労働委員会 第13号
- 発言数
- 240 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/05/08
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本惟子さん。
○松本(惟)委員 民主党の松本でございます。 本日は、労働契約にかかわる事項について、集中的にお伺いをしたいと思います。 労働契約について諸外国の例を見ますと、フランスでは、法律により、期間の定めのある労働契約は書面により締結をすることが必要とされ、かつ、期間の定めのある労働契約は法で認められた場合に限られる。また、ドイツでは、労働契約の期間の定めは、判例により、客観的に正当な理由がある場合に限り認められております。他方、アメリカ、イギリスでは、雇用契約の期間に制限を加えていないというような状況もございます。 労働法の規制は、それぞれの国のあり方にかかわるものであると私は考えますが、労働基準法が定められた我が国の歴史的な経緯、今日の日本の社会のあり方を考えますと、一定の規制が必要なことは当然のことというふうに理解をしております。その立場から御質問をさせていただきたいと思います。 まず、労働契約期間の上限問題についてでございます。一つ目に、期間を定める場合は原則として一年、例外として一定の事業の完了に必要な期間を定めるとあるが、この立法の趣旨はいかがでございますか、伺いたいと思います。 たくさんの質問を準備をしてございますので、できるだけ簡潔にお答えをちょうだいしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました労働基準法の十四条で、労働の契約期間を定める場合は一年を超えてはならないというふうにしています趣旨でございますが、これは、長期の労働契約による人身拘束等の弊害を排除することを目的として制定されたというふうに承知いたしております。
○松本(惟)委員 今日におきまして、確かにかつてのタコ部屋のような強制労働、人身拘束的な労働のおそれは少なくなってはおります。しかし現在でも、例えば看護婦、まあ准看の場合が多いと思いますけれども、お礼奉公等に見られるような人身拘束的労働が現実に存在をしております。 また、職務内容や労働条件、勤務場所、職場の人間関係など、実際勤務してみて初めてこんなことではなかったというような食い違いがあったりして、不満が生じる場合もございます。仮に勤務する意思を持っていても、そういったことで予定より早く退職を希望することは一般的によくあることでございます。したがって、長期の拘束は避けるべきであるというふうに考えます。 その意味で、労働基準法第十四条の契約期間の制限については、基本的には今日でも妥当性があり、決して時代錯誤ではないと私は考えておりますが、その点につきまして確認をしておきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、この契約期間を定めた趣旨に即しまして現状を見ますと、少数ではございますが、一年を超える労働契約によって自由を奪われているケース等、外国人労働者等のケースでも、問題のあるケースが現在でもございます。そういった意味で、この法第十四条の立法趣旨が現在でも生きているという部分が確かに存在することは、先生御指摘のとおりでございます。
○松本(惟)委員 確認をさせていただきました。 労基法第十四条の立法の趣旨は現在でも生きているという、そのことの上に立って、改正案第十四条で、契約期間では労働契約の上限期間生二年とするというふうにいたしまして、幾つかの縛りをかけてございます。 例えば、一つ目には、「新商品、新役務若しくは新技術の開発又は科学に関する研究に必要な専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者」というのが一つのくくり。二つ目のくくりは、「事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内に完了することが予定されているものに必要な専門的知識等であって高度のものとして労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者」というくくり。三つ目には、「満六十歳以上の労働者」というふうになっております。 そのうち、前二者につきましては、労働大臣の定める基準について今後検討するというふうに聞いておりますが、具体的にはどのような内容をお考えなのでしょうか、お伺いをいたします。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、契約期間で三年を定めることができるとした規定の中で、高度の専門的知識等を持つ方について、労働大臣がその基準を定めることにいたしております。この点は、中央労働基準審議会から建議をいただいた段階では、こういった労働大臣の基準というものを想定はしていなかったわけですが、労働側委員の方等から、やはり明確な基準を定めてはっきりさせた方がよろしいのではないかという御指摘等もいただきまして、労働大臣が告示で基準を定めることにいたしました。 したがいまして、これから中央労働基準審議会で種々御意見をいただきながら具体的なものを定めてまいりたいと思いますが、やはりこういった規定の趣旨に即しまして、経験あるいは知識あるいは技能、技術、こういったものの高さを、例えば経験年数、学歴、あるいはそういった専門分野での活躍状況等から判断できる基準として定めていきたいと思っております。
○松本(惟)委員 今列挙されましたことを、非常にわかるような、わからないような、現場におろしたときにどのような判断がなされるのか、いま一つわからないところもございます。 今後、審議会で検討なさるということでございますが、高度な専門的知識ということの中身について、例えば博士号とか修士という資格をお持ちの方程度のことをお考えになっているのかどうか、もっと広げられるのかどうか、お伺いします。
○伊藤(庄)政府委員 今、先生御指摘のありましたケースでございますが、例えば技術等の分野におきましては、そういった修士課程を経て経験年数がどのくらいあるか、あるいは、さらに専門的な分野におきましては、そういった博士号を持っているかどうかということも一つの基準として考えていくべきだろうと思っております。そういったことを含めまして具体的な基準を策定いたしまして、労使の方の御意見を聞いて告示を出してまいりたいというふうに思っているところでございます。
○松本(惟)委員 それでは、次に進ませていただきます。 労働基準法の女子則第三条第二項第十一号に掲げるもの、いわゆる研究員というふうに呼ばれておりますが、「新商品若しくは新技術の研究開発」というのは、材料、それから製品、生産、製造工程等の開発または技術的改善等を言うものであること、一般的事務部門において企画、調査等を担当しているというだけではこれに当たらないものであること、定型的な検査、分析、研究実施のための器具、装置等の工作、動植物の育成等の研究に伴う補助的業務は高度の科学的知識を必要とする研究の業務には当たらないものであることというふうに規定をされておりますが、これよりさらに高度な専門的知識を有するものとして限定されていると理解してよろしいかどうか。
○伊藤(庄)政府委員 ただいま先生御指摘になりました規定、これは高度であるかどうかの基準を策定するに当たりましては、当然、重要な参考として定めてまいりたいと思っています。 今回はさらに、新製品の開発等との関係で当該企業に不足している高度の専門家、こういうことでございますので、いわば範囲としてはかなり高度であることを厳密に考えた基準にしていきたいというふうに思っております。 したがいまして、さらに高度なものを考えているかどうかという点でございますが、そういった方向で基準を策定することになるのではないか。これからいろいろ関係者の意見を聞いてまいりたいと思っておりますが、そのような気持ちでおります。
○松本(惟)委員 運用の場合にはさまざまなことを考慮しなければならないということはわかりますけれども、できるだけ厳密な規定を期待をしたいというふうに思います。 次に、建議におきまして、労働契約期間の上限の延長の対象とするとしている場合について、なお判断、解釈が難しく拡大適用や不安定雇用の増大につながるとの懸念がぬぐいされないとの意見が労働側からあった、今後の具体化に当たってはこうした点に留意をする必要があるというふうに書いてございます。 この意見について、どのようにお考えなのでございましょうか。
○伊藤(庄)政府委員 契約期間の一年を特定の方に限って三年に延長するという議論を審議会でお願いした段階で、労働側の不安定雇用につながらないように、また解釈が明確になるようにという意見が、先生御指摘のとおりございました。 そういったものを受けまして、内容におきまして、こういった新製品の開発等の業務の中でどうしても新たに必要になる専門的な高度な方、あるいは一定の新事業の展開等のプロジェクトの中でどうしても社内にいない人材が必要になる場合と高齢者、こういうふうに明確に限定することにいたしました。 さらに、そういった労働側の方の御意見も承りながら、法案作成の段階では、当時、審議会ではまだ議論がされておりませんでした、先ほど来、先生御指摘ございました、労働大臣が高度な専門家であるかどうかの基準を定めて告示という形で公表して、制度の不明確さ等が生じないようにきっちりとした運用ができるように配慮をしていく、こういうことも法文の中に最終的に加えて御提案をさせていただいているところでございます。
○松本(惟)委員 ただいまの御答弁では、中身を告示という形で公表をなさるということでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。 次に、雇用保障期間の設定を認めた場合には、契約期間の上限を延長する必要はないというふうに私は考えておりますけれども、いかがでしょうか。 現行法におきまして、仮に二年の雇用契約を結んだとして、一年目につきましては雇用保障期間である。これ以上につきまして、例えば二年目は期間を超えた期間ということで扱いが別になっておりますが、こういりたことについて上限を延長する必要はないのではないか。雇用保障期間の設定を認めるということであるならば、殊さらに契約期間の上限を延長する必要はないというふうに思いますけれども、この点についていかがでございましょうか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、現行法のもとにおきましても、雇用保障期間という形で事業主が一定の期間を定めている、それは、一年を超える場合であっても、労働者の方のいわば退職の自由が確保されている場合には現行法の規定に違反しない、こういう解釈がとられていることは御指摘のとおりでございます。 ただ、今回、御提案申し上げている契約期間の延長の対象者でございますが、高度な専門的な知識や経験を持った方々でございまして、こういった方々、自分の能力をフルに発揮して一定の事業の遂行に参加していきたい。また、事業主の方も、そういった能力に期待して、一定期間の契約を結んでその能力を十分に活用させていただきたい、そういった両者の意思の合致するところで契約が結ばれる。 したがいまして、その三年間というものを、お互いに能力を発揮し、またそれを期待する関係で結ばれるために、高い、いわば有利な労働条件も実現するということで先生御指摘のように、労働者の方がいつやめるかわからないという状況でそういった高い専門家の方を採用いたしましても、能力の発揮を期待してそれに見合う高い、有利な労働条件を実現していくという意味では、やはり問題が残るのではないかというふうに思っております。 また、雇用保障期間、現行法でもそういった解釈をとっておりますが、それを限定なしに認めてまいりますと、例えば大学を出た方をすぐそう いった形で採用して、一定の期間が過ぎると雇用を終わる、こういういわば実質、若年定年制につながる形も出てまいるわけでございまして、専門家の方等に、高度な方に限った場合には、両者の意思の合致するところで両方が能力を発揮するために拘束される期間というものを明確に合意し合うことも、やはり契約社会の中では一つの方向ではないかというふうに思っておるところでございます。
○松本(惟)委員 積極的な面からのお答えがございましたけれども、これは、大多数は局長が御答弁になったような状況かと思います、縛りをかけて、限定をしてということですけれども。しかしながら、それだけではなかろうというふうに思います。この点につきましては、後ほどまた触れさせていただきたいと思います。 次に、現行法では、期間の定めに違反した労働者に対して、使用者は損害賠償請求または懲戒処分が可能であるということになっています。ところで、現状では、損害賠償を求めるような事例がございますでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、労働契約は双務契約でございますので、こういった契約期間の定め等に違反して、もし事業上損害が出た場合は、理論的にはその損害賠償を請求できるということにはなるかと思います。 ただ私ども、近年におきまして、そういう損害が事実上発生して、事業主の方が現に損害賠償の請求を行ったというような事例については、承知いたしておりません。
○松本(惟)委員 把握をされていないということでございます。 次に、例えば三年契約のプロジェクトに参加をした高度な専門家が、計画内容などで意見が使用者側と合わなくて辞職をするというふうなことになった場合、そのためにプロジェクトの完成がおくれたとして、使用者は損害賠償請求等を行うことができるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、労働契約は双務契約でもございますので、もし労働者の方が一方的な理由によって途中で退職し、事実上損害が発生したという場合には、理論的には損害賠償請求等を行うことが可能になるわけでございます。 御指摘のように、もし、プロジェクトに参加して事業を進めていく中で、意見が合わないためにやめたという場合には、労使の間でどういった話し合いが現にあり、具体的にどんな事情でやめたのか、それによりまして、損害賠償を請求したとしても、それが認められる場合、認められない場合、種々のケースが発生するかと思います。それは、個々のケースによって判断がされていくことになるのではないかというふうに思っております。
○松本(惟)委員 知り合いの弁護士から聞くところによりますと、最近使用者の方から損害賠償を求めるケースが散見されるというふうに伺っております。例えば、その間に使用者が出した研修費用とかそういったものを戻せというような例もあるというふうに伺っております。私がこの点につきまして大変危惧をいたしますのは、さきの例のような、三年契約のプロジェクトの完成がおくれたということで請求される損害賠償はかなり大きな額になるのではなかろうか。これから、非常に高度な専門的な知識を有するやる気のある労働者が高額の賃金、労働条件で契約をなさるわけですから、かなり大きなお仕事に携わるというふうに考えられます。そういったことが想定できないことはないと思います。 したがって、何らかの形での歯どめが必要と考えますが、その点については後ほどまた伺うといたしまして、次に、有期契約期間中に配置転換で職務が変更された場合、具体的に少し例を挙げさせていただいてお伺いをいたしたいと思います。 例えば、高度な専門的知識、技術を有する者として研究開発プロジェクトで働いていたところ、二年目に企業の方針が変更されましてそのプロジェクトがなくなった場合、三年の有期期間はどのようになるのでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 この労働契約期間、整理させていただいて、御提案申し上げておる労働基準法の規定に従って契約が結ばれたといたしますと、当然規定に沿いまして、どういった業務についてその高度な専門的な能力を発揮するかということが契約の中身になってまいるわけでございますので、先生御指摘のように、その能力を発揮する場がなくなって、もし別の形で働かなくてはいけないということになれば、当然労働者の方の同意も得て契約を結び直すということに相なるかと思います。したがいまして、その時点で改めて契約期間の定めのない契約になるのか、もし高度な能力を発揮するような場での労働でないということになれば三年という雇用契約は改めては結べない、こういうことに相なるわけでございます。
○松本(惟)委員 契約を変更するということでございますね。時と場合、いろいろなケースがあろうかと思いますけれども、基本的には仕事が、要するに業務の方針が変更された場合には契約を結び直す、変更するということだというふうに伺いました。 労働者は三年間雇用保障をされるという、これはつまり先ほどの労働者の側が嫌になった場合やめたいという自由があることと裏腹の関係にございますけれども、三年間雇用保障をされるといういわば期待権のようなものがあるわけでございます、契約を結んだ時点で。これに対する使用者側の責任はどうなのだろうか。それから、契約不履行の賠償責任はその場合使用者にあるのだろうか。そしてまた、プロジェクトの縮小で一般職へ配転になって例えば契約問題というのはこれから日本の労働市場でこれまでになく、従来日本の労使の関係というのは契約の概念は非常に希薄だったわけでございますけれども、これから大切になってくるだろうと思いますので、大変細かいことでございますが、伺っておきたいというふうに思っております。 したがって、プロジェクトの縮小なんかで、高度な専門的技術を持った方と契約していたけれどもちょっと余るから一般職に配転に応じてくれないか、こういうケースがないとも限らない。その場合に賃金が低くなって労働条件が下がった場合、これは不利益の変更になるのではないかと思います。その際地位の保全をされるのかどうか、この点についても伺わせていただきたいというふうに思います。
○伊藤(庄)政府委員 まず、雇用保障をされるかどうかという点でございますが、三年の契約を結んだ場合、当然事業主側にも三年間についての雇用を保障する契約上の責任があるわけでございまして、もし途中で契約を解除するということになれば、それはやむを得ない事由、合理的な理由がある場合に限られるわけでございまして、これは当然、現在判例上確立されている解雇権の乱用の理論ももちろん適用になりますし、状況によりましては損害賠償の責任を負うこともあるわけでございます。 またもう一つ、一般職へ配転になった場合の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、この契約期間の三年延長ということの対象になる方は、専門的な高度な能力等を持った方で新技術の開発等、そういった分野で働くことに限られているわけでございますから、そういったことを目的として契約が結ばれている以上、御指摘のように一般職へ配転になるというような形の場合には当然契約がやり直しになるということで、そういった場合には本人の同意も得て契約を結ばざるを得ない。したがって前の契約が解除になる可能性があるわけですが、これは先ほど前半の方で御説明しましたように、やむを得ない合理的な理由がある場合に限られてくる、こういうことになるわけでございます。
○松本(惟)委員 契約の問題というのは労働者にとってこれからさまざまな問題が派生をしてくるだろうというふうに思いますので、続けてもう一つ伺わせていただきたいのですが、専門的な技術 者として長期雇用されていた人が転勤のときに有期労働契約にされるというケースが発生をした場合、これはどういうふうになるのでしょうか、伺わせていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 もし、今まで長期雇用、契約期間の定めのない方が別の事業場で専門的な高度な能力を持つ者として有期の契約に変わっていく、こういう可能性の場合には、もちろん今までの契約期間の定めのない契約が一たん終了するわけでございます。それが解雇という問題であれば、当然合理性のあるやむを得ない、どうしても解雇が正当だということがなければ、ただいま申し上げましたように、判例で確立しています解雇権の乱用理論の前では問題になるわけでございます。したがいまして、現行法でも先生御指摘のような問題は当然あるわけでございますが、今度の場合にはさらに、その人の高度な能力のためにそういった契約の変更が本当に余儀なくされるのかどうかという、さらに厳格な、恐らく民法上の判断が加わって、権利の乱用、解雇権の乱用になるかどうかが判断されることに相なろうかと思います。したがいまして、そのような事例はなかなか生じにくいケースではないかというふうに思っております。
○松本(惟)委員 ちょっと私聞き取りにくいところがございましたので、もしお答えいただいているのだったらお許しいただきたいと思いますが、この場合に本人の同意というのは前提になるのですよね。
○伊藤(庄)政府委員 先ほど申し上げましたように、今までの期間の定めのない労働契約が終了して新たな契約、高度な専門的技術を持つ方としての契約に移るわけでございますので、契約の結び直しになりますから当然本人の同意が前提になります。
○松本(惟)委員 続いて、派遣法の派遣期間との関係について伺いたいと思います。 派遣制度の見直しにつきましては、現在中央職業安定審議会で検討されているということを承知しております。したがいまして、派遣法そのものの論議は別にいたしまして、私は一つだけ、契約と関係してお伺いしておきたいことがございます。 派遣期間の上限を一年とするという方向が現在中職審の中で示されているというふうに伺っておりますが、そもそもその期間につきまして有期契約の上限の三年とリンクすることはないのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 労働者派遣事業の問題につきましては、現在、関係の審議会においても検討中でございます。 私ども承知をしておりますのは、そういった中で、労働者派遣事業制度は臨時的あるいは一時的な労働力の需給調整に関する対策として位置づけて、したがいまして一常用雇用の代替というようなことを防止していく観点から、例えば派遣先が一年を超えて労働者派遣を受け入れてはならないというような、公益の先生方からもそういう見解が出ているというふうに承知しております。 ただ、労働契約期間の上限の問題と比べますと、この労働契約期間の上限の問題は、長期契約による人身拘束を防止する、また社内にいない高度な人材を、能力を発揮させていくためにそういった新製品の開発等が通常どのくらいの期間を要するか、こういう観点から、新たに延長する部分につきましても大体三年だ、こういうことで定めております。 そういった趣旨でございますので、労働者派遣事業制度の派遣期間の問題とこの契約期間のことはリンクすることはない、それぞれ別個の観点から論議されるものと理解しております。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。直接リンクすることはないという点、確認をいただいたというふうに思います。 次に、反復更新についてお伺いをいたします。既に他の委員が御質問されておりますけれども、改めて確認をさせていただきたいのでございます。 今回の法改正案では、専門的知識を有する労働者につきましては「新たに就く者に限る。」というふうにされております。「新たに就く者に限る。」とあるのは、そのまま素直に読めば更新できないという意味と理解できますけれども、これは三年更新ができないのであって、その後は一年の契約更新となるということでいいのかどうか、そういう理解でいいのかどうか、これが一点。 また、高齢者につきましては、高齢者というと非常に漠然としておりますけれども、六十歳というふうに法案では定義をされているようでございますが、高齢者につきましては「新たに就く者に限る。」という限定がございません。高齢者は三年そしてまた三年と契約更新ができるという意味なのでございましょうか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のとおりでございます。 「新たに就く者に限る。」というものにつきましては、社内に既にいる人材をこういった有期の契約には変えられないという意味であると同時に、契約の更新に際しまして、三年を経過して更新する場合には、この三年の契約の上限の延長の対象者ではなくて通常の状態に戻る、したがって、契約期間の定めのない契約を新たに結ぶか、一年以内の契約期間をつけて雇用するという形になります。 高年齢者の場合には、そういった形は制度上含んでおりませんので、御指摘のとおり今までの定年退職後から引き続き三年の雇用契約に移り、さらにまた三年の更新ができる、こういう規定の内容になっております。
○松本(惟)委員 建議におきましては「有期労働契約の反復更新の問題については、その実態及び裁判例の動向に関して専門的な調査研究を行う場を別に設けることが適当」というふうに記されております。つまり、結論が見送られているわけでございます。そして、引き続き検討をなさるということが書かれておりますが、このように判断が見送られた理由、つまり有期労働契約の反復更新の問題についての判断が見送られた理由は何だったのでしょうか、お聞かせを願いたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘の、有期の労働契約を反復更新している場合につきまして、今まで、一定の要件等がある場合には、その新たな更新を事業主が拒否した場合について、一般の期間の定めのない場合の解雇等の論理を類推適用しているケースが裁判上あることは事実でございます。今回も、そういった観点から、明確な一定の考え方が採用できないかという議論が審議会でもございました。 ただ、裁判等でも出ておりますように、当事者の意思が契約の更新を期待できるような合理的な事情があったかどうか等、個々のケースに即して裁判でも判断いたしておるわけでございまして、一つの基準としてそういったものを明確に線引きすることについては、なかなか現段階難しい。 したがいまして、こういった有期労働契約の反復更新の問題について、そういう実態と今までの裁判例の積み重ねをさらに分析調査して、どのような基準の設定なり対応の仕方が可能か、専門家等のお知恵もかりながら研究会を早急に立ち上げて検討していこう、こういうふうに関係者の合意ができたところでございます。
○松本(惟)委員 最高裁の判例でもいろいろなケースがあるというようなことを、今局長から御答弁をいただきました。できるだけ早く反復更新に対する有期契約の問題についてのルールを示していただければというふうに期待をいたします。さまざまなケースが判例でも出ているわけでございますので、大変難しい点もあろうかと思いますけれども、ぜひとも鋭意御努力を期待させていただきたいと思います。 ところで、パートタイマーの短期契約更新の実態を見てみますと、期間の定めにつきましては、実際には解雇権の乱用法理の適用を避けるためのものになっていることが多いのが実態でございます。最高裁の判例については幾つも出されており ますけれども、その解釈につきましては、いろいろ微妙な事項がございます。それはそれといたしまして、私は、ある意味では一つの割り切り方として、例えば一定の要件のもとで無期契約へ転化をするという考え方もあるのではなかろうかというふうに思いますが、これについての御見解はいかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 パートタイマーの方等に多く見られます短期の有期契約を反復更新しているケースにつきまして、これを一定の要件のもとで無期契約へ転化していくという御指摘でございます。 この場合につきまして、過去の裁判例等にも照らして私ども考えていかなければならないと思いますが、やはり大事なのは当事者双方の意思でございまして、裁判例におきましても、雇用を反復更新して継続させていくことについて、当事者の法律的な期待感があったかどうかというようなことが要件になっております。したがいまして、いつでもやめたいという権利を留保されておられる方がもし無期契約に転化するというようなことを一律にやっていきますと、かえって当事者の意思に反する場合もある。その辺は慎重に対応する必要があるわけでございます。 ただ、裁判例の動向は、やはりそういった一定の考え方を示して、個々のケースごとに今までの契約期間の定めのない場合の解雇権の乱用法理を類推適用するかどうか判断しておりますので、そういったことをひとつ、先ほどお答え申し上げました、新たにこの法案を成立させていただいた段階で審議会の方にお諮りして設置いたします研究会の方で、先生御指摘のような見解についても検討、御議論を願うことにいたしたいと思っております。
○松本(惟)委員 労働省の調査によりましても、パートタイマーがパートを選ぶ理由というのは、一つには短時間労働がいいという人もおりますけれども、パートタイマーという身分でしか働けないという方も相当いらっしゃると思うのですね。そして、今職場では社員の方とそう変わらない、あるいは業種によっては専門的なお仕事をしている方もいて、ただ身分がパートということでございますので、局長、ただいま当事者双方の意思が大事というふうにおっしゃいましたけれども、私はやはり選択という意味でルールはきちんと、長く働きたい人は長く働けるような道を開くべきであると思います。 これにつきましては、今回パートタイマーの法律改正が提案されておりませんのでこれ以上深追いはいたしませんけれども、今後、研究会の中で御検討なさる際、ぜひ前向きにお願いをしたいということを申し添えておきたいと思います。 次に、一般的に、雇用期間が長くなると、その限りにおきまして雇用を安定するというふうに考えられております。しかし、そのことは一面、労働者の退職の自由を奪うということになり、ひいては法第十四条の趣旨にも反するということになろうかと思います。 そこで、一つの提案でございますけれども、私は、例えば博士号を持つような高度に専門的な職業につく方について上限期間三年とするならば、使用者については三年、労働者については一年経過後、解除権を付与することにするとすれば、労働者の退職の自由を保障することができるのではないかというふうに考えますが、この点についていかがでございましょうか。どういう事態が生じるかというのは予測しがたい面がございます。したがって、契約というものは両面があるわけですから、このようなことを私は常々考えてまいったわけでございますが、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 ただいま先生から、事業主の方から見れば三年の雇用保障、労働者の方から見ればいつでも解除権を留保する、こういう仕組みについてどうかという御指摘でございますが、今回、契約期間の上限三年というふうに御提案申し上げております方は、一つは、高度の専門的な技術、知識、経験等を持って、いわばみずからの望む職場で、望む形で、みずからの能力を存分に発揮して活躍したい、また、事業主の方から見れば、そういった能力を存分に発揮していただいて、新技術の開発等に寄与してもらいたい、その意思の合致するところで契約が結ばれるわけでございますので、もし先生御指摘のような形をとれば本当にその両者、能力を持つ方の意思の合致するところで、高い、有利な労働条件が実現できるようなことにつながるかどうかという問題がまずあるのではなかろうかと思います。 こういった点につきましては、やはりこういった高度な能力を持った方等については、両者の意思の合致するところでやはり高い労働条件を目指して働きたいという希望が非常に強いわけでございますので、ただいま御提案申し上げているような姿がそういうことを実現するための道としては一番適切なのではないかというふうに思っているところでございます。
○松本(惟)委員 高度な技術、知識、技能を持った方がみずからの望む職場で能力を発揮して働きたいという意思と使用者側の意向が一致した、つまり双方の関係で、今回は限定つきでこういった契約をするということだから、こうおつしゃいますけれども、労働者が三年なら三年という契約をして、意に沿えばいいけれども、途中でもう全く我慢ができないような事態が起こる場合、これはもうそんなにたくさんあってはいけないと思うのです、契約というのはそんな生易しいことではないと私も思いますので、労働者の側の義務はもちろんあるわけでございますけれども、そうはいっても、やはり二十一世紀というのは、より質の高いいわゆる意識を持って働いていくという時代になろうかと思います、そういった場合に、嫌々ながらも、三年契約結んだんだから我慢をしなければということになりますと、みずから望んで能力を発揮するとはまた違う状況が生じるのではないかというふうにも思いますので、重ねてこの点について伺いたいところでございますけれども、ほかに用意をした質問もございますので、また機会がございましたらこの点について意見交換をさせていただきたいというふうに思います。 労働契約の締結につきまして少し準備をしてきたのですが、多少時間が押してまいりましたので、この点について時間があれば後ほどまた述べさせていただきますが、違う課題についての質問を先にさせていただくことをお許しくださいますようお願いいたします。 実は、第百四十一国会、昨年の十二月五日でございますが、私、ILO条約の批准の問題につきまして質問をさせていただきました。それは、人や物やお金が国境を越えて動いていく時代に、社会的な公正基準ということで、国内だけではなくて国際的な基準にも日本は加入をする必要がある、その点から見ると非常に立ちおくれが目立っているということで申し上げさせていただいたわけでございます。 ここにそのときの議事録を持ってきていますけれども、一々重ねて述べることはいたしませんけれども、ことしのILOの会議の中で、長年議論をしてまいりました基本条約につきまして、WTOの閣僚会議の宣言が採択をされまして、そのことがようやく、中核的な労働基準七本というふうに例記をされまして、取り上げられます。昨年の質問のときには、来年のILO総会ではこのことが議題になるに違いありませんので、ぜひともこのための批准を促進されますようにというお願いをいたしました。 そして、さらには、この七本の中で、日本が批准をできていない条約が三本ございます。その一つは百三十八号条約、二つ目には百十一号条約、そして三つ目には百五号条約というのが挙げられる。七本の中で三本が未批准でございます。 百三十八号、つまり児童の就労の最低年齢を規定をしている条約につきましては、今回、法改正案の中に最低年齢の改正の問題が取り上げられていることは、それはそれとして評価をしたいというふうに思います。したがって、これだけで批准が促進できるのかどうか、まず一点目お伺いをし たい。百三十八号については今回の労基法の改正のみでいいのかどうか。局長の当時の御答弁では、主要な課題はつまり最低年齢だというふうに、「主要な」というまくら言葉がかかってございますので、何かございますようでしたら、お聞かせいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました最低年齢の基準を定めておりますILOの百三十八号条約でございますが、今まで、このILO条約との最大の相違点は、我が国の労働基準法の中で定めております就労できる児童の最低年齢の食い違いでございました。私ども、今回御提案申し上げている改正法案の中では、近年、貿易と労働基準、とりわけ児童労働等の問題が国際会議の場等でも論議されることから、その主要な相違点である年齢をこのILO条約に合わせて整備をいたしたいということで御提案を申し上げております。これによりまして百三十八号条約と国内法制との相違点の大きな部分はまず相当解消されると理解しております。 ただ、あと残る問題として、船員法の関係で細部、大丈夫かどうか、あるいは、労使団体と協議した上で個別に許可する制度等がございますが、こういった労使との協議の仕組みが我が国の体制で大丈夫なのかどうかとか、そういった点につきましてさらに事務的にILO当局とも詰めながら、批准できるかどうかという点を検討していくことになるというふうに思っております。
○松本(惟)委員 ただいまの御答弁では、船員法の問題のみというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○伊吹国務大臣 私がお答えするのもいかがかと思いますが、ILO条約百三十八号では、先生御承知のように、最低年齢は、義務教育終了年齢でありかつ十五歳となっておるわけです。労働基準法では、今基準局長が申しましたように、船員法も含めて十五歳とだけ規定されております。したがって、義務教育を終わっていない方で十五歳ということとの関係で、早生まれ、遅生まれで若干の差が出てくるという問題が一つございます。それから、軽易な労働、言うならば新聞配達でアルバイトをしておられ、苦学をしながら学校に通っておられるというような方々については、労働基準法では十二歳以上となっておりますが、ILO条約では十三歳以上となっております。 国際条約を批准するということは国際社会に対して日本が義務を負うわけでございますし、同時に日本の国家社会あるいはその中にいる国民が現在の国民生活を国際的な義務の中で拘束されずにうまくやっていけるかどうかという、両方の観点から批准をするかどうかということはやはり考えねばなりませんので、今のような相違がある、今までのところはなかなか難しかった、しかし今回、労働基準法の改正をさせていただくことによりかなりの程度と申し上げたのは、若干そういう問題がまだ残っているということでございます。 〔委員長退席、中桐委員長代理着席〕
○松本(惟)委員 ありがとうございました。 ことしは、ILOの総会におきまして、特に開発途上国の耐えがたい児童労働に従事をさせられている子供を守るという立場から、新たな条約の策定作業委員会が設置をされて検討されるというふうにも伺っております。それから、総会におきましては、宣言の中で、国際公正基準のコアである七項目について、各国が鋭意努力をしようという申し合わせが御議論されるというふうにも伺っております。国際社会に恥じないような立場をとるということが日本にとっては大変大切だと思いますので、この百三十八号については、できるだけ早期に批准を、大臣がおいでになる間にできるだけ早く形にしていただければというふうな希望を申し添えさせていただきたいと思います。 それから二つ目でございますが、六月の総会では、未批准の問題についても多分いろいろな角度から問い直されるのではなかろうか。日本では百十一号条約がございます。この百十一号条約、内容については国内法はかなりクリアができているのではなかろうかというふうに私は思いますけれども、どの点がクリアできて、どの点がひっかかっているのか、おわかりでしたらお知らせを願えませんでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 ただいまの百十一号条約、いわゆる差別の禁止に関する条約でございますが、我が国の法制度、こういった点についてかなり留意した体系になりつつあることは、先生御指摘のとおりでございます。 なお、雇用、職業面で、人種あるいはそういったものに基づきます差別に対して、例えば男女雇用機会均等法等との比較で万全の措置がとられているかどうか、また、とりわけILO百十一号条約に照らして細部が整合性を保っているかどうか、こういったことについて現在その整合性を検討いたしているところでございまして、なお詰めさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。特に雇用、職業面で、具体的な雇い入れの際の差別ということになりますと、具体的にどのような措置で担保していくかというようなことが、ILO条約等の関係で整合性を十分詰めていかなければならないという状況にございますので、その整合性につきまして、私ども、もう少しお時間をおかりして詰めさせていただきたいと思っておるところでございます。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。百十一号条約につきましても、優先課題として、ぜひとも国内法の整備をお急ぎになっていただきたいという希望を申し上げさせていただきたいと思います。 最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。 私、百四十一国会での中でも、数字を列挙して日本の立ちおくれを申し上げました。その際、アメリカ、カナダが批准がおくれているのではないかということも反論でいただいたわけでございますけれども、アメリカ、カナダはアメリカ、カナダの事情があろうかと思います。我が国としては、一つ一つ批准可能な条約につきまして国内法との整合性を鋭意図っていただいて、できるだけ国際基準を満たす方向で御努力をいただきたいというふうに思います。 大臣のもとでこの百三十八号と百十一号は至急批准を行うべき課題ではなかろうかというふうに思いますが、大臣の御決意のほどをお伺いさせていただきたいと思います。
○伊吹国務大臣 この件に関しての先生の御熱意はかねがね承っておりますので、我々も国際社会の一員として可能な限り条約は批准をするというのは、先生おっしゃるとおり私は当然だと思いますし、国内法の整備は私も努力をさせていただきたいと思います。 ただ、批准をするということは、国家としてそのことをやるという約束を国際社会に鮮明にすることでありますから、その約束の結果、日本の国家と国民生活がうまく動いていくという確信がなければ、政府を預かっている者としてはやはりなかなか難しい面があるということも御理解いただきたいと思いますし、同時に、今回のバーミンガム・サミットでも、先生御指摘のこの問題、特にコア・レーバー・スタンダードの問題は、おっしゃるように議論の対象になると思います。 しかし、少しこのことを横から眺めてみると、かつて先進国と言われる国々がどのような労働条件のもとで資本蓄積をしながら今日の先進国になり、自分たちは言うならば高見にいるわけですね、そして高見にいる者の基準で東南アジアの方々をすべて縛るということになりますと、これは開発途上国の輸出に対する一種の制限措置になるわけですね。ILOでも、このコア・レーバー・スタンダードの問題が、結果的に開発途上国の輸出努力を先進国が抑えるためにこのことを使ってはならないということを実はこの前議論して、労働省の諸君は帰ってきております。 したがって、人道的にやらねばならないことはできるだけきちっと私どもはやらせていただきますが、同時に、その裏にある国際社会の。パワーゲームということを見過ごさずに、国益を守ってやっていきたいと思っております。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。 最後に大臣がおっしゃられました背後にあるもの、あるいは先進国と途上国との関係、これはもう長年にわたってさまざまなところで意見が対立し、調整のためにいまだに努力をし続けている問題かというふうに承知をしております。ただ、我が国におきましては、可能なものから批准をしていくということはやはり大切なことだと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 実はきょう、私は労働契約の締結の問題についてもう少しお伺いをしたいと思っておりましたけれども、時間が来てしまいました。例えば、新卒の方が労働契約をしていた、そのことで契約破棄が起こった場合の問題につきましては、労働省は鋭意、随分とこの間御努力をなさって行政指導なんかをなさっていますが、これも労働力移動の中で新しいケースが、既に雇われている労働者についてこういった問題が、ヘッドハンティングの問題を例に見ますように、約束していたのだけれども途中で破棄された、契約を結んだ後に破棄されるというようなこと等々がございます。 したがって、次回、時間をいただけますようでしたら、労働契約の締結の問題について少し踏み込んで議論をさせていただきたいというふうに思います。きょうはどうもありがとうございました。
○中桐委員長代理 次に、中川正春君から質疑の申し出があります。これを許します。中川正春君。
○中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。時間をいただいて少し議論をさせていただきます。 法案の議論に入る前に、常々私は大臣に一度お聞きをしようと思っていたのですが、ゆうべも職員の皆さんに質問の聞き取りに来ていただきまして、熱心にそれこそ取り組んでいただいています。私は、もともと大蔵委員会の所属なものですから、大蔵はそれ以上に、いろいろな問題があったものですから、自殺者も含めて精神的に追い込まれている若い人たちを見るわけであります。そこで、私は気になったものですから、霞が関の労働条件というか今の状況というのは、この基準法に照らすとどんなぐあいになっているんだ、こういう問いを投げかけましたら、やはりまじめなんですね、私たちの労働については基準法の範疇の中に入っていませんからという、本当に気を使った答えが返ってきたのですけれども。 時代背景がいろいろ変わってきておるわけでありますが、その変化をとらえて今回の基準法の改正ということになったということを理解しているのでず。そういう前提に立って、どう思われますか、今の霞が関は。大臣、ちょっと担当大臣として答えてください。
○伊吹国務大臣 私も実は霞が関に二十年間おりまして、今先生と同じようにこういう仕事をいたしておりますが、多分我々は従業者になるのでしょうか、我々もまた労働基準法というものが適用されるとすれば、最もそこの違反的な仕事を強いられているグループだと思いますが、もう御承知のように、いわゆる公務員というのは労働基準法の対象外であって、しかし全く同じ精神でつくられている人事院規則のすべて規制のもとにあります。 そういうことからいうと、労働省を含めて各省の諸君の今の勤務状況をもし雇用している者が強制をしてさせていたとすれば、これはもう明らかに、労働基準法が適用されれば、それを超えていると私は思いますし、また割り増し賃金、超勤等もそれだけ払われているかどうかということになると、多分先生のところへ質問をとりに来た諸君はそういう対象になっていないだろうと私は思います。 ただ、国家国民の将来を思って、先生のところへ質問をいただきに行くというのが国家のためになると思って自発的に働いている、そういう、何というのでしょうか、本来国家に対する義務を果たすために人間は生きるのだという基本に基づいて動いている国家公務員がたくさんいるということによって日本はまだ救われていると思いますが、それに安住してはやはりいけないので、仕事の内容を効率化し、国家公務員の諸君も、労働基準法は適用されませんが、人事院規則の中でできるだけ労働条件をこれから緩和してやっていけるように、お互いに政治家として、国会のあり方等も含めて、考えてあげるべきことだと思っております。
○中川(正)委員 その上に立って、今回の労働基準法の改正の趣旨、大まかにはそれこそ産業構造あるいは世界のグローバル化等々に合わせていく形で環境も整えていくという趣旨なんだろうと思うのですが、一遍改めて、その時代背景をどういうふうにとらえておられるのか、その流れのどこをとらえて今回の改正というのが必要となったのかということを御説明いただきたいというふうに思います。
○伊吹国務大臣 今、産業構造の変化あるいはグローバル化というお言葉をお使いになりましたが、そのことが今回の改正に向けて一つの雰囲気をつくり出しているということは私は否定いたしません。 しかし、そういうものの中でと申しますよりも、戦後の廃墟の中から我々の先輩が努力をしていただいて、今日の、いろいろ国民の皆さんには御不満があると思いますけれども、諸外国の社会保障制度あるいは生活水準から見ればかなり行き届いた状況になっている中で、国民の選択がやはり多様化してきている、働き方のあり方も多様化してきている、その選択の自由にやはりこたえてあげる仕組みはつくっておかねばならない。しかし、選択の自由、つまり市場経済、自由社会の結果がすべて万能であると考えている人はいないわけであって、統制的な社会主義、共産主義計画経済的なものよりは選択の自由が広い、そして豊かな今の社会はいいわけですが、したがって、その中でこれだけ職業の選択ができたり、ミスマッチという言葉は格好はいいですが、職業があるのに嫌だとかつらいとかいって選択ができるだけの実は日本は国になっているわけですね、戦後から比べると。 そういう中で、いろいろな働き方を期待しておられる方がおられるわけですから、それにこたえる道をつける。つけるけれども、市場経済、自由社会の結果はすべて万能ではないので、そこに対しては、守らねばならない基本的な生き方、人権あるいは国家の安全保障、伝統、そういうものを守っていくためにある程度の規制というものをやはり入れていかねばならない。その規制は決して私たちは今回の労働基準法の中から撤去をしているとは思っておりません。新しい選択の自由を入れていくけれども、その選択の自由によって働く人たちの立場が悪くならないような措置だけは入れながら時代の流れに対応していく、こういうことで今回の法案を御提案した、こういうことでございます。
○中川(正)委員 大臣、前段の部分はわかりました。しかし、これから具体的に議論をしていきたいと思うのですが、法案の中身に入っていきますと、後段の部分、いわゆる選択肢が広がっていく、それを選んでいく過程の中で、労働者自身が不利益をこうむらないような社会的な枠組みをつくっていく。恐らくその部分というのが基準法の本来の目的なんだろうと思うのですが、その部分を見ていきますと、どうも今回の改正については逆なんじゃないか。選択肢だけ広げて、それを基本的に守っていく部分というのが議論として取り残されたまま改正に及んでいるのではないかということ。この懸念があるものですから、そういう前提に立って、一つ一つ……
○伊吹国務大臣 多分、先生のおっしゃろうとしていることは、私もよくわかります。そして、先生もかつて自由民主党におられて、日本新党に行かれて、新進党に行かれて、今民主党に行っておられますから、市場経済、自由社会の欠点を補っていくには、どちらかというと、政府が積極的に介入をしながらそれをすべて解消した方がいいというリベラル的なお立場に立っておられると思います。私は、これは一つの政治思想として決して 間違っているとは思いませんが、そのことが行き過ぎてしまうと、市場経済、自由社会を前提としながらやっていかねばならないという思想のもとで最も攻撃をしている社会主義に祖先返りをしてしまうというおそれがあります。 一方で、日本の伝統だとか、あるいは道徳だとかエリートの義務とか、こういうものを重視しながら市場経済の欠点を補っていこうという保守主義の立場に立ち過ぎると、結果的に、強い者、労働基準法でいえば、どちらかというと雇用を与えている方の立場が強くなり過ぎるという欠点が出てきます。 私は、多分答えはその真ん中あたりにあると思いますので。先生の御経歴を拝見しておって、多分リベラル的なお立場に立っての御発言だと、そういう価値観では、今のような御判断になるのだろうと思います。
○中川(正)委員 具体的に話に入っていきます。 まず、裁量労働の方でありますが、今度の改正で新たに企画、立案、調査というものが追加をされて、この範疇が拡大をされたということが一つありますが、この企画、立案、調査というのは、これは具体的にはどういうことをいうのですか。私たちの感覚では、これは、仕事の中身からいけば、ホワイトカラーはすべてこの範疇に入るというような感覚で受け取れるわけですね。 それと同時に、具体的にこの仕事はその範疇に入るのか入らないのかという判断が、これは労使委員会で一つは決めていきますよ、だけれども、その決めたことに対してどういう基準で、基準局の方は、それでいいですよ、あるいはだめですよという話をするのかというのが、この企画、立案、調査だけではなかなか出てこないということですね。 それで、基準をつくられるということでありますが、どういう具体的な基準を想定して考えておられるのか。そこのところを事前に明らかにされる必要があるだろうと思うのですが、どうですか。
○伊藤(庄)政府委員 裁量労働制の対象者についてのお尋ねでございますが、先生御指摘ございましたように、裁量労働制の対象者は、法律上は、本社等の事業の重要事項を決定するところで、その企画、立案、調査と分析といった業務を行っている方、しかも、その点が業務の遂行手段あるいは時間配分をみずからにいわば任されて、事業主の方は業務上の具体的な指示をしない、こういうことにしている業務。その具体例を、私ども、労働大臣が定める指針で具体的に示して、それに基づいて、労使委員会で決議されたものを審査し、チェックして、適正な範囲におさめていく、こういう仕組みにいたしているところでございます。 具体例のお尋ねでございますが、私ども、そういった企業の本社等で重要な事項を決定する部門で企画等の業務を行うということになります人たちでございますから、例えば人事やそういったことの新しい計画を企画していく、それも、ある意味では部分的にやらされている人じゃなくて、総合的に一体のものとして、そういった企画業務を、問題点を発見し、それを解決するための具体的な企画をし、案を策定する。それら一連の業務をある程度一体的なものとして任されている人たち、こういうことになるわけでございます。 個々の本社等の組織なり、そういったものを私ども具体的に調べまして、指針の段階では、業務範囲につきまして、例えば、業務の例、それを代表的な、例えばセクションで切る、しかも労働者の範囲も切りますから、例えば経験年数とか、そういったもので、どういう切り方をしていくことが望ましいか。そういう具体例を指針で示していく、こういうことになるわけでございます。
○中川(正)委員 普通の法律と違って、ここのところがもう一つはっきりしないのですよね、さっきお聞きしただけでも。 さらに、恐らく指針という形で特定されても、例えば本社業務といいますけれども、中小企業もいっぱいあるわけですから、中小企業の中で具体的に、例えばノルマをかけられて営業に走り回っている人たちがどんなふうになるのか、それが一つの企画として、新しいこういうものをやりますよ、それに対してイベントはこう打ちますよ、その期間はこうですよとか、そういう話が具体的にはいっぱい出てくるのだろうというふうに思うのですね。 ここでもう一度聞いたいのは、本来は、こういう法によってそこのあいまいな部分をはっきりさせるということが、いわば具体的な労働者のこれからの生活というものを保障していくという法の趣旨なんだろうと思うのですよ。 ところが、今回のこの仕組みを見ていると、裁量労働というような形態のものをもう少し広げていきますと。広げていくために、労使委員会というふうな中間的なものをつくって、そこで一つ一つの具体的な判断をさせていきますよという、これはいわゆる仕組み法なんですね、仕組み法。基準じゃないのですよ。その仕組み法をつくったということは、これまでの労基法の基本原則というか、いわゆる最低基準をつくっていくという、その法の趣旨とは全く違った性質のものがここに組み込まれたというふうに私は解釈をするのです。 それは、どうもさっきの法の趣旨からいくと、時代背景が変わってくる中でいろいろな選択ができますよと。そこまではいい。そこまではいいけれども、本来は、労基法は、その新しい選択をしていく中でこれから起こってくるだろう不都合の部分、不都合の部分というのは具体的にはどういうことかというと、さっき、労働省の職員が私のところへ来ていただいたときに、法律は決まっているけれども実際はなかなか守れないんだ、守れないのはなぜかといったら、これは大臣言われましたが、上司が命令するから守れないんじゃなくて、社会的に、あるいは仕事の構造として、そういうことが起こるわけですよね。 例えば、我々がこうした形で委員会を開く、それがどうしても聞き取りをしなければいけない、聞き取りをしなければいけないけれども、決まるのが夜中だ。夜中までそれは引き続きやらなければいけないという仕事の構造なんです。構造があって、ノルマがあって、それこそ期限が限られていて、裁量労働という形であっても労働者が追い込まれていくというような可能性があるのですよという、そこのところを基準法としてどうするのかという決まりを決めていくのが基準法なんだというふうに思うのです。 だから、今回のこのやり方というのはどうも私は腑に落ちないというのは、そこのところなんです。そこのところを指摘をしたがったわけなんです。そういった意味では、どうも不十分なのではないかなという気がしているのですが、これは大臣から答えていただいた方がいいのですかね。
○伊吹国務大臣 労働省の諸君が質問をとりに行って、上司がそれを命令しているわけではないけれども、なかなかできない。まず、そういうときに、国会というものができるだけ早く質問者を決めて、質問者もできるだけ早く質問を出す。もっと言えば別に政府委員なしでお互いにやりとりをしてもいいと私自身は思っておりますが、しかし数字的なもの、事務的なものもありますから、そういうところを社会全体でまず直していくという意識を持つところから始まると思うのですね。 今の場合でいえば、裁量労働というものを入れていく。裁量労働というのは、今も労働基準法の中に書いてありますよ。それ以外に幾つかの働き方もきちっと労働基準法の中に書いてあります。そして、その中で、労使委員会というものをつくりながら、労使委員会の選び方を規定して、そしてその合意によって裁量労働制というものが入っていく。その範囲はこれこれだということを決めていくのが労働基準の最低限を決めるということなんであって、私は、決して、労働基準法が働き方の最低限のことだけを決めている法律だとは思いません。 労働者が働く中で決して不利にならないようにいろいろな仕組み、そして仕組みを守っていく手順、そういうものを定めているということは各所 にあるわけでございますから、そうすると、労使委員会の選定の仕方だとか、あるいはこれの機能のあり方がどうだとか、多分先生とはそういう議論になろうかと思いますので、そこの点はまた御議論をさせていただいたらいいと思いますが、裁量労働制というのは今も書いてあります、その範囲を拡大するということを言っておるわけです。拡大するときに出てくる働く人たちのデメリットを補うためにこういう基準を、労使委員会という仕組みを入れていく、そしてそれが守られているかどうかについては労働基準監督官という警察権的国家権力によって守っていかねばならない部分がある、こういう仕組みになっております。 〔中桐委員長代理退席、委員長着席〕
○中川(正)委員 そこで、本当に守られていくのかどうかというところが問題になってくるわけでありますが、私の見方でいけば現在も守られていない。それに対して範疇を広げるということは、ますますそれを助長していくことになって、逆に労働者にとっては、それに対してのいわば労働条件の担保というのがこの仕組みだけでは確保できないというようなことなんだろうというふうに思います。これは私の論点なんです。 そこで、もう一つさらにお聞きをしていきたいのですが、労使委員会なんですけれども、労使委員会の性格についてもう少し詳しく説明をいただきたいというふうに思います。
○伊藤(庄)政府委員 今回御提案している新たな裁量労働制の実施に当たってのまず大前提になります要件でございます労使委員会の設置でございますが、この労使委員会は、まず、新たな裁量労働制を導入しようとする場合に、当該事業場に賃金、労働時間等労働条件全般について調査審議することを目的として恒常的に設置しなければならない、こういう法律上の位置づけにいたしております。 さらに、この労使委員会には、全会一致で決議すべきこと等が義務づけられるわけでございますが、その決議、議事録等は労働者の方に常に周知する、また、設置した旨またいろいろな事項について決議した場合の決議の労働基準監督署への届け出等が義務づけられることになるわけでございます。 それから、この労使委員会の構成に当たりましての手続でございますが、もちろん労使委員会の半数は労働者の代表の方でなくてはいけないわけでございますが、その選出手続を厳正なルールをしくことにいたしております。 過半数を超える方で組織する組合がある場合には、その組合から指名された方がこの労使委員会のメンバーになるわけでございます。過半数を超える組合が存在していない場合でございますが、その場合には、当該事業場の従業員の方の選挙等によりまして民主的に過半数を代表する者として選ばれた方、これをまず選出しなければなりません。その方を選出いたしまして、その方が労使委員会の労働側代表のメンバーを指名する。指名された方につきましても、改めて従業員の過半数を超える信任を得た上でこの労使委員会に参加する。こういう手続上のルールを設定いたしておるわけでございます。 そういったことで構成された労使委員会が、業務範囲、労働者の範囲、さらには健康管理のルール、苦情処理機関の内容等につきまして全会一致で決定をしなければ、この裁量労働制というものは利用できない。もしそういった手続に欠敏がある形で利用を始めますと、労働基準監督官はそれをチェックし、もし手続に欠陥があれば裁量労働制ではなくてもともとの労働基準法の従来からの規定の適用があるということで、もし残業等があれば割り増し賃金等の支払いを命じていく、こういうことになるわけでございます。
○中川(正)委員 いわゆる過半数を占める労働組合のある場合にはその代表、これはいいと思うのです。ところが、残念なことに労働組合の組織率は、統計でいきますと二二・六%なんですね。ということは、ほとんどがさつきおっしゃられた民主的な方法で選ばれた労働者の代表、こういうことですね。 具体的に選挙等と言われましたが、選挙なんかは、これは実際今回の法律に基づいていわゆる強制されるのですか。強制ということは、どうしてもしなければならないという条件に入ってくるのですか。その「等」という部分は何なんですか。
○伊藤(庄)政府委員 労使委員会の労働側代表の選び方につきまして、組合のない場合選挙等と申し上げましたが、選挙のほか挙手、そういったものが手続として入ってくるという意味でございます。
○中川(正)委員 選挙のほか挙手。挙手というのは何なんですか。
○伊藤(庄)政府委員 私ども、審議会等で議論した場合には、まず選挙というのは例えば紙に名前を書いて選ぶ、あるいは全員一堂に会して手を挙げることによって信任をしたり決定することはこれは挙手として整理しておりまして、選挙または挙手、こういった手続でなければならないということをルール化していく、こういう考えでございます。
○中川(正)委員 そこの部分は行政指導なんですか、それとも省令ですか。法律の中には書いてないのですね、そこまで。
○伊藤(庄)政府委員 これは、労働基準法を施行するために必要な労働基準法の施行規則、いわば命令でございますが、そこで定めていくことにいたしております。
○中川(正)委員 一般的にこれまでの諸手続、いわゆる労働省関係の諸手続で、労働者が代表として絡んでくる場合のものというのは非常に形式的なことが多かったのですね。さっきのような形で、選挙を本当にさせて、あるいは労働者を集めて挙手で選ばせてというふうな手続を必ずとらなければいけませんよというようなものは、なかなかそこまでの強制したものはなかった、こういうことですね。 それが、本当に今回はやるのですね。やるための担保、それは何かといったら罰則あるいは厳しいそれに対するチェックだというふうに思うのですが、それを本当にやらせるための担保というのは何なんですか。
○伊藤(庄)政府委員 今回、労使委員会につきまして先ほど御説明申し上げたようなルールを設定するほかに、三六協定を締結する際の過半数を代表する従業員の代表、こういうものの選任につきましても、やはり選挙、挙手等の手続等をルール化していくことにいたしておりますが、これらは、労使委員会の決議も同様でございますが、必ず労働基準監督署への届け出を要することになっております。そして、届け出の際には、どういう手続でその代表者を選任し、具体的にどんな方が代表になっているかということもあわせて届け出るわけでございまして、その際に、労働基準監督署においてはチェックする。そこに不明の点があれば内容を確認し、もしルールに反した形で選ばれている方との決議なり協定であるということであれば、それは手続上の欠敏がございますから、その決議や協定については受理できない、したがって裁量労働制等は実施できない、こういう仕組みにいたして厳重なチェックを行うことにいたしているところでございます。
○中川(正)委員 それは行政サイドの精神論だと思うんですよね。私たち大蔵委員会で議論していると、それこそ行政指導ということを主体にした裁量行政を今否定し始めているわけなんですけれども、そういう意味からいえば、この労使委員会をこういう形でつくって、さっきの歯どめ議論もそうですが、事前に監督署がいわゆる指導をして、こんな形態で進めていきなさいよという誘導をしていくような形態ですね、これがいわゆる労働行政の一つのこれまでの流れでもあったんでしょうけれども、それはそろそろ見直していかなければいけないなというような議論もこの世界に持ち込む時期なんじゃないかなというふうに一つは思います。 そういう意味で私は、この範疇を広げて、それで労使委員会にゆだねていくような手法というの は、これはどうも合点がいかない。もう一つ納得がいかない。それこそ、裁量行政をそのまま踏襲するような形で持っていって、結果的にはその手続というのが形式化されて、労働者にとっては、それこそノルマとそれからいわば仕組みの中で、さっき大臣言われましたけれども、日本の今の価値観、社会背景の仕組みの中でもう一度いわばつらい立場に追い込まれる、その可能性だけが広がったというような法案になってしまったんじゃないかな、そういうふうに思います。 裁量行政自体を否定するわけじゃない。裁量行政を入れるんであれば、それに対して反対側の仕組みというのをちょっと知恵を出して考えてやっていくというのが基準法の趣旨なんだろうと思うんですが、これは、逆に裁量行政を入れる方向へ向いて基準法を誘導しているというのが、どうも流れとして逆さまだな、そんなふうに私は思っております。それがこの法案に対する私自身の見解でもあるわけであります。 何かコメントありますか。
○伊吹国務大臣 先生は、大蔵委員会でいろいろ御議論をなすっていることを踏まえての御質問でございますが、金の流れを扱っているのと命を持っている人間の労働を預かっているのはやはり少し違うんじゃないでしょうか。 お金というものを扱っているマネーマーケットに対して大蔵省がどうのこうの言うのはやめて自由にやらせるというのは結構だと思いますが、しかしながら、その場合でも、やはりルールを厳しく決めて、そのルールに違反するかどうかは事後的に検査をして、処分をきちっとやることによって自由というものは担保されるわけですね。 今回は、人というものが働くということの基準をやはり労働省としては守っていかねばなりません。その場合は、組織化されている大企業の方々だけではなくて、未組織の方々をも守っていかねばなりません。しかし、一方で多様な働き方を選択されるという方もおられるわけで、その選択の自由も奪えないというもう一方の要請があるわけですね。 そこの二つの要請にこたえるために労使委員会というものをつくり、そこで裁量労働制を入れるか入れないかということはその方々の自主的な判断にお任せしたいけれども、しかし、それが果たして働く人たちの総意であるのか、あるいは、そこで合意されたとおり動いているのかどうなのかということについては、労働基準監督署に届け出ていただいて、そして、基準監督官が必要に応じて警察権を行使しながらその流れは見ていく。 従来であれば、裁量労働制というようなものもなくて、ともかく働かせてもらいたいという戦後の時代であれば労働基準法の仕組みはそうであったかもわかりません。したがって、これがどちらの方向に行くかということは——効果と副作用は確かにあります。それは私は否定いたしません。どのような政策にも効果と副作用があります。しかし、副作用を最低限に抑えながら、効果というものが必要なら新しいものにチャレンジをしていかなければ社会の発展というのはないわけでして、そういうことをにらみながらこの法律の構成はできていると御理解いただきたいと思います。
○中川(正)委員 いい御指摘をいただきましたので、はっきりその辺の流れを言いますと、基準法で決めるのは、トータルな労働時間の枠組みをまず決めなきゃいけないじゃないか、こういうことなんですよ。それがルールなんですよ。そのルールの中で裁量的にそれぞれが選択をしていくという幅をつくっていくのならいい、こういうことなんですが、今回間違っているのは、その大枠のルールがぴしっとはっきりされないままにその手続だけがここで決められたということ、ここが逆になっているんじゃないかな、こういうことですね。 それからもう一つは、そのルールとそれからその手続の中でそれぞれやっていって、違反した場合に、違反したかどうか、そのルールが守られているかどうかということを見るのに、例えば銀行の例えで言えば、銀行をつぶす、つぶさないというのがお役所の考え方一つで変わってきますよという形から、早期是正措置という形で、八%あるいは四%の、一つ数字的にぴしっとした、みんなが客観的にだれが見てもわかりやすい基準というのをつくって、それから下回った場合にはもうつぶれますよというふうな行政に切りかわっていったというのと同じようなことで、今のような労使委員会という枠組みをつくって、その中で、しかも企画とかあるいは立案、調査というふうないわばあいまいもことしたような、どのようにでも解釈できるような法的枠組みに沿ってこれが運営されていった場合には、それこそ役所の方の裁量権だけが広がっていくということと同時に、この法律自体は形骸化して、形式化して、これまでのいわば労働行政の流れを脱皮できない、そういうことなんです。
○伊藤(庄)政府委員 先生、裁量労働制の労使委員会等の仕組みだけをまず先行させているんではないかという趣旨の御指摘でございますが、労働基準法の体系をごらんいただければ御理解できるように、まず、労働時間管理から割り増し賃金の支払いに至るまでの基本ベースとしての基準は罰則を伴ってきちんとあるわけでございます。一部、それによらないでこの新たな裁量労働制等を使用する場合には、こういう厳正なルールと仕組みを設置しなければその基本ベースとしての基準の規定からは抜け出せませんよ、こういう趣旨でございます。 したがいまして、この裁量労働制で言う労使委員会につきましても、この厳正な手続等と仕組みと規定すべき内容等をきちんとやらない限りは、この基本ベースとしての労働基準法によって、状況によりましては罰則等も当然適用になるケースが出てくる。こういうことでございますので、裁量労働制が基本ベース抜きにまずそこへ誘導しているというのではなくて、基本ベースから抜け出すための厳正な手続とルールを決めて、労働者の保護に十分配慮した形で、仕事の進め方や労働時間管理やあるいは家庭との調和のためにみずからが主人公となってそういったものを切り盛りしていく、そういう選択肢をふやしていこう、こういうことでございますので、そこはひとつ御理解をいただきたいと思っております。 それから、ちょっと長くなって恐縮でございますが、手続面で、先ほど、三六協定あるいは労使委員会についても選任の手続等について厳格なルールをしくと申し上げました。これは監督署の裁量をふやすことではなくて、その手続に欠缺があれば三六協定等も受理できない、したがってそこで残業を命じていれば当然罰則の適用も含む厳正な是正を行わせなければならない、裁量労働制についても、その手続を踏まなければ、もとに戻って、やはり割り増し賃金の支払いから始まる一連の基本ベースとしての基準を履行していない限り、やはりこれも罰則を含む履行の確保、改善をしなければならない、こういったことに戻る仕組みでございますので、そこは全く行政の裁量的余地というものではなくて、厳正なルールを履行していただくための手段でございますので、御理解をいただきたいと思っております。
○中川(正)委員 これは本来もう少し時間をかけて議論をする方がいいのだろうというふうに思います。 せっかくもう一つ考えてきたものですから、あと十分しかないのですけれども、次の質問に移りたいと思います。 次は、時間外労働でありますが、これもはっきりしないのですね。労働大臣が労使協定で定める労働時間の延長の限度とその他必要な事項について基準を定めることができる、こういうことなんですが、この上限に関する基準というのは、今どうなって、これからどうなろうとしているんですか。
○伊藤(庄)政府委員 今回御提案申し上げておる中の時間外労働の上限に関する基準、これは、労働基準法の中に時間外労働の上限を抑えるための方策として初めて盛り込まれたものでございます。したがいまして、現在どうなっているかとい う点について申し上げれば、現在は単なる行政指導上の目安として私どもが用いている指針、ガイドラインがある、こういうことでございます。 そのガイドラインにつきましては、過去、年間でいえば四百五十時間というようなラインで行っていたものでございますが、現在は三百六十時間というようなラインに引き下げてきて時間外抑制のために使っている、ただ単なる行政指導上の目安としてのガイドラインでございますが、今回は労働基準法の中で、労使の方の遵守義務、行政の法律に基づく指導というものを背景とした、いわば事実上かなりの規制を帯びた抑制策として御提案を申し上げておるわけでございます。
○中川(正)委員 国際公約で千八百時間ということを片方日本の国は目指しているわけでありますが、その流れからいくと、さっきの、もとが四百五十時間だからその三百六十時間は縮めたじゃないか、こういう議論ですけれども、国際的に見るとそれ自体恥ずかしいぐらいの時間だというふうに私は解釈をするのですね。その部分で一つ、高いところで設定するのはいいけれども、高いところで設定すればそれが逆に社会のいわば構造というのを醸し出してくる、そういう働きがあるわけなんですね。 日本の場合は、どちらかというと、企業者にとって、いわゆる経営者にとっては、新たに人を雇ってそこの部分をいわゆるワークシニアリングをやるよりも、残業していく方がコスト的にはまだしもいいのかなというようなレベル、これが割り増し賃金の率をどこに確定するかということにも関連をしてくるのですけれども、そういう構造が一つある。だから日本は残業も多いんだということだと思うのですね。 これを、今経済の状況が非常に悪化をしてきている、その中で失業者が多数出てくるだろう、三・六%からそれ以上になってくるだろう、そういう背景もとらえて、それこそ社会的に誘導していく仕組みをつくるとすれば、ここのところだというふうに思うのですね。その残業時間の設定の範囲というものと、それから割り増し賃金の設定の仕方、これによって日本の社会構造を変えられる、あるいは働くということと憩う、あるいは本来の意味で時間的に豊かな労働者の生活、いわゆるライフスタイルというのを変えていく誘導ができるというのは、この二つのメカニズムなんですね。それが現在のような設定の仕方をされると、またぞろ、日本の社会はいつまでたっても変わらないなというふうな流れになっていくように思うのですね。 そういう意味で、胸を張ってさっき三百六十時間と言われましたけれども、この値、見識の高い大臣ですから、それなりに将来に対する目標もあるだろうと思いますし、今の、さっきのような社会構造の中で残業よりもワークシェアリングをやって企業者としてもコストが下げられるんだというような提言の仕方、いわゆる労働省の持っていき方、これが今もっと議論されなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うのですね。趣旨はわかっていただけると思うのですが、時間がなくなったので、どうですか。
○伊吹国務大臣 趣旨はよくわかります。例えばフランスでは、失業率が非常に高いので、勤務時間を制限することによって限られた雇用の吸収力を多くの人で分けていこうという流れがあります。これは先生が今おっしゃったことと非常に近いと思いますが、市場経済では、そうなった場合には、その方が受け取られる実質賃金というのは当然下がります。下がらなければ市場経済は動きません。 したがって、先生はアメリカでの御経験がお長いと思いますが、日本においては、やはり終身雇用というのが日本の伝統文化によって支えられている私は非常にいい制度だと思っておりますので、この制度を守っていけるような、つまり働く人にとっては雇用が保障されているということですね。だから、アメリカのように、不況期になれば派遣会社にお断りの電話を一本人れて失業率がばっと上がる、だけど景気のいいときは失業率は低いという国がいいのか、それとも超過勤務によってそこのところの調整が行われている国がいいのか。経営者の立場からいうと、不況期に雇用保険の代行を自己資本によってやらされているという不満が当然出てくると思いますが、私はやはり日本には、グローバルスタンダードという言葉で諸外国の日本に合わない制度を押しつけるよりも、この部分においては私はできるだけ終身雇用制を守っていく−この裁量労働制が嫌だということになれば、経営者は多分派遣職員でこの部分を賄っていくと私は思います。そういう形が本当にいいかどうかということを、日本の将来を見越してその辺の、御見識のある先生ですから、御議論をいただければありがたいと思います。
○中川(正)委員 残念なことなんですけれども、時間が来てしまいましたので、またの機会に譲りたいと思うのですが、総トータルでいいまして、ぜひ考えていただきたいのは、時代背景の中で社会の仕組みも変わってくる、あるいは少子・高齢化という、その基盤自体が変わりつつある。そんな中で法を変えていく場合に、やはりめり張りをつけて、今回のような、特に裁量労働制で見られるような、社会の仕組みがそういうふうに変わっていくから選択肢をふやすためにそうした仕組みをつくるのですよというその部分、これで行政をやるのじゃなくて、その反対側の部分ですね、本当の意味で私たちのライフスタイルがどう変わってくるのか、価値観がどう変わってくるのか、その部分で法律をつくり、考えていく、それをやはり望みたいというふうに思うのです。 そういう意味では、私の総括としては、これはどうも議論不十分、もう少し時間をかけて知恵を出さないとまた形骸化してしまうのではないかな、そんなふうな気がいたしております。以上、申し添えまして質問とします。ありがとうございました。
○田中委員長 次に、棚橋泰文君。
○棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。 労働基準法の一部を改正する法律案につきましては、大分議論が進んでまいりまして、特に主要な論点については整理が深まったような気がいたしますが、私も、改めて主要な論点について幾つかお伺いしたいと思います。 限られた時間でございますので、裁量労働制の適用範囲の拡大を中心に伺いたいと思いますが、その前提として、まず大臣に一つお伺いしたいことがございます。 先般、戦後の混乱期、統計がないときを除いては戦後最悪という失業率三・九%という大変厳しい失業率を記録いたしましたし、働く者にとってやはりこれは不安な時代が来たような気がいたします。 雇用の問題というのは、一方で雇用を守り、また賃金を守り、しかしそれに時短も重ねてまいらなければいけませんし、何よりも、失業率が高まりますと、まずその本人にとって生活の糧が失われるというだけではなくて、ある意味で人間としての誇りも失われますし、また国家としても例えば治安の悪化等大変いろいろな問題をはらんでまいりますので、私は、国の最大そして基本的な義務の一つが雇用の確保という観点にあるのではないかと思います。しかも、その雇用の確保も、単に働き場さえあればいいというわけではなくて、やはり一人一人の働く者がその中で自己実現を実感できるような、そういう働き場をつくっていくことが何よりも二十一世紀に向けてより以上に国には求められておるような気が私はいたします。 一方で、我が国は、特に戦後、世界的に非常に評価されました終身雇用制という枠組みを維持してまいりましたが、この労働基準法の一部改正法案の背景にもあるのでしょうが、世界的な大競争時代の中で企業が生き残っていかなければいけない、また企業がつぶれてしまえば働く者にとっても働く場が失われるという大変厳しい競争の中で、一方で終身雇用制という雇用の安定という観点からすると大変意義のある制度の長所を生かしながらも、さらには、特に若い方を中心に今キャ リアアップ型の志向、転職によって自分のキャリアをさらにアップしていくという要望もあります。しかし、多くの方にとっては、やはり、一番の雇用に関しての要望というのは雇用の確保、安定ではないかという気がいたします。 そこで、二十一世紀に向けて我が国の労働市場がまずどういうふうにあるべきか。また、そこに関して労働省、労働大臣としてどういう政策を考えていかれるのか。まず、二十一世紀における我が国の雇用、労働のビジョンについて大臣の御見識を伺いたいと思います。
○伊吹国務大臣 大変大きな歴史的なお尋ねでございますので、私に的確にお答えする能力はないと思いますけれども、今先生がおっしゃったように、雇用、賃金、時短、そして基本的な、先ほど来お話があるようなコア・レーバー・スタンダードといいますか労働環境、この四つをしっかりと守っていくのが労働省の役割であって、それを守っていくためには、国際競争を自由市場の中でやはり勝ち抜いていかねば私はできないと思うのですね。そのためには、まず労働市場の問題を云々する前に、良質な労働力、そしてやはり働くということが大切であるということをしっかり自覚する国民。 残念なことでありますが、先生お若いですからいろいろ御勉強なすったりお読みになっていると思いますが、「大国の興亡」というのをポール・ケネディが書きまして、イギリス、アメリカ、そして今日本でも、繁栄した国家は永久に繁栄し続けるだろうか、繁栄した目的を達成したがためにおのおのの国は衰亡していくという議論がございます。日本はできればその例外、衰亡するにしてもできるだけその期間を私は長く延ばしていきたい。 特に、失業保険が充実をしているからといって、有効求人倍率が一を上回っているのに平均よりも失業率が高いという年齢層の方々には、六十歳以上の方々の御苦労を考えて、私はできるだけ働いていただきたい。そういう教育をやはり若いときから学校、地域、家庭でしっかりとやっていく。それによって、今日の日本をつくられた方々に少しでもお報いする国家的な余力を残していく。 まず、そういう前提に立って、働くということは生きているという存在感と人間としての尊厳を守りながら生活を維持していくということですから、流動的であるのならば、できるだけそれにこたえていける、ミスマッチが少ない、御希望に応じていけるような労働市場にしていきたい。 したがって、私は基本的には終身雇用論者ですけれども、いろいろな働き方の御希望を持っておられる方にはそれにこたえていけるようなチャネルだけはしっかり整備して、先ほど来御議論がありましたように、その中で働く方が不利にならないようにしていく。しかし、何よりもそういうことがトータルとして維持できていくような、先生が御指摘の経済状況と社会システムというものと人間のあり方というものを日本社会に守っていく、これが、これからの日本の政治を担っていただける棚橋先生なんかの時代の最大の課題だと私は思っております。
○棚橋委員 ありがとうございました。特に、来世紀に向けて雇用の確保というのが私は国の政治の原点になってまいると思いますし、またそれは、単なる労働政策だけではなくて、産業政策も含めた幅広い政策の推進にかかっておると思いますので、大臣を初め労働省の方々には、まずその点について今後とも御尽力賜りますようお願い申し上げます。 そこで、具体的な質問を幾つかさせていただきたいと思います。 今般、裁量労働制の適用職種の拡大という大変大きな議論が今この改正法案でなされております。一人一人の働く場の方々とお話をしておりますと、率直に申しまして、まさに今大臣がおっしゃったように厳しい国際競争の中で、ある意味では汗をかいた分報われる。逆に言うと、汗をかいた方がその分報われなくて、十分に汗をかいてない方がより以上の報酬を得るというような制度というのは長期間続かないわけでございますし、そういう観点からすると、この裁量労働制の対象業務の拡大というのは、まさに大競争時代の中で、大変厳しい選択ではあるものの、私は一つの流れだと思っております。 しかし、ホワイトカラーと言われる方々の中でやはり今一番不安になっておりますのは、この対象業務がどんどんなし崩し的に拡大されるのじゃないか。企画、立案的な、ある意味で高度の、そしてまた成果で評価するような仕事、業務だけではなくて、失礼な言い方かもしれませんが、単純労働的なホワイトカラーの方にもこの裁量労働制が拡大される、そしてまた、そのことによって実質的な賃金の引き下げになるのじゃないかという御心配を抱いていらっしゃる働く場の方々が私は少なくないような気がいたします。 この制度を定着させていくに当たっては、まずもって制度の導入時におきますフリクションをやはり最小限に抑えていかなければいけませんし、ましてこういう不安を解消する努力を労働省としてぜひしていただかなければいけないと思います。現行法の例えば弁護士といったような業種指定から、今回は、例えば企業の本社等の中枢部門で企画、立案等に携わるという、どうしても抽象的な基準でございますので、労働者一人一人からすると、一体どこまで拡大されるんだろう、あるいは今後どうなるんだろうという不安があるような気がいたします。 そこで、具体的な例示で結構でございますので、こういった仕事を念頭に置いている、あるいは逆に、こういったような仕事であればこの改正法案の裁量労働制の拡大の対象には入らないということを幾つか挙げていただくことによって、少しでもわかりやすい形をとっていただきたいと思いますので、その点、御見解をお願いいたします。
○伊藤(庄)政府委員 ただいま御指摘ございました新たな裁量労働制の対象範囲でございますが、御指摘ございましたように、企業の本社等の中枢で活躍しているホワイトカラーの方々でございます。 具体的に申し上げれば、例えば経営戦略、経営計画といったようなものを、部分的に担当するのではなくて、ある意味ではトータルとして一体的に担当しているような方々。この点は、例えば人事、労務関係であれば人員計画のもちろん企画、人事政策の企画、そういったことを策定するためにいわば一体として任されているような人たち、これは、財務計画あるいは予算の企画等についてもそういったことが出てくるかと思います。 そういった業務につきまして、私ども、具体的な大臣の指針の中では、企業の代表的なセクション、それに、そういった仕事を任される場合の、例えばその企業における経験年数あるいはいろいろな職務評価制度との関連等を加味しながら具体的な例示をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。 さらに、先生から御指摘ございましたように、そういった中で、完全にこれは裁量労働制にはなじまないんだというネガティブの方もはっきりさせていくということも同時に考えております。 例えば、情報、資料の収集、整理とか帳簿の記入とか、そういった補助的な業務あるいはルーチンとして行われている定型的な業務。これはもちろん、給与計算とか各種の保険事務とか、財務、経理関係であればそういう経理関係の書類の作成等の業務というものは当然入らないわけでございます。 そういったネガティブのものも同時にあわせて示して、それを事業主の方にあるいは労働側の方に周知すると同時に、監督署の窓口において届け出られたものをそれに基づいて厳正にチェックしてその範囲内におさめていく、こういう努力をいたしたいと思っております。
○棚橋委員 ありがとうございました。今後とも、やはり一人一人の働く場には不安に思っていらっしゃる方もいらっしゃると思いますので、で きる限り具体例を示すことによって明確な情報を、不安がないような形で御配慮していただきたいと思っております。 続きまして、先ほど中川先生の御質問にも少し触れられておりましたが、裁量労働制の導入については、今改正法案では労使委員会でこれを判断するということになっております。特に、過半数を代表するような組合があれば、基本的にはその組合が決定するという形になるのでしょうが、労働者側の意見を適正に代表できるような労使委員会、これをいかにしてこの法案に規定する労使委員会として認定するのか、この辺の実質的な基準をお教えいただきたいと思います。 と申しますのは、ある意味で、この裁量労働制の対象業務の拡大というのは、従前の労働法制の発想からの非常に大きな転換ではないかと私は考えております。従前は、使用者側と労働者側、これが利害が対立し、その対立する利害を調整するというのがまさに労働基準法の最大の主眼だったと私は思いますが、今回の裁量労働の拡大というのは、もちろんこれは時間の話ではございますが、個々の、特にホワイトカラー的な職業の中で、ある意味では職人さんの世界と違って成果物が必ずしも見えにくい、そういう職場において、賃金との絡みもありますけれども、成果によって判断をするというような側面があるのではないかというふうに私は考えております。 そう考えてまいりますと、働く労働者側の中でも利害が一致するわけではなくて、ある働く人間にとっては、自分はこれだけ汗をかいているのにかいた分だけの汗が報われていない、それは、大変失礼だけれども、隣の席で机を並べている彼が逆に汗をかいていない分以上の報酬を得ているからではないかと。そしてまた、それは、今までは時間当たりではかってまいりましたが、裁量労働制の導入は、特にホワイトカラーという、なかなか判断しにくい職種における成果によって労働の報酬を決定する道の拡大だと私は思っております。 そう考えてまいりますと、この制度の導入自体は、私は、最初に申し上げたように、今の世の中の流れとしてこれは必要なものだと思っておりますが、しかし、一方で働く側の意見を十分に反映することを考えると、労働者側の代表、労使委員会の中でその選定、特に労働者の中で利害が対立する側面がありますので、これは大変難しいと思っております。 そこで、この労使委員会について、どうやって特に利害の異なる労働者の意見まで吸い上げる、そういう手だてをお考えかを教えていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先生お話ございましたように、我が国の人事あるいは賃金管理制度のいろいろな大きな流れの中で、この裁量労働制とは関係なく、一定の成果なりあるいは仕事の内容、こういうもので決めていく体系等の提案がなされる、そういった変化があることは事実でございます。 私ども、そうした中で、やはり労働側の方がこういった流れの中できちっと使用者側と話し合い、そういった流れの中で参加していかなければならない。そういった気持ちもございまして、この裁量労働制の導入に当たっての労使委員会は、賃金等、労働時間、労働条件全般について調査審議するものとして位置づけまして、そういった労使委員会でなければ要件に該当しない、こういう位置づけをいたしておるところでございます。 それだけに、先生御懸念のように、労働側の意見が十分反映される仕組みになるか、同時に、利害の異なる労働者の方々の意見がどう吸収されるか、こういう点の御指摘があるのかと思いますが、この労使委員会の構成に当たりましては、先ほども答弁申し上げましたように、労働組合がある場合には、その過半数を超える労働組合の代表が指名される、それから組合がない場合には、選挙、挙手によりまして選ばれた従業員の過半数を代表する者がこのメンバーを指名し、それで従業員の信任を得た上で臨む、こういうことになるわけでございます。 そういった形の上に、さらに、労使委員会で決定します裁量労働制に関連する重要事項はすべて全会一致でなければならない、こういうことにいたしておりますので、もし労働者間で利害の異なる場合には、この全会一致ということがなかなかしにくい環境が生まれてくるかもしれません。全会一致で裁量労働制を使うためには、相当、労働者側の間でも意見の調整がなされて、話し合いが行われて決定されてくる、そうならない限りはなかなか裁量労働制までは利用できない、こういうことになるわけでございます。 あわせまして、裁量労働制導入の際に、必須の要件といたしまして苦情処理機関を設置することを義務づけております。したがいまして、この苦情処理機関に寄せられる内容によっては、労使間で一たん決議したルールについてもまた改めて見直し等が進められていく、こういうふうに期待をいたしておるところでございます。
○棚橋委員 ありがとうございました。ぜひ、さまざまな意見をお持ちの労働者側の意見が労使委員会の中で十分に反映されるように、また御配慮賜りたいと思っております。 今のお答えの中にもございましたが、労使委員会で導入が決まっても、やはり裁量労働制の適用に関して不服がある方もいらっしゃると思いますし、また、会社によっては組合、あるいは、まだ労使委員会の中でも十分に意見が反映しづらいようなケースも全くないわけではないでしょうから、やはり、個々の労働者がこの裁量労働制の適用やら何やらに関して実際的な苦情を申し立てて、そしてまたその意見をきちんと反映するような仕組みが私は必要なような気がいたします。もちろん、最終的には訴訟という手段はございますが、現実的に働く人間がそう簡単に裁判を起こせるわけではありませんし、やはりこれは現実的に苦情を申し上げられるような、そういう機関が大変必要ではないかと思います。 今苦情処理機関のお話がございましたが、これは具体的にどういう構成、あるいはどういう手続で苦情を処理するのか、そのイメージを少し教えていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 この裁量労働制の実施に当たりまして、苦情処理体制を必ず整備しなければならないということを要件にいたしておるわけでございます。この苦情処理体制の具体的なイメージでございますが、私ども、この点につきましては、労働大臣が定めることとしております指針の中で望ましい姿を提示していこう、こういうふうに思っております。 現在、いろいろな企業の段階で、苦情処理の仕組み、あるいはメンタルヘルス等の関係での相談窓口、いろいろな例がございます。私ども、目下そういった例を収集いたしておりまして、そういった中から、やはり労働者の方が気軽に安心して申し出をできる、また、それが、先ほど申し上げましたように、裁量労働制の労使委員会にスムーズにつながって、必要なものはまた是正されるとか見直しされる、こういうことにつながるような仕組みはどういったものがいいかという観点から、いろいろな類型を示していきたいと思っております。 現在、具体的な、こういう姿でというところまで答弁できないことは申しわけございませんが、そういった気持ちで固めてまいりたいと思っております。
○棚橋委員 ありがとうございました。そのイメージをできるだけ早目に確定していただくように、またお願いいたします。 さらに、少し細かい質問をもう一問させていただきたいのですが、労使委員会で裁量労働制の導入が決まっても、中には、人によっては裁量労働制の適用を好まないような、そういう方もいらっしゃると思うのです。そういう方々は、特にこれは私法上の問題かもしれませんが、制度の適用を断ることができるのだろうか、あるいはまた、今回の改正法案の中で、その部分というのはどういうふうに位置づけられているのか、少しその点について教えていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 この裁量労働制を個々の労働者の次元で見ると、望まないという方もおられる可能性はあるわけでございます。やはりこの裁量労働制は個人個人のいわば選択肢でございますので、そういった意味で、裁量労働制を望まない人をどうするかというのは重要な課題だと思っております。 私ども、この法案の検討の過程でいただいた中央労働基準審議会の建議におきましては、この裁量労働制の適用に当たって、労働者本人の同意、あるいは申し出による適用除外、あるいは労働者の方が同意しなかったことを理由とする不利益取り扱いをしてはならないといったようなことを一労働大臣が定める指針の中で、必ず決議の中へ織り込んでいくようなことを提示していってはどうか一こういう建議を受けておりますので、そういった大臣の指針の策定の際には、御指摘のような点に十分留意して作成をしてまいりたいと思っております。
○棚橋委員 ありがとうございました。 最後に、今回の裁量労働制の対象業務の拡大の議論の中で大変難しいのは、裁量労働制という制度の適用範囲の拡大ということは、逆に言うと、働く人間の仕事の成果というのを時間ではなくて仕事の成果物で評価するということを大前提にしておると思います。例えば職人さんの世界のように物づくりの現場であれば比較的これは客観的に見ることが可能でしょうけれども、金融のような一部特殊な分野で、特に転職に際してなんかは、過去の実績やら手がけた業務である程度のこういう基準もできておるかもしれませんが、企画、立案という、ある意味で非常に抽象的な、そしてまたなかなか多様性があって、しかもまだまだ我が国の中では客観的な評価がしづらい分野というのが、まさに私はこの裁量労働制の対象業務になってくると思います。 やはり働く側からすると、裁量労働制の導入というのが、ていのいい賃金の引き下げでないかという不安感というのは率直に言ってあると思います。これは、自分の仕事をどういうふうに評価されるか、あるいは社会がまず客観的にどう見ているか、そしてまた使用者側がそれをどう見てどういう賃金として評価してくるか、これに対する十分な評価基準、客観的なしかも具体的な基準がまだ備わっていないということが、私は実は不安の一つの原因のような気がいたします。 この制度が導入されて一定の時期が過ぎると、これはまさに市場の中で、あなたの仕事はこういう評価がありますということは自然とできてまいりますし、また、そのときに労働省が余りこれを口出すことというのは行政改革の流れからしても問題なのかもしれませんが、今のようにこういう制度の導入期あるいは対象範囲の拡大期というのはまだまだそれが不十分で、できておりませんし、また、そのことに関して働く場ではやはり不安があるような気がするのです。 そこで、私は、個人的には、労働省として、一つのモデルケースなのかガイドラインなのかは別にして、こういった裁量労働制が適用されるような業務に関しての一つの評価基準のようなものを国の中で確立するためにやはり旗振りをしていただかなければいけないと思うのですが、その点について労働省としてはどういうふうに今お考えかということを少し伺いたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、この裁量労働制を導入するかどうかにかかわらず、現時点でも多くの企業で、人事や賃金のあり方を、例えば労働時間の長さだけでなくて、成果や能力というようなものを重視した形へ変化させる動きが出てきていることは事実でございます。 私ども、こういった動きを受けまして、例えばこれからの賃金制度のあり方について、学識者の方に御参集願って、いろいろ望ましい姿なり、事業場の方にこういった流れの中で留意していただくべき点を研究していただいて、そういう報告等を作成いたしまして、そういったものを関係の方面へ配付したりして、こういった流れの中で、やはり労働者保護あるいは望ましい姿へということでのいろいろ啓発等もあわせて行っているところでございます。 ただ、この裁量労働制の導入ということとあわせて考えますと、例えば、今まで一般的でございました職能資格制度を変更させて、職務を中心とした評価制度へ、あるいは目標管理制度等による業績評価へと、いろいろな提案がなされていく可能性は大きいと思います。 そういった流れの中で、私ども、ぜひ労働者の方が参加し、望ましい姿へ、透明度の高いものへ持っていっていただきたいという思いもございまして、この改正法案におきましては、裁量労働制の実施に当たって、労使委員会が賃金、労働時間、そういった労働条件全般について調査審議するものとして設置することを要件としたところでございます。 したがいまして、賃金と大きなかかわりを持つ評価制度につきまして、ぜひ労使委員会で、労働者の代表の方が積極的に関与して透明度の高いものにしていただく、また、そういったことなしにこの裁量労働制の導入ということであれば、先ほど来申し上げておりますように全会一致ということになかなか至らないわけでございますので、ぜひ労働側の参加というものが機能していく姿へ持っていきたいというふうに思っております。 いずれにしましても、評価制度のあり方については、現在大きな変化の中で各企業とも種々創意工夫を進めている段階であろうかと思いますので、私ども、この裁量労働制、実施させていただけることになれば、そういった動きを注視しながら、この労使委員会の機能というものが確実に機能するように、本省また地方一丸となりまして万全の配慮をしてまいりたいと思っております。
○棚橋委員 どうもありがとうございました。ぜひその点の御努力も、鋭意お願いしたいと思っております。 質問を終わるに当たりまして、先ほどまさに大臣のお話にもございましたが、やはり我が国は、終身雇用制という非常に雇用の安定に資する制度を今日まで維持してきたと思いますし、私は、もちろん労働政策に当たっては、例えば雇用でいうならば、雇用の安定確保、さらには一定水準以上の賃金の確保、そして時短という、多くの必要な要素があると思いますが、やはり根幹にあるのは、雇用のまさに安定であり確保のような気がいたします。 大変厳しい失業率の中で、また、国際的にもいわゆる大競争時代と言われる、ホワイトカラーの分野にも大変厳しい競争の波が押し寄せてまいりますし、また、個々の働く場にとって、怠けることなく汗をかいた人間が汗をかいた分だけ評価される、そういう制度の確立というのは、先ほどまさに大臣のお話にあった「大国の興亡」ではございませんが、私は常に必要だと思っております。と同時に一方で、やはり安心して働ける、雇用に関しては心配がない、この安心感を与えることがその根底にあるような気がいたします。 ぜひ、大臣そして労働省におかれましては、大変厳しい時代の中で、この原点を常に御配慮いただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十分休憩 ————◇————— 午後三時七分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。
○桝屋委員 大変お疲れでございますが、皆さんおそろいになったようでありますから、引き続き審議を続行させていただきたいと思います。 午前中の審議を聞きながら、私もしみじみと、今回の労基法の改正、問題点がかなり見えてきたな、こういう気がいたしております。 そんな中で、実は昨日でございますが、ちょっと目にとまった産経新聞の記事がありまして、あ る意味では大変私もショックを受けた記事でありまして、大臣もお疲れだろうと思いますので、ちょっと冒頭にこの新聞の記事にまつわる話をさせていただこうと思っております。 実は産経の記事に「アピール」という、これは多分投書の記事だろうと思うのですが、名前は申し上げませんが、ある方が投書をされておられます。会社員、四十五歳の神奈川県にお住まいの方であります。 この方の「アピール」の論旨は、日本のサラリーマンは今まで終身雇用制という閉鎖的な労働市場のおかげで過保護の状態にあったと言えるという書き出してございます。午前中もそういう議論があったと思うのでありますが、極端な話をすると、開かれた労働市場の中で通用するような能力を持たない人も結構いらっしゃるというような厳しい事柄が書いてあります。 我が国のサラリーマンは終身雇用制という労働市場での保護政策によって、自分の能力を上げるという努力を怠ってきた。企業内で出世するためのもっと効率のよい手段、この方は、人情を利用する、社内人脈構築、この技法習得に奔走していると。本当に、職務能力といいますか、そういうものを磨く努力を怠っているのではないか、我が国独特の労働慣行の中でこんな現象もあるのではないかという、改めて私は驚いて見たわけであります。一 この方の結論は、こういう日本のサラリーマン社会が今、まさにグローバルな競争時代を迎えて労働環境の変革に直面している。労働市場のビッグバンだ。この方の言葉ですよ、暗黒の封建社会、人情が支配した労働環境から近代社会、オープンな労働市場に通用する能力を重視する労働環境へと夜明けを迎えようとしていると。 私は、書いてあることは全部賛成ではありません。しかし、ある意味では、まさに今の時を指している指摘だな、こう思うわけであります。 結論部分になりますと、本当に切実な話でありますが、明治維新の際に多くの武士が精神的にも経済的にも路頭に迷った。同じように、これから多くのサラリーマンが路頭に迷うであろう。それは新しい社会を構築するための産みの苦しみだ。ここしばらくは混乱の時代が続くだろうと。その先には明るい未来というふうに書いてあるわけでありますが、明るい未来にしなければならぬということだろうと思います。 私は、書いてあることに全部賛同はできません。しかしながら、指摘については確かにうなずける部分もありまして、こうしたこの会社員の方が感じておられるようなことが、まさにその一環として、今回の労働法制、この労働基準法の改正もまさにそういうときかなという気がしております。 それで、午前中の審議でもありましたけれども、この方はビッグバンという言葉を使っていますが、恐らくここしばらくは混乱が続くであろう。ある意味では、私はそういう混乱の時代がしばらく続くのだろうと思うのですが、労基法の精神といいますか、我が国の労働法制の形の中で一番注意しなければいかぬのは、そういう開かれた労働市場に至るに当たって、やはり今までの労働者保護の観点、そうしたものも十分踏まえながら、ソフトランディングをしながら新しい時代を開いていくということが大事なのではないかというふうに私は思っているわけであります。 こうした困難な時代あるいは変化の時代におきまして、基準行政のあり方というのはどうあるべきか。大臣のお話を聞いて、お話は大体想像できるのでありますが、この新聞記事の感想も踏まえて、まさにこういう変化の時代、この方は、混乱の時代が続くだろう、こうおっしゃっていますが、そうした時代にあって、基準行政はどうあるべきか、そういうちょっと大きい話で恐縮でございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○伊吹国務大臣 いつも公平に物事を見ながら、的確な御質問をいただいている桝屋先生でございますので、あえて今の労基法に対してやや追い風的な意味での新聞記事も引用されたのだと私は思います。 率直に申しまして、労働慣行、労働市場を含めまして、やはり戦後の日本というのは、護送船団と言うとまたしかられるのですが、お互いに弱い人たちを公的な施策で助けながら全体として成長をしていくというやり方を日本はとってきたと思います。それはそれで大きな成功をおさめたわけですが、その成功のかぎというか一つの秘密は、午前中の棚橋委員の御質疑にもありましたけれども、頑張って自助努力をし、自己責任を果たしている人たちに不満が出なかったのは、やはり右肩上がりの成長というものがあって、その不満を帳消しできるほどの大きな成長があったと思います。したがって、そこから税という形、保険料という形でお金をとって、そしてそれが比較的社会的弱者と言われる人たちのところへ回りながら、今日の状況をつくり上げていった。 私は、これはこれで評価をすればいいと思いますが、さて、これからも右肩上がりの成長が続くのであろうか。あるいは、かつては六十歳−六十五歳の方は、非常に珍しい時代では社会的弱者であったと思います。しかし今、七十歳以下の人というのは社会で珍しい存在でも何でもなくて、社会の中の有力なシェアを占められる日本の、パートナーというか仲間でございますから、この人たちをむしろ弱者として遇するというようなことが果たしていいのかどうなのか。 戦後、職がないときは、働く者というのは弱者であって、そして職を与える者は強者であったかもわかりません。しかし今や、ミスマッチという言葉で言えば格好はいいですけれども、有効求人倍率が一を超えているにもかかわらず失業率が非常に高いという世代も出てきているということになりますと、さて、午前中の棚橋委員の御質疑にもあったように、やはり頑張っている者、自己責任を果たした者は相対的にその報酬を得たいという気持ちが一方に出てくるということは、私はこれを否定いたしません。 しかしながら、ここに言っているような日本的な慣行というのは感心したことではないかもわからないけれども、それによって社会がある程度成り立っているという部分がありますので、急激にこれを自由競争、市場原理にすべてゆだねてしまうというようなことはいいのだろうか。特に労働というのは、人間という、命を持っている、最も尊厳のあるものが果たす行為であるだけに、私は、やはりそこにはある程度の規制というものが当然入ってきてしかるべきと。特に、頑張って努力をしているから報われるのは当然であります。しかし、頑張ろうとしても頑張れないという人もいるということはやはり認めなければならない。その最低の基準というものだけは日本はしっかりしておきたいと私は思うあですね。 そこで、アメリカ的な競争万能社会で、不況期になれば派遣職員の道を派遣会社にお断りしたら会社は雇用調整ができるというような労働慣行がいいのか、それとも、申しわけないけれども、超勤でもってそこのところは好況期、不況期を調整しながら、安心して御家族と人間の尊厳を守りながら継続雇用をとっていく方がいいのか、ということになれば、私は、やはり後者をとりたいと思います。 しかし同時に、その中で、日本の方々がこんな仕事は嫌だよとおっしゃって、雇用保険、だれかの努力の結晶である、保険料と税の結晶である失業保険をもらいながら、この仕事は嫌だ、次の仕事は嫌だといって探しておられるという状態を放置しておいては、やはり社会というのは成り立たない。 そこで、子供さんを保育園に送っていってから、後、自分は少し派遣型の形で働きたいという方もおられるでしょう。先ほど午前中の棚橋議員の御質問にあったように、裁量労働でしっかりと自分の能力を見きわめてもらいたいという方もおられるでしょう。そういう方にはやはり選択の自由というものを基本的に開いておく。開いておくけれども、その方法が、結果的に、御心配になっているように働き過ぎになったり働き捨てになっ たりしないように、最低限の基準というものを基準行政の中でしっかりと置いていく。そして、その基準行政を守るために、基準監督官という警察行政的なものはやはり残しておく。これは私は、人間というものを扱っている限り、労働省としては当然のことだと思います。 したがって、私は、アメリカ型の市場万能主義も、実は労働市場については余り感心したことだとは思っておりませんし、ヨーロッパ型の、結果的には税負担が六〇%、七〇%になりながら失業率が十数%を超えて、結局、所得税を納めている人にすべての負担がかかりながら動いている社会というのも余り感心したことではないのじゃないか。日本はやはりその間の、第三の道をとるべきだという考えで、実は今回の法律は御提案したつもりでございます。 その中で、おのおのの働く人の立場あるいは経営をする人の立場から見れば、もっとこうしてほしいのに不十分だとか、こういうところはこんなことが起こるかもわからないといういろいろな御批判があることは、私はよくわかっております。 しかし、どのような政策もやはり効果と副作用がございます。でも副作用を最低限に抑えながら第三の道を長い目でとっていかないと、結果的には、希望している人から選択の自由を奪ったりあるいは長期的に雇用を失ったり、それだけはやはり労働行政をお預かりしている者としてはやりたくないし、してはいけない、そういう気持ちでございます。
○桝屋委員 ありがとうございます。 午前中、大臣も、実は私は終身雇用論者なんだどちらっとおっしゃって、最近、いろいろマスコミやいろいろな組合の皆さん方から、意見交換をしておりますと、どうも大臣は市場経済一辺倒だ、こういう批判もあるわけでありまして、今のお話を聞くと必ずしもそうでもない。やはり基準行政の重要性、この変化における基準行政のあり方ということについてもしっかりと御認識をしていただいているというふうに私どもは信じながら、今回の労基法の改正、いろいろな問題がありますが、しっかりと今から審議を深めていきたい、こんなふうに思っている次第であります。 それで、今の大臣のお話の中で私も感じたことでありますが、そういう大変な変化の時代の中で、きょうも実は午前中我が党で随分朝からいろいろ勉強会をやっていた中でも出た議論でありますが、やはり悩ましいのは中高年でありまして、本当にオープンな労働市場といいますか、これからの変化の中で中高年がどうこの変化に耐えられるかということが極めて大事だろう。高年の部分についてはいろいろな仕掛けもそれはあるだろう、やはり中年だろうと思うのです。 そういう意味で私は、職業能力の開発という観点は極めて大事だろうというふうに思っておりますし、ここはまた行政の役割としても大きな役割があるのだろうというふうに思っております。 これは別に御答弁をいただきたいとかいうことではなくて、ここから先はひとり言でありますけれども、そういう職業能力が極めて大事だという時代に、私の地元はポリテクセンターが何か一つつぶされそうでありまして大変悩んでいるというひとり言を言いながら、次の質問に行きたいと思うのであります。 きょうこの新聞の記事を引用いたしましたのは、私は、これからどんどん新しいグローバルな競争時代の中でオープンな労働市場になるということを素直に私自身が感じているわけではなくて、本当に変化の時代を悩んでいる、私自身も悩んでいるということでこの記事を引用させていただいたわけであります。 時間外・休日・深夜労働についてもう一度、この前も議論をさせていただきました、今回は今の実態について教えていただきたいのであります。 よく言われることであります、我が国の労働実態、長時間労働のこの実態についてはいろいろ議論されておりますが、これは指定統計というふうに伺っておりますが、労働省の毎月の勤労統計調査、それから、同じ調査では総務庁の統計局の労働力調査があるというふうに伺っております。 それで、いろいろな方のお話を聞きますと、この二つの調査、労働省の毎月の勤労統計調査では、年間総労働時間が推計をしますと千八百九十一時間、それから総務庁の統計局の労働力調査では、これがさらに大きい数字になっている、二千時間を超えている、こういう数字になっているのであります。二つの統計、時々議論されるというふうに聞いてはおるのでありますが、総労働時間でどうしてこういう食い違いが出ているのか、教えていただきたい。 まず、直近の実態とその違いの根拠をお示しいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 まず直近の状態でございますが、年間の総実労働時間で申し上げますと、毎月勤労統計調査の方での数字でございますが、昭和六十二年度当時二千百二十時間であったものが、直近の平成九年度では千八百九十五時間ということで、この間、約二百二十時間程度の減少を見てきておるわけです。先生ただいま御指摘ありましたように、これを労働力調査で見ますと、二千時間を超えておるというような数字が出てまいるわけでございます。 この毎月勤労統計調査と労働力調査の差異についてもあわせてそういった観点からお尋ねがございましたので、お答えを申し上げたいと存じます。 まず、毎月勤労統計調査の方は、調査対象期間がいわば全期間ということでございますが、これに対しまして労働力調査の方では、月末の一週間を対象として調査をいたします。 したがいまして、通常、月末の時期というものは企業あるいは商店等におきましても多忙な場合が多い、こういうこと。それから、特に十二月等につきましては、この月末の一週間を十二月二十日から二十六日までの一週間にいたすというような特別のやり方をしておる関係等もございまして、労働力調査の方では、そういった数字が高目に出てくる可能性がございます。それからもう一つは、我が国の暦の関係もございまして、ゴールデンウイークとかお盆の連続休暇をとっていただく時期等々が多くは月末には含まれていない、こういう問題がございます。労働力調査の方がそういった期間が含まれていないために多目に出る、こういう状況もございます。 また、毎月勤労統計調査は、事業主に対する調査でございます。それから、多目に出る方の労働力調査は、世帯単位の個人調査でございます。 したがいまして、労働力調査の方では、一般に、労働時間そのものというよりは、休憩時間や労働していない在社時間、例えば作業前の着がえの時間等も個人の判断としてはやはり全体に労働時間という理解のもとで答えてくるケースもある。 こういったことから、労働調査の仕組みや時期が違うために、かなりの差異が出てきている状況にあるわけでございます。
○桝屋委員 わかりました。労働省と総務庁の指定統計の違い、統計のとり方が違うという御説明でございました。 それで、労働省のこの統計調査では現在千八百九十五時間ですか、そして労働力調査の方は二千時間を超えまして二千二百ぐらいですか、三百時間ぐらい差がある。 これについては、よく言われるように、片方は使用者に対して調査をしたものであり、もう一方の方は労働者から聞き取った、あるいは、残業とか早出をした時間も含むというようなことから労働基準法違反の無協定の残業あるいは不払い残業なんというのが入っているのではないのか、この三百時間というのはそういう慣例的なものがこの中に入っているのではないか、こういう批判も伺っているところであります。今の御説明では、特に残業の多い月末の一週間をとっているということでその三百時間というのは説明できるのではないか、こういうことでありますか。統計の違いですからそれはあるのかもしれませんが、そういう指摘もあるということも聞かせていただいてお ります。 ただ、全体的には両方とも、当然ながら、長い間の労使の取り組みの中で労働時間は少なくなっているということは言えるわけでありますが、私も全部は見ていないのでありますが、この労働力調査あたりで、長時間労働、例えば年間三千時間を超えるような労働をされているような方がどのぐらいいらっしゃるかというような統計は出てくるのでありましょうか。その数字があったらちょっと教えていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 その調査によりまして、先生御指摘のような件数は当然把握されます。ただ、今ちょっと手元に正確な数字がございませんので、資料が出次第お答えを申し上げさせていただきたいと思います。
○桝屋委員 済みません。そこまできのうお話をしておけばよかったんですが、わかった段階で教えてください。確かに全体としては労働時間は減っていますものの、恐らく、全体の労働者の中で見れば、私は、かなりの率、まだ長時間労働をされている実態というのは、これはこれで逆にあるんだろう。それがどのぐらいかということを教えていただきたいなと思ったんですが、後でも結構でございます。 それで、もう一つ、労働省から資料を御提供いただいております「平成八年において労働基準監督署で取り扱った申告事件の概要」、例の労働基準法第百四条に基づく労働基準監督署に対する申告、これは労働者が権利救済を求めるということで申告をできる、こういうことになっているわけでありますが、この資料も見させていただきました。 申告事件については、四分の三について監督を実施した、そのうち約七割に法令違反等があるということで、やはり気になりますのは、最近の特徴的な傾向としては、いわゆるサービス残業に係る事案などもふえておるというようなことでありまして、最近の労働市場の中でこうしたサービス残業等もふえている、こういう申告事件もあるということも聞かせていただいていまして、概要も見させていただきました。 伺いたいわけでありますが、平成八年度で全体で二万一千四百九十四件ぐらい申告があったということでございますが、最終的に整理すると、法令違反の中で労働時間違反関係がどれぐらいあったのか、ちょっとこのデータには出てきておりませんから、お示しをいただければと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘ございました平成九年の九月に取りまとめました全国の労働基準監督署での申告、これは、労働者の方から監督署の方に、問題だということで基準法違反として申告があった件数、ないしはその具体的な、それを是正させていく監督官の進め方等について、事例をもって紹介をいたしたものでございます。 申告の方で見ますと、近年では、ふえておりますのが、やはり賃金不払いをめぐる事案でございまして、労働時間関係につきましては必ずしも増加という形ではないのでございますが、ただ、私ども、全体の労働基準監督官が年間十六万とか十七万という事業場に対して監督を臨検という形で実施いたします。その中で出てまいります労働時間等の違反事例でございますが、平成九年で申し上げますと、やはり賃金不払いが大体五〇%近い数字になりますし、労働時間関係等が約四%から三%常に出てまいるわけでございます。 申告の中身等につきましても、私ども、個々に監督官から状況報告を受けたり、第一線の状況把握に努めている中では、やはり賃金不払いが申告の約半分ぐらい、それから約四%ぐらいの割合で労働時間関係の違反がある。この件数につきましては、傾向的なものよりは、例えば四十時間を実施した年などはかなりふえたり、年によってそういった変動があるというふうに報告を受けております。
○桝屋委員 ありがとうございます。 この申告事件の内容を見させていただきましたけれども、一カ月二十時間を超える残業については、いわゆるサービス残業として時間外手当を支払っていなかった会社に対して、未払いの時間外手当を支払わせた事例などが書いてあります。この内容を見ますと、確かにこういう事例があるんだろうなと思わせるような事例であります。 そんなことを考えますと、一つは、労働基準法の考え方というのはある程度もう定着をした、後は、全体として、労使の自主的な協調の中でいろいろな問題を解決していけばいいという、こういう議論もずっとされていますけれども、今のような話をいろいろ整理してみますと、やはり、中にはどうしても、本当に労働基準法をわかっておられるのかな、わかった上で確信犯的にいろいろな問題が出ているのも確かだろう、こんなふうに思うわけであります。中基審の花見会長なども、ずっといろいろな記事を読みますと、今後は労使の能動的な自主参加型の手法でもってやっていくんだ、こういう記事も見させていただきましたけれども、私はやはり、労働基準法の精神をきっちりと理解をしていただく、そして守っていただく、この取り組みもまだまだ大事なんだろう、こういうふうには思っております。 そういう意味では、この前我が党の河上委員が、どうしても行政指導に従わないような事例も出てくるだろう、それで、この前の局長さんの御答弁では、親企業との絡みとかあるいは中小企業などがやはりそういう事例があるだろうという話でございましたけれども、我が党の河上委員の方から、指導の実効性を求めて、もう一つ知恵は出ないのか、例えば公表制度あたりはどうかというようなお話もあったわけでありますが、ちょっとそれは難しいという御答弁だったと思うんですけれども、もう一回重ねてそのお話をお聞きしてみたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、申告事案の処理事例等を私ども集めています中には、例えば一カ月二十時間までの申告しか残業について認めないといったような労働基準法違反事例があるわけでございます。私ども、こういう事例につきましては、とにかく厳正に是正を命じて改善をすべてさせてきているわけでございますが、中小零細等を含めまして多くの企業がある中で、私ども今回措置いたすことにいたしていますように、従業員の過半数を代表する方等をきっちりしたルールで選定していただき、事業場内に、労使間でこういった問題についてやはり牽制し合い、監視し合う機能が機能している、同時に、労働基準監督署がこういったことを厳しく監督して、両方相まって労働基準法制の実効を上げていくということが大変必要ではないかと思っております。 そういった仕組みの中でもなお守らない、こういったところに対して公表制度をどうかという御指摘かと存じますが、まず、労働基準法制の中で罰則を伴う条文が多くあるわけでございますので、こういったものにつきましては是正勧告をし、しなければ司法処理に至ることもあるという中で是正を促していきますので、私ども、この申告事例をまとめた中にもあらわれていますように、まずほとんどにつきまして改善をさせているという状況にございぎす。 例えば、この前御指摘ございましたように、新たに設けます時間外の労働の上限基準等についてどうかということでございますが、これにつきましても、私ども再三、場合によっては親企業等の協力も求めながら、改善を何としてもしていくということにいたしております。 ただ、そういう中で、そういった再三の指導にもかかわらず改善が難しいというのが中小零細に多くあらわれてくる可能性がある。そういうところにつきまして公表制度というものが抑止力を持つかどうか。やはり監督官が再三再四、何としても是正させるといういわば執念でこの改善に取り組むことの方が効果があるんではなかろうかということでお答えを申し上げたところでございます。
○桝屋委員 先ほど伺いました労働力調査の中で、三千時間というのはデータがありますか。もしわかりましたら、お示しをいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今、週当たりの平均時間での分布が出ておりますので、これを面で見るとどうなるのか、もう少し精査をさせていただきたいと思います。
○桝屋委員 また後日でも結構ですからお示しをいただきたいと思います。年間三千時間を超えるような就業実態も結構あるんだという話も私いろいろな方から聞いておりまして、じゃ、どのぐらいの割合であるのか。私も、国会議員になる前はずっと盆正月ないような仕事をして、いつも所属の組合から怒られておったわけでありますが、三千時間を超えるというのは結構なものだろう。そういう方々の労働生活といいますか、実際の生活は一体どういうふうになっているんだろうというふうにも思うわけでありまして、その実態をまた御教示いただきたいと思います。 ついでに、私ども時間外・休日・深夜労働について一番気になるのは、やはり、先ほど大臣がお話があった中で、本当に大変な中で、今回のこういう変化の中で犠牲になる人が出てきてはそれはいけないんだろう。確かに変革は必要でありますけれども、その変化の時代にやはり基準行政の中で守るべきは何とか守らせたい、こんな思いがするわけであります。 あわせて、女子保護規定撤廃に伴う激変緩和措置であります。これは対象については特定労働者、随分本会議でも伺って対象者はわかったわけでありますが、特定労働者について、いわゆる家庭責任等を有する特定労働者、これは時間外労働を短いものとすることを使用者に申し出た者という書きっぷりになっているわけでありますが、特定労働者については、家庭責任を有する労働者は時間外労働を短いものにすることを申し出る請求権があるというふうに理解をしてよろしゅうございますか、教えていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今回御提案を申し上げております激変緩和措置は、育児、家庭等の責任を持つ女性労働者の方が時間外労働の上限基準を希望すれば短く定めたものが適用される、こういうことでございます。 そこで、希望する、ということになっておりますので、先生、請求権、請求できる、こういうことかという御指摘かと存じますが、前の通常国会で成立させていただきました雇用機会均等法とその関連の整備法の中で、女子保護規定を解消する際に、深夜業につきましてはこれは明確にその免除を請求できる、こういう規定で対応いたしておるところでございますが、今回の場合は、それと比較いたしますと、当然その請求権という形ではございません。ただ、希望すればこの時間外労働の上限について、これから具体的には定めるわけでございますが、短いものによってそれ以上についての残業をしなくて済む、こういう体系にする、こういう内容でございます。
○桝屋委員 今まさに話が出ましたけれども、均等法の改正に伴う政省令の改正が二月に姿が明らかになっております。特に深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針が示されておりますが、具体的にはどんな指針になっているのか。 特に、本会議でも私申し上げましたけれども、健康診断等でやはり異常な所見があったような場合、元気な方はいいわけでありますけれども、健康に自信がないような方についての取り扱いというのはずっと我々も悩んでいるわけでありまして、その辺どんな指針になっているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○太田(芳)政府委員 お答えいたします。 この指針はこの三月につくったものでございまして、先生御指摘のように、深夜業に従事する女性労働者の就業環境の整備に関するものでございますが、具体的に申しますと、送迎バスの運行や公共交通機関の運行時間に配慮した勤務時間の設定などを行うことによりまして深夜業に従事する女性労働者の通勤の際の安全を確保するように努めるということ、それから、防犯上の観点から女性労働者の深夜の一人作業というのは避けるように努めること、それから、雇用している女性労働者を新たに深夜業に従事させようとする場合には、育児とか家族の介護の問題、それから本人の健康などに関する事情を聞くことなどについて配慮するよう努めるようにするということ、それから、先生御指摘の健康の問題等につきましては、安全衛生法に基づきまして仮眠室、休養室等を設けるとともに、定期的に健康診断を行い、その結果必要があると認めるときは、その労働者の実情を考慮いたしまして、深夜以外の時間帯への就業の転換、作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講ずること等を内容としているものでございます。
○桝屋委員 といいますと、この指針では、例えば健康診断でお医者さんから異常の所見があったという場合は、当該労働者は深夜以外の時間帯に変更できるのかということなんですが、これは具体的には指針ではどうなんですか。これは雇用主の責務ですか、それとも労働者が申し出るわけでございますか。具体的な指針の取り扱いを教えていただきたい。
○太田(芳)政府委員 指針は事業主に対する義務としてつくられたものでございます。
○桝屋委員 そうすると、お元気な方はいいんでありますが、六カ月ごとに健康診断をされて、その結果異常な所見があるという場合は、これは事業主の義務として違う時間帯に転換をするというようなことをしなければならぬ、こういうふうに理解していいですか。
○伊藤(庄)政府委員 ただいま先生の御指摘の部分は、労働安全衛生法によって事業主に対して義務づけている部分でございますが、深夜業従事者につきましては年二回健康診断を事業主はしなければならない、その結果もし異常があれば、事業主は産業医等の医師の意見を聞いて、必要なら作業の転換とか勤務時間の短縮等の措置を講じなければならないという形で事業主の義務にいたしております。 この中には、もちろん今先生御指摘ありましたように深夜業以外への転換ということを明文ではうたっておらないわけでございますが、今回、女性の方の深夜業の指針の策定に伴いましては、ガイドラインの中でそのことが含まれている旨を明示して事業主の方に周知させていく、こういう形をとらしてもらったものでございます。
○桝屋委員 それでは次に、今回私、自分自身が疑問に思っていることをちょうど中ごろになりましたから何点か確認をさしていただいているわけでありますが、続きまして、裁量労働制について議論さしていただきたいと思います。 裁量労働、始まったのは六十二年ですか、前回の形で始まっていると思いますが、もともと裁量労働につきましては一出発は、労働者の裁量にゆだねざるを得ないような場合、この例外的な取り扱いだろうというふうに私は理解をしておりました。当然そこからスタートをして、今回新たな裁量労働を導入するということになっているわけでありますが、よく組合の方からお話を伺いますと、裁量権のない労働者に安易に拡大するのではないかと。きょう午前中にもありました。ホワイトカラー全体にという話もあるのでありますが。 裁量権という話をよく伺うのでありますが、この裁量権というのはどういうふうに考えたらいいのか、教えていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 この裁量権というもの、労働基準法上は二つのことで判断をいたすわけでございますが、主として、対象業務の遂行の手段、これを本人にゆだねていること、それから時間配分、これにつきましても本人にゆだねていること、こういうことが二つ主要要件でございます。したがいまして、使用者が具体的な業務上の指示をしないことにしなければならない、そういうことを決議した上でこの裁量労働制というものを実施する、こういうことで裁量性のある者に限ることを明確にしているわけでございます。 〔委員長退席、中桐委員長代理着席〕
○桝屋委員 今回の新たな裁量権というのは二つの観点だ、業務の遂行の手段と時間配分を自分で管理できる、これがまさに裁量権だという御説明 でありますが、そうしますと、この原則といいますか、やはり裁量権がちゃんとある人に限られるということは、今回の新たな裁量労働の中でもその方向は変わらないというふうに理解をしてよろしいですか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、今回の新たな裁量労働制につきましても、基本は、業務の遂行手段、時間配分について本人に任され、事業主が具体的な業務上の指示をしないということを条件にいたしておるわけでございます。ただ、今回の新たな裁量労働制はそれに加えまして、事業運営の重要な事項を決定する部門でのそういう調査、企画等々の業務であり、かつ、労使委員会において、具体的にどういう範囲だということをセクションなり経験年数等をもって特定した上で実施しなければならないというさらなる要件を、今までの裁量労働制と違って、加えてあるわけでございます。
○桝屋委員 それからもう一つ、裁量労働の対象になる労働者はどういう方かということで、これは午前中も議論がありました。今も御説明がありましたが、高度な専門的な能力を必要とする方ということだろうと思うのです。しかも、今の裁量権という観点からいきますと、自律的な、指揮命令関係についても抽象的な、一般的な、そういう立場にある労働者ということだろうと思うのですが、それはやはり相当高いレベルの労働者なわけですね。 これは、研究会の報告書を読んでおりましたら、やはり裁量労働をする労働者というのは、労働基準法四十一条二号にいうところの管理監督者のような立場の人だ、それにふさわしい待遇というものが求められるのじゃないかという議論も報告書の中には書いてありましたけれども、今回の新たな裁量労働者の労働の評価といいますか待遇といいますか、直接的には賃金ということになるのだろうと思うのですが、そこはどのように今回の形では整理されていくのか。それなりの評価が本当にされるのかどうかということも気になるところでありますが、教えていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 こういったホワイトカラーの方々で相当なウエートで仕事を任され、高度な経営計画あるいは財務計画、人事政策等の企画を総合的に行っている方の場合、やはり時間管理が非常に難しいという問題がございまして、労働時間の長さで賃金等が決まっていくという形になかなかいかないのが実情でございます。そういったことで、近年、この裁量労働制の導入とはまた別に、企業の方ではこういった人事あるいは賃金管理のあり方、あるいは能力や成果を重視した評価制度へと移行させる提案等が多くなされつつあることは御案内のとおりでございます。 こういった中で、この評価制度は、具体的には今まで多くの企業で、こういったホワイトカラーの方々については職能資格制度と呼ばれるものが我が国の企業で一般的であったわけでございますが、これを、例えば欧米等に多い職務を中心とした評価制度へ変更させていく形、あるいは目標管理制度を設けてその業績を評価していくシステムとか、各企業、現在、いろいろな創意工夫を重ねながら、こういった評価制度の時代に合ったものを確立させるべく、いろいろ検討が進められているちょうどさなかにあるのではなかろうかというふうに思っております。この裁量労働制も、こういった評価制度の変化といわば密接な関連を持つケースが多いかと思います。 裁量労働制の導入とあわせてこういった評価制度の変更を同時に実施してくるというようなことも今後当然予想されるわけでございますので、私ども、この裁量労働制の導入の実施に当たっては、そういう変化の中に労働者を代表する者が参加して、適切な透明度の高い評価制度というものをつくっていかなければならない、そういう思いがございまして、この改正案の中では労使委員会を、賃金、労働時間、そういった労働条件全般について恒常的に調査審議する労使委員会でなければならない、こういう法律上の位置づけを明確にいたしまして、この評価制度等についても、労働側が参加して意見を言っていく、こういうシステムにいたしているところでございます。
○桝屋委員 今回の新たな裁量労働制の問題については、ずっとほかの方の議論を聞いておりましても、すぐれて労使委員会、すべてはここに帰着をする気がするわけであります。労使委員会に係る問題、労使委員会の運営といいますか、新しい裁量労働制でありますし、労使委員会がすべてを、問題点のすべてがこの中へ包括されているような気もいたしまして、私は、労使委員会の運営についてはやはりできるだけ慎重にあるべきだ、最初の導入、新しい道の導入でありますから。この点については今後、参考人の意見や、さらにこの委員会での審議を深めていきたい、こんなふうに思っているところであります。 時間もありませんから続いて、年次有給休暇の問題についてお尋ねをしたいと思います。 今回の改正案によりまして、継続勤務三年六カ月から引き上げが二日ずつ、こうされたわけでありまして、年次有給休暇がふえるというのはまことに結構でございますけれども、当然ながら、非常に素朴な質問で恐縮なのですが、年休というのは二年間利用ができると思うのですが、この点についての変更は一切ありませんですか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のとおりでございまして、二年間利用につきましては、今回の法改正によっても従前と同様でございます。
○桝屋委員 それから、今回、変形労働制あるいはフレックスタイム制、まあフレックスタイム制の変更は今回ありませんけれども、そうした場合に年休の取り扱いはどうなるのか。 例えば、変形労働でやっていまして、所定労働時間十時間の日に年休をとったというような場合については、よもやこれが使用者側から、労働者は一日休んだつもりが、今ごろは半日単位で年休をとれるところもあるでしょうけれども、一・五日、こう評価される、こういう結果になるようなことというのはないのかどうなのか、ちょっと気になるところでありますけれども、お示しをいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今御指摘ございました年休の取得につきましては、変形制を用いている企業の場合におきましても一日単位で行われるという今までの扱いには変わりございませんので、そういった点は従前と同様でございます。
○桝屋委員 それで、今回の改正で年休がふえたわけでありまして、それはそれで結構なのですが、ただいまの年休の消化状況、よく言われる話でありますが、全く年休の消化が進んでいない。年休の消化がうまく進めば、さらに労働時間の問題は相当改善をされるという話はいつも聞くのでありますが、ただいまの年休の消化状況についてお示しをいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 直近の平成八年の数字になりますが、労働者一人平均の年次有給休暇の付与日数、平均いたしますと十七・四日でございまして、これに対しまして現実の取得日数が九・四日、取得率が五四・一%、こういった状況になっております。
○桝屋委員 これは時系列的に見てどうですか。多少は進んでおりますか。
○伊藤(庄)政府委員 傾向でございますが、私どもとしても大変残念でございますが、大体半分を少し上回る取得率という状況がこのところ続いておるところでございます。
○桝屋委員 私自身もサラリーマン時代、年休というのはいつもとれなくて悩んでおったわけでありますけれども、この年休の消化も、全体の時間にもさっきも申し上げましたように相当影響を与える部分でありまして、何とかならぬのかなといつも思っているわけであります。それで、年休の計画付与という制度もありますけれども、こっちの方の動きはどんな状況になっているのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 年次有給休暇の取得の促進を進めるために、労使が話し合って一定日数は計 画的にとっていただく、こういう制度の普及に努めておるところでございますが、こういった計画的な付与制度を持っている企業の割合は一七・五%の企業でございます。 ただ、規模別にはかなり差がございまして、千人以上の企業になりますと四一・四%の企業がこういった計画的付与制度を実施しておるわけでございますが、やはり百人から三十人の規模で見ますと一五・八%、こういった数字でございまして、規模別にはまだかなりの格差がある、こういう状況でございます。
○桝屋委員 いずれにしても、今のお話ではありませんが、まあ大きいところは何とかなっているけれども、問題はやはり中小企業だろうと思います。今回の改正で年休の引き上げが二日ずつにされるというのは結構なのですが、本当に年休についても消化が積極的に進むように何とかしたいな、こんな思いを持ちながら実は改正案を見させていただきました。 それからもう一つ、変形労働制でございますけれども、今回幾つかの改正がありますが、これはちょっと私自身がわからないから伺うわけでありますが、一カ月単位については、現行は就業規則に記載をすればいいということになっていたわけですが、これに労使協定、これは就業規則かもしくは労使協定という整理になるのだろうと思うのですけれども、結局私は労使協定でやろうと最後は就業規則は必ず届けなければならないだろうという気もしまして、今回一カ月単位について労使協定を足したということはどういう意味があるのか、どういう影響があるのか、教えていただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 変形労働時間制につきましては、例えば一年単位を期間とする変形労働時間制等については労使協定を締結して実施すること等を要件といたしておるわけでございますが、一カ月単位の変形制につきましては、従来から就業規則で実施できる、こういう規定になっておりまして、就業規則は御案内のように労使間で話し合うというよりは事業主に作成義務があって、事業主は労働側の意見は聞かなければならないことになっておりますが、事業主が作成するものでございます。 今回、この一カ月の変形制についても、そういう就業規則でやるという場合のほか、労使協定で、具体的に内容を労使で話し合った上で利用する、そういうことも一カ月の変形制についてはこれから実施できる、またそういうことも選択の一つとしてやっていただきたい、そういった気持ちでこの労使協定による一カ月の変形労働時間制も新たに制度として位置づけたわけでございます。
○桝屋委員 労使協定でということは、就業規則は当然規定をしなければいかぬのではないかと思うのですが、これはどっちでもいいようになっていますけれども、労使協定だけということがあり得るのですか、そこのところがちょっとわからないのですけれども。
○伊藤(庄)政府委員 この変形労働時間制の場合には、例えば一年単位の変形労働時間制で申せば、労使協定で具体的に労働日とか休日とかを特定しながら労使間で話し合って細部を決めて実施することになるわけでございます。ただ一方、同時に、始業時間とか休日の問題については就業規則で定めるべき事項でもございますので、労使協定で定めればそれを就業規則に取り入れて就業規則を直しておく、こういうことになるわけでございます。 したがいまして、今の一カ月の変形制でも、労使協定でまず細部を労使が話し合って決めて合意して一カ月の変形労働時間制を実施することにすれば、まず労使協定を結び、その上で就業規則をその内容に合わせて事業主は変更しなければならない、こういうことになるわけでございます。
○桝屋委員 ちょっとよくわからないところもありますが、また後日、まだこの審議は続きますから教えていただきたいと思います。それで、最後に、先ほどお願いしました労働力調査の中で、長時間労働の実態をまたお示しをいただきたい、このことをお願いしまして、本日は終わりたいと思います。ありがとうございました。
○中桐委員長代理 次に、武山百合子君。
○武山委員 武山百合子です。自由党を代表しまして、質問いたします。 五十年ぶりの改正ということで、画期的という、今まで改正されなかったこと自体が本当に不思議なくらいな気持ちでおりますけれども、今回大きな改正点ということで、論点は四つあります。 実は私、長いこと外国生活をしていたものですから、日本へ戻りまして五年しかないのですけれども、政治の世界に入りまして、秘書を募集したりしますね。そうしますと、たまたま若い方が履歴書を送ってきたりしまして面接しますと、全体がそうじゃないですけれども、たまたま私のところに応募してくる者が、まず字がはっきりきちっとこちらが思っているような日本語を書けない。それから、今コンピューターでいろいろ皆さんできるということを聞きますけれども、コンピューター技術が導入されて短い期間なものですから、やはりプログラムをつくるとかというのはまだまだ無理のような状態、一般的な想像ですけれども。それで、秘書ですからお茶酌みも、まずお茶の入れ方から説明しなければいけないわけですね。それから、二十過ぎの人が来るわけですけれども、電話の応対からまず教えないといけない。 そういうことを考えてみまして、今回四つのポイントということで出ましたけれども、本当に労働とは何か、労働者とは何かという根本的な哲学が何かみんな、まあ私に持っているかと言われましたら、私もこの年になったものですから、いろいろな社会的経験やら家庭生活やら子育てやらあらゆる経験のもとから、はい、私はもちろん持っておりますとはっきりと私は物を言いますけれども、実際に聞いてみたときに、果たしてどれだけの人がそういう意識を持って、働くんだ、これもこれもできるんだ、自分にこれだけの能力があるんだということを言えるかなと、疑問に思うのですね。 それで、今回五十年ぶりに改正されたということで論点ははっきりしましたけれども、それ以前の問題として、労働とは何か、労働者とは何かという自覚、それから人間としての自己責任、自律した、生きていくんだ、それから、国際化の社会で、また市場の状況がどんどん変わってきまして、経済状況も変わってきまして、本当に世界的な視野で物を考え行動し、判断していかなければいけない時代に、今回の中基審でそういうことが議論としてあったのかどうか、お聞きしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 大変難しい点でございますが、こういう角度からの議論が中央労働基準審議会でもあったことは申し上げられるかと存じます。経済社会構造が変わる中で、やはり個々の働く方々がいわば自律する、あるいは能力等を身につけていくことも、企業の中だけでなくて、本人のいわば自主性に基づいて職業能力の開発をしていく、そういった問題や、あるいは企業を超えても通用する高い能力等を持った方の、例えば雇用のあり方としてどういった仕組みがあるかとか、そういった角度から議論されまして、そういったことにつきまして、例えば、自律した、労働時間等も自分に任せてくれ、こういう人たち、また実際にそういう人たちの働き方を事業主が管理していくことが難しい場合について、いろいろ弊害が出ないような形でそういう人たちの希望に合った働き方を選択肢として加えていくにはどうだ、こういうことが裁量労働制の議論に入る段階で種々議論があったり。 あるいは、企業を超えても通用する能力をいろいろ身につけていかなくてはいけない、そういった部分については、いろいろ自主的な能力開発の機会等を援助することについてはこれは中央労働基準審議会の分野ではないけれども、既にそういう形で自分の能力を持って、いわば自分が能力を 発揮したい分野で、自分でそこを選択して働きたい、そういう人については、一年の雇用契約期間では短過ぎるんではないかというような問題、そういったことが議論をされました。 全体として、先生御指摘のように、職業能力なり労働観というものをしっかり持って社会あるいは経済活動の中にしっかり参加していくための、そういった人材の養成というようなことについてはまた、例えば労働省でいえば職業能力開発審議会なりそういったところで種々議論をお願いしていかなくてはいけないだろう、こういった議論は審議の過程で出てまいりました。
○伊吹国務大臣 多分、先生の思いに対して今政府委員がお答えしたのは半分ぐらいだと私は思います。 昨年九月に内閣改造がございまして、当委員会でいろいろ総括的な御質疑、口頭試問を私が受けました際に、先生はこの委員会の当時はメンバーでいらっしゃいませんでしたが、今御提起になったような問題がかなり、むしろ政治家の論議として交わされた事実がございます。 今おっしゃっているのは、政府委員が申しましたような職業を果たしていくための技術的な能力以外に、もう少し人間として生きていく基本的な知恵のようなものがどうだろうかというお話だろうと私は思います。 例えばイギリスでは、御承知のように、日本でいえば文部省と労働省が一緒の役所になっております。これも先生がおっしゃったような発想の上に私は立っているものだと思いますし、社会が豊かになり、そしてアメリカ社会的な競争原理で動かしていくのがいいのか、やや日本的なやり方というか、戦前の教育に対するいろいろな反省の結果やや逆の方に行き過ぎているのではないか、いろいろなことを考えますと、私はやはり、家庭とそれから教育の場とそれから地域のコミュニティー、この三つでもう少し日本人は生きる知恵をお互いに教え合っていくということが必要なので、それを別にして規制緩和、自由化というか構造改革をどんどん進めますと、先生はアメリカにいらしたからお読みになったかと思いますが、ラッシュという人がいて、この人の書いた「エリートの反逆」という本がありますが、本来社会を指導していかなければいけないエリートが、結局金をもうけたり競争に勝つということによってすべてを支配して、社会の秩序がかえって守られないというような提言がございましたけれども、今のお話は、まさに橋本内閣が、教育改革というものを今私が申し上げたような形の上でやって五つの改革を実施していく、これがやはり国際社会の中で生きていく大きな基本だということを御提言になっているんだと思って私は聞いておりました。
○武山委員 どうもありがとうございます。 まさにそのとおりなんですけれども、働く、働きたい、働いて満足だ、そういう気持ちの根底にあるのは、やはり教育だと思うんですね。 それで、今お話しのように、これは本当に二十一世紀の日本の土台をつくる産みの苦しみの状態、今まさにそうなわけですけれども、その中で、土台の哲学なくしてやはりこの四つの論点は議論できないと思うんですね。その哲学をやはり労働大臣にぜひ今後進めていただいて、議論をして、大人は一つの人格として育っておりますので大人はいいと思うのです、これから育っていく若い人たち、そういう人たちにきちっと、もちろん国益もかなえた今後の日本をどうしていくのかという、労働を通して結局みんなそれぞれ好きな分野で生きていく、生きていける、好きな職業を選んで生涯豊かに生きていける、そういう土台をつくらなきゃいけないと思うのですね。それはまさに教育だと思うのです。 それには、やはり地方分権も必要ですし、地方分権の中で、職業とそれから職場と住宅と地域がやはり密接に近いということも大きな役割を果たしますし、それから、教育の中で子供たちにも、やはり小さいころから労働、すなわち好きなものを将来選ぶ、将来大人になったときそれを土台にして好きな職業を選べる、そういう考え方も啓蒙していかなきゃいけない。 それには、欧米がすべていいとは思いませんけれども、今のような、一番一年の中でお休みが多いのは夏休みですけれども、夏休みにホームワークが多いというので、なかなか今そういうものに触れる機会というのはないと思うのですね。宿題、ホームワーク、また塾通いという今の受験体制の中では、ある程度高学年から中学、高校へ行くぐらいの子がそういうボランティアに触れるとか、職業にインターンシップみたいな形で接するとか、そういうチャンスというのは、なかなか今の日本の社会ですとチャンスが少ない。ですので、これは以前議論にも出たと思いますけれども、入学の時期を四月ではなくて九月ですか、九月入学で六月終わりとか、あるいは春に長期のお休みをとってするとか、いろいろな方法はあろうかと思いますけれども、そういうようないろいろな地方分権やら教育やら、また教育改革の中でぜひ議論をしていただきたいと思います。それは提言としてさせていただきます。 それで、もちろんこういう法律というのは、人間が法律をつくるわけですので、人間が法に縛られて余り狭い範囲の中で仕事をしても、決してそれは労働の喜びというものは感じないと思うんですね。ですから、法律というのは、最低限あって、それでなおかつその中で自由に仕事ができればいいわけでして、本当はなければないでその中で規律を持って仕事ができればもちろん一番いいと思うのですけれども、法律に左右されて、規制に左右されて仕事をするというのは、やはり喜びというのは十分感じられないんじゃないかと思うのですね。 ですから、規則、規制、法律、こういうものは本当はなければないにこしたことはなくて、その中で規律を持って、自分たちのいわゆる自治というもので、労働者と使用者の間で自治がきちっと芽生えて、その中でちゃんと自律した考え方で仕事が行えて問題がなければ一番いいと思うんですね。ところが、この論点で問題になるようなことがやはり行われるということで、労働者側の意見からしますと、やはりこういうところが心配だということでいろいろ論点として出ているんだと思うんですね。 それで、この論点についてちょっとお聞きしたいと思います。 今回の改正で、新商品、新技術の開発等の専門的知識を有する者の労働契約、この期間を三年に延長した。今まで一年だったわけですね。それを三年に延長した。みんなもうさんざん聞かれたと思いますけれども、三年に延長した理由を、ちょっと短いセンテンスでお答えいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 労働契約期間の上限を一年から三年に延長することとした対象者の方は、新製品の開発とか新商品の開発等のための高度の技術、知識等を持たれる方、あるいはそういった事業を立ち上げていくための同様の方でございます。 やはり日本の経済、キャッチアップ時代が終わりまして、今まで日本の経済を支えてきた、リーディング産業と言われるところでつくってきておりました製品というものが、ほぼ世界じゅうどこででもつくれる。日本がこれから、新しい、より付加価値の高い、技術的にも非常に複雑かつすぐれたものを含んだ製品等をつくりながら世界に出ていかなければならない、そういった局面にあろうかと思います。 そういった局面にある企業が、今まで企業にいる人材だけでは新しい製品等の開発に不足する、こういうケースがあるわけでございまして、そういった場合に、国の内外からエンジニアの方、研究者の方、いろいろな方を新しい製品開発あるいは事業立ち上げに向けて採用したい。そういう場合に、一年ということではなかなか人材の調達が難しい、こういう声がございまして、そういった声も受けまして、かつ制度のいろいろな問題点、弊害が出ないように配慮しながら、この範囲に 限ってこういった制度にさせていただいたわけでございます。 〔中桐委員長代理退席、委員長着席〕
○武山委員 そうしますと、一年で何回延長しても、また三年で何回延長しても、本当に枠を決めないで、三年の更新というのは自由にきくわけですね。いわゆる六年、九年、十年勤めても一応いいわけですね。これは一つずつ届け出るわけですね、労働基準局に。それで、一年を何回も延長してもよろしいのか、三年を何回も延長してもよいという意味ですね、これは。
○伊藤(庄)政府委員 今回三年の上限期限というふうにいたしました対象者の方々につきましては、非常に限られた範囲で特別の目的を持って採用される人たちでございまして、やはりその事業が終わりますと原則に返っていただく、こういう仕組みでございまして、三年たって再更新する場合にはまた三年というわけにはできない条文になっております。したがいまして、契約期間の定めのない形になるか、また、今の現行法どおり契約期間を定めるのであれば一年以内という契約を定めなければならない、そういう規定になっておるところでございます。
○武山委員 私個人としては大いに、お互いの契約の中で納得した場合三年でも一年でも、もちろんこれはもう本当に規制緩和という形で、選択肢が広まったということでいいと思いますけれども、たくさんいろいろな関係方面の方が危惧しているものですから、そういう意味で質問をさせていただきますけれども、改正では、結局三年ということで限定しているわけですね。限定した理由を今お述べになったわけですけれども、今聞いていて、その内容が三年という限定をする必要はないような気が私はしております。今回、短期労働契約の契約期間を延長することによって、限定した改正になっているわけですけれども、そうすると、期間の雇用が他の分野にも広まっていくということが当然考えられますね。 もちろん、社会というのは、いろいろな選択肢がふえるということは、私は大賛成なんですね。終身雇用で一生いきたい人もいれば、一年、三年、もちろん十年、いろいろな、多種多様な選択肢がふえるというのは大いに結構だと思うのですね。大いに選択肢がふえたその中で、やはりそれぞれが選べる職業を選んで、それで好きな職業を全うしていけば、それが一番いいと思いますけれども、いろいろと細かい部分を危惧している人たちもいるものですから、そういう分野に広がっていくことが、よしと同時に、それに対するよしとしない人たち、それでは、そういうものに対する対応はどういたしますでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 まず、今回契約期間の上限を三年に延長した方につきましては、高度の専門的な知識や技術、経験を持って、新製品の開発なりそれに伴う事業の立ち上げに、企業で不足している人材として新たに雇い入れられる場合に限っております。 これは、基準法という性格上、これの範囲以外につきましては、やった場合にはもちろん労働基準法違反ということで所定の罰則等が問題になることになりますので、先生御指摘のように、今回の法改正によってこういった高度の専門的技術、知識を持った方以外へ広まるということは、懸念はございません。そういったことで私ども十分運用させていただく、こういうつもりでおります。
○武山委員 実際のところこういうものを労働基準局に三年で、今まで変形の一年契約だったわけですね、いわゆる一年の契約のときに、今度初めて三年になるわけですけれども、実際に申請している企業の数というのはどのくらいあるものなんですか。 私は、意外とみんなそういう雇用契約をしないで、個人的に労使の関係で、じゃ三年とか、じゃ二年とか、あるいは十年とか、そういうことがお互いの納得の上で行われているのじゃないかなと思いますけれども、実際にはどのくらい一年のときはあったのですか、その数をちょっと聞きたいと思います。ちゃんと届け出ている数ですね。
○伊藤(庄)政府委員 ただいまの契約期間のものにつきまして、届け出制にはなっておりませんで、契約を結ぶ際に一年を超える契約期間を定めて結ぶと労働基準法違反ということで、罰則の適用になるという形でございます。したがいまして、今までのところ、一年を超える契約期間を定めるというものは、正直まずございません。私ども監督する中でも、ここの違反というのはそう多くはない条文でございます。 ただ、パートタイマーの方等を中心に、一年以内の契約期間を定めて、それを反復更新するという形で一年を超えていく、こういうケースは非常に多いかと存じます。そういった形で、いわば細切れの契約期間をつないで一年を超えていくというケースにつきましては、もちろんそういったものの性格につきましては、午前中も御指摘ございましたように、そういったものの法的意味については、今後、検討課題として研究会で早期にその問題を議論していこう、こういうふうにいたしておりますが、今回の三年というものは、いわば特殊の分野に限って、当初から三年という契約期間を定めて更新は原則としてできない、こういう仕組みにいたしております。
○武山委員 これは、届け出は要らないわけですか。三年の契約というのは届け出なしなんですね。そうしますと、協定に違反しているかどうかというのはどこで判断するのですか。それから、どのように違反しているかがわかって対処するのでしょうか、届け出も何もなしで。抜き打ち検査みたいなものをするのですか。
○伊藤(庄)政府委員 前回もお話し申し上げましたように、全国に三百四十三の労働基準監督署がございまして、そこに配置されている労働基準監督官が事業場を年間定期的に巡回したり、あるいはいろいろ、就職情報誌あるいはそういった求人に関する情報等についても常に見ておりまして、そういった中で、一年を超える契約期間等について、問題があるものについては直ちに是正をさせていく。こういうことによりまして、労働基準法違反の発生を未然に防止したり是正をさせていくという対応をいたしておるわけでございます。
○武山委員 非常に難しいところだと思うのですね。規制緩和で大いに選択肢をふやすという意味でよいことであると同時に、期間雇用が、今までのいわゆる十一種ですか、新商品、新技術その他十一種目以外に、すなわち他の分野にも広がるのじゃないかという、また別なことを心配しなければいけないわけですよね。ですから、規制緩和をして選択肢がふえたのにもかかわらず、それはそれでいいことなのに、今度は他の分野にその期間雇用が広がるのじゃないかと恐れている、そういう方々もいるわけですね。それに対する対処は各労働基準局がするということのようですけれども、そうしますと、もうちょっと突っ込んで話しますと、そういうのをだれか訴えるわけですか、それで対処するのでしょうか。それとも……。
○伊吹国務大臣 先生、今回、実はいろいろなことを改正案の中で申し上げておりますので、少し私どもの方の説明も不十分だったかと思いますが、今おっしゃった十一の業種というのは、いわゆる裁量労働制のことでございます。そして、おっしゃっている三年、一年の問題はそうじゃないんです。 そして、そもそもの立法趣旨からいきますと、おっしゃっているように、この一年というのは、長い方が雇用の安定という面ではプラスになります。しかし同時に、いや、自分は一年半でやめたいという人が出てきた場合に、三年……(発言する者あり)いやいや、今だと、例えば一年としますね、そうすると、その間で、六カ月でやめたいという人が出てきた場合に、その人の身分を言うならば拘束するという部分があるので、従来はこの一年ということを置いていたわけですね。ところが、今度は、今まさにおっしゃった選択の自由という意味から、業種を特定しながら三年という契約をしても構わないという分野を広くとっていく、そういう改正と、裁量労働制という別の制度を入れていくという改正と、二つございますの で、そこのところをちょっと分けて御議論いただきたいと思います。
○武山委員 はい、わかりました。 そうしますと、期間雇用が他の分野に広がっていきますね。今回の改正では限定している期間雇用、すなわち三年間。それで業種も、専門知識を有する者ということで、その業種。その期間の雇用が他の分野に広がっていくという可能性はありますよね。それに対してどのように対処するかという質問なのです。
○伊藤(庄)政府委員 今申し上げましたように、労働基準法上、今回、高度な専門的な技術、知識を持つ方が新製品等の開発を行うために限って、新たに雇い入れる場合、三年ということにいたしているわけでございまして、その基準も労働大臣が定める、こういう仕組みにいたしております。 先ほど申し上げましたように、この契約期間につきましては、一年を超える契約期間を定めるという例が、今までも監督等の中で比較的そういった違反事例というものはないものでございますし、労働基準法上これだけ明確に規定して、これ以外の方について三年という長期の雇用契約を結んだ場合には、それはまず発生することは私どもこの労働基準法という性格上ないと思われますし、もしそういった事例がいろいろな段階で発見されれば、直ちに是正させることになります。 こういったことは、もちろん特殊な分野の方が三年という長期のいわば雇用を得られるわけでございますが、先生が御指摘されるような形で出てくるとすれば、むしろ、一年とかもっと短い契約期間を労働基準法に合致した形で結んで、それを反復更新をして一年を超えていく、こういうケース、これは現行法上の問題でございます。こういった、企業がどうしても欲しい高度の人材の方については、今まで三年ということが認められておらないわけでございますので、今までですと、一年ごとに契約を更新して実際上三年使うという、いわばある意味では労使双方余り希望にかなわない形がとられていたわけでございますが、そういったことがもしほかの分野であるとすれば、一年以内の契約を結びながら更新するという形が出てくる可能性はございます。 この点につきましては、先ほど午前中も答弁申し上げましたように、そういうものが長期に続いた場合に、例えば途中で契約の更新をしないというような事態が出た場合に法制的に何か対応する道がないかというようなことについては、今後の検討課題として、研究会をつくり、専門家の方で相談を願っていく、こういう考えで対処することにいたしておるところでございます。
○武山委員 ちょっと何か議論がかみ合わなかったのですけれども、私の質問は、他の分野にも広がるおそれがあるのじゃないかということです。恐らく広がると思います、他の分野にも。この期間雇用が他の分野にも、恐らくいろいろな分野に多種多様に、いわゆる期間を延長して、それで三年契約、一年契約というのはどんどん他の分野にも私は広がるのじゃないかなという想像をしているのです。もちろん大いに他の分野にも広がっていいとは私は思うのですね、個人的には。新技術の開発、新商品、この限られた分野ではなくて他の分野にも広がるのじゃないかという質問だったんです。私は個人的には、大いにそういうので、バランスでこういくのじゃないかと思うんですけれども。
○田中委員長 労働大臣、質問者の趣旨をよく踏まえて答えてください。
○伊吹国務大臣 はい。これは先生、どうでしょう、例えば、私たちの社会の秩序は刑法というものにおいて守られております。刑法では、これこれをしてはいけない、例えば詐欺をしてはいけないとか、もちろん殺人をしてはいけないとか、物を盗んではいけないとか、いろいろ刑法の諸罰則がございます。しかし現実にはそういう罪を犯す人はいるわけですね。しかし、大部分の人は、その法規制に従いながら、自律的に自己抑制をしながらやっていかれるわけです。その自己抑制を外れた方については警察ないし検察が入ってチェックをしながら、刑法に基づいて社会の秩序を守っていく、こういう仕組みで我々の社会は動いております。 それと同じように、この分野も、ここでは結構です、従来は一年でございます、しかしこの分野については今度は三年までお許しをいただきたいということを今、国会にお願いしておるわけです。それがもしお許しいただければ、それが社会の規範になるわけでございますね。もちろんそれを、先生がおっしゃったように、その法に違反して拡大していくおそれというのは現実には否定はできません。しかし、それがもし違反をしていた場合には、当然、労働基準監督官というのは警察権を持っておりますので、刑法の例と同じようにそこへ介入をして、その私的な双務的な契約というものをチェックをしていく。これは一人の行動ではなくて、契約というのはお互いに二人の人がいて有利、不利を考えながらやっていくわけですから、そこにおのずからチェック・アンド・バランスが働き、自律的な社会の秩序が守られていく、こういう構成で法律というのは今までも動いてきているわけでございます。
○武山委員 どうもありがとうございます。自己責任のもとで、契約の中で、一年なり三年なり、分野というのは当然広がっていきますし、そこの中できちっとお互いに認識していれば、大いにこういうことがあり得る。すなわち、そういう選択肢がふえる社会というのは私はもう大賛成なんですけれども、ただ、危惧している人もいるものですから、そういうことを一応質問いたしました。 それから、次に移ります。 フルタイムの労働者とパートタイムの労働者が存在するわけですけれども、今回の改正によって、雇用・就業形態、そういうものがどんどん多様化していって、その多様化に対応して、パートタイム労働者の雇用管理の改善、それが今回の改正によってさらに充実されるようになるのかどうか。
○伊藤(庄)政府委員 今回の労働基準法の改正のねらいの中に、働き方、意識、そういったものの多様化を受けているものは確かにございます。 それから、先生御指摘ございました直接パートタイマーの方に限って言えば、そういった働き方に対しまして、私ども、一番必要なのは、労働条件というものがしつかり明示されて、お互いにそれを労使守るという状況の中で働いていただくような形が大変重要だろう。 今までも、パート労働法のいわば大事な一つの柱が、雇い入れの際の雇い入れ通知書を交付すること等を事業主の方に努力義務としてお願いしていたわけでございますが、今回、労働基準法の改正では、パート労働法のそういった部分を労働基準法本体の方で強化いたしまして、パート労働者の方についてだけではなくて全体の労働者、パート労働者の方を含めて全体の労働者に、いわば罰則を伴う形で労働条件の基本的なものの書面による明示を義務づける、こういう改正を行って、提案をさせていただいております。 それ以外につきましては、例えば労働条件をめぐって紛争が出た場合の処理システム等もあわせて提案しておりまして、パートタイマーの方についてそういう問題が出れば、迅速に援助申し上げられるような整備もあわせて行っておるところでございます。労働基準法の今回の改正の中では、パート労働者について意識されている点といえば、大体そういった形のものでございます。
○武山委員 今、紛争調停ですか、そのお話がちょっと出ましたけれども、気軽に相談できる、そういう紛争を処理する制度というのはどの程度できているのでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 私どもの行政で受けますこういった労働条件の紛争についての相談事案、近年増加しておるわけでございますが、労働基準監督署の方には大体年間で見ると七万件ぐらい、労働基準法違反だという申告はそのほか二万件近くあるわけでございますが、それ以外に七万件くらいございます。これは主として民事的なものを含んだ紛争等でございますが、そのほかにもいろい ろな、各都道府県の労政事務所あるいはそういった関連の行政機関に寄せられる相談件数も多いのかと思います。 ただ、やはり労働条件ずばりを担当している労働基準行政でございますので、私ども、労働基準監督署の窓口にはそういったことを専門に扱う相談員等を配置いたしまして、気軽に相談に来ていただけるような体制整備に努めているところでございます。
○武山委員 それは、先日局長さんに、埼玉、東京近辺で何カ所ぐらいあるのでしょうかと言いました労働基準監督署、埼玉がたしか七カ所で、東京が十九カ所でしたか、そのところへ行けばいいわけですね。労働基準監督署でよろしいわけですね。 パートタイムで仕事をしている方々、いろいろな方々いますけれども、皆さん仕事に追われて、短い期間をパートで働いている。いわゆるお母様が子供が学校へ行っている期間だけ働く。朝十時ぐらいから夕方三時ぐらいまでと、結構皆さん働いているのですね。そういう方々というのは本当に、朝は子供たちを学校に出し、夫を職場に送り、それで夕方までの間働くわけですから、不満を持っていても、意外とどこに相談したらいいかなんというのを一般的に知らない人が結構いるのですね。 ただ、今数を聞きましたら、かなりの数があるということで、その制度自体の中身をちょっと詳しく説明していただけますか。制度自体の中身が、どういう構成で、どのような形で行われているかということです。
○伊藤(庄)政府委員 労働基準監督署に寄せられますいろいろな相談事案、やはり一番多いのは解雇、途中で解雇されたという、その解雇がいわば合理的な理由がないという形で相談に来られる方が一番多いわけでございます。 そのほか多いのは、労働条件が例えば雇い入れ時の約束と違ってきた、あるいは引き下げられた、こういうことをめぐっての相談、そういったものが監督署に寄せられる民事的な相談の中では一番数が多い状況にございます。
○武山委員 済みません、その制度の中身をお聞きしたのですけれども。行きましたらすぐ申請書みたいな書類に書き込んで、それで面接みたいにするのですか。実は今制度の中身ということでお聞きしたのですけれども、相談窓口に行ったらすぐ相談できるのですか、その制度の中身、システムをちょっとお聞きしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 多くの監督署窓口に、そういった総合的ないわば受付の担当を置いております。そこでどういった問題でおいでになられたか話をしていただければ、例えばそういった御相談であれば多分労働条件相談員という広くそういった紛争を扱う方へ、さらに労働基準法違反の問題であればそれぞれの担当の労働基準監督官のところへ御案内申し上げます。 ただ、そういったことで相談が始まるわけでございますが、労働条件をめぐる紛争は、パート労働の方もやはり法制というものはそう詳しくは御存じないわけでございますので、まず事実関係等をよくお聞きして整理してみる。それから、どういったところに本人が問題意識を持っておられるのかということを整理いたします。そういったことで、かなりこれは問題があると認められれば、私ども、そういう相談員は、あるいは監督官は事業所の方と連絡をとります。御本人がぜひそういったことを匿名でお願いしたいということであれば、そういった相談があったというふうなことは隠したままで、一般的には、おたくでこういった問題があると思うので、ちょっと見せてくれとかあるいは書類を持ってきてほしいとか、いろいろな連絡をとりまして、大体申告されたとおりの問題であれば、それが法違反なり民事的にもかなり問題を含んでおれば直ちに指導いたしますし、労働基準法違反ということであれば、やはり是正勧告を命じていくということで、かなり厳しい手段を講じて改善をさせていくということでございます。 ただ、いずれにしても、そういった相談を預かるのは国家公務員でございますから、相談に来られる方も、そういった秘密という点ではまず安心していただいて、いろいろお話しして気軽に御相談をいただけるようにいたしておるところでございます。
○武山委員 聞きたかったことは、まず、行ってすぐ相談というわけにいきませんでしょう。申請書でやはりある程度受け付けをしてすぐ聞いていただける、そのシステムを聞きたいのです、どういうシステムに制度がなっているかという。すなわち、申請してすぐ面接できるのか、申請して予約をとってするのか、どんな手順をとってやるのかというシステムをちょっとお聞きしたい。
○伊藤(庄)政府委員 先ほど、そういった相談、申告の中に二通りあるというふうに申し上げましたが、相談に来られた方、基準法違反なのか、基準法違反ではないけれども民事的に問題の多いものなのかという整理も、恐らく御本人は判断がつかないケースも多いわけでございますので、窓口の相談員が、まず申請書等を書かせるということはなしに、どういった問題で相談に来られて、どういった事実関係の問題なのか、これをいわば話し合いながらお聞きする、こういう形でございます。 その段階で、民事的なものであれば、これは申請書等を書くこともなしに、私ども、いろいろ事業主と連絡をとったりして問題の解決に当たっていく。それから、労働基準法違反というふうに認められる、これは、労働基準法上、申告という形で制度的にも位置づけられている形の方へ回す、こういうことになります。 申告ということになりますと、これは労働基準監督としてもともとの、第一、本来の任務として、それを何としても改善させ、悪質であれば罰則も適用するという処理をしなくてはならないものでございますので、その場合には申告として例えば書類に事実関係等を、後々もし罰則の適用ということになりますと司法的な処理になりますので、そういったこともお書きいただく場合がございます。
○武山委員 労働組合に入っている加入率というのは、今物すごく低いのですね。それで、一般のパートタイム労働者はほとんどが労働組合に入っていないわけですから、皆さん知らない方がすごく。パートタイムで働いている方は多いのですね。まず労働基準監督署がどこにあるかも、大体都道府県のいわゆる県庁のあるところにはあるだろうというぐらいは皆さん知っておりますけれども、まず場所がわからない。それから、行ってすぐ相談できるのかどうかもまずわからないという視点で実は今聞いたのですけれども、大体今のお話でわかりました。すぐお話に乗っていただけるというようなことで、わかりましたので、どうもありがとうございます。 それから、その次に、ちょっと時間が中途半端になってしまいましたので、あと一点だけ。 女性の保護規定が撤廃されまして、当然に女性の労働者の実質的な労働時間が相当程度長くなるんじゃないかと危惧している方々がいるわけですね。女性の保護規定が撤廃されますと、恐らく女性の中で、男性並みに働きたい、そういうグループも中にはおります。保護規定が撤廃されますから、まさに男女同等に働きたい。それから、家庭責任等の理由から時間外労働ができず、そのため男性とは全然別なコースで勤務する、そういう人たちもいると思うのですね。 そうしますと、言われているのがいわゆる階層分化、すなわち、変わっていくんじゃないかと。そういうときに、男女平等で、機会の均等で、そこで頑張って生きていこうという人と、時間の切り売りでパートだけとか、家庭も大事、仕事も大事、それぞれ多様な形態ができると思うのですね。 そうしますと、長時間労働のため職場を放棄せざるを得ないんじゃないか、職場をやめていかなきゃいけないんじゃないか。もういいわ、私、家庭も仕事も両方したいし、そうすると職場はなる べく自分の希望のところに行きたい。そういうことで、希望のところは職住接近で、時間の切り売りみたいな形ですよね。自分がしたいことをするというよりも、どうしても、パートタイマーの質問から流れてきたものですから、パートタイムじゃないですけれども、長時間労働をどうしても放棄しなければいけないのじゃないかな、放棄せざるを得ないようなそういうものを生み出すのじゃないか、その辺はどう思いますでしょうか。
○伊吹国務大臣 先生おっしゃるような危惧は当然ございます。 そして、どこの国家もそうでございますが、法律は一本でございます。ですから、男女が性によって差別されずに同じ権利を主張して、そして給与、昇進その他において同じ扱いを基本的にはすべきだ、これがやはり男女雇用均等の基本的な精神だと思います。 ですから、女性も、母性保護でございますとか、あるいは今おっしゃった介護とか家事とかという日本の伝統の中で、率直に言えば日本の伝統というのは男女雇用均等ではございません、そこを一つ踏み切ったのがこの前の法律ですね。ですから、同じ権利を主張する場合は同じ義務を果たすということによって社会は成り立つわけですから、そういう方向性になっています。 ところが、現実には先生がおっしゃったような危惧がございますし、日本の現在までの慣習からいえば、介護、家庭、育児、その重荷は女性の方にかかってまいります。ですから、何らかの激変緩和措置を講じなければならないのです。それは男女雇用均等法の附則でやっておくべきだったのかどうなのかという問題が、一つ立法論としてはございますね。 ただ、それは、今回の基準法の改正の中に実はゆだねられているわけで、男女均等法は来年の四月一日から施行されます。このまま基準法が国会の御了解を得られないと、そこの部分で、女性の方々に非常に、先生がおっしゃったような危惧が生ずるということを私どもも実は恐れているわけでございまして、できるだけ早く御審議をいただいて御可決をいただければ、そこのところの心配がないように激変緩和措置を講じさせていただきたい、こういうふうに考えております。
○武山委員 どうもありがとうございました。 時間が来てしまいました。もう一回ぐらいチャンスがあると思いますので、また次の機会にしたいと思います。ありがとうございました。
○田中委員長 次に、大森猛君。
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。 前回私は、裁量労働制の問題を主として質問をさせていただいたわけです。この問題でもまだまだ重大な問題がたくさんあるわけですが、次回以降この点は引き続きまた質問をさせていただくということで、きょうは、今もお話にありました三年有期雇用の導入の問題、第十四条関係について幾つか質問をさせていただきたいと思います。 この問題については、今の同僚議員の御質問にもあったように、不安定雇用につながるんじゃないかという強い懸念が、連合、全労連等の労働団体初め多くの皆さんの中にあると思うのですね。この点は、今回の改定法案全体の中でも非常に重要な点ではないかと思います。 そこで、きょうは法案に即して、この問題について幾つかお聞きをしたいと思います。 第一に、期間を三年に延長できる、その対象となる労働者の問題でありますけれども、法案では、「一年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、三年)を超える期間について締結してはならない。」こういう形であって、一号、二号、三号あるわけですね。一号に新商品、新役務等々ある。それから二号の方で事業の開始等々あるわけで、この点はまた後でお聞きをしますけれども、一号、二号に共通して言われておるのが、「新たに就く者に限る。」という文言があるわけですが、最初に、この「新たに就く者」とはどういう意味なのか、まずお聞きをしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 「新たに就く者に限る。」ということの意味合いでございますが、二つございます。 文字どおり、既に社内にいる人材をこういった有期の雇用の形態に変えることはできなくて、新たに雇い入れるということが一つでございます。それから、既にこの三年という雇用契約を締結したそういった専門的な人材につきまして、その方と更新をする場合がケースとしては考えられますが、この更新の場合には、新たにつくということには該当しなくなりますので、いわゆる法文上、三年の更新は認められずに原則へ戻る、こういう意味合いと、二つございます。
○大森委員 既にいる人材を有期雇用、三年契約に変更することはできないということですか、一つの意味は。それは本当にそうですが。
○伊藤(庄)政府委員 事業場でそういった人材を新たに雇い入れる場合に限られるという意味と、それから当該事業場で既に雇っていた人材を更新する場合には、改めて三年ということではなしに原則へ戻る、こういう意味合いの二つでございます。
○大森委員 ちょっと答弁が変わりましたね。午前中の御答弁でも、先ほどの答弁でも、社内に既にいる人材を有期の契約に変えられないとおっしゃったんですね。これは午前中の答弁です。先ほどの答弁も、社内に既にいる人を変更できないという御答弁だったのですが、今度は、事業場に変わりましたね。社内に現在いる人は、有期雇用に切りかえられないのか、それとも切りかえられるのか、この点、明確にお答えください。
○伊藤(庄)政府委員 その辺正確に条文に即して御答弁申し上げろという指示であれば、テクニカルな言葉で御答弁させていただくことになりますが、事業場単位で労働基準法を適用して法文上も規定しておりますので、事業場単位で申し上げております。 もし、その事業場内で他の事業場に移す場合の御指摘かと存じますが、その場合には、一方の移された先の事業場では「新たに就く」に該当するのか、こういう意味合いであれば、これは午前中も御答弁申し上げましたように、今までの雇用期間の定めのない……(大森委員「それはまた後で個別に聞きます」と呼ぶ)いや、契約等を結び直す、一たん終了させて結び直すということになりますので、そこは合理的な理由があるかどうかによって従前の雇用契約の終了の有効性が判断され、後新たに結び直すに際しては本人の同意が必要になる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
○大森委員 私が最初に御質問したのは、「新たに就く者」はどういう意味かということをお聞きしたのです。そうでしょう。そうしたら、あなたの答えは、既に社内にいる人は有期雇用に変更できないということと更新をする場合の二つ目の意味をおっしゃったのですね。ですから、そこで確認して、じゃ同じ社内にいる人は有期雇用に変更できないのかと改めて確認して質問したのです。そうしたら今度は事業場という言葉が出てきたからそうやって聞いたわけです。 じゃ具体的に聞きましょう。ある企業において雇用契約が終了した労働者が、同一企業で新たに三年有期雇用の契約をすることは可能でしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 これは、同一事業場内でそういった形を生ずる場合を御指摘か……(大森委員「ある企業において」と呼ぶ)同じ事業場で一たん雇用契約を終了した者を新たにこういった形で雇い入れるというケースを御指摘であれば、それはできない、こういうふうに解釈をいたしておるところでございます。
○大森委員 私の先ほどの質問は、ある企業において雇用契約を終了した労働者、これはいろいろな終了の仕方はあると思うのですが、同一企業で新たに三年有期雇用の契約をすることは可能か。よく質問を聞いていていただきたいのですが、そう首をかしげるような質問じゃないと思うのですが、いかがですか。
○伊藤(庄)政府委員 同一会社ということは、複 数の事業場を想定されて、他の事業場で専門的な技術、知識を要する人材として既に雇用契約が終了している方を雇い入れる場合を御指摘であれば、それは法律上可能でございます。
○大森委員 じゃ、ある企業の中で雇用契約を終了した場合は、同じ企業内であっても可能だということですね。
○伊藤(庄)政府委員 条文上そのことは他の事業場であれば可能である。午前中再三答弁申し上げておりましたように、その雇用契約を一たん終了させてそういう形に持ち込む場合には、法律上、今までの判例理論等に照らしていろいろと判断すべき問題が出てくる。こういうことを答弁申し上げておったわけでございます。
○大森委員 今の経済情勢、雇用情勢の中で、雇用形態を終了するというときにはいろいろな形があるわけですね。 そこの点でさらに具体的にお聞きしたいと思うのですが、大企業で大々的に転籍出向、これは当労働委員会でも私も何度か取り上げてきたわけですが、転籍出向の場合にも新たに三年有期雇用で契約することは可能になりますか。
○伊藤(庄)政府委員 そういった場合につきまして、今まで出向元の企業において期間の定めのない雇用契約として結ばれていた方を転籍出向させる、それで、行った先での雇用契約が三年というふうに変わるということであれば、当然本人の同意が必要なケースに当たるだろうと思います。
○大森委員 そうすると、これは本当に大変なことだと思うのですね。 加えてお聞きしましょう。 では希望退職、この場合は、労働省も承知されているように、希望退職といっても実態的には事実上強制力がかなり加わるという状況の中での希望退職の面が私は強いと思うのですが、この場合、希望退職させた労働者を同じ企業で三年有期雇用に変更させることは可能でしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 同じ事業場でそういった希望退職した方をまたこの三年という雇用契約で雇い入れる場合には、当然まず同じ事業場ではだめだということ、当然その事業場でそういった人材が不足しているために新たな新商品等の開発に必要な人材として雇い入れる場合に限られますので、そういった事態は労働基準法ではあり得ないということになります。
○大森委員 そうすると、転籍出向の場合も希望退職の場合も、これは会社の事実上の強制がある場合も私は少なからずあると思うわけですが、期間の定めなき雇用、大臣がたびたび言われる事実上の終身雇用から三年の有期雇用に切りかえられるということになるわけですね。
○伊藤(庄)政府委員 先ほど来、同一事業場内で希望退職をさせ、また三年契約で雇い入れるということは労働基準法上できないというふうに申し上げましたし、転籍出向、それは本人の希望があるかどうか、同意を得た上でないと当然そういう転籍出向は今までの判例等の考え方に照らしても無効になる、こういうことを申し上げているわけでございまして、先生御指摘のようなことが可能になるということはありません。
○大森委員 本人同意、これは当たり前の話ですよ。それがなければそれこそ犯罪になってくるのじゃないですか。 問題は、転籍出向の場合でも、私ども昨年の委員会でもたびたび指摘をしたように、事実上の転籍出向が本人の同意なしで強行されている事例が今たくさんあるのじゃないですか。希望退職についてもこれは同様だと思うのですよ。 ですから、形式上は、本人の同意があってこういう転籍出向あるいは希望退職の場合にも三年有期雇用に切りかえることは可能だ、これはそうですね。そういうことでしょう。
○伊藤(庄)政府委員 二つお答え申し上げなければならないと思いますが、一つは、転籍出向等について同意を得ないような問題、これは今回の契約期間の上限を三年に延長することとは別に、そういったこと自体が雇用のルールとして、労働基準法とはまた違って民事上のルールとしても問題であるわけでございまして、それはこの三年にしたことによる問題とはまた別の問題として厳格な対処を考えていかなければならないというふうに思います。 それからもう一つは、今回の三年に延長する対象者の方は、高度な専門的知識、技術等を持って国の内外から欲しい、こういう人材でございまして、そういった貴重な人材を、これは労働大臣が定める基準に照らしてもらえればおわかりいただけると思いますが、そんな貴重な人材をそういう扱い方をするというのは、一般の経済活動の中でそういったことはあり得ないというふうに私ども思っております。
○大森委員 これは労働省のこれまでの答弁でも、少なくとも転籍については本人同意が必要だと今もお話がありましたけれども、しかし、これは事実上、それが迫られる場合に、なかなか拒否できないという現状が現にあるわけですよ。しかし、転籍出向の場合も、これまでは一応長期雇用、安定的ではない場合もあるかもしれませんけれども、一応長期の雇用はそれなりに保障されてきたと思うのですよ。ところが、今回はそれが三年有期という不安定な形に切りかえられてしまうということになるのじゃないですか。
○伊藤(庄)政府委員 先生、先ほども申し上げましたとおり、転籍出向のルールをめぐっては、これは今回三年にしたことによってそういった問題が新たに生ずる問題ではなくて、転籍出向等の際には本人の同意を得てきちんとやるべきことであるということを、それを厳格に私どもも指導し、労使間でもチェックし合うのが筋だと思います。 さらに申し上げれば、この三年にする、しないにかかわらず、転籍出向で先生御指摘のようなことがもしまかり通るのであれば、転籍出向先は、現行の労働基準法にのっとって、三年よりも短い一年の雇用契約で転籍出向させるということが今でもあるわけでございます。現実にはそういったことは私どもそう耳にしたことはございませんで、もしそういったことがあれば、やはり雇用のルールとしては、それはいかにも民事的な通念上の扱いからすればおかしいのではないかということは、これは労働行政としても申し上げるべき場合があるのではないかと思います。
○大森委員 いずれにしても、前回の雇用失業問題の集中質疑の際にも申し上げたのですが、三十人以上の集団的なリストラの場合、届け出をしなくちゃいけない、その届け出件数が、昨年同月と比べて、件数は二倍になり人員では三倍になる、急激に今ふえてきているわけですね。 そういうような状況で、しかも、たびたび申し上げますけれども、今の職場環境の中、状況の中で、本人同意が必要ということは当然でありますけれども、なかなかそれが拒否できない状況はやはりあると思うのですよ。したがって、三年たったらそれこそ事実上解雇自由というような方向に切りかえられていくという危険性が、この面からも非常に強いのではないかと思うのですね。 先ほど冒頭に、同一企業内の事業揚間の異動、つまり配転の場合ですね、この場合にも三年有期に切りかえ可能だと言われたわけですが、この点も間違いないですか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘の、別の事業場に行って、別の事業場でその人材の能力を買われてもし三年という契約に変わるということは、それは法律上理論的にあり得ます。 ただ、今までは雇用期間の定めのない契約で雇われていた方がそういう形になるときは、そこで一たん雇用が終了しているはずでございます。それで改めて本人と契約を締結し直して、三年の新たな雇用契約が結ばれるわけです。したがって、前の雇用契約を終了させる時点が、本人のもちろん了解、合意がなければ解雇ということになりますし、その解雇が、先生念頭に置かれているような、事業場の一方的な、恣意的な理由によるものであれば、当然解雇権の乱用理論の前では通用しない話になろうかと思います。 そういった全体的な今までの労働基準法制、あるいは解雇をめぐる判例理論等々の前では、そう いったケースというのは私どもは非常に起こりにくいというふうに申し上げることができると思います。
○大森委員 理論的には可能だという御答弁があったわけなんですが、本当にこの点も大変重大な答弁だと思うのですね。つまり、例えば派遣の場合にもあるいは裁量の場合にも、さまざまな形で脱法的な活用をするというのがどんどん広がっている、これは具体的に一つ一つ事例は申し上げませんけれども、承知されていることだと思います。理論的にそういう可能性があれば、それを本当に乱用されない、こういう保証は本当にあるのですか。
○伊吹国務大臣 先生、先ほど来政府委員が申し上げておりますように、先生の問題の提起のような事態は本来あってはならないわけです。前回も実は、某広告代理店の事案をお取り上げになって、そして裁量労働制云々というお話がございました。そして今また、出向のことに関して、三年というのは問題だというお話がございました。 しかし、某広告代理店の件にしろ、今のいわゆる出向の問題にしろ、これは、現行労働基準法上本人同意がとれているとか、あるいは現行労働基準法上の労働省の指導である超過勤務を上回ってやっているかどうかというけしからぬ事例の話であって、そのことが、今回御提案している裁量労働制が問題だからとか、三年制が問題だからとかというのは、今回の法律に御同意なさらないことを御主張なさるために、少し論点に無理があるのじゃないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
○大森委員 基準局長もたびたび答弁の中で言われたように、これまでのさまざまな判例から、やはり解雇規制というのは現にあるわけですね。そういう解雇法理を、何とかそれを避けるための企業のいろいろな工夫もこの間されてきたということもあると思うのですよ。そういう中で、今、例えば一年以内の契約の場合でも、三年も更新すればそれは定めなき労働とみなされるということが、これはもうほぼ判例として確立をしているわけですね。どうですか。
○伊藤(庄)政府委員 今先生御指摘ございましたのは、一年の契約期間を続けていくということの御指摘でございましょうか。
○大森委員 いやいや、最高裁の判例等々の中で、一年以内の期間の労働者が更新を何回も繰り返せば、それは定めなき労働とみなされる、だから雇いどめは簡単にはできない、解雇は簡単にできないというのがほぼ確立してきているということでしょう。
○伊藤(庄)政府委員 申しわけございません。先生の御指摘の趣旨、理解いたしました。一年未満の雇用契約を反復更新する場合の問題につきましては、今までの裁判例等も出てきておるわけでございます。その積み重ねもあるところでございます。 反復更新している場合には、最高裁等は、一つは、その当事者の意思等が実質的に雇用期間の定めのない雇用契約と同様の状況になっているかどうか、それから、一定の期間が来てさらに更新していくということについて、いわば雇用の継続に両方の期待感が、いわば期待されるような状況があるかどうかという場合に、期間の定めのない雇用契約ということではなくて、解雇の部分について、期間の定めのない契約の考え方を類推適用するという形で出ておるわけでございます。したがって、単純に反復更新したから期間の定めのない雇用になっているというのではなくて、当事者の意思とか、期待感があったかとか、いろいろなことを個々に判断すべきこととしているのが今までの判例理論でございます。
○大森委員 今回の三年有期雇用の導入というのは、こういういわば解雇法理、立法でこれを覆していくというような、そういう意味のものじゃないかと思うのですよ。そういう点で、先ほど来、転籍出向の場合、希望退職の場合あるいは配転の場合、これは三年雇用に切りかえる可能性があるということを、可能性を指摘をしているわけですよ。その点、どうでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 短期の契約を反復更新していった場合に、先ほど御説明申し上げたような判例の考え方がある。それと、今度契約期間の最長三年まで認める、正直私は、そこの両者は別問題で、かかわり合うことではないというふうに思っております。 もし、三年の雇用契約をさらに延長していくということを認めているのであれば、それがまた三年が六年、九年となると、たった二回で六年いくというようなことを御指摘であれば、一年なら六回の更新であるのに、三年契約を認めると二回で六年になってしまう、そうすると、六回で今のような判例理論に当てはまるのに二回では当てはまらないのではないか、こういう御指摘であれば、三年の方については契約の更新は認めていないということで、先生御納得いただけるのではないかと思っております。
○大森委員 今の御答弁は意味がよくわからないのですが、要するに、三年たったら雇いどめが可能になるということでしょう。そういう意味で、三年たったら首切り自由ということがさまざまな職場でつくられるのじゃないかということを申し上げているわけです。一 次に、業務の要件についてでありますけれども、その中で、この一号、二号にもう一つ共通する問題として、「労働者が不足している事業場」とありますね。この点、不足している事業場というのは、一体だれが不足していると判断するのですか。
○伊藤(庄)政府委員 まず、先生から先ほど御指摘があった中で三年で雇いどめというのは、正式には期間満了による雇用の終了ということでございまして、これは、現行法どおりと仮定した場合の一年で雇用契約を定めていた場合も、三年より短い一年が来た時点で雇用契約というのは期間満了により終了するわけでございまして、三年の場合にだけ三年が来たら終了するわけではございませんので、御理解をいただければと思っております。 それから、当該事業場で不足しているということでございますが、これは、第一号だけで申し上げれば、新製品、新商品等の開発のために必要な高度な専門的知識等を有している方が社内にいない、あるいはそういう人の力をかりなければ新商品の開発等が困難であるという状況をいうわけでございまして、そういった状況についてだけ認められる。もし、そういった形でなくて三年の雇用契約というものを使って、私どもがそういった事案を監督等の際に発見したり、あるいは相談、申告等があった場合には、そういう状況にあるかどうかを労働基準監督官が判断をする、こういうことになります。
○大森委員 だれが不足しているかを判断するのですか。労働基準監督官が判断するのですか、使用者が判断するのですか。
○伊藤(庄)政府委員 もちろん、採用、雇い入れという問題でございますから、労働基準法体系のもとでその決断を超えた採用をしていいかどうかということは、これは当然、事業主が第一義的にやるわけでございます。 ただ、それが労働基準法に違反する事態であるかどうかは、労働基準監督官が判断をするわけでございます。
○大森委員 結局、基本的には、不足しているかどうかは事業者しか判断できないんじゃないですか。一つ一つそういう職場を全部、労働基準監督官が点検に行くのですか。
○伊藤(庄)政府委員 まず、新製品等の開発のために新たな人材を内外から求めなければならない、その場合の高度な人材というものの基準等は労働大臣が定めるわけでございます。そういった労働大臣の基準等はまた審議会でいろいろ詰めていただいて策定するわけでございますが、そういったものをごらんいただければ、それが、先生の念頭に置いておられる、一般的にどんな形ででもしょっちゅう事業場であらわれてくるということではまずないということを御理解いただければ よろしいかと思うのです。 そういった中で、もしそういった募集を行いあるいは採用をしても、当事者の方あるいは労働基準監督官が事業場に赴いた際にはそういったことがチェック事項になりますので、そういった際に、既にそういった人材を特に新製品開発等のために必要としていない状況で三年の雇用契約で雇っている場合には、当然それを是正させるということになるわけでございます。そういう段階での判断は、当然、労働基準監督官が行って是正をさせることになるわけでございます。
○大森委員 現在でも全事業所の二・数%しか年間に労基署は点検できないという実態の中で、そういうことは私は現実的に不可能だと思うのですよ。 使用者が不足していると判断さえすればこれは適用になるということが一つと、それからもう一つは、新商品、新役務、新技術の開発あるいは科学に関する研究等々というこの規定も、本当にこれはとてつもない幅広い規定だと思うのですよ。これは対象業務を限定するという点では役に立たないのじゃないか、こう思うわけですね。もう一つの二号で言う規定も、事業の開始、転換、拡大、縮小と、これは事業活動のあらゆる場面を指して言っているのじゃないですか。 そういう意味で、これは中基審で相談して大臣の方で決めますと言いますけれども、先日大臣が言われたように、国権の最高機関はこの国会なのですよね。その中身を具体的に示せと言ったら、来年の四月まで待て、大臣に任せろ、こういうことでは、何のための国会審議になるのかということにやはりなると思うのですよ。 時間が来ましたので終わりますけれども、きょうもいみじくも先ほど大臣が言われたように、一年でやめたい労働者、労働者の側は解約の自由というのがあるわけです。もちろん使用者の側も解雇権というのはあるけれども、しかし解雇権の乱用はいろんな形で戒められる。ですから、いわゆる労働者のニーズ論、きょうの答弁の中ではむしろ企業の側のニーズの方を盛んに言われておりましたけれども、労働者の側には三年有期で働くことに障害はないわけですよ。障害があるのは、解雇権の乱用という形で規制されている使用者の側じゃないか。だからこそ、これに関する規制緩和、この要望は財界団体ばかりから出されてきているわけですね。 したがって、効果も副作用もある、これは大臣の好きな言葉でありますけれども、この点でも、やはり結局企業側の要望だけでこういう措置をしているのじゃないかということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○田中委員長 次に、濱田健一君。
○濱田(健)委員 前回に引き続き、裁量労働制について四点ほどお伺いいたしたいと思います。けさから出ておりますが、改正法案が想定する新たな裁量労働制の対象業務、これは、現在の裁量労働制の十一業務以外に、具体的にどのような業務が該当していると想定をされておられるのか、それをまずお答えください。
○伊藤(庄)政府委員 今回の新たな裁量労働制が対象として想定している業務でございますが、これは、企業の本社等の中枢で行われております企画、調査、分析等の業務を担当して仕事を完全に任されている人たち、こういうことが法律上具体的に書いてあるわけでございます。 詳細に申し上げれば、対象として予定しておりますのは、そういった経営計画の企画等に当たりまして、問題点を発見し、それを解決する方法を見出し、具体的な計画としてそれをまとめ上げて外へ出していく、こういった一連の業務を総合的、一体的に担当している方がこういった対象業務として考えられる。その業務を何と言うのかということは、恐らく個々の企業によってかなりの差があるわけでございます。 私ども、そういった考え方に基づいて、労働大臣が定める指針の中でそういった業務を具体的に例示していく。その際には、場合によっては業務名が出ることもあるかと思いますし、そのセクションの中で経験年数等を横で切っていくというような形もあり得るかもしれません。 そういったこととあわせまして、完全にそういった業務に該当しない、例えばいろんな記録の収集、整理等を行っている方とか、定型的な業務あるいは一定のノルマのもとで具体的な営業行為を行っている方、こういった方は当然裁量労働制の対象になってこないわけでございまして、そういったネガティブ面もあわせて示していく。こういったこと両方でこの業務の範囲というものを適正なものとしてあらわしていくという考えでおります。
○濱田(健)委員 僕が次に聞こうとしたこと、前回も同じことだったのですけれども、それまで答えてもらいました。 つまり、ホワイトカラーと称されている皆さん方がいらっしゃる本社等の事業運営上の重要な決定が行われる事業所で、先ほど局長がおっしゃった事業の運営に関する事項の企画、立案云々というところの皆さんであれば、前段で申し上げた範疇の中のすべての職場に今回の裁量労働制は適用されるというふうに考えてよろしいわけですね。
○伊藤(庄)政府委員 例えば企画等を行うセクションがあれば、そのセクションに含まれている人はすべてか、こういう御指摘だと思いますが、その中でも補助的業務あるいは定型的な業務を担当している方は、この裁量労働制の対象にならないわけでございます。
○濱田(健)委員 だから、そういう部分を除いておいて、こういう企画、立案、調査という部分については除外される皆さんもいるけれども該当される皆さんもいらして、本社等の重要な事業の決定をする場所というものがあるところはすべて、日本国内であれば適用されるのですよねとお伺いしているのです。いろいろな規制があるというのはわかっているのですよ。簡単に答えてください。
○伊藤(庄)政府委員 今お答えした意味合いで申し上げれば御指摘のとおりで、あとは、所定の、定められた手続を踏んでいかなければならないということでございます。
○濱田(健)委員 それは一つの材料としてとっておきます。 二問目ですが、新たな裁量労働制の導入時は、当然、労使委員会等々で決議されたものが出されるわけでございますので、適法に決議がなされているということであっても、実際の個々の労働者には、仕事が始まってみると、いわゆる裁量と言われるものが与えられていないというような場面が出てくる可能性があります。 そのときに、違法か否かの判断は、労使委員会がやって適正にしていくのか、労働基準監督機関等が判断をしてやるのか。これはいろいろな場合が想定されると思うのですが、そのこともおっしゃって結構です。それで、違法になった場合には、前からおっしゃっていると思うのですが、行政処罰なんですか、民事上の処罰になるのでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 ただいまの運用が違法にわたる場合は、労使委員会で第一義的にチェックされる場合も多いかと存じますし、重点監督等をいたしてまいりますので労働基準監督官が発見して是正させるケースも多いかと存じます。いずれにしても、違法であるというごとになれば、これは裁量労働制の対象者ではございませんので、原則に返った労働時間管理、したがって、残業等を実際行っていれば割り増し賃金の支払いをする、そういったものが現に行われなければ罰則の適用も視野に置いた形での是正指導をしていく、こういうことになるわけでございます。
○濱田(健)委員 中身によっては、行政上の処罰も民事上の処罰も、これは適用される方向があり得ますね。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のとおりでございます。
○濱田(健)委員 労使委員会が一つの決議に基づいて、その決議を届けて、そのとおりに運営されなければならないということはわかるわけです が、労働者一人一人が労働者レベルにおいて適法に制度が運用されているかどうかというものをチェックした場合に、そのチェックの中身について、どのように反映させていくといいますか、労使委員会の中に、私はこういうふうに働かされてしまっています、決議の中身と違いますというような形で、どのように反映させていくのか。それは個人ではだめだよという形になるのかどうか、その辺はどうでしょう。
○伊藤(庄)政府委員 この裁量労働制の実施に当たりましては、苦情処理のシステムをつくることを必要要件といたしております。 個人の方が、先生御指摘のような方があれば、そういった苦情処理にいろいろとそういった問題点を提起される。もちろん、この新しい裁量労働制につきましては労働基準監督官も重点的に監督するわけでございますし、監督の際にはそういった苦情処理の状況も当然点検する。そういった中で、個人の方が違法であるというふうな問題がそこにあれば、当然、監督官はその問題について必要なことを調べ、真に違法であれば是正を命じていくというような形につながっていくわけでございます。
○濱田(健)委員 個人が苦情だと言ったときには、労使委員会はきちんとそれを一つ一つ苦情として取り上げる義務があるわけですね。
○伊藤(庄)政府委員 労使委員会で苦情処理システムを設けて措置していくことは、この制度実施のための絶対条件としてこの改正法案の中で定めていることでございます。
○濱田(健)委員 裁量労働制が適用されれば、使用者の実労働時間の把握義務、これはなくなるというふうに考えます。労使委員会の中で、きちんとこれだけ働きますよとみなしの時間を決められるわけですから、そんなに心配するなと言われるかもわかりませんが、長時間労働に起因する過労死を初めとする労働災害が発生した場合には、その責任の所在はどこに、だれにあるのでしょうか。そして、労災認定をするためにはどのような基準というものがあるのでしょうか。新しくまた基準を設けなくてはいけないのでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 まず、勤務時間等の勤務状況の把握でございますが、これは二つの理由から事業主は必ず把握をしておかなければならないことになります。 一つは、これも裁量労働制を実施するための絶対的な必要要件として、勤務状況に応じた健康管理上の措置ルールを決議しておくことが必要でございます。この健康管理上の措置を実施するために、勤務状況に応じてということでございますので、どういう方法で勤務状況を把握するかの決議の中で、記載事項として当然届け出をしていただく。同時に、裁量労働制は休日労働や深夜労働は適用除外いたしておりませんので、もし残業等の結果、深夜になり、あるいは休日出るという状況もあわせて使用者は把握をしておいて、割り増し賃金を払わなければなりません。そういったことから勤務状況は把握されていく。 したがいまして、先生御指摘の、もしそういった方が業務上の理由として病気等で労災の請求をされる場合、これは、あくまで実態を見て、今の、私どもが運営しております例えば脳・心臓疾患の認定基準等に照らして、その勤務状況を把握したところに基づいて判断をしていくということでございますから、この裁量労働制の対象の方について、特段、別の基準を設ける必要はないわけでございます。
○濱田(健)委員 例えば労使委員会の中でみなし時間が決まる、ほかのすべての条件も決まってそこの職場の裁量労働というものが始まる。そのときに、労使委員会の中で、裁量労働制を適用された労働者は、こういう形での個人ないし使用者の労働時間の把握を、例えば日誌をつけるとか、それを三年間なら三年間、五年間なら五年間保存しておきましょうねというようなことを決議した場合には、そのことはそれできちんと生きるわけですね。
○伊藤(庄)政府委員 労使委員会におきます決議は、先生が御指摘のような効果を当然持つわけでございまして、使用者側にも決議に沿った履行義務が当然出るというふうに理解しております。
○濱田(健)委員 これまでの質疑を踏まえていけば、この制度を適切に設定するということも重要でありますが、やはり労働者の立場から考えると、この新しい裁量労働制を適用するに当たって、最終的には、対象となる労働者が、自分の意思で、同意でこの仕事につくということが必要だろうと私は思うのでございます。 そういう意味では、この新しい裁量労働制について対象労働者本人の同意を得るための方策として、どのようなことを講じていこうとされているのか。
○伊藤(庄)政府委員 先生の御指摘ございました、労働者本人の同意を得て適用されていくという姿につきましては、中央労働基準審議会での法案作成の検討の段階でも、やはりその必要性については指摘されたところでございます。 したがいまして、審議会の建議におきましても、そういった本人の同意、また申し出による適用除外、または同意しなかったことを理由とする不利益取り扱いをしない旨のこと、そういったことについて、労働大臣がこの法律に基づいて定めます指針の中で、そういったことを講じていくべきことを明らかにしていく、こういう対処を考えております。
○濱田(健)委員 もう少し突っ込んだ部分は、後日に回したいと思います。 次に、女子保護規定の解消に伴う激変緩和措置についてお伺いしたいと思うんですが、これまでの当委員会における質疑によって、男女雇用機会均等法等の整備法により女子保護規定が解消されることによって労働条件が激変する女性労働者については、激変を緩和するための措置が必要であると、私たち委員も政府の側も、共通の認識を有しているものと考えております。 したがって、これを前提としつつ適切な措置が講じられることとなるように、措置の内容について若干お伺いしたいんですが、育児、介護を担う女性労働者を幅広く対象としなければ、措置を講ずる意義がないというふうに私は考えます。改正法案において、激変緩和措置の対象となる労働者は、特定労働者として命令で定める者に限るとされているわけでございますが、命令で定める者とは、具体的にはどのような方々を想定しておられるのでしょう。
○伊藤(庄)政府委員 この激変緩和措置につきましては、来年の四月一日から実施されることになっております保護規定の解消に間に合わせるべく、今回の改正法案の中に織り込んでおるところでございます。法律上、育児、介護等の責任を負う女性労働者の方について講ずるということになっておりますが、具体的範囲は命令で定めますので、既に育児休業法あるいは介護休業法の中で深夜業の制限を請求できる範囲というのがございます、この範囲を参考として、それを基本としながら、具体的な検討を審議会の方にお願いをしていくというつもりでおります。
○濱田(健)委員 同じく改正法案において、激変緩和措置は命令で定める期間講ずることとしているというふうに書かれております。規制の解消に伴う緩和措置であることは理解しておりますが、そもそも措置を講ずるのは何のためなのかという視点が欠けてはいけないというふうに思うわけでございまして、育児、介護責任についての男女間の分担の実態や、女性労働者の生活の実態などを反映した期間ということを十分考慮して措置を講じなければならないというふうに私は思います。 それで、激変緩和措置を講ずる期間というのが、具体的にはどのぐらいの期間ということを指しているのか、想定しておられるのか。その辺、具体的に答えていただければ幸いです。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘の激変緩和措置を講ずる期間につきましては、中央労働基準審議会の建議では三年程度とされているところでございまして、具体的には、この三年程度についてどうするかについては、本案を成立させていただけれ ば、改めて審議会の意見を聞いて、命令で定めてまいりたいと思っております。
○濱田(健)委員 その三年程度というのはある程度の根拠を持っておられると思うんですが、これからの激変緩和という意味で、労働省自体がいわゆる深夜の実態についてなかなか調査の中身というのをお持ちでないというふうに聞いているわけでございます。その辺については、与党としても深夜PTというものをやったりしておりますけれども、来年の四月一日に向けてどういうふうに対応されようとしておられますか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘は、深夜労働の実態であろうかと思いますが、私ども目下、この深夜労働の実情、健康管理とのかかわり合い、こういうことについて、間もなく調査が実施できるべく準備を進めているところでございます。 そういった実施結果に基づきまして、私ども、既に建議等でも指摘されているように、深夜労働をめぐる諸問題について、今後速やかに検討に着手していきたいと思っているところでございます。
○濱田(健)委員 現在の女子保護規定は、時間外労働を年間百五十時間というふうに規定をしております。この激変緩和措置の水準に関しても、期間と同様に、女性労働者の実態に配慮しつつ、現行の女子保護規定と同様の年百五十時間にした方がいいですよという声が大きいと私は思っております。 それで、労働時間の延長の限度についての基準とは別に定める具体的な基準、どの程度の水準を想定されておられるのか。
○伊吹国務大臣 濱田先生先ほどから、期間の問題、時間の問題、いろいろ御心配をいただいております。 率直に申しまして、私ども、何らかの激変緩和措置を講じなければならない、これは当然のことだと思いますが、立法論といたしましては、男女雇用均等法があるまでは、法律として百五十時間というのがございました。ですから、それは一つの大きな目安として考えるということは結構だと私は思いますが、激変緩和の期間を余り長く置き、時間も今と変わらない時間をとると、女性の立場というのは変わりません。男と女の家庭の中における働き方あるいはお互いの助け合いというものもまた変えていかねばなりません。 両々相まってこれは出てくるものでございますから、いずれ、御意見も参考にしながら、当委員会とも御相談させていただきたいと思っております。
○濱田(健)委員 大臣のおっしゃることも、言葉の上ではもっともだというふうに思いますが、実際上、現行の深夜の実態というのが、役所に問えば、実態はちょっとわかりませんと。変な意味じゃないんですけれども、実態は実際にこういうことですよ、幅広く調べてみたらこういうことになっておりますというのがない一これから調べなければならないという状況ですので、やはりその辺を、ある一部分じゃなくて多角的に、今あるものを早く深く調べて、そのことと、今大臣がおっしゃったことが整合性がつくようにしなければならないし、整合性がつかなければつかないなりに手当てを講じるということが必要だというふうに思いますので、その調査というのは、やはり中身を早く深く追求していただきたいというふうに思うわけでございます。 最後に深夜ですが、深夜業については、回数や長さ自体についての規制のみならず、多様な観点からの取り組みが考えられているところでございます。 それで、深夜業に従事する労働者の健康管理の問題についてどのように取り組む方針なのか。けさからいろいろ出ておりますが、年二回とかそういうことなんだろうと思うんですが、使用者の側からというよりも、逆に、進んで深夜で働く皆さんがというようなところも考えられないのか、その辺はどうでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 この労働基準法の改正法案の策定段階で、中央労働基準審議会でも、御指摘のように回数制限等の議論もあったわけでございますが、全員一致で合意されました建議の部分で、深夜業については、まず実態調査を行って、健康管理のあり方等を含めて検討する場を設けろ、こういう指摘をいただいております。さらには、深夜業に従事した労働者の健康確保を図るために、労働者自身の健康管理努力に対する援助のための事業を実施することが適当であるとも指摘をされております。 私ども、こういった建議を受けまして、早急に深夜業の実態、健康への影響調査を行うべく、目下準備を進めて、近く実施するわけでございますので、そういった調査結果を早急にまとめまして、この法案を成立させていただいた段階で、施行事務とあわせまして、審議会の方とも御相談しながら、この建議の趣旨に即した検討をどうするかというようなことを相談を始めていきたいというふうに思っているところでございます。
○濱田(健)委員 当初予定されていた時間が大体来たようですので、きょうはこれで終わりたいと思うのですが、委員長にお願いをしたいと思います。 我が党は、ほぼ一つの委員会を一人で処理をしなければならない。私は大蔵も一緒に持っておりまして、大蔵と労働が重なってしまいます。そこの辺のやりくりもやりながらほとんど座っているつもりではございますが、傍聴の皆さん方が、毎回、この問題はとても重要な法律案だということで傍聴にいらっしゃるわけですが、きょうも委員は少ない、非常に少ない。少ないときには三分の一以下になっているという状況がございます。大変失礼ですので、そこは理事会、理事懇等できちっと、前も委員長の方できちっと言われましたけれども、もう一回そのことを言っていただいて、引き締まった委員会にしなければならないということを申し上げておきたいと思います。 これで質問を終わります。
○田中委員長 ただいまの濱田君の御意見については、理事会にて協議をさせていただきます。 次回は、公報をもってお知らせをすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十三分散会