法務委員会 第14号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/05/13
会議録
○笹川委員長 これより会議を開きます。 理事辞任の件についてお諮りいたします。 理事鴨下一郎君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に太田誠一君を指名いたします。 ――――◇―――――
○笹川委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。 本日は、かねてから死刑の執行に関して、とりわけその情報公開について質問主意書をたびたび出させていただき、またその議論を踏まえて、しっかりこの問題を、国会の論議の中で確たるきちっとした論議ということで、させていただきたいと思います。 思い返せば、昨年の夏、何冊も著書があり、またそのうちの幾冊かは私も読んだことがある永山則夫死刑確定囚の処刑が執行されたわけです。その時期というのは、本当に、国外にいろいろ視察の計画があったり、あるいは夏休みのさなかですから、国会の中で議論をするということもできず、したがって、社会的な論議が最も起きにくいときにそういった処刑が行われたということで、極めて大きなショックを受けたわけです。 とりわけその情報公開について、この死刑の問題については、国際社会で死刑を存置している国においても、その状況について情報公開に努めることということがたびたび指摘されているにもかかわらず、私の出した最初の質問主意書で、「八九年十一月の死刑執行当時までは議員の質問に日別の死刑確定者数や月別の死刑執行者数を回答していたか。」というふうに質問したわけですけれども、御指摘のような回答は見当たらなかったという答弁が返ってきました。 その後に、実は当方で議事録を示しまして、こういうことがあるのじゃないかという指摘をいたしたわけですけれども、その後の質問主意書のやりとりで、なかったということは過ちではない、事実誤認ではないのだというふうにお答えになっているのです。 言ってみれば、一昔前はこういった委員会質疑の場で、きょう現在の確定者の数は何人ですかと言うとお答えになっていた。しかし、これを今答えていないわけです。お答えできるのであれば、このことも聞きたいのですけれども、明らかにその情報は、かつて言われていたことも言われなくなっているという点について、まず法務省の見解をただしたいと思います。
○原田(明)政府委員 御指摘の点は、かつて委員会質疑の中で、御指摘のような質問、また答弁があったということはそのとおりでございます。 それにつきましては、いわばその死刑の執行そのもの、また制度そのものについて反対という立場からさまざまな論議がなされている中で、例えばその聞かれた日、その時点で何名ですか、そういうふうなことを、仮に法務当局あるいは大臣からお答えするということになってまいりますと、まさに、いっどのような形で執行されるということを公表するのと同じような事態になってしまうということで、これにつきましては、毎年一定の時期に、現在確定者は何名ということを公表し、またお答えするということで、実際上のこの問題についての公表の限度はそのように取り扱わせていただくということが確立されて以来、ただいま申し上げたような事態になっているということで、現在のところ、そういう死刑の執行の公表についての考え方はそのようにやらせていただきたいということで、現在の実務的な取り扱いを行っているというふうに御理解いただきたいと思います。
○保坂委員 今、刑事局長がおっしゃった、私の質問で、議員の質問に日別に答えていたのではないかという質問に対して御指摘のような回答は見当たらなかったと一回お答えになっている、これはちょっと事実を誤認したということでよろしいですね。要するに、その後議事録が出てきて、その質問はわかったわけです。その事実を。
○原田(明)政府委員 その点は、御質疑があった都度そのことをお答えするという慣行があったとか、そのような事実があったということについては、ないというふうにお答えしたと私は理解しております。 ただ、相当期日がたって、たまたま一年に一回とか二回、そういう御質疑があった際にお答えするというような事態はあったろうと私は思います。しかし、聞かれたその都度お答えしていくという形にはなっていないという趣旨の答弁であったと思います。
○保坂委員 平行線でやっていてもしようがないので、誤認があったら誤認があったというふうにはっきり言っていただいた方が論議は進むと思います。 死刑については実は大きな関心があるわけですけれども、その実情というのは非常に大きな、厚いベールにくるまれております。 まず伺いますけれども、死刑の現場に立ち会う、いわゆる死刑の執行の現場に立ち会うのはだれなのか、そして執行するのはどなたなのか、そして実際に執行にかかる時間は平均何分ぐらいなのか、また、死亡をどなたが確認されているのか、基本的なことなんですが、お答えいただきたいと思います。
○坂井政府委員 お答え申し上げます。 死刑の執行に立ち会いますのは、検察官、検察事務官及び矯正施設の長及びその配下にあります矯正施設の職員ということでございまして、これは当然のことだろうと思います。 それで、死刑の執行をだれが行うのかというのも、これも当然でございますけれども、矯正施設の職員が執行を行っております。 それから、死亡の確認は、これも矯正施設に医師がおりますので、この矯正施設に勤務する医師が死亡の確認をするということになっております。 それから次に、執行の時間でございますけれども、これはなかなか統計がとりにくいというか、そのときで若干違いますけれども、大体十五分から二十分ぐらいの見当ではないかというふうに思っております。
○保坂委員 それでは、実際執行に携わるのは職員の方、つまり刑務官というふうに理解してよろしいでしょうか、ちょっと答弁を。
○坂井政府委員 矯正職員でございまして、主としては保安課の職員が立ち会うということになります。
○保坂委員 それではお尋ねしますけれども、その刑務官の方が上司から執行に係る職務命令を受ける、どの法律に基づいて受けるのか、法的な根拠をお願いいたします。
○坂井政府委員 これは、もちろん申すまでもなく矯正職員は国家公務員でございますので、国家公務員法九十八条第一項に「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」という条文がございまして、これに基づいて命令をするということでございます。
○保坂委員 国家公務員法でそういう規定があるのはわかっておりますが、死刑の執行というのは国家公務員が数々受ける職務命令の中でも極めて特異な命令だと思います。つまり、思想信条あるいは宗教上の理由、あるいは人生、哲学上のさまざまな理由で極めて抵抗が強い。 これを逆に言うと、今は国家公務員法の九十八条一項しか法的根拠はないというふうに理解してよろしいですか。特別に定めた細かい規定はないのでしょうか。
○坂井政府委員 もちろん、死刑そのものにつきましては、刑法、刑事訴訟法、監獄法、監獄法施行規則とずっとありますので、それはもちろんそうでございますけれども、要するに、執行するときの命令する根拠は何かといえば、この国家公務員法上の根拠である、こういうことになるかと思います。
○保坂委員 つまり、監獄法とか今言われましたけれども、その中に細かく、刑務官が死刑執行の命を受けたときはそれに従わなければならないというような規定があるのでしょうか。
○坂井政府委員 現在の規則の中にはそういうふうな規定はございません。
○保坂委員 私は、随分この問題を考えてみました。一番最初は当然執行を受ける側、あるいは被害者の感情、さまざまこの論議の中で考えるのですが、このところ最も強く考えさせられたのは、実はその職務命令を受けて執行する側の、つまり、刑務官の方たちのお気持ちなんですね。これはもうかなりいたたまれないものがあるということをさまざまな本で読み、また、訴えをされているのだという事実を知りました。死刑確定囚と、長い年月にわたって矯正に当たり、精神的な交流もありという中で、その生命を遮断しなければならないという、本当に苦痛、苦悩の中に立っておられるわけです。 死刑執行に当たる刑務官が、その精神的苦痛と刑の残虐さを訴えて死刑廃止を提唱したということはございますでしょうか。
○坂井政府委員 現職の刑務官ではそういう人はおられません。ただ、おやめになった方でそういう書籍なり、本なり、あるいはインタビューに応じるということをしておられる人がいるということは承知しております。
○保坂委員 では、これは調べていただきたいのですが、私が生まれたのは昭和三十年なんですね、昭和三十一年の参議院の法務委員会の議事録がございます。これを見ると、当時、参議院の法務委員会に死刑廃止法案という法案が提出されています。その法案の原動力になったのは、現在とちょっと情勢が違いまして、どうも死刑執行に係る刑務官の方たちあるいは拘置所長の方の叫びが原動力になったというふうにも聞いております。 この議事録の中で、実は公述人として玉井さんという方が参議院の法務委員会に来られているのですね。この方は、拘置所長、現職だと思います、こんなふうに言われているのですね。 死刑という刑罰が存在する限り、そしてその執 行を私たち矯正職員が行わなければならない限 り、私は方便的に任務を遂行するのであって、 そこに教育としての良心は片鱗をも示すことは できない。人殺しとみずからあざけっておるも のであります。この点から考えても、私は当然 死刑は廃止してほしい。そして、もし直ちに廃 止することができないとするならば、さしずめ 死刑の執行は矯正職員にやらせることだけは、 せめて直ちにやめさしてもらいたいということ を懇望するものであります。(拍手)これは、 私が過去六カ年間大阪拘置所長として、数多く の死刑確定者と接し、彼らの死刑執行に立ち 会ってきた経験から結論づけられたものであり ます。 この方は、昭和四年に刑務官になられて、昭和二十四年から三十年まで大阪拘置所長として勤務して、その間に四十六人の方の死刑執行をしたという体験を踏まえてこういうふうに言われているのですが、御存じでしょうか。
○坂井政府委員 その玉井さんが、参議院の委員会で参考人として陳述されたということで、ちょっと私は知らなかったのですけれども、玉井さんという人はかなり前におやめになった人だとは思いますけれども、大阪拘置所長をやられた方で、死刑について本を書いておられるということは承知いたしております。今委員御指摘のような、参考人としての意見陳述をされたということはちょっと存じません。
○保坂委員 これは昭和三十一年五月十一日金曜日に行われた委員会、公述人ですね、この場合は。このときの役職は奈良少年刑務所長になっております。現職だと思います。やはりこういうことについてきちっと精査をして、ちゃんと検証していただきたいと思いますが、いかがですか。
○坂井政府委員 検証と申されても、そういう意見の方がおられるということは間違いございませんし、そういう意見で本を出したりしておられるということも十分承知しておりまして、我々もそれは十分わきまえているところでございます。
○保坂委員 ここで法務大臣に伺いたいのですが、執行に当たる刑務官の方のさまざまな体験、これは法務省の方でも御存じのようですけれども、「死刑執行の現場から」、戸谷さんという方が書かれている御本がございます。それから大塚公子さんという方がお書きになった、これはルポルタージュですけれども、「死刑執行人の苦悩」という本がございます。ぜひ大臣にもこれらの本を読んでいただきたいというふうに思います。 そして、今繰り返し確認してきたように、日本の歴史の中で、特に矯正局の職員の方の中から、この死刑執行といういわば公務を、あるいは職務命令を、いたたまれないのだ、中にはこれが理由でやめていくという方もおられる、あるいは精神的に非常に追い詰められるという方もおられる。つまり、この執行する側の問題ということに法務大臣が関心を払われて、こういう側の職員の方の声をぜひ察していただきたい、そして、できれば生で聞いていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○下稲葉国務大臣 今委員るる御指摘になりました行刑施設の職員は、死刑という、本当に厳粛と申しますか、刑罰の執行に当たる立場にあるわけでございまして、その職務遂行に当たりましては、委員御指摘のように、本当に大変な苦労があるというふうに私も思います。 私も就任早々、元刑務官から通信をいただいたことがございまして、その辺の心情等もるる書いてあって、深く心にとどめているわけでございます。大変御苦労があるということはわかるわけでございますけれども、やはり私どもは非常に厳しい国の法秩序の維持という責任を持っているわけでございまして、そういうふうな立場から大変困難な業務に行刑の職員が取り組んでいる、その辺の心情は私も十分心得ているつもりでございます。 改めて、繰り返して申し上げますけれども、そういうふうな中においても、なおかつ、国の法秩序に当たる、そういうふうな仕事は非常につらいですけれども、やはり厳格に処理していかなければならない、このように思います。
○保坂委員 大臣にこの二冊の本をぜひ読んでいただきたい。後ほどお渡しをしたいと思います。 それでは、サミット加盟国の中で、国全体で死刑が存在しているというのは日本だけでしょうか。簡潔にお答えいただきたい。
○原田(明)政府委員 いわゆるサミット加盟国の中では、日本以外に、ロシアのほか、アメリカ合衆国におきましても、国全体に適用される連邦法において死刑が定められているものと承知しております。 また、国際連合の報告によりますと、イギリス、カナダは、それぞれ通常犯罪については死刑を廃止したものの、一定の罪については死刑を存置しているというふうに報告されております。
○保坂委員 ことしの四月に、国連人権委員会で、死刑の存置国に対して、段階的に死刑を適用する犯罪数を制限せよ、そしてまた情報公開すること、そして執行停止に向けて努力することというような内容の決議が採択をされたというニュースが伝わってまいりました。 このことと、死刑を最高刑としている刑も含む組織的犯罪対策法が今回上程されているわけですけれども、国際社会の動向について、一方は、組織的犯罪については国際社会の動向に敏感に反応しつつ、こちらの死刑については、それぞれの国の動向を踏まえてそれぞれの国のやり方でやる、ここに矛盾があるかと思うのですが、いかがでしょうか。
○原田(明)政府委員 まず、御指摘の、現在御審議をお願いしております組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案に定める組織的な殺人の罪においては、死刑を最高刑としておるわけでございます。これは、既に死刑を最高刑として定められている殺人罪について、これが組織的に起こされた場合に、その法定刑の下限を引き上げようとするものでございまして、法定刑の上限についてはそのままとしておるのでございまして、新しく死刑が科せられなかった行為に対して死刑を定めるものではないということについて、まず御理解を賜りたいと存じます。 また、死刑制度の存廃そのものにつきましては、国際的にも、委員御指摘のとおり種々の立場があるところでございまして、諸外国における動向、経験も参考にする必要はあると考えます。基本的には、各国におきまして、当該国の国民感情でございますとか犯罪の情勢、刑事政策のあり方等を踏まえて慎重に検討されるべきものでございまして、それぞれの国において独自に決定すべきものと考えております。 そういうことで、やはり国際的な動きについては常に注目しつつ、我が国としても十分な検討を進めていくというのが我が国の立場ではないだろうかと考えます。
○保坂委員 ちょっと予告から漏れてしまって申しわけないのですけれども、この死刑の問題を考えるときに、いろいろな立場の人がいろいろなことを考えているのですけれども、最近話題にもなっております東京裁判、極東国際軍事裁判において、当時の戦犯として東条英機氏ら七人の方が処刑されたわけですね。 その当時というのは、死刑執行そのものがいわば大きく公開をされて、そして新聞等にも大きく一面で載るという形だったわけなのですけれども、いわゆる東京裁判における死刑執行の公表ということと現在とは相当違うわけですけれども、法務大臣はどのようにお感じになりますでしょうか。
○下稲葉国務大臣 東京裁判は、今さら申し上げるまでもなく、敗戦国である日本の戦犯に対する、戦勝国の人たちで構成された裁判でございまして、当時のやはり置かれた社会情勢なりなんなりを背景として公開なりなんなりの方法をとられたと思うのです。 現在私どもが議論しておりますのは、日本の国内法、刑法を頂点とするいろいろな刑罰法令の中の適用の問題として議論しているわけでございまして、そういうふうな意味では性格的に違うものである、こういうふうに判断いたしております。 したがいまして、現在の法体系の中で死刑のあり方を公開にすべきかどうかという議論は、今委員御指摘の問題とちょっと話が違うのではないかな、こういう認識を持っております。
○保坂委員 この問題はきちっとした議論をするということが大切であるということは、どの立場の人もお認めになることだと思います。ですけれども、議論の前提として、何がどのように行われているのかということは物すごくわからないわけなんですね。 この前もお聞きしましたけれども、例えば我々議員が刑場を視察したい、見たいと言った場合に、恐らく法務省から返ってくる答えは、確定者の心情の安定に著しい影響を及ぼしかねないので御遠慮願いたいということが返ってくると思うのですが、それならそれで、例えば取り壊し寸前のところであるとか立ち上がったばかりのところであるとか、つまり情報公開についての努力をすることはいかようにもできると思います。 それから太政官布告の問題、ほとんど変わっていないという前回の答弁でしたけれども、いろいろ調べてみると、やぐらに登っていってそこから処刑をされるというのと、平行に歩いていって地下に落ちていかれるという、大分違いもあるわけですね。 こういうことで、公開の努力をお願いしたいし、するべきだと思いますけれども、見解をお願いします。
○坂井政府委員 今委員の方からおっしゃられましたので、私の方からはなかなか言いづらいのですけれども、やはり刑場の公開ということになりますと、先ほど委員もおっしゃられましたとおり、死刑という最も重い刑罰でございますし、また非常に厳粛な場所でもあるというようなこと、それから心情安定、家族の名誉というようなことを考えますと、これを公開するというのはなかなか難しいのではないかというふうに我々としては言わざるを得ないわけでございます。 それから、先ほど委員御指摘になりました刑場の形というものも、太政官布告と現在は若干変わっておりますけれども、前回申し上げましたとおり、要するに、踏み板式で床があいて落ちるという形は基本的には変わっていないという趣旨で申し上げたわけでございます。
○保坂委員 法務大臣にもう一度総括的にお尋ねしますけれども、先ほどの前半の質疑で、刑務官の方が執行を命じられた法的な根拠というのは個別法においてはないのですね、国家公務員法において指摘をされましたけれども。そういう中で、例えば、今現在の執行状況を聞きますと、大変混乱した中で精神的な苦痛を多々感じながら、いろいろな問題がある。我々もそういう話をぜひ聞いてみたいというふうに思います。 そして、先ほどの刑場の問題ですけれども、心情に著しい影響を及ぼすおそれがあるという答弁は大体予想をして、そこは踏まえて、であればそこを除去した見方、見方というのは現実に何が行われているのかということを議員として共有したいという意味でございますが、あるいは努力ができるのではないかという意味で、例えば取り壊し寸前だとか立ち上がったばかりとか、そういうことも指摘したわけです。 この論議を空中戦に終わらせずに、実りあるものにしていくために、そういった基本的、基礎的なこと、情報公開、刑場の問題、そして執行に携わる刑務官の方の生の声を、この昭和三十一年の国会では堂々と公述人として来られて話されているわけですから、そういうことの論議の土台を法務大臣、ぜひつくっていただきたいと私は思います。いかがでしょうか。
○下稲葉国務大臣 国会は、国権の最高機関でございます。ですから、御意見は基本的には尊重しなければならない、このように思います。ですから、私は今矯正局長が申し上げた意見と同意見でございますが、例えば、国政調査権のもとでということが院なり何なりの御意思として今お話しのような御要望があれば、これは検討しなければならぬかな、このように思います。
○保坂委員 今大変貴重な答弁をいただいたと思います。事実がどうあるのかということを抜きにしては、この議論は本当に観念論というか、抽象論になるわけです。存置か廃止かという議論はずっと続いてきました。しかし、事実がどうあるのかということを、今法務大臣がおっしゃったようにきちっと我々議員が受けとめて、それをもとにして、ではどうしたらいいのかという議論をしていく、せめてその間は執行を停止していただきたいという私の要望ですけれども、そういった状況づくりにぜひ御協力願いたいということを一言お願いしまして、私の質疑を終わります。 法務大臣に一言。
○下稲葉国務大臣 執行の問題は、これは別個の議論だと思います。法律に基づいて私にそのようなあれが与えられておりますから。 ただ、最初の話を申し上げますが、場所の問題だとか、そういうような問題については先ほど申し上げましたようなことで、それは院としてお決めいただければ、私どもがだめだというわけにもまいらぬだろうと思います。
○保坂委員 ありがとうございました。終わります。
○笹川委員長 上田勇君。
○上田(勇)委員 平和・改革の上田でございます。 きょうは一般質疑で、死刑の問題について御質問、議論される委員の方が多いかというふうに思いますけれども、私の方からは、後ほど若干その死刑の問題についてもお伺いをいたしますけれども、同時に、もう少し幅を広く、いわゆる人権擁護行政の問題につきまして何点か伺わせていただきたいというふうに思っております。 まず最初に、昨日の衆議院の本会議で中央省庁等改革基本法案が可決いたしまして、これから参議院での審議ということでありますが、その法案の第十八条に法務省の編成方針が述べられております。「法務省は、次に掲げる機能及び政策の在り方を踏まえて編成するものとする。」「一 人権擁護行政について、その充実強化を図ること。」というふうに、一番最初にこの人権擁護行政のことについて述べられているわけであります。 ここにこういうふうに特筆されているというのは、これまでの行政改革会議あるいはその後の政府部内での議論の過程においても、現在法務省が行っております人権擁護施策について改善すべき点あるいは不十分な点がある、そういう意見が強かったのではないかというふうに考えられるのですが、まず最初に、これまでの行革会議あるいはその後の法案を取りまとめるに当たって、政府部内で、法務省の行っております人権擁護施策の現状について、どういうような議論があったのか、その辺をお尋ねしたいというふうに思います。
○横山政府委員 お答えいたします。行政改革会議から人権擁護行政について、人権問題をめぐる今日の状況を踏まえ、今後の組織のあり方をどう考えるかとの質問がなされまして、昨年五月に行われました各省庁ヒアリングにおきまして、法務省はこれまでの人権擁護行政の取り組みを説明した上で、全国的組織を有する専門機関として、今後、人権擁護推進審議会の審議結果を踏まえ、さらに積極的に人権擁護行政に取り組んでまいりたい旨説明したところでありまして、最終報告において、法務省の「機能・政策の在り方の見直し」として「人権擁護行政の充実・強化」が盛り込まれたところでございます。
○上田(勇)委員 今行革会議の中での議論の一端を御紹介いただいだのですけれども、法務省をどうしていくかという、中央省庁の改革基本法案は各役所の今後の構成を、行革会議の最終でも、この国の形をどうするかというような非常に根本的、また基本的な課題で、中央省庁の形をどういうふうにしていくかということが議論されたわけであります。 その中で、実はこの十八条の法務省のところについても、そのほかのところというのは、組織を機能的にしていくこと、また公安調査庁について若干言及がありますけれども、あとは他省庁との調整をうまくやってくださいよみたいな話なのですが、実はここで、人権擁護行政だけにつきましては充実強化を図るというふうに書いてある。これはやはりこれからの法務省の行政のあり方を、非常に基本的な方針を示す重要なことであるというふうに思うのです。 そこで、ぜひこうした議論、今内容については余り詳しく御紹介はなかったのですけれども、この法案にこういうふうに書かれていること、また、こうした行革会議等の議論を踏まえまして、法務省の人権擁護施策の現状をどのように評価されているのか。また、この法案に基づきまして、ここで充実強化というふうに書かれておりますけれども、法務省の人権擁護行政を今後どのような方針で充実強化をされるお考えなのか。大臣の方から基本的なお考えを伺いたいというふうに思います。
○下稲葉国務大臣 今御指摘のように、十八条に人権擁護行政の充実強化が記載されておるのは御指摘のとおりでございます。日本国憲法が重要な柱として保障しております国民の基本的人権というのは、これは私ども真剣に取り組んで、その擁護のためにやらなければならない。 二つの側面があると思います。一つは人権啓発活動であろうと思いますし、もう一つの側面はいわゆる人権侵犯事案に対する調査、処理というふうな、大きく分けましてそういうふうな人権擁護活動がございます。 その面について積極的に取り組んでまいりたいと思いますし、最近のいじめ等の子供の人権問題やあるいは報道と人権との問題など、さまざまな問題が依然として存在しておるわけでございまして、このような状況のもとで、現在の人権擁護制度で果たして十分であるのかどうか、これは必ずしも十分であると私は思いません。そういうような点につきまして、一層の充実強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○上田(勇)委員 次に、この人権問題のちょっと具体的な話を何点か伺いたいというふうに思います。 今大臣の方から、報道と人権の問題ということも答弁の中でございました。これまでも、私もそうでありますし、ほかに多くの委員がこの法務委員会あるいは他の委員会でも、報道による人権侵害の問題については現代社会で非常に重要度が増している人権問題として質疑でも取り上げられておりますけれども、これまで大臣の方からは、この報道による人権侵害の問題についても人権擁護推進審議会の中でも今後検討していきたいというふうな答弁を何回か伺っております。 ただ、ここで私非常に気になるのは、人権擁護推進審議会というのは年限が限られて設けられた時限的な審議会でもあります。また、それが設立された経緯の中におきましては、これまで同和問題をそこで継承するということから設立された経緯がございます。その問題も重要な課題として議論されていかなければいけません。また、法律の目的を見てみますと、本当にあらゆる人権の問題がそこで検討、議論されていくということであります。 これまでの審議会の開催の状況を見せていただくと、本当に精力的に回数を重ねて取り組んでいただいているというのはよくわかりますけれども、こういう人権の問題が出ます、何か問題提起されたときに、たくさんの問題がある中で、限られた時間、それと一つの審議会の中で、果たして本当にそういったものを具体的に中身をきっちりとした検討をすることができるのだろうかと、一つ思うわけであります。 人権にかかわる問題が提起されたときには、どうも、これは私の感じでありますけれども、この人権擁護推進審議会というのがあるので、とにかくそこに流し込んでおけば、とりあえずは問題の、先送りといってはなんでしょうけれども、問題に対処できるのだというようなことでは、それぞれの問題は非常に重要な問題であるにもかかわらず、本当に具体的な検討ができるのだろうかというところがすごく疑問に感じるのです。その辺について御感想、お考えがあれば伺いたいというふうに思います。
○下稲葉国務大臣 お答えいたします。 国会のお力添えによりまして人権擁護施策推進法というものができました。これは御承知のとおり時限立法でございますが、その法案を成立する際の附帯決議に、既に御承知のとおりに衆参で大体同じような附帯決議がなされておりまして、人権尊重の理念に関する教育及び啓発の基本的事項については、二年をめどに、人権侵害の場合の被害の救済施策については、五年を目途になされる人権擁護推進審議会の答申等について云々と書いてあります。そういうふうなことで、今委員、御指摘のような御懸念を示されていると思います。 この附帯決議に基づきまして、人権擁護推進審議会においてはいわゆる啓発活動をまず重点にして取り上げているのは事実でございます。 ところが、委員御指摘のような最近のいろいろな人権侵害、例えば報道等による人権侵害等々の問題も対応に非常に急を要する問題であるというふうなことでございますので、先般御報告いたしたと思いますが、この啓発活動に対する審議会と並行して人権救済に関する検討も進めようではないかということでお願いをいたしまして、人権救済制度検討準備委員会、この準備というのがちょっと気に食わないのですけれども、一応そういうような形で発足させまして、そして専門家の委員を委嘱いたしました。 そして、四月六日に第一回の会合を開きまして、六月十一日に第二回の会合を開こうというふうなことで、今御指摘のような問題につきましても並行して審議を進めているところでございます。 具体的な結論を早急に得て、それに基づいて対処いたしたい、このように考えている次第でございます。
○上田(勇)委員 今かなり前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。 実は、報道による人権侵害の問題というのは、やはり現代社会に入って非常に顕在化してきた特有の問題じゃないかというふうに思います。私ども平和・改革の方でも、会派の中に報道と人権問題に関するプロジェクトチームというのを先日発足をさせました。これまでそういった報道被害に遭われた当事者の方、あるいはこうした問題に取り組んできている有識者の方、また、先日は、放送と人権等権利に関する委員会というのですか、いわゆるNHKと民間放送で設立いたしましたBRCというその委員会の委員長代行を務められている清水先生という方にも来ていただきまして、お話を伺いました。 その清水先生のお話の中で、日本国憲法それから各国の憲法等で保障されております表現の自由、報道の自由というのは、当初、その理念ができ上がったときというのは、いわゆる国家権力、あるいは国家権力が個人に対する自由を保障するという意味での権利であった。ところが、報道機関が企業化され、マスメディアと言われるようになってくると、今の表現の自由あるいは報道の自由というのは、企業が個人に対する権利に実はその性質が変わってきてしまっているというところに、当初のそういう憲法の理念とは若干変質してきているのではないかという意見がありまして、私も全くそれと同じような感じを持っておるわけであります。 こうした議論の中でいろいろ考えてくると、報道や放送機関を規制する云々ということよりも、実は重要なことというのは、被害に遭われた方をいかに救済していくかということなのではないかというふうに思います。そういう報道被害者の救済措置についてもぜひ法務省の方でも議論していただきたいというふうに思います。 また、いろいろなお話を聞く中で、いわゆる報道による名誉毀損等の民事事件が起きた場合でも、我が国においてはそれに科せられる損害賠償等のペナルティーが諸外国などに比べるとかなり低い。数百万のオーダー。対諸外国においては、もう何千万、何億円というような賠償額の差がある。これは、懲罰的な賠償というような考え方を必ずしも私も肯定するわけではございませんけれども、ただ、それが余りにも評価が低いということにおいて、実はその抑止効果がなくなっているのじゃないかという面も指摘されているのじゃないかというふうに思います。 いろいろと長々と述べさせていただきましたが、この辺についてまとめてお考えがあれば伺いたいというふうに思います。
○森脇政府委員 名誉の侵害による精神的な損害をこうむった場合でございますが、我が国の民法におきましては、その損害の回復の方法といたしまして、金銭による損害賠償、すなわち慰謝料という方法と謝罪広告という方法を認めておるところでございます。 ただいま委員御指摘のありました、そのうちの慰謝料の額の現在の裁判上の運用の多寡という問題でございますが、これは非常に難しい問題だというように考えております。諸外国に比べて低いのではないかという御批判、これは学者が統計的にとった研究資料等もあるようでございますが、何をもって正常な額とするのかという決め手を欠いておりますので、大変難しい問題であるというふうに認識いたしております。 現在の民事裁判の実務におきましては、被害の程度、態様、それが継続する場合にはその期間、あるいは被害者の側の社会的な地位、身分、あるいは侵害行為の態様、そういったようなものを総合的に勘案いたしまして、裁判所において適正な運用を図るように努めているところであるというように認識しておるところでございます。
○上田(勇)委員 次に、冒頭、法務省が今後人権擁護施策の充実強化を図っていくという大臣からの御答弁があったのですが、我が国の人権擁護の実態については、海外、国際的にはさまざまな評価がありますが、中には、やはり必ずしも余り高く評価されていないというような面も伺います。 そこで、いわゆる国際人権規約に含まれている内容等につきまして、実態等について何点かお話ししたいと思います。 我が国においても一九七九年から発効しておりまず国連の市民的及び政治的権利に関する国際規約、いわゆる自由権規約というものの、中の点なんですが、この条約によりますと、第四十条で、各締約国はそれぞれの国の国内における人権擁護の実態について報告するというようなことになつておりますが、この四十条に基づきます報告書を拝見させていただきますと、その中に非常にこれはたくさんのことが書いてあります。基本的な人権にかかわることがくまなく書かれておりまして、それに全部言及するわけにいきませんが、ちょっと最近話題になっている何点かに言及させていただきたいと思います。 一つは、この自由権規約の第二十三条に関する件で、ここで、実はここのところずっと国会で論議の対象にもなっております民法の改正について言及されております。一九九六年二月に民法の一部を改正する法律案要綱を決定し、同大臣に答申しましたというくだりがあって、もう一つ同時に、この民法改正に含まれている内容として、第二十六条に関する部分で、ここでもその民法の一部を改正する法律案要綱においてその改正方向が示されているというような記述がございます。 この二十六条は、嫡出でない子の相続分についての話であります。この非嫡出子差別の問題については、私も伺っているところによりますと、自由権規約に係る報告書のこれまでの国連人権委員会における審査においても何回か問題提起もされているというふうにも伺っております。 そこで、この報告書に、このように民法改正、正確に読むとやりますというふうには書いておりませんが、いかにももうその進行過程であるかのような報告がなされているのです。現実には、今日に至っても民法の改正については法務省の方からは御提案がありませんけれども、なぜこういうところに、いかにももうすぐ出てきそうだというような、進行中であるかのような表現が用いられているにもかかわらず提出に至っていないのか。 また、こういう国際機関に対してはそういうような報告をしながら、実際に国内ではそういう施策をとっていかないというのは、広い意味では国際公約みたいなものに、あるいは国際的な信義に違反しているのではないかというふうに思いますけれども、その辺について法務省の方から見解を伺いたいというふうに思います。
○森脇政府委員 今委員御指摘になられました、いわゆる自由権規約に基づく我が国の第四回の報告書というものが提出されたわけでございまして、そこには、今委員が正確に御指摘されましたとおり、法制審議会においてはこういう答申がなされたということが記載されているわけでございます。 この報告書は、言ってみればこの該当条項に関する国内における法改正の動きについての事実報告といったものでございまして、委員がただいまちょっと御指摘されました国際的な責任であるとか、そういったようなものが生ずるといった性質のものではないというふうに理解しておるところでございます。 ただ、そうは申しましても、法律の専門家が集まりました法制審議会におきまして民法の一部を改正する法律案要綱が示されたということは紛れもない事実でございまして、私どもとしてはこれを尊重するべきものというふうに考えておるところでございます。 ただ、委員も御案内のとおり、婚姻制度等に関する民法の改正につきましては、今世論でさまざまな議論がなされておるところでございまして、総理府が実施いたしました世論調査の結果を見ましても、意見の対立が甚だしいという状況にあるわけでございます。 一方、夫婦別姓等の、民法のいわば基本の問題ということになりますと、これは国民生活に非常に大きな影響を及ぼす事項でございまして、今こうした、国民の間にまだ十分な議論が出尽くしていない、あるいは意見が大きく割れておるといったような状況の中で、内閣として立法提案をすることは相当ではないのではないかという状況にあるわけでございます。 したがいまして、この問題につきましては、今後とも国民各層や関係各界において多角的な観点から御議論を続けていただきまして、国民のコンセンサスが得られるような状況で改正が行われるように私どもとしては努めてまいりたいというように考えておるところでございます。
○上田(勇)委員 今答弁にありましたとおり、この報告書にも法制審議会が決定をして大臣に答申をしたという事実が書いてあるのみでありまして、それをどうするということは実は書いてないというのは今のお話のとおりなのです。 ただ、一般的な印象といたしましては、例えばこの二十三条のところなんかは、同大臣に答申しましたといって、それについていろいろな難しい問題がありますというようなコメントは書いてないのですね。ということは、これは一般的に見ると、もうすぐ、そういう意思なんだなというふうに感じるのじゃないかと思うのです。 むしろ、いろいろな事情というのはこれまでこの委員会でもいろいろな委員の方からお話があって、何回もお話を聞いているのですけれども、そうであれば、対外的な報告書、これは国連の機関に対する報告書でありますので、そういったところにも、法制審ではこういうふうに出ているのだけれども実際には国内的にいろいろな問題があって当分は難しいというふうに書くのが正直な書き方なのじゃないでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
○森脇政府委員 これは、たしか報告書を提出したのは昨年だったと思いますが、その時点によっても変わる問題であろうかというふうに考えております。 ただ、客観的な事実を述べる報告書だということになりますと、どういう表現が可能なのか。場合によっては、答申がなされたが、いまだ立法の具体的な提案には至っていないというような書き方も客観的な表現なのかなということは考えられますが、今後の報告書のあり方ということでは、今御指摘の点は検討していかなければならない問題だというように認識いたしております。
○上田(勇)委員 確かに今の提起されております民法改正、法制審の方から答申がありました民法改正論については、いろいろな議論があるのは私も承知しております。積極的に推進したいという強い意見もあれば、いろいろな条件がまだ十分整っていないのではないかという意見があるのも確かであるというふうに思います。ただ、法制審からこういう明確な形で示されたことでもありまして、ぜひもう少し法務省の方としても積極的な対応をお願いしたいというふうに思うわけであります。 次に、きょう、各委員の方から死刑の問題について取り上げられております。 このことについても、今引用いたしました報告書の中にも書いておるのですけれども、実は、国際人権規約、自由権規約の方ですね、この第六条におきましても死刑の問題についての記述がございます。 ここの第六条に書かれていることは、必ずしも、この条約を批准すれば国内の法体系を改正して死刑を廃止しなければいけないというふうに書かれているわけではありませんが、その後のいろいろな国連におきます決議、あるいは人権委員会における決議、そういったものを見てみますと、実はこれは我が国が批准する前の、批准するというか、我が国においてこの自由権規約が発効する前の七七年の国連総会決議でありますけれども、この中にも、死刑を廃止することが望ましいという観点から、死刑相当犯罪の数を漸次制限するものであることを再度確認するというような表現がございます。また、我が国において発効した後の八二年の人権委員会採択、あるいは八七年の国連総会決議、ここでは再度七七年と同じことが確認されておりますし、また最近の九七年においても、再度同じような趣旨のことが確認されております。 こうした累次の決議を見てみますと、自由権規約の第六条というのは明示的には必ずしも書いておりませんけれども、これは締約国に対して行く行くは死刑廃止を求めているというふうに解釈できるのではないかというふうに思いますが、その辺どのように政府として解釈されているのか、お伺いいたしたいと思います。
○貝谷説明員 お答え申し上げます。 この市民的及び政治的権利に関する国際規約第六条は、個人が生まれながらにして有している生存する権利について規定しているものでございますが、このうち、第二項の規定は死刑を廃止していない国の存在を前提とした規定となっており、また、第四項及び第五項の規定につきましても、死刑の存在を前提とした規定となっているというように考えております。 御指摘のとおり、昨年及び本年の国連人権委員会におきましては、この規約の第二選択議定書の締結を各国に検討することを求める決議が採択されているところではございますけれども、いずれにいたしましても、こうした決議の内容がこの規約第六条の解釈に影響を及ぼすものではないというふうに考えているところでございます。
○上田(勇)委員 もちろん、この第六条をこのまま読みますと、別にこれが死刑の廃止を求めているというふうには必ずしも読めないというのは、これは普通に読んでも読めませんし、今の解釈が正しいのではないかというふうに私は思うのです。ただ、その後のそういった国連総会での決議だとか人権委員会で採択された決議等を見てみると、やはりここは、直ちにということではないにしても、そういった方向が望ましいのだ、やはりこの自由権規約の締結国においてはそういった方向での努力が必要なのだということを求めているのじゃないかというふうに思われるわけであります。 このことについて、これまでこの死刑の問題というのは、先ほども保坂先生の方からもいろいろなお話もありましたし、これまでも、やはり死刑というのは廃止の方向で検討しなければいけないのじゃないかという、いろいろな議論がございます。 私も、資料で拝見しましたら、死刑の確定判決を受けた人で、その後再審により無罪判決を受けたという事件がこれまで四件あったというふうに伺っております。そのように、裁判では幾ら公正、適正な裁判が行われても、やはり誤りというのはどうしても避けがたいものでありますし、一たん死刑が確定した後、再審を受けるまでには大変な努力があったわけであります。 そういったことを考えると、やはり極刑としての死刑のあり方というのは、国際的にも、先ほど申し上げましたように、廃止の方向が望ましいというような規約に我が国としても批准しているわけでありますし、また、現実の問題としても、ただいま申し上げましたように、非常に難しい、いわゆる誤った判決がおりるというケースも、これは人のやることでありますので避けがたいということを考えれば、やはり人間が人間の命を法制度の中で奪っていくといったことは大変問題のあることなのじゃないかというふうに思います。 そういう意味で、先ほどからのお話の中で、直ちに法制度が変わるということではないというのはよくわかりますけれども、そういった国の内外の情勢等も踏まえまして、そういう死刑廃止の方向を踏まえて、今後ぜひ検討していっていただきたいというふうに思うわけであります。 それで、最後にちょっと、またこれはこれまでの話と全然違った話なのですが、実は、報道等で拝見いたしますと、今いろいろなところでいわゆる定期借家権制度に対するいろいろな議論が行われております。伺うところでは、今与党の中でも議員立法に向けての動きがあるというふうにも伺っております。この定期借家権制度については、そのメリットとしてもいろいろとお話を聞いて私も承知しておりますし、経済界の方からも期待が非常に高い制度であるということも承知しております。 ただし、一方、この問題が表面化する中で、さまざまな関係者の方から、再考を求める、あるいは反対意見といったものも示されております。 これは、主な理由というのは、一つには、定期借家制度を導入しても実際はそれほど借家の供給はふえないし、経済効果も期待するほどのものではないのだという効果の面に対する意見と、もう一つは、やはり借りる側、借家人の側の権利が十分守られるのだろうか。確かに、今の法制度が借家人の方の権利に比重が置かれ過ぎているという面での問題が指摘されているのは事実でありますけれども、この定期借家権制度が導入されますと、それによって借家人の権利が著しく損なわれるのではないかというような懸念がその反対の理由であるというふうに思います。 そういった意味で、もしこの定期借家制度が導入されるということになったときに、そういう借家人の権利が侵害されるというような懸念はあるのかどうか、その辺、現状において法務省はどのようにお考えなのか、お聞かせいただければというふうに思います。
○森脇政府委員 当事者が契約期間を定めた場合に、その期間で確定的に賃貸借契約が終了するといういわゆる定期借家権の考え方というのは、一方で、現行の正当事由制度による存続、保護を認めないとするものでございます。 ただ、良質な借家の供給を促進するためにこの導入が行われた場合に、借家人の居住あるいは営業といったものにどのような影響を生ずるかという点については、今委員御指摘になられましたとおり、新聞紙上等でさまざまな議論がされておるところでございます。導入された場合の具体的な影響についてでございますが、これは、定期借家権の内容をどういうものとして構成するか、それから借家市場の動向といったものによっても左右されるものであるというふうに考えられるところでございます。 法務省におきましても、研究会あるいは法制審議会でさまざまな議論が出たところでございまして、いまだ法務省として帰一した見解があるわけではございませんが、委員御案内のとおり、現在与党で定期借家権の導入に向けた検討が進められているという状況にございますので、その意見の内容等については、現段階では具体的な答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○上田(勇)委員 では、時間ですので終わります。
○笹川委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十時十八分休憩 ――――◇――――― 午後二時三十一分開議
○笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。北村哲男君。
○北村(哲)委員 北村でございます。 本日は死刑問題がテーマになっておるのですが、私は、やはり死刑が関係した狭山事件の問題について質問していきたいと思います。死刑にも関連しますし、石川一雄さんという人が一審で死刑になって、そして控訴審で無期懲役で、今は既に刑期を終え、中途ですけれども、仮釈放になって世間へ出て、結婚もしておられるという人の関係です。 本来であれば、私は、個別事件、個別の裁判の件について国会があれこれ議論することはなるべく差し控えるべきだと思っておりますし、また、それが司法への不当な介入になるおそれもあるので注意をしなくちゃいけない、こういうふうに思っておりますが、本件は本当に珍しいほど、法務委員会の中で何回も何回も具体的なことが議論されております。 そういうことで、今までの議論について不明確であった点を明確にしたいこと。それから、そこで問題にされたような点を、既に一番直近の法務委員会の議論でも昭和六十一年でございますので、それから既に十年以上たっております。その間にいろいろな再審に関する国際的な動きとか国内の動き、また情報公開など、あるいは再審についての新しい展開、さまざまあると思いますので、そういう点について、今ここで再度問題にすることが非常に有益であると思って、質問を開始するわけでございます。 私は、この狭山事件につきましては、既に昭和五十九年三月二日、そして六十年二月二十二日、六十一年の十二月九日の三回分の会議録を読んでみました。それで、最初の五十九年三月二日の天野さんという人の質問にこういうふうなことが出ております。 昭和五十五年十月二十二日の前田刑事局長の答弁で、狭山事件に関連して、検察庁で所持しているもので開示できるものは全部開示する方針という言葉が質問の中に出されております。そしてさらに、一九八二年五月十一日あるいは八三年一月十三日、そして九月二十二日に証拠開示の請求がなされたが、昭和五十九年三月二日現在、検察官から何の返事もないけれどもどうだろうかという質問が天野さんから出されております。それに対して、当時の筧刑事局長は、ある、ないの返事はいずれなされるべきものと考えているというふうに答えておられます。 さらに、その天野質問の中で、昭和五十八年九月二十二日に弁護側と検察、東京高検との打ち合わせがあったそうですが、未開示証拠のリストが狭山事件に関する限りできているという話をしたらしいが、そのリストがあるのかないのか、あれば見せてほしいという質問がありました。これに対して、筧刑事局長は、早速調査した上で対処したいというふうに述べております。 それで、それらの質問と回答を通じまして、私が整理したところ、当時、質問で問題であったのは次の点だと思っております。 一つは、狭山事件の殺害現場のルミノール反応の検査報告書があって、一つは芋穴のルミノール反応、もう一つは殺害現場、すなわち雑木林のルミノール反応の検査報告書、その二つがあるはずだという質問に対して、余りはっきりした明快な答えがないということが一つであります。 それからもう一つは、未開示証拠のリストの開示を求めている点について、その未開示証拠のリストがあるのかないのかという点と、開示すべきであるかないかという点。その二つの点、細かく分けると四点になりますけれども、そのあたりが問題になっていると思います。 そこで、まず質問したいのは、芋穴のルミノール反応は既に出されている、これははっきりしていますね。では、もう一つの殺害現場のルミノール反応の検査報告書は一体あるのですか、ないのですか。その点はどうなんでしょうか。
○原田(明)政府委員 かなり経過のある御質問の中で、私も従来の経過を精査してまいりました。その結果、本日私が申し上げられるのは、お尋ねの殺害現場のルミノール反応検査報告書については存在しないと聞いております。
○北村(哲)委員 これに関しては、埼玉県警の松田勝という警察官の方が、芋穴から二百メートルの犯行現場について、殺害現場の雑木林についても夜間にルミノール反応検査をした、その検査結果については報告書もしくは実況見分の一環として提出してあるというふうに、これは証言なのか、あるいはどこかで公のところで言っておられると思うのですけれども、こういう松田勝さんという特定の人がはっきりしておられて、また検察庁の方で、ないという御返事があった後さらに松田さんに確かめたところ、いや、やはりそれはあるというふうに言われているという経過報告があります。 その点で、この松田勝さんについて、これはあるかないかについて検察庁は確かめた上で、ないことを確認されたのでしょうか。
○原田(明)政府委員 御指摘の点に関しましては、検察官におきまして御指摘の元技術吏員にも照会いたしましたが、お尋ねの、殺害現場におけるルミノール反応検査を実施した記憶はないとの回答であったと聞いております。
○北村(哲)委員 狭山事件の再審弁護団が昨年の七月十一日に出した上申書の中には、殺害現場のルミノール反応があるはずだというふうにさらに言っているのですけれども、再度その点の御調査をされるという、そういう御意思はあるでしょうか。
○原田(明)政府委員 ただいまのお尋ねによりますと、その後もそのような御主張といいますか見解を示しておられるということでございますが、その点を含めましてやはり疑問が残るという点がございましたら、これは個別の事件でございますので、担当検察官と、またそれにかかわると申しますか、担当しておられる弁護に当たる方々との間でそこは詰めていただきまして、きちんとお答えができるようにするもの、また、そうすべきものと考えます。
○北村(哲)委員 ここで出すか出さないかということは、これは個別事件の介入になりますから、これ以上詰める必要はないと思います。 今はないということですが、再度探してあるならば、これは芋穴と同じように出してしかるべきものだというふうに私は考えまずけれども、そういうふうな考えでおってよろしいわけですね。
○原田(明)政府委員 私もそのように理解しておりますし、まさに委員が御指摘のとおり、従来のいろいろな経過で問題とされて、あるということが確認され、それが本件について関係あるというものでございましたら、やはりそのような措置をとらなければならないというふうに考えます。その点は、具体的な事件でございますので、やはり現場と申しますか、担当検察官との交渉において個別に判断していただきたい、そういうふうに考えております。
○北村(哲)委員 もう一つ、証拠リストというものですが、これが今までの記録を見てもなかなかはっきりしないのです。 再度確認しておきたいのですけれども、要するに、警察から送られた立件書類のいわゆる証拠リストというものは、これは名前が正確かどうかわかりませんが、そういうものは存在するのですか。その点に関して確かめたいと思います。
○原田(明)政府委員 私も、どういう題名になっているかという点につきましてまで私が目で確認したわけではございませんが、報告によりますと、やはり警察から送致された者の書類につきまして、何らかの形でのリストはあると聞いております。
○北村(哲)委員 それで、この点についても、今までの議論、議論というか質疑応答の中で問題になっているのですが、質問側は、この証拠リストはやはり出されるべきではないかと。特に再審においては、こういうものが今まで多くの事件で相当決め手になっているので、出されるべきであるというふうな主張に対して、いわゆる法務省側の御回答は、二つの理由で拒否をしておられる。拒否というか、出されるべきでないと言っておられるわけです。 一つは、さまざまな証拠記録は、いろいろな人が入っていたり第三者が関係しておるので、そういう人たちのプライバシーの問題について配慮しなくてはいけないという点。それから、そういうことを明らかにすると、今後の捜査の円滑な遂行に支障を来す。こういう二つの理由で、一般論として証拠リストというものは提出されるべきではないというふうにお答えになっているように理解しておりますけれども、そういうことでよろしゅうございますか。
○原田(明)政府委員 お尋ねの捜査関係記録に関するリストと申しますか、目録と申しますか、そういうものも含めまして、公判に提出していない記録の開示ということにつきましては、あくまで担当の検察官におきまして、個々の事案ごとに、関係者のプライバシー等の保護、あるいは一般に、将来の捜査における国民の方々の協力を確保してまいる等の観点から、個別に判断すべき事柄であろうと思われます。その点では、まさに委員御指摘のとおりでございます。 その点、お許しいただければ、若干敷衍させていただければと思うのでございますが、やはり捜査の初期の段階では非常にさまざまな捜査が展開されます。その中には、いろいろな方々のいわば供述でございますとか、風評のたぐいでございますとか、さまざまなものがあるわけでございます。一つ一つ検討してその真偽を確かめていくということが、警察の初動捜査と申しますか、捜査の基本としてなされていくわけでございます。 そして、それらにつきまして、実際には、実体的真実の発見の観点から問題ない、あるいはこれはもう不要とされていくものはあるわけでございますが、捜査記録としてはそういうものも一応は保管してまいります。そして立件記録としてされるわけでございますが、その中には、もはや真実であるか虚偽であるかということがはっきりして、捜査上、本筋に迫るものという観点では関係ないというものもございます。しかし、それらにつきまして、改めて出されて一般に公開されていくということになりますと、やはり関係者のプライバシー、またその名誉等々に関係してくるものが最終的に残ってくるだろうと思います。これは一般論でございます。 そういう観点から、個別に検察官においていろいろ検討して、従来、提出できるものはそのようにさせていただいているということを私は聞いておりますので、もしそういうことで、なお何か問題があるというものがございますれば、今後とも個別に検討されるべきであるというふうに考えます。
○北村(哲)委員 かなり踏み込んでお答えいただいたのですけれども、その前に、リスト自体は、今御答弁になったように、いろいろなものに関係するとかいうものではなくて、リストは単なるリストではないか、それを出すことに何ら差し支えはないではないかというふうな疑問もあると思うのです。リストの段階でとまってしまうと、個別的にどれがいいかどうかというのは判断できない。だから、リスト自体がなぜいけないのかということについては、簡単に、どのような御見解でしょうか。
○原田(明)政府委員 やはりリストということになりますと、恐らくその題名と申しますか、その掲げ方、作成者でございますとか、関係者の名前があるというのが一般だろうと思います。そういう中で、これは何だろうかということになり、そこはやはり実物を見ないとわからないということに恐らくなっていくのではないかと思うわけです。そういう観点から、やはりリスト自体がその事件の本筋と申しますか、その実体、真実発見の観点からは問題ないとされるものについては、やはり関係者のプライバシー等が優先されて考慮されるべきだという判断につながる一つの面があろうかと存ずる次第でございます。 そういうわけで、リスト自体はいいのではないかという御指摘、その点は、一般論としてはそうだろうかなという感じもするわけでございますが、やはりそこから派生してくることを考えますと、公益の代表者たる検察官としては配慮せざるを得ない場合もあろうか、このように考えます。
○北村(哲)委員 私も、確かにおっしゃる点はよくわかります。しかし、中にはそういうことに関係ない書類もいっぱい含まれておりますし、それがあるいは再審の中に非常に必要な材料があると思いますので、これは現場というか裁判所、あるいは検察官、あるいは弁護人との間の理性的な判断によって、真実追求のために出すべきものは出すという形にしていくべきだと思っております。 ところで、私、今までの会議の経過を見まして、ここでは確かに一般論しか言えない。したがって、一般論で出せるか出せないか、リストを出せということについては、今まで言われたように、検察官がこういうわけでだめなんだと言われている。それが、本件の再審、あるいはほかの事件にも関係するかもしれませんけれども、ここでの見解がすなわち現場の検察官を縛ってしまう、これはもう法務委員会の責任だと思うのです。 私は、過去のこれを見まして、かえってまずいことをしたのではないかな、それが縛ってしまう、これは大変ゆゆしいことだというふうに思うのです。ですから、余りここで一般論を論じてしまうということの危険性はもちろんわかっているのです。 しかも、現実に私も体験しているのですけれども、本件で検察官にお会いしました。そうすると、こういうお答えなんですね。法務委員会で刑事局長がああいうふうに答えておられるのですから、それ以上踏み込むことはできません、そういうお答えであって、それ以上、三者間のいわゆる協議に入れないのですよ。 それは確かに、今までの岡村さんとか筧さんとか、その後、皆さん検事総長になられて、恐らく原田局長も後々おなりになるのだろうと思いますけれども、そういう偉い方がここで言われたことが、現場の検察官のいわゆる足かせといいますか、判断を拘束してしまうという、私から見ると非常にまずい結果になっているような気がします。 そのあたりは検察官の方からは言えないと思うのですけれども、私どもの反省を含めて、そういうことにならないように、今いろいろと説明されて、あくまでこういうことの判断は一般論であって、現場は現場ということについて分けて考えて、あるいは検察官独立の原則ということもございますので、検察官の御判断で真実発見に必要なものは必要なものというふうにしてやるべきだという点について、局長の方はどのようにお考えでしょうか。
○原田(明)政府委員 委員がまさに御自身で体験されたことも含めてのお尋ねでございますから、私どもも、私といたしましても、重く受けとめさせていただきたいと存じます。 その上で、法務委員会におきましては、過去この問題をめぐりまして、特に不提出記録の開示の問題ではさまざまな議論がなされてきて、その基本は、まさに先ほど北村委員が御指摘になった、やはり関係者のプライバシーに関する考慮があって、一般論としてはそういうことになるというお答えをしたのだろうと私は考えます。その点では私は同じ立場に立つわけでございます。 ただ、あくまで具体的な事件につきまして、まさに再審が問題になる、そして公判に提出されていない記録の開示につきましての判断ということになりますと、個々の事件ごとに、まさにその事件の中身に照らした関係者のプライバシー等の保護等を検察官において考慮してまいる、そして個別に判断すべき事柄であるというふうに考えるのでございます。 そういう意味で、法務当局が法務委員会のこの貴重な場で答弁することは、いわば一般論としての考え方をお示しするということで、その点は決して間違いないと思うわけでございますが、ただ、そのことから直ちに検察官の活動を制約するということにはならないものだろうと考えるのです。 しかし、北村委員がおっしゃるとおり、そのように受けとめられるような状況があったとすれば、その点は私は言葉が足りない面があるいはあったかもしれません。やはり最終的な判断は、個別に事に処する検察官の独立な権限に基づく判断ということが尊重されなければならないというふうに考えるのでございます。
○北村(哲)委員 現場では、今、情報公開法の中では裁判官のインカメラとか、これはだれにも見せないで裁判官だけが例えばリストを見てこれは大丈夫だという判断に任せるというやり方とか、そのほかのあるいは不要なものは黒塗りにして出すとか、さまざまな工夫はあると思うので、そういう現場の判断を尊重して、既にこれは終わった事件、刑期もそれなりに終了し、世間に出て結婚されて幸福な生活をしておられる。事件自体はもう既に風化している。風化という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、三十五年ぐらい前の事件であるし、ですから、贖罪というか、刑も適正に執行されてきた、残るは本当に石川さん自身の名誉だけ。あとは名誉回復の問題だけなんですから。 その点については、あれだけの重大な事件、三十五年前の事件で、それからずっと無罪を争っているのだけれども、第一審の死刑判決は、公判はわずか十二回しか行われていなくて、実質は五カ月で死刑判決が出ている、そういう事案なんですね。後から高裁、最高裁、さまざまな長い年月を経ておりますけれども、その第一審の誤りを何とか指摘したいというのが御本人の願いでありますので、ぜひその辺について、すべての関係者は協力するという姿勢が必要だと思っております。 今の問題については、どうもいろいろとありがとうございました。ところで、若干この問題について敷衍してお聞きしておきたいと思います。 実は、この再審にかかわる証拠開示の問題では、指宿信さんという鹿児島大学助教授の方がジュリストで、一九九五年ですけれども、「検察官の証拠開示義務を認めたカナダ最高裁」という論文で、カナダで最高裁が検察官の証拠開示義務を認めたことを報告しております。その中で、「開示に関わるプライバシー侵害の発生や危険論などに配慮した現実的かつ実質的開示論が構成されねばなるまい。その観点からは、カナダ最高裁判決が示したように、全面開示を前提にしながら、不開示裁量を承認し、不開示理由を具体的に検討していくことが結局、所期の目的を達成するうえで得策であろう。」そして、「弁護側において開示請求をおこなう前提として証拠の標目を提示することは、証拠請求のいかんにかかわらず当然おこなわれなければならない」と、この論文では指摘しておられるわけです。 これはカナダの例でありますけれども、日本ではまた、一つの指針というか、立法論の問題として考えるべきであろうと思っております。そのあたりについては、日本弁護士連合会なんかも証拠開示立法要綱ということでその辺を指摘していることも私もここで御報告しておきたいと思います。 それで、カナダの刑事手続で未開示証拠の証拠開示が検察官に義務づけられたのは、いわゆるマーシャル事件というものがあったわけです。これは一九七一年の事件で、もう二十年以上前の事件ですけれども、カナダでいわゆるネイティブ・カナディアンの人が間違って殺人犯とされて終身刑を受けた冤罪事件でありまして、大きな問題となったわけです。 それで、十年後に真犯人が明らかになって再審で無罪となったけれども、初期の正しい目撃証言が警察、検察によって隠されていたために誤判が起きた。州政府が冤罪の原因を究明するための委員会を設置して検察官の証拠開示を義務づけるべきだと勧告を出した。その後、カナダでは検察官の証拠開示義務が制度化されたようでございます。 この冤罪事件の弁護人であったスティーブン・アーロンソンという弁護士が先ごろ来日しまして、弁護士会館などで講演されました。このアーロンソン弁護士は、日本でこの狭山弁護団の人たちと懇談をした際に、ああ、これはカナダの例によく似ているということで、いろいろな提言をされて帰りました。このアーロンソン弁護士がカナダに戻って、日本大使あてに、日本でも証拠開示が行われるよう勧告したいという書面を出しておられるのですけれども、これは下稲葉法務大臣あてにもその書簡を送ったというふうに聞いておりますけれども、それは現実に届いておるのでしょうか。
○下稲葉国務大臣 今のお尋ねは、カナダの冤罪事件を担当した、マーシャル事件を担当されましたスティーブン・アーロンソンさんという弁護士さんからカナダ駐箚日本国大使あての「日本における狭山事件」と題する手紙に関するものと思いますけれども、その手紙が、外務省を経由いたしまして今月八日に法務省に参っておるというふうに承知いたしております。
○北村(哲)委員 法務大臣は、その書簡をお読みになってどのようにお考えなのでしょうか。御感想をお聞きしたいと思います。
○下稲葉国務大臣 この手紙の内容は、要するに狭山事件の全証拠の開示を求めているということで、カナダにおいては検察官に公判前あるいは公判中にかかわらず証拠開示を義務づける規定があります、日本にこのような規定があれば狭山事件の被告人は無罪になっていたのではないかというふうなことで、狭山事件の全証拠を開示するように法務大臣に、検察官及び警察に勧告しろ、こういう内容でございます。 御趣旨のことはよくわかるわけでございますが、法務大臣といたしましては、それはもう先刻委員御承知のとおりに、検察庁法十四条による法務大臣の何といいますか、特別な指揮権の発動というならともかく、個々具体的な事件については、事件を扱った検察官なりなんなりの判断で開示するかどうかということでございまして、法制も違いますし、私がそういうふうなことについて勧告するということではないな、こういうふうに思います。
○北村(哲)委員 と言われても、これは再審問題にもかかわる一つの指針というか提言だと思いますので、やはり真実追求という意味では積極的にとらえる、そういうカナダの例も、私どもの新しい法制、これからの法制の参考にすべきだと思っております。 最後に、この十年間に、国連といいますか、国際人権規約委員会においてもこの問題を取り上げておりまして、これは一九九三年十一月に日本政府の第三回報告書を審査して、コメントを発表している。これは自由権委員会が発表しているのですけれども、そのコメントは、日本政府に対して主要な懸念事項として、弁護人は弁護の準備を可能とする警察記録にあるすべての関係資料にアクセスする権利を有していないと指摘して、さらに提言と勧告として、弁護の準備のための便宜に関するすべての保障が遵守されなければならないと勧告しております。そういう点。 そしてさらに、今の勧告に対しては、私どもは、憲法九十八条の国際法規の遵守という点にかんがみても、国際的な人権基準に照らしてなされた国連の機関の勧告にはきちんと対処しなければならない。これも、かなり抽象的な問題でありますけれども、一つのこの間の新しい動きとして尊重しておくべきだと思っております。 今までも免田事件あるいは財田川事件、松山事件、徳島事件、梅田事件、さまざまな冤罪事件が死刑判決を覆して無罪になっております。その間においても多くの未開示記録が出されたために真実発見がなされたということがありますので、本件につきましても、しかるべく当事者間で、今言われたプライバシーの問題、あるいは捜査の円滑ということに支障を来さない範囲で真実追求のために努力をしていただきたいということを願いまして、私の質問を終わりたいと思います。 どうもいろいろありがとうございました。
○笹川委員長 金田誠一君。
○金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。 きょうは、死刑制度につきまして、私の立場は死刑廃止という立場でございますけれども、そういう観点から質問させていただきたいと思います。 今までも死刑廃止議連のメンバーの一人として、法務省なりあるいは歴代法務大臣にもお目にかかりながらいろいろ御要請申し上げてきたわけでございますけれども、法務委員会の正規のメンバーではございませんので、この場で質問するのは実は初めてでございます。ぜひ、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。 まず一点目は、世界の動向をどう認識しているかということについてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。 申し上げるまでもなく、一九四八年でしょうか、世界人権宣言、それからちょうどことしは五十年に当たるわけでございます。この五十年間の進歩は、着実にそして極めて目覚ましい進歩を遂げている、人類の進歩であると私は思うわけでございますけれども、一九六六年には世界人権規約B規約が制定をされ、一九八九年には死刑廃止条約、そして、本年四月三日には、国連人権委員会が死刑廃止についての決議を採択をいたしてございます。 この決議は、実は昨年も同じ決議がされておるわけでございまして、二年続けて決議がされる、それも、昨年の提案国四十八カ国に対してことしは六十一カ国と、確実に、着実に死刑廃止ということは世界の潮流になっている、大きな流れとしてもはやとどめがたいものになっている、私はそう認識をしているわけでございますけれども、この世界の動向、流れをどのように認識されているか、まず法務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○下稲葉国務大臣 お答え申し上げます。 ただいま委員御指摘のとおりに、一九四八年、ちょうど五十年前でございますが、世界人権宣言が行われ、それから六六年に人権B規約、それから八五年にはヨーロッパで死刑廃止条約みたいなものができ、それを受けた形かどうか知りませんが、一九八九年にはいわゆる死刑廃止条約というふうなものが取り上げられ、そしてことしの四月三日でございますか、御指摘のようなことがあった。そういうようなことで、最初の段階では、今お話しのとおりに世界人権宣言というふうな形でございました。それから、だんだん具体的な死刑廃止というふうな国際的な動きがあるということは、流れがあるということはよく承知いたしております。 片やしかし、その会議の中をいろいろ検証してみますと、各国々によりまして大変、お国柄も違いましょうし、民族感情もあるのかなと思いますし、それぞれのまた歴史的な伝統、それから刑事政策、いろいろな問題等々もあって、世界の人たち、各国が一致して今お話しのような方向には必ずしも進んでいないというふうにも思います。本年四月の国連人権委員会における死刑廃止を求める決議の投票結果を見ましても、賛成が二十六、反対がその半分もあるし、それから棄権というのも、これはなかなか意味深長だろうと思うのですが、十二カ国もある、こういうふうな状況でございます。 私は、国際会議等におきまして、死刑制度の存廃に関する各国の考え方はいろいろあるわけでございまして、議論をされることは大変結構だと思います。ただ、今のところ、今申し上げましたように、国際的に一致した認識には至っていないというのが事実ではなかろうか、このように思います。
○金田(誠)委員 物の言い方はひっくり返すとかなり受けとめが違ってくるのかなと思って御答弁を聞いておりました。世界の段階を追って進んできている状況はよく承知をしている、しかし各国一致してはいないというおっしゃり方を大臣はしたわけでございますけれども、それを逆さまにしまして、各国一致はしていないという状況ではあるけれども、確実に死刑廃止という流れは強いものになっている、大きな流れになっている、死刑廃止に向かって進んでいる、こういう言い方をするのとではかなり受けとめのニュアンスは違ってくると思うわけでございます。 私は、世界各国全部一致しているとは最初から申し上げてはいないわけでございますけれども、一致はしていないけれども、一致をする国々が多くなっている、一つの潮流として確たるものになっている、私はこう思っているのですが、その認識と今の大臣の御答弁とは同じなんでしょうか、違うのでしょうか。
○下稲葉国務大臣 一つの流れがあることは、私も感じないわけではございません。ただしかし、例えば死刑を廃止した国でもまた死刑を復活したような国もありますし、また、復活してまた廃止したところもあるようでございますし、それはそれぞれ国によって事情は違います。 事情は違いますし、また、それぞれの国のお立場というものを尊重せぬといけませんが、そういうふうな国際的な潮流というふうなものを、流れというふうなものを見ながら、なおかつ、我々としては、日本としてはいかにあるべきか。これはやはり、日本国民である我々、そしてまた国会、政府、その辺のところで大いに議論してお決めいただかなければならない問題であろう、このように思います。
○金田(誠)委員 かつては大変残虐な刑罰が世界各国で恐らく行われていたのだろうと思うわけでございますけれども、その刑の方法等についても次第に残虐性が薄れるといいますか、そしてさらに死刑制度そのものを廃止をする、これは近年に至って、この五十年の流れの中から出てきたのだろうと思うわけでございます。そういう世界の大きな潮流といいますか、私はこれは、繰り返しますが、人類の進歩の方向だろうと思っているのですが、そういうものをぜひひとつ、いまひとつ深く御認識をいただければありがたいなと御要望申し上げておきたいと思うわけでございます。 きょうは外務省にもおいでいただいたと思うのですが、同じ質問を、外交なり国際条約を所管する立場で、国際情勢に精通している立場ということになりますでしょうか、より世界の状況に触れる機会が多い立場としてはどのように認識をされているか。同じ質問ということでお答えいただきたいと思います。
○貝谷説明員 ただいま法務大臣の方から御答弁のあったところでございますが、外務省といたしましても、死刑制度の存廃につきましては、先生御指摘のB規約第二選択議定書の採択でございますとか、あるいは昨年及び本年の国連人権委員会での決議でございますとか、国際社会において大変大きな関心を集めている事項の一つであるというふうに認識しておりますけれども、こういう決議に際します各国の投票態度などから判断いたしましても、死刑に関する各国の考え方はいまださまざまに分かれており、その存廃についてやはり国際的に一致した意見はないという状況にあるというふうに認識しているところでございます。
○金田(誠)委員 どうも世界の潮流を素直にお答えいただくことに抵抗があるようでございまして、非常に残念に思うわけでございますけれども、次の質問に移らせていただきたいと思います。 国連機関、あるいはその国連のしかるべき役職にある方から、今までいろいろな形で指摘を日本は受けてきていると思うわけでございます。 一九九三年には国連人権委員会の勧告ということで、これには日本という具体的な国名が入った形の勧告が採択をされてございますし、あるいは去年、ことしと、先ほど申し上げました国連人権委員会の死刑廃止に関する決議がされている。その中で、具体的に、「死刑を未だ維持しているすべての国に対し、以下のことを求める。」ということで、(a)、(b)、(c)と、三項目のことが求められております。 (a)は「段階的に、死刑を適用する犯罪の数を制限すること」、(b)は「死刑を完全に廃止することを見通して、死刑執行の猶予を確立させること」、(c)は「死刑適用に関する情報を公にすること」、こういう指摘といいますか、要請といいますか、勧告といいますか、日本が求められていることだと思うわけでございます。 さらにまた、本年一月には人権高等弁務官メアリー・ロビンソンさんが来日をされまして、具体的に小渕外務大臣に死刑廃止に関する議定書などの早期批准ということが求められているわけでございます。 こうした国連機関あるいは人権高等弁務官からの要請に対して我が国はどう対応されようとしているのか。この件について、まず法務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○下稲葉国務大臣 私もメアリー・ロビンソン人権高等弁務官にお会いいたしました。一月二十六日でございましたか、ちょうど国会の審議が終わった後、お時間をいただきまして、三、四十分、政府委員室でお会いいたしました。それで、その当時の話は二つございました。一つはいわゆる拷問条約の問題、それからもう一つは、今の死刑廃止の問題です。メアリー・ロビンソン人権高等弁務官にお会いしたときには、まだ一月でございましたので、この四月の決議が出る前でございました。 私は、拷問禁止条約の点につきましては、これは前向きにひとつ検討させていただきましょうというぐあいに御返事を申し上げました。それから死刑制度の問題については、死刑制度そのものと、それから執行手続の問題、これは別個にあると思うのですが、だから私は率直に、今の日本の国内の情勢では死刑そのものを廃止するということについてはなかなか難しい状態でございますということを申し上げました。 それから、人権擁護運動等々についてもお話ございまして、例えば法務省がやっている人権擁護運動等についても御説明いたしておきました。例えば子供の作文等を募集いたしました人権擁護活動について、八十万を超える人たちの応募がございまして、そういうふうな中で非常に感動するもの等々もございますし、そういうふうなことも活用しながら人権擁護活動に努めておりますというふうな話をいたしました。 それからもう一つは、NGOの人たちが高等弁務官のところへいろいろな文書をお出しになっておられるということでもございますので、政府としても意見を集約しまして御意見を申し上げたいと思いますということを申し上げました。それは大変評価されまして、お待ちいたしておりますというふうな内容でございました。
○金田(誠)委員 法務大臣も直接お話をされたということを存じ上げませんで、大変失礼をいたしました。 同じときに外務大臣もお会いをして、同じ要請を受けている。外務大臣の方は、これは新聞報道等でございますけれども、死刑廃止条約の批准ということの要請に対して検討する旨答えているということを仄聞しているわけでございますけれども、外務省はいかがなのでしょうか。 日本の基本的な外交姿勢は、国連のこうした方向のものは真摯に受けとめ、それを尊重するということで今まで対応してきたのではないか。先般、インドの核実験もございましたけれども、CTBTを真っ向から否定をするようなこうした対応というのは日本の場合はしてこなかったのではないか、ほかの案件についても。特に、この死刑廃止条約批准を要請されて、検討するということになるとすれば、法務省との間で具体的な検討機関の設置等が当然のこととして想定をされるわけでございますけれども、どのような対応をなさるつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
○貝谷説明員 ただいま御質問のロビンソン国連人権高等弁務官の要請についてでございますけれども、本年一月の同弁務官の来日の際に、小渕外務大臣との会談の席上におきまして、御指摘のB規約第二選択議定書を含め我が国が未締結の人権関係条約につきまして、その締結の検討を要請されたという経緯がございまして、大臣からは、検討を続けていきたいという旨を応答したところでございます。 我が国は、未締結である人権関係条約につきましては、今後ともそれぞれの条約の目的、意義、内容、締結の必要性、国内法体制等との整合性などを十分に勘案の上、その取り扱いについて検討を続けていくという所存でございまして、このB規約の第二選択議定書につきましては、締約国の死刑の廃止を求めるものでございまして、死刑制度を存置している我が国の法体制に強く関係するということでございますので、その締結につきましては、法務省の見解も踏まえつつ、今後ともなお慎重に検討をする必要があるというふうに考えているところでございます。
○金田(誠)委員 時間が押してまいりましたので、事前に申し上げてある順序と多少狂いまずけれども、お許しをいただきたいと思うのです。 これからも、恐らくさまざまな機会を通してこうした要請を受けるだろうというふうに思います。そして、人権委員会の決議等々の形で、日本も非常に注目をされている国でございます。アメリカとともに非常に注目されていて、特にアジア自体が死刑制度がまだ多く存続をしているわけでございまして、その中で、日本の果たすべき役割、期待される役割というのは非常に大きいわけでございます。したがって、国際社会の一員としては、具体的に検討して、かみ合う議論をしていかなければならないだろうと私は思うわけでございます。 そこで、実は一つ提案があるわけでございます。 私、先般来、脳死問題にかかわってきた経過もございますけれども、脳死は人の死か否かという問題をめぐっては、これは議員立法ではございましたけれども、脳死臨調というものが設置をされて、各界を代表される方々がそこで議論を闘わせる、それが公にされてまたフィードバックされるという形の中で国民合意というものが形成されてきたのではないかなと思うわけでございます。十分、不十分はあるとは思うのですけれども、そういう形を踏んできたということは意義深いことであったろうと思うわけでございます。 今、この死刑問題、死刑制度あるいは死刑の執行というようなもの、あるいは刑罰、死刑と無期懲役の間が余りにも格差があり過ぎるという問題等々を含めて、国際社会の大きな流れの中で、旧来日本はそういう制度でやってきたのだから、これからもそのまま踏襲するのだということもさることながら、いま一度国民的議論を起こした上で国際社会に対応していくというのが、国連を中心とした外交姿勢をとってきた日本として本来あるべき姿ではないか、国際社会に対する誠意の尽くし方ではないか、私はそう思うわけでございます。 そういう観点からしますと、例えば、脳死臨調に匹敵するような仮称死刑臨調というようなものを設置して、各界の代表的な意見をそこで闘わせて、結果として存続になるかもしれない、あるいは一定の見直しになるかもしれないし、廃止の方向になるかもしれない、国民が注視する中でそういうものを設置するのは極めて意義深いことである、国際社会の一員として、それもリーダーの役割を期待される日本としてとるべき態度ではないかと思うわけでございます。 このことを御提案申し上げたいと思うわけでございますが、いかがなものでしょうか。検討の余地はございませんでしょうか。
○原田(明)政府委員 事務当局としてお答えすることがいいのかどうか考えるところでございますけれども、まず私の方からお答え申し上げますが、我が国におきましては、死刑制度の存廃の問題につきまして、従来から、国民世論に十分配慮させていただきながら、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であると考えて、検討がなされてきたと考えます。 現在、なお国民世論の多数が、極めて悪質で凶悪な犯罪については死刑をもやむを得ないと考えているというように認められます。その上で、多数の者に対する凶悪な殺人、誘拐殺人等の残虐な犯罪がいまだ後を絶たないという状況等にかんがみますと、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することもやむを得ず、直ちに死刑を廃止することは適当ではないと考えられているところであろうと思うわけでございます。 そういう意味で、現在直ちに死刑制度存廃を検討する機関を設けるということにつきましては、さまざまな考え方があろうかと思いますし、委員の御提案ということで受けとめさせていただきますが、私どもといたしましては、そのような機関を直ちに設けるという状況ではないのではなかろうかというふうに考えております。
○金田(誠)委員 冒頭、国際社会の動向について言及をし、さらに国連機関等からの要請、指摘について言及をした上で、日本としてのとるべき態度はどうあるべきかということで話を進めさせていただいたと思っておるわけでございますけれども、その辺のところが十分理解をいただけないのかなと非常に残念に思うわけでございます。 今事務方からの御答弁があったわけでございますが、大臣、いかがでしょうか。同じ質問をさせていただきたいと思います。
○下稲葉国務大臣 私の手元にある資料によりますと、一九九五年の十二月ということでございますが、死刑を存置している国が九十カ国、それから、すべての犯罪について死刑を廃止している国または地域が五十八、通常犯罪について死刑の廃止国が十四、事実上の死刑廃止国三十というふうな数字が手元にございます。 それから、我が国の現行刑法典の中で、それぞれの罰条に死刑を規定しているのが、私の記憶が間違いなければ十二、条文としてございますし、それから特別法では五つ、合計十七、死刑を規定している条文があると思います。 その辺の運用につきましても、実は実務的に点検してみますと、例えば殺人なら殺人で死刑の宣告ができるのですが、殺人なんかでは百人に一件も死刑の判決を受けているのはないのですね。みんなそれ以下というふうな状態で、私どももそうでございますが、裁判所も死刑の判決については極めて慎重な状態であるということが言えると思います。 片や、今刑事局長が申し上げましたように、国内的に見ますと、やはり社会の耳目を騒がせるような凶悪な事件等々ないわけじゃないわけでございますし、むしろ犯罪の傾向としては凶悪化しているということも見逃せない事実だろうと思います。 ですから、先ほども申し上げましたが、そういうふうな状況、それからこれはもう委員御承知のとおり、総理府の世論調査によりますと、まだ七三%は死刑を維持すべきであるというふうな世論調査の結果にもなっているわけでございますし、そういうようなところを総合的に判断してみまして、私はやはり現行の制度は維持すべきである、そういうふうに考えているわけでございまして、その辺のところ、刑事局長が説明したのと筋としては同じ答弁に相なるわけでございます。
○金田(誠)委員 ただいま大臣から数字を挙げられた部分がございました。それについては実は反論する数字があるわけでございますけれども、時間がなくなってしまいましたので、その反論についてはまたの機会にさせていただきたいと思います。 最後に一点だけお聞かせいただきたいのは、これはNPO、NGO団体からの情報でございますけれども、近々死刑が執行される模様である、既に大臣の決裁のところまで行っているのではないかと、大変心配をされているわけでございます。先ほど来申し上げております人権委員会の決議、これによりましても、死刑執行の猶予、死刑に関する情報の公開ということがついこの間決議されたばかりでございますから、こういう状況の中でよもや執行はないとは思うのですけれども、その辺のところ、いかがでしょうか。
○原田(明)政府委員 御質問は個々具体的な執行に関する事柄でございますので、大変恐縮でございますが、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
○金田(誠)委員 この人権委員会の決議の中に、死刑執行の猶予という項目がございます。さらに、死刑に関する情報を公にすることということもございます。この辺については死刑制度の存廃そのものとは別のことでございますけれども、これについて、国際社会の決議というものを重く受けとめてこたえていくという姿勢はございませんか。
○原田(明)政府委員 まず、死刑執行の猶予という点でございますけれども、御指摘のとおり、去る四月三日の国連人権委員会の決議にはその点についての言及がございます。ただ、現行法の制度のもとにおきましては、裁判所が死刑判決を下したにもかかわらず、これを漫然と放置することは許されないのでございます。死刑の執行を猶予することは、現在多数の国民が死刑制度を必要であると考えておることなどにかんがみまして、適当とは考えられません。 また、この決議は死刑執行に関する情報公開を求めているのでございますが、我が国は、死刑の言い渡しがなされた個々の事件の裁判の内容につきましては、公開の裁判の原則によりまして明らかになっているのでございます。また、毎年の統計においても執行数を公表しているところでございます。 国家の刑罰権の作用は、本来刑の執行そのものに限られるのでございまして、それを越えて国家機関が刑の執行の事実を殊さらに公表して、刑の執行を受けた者やその関係者に不利益や精神的苦痛を与えることは相当ではなく、死刑執行の都度その事実を公表するということにつきましては、死刑を執行された者の遺族の感情または他の死刑確定者の心情の安定等に配慮し、これを差し控えてきたところであると理解しております。
○金田(誠)委員 旧来我が国がそういう立場をとってきたということについては承知をしているわけでございます。しかし、そういう死刑存置国に対して国連人権委員会は、存置国に対して以下のことを求めるということで三項目のことを求めているわけでございます。それに対して真っ向から否定をなさるということはいかがなものか。去年、ことしと二年続けて決議が行われた、それを真摯に受けとめて、いま一度立ちどまって検討する機会を持っていただきたい。 そして、最後に御要請申し上げますが、そういう勧告、決議がなされている中で、早急な死刑の執行というのは厳に慎まれるように、勧告をぜひ尊重していただくように強く要望申し上げまして、質問を終わります。
○笹川委員長 二見伸明君。
○二見委員 私も、死刑の問題について若干法務大臣と議論をしたいと思います。この問題はどちらかというと政治家としての議論が大事で、したがいまして、刑事局長は出番が欲しいのだろうけれども、これは事務方で済む話ではないと思いますので、どうか大臣と私の間の議論にさせていただきたいと思います。 私は死刑廃止論者であります。死刑は人権の基本にかかわる非常に重大な課題だというふうに思います。もちろん感情論では、例えば私の家族が凶悪犯人によって残虐な殺し方をされれば、八つ裂きにしたい、死刑にしろと私も叫ぶと思います。 しかし、一方、人権の尊重、個人の尊厳等々を基本として考えた場合に、命の大事さを訴える国が、法の名のもとに、凶悪犯罪人といえども殺していいのかという論理が当然出てまいります。また、凶悪犯人を死刑にしたからといって被害者の遺族は救われるのだろうかという問題も出てくる。新たなる、凶悪犯人の家族にさらに重い傷跡も残すのではないかということも、当然私も考えます。 もう一点、誤判の問題があります。死刑というものが存置するがために、一万人に一人、十万人に一人、百万人に一人でも、誤判によって命を落とした場合にはどうなるのだろう。これは取り返しがつかないという感じも私は持っております。むしろ、死刑にかわる有効な代替刑というものがあればそれでいいのではないかと私は考えております。 もう一つ、死刑制度を存置する積極的な、肯定的な根拠というのはあるのだろうか。死刑にかわる、例えば終身刑とか、代替刑をもってすればいいのではないか、むしろ白紙の立場からこの問題は検討してもいいのではないかというふうに実は私は考えておりまして、死刑廃止論者の一員になっているわけであります。 そういう基本的な立場から、私は法務大臣に、法務大臣は死刑制度を将来にわたって存置すべきだといういわゆる堅持論者なのか、あるいは、例えば終身刑というような死刑にかわる代替刑、新しい刑罰体系が導入されれば、それを条件として廃止しても構わないというお気持ちを持っているのか、これは行政官としての法務大臣というよりも、政治家としての法務大臣の御見識を承りたいというふうに思います。
○下稲葉国務大臣 尊敬する二見委員からいろいろ御質問いただきまして、また、御指導いただきまして恐縮でございますが、政治家としての私の考え方を申し上げさせていただきたいと思います。 率直に申し上げまして、私、法務大臣に就任いたしましたときに、まず一番最初にその問題にぶつかりました。今委員いみじくも御指摘のとおりに、自分の家族なりなんなりが大変な被害に遭った場合に個人的にはこういうふうに思うと、その心情は皆さん御一緒だろうと思います。 さはさりながらということでいろいろお話があったわけでございまして、私も、死刑執行について、今それを決裁する立場でございます。それが、一つしかない命を絶つということでございますから、これは人権上も大変なことでございますし、非常に重いことでございますし、率直に申し上げまして、きょうの午前中の御議論にもございましたように、死刑執行に当たる人たちは、やはり好んでやる人は一人もいないだろうと思います。みんな重い気持ちで死刑の執行に当たってくれると思います。私自身も、そういうふうな意味では一番その重さをひしひしと感ずるわけでございます。 それと、もう一つ大きな私の立場の責任というものは、やはり法秩序の維持、国の存立といいますか、法秩序の維持というものが政治、経済、あらゆる活動の根幹にあることでございますから、やはりこれはどうしてもきちっとしなくてはいけない。これが揺らぐようなことがあれば、外国の例に見られますように、もう何もできない、混乱だけだ。 そういうような意味で、法務大臣という仕事はなかなかきついわけでございますし、その辺のところがらいろいろ考えてみて、今委員が御指摘ございましたように、例えば死刑にかわるような終身刑みたいなものはどうだろうかということは私も考えてみました。社会から遮断されるというふうな意味からすれば、それはそれなりに意義のあることだろう、こう思います。 ところが、逆に今度、その本人になりますと、その問題もまた大変だな。一人の人間が、どちらかというと、人格が完全に破壊といいますか破滅されるというふうなことになるわけですし、社会の立場からはそういうような人々が社会に復帰して云々ということで、遮断されるからいいということですが、そちらの面に立って考えてみますと、これもまた大変なことだなということで、いろいろ考えていることも事実でございます。 そういうふうなことで、結論として申し上げますならば、その辺から委員と立場を異にするわけでございますけれども、国の秩序を維持する、そういうような目的からして、やはりこの制度というものは維持すべきものだ、こういうような結論に私自身なっているわけでございます。
○二見委員 イギリスでもフランスでも、死刑廃止をしたところは、代替刑として無期懲役、無期禁錮みたいな制度を導入しておりまして、むしろ、一生隔離されていることは人格破壊に通ずるのではないかという議論のあったことも私は承知をしております。そのために、死刑にかわる代替刑を導入したヨーロッパ先進国も、そこいら辺の修正は何回かされているというふうに思います。 それはそれといたしまして、金田さんと若干ダブるのですけれども、まず、国際的な情勢からまいりまして、国連は、世界人権宣言、ことしは人権宣言五十周年ですが、さまざまな機会に、人権問題として死刑廃止に言及してまいりました。死刑廃止に向けての国際的な枠組みづくりにも国連は努力を重ねてきました。そして、一九六二年から死刑に関する国連報告を公表するようになりましたし、六六年に採択された国際人権B規約第六条は、死刑の廃止が望ましいことを強く示唆をしております。八九年には死刑廃止条約が採択され、九一年に発効しております。 日本は、こうした国連を中心とした動きに終始一貫反対の立場をとってこられました。先ほどロビンソンさんとの会談のときのお話が出まして、国際的には一致しているわけではないということで、廃止が難しいとお話しされたというふうに言われておりました。 しかし、この国際社会の流れというのは、真っ正面から受けとめる必要があるのではないか。確かに日本は今、死刑制度を存置しているけれども、この国連の動きというものは重く受けとめてもいいのではないかと私は思っておりますので、法務大臣としては、こうした国連の動きをどう評価されているのか、まずお示しいただきたいと思います。
○下稲葉国務大臣 先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、人権高等弁務官に、ちょうど世界人権宣言五十周年記念ということもありまして来日されまして、お会いいたしまして、そのときにもいろいろお話ししたわけでございます。 たしか、世界人権宣言につきましては、死刑廃止まで具体的にはわたっておりません。それから、六六年のいわゆるB規約の中で、委員御指摘のとおりにあれしまして、その途中でいろいろありましたけれども、八三年でしたか五年でしたか、ヨーロッパでやはり死刑廃止条約みたいなものができまして、そして、死刑存置国が犯人の引き渡し要求をやった場合には、それには応じないぞというふうなところまで踏み込んだ条約内容になっているということも私は承知しているわけでございます。 そういうような中で、八九年に、今お話しのような、いわゆる死刑廃止条約と一言で言われておりますが、そういうふうな流れになってまいりました。この際も我が国は反対の投票をいたしております。そして、同じような流れで、ことしの四月にございました。その投票の総数、結果は先ほど御報告したとおりでございます。投票総数が倍ぐらいになっておりまして、今度は半分ぐらいになっておりますから、全体の流れとしてはそう大して、若干変わっているなという、各国の票のあらわれ方を見ますと、そういうふうなことになっております。 ですから、その辺の動きというものも私は非常に敏感に研究させていただいているわけでございますし、人権についてのいろいろな国際的な動向というものを知らぬわけではございません。 そこで、先ほどちょっと申し上げましたけれども、日本のNGOの方々がいろいろ高等弁務官のところにペーパーを出されたり何だかんだして、そういうふうなものが審議の対象になっておるということでもございますので、今度は私どもが私どもの立場で、そういうふうなペーパーをお出しいたしましょうと。これは大変評価していただきましたが、その準備はまだ今いたしておりますけれども、そういうことで、私自身は世界の流れというふうなものを重く受けとめている一人ではなかろうかと思います。 それと同時に、何といっても、世界の中における日本ではございますが、やはり日本でございます。そこにはやはり日本の国民感情というふうなものもございますし、あるいは日本の犯罪の動向というものもございますし、あるいは国の刑事政策というふうなものもございます。だから、その辺のところをどういうふうに整合させるかという問題もあろうかと思います。 先ほど触れましたように、現在、死刑を罰条として持っている条文が、特別法を入れまして十七ございますが、刑法改正の仮案ではその数が減っているのです。減っているわけです、実際に死刑を罰条に含めよというものは。したがいまして、そういうふうな段階においてすら、そういう方向に来ているということも間違いないだろうと思います。 それから、そういうふうな条文がありますけれども、具体的に死刑を選択した裁判の傾向というものがどういうふうなものか。これも私なりにちょっと勉強しているつもりでございますが、そういうものを踏まえまして議論しなくてはなりませんし、そういう中の結論は、先ほど申し上げましたことでございます。 もっと基本的に言いますと、そういうことをお決めいただくのは国会でございますから。国会がお決めいただくことでございますから、何も責任逃れをするつもりはございませんけれども。ですから、その辺のところを踏まえながら、やはりいろいろな角度から検討していただくものである。私どもも、そのようなつもりで一生懸命、八方に目を配りながら、そして、そういう中でいかにあるべきかというふうなことを追求していくのが私の責任だろう、こういうふうに思っているわけでございます。
○二見委員 確かに、これは国会で決めることだと私も思います。 実は、イギリスが一九六九年に死刑を廃止した。その年の十二月の世論調査では、死刑存置が八五%で、廃止論者は一三%。圧倒的に存置論者が多かった中でイギリスは死刑を廃止した。フランスも同じであります。一九八七年にカナダで、死刑復活法案というのが審議されました。そのとき、マルルーニー首相は、最も求められる選挙民は私たちの良心である。当時死刑を復活せよという世論は六〇ないし七〇%あった中で、マルルーニー首相は、この世論に従うのではない、あなた方国会議員の、下院議員の本当の選挙民は自分たちの良心なんだ、自分の良心で決めなさい、こう言った。私は、まさにこれは国会で決める、国会議員の見識で決めるべきものだと思います。 実は、私は死刑廃止議員連盟というものを設立するときにかかわった一人でございますけれども、その理由の一つは、バダンデールさんが日本に来られて講演をされたときに、世論は反対だったけれども、その世論を押し切って死刑を廃止したのは政治家です、これは政治家がイニシアチブをとる以外できません、こういう講演をされて、私もそれを聞いて、まさにそのとおりだ。それで、国会議員の方々と、いろいろな人と話をしながら議員連盟の設立に参加したといういきさつがございますので、私はまさにそのとおりだと思います。 その点についてどうですか。これは、いわゆる事務方で決めるものではなくて、やはりおっしゃるように、基本的には国会議員の良心が決めるべきものだな。その点では私は大臣と同じなのかなという感じがするのですが、いかがでしょうか。
○下稲葉国務大臣 それはやはり、日本を思い、世界に思いをはせ、そしていかにあるべきかということを常に考えて、そして政治的信念に基づいて国会議員は行動する、それが私は筋だと思います。世のため人のため、言葉は悪いですけれども、世のため人のためになるのはどういうことなんだ、こういうことが私は判断の基準だろうと思います。 そこで、大変これは申し上げにくいことですが、二見委員と私は育ちが違いまして、今まで私のやってきた仕事のことから勘案いたしますと、個人的なことを申し上げて申しわけございませんけれども、ある県の捜査一課長をやったこともございます。それから警察庁の捜査一課長をやったこともございます。本当にひどい現場に何十回と立ち会ってきた。そして、大黒柱を突然亡くして途方に迷って本当に悲惨な思いをしておられる被害者の方々、そしてまたそれを取り巻く周辺の方々、こういうふうなことを実は嫌というほど経験もし、今でもつき合っている方が何人かいらっしゃいまずけれども。 こういうふうなことでございまして、ですから、その辺の、今までの社会的な経験が先生と違うものですから、私は、今申し上げましたような結論になっているのかもしれません。それがいいかどうかということは私自身が判断しなくちゃならないことですけれども。 そういうふうな私が今まで背負ってきている背景から、政治家として、しかも今この重要なポストをいただいて考えてみますと、言葉は非常に抽象的で一般的な言葉ですが、法秩序の維持ということは、私は、要するにどういうふうにすることが世のため人のためになるかということだろうと思うのですね。法秩序の維持というのが目的というよりも、むしろそれによって世の中がよくなるか、よくならぬかということが判断の基準であろうと思うのです。 そういうふうなところまでさかのぼっていきますと、今申し上げましたような結論に私としてはならざるを得ないということでございます。
○二見委員 ちょっと議論をもとに戻しますけれども、先ほど、ヨーロッパで八五年に新しい条約ができたという話がありましたね。恐らくこれは死刑に関する欧州人権条約第六議定書のことだろうと思います。それから、欧州犯罪人引渡し条約というのもありますね。これだと、死刑の存置国から犯人の引き渡しを要求されたときに、死刑にしないという保証がない限り引き渡しちゃいけないという大変厳しい内容。 ですから、日本の凶悪犯罪者がスウェーデンに国外逃亡してそこで捕まった、日本政府が引き渡せと言ったところ、日本は死刑があるからだめだといって拒否されたという事例がありますね。まさにそういうことだと思います。 日本の態度というのは、大臣がちょっとさっきおっしゃられておりましたけれども、死刑廃止条約のときなぜ反対したかということで、こういうことでしょう。 死刑廃止の問題は、一義的には各国により、国民感情、犯罪態様等を考慮しつつ慎重に検討されるべきであり、また、死刑廃止についての国際世論の一致があるとは必ずしも言えないと考えられること、さらに、本件、これは本件議定書、死刑廃止条約ですね、本件議定書案についてはこれまで人権委員会においても十分な議論が尽くされていないため、十分な審議を尽くすべきであるとの立場から反対投票をした、これが死刑廃止条約のときの日本政府の公式の言い方ですね。この死刑廃止条約に限らず、これが恐らく、今まで多分いろいろな決議にしろ何にしろ、反対してきたベースだと私は思うのです。 だが一方、ヨーロッパでは、例えば欧州犯罪人引渡し条約では、死刑存置国には引き渡さないよ、そこまでヨーロッパは進んできている。 ということになると、日本の態度というのは、基本的人権という立場から考えると、国際的な動向からはその流れにさおを差しているのかなという感じがするわけです。もっと極端な言い方をすると、日本はまだ非人権的な国だと言われてもやむを得ないのかなという感じがするのです。 法務大臣の過去の御経歴については私もよくわかりますけれども、それはそれとして、いかがでしょうか。
○下稲葉国務大臣 インターポールと言われているICPO、御承知のとおり、あれは国際刑事警察機構ということで、国際協力する立場でいろいろ国際的にやっていただいているのですが、やはりあそこの中でも、その国独特の政治犯罪なりなんなりというのは除いたのですよ。 今委員御指摘のようなことも、私は、そういうふうなことであり得ることだと思うし、また、あってしかるべきだ、このように思います。ですから、委員の御指摘されたいことは、そういうふうなことで国際的に一緒に歩調を合わせたらどうかというお気持ちがおありの上の御質問ではなかろうかと思うのですが、まあ今度も表現は悪いのですが、欧州が通貨で一本になるというふうなことになりますと、そうするとどれぐらい強くなるのか、あるいは何だかんだいろいろございますが、そういうような形で経済的にいい面もありますし、ぎしぎしする面も私は出てくると思うのですよ。何も同じように議論するのが必ずしも正解だとは思いませんけれども、それはそれでいいのかなと。 まさしく、一九八五年の今おっしゃいました条約が引き金になって八九年の死刑廃止条約の根っこになったんじゃないかなと私自身は考えておりまして、だから、そういうふうにだんだん発展していくのだろうと思います。 だから、その中で、日本はどういうふうに考えるべきかということをやはり常に常に検討し、大地に足をしっかり置いて議論していかなくちゃならないというふうに考えております。
○二見委員 実は、日本は単に反対するだけではなくて、反対勢力のリーダーとして反対のための多数派工作をやっているのではないかという話もあるのですが、これはいかがですか。
○下稲葉国務大臣 これは私はとんでもないことだと思いますね。やはりそれぞれの国がそれぞれのお立場で判断されることでございまして、それぞれの国の刑事政策の分野にまでわたって日本が申し上げるべきでもないし、私はそういうようなことをやっていないということを申し上げます。
○二見委員 死刑を存置させる理由として凶悪犯罪を抑止する効果があるという説がありますね。 これは一九八四年の国会の答弁で、法務省のどなただかは記憶がありませんけれども、科学的なデータとか数字とかで証明されていないが抑止力的なことはある、こう法務省は、言うなれば、死刑制度を存置する一つの根拠として凶悪犯罪を抑止できるんだという立場に立っておられます。しかし、それは科学的なデータがあるわけではない、数字的なものがあるわけではないというふうに、法務省当局もそういうふうに思いながら、そういう態度をとられております。私は、逆なのではないかなと。 例えば、カナダでは七六年に死刑制度が廃止になったのです。死刑が存置していた七五年には十万人中の殺人率というのは三・〇九でピークだったのですけれども、死刑廃止を導入した八三年には二・七四に減少している。八六年はもっと、最低だという説もあります。 日本でも、これは団藤重光さんに私は教えてもらったのだけれども、八九年十一月から九三年三月まで三年四カ月間は死刑が執行されませんでした。八八年の殺人者の数、あるいは復活をした年、この方が殺人の数は多い。三年四カ月のときには非常に殺人は少なかったという統計的なデータがございます。それは法務省の方でお調べになればすぐわかります。 私は、死刑制度を廃止して代替刑をつくった方がむしろ凶悪犯罪は抑止されるのではないかなという気持ちがいたします。もちろん、存置論者にしてみれば、そんな清水の舞台から飛びおりるようなことはできないというお立場になるのだろうけれども、私は、カナダの例を見ても、あるいは日本でも三年四カ月の例を見ても、そう思うし、死刑制度があってもなくても大した変わりはないという実験データがアメリカにもあります。凶悪犯罪を抑止するために死刑制度を存置するのだという情的なことではなくて、もっと客観的な調査をしてもいいのじゃないか。 むしろ、死刑が凶悪犯罪を抑止する効力はないというふうに私は考えておりますけれども、大臣、いかがですか。捜査だとかいろいろなものを見られた立場からすると、感じていると思うのだけれども。
○下稲葉国務大臣 いろいろ御指摘ございましたが、例えば日本の場合でも、死刑を執行しなかったから凶悪事犯が減ったとかなんとか、結果としてそういうふうな数字があるいはあるかもしれません。しかし、一般的に申し上げますと、犯罪というのは、やはり社会的ないろいろな情勢というものが複雑に競合いたしまして、結果として起こる場合が大変多いわけでございます。 例えば、今少年のいじめ問題がいろいろ取りざたされておりますけれども、一つの流れといいますか、私は少年犯罪が今第四のピーク時にかかりつつあるのではないか。昭和二十六年、三十八年、三十九年、それから昭和五十八年とこう下がって、また今ここ二年上がり始めておりますから、そういうふうな一つの傾向。 それから、交通事故による死亡者にいたしましても、これは政策的なものもいろいろあると思うのですが、それは車の発達、逆に言いますと、ガードレールを徹底してつくったために、結果として死亡事故が少なくなったという事例等々もたくさんあるわけでございます。 いろいろな犯罪の情勢にいたしましても、例えば、私が警視総監をやっていたときのつまらぬ経験を申し上げますと、駅の周辺だとかその辺の自転車放置を全部なくしちゃおうじゃないか、駐輪場をつくろうじゃないかということで、何十万台分の駐輪場を、地方公共団体あるいは道路管理者等と協力してもらった。そうしますと、窃盗事件というふうなものはほとんどああいうふうなものですね、一番多いのほかっぱらいと何だ、それが圧倒的に減るわけです。そうしますと、それだけでも数%犯罪の発生が減るわけなのですね。 だから、それは一つの例でございますが、いろいろな問題が複雑に競合して、結果としてそういうふうになっているのじゃなかろうかな。だから、委員御指摘のことも、それは一つの要素かもしれませんけれども、だからといってそればかりでもないのじゃないだろうか、いろいろな問題が複雑に競合して犯罪の発生なりなんなりということになってきているのじゃないかなというふうな感じも私はいたします。
○二見委員 少年犯罪の急増について少年法の改正の問題が出ていますね。これについてはきょうの主題じゃありませんし、私は別の機会に自分の意見は申し上げたいと思いますし、また少年法を改正しただけでもって少年の凶悪犯罪が減るものでもありません。むしろもっとすそ野の広いことが必要なのではないかなというふうに思います。 それはそれとしまして、死刑の問題についてはどうしても世論調査に逃げ込みます。確かに世論調査をやりますと、八割は廃止に反対です。存置論者が圧倒的です。ただ、私は、死刑というまさに人権の基本にかかわることは世論調査で判断すべきではないと思っています。それは、例えば税金で消費税を導入するとかどうとか、そういう問題は世論調査も重要だけれども、事人権、命にかかわる問題については、世論調査が高いとか低いとかで判断すべき筋合いのものではないと私は思います。 それはそれとして、もう時間もありませんので、先ほど大黒柱が失われた被害者の遺族の話が出ました。まさにそれは本当です。私は死刑廃止論者であると同時に、凶悪犯罪人によって大事な大黒柱を失った遺族をどうやって金銭的にも精神的にも支えていくか、救っていくか。まさにこれは国の仕事だというふうに思います。 通り魔事件でもってできた犯罪被害者補償給付金がありますね。上限が一千万ちょっとで下限が二百二十万ぐらいかな。金額的にもこれはちょっとどうなのかなと思うし、自賠責より低いじゃないかと、私、前に言ったことがあるのですよ。そうしたら、自賠責はちゃんと保険金を払っています、これは保険金を払っていませんと。当たり前の話だ。だから保険金を払っていないから低いんだという非常にドライな答えが昔来たことがありますけれども、金銭面での問題。 また、精神面で、自分の肉親が殺されたそのショック、それに附属して、例えば近所の人がいろいろな目で見るとか、マスコミが取材に来るとか、そうしたことによる精神的なダメージ、さらにそれが高じて心理的な後遺症、こういうものをどうするかというのは、これは今、実は東京医科歯科大学難治疾患研究所内に犯罪被害者相談室というのがあって、ここでカウンセリング活動をやっているのですけれども、被害者の遺族に対する経済的な支援、精神的なカウンセリング、これは民間や何かにやらせるのではなくて、むしろこれはまさに国がやる仕事なのではないかなと私は思います。 恐らくこれは、第一義的には警察がこの問題をやっているから警察なんでしょうけれども、やはり私は、大黒柱を失った遺族をどうするかということは、これは大きな、大変大事な課題だと思いますので、これはむしろ国が積極的にやるべきだ、民間にだけ任せるべきではない、やはり金銭面でもそれなりにきちんとした対応をすべきだというふうに考えております。 それを、最後に法務大臣の御答弁をお願いをして、警察は来ているのかな、では、お願いします。
○下稲葉国務大臣 実は、犯罪被害者給付金制度は、私が警察にいますときにお手伝いをさせていただいた仕事の一つでございまして、それまでは全然ございませんでした。 いろいろな事案に関連いたしまして、突然にわかにいろいろな被害をこうむられる。法務省といたしましては、やはり人権擁護の側面からもアプローチする必要があるのではなかろうかというふうなことで、今人権擁護局等々を中心にしてやっているわけでございますけれども、おっしゃるとおり、不十分だと思います。決して十分ではございません。基本的には、それは刑事の問題でもないし、民事で争いなさい、できるだけ知恵をかしましょうというぐらいの程度では、本当は不十分だと思いますね。だから、この辺のところがどういうふうにできますか、重要な問題でもございますし、具体的に詰めてまいりたい、どういうことができるかどうか、またお知恵もかしていただきたい、このように私は思います。
○太田説明員 犯罪被害給付金の額についてでございますけれども、他の公的給付金制度との均衡、また物価水準の変動等を参酌して、過去三回にわたりましてその引き上げを行うとともに、昨年四月には障害給付金の支給範囲を拡大するなど、所要の見直しを行ってきているところであります。また、犯罪の被害者や遺族の精神的被害の回復を助けるため、警察部内におきまして、専門知識を有する職員を配置したり、また医師などの委嘱によりましてカウンセリングを行う体制を進めているところであります。 また一被害者が適切な機関により支援を受けることができるよう、臨床心理士会、婦人相談所、児童相談所等、多数の関係機関、団体を構成員とする被害者支援連絡協議会というようなものを今各県で結成しているという状況でございます。 なお、民間の被害者支援組織につきましては、先ほど御指摘になりました東京医科歯科大学犯罪被害者相談室などを含めまして、現在八団体結成されておりますけれども、先日、その八団体が被害者支援ネットワークという全国組織を結成したところでございます。その顧問に私、警察庁の犯罪被害者対策室長が就任したところでもありまして、警察庁としても必要な情報交換を行うなど、その活動を全面的に支援していきたいというふうに考えております。 警察としましては、被害者支援というものを現在警察の最重要課題の一つというふうに位置づけまして、その取り組みを図っているところであり、今後とも犯罪被害給付制度の適正な運用に努めるとともに、犯罪被害者及び遺族の置かれている状況というものを十分に踏まえながら、被害者支援策を推進してまいりたいというふうに考えております。
○二見委員 被害者の遺族、これは殺人だけではなくて、あるいは死に至らないけれどもというケースもあろうかと思いますが、いずれにしても、これは国として取り組むべき課題であるということを改めて申し上げて、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○笹川委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。 私は、きょうの一般質疑では、主に大蔵省の保険業界との癒着、接待問題について取り上げたいと思うのですが、その前に一点だけ、同僚議員がずっと取り上げてきております死刑廃止の問題について、法務大臣の御所見を伺いたいと思います。 私も、死刑というものはない方がいいという立場の一員でございますが、今年の四月三日の国連人権委員会の決議は、死刑存続国に対してもなかなか配慮ある決議になっているとお読みをいたしました。「死刑を未だ維持しているすべての国に対し、以下のことを求める。」ということで、第三項と第四項と二項にわたって指摘されているのですが、そのうち第四項の方の(b)、ここには「死刑を完全に廃止することを見通して、死刑執行の猶予を確立させること」、すぐに廃止せよというのではなくて、それを見通して死刑執行猶予の確立を求めているわけで、非常に配慮ある国連人権委員会の決議だと思うわけです。 かつても、そういう立場に立たれている方が法務大臣になられた時期に、死刑執行を一時見合わせるという時期もあったわけでありまして、こういうことは今の日本の制度の根本的な転換なしにも可能であるのではないかと思うわけです。この執行猶予の問題について、法務省としては前向きに、国連の人権委員会の決議に沿って取り組まれてもいいのではないかと思うのですが、この一点だけ、死刑問題ではお聞きしたいと思います。
○原田(明)政府委員 委員の御指摘の点、国連の決議を踏まえた御指摘で、それなりに受けとめさせていただかなければならない面があろうかと思います。 しかし、その決議そのものも、前提は死刑を廃止するということについての基本的な合意が背後にある、それに向けてのというニュアンスが含まれていると思います。そういう面で、現在の我が国の状況はそういう状況には至っていないのではないかというのは、これは事務当局としての受けとめ方でございまして、私どもといたしましては、国法のもとで、これによって与えられた責務を果たしていく、それが私どもの責任であるというふうに考える次第でございます。
○木島委員 どうも現在の法務当局の態度は、裁判所によって死刑判決が宣告されてこれが確定したのだから、それをきちっと執行しなければ法秩序が保てないのだという、非常にかたくなな立場に立っているやに思われてなりません。かつて法務当局は、必ずしもそういうかたくなな立場でなかった時期もあったわけでありますから、そんなことも踏まえて、ことしの国連人権委員会の決議をひとつ前向きに検討していただくように、今の答弁、まことに残念でありますが、要望しておいて、次の問題に進みたいと思うのです。 大蔵省の接待問題であります。 今年の四月三十日に、大蔵省が衆議院の大蔵委員会に提出をした資料を私はいただいて読まさせていただきます。 これによりますと、処分を受けた者の氏名、現職、そして処分の事由が書かれ、その結果としての処分内容の記載があるわけであります。ずっと読んでみたのですが、接待を受けた時期、いつからいつまでの間に何回接待を受けたかという記載はあります。それから、職務上関連ある民間金融機関から接待を受けた回数、それから職務上関連のない民間金融機関から接待を受けた回数、そこまでは記載があるわけでありますが、そこでとまっております。これでは真相が全く、全くといいますか、なかなかわからないということでもあります。 そこで、この報告書の言葉の意味についてちょっと突っ込んで大蔵省からお聞きしたいのです。 処分事由のところに、処分を受けた者の官職がいつからいつまではどういう職にあって、いつからいつまではどういう職にかわったという、それは全部書いてあるのですね。その上で、接待を受けた期間について何回というのがあるのですが、ここで指摘している職務上関連ある民間金融機関から受けた接待と職務上関連ない民間金融機関から受けた接待という区分けをしている、その区分けなのです。 これは、例えば大蔵省銀行局保険部に在職している最中に保険業界から受けた接待は職務に関係ある民間金融機関との間の会食ということでカウントしているのだと思うのですが、では、この人物が次の場所、例えば証券取引等監視委員会等に移ってしまったときに保険業界から受けた接待は、職務に関連のない民間金融機関との間の接待の方にカウントされているのですか。報告書の意味です。
○渡辺説明員 お答え申し上げます。 例えば、今の御質問の例で申し上げますと、銀行局の保険部保険一課に勤務していた者にとりましては生命保険会社というのが職務上の関連のある金融機関でありますが、仮にその職を離れたときには、同じ生命保険会社でありましても、職務上の関連のある民間金融機関からは外れるわけでございます。 しかしながら、今回の調査におきましては、多分議員の御懸念もあるのだと思いますけれども、その職を離れた後においても、前の職との関係において引き続き交際が続いている場合というものもあるということも念頭に置きまして、幾つかの処分事由の中では、平成五年一月から平成八年十二月二十五日の期間において、同一民間金融機関との会食、ゴルフが合わせて何回に及ぶものがあるという場合には、これは途中に入っていった者がそのまま引き継いでいる場合もありますので、そういう場合には、特段職務上関連ある、関連ないという区分をしないで、同一会社で総計何回あったということを、いわば追跡調査をしているという状況にございます。
○木島委員 わかりました。 それでは、具体的に処分を受けた中で、滝本豊水氏についてお聞きをしたいと思うのです。 処分事由にいろいろなことが書かれております。その中で、「平成五年一月一日から、平成八年十二月二十五日の期間において、同一民間金融機関との会食、ゴルフが合わせて十回を超えたものが複数あった。」と記載がございますが、具体的に、率直にお聞きします。 保険業界でガリバー企業とすら言われている最大手の日本生命保険相互会社からどの程度の接待を受けていたのか、彼について、具体的に御答弁願いたいのです。
○渡辺説明員 今御指摘の滝本豊水前証券取引等監視委員会事務局総務検査課長におきましては、既にお手元にお持ちのようでございますので、処分事由を繰り返して読みませんけれども、それぞれの期間において、関連のある社、関連のない社、あるいはある程度継続的に行った社、それぞれについてお示しをしたとおりでございますけれども、この会社が特にどこの会社であるかといった点につきましては、それぞれ個別に先方から聞き取りをしているところもございますので、中身について開示することは御容赦を願いたいと思っております。 ただ、いずれにせよ、「十回を超えたものが複数あった。」という表現でございますが、この上は、ほかの者を見ていただきますとわかりますように、十五回、二十五回ということで区切っておりますので、最大限十五回には至っていないというところでございます。
○木島委員 この調査は、まず一定の立場にある大蔵省の内部の当該本人から接待について報告を求めたわけですね。それで、反面調査といいますか裏づけ調査といいますか、それを受けて、相手方の金融機関に事実を確かめて、その上で取りまとめて、こうやって事実を発表していると思うのですね。 これは重大問題ですね。大蔵省に在職している官僚が関連する業界から接待を受けるという、もうそれ自体私はゆゆしい問題だと思うわけでありまして、そして反面調査までして事実が確認できた、それで処分されたわけですから、少なくとも回数が積み重なった部分については、金融機関の名前を伏せる理由は全くないと思うのですよ。伏せていること自体が、国民から見れば、かばい立てをしていることになるわけです。大蔵省がやはり関連する銀行、証券、保険業界をかばっているなということになるのですね。 そうすると、やはりこういう不祥事を断ち切ることはできないわけでありますから、少なくとも回数が積み重なっている、言ってみれば、それだけでも情状が非常に重いと考えられる金融機関の名前ぐらいは、きちっと報告をしてしかるべきじゃないのでしょうか。何でそこを名前を伏せてかばわなければならぬのでしょうか。
○渡辺説明員 お答え申し上げます。 今委員御指摘のように、今回の調査におきましては、まずそれぞれの対象者から、本人の記憶に基づきまして、それぞれの所属いたします服務管理官、そしてそれをもう少し詳細に調べる必要がある場合におきましては、金融服務監査官室において、それぞれ本人からの聞き取りを行う。それから、それぞれ本人から聞きました場合に、みずからの出席しました会合において、大蔵省の省内で他の者が、どういう者が出ているかということもあわせて聞いておりますので、それの相互の突合を行う。 それを踏まえた上で、それぞれ先方の金融機関、金融機関の数全体は千を超えてしまいますけれども、主な金融機関に対して、こういう人間が御社あるいは御行とこういう形での会食の事実があったということを言っているけれども、それについての事実関係いかんということでそれぞれ問い合わせをいたしまして、突合したもの、突合しないものがございますが、それを積み上げて、お示しをしたような処分事由に取りまとめたものでございます。 いずれにせよ、先方に対しましての問い合わせというのは、これはあくまでも国家公務員法上の処分を行う前提といたしまして、それぞれの人事当局がみずからの職員に対する懲戒処分あるいは矯正処分の発動のために行うものでございますので、先方との関係においては、あくまでもやはり任意ということでございますので、その前提を踏まえて先方からの聞き取りをしたということでございますので、そういう意味で、この場において開示するということが我々としては必ずしも適当ではないと思っております。 ただ、いずれにせよ、それぞれの接触、あるいはそれぞれの会食の場において、どのようなことが行われていたのか、例えばどのような話をしたのか、あるいは我々も、最もあってはならないことでありますが、何か具体的な請託なり便宜についての依頼があったのかということについては個別に確認をしておりますけれども、それにつきましては、滝本の例で申し上げれば、そういった例が確認されたものはないということでございます。
○木島委員 相手先の、接待側の企業も調査を受けたけれども、それだけで事実確認したわけではないんですから、それはあくまでも反面調査としての調査であるわけで、基本は、やはり本人の自主申告が基本にあって、それの信憑性がとれたというだけの話なんですから、今の答弁では相手の企業名を伏せる理由にはなっていないと私は思うのですね。 少なくとも、回数が頻繁なような企業については、これは一罰百戒といいますか、きちっと公表することの方が、二度とこういう接待をしないということになるのではないでしょうか。私は、今の大蔵省の態度というのは、この不祥事について本当に反省しているとは思えないわけでありまして、引き続ききちっと国民、国会に真相の全容を明らかにするように求めたいと思うのです。 それでは、言わないのなら私の方から具体的にお聞きをいたします。 四月に発行されたある週刊誌には、もう具体的に事実が指摘されているわけでしょう。ここに持っているわけなんですが、日本生命保険相互会社の問題ですね。この週刊誌に告発が寄せられたと書いてあります。「日生と政官財の癒着を解明して下さい。この接待は何ですか」と。その記事の中に、四回にわたる接待の事実が、日付と場所と飲食した金額でしょうね、具体的な金額が書かれているわけです。そのうちの三回については、今私が問題にしている滝本豊水氏が出席をしておる。日本生命側は、宇野郁夫副社長ほかであります。 では、少なくともこの三回、この週刊誌が指摘している三回については、四月三十日に大蔵省が大蔵委員会に提出した、先ほど私が指摘したこの飲食の中に入っているのか、それともそれは入っていないのか。それは答えて下さい。
○渡辺説明員 お答え申し上げます。 先ほどの滝本に関します処分事由書の中におきまして、平成五年一月一日から七年五月二十四日の間に職務上の関連のある民間金融機関十五社との間で計会食を七十回程度、ゴルフを二十回程度というふうにお示ししているところでありますし、先ほど申し上げましたように、保険一課長在任当時に、彼にとっての職務上関連ある民間金融機関というのはその生命保険会社でございますので、そういう面で今回の調査の対象に、今御指摘のような会社のものも含めて、我々としては調査を行い、それに基づきまして処分を行ったというところでございます。
○木島委員 だから聞いているのですよ。この週刊誌で指摘した。では、私が具体的に指摘しますよ。 平成七年一月十九日、サロン・ド・ミネルバ、四十万円、同二月九日、氷川、三十三万円、同二月十四日、氷川、四十万円、ここに滝本氏の名前が入っているわけですね、参加者として。 この三回分が、大蔵省が報告した、今御答弁なさった「平成五年一月一日から平成七年五月二十四日の間」、保険第一課長のときですね。しかも相手先は保険会社ですから、「関連ある民間金融機関」。確かに「十五社等との間で計会食を七十回程度、ゴルフを二十回程度」とありましたが、だから聞いているのですよ。週刊誌で指摘してあるこの三回は、この七十回の中に入っているのですか。要するに、滝本氏もこの事実を認め、反面調査を受けた日本生命保険相互会社も認め、それで大蔵省も認めることになった七十回の中にこの三回は入っているのかという質問なんです。
○渡辺説明員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、今回の調査におきまして、それぞれの対象者、それからそれぞれの対象者から聞きました内容と相手方の金融機関との中身のすり合わせというか突合をさせていただいているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、職務上、保険会社の間で、かなり頻繁に滝本が会食を行っていたという事実はございますし、その中に今御指摘のような会社が対象者として含まれているということでございますけれども、実際上、いつどこでというところ、あるいはその中で、特に今御指摘になりました金額につきましては、今回の調査の性格上、先方から一つずつ個別に伝票がいただけるわけでもございませんし、本人の側からは支払った金額はわからないということでございます。 いずれにせよ、今回のお示しした回数の中で保険会社との間での接触あるいは会食、ゴルフ等があったということは、御指摘のとおりであります。
○木島委員 何でそこを答弁しないのですか。七十回程度会食したと記載があるのは、みんな積み上げてきているわけでしょう、一回一回。それは一回一回の日にちが特定できたから積み上げられるのでしょう。 だから、この七十回の中に平成七年一月十九日は入っているのですか。金額はいいですよ。確かに金額は接待を受けた方はなかなかわかりにくいでしょうから、日付はわかるはずですから。平成七年一月十九日は入っているのですか。二月九日は入っているのですか。二月十四日は入っているのですか。それだけですよ。イエスかノーかではないですか。答弁してください。
○渡辺説明員 お答え申し上げます。 先ほどからの繰り返しになって恐縮でございますけれども、個別の先方の金融機関からの聞き取りの内容におきましては、それぞれの場所あるいは日時等を明確にお答えになった社もありますし、そうではなくて、それぞれの人間に対しての回数、それからアバウトな年間の時期だけをお示しになった会社もありますので、そういう意味で全体として非常に精粗まちまちでございますので、特定の会社について、いつどこでというところまでお答えするのは適当ではないというふうに思っております。
○木島委員 私は、今の大蔵省の態度は大変問題だと思うのです。なぜ問題かというと、明らかにしないこと自体が私は大問題だと思うのですね。なぜかというと、この週刊誌の記事に、今私が指摘した三日については、接待を受けたところの同席者に政治家の名前が入っているのですよ。これが重大だ。事実だったら大変なことですよ。 しかも、この週刊誌の記事を見ると、日生側は接待リストについては否定せず、コメントを差し控えさせていただきますという回答をよこしたと書いてある。滝本氏は、おれは知らぬと言っていると書いてあるのです。二つの点で大変ゆゆしい状況ではないかと思うので、私はせめてその事実を、滝本氏は、大蔵省に対してはどういう報告、態度をとっているのか、日本生命保険相互会社は、反面調査を受けたのならこの三日分についてどういう報告をしているのか。これは重大問題ですから、そこはきっちり答えてください。
○渡辺説明員 今回の調査の趣旨自体が、一回一回の会食の状況あるいはどういう場所でやったかというよりは、全体としてのそれぞれの行為者の態様がどうであったかということに着目しての調査でございますので、それぞれの個別の点について必ずしも全体を詳細に明確にするということが本来の調査の目的ではございませんので、今回の、今の御質問の点について正確にお答えするのは必ずしも適当ではないと思っております。 ただ、いずれにせよ、平成七年一月あるいは二月という今の記事のタイミングから申し上げれば、当時保険業法の改正という状況でありましたので、その関連で、仕事の場あるいは仕事の場以外におきまして、保険一課の担当者と保険業界あるいは個別の会社との間でさまざまな意見交換をしていたということは事実のようでございます。
○木島委員 今、答弁で大変重大な事実が出ましたね。この時期が重大なのですね。五十五年ぶりの保険業法の改正が国会で審議されたその直前の時期でしょう。だから私は、この問題はほかの、こう言っては語弊がありますが、単なる飲食だけで済ませていいかどうか、そこが問題だと思うのですね。 それで、滝本氏はこの週刊誌によると否定している。日生はノーコメント。 ぼやっとしたことじゃないのですよ。一回一回積み上げているから回数が出るのじゃないですか。だから、もう根拠はともかくいいですよ。質問に答えられるじゃないですか。回数というのは積み上げてきているのでしょう。だから、それに含んでいるか、含んでいないのかだけ答えていただけばいいのですよ。
○笹川委員長 大蔵省秘書課長、何回同じ答弁をしても時間がむだで、また次回に呼び出して質問を受けるとまさに仕事ができなくなるでしょうから、今質問者が言っているように、一回一回の積み重ねで省内の処分ができたのではないかというふうに思われますので、もし週刊誌のことが間違っておれば、それは間違ったというふうに訂正をする発言をするなり、あるいは二回なら二回だけ聞かれたのなら、そのときにいたとかいないとかということにならないと、簡単に五十回とか七十回といっても、それは一回一回の積み重ねだということはだれしもが理解できると思うので、苦しいでしょうけれども、国政調査権に協力してください。
○渡辺説明員 実際の回数の積み上げというのは、申し上げましたように、例えば個別の会社と滝本が何回会食があったかとか、あるいはゴルフがあったかという回数を確認をした上で、それを足し上げたということでは積み上げでございますけれども、その一つ一つ、何月何日にどこでというところまでの積み上げをしているかというと、積み上げのできていない相手方の方が相当数でございまして、個別において一つずつ、何月何日どこでということの確認ができているというものは必ずしも多くはないという状況でございます。
○木島委員 答えになっていないのですね。 大蔵省の報告だって、平成五年一月から平成八年十二月までの間、期間を区切って、同一民間金融機関とのゴルフ、会食が十回を超えたものが複数あった、ここまで書いているのですよ。私はたまたま一つの週刊誌を出しました。そこに三回書いてあるわけですから、保険業界でガリバーと言われているトップの企業ですから、恐らく十回ぐらいあったのだろうなというのは推測されるわけですよ。そうしたら漠とした話ではなくて、この日本生命保険相互会社から、というのは積み上げでしょう、十回以上と書いてあるのですから。 では、日本生命保険相互会社は、この同一民間金融機関との会食、ゴルフが十回を超えたものが複数あったという複数の中の一企業ですか。そう聞きましょう。せめてそれだけはお答えください。
○渡辺説明員 今の御指摘につきましては、先ほど申し上げましたように、生命保険を担当しておりました時期に相当数の回数をやっておりますということは事実でございますけれども、その相手方が何々生命であるかどうかということにつきましては、今回の調査の性格上、私どもの方からお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思っております。
○木島委員 これは納得できません。これはぜひ当法務委員会に、少なくとも今私が質問した三日について、日本生命保険相互会社の接待を滝本氏が受けたのが事実かどうか、大蔵省が大蔵委員会に出した報告書の七十回程度の中にカウントされているのかどうかに絞っていいです。当委員会に報告を求めたいと思います。委員長、取り計らってください。
○笹川委員長 その件につきましては、後日、理事会にかけさせていただきましょう。
○木島委員 きょうは、この問題だけではなくて、この日本生命保険相互会社が現在沖縄県石垣市川平地区でリゾート開発にかかっているという問題があるので、そちらの方をお聞きしょうと思って、警察庁や建設省もお呼びしているわけです。 時間が非常に限られてしまいましたので、端的にお聞きいたします。警察庁にお聞きいたします。 九八年四月二十日、沖縄県石垣市川平九百四十八番地の宇根永太郎さんという人が告発人となり、日本生命保険相互会社ほか七名を被告発人とする都市計画法二十九条及び附則四項違反での告発がなされていると思います。沖縄県警本部長あての告発だと思います。 その告発は事実でしょうか。告発状の受理状況はどうでしょうか。告発の内容、要点ほどのようなものでしょうか。捜査の状況、見通しはどうか。もう時間が限られてきてしまっているので、まとめてお述べいただきたいと思います。
○柴田説明員 御指摘の事案でございますが、石垣島において開発行為によって開発された土地の一部を購入いたしました御指摘の会社が、その土地にホテルを中心としたリゾート施設の建設を計画し、平成九年十一月に工事に着工したわけでございますが、この建設に関しまして都市計画法上の無許可開発行為があったということで、四月二十日、沖縄県警察本部に対し告発がなされたという事案でございます。 沖縄県警察におきましては、直ちにこれを受理いたしまして、現在所要の捜査を行っているところでございます。沖縄県警察におきましては、速やかに所要の捜査を遂げ、送付することとしていると承知しております。 以上です。
○木島委員 ありがとうございました。 ついでに建設省にお聞きしたいと思います。 この告発状の告発の事実の要旨等によりますと、問題の本土地につきましては、八九年十二月十五日に、株式会社川平リゾート開発、代表取締役社長は当時別会社の國場組というのを経営している社長さんが兼ねているようでありますが、この企業が、ホテル、コンドミニアムユース等の建設の目的で都市計画法二十九条、同附則四項による開発許可を申請し、県知事から許可を得て、そして土地を一部いじったと聞いております。 簡単で結構ですから、申請の内容、許可の有無と許可の内容、その後の開発行為の実態がどうだったか、建設省、つかんでおりますか。
○岡田説明員 お答え申し上げます。 御指摘の開発許可に関してでございますが、平成二年九月七日付で沖縄県知事によって許可処分が行われております。 許可の内容でございますが、石垣市字川平石崎一番ほか十四筆、六十六・九ヘクタールにおきまして、ホテル、コンドミニアム等を予定建築物として開発を行うということでございます。 開発の工事の中身でございますけれども、建築物についてはなだらかな自然の地形を生かして造成工事は行わない、道路、専用通路、テニスコート、広場、駐車場等については造成工事を行うという中身であったというふうに聞いております。 その後、平成四年の十二月に変更の許可が行われておるわけでございますが、沖縄県といたしましては、造成工事の計画のございました道路、通路、テニスコート、広場、駐車場、こういうものの工事が許可の内容に適合しているということを検査、確認の上で、平成五年二月十二日付で工事完了の公告を行ったというふうに承知してございます。
○木島委員 わかりました。それで一応完結した。しかし建物は建っておらない。 それで、告発状の要旨によりますと、九七年、昨年十一月二十八日に、日本生命保険相互会社がこの株式会社川平リゾート開発からこの土地の一部を、一部といっても広大ですが、取得した。そして、昨年の十二月二十八日ごろから土地をいじり始めたというのですね。それで、九八年、ことしの三月二十七日、沖縄県知事がびっくりして中止を指示したというのが指摘されているのです。 建設省にお聞きします。日本生命保険相互会社が九七年十一月二十八日に川平リゾート開発から土地を取得したのは事実ですか。それから、告発されているように、日本生命保険相互会社が昨年末ごろからことしの三月三十日までの間に土地をいじり始めたということは事実ですか。そして、それについて日本生命保険相互会社は都市計画法の開発申請を出していますか。開発許可とっていますか。それだけ答えてください。
○岡田説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘の時期に日本生命が土地を取得いたしまして、ホテル等の建築物の建築の工事、そのほかテニスコート等の建設工事というものが行われておったというところでございます。 沖縄県が三月に現地調査を行ったわけでございますけれども、これらの工事の中には、かなり大規模な切り土、盛り土、こういうものが行われているということでございまして、その規模も開発許可の基準になっております三千平米を超えるというような状況があるというふうに県において判断いたしまして、三月末でございますが、本件工事については都市計画法による開発許可を受ける必要があるということ、またその間工事を停止するようにということを工事施工主に対しまして指導いたしまして、施工主もこれを了承して工事は停止しておるというふうに聞いてございます。現段階で改めての許可申請というのはまだ行われていないというふうに承知してございます。
○木島委員 法律問題、一点だけ質問しておきますが、先ほど言いましたように、この土地は、川平リゾート開発が平成二年九月に開発許可をとって、そして平成四年変更をとって、そして道路、テニスコート、駐車場等をつくって、それで一遍それは完結しているということですね。その後、昨年十一月二十八日に日本生命保険相互が土地を買って、そして土地をまたいじり始めた。 そうすると、土地造成ですか、土地をいじり始めた場合は、前の許可はもう失効といいますか、それが完結して終わっていますから、本当に日本生命保険相互が土地をいじりたければ、新しい都市計画法に基づく開発申請をきちっとして沖縄県知事から許可をとらなければ土地はいじれない、そういう法律関係であることは間違いないですか。土地を買ったから前の許可でいじれるんだということにはならぬことは間違いないですね。
○岡田説明員 お答え申し上げます。 敷地の造成がされた後で建築工事が行われる、その限りのものであれば改めての許可というのは要らないわけでございますけれども、それを超えて土地の区画形質の変更を行うということであれば、これは新たな開発行為ということになりますので許可が必要になるということであろうと思います。
○木島委員 そこで聞くのですが、じゃ、建築のための土地をいじるというのはどの程度まで許されているのですか。建築に関係ないところまで土地をいじることは許されないわけでしょう。そこを。
○岡田説明員 お答え申し上げます。 建築物の建築と開発に当たるものとの線をどこで引くかというお尋ねだと思うわけでございますが、実際の開発の態様というのは多種多様でございますので、個々の中身を見ないでの決めつけというのはなかなか難しいところはあるわけでございますが、現在私ども大体全国共通してとっておる見解ということでいいますと、建築物の建築自体と不可分な一体の工事と認められる行為、例えば基礎打ちであるとか土地の掘削、こういうものにとどまるものであれば建築行為に入るのだろうというふうに考えておりますが、やはり大規模な切り土、盛り土を行うというようなものであれば、開発行為に該当するということで運用されておるというふうに承知してございます。
○木島委員 はい、ありがとうございました。 そこで、最後に大蔵省に聞きます。いろいろなものによりますと、本当は日本生命保険相互会社が九〇年代の当初からかんでいたんだ、しかし実際は、当時は保険会社は不動産取得については大蔵省の規制が非常に厳しくて土地は買えなかったんだということがあったやに物には書かれております。 そこで、まとめて聞きます。一九八九年当時、生命保険会社が不動産を取得するについての規制はどうだったのか端的にお答えいただきたい。その後、規制緩和されたと思うのですが、大蔵省が規制緩和のために出した通達の時期と、要点だけでいいです、どういうふうに緩和されたのか。二回ほど緩和されているはずですが、大蔵省に答弁願いたい。
○高橋説明員 お答えいたします。 生命保険会社の不動産の取得に関します規制の変遷ということでございます。まず、平成二年当時どのような状況であったかということでございますけれども、当時、通達におきまして、個別の案件ごとに、一件二十億円以上、土地に関しましては十億円以上でございましたが、この不動産取得については事前届け出とし、また、一件五十億円以上のものについては銀行局長の事前承認とされていたところでございます。 その後、先生御指摘のとおり何度か改正が行われておりますが、一回は平成四年七月、承認にかからしめる範囲を本社に係る五十億円以上の物件に緩和をいたしました。二十億円以上のものについての事前届け出は存続でございます。さらに、平成五年四月の通達改正によりまして、二十億円以上、土地については十億円以上でございますが、この不動産取得に係る事前届け出について廃止したところでございます。 さらに、二回ということでございましたが、もう一回ございまして、平成八年四月の改正保険業法の施行とともに、五十億円以上で本社に係る営業用不動産の事前承認を事前届け出に緩和したところでございます。 このような緩和は、個別の規制の規制緩和、それから簡素化の観点から累次行ってきておりまして、平成二年以前にもそのような緩和がとられていたところでございます。
○木島委員 最後にしますが、一点、二点聞きます。 最初に、私が質問した川平リゾート開発がやろうとした建物、非常に大きな建物が計画されているのですが、建設省に聞くのですが、それの建物の建築費用と土地代、全部ひっくるめて何億ぐらいの開発だったのかつかんでいますか。 それと、今、日本生命がやろうとしている、大変な開発なんですが、何億ぐらいの開発なのか。それを建設省、つかんでいたら教えてください。
○岡田説明員 ちょっと具体の開発計画の工事費等については承知しておりませんので、御了承願います。
○木島委員 私が質問したのは、保険業界と大蔵官僚との癒着問題を質問しました。やはり、今回のこの規制緩和の問題ともそれは関係ないわけではないと思います。今、告発が現地の県警本部長に対して出されているところでありますが、接待問題全体も含んで、やはり法に触れることがあったら、これはもう警察がきっちり捜査して、その後を受けるのは検察、法務でございます。きっちりその辺も見て、厳正なる捜査と処分をしていただきたい、これから将来の話ですが。その決意を法務当局に述べていただいて、質問を終わります。
○原田(明)政府委員 検察は、事案によりまして、証拠により認められる事実に基づき、適切に処理してまいるものと考えます。
○木島委員 終わります。 ――――◇―――――
○笹川委員長 次に、内閣提出、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。下稲葉法務大臣。 ――――――――――――― 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関 する法律案 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案 刑事訴訟法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○下稲葉国務大臣 組織的な犯罪に対処するための法整備に関する三法案について、一括してその趣旨を御説明いたします。 近年、暴力団等による薬物、銃器等の取引や、これらの組織の不正な権益の獲得等を目的とした各種の犯罪のほか、オウム真理教事件のような組織的な大量殺人事犯、法人組織を利用した詐欺商法等の経済犯罪など、組織的な犯罪が少なからず発生しており、我が国の平穏な市民生活を脅かすとともに、健全な社会経済の維持発展に悪影響を及ぼす状況にあります。 一方、このような組織的な犯罪の問題については、最近における国際連合の会議や先進国首脳会議等においても最も重要な課題の一つとして継続的に取り上げられており、国際的にも協調した対応が求められ、主要国においては法制度の整備が進んでおります。 そこで、この三法案は、このような状況を踏まえ、これらの犯罪に適切に対処するため、必要な法整備を図ろうとするものであります。 まず、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案の要点を申し上げます。 第一は、組織的な犯罪に関する処罰を強化することであります。 これは、一定の類型に該当する組織的な殺人、詐欺等の処罰を強化するほか、組織的な殺人の予備罪の処罰の強化等に関する規定を設けるものであります。 第二は、いわゆるマネーロンダリングの規制等 に関するものであります。 その一は、一定の犯罪行為により得られた犯罪収益等を用いて法人等の事業経営の支配を目的とする行為及びその隠匿等を処罰するほか、その没収及び追徴に関する制度を拡充整備するものであります。その二は、疑わしい取引の届け出制度の拡充であり、銀行その他の金融機関等に対し、その取引において収受した財産が犯罪収益である疑いがある場合等にその届け出を義務づける措置等を定めるものであります。その三は、没収及び追徴に関する国際共助手続を整備するものであります。 次に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案は、組織的、密行的に行われる殺人、薬物及び銃器の不正取引等の重大な犯罪において、犯人間の連絡等に用いられる電話等の傍受を行わなければ犯人の検挙及び事案の真相解明の目的を達成することが著しく困難な場合が増加する状況に対処するため、犯罪捜査のために強制処分として行う電気通信の傍受に関し、その要件、手続その他必要な事項を定めるものであります。 この法律案の要点を申し上げます。 第一は、通信傍受の要件等についてであります。 通信の傍受は、密行的かつ継続的に行われるものであることにかんがみ、対象とする犯罪を一定の重大な犯罪に限定し、他の方法によっては真相の解明が著しく困難な場合に限るなど、従来の強制処分よりさらに厳格な要件、裁判官に対する令状の請求及びその発付の手続等を定めることとしております。 第二は、傍受の実施に関する手続等についてであります。 傍受の実施の適正の確保及び関係者の権利保護を図るため、令状の提示、傍受をした通信の記録の取り扱い、通信の当事者に対する通知、不服申し立て等に関する規定を設けることとしております。 第三は、通信の秘密の尊重等についてであります。 制度の運用状況を明らかにするため、これを国会に報告すること等を政府に義務づけるものとし、また、通信の秘密の保護の充実を図るため、捜査等の権限を有する公務員がその職務を行うに当たり犯した電気通信事業法等の通信の秘密侵害罪について、いわゆる付審判請求ができるものとしております。 次に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の要点を申し上げます。 第一は、電気通信の傍受に関するものであります。 これは、犯罪捜査のために電気通信の傍受を行う強制の処分ができる旨の根拠規定を同法に設けるものであります。 第二は、証人等の保護に関するものであります。 証人またはその親族に対して、脅迫、威迫等が行われることがしばしばあり、これに対する不安があることが証人等として刑事手続に協力することをためらわせ、刑事手続の円滑、適正な実施を妨げる一因となっていることから、証人等の身体または財産への加害行為等の防止を図り、証人等の不安を軽減、除去するため、これらの行為が行われるおそれがある場合に、証人等の住居等が特定される事項についての尋問を制限することができること等の措置を定めるものであります。 以上が、これらの法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 三案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 次回は、来る十五日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四分散会 ――――◇―――――