にとっても私は望ましい形だと思いますので、真に働く方の、企業内においても産別においても、あるいは日本というレベルでも、本当に組織率が高い魅力ある組合が育っていただきたいと思っております。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。 ちょっと討論がすれ違っている感もございますので、ここにつきましてはまたの機会に。大変ありがとうございました。
○田中委員長 次に、中桐伸五君。
○中桐委員 民主党の中桐です。 早速、質疑の内容に入りたいと思いますが、まず最初に質疑したいことは深夜労働の問題でございます。 現行法下におきましては、深夜労働に関する規制ということを考えてみますと、割り増し賃金制度、それから母性保護の問題、そして安全衛生法における健康確保に関する規定、これらがあると思うのでありますが、男女共通の法律の規定としては割り増し賃金と安全衛生法の規定しかございません。いわゆる二十一世紀成熟社会に向かう中で、人間らしい生活を確保するという点からいっても、また健康増進という観点からいっても、深夜労働を男女共通で規制するということは、これは女子保護規定の撤廃ということはもちろん関連がありますけれども、それを除いても、非常に重要な課題ではないかと思うのですが、これについて、大臣または労働省、いかがお考えでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 深夜労働の問題について御指摘がございました。 深夜業につきましては、制度面では先生御指摘のあったとおりでございますが、生産プロセス、そういったものの運営の必要上、あるいは生産技術の必要上、また社会生活、国民生活を維持していく上で深夜の事業運営、こういったものの広域的な必要性、また特に最近はグローバルな市場、そういったものをにらんでの経済活動、したがいまして、時差を超えて活動していく、こういった種々の深夜勤務を要する、不可欠な面が背景としてあるわけでございます。また、そういった実際に行われている深夜業につきましても、業種、業態によってさまざまなパターンがある。 そういった状況を考えますと、先生御指摘のような、いわば労働基準法といったような面からの画一的な規制ということになりますと、経済活動とのかかわり合いについて相当慎重な検討を要するのではないかというふうに認識をいたしておるところでございます。私ども、そういった面につ いて労使が積極的に、自主的に取り組んでいただくことの重要性は十分あるというふうに認識いたしておりまして、そういったものをどう伸ばしていくかということについては真剣に取り組んでまいりたいと思っております。 一方、健康等との関連では、これは積極的に、労働安全衛生法等を含めまして、私ども対応をいたしておりますし、今後またそういったものについては精力を注いでまいりたいと思っておるところでございます。
○中桐委員 深夜労働の問題は、これは時間外労働とも異なりまして、いわば基本的な労働の形態を問われる問題だと思うわけであります。 そういう意味において、先ほど、業種で大いに異なる、技術的な要素も加わってくる、あるいは社会的なニーズといいますか、そういったものによっても異なってくる、そういう点はよくわかるわけでありますが、さて、ではその深夜労働の規制のプログラムをどのように考えるのか。私は、今回の労働基準法の改正というものの中に、今日までは女性の深夜労働の制限というものが規定されていた問題に関連して議論がされておりましたが、その問題をもちろん含めますけれども、男女共通の深夜労働を規制するという問題をこれから正面から取り上げなければいけない。その点については、先ほど局長のお答えで、慎重に取り組むという回答だったわけであります。 しかし、それではよくわかりませんので、労働基準法の体系の中にそれをどういうふうに関連性をつけながらやっていくのかという点について、もう少し詳しく、どういうプログラムをお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 労働基準法の中で直接取り扱っていく際のこれからのそういった政策的なものの実現に向けてのプロセスということでございますが、先ほど申し上げましたように、業種、業態によってさまざまな、また不可欠な形で深夜業が行われることを考えますと、画一的な労働基準法ベースの規制ということにはなじまない側面もありますし、どうやってそこを労働基準としてある程度整理していったらいいのかということについては大変難しい課題でございます。 ただ、私ども、まず必要なことは、業種、業態の実態に応じまして、労使がこういったものの深夜業のありようにつきまして真剣に取り組み、話し合っていただき、そういう中で、自主的なルール設定というものがまずどういう形ででき上がるのか、それをいろいろと整理し積み上げていけば一つの考え方というものができ上がってくるのではなかろうか、そういった姿勢で取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
○中桐委員 業種別にまず考える、そして労使自主的に対応する、基本的なコンセプトはそのとおりだというふうに思います。労働省の職員や私はその業種の細かいことを知らないわけですから、労使が自主的に決めてそれをルール化して守っていくということは、基本的にはそれでいいのではないかと思うのです。 しかし、日本の労働時間の問題に関する違反率等を見てみますとやはり非常に高いし、そういうこともありますから、ここはひとつ、自主的なそういう取り組みによってできるルールというものを促進したり、あるいはきちんとルールを守れるようにするための法的な根拠といいますか、そういったものも、やはり日本のこれまでの歴史的な労働問題ということを考えた場合に、これは避けて通れない問題ではないかというふうに思うわけであります。 その点についてのお答えをいただく前に、先ほどの局長の答弁で推察いたしますと、例えば日本のこれまでの労働行政の中での経験からいうと、業種別に労働時間の短縮指針というものをつくって、それをいわゆる時短を促進するための労使の委員会の中でつくって実行していくというふうな形がとられた経験があると思うのでありますが、この場合に、所定内労働時間の短縮という点では、時間はかかったとはいえ一定の成果は上げたわけですね。私は、そういう手法というのはやはり深夜労働にも、後で議論する時間外労働にも適用していくべきではないかと思うのであります。 そういう場合、深夜労働ということで今議論をしていますと、所定内労働時間という問題については、一応、透明度の高い、労基法の中に時間設定が数値で導入をされているわけであります。その中での自主的短縮計画というふうな形になっておりますから、これはこういう短縮の計画が業種ごとにできていって、それが各業種の中に拡張して適用されていく、浸透していくということは比較的できやすかったのではないかと思うのですね。そういう点から考えて、深夜労働というのは非常に複雑、多面的な対策を必要とするわけですね。単純に数字を一つ書いてやれないという要素がある。それは非常にわかるわけであります。 しかし、その場合に、数値が書けないことはないわけですが、それは一つの数字を書いてそれで済ませるわけにいかない問題と、共通の数字を書くことのできる問題もある。 例えば、人間の疲労の回復のために勤務と勤務の間隔時間をきちんととらなければいけない。連操制の深夜労働とか不規則勤務の勤務編成の中では、勤務間隔時間が非常に短くなる可能性がある。そういう場合に、休息がとれないまま次の勤務につかなければいけない。そういう問題については、既に、医学的にも十一時間あるいは十二時間という勤務間隔時間が必要だということは言われているわけです。 ですから、何か全部難しいということではなくて、きちんと具体的に詰めていって、共通に人間の生理としての基準として設けなければいけないものは設ける。多様性のあるものについては、その自主的なルールづくりというものの中で、より健康を確保でき人間らしい生活も確保できる、そういうルールをつくっていかなければいけないと思うわけであります。そういうふうに考えた場合に、やはりここは、共通性のあるものと多様性のあるものをある程度きちんと仕分けしながら、一定の枠組みというものを政治あるいは行政が示す必要があるのではないか。 例えば、所定内労働時間四十時間を目指してやりましようというのは非常に透明度の高い目標ですから、そういうものから自主的指針をつくっていくということはつくりやすいわけであります。要するに、時間も短縮して目標を達成できるわけです。ですから、そういう意味において、深夜労働の、いわば業種別にそれぞれ自主的につくっていただく、そのための枠組みなり、最低必要なものができるところはそういうものを示すなり、そういうものがないといけないのではないかと思うのですが、それはいかがですか。
○伊藤(庄)政府委員 深夜業につきましてなかなか一律、一筋縄ではいかないという先生の御指摘については、私どもも同様の認識をいたしておるわけでございます。 私ども、深夜業の実態あるいは健康とのかかわり、これについての実態調査を行うべく、そういった医学関係者も入れまして研究会を先般発足させたところでございます。 そういう成果に基づきまして、先ほど、労使が自主的に取り組んで一定のルールをつくり、積み上げた成果を出してもらって、そういう中で何ができるかということを見きわめていきたいというふうに申し上げましたが、そういった際に、この業種、業態においては深夜業とのかかわりでどういう視点を持ってそういう労使の話し合いをしていくべきなのか、そういった視点なり、そういったものを十分問題意識を持って取り組んでもらうことが必要でございますので、あらかじめそういった問題意識をどういう形で示しながら取り組んでもらうかということについては、その調査結果を見ながら、私ども積極的にそういったことは取り組んでいきたいと思っております。
○中桐委員 視点という点からいいますと、もう既に、大ぐくりにしたポイントをまとめてみれば、例えばILOの百七十一号条約とか、あるいは百七十八号の勧告とか、そういったところの検 討結果とか、あるいは前回も少し紹介しましたがECの一九九三年につくられたいわば視点というか着眼点というか、そういうふうなものについては、大体共通して挙げられる項目があるわけですね。そういったものは、業種別の指針をつくるという場合にこういう点は漏らさず検討してくださいよというふうなことは、やはり検討の基礎になるベースとして要ると思うのです。そういうものをつくるということはプログラムに入っているわけですね。
○伊藤(庄)政府委員 労使の自主的な取り組みを促していくためには、先生御指摘のように、どういうところに問題意識を置いてどういう事項を取り扱っていくべきかということについて整理したものが必要で、その上に立って労使の話し合いが進められていくことの必要性は私ども十分意識しております。
○中桐委員 それで、いろいろな項目の分類というのは、どういう項目についてきちんとやっていきましようということについては、後ほど検討されて示していただきたいというふうに思うのですが、その中に、先ほど言いましたように最低の勤務間隔時間というふうなものは既に国際的にも、学界の中でも議論を経ているわけでありますから、そういうものは数値で示すこともできるものもあると思うので、そういうものはちゃんと考え方の方向性として示してもらいたいというふうに思うわけであります。 それについて答えを求めても、今の段階では全体の枠組みが提出されていませんので、じゃ今のようなものを、プログラムとしては、いつごろまでにどういうふうにやっていくかということについてはいかがなんですか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、この深夜業について私どもの政策的なプログラムを進めていくためには、まずそういった視点の整理というのは確かに必要でございます。 先生も御指摘ございましたILOの夜業に関する条約におきましても、いろいろ問題意識はこういうところにあるんだなということを十分理解できる条約でございますが、ただ、具体的な数値となりますと、そういったものはなかなか正直ないわけでございまして、実態調査の結果の中から私ども見きわめていきたいと思います。 この調査も、もう秋までには私ども完了して数字を出したい、それで自主的な労使の方の話し合いを促していく、そういうことについてもプログラムを早急に詰めて、できれば年度内にもそういった促すための私どもアプローチを開始したい、こういうふうに思っておるところでございます。
○中桐委員 そのプログラムをぜひ早急につくって進めていただきたいと思うんですが、さて、その際、具体的な基準として労基法の法文の中に画一的な基準というものを書く。それを書いた国もあるわけ。画一的といってもいろいろなバリエーションがありますけれども、この前も言いましたが、オランダで深夜労働の回数制限という方法をとって、法規に書いた国もあるわけですよ。余り多くないですね、なかなか難しい規制の仕方だと思うから。 しかし、それは国によって違うわけで、例えばドイツのような国では、いわゆる閉店法とか、そういったものによって深夜労働のコントロールが、そもそも労働時間の規制が基本的にきちんとしているものですから、そういう規制を導入しなくても深夜労働がやたらとふえないとか、基本的な労働時間のところでコントロールしているからそういう深夜労働の問題をあえて規制しなくてもいいという国もある。いろいろあると思うんです、国によって。 日本の場合にどうするかということは、少なくとも、数値を書く、書かないかという問題は別にして、労働基準法というものの中に深夜労働というものの何らかの取り扱いをしなければいけないと私は思う、労働の基本的な形態の一つなんですから。ですから、そのことについて、内容はさておいてですよ、労働基準法で深夜労働の問題を取り扱わなきゃいけない、その点についてはどう思われるんですか。
○伊藤(庄)政府委員 深夜業と、それを労働基準法でどう扱っていくかというかかわりでございますが、基本的には、この深夜という問題をどういう角度から取り上げていくか。例えば、夜業条約に見られるように、主として母性あるいは健康等々の観点から見てまいりますと、例えばその中でも扱われておりますように、作業の転換、こういったこと等の問題が指摘されております。 そういったベースになりますと、これは労働安全衛生法上の問題として、現在でも、定期健診の結果に基づくそういう作業転換等の事業主への義務がございますが、そういった中でこの夜業というもの、深夜業というものを意識していくのか、あるいは、別に画一的な制限として何か考えるということであれば労働基準法上の問題になることもあるわけでございますが、目下、そういった視点を定め、安全衛生法等の措置も含め、私ども、自主的な労使の取り組みの中で出てきたものを政策的にどう消化していくか、これから十分検討を続けていかなければならないと思っているところでございます。
○中桐委員 ちょっと答えが−安全衛生法はもちろん労働基準法と相まって運営するということでありますから、健康確保という点からいえば、それはもう今まで既に一つの体系があるわけで、これをより適切なものにしていくということは、それはそれでいいと思う。 問題は、先ほどの業種別の指針というもの、業種別のルール、これを決めたときに、それを法的に担保するということをやるということしか今のところ思い浮かばないわけだけれども、方法が。つまりもう一つの方法としては、オランダがやったように、深夜労働の回数制限をどうするかというところももちろんこれは検討課題として重要な課題ですから、オランダの法律が制定される前の議論から、制定後にどうなっているのかというようなことをぜひ調べたいとも私は思うし、労働省の方もきちんとそれは対応して、そういう国があるんですからきちんとやってもらいたいと思うんだけれども、そういうことをやる前の、業種別のルールをつくったときに、そのルールというものをどうやって担保するんですか。その問題が一つあるんじゃないですか、とりあえず今の話でいけば。 それを、法的根拠として、そういう業種別に自主的なルールをつくる、定めるということを労基法に書くということはできないんですか。
○伊藤(庄)政府委員 仮定のお答えになって恐縮でございますが、もし、労使に自主的に取り組んでいただくことを私ども促進してまいって、一定の成果が出てくる、それをどういうふうに広く同じ業種の事業主の方に普及さしていくか、そういったものを法的な根拠を持って取り組んではどうかということになりますと、そういったことを私どももできれば取り組んでまいりたいと思いますが、その際に、考えますと、法的には一定の労働基準を定めてそれを強制していくという労働基準法のスタイルなのか、あるいは、今時短促進法という別の誘導法的な法体系がございます、そういった中で考えるべきことなのか。これは、その出てくる成果を私ども見きわめながら、どういう法制度によってやっていくのかということは見きわめなくちゃいけないというふうに思っております。
○中桐委員 それでは、ちょっと時間もありますので、いわゆる促進法というふうな形で実際的なルールが自主的につくられ、かつ、それが実効性のあるものになるというふうな形で一つは検討の方向がある、それからもう一つは、労働基準法というものの中に書いている国もあるわけですから、そういうものの検討ももう一つは両並びでする必要があるんではないかというふうに思うわけであります。 私の意見として申し上げさしていただければ、今回の改正で業種別にルールをつくるということを法律で書くべきだというふうに私は思います。 その点について、ちょっときょうは時間がありませんので、また議論をさらにしたいというふうに思います。 もう一つ大臣にお聞きしたいんですが、きょうちょうどNHKの朝のテレビで、コンビニエンスストアが物すごくふえている、コンビニエンスストアは今はどういう営業をやっているかというのがNHKの朝の番組でちょっと報道されていまして、一九七〇年ごろにできたコンビニエンスストアが今五万カ所を超えているというふうなことで急成長しているということがあるんですが、このコンビニエンスストアの中には深夜労働に従事する人が携わる店も結構あると思うんですね。 例えば深夜労働ということを考えたときに、やたらと深夜労働が蔓延するという、つまり便利さということを一つ見ながらどんどんどんどんふえていくという形がとられていると思うんですね。私がかつて住んでいた墨田区の菊川という駅、地下鉄から上に上がりますと四カ所か五カ所にコンビニエンスストアで、しかも深夜までやるストアがある。こんなに必要ないと思うんですね、私は。幾ら自由営業制度だといっても、こんなにあっていいのかと。 つまりそこでは、深夜に働く労働者が、アルバイトであれ何であれいるわけですよ。やはり人間の生活として、余りそういうのがふえていくということは、健康な労働生活あるいは職業生活とは言えないと私は思うのですね、やたらにそんなものがふえてくるということは。 そうすると、これは労働基準法だけ規制してもいけないわけでありまして、都市計画だとか、あるいはドイツでいえば閉店法みたいな形で深夜労働がやたらと起こらないようにするとか、そういうことが行われているわけでありますが、そういうことを含めて横断的な規制も総合的にやらなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。
○伊吹国務大臣 一般論として言えば、このごろ衰亡論というのが結構人気があって、かつて繁栄をした英国あるいはアメリカ、そして今日本もやや時代の曲がり角に来ているんじゃないかという考察がいろいろ行われているわけです。結局、人間というのは、ある目的を持って一生懸命努力をするわけですが、その目的が達成されたがゆえに豊かさの中で欲望を抑え切れずにだんだん衰亡していくというのが、これは歴史の、主人公が人間である限り、かつての歴史を見ると必然であって、繁栄をした国や社会はあるけれども、永遠に繁栄し続けた国や社会がないという歴史的事実は、私は恐ろしい教訓としてやはり覚えておかねばならないと思います。 今先生がおっしゃったことをそのことに例えて言うならば、人間の欲望が無限になって、深夜でも物を買いたい、あるいは常に便利でありたいと思えば、その副作用というものは、おっしゃったように必ず出てくるわけであります。 我々も、関係省庁とお互いに連絡をとりながら、特に、今のコンビニエンスストアの問題について言えば、大店法のかわりの法律として、現在国会で審議をされておりますように、市町村に判断権をゆだねて、都市計画、あるいは生活、ライフスタイルという観点からの許認可の権限をむしろそちらへ移していく、そういうことを実は御審議をいただいているわけですが、何よりも、先生がおっしゃったことは私大切なことだと思いますが、一人一人が政治家として、国民の欲望にこたえていくのがいい政治だということだけではなくて、時にはその欲望に対して、人間の将来を見据えてかくあるべきだということをやはり、つらいことがあっても勇気を持って発言するということを政治家一人一人が、我々が自覚をしながら、今先生がおっしゃったような方向へ私は持っていくべきだと思っております。
○中桐委員 そういう方向で、横断的に、行政改革もそういう、深夜というものが余りふえ過ぎては困るということから、通産とか労働省とか、そういうところのいわばサービスの目的別予算編成なり行政の強化なり、そういうことをぜひ強力に労働省でも進めていただきたいというふうに思います。 次に、裁量労働に移りたいのですが、いろいろもう議論をされてきた、特に一番議論の多かったところだと思いますので私は多くをやりませんが、一番問題なのは、労働省が審議会で労使の意見が一致しないままに出してきた今の裁量労働の対象者、業務の規定がややまだ不明確で、どこまで広がるのかわからないという懸念があるわけですね。ここを余り無理をして導入するということは、五十年目の労基法の改正という点からいって非常に適切ではないんではないかというふうに私は思うわけであります。 そういう意味において、例えば今裁量労働制が導入されている国、私が知っている国ではアメリカとフランスだと言われているんですが、そのほかにもあるかもしれませんが、その中の、フランスの制度は私は余り詳しくないのでアメリカの制度についての資料を見てみますと、ホワイトカラーイグゼンプションというふうな制度の紹介をしたものを見てみますと、三つの対象業務があって、一つは「管理的被用者」というふうに、これは日本語に訳した人が訳しているのですが、つまり管理に携わっている、管理的な業務についているという人。これは「管理的」、こうなっているので管理職という明確な職名を持った人だけじゃないのかもしれませんが、そういう人。それから「運営的被用者」というふうになっていて、管理的な立場ということではなくて、もうちょっと運営的に裁量的に何か仕事をするというふうな形で、もうちょっと職がはっきりしないというか、そういうふうなもの。それから「専門的被用者」という、三種類に分けられている。 一応、管理職とかそれから専門的被用者というのは、業務が、地位かあるいは命令権というかそういったものと、それから職務の内容で比較的わかりやすいんじゃないですか。でも、「的」となっているところを見ると、これもなかなか、具体的な規定を設けないと、対象労働者がどういう人であるかということはわかりにくいんじゃないかと思うのですけれども。 だから、例えば、主たる業務、「労働時間の五〇%以上をそれに費やす必要」というところで管理的被用者というふうな形で言うとか、あるいは運営的被用者ということになりますと、今の裁量労働の拡張、拡大の対象者に当たる人たちがかなりここに入るんではないかと思うのですが、そういう人たちの場合には、いろいろ業務が決められている中で、何%以内、要するに裁量的な業務であると言われている業務以外のものが二〇%以内におさまっているとか、あるいは報酬が幾ら以上とか、そういうふうな形で書かれてありますね。 そういう意味において、今提出されている改正案の中では、そういう細かいところまで規定がないわけですね。わからないわけです。だから大変懸念をしておるわけですよ、みんな。ですからへそれを後でつくると言われても、それはちょっとまだだめじゃないか、後でつくるんじゃなくて、もう全部セットで用意してやりなさいという意見も中には含まれていると思うのです。つまり、裁量労働すべてがだめだと言っているわけじゃなくて、裁量労働の業務の性格がはっきりしないじゃないかという意見が非常に強いわけですよ、最大公約数として言えば。 だから、後からつくるんじゃなくて、法律をつくるときにそういうものを全部セットで出すということをしないと、この問題は解決しないんじゃないですか。どうですか。
○伊吹国務大臣 先生の御質問を伺っておりますと、現在我々が提出した法律の範囲内で、解釈の拡大によって裁量労働制の範囲が広くなっていくという御懸念だと理解して答弁をさしていただきたいと思いますが、一応法律には、本社の企画、立案、調査、分析等で直接業務上の命令を受けないという規定がしてございまして、その具体的な事例については労働大臣の指針で定める、こういうことになっております。したがって、法律に書きました範囲をさらに超えてやるという場合は法 改正が要るわけで、これはもう再三申し上げているように、それを御決定なさるのはまさに本院でございます。 今の先生の御質問は、その指針の内容が明らかにされないので、場合によっては自分たちが考えている以上に広くなるんじゃないか、例えば調査などという仕事は、日本では日常茶飯事のように本社業務の中で行われるのではないかというような御懸念だと思うのです。 それについては、本院の当委員会のいろいろな御議論あるいは御討議を伺って、なるほどと思うことは我々たくさんございますので、それは十分注意をしながら指針の中に書き入れさせていただきたいと思いますし、場合によっては、その指針の御確認をいただくような手法や仕組みが、国会との関係で何か工夫ができるかどうかということは、また委員会としてお考えいただいても結構だと私は思っております。
○中桐委員 アメリカの法律というのは、細かく規定している法律で、しかもなかなか枠組みが立派な法律があって、教えられるところは多々あるわけですね、アメリカの法制度というのは。しかし、アメリカの法制度というものは、ヨーロッパの人から見ると、言っていることは格好いいんだけれども、ぐちゃぐちゃじゃないかという意見もあるわけです。 だから、ではそのアメリカで導入されてきている、フランスはよくわからないのですが、アメリカで導入されてきている、その導入に当たって、要するに、こういうものなんだということを決めても、業務量がこれだけなんだ、他の業務は二〇%以内なんだというふうなことを決めても、職場というのはある一つの仕事だけできないわけで、いろいろな関連業務が出てくるわけです。 例えば、連合の生活開発研究所が、これは労働省の研究費をもらってやった研究だと思うんだけれども、平成七年に出された「仕事の変化と労働時間の弾力化に関する調査研究」というのがあって、その中で、裁量労働者が、担当外の職務を処理するのを何人ぐらいの人がやっているかというと、四三・五%、約半数近い人が担当外の職務を処理している。それから、能力開発動機による担当外の職務処理というのが四〇%ぐらいある。それから、労働時間を長くする要因ということで、いわゆる裁量労働対象者は担当外の職務処理を三四・八%挙げている。これは人間が答えた回答率ですから、どのぐらいの業務量をやっているかということは調べてない。これはタイムスタディーをしないとできないことですよね。そうじゃなくて、横断的にすぱっと、何人ぐらいが担当外の業務をしているかということですから。 つまり、どうしてもグループワークというのはあるわけですよね。裁量を持って全く一人だけでやる業務というのは、これはもう非常に——会社といえどもチームでやっている仕事ですから、だから、そこが問題だと思う。 そこは後で示しますでは納得しないんじゃないかということなんですよ。つまり、行政が本当にいつも信頼できるものであれば、政治が信頼できるものであれば、それは後でやってもいいというふうになるかもしれないけれども、今、政治も行政も信頼されてないのですよ。そうでしょう。そういう中で、こういう手法が通るわけがないと思うのですが、どうですか。
○伊吹国務大臣 今先生おっしゃいましたように、政治も行政もすべて信頼されてないのなら、日本の憲法のもとでその政治を選ばれている国民の立場が一番信頼できないということになるわけで、私はそれはいかがかと思います。やはり我々はそれだけの自覚と責任感を持ってやるべきだと思います。 今先生がおっしゃったように、アメリカ的な書き方をする場合に、今おっしゃったことを法律に書くということになりますと、では、この仕事は裁量労働制の範囲外だというネガティブリスト的な書き方をするのか、これだけをやるということにするのか、それは非常に、現実からいうと、どちらの書き方をしても動かない。ヨーロッパの人がアメリカのことを批判するようなことが出てくると私は思いますので、やはりこれは政令等で処理すべきことだと思います。 その政令等について、国権の最高機関として負託を受けておられる本委員会で御審議を受けているわけですから、本委員会が^私どもがっくります指針等の内容について、具体的なものはある程度確認をする必要があるという今の御提言については重く受けとめさせていただきたいと思っております。
○中桐委員 ちょっと誤解があるようで、何も政治とか行政がゼロの信頼になっているということを言っているわけではありません。歴史的に見て、非常に低下しているという意味に理解してください。 それで、労働基準法本法に書くか政令に書くか、そういったことは、それはいろいろあると思いますよ。しかし、私が言いたいのは、セットで出したらどうですかということですよ。しかも審議会では、一生懸命やられたかもしれませんが、意見が一致していないのですよ。その状態で、法律をまず決めて、指針を後からつくりますといって、できるのですか。そこの問題なんです。 だから、私が言いたいのは、そういう政治的な法律の決定の仕方でいいのかということを言いたいわけです。つまり、この項目は基準法で、あとは政令でこういうふうなところを書いてと、あるいは別の、例えば時間外労働だったら時短促進法をこういうふうにつくってやるんだとか、そういうことは、いろいろな方法はあるでしょう。それをワンセットで労働基準法に全部書き込みなさいということを私は言っているわけではないのです。 つまり、こういう新しい、本当に労働契約の内容が大幅に変わるのですよ。ある種、非常に質的に変わるわけです。しかも、非常に規定の厳密にしなきゃいけない分野に拡大をされるわけです。専門的職業とかいう形であれば、一定の性格があるじゃないですか、専門的な業務ということでその仕事による性格というものが。それは担当外のいろいろな業務をやるかもしれませんよ、そういう人が。しかし、それは少ないだろうと思うのですよ。 ところが、今回のような定義になってくると、先ほどから、アメリカでも物すごく細かくやっているように、境界領域がいっぱいあるということじゃないですか。そして日本でも、調査をやっても担当外の職務があるということですよ。そういうものをきちんと、どういう業務なんだということを、まずは労基法をやって、それから後、ちょっとやってと。それはだめですよ、そういう法案の提出の仕方は。そういうことを言っているのですよ。それはどうですか。
○伊藤(庄)政府委員 裁量労働制につきましては、先生、アメリカの例もお引きになりながら御意見をちょうだいしているわけでございますが、私どもも、この制度の設計に当たりましては、アメリカやフランスのこういったエグゼンプションあるいはカードルといった制度につきましても、いろいろ参考にいたしてまいったわけでございます。 御指摘ございましたアメリカの例でも、先生御指摘になったような基準というものを労働長官が決めているわけでございます。私どもも、そういった意味で、労働大臣が定める指針を法律事項にして、そういったものを策定していこうというような配慮をいたしておりますし、さらに、管理的責任というようなことがありましたが、私ども、それを見ましても、やはり非常にあいまい。アメリカの場合、マネジメント、大学、ビジネススクールを出れば直ちにそういった言葉を使った職名がついたりいたしておるわけでございまして、その部分について、やはり日本はもっと明確にしていかなくてはいけない、そういう気持ちでおります。 したがいまして、法律上、労使委員会の全会一致というような要件を厳しくかぶせた上で、指針の中で、御納得いただけるような業務範囲という ものを、私ども、アメリカの抽象的な表現よりはさらに具体例をもって、明らかなものになるまで、審議会等においても十分議論をしていただいて、定めていくつもりでございますので、そこは御理解をいただきたいと思っております。
○中桐委員 私は理解できません。つまり、一つの新しい制度を決めるということを考えて、どういう法体系で対処します、それは順番に、これをやってからその次これやって、これやりますというのが多過ぎたのではないのですか。だから、そうではなくて、こういうコントロールの仕方で新しい労働契約のもとにおける働き方のルールをやりますというのは、これからセットで出すべきです。そう思うのです。 ちょっと時間がないから、これをやっているとまた五分すぐ過ぎてしまうので、私の持ち時間がもう来ますので、私の意見はそういうことであります。 その次に、一カ月単位の変形労働時間制が余り議論がされていないようなので、一カ月単位の変形労働時間制の導入に当たって、それを就業規則あるいはその他これに準じるものというものと労使協定というものを今併記しているわけです。一カ月単位の変形労働制というのは非常に多いというふうに聞いているのですが、その中でなぜいわゆる労使協定というものが優先されて、就業規則というものと併記されてしまうのか、つまり労使協定というものと就業規則が並列されるのか。その理由をまず、簡単でいいですから。
○伊藤(庄)政府委員 一カ月単位の変形労働時間制は、労働基準法制定時から存在している制度でございますが、現在の就業規則、いわば労働者の代表の意見を聞いて就業規則で定めていくというのが従来からの長年のルールでございました。 今回、先生御指摘のように、それと労使協定でやる方法の二つを併記いたして、これからそこを労使協定によることも選択肢として可能である、またそういう方法も労使で話し合っていただきたいということで提案させていただいたわけでございます。 ただ、現実にそういった長い歴史を持つ一カ月の変形労働時間制でございますので、いろいろな業種によって、実際上就業規則に基づいてこの一カ月単位の変形労働時間制が運営されております。現時点でそれをすべて労使協定にということになれば非常な困難が伴うことは事実でございまして、そういったことから、就業規則または労使協定によって一カ月の変形制を運営していただきたいという趣旨で御提案を申し上げたわけでございます。
○中桐委員 そうしますと、労使協定だけにするとちょっとそれは現実にまだそういう形のものに全部切りかわらない、そういう意味ですか。つまり、労使協定の方向に重点を移していくということなのですか。どっちなのですか。
○伊藤(庄)政府委員 二つございます。一つはこの一カ月変形制は非常に五十年なりの歴史を持つわけでございますので、実際上就業規則で多くの業種、企業によって行われている。労使協定ということになれば現時点で大変な混乱が起きる。しかし、今後は労使が話し合って労使協定でいきたいというところがあればそれは労使協定でできるように選択肢として加えていく。労使でそういう話し合いが当然持たれることが今後あり得るということも意味合いを込めて御提案を申し上げたわけでございます。
○中桐委員 実は私のところに岩手第一株式会社の事件が持ち込まれておりまして、この点について国会で一度質疑を取り上げてほしいという意見がありました。 もう時間がありませんので詳しいことは申し上げませんが、ここは労働組合があるにもかかわらず労使協定に応じないという形であって、しかもこの会社は就業規則に変更を加えないで一カ月の変形労働時間制を導入したというふうなことのようであります。労働組合があって就業規則があってというケースではないようでありますが、これは地方労働委員会があっせん申請をしているにもかかわらずまだ労使協定のテーブルに経営者が着いていないようであります。 ですから、こういうケースもどのぐらいあるのかわかりませんが、とにかく就業規則と労使協定の間がどうもきちんと経営者に意思徹底がしていないところもあるのではないかと思うので、その辺でやはり、将来的には労使協定というものがいいわけであって、労働組合があるならばもう当然労使協定に応じなければいけない、そういう問題が解決されていかないと、今のような局長が言われた労使協定重点に移していくということもなかなか難しいのではないかと思いますので、その点についてはぜひこの例も参考にしながら、労使協定と就業規則の関連性、それから先ほど松本議員の方から就業規則を十人から五人に下げるべきではないかという意見もありましたから、そういうことも含めて、今後より検討を加えていっていただきたい。 以上で私の質問を終わります。
○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時三十五分休憩 ————◇————— 午後一時三十七分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。河上覃雄君。
○河上委員 本会議終了後、引き続き審議になるわけでありますが、私は、前回の質疑を通しまして、特に裁量制については、対象となる労働者の裁量の範囲ということを質問をさせていただきました。さらに、使用者が指示することのできる範囲、これについても言及をさせていただきました。また、裁量労働制の趣旨が、一日八時間、週四十時間を骨格とする労働時間法制に与える影響、これらの点につきまして、基本的な考え方あるいは問題点となる課題としている部分、これらを具体的な側面から質問をさせていただいたわけでございます。その際、大分積み残しもございまして、最後に私は新たな裁量労働制の業務の内容を質問しようと思っておりましたが、時間の関係でそれらを積み残してしまいました。 この業務内容を特定するということにつきましては、とりわけ私は裁量労働制を執行する上で大事な課題であると認識をいたしております。以下何点かその業務の範囲ということにつきまして議論をさせていただきたいと思いますけれども、最初に、今回提案をされました新たな裁量労働制の対象となる業務、これを企画、立案、調査、分析といたした理由についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今回の新たな裁量労働制の対象となる業務でございますが、企業の本社等の中枢部門で、企画、立案、調査、分析の業務を行うことといたしております。 この理由でございますが、こういった業務は、職階あるいは経験年数が一定のレベルを超えてまいりますと、業務の遂行手段、時間配分の決定がかなり労働者の裁量にゆだねられるケースが一般的になってくる、そういったことで、時間をみずからが主体的に使って時間配分等を決めていくことによりまして、こういった業務に必要な創造的な能力が引き出されたり、あるいは、家庭、仕事との調和等も本人の判断で進められていく、そういった側面が強いものですから、裁量労働制になじむものとしてこういった業務に限ったわけでございます。
○河上委員 今御説明いただきましたのは、企画、立案、調査、分析、これ自体非常にある意味では広がりを持つ内容になるわけでございまして、これが適用されますと職場という現場でどのように機能していくんだろう、こう思いますと、さまざまな部門や分野でこれらの業務は該当するものも多いわけでありますから、実態としてもかなりの広がりを持つのではないかと思うわけであります。 そうして考えてみますと、今御説明いただいたわけでありますが、私、答弁を伺わせていただい ても、これは抽象的だな、こういう感をいたします。具体的なイメージがややわきにくいわけであります。一口に本社や事業所の中枢部門における企画、立案、調査、分析の業務と言っても、どこまで果たして広がりを持つのか極めて不明確になるわけでありまして、これでは結果として、ある意味で事業主の判断に最終的にゆだねられてしまう可能性もなくはないわけでありまして、これらの懸念を持ちます。 平成七年の四月に労働省は、「裁量労働制に関する研究会報告」、これを発表されました。そこで、裁量制の対象となり得る業務の具体例を次のように仕分けをいたしまして報告といたしております。専門的業務と創造的業務に分類をされまして、専門的業務については、現行の業務、現在十一種類あるわけですが、この十一種類の業務に加えて、「高度な経営戦略の企画の業務」、また「高度な法務関係業務」、そして「高度な特許・知的財産関係業務」、さらに「高度な経済動向等の分析・評価関係業務(いわゆる経済アナリストの業務)」などといたしておりまして、十分に特定されないまでも、改正案の業務よりはある程度わかりやすい業務内容というものを示しているわけでございます。また、創造的業務としては、現行の業務に加えまして、中期的視点からと断りがございますが、「芸術家的な業務」、これもある意味ではわかりやすいわけでございます。 私が申し上げたいのは、企画、立案、調査、分析と一口に申しますが、業務としての境界線というものがやや不明確でありまして、逆に、一般的な広がりのある事務部門のホワイトカラーという層に適用する場合には、今申し上げたような視点からも、やはり対象となる業務の範囲というのはより具体的に考え方を示すべきではないのか、こう考えますので、改めて御答弁いただきたい。
○伊吹国務大臣 午前中の中桐先生とのやりとりでも、今、河上先生が御指摘になったようなお話がございました。 御指摘はごもっともだと思います。そして、その御指摘にお答えする方法が、今回御提案した法律の中では、労働大臣の示す指針というものでその具体的なものを限定していきたい、こう考えているわけですが、一つは、今例えば高度のというお話がいろいろありました。高度のというのは具体的にどこまでなんだということは、やはり一つ一つの仕事に当たらないとこれはわからないわけで、逆に法律にそのあたりを下手なことを書きますと、かえってそれが一つの手がかりになって、今御心配になっているようなことを惹起するおそれもあるわけです。したがって、これは行政に対する御信頼がどうだという話が午前中中桐先生からもございましたけれども、やはり労働大臣の指針とそれに伴う労働基準監督署の監督によって、働く人たちに無用の負担が多くならないようにやっていくというのが私は現実的じゃないかと思います。 いろいろまた御議論を伺いながら、最終的な書き方の考えもまとめてみたいと思っております。
○河上委員 ぜひ大臣、考え方の差異はあるかもしれないもののというお話がございましたが、この辺はよく今後協議しながら、そしてまた当委員会に反映して、特定、明確化を極力図るようなあり方をお互いに検討してまいりたい、このようにも思います。 前回の質問で、ごれまで施行されております裁量労働制、今回はそれとは別建てで、新しい形の裁量労働制だ、どこがどういうふうに違うのかなと私も考えておったわけでありますが、前回の答弁の際、いろいろと説明も承りました。 それらを要約して、従来と今回の新たな裁量労働制の比較をいたしますと、従来型は、業務を省令あるいは告示で列挙して明確に特定しております、こう答弁もございました。また、労使協定でみなし時間を定めるという仕組みであるとおっしゃっておりました。今回は、それに対しまして、事業所ごとに業務の範囲を定める。これが違いの一つでございました。また、その決め方も、労使協定というよりは、新たに設置をされる労使委員会での合意、これは全員の合意というふうに法律上もなっているわけでございます。こういう仕組みが違うということが前回の質問を通じて、その前提といたしまして、基本的な裁量労働制に対する目的や考え方は同等である。ただ、仕事の進め方、時間配分の裁量の程度、これは違うんだ。そしてもう一つは、評価の制度である、これについても違う。 こういうように新旧それぞれの裁量労働制の差異というものがあるわけでありますが、私が今申し上げてきたところ、これをどういうふうに現場に、あるいは実態に即しながら進めるかということを考えますと、今申し上げたような考え方に基づいて、いろいろと現場においては違いというものも出てくるであろうと思っております。 特に、従来の裁量労働制のもとでは、先ほど申し上げましたが、対象となる業務、十一種類あるわけでありますが、かなり特定的に明示されているわけですね。新商品もしくは新技術の研究開発または人文科学もしくは自然科学に関する業務、あるいは新聞、出版の記者の皆さん方が対象になっているわけでございますが、これらの業務、あるいはデザインの考案の業務、広告、室内装飾、衣服、工業製品等、さらに、放送番組や映画の制作におけるプロデューサーあるいはディレクターの業務。やはり今までの業務というものは、職種をあわせて業務と考えたとしても、かなり特定的になっております。公認会計士の業務、あるいは弁護士の業務、一級建築士の業務、不動産鑑定士の業務、弁理士の業務。これに異論を挟むような余地は全くないわけでありますが、ここまで特定されております。 さらに、これらの業務をもしふやす場合には中央基準審議会の議を経ながらこれにつながるわけでございます。もちろんカットする際もその議を経なくてはならないんでしょうけれども。 このように特定されて、審議会で積み上げられてやるようなスタイルになっているわけですが、今回の新たな裁量労働制については、本社、事業所の重要な決定の場ということを前提としつつも、なお企画、立案、調査、分析という場合、これらは、先ほど申し上げたように、特定し、どこまで明確にすることができるかなということを考えますと、なかなか厳しいものもあるのではないか。むしろ今世論として、この問題についても、ホワイトカラー全般に広がる、あるいは拡大するおそれがあるということがいろいろなところで指摘をされております。 その意味で、ともかくこの点は、今大臣の御答弁にもございましたが、特定的に明示できるところまでぎりぎりに、やはりよりきちっとさせて、そして実際にこうした懸念が現実の中で起こらないような形、姿にしていく必要があるのではないのか、このように私は思っております。 対象業務は労使委員会の合意で決まることになっておりますが、しかし、労使の力関係も現実的には存在するわけであります。こう申しますと組合の皆さんにしかられてしまうかもしれませんが、実態的にはそういう側面を大いに持っている。組合のあるところならまだしも、組合のない事業所において、この場合は労働者の代表が民主的な手続によって委員として参画することになっておりますが、果たして組合のないところ等は、こうしたものにきちっと労使委員会が十分に機能し、これらの大切な問題を十分こなせるかなという懸念も私自身はあるわけでありまして、そういう意味では、対象となる業務の範囲というものはできる限り明確にすることが求められる。 そういう意味から、できる業務も明確にするとしつつも、反対に、こんな業務は対象とすることはできないんだ、こういうことも明確にすることによって、やはりある意味では安易な拡大を防ぐことにつながるのではないのか。 補助的、定型的な業務はまさにその対象となると思いますし、あるいは、通常の労働者によって容易に代替がきくような業務、かわることができ得る業務、こういうのも対象になると思いますし、さらに、業務の遂行の結果または成果という ものを時間で評価することが可能なような業務、こういうものはできないんですよと、できる範囲を明確にしながら、逆に、できない範囲を丁寧に置いておくということは、この両方がきちっとすることによって拡大とか安易な使用の方法が制限されるのではないのか、私はこう考えるのですが、できないような範囲をきちっと何か措置をするという考えについて、いかがですか。
○伊吹国務大臣 午前中の中桐先生の御質問にもお答えしましたが、まず、二つに分けて考えるべきだと思います。 法律では、本社機能の中の企画、立案、調査、分析であり、かつまた、業務の遂行について上司から命令を受けない、こういう縛りを一応かけているわけで、例えばセールスマンの方であるとか、あるいは今先生が御指摘になったような定型的な業務とか、こういう方は、ホワイトカラーであっても、そもそも法律の縛りの中で入ってこれる余地がありませんし、もしそれを入れるということになれば、それは、法改正という形で改めて本院の同意を得なければできないわけです。 問題は、今の規定の中で、労働大臣が示す指針というものをどのように書くかという御指摘だと理解してお答えを申し上げれば、先生の御指摘は、指針を書く際に大変大切なポイントだというふうに受けとめて、そしてかなりの部分、実態をよくわきまえながらつくらせていただきたいと思いますが、しかし同時に、ネガティブに、この業務はだめだよと書くということが、では、それ以外の部分で抜けているところが万一あった場合にはオーケーになってしまうという危険があるわけですね。 それから、この業務、この業務という場合に、例えばデザイナーとか、あるいは先ほどおっしゃった、仕事と業種がぴたっと合っている場合は、そのような書き方は非常に楽だと思います。しかしそれでは、高度の財務管理の企画、立案ということを書いた場合に、高度とは一体どの範囲なんだといういろいろな問題が出てくると思います。 したがって、ある程度の方向は、先生がおっしゃったようにきちっとお示しをしながら、同時に、この法の精神にのっとりまして、やはり働く人たちの立場が悪くならないように見ていくというのが、労働基準監督官の基本的な責任だろうと私は思います。 そして、組合のないところという御指摘は、私もそのことは、特に中小企業などについては十分配慮しなければならないことだと思いますが、同時に、大企業のホワイトカラーの皆さんがなぜ組合にお入りにならないのかということも組合サイドではよく考えていただいて、そして、これを組合の一つのいいチャンスとして組合の組織率をそちらまで伸ばしていただく。そのことがかえって、経営者もそれから行政の立場としても、多くの方々を対象にお話し合いができる相手ができるということでございますので、これは、行政を預かっている者の繰り言として、労働組合の方もお耳に入れておいていただきたいことだと思います。
○河上委員 大分議論が、少しずつシンプルに、具体的にやりとりができるようになったわけでございますが、きょうで五回目ですか、かなり審議をさせていただいております。 何が問題なのかということにつきましてはだんだん明確化してきておりますし、業務の範囲というものが最大のポイントであろう、私はこう思う。そしてまた、やや懸念もあるので、その辺は、先ほど申し上げましたように十分配慮しながら、大手と中小企業との格差における、同じ制度を執行した場合の問題も、今大臣指摘されました。これも現実の問題として私はあると思いますし、なかなか実態としては難しい側面、いろいろ出てくると思いますので、ぜひともこの辺の詰めについては、大臣の指揮のもと、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。 これらの問題について、かなりしつこく前回から今回に通じて質問をさせていただいているわけでございますが、これは決意で結構なんです。ホワイトカラー全般が対象になる、あるいは、将来拡大するということを懸念があるということを申し上げてまいりました。こうして議論をいたしまして、ある程度やや明確になりつつあるところでありますが、果たして、これが広がらないのだ、広げないのだ、そして、そういう御懸念は心配ない、それは大丈夫なんだよ、広がりは持たないように仕組むよ、こういう、広がらないということを断言あるいは決意発表でお述べいただきたい。広がるのだったら、それは全然お答えする必要はないのですが、多分、広がらないようにするために議論を積み重ねてきたのですから、これはできると思いますが、ひとつ大臣、これは広げませんよ、こういうことをお願いします。
○伊吹国務大臣 これは先般も大森委員の御質問にもお答えしましたけれども、ホワイトカラー全般というお尋ねでございますと、現在、法律の縛りがあるわけでございます。したがって、それを超えてホワイトカラー全般に広まらないのだなという御質問であれば、それは河上先生を含めて、国権の最高機関である院がお決めになることでございます。 しかし、今御提案している法案の中で、解釈、運用において、本来裁量労働制にするのが適当ではなく、結果的に、よく御批判を受けますように、サービス残業のような形になるというようなところへ広まらせるかどうかということは、それはそんなことがあってはならないのだし、また、そういうこととして我々も行政をお預かりしていると理解いたしております。
○河上委員 わかりました。ひとつよろしく大臣にお願いを申し上げます。 関連して、業務の範囲の問題なんですが、今回の改正案で、事業運営の重要な決定が行われる事業場において、こういうふうに明示されております。私が質問したいのは、この「重要」というところなんですが、重要な事業場あるいは本社、これが対象になることが前提ですよという法律があるわけで、この重要というのは一体だれがどうやって決めるのだろうというのが私のやや疑問の点なんです。監督署が、多分これを決められませんね。おたくのこの本社は重要ですとか、あるいは、この事業所のここは重要で、ここは重要でないということは、行政機関は多分できないと思います。 重要であるかどうかは、最終的には労使委員会で、労使によって決まるものとは思いますが、先ほども申し上げましたように、その事業所等々が重要であるかないかというのは、やや第一義的に事業主の方のリーダーシップが前面に出てしまう可能性は、大臣、現実論として絶対あるわけであります。しかし、労使委員会というもので決めるのだ。労使委員会の機能も大切なんですが、そこへ入る前に、事業主に結果としてゆだねられてしまう可能性はないのかなというのがこの「重要」の分かれ目になりますので、この点、まずお答えいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘の、事業運営の重要な事項が決定される事業場、抽象的ではないかという御懸念かと存じますが、私ども、これを運営するに当たりましては、当然この辺を、判断基準としてきちっとしたものを示し、客観的に判断できる仕方を実際に運用通達等で示していくわけでございますが、その際の基本的な考え方は、こういった事業主そのもの、あるいは役員が常駐していて、そこでそういった方が事業運営の重要事項を決定をしている事業場、そういうことが基本になるかと思います。 したがいまして、本店、本社ということは当然該当をいたしますし、それ以外に広がるといたしましても、常勤する役員の統括管理のもとで、やはり本社と同じような機能を果たしている、例えば東京本社、事業本部、こういったものが該当してくる。その辺の的確な運用ができるような行政上の運用通達等を準備していく、こういうことによって、届け出があった際に監督署の窓口において的確なチェックと判断が行われるようにしてま いりたいと思っております。
○河上委員 この心配も、先ほどからの議論の中から導き出されるものなんです。大手の事業所、これは新たな裁量労働制、別に中小企業もできるわけでございますので、その際の中小企業における事業場、人数だけではなく、質的にもうんと違うと思うという問題もある。そして、先ほども申し上げましたが、特に組合のない労使委員会でこうしたことをする際には、事業主に裁量をゆだねられるような傾向がどうしても強くなってしまう。その意味から、いたずらに裁量労働制が実態的に拡大されてもこれはちょっと困るな、こういう意味から私は申し上げていることをぜひとも御承知おきいただきたいと思っております。 それから、別な視点になりますが、こうした裁量制の問題をとらえますと、どうしても、裁量労働制の適用対象となる労働者本人の意思はどこまでおもんばかればいいんだろうか、こういう問題は、私は議論をしておかなければいけないと思います。もちろん、建議の中でされていないということではありませんし、出てきておるわけでありますが、その意味では、裁量制の対象となる労働者の皆さんがこれにつくという場合には、やはり本人の同意ということが必須の要件になるであろうし、また、お断りをする権利もあるという前提に立つならば、お断りした際に使用者側から不利益な取り扱いかないような措置も必要であろう、このように思っております。 こうした問題を一つ一つ明確にすることによって有効的な裁量労働制が執行できるんではないかという前提で考えますと、これらの問題については大事な要点になろうと思っておりますので、この考え方につきまして、もう一度改めて御答弁をいただきたいと思います。
○伊吹国務大臣 非常に大切な御指摘だと思います。そして、建議の中にも、先生がおっしゃったのと同趣旨のことを我々いただいておりますので、御提案している法案を国会としてお許しをいただいた場合には、当然、今おっしゃっているものが必要なことになるんだということは、大臣の指針の中に明確にいたしたいと思っております。
○河上委員 さらに、労使委員会の件について一点だけ御質問を申し上げたいと思いますが、ホワイトカラーに適用される新たな裁量労働制は、そのさまざまな担保については、今議論したとおり十分まだこなれていないような現状下に現在あると思います。 労使委員会の適正な運営という問題に対しまして、これは重要な視点でございまして、もしこの運営に支障があるならば、仮にそこにおいて不合理な決議が行われて決定してしまった、こういう場合も、出発としてあるかもしれません。その決議が、どういう決め方を労使委員会で、時間的な側面、一年なのか二年なのか三年なのかわかりませんが、時間まで含めてそれらを決定いたしますと、三年なら三年としますと、かなり長期的に不合理な決議がそのまま有効であるということになってしまう。これも指導しなくてはならないわけでございますが、最終的には、労使委員会がお決めになったことは、これは尊重せざるを得ないという姿になるのだろうと思います。 私は、そういう意味では、この決議が不合理な決議によって長期化することを妨げる観点からは、例えば委員の任期制であるとか、委員会の運営や決議が適正に機能するための何らかの措置が必要なのではないのか、こう考えるわけでございますが、これについてはいかがですか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、本社等の組織等々、現在の経済社会のもとでかなり頻繁に組織改正等も行われるわけでございまして、一たん決めた労使委員会の決議が、そういう状況の中で決めたけれどもやはり不合理なものが出てくるということは、先生御指摘のような場面があるかと存じます。そういうために、また見直すという意味での有効期間の定めとか、そういった工夫については、これはしっかりしてまいりたい。 例えば、有効期間につきましては省令等できちんとしたルールを決めていく。また、そういったことのあり方についても、指針等で業務範囲を明確にすることとあわせてきちんと示していきたいというふうに考えております。
○河上委員 もう一点、全体としての労使委員会というものが適正に機能するということが非常に大切な点であろうと思います。この委員会そのものが、今申し上げたように、適正に運営されているというチェック、これはどうしますか、この点について御答弁ください。
○伊藤(庄)政府委員 労使委員会の活動状況、また、そこでの決議等が適正に行われていることのチェックでございますが、一つは、法律上、労使委員会の決議、議事録、これらについては労働者の方に周知すること、また、その保存等も法律で義務づけるなどの措置をいたしているところでございます。 それからもう一つは、これらの決議等は当然届け出でございますので、届け出の段階のチェック、また、私ども労働基準監督官が、本社等の部門を重点監督対象としてこういったものの運用状況を常時チェックしていく、こういうことも地方に指示して、厳正な運用を確保してまいる考えでございます。
○河上委員 さらに、もう一点心配な点は、前回の質問で、現行の裁量労働制の対象となる労働者の賃金が、通常の労働者と比べてどんな実態の関係にありますか、この部分だけお尋ねしました。ある意味では評価ということにつながるわけでございます。この問題もやや難しい問題でございますが、従来の裁量労働制を導入している企業、あるいは導入に踏み切れない企業、両方あるわけでございます。これは、使用者側も労働者側も一番のポイントは、やはり評価に対する基準が非常に難しい。導入している方も、導入に踏み切れない方も、そして使用者も労働者も、両方ともそういう意見が一番あるわけですね。その意味では、やはり成果と賃金という問題を適正に図るための評価基準というものがまだ確立されていないように思うのです。 当然これは労使委員会の検討対象事項に実態的にはなるのだろう、こう思いますけれども、何らかの評価基準というものが私は必要であろうと思いますし、ホワイトカラーの働き方を見ますと、確かに仕事の進め方の裁量度は大きいと思います。 しかし問題は、裁量労働制の場合は、仕事の量と仕事の結果で決まるわけであります。その意味で評価というものは大変重要だろうし、一生懸命いい仕事をして、時間もかかりました、時間はかけませんでした、評価ですからいろいろあると思います。その際、きちっとした形でそれが賃金に反映されるような実態になければ、その人はがくんときてしまうでしょうし、いろいろな問題が起こり得ると思います。 そこで、この新しい裁量労働制のもとで、この評価基準、新たなルールづくりについては、労働省としてはどういうお考え方になられるのか、この点を確認をいたしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、日本の企業、今まで一般的でありました職能資格制度を、これらをいろいろな形で成果や業績を見る評価制度へいろいろと工夫を今重ねている、そういう段階にあるかと存じます。裁量労働制の実施とあわせて、こういった評価制度の見直しが提案されてくることも多いかと存じます。 私ども、そういったことも考慮いたしまして、労使委員会は、賃金、労働時間等労働条件全般について調査審議する委員会というふうに法律上位置づけております。したがいまして、それを受けまして、労使委員会の話し合いの対象とすべき事項としてそういった点が含まれることを労働大臣が定める指針の中では明らかにしていきたい、それに基づいて必要な指導等を行ってまいりたいというふうに思っております。
○河上委員 いろいろ業務の範囲等について御質問をさせていただきました。新たな裁量労働制というものが、業務の範囲あるいは対象となる労働 者の範囲などが、従来の裁量労働制に比べまして大きな広がりを持つことになることは歴然としているわけでございます。 また、この問題、現行の労働時間法制の考え方の根幹にも係る部分は前回の質疑を通して申し上げましたが、その意味で、厳格な適用と運用というものは極めて重要な課題であると考えております。指導監督体制ということの強化はもとより、実施状況の把握あるいは実態を的確に掌握をする、この問題、極めて重要な課題であると私は考えております。 今議論をいたしてまいりましたことを踏まえて、繰り返し総括的に申し上げましたが、これはお答えは結構でございますが、ぜひともそうした観点で取り組んでいただきたい、このことを要望して、次の質問に移りたいと思います。 変形労働制の一年単位、この問題に何点か触れさせていただきたいと思いますが、一年単位の変形労働制を採用している企業は、平成六年で七・六、七年で八・七、八年で一五・一と、八年は二倍近くにふえております。実態として、中小企業における導入率が高まった、このように理解をいたしておるわけでありますが、ある意味では大幅な増加傾向にあるということが言えるわけでございます。 そうしますと、この一年制の変形時間、今回の改正に伴って規模とか運用される部門、どんな分野で広がるのかなという思いが、先ほど申し上げた傾向にあわせて私も思うわけでございまして、今回の改正をいたしますと、規模、運用部門別にどういう形でふえていくかということについての見通しを御説明いただければありがたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今回提案申し上げております一年変形労働時間制の改正は、休日の確保また残業時間の減少、そういった新たな要件とあわせまして、変動幅について弾力性を持たせていくということを一体のものとして御提案させていただいております。 こういった形を利用する状況、私ども推測いたしますと、まず規模別の方で申し上げますと、やはり今何といいましても、一つの傾向として、四十時間制を定着させていくためには年間を通した業務の繁閑を見た時間管理をしなければならないということで、これを利用しながら四十時間制を定着させている傾向はまだしばらく続くと思います。そういった意味で、一つは、中小企業において利用が行われるという傾向は続くと思います。 それから部門別でございますが、これは正確な推測は大変難しいわけでございますが、やはり季節性のあるところで、年間のスケジュールを組んで連続休暇あるいは夏休みその他休日をふやしながらということが必要になりますので、やはり年間のスケジュールの見通しがつくような事業場部門、ここでこういったものの利用が進んで、全体としての労働時間の短縮につなげるようなことが可能な部門ということになろうかと思います。 それを業種別に見ますと、やはり製品として季節性のあるものをつくるメーカー等が多くなるかと思いますし、サービス分野でいえば印刷部門とか、そういった季節によって受注の幅が大きいものが利用が進むのではなかろうか、こういうふうに思っております。
○河上委員 変形でもう一点だけ御質問を申し上げたいと思いますが、一日八時間、週四十時間、この労働法制は仕事と家庭を考慮していると思いますし、労働基準法は人としての最低の労働条件を定めたものでございます。私個人は、週四十時間も千八百時間達成の誘導のために大事な要因ではあるのですが、むしろ人の営み、生活の営みを考えますと、一日八時間というところを非常に大切に思う気持ちの方が強いわけでございます。一日八時間ということがある意味では労働法制の根幹になるだろうと私個人は考えます。 この変形労働制の本来の趣旨であります時間短縮、これに配慮をいたしまして、労働日数の限度は命令で定める最大連続労働日六日を原則といたしておりますものの、時間外労働とこれが連動いたしますと、一日の労働時間がかなり長時間になるだろうということが考えられます。特に、家庭責任の実態が現実に女性にかかっているという事実を直視しつつ、女性労働者等に与える影響というのは大事な問題になるだろう。また、労働者全般における健康の保持という観点からも慎重な配慮を加えるべきではないのかなと考えております。 こうした現状を踏まえて、今回一日九時間、一週四十八時間を一日十時間、一週五十二時間とする根拠をどのようにお考えになられたのか、この点についてお答えください。
○伊藤(庄)政府委員 一日九時間までを十時間等に改正する根拠でございますが、これにつきましては、計算上出てくる根拠といたしますと、実際いろいろ調査いたしますと、平均的には、この限度までいっぱい使っている事業場というのはそう多くはないわけでございます。ただ、いろいろな要望の中で、連続休暇をふやしたり、例えば年間を通した時間管理をしていくためには、臨時的な忙しさあるいは特定の期間に集中することが見通せる限り、その山を高くして思い切って休み等をつくっていきたいという要望があるわけでございます。そういった要望にこたえるためには、弾力性を持たせて選択肢の幅をふやしておくという意味合いで、この一日十時間、五十二時間というようなことを提案させていただいている次第でございます。
○河上委員 もう二、三分しかなくなってしまいまして、まとめて二点だけ質問をさせていただきたいと思いますが、労働契約期間の上限の問題でございます。 ここに、エキムと読むのですね、非常に難しいのですが。私ですら最初何だろうと、ヤクムと読んでおりました。辞典で調べましたら、労力による仕事、このように解されると初めて知りましたが、役務というのは何なのか。これは簡単に言います、役務とは何ですか、皆さんにわかりやすく御説明していただきたい。 もう一個は確認です。たしか建議等で議論をされているときは「必要とする業務に新たに就く者」と。「新たに就く者」は新規の採用者なのかそうでないのか、一体なのか、新たに雇い入れた人なのか。新たにつく人は、他の事業所からほかの事業所に移った場合はこれは新規にはならないわけでありまして、「新たに就く者」に当たるのかどうかという意味で、その違い、この二点だけ御質問して終わります。
○伊藤(庄)政府委員 まず、役務という用語でございますが、新しい役務、私ども法令にする前はいわば新商品という中で読んでいたわけですが、やはりサービスの新しいものをつくり出すというのは新役務という表現にすべきだという法制上の指導に従いまして行いました。具体的には、例えばデリバティブ、そういうものを活用した新しい金融商品の開発、あるいはインターネットを使った教育のサービスとか、新たなサービスの提供を立ち上げる、そういったことが新役務の開発に当たるというふうに理解しております。 それからもう一点ございました「新たに就く者」の定義でございますが、基本的には、新たに採用する者に限られるということでございます。御指摘ございました別の事業場へ行く場合には「新た」に該当するのか。これは、法令工事業場単位で基準法を適用する体制になっておりますので、理論上「新た」に該当します。ただ、これは今までの契約を一たん終了させて新たに雇い入れるということになりますので、もちろん終了させるに当たって解雇の合理的な理由がない限りそれは無効なものである。また、新たに雇い入れるわけでございますから、当然そういった契約の変更については本人の同意が必要になる、こういう規制がかかる、こういうことになります。
○河上委員 ありがとうございました。終わります。
○田中委員長 次に、青山丘君。
○青山(丘)委員 今回の労働基準法改正に当たって、多くの同僚議員からも各般にわたって質問が たびたびなされておりまして、あるいは似たような質問になる場合もあるかもしれませんが、質問の趣旨が違うことをまず冒頭御理解をいただいておきたいと思います。 私は、実は決められた時間きちっと職場に出て働いて、日本はここまで経済的に大きな成果を上げてきた、けれども、社会の情勢はだんだんと変わっていて、必ずしもそうではなくて、一定の仕事の成果が上げられれば管理時間労働制だけがすべてではないという考え方を実は前から持ってきておりまして、今回の考え方は、私は一つの考え方として一定の評価を実はしています、率直に。 ただ、問題は、これが適切に運用されていくのにはどういう課題があるのかということを考えてみますと、まだまだ十分な理解がなかなか我々にも得られていない。まして、裁量労働制が適用されるかもしれないというような仕事におられる、現実的にそういう立場に立たれるかもしれない人たちから見れば、この点は一体どうなるのかなという点をたくさん不安な材料として持っておられると思います。けさほどからの議論もまさにそういうことであったと思いますし、今の議論もそうでした。私も似たような疑問、例えば、達成された成果そのものに対する評価の基準というのはなかなかこれは難しい。さて、それが果たして本当に正当に機能していくものかという不安を、実は今でも持っております。いや、これはもうこれで先ほどの議論がありましたからよろしいのです。 それからもう一つは、私が最初に労働大臣にお尋ねしてきたことも、局長さんにお尋ねしてきたこともそうですが、裁量労働制が正しく運用されていくためには、労使委員会を構成する、使用者側、特に労働側の委員の選任の仕組みが正しく担保されていくものかどうか、ここが非常に重要なところだということで冒頭お尋ねしたことがありました。そのときの答弁では、まず過半数の労働者の代表が選ばれる、その代表に選ばれた方が今度は労使委員会の委員を指名する、指名された方は今度は労働者側から投票で信任を得るかどうかという仕組みは、一つの考え方としてこれはよく理解できることでございます。 問題は、そうした考え方をきちっと裁量労働制の導入に当たって労働大臣の指針で示していくということになっていますが、私は、そういう考え方もあるでしょうけれども、労働基準法の施行規則の中にきちっと明らかにしていく必要があるのではないか。つまり、労使委員会を構成する委員、とりわけ労働側は、労働者の声がきちっと反映しているんだということが担保されるためにも、労働大臣の指針、それでよしという評価はあるでしょう、しかし、私は労働基準法の施行規則に入れるべきではないかというふうに実は考えてずっとここまで来ておりますが、まず冒頭、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘の点は、労使委員会がきちんと機能するために大変重要なことでございます。私どもも、先生御指摘になったようなルール、これはぜひともつくってまいるわけでございまして、その際、できれば労働基準法の施行規則でルール化する、あわせて、三六協定等も重要性が高まりますので、そちらの方についてもそういった形でルール化する、そういう方向で検討いたしたいと思っております。
○青山(丘)委員 ぜひ、そうしたきちっとした担保があることが、これから新しい裁量労働制がきちっと適切に運用されていく上では必要だなと私は強く思っています。 それから、労使委員会で全会一致、全員一致で決議されていくわけですが、個々の労働者にとっては働き方をあるいは変えていかなければならないかもしれない。今までの仕事をそのまま続けていくことができる人もあるでしょう、しかし働き方を変えていかなければいけないという人たちも出てくるでしょう。そうしますと、どうしても裁量労働制適用の同意確認、適用労働者となるべき人の同意がきちっと確認されていく必要があると私は思います。これがなければなかなか裁量労働制も、日本の労働社会の中できちっと地位を確立したり、具体的に、働く時間を短くしていくという成果がなかなか上げられないかもしれないという不安を実は持つものですから。 問題は、個々の労働者から適用の同意を得るその手続はどのようにされるのか。それから、同意したことの記録はどのような形で保管され、これはたしか労働基準局へきちっと届け出をする義務がありましたね、届け出ていただければ行政側としてはこれはきちっと確認することができるということなのでしょうが、この同意を得る手続と行政の確認についてどんな見通しを持っておられますか。
○伊藤(庄)政府委員 同意の問題につきましては、大変重要な事項でございます。主体的に働くという制度でございますので、その制度自体に参加することについても本人の主体的な同意が必要だ、こういう点についての御指摘でございまして、私ども、そういう趣旨に従いまして、指針で同意の必要なこと等を示していくという方針でおりますが、あわせまして、同意をとる際の手続、またそういったものを常時確認できる体制にしておくことの必要性もこの指針で指摘しておく、こういうふうに考えております。したがいまして、それは指針に沿って労使委員会が決議をしておくことになりますので、その決議は労働基準監督署へ届けられ、どういう手順でこの同意がとられ、それがどういうふうに保管されているかということの手順については監督署の方で確認がされる、こういう仕組みをつくりたいと思っております。
○青山(丘)委員 これまで過労死の問題が時々問題になりまして、実はこれは、家族にとっては大変不幸なことなんですけれども、本人は結構生きがいを持って必死で頑張ってきた猛烈社員。裁量労働制が適用されることによって、さらにまた猛烈社員が出てくるのではないか。日本の労働慣行の中には、どうしても会社人間を生みやすい、あるいはこれは日本人の労働に対する価値観から生まれてくるのかもしれませんが、会社人間が出やすいような、そういう社会的な仕組みのような気が私はします。 本人はある程度満足しながら働いていた。ところが過労死というようなことになってくれば、当然、家族にとっては大変な不幸。本人も不幸を自分で感じながら、それでも上司から仕事を与えられると必死で頑張ってきた。ところが、上司の立場からすると、仕事のできる人に仕事をまたお願いをするというようなケースは日本の社会の中には案外多くあるようなことでして、できない人には仕事を頼まなかったり、できる人に仕事を頼んだりということで、本人は使命感に燃えて必死で頑張る。 それは、働きがいという意味では大変結構なことなのですけれども、裁量労働制の本当の目的は、働く時間をどう自分でコントロールして節約、節約と言ってはなんですが、短くすることができるかということがこの本来の目的ですから、やはり長時間労働をすることによってもし過重な負担がかかってきて、長時間労働が続いていく、そのことによって健康を害するというようなことになってはいけないので、労使委員会においてそのあたりの健康確保の措置がきちっと決議されるということになりますが、問題は、働き過ぎをどういう形で防止することが具体的に考えられていくのか、それから、健康確保のための措置は具体的にどのように示されていくのか、またもう一点、裁量労働制が適用される労働者の勤務状況をどういう形で把握していくのか。本人の申し立てについては後でまた触れますけれども、適用労働者の勤務状況をどういう形で正しく把握をしていくのか、この三点について、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 まず、今回の新たな裁量労働制につきましては、現時点で見ますと、本社等で働いている方が、労働時間管理がしにくいだけに、実際上働き過ぎてしまう、それを上司はもちろん同僚等も見逃してしまう、こういったことで残念な結果を生むことがあるわけでございます。したがいまして、この裁量労働制のもとでは、私ども、制度をやるための絶対的な要件として、労 使委員会で勤務状況に応じた健康管理上の措置を全会一致で決議しておくことを絶対的な要件といたしました。 したがいまして、一つは勤務時間の把握でございますが、健康管理上の措置を行うための前提として、勤務状況に応じたというふうにしておりますので、この把握方法についても監督署の方への届け出事項になる、こういうことに相なります。それはいろいろな、タイムカードその他でチェックする体制が整っていない限り、私ども、不正確な届け出として改善をさせていく、こういうことになります。 それから、それに基づく健康管理上の措置でございますが、この中身につきましては、私ども、あり得べき考え方を指針等で示していく、こういうふうに思っております。議論されている中では、例えば一定のオーバーワークをなさった方があればそれに見合う代償休日とか、そういったことも労使間できっちりルール化してほしいというようなことを例えば示していくということが考えられております。 また、そのチェックにつきましては、私ども、この裁量労働制実施事業場は重点監督でございますから、こういう健康管理上の措置が具体的に履行されているかどうか、これも労働者の健康を守る私どもの任務からして当然重要な監督対象になるということでございます。
○青山(丘)委員 最初、裁量労働制というときは、タイムレコーダーはこれはないものになるんだなと実は私は思いましたが、よく考えてみますと、今のような働き過ぎを防止するのにどう勤務状況を把握できるのかというと、やはりタイムレコーダーが必要なのかなと。健康を確保する意味でも、どういう勤務状況であるかということが非常に大事ですね。そういう意味では、時間管理制という従来の労働慣行のタイムレコーダーの利用の仕方ではなくて、裁量労働制が適正に運用されるためにも、タイムレコーダーはこれは違った意味で必要になってくるのかという気持ちがしてきました。それが労使委員会できちっと受け入れられるようなことが必要だろうと思います。労使委員会で受け入れられるということは、適用労働者の立場ででもきちっとそれを理解して、タイムレコーダーの方がわかりやすく状況が把握してもらえるという意味ではよろしいのかという気がいたしましたので、そのこともひとつぜひ留意して、今お答えいただきましたから、進めていただきたいと思います。 それから、先ほどは本人の申し出については触れなかったのですが、適用には最初同意をした、けれども、働いてみるとどうも過労になりがちな気がしてきた、自分としては、最初は同意はしたけれどもこの際適用を外れたい、こういう希望を持つ労働者が出てきた場合に、それが措置できるのかどうか。いやいや、措置していかなければならないと私は思うのですが、問題は、そうした苦情処理システムをどういう形できちっと機能をさせていくのか。苦情処理のシステムの機能を確保していく必要がある。これは裁量労働制を適正に運用していくための非常に重要な仕事だろうと思います。 最初は適用労働者となったけれども、自分は外れたい、適用解除の措置をぜひしてほしい、こういうような場合に、人から申し出があった場合、どんな措置をなされるのか、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました苦情処理でございますが、まず一つは、今回の新たな裁量労働制を企業が使うためのやはりこれも絶対的な条件といたしまして、労使委員会で苦情処理のシステムを設置することについて全会一致で決議をしておかなければならないことにいたしております。 その苦情処理システムの仕組みでございますが、これにつきましては、あるべき姿を指針で労働大臣の方で示す、こういう仕組みにいたしております。その中では、例えば、申し出の窓口、そこの担当者、処理の手順、方式などがあらかじめ労働者の方に周知されている、そういう仕組みを、透明度の高いものをつくっておいていただきたい、こういうことにいたす考えでおります。 それで、私ども、重点監督として裁量労働制実施事業場を監督する際には、やはり苦情処理の内容につきましても、もちろん匿名のものでございますが、そういったものを見させていただき、私ども、労働安全、健康ということも任務でございますので、もし決議の内容等にいろいろな問題があれば、そういう観点からの見直し等も指導していかなければならない、そういうことも出てくるのではなかろうかというふうに思っているところでございます。 〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕
○青山(丘)委員 もう一点は、裁量労働適用に同意しない労働者が出てきます。問題は、不利益取り扱いの禁止について、例えば、適用に同意しない労働者が、そのままその職場にとどまれる場合もあるでしょうし、他の部門に移っていく、配置転換がなされるケースがどうしても出てくるでしょう。問題は、こうした適用に同意しない人の配置転換がどういう形になっていくのか。それから、適用には同意したけれども^やはり無理で従来の労働形態に戻りたい、こういう人たちも、適用の解除を希望したものとして配置転換の問題が出てくるでしょう。 この取り扱いは非常に重要でして、対象業務を決められた場合に、その職場にとどまれないという場合が出てきます。あるいは対象労働者として同意した人はとどまれるでしょうが、同意しなければ同意しない形でとどまる場合と配置転換が出てきます。それから、一たん適用労働者とはなったけれども本人の希望で除外を申し出ている、その結果それが受け入れられた。そうすると、その職場でとどまれる場合と配置転換がやむを得ない場合、本人が納得したり同意している場合は別に問題はないのでしょうが、本人の同意のない場合が出てくるかもしれない。ここが非常に難しい問題になってくる。 そのあたりを、裁量労働制をきちっと適正な運用をしていこうという立場からすると、どういうふうに対処していこうと考えておられるのか、いかがでしょうか。 〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕
○伊吹国務大臣 今先生が御指摘のところが、実はこの制度を動かす場合の働く人たちの立場に立てば一番心配なところだと思います。 そこで、建議においても、この点については不利益な扱いをすべきではないという建議をいただいておりますので、今御提案しております法案の仕組みといたしましては、この法案のお許しがいただいた後、労働大臣が出します指針においてその点は明確にしなければならないと思いますし、また同時に、労使委員会で合意をいたしました内容について、この大臣の指針に合うものかどうかということについては労働基準監督署において厳正にチェックをしながら、今おっしゃったような御心配が現実のものにならないように守っていくという仕組みの上にこの御提案をしているわけでございます。
○青山(丘)委員 そういう姿勢でやっていただくことが必要だと思います。 ただ、ここまで議論が詰められてきた段階で、当委員会において労働大臣の指針なる構想についてもある程度示していただかないと、大丈夫だろうという形で、さて決断してよろしいかどうかということが我々には問われる段階に今実は来ておるものですから、職場において、そういう配置転換等でこれが当事者の不利益な取り扱いだという受けとめ方がなければいいです。私の要望に会社がこたえてくれて、新しい職場というか、今までの適用労働者としての仕事ではなく、解除された形での仕事にしてもらえたとしての了解や理解が得られた場合はよろしいです。しかし、それが不利益な取り扱いを受けたと思われないような形でこの制度が運用されていくための考え方を、行政としてこういう仕組みで取り組んでいきたいという考え方を持っておるから、これなら理解してい ただけるであろうというところを少し説明していただかないといけないのではないかと思います。
○伊吹国務大臣 これは青山先生、もう長く国会におられますので、いつも新しい法案を提出したときに、内閣と申しますか、行政府と立法府の間で議論になることでございます。 法律のお許しをいただいていない前に、これが通ればこうだ、ああだということをやるというのはけしからぬというおしかりを時には受ける場合もあるわけです。しかし、それがわからなければ審議ができないじゃないかという御批判も時にはあるわけです。 私は、当委員会でいろいろ御議論をいただいておりまして、指針、政令、施行規則等でどう書くべきかということについては、ある程度の腹案は事務局は持っておりますが、なるほどそういう御意見もある、いや、これはやはりこういうことなんだなということを教えられたこともたくさんございますので、その点、十分当委員会の御審議を踏まえて、おっしゃっているようなものを具体化して、いずれ施行までの期間には先生方のお目にとまるようにはさせていただきたいと思っております。
○青山(丘)委員 まだ質問で用意したものがたくさん残っていますが、一つ二つは飛ばさせていただこうと思います。 実は、裁量労働制では、健康を確保していく措置としていろいろ考えられることが幾つかあります。例えば、代償の休日を考えていかなければいけないとか、特別の休日も考えていかなければいけないとか、年次有給休暇をできるだけ、より多く与えていかなければいけないであろうとか、年次有給休暇をきちっと取得してもらえるような措置が必要であろうとか、いろいろ考えられることがあります。 裁量労働制としては考えられるのですが、問題は、一年単位で変形労働時間制がとられるわけですが、業務の繁忙に応じて所定労働時間に長短が設けられる。したがってトータルで総労働時間を減少させていく。こういう考え方の制度は、趣旨としては私は理解できるのですが、ただ、繁忙期において余りに長時間労働が続いていく場合に、健康上の問題が必ず出てくる。 法改正では、労働者の健康の確保について配慮がなされておるのでありますが、長時間労働とならない措置をどのように考えておられますか。
○伊藤(庄)政府委員 今回の一年単位の変形労働時間制の改正の提案の中では、休日確保等とあわせて限度時間の改定が盛り込まれておるわけでございます。 この限度時間については、限度時間を設けることそのものが一つ長時間労働に至らないようにという歯どめをかけておるわけでございますが、さらに私ども、新しい限度時間につきましては、長期間にわたってそれを使うことはできないのだということを制度的にこの限度時間を決めるに当たってきっちりと定めておきたい。そういうことで、具体的な内容を、今後、施行までに審議会を通じて検討させていただいて、ルール化するという方向で対処してまいりたいと思っておるところでございます。
○青山(丘)委員 今回、時間外労働の上限は労働大臣が基準を示すということになっていますが、問題は休日と深夜ですね。休日労働と深夜の労働については上限規制がまだ考えられていないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、今回御提案申し上げております時間外労働の上限基準は、ここ長期間にわたって懸案事項でございました長時間の残業を抑制するという観点で制度化をいたしておりまして、休日、深夜につきましてはその中に含まれておらないわけでございます。 休日につきましては、法定休日労働、私ども実態調査をいたしますと、行っている人で大体四週といいますか一カ月に一・五ぐらいする人がある。しない人はもちろん多いわけでございますが、そういう状況。深夜につきましては、きょう御議論ございましたように、所定時間としての深夜ということになりますと、いろいろな作業、業態によっていろいろな態様がある、これを上限基準ということで一律に抑えることが難しい。そういったことを考慮いたしまして、現在は、上限基準は残業時間についてのものとさせていただいております。 今後、深夜業については、もちろんあるべき方向というのは審議会でも引き続きの検討対象事項にいたしておりますし、休日につきましては、割り増し率につきまして、一般の残業よりも高い、二五ではなくて三五%の割り増し率に既にいたしておるわけでございますが、この割り増し率につきましても、法案を通して成立させていただいた段階で、施行事務とあわせて審議会の方で検討を開始する、こういうことが審議会でも約束されておりますので、そういう中で適切な対応を見出してまいりたいというふうに思っております。
○青山(丘)委員 総労働時間の短縮という問題は、時間外労働の問題だけではなくて、休日労働、深夜労働もトータルで考えていかないと、実労働時間の短縮というのはなかなか成果を上げることができないのではないかと思います。 後で私はアメリカやヨーロッパのスタイルー日本のことについて次にお尋ねしたいと思いますが、総労働時間の短縮をどういう形で実現していくかということを追求しようとしますと、時間外労働だけではなかなかいけない。そういう意味で、休日も深夜についても、これはきちっと総枠で考えていく必要があるのかなと私は実は思っています。そのあたりはいかがでしょう。
○伊藤(庄)政府委員 総労働時間、私ども千八百時間を目指して努力を重ねてきているところでございます。 その千八百時間を達成するための方策といたしましては、四十時間を定着させること、それからもう一つがやはり時間外を減らすことでございます。かなり減ってきておりますが、これが景気の変動によってまた大幅に伸びたりいたしますと目標達成が困難になりますので、今回の時間外上限基準を活用いたしまして、とりわけ深夜に及ぶような長時間の残業が生まれないようなことも念頭に置いて、私どもは対処をしていきたい。 それから、もう一つは休日でございますが、目下、やはり千八百時間に近づくための課題といたしましては、年次有給休暇の取得が非常に割合が少ないということが問題だと思います。現在、千八百九十五時間まで来ておりますが、年次有給休暇がもう少し取得されれば千八百時間台の前半までいくことが十分可能なところまで来ておりますので、当面は年次有給休暇を日数をふやしたりして、その消化を促進していくようにしてまいりたいと思っておるところでございます。
○青山(丘)委員 日本の社会慣行の中で、まだまだ改善しなければなかなか総労働時間の短縮というのが難しいかなという部分も実際はありますね。 労働大臣として、一体日本をこれからどう、例えばアメリカは、割り増し賃金率が非常に高くて、それで時間外労働の一定の抑制がなされているわけです。ところがヨーロッパは、総枠を決めておいて、そして時間外労働の抑制を図っていきたいという、どちらかというとそういうスタイルのような気がするのです。 さて、労働大臣としては日本をどちらの方向、あるいは独自の方向、考えておられましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思っております。
○伊吹国務大臣 この問題は、実は労働大臣という立場からだけではなかなかお答えのしにくい問題だと思います。 日本のこれからの国のあり方を考えていく場合に、どういう将来のビジョンの中で国民に暮らしていただくかということにかかってくると思います。 ヨーロッパのやり方は、私は基本的に余り賛成ではありません。と申しますのは、例えばフランスなどでは今失業率が非常に高くなっております。その高い失業率の中で、失業率を下げるために結果的に勤務時間をさらに抑えていくというよ うなことをやっては、これは、実質の手取り可処分所得が減っていかなければ、市場経済である限り、その国の経済は破滅へ向かいます。そのことは、長い目で見て、働く人たちの職場を奪い、愛する家族の生活を奪うことになるでしょう。 アメリカの場合は、お金さえ出せばどんなに長く働いてもいいのだということになっても、またこれも私は余り感心したことではないと思いますので、日本の場合は、力を合わせて、権利だけを主張せずに義務を果たし、義務だけ人におっかぶせるのではなくて、自分たちもまた権利を主張するときは義務を果たしていくという社会の中で、少しずつパイを大きくしながら、手取りがふえて、そして自然に勤務時間が少なくなっていっても、人間らしい余暇を楽しみ、そして家族と一緒に暮らしていける。 やはりこういう社会へ持っていくためには、労働大臣という立場よりも、もっと日本の社会の根本的なルールとかあるいは運営の仕方がどうあるかという、総理大臣といいますか国民といいますか、そういう方のトータルの希望というかビジョンみたいなものの上に決められるべきものなのであって、先生の御質問にお答えを直接に申し上げるとすれば、労働大臣としては、私は、アメリカでもなくヨーロッパでもない、やはり日本のあるべき道をとっていくのだと思っております。
○青山(丘)委員 今労働大臣がお話しになったことは、ヨーロッパ型といっても、フランスが今目指そうとしておるような方向は、労働大臣が見ておられる見方と私は全体として近いのですけれども、さりとて、私は、日本の場合に、本当は割り増し賃金率で抑制していくよりは、総枠が全体としては必要かなと。私自身の理解では、総枠で抑制していくことが今は必要かなという気が私はしております。 時間がありませんから、最後に一問だけ。 女性の保護規定が撤廃されることになります。当然、女性労働者の実労働時間が相当長くなることが予想されます。女性の保護規定が撤廃されますと、恐らく女性の中で、既に男性並みに働いておられる人もありますけれども、男性並みに働いて昇進していくグループができてくるでしょう。それから、家庭責任がやはり強い、どうしてもうちへ帰れば主婦として家庭責任を全うしていかなければならない、したがって時間外労働ができない。そのために、男性の働いていくコースとはどうしても別のコースに行かざるを得ないという女性が一つのグループとしてできてくるかもしれないという心配を私はしております。そういうことになりますと、いわゆる階層分化、こういう階層とこういう階層ができていくのかという心配を一つ私はしております。 長時間労働のために職場を放棄せざるを得ない。非常に厳しい競争社会にあって、家庭責任というものがなければ十分対等に戦えるのでしょうが、なかなか現実的には、日本の社会では女性はそういう立場にはない。したがって、そういう長時間労働のために職場を放棄せざるを得ないという人々が出ないような措置をどのように講じていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○伊吹国務大臣 具体的な措置は政府委員からお答えをさせますが、今先生の御提案の中で、二つの階層というお話がございました。 均等法のもとで、社会に出て能力を正当に評価されて、男女の別なく昇進をしていくということも立派でございますが、その人たちだけが立派なのではなくて、家庭、育児の責任を果たすために主婦として一生懸命お働きになる方もまた立派だと私は思います。 そういう前提で申し上げれば、働きたいけれども家庭に戻らざるを得ないという方と、家庭の中で自分は子どもを育てるということによって日本的な、伝統的な家庭のきずなを守っていきたいという方と、いや、ばりばりと昇進をして社会参加をしたいという方、これはみんなその方の実は選択の問題であって、どちらがいいとか悪いとかという価値観の問題ではないと私は思うのですね。そこはやはりしっかりと押さえておきませんと、働きたいのだけれども家庭に義務を果たさなければならないのでという方には万全の措置は講じさせていただきますが、社会に出てばりばりやるという方だけが御立派だという評価をしていきますと、やはり日本社会もだんだんアメリカ的な、私は、やや本当にこれでいいのかなと思うような社会になりかねないということを恐れてはおります。
○太田(芳)政府委員 多くの選択肢ができる社会が女性にとっていい社会だというふうに思うわけでございます。ですから、労働省といたしましては、働く女性が性により差別されることなく、その能力を十分発揮できる雇用環境を整備するという観点に立ちまして、男女雇用機会均等法の改正をいたしました。 その趣旨が今後広く浸透するように現在一生懸命やっているところでございますが、同時に、職業生活と家庭生活の両立ができるようにする環境整備ということも非常に重要でございますので、育児休業とか介護休業がとりやすいシステム、環境整備、また、とらなくても働き続けられるようにするようないろいろな支援策、また、一たん子供は自分の手で育てたいという形でリタイアされた方が再度就職をするときには戻りやすいようになるような措置という形で、なるべく多くの措置という形での支援策に努めさせていただいているところでございます。
○青山(丘)委員 時間が来ましたので終わりますが、価値観は私も一緒です。そして問題は、男性の長時間社会に女性が入ったときに、また家庭責任も負って、大変過重な負担になってしまうことを私は本当は心配しておるものでございまして、平等な社会の実現のために、ひとつ労働省、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
○田中委員長 次に、金子満広君。
○金子(満)委員 日本共産党の金子です。御承知のように、労働基準法の改正、国会用語では改正ですけれども、院の外では改悪でありますが、これについては、労働組合、これはもう御承知のように全労連、連合そして全労協、中立を含めて、賛成は一つもありません。全国的な反対運動が起きている。十五日前、全国的に行われたメーデーにも大臣も参加しておわかりだと思います。プラカードにも、賛成ゼロどころか、全部改悪反対であり阻止である、これはもうはっきりしていると思うのですね。 そういう中で、全国の弁護士で組織している日弁連も、反対の態度表明を明確にしています。これはちょっと思いつきではなくて、具体的に分析した上で反対をされている、これももう御承知だと思うのですね。 さらに、地方自治体も、大阪の府議会を含めて、全国で既に二百七十を超えるところで反対の意見書、また決議がされている、これも明らかなんですね。しかも、大阪の府議会の決議というのを私は全部読みました。どういう経過で決議されたかも聞きました。これは全会一致であります。自由民主党も全部賛成しています。その中には、労働基準法は制定以来五十年、最大の危機に立たされていると。これは、だめだということなんです。こういうようになってきているのですね。ですから、ここの議論とちょっと違って、地方自治体では別な方向で新しい分野が切り開かれていると思うのです。 私はこういう点を見て、非常に事態は重大だ。これは今働いている労働者だけの問題ではなくて、家族を含めて人口ですれば四分の三だ。それだけじゃなくて、今幼稚園や小学校に行っている子供さんの将来のためにも、この労働基準法の改正というのは拘束力を持つわけですね、時限立法ではありませんから。 私は、そういう点で、まず委員長にお願いしたいのです、提案したいのです。 きょう伺いましたら、午前中のこの委員会の理事会で、自由民主党の方から、十八日に参考人を呼んだ後、議了で採決してほしいという提案があったそうです。私は、とんでもないことだと思うのです。審議の状態を見れば、これを見ればわ かるのです、ここで。これ、真剣な審議をやっていると人が思いますか。私は、これをテレビでずっと映して、全国の家庭に見せたらいいと思うのですよ。欠席している議員が、どこが多いかも知っていますね。幾らかふえたんです。私が来る前、ここのところ二人ぐらいのときがありました。自由民主党の席ではないです。こういう中で、早く審議を終わって採決なんということは通らないですよ。 私は、そういう点で、既に質問がされておりますけれども、裁量にしても変形にしても時間外にしても、やればやるほど疑問点、解明しなければならない問題というのはうんとあると思うのです。ですから、審議は徹底してやる。調査もし、審議もするということで、ひとつ委員長、努力をしてほしい、これが一つと、それから、このままだったら、普通の会議だったら流会ですよ。ですから、出席率を高めるということも、ぜひ委員長の方でやってもらいたいと思いますが、それをまず提起します。
○田中委員長 金子委員の御提議については、理事会で十分審議をしてまいりますので、御了解いただきたいと思います。
○金子(満)委員 少しは痛いことを言うのも私はいいと思うのです。それで一々かりかりしないで人の意見も十分聞いて、そして全体を進めるという立場に立つのが国民に責任を持つ国会だと私は思います。 そこで、私の時間というのは三十分で限定されておりますので、きょうは、時間外労働の上限をどうするか、上限規制の問題を中心に質問をしたいと思います。 御承知のように、昨年の六月、女子保護規定がなくなりました。このままでいきますと、来年の四月一日になりますと、時間外労働、年間百五十時間というのもなくなりますし、それから深夜業の禁止とか休日労働の禁止、こういう点もなくなるわけであります。あのときの国会で、委員会でも非常に議論になり、全体がそういう方向を目指したのは、男女共通の労働時間の規制を設けること、こういう点が強く出されたと思うのです。同時に、附帯決議でも、そういう点の促進が出されたと思うのですね。 ところで、今回の労働基準法の改正では、御承知のように、時間外労働については労働大臣が基準を定めることができる、このようになっています。これはもう明確になっています。それで、定めることができるんだけれども、それだけで、では明確な上限規定というのはこれから決めるわけですね。しかし、大臣が決める基準について、法的な拘束力、罰則があるかないかというのは、議論の中では非常に大問題に、外でもなっているのですね。この点を、まず最初に伺っておきたいと思うのです。
○伊藤(庄)政府委員 今回御提案申し上げている時間外労働の上限基準につきましては、労働大臣が定め、労使の方にそれを適合するようにしなければならないという遵守義務、それから行政がそれを指導していきますという行政の指導義務、そういった体系でございまして、罰則というものはございません。
○金子(満)委員 非常にはっきりしているのですね。罰則はないのですね。だから法的拘束力というのはありません。 そこで、大臣が定めた基準に違反した場合、大臣はこれだけの基準を出したけれども、それを超えた場合どういうことになるか。罰則がないというときには行政指導でやるということを今まで言われてきました。ここのところの行政指導というものと、それが効果があるのかないのか、この点について、局長に伺います。
○伊藤(庄)政府委員 幾つかお答え申し上げなくてはならないと思いますが、一つは、今回の時間外労働の上限基準につきまして、前回の均等法の審議の際の附帯決議では、時間外労働の男女共通規制という形で、国会の意思がそうであったという点につきましては、私ども今回御提案申し上げているのは、前回のその際の附帯決議、これは、今法律に根拠のない時間外労働協定の適正化の行政上の指導目安、この実効性を高めるための方策について検討するようにという附帯決議を受けておりますので、先生の先ほどの、国会の意思がそうであったという点につきましては、そんな認識のもとで御議論いただければと思います。 そういったことを受けて、今まで法律上の根拠のない指導の目安を、法律に基づく労働大臣が定める時間外の上限基準、法律に基づく義務として労使に遵守義務がかかる、さらに行政が指導をする、こういう体系を労働基準法の中でつくり上げたわけでございまして、これは時間外労働の削減にとってはかなり効果の大きい制度でございまして、そこが決して後退したものではなくて、むしろ時間外労働抑制のための、これから効果を上げていく大きな制度的枠組みができたというふうに御理解をいただければと思っております。
○金子(満)委員 いろいろ検討して、こういう認識でやりますと。それはわかるのですよ、これは言葉ですから。 今まで法律になかったけれども、今度法律に盛り込んだから、では、拘束力があって罰則があるのか。現行三十六条と今度改正する三十六条では、確かに違いはあります。それは、大臣が基準を定めることができると書いてあるのですから。しかし、定めても、罰則がなくて法的な拘束力がないのですよ。だから、一番つらい思いをするのは地方の監督官だと私は思うのです。幾ら言っても、言うだけなんです。 そこのところを考えたときに、確かに、条文でいうと「基準に適合したものとなるようにしなければならない。」私は、どこかで聞いたような法律だなと思った。それで、あちこち皆さんに調べてもらったら、行政手続法の中に同じことがあるのです。それは、「行政指導の一般原則」というので三十二条にある。そこの一項では、「行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、」「相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」二項で、「その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」と書いてある。 何にも関係ないのです。言うことは言いなさい、つじ説法でもいいから言いなさいと。しかし、罰することができないのです、相手に不利益を与えてはいけないのです。だから、大臣もつらいと思うのです。ただ、することができるというから基準を出しただけで、言われるだけで、実際には効果が全然上がらないという状態になっているわけですね。 つまり、違反にならないということ、罰則がないということは確認されているのですから、こういうことは解釈の問題でなくて、こういう点では、現に最高裁の判決もあるのですね。一九九三年に沼津の交通事件というのがあります。これは現行の基準法の附則百三十四条にあることですけれども、有給休暇をとった労働者に「不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」となっている。「しなければならない。」と。ところが、このことについて、先ほど申し上げた沼津の交通事件の最高裁の判決では、しなければならないということは使用者の努力義務を定めたものだ、それだけのことであって、法律上の違反にはならないということになっている。 だから、こういうように、何か法律に書き込んだということは、すごいな、今度はやるなみたいなことをすると、変な話で恐縮ですけれども、飲みづらいものをオブラートに包んでぱっと飲んで、腹の中に入れてオブラートが溶けてしまったら、えっと気づいたときには遅かった、私は、こういうことにならざるを得ないと。 ですから、ここにも罰則は適用しないということがはっきりしているのですから、行政指導の点、どうなりますか。
○伊藤(庄)政府委員 まず一つは、行政指導、行政手続法との関連でございます。 先生から、行政指導に当たっての一般原則の御開示がございました。行政手続法で定めているも のと、今回のものは性格を異にしておりまして、憲法に基づく最低労働基準を定める労働基準法において、労使に遵守義務を課した基準を守らせるように指導するわけでございまして、行政が法律に基づかないある目的を達成するために一般的に指導するケースとは性格を大いに異にする。したがいまして、私どもは厳正に指導を徹底させていく考えでございます。 それからもう一つ、「不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」ということとの関連で、最高裁の御開示がございました。この点も私ども承知いたしております。「しないようにしなければならない。」これは議院修正によりまして基準法に盛り込まれた条文でございますが、その趣旨は努力義務ではないかということを最高裁は言いつつ、それに従って、不利益取り扱いをした場合において、やはり不合理なものについては無効となる場合があることも同時に認めているわけでございまして、そういった裁判全体について御開示を願いながら、ひとつ御議論をお願いしたいと思っております。
○金子(満)委員 私は、言うことはうんと簡単だというのです。北海道から沖縄まで、たくさんの職場があるのです、事業所があるのですよ。そこのところを、その地域地域にいる監督署の監督官が一々歩きますか。何ぼ歩いたって、聞かないと言えば、それで終わりなんです。承りました、私はやりません、それで終わりなんですよ。 だから、行政指導行政指導とでかい声を出しても、声の大きいのでは、人はもうびっくりしないのです。だから全国共通の規制がなければならないというのが、多くの労働組合や、そして学者、文化人を含め法律家まで、そこはみんな強調するわけですね。 こういうようなことでいったら、時間外労働を上限を規制するということは、ある程度は話し合いでできるかもしれない。しかし、私はそう大きな効果は上がらないと思うのです。だから、そうなってくると、来年四月までに男女の共通規制はできるのかできないのかという問題になる。これをつくらなければ、四月一日はもう容赦なく迫ってくるのですよ。でも、法律だから、四月一日の実施を延期するというなら、それはまた一つの方法にはなると思うのです。しかし、そういうことをまだだれも言ってないでしょう。 だとすると、こういう中で、確かに女子保護規定がなくなった。なくなって、四月からだけれども、既にもう始まっているじゃないですか、深夜。スーパーなんかでは始まっていますよ。女性の皆さん、何とか我慢して頑張っている人もいるのですね。そういう中で、確かに男と同じ長時間労働、過密労働をさせられている。それは本人が望んでやっているんじゃないかといえば、それはそれまでですよ。それまでだけれども、それをしなければ生活ができないからやっているのですね。だから、今のままでいったら、確かに男女は対等で均等で平等になるけれども、悪化した労働条件のところで均等化されるだけになってしまうのですね。 私はやはり、今国会がなすべきことというのは、男女共通の罰則つきの上限規制をやるべきだと思うのですね。これは、私どもはずっと日本共産党としても主張してまいりました。一日の残業は二時間、そして月に二十時間、年百二十時間で、これを罰則つきの法制化をしろということを言ってまいりました。 そういう中で、メーデーの前日、新聞広告に出ておりましたけれども、連合要求実現応援団というので一ページとった広告がありますよね。ここのところで「時間外・休日及び深夜労働」という項目があります。そこで連合の案として「男女共通、罰則つきの上限基準を法律に明記。」と書いてある。これは私も賛成。日弁連も同じ見解です。多くの法律家の団体も同じ立場なんです。絶対に法律にしないというのが財界なんです。むしろ財界は、法律で規制しないで労使の間でやってくれという方向に行ってしまうわけです。しかし、そういう点で、私はこれは根本的には大きな誤りだと思うのですね。 労働基準法そのものは、もう伊吹大臣はよく知っているし言うことですけれども、憲法二十七条から出ているわけです。ただ二十七条と棒暗記したみたいで、言っても人は納得しないのですね。憲法二十七条は「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」となっているのです。法律で定めることになっているのです。これは議院手帳ですから、全部の議員が持っているはずです。その二十七条に基づいてできたのが今の基準法なんですから、そういう点で見ると、時間外の上限をどうするかというのを法律で決めたって、全然おかしくないのです。 それは解釈はいろいろあるのですよ。こうすればこうなり、ああすればこう出るという、矛盾点もあると思うのです。それはっくるときからわかっている。それでもあえてこれをして基準法ができて、一条ができて、そして労働条件の最低の基準まで決めていたわけですよ。残念ながら残業の上限が法的規制がない。言葉はあるのです、指導はするのです、目安もあるのです。しかし、長時間過密労働は終わらないのです。千八百時間を国際公約したのは十年前です。十年たって、先ほど局長も言いましたけれども、やっと千八百時間台には来たけれども、八百時間にはならないのです。フランスは千六百時間台、ドイツは千五百時間台になっている。これは国情の違いだけで処理すると間違いが起こるのではないか。 なぜ法的規制という点で——大臣は大臣になってまだ短いわけですけれども、労働省はこれをずっとやってきたわけなんです。私は、労働省に就職するときにはそういう気持ちで来たと思うのです。座っているうちに、だんだん何か改正した方がいいというように、変な言葉ですけれども、変化してくる。これは情勢が変わったのじゃない。今情勢は法的規制をしなければならないというところにあるのだけれども、変わったのは、行政の担当にいる人が変わるより、私は変えさせた人があると思う。それは財界なんです。それが中基審のあの答申をつくるときに、労働者側委員の全員の反対意見をつぶしてしまったのですよ。それで出てきたんだから。 こういう点も考えて、今からだって遅くないのですから、法的規制の方向を出したらどうか、私はこういうように思うのですね。
○伊吹国務大臣 私は労働省の経験はそんなに長くございませんから、一般的な常識的判断をしていると思いますが、まず、先生が今御指摘になりました二十七条は、先生のお話の前に一つがございまして、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」という、つまり雇用を維持しなければならないということがまず最初に来るわけですね。そして、共産主義社会は私よくわかりませんが、市場経済の中ではやはり、先ほど例えば先生のおっしゃったお言葉をそのとおり申し上げれば、既に深夜や何かは起こっているじゃないか、男女平等に働くという、それは希望してやっているんじゃないかといえばそれまでだけれども、やらなければ生活ができないからとおっしゃいました。おっしゃいましたね。ということは、この上限を法律で罰則的に決めてしまえば、中小企業や町の働く人の実態はどういうことになるのだろうかという問題が起こってまいりますね。 そこで、これは私は手法の問題だろうと思うのですよ。革命でも起こつ七、あすからばさっと制度を変えていく場合は罰則つきですべてできます。しかし、まず、今まで根拠もなかったものを法律に根拠を置いて、そして我々は一生懸命それに従って指導監督もし、そして同時に協力をして、先生が先ほどおっしゃったように、生活ができないという状態にならない状態を早くつくり出して、そしてそこで罰則、四十時間なら四十時間を基本的には三十八時間とか三十七時間とか、あるいは千八百時間とか千七百五十時間と変えていくためにみんなが努力をしていくというのがやはり市場経済の穏やかなやり方ではないかと私は思います。
○金子(満)委員 伊吹大臣は、市場経済の原理原則を随分言われますし、私もその点は何回も聞いているので意味はよくわかります。そして、やはり最後は労使の間で決めるのが一番いいのじゃないかという意味のようなことも。ただ、市場経済の原理原則だけでいくと、無理がいくのは労働者側ということに。 それでは労働省にちょっと伺いますけれども、ILOに加盟している国は今百五十を超えていると思うのです。そして、そのILOで時間外労働の規制、どのようにやられていますか。どのくらいの国でどのようにやられていますか。
○伊藤(庄)政府委員 ILOでの時間外労働の規制の内容でございましょうか。これはまず、諸外国の制度がいろいろなパターンがありますように、法律で直接上限を規制しているもの、あるいはそういったものがないもの、また日本のように労使の協定がなければ残業できないという、ある意味ではヨーロッパ大陸よりも強い、運用によっては非常に強い機能を発揮する日本的な制度まで含んで諸外国の制度が成り立っておるわけでございまして、そういった中で日本のこういった制度が一番実情に合う形として長年定着をしてきたものと思っております。
○伊吹国務大臣 先生、私は労使の間ですべてのことを決めてしまうのが市場経済で、それがいいとは申し上げていないのです。つまり、企業が長期的に安定的に経営ができることによって雇用を提供できる、そういう状況をつくり出す中で、市場経済としてそういうことが日本経済全体に認められて可能になってくれば、例えば千八百時間を千七百五十時間あるいは千七百時間と変えて、そして可能であれば罰則をつければ私は構わないと思います。 今の状態で罰則つきでやりますと、中小企業もつぶれないような高い時点に罰則つきでやるということは、かえって私は労働者にとって非常に不利なことになるんではないかということを恐れているということです。
○金子(満)委員 その点も前にも伺いました。そこで私思うんだけれども、今の伊吹大臣の中に感じ取れるのは、確かに景気というのは変動するんです。上がったり下がったりもあります。そのとき企業の側というのは、そういう景気変動に対応できるように調節弁というか調節装置をつくらなきゃならぬ。これを上限規定をどうするかという中にかなり生かしておる。だから使用者側は法制化することは反対なんです。 そこで、今労働省からいただいた資料の中にもあるわけですけれども、何よりもまず、ILOが九五年時点で調査をやっておりますが、これは昨年の「世界の労働」という雑誌です、四月号から六月号まで出ていることですけれども、各国の時間外労働の規制は九十六カ国でやっているんです。これはヨーロッパだけじゃありませんね。世界じゅうでやっているわけです。これは日弁連の分析資料の中にも全部出て、それは届いていると思いますが。そういう中でまとめて言っているところでこういうところがあるんですね。「年間の時間外労働の上限は六〇時間から三二〇時間の範囲にわたっており、多くの国は一〇〇時間から二〇〇時間の範囲にある。」百二十時間という国が一番多いんですね。 日本はどうなるか。これはなかなか違って、じゃ今度基準を大臣がこれから決めて、こうだというようにすぱっと人の前で言えないんですよ、まだ。どこと審議してもらわなくちゃなんとかいろいろあると思う。 それはそれとして一つの民主的な方法ですからよろしいにしても、私は、そういう中で景気動向を調節をするためのあれという中で大事なのは、これは労働省が編集し発行したものですけれども、「労働基準法」、労働法のコンメンタールの中にあるわけですね。この基準法ができたときの提案理由があるわけですね。さっきの憲法のところで、 「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」と規定している。憲法にこのような規定があることは、単に労働基準法制定の根拠を与えるにとどまらず、我が国の労働関係において 次なんですね、 契約自由の原則を修正していくという、つまり、世界の労働法の流れをしっかりと見極めて日本の法秩序の新しいあり方を宣言していることに他ならない だから、こういうことを言うとあれですけれども、これまで私が見たり聞いたりした労働大臣で、市場経済の原理ということに大胆に踏み込んだのは伊吹大臣なんです。ほかの人はそこは言わないんですね。そういう中で、市場経済という問題を出し、それからまた、労働省の中枢にいる方々が市場経済の原理でやれという発言をしたことは今までない。 それで、この説明の結びのところがこうなっているんです。 新憲法は労働条件については、かかる契約自由の原則を修正し、法律が労働条件について一定の基準を設くべきことを義務づけておるのであります。 これは、時の厚生大臣の河合良成さんの説明なんです。これ生きていますから、そういう点をぜひ考えて対応してほしいと思うんですね。 時間がオーバーしてまいりましたけれども、私は、そういう中で、この改正というのはやめるべきだ、廃案にすべきだというのが多くの人々の、特に労働者の共通の願いではないだろうか。きょうもたくさんの方が全国から来ているし、傍聴にも来ておりますけれども、それは私の意見ですから、ぜひそういう点でやってほしい。 以上です。
○伊吹国務大臣 金子先生、敬愛する先輩でございますから誤解のないように私の立場を申し上げておきますと、私は、個別の労働者と経営者の間の契約を、全く契約自由というのか、競争社会の原理原則でやれということは一度も言ったことはありません。 私たちが生きている社会は市場経済の社会に生きているわけで、その市場経済の原理原則を飛び越えて契約自由というか、労働基準法的規制だけを、無理な規制を入れれば、長期的に働く人たちが不利になるということを言っているわけであって、お互いの私的契約の間に労働基準法が入ってくることは当たり前のことであります。
○金子(満)委員 法的規制はもう国際的には通例ですから、その点もぜひ参考にしてやってもらいたい。 以上です。
○田中委員長 次に、濱田健一君。
○濱田(健)委員 五回目の労働基準法の審議、けさから先輩方が核心に触れた質問をされておられます。私も、わずか三十分でございますが、今四回審議が行われまして、できるだけ出されている問題点を中心にお聞きをしたいというふうに思います。 まず契約労働でございますけれども、自分が一生涯一つの職場にとどまらずに、自分の持っている能力や将来に向けての展望などをいろいろなところで生かしたいという働く側のニーズも確かにあると思います。また、企業によって、今回出されております法律の趣旨に基づいて、得がたい人材を、しかしある程度の期間の中で雇用したいというニーズもあると理解をいたしております。しかしながら、お互いにそのニーズとニーズがいい形で実現できているときには構いませんけれども、やはり、中基審で触れられました有期労働契約の反復更新の問題等について研究をしなければならない、調査をしなければならないという課題が残されておりますが、この法律が実現をするという方向になりますときには、この建議に基づく部分について役所としてはどのような取り扱いをされようと考えておられるか。
○伊藤(庄)政府委員 建議で指摘されております反復更新の場合の取り扱いの問題かと存じますが、これは、主として一年以内の短い雇用契約期間を反復更新して、あるところで雇いどめといい ますか、契約更新をしない、こういうものに代表されるような事例につきまして、そういう際に当てはまる共通の考え方、ルールというようなものをどう考えていったらいいのかということを導き出してまいりたい、こういう目的で主としてこの研究会を進めていきたいと思っております。
○濱田(健)委員 前回の局長の答弁の中で、今回の契約労働上限延長というこの法律の改正の対象者は、いわゆる働く側が売り手市場の対象者ではないかというような答弁がございましたが、本当にそのように想定をされておられるんでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 今回、上限を三年までということで例外的に認める対象者は、労働大臣が定める基準に該当する高度の専門的な知識、能力等を持って、その企業には不足していて、しかもその能力をもって新しい製品の開発とか商品の開発等のために新規に雇われる場合、これを代表的に今申し上げますが、そういった形にいたしております。これは、その企業にいない、高度な専門的能力を持って、その企業がどうしても欲しい、こういうことを要件にいたしておるわけでございますので、そういった方々、目下の、新製品の開発等が課題になっている我が国等の経済上の要請から見ても、売り手市場といいますか、かなり人材として請われて就職する場合を想定した要件にいたしておるわけでございます。
○濱田(健)委員 私は、本当に高度な技術やいろいろなノウハウを持っていらっしゃる売り手市場の方がこの対象労働者になるということであれば、その方はやはり終身雇用で就職をして、期限の定めのない雇用という形で就職をして、自分が、例えば十年とか二十年とか勤めたけれども、この会社の中ではこれ以上自分の能力や持っているさまざまな力を生かすことができないという形で、働きたいニーズが働いていくんじゃないかと私自身は思うのですね。そして、いわゆる終身雇用の持っていたいい意味での徒弟制度といいますか、その企業の中で一つの技術が芽生え、そしてそれにいろいろな技術、経営のノウハウ等々が付加されていく中で、そこにきちんとした企業そのものが成り立っていく。いわゆる契約労働の一年とか三年とかというもので、その会社に利益になるものがある短期間だけはぼつぼつぽっと入ってくる、そういう労働者であったら、企業のマインドといいますか、将来に向けての積み重ねというのはなくなるような、日本の企業の持っている特徴というのがなくなるような気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 ただいまの点については、種々の角度から御議論があるのかと存じます。一つは、終身雇用あるいは長期雇用とのかかわりでございますが、今回三年という対象者にしておりますような人たち、どうしてもその企業にいない人材ということが大前提でございますが、もちろん各企業とも、研究機関等々を持って、そういった基礎的な研究から、その企業が常時必要とするハイレベルの研究者やエンジニアというのは抱えておるわけでございます。ただ、その人材でどうしても今求められている新製品の開発等ができなくて、その人材が不足しているという場合に、それを内外から求める場合でございますので、私は、そういったケースに限っている限り、基本的な我が国の長期雇用のシステム等に影響を与えるものではなくて、むしろ、そういった形で新しい製品の開発等を通じて経済あるいは産業に活力を注ぐために、そういう人材が活躍することによって全体としての雇用の安定というものにもつながっていく、そういった気持ちで制度の設計をさせていただいておるわけでございます。
○濱田(健)委員 今回の対象者が、研究開発や事業の開始、転換などいわゆる企業の機密というのか、大事な部分にかかわる業務を対象とするということは、法案に書かれているとおりでございます。そういう業務にかかわる労働者が、三年なら三年、今回の法律でいったら上限三年、それで退職して別な会社に、雇用の期限のない就職とかそういうもので行けるのかどうか。例えば、通常、退職後の競業避止義務、退職後の同じような企業の他社への就職を禁止するとか、秘密保護の義務、そういうものが課せられていることが現場段階では多いようでございます。 ですから、こういうものを考えたときに、渡り歩くという言葉はおかしいのですが、自分の能力を活用するために、いろんな職場、いろんな企業で働こうと思っている高度な専門知識を持つ労働者というものが、実際にそういう形で働けないのじゃないかというような心配を、取り越し苦労かもしれませんが、私自身は持つわけでございますけれども、局長、どうでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 今申し上げたこの新たな三年という契約が認められる対象者の人たち、もちろん有期雇用でございますし、そういった能力を十分発揮できる、いわば自己実現ができる場を求めている人たちであれば、企業の方は、そういった秘密等についての管理は当然厳しいことは想像されるところでございます。 ただ、先生御指摘ございましたように、次の就職まで規制するというようなことになりますと、これは民事法上議論の多い、いわば問題も多い、職業選択という原則の前では非常に問題もあるわけでございまして、そういったことよりも、むしろ、今各企業にとっては、一日も早い期間でいろんな製品なり商品なり新しいサービスというものを考え出して市場に送り出していく、そういうために不可欠の人材を求める必要性というものは非常に高いわけでございまして、そういった秘密保持について強い契約上の約束等をそれぞれ行いながらこういった方の能力というものを活用していくのではないか、そういう必要性が非常に高い今の時代的な背景ではないかというふうに思っております。
○濱田(健)委員 質問には出しておりませんが、変形労働についてちょっと意見交換をしたいと思うのですが、いわゆる法律に出ております一年単位の変形労働、一日十時間、一週五十二時間という部分ですが、所定の労働時間、当然、この変形労働の導入というのは、総枠でいって時間短縮というものが目的とされております。 この一週五十二時間という所定労働の時間を四週にすると二百八時間という形になります、四倍すると。現在、所定の一週四十時間制で四週で百六十、それに時間外労働の目安として四十三という時間が目安時間にガイドラインという形で設定をされておりますが、この一日十時間、一週五十二時間、四週ということであると、現在の所定、時間外目安時間をプラスしたものよりも実際上多くなるという計算になるというふうに思うのですが、この辺はどのようにお取り扱いになろうとしておられるのでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 今回提案申し上げている一年の変形労働時間制の改正の案におきましては、休日の確保、残業時間を短くする、そういったことと一体のものとして、限度時間の改定も提案させていただいているわけでございます。もちろん、今の実情から見て、限度時間いっぱいを使う企業というのは平均的には少ないわけでございますが、もしこれを限度時間いっぱいを用いる場合にも長期間に及ぶことはだめだ、こういうことで所定の制限を加えていくべきだというのが審議会の意向でもございます。 私ども、そういった考えに即しまして、先生が今御指摘になりました数字上の問題等ももちろん一つの参考として、長期間にわたる限度いっぱいの労働時間というものはできないということをルール化していく、これは省令事項でございますが、労働基準法の施行規則の段階でルール化していくことにしたいというふうに考えております。
○濱田(健)委員 今ちょっと細かい数字を申し上げましたけれども、一般的に見て変形労働制というものを特に中小の企業が使われて、先ほどから出ております四十時間制というのを何とか守っていこう、定着していこうという御努力をされております。私はやはり、今言った課題を含めて、一般のガイドライン三百六十という数字、目安の時間外が出ておりますが、時間短縮という大きな 課題を目標とする現段階において、この変形労働制の適用については十分な配慮が、今局長答えてもらったことと同じように必要だというふうに思っておりますが、その辺の思いはどうでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 一年の変形労働時間制、平成八年から四十時間に備えて中小企業等でも活用がふえてきておるわけでございますが、そういった状況を見ますと、所定で見ましても、変形労働時間制を入れる前後で比較しますと、年間で二時間を超える所定の短縮等の効果が出ている、そういう調査結果になっております。 そういった年間を通じまして総実労働時間が短縮されるように、私ども、いろいろなこの制度に当たっての省令等で定めるべき事項については十分しっかりしたルールをつくっていきたい。したがいまして、今回新たに提案しております休日を一定日数確保するというルール、あるいは残業時間を一般よりも短くするというルール、こういったものを定めてまいる考えでございますので、それらを厳正に労使協定の届け出があった段階でチェックしていくということを通じて、先生の御趣旨を実現していきたいと思っております。
○濱田(健)委員 裁量労働制ですが、既にさまざまな危惧される問題点というのは出し尽くされたような気がいたします。 私も前に質問をいたしまして、大臣も、労働組合も頑張らなくてはならないという答弁をされた。いわゆる三六協定の締結率二七・七%という実態の中で、とりわけ未組織事業所において、労使委員会が本当に適正に適切に設置、運営されるのかという危惧感がまだまだ多くの皆さんにあるというふうに思います。それは当然、現行法制下に設置されております時短促進法の労使委員会、労働安全衛生法に基づく安全衛生委員会の設置状況が、労働側に言わせるとなかなか進んでいないということでございますが、それを、ちょっと根本的なといいますか基本的な質問になってしまうかもしれませんけれども、設置状況や運営実態をきちっと把握されているかどうか、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 今、労働基準法以外の法律でそういった労使問で何らかの委員会を設ける仕組み、例えば安全衛生法上要請されます安全衛生委員会でございますが、これは五十人以上の事業場で見ますと、七五%が設置をいたしております。その開催件数を見ますと、大体年に九・五回の開催件数となっております。それから、労働時間短縮のためにということで、これは義務規定ではございませんが、二百六十八の事業場において、こういった労使委員会をつくる仕組みで時間短縮の話し合いをする仕組みが設けられている、こういうことを把握いたしております。 今回の裁量労働制を実施するために必要な労使委員会は、裁量労働制を実施するための絶対的な必要要件でございますので、これら今申し上げた委員会とは若干性格を異にして、これをつくらない以上、また機能させて全会一致ができるような仕組みにしない以上、裁量労働制は実施できない、そういう仕組みにいたしておりますので、必ず裁量労働制との関連では機能していくものと理解をいたしております。
○濱田(健)委員 今局長が答えていただいた部分を含めて、いわゆる今回の労使委員会、働く者の半数以上、それは労働組合があれば労働組合が主体となるわけでございますけれども、そこがきちんと機能するということを前提としながらも、やはりそこで決められた例えば決議の中身、これらをしっかりと担保していくためには、役所として、決議で出されたものを受け付けて、その後、この制度が仮に軌道に乗るとすれば、乗るまでの間にどのような手だてを講じて、労使委員会が機能化されていくことを役所としてはバックアップというか、嫌な言い方をすると監視というか監督というか、具体的にされようとするおつもりなのか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、こうした労働時間管理が実際上しにくい、その結果、いろいろな問題が出ている面もございますので、やはりそういったところでしっかりとした労使委員会の機能発揮、それと相まって労働基準監督官がそれらをバックアップする形で監督や指導、チェックをしっかりとやっていく。これが両方相まって行われることによって効果が上がるものと思っております。 私ども、この裁量労働制、法案の中で成立させていただければ、全国の監督官に対しまして、この監督が重点事項であること、したがってこんな形で監督、指導等を行っていくべきこと、そういった一定の通達といいますか要領等も作成いたしまして、監督に抜かりのない万全の監督、指導、チェック体制をつくり上げていくつもりでおります。
○濱田(健)委員 労使委員会が労働者の過半数の代表または労働組合の代表で設置をされて、決議がなされます。しかしながら、裁量労働というのを受け入れる側にとったら、自分自身がそういう働き方を今回の法律にのっとってやりたいという一やはりあくまでみずからの働く意欲というものが労働には基本ベースになるわけでございまして、私は、先ほども何人かの委員が指摘をされましたけれども、最終的には本人の同意なしにはこれを導入すべきではないという立場に立つわけでございますけれども、役所としてはそれらについてどのような手だてを講じようとしておられるのでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 先ほども御指摘ありまして、労働大臣から答弁申し上げたとおりでございます。同意というものをこの裁量労働制の実施に当たって私ども重視をしてまいりたいと思っております。したがいまして、本人の同意をとるべきこと等につきまして、労働大臣が作成いたします指針の中で、そういったことを労使の委員会の間でしっかりと決めていくことを示していく、こういう考えでおります。
○濱田(健)委員 決議がすべて守られることが、新しい裁量労働制をしっかりと運営していくための大きな柱だと思います。 人間の世界ですので、当然いろいろなトラブルは起こると思うのですね。監督署がそのトラブルに対していろいろ指導していかなくてはならない。労働者本人からもあるでしょうし、その他の部分からもあると思います。そのときにやはりしっかりとした、どういう決議がなされたというのは最初でわかるわけでございますけれども、その後どういう取り扱いがなされたかということが何かに残されていなければ、トラブルが起きたときに、口だけでこうこうこうじゃないかというやりとりでは、現場の監督官が何もできない、仕事のしようがないというふうに私は思うわけでございます。 やはりしっかりとした記録ですね、いわゆる決議で決めたみなし労働時間がどうだったのか、成果として出てきた中身というものはどんなものなのか、評価の基準とか苦情処理をどういうふうにやって、ある程度はよくなったとか、それが解決しないからこういうことが出ているのだとかというようなものの記録のしっかりした保存というものも大事だと思うのですが、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 その点につきまして、これも先ほど御指摘あった点でございますが、一つは、この委員会の議事録等につきましては、これを保存し、労働者へも周知させていくこと、これは法律でそういった義務づけを行っているところでございます。また、これも絶対要件でございますが、裁量労働制を運用していく過程で出てまいります苦情処理、そういったものにどういう苦情が寄せられているか。また、健康管理上の措置も義務づけておるわけですが、どういった健康管理上の措置がとられているか。これは労働基準監督官にとっても大変関心を当然持たなければならない部分でございますので、監督に当たりましてはそういったものをチェックしていくわけでございますので、そういったことが十分担保されるように、私ども、先ほど申し上げました労働大臣が示します指針の中では、こういった関連の記録を労 使間でちゃんと保管あるいは保存、そういったもののルールを決めておくように、その方向を示してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○濱田(健)委員 国の行政は、いわゆる省庁再編を含めて、働く国家公務員の数の問題、総枠、そしてどこに重点的に置くのかということなんかも検討されておられます。しかし、現実的に数がふえるという現状にはない。四年に一回、三年に一回しか一つの事業所に監督に行けない、調査に行けないという厳しい現状がございますが、これらの現実をどういうふうに、人的にぐっとふやすということは、大臣は御努力されると思うのですけれども、なかなか厳しい状況の中で、ポイントというか、絞って、この裁量労働制が仮に導入されるとすると、いろいろな部分を点検、監督しなければならないというふうに思いますが、それらの集中的なといいますか、ポイントを絞ったやり方というものはどのように、これから考えられるのでしょうけれども、イメージとして私たち描いたらよろしいのでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 一つは、監督官の体制整備の問題でございますが、大変厳しい行財政改革の中でございますが、年々労働基準監督官についてはある程度の増員をさせてきていただいておるところでございますので、引き続き、今回いろいろ御指摘いただいている問題について的確に対処できるよう、体制整備につきましては、関係の省庁とも十分連絡、協議しながら確保に努めていきたいと思っております。 また、もう一つ、具体的な業務の進め方として、こういった裁量労働制事業場を的確にチェックできる手法、体制の御指摘でございますが、私ども、この裁量労働制は、本社等の事業の重要な事項を決定する部門ということでございますので、かなり大都市に、東京等に集中されるかと思っております。数につきましても、十分射程圏内にとらえて計画的に監督ができるものというふうに考えております。したがいまして、従来からよく私ども、その時々によりまして重点監督事項というようなものを本省において統一的に決めまして、各都道府県の労働基準局におきましては、それを計画的に、集中的に実施する、こういう手法をとっておりまして、そういった中では、この新たな裁量労働制も、法案が成立させていただいて実施される段階になれば、そういった対象事項として、計画的、集中的な監督によりチェックをいたしていくようにいたす考えでございます。
○濱田(健)委員 時間が迫ってまいりましたが、トータルとして、日本の労働者、千八百時間総労働時間、急いで実現しなければなりません。しかしながら、働く場、働きざまというのはいろいろございます。そういう状況の中では、総労働時間、特に時間外の仕事というものについて、先ほど大臣でしたか局長でしたか、年休のとり方もまだまだ足りないということで、そういう部分も、いわゆる労働時間そのものじゃない、それを取り巻く全体の環境をよくしていかなくてはならないというふうに答弁をされたわけでございますけれども、現在の時間外三百六十というガイドライン、そして撤廃をされます女子保護規定百五十というこの数字の重みというのは、すごく働いていらっしゃる皆さん方にはあるというふうに思うのでございまして、今回の上限規制について、何回も答弁を求めているようでございますが、可能な限りの是正措置というものをお願いをしたいわけでございますが、その辺をどうか局長の方から語っていただければ幸いでございます。
○伊藤(庄)政府委員 今回提案させていただいております時間外の上限基準、また、それに関連いたします一連の激変緩和等の措置、そういったものの具体的な中身につきましてでございますが、当然、これは年間でいえば三百六十というようなものを実際今は行政指導の目安でやっておりますが、そういうことは十分念頭に置いて、さらに時間短縮をするという方向に沿って具体的な基準の策定をしてまいりたいと思います。そういった中で、激変緩和措置についても、実際、今までのいろいろな生活の設計のよりどころになったものが大きく変わらないということを念頭に置きつつ、この適切な水準というものを審議会にお諮りしながら決めていきたい、そういう気持ちで臨んでまいりたいと思っております。
○濱田(健)委員 御案内のとおり、きょうは連合が全国各地から一万人の仲間を集めて、この労基法について東京で考える集い、集会をされました。集まってこられた皆さん方に何人かお話を議面でお聞きしましたけれども、やはりこの労働委員会の中で論議をする私たちに対して一番の訴えたい気持ちというのは、法律で書かれたり、役所の省令、告示等で出てくるその状況と、現場の労働環境というのが余りにも乖離し過ぎているということをよく頭の中に入れて質疑をしてもらいたいという話を、三人三様におっしゃったことが非常に印象的でございました。 決して、改悪ということは、私、申し上げようとは思っておりませんが、そういう働く仲間の気持ちというものをぜひとも大臣以下役所の皆さん方も真摯に受けとめて、今後も御努力いただきたいなというふうに申し上げまして、質問を終わりたいというふうに思います。ありがとうございました。
○田中委員長 御苦労さまでした。本日の委員会は以上をもって終わります。 次回は、来る十八日月曜日午前九時十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。 午後四時十八分散会