法務委員会 第12号
- 発言数
- 195 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1998/05/06
会議録
○笹川委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、参議院送付、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡宗也君。
○福岡委員 民主党の福岡宗也でございます。外弁法の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げたいと存じます。 我が国が外国法律事務弁護士の制度、すなわち外国で弁護士の資格を有しておる者が我が国におきまして外国法に関する一定の法律事務を取り扱うことができるというこの制度を導入いたしましたのは昭和六十二年でございます。これは、外国からの強い要求に基づきまして検討が始まりまして、我が国の司法制度の根幹にもかかわる重要な問題として、激論の末にやっと導入をされたものでございます。 この制度は、その資質、資格要件、事務取り扱いの範囲などにつきまして、我が国の司法制度と矛盾をしない構成とされまして、相互主義も取り入れた上で、十分な配慮のもとに実施をされたものだというふうに理解をいたしております。しかしながら、その後、たびたびの外圧等によりまして、資格要件の緩和、さらにはその事務取り扱いの範囲の拡張というような大幅な改定がなされてきたわけであります。そして今回の改正は、実に第三次の改定ということでございます。 そこで、今までの改定に加えて今回またさらに改定をするに至った端緒、いわゆるきっかけ、これはどういうところにあったかということについて、まず法務省当局に御質問をいたしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 今回、外弁法の一部を改正する法律案、これについて改正をしていくというきっかけでございますけれども、今回三点について改正点を御審議いただくわけでございますが、この点につきましては、もともと、外弁法制定後しばらくしてから、もうその声は上がっておりました。その後、二回の改正を経まして今回三回目でございますが、規制緩和要望あるいは外国からの要望等、これがずっと継続していたということでございまして、時代の変遷、特に国際化、グローバル化が激しいこの時代におきまして、それをどのように考えていくかということ、それをきっかけにしたわけでございます。
○福岡委員 ただいまの御回答はちょっと抽象的でわかりにくかったのですけれども、法務省から発行されております今回の改正についての資料集の中を見ますと、結局のところ、米国政府と欧州連合から強い申し入れがあったということ、それを受けて経済界からも要望があったということがきっかけだと書いてあるわけですね。そしてその要求の内容というのは、資格要件を緩和せよ、それから取り扱いの法律事務を拡大せよ、さらには、いわゆる日本の弁護士等を雇用する、また共同事務所を経営するということを認めろ、この三点の要求というふうに書いてあるわけです。ということは、結局、一言で言ってしまえば、外圧によってやはり規制を緩和しよう、こういうことだというふうにとれるわけです。 しかしながら、弁護士の資格要件、取り扱う事務の範囲の問題、さらには経営実態をどのように形成していくかというような問題は、外交折衝の必要性、取引というようなことや、経済的な効用などから決定をすべき問題ではないと思うのですね。基本的には、人権を守るべき司法制度をどのように構築するかという観点からこれは考察さるべきことだというふうに思うのであります。 戦後の我が国の制度は、司法に人権保障のとりでとしての立場を与えまして、弁護士も、人権擁護と社会正義の実現という使命を与えまして、国民の法的救済のニーズにこたえるということを使命としておるわけであります。したがいまして、その資格要件におきましても、従来と違って、司法試験という裁判官、検事と同じ試験を受験させる、さらには試験に通った後も、司法研修においては、弁護士になろうとする人間であっても裁判も検察も両方の修習をして、司法制度全体についての活動に遺憾なきを期するというのが我が国の弁護士制度であるわけです。したがって、こういうことにした理由というのは、あくまでも主権者である国民の人権を守る、それにふさわしい資質というもの、すなわち法的知識と実務能力を備えさせるということが必要だという観点からであります。 また、事務所の経営についても、広告であるとかそれからやり方についての規制というものもいろいろとされているわけであります。それはなぜかといえば、人権擁護の使命にふさわしくないようなそういった行動というもの、また経営論理というものは排除して、倫理規定で厳しく制限をいたしておるわけであります。 したがいまして、外国人弁護士の場合の資格要件というものも、やはり同じような考え方で構築をせざるを得ないのですね。すなわち外国人弁護士は、外国法または指定法を取り扱うわけでありますけれども、その取り扱うべき法律について十分に、我が国の国民また我が国に住む外国の人たちの人権を保障するに足りる、いわゆる法的知識それから実務能力を備えるような資格というものにする必要があるわけでありますし、その事務所の運営形態それから取り扱い事務の範囲もプロとして堪能な法律に限定をすべきだ、こういうのが当然のことでありまして、外国人弁護士といえども人権を守る使命は同じなわけですね。 そういう意味からいたしますと、これを特別扱いして資格要件を緩和するとか、余りよくわからないような法律についての事務を取り扱わせるということは、我が国の国民の人権侵害ということにもつながってくるわけです。 そういう意味で、私は、法務省当局というのはどういうふうにいわゆる外国人弁護士というものの要件その他職務範囲というものを考えておられるのか、これは法務大臣にまず所見をお伺いいたしたいと思います。
○下稲葉国務大臣 委員の御指摘はもっともだと思います。ただいま政府委員から説明いたしましたが、改正のきっかけに、アメリカでありますとかEU等からの規制緩和要望があったということは事実でございます。また国内的にもいろいろな団体等から規制緩和の要望がございましたり、あるいは政府の行政改革委員会の意見書等々にもそういうふうなことが記載されておるのも事実でございます。私どもといたしましては、あくまでもそのようなことは参考にはしながら、日本の法曹のあり方、特に法曹三者の中で弁護士会のあり方、そういうふうなことを考えなければならないと思います。 そして、今問題になっております外国法弁護士につきましては、これは法務大臣が認めまして、そしてそれぞれの弁護士会に所属してその監督を受けるということになっておるわけでございまして、日本の法曹全体の中でいかにあるべきかというふうなことで私どもはそういうふうなものを受け入れ、どういうふうにその辺のところを構築するかということが基本になることでございまして、外国弁護士受け入れ制度を検討する際におきましても、今申し上げましたようなことを視野に置いて制度というふうなものを検討してまいりたい、また、現在までも参っておるというふうに思うわけでございます。
○福岡委員 基本的な考え方といたしましては、私が先ほど申し上げましたような人権保障に遺憾なきを期するような制度的なということでお考えをいただけるということなので結構でございますけれども、実際の運用の面において、巨大資本のローファーム等の進出ということも考えられますので、十分なるやはり監督をお願いしたいというふうに思うわけであります。 そこで、資格要件の問題を検討する、すなわち日本弁護士と同等の、外国法に対する関係においては法的知識、実務能力を有するかどうかということの検討ということにつきましては、まず何といっても、諸外国の弁護士資格取得の試験制度とそれから研修制度がどうあるのか。これが、日本よりもよりすぐれたり、また厳しいというものであれば問題ないわけでありますから、まずこの点を法務当局にお伺いをいたしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 お答え申します。 アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスを例に御説明を申し上げます。 まずアメリカでございますけれども、四年制の大学を卒業いたします。この四年制の大学といいますのは法学部の教育は含まれておりません。これを卒業いたしますと、ロースクールで三年間の法学教育を受けるわけでございます。ここを卒業いたしまして、各州で実施をいたします法曹資格付与試験、これに合格いたしますと法曹資格を付与されるということでございまして、全体として七年が必要であるということになります。 それからイギリスでございますけれども、イギリスは、大学の法学部あるいは高等専門学校において三年ないし四年の法学教育をまず受けます。その後はソリシターとバリスターに分かれるわけでございますが、ソリシターにつきましては、法律学校等における一年間の研修を終えまして、その研修終了の試験がございます。これに合格をいたしますと、ソリシターの事務所において二年間修習をいたしまして、これを終えると資格が付与されるということでございます。したがいまして、長い期間で取りますと七年間やはり必要であるということになります。 それからバリスターにつきましては、法曹学院、法律学校におきます一年間の実務教育を受けまして、その終了試験に合格した上、バリスターの事務所で一年間の実務修習を終えますと資格が出てくるということでございますので、六年間必要であるということになります。 それからドイツでございますけれども、ドイツの大学の法学部における教育でございますが、最低三年半ということになっておりますが、平均で約六年というふうに言われております。との法学教育を受けた後に第一次国家試験に合格いたしますと司法修習生になるわけでございますが、ここで二年間の実務修習を経まして、二次試験に合格いたしますと法曹資格が出てくるということでございます。ですから、短い年数で取りますと五年半ということになりますが、長い年限で取りますと八年ということになります。比較的日本に似ているということでございます。 それからフランスでございますけれども、四年間の大学法学部における教育を終わりました後に、大学の法学部に附置されております司法研究センターにおける受験準備の法学教育、これが大体一年から二年あるようでございますけれども、これを受けまして、それから弁護士研修センターに入所しまして、そこで一年間の修習を受けます。ここで卒業試験に合格をいたしますと弁護士補となるわけでございまして、その弁護士補となった後二年間実務修習を終了いたしますと初めて弁護士の資格が付与される、こういう状況になっておりまして、比較的日本よりは長い年数を要しているという状況でございます。
○福岡委員 今の御説明で、日本とそれほど大きく差があるというふうには思いませんけれども、ただ、アメリカの七年というのは、最初の四年間は法律と関係ない勉強をして、後の三年間で法律の勉強もして、それから司法試験を受けるという格好になるという形で、研修制度はないということですからちょっと比較はしにくいんでありますけれども、結局、各国によってその独自性といいますかばらつきは結構あるというふうに思うわけであります。したがいまして、各国においても外国人の弁護士をどう処遇するかということについては、その独自性に基づきましてそれぞれ相違が出てくるというのが実態だというふうに聞いております。 そこで、先ほどお話のありましたアメリカそれからヨーロッパ等、いわゆる外国人弁護士制度というものを導入しているかどうか、導入しているとすればその資格要件はどうなっているかということについて、次に御質問をしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 まず、アメリカについて申し上げますけれども、アメリカは外国法事務弁護士を受け入れる州が約二十でございまして、それ以外は認めていないということでございます。 職務経験要件でございますけれども、これは、認めているところは全州それを採用しておりまして、一番短いものにつきましては、二州、ニューヨーク州ほかもう一州ございますけれども、申請の直前五年のうち三年という要件がございます。それから、申請直前六年のうち四年という州も二州ございます。そのほかは、大体申請直前七年とか、そういう中で五年以上という要件を設けております。 それから、ドイツでございますけれども、ドイツにつきましては職務経験要件はございません。 それから、イギリスでございますけれども、イギリスについてもございません。 フランスは、外国弁護士受け入れ制度そのものを廃止いたしましたので、どうしても外国人がフランスで活躍したいという場合には、フランスの司法試験を受けまして、そこで合格したら活躍してほしい、こういう制度を採用しております。
○福岡委員 今の御答弁によりますと、諸外国では外国人弁護士の受け入れについてはまちまちであるということですね。特にアメリカ、これは外圧の一番中心ですけれども、半数近くが実際には受け入れていないということ。それからさらに要件としましては、三年というのは二州しかないわけですね。あと、五年と四年という長きにわたって経験をしなければ外国人弁護士として取り扱われないということでございますので、我が国が当然取り入れておりました相互主義という点からしても、余りに我が国だけ緩和することが我が国の国民のためにいいかどうか非常に問題のあるところだというふうに思うわけでございます。 そこで、振り返りまして、外国人弁護士制度というものが昭和六十二年の四月に制定されたわけですけれども、その制定に際しまして、日弁連を初め、学者、その他の有識者からいろいろな議論が展開をされまして、大体五つぐらいの論点が議論されたと聞いております。 その一つは、まず資格要件として、我が国の国民の人権を守るに値する十分な資格要件を定める、したがって最低五年は必要だろう。それから次は、外国弁護士の職務範囲については、資格を取った国の自国法に限定すべきじゃないか。また、堪能だということで法務大臣の許可を得ている場合には特に認めようという指定法に限定すべきだ、これが第二点。さらに大事なことは、外国弁護士は日弁連に登録をして、特別会員として日弁連の指導監督を得て、やはり倫理に反することのないように十分に監督をするということ。それから、先ほど申し上げました相互主義を徹底させること。さらに五番目としまして、職務の範囲を外国法に限定いたしましても、日本の弁護士を雇用する、または日本の弁護士と共同事務所を設立することによって、実質的に職務範囲を拡大して日本法の適用までしてしまう、こういうようなことになってしまっては困るというので、これを禁止する。 これが大体五大の柱として論議をされまして、当初の外国弁護士法の内容としましては、この五点を堅持するということで、日弁連を含めて満場一致で出発をした。いずれも我が国の弁護士の公共的性格からこういう制約は設けられた、こういうふうに聞いておるわけですけれども、この点について間違いがあるかどうか、それから所見について、これは法務当局からお伺いしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 外弁法導入に当たりまして、日弁連の方からただいま委員御指摘のような五点について、そういう点をきちっと踏まえるようにということで要請があったということ、これはそのとおりでございます。日弁連におきましても、臨時総会におきまして承認を得て、そのような要綱を作成したというふうに伺っておりまして、内容的にはそのとおりだというふうに理解しております。 これに基づきまして、法務当局といたしましては、この趣旨を踏まえまして外弁法を制定したわけでございまして、その制定の趣旨は、日弁連の方がまとめられました制度要綱と基本的には食い違いはないというふうに理解しておりますし、私どもも同じ発想で立案したものでございます。
○福岡委員 というわけで、五点を堅持しておるという状況で、我が国の司法制度としても矛盾はしないということで発足をしたと思うのですね。 ところが、平成六年六月に、外弁法の一部改正というものがなされました。これはかなり要件の緩和等がなされているわけですが、こういった改正がなされましたその端緒といいますか、きっかけと、それからどういうところが改正されたか、簡単にちょっと御説明いただきたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 もちろん、きっかけにつきましては、内外からの声が多かったということになるわけでございますけれども、先ほど大臣の方から御答弁を申し上げましたが、私どもは、それがきっかけではございますけれども、これは、司法制度の一環であるということは十分認識しておりまして、そういう観点から、やはり依頼者の保護あるいは日本の法制度との整合性、この問題は常に頭に置きながら改正に着手してきたわけでございます。 そういう観点から、まず平成六年の大きな改正点でございますが、第一点は、五年の職務経験要件のうち二年間だけにつきましては、我が国の弁護士あるいは外国法事務弁護士のもとで母国法の法律事務を、これを基本的に労務提供する、弁護士として活躍するわけじゃございませんけれども、そのもとでアシスタント的に働く、こういう二年間をその五年の中に通算するという改正が第一点で行われたわけでございます。 これにつきましては、やはり我が国の法律実務あるいは我が国のいろいろな社会、文化、こういうものに非常に詳しい者、それから日本について非常に理解がある者、こういう者が我が国で法律サービスするということになりますと、それなりにやはり日本の依頼者にとってもいいことではないかという観点から行われたわけでございます。従来も、この法改正が行われる前に日本でやはり弁護士事務所等で労務提供をしていた者がおるわけでございますが、この法律を導入する際にその経過措置として、その方々については二年間日本で労務提供をしたという部分を加えるという附則がございましたので、それをやってみても弊害もないということから法制度に取り入れたという経緯でございます。 もう一点は、特定共同事業でございます。 これにつきましては、従来は、外国法事務弁護士が弁護士を雇用すること、それから共同事業を営むことも全部禁止をしていたわけでございますが、共同事業の部分で渉外的要素を含むもの、例えばクライアント、依頼者が外国人であるという場合とか、それから外国法の知識を要するものであるということ、あるいは外資系企業からの依頼である、こういうような一定の範囲につきましては、やはり我が国で行う以上、両者で共通して一緒にサービスをした方が依頼者のためになるというものもあるという観点から、一部につきましてこれを導入した、こういう経緯でございます。
○福岡委員 今の答えで一点確認をしておきたいのです。 共同事業を許容するということに、一定の事務についてするということになったということでございますけれども、その中では、例えば裁判所における訴訟事務であるとか、それから刑事裁判における弁護活動、少年法の付添人の活動、こういったものは除外にされていますね。
○山崎(潮)政府委員 御指摘のとおりでございまして、我が国の裁判所における代理行為あるいは官庁等に対する申請、こういうものは当然外国法事務弁護士はできない、こういう建前になっております。
○福岡委員 そういう一定の制約はありますけれども、弁護士としての経験年数を事務員的な立場というもので二年間勤めれば当然資格ができるというようなことと、それから、そういう訴訟等以外のものについてはかなり大幅に、この段階におきましても、共同事業という形態をとることによって、相当実際には外国人弁護士が法律事務を取り扱う範囲を拡大したと思うわけでございます。 そして、その後平成八年六月に第二次の改正が行われましたけれども、この内容について、また説明をしていただきたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 平成八年の改正につきましては、国際仲裁代理につきましてオープンにしたものでございますが、国際仲裁代理につきましては、基本的に我が国の外国法事務弁護士、それが代理人になることも許容しておりますし、あるいは外国の弁護士で我が国の外国法事務弁護士にはなっていない者につきましても、外国で依頼を受けるというようなものにつきましては我が国で代理人になれるということでオープンにいたしました。
○福岡委員 それに関連しまして一つお聞きしたいのですけれども、結局国際の仲裁事件については、その適用法が我が国の国内法を主とするものであっても、これは取り扱うことができるということでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 結論的に申し上げますとそういうことになります。 仲裁の場合は、仲裁契約を結ぶ際にどこの準拠法で行うということを決めることもございますし、決めないままやるとすれば、一般的な常識として善と衡平による判断とか、あるいは実体法につきましてはある国の準拠法、手続法につきましてはこちらの準拠法とか、さまざまに区々の形態があるわけでございます。そういう中で、日本法を準拠法とするものだけを除くというのは極めて困難な状況にございました。そういう関係から、日本法を準拠法とするものについても代理をすることができるという規定になっております。
○福岡委員 そうしますと、この改正も、簡単なように見えて、そういう調停申し立てをする事件については、全面的に日本国法を含めて業務ができるということで、格段の拡大であったというふうに私は思うわけであります。 そこで、今回のそういう経過を経まして、先ほどの、アメリカそれからヨーロッパの要請によりまして改正が討議されるようになったわけでありますけれども、この要請を受けて、一番最初に検討した結果を出したのが平成七年十二月の行革委員会による規制緩和を推進する意見書というのであろうと思いますけれども、この審議の期間と、それから主な論点をちょっと簡単に御説明ください。
○山崎(潮)政府委員 この論点につきましては、現在改正をお願いしているわけでございますけれども、基本的には、職務経験要件を撤廃するか緩和しろという問題が第一点でございます。それから、職務の範囲に関しまして、母国法、指定法以外の特定外国法でございますね、これについて自由に扱わせろという問題。三番目は雇用の問題でございまして、日本の弁護士を雇用することの解禁を求めるということ、あるいはパートナーシップを導入しろとか、こういう論点でございまして、そのほか細かい点はございましたけれども、大きな点はこの三点でございます。
○福岡委員 その三点というのは、結局、アメリカ等が要求をしておる要求項目だと思うのですね。それに対しまして、日本の側といいますか、政府を含めまして、日本の司法制度から見て、やはりこういう点は問題なんだろう。特に、日本の外国人弁護士の資格要件というのはだんだん緩和をいたしまして、実質的に五年が三年になってしまっているということもあります。それから、共同経営も実質的に認めるというような話になっている。これ以上の緩和ということは制度の本質に反する、または相互主義にも反するんだ、こういう議論というのがそこではなかったんでしょうか、どうなんでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 御質問は、行革委の規制緩和小委員会の中でということでございますか。(福岡委員「そういうことです」と呼ぶ) 私どもは、そこへ呼ばれまして現在の法制度の観点について申し上げましたけれども、今委員御指摘のような声が何か別のところがら上がったということは承知しておりません。
○福岡委員 そうしますと、どういう観点から、こういった推進をするというような結論が軽々しく出されたか、非常に問題であるというふうに私は思うわけであります。 そうして、意見書を踏まえまして、平成九年の三月二十八日に閣議決定をいたしまして、平成九年度中に結論を出す、こういうようなことになったわけですね。その上で、やはり行革委の規制緩和小委員会において、これは最終報告というようなものが出ましたけれども、この結論とその理由については御承知ですか。御承知ならば、簡単に述べてください。
○山崎(潮)政府委員 まず結論でございますけれども、結論につきましては、職務経験要件の緩和及び母国法と指定法以外の特定外国法の取り扱いに関します職務範囲の拡充につきましては、一応これは評価するというふうに言われております。 それから、雇用の解禁の問題でございますが、解禁はしなかったわけでございますけれども、これにかえまして、共同事業関係に関する規制緩和が提案されている点については、緩和が十分であると評価することはできない、しかし、実態として、外国法事務弁護士が日本弁護士とともに、一貫した法律サービスを提供できるようになることから、当面の措置として認めることはできる、こう言い切りまして、最後に、雇用の解禁については、今後の国際的動向も踏まえ、引き続き検討が必要である、こういう結論になっているわけでございます。
○福岡委員 そうしますと、ここのところの結論をお聞きいたしておりますと、先ほど私が申し上げておりますような諸外国における外弁法、いわゆる外国人弁護士を他の国でどう取り扱っているかという実態調査、それから資格要件について、日本の制度と外国の制度と比べてみて、どちらがより実務能力までクリアしているのか、そういった点についての検討というのが、これは余りなかったような気もするのですね。したがって、その点についての実態調査というものはどこでされたか、法務省として知っておられますか。
○山崎(潮)政府委員 諸外国の制度がさまざまであるということは、私どももヒアリングの際には申し上げました。しかし、それ以外にどのような調査がされたかということについて、私どもとしては承知をしておりません。
○福岡委員 そうしますと、行革委の方の関係は、そういう形でどうも余り調査がよくなかったような気がするわけですけれども、法務省の方としましては、こういりた動きと全く別に、平成八年の十二月に、有識者を集めまして、外国弁護士問題研究会というものを発足されていますね。そして、平成九年十月に報告書をまとめておられるわけですけれども、別個にこういった形の研究会を発足された理由は何でしょうか。
○山崎(潮)政府委員 これは全く別個ということではございません。やはりきっかけは、平成八年の三月ですか、規制緩和小委員会の方からいろいろ御指摘があった、規制緩和の御要望があったということを一応きっかけにはしております。 私どもも、規制緩和小委員会の方には、それは検討はいたします、しかしできるものとできないものはございますということでお答えは申し上げておりますけれども、それをきっかけに、じゃ、どういう点について、本当に改正ができるのかできないのか、必要なのか必要でないのか、ともかくこれだけ声が上がっているんだから、きちっと議論をしてみようということで、日弁連にもお話を申し上げまして御理解をいただいて、平成八年の十二月にこの研究会を発足させた、こういう経緯でございます。
○福岡委員 ということは、全く行革委とは関係はないことはないとおっしゃいまずけれども、やはり司法制度という観点から、法務当局としては、日弁連と協議して、そういう点からの見直しというものもやはりしていこうという視点があったということですね。
○山崎(潮)政府委員 まさにただいま御指摘のとおりでございまして、要望は要望として、我々もまず耳を傾けなければなりませんので、それは傾けましたけれども、それをきっかけに、それでは本当に依頼者保護の観点からどうあるべきか、それから我が国の法制度との適合性をどうすべきか、こういう観点からきちっと考えて、この研究会におきましてもそういう視点からの論議を経たわけでございます。
○福岡委員 次に、各論的なことでちょっとお伺いをいたしたいのでありますけれども、まず日本の弁護士との共同事務所の要件を緩和したという点であります。いわゆる第四十九条の二の改正の問題であります。どこをどのように緩和したか、ちょっと簡単に説明をしてください。
○山崎(潮)政府委員 現在の特定共同事業につきましては、共同事業をできる目的でございますけれども、先ほど申し上げましたように、外国人が依頼者であるあるいは外国に居住している人が依頼者である場合、それから外資系企業からの依頼である場合、それから外国法の知識を要する法律事務であること、この三つ、いわゆる渉外的要素を含むものについては特定共同事業の目的とすることができるという規定になっております。 ただし、その事業につきまして、裁判所におきます判断を受けるとか、あるいは官公署に申請をしなければならない、こういうような一定の事由があるものについてはその目的とすることができないというのが現行法でございます。 今回の改正は、クライアントが外国人であるとか、渉外的な事件であるということの範囲は変えておりません。 ただ、今までは、受任していた仕事が不幸にして裁判ざたになってしまったという場合にはそこで特定共同事業を解消しなければならないということになっていたわけでございますけれども、これはやはり依頼者の目から見て、その導入部分からずっと一緒に特定共同事業でやってきたのに裁判の問題になるとそこで解消するというのは非常に不便であるということがございましたので、最終的にその目的を、裁判になっても、あるいは官公署に申請をしなければならない、そういうようなことになっても、パートナーはそのまま継続しても結構であるということで、そこを変えたわけでございます。 現実に、裁判所で訴訟行為を行う、あるいは官公署に申請を行うという場面に関しましては、この外弁法の三条一項ただし書きというものがございますので、そういう現実の行為は日本の弁護士が行う、外国法事務弁護士は直接その行為を行うことはできないという点では何の変わりもないということでございますので、目的の範囲を、今までは裁判とか官公署に申請ができなかった部分を外した、そういう限りでございます。ほかは何も変わっていないということでございます。
○福岡委員 そうすると、最も重要なところは、訴訟手続等を共同に経営をする日本弁護士にさせることができるということなのですけれども、これは結局、三条の一号とそれから二号を外した、こういうことになるわけだと思うのです。これを読みますと、「国内の裁判所、検察庁その他の官公署における手続についての代理及びその手続についてこれらの機関に提出する文書の作成」というのが一つと、それから第二号で「刑事に関する事件における弁護人としての活動、少年の保護事件における付添人としての活動」、こういうのが含まれているということであります。 確かに、従来、外国法に関する法律相談に乗っていたのが、それがどうも裁判までやらなければならないようなときには、やはりそこで交代するというわけにもいかないから、共同事務所の日本弁護士がやるという必要性があるということはまだ多少は理解ができるわけですけれども、刑事弁護、付添人という直接的に人権に非常に大きな影響を及ぼすところまで拡大をするというのが、実際によかったかどうかちょっと疑問に思うところです。 特に、さきの改正において、弁護士事務所の名称については、これは日本の弁護士も非常に制約があるわけですけれども、外国人弁護士についてはローファームの名称を名乗ることができるということで、全世界に展開をするローファームが非常に巨大な資本を持ってきて日本の弁護士を大勢雇って行動を展開するというような場合に、この訴訟手続やら刑事弁護手続についての行動を、雇用とは言いませんけれども、実質的に傘下にあるそういう弁護士にさせるということがいいのかどうかちょっと私も懸念を持っているわけです。 この点についての対策というのかあり方みたいなものについて、どのような考え方を持っておられるか、ちょっとお聞きしたいのです。
○山崎(潮)政府委員 ただいまお答え申し上げましたけれども、特定共同事業の目的につきまして、例えば裁判があってもそれを解消する必要はないというふうに改正はしておりますけれども、現実に行うのは日本人の弁護士でございます。ですから、外国法事務弁護士がそこでできるということは、例えば本国との関係でいろいろ連絡をしたり、あるいは準拠法が例えば外国法である場合で日本で裁判が行われることがあるわけですから、そういう参考資料を取り寄せたり証人を呼び寄せたりとか、そういう周辺業務をお手伝いするということでパートナーとしてやるということでございます、まず前提は。 では、刑事、少年についてどうかということでございますけれども、これも例外にはしておりません。 例えば、日本に来ております外国人が刑事事件の被疑者あるいは被告人になったという場合をちょっと考えますと、これも依頼者が例えば外国の方であるということになると、これは特定共同事業の目的にできるわけでございますけれども、その場合に、母国語を話せる法律専門家が弁護士に協力して、母国の制度との違いとかそういうものを踏まえて、我が国の司法制度あるいは今後の事件の進行等について説明して、しかも自分の言い分を正確に伝えてくれるということになりますと、非常にそれは意味があることだろうというふうに思われるわけでございます。 これは、逆の場合を考えていただければわかるのですけれども、我が国日本人、邦人が外国へ行っている間に不幸にしていろいろ事件に巻き込まれるといった場合に、やはり向こうに日本人の外国法事務弁護士がおりまして、共同して接触してくれて、それでいろいろ力づけてくれるということになったときに、日本人としても大変ありがたいことだろうと思います。 それを我が国に逆に投影してみれば同じことでございまして、その周辺業務を行うわけでございまして、直接の代理行為をするわけではない。そういうことで、周辺でお手伝いすることによって、日本に来ている外国人も非常に自分の権利、これを守ることもできる、こういう意味もございますので、私はこれをあえて排斥する必要は全くないというふうに考えておりますし、今回の法案も、そういう理由に基づきまして、そこは限定はしていないということでございます。
○福岡委員 わかりました。 ただ、問題は、共同事業の目的にそれを容認するということと、例えば弁護活動そのものではなくて周辺的な業務をお手伝いするということとは、本質が違うと思うのです。 現在、何の規定がなくても、私が弁護をやるときに法律的知識を踏まえまして外国人弁護士に協力してもらって通訳をしたりいろいろな形の協力を求めることは一向差し支えないのです、共同事務所でなくても。 だから、別にそういうことはする必要がないのだけれども、共同事務所であるということでもってむしろ実質的な弁護活動というもの、それからまた訴訟活動というものに類するような行為が容認をされるおそれがあるということについてのチェック機能というものを十分にする必要があるのではないか、こういうふうに私は考えているわけです。 形式的には区別はできますけれども、雇用も禁止をするというのもそこなのです。雇用によって、雇った弁護士は資格のある日本弁護士だから、要するに日本法も堪能でありますし十分活動するわけでありましょうけれども、実質的にやはりローファームというような大きなところの組織でもって、そこの命令とかというもので、共同会業の場合には、そこまではないにしても、やはり事実上統制をするということについての問題がありはしないかなということだろうというふうに思うのです。そういう意味で、その辺のところの検討も十分していただきたいというふうに思います。 次に、資格取得国の法律、それからもう一つ、指定法というもの以外の外国法、いわゆる第三国法ですね、これについての改正の問題であります。 今度の改正は、一定の資格を有する外国弁護士から書面による助言を受ければ取り扱いをすることができる、こういうような改正になったと思うのですね。これはこれでいいと思うのですが、先ほど私も触れましたけれども、実際に、アメリカ等の巨大なローファームは全世界に展開をしておるわけです、各所に同じ名前の事務所がたくさんあるわけです。したがって、諸外国の業務提携が事実上なされているわけですから、スペインだろうがドイツだろうが、それからイタリアであろうと、多分提携が恐らく簡単にできるというわけで、その提携の上で、書面でもって助言をどんどん得れば、どこの国の法律も事実上適用、運用ができるのじゃないだろうか、こういうような気もするわけです。 実際に、これを緩和するということによって、外人弁護士の場合には、大事務所の場合には、全世界の法律の運用も日本において事務取り扱いが可能になるのじゃないか、このような懸念をちょっと感じたのですけれども、この点、どういうふうにお考えになっているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 ただいま、巨大ローファームから派遣されている外国法事務弁護士を想定されて言われているわけでございますけれども、必ずしもそうである方ばかりではない。そういうところに所属しないで日本に来られている方もおります。そういう方にとっては、巨大ローファームのところに各国の専門家がいて、そこですぐ聞けばできるという状況にはございませんので、そういう点では、法制度として一応の範囲をきちっとさせるという必要はあろうかと思います。 今後、全世界の法律について全部手を出せるという点につきましては、例えば我が国の弁護士でございましても、我が国で行う限り、全世界の法律について、必要なものについては法律サービスができることになっておるわけでございまして、そういう意味においては、例えばニューヨーク州の弁護士がニューヨーク州で資格を取りますと、自国で行う限りは、どこの外国法にも、一応サービスをすることができるという建前になるわけでございまして、それは日本と全く同じでございます。 ただ、我が国において、外国法事務弁護士が、母国法あるいは指定法、それとの関連で第三国法、特定外国法を取り扱うという場合につきましては、これはやはり、依頼者の保護の点から、書面による助言ということで、きちっとした資料、証拠を残すという形で、またそれを要求することによって、そういいかげんな法律サービスをしないという制度的担保をして行っておりますので、世界どこの国の法律についてもできるということになるといいましても、やはり自信のないものについてはお断りするというのがやはり弁護士倫理の問題かと。そういう点で、最終的には担保されるほかない。それで、いいかげんなことをすれば、やはり懲戒を受けるあるいはそれ以外の処分を受けるというようなことで、最終的には担保されるだろうというふうに考えております。
○福岡委員 結局、これは運用上の問題になりますけれども、十分に実態の調査をして、実質的にチェックができる。ということは、書面による助言というのは、法律的な判断として誤りのない、きちっとした判断がその資格を有する弁護士からなされておるということが大切だと思うのですね。この実態が確保できるような監督指導というものを十分にしていただきたいというふうに思うわけであります。 次に、今回の改正における資格要件の緩和の点であります。五年を三年にすると。 この研究会の理由を見ますと、先ほど、我が国における事務員等のトレーニングによって二年間に短縮されているから、これはもともと三年にその段階でなっているから、実質的にはそんなに短縮したことにはならないんだというようなことが研究会の報告に書いてあるわけです。しかし、それはちょっと違うので、やはり我が国のトレーニングしておる期間として、今回の改正後においても一年間は通算できるということですから、実質的には二年間に短縮されるのと同じじゃないかなというふうに、私はこれを読んで理解したわけであります。 それから、先ほど私ちょっと言いましたように、一番対応として問題になるアメリカのところでは、半数が日本の外弁を受け入れてないということですね。しかも、三年というのが二州しかなくて、十七州は四年と五年なんですね。だから、相互乗り入れという形、相互主義という観点からすれば、これは余りにも片手落ちというものであって、日本からアメリカへ行って弁護士になろうとする人がいる場合には、四年か五年研修しなければならぬということなので、やはりこれは、政府としては、この制度をやっていくならば、それに見合うだけのアメリカの各州の、これは各州ですから違いますけれども、各州の法律改正というものをさせるという要望ぐらいはしないといけないということ。 それから、フランスがこれを廃止してしまったというのですけれども、やはりこれも、現在の国際情勢から、世界の経済がグローバル化する段階において、他国の弁護士がある程度進出してくるということも必要だということからすれば、相互主義の点からも、これは申し入れを当然すべきだろうというふうに考えておるわけですけれども、この点についての、これは大臣の御答弁、どうでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 ただいま御指摘の点、私もわからないわけではございませんで、私どもも、この何年か、ずっと折衝を続けているわけでございます。アメリカからさまざまな要望がされるたびに、おたくの州、半分以上は開いてないじゃないか、まずそこを開くべきだということは何回も申し上げております。しかし、連邦国家というのはまたいろいろ独特なところがございまして、州は州の独立性という問題があるということで、なかなか連邦としてこたえるわけにいかないという面もあるようでございます。 それから、もちろんEUからもさまざまな要望を受けているわけでございますが、やはり事あるごとに、EUの中でも受け入れてない国があるではないか、そういう点もきちっと考えていただきたいということで我々も要望しているところでございます。 これは確かに、世界各国を見ますと、それぞればらばらでございます。我が国より非常にオープンなところもあるわけでございます。今回の点につきましては、我が国のあるべき姿として、やはり日本法制も考えなければなりませんけれども、世界各国の中での日本という位置づけも、両方必要でございます。 そういう点を勘案した結果、では、職務経験要件、これは廃止しろと盛んに言われておりますけれども、それはとんでもない、せめてこのぐらいであるということから、その妥協点を図ったということでございますので、我が国の法制の問題と、それから国際的に日本が宙に浮かないという、両方を勘案した結果であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○福岡委員 どうもありがとうございました。 いろいろ難しい問題はありましょうけれども、やはり、余り諸外国ごとに違いがあり過ぎるというのも非常に問題だと思います。 ただ、問題は、インターナショナル・バー・アソシエーション、すなわち国際法曹協会というのがありますけれども、ここで、全世界におけるところの外人弁護士制度というものをある程度統一的な基準で規定しようということで努力をされたようでありますけれども、各国各国の司法制度の独自性というものも尊重せざるを得ないということで、結局、現在もまだまとまっていないというようなことであります。 やはり、その点を放置して、一方的に我が国だけで議論をするというのもちょっと問題なので、もうちょっと広げた議論で、全世界共通の人権が守られるようなシステムづくりということを検討すべきだというので、その辺のところも、大臣の方からもぜひとも提言のほどをよろしくお願いしたいというふうに思います。 これをもって質問を終わらせていただきます。 〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
○橘委員長代理 佐々木秀典君。
○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。 この外国法事務弁護士の制度ですけれども、昭和六十二年にこの法律が制定されまして、受け入れを決めました。これを受け入れるに際して、それまでは大変な議論があったところでございました。私どもも記憶に新しいんですけれども、これがいわゆる貿易自由化の論議の一環として、かねてのガット交渉の中で論点に上げられていた。また、それを受けて我が国でも、行政改革本部の中の規制緩和小委員会などで規制緩和の一環としてこの問題が取り上げられてきたというのは、御承知のとおりであります。 私どもも、今同僚委員からもお話がありましたように、我が国の弁護士というのは、弁護士法によって、人権と正義を重んじなければならない、それを旨とすることが決められているけれども、渉外的な関係を中心にして、しかも、いわゆる貿易自由化の一環として外国弁護士を受け入れるということについては、いかがなものかという議論が相当あったわけであります。 そうした議論の末に、しかし、法曹三者間のお話し合いも続けられ、弁護士会でもかなりの反対があったわけですけれども、この受け入れに踏み切った結果、外国法事務弁護士制度というのが認められるようになって、法律がつくられたという経過がございました。このときの議論というのは、やはり現在でも必要なのだろう、意識しておかなければならないのだろう、私はこう考えております。 例えば、平成九年、昨年の十月三十日付で外国弁護士問題研究会が報告書を出しておりますけれども、それによりますと、外国法事務弁護士のニーズというのは国際的にも大きくなっているんだ、我が国としてもこのニーズにこたえなければならないということを言われながら、その後で、「ただし、外国弁護士受入制度は、弁護士制度の一環として位置付けられるものであり、弁護士制度・司法制度と関連するのであって、この点については、十分に意を払う必要がある。」こういう記載がございます。 その一方、平成九年、これも去年ですけれども、十二月四日付の行政改革委員会規制緩和小委員会の報告書、「大きな一歩、さらに前へ」というタイトルがついておりますけれども、ここでは、法務の分野の問題として、「量的・質的な法曹の充実が不可欠である」ということを言った上で、「法曹の充実のためには、先進諸外国と比べて極度に少ない法曹人口を大幅に増員するとともに、競争を通じた質的な充実を促進するという視点から、弁護士が独占している法律事務への類似職種による部分参入や、」その後で、「外国法事務弁護士に関する一層の規制緩和を図ることの必要性を主張してきた。」という記述がございます。 この記述とさきに私が述べました報告書の記述とは、関連をしているのですけれども、ちょっとニュアンスが違うようにも感じられるんですね。今の平成九年の十二月四日の委員会報告では、どうも、我が国の法曹人口が少ないというようなこととの関連で外国法事務弁護士の問題を上げている。しかし、先ほど御紹介した平成九年十月三十日の外国弁護士問題研究会の方では、私が紹介したような注意というか注意事項、これを意識しなければいけないということを言っておる。 今回の法改正はもちろん規制緩和ですけれども、しかし、これは部分的な規制緩和にとどまっておりまして、昭和六十二年につくられましたこの特別措置法の大筋のところの変更は私はないように思うのです。 だとすると、この外国法事務弁護士というのは、我が国の法曹としての位置づけは持たない。もちろん、これらの方々も、我が国の司法試験を受けて合格すれば我が国の法曹と同様の法曹資格は持つんでしょうけれども、そうでない、しかし一定の枠内においての渉外的な事務を中心とした法律事務を扱えるんだということになっているわけですね。 ここで、今御紹介したようなこととの関連で、それじゃ、外国法事務弁護士というのは、我が国の司法制度においてはどういう位置づけを持つのか、将来この人々にも、もっと規制緩和することによってさらに違ったような資格ということを考えるようなことになるのか、そこまでは政府としては考えていないのか、その辺のところをまず法務大臣にお尋ねしたいと思います。
○下稲葉国務大臣 委員御指摘のように、私も規制緩和の小委員会のペーパーと、それから研究会のペーパーを比べてみまして、若干ニュアンスが違っているなと。そこで、メンバーを調べてみたんですが、そうすると、規制緩和の委員さんたちは、財界人それから学者も多いんですが、ほとんど経済学者ですよね。そういうふうな意味では、法曹の代表者というのは入っておらない。要するに、規制緩和という国際的な視点から見ていろいろな問題を研究された中の一つに今の法曹の問題が取り上げられているんじゃないか、こういうような感じがします。ですから、それが私は一つの大きな流れだろうと思うんです。 しかし、法曹の立場にある私どもとしては、やはりそういうような流れというものは尊重せぬといけませんけれども、そういうふうな中でやはり、具体的に運営を間違ってはよくないと思います。というふうなことで、私は、研究会は研究会としてああいうふうな結論を出されたんじゃないか、こういうふうに認識いたしております。そういうふうなことから申し上げますと、やはり、社会経済のグローバル化がどんどん進んでくる、それから、外国法に関する法的需要というものもふえてくるだろう、そういうふうに思います。 そこで、外国法事務弁護士制度の受け入れというふうなものは、やはりあくまでも、我が国でございますから、日本の司法制度の中の一環としてとらえるべきであるというふうなことでございまして、やはり、そういうふうなためには、内外の諸情勢を踏まえながら、依頼者保護等を図りながら、我が国の司法制度に適合したということでございますので、先ほど来申し上げますとおりに、やはり大きな日弁連の枠の中で御活躍いただくべきものである、そういうふうに認識いたしております。
○佐々木(秀)委員 それで、ここでおさらいを一応しておきたいと思うのです。今法務大臣からもお話がありましたけれども、外国法事務弁護士は、自国においては弁護士の資格をもちろんお持ちになっていると思いますけれども、我が国における弁護士とイコールではない。だから、外国弁護士とは言わないで、特に外国法事務弁護士、こういうような名称になっているわけですね。 しかし、この法律によりますと、この外国法事務弁護士は、我が国においてこの資格を認められるために、法務大臣に対して申請を行って、法務大臣の承認を受けなければならないわけですが、もう一つ条件として、弁護士会に所属をして、これはいわゆる単位弁護士会だと思うのですが、それから日弁連にも入会をするということになっているわけですね。法務大臣の承認を受けて登録をすることになる。それで、各単位弁護士会のどこかを選んで個々に入会し、さらに日弁連に入会する、こういうことになる。 そして、四十三条によると、単位弁護士会や日弁連の総会にも出席できて、意見を述べ、議決権も有することができるというようになっているようですね。そうすると、この人たちは、弁護士会との関係ではその身分はどういうことになっているのか。その弁護士会の会員になるのか、準会員なのか、あるいは別な、特別の資格ということになるのか。この辺のことについてはどういうようになっているのですか。
○山崎(潮)政府委員 扱いといたしましては、日弁連の会則がございまして、その中で外国特別会員というふうに呼ばれております。ただ、今御指摘のように、日弁連の総会における議決、各単位弁護士会における議決、こういうものにも参加をすることはできるわけでございますし、当然のことながら、逆の面では監督を受けますし懲戒も受けるということで、制度の中の一員という形で位置づけられているということでございます。
○佐々木(秀)委員 ということのようですが、今お話が出ましたように、懲戒の対象にもなる。ただし、法律によりますと、この外国法事務弁護士に対する懲戒というのは、我が国の弁護士会の会員、もちろん我が国のというか、これは外国人の方でも、司法試験に合格して法曹資格を持った人で、弁護士になっている方もいますね。例えば在日韓国人の方、朝鮮人の方なんかもいますし、アメリカ人の方もわずかだけれどもいるのかもしれませんが、こういう人たちとは懲戒手続も違った扱いになっていますね。特別の懲戒委員会があるのですね、この人たちに対しては。そういうことでは取り扱いが違っているということだろうと思うのです。 しかし、先ほど福岡委員からもお話がありましたけれども、少なくともこの外国法事務弁護士も、そういうように我が国の単位弁護士会及び日弁連に対して入会を認められて我が国で活動する以上、やはり我が国の弁護士が旨としている正義だとか人権という感覚もしっかり持っていただかなくてはならない。これは、本来どこの国でも弁護士としてはそうあるべきだろうと思うのですが、我が国の場合には特にそのことが強く求められているわけですね。 そうした点で、我が国の弁護士には弁護士倫理というものがありますけれども、この弁護士倫理の適用も外国法弁護士にはあることになっているのでしょうか。この点はいかがですか。
○山崎(潮)政府委員 特段排斥していない以上、会員として入る以上は、やはり倫理は同様に求められるというふうに思われます。
○佐々木(秀)委員 だとすると、倫理に違反するようなことも懲戒事由として考えられる、こういうように了解していいわけですね。 それから、この外国法事務弁護士、これは承認を得た特別な資格になるわけですけれども、一般の人はなかなかわからないと思うのですね。もちろんこれは、登録された場合には官報に記載をされるということにはなっているけれども、一般の人はなかなかわからない。弁護士の場合には、いわゆる日弁連の会員としての証明するバッジがあるのですけれども、ヒマワリとはかりのバッジですね。この外国法事務弁護士の場合には、その資格を証明する手段としてのもの、そういうバッジですとかあるいは身分証明書だとか、そういうものは発行されているのでしょうか。これはいかがでしょう。
○山崎(潮)政府委員 身分、資格を証明するものとして、バッジと身分証明書があるというふうに伺っております。残念ながら、私、現物を見る機会はないのでございますけれども、バッジは、日本の弁護士のバッジより少し小ぶりで、外国法事務弁護士であるということがわかる表示になっているというふうに伺っております。身分証明書の方は、日本人の弁護士の方については見せていただいたことがございますけれども、そこが外国法事務弁護士に置きかわるものだというふうに理解はしておりますけれども、詳しいことはちょっと存じ上げません。
○佐々木(秀)委員 それから、この法律、特別措置法ですけれども、なかなか読んでもわかりにくい。それからまた、今度の改正も、先ほど業務範囲が広がるとかあるいは共同事務の範囲の問題だとか、今度の改正についてもちょっとなかなか、日本人が読んでもわかりにくいところがあるように思うのですね。私どもにも理解がなかなか難しいところがある。だから、こうやってお尋ねするわけですが。 こういうことを当の外国法事務弁護士にわかってもらわなければいけないわけだけれども、これをわからせる方法として、どんなことをお考えになっているか。もちろんこれを、その対象になる人の母国語で翻訳するなり、その言葉で説明するなりということをしなければいけないのだろうと思うけれども、そのほかに法務省あるいは弁護士会として、研修ですとか、その仕事のあり方だとかをも含めてですけれども、研修などということは行われているのか、またやろうとしているのか。そのことについてはいかがですか。
○山崎(潮)政府委員 研修につきましては、現在は日弁連も法務省も全く行っておりません。ただ、日弁連につきましては、ことしからそれを導入していく予定であるというふうに伺っております。これを法務省が主催してやるというのはなかなか、ちょっと立場上難しいところがございますけれども、日弁連の方から御要望があれば、我々もそういう会に御協力をさせていただきたいというふうに思っております。 なお、あといろいろ、宣伝というのですか、周知徹底の方法も御質問でございますけれども、これにつきまして、もちろん、御承認いただきましたら日本語の解説書は書かなければいけませんし、それをすべて今度は英訳をいたしまして、雑誌等に載せまして周知徹底を図るとともに、この分につきましては法務省のホームページにも登載する予定でございます。 また、さらに日弁連を通じまして各単位弁護士会に英文のものをすべてお渡しいたしまして、その会を通じて徹底をしていただくということを考えております。
○佐々木(秀)委員 二度にわたり、今度は三度目ですけれども、規制緩和を外国法事務弁護士についてすることになっているわけですけれども、それにもかかわらず、やはり外国法事務弁護士の活動の範囲というのは極めて限られたものになっている。私は、このことは必要な規制だろうと思うのですね。業界、経済界などからは、外国法事務弁護士が我が国の弁護士を雇用するということを認めてもいいではないか、そこまでいかなければならないんじゃないかというような強い御要請もあったやに承りますが、しかし、今度の場合の改正でもそこまでは認めずに、共同事業の形態を拡大したというにとどめていますね。 しかし、これはまだ検討の余地ありというようなニュアンスになっているわけですけれども、今回そこまで踏み切らなかった理由及び、日本人の弁護士を雇用できるということについては、今後、宿題になって、まだ規制緩和の方向に向かうのかどうか。この辺について、大臣、もしおわかりでしたら、お答えいただきたいと思います。
○下稲葉国務大臣 その議論はかねてから私も承知いたしておるわけでございます。雇用といいますと主従関係があるわけでございまして、雇った人の指揮命令に従って雇われた人が動くということは、実質的には、では、外国人弁護士が日本の弁護士を使って日本法を運用するというふうなことに相なるわけでございまして、それは、刑事事件なり民事事件なり、そこまで踏み込んでいいのかどうかというふうなところで、例の研究会でも議論されまして、そこまではなかなか踏み込みにくいというふうなことだったというふうに私は承知いたしております。 私自身も今回の法律の問題についていろいろ考えてみましたが、日本の司法、特に、その中における弁護士会の今日までの伝統なりなんなり、日本の司法の中におけるいろいろなバランスの問題、国際的ないろいろな要望のあることもよくわかるわけでございますが、やはり現在の我が国における司法の立場を国内外のいろいろな要素とぶっつけてみて、調整をとれば、今回お願いしている法案に決着するんじゃなかろうか。研究会の結論もまたそういうようなことであったというふうに思うわけでございます。
○佐々木(秀)委員 この制度が実施をされましてから今日まで、十年を超えたわけです、十一年目に入りますか。法務省から出されております資料で見ますと、法律施行後の翌年の昭和六十三年三月段階で、外国法事務弁護士としての登録を認められた方が三十一名だった。本年三月二十五日現在でこれが八十七名ということであります。 この途中の人数の増減の推移などもここに出ているわけですけれども、当初、鳴り物入りでこれがうたわれた、また議論をされた割には、登録者の数というのは割合多くないように私は思うのですね、現在百人になっていないわけですから。特に、平成三年のときには七十八名でありましたのが、翌年の平成四年では七十九名というように一人しかふえていない。それから、逆に、平成五年になると七十八名で一人減っています。それから、平成六年七十九、平成七年で、ここもまた二人減って七十七、平成八年は七十七で同数、平成九年で三人ふえて八十名、本年の三月で八十七名というので、ここで七名の増加があったということになるのですが、どうも余り多くないようですね。殊に、途中で減っているというのは、これはどういうことなのか。 先ほどお話がありましたように、外国法事務弁護士についても、懲戒があったり、あるいは登録の取り消しということもあったりする。あるいは、本国に帰って、その登録を自分の方から取り消すというようなこともあるのかと思いますけれども、それとの関係で、例えば、この間に、外国法事務弁護士についての不祥事の事例といいますか、あるいは懲戒の事例というか、含めてですけれども、その辺について、法務省としてどの程度掌握なさっているか。 それと、登録者の数がこれぐらいというのですが、これは、登録して、やはりはねられた人もいるのか、大体登録した人は認められてきているのか。つまり、登録申請者と登録承認者の数の関係でどんなようになっているのか、卑近の例で結構ですけれども、それも含めてお話しください。
○山崎(潮)政府委員 数の変遷でございますが、今、委員御指摘のとおりでございます。 この四月三十日現在でいきますと、一名減りまして八十六という数字になっております。これはそれぞれ、派遣する国が幾つかございますけれども、そこのローファームとか、そういうところの都合によるということもあるわけでございますし、また、個人で来られている方もおりますけれども、今の日本の経済状況を見ますと、果たして十分にやっていけるかどうかという問題もございます。さまざまな要因がありまして、ふえたり減ったりを繰り返している。 ただ、大きなところは、ローファームからこちらに派遣されておりまして、三年ぐらいいたしますとまた転勤ということで戻りますので、そうなりますと、そこで人がかわるだけであって、人数はそれほどふえないという実態にもあるようでございます。 それから、懲戒の件でございますけれども、私どもが承知している範囲では、一件ございます。この事案は、日本における事務所を閉鎖して本国に帰国したわけでございますけれども、その際に、日弁連の登録の取り消し手続をとらなかった、ほったらかしたままで行ったわけでございます。そうしますと、会費納入義務がそのまま継続しまして、これが未納であるということから懲戒の事由になったわけでございます。どうも、本人にいろいろ連絡をとったようでございますけれども、会費を払うつもりもないということのようでございまして、相当強硬だったわけでございまして、最終的には退会命令ということで決着がついたようでございます。 こういうような点が一件報告を受けておりますけれども、それ以外には承知しておりません。 それからまた、申請があったのに登録の関係で却下をしたかどうかという点でございますけれども、これは、いろいろ実情を申し上げまして取り下げを願った方はおりますけれども、最終的に、私どもの審査の方でパスをした方がみんな日弁連の方に入っているということで、却下の例はございません。
○佐々木(秀)委員 ですから、こういう数の変遷を見ると、もちろんこれは、我が国あるいはその当事者の自国との経済関係ですとか経済事情だとか、そういうことからこのニーズがどうなのかということで、また数字が違ってくるのではないかと思うのです。それと、人をして言わせれば、まだ規制がきついからこれを緩和すればもっとふえるんだという言い方も、どうも経済界などからはあるようです。 今度の規制緩和によって、それではこの人数が大幅に、登録申請というものがふえてくるんだろうかというと、先ほどもお話があったように、むしろ我が国の経済事情が悪いというようなこともあって、今月も一人減ったなどということを考えると、今度の規制緩和でそんなにふえてくるのかな、いささかその辺もはっきりしないようなところもあるように思われるのですが、この辺は法務省としては、今度の規制緩和でやはり登録申請がふえてくるだろうというような見込みはあるのですか。
○山崎(潮)政府委員 ただいま申し上げましたように、人数の増減、これからの予想というのは極めて難しいところがございまして、私ども、今回の改正によりまして国際色豊かな方が入ってきて、その観点から、日本の依頼者、これもいろいろチョイスができて、そういう面ではサービスが非常によくなるだろうというふうには思っておりますけれども、人数がどれぐらいふえるかというのは、必ずしも法律を変えたからといってそうなるものではない。さまざまの情勢に影響を受けるということでございまして、私ども、今後、徐々にはふえていくだろうというふうには予想しておりますけれども、爆発的にふえるということは予想はしておりません。
○佐々木(秀)委員 時間が来たようですので終わりたいと思いますけれども、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、この外国法事務弁護士も我が国の弁護士会に入会をして、それで、今もお話がありましたけれども、一定の会費を払う、そういう義務づけがあるわけですね。同時に、弁護士会で発言もでき、あるいは議決権も行使できるというような権利も持つわけです。 今のところ全体で百人まで至っていないわけですけれども、将来的に、こういう外国法事務弁護士が非常に多くなると、この人たちがむしろ一種のグループをつくったりして、弁護士会の運営にも一定の発言権などを持つということだって考えられないわけではない。 そんな中で、先ほど福岡委員も御指摘のように、やはり我が国の司法制度の中での弁護士会、そしてまた弁護士のあり方ということを考えた場合に、これらの方々、外国法事務弁護士というのはどうしても渉外事件、渉外事務ということを主になさるのだろうと思いますけれども、やはり弁護士の本来の理念である正義だとか人権の感覚というのはしっかり持っていただかなければならないということでの我が国の弁護士あるいは弁護士会との調整というか整合性というか、これはやはり考えていかなければならないところだと思うのですね。 そういうことに支障が出るというような制度であってはいけないと思いますので、活動の実態を含めて、できるだけ法務省としても弁護士会と十分な連絡をとっていただきながら対処していただきたいと思うわけです。 いずれまた規制緩和の問題が出てこないとも限らないわけですから、そのときにもまた私どもは対処していきたいと思いますけれども、そんなことをどうぞ心がけながら十分な対処をお願いして、私の質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○橘委員長代理 西川知雄君。
○西川(知)委員 平和・改革の西川知雄でございます。 私は予算委員会に所属をしているわけで、法務委員会できょう質問させていただくということは、この外弁問題、いわゆる渉外関係の仕事において外弁をどういうふうに取り扱うかということについて、私は国会議員になる前、二十年間こういう渉外関係の仕事ばかりをしておりまして、外弁の人たちも何人か雇って、また私は航空機のファイナンスとか国際リースをたくさんやっていましたので、相手方の弁護士が外弁であったり、いろいろなそういうかかわりがありましたので、きょうこうやって法務委員会でこの問題について質問をさせていただくということでございます。 私のいろいろな経験からいたしまして、二、三その経験も踏まえながら質問をさせていただきたいというふうに思います。 実は、ある日本の投資家がスペインで、ある不動産、建物に投資をしまして、そしていろいろちょっと問題があったということで、その問題のあった不動産がバルセロナにありましたので、私もその人と一緒に行きました。それは、法律問題だけで解決できるような問題じゃなくて、税務の問題も当然のことながら絡んでくる、また会計の問題も絡んでくるということで、ある事務所に参りましたら、世界的に有名な会社なんですが、相手方の専門家が七、八人出てこられました。その構成を見ると、私は弁護士ですという人と、私は公認会計士ですという人と、私は税理士ですという人と、たしか登記関係をやっている人と、そういう方々が全員出てこられまして、我々は今こういう問題があるんだということを言いますと、あちこちから、法律的にはこうだ、税務的にはこうだ、会計的にはこうだ、では総合してこういうような方法でやれば一番いいのじゃないか、そういうようなことになって、大変役に立ったわけでございます。 そこで、今この外弁の問題というのは規制緩和の一つとして考えられてきたわけでございますが、総合的な法律・経済関係の事務所の構想、日本では今のところそういうことはできないということになっているようでございますが、実質的にやっているところもあるというふうに聞いておりますが、この辺についての検討状況、または今後どういうふうにされていくのかということについて、法務大臣なり法務当局で御説明をいただければと思います。 〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
○山崎(潮)政府委員 ただいまの点につきましては大変重要な問題だというふうに認識しております。 この問題につきましては、昨年及び本年三月に閣議決定されました規制緩和推進計画によりまして、この問題について本年度中に検討の結論を得ることとされております。 この決定を受けまして、私どもとしましては、昨年の七月に法務省それから大蔵省、国税庁、特許庁等の関係省庁の担当者から成ります連絡協議会を設けまして、総合的法律・経済関係事務所をどうすべきかということの実態調査、あるいは法制面の問題点の洗い出し、これに着手しているところでございます。 法務省といたしましては、やはり今委員御指摘のような観点、特に専門店が幾つもあるというだけではなくて、総合デパート、一カ所に行けばすべてが済む、こういうような観点から今検討中でございます。本年度中には結論を出さなければならないという状況にございます。
○西川(知)委員 実態としては弁護士が、私もしょっちゅう法律意見を出しておりましたけれども、出すときはいろいろな前提条件をつけまして、また税の関係がこういうことであればその前提に基づいてこういう法律意見だということで、そうすると、またお客さんは税理士さんとか公認会計士さんのところに行って話を聞いてこないといけない。その前提が違った場合は、また法律意見も変わらないといけないということでございますので、これは大変不便であるということなので、ぜひその辺も十二分に考慮をしていただいて、積極的な方向で進めていっていただきたいというふうに思います。 その際に、今度の外弁問題研究会の構成員、先ほどの委員からもそういう指摘があったと思うのですが、私、ほとんど全員を個人的にも存じ上げておるのですけれども、見ますと、いわゆる一般消費者とか、またいろいろなこういう国際時代にかんがみて外国の企業とかいわゆる外国人とかそういう人たちが入っていないということで、この外弁問題研究会の報告がもう終わりましたので、これについては仕方ないとしても、今後、この総合法律経済事務所をつくる、そういうような研究の段階においては、ぜひ消費者とか外国関係の企業、または外国の人たちを構成員に入れて、その人たちの意見もぜひ聞いていただきたいと思いますので、その辺、ちょっと法務大臣の方から、そういう意向であるということをひとつ御確認を願いたいと思います。
○下稲葉国務大臣 今政府委員から答弁いたしましたように、委員の御指摘のことは、何と申しますか、国民の目線で見た場合、今おっしゃるような総合的な問題がいろいろ出てくるわけでございまして、役所の機構というのは縦割りでやっておるものですから、なかなかうまくいっていない。そういうようなことで、先般から、まず最初、役所同士で相談してみようじゃないかというようなことでやっておるわけでございますが、十分意見を踏まえまして、委員も偏っちゃだめだろうと思います。その辺のところを広範に検討してやるように、私どもも一生懸命やってまいりたい、このように思います。
○西川(知)委員 それでは、ちょっと法案のことで具体的にお尋ねしたいのです。 職務経験の要件、これが緩和をされたということなんですけれども、ちょっと確認でいいのですが、まず、例えば外国で裁判官として三年以上の経験を持っていた人が、弁護士になって日本でやりたい、外弁の資格を取りたいといった場合に、それが可能かということの確認と、もう一つは、資格取得国以外の国のみの経験を持っている、そこで違う法制度で働いていた、その経験のみでこの三年間の要件が満たされるのかどうか。その二点、ちょっと確認したいと思います。
○山崎(潮)政府委員 今回の法案に関しましては、法曹資格を取った後の実務経験を問うているわけでございますので、そういう関係から、裁判でも実務であるというふうに理解をされます。 それからもう一点は、外国における経験だけ、例えばニューヨーク州の弁護士がロンドンで三年実務を経験して申請してきた場合どうかということになろうかと思いますけれども、これは、ロンドンにおきましてもニューヨーク州の法律のサービスをしているということになるわけでございますので、その点はどこで行おうと等質のものという理解で今回広げているわけでございますので、それもいいということになろうかというふうに理解しております。
○西川(知)委員 それはよくわかりました。 そこで、先ほど別の委員からもちょっと指摘があったと思うのですが、外弁というとちょっと実態がおわかりにならない方もいらっしゃるので、ちょっと説明しますと、例えばニューヨークで資格を取った人がいろいろなところで経験を積んで、また日本でも、例えば渉外事務所に雇われて何年か経験を積んでいく。そして、その人たちが何年か経験を積んだ結果、特に英語ができるということで、いろいろな契約のレビューとか意見書の英語で書く前提をつくるとか、そういうことをやって、実際には、その中心になって交渉をしたりするのは日本の弁護士、これが、その人たちがつくったいろいろなレビューの結果とかメモとか、そういうものを参考にしつつやるわけでございます。 基本的にアメリカとかイギリスの弁護士事務所というのは、裁判手続をやる部門と、いわゆるファイナンスならファイナンスをやる部門と、その中でも、飛行機の関係をやる人と船をやる人と、あと特許をやる人と、もう全部分かれていまして、それぞれ三十人ずつぐらいいて、何人かのパートナーがそれぞれのヘッドとしている。 初めの二年間ぐらいはそれぞれローテーションで回されるわけですけれども、その後はずっと同じ部門でやるというのが通常でして、例えば航空機のファイナンス、これは私の専門分野だったのですが、そこの弁護士というのは、もう裁判の手続はほとんど知らない、ほかのことは一切知らないという人が大変多い。そういう人たちが日本に来て仕事をしている、そして外弁の資格を取る、こういう場合もあり得るわけです。 そうすると、ちょっと心配する点は、先ほども指摘がありましたけれども、いろいろな法律、弁護士の役割がいわゆるリーガルビジネスであるということで、人権とかそういうことについて、またいろいろな法倫理のことについて、若干そういうトレーニングが十分になされていないということは、これは事実として指摘をしておかないといけないことだと思うのですけれども、この辺のことをどういうふうに調整をしていくのか。 また、例えば、いろいろな倫理問題についても、これは弁護士会の方の倫理規定に任すのか、それとも何か特別の方法を考えるのか、この辺のところを、自己責任の原則とはいいますものの、そういう新しい時代に入って、新しいカテゴリーのそういうリーガルビジネスが弁護士の役割だと思ってやってくる人もたくさんいるわけでございますから、その辺についての国民の権利義務との調和をどういうふうに基本的に図られるつもりか。これは大臣でも山崎さんでも結構です。
○山崎(潮)政府委員 この倫理の問題に関しましては、我が国の外国法事務弁護士は日本弁護士連合会、日弁連に加入するわけです、また単位弁護士会にも加入するわけでございます。加入して、外国の特別会員として活動するわけでございますが、そうなりますと、やはりこれは弁護士法の弁護士自治の問題がございまして、それについて法務省が何らかの監督を行うということはなかなか今の法制の中では難しい状況にございます。 結局は、その日弁連の方のいろいろ監督、懲戒の問題にゆだねざるを得ませんけれども、それが品位を辱めるいろいろな行為になりますと、私どもとしても承認を取り消すという事態にもなるわけでございますので、そういう点で、なるべく、そういうおかしな情報があった場合には、我々も早く察知して、必要な手当ては日弁連の方でも行っていただきたいし、我々としてもそういう点については留意しながら活動していきたいというふうに思っております。
○西川(知)委員 その関係で、日本の弁護士が外弁を雇って、その人の給料は、例えば歩合制にする、もうかったうちの何%はあなたにあげます、こういうようなことを実質的にやっているようなところも実はあるわけですが、これが法的に問題にならないのか。いわゆる共同事業の脱法行為等にならないのか。その辺のことについて法務当局の御意見をお尋ねしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 残念ながら、私ども、そういう例があるというのは、今委員の御指摘で初めて知ったわけでございまして、実態としてそういうものがあるということは承知しておりません。 ですから、仮定の話になるかと思いますけれども、結局は、特定共同事業を行う場合は、これは組合契約でございますので、基本的にはその当事者間の定め方によるということになるわけでございまして、特段これを規制する定めはないわけでございます。ただ、それが実質的に外国法事務弁護士が日本弁護士を雇うと同じようなものになるといった場合には、それは脱法行為と認められる場合もあろうかと思いますけれども、それは事案いかん、内容いかんによることだというふうに理解しております。
○西川(知)委員 実は私、特定共同事業の実態は非常によく知っておるわけです。大きな弁護士事務所がアメリカとかイギリスから進出してきておりまして、実際そういう人たちがする仕事というのは、ファイナンスの仕事とかMアンドAの仕事とか、基本的にはファイナンスの仕事が一番多いわけですが、それもこれぐらいの契約書を一晩か二晩ぐらいでつくって実際に交渉をするということで、しかも典型的ないろんな契約が多いわけですから、ドキュメントもぱっと一日でつくれるような体制をニューヨークとロンドンと日本とで連携してつくっている、そういうようなのが実態でございます。 そうすると、そこで中心になってやっているのは実は外弁でして、日本の弁護士は、これは日本法上何か問題があるかということだけチェックをするという形式をとっている。また、日本のお客さんですと、最初に日本の弁護士が同席をする、交渉の二回目からずっともう一切出てこない、後はサインのときだけ出てくる。 こういうことで、しかも、さっき申しましたようにリピートが多いわけですから、日本法上のどういう問題があるか、税法上どういう問題があるかとか、そういうことは一、二回やれば大体わかるわけで、いわゆるファイナンスの世界というのは、ニューヨーク法でやっても英法でやっても日本法でやっても、契約の有効性ということについてはほとんど変わらないわけです。その執行の段階で若干変わってくるところがあって、あと九〇%くらいは同じであるということで、一、二回日本の弁護士のリーガルオピニオンをもらっておけばあとはもう自分たちでできるということで、実際に自分たちでほとんどやっている。 私はそういうことをやりませんで、自分で契約で交渉して、航空会社とかメーカーの代理でECとかアメリカの弁護士が入ってやっておりましたが、具体的にはそういうケースが非常に多いということで、これは果たしてその特定共同事業の趣旨に合っているのかどうか。 実態はそういうことでございますので、それもある意味では、今言われたように、外国の弁護士事務所が日本の弁護士を雇っている、また単独でやっているというのがたくさんある事実であるということをちょっと御指摘したいと思います。その辺についてよく実態調査をされて、そういう法の趣旨から実際に離れたことが行われてないかということを調査してよく見ていただければというふうに思いますので、大臣、その辺の御意見をお伺いします。
○下稲葉国務大臣 訴訟に関しては、これはできないわけでございまして、今おっしゃっているのはファイナンスだとか商取引等々だろうと思います。十分関心を持ってまいりたい、このように思います。
○西川(知)委員 山崎政府委員の方からもちょっと。
○山崎(潮)政府委員 ただいま御指摘の点、法制上、私ども、二年ごとに業務と財産状況の実態ということで報告を受けることになっておりますけれども、それ以外に、通常は、全部弁護士会の方がいろいろ実態を把握しております。私ども、直接知り得る立場にはございませんけれども、いろいろ今御指摘の点も踏まえまして、関心を持って、日弁連の方にもいろいろ資料を提供していただけるなら、そういうもので実態をきちっと把握していきたいと考えております。
○西川(知)委員 そういうファイナンスで実際にこういう日本の弁護士でやっているのは四、五人でございまして、弁護士会の方のそういう委員をやっている方は余り、渉外をやっているといったものの実際にタッチされていない方々がほとんどでございますので、積極的にその辺のところを調査していただければというふうに思います。 ところで、黒目の外弁というのが御存じのようにありまして、これは、日本の司法試験が非常に難しい、ところが、こう言っちゃ大変失礼ですけれども、アメリカの方はそれに比べると格段に易しいということで、アメリカならアメリカに渡って向こうで弁護士の資格を取って、日本語はぺらぺらである、当然のことながら、日本人ですから。そして、ほとんど経験が何もないということで、そういうような日本人の外弁が日本に来て、そして、例えば資格を取ってまた特定共同事業に参加をする、こういう例も見受けられるわけです。 それはそれで、法制上はいいんでしょうけれども、ちょっと懸念していることは、例えば、アメリカのニューヨークでその資格を取ったといった人が、自分はニューヨークの弁護士であるというふうに書いて、経験は何もないのに日本に来るといった場合、お客さんの方は、企業の方とか消費者の方は、そういうことをよく知っているんじゃないかというふうに思って、まあ日本語もしゃべれることだし頼みに行く。ところが、その結果は大変悪かったということで、企業の方が非常に損害をこうむるというようなこともたくさんあるわけです。 ですから、そういう実態を伴わないような肩書を自由に名乗るということが果たして消費者、またクライアントを保護する意味で果たして妥当なのかどうかということについて、これは、すぐ結論を出すことは非常に難しいと思いますので、ここでは結論ということは求めませんが、一度ちょっと検討していただきたいというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 ただいま御指摘の点、我が国でも同じ問題がございまして、仮に、弁護士会に登録をいたしまして、活動していないとしても、入会しましてきちっと会費を納めていれば名乗れるはずでございます。それが、では海外へ行って日本の弁護士だと言えるかどうかという問題、同じ問題かと思います。なかなか法制上は難しい点はあろうかと思いますけれども、確かに依頼者を惑わせる、この点は避けなければならないという問題がもう一つございます。ですから、どういう仕切りが可能なのか、あるいはできるのかできないのか、ちょっと検討はしてみたいと思っております。
○西川(知)委員 大臣、いかがですか。
○下稲葉国務大臣 もともと外国法弁護士の資格がないわけでございますから、日本においては。それは潜りでございますね。ですから、その辺のところは、今調査部長も、政府委員も申し上げましたが、資格のない人がそのような活動をやっているということは、これは違法でございますから、何とか十分対処できるような方法を検討してみたいと思いますし、具体的にまたそういうふうな方を御存じなら教えていただければありがたいと思います。
○西川(知)委員 それから、日本の渉外事務所も、大規模なところがどんどん出てきまして、私が二十年前に研修所を卒業してそういうところに入ったときは、まだ五百名の中で二人とか三人とかその程度だったんですが、今は何か人気が高くて、何十人とかいう規模で、一つの事務所で七、八人入るということも現実だというふうに聞いております。 実態を見ますと、こう言っちゃなんですけれども、英語ができるかどうかということが非常に大きく左右されまして、例えば有報、有価証券報告書、これをつくるときの翻訳をやったり、契約書の、合弁契約の翻訳をやったり、そういうことをやって、それも自分たちではやらずに、どこかの英文科を出た翻訳のセクションの女の子にやらせて、それを最後に、見たことにして、さっと見る。ただ、一年目とか二年目とか、留学をする前の弁護士の英語の能力というのは、そういう翻訳をして、英文科を卒業した人よりは劣っていますので、正しいかどうかもよくわからないといって、大体そのままさっと通ってしまう。上のパートナーの方に行きますと、そんな細かいことはやってられぬということで、さっと見て、そしてお客さんにこうですと言って出す。 翻訳料は、タイムベースでやるわけですけれども、事務員のアワリーレート、いわゆる時間当たり幾らかというものの大体三倍か四倍くらい取っている。そういうような実態とか、例えば、会社を立てるときに、司法書士の資格のない人に実際はやらす、それで、最後だけ弁護士が見て判こを押すというようなことが実態として行われている。 こういうことで、ちょっとこの点も事実として指摘しておきたいと思うのです。これは、最後はその人が見たことで、判こを押したということで、それでいいのかもしれませんが、実態はそうではないと。最後は自分が法的責任を、損害賠償とか、うまくいかなかったらとるからいいというようなもので、実態は、これではなかなか弁護士としての、さっき言った倫理観とか、脱法行為的なことになっているのではないかというふうに考えられますので、この辺のところも、やはりもう少し実態の方を十分チェックしていただいて、何か間違い等があれば、これは、是正するなり指導をしていただくなり、そういうことをやっていただきたいと思いますが、まず、政府委員の方から。
○山崎(潮)政府委員 ただいま弁護士業務の実態についてさまざまな点から御指摘をいただいているわけでございますので、私ども、その辺のところについて承知し得る立場になかなかないわけでございますけれども、今御指摘がありましたようなさまざまな点について、一度私どもも、まず日弁連の方と、どういう実態なのか御承知かということで、少し聞いてみたいというふうに思います。
○西川(知)委員 大臣、いかがでしょうか。
○下稲葉国務大臣 政府委員と同じ気持ちでございます。
○西川(知)委員 そこで、特にお願いしておきたいのは、そういう渉外事務ばかりやっている代表のところに聞かれますと、そういうことはないというふうに答えると思いますので、なるべくなら外弁問題研究会の構成員ではないようなところに実態調査をしていただきたいというふうにこれは申し添えておきます。 そこで、ちょっと私も、実際にそういう渉外の弁護士をやっておりましたときに、この外弁の問題というのはどこまで許容されるのかというのは、いろいろな変遷があって、これが所内での非常に大きな話題になっていて、どうしたらいいのか、もう外圧で全部やられるのじゃないかとか、そんなことを考えていたわけなのですけれども、この点について、ヨーロッパとかアメリカとかいろいろなところがら要請があったり、ある意味で外圧というものがあったような気がするわけです。 やはりこれは、外圧でやるというよりも、これからの日本が、日本の新しい、金融ビッグバンもこれからどんどん起こりますから、国際化時代を迎えて、日本の弁護士制度がどういうふうにあるべきかということを中心として考えていただきたいわけで、外国がこう言っているからこうしますとか、それは、参考意見として聞くということは正しいと思いますけれども、それがなければ開放できないとか、そういうことのないように、先ほど申しましたように、総合的法律・経済関係事務所の構想についても同じことで、日本の消費者にとって、日本の企業、クライアントにとって一番いい法律制度というのはどういうことかという観点からやはり法律というものを考えていっていただきたいというふうに思いますので、その辺のことについての大臣と政府委員の御見解をお伺いします。
○山崎(潮)政府委員 ただいま御指摘いただきました点、私どもも同じ考えでございまして、きっかけは確かに諸外国からの要望あるいは規制緩和要望というふうにあったわけでございます。しかし、やはり我が国の依頼者保護の観点あるいは我が国の法制度との整合性、これをきちっと基本に据える必要があるだろうというふうに考えておりまして、今回の規制緩和要望に関しましても、その要望にパーフェクトにこたえたというわけではございません。 例えば、大きな問題といたしましては、雇用を解禁しろという問題がございましたけれども、これは解禁はしないということでございます。あるいは、英米で行われておりますパートナーシップと同じものを導入しろという要望が相変わらず強いわけでございますが、これはもう委員は十分御存じのことと思いますけれども、欧米のパートナーシップは一種の法人的な役割を果たしておりますので、そこで不動産を購入したり事件を受理したりということになりますけれども、これを幾ら導入しろと言われましても、我が国ではやはり個人が受任をするという関係にまだなっているわけでございますので、こういう点についても我が国の法制度との整合性をきちっと考えた上で対応するということで、だめなものはだめ、それからできるものはできる、それも、観点は依頼者の保護と法制度との整合性、こういう観点で進めているわけでございます。 今後とも、このような観点で進めたいと思っております。
○西川(知)委員 では、大臣はいかがですか。
○下稲葉国務大臣 先ほど来、委員の豊富な御経験をもとにいたしました御意見を承りまして、大変私自身も勉強になりました。 日本の司法がいかにあるべきか、これは、私ども、裁判所、日弁連とよく相談いたしまして、そして、世の中の変化、国際化の進展、そういうふうなものを背景にして、やはり柔軟性を持って対応していかなければならない、そういうふうな一環として、委員御指摘のような問題もあると思います。 それで、法曹三者の問題につきましては、もう私自身も常にコミュニケーションをよくしようというふうなことで努めているわけでございまして、きょうもあることで日弁連の会長と電話で御連絡するようなこと等々もいたしたわけでございますが、その辺のところで、お互いに肩を張ることなく、目的は一緒でございますから、同じでございますから、意見は闘わせます、そういうような中で一致点を見つけて、今委員御指摘のような方向に、活力に満ちて、なおかつ柔軟性を持って対処してまいりたい、このように思っております。
○西川(知)委員 時間もあと少しですので、ちょっと別の立場から、この外弁法には直接関係しませんけれども、お尋ねしたいことがあります。 国際化時代を迎えて、例えば、弁護士も外国に留学して、向こうの事務所でトレーニングを受けるということだけではなくて、例えば、役所に入って、ある一定期間役人となって国際的な分野で仕事をするとか、企業に何年間か派遣して、そこで実際の業務を勉強するとか、こういうようなことがありまして、それが非常に将来の自分自身の経験なり、お客さんに最終的にはメリットが与えられる、こういうことがどんどん行われてきているわけです。 そこで、この国会というのは基本的には一番重要な立法機関の一つでございまして、弁護士の中でも若い弁護士なんかは、ぜひ政策秘書になって、そして具体的にどういう方法で立法されているのかとか、また自分のいろいろな経験なり知識なりを具体的に生かしたい、こういう要望が実はたくさんございます。特に、渉外事務所なんか五十人とか四十人の規模になりますと、そういうふうな人たちも出てくるわけです。ところが、ここは今のところ規制がありまして、そうすることはできないということになっているのではないかと思うのです。 この点について今後どういうふうにあるべきかということは今でも検討をされていると思うのですが、この辺について、政府委員なり大臣の御意見、どういうふうにこれを考えていくかということについて、御意見をお伺いしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 ただいま議員御指摘の点は、例えば裁判官、検事におきましても同じような問題がございまして、他のところに行っていろいろな経験をすることによって自分の仕事がよりよくなるという点はございます。それを弁護士に投影すれば、やはり同じ問題があろうかというふうに私も思います。 一つは政府の法律家の問題を言われていると思いますけれども、これにつきましては今も任官制度というのがございますけれども、逆に言うと、我々としても余りなり手がいないというふうに理解をしているわけでございます。新しい制度をつくりましてから五、六年たちますけれども、その間に裁判官はたしか三十数名、それから検事については六名という状況でございまして、今委員御指摘の方ではかなり要望があるというふうに、私も別のところがら伺っているのですけれども、実際のなり手は余り多くないという点で、その辺がちょっとギャップがあるのかなという感じはしております。 いずれにしましても、私どもといたしましても、本当にそういうふうにどっぷりきちっとある一定の期間やっていただける方がいれば、それはやはり考えざるを得ないだろうというふうに思っているところでございます。ただ、なかなかこれを制度化する、具体化するについては、いろいろなまだ問題点を詰めなければならない状況にあろうかと思います。 それから、政策秘書の点についても、いろいろ議論は私どもも承知はしております。ただ、これは政策秘書というもののあり方の議論も一つにございまして、政策秘書の場合には、常勤であるべきなのか非常勤でも構わないのか、そういう論点が一つございまして、そこをクリアしないとなかなか難しい点がございます。 常勤でも構わないということであれば、現在でも、弁護士登録を取り消して、それで政策秘書になるという道はございます。しかし、これではなかなか難しい。では、あるいは登録をしたままでも常勤ということになりますと、弁護士活動を一切できません。では、これで果たして来手がいるのかという問題等ございまして、私どもも今いろいろそういう問題点について検討中でございます。 いずれにしましても、弁護士が多方面で活躍をするということについては、それは賛成でございますし、そういう面を持たなければならないということは十分承知はしております。
○西川(知)委員 質問時間が終了いたしましたので、私の質問を終わりますが、先ほど、いろいろな私の経験から具体的なことを申し上げました。それで、大臣も法務当局の方もそういう実態を調査していただくというふうな御答弁もいただきましたので、ぜひそういう実態を踏まえて、これからの規制緩和とかこういう外弁問題というのを考えていただきたいというふうに思いまして、私の質疑を終わります。 どうもありがとうございました。
○笹川委員長 漆原良夫君。
○漆原委員 平和・改革の漆原でございます。 この外弁法が施行されてから十一年になるわけですが、施行当時は、大挙してたくさんの人が来るということで、弁護士会も非常に心配した時期があったのですが、その後登録される方は大変少ない、こう聞いております。 そこで、現在何名の人がその登録をされておるのか。また、少ない理由は一体どう認識されているのか。そしてもう一つは、法務省として、現在の企業等の要請によりどのくらいの人数が相当とお考えなのか。この辺をお尋ねしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 本年の四月三十日現在で申し上げますと、八十六名でございます。 これが多いのか少ないのか、それから、どうしてふえないのかという問題等ございますけれども、これは、幾ら門戸を広げても、現在日本で弁護士が大都市に偏在すると同じような問題がございます。やはり、そこで法的なニーズがどれだけあるかということ、そのときの社会情勢、経済情勢、こういうことにも影響を受けるわけでございまして、なかなかそこのところははっきりしたことは申し上げられない、理由がどうしてかというのはよくわからない点はございます。 それから、今後の予想というのは、これは、裁判所法、司法試験法の関係で御審議をいただいたときも、ではこれからどのぐらいが適当かという御質問もございましたけれども、なかなかこれも申し上げるのは難しいわけでございます。特に、外国の弁護士から見た日本における法的需要の問題でございますので、視点を私どもの方で把握するというわけになかなかいかないところもございますが、ただ、言えることは、徐々にはふえていくかもしれませんけれども、今の状況、十年間見ておりますと、そう爆発的にふえていくという傾向にはないだろうというふうに考えております。
○漆原委員 それでは、今回の法案に即して、まず職務経験の要件の緩和についてお尋ねします。 現行の外弁法は、職務経験を五年以上、こうしておりますが、これは、いわゆる外弁の能力、資格、倫理観等を保証する、こういう趣旨での担保だと思います。今回は、これを緩和して三年にしょうということでございますが、経団連とかあるいはアメリカ、ヨーロッパあたりから、むしろ職務経験そのものを廃止してはどうかという強い要請があると聞いておりますが、今回、この職務経験を三年にしても、三年以上ということで残した理由についてお尋ねしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 確かに、外国法事務弁護士の能力、倫理等については依頼者の判断に任せていいではないかという意見はございます。ただ、これは、外国法事務弁護士を受け入れるにつきましては、我が国で改めて試験をやるわけではございません。それは、ほかのところで試験に合格された方、その資格を一定の要件として受け入れるわけでございます。そうなりますと、やはり、私どもが試験をしてオーケーと言ったわけではございませんので、そういう関係から、試験に受かり、向こうで一定の経験を要求するということがどうしても必要になってまいります。 特に、依頼者の保護という点を考えますと、依頼者は、では情報収集能力とかあるいは判断能力が十分な大企業だけかということになりますと、法律を制定する以上、それだけを想定するわけにはまいらないわけでございまして、一般の個人の方もおられるわけでございます。特に、最近の社会を考えますと、渉外的な結婚とか渉外的な身分関係を持たれる方が大分ふえてまいっております。この方たちの離婚問題、相続問題、いろいろ起こったときに、やはりこれは個人でございます。 そういうことを考えますと、依頼者保護の観点から、外国法事務弁護士の能力、資質、倫理等、これを確保する上では、やはり職務経験要件は残さざるを得ない、こういう視点でやったわけでございます。
○漆原委員 今現在、能力、資格、倫理に関してどんなふうな審査をしているのか、その内容を教えていただきたいということと、それから、下限を五年を三年にしたということで、十分その審査はできるのか。この二点についてお尋ねします。
○山崎(潮)政府委員 審査の方法につきましては、まず、承認を求める者から職務経験要件に関する申述書を出していただきます。それとともに、裁判所、弁護士会、それから弁護士としての雇い人、雇用主でございます、そういう人たちからの証明書等を資料としていただいております。これはもちろん、裁判所、弁護士会というのは、所属するところではございませんで、外国の裁判所、弁護士会という意味でございますけれども、そこからの記述についてまず判断をいたしまして、そこでおおむね問題なければそれで審査をいたしますけれども、何か疑義があれば調査をするというような構造になっているわけでございます。 また、今五年だから、三年で大丈夫なのかということでございますけれども、これを三年にいたしました理由は、平成六年に、日本におきます労務提供二年という期間、これはもちろん依頼者に直接法律サービスをするわけではないのですけれども、その母国法についての法律サービスをしている、そういうことの労務提供でございます。その二年間を導入したということになりますと、本国におきます経験は三年でいいということになるわけでございまして、これでしばらくやってみたわけでございますけれども、その後に入ってこられた方たちを見ましても、特段その点では支障はないという判断に達したわけでございます。 そういう関係から今回は短縮したわけでございますけれども、これ以上短い期間でその判断ができるかということになりますと、私どもは、そこは難しいだろう、これが今のところの極限であろうというふうに考えているところでございます。
○漆原委員 今労務提供の期間が出ましたが、従来は労務提供算入期間を二年にしておりましたが、今回は一年を限度とした。今回の改正によって、職務経験期間は三年以上と短縮したり、あるいは職務経験地も緩和しているわけですね。そういう意味で、このようないわゆる特別措置という、特例措置は本来なくしてもいいのではないかというふうな意見もあると思いますが、この特例措置を今回残した理由と、それを一年というふうに短縮した理由についてお尋ねしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 これは、そもそも日本における労務提供の期間二年というものは、この外弁法が制定されるときに、その前に日本にいた弁護士さんたちで、日本の弁護士事務所ですね、そこで労務提供してきた方々を救済する意味で、附則で、二年間、今までの経験は算入できるということで来たわけでございます。それを平成六年に本格導入した、こういう経緯にございます。 これにつきましては、日本で、やはり法律事務、クライアントとの関係では直接やらないかもしれませんけれども、弁護士の指導のもとでやっているわけでございますので、やはり一応の、一定の法律の経験はしているだろう。それから、やはり日本で働きたいという方は、日本の実情をよく理解したい、あるいはわかってやりたいという方でございますので、やはり日本の実情をよく踏まえた上で外国法の法律サービスをしていただけるということは依頼者の観点に立ってもいいことだということから、これを本格的に導入したわけでございます。また、それによって特別の弊害もなかったということが一つの理由でございます。 じゃ、今回なぜそれを残したのかということでございますが、前は五年のうち二年ということになっておりました。今度三年ということに伴いまして、廃止すべきかどうかという問題もちょっと考えたわけでございますが、やはりそういうふうに日本を理解して活躍したいという方を排斥する必要はないだろう、それも弊害がないんだからということで残すことにしたわけでございますが、三年になりまして、そのまま我が国における労務提供期間を二年としますと、日本において正式に弁護士活動をしていない期間の方が長くなってしまうわけです。これは避けるべきだろうということで、少なくとも半分以上は独立の弁護士として活躍していただきたいという趣旨から、三年のうち一年ということで残した、こういう経緯にございます。
○漆原委員 次に、第三国法に関する法律事務の取り扱いについてお尋ねしたいと思います。 今回の改正で、この外弁の職務権限を拡大して、一定の場合には第三国法に関する法律事務も行えるというふうにするものでありますが、この外弁の法律事務というのが第三国法にも及ぶという事態は、これはもうこの制度を導入した段階からわかっていたのではないか。また、そういう事態が十一年前からもう既に発生していたのではないか。これについては今までどんなふうな取り扱い、その第三国法についてはどんなふうな処理をしてきたのかという点についてお伺いしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 大変痛い指摘でございまして、確かに外弁法を導入するときにも、そういう問題点はなかったとは言えないと思います。ただ、外弁法制定当時の前提になりました実態といいますのは昭和五十九年前の実態でございます。そのときと現在の我が国におきます世界との関係、これはやはり大分変わってきているというふうに私どもは認識しております。特に、日本が世界にいろいろ進出する、あるいは世界から日本に来るということが激しくなってきている時代、また今後の時代を考えますと、やはり母国法と指定法以外の特定外国法でございますね、これについても法律サービスをする必要性というのはかなり高まってきているというふうに私ども理解いたしまして、それで今回導入したわけでございます。 例えば、複数の企業が競合した契約とか、そういうことは大いにあり得ると思うのですね、いろいろな開発をする場合。それから、渉外的な問題になりますと、例えば、実体法はニューヨーク州法、手続法は日本法とか、さまざまないろいろなところに分かれる可能性もございます。 これで我が国で例えば事件を受理していろいろやっているときに、準拠法がさまざまな国に分かれるという可能性もかなり出てくるわけでございます。そうなりますと、ある特定の法律だけで、それで済ませるということになりますと、それ以外の点については法律サービスができなくなって、そこで受任としては打ち切りという状況になるわけでございまして、それをまた別途の人にお頼みをするということになるのは、クライアントにとってやはり非常に不便なことであるというような状況が出てまいったということから改正に至ったわけでございます。
○漆原委員 今までそういう事態が生じた場合には、外弁はどういうふうにしていたのでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 もし、別の国の法律の関係が必要であればということで、それはそういう方を紹介して、そちらの弁護士さんのところに行っていただくか、そちらから一種の鑑定書、オピニオンレターをいただきまして、それを依頼者に渡す、こういう関係でそこの法律については手を出せなかったわけでございますから、渡しっ放し、あるいは紹介するからそちらへ行って聞いてこい、こういうような事態になるかと思います。
○漆原委員 この第三国法に関する職務権限については、本来依頼者に任せておけばいいじゃないか、依頼者の判断にゆだねるべきであって、法律で規制すべきではないというふうな要請もあると聞いておりますが、今回、書面による助言を条件に認めたわけですね。この、法的に書面による助言が必要だ、こういう制限を課した理由をお尋ねしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 やはり基本は依頼者の保護という点にございます。では、これが書面によらない助言でもいいというふうになった場合に、助言はこういうふうに言った、しかし現実に依頼者に伝わったことは若干違っていたかもしれない、そういうときにきちっとした担保がございませんと、ああ言ったこう言ったの水かけ論になるおそれがございます。そういうところに巻き込まれる依頼者というのは大変不幸でございます。 ですから、やはり母国法以外のところに手を出すわけでございますから、それほどみんな得意な分野ではございません。それを得意な分野の人の書面による助言ということで客観的に残しておいて、依頼者にもきちっとその署名等があるものを見せて、こういうことになるからということで、きちっとしたものでやりたいということを考えたわけでございまして、そういう観点から客観性を残したいということでございます。
○漆原委員 外弁と弁護士の共同関係についてお尋ねしたいと思います。 平成六年の改正によって、外弁と弁護士の特定共同事業を行うことができるというふうになったわけでございますが、この改正のときは、共同事業を許容した場合には実質的に外弁による弁護士の雇用類似の関係が発生することが大変懸念されたと。そこで、共同事業についての目的を制限して、裁判所における手続の代理等を目的とすることはできないというふうにした経緯があるわけですね。今回この目的の制限を緩和したということについて、弁護士雇用の問題はどのように考えられたのでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 今回、特定共同事業の目的の範囲を広げました。しかし、これは広げたといいましても、今までは、特定共同事業を組んでおりまして、その対象のものが不幸にして裁判ということになった場合にはそこでパートナーを解消せざるを得なかったということによるものでございまして、それが現在でございまして、これが導入してみて非常に使いにくい。パートナーを組む者にとっても使いにくい、あるいは依頼者にとっても非常に使いにくい、こういうような状況がございまして、私どもとしましては、せっかく導入するならば使いやすいものにしなければまずいだろうと。それも依頼者の保護と依頼者の利便という立場を考えてやはり導入せざるを得ないということから、今回、パートナーを組んでおりまして訴訟という問題になったり、あるいは官公署に申請をしなければならないという事態になってもパートナーは解消しなくてもいいという点で広げたものでございます。 ただし、現実に裁判所で代理行為を行う、あるいは官公署に申請を行うにつきましては、これは日本の弁護士が行うのであるという点は全く変わっておりません。 そういう点から、私どもとしては、制度のスキームを大幅に変えたものというふうには理解はしていないわけでございます。また、このパートナーシップ、いわゆる特定共同事業に関しましては、日本の弁護士は五年以上の経験を有する者でなければならない、この点については維持をしております。また、いろいろ濫用があろうかという御心配もございますけれども、そういう点については、これは当然日弁連の監督に入っているわけでございますので、いろいろ脱法的な問題があるということならば厳正な懲戒で対応していく必要があろうかということで、一応の制度の外縁の保障はしておりますので、大きな濫用の心配はないというふうに理解しております。
○漆原委員 この問題でもアメリカ等から弁護士雇用の禁止は撤廃すべきだという要求があると聞いておるのですが、今回、法務省はこの弁護士雇用の禁止は維持すべきだというふうに考えたわけですね。その理由についてお尋ねしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 雇用の禁止の関係につきましては、確かにそのような強い意見がございました。現在、外弁法が採用しておる原則は二つございまして、日本人弁護士が外国法事務弁護士を雇うことができるというのが一つのルールでございます。それからもう一つは、外国法事務弁護士が日本人の弁護士を雇うことができない、こういうふうに二つ書いてございます。そこの大きな違いはどこかということでございますが、日本の弁護士は、司法試験に受かりまして司法修習を終わりますと、我が国で裁判等を行う限り、法律サービスを行う限りは、どこの法律に関してもすべてサービスができる、ある意味ではオールマイティーの権限を持っておるものでございます。 これを仮にニューヨーク州の弁護士を例にとって申し上げますと、ニューヨーク州の弁護士が我が国で外国法事務弁護士になるとしましても、原則はニューヨーク州の法律、あと指定法があればそれだけという形になっております。ですから、非常に狭い範囲しか権限を持っておりません。そうしますと、雇う方が広い権限を持って、自分ができるところの一部を任せる、それで雇うというのは可能でございます。それは何も問題がないということになります。 逆の場合を考えますと、今度は狭い範囲の、ニューヨーク州でしか法律のサービスができない者がオールマイティーの弁護士を雇うということになりますと、自分のできないところまで手を出すという関係になってしまうわけでございます。それに、ニューヨーク州の法律についてサービスをするのにわざわざ日本人の弁護士を雇うという意味もよくわからないというようなことが基本にございまして、やはり雇用の禁止という問題は解禁はできないという結論に達したわけでございます。
○漆原委員 最後にもう一点だけお尋ねしたいのですが、今回の改正で共同事業の範囲が大幅に拡張されたわけですが、弁護士雇用の禁止を何か制度的に保障する措置を、今現行法でどのような措置がとられているか、お尋ねしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇うというような実質にならないような制度的担保でございますが、それにつきましては、.先ほどちょっと申し上げたかと思いますけれども、まず、現在の特定共同事業に関しましては、組み合わせる日本人の弁護士は五年以上の経験がなければならないということが第一点でございます。それから、外国法事務弁護士につきましても、日弁連あるいは単位弁護士会に加入をいたします。そういう関係から監督あるいは懲戒ができるということになります。それからまた、特定共同事業につきましては、それの業務内容につきまして日弁連の方に全部届け出を出すという制度になっておりまして、そこで詳細を全部把握できるということになっております。 そういうような幾つかの制度的な保障がございましてそこで歯どめをかけている、こういうことでございまして、具体的に現在大きな問題点がそこであるというふうには承知はしておりません。
○漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○笹川委員長 達増拓也君。
○達増委員 自由党の達増拓也でございます。 私は、この前、司法試験法、裁判所法改正のときにも質問に立たせていただいたのですけれども、そのときに引き続きまして、今回も次のような問題意識に立って質問をさせていただきたいと思います。 それは、今後、日本が政治、行政、経済、社会、すべての分野でそのシステムの改革を大きく進めていくに当たって、やはり量的、質的な法曹の充実ということが非常に重要なのではないかという問題意識でございます。 まず、法曹の人口を量的に拡大する中で、その質の向上、多様化等を図りながら、個人が自己責任原則に立って自由にそしてルールにのっとって行動し、事後的なチェックによってその行動の正しさが担保されていくような、そういう社会にしていかなければならない。 今回のこの外国弁護士法改正の経緯の中で、規制緩和小委員会が平成九年十二月四日報告を出しておりまして、その中では、先ほども指摘されていましたけれども、「法曹の充実のためには、先進諸外国と比べて極度に少ない法曹人口を大幅に増員するとともに、競争を通じた質的な充実を促進するという視点から、弁護士が独占している法律事務への類似職種による部分参入や、外国法事務弁護士に関する一層の規制緩和を図ることの必要性を主張してきた。」と。 この行革委員会の規制緩和小委員会の報告で、この外国法事務弁護士制度の改正についてこういう法曹の量的、質的な充実という観点から取り上げられているわけでありますが、ここでポイントになるのは「競争を通じた質的な充実」という考え方だと思います。競争ということですから、法曹人口が少ない場合には競争が起こらないわけでありまして、競争が起こって、うっかりすると仕事にあぶれる人も出てくるかもしれない、それが競争ということだと思うのですが、法曹の量的な拡大を行う中で質的な充実も図られるのだという考え方がこの報告書にあると思うのですけれども、その点についての政府の考え方、法務省の考え方を伺いたいと思います。
○下稲葉国務大臣 委員御指摘のとおりに、平成九年十二月四日、行政改革委員会の規制緩和小委員会の最終報告書で「競争を通じた質的な充実を促進するという視点から、」「外国法事務弁護士に関する一層の規制緩和を図ることの必要性を主張してきた。」こういうふうに述べられております。その前に増員の問題がございまして、その報告書の中にも「法曹人口の大幅増員」と「外国弁護士の受入に関する規制緩和」、この二つが答申の中に出ておるわけでございます。 我が国の弁護士と外国法事務弁護士の双方が、よりよい法的サービスを提供することができるように、互いに切磋琢磨し、国民のニーズにこたえていくべきことは当然であると思います。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、外国弁護士受け入れ制度は、我が国の司法制度、特に司法制度の一翼をなす弁護士制度に深くかかわる制度でございます。そのため、外国法事務弁護士の制度は、内外の諸情勢を踏まえた上で、依頼者保護等を図りつつ我が国の司法制度に適合した制度であるべきもの、こういうふうに認識いたしておりますし、競争を通じての質的な充実というような方向もこういうふうな中で解決していくべき問題である、このように認識いたしております。
○達増委員 今の点に関連しまして、先ほど佐々木委員からの質問にもあったのですけれども、平成九年十月三十日に出ました外国弁護士問題研究会の報告書、こちらの方で、さっき佐々木委員の質問の中でも引用されたのですが、まず前段「内外の諸情勢、特に規制緩和要望を踏まえ、」云々、ユーザーの立場あるいは法律サービスの提供、そういった視点から選択肢が広がって、ユーザーにとってよりよい法律サービスが受けられるようになるのじゃないかと言って、後段「ただし、」で外国弁護士受け入れ制度は、我が国の弁護士制度、司法制度の中に位置づけられなければならない、そういっただし書きがついているわけであります。 この外国弁護士問題研究会の報告書のこの部分の趣旨ですけれども、「競争を通じた質的な充実」という規制緩和小委員会の考え方を認め、ユ——ザーの立場とか法律サービスとか、そういう経済の世界に使われるような言葉を使っている点は、基本的にはそういう市場経済的な考え方を認めた上で、「ただし、」ということで、弁護士制度、司法制度との適合性ということを言っているのだと思いますけれども、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 基本的には、外国弁護士問題研究会、両方に配慮した形はとっております。 ただ、私が今まで両者を経験してきた感じから申し上げますと、外国弁護士問題研究会の方につきましては、やはり依頼者の保護とそれから司法制度との適合性という方にかなり重きがかかっているものというふうに理解をしております。 また、規制緩和小委員会の方の結論につきましては、こちらは基本的には規制緩和を行って、それは個人個人が自己判断で動いていく世界を予想しておりますので、そういう場合に、いろいろな規制を全部取り払って自由にさせろ、そういう立場から言われておりまして、抽象的には目指しているところは同じと言えるかもしれませんけれども、足のかかりというか出発点は大分反対側からスタートしているのではないか、こういうふうに考えられます。
○達増委員 今の答弁の中にも依頼者保護というのが出てきたわけですけれども、この依頼者保護という考え方は、ある意味で競争を基本原則にしていくというものに歯どめをかけるといいますか、その反対側の方から歩み寄っていくような観点だと思うのですね。 それで、競争という点を重視すれば、選択肢ができるだけ広く、その広い選択肢の中から利用する側が選ぶというこの点に重きを置けば、外国法事務弁護士についても依頼者がみずからの責任で選ぶのであるからいいんだという結論になると思うのですが、そこであえて依頼者保護という観点から、今回職務経験要件について、軽減はしているのですけれども、まだ維持していると。 この点、競争という観点を重視すれば、職務経験要件の撤廃ということも考えられると思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 確かに、競争を通じて質的なレベルを上げるという観点に立ては、それの方がいろいろな方が来られて多様なニーズにこたえられる、そういう面を強調されているところはあろうかと思います。 ただ、どうしても依頼者が選ぶという立場と、今度は依頼者を保護しなければならないという立場がございます。 これは、依頼者が本当に法律をよく知っていて、いろいろ情報能力あるいは判断能力がある程度できるという前提に立ちますと、確かに今おっしゃられた問題が出てくるわけでございますが、そういうような判断ができる我が国の例えば大企業だけが対象かと言われますと、必ずしもそうでもない。これは中小の企業になりますと、そういう弁護士の情報すら持っていない、いわんや外国法事務弁護士の情報も持っていないというところもかなりの程度あるわけでございますし、また、個人個人にとって考えますと、普通に生活をしていていろいろ法律問題に関与するということは滅多にないことでございます。 そういう点からまいりますと、すべてのクライアントがある程度正しい目を持って選べるという体制にはまだなっていないという前提をきちっと把握せざるを得ないだろうということから、今回は、やはり依頼者保護という観点、これをきちっと維持すべきだということから、職務経験要件については維持をする、こういう選択をしたわけでございます。
○達増委員 職務経験要件に関する質問、また後でしたいと思いますが、その前に、今回の改正案の中で二番目のポイントとしては、一定の要件の下で、第三国法に関する法律事務の取り扱いを外国法事務弁護士に認めたところであるわけでありますけれども、その第三国法の専門家による書面による助言があれば、第三国法に関する法律事務も取り扱ってよい。 確かに、さまざまな国の法律が並行的にあるいは関連してくるような、そういうビジネスですとか渉外関係ですとかを扱うときに、一人で複数の国の法律事務を行う、そういうニーズも出てくるわけでありますが、これと同じ論法であれば、一定の要件の下で、例えば書面による助言等を条件として、日本の法律に関する法律事務についても、外国法事務弁護士が取り扱うことを認めてもいいということになると思うのですけれども、この点、いかがでしょう。
○山崎(潮)政府委員 確かに、そういう論法でいくと、そういう問題が出てくるわけでございます。 ただ、この問題に関しましては、そもそもこの外弁法自体の枠組みの問題に大きく影響してまいりまして、これは諸外国から日本において諸外国の法律サービスをしたいということから、この外弁法が導入になったわけでございますが、そこの大きな仕切りは、日本法については日本人が行うのだということが大前提になっております。 その外国法事務弁護士は、自分の母国法あるいは指定法、その範囲について法律サービスをすることができる、こういうふうに大きな仕分けができておりまして、その中で隘路となっておりましたそれ以外の特定外国法についてどうすべきかという議論をしたわけでございます。 これを、じゃ書面による日本人弁護士の助言があればやってもいいということになりますと、そういう条件はありながらも、外国法事務弁護士はオールマイティーの権限を持って日本に入ってくるということになりまして、ちょっとその枠組み全体を変えるのはなかなか困難であるというのが一点と、それから依頼者の立場にとっても、わざわざ日本法の点についてサービスを受けるのに外国法事務弁護士にお願いをするというニーズが果たしてあるのかないのか。それなら直截に日本の弁護士に聞いたらいかがかという問題になるわけでございますので、その辺のニーズもあり得ないだろうというふうに考えているところでございます。
○達増委員 今回の改正案の三番目のポイントは、特定の共同事務について、目的の制限を緩和したというところなんですけれども、規制緩和小委員会の報告書では、外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇用することを認めてほしいということだったわけでありますけれども、外国の例ですと、外国法事務弁護士と弁護士のパートナーシップがその国の弁護士を雇用するという、例えばアメリカにそういう例があるわけでありますけれども、今回、そういう共同事業がさらに弁護士を雇用するというのを認めなかったのはどうしてなんでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 ただいま御指摘のパートナーシップでございますけれども、これは英米で行われておりますけれども、これは一種の法人化、法人的な地位を与えられておりまして、その法人が事件を受任する、あるいは法人で不動産を購入する、こういうことが可能な世界でございます。 日本の資格制度につきましては、弁護士のみならず、ほかの資格制度につきましても、すべて事件は、例えば共同事務所でやっていても、個人で受けるという建前になっておりますし、共同事務所を仮に設けていましても、共同事務所で不動産を購入するということはできない。個人個人でやる、あるいは共有で取得する、こういうような法の建前になっているわけでございます。したがいまして、そのパートナーがまた弁護士を雇うとかそういう法律関係はない、個人で対処せざるを得ないということになります。 ですから、仮に特定共同事業を日本人とニューヨーク州の弁護士が組んでいたといたしまして、これは日本人の弁護士が弁護士を雇う、個人が個人を雇う、こういう関係になります。外国法事務弁護士、ニューヨーク州の弁護士が日本人の弁護士を雇うことは、これは禁止されておりますので、そちらの関係はできない。ですから、パートナーである日本人の弁護士が日本人を雇う、こういう関係なら可能である、こういうふうになるわけでございます。
○達増委員 関連しての質問なんですが、先ほど西川委員からの質問で、経済、会計や税務も合わせた総合的な法律事務所というのが便利なので、そういうのはできないのかという質問があったのですが、そもそも今の段階では、日本の法律事務所は法人とは認められていないということでの今の答弁だったと思うのです。法律事務については、一人一人の人権を守る、そういうじっくりときめ細かに対応していかなければならないような性質の法事務もあるとは思うのですが、逆に大量に迅速に処理をしていかなければ、逆にそれでいろいろな権利関係とか人権とかがうまく守れない、それはビジネスの世界とか、そういうところの関係があると思うのですが、我が国においても法律事務所の法人化を認めるということは検討されていいと思うのですけれども、この点についていかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 委員御指摘のとおり、やはり世の中が高度複雑化してまいりますと、それぞれの専門家が一カ所に集まって、法人として総合的なサービスをするという必要性はどうしても高まってくることだという理解を私どもしております。 そういうふうな観点から、平成九年三月の閣議決定の中で、弁護士事務所の法人化と、それから弁護士の広告規制の緩和の問題と、それから先ほど御指摘ございました弁護士事務所と公認会計士あるいは税理士、司法書士等を組み合わせをいたしました総合的法律・経済関係事務所、この三つについて、やはり依頼者のニーズにきちっとこたえるという観点から検討を加えろというふうに規制緩和推進計画に盛り込まれました。それで、この三点につきましては、本年度中に結論を出すということでお約束をしております。私ども、今鋭意その検討を進めております。 特に、弁護士事務所の法人化と広告規制緩和は、弁護士会だけに関係あることでございますので、今そちらと進めております。ほかの点は、ほかの士族を所管する省庁と検討を加えているという状況でございますが、特に事務所の法人化につきましては、弁護士の事務所が法人化いたしますと、多分ほかの士族も右へ倣えということになろうかと思います。ですから、そういう意味では、トップを切る大変重要な法律になっていくだろうということで、私ども、今鋭意検討して、なるべく早い機会に結論を出し、必要であれば、これは法改正になりますので、また御審議をいただくということになろうかと思っています。
○達増委員 非常に前向きな答弁をいただいて、心強い思いがいたします。 現状では、我が国では法律事務所は法人ではなく、複数の弁護士が一緒に仕事をする場合には、組合契約、その共同事務所ということでやっているわけなのですけれども、国によっては、非常に大きい法人、ローファームで仕事をやって、うまくいっているケースもあるわけですが、今の現状、日本においてそういうローファーム的な実態あるいはそういうニーズ、これがどの程度あるのか。完全に政府の方で把握しているわけではないでしょうけれども、把握している限りでお答えいただきたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 大ざっぱかもしれませんけれども、まず世界のローファームをちょっと見てまいりますと、特にアメリカを中心に巨大ローファームがございます。私ども承知している範囲では、最大のものは約二千名の弁護士がおります。そのほか、千数百というのがもう数えると幾つでもございます。もう何百という単位のものが相当数あるというふうに承知をしております。 では、その一方、我が国の関係はどうかということでございますけれども、これは一九九七年の三月段階の把握でございますけれども、一番日本で大きいローファームが五十三名、あと五十名台が三つぐらいというふうに承知をしております。あと四十名台、三十名台とございますけれども、数を比較しますと全然スケールが違うという状況がおわかりかと思います。 ちなみに、日本全体の弁護士がどういうような体制で仕事を行っているかでございますけれども、一人で弁護士事務所をやっているという方は全体の五五%ぐらいに達します。それから二人という方が大体一八%ぐらい、三人以上というのがその余、こういうような状況でございます。
○達増委員 今、日本の弁護士事務所の実情、数字も出して答弁いただいたわけでありますけれども、経済の感覚からそういう数字を聞きますと、日本の法曹というものが非常に中小零細で、国際競争力がなくて、アメリカの巨大ローファームなどというところは非常に大規模化が進んで、国際的にもどんどん乗り出しているというような印象を受けるわけであります。 もちろん、法律、法曹の世界と経済、ビジネスの世界をイコールで考えてはならないのでしょうけれども、国際化がどんどん進んで、人や物やお金の国境を越えた行き来がどんどんふえてくる。また、各国それぞれ自国の伝統、歴史に基づいた法体系を持っているわけでありますけれども、同時に、人類共通のそういうルールづくりのようなことも進んできて、立法についても、先に多国間の国際条約ができて、それに合わせて各国で国内法を整備するとか、そういう法の国際化とでもいいましょうか、そういう現象が進んでいると思うわけですね。 ここでまたそもそも論で、先ほどの答弁にも、外弁法の仕切りの問題として、日本の法については日本の弁護士がやるのだという仕切りがあるということだったわけですけれども、例えば我が国の法律の解釈をする場合にも、外国法の解釈を参考にしたり、また外国の判例を参考にすることが多々あるわけですね。そういう意味で、各国法を共通して流れるリーガルマインド、そういう近代法の本質みたいなところはある程度国境を越えて存在するところもあり、そういうのをお互い生かし合い、また特に国際的な貿易ですとか投資ですとか盛んにやって、それなしで生きていけない日本については、ある程度積極的にそういう国境を越えた法制度をつくっていくことに理由があるのじゃないかと思うのです。 改めて、外弁法の仕切りの問題、外国弁護士が一定の制約のもとに日本法に関する法律事務をやってもいいのじゃないかという考え方について、政府の考えを伺いたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 確かに、世界のルールというのは、グローバル化してまいりますと共通化してくる面がある。そういう面では、例えば日本にない法律で世界各国でどういうような対応をしているかということは十分に参考になる、あるいはまた世界では日本の例もいろいろ参考になっていくだろう。そういう面は私どももあろうかというふうに考えております。 ただ、これを最終的に、じゃ全部一般化するかということになりますと、これは世界の現状を見ておりますと、なかなかそうはいかない。法律というのはやはりその国々の文化、社会、歴史を全部しょっているところがございますので、なかなかそれをすべて同じに扱うというところまでいけるかどうかという問題があります。 それは、長い将来を考えれば、私個人といたしましても、世界の各国の言語が一つであり、法律が一つであり、共通のルールを置いておいた方が非常にやりやすいという点は私ども十分理解できるところでございますけれども、当面はやはり今までの社会の中の継続でまいるだろうというふうに理解しておりまして、そういう国際的な視点をきちっと持たなければならないということは十分に意識しなければならぬと思いますけれども、すべてを共通化するのも大分先であろうというふうに考えております。
○達増委員 ではここで、各論的な話なんですけれども、日本人外国弁護士というのがいると思うのですね。 先ほど西川委員の質問の中で、日本の司法試験が難しいからアメリカに行ってそこの試験を受けて、通って、外国弁護士、外国法事務弁護士になる人もいるという指摘があったのですが、私の知っている例でも、そういう消極的なケースのほかに、例えば企業や役所に入って、そこの派遣でアメリカのロースクールに留学中一生懸命勉強して、力試しのつもりで試験を受けたら受かってしまったとかいう日本人が出てきていますし、また、高校まで日本で過ごして、アメリカの大学に行って、やっぱり法律をやらなきゃということでロースクールに入って、アメリカのニューヨーク州の司法試験を受けようとしているとか、そういう日本人がどんどんふえていると思うのです。 今、外国法事務弁護士八十六人ということでしたが、その中で日本人というのはどのくらいいるのでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 日本人は現在は十名でございます。その前に、全体としては、登録を今抹消された方があと五名おりますので、全体では十五名で、現在人員が十名、こういう状況でございます。
○達増委員 外国法事務弁護士として活躍している日本人はまだまだそのくらいの数なんでしょうが、これからふえてくることも考えられるわけであります。 それに関連しまして、今回改正になる職務経験要件なんですけれども、外国法に関する知識に基づいて我が国において行う労務提供を一年やった人については、我が国の文化とか習慣とかそういうのを身につけられたであろうから、その一年間を外国法の経験にカウントしてやるという内容になっているわけでありますが、日本人外国弁護士の場合ですと、もう最初からそういう日本の文化、習慣については知っているわけでありますし、特に日本の法学部を出ていたりすれば、日本のそういう法律関係のことも基本は知っている。その場合、そのこと自体がいわば日本で一年間労務提供をしたのと同じ効果があると思うのですけれども、この点について、日本人の場合を、外国法事務弁護士の資格を得る職務要件として、いわば日本人としての経験を特別に考慮するということは考えられないのでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 ただいまの御質問は、日本人に限っては日本における労務提供、それはなくてもいいではないか、差し引き、外国で二年間法律実務をやっていればそのまま承認してもいいのではないかという御質問かというふうに理解いたします。 ただ、今回三年ということで職務経験要件を短縮したわけでございますけれども、これにつきましては、やはり三年間はそこの母国法の法律事務を提供しているということが経験として重要である、そういうことを考えているわけでございます。 それで、そういう関係からいきますと、中に入ります一年間は、日本に来て働いているわけですが、やはり母国法の法律サービスを行っているわけでございまして、それを直接クライアントに提供はしませんけれども、雇われております弁護士あるいは外国法事務弁護士の下働きとしてやるわけでございますので、そういう意味では、やはり法律を提供しているわけでございます。それを三年間必要であると言っているわけでございますので、日本人、幾ら日本の実情に通じていても、やはり法律サービスをしている期間という点では欠ける点がございますので、それは同じように要求したいというふうに考えております。
○達増委員 我が国において外国法に関して行う労務提供というのはいろいろなパターンがあると思うのですけれども、具体的に今行われているどういうものをカウントしていくのか、どういうものを想定しているのか、そこを具体的に説明いただきたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 ちょっと趣旨がつかみにくかったので、もう一度御質問いただけますでしょうか。申しわけございません。
○達増委員 一年間の日本における外国法に関する労務提供、これが三年間の法実務のうちの一部として、三年を二年にして、国内で一年間やっていればそれがカウントされる。そういう意味では非常に重要な要素だと思うのですけれども、実態として、今日本でどういう形でそういう労務提供が行われているのか。そこの実態、把握しているところを教えていただければと思います。
○山崎(潮)政府委員 どうも申しわけございませんでした。 日本におきます弁護士事務所あるいは外国法事務弁護士のもとにおきます仕事の形態でございますけれども、二つの形態があるようでございまして、一つはトレーニーと言っております。これは、一種の研修生とか訓練生、こういうふうな名前で呼ばれているわけでございます。 それから、もう一つはクラークと言われているものでございますが、これは法律事務所専門職員、こういうふうに一般的に言われているわけでございますが、これは法律知識に基づいて弁護士を補佐するものでございまして、一般の秘書やタイピストのような事務職員とは異なる専門職種であるわけでございます。仕事の内容につきましては、雇用主の指示を受けて、外国法令や裁判例あるいは法律文献等の調査、契約書の下書き等を行って、それを雇用主に報告、提出をする、こういう仕事に従事しているというふうに承知をしております。
○達増委員 次の質問ですけれども、きょうのいろいろな答弁を聞いていて思うのは、貿易交渉をやるときに相互主義ということが言われて、自分の国の規制を撤廃、緩和していくに当たっては、相手国も同じくらいの規制緩和、撤廃をやっていれば、それと均衡をとりながら規制を緩和していくという考え方であります。この外国弁護士問題も、もともと日米のさまざまな規制緩和をめぐる交渉の中で取り上げたりしたこともあって、まさにそういう二国間交渉の文脈で取り上げられてきたこともあって、外圧とかいう言葉で語られたり、あるいは相互主義的に対応するということが言われたりするのだと思いますけれども、これも西川委員の質問でも指摘されていたと思うのですが、もっと我が国として主体的になって、我が国にとって必要な法曹サービスをどう整備していくかという観点を基本に据えて取り組むのが適当な課題だと思うのですね。 ですから、相互主義云々で、アメリカはここまでやっているから日本はここまでしかやらないとかいうことではなく、特に日本の場合、貿易とか対外投資とか、そういったものに依存しないと生きていけないような経済社会であるわけでもあります。アメリカの州法はそれに比べると非常にローカルで、ドメスチックといいますか、国内的、アメリカの外の世界をほとんど考えないような、そういう性質がアメリカの州法の場合あると思うのです。 結論を言えば、アメリカがここまでやっているからというような観点からだけではなく、我が国として主体的に、ここまでオープンにやっていこう、そういう発想でやっていかなければならないと思うのですけれども、この点、いかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 確かに、国際化の問題は、これからどんどんグローバル化していくわけでございますので、世界の中で我が国もきちっと対応していかなければならないという観点がございます。そういう点から、やはり国際動向というのはきちっと把握しておく必要があるという大前提が一つあろうかと思います。 しかし、それをただうのみにするだけではなくて、基本的には、我が国の置かれた立場、それから我が国の法制としてどうあるべきかということの基本をきちっと押さえて対処していかなければならぬと私どもも考えておりますし、今回も、そういう視点で、きっかけとしてはさまざまな御要望がございました。その中で、私どもも、できることとできないこと、それから、これをやるべきかやるべきではないか、そういう観点からきちっと把握したつもりでございます。 今後もそのような視点で対処してまいりたいと考えております。
○達増委員 冒頭取り上げました規制緩和小委員会の報告書に戻りますけれども、ここで「第一次及び第二次意見の実施状況」ということで、「外国弁護士の受入に関する規制緩和」「委員会が最も力点を置いて意見を述べた外国法事務弁護士による日本弁護士の雇用の解禁については、」それが、「雇用の解禁自体が図られないことから、緩和が十分であると評価することはできないが、」云々というふうにあるわけであります。 この点については、外国から求められていたということのほかに、我が国の中の経団連とか経済団体からの要望もあった点だと思うのです。考え方として、先ほど答弁の中で、より権限の少ない者がより権限の多い者を雇用するのはおかしいという、その考え方はわかるのですが、このような、我が国の民間部門からのニーズが高いことについて、今回、法改正の中には盛り込まなかった。この点、共同事業の目的を緩和するという形で法改正がなされているわけでありますが、そういう形で規制を緩和することによって、国内的なニーズ、そういう経済団体からの要望についてもある程度こたえた、そういう認識なのかどうか、伺いたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 この点に関しましては、確かに経団連からこのような要望がございました。外国弁護士問題研究会、この中の構成メンバーにも、経団連からお二人推薦をいただきまして、企業法務の方に参加していただいております。 そこでいろいろ討議した結果、確かに雇用解禁ということは経団連としては言っておりますけれども、最終的に、その研究会のメンバーは、全員一致で、今回の問題は実質的には解禁したと同じような働きをするということで、依頼者にとってみれば、そこが雇用であるかパートナーであるかということは余り問題ではない。依頼者としては、非常に使いやすく一貫してやっていただける、こういう点を望んでいるわけでございまして、その点では経済界御出身の委員の方からも、これで実質的には日本のニーズにこたえたことになる、こういう御意見をいただいているところでございまして、私どもとしては、それで日本のニーズにはこたえているというふうに確信を持っているところでございます。
○達増委員 我が自由党といたしましても、今回の外弁法改正案、より望ましい法曹体制に一歩踏み出すものということで評価をしております。 また、冒頭述べましたけれども、法曹の量的、質的拡大ということを通じて、二十一世紀、日本の社会システム各般の改革を進めるに当たって非常に中核的な役割を果たすそういう法曹のあり方について、また今後もいろいろな実情に応じながら、積極的に政府の方でも取り組んでいくことを期待いたしまして、まだちょっと時間が残ってはいるのですけれども、私からの質問はこれで終わらせていただきたいと思います。
○笹川委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。 大蔵省をお呼びしておりますので、外弁法に対する質疑の前に、私は、法務省、検察庁から、大蔵省、とりわけ証券取引等監視委員会に出向していた東京地検の検事二人が証券会社から接待を受けて処分されたその問題についてお聞きをしたいと思います。 法務省は、五月一日にこの問題で二人の検察官に、厳重注意ともう一人は注意処分をしたようでありますが、調査結果の内容、処分の内容をまずは御報告いただき、法務大臣から、検察庁からこういう者が出たということに対する御所見をまず伺いたいと思うのです。
○但木政府委員 法務省は、証券取引等監視委員会を含みます大蔵省金融関連部局に出向中あるいは出向したことのある検事、これは元検事も含みますが、検事全員十名に対しまして、大蔵省が調査対象とした平成五年一月一日以降を重点としながら、なおできるだけさかのぼって、当該検事の出向中の担当職務に関係のある金融関係業者との会食等の有無、状況に関しまして、本人からの聞き取り調査はもちろん、必要な反面調査を含む調査を行いました。その結果、二名の者について問題があるというふうに考えました。 その一名は、平成二年に大蔵省証券局に出向し、その後、証券監視委員会ができました段階でそちらに移りまして、その後、東京地検、司法研修所教官を経て預金保険機構に参りました者と、もう一名は、それの後任で、証券等監視委員会に出向いたしまして、その後、東京地検に戻り、人事課付になりました者の両名でございます。 私どもの調査の結果といたしましては、これらの者、特に、最終的には現在官房付におります検事につきましては、特定の業者との会食、それも相手方の費用負担で行った会食が相当回数あるということで、懲戒処分としては、それに達するものとは言えないかもしれませんが、検事の身分を持って出向した者としては不適切、遺憾であるということで、この者につきましては、四月二十七日の段階で預金保険機構の方に調査結果の概要をお伝えし、預金保険機構の方におきましては、当時、同君は課長職その他を兼任しておりましたが、それらの役職をすべて四月二十七日の段階で解きまして総務部付にいたしました。そして、五月一日付で法務省官房付ということにいたしました。同君から自主的に給与の百分の二十、一カ月間につきまして返上したいという申し出がありましたので、これも受けることにいたしました。そして、当職から同人に対しまして厳重に注意をいたしました。 もう一名のこの者の後任でございますけれども、この者は必ずしも特定の企業と継続的に会食したとまでは言えないと思いますけれども、それにいたしましても、懲戒処分には該当しないものの、やはり検事の身分を持って出向した者としてはその行為が不適切ということで、これも私から注意処分にいたしました。 なお、同人は、先ほど申しましたように、この四月一日付で官房人事課付検事となっておりましたが、官房人事課は服務を担当するところでもございますので、そこにこのまま置くということは適当でないと考えまして、人事異動し、別の部署につけたところでございます。
○下稲葉国務大臣 ただいま事実関係については官房長から説明したとおりでございますが、検察は昨年来、いわゆる総会屋への利益供与事件の摘発を初めといたしまして、一連の事件に対しまして、法と証拠に基づきまして地道に捜査を行ってきていたわけでございますし、私も検察に対して全幅の信頼を置いているわけでございますし、また国民の方々もそのような見方で応援していただいていることだと思います。それだけに、検察官は、公私の別を問わず、常に自粛、自戒することが、これは当然のことであるわけでございます。 他省庁に出向中とはいえ、今御報告のような事案が起きたことは、まさに残念であり、遺憾であり、申しわけないと思います。このようなことが今後起きないように、一層規律を厳格にしてやってまいりたい、このように思います。
○木島委員 既にマスコミには処分を受けた二人の氏名は実名で出ておりますから、伏せる必要性は全くなくなっておりますから、私も実名でお聞きをいたします。一人は、先ほどの答弁の前者は、土持敏裕という人物であります。 法務大臣官房長が処分を発表したときの記者会見メモが私の手元にあるわけであります。その中で、前者を甲としておりますが、「甲については、特定証券会社と継続してその費用負担で会食するなど、世間の疑惑を招く余地があり適切でなく、また、出向中とはいえ検事に対する国民の信頼の保持の観点から問題があると考えられます。同人については、いったん国家公務員の身分を離れたことから法的に懲戒処分はできないものであり、また、たとえそれが可能であったとしても、懲戒処分の対象としなければならないほどの悪質性はない案件と思われますが、」云々と書いてあるわけであります。 今、官房長からの答弁を伺っても、この人物が証券取引等監視委員会のどういう地位で、どういうことをしたのかが全く答弁にございません。その調査をされたのだと思うのです。法務省からもお聞きしますし、これは大蔵省も、また証券取引等監視委員会も調査をされているかと思うので、順次答えていただきたいと思うのです。 この二人はどういう地位にあったのか。それから、どこの証券会社のどういう人物と何回にわたって、マスコミ等によりますと個々であります。十回ぐらいという記載があったり、六回ほどという記載があって、いろいろばらばらでありますので、明確にしていただきたい。回数、そしてその最初の時期、回数が少ないわけでありますから、全部についての日時、それから場所、飲食をしたときいた人物、幾らぐらいの便益を受けたのか。もう二度とこういう不祥事を起こさないためにも、全部を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
○但木政府委員 まず、両名が証券取引等監視委員会で何をしていたかという御質問がございました。 両名の身分は、証券取引等監視委員会事務局総務検査課取引審査部門というところに属しておりました。業務内容といたしましては、証券取引等の公正を確保し、投資者の保護を図ることを目的として証券会社等から報告を求め、または資料を徴取して、日常的な市場監視を行うことをその業務としております。 それから、第二番目の問題で、回数がどういう時点でどうなのかというお尋ねがございました。 平成五年以降で判明しておりますのは、甲君につきましては合計九回でございます。このうちの三回は、東京地検検事に戻ってからでございます。したがいまして、証券取引等監視委員会に属しておりましたときの回数は六回ということになります。 それから、乙君につきましては、平成五年七月以降でございますので、これまでの回数が六回ございます。そのうちの一回は、東京地検に戻ってからのものでございます。したがいまして、在職中の回数は五回ということになります。
○菅原説明員 ただいまお尋ねがありました両人とも、ただいま法務省の方からもお答えがありましたが、証券取引等監視委員会在職中の職名は総務検査課課長補佐兼証券取引審査官であり、取引審査部門で行う証券取引等の個々の審査業務に関し、審査結果の法令面での審理等を行っておりました。
○渡辺説明員 お答え申し上げます。 今回、調査の対象にいたしました平成五年一月以降、大蔵省に対して出向されておりました法務省の関係者が全部で九名おりますが、私どもがことしの一月下旬以降、調査を開始した時点において大蔵省に在職していた者は四名でございます。 今回の調査で、私どもの方では、その時点で大蔵省に在職をしている者についての調査は行いましたが、その時点で既に法務省に復帰されている者については対象の外としております。したがいまして、今御質問のございました二名の方につきましては、大蔵省としては独自の調査を行っておりません。
○木島委員 官房長の答弁の乙君についても新聞に出ておりますから、明らかにします。榊原一夫という君であります。 時期について答弁がないのですね。甲、土持敏裕氏は、平成二年七月十日に大蔵省証券局流通市場課、平成四年七月二十日、証券取引等監視委員会事務局総務検査課長補佐、そして平成五年七月二日、東京地検検事に戻る。乙、榊原一夫氏は、平成五年七月二日、後任という、まことに後任という日付でありますが、証券取引等監視委員会事務局総務検査課長補佐、平成八年四月一日、東京地検検事に戻る、こういう身分でありますが、飲食を受けていた日と、どこの証券会社なのか、明らかにしてほしいのですよ。
○但木政府委員 先ほど御答弁申し上げたところでありますが、調査は前にさかのぼって、それなりに調査できるものは調査いたしました。その結果といたしましては、いわゆる懲戒処分に該当するまでの事実はなかったと考えております。ただ、検事の身分を持ったまま出向した者として、その行動が不適切であるということで、先ほど申しましたような一連の監督的な措置をとったところでございます。 しかしながら、まことに恐縮ではございますが、懲戒処分に至らないものにつきまして、その事実の詳細あるいは相手方等につきましてつまびらかにするということにつきましては、御容赦いただきたいと思います。
○木島委員 懲戒処分に至らない程度の接待を受けたのかどうなのか、私は、まさにそれをここでただしたいのですよ。 ですから、証券取引等監視委員会の総務検査課長補佐という身分の者が、少なくとも証券監視を受けるべき対象である証券会社から接待を受けたということは、接待を受けた日時、接待を受けたときに同席した者、接待を受けた内容等々、全容をはっきりしてもらわなければ、どれほど重大なものであったのか、また軽微なものであったのか、判断できるはずがないではないのでしょうか。 既にマスコミも明らかにしている事実でありますが、この接待の同席者の中に、大蔵省の、既に収賄罪で起訴されている榊原隆、同姓でありますが、名前が違う。本年三月二十五日、収賄罪で東京地裁に公判請求されている、本件当時、大蔵省証券局課長補佐、同省銀行局課長補佐榊原隆。容疑事実、接待の事実は、野村証券については、平成五年三月二十四日ごろから平成七年七月十三日ごろまでの間、前後二十八回。大和証券については、平成五年三月二十七日ごろから平成六年十一月十日ごろまでの間に前後六回。日興証券については、平成五年四月十日から平成七年三月十一日ごろまでの間、前後九回。山一証券については、平成五年五月二十三日ごろから平成六年十月三十日ごろまでの間、前後五回。その他、株式会社住友銀行行員から。こういう接待を受けて、それが収賄として起訴されているのですよ。 この人物が、今私が問題にしている二人、土持敏裕、榊原一夫、検察庁から出向されて、当時、証券取引等監視委員会事務局の、しかも総務検査課長補佐という要職にあった人物が接待を受けた、その場所にいたと新聞、マスコミは指摘しております。しかし、どういうわけか、その日付の部分については、この既に起訴された部分から脱落をしているという事実もマスコミは指摘しているわけです。検察は同僚をかばっているのではないかとさえマスコミは指摘しているわけですよ。こういう嫌疑すら、検察当局全体、法務当局全体に今かかっているわけです。 それだからこそ、私は逆に、本当にこの二人の接待が全く懲戒処分の対象としなければならぬほどの悪質性はないと言うなら、接待を受けた日付と場所と金額、こういう人物、榊原隆なる収賄罪で起訴されているような人物が同席していたかどうなのか、はっきりと当委員会で報告すべきじゃないのでしょうか、国民の前に明らかにすべきではないのでしょうか。そうしないと、逆に、検察庁はかばっているのじゃないか、法務省はかばっているのじゃないかと疑われても仕方がないと思います。
○但木政府委員 委員御指摘のように、榊原隆被告人と甲君あるいは乙君が会食をともにしたという事実があるのは御指摘のとおりでございます。 刑事処分についてお尋ねですので、刑事処分について申しますと、甲君に関して申しますと、大部分は時効にかかっているものでございました。時効にかかっていない案件は一件だけございます。これは、乙君、甲君と榊原被告人とが一緒に会食をしたことがある、これが、時効分でないものが一回ございます。 先ほど委員から起訴状の概要につきまして朗読がございました。これらの榊原被告人に対する起訴事実は、いずれも職務行為との対価関係を伴ったもののみが起訴されてございます。したがいまして、榊原被告人が出たすべての会食が起訴されているわけではございません。甲君、乙君が榊原被告人と会食をいたしました案件について見ますと、極めて個人的な色彩の強い会合でございまして、これにつきましては、職務との対価性がないということで立件しなかったと承知しております。
○木島委員 今、個人的色彩が強い会食であったと御答弁でありますが、まさにそれが本当かどうかが問題なのじゃないでしょうか。 大蔵省の銀行局、日銀の関係者が収賄で起訴されている。その中には、検査、調査の対象企業、銀行、証券でありますが、そこから接待を受けて、検査期日の日を漏えいした、他の金融機関からいろいろな検査によって得られた情報を漏らした、そういうことがゆゆしきこととして問題になっているわけでありますね。 ですから、単なる個人的な色彩が強い会食なのか、そうじゃなくて、こういう証券取引等監視委員会の事務局総務検査課長補佐という身分にある者、兼証券取引審査官ということも御答弁がありましたが、そういう人物が検査対象である証券会社から接待を受けていたということは、それ自体もう疑わなければならぬ、そういうゆゆしい問題でしょう。 そうだとすれば、大体、いつ、どこの証券会社から、しかも、どこの証券会社のどういう役職の人物から接待を受けたのかというのは、まさに決定的に重要なこと。それをここで報告いただけなければ、厳重注意処分なり口頭注意処分なりが重いのか軽いのか、国会は判断できないじゃないですか。 なぜ明らかにできないのですか。それは明らかにしていただきたいと思うのです。厳重注意処分だ、あるいは口頭処分だから、処分が軽いから明らかにできないというのは、話が逆ですよ。まさに軽いか重いかが今問われているのだと思うのです。
○但木政府委員 委員御指摘のとおり、証券取引等監視委員会の課長補佐が、これと関係する証券業者と会食をともにし、その費用を相手方に持ってもらうという行為については、それ自体極めて強い疑惑を招くではないか、これはまことに御指摘のとおりであろうと思います。 ただ、幾つかのことを申しますと、例えば接待の内容にいたしましても、ゴルフあるいは品位を著しく損なうような接待というものは一つもございませんでした。いずれも割烹あるいは中国料理店等における飲食でございました。 また、個人的色彩が強いと申しましたのは、そもそも甲君が会食をともにいたしました相手方というのは高校、大学を通じての同級生でございまして、その関係で個人的な色彩が強いという面が本件にはあろうかと思います。 ただ、それをもってもちろん弁解するわけにはまいらないと思いますが、総合的に判断した結果、それは懲戒処分には当たらない、国公法上の懲戒処分に当たるというまでは言えないというふうな判断に達したわけでございます。
○木島委員 個人的色彩の強い会食だったと認定した基本的な理由として、甲君については高校、大学を通じての同級生だったということをお述べになりました。 それは逆なのですよ。大銀行や大証券会社あるいは大民間会社が官僚と渡りをつけるときには、関係ない者が行ったって渡りはっかないわけですから、そういうつながりを何とか探して、そういう人物を見つけ出してそれを充てるわけですよ。そして、接待に誘い、昔話から始まって、そこでだんだん深みにはめていくわけですよ。それから、人間関係が強固になってから情報をいろいろ得るわけでしょう。ですから、私はもう官房長の答弁とは思えない。 だからこそ要職にいる官僚は身を慎まなければいかぬわけですよ。大学時代の友達がいろいろな友達を利用して関係ができて、間違いに陥るということが今回の癒着の基本にあるわけでしょう。だから、それは理由にならぬわけですよ。 私は妥協するつもりはないのですが、その飲食の出発点と最後、そして飲食をした、接待をした証券会社名、せめてそのくらいはここで言ってください。
○但木政府委員 まず甲君についてでありますが、甲君は平成二年から大蔵省の証券局に出向しております。証券等監視委員会ができましたのは平成四年でございますけれども、私どもの調査、できるだけ五年の前までさかのぼろうといたしましたが、余り確実には申せませんけれども、始まったのは平成四年ごろというふうに考えております。それの終わりはいつかということでございましたが、先ほど委員御指摘のような経歴の中で、東京地検検事のころというふうに思っております。それが終わりでございます。 乙君につきましては、最初は、引き継ぎということでございますので、彼が証券等監視委員会に参りまして間もなくということでございます。それの終期につきましては、東京地検に戻って間もなくお別れ会がございましたが、これが最後でございます。
○木島委員 接待をした方の証券会社名を特定していただけませんか。
○但木政府委員 いろいろ報道されている点を否定するわけではございませんけれども、今回実際に調査にいろいろ協力してもらったということもございますし、これは委員とあるいは見解を異にいたしましてまことに恐縮でございますけれども、事案がそのような事案であるということにかんがみまして、私どもの方から申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○木島委員 甲、土持敏裕氏については、平成四年ころから始まって検事になってからもと。ところが、検事になったのは平成五年七月二日で、司法研修所教官になったのは平成八年四月三日ですから、三年間もあるのですよ。ですから平成四年から平成五年、六年までというふうにお聞きしましょうか。 それから、乙君、榊原一夫氏については、平成五年から平成八年四月一日東京地検に転任して、転勤のためのお別れ会までになると平成五年から平成八年までと。 証券会社の名前を言おうとしません。 それで、私は、一番国民が懸念しているのはやはり検査情報を漏えいしているかどうかだと。そうだとすれば贈収賄になるわけですね、時効はともかくとして。 そこで、マスコミなんかでは四大証券からというようなことがありますので、証券取引等監視委員会にお聞きします。 この時期、平成四年から平成八年ころまでの間の証券取引等監視委員会が四大証券会社、野村証券、大和証券、日興証券、山一証券に対して検査をした着手日と終結日、全部挙げていただけませんか。
○菅原説明員 お答えいたします。 順に申し上げますと、まず野村証券につきましては、着手日が平成六年八月二十三日、終了日が平成七年一月十三日でございます。 大和証券につきましては、着手日が平成六年一月十七日、終了日が平成六年八月二十四日でございます。 日興証券につきましては、着手日が平成五年八月十七日、終了日が平成五年十二月二十四日でございます。 山一証券につきましては、二回ございまして、この期間における第一回が平成五年二月八日、終了日が平成五年十月二十七日でございます。第二回が着手日が平成七年十一月二十七日、終了日が平成八年五月十日でございます。
○木島委員 私は「証券取引等監視委員会——日本型SECの誕生」阪田雅裕さんの出版物を持つてきているのですが、総務検査課というものがどういうものか指摘したいと思うのです。 「総務検査課は、証券会社等に対する立入検査を実施するほか、その検査結果等に基づく大蔵大臣に対する勧告、建議や金融機関等検査に関しての大蔵大臣に対する意見具申等、犯則事件の調査以外の事務をすべて所掌する。」というのです。「したがって、総務検査課には、専ら証券会社等の検査の事務を処理するため、証券取引検査官室が設置され、三人以内の上席証券取引検査官、三四人以内の証券取引検査官が配置されて検査を実施するほか、証券取引等に係る資料、情報を収集、分析し、取引に不審な点がないかどうかをチェックする上席証券取引審査官(一人) 及び証券取引審査官(一一人以内)が置かれている。このほか大蔵大臣への勧告、建議等、内部の事務に従事する職員を合わせて総務検査課の職員数は、およそ六〇人となっている。」とあります。 証券取引等監視委員会にお聞きします。このおよそ六十人という総務検査課の中で、総務検査課長補佐というのは幾つぐらいになるのでしょうか。
○菅原説明員 お答え申し上げます。 六名でございます。
○木島委員 六名というのは、課長が一人いて、キャップがいて、その下に課長補佐が六人いて、その一人だという意味ですか。(菅原説明員「課長補佐が六名です」と呼ぶ)課長補佐が六名。その上司は課長ですね。そうすると、やはり幹部ですよ。 証券取引等監視委員会は、一般検査と犯則事件の調査というのがあるのですが、ここがその一般検査全部やるのですよ。ここだけですよ、証券会社に対する検査をやる部署というのは。そのトップが課長。その下に六人の課長補佐がいる。そのうちの一人が彼らでしょう。 お聞きしますが、検察官という身分を持って大蔵省に出向された第一号が甲君、土持敏裕氏であったとマスコミは指摘しておりますが、そのとおりですか。
○但木政府委員 甲君であったことは間違いありません。
○木島委員 そして、その後の後継者が乙君、榊原一夫氏であったと。先ほど、平成四年にできたばかりの監視委員会が四大証券にいつごろ検査に入ったかお聞きをいたしました。ちょうどその中に入るわけですよね、彼らが総務検査課長補佐であった時期が。そうすると、やはりいろいろなことを疑わざるを得ないので、日付と証券会社の名前ぐらいは全容を明らかにしなければいけないのじゃないのでしょうか。そういう調査をしていますか。本当の意味で検査の情報を事前に漏えいしなかったかどうなのか。 身内ですから検察、法務はやりにくいかもしらぬです。しかしここは、泣いて馬謖を切るということじゃありませんが、身内だからこそ、そして検察というのは最後のよりどころだと今見ているわけでしょう、金融不祥事に関して。その検察からこういう人物が出た、そしてその内容も国民の前に、国会に明らかにできないうやむやだということでは信頼が回復できないと思うのですよ。 そういう観点での徹底した検査が必要だと私は思いますし、少なくとも外形的な事実、どこの証券会社からいつ接待を受けたのか、幾らぐらいのものを受けたのか、だれが同席していたのか、そのぐらいは一覧表にして法務委員会に出すべきだと思うのです。ここで言ってくれれば結構です。
○但木政府委員 ただいま委員から重ねて御指摘がございましたように、本件が検察に対する国民の信頼に影響を与えかねないということはまことに御指摘のとおりであります。この場合において、検察が身内をかばって捜査を手控えたということになりますればまことに御指摘のとおりでありますが、これらの件につきましては、検察もそれなりにきちっと捜査を遂げた上で立件せずという措置になったというふうに聞いております。 報告をしろという件でございますが、もちろん国会から御要請がございますれば、それに対して誠実に対応してまいらなければならないということはそのとおりであろうと思います。 ただ、先ほど申しましたように、本件につきましては、事案がそのような事案であって、あえてこれを公表し、現在官房付として反省している人間にこれ以上することが相当であるかどうかにつきましては、私どもは現時点ではその必要はないものと考えております。
○木島委員 甲、土持敏裕氏は、平成十年四月三日、司法研修所教官を辞職しております。私がいただいた検事略歴によりますと、自己都合、特殊法人へと書いてあります。預金保険機構であります。 大体、法務省は、この両名に対するこういう接待問題があるということ、本当のところ、いつ、だれから情報を得たのですか。
○但木政府委員 私どもがその情報を得ましたのは、新聞紙上に出ました時点の数日前でございました。その情報をどこから得たかということですが、関係する機関から、これは東京地検だけではございません、その他の機関から情報を得たところでございます。
○木島委員 平成十年四月三日に、甲、土持敏裕氏が司法研修所教官を自己都合でやめて預金保険機構へ行ったというのは、私は不自然てしょうがないのですよ。 四月三日というのはもう新年度が始まってからですよ。それまで司法研修所教官だったのでしょう。検察教官だったのでしょう。検察教官、弁護教官、裁判教官の人事配置なんというのは、四月一日から新年度になるわけですから、三月中にぴしゃっとそろっているのが常識ですよね。だから、今の官房長の答弁は私は信用できないのですよ。四月十五日にマスコミがこの問題をすっぱ抜いたその直前とおっしゃられましたが、本当はもっと早く知って、自己都合辞職という形だけれども、四月三日に肩たたきでやめさせたのじゃないかと思えてならないのです。本当のところを述べてくださいよ。
○但木政府委員 それは全く違います。預金保険機構のしかも非常に重要なポストに検事を欲しいということがございまして、それに合う能力と見識を持った者を選んで、その者が一番ふさわしいと思ったのでありまして、委員御指摘のようなことは全く逆でございます。
○木島委員 しかし、そういう疑惑がかけられても仕方がないような状況になっておる。それは少なくとも接待をした証券会社の名前、時期、場所、接待の内容、それ全部を明らかにしてこそ、本当に法務省が嫌疑を晴らしたいのなら、明らかにしてこそ晴らせるのだと思うのです。 そこで、私は委員長にお願いをしたい。この両名に対する証券会社等からの、彼ら二人が証券取引等監視委員会の身分にあったとき、また東京地検の検察官として戻ったときに受けた接待の日時、場所、内容、接待をした側の会社名、そこに居合わせた人物等、すべて当委員会に報告をするように求めたい。取り計らっていただきたい。
○笹川委員長 その件につきましては、後刻理事会でお諮りをしたい、こういうふうに思います。
○木島委員 それでは、この問題はこれで終わりますので、大蔵省の関係の方は退席なさって結構です。 本筋の外弁法に入りますが、まことに時間がなくなってしまいました。 一点お聞きしますが、この法改正の基本になったものに平成九年十月三十日の外国弁護士問題研究会の「外国弁護士問題研究会報告書」なるものがあることは明らかだと思うのです。そこで再三、先ほど来相互主義との観点から見て今回の改正はどうなのだ、日本が一方的に譲り過ぎているのじゃないかということが指摘をされました。私も本当にそうだと思うのです。他国一般じゃなくて、アメリカとの関係でまことに譲り過ぎていると思いますので、お聞きします。 やはり世界の先進諸国の外国弁護士受け入れ制度の状況はどうかというのは大事だと思うのです。それで、この報告書の十ページのところにこういう指摘があります。山崎司法法制調査部長もこの一員ですからよう御承知のとおりだと思うのですが、「米国、連合王国、」イギリスですね、「フランス、ドイツ等における外国弁護士受入制度に関し、本研究会において調査したところ、概ね、以下のとおりである。」というので、時間がないから全部はしょりますが、アメリカの状況、イギリスの状況、ドイツ、フランスの状況が書かれています。 その前段の基本のところにこういう記載があるのです。「なお、IBAは、」これは国際法曹協会と訳すのでしょうね、インターナショナル・バー・アソシエーションですか、「なお、IBAは、外国弁護士受入に関するガイドラインの制定に関する協議をしてきたが、弁護士制度の固有性、独立性と、社会の国際化等をどう調和させるかは、各国が独自に解決すべき問題で、IBAが統一的ガイドラインという一律の受入基準を設けるべきではない等の観点から、昨年、」昨年といいますと平成八年になると思うのです、「同ガイドラインが廃案となるという経緯もあった。このように、外国弁護士受入制度に関しては、諸外国の間で必ずしも足並みがそろっているわけではない。」とあります。 このもっと具体的な内容、IBAで外国弁護士受け入れ制度について、少なくとも先進諸国間では一致しようじゃないかという話があったのが、これが完全に廃案になって御破算になったというのはなぜなのか、その辺の状況を、時間もないので恐縮ですが、詳しくポイントを述べていただきたい。
○山崎(潮)政府委員 確かに、IBAでいろいろ検討されていた案が廃案になったということは、御指摘のとおりでございます。私ども、この関係、実態を把握するために、昨年の七月十七日に、IBAの会長に日本に来ていただきました。そこで直接意見を伺ったわけでございます。 どうも、その結果によりますと、廃案になった理由でございますが、弁護士制度はその国の司法制度の一翼を担うものでありまして、各国固有の歴史、文化、法意識に深く根差している、そういうものでございます。あるいは非常に属地性が高いものであるという認識もあったようでございます。社会の国際化あるいはサービス産業化と弁護士制度の固有性あるいは独立性をどのように調和させていくかということについては、各国が独自に解決すべき問題であるというような意識も相当強かった、こういうようなことからなかなか一本にまとまらずに、ばらばらになってしまった、こういうふうに我々としては理解しているわけでございます。
○木島委員 じゃ、一点だけ、フランスについてお聞きしたいのですが、フランスは一九九二年一月一日をもって外国弁護士受け入れ制度に相当する制度を廃止してしまった。それまでは一応は受け入れ制度があったんだけれども、九二年一月一日で廃止しちゃった。これは、なぜフランスがそういう対応をとったのか、真髄のところを述べていただきたい。
○山崎(潮)政府委員 歴史的事実は委員御指摘のとおりでございますが、私ども、フランスがなぜこの時期に外弁受け入れ制度をやめたのか、しかとしたところはわかりません、はっきり申し上げまして。
○木島委員 そんな重要なことを、先進五カ国ですよ、G5の重要な一カ国が廃止しちゃった、これがわからないようじゃ、何でこんな規制緩和に突っ走ろうとするのか、私は、その一言でもうこれに賛成するわけにいかぬですな。おかしいよ、そんなのがわからなきゃ。
○山崎(潮)政府委員 しかとしたところはわからないと申し上げたわけでございますが、要は、非常にナショナリズムの強い国でございます。ですから、外国人が一般に活動することについては妨げない、しかし、それならばフランスの司法試験を受けていただきたい、それなら何をやっても自由でございます、こういうような発想に基づくものでございます。それが私ども聞いている真意でございます。
○木島委員 先ほど答弁の中に、各国の司法制度、とりわけ弁護士制度の固有性、独立性というのは属地性が非常に強い、そのとおりだと私は思うのですよ。日本には日本の固有の歴史がある、司法制度の歴史、弁護士制度の歴史がある。とりわけ、弁護士法一条の理念を掲げているというのは、基本的人権の擁護と社会正義の実現ということを高く掲げているのが弁護士法の第一条にある。弁護士の職責、こういうのは非常に特筆すべきことだと思うのですね。ところが、歴史的に外弁問題、特にアメリカを中心とする外弁受け入れの規制緩和の圧力は、そういう理念は全くないんです。弁護士というのは、相談に乗って裁判で解決すればいいんだ。要するに通商ベースですか、そろばん勘定のベースで物を考えているから規制緩和の要求が強いわけですね。 もう既に同僚委員から再三言われているように、今回の法改正、またこれまでの、成立後二回にわたる法改正の中心的な圧力は、一つはアメリカであり、一つは日本の経団連でしょうか。しかし、アメリカといっても、アメリカの法曹協会一般じゃなくて、いわゆる巨大ローファーム、もう既に事実ですから披露しますが、一千人の弁護士を抱える巨大ローファームがアメリカに三つもある。五百人以上の弁護士を抱える巨大ローファームが二十以上ある。この巨大ローファームは、全世界に弁護士を送り込んで国際的な活動をしている。この要求が基本だと思うんですね。そういう巨大ローファームの要求には、日本の弁護士法の第一条にある基本的人権の擁護や社会正義の実現という観点は全然ないのじゃないかと思うのです。 私は、本改正法の要点は三つです、職務経験要件の緩和、五年から三年、特定外国法に関する法律事務の許容、それから三番目は共同事業の拡大ということだと思うのですが、一つお聞きします。 職務経験要件を五年から三年に短くしたという点は、私は、アメリカと日本の相互主義からいっても本当におかしいな、こんなに譲歩する必要は何にもないじゃないかと思うのです。既に同僚委員からあったとおりであります。アメリカ合衆国五十州のうち、十八の州と特別区しか外国弁護士受け入れ制度はないのですよ。三十の州は受け入れていない。フランスと同じですよ。しかも、その二十の州の外国弁護士受け入れ制度を持っているアメリカの中ですら、受け入れるときに、職務経験要件は二つの州のみが三年で、あとすべての州は四年、五年、それ以上でしょう。何で、そんな状況であるのにかかわらず日米間の関係で、日本だけが五年を三年に縮めなきゃいかぬのか。余りにも相互主義からいってもおかしいじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。 WTO協定のサービスの貿易に関する一般協定があって、何か、相互主義を緩和することをここで約束をしてきたと法務省はおっしゃっているようだけれども、このWTO協定のサービスの貿易に関する一般協定は、この問題で、どこまで日本の国は加盟国に約束してきたのですか。
○山崎(潮)政府委員 まず最初の点でございますけれども、外国弁護士受け入れ制度、各国によってさまざまなあり方を示しております。今御指摘の職務経験要件でございますけれども、ヨーロッパの国を見ますと、ドイツそれからイギリスにつきましては職務経験要件はゼロでございます。片や、アメリカのように州によってばらばらに分かれているところ、さまざまございます。ですから、極端なところゼロからもっと重いものまで、さまざまあるわけでございます。 私どもは、アメリカだけを意識してそれに三年と合わせたわけではございませんで、世界の水準からいくとちょうど日本が中間的なところで、どちらからもそれほど非難されないだろうということでございますし、また、三年というのは一つの単位でございまして、そのぐらいの職務経験要件を見ることによって一応のチェックができるのではないか、そう判断したからでございます。そういうことでございまして、圧力に屈したということでは決してないということは断言できるわけでございます。
○木島委員 時間が迫ってきておりますので、反論もしたいのですが、それはやめて、次の共同事業の問題についてちょっと、重要ですからお聞きしますが、新しくできる四十九条の二の解釈問題です。 これは既に同僚委員から指摘のように、外国にある法人、また資本金を五〇%以上持っている子会社の依頼による法律事件については、本法三条一号、二号、四号、五号の要件を外すということになったわけです。要するに、国内法を扱う事件とか外国の法人や個人、それから外国から日本に子会社をつくっている、そういう法人からの依頼については、外国弁護士と日本弁護士の共同事業体は受任をすることができる、そして受任した上で、裁判になるときは裁判までできるというわけですね。ただし、これには、外国弁護士本人は法廷に行けませんから、その制約はかぶっているということだと思うんです。 それはどういうことですか。当該外国弁護士、自分は訴訟代理人になれぬけれども、日本の弁護士と共同事業なら受任し、日本の弁護士が法廷にも立てるという意味ですね。そういうことになりますか。
○山崎(潮)政府委員 御指摘のとおり、共同事業の目的としては、それが裁判になってもそのまま共同事業の目的としてできるということになりますけれども、現実の行為、裁判を行う行為とか役所に申請をする、こういう行為については日本人に限る、日本の弁護士に限る、こういう意味でございます。
○木島委員 そうすると、私は、この法改正の一番の問題点は、日本の弁護士と外国弁護士が共同事業をやれば日本法についての争いも全部受任できるということで、裁判まで日本の弁護士が行けばいいわけですから、結局、同僚委員からも指摘ありましたが、雇用はいかぬ、外国弁護士が日本の弁護士を雇っちゃいかぬと言うけれども、この共同事業の運用のあり方によっては、幾らでも外国弁護士が日本の弁護士を雇い上げたと同じ状況をつくり出すことができると思うんですよ。その心配というか問題は、法務省としてはどう認識されているんでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 それは濫用の問題だろうと思いますけれども、私どもは、今回、申し上げましたように、目的を広げただけでございまして、現実の行為は日本の弁護士がやるというふうに申し上げておりまして、そう大幅な職務範囲の改正をしたわけではないという理解をしております。 ただ、これにつきましてはいろいろ御心配もございましょうと思いますので、その組み合わせる日本人の弁護士は五年の職務経験要件が必要であるということにもなっておりますし、また、日弁連の方に特定共同事業をやる場合の細かな要点につきまして全部報告をさせるとか、あるいは、問題があれば監督、指導をし、懲戒をする、こういうようなシステムになっております。そういう観点を制度として保障しておりますので、その中で不祥事があればきちっとした対応をしたい、そういうふうに考えておるところでございます。
○木島委員 時間が来たから終わりますが、要するに、外国弁護士と日本の弁護士が共同事業を組んで受任をし、そしてその結果として日本の弁護士が法廷に行く、そういうことをやったときにどうなるか。弁護士が着手金をもらう、そして成功報酬ももらう、それをどう分配するか、その分配のいかんによっては、結局日本の弁護士が小間使だけをする、法廷にのこのこ行って小間使だけさせられる、基本的な受任や利益や着手金の分配は外国弁護士がより有利にといいますか、そういう姿もつくり出すことができるわけです、今回の法改正で。 それが私は今回の法改正で一番の問題点だ。そこに対する手当てがきちっとないのは、結局、アメリカの巨大ローファームの利益、場合によってはそれによって日本の弁護士の風土が席巻されるのではないかということの心配が非常に大きいということを指摘だけして、時間ですから、質問を終わらせていただきます。
○笹川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○笹川委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。木島日出夫君。
○木島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。 本法案は、外国弁護士の自由化を要求する欧米の外圧による規制緩和の一環として行われる改正であり、九四年の改悪に引き続くもので、相互主義をないがしろにしたまま、アメリカの巨大ローファームの強引な要求に基づいて共同経営を押しつけるものであります。この共同経営の名による日本弁護士の雇用につながる改悪を許すなら、人権の擁護と社会正義の実現を掲げた日本の弁護士制度の土台を揺るがすことになり、行政改革とか規制緩和の手法を使って国の主権に属する司法の分野に対する乱暴な介入を行うものであり、到底賛成することはできません。 また、今回の改正は、九四年改正の際我が党が指摘した、今後のなお一層のアメリカ側の自由化、規制緩和の要求にずるずると引きずられていく危険が予測される改悪案の一つと言えます。 すなわち、一九九〇年十一月の日弁連会長との会談の際、アメリカ通商代表部、USTRのウィリアムズ次席代表は、外弁法に定めているすべてを事実上廃止すること、特に外国法事務弁護士による日本弁護士の雇用、日本弁護士との共同経営を解禁せよと迫り、この問題が米国と日本との純然たる通商問題であると強引に妥協を迫ったことに明確なように、アメリカ通商代表部の要求は、アメリカの巨大ローファームが日本で自由に活動できるようにせよということでありますから、これが実現するまでは執拗におどし、すかししながら迫ってくるのであります。 今回の法改正は、九四年改正に続くこうした規制緩和の流れをさらに大きく推し進めるものであります。 第一に、職務範囲を第三国法に拡大する点は、アメリカ以外の国の独立した外国法事務弁護士にとってさほどメリットはないのでありまして、結局、全世界に弁護士を配置しているアメリカの巨大ローファームが社内の人脈をフルに活用しやすくするための措置であるにすぎません。 第二に、職務経験年数の緩和も、アメリカの州によっては現在の日本と同様の要件を要求しているのに、これを一方的に短縮するもので、これまた経験の浅いアメリカの弁護士が巨大ローファームの社員として縦横に活動できるようにしょうとするものであります。 第三に、共同事業の規制緩和は、従来踏み込めなかった訴訟事務、行政手続等に至るまで一貫して法律サービスを提供できるように改めるもので、外国法事務弁護士自身が日本法を扱えないという原則があるとはいえ、実際の共同事業に当たっては、巨大な資本と情報網を持つアメリカ大ローファームとの力関係で事実上日本弁護士を雇用する形となることは明らかであり、弁護士法上も問題があり、賛成できません。 以上が反対の理由でありますが、国民のニーズにこたえて弁護士業務のあり方について柔軟に対応していくことは大切でありますが、日本の弁護士法の基本的な理念である基本的人権を擁護し社会正義を実現するという使命をないがしろにするような米日大企業の理不尽な要求に屈して法改正を繰り返すことは間違いであり、この点を強く警告いたしまして、私の反対討論といたします。
○笹川委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○笹川委員長 これより採決に入ります。 内閣提出、参議院送付、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○笹川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○笹川委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、参議院送付、保護司法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。下稲葉法務大臣。 ————————————— 保護司法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○下稲葉国務大臣 ただいま議題となりました保護司法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 保護司制度は、地域社会の穏健篤実な奉仕家たちが犯罪や非行をした者を無報酬で補導援護するという世界にたぐいまれな制度として発展し、その立ち直りや地域社会の安全に大きく寄与しておりまして、我が国の刑事政策上、極めて重要な役割を果たしているところであります。 しかし、近時の社会風潮等によって、保護司としての有能な人材の確保が容易でなくなりつつある一方、さまざまな問題点を抱える処遇困難な対象者が増加して保護司の負担が増している状況の中で、保護司とその活動に対する一般国民や地域社会の理解及び保護司組織による組織的な支援体制の強化が喫緊の課題となっております。 ところで、保護司の職務のうち、保護観察や矯正施設に収容中の者の環境調整につきましてはその内容がはっきりしておりますが、犯罪予防活動のようにさまざまな活動形態があり得るものにつきましては、どのような活動をどのように行うのが公務であるのか必ずしも明確ではなく、一般国民の保護司に対する理解が不十分となり、十分な協力を得がたい原因の一つとなっております。 また、現在、保護司を構成員とする保護司組織が全国に結成され、保護司相互の研修や福祉機関との連携を図る等、保護司の活動を支える上で重要な機能を担っておりますが、これらの保護司組織は、現状においては任意組織にすぎず、その役割、機能について明確な規定がないため、対外的に保護司組織について理解を得るのに障害となっており、また、組織運営の負担が一部保護司に偏るなどして組織活動の充実を図ることが難しくなっております。 さらに、保護司及び保護司組織の活動が地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与しておりますことから、地方公共団体からさまざまな支援を行っていただいておりますが、今後、地方公共団体との協力関係を推進していくためには、その法律的な根拠を明確にすることが必要であります。 そこで、保護司制度の充実強化を図るため、保護司の職務の遂行に関する規定を整備するほか、保護司組織を法定化するとともに地方公共団体の保護司及び保護司組織に対する協力規定を設けるなどの必要があると考えられますので、ここに本法律案を提案することとした次第であります。 次に、保護司法の一部を改正する法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、保護司は、地方更生保護委員会または保護観察所の長から指定を受けて当該地方更生保護委員会または保護観察所の所掌に属する事務に従事するほか、保護観察所の長の承認を得た保護司会の計画の定めるところに従い、当該保護観察所の所掌に属する一定の事務に従事するものとしております。 第二に、保護司の職務を支援する組織として保護司会及び保護司会連合会を法定化しております。 第三に、地方公共団体は、保護司及び保護司組織に対し、必要な協力をすることができることを規定しております。 以上が、保護司法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十三分散会 ————◇—————