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142回国会衆議院1998/05/08

法務委員会 第13号

発言数
134
登壇者
12
会派数
6
開催日
1998/05/08

会議録

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、参議院送付、保護司法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田勇君。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 平和・改革の上田でございます。きょうは保護司法の一部を改正する法律案につきまして何点か御質問させていただきます。  保護司の皆さんの活動につきましては、いろいろと法務省の方からも詳しく御説明をいただきまして、本当に皆さん、全国五万人近い保護司の皆さんが、それぞれ仕事などを抱え忙しい中で、社会にとって本当にとうとい仕事をボランティアとして取り組んでいただいている、このことにまず深く敬意を表するものであります。私も何人かの保護司をされている方々を存じ上げておりますけれども、皆さん、御自身の仕事やプライベートな時間を犠牲にしてまでいろいろと貢献をいただいているということにおいては、本当に頭の下がる思いでありますし、また皆さんそれぞれ人格、見識とも尊敬できる方々ばかりであるというふうに思っております。  ただ、であるからこそ、最近起きてきている幾つかの出来事というのは、こうしたとうとい職務を全うされている多くの保護司の方々の社会的信用を傷つけるというようなものもありますし、本当に残念でなりません。  とりわけ、これは後ほどちょっと質問でも触れさせていただきますけれども、保護司組織による政治資金パーティー券あっせんにかかわる報道であるとか、あるいは保護司をしている国会議員の、公職選挙法に抵触するのではないかというような報道等、いずれも国会議員が絡むことであるだけに、本当に全国の保護司の皆さんには申しわけないという感じがする次第であります。  こうした問題点については後ほど触れさせていただきますが、まずはちょっと法案の中身につきまして何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。  先日の提案理由の説明の中で、こういうところがありました。「近時の社会風潮等によって、保護司として有能な人材の確保が容易でなくなりつつある」とありましたけれども、法務省の資料を拝見いたしますと、保護司の定員に対する充足率、これは近年、九二%、九三%、ほぼ一定で推移しております。となると、この人材の確保が容易でなくなりつつあるというのはどういうことを意味されているのか、御説明をしていただきたいというふうに思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 ただいま委員がおっしゃいましたとおり、保護司の充足率というのは保護司法に書いてございます定員の五万二千五百人のほぼ九二、三%で最近十年間は推移してきているわけでございます。  さらに充足率を高めるべく常日ごろ努力をしているところでございますが、近年、都市化現象あるいは核家族化の進展に伴って地域社会の連帯感が希薄化しているなどの理由によりまして、無報酬で地域社会のために困難な仕事に従事するという保護司をやろうとおっしゃってくださる方で適任者を確保することが実際のところ大変困難になってきているのでございます。  例えば、大都会でございます東京においては、本年一月一日現在の充足率は八七・六%でございまして、全国平均よりもかなり低い状況にございます。  また、保護司は年々高齢化する傾向にございまして、本年一月一日現在の平均年齢は六十二・九歳となっております。保護観察事件等の複雑困難な状況が生じている中、特に保護観察事件の約七割が少年事件であるということを考えますと、高い活動力を備えた若手の保護司を数多く確保することが必要であると考えている次第でございます。  そこで、今回の法改正によって、現在も組織されております保護司組織を、もう少し、この保護司の確保という面でも大いに活発に活動していただこうということで、保護司組織の強化を図るということを目指しましたし、また、地方公共団体には地域のいろいろな情報が集約しているわけでございますので、地方公共団体との連携を一層強める方策をとりまして、地方公共団体からも保護司としての適任者の御推薦をいただくということを目指している次第でございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 今の御答弁、ちょっと確認をしたいのです。おっしゃりたいことは、一つは、最近は余りなり手がないのだけれども、何とか頼み込んで無理やりやってもらっている、あるいは、いわゆる従来の資格要件みたいな基準からすれば少し首をかしげたくなる人にも頼んでいるというようなことをおっしゃりたかったのでしょうか。その辺、ちょっとお答えいただきたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 答弁の仕方がまずくて、無理やりやってもらっているというように聞こえたとしたら、まことに申しわけございません。  実際のところ、保護司にお願いするときには、いろいろ御本人がためらわれることもございまして、お願いしてなってもらうケースも非常に多いわけであります。ただ、それだからといって、保護司の職務の性質上、どなたでもよいというわけではございませんで、大体のところは、現在保護司であられる方が、自分の周辺あるいは自分の地区の中から保護司にふさわしいと思われる方を何とか探してきて、保護司にお願いするというような状況が続いております。  これは、保護司の中でも、特に幹部あるいは特に熱心な方々が一生懸命努力をしてくださっているところでございますが、今後は、組織活動を強化いたしまして、組織全体でこの問題に取り組んでいくことによって、一層広くまた深く情報を集めて、適任者を確保することができるのではないかと期待しているところでございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 もちろん、大変貴重なとうとい仕事を職務として保護司の方はされているのですけれども、今おっしゃったように、やはりこれはボランティア、無報酬でありますから、そういう意味ではなかなかなり手がないというのはよくわかるのです。  今、これからの方策、対策についてもいろいろ言及があったのですが、どうしても、今のこういうボランティアという形で十分に保護司のなり手がない、あるいは機能がしなくなるということであれば、この制度自体、やはり社会の進展とともに少し合致しなくなってきているということなのかどうか。そういう印象も受けたので、すぐに制度自体を変える、どうのこうのということではございませんけれども、その辺も含めて検討する必要があるというふうに感じた次第です。  ちょっと話は変わるのですが、ある資料によりますと、保護観察事件を担当していない保護司の方が全体の四割から五割近くいるというふうに書いておりましたけれども、なぜ、最も重要な職務であります保護観察事件を担当されないのか、また、こうした担当されていない保護司の方というのはどういう職務を主にされているのか、その辺をお伺いしたいというふうに思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 まず、保護司がどういう仕事をしているかということでございますが、まず第一は、委員おっしゃったとおり、保護観察の実施でございます。  それから、さらに重要な仕事としては、対象者がまだ矯正施設、刑務所、少年院等に在監している間に釈放された場合に、本人がスムーズに社会復帰できるように、家族との関係あるいは職場との関係等、間に入っていろいろ調整する仕事がございます。環境調整と我々申しておりますが、それが第二の重要な仕事でございます。  さらにまた、保護司のもう一つの大きな活動分野として、地域の犯罪予防活動の助長ということがございます。  確かに、保護司になられた方全員が保護観察事件を担当しておられるというわけではございません。  その大きな理由といたしましては、全国を九百三の保護区に分けておりまして、津々浦々、僻地に至るまで、保護司を常時配置しているという体制でやってきております。したがって、人口の少ないところは必然的に定員数が少ないのでございますが、その中でも、保護観察事件の過疎地域といいますか、事件が非常に少ない地域もございまして、そういうところの保護司の方々は事件を担当しない時期が結構長くあるということもございます。  さらにまた、都会部の中でも、同じ保護区といっても、いろいろ交通の便が不便であって、対象者が帰住する町内と保護司の住んでおられる町内とが交通の便でなかなか通いにくいというようなときには、対象者の帰住地の近くに住んでおられる保護司に担当していただくということもございます。  そういうことが結構あるそうでございまして、団地の近くの保護司の方には、団地の中に保護司がおられる場合は逆に件数が非常に少なくて、団地に保護司がおられないときには集中するというようなこともございます。これは、対象者が困ったときなどに、気軽に、余り困難を伴わないで保護司を訪ねることができる体制をつくるという配慮からでございます。  そういうことで、保護観察事件を担当しておられない保護司の方もたくさんおられます。さらにまた、今申し上げました保護観察事件あるいは環境調整事件を担当しておられないで、主として地域の犯罪予防活動の方に力を注いでくださっている保護司の方々もおられるわけでございます。  そういうわけで、保護観察事件を担当しているかだけで、保護司の職務に熱心に取り組んでいただいているかどうかを判断するわけにはまいらないというように考えている次第でございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 次に、今回の改正点でもあります、保護司組織の法定化の問題についてお伺いしたいのです。  現状では、保護司会及び同連合会というのは任意団体であるということであります。いろいろ御説明を伺う中で、保護司が職務をきっちり遂行していくに当たっては、やはりこの保護司組織に加わって密接な連絡をとっていかなければいけないということは今でもそのとおりで、それが任意団体のままで置かれているということについてはどうもやはり不自然な面があるというのは確かにそのとおりだというふうに思います。  改正によりましてこれが法定化されまして、さらに法案の第八条の二ですか、これで保護司の仕事の中における保護司会の役割も明記されるわけでありますので、これによって、保護司の方々は義務的に全員が保護司会に加わるということになるのでしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 保護司組織はいろいろレベルがございますけれども、保護司相互の処遇の支援それから保護司に対する研修をやっておりますし、さらに犯罪予防活動については、最近とみに組織として対応するという場面が多くなってまいりました。そして、現在保護司になってくださっている方は、全員それぞれの地域の保護司組織に既に加入していただいております。  今回の法改正は、そういう保護司組織の機能を一層充実強化するという目的で行ったものでございまして、なお一層全員参加してやっていただくことが期待されておりまして、そのように考えております。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 もう一点、改正点で地方公共団体の協力規定の新設がございますけれども、提案理由説明にもありましたように、保護司及び保護司組織はこれまでも地方公共団体からさまざまな支援を受けているということであります。現状でもそうした物的、人的支援を受けているのであれば、あえて協力規定を新設する理由は何なのか。また、こうした協力規定を新設することによってその支援の質的、量的な改善を期待してのことなのか、その辺をお聞きしたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 委員おっしゃいましたとおり、現状においても、各地方公共団体から保護司及び保護司組織は人的、物的にいろいろな御協力をいただいているわけでございます。ただ、地方公共団体が更生保護の分野である保護司、保護司組織に対して協力することができるという根拠法規が現在のところございません。それに伴って、地方公共団体の保護司及び保護司組織に対する協力の度合いは相当程度に差がある、まちまちの状態である上に、地方公共団体によっては、根拠規定がないことを理由に、そういうことをしてはいけないのじゃないかという感覚で物をとらえておられるところもあると聞いております。  そういう状況の中でございますので、現在地方公共団体から御支援をいただいているのは地元の保護司と保護司組織の自助努力と各地方公共団体の保護司活動に対する御理解の程度によって差が出ている、こういうわけでございまして、その根拠規定を置くことが望ましいと考えた次第でございます。  また、今回の法改正で目指していますのは、地方公共団体が保護司及び保護司組織に対して協力することができるという規定を置くと同時に、保護司の方も、各地方公共団体が責務として負っております防犯活動に積極的に参加をしていくという規定も設けておりまして、相互にこの犯罪予防活動、その他の更生保護の分野で相互の協力関係、連携を深めて、一層効果的にこの職務を遂行していただきたいということを考えている次第でございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 改正点の趣旨についてはおおむね理解いたしました。  次に、これはちょっと冒頭も申し上げましたとても残念な事件の一つでありますが、先日の新聞報道によると、全国保護司連盟が同連盟の会長を務めます国会議員の政治資金パーティー券の購入を地区保護司会の幹部に依頼しており、それに対して法務省が口頭で注意したという記事がございます。  そこで、まず初めに、この口頭注意というのはどういうものなのか、またその内容はどういうものであったのか、そのあたりを伺いたいというふうに思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 この全国保護司連盟、全保連と称しておりますが、その事務局が全保連会長の政治資金パーティーに参加するべく保護司組織内に呼びかけたという問題については、参議院の法務委員会でも指摘されたことでございますので、この機会に、私どもが承知しておりますこの問題についての状況を簡単に御説明いたしたいと思います。  委員おっしゃいましたように、本年の二月二十六日に御指摘のパーティーが開催されたことは事実でございますし、その直前に全保連事務局と銘打って保護司組織内にこのパーティーに参加したらどうかという文書を送りつけたということも事実でございます。事務局を呼んでその状況について確認いたしましたところ、実は、この会長が二十五周年国会議員として在職されたことについて国会から表彰を受けられるという栄誉に浴されたということでございます。昨年の十月三十日のことでありました。  そのことを聞いた全国保護司連盟の事務局は、昨年の九月から、自分たちの会長のお祝い事であるので、保護司組織の中でもぜひ祝賀会を開催してお祝いをしょうというように企画していたそうでございます。そのときは保護司会の中だけで会費を持ち寄って、約一万円ぐらいはかかるだろうということで、会費を持ち寄ってすることを考えていたのですが、会長との日程の調整がなかなかつかないままに推移していたという中で、その会長の表彰が行われた直後ころ、会長のお仲間の議員の方々が集まって会長の勤続二十五周年の祝賀会を開催されるという情報を聞き込みまして、会長と保護司会としての祝賀会の日程がなかなか合わないことから、この大きな祝賀会に参加させていただこうということを考えたそうでございます。ちょうどこの会長の大きな祝賀パーティーも会費が一万円だったということで、自分たちがやろうとしていた会とそう変わらないものと考えたそうでございます。  そこで、このパーティーに参加をさせていただくことにして、東京都保護司連盟の幹部と全国保護司連盟の東京近辺在住の幹部とそれから東京の保護司会長等に文書を送りつけて、祝賀会に出たらどうかと呼びかけたとのことでございます。  議員御質問のどういう注意内容かということにつきましては、保護司のお一人お一人は政治活動も全く自由でございますし、立候補して議会の議員になることも全く自由なのでございます。そういうこともあって、全くの任意団体である全国保護司連盟というものの政治的な活動について、私ども法務省としていわゆる注意をするという権限があるのかどうかははっきりしませんけれども、事務局長を呼びまして、保護司にはいろいろな政治的立場の方がなっていただいているのでありまして、したがって、保護司組織としては政治的中立を守って、堅持してやっていくのが、保護司活動を円滑に推移させるために重要なことではないかということを申し上げました。  実際のところ、私どももよく知っておりますし、全国保護司連盟の会長も保護司歴の長い方ですから十分そのことは理解しておられますし、これまで、保護司法が昭和二十五年に制定された後、約五十年にわたって保護司組織は政治的中立を堅持してやってまいりました。したがって、これまでに、そういう政治的活動をしたということで問題になったことは一度もないと承知しております。それだけに、そういう政治活動については事務局の方は疎かったというのも事実でございまして、事務局長は、大変うかつなことをしてしまったと恭順の意を表して、今後二度とこういうことがないようにいたしますということでございました。  私としては、保護司組織が政治的中立てやってきたことはよく知っているけれども、政治資金パーティーということの持つ意味をよく考えると、かりそめにも誤解を受けるような軽率なことはやっては困るという話を申し上げた、こういうわけでございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 今局長から、事件の経緯も含めまして御丁寧に御説明をいただいたのですが、この一連の経緯並びに法務省の見解として、ひとつ大臣の方からも御所見を伺いたいというふうに思います。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 今、経緯につきましては政府委員から答弁いたしたとおりでございます。  全国保護司連盟の会長さんが議員在職二十五周年のお祝いをしようという、純粋な気持ちでそういうふうなことを考えていたようでございますが、自分たちだけでそういうふうな機会ができなくて、そして、いわゆる政治資金規正法に基づくパーティーに乗っかったような格好になっちゃったと。  今申し上げましたように、私は、保護司組織というものは、一人一人の個人の政治活動はともかくとして、組織としてはこれは絶対に中立てなければならない。そしてまたそういうふうな伝統を、今政府委員からも話をしましたように、五十年にわたって守ってきているわけでございまして、大変遺憾で残念なことだ、こういうふうに思いますし、そういうふうな点を、法律も新たにまたできることでもございますし、一層厳重に堅持するように指導してまいりたい、このように思います。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 局長の方からも、今の保護司組織というのは原則、任意団体なので、法律的に言えば、責任を問うというような問題ではないというような話もありました。しかし、今大臣の方から、やはり、この政治的中立性というのはこれまでも堅持されてきたし、とりわけこれから、この法改正も伴いまして重要になってくるという御答弁をいただきまして、全くそのとおりだというふうに思います。  これまでの政治的中立性というのも、やはり保護司の職務の内容や保護司組織の実態を見ればこれは当然のことでありますが、とりわけ今回の改正によりまして、この保護司組織が法律で定められた組織になる、また、保護司は、それぞれの個人の考え方や政治的信条にかかわらず、全員が保護司会に加わるということによって仕事をする、これは法律で決められる、先ほど御答弁をいただいたとおりであります。  また、これまでも実質的にはあったものの、地方公共団体からの協力、これも法律に明文化されるということであれば、もちろん、それぞれの保護司の個人の政治活動の自由、これはもう保障されるのは当然でありますけれども、組織としては、従来にも増してその政治的中立性というのは、今度は法律で厳しく求められるということになるのじゃないかというふうに思うわけであります。  とりわけ、保護司組織による今回の件のような、政治家や政治団体への寄附あるいは政治資金パーティー券の購入やそれらのあっせんといったことは、これは数年前、いわゆる九州の税理士の政治献金訴訟の例でも、最高裁判決の中で、税理士会というのは、税理士になるためにはだれもが所属しなければならない組織なので、そこにおいてそういう政治献金等の取り扱いをするというのは不適当であるというのも、その判決理由の一つでありました。その趣旨を考えれば、やはりこの改正後の保護司組織においては、そうした政治家や政治団体への寄附あるいはパーティー券の購入、それらのあっせんといったものは禁止されるというふうに考えるべきだと思います。  また、政治資金規正法においても、公的補助金等を受けている団体の寄附やパーティー券の購入は禁じられておるわけでありまして、必ずしもそれがダイレクトに適用されるわけではありませんが、その趣旨に照らせば、保護司組織が今回は法律で地方公共団体の協力が明示されているということであれば、やはり法律の趣旨には沿わないことではないかというふうに思うわけであります。  したがいまして、特に今回の改正によりましてこれから、法案によりますと、保護司会等に関する必要な事項というのは法務省令で定めるということになっておりますけれども、あるいはほかの方法でも考えられるのかもしれませんが、やはりこうした事柄が起きたことをきっかけに、明らかにしていただきたいというふうに思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 今回の法改正によりまして保護司組織が法定化されますと、その公共性は一層強まるものと考えます。組織として特定の政治的立場での活動は、従前同様行うべきではない、法定後は一層そのように指導してまいりたい、このように考えます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 保護司会等に関する必要な事項は法務省令で定めるというふうにあるのですが、具体的な内容はこれからなのでしょうけれども、そこにこうした趣旨がはっきりわかるように盛り込むというようなお考えはないのでしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 法案の八条の二第四号に規定しております省令で定めることの内容といたしましては、保護司組織が、犯罪をした者の改善更生を助けることに資する福祉機関、医療機関及び教育機関等の協力の推進を図る活動等、幾つかその内容を規定する予定でおります。  委員おっしゃいましたとおり、今後はなお一層、保護司組織が政治的中立を堅持して組織運営をやっていかなければならないということは、そのとおりでございますが、法務省規則に書かなくても理の当然でございまして、通達その他、いろいろな保護司組織との会合がございますので、その都度明確に指導してまいりたいと考えております。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 これまでは、保護司組織というのは任意団体であったので、それにかかわるいろいろな規則であるとか、省令その他規則というのはなかったのは当然のことであるというふうに思うのですけれども、今回それが設けられるわけでありますので、今大臣からもなお一層ということでありましたので、これをきっかけに、ぜひそれがわかるような、内容も含めた御検討をいただければというふうに要望したいと思います。  それで次に、実は、こうしたいろいろな報道に接すると、政治家が保護司をされている方というのは結構多いのだなというのでびっくりしまして、法務省にちょっと調べていただいたら、今保護司をされている、国会議員で十人、地方公共団体の首長さんが六十九人、地方公共団体の議員の方、これは若干議員なのかどうなのかわからない部分もあるということでありますが、約七百五十名だそうでありまして、全体で八百人を超える議員の方が保護司を務めているということであります。  もちろん、こうした方々が人格、識見とも本当に立派な先生方であるとは思うのでありますけれども、一つは、保護司の要件に、職務の遂行に必要な時間的余裕が十分あるというようなこともあるのですけれども、本当に議員を務めながらそういうことができるのだろうか、そういう要件を満たすのだろうか。特に、首長さんや国会議員であればかなり難しいのじゃないのかなというのが本当のところでありますし、政治家が保護司会の中で活動されておりますと、その会の、先ほどから問題になっている政治的中立性の確保についてもいろいろ難しい面もあるのではないかというふうに、これは率直な気持ちであります。  また、私の知り合いの保護司の方でも、どうしてもやはり同じ保護司会に所属している議員がいれば、後援会の会合の出席だとかパーティー券の購入を頼まれることもあるし、おつき合いで応じることもあるというようなこともおっしゃっていました。その最初の意図はともかくといたしまして、そうした保護司組織を政治的に利用するということに結果なっているということもあるのではないかというふうに思います。  それで、私も初め、そのためにもそういう公職にある政治家については、在職中は保護司の職務の性格上から見ても委嘱を控えるべきではないのかなというふうに考えたのですけれども、いろいろと法務省さんの方から説得もされまして、それはなかなか、確かにこれだけの人数がいると、その人たちが全部だめだというのは難しいというのは理解できることでもあるのですが、少なくとも保護司を務める議員の方には、やはり保護司組織というのは、先ほどから出ているように、政治的には厳に中立であるのだということ、それから保護司組織はいかなる形でも政治的には利用しないのだということ、また組織の中では政治的意図を持った活動はしないというようなことをぜひ徹底していただきたいというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 保護司法には、委員おっしゃいましたとおり、熱意と時間的余裕があることというのが一つの具備条件になっているところでございます。  委員の御指摘は、多忙な人はその時間的余裕がないから保護司としていかがなものかということでございますけれども、実際に保護司をやっていただいている方々は、地域のために大変忙しく、さまざまな役割を果たしておられまして、幅広い活動をされておられますだけに、一層また忙しくなる。そういう多忙な中で、更生保護の理念に賛回して、そのための活動に相当の時間を割いていただいているという実態でございます。その点を御理解いただきたいと思います。  保護司をお願いしている政治家の方であっても、実際に保護観察事件を担当されておられる方もありますし、国会議員の方でも事件を担当してくださっている方もおられます。あるいは、そういう事件を直接担当されなくても、先ほど申し上げたとおり、犯罪予防活動の面で先頭に立って街頭に立っていただくようなこともございます。  そういうわけで、ただでさえなかなか、犯罪を犯した者の、判決を受けた後の改善更生に関して一般国民の理解が得にくい分野で、国権の最高機関である国会議員の方が仮に保護司を務めてくださっているとすれば、それだけで、一般には非常に大切な職務であることが国民の皆さんにもわかりますし、保護司の皆さん方にも安心して保護司の道を歩んでいただけるというような効果もございます。  ただ、何の活動もしないでただ保護司の身分だけというようなことではあるいは困るのかもしれませんが、実際にはさまざまな分野で御活躍を願っているのでありまして、先ほど委員がおっしゃいましたとおり、パーティー券の購入を頼まれるというようなことがもしあるとしても、それは、保護司の個々、個人の政治的な自由と保護司組織の中立性との板挟みという一般的な問題に帰するわけでございまして、ただそのことのみをもって政治家が保護司になっては困るというようには私どもは考えてはおりません。  また、保護司組織の長につきましては、これは申し上げるまでもなく保護司組織の自主的な判断によって選任されているものでございますが、更生保護の中核である保護司組織の全国の長となるとするにふさわしい人格、識見を備えた方をお迎えしているというのも事実であろうと考えております。全国保護司連盟に関しましては、歴代、国会議員の方に会長を務めていただいている次第でございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 もう時間がなくなったので終わりますけれども、私が申し上げたいことは、別に議員の人が保護司になるのが不適格だというようなことではなくて、政治的中立性ということを強調されるのであれば、それが確保できるような体制をちゃんとつくっていただきたい。  保護司の接する方々というのは、対象者になる場合は、どうしてもその対象者やその家族の方々がいろいろな影響を受けるわけでありますので、その点、先ほどから大臣初め政治的中立性ということを訴えておられますので、その辺は、それが現実の意味においても担保できるような形をこれから整備していっていただきたいということを最後に御要望して、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 安倍基雄君。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 この改正そのものは、私は前向きでいいと思うのですけれども、ただ、ちょっと基本問題がある程度あるだろうと思いますので。  説明にも、この制度はたぐいまれな制度であるというような説明もしておりますが、まさに、日本はボランティアが少ない少ないというところで、これは本当に大きなボランティアだな、これだけのボランティアがあるのかなという気がしますが、反面、こういった問題をすべてボランティアに任せておんぶしていていいのかなという問題もないわけではない。  これは、どの国でも似たような問題があると思いますけれども、諸外国、そういったところで、私が聞くところによりますと、これはむしろ公務員が直接やっているという国もあるようでございますけれども、特に欧米においてこういつた活動をだれにやらせているのかということについて、簡単な御説明をしていただきたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 私ども、欧米を初め諸外国の更生保護に関する制度についてそう詳しく調べているわけではないので申しわけございませんけれども、現在まで承知いたしておりますところによりますと、欧米諸国の中ではスウェーデンに我が国の保護司制度によく似た制度があるというように承知しております。それ以外の一般の欧米諸国においては、特に保護観察というような制度は本来の公務員が行うべきであって、民間ボランティアに任すべきではないという思想がかなり強うございまして、日本の保護司のように濃厚な保護観察を民間人に任せているという国はほとんどないのだろうと思っております。  その理由としては、つまびらかなところはわかりませんけれども、我が国の制度が、保護観察というのは刑の執行猶予や仮出獄に伴う付随的な措置であるというのに対して、アメリカやイギリスなどのように保護観察が独立した刑罰だ、つまり刑罰の執行だということが大きく影響しているのではないかと言われております。  また、実際のところ、アメリカについて申し上げますと、日本の状況とは犯罪情勢が決定的に違っておりまして、最近の統計によりましても、例えば殺人事件では、人口十万人当たり日本が約一件に対してアメリカでは八件から九件ぐらい起こっている。あるいは強盗事件に関しては、人口十万人当たり日本は年間約二件の発生率でありますが、アメリカでは二百三十五件とか二百三十七件も発生しているという状況でございますし、私どもが承知している統計によりますと、一九九六年末の保護観察事件の係属件数が、連邦政府では三万四千三百一人、州政府においては全州合わせると三百十四万六千人というような、保護観察事件そのものの数字が日本に比べると格段に違うという状況もございます。  日本では、ある時点で保護観察事件を切ってみますと、現在のところ大体六万四千件ぐらいで推移している状況でございます。こういう犯罪情勢の推移が、こういう刑事司法制度のあり方にも大きく影響しているのではないかと考えている次第でございます。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 我が国は件数が少ないというのはいいことでございますし、保護観察がそれだけうまくワークしているということかもしれませんけれども、これからだんだんと犯罪が多発する可能性もある。場合によっては凶悪犯的なものについて保護司が身の危険を感じるようなことだってあり得るわけですから、これは全くボランティアにゆだねておいていい話なのかどうか。例えば、イギリスなんかも専門で従事している公務員が一万人ぐらいいるのですか、一万五、六千人とかいう話も聞いておりますが、こういうことで、大臣、ボランティアに非常に依存しているのもいいことではあるのですけれども、これは基本的にこのままでいけるのかどうかという問題もございます。  この点、これは最後のところでもう一遍お聞きしたいと思いますけれども、やはりこういう世の中の情勢の変化で、果たしてこういつたボランティアに頼り切っていていいものかという問題がございます。それは最後にまた大臣の考えをお聞きしましょう。  第二に、そうすると、ボランティアであるこの保護司のいわゆる負担ですね、大体どのぐらいの負担といいますか、何人くらい面倒を見ているとか、それから地域的にどうかという問題もあるのでございますけれども、この定員と負担との関係、一人当て大体何件くらい請け負っているのか。それから、これは無報酬でございますけれども、実費弁済というのもあるらしいのでございますが、一人当て年間大体どのくらい、報酬ではないにしても、いろいろな経費がかかりましょうけれども、それを受けているのか。その辺のお話をちょっと御説明願えますか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 保護司には日夜大変御尽力をいただいているわけでございます。  保護司一人当たりの担当事件数は、平成九年末において、保護観察については約一・三件、環境調整事件については〇・九件となっております。また、取扱事件数で平成九年度について申し上げますと、保護観察事件については年間約二件ということでございます。環境調整事件については約一・五件ということになっております。  実費弁償金については、事件の難易度によって一月幾らという計算でお出しをしているわけでありますが、平均いたしますと、年間を通じて一人約六万八千円ということでございます。その主たるところは、保護司は対象者の家を往訪と申しまして訪ねていって生活状況を見るという仕事もございますし、それから毎月一回対象者に会ってその状況を保護観察所長に知らせなければならない、報告義務を負っております。そういうことを合わせますと、それぐらいの金額では実際には赤字だということでございますけれども、現在のところその程度の実費弁償を出している、こういうことでございます。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 一人一件ちょっとというと非常に少ないように感じるわけですけれども、その中でも、それは相手によっては非常に難しい案件もあれば易しいものもありましょうし、また地域的なばらつきが随分あるのじゃないかなと私は思います。名前だけでほとんどそういった請け負う人がいない、案件がないケースもあれば、一人で何件も受け持つ。  この保護司の定数というか、それと一人当ての負担、ある程度時と場合によって修正しているのだと思いますけれども、保護司の数字は法制定以来余り動いていないような話もございますが、その辺はどう調整しているのですか。  現在、少なくともこういった観察案件はそんなべらぼうにふえているわけではないようでございますけれども、今後犯罪も多発するだろうし、何か聞くところによると、なかなか地域的な配分が、要するに、昔つくった配分で余り変わっていない、実態に応じて余り動いていないというようなことも聞いております。  でございますから、いわばどのぐらいの定数でやっておられて、どうやって現状に合わせていっているのか。それぞれの負担が一・幾らとありまずけれども、各地区によってそれぞれある程度負担の多い少ないの調査があるのかどうか、その辺をお知らせ願いたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 委員おっしゃいましたとおり、地域によって特定の保護司に担当事件が集中するということもあると聞いております。私の聞いたところでは、一人で六件ぐらい持たざるを得ない状況になったということがたまにはある、こう聞いております。  保護司の定数の問題でございますが、この定数は、保護司法の二条二項によって定員は五万二千五百人と定められております。これを法務大臣が都道府県の区域を分けて定める保護区ごとに、土地の人口、経済情勢、犯罪の状況その他の事情を考慮して定めることとなっております。  実際には、この法務大臣の権限は、全国に八カ所ございます地方更生保護委員会に委任されております。そして、この地方更生保護委員会が常時各保護区の人口の増減や保護観察事件の増減等を見ながら、状況を見て配分を変えているわけでございます。  北海道とか東北とかそういうブロック別及び各都道府県別に見ますと、現行の保護司法が制定された昭和二十五年以来、都市化による人口移動に伴いまして、ブロック別の保護司定数を見直したのが三回、都道府県別の保護司定数については、ブロック別の見直しを行った際に行ったのを合わせて合計八回の見直しを行っているところでございます。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 今の地域別の負担の多いところとか少ないところという調査はちゃんとしているのですかね。  それからまた、聞くところによりますと、ブロック別の定数はほとんど変わらないで、どちらかといいますとその中で調整している。一遍つくったものの中で、それはそれぞれ都市の犯罪が多くなったら都市へ移動してということがございますけれども、ブロックそのものの、北海道とか中部とか、そういう数字はほとんど変わっていないと聞いていますけれども、その辺は実情に応じてもう少し、例えば都会地域では、要するに案件が多ければ少しふやすとか、そういう措置が講じられてもいいのじゃないか。  それで、そういった調査そのものをどの程度当局がやっているのかということをお聞きしたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 現在私の手元にございます統計数によりますと、事件数の減少が著しい庁として、昭和六十三年末、平成九年末、それぞれ調査をしてございます。横浜、松江、大分、甲府などが減少が著しい庁ととらえられております。また、増加している庁として、熊本、仙台、宮崎、和歌山等が昭和六十三年と九年末にとらえられております。こういう状況を常時把握しておりまして、全国の委員長会同、あるいは各管内の保護観察所長会同を頻繁に開催しておりますので、その中で、実際に大変困難な状況が生じているときにはその都度状況が把握できるものと考えております。  ただ、この定員の配分は、保護観察事件数あるいは環境調整事件数のみによって行われるのではなくて、例えば非常に保護司数の少ない、あるいは事件数の少ない保護区であっても、犯罪予防活動を行う上で、あるいは組織運営の上で、余り減少させて二十人以下にするというようなことだと、かえって保護司組織を中心とした保護司の活動に停滞を来すということにもなりかねませんので、各般の状況を勘案しながら常時監視して、困難が生じた都度是正されていっているものと考えております。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 絶えず弾力的にやっているとおっしゃるけれども、ブロック別の配分というのはずっとほとんど変わっていないのですよ。関東とか近畿とか、その内部ではある程度調整しているけれども、全体のブロック別の数字というのはほとんど変わっていない。  これは大臣、定数というのが法制定ごろとほとんど変わらないで、しかも各ブロック別のいわば配分はほとんど変えていない。たまにしか変えない。今おっしゃるように、各地区それぞれのあれがあるとおっしゃるけれども、何十年ほとんど変わっていないということは、まさにちょっとおかしいのですね。  やはりこういう保護司制度をボランティアに頼みながらも、何というか、非常に件数の多いところも出てくるし、全く名前だけのも出てくる。そういうところに対してもう少し、絶えず注意を配りながらやっていくべきじゃないかと思います。  この点、定数がほとんど立法以来変わっていない。予算が変わっていない。しかも、実費弁償といっても、これはほとんど頭割りに近い形で、しかも年間六万円くらいですよね。それはまあ名誉職だから、つまりみんなボランティアなんだからということもあるけれども、いささかその辺、甘え過ぎているのじゃないかなという気がします。  そういった意味で、定数がほとんど変わっていない。ブロック別も変わっていない。実費弁償も少しずつ上げているようですけれども、ちょっとボランティアに甘え過ぎているのじゃないかと思いますけれども、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 定数は、委員御承知のとおり、現在五万二千五百名ということで、充足率が九〇%ちょっとということでずっと推移いたしておるわけでございます。  今回、定数の問題も法改正の際にどうだろうかということで議論したことは事実でございますが、今申し上げましたような状況でございますので、定数そのものをいじる必要はなかろうというのが一つの判断でございました。  委員御指摘のとおり、各ブロックあるいは都道府県問の問題について、この辺のところは御指摘のとおりだろうと思います。  したがいまして、案件のみならず、保護司さんはいろいろな仕事がございますので、その辺のところをどういうふうに総合的に検討して、そして定数の配分の問題等々につきましても、これはやはりある一定の期間ごとに検討すべき問題じゃなかろうか、このように思います。したがいまして、その辺は検討するようにいたしたいと思います。  それからもう一点の、実費弁償の金額の問題でございますが、これも、全国の篤志家の方々が大変生きがいを感じて、ボランティアということでお仕事をしていただいているわけでございまして、中には実費弁償の問題についてすら、そういうような気持ちでやっているんじゃないというふうなことで、頭の下がるようなお話も私自身も承っております。  だから、その気持ちは大変ありがたいと思いますし、それは尊重しなければならないと思いますが、お願いする私どもの立場からすれば、やはりできるだけ実費弁償の、幾らボランティアといっても実費に値するだけの面倒は見させていただきたいというのが我々の気持ちでございます。  発足当初といいますか、昭和四十三年当初、三十年前でございますが、これに比べますと四倍ほど上がっていることは事実でございますけれども、それで決して満足だとは思いません。そういうようなつもりで、年々、その辺のところは私どもの仕事だと思いますので、自覚しながらひとつ努力してまいりたい、このように思います。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 ボランティアの気持ちを尊重するということはあるのでしょうけれども、ある意味からいうと、これは、もし犯罪がだんだんと凶悪化してきますと、ある程度身の危険もあるような職業なんですよね。  ちょっと私、それと関連しまして、保護司と似たような形、民生委員とか人権擁護委員とかいろいろありますね。聞いてみますと、どうも民生委員というのはむしろ都道府県が面倒を見ているというか、中央から交付金を渡して、交付金をもらった府県は、それをそのまま渡す場合もあるし、オンして渡す場合もあるし、いろいろケースはあるようでございますけれども、いわゆる通常のほかの委員、ボランティアに頼んでおるのに比較してどういう差があるのか、その辺について、簡単な御説明をしていただきたいと思います。

樋口正昇厚生省社会・援護局地域福祉課長

○樋口説明員 先生お尋ねの民生委員でございますけれども、民生委員につきましては、民生委員法第十条によりまして名誉職とされておるわけでございます。報酬は支給されませんけれども、活動のための実費弁償費といたしまして、保護司の実費弁償費の伸び等に準じて算定されました額が地方交付税に計上されているわけでございます。  この地方交付税により手当てされます実費弁償費の金額につきましては、近年は毎年千円ずつ増額を行っておりまして、平成九年度の民生委員、児童委員の手当額は年額五万九千円となっているわけでございます。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 それに、地方公共団体がオンをしたりしているのじゃないのですか。

樋口正昇厚生省社会・援護局地域福祉課長

○樋口説明員 ただいまお尋ねの件でございますけれども、地方交付税に算定されておりますのは五万九千円でございますが、地方公共団体によりましては、その地域の実情によりましてこの額に上乗せをして支給しているというような地方自治体もあるのは、先生御指摘のとおりでございます。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 その辺の実態は、ある程度把握しているのでしょうか。

樋口正昇厚生省社会・援護局地域福祉課長

○樋口説明員 ただいまお尋ねの件でございますけれども、各地方公共団体によりまして支給されております実際の手当額でございますが、地方交付税に単位積算されております基準額を支弁しておる地方公共団体の場合、全体で七〇・二%でございまして、それ以外の市町村におきましては基準額以上の手当額となっております。  なお、民生委員の中に、総務とそれから一般民生委員、児童委員というふうな区分けがございまして、総務というのが代表といいますか取りまとめの委員でございますけれども、もう一度繰り返して申しますと、全体の中で、総務につきましては七〇・二%、それから一般民生委員、児童委員につきましては五五・二%の市区町村で基準額以上の手当額というふうになっております。ただ、その額も五万八千円から六万円でありますとか七万円でありますとか、若干上乗せをしておるというような、そういう非常に細かい区分けになっておりまして、実態は以上のような結果でございます。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 民生委員は非常に地方的な事務だ、片方の方は要するに国だというような考えで、それぞれ地方自治体の関与の度は違うようでございますけれども、今度、いわば自治体との関係でいろいろ規定を設けましたね。これは、聞くところによりますと、公民館を使わせるとか、何かまことに、要するにちょっと形式的な応援みたいな感じのように受け取るのですが、保護司というものが地域の犯罪防止に役立っているという実態は、歴然たるものなんですね。その面で、私は、地方公共団体がもう少しその責任を持つというか、国の責任だけじゃなくて、恩恵をこうむっているという要素が随分あると思うのです。  だから、いわゆる地方公共団体の協力規定というものが、その辺はどう考えているのか。最終的には、ある程度そういったことも含めて地方公共団体が応援しようというのか、いや、法は全然そういうことを考えていない、これはやはりあくまで国の問題であって、地方公共団体の応援というのは形式的なものなのか。いわゆる地方公共団体の協力というものをどう理解しているのか、今度の立法の趣旨ですね、それをお聞きしたいと思いますね。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 保護司の行っております、犯罪をした者の改善更生を導く仕事、保護司の職務というものがそれぞれの地域の秩序の安全を図る上で大きな貢献をしていることは、委員おっしゃるとおりでございまして、地方公共団体もそのことは十分に承知していると思います。また、地方公共団体そのものが、地域の防犯を促進して地域の安全を守らなければならないという責務も負っております。したがって、委員おっしゃるとおり、お互いに連携を強めて犯罪の抑止に努めていく活動を強力に進めていかなければなりません。そのように考えております。  現在、地方公共団体から財政的な支援も行っていただいておりますし、そのほか、例えば保護司の研修会に地方公共団体の施設を無償で供与していただいたり、そのときにバスを提供していただいたり、あるいは地方公共団体の広報紙に保護司の活動を掲載していただいたり、あるいはまた、保護司研修に地方公共団体から地域の実情についてのいろいろな御説明をいただくための講師を派遣していただいたり、いろいろな形で協力が行われているわけでございます。  ただ、地方公共団体が、保護司の行っております国の行う更生保護の分野に協力することができるという規定がどういうわけか欠如しておりまして、このことが双方の連携を強化する上で妨げになっているということで今回の改正を図った次第でございます。  ただ、財政的な支援については、地方自治法の二百三十二条の二という条文がございまして、これは、地方公共団体は、地域の公益に寄与する場合には、寄附をすることができるという条文がございまして、これは根拠規定がございますし、現実に、程度の差はいろいろでございますけれども、地方公共団体からもいろいろ御寄附をいただいているということでございます。したがって、今回の協力規定については、財政的支援以外の分野についての協力をすることができるという趣旨で規定したものでございます。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 ある意味からいえば、協力しなければならないくらいの感じであるべきなんですよね、本来は。もともとは自分たちがそれを受益するわけですから。どうもこの辺、何か国のやることで、人ごとのような感じを受けるわけですね。  この辺、どうでしょうね、大臣。今度の立法の趣旨そのものはそこまで立ち入っていないにしても、地域の犯罪というものに対して、これから非常に大きな問題が起こってくる。  さっき外国の例で出ましたように、犯罪件数もふえる可能性もありますし、これから少年犯罪はどうなるか、少年法の関係もありますが、保護観察事件がどんどんふえる可能性もあるし、それに、恩典を受けるのは公共団体なんですからね。その辺もう少し踏み込んだ、協力できるというのではなくて、しなければならないというような感じで、財政的にどうなるか、それをどこまでどうするかという問題もありますけれども、さっきの実費弁償ということも含めて、これは今までどおりでいいのだろうか、国と地方との関係及び実費弁償費の問題。ほかの国では何万人かの人間を公務員で使っているということを踏まえて、この保護司制度という考え方が基本的にこのままでいけるのかどうかという危惧もあるのです。本当にボランティアの気持ちはありがたい。  それとともにもう一つ、犯罪がだんだん凶悪化してきたり、シンナーを使うとかいろいろしていきますと、保護司というものは身の危険があるのではないか。  ちょっと最後に、大臣の御意見を聞く前に、保護司にそういった事故があったのかどうか、その事故に対してどういう立場から、保護司を守るような制度があるのかどうか、若干私も聞いてはおりますけれども、その事件がまたどう扱われたのか。  何か公務というのが、接触しているときだけが公務というような話も聞きますが、いろいろな関係で半ば公務員に準ずるようなことをやっているわけで、しかも、もし保護司が危害でも受けたら一般よりもむしろ加重というか、絶対彼らは守られるんだよという安心感を与えるべきなんです。  保護観察というのは、保護司を慕って来るから事件は起こらぬというような話をみんな言うのですけれども、これから麻薬とか覚せい剤とか始まりますと、どういう危険が生じるかわからない。民生委員の比ではないのですよ。民生委員は手当てをしていればいいのですけれども、保護司というのは万が一、犯罪によっては本人の危険さえある。それを全くボランティアに任せているのはどうかな。しかも、危険があったときには保護司は完全に保護されるのだ、人一倍保護されるのだというくらいの手厚い規定あるいは取り扱いかなければ、これから対処できないのではないかと思います。  この点、過去のケースと、保護司の法的地位というか保護司が保護されるというか、その辺について一言お聞かせいただきたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 おっしゃるとおり、保護司は、ある意味では大変危険で困難な職務をやっていただいているわけでございます。  私どもが把握しております中で刑事事件に発展したものとしては、次の二件がございます。  一件は、昭和三十九年に北海道で、保護観察つき執行猶予者が、保護観察を終了した後に担当保護司から、本人が刃物を持ち歩いているとの風聞について問いただされて注意を受けたことに立腹して保護司の腹部を包丁で突き刺し殺害したという事件がございました。この事件は、起訴されまして、懲役十年になっております。  またもう一件は、平成七年に東京都において、環境調整のため引受人宅を訪問した保護司が、飲酒中の引受人から殴打され顔面に一週間の傷害を負った事件がございます。これについても、刑事処分、罰金処分に処せられております。  このほかに、刑事事件にはならないまでも、保護司が保護観察対象者から暴行を受けて負傷した事件は何件かありますが、正確には把握しておりません。また、このほかにも、私が直接聞いた話でも、夜間に対象者が包丁を持って家に押しかけてきて、だんなさんのその保護司を殺すと言ってわめいたという事件があったことを聞いております。  そういう意味で、非常に危険な職務に従事していただいているということで、しかも無償で従事していただいているということで、私どもは常日ごろから大変感謝しているところでございます。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 大臣、保護司の保護と言っては悪いけれども、保護司の安全ということについてそれなりの、保護司に対して何かやれば罪が加重されるのだというような取り扱いがむしろ必要なのではないか。時間もなくなってきましたから、この点をまずお聞きしておきたいと思います。  大臣、保護司の権威を保ち安全を保持する、または公務員扱いでしょうけれども、通常の公務員よりもっと保護してもらわなければいかぬくらいですよ、実際のところ。しかもボランティアですから。この点はどうお考えですか。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 ボランティアで活動していただいているわけでございますが、そういうような活動は公務になるわけでございます。したがいまして、当然、公務災害、法の適用を受けると思いますし、等々の措置があろうかと思いますが、今御指摘の点についてはさらに十分検討を深めてまいりたい、このように思います。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 私が言っているのは、要するに公務員以上の防御をしてもらわなければいかぬので、公務だから公務員並みの保護というのでは足らぬわけですよ、ある意味からいえば。お願いしているわけですから。  最後に、冒頭のあれと重なりますけれども、これから犯罪がふえてくる可能性もある、しかも凶悪化する可能性もある。そうすると、案件によっては、保護司には気の毒だ、危ない、むしろちゃんと公務員が扱うべき案件だ、さっきの専門の人間ですね。そういうことの区分も必要なのではないかなというので、保護司制度というのは、これからこのままでやっていけるのかどうか。  アメリカのようにすごい犯罪がふえて、ふえないのがありがたいのですけれども、ふえないことを保護司がやってくれているわけですけれども、しかしこれからいろいろな問題が起こってくる。例えば外国人なんかでも、結構不法在留の外人の犯罪率が多いという話もこの前出ました。  こう考えていきますと、国際化時代に日本も、今まで日本というのは安全だ安全だという話で、保護司も非常に温情でもってそれで更生するというのが多かった。犯罪の中身によっては、保護観察の中身によっては、保護司にお願いするものと公務員がやるものとはっきりと分けるべきではないか。  それからもう一つ、保護司に対しては通常以上の保護というか権威を与えて、彼に絶対手出しはできないよというようないわば規定を設けないと、さっき保護司になり手がないという話もありましたが、なり手がないというのは、要するに何もお金でなくて、ボランティアでやるという気持ちはあるにしても、相当今の時代は、年間六万円で本当に面倒くさいことをやってくれるという人はだんだん減ってきますよ、率直に言って。  ちょっとその辺、これからの保護司のあり方についてもう少し基本的な検討をしなくてはいけないのではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 先ほどの最初の質問に地方公共団体との関係がちょっとございましたので触れさせていただきますが、現在全国に三千三百の地方公共団体がございますが、保護司とのかかわりは大変凹凸がございまして、地方公共団体自身が、平穏な社会生活を行い得るということがあらゆる活動の基盤であるというふうなことから、大変御理解を示して、先ほど政府委員から報告がありましたような御協力なりなんなりいただいているところと、必ずしもそうでないところが実はあるわけでございます。  そういうふうな面につきまして今度法定化することによって、私はそれ相当の前進だ、このように思います。委員は、まだ不十分ではないか、こうおっしゃるのですけれども。まず私は一つの前進だと思いまして、そういうような形で地方公共団体との連携を密にして進めていき、それなりの実績を上げることができるのではないかということを期待いたしております。  それから、今御質問ございました問題でございますが、なかなか難しい問題でございますけれども、現在、保護局の傘下の職員が約千四百名ぐらいでございまして、そういうふうな人たちの中で、約五万名の保護司の方々の御協力をいただいているという実態でございます。  そこで、いわゆる矯正施設から出てきた人たちが今度は対象になるわけでございますが、そういうふうな人たちに、公務員といいますか、国家公務員の人たちが接触するというふうなことは、一面では矯正施設の延長ではないかという印象を与える面もないわけではない。ところが、地域の篤志家の人たちが中心になって、その地域との連携においていろいろな心配をしていただける。就職の心配から始まりまして、その辺の、日本の文化と申しますか、純風美俗と申しますか、そういうふうな側面は大変私は貴重なものではなかろうか、そういうふうに思います。  そういうふうな意味で今回の法改正をお願いいたしまして、今まで任意団体であったものを法律の根拠を与えて、そしてより積極的な活動というものを、地域ぐるみ、そして地方公共団体の御協力も得ながらやってまいりたいというふうなことでございますし、お話のように、犯罪の凶悪化なりなんなりということで対応が難しくなる面もあろうかと思いますが、その辺のところは十分連携を保ちつつ、また知恵を出しながら推進してまいりたいと思いますし、ぜひひとつこの法律改正の趣旨を御理解賜りたい、このように思います。

安倍基雄自由党

○安倍(基)委員 時間がないのですけれども、最後の今の話で、やはり純風美俗もいいのですけれども、それならそれで、六万のあれでもって凶悪の犯罪者のあれを扱えというのもちょっと行き過ぎなので、そういう民間のあれを使うのだったら、特に危険のあるような場合には保護規定をきちっと設けたり、ある程度実費弁償の、年間六万円くらいでそういう危険にさらすということは問題があるわけですよ。だから、完全に公務員の延長というのではなくても、中間的なものでもいいけれども、もう少し知恵を出さなくてはいけないのではないかと思います。  時間もありませんからこれでやめますけれども、やはり基本的な、もう一遍考え直す要素があるのではないかと思います。  では、終わります。

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  私も、現在保護司の皆さんが果たしている役割というのは非常に大きいものがあると思います。提案理由説明にもありますように、特に、無報酬で補導援護している世界にたぐいまれな制度とありますが、そういう役割を現場では果たしていると思います。  また、提案理由の説明にありますように、人材確保が難しくなってきている。処遇困難な対象者が増加して、保護司の負担が増しているということも事実でありますから、組織的な支援体制の強化が大事だと考えます。  それで、本法の第一の柱である保護司の役割を明確化するという点も、賛成でありますが、一つだけ気になるのは、調査局の皆さんがつくられた資料によりますと、現場の保護司の皆さんが必ずしもこれに賛同していないということ、それが気がかりであります。  保護局調査連絡課が行った「保護司制度に関する調査結果について」と題する調査結果でありますが、保護司法に保護司の職務に関する規定を設けることに対して、これは一般保護司の皆さんに対する調査によると、何と四六・三%の一般保護司の皆さんがそういう規定を新たに設ける必要はないと答えている。新たに設ける必要があるというのはわずか二六・六%にすぎないという結果になっているのですね。平成八年十二月から平成九年一月までの、最近の調査です。保護司会の幹部の皆さんの調査結果は逆ですが、実際に保護活動をしている皆さんはこういう意見。  なぜみずからの職務についてそうした規定を設けることに反対か。設ける必要がないとした理由として、現行で不都合がないというのと、自主性を失うというのを挙げているのですね。そこが私は一番気になるところであります。  保護司法の第一条に、再三言われておりますように、保護司の皆さんは社会奉仕の精神を持ってやっている、いわゆるボランティアだと。それが、やはり保護司の皆さんがこの職務に当たって非常に大きな役割を果たしているのだろう。それは自主性、創造性だと思うのですね。  本改正によって保護司の役割が法定化される、明確化される。非常にいいことだと思うのですが、それは、結果、逆に、任務はどうなるかといいますと、二つに分けられまして、一つは、地方更生保護委員会、保護観察所の長から指定を受けてその所掌に属する事務に従事するということ、二つ目が、保護司会の計画に従い、当該保護観察所の所掌に属するものに従事するという任務になるわけです。  ですから、非常に組織が明確化して、任務が明確化すると、その保護観察所の長からの指示命令、指揮監督、これが非常に強烈に上から下に出てくるのだろうか。そうすると、そのボランティアの精神というか、自主性、自発性という問題との関係、そこがやはり気になるところでありますが、その辺の基本をどう考えているのか、お聞きしたいと思うのです。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 委員おっしゃいましたように、アンケート結果では、保護司の職務についての規定を設けることに反対の者が、特に幹部以外の者の中には多かったということも事実でございます。  ただ、この保護司法の改正作業に本格的に取りかかったのは、一昨年の九月に保護司会の代表者の皆さん方と保護局との間で検討委員会を設けたときからでございます。以後、保護司の代表者の方々と我々とで合計六回にわたっていろいろ議論を重ねて、今回の改正案にこぎつけたわけでございます。  先ほどおっしゃいましたアンケートは、その比較的早い時期、一昨年の十二月に実施したアンケートでございまして、そのアンケート結果に基づいていろいろ検討がなされたということでございます。  幹部以外の皆さん方が比較的この保護司の職務の規定を設けることにそれほど賛成されなかったのは、当時はまだ議論が始まったばかりで、保護司の職務についての規定を設けると、委員おっしゃったとおり、保護司に対するいろいろ規制が強まるのではないかという御心配をされたようでございます。そのことは、検討の過程で何回も重々議論を重ねました。  その結果として、やはり保護司の民間性、自主性というものを大切にしていかなければならないということを踏まえて、まず、主として犯罪予防活動、社会資源開拓推進活動等の分野について、保護司会の方で年間の活動計画を立てていただくということを大切にいたしまして、その保護司会が立てた計画を保護観察所長に提出していただいて、保護観察所長が承認すればそれを公務とみなすという制度に落ちついたわけでございます。  保護司会が計画を立てられれば何でも公務になるのかというと、なかなかそういうわけでもございませんで、保護司会の方では、年間活動計画も立てられますが、いろいろ旅行会等の懇親の会も計画を立てられます。したがって、自分たちの懇親とかそういう私的なものを除いて、活動計画を保護観察所長の方に提出していただいて、それに承認を与えればそれを公務とするということにしたわけでございます。そして、これは現在も、もう既に全国的に毎年行われていることでありまして、それをむしろ制度化したにすぎないということでございます。  今後とも、そういう過程でいたずらに保護観察所長からの監督を強めて保護司の民間性、自主性を阻害するようなことのないように指導してまいりたいと考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 ボランティア精神を発揮して自主的にしっかり活動していただくということと、今の社会的な要請を受けてしっかり仕事をやるというのは、なかなか両立させるのは難しいところかと思うのですが、その辺、両にらみをして、しっかりと行政に当たっていただきたいと思うわけですので、要望しておきたいと思います。  その関連で、先ほど同僚委員からも指摘がありましたが、粕谷議員の政治資金パーティー券の購入問題について、組織ぐるみでこのパーティー券が購入されたのじゃないかという疑いを私は持っているわけですが、やはり重大な問題だったと思うわけであります。参議院の法務委員会で我が党の橋本議員がこの問題を取り上げたときに、法務大臣から調査を約束されたわけであります。新聞報道によりますと、保護司連盟の事務局は「東京、千葉、埼玉、神奈川の地区保護司会会長などに百通余の出席案内を送り、東京では各地区会からそれぞれ二人の出席を要請した」、こういう記載がございます。調べてみますと、東京、浦和、横浜、千葉、いわゆる首都圏の地区保護司会は百二十三でありますが、一体どんな状況だったのか、数字を含めて御報告いだだけますか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 先ほども御説明いたしましたとおり、全国保護司連盟事務局という名称で合計百八十通の文書を出したということでございます。配付先は、全国保護司連盟の東京在住の幹部、それから東京保護司連盟の幹部、さらに東京の保護司会長さん、それから東京近郊、首都圏の保護司連盟幹部、そういうことだそうでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私はここに、平成十年一月吉日、社団法人全国保護司連盟事務局が各位あてに出した案内状を持っているわけであります。「東京管内の地区保護司会長の方におかれては、案内状を二通送付しましたので、貴台のほかに、他に適当な方を一名選んでいただき、その方に御回付されて、地区会から二名御出席いただければ幸いと存じます。」と書かれております。そして、その文書には、「なお、このことにつきましては、東京保護司会連盟岩田昌司会長、東京更生保護婦人連盟鈴木すみ江会長などの方々の御了承をいただいております。」こうまで記載しています。  やはり、上から組織の力で、一単位会二人出よという、事実上の指示のような文書であるわけでありまして、本当にゆゆしい問題だと思うわけであります。  保護司の皆さんはボランティアでありますが、準公務員であります。基本的に国家公務員法が適用されますが、先ほど論議にありましたように、政治活動の自由は完全に保障されている、そこは普通の公務員と違うわけでありまして、個々の保護司さんの政治活動は完全に自由だし、それはどんなことがあっても法務省は守り抜かなければいかぬと思うのですね。しかし、会が上からこういう形で特定の政治家のパーティーに参加を要請するというようなこと、万が一組織が総ぐるみ特定政治家によって私物化されるようなことがあっては断じてならぬと思うわけでありますが、保護司が何人出席したのか、実情をつかんでおりますか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 全保連の事務局の方がこういう文書を出したのは、先ほども詳細に御説明いたしましたとおり、全保連の会長が国会議員二十五年の在職の表彰の栄誉に浴されたということで、保護司会としてもお祝いをしたいという気持ちでこういう行動をとったのでございまして、事務局という名称で配付したことは大変うかつであったというふうに申しているところでございます。  そういう状況でございますので、配付はしたものの、何人参加したというところまで事務局の方でも把握していないそうでございます。したがって、私どももよくわかりません。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 法務省の保護局の幹部の皆さんはこのパーティーには参加しておりませんでしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 私どもも保護司連盟には大変お世話になっている次第でございますので、私が参加しました。保護局の課長が一、二参加したかとも思いますが、一緒に行ったわけではありませんので、確たることはわかりません。恐らく、一、二の課長が参加したのだろうと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 社団法人全国保護司連盟が特に東京在住を中心にしてこういうことをやったことについて、法務省保護局は関与しておりませんでしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 この会長の祝賀パーティーが開かれることは承知しておりましたが、まさか全保連事務局の名称でそのような文書を発するということは全く知りませんでした。先般、参議院の橋本議員の御質問があった前日に、橋本議員から教えられて知ったような状況でございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 社団法人全国保護司連盟というのは、民法上の公益法人ですね。所管官庁は法務省でしょう。法律上、監督責任はやはり法務省にあるわけですよね。今、率直に言って、国の行政官庁が所轄しておる公益法人、これが実際上政治的に利用されるということが各役所で大問題になっていると私は思うのです。建設省なんかもそういう事件がありました。  ですから、そんな形で役所が所管している公益法人が特定の政治家の政治活動のために使われるようなこと、これはきちっと襟を正してやめさせることが今求められていると思うのです。衆議院選挙なんかあって小選挙区制になりますと、ますますそういう状況が強まっていると私は思わざるを得ないのですね。  それだけに、先ほど法務大臣からまことに遺憾、残念という言葉がございましたが、その辺のけじめをきちっと徹底するということが法務省内、またこの保護司連盟との関係でも求められていると思うので、私、そういう観点から、重ねてこの問題についての法務大臣の所感を御答弁いただきたいと思うのです。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 全国保護司連盟が組織として政治活動を行う、これはあってはならぬことでございますし、今御指摘のようなことがあったのは大変軽率でございますし、遺憾でございます。このようなことが再び発生しないように徹底いたしたいと思いますし、どういうような歯どめができるかどうか、その辺のところも考えてみたい、このように思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 これでこの問題の質問は終わりますが、念のためにお聞きしますが、この参加のパーティー券、一人一万ですか、まさか公費を使われたり、保護司連盟の組織の金は使われていないでしょうな。確認していますか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 私個人のことをお聞きのことだと思いますが、もちろん私費の、自分自身のお金で参加してございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 保護司の皆さんはどうなんですか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 保護司の参加された方が何人おられたかわかりませんが、当然私費で参加していることと思っております。詳細についてはわかりません。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 はい。終わります。  保護司の皆さんはボランティアで、大変社会的に大きな役割を果たされている。いろいろな会議出席も自費が多いというのですね。そういう費用負担が大変だ。こういうところに対してはきちっと公費負担、国庫補助が求められていると思うのですが、今私が述べた、そんな特定政治家のパーティーにまで自費で、事実上義務的な感じで参加させられるなんということは、そういう面からも許されないと思うので、以後こんなことが絶対ないように、篤と指導はこの面では強めていただきたいと思うわけであります。  そこで、保護司の今後のあり方を考える上で、調査室からいただいた資料に大変大事な指摘がなされておると思うのです。同志社大学法学部教授の瀬川晃先生の「保護司制度の課題」と題する文章でありまして、要するに、今保護司に求められている一つの大きな方向として専門化が必要じゃないかという指摘なんですね。  今の現行法の建前は、保護観察官が専門性、そして保護司というのは民間性、地域性、そういう図式で法が組み立てられている、保護司はサポーターにすぎない、そういう図式はもう当てはまらぬのじゃないかということを先生は指摘しております。保護司の皆さんにも現在の犯罪情勢、刑事政策等々についての専門的な知識をしっかり持っていただくということ、医学、心理学、福祉などの専門家を保護司として採用する道を開くことも大事だ、そういうことまで指摘されているわけであります。  この基本、保護観察官が専門家であって保護司は民間、地域、補充者である、そういう今までの図式はもう通用しないのじゃないか、こういう基本的な指摘に対して、法務当局としてはどういう認識でしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 保護司に専門性が必要だということ、それが望ましいということはおっしゃるとおりでございます。私どももそういう方向で目指してはおります。  ただしかし、例えば、現在、対象者の中には精神的に欠陥のある人、あるいは高齢者で社会福祉的な分野で手を差し伸べなければならないような人もふえてきております。そういう場合に、精神医で保護司の方がおられればこれにこしたことはないのでありまして、また今後ともそういう努力はしていかなければならないと思いますが、そういう専門家で保護司になっていただくということは並大抵のことではない。できるだけ努力はしてまいりたいと思います。  それと同時に、現在もう既に行っておりますのは、保護司に対して、例えば薬物事犯を犯した対象者についてはどういう精神構造にあり、心理状態にあって、どう導くべきか、あるいは少年問題についての保護観察のあり方等、それぞれ専門分野については、全国的に保護観察所がやったり保護司会がやったりして研修を充実させる方向で努力しております。現に、それはできるところがらやってきております。  おっしゃるとおり、できるだけ専門性を持った保護司を確保するように今後とも努力はしてまいりたいと思っております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 瀬川教授は、保護司の皆さんの専門化の方向として三つ提案しているのですね。非常に参考になると思うのです。  その第一の提案は、保護司の選び方、選任方法の改革なんですね。  御案内のように、現在の選任方法は基本的に推薦であります。候補者の人物や力量をよく知る人々の推薦によるものだ。それは不適任者が選ばれるリスクが最も小さい、そういう意味があるわけでありますが、新しい人的資源の発掘に乗り出すことが今本当に求められているということで、瀬川先生は、選任方法改革の一環として公募制を採用したらどうか。  ボランティアといいますかそういう基本精神とこの公募制というのはどういう形ですり合わされるのかよくわかりませんが、これは根本的な保護司の改革になろうかと思うのですが、この選任方法を思い切って切りかえて公募にするという提案は、法務当局としてはどう受けとめておりますか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 一つの思い切った改革の方向であり、今後検討していかなければならないと思いますが、今まで私が直接保護司の幹部の皆様方からよく耳にいたしますことは、地域で自薦で来る人は気をつけなければならないというようなこと、そういう意識でとらえておられる面も一面ではございます。  ただ、そういう側面だけではなしに、確かにまじめな気持ちで自分が保護司をやってみたいと考えておられる方々が最近は非常に多いだろうと思いますので、今後、保護司会のそういう多くの経験者とよく話し合って検討していきたいと考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 そのこととの関係で、瀬川先生は有給化というのも一つ提起しているのですね。  これが、現実の保護司の皆さんは反対だというのですね。それはなぜかというと、社会奉仕の精神で自分たちはやっているのであって、国から給料をもらういわれはないというので、むしろ保護司の皆さんが有給化には乗り気ではないということがあるのですが、ここまで状況が来ますとそれも考える必要があるのじゃないかと思います。  有給化に関する法務省の考えと、それがまだ現実的でないんだとすれば、同僚委員からも指摘がありましたが、少なくとも実費弁償、実費補償、これを徹底的に充実させるということはもう不可欠だと思うのです。現状については先ほど答弁がありましたから私からは避けますが、こういう有給化の問題の法務省の考え、実費補償を充実するということについての改善の方向等について、法務当局のお考えを伺います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 おっしゃるとおり、大変危険で困難な仕事に日夜従事してくださっているのでありまして、私ども、心から感謝申し上げておりますし、今後とも、条件、待遇等の充実強化に努力してまいりたいと思います。  おっしゃいました報酬制については、今回の法改正の作業の過程でももちろん検討課題として上ったのでございますが、ほとんど直ちに否定されるという状況でございます。そしてまた、長年保護司をやってこられた方からじっくりと聞いてみますと、保護司というのは無償だからできるのだ、国から金をもらってやっているのだということが対象者にわかると、それはもう途端に保護司の職務ができないのだということをよくおっしゃいます。そういう実感がこもったところがら出てきている御意見もあろうかと思いますので、これは保護司会の皆さん方とよく検討しながらやっていかなければならない。当面は、報酬化ということは考えておりません。  したがって、おっしゃいましたとおり、実費弁償の面で充実強化を財政当局とよく話し合って進めていかなければならないと考えている次第でございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 国からの報酬がないからこそいい仕事ができる、そういう立場で非常に立派な活動をされているたくさんの保護司の皆さん、私も現実に知っておりますので、そういう気持ちを尊重しながら、なおかつ、現在保護司の皆さんに求められている社会的要請をどう満たしていくか、こういう局面だと思うので、そうであれば、本当に、実費補償というのですか、これはもう徹底的に補償するということがやはり必要だと思います。現在の予算、余りにも少な過ぎると思いますので、これはもう予算折衝の分野ですから法務大臣に頑張っていただきたいと思うわけであります。  瀬川先生の二つ目の提案として、専門家のための研修システムを改善したらどうか、そして、そのためにもやはり抜本的な財政措置が必要だと言うのです。これは時間も手間暇もかかることだと思うのですが、そういう研修システムの改善についての展望、簡潔で結構ですからお述べいただけますか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 現在も、保護司の研修というのは、初任者研修から始まって、かなり数多く組まれておりまして、いろいろな分野の処遇の方法等、専門家を呼んでお話を伺うこともあるそうでございますし、そうでなくても、保護観察官の中には大学の心理学や教育学や、いろいろなものを修めてきている者がおりまして、その上に、保護司さんとはやはり格段に違う数の保護観察事件を取り扱う中で保護観察官としての専門家になっていくのでございまして、保護観察官が研修でかなりいろいろ講習をしているということでございます。保護司さんの研修には、今後ともなお一層充実するべく努めてまいりたいと思っております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 ありがとうございます。そういう方向でひとつ取り組んでいただきたいと思うのです。  三つ目の改革として、先生から、役割の専門分化ということの提起があるのですね、保護司を専門別に分け、保護司の特性を引き出すことだと。例えば、保護観察活動中心の保護司と犯罪予防活動中心の二つに分類することも可能ではないかとか、さらに、処遇内容別に、高齢者専門の保護司、女性専門の保護司などが考えられる、こういう意見があるわけですが、ボランティアで頑張っておられる保護司の皆さんとの兼ね合いですから難しい面もあろうかと思うのですが、この辺の現状はどうなのでしょうか。それから、こういう提起、提案に対して、将来の方向性として、法務当局としてはどんなお考えか、聞かせていただきたい。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 おっしゃるとおり、保護司さんによって、保護観察事件を得意とされる方もあり、他方で一般的な犯罪予防活動を得意とされる方もありまして、ある程度分かれる保護司会もあるというように伺っております。でも、それは会に随分よるのでありまして、一般的にそうだというわけではありません。しかし、それをそういうふうに指導していくということはなかなか難しい問題でもありますし、むしろ自然に任せた方がいいのではないかと思います。  私ども、現在考えておりますのは、今回、保護司組織が法定化されますと、一層公共性が高まる、また、今回の法改正の主たる目的が保護司組織の一層の活動の充実強化ということでございまして、法定化された暁には、できるだけ各保護司会に、例えば、保護司の候補者を、一生懸命努力をして情報を集めてくる部とか、あるいは犯罪予防活動を中心にやっていただく部とか、あるいは社会資源開拓推進運動と言いまずけれども、保護観察をやっていく上では、例えば協力雇用主とか精神病院とか福祉施設とか、そういう協力していただける施設をいろいろ開拓して、説得して回っていくという活動がございます。こういう分野に主として従事していただく部とか、ある程度の部制をしいて、組織的に保護司の抱えているいろいろな活動分野を充実させてやっていくというように指導していきたいと考えております。  ただしかし、あくまでもボランティアの皆さん方がやっていただくことですから、画一的にお願いするわけにはいかないので、それぞれの保護司会の実力なり人数なり実績なり、そういうものを見ながら、少しずつ活性化の方向に進めていけたらなと考えているところでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 まだ時間はあるのですが、十二時を大きく超えておりますので、最後の質問にしたいと思うのです。  全国四万八千九百近い保護司の皆さんが、本当に大きな役割を果たしている。その皆さんの活動に対する国の予算、保護司実費弁償金が三十三億ですか、これは余りにも少な過ぎるということはもう明白だと思うのですね。  今いろいろな改革が提起されておりますし、また保護司の皆さんがもっと活動を強めていくためにも抜本的な予算の充実強化が求められているということも含めまして、最後に法務大臣の方から、保護司の制度の充実強化、予算ももっと強化するということの決意も含めてお述べいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 いろいろ御指摘いただきまして、大変勉強になりました。  全国に約五万名ほどいらっしゃるわけでございまして、この人たちは移動ができないわけでございます、地域に密着しておられます。今回の改正によりまして、地方公共団体との関係というものが法定化されます。したがいまして、保護司の人たちの選定につきましても、地方公共団体のお知恵もかりられるのじゃないか。  それから、保護司さんにつきましても、非常に経験の豊富な篤志家の方々も、これは大変重要な方々でございますし、それと同時に、例えば少年に対する補導といいますか、そういうような形のアプローチの人たちは、これは場合によっては若い保護司の方でもよかろうというふうなことで、政府委員からも答弁いたしましたような形で総合的に考えてまいりたいと思います。  予算の点につきましては、御指摘のとおりでございまして、大変厳しい財政状況でございますが、この点につきましては、皆様方の御支援をいただきながら、私どもも一生懸命頑張ってまいりたい、このように思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 終わります。

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 午後三時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後三時二十二分開議

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。枝野幸男君。

枝野幸男民主党

○枝野委員 民主党の枝野でございます。  保護司法の一部を改正する法律ということで、保護司さんの活動の範囲といいますか、そういったところを広げていって、保護司会の位置づけをはっきりさせていくという方向自体については、基本的には私どもも賛成の立場に立っておりますが、まず関連をいたしまして、保護司制度について幾つかお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。  確認的な話になりますが、まず保護司さん、基本的にはボランティアということで行われています。その実費弁償の一部しかなされていないという制度になっておりますが、改めまして、大体どれぐらいのお金が出ているのかということをお答えいただけますでしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 保護司の皆様には、保護観察に付されている者の改善更生を支援するとともに、地域の犯罪予防活動を日夜行っておりまして、大変な御尽力をいただいており、常々感謝を申し上げている次第でございます。  しかし、今日の保護司活動をめぐる諸情勢の変化によりさまざまな困難が増してきている状況でありまして、保護司が活動するに当たっての物心両面の負担は年々大きくなっていくものと認識しております。  これらの事情にかんがみまして、平成十年度予算における保護司実費弁償金につきましては、前年度比約四千九百万円増の三十三億六千万円、単純に保護司一人当たりに計算いたしますと約六万八千円を計上しております。  今後とも、保護司がその活動に要した費用については、適正に評価して相応の実費弁償を行うべく、財務当局の御理解のもとにその増額に努めてまいる所存であります。

枝野幸男民主党

○枝野委員 これは単純には言えないのだろうと思うのですけれども、保護司さんが実際に保護観察を実施するに当たってかかっている実費のうち、どの程度がこの金額で賄われているというふうに考えたらよろしいのでしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 ただいま申し上げました保護司の実費弁償費の一応の目安の内訳といたしましては、保護司が対象者の自宅に赴いて対象者の生活状況を見る、往訪の際に必要となります交通費、さらに月一回保護観察所の方に報告をする通信費、さらには、対象者が夜昼となく訪ねてくる際に、大抵は家に招き入れた上にお茶菓子を出したり、さまざまな接遇費がかかります。そのほか事務用品等もかかります。  それらのみを計算いたしますと、昨年度の集計で、最高度に困難な事件とされておる、私たちが言っておりますA観察事件というもので五千九百七十二円と算定しておりまして、それに対して予算単価は五千二百十円、こういうことでございます。  ただ、実際にはこれ以外にも、これは常にというわけではありませんが、いろいろ聞いておりますと、家で食事を一緒にとったり、たまには一緒に食事に連れていったり、そういうこともしばしば行われておられるようでありまして、単純には計算できないのでありますが、一応予算上はそういう計算で行っております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 恐らく、その統計で出ている五千九百七十円余りという話自体も、まさに一番計算しやすい部分だけの金額ではなかろうかというふうに思います。そうした中で、そこにも満たない金額しかお出しをしていない。  ボランティア、ボランタリーというものに対する考え方は、若干日本国内と海外とで意識が違ったりする部分もあるようでありますが、ボランティアだからお金の負担まで全部かぶってもらっていいというのは本来の意味ではないと思っています。報酬、それで利益を上げようという意図ではないということでボランタリーな意識というものは十分に満たされる。むしろ実費に当たる部分はきちんとお出しをするというのがボランティアの原則ではないだろうか。  そうした中で、保護観察の対象になっている皆さんの更生が保護司さんの力で十分になされて、保護観察の期間がきちんと満了していく、あるいは再犯などにつながっていかないということになれば、結果的には、例えば長い目で見れば社会全体のコスト、場合によったら単純に税金の使われ方という部分だけで見ても、節約になっていくのではないだろうかというふうに思います。  そうした意味で、現在の保護司さんの実費弁償に対するこの獲得予算、獲得されている予算というものについて、どんなふうに考えているのか、お答えをいただければと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 確かに、委員おっしゃるとおり、保護司が行っております保護観察という職務は、刑法の刑罰のところに書いてあったり、あるいは少年法に書いてあったりするまさに国の行う事務でありまして、そのような大変困難で危険を伴う仕事をボランティアでやっていただいておりますので、私どもは今後とも、仮に報酬はお出ししないとしても、実費弁償の充実には最大限の努力を図っていかなければならないと考えております。  さらに、最近、少年の凶悪犯罪や薬物事犯など、保護観察に、処遇に困難を伴う事例がふえております。また、高齢者がふえておりまして、その高齢者の方々の就職あるいは家族との環境調整等さまざまな困難が生じておりますので、保護司さんには大変な御努力をいただいているわけでございます。  そういうことを十分認識いたしまして、今後とも財政当局の御理解を得ながら充実に努めてまいりたいと考えております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 保護司法の十一条は、「職務を行うために要する費用の全部又は一部の支給を受けることができる。」という規定になっています。これは保護司さんの側を主語にしての規定でありますが、むしろ、国はその職務を行うために要する費用を支給しなければならない、一部だなどということを書かないで本来はやるべきではないだろうか。なかなか今の段階ではお答えになれないだろうと思いますので、お答えを求めませんが、そうしたことも含めて。  それから、法務委員会では時々申し上げますが、特に著しいのは裁判所なのですが、法務省の方も、税金のむだ遣いはどんどん減らさなければならないというのが今の時代の流れではありますが、必要なところの予算をきちんと要求していく、そのかわりむだなところは削っていくというめり張りが大事だと思っております。そうした意味で、この実費弁償の部分についてはきちんと要求をしていく。法律自体を直した方がいいのだったら、そのことも含めてきちんと対応していくということを要請したいというふうに思っています。  もう一点、実際の保護司さんたちの間から、あるいは保護観察所などから、こういった実費弁償の問題について声はないのかどうか。  自分のところのポケットに入る実費弁償について、少ないからもっとよこせというような方は事柄の性質上余りいないのだろうと思いますが、例えば、実費弁償というものの中には、保護司さんたちの研究会ですとか、今回の法律で位置づけがはっきりしていく犯罪予防活動への参加費用というようなところの費用というものは、これは保護司さん自身のポケットに入るというよりも、そういった活動費ということで、保護司さんの活動あるいは犯罪予防活動というものが充実をしていく。もうちょっと予算があればななどというような声等はないのかどうか。  また、こういつたいわゆる交通費、通信費等ではない犯罪予防活動や研究会などといったもの自体の活動全体についての予算等についての考え方、こういつたところをお聞かせいただければと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 現在保護局では、全国保護司連盟を初め保護司組織との連絡会議、協議等は頻繁に行っておりまして、保護司さん方がどういう要望を持っておられるのか、ほとんど常時把握しているつもりでございます。  確かに、実費弁償金の増額を図ってほしいという要望は毎年受けております。特に、委員おっしゃいましたように、犯罪予防活動の経費をもっと充実させてほしいということでございます。  保護司は、個々の保護観察事件あるいは環境調整事件を担当する以外にもいわゆる組織活動、いろいろな協議会、委員会を設けたり、あるいは研修を行ったり、あるいはまた今回の法改正で目指しております保護司及び保護司組織の一層の犯罪予防活動の強化ということを考えますと、犯罪予防活動が活発になればなるほどいろいろな諸経費がかかってくることは目に見えているわけでございまして、今後ともそういう点を重視しながら、実費弁償の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 ぜひこの実費弁償の問題に前向きに取り組んでいただきたいとお願いをしたいと思います。  次に、先ほど御答弁の中にもございましたが、保護司さんの年齢、それから保護の対象になる人たちの年齢構成等について関連してお尋ねしたいと思います。  保護司さんの年齢が高齢化しているというふうに聞いておりますが、具体的な状況と、それに対して法務省としてはどういった対応をとっておられるのか、あるいはとろうとしておられるのか、お答えいただければと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 本年一月一日現在の保護司の平均年齢は六十二・九歳となっております。少年に対する保護観察において高齢の保護司さんが一概に不適任とは申せないものの、意識、感覚のギャップが生じる危険があると言われれば、そういう問題点も確かにあろうかと存じます。  しかしながら、少年に対する保護観察においては、保護者を初め少年を取り巻く人たちとの人間関係の調整が必要であります。例えば保護者との話り合い、あるいは雇用者に理解と協力を求めるような場合、あるいはまた、少年に対して人との接し方や人間としての生き方などについて話して聞かせるような場合、そういう場合には、地域の信望が厚く、広く深い人生経験を積まれた年輩の保護司さんが大きな力を発揮されるという側面もあるのでございます。  高齢の保護司さんが必ずしも少年に対する処遇にマイナスというわけではないことも御理解いただきたいと思いますし、現に、保護司の幹部の皆さん方と日常いろいろ話しておりましても、少年との意識のギャップに困るという声は非常に少のうございます。  とは申しましても、平均年齢が六十二・九歳というのは確かに高齢に過ぎる。もっと活動力のある若い保護司さんもたくさん入ってきていただいて、保護司活動に参加していただけることを願っておるわけでございまして、今回の法改正によって保護司の候補者を開拓していくといいますか、候補者を発見していくことについても組織的に対応していくことが期待されております。また、地方公共団体との連携を深めることによって、地方の情報の集まる公共団体の方からいろいろな人材についての情報をいただいて、広く若い保護司の方々に参加していただけるように努めてまいりたいと考えております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 現在、特に少年事犯、その更生に向けた仕事というのが、これは、保護司さんの世界に限らずこの国が真剣に取り組まなければならない課題だというふうに思っています。  そうした中で、高齢の保護司さんではだめだという話ではおっしゃるとおり全然ないと思いますし、保護司さんの役割、使命からすると、人望のある経験豊かな方がやっていただくということは非常に重要なことだと思います。  それと同時に、最近の少年事件の背景にどんなものがあるのかといったことを考えますと、これは一つのことで割り切れる話ではありませんが、私自身は、大きな背景として、物の考え方、あるいはもっと極端に言えば日本語の使い方一つにしても、ジェネレーションギャップが物すごく大きいのではないだろうか。同じような日本語で会話をしているつもりでいても、世代間の違いで、同じ言葉が違った意味で実は会話をしているというようなことが、当然のことながらその背景にある物の考え方、思考パターンみたいなものについてのずれというものが、さまざまな少年問題について横たわっているのではないだろうか。そんな思いをしております。  そうした意味で、少年の保護矯正という問題にさらに効果を上げていくためには、社会経験豊かな保護司さんのような立場から少年の保護、矯正、育成をしていく皆さんと、それから実際に保護観察の対象になっている少年との間を、何というのでしょう、極端に言えば通訳をするような、意識のずれというものをつないでいくような役割というものが必要になっていくのではないかというようなことを思っております。  例え話になるのかどうかわかりませんが、私の事務所は、私が今三十三で、私よりもさらに若いスタッフでやっております。うちの父が六十七だか六の年で、全体を、私が東京にいる間、地元の事務所を見てくれているのですが、それぞれから相手に対する、つまり私より若いスタッフからうちの父に対する不満が、うちの父親からは若い連中は何を考えているかわからぬという不満が、私の方に両方から入ってくるのですが、要するに日本語がお互いに通じていない。六十代と二十代とでそんなに価値観がずれているわけなのかということではないのだけれども、言葉が実は通じていなくて、私が間に入って通訳をすると、お互い何とか、なるほどそういうことだったのかということで納得をしたりするというようなことも実は経験をしております。  特に少年事件のうちのかなりの部分は、こうした、言葉が通じない、あるいは物の考え方の発想がずれてしまっているということに対する、プレッシャーとか、あるいはそれに対するいら立ちとかというものが事件の背景になったりすることも少なくはないのではないだろうか。  そういった子供たちを立ち直らせるために、そういった世代の話が理解をでき、なおかつ保護司さんのような社会経験、人生経験豊かな人たちの話も理解をできるというようなパイプ役がいるといないとではかなり違うのではないだろうか。  極端な例を挙げれば、現実に少年の保護観察に保護司さんがついて立ち直らせた、例えばかつて少年事件を起こした子供が保護司さんのおかげで立ち直った、そういった子供に、保護司さんのサポート役のような形で次の少年事件の子供との間をつないでもらうような仕事を、それも社会的にきちんとした位置づけをしてあげてやっていくことができれば効果があるのではないかなというふうに思っております。  残念ながら、こういった子供たち、特に——いわゆるボランティアでいい子を集めてお手伝いをしてもらうというような制度はあるようでありますが、むしろ、かつては問題のあったという言い方は余り好きではありませんが、少年事件などを起こしてしまいがちな子供たちの意識というものを理解をできる、経験できる、そこから立ち直った子供たちに役割を担ってもらうというような考え方を検討することはできないだろうか。  法務省の御見解をお聞かせいただければと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 確かに、議員がおっしゃったように、年輩者と少年たちとの間の日本語が通じないということは、そういう現象は随所にあろうかと思います。そういう意味で、保護司と少年との間にそういう危険が生じ得る可能性は多分にあろうかと思います。  ただ、現在のところ、委員がおっしゃったように、既に一たんは非行に陥った少年あるいは刑に服した刑余者にこの更生保護の分野で活躍してもらうというような制度は、日本には直接にはございません。アメリカで刑余者を更生保護に使ったという事例があるやに聞いたことがありますので、今後は意識して情報を集めていこうかと考えているところでございますが、いかんせん一たび犯罪に陥った人たちに次の犯罪に陥った人たちの後をゆだねるということには、いささか不安がないわけではありません。  今後そういうことも考えていかなければならないとは思いますけれども、現在日本で、そういう非行少年たちを抱えて改善更生のために努力してくれている団体にBBSという組織がございます。  アメリカで発生した組織でございまして、ビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズという英語の略でございますが、このボランティアグループが、文字どおり同世代の先輩、よき理解者として非行少年に接して、その更生を助けるというともだち活動を展開してくれております。そのような活動に対する予算措置もなされているところでございます。  そしてまた、このBBS活動は、最近とみに大学の中で、学域BBSと称して急速に運動が高まっていると聞いております。そしてまた、保護司の中にBBSとの連携をもっと強めるべきであるという声が最近高まってきたことも事実でございます。そういう活動の中で、若い少年たちの意識と年輩者とをつなぐ役割を大いに期待したいところでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 多分、社会の変化の中で、今まで行政がかかわらなくても済んできた部分のところを行政が代行していかなければならないという部分の話なのだろうと思います。  かつては地域社会の中で、まじめなお兄ちゃんもいれば、不良がかったお兄ちゃんもいたりして、いいことも悪いことも先輩の世代が教えてくれてというようなことが、もう私の子供時代では既にほとんど崩壊をしておりましたが、あったという話を聞いているぎりぎりの世代ぐらいかなと思いますが、そういったものが崩壊をしてしまっている中で、上の世代と下の世代をつないでいくパイプがないということが非常に悩ましいだろうというふうに思っています。  BBSの活動を重視していく、当面はまずそこから入っていくのだろうと思いますが、これもいい表現ではありませんが、わかりやすく言うと、まじめないい子にやってもらう役割と、逆に少し悪いことを知っているよという先輩がいることのメリットというのとをうまくコンビネーションさせていって、それが上の世代の先輩方の指導のもとでうまく機能していったらいいのにな。なかなか生易しいことではないと思いますけれども、ぜひ御検討を、御研究を進めていただければと思います。  それに関連して、この少年の問題について若干、いろいろな社会的な背景のところを別として、制度上の問題として悩ましいなと思っておりますのは、御承知のとおり、少年法は法務省の所管であります。それに対して、学校の問題は文部省でやっているわけですし、児童福祉法は厚生省が所管であります。  この少年法、つまり法務省の所管の範囲と、児童福祉法、厚生省の所管の範囲というのは、隣り合っているという部分がかなりある、つまり、法律に触れた場合には少年法のところに入っていくのでありましょうが、そうでない場合には児童相談所などが少年の非行などについて相談に乗って対応する場面があったりする。  そこが、役所が分かれているというところの中で、そういった子供たちの自立支援、保護矯正などということが、悪く言えば二元化、あるいは文部省などを含めれば三元化というところまでいっては言い過ぎかもしれませんが、大変重要な問題でございます。  どちらに一本化したらいいのかというところはまた意見が分かれるのかもしれませんけれども、少なくとも、子供たちが道に外れてしまった、あるいは、しまいそうになっているという子供たちをきちんと立ち直らせていこうというような仕事は一つの役所にまとめて、機能的、効率的に進めていく必要があるのではないだろうか。そうした場合には、道に外れてしまったというのが法に触れるところまでいってしまったという問題については、これは裁判所、法務省が絡まざるを得ませんので、私は、法務省にこの少年問題についてのセクションをさらに充実させて一元化をしていくのかなというようなことを思っています。  こうした問題意識について法務省はどういつだとらえ方をしておられるのか、教えていただければと思います。

原田明夫法務省刑事局長

○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  大変、まさに悩ましいと申しますか、難しい、しかし重要な問題だろうと思います。  御指摘のとおり、少年法は、少年の健全な育成を期しまして、非行のある少年に対して性格を矯正していく、また家庭等の環境を調整していくということを主眼にいたします保護処分を行うということを直接的な目的とするものでございまして、その手続としては、家庭裁判所の審判等の手続等を念頭に置いたものでございます。そういう観点で法務省が所管しているということでございます。  他方、児童福祉法は、児童の一般的な福祉を広く保障するために、そのために重要となる医療、保育などを含めた行政的措置を定めるものでございまして、医療、福祉を担当する厚生省の所管とされたものと考えられます。  そういうことで、直ちに一元化という点については困難な面があろうかと思われますが、ただいま委員御指摘のとおり、いわば非行に走ってしまった、走ったというのはおかしいのですけれども、非行行為に移ってしまった、法に触れたというような観点から、一人の少年の健全な育成を図っていくためにはまさにいろいろな角度からの総合的な措置が必要となると思いますし、その点はまさに御指摘のとおりだろうと思います。  そういう意味で、省庁はわたりますが、今後とも、厚生当局とも一層緊密に連携して対処してまいるべき分野だろうと思います。そういう面では、また文部省等の御意見、考え等も聞かなきゃいけないと思いますし、実際に、少年のいわば保護といいますか、少年の具体的な事件を取り扱っている第一線の警察の担当の方々の意見も聞かなきゃならないと思います。そういう意味で、まさに総合的な観点から、少年法というフィルターを通して考えていくということが必要ではないだろうかと考えます。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 今刑事局長から答弁したとおりでございまして、やはり役所の縦割り行政の問題点の一つではなかろうかと思います。  例えば、先般来いろいろお話ししておりますが、少年法の改正の問題一つをとりましても、審判手続の問題については私は法曹三者が中心でよかろうと思います。ところが、少年法の適用の年齢の問題を議論するというふうなことになれば、まさしく今ここでお話が出ているような問題があるわけでございまして、そういうふうな場合には、それは厚生省でございますとか、あるいは文部省でございますとか、あるいは警察庁でございますとか、あるいはそれぞれの学識経験者、そういうふうな人たちの御意見を承って、そしていろいろ御審議いただこうというふうなことに相なろうと思います。  そういうふうな意味で、やはり恒常的な場を設けるのがいいのかどうか、これは検討せぬといかぬと思いますが、やはり総合的に少年問題を考えていくということは大変必要なことでございまして、御指摘の点は私どもの図星を指されたような感じがしないわけでもないのですけれども、そういうようなつもりで実務的には進めてまいりたい。ただ、すぐ厚生省から法務省に持ってくるとか、法務省のものを厚生省に移すとか、そういうようなことは実務的にはちょっと難しいと思いますが、今申し上げましたような気持ちで、密接な連携をとりながら進めてまいりたい、このように思います。

枝野幸男民主党

○枝野委員 いろいろ実務的には大変だというのはよくわかっておりますが、省庁再編なども遺憾ながら通ってしまいそうな話のようでございますので、そういったところの中で一つの視点として御検討をいただければというふうにも思っています。  次に、保護司さんと、それから叙勲制度などの関係についてお尋ねをさせていただきたいのです。  あらかじめ申し上げますが、私自身は叙勲制度そのものについては、本来は、人に役所が順番をつけるような話というのは適切なものではない、制度自体をやめるべきだと私は思っておりますが、そうはいっても現実に今、叙勲制度、褒章制度が存在をしています。存在をしている以上はよりできるだけ公平に運営をされるべきだと思っております。  そうした中で、保護司さん、まさに先ほど来出ておりますように、ボランティアで社会的に大変有意義な仕事をしていただいておりますが、そうした方が、叙勲あるいは褒章という制度の中で評価をされるということが少ない、あるいは遅いというような声がある。かつて私もこの委員会でそういった指摘をさせていただいたことがございますが、現状どういつだ状況にあるのか、まず状況をお知らせください。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 保護司の皆さん方には、危険を物ともせずに無報酬で極めて困難な仕事に長年月従事していただいておりますので、当局としても、叙勲及び褒章の受章枠を拡大して、できるだけ多くの方が受章できるように鋭意努力してまいりました。  ただ、遺憾ながら、叙勲及び褒章の受章枠に比べて受章基準を満たす保護司の数が多いために、相当長い従事年数がないとその栄典を受けられないという現状にございます。現在、受章は、定例叙勲、勲五等が春夏合わせて昨年度で百二十九人、藍綬褒章が昨年度春夏合わせて百三十一人に与えられているという状況でございます。  今後とも、保護司の業績を一般に周知させまして、社会的評価を一層高めるために、従事年数の基準の緩和あるいは受章枠の拡大等に努めてまいりたいと考えております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 こういった制度がある以上、より効果的に公平にということを考えるならば、まさにボランティアでこうした仕事をしていただいている皆さんに優先をして、こういった形での表彰でその御尽力、御協力に敬意を表するというのが、勲章制度が存在するとするならば、その意味ではなかろうかというふうに思っております。  遺憾ではございますが、例えば官僚の皆さんや私たち政治家などは、多い少ないは別としても、給料をもらって、報酬をもらって、仕事をするのは逆に言えば当たり前なわけでありまして、給料なしに、実費も不十分な支給しがなされない中でこういつたことをボランティアでやっていただいている方こそが、官僚OBや政治家OBなどにむしろ優先をしてこういつた表彰を受けていただくというのが当然ではないかと私は思います。  ぜひそうした見地も含めて、こうした皆さんへの表彰が十分になされるように計らっていただきたいというふうに思いますが、事務当局それから大臣のそれぞれの御見解をお聞かせください。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 ただいま委員がおっしゃったとおり、大変困難な職務を長年月やっていただいておりますので、その御労苦に報いるべく一生懸命、多くの方々に機会均等に叙勲、褒章の機会を持っていただくよう努力してまいりたいと思います。  確かに、保護司の皆さん方もある程度の年月務めていただきますと、この叙勲、褒章を大変喜びとされるわけでございまして、私ども、そういう喜んでおられる姿をいつも見ているものでございますから、一層今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 ボランティアで長年本当に頭の下がるような努力をいただいているわけでございまして、そういうふうな方々に対する叙勲あるいは藍綬褒章、最近やっとふえまして、それでもそれぞれ年間百三十人でございます。少ないときには五十人前後のときもございました。これは我々の努力としてふやさなくちゃいけないと思います。  それからもう一つは、もっといい勲章をもらえぬかというふうな思いもあるわけでございます。賞勲の算定の基準というのがいろいろありまずけれども、なおかつ、そういうような形で努力してまいりたい。  無報酬でおやりになっているだけに、むしろ大変喜んでいただけるわけでございますし、今後ともさらに努力しなくちゃならないな、これは私どもの責任じゃなかろうか、このように思っております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。  保護司関係のところでは最後に、そもそも保護司さんの活動の対象は保護観察中の皆さんに対する対応でございます。果たしてそれだけでいいのかどうか。さらに保護司さんの活動の範囲というものを広げていくというようなことが検討されてもいいのではないだろうか。つまり、保護観察の判決を受けた、あるいは仮出獄をして保護観察処分を受けているという皆さんの社会復帰については、保護司さんがついていただいてさまざまな調整を図ったり指導をしていただいたりということで、いわばソフトランディングしながら社会に復帰をしていくという制度が今機能しているわけであります。  それに対して、例えば刑期を満了して社会復帰をする皆さんには、この保護司さんが関与するというような制度になっておりません。刑期満了して社会に出てくる方の、その出てくるときの事情というものにはいろいろなケースがあるでしょうし、出てきたらすぐに家族がきちんと迎え入れてくれて、そこがしつかりと社会復帰のための役割をやってくれるという場合もあるでしょうし、あるいは更生保護施設などで受け入れざるを得なくて、そこで半年間ですかいていただいて、社会復帰をしていく努力をその場でやっていただくという場合もあるでしょう。しかし、その中間的な場合、従来住んでいた地域に戻る、そうすると、必ずしもそこで社会復帰のために手助けをしてくれる、フォローしてくれる、指導してくれる人が身近にいるとは限らないというような方も少なからずいるだろうと思います。  せっかく保護司さんが日本全国にいらして、保護矯正のための仕事をしていただいているわけでありますから、刑期を終えた皆さんの社会復帰というものに、現在ある保護司さんの制度を含めてそういったものに対応し得る制度を、機能的に、柔軟に働いていただくという形で、一人でも多くの刑期満了者の方が再犯しないということが、それは本人にとっても社会全体にとっても大変有益なことであります。  せっかく保護司さんという制度がありますので、それをそういった形で、いろいろな場で活躍をしていただくということについて御検討いただけないだろうかという点について、御意見を承りたいと思います。    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 大変重要な御指摘だと思います。  刑期を満了して矯正施設を釈放された者につきましては、親族、縁故者等から援助、または公共の福祉その他の機関から保護を受けることができない場合、またはこれらの援助または保護のみによっては更生できないと認められる場合に、本人の申し出に基づきまして、釈放後六カ月を超えない範囲内において犯罪者予防更生法に基づく更生緊急保護の措置を講じて、犯罪防止と速やかな更生を図る制度がございます。特に、累犯者、高齢者は、親族、友人等から見放されて身寄りのない者や、就労あるいは医療等の面において種々の問題を抱えておりまして、保護観察所において、食事、衣料の給与、医療援助、帰住のための旅費の支給等を行っております。また、更生保護施設に委託して食事、宿泊の供与、補導等を行っております。特に更生保護施設は、生活の援助、指導訓練等を行う場として重要な役割を果たしております。  ただ、この更生緊急保護につきましては、既に刑期を満了した者、あるいは執行猶予になった者、あるいは起訴猶予になった者等でございまして、一般の仮釈放者に対する、あるいは一般の保護観察者に対すると同様の指導監督という側面を行使することはできません。専ら補導援助に尽くす、いわば社会福祉的な側面の制度でございます。現在は、今申し上げましたように保護観察所がこれを行っております。あるいはまた、更生保護施設に委託してこれを行っております。  委員御指摘の点は、この刑期満了者等に対する補導援助の手を保護司が差し伸べたらどうかという御指摘でございまして、十分に考慮に値する、考慮に値するというよりも、今後検討していくべき課題であろうと思いますが、一つは、予算を伴うことでもございます。さらにまた、保護司に現在以上にいろいろ御苦労を願わなければならないという問題がございます。  今回の法改正によって、保護司組織を充実強化し、保護司の活動がより容易にできるようになったときを一つのめどに、保護司連盟等といろいろ御相談申し上げながら今後検討を加えていきたいと考えております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 すぐにということはなかなか難しいと思いますが、今いみじくもお話の中にありましたように、きょう本会議では、司法警察と行政警察はきちんと分けてくださいという話をしたところなのです。逆に、この矯正みたいな話については、多分、福祉的な側面からの仕事というのと、それから指導、矯正という仕事と、むしろ、この分け目をつけない、特に属人的にはつけない方が実は機能するのではないのかなというようなこともできれば検討していただければと。  どうしても、福祉的な見地からやる仕事と、それから保護矯正という部分での仕事とが分かれて、場所も分かれてしまっているし、極端な話は、先ほどの少年については厚生省と法務省に分かれているというところにもつながっていくのだろうと思いますが、ここは、理論的にあるいは実態的に、どこまでどう分けられるのか、あるいは分けない方がいい部分はどうなのかということを含めて御検討いただければというふうに思います。  さて、少し時間が残っておりますので、私が初当選以来法務委員会でずっと言い続けてきている案件について、二、三お尋ねしたいと思います。  何度かこの委員会で私以外の方からも御質問が出ていると思いますが、民法改正について法制審の結論が出てもう大分たちますが、政府からは国会に提出がされておりません。改めまして、提出されていない理由がどこにあるのかをお答えいただきたいと思います。

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 民法の改正につきましては、既に法制審議会におきまして数年かかって議論がなされてまいりました。そして、平成八年におきまして、親族法の部分、特に夫婦別姓の問題、あるいは離婚の問題、あるいは婚姻年齢の問題、あるいは相続編のうちの非嫡出子の相続分の問題、こういった諸点についての改正要綱というものが答申されたところでございます。  私たち事務当局といたしましては、これに基づく法案の提出を企図したところでございますが、ただ、国民の十分な合意が得られていないのではないか。これは、選択的夫婦別姓制度を導入する点、さらに非嫡出子の相続分に関する部分、この点について特に御議論があったところでございまして、改めてその時点における世論調査等も実施いたしましたが、夫婦別姓制度について申し上げますと、これが選択的であるということを明示して世論調査を行っても、必ずしも十分な国民の理解が得られていないといった点がございまして、この点につきましては、政府としての法案の提出を見合わせておるというところでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 国民の理解が得られていないということを一つの理由にしておっしゃられているわけですけれども、そのことだけでは私は理由にならないと。例えば、何年前ですか、国民の理解を得られていない消費税導入の法案を政府は出しましたし、ついこの間も、金融の三十兆円も国民の理解を得られていないのに国会に提出をして通過させています。  どうして、そういったものは国民の理解を得ないでおやりになって、これは国民の理解を得られていないと言ってお出しにならないのか、御説明をいただきたいと思います。

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 消費税等の問題についてお答えする立場にはございません。  ただ、私どもの考え方といたしましては、民法の改正の問題、特にこういった夫婦別姓等の問題につきましては、国民お一人お一人に重大な影響を及ぼす事項でございます。こういった問題につきまして、国民の意見の多くの部分と必ずしも合致しないといった形での民法改正がなされるということになりますと、社会に及ぼす混乱あるいはそれに伴う諸制度に及ぼす影響、そういったものは非常に大きなものになるというふうに考えておるところでございまして、この問題については、多くの国民の方の御理解のもとに提出するのが正しい閣法のあり方であろうというふうに考えておるところでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 これは民事局長にお答えをいただくのは酷なので、むしろ大臣にできればお答えいただければと思うのです、この手の話は政治論だと思いますので。  今の話も逆だと思うのですよね。消費税みたいな話は国民全部に関係あるのですよ。だけれども、選択的夫婦別姓はほとんどの人たちには関係ないのですよね。別姓を選択したくないというほとんどの人たちにとっては関係ないですよ。非嫡出子の相続分の話だって、非嫡出子が身近にいない大部分の人たちにとっては関係ないのですよ。むしろ一部の人たちにしかかかわらない問題なのですよ。消費税なんかの方がよっぽど全国民に関係するのではないですか。理屈は、今の話だとちょっと違うと思うのですけれども。

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 今先生御指摘のような考え方も確かにあろうかと思います。  ただ、氏の問題という点について申し上げますと、これは今先生が御指摘になった、これから結婚をなさろうとする方、そしてそれが選択制であるということだけで当該制度を選ばれる方の利害だけの問題なんだという理解の仕方は、必ずしもすべてを言い尽くしているとは言えないのではないかというふうに考えております。  氏の問題に関して申しますと、氏というのは、いわば先祖から伝えられた氏という考え方をする方もございますし、それから、夫婦とその子供を単位としたいわば家族の名称だというとらえ方をする方もございましょうし、これは個人を表示する氏名のうちの一部なんだというとらえ方をする方もございましょうし、そういった点を考えてみますと、必ずしも、これから結婚をされて氏を別姓にしたいと思っておられる方だけの問題だという考え方はできないのではないかというように考えられるところでございます。  また、非嫡出子の問題にいたしましても、当該者の、いわば身辺にそういう方がおられるかどうかという方だけの問題だというとらえ方は狭小に過ぎるのではないか。日本のいわば今ある家庭のあり方といったことにかかわる問題でございまして、これは国民の多くの方、言ってみれば、大部分の方が深い関心を持たれる問題であるというふうに考えておるところでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 民法の改正が一部の人にだけということ、別にそのことだけで私は言っているのではないのですよ。相対的に比べてどうですかと私は申し上げているわけです。  消費税の方が全国民に圧倒的に利害関係の絡む話に比べれば、こちらの方こそむしろ国民全体のアンケートもとらなければいけない。もしそれだけで物事を決めるというのであるならばこちらじゃないですかという比較の話をしているので、今の話はずれていると思います。  また、そもそも、このお尋ねを一度してみたいと思ったのですが、日本国籍を有する者、つまり、日本国民で夫婦別姓が認められている人、いますよね。

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 恐らく、外国人と婚姻されている方、外国人の方と婚姻されてもその姓が変わるということになっておりませんので、そういう意味でおっしゃっているのかと思いますが、そういう意味では、あるということになっております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 ですから、日本は家族全部が同じ氏なんだというようなことをみんな前提にしているのだから、一部であっても例外をつくるというのは嫌だというのであるならば、外国人と結婚した場合の日本国民の今の氏の話はどういうふうに解釈するのですか。やはり一部だったらいいのですよ。認めているじゃないですか。外国人と結婚した日本人については、夫婦で同じ氏じゃないということを日本国は許容しているじゃないですか。整合性がとれなくなりませんか。

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 この問題につきましては、平成八年に行いました世論調査の際に、今考えられている夫婦別氏制度が、選択的なものである、それを望む方だけが別姓を称することができる制度であるということを明示いたしまして世論調査を行ったところでございますが、三十数%の方々がそれに反対であるという意思表示をされたということでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 始まるのがおくれたのはうちの党の責任ですので時間二十分でやめますが、若干皆さん誤解があると思うのです。まず、そもそも民主主義とは何なのかというところから入っていかないと、この話はおかしくなるのだろうと思うのです。  民主主義は常に多数決ではありません。多数決でも侵せないものが民主主義の中にはあります。単純多数決ではありません。つまり、人権、自由というものに対しては、多数決であっても侵せないというのが民主主義だと思います。  この選択的夫婦別姓の話は何なのかといったら、少数者の自由、少数者の人権を認めるのかどうかという話です。少数者の人権の問題は、国民の半分が認めるまでと待っていたら、全部後手後手に回るのです。被差別部落の問題しかり、少数民族の問題しかり、障害者の問題しかり。少数者の権利の問題が、国民過半数がそうですねと言うまで待っていたら、絶対政治は後手に回るのです。民主主義というのは、少数者の人権を守るためには、多数決ではない、それで守らなければならないというものをきちんと前に進めていくということが、私は本来の民主主義だというふうに思っています。  そして、ずっと思っているのですが、選択的夫婦別姓にしたら、別姓にしたくないという人にどんな迷惑がかかるのかというのが私はよくわからない。逆に、現に選択的夫婦別姓が採用されていないということの結果として、迷惑を受けている、自分たちの利益が害されているという人たちが少数とはいえこの国の中にいる。その人たちの少数の意見を認めたことによってどんな実害があるのかということを明確に示せなければ、少数者の選択の自由というものは守っていくのが基本的には民主主義であり、自由主義であるというふうに思っています。  自由と民主ということを掲げている政党が政権をとっていながら、この話について理解を得られていないというのは、私はどうにも解せないなということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

橘康太郎自由民主党

○橘委員長代理 保坂展人君。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 社民党の保坂展人です。  まず最初に、今回の法改正に当たって、法務省保護局の言葉の定義なんですが、民間ボランティアというと、保護局ではどういう概念なんでしょうか。民間ボランティアの概念。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 特に意識して考えたことはございませんが、民間の中で、報酬を受けないで公共的なことに、業務あるいは職務に従事している人たちであろうと考えております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 もう少し大きな声でお願いしたいのです。  この保護司の制度が我が国独特の形で発展をしてきたということなんですけれども、まさに報酬を受けないで、場合によっては、活動の一部はよく知られている、しかしトータルにおいては知られていない部分もあって、法的な根拠を付与しようというのが今回の趣旨だろうと思うのですね。  保護局のパンフレットを見ると、これは「民間ボランティアである保護司」という位置づけがここに書いてあるわけです。今回の法改正を経ると、この記載は少し変わるのでしょうか。それとも存続するのでしょうか。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 そこに記載してございます民間ボランティアであるという組織そのものの意味は変わりません。今回の法改正によっては、今まで法律で保護司の組織が規定されていなかった、そういう意味で、単なる任意組織であったものを法定の組織にするという意味でございます。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 今の点、後ほどまた触れますので、ちょっとひとまず置いておいて、昭和でいうと二十七年の機構改革によって、それまで成人保護司と少年というふうに分かれていたこの区分が廃止されたと聞いております。その理由と、そして現在、御承知のように、例えば薬物一つの問題をとってみても、成人において発生している問題と、例えば高校生とか非常に低年齢の子供たちに発生している問題と、大分事柄の性格が違うということがあろうかと思います。ですから、今後の対応として、一たんこれは統合されたのですが、再び少年ないし成人というふうに分けるということも考えられるかと思うのですが、そのあたりの経過とお考えを伺いたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 昭和二十五年に保護司法が制定された当時、我が国の更生保護の機構は、法務府の外局として中央更生保護委員会が設置されておりまして、その地方支分部局として、各高等裁判所の管轄区域ごとにそれぞれ地方少年保護委員会、地方成人保護委員会が置かれておりました。両地方委員会の事務局の事務分掌機関として、各家庭裁判所及び地方裁判所の管轄区域ごとにそれぞれ少年保護観察所と成人保護観察所が置かれておりました。その関係で、保護司についても少年と成人に区別されていたものでございます。  その後、昭和二十七年に講和条約が発効した後に、それまでの我が国の行政機構が複雑、肥大化していたのを、簡素でかつ効率的な行政機構にする必要があったことから、更生保護の機関についても機構改革が行われました。すなわち、昭和二十七年に法務府設置法が改正され、中央更生保護委員会の地方支分部局であった地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会にかわって、法務省の地方支分部局である地方更生保護委員会、これは今日あるものでございますが、を設置したほか、両地方委員会の事務分掌機関にすぎなかった少年及び成人保護観察所についてもこれを統合して、同じく法務省の地方支分部局である保護観察所を各地方裁判所の所在地ごとに置くことにしたものであります。この行政機構改革に伴いまして、保護司についても少年保護司と成人保護司の区別をなくして、単に保護司としたものでございます。  委員の御質問は、今日、また逆に成人を担当する保護司と少年を担当する保護司を区分してはどうかという御提案かと承りました。  確かに、それぞれの領域を受け持つことにいたしますと、それぞれの専門性が高まるといったメリットがあろうかと思われますけれども、他方で、全国津々浦々に成人担当の保護司と少年担当の保護司を二重に確保する必要がある、研修についても二重に実施する必要があるということなどの困難も伴うのであります。このような区分を設けずに、一人の保護司が成人と少年の双方の保護観察対象者を取り扱うことができるといたしますと、ある地域で少年と成人の保護観察対象者の数にばらつきがある場合におきましても保護司の負担を均一化することができますし、人材確保の面でも無理がなく、どちらかというと現実的であると言えるのではないかと思われるのであります。  保護司が成人と少年の双方を取り扱うといたしましても、それぞれの保護司の資質や処遇能力、経験年数などを考慮して、少年事件に適した保護司、成人の仮出獄者の処遇に精通している保護司というように、いわば自然に得意分野を持った保護司ができたり、また保護観察所の方で意図的にそういうことを育成の過程で行っていく場合もあるのでございます。  現段階では、成人保護司と少年保護司を分けることなく、そのあたりを柔軟にしていった方が無理のない運用ができるのではないかと考えている次第でございます。     〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 時間が本当に短いので、昭和二十七年というともう四十五年近く前でしょうか。ですから、三十年前でも二十年前でも余り変わらない答弁ではなくて、まさに今大きく変わっているわけですから、もちろんそうやって統合した理由もあり、しかし、また今少年特有の難しい点が出てきているというところ、そこだけに絞ってお答えいただければよかったのです。  では、簡潔に聞きますけれども、保護司が選任される過程についてちょっとわからないところがあるのですね。年齢構成も非常に高いわけですね。例えば、前任保護司の推薦が必要であるというような制度がある。あるいは、選任母体なるものはどういうふうに公平に開かれているかというところで、例えば、年齢的にも若くてそれぞれの得意分野を持っている、そういう保護司が選出される柔軟な制度にこれから変わりていく要素が今あるのかどうか、これも簡潔にお答えいただきたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 若手の保護司を今後確保していくことができるかどうかという御質問については、事はそう簡単にはいかないとは思いますけれども、努力をしていきたいと考えております。  現在、保護司の職業等を考えてみますと、なかなか自分の生活だけでも精いっぱいの世の中でございまして、若いサラリーマンたちから次々に保護司の中に入ってきてもらえるという確たる確信がございません。ただ、そうはいっても努力をしていかなければならない、こう考えているわけでございます。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 これも具体的に発生するケースだと思うのですが、保護観察官の助言指導を受けながら保護司の方が活動をするということになっていると思いますけれども、保護観察官の方がはるかに若くて経験もそれほどない。人生上の経験や扱ってきたケースも極めて少ない。比べて、保護司の方が年齢的にも、扱ってきたケースもはるかに膨らみがあるという場合があろうかと思うのですが、こういうアンバランスというのはどのように現場で解決されるのか。保護観察官が保護司から学ぶということも当然あると思うのですが、その辺は、形どおりの壁は取り払われているのかどうか。お願いします。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 委員御指摘のとおり、現在、保護司の平均年齢が六十二・九歳という状況でございますので、保護観察官と保護司、どちらも担当者であって、相まみえますと、一般的には保護司の方の方が相当年齢が上だということも事実であります。  しかし、現在の日本の更生保護制度は、専門官としての保護観察官と、地域性、民間性を備えた保護司との協働態勢で行っているのでありまして、委員おっしゃるとおり、確かに年配の保護司さんからいろいろ教えを受けることも多々あろうかと思います。また、そういう場面があることを私もよく耳にいたします。  しかし、一方で、保護観察官が、それでは一方的に教えていただいているかというと、なかなかそうではございませんで、保護観察官が担当する保護観察事件数、環境調整事件数は、保護司さんが扱われるものの何百倍にも相当いたします。したがって、保護観察官として急速に専門性を増していくわけでございます。  一般的に、保護観察官は、大学の教育学部あるいは心理学科等を出ている者がたくさんおりまして、そういう者が実際の保護観察を多数扱う中で保護観察官としての専門性を急速に高めて、保護司の皆さん方といろいろ意見を交換しながら対象者に相対峙してやっているのが現在の体制でございます。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 冒頭に、民間ボランティアとは何か、こういった規定について伺ったわけですけれども、先ほどの答弁にもあったように、保護司のほかにも更生婦人会、BBS会あるいは協力雇用主の方々がこういったプロセスに協力をしていただいているということですね。  さて、そこで、NPO法案も今国会で成立したわけですけれども、実はその少年の現場、例えばいろいろな薬物に手を出したり、あるいは盗み、あるいはけんかということでたびたび警察に補導される、あるいはいろいろな意味で問題を次々と起こしている、そういった少年たちを、今読み上げた方たち以外のいわゆる民間ボランティア、いわば幅広い意味で、例えば塾を経営していて、本当に読み書きも、ABCの次は何だっけというような高校生をもう一回抱えながら、いろいろな事件にもつき合いながら教えていく塾もあります。それから、個人で雇用主で、ちょっと問題を起こした子供たちを、協力雇用主という、これに登録をされていなくても、民間にそういう篤志家というか、そういう方がいらっしゃるのですね。ほかにも、いろいろな問題を抱えている子たちに寄り添ったり、かかわったり、つき合ったりしている民間の人たちがいる。  つまり、そういう人たちとの協力連携というのをどのように考えられているのかということをちょっと伺いたいと思います。

本江威憙法務省保護局長

○本江政府委員 まず保護司の職務の中に、先ほど来申し上げております保護観察、環境調整という分野と、もう一つは犯罪予防活動という分野がございます。  今おっしゃったのは主として犯罪予防活動の分野だと思いますが、これは各保護司が地域のいろいろな団体、機関、学校、地方公共団体、社会福祉施設あるいは病院等の医療機関、それらとできるだけネットワークを強めて犯罪防止活動の充実を図っていきたいということで、できるだけそういう方向で努力をしておるところでございますが、現在のところは、そういう側面においても組織的にこれに対応していかなければならないという場面が数多く出てまいりました。従来は、特に熱心な保護司さん、あるいは保護司会の幹部の方々が中心になってやっておられた活動を、もっと組織全体で組織的に取り組むということが重要になってまいりました。  そういうこともあって、今回、保護司の活動をより一層支援していくために保護司組織の法定化、強化を図っていこうとしているわけでございます。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 法務大臣に伺います。  今お聞きした趣旨も、いろいろな問題を起こした少年たちをもう一度再生させていこうという取り組みの中で、とりわけ深刻なのはやはり薬物であるというふうに思うわけです。  実は、ダルクという団体があるのですね。これは薬物でかなりひどい中毒症状で、繰り返し繰り返し病院に入ったり、あるいは警察に逮捕されたりということをかなり繰り返してきた人々が、お互いこれをやめよう、合宿生活をしてやめていくという組織があるのです。これは非常に効果が高い。高いといっても四割だそうですけれども。ほかに、本当にその中毒に高校生ぐらいのころからなってしまった子供たちにとっては非常に強い、例えば学校に講演に行ってそういう人たちが自分の話をするだけでも大きな効果を得ることができるという話も聞いている。  ですから、この保護司法の今回の法改正をきっかけに、ぜひ民間ボランティア、このパンフレットだと、本当に法務省がお認めになった方たちだけをピックアップしているような気も少ししたので、もっと幅広く、とりわけその薬物に関して、そういう体験者たちがみずからその体験を、もうこれはやつちゃいけないんだということを若い世代に伝える、こういうことをぜひ垣根を越えて取り組んでいただきたいということを込めて、法務大臣にお願いします。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 御指摘のように、薬物の問題は大変な問題でございまして、大ざっぱに申し上げまして、現在矯正施設に入っておる人の三分の一ぐらいが薬物の関係者だというふうに承知いたしております。それから、厚生省におきましても、薬物に対するそれぞれの組織をお持ちになって活動しておられることも承知いたしております。  これはもう国民的な問題でございます。それぞれの仕事の分野もあろうかと思いますけれども、大きな目的に向かいまして、できるだけ協力して、効果のあるような施策というものをとらなくてはいけない、このように思います。  そういうふうな中で、今回お願いいたしております保護司の方々とのかかわり合い、私はこれは積極的にあっていいと思うのです。そういうような中で、お互いに立場立場を尊重しながらどういうふうなことができるかというふうな形で推進してやるべきだ、またそういうふうに努めてまいりたい、このように思います。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 ぜひそういう垣根を払って、民間というのを幅広く広げていただきながら頑張っていただきたいと思います。終わります。

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出、参議院送付、保護司法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会

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