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142回国会衆議院1998/03/19

予算委員会第五分科会 第1号

発言数
304
登壇者
45
会派数
5
開催日
1998/03/19

会議録

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管中環境庁並びに農林水産省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項の説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算及び平成十年度政府関係機関予算中総理府所管環境庁について、政府から説明を聴取いたします。大木国務大臣。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 環境庁長官の大木でございます。  平成十年度環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。  今日の環境問題は、経済社会活動の拡大により、多様化かつ深刻化しております。例えば、既に、地球温暖化の影響が平均気温の上昇や海面の上昇の形であらわれるなど、人類社会の基盤を揺るがしかねない状況が生まれつつあります。  環境問題の多くは、大量生産、大量消費、大量廃棄という今日の社会のあり方に根差しております。したがって、個別の環境対策に加えて、これまでの生産、消費を見直し、環境に負荷をかけない社会の仕組みづくりにより、根本から問題解決を図ることが求められております。  現在、二十一世紀に向けて、これまで日本を支えてきたさまざまな制度の見直しが進められております。その一つとして、環境保全型社会への改革を位置づけ、大胆に取り組むことが必要であります。  また、地球環境問題については、その原因、影響の双方が一国の範囲を超えており、地球規模の対策が不可欠であることなど、環境問題の解決のためには国際的な視点が重要であります。  昨年十二月の地球温暖化防止京都会議では、二十一世紀の温暖化対策のあり方について、全世界の注視のもと、白熱した議論が交わされ、我が国は議長国として京都議定書の採択に努力いたしました。  今後とも、我が国は、国際社会で政治的、経済的に有している大きな責任に応じて、温暖化対策を初めとした環境問題の解決にリーダーシップを発揮していくことが求められております。また、過去の公害防止対策の経験を生かして、開発途上国に対し環境協力を行っていくことが必要です。  環境庁としては、これまで、「循環」、「共生」、「参加」及び「国際的取組」という環境基本計画が掲げる四つの目標の実現を目指し施策を行うとともに、各省庁の施策が環境基本計画に沿って行われるよう努めてまいりました。  しかし、その実施状況については、施策間の連携が十分ではなく、また、個別施策の効果が必ずしも明らかでないという指摘がされております。このため、今後、統一的な方針に基づき、施策の体系化、一体化を図り、環境保全のための取り組みを強化することが必要です。  私は、以上のような認識のもと、次の施策に重点的に取り組んでまいります。  第一に、地球温暖化対策を抜本的に強化いたします。  国際的検討の状況を踏まえつつ、国内における総合的な温暖化対策のあり方について検討を進めるとともに、並行して、温室効果ガスの排出削減のために早急にとるべき施策について、中央環境審議会の中間答申を踏まえ、早期に法律案を提出するよう鋭意作業を進めてまいります。  また、温暖化防止に当たっては、国民一人一人の取り組みが極めて重要であることから、普及啓発を強化します。  国際的な取り組みについては、京都議定書の円滑な実施のために必要な、いわゆる排出権取引や開発途上国における取り組みを促すクリーン開発メカニズムの具体化等に関する検討作業に貢献します。また、開発途上国の温暖化対策を支援します。  第二に、近年、深刻な社会問題となっている廃棄物問題については、廃棄物、リサイクル一体となった望ましい物質循環を促進する総合的な制度について検討するなど、環境保全型社会の構築に向けた取り組みを進めます。  第三に、ダイオキシン類による人の健康と生態系への影響の未然防止を図るため、平成十年度からの五カ年間に総合的な対策を順次行うなど、化学物質対策を推進します。  第四に、緑のダイヤモンド計画や自然を生かした学習を通じて自然に学ぶ場を提供するふれあい自然塾の取り組みを着実に進めるなど、自然と人間の共生を推進します。  第五に、低公害車の大量普及を目指した規制的手法や誘導的手法を含めた制度的な普及方策のあり方についての検討や、健全な水循環の回復手法に係るガイドラインの策定など、大気環境、水環境の改善に向けた取り組みを進めます。  第六に、健康被害の予防及び公害健康被害者の救済を実施します。  平成十年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、以上のような基本的な考え方のもとに計上した環境庁予算要求額は七百九十八億三千五百万円であり、これを前年度の当初予算額七百九十三億四百万円と比較すると、五億三千百万円、〇・七%の増額となっております。  予算要求額の主要な項目につきましては、お手元にお配りしてある資料のとおりでありますが、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 この際、お諮りいたします。  ただいま大木国務大臣から申し出がありました環境庁関係予算の主要項目の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔大木国務大臣の説明を省略した部分〕  平成十年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  平成十年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は七百九十八億三千五百万円であり、これを前年度の当初予算額七百九十三億四百万円と比較すると、五億三千百万円、〇・七%の増額となっております。  予算要求額の主要な項目について、御説明申し上げます。  第一に、環境保全の企画調整等については、昨年十二月の地球温暖化防止京都会議で採択された議定書を踏まえ、地球温暖化防止に向けた各般の対策を実施するほか、開発途上国の環境問題への支援等地球環境問題への取組を積極的に推進するとともに、化学物質対策の強化、環境影響評価制度の充実、環境基本計画の推進等環境政策の一層の展開を図るべく、これらに必要な経費として五十四億四千万円を計上しております。  第二に、公害による健康被害者の救済等については、水俣病総合対策を推進するほか、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、環境保健に関する各種調査・研究を推進することとし、これらに必要な経費として二百四億九千八百万円を計上しております。  第三に、大気汚染等の防止については、低公害車普及事業をはじめ、オゾン層保護対策、有害大気汚染物質対策等を推進することとしております。  また、騒音、振動及び悪臭対策についても、引き続き推進を図ることとし、これらに必要な経費として十九億三千五百万円を計上しております。  第四に、水質汚濁の防止については、健全な水循環の回復のための取組を推進するとともに、生活排水対策、海域における富栄養化対策及び水質総量規制、湖沼水質の保全、海洋環境の保全等を推進するための経費として十六億九千六百万円を計上しております。  このほか、地盤沈下防止及び廃棄物対策として二億五千三百万円、土壌汚染防止及び農薬対策として三億四千八百万円をそれぞれ計上しております。  第五に、環境事業団については、建設譲渡事業、融資事業等を引き続き推進するほか、地球環境保全に取り組む民間団体の活動を支援するための「地球環境基金」事業の推進を図ることとし、同事業団の事業に対する助成等に必要な経費として五十六億七千四百万円を計上しております。  第六に、環境保全に関する調査研究のための経費については、総額八十二億四千六百万円を計上しております。  この内訳としては、まず、国立試験研究機関等の公害防止等試験研究費として十九億五千三百万円を環境庁において一括計上するとともに、環境研究総合推進費として二十八億五千万円を計上し、各省各庁の所管する国立試験研究機関等が行う各種の地球環境保全等に関する調査研究の総合的推進を図ることとしております。  また、公害防止等調査研究費として三十四億四千四百万円を計上し、地球観測衛星に搭載する成層圏オゾンの観測機器の開発、環境汚染による健康影響の解明、酸性雨を含む大気汚染、水質汚濁、自然保護等に関する各種調査研究を進めることとしております。  第七に、自然環境の保全対策及び自然公園等の整備事業について申し上げます。  まず、自然環境の保全対策及び自然公園等の維持管理については、「生物多様性国家戦略」に基づき、各種情報の収集整備をはじめとする生物多様性保全施策を総合的に推進するとともに、国立公園の保護管理の強化を図ることとしております。  また、野生生物の保護対策については、絶滅のおそれのある野生動植物の保護対策の強化を図るとともに、野生鳥獣の保護・管理に関する対策を推進することとしております。  これらに必要な経費として、合わせて二十四億三千百万円を計上しております。  次に、自然公園等の整備事業については、人と自然との豊かなふれあいを確保するため、我が国を代表するすぐれた自然を有する国立・国定公園において、その保全・復元の事業や自然学習、自然体験の場の整備等を総合的に推進するとともに、身近な自然とのふれあいの場や自然エネルギーを活用した地球にやさしい施設等の整備を推進するほか、国民公園の整備を図ることとし、これらの整備に必要な経費として百二十九億三千五百万円を計上しております。  第八に、環境保全施設の整備については、野生生物保護管理施設等整備、自然共生型地域づくり、生活排水対策重点地域内の水質浄化施設整備、井戸・湧水の復活再生等の事業を推進するために必要な経費として十六億二千九百万円を計上しております。  第九に、環境庁研究所については、国立環境研究所において、地球環境問題をはじめ環境全般にわたる研究を推進するために必要な経費として七十五億九百万円を計上し、国立水俣病総合研究センターにおいて、水俣病発生地域の特性を活かした研究を推進するために必要な経費として六億二千九百万円を計上しております。  最後に、国際会議等経費において、地球環境戦略研究機関が行う研究に必要な経費五億円を計上しております。  以上、平成十年度環境庁関係予算案の概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ、本予算の成立につきましては、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。     ―――――――――――――

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 以上をもちまして総理府所管中環境庁についての説明は終わりました。     ―――――――――――――

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 平和・改革の斉藤鉄夫でございます。  きょうは、瀬戸内海の環境問題について質問をさせていただきます。  私の地元広島では、昨年からことしにかけて、海砂の採取をめぐって大きく揺れ動きました。一九九〇年に、海砂採取は環境に与える影響が非常に大きいということで、その九年後、つまり一九九九年に広島県における海砂の採取は全面禁止をするということになっておったわけですけれども、その全面禁止を五年間延長したいという動きがございまして、その動きに絡んで贈収賄事件があり、逮捕者も出た、こういう騒動がございました。  その過程で、最終的には広島県知事が全面的に海砂の採取は禁止するということを決めまして、今後広島県管轄の瀬戸内海で海砂が採取されることはなくなったわけでございますけれども、その捜査の過程で、海砂の採取がこれまで規定どおり行われていなかった、違法操業、違法採取が行われていたという実態が明らかになったわけでございます。規定量の倍以上とるとか、規定されている区域外でとるとか、また規定時間外でとるとかという違法操業の実態が明らかになって、私も大変びっくりしたような次第なんです。  現在、広島が全面禁止になりました。そうしますと、瀬戸内海で海砂をとっているのは愛媛、香川、岡山の三県となるわけでございますが、いわばこの違法操業、違法採取が常態化しているというふうに一般に言われております。この三県、違法採取、違法操業をしていないのかということにつきまして海上保安庁の方で調査をされたようでございますが、調査結果はどうであったのか、また、違反に対する監視、取り締まりは今後どのように行っていく予定であるのか、この点について、まず海上保安庁にお聞きしたいと思います。

齋藤貞夫海上保安庁警備救難部警備第一課長

○齋藤説明員 お答え申し上げます。  海上保安庁は、第六管区海上保安本部の尾道の海上保安部と呉の海上保安部で昨年末から本年にかけまして海砂の不法採取の取り締まりを行った結果、広島県につきましては、広島県知事から認可を受けました採取量を大幅に超えて海砂を不法に採取しておりました二十四事業者を砂利採取法違反で検挙し、広島地方検察庁尾道支部、呉支部にそれぞれ書類送致をしております。  また、広島県以外の愛媛県、香川県、岡山県につきましても、それぞれ同県を管轄しております第六管区海上保安本部のほかの海上保安部におきまして、ただいま厳正に同種違反の取り締まりを行っているところでございますが、現在捜査中でございますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきます。  以上でございます。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 現在捜査中ということで個別案件については答えられないということでございますが、広島県の例を見ますと、三十年という歴史があるわけですけれども、そのほぼ全期間において決められた量の倍以上の海砂が採取をされて非常に環境に大きな悪影響を及ぼしていたという実態が明らかになっておりますので、今後はそういうことが起こらないように、ぜひ海上保安庁としても厳正に対処をしていただきたいと思います。  この海砂、全国の海砂採取の六五%が瀬戸内海でとられているということでございまして、これまでいろいろな港湾埋め立て等で、またコンクリートの骨材として使われているわけですけれども、関西空港の一期工事においてはこの広島の海砂が使われた量の四分の一に当たる四百五十三万立米使用された、このように言われております。二期工事が予定されておりますが、この二期工事も同じ工法で、SD工法というのでしょうか、サンドコンパクション工法で行われるとすれば、当然また大量の海砂が必要になると思われますけれども、広島は今回全面禁止といたしました。そういたしますと、この必要な海砂をどこから調達する予定なのか、また、海砂にかわるものを何か考えておられるのか、その点について運輸省にお聞きしたいと思います。

鈴木久泰運輸省航空局飛行場部関西国際空港課長

○鈴木説明員 お答えをさせていただきます。  関空の二期事業につきましては、現在三千五百メーター滑走路一本で運用されております一期施設のさらに沖合にもう一つ別な島をつくりまして、四千メーター滑走路を新しくつくるということで、平成八年度から実施設計調査に入りまして、着工しております。  この二期事業におきましては埋め立てを行うわけでありますが、埋め立てに必要な土砂は山からとるわけでありますけれども、それに先立ちまして、当該大阪湾の海域が非常に地盤が軟弱でございまして、地盤改良をする必要がございます。先生おっしゃいましたサンドドレーンでありますとかサンドコンパクションでありますとか、そういった工法で地盤改良をするのに海砂を必要としております。その海砂の調達に当たりまして、現在関西国際空港株式会社及び関西国際空港用地造成株式会社が、瀬戸内地区を中心といたしまして、西日本において供給の可能性がある各県と調整を行っておるという状況にございます。  それから、海砂にかわるものはないかという御質問でございますが、海砂の使用量をなるべく減らせないかというような検討はしておりますけれども、基本的に地盤改良をする必要がございますので、それに必要な量というものは確保していかなければならないという状況にございます。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 私が調べたところによりますと、海砂にかわる材料、例えば鉄鉱石の鉱滓であるとかその代替のものも今技術開発をされつつある、またそういう研究も進んでいる、このように聞いております。  後ほど環境庁長官とも議論したいと思っておるのですが、海砂の採取というのは非常に環境に与える影響が大きい。特に、瀬戸内海という内海においては、生態系に与える影響等、環境に与える影響が非常に大きいということで、私は、できるだけ代替材を使ってこの二期工事も行われるという方が、この関空もある意味では瀬戸内海領域にあるわけでございますから、あそこを瀬戸内海と言うかどうかわかりませんが非常に近くにあるわけでございますので、瀬戸内の環境に配慮された関西空港というためにも、代替材の使用をぜひ前向きに、海砂を使わないで代替材を使うという方向で今から検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木久泰運輸省航空局飛行場部関西国際空港課長

○鈴木説明員 海砂を使う量をなるべく減らせないかという検討を会社の方でもしておりますが、かなりの量を必要としておりますので、それをすべて代替材というわけにはなかなかまいらない状況にあるのではないかと思っております。  それからまた関西空港自身が、先生よく御承知のように、伊丹空港の深刻な騒音問題も考慮して、海上に埋め立てて巨額の投資を行ってつくっておるという状況でございまして、ただ、その地盤が軟弱であるために地盤改良が必要になってくるというような状況も御理解いただきたいと思います。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 できるだけ使わない方向で努力をいただきたいと思います。  瀬戸内海の環境保全についてお聞きいたします。海砂の採取が瀬戸内海の環境にどれだけ影響しているのか、環境庁としてはこれまでどのような調査を行ってこられたのかお聞きしたいと思います。  新聞報道などで住民の皆様の声を総合いたしますと、海砂の採取によって護岸が侵食される、きれいな砂浜だった海浜、砂浜がどんどん侵食されて砂浜がなくなっていく。それから、違法操業でかなり岸に近いところまで採取しておりますので、地盤沈下等が起きて家にひびが入るとかという被害も出てきております。  それから、生態系への影響も大きいと見られておりまして、きれいな砂でございますので、水と砂の層、その表面から下についてもたくさんの生物がすんでいる、瀬戸内海の全体の生態系の大きな位置を、海水の一番下から砂地の中十数メートルまで生物圏で、生態系が占めていると言われておりまして、その生態系の破壊。それが端的にあらわれておりますのが漁獲量の落ち込みでございまして、海砂を採取している地域では、ほかの地域も瀬戸内海はだんだん海が汚れてきて漁獲量が減っているのですが、それよりはるかに大きな落ち込みがある。プランクトンの生成等に非常に悪い影響を与えていると言われております。  以上の点を見ますと、瀬戸内海の環境保全に明らかに大きな影響を与えている、こう考えられます。  だからこそ広島県も随分前から海砂の採取については将来的にはやめようということを言っていたわけでございますし、ほかの海砂を採取していない各県も、その環境への影響、海の底ですから目には見えませんけれども、その見えないところでの環境破壊を阻止していこうということで、これまで海砂の採取をやめたところは、皆環境への影響ということを考慮してそういう決定をしたわけでございます。  瀬戸内海環境保全特別措置法というものがございます。瀬戸内海だけは世界に誇る内海としての環境を保存していこうということでこの特別措置法があるわけでございますが、この特別措置法、例えば埋め立てについては非常に強い規制がかかっております、といいますか、埋め立てばほぼできないというのが実情でございます。瀬戸内の環境を守ろうというそれほど強いリーダーシップを環境庁は先頭に立って発揮しているわけでございますが、この海砂についてもぜひ、目には見えませんけれども埋め立てと同様に、もしくはそれ以上に環境へ与える影響が大きいということで、何らかのリーダーシップをとるべきだと思います。  ちょっと長くしゃべり過ぎましたけれども、これまでの調査と今後の態度について、質問をいたします。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 今お話がございましたように、海砂の採取に伴いまして地盤の沈下、海岸線の後退あるいは魚類の生息環境の変化といった影響が生じることは、予想されるところでございます。そうでありますがゆえに、先生が御指摘になった瀬戸内法の中で基本的計画を定め、その基本計画の中には、海底の砂利採取に当たっては動植物の生育環境等の環境保全に留意するという一文が入っているわけでございます。この基本計画を踏まえまして、各府県もそれぞれ府県計画の中には砂利の採取と環境保全というものを位置づけております。  私ども、率直に申し上げまして、十分な科学的データに関する知見がまだございませんでした。そういうこともございまして、平成六年度から七カ年計画で、こうした環境問題について海砂採取との関係を徹底的に調査しようということで進んできております。ことしは四年目に当たりますので、底生生物であるとかイカナゴであるとかそういった生物の生育環境の面にも調査を向けまして、過去四年やることになりますから、四年間の取りまとめを行いたいというふうに思っております。  それからもう一つ、今後の話として、現在、先ほど埋め立ての話にお触れになりましたけれども、瀬戸内の環境保全をどうしていくかということにつきまして抜本的な検討を審議会で行っております。その審議会の議を経ましたならば、基本計画の変更ということもあるわけでございますので、そうした議論の場に今先生が御指摘になったようなこともまないたにのせて一度議論してみたいというふうに考えております。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 平成六年度から七カ年計画で調査をしているということでございますが、平成十二年にならないと結論が出ないということなんでしょうか。それとも、海砂の問題が今ここまで大きくなっている、今まで調べたことだけでも中間報告という形で、その中間報告を議論するというふうにはならないのでしょうか。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 ただいまお話し申し上げましたように、審議会が同時並行で動いておりますので、これまでの調査、過去四カ年の分につきまして、あと二カ月かそこらいたしましたら中間取りまとめを行いまして、それを議論の中に反映をさせていきたいというふうに思っております。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 大臣、その中間報告、そこには科学的な知見、科学的な調査の結果が出るわけでございますので、多分そこで環境への影響は非常に大きいというデータが出ていると私は思いますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。  天然記念物ナメクジウオというのが、海砂をとっているその砂の中に生息するものとして広島では有名なんですけれども、この天然記念物ナメクジウオも今絶滅の危機に瀕しているということでございますので生態系を守るという意味で余り猶予期間はない、このように認識をしておりますので、よろしくお願いいたします。  あと、海砂の採取によって海底地形が大きく変化したというようなことも報道で言われております。例えば、水深が十メートル程度だったところが水深が四十メートルぐらいになって、大きな海流の変化を起こしているというようなことも環境庁としてはもう既にデータをとっているというふうに聞いておりますが、そういう地形変化のデータもあとニカ月で出てくる中間報告でお示しいただけるんでしょうか。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 これまでの調査の中で海底地形が変化をしたということは認められておりますけれども、生態系への影響との関係をもう少し詳しく分析をする必要があるのではないかなというふうに思っております。  といいますのは、瀬戸内海の場合には潮流がほかの閉鎖性水域と違ってかなり速いものですから、そういったこともよく考えませんと生態系との関係がうまく説明できないというふうに思っております。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 いずれにしましても、その中間報告を見させていただいて、また議論をさせていただきたいと思います。ぜひ、生態系への影響につきましても、学者さんたち、人知を集めて予測をしていただきたいと思います。  まだこの海砂採取を続けている県への対応についてお伺いします。  広島県は今回採取全面禁止ということを決定いたしました。これは、大阪、兵庫、徳島に次いで四番目でございます。一方、愛媛、香川、岡山では採取が続けられておるわけですけれども、瀬戸内海というのは御存じのように非常に狭い閉鎖性水域でございます。片方で全面禁止をしても、そのすぐ隣で大量の海砂がとられている。  例えば一年間で、いわゆる公式な数字で二千万立米というんですね。ですからこれは、例えば一メートルの厚さに積み上げますと二十二平方キロメートル。それが公式ですから、実際にはその倍以上とられたというような話もございますし、もう莫大に広い海の領域がこのような形で地形変化をしている。ですから、まだとり続けているところの影響というのは、広島でやめてもその広島の海域に絶対影響してくるわけでございます。  私は、そういう意味で、瀬戸内法もあるわけでございますし、環境庁がリーダーシップをとって、今海砂をまだ採取している県に対して――それはいろいろな公共事業の骨材提供というようなこともあるでしょう。しかし、代替材の開発も進んでおりますし、検討もされておりますし、この海砂については環境に与える影響が非常に大きいということで、今とり続けている三県についてもとるのをやめるようにリーダーシップを発揮していくべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 いろいろと現在あります、例の瀬戸内海環境保全特別措置法の法文に従えば、今のところ、すぐに環境庁が乗り出して海砂の採取をとめるということは当然には期待されていないわけです。むしろ各県がそれぞれの御判断でやっていただくと。  これは、一方において環境の問題がございますし、一方においてまたそれぞれの地域における経済活動、それに基づくそういった砂の採取の必要性、そういうことがありますから、一般論として言えばその辺のバランスがあると思いますけれども、斉藤議員先ほどから、やはり瀬戸内海というのは一体として環境問題というものを考えていかなきゃいかぬということでありますから、これは割に早く、五月ごろには調査の報告が出てまいりますので、それも見まして、ひとつどういうことができるか。少なくとも、関係各県とその結果を踏まえて環境庁としての意見などは言わせていただくということになろうかと思います。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 大木環境庁長官は、COP3のリーダーシップでも大変世界から評価をされた大臣でございますし、この瀬戸内の環境を守るという点につきましても大臣にリーダーシップを発揮していただいて、子孫に我々の美しい自然を残すという点でぜひ御努力を願いたいとお願いいたします。  海砂をとるな、とるなと言いましても、それでは、それにかわる代替材というものがなければこれは空念仏に終わってしまうわけですけれども、この代替材の検討、研究がどうなっているかにつきまして、最後に建設省と運輸省にお聞きしたいと思います。  先ほど申し上げましたように、港湾におけるヘドロの地盤改良、あれは地盤と言うんでしょうか、地盤改良に海砂が必要だということでございますが、いわゆるパイルの部分については確かに海砂が必要なのかもしれません。毛細管現象を使って水を抜き取るということでございます。しかし、そのほかの周りにおもしとして載せる部分については、例えば海砂でなくても十分それが、例えば鉱滓等が使えるんではないか、もしくはコンクリート殻、建設廃材、そういうものが使えるんではないかと思うわけでございまして、その代替材の研究開発が今どの程度進んで、今後どのようにされようとしているのか、お聞きしたいと思います。  それから建設省の方は、海砂が使えなければ山砂となるわけですけれども、山砂の場合は、人間の目で見られて、まだ人間の管理下に置ける、かつ生態系に与える影響も極小に抑えることができるということで、どちらかといえば、私は海砂よりも山砂の方が環境に与える影響は少ないのかなというふうに思うわけでございますが、そのような研究開発がどのように進んでいるのか、それを最後にお聞きしたいと思います。

鈴木久泰運輸省航空局飛行場部関西国際空港課長

○鈴木説明員 答えさせていただきます。  ただいまお尋ねの、地盤改良のための海砂をなるべく少なくできないかという点でございますが、先生の御指摘にもありましたように、地盤改良のために海中深く砂のくいを一定間隔で打ち込みます。毛細管現象を使って水を抜いていくわけでありますけれども、くいだけではなくて、海底に薄く敷砂を敷かないとうまく毛細管現象で水が抜けてまいりません。それで、この敷砂の厚さをなるべく均一に敷きまして薄くできないかとか、そういった形で海砂の量を極力減らせないかという検討は現在行っております。

望月常好建設省建設経済局調整課事業総括調整官

○望月説明員 私ども建設工事を進めます際に、例えば建設の廃棄物とかがたくさん出てまいりますので、そのリサイクルの一環としていろいろ研究なり調査なりをしておるという状況にございます。  御指摘の点でいいますと、今リサイクルの主体のところは、例えばコンクリート廃材なんかを細かく砕いてまた使うとか、これはかなり進んできております。それから、建設残土につきましては、これは土を土として使うという状況でございますけれども、使う時期と受け入れ側の時期といいましょうか、その辺のずれがございますので、そこを調整するシステムなんかを今つくっているところでございます。  問題は、骨材として使うというところがどうかということなのでございますが、これは、いろいろな技術が既にあるわけでございますけれども、コストという問題がございまして、そこも含めまして、全体にリサイクルを進めていくという観点から、今後もいろいろ調査をしていきたいというふうに思っております。

斉藤鉄夫平和・改革

○斉藤(鉄)分科員 大臣、ぜひこの海砂の問題に関心を持っていただいて、瀬戸内海の環境保全のために今後も御努力をお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 長官、どうも御苦労さまです。  民友連の上田清司でございますが、私の住まいも埼玉県志木市でございまして、今話題のダイオキシン類の発生で最も話題の地区の所沢あるいは三富地区に近いところでございますので、きょうは、分科会ということでもございますので、地元の問題ということで質疑をさせていただきたいと思います。  まず、ダイオキシン類の問題に関しては、一般の市民に関して見れば、科学的見地でなかなか理解できない部分がありますので、マスコミの報道で大きく広がりますと社会的不安を持つということで、できるだけそれを市民にわからせなければならないということが行政のまず第一義的な責任ではなかろうかというふうに思います。急性毒性、発がん性、催奇形性、生殖機能の低下などが考えられる。しかし、これも、強力な濃度だとかそういうのであればもちろんそういうことでありますが、大気中にどれほどだったらいいのかとか、あるいは食物を通じてどのくらいだったら問題なのか、あるいは土壌の中でどれほどの濃度だったら問題なのかということについて明らかにしなければならない。  しかも、それは、濃度によって科学的に関連性を、学問も含めて、なかなか言いづらい部分もあるかと思いますが、科学的に、学問的にその部分を明らかになるまでなかなか結論をつけられないということになると、それこそ十年先、二十年先の解明を待っているうちに重大な問題を引き起こしてしまうということにもなりかねないということですから、その辺が一番難しいところであります。  まずお聞きしたいのは、私は、関連性がなかなか科学的に規定できなくても、予見し得る可能性の限りにおいて限定的にやはり基準をできるだけ明らかにしていくという仕組みが必要ではないかなというふうに考えておりますが、この点についてまず基本的な認識を、これはやや専門的なことですので長官でなくても結構ですので、お答えいただきたいと思います。

野村瞭環境庁大気保全局長

○野村政府委員 お答えを申し上げたいと思います。  こういった問題に対する基本的な私ども環境庁の姿勢ということでお尋ねかと思いますが、私ども、水俣病事件という、大変私どもといたしまして反省をしなければならない事件の行政経験もしたわけでございます。そういう経験を踏まえまして、先生も御指摘いただきましたけれども、できるだけ問題を未然に防止をするということ、科学的知見が必ずしも十分でなくても対応をしていくという姿勢が今問われているのではないかと思います。  ダイオキシンも一つの例ではございますが、私ども、一昨年、大気汚染防止法におきまして、有害大気汚染物質というものに対して規制的な措置を設けたわけでございます。これは、窒素酸化物だとか硫黄酸化物のように二年、三年暴露することによって影響が出てくるというものと若干性格を異にしておりまして、二十年、三十年、長期に微量に暴露することによって発がん等の影響が出てくるという、ベンゼンだとかトリクロロエチレン等々でございますが、そういうものを私ども指定物質として既に位置づけておりますが、ダイオキシンもそういう性格のものであるということで、昨年、指定物質に指定をいたしまして、しかるべき規制的な措置を設けたということでございます。  基本的なお考えについては、先生のおっしゃるとおりというふうに認識をいたしております。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 実際上の問題として、現在の日本じゅうの、これは大都市地域あるいは地方都市あるいは山村という形で、大気は世界じゅうにあるわけでございます。ただ、やはり現実には産廃だとかあるいは一般焼却場の周辺がどうしても濃度が高くなる。これはもう自明の理みたいなものですが、今の日本社会全体の中で、あるいはもう世界も含めて結構でございますけれども、基本的には、人体について、これはもう先の先まで見なければわからない部分があるかもしれませんけれども、それこそ水俣病も老人、子供から、要するに体の小さい人から早く、いわば体全体の中の蓄積量で病気が発生するという部分があると思いますね。  それこそ、蚊取り線香といえども電話ボックスの中に一万本ぐらい燃やして人間が中に入っていればどうなるのかという実験なんかだれもしないと思いますけれども、それと同じように、どの程度は現在のところは、まあ安全かというような話はできないと思いますけれども、基準値として、大都市なら大都市、それからまた一般的な、郡部なら郡部、そして焼却場近くなら近くという形で、どの程度分布しているのかを、おさらいの意味も含めて出していただきたいと思います。

野村瞭環境庁大気保全局長

○野村政府委員 ダイオキシンについての御議論ということで話題を絞ってお話を申し上げたいわけでございます。  ダイオキシンにつきましては、御指摘ございましたように、焼却炉から発生をするというのが大体八割から九割の規模というふうに私ども現在のところ認識をしておるわけでございます。したがいまして、大気中の濃度についてどう判断するかということが重要になってくるわけでございます。  昨年、私ども、大気中の、環境基準そのものではございませんけれども、判断の目安になる指針値というのを計算をいたしておりますが、それによりますと、〇・八ピコグラム、これは年平均値でございますけれども、そういう値を設定をいたしております。  しからば、実態はどうかということでございます。  埼玉県のお話が出ましたので事例的に埼玉県のことを取り上げたいと思いますけれども、今問題になっております所沢市周辺、産廃の焼却炉等が多数、一般も一部ございますけれども、ございます。その周辺の濃度につきましては、埼玉県が実施をしたデータでございますけれども、一・〇から二・○ピコということでございまして、今申し上げた〇・八という目安からいたしますと、若干超えておるという状況でございます。  一方、所沢市内ということで、多少幅広に測定を、これも所沢市が実施をいたしておりますが、これによりますと、五カ所の平均ということでございますけれども、これについては〇・七五ピコグラムということで、先ほどの〇・八よりは若干低いわけでございます。ただ、これはいろいろ県においても調査をしておるわけでございますが、埼玉県のによりますと、平均して〇・七九ということで、これは〇・八にかなり近いということでございます。  最初申し上げました指針値〇・八というのは、これを超えれば直ちに健康被害を生ずるということではなくて、私どもかなり安全域も考慮して定めておるわけでございますので、一生涯そのような暴露を受けた場合には影響が出てくるであろうという目安でございます。そういうことからいいまして、超えておるからといって直ちに問題が生じるということではございません。ただ、先ほど申し上げましたように、未然に問題に対処しなきやならないということで、これも先生よく御存じだと思いますが、私ども、焼却炉に対する規制的措置を昨年の十二月から実施をいたしておるわけでございます。  私ども、実態からいいましてまだまだ努力をいたさなければならないところが多いかと思いますけれども、五年きちんと廃棄物事業者等に対応していただければ、九割方大気への排出量は減るであろうということを見込んでおります。したがいまして、今後、地方自治体とも十分連携をいたしまして、できるだけ〇・八以下になるように対処をしてまいりたい、そのように考えておるところでございます。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 環境庁からいただいています資料もありますが、日本と諸外国と比べたときに、今、ピコグラムのお話が出ましたけれども、例えば日本だと、工業地帯の住宅地域で一ピコグラム濃度、これは平均であります。大都市地域でやはり一・〇二ですから同じようなもの。中小都市で〇・八二。バックグラウンド、ぐっと田舎というような判断でしょうね、〇・〇七。  ところが、ドイツとかオーストリアとか、ニアポイントソース、いわば一番発生源のところで出てくるところと、日本の中小都市や大都市と変わらない濃度になっているのを見ると、日本というのは緑も多く大気がきれいなはずだというふうな印象もあるのですけれども、反面、こういう大気中におけるダイオキシン類の濃度は諸外国に比べては高い。同じように工業国であるドイツであるとかアメリカなんかと比べても、そういうことに関して日本の方がすごく濃度が高いということになってきますと、燃やしているものの中身、そういうものもやはり違うのかな、こんなふうに考えざるを得ないのです。  この辺について、なぜニアポイントと、いわば周辺地域と同じレベルなのかということを厚生省でどのような御判断をされているか、改めてお伺いしたいと思います。

仁井正夫厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長

○仁井説明員 御説明申し上げます。  日本では、一般廃棄物の処理、これは衛生的に処理するということを主眼にいたしまして、焼却の処理というのがかなり進んでおります。土地利用が稠密で処分場の確保がなかなか困難だというところで、減量化を進める、あるいは衛生的に処理するということからすると、焼却という部分がかなり有効な手段でございますので、一般廃棄物の処理の中で焼却のウエートがかなり高いという事情がございます。  一方、ドイツにおきましては、処分場の確保ができるのかもしれませんけれども、比較的焼却される割合が少ない、なおかつ、焼却に使われる焼却炉が数が少なくて比較的大型の炉だけになっている。日本の場合ですと、いわば津々浦々と申しましょうか、小さい市町村でもそれなりの焼却炉をつくっているといったような事情も、廃棄物側からの事情としてあるのではないかと思っております。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 そういうのを、少し科学的なデータというか、科学的というのはオーバーですが、例えば性能の差だとかあるいはその数、ドイツでは大きいものが三つだけれども日本では小さいものが三十で、おのずから性能が違って、出てくる濃度が違うよ、処理の仕方が違うよというような、そういう比較検証というのはなされているのでしょうか。

仁井正夫厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長

○仁井説明員 日本では、焼却施設の数、ちょっと今具体的な数字を持ち合わせておりませんが、たしか千六百とか千八百のオーダーだと思います。ドイツではたしか五、六十の数かと思いますし、平均的な規模についても大きな違いがございます。こういったような基礎的な情報の収集、これ自体は行っております。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 私が知る限りでは日本で千八百だと聞いていたような記憶がありますし、六十だとすると三十分の一、人口が二分の一、二分の一でもないか、やはりちょっと日本の方が出やすい環境になっていますね。それだけは間違いありませんので、先ほど局長が申されたように、九割がこうした焼却炉から出てくるものだ、これさえ抑えれば基本的な対策になる、こういう認識でいいのではないかと思います。  長官、これはやはり焼却炉の対策がすべてだということではなかろうかというふうに思わざるを得ませんが、長官の認識はいかがでございますか。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 今のお話は、どこが一番多いところかということでございまして、ダイオキシンは、空中にまず拡散されますし、また、いろいろな経路で土とか水の中にも入るわけですから、そういうところを全般としてコントロールしなければいかぬわけでございますが、今のところは、焼却炉から出て空中に拡散されるのが一番中心になっております。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 わかりました。これは日本全体で見れば、とにかく焼却炉対策をきちっとできるかできないかがすべてという部分があります。所沢地区には、若干土壌の問題だとか、もう既にかなり蓄積した部分だとかありますけれども。  それで、いろいろお話を伺っておりますが、県レベルで、業者というのでしょうか、焼却炉の所有者あるいは設置者の説明会とかをどんどんやっておられると思いますけれども、これは間違いなく各県においてやっていることについての確認はできていますか。

仁井正夫厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長

○仁井説明員 私ども、廃棄物処理法に基づきます構造、維持管理の基準を、ダイオキシンを削減するということで昨年の八月に改正いたしまして、昨年の十二月から施行しているところでございます。特に、既存の設置者に対する周知が重要でございますので、私どもとしても、ダイオキシン規制の概要をわかりやすく記述いたしましたパンフレットをつくり、全国で一万部ほどだと思いますが、それを各県に送付して、設置者向けの説明会といったようなところで使ってくれという形でやっているところでございます。  説明会の実施状況等についても、ちょっと今手元にデータを持っておりませんけれども、私どもとしてもフォローアップいたしております。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 きのうちょっとレクでその点も確認しておったので、確認ができている状態が欲しかったですね。ぜひ後で宿題としてお届けいただきたいと思います。  こう申し上げるのも大変恐縮ですけれども、やや雑な設置者もいないとは限りませんので、県でせっかく説明会をしていても欠席している人が意外に多かったとか、こんなことで趣旨の徹底ができていないということになればこれはいかがなものかというふうになってきますし、何よりも、これにつながっていくわけですけれども、設置者が測定するわけでもありません、今度は測定の業者にお願いをして、実際自分のところではどの程度なのかということをきちっと県に届けるという仕組みになっているというふうに私は理解をしております。  これも、どんな形で、きちっと本当に届け出をしているかどうか、報告しているかということに関しても、ちょうどもうすぐ年度は終わりますけれども、これはたしか施行は十二月一日からですか。そうなってくると、もう既にこれを測定して報告しているところもあると思うのです。少なくとも四半期が三月末で終わりますので、ここらで少しヒアリングをして実施状況を確認して、これが四分の一やっていれば順調だということでしょうし、実は十分の一しかやっていないということであればこれは趣旨の徹底ができていないな、こんなふうに考えるのが自然でしょうし、四半期でもし五〇%ぐらいやっていればこれはなかなか趣旨の徹底ができているな、こういうことであります。  要は、法律とか仕組みをつくっても、一番大事なのはフォローアップ、確認作業だと思うのです。ここをよく注意していただきたいというふうに思います。この議論は非常に大事な議論でありまして、とかく制度をつくる、仕組みをつくるで終わる、この辺が結構多くて、フォローアップというのはなかなかしない。こうしたところが一番決め手になると思いますので、そこの仕組みをぜひ再度注意を促していただきたいというふうに私は思っております。  それで、特に所沢の三富地区、くぬぎ山周辺というのは、通常のところと違って土壌の部分に大変な濃度のダイオキシン類が出ておりまして、ここの部分が個別対策として非常に大事になっていると私は思うのですが、このあたりの認識についてはいかがでございますか。これは質問通告をしていなかったかもしれませんが、よろしくお願いします。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 確かに住民側の調査、それから県側の調査でもかなり高い濃度のところがございます。  ただ、その濃度についてこれからどういうふうな対策をとるかという問題なのですけれども、調査の手法一つをとりましても、まだ確定したものはございませんでした。私どもそれを一番最初にやることが肝要と思いまして、つい一月の末ですけれども、急ぎまして全国共通の検査それから分析の手法のマニュアルを確定いたしました。したがって、今後ほどこの地域で行われる調査分析もこの手法にのっとってやっていただくということになります。  それから、当面の対策としては、大気局長の方からも御答弁申し上げましたけれども、何はともあれ暴露経路全体の中で一番リスクの高いところ、大気をまず締めようということでやっております。  それから、同時並行的に、土壌の問題につきましても、土壌の利用形態に応じた指導なり規制のあり方をどうするか。土壌の利用というのは、子供が直接接するものもございますれば、上に建物が建つというふうなものもございますれば、完全に被覆してしまうものもございますので、そういった土壌利用と指導なり規制の水準をどうするかということを取り急ぎ検討したいと考えております。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 仕組みはよくわかりましたが、宮田教授の調査結果については把握されておられますか。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 数字は承知しております。  そうでありますがゆえに、先ほど申し上げましたように、分析方法におきまして、宮田先生の分析方法と県の分析方法との間にかなり差がございますので、そういったことで数字の安定性の面でも環境庁としてマニュアルをきちんと示したところでございます。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 模範的な回答だとは私も思うのです。しかし、大分差があるのです。宮田教授のなんかでは、四百四十八ピコグラムなんといったらもう目の玉が飛び出るような話です。もちろんこれは、それこそ一部に、土壌の中にはうり投げたというような話もあるかもしれませんし、そういう部分だけを見るのはいかがなものかなということも言えないわけではありません。しかし、あの地区は広範囲に現実に産廃用の焼却場がたくさんあるところでありますから、相当慎重にその辺を見ておかなければいけない。  しかも、御承知のとおり、あの周辺は本当にクヌギ林、クリ林、そうした雑木林ばかりでありますけれども、一歩離れると大住宅地でありまして、最も人口密度の高い地域が周辺六キロ以上のところからぐっと広がってくるという部分もございます。また、子供たちもカブトムシ取りやクワガタ取りにそういう林の中に入っていくところでもあります。周辺に航空公園もございます。  そういう意味では、相当な人の出入りするところでもあるわけですので、そこのところを考えると、ややちょっと拙速過ぎてもそれは拙速過ぎるということにならないのではないか、こんな認識をも持っておりまして、具体的に新しくつくる仕組みが実施されて結論が出るにはどのくらいかかるのですか。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 私どもが示しましたマニュアルというのは、もう既に全国の関係をする学者、その他関係者にもお伝えをしてございますし、当然宮田先生の御意見も伺った上で統一的な方法を作成をいたしておりますので、これからの土壌中のダイオキシン類の調査分析方法というのはすべからくそれにのっとって行われるというふうに考えております。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 今の答弁だと、少しタイムテーブルが見えないのですけれども。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 恐らく先生の御指摘は、対策をどの期間でどうするかということと結びつくのだろうと思うのですが、その問題につきましては、かねて環境庁から申し上げておりますように、土壌だけに限らず、大気、水、底質、土壌その他全部を通じて暴露経路全体の中で環境リスクの調査をダイオキシン対策五カ年計画の中で実施をするということで、平成十年度から予算上は実施をいたしますし、そのプレ調査も既に九年度において実施にかかっておるところでございます。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 確かに、五カ年計画の中で九〇%クリアするということに関しては、行政レベルではいろいろなこともありますけれども、私は高く評価したい、こんなことも思っております。  しかし、一定地域における百ピコを超すような濃度というのは異常でありまして、県の協力あるいは関係市町村の協力を得ながらもう少しあの地域だけ点検を限定的にやって、余りひどいところは少し一部削除するとか、少し掘って、かなり深いのかどうか、それをやってもいいのではないかというふうな考え方を持っております。  大臣、これは大臣の権限云々ではないのですけれども、一般的な感覚として、丸投げでやっている可能性もありますので、そういうところは地下の中にも早目に入っていくわけですから、それがまた飲料水を通じてとかそういうこともあるわけですから、少し検索してやったらいいのではないかというような考え方を持ちますが、その辺について大臣どうですか、感想でも結構ですから。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 これはなかなか、法律に基づいてこういうことをやりますということになると、いろいろな権限争いもありますし、何を基本にしてやるのだというようなこともありますが、確かに、私も環境庁長官を昨年拝命してから、いろいろなところで同じような問題がどんどん出てくるわけでございます。ある意味においては、環境行政がまだ欠落していて、現実にだれが一体権限を持っているのだということで行われないところ、あるいは、お互いのいろいろな、例えば国と県とそれから市町村の関係がはっきりしないところ、いろいろございます。  やはり早く手を打たないといけないということについては、何らかの方法で、例えば今の科学的な知見というのはできるだけ早く公表して、それをまた、私どもと県知事さんあるいは市町村と話をしながら、どういった手を打てるか。これは、今具体的にどうするということになりますと、ただ言っただけということになりますので、具体性はまたこれから検討させていただきますけれども、前向きの姿勢で頑張りたいと思っております。

野村瞭環境庁大気保全局長

○野村政府委員 若干補足をさせていただきます。  人の体にダイオキシンが入る経路ということから申し上げますと、食品とか飲用水を通じて入るのが大体九割ぐらいだろうと言われているわけでございます。大気中の排出源の寄与度というのは先ほど申し上げたように九割でございますけれども、実際に人体に対する影響ということからいうと、大気は一割ぐらいだろうと言われております。  土壌の場合は、子供が、例えばおもちゃ遊びを砂場等でしていておもちゃに付着しているダイオキシンが入るとか、そういった形で人体に摂取される割合というのは極めて低いとされているわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘になられました土壌の環境基準は、それなりにもちろん急がなければなりませんけれども、人体影響ということからいうと、その割合は極めて低いというのが常識ではないかというふうに考えておるところでございます。

上田清司民友連

○上田(清)分科員 そういう考え方もありますが、一方では、現に濃度の高いところを削除していくということにおいて、心理的な安心感、そういう問題もあるということも確認をしていただきたいと思いますし、五カ年で九〇%削減する計画も、場合によっては、諸般のタイムスケジュールが整えば三年で、前倒しでやってしまうというようなスピーディーな行政ということを長官にさらにお願い申し上げまして、質問時間が参りましたので、終わります。  ありがとうございました。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて上田清司君の質疑は終了いたしました。  次に、古堅実吉君。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 日本共産党の古堅です。  最初に、沖縄の米軍海上ヘリ基地建設問題に関連して、当該海域等の環境問題について質問をいたします。  政府の海上ヘリ基地建設予定地である沖縄県名護市の辺野古沖の周辺で、ことしに入って、一月十三日にジュゴンが遊泳している姿が初めて撮影されて以来、報道されただけで、一月十三日、一月二十六日、二月二十八日、三月二日、三月三日と五回も相次いでジュゴンが確認されています。  今差し上げました現地新聞沖縄タイムス紙によりますと、「二月二十八日から三月三日まで、名護市辺野古沖合、海上ヘリ基地建設予定地近くで、朝日新聞取材班とともにジュゴン調査をした。」「ヘリからは三月一日を除いた毎日、早朝に遊泳する姿が確認できた。」こういう趣旨の報道がされております。  御存じのように、ジュゴンは、日本近海に生息する唯一の海牛目に属する海生哺乳類で、インド・太平洋地域のサンゴ礁海域に生息分布し、我が国の南西諸島が分布の東側の北限となっています。  また、国際自然保護連合とワシントン条約で国際保護動物として指定され、生息地の各国で捕獲を禁じて保護されている貴重な動物でもあります。我が国でも、絶滅危惧種として扱われ、沖縄が復帰した一九七二年五月十五日に国の天然記念物にも指定されています。  このようなジュゴンの確認をどのように認識していらっしゃるか、所管の水産庁と環境庁長官の御所見をお願いしたいと思います。

丸山晴男環境庁自然保護局長

○丸山政府委員 ジュゴンにつきまして今先生お話してございます。そのとおりでございます。  環境庁は、動植物の保護を所管しておりますけれども、陸海空とに分けますと、専ら陸と空でございます。陸生の動物あるいは植物、また、空の鳥類でございまして、専ら海に生息するものにつきましては、私どもの対象というよりは、むしろ水産資源保護、あるいは、今おっしゃったように、文化財保護ということでやってまいっておるところでございます。  したがいまして、ジュゴンの生息状況につきましては十分な知見がありませんし、また、国際的にも十分な知見がないような状態でございますけれども、五回も出てきたということを踏まえまして、生息状況を把握する上での一つの情報としての価値が十分にあるというふうに考えておるところでございます。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 環境庁長官もということでございましたので。  今御説明申し上げましたように、法律的にいえば、水産庁の方の水産資源保護法、それから文部省の文化財保護法ということになるわけです。  しかし、沖縄は非常に豊かな環境資源があるわけでございますから、これをできるだけきちっと保存をしたいというお地元の皆様方の気持ちはよくわかるわけであります。今後、いろいろな地域の開発なり、この辺がたまたま海上ヘリポートの話と関連して話が出ておりますけれども、いずれにいたしましても、そういった全体としての沖縄の環境の保護ということについては、私どもも十分に注目して、またできることはしてまいりたいと思っております。  ただ、今のところ、法律的にいいますと、今の二つの法律によってジュゴンについてはいろいろな規定ができておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

櫻井謙一水産庁資源生産推進部漁場資源課長

○櫻井説明員 水産庁の櫻井でございます。  ジュゴンにつきましては、ジュゴン自身の分布域は、先生のおっしゃるとおりインド洋、太平洋等の亜熱帯、熱帯海域を中心として分布しておりまして、我が国におきましても南西諸島までが分布域の北限ということになっているということは、水産庁としても承知しておるところでございます。  また、水産庁といたしましても、やはりジュゴンは管理すべき水産動物という認識を持っておるところでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 国営沖縄記念公園水族館による漁民等からの聞き取りによってなされた調査では、一九七九年一月から一九九七年八月までに、沖縄本島周辺で十二件のジュゴンが確認されております。  辺野古沖はジュゴンのえさとなる海藻が広く群生じている藻場となっていることが広く知られておりますけれども、この海域でジュゴンが短期間のうちに相次いで確認されたことは、当該海域がジュゴンの重要な生息地になっている、そういう可能性が極めて高いことを示しているのではないかというふうに思いますが、御所見はいかがですか。

櫻井謙一水産庁資源生産推進部漁場資源課長

○櫻井説明員 ジュゴンは南西諸島が、当然のことですが、北限の海域でございます。ただ、水界というのですか、同じ水域で発見されたことをもってジュゴンがその水域を繁殖、定着水域としているかどうかということについての判断は、それだけでは難しいのではないかというぐあいに考えております。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 藻場となっており、相次いでそこで発見されておるなどということは、可能性として高いというふうに見るのが妥当じゃないか、その可能性は高いんじゃないかというふうにおっしゃっていただきたいところでしたね。  一九九二年に制定した絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律では、第二条で、野生動植物の種が置かれている状況を把握するとともに、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための総合的な施策を策定し、実施する、そういうことを国の責務としています。  また、一九九五年十月に開催された地球環境保全関係閣僚会議では、生物多様性国家戦略が決定され、絶滅のおそれが生じている種に対する保護対策の充実を求めています。  これまで我が国が実施してきたジュゴンの保護対策は、水産庁のレッドデータをつくるために、専門家に依頼して聞き取りとレポートを作成しただけだというふうに伺っています。今回ジュゴンが相次いで確認されたこの海域の環境と生態系を守ることは極めて重要なことと申さねばなりません。  私は、昨年九月に、日本共産党沖縄県議団代表の嘉陽宗儀、新垣米子両県議らとともに、水産庁及び文化庁に対してジュゴンの保護について申し入れをいたしました。その申し入れの中には、調査などもしてほしいという具体的な要望も掲げてございます。その際、水産庁は、実態調査等について、関係機関と連携して進めていきたい旨の回答をされたのであります。  改めて、政府関係機関が協力して、辺野古沖を含めた沖縄県近海での生息状況の把握を初め、漁業などの関係を十分考慮しつつも、総合的、効果的な保護対策を推進することが必要ではないかと考えますけれども、水産庁並びに環境庁長官の御見解を伺いたい。

櫻井謙一水産庁資源生産推進部漁場資源課長

○櫻井説明員 確かに先生おっしゃるとおり、昨年九月に先生の方からいろいろと要請等がございました。水産庁といたしましては、そのときにもお答えいたしたわけでございますが、ジュゴンについては、水産庁の水産資源保護法に基づきまして、採捕、所持及び販売を禁止という最も厳しい措置を講じておるということをお話し申し上げたところでございますし、現在もやっておるところでございます。  また同時に、死亡した個体の打ち上げなど、意図せずに捕獲した場合につきましても、水産庁に報告するとともに、適切な処理を行うように指導しているということもお話し申し上げたところでございますし、そのときにも、水産庁の調査事業におきまして、ジュゴンについての文献調査を主としました調査は行っておるということはお話しいたしたところでございます。

丸山晴男環境庁自然保護局長

○丸山政府委員 環境庁の関係でございますけれども、現在、自然環境保全基礎調査というもののうちで、海域につきましては、藻場、干潟、サンゴ礁の調査を行っておりますけれども、ジュゴンなどの海洋動物につきましては、これまで対象としておらないわけでございます。しかも、ジュゴンにつきましては、いわばその生息環境の把握を行う上での調査手法がまだ確立をされておらないわけでございます。したがいまして、直ちに調査を行うということは当面困難だというふうに考えておるところでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 ジュゴンについては、これまで国として特別にどうだろうかということで直接の調査というものがなされていないというふうに聞きます。それだけに、関係者はぜひそのことを重視して早目に手をつけてほしいと強い要望がございます。  そういう調査をしていなくても、先ほど指摘しましたように、一定の期間内に漁民から、網にかかったとかなんとか、そういう形で報告されておるものだけを集めてみれば十二件もわかっておりますということになっているのです。報道関係者があの辺野古地先の問題を重視して、具体的に空からヘリなどで調査をしてみたら、このように短期間のうちに相次いで確認されるというふうな状況が生まれているわけです。  そういう状況を見ますと、この海上基地問題が進もうとしているこのときであるだけに、また、強い要望もあるので、政府として、しっかりした協力関係もとりながら、国際条約に基づいて、早目にジュゴンを積極的に保護しなくてはいかぬという立場を踏まえて、そういう方向でいろいろと検討し、必要な対策も詰めていただかなくてはいけないのではないかというふうに思ってこの質問を申し上げているわけであります。  再度、一言ずつでよろしいですから御意見をいただきたい。

丸山晴男環境庁自然保護局長

○丸山政府委員 環境庁の、国土全体の自然状態の分布ですとか実態把握というサイドからの調査というものを直ちに行うことは難しいわけでございますけれども、今お話しのシュワブ沖におけるジュゴンの調査につきましては、いわば海上ヘリポート建設との関連で、事業者の防衛施設庁当局が環境アセスメントの中で調査していくものというふうに考えているところでございます。  したがいまして、そういった調査が進みますならば、私どもとしても、それに対して協力してまいりたいと考えております。

櫻井謙一水産庁資源生産推進部漁場資源課長

○櫻井説明員 水産庁といたしましては、先ほど申し上げたとおり、ジュゴンにつきましては、水産庁において最も厳しい保護措置でございます採捕、所持及び販売ということを禁止している規定があるわけでございます。そういった形の保護対策を現在とも進めておるところでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 昨年、私たちが申し入れしたときに、皆さんの、連絡をとりながら何とか進めていきたいというふうなお答えもありましたとおり、現状を踏まえて、これから一層真剣に考えていただけますね、水産庁。

櫻井謙一水産庁資源生産推進部漁場資源課長

○櫻井説明員 水産庁といたしましては、希少生物全般につきまして、先ほど申しましたように、平成五年度から、水産動物の調査、これは文献調査を主といたしておるところでございますが、本年度までに調査をいたしておるところでございます。  希少生物全般につきましては、水産庁といたしましては、その保護措置なりなんなりというのは、今後とっていくようなことは当然考えられると思いますし、今後、十年度以降におきまして、水産動物の中で保護なり増殖とか、優先的にそういった措置をとれるものがあるかということにつきましての調査を実施するような予定ではございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 それでは、前に進みます。  次に、海上基地建設に関連する海洋汚染について質問いたします。  昨年十一月、政府が発表した海上ヘリポート基本案は、建設に伴う「自然環境への影響は最小限に止まる」という調査結果を示しましたが、この内容は、まさに建設先にありきといったもので、WWFジャパンや日本科学者会議、日本海洋学会など、内外の関係者から、自然環境や海の生態系を破壊するという強い批判を受けています。  また、三月二日に発表された米会計検査院報告では、多くの調査は巨大な建設事業が損害を与えることがあり得ると述べると同時に、環境もまた海上施設の日常的な運用を通じて汚染されるかもしれない、航空機を洗浄するために使用される洗浄物質の予期しない流出、あるいは知らない間の燃料システムの漏れが近くの海洋環境を汚染するかもしれないと指摘し、海上基地ができた後の活用からも汚染される可能性を述べており、これは重大な問題の指摘であります。  こうした指摘は、環境庁としても見過ごすことができない問題ではないかと考えますが、御所見を伺いたいと思います。

岡田康彦環境庁企画調整局長

○岡田政府委員 お答えいたします。  普天間の代替ヘリポート建設計画につきましては、地元の御了解が得られその建設が進められる際には、住民の生活環境や自然環境の保全に万全の措置を講ずることが必要だとまず認識しております。  それから、現在計画されております施設は、その規模等から、現行の環境影響評価閣議決定要綱などの対象にはならない。要するに、我々がこれまで取り組んでおりますいわゆるアセスの対象になるほどの大きさの規模ではないものでございますが、このプロジェクトの性格だとかあるいは環境保全の重要性等にかんがみまして、今後適切な環境影響評価が行われるよう防衛庁と調整してまいりたいと考えております。  それから、先生御指摘のアメリカの会計検査院報告、これは、先生今御指摘のようなことが書かれていることは私どもも把握しておりまして、注目はいたしております。御指摘の海上ヘリポート運用時の環境影響についても、この環境影響評価の手続の中で適切に予測、評価がなされ、必要な対応策があらかじめ検討されることになるものと考えております。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 基本姿勢がだめなんですね。そういう立場で言っておるんじゃないのです。  海上基地については、昨年十二月の名護市民投票、今年二月の大田知事の拒否表明で明らかなように、名護市民、沖縄県民の意思は明白であります。にもかかわらず、政府はあくまでも建設を進めようとしておるのです。その前提で、建設するという具体的な事案になった際に環境問題についてしかるべき調査をするということでは、これは取り返しのつかないことになりかねないです。今おっしゃっているのはそこを言っておられる。それじゃだめだ。  この会計検査院の報告について、米国防省は、報告はタイムリーで歓迎すべきものだと述べており、米国務省も、報告に同意すると述べているものであります。建設後の使用によって環境破壊が起き得るということを会計検査院が報告しているわけです。  この指摘を謙虚に受けとめて、建設が受け入れられたときに環境調査をやりましようというようなことではなしに、そうされては取り返しがつかない、そういう問題が起きるから質問にも及んでいるわけで、そういうことを重視して対処してほしいというふうに思うのですが、いかがですか。

岡田康彦環境庁企画調整局長

○岡田政府委員 お答え申し上げます。  まず、今申し上げました環境影響評価の性格でございますが、これは、事業を行う場合に、着工前に、まず事業の実施に伴う工事及び供用時の環境影響をあらかじめ予測いたしまして、それから予測した影響を回避、低減するために必要な対応措置を検討し、さらにこの対応措置の妥当性も含めて環境影響を評価する。要するに、事業者がまず第一義的に、どうしたら一番環境に影響が少なくできるかという検討をするという性格のものでございますことについて申し上げさせていただきたいと思います。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 海上ヘリ基地基本案は、関係者等から疑問視されている環境破壊や米軍の運用所要などの問題については、海上ヘリ基地建設が理解を得られた段階で策定される実施計画で詳細について検討していく、そう言っておりますけれども、これは、建設されることが前提とされるもので、全くのごまかしです。何ら歯どめになる、そういうふうな方向ではございません。指摘されている環境破壊の問題は、建設されてから対処するのでは手おくれという問題を含んでいます。ですから重大だと申し上げている。  沖縄県の「沖縄の自然環境の保全に関する指針」では、海上ヘリ基地建設の予定地である沖縄本島辺野古周辺沿岸が評価ランク1とされ、自然環境の厳正な保護を求めています。各都道府県と協力して、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存はもちろんのこと、自然環境の保全、野生動植物の保護のために総合的な施策を推進していくのが環境庁の責務だとも考えます。  海洋環境を初め、ジュゴンやサンゴなどの動植物を保護することについて、何らかの環境庁としての対処策があってしかるべきだと思いますが、御検討いただけますか。長官、いかがです。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 今、海上ヘリポートとの関連でいろいろと御質問でございますが、直接のお答えにはならないかもしれませんけれども、沖縄が非常に豊かな環境資源をたくさん持っておられる、これをひとつできるだけ保護していこうということは、これは環境庁の関心事でございます。  ただ、具体的に、どういう時点でどういう調査をする、あるいはどういう対策をとるかということは、やはりそれぞれの役所がその状況状況に応じてやっておる。そして全体としては、日本政府としてはできるだけ沖縄の自然を守っていこう、環境を守っていこう、こういうことでございますので、今すぐにすべての問題について環境調査をして、その上で海上ヘリポートがどうのということとは、ちょっと私は、順序といいますか、物事が必ずしもつながっていないんじゃないかというふうに感じております。  そういうことで、先生の今の質問には直接の答えになりませんけれども、それぞれの時点において、あるいはいろいろな問題が出てくる状況に応じて、私どもとしては、沖縄全体の環境の保護ということについては十分配慮をしてまいりたいと考えております。  具体的に申し上げますと、例えばサンゴの問題についてはいろいろ勉強しておるとか、そういうような具体的な問題がありますから、そういうのはひとつ総体として御理解をいただきたいと思っております。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 ぜひ、要望申し上げた方向で最善の御努力をお願いしたいと思います。  次に、沖縄米軍の北部訓練場の返還に伴う山原の貴重な動植物の保護についてお尋ねします。  北部訓練場がある山原の地域は、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなど、世界でもここにしか生息していない多数の野生生物が生息、生育しており、学術的にも高い評価を受けている地域であります。山原地域に豊かな自然環境を保全することは、沖縄だけではなく我が国が果たすべき国際的責務であると考えます。私は、山原地域の自然環境の保全に当たっては、地域住民と自然が共生共存できるように、住民生活にも配慮した保護措置をとることが大事ではないか、このようにも考えています。  そこで伺いますが、北部訓練場が返還された際、現在ある鳥獣保護区の拡大と国設の鳥獣保護区の設置、国指定の特別保護区の設定など、どう関連づけていかれるか。また、返還された一定区域を、地元住民の理解を得ながら国立公園化や世界遺産登録なども推進していってはどうか、このようにも考えますが、あわせて御見解を承りたいと思います。

丸山晴男環境庁自然保護局長

○丸山政府委員 お答え申し上げます。  今先生お話しの北部訓練場を含みます山原地域は、亜熱帯性の自然林に覆われて、ヤンバルクイナその他固有種を多く含む大変貴重な地域でございます。  北部訓練場の返還を機に、このすぐれた自然の地域を地元の方々の理解と協力をいただきながら将来にわたって保全し、かつ適切に活用するということが必要でございまして、国立公園の指定というものもその有力な手段の一つだと考えておるところでございます。  また、今お話しの国設鳥獣保護区の設定あるいは世界遺産地域への編入問題ということもその視野の一つにあろうかと考えているところでございます。  現在は、この地域一帯の自然環境を初めとするさまざまな点についての調査を実施いたしております。これらの調査を踏まえまして、保全と活用のための計画をぜひ策定をしてまいりたいと考えております。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 時間が残り少なくなりました。最後の質問です。  環境庁は、昨年、やんばる野生生物保護センターを着工をしておられます。この保護センターは、山原の野生生物の保護策を推進していく上でどのような事業、役割を担うか、そのことについて伺いたい。  私は、東洋のガラパゴス、そうも言われる沖縄の自然、山原の自然、ノグチゲラやヤンバルクイナ等の国内希少野生動植物類を初め、貴重な生態系、その遺伝的多様性を守るためにも、さらには学術的な研究を進めるためにも、例えば国立ヤンバル自然保護研究所などを設立して、希少野生動植物保護管理事業を積極的に推進していくべきだと考えます。それが世界に誇ることができる環境行政の推進の道につながるのではないか、そうも考えますが、環境庁の御見解を承りたいと思います。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 この今のセンターですね、これからだんだんに整備していくというところでございますから、これはまた将来に向かってはいろいろと雄大な構想もあると思うのでございますけれども、とりあえずは、当然ながら、その希少な動植物の調査研究や保護管理を行う、こういうことからスタートします。また、施設やいろいろな情報を積極的にいろいろな大学等の研究者にも提供してまいりたいということでありまして、だんだんにひとつそういった意味での調査研究の拠点として活用していただくし、私どもとしてもこれをさらに充実させていきたい、そういうふうに考えております。  将来のことまで今すぐには申し上げられませんけれども、せっかくスタートしましたので、ひとつお地元の皆様方にも御協力いただきまして、これから本当の意味での調査センターになるように努力をしていきたいと考えております。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 時間が参りました。  あの貴重な地域というのは、金をもってしてどこでも手に入れることができるなどという代物ではありませんから、ぜひ大事にされて、今要望いたしました国立ヤンバル自然保護研究所なども、地元とも調整しながら進めていただきたい、こうお願い申し上げて終わります。

櫻井謙一水産庁資源生産推進部漁場資源課長

○櫻井説明員 先生申しわけございません。先ほどの質問に対するお答え、若干終わっていなかった部分がございます。ちょっとつけ加えさせていただきます。  調査の一般的な事業を十年度から行うということで希少生物に対する話は御説明いたしましたが、ジュゴンに関しまして言えば、水産動物としての優先度等、それから費用対効果とか増殖の困難さといったようなことを考えますと、その優先度はかなり低いということはお答えせざるを得ないということでございます。それをつけ加えさせていただきます。

古堅実吉日本共産党

○古堅分科員 低いなどとおっしゃらずに、これだけ大事なものを、あなた方は海上基地にひっかけて頭で考えるからそうなるのですよ。そういうことじゃなしに、この大事なものを見捨てられては困るというふうなことで非常に心配しておられる立場から要望も強いのですから、そのことを申し上げた趣旨を踏まえて、関係者はぜひ積極的に推進してほしいとあえて申し上げて、終わります。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて古堅実吉君の質疑は終了いたしました。  次に、北脇保之君。

北脇保之民友連

○北脇分科員 民友連の北脇保之でございます。  私は静岡県浜松市の出身でございますが、東京方面から西の方へ行くと、新幹線であれ、また東名であれ、浜名湖を通過いたします。この浜名湖、東京から西へ行くときの最も景観の美しいところの一つではなかろうかというふうに誇りに思っております。  ちょっと地域の紹介になりますが、この浜名湖というのは、本来は海とはつながっていなくて淡水湖だったのですが、ちょうど五百年前、一四九八年に地域で大きな地震がありまして、その一部が決壊をして海とつながつたということでございまして、もともとは淡水湖だったのが今は海水と淡水が入りまじる汽水湖ということで、生態的にも、また漁業などの面でも大変貴重なものとなっているわけでございます。  そこで、地域ではことしを、一四九八年から数えて五百年ということで、開湖五百年祭ということで、いろいろなイベントを予定して盛り上げていこう、こういうことをしております。それだけに、地域、地元の人間の一人として、このすばらしい浜名湖を後世に伝えていきたい、こういう気持ちで取り組んでいるころでございます。  地域では、子供たちや住民も浜名湖を大事にしようという意欲が非常に強くて、例えば昨年の夏などでも、子供たちを環境調査船に乗せて、実際の浜名湖の現状を水質調査などをして見ていこう、そういうようなことも行われています。そうしたときの子供たちの反応を見ますと、例えば湖底のヘドロをすくってとってみると非常に臭いにおいがするということで、こんな状態なのかとぴっくりするというようなこともございますので、本当に子供たちによい自然を残すために、浜名湖の環境保全、特に水質保全に取り組んでいかなければいけないというふうに思います。そんな思いから質問をさせていただきます。  まず、浜名湖の水質の現状はどのようになっているか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 今先生から御説明がございましたように、浜名湖はなかなか広いものですから、浜名湖の中を六つの水域に分けまして環境基準の当てはめを行っております。  直近のデータ、八年度で申し上げますと、いわゆる健康項目、有害物質等の点につきましてはすべて基準をクリアしております。それから、有機系の汚濁といいますか、私たちの用語では化学的酸素要求量、CODといいますけれども、これの達成状況は、六つの水域中五つの水域で基準をクリアをし、残り一水域ではわずかに基準を満たさないというふうな状況にございまして、総じて環境基準を満たしているというふうに承知をいたしております。     〔主査退席、岸田主査代理着席〕

北脇保之民友連

○北脇分科員 現状では有機系のCODの数値が一カ所を除いてはすべて環境基準を満たしているということでございますが、その経年的な傾向という点ではいかがでございましょうか。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 CODで申し上げますと、平成三年度は六水域中四水域で基準達成、二水域が未達成ということでございましたけれども、八年度は五水域で環境基準を達成ということで、数字で見ます限りでは、わずかながら水質が保全をされている方向に行っている、いい方向に行っているというふうに思っております。  ただ、これは、私どもが想定をいたしました類型に対する達成状況でございますので、あくまでもそれとの比較の問題でございます。

北脇保之民友連

○北脇分科員 確かにそのとおりだと思います。類型の設定の仕方が、湖の奥の方、猪鼻湖という固有名詞があるわけでございますが、そこは浜名湖の中でもまた一つ非常に閉鎖的な湖を形成している、そこは、CODの数値にしても、海に近い方よりも緩い基準を設定しているということですから、そこで環境基準を達成しているといっても、それでいいということは必ずしも言えないという面もあろうかと思います。  いろいろな指標がありますけれども、もし環境基準をこの浜名湖において達成できないということが今後出てくると、そのことが生活とか漁業にどのような影響が出てくるか。これは浜名湖の現状に基づいてということで、お答えはなかなか難しいかと思いますが、この閉鎖水域、このような湖において、そうしたCODの数値の上昇とかその他水質に関する環境基準が達成できないということになると、地域の生活とか漁業にどのような影響が生じてくるか、その点についてお答えいただきたいと思います。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 確かに、湖がきれいである、水質の面において水生生物の生息にも適している、さらにレジャーその他にとってもいい環境であるということが、この浜名湖地域の産業なり生活を支えているわけでございます。  特に、漁業の面では、貝類を中心に大変盛んな漁業が行われておりますし、また、ノリであるとかそういうものについても相当な漁業がなされているというふうに承知をいたしております。また、潮干狩り等で相当な入れ込み客もございます。  したがって、汚れがひどくなるというふうな状況になりますと、観光客それから漁業の両面にわたって影響が生じるというのがこれまでの一般的な閉鎖性海域あるいは閉鎖性水域での状況でございます。これを何としても防ぐということが課題であろうかと思っております。

北脇保之民友連

○北脇分科員 今御答弁があったことは、まさにそのまま浜名湖にも当てはまると思います。  浜名湖はアサリとかカキ等の貝類の養殖漁業が大変盛んですし、また、浜名湖の出口の方も奥の方も海水浴場がありまして、夏になると大変な人出がございますので、そうした観光面、観光面ということでいえば、海水浴ということだけではなくて、ヨットであるとか水上スキーであるとか、浜名湖そのものがマリンレジャーのメッカでもございますので、そういう観光の面の影響も非常に大きいということで、そうしたことに悪影響を生じないようにという意味でも、浜名湖の水質保全は非常に重要だと思います。  そこで、具体的な取り組みとしては、いろいろな課題があると思いますが、その幾つかについて、その課題の重要性をどのように認識しているか、また、その課題についての取り組み、これを国と地方自治体、どのような役割分担でやっていくか、そして、特に環境庁としてはどういう役割を果たそうとしているか、そういった幾つかの課題についてお答えをいただきたいと思います。  まず第一は、海藻、藻類の除去、これをどうするかということです。浜名湖におきましては、特にアナアオサという海藻類が非常に多くて、このアナアオサの問題点というのは、窒素や燐の吸収力が非常に高いということで、窒素や燐がそのアナアオサの中に定着することによって、そのアナアオサが漂ったりいろいろ枯れたりなんかする中で湖自体の富栄養化が進む、その原因をなしているということ。もう一つは、よく海水浴に行くと見かけることですけれども、そういう海藻がちぎれて、漂って、海岸に打ち上げられると、それが腐敗して悪臭を発する、こういうような問題もあります。  もう一つ、窒素や燐の吸収力が高いということで、富栄養化が進むとどうなるかというと、さらに植物プランクトンが発生して、それがアサリとかカキなんかの、貝毒といいますか、貝の毒の原因になるというようなことで、漁業への影響もある。  そんなことで、静岡県としても、この海藻類の除去ということについて取り組みをしているわけではございますが、この点について、先ほど申し上げたような見地から、国、地方の役割、そしてその中での環境庁の取り組みということについて、お答えをいただきたいと思います。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 いろいろと具体的なことにつきましては、必要に応じて政府委員が御説明いたしますけれども、私も実は浜名湖は、私は愛知県でございますから、ほとんど毎週通って見させていただいております。せっかくあそこにあんなにきれいな湖があるのにと思っていたのですが、実際に近寄ってみますと、水が非常に汚れている。私は、これは別に科学的にどういう数値ということではなくて、かなり汚れているという感じを持っております。先ほど北脇委員もおっしゃいましたけれども、あれはもともとは湖で、海とはつながっていなかったのですか、その辺の歴史の細かいことは存じませんけれども。  それで、きょう御質問があるということで、実は私、いろいろ関係法令もちょっと調べさせていただいておるのですけれども、現実には閉鎖性の海域ということになっていますよね。だから、閉鎖性に伴ういろいろな問題が出てくる。だから環境庁としても、しっかりそめ閉鎖性の海域としてとらえてのいろいろな手段ということはやはり考えなければいかぬ。  しかし、海に続いてしまっていますから、要するに、海域で湖沼ではないわけですね。環境行政の立場から見ますと、むしろ今のところ、湖沼の方が割にきちっといろいろな手だてが行われているのじゃないか、私もまだ十分勉強しておりませんけれども、そういった制約もある。  しかも、先生の御質問の中にもたしか総量規制というようなお話もちょっと出ていたようでございますので、そういう御質問があったかどうか、もし間違っていたらそれは後で正していただきたいのでありますけれども。浜名湖が一つだけありまして、なかなか総量規制海域というような取り組みもちょっと今すぐにはできない、こういうようなことがあります。  一言で言いますと、浜名湖が非常に特殊な立場にあるものですから、例えば、これから国と県が共同してどういうことをやっていくかというときには、今のそういった浜名湖の法的な性格と申しますか、それはひとつ御理解いただいた上で、それを直すことができるのかできないのか、そういうようなところから議論いたしませんと、なかなかきちっとした答えが出てこないと思います。  まずは、長官としてというよりも、今、たまたま近くからいつも見ておる市民の一人として感触を申し上げましたけれども、そういう状況にある、法的にはそういった問題があるということをひとつ御理解の上で、またひとつ具体的な御質問なり御指摘をいただきたいと思います。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 県の方でもモデル事業をこれから始めようということはお話を伺っております。  藻類の発生、繁茂というのは、実はそのこと自身というよりは、上流から流れ込む水の質が悪くなってきていることの結果としてそういう状況になるわけでございます。湖を管理しているところで主体的に取り組むというのはもちろん基本でございますけれども、そういった上流部分からの負荷を減らすような政策、これからの御質問にあるいは出てくるのかもしれませんけれども、やはり何といっても下水道普及率が極めて低いというこの浜名湖地域の現状、そこら辺から基本論として取り組む、国として支援をするということが重要ではないかなというふうに思っております。

北脇保之民友連

○北脇分科員 ただいま長官から御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。同じ東海地方、隣県でございますから、浜名湖についての思い入れば同じかと思います。  大臣おっしゃられたとおりだと思うのですが、湖沼についてはいろいろな対策というものはもう講じられている。もう一方で、瀬戸内海のような複数県にまたがるような広い地域の閉鎖性海域ということになると、これについても一定の対応というものがとられているようでございます。確かに浜名湖、先ほど申し上げたように淡水湖じゃありませんので、湖というよりも、科学的に言うならば閉鎖性海域ということなんですが、瀬戸内海なんかとはまた全然態様も違うということで、それがこれまでの対策のはざまに落ちていたということはあるのじゃないかと思います。ですから、その辺のところを早急に環境庁としても施策を確立していただきたい、そんなふうに思います。このことは大臣にお願いしておきたいと思います。  ただいま、藻類の問題というのは水質が悪化することが基本的な問題なんだというお話がありましたが、確かに生活排水によって湖の水質の悪化が進んでいるということは、地域でもそういう認識は持っております。  そこで、生活排水対策が非常に重要になると思うのですが、環境庁では今、生活排水汚濁水路浄化施設整備事業というものを事業として取り組んでいらっしゃいますが、この事業のねらいといいますか、それをもう一度確認させていただきたいと思います。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 私どもでやっております今先生御指摘の事業は、生活排水によって著しく汚濁をされている水域におきまして、生活排水処理施設の整備が当面見込めないような場合に、その水域に流入している水路等に浄化装置、これは極めて簡易なものでございますけれども、直接そういったものを設置いたしまして水の浄化をするという事業でございます。  具体的な例を申し上げますと、例えば三ケ日町の休耕田を利用してそこに水を通す、言ってみれば、礫間浄化と水生生物を使って下流に流れ込んでいく汚水を浄化をするというふうな極めてシンプルな事業に対する助成事業でございます。

北脇保之民友連

○北脇分科員 その手段による浄化の効果というものを何か明確に表現できるのかどうか。それはできないとおかしいと思いますが、どのような効果があるかということ。そしてまた、平成十年度においては全国で何カ所ぐらいを予定をしているのか、それもちょっと教えていただきたいと思います。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 浄化機能なのですけれども、これは、水生生物や礫間浄化ということでやりますと、過去の環境庁の実験でも、三分の一ぐらいCODとか窒素とか燐が抜けるというモデル的な実験事業もございますので、それなりに下水道と並んでかなり効果が高い、そういう事業だというふうに思っております。  それから、十年度の予定ですが、まだ最終的に決めているわけではございませんけれども、三十程度はできるのではないかなというふうに考えております。

北脇保之民友連

○北脇分科員 今お触れになられた三ケ日町でもそういうことで取り組んでいるということでございますので、さらにまた、浜名湖関係市町村においてもこの事業に取り組めるようにということを要望させていただきたいと思います。  それから、その他の対策として、いろいろな調査研究、そしてその調査研究に基づいて具体的な対策に発展させていくべきことというのが幾つかあると思います。それについて、調査研究の重要性をどんなふうに認識しているか、また、環境庁として調査研究そのものにどんな考えで取り組んでいくかということをお聞きしたいと思います。  その項目というのは、一つは、先ほど富栄養化の原因の一つとして、湖の中で水温の差があったりして水循環が悪化してくる。いずれにしても、水の循環が湖内で悪化するために富栄養化が進むということ、それが一つの現象としてはあるものですから、それを改善するということの必要性、またそのための調査研究の必要性についてどう考えるかということ。  それから、水質の向上のためには、例えばアシとか、そういう自然、生態系、これを活用して水質浄化できないものか、こういう発想もありまして、この辺についての一種の事業としての実施可能性を含めて、この調査研究の必要性をどう考えるか。  それからまた、藻場とか干潟、こういったものについても、一種の生態系を活用した水質浄化ということになってくるかと思うのですが、これを一つの対策として活用していく、その実現可能性を含めて、藻場や干潟などを活用した水質浄化、このことについての調査研究、これについて必要性をどう評価し、環境庁としてはどのように取り組んでいくお考えか、これをお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明環境庁水質保全局長

○渡辺(好)政府委員 三点、御質問があったわけでございます。  まず第一点目の、水温差等による水の動きをもう少し物理的に回してはどうかという循環の話がございました。例えば、これは身近な例で申し上げますと、長良川あたりでは、DO船というふうなものを使いまして水中に酸素を送り込む、あるいは曝気をするというふうな事業が一部やられておりますので、それなりの効果はあるものと私どもは思っております。  ただ、ちょっと考えなければいけないのは、浜名湖は汽水湖ということで、全く完全に上下をひっくり返していいものかどうかという点もございますので、ここは汽水湖特有の循環というものにちょっと留意をする必要があるのではないかなというふうに思っております。  それから二点目の、水生生物を利用した浄化でございますが、これは極めて効果が高いと思っております。各地でかなり事例がございまして、今先生がアシの話をされました。関東でも、渡良瀬遊水地にアシを植える、あるいは霞ケ浦のアシを保存するというふうなこともございますが、アシだけではなくて、例えば霞ケ浦ですと、ウオータークレソン、これを全面に植生いたしまして窒素や燐を吸収するというふうなこともやっております。水生生物を通じた浄化機能というのは極めて高いものでございますので、実用化ができますように私どもも研究を進めたいと思っております。  それから、藻場、干潟の問題でございますが、これも学説ではかなりの浄化機能を持つということを私ども承知しておりますが、環境庁サイドでの研究が十分でなかった面がございますので、平成十年度から予算を計上いたしまして、藻場、干潟等の保全、回復による水域内での浄化機能の調査を実施することにしております。一部の地域で干潟をつくる事業にも、これは自然保護局関係の事業でございますけれども、もう着手をしているところでございます。

北脇保之民友連

○北脇分科員 ただいまのお話では、特に水生生物を利用した浄化、これを非常に評価されているということ、また、干潟などの浄化機能についての調査研究についても、新年度予算に計上して取り組まれているということでございますので、ぜひ具体的に、例えば浜名湖というような地域に基礎を置いて、地域の、例えば静岡県の試験研究機関とか、そういったところとも連携の上でそうした調査研究を進めていただきたい、そんなふうに思います。  そこで、最後になりましたが、先ほど長官からもお話をいただきましたが、今後の閉鎖性海域の環境対策ということで、特にこうした浜名湖のような特殊例も含めて、今後、閉鎖性海域の水質保全についてどのように取り組んでいかれるお考えかということについて、環境庁長官から改めてお答えをいただきたいというふうに思います。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 今のところ、閉鎖性海域というカテゴリーの中でいろいろやっているということでございまして、環境基本法に基づきまして、富栄養化防止のための窒素、燐の環境基準を設定しております。また、浜名湖を含めてでございますけれども、八十八の海域において水質汚濁防止法に基づいての窒素、燐の排出規制を実施、これは例示的に申し上げたわけでございますが、いろいろな意味におきまして、ひとつできるだけ総合的にいろいろな調査を強力に進めてまいりたいと考えております。

北脇保之民友連

○北脇分科員 冒頭申し上げましたように、浜名湖は、ことしは開湖五百年ということで特別な年に当たります。そして、さらに二〇〇四年には、浜名湖に出ております庄内半島という、浜松市内に属するところがあるのですが、そこで国際園芸博というものが行われます。これは園芸ということですから、農業など花卉栽培、こういったことを中心として国際的な博覧会を催そうということでございます。中部国際空港も開港の予定が迫っておりますし、そういったものを生かしながらこの地域の国際的な発展を図っていこう、こういうことでございますので、何としても二〇〇四年の国際園芸博に浜名湖を美しい状態で迎えてまいりたい、こういうふうに思いますので、この閉鎖性海域の環境対策のことにつきまして国の積極的な取り組みを要望しまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

岸田文雄自由民主党

○岸田主査代理 これにて北脇保之君の質疑は終了いたしました。  次に、福留泰蔵君。

福留泰蔵平和・改革

○福留分科員 新党平和の福留泰蔵でございます。  本日は、当予算委員会第五分科会におきまして、私の方からはダイオキシンの問題について質疑をさせていただきたいと存じます。  初めに、環境庁にお伺いしたいと思います。  我が国におきましては、昭和三十年代から四十年代にかけましての高度成長期に大気汚染が急速に進んだわけでございまして、四日市公害訴訟等、大気をめぐる公害問題が深刻な社会問題になったわけでございます。そして、その後の規制強化によりまして大気汚染は改善が図られたわけでございますが、大気汚染物質の中には、環境基準が達成されていないものや、ダイオキシン類のような未規制物質もあるわけでございます。  私が住んでおります埼玉県におきましては、川越市、所沢市、狭山市、三芳町にまたがるくぬぎ山と言うのですけれども、この名前はテレビでも報道されまして、ありがたくないことで有名になっているわけでございますが、平成五年の秋ごろに、この周辺の産業廃棄物処理業者の焼却炉からの排煙がひどいということで、その対策を求める住民の声が多く寄せられていたわけでございます。  その後、平成七年に、所沢市民の依頼によりまして、摂南大学の宮田教授が十カ所の焼却灰及び土壌を調査いたしまして、同年十二月にその結果が公表されました。そして、それらの地点で高濃度のダイオキシン類が検出されたことが明らかになったわけでございます。  これを受けまして、所沢市におきましては、平成八年六月、市議会に環境対策特別委員会を設置しました。そして、同年九月には所沢市など三市二町が、埼玉県知事に対しまして、県公害防止条例の改正等の要望書を提出いたしました。同じく十一月には、厚生省及び環境庁に対しまして、産業廃棄物処理施設についての構造指針の作成及びダイオキシン類の排出基準の設定などを要望してまいったところでございます。そして昨年六月には、全国に先駆けまして、議員提出の所沢市ダイオキシン類等規制計画策定審議会条例を制定しております。この動きは全国に波及し、環境問題への大きな関心を呼び起こしているところでございます。  環境庁の昨年度の調査によりますと、大阪市などの大都市におきましては、ダイオキシン類の濃度は一立方メートル当たり一・〇二ピコグラム、ピコグラムというのは一兆分の一という単位であるそうでございますが、松江市などの中小都市では〇・八二ピコグラム、これに対してアメリカの都市部では〇・〇九ピコグラム、ドイツの都市・工業地域では〇・一二ピコグラム、スウェーデンの都市部ではわずか〇・〇二四ピコグラムに抑えられているということでございます。日本のこの値がはるかに大きいということがよくわかるのではないかなと思うわけでございます。  ベトナム戦争のときの枯れ葉剤、これは私どもまだ記憶に残っているところでございますが、この枯れ葉剤などの問題から、欧米諸国におきましては、一九七〇年代からこのダイオキシン類汚染への関心が高まりました。そして、法制化や規制策が進められてきておりまして、オランダでは、市民、行政、企業が協力いたしまして、過去十年間で約九割のダイオキシン排出の削減をしたと聞いております。  一方、我が国では、厚生省が全国のごみ焼却施設のダイオキシン類排出量濃度実態を明らかにした昨年の四月まで、一部の人々を除いては、さほど関心が高かったとは言えないという状況だろうと思います。そのおくれが、先ほど私の方から申し上げました数字のような、欧米諸国とはけたが違う汚染が進行していったのではないかと考えているところでございます。  近年、オゾン層の破壊や地球温暖化、酸性雨など、地球的規模での環境問題がクローズアップされる中でございますが、史上最強の毒物、これは環境庁の資料の中にそういうように書いてあるわけでございますが、史上最強の毒物と言われるダイオキシン類による汚染は、ごく微量でも環境や人体への深刻な影響があり、発がん性、催奇形性、生殖能力の低下、母乳を通しての胎児への影響など、さまざまな問題を引き起こしていると言われているわけでございます。  そこで、まず質問させていただきますが、このダイオキシン類の毒性につきまして、環境庁はどのような認識をされ、その規制にいつからどのように取り組んできたのか、お伺いをいたします。

野村瞭環境庁大気保全局長

○野村政府委員 ダイオキシン問題につきましては、先生御指摘いただきましたように、かつては、ベトナム戦争時に使われました枯れ葉剤の中に副産物として入っておりましたものが奇形等を生んだのではないか、あるいはベトナム戦争に従事をいたしました米軍兵士あるいはその子供に影響が出たのではないか、また、イタリアにおきまして化学工場の事故がございましたが、これによる影響があったのではないかといういろいろな指摘がなされていたわけでございます。  私ども、日本の研究者だけではございませんで、国際的にもいろいろダイオキシンの研究が進められているわけでございますが、動物実験におきましては、いろいろダイオキシンの影響につきまして、発がん性、生殖毒性等、今話題になっております環境ホルモンの作用もダイオキシンには一部あるわけでございますが、そういう影響等がございます。  ただ、人体影響につきましては、ベトナム戦争の事後の話としては、なかなかデータが集まらなかったということもございまして、科学的に実証されたというところまでいっていないわけでございますが、アメリカの先ほど申し上げました兵役従事した兵士なり子供等からのいろいろなデータについては、例えば、兵士に皮膚症状があらわれた、あるいは子供さんに奇形があらわれたというその影響との関係を示唆するデータも出ているわけでございます。  私ども、基本的な姿勢といたしましては、必ずしも人体影響について確かな証拠がなくても、問題の未然防止という観点から対応しなければならないということで、ある意味からいいますと、先進諸国の取り組みからいいますとおくれたわけでございますけれども、近来いろいろ国内でも、先ほど御指摘になりましたように焼却炉周辺の住民から提起された問題等もございまして、昨年になりまして、まずはダイオキシンのリスクの評価をきちんとしなければならないということで、私ども環境庁としては、一日摂取量、これは体重一キログラム当たりということでございますけれども、五ピコグラムというのを、かなり安全性に考慮を払った数値でございますが、そういうものを設定し、また焼却炉につきましては、大気中に排出されるダイオキシンの九割方を占めるということでございましたので、まずはここから手をつけなければならないということで、大気汚染防止法におきましても焼却炉の、新設、既設の別はございますけれども、段階的な規制的措置を講じたところでございます。  いずれにいたしましても、今後、発生源調査といたしましても、これまで焼却炉を中心にやってまいりましたけれども、それ以外の可能性もあるということで調べなければならぬということもございますし、それから、環境中のモニタリング調査ということで、これにつきましては昭和六十年代の初めから、例えば大気だとかあるいは河川等の底土等についてもモニタリング調査をいたしてまいりましたが、今後、水だとか土壌も含めまして、モニタリングの内容につきましても拡充をしていきたいと思っております。  また、人間に対する影響ということにつきましても、これも厚生省とも連携をして行っておりますけれども、例えば環境庁におきましては、亡くなった方の臓器中にどのくらいダイオキシンが残っているかということを分析することによってダイオキシンの影響を見よう。また、大気中のダイオキシンの濃度とそれから生殖毒性、先ほどもおっしゃいましたけれども、例えば人口動態というようなことで、全国的な規模で奇形のデータ等がございますけれども、そういうものとの関係が、大気中の濃度の濃いところと薄いところとの間で差があるかないかといったことまで含めまして調査をいたしてまいりたい、そのように考えておるところでございます。

福留泰蔵平和・改革

○福留分科員 このダイオキシン総量の八割から九割はごみ焼却炉から発生すると言われているわけでございます。そして、実は私も驚いたのですけれども、世界のごみ焼却炉の七割は日本にあると言われているわけでございます。これは、厚生省がごみの処理に当たっては焼却処理を推奨してきた、その影響だと言われているわけでございますけれども、その意味におきまして、日本は世界一のダイオキシン汚染大国であると言えるかもしれないと私は思うわけでございます。  現在、年間約五キログラムのダイオキシンが排出されていると聞いております。この五キロという量は、先ほど御答弁にもありましたけれども、一九七六年にイタリアのセベソ市にある農薬工場の爆発によって多数のダイオキシン被災者を出した事故で飛散した量と同じ量でございます。それと同じ量を、毎年我が国はこの国内において排出をしているという今の実態でございます。  埼玉県におきまして、私どもの友党でございます公明の埼玉県本部におきまして、ダイオキシンプロジェクトを設置いたしました。本年一月、小型焼却炉、野焼き、不法投棄の廃棄物の処理に関する実態調査をこのプロジェクトで実施したところでございます。三十数ページにわたる膨大な、詳細な報告書をまとめているところでございますが、焼却炉については、大気汚染防止法等の対象施設であります大型焼却炉及び各自治体の清掃事業所の焼却施設を除きまして、各事業所、家庭などで使用されている小型焼却炉を対象にして調査をした報告書となっております。  この調査結果によりますと、九十二市町村ありますので未調査の市町村も若干あるわけでございますけれども、小型焼却炉の総数は千五百七基、そして内訳は、私設小型焼却炉が千百二十九基、公設の小型焼却炉が二百九十一基、産業廃棄物用の小型焼却炉が八十七基となっております。これらの数には、ドラム缶や灯油缶等の簡易焼却炉は入っておりません。これらを含めますと、無数にあるとしか言えないような実態だろうと思うわけでございます。また一方、野焼きにつきましても、この公明の議員の足で稼ぐ調査によりますと、百八十八カ所の野焼きを発見したと調査報告書は書いているところでございます。  これらの中には、集じん機も、また排ガス処理施設もなく、低温で焼却する届け出の要らない小型の焼却炉で不適切な焼却処理をしている廃棄物処理業者もおりまして、これらの炉はダイオキシンの大量発生源となっていると思われます。さらに、野焼きはそれを上回る最悪の発生源となっているのではないかと思うわけでございます。この数の実態を見てみますと、もはやダイオキシン問題は特定の地域の問題ではないということがわかるのではないかと思うわけでございます。  去る三月十三日、新聞で報道されておりますけれども、埼玉県上尾市のある公園の県による大気中のダイオキシン類濃度調査で驚くべき数字が発表されて、衝撃を私も受けたわけでございますが、この周辺はそういう焼却炉等がないと言われている地域でございまして、これは、ある特定の焼却炉の周辺だけの問題ではなくて、今や地域を限らない問題になっているのではないかということを一つ示しているのではないかと思っているわけでございます。  私としては、自家焼却それから野焼き、これは業者については禁じているわけでございますけれども、この禁止をすべきと考えておるわけでございます。きょうは厚生省がお見えであろうかと思いますが、厚生省は、これら小型焼却炉や野焼きの実態をどのように把握され、どのように認識され、そしてどのような対策をとろうとされているのか、お伺いしたいと存じます。

入江登志男厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長

○入江説明員 お答えいたします。  野焼きにつきましては、例えば埼玉県におきましては、野焼きに関します苦情が平成六年度で五百三十一件寄せられたと聞いておりますが、このような野焼きが各地で問題になっているものと承知しております。  野焼きや野焼き同然の焼却行為につきましては、安定的な燃焼が困難でございまして、排ガス処理もなされないということから、生活環境保全上の支障が生ずるおそれがあり、そのため、従来より、野焼きは廃棄物処理法により禁止していたところでございます。  厚生省といたしましては、平成九年八月に廃棄物処理法施行令等を改正いたしまして、野焼き同然の焼却炉を用いた焼却行為に対しまして適切な取り締まりが実施されるよう、廃棄物の焼却につきまして、焼却方法と設備の構造に係る基準を明確化いたしまして、同年十二月に実施をしたところでございます。そして、都道府県に対し、野焼きまたは野焼き同然の焼却行為につきまして積極的に改善命令や措置命令を発動するなど、厳しい態度で対処するよう指導しているところでございます。また、構造基準や維持管理基準によります規制対象とならない小規模焼却炉につきましても、同様に、この焼却方法と設備の構造に係ります基準の明確化によりまして、適切な焼却が行われるよう都道府県に対して指導を行っているところでございます。  なお、家庭におきます小規模焼却炉での自家焼却につきましては、これは大型の焼却炉に比べまして高温燃焼が確保しにくいなど管理が困難でございますので、厚生省におきましては、一都市町村が従来行っておりました家庭用焼却炉等の小規模炉への補助をやめて、排出濃度の基準が適用されます大型の焼却炉で焼却するよう市町村に対して指導しているところでございます。

福留泰蔵平和・改革

○福留分科員 この焼却炉の問題については、文部省は、公立小中高校の焼却炉の原則使用禁止というのを通知しているところでございます。  今答弁にもありましたけれども、自家用の焼却炉については、また野焼きについては、規制をしたところでなかなか難しい部分もあろうかと思うわけでございますけれども、ダイオキシンの発生を防ぐという意味では、高性能な焼却炉にかえていくということは当然重要なことで、できるだけ高温で連続で燃焼してダイオキシンの発生を極力抑えていくという方法は、一つの方法として大事な観点だろうと思っているわけでございますが、まずその根本を考えなければならない。  ダイオキシン発生の一番の原因は、塩素化合物がごみの中にあるから、それを燃やすからダイオキシンが発生するということになるわけでございます。ごみの中にポリ塩化ビニールがなければダイオキシンは発生しないということになるわけでございます。  廃プラスチック等を分別収集して焼却量を減少させたところ、ダイオキシン発生量が九分の一に減少したという調査結果があります。この際、このダイオキシンを減らすために、分別収集を徹底して行うよう指導すべきではないかと私は考えるわけでございますが、厚生省のお考えをお伺いしたいと思います。

入江登志男厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長

○入江説明員 塩化ビニール類の焼却につきましては、家庭用の焼却炉などで不完全燃焼させますとダイオキシン類を発生させやすいというふうに考えられております。廃棄物処理法に基づきます規制基準に適合しました焼却炉で完全燃焼するといった場合には、ダイオキシンの発生を低く抑えることができるということが判明しております。  また、先生のお話にもありましたが、実は塩化ビニール以外にも塩素を含むごみというのは広範に存在しておりまして、塩化ビニール類を完全にごみから除去いたしましてもダイオキシンが発生するというようなことも言われてございます。  このため厚生省におきましては、まず、廃棄物焼却施設から排出されますダイオキシン類の削減を図るために、昨年、廃棄物処理法に基づきましてダイオキシン類の排出濃度基準を設定するなど、規制の強化を行ったところでございます。  その一方、厚生省におきましては、廃棄物の排出抑制、またリサイクルを進める循環型処理を目指しておりまして、平成十二年度より塩化ビニール類も含めましてすべての容器包装プラスチック類を容器包装リサイクル法の対象といたしまして回収し、リサイクルを推進するとしております。

福留泰蔵平和・改革

○福留分科員 環境庁それから厚生省は、大気汚染防止法と廃棄物処理法の政省令改正を昨年八月末に公布しているわけでございます。  それによりますと、環境庁は、ダイオキシン類を早急に抑制しなければならない物質として政令指定してございます。そして、その発生施設であります焼却施設の抑制基準を示しているわけでございます。また、環境濃度指針の達成のための五カ年計画も発表しております。  同様に厚生省は、廃棄物焼却施設から排出されますダイオキシン類を削減するために、施設の構造基準及び維持管理基準の強化、御説明がありましたけれども、年一回の測定の義務づけ、違反した者の使用停止や改善命令または罰則を盛り込んだダイオキシン抑制に向けての法改正を行ったということでございます。  これらの改正は、今まで野放しだったダイオキシンを法規制するという点では評価できると思います。しかし、これらはあくまでも焼却によるごみ処理という枠組みでの延命を図った措置ではないかと私は考えます。そして私としては、これらの措置というのは総量規制ではない、あくまでも濃度規制にすぎないのではないかと考えているところでございます。私は、ダイオキシンの毒性と将来の環境への影響を考えますときに、当然、濃度規制ではなく総量規制に踏み込むべきではないかと考えるわけでございます。  今後、ダイオキシン発生を減らす方法といたしまして、幾つかの段階があると考えます。  先ほども若干申し上げましたけれども、第一に、高性能の炉で焼却するということ。こうすれば余り発生しないので、今後高性能の焼却炉に逐次かえていくということでございます。  第二に、直ちに性能の悪い焼却炉をなくすことは難しいので、先ほど申し上げましたけれども、塩ビの分別収集を行って燃焼量を減らすというのが第二の方法だろうと思います。  そして第三には、小型焼却炉や野焼きを徹底的に規制をしていくということが必要かと思います。  そしてさらに第四点目といたしまして、最終的には塩ビ製造のもとになっている塩素を発生させないような苛性ソーダ製造方法への転換があるのではないかと思っているわけでございます。  私、意見を申し上げましたけれども、今後、国としてダイオキシンを減らす方策としてどのような方策を考えていらっしゃるのか、私が今提示した四点への評価を含めまして、環境庁長官にお答えをいただきたいと存じます。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 今いろいろと具体的な提案もしていただきましたので、これについては、もし必要があればまたそれぞれの政府委員等からコメントさせていただきたいと思いますけれども、御存じのとおりに、大気中に拡散されますダイオキシン、これが発生の源としては一番大きいわけですから、まずはそこのところを減少させるというのがとりあえずの日本の政府全体としての方策であります。同時にまた、昨年八月にダイオキシン対策に関する五カ年計画、五カ年計画でございますから、これから何をやっていくか、試行錯誤もあると思いますけれども、いろいろなものを組み合わせて、今委員おっしゃいましたようにいろいろなところからの方策があると思いますけれども、これを進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、私も素人ですけれども、いろいろと勉強していますと、ダイオキシンというのは、今のところは空中の話が出ておりますけれども、先ほどもほかの委員からもお話がございましたけれども、あるいは土の中に浸透する、あるいは水の中に溶け込む、そういうようにいろいろなところから発散するわけでございますから、とにかくそういったもの全体をきちっと取り押さえるといいますか、きちっと対象としてこれから対策を進めてまいりたいと思っております。  なお、あと必要に応じて政府委員からお答えいたします。

野村瞭環境庁大気保全局長

○野村政府委員 先ほど先生がお触れになった中で、総量規制制度についてお話がございました。ちょっとそれにつきまして補足をさせていただきたいと思います。  私どもが所管しておる大気汚染防止法におきましては、窒素酸化物、硫黄酸化物につきましては従来から総量規制制度を設けているところでございます。  この制度の要点は二点ございまして、一点は、工場等の排出源が多数集中をしている地域におきまして、個別の発生源対策では、一つの目安である環境基準を達成できない場合に総量規制をする。  それから、もう一つの要点は、総量規制のやり方の問題でございますけれども、効果的に進めるためには、大規模なものに網をかけるということでございます。小規模のものまで全部に、それぞれの工場まで総量規制をかけると、かなり手間もかかりますし、要するに監視にまたかなり負担がかかるわけでございます。そういうことで、大規模なものに網をかけるという形になっておるわけでございます。  翻ってダイオキシンの問題を考えてみますと、先ほど申し上げましたように、個別の発生源対策といたしまして、焼却炉に対して、既設、新設の区別はございますけれども、その対策を昨年とったばかりだということでございますが、私どもの見込みでは、五年間きちんと焼却場にその規制どおりにやっていただければ、九割方は大気中に排出されるダイオキシンは削減されるというように見込んでおるところでございます。  それから、今申し上げました規模の面からその焼却施設を見てみますと、一般廃棄物焼却施設の場合は、市町村が運営しているということで大規模なものも中にはございますけれども、一般的には、産業廃棄物焼却施設については小規模のものが多い。たしか所沢の例でも小規模なものが多いのです。したがいまして、小規模のものが多いということからいうと、総量規制制度をかぶせにくいということで、結論的に言いますと、なかなかなじみにくいということになるわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、昨年から施行いたしております個別発生源対策に全力を尽くしたい。これは、関係自治体とも連携して、対策については当然監視も強めていかなければなりませんし、私どもとしても、できるだけバックアップをしていきたいと考えておるところでございます。五年たってその状況がどうなっているかというのを見なければいけないわけでございますが、その状況いかんによってはまた何らかの対応というものも考えていかなければならない、そのように現在のところは考えている次第でございます。

福留泰蔵平和・改革

○福留分科員 時間が来たようでございますので質疑を終了させていただきますけれども、いずれにしても、今このダイオキシン問題というのは、大変話題になっておりまして、市民の方々の不安の大きな要素になっているところでございます。  埼玉県で母乳の検査を百検体ぐらいやって、今度結果が出るというようなことですが、一検体当たり三十万程度お金がかかるということで、そうすると、百検体やるだけでも三千万円のお金がかかるという計算になるわけでございまして、実態を調べることも大変お金のかかる問題でもございます。  それから、いろいろのお話を聞くと、先ほど長官の方からもお話がありましたけれども、土壌の中、それから海水の中への浸透というのがあって、日本海の魚はダイオキシンがやはり入っているのではないか、特にカニが危ないのではないかというような風評も、風評かどうかわかりませんけれども、あって、何かカニが食べられないのではないかというような心配にもなってくるわけでございます。  五年計画で進めておられるわけでございますが、いずれにしても、皆さんに安心していただけるよう、国の責任として一生懸命今後ともこの問題については努力をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

岸田文雄自由民主党

○岸田主査代理 これにて福留泰蔵君の質疑は終了いたしました。  次に、奥山茂彦君。

奥山茂彦自由民主党

○奥山分科員 自民党の奥山でございます。  私が六番目ということなので、質問があるいは重なるかもしれませんが、ひとつお許しを願いたいと思います。  私は京都ですので、昨年の十二月一日から十一日にかけて京都で地球温暖化防止京都会議が開催されまして、この会議の行方というものは我々もはらはらしながら見守ってまいりました。そして、特に一番心配であったアメリカが参加をしてくれて、そのアメリカがまた軟化をしてくれて、ようやく、EUが八%、アメリカが七%、日本が六%等々、先進諸国が先駆けて温室効果ガスの削減の議定書が交わされたということでありますから、我々としても大いにこれを評価するとともに、長官初め関係者の皆さん方の大変な御努力に敬意を表したいと思います。  ところで、この会議こそが我が国が国際舞台の中で世界をリードすることができる数少ない部門ではないかというふうなことが言われておったわけでありまして、日本の外交の顔が見えたということが言えると思います。それだけに、せっかくの成果を我々はこれから生かしていかなければならないわけであります。  そこで、この議定書を交わした、これを我が国がどういう形でこれから批准をしていくのか、あるいはまた国会で承認をとられていくのか、こういった具体的なプログラム。並びに、最大の課題国の一つということが言われておる、しかも世界総排出量の中で三八%近い量を排出していると言われているアメリカ、このアメリカが批准をしなければ何にもならないわけであります。そのアメリカが批准をするための条件というものがどういうものであるのか、あるいは我が国がこのアメリカに対してこれからどういう働きかけをされていくのか。特にアメリカは、待っておってもなかなかこの環境行政ではみずから世界に先駆けてやってくれるということはないわけでありますので、これは我が国が積極的に働きかけをしていかなければならないわけであります。  我が国のことも含めて、ひとつ長官の方から聞かせていただきたいと思います。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 手続から申し上げますと、まず各国が署名をいたします。それから、批准はその各国がそれぞれ、国によって手続は違いますけれども、例えば日本の場合ですと、国会に承認をしていただく、そうすると今度は批准の手続ができる、こういうことになります。  時期的には、三月十六日から国連において署名ができるという準備になっておりますから、既に数カ国が署名を十六日にいたしました。日本もできるだけ早く署名はしたいと思っております。先般できました京都議定書というものは、実は非常に時間がなかったものですから英語だけでつくって、公用語にもまだ全部翻訳されていなかったというようなことでありますが、日本の中で国内的な手続を進めるため、日本語としての文章も確定するというようなことがありましたので、若干おくれておりますけれども、いずれ早いところで日本としても署名はまず行いたいというふうに考えております。  それから、アメリカがいつ署名するかですが、アメリカも必ずしも署名自体につきましては、これは既に京都会議に出席しておりまして、最後にみんな反対なしで同意しておるわけですから、署名の方は実質的には問題がない。ただ、むしろ各国がそれから批准のための手続を早くするかどうか、こういう問題がございます。  ヨーロッパの方はいろいろ議論がありまして、今申し上げましたように、署名をした国もあるわけですし、それからEUなどは、近いうちに一度大臣会議をしてこれからの手だてを考えよう、こういうようなことを言っております。  アメリカでございますが、これは御存じのとおりに、国際条約については上院が承認しないといけないわけですけれども、これがなかなかきついというわけでありまして、特に共和党の方が反対が強いようでございます。  アメリカが、今度の京都議定書について上院あたりで非常に反対論が強い一番大きな原因は、やはり開発途上国もいずれ削減について協力してくれという少しでもその足がかりがっくりたかった、こういうことでございまして、この間の京都議定書にも、先進国あるいは開発途上国との共同の作業とかあるいは排出権の取引とか、排出権はちょうど別でございますけれども、先進国と途上国と協力して、むしろ途上国の中の排出の削減についても先進国が協力していく、そういった意味での協力というのは一応できましたけれども、途上国側がもっと積極的にみずからも削減をするための足がかりをつくりたいというのがアメリカの気持ちであったわけですが、そこのところが必ずしも明確でなかったということです。  いずれにいたしましても、本年また十一月にCOP4があります。そこでは、さらに途上国の将来の取り組みということについては当然討議されると思いますので、そういった状況を見ながらアメリカとしては批准の手続を進める。ですから、今のところは非常にきついことを述べておりまして、いつ批准するかちょっとはっきりしない、こういう状況でございます。

奥山茂彦自由民主党

○奥山分科員 今、アメリカは途上国が批准をすればということでありますが、その途上国の中で一番排出量が多いと言われて、しかも最近経済的に非常に高い成長率を示しておるのは中国だと思うのです。この中国をどういう形でこの中に引き込んでいくかということも、これは我が国にとって課せられたまた重い課題ではないかと思うのです。  そういう中で、特に開発途上国の代表的な中国あたりにどういう形で議定書の中に入ってもらうかということが、やはりこれから我が国としては考えていかなければならない課題であろうかと思います。その辺について、もう一度長官、どうでしょう。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 京都会議で、議定書には実は中国も賛同しておりますので、署名の手続はいずれすると思います。ですから問題は、むしろ中国につきましては、将来どのようにして削減の努力に協力してくれるか、そこがポイントになるわけでございます。  それで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、とりあえず中国あたりに、自分でまず削減しろと言っても、なかなかこれは、先進国の方が非常に今まで排出をしておったのに、今まさにこれから工業化しようとする中国が削減しろといきなり言われても、それは簡単には応ぜられない、こういう態度ですから、中国のこれからの開発を妨げないように、しかし同時に、排出ガスの削減については中国においてもそれが可能になるような技術協力、こういったようなことはできるわけでございます。  ということで、一言で申し上げますと、中国と日本の間にはいろいろな技術協力、経済協力もございますから、特に環境問題を中心にしてこれからそういったものを強化していくということによって、中国みずからも、これからは非常に大きな排出国の一つとしてみずから排出の削減については努力をする、だんだんそういう気持ちになってもらわないといけないわけでございます。  ただいまのところは、中国につきまして言いますと、二国間の経済技術協力によって、できるだけ向こうのそういった削減が可能になるような状況をつくるための協力を行っておる、こういう状況でございます。

奥山茂彦自由民主党

○奥山分科員 それはそれでまたひとつ後々の課題として御努力をお願いしたいと思います。  それとともに、このたび中央環境審議会の中間答申が出されまして、それに基づいて環境庁もまた法整備をしなければなりませんし、国や地方公共団体のそれぞれ自主的な行動プランの実施を促していかなければならないわけであります。  ところで、通産省の方が既に省エネルギー法というものを持っておりまして、今回またこの改正案が出されるということになるわけであります。これから環境庁として法整備を進めるということになってくると、当然、通産省の方の省エネ法との整合性というものを大いに図っていかぬと、二重行政になってくるおそれがあるわけです。  そういう中で、総理をキャップとする温暖化防止推進会議というのがあるわけでありますから、その中で、これは通産大臣も、また環境庁長官も入っておられるわけでありますので、この辺の調整というものはきちっとやってもらわなければ、規制される方の、例えば産業界とかそこらがまたまた困らなければならない、こういうことになるわけであります。このあたり、長官としてはどういう形で進められるのか。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 今まさしく奥山先生おっしゃったように、二重行政というか、仮にいろいろと規制をかけるといたしますと、業界といいますか、産業界あるいはそのほかの部門についても、二重になるということは非常に避けなければいけないだろうというふうに思っております。  例えば、今通産省の方で省エネ法の改正法案をお出しになります。私どもは、そこら辺は十分に意識しておりまして、これは通産省として進めていただく。ただし、私どもの考えでおりますのは、必ずしも省エネだけではなくて、むしろ直接の目的は温暖化対策でございますので、同じアクション、例えば各業界が省エネをする、それは間接的にはやはり排出量の削減になるわけですから、その辺は整合性を十分保つように、私どもが将来仮にそういった温暖化防止法案というようなものをつくる際には、十分に両者の整合性は考えながらつくってまいりたいというふうに考えております。  それから、今おっしゃいました、政府の方で総理を本部長といたします対策本部もあるわけでございます。もちろん、そちらでもいろいろと議論させていただいておりますけれども、とりあえずは、今私どもの方では、温暖化防止のための法案を早くつくりたいということで関係方面と話をしておる、こういう状況でございます。

奥山茂彦自由民主党

○奥山分科員 ここで、通産省が今回提出している省エネ法の改正案でちょっと触れさせてもらいたいと思うのです。  この省エネ法案ですと、例えば自動車とか電化製品とかこういった製品について、省エネ効果の高い製品を優先的に開発し、これを市場に供給していく、いわゆるトップランナー方式というものが今回うたわれているわけなのです。しかし、これも開発にお金がかかると製品が高くなったり、また、買いかえするとしても、最近は今までほどのサイクルで買いかえが進まない、こういう傾向があるわけであります。そうすると、この更新も期待するほど進まないのではないか、こういうことが一つ懸念される。  それから、事業者の自主行動計画が、大規模クラスあるいは中規模クラスの事業所の削減プランというのが今回打ち出されているわけでありますが、我が国の場合、九割はもうほとんど中小企業であって、この中小企業はこの計画の中から全部漏れているわけであります。特に小規模クラスの事業所には一体どういう指導をこれからされるのか。これができなければ実際の削減というのはなかなか進まないのではないか、省エネが進まないのではないかということも思います。そういうこともあわせて、通産省の方にお尋ねしたいのです。

野口泰彦資源エネルギー庁石炭・新エネルギー部省エネルギー対策課長

○野口説明員 お答えいたします。  最初の御質問の、機器の省エネ性能がよくなっても、価格が高くなれば機器の買いかえあるいは普及が進まないのではないかという御質問でございますが、日本のエネルギー消費は近年増加傾向にございまして、中でも、家電製品や乗用車などの普及によりまして、家庭や自家用車用のエネルギー消費が大幅に伸びているという状況にございます。こうした中、省エネを最大限に進めるためには、これらの家電製品、OA機器や乗用車などのエネルギー消費効率を大幅に向上させていくことが重要だというふうに考えております。  このため、御指摘のとおり、今回の省エネ法改正案におきましては、機器の省エネ基準を、現在の商品化されている製品のうち最もすぐれた機器の性能以上にするというトップランナー方式を打ち出しているわけでございます。その際、高性能な省エネ機器の価格が従来の価格よりも高くなるおそれがある、それは確かに先生の御指摘のとおりでございますが、一方で、省エネ型機器の購入によりまして、電気代ですとかガソリン代ですとか、いわゆるランニングコストが低減される効果がございます。こうした点を情報提供等によりまして広報することによりまして、機器の買いかえ、普及が進むことを期待しておる次第でございます。また、数年のうちには、製造メーカー間の競争によりまして、機器自体の価格も低下するものというふうに期待している次第でございます。  いずれにいたしましても、省エネの推進には国民の理解と協力が不可欠であると考えておりまして、通産省といたしましても、こうした省エネ型機器の普及に向けまして、情報提供に努めるなど国民意識の向上を図るための広報対策の強化を図っていきたいと思っております。  それから、二点目の中小企業の省エネ対策をどういうふうに講じるかということでございますが、中小企業の工場につきましては今回の法律の対象にならないわけでございまして、今回の対象になります中規模のエネルギー使用工場よりもさらにエネルギー使用量の小さい工場になるわけでございますが、そうした工場につきましては、工場の規模ですとか技術力、また対象工場数の多さにかんがみまして、法律による一律の規制というのは適当ではないというふうに考えております。  このため、中小企業の規模の工場に対しましては、中小企業事業団などを通じまして、設備の改善や適正な運転方法などにつきまして、専門家を派遣いたしまして省エネに向けた指導をしているところでございまして、平成十年度においては、こうした指導事業のさらなる拡充強化を図ることといたしております。

奥山茂彦自由民主党

○奥山分科員 いずれにいたしましても、この省エネ法の改正と、それから今度環境庁が出される法整備をうまくかみ合わせながら、より効果のあるものにしていっていただきたいと思います。下手にバッティングすると効果がお互いにかえって下回るというふうなことになってしまうとぐあいが悪いので、ひとつその辺はよろしくお願い申し上げたいと思います。  それから、長官にお尋ねしたいのですが、これまでたびたびいろいろなところで打ち上げられたりしておるのが、環境税の問題です。炭素税というような形で言われたこともあるのですが、私は、そんな狭い意味ではなくして、もう少し広い意味での環境税というものがこれからはやはり必要になってくるのではなかろうかと思います。まして今度の省庁再編の中で環境省として新しく政府の中で非常に大きなウエートを占めてくる。こういうことになってくると、これまでの環境行政はどちらかというとソフト的な面が多かったわけでありますが、具体的に予算を伴う、財政的な支援とか負担を伴うような施策の展開もこれから要求されるようになってくると思います。そうでなければ、より強力な環境行政というものはなかなか進められないわけでありますので、そういう点の環境税のあり方あるいは見通しとかいったものは、長官としてはどのようにお考えでしょうか。

大木浩自由民主党環境庁長官

○大木国務大臣 一言で申しますと、いろいろ勉強しておる段階でございます。私どもとしては、これからの温暖化対策の一つの手法として、経済的な手法ということで税を含めたいろいろな対策というのは考えたいと考えておりますけれども、特に、税になりますといろいろな意味で本当にいろいろな議論が出てまいりますし、にわかに決定するのはなかなか難しいと思っております。いろいろと専門家の間での御議論もあるようでございますから、各国の事例も例にしながら、ひとつ勉強させていただきたい。  今の時点では、今先生おっしゃった話とちょっとひっかけてというとあれですけれども、別に私どもとしては、環境庁が自分で使えるお金をつくるためということではなくて、最終的に温暖化防止のために効果のある税制ということはひとつ勉強させていただきたいというふうに考えております。

奥山茂彦自由民主党

○奥山分科員 これは、長官がそのようにおっしゃっているのであえて余り申し上げることもないと思うのですが、例えば炭素税ということになってくると、具体的に経済界の負担をということにもうそのままなっていくわけでありますから、経済界の抵抗というものが、反発というのですか、そういうものが非常に強いわけであります。環境的な財源の確保ということで、私は、広い意味でやはりこれからも考えていかなければならぬ、それが結果として環境税ということになれば、そんなことも思っておるわけでありまして、ひとつその辺は、考えておられると思いますけれども、また十分な対応をしてもらいたいと思います。  それから、今回の京都会議の中でうたわれておったわけでありますが、排出枠の取引、ちょっと長官も先ほど触れておられました。あるいはまた共同実施のあり方、それからまたクリーン開発メカニズムとか、こういったことがこれから具体的にどういう形で政策として出されていくのか。あるいはまた、COP4の課題だということも聞いておるわけでありますし、まして、先ほどの話にもありました開発途上国に対する技術的な支援体制ということも含めて、この課題がどういう形で具体化されていくのか。できる限り具体的にお尋ねをしたいと思うのです。

浜中裕徳環境庁企画調整局地球環境部長

○浜中政府委員 お答えを申し上げます。  いわゆる排出権の取引でございますけれども、この点につきましては、原則や方法、規則あるいは指針といったことを条約の締約国会議で検討し、決定をするということになってございます。それから、先進国の間での共同実施、それから途上国との間でのクリーン開発メカニズム、これにつきましては、これを実施するために必要になる仕組みや手続、指針等といったものを議定書の締約国会合、これは議定書の方の締約国会合でございますが、そちらで決定をするということになっているわけでございます。  これらにつきましては、ことしの十一月にアルゼンチンのブエノスアイレスでCOP4が開かれるわけでございます。そこで議論が始まる。実際には、その前に、その準備といたしまして、ことしの六月にドイツのボンでこの条約の補助機開会合というのが開かれるわけでございます。そこを皮切りに実際には議論が始まる、こういうことでございます。  私どもといたしましては、やはり先ほど御指摘のアメリカの参加ということも極めて大事でございます。そういった意味で、アメリカが極めて重視している制度でもございますし、また、途上国にこの対策の中に参加していただくという意味でも、特にクリーン開発メカニズムは極めて重要な仕組みでございますので、いろいろ議論もございましたからそう簡単に結論が出るとは思いませんけれども、できるだけ早くこうしたことについて結論を得て、これらの仕組みが実施されていくようにすることが大事だと考えております。  そういう意味で、私どもも、既にこの一月から学界や産業界の専門家の方々に御参集をいただいて京都議定書・国際制度検討会といったものを庁内に設けまして、そのアドバイスもいただきながら、この六月の準備会合や十一月のブエノスアイレスでの第四回締約国会議で議論が進みますように、政府の中で積極的に貢献をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

奥山茂彦自由民主党

○奥山分科員 いずれにいたしましても、この京都会議、私は自分の地元が京都でありますので、環境と京都というイメージがうまく結びつきまして、我々としては、京都としては非常にイメージアップになったということで喜んでおるわけでありまして、この京都会議は成功したと思います。だから、これをまたさらにこれからも引き継いで、強力な環境行政を進めてもらいたいと思います。  私も機会があって中国へよく行くのですけれども、例えば重慶の方とか武漢の方とか、向こうの方へ行きますと、川の水がすさまじい、ひどい汚れ方で、今の日本から向こうへ行くと到底想像できないようなひどさでありますし、大気の汚染も、これはCO2だけではないのですけれども、ひどい状態であります。そういう意味で、日本の技術協力とそれから当然資金的な支援も、これはやはり相当していかなければいかぬのじゃないかと思います。  そういう意味での国際的な協力を日本がこれからも積極的に環境対策のためにやっていかなければなりません。そして、環境という問題は、これはCO2だけではないのですけれども、国境がないわけでありますから、日本だけで一生懸命にやっていてもどうにもならぬことでありまして、地球的な規模で考えていかなければならないわけでありますので、長官、その辺をひとつこれからも頑張っていただいて、強力な環境行政を進めていただくようによろしくお願いをいたします。  終わります。

岸田文雄自由民主党

○岸田主査代理 これにて奥山茂彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管中環境庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

岸田文雄自由民主党

○岸田主査代理 次に、農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。島村農林水産大臣。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 平成十年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。  初めに、予算の基礎となっております農林水産施策の基本方針について御説明します。  農林水産業は、国民生活に不可欠な食料の安定供給を初め、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保護といった多面的かつ公益的な機能を有しております。また、食品産業は、国民に対し安全で良質な食料を安定的に供給し、豊かな食生活を支えるという点で、農林水産業とともに重要な役割を担っております。さらに、農山漁村は、生産・生活の場であるほか、地域文化をはぐくみ、国民に対して緑と潤いに満ちた空間を提供しております。  我が国が真に豊かな国となるためには、こうした役割を担う農林水産業及び食品産業の健全な発展と、活力ある農山漁村の建設が欠かせないと確信しております。  二十一世紀におきましては、人口、食料、環境、エネルギーの問題が、人類共通の、地球的規模での課題となると予想されております。こうした中で、国内生産体制の強化、農山漁村の活性化等に向け、各般の農林水産施策を着実に推進するとともに、OECD農業大臣会合を初めとする国際的な場において、食料安全保障や、農業の持つ多面的機能等についての我が国の考え方を積極的に主張してまいる所存であります。     〔岸田主査代理退席、主査着席〕  まず、平成十年度農林水産予算の枠組みから御説明します。  平成十年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係省庁計上分を含めて、三兆三千七百五十六億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆七千四百三十九億円、非公共事業のうちの一般事業費が一兆三千六百二十六億円、主要食糧関係費が二千六百九十一億円であります。  平成十年度の農林水産予算については、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の見直し、新たな米政策の実施、国有林野事業の抜本的改革という三つの大きな政策課題に対応するとともに、二十一世紀に向けて我が国農林水産業の体質強化と魅力ある農山漁村の建設を図るために必要な予算を計上したところであります。  以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、御説明を省略させていただきたいと存じます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  以上であります。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 この際、お諮りいたします。  ただいま島村農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔島村国務大臣の説明を省略した部分〕  まず、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策の見直しであります。  ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策については、財政構造改革の観点から、公共事業の対策期間を二年延長するとともに、これまでの実績の検証等を踏まえ、新しい国際環境に対応しうる農業経営の確立や地域特性の活用に、より資するよう事業内容の見直しを行ったところであります。  平成十年度は、こうした見直しを踏まえて、残された対策期間内に事業の着実な推進を図るため、大区画ほ場整備等の農業生産基盤の整備等に要する経費として公共事業に七百七十億円、ライスセンター等の経営近代化施設整備や農地流動化対策、新規就農対策等に要する経費として非公共事業に九百五十五億円、合計千七百二十五億円を計上しております。  次は、新たな米政策の推進であります。  四年連続の豊作により自主流通米価格が急激に低下するなど、稲作経営は極めて厳しい状況に直面しています。こうした状況に対応するため、昨年十一月に決定した「新たな米政策大綱」に即し、米需給安定対策、稲作経営安定対策等を一体的に推進することとしており、これらの新たな米政策への円滑な移行と適切な運営を図るために必要な予算を計上しております。  次は、国有林野事業の抜本的改革であります。  我が国の森林面積の三割を占める国有林が国土の保全等の公益的機能を十分に発揮し得るよう、国有林野事業の健全な運営の確保を図ることが必要であります。  このため、国有林は国民共通の財産であるという認識の下で、国有林野の管理経営を公益的機能を重視したものに転換することとし、公益林の適切な管理等のための経費を一般会計から繰り入れます。さらに、組織・要員の徹底した合理化を行います。  また、約三兆八千億円の累積債務のうち約一兆円について国有林野事業特別会計で返済することとし、債務累積防止のため一般会計から全額利子補給を行うとともに、約二兆八千億円を一般会計に承継することとします。  引き続き、このほかの予算の重点事項について御説明します。  第一は、農業経営体質の強化であります。  経営感覚に優れた効率的かつ安定的な農業経営を確立するため、認定農業者に対する系統資金を活用した低利資金、中高年齢者の就農を支援する無利子資金を創設するとともに、担い生育成に資する農業農村整備事業を重点的に推進する等担い手の経営基盤の強化を図ります。  第二は、地域の状況に即した農業・農村の活性化であります。  中山間地域の棚田等の有効利用及び保全に資するため、農地及び関連施設の緊急整備と併せ保全活動を支援する棚田地域等保全対策を創設します。  また、遊休農地・耕作放棄地対策の充実を図るとともに、農協の高齢者介護活動の強化等により農村高齢者対策の充実を図ります。  第三は、農業生産基盤の整備と生産・流通対策の充実強化等であります。  基幹水利施設の更新対策の充実等地域の諸課題に対応した農業農村整備事業を推進するとともに、麦・大豆を基幹とした輪作体系の確立、肉用牛等の生産の組織化等主要作目の生産・流通対策を強化します。  また、優良な種子・種苗の開発・普及を推進するとともに、施肥・防除技術の開発・普及等による環境保全型農業の総合的な推進を図ります。  さらに、食品の安全性対策の強化を図るほか、広域農道、卸売市場等の整備等による農林水産物の物流効率化対策の強化を図ります。  このほか、イネ・ゲノム研究の推進等農林水産関連分野の技術開発を推進するとともに、サブ・サハラ地域における食糧増産に向けた総合的な支援等、国際的な食料安定供給のための支援を強化します。  第四は、緑豊かな森林・山村の整備と林業・木材産業の活性化であります。  森林法の改正等による市町村の役割強化等を通じて、流域を単位とした森林整備目標の実現に向けた森林整備を展開するとともに、間伐総合対策の強化を図ります。  また、森林整備のための金融措置を充実するほか、防災対策の強化を図ります。  さらに、木材の需要拡大を図るため、新たな木材利用の技術開発等を推進します。  第五は、新海洋秩序の下での活力ある水産業・漁村の形成であります。  資源管理の徹底とつくり育てる漁業の一層の推進を図るため、漁協系統組織を中心とした漁獲可能量管理体制を整備するとともに、複合的な資源管理型漁業を推進します。  また、合併漁協に対する支援策の強化等により漁協系統の経営基盤の強化を図るほか、水産物の流通・加工・消費対策の充実を図ります。  次に、特別会計については、食糧管理特別会計について一般会計から調整勘定等へ所要額を繰り入れるとともに、その他の特別会計についてもそれぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等の借入等総額五千四十四億円を予定しております。  これをもちまして、平成十年度農林水産予算の概要の説明を終わります。     ―――――――――――――

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 どうも御苦労さんです、大臣、皆さん。  私は、ガット交渉の当時、米の問題にもかなり取り組んできましたし、また、その後の六兆百億円の国内対策費の確立等々も、米の問題を軸に随分取り組んだ時期があります。米のことは今も大事でありますが、きょうは、もうちょっと具体的な話で、猿やシカやクマの被害が、なかなか見て回って大変なので、そういうことを国会で論議するような場が今までなかったと思いますので、それをちょっと、見てきたことをお話をして、対策を少し強化をしてほしい、こういう立場からしばらく質問をしたいと思います。よろしくお願いします。  去年の夏七月に、私はいろいろな機会から、東京都に一つしかない村という檜原村、それから東京都民の水がめの小河内ダムのあります奥多摩町、ここらの森林組合、自治体を訪ねて、森林組合の御案内で、鳥獣類、特に有害獣の状況についていろいろ見て回りました。私も東京にこういうところがあるのかなと思ったのですが、埼玉、山梨、東京のいわゆる三県の境界でありますから、山間部であるというのは当然であろうと思います。  そこで見た中身は、一つは猿の被害ですね、これは檜原村。それから奥多摩町ではシカの食害。それから北海道の夏は、何日か調査に行きましたが、エゾシカの被害。それから二月の下旬に私の郷里の福井県に行ってクマの皮はぎというのを見てまいりまして、今まで余り勉強していなかったのでありますが、なかなか大変だなという実感がしました。  そこで、見てきた実態は後でいろいろお話をして対応を伺いたいと思いますが、まず、農林水産省として、こういうような有害獣についてどういうような大まかな考え方を持って対応しているか、ー言それを聞いてから具体的質問をいたしたいと思います。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 先生御指摘のように、シカとかクマそれから猿、いろいろな地域によりまして差がありますけれども、最近その被害が増加している地域が目立っております。  私ども林業の関係でいいますと、やはりシカによる被害あるいはクマによる被害が各地で目立っておるわけでありますけれども、この被害に対しましては適切な防除措置を講じるということで対応しております。  具体的にシカの関係で申しますと、忌避剤の散布あるいは林内で防護さくの工事、あるいは食害防止のチューブとか遮光ネットを実用化していくというふうなことで対応をしております。  それから、クマの被害もおっしゃるように大分目立ってまいりまして、平成八年度の被害では全国で約四百ヘクタールになっておりますが、御指摘のような福井県とか京都府、そういうところで増加傾向を示しております。  クマによる森林被害は、針葉樹の壮齢木の根元を皮はぎをするというふうなことで枯死に至るケースもございまして、こういうクマの被害に対する対策としましては、直接に皮はぎを防ぐようにトタンを巻いたり、それから枝打ち後の枝を根元へ集積したりというふうなことでやっております。シカの方についてはこれまでの知識、経験、技術の集積等も相当あるのですが、クマの被害につきましては、どうも最近ふえてきたということで、これからその防除対策は検討をさらに深めていくというふうな実態でございます。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 山を見て歩くと、トタンを巻いたり金網を巻いたり、そういう対策は具体的に地区においては行われているということを見てまいりました。  そこで、具体的な問題になるのですが、檜原村は猿の被害が多いですね。戦後、広葉樹を切って、そして針葉樹を、杉やヒノキをずっと植えた。木の実がなくなって、人里へおりて人のつくったものをとって食べる、こうなったのですが、東京都や自治体、森林組合等では、広葉樹をもう一遍植え直して、猿のえさ、木の実がちゃんととれるように、食べられるように広葉樹を植えたけれども、しかし人間のつくった方がうまいといってどうしても山へ帰らないという状況がある。  そこで、檜原村のような過疎地、山村では、年配の方、高齢者、お年寄りの皆さんが、一つは楽しみもあり、畑作物をつくっているのですが、全部、猿が出てきてカボチャを両手に抱えて持っていく、ジャガイモを掘ってしまう、もう楽しみがなくなる。だからこういうのならここに住みたくない、農業をやりたくない、こう言っておるのですね。ということは、私は、過疎地帯に新たな過疎をまた生み出す一つの要因にもなっておると思うのですが、そういう意味で中山間地対策ということをやかましく言っている。特に山間地対策は非常に重要ですが、そういう観点からしてもこの猿被害に対してもうちょっと有効な対応策がないのか、簡単に伺いたい。

山本徹農林水産省構造改善局長

○山本(徹)政府委員 先生ただいま御指摘のように、中山間対策というのは大変重要でございまして、私ども、中山間対策一般としては、今度の平成十年度の予算案におきましても、小規模にいろいろな基盤整備の事業が五五%という補助率で実施できるような新しい基盤整備推進事業、また棚田対策等々さまざまな新規事業も計上させていただいているところでございますけれども、御指摘のように鳥獣害で農作物をつくる意欲を失ったというような地域につきましては、別途、農作物以外でも定住あるいは所得機会が確保できるような事業活動を展開することが重要であると思っております。  具体的には、都市農村交流事業ということで、これは地域条件によっていろいろ違ってまいりますけれども、都市の住民が余暇時間を豊かな自然の場で、場合によっては農業、林業の体験をしながら過ごしていただくような施設あるいは基盤を整備する事業、この一貫として、いわゆる農家民宿、グリーンツーリズムを私ども推進させていただいております。  また最近では、青少年のいろいろな事件が起こっております。こういった事情に対応して、青少年の健全な命を大切にする教育が重要であるということは農林水産大臣からもっとに御指導いただいているところでございまして、文部省とも相談しながら、青少年の野外教育あるいは自然教育のための場を中山間地域につくる、これによって青少年を中心とした都市住民が農村に住んで一定の時間を過ごしてもらう。  さらに、都市近郊等でございますと、優良な田園住宅を提供するというような事業も考えられるわけでございまして、地域地域でさまざまな条件は違っているかと思いますけれども、今自然保護が重要であるという条件のもとで、こういった鳥獣を完全に駆除するということも困難でございますので、今申し上げたような事業を地域の実情に応じて展開していただきたいと思っておりまして、私どもも、そういった事業についてはいろいろ御相談に応じ、また必要な御支援も講じてまいりたいと思っております。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 長い御答弁はいいですから。そういう一般的なことも大事ですが、猿を見ても、前の村長さんのところへ行って経験を聞いたのですね。そうしたら、猿は集団で来るから、吹き矢でやっつけるのが一番いい。ボスをねらって顔に吹きつけると、それが一遍当たると半年は懲りて出てこない。しかし、半年たったらまた忘れて出てくる。だから、こういうのが非常に原始的だけれども有効だと言って、吹き矢を吹きつけて、かもいからかもいまで、三十メートルは有効だというのは、くぎの先がかもいにぴしっと食い込むぐらいの力を持っている。そういうことを披露してくれたのですが、私は猿なんかの具体的な対応ということを少し考えなければいかぬのじゃないかと思う。  そこで、出てきたものに対して農作物や山の木を守るというのは林野庁や農林省の仕事だと思うのですけれども、もう一つは、猿自体あるいはシカ自体が自然のバランスの中でバランスを崩して数がふえたときには被害が非常に大きくなる。それは山で昔からクマも木をかじり、皮をはぎ、シカも出てき、それから猿もいたのだけれども、許容できる被害であれば、これは人間と野生動物が共生するのですからいいのですが、我慢ができないのは、もう数がどんどんふえてくるのですね。これに対して有効な対策がないか。  私は、全体がもう時間がないから簡単に要約して私から申し上げますが、奥多摩へ行くとあの二万四千ヘクタールという広い水源地の山がある。それが、シカが角で皆木をはぐために、点々と数ヘクタール単位で枯れておるのですね。山が空白になっている。そこに木を植える。そうすると、一晩でシカが集まってきて芽を植えたのを全部食べてしまう、だからどうにもならない、こう言っておるのですね。そこでは一時山を囲ってシカが入らないようにしたら、今度は保護団体の皆さんが出てきてプラカードでやあやあやって、もう泣きながらペンチで張った網を切った覚えがある、こう言っておるのです。何かこういう奥多摩のような特別な水源地、あるいはこれからああいうところがだんだんふえていったら、これは東京都民の水がめにも大きい影響を将来及ぼすのではないか。  そういう点で、私、一つの提言ですが、山を囲ってシカを入れないようにする、これも一つですが、これは北海道あたりでやっていますが、むしろ、二万四千ヘクタールのうちの一%とか〇・五%、百、二百ヘクタールを、山を囲って、その中にもうシカを追い込んで、そして、これはケニアの自然動物園は、囲い込んで、その中で生活させて、外へ出れば麻酔銃で撃って中へまた入れて、そのかわり、数がふえれば、この頭数を、生息数をちゃんと淘汰をして、制限をしているのです。東京にも、一般的には無理だと思うけれども、東京都の水がめを守るためには、シカも絶やすわけには、全部というわけにはいかないが、何かそういう考え方で、一つぐらい山を囲って、そこにこのシカを入れて、また外に余り出ないようにする。これは、細かいことはいろいろあるでしょうが、そういうようなモデル地区を一つぐらい考えて東京都の水がめを守ったらどうかと思いますが、これについては、農林省とそれから環境庁も非常に関係のあるところで、長い答弁は要らぬですから、ちょっとポイントだけ聞かせてほしい。

森康二郎環境庁自然保護局野生生物課長

○森説明員 お答え申し上げます。  シカの被害対策につきましては、御指摘のようなさくを囲って囲い込むというふうなことも含めて、各地でさまざまな対策が講じられてございます。例えば、囲い込むといった場合におきましても、場所の状況によりましては、囲い込まれたところの植生なり林木に被害がまた出るというふうなこともございまして、地域地域で最も適切な対策を考えていく必要があるというふうに考えてございます。  そういう観点から、環境庁におきましては、平成八年度から実施しておる事業でございますけれども、野生鳥獣管理適正化事業というものをやってございまして、この中で、鳥獣の適切な管理の手法、あるいは鳥獣が外に出ていくことを防止するための手法、こういったものをモデル的に市町村に対して助成をしてきてございますので、こういった中で、先生御指摘のような案も含めて考えていきたいと考えてございます。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 これは大臣にちょっと伺いたいのですが、ほかなら、ほかがいいというわけじゃないのだけれども、やはり奥多摩のあれは、利根川の水を使っているのに比べれば少ないと思うけれども、重大な東京都民の水がめ、貯水池だと思うのですね。あそこがそういう形で荒れていくということを見ておるわけにはいかないのじゃないか。  そういう点で、シカの数を抑えてやるというのは、これは環境庁の仕事だと思うのですが、また同時に、山の問題になれば農林省、林野庁の仕事ですから、東京都の議会の皆さんもこういう問題に随分関心を持って、山の手の皆さんも、一緒に見たこともあるのですが、関心を持っていらっしゃる。だから、そういうところで、農林省、林野庁、環境庁、それから東京都と協議をいただいて、ひとつそういう全国的なモデルになるようなところを一カ所ぐらいつくって、それはモデルであると同時に、東京の水がめを将来にかけて守る、こういうことを一遍検討いただくことができないかと思うのですが、いかがですか。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 お答え申し上げます。  いや、東京都のことまで、大変私どもの知らない分野までいろいろ御調査いただいて、感謝にたえない次第でございます。一東京都に限らず、なるほど、自然を守りそして鳥獣類を優しく保護するというのはいかにも人道的に聞こえるのですが、この手の運動の中には、ともすれば、全く御自分自身はその地域に住んでいないで、たまさかその地域でそういうものを楽しむという立場の方もおられるわけですが、現実にそこに住んでいる立場の人にとっては、これはやりきれないものがあるだろうと思います。特に、長年かけて育てた樹木にしてもそうですし、あるいは野菜その他の農作物にしてもそういうことですが、これらがその鳥獣類によって侵されるということについては、やはり時には断固たる処断をするなり、あるいはそれに対する確かな防衛策を講じるのは当たり前のことだと思います。  今、そういう大変勇気ある御提言をいただいたことはありがたいと思いますし、我々も、実は省内に鳥獣害対策のための連絡会議を設置しておりまして、被害防止に係る先進技術の確立と、その導入の促進、また各種補助事業による被害防止施設の整備への助成等、逐次それらについては対応を強化しているところであります。  それらにつきまして、農林水産省、環境庁、文化庁と連絡会議を設置しまして、総合的な対策を進めていきたい、こう考えます。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 一般論はそれで大変結構ですが、具体的に一つぐらいはそういうモデルをつくってやってみることも非常にこれから施策を進める上に大事だと思うのですが、その検討の用意があるかどうか、いかがですか。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 ただいま連絡会議を設置して進めているというよりは、行ってきているというのが正確な表現でございますが、確かにそういう幾つかの例を挙げて、これを時にはマスコミにもこちらからむしろ持ちかけて、この問題を、広く国民の皆さんの合意を得るようなPRも、またそれに対する対策の推進も必要だろう、そう考えます。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 具体的にぜひ一遍検討してほしいと思います。  それから、さっき御答弁が農林省からありましたが、年寄りの人がもう畑作物をやる気がしなくなる、農業を。だから、いや、もっとこんなレクリエーション施設がありますよ、それでは満たされないのですね。やはり、そこに住みついて、そして農業をやってみるというその楽しみを支えてやるということが大事じゃないか。こういう意味で、そこはわかっていると思いますから、もうくどくは申しませんが、具体的にひとつ対応してほしいと思うのです。  北海道のエゾシカを見ると、山を囲って、これは農林省の構造改善事業等で、さくを一メーターに一万円ぐらいの経費でずっと囲っておる。しかし、あの広い北海道に、囲うといったって、これはまたどうもならぬことだと実際は思いますね。それで、さっき忌避剤とかいろいろ方法はありましたが、一般的にそういうものを、もっと科学の力等によって有効な道を検討しなければいけないということと、それから、北海道のエゾシカもどれぐらいの頭数が自然の中で人間と共生できるのか。だから、それを超えた分はやはりこれは捕獲するとかいろいろとやらないと、共生も大事だけれども、そっちの方ばかり数がふえて肝心の方がやられたのでは、これは共生の本当の意味にならぬと思うので、具体的に、時間の点からもう論議はしませんが、ひとつ検討をいただきたいと思います。  そこで、もう一つ、クマの被害ですが、この間、二月の下旬、二十三日に、さっきお話があった、福井、京都に今クマ被害が出ているのですね。だから私は一日、京都の近く、山境のところをずっと三、四カ所調査したのですが、後で大臣、長官にも見てほしいと思うのですが、とにかく六十年、七十年というような長い間かかって、昭和十年ごろに植えた木が随分あるのですね。それはもう、六十年たてば、もうしばらくたてば一面売れるのですよ。それをクマがもう全部はいで、それで樹液をなめるから木が枯れてしまうのですね。それが、人里のところでは必ずしも本数は多くないのだけれども、山の奥へ行くと一つの谷に二千本、三千本と山が枯れているようなところが出てきておるのですよ。  クマはなかなか知恵があって、やせた木の方は行かないのですね。ちゃんと日当たりのいい南の方をずっと通って、それでいいところを全部やってしまうのですね。これは環境上、捕獲をして、殺せないものだから、何というか、信号がちゃんと出るようなものを耳かどこかにつけて放すのですよ。そうすると、どこを歩いたかということがわかるのです。全部、山の日当たりのいい、太っている木のいいところを歩いて、それで皮をはがすのですね。だから、林家の人にとっては、昭和の初めに植えて、それで六十年も大事にしてきた木が、間伐やみんなやってきたのです、枝打ちを、それが今クマに皆はがされて、そしてやるのでは、もう山へ行く気がしないと言っているのですね。私は、あの状況を見ると、そういう気持ちは起こると思う。だから、一本一本をトタンや網で囲うのも、これはなかなか大変なことですよね。  そうなると、片方では、出てきたクマに対して、トタンを巻くとか網を張るとかやって、一本一本を守るということ、これも今国の方はことしから助成するようになって、それをもう初めにやっていますよね。だから、それは大いに助成して、そういう努力をする人は支えてほしい。しかし、山奥からたくさんのクマが出てこぬようにするということ、これを考えなければいかぬですね。  だから、さっきも言いましたが、山をやっている人は、クマが来て、やったりするのは、それは昔もあるのですが、我慢できる範囲ならそれは許容されるのだけれども、もう今は我慢できないという状況になっている。そういう意味で、クマの生息数をやはりある程度抑えて、これを制御するというか抑えていくことも大変大事だと思うのです。  これは射殺するにしても、捕獲するにしても、ツキノワグマですから、なかなか環境の関係があって簡単にはいかないので、こういう問題を人間との共生という点からどう考えるか、ちょっと環境庁、ポイントだけで結構だから、聞かせてください。

森康二郎環境庁自然保護局野生生物課長

○森説明員 お答え申し上げます。  野生鳥獣につきましては、保護に対する要請がございます一方で、農山村地域においては、被害が深刻化している状況は認識してございます。  この問題に対する基本的な考え方といたしましては、まず適切な駆除対策を図る、それと並行しまして、必要な被害防止の方法の調査、あるいは研究調査の普及を図っていくということが必要かと考えてございます。  先ほど申しましたように、現在、野生鳥獣管理適正化事業というものを実施してございまして、その中で、地域の実情に応じて、適切な鳥獣管理のための調査、計画をいたしまして、それに基づいて地域に合った対策を講じていくということが必要かと考えてございます。こうした考え方に基づきまして、農林水産省さんとも連携を図りながら対策を進めていきたいと考えてございます。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 調査も余り何年もやっておると、クマは何千本と、があっと毎日やってきてはその存在位置を示すように皮をはぐので、山が荒れてしまってから調査を終わったのでは意味がないので、早くひとつ調査をやって、具体的な対応をぜひやってほしいと思います。  それから、林野庁長官にちょっと伺いたいのですが、皮はぎに対してトタンを巻く、金網を巻く、こういうやり方で守る。しかし今度は、出てくるクマを一定数を抑えるのに、捕獲をしているおりがあるのですね。これはなかなか、おりでやっていると有効なのですね。  それは、ドラム缶を二本ほどつないで、それでハチみつを置く、ハチの巣を置く。そうすると、ハチのみつに誘われてクマがやってくる。それから、ハチが飛んでいる後を追って、そこはまた、臭覚というか非常に敏感なので、飛んでいるミツバチの後を追ってクマがずっとそこへ来ておりに捕らわれるという、これが非常に有効だというのですね。  だから、これは環境庁で、こういうことができるかどうかいろいろなことがあると思うのです。トタン巻きも結構ですが、こういう捕獲器をみんなが相当数を分担してやって、どうも何か今、町村あたりがなけなしの金から助成してやっている例があるのですが、これらについても助成の道を開くべきであると思いますが、いかがですか。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 御指摘のように、防除の方もいろいろ方法があると思いまして、個体本体を捕らえて被害を少なくするということも考え方だと思います。  頭数のコントロール、環境庁の所管でございますけれども、いろいろとまた連携を保ちながら対策を検討していきたいと思います。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 時間があれば具体的に、こういうおりを随分やっておるのですね、捕獲器、お話をしたいのですが、その時間がもうないから割愛しますが、これは林野庁、農林省、それから環境庁、関係のあるところでひとつ協議をして、ぜひ努力をお願いしたいと思うのですね。  それから最後に、三分ほどありますので、一問お尋ねします。  インドネシアの米支援が問題になっておるのです。私も米の問題は長年取り組んできたのですが、農家、農民の気持ちとしては、国内に在庫が三百万トンもあるのだから、外国に支援できるのなら少しでも、できるだけ多く支援をしてやってほしいという気持ちはもう非常に強いのですが、財政的にこれをどうするかになると、またそう簡単ではないという面があるのはわかります。  しかし、アジアにおける米の不足状況は、エルニーニョという異常気象の変化の条件がこれからも起こり得る可能性がある。それから、アジア全体が今通貨危機、経済の非常な停滞の中で、国民生活自体は必ずしもどんどん伸びていくという状況にはない。日本でも、生活が伸びる中で、全部穀物から畜産物へ需要が伸びたのですね。  だから、米を戦時中、戦前は一石、だから二俵半、百五十キロは国民は食べたわけですが、今六十何キロかになっているように、生活水準、暮らしが上がれば、だんだんたんぱく、脂肪に移って米や麦を食べる量が少なくなるのです。アジアの経済が停滞すると、もう一遍、米食を中心とする国民は米を食べる。これはもう一番栄養もあるし、効果的なのが米ですから、かなり米を消費する可能性があると思うのですね。  そういう状況になると、米の不足が、インドネシアに限らず将来ほかの国々にも起こる可能性がある。そういうものに対して、日本がリーダーシップをとって、いざというときに対応するような機構ができないか。今までこれはいろいろ論議をされておりましたが、例えば米を現物で集めて、それを備蓄をし、それから、安定的に必要なところにこれを貸し付けするとか、こういうような方法。  かつて日韓両国で、米の足りないときに貸したり返してもらったりという例があるのですが、米を現物で集めて備蓄をして、それをいざというときに貸すとか、そしてアジア全体の食糧の安定を図るというようなことは、我が国が非常にリーダーシップをとるべき部分であると思うのです。  そういう構想の検討をやるべきだと思うのですが、いかがですか。

高木勇樹食糧庁長官

○高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまインドネシアのお話、それから東アジアといいますか、アジア地域での食糧機構といいますか、支援機構の御提案がございました。  私どもは、まずインドネシアの問題、これについて、大臣からも具体的な指示を今いただいて政府内で検討しておるわけでございますが、特に財政負担をどうするかという問題について、これを政府内でその具体的な対応を今検討中でございます。  またさらに、アジア地域での食糧の備蓄機構といいますか、そういった御提案がございましたが、そういった問題については、当然、これからの気象変動とかいろいろな変化ということを考えますと、念頭に置いていろいろな検討をする必要があるかと思いますけれども、国際的ないろいろな既存の支援システムもございます。したがって、関係各国、関係省庁と意見調整を図りながら検討をしなければならない問題だと考えております。まずは、インドネシアの問題についての対応を急いでいるところでございます。

辻一彦民友連

○辻(一)分科員 時間が来たから終わりますが、大臣、この構想はいよいよ検討を必要とすると思うので、ぜひひとつまた考えていただきたいと思います。終わります。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  次に、中川正春君。

中川正春民友連

○中川(正)分科員 民友連の中川正春でございます。御苦労さまでございます。  私の出身は三重県の鈴鹿市でありますが、ここは花木中心に非常に活発に農業をやっていまして、花木、お茶、それから米というようなものの産地であります。  先輩から、この分科会というのは、とにかく地元の身近なところから陳情するつもりで、大臣に目覚めてもらうつもりで、足元を、個別に話をするのがいいんだ、こんなアドバイスもいただきましたので、そんなつもりで質問をさせていただきたいというふうに思います。  米が中心でありますが、まず減反の政策です。これは過去十年の減反の実績の資料をいただきまして、これを見ていると、特にことしあたりは、地元へ入ると、この減反の話がしっかり出てきまして、賛否含めて、この対応をどうするのかということと、いつまでこの施策が続くんだ、こんな中途半端な形で農業というものが続けていかれるはずもないし、ウルグアイの次のラウンドというのがもう間近に迫ってきているし、一体どうなんだ、こういう話が特に出てきている。なぜかなと見ていると、やはり平成十年度で三五・五%ですか、ここまで調整目標率というのが上がってきたわけですね。  まず最初に聞かせていただきたいのは、この後、大体どうなっていくのかということですね。どれぐらいの減反の率というのが平均的なところに想定されるのかということと、それからもう一つは、それを各県に割り振っていく場合に、最近になりまして相当ばらつきが出てきている。減反の率がもう四〇%を超えるところと、本当に二〇%台、三〇%台、こんなところとが、非常にばらつきが出てきておるわけですね。そこはやはりはっきりとした、それこそ行政の透明性という意味からでは説明が要る部分だろうと思うのです、なぜそうなのかという。そこの基準をどうしていくのか、その説明をどうしていくのかということですね。その二点あたりからまず聞かせていただきたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 まず、生産調整がいつまで続くのかというお尋ねでございます。  これは、まさに米の消費が年々減少してまいりまして、例えば、二十年ぐらい前は、米は一人当たり二俵ぐらい食べていたのが、今や一俵強ということに減少してまいりました。そういうことで、なお消費が下げどまらないという状況でございます。  一方、水田の単位面積当たりの生産力というものは徐々に上がっております。したがいまして、水田面積の壊廃による減はあるのですけれども、需給ギャップが一向に解消しないというのが実態でございます。これが大体七十八万ヘクタールに相当するぐらいの需給ギャップがございます。加えて、最近豊作が続きました。また、一方での需要の減というのがありまして、在庫が大変積み上がりまして、これが米の価格の下落をもたらしております。  今回、十年度から緊急生産調整対策ということで実施しておりますが、これはこの構造的な需給ギャップの解消分の約七十八万ヘクタールと、それから在庫の減少を目指した分と合わせまして九十六万三千ヘクタールということにしたわけでございます。在庫の方は、もちろん一定の期間というか、二年の計画で減らすということでございますから、その分は作況一〇〇で、消費の見通しが今のようなわずかな減少にとどまるのであれば解消いたします。しかし、構造的な分につきましては、これはよほど特別の事情で米を食べる量がふえない限りは、消費の増ということが期待できないものですから、需給ギャップが続く、すなわち生産調整の必要性は続くと見ざるを得ない状況にあると思います。  それがいつまでかと言われると、ちょっとにわかには何年とかということはお答えしにくいのでありますが、ある程度の期間は相当需給ギャップがあるということは、事実としてこれは認めざるを得ないのではないかというふうに思っております。  それから二番目の、各県にばらつきがあるが、基準はどうかということでございます。  生産調整が始まって約四半世紀になるわけですが、そのころからの議論として、どういうふうに各県に持ってもらうのが適当かということで、いろいろ議論がありました。透明性の議論もありました。結局、大きな物差しでいえば、米の依存度が高い地域が生産調整の目標が少なくて、それから他に転作が可能な地域、温暖であるとか、気象条件その他いろいろなことを考えまして、ほかの作物がつくりやすい地域が生産調整の比率が高い。非常に簡単に言えば、いろいろ具体的物差しは、米の生産の量とか、水田の基盤整備の進捗状況とか、担い手の状況とか、いろいろなものを勘案してございますが、そういうことでやってまいりました。  その結果、ついこの間まで、平成九年におきましては、一番多いのがやはり東京都でございまして、五割を超える生産調整の目標、一番低いところが二割弱、こういうことでございました。その後、この開きが大き過ぎるのじゃないかという、それでは余りにも目標の高い地域に不公平ではないかという声が強くなってまいりました。不公平であるということがございまして、今回の生産調整目標面積の算定に当たりましては、今までの分は今までの分としまして、上乗せした拡大分につきましては、もう非常に明快、わかりやすくという意味で、水稲作付の面積というものを物差しにいたしまして、基本的にはそれの水準で割り振ったということでございます。

中川正春民友連

○中川(正)分科員 この問題に突っ込んでいったら時間がなくなりますので、私の意見だけを申し上げます。  まず一番目の、いつまでかというのは、さっきの答弁で私も感じたのですが、これはやはり国の意思の問題だと思うのですよね。いわゆる需給ギャップがあるというものに対して市場原理をどこまで生かしていくのか。その中で、市場原理を生かしながら構造改善を誘導するような施策に持っていくのか、それとも、今のようにそれこそ減反という施策を、まず枠をはめ込んで、その中で価格調整を維持し続けていくのかという、その選択の問題だと思うのですよね。  それは、これまでの農業施策であったように、私も昔はねじり鉢巻きして、絶対に米の価格は守らなければいけないと言ってみんなでやっていたのですよ。それがある日突然ぽんと破裂して、農村地帯がいわばその準備をできないままに次のステージに入り込んでいった。その準備ができなかったのはなぜかといったら、我々がねじり鉢巻きして、断じて守りますよと言い続けてきたからそうだったんだ、こういうことなんですね。  それと同じことをこの減反政策もやっているのだと思うのです。それを農民は感じているから、農業者は感じているから、これはどうも危ないなと。危ないとすれば、それがいつまでなのかということさえはっきりすれば、それに対する準備ができるということだと思うのですね。  そういう意味で、やはり施策として、我々の意思としてはっきりとするところははっきりしてやらなければいけない、そういうことからスケジュールを、いつまでかということを聞いたのです。それは答えられないだろうと思うので、私の気持ちだけ聞いておいてください。今、そういう大きな話に持っていくと時間がなくなってしまうので。  それからもう一つの透明性の問題ですが、これは基本がもうなっていない、わかっていない。これは農業政策、あらゆるものに通じて言えることです。これは、私、今大蔵委員会にいるのですが、今の金融ビッグバンのうねりからいったら、必ずこれは農林もやられますよ。そういう目覚めというのはやはり農業者の方で出てくるということでありますから、それはしかと心得て、これからやはり透明性、いわゆるアカウンタビリティーのある行政に持っていっていただきたいなというふうに思うのです。  それは入り口部分なんですが、ここから地元の方なんです。そんな中で、実は地元で話を聞いていますと、いわゆる達成率、悪いんですよね、鈴鹿の地区というのは。八〇%台でございまして、悪いのです。悪いから毎年騒ぐのですけれども、農政局の方から通達というか話が来まして、構造改善事業をいろいろやっているわけでありますが、それに対して、減反の達成率が悪いからおたくの補助金の採択順位というのはみんな一番下ですよ、こういう話が来ました。それで、みんな怒っているわけですよ、なぜなんだ、なぜリンクするんだ、こういうこと。  一見、これはそうかなという意味合いもとれるのですけれども、しかし、私は今野党の立場におりまして、この話を聞いていて、どうも自民党筋が野党で頑張っているところ、私は前、新進党にいましたから、新進党で知事を出したりあるいは代議士を出したりしているところには補助金を余りやらないぞというふうな発言があったじゃないですか、昔。それを思い出したんですよ。  それで、農業者とじっくり話をしていると、この施策、このリンクというのがそういうふうに完全に、政治的にじゃなくて、これは大きな権力でもって無理やり我々を抑え込もうとするいわば農林省の横暴だ、そういう受け取り方でしっかり受け取られているということなんですね。言いかえれば自民党の横暴だ、こういうことであります。  このリンクの根拠をまず示してください。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 そのお答えに入ります前に、先ほどちょっと御指摘があった点につきまして一言だけ申し上げさせてください。  やはり我々が勝手に押しつけているということじゃなくて、値段が大幅に下がってしまうということから、生産者、生産者団体の総意として生産調整をやっていくんだ、こういうことで我々も取り上げているわけでございます。  それから、今お話しの、いわゆる補助事業の優先配慮措置でございますが、これは生産調整をやった地区、これがまさに水田営農と関連いたしまして、単に米の生産をやめるというだけではなくて、転作作物を定着させてその地域の水田の営農を活性化する、こういうことで取り組まれているわけでございます。したがいまして、地域として達成したところと達成しないところとが、逆に言うと同じ取り扱いということでは不公平である、これは全国津々浦々大変強い声でございます。やはり、やってもやらなくても同じだというのでは、これはなかなか逆の意味で御納得がいただけないということでございます。  かつては、これをペナルティーということで、もっと激しく、もう全然優先配慮どころか採択しないというふうにはっきり通達上していたわけですけれども、そうはいってもそれは余りひどいんじゃないかという議論もありまして、予算の執行に当たって、やはり達成してきちんと水田営農をやっている市町村の方を優先しようじゃないかという整理で、この優先配慮措置という規定が置かれたわけでございます。

中川正春民友連

○中川(正)分科員 それこそ裁量行政ですよ、今言われている。私たちの言うことを聞かないから予算やらないよ、言うこと聞く聞かないというのは自分たちの基準で、物差しではかっている、これは裁量行政じゃないですか。そこのところが理解ができればそれはいいですよ、みんな納得していけば。  しかし、私、この通達を見ていると、それに一つ問題があるのは、それに取り上げられているその事業の範囲というのが、それはあらゆるものを含んでいるんですよね、この通達の中でいわゆる補助金対象にしているその事業の種類というのが。問題のないところまでリンクしている、そういう意味ですね。それが一つ。  それからもう一つ。これをやっていると必ずゆがみが出てくるというのは、大体うちの県でも、それが達成しているところとそれこそ達成ができないところと、地域、市町村別に一覧表が出ているんですよね。そうすると、具体的には、私どもの鈴鹿市、亀山市、それから松阪市とか明和町、小俣町、こういう地域というのは、穀倉地帯で一番農業が進んでいるところなんです。いわば県でいったらここが大黒柱なんですよ、農業の。その地域が結局達成率が低い。それはどういうことかといったら、それだけ熱心なんです。熱心であればあるほど、それは減反はしたくないという構造が、これは自然にあると思うんですよね。それは恐らく日本じゅうずっと見て回れば同じような現象が出ているんだろうというふうに思います。  さらに、今この減反政策に対して見直しを迫る、高知県を筆頭にそれぞれ市町村長からものろしが上がっている、いわゆる反対議論というのが出ております。その反対議論が出ている地域をずっと見ていくと、やはり農業地域なんですよ。それに熱心なところほど、どうもこの施策には私たちは納得できないということを言い続けている、こういうことですね。  そういう地域に対して、もともと農業施策の中で補助金を農林省が流す、その意図というのは、この減反政策とはまた別個に、いかに構造を変えていくか、いかに効率をよくしていくか、いかにこれからの農業に対して準備をしていくかという、全く違った意図があるんですよね。それが、この減反政策の中でとられるあめとむちのリンクによってとことんゆがめられているというような結果も出てきているということだと思います。まあ、それに対してちょっと、反論があるでしょうから、言ってください。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 多岐にわたるお尋ねでございます。  まず、事業ということではございますが、通達に明記しておりますように、「水田営農と関連するものに限る。」というのが括弧書きで入っていることが第一点でございます。  それから、熱心な地域ほど反対意見が多いということでございますが、これは我々も定量的に把握したわけじゃありませんけれども、それは必ずしも当たらないのではないかと思います。北海道、大変私どもは農業に熱心で、かつウエートの高い地域と思いますが、北海道では五割弱の目標でありますけれども、昨年もその前も目標を道として達成しております。ほとんどの市町村が達成をしておるという状況でございます。  それから、そういう地域では、ではどういうことでこなしているのかということでありますけれども、日本において自給率の低い、麦、大豆、飼料作物、こういったものが私どもも重点的に推進している作物でございますけれども、そういったものに積極的に取り組んで、もっと言いかえれば、ある程度米の需要が減退し、供給力をフルに発揮したのでは米の値段が大暴落してしまう、それよりは供給を絞って、むしろ需要のあるものに転換していった方がいい、こういうふうに交通整理をされまして取り組んでいるものではないかというふうに思っております。  それから、効率的な農業を減殺してしまうのではないかということも今のお答えと関連するのでございますけれども、やはり米の需給ギャップがこれだけ激しいということになりますと、自由な生産をいたしますと、到底コストを償うことができないレベルまで下がってしまいます。これはもう学者の説は皆そうでございますし、経験的にも農業者の方はそれがわかっておられると思います。だからこそ、農業者の総意として、生産者団体は生産調整をする、やるべきであるということで取り組んでいるわけだと思います。  しからば、そういう中での規模拡大なりと整合するのか、こういうことでございますが、やはり私は、これからの農業経営者というものは、需給のバランスということは当然経営の前提として考えなくてはならない問題であろうと思います。国民の皆さんが食べていただけないものをたくさんつくったって、やはりそれは余って余り有効に使われない、国民経済的に見てもどうか、こういうことになるわけでございますから、米の需給の動向というものを十分に念頭に置いた経営を展開しなければならないんじゃないか。  そういう意味では、今の状況では、一〇〇%米をつくるというのはもうほとんど困難、不可能に近い事態でありまして、やはり稲だけでなくて、水田をもっと高度に活用していただいて、麦、大豆、飼料作物、あるいはその他の地域の特産物というものに積極的に取り組んでいただいて、総合的な経営展開をしていただくというのが今後の姿ではないかというふうに思っております。

中川正春民友連

○中川(正)分科員 あえて反論すれば、北海道は市場メカニズムの中でそういう判断をしているのですよ。それの総意という受け取り方というのが、そちらに、いわゆる役所の方に都合のいい総意というふうにまとめていますけれども、現場へおりるとこんなものは全く総意じゃないという現実も、本当に真剣に考えていただきたいというふうに思うのです。  それと、さっきの通達についても、大臣一度じっくり目を通してみてください。本当に、農業をやっている人たちの身になると、これぐらい農林省に対しての反発をもたらすものはない、みんな目覚めてきていますから。そういうことだと思います。  それと、今の目覚め方からいくと、最終的にはこういう形で減反政策が続いていくとは私は到底思えないのです、現場の意向というのを反映すれば。そんな中で、海外の例でも見られるように、アメリカ、ヨーロッパでは、所得補償という形に切りかえつつある。それが恐らく今始めていこうとされる共補償の考え方なのだろうと思うのです。この意図はよくわかるのです。それだけに、将来ビジョンとしてこの共補償などを活用しながら、大体どういうところへ持っていこうとしているのか。  恐らく、この施策をやっている皆さんも、新食糧法で切りかわったときに、もう強制的にやるのはやめようという決意をしたはずなのです。だけれども、それが豊作で見事に崩れ去って、さっきのような通達をまた出さざるを得ない。無理やりそういうものをやらざるを得なかったということなのだろうと思うのです、いいように解釈すれば。  ですから、そういう問題点を共有しながら、もうちょっと前向きに、素直に、問題があるところはあると認めて次の時代を考えていきましょうよ、そんなような議論をしたいのですね。そういう意味で、大臣、鈴鹿の気持ちをよくしんしゃくしていただいて、ちょっと前向きの答弁してください。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 先ほど来専門的な御質問ですから、専門的に取り組んできた農産園芸局長に答弁をさせましたが、私も十五年ぶりに農林水産省の仕事に取り組みまして、改めて勉強をいろいろしたのです。  例えば日本が今、水田農業を主体にしての農業、これで米をつくりたい放題つくらせたらどれだけできるのかから勉強を始めましたら、一千四百万トンできるという計算なのですね。日本の今の米の需要というのは、要するに主食のお米は九百十七万トン、それからもちとかみそとかそういうのは二十三万トンぐらいですか、そのほか酒とか、それぞれの加工米を全部含めまして需要はちょうど一千万トンぐらいですよ。四百万トン余る計算になります。  委員がもし農林水産行政の責任者であったら、米を自由に、皆さんのいわば自由な活動に任せて果たしてお米をつくらせるでしょうか。そして、御承知のように、ここのところ四年続けて、平成六年、七年、八年、九年、一〇九、一〇二、一〇五、一〇二と来ました。一八ポイントオーバー、百八十万トンですね。  そうすると問題は、米が余って、本来豊作というのはお祭り騒ぎで喜ぶべきことなのに、豊作貧乏でみんな苦しんで、そこでそのお米の価格の経過を見ますと、平成七年米は五・四%自主流通米が落ちました。次が二・〇%。ところが、去年の一九年産米は何と一一・五%急落しまして、これじゃお先真っ暗だ、何とかこれはもう一度かじ取りをしっかりして、将来の米対策を立て直してほしいというのが御要望でございました。  そこで、我々はいろいろ苦労をし、農業団体あるいは生産者側の意向も十分受けて、その上で決めたのが先般のあれですから、本当ならば、私は全国を回って、農林水産省ひどいじゃないか、こんな減反政策を押しつけて、十七万六千ヘクタールということは二二%だよ、トータルで三五・五%、御指摘のとおりですけれども、そこまで減反をやるなどというのはむごいじゃないかと言われて仕方がないと思うのですが、よくぞここまで思い切った改革をしてくれた、東京の大臣信用できるというのが、私全国で今言われているのですよ。これは本当の話なのです。  もし非難があるのだったら、その御批判はいろいろ僕は方々で受けると思うのですが、むしろ私自身がちょっとあっけにとられるくらい、よく踏み込んでやってくれた、我々も今度は一生懸命やって報いるのだというような形ができてきて、ありがたいことだなと思っているわけです。  やたらに何でもかんでも自由だ、あくまでお互いが納得いくようにやるのだ、熱心な人が米をつくり過ぎるのだ、こんな論法を許しましたら、これはまさにめちゃくちゃになってしまって、正直者がばかを見て、減反政策に協力して価格を維持する方は丸々ぼろをかぶって、それで、減反政策のいわばお互いの約束事を破ってたくさんづくった人は、価格がある意味で維持されるわけですから得をするという、まさに正直者がばかを見る、かえって不公平感を助長するということになるわけです。  私どもは、今回いろいろな対策を講ずる中で、やはり減反政策をきちっとお守りいただいた、お互いの約束事をきちんと履行した方には我々が今度はきちんとそれに対応するということですから、裁量行政などという、そういう何か権柄ずくの仕事のあれとはまるっきり違うのだということはぜひ御理解いただきたいと思います。

中川正春民友連

○中川(正)分科員 現状はいいのだという認識と、それから将来に対してどうするかという認識の違いだと思うのですね。私は、このままでいったら必ず農業者が最終的にはえらい目に遭う。それが今の金融行政のそれこそ反省じゃないですか。そこのところをもう一回再考願って、将来を見て正直に施策をつくり出していくという作業をぜひお願いしたいというふうに思います。  以上、時間が来たようなので終わります。ありがとうございました。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。  次に、大畠章宏君。     〔主査退席、岸田主査代理着席〕

大畠章宏民友連

○大畠分科員 ただいまは中川正春委員の農業問題に対する熱意あふれる御質疑がありましたが、私も引き続きまして、林業政策と米の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  私の出身地は茨城県でありますが、実は茨城県も北海道に次ぐ農業県でございまして、いろいろ農業問題についても勉強させていただいておるところでありますが、まず、林業問題についてお伺いをしたいと思います。  大臣も、文部行政からスポーツから、幅広く活躍をされておられるわけでありますが、この山の問題も、人間の教育といいますか、これまで生まれ育ってきた基盤をなす上で大変重要な役割をしてきたと私は思います。  少しさかのぼり過ぎかもしれませんが、地球の歴史四十六億年、その間にずっと自然環境がどんどん成熟してきまして、約百六十万年前から人類の子孫が生まれ育って、そして今日、ここ数千年、こういうふうな文明がだんだん発達してきたのですが、その生まれ育ったところはどこかというと、やはり山と川なんですね。大体、人類が根づくところは山と川があって、魚を食べたり山で水をとったり森林をうまく活用したり、そういうことを繰り返してきたのですね。  ところが、途中で文明がどんどん発達してきますと、そういう自然に対する感謝の気持ちだとかをだんだんなくしてしまっている。私の地元水戸には、水戸光圀さんがいて、毎日朝お米を、農人業という人形があって、そこにお米を備えて、毎日手を合わせて農家の方に感謝をして過ごしたという話を聞いております。  そういう流れの中で、特に山に対する関心というのが非常に薄れてしまいました。それはなぜかというと、戦後、木材の需要が非常に高まりまして、山はもうかるということで、木材、材木を切り出してお金にしようということで、当時は非常にもうかった。一時はもうかりましたけれども、後半、今度は外材が来まして、非常にもうからなくなりました。昔はあの人は山持ちだといって、山持ちの人は大体お金持ちだったのですね。ところが今は、山を持っていたって全然収入にならないということで、その途端に山はほとんど注目をなくしまして、里の方に出てきて経済活動に入っているわけです。  しかし、山を軽んじたために大変大きな災害があったことは、お隣の朝鮮半島の方でもそういうものがありましたし、そういう意味では、これからますます山に対して、私たち人間が生きていく上で大変必要なんだ、もうかるとかもうからないという、決してそんな感じじゃないんだという概念で山対策をやらないと大変困るのではないかと私は思うのですね。  そこで、林業政策の根本であります山を大臣はどう考えておられるのか。特に、三兆八千億の累積債務を今抱えておりますが、何とか一兆円ぐらいは対策するというのですが、二兆八千億ぐらいの累積債務をこれからどうするかということも含めて今いろいろ問題を抱えていますが、大臣の山に対する基本的な御認識を最初に伺いたいと思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 御高承のとおり、我が国は、七六%のフィンランド、六八%のスウェーデンに続いて、六六%の森林率を誇る第三位の緑豊かな国であります。  しかしながら、国土面積の約七割は急峻な山に覆われて、この山を守るためにも森林がある意味では大変に役に立っていることは改めて言うまでもありません。また、森林の果たす役割は、まさに多面的機能をたくさん持っておりまして、国土の保全あるいは自然環境の保護、水資源の涵養、さらにはまた清浄な空気の供給などもあります。  また、少しく趣を変えますと、ついせんだって、私は徳島県選出で活躍された先輩の代議士からお電話をいただいて、最近、徳島では漁師が山に入って山を一生懸命手入れしています、何のことかおわかりでしょうかと。うっかりしていますと、そんなに漁師は暇ですかと言いそうでございますが、何か私なりに思い当たることがあったので、少しく当てずっぽうに申しましたら実は当たりました。それは、山の手入れをすることが海を豊かにすることと違いますかと言ったら、そうだと。  要は、間伐ができない、まさに、もう森林業というのはとても成り立たない、そういうことから山をほったままにしている。うっそうと茂っていると格好はいいのですけれども、日が当たらない、風が通らない、下草が生えない。そうすると、肥沃な表土は雨が降るたびに全部海に一気に流れ込んでしまう。余り一気なものですから、海が濁って海藻が育たない、魚が来ない、こうなる。ところが、山を手入れすることによって表土が育って、要するに、まさに豊かな水を海に流すことによって海藻が育ち、プランクトンが発生し、そこに魚が集まる、こういう理屈なんですと。ああ、いいかげんなことを言わなくてよかったなと思った。  私はこの間、北海道新聞の招待で北海道へ行ったときにその話を披露しました。そうしたら、後で論説委員の人が、実は北海道でももう常識になっていますとやられまして、やはり山を育てることによって海が育つんだという相関関係に目覚めた。例えば、歌に名高い襟裳の漁師の方々もみんな山に入っていると。  先ほど来御指摘がありますように、本当に山というものの恩恵というのは、ただ楽しむだけの対象ではなくて、掘り下げれば掘り下げるほど非常に深い。実は、もう近々に結果が出ますけれども、ここにおる林野庁長官に命じましてアルバムをつくらせました。かつて小沢普照さんという林野庁長官のときにもつくって閣議で私は配ったのですが、今度はもっとでかいのを皆さんに見ていただく。  健全な山とそうでない山とはどれだけ違うか、そして健全でない山をほっておくことがこの国にとってどれだけ不幸につながるのか、このPRをしょうじゃないか。実はもう具体化し始めているところでございまして、いろいろ申し上げたいのですが、私の姿勢はそういうところにあります。

大畠章宏民友連

○大畠分科員 まことに的を射た大臣の御見識をお伺いしたわけでありますが、ぜひその姿勢でこれからの山を考えていただいて、さまざまな施策を実行していただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、今大臣から日本の国としての山に対する考え方を伺ったところでありますが、今大臣からもお話ありましたとおり、昨年の京都会議でもありましたように、山というのはCO2を吸収してくれる。CO2を出すのを抑制しよう、抑制しようというのが京都会議なんですが、と同時に、CO2をちゃんと吸収する大変すばらしいものなんですね。  したがって、そういう点からもこれから山を認識しなければならないと思いますが、さて、残念ながら、現在の国有林の現状を考えますと、国有林が荒れている、国有林の管理すらできていない、地元対応がなかなかできない、職員の労働条件も低下している、そういう声がかなりあちこちから聞こえてきています。さらに、これから三兆八千億という累積債務の対策をするために、非常に大幅なさまざまな合理化をしなければならない、こういうふうな話がいろいろ出てきておるのです。  私としては、今大臣からお話があったとおり、山の問題は非常に重要な問題でありますが、国有林というのが地元の方ではどうも遠い存在になってしまうんですね。昔は、鎮守の森なんというのは村の森で、みんなで管理しようとかなんとかいうんだけれども、どうも国の森林というと、何か手をつけてはいけないんじゃないか、入ってはいけないんじゃないかという、ちょっと遠い感じがするのですね。  だから私は、そこら辺をどういうふうに対策したらいいのかということをこれから考えていかなければなりませんが、その地域に住んでいる村や町や市の人々が、やはりおれたちの山なんだという思いで愛着を持って、例えば中学生とか高校生とかそういう人が入って山を掃除するとか、そういう形にも将来持っていってもらいたいなと思う。  それと同時に、今、流域管理システムというものをつくって、上流から下流までを一つの流域システムとして、平成三年から流域管理システムというのを導入しておりますけれども、現在、この流域管理システムというのがうまく機能しているのかどうか、お伺いしたいと思います。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 国有林につきましては、先生御指摘のように、財政的に非常に苦しい状況でございまして、今回それを抜本的に改革するということで、これまで木材生産収入ですべてを賄っていた特別会計から、公益的な機能につきましては一般会計で負担をする、それから累積債務の三・八兆円につきましても抜本的な解消策を図るというふうなことで、今、新しい改革法案を国会にお願いしているところであります。  確かに、御指摘のように、国有林自体が住民から遠い存在になったのではないかというふうなこともこれまでの反省としてございまして、やはり国有林が国民の山として国民に親しまれるようにというふうなことで、上流にある国有林は我々の山だということで、そういうふうな面でも住民にPRをしていこうというふうに考えております。  林政審議会の答申などでも、国民による国民のための、本当に国民が参加してもらえる国有林というふうなことを考えている次第でありまして、国有林野をボランティアの活躍できる場とするとか、それから緑の基金の活動の場を国有林の中に設けるというふうなことで考えておるわけでございます。  御質問の流域管理システムでありますが、これは現在、国有林と民有林が一体となって、そして上流と下流がこれまた一体となって地域の国有林、民有林をしっかりと整備していく、こういう基本的な考え方で流域を単位としてやっていこうじゃないか、今これが林政の基本的な考え方になっているわけでございます。全国を百五十八の流域に分けまして、その流域の中の国有林、民有林を一体的な連携をしていこうということでございます。  その中でどんなことをやるかといいますと、やはり木材生産を連携的に行う、あるいは林道の国有林、民有林の連携のシステムをとっていく、あるいは林業労働力、事業体の育成というふうなことを国有林、民有林共通のものとして対応していく、こんなふうに考えて流域管理システムを実行中でございます。  ただ、御指摘のように、それぞれの流域で、熟度といいますか、それがまちまちでございまして、先進的なところは今申し上げたような木材生産から林業事業体の育成等進んでいるわけでありますが、中にはまだそういう実態に至っていないというふうな箇所もございます。  これからさらに民有林、国有林の意見が広く反映されるような流域管理システムを推進していきたいと思っております。

大畠章宏民友連

○大畠分科員 そういう考えで、さらに親しまれる山になるようにぜひ努力していただきたいと思います。  それから、実は私の手元に地元の方から、国有林野事業の改革に関する請願書というのをいただいております。一つは、国有林については、国の責任のもとに一元的な管理を行って、ぜひ山に精気が戻るように頑張ってほしいということ。それから、今後の国有林野事業の管理運営費及び累積債務の処理に当たっては、一般会計の資金を充てるとともに、その使命、役割が果たせる組織、要員を確保するということ。三つ目に、八溝多賀流域の林業振興及び森林の流域管理システム実行の拠点として、高萩営林署は将来的に存続させること、こういうふうな話なんですね。これは私の地元の高萩の営林署に働く人からもらっているのです。  この高萩営林署というのは私にとって大変忘れられないところなんです。実は私の団地の近くで、ちょうど六、七年前ですか、日立で山火事がありまして、そのときに昼夜兼行で山の中に入って山の火災を消してくれたのが営林署の職員の皆さんです。消防署の職員といったって、大臣、山火事はなかなか消せないのですよ。やはり山を知っている人でなければ消せないのですね。もちろん自衛隊が来て上から消火をやってくれましたけれども、その間、夜中に広がってはいけないというので、本当に一生懸命やってくれました。そういう皆さんからのお話でありますから、私自身もこれは本当にそうだなと思っておるのです。  最近、お伺いしますと、営林署をかなり縮小する、流域管理システムの考えに基づいて営林署の統合を行うという話を伺っておるのです。それと同時に、山に熟知した現場従業員の人がたくさんおられるのですけれども、資料をいただきますと、いわゆる要員数の中では、定員内という方が九千六十五人、定員外という方が六千百十八人、これは平成九年四月一日時点であります。特に定員外の方が大体山仕事をやっているのですが、そういう方が今回の三兆八千億の累積債務の対策ということで、ひょっとしたら職を失うのではないかという強い不安をお持ちなんです。  これは、もうからない、あるいは累積債務だから切ってしまおうということでそういう人はやめにしますということになってくると、今度は山の管理ができなくなってしまうのです。私たち日立市民も、もう一回山火事があると困るのですが、万一のとき、そういう現場に、山に精通した人がいなければ困るわけでありまして、そこら辺、十分考えながら対策をしなければならないと思うのですが、そういう点、現状について考え方をお伺いしたいと思います。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 先ほど申し上げましたように、国有林野事業は今大変厳しい状況に置かれておりまして、これを新しい会計制度、新しい仕組みで、そして木材生産中心から公益的機能を管理するという考え方に変えていこう、それに従って組織の要員あるいは会計制度というものも抜本的に、一体的に解決をしていこう、こういう方向で臨んでいるわけであります。  その一環として、組織につきましては、現在十四局ございます営林局を七つのブロック単位の森林管理局に改組する、そして、営林署の方は九十八の流域の森林管理署に組織をして、先ほど申し上げたような流域管理システムを、これは民有林と一体となってやれるような体制をつくっていくようにする、そういうふうに考えておりまして、組織、要員につきましては、徹底した合理化、縮減を図るという考え方でございます。  要員につきましても、仕事の中身をごれまでの直営事業を主体としていたものから民間に委託をして事業をやっていくのだ、国有林の国の業務は、保全管理でありますとか森林計画あるいは治山というふうな業務をやることにしまして、造林とか丸太生産というふうな現場の事業の実施は全面的に民間に委託をして行うということで考えておりまして、新しいそういう方向を目指しているわけでございます。  職員につきましては、本人の意に反して退職させないということは基本的な考え方でございまして、適切に対処してまいりたいと思っております。

大畠章宏民友連

○大畠分科員 本人の意に反して退職はさせないという明言をいただきましたので、大変心強く思います。  先ほど民間の企業なんかも使っていきたい、これは私は一つの考え方だと思うのです。そういう山の仕事が大変好きな方といいますか、そういう方が集まって民間会社をつくって、それをいろいろ活用してきちっとした山をつくろう、それも一つの方策だと思いますので、いろいろ考えていただきたいと思います。  とにかく山というのは、私も小さいころに山で遊んでおりましたけれども、簡単に山の仕事は覚えられないのですね。機械化も進むのでしょうけれども、まだまだロボットで何とかという、これももちろん欧米でやっていますが、やはり山を熟知した人がロボットも含めて操作しなければなりませんので、そういう山の男が本当に山から消えてしまわないようにぜひ御努力をお願いしたいと思います。  さて、残り時間が十分ぐらいありますので、次に食糧問題のお米の問題に移りたいと思います。  先ほど同僚議員の方からも米の問題が出されましたが、先ほど大臣から非常に明快な一定の見解が示されました。私も、これから日本国内の食糧の確保というのは、世界の今の状態が続けば何とかなるのかなという思いもするのですが、実は今、異常気象がいろいろ発生しています。  エルニーニョ現象による異常気象のために雨が降らなくて、インドネシアの方で山火事が起きた。そういう異常気象のおかげで雨が降らないために米の減収になって、今インドネシアで三百五十万トンぐらい足らないという話を伺っております。  そこで、これは朝鮮半島でも米不足になっていますし、またいろいろな統計がありますが、中国等でも果たしてこれから、二〇五〇年時点で地球人口が大体八十五億から百億と言われておりますけれども、その地球人口に見合うだけの食糧生産ができるかというと、どうも自信がないような予測と、大丈夫なんだという予測と二つに分かれていますが、私どもとしてはやはり国民の食糧をきちっと確保するということは大変重要でありまして、私はそういう点から、大臣、先ほど御答弁ありましたけれども、もっと厳しい目でこの米問題を見るべきではないのかと思うのです。  それで、時間がなくなってきましたので、あわせてお伺いしたいと思うのです。  実は減反問題ですが、私も通産省関係で仕事をさせていただいていますが、二〇一〇年には、APECで例外なく関税を引き下げてゼロにするという一つの目標がございますね。そうなってきますと、私は農産物も対象になっていくのではないかと思うし、現在、減反政策のベースは何かというと、ある程度輸入制限しているからこれだけの米が入る、そして日本国内でこれだけつくる、足してこれだけの米になるから需要に対してはいわゆるコントロールすることができるということで、全体的に日本国内の、生産と輸入する米の総枠をコントロールする状態があるから減反をこれだけしようという話なんですね。  ところが、関税をゼロに引き下げますと、要するに米の輸入、ここで考え方なんですが、九五年に四%の輸入、二〇〇〇年には八%の輸入を認める、いわゆるミニマムアクセスで認めておりますが、それ以降どうするのかという方針をまだ出していないのですよね。それ以降、輸入を規制しながら拡大していくのか、それとも関税化するのかというのはまだ方針を出していません。  かつて生糸の問題がございました。かつては重要な輸出品だった生糸については、一元輸入による輸入制限、これは議員立法による繭糸価格安定法の改正で輸入制限をして国内生産を回復させたということがありますが、今は生糸生産はもうダウンして、結局その当時の政策が実行できなくなりましたね。ひょっとしたら、お米の輸入制限というか、これしか輸入してはだめですよということが私はできなくなるのじゃないかと思うのですね。そうなってきますと、果たして減反政策というものがこれからも続けられるということは非常に難しいのじゃないかと思うのです。  それで、私の考えを申し上げますと、前回の農業基本法の中で、つくる自由と売る自由というのを認めたわけでありますから、その環境下で生きていけるような農業を目指すべきだと私は思うのです。逆に言いますと、非常に厳しいです。  さっき大臣がおっしゃったように、では、つくるだけつくったらいいじゃないかと言うと、大変混乱すると言うのです。確かにそうなんですが、逆に減反をして、これだけの量というと、一千万トンか九百万トンの中で、三百万トンは大体自家消費米ですか、あと三百万トンがいろいろで、三百万トンは自主流通米。いろいろありますが、最終的に、その中の本当に守るべきといいますか育てるべき農家と、三ちゃん農業といいますか、定年退職後、自家で食べるための農業というところまで含めて入っているわけで、本当にやりたいところと、仕方なしというか、やるだけやってみるかというところと同列で今保護政策が入ってしまっているのですよ。  ところが、本当に一生懸命やろうという人の意欲を今の減反政策はひょっとしたらそいでしまっているのではないかという声もありますし、ある人の話では、いや、大畠さん、そんなこと言ったって、減反を守らないと補助金をもらえないのだ、だから、将来どうなるのかなということを思いながらも、今は農水省の指導に従って減反に応じざるを得ないのだという話もあるのですが、これは複雑な状況が現場では非常に蔓延しているのですね。  したがって私は、先ほどのお話にありましたが、いつまで減反政策で乗り切れるのだろうかと。だから、二〇〇〇年あるいは二〇一〇年というAPEC内の関税をゼロに引き下げるという時点のところまで見通すと、もうちょっと体力を増した日本の農業経営者というのをきちっと育てておかないと、私は、日本の農業がみんな何か総崩れになってしまうのではないか、そういうふうな強い懸念を持っているわけであります。  ちょっと幅広い話になって恐縮でありますが、その件について現在農水省はどう考えているのか、お伺いしたいと思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 専門的なことは局長から答弁させますが、一般常識に照らして、我が国の農家の一戸当たりの耕地面積は一・五ヘクタール。ドイツあたりは日本の大体十九倍くらい。フランスが二十三倍。イギリスにおいては四十五倍です。アメリカは百二十七倍でございまして、オーストラリアに至っては、これはもう問題になりません、二千六百六十七倍というふうにけたが違うわけであります。  さはさりながら、我が国の穀物自給率はわずか二九%。これに比べますと、低いと言われるイタリーでも八八%。イギリスが一一四で、ドイツが一一八、アメリカが一二九ですから、ちょうど日本より一〇〇%多い。そしてフランスが一八三で、カナダが一七二ですね。豪州は三二二、これは全く比較にならない。  実は、こんなことを申し上げたのは、ついせんだって、私はOECDの農相会議に行ってまいりました。当初は、ケアンズ・グループと言われるアメリカとか豪州とかニュージーランドとかカナダなどの農産物の大国は、要するに、市場原理を導入して云々というのがかなりの意見でありました。  しかし我々は、二年前の食料サミットの際に認めてもらった食糧の安全保障という見地と、それから農業の果たす役割というのは、必ずしも農産物を提供するだけのものではないのだ、まさに多面的機能というのがこの国を守っているという実勢を訴えましたら、大変ありがたいことにEUがこれに呼応する形になりまして、各方面からそういう意見が出て、結果的には、私たちが意図したように、多面的機能も認める、安全保障もというのが共同コミュニケに盛り込まれたところです。  問題は、なぜ我々がそこまで強く主張したのかと言えば、当然に、もうこの次のWTOの交渉に向けて前哨戦が始まっている意識でとらえているわけでして、我々は何が何でも、要するに我が国の特殊性というものを考えると同時に、一億二千六百万の食を守るという我々の責任において、三割を割り込むような今の穀物自給率をこのままほっておくと、どんどんこれは減少する傾向にあるわけですから、我々はこれらについて取り組んだところであります。  そこで、話のポイントでございますが、米の関税化の特例措置の七年目以降、すなわち平成十三年以降の取り扱いについては、六年目である平成十二年以降の交渉で決められるわけであります。しかし我々は、その時期までまさに真剣に、将来どう我々の食の安全を確保していくかという見地に立ってこれからの体制を固めていきたい、そう考えております。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 私からは、生産調整の必要性だけ申し述べさせていただきたいと思います。  やはり需給ギャップというのが三割以上あるというのは、これは大変なことなのですね。今どう大規模で合理化しても、コストは、六十キロ一万四、五千円はかかると思うのです。これが、生産調整を外しますと一万円以下になるということは必至でありまして、物財費も伴わないという事態でありますので、これはやはり、早く需給構造を改善する、麦、大豆とか飼料作物、そういう転作作物を定着させる、生産構造を変えるということが大事だと思います。

大畠章宏民友連

○大畠分科員 これで終わりますが、また来年、予算分科会でやらせていただきますが、農林大臣もそれまでぜひ頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

岸田文雄自由民主党

○岸田主査代理 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。  次に、木村太郎君。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 大臣へ遅くまで御苦労さまです。敬意を表したいと思います。  限られた時間でありますので、私、農産物ということからいいますと、リンゴに絞って質問を続けてまいりたいと思います。  まず、十年度の予算案の中で、果樹対策として、リンゴの矮化に対しての見直しとして二十億円余の組み入れをしております。これに対して私は心から感謝を申し上げたいと思っておりますが、農林水産省、国のバックアップをいただいて、私の地元青森県では、りんご園地若返り事業、こういうものを市町村また関係団体と一体となって取り組んでおります。  そこで、これまでの対策の実績、効果というものをどうとらえているのか。そして今回、なぜ見直しになったのか、お伺いしたいと思います。  あわせて、目指すべき目標年次とその姿というものも御答弁をお願いしたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 現在までの実績でございますが、平成九年度末までに千百十四ヘクタールに達すると見込まれております。その効果でありますが、矮化栽培への転換によりまして、植栽本数の増加と園内作業道の一体的な整備がなされるということで生産性の向上と作業が軽くなる、こういう効果が出ております。  見直しはなぜしたのかということでございますが、これまでは改植を行う園地に限定して作業道などの条件整備を行っておりましたけれども、やはり省力化、軽作業化ということはリンゴ栽培におきます大きな要請でございます。それから、この際、本事業を活用して既存の矮化園の条件整備もやりたい、こういう要望が強く産地から出されております。したがいまして、既存の矮化栽培園を含めまして、一体的な条件整備ができるように事業の実施要件の改善を図ったものでございます。  それから三番目に、矮化栽培の目標ということでございますが、今後改植が必要となる園地面積とか矮化栽培の導入可能性というものを勘案いたしまして、事業実施期間後の平成十三年におきましての到達目標、これはその事業と県単事業などの取り組みとあわせてでございますが、約四割ということで事業計画を設定しております。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 今回の見直しはさらなる充実を図るというふうに受けとめましたし、改めてその取り組みの評価をしたいと思っております。  今、平成十三年とおっしゃいましたか、目標年次が。十三年ですか。(高木(賢)政府委員「実施期間後の時点という意味での十三年でございます」と呼ぶ)十三年ということでありますが、地元の生産者の声としては、先ほど言ったように、ありがたい事業、取り組みでありますので、多分その十三年を過ぎても生産者からさらに事業として継続してほしいという声が出てくる可能性が強いと私は思っています。それだけすばらしい事業だと。そして、地元の県や市町村、農協を初め農業者団体が一体となって取り組んでいる、こう理解しております。  今、我々は十年度予算案を審議しておりますけれども、その事業の効果というものを、また地元の期待というものを把握して柔軟に対応する姿勢を今からぜひ持ち続けていただきたいと思いますが、この点御答弁をお願いしたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 この事業は、御案内のように、ウルグアイ・ラウンド対策ということの一環としてやっておりますので、御指摘のように、平成十二年度までということを事業期間としております。先ほど平成十三年目標と言いましたのは、その十二年度が終わるのが十三年ということでございまして、事業期間としては十二年度までということでございます。  その後どうかということでございますが、まだ三年先のことでございまして、やはり事業実施期間末におきます進捗状況がどうかとか、そのときのリンゴをめぐる情勢がどうかということを勘案して、その時点で判断させていただきたいと思います。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 全くそのとおりでありますが、またラウンド対策ということでもあります。  ただ、青森県のリンゴ園地、リンゴの木を見た場合に、ちょうど木の年齢的に見た場合でも、矮化にするかどうかはともかくとしても、やはり植えかえをしなければならない木が、ある面ではだんだんピークというか、それに対しても既に皆さんが今こうやって続けているということだと思っておりますので、こういった点も踏まえての姿勢をぜひ持っていただきたいということであります。よろしくお願いします。  次に、私は、アメリカは、我が国の植物防疫措置というものを不当だとしてWTOに提訴しているわけですが、これについてお伺いしたいと思います。これはもちろんリンゴだけに関してではありませんけれども、しかしリンゴも大変大きな影響をこうむることにもなる、こう思っておりますので、この点お尋ねしてまいりたいと思います。  まず、昨年四月のアメリカの提訴によって、先般アメリカの要請によってパネルというものがWTOに設置されたわけですけれども、このパネルにおいて、報道によれば、先月の二十日の時点でアメリカ側が意見書を提出したと。これに対して、我が国も去る十七日提出したというふうに聞いております。  四月二日、三日にはパネルの会合が持たれるというふうにも聞いておりますが、このアメリカ側の提出した意見書というものを農林水産省、日本側はどういうふうに認識されているのか。また、アメリカ側の意見書に対して反論するために、日本の提出した意見書、あるいはパネルにおいてどういったことを主張されていくのかお尋ねしたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 パネルの設置の経緯なり意見書の提出の時点というお話については、御指摘のとおりでございます。  アメリカが出した意見書のポイントは大きく二つあります。まず一つ、対象の植物でございますが、コドリンガの寄主植物ということで、ただいま御指摘にありましたリンゴ、サクランボ、クルミ、ネクタリンの四つが対象植物でございます。これに対する検疫措置、また、我が国がコドリンガの完全殺虫の確認を品種ごとに要求して、輸入解禁を品種ごとに行っているということにつきまして、衛生植物検疫措置の適用に関する国際協定、俗にSPS協定と言っておりますが、これに違反しているということを内容といたしております。  これに対しまして、我が国といたしましては、二つのポイントを言おうということでございます。  まず一つは、コドリンガの殺虫効果が品種によって異なる可能性がある、これは科学的根拠に基づいているということが一つでございます。したがいまして、SPS協定に当然これはかなっている、遵守しているということの二つを大きなポイントとして、日本のとっている措置は正当だということを主張してまいる考えであります。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 以前質問した機会にも、ただいま御答弁いただいた基本的な考え方は大分前から持っておられたのですが、ぜひ日本側の考え方、主張というものは貫き通していただきたいな、こう思っております。ぜひそのことをお願いしたいと思います。  そこで重要視されてくるのが、このパネルにおけるパネリスト、スポーツでいえば審判、裁判でいえば裁判官ということになってくると思いますが、このパネリストについても、前回の質問の機会のときに私お願いしていたことがありました。  多分このパネリスト、選ばれるパネリストでありますが、貿易という観点からは専門的な知識というものを備えた方だと思いますけれども、多分植物検疫の専門的な知識というものを持ち備えた人にならないのではないか、その場合には、専門的な知識を持った人の意見を三人のパネリストが聞く場面を持つように日本側は堂々と主張してほしいということを私は以前お願いをしておりました。  先般報道されておりましたけれども、その三人のパネリストが決まったということであります。この三人のパネリストの人選を見た場合に、アメリカ、日本、輸入国、輸出国というふうに考えた場合に、どちらにも偏らない人選で、また私が指摘してきた植物の検疫、防疫制度というものを専門的にも十二分に把握した人選となっているかどうか、皆さんはどういうふうに認識しているのかお伺いしたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 パネリストといたしましては、フィンランドのベリホルムという人、それからカナダ出身のドゥニさん、それからアイスランド出身のエイナーソンさん、この三人の方がパネリストとして選定されました。この選定過程も非常に激しいものがございましたが、つまるところ、私どもも妥当だと思ったのは三つの理由からでございます。  すなわち、出身国が、この今問題になっておりますリンゴとかサクランボとか、こういう具体的に掲げられている果物類の輸出国であるとか輸入国であるとか、そういういずれかに偏ったところの国の出身者でないというのが第一点でございす。  それから二番目には、今御指摘がありましたように、植物検疫とか農産物貿易といった問題に知見を有されている、御堪能である、非常に今までそういうことに関与されてきて、知見を十分お持ちであるということであります。  それから、現在もなお、かつても大体役職が公的な役職につかれておったようでございますが、場所はあるいは移っているかもしれませんが、現在もなお公的な役職にある、そういう三つの観点から見まして、この三人の方は妥当な人だというふうに判断した次第でございます。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 私が心配してきたこと、心配のない今回のパネリスト人選だということで、今の答弁から、この人選の段階では評価しているというふうに私はとらえました。  そこでずばり聞きますが、パネルの場では日本側の主張が受け入れられる、スポーツでいえば勝てると自信があるでしょうか。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 もちろん勝つつもりでやります。しかし、相手のあることでもありますし、不測の事態とか、サッカーを例に引くまでもございませんけれども、いろいろなことがあり得るわけですが、とにかく我々としては全力を尽くしてやるつもりでございます。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 ぜひ頑張っていただきたい、こう思います。  そこで、私、これも前に聞いておるのですが、先ほど答弁にもありましたが、今回は四品目に絞ったということでありますけれども、アメリカの主張が仮に通れば、リンゴだけでなくて、農産物全体にいろいろな面で影響が出てくる、私はそう思っているのですけれども、その影響は、仮にアメリカ側の主張が通ったとすればどういう影響が考えられるのか。  以前質問したときには、そういうことは言及するわけにはいかないという答弁であったのですが、私は、もちろん勝つことを信じて頑張ってくださいということを今言いましたけれども、もし日本側から見て不当な主張が通ったならば、日本側についてはこういった影響があるのだということをパネルの場でも主張できるのではないかな、こう思っておりますので、御答弁をお願いしたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 かつてお尋ねのときに、まさに負ける事態といいますか、アメリカ側の主張が通る事態を前提としての想定はお答えしなかったわけでございます。  今もなお基本的には、パネル審議は今後行われるわけでありますので、現時点でアメリカの主張が採択された場合の影響というものについて考えてもおりませんし、言及することは適当でないというふうに考えております。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 その影響、なかなか言えないというそのお立場もわかります。もしかしたらそのパネルそのもののやりとりの中で、ある面ではマイナス的に作用するのかなという印象を今持ちました。ただ、日本側の立場というものを主張する上で、私が今お尋ねした点もやはり皆さん懐にはあると思いますので、場面場面では堂々と主張してもらいたい、そういう意味からもお尋ねしているわけですので、ぜひ皆さんの御努力をお願いしたいと思っております。  いま一つ、アメリカはWTO提訴のみならず、「ふじ」を初めとする五品種の輸入解禁を求めているわけです。この五品種の輸入解禁については、既に専門家による現地試験の確認が終了した、私はこう理解しております。このアメリカの対応というものが、一方ではWTOに提訴して、一方では今までどおりのルールに基づいて日本に解禁を迫ってきている、二段構えの要求をしているというふうに私は受け取るわけですけれども、ある面ではこのアメリカの対応そのものが余り理解できないという声が生産地にも大変大きくあります。  また、一つの意見として、生産者サイドの意見に大変大きくあるのですが、アメリカがWTOに提訴しているのだから、五品種の輸入解禁に向けた動きというものは、WTOでの結論が出るまでストップすべきではないか、凍結すべきでないかという声、意見さえもあるわけですけれども、日本側、農林水産省として、今後の対応というものをどのようにしていくのか、お答えをお願いしたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 アメリカ産リンゴの五品種の輸入解禁の問題でございますが、これにつきましては、現在アメリカから提出されました現地確認試験の結果につきまして、我が国の専門家が技術的検討を行っております。現在、私としては、技術的検討の結果を待っているところでございます。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 今の御答弁を聞いておりますと、余り多くを語りたくないというような感じにもとれたのですけれども。  通常のルールに従ってもそうだと、そして一方ではWTOにも提訴していると。アメリカにしてみれば目的が一つということだと思うのですが、先ほどWTOのパネルの場では堂々と頑張っていくということでありましたけれども、この通常のルールに従ってのさらなる五品種の解禁に対してもやはり厳しい認識を持って、そしてまた、ルールに従って日本としての考え方をきちっと持って対応をしていただきたい、こう思っております。  時間がたってまいりましたけれども、いま一つ、オーストラリアのタスマニア産リンゴの解禁の動きも最近出てまいりましたので聞いてまいりたいと思います。  このタスマニア産については、昨年五月、公聴会まで行われたわけですね。その後凍結になったわけです。というのは、本土に火傷病がないということを前提に輸入解禁に関する公聴会が開催されてきたわけですが、実際はメルボルンで発見された、そういうことであります。その後、アデレード市でも見つかったということでありまして、しばらくオーストラリア全土における火傷病の発生状況を調査する、見守るということでのきょうこれまでの時間的な経過だ、私はそう認識しております。  今回、それがなくなった、ちゃんとしたのだ、もうなくなりましたよというオーストラリア側の考えが多分あってのさらなるこの動きが出てきたと思っておりますけれども、今回のこのオーストラリア政府の調査結果、そしてそれを踏まえての再度の輸入解禁要請に対しての農林水産省の受けとめ方をお尋ねしたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 豪州側から提出されました調査結果は、初発見地のビクトリア州メルボルン以外では火傷病は発見されなかったというものでございます。また、当初、サウスオーストラリア州アデレードというところでも火傷病が発見されたという報道がありましたけれども、精密に検定を実施したところ、火傷病ではないという結論に至ったということでございます。  今回のこの豪州によります火傷病の発生状況調査は、私どもの担当官も専門家も豪州タスマニアに派遣をいたしまして実施状況を調査しておりまして、その結果の報告においても受けておりますが、慎重かつ適正に実施したものであるというふうに受けとめております。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 ただ、時間的な経過からいきますと、それこそ短期間のうちにもう問題ないという考えをオーストラリアサイドが示してきた、私はこう思っております。その短期間の調査そのものが信頼できるのか、その辺、皆さんどのように受けとめておるのか、もう一回聞きたいと思います。  また、今後の対応でありますけれども、もしこの調査結果に問題ないとした場合に、先ほど言ったように、去年公聴会まで行われての凍結になっているわけですよ。公聴会が行われたというのは、オーストラリアに火傷病がないことを前提に行われてきたわけですけれども、しかし、あったわけですね。だとすれば、昨年行われた公聴会そのものも有効性がない、私はそう理解するわけですけれども、この辺について、農林水産省の考え方をちょっとお尋ねしたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 豪州によって行われました今回の調査は、豪州全土にわたる大規模かつ綿密なものでございます。したがいまして、現在豪州において火傷病が発生していないということにつきましては、信頼するに足る結果である、こう考えております。  なお、今ないから終わりということではなくて、平成十二年までは発見地点の周辺地域からの寄主植物の移動規制をするということが一つと、もう一つは、全土を対象とした発生調査を継続するというふうに報告を受けております。  それからもう一つ、公聴会の問題でございますが、昨年五月二日の公聴会は、コドリンガの検疫措置を対象に行われたものでございます。したがって、コドリンガの検疫措置に関する公聴会としては有効であるというふうに考えております。  したがいまして、火傷病の問題は火傷病として、タスマニアに火傷病が発生していないということが確認されるということ、それから豪州本土からタスマニアヘの火傷病の完全な侵入防止策が講じられているということが明確であれば、我が国としては、解禁手続をとめるという理由が立たないものと考えております。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 私は、生産者サイドに立った場合に、それはなかなか理解してもらえないのじゃないかなと思いますね。もう一回ぜひ考えていただきたいなと思います。  今のそのオーストラリアの調査結果、信頼に足る、信頼するということですが、じゃ皆さんが信頼するとする、評価するその調査結果なるものを詳細に、きちっとすべてできる限りぜひ明らかにしていただきたいし、青森県だけではありません、他の生産地に向けてもきちっと報告できるような姿勢をとっていただきたいな、こう思っております。  また、この公聴会についてですけれども、コドリンガに関しての公聴会ということでしたけれども、何もないからやれた公聴会が、あったわけですから、生産者サイドからしてみると、大変大きな憤りみたいなものを、不信感みたいなのを感じているわけですね。  じゃ、データが出てきたから火傷病とコドリンガは違うのだということで果たしていいのかどうか。病害虫ということを考えれば、それこそ皆さんと生産地との一つの意義ある場である公聴会なるものが私はあってしかりだと思います。もう一回御答弁いただければ……。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 豪州の調査につきましては、念には念を入れるということで、我が国専門家がさらに調査結果について精査をするということにいたしております。  それから、公聴会についての重ねての御質問でございますが、やはり公聴会というのは何がテーマのものかということでありまして、コドリンガの検疫措置についての公聴会でありますから、その点については手続は終わっているという理解でございます。  火傷病は火傷病の問題として、一体何が問題なのかということでございますが、結局、その発生していないということ、またタスマニアヘの火傷病の侵入防止策が講じられるということが確認されるかどうか、明確になるかどうかということがポイントであろうと思います。ですからその点が、しかと火傷病の心配がないということであれば、その点の方の御心配もふさがれることになるというふうに考えております。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 いや、私は今の御答弁も全く否定はしませんけれども、火傷病そのものが未発生、火傷病そのものもないんだということで昨年公聴会をやっているわけですよ。しかし、あったわけですね。違いますか。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 ですから、私の申し上げていることは、例えば火傷病が発生したことによって、コドリンガの検疫措置が、変わったことを、違うことをやらないとコドリンガが撲滅されないというような因果関係があるというようなものであれば、それはおっしゃるとおりだと思うのです。しかし、火傷病とコドリンガというのは全く違うものでありますから、火傷病の問題とコドリンガの問題というのは関連性というものが、生物的に、あるいは検疫的に関連しない、こういうことを申し上げているわけでございます。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 それは皆さん専門的でありますし、先ほどのパネルの話と同じような感じになりますけれども、ただ、病害虫というようなことを考えれば問題があったわけです。あったから凍結したのです。詳しくわかりませんよ、専門的にその関連、因果関係がないとかというのは。ただし、問題はあったのですよ。  あったとすれば、もう一回その生産側と国サイドとの話し合う場、意見を聞く場、また皆さんが今言ったようなことを説明する場があってもしかりじゃないかということを私は言いたいわけであります。もう一回そのことをお願いしたいと思います。  それで、ぜひ、今回のこのオーストラリア・タスマニア産輸入解禁要請に対しての日本側の対応、慎重に慎重を期して対応していただきたいと思いますが。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 公聴会につきましては、先ほど申し上げておりますように有効であると思いますが、火傷病の問題について御心配であるということはよく理解できますので、この点につきましては、生産者の方々に十分説明をして、理解を得るようにしたいと存じます。  それから、豪州の要請といいますか、調査結果につきましては、先ほども申し上げましたが、専門家によって精査をしているということでございます。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 大臣、今お聞きしてもらったと思いますが、せっかく大臣初め担当局長さん、あるいはまた農林水産省の皆さんが一生懸命やっている、そういう意味でも、私は今のこのやりとりの場面でも、その公聴会の姿をぜひ検討していただきたいということでありますので、大臣にもお願いしたいと思います。  時間もなくなりましたので、最後に大臣にお伺いします。  一日一個のリンゴは医者を遠ざけるということわざが西洋にあるということを御承知でしょうか。  もう一つ、今、青森県のリンゴだけではありませんけれども、リンゴそのものも大変安値が、二十年来の安値が続いております。日本のリンゴ、私は、食味あるいはまた品質等考えても世界一すぐれた商品価値がある、こう思っております。大臣の御答弁をいただきたいと思いますし、その答弁が今のリンゴのPRにもつながると信じておりますので、最後にお伺いします。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 たしか、アン アップル ア デーキープス ザ ドクター アウエーですね、英国のことわざ、それは知っています。  リンゴといえば、私たち、子供のころからずっとなじみましたし、体をこじらせれば、母親がこれをすって、そのジュースを飲んで我々は今日があるわけです。もともとカリウムを多分に擁していますし、食物繊維その他もありまして、健康に極めてすぐれた効果を持つ果物である。日本の特産物であり、また青森県を初めとして、生産農家、大変な御苦労をいただいて、まさに今では世界に冠たるリンゴというものをつくり出しておられる、こう認識しております。  現に私、この問OECDに行きました際にも、部屋には立派な果物が山のように届いていました。色合いは見事ですけれども、手を出す気がしません。味の差を知っているからです。私は、そういう意味で、日本のリンゴというものに対して、自分の子供をはぐくむように、一つ一つ袋に入れて防虫の配慮をしたり、あるいは日照その他に対しての配慮をしたり、自然環境から守って育てている農家の実態というのはある程度承知をいたしておりますから、これからもリンゴの農家は、安んじて、さらに意欲を燃やして地域の特産物であるリンゴというものを育成するように、我々は我々の配慮をしていきたい、こう思っております。

木村太郎平和・改革

○木村(太)分科員 ありがとうございました。終わります。

岸田文雄自由民主党

○岸田主査代理 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、川内博史君。

川内博史民友連

○川内分科員 民友連、民主党の川内でございます。七時を回りまして遅い時間になってまいりましたが、大臣、よろしくお願いを申し上げます。  今、木村議員の質問を聞いておりまして、木村さんは青森の出身で、私は鹿児島で、日本の端と端で大変仲よくしておりまして、木村太郎君のふるさとを思う気持ちがすごく伝わってまいりました。  WTO、一生懸命に農水省さん頑張っていただきたいと思うのですが、今農水省さんには、特に島村大臣には頑張っていただかなければならないことだらけであるというふうに思うのですね。日本はもともと農業が、歴史、風俗、文化、あらゆるものの根幹にあるわけでございまして、その農業をいかに守っていくかというような意味では、私などはまだ一年生議員で勉強が進んでおりませんが、WTOなどに提訴をされても相手をせずに、勝手にしろ、かわりの制裁措置をとるならとってみろということで、日本は農業を本当に守るんだ、それでほかの部分で制裁されるのならそれもまたよし、甘んじて受けようというのが農業を守るには必要な態度ではないかな、こうちらっと私は考えたりもするのですが。  そこでまず、木村議員はリンゴのことについてお尋ねをさせていただいたわけでありますが、私は、鹿児島、畜産県でございまして、畜産の価格がそろそろ決まる時期を迎えているわけでございまして、畜産経営にかかわっていらっしゃる農家の方々は、大変に厳しい経営環境の中で、御夫婦お二人で、あるいは大変に高齢化している中で一生懸命に頑張っていらっしゃるわけでございます。この価格の決定に際して、農林水産大臣としてのお考えをまずお聞かせをいただきたいというふうに思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 お答えいたします。  畜産物価格、いろいろございますが、加工原料乳の保証価格、あるいは指定食肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等につきましては、関係法令の規定に基づきまして従前からいろいろ組み立てられたルールができております。生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮して、再生産を確保することを旨としてこれらを定めるとされているところであります。  平成十年度の畜産物価格、このところ各党の議員が何かしばしば私のところにお見えになりますが、三月十三日に公表された生産費の調査結果を基礎といたしまして、二十五日食肉部会、二十六日酪農部会の畜産振興審議会、専門家の審議会の御意見を承った後、三月末日までに適正価格を決めたい、こう考えているところであります。

川内博史民友連

○川内分科員 どうぞ特段の御配慮をいただきたいというふうにお願いをさせていただきます。畜産物の価格、特に肉ですね、牛、豚、それから、きょうこれから御質問させていただくことに関しては鶏、鳥も含まれておりますが、価格が決められて、大体その幅の中で変動をするわけでございますが、大変にぎりぎりのコストの中で農家の方々経営をしていらっしゃって、最近とみに話題になっておりますのが、食肉の安全性を確保するために、牛であれ豚であれあるいは鶏であれ、獣医師によって検査をし、その食物としての安全性を確保するということになっているわけですけれども、農家の方々にとっては、屠畜検査の手数料あるいは食鳥検査の手数料というのが最近とみに負担感が増していらっしゃるというふうに聞いております。  大臣、鹿児島ですと、豚一頭当たり三百十円が検査の手数料なんだそうです。大体豚一頭七十キロで、キロ四百円ぐらいとすると、二万八千円ですね。二万八千円のうちの三百円ですから、大体一%ぐらい。そんなもの大したことないじゃないかというふうにお思いになられるかもしれないのですが、しかし、平均的な養豚農家というのは、大体年間千頭ぐらい豚を出荷するんだそうです。その千頭を、お父さん、お母さん、もうおじいちゃん、おばあちゃんと言った方がいいぐらいに高齢化している、その方お二人ぐらいで面倒を見て出荷をされて、それで、飼料がこれはやたら高いのですね、大体コストの六割ぐらいが飼料の値段になっているそうなんですけれども。利幅が薄い中で、検査の手数料を三百円取られる、三百十円取られるというのは大変に重い御負担になっていらっしゃるそうなんです。  そこで、まず大臣に、ぜひ基礎的な数字を、もうもちろん御存じのことと思いますが、まず事務当局の方から、屠畜検査、食鳥検査にかかる手数料というのは年間トータルで大体幾らぐらいになっているのかということについて御答弁をいただきたいというふうに思います。

森田邦雄厚生省生活衛生局乳肉衛生課長

○森田説明員 屠畜検査手数料及び食鳥検査手数料につきまして、全国で年間どのくらいになっているのかというお話でございます。各県によって屠畜検査手数料あるいは食鳥検査手数料というのは差がございまして、一律に計算というのはできないわけでございますが、各県の取っている、徴収している料金あるいは頭数等から見て計算してみますと、平成八年で見てみますと、牛で十一億六千万、あるいは豚では五十六億三千万、鳥で二十一億六千万、合計で八十九億六千万というような、これは概算でございますけれども、おおむねそういう目安かなと思っております。

川内博史民友連

○川内分科員 八十九億六千万、大体九十億というところがこの屠畜検査、食鳥検査にかかる手数料の収入であるというふうな御報告があったわけですけれども、今いみじくもだれが答えるかというのをお間違えになられたように、大体、一般的に考えると農水省が所管をしているのだろうというふうに思うわけですけれども、実は厚生省さんがこの検査については所管をしていらっしゃるということなんです。この検査の手数料、九十億、何とかならぬものか、これが何とかなれば随分経営が助かるのだというのが今農家の方々の切実なる御要望でございます。  これに対して、農水省さんとしてどのようにこの御要望を認識していらっしゃるかということに関して、まず御答弁をいただきたいと思います。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 ただいまお話のございましたとおり、屠畜場なり食鳥処理場、食鳥の検査あるいは屠畜検査ということに関しては厚生省が所管をしているわけでございますが、私どもは、農家というか、経済的な側面において、それぞれ各地域の畜産が順調に発展することを望むという立場に立ちますと、やはり私どもの方にお見えになる畜産農家の方々の中には、もう少しこういう手数料が安くならないのか、そういうお話が出るのは事実でございます。  ですから、そういう点につきましては、私ども、所管の厚生省の方にもお話し申し上げますし、具体的には、それぞれ検査を具体的に実施しておられる都道府県にもそういった要望が生産者の皆さんからあるというようなお話は十分伝えているところであります。  ただ、現実は、法制度でもってそういうことで行われているわけでございますので、例えば私ども、価格安定制度、先ほどお話ございましたが、牛肉とか豚肉について安定価格を毎年定める、こういうことをやっているわけでございますが、そういう価格を定める際には、そういう一定の手数料を支払わなければならない、そういうことも農家のコストとしてあるのだということを算定の中に入れて対処をしている、それが現実的な姿でございます。

川内博史民友連

○川内分科員 その手数料を算定の基礎の中に含めて価格を決定しているのだ。しかし、現状で、農家の平均年齢というのはますます高齢化していく一方ですし、なかなか若い人たちは入ってこない。特に畜産というのは、これはふん尿の処理とか大変なんですね。  ですから、これは人間だれしも、もうからないことはなかなかやらないですよね。それは計算の基礎の中に入れておりますからこれは大丈夫ですといっても、それで、はい、そうですがとはなかなかならぬと思うのですね。やはりその分、倍も三倍も上乗せして価格決定してちょうだいよというのが農家の方々の思いだというふうに思うのですが。  では、所管の厚生省さんにお伺いをいたします。アメリカなどでは、食肉の安全性については国が責任を持ってやるということで、検査の手数料等については、時間外に検査をする部分以外はほとんどの手数料を取らない、取っていないというふうに私などは理解をしているのですけれども、レクチャーを受けているときに、大臣、手数料の概念を厚生省さんから一生懸命説明されたのですけれども、手数料というのは受益者からいただくものであると一生懸命おっしゃるのですね、厚生省さんが。しかし、よくよく考えてみると、肉の安全性を確保して利益を受けるのは消費者だと私は思うのですよ、その安全なお肉を食べられる。だから、農家だけが受益者だから、その手数料を農家から取るんだというのは、ちょっと何かどうにも取ってつけたような理屈なんじゃないかなというふうに思うのです。  そこで、厚生省さん、きょうは説明員の森田課長ですから、何ともお答えがいただけないかもしれないですけれども、思い切って、私が手数料をゼロにしますという御答弁などはいただけないのですかね。

森田邦雄厚生省生活衛生局乳肉衛生課長

○森田説明員 先生のお話のとおり、私は担当課長でございますので、そういうところまで踏み込んだお話はできないと思っております。

川内博史民友連

○川内分科員 踏み込んでいただけないということですから、仕組みについて明らかにしたいのですけれども、厚生省が所管をすると畜場法というのと食鳥検査法というこの二つの法律があって、これに基づいて検査が行われて、手数料を取っていらっしゃる。行政が、政府が地方自治体に事務を委任して、機関委任事務としてやるものについては自治省さんも絡んでいらっしゃるということで、何か地方自治法もその根拠になっているらしいということで、私みたいに選挙運動ばかりしておる者はよくわからぬのですけれども。  とにかく、結論として言えば、年間九十億、日本国の予算が七十兆円毎年ある中で、九十億というお金をどこかが財政措置をすれば、予算措置をすれば畜産農家が大変に助かるというところで、厚生省さんとしてもいかんともしがたい、農水省さんとしても、そういう農家を助けたいという気持ちはあるけれども、今のところはいかんともしがたいということであります。自治省さんとしては、きょう自治省の方、田村財政課長にもお運びをいただいておりますので、都道府県がやっている検査に対して国が交付税なりなんなりで措置をするということはできないものかどうか、法的な仕組みというものをちょっと御答弁をいただければと思います。

田村政志自治省財政局財政課長

○田村説明員 手数料につきましては、地方団体が特定の方のために提供するサービスについて、その費用を受益される方の負担で賄うのが公平であるという考え方のもとに徴収しているものでございます。  これにつきましては地方公共団体手数料令で上限を定めているわけでございますが、この屠畜検査手数料、食鳥検査手数料につきましても、その手数料の金額につきましては、原則としてその事務に要する経費に基づいて定められるべきものだというふうに考えて、いろいろ調整をしているところでございます。  なお、転嫁の問題がございまして、先ほど畜産局長からも御答弁がありましたが、こういう形で手数料を徴収いたしました場合には、検査を受けられる方はそれを転嫁をいたしまして価格に乗せていくというようなことで、最終的には消費する方々の負担になっているという仕組みになっておりますので、御理解いただきたいと思います。

川内博史民友連

○川内分科員 大臣、今までの事務方の説明を聞いていると、大体、畜産局長は、価格決定のときに考慮しておる、自治省の財政課長は、それはどうせ売るときに価格に転嫁されておるとおっしゃる。それは理屈としてはそうなのかもしれないですけれども、私の申し上げたいことというのは、農家が大変な中で、大変厳しい経営環境の中で畜産経営をしていらっしゃるところで、国が、行政がサポートできる部分というのはコストの部分で、このコストについては、国が面倒を見てさしあげられるというものについては面倒を見ていくべきなのではないかというふうに思うわけでございます。  例えば、これは昨年の通常国会でも、私、農水委員会で質問させていただいたのですけれども、豚のふん尿というのは豚一頭で人間十人分なんですよ。ですから、母豚が百頭で、そこから千頭の豚を飼っているという平均的な養豚農家というのは大体一万人分のふん尿を毎日処理しているわけです、お父さん、お母さんで。一万人分のふん尿を処理するというのは、大体人間のふん尿ですと、汚水処理場をつくるのに、一万人分だと一億六千万ぐらいかかるらしいのです。そういうふん尿処理のコストも、農水省さん、畜産局の方でいろいろな補助の措置というのはしていただいているわけですけれども、まだまだ不十分である。  そういう中で、では実際に養豚農家が何をしているかというと、畜舎からずっとうんことおしっこが地下のタンクにたまるようにしておいて、それを夜中にバキュームカーにくんで、山の中に穴を掘って捨てに行くわけです、素掘りと言うのですけれども。これは大体、今普通の養豚農家ではいたし方なくやっているわけですね。  そういうふうに、コストについてどこまで国が面倒を見てさしあげられるか。肩がわりできる部分は国が肩がわりするというのが農家を本当の意味で保護、育成していくということにつながると私は思うのです。ウルグアイ・ラウンドでたくさんお金があるわけですから、そのウルグアイ・ラウンドのお金を、農水大臣御自身もむだな農道があったかもしれないというふうにお思いになっていらっしゃるのと同様に、そちらに振り向けるものを年間九十億こちらに振り向けるだけで、畜産農家は本当に大喜びをするわけですね。  そこで最後に、局長と大臣から御答弁をいただきたいのですけれども、農家保護の観点から、と畜場法と食鳥検査法、この二法は現在は厚生省の所管でありますけれども、国土島村農水大臣が厚生大臣に対して、これを共管にしてともに解決していこうじゃないかというようなお申し出をしていただいて、解決へ向けてぜひとも動いていただきたいと思うのです。  これは、必ず農水省と厚生省と地方自治体と、農家はたらい回しされて、結局どこへ行けばいいかわからないというのが今の現状なんです。それを農水大臣に、ひとつやってやるという御答弁をいただければ、私もきょう分科会で質問をさせていただいたかいがあるというものでございますので、局長と大臣と、お願いいたします。     〔岸田主査代理退席、主査着席〕

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 初めにちょっと事務的に私どもの立場を御説明申し上げておきたいと思うわけでございますが、先ほど申しましたように、私どもは、畜産経営におけるさまざまな意味でのコストをできる限り縮減して、経営の効率化というか、そういうことを含めて安定した経営が実現する、こういうことを目指すべきだという基本的な気持ちは持っております。  ただ、問題は、こういった手数料をだれが負担すべきかというそもそも論というか制度論、これに関しては、先ほどもお話ございましたように、例えばアメリカでは、それは税金で基本的に負担しようではないか、こういうお考えがとられている。我が国の場合には、やはり個別に、使う人がそれを負担し、それを価格に転嫁し、最終的に消費者が負担をするんだ、こういう考え方がとられている。それはそれぞれの国の国情もございますし、やはり幅広く議論をして答えを出すべきことであって、農家の負担が少なくなるということは我々大変望んでおりますし、そうあってほしいわけでありますが、それだけで制度論を論ずる、律するということもなかなか難しいというふうに私どもも思っているわけであります。  そういうこととは離れまして、実は、昨年十二月のあの行政改革会議の最終報告書を踏まえて、この国会に中央省庁の再編等の基本法案が提出されております。その中におきまして、新しく発足します労働福祉省と農林水産省との間の関係につきましては、ただいまのような問題に関しては、食品衛生に係る行政は労働福祉省が担当するということが明確に書かれると同時に、食品行政については、労働福祉省と農林水産省間の責任の分担を明確化するとともに、両省の緊密な連携を確保することというものが触れられているわけでございます。  ですから、そういう意味で、もしこの法案、これから御審議をいただくわけでございますが、この法案が成立するということになりましたら、その後に控えている各省庁の設置法ということが出てくるわけでございます。ただいまの例えば屠畜場とか食鳥処理場を一体どういう所管にするのかというのはその段階での議論の課題になるのではないか、中身ではございませんが、私どもはそういうふうに考えております。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 実は、きょう朝早くインドネシアのハビビ副大統領にお目にかかって、食糧援助の話をしたまではよかったのですが、折から、畜産物価格を決める、こういうような大事な時期に来ているものですから、それ以外はほとんど、ふん尿処理の話を含めて、いわば家畜に関するいろいろな問題のお話し合いをしてきたところです。  ただいまいろいろお話を伺っておったのですけれども、なるほど、あなたのように一生懸命農家をお訪ねになって農家の窮状をお聞きになれば、あなたのお考えが生まれてくることは私にも理解できます。  ただ、私の知り合いの中には、宗教上の理由とかあるいは御本人の嗜好の関係で肉を一切口にしない人もまたいるわけですね。こういう方たちのために、いわば一般財源でこれをどこかが担当して無料化に導くというやり方が果たして国民世論に訴えてどういうものなのか。  また同時に、今度は畜産農家の立場に立てば、あるところで何か病気の障害が出たといたします。そういうときに自分たちの責任の所在をはっきりさせるというようなことごと、あるいは自分のところは全く無害であるということを言い張ること、そういうことのためには、やはりこれは農家御自身が御負担になって、みずからのいわば製造責任というものをきちんとお守りになる方がむしろ常識的なのじゃないかな、こんなふうに感じているところであります。

川内博史民友連

○川内分科員 今、局長と大臣から御答弁をいただきました。私、質疑の残り時間がもうございませんので、最後にお願いをさせていただきますが、局長がおっしゃること、ごもっともであると思います。それはもう本当に、理屈で言われれば、おっしゃるとおりというふうに思います。大臣がおっしゃることもそのとおりであるというふうに思うのですが、私みたいに畜産県に住んでおりまして、農家の方々と常日ごろ接しておりますと、本当に少しでも収入をふやしてさしあげたいなというのが切実な思いでございまして、ただで差し上げるわけにいかないので、何か理由をつけなければいけない。その理由としては、では、この検査の手数料はアメリカなどでは国が見ているわけですから、日本もそういうふうにしたらどうかな、農水省、厚生省とこの二つの法律を共管にして、農水省にイニシアチブを発揮していただいて、少しでも前進をしていただけたらありがたいなという思いの中できょうこの問題を取り上げさせていただきましたので、ぜひ農水大臣、今後またよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。  次に武山百合子君。

武山百合子自由党

○武山分科員 自由党の武山百合子でございます。  三十分ということですので、早速内容に移らせていただきます。  私このたび、本当に素朴な、農業についての問題を質問したいと思いまして、農林省に資料を実は要求いたしました。私は、埼玉県のちょうど東部に位置します春日部、庄和、あのあたりの庄和町で実は生まれて育ちました。母方も父方もみんな土地の人で、農業をやっておりました、私の小さいころは。もちろん特定郵便局をやったり学校の先生をしたりしながら、やはり昔から農業を営んでいる一族郎党なのですけれども。それで、素朴な農業に対する関心があったものですから、きょうはここぞとばかりにチャンスを逃したくないと思いまして、質問に立とうと思って、実は農林省に資料を要求したのです。  ところが、私が質問する内容は、根掘り葉掘り詳しく、どういうことを質問するのだと細かく聞きに来まして、それで、あげくの果てに私に対する資料はほとんど出ません、こういう状態なのですね。それで、私はええっと思いまして、調査室、みんな連絡をとりまして、何か二十一世紀の日本の姿、すなわち日本の農業をどうするのか、私も大変素朴な疑問を持っておるということで、資料を出してくれと。そうしましたら、相談しますということで帰ったのですけれども、結局、相談した結果出せませんと。何か非常に、うわさに聞いていた話が本当なのかなと思って、野党には一切資料を出さないのじゃないかと、ひがみ根性を実は持っております。  それが、うわさに聞いていたことが実際にそうなのかなと思いまして、実際に私のところに出た資料は、平成七年の「農産物の需要と生産の長期見通し」なんという数字だらけのこの薄い冊子と、それから平成九年十二月、食料・農業・農村基本問題調査会中間取りまとめ。これはもう不透明で、確固たるものは何も書いていないわけですよね。ほとんどアウトラインをこういうふうにしたいというだけで。それで、ほかに資料は出せませんと。  さんざんいろいろ交渉した結果出てきたのは、「新たな国際環境に対応した農政の展開方向」、これは平成六年八月に農政審議会で出したもの。何しろこういう状態、私はまさに日本の農政の危機だと思いました。国権の最高機関の立法府の国会議員が請求しているのに、あれもこれも出じたくないと言う。では、農林省というのはだれのためにあるのでしょうか、農林大臣、お聞かせ願います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 どういう資料を要求されたのか私にはわかりませんので、ちょっとお答えしがたいのですが、少なくも、私が大臣に就任したのは昨年の九月ですけれども、自来、与野党に対して変な差別をするような指示は一切いたしておりません。きょうも各党いろいろな方々がお見えになりましたけれども、私の時間の許す限り対応させていただきましたし、その方たちはそれぞれに私の誠意をちゃんと評価してお帰りになりました。  当然のことに、我が省、私は実は十五年前に政務次官をやって以来農林水産省という役所にほれ込んでおりまして、一般のお役所仕事と言われる、ほかの役所の方には申しわけないのですけれども、批判があるけれども、農林水産省に関しては、実に実のある、さすがに仕事柄何かそういうものを感じさせる役所だと、今の今までそう考えている人間でございまして、具体的な例について、もしこういう資料、だれが考えても出し得る資料を出せなかったというのであれば、私からまたきちんと叱責もし、また御要望にこたえるような努力をするように切りかえたい、こう思います。

武山百合子自由党

○武山分科員 それでは、後で農林大臣のところにその三人の名刺をお持ちいたします。どういうものをどう出せなかったかということは、そのときに細かくお話しいたします。  私は、二十一世紀の農政の、将来どういうふうにするのだという骨格やら、それから細かい部分のところを出してくれという意味で資料提出を申し込みました。現実にそうであったということで、農林大臣の言うことと現実とは全然違うので、やはり行政と立法府とは全然違うのじゃないかと私は思っております。信じたいですけれども、現実はやはりそうであるということを認識していただいて、実際にそうであるかどうかも調べていただきたいと思います。国民のための農林水産省ということなのに、全然国民のためになっていないような農政では、やはり日本は本当に沈んでしまうと私は危惧をしております。  情報公開なのですけれども、今後農林省も情報公開を二十一世紀、していくわけですけれども、どんな形でどんなふうに情報公開されていくのか、その辺細かくしていただきたいと思います。国民にとって不都合な情報なんというのはないと思うのですよ。悪ければ悪い、よければよい、事実をやはり出すべきだと思うのですよ。守秘義務だとか、何でも守秘義務にひっくるめてしまって出さないというのが、国民の側から思っている感想なのです。それはもう、やはり頭を切りかえていかなければいけないと思います。それで、みんなで考えた二十一世紀の農政としていかなければいけないのですよ。  今まさに、私の身近でも、おじいちゃん、おばあちゃん、もう農業をやるのは六十代の半ばから七十前後の人ばかりになってしまったのですね。本当に、どうしてこれから生きていこうか。土地だけあって、それで土地を十分生かせないわけですよ、一年に一遍だけ、お米だけは一番簡単だということで無理してつくっているわけですね。実際はそういう農政なわけです。  ですから、情報公開を今後どのように進めていくのか、ポイントポイントで細かい部分でぜひお話しいただきたいと思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 情報公開に対しての細かい御答弁は、それぞれ専門に取り組んでいる局長から申させますけれども、重ねて申し上げます。  実は、ことしの新年の大臣訓示の際に、私は、あらかじめ用意されたあいさつを全部わきに置きまして、三つのことを皆さんにお願いする。一つは、私は本気で仕事をやる気で来ているので、みんなやる気でやってほしい、そうでない人はやめてほしい。二つ目は、いかに誠実に対応しているつもりでも、権力が伴う仕事というのはえてして権柄ずくにとらわれがちなので、謙虚、誠実を旨としてほしい、これに従えない人はやめてほしい。三つ目に、明治十四年本省が始まって以来、百十七年の歴史と伝統は、先輩の汗の中に築かれている、これを汚すような行為は一切慎んでほしい、これに同意できない人はやめてほしい。こう申したくらいでありまして、私は、就任以来今日まで、職員の皆さんとは本当に腹を打ち割っていろいろなおつき合いをしてきているつもりですし、いろいろな角度で聞こえてくる情報の中でも、少なくも私の耳の中に、農林水産省は不誠実であるという声は幸い一度も聞かれたことがないということを申し添えたいと思います。  情報公開については担当局長から申し上げます。

堤英隆農林水産大臣官房長

○堤政府委員 御案内のように、食糧は国民的な生活の基礎でございます。そういうことと、さらに、その生産の場でございます農村も、これまた国土の保全という形の中でも非常に重要な部分を占めるわけでございますので、そういう意味で食糧問題あるいは農村、農業問題ということにつきましては、極力、国論が分裂するということでなしに、コンセンサスのある形をとっていくことが望ましいというふうに思っております。  したがいまして、私どももいろいろな農業関係、農林関係の各種の資料、データ等につきましても極力オープンにして、かつ、審議会等におきます議論もオープンな形でそれぞれの御議論、御批判をいただきながら、国民のコンセンサスのとれた形での農政の展開ということを図ってまいりたいというふうに考えております。  資料の点につきましては、いろいろと、どういう資料の御要求であったかちょっと私もわかりませんけれども、改めてお話をお聞きし、出せる資料につきましては精いっぱい御提出したいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

武山百合子自由党

○武山分科員 私は、細かい部分では確かに局長やそれぞれの分野の人とお話ししたいと思いますけれども、立法府のこういう委員会ではぜひ大臣と議論をしたいと思います。  やはり、コンセンサス、コンセンサスといいますけれども、コンセンサスをしていたらおくれてしまうのですよ。意識の方が早く行って、社会状況の方が早く進んでいるのですよね。コンセンサス、コンセンサスと、十人で足して十で割ったら一つも進まないということなのです。そういうコンセンサスを、今さらまた二十世紀と同じことをやっていたら、とても農業は生きていけないと思いますよ。そういう発想で、どんな二十一世紀の改革をやろうかなと思っているのか心配でございます。島村農林大臣もそう思っておるのでしょうか。ぜひ、大臣としてのリーダーシップのその部分を聞きたいと思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 私は、就任早々に、実は各大臣から大変同情の声を寄せられました。それは、四年来の米の豊作、この米余り現象に対する対応とか、あるいは毎年赤字が累積する国有林野の問題とか、あるいは難航する日ロ、日韓の漁業の問題とか、まさに問題山積でありまして、もともと自然環境が厳しく劣悪な農業条件の中で、農林水産業のそれぞれの条件の中で取り組む皆さんに御満足いただく結論というのはなかなか出しにくい。  そういうことではありますが、可能な限り私は全国を飛び回っていろいろな地域の皆さんとも接触を持ってきております。ここまで誠実に対応してくれてありがたいというお声は聞いたものの、お世辞があるかないかは別として、少なくも、酔った勢いでも何か物が言えたらといって来た人も、別に私に対して非難めいたお話はなかった。ただ、こういう点とこういう点だけは将来の課題としてやってほしいというようなことごとを承ってきたことは、そのまま役所に戻って伝えたところでありますが、我が省挙げてみんなそういう姿勢でおる、私はそういう認識でおります。

武山百合子自由党

○武山分科員 いや、島村農林大臣、人がそういう批判的なことを言わないから農業はうまくいっているという、そういう発想ではいけないと思いますよ。二十一世紀の農業をどういうふうにしていくのだという発想、そういう発想がリーダーシップなわけですね、そこをやはり農林大臣がとっていくというのがこれから今まさに必要な部分なのです。どういうふうにしてやっていくかというのは国民の代表である政治が見ているわけですから。  そこで、あくまでも行政は執行機関なのですよ。立法府で決めた執行機関なのですね。ですから、そこの、立法府と行政府というものはきちっと分けなければいけないと思います。それを、やはり何か農水省がすべて日本じゅうの農業を全部担っているような、農林大臣が言いたいことも言えないような、それは言いたいことを言っていらっしゃると思いますけれども、はっきりとリーダーシップを持って言えないような、そういう農政ではだめだと思います。  今いろいろ言っていた話の中に、何もこれだというものはなかったと思いますよ。そういう農業ではだめなのですよ。やりたいと思いますか、私、そういう農林大臣が言ったような農業の中で田んぼを耕したりいろいろと農業に従事したいなんて、ちっとも魅力を感じませんけれども。何かぜひ言っていただきたいと思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 たびたび予算委員会あるいは財政改革特別委員会、農林水産委員会、農業関係のいわば専門の委員の方々とも接触を持ってきておりますが、少なくも、将来に向かっての大方針としては、御承知のように食料・農業・農村基本問題調査会において現在検討いただいておりまして、この基本法を含む農政改革というものをこれから打ち立てようというので、昨年十二月に中間取りまとめが行われ、本年夏をめどに目下鋭意検討していただいております。  これはあらゆる分野、例えば学識経験者、生産者、経済界、あるいはマスコミ、労働界、あるいは消費者団体等すべての代表を盛り込んで御専門に御検討いただいておりますが、それはそれとして、我が省としても、これに対応し得るいわば準備立てを私は指示しているところです。  また、林業におきましても、長年独立採算制を基本としてやってきましたけれども、木材価格が低落をし、外材に対抗し得ない、一方で人件費は高い、また、高齢化その他が大分進捗しているということから、林業に関してもいろいろ問題の多いところでして、現在、国有林野の問題については抜本改革を進めているところです。  また、漁業問題その他につきましては、これは相手のあることではありますけれども、日ロの漁業交渉は、年末にようやく成立を見ましたし、十一月には日中漁業協定の締結を見ました。日韓漁業協定は、不幸にして一月二十三日終了通告をしたところでありますが、残された一年の交渉期間に向けて、きょうも総理といろいろ協議をし、新たな対応に向かっているところであります。  ただ、それらのことをすべて御納得いただくまで網羅して御説明するということは物理的に不可能でございますが、少なくも農林水産委員会の専門的にいろいろ議論させていただいた方々の中に、我々が全く無為無策であるという御批判はなかったように思います。

武山百合子自由党

○武山分科員 恐らく、そういう答弁は今まで何十年と同じことが言われてきたと思います。私はそういう答弁を期待していたわけでも何でもなく、農林大臣として二十一世紀はこんなふうに夢のある農業をやっていくんだということを期待して聞いたのですけれども、やはり意思が通じなかったようで、全くそういうことを国民は期待しているわけじゃないのですね、今おっしゃったようなこと。それはそれでもう結構です。  それでは次に、ちょっと細かいことに入ります。  例えば、私の地域の越谷、いわゆる東京都に近い方なのですけれども、三郷、埼玉県でも南の方、東京に近いところは田畑、耕作地がたくさん残っているのですけれども、今はもうおいしいお米がとれなくなって、そのお米は外に売りに出して、それで自分たちはおいしいお米を食べているというわけですね。それで、空気も汚くなったし、水も汚くなったし、また化学肥料の面で、総合的な面で本当においしいお米がとれなくなっているわけなのですね。そういうところで、相変わらず農業振興地域ということで手放すことはできず、そうかといって何か耕作していかないと田畑は荒れてしまうわけですね。ですから、何かをつくらなければいけない。しかし、また減反でつくらないようにしなければいけない。そういう本当に、つくってもおいしくない、それから減反だということで、そのあたりではもう結局どうしたらいいかわからないという人たちが大変多いわけですね。  そういう農振地域、農業を振興させる地域として、制度では確かに残っているわけです。しかし、実際とれるものはまずくなってしまって、そこはもう本当に田んぼや畑として利用価値は余りなくなっているわけです。ですから、新たな発想でそういう地域を利用していかなければいけないわけですけれども、その辺はどういうふうにお考えになっていますでしょうか。

山本徹農林水産省構造改善局長

○山本(徹)政府委員 ただいま御指摘のような都市近郊の農地をどう活用していくかということでございますけれども、先生御案内のとおり、日本には今四百九十五万ヘクタールの農地がございます。そこで生産される農作物の自給率は主要な先進国でも最も低い水準でございまして、日本の農地の有効利用による農業生産の振興というのは大変大きな課題でございます。都市周辺の農地といえども農業的な利用、さまざまな工夫をすれば可能性はあるわけでございまして、具体的には、例えば汚水が流れ込むというような状況にございますれば、かんがい排水施設をもう一度整備し直すとか、あるいはきちんと区画整理をするとかいうような方法も考えられますし、また、都市近郊であれば、野菜とか花あるいは花木というようなさまざまな農業生産による所得の確保というような機会も大変多いわけでございます。  しかしながら、一方では、担い手の不足とか今のような条件が悪いといったようなさまざまな理由から、遊休化しているような地域もあると思います。  私ども、こういった土地につきましては、これは市町村あるいは地域ごとに事情が千差万別でございますので、具体的には、市町村の段階においては市町村の農業委員会が御案内のようにございますし、それから県の普及所、または農協、さらに県の試験場等の研究機関もございます。こういった農業関係機関の代表者、また地元の農業の代表者、集落の代表者等にお集まりいただいて、この地域の農地を、将来もし農地として利用するならばどういう作物をつくったらいいのか、あるいは基盤整備をするのならどういう形でどういう事業をしたらいいかというようなことを地元で御相談いただく、このための支援事業も行っております。  これは、このように農地として御利用いただくということを私ども最も期待するわけでございますけれども、いろいろ御検討の結果、農地として利用できない、他の目的に利用するのが適当であるという場合もあると思います。  こういった場合には、転用需要、これは工場用地、住宅あるいは植林というような転用需要がございますけれども、そういった関係の事業者等への情報提供を行いますし、また、今の農振制度、農地制度がございます。これは、地域市町村段階あるいは地域でこれを転用しようというお考えがまとまりますと、農振の農用地区域に入っておりましても、活性化構想というのを地元でおつくりいただきまして、農用地区域の除外が可能でございますし、またそういった地元での実需のある転用については、農地転用も個別審査で認めているところでございます。  またさらに、地域の所得機会あるいは雇用機会を確保するというような視点から、例えばこれは主として過疎地域等でございますけれども、農村への工業導入のための優遇制度、さらに農村での農村公園とか、あるいは都市住民のための優良な田園住宅の建設に対する支援等々の制度もございます。こういった制度を活用していただきながら、農業以外への転用も御検討いただければと思っております。

武山百合子自由党

○武山分科員 埼玉県の北の方にお米のおいしい地域があるのですけれども、北川辺村というところ、北川辺町になりました。そこはやはり利根川と江戸川のおいしい水と空気と土壌が合っていて、大変おいしいお米ができるわけですけれども、やはりそういう地域というのは、条件がそろっているものですから、それなりにできるわけですね。  ところが、今お話しのように、いわゆる都市近郊、それはもう歴史的に無理だと思うのです。汚染の状態がどんどんどんどん悪化するばかりなんですよ。ですから、それに農業を振興させるという、固守する考え方というのは、やはりこれからやめていくべきだと思いますね。つくってもおいしいものができない。それで、肥料は相変わらず化学肥料を使っているわけですから、それはおいしくなるわけないですよね。それに水も汚い、空気も汚い。  ですから、それはやはり宅地化していって、国民に安い土地を提供するとか、新しいニュービジネスを開発するとか、あるいはもっと、先ほどおっしゃったような、本当にそういう地域で農業に何が適しているのかということを真剣に考えて、もう考えていらっしゃるのだと思いますけれども、なかなかそれが発信として我々の耳に入ってこないものですから、それで相変わらず地元では、もう一年に一遍つくればいいということで、年もとっているし、休耕田にしておきたくないということで、現実はやはりつくってしまうわけです、担い手もいないしということで。  都市近郊はそういう状態で本当に切実な問題、それぞれの地域で農業はそれぞれの切実な問題を抱えているわけですけれども、やはり埼玉県のあの地域ではそういう問題が大変多いということと、若者の担い手がどんどんどんどん、やはり経済優先の社会であって、どうしても現金収入を得たいということでみんな外へ出ていって、それで高齢者が全部担っているという状況です。  それをやはり今お話ししていたような内容でぜひ早く、スピードを持って結論を出して、それから審議会だとか何とか委員会だとか、大変このごろは政治がリーダーシップを持って決めないで、何か審議会ばやりで、何とか委員会、何とか委員会と委員会ばかりでして、それがたくさんあるものですから、それをまた取りまとめるのに物すごい時間がかかっているわけですね。ですから、こういうふうに私のところに出た資料を見ても、平成六年とか平成七年とか、こういう古い資料が多いわけです。それは、いかにスピードさがないかということだと思うのです。  それで、ぜひ切実な問題を、感覚が全然別なようなことは言わないでいただきたいのです。現実に農業をやっていない人がみんな農業協同組合にかかわっているのじゃないか、農業を経験してない人が農林省に勤務しているのじゃないかとみんな思うように今なってしまっているわけですよ。それは、政府が考える政策が、農業に従事している人たちと全くかけ離れた部分が多いということなんですね、あのあたりでは。そう思われているから、実際にそういう不満が多いわけですよ。ですから、ケース・バイ・ケースで、やはりこれは地方分権の中で解決していく部分でもありますし、国が全体の枠をつくらなければいけない部分でもありますし、総合的な方法でやっていかなければいけないと思うのですね。  それで、若者に魅力ある農業ということでいろいろと出ておりますけれども、特に目玉商品で、これはすばらしいというものがありましたら、幾つかぜひ御披露していただきたいと思います。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 農産物、いろいろな種類がございますが、果実にしろ野菜にしろ、それぞれの分野でたくさんのものが出ております。  先ほど質問に、例えばリンゴの質問がございました。リンゴであれば、「ふじ」というような、大変日本で世界に冠たる品種のものが開発されまして、これが消費者に好まれておるという状況にございます。また、洋ナシでも、ラ・フランスとか、山形県で導入して大変成功している例もございますし、イチゴということになりますと、栃木県の女峰とか、そういう新しいいい品種が出ておりまして、こういうものがそれぞれの販売店でかなりの評価を呼んでいるものと思っております。

武山百合子自由党

○武山分科員 それはやはり「ふじ」、確かに大変おいしいです。私も本当に、品種改良されて、日本人の技術というのはすばらしいものだなと思っておりますけれども、それはその地域でそういう歴史と伝統があって、その中で技術開発されたものなわけですね。  それじゃ、例えば埼玉県みたいに田んぼや畑しかないようなところに対して、どんな魅力あることを夢として農林省は考えているのでしょうか。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 それぞれの気候風土というものに農業生産はかなり規定されますので、どこかの県でうまくいったから埼玉県でいいということには確かにならないと思います。  ただ、先ほどもお話がありましたが、北川辺へ行きますと、麦というのが大変よくできるところでありまして、米と麦の二毛作ということで大変名を上げております。麦というのはなかなか収量が安定しないのですけれども、あの辺では大変高い単収を上げておりまして、そういうことで非常に農業経営にしっかり取り組んでおられる方があるということを承知いたしております。  また、大豆につきましても、これも地域によって、取り組みようによってばらつきもございますけれども、これもそれぞれしっかり取り組んでおられる。ある程度団地化して、まとまって取り組んでおられるという地域につきましては、これも埼玉県内で当然例があるわけでございますが、しっかりとした経営を営み、収入を上げているというふうに承知しています。  また、秩父の方の山間部へ行けば、それなりの気象条件、多少平たん地とまた違ってまいりまして、地域なりの特産物は当然育てられているというふうに思っております。

武山百合子自由党

○武山分科員 北川辺町のように環境が整っているところは、やはりそれなりにみんな考えて生きていけるわけですね。秩父はもともとやはり風光明媚で、空気もきれいで、それなりに農業も営まれているわけです。  ところが、今一番の問題は都市に近い方ですね。そこの問題が一番山積みされて、空気も汚れている、水もきれいじゃない、それで土地も冷えている、そういうところでどうしたらいいかという問題が一番の問題なんです。それはもちろん農協やら農林省やらの指導でやっていかなければいけないわけですけれども、相変わらず次の新しいアイデアがなかなか生まれなくて、みんな四苦八苦している状態だという現実はもうおわかりだと思います。  何か私の質問時間がもう終わりだということで、これで終わりにしたいのですけれども、ぜひ二十一世紀の農業、やはり持続可能な農業、それから日本のお米にしても野菜にしても、日本人がつくるものは本当においしいものをつくるわけです。ですから、それはやはり大事な日本人の知恵と汗水垂らした農作物というのはそれなりの価値を持って、国民は今特に飽食時代で、おいしいものを少し食べたいという気持ちの人が多いわけですから、ぜひそれはもちろん維持しながら、新しい発想で新しい農業に活力を入れていかないと、若者が、また担い手がやっていこうという気にならなくなって、関東近郊はみんないわゆる田んぼや畑がなくなるという危機的状態なわけですよね。  ですから、それを本当に危機管理として、みんな今、日本の国民全体が農業に対してもちろん意識も持っていますし、どうしたらいいかということも考えておりますし、ぜひスピードを持ってあらゆる方向性をつくっていただきたいと思います。  私の質問、これで終わりにいたします。ありがとうございます。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて武山百合子君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木洋平君。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 きょうは畜産問題に絞って質問したいと思います。  まず、乳価、畜産物価格が今月決定をされるわけでございますけれども、先般、価格決定の基礎になる畜産物生産費調査が発表になったわけです。これによると、全畜種とも前年より上昇しておる。これは配合飼料の価格の値上がりというものが大きな原因であろうというふうに思います。また、生産者も経営の安定のためにコスト低減すべく大変な努力をしておる。その結果も現に出ておるわけでございますが、生産者側からいいますと、その努力、向上のメリットというものが本当に生産者に還元されるのだろうかという疑問もございます。  乳価、畜産物価格の決定については、きちんとしたルールに基づいて、現場の農家の生産費を調べ、国会の議論等を聞きながら、そしてまた畜産振興審議会にかけるというわけですが、今年、この価格決定に当たって、飼料の高騰あるいはまた農家コスト低減の努力が生産費調査にどのように反映されるか、そしてどんな影響として出てくるのか、お伺いします。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 ただいま先生から御指摘のありましたとおり、今月の十三日に公表されました生産費調査は、もちろん畜種によっていろいろ差はございますけれども、基本的には配合飼料価格の上昇ということがコスト引き上げの大きな要因になっている、そういうような結果に相なっております。  ただ、問題は、生産費調査が公表された際に、私ども常日ごろから御説明申し上げているわけでございますが、昨年三月、今年度の畜産物価格を決定いたしましたが、その際には既に、今年度における、九年度における価格水準というものを価格算定において見込んで、それが現在までほぼ見込みどおりに推移してきているという状態でございますので、その生産費調査で出たコストアップのうち、配合飼料価格の問題については一応現在の価格の中に吸収されている。  問題は、この四月以降のえさ価格がどうなるかという問題がございますので、そういったことを適正に織り込み、それから、先生も御指摘になりましたとおり、従来からそれぞれ畜種ごとに一定のルールというふうなものができておりますので、そのルールに従って適正に算定をする。それからもう一点、先生から御指摘ありました生産性向上の努力、農家がいろいろ努力をされて生産性が向上する、それをすべて価格でもって吸い上げてしまうのかということの議論があるわけでございますが、私ども、これもやはりルールの中で一定のものは生産農家段階に残すというふうな配慮もこれまでやってきたわけで、そういう努力を引き続き行うということで、これからいろいろ計算をした上で、審議会の御意見を聞いて、最終的に適正な結果を得たいというふうに思っております。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 これについては、委員会がありますので、後で質問させていただきます。  次に、黒毛和種の遺伝病についてお伺いしたいと思います。  最近、和牛において、脂肪交雑を重視する余り、近親交配が進んで遺伝病が発生するという状況にあります。これまでそういう血統に遺伝病が発見された場合には、いろいろな悪影響を考えて、その遺伝子を保有している種畜を淘汰しているわけですが、そのために、これらの種畜の持っておる経済的に非常に優秀な遺伝子が種畜とともに淘汰され、失われるということも心配をされております。このようなことが今後この和牛界に広がりますと大変な損失になるわけですが、これらに対する現状認識、これからの対応についてお伺いしたいと思います。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 御指摘のとおり、近年、和牛の遺伝病といたしまして、赤血球膜たんぱく質異常症、いわゆるバンド3欠損症と言われているもの、あるいは血液凝固因子異常症、これは牛の第13因子欠損症というふうに言われておりますが、こういうものの存在が明らかになり、しかも、これらの疾病については、遺伝子解析技術によりまして、生体の牛がその因子を有するか否かを判断することが可能になっております。  このため、現在、社団法人の家畜改良事業団において、黒毛和種の種雄牛を中心にこの遺伝子診断を行っておりまして、その結果を所有者にお返しをする、こういうような作業を行っております。現に、調べている中で一定の割合でこのバンド3欠損症は出てきているわけでございます。  ただ、この病気は、ただいま御指摘ございましたように、かなりの近親交配の中で生まれてきたのではないかということが疑われておりますが、そういうことから明らかなように、いわゆる劣性ホモと申しましょうか、両方の親から共通の因子をもらってきて、そうなったときに初めて発症する、こういうことでございますので、必ずしもその因子を持っているからといって直ちに淘汰をするということではなく、もちろん余り遺伝的形質がすぐれていなければ淘汰ということになるわけでありますが、すぐれた遺伝的形質を持っている場合には、近親交配を避けるとともに、遺伝子診断結果に基づいて交配をコントロールする、こういうふうな考え方で、経済的損失が起きないように指導を行っている段階でございます。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 今、事業団でいろいろ事業を推進している、この遺伝子の広がりやらあるいは頻度といいますか、あるいは発生状況というものを調査をするんだというお話でございますが、この検査をする場合に、経費はどこで持つのでしょうか。あるいは、畜主には検査結果を教えるということですが、これは公表するということになるのですか。ちょっとお聞きしたいと思います。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 経費につきましては、これは実は、この社団法人家畜改良事業団におきましてこういう事業を行うということについて国から一定の助成が行われておりまして、その中で診断経費については見ている、つまり、ただで診断をするから物を持ってきなさい、こういうような形で行われているというふうに承知をしております。  結果につきましては、先ほど申しましたように、本人に伝えるということがまず第一で、あと、都道府県当局にはその旨を連絡をしておる。それによって、先ほど申しました交配におけるコントロールがきくように、こういう趣旨でございます。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 いろいろと今手がけておるということですけれども、根本の原因は、やはり種雄牛の改良にあると思うのです。種雄牛の改良については、県あるいは民間、大きな国の団体といえば事業団ということになると思うのですが、こういう県とかそういう中での近親交配ということで出てくるのだろうと思うのです。こういう問題を解決するということになりますと、やはり国がこういう改良に、和牛の、すばらしい牛の質の改良になりますと、責任を持って国がやるのが私は当然だろうというふうに思うのです。非常にまだその辺は、国の方では、いや、各県が一生懸命切瑳琢磨してやった方がいいんだという御意見もあろうかと思いますけれども、いずれ国の責任でこういうものはきちっとやるべきだというふうに私は思っております。  次に、全国和牛登録協会が、優良和牛遺伝子保留協議会というのを組織したのですね。これは、御案内のとおり、今日本の和牛が、生体であったり凍結精液であったり、海外に大変な流出をしているという状況なんですね。これを何とか防ごうということで協議会がつくられたわけです。  これは実際に、和牛の輸出については法的規制はもちろんないわけですので、今大変な勢いでアメリカあるいはオーストラリアといったところに流れておる。聞くところによると、年間何十万という単位で和牛の本当にすばらしい遺伝子が流れているということを実際に聞いているわけです。  先般、ちょっとアメリカに行って見てきたのですが、十万頭クラスのフイードロットに行きますと、大体八%ぐらいはほとんど和牛とアンガスのF1なんですね。ほとんどそうです。そしてまた、日本向けにつくっているわけですから、もう管理も、普通はフイードロットといいますと本当に野外に放してやっておるのですが、そこには日よけの畜舎というか休息舎というのですか、そういうものをつくって、そして全く日本と同じような飼料を使って生産されている。あれを見て本当にびっくりしたのです。  そういうことで、どんどん種が流れておる、あるいは生体で流れておるということで、私は非常に心配をしているのですが、彼らに言わせると、このF1は、もちろん日本向けということは当然なんですが、普通の生産をするよりも三割も余計にもうかるという話を言っているのです。大体半分ぐらいのシェアにしたいというような話を言っておりまして、この辺の遺伝子がどんどん海外に流出しておるという状況をどういうふうに皆さんは受けとめておられるか、そしてまた、何か対応というものを考えておられるのかどうか、お伺いします。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 御指摘がございましたとおり、我が国の和牛の資源というのは、遺伝資源としては大変重要な、貴重な資源だろうというふうに私ども思っております。  したがいまして、先ほどお話が出ましたように、平成三年、和牛の一部の輸出ということが契機になりまして、和牛登録協会の方において、生産者の組織化を図って、生産者を啓発して、優良な遺伝資源をできるだけ国内に保留をしていこう、こういうような運動でもってできる限り優良な遺伝子を国内に保留をする、こういうことが生産者段階で行われている、こういうことであります。  ただ、私ども政府の立場では、やはりWTOなりそういう協定のもとでは、この輸出を制限するということは率直に言って不可能でございまして、そういった民間での御努力をぜひ期待するというのが率直な状況であります。  ところで、ではこれまでにどの程度の遺伝子が海外に出ているのかということでございますが、平成三年度から現在まで、九年度までの間に、生きた牛で百六十五頭の和牛が、これは全部米国でございますが、出されております。それから、精液といたしましては、平成八年度に五千本の精液がこれも同様に米国に輸出をされました。それから、あと受精卵の形での輸出ということが形の上ではあり得るわけでございますが、これはまだ実績がございません。そういうような実態にあるわけでございます。  ただ、私どもとしましては、今これだけのものが外国に出たというのは事実でございますが、優良な数多くの遺伝資源が国内にあるわけでございまして、それを使って国内における改良、増殖というものを一層促進して、もちろん外国でもそういうものを活用していろいろな御努力がなされるでしょうけれども、それに負けないものをやはりしっかり国内でつくっていくということを基本に対応していきたい、こういうふうに思っております。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 今、規制の方法はない、民間ベースで努力をしよう、こういうことです。まさにそうだろうと思いますが、今おっしゃったように、和牛の遺伝子が外国に流れる、アメリカに流れる。アメリカでは、この和牛のすばらしい遺伝子を改良してよりいいものをつくろうということで、大変な研究をされているのです。  そういう意味では、余り後ろ向きの議論よりも、日本でももっと、さっき申し上げましたとおり、種牡牛の改良にしても県あるいは民間がやっているのですね。ですから、今は本当に生きるか死ぬかという日本の畜産なんです、牛なんです。そういう場合に、生きる道というのは、今の和牛よりももっといい和牛をつくって、そして外国と対抗する、これがまさに今求められているわけでございまして、ハイブリッド牛といいますか、そういうものの作出を一日も早くやっていただきたい。再度。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 確かに、我が国における和牛の改良の歴史というのは、基本的にやはり都道府県単位で行われてきた。各都道府県でそれを競って進めてきたというのが、一面では大変優良な資源をつくり出したという肯定的な側面と同時に、今先生御指摘のとおり、もうここまで来た段階で、より広い、広域的な立場で改良を進めていくべきではないかというふうな段階に来ているのではないか、そういう御指摘があるのも私どもも十分承知をしております。  ただ、なかなかその県単位で、ある意味での閉鎖性ということがございまして、私どもが声をかけるだけで一朝一夕に解消するというものではございませんので、そういう御指摘を踏まえながら、私どもとしても、より全国的なレベルでの改良ということに努力をしていきたいと思います。  それと同時に、いろいろ遺伝子技術というか、そういうことを含めまして、改良を促進するための手段としても新しいものが出てきております。典型的には、きょうだい検定というふうな形で、受精卵を移植する形でもって一度に多数の種雄牛の検定ができるということもございますし、今回も新たに、これまでステーション検定からフィールド検定へと順番を追っていったのを、一挙に、並行的に進めて、その改良の速度を速めようというふうなことも明年度から取り組みたいなというふうに思っております。  そういうような努力も含めまして、先ほど申しましたように、和牛のせっかくいい資源が国内にあるわけでございますから、これを活用していきたいというふうに思っております。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 ぜひ一日も早いハイブリッド牛の作出に努力していただきたいと思います。  次に、ちょっと話は変わりますが、牛肉製品の産地表示というのは、国の表示ですね、これはどういうふうに決めてあるのですか、まずそれをお伺いします。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 実は、国内で売られます小売段階での原産国表示の問題につきましては、一昨年三月、狂牛病が特に人間のクロイツフェルト・ヤコブ病の原因になっているのではないか、こういう話がイギリスで論文が出されて、国内でも大変心配の声が上がって、これへの対応ということで、平成八年に、私ども、一定のガイドラインということで示しております小売段階での品質表示基準という中で、牛肉、ほかの肉もそうでございますが、原産国を表示する、こういうことを中身を改正して各小売の皆様方にお願いをした。  それと同時に、団体というか小売の側でも、いわゆる公正競争規約というシステムによりまして、自分たちで規約をつくって、それを守っていく、守らない場合には一定のペナルティーがかかる、そういう措置の中におきましても牛肉について原産国表示を行うということが決められておりまして、それ以降、巡回指導等を行っておりますが、かなりの確度というか、高い比率で牛肉については原産国表示が行われている、そういう状況でございます。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 指導ということですけれども、例えば生体で日本の国に、飛行機でも船でも結構ですが、入ってくる。そして、検疫を受けて屠場に入る。そうしますと、日本国原産というふうに、なるとは言っていません、でもいいんだ、こう業者の皆様方が言っておられる。  現に、先般も福岡に何頭か入りました。それをある業者が、買った人が全部日本で屠殺をした。生産したということで国内産ということになるそうで、これは、原産地、生産地というのはどういう定義なのか。現にそういうことが行われているわけですね。その辺はどうなんですか。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 ただいま私どもは、先ほど申しましたガイドラインなりあるいは公正競争規約において、原産地表示を行う、そういうことを決めている際に、一体どういう場合を原産地とするのだ、特に、外国から輸入されて直ちに日本の屠畜場において屠殺された牛の表示をどうするか。こういうことに関しましては、私どもそういう場合には、日本国内で肥育が行われていれば別でございますが、それがない場合には、生きている段階で来た国、そこを原産国とするようにというふうに指導を申し上げております。  ただ、残念ながら、これはまだ国際的に認められた考え方ではございません。国際的には今関係国が集まって議論をしておりまして、やはり加工製品の最終的な加工地というか、それを原産国とすべきだというふうな伝統的な考え方もございまして、各国の意見が対立している。アメリカとか豪州等は、屠殺地が原産国である、そういう主張をしておりますし、EUとか我が国のようなところは、いや、そういう場合には、日本国内での肥育がない場合には、やはり生きて出たその国が原産国であるということで、主張が対立しているという状況にございます。  ところで、先ほどお話ございました福岡での例というのがどういう場合の話だったか、私、今必ずしも十分把握しておりませんので、的確なお答えになるかどうかわかりませんが、たしかことしの二月に行われました福岡での、外産牛を屠場直行牛として持ってきて、枝肉にして競りにかけたというときには、明確に、外国産の牛です、そういうことを表示して競りにかけたということが福岡においても行われているというふうに聞いております。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 これは、確かに国際的にはいろいろな問題があるとは思いますが、やはり日本政府としてはっきりした方向を出すべきだろうと思うのです。  現場に行きますと、確かに、外国産、外国牛だといっても、実際に、仲買の人でも結構ですが、購買者は、あれは屠場の印がありますから、国内産だという認識でいるのですね。私は、その辺をやはりきちっと国内で議論される、国際的に議論されるよりも、まず日本はこういうふうにするんだということをはっきりすべきだ。こういうことをやっていますと、だんだんいろいろな問題が起きてくるのではないかと私は思います。ぜひそれをお願いしたいと思います。  最後になりますけれども、大臣にお伺いしたいと思うのです。  食糧、農業、農村をめぐる新しい農業基本法が制定をされるわけでございますけれども、またWTOの交渉を目の前にして、二十一世紀のあるべき畜産といいますか酪農といいますか、大臣の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 ついせんだって、OECDの農相会議に行ってまいりまして、その際にもさんざん議論があったところでございますが、何よりかにより、我が国の農業あるいは林業、水産業、他国とは比較のしがたい現実を抱えておりまして、規模の面でもそうですし、自然環境その他の厳しい条件の比較においてもそうですし、その意味では畜産業もこの例に漏れないわけであります。  そういう意味で、委員の地元では、例えば前沢牛のように、今日本でも屈指の評価を受ける肉牛を生産するなど、大変厳しい状況の中にも創意工夫を凝らし、見事なものを、製品をつくり上げて、日本人の非常に高度の味覚といいましょうか、あるいは高品質を求める要請にこたえているところでありますが、それはそれとして、やはりスケールが小さい。規模のメリットというのは歴然たるものがありまして、これらを守るところに我々はきゅうきゅうとしているところでございます。  さはさりながら、我が国、例えば穀物自給率二九%に象徴されますように、すべての食品においていわば供給が十分でないわけでありますから、この厳しい中にあって、また採算的には合理性を持たない中にあっても、あくまで農業も林業も水産業も、そして畜産業も手厚く保護をしながら、常に第一線で働く方々が将来に向かっての希望を失わないような環境づくりをするのが我々の務めである、こう考えているところであります。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)分科員 大変厳しい時代でありますけれども、日本の畜産農家が夢を持ってその仕事に携われるように、そしてまた、後継者も立派な後継者が育つように、これからもなお一層の御努力を賜りたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて佐々木洋平君の質疑は終了いたしました。  次に、中路雅弘君。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 きょう私は、一月の山梨県下を襲った豪雪の問題で御質問しますが、これは大臣も二月に現地に行かれましたので、よく概略を御存じのことだと思います。  御存じのように、これは本当に一月の記録的な豪雪による被害ですね。県内の農業に約五十一億円という最悪の被害をもたらしましたし、被害の面積が七百三十七ヘクタール、うちブドウ棚、ブドウハウス等の倒壊が六百八十六ヘクタール。このブドウハウスの被害面積は栽培面積の約一三%に上り、ブドウの県内年間生産額の約一割に当たる二十億円の減少が見込まれています。被害農家は四千九十五軒、うちブドウ農家が約三千軒で、果樹農家の被害が非常に甚大だった。  私も一月に、この豪雪のあった直後に山梨県へ行きまして、大臣も行かれたところとダブつたところもあるのですが、白根町のサクランボサイドレスの倒壊、八代町のブドウ棚の倒壊、甲西町の野菜ハウスの倒壊、それからこれは学校ですが、河口湖町や富士吉田市で三つの中学校、高校の体育館が崩壊するということがありましたので、現地を見てまいりました。  二月のたしか十四日だったか、国会の合間で、大臣わざわざ山梨県に行かれまして、私も新聞やテンビで見ておりました。御存じのように、果樹の場合は、ちゃんと改善するまでに、植栽後最低七、八年はかかるのですね。収入を得ることがその間できないわけですから、いろいろ大変な訴えもありました。  具体的な問題は後で担当者にお聞きしますけれども、最初に、大臣が現地を見られての認識、そして、国もできる範囲でこの援助を財政面あるいは融資の面でもやっていただきたいと思うのですが、大臣のお考え、認識をお聞きしたいと思います。     〔主査退席、岸田主査代理着席〕

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 ただいまお話ございましたように、私は二月十四日に、山梨県の豪雪の現地被害の状況をつぶさに見せていただきました。知事を初め国会議員、県会議員、そして農業、それぞれの分野の代表者等から非常に切実な御要請を伺いまして、現地の厳しい実態を改めて思い知らされた気がしたわけであります。  ただ、現地では、逆に驚きましたことは、山梨県が、知事が先頭に立たれて非常に積極果敢に取り組んで復旧に当たっておられたということでありまして、高齢者が多いことから、途方に暮れているのではないか、実はそういう予想をして行ったところでありますが、これに屈したら大変だということで、むしろ意欲的にこれに取り組んでいたこと。それから、県民の皆さんが、知事以下県当局の対応に信頼を寄せまして、自分たちもこれに呼応するという姿勢を見せておられたことも意外と復旧の結果につながっていったのじゃないか、こんなふうに思います。  ただ、まだ大変に打ちひしがれた状況をつぶさに見たわけでありまして、私は、その際感じたことでありますが、測候所始まって以来の豪雪ということでありますが、水分を非常に含んだ雪が重なって降ったことであの大きな被害になった、驚くなかれ、大人のももくらいあるような鉄柱がひん曲がっていたり、今御指摘があったように体育館がつぶれたり、想像以上のものがありました。子供のころみんなで見学に行きました勝沼その他の広大なブドウ畑がことごとくやられておりまして、これの復旧には大変な思いがするということで、私ども農林水産省に限らず、関係各省みんなに呼びかけをして、実態の報告をし、我々は待機をしたところでございますが、むしろ知事の方から、どうやら独力でこれを何とかこなしていけるので、力の足りないときにはお力添えをしてほしい、こういうことでありました。  ただ、当然のことに、共済金の早期支払いとか資金需要への適切な対応とか、あるいは産地対策等を万全に進めるとか、こういうことについては、これは言われるまでもないことでありまして、想像以上に大きな被害を実際に見てきた我々としては、今後彼らが新しくまた、今まで世間に知られたブドウであり、サクランボであるというものを立て直すときには最善の努力をしていきたい、こう感じたところであります。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 今おっしゃったように、現地で被害を受けた果樹の農家も、それから地方自治体も、今復旧へ非常に努力を傾けています。しかし、破損したブドウ園の撤去だけでも、十アール当たり露地で五十万から百万円、さらにブドウ園として復旧する場合は、露地で百万円、ハウスで四百万円からの経費がかかると聞きました。この大きな経済的な負担に加えて、高齢者が多いのですね。高齢被災農家からは、後継者もいないし、改修しても収穫までに数年かかるのでやめたいという声も率直に聞かれました。被災面積の三分の一も復旧すればよいのではないかという声も農協関係者から聞いたわけですけれども、今県内農業の中心である果樹農業がこの豪雪被害で非常な被害を受け、特に私は、高齢化が進む中で先行きの問題で非常にみんな不安を持っておられるということを痛切に感じたわけです。  そこで、最初に財政支援、金融問題等で二、三お聞きします。  山梨県も施設の撤去、苗木代などについては三分の二の補助を出したりいろいろやっていますが、倒壊施設の撤去の後の施設をつくる場合の融資の問題とか、あるいは大臣も直接訴えられたそうですが、野菜の、つぶれた選果場がありますね、この再建の補助の問題等も聞きましたけれども、こうした点について、どのように今具体的にやっておられますか。

熊澤英昭農林水産省経済局長

○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  初めに融資の点でございますけれども、雪害によって被害を受けましたハウス等の施設の復旧につきましては、農林漁業金融公庫の農林漁業施設資金あるいは農業近代化資金等で対応が可能でございまして、これらの資金につきましては十分な融資枠を確保してございますので、活用していただきたいと思います。  また、その際に、困難な状況の中で、被害農業者の方々の返済条件の緩和という問題も生じているというふうに存じておりますけれども、そういった点につきましては、それぞれ個々の農家の実情に応じまして中間据置期間を設定するとか、あるいは償還期限の延長等の条件緩和につきまして、既に農林漁業金融公庫等関係機関におきましてはそれぞれの実情に応じまして個別に相談に応じておりますから、相談いただきたいというふうに存じます。  それから、今先生御指摘のございました倒壊したブドウ棚とかビニールハウスを撤去する場合の費用でございますが、これは、農家の方が撤去した後農業をやめてしまわれるとなかなか難しいのでございますが、撤去した後同じような施設を設置するということでありますれば農林漁業金融公庫の資金あるいは近代化資金で対応できますので、これまた御活用いただきたいと思います。

山本徹農林水産省構造改善局長

○山本(徹)政府委員 桃の集出荷の代替施設についてお答え申し上げます。  二月十四日の農林水産大臣の現地の御視察の折にも、この代替施設を農業構造改善事業により整備されたいということを現地より御要請を受けておられるところでございます。これは、平成十年度の農業構造改善事業の事業対象としてどうするかということになるかと思います。十年度の予算案は、構造改善事業の要求額が前年に比べて一〇%という大変厳しい内容になっておりますけれども、予算が成立いたしますれば、山梨県とも早急に御協議した上で、その対応について検討、決定してまいりたいと考えております。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 今お話があった融資のことで、農林漁業金融公庫の資金、農業近代化の資金ですが、この制度融資の問題で、特にやはり償還期間の延長の問題とかあるいは被害農家の制度融資の償還条件の緩和、こういった点について強く出されておりますが、もう少し具体的にどういうお考えか。

熊澤英昭農林水産省経済局長

○熊澤政府委員 先生今お尋ねの返済条件の緩和、特に返済期間あるいは据置期間でございますが、これはそれぞれの個々の被害を受けた状況、経営困難な状況によって条件緩和の状況は違います。例えば、農林漁業金融公庫が個別に御相談を受けまして、それぞれ個々の農家ごとに条件緩和の条件を設定しておりますので、個別に御相談いただきたいと思います。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 私、きょうは農業共済制度の問題についてお尋ねしたいのですが、農業は、他の産業と違って自然条件に依存することが大きいわけですから、農業被害が予期しないときに発生する。それで農業災害補償法に基づく救済制度がつくられているわけです。  現在、現地で調べましたら、この農業共済保険の一つである園芸施設共済には、県内の五千六百四十三施設のうち二千百五十五棟、三八%が加入しています。しかし、果樹共済には、これはたしかブドウとか桃とか四種類が対象になっていると思いますが、有資格面積七千八百ヘクタールのうち千二百二十ヘクタール、一五・七%しか加入していない。  それから、果樹共済には、すべての自然災害が対象になる減収総合方式と、暴風や凍霜害あるいはひょう害などに災害を限定した特定危険方式の二種類あるわけですが、果樹共済の加入農家一五・七%の中でも、今回の大雪被害の対象となる減収総合方式の共済に加入しているのはたったの五百二十ヘクタール、六・六%なのですね。  こういう点を見まして、現地から出たのは、一つは、特定危険方式の共済の災害対象の中に雪の害を加えてほしいというのが出ているのですよ、今対象が五つあるのですが。聞きましたら、今まで過去には雪は要望していなかった。こんな記録的な雪があるとは思わなかったし、それから掛金も高いという点もあって、いろいろそういう原因もあるでしょう、入っていなかったのだけれども、今回の事態を見て、これからも異常気象が続くと思われますし、地球温暖化の中でしばらく続くでしょうし、こうしたことを考えても、掛金の問題もできるだけ検討してほしいのだけれども、雪を改めて対象にしてほしい。  今まで要望がなかったから入ってなかったという点もあるかと思いますし、これは山梨県だけではなくて、共済制度の問題、全国的な問題にもかかわりますから、きょうどうするということまではいかないのですけれども、ぜひこの雪の問題を、強い要望が出ていますので、改めてこれを対象に加えることを御検討いただきたいと思います。

熊澤英昭農林水産省経済局長

○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、確かに山梨県では、今先生がおっしゃったのは有資格農家の加入率を挙げられたと思いますけれども、果樹で、全国平均で見ましても二五%ですが、山梨県では一四%ということで、たしかリンゴとブドウと桃とスモモが山梨県では対象になっておりますけれども、加入率が極めて低いという状況にございます。  これは、恐らく山梨県の場合には、これまでこのような大きな被害がなかったものですから、農家の方の危険に対する意識が低いということと、観光果樹園が割合多いものですから、そういう方々はどうしても加入率が低いとか、そういった条件が重なって加入率が低いというふうに考えられます。  その点につきまして、私ども、例えば今先生がおっしゃったのを特定危険方式で入るとか、その場合には保険料が安いわけでございますので、県によってはそういう特定危険方式を特に集中的に農家の方に教えて加入率を高める、そういうようなことをやりまして加入率を高めた例もございますので、こういう災害を機会に農家の方にも意識を持っていただいて、共済団体ともども連携をしながら加入率の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。  そこで、今先生が御指摘になりました特定危険方式に雪害を追加するという問題でございますが、実は先生御承知のとおり、今の特定危険方式では暴風雨とひょう害と凍霜害ということで、雪害が入っていないわけでございます。雪害の場合には、樹体共済というのがございまして、この樹体共済の中には、風水害、干害と並びまして雪害が実は入っておりますので、本来ですとこちらの樹体共済に入っていただくのが本筋かと思われます。  ただ、他方で、この樹体共済の加入率が極めて低いという実態もございますので、そこは私ども、この樹体共済のあり方を少し検討しなければいけないというふうに考えております。同時に、特定危険方式の中に雪害を入れるということにつきましては、逆に過去の災害例が極めて低いということがございますので、保険料率についても算定がなかなか難しいというような状況もございます。  いずれにしましても、先生の御指摘もございます。慎重に検討してまいりたいと思います。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 もう一つ強く出たのは、ブドウ棚の問題なのです。  これは、私の方に連合会からいただいた文書の中にもあるのですが、今回の災害で一番大きな被害を受けたのはブドウ棚の倒壊である、その復旧及び再建にかかわる費用は莫大で、収穫不能、収入の道を閉ざされた果樹農家にはさらに大きな負担になっていると。今回の雪害において、果樹農家から異口同音に発せられた言葉は、果樹共済にブドウ棚の補償できる道を開いてほしいという言葉だということが組合の、私がお聞きした中にあるのです。このブドウ棚を果樹共済の中に含めるという、これも新しい問題ですから、ひとつ強い要望なので御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

熊澤英昭農林水産省経済局長

○熊澤政府委員 ブドウ棚の共済対象の点でございますけれども、先生御承知のとおり、今回の雪害によってブドウ棚が被害を受けたというのは実は極めてまれな例でございますので、従来この種の保険需要、つまり保険を設定してくれという要請が全くなかった事例でございます。今回初めてあったわけでございます。そういう意味で申しますと、保険設計自体がなかなか難しい事例ではないかと思いますが、これも慎重に検討させていただきたいと思います。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 幾つか出ていましたけれども、この問題でもう一つだけお聞きします。  被害に遭った場合の共済金の支払い単位の問題ですが、これが、園地単位ではなくて、三割を超える減収となったときに支払われるという方式ですが、農業技術も進歩して、農薬や肥料が数段に改善された今日、なかなかこの方式は実態に合わないのじゃないかという意見も出ているのですね。この面でも加入メリットが少ないという意見も出ているのですが、この支払いの方式を園地単位に改善する、変える、この点はいかがですか。

熊澤英昭農林水産省経済局長

○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、米の場合には一筆単位から始まったわけでございますけれども、保険のあるいは共済の流れで申し上げますと、一筆単位から農家単位へというふうに保険の仕組みをだんだん変えてきているのは御承知のとおりであります。  果樹共済の場合には、昭和四十八年からスタートしておりますけれども、その時点では、一筆単位というよりは、むしろ農家の収入全体を見て保険設計をする方が設計としてはしやすい、あるいは保険料率も有利に働くということで、農家単位でスタートしたということがございますので、合理的な保険設計をするとすれば農家単位の方が合理的ではないか、園地単位にするとむしろ保険料率が上がってしまう可能性が高いのではないかということが考えられます。  そういうことでなかなか難しいのではないかというふうに考えますが、御承知のとおり、方式の中では、二割が足切りの手法も種類によって取り入れているわけでございますので、その環境、土地条件によっても違いますけれども、それぞれの地域に応じた果樹共済、特に部分的に二割の足切りの種類を選択していただくとか、そこは共済組合と農家の方々の間で十分話し合いの上、適当な引き受けの方式を選択していただいて加入率を上げていただくということがまず重要ではないかというふうに考えております。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 大臣、今お聞きになったとおりに、果樹共済についていろいろ要望が出ていますし、これはすぐに全国にも関係してくることですから難しい問題ですが、今局長おっしゃったように改めて検討するというお話です。制度ができても加入者が出てこないのじゃこれは機能しませんから、そういう点をできるだけ配慮していただいて、農林水産省としてこの果樹共済の制度の中身の検討についてはぜひお願いをしたいと思いますが、いかがですか。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 大変ごもっともな提言ですから、我々も既にそういう姿勢ではおりますものの、改めてまたそういう指示を繰り返したいと思います。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 では、この問題でもう一点だけ。  先ほどもおっしゃったように、私も驚いたのですが、ハウスなんというともっと小さいのかと思ったら、倉庫のようなでかいものでして、それが全部鉄骨のものがひっくり返っているというのを見てびっくりしたのですけれども、経済性の問題も含めて、雪にも耐えられるような施設、どういう施設がいいのか。つながったやつがつぶれている場合が多いわけですから、その建設の問題についても一定のマニュアルをつくって、どういうふうなやつが一番耐えられるのか、あるいは経済的にも、余り費用がかかったら大変ですけれども、その点についてのひとつ研究をしていただきたい、あるいは今の、つぶれていないけれども相当やられているところの点検だとかあるいは補強、これは県と相談していただくことになりますが、こういった点もぜひ対策を進めてほしいと思いますが、いかがですか。

三輪睿太郎農林水産技術会議事務局長

○三輪政府委員 お答え申し上げます。  積雪に強いハウスの建設に資するため、これまで、要するに雪が滑り落ちやすいような施設の形態と素材、それから施設の荷重耐性を高めるための構造、あるいはその施設の中の設定温度の工夫による被害の軽減といったものを解析しまして、合理的な耐雪基準の設定方式を研究してきたところであります。  こういう成果は、平成九年三月に改定されました日本施設園芸協会による鉄骨ハウスについての園芸用施設安全構造基準にも反映されております。それで、地域の気象条件に合ったハウスづくりの基準として使われているわけでございますが、お話にあったように、今回の山梨県のような何十年に一回という、平素の気候下で大きな積雪がないようなところの被害はいろいろ新しい研究課題を生んでおりますので、そういった課題を中心に、ハウスの耐雪性向上に一層研究開発を進めてまいりたいと思っております。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 私、一月に、直後に視察に行って、その後農水省へ行きまして、幾つか現地の話もしました。その際に、農林大臣も行かれる計画だという話を聞いたのですね。予算の最中ですから、忙しくて本当に行かれるのかなとそのときは思っていたのですよ。そうしたら実際、ちょうど山梨に行っているときにテレビを見ていましたら、来られたという話なんで、せっかく現地まで大臣に足を運んでいただいて現地を見ていただいたので、御答弁が局長からあったような問題についてぜひ促進をして、一つでも二つでも具体的に現地の農家の人たちが喜ばれるような施策を進めてほしいということを希望しておきます。  それで、あと一つだけ。文部省来ておられますか。  同じ雪害でもう一つ視察してびっくりしたのは、体育館が崩壊をしているのですね。私、行ったのは二つなんですけれども、三つ、北富士工業高校、それから河口湖南中学、一宮中学というのが、体育館がそんなに古くないのが屋根から鉄骨全部つぶれて、私、土曜日に視察に行こうと思ったら、その日まだ雪で、途中で、河口湖へ来るのは危ないなんて言われたのですけれども、ちょっと道路を無理して行きました。土曜日でしたけれども、校長先生以下皆出てきてくれて、現地を見たのですけれども、生徒が帰った後だったのですね。これは生徒がいたら大惨事だった、そういう崩壊なんですよ。  この問題について、一日も早く体育館を復旧してほしいということを学校の校長からも強く要望されました。山梨の県議会でも論議になっていると思いますが、改めてこの三つの体育館、北富士工業高校、河口湖南中学、一宮中学の体育館の倒壊、新しく体育館をつくるという問題について今どこまで進んでいるか、ちょっと具体的にお話しください。

高塩至文部省教育助成局施設助成課長

○高塩説明員 文部省といたしましては、災害発生直後に担当官を直ちに派遣いたしまして、児童生徒の安全確保を図ると同時に、教育活動の回復のためにできるだけ早く復旧事業を行うよう指導を行ったところでございます。先週の三月の十日から十三日にかけまして、今先生からお話のございました全壊をした三校を含めまして、十一校につきまして災害復旧の現地調査を行ったところでございます。  現在、財政当局と復旧計画の内容についての協議を行っているところでございまして、協議完了後速やかに新築復旧に着手できるよう国庫補助を行う予定といたしております。予算の措置につきましては、地元の強い要望を踏まえまして、今年度内に対応するということで現在進めているところでございます。

中路雅弘日本共産党

○中路分科員 時間になりましたので、終わります。

岸田文雄自由民主党

○岸田主査代理 これにて中路雅弘君の質疑は終了いたしました。  次に、小野寺五典君。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 自由民主党の小野寺五典です。本日は遅くまで大変御苦労さまです。  きょうは、特に私も農林水産業を愛する議員として、またそういう地域からお支えをいただいている議員として、まず、この農林水産業を守り、そして将来に明るい見通しを持ちたい、そういう共通の認識で御質問をさせていただきます。  まず初めに、どうしても現在、いろいろ地域の声を聞きますと、農家では昨年来の米の価格の低迷、しばらく続いておりますが、特に専業農家ほど、今の米の価格ではやり切れない、そういう声がたくさん上がっております。ぜひ、その米の生産調整の基本的な考え方をお聞かせ願えればと思うのですが。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 米につきましては、御案内のように、大幅な需給ギャップがございます。これが大体三割ぐらいの需給ギャップでございます。この三割というのは大変なギャップでございまして、このままの需給ギャップを放置して生産を供給力のままに行うということになりますと、現下の米の値段の、いろいろ議論はありますけれども、一万円を割るような、そういう時価形成ということになってしまうと思います。そうなりますと、コストで見てもどうしても大体一万円はかかります。一万円というのは物財費だけでも一万円ぐらいかかりますから、一万円以下の価格ということになってしまうと、まさに生産は壊滅的になるというふうに思われます。  こういった認識から、生産者の方、生産者団体の方からも、大変生産調整というのはきついことである、しかし避けては通れないということで、特にこの十年度から二年間の対策として、緊急生産調整推進対策を実施するということにしたところでございます。  この米の生産調整対策は、反面、米の生産を調整する、生産を抑制するということによって需給と価格の安定を図るということでございますが、もう一つの反面におきましては、自給率の低い麦、大豆、飼料作物などへの転換を図る、その定着を図るということで、そちらの方で生産し、所得を得ていく、こういうことを基本として推進しているわけでございます。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 非常に米の環境が厳しい中で、何とかその生産調整をし、それから政策的に転作をしよう、そういう御努力は理解できるのですが、その中で土地改良事業、この事業の中で幾つかいろいろな声を地域から聞きます。特に、土地改良事業の場合、最近、負担金という問題が大分クローズアップされているのですが、ちょっとその負担金というもの、平均的な改良事業をやった場合に例えば一反歩当たりどのぐらい必要なのか、その辺教えていただきたいのですが。

山本徹農林水産省構造改善局長

○山本(徹)政府委員 土地改良事業の負担金につきましては、これは地域によって大変大きく差がございますけれども、主として負担金の対象となりますのは、圃場整備、農地の区画整理、それからかんがい排水施設の整備が比較的大きな割合を占めていると思います。  圃場整備でございますと、十アール当たり百万円程度の事業費でございまして、このうち国が五〇%程度、それから県、市町村が一般的に言えば三五%程度、農家の負担が一五%前後ではないかと思います。したがって、十アール当たり十五万円ということになりますが、これを二十年あるいは三十年程度の土地改良のローン、年払いの、延べ払いの償還金という形で払ってまいりますので、これにさらに、時期によって違いますけれども、公庫等の借り入れがございますので、高いときには六%程度の金利を支払っている、これは十年以上前でございますけれども、支払われている場合もございまして、償還総額としては、この十五万円の利払いでは実質的にそれ以上にはなる。これを二、三十年で返しますと、一万円あるいはそれに近い金額かと思われますが、これに、かんがい排水事業がもし国営、県営、団体営等ございますと、これにまた何千か何百か上乗せされるということになります。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 私が幾つかの農家あるいは土地改良区で聞いたところによりますと、一年間に大体二万円から二万五千円ぐらい一反歩当たりかかるというようなお話を聞いています。それでは、現在国が生産調整を行っているのですが、その生産調整の補助金、これは平均的に一反歩当たりどのぐらい出ているものなんでしょうか。

高木賢農林水産省農産園芸局長

○高木(賢)政府委員 どういう生産調整のやり方をやるかということによって大きく異なっております。平成九年度までの例で申し上げますと、現実に受け取っている方、最高額五万円、それから、いわゆる自己保全管理というようなことですと四千円ということで、大変幅がございます。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 多い方で五万円、少ない方で四千円。それから、例えば調整水田、水を張った場合ですと一万八千円か九千円ぐらいだと思うのですが。そうしますと、じゃ、生産調整をしろということで生産調整をします、それで、例えば水を張ってそのままにしておく、それで一万八千円か九千円ぐらいが農家に一年間一反歩入る。ところが、土地改良区であれば負担金というのが二万五千円ぐらい一年間かかる。そうすると、米を全然生産しなくても六千円の出し前になります。実はこういうことがあちらこちらで聞かれているのですが、そういうことについてはどういう対応をとられているのでしょうか。

山本徹農林水産省構造改善局長

○山本(徹)政府委員 この二万数千円の負担金というもの、これは多分二十年、三十年にわたってというような長期ではなくて、負担金も年によって、これは事業が五年とか十年かかって相当大がかりな事業でございますので、それぞれの地域は。これを、やや複雑な計算になるが計算いたしまして、毎年の負担金が初めは数千円と安くて比較的低い水準で、一番のピークが十五年前後のときに二万数千円になる。多分その一番高いときのことをおっしゃっているんだろう。それからまた漸減してまいります、山のような形になりますけれども。確かにそういう二万数千円で、一方では水田を休耕という形にされる場合の所得に見合わないのではないかというお話でございますけれども、水田も、これも全部休耕するわけではございませんで、稲作に利用されるところ、また、麦、大豆、飼料作物、野菜等の転作作物……(小野寺分科員「休耕というのは稲作に使わないのでしょう」と呼ぶ)そうです、稲作に使わないわけですけれども、一〇〇%、例えばある農家が何ヘクタールか持っておられる、五ヘクタール、十ヘクタール所有しておられる農地を全部稲作に使われないということではないわけでございまして、これは、地域によってお米を生産できない面積は違いますけれども、大まかに言って、三分の二程度は稲作に使われる、それから三分の一をほかの作物あるいは休耕等に使われるという形で、全体として農業所得を見るということが適当でございます。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 まず、現在専業農家ほど、要するに稲作をやってはなかなか生産が上がらない。ですから、田んぼをやっていてもだめなんですよね。その中で減反をして、じゃ、全部減反しようか。減反してもやはり何千円か負担金を出さなきゃいけない。ですから、もう完全にどうしようもない状況であります。  それから、今転作というお話をしましたが、こんなことがありました。じゃ、転作をしますということで田んぼを全部畑に変えました。そこで野菜をつくりました。当然構造改善していますから、そこで例えば水をくんだりあるいは水を排水したりということで、ポンプの作業、揚排水の作業がかかります。これがもし全部米をつくっているのであれば、大体一年間のうち半年ぐらい、六カ月ぐらい、例えば水を電気を使って揚げたりあるいは排水をしたり、あるいはその管理をすればいいということでありますが、現在、国が転作を奨励している例えば大豆の場合ですと、ある地域では、これは完全にその土壌は乾いていなければいけない。そうすると、通年、ほとんど通年に近く揚水をする。野菜に至っては通年水をそこに引かなければいけないということで、今までは半年の管理費で済んだのが、十二カ月、倍の管理費になっています。そういう、土地改良区ではやればやるほどいろいろな面でのコストが非常に高くなってくる、そういう状況があるのですが、その点についてはいかがでしょうか。

山本徹農林水産省構造改善局長

○山本(徹)政府委員 転作に伴い、土地改良区のかんがい排水施設の維持管理費が高くなる、これは確かに先生御指摘のとおり、事実の面があると思います。したがって、私ども、この土地改良施設の維持管理費をできるだけ圧縮するということが農業経営の安定に重要でございますので、特にこの点については予算等でさまざまな工夫をしているところでございまして、具体的に御説明申し上げさせていただきますと、特に大規模な公共性の高い施設につきましては、国による直轄管理、あるいは県、市町村の管理、これに対する助成を行っております。それから、土地改良区が管理される施設につきましても、施設の整備、補修に対する助成、あるいは施設の管理技術に対する指導費に対する助成を行っていまして、できるだけコストを下げる努力をいたしているところでございます。  平成十年度の予算案におきましても、土地改良施設の維持管理の問題は大変重要であると私どもも考えておりまして、農業農村整備事業費、一兆一千億でございますが、これが対前年十二%の減の中で、土地改良施設の管理事業費につきましては五%の減にとどめたところでございます。  また、この管理予算の中で、転作の、ただいま御指摘のような揚水施設の機動的な、また周年の操作が必要になっておりますので、このための新しい設備、機器の導入に対する助成、さらに、転作のための新しい操作技術の指導に対する助成等も加えているところでございます。  また、この維持管理費で、かんがい排水施設の操作の電力料金が相当な割合を占めてまいります。これにつきまして、私ども、通産省あるいは電力会社にさまざまな働きかけ、要請を行いまして、本年二月から、例えば東北電力で申し上げますと、かんがい排水用の電力料金は従来より六・三%の引き下げになっております。実現いたしております。これは全国で三・九%の引き下げでございますので、全国も、また特に東北電力、農業地帯でございますけれども、電力料金の引き下げに私ども努力してまいりました。  また、土地改良区のコストダウンのために、地域によってはこれを合併していろいろなコストを引き下げるということも考えられます。こういった土地改良区の合併、統合、これに対する支援も行っているところでございます。  今後とも、私ども、こういった面に努力してまいりますけれども、土地改良区の方でも、できるだけ効率的な運営ということに御努力いただき、また、こういった面につきましては、土地改良区の団体とも私どもこれからもよくお話し合いをしてまいりたいと考えております。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 そういう実態があります。ぜひいろいろな形で日本の農業のために御尽力いただければと思います。  次に、畜産業の振興についてお伺いしたいのですが、畜産業、実は日本の農業生産の約四分の一を占める重要な産業であります。その中で、特に肉用牛などの肥育については、例えばこれは非常に土地利用型の農業ということで重要だと思っています。その根幹となります肉用牛の生産、これを実は支えておりますのが肉用牛の繁殖農家であります。  ところが、この生産について、例えば素牛を仕入れまして、それから子牛が育つまで、出荷するまでに約二年という時間がかかります。非常に時間がかかる産業でありますが、これは非常に手間もかかることであります。この二年間は、実はその間の収入がありません。当然その管理費あるいは金利負担ということで厳しい状況にあるのですが、今後、国の進めております規模拡大のためにもこれからのこの繁殖牛に対しての何らかの助成その他が考えられると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。

中須勇雄農林水産省畜産局長

○中須政府委員 先生からお話ございましたとおり、いわゆる繁殖雌牛、子取り用雌牛の農家戸数あるいは飼養動向を見てまいりますと、二戸当たりの飼養頭数、統計的には増加傾向にございますけれども、何といっても飼養農家戸数がかなりのテンポで減ってきている、特に零細経営の方々を中心に離脱をしていく割合が高いというのが率直な実情でございます。そのため、ここ数年でいいましても、子取り用雌牛の飼養頭数自体が平成五年をピークにやや減少傾向になってきている、こういう状況であります。  今後の和牛子牛の安定的な供給、特にそれは、お話ございましたように、肥育経営につなげていくというふうな意味におきましても、子取り用雌牛を飼養する繁殖農家の離脱自体をできるだけ抑制するということと同時に、現にやっておられる方の中で意欲のある方が増頭していく、そういう環境を整備していくことが重要である、御指摘のとおりであります。  このために、実は現在、子牛の繁殖農家を保護するというか、経営の安定を図るための基本的な対策として、牛肉の輸入自由化時に子牛価格が低落した場合に一定の不足払いを行う、こういう制度が設けられておりますが、この制度を基本にしてやはり繁殖経営の経営安定を図っていこう、こういうことでいろいろな施策を講じております。  特に、今年度からは、中核的な繁殖経営の育成を図る。ただ、なかなか一頭増頭するといっても、お話のように、二年間は収入が出ないということがございますので、かなり大胆な手法でございますが、特に十頭から三十頭ぐらいのそういう繁殖経営を目指すということで増頭する場合には、一頭当たり増頭した場合に八万円の奨励金を交付するというふうな事業も開始をいたしまして、できる限りの努力を払っている。  それに、特に明年度につきましては、御審議をいただいております今年度の十年度の予算案におきましても、これは宮崎県の綾町というところで現に、天皇賞をもらった地区でございますが、大変いい実例があるということで、その全国的な普及を図る意味で、各繁殖農家で子牛が生まれますと、できるだけ早く共同の保育施設に集めて、そこで子牛に対する、子牛の世話をするという意味での繁殖農家の労力の軽減を図って、その力をむしろ増頭に向けてほしい、繁殖雌牛の増頭に向ける。一方、一カ所に集められた子牛については斉一的なやり方で十分手入れをして、粒のそろったいい牛ができて、高い値段で売れる、こんなふうなことをやっておられるところがあります。  こういうのに類似した共同育成施設の整備等について助成をするというふうなことも考えておりまして、御指摘のような形で、できる限り繁殖経営の安定のために、あるいは規模拡大のために引き続き努力を続けていきたい、こういうふうに思っております。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 この畜産業、若者の地域への定住という意味でも非常に重要な意味を持っておりますので、ぜひしっかりとした政策をお願いしたいと思います。  それでは、最後に水産業についてお伺いしたいと思います。  実は、ここ、非常に景気の低迷もあります、あるいは接待自粛等の問題もありまして、水産物、特にマグロの価格がかなり低迷をしております。その中でも代表的なのがいわゆるクロマグロでありますが、これが大きいもので約三〇%価格が下落している。そういうところで、生産者が今非常に厳しい状況にあります。また、御存じのとおり、例えばマグロ漁業、漁船を一そうつくるのに約五億円かかります。それから、一年間、減価償却を含めまして大体三億円必要になります。ですから、一年間三億のコストがかかって、それが回収できるのが一年後というところで、非常に資金的にも厳しい状況にあります。  そんな中で、いろいろな制度資金があるのですが、実は最近、今の金融不安の中で、この制度資金、特に保証協会等の保証渋りというのでしょうか、そういう部分もこの水産業界の方に響いてきているというふうに地域の情報から伺っているのですが、この辺についてどのような対応が考えられるか、お伺いしたいと思うのですが。

嶌田道夫水産庁長官

○嶌田政府委員 今お話しのように、マグロ漁業を取り巻く情勢といいますのは非常に厳しい状況にあるわけでございます。それに、今お話しのように、昨今の景気停滞というようなことを背景にいたしまして、産地価格、消費地価格が低下していますし、当然のことながら、これが生産者価格に影響を与えているというようなことになっております。  そういう意味で、経営面でも現在多くの経営体が赤字となっているわけでございますけれども、基本的には、経営の安定、合理化を推進しまして、国際競争力を強化することが必要なわけでございます。基本的には漁業者自身の努力というのが必要であるわけでございますけれども、国といたしましても、外国人乗組員の雇用など、労働力の確保にいろいろ努力していかなければいけないということで、現在、マルシップ制度などについて、ほとんど最終段階に来て、関係省庁ともほぼ合意の段階になっているというような状況にございます。  また、今言われました金融支援措置等でございますけれども、これにつきましても、従来から各種制度資金の融通につきましてはいろいろ配慮しております。ただ、今言われました保証等の問題につきましては、基本的にはやはり、言うなれば系統の金、国の金、いろいろつぎ込んだ形で保険制度等が成り立っておるわけでございますので、それなりの審査等がどうしても必要でございます。  そういう中で、できるだけマグロ漁業者がうまく借りられるような形、どのようなものにしていったらいいのかというようなことでいろいろ工夫しているところでございますけれども、いずれにいたしましても、各種制度資金の融通につきまして、できるだけ漁業者の方々が利用しやすいような形で今後努力していきたいというふうに考えています。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 マグロ漁業にかかわらず、日本の水産業といいますのは早くから国際化をしました。国際競争力の中で一生懸命努力をしてここまで日本の水産業というのを保ってきているわけですが、なお一層の御助力をお願いできたらと思います。  その中で、特に今問題となっていますのが便宜置籍船の問題であります。  これは一昨年だと思うのですが、先輩議員の御助力によりまして、まぐろ資源の保存及び管理の強化に関する特別措置法という形で、基本的には、例えば第五条であれば、便宜置籍船あるいは国際条約非加盟国がマグロ等をとった場合、それを日本に輸入する場合に、それはちょっと国際ルールに違反するのじゃないかということで、輸入制限を行うことができる。  あるいはまた、第十条では、その調査に関して、例えば船会社あるいは輸入商社あるいは流通業者に関して調査をして、そういうアウトサイダー的なことを防ぐ、資源管理のために防ぐ、そういうふうな状況が法律で整備されているわけですが、どうも、現実のいろいろな話を聞きますと、なかなかアウトサイダーを未然に防ぐというところ、いろいろなテクニックが使われて見えにくくなっているのではないか、その辺の調査に関してはどのような対応をとっていらっしゃるのでしょうか。

嶌田道夫水産庁長官

○嶌田政府委員 今お話しのように、マグロ、特にクロマグロにつきましては、ICCATの勧告に従いまして、現在、パナマ、ベリーズ、ホンジュラスからの輸入は禁止しているところでございます。これにつきましては、今お話しのように、平成八年六月に成立いたしましたまぐろ資源の保存及び管理の強化に関する特別措置法、これは議員立法でつくっていただいたわけでございますが、それによりましてこのような制度が現在行われているというようなことでございます。  便宜置籍船の話でございますけれども、これにつきましては、特に便宜置籍船に関与していると言われております台湾、韓国に対しましては、これを抑止する措置をとるように、あらゆる機会をとらえて働きかけているところではあるわけです。  この問題につきまして、どのような調査かという話でございますが、この便宜置籍船の活動状況につきましては、我が国の取り締まり船によります洋上での確認のほかに、世界各地の港におきます実態の調査、さらに貿易統計の分析、それから輸入されましたマグロ類の荷主からの追跡調査によりまして、いろいろな把握に努めているところでございます。  また、今言いましたように、パナマ、ベリーズ、ホンジュラスからの輸入が禁止されております大西洋のクロマグロにつきましては、他のマグロの形で輸入されることを防止しますために、平成九年度から、輸入されますマグロに対しまして水産庁の方でDNA検査を行っております。このようにして得られました情報は国際漁業管理機関に報告しますとともに、関係国と情報交換を行っているところでございます。  さらに、先ほど言いましたように、台湾、韓国に対しましては、このような問題につきまして、あらゆる機会をつかまえまして働きかけている、今後とも、いろいろこの問題につきましては努力していきたいというふうに考えております。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 御努力されていることは重々わかっております。ぜひ今後とも、資源保護、管理に関するイリーガルなこのような操業に関しては、国際的な資源管理の問題もありますので、厳しい目で監視していただければと思います。  それでは最後に、大臣、お待たせいたしました。  このように、農林水産業、今本当に一端のことを御質問させていただきましたが、大臣も感じておられるとおり非常に厳しい状況にあります。ですが、この産業というのは一番基幹産業であります。この一次産業がなければ、その後の加工あるいは商業、すべての展開がないわけで、本当の一番の根幹を担う産業でありますが、残念ながら、その生産性という、いわゆる商業ベースではなかなか厳しい、そういうジレンマの中にいつもある産業であります。  ぜひこの大事な産業を未来に残すために、希望が持てる、そういう政策を進めていく決意をお聞かせいただければと思います。     〔岸田主査代理退席、主査着席〕

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 まず、私は基本的にこの仕事が好きであります。それから、何といっても、農林水産業といいますと、ともすれば、農産物、林産物、水産物を提供する、この供給面だけが認識されがちでありますけれども、御承知のように、我が国は特にその実態が顕著でありますが、まさに多面的機能、国土の保全とか自然環境の保護とか水資源の涵養とか清浄な空気の供給とか、あるいは土砂崩れや鉄砲水を防ぐ、あるいは豊かないわば漁場を山がむしろ大きな連関の中で育てているという現実等もありまして、こういうことごとを守っていくのは日本の健全な発展のためにはまず不可欠でありまして、最も基礎的な、最も重要な仕事を担わせていただいたことを、非常に充実した気持ちで取り組ませていただいている、こういう認識でございます。  委員も大変に前向きに深い御理解をいただいたことはよく承知をいたしておりますが、ぜひお若い意見もどんどん持ち込んでいただいて、お互いに納得のできる、将来に責任の持てる道を開いていきたい、こう思いますので、御協力願いたい、こう思います。

小野寺五典自由民主党

○小野寺分科員 ありがとうございました。長時間感謝しております。  これからもぜひ、この農林水産業、大事でありますので、発展のため御助力いただきますよう、また私どもも一生懸命頑張ってまいります。ありがとうございます。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて小野寺五典君の質疑は終了いたしました。  次に、小林多門君。

小林多門自由民主党

○小林(多)分科員 自由民主党の小林多門でございます。  私は、日ごろから島村大臣を尊敬し、そしてまた、同じ東京都選出の大先輩の国会議員として日ごろから大変お世話になっておりますので、大臣の顔を逆なでするような質問はしないつもりであります。  しかしながら、私ども国会議員として、幾らお世話になっているとは申しながら、正すべきは正し、改めなければならない点については率直に指摘をさせていただいて、今大臣がおっしゃったように、将来の農林行政にお互いに責任を持たなければならない、このような立場に立って、率直に質問をさせていただきたい。きょう最後の質問となりましたので、多くを申し上げません。具体的に、箇条書きに質問をさせていただきたいと思います。  私の本日の質問は、ただ一点、国有林野事業の改革についてであります。  まず、質問に入る前に確認をしておきたいのでありますが、昨日、三月十八日の朝日新聞や日本農業新聞等に、農林水産省が、国有林野事業の抜本的改革に伴う営林局・支局の削減について、札幌、大阪等七カ所に森林管理局を設置する方針を固めた、大きな見出しで報道をされているわけでありますが、この記事は大臣御存じでしょうか、また事実でしょうか。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 森林管理局をいわば設置することを決めたということは事実でございます。  それは、御承知のように、戦前、戦中、戦争直後、当時は木材需要も非常にありましたし、すぐれた日本の木材に対するいわば価格の面の評価も非常に高かったわけでありますから、採算上も極めて余裕のあった時期が国有林野あるいは民有林野に限らずあったわけであります。  ところが、御高承のとおり、その後だんだん需要を賄い切れなくなってきたこともあり、また同時に、過度の伐採によって可伐期を迎えた樹木が少なくなったこともありまして、徐々に外材を受け入れるようになりました。昭和三十九年にはこれが完全自由化の形になりました。その後は、安い外材に押されて、一方的に押されまくって、いわば林野事業というのは大変採算の合わないものになりました。  その一方では、御承知のように、かつては、間伐をした場合の間伐材はそのままビルの足場に使われたり、あるいは電話線の電柱等、割と簡易な木材建築等にも使われたわけでありますが、すっかり需要の先を失いまして、間伐材がさばけない、こういうことがありまして、委員はお地元にそういうものを抱えておられますが、まさに森林は荒れ放題というのが現実であります。  そういうことごとを含めまして、かつては、おまえの方は内容がいいのだから独立採算制、こういうことできましたものの、年々、最近は赤字の累積ということの結果を見ましたので、我々も組織や要員について思い切った抜本的な改革を行うので、これをいつまでも赤字を累積して、第二の国鉄のような厳しい状況にみすみす落ち込んでいくことを避けたいという判断から、国有林野の抜本改革というものを打ち出し、また予算にもお願いして、今御検討願っているところであります。  そういうことごとを含めまして、いわば従前十四あった林野の局を、今度は半分の七つに絞るとか、あるいは営林署その他を大きく、ちなみに二百二十九だったでしょうか、それを九十八か何かにするとか、一気ではございませんが、やるとか、あるいは要員を思い切って削減するとか、それらの案を出しているところでございます。

小林多門自由民主党

○小林(多)分科員 私の確認しておきたいことは、昨日の朝日新聞あるいは日本農業新聞等に、これがそうでありますけれども、あたかも七カ所が決まったかのような報道がされているわけであります。  そこで、決まったということになると、もう、ああそうですがということで、私はここで質問を終わります。ですから、その事実関係についてまず確認をしておきたいと思います。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 先生の御指摘の新聞報道でございますけれども、確かに森林管理局の設置場所が決まったというふうな報道があることは承知しておりますが、報道の内容のように固まったものではなくて、現在検討をしているところでございます。

小林多門自由民主党

○小林(多)分科員 もしこのような報道が事実でないとするならば、これは恐らく大臣あるいは長官がそのような発言をしてないということになりますと、どなたかなということになるわけでありますけれども、自由民主党の党員でありますので、そこまで追及はいたしませんけれども。  そこで、平成九年十二月十八日の林政審議会は、「国有林野事業の抜本的改革の基本的考え方」の中で、   これまでの国有林野事業においては、開かれた国有林をめざした努力がなされてきているものの、これについて必ずしも広く国民各層の理解と支持を得てきたとは言い難い。   今回の抜本的改革に当たっての基本的考え方は、国有林を「国民の」共通財産として、「国民の参加により」かつ「国民のために」管理経営し、国有林を名実ともに「国民の森林」とすることである。 このように報告をされているわけであります。  林野庁としては、現在十四営林局をブロック単位、七つの局に統合する、また改組するというようなことで、今大臣からも御答弁があったわけでございます。そこで、「国有林野事業の抜本的改革の基本的考え方」いわゆる林政審の答申を踏まえて、どのように今生かされようとしているのかお尋ねをしておきたいと思います。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 林政審議会の答申を踏まえまして、国有林野が国民共通の財産としてその機能を十分に発揮できますように、森林整備の方針を、木材生産機能重視から国土保全等の公益的機能重視に転換するというふうなことで、林政審議会の答申に基づいた改革を実行するわけであります。  具体的には、営林局の造林とか丸太生産の事業実施を全面的に民間に委託すること等を考えておりまして、そういう業務内容が、これまでの事業実施の考え方から森林管理等の行政的な管理に移っていくということを考えまして、これまでの十四営林局、支局、これを七つのブロック単位の森林管理局に再編する、そういうふうに林政審議会の答申を生かしているわけでございます。

小林多門自由民主党

○小林(多)分科員 そういうことで、答申について十分生かされているということでございます。  そこで、新聞記事にもなっているように、十四の局を七局にするというようなことが今問題になっているわけでありますけれども、こういう点についても、恐らく各関係の代表者の方々に意見聴取をされているのではないかな、このように思うわけでありますが、どのような形でどういう方々に意見聴取をされたのか、これを具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 森林管理局の設置につきまして、特に改まった場所を設けて意見を聞いているわけではございませんけれども、業務遂行の過程、営林局署あるいは林野庁に対する直接的、間接的な、地方公共団体あるいは各種団体、業界、そういうところから要請やら意見等を承っておりますので、このような意見を踏まえながら検討しているところでございます。

小林多門自由民主党

○小林(多)分科員 十四局の営林局を七つに絞るということは、言うはやすく行うはかたしということわざがあるとおり、なかなか大変な仕事だな、こんなように私は思うわけでございます。ぜひひとつ、そういうことについてもできるだけ、林政審の報告にもありますように、多くの国民の声を、団体の声を聞いていただきたいな、こんな思いがするわけであります。  そこで、森林管理局と森林管理署を設置をするというようなことになるようでありますけれども、その業務の違いですね、二つの局と署の業務の違い、また役割等についてどのように考えているのか、お聞かせをいただきたい。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 七つの森林管理局につきましては、その管轄区域となるブロックの森林の特性等を踏まえまして、その管理する国有林野の管理経営方針の企画立案、森林管理署の指導監督、広域にわたる都道府県、市町村などとの対外調整、こういうことを主たる業務とすると考えております。  一方、流域単位に再編することとしております森林管理署、これは九十八の森林管理署を設置することとしておりますが、その管理する国有林野を対象に、国有林野の保全管理、森林整備、治山事業等を実際に実行する現場組織でございます。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 先ほど冒頭の御質問に、私、答弁漏れがあったように思います。  一つだけ、誤解が生じるといけませんので申し上げますが、御承知のように、我が党は政党政治の基本を貫いておりまして、例えばこの国有林野の問題につきましても、国有林野問題小委員会で鋭意御検討いただき、上は農林部会、こういうことでございます。そういう意味で、十七日の国有林野問題小委員会で三役一任、これは農林三役ですね、一任というふうに決まったまでは承知いたしておりますが、実は、我々からどこにしてほしいとか、どうであるとか、どうすべきであるということは、一切申しておりません。これが第一点です。  それから、今御質問があった森林管理局と森林管理署と、何かまだるっこい、わかりにくい名前が二つ重なりましたけれども、実は、当初我々がこの案を打ち出したときは、森林管理局と森林管理センターというふうになっておりました。ところが、小さい部分の方がセンターというのはおかしいのじゃないかという御指摘があって、結局は今言ったような二つの名前になったということを申し添えたいと思います。

小林多門自由民主党

○小林(多)分科員 今大臣がいみじくもおっしゃったように、過日大臣は、非常に、六十七字だか八十字だかあるものを十八字ぐらいにして、新聞や国民の皆さん方から評価されたのですけれども、この名前一つとってみても非常に紛らわしいなと。今おっしゃったように、センターの方が局よりは大きいから、センターと言った方が響きはいいしなるほどなということですから、その辺もまだ決定を見ていなければ、頭のいいお役人さんが多いわけでございますから、十分に考えてやっていただきたいものだな、このようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、十四局から、いよいよ意見を聴取して七局にするわけでありますけれども、そういうことになりますと、私どもは、やはり何の選定をするに当たっても基準というものがあります。選定基準というものがあります。そういうことで、今回この森林管理局の決定に当たってはどのような選定基準を持たれているのか、この点についてお聞かせいただきたい。

高橋勲林野庁長官

○高橋政府委員 森林管理局設置の考え方につきましては、農林水産省としましては、先ほど申し上げたような各方面の御意見を伺いながら現在検討しているところでありますけれども、基本的な考え方としましては、やはり、今後の国有林野事業の管理経営を行っていくに当たっての効率性とか利便性、それから業務運営の実態、そういうものを総合的に勘案しまして、検討、決定していく考えでございます。

小林多門自由民主党

○小林(多)分科員 国有林の多い地区に森林管理局を置く、いわゆる現場主義、現場重視、そして東京の一極集中を是正すると言われているわけであります。しかし私は、七局のうち六局については東京以外の地区に、地方に既に六局は決定をするということが決まっているわけでありますから、関東の森林管理局につきましては私は東京に置いても一極集中という考えは当たらないのではないか、このように思うわけであります。  それともう一つ私がここで声を大にして申し上げておきたいことは、東京には、情報の収集、発信、交通の利便性などの好条件がそろっていると。関東森林管理局管内の一都十一県のうち、群馬そして栃木、その他一部の議員を除いては、圧倒的多数の衆参両議院の自由民主党の国会議員、数字を申し上げますと五十三名に上る多くの国会議員の皆さん方が署名をして、ぜひひとつ東京都に置いていただきたい、自然発生的にこのように言っているわけであります。  そしてまた、大臣も恐らくお聞きになっておると思いますけれども、東京営林局で、各市町村や各種団体の皆さん方が七名ほど聞かれたそうでありますけれども、その全員が口をそろえて東京に置いていただきたい、それから、前橋でいろいろと意見聴取をされたようでありますけれども、現在、前橋の営林局にかかわっている県のある首長さんやある団体や、そして各種団体の皆さん方の半数近くが、できることなら東京に移してもらいたいな、こんな署名をしてくれということになれば、いやあ署名をしないわけにはいかない。まさにこれは、岸元総理ではありませんけれども、声なき声であります。  ですから、ぜひひとつ、私が冒頭申し上げましたように、大臣は東京都の御出身でありますから、恐らく大臣の性格からいって、これは東京に持ってきたいけれども、いや群馬かなという、心の隅にあるいはあるのではないかなとこのように私は推察をするわけであります。しかし、先ほど大臣が、私の同僚議員であります小野寺議員にもお答えをされておりましたように、禍根を残すことのないようにお互いに農林行政に責任を持たなければならない、こういうことを考えて今私は真剣に農林行政に取り組んでおります、こういう意味の答弁をされているわけであります。私は、これらのいわゆる関東森林管理局管内の圧倒的多数の国会議員、そして地方公共団体、関係の諸団体の皆さん方が文字どおり口をそろえて、筆をそろえて、関東は東京だよ、こういう声を大にしているわけでありますが、この切なる声に対して、また圧倒的多数の声に対して大臣はどのようにお考えになっておるか、この際お聞きをしておきたいと思います。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 お答えいたします。  いささか旧聞に属すると思いますが、私はかつて、平成七年に文部大臣を務めて、宗教法人法の改正に取り組みました。その際も、私は考えまして、万が一特定の宗教団体の代表者の方とお目にかかるとあらぬ誤解を受けるということで、文部省の職員と何の相談もなく私の方から、どなたがお見えになっても一切お会いしない、事前の御紹介があったらそのことを伝えてほしいし、できることならどなたにもお会いしないという基本方針を伝えてほしいということを申しました。結果においては、そういうことをしなかったために私は、あの法改正の間に、ゆがんだ、少なくも事実にもとる批判を受けなかったのではないかと思っています。  今回も、なるほど、御指摘のとおり私は東京出身です。東京にお世話になったことをだれよりも実感している人間ですが、この林野庁の長官を初め関係者にどこどこにしてくれと私が言えば、彼らを窮地に陥れるだけです。やはり公平、公正、どなたが見ても、なるほど大所高所で籾断されたのだというふうな結果を得ないことには、まさに将来に禍根を残すことになると思います。そこで私は、いまだかつて、どこどこにしてくれとかどこどこにしなさいというふうな指示はいたしておりません。  それから、いろいろな地域からいろいろな代表者のいわば御陳情等も受けました。受けましたけれども、これも、一切私はだれからどういうことを受けたということを林野庁の長官以下にそういう趣旨を伝えておりません。結果において我々は、あくまで党のいわば検討機関で御検討いただいたことごとを踏まえてある方向が示されるまでは、我々はそれを静観すべきであると基本的に考えています。  ただ、どういう方針で臨むかということにつきましては、なるほど、現場主義とか、あるいはまた多極分散型一極集中排除とか、あるいは地方分権だとかいろいろな声が聞こえることは事実であります。またその一方では、今小林議員が御指摘になったように、情報の収集、発信、あるいは受益者、消費者等との連携、あるいはもろもろの交通機関その他の利便性等の御指摘があることは事実でありますが、それらは総合的に判断されるものと考えております。  なお、議員の数が圧倒的に多いという御指摘でありましたけれども、これだけは私は同意をいたしません。それは、何といったって人口の過密の東京とか大阪とか名古屋、それをもし議員の数云々ということで希望者が多いということをそんたくすれば、初めからそういう地域にすべてが集まっていってしまうということは必定でありますから、これだけは私は、議員のせっかくの御提言ですけれども、くみしないものであります。

小林多門自由民主党

○小林(多)分科員 大臣、誤解をしないでいただきたいんですが、私が申し上げておりますのは、関東森林管理局管内の国会議員のうち、ここへ五十三名の衆参両議院の国会議員が署名を持って、先ほど大臣が御答弁されましたように、自由民主党の国有林野問題小委員会の松岡委員長、そして、松岡委員長に恐らくこの陳情書が届いていると思うんですよ。ですから、大臣が先ほどいみじくもおっしゃったように、政党政治ということで、自由民主党の意見や与党社民党あるいはさきがけの意見も聞くということであるとするならば、これは、私は大臣の意見に反論するわけではありませんけれども、関東森林管理局管内の圧倒的多数ということを申し上げておるわけですから、ここは誤解のないようにしておきたいと思います。  ですから、こういう点について、それでも国会議員の数ではないのだ、あるいは関係の諸団体あるいは地方公共団体の数ではないということなのかどうか、この辺を最後に確認をして質問を終わります。

島村宜伸自由民主党農林水産大臣

○島村国務大臣 これもちょっと場違いな話を申し上げるようですが、実は政治改革論議が盛んなころに、私は私的にいろいろ調べてみたことがあるのです。東京二十三区の議員の持つ面積を一とした場合に、東京二十三区以外に、例えば小林議員も三多摩を選挙区にされておりますが、三多摩とか、失礼しました、東京二十三区と大阪、名古屋の都市部ですね、これを一とした場合に、その他の地域の議員の一人当たりの持つ面積の大きさを調べてみました。三十九対一でした。北海道においては二百四十五対一でした。ということは、仮に東京と北海道が議員の数で争うということになったら、いかに問題をたくさん抱える北海道であっても、議員の数では問題なくそれは東京の方が有利ということになりますね。大阪においてしかりです。  そういう意味で、私は先ほど、議員のたくさんの方々からお声がけはいただきますが、私は今の段階では白紙でございまして、私からいろいろ、例えば松岡議員やどなたかに、まあ皆さん親しいですけれども、御照会いただいて結構ですが、どこどこにしてほしいということは一切申しておりません。やはりそれは皆さんが御判断していただいたものを我々が受けとめて、それでそれを実行に移す、それが我々の立場である、そう考えております。

関谷勝嗣自由民主党

○関谷主査 これにて小林多門君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十日午前九時より開会し、引き続き農林水産省所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時二分散会

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