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142回国会衆議院1998/03/13

労働委員会 第3号

発言数
165
登壇者
16
会派数
6
開催日
1998/03/13

会議録

田中慶秋民友連

○田中委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村秀章自由民主党

○大村委員 おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。  本日は、伊吹大臣の所信表明に対する質疑ということで、本日の労働委員会のトップバッターで質問させていただきますこと、大変名誉なことであるというふうに思っておりますし、私自身、昨年の秋からこの労働委員会に所属をさせていただいておりますが、この委員会では初質問でございます。若干緊張しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。短い時間でありますけれども張り切って質問をしてまいりたいと思います。  伊吹大臣は我が党きっての論客ということでございまして、どうか伊吹大臣には、ふだんどおりの明快な御答弁を心からお願いを申し上げる次第でございます。  さて、大臣の所信表明を先般お聞きしたわけでございますが、この所信表明の中に随所に伊吹大臣のいつもお考えになっておられることがちりばめられておられるといいますか、そのお考えがひしひしと伝わってきたわけでございます。特に、大きな転換期にある我が国の中におきまして、従来当たり前であった制度、またなれ親しんできた我々の今までの慣行、こうしたこともやはり時代に合わせて変えていかなければいけないといったようなこと、そしてまた、改革には必ず効果と副作用があるわけでございますが、それをバランスをとりながら乗り切っていかなければならない。まさしく大臣の日ごろの構造改革ということへの考え方がここに入っておるわけでございます。  私にとりましても、大変大臣の所信表明らしいなということで感銘を受けながらお聞きをしたわけでございますし、大臣が会長をなさっておられます構造改革研究会の一員といたしまして、私もこうしたものに頑張っていきたいなというふうに思っておるところでございます。ぜひその観点で、その方向で労働行政も進めていただければというふうに思っております。  さて、そうしたことを踏まえながら、まず第一に、大臣の所信表明の最初にございました雇用情勢につきまして御質問させていただきたいというふうに思っております。  特に、この一月の完全失業率が三・五%になったということでございまして、これまでで大変厳しい数字でございます。また有効求人倍率も大変低下をしてきておるということでございます。もちろん諸外国に比べればまだまだ日本の三・五%というのは先進国では一番低い数字ということは間違いないわけでありますけれども、これまでにない、日本にとっては一番高いということでもございます。そしてまた、昨年の秋以降、今金融の関係も大変厳しい状況の中で、企業に対する貸し渋りといったようなことも言われておるわけでございまして、こういったものもやはり雇用情勢に影響があるのではないかということも懸念をされるわけでございます。  こういったもろもろの今の状況を踏まえて、今の雇用情勢をどういうふうに見ておられるか、大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 ただいま大村委員から御指摘がございましたように、現在の雇用状況は大変厳しいと私は認識をいたしております。日本には日本独自の終身雇用という雇用文化と伝統があるわけでございますから、諸外国に比べて傾向的に言えば失業率は低いのは当然のことでありますが、過去の数値等を見まして、大変厳しい状況でございます。  そこで、中長期的には、雇用というのはやはりニュービジネスが出てきて雇用の受け皿が確保されるということだろうと思いますが、当面は景気状況に左右されるわけでありまして、今不況と言われているものの実体が何であり、そこをどう直していくかということによって雇用というのは短期的には改善されていく。  そう考えますと、私は、日本の実体経済というのは諸外国に比べて今なおかなり優位にあると思いますが、バブルのときのツケが金融機関を中心に大変な傷を日本経済に負わせていて、それが今御指摘のあったような貸し渋り現象ということにつながっております。  したがって、損益計算書上は黒字でございましても、各年末、週末の資金繰りがつけられないという企業が随分多いわけでございまして、きょう実は閣議で、先般両院で御可決をいただきました金融二法による資本注入の閣議決定の第一号が行われました。これによって銀行の自己資本が充実をされますと、国際業務をやっている銀行では自己資本比率八%ですから、八分の百で資本注入額の十二・五倍の貸し付けが拡大されるわけでございます。それによって私はかなり景気が好転をしてくるのではないかと思っておりますし、企画庁もそういう見通しを立てております。企画庁長官は桜の花の咲くころと言っておりますが、桜の花の咲くころのデータが出てくるのは大体六月でございます、二カ月おくれでございますので。  予算と予算関連法案について、議員各位の御支援をいただいて迅速かつ的確に両院を通過して、そしてこれが行政において滞りなく執行されるということが、雇用対策上何より必要なことだと私は考えております。

大村秀章自由民主党

○大村委員 当面の雇用情勢につきましてお答えをいただいたわけでございます。  続きまして、中長期的な雇用問題につきましてもお伺いをしたいというふうに思っております。大臣の所信表明にもあったわけでございますが、構造改革、規制緩和、技術革新、そういったことで新しい産業が出てくるというわけでございます。まさしくこれを推進していって、経済をめぐる今の閉塞感というのも打破していくということが必要だろうというふうに思うわけでございます。  しかしながら、構造を変えるというときは、新しいものができれば必ず今までのものが廃れていく。その中で、当然労働力も移動していくということが求められるわけでございますが、そのことについての不安というのがやはり今どうしてもぬぐえないというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、経済の構造改革をみずから提唱されておられる大臣といたしまして、産業構造が大きく変化する中で、どういう新しい産業分野といったところで新たな雇用が出てくるというふうに思われておられるのか。そしてまた、新しく起こる産業、そしてそこに労働力が移動していく、そういう中での円滑な労働移動、産業間の失業なき労働移動といいますか、そうしたことについてどういうふうにサポートしていくお考えなのか、こうしたことにつきましての基本的なお考え、ぜひお伺いしたいというふうに思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 今、大村委員が大変わかりやすく分けていただいたように、短期的な雇用、当面の雇用というのはやはり景気状況に左右されますが、中長期的には、技術革新と規制緩和等の構造改革によってニュービジネスが創出されて雇用が出てくるということだろうと思います。  経済構造の変革と創造のための行動計画というのを閣議決定をいたしておりますが、これによりますと、一番大きなこれからの雇用が期待される分野は医療と福祉、特に介護も出てまいりますし、そういう部分だと思います。それから生活文化ですね。これは、例えば図書館だとか地方の文化活動に対する需要がふえてくる。それから情報通信。こういうところが大きなところだと言われております。  しかし、今までの産業構造が変わるわけですから、わかりやすく言えば職場をかわらざるを得ない人がたくさん出てまいります。それを円滑にやるためには、まず、新しい仕事はこういう仕事があるよということをできるだけ情報を提供して、かつ親切に、また多くの窓口でやらねばなりません。  そこで、職安だけにこれを頼るのではなく、規制緩和の一環として新しく職業紹介ということも民間でさらにやっていただく必要があろうと思いますし、もう一つは、新しい職場にかわれるように知識、技術を常に身につけておくということが必要でございますから、これらの分野については雇用保険特会等を活用いたしまして職業能力開発ということをやっております。  構造改革をやるのは、大変ある意味では苦しい場面も出てくるわけですが、今日英国経済がああいう状況でブレアが政権を持って天下の春を満喫しているのは、やはりサッチャーという人が苦しい道を選択したのだと思いますし、今日クリントン大統領が古今未曾有と言われる景気のもとで大統領をやれるのは、やはりレーガンという方の、評判が悪かった部分もありましたけれども、頑張り抜いた所産だと私は思います。

大村秀章自由民主党

○大村委員 まさしく大臣言われましたような構造改革を進める中で労働の移動といいますか、円滑な労働調整といったことも進めていかなければならないというふうに思うわけでございます。  そういった意味で、今回構造改革とは若干異にするのじゃないかと私は思っておるのでありますが、最近の金融問題、金融機関の雇用問題というものも今大きな社会的な課題になっておるというふうに思うわけでございます。特に、つい最近までは金融機関が破綻する、そして大きな失業問題が起こるということは、もう我々日本国民の中で夢にも思わなかった、そういう事態が昨年秋から頻発をしておるわけでございます。  特に、山一証券の問題というのは、その雇用の規模からしても大変大きな課題ということでございますし、現時点においても山一証券で働いておられた方々の再就職ということは大きな社会的な課題になっておるというふうに私は思うわけでございます。全体の雇用数、山一本体は七千五百人とかいうような数字とお聞きをしておるわけでございますが、さらに関連も合わせればまさしく一万人にも上るような、そういう数字になるのではないかというふうに思うわけでございます。新聞、テレビでもいろいろそういった方々の就職活動が報道されておられるわけでございますが、そういった方々の就職、再就職といったことにつきまして、やはりしっかりと支援をしていく必要があるというふうに思うわけでございます。  こういった面につきまして、最近の雇用の円滑な移動ということの典型的な事例が今回の例だと私は思っております。この点につきましてどういうふうにお考えになり、そしてまたどういうふうな対策を講じておられるか、このことにつきましてぜひお伺いをできればというふうに思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 今御指摘がございましたように、かつて山一あるいは北拓というような大きな証券会社、銀行がつぶれるなどということは考えられなかった。日本人の常識の中にはなかったことだと思います。  ただ従来は、こういう経営上の失敗あるいは違法行為による経営の破綻というものが万が一あったとしても、実は大蔵省がそれを抱え込んで人の目につかない中で処理をしてきたということだったと私は思います。  したがって、護送船団方式の行政をやめるということの一つのあらわれだろうと思いますが、これは何も構造改革を推進したためにつぶれたのではなくて、やはりそれなりの行政と経営上の判断の失敗によってつぶれたわけですから、本来自由社会の原則では、経営者は当然自己責任をとらねばなりません。しかし、働いておられる方々には情報もなければ何のとがもないわけでございますので、その再就職についてはやはり全力を尽くして我々ができるだけのことをさせていただくというのが当たり前のことだろうと思っております。  そこで、山一に限らず、一般の中小企業に至るまでの倒産による解雇等については万全の措置を講じているわけですが、今、大村委員の御指摘のように、山一にとっては関連企業も含めますと大変な数になります。御家族を含めますと五万人ぐらいになるのだろうと思いますので、関係省庁の御協力も得ながら、新しい求人を私どもの方で積極的にお受けをして、それを山一の方々にお示しをしていくという会議や窓口を実はつくっておるわけです。  そこで、実は山一は、今申し上げましたように外務員の方も入れまして約九千三百人の方がおられるのですが、求人だけを考えますと約三万の求人が来ておるわけなんですね。ところが、必ずしも両方の御希望がいません。そこで、全体で申しますと四一%の方の再就職が決まっている。ただし、この中で四十歳から五十歳までの方は三五%、五十歳以上の方になりますと二五%と、やはり給与も高うございますし、それから大変お気の毒なのは、新しい技術、技能を手につけずにビジネス戦士として働き続けておられてこういう事態をお迎えになったということもあると思いますので、特に中高年齢の方々の新しい職場の開拓についてこれからも引き続き全力を挙げたいと考えております。

大村秀章自由民主党

○大村委員 大臣が最後におっしゃられました中高年の方についてさらにお伺いをできればと思うわけでありますが、特に今回のケースでも、中高年のホワイトカラーの方々の離職者、こうした方々の再就職について大変厳しい。今大臣言われましたように、まさしく四十歳以上の方で三五%、五十歳以上の方で二五%という大変厳しい数字になっておるわけでございます。  これもお聞きしたところ、求人の中の多くが三十五歳までということで切っておられるというふうにお聞きをしております。私もちなみに今週の月曜日に三十八歳になりまして、自分では若いと思っておったのでありますが、これでいくと要は再就職の当てがないのかなという感じがするわけでございます。そういう意味で、こういう厳しい中で、特に中高年のホワイトカラーの方々の職業紹介といったことについてお伺いできればというふうに思っております。  特に、大臣の所信表明の中でもお述べになっておられますように、まさしくホワイトカラーの再就職支援のために官民連携のもとで新たなネットワークをつくられるということ、この点について大臣がみずから先頭に立ってこれを提唱されておられるというふうにもお聞きをしております。この点につきましても、ぜひこの際お伺いできればというふうに思っております。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 従来の日本経済が右肩上がりで順調に発展をしていたときは、当然再就職の口はかなりございましたし、労働省も、職安の窓口に座っておりまして、求人をなさる企業と求職に来る人を突き合わせるという、御紹介をするという仕事をやっておればそれで足りたわけでございます。また、申請があれば雇用保険から新たな職業能力開発の助成金を出したり、あるいはまた高年齢の方を雇ってくだすった方にも補助制度がございますので、そういう制度に適用する、しないということを机の上でやっておったらよかったと思います。  しかし、現状は一番最初に大村委員が御指摘になりましたように大変厳しくなってきておりますので、我々サイドも、従来のような考えではなくて、意識の構造改革をしなければならない。  そこで実は、日経連と商工会議所と、それから中小企業団体中央会、これは一都一道二府四十三県にすべて県単位の組織がございます、その組織に加盟しておられる全企業に、ホワイトカラーの方々の求人はありませんかということをぜひ尋ねていただきたいということを、実はこの前、中央の日経連の会長等に私はお願いに行ったわけです。そして、都道府県では、職安の職員、都道府県の労働関係の職員がこれらの経済団体の各企業を回りまして、新たな求人はありませんかと。これは何も終身雇用じゃなくてもよろしいと私は思うのです。パートでもよろしいし一年間でもよろしいし、いろいろな求人があればぜひ教えていただきたい、私どもも積極的に求人開拓に打って出よう、そしてそれを、窓口にお見えになっている、特にホワイトカラーの中高年齢の方に申し上げて、お互いに少しずつ条件は落ちるかもわからないけれども、明るい未来をつくるために我慢をして働き抜こうじゃないか、そういう姿勢を示すために我々がまず汗をかこうということで、この前のようなことを始めたわけでございます。

大村秀章自由民主党

○大村委員 雇用関係の情勢につきましては、今の厳しい状況を踏まえて、そうした地道なネットワーク化といいますか、努力の積み重ねがやはり雇用の新しい開拓に結びついていくんだろうというふうに私も思っております。ぜひ引き続き御努力をお願いできればと思っております。  そして、先ほど大臣も御答弁の中でお述べになったわけでございますが、労働移動といいますか、労働者が新しい職業、新しい産業に移っていかれるときに、やはり労働者自身も、働く方々みずからも自分の能力を開発していく、みずから、昔でいえば手に職をといいますか、手にわざを持っていただくというようなことが必要ではないかというふうに思うわけでございまして、そういう意味で、多様な職業能力、これを働きながら身につけていただくというようなこともこれから応援をしていかなければいかぬ、そういう時代ではないかと思うわけであります。  そういう意味で、今回これにスポットを当てた雇用保険の改正を御提案されておられるわけでございまして、この点につきましては、ぜひ一日も早い成立を私は願っておるわけでございますし、またあわせて、この雇用保険の中で、先ほど大臣もお述べになりました、二十一世紀は介護の問題が大変大きなテーマになるわけでございます。  昨年十二月、一年以上の歳月を賭して介護保険法案が成立をしたわけでございまして、あと二年後の四月にはこれは導入をされる。そういう中で、働く方が介護をするために休まれる、そのことについての給付を雇用保険で見る、これはまさしく時代の要請に本当に対応するものというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、この二つを内容にする雇用保険法の改正の一日も早い成立、これは委員会の話でございますけれども、ぜひそういうことを願っておるわけでございますが、この雇用保険についての今回の措置についての意義といいますか、早期の成立の必要性といいますか、そうしたことについての御所見もあわせて、この際お聞きできればというふうに思います。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 ただいま御指摘の、現在国会に御提案申し上げております雇用保険法等の改正法案におきまして、教育訓練給付及び介護休業給付、この二つの新たな給付を創設したいというふうに考えております。  教育訓練給付につきましては、一定の要件を満たす被保険者あるいは被保険者であった方、これが労働大臣の指定する教育訓練を受け、修了した場合、この教育訓練というのは、土曜日曜、あるいは夜間、あるいは通信教育、これでも結構でございますが、その場合に、その入学料及び受講料の八〇%相当額を支給するものでございます。  これは、ただいま御指摘のように、産業構造の変化等に伴って多様な職業能力開発が求められている中で、労働者が自律的、主体的に職業能力開発に取り組む、これを支援する、こういう仕組みでございまして、最近の厳しい雇用失業情勢を踏まえて、この教育訓練給付につきましては、施行準備期間も考慮の上、できる限り早期の施行を図りたいということで、平成十年十二月一日からの施行を予定いたしております。  また、介護休業給付につきましては、これは被保険者が介護休業した場合に、休業期間三カ月を限度として、休業開始前賃金の二五%相当額を支給するものでございます。  介護休業給付につきましては、育児・介護休業法による介護休業制度の施行に合わせて平成十一年度から実施の予定でございますが、これらを設けることによりまして、要介護状態にある家族を抱える労働者の方々が、職業生活を継続しながら介護休業を取得しやすくなるものというふうに考えております。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 今政府委員から御答弁申し上げましたような内容でございまして、これは実は、年末の予算編成の際に私から、日本の将来を見据えてぜひ必要なものであるということで大蔵大臣にお願いをして、大臣折衝でこういう措置を講じていただいたものであります。  高齢化社会で、特に中高年齢の方が職業移動される、あるいはまたさらに、お年を召した方を介護していく若い人たちのためにも、これからぜひ必要な給付であるということは御理解いただいたとおりだと思いますので、この雇用保険法についても、どうぞよろしく御審議をお願いいたしたいと思っております。

大村秀章自由民主党

○大村委員 ありがとうございました。  ほかにも高齢者の雇用の問題でありますとか、あと労働基準法の特に裁量労働制の問題につきましてもお聞きをしたがったのでありますが、時間がなくなってまいりましたので、また次の法案の審議のときにお聞きをしたいと思いますが、最後に一言、行政改革につきましてお伺いをしたいというふうに思っております。  二十一世紀においても我が国が世界において通用する国であるためには、やはり今回、行政改革は必要不可欠だということで、昨年一年間かけまして、行政改革会議、そしてまた我々自民党の中でも、行政改革本部の中で本当に激論を闘わせてまいったわけでございまして、私自身も、党の行革本部の中では毎回毎回自分なりの意見を申し上げてまいりました。  そういう中で、労働省と厚生省が一体となりまして労働福祉省という形になるということになったわけでございます。こういう国民生活に本当に密着をする雇用、労働、そしてまた福祉、これが一体となるということは大変望ましいわけでございまして、ぜひその相乗効果を発揮していただきたいというふうに思うわけでございますが、その際、若干私気になることがございまして、それは省庁の名前でございます。  最近いろいろな議論が出てきておりまして、私自身は、業務内容といいますか行政分野にふさわしい名前で、みんなのコンセンサスを得て決めていただくことが望ましいと思うわけでございますが、その中で私がぜひといいますか、こだわりを持ちたいのは「労働」という言葉でございます。  改めて申し上げるまでもなく、日本国憲法二十七条におきまして、日本国民はすべて「勤労の権利を有し、義務を負ふ。」というふうになっておるわけでございまして、日本国民すべての人が生き生きと働くことによりまして社会が維持される、そして、この枠組みを維持して環境を整備するということは、私は何事にもまさる国家の責務であるというふうに思うわけでございます。額に汗して働く人が報われる、そういう社会をつくることが我々政治家に課せられた責務だというふうに思っております。  そういう意味で、ぜひ省庁名には労働という名前を明記をしていただくということが私は不可欠であるというふうに思っております。そういう労働という名前を省庁名に冠してこそ二十一世紀の日本にふさわしいと思うわけでございまして、ぜひこの際、これは基本にかかわることでございますので、もう時間を超過して恐縮でございますが、大臣のお考えを一言だけお聞きができればというふうに思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、労働というのは経済活動の一番大きな要素の一つであると同時に、人間が人間として存在しているということを確認できる行為でございますから、私は労働という名前はぜひ新しい省庁の中に入れていただきたいと思っております。  それよりも何よりも国民に対して大切なことは、名前も一つでありますが、国民のために新しい省庁が十分のサービスを提供できるということであって、役人たちが自分たちの権限を争うとか、どちらが先に来るとか後に来るとか、それをまた関係団体を使ったのか使わないのか、おのおの国民に選ばれた国会議員のところへ名前をどうするための署名をしろとかどうだとかいうような上に政治家というものは乗せられてはならないということが私は一番大切なことだと思っております。

大村秀章自由民主党

○大村委員 ありがとうございました。

田中慶秋民友連

○田中委員長 次に、能勢和子君。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 おはようございます。私、自由民主党の能勢和子であります。大村議員に続きまして質問に立たせていただきました。  伊吹大臣の所信表明の中にも語られましたけれども、先人の築き上げていただいた豊かな社会、そして行き届いた諸制度の中で、働くということが単に生活の糧ということだけでなくて、自分の能力に応じあるいは適性に応じ、みずから選んだ職業を通し、私たちは働く喜び、これを感じてまいっておるわけであります。そして、私も子育てをしながら仕事を続けてこられたことの幸せ、本当に人間として、その充実感というのは働くこと、職業を通して実現できたと思っております。  今、単なる労働時間云々ということがここの中でも大変議論されておるところでありますけれども、古いかもわかりませんから新しい制度への取り組みをしなければなりませんけれども、働くということは、そういう人生の充実期間だと思っています。この充実期間をより長く皆さんが感じるように、また、男性も女性もともに働くことのできる制度の基盤が大変整ってまいりました。  その中で、今六十五歳云々ということも出ておりますけれども、私はいっそ高齢社会というのを七十歳ぐらいに置いてもいいのではないかなというほどに、生きている限り最後まで現役でいたいということを思っております。まさにその中には知的労働もありましょうし精神労働もありましょう、肉体的労働もありましょうけれども、大変女性の働く現場におりました私たちも、そうした中でともに携わってきたことは、仕事を通して、労働できて本当に人生幸せだったねということをお互いに確認しているところでございます。  そんな中で、きょう質問させていただきますのは、大変心配いたします少子の問題であります。出生数が大変減少しておりますことはもう皆様御案内のとおりであります。平成八年の合計特殊出生率は史上最低で一・四三、当時一・五七ショックといったことがありましたけれども、一・四三となっております。  これは、現在の人口を維持するためにも必要な数は二・〇八、二・〇八を大幅に今下回っておりまして、平成元年以降ずっと下がっている状況であります。殊に六十五歳以上を高齢と考える場合には、超高齢化社会が到来することが予測されておることは、国勢調査あるいは人口問題研究所の日本の将来推計の人口を見ても明らかであります。その六十五歳、七十歳はさておき、我が国の高齢化状況は世界に類を見ない速度で進んでいるわけであります。  その中で、皆さん、労働省にお尋ねしたいということがあるわけでありますが、高齢化社会の到来によりまして懸念されますことは、まず経済活力の低下、そして社会保障負担の増大、労働力の供給の制約など、さまざまな問題が生じてまいります。そこで、働く女性も大変大事になってくるわけですが、その中で一番心配いたしますのが、いわゆる子育て支援の問題であります。  厚生省などと連携いたしまして、エンゼルプランが労働省の中でも大変子育て支援問題を論じていただいておりますし、その内容についてもお伺いしたいわけでありますが、先ほど来出ております育児休業法の問題も出てまいりました。しかし、育児休業を必ずしも皆さんとらないわけであります。働くというのは、基盤整備ができておれば、現場の中で院内託児所がありますと、随分若い看護婦さんたちも休業をとらなくて現場で働くことができるわけでありますが、労働省としましても、その辺も含めて事業所内の託児施設について何らか対策を持っているかどうか、そのあたりを含めまして、この育児、子育て支援に対しての労働省の実態を、内容をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

太田芳枝労働省女性局長

○太田(芳)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のようにエンゼルプラン、平成六年十二月に労働省、文部省、厚生省、建設省の四大臣合同ということでつくったわけでございまして、厚生省を初め関係省庁と連携をとりながら子育て支援施策ということを進めてきているわけでございます。  特に私どもといたしまして、具体的に申しますと、今先生御指摘のように育児休業法に基づきます育児休業給付というものをやっておりまして、これは育児休業前の賃金の二五%相当額をお渡しするというようなことで、育児休業を取得しやすい環境整備をしているわけでございます。それに加えまして事業所内の託児施設でございますが、この設置促進ということが非常に重要であるという認識のもとに事業所内の託児施設の助成金制度をつくりまして、子育てをしながら働き続けることができる環境整備をしているわけでございます。  また、育児のために退職した方々に対する再就職の支援ということもしておりますし、さらには労働時間の短縮等の推進というようなことで、総合的に子育て支援施策というものに取り組んでいるところでございます。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 ありがとうございました。殊に事業所内の託児施設の充実というのを今後大きく進展させていただきたいと思っております。  そこで重要となってまいりますのが、働く人が職業生活と家庭生活との両立を図らなければなりません。その対策について、労働省としてぜひ推進していってほしいと考えておるわけであります。今まで、男性は仕事をする、女性は家庭を守るという基本があったわけで、私の中にもそうしたものがあったかもわかりませんが、今新しく体制をとる中で、職業生活と家庭生活の両立、この辺についてどのように推進していくか、労働大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 ただいま政府委員から御説明をしたようなことのほかに、例えば介護の負担も、従来の日本的な考え方からいえば女性にかかってまいりましょうし、女性の方が働きに出られるというのは、もちろん給与、お金という部分も私は否定しませんが、やはり社会に出ることによって、自分の家庭に閉じこもっていたときとは違う価値観に触れて、そのことが女性を人間として大きく成長させる、そういう喜びを求める権利は、男性だけに限定されるものではないし、また、女性が社会に出られるだけの経済をつくってくださった先輩にも、私は感謝しなければならないと思うのです。  そういう意味で、これからも女性の社会進出はとめるべきことではないと思います。ただ、職を持っておられる女性の出産率は、家庭の主婦の出産率の約半分であります。この点を先生が御指摘なさっていることだと思います。  そこで、物の面、金の面でこれを支援していくということは、労働省としてはもちろんいたしますけれども、しかし、何より大切なのは家族の中のやはり役割分担であって、同時にまた、私がこれから申し上げるようなことは、政治家としては決して得な言動ではないと思いますが、最近の子供さんたちの、学童のナイフによる非行事件だとかその他もろもろのことを考えておりますと、母となり父となる権利を子供に対して行使をした人は、やはり父であり母であるという義務を子供に果たすべきではないかと私は思います。  やはり子供のしつけ、教育というのは、基本的に母親のぬくもりと父親の厳しさの中に育ってくる、そういう日本の家族制度の中で育ってくるわけでして、全力を挙げて、働きやすく、そして子育てをされても不利にならないような制度は準備いたしますが、お一人お一人、国民の代表としての政治家として、国民に、私は、今申し上げたことだけは申し上げないといけないのではないかと思っております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 今大臣が、いみじくも言っていただきました。私たちも女性として仕事をしてまいりましたけれども、今大変子供たちの問題がたくさんにぎわしておる。しかしこれは、必ずしも母が勤めているから、共働きだから起こってくる問題ではないと思っております。  たくさんの働く女性たち、やはり働く姿、真剣に仕事をしている姿、後ろ姿を見て子供たちは育つわけでありまして、今起こっている問題の原因がどこにあるかということは追及しなければなりませんけれども、そのことによって女性が働くことを不安がったりとかいうことではなくて、きちっとした母であり父であれば、必ず子供はいい子に育つのだということを私たちもたくさん、私自身も体験しておりますし、聞いておるわけであります。  ただ、働くことによって逃げてはいけない、きちっとしつけをしなければいけない。これは、たまたま大臣から出た話の中に私も思い出したわけでありますが、私の同級生のお母さんは、職業に貴賎はなくて、失対事業の中で働いている母、友達のみんなが、あなたのお母さんは失対で恥ずかしいじゃないかと言った子供が、この方は立派なお医者さんになったわけでありますけれども、母が失対の中で生き生きと働いている姿を見て、母があんなに輝いている姿を見て、どの友達に指摘されても、僕のお母さんは立派だったと言っていることを思い出したわけであります。  だから、働くことの喜び、生きがいを子供に伝え、そして社会に貢献していることを子供に伝える。その中で、必ず二者択一でなくて、どちらも両立できるということを私も申し上げたいと思っております。  そこで、今労働省がこんなに少子化問題にも取り組んでいらっしゃることを、大臣、もっと社会にPRしなければならないのじゃないか。私たちも厚生省がこの問題をやっておると思っておりますけれども、そうではない、労働省もきちっとこの少子問題についてもやっているということについて、PRがまだ行き届いていないのじゃないかなと思っております。例えば、私もきょう聞いていて事業所内の託児所の問題についても認識を新たにしたわけでありますので、ぜひ、そのあたりのPRについてはいかがでありましょうか。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 まさに今、能勢委員がお話しいただいたような、能勢委員のような勤労婦人がたくさん出てくれば、私は、今の残念な状況はなくなるのではないかと思っておりますし、そういう人たちが生き生きと働けるような施策は、先ほど来申し上げているように、労働省としても限られた財源の中では最大限努力をいたしておりますので、パンフレットをつくるとか、いろいろな出先の会合でございますとかを通じて、御注意がございましたことにこたえるべく、さらにPRに努めていきたいと思っておりますので、どうぞ委員各位もよろしく選挙区で御宣伝をいただきたいと思います。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 ありがとうございました。  次に、先ほど来、大村委員からも出ておりましたけれども、高齢者の雇用の現状と、私たちの現場の中でも、かつての看護の現場の中でも大変看護婦の問題等についても関連があるわけであります。  このように急速な高齢化の進展に伴いまして、我が国の経済社会の活力を維持していくためには、今後の高齢者の人には、いつまでも現役として活躍できるような社会を築き上げていきたいというふうに思っているわけであります。  先般、これは人口問題の研究グループの中で、大人になるのにも少し二十歳よりおくれているのじゃないかなと。老齢していくのも、かつての六十歳、いわゆる還暦の祝いは十年ぐらい延びているだろうと思うわけであります。  このたび労働省の方では、六十歳定年制というのを義務化していると聞いておりますけれども、私は、もっとこれを早い時期に、個人個人が――同じ六十歳でも現役を退いた人と勤めている人とでは随分やはり輝きが違っておるわけであります。何としても、個人個人が生き生きと働けるための整備について、社会参加できる整備についてともに考えていきたいと思うわけでありますが、 現在の労働力人口の高齢化の現状と将来の見通しについて、労働省はどのようにお考えになっているか、お伺いいたします。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 今後の労働力人口について展望いたしますと、少子・高齢化が進展すると思われるわけでございます。まず、高齢者について見ますと、昔に比べまして健康で意欲に満ちた高齢者の方々がふえておりまして、労働力人口全体に占める六十歳以上の方々の割合につきましても、一九九七年の一三・四%、約九百十万人から、二〇一五年には二〇・六%、約千三百五十万人となりまして、約五人に一人の方が六十歳以上の高齢者となることが見込まれております。  一方、十五歳から五十九歳までの方々について見ますと、労働力人口全体に占めるこれらの方々の割合につきましては、一九九七年の八六・五%、約五千八百七十六万人から、二〇一五年には七九・五%、約五千二百十万人に減少することが見込まれております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 今も出ておりますけれども六十歳定年制の義務化が目前であるわけですけれども、大臣の所信表明の中にもございましたように、定年制の現状と、六十五歳まで働けるための雇用継続あるいは再就職なりについて、今労働省の中で六十五歳以上の方が継続雇用ができる、あるいは働ける体制についてどのような状況になっているか、お願いいたします。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 平成九年の雇用管理調査によりますと、六十歳以上の定年制を採用している企業は九割を超えておりまして、本年四月からの義務化に向けて、六十歳以上定年制は着実に普及しているというふうに考えております。  また、御指摘の六十五歳までの継続雇用制度について、これは希望者全員に対して継続雇用ができる、こういう制度を有している企業の割合はまだ残念ながら約二割ということで、非常に少ない状況にございます。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 六十五歳までまだまだ厳しいわけであって、私たちも、六十五歳以上を高齢という認識を改めて、七十歳くらいが高齢だ。今平均寿命を見てみましても、御案内のとおり男子は七十七・〇一、女性は八十三・五九、特に女性の場合ですと、六十歳、六十五歳から後の人生も大変長うございます。私たちは、私自身もそうでありますし、皆さんで話すことは、介護保険導入等々でも、地域、地元へ帰りましても、死ぬるまで現役でいようじゃないか、死ぬときが現役をのくときだというふうに訴えているところであります。  そのように、いずれにしましても個人差もございます。高齢化に伴って、国民各層の看護へのニーズも大変高まってきておるわけです。私たちも皆様の希望にこたえるために、看護婦の確保の問題もございますが、一応看護婦の需給計画では順調だ、順調に推移しているというふうに厚生省も発表しているわけでありますが、しかしながら、働きます環境がいいところは十分整っています。だから労働条件がよくなる中で看護婦の人材確保、あるいは看護婦が働きやすい職場推進ということは、大変確保にも大きな問題が出ております。  そういう意味で、今後積極的に労働状況のいい形に取り組んでいっていただきたい。その中にはもちろん保育所の問題もありますし労働時間の問題もあるでしょうし、そして数の問題もあるでしょうけれども、もちろん労働省としても、私たちは免許は交付していただきましても、働く環境になりますときに全部、ハローワークにしても労働省関係の中で私たちは健康管理等をいたしておったわけでありますので、人材確保もやっておったわけでありますから、労働大臣、こうした昨年問題になりました看護職は二十四時間通して働くわけであります、二交代、三交代合わせてまさに二十四時間通して働くことで国民の健康を守るという生きがいを持って、何時間働く、何時間労働という気持ちよりも、その瞬間はもう命を守るために命をなげうつ気持ちで国民の健康を守るという、こうした看護婦さんたちが本当に働きやすい環境をつくるということは大変大事になってくると思いますので、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 能勢委員はメディカルの現場で大変な御経験がおありになりまして、看護職員の現状についてはだれよりも御造詣が深いと思います。  実は資格を持っている方は非常に多うございますが、実際働いていただいている方はその数に比べて少のうございます。今約百八万人ぐらい必要なんですが、実際働いていただいている方は百三万人程度しかございません。これから介護の問題や何かが出てまいりますと、さらに有資格の方に働いていただかねばならない分野がだんだん私は拡大してくると思うのです。  実は、私自身も看護技術の議員連盟の幹事長というのをやっておりまして、看護関係の皆さんの待遇改善に取り組んでいるわけですが、今政府委員が申し上げましたような、子供さんを持ちながら働いていただけるような職場環境以外に、やはりこれは勤務が非常に厳しいことに比べて給与がどうであるかという問題が一つあります。この分野は、もう私が先生に申し上げるまでもありませんが、官主導で給与が決まってくるというところがかなりありますので、人事院に対して待遇改善ということをいろいろお願いをしておるわけですが、先般の予算委員会で人事院総裁がそこに積極的に取り組むということを御答弁なさったということは、私は非常に結構なことだったと思います。  そういう形で魅力のある職場にしていきながら、労働省としては看護労働力の確保の拠点になる福祉重点の、先ほどおっしゃったハローワークというのを各都道府県に置いておりますので、ここを通じて、潜在的な資格を持っておる方の登録だとかあるいは求人情報の提供だとか、そういうことをやっていきたい、こんなふうに思っております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 今大臣から大変心強いお答えをいただきまして、私もこのことは早速にして私どもの組織、看護職百三万人あるいは百八万人の皆様にお伝えしていき、この資格を持った方たちがもう一遍職場に魅力を感じて帰っていただく形をとってまいりたいと思います。  続きまして、今大臣から出ましたけれども、いよいよ介護保険制度の創設、これは平成十二年、またまたマンパワーの問題であります。建物は予算をとり、あっという間に建っていくわけでありますけれども、この介護問題になりますときのマンパワーについて、大変労働省の担うところは大きいと思います。この保険制度を円滑に実施していくためには、介護サービスを担いますマンパワーについて、労働省の方にもいろいろと法律等々つくっていらっしゃる。この介護労働者の確保対策をどのように進めていこうと思っていらっしゃるかをお尋ねしたいと思います。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 御指摘のように、私ども介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律の実施をしているわけでございますが、我が国におきます急速な高齢化社会、高齢化の進展等に伴いまして、介護労働力への需要が増大してきている、御指摘のとおりでございます。そのための法律として、介護労働者の福祉の増進、資質の向上、そういうことを目的として、平成四年にこの法律が制定されておるわけであります。  具体的な施策の内容といたしましては、介護労働者の雇用管理の改善に関する相談援助事業の実施、雇用管理のための研修、福祉重点ハローワークなどの公共職業安定所によります介護に従事できる方の就業の促進、公共職業能力開発施設や介護労働安定センターによります介護業務に従事するための必要な研修の実施等を行っているところでございます。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 今お尋ねしたとおりでありますけれども、この介護労働力を確保していくために、私たちも現場の中では、労働省の公共職業安定所、ハローワークにみんなが求人を出していくわけでありますが、その中で今労働省がやっていらっしゃるホームヘルパー等の介護サービスを担うマンパワーの育成のための介護関係の公共職業訓練というのはどんなになっているだろうか。たくさんの職業訓練をやっている中のこの介護マンパワーの訓練、そして修了後に何か資格を与える形を労働省とっていらっしゃるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

山中秀樹労働省職業能力開発局長

○山中政府委員 先生の御指摘の公共職業能力開発施設における介護労働者の育成コースについてでございますが、先ほどの法律に基づきまして毎年度着実に拡充をしているところでございます。今年度につきましては、定員規模で申しますと、昨年度が千百八十人の定員でありましたが今年度は千五百二十人ということ、あるいは施設自体も、今年度は昨年度に比べまして五施設多い二十七公共職業能力開発施設で訓練を実施している、こんな現状にございます。  また、先生御指摘の、訓練を修了された方々につきましては、その資格ですが、修了後は介護福祉士または一級ホームヘルパーなどの資格を取得している、こんなような状況でございます。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 続いて少しお尋ねします。今受けている皆さんですが、男女比はどんなでございますか。

山中秀樹労働省職業能力開発局長

○山中政府委員 ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、また……。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 確かに女性が社会進出する、男女ともに介護の問題もといいますけれども、実際に私たちの看護職の世界にも看護士が大変入ってき出しました。しかしながら役割分担がやはりあるわけですね。排せつ後の援助にいたしましても、もちろん男子にできないことはないわけで、共同でやるわけですけれども、もともと持つ男と女の特性がありますので、この担っていくのも女性がやはり多いだろう。定年後の男性が改めて介護の訓練を受けていくことも大事であるわけで、確かに私の頭も切りかえて、男性にもできるということにしなければなりませんけれども、そういう特性を見ますと、やはりヘルパーの皆さんも、私のかつていました病院でもやはり女性が多いわけであります。  そういう意味を含めて、どうかそのヘルパーの皆さんたちの労働条件の問題、看護士さんの問題等々を含めて、これも二十四時間体制であります、現場をぜひ大臣も見ていただきたいし、この労働状況も見ていただき、大変求められる職業でありますし大変厳しいことでもあるわけですので、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、時間が迫りましたけれども、この介護労働力は、今市町村が出しております数を見ると、やはりヘルパーが足らないことがもう歴然で、今一番厳しいのが人の確保であります。これについて、介護労働力の確保のために、労働大臣の御認識といいますか取り組みと申しますか、お伺いさせていただいて、最後の質問にさせていただきたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 先ほど先生がおっしゃいましたように、これは建物だけを幾らつくったってだめなわけでありますし、特に高年齢の方が多くなればなるほど、例えば医師でも本当の名医というのは、やはりメスさばきのうまい方なのか、それとも患者に心の安らぎを与えられる方なのかということを考えますと、介護福祉士としての基本的な技術以外に、私はやはり人生経験とかそういうことも大切だろうと思います。  そこで、若い方が積極的にこういうお仕事に取り組んでくださることも結構ですし、先ほど来おっしゃっておられるように、六十-六十五の方々がこういうお仕事を目指していただくのも私は結構だと思いますし、介護の種類も、例えば老人福祉施設から在宅とかショートステイに至るまであるわけでございますから、いろいろな形の介護サービスが提供されるわけでございますので、今度厚生省と御一緒に労働省がお仕事をするという部分は、女性の問題と介護の問題について私は一番よかったんではないかと思っておりますので、頑張ってやりたいと思っております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 どうも大臣、ありがとうございました。  以上をもって私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中慶秋民友連

○田中委員長 次に、鍵田節哉君。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 民友連の鍵田でございます。  私は、伊吹労働大臣の選挙区と重複をしております同じ近畿ブロックでございます。大変広うございまして、重複をしておりまして大臣の選挙区も走り回ったこともございますが、こうして議論をさしていただくことになるのは初めてでございますので、初めから余りハードな議論もいかがかと思いますし、できましたら、先日所信表明のお話を聞かしていただきましたので、それに基づきます労働行政についての大臣の所信なり、また現在の雇用なり労働情勢についての背景がどうなっておるかというふうなことで、余り細かい数字じゃなしに、漠つとしたお話を聞かしていただければというふうに思っておる次第でございます。  現在の社会につきましては、少子・高齢化社会でありますとか、またボーダーレスやグローバル経済というふうなことで一般に表現をされておるわけでありますけれども、そういう社会を迎えながらバブル経済の後始末で今大変苦労しておる。また、ボーダーレスの中でビッグバンも同時進行しておるというような、もう本当に盆と正月、何か結婚式と法事が一緒に来たような現在の状況でございまして、経済も社会も大変混沌としておるというのが実態ではないかというふうに思います。  特に、経済の場合には半分が心理学の世界だ、こう言われておるわけでございますが、先行きが不透明であるというふうなことで余計不透明な状態に今置かれておるんではないかというふうに思っておるわけでございます。  それらが今後の労働行政にどのように影響してくるのかということにつきまして、また、関連した施策を今後どのようにとっていかれようとするのか、そういうことについて個々の問題でお話をさしていただきたいし、また大臣の話を聞きたいと思っております。  まず、高齢化社会とか少子・高齢化社会と言われるわけでありますけれども、少子社会の中であるから老後の生活ということが大変大きな影響を受けてくるわけでございまして、少子社会でなければ、高齢化社会というのは長寿社会ということで大変おめでたいと歓迎するべきことではないかなというふうに今思っておるわけであります。要は、やはり少子社会である、女性が子供さんを産まないというふうな状況になってきておるわけでありまして、まずこれの方を何とか解消していくということが大切なのではないかと思いますが、私自身幾ら努力をしようと思いましてももう無理でございますし、私自身も子供を産むわけにはいきませんので、女性に頑張っていただかなくてはならないと思うわけでございます。  ただ、現在の社会が男女共同参画社会ということでいろいろな施策をとられてきておるわけでございますけれども、その中で、やはり女性が大変子供さんを産みにくい、また育てにくいというようないろいろな環境があるのではなかろうか。そういう中で、雇用の面においても、子供さんを産んだりまた育てたりする上で大変不利になっておるんではないか、そういうシステムを今後変えていかなくてはならないんじゃないか。  一たん退職をしまして再就職する場合などには、長期継続雇用という労働条件のもとではやはり女性は大変不利でございますし、そしてまた、育児でございますとかそういう子育ての面では育児休業制度などもできましたけれども、まだまだ不十分でございまして、いわゆる正社員として働き続けるということが非常に難しい。そういうことから、派遣労働やパート労働のいわゆる短時間労働に頼らざるを得ないというようなことになってきておるわけでございます。  派遣労働者も六十数万人、パート労働者も八百万人ぐらい今おられるとか聞いておるわけでございますけれども、この人たちの賃金も、時間給でいきますと一見正社員より高いように見える場合もあるんですけれども、しかし、ボーナスはございませんし、フリンジベネフィットの分でも大きな格差がある。もちろんない場合が多いというようなことがございまして、そういう面でも女性が大変不利な状況になっておる。  こういう中でさらに労働基準法改正の提案が今なされておるわけでありますけれども、その中でいろいろな規制の緩和をされようとしておるわけでありますが、それが今後の女性の労働に対して大きな影響をしてくるのではなかろうか。  今そういう規制緩和をされようとしておる要因の中には、経営側から、やはり経済の効率性、人件費の抑制というようなことからこういう声が出てきておりますし、また派遣企業などは、企業に派遣をする場合などに非常に使い勝手が悪い、だから何とかこういう規制を緩和してほしいというような声が今までもよく聞こえてきたわけでございまして、こういう声を中心として規制緩和をしていく、特に働き方における規制緩和をしていくということは、非常に劣悪な労働条件というものをたくさんつくっていく要因になりはしないかという懸念がされるわけでございます。  まして、女性をもっともっと職場の中で活用していこうということでございますと、そういう規制につきましては、これは女性だけじゃなしに男性も含めてもっと逆に規制をしていかなくてはならない、そして良好な雇用というものを保障していく、そのことが大切なのではないかと思います。  この前もアメリカのニュースで、経営者が、大変な利益を上げまして、大きな成功報酬を片手で持って、またもう一つの片手で大幅なレイオフをやりまして人員整理をやる。非情に、冷酷なぐらいにレイオフはレイオフ、そして利益は利益という形でやられるような、そういう労使関係ということは日本にもなじむのかどうか、そういう社会をつくっていくことがいいのかどうかということのお考えを、ひとつ大臣としてお話しいただければと思います。具体的な議論は今後またいろいろな法律の中でやらせていただきますけれども。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 まず、労働力というものは経済活動の中で不可欠な要素でございますから、これを市場経済、自由社会の原則から全く別のところで扱うということは、私はできないと思っております。しかしながら、労働力というものが人であるということは、他の生産手段とは全く違うということも、これもまたはっきりしておかねばならないと思います。  そこで、経済は確かに国際化してきておりますし、先生がるる御指摘になりましたような社会的な変化もございますが、日本という国の成り立ち、そして日本社会の成り立ちの中で、終身雇用制というものがやはり基本であって、これは日本の文化であるということは、私はそのような考えで労働行政に取り組みたいと思っております。  ただ、先生とやや意見を異にいたしますのは、経営者サイドの要請によって云々というお話がございましたけれども、実は、細かな議論はおのおのの法律の場面でさせていただきたいと思いますが、銀行行政について護送船団ということが言われますけれども、働く人たちも、従来のような護送船団方式的なやり方を必ずしも是とする人ばかりではないと私は思うのです。  それから、女性の問題もおっしゃいましたが、女性も、社会に出ていろいろな人と知り合って、違う価値観に触れて人間的に成長していきたいという希望はみんな持っておられるわけです。しかし同時に、子育て、介護、これは何も女性だけに押しつけるわけではありませんが、これも日本の伝統や日本の流れからいうと、女性にかなりウエートがかかっているという現実は否定できません。  その現実の中で女性も社会に参加をしていくためには、終身雇用で、自分は子供を産み育てないし、頑張っていきたいというのもその方の価値観であって、これは何ら非難されるべきことではありません。しかし、子供を産みながら、母としてまた妻として社会に参加していきたいという方もたくさんおられるわけで、そのような方に終身雇用以外のバイパスを開いておかないというのは、私は決していいことではないと思っておりますので、アメリカのやり方を日本に無定見に導入するということについては、労働分野にかかわらず私は余り賛成ではないのですが、むしろ働く人たちの立場からいって、いろいろな働き方のバイパスだけはつくっておく。つくりながら、終身雇用をできるだけ守っていく。  例えば、先ほど裁量労働制のことをおっしゃいましたが、これをあくまで拒否すれば、多分経営者はそれを派遣型のものに変えてくると思います。ということは、その企業においては、終身雇用制というものはやはりだんだんなし崩し的につぶされていくということであって、私は、やはり働く人たちが人間であるという基本で、いろいろ選択の自由を認めながら、働く人の基本的な最低限の権利だけは守っていきたい、こんなことを私の労働行政の基本にしたいと思っておるわけです。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 私も、決して派遣労働やパートとか、それから裁量労働を全面的に否定しているわけでも何でもございません。  ただ、それをやる場合にはそれなりのルールがあって、やはり正規の従業員で、そして良好な労働条件も保障されておる、また労働環境も保障されておるというようなことがメーンにあって、そしていろいろなニーズに応じた働き方をすることが大事だ。それが、今言われるような規制緩和が大幅に導入されるというふうなことにつきましては、やはり労働環境全体が悪化する。そういう意味で、やはりちゃんとしたルールが必要なのではないかという観点から申し上げておるわけでございます。  例えば裁量労働でも、労働者側からもそれをやりたいと言っている人もあるというふうな声も聞きます。しかしそれは、非常にしっかりした労使関係があり、そしてそれなりの労働条件も確保されておるところで、できれば自由な時間で働きたいとかいうような声もあることは事実であります。しかし、そういうところばかりではないわけです。未組織の、労働組合も何もない、経営者から働けと言われたらただもう一生懸命働かなくてはならない、自分で何の裁量権もないというふうな人までそういうものを広げていくことは、非常に危険がある。  もちろんいろいろセーフティーネットはされておるようでありますけれども、しかし、これとてまだまだ我々にとっては不十分だということで議論のさなかでありますから、そういう面では、やはりもっと議論というものを深める、それから法律の問題を取り上げられてもいいのではないかというふうに思いますけれども、その問題はまた後日の議論にしたいと思います。  昨年の通常国会で均等法も改正をされまして、いよいよ本格的な男女共同参画社会ということに向けて一歩を踏み出してきておるわけでございますけれども、現在、子供を産みました女性が大変働きづらくなってきておるということは、先ほども指摘をさせていただいたわけでございます。  今、エンゼルプランなどに基づきましていろいろな施策も取り入れられておるようでございますけれども、各省庁とも連携をとりながら、労働省としてこれを積極的に進めていくという今後の方策につきまして、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

太田芳枝労働省女性局長

○太田(芳)政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、労働省では、女性だけではなく、男女労働者が仕事と子育てを両立できるように支援していくということは重要な課題であるというふうに考えて、種々施策を進めているわけでございます。例えば育児休業、介護休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境を整備するとか、それから育児や介護をしながら働き続けることのできる環境整備をするというようなこと、またさらには育児、介護のために退職した方に対する再就職の支援をするというようなことをやっておるわけでございます。  中でも、先ほどの能勢先生の質問にもございましたが、事業所内の託児施設につきましては、少子化の中で一つのテーマであるというふうに考えておるわけでございまして、ここについては、予算の厳しい中でございますけれども、充実を図っていきたいと考えておるわけでございます。  特に、十年度以降、例えば時間外の延長をそういうところで行っていた場合とか、それから病気になって体調不良の子供などが出た場合にもその事業所内で託児ができるような形での助成金の拡充等を行っていきたいというような形での充実を考えているところでございます。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 大体そういうふうな施策を考えておられるということはわかっておるのですが、具体的にちょっとお聞きしたいのです。  現在の世の中は、だんだん変えつつあるわけでありますけれども、やはり男が働いて女性が家庭を守るということを前提にした制度がたくさん残っておるわけであります。税金の制度、それから年金制度、それから各企業などがやっておりますフリンジベネフィットの制度、これらではやはりまだまだ従来の方式が残っておるわけでございまして、これらを労働省としてどのように提言をし、男女共同参画社会に向けてのビジョンをつくっていくかということについて御質問したいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 これは、大変日本社会の将来にかかわる大きな問題を今先生は提起をされたと思います。  例えば、家族というものの価値をどう考えるのかということは、労働省だけではとても処理できない。これは、アメリカやイギリスでも、例えば共和党と民主党、労働党と保守党の間で大きな意見の分かれるところでございまして、これを先生と議論し始めると多分もう何十時間という時間になるだろうと思うのです。  当面、私は、日本の社会の現実の中で、女性と男性とが役割分担を固定化するという概念は少しずつやはり崩れていかざるを得ないだろうと思うので、そこのところはよく私どもも現実として認識をしながら、そして、どちらかが子育てをし、どちらかが介護をするときに、しやすいやり方を考えていくための政策をつくっていくということだろうと思います。  例えば具体的なことを言えば、それじゃ働きに出ている女性については、主婦を務めている女性と相続権は同じにしても、働きに出ておられる方で扶養家族じゃない方の相続の免税はどうなるのかとか、いろいろな問題がこれから出てくると思うのですね。  ですから、実は省内でもいろいろな検討はさせておりますのですが、ちょっと大き過ぎる問題でございますので、生煮えのままで発表することはちょっとお許しをいただきたいと思うのでございます。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 確かに、国全体が考えていかなくてはならない問題でありますから大きい課題ではありますけれども、働き方というふうなことでかかわってくる課題でございますから、やはり労働省なり、また労働にかかわります人たちが情報を発信していかなくてはならないんじゃないかというふうに思いますので、少々時間はかかりましても大いに議論をいたしまして、そして、いろいろな省庁にも、また社会全体にも働きかけていく必要があるのではなかろうか、そういう時期に今来ているというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、女性の問題をまた続けてお聞きしたいわけでございます。昨年の労基法の改正で、深夜業の女性の保護規定について撤廃をするとか、また年間の超過勤務につきましても労働時間の規制を撤廃するというようなことをやったわけでございますけれども、やはり問題は、これは女性の規制を撤廃をするということだけじゃなしに、男女が共通してどういう働き方をするのかということを、現在の日本の経済力なりまた外国との競争力ということも考えなくてはならないかもわかりません、そういうふうなこともいろいろ考えてこの労働時間の問題というのは考えていかなくてはならないというふうに思っております。  例えば深夜業にしましても、医学的にはサーカディアンリズムというふうな言葉があるというふうに聞いておるわけでございますけれども、日中リズムとも訳されておるようでございますが、血圧とか体温が日中は高くて夜間は低いとか、脈拍とかホルモンの分泌などにつきましては昼間は多いけれども夜間は少ないとか、このリズムが崩れると循環器の疾患を発病したり、睡眠時間が不足をして精神系の疾患に陥るとかいうような健康悪化のおそれもあるというふうなことが医学的にも言われておるわけでございます。  人間は、昼働いて夜は睡眠をとるとか、団らんをとるとか、休養するというのが原則でなくてはならないんじゃないか。と言いながら、やはり深夜に仕事をしなくてはならない職務も今現在たくさんあることも認めながら、やはり原則的には深夜業というものをできるだけ少なくしていく。そして、どうしてもそれをやらなくてはならないという場合には、やはり労働時間を通常の時間よりも短くするとか、健康管理も男女ともにきめ細かくやっていくとか、仮眠場所などの確保などにつきましても充実する。例えば均等法の関係から見ますと、男女が一緒に深夜業をやるというふうな場合には、男女別にそういう施設をちゃんと整備していただくというふうなことも必要になってくるでしょうし、また、家庭責任とか健康の問題なども考えながらシフトを変えていくとか、非常にきめ細かなそういう施策も必要になってくるんじゃなかろうか。そして、男女ともに労働時間も短縮をする、深夜業もできるだけ減らしていくというような施策が必要なのではなかろうかというふうに思います。それらについても、大臣の御見解を聞かせていただければと思うのです。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 ただいま御指摘のございました労働時間の短縮あるいは深夜業の問題についてお答えを申し上げたいと存じます。  まず、労働時間の短縮については、先生御指摘のとおり、いろいろ家庭生活と仕事を調和させていく上でも大変重要な課題でございまして、私ども、ここ十数年、四十時間制の実現等を軸に進めてきた課題でございます。  ここ十年をとりましても、年間の総労働時間が二百時間を超える短縮を見てきているところでございまして、今後、四十時間制のさらなる定着、あるいは、現在御提案申し上げております労働基準法の改正案の中で、長時間の残業につきましても新たにその上限に関する基準というようなものを定めて労使にこれを守っていただく、そういう仕組み等を通じて、あるいは年次有給休暇の付与日数をふやしていく、こういうことも御提案申し上げておりますので、そういったことをぜひ活用しながら、さらなる労働時間の短縮を進めてまいりたいと思っております。  それから、深夜業についての御指摘でございますが、深夜業については、先生も御指摘ございましたように、生産技術上必要な分野に限らず、例えば社会生活の維持、そういった公益上の必要性、あるいは、グローバル化した現在、いろいろな世界の市場あるいはいろいろな動きに対応して経済活動を続けている金融あるいは報道、通信、そういった分野、あるいは国民生活上その利便のために欠かせない分野等々、さまざまな分野でこの深夜業務が不可欠になっていることも事実でございます。  しかも、そういった分野での深夜業は、業態、業種によってさまざまな態様で行われておるわけでございまして、私ども、画一的な対応というと大変難しい。まずもって、先生御指摘ございましたシフトの編成なり変更等も含めて、労使の間で業態、実情に合ったルール設定というようなものをやっていただく。さらには、雇用機会均等法の改正とあわせまして、家庭責任を持つ方については深夜業の免除制度を設けておりますので、そういったものが利用しやすい職場環境というものをつくっていく、こういうことがまず肝要かと思っております。  ただ、昨年の十二月に私どもが三者構成の中央労働基準審議会から提出を受けました建議におきましては、こういった深夜業の問題につきまして、健康への配慮あるいは経済活動や国民生活の態様の変化等を十分見きわめながら、今後過度の深夜業に対してどのような対応策が可能か引き続き検討を深めていくべきだ、労使の間でも一致したこういう建議を受けておるわけでございまして、そういった検討結果も踏まえて、今後対応について詰めてまいりたいというふうに思っているところでございます。  ただ、現在の時点でも、労働安全衛生法上、深夜業に常時従事する方については年二回の健康診断、あるいは深夜業に配置がえになった際の健康診断というようなものを義務づけまして、さらにその結果に基づいて、必要があれば作業の転換あるいは労働時間の短縮、そういったことの措置を事業主に義務づけておるわけでございますし、そういったことについても十分履行の確保に万全を期しながら、深夜業という問題につきまして、健康への問題も十分配慮しながら対策に万全を期していきたいと思っております。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 ぜひともさらにきめ細かな施策を早急にやっていただきたい。特に、女性保護の規制につきまして撤廃されておるわけでございまして、施行に際しましては、その時点では完全にそういうふうなことが実施されておる、こういう状況をぜひともつくっていただきたいと思っております。  次に、先ほどから少子・高齢化という問題がございますけれども、これが今後経済に大きな影響を与えてくるわけでございまして、高齢者と女性の労働力としての活用といいますか、そういう面で、女性の問題については、できるだけ働きやすい環境をつくっていただきたいということで、先ほどからも質問を若干させていただきました。  高齢者雇用の問題で、特に総務庁の調査では、中高年者の人たちでは六三、四%の人たちがやはり六十五歳ぐらいまでの雇用を望んでおる。さらには六十歳以上の人では五二・六%。六十歳以上でありますからもう働きたくないという人もおられるのじゃないかと思います。しかし、こういう中高年者の方々の調査では、六〇%以上が定年後も働ける継続雇用というものを望んでおる、こう言われておるわけでございます。  特に四十歳-四十四歳ぐらいの人たちは、厚生年金も六十五歳からしかもらえないという現実がありますから、余計六十五歳ぐらいまでは働きたいというニーズが高いようでございまして、四十歳から四十四歳までの人は七二%の人が仕事をしたい、こう言っておられるわけでございます。  そういうことを考えますと、高齢者の人もそういうニーズがある、そして国全体としてもその人たちをいわゆる労働力としてこれからも活用していく、さらには厚生年金なんかの受給関係をさらに良好に保っていく、こういう面からも大いに活用していただくということが大事だと思うのです。  でも、まだまだ経営者の間では、六十歳定年をようやく達成したところだから六十五歳まではなかなかという声もあるようでございます。そう言っておる経営者がもう七十とか七十五とかの人が多いわけでございまして、時々経営者団体なんかに行ったときは嫌みを言うわけでございますけれども、やはり一日も早く六十五歳ぐらいまでの継続雇用というものが実施されなくてはならないのではないか、こう思っておるわけでございます。  先ほども、これから高齢者の人口がどんどんふえてくるというようなお話もあったわけでございますが、当面は、とにかくもう間もなく、二〇〇一年からですか、六十一歳になり、それから三年ごとに一歳ずつ上げていくということでございますから、私の場合はまだいいのですが、私より少し若い人たちからは大変これは影響してくるわけでございまして、やはり早急に六十五歳までの雇用というのは、生活という観点から見ましても必要になってくるのじゃなかろうかというふうに思っておるわけでございます。これは、女性の活用とともに、やはり高齢者の活用ということを本当に真剣に考えなくてはならない、こういうふうに思っておるわけでございます。  ただ、やはり働き方という面では、六十歳ぐらいまでと違ったいろいろなメニューが必要になってこようかというふうにも思っておるわけでございますけれども、そういう中で、やはり不安定な雇用であったり、また過重な労働が強いられるというふうなことのないような、そしてその中で女性も高齢者も活用ができるというふうな環境をつくっていかなければならない。それらについての労働省としての御決意をひとつお願いをしたいと思うわけです。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 今先生お述べになりましたように、日本は少子化社会でございますので、あと十五年か二十年すれば、日本経済の最大のボトルネックは実は労働者になるわけですね。そこを埋めるのは、高齢の方にお願いをして、もうこれは引く手あまたになると思うのですが、お願いをして働いていただくか、女性にもっと社会に進出していただくか、外国から労働者を入れてくるか、この三つなのです。特に三番目のものは、経済原則を超えた大きな国家としての基本的な問題に行き当たると私は思いますので、最初の二つを先生が御指摘のように重点として考えていかねばならない。  問題は、二〇一三年に厚生年金が六十五歳支給というお話がございましたが、やはりここ十年、十五年の間の問題なのですね。この間にできるだけ経済を拡大して、そして六十歳定年と言われる方を何らかの形で六十五歳、場合によっては七十歳まで働いていただく。働いて所得を持っておられる方には年金の支給はどうするか。そして、働いている間御遠慮なすった方には将来倍返しをするような制度を考えていくとか、そういうことがやはり必要だろうと思うのです。  ですから、基本的には、日本経済をやはりここ十年ほどは成長過程に乗せていくということが基本であって、その中で、六十歳で一度切るならば、何らかの形で六十五歳、七十五歳まで希望しておられる方は全員継続雇用の形をとってくる。あるいは、企業じゃなくて公共施設において、例えば介護、ボランティア活動的なもの、社会文化的なものでの働き口を見つける。また、見つけるためには、それらの方に給与をお払いできるだけの財源、つまり税財源を公共機関が持つだけの日本経済でなければならないわけですから。  私も事あるごとに先生と同じように、もう七十幾つにもなった相談役か何かが化け物みたいに会社の経営を聖断しておりながら、六十でやめさせるというのはちょっとどうなんだというようなことを時々申し上げたりして、今やっと、やっとという表現はまたしかられるかもわかりませんが、何らかの形で六十五まで働けるような仕組みをつくってくだすった会社は約八〇%ございます。  ただ、残念ながら、希望しておられる方がすべて六十五まで働いておられる会社は二〇%しかありません。したがって、これを定着するために、まず経済運営に万全を期す。経済が大きくならないのに企業に無理強いをしたら、企業は必ずつぶれて、本当は働く人たちの働き場がなくなりますので、総合的な大きな問題でございますが、一生懸命取り組みたいと思っております。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 ありがとうございます。  今も経済の活力を増していく、規模を大きくしていくというふうなことも大切だという大臣のお話を伺ったわけでございますけれども、私も何十年も人間をやっておりますから、今までの経済の状況などについては把握をしておるつもりでございます。この十数年の間に、例えばバブル経済が起こったり、そしてそれが破綻して今大変な苦しみを味わっておるのですけれども、やはり日本の国というのは、資源を輸入して、物をつくって、それを販売をして成り立ってきた国であります。  いろいろな国のあり方はあるでしょう。シンガポールみたいに金融とかそういうものを中心にしながら国を成り立たせておるところもあるでしょうし、軽工業中心で、まだこれから立ち上がっていくというふうな国もあるでしょう。日本みたいにこれだけ大きな国になって、総合的な経済力を持っておる国において、あのバブル期のように、もう物づくりは終わった、だからそういうようなものは発展途上国のコストの安いところで物をつくらせて、企画をしたり、また販売をしたり、あとはいろいろな証券だとかそういうもので、我々から言わせたらマネーゲームだ、こう言うのですが、そういうことをやってきた結果が今の状況になっておるわけでありまして、やはり物づくりということを忘れるといけないなというふうに私自身もその当時からも言っておったわけでありますが、今その実感をしておるわけであります。  そういう反省からしまして、私は昨年のこの委員会でも、物づくりを大切にする、そういう施策というものを労働省としても十分考えていただきたい、こういうことで、特に中小企業の集積しております産業における地域雇用の問題でありますとか能力開発の問題でありますとか、そういうことを取り上げさせていただき、また法律でもそういうことで出していただいておりましたから、これについての議論をしてまいったわけでございますけれども、しかし、やはり物づくりというものを考えたら、もちろん通産省の施策もありますし労働省の施策もあるのですが、それだけでは不十分じゃないかと思うわけですね。  例えば、バブル期には、大学の理工系を卒業しましても、そういう製造業に行かないで銀行や証券会社に就職をするというふうな例が往々にしてあったわけでございまして、むしろ製造業の方は人材確保できないということで嘆いておったわけでございますが、やはり、バブルがはじけた結果、非常にそういう状況を反省しなくてはならないという環境は今できつつあるわけであります。  しかし、じゃ製造業で働いている人たちがそれなりに正しく労働評価されておるのかということになりますと、必ずしもそうではない。先日来、銀行の労働条件などについてもいろいろ言われておりますけれども、製造業なんかに比べますと、賃金も、退職金やそういうものでも大きな格差があるという実態が出てきておるわけでありまして、やはり物づくりが大切であれば物づくりをしておる人間に対してのちゃんとした評価がなされる、そしてまた、物づくりすることが非常に大切なんだ、そういうことを学校教育や家庭教育で教えていくということも大切でございます。そういうことを教える先生だとか教員だとか、それから両親だとかというものがそれをきっちり教えていくというふうなことを考えますと、やはり通産、労働、さらには文部、この三つにまたがってこれらの施策をやっていただかなくてはならない。  そういうことで、ものづくり基盤技術振興基本法というのを今議員立法で出そうとして努力をしておるわけでございますけれども、そういうことにつきまして、労働省の方としての、労働省といっても役人じゃありません、政府の、特に大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 今先生がお話しいただいたことについて、私は全く同意見でございます。金融であるとか通信とかサービスというものの重要性は私は決して否定はいたしませんが、これは物の生産活動が大きくなるに付随して出てきているものであって、根本がなくなってしまって、それから生まれたものだけが残るなどいうことはあり得ないことであると思っております。  いわゆるものづくり基本法案というのも読ませていただきましたが、私は一政治家としては大変共感を持っておりますが、ここに書いてございますような技能の開発でございますとか、あるいは職業教育的なものは今各省で、こういう法体系のもとではありませんが、いろいろやられているわけですね。これをさらに充実をしてやっていきたいし、もう一つ、物づくりという観点からはやや離れるかもわかりませんが、人づくりというか教育改革というか、これが私はやはり基本的に大切だろうと思うのです。  鍵田先生も私も同世代だと思いますが、終戦直後から今日の日本経済の繁栄と、その果実を使った行き届いた、世界に類を見ないような諸制度と生活水準の向上を果たしていただいた根本は、やはり私は、明治維新以降の教育、あるいはそれ以前の商人道、武士道、たたき込まれていた日本人の自助、自律、自己責任を全うする気持ち、あるいは公に尽くすというその責任感、そういうものを諸先輩が利用して今日をつくってくださったと思います。  昔は、鉛筆を削り、おはしで御飯を食べていたのが、鉛筆も削れないし、おはしも持てないということから、だんだんだんだん手で物をつくるという器用さ、技術というものが衰えてきて、それが実は先端産業を支える一番大きな力を失わせていると私は思いますので、与野党間でこの法案をどういうふうにこれから扱ってくださっていくのか、一政治家としては大変共感を持って読ませていただきました。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 あと時間が五分ぐらいになってまいりましたので、ちょっとまとめて御質問したいと思います。  まず、人事院が先日発表しました国家公務員のセクハラの問題がございましたね。何か公務員も結構多いようでございまして、こういうことにつきまして、これはもちろん人事院があれされることで、労働省としては直接は公務員のセクハラ問題にはタッチされないのかもわかりませんが、しかし、均等法を通じて、労働省としてこのセクハラ問題について取り上げてずっとやっていただいておるわけであります。特に、職場におけるセクハラ問題について取り上げてやってきていただいておる関係上、公務員の問題についていかが考えておられるかということ、どのように対処されようとしておるのかということが一点。  それからもう一つは、今国会に、法務省の所管でありますけれども、司法試験法の問題がございまして、ここで労働法が今まで選択科目の中に入っておったのを外すというようなことが報道をされておったわけでありますが、我々としては、こういう法案が出てくるというのは非常に寂しいな、でも寂しいだけで済むのかなという気がするわけなんですね。  やはり我々としましては、労働法というのは今まで、社会の弱い立場にある人たちを保護する、そういうものと、労使関係を安定をさせて、それがまた日本の経済の発展にもつながってきたというような側面もございます。そういう面から見て、社会の中の重要な法案として、これはぜひともこれからも司法を志す人はこの問題について研究もしてもらいたい、勉強もしてもらいたいと思うわけですけれども、この二つについて簡単にひとつ。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 まず最初の問題については、官公庁の労務管理というのは、御承知のように労働基準法等の範囲外の人事院の問題ではありますが、そういうことは別にして、これは何も女性がセクハラを受けるというのではなくて男性が受ける場合も当然あるわけでありまして、お互いに、職業上の立場を利用して異性に対してその個人の尊厳を傷つけるようなことは、当然あってはならないと私は思いますし、我々自身も実は特別公務員でございますから、我々の仲間からもそういうことのないようにぜひしっかりといたしたいと思います。  それから、労働法制の問題については、御承知のような事実があるということを私も事務局から伺いました。いろいろ法務省に伺ってみますと、従来選択必須科目というものにしておった刑事訴訟法と民事訴訟法の双方を必須科目、必ず試験に出るというのにしたので、受験者の負担を緩和するためというような理由を申しておったようでございます。  しかし、先生のおっしゃったのと全く私も同意見で、これから労働法規というものの重要性は決して少なくなることはございませんので、合格をした人が法曹界に出ていかれる前に、司法修習生としての研修がございます、この際に必ず労働法規をきちっと教えてもらいたいということを申し入れて、法務省としてもその趣旨にのっとって努力をいたしますという回答を得ております。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 もう時間が来たようでございますのでこれで終わりますけれども、やはり労働行政だけではないと思います、いろいろな行政につきましても、私は、人間というものがこうしてこの世に生まれて、そして生活をしておるということは、やはり自分自身は幸せになりたい、こう思って努力をしておるわけでございまして、そのことにつきましては、これは男女、そして年齢、また国籍、そういうもの関係なしに、みんなが本当に幸せになりたい、また自分の家族を幸せにしたいと願って働いておるわけでございます。この権利は絶対にだれからも侵されてはならないものだと思っております。  そういうことを考えますと、やはり人間性の尊厳、人間の尊厳ということが、いろいろな施策をやる場合に一番基本ではないか、これを外して施策をやられるとそこに混乱が起こってくるわけでございまして、今後、労働法をいろいろと改正をする場合にも、まずこのことを忘れないで、社会的な弱者の人たちを守り、そして人間性の尊厳を大切にした、そういう政策をぜひともやっていただきたい。  そういうことで、特に法律は弱者の人を救済をし、保護していく、そのことが大切である。特に労働基準法なんかはその最たるものだと思いますので、一言大臣の所見を聞かせていただいて、終わります。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 私、再三御答弁の中で申し上げておりますように、労働力というのは経済の大きな要素でありますが、人間であるという基本をしっかりとわきまえてやりたいと思いますし、経営者や労働組合の大幹部の尊厳ではなくて、働く人の尊厳を守るために努力をさせていただきます。

鍵田節哉民友連

○鍵田委員 ありがとうございました。

田中慶秋民友連

○田中委員長 次に、中桐伸五君。

中桐伸五民友連

○中桐委員 民主党の中桐でございます。  まず最初の質問といたしまして、雇用政策について、大臣を中心とする今後の政策の基本についてお伺いしたいというふうに思います。  私は、日本の経済の構造改革あるいは経済政策に関するある私的な研究会に参加をしているわけでありますが、そこで今議論されていることは、今の橋本内閣が行ってきました経済構造改革、財政構造改革の今日の現状の中で、このままびほう策を続けていくとするならば、失業率が、現在三・七%であるところが約倍近くふえるのではないか、そして企業倒産がサービス業にも拡大をし、相当数の企業の経営の危機が進行するのではないか、そういうここ数年の見通しが議論をされております。  日本の失業率統計は、ヨーロッパ等と比べますと統計のとり方が違うということでありますから、ざっと見て約二倍ぐらいの見当で見る必要があるというふうに私は理解をしているのですが、そういうことになりますと、失業率が一〇%台に達するおそれが十分にあるという議論をいたしておるところであります。  一方で、雇用状況というものが、サービス産業など産業構造の変化ということに伴い、また、今日までの開発中心型の先進国へのキャッチアップのシステム、そういうもので高度な経済成長をし、さまざまな企業の中における雇用対策においても、全体のパイの拡大の中で問題が吸収されていた雇用情勢が大幅に変わってくる。つまり、昨年の経済成長が〇・七%という数字が出されたようでありますが、ことしも一%前後の成長しか望めないのではないかという予測が出ているということから見ましても、安定した経済成長とはとても言えない状況が今ありますから、そういう中で、雇用政策というのを一体どのように位置づけていくのかということは、これはもう日本の将来の、安心できる社会が築き上げられるかどうかという非常に重要な分野であるだろうというふうに認識をいたしております。  そういう意味において、今日の雇用情勢というものについて労働大臣はどのようにお考えになり、どのように現状を評価されておるか、まずお聞きしたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 先般来の同様の御質問にもお答えを申し上げておりますように、現在の雇用状況は、先生は三・七とおっしゃいましたが、これは男子労働者三・七という意味だろうと思いますが、失業率や有効求人倍率から見ましても、日本の従来の数値から見れば大変厳しい状況にあるということは、労働行政を預かる者として十分認識をいたしております。  そこで、当面は景気状況によって雇用というのは左右されるわけでございまして、では三・五になった経済悪化の原因は何だということを突き詰めて、その病巣を取り除かねばならないわけですから、これは橋本内閣の財政構造改革云々というお話がございましたけれども、六つの改革を掲げておりますが、財政構造改革法案というのは国会で通していただいてその予算を組んだけれども、まだその予算を衆議院を通過させていただいておりませんので、財政構造改革の基本的な考えにのっとった施策というものは、実は実際はまだ動いていないということなのです。それから規制緩和と自由化は一部進んでおります。それから金融改革はかなりの部分進んでおります。それから社会保障改革については、医療費の改定等を先取り的にはやややったということで、その何分の一かの部分が実現された。  では、なぜ今日景気が悪くなったのかといえば、それはむしろ、バブル期にうけに入り過ぎたとがが金融機関に来て、その金融機関の渋りのために、まじめに働いている企業や中小企業はみんな困ってしまっているというのが私は今の現状だと思います。  したがって、金融二法を通していただいて、きょうの閣議でやっと資本注入ということの閣議決定が四行について行われたわけですから、これらの金融機関の融資が潤沢に行われることによって中小企業等に安心感を与えて、不安が不安を呼び、信用不安が実物経済の不安にならないような体制をつくれば、私は、現在の雇用状況というのは、先生とはやや違った動きをしてくるのではないかと見ております。

中桐伸五民友連

○中桐委員 ここは大蔵委員会とか予算委員会ではありませんので、経済政策あるいは金融政策の細かい各論を議論するつもりはございませんが、問題は、今大臣がおっしゃったように、バブルのときの処理という問題、バブルの影響ということを言われたのは全くそのとおりであります。しかし、バブルの前までの高度経済成長のときに一体どのような雇用政策なりあるいは社会資本の整備が行われてきたかということが、実は今日の少子・高齢化社会の中での、いわば少子化の問題に対する社会資本の整備、保育所の整備であるとかそういったものを含めた社会資本の整備、あるいはコミュニティーのビジョン、都市計画、そういったものがどうなのかということが、実は今の少子・高齢化社会の極めて重要な問題になっており、かつ、いわゆる企業とその中で働いている働き方というものとを大きく規定する問題だろうと思うのです。その点についてはちょっと別に後ほど時間があれば議論をしたいのです。  先ほどの雇用政策の問題でありますが、いずれにいたしましても、先進国と言われているG7のいずれの国においても、安定した経済成長というもの、三%前後の成長率の経済成長というものを確保する必要がある、それが完全雇用というものを実現していくためには必要だというふうに私は考えるものであります。  その際に、雇用政策とは一体どのような形で位置づければいいかということになると思うのでありますが、私は、これから日本も成熟社会に入っていくというふうに認識をしている。その成熟社会というものの働き方、そして雇用という問題を考えてみたときに、日本の場合は極めて短期間で高齢化が進行した。そして、いわば労働力の大都市集中型の、ダイナミックなというか大規模な労働力の移動が短期間に行われた。そういう中で、少子化が進むということもあって、そしてまた産業構造が極めて大きく変化してくる、サービス経済化してくる、そういう中で雇用形態は極めて多様な雇用形態を現出しておって、そして、先ほど物づくりの話がありましたが、いわゆる製造業を中心とする雇用構造がこれまた非常に短期間に大幅な変化を来してきた。  そういう中で一つ言えることは、非常に雇用が多様な形態をとってくるようになってきた。その多様な雇用形態、特にサービス業を中心とした多様な雇用形態の中で、女性の参入が中心となりながら、女性労働者の新たな問題といいますか女性労働者の要求というものにどうこたえていくかという問題が一つ起こっているだろうというふうに思います。  それからもう一つは、高齢化が進行する中で長寿化が進んできて、安定な生活の確保というだけではなく、新たな生きがいというものを求める高齢者の要求、こういったものにどうこたえるかということになってくるのではないかと思うのです。  その中で、安定経済成長を確保するためには、男女共同参画社会のプログラムを実行しながら女性労働者が社会に、職場に参加をすることが不可欠だと私は思いますし、また、高齢者の雇用が、六十五歳までといわず七十歳まで、あるいはそれ以上に働ける人は働くという、しかもそれは単に生活の糧を求めてというだけではなく、生きがいということも含めての雇用の場を確保し創出していくということが必要だろうというふうに思います。     〔田中委員長退席、河上委員長代理着席〕  そう考えますと、いわば経済成長という形でのいわゆる労働力の確保というか、そういう意味での量に着目した雇用創国策、これは極めてドラスチックにやらなければいけないのではないか。その際、これは労働大臣だけではとてもできないことでありますが、しかし、例えばアメリカがやっているように、情報戦略を重点的にやることによって新たな経済政策でもあり雇用の創出であるというふうな形、あるいはさまざまのベンチャー企業の創国策、そういったものがアメリカの経済活性対策と同時に雇用創国策として行われてきているだろうと思うのですね。  そういう中で今度の予算を見てみると、ベンチャー企業、特に中小企業を中心にしたベンチャー企業の対策のための財源確保であるとかそういったことが行われているということはわかるわけでありますが、いわゆる雇用の創出という観点からいったときの全体の経済政策というもの、これとの関連で、労働大臣を初めとする労働省は、一体どのようなビジョンで、つまり、ベンチャーの対策もさることながら、全体の経済戦略、例えば情報通信産業の活性化とか、そういうものを含めた経済政策との関連で雇用創国政策をどのように考えているのか、その点について御意見があればいただきたい。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 大変重要な御指摘であろうと思います。  私が労働大臣を拝命いたしまして、労働省に参りまして受けた第一の印象は、何と経済政策に対して発言をしない役所だろうかということでした。  先ほど来申し上げておりますように、中長期的にはニュービジネスをつくり出すことによって雇用の受け皿というのはできますし、短期的には経済運営に対してある程度の発言権を持って発言をしない限りは、有効需要を動かすことはできませんので、雇用というものは確保できません。  そこで、御指摘のように、私も経済関係閣僚会議その他、公式、非公式に党や関係大臣にはいろいろなお話を申し上げておりますが、労働省の予算の中にそれがどう出てくるかというのは、人の面の援助としか出てまいりません。  従来、お話しになっておりましたように高度成長時代の公共事業費の使い方等にかなり問題があって、今ようやくPFIという民間資金の導入ということが言われています。これは、財政で直接やれば十兆円なら十兆円のお金が要ります。しかし、民間から資金導入をして、今利子が仮に三%といたしますと十兆円に対しての利子は三千億でございます、三千億だけは一般会計で負担をして、十兆円の仕事をやらせる。  具体的に言えば、この前から大きく取り上げられたアクアラインですね。それから関西空港。今そういう中で企画されておりますのが中部空港。これからは今先生が御指摘になりましたような、これは収益が伴わないとできませんので、通信とか、あるいは生活環境、例えば古くなった公営住宅の建てかえとか、こういうところにかなり重点を置いた施策が考えられていくということは、我々も閣僚の一員としていろいろ意見を申し上げたりした中で感じていることでございます。

中桐伸五民友連

○中桐委員 いわゆる雇用創国政策というものに労働省が積極的に発言をするということ、今の大臣の立場を私非常に評価させていただきたいと思うので、ぜひそういうふうに今後進めていっていただきたいというふうに思うわけです。  もう一つは、私も医者出身なんですが、予防医学をやっておりまして、例えば失業保険ということ一つを考えてみましても、これは、市場のルールのもとで自己努力も含めて切磋琢磨していく、その中で市場の欠点としてそこに弱者というか脱落者を生み出す、そういうものに対するセーフティーネットという形のいわば貧困救済的雇用対策というものがこれまでの重点ではなかったかというふうに私は考えるわけであります。  しかし、私は、医学でいえば予防医学でありますが、経済政策というものと労働政策、その一つの雇用政策、これを結合させて、より積極的な-失業保険によって所得の再分配でセーフティーネットで守る、そういういわば後手後手の、ある意味では受動的といいますかそういうふうな雇用政策というものから、もちろんその要素は必要でありますが、そういうものではなく、基本的には市場のルールというものをきちんと公正な形で運営していくということと同時に、先ほど言いましたような雇用情勢、雇用状況が大幅に流動化する社会、これは成熟社会の一つのあらわれだろうと思うのでありますが、そういう中で、例えば今日まで重点的に行われた、医療でいえば対症療法的な、援助の手を差し伸べる、そういう政策から、これからは、市場のルールの中でさまざまな脱落、雇用のミスマッチングが起こる、そういうことに対して敏速に対応して、人間百人いれば百人十色ですから、その百人十色の労働者が自分のよりよい、マッチできる職場を確保できる機会を提供するためにはどうしたらいいのか。つまり、より積極的な雇用政策というものに変えていく必要があるのではないか。つまり、私の考え方で申し上げるならば、よりよい条件の雇用創出をするためには、経済政策の観点から雇用政策をきちんと位置づけなければいけない。  しかも、先ほど労働省は、いわゆる一人一人の労働者のための対策という形に重点があった。それはそれでまた必要なんだけれども、それは雇用保険を何とか収支をうまくやっていればいいというものではなくて、一人一人の労働者が自分の個性をフルに発揮できて、気がついていない自分の能力を気がついていく、それを伸ばせられる、多様化した仕事の中でその仕事をこなし得る能力を持った労働者を育成するというかサポートする、そういう政策。つまり、狭い意味の経済政策と労働政策を結合させる、そういう政策が私は必要なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 全く御指摘のとおりだと思います。  先ほど来、雇用創出の経済政策というお話も絡めて、ドクターでいらっしゃる先生にこういう例を持ち出して御答弁を申し上げるのは失礼かもわかりませんが、失業保険というのは熱が出たときに飲ます解熱剤のようなもので、職業開発訓練だとかなんかというのはいざというときに備えるためのビタミン剤のようなもの。しかし、基本的に大切なのは基礎体力をしっかりとしておくということで、これは日常の健康管理なんですね。その健康管理の最大のものは、先ほど来お話しになっている、マクロの経済政策に対して労働省としてどれだけの発言権を維持するかということ。  それから同時に、その発言権を維持するためには、雇用だけを大きくするのなら幾つもの答えが簡単に出てまいります。消費だけ伸ばすというのなら幾つもの答えが簡単に出てまいります。しかし、政府をお預かりしているというのはやはりホームドクターのようなものであって、あらゆるXYZのすべての方程式の共通解を求めねばならないので、労働ということだけを考えていらっしゃる方からは手ぬるいという批判を受けますし、消費ということだけからの観点の方はこんないい制度があるんだとおっしゃいますが、全体を見ている、健康管理をしている医者というものはいろいろな目配りが必要であって、その目配りをする中で、雇用確保という面からどう発言ができるかというのが労働省の値打ちだろう、私はこんなふうに思っております。

中桐伸五民友連

○中桐委員 労働省は個性を発揮していただきたいというふうに思います。  雇用政策の中の経済政策ということのもう一方の分野の労働者の個々人の能力育成政策といいますか、そういったものを少し議論してまいりたいというふうに思うのです。  先ほど言いましたように、雇用保険というシステムを基本にして日本の雇用政策というのが制度としては機能してきたというふうに考えるのでありますが、その雇用保険という制度、この制度の各論に入るのは今回はやめまして、今日までの日本の労働者の能力の開発、育成の仕組みというよりも、歴史的な今日までの仕組みというものを考えて、その仕組みを、何を変えなければいけないのか、何をいい点として継承しなければいけないのかということを、今やはり二十一世紀直前、成熟社会の中で考えてみる必要があるのではないかというふうに思います。  私のいろいろな文献の調査によれば、先ほど何人もの質問者の方が話をされた中でも大臣が答弁されておりますが、日本の終身雇用制というものが、よく、日本の経済的ミラクルというふうなもの等も含めて、コーポレートガバナンスとかいろいろなことで議論されているようであります。一概に日本の終身雇用制というふうに簡単に言えない点があるのではないかというのが国際比較の中で簡単に出てくるのでありますが、なぜか終身雇用で日本の勤続年数が長いのだというふうな認識が一般化しているとすれば、そこでは議論をきちんとやらなければいけないのではないか。  これは、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスと日本の平均勤続年数を比較した、年次は一九九三年のOECDのレポートですからやや古いとも言えますが、しかしそう大幅に変化はないだろう、そうしますと、日本は全体で十・九年、それに対してドイツ、フランスは十・四年、十・一年ですから、日本は長いといってもドイツ、フランスとはほぼ同じレベル。アングロサクソン系のアメリカ、イギリスが六・七、七・九と、イギリスがちょうど日本、ドイツ、フランスとの中間にあって、アメリカが一番短い。先ほど労働大臣が、アメリカナイズされる、アメリカの仕組みをそのまま持ってくるということについては賛同しかねるというのは、そういう意味で言えば、非常に平均勤続年数が短いという、雇用が最も流動する先進国の一つだろうというふうに考えていいと思うのです。  そういうことが平均値からわかるのですが、これを大企業と中小企業に分ければ、大企業は十三一六で、中企業が十・四で、小企業が九・二と、極めて大企業が長いのであって、これはちょっと外国の分析データがないのでわかりませんが、中小企業は短い。しかし中小企業の数が多いですから、結局そこの平均値になるということであって、つまり、そんなに勤続年数が日本で長いというのは、平均的な労働者の姿というよりも大企業の問題です。  そこで、これまでの職業能力開発というものが中小企業の場合にどういうふうに行われてきたのか。そして、これから特に日本の場合の職業能力開発というのは、まだ十分な情報が全部私の頭にインプットされておりませんが、職業能力開発というのは、一応企業、その雇用者、労働者と両方が拠出した相互の負担で職業能力開発が行われ、かつ特に日本的コーポレートガバナンスからいえば、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを初めとする企業の中の人材育成システム、別の言葉からいうと、労働能力の育成という点での汎用性という点が低いのではないかという問題、この問題が実は今雇用が流動化を激しくしている中で、雇用能力の開発をするときに汎用システム、つまり汎用的な雇用開発能力システムをつくろうとしているのか。  つまり、多分これから安定経済成長ができるとしても、三%前後の成長だとすると、これまでのように企業が企業内で職業能力を開発するというウエートが保てるのかどうか。そして、それは大企業と中小企業では違うと思いますから、そのあたりの、つまり平均的な雇用能力開発じゃなくて、大企業の変貌とそれから中小企業というものにおける雇用能力開発というものと、これまでの日本が労使の負担でやってきた雇用能力の開発、それにやや財政的に税が投入されているということがあったとしても、ベースは労使だと思うのだけれども、そこらあたりは今後どのようになるか、またどのようにしたいと思うのか、その点をまずお聞きしたいと思う。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 雇用保険等を通じまして具体的にどのような施策を行っているかというのは後ほど政府委員からお答えをさせますが、まず最初に、アメリカ型の雇用形態を日本へ持ってくるのは云々ということを申し上げましたのは、勤務年限が長いとか短いとかという問題よりも、基本的には経営者が、働く人たちを派遣会社との契約によって受け入れていくというものが企業の大宗を占めるというような形は余り感心しないのではないかということを実は私は申し上げたわけであります。  と申し上げますのは、今先生がおっしゃったことにも関連するわけですが、戦後先輩たちがここまで頑張っていただいて、これだけ行き届いた制度、これだけの生活水準の国をつくり上げていただいたのは、やはり大企業を中心とした終身雇用制のもとで、経営者も安心しながら技術開発の投資、職業訓練の投資をできますし、また健康診断の投資もできますし、一方、働く方たちも安心して帰属意識を持って働いてこられた、そこに明治維新以降の日本人に対する教育というものがプラスされた、こういうふうに私は思うわけです。  そして、中小企業の方たちにどのような職業訓練がなされていたかといえば、多分学校教育にプラスアルファ、ある程度のものしがなかったという、私のうちも実は中小企業の経営者なんですが、そういう感じがいたします。しかし、豊かになって行き届いた制度があるがゆえに私たちは多様な働き方を求めることが可能になり、またそのような価値観を持って行動される若い世代の方が多くなってくると終身雇用制というものも徐々に崩れてまいりますでしょうし、そのような場合に、いろいろな働き方があるときには、労働移動をやる場合の一つの大きなポイントになる職業訓練というものにある程度国が乗り出していかないといけないのじゃないかなという気が私はいたしております。  大体そのような考え方に沿って雇用保険特会を通じていろいろな施策を少しずつ積み重ねてきているということでございますので、その具体的なことについては政府委員からの答弁をお許しいただきたいと思います。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 ただいま先生、職業能力開発につきまして大変鋭い御指摘がございました。先生おっしゃるようなことがございます。いわゆる高度成長期におきましては、ただいま大臣申し上げましたように、右肩上がりの成長の中でずっと同じ企業に勤続できる、そういう中で、企業がいわば自己責任で自分の労働者についてOJTで能力開発する、こういうことが一般的に行われておりまして、これは日本的な特徴であります。これは御指摘のように、そういう意味では汎用性が非常に狭うございまして、例えばトヨタの労働者が日産に移ったら全然使えない、こういう問題があったわけでございますが、それは移る必要がなかったのでそういう訓練が行われていた。これは企業負担で行われておりまして、その負担も非常にかかる、こういう問題がございました。  それが、こういう時代になりますと、ただいま御指摘のように、非常に変化が激しくなって、あるいは労働者、技能も非常に変わる。したがって、それに対応しなければならない、こういう中での職業能力開発、こういうことになりますと、そういう汎用性の低い、コストのかかる能力開発というのはなかなか効果も少ないし、できない、こういう問題が出てまいっております。  したがって、そういう観点から、それにどう対応するかという点について、今回雇用保険法の改正法案の中で検討いたしておりますのは、むしろ労働者が積極的に、自分がどういう方向に行くかというようなことを考えた場合に、自分で能力開発できるようにする、これは事業主と関係なしに、自分が、例えば土曜日曜、あるいは夜間、あるいは通信制でもいいわけですが、そういう形で自分の能力開発をする、こういうことを支援するという考え方でございます。したがって、雇用保険制度の労使折半の保険料で賄うこういうシステムを今回の改正法案の中で検討したわけでございます。そういうシステムを活用することによって労働者が自分の能力開発する、それによって新しい職場に移り得るようにしていく、こういうことが非常に重要になってきているのではないか。  中小企業につきましては、従来も自分のところで訓練するというのはなかなか難しい問題がございまして、これは、業界の団体で共同で訓練を行うとか、あるいは、私どもの外郭団体であります雇用促進事業団が各地域で能力開発の施設を持つておりまして、そういうところで連携をとって訓練をするとか、そういう形でやってきております。中小企業の場合には一般的には汎用性は大企業よりやや広いかと思いますのでそういう形で共同の訓練をやってきておりますが、そういう訓練というのは恐らく今後も必要であろうというふうに考えております。

中桐伸五民友連

○中桐委員 この国会で雇用保険の改正の審議が行われますので、もう時間もなくなりましたので雇用の問題についてはこれぐらいにしたいのですが、雇用保険の問題の審議をするときにも、先ほど労働大臣が、政府が基本的な方向性を出さなければいけないと。公的財源をどのように配分していくかという細かい問題はさておいて、政府が何らかの形で次代に合った雇用政策というもののビジョンをつくらなければいけないということについては、これは大変急がれるというふうに私は思いますし、ちょっと名前を忘れましたが日経連も新時代のビジョンを出していることでもあり、ここはひとつやはり政治の場でも、この問題は極めて重要な問題ですので、いわゆる企業の役割、労働者の役割、そして政府の役割、これらを十分議論して、明確なものを一日も早く出すことを要望しておきたいというふうに思います。  時間が余りなくなったのでありますが、私の前に多くの方が質問されましたのでかなり解決しているのですが、議論したい次のテーマとして、企業のあり方、ひいては働き方といいますか、そのルール。これは、この通常国会でも労働基準法の改正の問題を審議するわけでありますが、これとも非常に密接に関連があります。細かい労働基準法の話はその法案の審議のところでやるといたしまして、その審議をするに当たっての前提というものをやや議論してみたいというふうに私は思うわけであります。  特に私が非常に痛感するのは、私、今の仕事をする前の仕事のときには、働く人の健康という観点から、外国に行くことも多かったわけでありますが、国際会議や、あるいは国際的ないろいろな団体との議論をする場があったわけであります。そこで、例えば国際会議で一時非常に注目されたのは、過労死という言葉が国際用語になっていまして、過労死に関係するような学会報告だとかいろいろな場での報告、ケースレポートみたいなものが発表されると、非常にたくさん関心を持つわけですね。大体三千時間も働いて死んだとか、この問題は今日本の大きな社会問題なのだと言って発表すると、日本というのは労働組合はどうなっているのだ、労働基準のスタンダードというのは一体どうなっているのだ、いや労働基準法というのがありますよ、しかし、その労働基準法というのは一体守られているのかという話になる。つまり、そのレポートをする人は、社会問題の日本の長時間労働というものをレポートするためにレポートしているのですが、そのレポートをしているのが労働組合だったりするわけですが、そうすると、ヨーロッパの労働組合の代表は、冗談じゃない、そんなのは労働組合があると言わない、本当に日本の労働組合は一体何をやっているのだ、こういう話になるわけです。  つまり、労働基準法というスタンダードがあるかと聞かなければいけないような状況が報告される。そういう過労死の問題で、労働災害補償制度で認定させたのだといってやや自慢げに報告するというところもあって、冗談じゃないと。全然受け取り方が違うわけであります。  つまりそういうことが起こってきている現状の中で、企業というもの、そしてその中での働き方というものが、高度経済成長の中で、そこに重点があって、長時間労働でどんどん来た。そして、都市の構造も、都市というかコミュニティーもいわば大都市集中型の、長男が残って、次男以降だあっと行って、その長男も農村構造が変わって、いよいよもって故郷のない人たちのコミュニティーがいっぱいできてしまった。そういう中で、依然として景気調整機能で労働時間を調整する。これは日本も外国も同じだと思うのだけれども、しかし、そのベースが違うから、つまり、開発主導型の国づくりの中で一番重症になっているのは、大都市中心のコミュニティーの崩壊ということではないかと私は思う。  その中で少子化が起こってくるのは必然だ。介護の悩みが生ずるのも必然だ。その中で、多分今日本の家庭は、もし介護の必要が出てきたときにどうしようか、そのためには貯金も要る、それから稼げるときに稼いでおかなければという形になっているのではないか。つまり、商品としての非常に高いサービスを、高いか低いかというのはいろいろあると思うけれども、とにかく何でもかんでも買わなければいけない、サービスを。それは社会が安心をシステムとしてつくり上げていないわけだから。そして、家庭はそういうサービスを買うためのストックや、あるいは残業をすることによって安心を担保しなければいけない、そういう働き方になっているのではないのか。  つまり、都市計画もないということもあるし、いろいろな問題があるわけだけれども、一体どういう生活を、ビジョンを描いて日本は社会をつくってきたのかということからいうと、その辺は余り考えないで、とにかく所得倍増があればいいんだというふうな形で来た。つまり、本来高度経済成長で余力のあったときに社会資本を整備しないまま今日まで来てしまったものだから、しかも高齢化は急速だ、少子化も急速に起こっている、さあ、どうするんだと、そこらじゅうもう大変なことになってきているのが現状ではないか。  そういう中で、やはり企業というものが生計の基本的な、これは農林水産業もありますけれども、重要なウエートを占めている。その企業が社会の中でどういう社会的機能を果たすのか。その中での働き方というものが見直されないと、これはもう大変コストのかかる、しかも不安な社会になってしまう。実際なっているというように思うのですね。  そこで、私は、これは労働基準法とかを審議する前提として、一体そういうワークルールとかそういったものが――いわゆる人間の二十四時間の生活時間を大まかに三つの生活時間に分けてみると、およそ企業に大半の時間がとられてしまっている、働いている人の。そこが、どうやったら構造改革できるのだろうか。つまり生活時間の構造改革。  それともう一つは、特に都市部で、大都市は、東京は通勤時間が二時間というのはざらだ、片道一時間半から二時間で通っている。そうすると合計すると三時間から四時間。その上にまだ企業の中で働かなければいけない。とんでもない生活時間のひずみが起こっているわけです。それをどうするんだ。しかも、その中に今度、女性が職場に進出する。これは当然、男女共同参画社会ということで労働の機会が保障されるということが必要条件になってくるわけですから、そうなると家庭というのは一体どうなってしまうんだ、特に大都市を中心に。ここが非常に重要な問題で、じゃ、これをどうしたらいいかという問題ですね。生活時間構造改革と同時に、都市計画も含めた生活空間の構造改革もしないと、日本は大変な国になる。  そこで、私は、ワークルールがなぜきちんとコントロールできないのかというところに焦点を、議論したいことはいろいろあるのだけれども、そこを一つの重要なポイントに議論をしたいのです。  そこで、考えてみますと、今まで労働組合というものが機能していた力量というものが、だんだん組織率が低下している。これは、労働組合の人たちが一生懸命やっていてもそうなる。つまり、これはサービス産業構造化と非常に密接な関連があってそういう側面が出てきているということであります。  そうすると、労働組合の組織率が低下してきている今日の中にあって、労使自治という形で行われてきたワークルールのチェック、あるいは確立を、果たしてそういう形の労働組合ベースが少なくなってくる中での労使自治というものにこのままゆだねていいのか。また、地方労働委員会等の制度を考えてみましても、紛争処理は労働組合を中心にした、ベースになった紛争処理の仕組みになっている。  そういうことから考えても、労使自治というものは労働組合だけではないのですけれども、労働組合がないところの労使自治のルールなんというものはきちんとしたものがどこにあるんだと。ということがあるし、また、紛争処理システムからいっても、労働委員会制度というのは労働組合をベースにした話であって、大半の労働者がそれでカバーされていない、そういう問題が企業内にあるのじゃないかというような問題が一つ。  それからもう一つは、ここまで開発至上主義で来た日本が急に価値観の大転換ができないということがあって、労使がどうしても、経済が低成長になったらそこを労働時間で調整する、好景気になったらその労働時間でまた調整してそれをふやすというふうな形で来るとすれば、私はもう一つ、つまり社会的なコントロールの仕組みが労使に対して要るのじゃないのかと。  ナショナルスタンダードは政府が検討して関係者の意見も聞きながら決めるとして、ナショナルスタンダードと同時に、その公正なルール、企業がどういう働き方を社会的に要請されるか、そういう社会的な観点から見た働き方のルールというものをきちんと守らせる。その仕組みを、労使の、つまり企業内での仕組みと同時に、地域社会の観点から地域につくる必要があるのではないのか。  それは、労働組合というベースで言うのでなくて、労働組合がないところでも企業内ではきちんとした仕組みをつくり、そして一人一人の労働者に分解してもちゃんとその問題がスピーディーに解決できるような地域のシステム、しかもこれは第三者機関、つまり企業内のルールの中に取り込められてしまっている価値観ではない、つまり介護や少子化の問題をどうするかとか、そういう生活者の観点から、企業というものを、働き方をチェックできるような第三者的な機関、第三者の入った機関。  この二つが、つまり企業の内部のチェックの仕組みと、地域における、企業の外における地域にそのチェックをするシステムが必要なのではないか。つまり、規制緩和を大胆にやると同時に、もう一度きちんと機能できる規制の仕組みのあり方を、ある意味では規制改革というか規制強化というものが必要なのではないかと思うのでありますが、その点について、大臣並びにその関係の方々に、どなたでも結構ですからお願いいたします。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 大変壮大な日本の歴史的ビジョンでございますので、私はお答えをするにはまことに知識が足らないのですが、実は、今先生のお話を伺っておりながら、アメリカの碩学、これは大変な学者ですが、ラッシュという方がおられます。この方は残念ながら先般お亡くなりになりましたが、その方の遺書ともいうべき著書に「エリートの反逆」という著書があります。この中で、市場にすべてをゆだねることの結果出てきたアメリカ社会の荒廃がいろいろ書かれておって、そこで、家族とコミュニティーとの大切さが市場原理の不十分なところを補っていくということがいろいろ書いてありまして、中桐先生は日本のラッシュだなと思って私は実は話を聞いておったわけです。  ただ、橋本内閣としては、まだかなり実態的にも余裕がある現状において、今先生がおっしゃったような方向にやはり少しかじを切らないといけないのじゃないかという作業を始めていると私は思うのです。すべてあなた任せ、すべて政府任せのところは市場原理へ持っていく。しかし、市場原理に持っていったとして、それが万能ではないということを十分認識しながら持っていく。  そして、そういう意味からいうと、私は、例えば生産活動に全く関係のない、大変失礼でございますが先生が所属しておられた自治労においても組織率は年々低下してきておるわけでございますから、これは日本が全体的に非常に豊かになったということの残念な結果なのか、誇るべき結果なのかと思います。しかしながら、率直に言えば、労働省をお預かりしている立場からいいますと、やはり働く人たちの代表というものはいていただいた方が仕事はやりやすいのですね。  ところが、それが今おっしゃったように二十数%の組織率で、特にホワイトカラー労働者についての組織率はもっと低いという現状からしますと、例えば今回の労働基準法の改正案でいずれ御審議をいただかねばいけないのですが、労使双方の代表から成る労働委員会的な自治を入れていくとか、これはコミュニティーの代表ということではありませんが、各都道府県にございます労働基準局が労使関係の紛争にかなり積極的に入っていって紛争解決を促す仕組みとか、こういうものが盛り込まれておるわけです。ただ、おっしゃるとおり、日本は大統領制ではございませんけれども、大統領的な方が大きなビジョンをつくる中で、労働政策がどうだ、産業政策はどうだという流れができていくというのは本来の姿かもわかりません。  しかし、病気にもいろいろな治療法があるわけでございますので、今先生がおっしゃったようなことについては、労働法規の中では、十分とは言いませんが、少しの措置はしてあるということは申し述べておきたいと思います。

中桐伸五民友連

○中桐委員 基本的な方向性は今度の労働基準法の改正の中にどうもちりばめられているのではないかとは私も思っているわけであります。しかし、それは各論の中から急にぼうっと、何か将来の全体の仕組みになるような形で入っているところがちょっと気に食わないわけであります。つまり、今私がいろいろ幅の広い話をしましたけれども、企業というもののコントロールというか、つまりこれから市場のルールというものをもっともっと前面に出す必要があるわけですね。そのことをやると同時にディレギュレーションというのをやらないといけないと思うわけです。これはもうセットだと思うのですね。  そのディレギュレーションをやるときに、日本の今までのレギュレーション、つまりレギユレートしてきたその仕組みというのが、どこがうまくいって、どこが問題であったのかということを議論しなければいけない。そして、いいところは残せばいいのだけれども、不十分なところを補強しないと、ディレギュレーションばかりが先行してしまうと大変またまたピンチになる。だからこれはセットだ。だから、その意味において、基本的には個別紛争処理システムというのは方向性はわかります、それから労使委員会というものが出されているのも方向性はわかりますが、この仕組みでいいのかという問題があるわけですね。  ですから、ディレギュレーションをやるときには、これからは相当のペナルティー、裁量的な判断による何か薬をそれぞれつけるのではなくて、きちんとしたルールを決めたら、そのペナルティーはきついですよと。つまり、それは市場に任せるのだから、そのかわり、それを逸脱したものについては厳しいペナルティーが来ますよと。それも出口行政に持っていくわけですから、そのペナルティーをチェックするためのルールというものを、企業の中の論理だけではなくて、社会的な観点も含めたルールとしてどうやってつくっていくかということであります。  つまり、私はいろいろなところのディレギュレーションには反対ではありませんので、企業の中における労使のコントロールと、そして地域におけるコントロールをディレギュレーションの観点からきちんと議論してくれないといけないのではないかということを申し上げて、とにかく、私の時間が参りましたので、本日の質問を終わります。どうもありがとうございました。

田中慶秋民友連

○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後三時六分開議

田中慶秋民友連

○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河上覃雄君。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 委員の皆さんには大変お疲れだと思いますが、頑張って質問をさせていただきたいと思います。  きょうは三十分という短い時間でありますので、私は、当面の課題であります諸問題の二点について限定してお尋ねをしたいと思います。一点は山一証券の倒産に伴う雇用問題、それからもう一点は、時間がありましたら昨今の雇用情勢について触れさせていただきたいと思っております。  まず、山一証券の自主廃業、倒産は、働く方や社会に大変大きな影響を与えたと私は思っております。大手は倒産しない、こういう神話もあったわけでありますが、その意味で神話が崩れたという点、あるいは、私の会社は本当に大丈夫なんだろうか、働く方々の雇用に対する不安という問題もこの問題は与えた、こう考えておるわけでございます。  加えて、特に山一証券の場合には、大変残念なことでありますが、証券役員等が逮捕されるという問題もありまして、いまだ窓口業務、通常業務等を続けている一般社員の方々のお気持ちを思うと、大変複雑であろう、このように考えている次第でございます。どうぞ頑張っていただきたいということだけが今私が申し上げられる点でございます。  そういう状況を通じまして、関連企業を含めた約一万人を超える山一証券の破綻による雇用の影響を重視いたしまして、労働省は、大蔵あるいは文部、そして東京都等を含めて、もちろん山一証券も入るわけでありますが、いち早く雇用問題協議会を設置して取り組み、対応方に入られた。この事実は私は可といたしたいと思っております。  山一証券は、既に一月末には約二千二百名の解雇、そして二月末には約二千四百名解雇をいたした、最終的に三月末には一たん全員が解雇される。こういう推移の中で現在を迎えているやに伺っておりますけれども、私は、今回の質問に当たりまして、これら山一証券の社員の方々の二月末現在の再就職状況の報告を受けました。  それによりますと、かなりばらつきがあるわけでありますが、全従業員九千二百七十三名のうち再就職内定者数三千七百四名、内定率四〇%。そして年齢別に見てみますと、四十歳未満の方が内定率四六%、四十歳から五十歳の方で内定率三五%、五十歳以上になりますと二五%というふうに、中高年の方々にとりまして内定率が極めて低い水準にある、このように考えております。一月末現在の全従業員に対する内定率は二一%であったものが、二月末では今申し上げましたように四一%と推移しつつも、中高年者のサラリーマンの方々を軸にして考えますと、いまだ低い水準にあることは否めない事実でございます。  こうした状況等の中から、中高年者が低い水準にあるという問題と課題は一体どの辺にあるのか、まずこの点につきまして報告をいただければ幸いでございます。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 ただいま御指摘の山一証券従業員の方の再就職の内定状況でございますが、二月末時点で四一%にとどまっているその理由でございますが、三点ほどございます。会社が自主廃業を決定した後においても、支店を中心に清算業務が繁忙をきわめ、従業員にとって再就職活動を行う時間が少なかったこと。それから、山一証券が受理してきた求人と求職希望とのミスマッチが多いとともに、ただいま御指摘のように、中高年向けの求人が少なく、四十五歳以上の従業員の方の再就職がおくれていること。それから三点目は、メリルリンチ社が、三月になりまして、三十店舗、二千人規模の営業を行うということで求人が出たわけでございますが、これが山一証券従業員の方を雇用する意向がはっきりいたしましたために、二月時点ではその求人動向を見守っている方も多かったこと。そのようなことが原因であろうというふうに考えております。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 報道によると、かなり多くの企業から、山一証券の今回の問題に対して、受け入れてもいいというメッセージがありました。山一の社員の方々に対しては大変いいお話だと思っているわけでございます。今申し上げたように、二月末段階では実数にしますと約三千七百名の再雇用を決めているわけでございますが、業種でも産業別でも結構でございますが、特にどんな企業に内定いたしたか、この点につきまして御報告できれば、ここでお願いを申し上げたいと思います。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 内定された方の再就職先につきまして、これは統計的になかなか把握が難しゅうございますので数量的に申し上げることは困難ですが、証券会社あるいは生命保険会社、銀行等の、従来の仕事の延長線上で働ける金融関係の業務がやはり一番多いというふうに聞いております。それ以外につきましても、商社であるとかサービス関係であるとか、あるいは製造業、場合によっては建設業など、幅広い範囲にわたって再就職の内定が決まっているというふうに聞いております。  内定先の企業規模といたしましては、これはやはり大企業を中心とする上場会社が多く、中小企業に内定している方は比較的少数であるという報告を受けております。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 三月末で一遍全員解雇という状況になるわけでありますので、今の点につきましても、これからの課題という観点から、まとまりましたらぜひ報告をお願いしたいと思っております。  それを踏まえまして、今後、残りました六割内外の方々の内定状況の見通しはどういうふうになっていくのか、労働省としての御見解をいただきたい。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 今後の内定見通しにつきましては、ただいま申し上げましたように、三月に入りましてメリルリンチ社から約二千人の求人がございました。これに対する採用内定が始まっておりまして、三月末までかどうかというのは必ずしもはっきりしないにしろ、この二千人は恐らく全部枠が埋まるものというふうに考えております。これが全体の大体二六%程度に相当いたします。それから、三月いっぱいで会社がなくなりました後も清算業務要員として数百人規模で再雇用、これは中高年齢者を中心に再雇用するという予定と聞いております。したがって、それらを合わせますと七割を超えるのではないかというふうに考えております。  そのほか従来の求人が相当あるわけでございまして、二万八千人あるわけでございますが、それについての就職問題の努力、これは引き続き行っていく。それから三月以降、四月になりますと会社がなくなるわけでございますから、その後につきましては、私どもの公共職業安定機関がそれを引き受けまして対処する、こんなスケジュールになろうかと思います。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 その中で、先ほどもちょっと触れましたが、中高年の内定状況が厳しい環境にある。経済的な負担も一番強いられる世代でございまして、なかなか大変だと思うわけでございます。もちろん、就職それから次へのステップは御本人が第一義的に決めることが専らであると考えますけれども、山一における中高年の内定率が低いという現状等も勘案しつつ、やはり何らかの対策の必要性が、ここまで雇用協議会等設置してお取り組みになられているわけでありますので、必要があると私は考えるわけであります。山一の場合の中高年離職対策といいますか、この点、今までいろいろとやってこられたのですが、なお加えてやるべき対策はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 先生も我が省の政務次官をしていただいて、いろいろ御心配をいただいているわけでございます。  自由社会、市場経済においては、今御指摘になりましたように、まず一義的にはやはり御本人が御努力をなさり、選択をなさる。それよりも何よりも、やはり会社をこういう状態にしてしまった経営者というものが自己責任をとって従業員の方々に力を尽くすというのが筋でありますが、しかし、これだけ大きな規模になりますと、今御指摘のように、なかなかそういうわけにもまいりません。特に中高年齢の方は、率直に申しまして、価値観が多様化してくる前に御就職になって、ビジネス戦士として唯一の価値観を持って会社のために頑張ってこられて、職業能力開発を個人的にやってみようなどという雰囲気や時間もなかった方が多いのではないかと私は思うのです。  そこで、もちろん御本人たちにも今までのような給与、今までのようなプライドというものは少しは我慢していただかなければいけないと思いますが、まず山一証券の関係の離職者が集中をされます公共職業安定所や人材銀行に特別の窓口を設けております。  そして、これは山一に限ったことではありませんが、先般私は、各経済団体の首脳をこちらから御訪問いたしまして、おのおのの地元の団体の所属企業に少しでも中高年齢、特にホワイトカラーの方々の働き口を出していただきたい、もし求人があれば職安の方からお伺いをいたしますので出していただきたいということを実はお願いしてございます。  職安現場の諸君も職業安定局の諸君も今そのことで随分努力をいたしておりますが、大体月末ごとに新規求人の統計を集計いたしまして、毎月、翌月の半ばごろまでには労働本省に報告をもらい、おくれているところにはまた督促をしながら、ともかく職を見つけ出して、そして御希望の方との突き合わせというかマッチングをさせていただきたい、こんなふうに思っております。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 後ほど触れようと思っておりましたが、大臣の方からも人材銀行のお話が出ましたので、この際あわせまして、私も、今回の問題あるいは将来起こり得るであろう状況の中では、この活用をもう少し工夫する必要があり、やる必要があるのではないかと思っている一人でございます。  ちなみに、労働省として、この人材銀行の臨時措置として、東京、大阪の人材銀行に十人ずつ求人開拓推進員を補充なされた。さらに、この二月末に、三月から新たに全国で三百人の求人開拓推進員を委嘱することを県の機関を通じつつ指示をなさり、今準備中である、こういう報告を受けております。これは準備期間もかかりますので、すぐさまには開拓推進員増員に結びつかない場合もあるかもしれません。しかし今後、これは失業率の動向等の議論を通じてお話しした方がわかりやすいわけでありますが、場合によっては倒産等の事態に至り、失業率が高まることも予想されておりますし、むしろこの人材銀行はとてもいいアイデアでもあるわけでありますので、増員を視野に入れて、前向きにこれは労働省としても取り組む必要があるのではないのか。  一つは、増員という観点から、もう少し地域も考慮しなくてはならないのでしょう。首都圏あるいは近畿圏等々核となる地域に対しては、補充という視野で増員を一遍考える必要があると思いますし、もう一点、今、征矢局長の御報告にもありましたけれども、当座、金融機関関連に内定した方々が多いという実態がありました。  しかし、今後これはどうなるかわかりませんが、建設業等々の失業者が今増加傾向にある中で、さらにこれから上回る場合もあるかもしれません。そのためにはこの推進員の皆さん方も、金融機関という分野だけではなくて、建設業、あるいは将来を予測しつつ多種の分野に対する推進員の掌握、そしてそれが実行に移れるような体制、段取り、これらもきめ細かく、この人材銀行の活用を通じながら、こういう対応、対策を図るべきではないだろうか、このように御提案を申し上げさせていただきたいわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 求人開拓推進員についての御提案でございますが、二点目の御提案は御指摘のとおりでございまして、これは銀行に限定して対処するということではなくて、諸情勢に機動的に対応するという観点から制度として考えているものでございます。当面の課題が、山一の問題があればその問題を重点にやるということはございますけれども、制度としてはそういうことで、人材銀行、全国二十六カ所ございますが、そういうところと連携をとりながら対処していく、こういうものでございます。  当面、三月から三百人規模で出発をさせようということでございますが、これにつきましては、当面の諸情勢の中で私ども三百人の配置で考えているわけでございますが、今後の動向によって、これをどうするかということにつきましては今後の検討課題というふうにさせていただきたいと思います。  ただいま大臣申し上げましたように、人材銀行、公共職業安定所と地域の経済団体との連携を強化することで、より幅広い求人の確保を図り、さらに収集した求人を活用した就職面接会を積極的に開催することなどによりまして、中高年ホワイトカラー、これは業種を限らず、そういう方々等の再就職支援をさらに強化してまいりたいというふうに考えております。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 局長、前向きに検討したいという方向でとらえさせていただいてよろしいですね。大臣、よろしいですね。  もう一点、この倒産の状況の中で一点だけ確認をさせていただきたいのです。  最近は倒産が相次ぎまして、山一は別にいたしまして、これは従業員数でございますが、阪和銀行八百五十四名、それから日産生命の四千二百二十六名、東海興業の一千五百四十名、多田建設の八百十四名、大都工業の八百四十五名、ヤオハンジャパンの五千三百五名、三洋証券二千六百四十六名、北海道拓殖銀行五千五百四十九名、徳陽シティ銀行一千二百八十九名、それに山一の約一万名、こういうかなり大型の規模の倒産、これが直近であったわけでございます。  今、山一について具体的にお尋ねをいたしまして確認もさせていただきましたが、今挙げました山一以外の企業の再就職の状況、これは一つ一つというふうには申し上げませんが、概括して、今どんなような状況になっておるのか、御報告いだだけますでしょうか。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 ただいま御指摘の最近の大型倒産等の事例でございますが、これはそれぞれ現地におきまして関係機関あるいは関係団体等によります雇用対策協議会等を設置して対処しているところでございます。  個別に、阪和銀行あるいは日産生命につきましては、これは既に従業員が全員解雇されておりまして、解雇時点で再就職先が決まっていた方は、阪和銀行については約七割、日産生命につきましては約九割となっております。  また、北海道拓殖銀行、徳陽シティ銀行につきましては、これは営業譲渡が行われる予定でございまして、現在譲渡先となる会社と従業員の具体的な受け入れ数や受け入れ時期等について検討を進めているというふうに聞いております。  東海興業、ヤオハンジャパン、あるいは三洋証券等につきましては、会社更生法の手続に従いまして会社の再建に向けた取り組みを行っているところでございまして、会社の整理による解雇は行われていないというふうに承知いたしております。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 いろいろな場面で御対応をひとつよろしくお願いをいたします。  もう一点、この問題の中で、大変残念なことながら、四百九十名がこの四月から山一証券へ学校を卒業されて入ることになっておった。その方々は皆内定取り消しという事態に直面したわけでございます。その四百九十名の中で既に他社内定を把握できている者という立場からの数字でありますが、二百四十一名、四九%、約五〇%の方々が内定先を決めた、こういう実態下にあるように思いますが、残る半分の方々は今どのような現状で、今後これらの内定取り消し者に対する対応は何かあるのだろうか、もしあるとするならばどんなものが考えられるか、この点につきましてお願いを申し上げます。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 山一証券の採用内定取り消し者の方は四百九十人おられるわけですが、これに対する求人としましては、八百二十二社から三千四百三十一名の求人がございます。  ただいま御指摘のように、二月末段階で二百四十一名の方が内定しているわけでございますが、これは山一証券が直接学生から他社への採用内定を確認した方でございまして、実は確認できない方も相当数おられるようでございます。言ってみれば山一証券とはもう関係なくなっているわけですから、そういう意味で確認できない。  私どもは、文部省とも連携をとりながら対処しているわけでございますが、数量的にはなかなか把握できないのですが、そのほかにも他社に採用内定している学生の方は相当数いるのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、採用内定取り消し者で就職先がまだ決まっていない学生の方につきましては、私どもは、学生職業センター等におきまして大学等の新卒者を対象とする求人を三月時点で約六万五千人分公開しておりまして、引き続き求人情報の提供や職業紹介を行うなど、積極的な就職支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 わかりました。  この点から外れますが、実は私は、三、四年前でしたか四、五年前になりますか、この内定取り消し問題を予算委員会で議論いたしまして、公表制度が誕生したわけでございます。その意味で注目をしているわけです。  この山一証券の場合を除きまして、これは残念ながら倒産という状況の中での内定取り消しでありますからいたし方がないといたしまして、それ以外、交渉をしなければならないような内定取り消しのケースの場合、本年の場合ですと、山一を離れまして、全般として内定取り消しの実態は現在どんな状況下にあるのか、御報告ください。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 本年度、金融機関の破綻を初めといたします企業の大型倒産が続いていること等によりまして相当数の採用内定取り消しが発生しておりまして、まことに残念でございますが、現時点で私どもが把握しております採用内定取り消しのうち、企業倒産によるものがやはり相当多くて約八五%程度でございます。倒産を理由としない、業績悪化を理由とするようなものは一五%という割合になっております。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 これ以上時間もありませんので、山一以外の内定取り消しのケースにつきましては、一五%の部分を私個人としては前の議論でやったつもりでおりますし、経済の悪化という状況は十分わかるのですが、なおかつ、大臣、極めてひどいケースはきちっと制度に基づいてやらなくてはならないと、私はこの点はもう議論いたしませんが、あえて言い切っておきますので、よろしく御対応を願いたいと思っているわけでございます。  もうあと二、三分しかございません。雇用情勢全般についてお尋ねをいたしたかったわけですが、一つだけ、まとめてお伺いをさせていただきたいと思います。  今の山一の問題に触れまして、特に男性失業率が三・七と過去最悪を記録いたしました。まさに雇用情勢の厳しさを示す結果となっておるわけでありますが、特に男性失業率を年齢別で見ますと、リストラの対象と見られます五十五歳-六十四歳の層で五・八%という実に高位の水準で、五カ月連続前年同月比を上回っている実態がございます。さらに、解雇など非自発的離職者が十三万人増加して実数として六十六万、この数字も極めて厳しい雇用情勢を指し示しているわけであります。一方、適職を求めて自発的に離職した者が六万人減少している。この辺もまさに、今の経済全般を反映して、雇用問題の深刻さをあらわす指標だと思うわけでございます。  産業別、あるいはさまざまなところでいろいろなデータ等が出ておりますが、いずれにしても、労働関係の指標については厳しい数字が並ぶわけでありまして、その意味では、今後の景気回復の不透明さ、そして今申し上げましたように、今後の倒産が指摘される中で、なお一層雇用情勢というものは厳しい環境に進んでいくのではないかと私は心配をいたしております。労働省としての見解、並びにこの厳しい雇用情勢のもとで何らかの対応が求められる状況にあると私は思っております。  これまで労働省も、雇用安定策の一環として、雇調金、さらには雇用安定助成金等々で対応をいたしましたが、果たしてこれでこれから迎える雇用情勢に対応できるだろうかという心配と懸念を持っております。  その意味で、的確な雇用情勢をつかみながら、何らかの新しい対策、対応や、あるいは現行の仕組みを強化充実させる考えをお持ちになっていらっしゃるかどうか、あわせて、ぜひとも大臣に御見解をお尋ねしたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 現下の一番重要な問題についてのお尋ねでございます。  午前中、鍵田委員、中桐委員にもお答え申し上げましたように、中長期的には、ニュービジネスというものをつくり出すための規制緩和あるいは技術開発等が何より雇用のかぎを握っていると思いますが、当面は、率直に言ってやはり景気に左右されると私は思います。そうすると、今のこの厳しい雇用情勢を生み出した景気というか、不景気というか、景況悪化というか、これの原因は一体何なんだ。やはりそれを取り除くことによって雇用の環境が整備されてくるわけでございます。  そこで、財政構造改革のせいだとか、構造改革を進める云々という話がありますが、実は財政構造改革というのは、法案が通って、それに従って予算編成が行われて、その予算すらまだ実は通していただいていないわけでございまして、規制緩和は若干進んでおります、金融構造改革は法案が進んで半分ぐらい、それから医療保険を初めとする福祉の改革は緒についたばかり。  では原因は何かといえば、やはりバブルのとがを一身に集めた金融機関の不良債権による経営悪化。それが不安が不安を呼び、そして貸し出しに対する慎重姿勢の結果、まじめに働いておられる中小企業や中堅企業が結果的に資金ぐりがつかないので困っている。困っているがゆえに、うちのお父さんの会社は大丈夫だろうかとか私のもらっている手形を出したお店はつぶれないのだろうかとかいうことを皆さんがお考えになるので、やはり財布のひもが、万一のときに備えるために、結局、消費性向が下がってしまっているわけですね。本来であれば、有効需要が下がっておって消費性向が一定であるけれどもという場合には、減税だとかどうだとかという話は私はかなりきくと思うのですが。  したがって、やはり最大の景気対策は、本院の御理解をいただいて、きょう初めて閣議でその注 入が閣議決定をいたしました金融二法による銀行への自己資本の充実策。これがもう二兆円などと言わずに、準備したものすべて本来使っていただくぐらいの申請が出てこなければならないと私は思うのですね。それによって資金繰りがある程度緩和されてくれば、企画庁長官は桜の花の咲くころと言っておりますが、先生御承知のように統計数字は大体二カ月ずつおくれます、参議院選前には何らか形をつけたいなと、お互いに政治家ですから、そのように考えております。

河上覃雄平和・改革

○河上委員 もう一点ありましたが、もう時間が来て、次のバッターに食い込んでおりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

田中慶秋民友連

○田中委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋敬悟平和・改革

○桝屋委員 河上委員に続きまして質疑をさせていただきます。私は、視点を変えまして、介護労働者の雇用対策といいますか、確保・雇用対策について、二十分少々議論させていただきたいと思います。  午前中の質疑で能勢委員の方から看護婦の問題は出ましたので、これはちょっと横へ置いて、実は労働省所管の介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律、これが平成四年にできました。ただ、私も当時は福祉の現場におりまして大変関心を持って見ておったわけでありますが、この法律は、厚生省所管の社会福祉事業法、あるいは福祉人材確保法と呼ばれておりますけれども、一連の対策がその当時とられまして、厚生行政、労働行政相まって今後の介護労働力の需要に対応していこう、こういうことになったというふうに理解をしております。今日までそれなりの役割を果たしてきたというふうに私は理解をしておるわけでありますが、ただ、あの当時は、これからの大変な高齢化社会の中で介護労働力の確保は大変じゃないかという認識もありました。  ところが最近は、先ほどの河上委員の話じゃありませんが、労働市場も随分変わってきまして、むしろ採用側の買い手市場に変わっておりますし、あるいはまた大きな要素は、法律が通りまして介護保険制度がいよいよ導入される、この準備段階に入ってきておるということを考えますときに、この介護労働力の確保あるいは雇用対策というものも、この二つの両省の法律の役割分担などは再確認をして点検をする必要もあるだろうし、私は、正直なところ、いよいよこれからこの法律の役割が出てくるのかな、こんなふうに思っております。  そこで、何点かきょうは大臣にぜひ認識をいただきたいということで問題点を出したいと思うのです。きょうは実は時間もありませんから厚生省の説明員、呼んでおりません。昨日、厚生省とも協議をしまして、その内容も踏まえて報告をしながら大臣とお話をしたいと思っておるのです。  一つは、平成四年に労働省の介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律、それから厚生省の人材確保法、この二つができたときのすみ分けは、実はあの当時の国会でも随分議論がありました。その議論を整理しますと、端的に言うと、社会福祉事業法に言うところの社会福祉事業は厚生省の方でやってくださいよ、そして、その他の民間事業者がやる民間介護事業は労働省のこの法律でやりましょう、こんな整理であったかなというふうに思っております。  ところが大臣、最近は、二つのカテゴリーがあると思うのですが、社会福祉法人が行う社会福祉事業、それから民間事業者がやる民間介護事業、この間のグループが、端的に言いますと民間事業者がやる社会福祉事業なるものがどんどん出てくる可能性がある。既に出ておりますし、これから、現在も介護保険導入を見通して、民間へどんどん事業を委託しよう、あるいは民間活力を活用しようということになっておりますから、この間のグループが、下手をすると私は、介護労働者の雇用管理という観点から、若干のすき間ができるのではないかということを大変に危惧をいたしております。このことをきょうは申し上げたいわけであります。  具体的にいいますと、今申し上げた民間事業者がやる社会福祉事業、例えばホームヘルプサービス等は厚生省の福祉人材確保法の対象にはなる、このように厚生省も言っておりますし、介護保険が始まりますと都道府県の指定を受けるということになるのですが、それでも当然ながら社会福祉事業として位置づけられ、向こうの福祉人材確保法の対象にはなる。そして、福祉人材確保法では、厚生大臣がやはりきちんとした基本指針を定める。  この中には、雇用管理の問題も随分詳しく厚生大臣はお定めいただいて、全国のそういう業者に対してやはり雇用管理を徹底しよう、こういう趣旨はあるのでありますが、問題なのは、まさに今の時点、どんどん民間事業者を活用する、そこへ委託をする、介護保険では指定をするという場合には、現場ではどういう基準でやるかといいますと、ガイドラインを国が示して、そのガイドラインに合っているかどうかを県なり市町村が判断してください、こうなっているのです。  ところが、このガイドラインの段階におりますと、大臣も御承知でしょうが、厚生省のいわゆる措置費の最低基準、この考え方がすっと出てきまして、いわゆるサービスを提供するための職員の配置でありますとか、それからそれぞれのサービスを提供するためのサービスのレベルの問題でありますとか、その辺はきっちりうたってあるのですが、雇用管理になりますとやはりどうしても弱くなるのであります。  そこで、こうした民間事業者が社会福祉事業をやるような場合がこれから出てくると思うのですが、こうした場合に、特にこちらのサイドの介護労働者雇用管理改善法では対象になるのか、あるいは対策があるのか、その辺を最初に具体的にお尋ねしたいと思います。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 介護労働者の雇用管理に関しましては、労働省として、ただいま御指摘もございましたが、介護労働雇用管理改善法に基づきまして、介護事業者を対象とする相談援助などの対策を行っているところでございます。同時に、雇用環境の整備のための施策につきましては、社会福祉事業の事業者に対する施策は厚生省、社会福祉事業以外の事業者に対する施策は労働者がそれぞれ担当するということで、両省が分担して実施しているところでございます。  ただし、ただいまも御指摘ございましたように、介護労働を取り巻く環境、これが、平成十二年度から介護保険法の施行が決まるなど、介護労働雇用管理改善法制定当時とは大きく環境が変化しておりまして、ただいまのような中間的な介護事業者が今後ふえることも十分予想されるところでございます。  このため、私どもも、これらの介護事業者につきましても雇用管理の改善が適切に進められるよう、厚生省とも今後よく相談をしてまいりたいというふうに考えております。

桝屋敬悟平和・改革

○桝屋委員 基本的な姿勢は理解ができました。  ただ、具体的な取り扱いは、もう一回確認をさせていただきたいのですが、この介護労働者雇用管理改善等に関する法律、これは労働省の戦略として、当然ながらこの法律も、社会福祉法人で社会福祉事業をやられているような場合、あるいは民間事業者が社会福祉事業をやっているような場合も、全部その対象にはしている。全部をまず大きくくくって雇用管理をしっかり進めましようと。それで、具体的に法律の実行としては、やはり特定事業主というものを知事が指定をして、その指定を受けた事業主については労働行政としていろいろなサポートをしましようという仕組みなんですね。基本的にはやはり事業主が主体的に雇用管理に取り組むという、この方針は私もよぐ理解できます。  ただ、今申し上げたように、特定事業主ということになりますと、今の中間グループがこれからできてくるわけでありますから、もう一回確認します。民間事業者が純粋に社会福祉事業のみをやるような会社をつくって、これから介護の中で頑張ろう、こういった場合は、この特定事業主の対象になるのかならないのか、これを明確にお答えいただきたいと思うのです。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、現行の枠組みとしましては、政令におきまして特定事業主の範囲を決めております。したがいまして、現在の枠組みでいく限りは、ただいま先生御指摘のような方についてはこの特定事業主の対象には入らない、こういうことになるわけでございます。したがって、その点をどうするかということも含めて、今後、厚生省ともよく相談してまいりたいと思います。     〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕

桝屋敬悟平和・改革

○桝屋委員 私まさに端的な事例を挙げましたけれども、しかし、私が想像してそういう事例をつくっているのではなくて、厚生省の方からもデータをいただきましたけれども、民間事業者が訪問介護事業なり訪問入浴サービスとかさまざまな社会福祉事業と思われる事業に現実に取り組む事例が最近はどんどんふえております。ふえておるというよりも、厚生省は、ふやそう、こういう戦略でありますから、だから当然私はふえてくると思うのであります。  今のような、私が申し上げた民間事業者が社会福祉事業をやろうとする場合は、実はこの介護労働者の雇用管理改善等に関する法律の特定事業主の対象にはならないということでありまして、そこは、平成四年当時のすみ分けは理解できるのでありますが、その後の経緯を考えますと、今局長さんからも、十分両省で協議をしたい、こういうお話もいただきましたので、ぜひ私は御検討もいただきたいな、こんなふうに思うわけであります。  そこで、ちょっと視点を変えて、大臣、先ほど一番最初に申し上げたのは、いよいよこの法律の役割が来ましたよというふうに私は問題意識を持っているわけでありますが、今までこの特定事業主として知事の指定を受けて雇用管理の改善計画に取り組んでいるという事例は私は余り多くないのではないかというふうに理解しておりますが、その辺の状況を、簡単で結構ですが、御報告いだだきたいと思います。

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 介護労働雇用管理改善法に基づきます都道府県知事の改善計画の現在の認定件数は四件でございまして、御指摘のように数としてはまだ少ない状況でございます。これにつきましては、積極的な周知活動の実施、あるいは介護保険法の施行が確定したことによる介護サービス事業者の増加等によりまして今後増加が見込まれるものというふうに期待いたしているところでございます。  また、改善計画の提出が促進されるような雇用管理改善に対する支援策につきましても、介護保険法の施行を控え、介護サービス事業者が必要とする支援策などを把握し、検討してまいりたいというふうに考えております。

桝屋敬悟平和・改革

○桝屋委員 ありがとうございます。  私が申し上げたように、今まではその実績ができていない。それはさっきも言いましたように、これからまさにそういう事業者がどんどん出てくるのだろうという背景が一つあると同時に、もう一つは、せっかく特定事業主の指定を受けて計画を立てて取り組もうとした場合の行政サイドのサポートが余り魅力がないのではないかという気もしないでもありません。  さまざまなメニューが介護雇用管理改善計画の中にはいろいろ言われておりますが、これは私はぜひそういう現場の声あたりも聞いていただいて、しっかり研究していただきたいな。これは総務庁からも勧告をいただいているようでありますが、ただ、いたずらに、必要ないじゃないか、こういう結論になることを私も危惧するわけでありまして、本当に現場の声を聞いていただいて、私は適宜適切な取り組みもお願いをしなきゃならぬのじゃないかというふうに思います。  もう一回、ここから先は大臣とちょっとお話をしたいのですが、大臣、さっき言いましたように、厚生サイドは、大臣もお詳しい分野でありますが、正直言って大混乱しておるのです。介護保険の世界でありますから、これは小泉厚生大臣も正直に私に、実は混乱しているのだと。  先ほどガイドラインという話を申し上げましたが、実際の現場で民間事業者が社会福祉事業をやるケースがふえますが、それをチェックする基本的なガイドライン、これは、今あるものは、さっき言いましたように雇用管理なんというものは全く触れられていません。恐らく現場でもチェックしないだろうと思います。なおかつ、介護保険が始まるまでは、競争でありますから、市場原理を導入しようということも考えておるわけでありまして、そうしますと入札、安ければいいということになるわけであります。  福祉事業、福祉サービスが安ければいいという、合理化は確かに必要でありますが、単にその観点だけでいきますと、労働行政の立場からいきますと、先はどのように労働市場は大変な買い手市場でありますから、厚生サイドは二十四時間ホームヘルプサービスなんという言葉があるように、昔は、この法律ができたころは三Kと言われておりまして、なかなか希望者がいなかった。今、確かに変わったけれども、実は大変な仕事、しかも真夜中、二十四時間というようなことになりますから、そうすると、雇用管理の観点で甚だ適切でないような事例もあるやに聞いておりますし、現に私はそういう情報も聞いております。  そうしますと、民間のシルバーサービス事業者の中にはやはり不適切な雇用をするような事例も出てくるのではないか。安ければいいということになるわけでありますから、その部分は労働者に全部しわ寄せがいく。それでは介護保険が本当に目指すいいサービスはできないのではないかというふうに私は思うわけでありまして、大臣にお願いをしたいのは、介護保険制度の導入、まさに準備が始まっているわけでありますから、両省が十分協議をしながら、雇用管理という観点ですき間のない対応をぜひお願いしたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 介護保険制度については、私は、国民の希望、期待というのは非常に大きいと思います。  私も実は厚生省の仕事をかなりやっておったのですが、私の印象から言うと、厚生省はやや期待を大きく持たせ過ぎたという部分も率直に言ってあると私は思うのです。それは、保険料をちょうだいしなければいけないという側面がございますから。  しかし、これからの高齢社会と、日本の今の家族制度というか社会のあり方を考えますと、公的な介護保険というものはやはり避けて通れない。そこの受け皿として、今先生が御指摘になったような二つの方法が大きくあるのでしょうが、その間のところも当然出てくる。  しかし何よりも、保険料をちょうだいしてその給付でもって行うということは公金をもって行うわけですから、今おっしゃっているようなことに結果的になりますと、働いている人にはもちろんしわ寄せが行きますけれども、それ以上に、実は介護の給付を受ける人が十分なことをしてもらえない。実はよく御批判があるように、保険料は払ったけれども、要介護認定を受けられるかどうかという第一の関門をくぐった途端に、要介護認定になったけれども本当の介護は受けられなかったなどということはあってはならないことでございますから。  小泉さんはやや民間活力の導入ということに御熱心であったということは私もよく存じておりますが、今御指摘のようなことも踏まえて、事務当局同士でお話もさせたいと思いますし、また、介護をお受けになる国民の立場に立って、一度私もまた厚生サイドと話をしてみたいと思っております。

桝屋敬悟平和・改革

○桝屋委員 大臣は、午前中からの質疑を聞いておりますと、しっかり労働省も物を言おう、あるいはマクロ経済にもしっかり意見を言おう、こういうお話でもありましたので、小泉さんも非常にはっきりしたお考えをお持ちの大臣でありますから。もともと厚生と労働は、いいようで深い谷間がありまして、今から申し上げる話題もその一つでありますが、ぜひすき間のない――実は大臣、十二年度が始まってからでは遅いのでありまして、まさにことし十年、十一年が期間でありますから、私は、機会を見てぜひ一度事務方の準備もしていただいて御協議をお願いしたい、こういうふうに申し上げたいと思います。  時間もありませんが、最後、この法律で実は今最大に恩恵に浴しておるといいますか、対象として動いているのが、実はありていに言うと有料職業紹介、家政婦紹介所の部分があろうかと思います。  それで、私は、家政婦紹介所を介護保険の中で有効に活用してもらいたいということで、実は現場でいろいろな活動をしているつもりでございますが、厚生、労働、深い谷間の中で、なかなか思うに任せません。家政婦紹介所も本当に努力をし、請負の形態をとりながら、介護保険の世界の中でしっかり仕事ができるように、業態転換等しっかり取り組みをされている。先般も私、鹿児島に行きまして、鹿児島では十幾つの紹介所が集まりまして出資をし、新しい請負の会社をつくって介護保険の中で頑張ろう、こういうお取り組みをされておるところもありました。  ただ、いかんせん厚生行政に入っていくには随分お悩みを持っておられて、やはりそういう方々を、これは介護労働安定センターというものもあるようでありますから、ぜひ引き続いて御支援をお願いしたいということをお願いしたいと思うのです。  つきましては、例えば具体的な事例といたしまして、実は介護労働安定センター、僕は小泉さんにもぜひ報告しなきゃいかぬと思うのですが、二級のホームヘルパーの養成なんというのは日本一だそうでありまして、介護労働安定センターのこの法律の仕掛けで大変に大きな人の数を養成できたということを聞きまして、私は改めて認識をしたのでありますが、実は現場では、そういう一人一人の資質の向上と同時に、今や介護保険で一番問題になっているのはケアマネジャーをいかにつくるか。全国四万人というような話がありまして、どうもこの十年度六月以降試験が始まるようでありまして、試験を受けて、試験に合格すれば一週間程度研修を受ける、そして修了すればケアマネジャーとして地域で活動できるという仕組みになるわけでありまして、実は介護労働安定センターが家政婦さん方多くを研修して二級のホームヘルパーさんに衣がえもしていただき、現場も業態転換をした。頑張っているところはそういう事例があるわけであります。  今度はやはりこのケアマネジャーにしっかり合格するように、いろいろな介護労働安定センターの支援策として、あるいは介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施策の中に、例えばケアマネジャーの資格助成といいますか、認定促進、研修促進の施策でありますとか、もう一つ言いますと、在宅介護支援センターあたりをどれだけこれから民間事業者として取り組んでいくかということも極めて大事な要素でありますから、そうした具体的な支援策も私はこの法律の中でぜひ御検討いただきたいということをお願いしたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。     〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕

征矢紀臣労働省職業安定局長

○征矢政府委員 ただいま御指摘の御提案でございますが、私ども、介護労働安定センターにおきまして研修等を重点的に行っているところでございまして、今後恐らく高齢化社会の中でさらにこの分野は伸びていく、伸ばすべきではないかというふうに考えております。  具体的な支援について、介護保険法の施行という新しい環境の中で、例えば家政婦紹介所あるいは家政婦の方々がその経験や知識を生かして一層の力の発揮ができるようにどういう助成をしたらいいか、介護労働安定センターによる支援の強化策などについて今後さらに検討してまいりたいというふうに思います。

桝屋敬悟平和・改革

○桝屋委員 先ほど、今までの実績が余りないと。これからまさに実績を生み出さなきゃいかぬ部分でありますので、ぜひそうした観点で御検討をお願い申し上げたいと思います。  最後に、大臣にもう一回お願いしたいのですが、昔、家政婦さん方は十六万人ぐらいいた。ところが今は随分変わってまいりました。さっき申し上げたように、ホームヘルプサービスの研修も受け、さあ頑張ろう、こうなっても、厚生サイドが、家政婦紹介所から来る家政婦さん方は家事援助だけですよ、なかなかあなたたちは介護できないんだというようなことで、安易にどうも敬遠される節がありまして、業態転換をやり本気になって頑張っている人については、小泉さん、しっかり意識してくださいよというようなことも機会があったら声をかけていただきたい。最後にちょっとお願いを申し上げて、大臣の御見解を。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 お話の趣旨はよく承りました。そして、何よりも介護をする場合には、もちろん資格ということも今おっしゃったわけですが、資格があるから名介護士かということになると、私は必ずしもそうじゃないと思うのふす。手術がうまい医者は必ずしも名医ならず、患者の心に安らぎを与える医師こそ名医であるということもありますから、長年御経験を積まれた家政婦の人たちはやはりそれなりの人生のお値打ちがあると私は思いますので、よく御要望は受けとめさせていただきたいと思います。

桝屋敬悟平和・改革

○桝屋委員 ありがとうございました。今の声を皆さんにも伝えたいな、このように思っております。  以上で終わります。

田中慶秋民友連

○田中委員長 次に、青山丘君。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 労働大臣、お疲れのところですが、今しばらくおつき合いをいただきたいと思います。また、質問の形式はとりますが、私は大臣所信に対して質問をいたしますけれども、意見の交換だと思って、というのはできるだけお互いに共通の認識を持ちたい、そういう意味でひとつお答えをいただきたいと思います。  既に答弁では触れておられますけれども、私からも少し触れさせていただきたいのは、やはり一つは、最近の不況について触れていかなければ雇用失業情勢についてお話しできないというふうに思いますので。  最近は政策不況と言われております。誤解を招くかもしれませんが、山拓不況と言われておりまして、それは決して名前ではありません、山一と拓銀のことでございまして、そういう影響を受けまして企業の倒産件数もふえておりまして、雇用不安が相当広まっていることは事実。  そして、最近の雇用失業情勢の示されました数字を見ても、なかなか厳しい。二百三十万人の失業者、三・五%の失業率、大変厳しい状況だと私は思います。雇用者数で見てみますと、なるほど伸びは鈍化しておるのですけれども、やはりこれは小康状態というべきでしょう。  それから、雇用者数の産業別を見てまいりますと、運輸・通信、それから製造、建設業、ここらのやはり日本を実際に支えてきたところで落ち込んできています。サービス業、卸・小売業はまあ堅調に推移してきておる。しかし、実際の日本の産業、経済を長い間支えてきた建設関係、製造業、この減少はなかなか深刻なものがあって、この三カ月ずっと落ち込んできております。企業心理も冷えてきておりまして、そういう意味では消費に影響が出てきます。  どうしても景気対策が必要という段階になってきておることは事実。私はもう半年も前から必要だと。ただ、この問題は先ほどちょっと触れられたのですが、ちょうど質疑の中でもう終わりかけまして、だからこれは一番最初に本当は触れるべきかなと思ったが、労働委員会ではこれはまた時間があれば労働大臣とじっくりお話をしたいと思いますけれども、今の雇用失業情勢、労働大臣として本当にどう受けとめておられるのか、私からも質問しておきたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 本日の委員会で再三お答えを申し上げておりますように、現在の有効求人倍率、失業率というのは、日本のかつての数字から見て大変厳しい数字である、これは労働省をお預かりしている立場の者としては特にそのように考えております。  問題は、したがって中期的にはともかく短期的にこれをどうするかということでございますが、景気動向にまさに左右されるということだと思いますので、この景気を悪くした原因は何だ。先ほど来お話し申し上げているとおり、建設業のお話もございましたが、金融、不動産、建設、建設もまあ特に土地の手当てをしたところ、こういうところはバブル崩壊後土地が動かなくなり、結局金利を払いながら資産として運用できない、仕掛かり品を持っているという状況ですから、収益が大変悪くなっているわけです。  そういう状況でございますから、一般の方々も、自分のお父さんの勤めている会社は、銀行がえらい調子が悪いと言われているが、銀行からお金を借りられなくて大丈夫なのだろうかというお気持ちに奥様は当然なられる。またお店の御主人も、手形で代金をもらったけれども、果たしてこの手形は落ちるのだろうかと思われる。そのために防衛的に消費というものを抑えて、結果的に貯蓄がふえている。これは消費性向が落ちずに消費額が落ちている場合は、私は減税だとかそういうことは非常に有効だと思うのです。しかし今は、そういう不安が不安を呼んでみんなが自己防衛的に小さく固まっているような、私流に言えばこれは信用不安不況だと思っております。  きょう、やっと閣議で四つの銀行への資本注入が始まりました。これから残りの銀行からの申請についてもどんどん許可されると思いますので、銀行がこれをまじめに働いている中小企業、中堅企業にしっかりと融資をするということ。そして、一年締めれば黒字決算をしているのに、一カ月の資金繰りがつかないから苦しいなどということにならないように、これは最大の景気対策であり、そして雇用対策になる、私はそういうふうに見ております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 雇用失業情勢というのはやはり景気に非常に大きく影響を受けてくることは、お互いに同じ考え方、受けとめ方だと思うのですね。ただ、社会が変わってきておるなということを感じておりますし、バブルの深刻なツケを今受けているということも事実です。  それから、景気対策の中で重要なことは、やはり一つは、政治に対する社会の信頼感があれば、その景気対策はかなりの効果をあらわしてくるということが一つ。  それから、最も古い失業対策というふうに受け取られてはいけないのではないかと私は思うのは、長い間建設業が失業者をかなり受け入れてきた現実はやはり見過ごしてはならない。しかし社会は、社会はというか政治は、今のところ公共事業がだんだんとすぼめられていくような機運、長期的に見ると必ずしもそうではないのですけれども、現時点ではそんな印象も社会は受けとめてきておるということを考えますと、公共事業が失業対策になっていることはもう話られて長いし、余りにも当然ではありますけれども、このこともやはり考えの中には重く理解しておいていただかないといけないと私は思うのですね。その点はいかがでしょうか。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 これはもう青山委員一番よく御存じでございますが、財政構造改革も体力のある間にやらねばならないということを橋本内閣では考えて、そしてさきの国会で財政構造改革の法案を議決をして、それに従って予算編成をしたというのは実は平成十年度予算が初めてでございます。この平成十年度予算は、残念ながらまだ本院の議決を経ておりませんし、参議院の議決も経ておりません。したがって、財政構造改革にのっとったシーズというか、対民間市場への支払いは一銭も行われていないわけです。  ということは、それにもかかわらず建設業が今不況であるということは何かといえば、バブルのときにかなり工事をとるために土地をお手当てになった、そしてその手当てをされた土地は動かせないのだが金利だけは取られているという状況にあるということが一つ。それから、全体的に、今申し上げたような不安が不安を呼ぶからという形で、結果的に新規の民需等が出てこないということもございます。  そこで、公共事業が、これはケインズの時代から雇用創出のための大きな手段であったということは私も否定いたしません。極端なことを言えば、ケインズのエジプトのピラミッドじゃありませんが、あちらの砂をこちらへ持っていき、こちらの砂をあちらへ持っていきということでも有効需要は創出されます。しかし、そういうことはあってはならないわけであります、結局は国民の税金を使うわけでございますから。財政再建とか財政カット法案と言わずに財政構造改革法案と名づけているのは、私はやはりそれなりの意味があると思うのです。  というのは、シーズの内容を変えなければならないということです。具体的な公共事業も、直轄事業であれば一兆円の有効需要をつくるために一兆円の国費が要ります。地方の選択に任せれば、補助率三分の一であれば地方は三分の二の財源をおつくりにならないといけませんが、国は三分の一の一般会計負担で済みます。今言われているPFIという手法が御承知のようにございます。これは、青山委員の地元の中部空港もこれでやろうということになっているわけですが、関西空港とか、先般のアクアラインとか、あるいはこれから新しい容積率のもとで建て直される公営住宅とか、あるいは通信の分野とか、こういうものに民間資金を入れて、ただ、金利だけはみんな一般会計で見ようじゃないかと、公共的な性格もあるから。  一兆円の事業に要る一般会計の負担は、金利が三%とすれば三百億です。そういうことも絡めて、最終的に、有効需要は減らないけれども、雇用の維持力は減らないけれども、できるだけ後世にツケを残さないようなやり方でやっていくんだということをみんなで知恵を出し合って、そして種を見つけてやっていくということは、結果的には今の日本の状況に合うんじゃないか、私はそんなふうに思っております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 この問題は実は労働委員会で余り深くやるところではないかもしれませんが、しかし、長く建設業が失業者に対して受け皿になってきたという役割を大きくここで転換してしまうことが、先々どのような影響が出てくるかということも幅広い思考の中で考えていっていただかなければならないことだと私は思ったものですから、触れさせていただきました。  それから、ちょっと一点だけ。朝も主要先進国との失業率の比較が出ておりましたが、日本はまだ、三・五%、二百三十万人の失業者といっても、失業率から見れば主要先進国の中では低い方です。  考えてみますと、一九八五年、当時日本の失業率が二・六%。カナダやイギリス、ドイツ、フランス、イタリアはほとんど一〇%くらい。アメリカは少し低くて当時七・二%。そのほかの先進国は大体一〇%前後。非常に高い失業率でございました。ところが、アメリカ、カナダ、イギリスは非常に失業率が下がってきておりまして、大きな成果を上げているのですけれども、欧州各国、ドイツ、フランス、イタリアあたりではまだ一〇%を超えていて、むしろ一九八五年時代よりも悪くなっている。そういうことが出てきておりまして、これはいろんな理由があると思いますけれども、日本が非常に低い失業率を確保してきた、これは日本の労働行政が長い間大きな成果を上げてきたという意味では、私は率直に評価できると思います。  ただ、そういう中でも、今は非常に高い失業率になってきておる。そういうことも考えながら、西欧先進国との失業率の違いをどのように分析して受けとめて理解をしておられるのか、少しお話しいただきたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 確かに数字の上では今、青山委員がお示ししていただいたとおりの推移をたどっていると思います。私は、日本が低い失業率で推移できたのは、やはり先人の努力と日本人の質が非常によかった結果、右肩上がりの経済成長が維持できたからであって、その中で終身雇用制という日本の伝統文化のあらわれのようなものをやはり律儀に守ってこられたということに大きな影響があると思います。  それから、今お挙げになった数字の中で、アメリカと、それから欧州でいえばイギリスだと思いますが、失業率が今のところ落ちてきているというか低くなってきております。景気も率直に言うとかなりいいと言われていますが、これらの国は、今大変評判が悪くて我々も苦しい中でやっておりますが、これよりもっと厳しい批判を受けながら、サッチャーという方とレーガンという方が一応あくを抜いた後で、今ブレアとクリントンが我が世の春を謳歌しているという面も一つ私は歴史の事実としてやはり受けとめておかねばならないと思います。  それからもう一つ、アメリカはなるほど失業率は低くなってきましたが、しかし、それでも日本より高い。しかし、働く人の実質賃金はこのところどれぐらい上がっているんだろうかという議論が、アメリカについてはよくなされます。これは、私はやはり実質賃金を上げながら失業率を低く抑える国でありたいと思いますし、ヨーロッパのように、税負担が日本よりべらぼうに高い国で、いろいろな社会保障給付で支えていかねばならないという国にもやはりなりたくないと思いますから、私は今苦しいときだと思いますが、日本の国でございます、もし自分の会社が赤字会社であったらどうするんだろうかということを、やはり国民一人一人、またその国民の代表である政治家お一人お一人が考えて対処すべき歴史的な時期に来ているんではないかと私は思っております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 大臣、実は、私は少し古いタイプの人間かなと時々思います、自分でも。  例えば、日本の失業率がこんなにうまく来たのも、一つはやはり終身雇用制度を確立してきた日本のこの労働行政の成果かなと、率直に。それから、今おっしゃったとおり、日本は賃金格差が比較的少なくて、これはある意味での反省点であるけれども、失業率が低かったのは、それは富の格差を雇用をすることによって補ってきた、そして職場が確保されることによって国民生活も守られてきたという部分は率直にありますよね。これを私は古いと言わないで、率直に、得た成果というものはやはり、そのまま温存する必要はないのですけれども、大切に評価をしていかなければいけないというのが一つ。  今は若い人たちが、学校は卒業したけれども何だか自分はフリーターだとかなんとか言ってなかなか本当の目標を持たないで、金を稼ぐだけ、まあ小遣い稼ぎと言っては失礼ですけれども、そんな形になっていくのはよくないという気がいたしますので、私は、これまで進めてきた労働行政の基本について、本当はもっと自信を持ってこれからも進めていっていただく部分が多いと思います。  後からちょっと触れますが、もちろん中高年齢者の人たちの職業能力を開発していかなければならないというような仕事もありますし、女性がもっと、少子化にならないで仕事へ、職場へ出られるような、そういう社会をつくっていかなければならないという部分もありますから、それはそれとして、これまでのことについての一定の理解を、これからはやはりなお、していきたいと思います。  それから、先ほども触れておりましたけれども、山一証券の自主廃業に伴いまして離職をされた方々の再就職活動について少し触れたいと思いますが……(発言する者あり)いやいや、私が触れたいのは一般論で触れるのですけれども、三十五歳までの若手の方々は案外引き手が多くあったと、先ほどのお話にも出ておりました。しかし、四十五歳から五十五歳くらいといえば一番の働き盛り、そして家計の出費も一番高い、そういう年代の人たちの再就職の引き合いが非常に少ない。これは、ある程度の経験を積んだ人たちの力を社会に、職場に活用できないというのは、一つは、社会全体にとっての不幸なこと。  そういう意味で、中高年齢者のいわゆるホワイトカラーの就職問題について具体的な対策をきちっととらなければならないときが今だと思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 青山委員御指摘のような現状にあることは、私は率直に認めたいと思います。  私もお答えを申し上げておりましたように、日本の終身雇用制というものは、やはりこれを守っていくということは基本的な私の考えであるわけで、そのためには、終身雇用制が大きなメーンロードとして守っていけるような経済状況を常に維持していくし、長期的にはへ働き場所が、税が高いからといって海外に逃げるとか、土地が高いから、立地条件が悪いからといって海外に逃げるとか、そういうことのないような環境条件もやはり整備しておかねばならない。そういう中で、終身雇用制を大きな基本に据えておれば、少なくとも定年までは普通は中高年齢層の就職問題というのは起こるわけがないわけです。  ところが、現実には、今不況期で、大型倒産等が生じておりますからそういう状況が出てきておりますので、これは午前中もお答えしましたように、私どもはもう待ちの行政はやらない。通達を出しておればそれで事済めりというわけではない。職安に座りながら求人と求職を突き合わせている仕事はもうやめよう、こちらもセールスマンとしてお願いに行って、新しい職を出していただこう、そして求職をされる人にそれをお示ししょうじゃないかということで、実はホワイトカラー等雇用支援ネットワークというものを始めたわけでございます。  愛知県の方にも、中小企業団体中央会や商工会議所等からお願いが実は行っておりますので、先生も地元の有力な議員として、ぜひ御協力をいただきたいと思っております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 就職協定が廃止されてきましたね。ところが、最近はルールなき戦い、就職戦線異状ありみたいな状況に実は一面なってきておりますが、片方で、中小企業者から見ますと、欲しい新規の学卒者が実は以前に比べればなかなか来てくれないようになってきておるというような一面もまた出てきておりまして、その辺は、就職希望者の立場と、採用したいという企業の立場とかなりのミスマッチがある。大体世の中は、自分で思っておる自分の能力と、他から見る自分に対する評価というのは大分差がありまして、おれは三菱に当然入れるのだと思っても、三菱の方でちょっと悪いけれどもあなたはと。ところが、中小企業者は意欲を持った新規の学卒者をぜひ入れたいという希望があります。しかし、そこはなかなか困難になってきておる。  それで、就職協定が廃止されてきて、そのことによって今どのような成果が出たと理解しておられ、かつ、しかしなおこういう問題はこれからしっかりこういう形で取り組んでいきたいというような方針がありましたら、ひとつぜひ聞かせていただきたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 これはもう青山委員よく御承知のとおりでございますが、就職協定そのものは実は労働省の手を離れておりまして、これは文部省がやっておることでございます。  一般論として言えば、就職協定というルールがあれば、必ずルールを抜け駆けをしようという者が出てくるというのは世の通弊であります。抜け駆けをするのが出てきて規制とかルールとかというものが意味がないということであるならば、自由に競争させればいいじゃないかという動きが必ず出てまいります。しかし、自由に競争させれば、今度は、今おっしゃったように、強い者、有利なところがいい人を先にみんな採ってしまって、そうじゃないところがいい人材が採れない。つまり、よく言われる弱肉強食という姿が出てくるわけです。  私は、労働省としては、本来、ルールを守る企業経営者のもとに就職協定があれば、それが一番いいことじゃないかと思っておりますので、ここ二、三年は少し不景気もあってかなり混乱すると思いますが、しかるべきときにやはり経済団体ともお話をし、そして文部省にも、自由競争の弊害が大き過ぎるのであれば、そしてそのことは、人材を採るということだけじゃなくて、学生の諸君が、どこまで親のすねをかじっておるか自分でアルバイトをしたのかわかりませんが、お金を払っているにふさわしい勉強の時間があるのかということも、私は実は心配をいたしておるわけでございます。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 実は私は、この一点で本当に日本の将来いいのかなと心配することがあります。  学卒者が、自分で自分を評価して、一定の企業を目指して就職活動をやります。これは、かなりブランド志向が強くありまして、しかし、社会や企業がそれだけの評価をその新規の学卒者にしているのかというと、なかなかそうではない。このミスマッチがかなり永遠の問題としてこれからもあるのです。例えば東南アジアの青年やアメリカやヨーロッパの人たちが、本当にこの分野で例えば技術者として自分は生きていきたいのでこの専門的な勉強をやってきた、そしてこれからもこの分野で生きていきたい、そういう人たちが会社に入っていったときの力量と、単純なプランド志向で、技術者としての勉強を一定にしてきた、そういう新規の学卒者が研究者や技術者として活躍している企業との間に、力量の差が将来出てきたら、これは日本全体にとってもなかなか深刻な問題だなと。  そういう意味で、少し何か就職に対する意識が、行政に頼ったり、それから社会に頼ったり企業に頼ったり、あるいは親やそういう周りに依存していくような社会的な風潮があるとすれば、これは大変なことになっていくのではないか。だからこういうことを申し上げるのですが、大臣として御所見があったら、一言。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 政治家としては大変大切な議論でございますが、やや人生観、価値観にかかわるようなことでもございますので、どう人間が生きていくか、人間の生きる幸せというのは何かというようなことにもかかわってくることだと思います。私は、やはり学校の教育というものは、基本的に、少なくとも国民の税金を使ってやっている間は公なるものに奉仕をするということを教えるのが基本だと思っておりますし、教育基本法を何度も読み返してみても、やはりそのような精神で書かれているように思います。  ところが現実には、残念ながら、社会の中でお金をたくさん稼げる、あるいは力のあるポストにつけるというその階段を上るためのふるい落としを何度も学校教育の中でやっているというのが今の常だと思うのですね。それが結局、今御指摘になったような企業の選択にまで及んでいる、当面ですね。しかし実際は、そこへ入ってみたら、後、本当に幸せだったのだろうかということはよくあると思います。何度もあると思います。  そして、日本はそういうことを許すだけの豊かな経済力を持つ国に先輩がしてくだすったがゆえに、今おっしゃったフリーターだとか、あるいは、もちろん、人生経験がないときの一度の選択で一生を縛られたくないので自分は幾つかの企業を登録をして渡りたいとか、いろいろな人が出てきていることは、私は否定いたしません。しかし、私の大学時代のことを思い出すと、あのとき給料がよかったとか超一流であったという企業の中で、今隆々とやっておる企業は私は非常に少ないように思いますね。  ですから、やはり自助と自律と自己責任をしっかりと持った教育を子供のころからたたき込んでおけば、今先生がおっしゃったような選択にたえられるような日本人が私は出てくるのじゃないかと思っておるのですが。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 一点、女性の職場、少子化のことで少し触れたいと思います。  女性が生涯に産む子供の数を合計特殊出生率というのだそうですけれども、この合計特殊出生率が昨年は一・四二五、史上最低水準となっております。実は、私は、少子化が進むことで労働力が減少していく、そのことが経済成長の低下につながると思っておるのです。出生率を回復する、これは労働省の仕事じゃないとおっしゃられるかもしれませんが、これは夫婦の問題だと言わないで、女性が社会に出ていく、それから仕事と家庭をきちっと両立することができる、そういう社会をやはりつくっていかなければならないと思いますが、企業の雇用形態を見直していく必要もあるのではないか。長時間労働は当たり前だ、転勤も当然、こういう社会ではなかなか女性が社会に進出できていけないというような考え方を私自身が持っておりますので、企業の雇用形態を見直していく必要性が出ておると思いますが、いかがでしょうか。

太田芳枝労働省女性局長

○太田(芳)政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように、現在合計特殊出生率は非常に下がってきておるわけでございますけれども、この中で、私は、労働省といたしまして、先ほども申しましたけれども、男女労働者がともに家庭生活と職業生活とを両立できる就業環境をつくっていくということが非常に重要であるというふうに考えておるわけでございます。その中には、先生御指摘のように労働時間の問題も含めて、また雇用管理の問題も含めて広く多くの方々に御議論を進めていっていただくということが極めて重要であるというふうに考えております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 そういう意味で、先般、男女雇用機会均等法、それから週四十時間、我々も法律を一緒につくってきたのですが、ぜひひとつ……。  今、NHKの朝のテレビ番組はごらんになることはないでしょうね。大臣、ごらんになりませんか。実は「甘申しゃん」というのを今やっていますが、昼にごらんになる機会がたまに一週間に一回ぐらいあるかもしれませんが、あれは女性が榊酒造という会社の当主でして、ご主人が家事、育児を一生懸命、自分は産んでいませんけれども、食事をつくったり洗濯なんかどうもやっているみたいです。僕は余りよく見ていませんが、この間ちらりと見たら、随分変わった家庭があるものだなと。でも、私は、これはいいことだ、これがやはり多様な社会でこれから必要かなと感じました。  大臣、ごらんになりましたか、テレビ。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 私は、閣議等で見られないときを除いては、大体宿舎を出ます前、八時半に終わりますので、ほとんど欠かさず見ております。  今おっしゃった部分についても、女性と男性の役割というのは、やはりともに助け合ってやっていかなければならないという意味では、非常におもしろいというか^いいなと思ったのと同時に、今おっしゃっていた当主である泉ちゃんが小さな小さな子供のときに、樋口可南子さんのお母さんに連れられて榊酒造に奉公するわけですね。それはちょうど先生や私の世代が大学を出たころか大学にいたころなんですよ。そのころ、榊家の当主というのが、当主といってもこれは大奥さんなんですが、非常に厳しくしつけるというか、今の人ならとても耐えられない。雇用保険が充実しているのならばその雇用保険を当てにして次の職を探したいというようなことになるほど厳しくしつけるのですね。それを、しかしほかに働き場所がないからぐっとこらえながらその榊酒造で頑張るという場面もあるのですよ。  だから、私は日本の労働の需給関係の歴史を見るような思いだなと思って見ておりました。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 ちょっともう一点だけ。  最近高齢化社会に入ってきましたが、本当に充実したいい社会というのは、高齢者も生き生きと仕事に取り組むことができるような社会、これは単に所得が得られるとか生きがいがあるとか健康であるとかというようなそういう見方ではなくて、一人の人間が生きていくときにどこに充実感や喜びや幸せを感じていくかという意味では高齢者が働くということはいいことで、必ずしもお年寄りは楽して、つまり仕事から離れてもらってあとは福祉で手厚く見ていくということだけではない、むしろそういう見方の方が、余り偏るのはよい社会とは言えないと私は考えています。  そういう意味で、六十歳以上の定年の定着状況と六十五歳までの継続雇用の進捗状況と今後の高齢者雇用について、深く掘り下げてはまた改めてきちっとやりたいので、大臣としての所感を聞かせていただければ。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 御承知のように、六十歳定年制というのはほぼ定着したと考えていただいて結構かと思いますが、六十五歳まで引き続き何らかの形で働いていただくという仕組みを持っておられる企業は大体八割ございます。しかし、希望者がどれだけ働けているかというと約二〇%ということです。お金だけというのなら、税金をどんどん取って、そして給付金を渡せばそれでいいのかもわかりません。しかし、それは財政が大赤字になるという別の問題がございますが、それを抜きにすれば、お金で解決するということならそういうことかもわかりません。  しかし、やはり人間の生きていて一番大切なことは、みずからこの世に存在するということを他人に認めてもらっている存在感にあると私は思います。それは、働くことによってその存在感を際立たせるという要素が非常に多いわけですから、日本は終身雇用制で、例えば失業率三・五というお話があっても、企業が給与は負担しているけれども仕事がなくて窓際に座っているという目に見えない失業というのは、決して私は幸せな状況ではないと思うのですね。  そういうことからしますと、二〇一三年には厚生年金が六十五歳になるからその間を埋めるためにどうだとかという話ではなくて、やはり存在感を実感しながら生きていく幸せをかみしめるために、日本経済をそれにたえられるような状態に維持発展させながらやはり六十五歳まで、あるいは場合によっては七十歳まで何らかの形で、定年制とは申しません、何らかの形で社会に参加し、働き得るような社会を目指すのが、自由民主党だけではなくて、各政党を通して政治家の責任だと私は思っております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 この問消費税率を一体どれぐらいに上げれば福祉に十分な原資が確保できるのかという議論をやっておる最中に、そういう発想にならないで、やはりもっと多くの人が働きたいという場合には働ける社会がいい社会じゃないかというふうに私は思いましたので、そんな話を始めて……。  私は、やはり失業率を下げていかなければいけない、失業者を少なくしていきたいという立場から今までずっといろいろな議論をさせていただきましたが、最後に、幸せな労働者のイメージというのはどういうものだと大臣は考え、本当に幸せな勤労者像とはこういうものだ、幸せな勤労者の家族像というのはこういうものだというものをひとつ、これは我々みんなが追求していくことなのですけれども、大臣としてどのような見解を持っておられるかお伺いして、それで終わります。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 これは各人の価値観によるものでございますし、生まれてから育ってきた今に至るまでの教育、経験によるものでございますから、一般像をどうということは申し上げるべきではないと私は思いますが、伊吹、おまえはどうありたいかと言われれば、私は、お金はないよりもある方がいいと思っておりますけれども、ただ、お金はあるけれどもつつましく暮らせるだけの人間でありたいと私は思っております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 また改めて質問を続けます。

田中慶秋民友連

○田中委員長 次に、大森猛君。

大森猛日本共産党

○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。  四日ほど前、三月九日に平成十年一月分の速報として家計調査報告が出されましたけれども、勤労者世帯はマイナスの五・九%、四十六カ月ぶりの落ち込みということになっております。しかも、全世帯でいえば、昨年まで五年連続マイナスが続く、これは昭和三十八年の調査開始以来初めてというような状況で、消費の冷え込みはもう通り越して、消費は凍りついているのじゃないか、今、大変深刻な状態にあるのではないかと思います。  そういう中で、最近、日本総合研究所、日本総研が「将来所得の減少が萎縮させる家計行動」、こういう大変興味深い研究報告を発表しておりますけれども、それによると、家計行動の萎縮、これで今後十年間で約八%個人消費が落ち込んでしまう。その構造的な要因として二つ挙げているわけなのです。一つが社会保障の連続改悪、もう一つが賃金制度の変化、雇用と労働問題、こういうことになっておるわけですけれども、こういう中で、今回政府は、労働基準法あるいは派遣労働者法など労働法制の全面的な改定を提出されるわけであります。  そこで、私は端的にお伺いしたいと思うのですが、これらの制度改定によって労働者の所得が上がるのか、それとも押し下げられるのか、さらに、労働時間は短縮されるのかふえるのか、この点で大臣の認識を端的にお聞きしたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 大変失礼でございますが、私は基本的に、認識をやや異にいたしております。  というのは、労働者の賃金がふえるのか時間が減るのか、労働者に対するそういう一律的な護送船団的考え方を少しずつ変えていこうというのが今回の法改正でございますから、人によっては大いに時間も短縮されるでしょうし給与もふえるでしょうし、場合によっては減る方もあるかもわかりません。しかし、それよりも何よりももっと大切なことは、今回の法律によって上がる下がる、短くなる長くなるということよりも基本的に大切なことは、やはり経済の底上げをすることによってみんなが、今までそうであったように、豊かになっていくことだと私は思っております。

大森猛日本共産党

○大森委員 大臣は護送船団という言葉がお好きなようですが、今度の所信表明ではありませんけれども、他の政府広報誌の中では、今の法制は頑張った者も頑張らない者もともにの護送船団だというようなこともおっしゃっているわけなのですが、私は、今の厳しい経済状況の中で頑張っていない者を抱えた企業が本当にやっていけるかという状況で、このことを職場等でお話しすると、皆さん大変怒りを持たれるわけなのです。  私ども日本共産党は、今度の労働法制の一連の改定、その中には変形労働制あるいは裁量労働、有望雇用あるいは派遣労働等々あるわけなのですけれども、これらは本来、労基法から照らしても、大変問題があるからこそ限定的な、特殊例外的な適用しかされてこなかった。それを今度は外して、大きく労働者全体をいわば対象にしていくということで、これは雇用にも労働者全体の生活にもやはり甚大な影響が出てくるのじゃないかということで、私ども、それらの雇用形態について、この間、それらに従事する労働者の皆さんに直接当たって、調査を行ってまいりました。  その結果は、確かにおっしゃるように、それは所得のふえる人もあるかもしれないけれども、平均的にかつ全体として収入は減る、労働時間はふえる。さらに申し上げれば、きょう午前中にも大臣の労働行政の一つの理念としておっしゃったバイパスを多様に確保するというお話についても、例えば、ある商社等では、正規社員にかわってどんどん派遣社員が入り、脱法的な作業をしているわけです。来年、恐らく新規一般職は不採用、採らないだろう、既にそれを公式に発表している企業もあるということで、こういう労働法制の改定が進められたら、逆にバイパスは不安定雇用の形態にずっとなって、それだけが拡大されていくということになるのじゃないかということを、この間の調査を通じて大いに私は感じたところであります。  これらについてはまた別途、別の委員会あるいは今後の労働委員会でも改めて質問し、見解もただしていきたいと私は思うのですが、きょうここでは、雇用の問題も大変深刻ですので、労働時間短縮問題についてお尋ねをしたいと思います。  一九八八年五月に「世界とともに生きる日本経済運営五カ年計画」で「年間総労働時間を計画期間中に、千八百時間程度に向けてきる限り短縮する。」これは当時、国際公約とも言われたわけでありますけれども、結果としてはこの目標を達成できなかった。続いて一九九二年に「生活大国五か年計画」、さらに明確な目標として九六年までに千八百時間、こういうことを閣議決定したわけでありますけれども、その達成状況、それから一九九六年で主要五カ国と比較して日本はどうなのか、さらに一体いつまでに達成するのか、この三点についてお聞きしたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 今おっしゃった具体的な数字については後で政府委員から答弁させますが、基本的な考え方を少し申し上げたいと思います。  まずその前に、今般御審議をお願いするために本院に提出いたしました労働基準法について、裁量労働制を全労働者とおっしゃいましたが、そういう内容にはなっておりません。これは、事務のホワイトカラーにこの裁量労働制をという御提案をしております。それから、派遣職員等脱法的なということをおっしゃいましたが、派遣職員は法律に認められているものであって、脱法的な労働者ではございませんので、この点もひとつ訂正させていただきたいと思います。  さて、今おっしゃったように、この十年間で約二百時間の労働時間の短縮が達成されてきておるわけでございまして、現在のところ、年間の総労働時間は大体千九百時間ということになっております。これは、やはり市場経済で我々は生きておるわけですから、計画経済や社会主義経済で生きているわけではございませんので、この原理原則に合う中で時間は短縮していきませんと、働いている人たちの収入というものは払えなくなるわけでございますから、経済運営の失敗をできるだけ最小限に抑えながら、勤務時間の短縮にはこれからも一生懸命取り組んでいきたいと思っております。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 お尋ねのございました労働時間の数字の方についてお答えを申し上げたいと存じます。  年間の総労働時間につきましての主要五カ国との比較という御指摘でございますが、毎月勤労統計によります最新の年間の総実労働時間は、三十人以上の規模で見まして千九百時間となっておるわけでございますが、ただ、諸外国と比較する場合には、どうしても製造業の生産労働者に限られますのと、時点がやや古くなるわけでございます。  一九九六年の時点で、製造業の生産労働者の年間の総労働時間は、我が国の場合千九百九十三時間でございます。これが、四十時間制が年途中から実施されました九七年は千九百八十三時間になります。アメリカが同様の数字で千九百八十六時間、イギリスが千九百四十三時間となっておりまして、大体日本と同水準。ただ、フランスが千六百八十時間、ドイツが千五百十七時間ということで、それに比べますと日本の水準はかなり長いという実情にございます。

大森猛日本共産党

○大森委員 先ほど私が脱法的と申し上げたのは、本来限定された業務外の派遣職員の仕事が既に現実にはあるということで、そういう実態があるということは、これは大臣も認識していただかなくちゃいけないと思います。  それで、今御報告にありましたように、同じ市場経済の原理原則の中でやっているドイツ、フランスと、三百時間からあるいはそれ以上大きな開きができている。しかも、国際公約が十年たっても達成できない。二度にわたって閣議決定しながらいまだに達成できないというのは、やはりこれは問題だと思うのですね。  さらに問題なのは、こういう今の日本の千九百九十三時間、こういう年間労働時間が、日本の労働の労働実態を本当に反映していない数字じゃないかということであります。  それは、直接にはいわゆるサービス残業。このサービス残業について、労働省としてはどのように掌握をされているでしょうか。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 サービス残業の実態についてのお尋ねでございますが、これを統計的に把握する方法は、正直ございません。  ただ、私ども全国の労働基準監督署を通じまして、あるいはそこに持ち込まれました申告あるいは定期的な監督、そういうものを通じまして、実際の就業の実態とそれから三六協定との照合、またそれに基づく割り増し賃金の支払いの有無等を点検いたしておりまして、もし必要があれば割り増し賃金等の支払いの是正を勧告をいたして、問題の解決に当たっているところでございます。

大森猛日本共産党

○大森委員 実は、このサービス残業というのが日本ではもう構造的に、しかも少々の時間ではない、広範に行われているということを、今もお話あったように、労働省として正確に掌握する努力をやはりされてないのじゃないか。労働実態を時間の上で正確に把握する努力をやられていない。  これは、実は予算委員会で、六年前になりますけれども、労働省の毎月勤労統計での労働時間というのは企業側の記入したもので、そのためサービス残業が含まれていないということが既に指摘された。当時の近藤労働大臣は、実態が正確に把握できるような統計をとれるように調査し検討、こういうぐあいに明快に述べておられるわけでありますけれども、やはり、基本的にはほとんどこれは改善されていないのじゃないかと思うのです。  では、どのくらい労働実態と労働省の統計では開きがあるかということで、今資料をお配りをさせていただきましたけれども、ごらんいただきたいと思います。  「働き過ぎと健康障害」、これは経済企画庁経済研究所編集発行「経済分析」の九四年一月号。主任研究員の徳永芳郎氏の研究報告であるわけでありますけれども、政府の労働時間調査、企業側から調査する労働省の毎勤統計と労働者側から調査する総務庁の労働力調査、それぞれを年間に換算して比較検討したものであります。  例えば、一九九二年、平成四年で見ますと、毎勤統計の方をもとにしたものでは千九百八十二時間。これが、労働力調査、総務庁調査をもとにしたものでは二千三百九時間と、実に三百二十七時間の大きな開きが生まれているわけですね。多いときにはこれが四百時間近い。  どうしてこういう開きが生まれるのか。統計上の問題ではなくて、その基本的な要因がどこにあるのかという辺をお答えいただきたいと思います。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 ただいま労働力調査と毎月勤労統計画調査によります労働時間の調査結果の数字の違いについてのお尋ねでございますが、やはりこれは、先生は統計上の違いではなくてという御指摘でございますが、統計の仕組みがかなり違う両調査でございます。  例えば、毎月勤労統計調査は全期間を通じて調査をするのに対しまして、労働力調査は月末の一週間でございます。御案内のように、月末の一週間というのは普通の企業の場合かなり多忙な時期がそこに含まれますことと、年間をならして見ますと、当然ながら、例えばゴールデンウィーク、それからお盆等の夏休みの時期というものが通常含まれてまいりません。また十二月につきましても、この月末一週間というのは二十日から二十六日という特別扱いがされている調査でございまして、当然そういった部分でこの両調査の違い、むしろ労働力調査の方が多目に出るという傾向は、これは統計の仕組みからやむを得ないものと考えております。  またさらに、毎月勤労統計調査は事業主調査でございますが、労働力調査の方は世帯単位の個人調査でございます。したがいまして、調査の要領等をごらんいただければ御理解いただけますように、いわば本人が働いたとして申告するような形での調査になりますので、どちらかといいますと在社時間全体、そういったものが調査結果にあらわれてくる傾向がございます。  そういったことから両調査の違いが出てくるものでございまして、いわゆるサービス残業という御指摘ございましたが、これは、そういったものと別に、いわば労働基準法違反の姿でございますから、私どもの臨検、監督等々からあらわれてくるものが実態に近いのではないかというふうに考えております。

大森猛日本共産党

○大森委員 統計学上は実際いろいろ議論はあると思いますけれども、問題は、そこに横たわっている傾向の問題だと思うのですよ。  るる述べられておるのですが、この徳永氏が解明されているのですが、こういう開きが生まれている最大の理由は、企業側からの調査である毎勤統計では、いわゆるサービス残業、ふろしき残業や中間管理職の残業が計上漏れになっていることにある、これはお配りした資料にも書いてありますけれども、明快に回答しているわけですね。しかも徳永氏は、両者を比較検討、相当詳細に検討されているわけなんですが、働き過ぎと健康障害という分析目的に照らしてみると、労働力調査の労働時間の方が実態をより正確に反映している、こう指摘をしているわけですね。  ですから、六年前、当時の近藤労相が、正確に把握できるような統計をとれるように調査し検討と、これはその後どういう努力をされたかわかりませんけれども、やはりこれはきちんと行うべきではないか。  しかも、もう一つの問題は、いわゆる裁量労働制あるいはみなし労働、こういう形で、労使間であらかじめ決めた労働時間ということで実態的な労働者の労働時間の管理はもう事実上免除されるということも、年間総労働時間が労働実態を反映しないその原因の大きなものにやはりなっているのじゃないかと思います。  そういう労働の実態からかけ離れた年間の総労働時間でもいまだに達成できない。そこで、では、なぜ目標を達成できないかということでありますけれども、私は、大きな原因として二つあると。  一つは、労働省が今度の国会に提出された資料によっても、購買力平価による実労働時間当たりの賃金が主要五カ国中最低になっているということなんですね。一九九六年、日本を一〇〇として、アメリカ一四〇、ドイツ一七一、イギリス一〇一、フランス一二六。ですから、時間当たりの賃金が少ないから長時間働かないと生活できない、こういう実態があるということがまず一つです。  もう一つ大きな原因は、労働時間の上限規制がない、事実上時間外労働が青天井になっている。そのもとで次々と過労死が発生しておるのじゃないか。先ほどの労働力調査でも、過労死のボーダーラインは一般に三千時間ではないかと言われているわけなのですが、三千百二十時間以上の労働者は一体何人いるのだ、一九九六年で五百七十七万人、今日本でいるということです。  今、労働省のモデル試算で、年間千八百時間、これを本当に達成するためには所定外時間は百四十七時間しかない。ですから、労働省として今残された道というのは、所定外労働時間百四十七時間以内と法律できちんと決めるか、それとも国際公約を放棄するか、どちらかしかないのではないかと思いますが、いかがですか。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 御指摘がありました点について、私ども受けとめておるところを御説明させていただきたいと存じます。  まず一つ、賃金との関係で長時間労働をせざるを得ないのではないか、こういう御指摘ございました。この点につきましては、例えば一例を挙げて申し上げれば、購買力平価で比較いたしますと、日本の賃金一〇〇、アメリカは一四〇ぐらいになります。その場合、先ほど製造業の生産労働者につきまして御説明申し上げましたが、その中に含まれている残業時間は、日本の場合百六十八時間、アメリカの場合二百三十四時間でございまして、むしろ購買力平価で比較した賃金水準とは逆転をいたしておるわけでございまして、そういったことから、一概には残業の問題について説明は困難であろうというふうに受けとめております。  ただ、先生、この残業時間の問題につきまして上限規制がない、こういう御指摘ございましたが、ただいま今国会に御提案申し上げております労働基準法におきましては、新たに、労働基準法に基づきまして労働大臣が時間外労働の上限に関する基準というものを定め、労使の方に、三六協定を結ぶ際にはこれに適合したものになるようにしなければならないという遵守義務を設けて、そういった形で時間外労働というものを適切な形へ持っていこうという思いを込めておりますので、ぜひよろしく御審議をお願いいたしたいというふうに思っております。  また、千八百時間に向けての、放棄するかという問題でございますが、この千八百時間について御理解をいただきたいのは、千八百時間というものが最低基準ではなくて、我が国の労働者の一般的な働く姿が千八百時間というものに近づいていくことが目標でございます。したがいまして、これを超えて働いている方がいることをもって千八百時間が達成できないということではなくて、一般的な水準が、あるいは一般的な働く方々の姿が千八百時間に近づいていくことが目標でございますので、そういった意味では、私ども、今回御提案を申し上げておる労働基準法等の成立した段階では、そういったことも十分活用させていただきながら、引き続きこの千八百時間というものを目指してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

大森猛日本共産党

○大森委員 今回の労基法の改定のお話がありましたけれども、行政指導の根拠を法律で決めたぐらいでは法的な拘束力、実効力は何一つないというのが、労働法専門家等の大方の共通の意見であるということを申し上げておきたいと思います。またこれは今後の法案審査の中でも申し上げていきたいと思うのです。  上限規制の問題で問題なのは、昨年の女子保護規定撤廃との関係で上限規制が取り払われた女性労働者だと思うのですね。百五十時間の上限が取り払われて、来年四月から施行の予定になっているわけなのですが、先日、国会内で女性労働者と女性議員及び労働委員との懇談会が開かれ、百数十名が参加された。私も、議員としては黒一点でありましたけれども参加して、直接女性労働者の訴えを聞いてまいりました。出版、民間放送、看護婦、教員、国家・地方の公務員等々、本当にもう息詰まるような、胸が詰まるような深刻な職場実態が報告されました。  その一つ、今紹介したいのが、きょうもう一つお配りをした、コンピューター労働に携わる商船会社A社に勤務する二十八歳の女性であります。  時間の関係で詳しくはお読みをいただきたいと思うのですが、とにかく、九二年四月に健康で入社して、三年目で、ここには十キロ、私に報告されておるのは十五キロ減ってしまった。生理も二年間とまった。最多月の時間外労働が百十五時間と大変な状況ですね。この勤務日程、右側にありますけれども、三月一日から十七日までの生活時間帯です。日曜日二日を除く十五日のうち、午後六時に仕事を終わったのはたったの一日。連日残業で、終電またはタクシーの深夜帰宅が実に七日と大変なことになっているわけであります。  大臣は、所信表明で、「人間として存在する喜びである労働」というようなことを言われたわけでありますけれども、とてもこれはそういうことではないと思います。母性すら破壊されてしまうような、そういう厳しい女性の訴え。男女共通規制を法律で明記する必要がやはりあるのじゃないかと思いますが、簡潔にお答えをいただきたい。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 ただいまいただきました資料を拝見いたしまして、こういった形で月百十五時間に及ぶ残業があるということ、これは大変我々としても憂慮すべきことだというふうに思っております。  先ほど申し上げましたように、時間外労働というものを適切な水準で抑制され、こういった形のものが生まれない姿を目指しまして、今回の労働基準法の改正案を御提案申し上げて、御審議をお願いしたいというふうに考えておるわけでございますが、その中での時間外労働の上限に関する基準、そういったものの徹底を期していければ、私ども、こういった事態について適切な対応ができ、また、こういった事態の未然の防止にもつなげていくことができるというふうに思っておるところでございます。

大森猛日本共産党

○大森委員 一九四六年ですから今から五十二年ほど前なんですが、現在の労働基準法をつくる過程の中で、実は政府も上限規制を明確に、法定時間を盛り込んだ草案をつくっていたのですね。当時、第五次案になるわけなんですが、労務法制審議会小委員会に提出された労働条件基準法、その第三十三条、これが現在の三十六条のいわば原案でありますけれども、この中で、一日について三時間以内、一週について九時間以内、一年について百五十時間以内に、こういう形で明確に法定しているわけであります。  五十二年前にこういう形で草案を出した、これを既に出しているわけでありますから、今こそこれは労基法改定の中で明確にすべきじゃないかということを重ねて要求して、次の質問に入りたいと思います。  昨年の十二月六日に、横浜市鶴見区の東京ガス扇島工場の液化天然ガス地下タンク建設現場で、三人の労働者が約四十五メートルの作業用ゴンドラに乗って検査中に発火し、積んであった掃除用の布、洗浄液等に引火して火災が広がり、三人はゴンドラから逃げようとしてタンクの床に墜落し、三人とも亡くなられるという大変痛ましい災害が発生いたしました。  我が党も調査団を派遣しまして、この労働災害の調査を可能な範囲で行ってきたわけでありますけれども、この火災の発生の原因、これはもう究明されたかどうか。既にもう工事は再開され、終了したという報告も聞いておりますけれども、工事再開を認めた理由は何かというあたりをまずお聞きしたいと思います。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 御指摘の事故については大変私どもにとっても痛ましい、残念な事故として受けとめておりまして、承知をいたしておるところでございます。  この災害につきましては、災害発生後、労働省本省からも担当官を現地に派遣して、現地の所轄の労働基準監督署ともども災害調査に入った事案でございます。  事故については、先生御指摘ございましたように、建設中の地下の貯槽内で溶接等の点検作業をゴンドラに乗って行っておる段階で、洗浄液等に何らかの形で引火したためにこういった災害が発生したというものでございます。その引火した原因が問題でございますが、いろいろな形の事案が考えられる。それは静電気の問題等々あるわけでございますが、そういった点につきまして、現在専門家の方にお願いもいたしまして原因の究明に努めておるところでございます。  それから、こういった作業の再開について認めたのかという御指摘でございますが、災害の原因調査とあわせまして、こういった事故を発生させないための措置、こういった点につきまして、事業主の方に十分指導改善を促しました。その結果、洗浄液等については水溶性の燃えにくいものを使う、その他引火等のおそれのあるいろいろな点について、技術的な面も加えまして必要な配慮がなされる、そういった改善がなされまして、私ども、現地で改善の実情も確認した上で、そういった災害の発生が起きる可能性が一応ないというふうに判断できた段階で作業の再開を認めたところでございます。

大森猛日本共産党

○大森委員 この事件では、亡くなられた若い青年が派遣労働者じゃないかというような話も聞いております。この受注、発注の関係も、数次にわたる発注で大変複雑で、その中で労働安全衛生に対する責任は一体だれが持つのか、こういう面で非常に問題が多い事件ではなかったかと思います。  その点で、労働安全衛生法との関係で労働省としてはどういう対応をされているでしょう。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 まず、今回の災害につきまして、災害が起きましたのは、貯槽内の工事を請け負っていたいわば下請の段階で発生したことは御指摘のとおりでございます。これは、地下の貯槽内の溶接の検査というかなり専門的な作業の分野でございまして、そういった形で専門の業者に下請が出されていたという事案でございます。  ただ、派遣労働者ではないかという御指摘につきましては、これは事実はそうでございませんで、一人の方は二十年来この企業に勤めておられた方、またその他の方も、在籍期間はたしか六カ月か七カ月という短かったかと記憶しておりますが、いずれも常用労働者の方でございます。  それで、安全衛生法上、こうした数次の下請にまたがる建設工事等につきまして、元請の事業主、元請の事業者に、安全につきましての種々の義務を課しております。連絡調整、あるいはこういった下請業者に対します安全上のいろいろな指導助言の義務等を課しておりまして、私ども、こういった災害の発生を機に、そういった点についての履行を一層強く指導いたしたところでございます。  それから、先ほど申し上げましたように、こういった災害の発生が繰り返されないように事業の再開の前に十分な指導、点検、確認を行って、災害の未然防止に十分万全を期しまして、この事業の再開をようやく認めたということでございます。

大森猛日本共産党

○大森委員 私が申し上げたのは、労安法に従って司法警察員の職務をきちんと果たすべきじゃないか、きちんと捜査に入るべきじゃないかということですが、その点はどうですか。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 先ほど申し上げましたように、この災害の発生原因につきましては、専門家等の協力も得ながら現在進めておりますし、労働安全衛生法との関係で違反事実があるかどうかにつきましては、目下所轄の監督署におきまして捜査中でございます。

大森猛日本共産党

○大森委員 この二十五歳の青年の労災補償、死亡遺族補償一時金というのが総額で約八百七十八万円、これは労災保険の趣旨からして最低の補償ということでしょうが、一人の青年の死亡の一時補償としては余りにも少ないんじゃないか。今回労災保険料八百五十億円引き下げが行われる、そういう計画がありますけれども、そういう保険料の引き下げをやるのであれば、給付の内容をぜひ改善していただきたいという要望を述べて、まだ若干時間がありますので、最後に一、二点だけお聞きをしたいと思います。  地方最低賃金審議会の男女構成についてでありますけれども、きょう総理府にもお見えいただいたんですが、九六年の男女共同参画二〇〇〇年プランでの国の審議会等委員への女性の参画の促進について、その目標についてお聞きをしたいと思います。

有松育子総理府男女共同参画室企画官

○有松説明員 国の審議会等委員への女性の参画の促進につきましては、男女共同参画推進本部におきまして、平成八年の五月に定めました、当面、平成十二年末までのできるだけ早い時期に二〇%を達成するという目標に向けまして鋭意取り組んでいるところでございます。  特に、職務指定ですとか団体推薦等の委員におきまして女性委員の割合が全体の割合に比べて低いということがございますので、委員を推薦していただいている団体等に対しまして官房長官名で女性委員の推薦について協力を御依頼するなど、登用促進のための努力を重ねてきているところでございます。

大森猛日本共産党

○大森委員 時間が来ましたので最後に一問だけ伺って質問を終わりたいと思うんですが、今、将来三割、二〇〇〇年末までのできるだけ早い時期に二割というお話もあったわけなんですが、この地方最低賃金審議会を調べてみますと、各県段階で公労使それぞれ委員がいるわけなんですが、労働者側の委員というのは四十七都道府県で二百三十九名、その中で女性の労働者側委員が何人かといえばわずか一人、政府の各審議会の到達点から比べても大変おくれた状況にあると思うんですね。  そこで、私は神奈川県に住んでおりますけれども、神奈川で見れば、全雇用者の約四〇%が女性だ、しかも女性の四一%がパート、臨時等の不安定な身分に置かれております。最低賃金が与える影響、そういう意味でも非常に大きいと思うんです。もともと男女間格差の問題、正規労働者とパート労働者の格差、大企業と中小企業労働者の格差、こういうものがある中で、地方最賃審議会の労働者委員に女性がいるということの意味は、今日ますますこれは大きくなっているのではないかと思います。  四月には地方最賃審議会委員の任命が行われるというぐあいに聞いておりますけれども、労働省 としても、そうした現場で働く女性の代表を積極的に任命するという点で、ぜひ大臣の積極的な御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 ただいま女性問題担当の総理府の方からもお答えいたしました実情や、あるいは政府の基本的な方針にのっとりながら適正に措置をしてまいりたいと思っております。

大森猛日本共産党

○大森委員 終わります。

田中慶秋民友連

○田中委員長 次に、濱田健一君。

濱田健一社会民主党・市民連合

○濱田(健)委員 本日は伊吹大臣の所信に対する質疑ということで、長時間、大臣本当に御苦労さまでございました。あと二十分少々時間を拝借して質疑をさせていただきたいと思います。  雇用保険法と駐漁法もつるしがおりたということでございまして、いよいよ来週からは法案の審議ということになりそうですが、きょうは大臣の所信の中身に従って、これから法案の審議をしていくための基本的な部分について四点ほど御意見といいますかお話を聞かせていただきたいというふうに思います。  一点目は、きょうも大臣何回か使われましたが、日本型の終身雇用というのをメーンロードとしながら、新しい働き方を希望する皆さんにさまざまな形態の働く場所なり仕組みなりを提供していくのが今度の労基法の改正の中身だというようなことでございます。契約労働、そして裁量労働制等々、いろいろなものがございますし、法案の中身も、一定の歯どめをかける中身というふうに、私たちも党としても努力をさせていただいたことをお礼を申し上げたいというふうに思っているところでございます。  今度の労基法の中身を、例えば経営の側の皆さんと時々お話をすると、例えば、契約労働、今期限のない労働以外のいわゆる契約労働は一年ごとの更新しかできないということを三年という形が出てきたり、ホワイトカラーの裁量労働制というような部分で、非常に使い勝手がいいというようなニュアンスでのお話も出てまいりまして、どういう意味だという、私たちの立場からいうと不安といいますか、そういうものも若干あるわけでございます。  やはり、労基法が憲法二十七条の第二項に基づく法律というふうにとらえたときに、公正な労働基準の確立と、働く者にとっての、使用者側と対等に論議をしながら、働く者がめちゃくちゃに使われない、適正な賃金で雇われるという意味の最低の保障を定めたものという役割は、戦後大きなものがあったというふうに思っております。  ただ、それが法の精神にのっとってうまく現場で機能してきたか、現在も機能しているかということについては、さまざまなトラブル等々ございますので、いろいろな見方があるわけでございますが、これから雇用関係がさまざま変化していく中でもこれまでの労基法の持つ基本的な原理原則というものは変わらないものというふうに認識しつつ法案の審議に入りたいというふうに思っているんですが、大臣、いかがでございましょうか。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 まず、労働基準法について、基本的な考え方は、私は、先生の今表明されました見解と全く同じでございます。  そして、その中でいろいろ、働く希望、働き方の形態の多様化というものが要求されているわけでございますから、その道はやはり開いておきたい。しかし、その道を開くために、結果的に今御引用のございましたような経営サイドだけが使い勝手のいいというものであってはやはりならない。そう思うがゆえに、議院内閣制の趣旨にのっとって、与党を構成しておられる社民党の皆さんの御意見を組合との窓口としながら、今回かなりの程度のことを直して実はここまで来たという経緯は、一番よく先生が御存じだろうと思います。  それから、もう一つは、基本的に、労働基準法というのは、お上に管理監督をさせるという、率直に言えば、一種の警察権をもって労使関係を監督させるという部分が私はやはり非常に強いと思うんですよ。労働力というのは、再三申し上げておりますように基本的には人間に関することでございますから、そういう部分を否定してはいけないと私は思いますが、願わくは、労働組合も組織率をもう少し上げていただいて、魅力ある労働組合として、経営側に対等にお話をしていただく自治権を確立していただくということを、私は本当に望んでおります。

濱田健一社会民主党・市民連合

○濱田(健)委員 大臣が今答弁いただいたとおりに、本当に労働者の代表の方と使われる皆さんと対等にきちっと内部で論議ができる環境というものが一番大事であって、お上がという言葉を使われましたけれども、そこが手を出し口を出しということよりも、本当に原理原則はそこだということは、私も十分理解しております。  この論議がいつから始まるか、ちょっとまだわかりませんけれども、先ほど申し上げた、新しい生き方を希望する労働者にはというこの大臣が述べられた部分というものを本当に基本にしなければならないということを思いながら、法案の審議に当たらせてもらいたいなというふうに思うところでございます。  二点目ですが、今、職安審で論議をされております派遣法でございます。  この導入がなされた当時、日本社会党だったわけでございますけれども、いわゆる日本型の常用雇用にかわる派遣雇用といいますか、これが主になっては困るよということで、当時の社会党は反対したということでございます。  今度、所信にも書かれておりますとおりに、適用対象業務の範囲、派遣期間、労働者保護のための措置等を改正されるということでございますけれども、私たちが、これまでこの派遣の状況、現場的なトラブルといいますか、こういうものを労働相談等々で見てきたときに、やはり雇用責任と使用者の責任という部分がどこできちっと区分され、確保されるかというところが問題点としていっぱい浮かび上がってきているところでございまして、そういう面からいうと、多分、適用の範囲が広がっていく法案になるというふうに思うわけでございますが、常用労働にかわるもので、限りなくいわゆる派遣労働というものがふえていくことがあってはならないという基本的なスタンスを私たちは持っているんですが、大臣はいかがでございましょうか。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 私は、日本型の終身雇用制というものの意味はかなり高く評価をしておりまして、それは、単に働く人たちの立場というだけではなくて、経営者にも非常にいい仕組みじゃないかというふうにも思います。そして何よりも、日本の国民として、働くことによって生活をしていくという上で安心できるということは、やはりいい制度じゃないかと私は思っているんです。  戦後、派遣型を主としていた、特定の国の名前を挙げるのはいかがかと思いますが、国の製品と同じ日本の製品が国際市場で競争をして、終身雇用、つまり不況期にも派遣お断りといってきた日本の方が、労働コストを下げている国よりも日本の国の商品の方がずっとたくさん売れて、そして、今日の豊かさを確立して、この行き届いた制度をつくり上げて、生活水準を上げてきたということのやはり一番最後のところは、日本人の労働者としての質がよかったということだと思うんですね。これは、手に技術があるとかよく働くということじゃなくて、やはり、自助、自律の気概を持っていたとか、公たるものに尽くすという気持ちをしっかりと持っていたとか、そういうところだと思うんです。  そういう気持ちが、残念ながら今やや薄れてきているから、外国と競争をするために派遣労働の範囲を広げるということは、私はあってならぬと思うんですね。基本的には、やはり終身雇用というものを基本にして、終身雇用を守っていけるような教育を家庭においても学校においてもしっかりとやりながら、派遣労働というのはやはりバイパスでやっていく。そして、確かに、ILO条約に沿ってやるわけですから範囲が若干私は広がってくると思います。しかし、そのときに、働く人たちが本来法律に従って受けるべき社会保険だとか何かというようなことがどこかへ行ってしまうということだけはあってはならないよ、これだけは審議会に十分お願いするようにということは、私は担当局長に指示をしておりますので、いずれまた法案が出てまいりましたら、ぜひそのあたりも御審議をいただきたいと思っております。

濱田健一社会民主党・市民連合

○濱田(健)委員 きょうの労働委員会は、教育と労働というような感じの話もいっぱい出てまいりまして、私もかつて教師をしておりまして、大臣の教育論と労働の関係というのを、すばらしい話を拝察させてもらって、いい勉強になったというふうに思っております。今お話しなされたような形で、これは審議の日程も詰まっているようでございますのでどういう形になるかわかりませんけれども、基本的な態度として対応させていただきたいなというふうに思っております。  三点目ですけれども、いろいろなときに労働相談を受けるわけでございますが、やはり、賃金の未払いだ、労働時間が守られない、当然、就労規則がないというような基本的な部分でトラブルが起きております。  つい二日ぐらい前でしたか、タクシーの運転手さんたちとお話をしましたら、福島だったと思うのですが、とにかく規制緩和の中で車の台数はふえたわ、お客さんは景気の低迷の中で乗り手が少ないわというので、会社の方が社会保険をぶった切ってしまって国民健康保険に変えるなんというようなことを言い出したというような話があって、それはもう雇い主という基本的なところを間違っているじゃないですかというような話もしたところでございます。  個別的な労働紛争というのが、さまざまな働きの中身というのが出てきたときにもつともっとふえることが予想されると思いますし、中桐委員の方も、けさ、ペナルティーを厳しく、罰則を厳しくというようなお話等ありましたが、先ほど大臣がおっしゃいましたとおり、労働組合の組織率が低下している、組織されている労働者が二三%前後しかないという状況の中で、ますます個別紛争の解決というものがやりにくくなるのじゃないかなという危惧を持っております。  大臣の所信の中にも、解雇や賃金不払い事案等労働条件をめぐる問題についても、全国の労働基準監督署の迅速的確な対処に努めるというふうな記述がなされておりまして、いわゆる労働の現場を監視するという意味では、個人としても党としても、基準監督署で働かれる職員の増加というのは物すごく大事だ、職安も含めてそうでございますけれども、思っているわけですが、この個別紛争の多発を予想される、予想してしまったらいけないかもしれませんが、そういう危惧の中で、基本的にどういう方向性でこれに対処されようとしているのかというところをお願いしたいと思います。

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 私は、先ほど来申し上げていますように、大きな労使関係は、やはり人間の問題でございますから、国家の監視のもとにあるべきだということですが、でき得べくんば組合と経営者の間の自治によって解決されていく部分ができるだけ出てくれば、これはもう結構なことだと思っております。  ただ、残念ながら組織率が非常に低い。あるいはまた、もう組合に入らなくてもある程度の生活水準が維持できるという豊かなところまで来たのかなという感じもいたします。  私は、この労働基準局、行革の中でエージェンシーにするなんというような話があって、とんでもないことだ、一種の行政警察権の行使のようなものを民間に任せるなどということはあってはならないということで、とりあえずこれは現状維持になったわけですが、できるだけそういう面で話し合いの中へ入っていけるような仕組みもつくってやっていきたいと思いますし、どうか働く方の方も、自助の気概を失わずに、お上に頼らずにという御努力も重ねていただきたいと思っております。

濱田健一社会民主党・市民連合

○濱田(健)委員 四点目ですけれども、いわゆる男女共生社会の中で、介護、育児等々、家庭的責任を持つ男女が平等に両方ともきちっとした仕事ができるようにというのは、労働省、当然これからの労働政策としてやっていかれるわけでございます。  けさの能勢委員の質問に、ことしの予算にもそういうことのできる幾つかの施策を講じているというふうに大臣の方から御回答をいただいたわけで、例えば事業内託児所の助成金の拡充とか、育児・介護費用の助成金の拡充とかというものが数字として出てきておりまして、特に体調不調時への対応型の託児所というのは、労働者の要求というのは、これプラスお医者さんがいたらというところまで多分行っていると思うのですね。ただ、企業内に企業医としておられる方々とこれがある意味で企業の中でうまく結びついていけるような仕組みを労使で考えてもらえば、この手当てされたお金というのもまた生きてくるというふうに私自身これを見ながら感じたところでございます。  いわゆる育児、介護を含めて、深夜業の解禁という部分も心配をされておられる皆さん方も相当数いらっしゃるわけですが、法的な整備について今一定の方向性を示されておりますが、今後の展望等について、もしありましたら大臣の方からお答えいただきたいと思います。

太田芳枝労働省女性局長

○太田(芳)政府委員 お答えいたします。  働く方々が、性別にかかわらず、育児と仕事、介護といったような家庭責任をともに果たしていくということが非常に重要な課題であるというふうに考えているわけでございまして、育児休業法が成立いたしまして、これは一歳に満たない子供を養育する男女労働者が育児休業をすることができることを規定しているわけでございますけれども、これは平成七年からすべての事業主に義務づけられているところでございまして、さらに、雇用保険法の方から育児休業給付というものも支給されておるわけでございます。  そしてまた、平成十一年四月からは、育児・介護休業法に基づき、今度は介護休業制度が義務化されるわけでございます。そしてまた、今国会に御提出申し上げております雇用保険法の改正案の中にもこの介護休業期間中の経済的援助ということも盛り込まれているわけでございまして、またさらに、平成十一年四月から、育児、介護を行う男女労働者に深夜業を制限するという措置も施行されるということになっておるわけでございます。  このように、法律はかなり整備をされてきておるわけでございますので、私どもといたしましては、男女がともに仕事と家庭責任を担えるよう、そういう社会をつくり上げていけるように、これらの制度が着実に浸透していくように、今後全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

濱田健一社会民主党・市民連合

○濱田(健)委員 今、局長がいろいろと並べてくれたのですが、やはり日本的な男性と女性の役割分担というところが、きょうも大臣の方からも幾つか出たわけですけれども、やはり地方に行けば行くほど、男性がなぜ育児休暇をとるのかとか介護休暇をとるのかというような古い思いというのが残っている。やはりこういうところの啓発というのが、今つくられてきた制度をより生きたものにするには大事なのかなというふうに感じながら今話を聞いたところでございます。  深夜業の歯どめの問題かれこれ、今与党のプロジェクトの中でもいろんな調査しながら、どう反映させていけるのか検討させていただいておりますけれども、とにかく子供たちの問題を含めて、今バタフライナイフ、いろいろ心配されておりますが、男女ともしっかり働く場所、働く環境というのをつくりながら、家庭という人間の生活の基本といいますか、そこの部分をきちっと確立てきる法制度というものも今後とも検討を続けなければならないというふうに思っているところでございます。  時間がなくなりました。私も今、一人の自殺者の問題を抱えております。労働相談でございます。道路公団の業務を引き受けた小さな建設会社の職員でございましたけれども、いわゆる地方の高速道路の横にある町道とか県道あたりを整備する仕事だったんだけれども、そういうものをつくっていくためにいわゆる土地を買い上げる仕事まで道路公団から押しつけられる。そのことが、国のお金、補助金を出すための取引みたいな感じだったというような話も、本当かうそかわかりませんが、聞きながら、自分の本業をさておいて、そういう土地の買い上げ交渉とかそういうものをしていらっしゃったというような話でございまして、実際上、今労働基準監督署に労災認定の申請もさせていただいているところでございます。  今度第九次の労働災害防止計画、この予算書の中にも予算的な手当てが載っておりますが、どういうところに力点を置かれているのか、そして、労災補償、いわゆる東京だけじゃなくて地方にも迅速に解決できるような仕組みをつくっていかれようと検討しておられるというふうにお聞きしておりますが、その辺をちょっと御披露いただければ幸いです。

伊藤庄平労働省労働基準局長

○伊藤(庄)政府委員 ただいま、業務上の問題が及ぼす精神的な問題によります自殺の問題について御指摘ございました。  私ども、労働大臣から閣議にも報告して内容を確定いたしました新しい労働災害防止計画、その中でもこういった問題について力点を置いておりまして、もちろん労働災害防止計画でございますから死亡災害の撲滅等がまず重点になりますが、同時に、私どもの言葉で言えば産業保健、メンタルヘルス等も含めました健康の問題についての体制整備を重要事項として挙げております。そういった角度から、そういった事案の発生を防止していくということをまず最大の課題として私ども取り組んでまいりたいと思います。  もし不幸にしてそういった問題が発生した場合の対応でございますが、そういった場合につきましては、現在は、各窓口の方から労働本省に事案を上げさせて専門家の方と相談して労災の業務起因性を判断しているところでございますが、今般、そういった問題につきまして第一線の職員がこういった問題について知識を十分持てるように、また、それに基づいて的確な調査、判断ができるように、そのよりどころとなるものを、専門家の方に集まっていただいて作成したいということで取り組んでいるところでございます。そういったものも、若干お時間をちょうだいすることになると思いますが、鋭意詰めてまいりたいと思っております。

濱田健一社会民主党・市民連合

○濱田(健)委員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。  国税庁に準備しておりました二つの質問できませんが、これは大蔵の中ででもさせていただきますので、そのままとっておいていただきたいというふうに思います。  ありがとうございました。      ――――◇―――――

田中慶秋民友連

○田中委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。伊吹労働大臣。     ―――――――――――――  雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

伊吹文明自由民主党労働大臣

○伊吹国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国における雇用を取り巻く状況は、産業構造の変化や急速な高齢化の進展等から新たな対応を求められており、また、我が国の財政が危機的状況にある中で、各分野において財政構造改革への対応が求められております。  このような状況に的確に対応した雇用保険制度のあり方について、中央職業安定審議会の雇用保険部会において二年にわたる検討が行われ、昨年末に報告をいただいたところであります。  政府といたしましては、この報告を踏まえつつ、この法律案を作成し、関係審議会の全会一致の答申をいただき、提出した次第であります。  次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一は、雇用保険法の一部改正であります。  その一は、教育訓練給付制度の創設であります。  職務に必要とされる知識や技能が変化し多様な職業能力開発が求められている中で、労働者の主体的な能力開発の取り組みを支援するため、みずから費用を負担して一定の教育訓練を受けた被保険者等に対し、教育訓練給付金を支給することといたしております。  その二は、介護休業給付制度の創設であります。  急速な高齢化の進展に対応して、労働者が介護休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助、促進するため、家族を介護するための休業を取得した被保険者に対し、介護休業給付金を支給することといたしております。  なお、教育訓練給付及び介護休業給付については、これまでの失業等給付と同様、非課税とすることといたしております。  その三は、高年齢求職者給付金の支給額等を見直すことであります。  六十五歳以降に離職した場合に支給される高年齢求職者給付金について、年金との整合性等を踏まえ、その支給額を見直すとともに、これに要する費用に係る国庫負担を廃止することといたしております。  その四は、失業等給付に要する費用に係る国庫負担を見直すことであります。  財政構造改革の趣旨を踏まえ、失業等給付に要する費用に係る国庫の負担額について、平成十年度以後当分の間につきましては、現在国庫が負担することとされている額の七割に相当する額とすることといたしております。  第二は、船員保険法の一部改正であります。  船員保険についても、雇用保険と同様の趣旨から、教育訓練給付及び介護休業給付を創設すること、高齢求職者給付金の支給額等を変更すること等の改正を行うことといたしております。  以上、雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

田中慶秋民友連

○田中委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせをすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会

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