予算委員会 第5号
- 発言数
- 192 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1998/01/20
会議録
○松永委員長 これより会議を開きます。 平成九年度一般会計補正予算(第1号)、平成九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。
○海江田委員 おはようございます。民友連を代表しまして、質問をさせていただきます。 総理は、昨年十二月十七日の午前、緊急の記者会見をやりまして、二兆円の減税を発表されたわけでございますが、私ども、民友連の前の民主党、もちろん民主党はまだございますけれども、この特別減税の継続を主張をしておりましたので、これはもう歓迎すべきことでございます。ただ、私は、財政構造改革特別委員会で総理とも何度も質問をさせていただきましたので、やはり、この二兆円の減税ということを聞きましたとき、一瞬耳を疑ったといいますか、寝耳に水といいますか、そういう気持ちがしたのは事実でございます。 この減税と財政構造改革のお話でございますが、当時、私どもは減税を主張していたわけでございますが、総理は、減税はできない、しかし、景気回復と財政構造改革というのは決して二律背反するものではなくて、これは同時に進めていくことができるということは、その当時からおっしゃっていたと思います。 その財政構造改革と景気回復の二つは二律背反するものではないということは、また昨日の当委員会でも出ましたが、財政構造改革特別委員会のところでは、減税はできない、減税はできないけれども、景気回復と財政構造の改革は二律背反するものではないという論理立てですね、それが今度は、減税をやって、そしてしかも景気回復と財政構造改革は両立できるんだというふうに変わっていったと思うのです。 私は、やはり減税のあるとなしとで随分財政改革に与える影響というものは大きいと思いますので、減税をやりながらもなお財政構造改革に資することができるんだとおっしゃられるその理由というのですか、こういう仕掛けがあるから、実は減税をやって景気回復をやって、しかもそれが財政構造改革につながるんだという、そこのお話をいただきたいなと思います。
○橋本内閣総理大臣 ここしばらくの間、国会において行われました御議論、振り返ってみますと、一時期は、公共事業は悪と言うに近い御論議がございました。 そして、私どもは、その公共事業というものが一定の役割を果たしているということを申し上げてまいったことも御承知のとおりであります。 そして、議員から御指摘ありましたように、減税という御要求に対して、難しいということを私は確かに申し上げてまいりました。そしてそれは、現時点の経済また財政の現況を考えるとき、その減税財源というものは、その多くを、特に当時求められておりました減税の形態からいきますと、これを赤字国債に財源を求めざるを得ない、この選択は大変難しい。難しいということを私は繰り返して申し上げた、これを否定するものではありません。 しかし同時に、今回、今は補正予算でありますけれども、次年度予算と並行して御審議をいただくことになります次年度の税制改正の中におきましても、法人課税あるいは有価証券取引税、地価税等について改正を行っております。 私は、減税を全くしないというような言い方をしたことはないと思います。ただ、それはまさに、入るを図り出るを制する、よく言われます昔からの言葉がございますけれども、そのバランスの中で今回も政策減税を行っておることは御承知のとおりであり、減税というものを全く否定したということはないと思います。 同時に、まさに財政構造改革というものは、中期のスパン、二〇〇三年という我々は一つの時期を設定しておりますけれども、その間において臨機の対応をすることまでを全く放てきし、何ら起こり得る情勢に対して対応をしないということを申し上げたとは私は思いません。まさに私自身、ASEANプラス1、プラス3の帰途に、ここで特別減税を復活することが必要という判断をし、翌日、関係閣僚、与党それぞれに諮り、これを決定をしたことも事実であります。
○海江田委員 今、総理はかなり率直にお話しいただいたと思いますが、幾つかの論点が出てきたと思います。ASEANの方はちょっと後でお話をさせていただきます。 一つは減税の財源で、とりわけこの所得税の減税になりますと赤字公債に頼らざるを得ない、これがやはり財政構造改革の議論をしておったときはなかなか難しい問題であったという問題点、それからもう一つは、中期のスパンで考えなければいけないというお話と、この二つだろうと思うのですね。私は、まさにその赤字公債に財源を求めざるを得ないというところが、実はこの財政構造改革法と一番抵触する部分だろうと思うのですね。 これはもうもちろん私が繰り返すまでもありませんけれども、財政構造改革法というのは、まさにその赤字公債を二〇〇三年度までにゼロにするという、それから赤字財政をGDPの三%にする、この二つですね。その前者の赤字公債をゼロにするというところと、やはり今回これだけ減税を、所得税の減税二兆円をやることによりまして、補正の中に赤字公債を一兆四百八十億円新規に発行ということになりましたね。当初で七兆五千億でしたから、これによって八兆五千百八十億円という数字になりますが、ここのところをやはりどういうふうに二〇〇三年までにゼロにしていくのかということは大変難しい。 これまでも難しかったわけですけれども、毎年毎年一兆二千五百億ずつですか、削減をしていくという仮定計算がございますけれども、これがさらに難しいことになってきたということで、そこのところの新たな計算ですか、私どもがもう何度もいただきました表の中でこういう計算表があるわけですよね。これは当然のことながら、もう新しく置きかわっているわけですか。どうですか。
○橋本内閣総理大臣 今、大蔵大臣に確認をした上で御答弁を申し上げますが、当然ながら変化をいたしております。
○海江田委員 では、その変化の中を教えてください。
○涌井政府委員 昨年秋の構造改革法案の御審議の際に御提出しました試算につきましては、十年度当初予算の計数を踏まえて、ただいま資料作成中でございます。
○海江田委員 資料作成中ということでございますが、本来でしたら、これはまさに減税で一番影響を与えるところでございますから、本委員会にもう既に配られていなければいけないのですね。 それが、今総理と大蔵大臣は、当然のことながらつくっておるとおっしゃる。それは当然のことだろうと思います、政治家とすれば。当然それが出ていなければ議論ができないわけですから。ところが、事務方はまだつくっていないということであります。これは一日も早く、まさにこの減税の絡んでいます、この補正予算の審議中にそれはやはりつくっていただきませんと議論ができませんので。 アバウトな計算でいえば、今もお話をしましたけれども、一兆四百八十億円赤字公債がふえたわけですから、それによって、当初でしたら、この表によりますと毎年一兆二千五百億円で計算ということになるのです。私がきのう、資料がありませんから自分で計算しましたら、単純計算をすれば一兆四千二百億円という計算ですけれども、それがいいのかどうなのかということも含めまして、これは非常に単純な計算ですから。 それから、これはもちろん要調整額だとかいうことを全然抜きにした話ですし、それから成長率も一・七五から三・五の範囲内でという話でやっておりますから、そういうものがどういうふうになったのか。当然のことながら、これは出ていなければおかしな話でございますから、これはぜひ出していただきたいということでございます。それを委員長から大蔵省にお願いをします。
○松永委員長 涌井主計局長、もう一回詳しく説明してください。いつできるかということも含めて。
○涌井政府委員 お答え申し上げます。 資料全体につきましては、今鋭意作業中でございます。 ただ、赤字国債の数字につきましては、単純にこれは二〇〇三年までゼロということでございますから、昨年出しました毎年度一兆二千五百億が、さらに毎年度約二千億程度削減幅が大きくなるということになろうかと思います。
○海江田委員 それから、当然のことながら、財政健全化の目標もありますから、財政赤字の対GDP比三%にするという場合、今まででしたら一年当たり国債の部分で〇・二五%の改善でよかったわけですけれども、これがどういう数字になるのかということ、この二つの表がありませんと、本当のことを言いまして議論にならないのですね、これは。そういうものが今現在出ていないということ、これは一日も早く出していただきたいと思います。 いずれにしましても、これはもうこれまでの財政赤字のゼロにする計画にさらに上積みになったということは事実でありますので、これまで以上にそういう意味では厳しくなったということは、私は当然のことながら、これは委員長、資料としてこの委員会に出していただけると……。
○松永委員長 もう一回、主計局長、いつ出せるような状況になるかどうか、正確に答えてください。
○海江田委員 期日を、いつ出てくるのか、それだけちょっと。
○松永委員長 主計局長、いつできる。
○涌井政府委員 作業につきましてはただいま行っているところでございますが、また当委員会とも御相談して、提出時期を決めていただきたいと思います。
○松永委員長 それでは、海江田委員、十二時二十分から理事会を開きますので、その理事会の席までに、いつ出るかということも聞いておきまして、理事会で諮って対応します。
○海江田委員 どこまで話したか、まあ厳しくなることは事実でございますから、それだけの覚悟をしなければいけないということでございます。 ただ、話を戻しまして、総理が十二月の十七日に、二兆円の減税をやるというお話があったときに、私は最初に若干耳を疑いましたけれども、その後に考えたことは何かといいますと、実は、従来の私どもの主張であります赤字公債と建設公債の区別をもうなくしてしまえば、この話というのは非常にすっきりと納得のいく、あるいはいろいろ議論をする場合に非常に整合性のある理屈立てになるかなというような感じを持ったわけでございますね。 この建設公債と赤字公債の区別をなくすということは、私自身も財政構造改革の委員会で質問をさせていただきましたし、同じ民主党の生方議員も質問をしました。生方議員が質問をしたときに、総理は大変時宜にかなった議論であるということをお話をされましたけれども、時宜にかなったというのは、非常にタイミングのいい話だ、議論をするのなら今だということだろうと思うわけでございます。 私は、総理が減税をやる、とりわけ所得税の減税をやるというとき、やはりそれが、一番ネックになったのがまさに赤字公債の発行の問題であるということを今正直にお話しになりましたから、この問題を解決をするのには、まさにその赤字と建設の区別をなくすことが一番手っ取り早いんじゃないだろうか。手っ取り早いといいますか、それによって初めて財政構造改革法との整合性というものが図れるのではないだろうかというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 確かに、生方議員からこの問題が提起をされましたとき、私は時宜にかなったということを申し上げました。その上で、これを正面切って公式なお答えをするとすれば、財政法上のお答えを申し上げなければならなくなります。そして、財政法上、健全財政主義という原則のもとに、負担の世代間公平という考え方に立って、公共事業等について例外的に建設公債の発行を認めている、こうした原則から離れて、建設公債とは基本的な相違のある特例公債との区別をなくすことには特に慎重であらねばならない、こうした公式のお答えを申し上げることにならざるを得ません。 しかし同時に、例えば六十カ年という年数の国債、建設国債のみが本当にいいのだろうか、より期間を短縮した、そして機動的に対応し得る、また、六十年も存在し続けるものではないものに対する公債による対応というものはできないものなのか、そういった思いがあることも私は隠しません。
○海江田委員 六十年でない償還も考えた国債ということのお話がございまして、これも新しい一つのこれからの考え方だろうと思いますね。 総理が一番よく覚えていらっしゃると思いますけれども、自民党も、その昔、いわゆる情報産業なんかに対する投資、景気対策のため、それを建設公債で充てられないだろうかということを検討したことがあるというふうに聞いておりますが、そのとき、結果的にだめになりました。たしか七年ぐらい前ですかね、もうちょっと前ですかね、五年から七年ぐらい前だろうと思います。 やはりあの時点で、本当のことを言いますと、そういう情報産業に対する情報インフラというものを整備しておくと、二十一世紀の日本というのは随分明るいものになったのではないだろうかというような気もしております。やはり今の、六十年で償還をしなきゃいけない、六十年の耐用年数がなければいけないという、この建設公債の縛りがあることによって随分財政出動というものの幅が狭められております。 それから、何といっても、これは大蔵委員会で議論したところですので総理はお聞きになっていないかもしれませんけれども、私が言いましたのは、確かに発行するところでは建設と赤字公債、特例公債は非常に区別をはっきりしておるわけですけれども、実はそれの償還の方はもう全部一緒にひっくるめまして特別会計で、財政整理基金の特別会計のところでやっている。 しかも、赤字公債の発行残高がふえましたから、全体の残高のもう三分の一がその六十年の裏づけのない、それこそ赤字公債になっているわけですね。それを全部ひっくるめて、それで六十分の一で償還をしているわけですから、これはやはりおかしな話でありまして、その赤字公債が本当に十分の一でありますとか五分の一でありますとか、そういう時期ならまだしも、もう残高の三分の一になってそれを全部ひっくるめてという話からいうと、やはりこの特別会計のあり方そのものも考えていかなければいけないというふうに私は考えます。 今、六十年の期間をもう少し短くした方法はないだろうかというようなお話もございましたけれども、ただ一番わかりやすいのは、建設と赤字をなくして、これは世界の国々でもそういうふうにやっております。ドイツと日本だけですか、残っております。ドイツも一部であります。 そういう状況でありますので、これはいろいろな意味でのグローバル化ということも叫ばれておるときでありますから、これは今すぐ区別をなくすということは言えないかもしれませんけれども、やはりこれはまさに時宜にかなった議論であって、大いに議論をして、そして、それによっては財政構造改革法だって私は見直しをしたっていいと思うのです、まずその前に財政法の見直しをするわけでございますけれども。 財政構造改革法というのも、先ほど総理もちょっと言いました中期というものをどのくらいにとるかという問題。今二〇〇三年ということで後ろを決めておりますけれども、これは我が党は、菅さんなんかも、何も二〇〇三年にこだわらなくて、もう少し延ばしてもいいのじゃないですかというようなことも提案をしておるわけですから、やはりそういうことも含めて、財政法、財政構造改革法、この赤字公債と建設公債の問題から入っていって、すぐ見直すということは言えないかもしれませんけれども、少しお考えになってもいいのじゃないですかね。いかがでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 今私は、公式のお尋ねがあればこうお答えをしなければなりませんという前提で私なりに問題意識を率直に申し上げました。私は、議論を深めていただくことに何ら異論があるものではありません。
○海江田委員 議論をやってほしいということですから、そういう意味ではある程度柔軟性があるというふうに理解をしますが、実はこの委員会で大きな問題になっております減税の恒久化の問題も、私はこの赤字公債と建設公債の区別をなくすという議論を抜きにしては語れないと思うのですね。 私は、総理がきのうの委員会でも、減税の恒久化ということについては、そういう必要性の起きないように努力をしようというような言い方を、非常に巧みな言い方をしておられました。私は、その前に代表質問を聞いておったときは、もう少し前向きな、あの代表質問の後、新聞が一斉に、総理は減税の継続に含みとかその可能性があるとかいうことを非常に大きな見出しにしましたね。私はそのとおりだと思う、あの演説を聞いておりますと。 それによって、実は株価なんかも随分高くなったわけです。追加措置が出てくるということで非常に買われたわけです。総理もおっしゃっておるように、市場はそういう追加措置というものを織り込み済みだということでございますが、その追加措置を、減税を恒久化するためには、この赤字公債と建設公債の区別をなくさないと私はできないのじゃないかというふうに考えております。それは、先ほどもちょっとお話をしました。 それから、まだ詳しい数字は出てきておりませんが、この数字が出てきたときに、財政事情のこの試算の数字が出てきておりませんが、非常に単純な計算をやりましても、赤字公債の部分について見ると、先ほどもお話をしましたけれども、毎年毎年一兆二千五百億円の減額のところに、さらに二千五百億ぐらいの減額の目標ができたわけですから。これはことし一年の話ですからね。たったことし一年についてもそれだけふえてくるわけですから、これを恒久化しようということになったらさらにこの数字が膨らんでくるわけですね。 そうなってくると、これは果たしてできるんですかね。減税の恒久化と、今のままの、赤字公債と建設公債を截然と区別をして赤字公債を二〇〇三年までにゼロにするという考え方が成り立つものですかね。私は、それは今のままでは成り立たない。よほど大幅にそのほかの歳出をカットすればできるかもしれない。 だけれども、歳出自体が、もちろん一部公共事業などの中には経費が高いとかいろいろなむだもございますけれども、それは随分今度の財政構造改革法でぎりぎりぎりぎりにキャップもかけまして削減をしていったはずなんですよ。そこからさらに恒久減税をやって、しかもその財源を二〇〇三年までに、赤字公債、最初は赤字公債でしょうけれども、その赤字公債を二〇〇三年までにゼロにするという目標が果たして成り立つものでしょうかね、これは。そこはぜひおっしゃってください。
○橋本内閣総理大臣 先ほどから、先ほどからというより先ほども申し上げたことでありますけれども、今、財政構造改革法が通過、成立をさせていただきました後、最初の予算、すなわち平成十年度予算編成をいたしました。そして、その中でも非常に苦労しながら、それぞれの施策の見直しを進め、制度改正を織り込み、本予算を編成したわけであります。そして、であるがゆえに、私は、赤字公債を財源とする減税は難しいという言葉をずっと申し上げてまいりました。その難しさを私は否定しているわけでもありませんし、軽視をしているわけでもありません。 しかし同時に、財政構造改革というものの必要性も私は認めていただけると思います。そして、今例えば公共事業にキャップをかけたというお話が出ました。その結果として、よりスリムな査定が行われていると私は思いますし、当然ながら優先度のチェックも今まで以上に厳しい、今までだってやっていたはずです、より厳しいチェックが働いている、そう考えております。そして私は、難しいという言葉を使って申し上げてきたと思います。
○海江田委員 私が言っておりますのも、財政構造改革を否定するものではもちろんありませんし、財政構造改革というものとそれから景気回復というのは、私も両立をすると思っております。 ただ、昨年成立をしました財政構造改革法ですね、これは与党の中にも随分批判のあった内容だと思いまして、私は、これは金甌無欠なものだとは全く考えていないのですね。むしろこれを若干、本当の意味での財政構造改革を成功させ、しかも景気回復を図りつつ財政構造改革を成立させるためには、一度決まった法律ではありますけれども、これをかなり柔軟に考えまして、やはり実現不可能なところは、あるいは肝心の景気を押し殺してしまいそうな部分というのは、もう一度改むるにはばかることなかれではないだろうか。 そして、もし財政構造改革法、決まったばかりでございますけれども、これを改めるとしたら、その一つのポイントというのは、まさに財政法と絡んだところの赤字公債と建設公債のところだ。 この赤字公債と建設公債のところの区別を一緒にして、そして総体で国債を管理をしていく。国債の残高をこのくらいにしていく、あるいは新規の発行をこのくらいにしていくということでやりますと、総理が行いましたこの二兆円の減税の話も、それから、これからやはりマーケットは期待をしておる、あるいはきのうから出ておる織り込み済みということでいえば、もう減税の継続というのは、これは織り込み済みの話なんですよ。それがもう一度、いわゆる財政構造改革法のところに縛られてしまってそれができないということになったら、そこでかなりまた失望というものが出てくるわけです。 私は、やはりそういう問題を回避する意味でも、この二つの区別を、赤字公債と建設公債の区別をなくすということが一つ。それからもう一つは、やはり二〇〇三年というのは、何が何でも二〇〇三年でなきゃならないのかということについても若干考えてみる必要があるのではないだろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。 何が何でも二〇〇三年なのか。あるいは財政構造改革法というのも本当に、これから少なくとも二〇〇三年までとか集中改革の最初の三年間とか、何が何でもあの法律をそれこそ守っていくんだと。欠点の一つもない、さっきちょっと難しい表現をしました、金甌無欠というのですか、そういうようなものだというような認識を持っておるのかどうなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 一瞬、金甌無欠という表現が出ましたとき、非常に懐かしい用語を用いられたという感じとともに、平成九年度そして十年度、今、補正予算とともに本予算を御審議いただこうとしておるわけでありますが、昨日国会に提出をいたしました平成十年度予算、これは今、法人、金融、土地などの減税等によりまして、当然のことながら大幅な歳入の減収が見込まれる、その中におきまして、公債減額について一兆一千五百億円、特例公債につきましても三千四百億円の減額を達成しつつ予算編成を行いました。 これは、現下の経済金融情勢を考えますと、財政構造改革法が成立後初めての予算としてはしかるべき減額を立てられた、そう考えておりますし、今議員からも御指摘がありますように、その一歩を踏み出しましたけれども、いずれにしても、特例公債依存からの脱却等の目標というものは容易に達成されるものではない、今後ともやはりそうした意識は持ち続けなければならないというのは、私はお互いに考えておくべきことだと思います。 その上で、であればこそという言葉を用いてはいけないのかもしれませんが、私は、その生方議員の展開をされましたときにも、時宜に適したという言葉を確かに用いた記憶がございますし、こうした御議論を深めていただく、それに何ら異論はないということも申し上げてまいりました。 同時に、その二〇〇三年という時期設定、これは、与党三党の中におけるさまざまな論議の中からこれを設定したものでありますし、集中改革期間という発想もその議論の中からまとめ上げたものでありますが、その後において起きております変化、言いかえれば大規模金融機関の破綻あるいはアジアの経済情勢というものを何ら、少なくとも表面化してはおりませんでしたから、そういう中でまとめた議論であることも、これは御指摘を受ける前に事実として申し上げておきます。 そして同時に、やはり本来目指している方向というものは間違っているものではない、であればこそ国会においても私は御承認をいただき、スタートをさせたと考えておりますし、その限りにおいて、その範囲内でできる努力というのが今政府に与えられた権能であろう、私はそのように思います。
○海江田委員 ちょっと後ろの方が。議論をしてください、議論をしてくださいということはよくわかるので、その議論をしてくださいとおっしゃっている、その背景の総理の思いというのもよくわかるわけでありますが、やはりそこは、内閣を統括して日本を引っ張っていく総理としては、議論をしてくださいというお話だけじゃなしに、二兆円のときはあれだけ勇気を持っておやりになったわけですから、今度のこの措置につきましても、二兆円を一回やったわけですから、それをどうやってきちっと景気回復に結びつけをしていくのかというところでいうと、やはりさらにもう一歩の詰めが必要であります。 その詰めが、私は、まさにこの財政構造改革法の見直し、まあ見直しと言ってしまうと抵抗があるかもしれませんけれども、とりわけ二〇〇三年の部分とそれから建設と赤字の公債の区別のところ、見直しというよりも、これは改正と言えばいいのかもしれませんけれども、やはりそういうこともお考えになった方がいいのではないだろうかということを先ほど来るるお話をしておるわけでございます。 これは引き続き本予算のところでも大いに議論をさせていただきますので、本予算はとにかく予算書が出てこないことには議論ができないわけですから、これは一日も早く出していただかなければいけないと思います。(橋本内閣総理大臣「予算書は提出してあります」と呼ぶ)もう提出してありますか。では、細かなところでございますけれども。 それから、さっきのアジアの通貨危機の問題ですね。きのうも減税の中で、一つの踏み切るきっかけになったのはアジアの通貨危機があったからだということをおっしゃっていましたけれども、このアジアの通貨危機の日本経済に与える影響というのは、これはいろいろな形で言われておるんですね。被害が極めて軽微だというような言い方と、それから昨日あたりの総理の話を伺っておりますと、これはやはりかなり深刻なものだというような受け取り方と。 これは実際のところ、これは経企庁になりますか、アジアの通貨危機というものが日本経済に与える影響というものをどういうふうに見ておられるのかということをお話しいただきたいと思います。
○尾身国務大臣 アジアの経済状況でございますが、昨年夏以降、幾つかの国で金融・通貨市場に大きな変動が生じておりまして、通貨価値が下落をし、企業倒産がふえている、あるいは生産調整を余儀なくされている、株価も急落など、不安定な状況にございます。各国とも状況は異なりますけれども、経済状況が相当深刻なものになっているわけでございます。 我が国に対する影響でございますが、幾つかに分けまして考えますと、アジアの諸国に対します輸出それからアジア諸国からの輸入、それからアジア諸国向けの債権の不良債権化という問題、さらには進出企業の収益の悪化というようなことを通じまして、日本経済にも悪影響を及ぼすことが懸念をされているわけでございます。 これらの影響のうち、特に輸出の動向でございますが、ASEAN四カ国、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン向けの輸出でございますが、昨年の四—六月、前年同期比で一三%増でございましたが、七—九月には三・六%増に増加率が低下をし、十月には一・〇のマイナス、十一月には一一・四%減と減少に転じております。韓国向けの輸出も、四—六月は二・八%増でございましたが、七—九月で七・八%減、十月は四・八%増になりましたが、十一月はまた七・二%減ということで、総じて減少傾向にございます。 これらの国々の我が国の輸出入全体に占める割合でございますが、ASEAN四カ国で輸出入とも大体一二%、それから韓国向けが、輸出が七%、輸入が四・六ですから五%ということになっておりまして、そんなに大きい比率ではございませんが、しかし、これらの輸出入の動向を注意深く見守っていく必要があると考えております。 それから、邦銀、日本関係銀行のアジア向け融資でございますが、景気の減退が懸念されておりますタイ、インドネシア、韓国向けの融資がかなりございまして、ASEAN四カ国で七百三十五億ドル、韓国向けが二百三十七億ドルということになっております。 さらに直接投資でございますが、タイで累積残高が三兆七千億、インドネシアが同じく一兆三千億、韓国が同じく円ベースでございますが一兆円ということで、日本からの直接投資がかなりの額になっておりまして、アジア経済が大幅に減速するという事態になりますと、これらの邦銀の債権の不良債権化や、あるいは現地に進出している企業の収益悪化というようなことが問題になる可能性もあるわけでございます。 しかしながら、これらのアジア諸国の経済のファンダメンタルズ、潜在的な成長力はかなり高いというふうに考えておりますので、私ども、IMFを中心とした支援の枠組みの中で積極的に対応をし、このアジア経済が本来の活力を取り戻すよう全力を尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
○海江田委員 今、多方面にわたって、私が聞きたいことはほとんどその中に入っておりました。ただ、若干、例えば日本の金融機関の対アジア、ASEANとプラス韓国でよろしゅうございますが、融資額はわかったわけですけれども、実際そこのどのくらいが焦げつくかとか、これはまだ今現在ではなかなかわかりにくい話でございます。円ベースにしまして、十兆とまではいかないでしょうけれども、五兆とか七兆とか、そのくらいはやはり可能性があるなということもある程度覚悟しておかなければいけないのかなというふうに思ったりもいたします。 それから、貿易の場合でも、対ASEANでいうと、前年比大体十何%伸びていたのが、それがゼロになったという仮定で計算をしてみましても、輸出自体が、日本からの輸出ですね、これがGDPの中に占める比率というのは大体一〇%ぐらいですから、その一〇%のところが、去年伸びた分が減ってどういうふうになるかとかいう計算をすると、輸出の伸びというのは、ことし、九八年度に限って言うと、やはり前半に若干影響が出てくるということだろうと思いますけれども、それ自体はそれほど大きくないかなとか、幾つかいろいろな数字が出てくると思うのですね。 あともう一つ、これは尾身長官にお尋ねをするのか、あるいは大蔵大臣になるのか。 日本が既に支援策を決めましたね、これは総理もよく御存じだろうと思いますけれども。ただ、支援策の中で一つお尋ねをしたいのは、タイへの資金援助、これは輸銀の資金を使ったということ。それから、いわゆる第二線資金という、インドネシアと韓国でございますが、これはどこからの資金を使っておるのですか。額と、それからその資金の出どころというのをお話しいただきたいと思います。
○黒田政府委員 事実に関するお尋ねでございますので、私の方から簡単に御説明申し上げます。 委員御指摘のとおり、タイに対する我が国の支援は四十億ドルでございましたが、これはいわば第一線的な支援でございますので、輸出入銀行から支援をいたしました。 インドネシアと韓国に対しましては、第二線準備的支援ということで、御指摘のとおりでございまして、これはまだ実施しておりませんけれども、そういう準備をしておりまして、これは外貨で、我が国の外為特会からの短期のスワップという形でドルを供給するという予定になっております。 額を申し上げますと、インドネシアに対しましては五十億ドル、それから韓国に対しましては百億ドルを限度とするという考えで臨んでおります。
○海江田委員 外為特会からそういう形でドルのスワップにしてということ、もちろんまだ発生していませんが、ただ、これもなかなか見方が難しいところであります。きのうあたりは一段落しましたけれども、まだまだこれから深刻化する可能性もあるわけです。そうなった場合、従来の外為特会の運用からすると、かなりこれは特異、特例な運用ではないですか、いかがですか。
○黒田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、我が国の外為特会の持っております外貨、ドルを相手国の通貨とスワップするわけでございます。これは直物で売って先物で買い戻すという売買でございまして、従来から外為特会としてはそういう取引ができることになっております。 それから、そう多くあったという取引でないことは事実でございますけれども、普通に貸す場合と違いまして、スワップで相手国の通貨を取得いたしますので、それから、買い戻すときの価格も決めておりますので、為替リスクといったものは存在しないということになろうかと思います。
○海江田委員 わかりました。ただ、予約はつけられるわけですか、ちゃんと。つけているわけですね、これは。ああ、なるほどね。 そこのところをやはりしっかりしていただきませんと、やはりこの外為特会もなかなか見えにくい資金でありますので、その資金繰りがどうなっているのか、あるいは一部には評価損なども出ているというふうなことも聞いておりますので、この評価損が一体どういうふうになっておるのか、どのくらいに膨らんでおるのかというようなことも、とりわけこれから、第二線級ですから、まだ実際一線には出ていないわけですけれども、やはりそれだけの覚悟をしておかなければいけないということになると思いますので、これは本当に適宜適切な情報公開というものが必要だろうと思います。 それからもう一つ、そういう形でタイ、インドネシア、韓国、それぞれ資金援助の形を決めたわけでございますが、これは新聞報道などを通じて見ておりますと、昨年の秋口には、三塚大蔵大臣もバンコクに行きまして、そしてここでアジア通貨基金、AMFというものの構想があった。ところが、いつの間にかそのAMFの構想というものが立ち消えになりまして、そしてIMFが前面に出た処理になった。 十一月ぐらいが大きな転換点だったというふうに報道等では報じられているわけでございますが、ここのてんまつといいますか、どうしてAMFという構想が出てきて、そこに我が国が、かなり三塚大蔵大臣は積極的な発言も九月時点ではされておるように承っておりますが、その積極的な発言をされておったAMFの構想が急激にしぼんでしまって、そしてIMFに、後をついていくといいますか、IMFの枠の中で日本が資金を出すというようなお話になったのか、できたら三塚大蔵大臣からお話をいただきたいと思います。
○三塚国務大臣 経過は委員御指摘のとおりであります。 ただ、内容的に申し上げますと、IMFの仕事、役割というものは、御案内の、世界通貨安定、マクロ経済の活性、こういうことであります。タイ国に発しましたバーツ危機に対しまして、まずASEANと、アジアの日本でありますから、当然のことながらバイの会談も行われたところであります。早速の要請でございました。 そういう中で、全体を動かして、世界的な中で一国の通貨を安定させるということがポイントでございますから、我が国としてもIMFに要請、サポート申し上げました。当然タイ国に対しましても、IMFを除いてお国の通貨安定は期しがたい、経済の安定も期しがたい、よって、政府の決定を経てIMFに正式に申し込んでほしい、こういうことで申し込ませたところでございます。 その際、東京で会議を開き、ASEANはASEAN、アジアはアジアということで助け合おうという、自然発生的に各国代表から声が出ました。日本が中心となってその枠組みをつくる、IMFから除外するわけではない、まず自主的に自助努力をアジアはアジアでということでございました。 しかし、やはり全体的な流れの中で取り組みますことが大事なものでございますから、日米の関係もこれあり、当然、米国との相談もさせていただき、米国も最大の関心を持つ、こういうことであり、ヨーロッパもそうでございました。 その後行われましたG7の会議におきまして、世界的な機関は機関として大事にしながら、世界銀行もある、アジア銀行もありますものでございますから、これを補完する意味で、アジアはアジアとして今後の通貨安定、経済発展のために協調をしましょう、こういう枠組みに統一をいたしたところであります。これがマニラ・フレームということで、首脳が出て、橋本首相も出、取り決めた。その前に、バンクーバーでしたが、APECの首脳会議と、二回にわたって、そっちが先でありますけれども、取り組まさせていただいたという経過でございます。
○海江田委員 実際の交渉の経緯というのはなかなかつまびらかにできない部分があるかもしれませんが、外から見ておりますとどういう印象を受けるかというと、おっしゃるように、最初のAMFの、アジア通貨基金の構想が出てきたのは確かにマハティールさんなんかで、自然発生的に出てきたという話はそのとおりだろうと思いますが、そこで日本もやはりアジアの兄貴分としまして、昨日来言われたガンかカリか、ガンとカリは同じか違うのか、私もよくわからないのですが、皆さんそれぞれの言い方があるようですが、そこのフロントランナーとしての責任があるのではないだろうかということで、このAMFの構想を打ち出されたと。 それで、それは少し中長期的に見ますと、やはり円の国際化という問題とも密接に絡んでいるのではないだろうかというような考え方が、当然のことながら私はバックにあったと思うのですね。それが、アメリカがそれではいかぬということでそのAMFの構想というものを打ち消しをして、結果的にIMFに統一をされるということになった。やはりそこで、日本が失ったアジアからの信頼でありますとか、あるいは世界が日本を見ていた目というものは、あのメキシコ危機のときは何といってもアメリカが前面に出てきて、そして一年で解決をしてアメリカはよくやったという評価につながったわけでございます。 やはり今度のアジアの危機に際して、日本がそういう意味では、先ほど来お話のありましたように、確かに資金を出す、もう既に出した、あるいはこれから何か一たん事があったときに出すための準備はしているということでありますが、それが本当に円の国際化でありますとか、それからアジアのとりわけ経済の問題を日本がしっかりしてこれを支えていくんだというような評価につながっていかないと、お金を出すだけになってしまうのではないだろうかというふうな考え方もあるわけでございます。 それに対して、いや、そうじゃないんだということがはっきり言えるのかどうなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○三塚国務大臣 ここのところ、我が国とASEANの関係は極めて緊密でありますことは、御承知のとおりであります。同時に、世界の中で最も発展可能性、成長率の高い地域がアジアでありますことも御案内のとおりであります。貯金率も、我が国だけではなく、アジア諸国も四〇%前後でございます。勤勉であります。それで資源国であります。人口が多うございます。こういうことの中で主要な役割を果たしてまいってきたことも事実であります。 そういう中で、タイ・バーツの不安定、危機が訪れましたときに、率先してこの支援体制を決しましたのも日本でございました。前段申し上げましたとおり、IMFと直ちに連携をとりながら協調体制に入ったわけでございまして、我が国のイニシアによりまして、ASEANの諸国、香港、中国まで参加をいただき、支援体制をしかさせていただきました。それがAMFへの一つのきっかけになったことも事実であります。 そしてインドネシア、インドネシアに対しましても、いち早く相談を、首脳にも、私のところにもあったわけでございまして、それについて、ASEANの大国でもこれあり、あそこに通貨不安が、危機が訪れますと、ASEANが大変な状態になり、アジアが大変になり、我が国にも押し寄せてきますものでありますから、そういう点で全力を尽くさせていただいたところであります。 海江田委員言われますように、円の国際通貨化というのは、国家とすれば、また政府とすれば、また日本人とすれば、そういう時代があってもいいのではないかという願いがあったことは事実であります。しかしながら、ストレートにそれを行うことによって世界通貨の協調が行われ得ないということになってはいけませんものでありますから、APECにはいつも米国が参加をするという常連になってきておることでございますから、連携を深めながらということで、両々相まちまして取り組む。 しかし、通貨対策ということであれば、IMFを中心に、AMFは補完的な立場の中でしっかりとサポートしていく。先々アジアがそれだけの可能性のある地域でございますから、そのときはそのときとしても、連携を深めて、協調、そして共存共栄、こんな理念の中で取り進められたもの、こういうことであります。
○海江田委員 いずれにしましても、AMFの構想が挫折をしたということは、やはりまだまだ円の国際化ということにはほど遠いのではないだろうか。あるいはアメリカなんか、非常にストレートな物の言い方をすれば、日本は、あなたそんなことを言うけれども自分のところに問題があるんじゃないの、自分のところの問題を解決してから、アジアの中の兄貴分だとかなんだとか言ってくれというようなニュアンスの考え方がやはり基本的にはあるのではないだろうか。 そういうことは、このAMF構想の、まあ私はあえて挫折と言わせていただきますけれども、その中からやはり我が国としては教訓化をしておかなければいけないのではないだろうか、そういうふうに思います。その意味で、このいわゆる日本の金融システムの安定というものは非常に大事なわけでございます。 日銀総裁にもお越しいただいておりますが、お聞きしたいのは二つございまして、一点は、今回かなり大量の資金を、まあこれはもちろん、まだ全部を一度に出すという話ではございません、先ほどの第二線配備と同じような考え方の部分もございますけれども、やはりこれから金融機関の破綻に、とりわけ一般の金融機関の破綻にまでも公的支援を行うということになりますと、結局、その公的支援したお金が市場に出ていって、流動性がかなり強まってくるのではないだろうかということは、私は昨年もそういう可能性というものを指摘をしたわけでございますが、今度の場合、やはり規模がかなり大きくなってまいりますから、これが過剰流動性になりはしないだろうかというおそれ、これに対して日銀はどういうふうな見方をとっているのかということが一点。 それからもう一つは、これは日銀の総裁にお答えをいただくのは難しいお話かもしれませんけれども、私は、今の銀行の預金金利というものが異常に低いと。もちろん自由金利でございますから、市場が金利をつけるということが大原則になっておりますけれども、ただやはり、例えば一年物に預けをしまして〇・二%とか〇・三%とか、しかも、何か〇・二とか〇・三だとかいうと、それが当たり前のようになってしまいますけれども、実はこれは、公定歩合が〇・五ですから、公定歩合よりさらに低いわけですよね。 これまで私が調べた限りでは、金利が上下したときがありますけれども、例えば一年物の定期預金の金利が公定歩合以下であるというのは、公定歩合が今度〇・五になって、二年ぐらい前に初めてそうなって、それ以前というのは、ずっと二十年ぐらい調べてみましたけれども、公定歩合以下というのはないのですよね。 そういうものを、自由市場で市場が決める金利だから、そうやって公定歩合以下の預金の金利にしておって、一年物の定期の金利にしておいて、それでいいということなのか、全く問題がないのかどうなのか、やはりこれは少し異常だよという認識をお持ちなのかどうなのか、その二点についてお尋ねをしたいわけでございます。
○松下参考人 初めの御質問の、私どもが金融機関の破綻処理等に関して出しておりますいわゆる日銀特融が非常に大きな金額に上って、これが国内の流動性の過剰を招く心配がないかどうかという点でございますけれども、御指摘のように、日銀の特融は現状三兆円を超える金額に達しておりますけれども、それらの資金がすべて、各いろいろの機関の決済その他に用いられまして、その出合いのしりは最終的には市場の中で決済されてまいるわけでございます。その市場に最後集まってまいります我が国の決済用のもろもろの資金の需給を私どもは日々観察をいたしまして、その量の調節をいたしております。 この調節によりまして、全体の資金量につきまして市場が必要とする適正な水準に維持をするというやり方で調整をいたしておりますので、私どもの操作で、特融によりまして過剰流動性が一般化するというような心配がないように実施をしているところでございます。 もう一つ、金利と預金金利の関係でございますが、預金金利は自由化されておりますので、市場におきます調達金利をにらみながら各金融機関が決定をいたしてまいります。 現状、公定歩合との関係で申しますと、市場におきます短期の金利水準が相当低下をいたしておりまして、むしろ公定歩合の水準をさらに下回るというような状況もございます。そういった状態をもとにいたしまして、各金融機関が資金吸収のための政策に基づいて金利を決定してまいるのでございますけれども、自然そのことが預金金利の低さを招いているわけでございます。 私どもとしましては、この預金金利の低さというものが貸出金利の水準に反映をいたしまして、これによりまして日本の一般の企業の収益を支え、またひいては雇用者所得の下支えになっている、その効果を期待しながら、現在の低金利を維持しているところでございます。 もちろん、個々の家計におきましては金利収入は大きな割合を占めておりまして、家計では、この金利の、債務の負担の大体倍ぐらいの確定金利を生む金融資産をお持ちでございますから、ここでの収入が減少するということは、私どもも預金金利に依存されることの大きい家計等につきましては、甚だお気の毒な事態であるということを十分認識いたしておりますが、何より当面はこの停滞色の強い景気の下支えをいたしまして全体の景気を強くする、その経済を強くすることを通じて、家計にそれが将来よい影響を及ぼすように期待をするということでございます。
○海江田委員 今総裁がおっしゃったように、確かに短期の金利は非常に下がっておることは事実でございますけれども、じゃ、その反面本当に貸し出しの金利が下がっているかというと、これはそれほど下がっていないわけですよね。今ここに表もつくっておりますけれども、長プラで調べておる数字でございますけれども、いわゆる預金、預かり金に対する金利と、それから貸し出しに対する金利でいうと、それほどやはり下がっていません。むしろそれは拡大をしておりますよ、これははっきり言って。 それが実は金融機関の業務純益になって、その業務純益がいわゆる不良債権の償却につながっているということでありますから、やはりここは、幾度も議論のあるところでございますけれども、短期金利が下がって、それによって市場からの調達の資金が下がって、それに連動しまして預金の金利なんかも下がって、結果的に全体の資金の調達のコストが安くなったら、やはりそこは貸し出しの金利にきちっと反映をするような仕組みにしなければいけない。 あるいは、必要以上の金利の低下というものに対して、預金に対する金利の低くなるものに対して、自由金利だからといって全くそれで構わないのだということになるのかどうなのか。ここはやはりよく見ておいて、あるいは国会などでもそういう議論を十分することによって、一つの圧力というものを、これは場合によっては金融機関にもかけていかなければいけないのじゃないか。私は、この最近の金利の低さというのはやはりちょっと異常でありますし、それは自由金利だからということでそのままほっておいていい話にはならないというふうに思っておるのです。 それから、特にこれから金融機関が本当にビッグバンで国際的な競争力なんかをつけていくためには、いわゆる利ざやの収益だけではやっていくことができないわけでありますから、金融機関のそういう収益の構造そのものを変えていかなければいけない。それが非常に安易に利ざやがとれて、それで純益が上がっていくというようなことでは、本当の意味で、長い目で、中長期的な目で見たときに、果たして日本の金融機関の健全性というものに資することになるのかどうなのかということ、大変大きな疑問を持っておりますので、また機会がありましたら議論をさせていただきたいと思います。 既に私、持ち時間をオーバーしてしまいましたので、後の生方委員にかわります。どうもありがとうございました。
○松永委員長 この際、生方幸夫君から関連質疑の申し出があります。海江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。生方幸夫君。
○生方委員 民主党の生方でございます。 まず、大蔵省OBの不祥事の問題から御質問をさせていただきます。 これはおととい起きたばかりの事件でございますので、私も新聞報道以上のものを手元に資料として持っているわけではございませんが、この間の報道を見ますと、またかと国民は本当にうんざりしているのじゃないか。昨年の末から大手企業の役員の方が頭を下げるのを見てまいりましたが、今度は役所の方がまた頭を下げて申しわけないと言う図を繰り返すのに、きのう総理も情けないとおっしゃいましたが、本当に私は、国民の皆様方含めて情けない思いをしているのではないかというふうに考えております。 きのう、あるテレビのニュースを見ておりましたら、大蔵省のOBの方が出ていて、接待についてのコメントをしていて、年に一、二回ならいいのじゃないか、今度のは五十回だから程度を超えていると言いましたが、年に一、二回一社とやって、これを五十社とやれば年に五十回から百回になってしまうわけで、そういう意識を持っているということがそもそもおかしいのではないか。 私ども、大蔵省の皆さん方、確かに一生懸命やっていらっしゃるのはよくわかるのですけれども、どうも国民感情から見ますと、大蔵省はまるで税金が自分たちのお金であるというふうに勘違いしているのじゃないか。 大蔵省は、大事な国民の皆様方のお金をお預かりしていて、それを国民の皆様方のために使うのだということが前提であるのに、いつの間にか、自分たちが大蔵省のお金、国民の皆様方の税金を割り振る権限があるというふうに勘違いなさってしまっていることが、自分たちが接待を受けても当然だという考えに結びついているのではないか。それが、ある個人の問題として片づけられてきても、次から次へと不祥事が起きてしまう原因になっているのではないか。つまり、大蔵省の体質、大蔵省に権限が集中し過ぎている今の体質というものがまさにこうした不祥事を引き起こしているのではないか。 きのうも大蔵大臣の答弁で、是正措置をとっているのだ、したがって通達を出した以後はそういったことはないはずだというふうにおっしゃっておりましたが、必ずこれはまた出てくるわけですね。それで、ないはずだということがまた繰り返されるわけでございまして、国民としては、これ以上もう役人の不祥事を見たくない、こんなに国が緊急、危急の折に何で大蔵省がこんなことをやっていなければいけないのだと。 これはOBの話でございますが、OBの話だから大蔵省が関係ないということにはならないわけですね。OBとして天下りをして、そこで、大蔵省出身者であるということを背景にしてこうした不祥事を起こしているわけでございますから、何としてでもこの体質、大蔵省の体質というものを変えなければいけないと思うのです。 大蔵大臣、きのうに引き続いてですが、御所見をお伺いしたいのですが。
○三塚国務大臣 その前に、お許しを得て、昨日石井議員初め各位から出されました大蔵省に対するきつい御叱正、しかと受けとめたわけでございますが、所感を申し上げてただいまの御答弁に結びつけさせていただきますが、よろしいでしょうか。(生方委員「はい、結構です」と呼ぶ) それでは、昨日、石井議員の御質疑の中で、問題点の指摘、また点検の御指摘がございました。伝えられるような金融当局の職員と金融機関等の役職員等の間の疑惑につきましては、捜査当局が、報道されていること等についても承知の上で、必要な捜査活動をされているものと理解をいたしておるところであります。大蔵省としては、捜査に全面的に協力していかなければならぬと考えておるところでございます。 また、大蔵省としても、捜査に何らかの影響を与えないように留意しながら、みずからの調査を行い、その結果に基づいて、問題があれば厳正な行政処分を行うことといたしたいと存じます。 生方委員の御質疑も、権限の上に乗っかった思い上がりではないか等々、かねがね出されておりますこと、私も、その都度しかと受けとめながら、職員各位に対して、使命感を盛んにして全力を尽くせ、こういうことで激励をし、今日の種々の経済、金融の問題に全力を尽くさせておるところでございます。 毎回申し上げておりますが、八年十二月、改めての自粛倫理規程、そして、会合に出る場合等についての守らなければならぬこと、いわゆる一般常識を超えた公務員としての厳しさを実は明示をしながら、徹底をさせてきておるところでありますが、基本的に、今日の事態を冷静に分析し、どう進まなければならぬかということについては改めて認識をしていただかなければなりませんし、そういう中で、国家公務員が行政の中核として頑張っていただかなければならない、こう思っておるところであり、御指摘はしかと承らせていただき、今後に生かします。
○生方委員 今、大蔵大臣、一般常識を超えてとおっしゃいましたけれども、もう本当に一般常識がないとしか僕なんかは思いようがないわけですね。 例えば、同僚議員のことは余り言いたくないですが、新井議員が、仮にこれが事実だとすれば、一億円預けて四千万円もうかるというようなこと、これは常識では考えられないわけですね。そうしたことが行われてもそれを不思議と思わない体質とか、金融検査部の職員が検査する対象と一緒にお酒を飲んでしまってもおかしいと思わないこの体質、まさに一般常識を超えてどころではなくて、一般常識のレベルにまで達していないという人たちが非常に大きな額を扱ってそれを配分しているということになりますと、国の予算執行そのものにまでやはり国民の皆様方が疑問を呈してしまうのではないか。 したがって、やはり、何度言ってもこれはもうしようがない問題でございますので、本当にきっちりと内部を引き締めていただかなければいけないと思います。 政府委員の方たちにお伺いしたいのですが、大蔵省の役職として所管の企業や関係機関といろいろな情報交換をするというのは当然あってしかるべきだと思いますが、そこに並んでいるお三方の局長さんたちはどのようなつき合い方をしているのか、ちょっとお伺いしたいのですが。
○涌井政府委員 主計局長という立場から申し上げますと、主計局というのは予算編成を行っているところでございます。したがいまして、直接的な関係業界というのはございません。相手省庁でございます。 相手省庁との関係につきましては、いわゆる官官接待はしてはならぬということでございますので、そういう関係は一切今はございませんし、業界もございません。つき合いはございません。
○生方委員 私はつき合うなというふうに言っているのではなくて、情報交換するのは当たり前だと思うのですけれども、何もそれを、自分のお金でやればいいと思うのですね。食事をしたら、我々だって割り勘でお金を払うというのは常識なのに、大蔵省の方たちは向こうが払うのが常識で、新聞の報道を見れば、ゴルフ、次があいているよというようなことを自分から言うなんという、こういう非常識な話が出るということ自体が私はおかしいと思うのですね。 だから、主計局長はもちろんお忙しいでしょうから夜どうのこうのということはないでしょうけれども、私は全部つき合いをやめろということじゃなくて、つき合ったら自分の分は自分で払えという、ごく当たり前のことを当たり前にやれというふうに言えば、お忙しいのはよくわかるのですから、その忙しい中を縫ってそんなことをやる必要はないと思うのですね。 続けて、あとお二人の局長にもちょっと。
○薄井政府委員 みずからの責任において、恥じることのないような行動をとっているつもりでおります。
○山口政府委員 お答え申し上げます。 社会的な批判を受けるようなことはしておりませんし、どうしても出なければならない場合は割り勘にしております。 ただ、情報交換が大切な我々の役割だということもよく意識しておりますけれども、現在は非常にその辺を意識しながらもきっちりとした対応をしておるというふうに思っております。情報交換も、役所に来てもらって昼間いろいろ聞いているというのが実情でございます。
○生方委員 情報交換でも、本当に必要な部分は大蔵省がお金を出したって私はいいと思うのですよ。何も全部が全部いけないと言っているわけじゃなくて、けじめというのですか、一般常識、国民が考えている常識と大蔵省の考えている常識がずれているということはこれからもきちんと直していかないと、今のお答えを聞いても本当に木で鼻をくくったようなお話でございまして、国民は今の答弁を聞いて、ああ、局長さんたちはみんなきれいだなというふうには思わないです。 やはり本音で語っていただいて、いや、飲みたいときは私たちも飲みますけれどもそれは自分のお金で払いますよというふうに普通の言葉でしゃべっていただかないこと自体が、大蔵省の体質というものをあらわしているのではないかと私は思いまして、国民の怒りの声を代弁いたしまして今質問をさせていただきました。 次に、景気対策と財政構造改革の問題についての質問に移らせていただきます。 今、同僚議員の海江田さんが追及を、追及というか御質問をさせていただきましたので、その関連ということになりますが、きのう総理は、野党側の質問に対して、今の株価や円が上がっているというのは既に補正予算案を含んだ景気対策を織り込み済みでこれが上がっている、したがって、これを一日も早く通していただくことが重要であるということを繰り返し述べられました。 しかしながら、総理が経済演説をされたときに株価も円も下がってしまったわけですね。株価が上がったのは、まさに追加景気対策をとるということが発表されて株価と円が急反発したというのが現状ではないかというふうに私は認識をしております。 したがって、総理のきのうの発言でいいますと、仮に補正予算が通って本予算が通った後、追加的な予算措置というのがとられなければ、また景気が足踏みないしは後退してしまうおそれがあると思うのですが、総理、いかがでございましょうか。
○橋本内閣総理大臣 昨年の秋以降、我が国におきまして、大手の銀行あるいは証券会社が相次いで破綻をし、そしてこの結果、金融システムに対する信頼が低下した状況が生まれました。同時に、その一方で貸し渋りと言われますような資産圧縮の動きも出てきておりまして、こうした状況の中で、不安感をお持ちになる方々が消費に消極的になられた、あるいは企業によっては十分な資金が得られず事業の展開ができないという状況が生まれた。これはもう繰り返し申し上げてきましたし、そうした中で、我が国経済を回復軌道に乗せるために、何といいましてもやはり経済の動脈である金融システムを安定させることが必要だということも、繰り返して申し上げてまいりました。 そして今、まさにその金融システムの安定というものに対し、この対策をとることによって信認を内外に明らかにしたい、御審議をお願い申し上げております。 そうした中で、相場は大変神経質に動いておりますし、さまざまな要因でもともと本来動くものでありますから、市場の動きというものは常に注視をしていかなければなりません。そして、やはり私は、本当にこの補正予算、さらには本予算、税制、それぞれ御審議をいただきますものがきちんと期間内に届けられることが何よりも大切なことだと考えておりますし、それが議員の今仰せられたように追加の対策を求めるというものにはならないことを心から願います。 しかし、むしろ今逆に強調させていただきたいこと。これは、例えば補正予算なりシステム安定化策なり、次年度の予算、税制、こうしたものがなかなか成立をしないのではないかというような印象を市場が持てば、私は、本当にこの影響というのはとめどのないものになると思っております。それだけに、神経質に反応のあります、ただでさえ市場というものはそういう性格を持つ中で、特にそういう神経質さを増しております市場というものを我々は注意深く見守っていきますけれども、その中で果たすべき役割をきちんと果たさせていただきたい、心からそう願います。
○生方委員 今総理がおっしゃったことはよくわかるのですけれども、二兆円の減税とか法人税を引き下げるというような問題で、私どもどうしても、その対策が小出しに過ぎるのではないか、やはりもうちょっと大幅なものを出していけば追加的な措置をとらなければいけないというような発言が出なくて済むのではないかという感じがいたすのですが、そうしたことが出てくるのも、当然、財政構造改革法が今度の予算から適用されるわけでございますから、そうした予算の縛りがあるということも私はよく承知をしております。 ここで私は言いたいのですが、財政構造改革というのは、これはもちろんしなければいけないことはだれでもわかっておりまして、財政構造改革法案が通りましてその枠組みはきちっとできたわけでございます。したがって、二〇〇三年というおしりを必ずしも決めて厳粛に守るというのではなくて、私は、まあ二〇〇三年を云々というよりも、日本の景気が回復するまで本格的な景気回復予算を組み立てるためにも、今年度、あるいは来年度まで行ってしまうかもしれませんが、一年ないし二年、財政構造改革法案の適用というのを凍結してみたらいかがか。 そうしたことをすることによって、予算編成をもう少し自由にして、追加的な措置というようなことをとるのではなく、本格的な景気対策というものを盛り込んだ予算をつくっていけば、そうした姿勢を内外に明らかにすることによって、景気はまたかなり力強く回復をしていくのではないか。 財政構造改革という枠組み、もう法案が通っているのですから枠組みはできているわけですから、一年か二年、多少その実現がおくれても国民の皆様方は納得するのではないかと思うのですけれども、総理、いかがでございましょうか。
○橋本内閣総理大臣 今、議員の御発言を伺いながら感じたことの一つ。これは海江田議員もそうでありましたけれども、財政構造改革というものの必要性を否定されるものではなく、その上で現実の対応により弾力性を持たせるためにという御提案と受けとめてまいりました。 そして、私は、今回の予算、補正予算そして次年度予算、特別減税、次年度における税制改正、こうしたものはまさに経済、金融の情勢の変化に機敏に対応していくという考え方のもとに編成をされたもの、そう考えておりますし、システム安定化策につきましても同様の考え方を持っております。 いずれにしても、これは二者択一の話ではございません。往々にしてその点が今まで混同されたように、これは我々の説明も悪かったのかもしれません。その上で、中期の目標と現実の当面の対応という対策にはタイムスパンが当然ながら存在をする、この点は私はそのように思います。
○生方委員 今やはり一番大事なのは、日本経済、本格的にまだ悪くは、悪いというかファンダメンタルズそのものから見ていけばまだまだ体力もあるし、おっしゃるように個人資産もまだたくさんございますし、黒字もたくさんあるという状態ですから、そういう状態の中で、今、景気がおかしくなっているときには本格的な対策というのは立てやすいと思うんですね。 したがって、私は、財政構造改革という枠組みはきちんとできたのでございますから、その枠組みを残した中で、抜本的な景気対策を橋本総理が打ち立てていただく。総理にとっては、今、最高、ベストの政策を出しているというふうにおっしゃいましたけれども、もうちょっと踏み込んだ、いわば市場の動きを先取りしたような形で抜本的な対策を出していただければ、株価も円も今上がっている状態でございますから、それが持続して上がるのではないかと思うので、その辺、もう少し執行を延ばすとか、そういう柔軟な、弾力的な、景気対策に対しては弾力的な考え方をいろいろ御披露されておりますけれども、財政改革についてもそのようなお考えがあるのかどうか、重ねてお伺いしたいのですが。
○橋本内閣総理大臣 今、私どもは、国会に予算案を提出し、この補正予算、次年度予算の御審議をいただき、一日も早くこれを成立させていただきたい、そうお願いをしている立場であります。そして、まさに私自身、予算案とともに、関連いたします法律案、その中には税制もございます、その他の法律もございますけれども、これを一日も早く成立をさせていただくことによって、国会で御承認をいただく予算がそのまま実行に移せる、そして現実にお金が動き始める、これを何よりも願っております。
○生方委員 ちょっと視点を変えて御質問をさせていただきたいのですが、来年度予算が成立した暁には公共事業を前倒しで実行するんだというような話も漏れ伝わってまいります。私どもは、公共事業全体を悪とみなしているわけではございません。もちろん、当然必要な公共事業というのはしていかなければいけないと考えております。 そこで、私は松戸というところから通っておるのですけれども、都市と地方との公共投資の配分ということについてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。 けさも私、地下鉄で通勤をしてまいりまして、千代田線というものに乗って来るのですけれども、非常に込んでいるわけですね。電車の中で新聞も読めないような状態で、私ですと四十五分ぐらいかかってやってくる。きょうなどは信号故障がございまして、途中で電車がとまって、ずっと、もう本当に何にも身動きもできない状態で、地下鉄の駅の途中で待たなければいけない。これを解消するために地下鉄を延長してほしいというようなことをもう一九八五年の段階から申し上げておって、その答申は、延長するというふうに出ておるのですけれども、実際には押上までの工事が着工しただけで、そこから先というのは一切見通しが立っていないという状況でございます。 地方と都市部の格差ということになりますと、納税額に対して補助金が出る額というものの比率を見ますと、東京と一番多い岩手県との間では実に一対四十九・幾つというような開きがあるわけですね。こうなりますと、法のもとの平等ということを考えますと、同じ額の税金を納めていながら、岩手県の方たちは実に五十倍もの補助金というか公共投資を受けているということになりますと、これはやはり幾ら何でも差が大き過ぎるのではないかという気がいたします。 昨年の経済白書でも、地方に対する公共投資というのが地方と都市の格差を埋めるためにぜひ必要だということでこれまで行われてきたのですが、その経済白書によりますと、実際は公共投資をふやしたとしても地方と都市の格差は必ずしも埋まるものではない、かえって地方が公共投資に依存をする体質ができてきて、民間の活力をそぐ結果にもなっているということが報告をされております。 私たちは、都市部にもやはりもっと投資というのをふやすべきではないか。これは地方分権とかということにも関連をしてきますので、一概に都市部に投資を集中すればさらなる集中が進んでしまうという弊害もあるのですけれども、確かに、自動車等の道路とかを見ますと、渋滞をしていてそれによる経済的なロスとか、渋滞をして出すことによる環境破壊等を考えますと、都市部への投資というのはまだまだ足りない。 地方で行われている、川の護岸を全部コンクリートで固めてしまうような工事とか、これだけお米が余っているときに農地をさらにつくるような工事というものをなくして、やはり都市部の生活がもっと豊かになるような投資というものも考えてもいい時期に来ているのではないかと思いますが、総理、いかがでございましょうか。
○橋本内閣総理大臣 私は、率直に申しまして、公共事業、都市あるいは地方、そういう問いかけではなくて、どうやって国民生活の豊かさを実感できるような社会をつくり上げるか、そして、やはりそれぞれの地域の社会資本の整備状況というものを考えながら、同時にその地域のニーズに対応していく、それが必要なことだと思うんです。 同時に、もしつけ加えさせていただくとすれば、その地方自治体の財政力というものも、御自身で仕事のおできになるところと、なかなか自分のところだけでは公共事業を進める、社会資本整備を進めるには無理があるといったような、そういう格差も考えなければいけないのかもしれません。 しかしいずれにしても、都市部において、例えば今通勤の混雑というもの、通勤通学の路線整備という感じから議員は一つの例を述べられましたけれども、既成の市街地をいかに有効活用していくかという視点から見れば、街路整備事業も必要でありましょう、あるいは土地区画整理事業も必要でありましょう。さらに、まさに阪神・淡路の震災というものから受けた教訓の中で、密集市街地対策、防災対策というものも進めていくことは当然必要でありますし、私は、地方は地方の抱えている問題に対し、都市部は都市部が抱える問題に的確に対応できるように公共事業というものは進めてまいるべき、そのように思います。
○生方委員 私が今こうしたことを申し上げたのも、国民の皆様方の政治に対する関心が薄れていくというときに、都市部の関心が特に薄れているわけですね。それは、政治が自分たちの身近に感じられないというのが最大の原因である。自分たちが税金を納めていても、それによってどこがどう変わったのかが実感できないことが、政治に対して非常に距離ができてしまうことにつながっているのではないか。 したがって、地方の方たちですと、陳情をして声を上げればそれがある程度吸い上げられて実現するという達成感みたいなものがあるのでしょうけれども、都市部の方たちは陳情する機会もございませんし、声なき声で、黙々と毎日満員電車に揺られながらも文句を言わずに来ている人たちの間にまさに政治不信が起こっているということを考えますと、そうしたことも勘案して予算を執行していかなければいけないのではないかというような気がいたします。
○瓦国務大臣 生方委員にお答えをいたします。 今、総理からお話がございましたが、地方にとりましても、都市化といいますか生活自体が相当に変化をいたしておりますし、その基盤整備をする必要がある。いわゆるバランスのとれた国家にしなければならぬ、こう考えておるわけであります。 加えて言いますと、もうそれぞれ企業が国境を越えてくる時代でありますから、我が国の魅力というものを相当に、戦後五十年を経まして再検討を加えていく、そういう時代であろう、こういうことを考えております。こういう中で国土のバランスのとれた発展というのが期待できるわけでありますので、私は、戦後五十年を経て今、国土のあり方というものを再度検討を要する時代であろうと思うわけであります。 なお、そう考えてみますと、今、都市構造再編プログラム、この策定を盛り込んでおるわけでありますが、昨今の経済情勢を踏まえますと、土地取引の活性化というものを一方に図らなければなりませんが、長期的には今申し上げたように、国際的にも誇れる、震災にも強い、経済社会機能が維持できる、そういう都市づくりをしなければならぬ。こういうことで、今ほど都市部における要請を満たすことが少ないというお話がありましたが、先般、都市選出の国会議員の方々とも懇談を開き、また、都議会議員や区議会議員、区長の方々ともこれらの問題につきまして検討をいたしました。 大変理解が進みまして、例えて言いますと、銀座あたりにおきましても再度都市改造をしようではないかというような意向もございますし、また、滝野川とか近郊におきましても、道路の幅員等につきまして、都市計画をきちんとしてやりますと整備が進むわけでありますので、こういうあり方も検討をいたしておりまして、これらの事業を進めることにおける都市部の整備、それから地方におきましては地方の機能を高めるということ、こういったことを配慮しながら、現下の問題にこたえてまいりたいと思っておるところであります。 御理解を賜り、御協力をいただきたいと思います。
○生方委員 では、次の問題に移らせていただきます。優先株購入の問題についてお伺いをしたいと思います。 一番焦点となっているのは、公的資金を優先株購入するのに充てるということで、どこの範囲まで優先株購入の枠を広げるのかということが非常に焦点になっているというふうに思います。 きのうもたびたび出ておりましたが、北洋銀行等受け皿銀行に対して公的資金を導入するということに対しては、多くの国民の方たちのほぼコンセンサスがあるのではないかというふうに私は考えております。しかしながら、東京三菱銀行等非常に優良な銀行に対して公的資金を使って優先株を買うということについてまでは、多くの国民の方たちが疑問を持っているのではないかというふうに考えております。 優先株を購入するためには、きちんと審査会をつくってそこで審査をなさるということでございますが、その基準というのをどこに置くのか、どういうところの優先株を購入し、その優先株購入の限度はどこなのか、それから、その条件というのは一体今どう考えているのかということを大蔵大臣にお伺いしたいのですが。
○三塚国務大臣 詳細なところは政府委員から申し上げさせていただきます。 優先株でありますが、本件は銀行救済のためにやるものではございません。よって、法令のそれぞれの機関、また手続についても全員一致等、閣議決定等、それを決めさせていただいたところであります。 要すれば、今回の金融システムは、不安感を払拭いたしまして、預貯金者である国民各位に御安心をいただくというのが最大のポイントでございました。いつでも対応ができるという国債発行を十兆円といたしたところでございます。 問題は、七兆円のところではなく、三兆円の危機管理勘定についての生方委員の言及でございます。 簡単に言いますと、受け皿銀行の話がありました。そのとおりであります。金融システムの安定と地域経済の安定のために引き受けるわけでありますから。いつも言われる北洋銀行の例であります。資本力増強をしてさしあげますことは十二分に、拓銀が業務を終えて、譲渡を終えた後はそうなるわけでございますから、どなたも異論のないところのようであります。 その他の銀行についてということになります。 我が国は経済大国である。そして同時に、国際展開を企業も銀行もいたしております。地銀の中にアメリカや欧州に行っておられるところもありますが、ステータスの問題だけで出ておる方もあるということもございます。それは別として、主要な展開を国内はもちろんでありますが海外において行っておる銀行について、外国の銀行と遜色のない自己資本率を確保するということは、我が国の金融システムの安定、外国からの信認を得ることに通じます。 ちなみに、主要銀行についてはBIS基準は九%ちょっと、平均でありますがそうなっております。外国銀行は一四もあります。一三、一二、こういうことの中でございますから、これに力をつけていきますことが、我が国のシステム安定、ひいては経済の進展、国益にもつながるのかな。こういうことの中で、同様に政府保証十兆円をつけさせていただいたところでございます。 ルールは、審査委員会ができますとそこで行われるということであろうと思いますが、そのまま法令にのっとって申し上げますと、経営状況が著しく悪化していない金融機関について、自己資本率が改善をされなければ、金融市場における資金調達が極めて困難になるなどにより、我が国金融システムに著しい障害が生ずる場合、こういうことになっております。また同時に、金融機関の連鎖的な破綻が発生することによりまして、当該地域、分野の経済活動に著しい障害が生ずるおそれのある場合、こういうことでございます。
○生方委員 今おっしゃいました、地方銀行で国際業務をやっているところの自己資本比率が低いから優先株を購入するんだということになりますと、これはまさに銀行の自助努力でやるべきことであって、何も政府がそこへお金をつぎ込むぐらいだったら、その自己資本比率が低い地方銀行は国際業務から撤退すればいいのであって、それを政府が買い支えるということは、ビッグバン、まさに自由競争の中にさらされていくという方向に反するのではないでしょうか。いかがでございましょう。
○山口政府委員 お答え申し上げます。 優良な銀行等におきまして、自分の力で資金調達がスムーズにできる場合、そういう場合においてはこのケースは当たらないわけでございます。どういうケースかといいますと、それは金融危機でございます。 例えば、昨年の十一月を例に出させていただきたいと思うのでございますが、株価が特定の銀行で大分下がりました。それで、格付の引き下げの動きもありました、報道もいろいろございました。そこで、専門家の取引であるコール市場で大変な、これはゆがみといいましょうか、逼塞感が出たわけでございます。と同時に、海外でも外貨の調達が大変苦しくなりました。韓国の銀行の話もありました、それと同列に日本の銀行も論じられました。健全だと言われている銀行ですら、そういった大変な危ない目を経験したわけでございます。 さらに、現時点を考えますと、今度、三月期というものがございます。格付機関は、どれだけ償却しているかということを強く見ます。したがって、銀行は努めて不良債権の償却をやっております。 償却は利益を使います、自己資本を使います。したがって、償却をしようとすれば自己資本比率がどんどん下がります。そこでまた株価がもし三月末に非常に下がるというようなことが読めますと、各金融機関は、大変そこは警戒的になります。警戒的になると同時に、資産を圧縮しようとする、貸し出しを減らそうとする。あるいは、外国での我が国企業が進出している先への資金を引き揚げようとする。これは、ひとり金融機関だけの問題ではなくなるわけでございます。 たとえ優良銀行であれ、八%というレベルがあるわけでございます。八%かすかすでいいかというと、やはり国際競争力がありますから、もうちょっと高くというふうになりますと、そういう行動に出ることはあるわけでございます。 したがって、金融がいろいろな形での危機をはらむ、それが経済全体の危機につながる、それは貸し渋りというプロセスを通ずるケースが多いと思いますけれども、そういったことを防ぐためにも、あくまでマーケットで自然にそれがとれればいいのです。しかし、最近は、劣後ローンも劣後債もなかなかとれません。そういうときに、外部からちょっと力を貸してあげるということでぐっと立ち直る、立ち直れば、我が国がそういった逼塞な状態から抜け出すことができるというふうに考えるわけでございます。 そういったことを審査委員会の方で十分御審議いただき、基準をつくっていただき、それで適切に対応していただくということを期待しているわけでございます。
○生方委員 貸し渋り対策と資金調達の対策ということで公的資金を導入するということでございますが、貸し渋り対策においては、例えば中小企業等については政府系金融機関で貸し出しをするという道を開いているところでもございます。もちろん、国際業務におきましても、政府系金融機関があるわけですから、そちらに資金を投入するなりなんなりするという方法もあるわけですね。 ここで、国際活動をしている金融機関に対してだけ、自己資本比率が低いからといって政府のお金を出すというようなことになれば、これはやはり自由競争の原則というものから外れるわけで、そうしたことを繰り返す日本の金融市場というものに対する不信感というのがまた出てくるのではないかと私は懸念するのですが、むしろ、やはりここは厳しくても、優良と言われている金融機関にまでいわばそれを後押しするような形で公的資金を導入するということは、かえって日本の金融自由化にはマイナスになるのではないかと思うのですが、大蔵大臣、御所見いかがでございましょうか。
○三塚国務大臣 問題は、危機管理勘定というふうに三十兆のフレームをつくりまして、国債、これの十兆円を預金者保護勘定の方に、わかりよく言いますとそういうことです。破綻した場合の万全の備え、三兆の国債は、危機到来いたしまして一気にそこに巻き込まれるということのないように、まさに安全保障であります。 御案内のとおり、電波で一瞬のうちにあらゆる情報が世界に伝達をされます。それと同じように、金融マーケットの動向も為替のレートも、一瞬にして全世界に駆けめぐります。そういう中で、国民経済の血液である金融の万全を期するというのは、国家業務の基本であります。総理大臣が言われる、日本発の危機を起こさない、また、主管大臣である大蔵大臣の立場というのも、まさに金融危機というものを万全に乗り越える対応をとることが業務の重要なパートであります。 当然、大前提は、国民の預貯金を完全に保証し、お返しをしますというこのセーフティーネットであります。これは、もう国民の皆様もおわかりのとおり、秋以降の連鎖倒産の中でも取りつけ騒ぎがございませんでした。それに似たものがちょっとございましたけれども、政府声明の中で御理解をいただき、日本国民の冷静な行動で事なきを得たわけであります。ですから、それは完璧にしなくてはなりません。しかし、完璧にした、破綻したものだけ処理をしておいて、こちらの本体がアウトになるということになりますと、パニックになります。 この危機を乗り越えるためには、これまた万全の備えをするというのが、政府に与えられた、国民生活、産業政策上、雇用の面からいいましても、また未来展望の点からいいましても、なし遂げなければならぬ政治の原点であろう。こういうことで、政府委員が言われた場合の対応、法令上の問題で審査委員会が厳正なルールをつくりますから、そのことによって、応じていただく方に対して買い上げさせていただく、こういうことであります。
○生方委員 住専処理問題に関連して六千八百五十億円の税金を投入した、これは金融機関の救済のために使われたということで、非常に大きな国民の皆様方の不信、不満というのが噴き出てきたわけでございます。 今度の問題は、六千八百五十億円どころの騒ぎではなくて、もっと大きな規模で行われるわけで、これを不振に陥った金融機関の救済に充てることがあり得るのかどうか。例えば、不振銀行同士が合併するというようなときに、その優先株を買うというようなことにも充てられるのかどうかということを一点お伺いしたいのですが。
○三塚国務大臣 これは何度も申し上げておりますように、破綻した銀行……(生方委員「まだ破綻していない銀行同士が合併するというような場合」と呼ぶ)それは、前回、預金保険法の一次改正、臨時会において御審査をいただき、可決、決定をいたしました。 これは新しい手法を取り入れて、悪い者同士でありますけれども、悪い資産は買い上げて、預金保険機構でございますが、優良なものでスタートをし、金融システムの安定貢献につながる、こういうことでありまして、出して、買ってくれということであれば、ルールに合っておればそうなるでありましょうし、新銀行としてスタートを切るわけでございますから、完全スリム化の中で優良な資産を継承しながら金融業務に携わるという意味で、必要とするかしないかはそちらの判断、こういうことで、申し出があれば審査をして、合っておればそれに対応、決定する、こういうことではないでしょうか。
○生方委員 その審査会の基準というものをもう少し、事務当局で結構ですから、今考えている範囲で、例えば一行当たりどこまでやるのかとか、今想定しているのはどういう銀行であるのか、範囲は都銀、信銀、長信銀にとどめるのか、それとも地銀からその先まで含めるのか等、今わかっている範囲というか今決めている範囲で、これはまさに政治が判断しなければいけないことなので本当は大蔵大臣にお答えしていただきたいのですが、とりあえずお願いいたします。
○山口政府委員 お答え申し上げます。 御提案申し上げております法律には、どういう場合に出すのかということをるる書いてございます。加えて、例えば、破綻処理の円滑な処理のために必要な範囲を超えていないこと、これは受け皿銀行の場合でございます。それから一般銀行の場合は、危機管理の場合は、発行金融機関が引き受け後においても破綻する蓋然性が高いと認められないこと等のいろいろの条件を書き、これらを含めた審査基準を審査委員会が決めるというふうになっております。 したがいまして、法律をお認めいただき、本制度が成立しました暁には、審査委員会ができる限り具体的な審査基準をおつくりになる、こういうことでございます。
○生方委員 まあ、こんなことはないと思いますが、仮にこれ、基金が足りなくなるようなことがあったらこれを追加する、基金というか、追加するというようなこともあり得るのですか。
○三塚国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、これ以上ないという万全の対策をとらさせて資金配分をさせていただきました。日銀融資についても政府保証、また、民間が買い入れてくれる場合でも政府保証、こういうことで行ってまいりますから、資金繰りは完璧であります。全部これロスになるなどということは全くありませんで、買い入れた、またマーケットにそれが流通してまいります。うまくいきますと、とんとんにもなるのではないかという説もございます。 そういう点で、三兆円足らないのではないかという理由もありましたが、十兆円の政府保証をつけることによりまして資金繰りが回転をいたしておるわけでありますから、時限法の期限が来ました三年後、これの清算が行われる、こういうことでありまして、資金面においては心配がない、こう思っております。
○生方委員 つぶすべき銀行はつぶしていかなければいけないというのは、これは事実でございますが、そのつぶし方のルールというのですか、銀行をどうやって最終的に処分をしていくのかというのが、余り経験がないことですし、きっちり細則というのですか、市場に混乱を起こさせないような、営業終了までのプロセスというのですか、それは政府の方でお考えになっているんでしょうか。
○山口政府委員 お尋ねは、破綻処理の話だというふうにお聞きしますが……(生方委員「銀行をどうやって倒産させるのかという」と呼ぶ)倒産する場合ですね。 業態が非常に不振になり、債務超過状態になり、再建が不可能であるという銀行については、残念ながら破綻処理というのをせざるを得ません。 今回御提案申し上げております法律におきましても、預金の全額を保護し得る資金的な手当てをお願いしているところでございますので、まず預金者はそれで保護をする、預金保険機構を使って保護するということをやりますし、もう一つの大切な点は、取引先でございます。健全な取引先のお取引をできるだけ維持してあげよう。これは、我が国の経済を担っておられる中小企業等がたくさんいらっしゃいます。その取引を急に切ってしまう、どこかの銀行に行きなさいといってもなかなかすぐには口座も開けないという状況でございまして、したがって、受け皿の銀行をつくる。これは、永続性を持たせるための受け皿でございます。 したがって、そのために、この法律でもお願いしております、受け皿銀行に少し支援をしながら、そういう受け皿銀行をできるだけ探し、スムーズにそれを移転させる。例えば北海道拓殖銀行の場合の北洋銀行のようなケースを考えていただくとありがたいのでございますが、そうしますと、最小限の社会的なコストで破綻処理ができるということでございます。 極力そういう方向でやってまいっておりますし、今後とも、この手段等をお認めいただけますと、よりそれがやりやすくなるということでございますので、ぜひともお願い申し上げたいと思っております。
○生方委員 受け皿銀行が見つからなかった場合はどういうふうにするのでしょうか。
○山口政府委員 受け皿銀行、いわゆる取引を受けてくれる受け皿銀行でございますね、それが残念ながら見つからない場合には、それは預金者の保護だけしかできないということになります。したがって、整理回収銀行でその後の債権は引き取る等の措置になるわけでございまして、そうした場合のお取引先の保護が十分に図られないという結果になります。 できるだけそういうことにならないように努力をいたしたいというふうに思っているわけでございます。
○生方委員 時間がなくなりましたので最後に一点だけお伺いしたいのですが、中小企業に対する貸し渋り対策として、金融公庫とか商工中金に対して信用枠を広げるようにというような指示、通達がなされている。実際、保証申し込み状況を見ますと、十二月いっぱいだけで二十八万五千件あって、そのうちの二十八万二千件が許可されているということで、実際問題としてはかなりの率で保証されているというふうにこの数字は出ているのですけれども、実際私どもが地元で話を聞きますと、余り以前と貸し出し条件が変わったわけではないというような話も聞くのです。 この辺の数字と実態というのは、本当にきちんと、前よりも大分貸しやすく、借りる側からすれば借りやすくですね、なっているのかどうか。大蔵大臣、その辺は御調査なさっているのでしょうか。
○三塚国務大臣 現在の数字、状況は政府委員から説明させます。 貸し渋り対策は、御案内のとおり、昨年十二兆、それで、十年度予算で十三兆の体制をとりまして、政府関係機関六機関が年末年始返上で窓口を開き、丁寧に受け付けさせていただきました。 特に中小企業対策につきましては、無担保の問題は、マル経資金は一千万、無保証でいきますからフル活動でありますが、その他は、担保がございませんければ展開が難しい、保証人だけでは、こういうことでありまして、信用保証協会、生方委員御案内のとおり、都道府県の管轄下において中小対策に長年の経験を持つわけであります。再保険をしておりますので、その事故率二%でありますが、一〇%でも対応すべし、こういうことで、年度予算において百億円の助成を信用保証協会に対して交付をいたすことといたしております。それによって穴があいた部分は、三以上の問題について信用保証協会の責任は問われない、支払えということではないという、その安定補助金を出させていただきました。 御指摘のようなことをたびたびちょうだいいたしておりますので、その都度、通産大臣とも連携を密にしながら取り組まさせていただいておるところであります。また、そういう声がございまして、具体的な問題がございましたら、直ちに御連携をいただきますれば、その都度、その機関に向けて厳命をいたして、徹底を図ってまいります。
○生方委員 きょうの新聞を見ましても、貸し渋りによる倒産が十二月だけで五十七件あったというようなことも報じられておりますので、くれぐれもこの辺はしっかりと御指導していただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○松永委員長 これにて海江田君、生方君の質疑は終了いたしました。 次に、西川知雄君。
○西川(知)委員 改革クラブの西川知雄でございます。本日は、平和・改革を代表しまして、総理以下、皆様に御質問をしたいと思います。 本日の私の主な質問点と申しますのは、今まで、景気対策、減税、赤字公債、ウルグアイ・ラウンド、公的資金導入等々の現下の問題につきまして、財革法の審議のときに、各大臣、総理を含めましていろいろな見解を述べられております。私は、その詳細について、私もその委員をさせていただいておりましたこともありまして、また、質問をするということでその議事録を何度か読ませていただきました。 その結果、補正予算に組まれているいろいろな今申しました各課題について、政府、総理の方針が非常に異なっているということでございますので、その異なっている理由、これをまず明らかにし、そして、その理由というものが本当に理由として成立しているのかということについて、皆さんの前で検証をしていきたいというふうに思います。 まず、総理は、今回の財革法と景気対策等の関連につきまして、このように述べられております。これはことしの十三日の本会議での発言でございますが、減税につきまして、夏以降のアジアの通貨・金融不安、秋以降の我が国の金融機関の経営問題などの影響によって家計、企業の景況感の悪化が見られる、そこで、国民の不安を払拭するために臨機応変に対応することこそが国政を預かる者としての責務と考え、特別減税の実施を決断いたしました、そういうふうに述べられております。 ところで、一月十九日、きのうの本予算委員会での質問に答えられまして、今度は、十一月末のバンクーバーでのAPECの会議から、クアラルンプールでのASEANプラス1との間に、アジアの状況というものが極めて加速的に深刻になったということを今度の特別減税の理由とされております。 一月十三日は、夏以降のアジアの通貨・金融不安及び秋以降の我が国の金融機関の経営問題ということが減税をする理由だというふうにおっしゃいましたが、一月十九日では別の理由をつけられております。これはどういうことか御説明をぜひ願いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 別の理由を申し上げてなどおりません。 もしそういう角度からのお問い合わせでありますならば、実は、私自身がアジアの通貨に不安を持ち始めましたのは春先のことでありまして、そして、日米首脳会談もその後、あるいは日豪、日・ニュージーランド等もございましたり、デンバーのサミットもございました。そして、アジア通貨についての問題を提起しようとしましたが、必ずしもそういう雰囲気になりません状態が続きました。 そして、バーツ危機が起き、それ以来、各地域におきましてそれが波及をし、さまざまな影響をアジア経済の中にもたらしてまいりました。我が国におきましても、大規模な金融機関の破綻が相次ぎました。そういうプロセスの中で、バンクーバーのAPEC非公式首脳会合が行われました。そのときには、ちょうど我が国の山一証券が破綻を示した直後でありまして、むしろその時点では、海外でも積極的に営業を展開しておりました山一証券の破綻というものが海外経済に不安を与えないようにする、私はそういう努力をAPECでもいたしましたし、また、それはそれなりにおさまっていったと思います。 そして、その時点におきまして、既にアジア経済は私ども相当深刻なものと予測をしておりましたけれども、例えば、ちょっと例えばは取り消させていただきましょう、他国の中を一定以上申し上げることは控えるべきと存じます。ただ、相当な通貨の下落に悩んでおられた国の中でも、その時点でIMFに支援を要請するとは考えておられない国もございました。あるいは、APECの段階におきましては、IMFの戦略そのものに対して疑念を呈しておられた国もございました。 クアラルンプールに参りましたときには、むしろそうした雰囲気は消えており、IMFの構造調整プログラムを結ぶことによって、いかに自国の通貨を安定させ、経済を安定させるかという考え方の中において、それぞれの国の市場にいかにして民間資金を呼び戻すかという考え方に変わっておった。それぐらいの大きな変化が続いた時期であります。
○西川(知)委員 今の御説明はよくわかりますが、総理は、九七年の十月三十一日に、財革法の審議の過程でこのように述べられております。すなわち、減税をして景気拡大をする、これは公債を増発させることになって、こういうようなやり方はもう限界に来ていると。難しいというのではなくて「限界に来ている」という言葉を総理は使われました。これは夏以降、十月三十一日のことです。 APECの話は横に置きまして、一月十三日の本会議での答弁では、夏以降のアジアの通貨・金融不安、秋以降の我が国の金融機関の経営問題等々を勘案して減税をしたというふうにおっしゃっております。ところが、既にもう十月三十一日、夏を過ぎたころ、すなわちもうアジアの通貨・金融不安がわかっていたころ、このころに、減税はしないというようなことをおっしゃっているわけです。 これは、一月十三日の理由が、なぜ今まで減税をしなかったのに今度減税をしたかという理由を挙げられておりますが、それは理由にはなっていないのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、その点についてはどのように御説明をいただけますでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 私の手元に、さまざまな委員会、あるいはその他の本会議等における答弁の幾つかがございます。そして、私は、なかなか容易ではないという言葉をいつも使っておるのではないでしょうか。要するに、特例公債を発行せざるを得ない状況の中で財源を特例債に依存する、なかなか容易ではない、そのように申し上げておると存じます。そして、私がどうお答えをするか、それは、御質問がどういう形でなされたかでそれなりに言葉は変化しているかもしれませんが、容易ではありませんと申し上げてきたことは間違いないのです。 同時に、今も私は、他国の状況を云々すること、それが市場に与える影響を懸念いたしますから、例えばと言いかけて取り消させていただきました。そうした配慮というものは常に必要なものだと思っております。
○西川(知)委員 それでは総理は、次の発言、これは大蔵大臣の発言ですが、これをどのように解釈されるか、お答え願えればと思います。 大蔵大臣は、去年の十月二十四日、減税等について、またそれにかかわる赤字公債の発行について、このように答えられております。これは財革法の基本にぶつかり、できない、特例公債発行は財政構造改革推進の特別法の基本にぶつかる、このように明言をされているわけです。 このような発言を総理はどのように考えられるか、どのように説明されるか、お答え願いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 これは、その前にどういう御質問があったかによっても変わると思いますけれども、基本的に、その答弁をされた三塚大蔵大臣がおられますから、私は三塚大蔵大臣の発言をそのままそのとき聞いておったのだと思います。私は、その前後のやりとりの中で、三塚大臣の答弁をそのとおりに聞いていたと思います。
○西川(知)委員 私は、今のお話を聞きますと、そのコンテクストによって違うというお話なので、少し御説明をいたします。これは十月二十四日、中野清委員の質問に対しての大蔵大臣の答弁でございます。 自民党さんも、今日の景気状況の問題を含めまして緊急国民対策を発表されている、やはり当然今の状況に対する党としての対応だろう、内容は別にしまして、それはそれなりに評価せざるを得ないだろうと思います、その点について、大蔵大臣、これをどういうふうに考えていらっしゃるか、こういう質問です。 ここで三塚大蔵大臣は、もう毎回、減税については申し上げております、財政構造改革に当たりまして、赤字体質からの脱却、三%の達成、こういうことでありますから、赤字公債に頼らざるを得ない税制改革については御辛抱を願う、こういうことであります、というふうにお答えになっております。 もう一つ。 尾身長官は、この点についていろんな回答をされております。私、経企庁の方に、尾身長官によく議事録を読んでおいていただきたいというふうに申し上げましたので、お読みになっていることと思いますが、赤字公債を出して消費を促進するための減税はしない、これは不適切である、十月二十七日と十月三十一日に述べられております。 また、こういうことをおっしゃっております。これは詳しく読み上げても結構なんですが、政府支出を削減して、すなわち財政構造改革の法律に基づいて政府支出を削減し、そして所得税減税をする、二兆円なら二兆円の所得税減税をすると、逆に景気にマイナスになる。まさに、財政構造改革をやって減税をすると景気にマイナスになるというふうに、十月二十七日にお答えになっております。 さらに、減税で景気対策はうまくいかないということを十月二十三日におっしゃっております。また、減税の乗数効果は大変薄い、少ない、こういうことの発言を十月二十一日と十月三十一日になされています。こういう発言が尾身長官からもありました。 大蔵大臣も、先ほど私が紹介しましたように、特例公債発行ということに基づくやり方というようなものは財革法の基本にぶつかるというふうにおっしゃっております。これは、現在のアジアの危機があるとか国際環境は変わったからということには無関係に、そういうふうにおっしゃっているわけです。 これについて、総理、閣内でいろいろな不一致があるわけですが、どのように御説明なされますか。
○尾身国務大臣 経済の実態の話は別といたしまして、財政支出一単位と減税一単位を両方同時にやった場合にどういう景気効果があるかという点につきましては、私は、財政支出の方が、そのまま一回は需要につながるわけでございますので、トータルとしての景気に対する効果はプラスであるということを申し上げましたし、今もその考え方に変わりはございません。 それから、今度は経済全体のお話をさせていただきますが、我が国経済、バブル後、累次の経済対策をいわゆる財政出動という格好でやってまいりましたけれども、しかしこれ自体、景気の下支えをかなりやりましたけれども、なかなか力強い景気回復の軌道に乗ってこなかったわけでございます。その原因といたしまして、我が国経済に構造的要因があるということを何回も申し上げてまいりました。 簡単にお話をいたしますと、一つは、バブルの後遺症である不良債権問題の処理ができていないということ。それからもう一つは、日本的な古い経済システムが制度疲労を起こした、このことはまた規制緩和につながるわけでございますが、そういう点を申し上げました。それからもう一つは、企業が国を選ぶ時代において、産業の空洞化という現象が起こってきている。そういう構造的な要因で、いわゆる財政出動で景気を上げるということにはなかなか限界があるということを申し上げました。 そこで、これからの経済の運営の根本は、むしろ、規制緩和を進め、あるいは土地の流動化を進め、そして民間需要中心、民間活力中心の安定成長軌道に乗せていくことが大切であるというふうに申し上げて、やってまいりました。 十一月の「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」におきましても、そのような考え方に基づいて、規制緩和を中心として、民間活力が十分発揮できるような体制をつくり上げる、そういう体制をつくり上げることが政府の大事な役であるという考え方でやってきたところでございます。それから、十二月の税制改正等におきましても、例えば土地譲渡益の重課税制度の完全な撤廃、それから企業減税、有価証券取引税の減税、あるいは地価税の凍結等の措置をとりまして、民間活力中心の経済体質に持っていくような体制を整備する、そういうことに重点を置いて対策をとってきたところでございます。 そしてその間、秋口以降になりまして、いわゆる金融機関の破綻が起こりまして、我が国の金融システム全体に対する不信感といいますか不安感といいますか、そういうものが大変に強くなってまいりまして、ファンダメンタルズ、経済の実態の方はそう悪くなかった状況のもとにおきましても、いわゆる金融システム不安から、そのファンダメンタルズの方に悪影響があるということになってまいりました。 他方、アジアの経済の状況が、先ほど来お話にありますように、その深刻さが極めて大きくなり、そして、幾つかの国に波及をするというような実態になってきたわけでございます。 私どもは、実は去年の暮れに決めましたいろいろな対策、税制の問題とか、あるいは規制緩和の問題とか、今度の国会に全部出しているわけでございます。そこで、税制改正の問題にいたしましても、規制緩和の問題にいたしましても、今度の通常国会で議論をしていただくわけでございますから、それが本当に実現されるのには時間がかかる。例えば、三月とか四月とか五月という期間にかかってくる。これが本当に実現されるまではそこの期間にまでかかってくるというふうに考えております。 それからもう一つは、いわゆる四月一日の早期是正措置に対応して、銀行の貸し渋りという現象が極めて深刻になってまいりました。(発言する者あり)いや、これは大事な話ですから聞いてください、なぜ変わってきているかということですから。そういう状況に対して、固定資産の評価がえの問題とか、あるいは早期是正措置そのものの弾力的運用の問題とか、あるいは中小関係の金融機関等に対する対策もいろいろやったところでございます。 しかし、いずれにしても、その貸し渋りという問題は一—三月続きます、問題点として続いている。そして他方、いろいろな規制緩和等による民間活力中心の経済への転換の政策の実際の実施は、四月前後に行われてくるという状況でございます。そういう状況の中で、一月—三月というのは日本の経済にとって大変に大事な時期であるというふうに考えている次第でございます。 そういう状況のもとで、総理がアジアの状況等を踏まえ、金融機関の不安感等の問題も踏まえまして、一—三月に対する経済のカンフル剤的な意味におきます対策としてこの特別減税を御決断いただきましたこと、私、経済の運営に責任を持っている者として、大変適宜適切な措置であるというふうに考えている次第でございます。
○西川(知)委員 総理にお答え願う前に、もう一度、一つだけポイントを挙げて言います。 私は何が申し上げたいかといいますと、三塚大蔵大臣、尾身経済企画庁長官のおっしゃっていること、その理由づけというものと、今橋本総理がおっしゃっている理由づけというものとが食い違っている。すなわち、閣内不統一ではないかということを私は申し上げたいんです。 そこで、尾身長官は、いろいろな発言をされて、いろいろなことをすべて反論されようと思うので長くなったと思うのですが、一つだけ重要なことを申し上げます。それは、十月二十七日の答弁でございます。ここでは明らかにこういうふうにおっしゃっています。 「いろんな政府支出を削減をして、その財源で所得減税をして消費を活性化すべきであるというような意見も聞かれるところでございます。」これに関して、こういうことをおっしゃっています。「政府支出も、ある意味でいいますと政府の財貨・サービス購入という点で、それ自体支出になっているわけでございまして、いろんな形で国民の懐に入るということでございますから、しかも、政府の財貨・サービス購入は一回買ったその限りにおいても既に需要となるということでございますから、」次が重要なのですが、「政府支出を削減をしてそして所得減税をするということは、それをセットでやった場合に、私は、むしろ景気対策としてはプラスよりもマイナスの効果の方が大きいのではないかというふうに考えている次第でございます。」ということをおっしゃっているわけです。 だから、これは、アジアの景気が変わったとか金融不安が起きたとかいうことと関係なく、理論的に、論理として、政府支出をカットしてしかも減税をやれば景気にマイナスだというふうにおっしゃっているのです。 総理、今マイナスのことをやろうと経企庁長官はされておるのでしょうか。これは政府自体の問題でございますから、経企庁長官はちょこっと答えていただきまして、総理に全体としてどうかということを長くお答え願いたいと思います。
○尾身国務大臣 今おっしゃいましたこと、政府の財貨・サービスの購入は一回限りでありますが、まず需要になります。それからいわゆる乗数効果が起こってくる。それに対して、減税は、一遍懐に入った上で、貯蓄率もあって、貯蓄をされた残りが使われるということでありますから、当然、経済に対する効果としては、同じ金額を同時にやった場合には、いわゆる財政支出、政府の財貨・サービス購入の方が経済に対する影響としてはプラスであるということについては、前に申し上げたとおりの意見でございまして、これは経済の常識であると私は思っております。 ただ、総理が決断されましたのは、既に予算案も決まって、政府の財貨・サービス購入が決まっている段階で、プラスのカンフル注射として、三月期までの間に、二月ごろ法律が順調にいきますれば出るわけでございますが、そういう追加的な景気刺激策をやっていただくという意味で、景気に対する大きなる景気刺激効果になるという意味でプラスである、それ自体がプラスである、そういうふうに申し上げたわけでございます。
○橋本内閣総理大臣 どうももう一つ、私には、議員が言われようとしていることがわかっておらないのかもしれません。 まさに、前の臨時国会におきまして、政府として、景気回復に従来のような力強さを感じることができない、それは構造的な問題のあらわれ、今後の経済運営の基本を、安易に財政に頼らず、民間需要中心の自律的な安定成長を図っていくことである、そのような考え方を表明してまいりましたし、そのような観点から、十一月十八日、経企庁長官も今引用いたしましたように、規制緩和を中心とした経済構造改革、あるいは土地の取引活性化、有効活用等に重点を置いた「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」を取りまとめてまいりました。 同時に、一方で、アジアの通貨と金融不安、あるいは我が国の金融機関の経営などの問題、影響によりまして、家計、企業の景況感の悪化が見られる中で、私は、これが必要な措置と考えて特別減税の実施を決断いたしました。 そして同時に、今御審議をいただいておりますように、特別減税だけでなく、補正予算の中におきましても、ゼロ国債を利用いたしました公共事業面での措置、金融システム安定化対策、あるいは法人税、地価税、有取税など十年度予算関連の税制改正等を御審議いただこうとしております。 消費には金融システムの状況が影響しておることもあろうと思います。減税も金融システム安定化による信頼回復と相まって効果を生ずると考えている、そういうふうにお答えを申し上げてきていることが、別に私は、違う違うと言われますけれども、違っていないと思うのですが。
○西川(知)委員 論点は二つあります。 前提は、減税をしないところから減税をするに変わった。では、どういうことか。それには理由があるはずです。その理由として総理は、夏以降のアジアの通貨の金融不安とか、秋以降の我が国の金融機関の経営問題について、それが主な理由だというふうにお答えになりました。しかしながら、私は、それは理由になっていないということをまず申し上げたわけです。 なぜかと申しますと、総理は、既に十月三十一日、秋です、秋に、減税をして景気拡大し、公債増発する、こういうやり方というのはもう限界に来ているということをおっしゃったわけです。だから、夏の話は理由には全然ならないわけです。これが第一点。 第二点は、尾身長官の話でございます。尾身長官の話というのは、いろいろな状況が変化するとかそんなことは無関係で、そもそも減税というものはよくない、しかも、財政支出をカットした上でしかも所得税減税をするのは景気にマイナスだ、だから、状況がいかに変わろうとも減税施策というものはとるべきでないというふうに尾身長官はおっしゃったわけです。 尾身長官の今の回答はちょっと抜けておりまして、尾身長官はこういうふうにおっしゃったのです。「政府支出を削減をしてそして所得減税をするということは、それをセットでやった場合」、今セットでやっているわけですよ、「セットでやった場合に、私は、むしろ景気対策としてはプラスよりもマイナスの効果の方が大きいのではないかというふうに考えている次第でございます。」というふうに、経済の、景気立て直しの中心者だとおっしゃった、責任者だとおっしゃった尾身長官がおっしゃったわけです。 だからこれは、そもそも減税ということがよくないんだということをおっしゃっているのじゃないか。総理の言われたこと、減税しないから、減税をする、その理由はこうこうだという論理、これは私は先ほど指摘しましたように違うのじゃないか、その理由にはなっていないのじゃないかということを一つ挙げましたが、それよりもむしろ、理論的にそういうセットをすることはだめだというふうにおっしゃっている。これはそもそも今の経済施策というものはよくないということをおっしゃっているんじゃないか、それは閣内不統一じゃないですかということを私は申し上げたわけです。
○尾身国務大臣 減税といわゆる政府の財政支出との関係につきましては、先ほど申し上げたとおりの考え方でございます。 私は、総理がアジアの会議から帰ってこられて、減税を、所得課税の特別減税を決められました。しかし、その結果といたしまして、当初考えていたよりも赤字国債の発行額がそれに見合うだけ大きくなったというふうに私は理解をしております。 したがいまして、これは減税だけを単独にやったということでございまして、その限りにおきましては、私は、景気に対しては大きなるプラス効果がある、そういうふうな意味で総理の御判断に対しまして敬意を表している次第でございます。
○西川(知)委員 ということは、今さっき私が読み上げた十月二十七日の尾身経済企画庁長官の公的な発言と違う。全く方向が転換されたのか、前の理論は間違っていたのか、そうだ、そういうことでよろしいのですね。
○尾身国務大臣 どうも全く誤解をされているようでございまして、財政支出とそれから同じ額の減税を同時に行った場合には、財政支出の方が全般として乗数効果が大きい、経済に対する波及効果が大きいという意味で、景気に対してはプラス効果よりもマイナス効果が大きいということを私は……(西川(知)委員「違いますよ」と呼ぶ)いやいや、議事録そのとおりでしょう、今申し上げたとおりですよ。そのとおりのことを申し上げたわけで、変わっておりませんですよ。変わっておりません。 そして、総理の御決定いただいた減税の問題は、いろいろな状況を勘案し、アジアの状況あるいは金融システム等の状況を勘案して御決定をいただいたわけでございますが、一応大体、財政縮減、方向が決まっていた、来年度予算がほとんど決まっていたわけでございますが、その前に補正予算として予定をしていたものに対して、赤字の額、国債発行額をふやすという形で減税をしていただいたというふうに私は理解をしておりまして、そのこと自体は、大変大事な時期のことしの二月、三月に消費者の懐が豊かになる、そしてまた、経済の先行きに対する安心感が出てくるという意味で、経済に対する非常に大きなプラス効果があった。 そしてまた同時に、何回も総理も申し上げておりますように、経済は生き物でございますから、財政再建の路線そのものは維持しつつも、その状況に応じて適宜適切な対応をとるということが必要でございまして、そういう意味においても適切なる御判断であったというふうに考えております。
○西川(知)委員 私はちょっと今の発言は、いろいろな発言を尾身長官はされておりまして、乗数効果が、例えば減税の場合であると一年目は〇・四五、二年目が〇・四六、三年間で一・二六しかならないとか、政府支出よりも効果として乗数効果はよくないというような発言をされたのは、それは十月三十一日のことです。 私が言っているのはそれじゃなくて、十月二十七日に、財革法に基づく政府の支出をカットしてそして減税をするということは、これをセットでやったら景気に悪い、マイナスだとおっしゃったことを今現在ここでこれからやろうとしているのじゃないか。補正予算も、この中に、減税の中に入っております。 ですから、そういうことをやろうとされていること、こういうことを本当に、経企庁長官が景気にマイナスであろうと言うことを総理はやろうとされているのかどうか、これが私は不思議でならない、こういうことでございます。 すなわち、前から言っていたこと、私は何を言いたいかというと、政治というのは、要するに、政策が変わったら、どういう理由で変わったのか、それを明確に国民の前にしなければなりません。そして、我々に対しても十二分にわかるように説明をしていただきたい。説明は私は十二分に受けていないと思います。 さっき言いましたように、減税をするという理論について、総理の夏の発言も理由になっていない。もう十月の、秋の終わりごろにそういうことをおっしゃっているわけです。そして今、経企庁長官のおっしゃったことは、そもそも、どんな理由が、状況が変更されたにしても、そういうセットでやること自体は論理的に景気がマイナスになるということをおっしゃっているわけです。それが今度セットでやろうとしているわけですから、何でそれがプラスなのか、これを説明していただきたい。景気にマイナスになるようなことをやられるのかどうか、これを説明していただきたい。
○橋本内閣総理大臣 先ほど来伺っておりまして、同時に今私なりに一生懸命に思い出しておりますけれども、私自身、確かに間違いなく、赤字国債をベースに減税を行うということはなかなか容易ではないということはずっと申し上げてまいりました。その容易ではない決断をしなければならないだけの状況と判断をしたということでありますが、同時に私は、先ほどから議員が言われますように、経企庁長官が減税が景気にマイナスだという発言をされたということはないと思います。今伺っておりましても……(西川(知)委員「そういうふうに、議事録が間違っていなければそうです」と呼ぶ)いやいや、ですから、もう少し経企庁長官の御説明もお聞きをいただきたいと存じます。
○西川(知)委員 私は、この記録が間違っていたら別ですけれども、記録に書いてあるのは、政府支出を削減をしてそして所得税減税をするということは、それをセットでやった場合に、私はむしろ景気対策としてはプラスよりもマイナスの効果の方が大きいのではないか、こうおっしゃっているのですね。 だから、乗数効果が財政支出と減税でどちらが大きいか少ないかという議論じゃなくて、財政支出を削減して減税をやれば、このセットでやればこれはマイナスだ、景気にはマイナスだということをおっしゃっていたのですよ。おっしゃっていた、これは議事録にちゃんと書いてありますから。これを今政策としてやろうとするのはどういう理由ですかということを御説明願いたい。
○尾身国務大臣 財政支出削減、財政構造改革法案は、いろいろな説明がありますが、要するに財政支出を削減して財政の健全化を図るという考え方であると思っております。財政支出削減そのものは、景気という点だけから見れば私はプラスにはならない、マイナスになる、これははっきりしていると思います。しかしながら、日本の将来を考えた上で財政支出を削減しなければならない、そして財政構造改革をしなければならないということで、財政構造改革法案が昨年通ったわけであります。そして、その考え方のもとで予算編成作業が行われていたわけであります。 そして、そういう考え方のもとで予算編成作業が行われているときに、補正予算においてこの緊急の対策として総理が、これは財源は財政支出削減ではありません、私は財源は国債であるというふうに考えております、この経済の状況を踏まえて国債を財源として減税をしていただいたということは、そのこと自体、大きに景気に対してプラスの効果がある、そういうふうに理解をしているわけでございます。
○西川(知)委員 今の発言は、十月三十一日、十月二十七日に尾身長官がこのように発言されていることと全く逆です。赤字国債を出して消費を促進するための減税はしない、不適切である、こうおっしゃっていますが、これは意見が変わられたということですか。
○尾身国務大臣 そのことについて先ほど長々と説明したということでございましたのですが、昨年申しましたときに、数次にわたるいわゆる財政出動の状況のもとにおいて、経済が下支えは受けたものの余り大きな回復に入らなかったのは、構造的な要因が三つあって、そして、先ほど申し上げましたので繰り返しませんが、バブルの問題、あるいは日本的経済システムの制度疲労の問題、それから産業空洞化の問題等があって、むしろ民間活力中心の経済構造に変えていくような、規制緩和とか、あるいは土地税制とか、あるいは有価証券取引税、法人課税の減税とか、そういうことをやって構造改革を進めていくことが大事である、そういうことで政策をやってきたわけでございます。 そういう中におきましてアジアの問題が生じ、そして金融システムの不安の問題が生じ、そして、構造改革的な経済政策は、何といいましても、法律を通し予算を通すという意味において、実際に発動されますには時間がかかる。いわば薬を飲むことを決めて、薬自体は今のどを通っているわけでありますが、胃に回ってこれが全部消化されて体に回るのに四月、五月ぐらいまでかかる。 しかもその間に、いわゆる早期是正措置という中でクレジットクランチというような問題も生じている二月、三月、一月、その一番大事な時期に、いわゆるカンフル剤的な意味において所得減税をやっていただくことは、景気に大きなプラスがあるという意味で、大いにこの決断を評価しているということを申し上げているわけでございます。
○西川(知)委員 総理、今の尾身長官の発言について、総理も同意見でございましょうか。 私が申し上げたのは、尾身長官は、赤字国債を出して消費を促進するための減税はしない、不適切だというふうに十月二十七日と三十一日におっしゃった。きょう、そういうことはやりますというふうにおっしゃいました。そして、今御説明をされたのです。そして、その説明というのは十二分に説得力のある理由であるというふうにお思いになるかどうか、これを確認させていただきたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 私は、経企庁長官はその職責にふさわしく、みずからの説明の努力をきちんとしておると思います。
○西川(知)委員 そこで、もう一つ総理にお聞きしたいのですが、今回の補正予算では、特別減税等に加えて、災害復旧事業などの約一兆円規模の公共工事を追加して、そして景気に最大限の配慮をしたというふうに総理はお答えになっております。 去年の十月二十二日に、三塚大蔵大臣は、景気対策は当初予算で行うというふうに発言をされました。その発言と異なるのではないでしょうか、総理。
○橋本内閣総理大臣 今、大蔵大臣がそのときどう述べられたか私存じませんけれども、財政法に照らして不当な支出を計上しているとは思いませんし、確かに、公共事業等約一兆円、これは災害復旧等それぞれの理由があるものを計上している。そして、それが景気にプラスになることを願っておることは間違いありません。
○西川(知)委員 これは、経済状態が変わったから、そのときには景気対策として補正予算を組む、そういうようなことをおっしゃっていたわけではなく、三塚大蔵大臣は、論理的に、理論として、また政策として、景気対策は当初予算で行うというふうにおっしゃったわけです。これは、理由のいかんを問わず、景気対策は当初予算でやるということを大蔵大臣が明言されたわけですから、景気対策を総理が今度補正予算でとったということと全く異なっている。 その説明をどういうふうに、そのときの経済状況では当初予算で景気対策をする、補正予算ではしないということをおっしゃっていれば別ですけれども、そういう条件抜きで明言して、景気対策は当初予算で行うというふうに十月二十二日におっしゃったのです。議事録の三十七ページと、同趣旨が三ページにありますから見ていただきたいのですけれども、それと今やっていることとは違うのじゃないですか。
○三塚国務大臣 財政法二十九条は、緊要な場合にこれを計上する、こう申し上げてまいりました。それと、米対策という緊急な問題が出たことは御案内のとおり。ですから、緊急対策、それが出る、災害対策、これも出る。それで、それをもって経済政策、対策と言っても過言ではないわけでしょう。 それで、当初予算と申し上げましたのは、ウルグアイ・ラウンドの問題については当初予算で行うことという意味は私は何回か申し上げました。しかし同時に、本予算については農水大臣と大蔵大臣の協議の上これを決するという申し合わせが、昨年六月三日の財政構造改革法原案をつくる取りまとめの中で、総理指示としてこれに出されたわけでございますから、そのことでこれに対応をしたのが一千七百億円余の、マスコミはウルグアイ・ラウンド対策と言っておりますが、私は、農業振興の危機対策、こういうことで計上を認めたところであります。
○西川(知)委員 そろそろ個別の議論については斉藤議員に時間を譲らないといけませんので、これ以上きょうのところはやりません。 私が何を申し上げたかったかといいますと、やはり、政治、政策というものは信頼感がないといけません。そして、その信頼感というのは、政策が変わったら、何で変わったんだ、どういう理由で変わったんだということを国民の前に、そして我々にも、わかるように明確にしてほしい。しかも、ある大臣はこう言った、また別の大臣は違うことを言った、そして決定された方策というのはまたそれぞれの言ったこととは違う、そういうことでは、一体国民はどの政策を信じて、そしてその政策によるどういう将来を自分の頭で描けるか、こういうことが私は非常に今国民が不安に思っていることだと思います。 経済状況に従って政策は変わる、それは一つの理由で、それはそれでいいと思います。そうしたら、そういう理由であると、どういうふうに経済状況が変わったのかということを論理的にわかりやすく説明をしていただきたい。そういうふうな、理論的に景気対策は当初予算で行うとか、財政支出と減税をセットでやったら景気にマイナスである、そういうことを何の条件もつけないで言っておきながら、くるっと変わって違うことをやる。これでは国民が納得しないし、政治に対する信頼もなくなるのではないかということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○松永委員長 この際、斉藤鉄夫君から関連質疑の申し出があります。西川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 平和・改革の斉藤鉄夫です。 最近、次のような国民の率直な疑問の声を聞くようになりました。すなわち、六大改革の一つとして金融ビッグバンはやるのだと思っていたが、政府の最近の施策を見ているとどうやら本音は今までどおりの裁量行政、護送船団方式なのではないか、一体どっちなんだ、こういう率直な疑問でございます。将来に向けての方針、展望がはっきりしないということほど我々の行動の展望を暗くするものはございません。 そこで、私は、残りの二十数分間、我が国の金融行政は本当にこれからビッグバンをやるのか、それとも護送船団方式、裁量行政をこのまま続けていくのか、こういう問題意識で質問をさせていただきたいと思います。 さて、私たち平和・改革は、先日、一月十五日、札幌におきまして、貸し渋りの現状調査というものを行いました。新党平和の神崎代表、改革クラブの小沢代表以下、国会議員六名が参りまして、全道から集まった二百二十名の中小企業の経営者の方から生々しい実情を聞いたわけでございます。破綻するはずがないと思っていた北海道拓殖銀行が破綻をして、その余波をもろに受けて苦しみ続けていらっしゃる。その拓銀を例にとりまして、先ほど述べました問題意識で質問をさせていただきます。 まず、大蔵大臣にお聞きしたいと存じますが、大臣は、これまでこの予算委員会でも、都市銀行二十行は破綻させないとおっしゃっておりました。例えば、昨年二月十日の予算委員会におきましては、鈴木委員の質問に答えまして、「二十行というメジャーバンクについてはしっかりと支えていくこと、大蔵大臣として当然のこと、」このように答弁をされております。 最初の私の質問は、大手とはいえ民間金融機関であるこの二十行について政府がここまでコミットする、そのできる法的な根拠は何なのかということと、また、なぜそこまで決意を、破綻させないという決意をされたのか、その理由について。この二つについてまずお伺いいたします。
○三塚国務大臣 御指摘の点は、まず最初申し上げますが、護送船団方式という概念からこちらに外しておいてくださいという理由は、日本は国際国家、貿易国家でございます。邦人銀行として、邦人の企業の主たるところは、それぞれのベースにおいて、ニューヨークだけではなく、シカゴでありますとかたくさんあります。ヨーロッパもあります。そこで海外金融活動を果敢に展開をいたしております。金融の信頼度はこの国際展開をいたしておる銀行、こう言っても過言ではございません。その状態がそれぞれの地域の経済人、金融関係者、政府関係者にシンボリックに映るのだろうと思っております。 そういう点で、かねがね大蔵大臣としては、それだけの責任を負うて国際展開をいたしておる者は、内外の信頼を得るために、特に外国の信頼を得るためには、注意に注意力を重ねて、しっかり健全経営の中で果敢な事業活動をと申し上げてきたところでございます。 法的根拠という点については、特別ないだろうと思います。主管大臣として、国際国家として、貿易国家として、また国際活動をこれだけ展開をしておる我が国の外交展開の中でも、主管大臣としてそれだけの気構えで努力をしていくこと極めて重要と。そのことがしっかりとなることで、ビッグバンも四月一日以降スタートを切るわけでございます。これら国際展開の銀行についてはBIS基準八%、それをさらに、今平均九でありますけれども一〇を超えるような努力を、こう申し上げております。
○斉藤(鉄)委員 法的根拠はないが、主管大臣として、経済へ与える影響また国際社会に与える影響を考えてそのように決断をした、こういうお答えだったのだろうと思います。 総理にお聞きしたいのですけれども、国民から見まして、法的根拠がないのに、つぶすには大き過ぎる、ツービッグ・ツーフェールという考え方はわかるわけですけれども、この大手銀行、都市銀行二十行については破綻をさせないというその政府の御決意は、国民の目から見ますと、いわゆるビッグバン、自由化という方向に矛盾するのではないか、こういうふうに見えるわけでございますが、その整合性についてはどのようにお考えになっておりますでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 私は、外国為替管理が外為法の廃止により状況が変わった時点から、いや応なしに日本の金融システム改革というものは動かざるを得ない状況に入り、現に動いていると思っております。 そして、その意味におきまして、私は、金融システム改革というものは今後もとどまらないし、またとどまった場合には、日本の市場としての国際的な信認の問題にまで発展をするのではないだろうか。むしろ、例えば、その意味での先進国はアメリカでありますけれども、新たな金融商品が次々開発されているものを受けとめるという視点からも、私は、金融システム改革というものは続くもの、そのように思います。また、続けるべきものと思います。 同時に、私は、議員が今述べられましたように、北海道の調査をされたということに敬意を表しますし、同時に、大手金融機関の破綻というものがどれほどその影響を広げるかということは十分御理解をいただいておると思いますので、それを長々と申し上げるつもりはありません。しかし、その中で、国際的に展開しております金融機関の場合には、その破綻の影響というものは国内のみにとどまらないわけであります。そして、その金融機能が損なわれ、ひいては内外の金融システムに大きな動揺を与えるというような状況が生まれたら、これは大変なことであります。 こうした点に対して、そうした事態が生じないように、また大きな動揺が生じないように対処するということはこれまでも申し述べてまいりましたし、こうした銀行について、引き続きその機能が維持されていくということは、金融システムの安定化に私は資するものだと思います。当然ながら、市場原理、自己責任原則に基づく透明性、信頼性の高い金融システム改革を進めていこうとしているわけでありますが、これを進めるための基盤をより強固にしていく、そのためにも、内外の金融システムに大きな動揺が生じないような、そうした万全を期す体制が必要だ、考え方が必要だ、そのように思います。
○斉藤(鉄)委員 市場原理を導入していく、ビッグバンを進めるけれども、大手、非常に大きな銀行については、その経済に与える影響、社会に与える影響、また世界に与える影響を考えて、二十行はつぶさないというふうな政策をとった、要約するとこういう御答弁だったのではないかと思いますが、今の御説明について私は一〇〇%よく理解したわけではございませんが、また後ほどその問題については質問させていただきます。 しかし、結果として、二十行のうちの一行である北海道拓殖銀行が破綻をしたわけでございます。政府が公約をしてきたことが、言ってきたことが守られなかったということになるわけで、なぜ政府が言ってきたことが守られなかったのか、この点について、大蔵大臣にお伺いいたします。
○三塚国務大臣 簡明に言いますと、北海道拓殖銀行、経営内容が極めて深刻であると昨年年初以来言われておりました。それに対応しまして、海外展開をこの際撤退ということの基本に立ち返って北海道経済界に貢献をするという、北海道地域に特化した銀行、こういうことで進むべきではないのか、また、役員会等が最終的に、リストラを含め、北海道地区に特化をするというこの方針を承認することによりまして、海外から撤退をし、それで国内銀行として全力を尽くす、こういうことで残り十九、こういうことでございました。
○斉藤(鉄)委員 ちょっとよくわからないのですけれども、ビッグバンという一つの大きな流れがある、自由化という一つの大きな流れがある、しかし、この二十行については影響が大きいので、政府としてはこれを守りますとおっしゃってきたわけでございます。ですから、そうおっしゃった以上、そのビッグバンに逆行してまでもこれだけは守るのだというふうにおっしゃってきた以上、きちんと最後まで守る必要があったのではないか。なぜそれをされなかったのか。 私は、ビッグバンならビッグバンで自由競争に任せる、大手もつぶれても構わないという一つの原理、これを貫徹するのだということであればそれでいいと思いますが、とにかくこれだけはつぶさないと言ってきた銀行を、現実に政府はその公約を果たせなかった、その点についてどうお考えかということを質問しているわけでございます。
○三塚国務大臣 これは前段申し上げましたので、もう一回繰り返しますけれども、北海道拓殖銀行が海外展開をし続ける限りにおいては、健全化に向けた再建と言った方がわかりいいと思います、再建を期して国内銀行として活躍できる、こういう役員会等の決定、もちろん当局の指導もあったことは、そういうことであります。そういう中で、全力を尽くされていく、撤退をして北海道金融に特化をして頑張るということでおられる。 しかし、なおかつ、それだけでは容易でございませんから、北海道銀行、ナンバーツーでありますけれども、こことの合同、合併に向けて、両銀行首脳だけではなく、役員会においても協議が行われました。その協議が相成り立たずということから、御案内のとおり、市場は深刻な様相を示すということの中で決心をする、こういうことになったわけでございます。 精いっぱいの努力をされたことについては評価をいたしますが、合同、合体をすることについて意見の一致を見なかったことは、北海道銀行との関係でありますけれども、極めて遺憾である、こう申し上げさせていただきます。
○斉藤(鉄)委員 私は、政府が言ってきたことが守られない、また逆に、明確なルールを設けて、透明、公正な自由市場に任せるという方針が貫かれるわけでもない、一体どっちなのだという基本的な疑問が国民の間にこの拓銀の例を通して生まれたと思うのです。政府は、ビッグバンをやろうと言うけれども、本当はそんなつもりはないのじゃないか、今回の金融システム化法案を見ましても、そういう疑問が出てきているわけでございます。 将来に対して明確な方向がないことほど経済活動を制約するものはございません。今回の、現在の経済の不振は、政府が明確な方針を示さないから、またその方針がころころ変わるからというところにあると私は思うわけですが、総理、ビッグバンを六大改革の一つとして厳然とやっていく御決意があるのか、それとも裁量行政、護送船団方式に戻ります、こういうことなのか、はっきりと国民にわかりやすくお話をいただきたいと思います。
○三塚国務大臣 その前に一言。 二十行はつぶさない、ただいまは十九行はつぶさないというふうに論理が展開しております。 基本は、先ほど申し上げました国際展開をしておる、背中に日の丸を背負って頑張っておるリーダーカンパニー、今十九になりました、これが国際的信用を高めるために頑張ることは当然、みずからの努力で、トップバンクでありますから、内容を強化をしていくべきである、絶えずそう言い続けてきておるところでございます。 金融機能が損なわれるなどということ、ジャパン・プレミアムがつけられるなどということは、本体の問題でもあり我が国の問題でもあるわけでございますが、金融機能が損なわれるというようなことになりますと、国内にも、また外国地区に対しても、金融システムを揺るがすことになる。そういう意味で、システム安定のためには、やはり代表する銀行は全力を尽くしてみずからの両足で立つべし、こういうことであります。 北拓はまさに、その前に撤退をして地域金融に特化をしたのでありますが、残念でございました。
○橋本内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、私は、もう既に外為法の改正案が成立した瞬間から、為替管理というものが変わり、そしてその姿の中で金融システム改革はいや応なしに進んでいく性質のものだと思っているということを申し上げました。 そして、その中において破綻すべきものは破綻させるということ、そしてより情報開示を進めるということ、そしてその上で、護送船団という言葉もまたお使いになりましたけれども、護送船団行政に離別する、既にしつつあるということは、改めて私は申し上げるまでもなく、そうした方向に進むものと考えています。そして、今拓銀の例を強調されましたけれども、現に北海道内における拓銀のお取引先、これは北洋に支えてもらう、そのための策も講じていこうとしているわけでありますから。 同時に、今大蔵大臣から答弁をされましたように、国際展開という場合における国際的な影響というものは、我々として考えなければなりません。現に、山一が破綻した直後、カナダにおきまして私が記者会見で受けましたのも、山一の破綻ということが、それぞれ各地に展開をしておりましただけに、各国にどういう影響を与えるか、その場合に、その取引先に対してどういう対応がとられるかということに集中をしておりました。 そういうことを振り返ってみても、私は、国際的に大きな問題を生ずるような危険性はつくり出してはならないと思います。その上で、現在、私の知る限り、大蔵省はアメリカのルールにのっとった情報開示を金融界に対して要請をしておられるはずでありますし、情報開示というものにつきましても、従来と同様の姿でいくことはできない、護送船団行政を続けることはできない、そのように考えております。
○斉藤(鉄)委員 護送船団方式を続けることはできない、ビッグバンをやるのだ、こういう御答弁ですが、今回の金融システム化法案を見ておりますと、これは預金者保護に公的資金を使うというよりも金融機関救済という面が非常に強いわけでございます。また、優先株の購入を審査する審議会についても、大蔵省の影響下にあるとしか考えられない審議会で審査をする、大蔵の裁量行政が再び帰ってくる、このようにシステム化法案を見るわけでございます。 先ほどの、総理の裁量行政へはもう後戻りしないということと矛盾すると私は考えますが、いかがでございましょうか。
○橋本内閣総理大臣 先ほど来の当委員会における御論議の中で、預金者保護の部分を除き、また、破綻金融機関の地域における影響を吸収するための、例えば北拓に対する北洋のようなケースを除きということで、そこまでは御理解をいただいた上で、自己資本の改善という点についての御論議に終始しております。 そして、私は、ここに生まれる審査機関というものを大蔵の裁量行政と一言に切って捨てられますけれども、より独立性を強めた日銀あるいは金融監督庁、それぞれ必ずしもそういう言葉で片づけられることには抵抗があろうと思います。 そして、先ほど来審査機関について細かいルールを大蔵省にお尋ねが何人かの方からありましたが、一般原則を示すのにとどまっておりました。これは、審査機関が生まれて、審査機関としての立場でつくられるルールでありますから、これを現在大蔵省の事務方がすっかりつくり上げて御説明をできるようなことになっておれば、それこそ私は大蔵省の出過ぎだと思います。むしろ審査機関にそのルールをゆだねる、もちろん大きな方向は、当然のことですが法案御審議の中で決めていただくことでありますけれども。 そうしたことを考え、その上で、信用秩序の維持及び地域経済の安定に大きな支障が生じるおそれがあるといったことをこの審査基準に盛り込む。そして、経営の悪化した金融機関を対象としていない、個別の金融機関の救済につながるものではないという御答弁が大蔵大臣からも繰り返し行われております。 我々としては、預金者の全面的な保護に万全を期すことができると同時に、まさに一つのケースは北拓、北洋のケースで示されたわけでありますけれども、国際的に影響の生じ得るようなこうした破綻が起きないようにするためにも、この安定化策というものをぜひお認めをいただきたいと願っております。
○斉藤(鉄)委員 先ほど、北海道で調査をしたと申し上げましたが、そのときに出た、個別具体的になりますが、要望等をちょっと御紹介をし、通産大臣にお答えを願いたいと思います。 ちょっと要望書を読みますと、拓銀の破綻により、地元金融機関はいずれも拓銀借入先の旺盛な資金需要に対応し切れなくなってきており、加えて道内都銀支店では、貸し渋りどころか逆に二、三千万円の融資でさえ回収に入っている動きがはっきり目立ってきている。そういう中で、政府系金融機関の融資金二十三兆円が用意されているけれども、現状各政府系金融機関とも種々の融資規制、これは融資対象業種、限度額、資金の使途、融資期間等で固められており、我々中小企業にとってはほとんど利用できないのが現状である。道内の民間金融機関がこうなっている以上、政府がつぶさないと言ってきた拓銀がつぶれたわけだから、政府系金融機関がその表に、先導的役割を果たして我々中小企業を救ってほしい。こういう要望が具体的に出されました。 具体的には、北東開発公庫、中小企業金融公庫、商工中金、それらの融資限度額の撤廃であるとか資金使途の緩和、融資期間の延長、それから、一番困っている不動産に対する融資、対象業種に入っていないけれども、それを何とかしてほしい、こういうふうな要望が出たわけでございます。 これは細かく言っておりますと時間がかかりますから省略いたしますが、通産大臣、この点についてどのように対処をされるか、お伺いいたします。
○堀内国務大臣 斉藤委員の御質問にお答えを申し上げます。 先生御指摘のとおり、拓銀の倒産によって北海道の経済は大変影響を受けているわけであります。北海道拓殖銀行の取引先企業は一万五千社でございまして、そのうち同社をメーンバンクとするものが五千七百社に及んでおります。地域に与える影響は大変大きなものがございます。 このような状態を踏まえまして、拓銀の健全な取引先の企業に支障を及ぼさないように、北洋銀行を初めとする道内の主要銀行に対して、拓銀の取引先企業、そういうものへ対しての融資を行うなどの協力支援を要請いたしております。また、預金者保護の立場及び取引の継続のための、拓銀に対する日銀特融も行われて安定していると聞いております。 今国会に御審議をお願いいたしております金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案、これによりまして、金融機関の自己資本充実策は、こうした事態の中で、北洋銀行を初めとするような受け皿銀行の金融機関にとりまして、重要な支援策となると思っております。 また、拓銀の取引先の企業は、一万五千社のうち一万三千八百八十社が中小企業でございます。その比率は九二・五%に及びます。したがいまして、中小企業金融公庫を初めとする中小企業金融対策の充実は大変重要なことでございますので、昨年末、中小企業金融公庫や商工中金等政府系金融機関に適切な支援を行うように要請をすると同時に、拓銀の取引先中小企業に対しましては、中小企業信用保険法に基づいて、保険限度額を二億円から四億円に引き上げるなど、倍額にいたしました。その結果、特例措置を講じたところでございます。 ちなみに、昨年十二月の道内におきますところの信用保証協会の保証実績というものは前年比二八%増の六百三十五億円、中小公庫の貸出実績は前年比五一%増の七十六億円、国民金融公庫の四七%増の二百五十七億円というように、効果を上げていると思っております。 今後とも、先ほどのお話のようないろいろな条件については、特例の窓口、融資制度を創設いたしたわけでありますので、今までの基準にとらわれずに融資が行えるように指導いたしておりますので、もしいろいろの問題がございましたら端的にお話を賜りたいと思いますし、万全の策をとっているつもりでございます。
○鈴木国務大臣 北海道東北開発公庫は私の主管でありますから。 当初予算では千九百億北東公庫はいただいておりますが、今御審議いただいております補正予算でさらに追加で二百億の枠をお願いしておりますから、早くこの予算が通っていただきますならば十分対応できますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。
○斉藤(鉄)委員 地元の要望は、個別具体的ないろいろな規制について弾力的にやってほしいということでございましたので、その点よろしくお願いいたします。 時間が来ましたので質問を終わりますが、明確な政府の方針というものを出すことが、非常に私は経済活動を展望する上において重要だと思いますので、その点をきょう強調させていただきました。 質問を終わります。
○松永委員長 これにて西川君、斉藤君の質疑は終了いたしました。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 ————◇————— 午後三時四十七分開議
○松永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。西村眞悟君。
○西村(眞)委員 総理、お休みもなく、御苦労さまでございます。 これから、二つの主題で質問させていただきたいと思います。 まず第一の主題は、総理の歴史観ということでございます。そしてもう一つの主題は、民主主義国家において、総理は、議会にまた国民に何を説明しなければならないのか。この二つをこの一時間の私の総理に対する質問の主題とさせていただきます。 それで、なぜこの主題を選んだかと申しますと、我が国は経済が不況でございます。しかし、不況は経済だけではなくて、国民の気概も不況なのだろう。その気概がよって来るところは、やはり自分たちの歩いてきた道、自分たちの物語、これに自信をなくせば、国民の気概もなくなる。また愛着をなくせば、国民の気概もなくなるのだ。 また、昨日も本委員会で話題にされておりました中西輝政教授の「大英帝国衰亡史」、この本の中にこういう一節がございます。これはウォルター・リップマンの「人類の歴史上どのような帝国も、その中心に、確信に支えられて統治を担うエリートをなくして長く生きのびた例はない」、この一文はこの日本の現状を突き刺しているのではないか、私はこう思わざるを得ない。 我が国は、エリートの確信が揺らぎ始めているのか。この部分でも我が国は不況なのか。ぼろは着てても心はにしきという言葉がございますけれども、何を着ておっても、きれいなものを着ておっても、心がぼろであれば国は危うい。 その意味で、確信に支えられて統治を担うべきエリートのトップである総理大臣に、その地位に基づく責務において国民に説明していただかねばならないことがある。私は、この委員会で、単なる銀行や大蔵省のディスクロージャーのことではなくて、まずトップであられる総理御自身がディスクロージャーしていただかなければならないことがあるのではないか、こういう観点でございます。 さて、歴史観の問題から入りますけれども、歴史観は、やはり自分たちの物語として、愛着と自信をそこに持っていなければなりません。国民の気概もここからくるわけですし、エリートの確信もここからくるわけです。この歴史に対する認識が漂うならば、歴史は政治の道具になって、その都度その都度のムードの中で、歴史と称して利用されていく、こういうふうになります。 さて、一月十四日の午後ですか、私は、イギリスのインディペンデント紙からの取材で初めて、総理がイギリスのサンという大衆紙に寄稿されているということを知りました。十三日の新聞は、総理が、来日中のブレア首相に英国の捕虜の問題で謝罪した、それが英国のテレビのトップになったということは伝えておりました。しかし、大衆紙サンに文章を寄せられたということは、取材を受けるまで知らなかったわけです。 十四日の夕刊で、総理は記者の質問に答えられて、ブレア首相に書かないかと頼まれたんだ、日ごろ考えていたことをそのまま書いたんだというふうにお答えになっております。そしてまた、これは本日の朝刊、朝日と読売でございますけれども、朝日は、首相謝罪文、日英政府の合作であると。読売も、謝罪文寄稿の経緯と、それに対するインディペンデント紙またタイムズの反応を伝えております。 まあ、総理自身がブレア首相に書かないかと頼まれたんだと、首脳同士が会っているときに、その相手国からアドバイスを受けて、総理が、謝罪文と申し上げますけれども、私は謝罪の部分は意外に少ないと思っておりますけれども、謝罪文を書くという事態は奇妙な事態だなと私は少し思いました。それは、ちょっと皮肉な連想になるのですが、中国との交渉において、総理の通訳が日本側から出た通訳ではなくて、中国側から出た通訳によって日中両国の交渉が行われているというのと同様に、奇妙なことだなと私は思ったわけです。 それで、日本文を読んでみました。謝罪文というよりも、総理は、日英関係の現状と将来について多くを書いておられた。しかし、日英の歴史に関しては、村山首相談話をそのまま受け継いで、痛切な反省と心からのおわびをブレア首相に公式に伝えたというものでございました。 ザ・サンという新聞を見ると、まさに、総理もごらんになったと思いますが、ジャパン・セイズ・ソーリー・ツー・ザ・サン、サンに謝ったんだ、このように謝罪文として扱われております。総理もごらんになりましたですか。(橋本内閣総理大臣「見ておりません」と呼ぶ)はい。こういう新聞でございます。太ももをあらわにした女性が写っている。これは原文ではカラーでございます。二枚目をあければ、こういう写真がある。これもカラーでございまして、チャーリー・イズ・ジャスト・ソー・ディッシー、チャーリー、十九歳、という女性は食べごろだということがある。そして、めくれば総理の寄稿された文章が載っております。 それで、この下に、テル・アス・ホワット・ユー・シンク、どう思うか書いてくれ、ライトと、イズ・ジス・アポロジー・イナフ、この謝罪は十分かどうかサン紙に書いてくれ、電話で言ってくれ、ファクスで送ってくれ、このように書いてあるわけですね。サン紙を見ると、まさに謝罪文として扱われておる。そして、私がここで今申し上げた、謝罪が十分かどうか、サンの読者よ意見を寄せろと、まるで我が国が謝罪したことは十分であるか十分でないか、サンの読者の住民投票にゆだねられているような記事を見ました。 私はここで痛みが走りました。やはり総理の文章というのは、国の名誉の問題であろうと。総理は、私という人間に痛みが走ったということを否定するお立場にはないと思います。 総理自身の主観的な意図はともかく、このような扱いを受けておったわけです。これについて総理の御認識は、総理のなされた文章に対する反響は、英国国民の評価のみならず我が日本国民の評価にもさらされるわけですが、私は、そこで総理とこの問題についてどうであるかああであるか、問答をしようとは思っておりません。 ただ、私がこれから質問申し上げたいのは、この文章を書かれた背景にある総理の歴史観、具体的な我が国の歴史に対する認識でございます。なぜそれを質問せざるを得ないかといえば、ブレア首相との会談の問題でも見られますように、その部分がしっかりしていなければ、私の認識からいうならば、その都度その都度謝罪してしまうことに歯どめがかからない、このように思うからです。 そこで、我が国が五十数年前に戦争を戦った相手は十一カ国でございました。アメリカ、イギリス、中華民国、ソ連、オーストラリア、カナダ、フランス、オランダ、ニュージーランド、インド、フィリピンの十一カ国です。つまり、戦ったということは、我が国との戦争によって、この十一カ国に戦争によって苦しんだ人々がいるということです。 総理は、ブレア首相の求めに応じてこの文章を書かれた。私は丸々一〇〇%謝罪文だとは思っておりませんけれども、この文章を書かれたということですが、例えばオーストラリアやオランダの首相と会談した際に、その首相から頼まれればその国の大衆紙にまた寄稿するおつもりなのかどうか。これは、村山首相談話を引き継いでおられる総理としては、そのことを明言されたとするならば、断る理由はなくなっているのではないかな、このように思うわけです。この点はいかがでございますか。
○橋本内閣総理大臣 まず第一に申し上げたいこと、一九九五年八月に出されました内閣総理大臣談話、これはまさに村山内閣総理大臣が出されたものでありますけれども、我が国が過去の一時期、植民地支配、侵略により多大の損害と苦痛を与えた多くの国の人々に対する深い反省とおわびの気持ちを述べたものでございます。 そして、日英首脳会談におきまして、私は、この元日本軍の捕虜の方々の問題に話題が行きましたとき、この談話に触れつつ、現内閣もこれを引き継いでいくと確かに申しました。これは、今般英国の新しい首相が訪日をされました機会に、今述べたようなことを直接お伝えをしたものであります。
○西村(眞)委員 私の質問は、例えばオランダ、ニュージーランド、オーストラリア等にも、求められれば同じような文章をお送りになりますかということでございます。
○橋本内閣総理大臣 これは私は、その国で、あるいはその国の首脳とどのような会話が行われるかによっても異なるものであろうと存じます。オランダにおきまして、私は戦没者の慰霊碑にお参りをしてきましたし、そうした意味では、私はさまざまな問題をいろいろの首脳会談で提起をされます。 今回、日英の首脳会談におきまして、ブレア首相から、日英関係に関する寄稿を行ってはどうかというその話があり、両国で相談をして寄稿することにいたしました。ブレア首相自身、さまざまな問題についてみずからの政策を広く国民に訴える、そうした観点からサン紙への寄稿を行っておられると聞いております。そうした中で、恐らくブレアさんとしては、このサンというペーパーを勧められたんだと私は思います。
○西村(眞)委員 これからイギリスに絞ってまいります。 私としては、五十年目の村山談話を引き継いで、五十三年目にも今お話しになったような経緯でおわびの文章を入れられる。五十四年目どうなんだ、五十六年目また英国首相と会えばどうなんだ。時間的にも、また地域的にも歯どめがなくなる。事実そのような英国の、これはインディペンデントですか、報道はなされているわけです。 そこで、私はまず冒頭の歴史認識をお聞きしたい。 その前に、私は上坂冬子さんの「償いは済んでいる 忘れられた戦犯と遺族の五十年」という本を非常に大事にしている。この中で上坂さんはこのように書いております。「忘れた人は思い出し、無知な人は勉強すべきです。日本はかけがえのない人の命をもって、戦後にお詫びや償いを済ませてきました。」 総理は、我が国が敗戦によって占領下に置かれた、そこから戦犯裁判が始まっておりますけれども、一体、最後に我が国内において戦犯として裁判によって処刑された人は何年に処刑されたのか、そしてその総数は何人なのか、御存じでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 幼いころのこと、そうしたことを承知はいたしておりません。ただ、そうした問題があり、その中で連合軍法廷によって判決を受け、その判決に服した方々が多数おられる、そのことは承知をいたしております。
○西村(眞)委員 最後の処刑は七名、昭和二十五年四月七日です。合計千六十一名です。朝鮮戦争勃発の二カ月前まで処刑がなされておりました。これは裁判記録にある方々です。では、裁判記録に何も残らなかった人のことは御存じなんだろうか。 ここでリンドバーグの日記を読みます。大西洋横断で有名なリンドバーグの「第二次大戦日記」。 昭和十九年七月十三日付。我々は文明のために戦っているのだと主張されている。ところが、太平洋における戦争をこの目で見れば見るほど、我々には文明人を主張せねばならぬ理由がいよいよなくなるように思う。 八月三十日の日記。敵を殺し尽くし、捕虜にはしないというのが一般的な空気だった。捕虜をとった場合でも、一列に並べて、英語を話せる者はいないかと質問する。英語を話せる者は尋問を受けるために連行され、あとの連中は一人も捕虜にされなかった、つまり全員射殺された。 同じく昭和二十年六月十一日の日記。ドイツ人がヨーロッパでユダヤ人になしたと同じようなことを、我々は太平洋で日本人に行ってきたのである。なんじら人を裁くな、裁かれざらんがためなり。この戦争はドイツ人や日本人ばかりではない、あらゆる諸国民に恥辱と荒廃をもたらしたのだ。 私は、これから引用を多くいたします。私のひとりよがりということを排除するためです。御承知おきください。 また、これは日本人の「アーロン収容所」を書いた会田雄次先生のことですが、なぜこの「アーロン収容所」を書いたのか。 このままでは済まなかった、私たちだけが知られざる英軍の、イギリス人の正体をかいま見た気がしてならなかったからである。いや、確かに、見届けたはずだ。それは恐ろしい怪物であった。この怪物が、ほとんど全アジア人を、何百年にわたって支配してきた。そして、そのことが全アジア人のすべての不幸の根源になってきたのだ。 会田雄次先生は体験談を書いております。捕虜になった直後のことです。 米にして一日一合に足りない。ひもじくてほとんど夜は眠れない。病人や衰弱した人間はぽつりぽつりと死んでいった。死人の墓掘りをやらされた。おれの墓を掘っているんやないやろな、だれかが冗談を言った。同じ考えだったのだろう。こうして働けぬやつ殺しといて、残った丈夫で働けるやつだけ使うのと違うかとK兵長は言った。そこまで英軍は考えていたかどうか。しかし結果はそういうことになった。 それから、これは亡くなった方が会田雄次先生に、私たちは帰れないかもしれません、ですからこの話だけはしておきたい、日本の人にお知らせください、このように言ったことですから、ここで紹介させていただきます。 英軍はひどいことをしています。私たちはイラワジ川のずっと川下の方に一時いました。その中州に戦犯部隊とかいう鉄道隊の人が百何十人入っていました。私たちは食糧が少なく飢えに苦しみました。あの人たちも苦しみました。あそこにはケガニがたくさんいます。うまいやつです。それをとって食べたのです。あの中州は潮が差してくると全部水に没し一尺ぐらいの深さになる。みんな背のうを頭に載せて潮が引くまで何時間もしゃがんでいるのです。そんなところですから、もちろんまきの材料はありません。みんな生のまま食べました。英軍は、カニには病原菌がいるから生で食べてはいけないという命令を出していました。兵隊たちも食べては危険なことは知っていた。でも食べないでいられなかったのです。そしてみんな赤痢にやられ、血便を出し血へどを吐いて死にました。水を飲みに行って力尽き、水の中へうつ伏して死ぬ、あの例の死に方です。看視のイギリス兵は、みんなが死に絶えるまで岸から双眼鏡で毎日観測していました。全部死んだのを見届けて、日本兵は衛生観念不足で、自制心も乏しく、英軍のたび重なる警告にもかかわらず生ガニを捕食し疫病にかかって全滅した、まことに遺憾であると上司に報告した。 こういう、どうしても日本の方に伝えてくれということを「アーロン収容所」に書いております。 そして、これからは会田雄次先生のコメントです。 とにかく英軍は、殴ったりけったりはしない。殺すにも、めった切りのようないわゆる残虐行為はしない。ほとんどしない。しかし、それではヒューマニズムと合理主義に貫かれた態度で私たちに臨んだのであろうか。そうではない。そうではないどころか、小児病的な復讐欲でなされた行為さえ私たちに加えられた。しかし、そういう行為でも常に表面は甚だ合理的であり、非難に対してはうまく言い抜けできるようになっていた。しかも、英軍はあくまで冷静で、逆上することなく冷酷に落ちつき払ってそれを行ったのである。ある見方からすれば、彼らは確かに残虐ではない。しかし、視点を変えれば、これこそ人間が人間に対してなし得る最も残忍な行為ではなかろうか。 裁判の記録を残して亡くなった方は、最後に、昭和二十五年四月七日に処刑された七人を含め千六十一人。今、リンドバーグの日記と「アーロン収容所」を御紹介しただけでもわかりますように、捕虜にカウントしないという方針で彼らはおりました。 そして、上坂冬子さんはこのように書いておる。 日本社会の底辺で名もなく貧しく生きてきた人々の命と引きかえに、平和への調印が済みました。戦争の償いとして夫や父の命を奪われた人々が黙って耐えているからといって、あのときのいけにえを無視していいはずはありません。 したがって、私は総理に、裁判で亡くなった方々の人数と、今私が朗読したことの少しでも、この謝罪文を書くときに知っておられたのか否かをお聞きしたわけです。知っておられましたか。
○橋本内閣総理大臣 私自身、国会にお送りをいただきましてから、各地の遺骨収集作業に従事していた時期がございます。そして、かつての戦場となりました地域におきまして、よい話、うれしくない話、さまざまな話に現実に触れてもまいりました。また、今議員御引用になりました会田さんの「アーロン収容所」を初め、こうした関係の書籍には比較的多く目を通している一人ではないかと存じます。戦犯として刑死された方の人数は存じておりませんでした。しかし、そういうことがあったことは承知をしておりますと、先ほどお答えを申し上げたとおりであります。
○西村(眞)委員 朝鮮半島を植民地支配いたしました。また、攻め入った中国大陸、しかし、イギリスとの戦いは違うのではないかな、私はこのように思えてならないのです。村山前首相の談話が、そのまますべての我が国との交戦国に通用するのはどうか、これは私は疑問に思うところです。しかし、総理はそのまま通用すると言って、それをイギリスにも引用された。どういうふうに違うか。これも「アーロン収容所」にあるんです。イギリス人の奥深い一面を語っております。 一人の日本人将校が、日本が戦争を起こしたのは申しわけないと言った。イギリス人将校は、君は奴隷かと言った。我々は我々の祖国の行為を正しいと思って戦った。君たちも自分の国を正しいと思って戦ったのだろう。負けたらすぐ悪かったと本当に思うほどその信念は頼りないものなのか。それとも、ただ主人の命令だったから悪いと知りつつ戦ったのか。負けたらすぐ勝者の御機嫌をとるのか。そういう人は奴隷であって侍ではない。我々は多くの戦友をこのビルマ戦線で失った。私は彼らが奴隷と戦って死んだとは思いたくない。私たちは日本の侍たちと戦ったことを誇りにしているのだ。そういう情けないことを言ってくれるな。 これがイギリス人将校の言です。 また、イギリス軍のマウントバッテン総司令官は、このように語っております。これは今の今上陛下に語られたことを藤原岩市中佐が書かれたことです。 英国首席随員のマウントバッテン元帥が私をとらえて、私というのは今の今上陛下、皇太子殿下の時代のことでございます。 いとも懇ろに、過ぐる戦争中、私が東アジア連合軍総司令官として印緬戦域で対戦した日本軍将兵は、その忠誠、勇敢、規律の厳正さにおいて、古今東西無類の精強でした。あのようなすばらしい将兵は、今後いずれの国にも生まれることはなかったでしょう。 したがって、私は、イギリスにも村山総理の談話を引用して謝り続けるということは、イギリスの軽べつを買うのではないかなと危惧しているわけです。 ちなみに、イギリスの歴史家の、これはトインビーの言を御紹介します。時間がありませんので、一カ所だけ紹介します。 日本人が歴史上残した業績の意義は、西洋人以外の人類の面前において、アジアとアフリカを支配してきた西洋人が、過去二百年の間考えられているような不敗の半神ではないということを明らかに示した点である。イギリス人もフランス人もアメリカ人も、ともかく我々は皆将棋倒しにばたばたとやられてしまった。 また、ドゴールは、シンガポール陥落の日の日記に、シンガポールの陥落は白人植民地主義の長い歴史の終焉を意味する、このように書いておる。 マウントバッテンは「ビルマ戦線の大逆襲」という自書の本の中で、このトインビーの言を受けて、それは史学の権威トインビーがいみじくも喝破したとおりである、もし日本について神が使命を与えたものだったら、それは強権我がもの顔の西欧人を、アジアのその地位から追い落とすことにあったのだと、イギリスの良識的な部分、堂々と我が日本軍と戦った、この日本軍との戦いの意味については、このような認識を持っているわけです。 したがって、私は、先ほどのタイムズの紹介もしたいのですが、それは省きますが、サンという雑誌の読者のみが、我が国の謝罪が十分なのか否かと読者投票をするような方向でいけば、イギリスの良識の部分、懐の深い良識の部分の軽べつを招き、そして賠償要求をする人の執拗さをさらに加速させる、つまり、総理が目的とした真の友好の道に外れていくのではないか。軽べつの中での平穏は友好ではないことは確かでございます。 天皇陛下は我が国の象徴であり、我が国国民統合の象徴でありますが、その御訪英に対して、危惧するものであります。 質問の時間ですけれども、私は、村山談話は英米にも通用するものではないということを明確に総理にお伝えして、この部分での質問をやめます。
○橋本内閣総理大臣 大変大事な問題を提起されましたので、二点申し上げさせていただきたいと存じます。 一つは、この投稿というものと賠償、補償といった問題について触れられました。第二次大戦における英国人元戦争捕虜などに対する金銭的な補償の問題につきまして、我が国はサンフランシスコ平和条約により日英両国間で法的に解決済みという立場でありますし、この点については英国政府も同じ立場であると承知をいたしております。 そして、今議員が問題としておられます文章を、念のために私は、ここでその部分だけを読み上げることをお許しいただきたいと思います。 私たち二人は、英国人元戦争捕虜の問題についても話し合いました。あの戦争が多くの人々に苦しい思い出を抱かせていることは明らかです。会談の中で、私は彼に、そうした心の傷をいやし、和解を広めていこうという日本の決意を表明するために新しい措置をとるつもりだと説明しました。 さらに、一九九五年に行われた総理大臣談話を受け継いで、私は、英国の新しい首相になったトニーに対し、その時期に引き起こした多大な損害と苦痛に対する痛切な反省と心からのおわびの気持ちを伝える、正式の発言を行いました。 新しい措置の中には、英国人元戦争捕虜と元日本兵とが東南アジアのかつての戦場や戦没者墓苑に集まって行う合同慰霊祭への支援や、英国人元戦争捕虜の孫に対する留学奨学制度、さらに、英国人元戦争捕虜やその関係者の我が国への招聘者数を倍増することといったものがあります。 これをやったからといって亡くなった方々が生き返るわけではありません。しかし、私は英国の人々が、これらの措置の根底に、和解と平和、そして未来への希望といったものを築いていきたいと日本が願っていることをわかっていただきたいと希望しております。 今、議員が問題にされました部分にかかわるものはこういう文章であります。 そして、議員の御意見には私は反すると思いますけれども、首脳会談においてイギリス側から、この元戦争捕虜の問題が現在の日英関係のとげという表現で提起をされましたので、これに対しての受け答えをいたしました。そして、その中で投稿を勧められ、投稿をいたしました。私は、そうした首脳会談の流れであり、また事実としてこうしたということをそのまま申し上げたいと存じます。
○西村(眞)委員 総理の意図はよくわかっております。しかし、読売の朝刊、また、私が取り寄せましたインディペンデンスでは、日本がサンに謝るというセンセーショナルな表題でこれが流れておるわけです。これをインディペンデンス、イギリスはどのように言っておるか、御承知のとおりと思いますが、これはまるで、英国がブルドッグに謝るとか米国がハゲタカに謝るのと同じようなものだと言っておる。 それで、こういう新聞を英国人がオフィスで女性の同僚の横で読めば、セクハラでやられるようなものなんです。そこに我が国の最も良心的な部分の意図、それがどう利用されるかどうかはわからないけれども、戦争という悲惨な中で傷ついた方々がおるから何かしなければならないという良心的なものが、この中に埋没されてしまったことに私は痛みを感じている。もう少しほかの新聞はなかったのか。 ちなみに、ロンドン・タイムスがどういう論調をたたえていたか紹介しましょう。 これは、バー・モウが「ビルマの夜明け」という英文の本を書いて、ロンドン・タイムスがこれを紹介した。このときにロンドン・タイムスはどういう紹介の仕方をしたか。 ビルマを長いイギリスの植民地支配から解放したのはだれか。それはイギリスでは一九四八年、独立を与えたアトリー首相の労働党内閣だというのが常識である。しかし、バー・モウ博士はこの本の中で、全く別の歴史と事実を紹介し、日本が第二次大戦で果たした役割を公正に評価しているのだ。 これが、イギリスの良識的なマスコミの、日本の戦争に対する評価だと私は思う。 そして、ロンドン・タイムスは同じくその書評の中で、歴史的にこれを見るならば、日本ほどアジアを白人の支配から離脱させることに貢献した国はないんだと、こういうことを書いてくれている新聞があるというのに、なぜこのサンであらねばならなかったのかと痛切な思いで、手が届かなかったのですか、総理は。自分の寄稿文がどういう運命をたどるか。 もう一つだけロンドン・タイムスを読み上げたい、この際ですから。 私は、敗戦後の日本があらゆる屈辱と軽べつに対して、何の抗議も抵抗もしないどころか、占領政策に便乗し阿諛迎合至らざるなき変わり方に、日本人は奴隷民族に堕してしまったのかと疑った時期があった。しかし、その後の日本経済と現実対応の姿を見て、長い目で見るならば、日本の敗戦は実際において歴史的意味における敗北ではなかったのではなかろうか。この敗戦は日本人に新しい現実主義を教え、日本人本来の偉大さと世界列国の間に伍する本来の地位を発見させたのではないだろうか。 英国の読者がこれを読んでいると私は確信しております。 イギリスは、インド支配も、ビルマ支配も、香港支配も、オーストラリア原住民に対しても、タスマニア原住民の全滅に対しても何ら謝っていない。しかし、奥深く、我々の戦いの意味を、歴史的意味を、トインビーと同じようにイギリスのマスコミの良質な論調は評価しているのです。 私は、橋本総理に、イギリスのように一切謝ってはならぬと申し上げるつもりはありません。しかし、橋本総理の母校の創設者の福沢諭吉は、維新後に、武士道とはやせ我慢だと、やせ我慢の説を発表された方でございます。せめて一呼吸おいて、自分の寄稿文が、チャーリーは食べごろだとかこういう新聞に載るのではなくて、英国の良識ある知識人に訴える、日本の真心が伝わる層に訴える、そういう配慮をし得なかったのだろうか。 やせ我慢、負けた国とはいえ、負けた国の宰相とはいえ、やせ我慢をもって、先ほど、償いは済んでいるから、総理も遺族会会長として御存じのとおり、我が国民の運命について堂々と説明なさったらいかがであったのだろうか。相手国に非難する人が一人でもいれば、我が国は、福沢諭吉の言う武士道とはやせ我慢だという、その一呼吸のこらえを捨てて謝り続けなければならないのか。私の痛切な思いでございます。総理はその痛切な思いをお持ちですか、お持ちでないのですか。
○橋本内閣総理大臣 今大変おしかりを受けましたけれども、私は、サンという新聞そのものを今拝見するまで存じませんでしたが、いやしくも一国の首相として、これが一番いいと勧められたその報道、首脳会談の流れの中でこれを書いていきました。その実物をこうやって見たことは余りありませんから。 ただ、その上で、私は、トニー・ブレアというイギリスの宰相が、自分もよく投稿するのでここにということを言われた。そして、日英両国ともにそれがよろしかろうという判断をいたしたという点で、軽率でありますなら、これはおしかりを甘受いたさなければなりません。 同時に、今、痛みという言葉を議員がお使いになりました。私は、歴史の痛みを、議員が受けとめておられるのと私が受けとめておりますのが全く同じか、あるいは異質のものかわかりません。しかし、戦時中をかすかにでも記憶をいたしております世代の一人とし、また、敗戦後、占領下の日本を記憶しております世代の一人として、みずからの心の中に私なりの思いを持ってはおるつもりでございます。
○西村(眞)委員 これ以上申し上げませんけれども、みずから内閣総理大臣として書かれた文章が相手に乗せられて、どこに載るかわからないというようなことをなさってはならなかったのだろう。まして私は、これは異常だと思うのは、電話で話して、書いてくれと言って、遠い何万キロも離れたところでやっているのじゃなくて、トニー・ブレア総理が日本に来られてお互いに両国の代表として話をしておるわけですから、それははめられたのじゃないですか。 この問題は気がめいりますので、これでやめます。 私は、総理にもう一つの主題を先ほど申し上げました。これを聞かねばならないのです。今のこととちょっと関連するのです、総理。 先ほど申し上げました、相手国の中で自分の寄稿文がどういう運命に至るかわからない、それと、昨年の十月三十日、私が、総理と交際している方が中国の諜報機関の方ではないかと質問申し上げたときに、その方との交際は認められて、それはどういうきっかけであったかといえば、自分が中国に行ったときに、中国から出てきて、以後、自分の通訳をしてくれた、あらゆる会議に自分の通訳をしてくれた、これとよう似とるんですな。 自分の文章がイギリスの勧めによって、イギリスの、もう思いどおりと言いたくないですけれども、添削を受けるということと、自分のいわゆる交渉相手である中国という国と交渉するときの通訳は中国から来た通訳であったということが妙に似とるんですね。 それで、十月三十日にお伺いしたときには、交際、食事、また慰労のためにいろいろ食事等したということは認められたのですが、相手がスパイかどうかということについてはわからないし、調べられないし、そして委員会が終わってから、これは記者の質問に答えて、調べてわかるようならスパイとは言えないだろうと答えられた。 その後、この相手は、真実、中国の公安局に所属していたということを日本の裁判で言いました。(発言する者あり)区役所であるかどうか、これは総理自身が説明していただかなければならないことだと思います。 これも、私のひとりよがりではないということをお示しするために、ボイスに書かれた櫻井よしこさんと、文芸春秋二月号に書かれた中西輝政教授のことを、二人が何を訴えておられるか紹介したい。櫻井よしこさん。 橋本首相と同女性の関係は、首相が語らないだけに不明の部分が多い。だが一つ明らかなのは、首相には、国民にすべてを説明する責任があるということだ。何らかの関係があったなら、直ちに辞任すべきだということだ。国を代表する首相は、ゆめゆめ外国の諜報部員などと関係を持ってはならない、それだけ責任が重いのだ。 あ、そう、で済む問題ではない。少女買春の比ではない。私たちは激しく怒るべき場面なのだ。にもかかわらず、この静けさは何なのか。人が皆、みずからの豊かさと安寧にのみ心を砕き、社会全体の運営は人任せの甘えに浸っているからか。怒りを忘れた社会とは、おかしなことをおかしいと感ずる能力を失った社会、考える能力を失った社会だと自覚すべきであろう。 中西教授は、こう言っておられる。総理がクリアしなければならないハードルは、中国人女性との交際問題だ。 この女性が中国の情報機関に勤務していたという報道が事実ならば、クリントン大統領の不倫騒ぎなどと同じレベルのものではないんだ。日本の公安問題、安全保障の根本を揺るがしかねない話と言っていい。残念ながら日本の大マスコミでは大きく扱われていないが、ニューヨーク・タイムズやル・モンドでも報じられ、欧米でも話題になっている。野党の追及を受けるのは必至だが、首相は逃げも隠れもせず、国会で事実関係を説明してもらいたい。 私のひとりよがりではありません。総理は、櫻井よしこさんの言う、怒りを忘れた社会、おかしなことをおかしいと感ずる能力を失った社会を隠れみのにして、今までどおりこの問題について説明を回避されるのですか。 それとも、この社会を担う気骨を持ったエリートのトップとして、まず率先垂範、みずから最高責任者の地位にかけて、国民にすべてのこの人物との始まりから終わりまでの交際の事実関係を説明なさる予定は持っておられますか。ありますればいつ始められますか。ないと言うならば、はっきりここでないとお答えいただきたい。
○橋本内閣総理大臣 昨年十月三十日、衆議院予算委員会におきまして議員から御質問がありましたとき、私は、確かに中国に参りましたとき、衛生部の通訳として会議に列席をし、その出張もともに動き、会合すべてに列席をしておりまして、その議論すべてを席上で通訳をしておりますということ、また日本に中国衛生部の関係者、正確に申しますならば、中国衛生部及び日中友好病院の関係者が参りましたときもあったと存じますけれども、通訳として日本に参って、そのときに私がお礼の食事をしたことも全部申し上げております。 そして、その上で、私は何も、お尋ねがありましたことをきちんとお答えをしておると存じます。そして同時に、他家の奥様になっておられる方に、そのプライバシーに配慮はしていただきたいということもお願いを申し上げたつもりであります。 その後、議員から質問主意書をちょうだいをし、内閣としてお答えを申し上げましたので、そうした点について関係の当局に対してお尋ねがありますならば、お尋ねをいただきたいと存じます。 ただ、私から申し上げたいことは、通訳として彼女が知り得たこと、これは別といたしまして、政治家として、一衆議院議員でありましたときもございますし、そうした場合に国益を損なうような話をしてもおりませんし、またするはずもありません。 そして、おかしいと言われましたが、中国にあります日本大使館から大使館の職員がついてくれましても、一議員のときにそれほど通訳をきちんとつけてもらえるというものでもございませんでした。ですから、向こう側の通訳に頼った部分がある。それがいかぬと言われますならば、これはおしかり、これもおしかりを受ける以外にないのですが、私は本当に語学が苦手ですし、海外に出たとき、日本側で通訳がない場合には相手側の通訳に頼るということは事実そのとおりのことでございますので、そのとおり申し上げております。
○西村(眞)委員 私は、そういうことではなくて、この女性がスパイであるという報道がなされて、これに対して弁明はすべきであろうと。 そしてもう一つ、総理が重大なことを前回言われたのは、調べてわかるか、調べてスパイとわかるならスパイと言えないだろう、そんなの調べられるかというこの発言、これは、日本は諜報機関の活動に対して無能力国家だということを公言したことになるのです。したがって、みずからこういう御発言をなさらなければ、総理の今の御説明である意味では納得するでしょうけれども、総理としては調べねばならない、スパイであるかどうか、そこまで私は総理に責務が課せられていると思う。 今の御答弁は、要するに総理が今まで説明されたことに尽きるのであって、これ以上何ら国民に説明する必要はない、これでお聞きしておきますが、これでよろしいんでしょうか。 それともこれは、しかしこういうことでよろしいとすれば、我が国は、総理のおっしゃったように、我が国の調査をしてもわかるならスパイとは言えないという、我が国はスパイに対して調査不能の国家だということを記録として総理が明確に国会で発言したということになります。中国の、いや、中国というか我が国の切った張ったの刑事訴訟ではなくて、我が国の国家機密を守るという観点からの警察の捜査行動、その努力を侮辱すること甚だしいということになるんです。
○橋本内閣総理大臣 先ほど私は、議員から質問主意書をちょうだいし、内閣として答弁書を用意したということも申し上げました。その上で、政府としての調査についての部分につきましては事務当局からきちんとお答えをしてもらいたいと存じます。ちょっと事務当局から答えさせてください。
○伊達政府委員 捜査の第一義的な責務に当たる警察としてお答えを申し上げたいと思います。 警察としましては、諸外国からの諜報事案については重大な関心を持っておりますので、これまでも十分な捜査をやってきたつもりでありまして、過去二十年間でも約三十件の検挙をしており、それなりの努力をしているつもりであります。 なお、今回の問題につきましては、警察としましては、具体的犯罪事実があるとの疑いがある場合には当然捜査を行うべきと思いますけれども、現時点では犯罪の疑いありと思料する段階にない、こう判断しておりまして、したがって、捜査を行う必要はないものと考えております。
○西村(眞)委員 こういうことです。こういうことなんです、我が国の現状は。 結局、その女性のことじゃなくて、この女性という人物を道具にして何を中国が情報として握っておるのかと。公安の問題であり、安全保障の根幹を揺るがしかねない問題と言っていいという中西教授の発言を私は支持するものであります。 それで、これについてはこの時間帯ではもはや触れません。時間もありません。 最後に、せっかくこちらにおいでいただくようにお願い申し上げた額賀官房副長官について、事実関係だけお尋ねいたします。 新聞報道によれば、官房副長官は、一月七日、米国を訪問した際、スパーリング大統領補佐官等に、日本政府は早ければこの四月にも、特別減税の継続と所得減税の積み増しを中心とした九八年度の大型補正予算の編成に着手する、これは訪米直前に橋本総理と協議した上で、総理の意向を受けたものである、こういうふうに報道されております。 仮にこれが事実ならば、我が国国会は橋本内閣によって、わら人形の本予算を審議の対象として首の前にぶら下げられたのかということになるわけです。 事実関係としてこの報道は真実なのか否か、これについて御答弁いただきたい。
○額賀政府委員 西村委員の御質問にお答えをいたします。 一月十七日のこの夕刊の報道につきましては、私も選挙区に帰っておりましてびっくりいたしまして、即座に朝日新聞社に対しまして、これは事実に反しており、抗議をし、訂正を求めたところであります。 まず第一に、「四月にも大型補正予算約束」ということについては、こういう言及をいたしたことは一切ありません。 それから、中身を申しますと、この「二兆円の特別減税の継続と所得減税の積み増しを中心とした九八年度の大型補正予算案の編成に着手するとの意向を米政府に伝えていたことが」「額賀福志郎官房副長官らが訪米した際に表明した」というふうに書いてありますけれども、私はこういう発言をしたことは一切ありません。 それから文章の書き方といたしまして、「額賀福志郎官房副長官らが」とか、あるいは本文に至りましても「額賀氏らは」とかの言葉遣いを使っておりますけれども、これは、私も新聞記者育ちでありますけれども、文章の形としても整っておらないというふうに思っております。見出しで「約束」と書いておりながら、本文でそういう文面の説明はありません。 それから、国会休会中にアメリカへ渡り、確かにスパーリング氏とか政府高官にお会いいたしましたけれども、その事前に橋本総理大臣と打ち合わせをしたことはありません。明確に言っておきたいと思います。
○西村(眞)委員 では、アメリカに行かれたことは確かなんですから、何月何日に行ってだれに会ったという具体的なことを、ちょっと事実関係だけ御説明いただけますか。
○額賀政府委員 お答えいたします。 私は一月七日から十一日までワシントンを訪問いたしました。お会いをいたしましたのは、コーエン国防長官、スパーリング国家経済会議議長、スタインバーク国家安全保障担当次席大統領補佐官、サマーズ財務副長官、ピカリング国務次官、アイゼンスタット国務次官の六名であります。
○西村(眞)委員 もちろん公務として行かれたのですね。物見遊山ではなくて公務として行かれたのですね。
○額賀政府委員 私がアメリカに参りましたのは、国会が休会中でありました。そしてまた、日本の経済、アジアの経済、さまざま不確定な要素がある中で、戦後政治を見ても、二十一世紀に向かってこれからの日本の国を考えていく場合に当たっても、日本とアメリカとの関係というものは最も大事な基軸である。そういう中で、一政治家として、アメリカの政府高官の皆さん方と、もしアポイントがとれるならば、意見交換をして今後のことに備えていくことは政治家として当然の仕事であるというふうに考えました。
○西村(眞)委員 先ほど朝日新聞に抗議されたというふうにお答えがありましたが、朝日新聞はその抗議を認める、また訂正記事を出す、そういうところまで詰めておられますか。
○額賀政府委員 今の御質問に対しましては、即座に抗議をいたしましたから、翌日の新聞では、これらの発言、報道について額賀氏は反対、認めていないということのくだりを書いておりますけれども、それだけでは不十分ですので、今協議をしているところであります。 私は、朝日新聞社に対しまして、この問題について明確に協議をして、私の主張が認められるように話し合っているところであります。
○西村(眞)委員 認められるというより、これは事実の認定の問題でございますね。 したがって、お聞きしますが、副長官のおっしゃったことの事実の認定をするには、ここで水かけ論をしておってもわかりませんから、スパーリング大統領補佐官に聞けば一番わかるのですか。六人の方のどなたに聞けばわかるのですか。六人すべてに聞かねばならないのですか。
○額賀政府委員 私が訪米をいたしまして、政府高官とさまざまな議論をいたしましたけれども、特別の懸案を抱えて政府の代表として行ったわけではありません。したがって、自由濶達に意見の交換をいたしました。 したがって、個別の問題についてあれこれ話をしたわけではありませんで、私は、経済の問題とかあるいは安全保障の問題について全般的な話をいたしました。そういう中で、先ほど新聞に書かれているような文言の説明はしなかったし、要求もしなかった、そういうことを申し上げているのであります。朝日新聞に書かれているようなことは、事実のないことでございます。
○西村(眞)委員 時間が終わりました。お答えは不十分でございましたけれども、これで質問はやめさせていただきます。
○松永委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。 九兆円負担増で景気が落ち込んでいるのに加えて、大銀行の貸し渋りで中小企業はさらに深刻な事態に今追い込まれています。景気悪化の悪循環を深めているという状況にあると思います。まず最初に、民間金融機関の貸し渋りの問題から質問したいと思います。 この貸し渋りという言葉は、実態からすると、余り正確ではないと思います。実態は貸し渋りどころの話ではなくて、どの銀行でも、貸し付けた金の回収を含めて、資産の圧縮を第一目標に掲げて各支店ごとにノルマを設けて取り組んでいる。大蔵大臣はこういう事態を具体的につかんでいらっしゃるか、まずここのところから伺いたいと思います。
○三塚国務大臣 貸し渋りにつきましては、いろいろな理由から出ておると認識はいたしております。 BIS基準の達成ということによる分母、分子対策等ありました。それと、金融に対する不安感などもございまして、さまざまな要素の中で、中小の皆さんから強い要請、悲鳴が聞こえてきたところにかんがみまして、平成九年補正予算の中で対策としてまず十二兆円の、全体で二十五兆、九年度は十二兆ということで、中小に対し十兆円、中堅企業に対して一兆円、保証制度補完のために一兆円、こういうことで措置をし、十年度予算において十三兆、中小に対して十兆、保証で一兆、そのはね返りで、その効果十三兆、こういうことで二十五兆円の貸し渋り対策費が計上され、政府関係機関中心でありますけれども、窓口を開き、年末年始を返上して、丁寧に相談に乗り、一つ一つその融資を実行しておるもの、年末年始で一兆円を超える、こう言われております。
○吉井委員 どうも大蔵大臣は、資産圧縮のためにいかにすさまじいことをやっているかということについて、伺っても別なお話をされるから、具体的につかんでいらっしゃらないのかなというふうに印象として受けました。 先日私たちが調査したある有力都市銀行では、昨年の十二月中旬に各支店長を集めて、ここで九八年三月末の貸出残目標についての経営方針を文書で示して貸し渋りを推進しているわけですが、その中で、各支店ごとに、九七年十一月三十日の残高に比べて三月末までに幾ら貸出残高を減少させるかの割り当て額、貸出残高圧縮のノルマを、この支店は三十億、こちらの支店は六十億、あるいは百億と、それぞれ支店ごとにノルマを配分しています。 そして、各支店に対しては、営業店表彰ルールも変更するということにして、三月末貸出残高の圧縮は、絶対評価として、達成率九〇%以上の支店を評価する、また達成率九〇%以下の店は零点とするとされていて、表彰どころか評価の対象外だということにされています。達成率一〇〇%以上の超過達成は加点することも検討すると示して、まさにノルマつき、表彰制度つきで貸出金の圧縮を全行員に徹底して、全支店を挙げて取り組んでいます。 そこで、総理、こうした実態を把握しているのかということとともに、大銀行のこうした方針や企業行動というものは、これはやむを得ないことだと総理はお考えになりますか。
○山口政府委員 お答え申し上げます。 今先生のおっしゃったようなことを具体的には聞いておりませんが、各行が自己資本比率のクリアのためにかなり厳しい資産圧縮を行おうとしているという話は聞いております。ただ、こういった事柄自体は、リスク管理上くるのであればそれは正当化されると思いますけれども、そうではない、単なる資産を圧縮するだけということであれば、それは認められるものではもちろんないと思います。 ただ、彼らが置かれている立場といいますのは、自己資本比率、国際基準でありますと八%、国内基準でありますと四%ということをどうしてもクリアしようということで、それが迫られている、一方で株価が下がっている、資産構成をそこで変える必要があるというふうに迫られているわけでございます。(吉井委員「やむを得ないということですか」と呼ぶ)違います。一方で、社会的責任を果たすべきだという要請もあります。したがって、政府としては、それに対し、政府系の金融機関をフル活用すると同時に、貸し渋り対策として、大臣からも全銀協会長行に十分に意向を伝えると同時に、対策も打っております。 細かい対策については必要であればまた御説明申し上げますけれども、早期是正の弾力的な運用、あるいは株式の評価、あるいは利益性引当金の義務づけの廃止とか、債務者預金、インターバンク預金、いろいろなものについてすべての措置をとって、そういったことが起きないようにあらゆる手段をとっているということでございます。
○吉井委員 全然聞いていないことばかりべらべらおっしゃったのですが、貸し渋りという問題、そういう生易しいものじゃなくて、本当にすさまじいことが行われているという銀行の内部の動きを、具体的につかんでいるのかということを私は聞いているのですよ。 余りそれはつかんでいらっしゃらないようで、自信がないからほかの話を一生懸命やっていらっしゃるようなんですが、きのうの答弁でも大銀行には十分体力はあると言っていたわけですが、その大銀行がみずからの利益第一で、貸出金を引き揚げ、貸し渋りをする。その結果として中小企業が経営危機に追い込まれ、倒産に追い込まれても、総理、これはやむを得ないというお考えなんですか。私は、総理、ここのところは非常に大事なところだと思っているのですよ。
○橋本内閣総理大臣 貸し渋りというものに対して、当然のことながら我々は十分な懸念を持っております。そして、民間金融機関の足りないところを、政府系金融機関全力を挙げて、中小企業だけではなく中堅企業まで対し努力をしていこうと体制をしいておりますこと、繰り返し御説明を申し上げてきているとおりであります。
○吉井委員 私は端的に聞いておきたいと思うのです。 だから、大銀行がみずからの利益第一で、貸出金を引き揚げ、貸し渋りをする、資産の圧縮を図る。その結果、中小企業が経営危機に追い込まれても、倒産に追い込まれてもやむを得ない、こういうことなんですか。総理、そこはどうなんですか。
○橋本内閣総理大臣 今も申し上げましたように、そうした事態を我々は決して求めません。ですからこそ、民間金融機関で足りないならば、中堅企業まで含めて、政府系金融機関が信用保証も含め万全の対応をしようとしておると先ほど来申し上げております。
○吉井委員 けさの各紙によると、民間の倒産件数は一万六千三百六十五件、前年比一二・五%もふえています。不況型倒産が全体の六五・七%で、その中で貸し渋り倒産が二百二十六件。大銀行の貸し渋り、貸出金圧縮が、現に中小企業を倒産に追い込んでいます。私が会って聞いた業者の中には、融資を断った銀行から、借りたければサラ金を紹介してやろうかと言われた人までいるのですよ。 大蔵大臣、昨年十二月三日付の通達のような単なるお願いじゃなくて、中小企業を倒産に追い込む貸し出しの圧縮、貸し渋りを本当にやめさせるように、銀行法に基づいて実効ある指導をすべきじゃありませんか。
○三塚国務大臣 全銀協会長を招致いたしまして、昨年の十二月の初めでございますが、深刻な貸し渋りの問題これあり、社会的責任を果たすように御要請を申し上げたところであります。 委員が言われる具体的な指摘、どこの銀行かわかりませんが、さようなことが純粋にそこの企業の活動として行われておるのならいざ知らず、貸したものを回収するということは、貸し付け条件がありますならそのときは借りかえの問題になるわけでありまして、そのことも含めて、中小お得意様に対し、こういう困難な時期でありますからぜひとも対応を徹底していただきたい、こう申し上げたところであり、こういうときにこそ官業の民業補完という出動が必要だということで、内閣におきまして、政府金融機関を動員いたしまして、両年度にわたり二十五兆円体制の貸し渋り対策資金を用意し、年末年始、窓口を開き、今日ただいまでも丁寧に相談をしながら取り組んでおるわけでございます。 委員におかれましても、そういうところがどうにもならぬというのであれば、政府関係機関の窓口を大いに活用いただいて、中小企業の皆様のために御活躍を賜りたい、こう思っております。具体的な例があればお教えをください。
○吉井委員 十二月の三日に通達を出したということになっているのですが、その後に、有力都市銀行では内部で支店長会議を持って、そこで貸出金の圧縮、各支店ごとにノルマを課し、ノルマつき、表彰制度つきで徹底的にやると。それがやられているのですから、現に通達を出しても、大蔵大臣おっしゃったけれども、全然指導がなされていないに等しい。等しいどころか、なされていないのが実態だということを私は言わなければならぬと思うのであります。大蔵大臣の断固とした指導がなされないまま日を過ごせば、それだけ一日一日倒産がふえていくのですよ。 帝国データバンクの昨日の実態調査発表によっても、貸し渋りをきっかけとした倒産は、負債額一千万円以上の分だけで二百二十六件に上っているのですよ。ですから、景気がこれだけ大変なのに、銀行支援には三十兆円公費投入しても、公的資金の投入をやっても、一方、中小業者泣かせの貸し渋りや回収にノルマを課して資産圧縮に突っ走っている大銀行にはお願いだけだ。これは大蔵省の姿勢が問われると思います。断固とした是正の指導をやるべきだ。私は重ねて申し上げておきたいと思います。 さて、民間の貸し渋りの是正を徹底してやらせるとともに、不況の深刻な中で大事なのは、今おっしゃった政府系金融機関の役割です。政府は、貸し渋り対策や景気対策として、中小企業、中堅企業のためとして、九七年度で十二兆円、九八年度を合わせて合計二十五兆の融資規模を用意して、きめ細かく円滑な資金供給に努めるということにしてきました。 そこで、まず、これまでの景気対策の結果について確認しておきたいと思うのですが、九二年の三月から九五年の九月まで、七次にわたって経済対策がとられたわけですが、中でも九〇年代不況の底とされている九三年度は、三回の対策が行われています。このとき、貸付枠の追加が幾ら行われたのか。この三回それぞれの追加額とあわせて、三回の合計についてもまずお聞かせをいただきたいと思います。
○林(康)政府委員 お答え申し上げます。 九三年度、これは平成五年度でございますが、三度の経済対策におきまして、政府系金融機関等における種々の融資制度の創設、拡充が行われたわけでございまして、それに伴って貸付規模の追加が行われたわけでございます。 具体的に申し上げますと、九三年、平成五年四月十三日「総合的な経済対策の推進について」で総額一兆九千百億円、そして同年の九月十六日に緊急経済対策と称しまして総額一兆円、それから翌年二月八日、総合経済対策のもとに総額一兆三千億超の貸付規模の追加を行ったわけでございます。したがって、総計五兆二千億強の貸し付けがこの九三年度に行われております。(吉井委員「五兆じゃなくて四兆二千でしょう」と呼ぶ)四兆です、失礼しました。四兆二千億超の貸付規模の追加が行われたわけでございます。
○吉井委員 今お聞かせいただきましたように、融資枠は総額四兆二千百億円ふやされたわけですが、政府系金融機関の貸し出しの大宗を占める国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金の貸出実績は、九二年度の九兆一千六百億円が、九三年度は十兆三千七百億円と、一兆二千億円分ふえただけです。逆に、翌年の九四年度の貸出実績は三兆五千億円も下がっています。 ですから、不況で苦しんでいる中小企業のためにということで、せっかく枠はふやしたのだが、実際には融資を必要とする業者に融資が行われてはいなかった、これが実態ではありませんか。
○林(康)政府委員 御指摘のように、九〇年度以降、貸付実績が相当低下しているのは事実でございますけれども、これは、むしろ貸付需要が、バブル崩壊後、相当資金需要が落ち込んだということを反映しておるわけでございまして、実際に必要な貸出先については各金融機関で適切に対処したものと了解しております。
○吉井委員 それでは、あわせて、九〇年度と九六年度の国民金融公庫と中小公庫の貸付件数を伺いたいと思います。
○林(康)政府委員 中小公庫に関しましては、九〇年度は約五万六千件でございます。九六年度は約三万件。そして、国民公庫に関しましては、九〇年度は約五十四万七千件、九六年度は約四十四万二千件となっているところでございます。
○吉井委員 ですから、国金でいえば、十万五千件この間減っていることになります。中小公庫では二万六千五百件、約半分に減っているわけです。不況で必要とする業者がふえているのに、貸付件数は逆に大きく減っている。 他方で、一件当たりの貸付金額を見ますと、国金では五百五十万円から六百六十四万円へふえています。中小公庫でも三千七百八万円から五千三百八万円へと、これもふえています。 私も調査して驚いたのですが、実態は、民間銀行並みのリスク管理、優良企業優先で、本当に融資を必要とする中小業者が、中小企業が切られている。優良企業に貸し出しを特化している。だから、貸出件数が減って、一件当たりの貸出額はふえてくる。せっかく、経済対策だ、融資枠二十五兆円に枠を広げたなどと言ってみても、結局、融資の必要な中小企業家に融資がされてこなかったというのが現実の姿ではないのですか。
○林(康)政府委員 お答え申し上げます。 実際の件数の減あるいは金額の減少というものは、経済実態に応じて資金需要が落ち込んだ結果でございまして、私どもの指導も、必要な中小企業者に適切に資金が回るように関係金融機関を指導しているところでございまして、そういった問題はないものと承知しております。
○吉井委員 国民金融公庫のある支店の関係する人たちから実は私は実情を聞いて、本当に驚きました。今、経済実態だ何だということで言いわけしていらっしゃるのですが、この内部では、もともと、中小企業からの申し込みに対しては、申込金額に対して貸付金額を幾らにするかという貸付率計画というのが決められているのです。それで、それを六割から七割に絞っているのですよ。ですから、申し込んでも厳しく査定して却下されたり、申し込んだ金額より大幅に削られてしまうということになるわけです。つまり、こういうふうな貸付率計画、ここでこの六、七割しか考えない。もともと貸し渋りを進める構造になっているのですよ。 全国で貸し渋りが大きな問題になってきた昨年秋で見ますと、国金のある支店では、昨年の十月、十一月、十二月の貸付率計画というのが、十月が六五%、十一月は六八%で、十二月が五五%。政府は貸し渋りをやめさせるように指導をやっているのだということをおっしゃったけれども、肝心の国金の貸付率計画というのは、十二月は五五%とだんだん下がっていっているのです。 貸付率の実績で見ますと、十月が七五・八%、十一月が六八・三%で、十二月が六一%、こちらも下がっているのです。貸し渋りが大問題になって、中小企業庁長官と大蔵省銀行局長の連名で政府系金融機関に通達を出して、そこで中小企業の実情に応じた円滑な資金供給を進めるようにと指導していたはずなんですが、そのときに、十二月の貸付率が逆にどんどん下がってきて、六一%という実態ですよ。 これは、ある支店の話だけだったら大蔵大臣もそれは特殊だろうと思われるかもしれないが、国金全体の実態を見ても、貸付率の実績というのは、これは全体になりますと少し数字が大きくなりますが、申込金額に対して実際に幾ら貸したかという比率は、一九九〇年度七六・五%でした。九六年度は七三・四%です。九七年四月から十二月までの数字は七二・三%という状況ですよ。 これでは、中小企業が最も頼りとしている政府系金融機関である国金や中小公庫が、民間大銀行と同じ貸し渋りをやっているということになるのじゃありませんか。政府系金融機関のこのような経営姿勢というのは、大蔵大臣、これは即刻改めさせるべきだと私は思いますよ。
○堀内国務大臣 担当でございますので、まず、通産省の方からお答えを申し上げます。 先生の今のお話、九〇年、九三年ごろと現在が聞いておりましてごちゃごちゃになっておりまして、ちょっとお答えしにくい面があるのでございますが、現在におきましては、少なくとも中小企業向けの政府系金融機関においては全力を挙げて、担保の不足に対しましても、あるいは保証人の問題にしましても、今までの体制からすべて切りかえをして、ビッグバン体制というので取り組みをいたしております。 現在、約十万件の融資の申し込みが、十二月になりましてからの対応でございますが、それに対しても完全な対応をいたしております。(吉井委員「現実に数字は下がっているのですよね」と呼ぶ)いや、そんなことはございません。 中小企業金融公庫におきましては一四四・七%、国民金融公庫におきましては一一八・一%、商工中金においては一五五・九%、合計一二〇・一%の融資の申し込みに対し、現実に融資の決定をいたしましたものが、中小公庫におきまして一一二・四%、国民金融公庫において一一七・一%、商工中金において一一三・一%、合計一一四・九%という融資の実績になっております。 中小企業金融公庫など政府系金融機関の融資実績は、関係七機関を総合して既に一兆円を超しておりまして、信用保証協会の保証実績も二兆五千億に上っておりまして、すべて順調に進んでいると考えております。
○三塚国務大臣 通産大臣と相連絡しながら、チェックをしております。そして、私からも、銀行局また理財局もございます、政府関係機関に対しては特別に状況の報告を受けたい、こういうことで指示をいたしております。これだけの陣構えをしておるわけでありますから、相当程度、中小の皆様方の窓口への相談がある報告を受けております。 その融資率は、ただいま通産大臣も報告をされたわけでございまして、他の政府機関についてもチェックをしてまいりますので、ただいま言われましたような事態、民間にありますから、政府関係機関においてこの危機を乗り切ろう、こういうことで全力を尽くしておる次第でありますので、今後とも御鞭撻ください。
○吉井委員 全体の枠に対して融資の実態はそうじゃないということは先ほども指摘いたしましたし、それから、大体、現場の実態ですね、民間金融機関や国金でどんなことがやられているかということについて、実は掌握をしていらっしゃらないわけですから、知らないままの数字で言ってもらっては困るわけです。 大蔵省からいただいた数字で、国金全体の実態は、九〇年度の七六・五%が、九六年度七三・四%、九七年四月から十二月は七二・三%が貸付率の実績、申込金額に対して実際に幾ら貸したかという比率ですが、こういう状況になっております。ですから、これは大蔵省からの数字なんです。明らかに、不況が深刻になってきている中で低下しているというのは、大蔵省からいただいた数字が示しているものです。 そこで、これは総理に伺っておきたいのですが、国民金融公庫法の第一条では、「銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うことを目的とする。」と定めているわけです。中小企業金融公庫法でも同様です。ですから、優良企業最優先で中小零細企業融資が切り捨てられるということは、法律の目的に反するわけですから、総理、今こそ政府系中小企業金融機関が法律で示されている目的にふさわしい役割を果たすように、断固とした指導をするべきだと思います。 これは総理の方から、断固とした指導について求めたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 関係閣僚それぞれに御答弁を申し上げても、なかなか御納得がいただけないようでありますが、私は、政府系金融機関がその役割を果たす、その責任を全うするという、今その時期にあると考え、当然のことながら、全力を尽くして御要望にこたえようとしておると思いますけれども、それぞれの閣僚、ここで今答弁を聞いておるわけでありますから、政府系金融機関が最善の努力をするようにと、改めてこの場でも申します。
○吉井委員 いただいた数字によって、明らかに低下をしているのです。そして、現場の実態というものは実際に関係者などに伺って、貸付率目標というのを立てて、それが低い目に抑えられて現実に低下をしてきているというのは、私は内部文書等もいただいて確認をしましたが、これは大蔵大臣が率先して本当に調査されたらわかることですから。 そして、銀行についても、私が紹介したようなことについて、現場でどんなに資産圧縮ということで貸し渋りが徹底してやられているのか、それがどんなに中小企業の経営を圧迫しているのか、これは本当に大臣として調べてもらいたい。そうしないと、景気対策なんてできませんよ。 さて、返済猶予をしている業者が、すなわち一部条件変更している業者で金利は毎月きちんきちんと払っている人が申し込みに行ったときに、新規融資や追加融資が受けられるように、政府としては通達文書を出して指導していると思うのですが、これは、そういうふうにはしているのですね。
○林(康)政府委員 実際にきちんきちんと金利を支払っている方が、中途で融資が受けられなくなるようなことのないように、政府系金融機関には、実際に本当に融資が困難な場合は、どういう理由かということも含めて、きちんと支店長まで上げて判断をするように指導しております。
○吉井委員 ところが、現場では、窓口で、条件変更したものは一切受け付けないと言われて、新規融資や追加融資が受けられないという事態が生まれています。弾力的に扱いなさいというのが政府の通達の趣旨だと思うのですが、それとは違うことがやられているのですよ。 政府系金融機関の貸し渋りとして、私はこれは非常に問題だと思う。こういうことは直ちに是正させるように、永田町とそれぞれの現場は距離があるにしても、しかしこれは、そのことを現場に徹底するべきだというふうに思うのですよ。これは大臣の方からきちんと答えていただきたい。
○堀内国務大臣 お答えいたします。 先ほどの実績の問題、先生の方は十一月までの数字をお話しになっていらっしゃったというふうに承りました。私が先ほど申し上げましたのは、貸し渋りの始まりました十二月からの実績でございまして、十二月以降におきましては、完全に前年を上回り、しかも希望の状況をしっかりと受けとめた、要請を受けたものに対しては完全に対応いたしているということでございます。 また、いかに徹底をするかということで、新聞にも広告を載せましたし、あるいは各団体、事業団体、あるいは商工会、商工会議所、その他すべての、あらゆる団体を通じまして、現状についての、融資についての内容を周知徹底すべく行っております。 また、各窓口におきましても、当然のことながらよく指導を行っており、決して窓口においてお断りをするようなことがあってはならない、どんなような問題であっても支店長のところまで持ち上げること。また支店長に対しては、ある程度のところまでは、ふだんではないのでありますから、徹底して融資ができるような体制をつくるようにと。 特に信用保証につきましては、今まで事故率二%を一〇%、約五倍にして、それの補てんをするということまでやっておりますので、そういう意味では完全を期しておると思いますが、先生の御指摘でございます、さらにこれから先、数日の間に、各窓口に向かいまして、各担当者が全国に向けて歩いてまいりまして、周知を徹底させるということにいたしております。
○吉井委員 そういうふうにやっているはずだという思いでやっていらっしゃると思うのです。しかし、現場の実態は違うということなんです。実際に、申し込みの件数をふやしに行っている人がいるのですが、調査したり審査する段階でまず融資を決める率を下げてしまって、それに合わせてどんどん厳しい審査をやったり、調査そのものが間に合っていないということで、これが現場の方では徹底されていない。 政府系金融機関として、さっき国金の例を挙げましたけれども、そこをやはりきちんとやらなければ、融資枠を拡大するといっても、現実には借りたい人、必要とする業者が借りられていないという事態が起こっているわけですから、大ぶろしきを広げただけになってしまいますから、やはり政府系金融機関がこれでは、政府自身が民間金融機関に貸し渋りを是正させる姿勢というものが問題になってくると思うのですよ。 政府系金融機関に対して、貸し渋りを改めて、法の目的に即して必要とする中小企業への融資がきっちり行えるように、現場段階でですよ、それがやはりやられるようにしないとこれは生きてこないわけですから、私はそのことを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。 次に、景気対策の方なんですけれども、橋本総理は、消費税率五%への引き上げなどの国民負担増の影響は四月から六月期にとどまると言ってきたわけですが、しかし、負担増の影響が六月を越えても長引いているということについて、昨年十月三十日の予算委員会で私が質問したのに対して、「その影響が現実にあることを認めております。」と、見通しが間違っていたことを認められました。 改めて確認したいのですが、九兆円の負担増が不況を一層深化させていることを認めるのか、総理の認識というものを伺いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 改めてのお問いかけでありますから、改めてお答えを申し上げますが、消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改革の一環として行われたものであり、そのほかの改革もあわせまして、我が国にとって真に必要な改革を進めてまいったと考えております。
○吉井委員 結局お答えになられなかったのですが、五%へ引き上げたことなど国民負担増の影響が六月を越えても長引いたことについては、影響が六月を過ぎても出た、それは現実にあるということを十月の予算委員会で認められたわけです、見通しは間違っていたと。ですから、九兆円の負担増が不況を一層深刻化させているという、このことを認められるのかどうか、このことを伺っています。
○橋本内閣総理大臣 消費税率の引き上げが一—三月の駆け込み需要を呼びますとともに、その影響が四—六残る、しかし、年後半において回復をするであろうと申し上げてきたことが、その後の状況の中で、アジアの経済情勢もありますし、日本の金融機関の破綻もありますし、そうはいかなかったという事実を私はこの前もお答えしたと思います。 その上でのお尋ねでありますから、必要な改革を行ってきているということを申し添えました。
○吉井委員 九兆円の負担増の問題につきましては、必要な改革をやったなどという話じゃなくて、この負担増の影響についてはきちんとまずとらえなきゃいけないと思うのですよ。 それで、ニューヨーク・タイムズの指摘は本会議で志位書記局長が紹介したところですが、朝日の十二月の社説では「何より、過去の失政をはっきりと認めるべきだった。それは、景気回復の足取りがおぼつかないときに、合わせて九兆円もの負担増に踏み出したことである。」と、内外のマスコミはそういうふうに指摘しているわけです。 経済企画庁が昨年十二月二十九日に出した九七年版経済の回顧と課題、ミニ経済白書の中でも、景気の自律的回復は見かけほど強くはなかった、その原因は実質可処分所得の伸びが大幅に鈍化したこと等、可処分所得の動向については、消費税率の引き上げ、特別減税の打ち切り、社会保障負担、医療費の自己負担の増大など、国民負担の増大によって九七年度に八兆六千億円程度の負担増がある、家計負担の増加等は個人消費の減速を大幅なものにし、設備投資の回転テンポを緩やかなものとするよう働いていると、これはミニ経済白書でも政府自身が指摘しているわけですね。 ですから、九兆円負担増で不況を深刻化させたということは政府の白書自身がはっきり認めているところですから、政府の見解と総理の見解が異なるというのはおかしいわけで、総理自身、九兆円負担増が不況を一層深刻化させたのだ、このことをはっきり認められるかどうか、そこのところの認識を改めて伺いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 ですから、先ほども申し上げましたように、消費税率の引き上げを決断いたしました時点において、一—三月の駆け込み需要の発生と四—六の落ち込みというものは予測をしておりました。しかし、年後半において回復に向かうであろうと思われておりましたものが、アジアの経済情勢も金融破綻もあろうと思います、いろいろな中で予想どおりにまいらなかったということをそのとおり申し上げております。
○吉井委員 消費税率を初めとする九兆円負担増が、これが問題なんだということをミニ経済白書でも認めているわけなんですよ。アジアだなんだとよそへ原因を持っていくのじゃなくて、そこにあるのだということをはっきり踏まえないと、景気対策というのはとれないじゃないですか。 OECDの報告書でも、九七年の日本のGDPの実質経済成長率を半年前の二・三%から〇・五%へ下方修正しましたが、その原因というのは、消費税率引き上げ前の駆け込み需要後、家計が消費と住宅の支出を減らし、民間需要が大幅に落ち込んだことだということを指摘しているぐらいですよ。 今必要なのは、家計負担の増加を取り除いて国民の消費購買力を高めていく、すなわち、庶民の懐を直接暖める手だてをとっていくということをやらないと、私は、負担増でこれほど大変になったのですから、景気回復というのはできないと思うのです。 そのために、二兆円の特別減税を、一年限りでなくて、少なくとも九八年度以降も続けるということ、そして、負担増で苦しむ国民に消費購買力をもっと伸ばしていく、そのために九八年度以降も続けるんだということを、私は、これについては総理がはっきり明言するべきだと思うのです。どうですか。
○橋本内閣総理大臣 既に御党以前にも同様の御質問をされた方々に同じようにお答えを申し上げてまいりましたが、継続しないでも大丈夫な経済状態にしたいと思います。
○吉井委員 せんだって、旭化成の会長が、雑誌財界に、企業は消費があるからこそ設備投資に向かうわけで、消費を活発化させることが先決だろうと思いますと言っていましたが、一年限りで二兆円の特別減税が景気対策として不十分なことは、だれもが指摘しているところですよ。九八年度以降も続けるとはっきり決断をするべきだと思うのです。改めて伺いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 繰り返しお尋ねでありますけれども、この特別減税を継続しないで済むような状態に持ってまいりたい、そう考えております。
○吉井委員 その九兆円負担増で、これだけ不況が深刻になっているわけですから。 この間、日商の稲葉会頭は、十二月の記者会見で、九兆円の負担増があった、二兆円では九分の二だということを政府はよく頭に入れてほしいと言っておりますが、まさにそのとおりだと思うのです。財界人も言っているように、二兆円減税だけでは庶民にとって九分の二、七兆円負担は残ったままということになります。 九兆円の負担増が今日の事態をもたらしたのですから、本来、二兆円の特別減税を含めて九兆円以上の対策は必要だと思いますが、そのためには、消費税率をもとの三%に戻して五兆円の消費税減税、合わせて七兆円の減税、私は、こういうことを総理としてはっきり決断しないと景気対策にならないと思いますが、このことを改めて伺いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 今、我々は、補正予算案の御審議をお願いし、また、金融システム安定化策の御審議を国会にお願い申し上げております。そして、金融システムを安定させること、これが今景気の回復のためにも極めて大切なこと、そうお願いを申し上げております。 続いて、次年度予算案並びにこの特別減税に加えまして法人課税、有価証券取引税あるいは地価税といいました政策減税を含めました税制改革についても、御論議をいただかなければなりません。 一刻も早くこれらの御審議を終わり、それぞれに盛り込まれた内容が国民の手元に届けられますように、そういたしますことが私は何よりも今の時点で大切なこと、そのように考えております。
○松永委員長 これにて吉井君の質疑は終了しました。 次回は、明二十一日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十四分散会