法務委員会情報開示の司法判断に関する小委員会 第1号
- 発言数
- 108 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1998/05/20
会議録
○太田小委員長 これより情報開示の司法判断に関する小委員会を開会いたします。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 先国会に引き続き、小委員長に選任されました太田誠一でございます。小委員の皆様の御協力をいただきまして、公正円満な運営を行ってまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。 情報開示の司法判断に関する件について調査を進めます。 まず、私の方から今までの経緯について説明をさせていただき、その後、法務省から民事訴訟法改正案の提出に至った経緯等の説明を聴取いたしたいと思います。 平成八年の通常国会に民事訴訟法の改正案が法務省から提案をされたわけでございますが、その中で、裁判所の文書提出命令について、極めて限定的な役割しか認めないというような法律案になっておりまして、法務委員会の審議を通じて、それに関する当時の各法務委員の意見は、いずれも、もっと文書提出命令を強いものにして、司法判断に際してより開かれた行政に関する情報を得ることができるようにすべきだという意見が多く出されまして、その結果、全党一致だったと思いますけれども、法律案の文書提出命令に関する部分は差し戻しというか削除をして、この法律案は可決、成立をいたしたわけでございます。 そして、その際に委員会で附則をつけて、今、国会に提出をされておりますけれども、内閣委員会に提出されております行政の側の情報開示の法律案というものが提案されることを前提として、それに向けて、法務委員会にはこの小委員会をつくって審議を並行して進めるというふうなことになっておりました。 ちょっとそういう経緯がございまして間があいたのですけれども、いよいよ今国会に提案の運びとなりましたので、私どもの方も、附帯決議やあるいは附則にも定めたように、この委員会での検討を開始いたしたいというところでございます。そういう経緯でございますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。 そこで、法務省の民事局の方から、今のような経緯、それから提出に至った経緯、それから、きょう、もし今御用意の法律案についてのお考えがあれば、あわせてそれをお示しをいただきたいと思います。森脇民事局長。
○森脇政府委員 それでは、御指示に基づきまして、今回、本年の四月十日に民事訴訟法の一部を改正する法律案を国会に提出いたしたところでございますが、この法案の提出に至る経緯を中心といたしまして御報告させていただきます。 平成八年の民事訴訟法改正の状況につきましては、今小委員長から御説明があったとおりでございまして、民事訴訟法の訴訟手続に関する部分は、大正十五年に全面改正がされて以降、部分的な改正はありましたものの、手続全般にわたる見直しがされたことがないままになっていたわけでございます。 そこで、法務大臣の諮問機関である法制審議会におきましては、民事訴訟法部会におきまして、平成二年七月以降、調査審議を続けまして、平成八年二月に民事訴訟手続に関する改正要綱を答申いたしました。この改正要綱に基づき、新しい民事訴訟法案を立案いたしまして、平成八年三月十二日に国会に提出したところでございました。 ただ、この法案におきましては、文書提出命令につきまして、二百二十条四号におきまして文書提出義務を一般義務化するに当たりまして、公務員の職務上の秘密に関する文書で、その提出について監督官庁が承認しないものは文書提出義務の対象から除外するということにいたしますとともに、いわゆるインカメラ審理の対象からも除外することとしていたものでございます。 ところが、この規定に対しましては、折からの薬害エイズ事件におけるいわゆる情報隠しの問題等の社会問題を背景事情として、国会の内外において、情報公開の流れに逆行するものである、行政の側のいわゆる情報隠しを助長することになり一かねないといったような批判が沸き起こりました。 そこで、国会審議の結果、同号による文書提出義務の対象から公務員等がその職務に関し保管しまたは所持する文書を除外する、したがいまして、いわゆる公務文書につきましては、従前の規定どおりにひとまずしておくという形で修正されますとともに、配付いたしました資料の資料目録一にございますような民事訴訟法附則二十七条というのが設けられたわけでございます。 ここにおきましては、公務文書をめぐる文書提出命令の制度については、行政機関の保有する情報を公開するための制度、いわゆる行政情報公開制度でございますが、この制度に関して行われている検討と並行して総合的な検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずる、公布後二年を目途としてその措置を講ずる、こういうことにされたわけでございます。 したがいまして、政府といたしましては、平成十年六月を目途として必要な措置を講ずる必要があるということになったわけでございます。 また、その際、衆議院及び参議院の各法務委員会において、この問題の検討の方向や方法等につきまして附帯決議がされたところでございまして、衆参の各附帯決議につきましては、資料二に記載したとおりでございます。ここにおきましては、秘密の要件、判断権のあり方、インカメラ等を含む審理方式等につきまして、司法権を尊重する観点からの再検討を加える、さらに、不合理な官民格差をなくす、こういう方向での検討が要求されたわけでございます。 そこで、法制審議会における審議の状況でございますが、平成八年の七月二十二日に、民事訴訟法部会において、国会における審議、修正の経緯等の報告がなされました後に、同年九月六日の部会におきまして、文書提出命令制度についての検討を行う特別の小委員会を設けて検討を進めることとされたわけでございます。 他方、この問題の検討に当たっては、国民の意見に十分耳を傾けながら進めることが必要であり、また、そうするのが適当であると考えられますところ、国会の審議におきましてもその旨の決議がございますところから、幅広く各界の意見を聞き、これを集約して小委員会の調査審議に反映させる方法といたしまして、民事訴訟法の専門家以外の有識者や、行政情報公開制度に精通した行政法学者の参加も得る形で研究会を設けることとされたわけでございます。 この民事訴訟法部会さらに小委員会、研究会の各名簿でございますが、これは資料三から五に掲げたとおりでございます。 次に、小委員会及び研究会における検討状況でございますが、これは資料六に掲げたとおりでございます。 小委員会におきましては、まず十月二十四日に第一回の小委員会を開催いたしまして、研究会の設置、それから国会での審議の状況、附則二十七条及び附帯決議等の御説明をいたしまして、今後の調査審議の進め方を検討したわけでございます。 さらに、研究会におきましては、十一月二十二日に第一回を行いまして、同様に研究会の運営、今後の調査研究の進め方等を決めますとともに、国会審議の状況を御説明したところでございます。 そして平成九年の一月十四日、二月十九日の研究会におきましては、行政情報公開制度、これが国内で検討されているというところから、その検討状況、さらには情報公開制度と文書提出命令との関係、さらには諸外国の情報公開制度といったものについてヒアリングの形式で検討をいたしまして、その結果を三月七日の小委員会に報告し、小委員会において、この点についての自由討議がなされたということでございます。 さらに、研究会におきましては、四月八日、五月十三日に第四回、第五回の研究会を開催いたしまして、そこでは関係各界からの文書提出命令制度についてのヒアリングを行いました。マスコミ関係者、消費者団体関係者、それから経済界の関係者、さらには労働団体の関係者等からヒアリングを行いました。 さらに、研究会におきましては、六月十日、七月八日に、諸外国の文書提出命令制度について、研究員を中心とする者からヒアリングの形で諸外国の文書提出命令制度についての御報告をいただき、検討をいたしたところでございまして、この第四回から第七回までの研究会の研究結果の報告を小委員会に対して、七月十八日、第三回小委員会において報告し、この点についての御討議をいただいたということでございまして、研究会におきましては、九月十六日に会合を持ちまして、文書提出命令制度に関する論点の整理及び分析を行いまして、文書提出命令制度の論点メモを、これは資料七に添付してございます、多少細かくて、読みにくい面があって恐縮でございますが、この資料七のとおりの論点メモをまとめていただき、研究会の目的を達して、これをもって研究会を終了したということでございます。 さらに、小委員会におきましては、十月二十四日に第四回の小委員会を開催いたしまして、研究会の研究結果の最終報告を受けるとともに、論点メモに関する討議を行ったところでございまして、続く十一月二十八日におきましても、この論点メモに関する検討を行い、さらに、理論上重要と考えられる点についての再検討をしたところでございます。 さらに本年に入りまして、一月二十三日に第六回の小委員会を開催いたしまして、ここでは、それまでの各論点についての検討を踏まえまして法案全体の検討に入り、民事訴訟法の一部を改正する法律案の骨子に基づきまして、法案の骨子について審議を行ったところでございます。この小委員会におきましては、事務当局から改正案の骨子の趣旨、現行法上の刑事記録等の開示制度の概要等が説明されました後に、国等を所持者とするときの自己使用文書の意義、あるいは公務秘密文書の要件、刑事記録等を除外文書とすることの是非等について討議が行われたところでございます。 次に、一月三十日の小委員会におきましては一前回の骨子についての検討を踏まえて事務当局が作成いたしました民事訴訟法の一部を改正する法律案要綱案の案、これに関して審議を行ったところでございます。また、小委員会の席上、日本弁護士連合会の意見書が配付されまして、この意見書で指摘された問題を含めて検討が行われたところでございます。 ここでは、公務秘密文書の要件、国等を所持者とするときの自己使用文書の意義、刑事記録等を除外することの是非、文書提出義務の存否の判断方法等について、活発な討議が行われたところでございまして、その結果、原案どおりの案を法制審議会民事訴訟法部会における審議の対象とすることが了承されたわけでございます。 次に、民事訴訟法部会における審議でございますが、二月六日に法制審議会民事訴訟法部会が開催されまして、文書提出命令制度研究会及び小委員会における検討結果が報告されました後に、小委員会において作成されました民事訴訟法の一部を改正する法律案要綱案の案について審議を行ったところでございます。 部会においては、日弁連その他の団体から寄せられた意見も参考資料として配付いたしました。さらに、公務秘密文書の要件、国等を所持者とするときの自己使用文書の意義、刑事記録等を除外文書とすること、それから文書提出義務の存否の判断方法等につきまして、活発な討議が行われたところでございます。その結果、採決が行われまして、三名の反対、これはいずれも日弁連推薦の委員でございますが、その反対はあったものの、出席委員十四名中、賛成十一名で、多数決で民事訴訟法の一部を改正する法律案要綱案を採択したところでございます。その際、委員からの提案によりまして、資料の八に示しましたとおりの附帯要望事項が付されたという経過がございました。 次に、法制審議会における審議でございますが、二月二十日に法制審議会総会が開催されまして、民事訴訟法部会における審議の状況が報告された後に、民事訴訟法の一部を改正する法律案要綱案について審議が行われました。 総会におきましても、刑事記録等を除外文書とすることについて等、賛成、反対の各立場からの意見が出され、活発な討議が行われたところでございますが、採決の結果、反対者三名、これまた日弁連推薦の委員の方々でございますが、その三名の反対はありましたが、出席委員十八名中、賛成十五名の賛成多数をもって要綱案が採択されたところでございます。また、この総会におきましても、日弁連推薦の委員からの提案によりまして、ただいまごらんいただきました資料八と同趣旨の附帯要望事項が付されたところでございます。 こうした経過を踏まえまして採択されました法制審議会の要綱に基づきまして、法務省において、行政情報公開法案の立法作業の状況をも勘案いたしながら条文化の作業を進めまして、平成十年四月十日に、閣議決定を経て閣法第百四号として今国会に提出させていただいたというところでございます。 法案の概要でございますが、まだこれは本委員会の方にも付託になっておらない段階ではございますが、おおむね附則二十七条及び附帯決議に沿って定められておるところでございます。 改正の概要をごく簡略に申し上げますと、まず、公文書につきましても提出義務を一般義務化するということで、そのうちの除外するものとして、現在私文書について規定されている事項のほか、「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」、これを除外文書として加えました。さらに、刑事訴訟に関する書類及び少年の保護事件の記録等を除外文書といたしたところでございます。 次に、文書提出命令の手続についてでございますが、これにつきましては、裁判所において、公務秘密に関する文書について文書提出命令の申し立てがあった場合には、監督官庁に対して公務秘密文書に該当するかどうかの意見を聞く制度を設けた。そして、これが秘密に該当するという場合には、行政庁の側にその理由も示させるということにいたしたところでございまして、これは、裁判所がこれによって適正な判断を下せるようにするための手当てでございます。 さらに、高度の秘密に関する文書といたしまして、防衛秘密あるいは外交秘密あるいは公安、治安上の秘密ということを理由といたしまして公務秘密文書に当たるという意見を行政庁が述べた場合には、裁判所としては、その意見の相当性について判断いたしまして、相当の理由がある場合には文書提出命令の申し立てを却下する。相当の理由があると認めるに足りない場合について、文書の所持者に対して文書提出命令を出すことができることといたしております。 また、私企業等の第三者の秘密を確保するために、行政庁が裁判所に対して意見を述べる際に、これは公務秘密文書に第三者の技術または職業に関する秘密が含まれている場合には、その当該第三者の意見をも聞くということにいたしております。 さらに、審理の方法といたしまして、現在私文書についてインカメラ手続が設けられておるわけでございますが、これについては、公文書についてもこのいわゆるインカメラ手続を認める、こういう内容になっておるところでございます。 以上の経過でございましたので、御説明させていただきました。
○太田小委員長 これにて説明は終わりました。 —————————————
○太田小委員長 これより自由討議に入ります。 なお、議事整理のために、御発言は、厳格に一人三分以内ということでお願いをいたしたいと思います。挙手の上、氏名をお告げいただきたいと存じます。氏名を言っていただかないと、せっかくここで速記をとっておりますので、残らないということになりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。 それから、小委員会でございますので、各位の御了解をいただければ、法務省の方も同じこのテーブルにお座りをいただいて、速やかに何か質問があれば答えられるようにしていただくという ことで、いかがでしょうか。 それでは、どうぞ。 では、御発言をよろしくお願いをいたします。
○漆原小委員 平和・改革の漆原でございます。 まず、刑事記録の全面除外ということが今回発表されておるわけなんですが、これには手続上と内容に私は問題点があるのじゃなかろうかと思うのです。 まず、手続上の問題では、部会の最終段階で突然これが登場してきて、十分な審議が尽くされていないのじゃないか、こういう指摘もあるし、疑問点も持っております。 それから、この附帯決議で審議の経過の公表と民意の反映という点もあるのですが、これも果たしてどのように公表、民意の反映がこの点についてなされたか、非常に疑問であります。 また、全面一律禁止というのは、公文書の提出の一般義務化を求めたこの法改正の根本精神に反するのではないかという疑問もあります。 最終的には私は、プライバシー保護の必要性は、刑事記録それから少年保護記録の提出の必要性を裁判所がその事案ごとにケース・バイ・ケースで考えていった方がいいのではないか、こういうふうに考えておりますが、この点について御意見を承りたいと思います。
○森脇政府委員 非常にたくさんの事項が含まれておりました。 まず、刑事訴訟記録に関しては十分な審議がされていないのではないかという御指摘がございました。 ただいま御報告申し上げましたとおり、この研究会及び小委員会におきましては、最初に行政情報公開制度について検討いたしておりまして、その段階では、行政情報公開法がどういう見通しのもとになされているかという点も把握していただいたところでございまして、その中で除外文書とされるもの、実は、情報公開法の方では刑事記録についても除外になっておるわけですが、そういったような問題点が議論の中に含まれる事項であるということは、各研究員及び小委員会の委員の方々も理解の上で進んできたわけでございます。 先ほど御報告申し上げましたとおり、具体の法文案について検討に入りました段階は一月二十三日の時点でございまして、この当初のときからこの刑事記録の除外の問題は議論されておるところでございまして、小委員会において二回、本部会においてももちろん議論の対象とされておるところでございます。 それから、これを除外した理由でございますが、この点につきましては、本日配付させていただきました資料のりち、「民事訴訟法の一部を改正する法律案について」という法務省民事局作成のペーパーがございます。資料九として配付したものでございます。 これの三枚目にございますとおり、現行の民事訴訟法手続におきましても十分民事訴訟における刑事記録の利用がなされているということ、さらには、刑事記録については刑事訴訟法等の中にそれ自体完結した手続が定められているということ、さらには、刑事記録というのはプライバシーの問題もございますが、刑事公判手続に対する影響等、そういったものがございますので、その点を考慮した刑事訴訟法あるいは刑事確定訴訟記録法、この手続にゆだねるのが相当であると考えられたことによるものでございます、
○福岡小委員 民主党の福岡宗也でございます。 私は、本法案と文書提出命令制度の本質という点から、ちょっと考えてみたいわけであります。 文書提出命令の制度というのは、個別的な民事訴訟の審理のために、争点の立証をするために文書の提出を求めるものであります。すなわち、裁判において具体的な権利を実現するためにこういった制度が認められておるわけでありまして、一般にだれでも公開を求めることができる情報公開法よりも、より広く公開をされなければならぬという本質を持っております。 しかしながら、今回の法律案を検討しますと、提出除外事由その他、現在提案されております情報公開基本法以上に行政文書の提出が困難な規定になっているわけであります。例えば、除外事由が多いこと。公務秘密文書、自己使用文書それから訴訟記録、防衛一外交文書等の除外であります。特に刑事記録はへ無条件でこれは全面的に排除されておりまして、司法判断を入れる余地がない。それから防衛・外交文書については、監督官庁の意見の相当性しか判断することが司法はできないわけであります。こういった点に問題があります。 それから、平成八年の国会の民事訴訟法の改正のときの審議の際になされました附帯決議、裁判所の司法判断を尊重し、官民格差を設けないとされていますけれども、この趣旨が全く生かされておりません。こういった趣旨を実現するためには、防衛・外交文書について特別の制限をしないということ、さらには刑事記録についても、司法判断に服させて、プライバシーその他の人権を侵害する場合は除外をする、こういう規定を設ければいいわけであります。 特に刑事事件の記録というもの、これは普通の刑事事件も少年事件も含めてですけれども、全面的除外をするということになると‘現在の交通事故その他の損害賠償事件、それから多くの消費者被害の事件、さらに商法の代表訴訟事件というものの立証はほとんど不可能になってしまう可能性もありまして、国民の権利実現に大きな影響力がある、裁判を受ける権利の制限にもなりかねないというわけであります。 したがいまして、具体的な規定を定めて、刑事記録についてもこういう場合には裁判官が除外をするという判断ができるということで、除外事由とせずに具体的な制限事由というものを設けて裁判官に判断をさせる。やはり、訴訟の必要性というものが重要な場合に、一律除外ということでは権利実現に大きな影響がある、かように考えるわけであります。この点についてどう考えるのか、法務当局の見解を承りたい、こういうことでございます。
○森脇政府委員 確かに文書提出命令制度は、民事裁判を実現する際にできるだけ真実に近いものにするための、いわば証拠収集手段の一つでありますが、その判断に必要であるからという価値と、それからそれを提出することによって、その文書が公にされることによって損なわれる価値というものもあるわけでございまして、これらの価値をどう判断するかということが基本なのだという認識で審議は進んできたと理解いたしております。したがいまして、裁判上必要だからというものに絶対的な価値を与えるものではないというふうに思っております。 今の委員の御指摘は、こういったもろもろの民事訴訟について、刑事訴訟記録が使えないことになるというような立論でございますが、先ほど申し上げました資料九の三に記載いたしたとおりでございまして、現在の民事訴訟においても、刑事確定訴訟記録法に基づいて確定記録を閲覧する、さらに実務上認められている謄写をする、それを民事裁判の方に証拠として提出する方法、それから、民事訴訟法自体に規定がございます文書送付嘱託制度を利用するといったことによって、民事訴訟において必要とされる刑事記録は大部分、民事訴訟で実際は提出されているというのが実情でございます。 その場合に、どうしても今の制度によって出ないというものは、どういう理由に基づくかといいますと、それは刑事記録独特の理由、例えば関係者のプライバシーの問題でありますとか、そういった制限要素から出ない文書というものも確かにございますが、それは、その価値を尊重すべきであって、民事訴訟法上必要だからといってこっちで出してしまうというと、刑事手続の方で保護しようとしていたプライバシーでありますとか、公判維持の必要性といったような要請が損なわれることになるのではないか、こういうふうに考えて、今回の立案がなされたと承知しております。
○福岡小委員 という御説明であれば、頭から司法判断を除外してこれを全面的に禁止という規定にせずに、刑事記録のうち、プライバシーに反する、その他個人の人権を侵害するものについての場合は除外をするという規定にして、そういう要件があるかどうかということについて裁判官の判断を仰げばいいんじゃないかということでございます。 それからもう一つ、先ほどの質問の中で抜けていますのは、情報公開制度の今回政府提出のものでも、頭から、無条件でこんなに除外するというような規定はないのですよ。だから、情報公開制度との整合性からしても、こんな規定を民事訴訟法に設けるのはおかしいと思うのですが、その点、どうでしょう。
○深山説明員 いささか細かい点なので、私の方からお答えさせていただきますが、情報公開法との整合性ということでいいますと、情報公開法は、御案内のとおり、整備法が同時に提出されておりますが、整備法の中で、刑事訴訟法の一部を改正して、いわゆる刑事訴訟記録等については全面的に情報公開法の対象としないという適用除外規定を明文をもって定めるということになっております。そういう意味では、全面的に除外をされているという御指摘の点は、そのとおりですけれども、整合性がむしろとれているのではないかと思います。
○福岡小委員 要するに、私の言っているのは、こちらの方が刑事記録について制限が強いということですよ。
○木島小委員 日本共産党の木島日出夫です。 私は、民事訴訟法の文書提出命令と情報公開制度との関係についてお尋ねします。 きょう配付された資料の中の七、「文書提出命令制度論点メモ」の十二ページ、ここの中段に、秋山研究員の発言かと思いますが、情報公開制度と本文書提出命令との関係について、情報開示法がもし成立した場合に、情報開示によって開示される情報は、当然に文書提出義務があるとされてよいはずだ、そして、文書提出命令制度の開示の範囲の方が広くていいはずだ、そういう趣旨が述べられております。その下の、久保谷さん、坪井さん、飯室さん等も、文書提出命令は、情報公開法で公開される行政文書プラスアルファで、文書提出命令の方が広い、そういう意見がるる述べられているわけであります。 それに対して、きょうお配りをされました資料八の附帯要望事項の第一号、行政機関の保有する情報の公開に関する法律案との整合性に留意しろ、これの整合性というのはどういう意味か。要するに、本文書提出命令の範囲と、行政情報公開法が成立したときのその範囲を一致させろという意味であれば、裁判所の方が広くていいじゃないか、提出させるのは、そういう意見がたくさん小委員会では出ていたのと違うことになってしまうので、その二つの法律の関係について、法務当局はどう考えているのか、その基本のところをお聞かせ願いたい。
○森脇政府委員 民事訴訟法における文書提出命令というのは、訴訟手続において、当事者または第三者が所持する文書を証拠とするための制度でございまして、個別の事案ごとに、裁判所が、その事案の立証上の必要性、あるいは文書提出義務の存否といった点から判断してその発令の有無を決定すべきものである。 また、いわゆる行政情報公開法、あるいは法案に言っております開示請求の制度といいますのは、政府がいろいろな活動を行っておりますが、これを国民に説明する義務がある、その責任を全うするためのものとして、合理的な理由に基づいて行政機関の保有する文書を公開する、その場合にも、合理的な理由に基づいて不開示とすべきものとされた情報が記録されている場合には除外される、こういう立て方をしているんだろうというふうに理解いたしております。 したがいまして、両者はそれぞれ異なる目的を持った別個の制度でございまして、どちらかが一般法、他方が特別法という関係にはならないのではないか。常にどちらかが広くなければならないという言い方のできる制度ではないのではないか、こういうふうに考えております。
○木島小委員 そうすると、秋山さんの説には法務省は立たないと。行政情報公開法が成立して、当然義務的に国が出すべきものとされたものなんかは、この民事訴訟法上は出す義務があるのは当たり前じゃないか、それより広くていいじゃないかという説に立っているんですが、では法務省は、行政情報公開法ができて、そっちの方の法律では公開すべきだというのに民事訴訟法では出さなくていいなんて、そんなこともあり得る、そんな立場に法務省は立っているということですか。
○森脇政府委員 お答えさせていただきます。 具体の事例をとってみれば、これが情報公開法上開示の文書に当たるという場合には、文書提出命令制度において当該事件の証拠上必要だという場合には出る制度になっているのが、個別ごとに考えれば基本であろうというふうに考えております。 ただ、それは今申しました両方の法律の趣旨から当然出てくるという事項ではないということを御理解いただきたいと思うのです。
○福岡小委員 ただいまの質問は、情報公開制度で公開をされるような情報、刑事記録の情報が、文書が、そちらで請求すれば出されるのに、具体的な事件の審理のためにそれが必要だから提出命令を裁判所が求めたいときに、出されないという結果を招きますよ。それについてはどういうふうに考えられますか。
○深山説明員 今委員御指摘の刑事関係に限って言えば、情報公開法の開示対象になっておりませんので、情報公開法の開示請求制度で開示されるということはあり得ないというふうに考えております。 一般論として、先ほど局長がおっしゃられたように、それぞれ切り口の違う制度ですから、論理的にこちらで出るものは必ずこちらでも出る、つまり、情報公開法で出るものは必ず文書提出義務の対象になるという関係にはございませんが、この法案を立案するに当たっては、先ほど御指摘もありましたように、研究会でも、情報公開制度で特段の必要性がなく一般国民に開示される文書が提出義務の対象にならないのはおかしいのではないか、それは、論理的関係というよりも実際の問題としてそうならないのはおかしいのではないかという御指摘は多々ありました。中には、論理的にもそうなるべきだという意見もありましたけれども。 現在国会に提出している法案では、結論としては、情報公開制度で開示対象となる文書は、すべて文書提出義務の対象になる結論になるであろうというふうに考えております。むしろ、文書提出義務の範囲が広い場合がある。例えば、個人識別情報と俗に言われているものは、情報公開制度では開示対象になりません。個人の名前がわかるというだけで開示対象になりませんが、文書提出命令の場合には、個人が識別されるというだけでは提出義務の除外をされるということはありませんので、少なくともそういう文書については、提出義務はかかるけれども情報公開の対象にはならないという類型のものもございます。 それ以外の開示対象、情報公開制度で開示される文書については、切り口や要件が違いますから、論理的に絶対そうだと断言するわけにはいきませんけれども、結論としては、そちらで出るものはこちらでも提出義務の対象になるだろうというふうに考えております。
○福岡小委員 そうしますと、こうお聞きしていいのですか。 今の話では、論理的な当然の帰結ではないけれども、現在の二つの制度、情報公開の制度と民事訴訟法の提出命令の制度の中で、具体的には、今結論的にですよ、民事訴訟法の方が提出命令の方が広いと結論を出されましたね。それでいいんですね。そうですが。
○深山説明員 そのとおりでございます。というふうに考えているということです。
○福岡小委員 私はそう考えませんけれども、そういう結論ならそれでいいです。また後で、具体的に質問しますから。
○漆原小委員 少し話題を変えて、立証責任の問題についてちょっとお尋ねしたいんです。 裁判では、立証責任を負う方の勝ちはまず難しいということをよく言われるんですけれども、今回の場合に、除外事由に当たらないということを申立人の方が立証しなければならないというふうな体裁になっていると思うのですね。 だけれども、これは全く逆であって、本来行政は、その行政活動を国民に説明する義務があるわけですから、そのためにいろいろな文書を持っている。そういう意味で、説明義務を履行するために国民から求められた文書があれば、これを開示する積極的な義務をむしろ負っているんじゃないか。そうすると、むしろ公文書というのは原則としては開示すべきものだ。こういう考えになりますと、除外を主張する側に、すなわち除外事由の存否を主張する行政側の方に立証責任を課すべきではないかというふうに思うのですが、この点はいかがですか。
○森脇政府委員 これは、果たしてそういう立証責任の問題というのが、こういう付随的な手続、文書提出命令の手続についてどの程度意味を持つのかということが問題になろうかと思います。 一般の訴訟において、訴訟のテーマについて立証責任をどちらが負うかというのは非常に重要な意味を持つ場合がございますが、この制度はいわば、二百二十条の条文を見ていただきますと、例外という書き方にならざるを得ないものですから、この条文どおりでどっちが立証責任を負っているか、条文の立て方からいたしますと、文書提出命令の申し立て権者が立証責任を負っているのではないかということになるわけです。ただ、裁判の実務でどうなるかということでございますが、結局、二百二十条の四号の立て方といたしましては、「前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。」こういう書き方に、これは例外の例外という書き方をする関係でこうならざるを得ないのですが、そこから申しますと、先生おっしゃるとおり、立証責任はこちらかなということになるんですが、裁判の実際におきましては、例外事由というのは今申し上げました限られた場合でございますので、例えばロ、「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」、この要件に当たるので出せませんという、意見を述べる方がそれだけのことを裁判所に説明し切らない限り、この除外事由に当たるという判断はなされないであろう。 つまり、こういう付随手続については、まずもってそういう立証責任という厳しいことが言えない世界であるということと、この条文の立て方は、例外を主張する者がまずそれを立証すべきもの、こういう運用がなされていくであろうというふうに考えておるところでございます。
○漆原小委員 確認しておきたいのですけれども、私もそのとおりでいいかなと思っているのですけれども、まず法務省は、行政側に立証責任あり、こういうふうに考えているというふうにお伺いしておいてよろしいでしょうか。
○森脇政府委員 事実上の立証の、そういう場合に立証の負担と言っておりますけれども、立証の負担は行政側が負うことになる、こういう理解をいたしております。
○漆原小委員 もう一点だけ。 もしそうであれば、優秀な法務省なわけですから、何とか条文をいじって、裁判所に解釈の疑義を生ずることのないように、行政側が立証責任を負担するんだよということを何らか条文上明確にできないものなのでしょうか。それを望みたいと思いますが、いかがでしょうか。
○深山説明員 技術的なことなので私からお答えしますが、この条文が最終的な法案になった体裁に至るまでは、法制審議会においても、決定手続の要件について主張立証責任というものは観念できるのかというところがら始まりまして、実際上の立証の負担を行政側が負うことになるという点については異論はなく、そのことを条文に、実は、この二百二十条といいますのは既にある条文の改正でございますので、現在ある条文を前提として、どういう改正を加えたら一番表現として適当かという点について種々いろいろな案を出しまして検討もされました。 その結果、先ほど局長から御説明したとおり、今のような記載の仕方、これは現行の二百二十条にマッチした条文の書き方ですけれども、今の法案のような記載の仕方でも、その点、十分実務上誤解はない。現に私文書についても、四号は現在イ、ロ、ハと三つの除外文書がありますが、これについて、実務家も含めて、こういう書き方になっていれば、イないしロないしハということを所持者の側が、実質、立証の負担を負って言わない限りは提出命令はかかるというふうに考えられる、公文書についてこういう現在の法案のような書き方をしても、その点について、おかしな運用になるといいますか、あるいは誤解を招くということはなかろうという議論のもとで現在のような法案のスタイルになっている、こういうことです。
○福岡小委員 そのことに関連して、本法案では、この除外事由の防衛・外交文書については監督官庁の意見の相当性の判断を裁判所がする、こういう規定の仕方になっているわけですけれども、この場合でも、やはり監督官庁の方にいわゆる除外事由の立証責任というのがあると考えてよろしいですか。
○深山説明員 監督官庁は、これは文書提出命令手続の当事者ではございません。あくまで参考意見を裁判所に述べる立場、当該秘密との関係では、秘密の保持、管理に責任を負っている立場ではありますけれども。ですから、その主張立証責任という観念は、この決定手続にも主張立証責任というものがあるのかどうかという点についてもいろいろ議論があるようで、そういうものを普通の訴訟のテーマのような形で観念することはできないという考え方もあるようですけれども、仮に、主張立証責任的な物の考え方があるとしても、それは提出命令の当事者間、申立人と所持者との間での問題ですから、監督官庁に主張立証責任があるかどうかという委員の御指摘については、そういう意味では、主張立証責任の観念を少しはみ出したところに監督官庁というのはいるということになると思います。
○福岡小委員 私の言っているのは〉監督官庁を含めて、提出するかしないかということを官庁側で一応一義的に判断するわけですね。だから、そのことについての相当性の判断というものについては、やはり官庁側が拒絶している以上は、一義的に立証責任はあるのじゃないか、一般原則からすれば。だから、その適用がやはりあるのじゃないかと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
○深山説明員 法制審議会でもその点も随分種々の議論がされました。意見の相当性というのは、規範的な評価について、事実の存否について本来適用のある主張立証責任というのは、仮に決定手続に主張立証責任の概念を持ち込もうとしても、ちょっと考えがたいのではないか。あるいは、実務的には、相当かどうかという判断について真偽不明、主張立証責任が働くのはいわゆる真偽が、事実があるかないかわからないときに、どっちに不利益を負わせるかという形で働くわけですが、そういう事態というのは実務的に想定できないのではないか。 納得ができる意見だと判断できるか、全くおかしい、いずれにせよ納得できない、どちらかを決めればいいわけで、ある事実があったかどうかという形で言う主張立証責任の分配法則みたいなことを考えるのはなかなか難しいのではないかというふうなことであったと思います、議論の内容としては。
○福岡小委員 何とも言えないということでお伺いしていいのですね。
○太田小委員長 ちょっとよろしいですか、福岡先生。 ここは別に法律の専門家だけの議論の場じゃありませんので、これは、速記録を一般の国民が見てもわかるようにということをお考えになりながら、わかりやすいお言葉を使っていただきたいと思います。
○福岡小委員 わかりました。 もう一点だけちょっと確認したいのですけれども、そうしますと、この相当性の判断をすることについて、その文書自体を裁判所に提出をして裁判官がこれを見るという、通称インカメラと言っていますけれども、そういうような手続というのはこの防衛・外交文書についても適用されるのでしょうか。
○深山説明員 裁判所が判断するのは相当であるかどうかということですけれども、その判断に必要だという場合にはインカメラ手続を用いることもできるという前提で考えております。
○北村(哲)小委員 民主党の北村です。 今までかなり踏み込んだ議論をされているのですけれども、ちょっともとに戻るといいますか、第四号ホを規定することによって、今まで、例えば文書送付嘱託とかあるいは確定訴訟記録法ですか、出せる手続があったり、さまざまな形で訴訟上現実に、刑事事件に係る訴訟に関する書類とか、そのほかのものも出し得る、実務慣行上かなりのところまで来ていますね。それで、恐れるのは、この4号ホができることによって、きちっと刑事事件に係る訴訟に関する書類はだめだというふうに言われると、そういう慣行を制限してしまうのではないか、実務上。裁判官がこれを見て、ああだめですよ、弁護人が今まではこれを出してくれたのだから出してくださいよと請求したときに、いや、民訴二百二十条にはだめと書いてありますからだめですよというふうな制限するような規定として働かないかという心配はあると思うのですけれども、そのあたりは、そうじゃないというふうなことはどの辺で担保されるのでしょうか。
○勝丸説明員 今委員御指摘の点でございますけれども、まず刑事確定訴訟記録につきましては、おおむね年間約一万五千件、閲覧請求……(北村(哲)小委員「細かく言わなくていいですよ。どこで担保されるかということで、今までの慣行、慣例は言わなくて結構ですから」と呼ぶ)わかりました。 現在、閲覧につきましては、九九%閲覧請求に応じております。九九%以上でございます。その実情を変えるつもりは、法務省としては一切ございません。
○森脇政府委員 付加させていただきますと、これは文書提出命令制度で、刑事記録が文書提出命令の対象にならない、こういうことを規定するわけでございまして、先ほど申しましたような刑事確定訴訟記録法、それから、民訴法の中の全く別個の規定であります文書送付嘱託制度、これの解 釈に影響を及ぼすということは、これはあり得ないというように私どもは考えておるところでございます。刑事記録について、法制的には全く別個な制度に書かれたからといって、ほかの制度の運用が変わるという可能性はないのではないか、こういうことでございます。
○太田小委員長 ぜひ、こういうことが疑問なんだということを、我々一般の国民にわかるようにおっしゃっていただきたいと思います。
○北村(哲)小委員 わかりにくかったですか。私、一番易しいと思うのだけれども。 続けるのですけれども、さっきから確定記録と言われているのですけれども、確定記録、この四号ホは、何も確定記録ではなくて、現実に生きている記録とか、そういうものもあるのですね。むしろそちらの方が私は大事だと思うのですよ。現実に交通事故の訴訟をしているときに、損害賠償の訴訟をしているときに、今捜査している記録の必要な書類とか、そういうものも出す慣行があるわけですね。それで初めて相手方の過失が立証できるわけでしょう。そういうものが出されなくなるんじゃないかという心配があるんだけれども、そのあたりは、今言ったような答えでいいということですか。再度お尋ねします。
○太田小委員長 いいですか。今までの、専門家同士で話しているからすぐそういう専門語を使うのだけれども、それは皆様の世界であって、我々の世界じゃないのですよ。 刑事確定記録というか、取り調べをしたりする記録は、確定記録というのは、判決が下った後の記録という意味でしょう。そして、それは今までも、提出命令があってもなくてもですけれども、それは公開しなくてはいけないことになっていたから、そこは変わらないなんということは少しも議論はないわけですね。 今は、従来、判決の確定前の係争中の、争っている最中の刑事記録についてどうなのかということが問題になっているのですか。ちょっとそういうふうに。
○森脇政府委員 お答えいたします。 現在の文書提出命令の規定は、今おっしゃる刑事の動いている記録について提出の対象にするかどうかという観点から見ますと、これは提出の対象にならないということになります。今度の法律においても、その動いている記録については対象になりませんよと、このことは全く同じでございます。 そうして、動いている記録について、現在、実務上提出されている部分がありますねと先生御指摘になりますのは、それは、例えば交通事件における実況見分調書といったようなものにつきましては、いまだ公判中の事件である、あるいは起訴前の事件であるといたしましても、その民事訴訟における実況見分調書の重要性、それが二度繰り返して行えるものでないという意味での不代替性、そういったような点を考慮して、民事裁判所からの文書送付嘱託、これは文書の所持者に対して裁判所がいわば任意に提出してくださいという依頼でございますが、これに従って提出していた部分については、何ら文書提出命令の規定の今回の改正によって変更される事項ではございませんので、従前どおり提出されるであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
○太田小委員長 それは、今の交通事故の実況見分調書というのは、つまり警察ですか、相手は。だから、相手の省庁が出してもいいと言うから事実出せるということをおっしゃっているのか。そうであるならば、それは相手がいいと言っている話なんだからいいんだということですね。ちょっとその辺は今の御質問と違うと思うのですね。 もともと、相手が嫌だと言っても出せる範囲が狭くなるんじゃないかということを言っておられるわけだから。相手の省庁が嫌だと言っても出せるという法律の範囲が広くなったのか狭くなったのかということ。今のは相手が出してもいいと思っているときの話ですよね。
○森脇政府委員 はい。今の制度で申しますと、現在の法制度でいきますと、この部分につきましては文書提出命令の対象文書にならない、まあ引用したりすれば別でございますが、原則的にはそれは文書提出命令の対象文書にならない。今回改正した後も、文書提出命令の対象文書にならない。この点は変わりないわけです。 ただ、それを刑事記録ということで除外文書として掲げることによって、今任意に出している部分が実務上狭まったりはしないのかという御疑問に対しては、その点は別途の制度でございますので、変更を及ぼすおそれはないであろう、こういうことでございます。
○北村(哲)小委員 一律にここで除外されておりますが、情報公開法の方は、公判に関するものであっても、捜査記録であっても、捜査の何々を害するおそれがあると行政の長が認めるに相当の理由がある場合以外は出さなければいけないのですよ、捜査記録であっても。そうなっているでしょう。一律にだめじゃないのです、情報公開法は、いわゆる閣法であっても。我々は捜査に影響を及ぼすことが明らかな場合以外は出さなければいけないのですけれども。 だから捜査中の記録であっても、今おっしゃったような、例えば交通事故の実況見分調書のようなものは、これは別に捜査の妨害とか、個々の捜査に何ら影響がないものだから、情報公開法上でも、別にその長がだめだというふうに判断しなければ出し得る書類だと思うのですよ。 それを、ここでは一律に禁止しているじゃありませんかというのですよ。そういう意味では、ここでなぜ狭めるのですか。だったら同じような条文を持ってくればいいじゃないですか、全く同じものを。(木島小委員「さっきの私の質問に対する答弁と違うのですよ」と呼ぶ)そうでしょう。そういう質問でしょう。僕はやはりそこはぬぐい去れないと思うのですよ、素人的に考えても。僕は本当に、先生みたいに精緻でない、今思いついたことですけれども、どうしてもおかしいと思うのです。
○深山説明員 先ほど来、何度か同じ点のお尋ねがありましたが、現在国会で審議中のいわゆる行政情報公開法案には、先ほども申し上げたとおり、いわゆる整備法、法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案も同じ閣法として連番で出ております。このいわゆる情報公開の整備法の七条、今ちょうどここに法案がありますので読み上げますと、「刑事訴訟法の一部を次のように改正する。第五十三条の次に次の一条を加える。」五十三条の二として「訴訟に関する書類及び押収物については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定は、適用しない。」これが、情報公開法のいわゆる整備法第七条による刑事訴訟法の一部を改正するという内容の法律ですが、これが今、行政情報公開法と一緒に提出され、国会で御審議をされている。 先ほどから私どもが、法文上明確に除かれていると言っていますのは、行政情報公開法本体ではなくて、いわゆる整備法の七条で刑訴法の一部を改正する形で、行政情報公開の対象に全くなりませんよ、刑事訴訟法に規定する訴訟に関する書類、押収物というのはなりませんよという規定がございますということを申し上げているわけです。
○達増小委員 自由党の達増拓也でございます。 外交、防衛、警察等に関する情報についていわば特別扱いしているわけですね、一般の公務秘密文書と違うように。それらの文書については、意見について理由の相当性を判断ということで、どうして秘密なのかという理由について相当であれば、中身の検討をせずに秘密であることを認める、提出しなくていいというふうにする。その点については行政側に有利につくってあるような感じなんですが、もし変な理由をつけて行政府側が提出できないと言った場合、それは相当な理由ではないということになると、これは中身を見ずに絶対提出ということになるのでしょうか。 もしそうだとすると、一般の公務秘密文書であれば、理由のみならず中身についてもインカメラ等で見て、これはやはり出せないなというのを裁判所が判断し得るのですが、防衛、外交、警察関係について、変な理由をつけて役所が断ってくれば中身を見ないで提出しろということになると、ちょっとそこは矛盾だと思うのですが、どうなんでしょう。
○森脇政府委員 これは条文の読み方の問題になってくるのだろうと思うのでございますが、これは、相当の理由があるという場合には却下できるということに意味があるわけでございまして、相当の理由がないという場合には、他の要件を満たしているかどうかという点を判断した上で提出命令、それは、通常の場合と同じ判断がその点ではなされるということで御理解いただきたいと思います。
○与謝野小委員 先ほど、裁判所から出せと依頼のあったものは九九%出しているというのですがへその残りの一%というのは一体どういう理由で出せなかったのかということを御説明いただきたい。
○勝丸説明員 たまたまここへ参ります前に東京地検の取り扱いの実情を聞いてまいりましたが、昨年一年間でたった一件だけ記録をお見せできなかったということがあるようでございます。 それはどういう一件かとお伺いしましたところ、記録を見に来た方が某被告人の友人で、どうも最近裁判を受けて、覚せい剤、薬をやっているみたいだ、ちょっとどんな事件だったのか知りたいのでそいつの記録を見せてくれと、ちょっとやくざっぽい方が来られて聞かれた。これはさすがに、被告人といいますか確定した方の更生の問題もございますし、それからプライバシー等に与える問題もございます。それで、その一件についてはお見せできないということで断られたということ、その一件が、昨年明確にお断りした一件であるというふうにお伺いしたところでございます。 そのほか若干の例を挙げさせていただければ、やはり刑事事件の記録には、本人のプライバシーに深くかかわったものがすべての記録に含まれております。本人の前科関係、あるいはまた身上関係、どこで生まれて、どう育って、どのような動機でこんなことになったのかということが詳細に書かれておるのが刑事事件の記録でございます。 これにつきましては、やはりよほどの理由で、特別な理由で民事裁判に必要な理由があるということを御説明いただいたときにはお見せする場合もありまずけれども、一般的にはへ民事事件の証明に関係ないであろうということで、むしろその部分については申し入れ自体を遠慮していただきたいということも申し上げているということでございます。 そのように深くプライバシー等にかかわる事案、あるいは、単に興味本位で来られて、それが被告人あるいは受刑者の更生を妨げるおそれのあるような事案、そういうものが散見されるということでございます。 以上でございます。
○与謝野小委員 それでは、裁判所からそういうものを送付してくださいといって依頼されたものについて、過去それを断ったケースというのはありますか。
○勝丸説明員 今御質問の点につきましては、三種類の場合があろうかと思います。 確定記録、既に裁判が確定したような事件の記録の場合、それから既に現在裁判が進行中の記録の場合、それから不起訴記録あるいは不提出記録と言われる種類の記録、幾つかございますけれども、それぞれ類型によって若干違いますけれども、やはり刑事裁判で現在まさにそれを使っているので今はお出しできないというふうなことで、民事裁判所に出せない例もあろうかと聞いております。 また、不起訴記録の中にも、民事の立証とは関係のない部分、これが入っておりますので、こういうのを一括して送付依頼を受けましたときには、その部分は除外してくれというふうに述べていると聞いております。統計的なきちんとした数字ではございませんけれども、不起訴記録につきましては、おおむね年間千件程度裁判所から送付嘱託がございますけれども、そのうち全く応じないという形のものはほんの数%にとどまると理解しております。 以上でございます。
○鴨下小委員 自民党の鴨下です。 文書提出義務の除外文書の中に「医師、弁護士等の職務上の秘密に属する事実又は技術若しくは職業の秘密に関する事項」ということがありますけれども、公文書に当たる医師の文書というのは、これは国立病院だとかなんかの医師なんですか。それとも、民間も含めて、すべての医師を含むのでしょうか。
○深山説明員 ここで言う医師は、公文書の場合には確かに国立病院の医師の場合が典型例ですが、民間の医師が作成した文書が公文書と一体となっているという場合もあろうかと思います。 したがいまして、民間の医師も国立病院の医師も、医師という資格を持っている以上、全部含まれるということになります。
○鴨下小委員 そうしますと、民間の医師が作成したカルテもしくは診療明細書等についても、これは除外文書に当たるというふうに判断するわけでしょうか。
○深山説明員 今回、二百二十条第四号を改正しておりますが、この四号で言う除外文書には該当いたしますが、提出義務がある場合は四号だけではございません。従前からある一号から三号という別の類型の提出義務というのがございます。この一、二、三号に当たる場合にはカルテでも提出義務があるということにもちろんなりますが、今回改正した四号についての除外文書という意味ではそのとおりでございます。
○鴨下小委員 ということは、今までの流れの中で医師のカルテは原則的に公開していこうではないかというようなことに逆行するような状況が、これによって生まれる可能性もあると思うんですが、その辺についてはいかがなんでしょうか。
○深山説明員 医師のカルテについて、これまでも民事裁判において文書提出命令が発令されたケースが少なからずございます。これは先生御案内のとおりで、現行法のもと、あるいは旧法のもとにおいてもそういう例があるわけですけれども、それは、二百二十条の第三号の文書に当たる、カルテが医師と患者との間の法律関係について記載した文書であるという理解のもとに、三号の提出義務がある文書として提出命令が発令されたものがほとんどであろうと思っております。 先ほども申し上げましたとおり、この三号は今回も全く手を加えておりませんので、その意味では同じような運用になっていくだろうと思っております。
○鴨下小委員 それでは具体的に、医師が持ち得る文書の中で、除外文書となるというのは、どういうものが当たるんでしょうか。
○深山説明員 医師が持ち得る文書と言われましても、非常に範囲が広いんですが、ここで言っていますのは、医師が職業上、法律上の守秘義務を負っている事項が書かれたものにもちろん限られているわけで、守秘義務を負っていない事項が記載された医師の所持する文書、これは多々あると思います、それはもちろん関係ありませんが。守秘義務を負っている限りは、守秘義務違反を法律によって強制するということを、この四号の一般義務では認めていないということです。
○下村小委員 自民党の下村です。 前の話に戻るんですが、高度の秘密に属する秘密文書の件ですけれども、防衛秘密とか外交秘密とか治安上の秘密ですね。これについて、相当の理由がある場合は文書提出命令の申し立てを却下し相当の理由があると認めるに足りない場合に対しては裁判所は提出を命ずることができる。裁判所は実際そういう判断ができるのかどうかということについては、やはり監督庁にかなり情報を聞く中で判断をせざるを得ないようになるのではないか、高度の秘密ですから。 その辺の、そういう裁判所としての独自性がどの程度できるかどうかということで、相当の理由があるかないかということについてどんなふうに判断できるのかどうか、もうちょっと具体的な説明と、それから行政情報公開法との関連の中でもこの話は出ていますが、違いがあるのかどうか、この点についてお願いします。
○深山説明員 委員御指摘の、例えば外交秘密のような高度の秘密については、これが秘密に当たるかということを截然と判断をするということは、外交的な知識や外交関係に対する悪影響を予測するというような判断に、裁判官というのは特別な専門的な知見を持っているわけではありませんので、そもそも外交秘密に当たるかどうかの判断が、事柄の性質上、裁判官にとっては極めて難しいであろう。 そういうことから、より判断がしやすいといいますか、判断ができ得る、外交秘密に当たるということをるる述べた監督官庁の意見が、合理的な第三者として見て、それを読んだときに納得できるものかどうかという形での司法審査を加えるというのが、今回の二百二十三条の四項の規定でございます。 したがいまして、この規定自体が、裁判官の事柄の性質からくる判断の困難性を緩和するために、いわば、詳しく述べられた意見の相当性を判断する合理的第三者として見て合理性のある意見だというふうに許容できるかどうかという形で判断をする、これであれば常識ある第三者であればできるだろうということで、そういう判断であれば、裁判官であっても十分可能であろうということでできている制度です。 それから、情報公開制度との関係ですが、情報公開法に基づく開示制度におきましても、全く同様の事項につきまして開示、不開示が争われて、最終的には行政訴訟になりますが、その際の司法審査のあり方あるいはやり方といいますのは、条文の表現が全く同じとは申しませんけれども、実際上はほとんど同じ判断をして開示、不開示を決めるという制度になっている。そういう意味で、同じような制度をとっていますので、整合性がとれた判断の仕方になるであろうと思います。
○太田小委員長 さっきの、鴨下先生、何かこういうことであった方がいいんじゃないかというふうな、ここは自由討論ですから、鴨下さん自身のアイデアを提示されていいんじゃないですか。
○鴨下小委員 具体的な話で、医師の持ち得る職業上の秘密を公開していこうという流れは確かにあるんですが、そのときに、この民事訴訟法の改正案については、むしろ私は逆行しているように思えてならないんですよ。ですから、例えば医師の持ち得る情報を、これは除外文書の一つにするということ、限定的に何かあるんだったらそれはそれでいいんですが、もしそういうようなことで、ここは開示しないんだよというような話を具体的に示していただくと私は大変ありがたい、それ以外のことは公開だということなわけでありますから。そこだけ少し最終的に教えていただきたいと思うんです。
○太田小委員長 何かこういうことはあるんじゃないかと、むしろ鴨下議員の方から言ってもらった方がいいんじゃないですか。大丈夫ですか。そんなに詳しくこのことを勉強しておられるわけじゃないと思いますが。
○深山説明員 まさに小委員長御指摘のとおりでへ医師の守秘義務について、法務省所管法令でもないこともありまして特別勉強しておりませんけれども、先ほどの繰り返しになって申しわけないんですが、医師法上、医師が法律上守秘義務を負っている事項、これだけが除外になっている。そうしますと、では具体的に、医師の持っている情報のうちどれが守秘義務の対象になるのかということについて、ここがまさに不勉強のところなんですが、医師法の具体的な解釈にわたりますので、ちょっと具体的には申し上げかねるということでございます。
○太田小委員長 今おっしゃったように、カルテなどについて開示するという方向が出ているんだけれども、もちろん今心配されるようなことはあると思うんですね。だから、そこを心配のないようにしておいて、個別具体的には医師法になるんですか、医師法の方の手当てなんですかつ
○鴨下小委員 一つは、要するに、医師は国家公務員の医師もいますし、それから民間に一般開業しているようなお医者さんもいるわけですね。そうすると、その立場において、これが公文書に当たるのか、それともそうでないのかという判断というのはしておいてもらわないと、最終的に、では民間の人たちがちょっとカルテにメモをしたものも含めてすべて開示できないというようなことにもなりかねないということを私は心配しているんです。ですから、医者の立場によって、カルテに記載されているものは公文書なのかそれともそうでないのかという判断についてだけ、まず示してください。
○深山説明員 ここで公文書と言っておりますのは、公務員が所持するかどうかということ、公務員あるいは国が所持すると言ってもよろしいんですけれども。ですから、あるカルテが公文書としてのカルテなのか民間文書としてのカルテなのかというのは、現在、国あるいは公務員が所持しているのかそれとも民間人が所持しているのか、民間人のお医者さんが所持しているのかということで決まるということになります。
○鴨下小委員 そうすると、国家公務員以外の医者が保持しているカルテの情報というのは公文書に当たらないというふうに見ていいわけですね。
○深山説明員 そのとおりでございます。
○太田小委員長 そうすると、国立病院のお医者さんと一般の開業医は、この扱いにおいて異なってくるというわけですか。
○深山説明員 医師としての守秘義務を負っている範囲というのは同じですから、守秘義務違反になるから出せませんという文書の範囲は、民間のお医者さんだろうと国家公務員のお医者さんだろうと同じですが、公務員の場合にはまた別途いわゆる公務員としての守秘義務を負っておりますので、医師としての守秘義務には反しないけれども、公務員としての守秘義務の範囲が全く同じではございませんので、そちらには反してしまうということもあり得ると思います。 したがいまして、公務員のお医者さんというのは医師として守秘義務を負うとともに公務員一般の守秘義務を負っている、二重のいわば競合的な義務を負っている、民間のお医者さんは医師としての守秘義務を負っているからその部分は外へ出せない、こういう一重の義務を負っている、こういう違いはあると思います。
○太田小委員長 何かおかしいような気がするね。
○鴨下小委員 医療上の情報について、公務員としての情報とそれから民間の医者としての情報の差というのはあるんですか。
○深山説明員 医師法の解釈あるいは医師の実務について暗いものですから必ずしも適切でないかもしれませんけれども、医師の負っている守秘義務というのは、先ほどの二百二十条の条文にもありますように、黙秘の義務が免除されるということがございます。これは、患者のプライバシーを保護するために医師が守秘義務を負っている事項は、その患者さん自身が、これはオープンにしてください、してもらって一向に構いません、医師として秘密を守っていただかなくて結構ですということを言えば、それは黙秘の義務が免除されることになると思います。 ところが、公務員が負っている公務秘密については、これはいわゆる監督官庁、法務省でいえば法務大臣が守秘義務の解除をしない限りは守秘義務を負うということで、やはりその両方の義務というのは少し性質が違うものだと思います。
○鴨下小委員 私は何を想定してお話をしているかといいますと、最終的に、例えば医療過誤、医療ミスのような問題で民事の問題が生じたときに、公務員としての医師とそれから民間としての医師において裁判上の差異が出てくるのではないかというようなことを心配しているんですよ。 ですから、そういう意味で、公文書として開示できませんというようなことで守られる医師と、それからそうでない医師の差が出てくることについて非常に懸念をするということなんです。
○太田小委員長 多分それは、国家公務員とか、地方公務員でも同じなんですけれども、医師であるから、国家公務員として、患者さんが言っても、求めても、あるいは患者さんがそれをいいと言っても、いや、国家公務員だから出せませんということにこの法律上はなるのかもしれないけれども、一般常識的に言えばおかしな話で、何でそこで、たまたま国立病院で働いているからそういう特権が、医師としての責任が免れられるのかというのは非常におかしなことだと思いますね。
○深山説明員 論理的には、今小委員長のおっしゃったとおり、二重の義務を負っている以上そういうことは論理的にはあり得ますが、実際上はちょっとケースが想定できません。 通常へ患者さんがいいと言っても、国立病院の医師だから公務秘密として出せませんというようなことは、公務秘密というのは何でも秘密と言えばいいわけではございませんので、公共の利益を害するんだとか公務の遂行に著しい支障があるんだということを言えなければいけないわけですけれども、基本的に、そのカルテについて言えば、プライバシーの保護が一番問題なんでしょうから、そこについて黙秘の義務が免除されていれば、それは国立病院であれ民間の病院であれ、公務秘密に当たるからという理由で出なくなってしまうという差異が生ずるというふうには思えませんが、それは具体的な制度運営にかかわることですので、実際の全公務秘密についてどうかと言われるとちょっと困りますけれども。
○太田小委員長 わかりました。
○木島小委員 大ざっぱな基本的なことを聞きます。 附則の二十七条は、情報公開法の「検討と並行して、総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と書いてあるんですね。今この国会には、確かに政府からも情報公開法案が出されていますし、私ども日本共産党も私自身が提案者として出しておりますし、野党三党からも出されているわけで、その公開すべき幅は全然広さが違います。 この民訴法の一部改正法案は、中を検討いたしますと、もう明らかに政府案を前提にして物が組み立てられている。これは拙速じゃないか。今、情報公開法の方は内閣委員会でまだ審議中です。今国会どうなるかわからない、どう修正されるかもわからない。どういう情報公開法ができるのか、できたのか、それを踏まえて、さあそれじゃ民事訴訟法はどうするかというので検討すべきなんじゃないんでしょうか。情報公開法が、政府案が修正されれば、この民訴法は当然前提を失いますね。
○与謝野小委員 今の木島さんの話は、正しいようでどうも正しくないような私は気がしているわけです。 それで、この民訴法ができたときに、この条文は確かにいろいろな問題があって、特に弁護士会の方々にいろいろな意見があったので、いわば妥協の産物として、将来情報公開法もできるから、そのときにもう一度検討しようやと、そういう話になったわけですつまず第一点の、今回政府が出したのが拙速だということは当たらないで、政府が自分たちが出した情報公開法と軌を一にして出そうとしている努力というのは、むしろ評価してあげた方が私はフェアなんじゃないかなと思っています。 それから、この民訴法の改正と情報公開法を一緒に議論するというのは非常に私は間違っているんじゃないかなと思っているんです。というのは、情報公開法というのは、全く利害関係人でない、世界じゅうのどこの国の方でも、地球の裏側の方でも情報公開を求めるという一般的な情報公開、そういう情報公開を通じて政府が責任を果たすといういわば非常に一般的、抽象化された世界だろうと私は思っているわけです。 ところが、民事訴訟法の今議論している話は、特定の方と特定の方が裁判所で争っていることに関してどこからどう資料を手に入れるかという話なんで、その一般的な情報公開の世界と、非常に特定分野での争いについての判断のためのいろいろな証拠とか資料とかという世界と一緒に議論するということは、やや国民に誤解を与える世界でもあるんだろうと私は思っているんです。 ですから、ただ、この民訴法が最初全面改正になるときに、政党間の協議で、情報公開法ができるときまでにはこの部分は間に合わせようやと、そういう気持ちでいろいろなことをやったことは間違いないんですが、実際法律としては全く異質のものだろう、そういうふうに認識しないと国民に誤解を与えるんじゃないかなと私は思います。
○福岡小委員 今回の法律案を見ますと、一応原則的には刑事は認めるという大前提になっておりまして、その点では評価ができるわけであります。
○太田小委員長 違う話ですか。
○福岡小委員 違う話です。
○太田小委員長 今、提出の時期について両委員の間で異論があったので、ちょっとディベートをやってもらった方が、ディベートがあった方がいいから。
○木島小委員 私も面は違うと思うんですよ。しかし、提出を要求され、義務づけられようとしている文書は公務情報ですね。行政情報なんですよ。それは同じなんですよ。どこまで出すべきかの要求される分野が、一般国民あるいはすべての人から要求されているか裁判上要求されているかの違いだけであって、対象は同じものを論議しているわけですから、それで私は、さっきの資料にもあるように、整合性について要検討、留意しろという要望も出るのは当然だと思うのです。 そこでお聞きしたいのです。行政情報公開法が今まだ審議中です。それで、修正だってあり得るし、我が党案は非常に広いわけですからね。だから私の質問は、民訴法はやはり政府の出した行政情報公開法あるいは整備法を前提にして論理が組み立てられているのでしょうと、だからあの政府の行政情報公開法が修正されるならば、この前提が崩れるのでしょうということを確認したいのです。慌てて出したかどうかは非難するつもりはありませんが。
○太田小委員長 ちょっと済みません、今言及されている附則は。
○木島小委員 二十七条、この資料一。
○与謝野小委員 これは慌てて書いたのでしょう。
○木島小委員 何がですか。附則二十七条、いやいや、結果に基づいて必要な措置を講ずると。
○森脇政府委員 これは、二十七条で指示されているところは「行政機関の保有する情報を公開するための制度に関して行われている検討」これはいろいろな情報公開制度を、各国も含めまして、そういうものを総合して日本の情報公開制度をつくろうとしている、その検討を指しているのだろうと思われます。それで、私どもが特に重点を置いたのは、総務庁で行われておるいわゆる行政情報公開法の検討状況である、これは言えるだろうと思います。それと「並行して、総合的な検討を加え」ろ、これは私どもにおいて総合的な検討を加えて、「その結果に基づいて」、それは私どもで行ったその検討結果に基づいて「必要な措置を講ずる」、こういう趣旨であろうと思っております。 したがいまして、そういう行政情報公開の検討と並行して私どもも検討できる、こういう余地のものとして提起されておりまして「その結果、第二項でその期間は二年ですよというめどまで規定することができたのだろうというふうに理解しております。
○太田小委員長 ちょっと私が、僭越なのですが、その当時ここにいた者として申し上げますと、当時はこの法律を早くつくれというのが、つまりこっちの方を、情報公開法を待たずに早くつくれというのがここの法務委員会の大勢であったのです。というのは、ここでもっと踏み込んだ文書提出命令ができるような法律を早くつくった方がいいという考え方が強くて、それを法務省の方がなし崩し的に先に延ばしてごまかすのではないかということの方をむしろ心配をしていたものですから。もしその当時の正森議員がおられたら、そうはおっしゃらないだろうと思います。
○達増小委員 情報公開法との整合性はやはり大事だと思うのですよ。 例えば、情報公開法の方がより広い開示を認める結果になった場合、裁判所の文書提出命令については、役所がそれは出せないということで提出しなかったものについて、情報公開法のスキームでその訴訟当事者が別途開示請求すればそれを出してもらったと、それで出してもらったのを持ってまた裁判所に戻ってくるということになると、やはり実務上の混乱というか裁判所の権威が失墜するというか、そういうことになるので、こっちの裁判の方の法律を早く決めたいというのはあるのでしょうけれども、そういう事態が生じていいのかという問題もあると思うのですね。 理想を言えば、情報公開法の方が早くできて、ですから役所から直接訴訟当事者が情報をとってこれるような世の中になれば、それが理想的なのだとは思うのですけれども。
○森脇政府委員 それはもう御指摘のとおりだろうと思います。切り口が違いますので全く同じ条文を構えるということではございませんが、実際の運用の問題としては、情報公開法でだれでもが取得できるような文書が民事訴訟法の文書提出命令の除外文書に当たってしまう、こういう事態は実際の運用上は起きないであろうというふうに考えておりますが、それを狂わすような情報公開制度ができたらどうするのかということになりますと、これは民事訴訟法の方を再度いじらなければならないという事態というのは、それはあり得るのだろうと思います。
○福岡小委員 今の点につきましては、まず私も、前後のことに余りこだわりませんけれども、整合性のあるように、矛盾するような結果になってしまってはこれは混乱を招きますので、ぜひとも整合性を得るような形にこれをしなければならぬというふうに今思うわけであります。 ただ、それで、今回の規定の仕方の問題ですね。情報公開制度も、基本的に政府の方から出されているのも、原則公開ということで具体的ないわゆる除外事由というのを明記している。今回の提出命令についても、一応原則公開という立場で立案されているわけですし、説明もされているわけです。それは非常にいいことだというふうに思うのですね。 そして、その除外事由にしても、やはり具体的に外交情報のようなものでも国家の安全とか諸国との間の信頼関係を損なわない限りは出せるとか、それから公の秘密情報についても、やはり業務に支障がない限り出せるとか、そういう具体的な規定をこれは実際に置いているわけです。 したがって、この刑事記録についても、先ほどもちょっと言われましたように、送付嘱託というような形で事実上は、そういう判断ですね。要するに、公訴の遂行上支障がないとか、それからプライバシーが何とかという理由でもってそれに応じたり応じなかったりしておるとすれば、一律に頭から刑事記録を除外しなくても、刑事記録のうち、外交情報と同じようにプライバシーの侵害をするもの、公訴の維持、遂行に支障を来すようなもの、その他あればその他の要件も定めて、そういう場合には刑事記録は提出しないことができる、こういう規定でいけば全体としての流れもいい。 最も重要な外交・防衛の方は一応提出することがあるのにかかわらず、提出命令の部分だけは刑事記録を全面的に拒絶して送付嘱託に任せるというのは、これは法律の体裁からしても何かおかしいわけですし、またそんなことで一律に刑事記録を、現実に八割から九割ぐらい出ているわけですから、禁止しなければならぬ理由もないと思うのですよ。そこのところは何とかそういう形に改めることはできないのでしょうか。
○太田小委員長 さっきからおっしゃっていてわからないのは、送付何とかと言っているでしょう。ちょっとそこを説明してください。今何を議論しているのか、普通の言葉でちょっと言ってくれませんか。
○森脇政府委員 刑事記録について……
○太田小委員長 刑事記録というのは、要するに取り調べ記録でしょう。それで、さっき言ったように裁判が終わる前のものですね。
○森脇政府委員 終わる前のものもございますし、裁判が確定した後の記録もここで言う刑事記録に含まれます。 それで、今回の私どもの法律案におきましては、それを全部、文書提出命令のかからない文書、つまり除外文書にしているわけでございます。 ただいまの福岡委員の御提言は、その刑事記録の中でも、プライバシーにかかわりのない文書でありますとか刑事公判に影響を及ぼさない文書といったような抜き出し方をして、その部分についてだけ除外文書という規定はできないのか、こういう御質問であろうかととらえました。
○太田小委員長 それで、さっきからお二人の間に送付何とか、送付何とかと出てくるでしょう。送付というのは特別な法律的な手続なのでしょう。だからそれをちゃんとはっきり言ってください。
○森脇政府委員 民事訴訟法におきましては、今回検討とされております文書提出命令制度のほかに、二百二十六条に「文書送付の嘱託」という規定がございます。この規定はどういう規定かと申しますと、民事訴訟の当事者が民事裁判所に対して文書の送付、つまり送ってくれるようにということを申し立ていたします。裁判所が当該文書の所持者に対して送付嘱託ということをいたしますと、それを受けた者は任意に、いわば強制力のない形で裁判所に対して文書を送付する、そういう手続が設けられております。
○太田小委員長 済みません。今の議論で、刑事記録を文書提出命令によって出す、出さないということと今の話とどういうふうに関係あるのですか。
○森脇政府委員 現在は、原則として、刑事記録はどの段階においても文書提出命令の対象の文書になっておりません。したがいまして、現在、民事訴訟において刑事記録を利用しようという場合の方法としては二つの方法がございます。 そのつちの一つは、裁判所に対してただいま申し上げました文書送付嘱託の申し立てをし、裁判所が記録を保存しておる検察庁に対して文書送付嘱託をいたします。検察庁の方で、これは民事裁判において必要であろう、あるいは必要ないであろり、あるいは確定記録の場合には、特別に提出しない理由があるかといった点を判断して、任意に民事裁判所に対して記録を送付するという手続がとられております。そのりち、刑事の確定した記録については、裁判所からの送付嘱託に基づいて、年間千件程度の記録が民事裁判所に送られておる。 それから一方、確定記録以外の現に公判中の記録あるいは不起訴記録、こういったものについて送付嘱託がある場合もございます。これは刑事訴訟法の規定によって原則としては非公開とされるべきものでございますが、先ほど申しました交通事件における実況見分調書のような、その書面の重要性あるいは不代替性、そういったことを考慮して送付嘱託に応じる場合もございます。
○太田小委員長 だから、応じているのは、別に裁判所が応じているのではなくて検察庁や警察庁が応じているわけだから、この今言おうとしていることは、さっきも言いましたけれども、向こう側の、持っている側の裁量権にゆだねられない部分を拡大せよとかあるいは狭めるなということをおっしゃっているわけですね。
○福岡小委員 委員長の言われるとおりですよ。結局、送付嘱託で実際の取り扱いは送付したりしなかったりしているという基準は、その被疑者とかまた被告人のいわゆるプライバシーの問題と利益という点と、公判を維持するとか捜査の関係とかきそういったものの妨げになるというような実質的理由でそういう場合は拒絶して、それ以外の場合は事実上出しておみえになるというのが実態だという御答弁です。 そうだとすれば、外交・防衛みたいな重要なものでも、それは要するに、外国との信頼関係もしくは国の安全を害さない限りは出そうといっているのですから、同じような規定の仕方にしていいのではないか。捜査情報のうち、プライバシーを侵害するもの、それからさらにはそういう捜査、公訴の言い分に妨害のあるようなものについては出さないで、それ以外は出しますという、いわゆる提出命令の制度というものを設けた方がよりすっきりするのではないですか、こういうことを申し上げているわけです。
○太田小委員長 わかりました。 それで、さっきから整備法、整備法と出てきて、早口で読むからわからないのだけれども、整備法七条とかいうのは今御議論のことと関係あるのですか、関係ないの。あるのなら、整備法のことをきちんと説明をしていただかなくてはいけないですね。あと三分ぐらいしかありませんけれども、何か言い分を。
○与謝野小委員 どうもお話を伺っていると、弁護士の方が訴訟をするのに大変便利なような方向に話が行っているので、本当にそうなのかなと私は実は思っているわけです。民事訴訟というのはやはりいわば対等に戦うわけでして、そう片っ方だけが有利になるという世界は多分あり得ないのだろうと。 それで、刑事訴訟記録というのは、本来は、調書にしろ何にしろ、取り調べをするということは、先ほどもちょっと説明ありましたけれども、相当踏み込んだ話が調書に載っているわけですよ。そういうものはやはり原則非公開ということでないと捜査にも支障が出るし、それからいろいろな面で、被告人であれ参考人であれ、言ったことが将来どんどん表に出てしまうということであると、実際は、刑事訴訟の手続に重大な支障を来すということはもうわかっているし、特に、被告人の生い立ちとか預金通帳がどこにあるとか、もうありとあらゆることを書いてあるのですよ、調書には。 だから、そんなものがばらばら世間に出るという世界をつくるということを国会はやってはいけないと私は思うのです。 ただ、先ほどから説明があったように、実況見分調書とか、もうだれがやったってきちんと物理的に確定している話は別に出しても構いません、過去にも出していますと。今までのことが民事訴訟に重大な支障を来している場面があったのかといえば、そうたくさんはあったわけではないし、そんな話は実は聞いたことはない、私はそう思うので、きょうはもう時間ですからあれですが、自民党の立場というのは、やはり刑事記録は原則非公開というのが自民党の立場ですから、そのことは委員長にはっきり申し上げたいと思っています。
○太田小委員長 時間も参りましたので、きょうはこの辺で終わりたいと思いますが、また、御相談をいたしながら、機会がありましたらば開きたいと思います。きょうは、どうも皆様御苦労さまでした。ありがとうございます。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時散会