P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
142回国会衆議院1998/04/24

法務委員会 第10号

発言数
140
登壇者
11
会派数
3
開催日
1998/04/24

会議録

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、参議院送付、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。下稲葉法務大臣。     ―――――――――――――  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  現行の出入国管理及び難民認定法は、日本国政府の承認した外国政府以外の地域の機関が発行した文書を旅券として認めていないことから、これらの地域の外国人が我が国に入国する際には、事前に日本国領事官等の発行する渡航証明書の発給を受けることが必要であります。  その一方で、近年における国際交流の一層の活発化に伴い、このような地域からの入国者が増加してお力、我が国の在外公館における渡航証明書の発給にかかわる事務が極めて煩雑になっております。また、地方入国管理官署においても、当該地域の機関が発行した文書に証印をすることができないことから、その所持人に対して再入国の許可を与えるに当たって、別途、再入国許可書の作成、交付を要するなどの事務負担を生じております。  このような状況にあることから、近年、我が国への入国者が急増している地域の外国人について、その出入国関係事務の簡素合理化を早急に図る必要が生じてまいりました。  この法律案は、以上に述べた外国人の出入国の状況にかんがみ、出入国関係事務の簡素合理化を図るため、我が国が承認した外国政府以外の地域の権限のある機関が発行した文書を出入国管理及び難民認定法上の旅券として取り扱うことができるよう、同法の一部を改正することを目的とするものであります。  次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。  第一は、現在、出入国管理及び難民認定法上の旅券としている日本国政府、日本国政府の承認した外国政府または権限のある国際機関の発行した旅券等のほか、政令で定める地域の権限のある機関の発行した旅券等に相当する文書を同法上の旅券の範囲に追加することであります。  第二は、関連規定の整備を図ることであり、具体的には、旅券の定義にかかわる政令を含む、出入国管理及び難民認定法の規定に基づく命令の制定または改廃に伴い必要とされる経過措置をその命令で定めることができるよう、当該措置に係る委任規定を設けることであります。  以上が、この法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。

枝野幸男民主党

○枝野委員 今回の法改正は、今提案理由の御説明をいただきましたが、明確には政府の立場は言えないのかなと思いますが、台湾からの日本への入国者の皆さんが非常にふえているという中で、大変手間のかかる面倒な措置が必要であったということで、私も台湾に何度か伺いまして、李登輝総統を初めいろいろな方々から、何とか対応してもらいたいというお話を聞いておりました。今回、おくればせながらこうした改正がなされるということは大変結構なことではないかというふうに思っております。  ただ、台湾地域、中華民国の皆さんとの関係に関しましてはまだまだいろいろと問題点があるのではないかと思いますので、そうした点を幾つかお尋ねしていきたいと思っています。  まず最初に、これは通告をしておりませんでしたが、簡単なことなのでおわかりになるかと思います。施行期日が公布の日から一カ月を経過した日ということでございますが、実際にこの新法に基づく扱いもこれぐらいの期間で、施行の日からすぐぐらいになされるというふうに思っていていいのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 これは、施行までに大体一月ぐらい置いておきませんと、私どもの地方の各入管に徹底するということもございますし、それから在外公館にも徹底するということもございますものですから、一月はぜひ置いておきたいということで、置いた次第でございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 さて、今回の法改正で、結果的に適用になるのはほぼ中華民国国籍を有する皆さん、中華民国のパスポートを持った方との関係になると思いますが、今回の改正の結果として、北京政府の支配下にある皆さんと台北政府の支配下にある皆さんとの出入国の際の手続、あるいは日本国内にいらっしゃる場合での扱いというのは対等になるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 台湾護照が入管法上有効な旅券として扱われることになれば、その所持人と中華人民共和国政府発行の旅券の所持人とは、我が国の出入国手続上、同様の手続によって行われると  いうことになります。

枝野幸男民主党

○枝野委員 いわゆるビザの免除というのがあると思いますが、これについてはどういう扱いになりますでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 委員の御指摘になった問題は査証免除という問題かと思いますが、査証免除につきましては、「国際約束若しくは日本国政府が外国政府に対して行った通告」によって定めるということになってございます。国際約束というのは、当然のことながら、国家と国家または国際機関との間の国際法上の関係を規律する合意をいうものでございます。それから、外国政府に対する通告、これも非常に明らかでございまして、そういうことで、台湾につきましては査証免除を行うということはできないと考えております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 ただ、私が台湾に行くときには、公用旅券で参りますので、ビザがいずれにしても要るのですが、日本人が台湾に行くときには査証免除があるのじゃないでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 そのように伺っております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 基本的には、この査証免除の扱いというのは、相互主義とでもいいましょうか、フィフティー・フィフティーの関係でやっていくのが普通だというふうに聞いておりますが、そういったことから考えますと、実質的に日本人が台湾を訪ねる場合には査証免除がありながら、台湾の方が日本に来るときには査証免除がないというのは、大変アンバランスではないかというふうに考えております。  先ほどの御答弁もございましたが、出入国管理法の六条でしょうか、ここがある以上は、台湾の方に対する査証免除はできないという法律解釈でよろしいわけですか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 委員のおっしゃるとおりでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 わからなければしょうがないと思うのですが、いわゆる国際約束で、台湾との間の国際約束というのは存在はないということになるわけですか。経済問題あるいは航空関係など、そういったところで台湾と国際約束をしているというケースはないのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 国際約束をどういうふうに定義するかという問題があろうかと思いますけれども、国家と国家との関係という角度から見た国際約束というものは、今の台湾に対する我が国の法的立場にかんがみ、存在し得ないということでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 そうしますと、現行法上、台湾の皆さんに査証免除をするのは難しいのかもしれませんが、先ほど申しましたとおり、実質的な問題として、我々が台湾に行くときには査証免除が与えられるのに、あちらの方がこちらに来るのに与えられないという状況は、これは早期に解消すべきではないかというふうに私は思います。  このことがいわゆる日中共同声明に反するかといえば、私はそこは違うのではないか、北京政府の方はいい顔はしないかもしれませんが、政治的な関係においては、中国の北京の政府を承認するという中であっても、台湾に実際に、日本との交流をしたい、日本にシンパシーを持っていただける方がたくさんいるという中で、相互に平等ではない関係というのは解消しなければならないのではないかというふうに思います。  例えば、入管法の、「外国政府に対して行った通告により」という条文になっておるようでありますから、国際約束を台北政府とするということについては、北京の政府との関係があるかもしれませんが、この通告の方の外国政府というところに、今回の改正の条文で使っておりますような表現をうまく使いまして、政令で定める地域の権限のある機関に対しなどという条項を入れれば可能ではないかというふうに思いますので、ぜひ御検討いただきたい。  答弁の仕方は難しいと思いますので、可能な範囲で結構ですので、よろしくお願いします。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 査証免除の措置は、やはり一般的に国または国際機関を対象として実施しているというのが国際的な通例でございまして、この観点から、委員御指摘の方向での改正というのはなかなか難しいのじゃないかと考えております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 法律、制度は、そのためにあるのではなくて、それによって我々の生活に便宜を図るためにあるものでありますから、実質的に、政治的な難しさは十分わかっているつもりでおりますけれども、実際に台湾に住んでいらっしゃる人たちがいるということを前提にしながら物事を進めていっていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  台湾と並んで、同じようなとは言えないと思いますが、若干性質の近い話として、インドにチベットの亡命政権がございます。先日も、そこからダライ・ラマ法王が日本においでになりまして、私も接見をさせていただきました。一昨年は、私自身インドのダラムサラという亡命政権のあるところまで参りまして、法王とお会いをしてまいりました。  このインドに亡命をしておられるダライ・ラマ亡命政権のもとにいらっしゃるチベット人の皆さんが日本に入国をする場合の旅券の扱い、例えば、先日もダライ・ラマ法王がおいでになったときの旅券の扱いはどういうふうになっておるのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 今おっしゃられたような方たちは、外国にいて何らかの理由で旅券を取得できないというケースだと思いますけれども、その居住先の国の政府、先ほど先生のおっしゃった例で申しますとインドになりますが、そこが自国民以外の者に対していわゆる外国人旅券というものを発給する場合がございます。そういう場合には、私どもの入管法上の、これもやはり旅券の定義、二条五号でございますが、そこで、「旅券に代わる証明書」というものを我々は旅券として認めているということが書いてございます。それに照らしまして、外国人旅券というものでもって、これを認めて上陸を認めるというやり方でこれらの人たちの入国を認めております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 これは、相手方の要望があるのかどうかということ自体、私、確認をしておりませんので、抽象的な話になりますが、このチベットの亡命政権は、私、実際現地を見ておりますが、インドの国内にございまして、土地に対する支配は持っていないわけでありますが、人に対する支配は持っているという感じかなと。こういったところは、今回の改正の「政令で定める地域の権限のある機関」ということには当たり得るのか当たり得ないのかということはわかりますでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 今回の法改正、冒頭委員がおっしゃったとおり、我が国への入国増加に伴う出入国関係事務の簡素合理化を目的とするというものでございまして、現在のところは、政令で指定する地域としては台湾のみを考えている次第でございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 いや、現在のところ政令で定めるかどうかということではなくて、今のように亡命政権の場合は土地に対する支配がないわけで、この定義としての「地域の権限のある機関」というのにこうした亡命政権が当たり得るのかどうかということはどうなのでしょう。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 チベットのような場合には、その地域の住民は中国政府の発行する旅券を持って渡航しているということでございまして、同地域の住民のみを対象として旅券に相当する独自の文書を発行する機関も存在しないと承知していますので、この法案に言う「政令で定める地域」には該当し得ないと考えております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 理屈としてそういうことにならざるを得ないのかなということは思いますが、政治的にどういつだ政府を承認し云々ということについてはいろいろな考え方はあるのだろうと思います。国家として承認をするかどうか、あるいはその存在をどう位置づけるかということは別として、台湾の皆さんに対してもそうでしょうし、チベットの亡命政権の皆さんに対してもそうだと思いますが、交流をするということについてはいかなる事情があっても悪いことではないというふうに思っておりますので、実際、ダライ・ラマ法王入国、先日のときにはスムーズにやっていただいたというふうに聞いておりますが、法王のような高い立場の方に限らず、日本への入国等について希望がある場合にはスムーズにいくようにしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  さて、若干関連をしてでございますが、台湾にいらっしゃる皆さんは、主観的には自分が中華民国の国籍を持っているというふうに思っていらっしゃるのだろうと思いますが、日本政府は中華人民共和国を唯一の政府として認めております。日本にいらっしゃる中華民国の方の国籍というのはどういう扱いになるのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 私どもが所管しております出入国管理関係の事務の取り扱い上は、外国人登録も含めまして、先生がおっしゃったような方々については、国籍については中国としております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 この場合の中国というのはどういう意味になるのでしょうか。北京政府という意味に必然的になるのでしょうか、それとも、あえてそこは答えないというニュアンスで中国と書いているのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 国籍と聞かれれば中国と答えるということでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 余り突っ込むと国際問題になってもいけませんのでとめておきますが。  それでは、国籍というのはいろいろなところで問題になります。民法という言い方でいいのかどうか、私法を日本の裁判所が適用をする場合に、本国法、国籍のある国の法律を適用する場合というのが法例という法律、概念的には国際私法という法の中で決まっておりますが、台湾の皆さん、中華民国国籍を持っていらっしゃる皆さんが日本の裁判所において本国法を適用される場合、つまり国籍のある国の法律を適用される場合、何法が適用をされるのでありましょうか。

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 我が国の国際私法法規であります法例の規定では本国法という概念がございますが、この本国法と申しますのは当事者が国籍を有する国の法律ということにされておるところでございます。ただ、我が国が承認した国家以外の国ないし地域の法律でございましても、その国ないし地域で実効性を持って適用されているものである限り、ここに言う本国法に当たり得るものだというふうに解されているところでございます。  そこで、御質問に言ういわゆる台湾出身者の方々でございますが、こうした方々にもいろいろな状況にある場合が考えられるわけでございますが、その方が中国よりも台湾により密接な関係を有しているといった場合には、台湾において実効性を持って適用されているいわゆる台湾法が本国法として適用されることになるというふうに考えられるところでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 これを法務省に聞いて答えられるのかどうかわかりませんが、そういった例えば事例等はあるのでしょうか。

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 国際私法の関係では、結局裁判所でどういう法規の適用があったかということでございますが、最高裁の判例として、今申しました本国法の趣旨というものを説明したものはございます。  ただ、その場合に、我が国が承認していない国あるいは地域の法律が積極的に適用されたという事例は私、承知しておりませんが、昭和五十九年七月六日の最高裁第二小法廷判決、ここにおきましては、中国国籍であるからといって直ちに中国法を適用するのではなくて、台湾法適用の余地もあるので、その点を審理しなさいということで差し戻した事例があるというように承知いたしておるところでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 今の最高裁の判決でもおわかりのとおり、日中共同声明は中華人民共和国政府と日本国政府との共同声明であって、これを否定するつもりはないし、こういった趣旨でいいのだと私は思っていますが、あくまでも政府対政府であって、裁判所、司法機関というのは政府に入るのか入らないのか、定義の仕方なんでしょうけれども、こういう声明があったからといって、裁判所が台湾法を適用することを否定していないわけであります。  したがって、物事は、こういったものは相対的なものだということを申し上げたい。政治的に、あるいは行政などの扱いにおいては、共同声明に基づいて北京の政府を唯一の政府として認めるということで私は正しいと当面は思っておりますが、そうはいっても、それ以外の部分のところでは、日本や日本人とそれぞれ日本以外の方との関係という意味では、このことによって、中華人民共和国に住んでいらっしゃる皆さんとの関係と台湾に住んでいらっしゃる皆さんとの関係というものが差別的なことがあってはむしろいけないのではないかというふうに申し上げておきたいというふうに思っております。  先ほど、チベットの問題のところで、外国人旅券というものの話が出てまいりました。外国人旅券というのは外国人にしか出ないものなのでしょうか、あるいはそれとも無国籍の皆さんに対しても出るのでありましょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 外国人旅券に関する定まった定義というのは存在しないのですけれども、通常言われております定義では、国内に居住する外国人で国籍を有しない等の理由により旅券を取得できない者に対し、居住国政府が発行する渡航証明書、渡航文書というふうに言われております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 さて、外務省にもおいでいただいていると思うのです。今ずっと法務省にお尋ねをしてまいりましたが、例えば、台湾にいらっしゃる皆さんが日本に来たときのこの方々に対する国籍をどういう理解をするのか、あるいはチベットのインドにあります亡命政権にいらっしゃる皆さんが日本に来たときに外務省としてはその国籍をどういうふうに扱うのか、実務上どうなっているか教えていただけますでしょうか。

佐藤重和外務省アジア局中国課長

○佐藤説明員 ただいまの御質問でございますが、台湾の方の国籍ということでございますが、先ほど法務省の方から答弁がございましたように、実務上、先ほど法務省の方で御答弁があったような扱いになっておるということでございます。  また、チベットの方については、そこは、明確に私ども、具体的にどういう形で処理がされているという、決まった形になっているとは承知しておりません。

枝野幸男民主党

○枝野委員 国籍というのは実は私自身も非常によくわからないところがありまして、今の、裁判所が私法の適用に当たっての本国法のもとになる国籍という概念、それから、まさに中国と台湾の関係のような状況になっているときの国籍って何なのかということの概念、整理して、あるいは整理できないということの答弁でも結構なのですが、法務省、外務省それぞれ、日本以外の方の国籍ということについて、どういう扱いというか、どういう考え方というか、御説明ができますでしょうか。あるいはどういつだ基準で判断をするのか、あるいはしているのか。あるいはする必要がないのか、どうなっているのでしょうか。

佐藤重和外務省アジア局中国課長

○佐藤説明員 先ほど法務省の方から具体的にこの法令の適用においてはこういった扱いをしているという御答弁があったわけでございますが、実際の扱いとしては、個々のその国内のそうした関係の法令、規定、その実態に即してそれぞれ個々の扱いがなされているというふうに考えております。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 入管法上は、旅券の国籍表示によって判断しております。

枝野幸男民主党

○枝野委員 先ほどの話ともつながるのですが、ここでもそれぞれの法令の目的等に応じて判断をしていくという趣旨のそれぞれ御答弁だろうというふうに思います。  そうしたところがら考えても、最初の問題に戻るわけでありますが、政府という形での関係では、北京の政府を承認している、そこのところの原則を動かすべきではないし、必要もないと思いますが、しかし、だからといって、それぞれの法律の目的にかなった対応をしていけばいいのではないか。つまり、査証免除というような扱いについては、まさに一つは相互主義的な考え方であり、あるいは査証を免除することによって国内に何らかの、例えば、そこまで法務省として答えられるのかどうかわかりませんが、治安上の問題その他等の弊害がなければ、査証免除ということを行って相互の交流促進をすべきではないかというふうに思います。  そういったことから、その入管法の査証免除という制度を目的に立ち返って、そして今いろいろとお話しいただいたとおり、国籍とかそういった問題についてはそれぞれの法目的に応じて判断をしていくということの相応から考えていけば、今後、査証免除についてまで台湾の皆さんとの関係で踏み出していくのが合理性があるというふうに考えられるのではないかというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。御検討いただけませんでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 私どもとしては、先ほど御答弁申し上げたとおりの考えでございます。

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 先ほどお答えいたしましたのは、法例上の本国法の意義の中に、先ほど申し上げたように、必ずしも、我が国が承認していない国あるいは地域というものが含まれる場合がありますということを御説明いたしました。  今委員御質問のものは、国籍はどうなるのかという問題でございますが、この点は、それぞれの所属する国の法規によって決められるべきもので、それによって国籍が取得される、あるいは離脱するという関係が生ずるものだというように理解いたしておるところでございます。

枝野幸男民主党

○枝野委員 今の話、本質じゃないのでいいのですけれども、しかし、そもそもその国籍を認めるとか離脱するとかということについてのその法律、海外の法律を認めるかどうかということを我が国がどう見るかということであって、それは私法を適用するのに、台湾なら台湾の私法を法として認めて適用するかどうかという問題と基本的には一緒であって、ただ、私法の場合には、承認していない政府の法を適用するケースがるるあるけれども、公法上の関係ではなかなかそこはやりにくいというのが一般的であるという趣旨ならわかりますが、まさにそういう趣旨であって、とすると、あくまでもそれは相対的なものではないですかと。私法だったら承認していない政府がつくった法でもよくて、公法ではだめですよということは、承認していないということの意味というのは、あくまでも相対的なものにすぎないというふうな理解の方が素直ではないだろうか。  これは余り突っ込みますと、私は別に中国との関係を悪化させたいと思っている立場でもありませんので、これ以上突っ込みませんが、ぜひ北京の政府との関係もうまくやらなければなりませんので、一方的にこちらの都合だけで走れるとは思いませんけれども、せっかく大きな前進として今回のパスポートの問題が前進をしたのでありますから、今、残念ながら、韓国の経済危機ということがあって、むしろ台湾は経済はそんなに悪くないということで、日本への来航者の数も、今のような経済状況をベースにすると、恐らく台湾が一位になるのでしょう。日本に一番来てくださる地域の皆さんとの関係ということについては、可能な限り便宜を図るようにしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 北村哲男君。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 民友連の北村でございます。  今回、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法の一部改正案がここで審議の対象になっておるのですけれども、出入国管理とともに、この法律の二つの柱をなす難民の認定手続について私は伺っていきたいと思います。  日本が一九八二年にいわゆる難民条約に加入してから十六年を経過しておりますが、その中で数々の問題点が指摘されながら、いまだに根本的な改善がされていないまま今日に至っているのではないか、あるいは、それどころか、難民認定数や難民の申請中の者に対する処遇面ではむしろ加入当初よりも悪化している部分さえ存在すると言われております。  この中で、昨年、国際人権組織のアムネスティ・インターナショナルの本部が、日本における外国人被収容者の虐待事例を調査して、日本の入管収容施設での処遇事例について厳しく非難するなど、国際的にも日本の入管・難民行政に注意一が集まりつつあります。  ここに去年の新聞もございます。「アムネスティが調査、報告 世界からも危ぐの目」というのがございます。また、去年からことしにかけての新聞では、例えば、九八年三月二十七日には「冷たすぎる日本の難民政策」という特集が載りました。また七月三十一日には「「難民鎖国」崩せるか」という大きな記事も載っております。また、ことしの三月五日には「「日本は冷たい」と言い残し 難民認定されず出国」というある国の人の記事も載っております。こうして見ると、このままでは早晩、異常なまでに少ない難民認定数や入管収容施設の処遇実態について国際的な非難が高まるのは必至であるというふうに考えます。  そこで、この問題に逐次、それぞれの上陸に伴う問題とか、あるいはその後の問題についてお伺いする前に、大臣にお伺いしたいと思います。  昨日の新聞によりますと、難民対策では国際的に非常に高い評価をしておられる国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが、まだ仕事はたくさん残っていると言って続投の意欲を示しておられるという記事が載りました。この緒方さんのことについて、昨年の七月二十三日の朝日新聞夕刊の「素粒子」というコラムにこういうことが載っておるわけです。  アメリカが五千四百七十三人、スウェーデンが千三百三十人、そして日本は一人。一体何の数字でしょうかと。これは、この緒方さんが人道小国に嫌みの一つも言いたかったところでしょうけれども、彼女はこういうふうに淡々と語られたと。これは朝日新聞の講演の席だそうです。  このUNHCRの調査によりますと、九六年の難民認定数はカナダは一万人、イギリスは三千人という報告もあります。それぞれ四けた、千人以上一万人です。これに比べて、日本はここ数年、一九九四年に一人、九五年に二人、九六年は申請者百四十七人に対してたった一人、そして九七年は申請者二百四十二人に対して一人との報告があります。これは驚くべき少ない数だというふうに思えると思います。  大臣、このような状況は、難民条約の締結国として根本的な義務を履行していないと言われる状況と思われる、あるいはそう言われているようですけれども、どのようにお考えなのでしょうか。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  今委員御指摘のとおりに、政府としては、昭和五十七年に難民条約及び同議定書が発効してから、難民の基本的な権利及び自由を保障するという観点から、同条約の規定を誠実かつ厳正に履行をしてきている、そのように思いますし、また、今後ともそのような適正な運用に努めなければならないと思います。      ’  ただ、委員が御指摘のように、確かに数は少のうございます。外国の数字を挙げられましたが、外国の入国申請している数なんか、五けたの国もあるわけでございまして、例えばフランスなんかは一万七千人ぐらい云々、ドイツなんかもそうでございますか、十四万幾らで何万人ということで、一概に言えませんけれども、ただ、少ないということは事実でございますし、だからその辺のところは実務的にいろいろ御議論いただくと思いますけれども、検討する余地も十分ある、このように思います。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 私は、法務大臣の在任中にぜひこの問題にメスを入れていただきたいと思うのです。  なぜ少ないかというのについては幾つかの問題点があるのです。というのは、上陸に伴う問題で、上陸を拒否されたり、あるいは上陸防止施設の問題があったり、あるいは、数が少ないには、ほかの国にはない日本独特の六十日ルール、六十日以内に申請しなければ全部却下してしまうというものがあったり、あるいは、難民申請中の者の地位とか処遇が非常に悪いとか、あるいは入管収容施設の処遇がまた悪いとか、さらに難民認定された後での地位や処遇が非常に悪い、こういうことについて、日本はとても冷たいのだというふうに言い残して、日本で難民認定したいのだけれどもできずに、よその国に日本を経由して行ってしまうという事例が非常に多いので、時間のある限り、その点について逐次聞いていきたいと思います。  まず、上陸に伴う問題でございますけれども、これは上陸時の難民認定申請希望者の取り扱いについての問題であります。  一つには、これは実際の事例でありますけれども、査証免除国から観光目的で出国して日本の空港で上陸の際に難民として入国を求めた場合に、入国を拒否されたという例があります。これはカメルーンからの人の例だと思います。そういう場合。そして二つ目に、難民認定申請を目的として出国して、日本での入国手続のときに偽造パスポートで上陸を求めると同時に難民としての庇護を求めた場合について。この二つの例についてどのような扱いをされたのだろうかということです。  すなわち、二番目の例で、上陸許可につき、難民として庇護申請をしていることを理由に特にこれを緩やかに認める扱いを現実にしておったというように聞いているのですけれども、そのあたりはどうなのでしょうか。まずそこまでについてお答え願いたいと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 我々の法律では、難民認定の申請はいついかなるときでもできることになっておりまして、それは受理するということになっております。したがいまして、日本に入ってこられた方が難民認定申請をされたときには、それは受理されるということでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 そうしますと、この難民認定申請は、いつでもというふうに言われましたけれども、具体的に、どの時点あるいは場所で、だれが受理しているのか。成田や関空の入管に難民調査官を配置しておるのか、あるいは、配置されていないのならば、難民調査官以外の者が受理しているのか、それとも最寄りの入管から難民調査官が出張してくるのを待つのか、その辺の具体的なことについてお伺いしたいと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 上陸時にそこで申請をすれば上陸港のある地方入国管理官署でこれを受理するということでございます。これは形式的な言い方でこうなるわけですけれども、実態的には、例えば成田にお着きになって成田で申請すれば、それは受ける。そこで受けたということは、成田の場合は東京でございますので、すなわち東京入管で受理したというふうにみなしておるわけでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 その際に、そこには難民調査官は実際に配置しておられるのですか。その方が受けるのですか、それとも別の方法ですか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 難民調査官の数は実は余り多くなくて、日本全国で今四十人ということでございますので、各地方入管局のあるところに主にございますけれども、成田の場合には、特に大きいところでございますので、当然そこにも難民調査官はおります。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 そうすると、難民調査官がおられるところとおられないところがあるということで聞いていいのですね。おられない場合は具体的にだれが、調査官が受けるのが本来だと思うのですけれども、一体だれがかわりに受けるのですか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 各地方入管局には、必ずだれかが難民調査官に任命されております。したがいまして、法律的にはその人のところに行くわけですけれども、そこの出張所なりなんなりが、空港なりがあるわけで、そこでもって申請すれば、そこで受けたということが、すなわち、その地域の地方入管局で受けたとみなしておるわけでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 難民認定申請希望者の上陸が最終的に許可されなかった場合の扱いは、具体的にどうなるのでしょうか。すなわち、難民認定申請は上陸拒否の場合でも受理されるのか、あるいは受理されるとすると、どこでだれが受理し、また審査期間中は申請者の身柄はどこに置かれることになるのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 難民認定申請は、我が国にいる外国人であればこれをすることができることになっておりまして、上陸を許可されていない者であっても、申請があれば上陸港の入国管理官署でこれを受理しております。  ただし、先生がおっしゃったような場合、すなわち上陸を許可されていない者、そういう者については上陸防止のための措置がとられることになります。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 今の後半のことはちょっと意味がわからないのですけれども、具体的にどういう措置がとられるのですか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 具体的には、上陸防止施設に入っていただくということになろうかと思います。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 それでは、いわゆる上陸防止施設という、聞きなれないことについてお伺いします。  外国人の上陸が拒否された場合には、その外国人が乗ってきた船舶等の運送業者がその責任と費用を負担して送還の義務を負っている、これは入管法の五十九条でございます。そして、入管法十三条の二によって、いわゆる上陸防止施設にとどまることを許可された外国人は、その施行規則の五十二条の二によって、また五十二条の二の別表五に指定する施設、すなわち成田あるいは関空の近傍の宿泊施設で法務大臣が指定する施設である上陸防止施設にとどまるというふうになっておるようです。  このとどまるということが問題だと思うのですけれども、これは、とどまるというのは言葉だけの問題で、実態はまさにこの施設に収容されるというふうに世間では理解されているということであって、そしてその上陸防止施設については、この実態がなかなか世間で明らかになっていなくて、中には内部で暴力を受けたとの訴えも幾つか聞いておるということがありますので、幾つかその点について聞いていきたいと思います。  まず、その上陸防止施設、これは法務大臣が指定している施設と言われておりますけれども、具体的にどこに何カ所、日本じゅうにあるのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 指定されている上陸防止施設は、成田空港近傍の二つの施設と関西空港近傍の二つの施設、合計の四施設でございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 成田の周辺に二つあるとおっしゃいますが、この正式名称とその施設の性格、この防止施設というのは一体何なのか。拘置所とかなんとかというならわかるのですが、ホテルとかそういうものなのか、あるいは収容専用施設として特別に決めてあるのか、その点について、施設所有者とか運営の主体とかというのはどうなっているのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 成田空港内に設置されている上陸防止施設の正式名称でございますけれども、新東京国際空港第二旅客ターミナルビル内上陸防止施設と呼んでおります。この施設は上陸を拒否された者が直ちに出国できない場合に一時的にとどまる場所として指定されているものでございます。この施設は当然国の施設でありまして、実際の管理運営は成田空港支局において行っております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 もう一つ。茨城県の牛久市に入国者収容所東日本入国管理センターというのがあります。そこに併設されておる上陸防止施設があるようですけれども、この正式名称と施設の性質、運営主体、そして、この施設は入国管理センターと、施設の中にあるようなのですけれども、厳格に区別された施設なのかどうか。あるいは、今、国の施設と言われましたけれども、収容室とか職員を兼用していたりしているのではないか。そのあたりはどうなのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 東日本入国管理センターに併設されている上陸防止施設の法的性格及び運営主体も先ほどの成田の施設と同様でございます。それから、この施設の正式名称は牛久法務総合庁舎内上陸防止施設という名前でございます。その役割は、成田空港の上陸防止施設では対応できない場合にこの牛久の上陸防止施設を使用しております。  なお、委員御指摘のとおり、東日本入国管理センターと物理的には同じところにある施設でございますけれども、管理責任者は当然のことながら変えておりますし、それから出入り口、これも全く別のところにございまして、両者は厳格に区別されております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 どうも実際に行った人が、そういう看板も何もなくて、どこに何があるかわからないというふうなことを言って、何度も行っているのだけれども、気がっかなかったということがあるようです。今みたいに上陸防止施設という看板は実際にないのですね、呼び名だけだと思いますけれども。  それはそれとしまして、入管法五十九条によれば、上陸防止施設でのとめ置きに伴う費用とか責任は原則的に運送業者の負担であるようですが、例外的に入管主任審査官がこれを免除できるとしております。具体的に、上陸防止施設の運営は航空会社等によって行われているのでしょうか、それとも入管の施設として運営されているのか、成田、牛久を例に、それぞれ具体的に言っていただければと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 先ほど言いましたように、そういうことで、どちらも国の施設ということで運営しております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 実際に私が聞いたのは、原則は運送業者の負担というふうに出ているわけですね、とめ置き費用は。しかし、例外的に入管主任審査官が免除できるという法律もあるわけですね。現実は一体、航空会社が負担しているのだろうか、あるいは国が負担しているのだろうか、その辺はどうなのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 寝泊まりの方の費用、これは国の負担でございますが、例えば食費等は運送業者に負担してもらっております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 では、ただいまのように、大体寝泊まりはそのままあるのですから、消耗品というか、そういうものは運送業者というふうに理解してよろしいわけですね。  それから、上陸防止施設においては事実上拘禁という、言葉はおかしいのですけれども、外に出られない状態にあるのですけれども、しかもそれが長い期間行われているような状態、これはもう形としては拘束、拘禁と同じような状態だと思います。すなわち、上陸防止施設では、実際に上陸を拒否された被収容者の逃亡を防ぐ趣旨で、実際には入管収容施設と変わらないような、言葉が適当かどうかわかりませんが、拘禁状態が行われているようなのです。この事実上の拘禁状態ができる法的根拠は一体何だろうかという点。その法的根拠が存在するとして、その法的に許容される拘禁の手段とか程度というのは、一体どういうものなのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 上陸防止施設につきましては、私どもはこれは拘禁するための施設という認識はしておりませんで、上陸を防止するための施設というふうに認識しております。したがいまして、日本に上陸することは防止するのですけれども、例えばどこかの国に行きたいというときには、我々はそれをとめるということは一切しておりません。それは自由にどこでも行けるということになっております。  こういうことになっております法的根拠でございますけれども、先ほど委員おっしゃいましたように、入管法に規定する上陸のための条件に適合しないと認定され、本邦からの退去を命じられた外国人については、入管法第五十九条の規定により、当該外国人が乗っていた船舶等の長または当該船舶等を運航する運送業者が、その責任と費用で、速やかに本邦外の地域に送還しなければならないというのが一つございまして、ただし、その船舶等の運航の都合により、当該外国人が直ちに本邦から退去できないときは、入管法第十三条の二の規定により、指定された期間内に限り、空港と近傍にある指定された施設にとどまることを許すことができると書いてございます。この規定によっております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 実際に個々的に違うと思うのですけれども、平均的あるいはかなり長い間この防止施設に収容されているということはあるのでしょうか。大体どのくらい入っているのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 この施設の性格は先ほど私が申し上げたとおりなものですから、基本的には非常に短期間の収容でございます。平均で言いますと、恐らく三日間ぐらいではないかと思います。  最近、上陸の際に、難民認定をしてそのたびにここに入れざるを得なかったというようなことで上陸防止施設にいる期間が長引いたケースがございますが、これは実は極めて例外的なケースでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 この上陸防止施設が、今の御説明である程度わかったのですけれども、例外的に長い期間というのはどのくらいか、もう少し聞きたい、ちょっと後で答えていただきたいのです。  収容期間とか処遇というものについての適正化ということで、これはかなり目の届かない、それは日本人に何かあったらすぐ苦情が来たりするのですけれども、外国人で、またすぐ上陸拒否されて国に帰される人ですから、その実態を把握することが、お役所以外はないのですよ。そういうところで何かのチェックシステムがないと、苦情がいっぱい寄せられて、実態は何なのだと言っても、今のように形どおりの御答弁をいただいてなかなか突っ込めない。  そうすると、調べる方も主観的で、ひどいことをやっているのではないかと言って、それは被害者的な人ですから、ひどいことをやっているように思われたらそのまま信じざるを得ないようなこともあるので、チェックシステムのようなものがあるとその辺が適正に行われるように思うのですけれども、そういうものが実はあるのだろうか。  そして、わずか三日あるいは別に長い場合もあるかもしれませんけれども、そこで事実上適正に、上陸防止といっても、何も犯罪を犯したわけでもないし、ただ中に入っては困る人に対する待遇ですから一般人と同じだと思うのですけれども、そのあたりの適正さを担保する方法は講じられているのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 先ほど申しましたように、この上陸防止施設にとどめておく期間は非常に短いという前提で物事をやっておりますので、例えば収容センターのように、より長期間とどめておかなければいけない場合には処遇規則等が整備されておりますが、そういうものを格別に設けておりません。  私どもとしましては、やはりこの施設の本来の趣旨に照らして、ここにとどめておく時間を、先ほど言いましたように若干例外的に長くなったケースはございましたけれども、そういうことのないように努めるというのが私どものやるべきことだと思っております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 やっと一つおかしな点が出てきました。普通の人間だったら、二十四時間逮捕されるのだって物すごく厳格な手続と拘置の手続が必要ですよ、被疑者の場合。今の場合は、平均三日と言われても、とても長い場合もあるわけですから、やはりきちっとこれからそのあたりをやらないと批判を受けるような感じがしますので、よろしくお願いしたいと思います。  それからもう一つ、上陸防止というと入ってくれるなということなんですけれども、それを実際だれがやっているかというと、どうも警備受託会社というところに委託しているらしいのですよ。その警備受託会社がいわゆる監視業務あるいは警備ということをしているようですけれども、それは実際に、この四つの施設ではどれだけの会社がしているのかという会社数と会社名を明らかにしていただきたいと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 今手元に成田と牛久の資料がございますけれども、成田空港内の施設につきましてはアイムという警備会社、それから牛久の施設につきましては国際人流トライサービスというところにそれぞれ業務委託をしております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 その警備会社が実際にどうやっているかという実態の調査もまた必要かと思いますけれども、今はそれは聞きません。  今おっしゃった牛久の国際人流トライサービスの登記簿謄本を見ますと、これは元東京入管局長が代表取締役であって、この方かどうか知りませんが、そういう方が設立されて、さらに監査役その他の多くの人たちがいわゆる入管のOB、あるいは広島入管局長という人たちの名前が載っている。しかも、その本社は箱崎のTCATですか、正確に言うと何でしたか、箱崎にある施設の中にあるというふうに言われております。  実際、こういう方がなっておられるというのは、それぞれの事情もあるかもしれませんけれども、今さまざまなところで問題になっております役所の天下り施設ではないか。国の施設があって、それを警備する会社をつくっておいて、そこに入管のOBという人たちが、偉い人たちが行くというふうな、そういうシステムの繰り返しであって、だからゆえに、その間のことがどうも透明性がないというふうに言われるのではないかというふうに思うのですけれども、その辺はどういうふうに御認識でしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 国際人流トライサービスという会社は、平成五年五月に、入管を退職した方々が自主的に集まって設立した会社と承知しておりますけれども、当局はこの会社に対して就職のあっせんや指導等をする立場にはございません。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 この会社は、たしか、私の記憶だけれども、前にもちょっと何か問題になったことがありませんか。何か、OBの方たちが集まってつくったというのはどうも不明瞭だという話があったような気がするのですが、よろしいでしょう。失礼しました。そうでなければ幸いだと思います。  次の問題に移ります。今の問題は、入国の問題、上陸の問題。  次に、なぜ少ないかということについては、日本特有の入管法六十一条の二、いわゆる六十日ルールというのがあります。この問題についてお伺いしたいと思います。  すなわち、難民申請をして不認定とされた者の多くの人たちが、申請期間の制限、すなわち入管法六十一条の二に定める六十日間の申請期間の制限だけで不認定処分を受けているということが日本の難民認定を非常に難しくしているというふうに言われておるのですけれども、これをすなわち六十日ルールと言いますが、この六十日間の制限自体について、入管法六十一条の二の二項によれば、どんなに迫害の危険性が多い人であっても、申請自体が六十日が過ぎてしまえば日本では難民認定されないことになってしまう。  その六十日の要件が正面から争点になった実際の裁判でも、越南という人なんですけれども、当時の法務大臣が、この申請が六十日間を過ぎて行われている以上、実質的な難民該当性については一切審査、判断しないというふうに訴訟において主張されたというふうに聞いておるのですけれども、そういうことはあったのか、あるいはそういうお考えなのかどうか、それについてお伺いしたいと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 難民認定の検討をするときには、当然のことながら、この方が難民と認定するにふさわしいかどうかということは立ち入って検討いたします。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 ちょっと今はっきりしなかったのですけれども、六十日間を過ぎてしまえば、これはもう、いわば普通の法律に言う時効とか除斥期間みたいなあたりで、もう主張は何もできないんだと。お金を貸したか貸さないかということと時効とは別次元の問題。あっても、時効で切ってしまうと。それと同じように、六十日間を過ぎていれば、実際の難民該当性は一切判断せずにけっ飛ばしてもいいんだというふうな御判断で仕事をしておられるのでしょうかと言っているのです。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 法定期間は定めてございますが、同時に、やむを得ない事情がある場合云々という規定もございます。したがいまして、そういう事情があるのかないのかということを判断しなければならないものですから、そういうことで迫害にかかわる申し立て内容についても慎重に事情聴取をして決めております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 今、やむを得ない事情があれば六十日を過ぎてもいいんだとおっしゃいますが、それがまさにとても厳しくて、ほとんど適用されていないということが問題になっているようですけれども。  実際の運用として余りそれを厳格にされると、本来、難民かどうかということと六十日間にしなくちゃいけないということは全然別の問題であるのにかかわらず、六十日ルールを余りにも厳格に適用されるために実質難民認定はされないということによって、いわゆる難民条約による難民の定義とかそういうものに実質的な変更を加えてしまうという条約違反の状態が起こってしまうんじゃないか。だから、法律の余りにも厳格な適用のために、本当に助けるべき人が形式論で排除されてしまうというふうになってしまうおそれがあるというふうに思いますので、その点については、私は、そのあたりが、今の六十日というのは非常に障害になっているんじゃないかということの御指摘をまずして、そしてその次の質問に移ります。  現在の六十日ルールの解釈、運用、今幾つか要点を挙げました。やむを得ない事情は幾つかあり得ると思いますが、難民条約上は難民であって、しかも入管法上も難民であるけれども、六十日を過ぎているがゆえに難民認定を受けられない者が存在するということはあり得ることになりますけれども、そういうふうな解釈あるいは運用を公式に認めておられますか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 この六十日ルールでございますけれども、難民条約及びその議定書は、難民認定の手続自体については特別の規定を設けておりません。したがいまして、条約締結国がそれぞれの国の事情に応じてそれぞれ定めているということでございます。  一般的には、迫害から逃れて他国に庇護を求める者は速やかにその旨を申し立てるべきであることは国際的に広く言われていることでございます。難民となる事由が生じてから長期間経過後に難民の認定が申請されると、その当時の事実関係を把握するのが著しく困難となって適正な難民の認定ができなくなるおそれがあるため、難民認定行政の公正円滑な実施を図るという観点からも、六十日ルールは合理性があると言えます。  また、先ほど言いましたように、六十日を超えた場合でも、やむを得ない事情がある場合にはそれを情状酌量することがあるわけでございますので、我々の規定の仕方が条約違反になっているということにはならないと考えております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 私は、法律、その規定自体が条約違反にはならないということは、まあそれはいいにしても、運用いかんによっては、これは条約違反の状態をつくり出すんではないかということを指摘したいわけです。  その点についてはちょっと後に聞きますけれども、認定は受けられなかった難民は一体どのような地位に置かれるのかという問題なんですが、ノンルフルマンの原則というのがあるようです。これは不送還の原則、難民条約の三十三条。ノンルフルマンの原則との関係は、認定を受けられなかった難民はどういう立場に置かれるんでしょうか。あるいは、難民条約の三章あるいは四章によって、締約国が難民に対して与える義務を負う保護や便宜供与については、認定は受けなくても、難民である以上、その享受主体であるということになると思うのですけれども、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 日本の法律は、基本的に難民条約、難民議定書と同じ内容でございまして、難民と認められるためにはやはり難民認定はなさなければならないということが条約の方にも書いておるものですから、そのとおり、我々の法律の運用でもそうしているということでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 六十日ルールの厳格適用の結果、本来の難民が保護されなくなってしまうということについては、UNHCRの執行委員会決議がございます。そこでは、「難民申請者に対して、その申請を一定の期間内に行うよう求めることはできる。」それは恐らく六十日ルールだと思います。「しかし、右期間内に申請がない場合、又は他の形式的要件を充たさない場合も、その者の難民申請自体を検討の対象から除外する扱いはするべきでない。」という規定がございます。この決議については、日本は委員会のメンバーであったはずでありますけれども、これは賛成されたんですか、あるいは反対されたんですか。それはどうなんですか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 申しわけございません。今、私、承知しておりません。  最終的に、答えは同じなんでございますが、執行委員会のメンバーではございましたけれども、反対票を投じたかどうかは定かでございません。申しわけございません。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 これをなぜあえて言ったかというのは、申請期間という形式要件を具備していないだけの理由で実質的な難民該当性の審査をしないのは、これは難民条約違反というふうになってしまいますよ、こういう趣旨の決議であると思いますので、この六十日ルールというものの解釈、運用についてはよほど気をつけなくちゃいけないだろうというのが私の考えです。  それで、先ほど言われたただし書きのやむを得ない事情についてですけれども、六十日間を徒過した場合の救済規定であるやむを得ない事情というのは、元来、病気、天災、交通途絶と、それから第三国への受け入れ打診中に六十日が経過してしまった場合のみにというふうに言われていますけれども、それだけなのか。そういうふうに局限するのが今までの解釈のように聞いておりますけれども、これをもっと幅広く、実質性の審査のために緩やかに解釈するようなことをするような努力をされているのか。あるいは、その点については昔も今も変わらないというふうに考えておられるのか。その点についてお伺いしたいと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 やむを得ない事情という規定がございますので、当然のことながら、六十日が過ぎましても、その申請者の事情に応じてその中身についても慎重に検討しているということでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 例えば、気がつかなかったとか、事由によってそれを知るべき立場になかった、まあ知ったときからということになるのですけれども、その知ったときの判断でも、やはり立場によっては随分違うと思いますので、そのあたりの解釈は実態の審査の方に重きを置くように考えるべきだと思います。  それから、六十日を過ぎてしまったこと自体にやむを得ない事情がない事例であっても、迫害の危険性が極めて大きい事例については、やむを得ない事情の拡大適用によって救済の必要がある場合もあると思いますけれども、そういうふうなことをやられたこと、あるいはやる姿勢はおありなんでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 迫害の可能性が非常に高い場合は、入ってきて至急難民申請をするということが通例でございましょうから、むしろそういうときは少ないのじゃないかと思うのですけれども、いずれにしろ、迫害の可能性の強いときにはそういうことを十分に勘案して難民認定の決定をしているということでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 今おっしゃったことについてちょっと反論もあるのです。というのは、迫害の危険性というのは最初からあるわけじゃなくて、途中で起こってくる場合もあるわけですから、そのときなんかが特に問題だ。最初から迫害されて逃げてきたような場合、これはもう当たり前ですけれども、途中で内乱が起こるとかなんとかというふうな、さらに迫害がひどくなるということはあると思いますので、そのあたりの解釈、運用はそれこそ新しい立場に立ってお考え願いたいと思います。  次に、難民申請中の者の地位、処遇について若干聞いていきたいと思います。  今まで述べた六十日ルールで門前払いをされる事案が多い反面、六十日問題で門前払いできない事例については難民審査に二年から三年かかるというのが常態であるというふうに聞いております。中には五年以上もたなざらしにされている審査事案もあるというふうに聞いております。  そこで、これほど長期の審査期間を要する中で問題になるのが審査中の地位、処遇であると思います。  それで、幾つか分けて、在宅で申請中の者の在留資格の問題についてまず聞いていきたいと思いますが、申請時に在留資格がなかった者について、例えば、よその国からパスポートを持たずに逃げてきて上陸した者とか、あるいは申請時にオーバーステイだった者について、申請中にはどのような地位を与えるのでしょうか。具体的には、在留資格や退去強制手続との関係ではどうなんでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 不法滞在の場合には、当然のことながら、不法滞在ということが認定されれば退去強制手続というものが執行されることになります。失礼しました。ちょっとつけ加えさせていただきます。難民申請をしながらということでございます。当然、難民申請についても調査するということで、その二つが同時進行的に行われるということになろうかと思います。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 ちょっとはっきりしないのですが、要するに、申請時に在留資格がない者で申請したとしますよね、その者は、申請をしていた者については退去強制を受けたりするのか、あるいはある程度在留させるのかという点は、それはどっちなんですか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 不法滞在ということになれば退去強制事由該当者ということになるわけです。したがって、収容するかしないかということに関してはケース・バイ・ケースで決めております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 どうも危ないようですね、ケース・バイ・ケースと言われても。  それから、在留資格がないままに審査に何年も要するような場合、その間の生活はどうずればいいというふうにお考えでそういう措置をされるのか。すなわち、働けなければ食っていけませんよね、長い間、何年もかかるわけですから。だから、日本で働いて食べなさい、自力救済しなさいというふうに恐らくおっしゃるのでしょうけれども、それもなかなか法律上言えない。要するに在留資格がないのですからね。  そうすると、一体どうずればいいのだろうかという問題が起こります。何をやっても違法でパクられてしまうような状態が起こってしまう可能性があります。あるいは、生活保護の適用なんかを与えることがあるのかどうか。そのあたりはどうなんでしょう。

大林宏法務大臣官房審議官

○大林説明員 お答えします。  なかなか難しい問題であろうかと思います。ただいま申し上げたように、違法状態、要するにオーバーステイ等の問題につきましては、私ども、基本的には退去強制手続に移らなければならないと。ただし、先生御指摘のように、難民申請をしているということについては私どもも慎重に検討しなければならないということで、そのギャップといいますか、要するに在宅状態のままで、しかも在留資格のないままという状態が現実に発生していることは間違いございません。  基本的には、やはり難民手続の早期化といいますか、その判断を早くしなければならないということで私どもも努力しなければならないというふうに考えております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 悩み深いお答えで、要するに働いちゃいけない、生活保護は与えない、よそに送り返すわけにいかない、国に置いちゃいけない。受ける方としては、じゃ私はどうなるのでしょうということになりますよね。泥棒でもしようかと。それは言い過ぎかもしれませんけれども、何か自分でどこかで食ってやろうという話になって、働いちゃいけないわけですからね。そういうことを解決するのは、すなわち、この四、五年も長い間やるということがおかしいのですよ。さっさとこんなものは、できるわけですから、そのためにこれは法務大臣にも、ぜひその辺の整備をさせていただいて迅速にやるということが大事だ、それしか解決の方法はないと思います。  それから、申請時に在留資格があった者についても、在留資格が短期滞在中に本来就労できない在留資格である場合、審査中は就労できる資格を一体与えるのでしょうか、あるいは与えないのでしょうか。そして、与えないとすると、また生活は一体どうずればいいのだろうか。同じ答えになるのでしょうかね。ちょっとその点についても一言。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 在留資格のある方が難民申請される場合、普通大体九十日の資格でおられる方じゃないかと思いますが、その場合にはさらに九十日の更新ということにして適法な状態を維持するということにしますと同時に、資格外活動につきましても、そのときの状況に応じまして、必要なもの、適正なものの場合にはこれを認めております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 それにしても、ただいまの九十日、九十日が二年、三年あるいは長期、五年というところまでそうしていただけるかどうか、これまた非常に難しいというか不安なところであると思いますので、このあたりの解決についても、やはり何らかのもし法的措置が必要であるならば何かをするということも必要かと思いますし、あるいは運用でできるならばそのあたりをきちっとしないと、難民申請中の人の地位とか処遇もやはり大事な問題だと思っております。それから、一、二、今の点の続きをお伺いします。申請中の者の収容という関係ですが、申請時在宅だった者で、在宅で難民申請を行って、難民調査官のインタビューの呼び出しを待っていたところ、申請中であるにもかかわらず突然収容された事例が昨年発生したというふうに報告されております。そういうことが今後一般化するのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 そういう場合に収容するかどうかという御質問でございますけれども、これも先ほどお答えしましたように、収容するかどうかはやはりケース・バイ・ケース。かなり濫用している可能性が高いというような状況の場合にはやはり収容せざるを得ない、あるいは、反対にそうでないときには在宅で調査するという道もとっております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 結局、今の点も、早期認定あるいは不許可ということに尽きると思います。結局、濫用というのは、その間うまく難民申請を利用して、働く地位を与えて、いつまでもできるだろうか、オーバーステイとかなんとかしなくて、難民申請をしておけばできるという濫用があると思います心  ただ、濫用防止のためだけにそういうことを余り強くやるということは本末転倒だと思いますので、そのあたりは私ども理解できているつもりなので、何らかの措置というか法的措置が必要ならば考える、あるいは運用でそれが調整できるならやる、あるいはケース・バイ・ケースの場合でも同様だと思います。  さて、時間も少なくなりましたので、収容施設の処遇問題についてもいろいろ聞きたかったのですが、それは飛ばしまして、難民認定された者のその後の問題について伺います。  率直に言って、日本で難民認定されても非常に措置が悪いというのも、これは国際的な評価であると思います。すなわち、難民認定と在留資格の問題です。  昨年、たった一人認定された事例がありました。これは、去年の十月末に難民認定がされてから在留資格が与えられるまでに三カ月以上要しているということがあります。しかし、難民に対して各種の保護を与える条約上の義務がある以上、その第一歩としての在留資格を認定後速やかに、かつ、当然に行われるべきであると思いますけれども、それについてはどういうふうに考えられますか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 難民と認定した者については、その経歴や我が国における在留状況等の事情を総合的に勘案した上、在留特別許可を付与するなどの措置をとることにしておりますけれども、先生御指摘のように、その間やや時間を要した事例がございました。今後はできる限り速やかに対応するように努めてまいりたいと思います。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 その点は本当に、一件ですから、それが当たり前なのか特殊な例なのかわかりませんけれども、これはやはりおかしいですよね。  その前に、昨年来、トルコ国籍のクルド人の問題については、不認定通知と同時に退去強制の違反調査の召喚状を渡しているというふうなことで、別の法体系だけれどもそれはちゃんとリンクされているという事例も報告されておりますので、そのあたりは今後気をつけてやっていただきたいと思います。  それから、難民認定後の社会的地位や便宜供与という点についての問題ですけれども、難民条約第三章あるいは四章は、難民に対して与えるべきさまざまな保護や便宜供与を定めております。日本で難民認定を受けた者に対するこのような保護あるいは便宜供与の実施の主体は法務省の管轄なのか、あるいは具体的な制度はどういうふうになっているのかということについて、まず聞きたいと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 昭和五十六年三月十三日付の閣議了解というのがございまして、難民条約及び同議定書の実施に伴う難民の認定、これについては政府として統一的に行うこととして、これを法務大臣が主管するということにする一方で、難民条約に規定するその他各種の保護については、それぞれの主管省庁においてそれぞれ措置をするということになっております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 日本のその後の制度が、国際基準に比べて、いろいろ社会的地位とか便宜供与がどうも不十分ではないかということを言われておるのですけれども、具体的には、日本語を教える施設だとかそういうものがないということが、条約の締約国としての義務を果たしていないというふうに言われておることもあります。  それで、もう時間は終わりましたけれども、ヨーロッパ諸国では、難民として受け入れた後には、まず無料の住居と生活保障を与えた上で、無料の話学学校で一年間程度徹底的に語学研修を行わせたり、あるいは長期的に難民の自立を援助するというプログラムをつくっておる。日本については、それがまだないように思われます。ないとすると、それを早急につくられて、かつてのインドシナ難民のときにいろいろ施設をつくられました。それももう廃止されているように聞いておりますけれども、その点について今後どういうふうにするおつもりなのか。すなわち、早期の自支援助のプログラムを実施する予定、そういうものについてはどのようにお考えなんでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 難民条約に入った後に各種の措置がとられまして、例えば国民年金法を改正して国民年金への加入とか、それから児童扶養手当法の改正で児童扶養手当の受給とか、あるいは特別児童扶養手当の受給というようなことがなされております。  これは基本的に、当時の発想は内国民待遇という発想だったのだろうと思います。先生の御指摘の分野、むしろこの閣議了解でいいますと、文部省なりなんなりにお願いすべきことだと思いますけれども、そういう方向に進めれば非常によろし  いのではないかと思います。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 終わりますが、文部省ではなくて、やはり法務省主導でこれはやるべき問題だと思いますので、よそにも指導していただいて、総合的なものをつくっていただくことを望みまして、とりあえずの質問を終えたいど思います。終わります。

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 上田勇君。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 平和・改革の上田勇でございます。きょうは、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案並びにそれに関連する事項につきまして、何点かお伺いしたいというふうに思っております。     〔委員長退席、橘委員長代理着席〕  きょうも委員会の始まる前の理事会でいろいろ与野党議論をしてきたところなのですが、この国会で委員会で取り扱う法案の数が、内閣提出のもの、議員立法も含めまして数が非常に多くて、しかもこの国会では、ほかの委員会も含めましていろいろと重要な案件があって、なかなか日程のとり方が難しいということが言われました。当然のことながら、そういった事情を我々も理解しておりまして、ちょっと現状を見ますと、そういう時間のとり合いが、この会期内での審議、非常に限られた会期内でありまして、この先かなり難しくなってきているなというような感じを持っているところであります。  我々の方としても、これまで同様、審議の促進にはそういう意味ではできる限り協力を惜しまないわけでありますけれども、ただ、そのことが何も各法案の審議を短時間で済ませるということではなくて、やはり十分な審議を行うということもこれまた立法府の責任でありますので、特に、私たち野党にはそういった役割も期待されていることではないかというふうに思うわけであります。これから会期末が近づいできますが、そういう意味ででき得る限りの協力はしていくつもりでございます。  ちょっと前置きになりましたけれども、そういう話をさせていただきまして、次に、法案の内容につきまして御質問をしていきたいというように思います。  初めに、法案の内容について先ほども質問がありまして、今回の改正で、第二条のところで、「政令で定める地域」というのが、先ほどの答弁で台湾を指すのだ、台湾以外には想定されていないということでありましたので、これはよくわかりました。  次に、法案の六十九条の二に、経過措置が含まれておるのですが、この経過措置の書き方というのは非常に漠然とした書き方になっておりまして、この法律の中でも改正のたびにいろいろな経過措置が講じられておりますけれども、それぞれ、その法律の最後、附則の中でそういった経過措置についてはかなり限定的な言い方で書かれております。  ところが、今回のこの法案を見てみますと、書き方がこういう書き方なのですね。「出入国管理及び難民認定法の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。」と。  というと、何か改廃するたびに、一定の合理的な範囲内という歯どめだけで、一方的にいろいろな経過措置といったようなもの、しかもこれはこの法律の性格上、罰則を伴うものだとかそういったものがあるわけでありまして、これをそのまま読みますと、そういったものが比較的法務省の判断で幾らでもつくれるのではないかというような印象を受けるわけであります。  そこで、ここの書き方、他のこれまでの経過措置の書き方と同じように、もっと限定的に規定する方が適当なのではないかというふうに思うわけであります。現在考えられているのが、多分、台湾当局が発行されます台湾護照の取り扱いに限ることであるというふうに思うのですが、そういったような表現で、附則にそういった経過措置を加えるべきではないかというふうに思いますけれども、その辺について法務省のお考えを伺いたいというふうに思います。

大林宏法務大臣官房審議官

○大林説明員 お答え申し上げます。  今回のこの経過措置は罰則を含めての問題でございます。第六十九条の二は、罰則を含めた経過措置を命令で定める必要がある場合に備え、入管法にその委任規定を設けることとしたものでございまして、今回の改正に伴う経過措置そのものにつきましては、政令の附則で定めることにしております。  その政令につきましては、今後の問題ではございますけれども、地域を定める政令の施行前の行為等に対する罰則及び退去強制事由の適用については従前のとおりとするとの経過措置規定を予定しております。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 そうであれば、例えば、その附則の中に、今回改正されます第二条第五号の政令で定める地域の変更による経過措置についてという形で附則に規定する方が適当なのではないでしょうか。その辺の考え方はいかがでしょうか。

大林宏法務大臣官房審議官

○大林説明員 お答え申し上げます。  今回のは当面台湾を予定してはおりますけれども、基本的にはそれにとどまらない、将来の問題としてはそれにとどまらないということでございまして、罰則等も含めて重要なことでございますので、法律上に委任規定を設けたということでございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 この問題はちょっと次に聞かせていただきます。  次に、今回の改正によりまして、今想定されておるのが当面は台湾ということでございまして、台湾からの入国者、あるいはそれを受け入れます我が国の行政の分野において、いろいろな改善効果が上がるんだどいうことでありますけれども、今回の改正で、そういった期待される効果というのはどういうものなのか、もう少しちょっと具体的に御説明をいただければというふうに思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 今回の改正によりまして台湾護照が入管法上の旅券として取り扱われることになりますと、これまで我が国に入国する際に必要とされた渡航証明書、これが不要となります。そしてまた、その所持人が一時上陸を希望するのであれば、当該護照に査証を受けていれば足りるということになります。また、寄港地上陸または通過上陸、これについては、今回の措置によりこれからは査証は要らなくなるという効果がございます。  さらに、本邦に在留する台湾の方々でございますが、これらの方々が再入国あるいはその在留期間の更新、こういうことの許可を受ける場合にも、今持っております台湾護照、それに直接判こをすることで足りて、新たに出入国許可書の交付をする必要はなくなるという効果がございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 国内にはいわゆる台湾籍の中国人の方もたくさん定住されているわけでありまして、そういった意味で、そういう方々の今までいろいろ感じられてきた不便が解消されるという意味で、私は今回非常に大きな改善であるというふうに思います。  そこで、今回の法改正で、先ほどから言われていますけれども、台湾当局が発行いたしますいわゆる台湾護照を旅券と認めることになるわけでありますけれども、それによって台湾当局を外国の政府と認めるということにはならないのだろうか。  その場合に、先ほどもちょっと質問が出ていましたけれども、日中共同声明に、「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府である」ということもありますし、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」というような書き方もあります。  こうした日中共同声明の趣旨に今回の措置が反することにはならないのか、また今回の措置について中国政府とは当然いろいろな感触は得られていると思うのですけれども、中華人民共和国政府の方の理解についてはどのようなふうに考えられているのか、お伺いしたいと思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 我が国は、日中共同声明に基づきまして、台湾との関係を非政府間の実務関係ということで維持してきております。  今般、入管法改正に伴い、台湾護照を我が国の入管法上、有効な旅券として取り扱うということは、日台間における民間交流の増大に伴う事務負担の軽減を図るという性格のものでございまして、したがいまして、日中共同声明に反するということではないと考えております。  いずれにせよ、台湾との関係は今後とも非政府間の実務関係であって、我が国として、いわゆる二つの中国やあるいは台湾の独立を支持するということはあり得ません。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 今御答弁いただいたことについて、中華人民共和国の方はどういうようなお考えなんでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 私どもの理解では、外務省の関係局が中心になって中国側と非公式な折衝をしてきておりまして、少なくともこれが日中共同声明の基本的な部分に反するというような認識を中国側が持っているということではないというふうに外務省側は判断していると承っております。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 ちょっと何か持って回ったような言い方だったのですけれども、つまり、中国側としても特に問題とは考えていないということで理解してよろしいのでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 基本的にはそういうことだと理解しております。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 それで、この出入国管理法は、昨年も通常国会で一部改正法が提出されまして成立したわけでありますが、そのときに、密航対策、特に集団密航の対策の強化のために法律を改正しております。やはり昨年のちょうど今ごろでありましたけれども、ゴールデンウイークからそれ以降にかけて集団密航が多いということで、この法務委員会で、日程的にもかなり急いで改正をした記憶がございます。  そういった密航対策の強化の法改正が行われたのですが、いろいろと報道等を見てみますと、やはり中国を中心といたしまして、集団密航が依然としてかなり大量に続いているというふうに報道がされております。その多くのケースでは、当時は非常に有名にもなりました蛇頭、スネークヘッドが関与しているというふうに聞いておりますし、また、ちょうどきのうの新聞記事では、中国からの集団密航に韓国籍の船が使われている、韓国ルートというふうにも書かれておりますが、そういった記事が載っております。さらに、その記事の中では、この韓国ルートの出現というのは、中国の密航請負組織スネークヘッドが、受け入れ側の日本の暴力団に加えて、新たに韓国の地下組織と手を組み始めたのではないかというようなことも書いてあります。  いろいろ、警察の方、それから水際で海上保安庁の方々、入国管理の方々、こうした集団密航の防止に御努力されていることはわかるのですが、同時に、まだまだそういうケースというのは大量に起きているのが実態ではないかというふうに思います。  そこで、特に最近の集団密航事件につきまして、実態をどの程度把握されているのか、また対策について、特にこの法改正後の実態はどうなっているのか、その辺をお聞きしたいというふうに思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 議員御指摘のとおり、昨年の今ごろ、集団密航事案の激増など出入国管理をめぐるそのときの状況に的確に対応するためということで、密航者を助長、援助する行為を厳しく処罰することができるように、入管法の一部を改正いたしました。  改正の効果でございますけれども、改正時ということで、平成八年六月十一日から九年五月十日まで、すなわち去年の五月十日まで約十一カ月間と、それから後の十一カ月間ということで比較して、大体の数字をとってみましたけれども、前半の十一カ月間、すなわちこの法律が改正される前の十一カ月間では、人数にしまして千三百七十四名という数字が出ております。それに対しまして、改正された後の十一カ月間ということでは、七百四十一名ということで人数は約半減しておりまして、この法案で相当の効果が上がったものと判断しております。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 警察庁の方にもきょう来ていただいておるのですけれども、補足していただくようなことが、特に実態の方でありますでしょうか。

平野和春警察庁警備局外事課外事調査官

○平野説明員 平成九年中に警察及び海上保安庁が検挙をいたしました不法入国者は千七百五十一人でありまして、これには激増した集団密航事件の検挙、中でも九割弱を占める中国人密航者の検挙が大きな部分を占めてございます。こうした密航事件の背景には、委員御指摘のとおり、多数の中国人が日本での不法就労により金銭収入を得るために密航を図っているということに加えまして、密航を請け負います蛇頭等が高額の請負料を目当てに、国内の一部暴力団とも連携いたしまして、その活動基盤をある種確立しているということがございます。  警察といたしましては、従来から関係機関と連携をとりながら密入国事案の取り締まりを推進してございますが、特に昨年五月十一日、御指摘の集団密航対策強化のための改正入管法、これが施行されました後は、蛇頭及び国内の受け入れブローカー等の摘発のためにその積極的な適用に努めてございます。  改正法施行から昨年末までの間でございますが、七十四条及び三条一項二号によります検挙は、三十三件、八十四人を数えてございます。本年の集団密航事件の状況につきましては、昨日までに二十一件、二百八十一人を検挙いたしておりまして、昨年同期との比較では、十二件、百五人の減となってございます。しかしながら、中国人による集団密航は、十六件、二百五十一人ございまして、全検挙人員の約九割を占めており、依然として多発傾向にございます。また、その手口におきましては、これも委員御指摘なさいましたとおり、韓国人ブローカー等が関与しておる、あるいは洋上で船を乗りかえるといった形で悪質化、巧妙化してございます。  したがいまして、警察といたしましては、特に密航事件の背後にある組織の解明に向け、引き続き関係機関との連携を図りながら、取り締まりの強化に努めているところでございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 もちろん、これは法律で取り締まれば全部なくなるというようなことではないと思いますし、今関係各省ともそれぞれ連携をとっていただきながら鋭意対応していただいていることだというふうに思います。日本国内のいろいろな労働事情等もあり、取り締まればすぐに解決できるということではないというふうに思いますが、いずれにしましても、各省にわたることではありますが、今後とも引き続き協力していただきまして、しっかり対応をしていただきたいというふうに思うわけであります。  もう一つ、やはりここ数年間、いわゆる覚せい剤などの薬物濫用というのが国内で大きな問題になっております。薬物濫用の逮捕者が急増しておりまして、特に深刻なのは、ここ数年間で中学生、高校生による薬物濫用が急増しているわけであります。厚生省にいただいた資料を見てみますと、中学生や高校生は、平成六年ではわずか四十一件しかなかったのが、平成八年には二百十四件と、実に五倍に急増しているという資料もあります。  こうした薬物を常用している人たちが犯罪にかかわっているケースというのも多いですし、さらに暴力団などの資金源にもなっているという話もあります。社会の安全、安定を考えるときには、本当に極めて深刻な状況になりつつあるのではないかというふうに考えるわけであります。  こうした薬物のほとんどは、海外から持ち込まれているというふうに聞いております。国内での覚せい剤などの流通を防いでいくためには何より水際での対策というのが必要なのではないか。ここがポイントになってくると、やはり国内に持ち込まれないようにすることが重要ではないかというふうに思うわけであります。  そこで、こうした薬物濫用の国内における現状、あるいはその持ち込みの現状というのでしょうか、それと水際での防止対策などにつきまして、これも各省庁にまたがることだと思いますけれども、その辺のことについてのお考えを伺いたいというふうに思います。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 先生御指摘のように、来日外国人による薬物犯罪を初めとする犯罪が増加しております。私どもとしましては、今後も関係機関と緊密な連携を図りつつ、入国審査の厳格化、入管法違反者に対する取り締まりの強化等を図っていく所存でございます。  ちなみに、平成九年中には、薬物を所持していた外国人七人の上陸を拒否するとともに、本邦在留中に薬物事犯により有罪判決を受けた外国人三百十六人について退去強制手続をとるなどしており、この種事犯に対し厳正に対処してきております。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 警察庁の方、いかがでしょうか。

樋口建史警察庁生活安全局薬物対策課長

○樋口説明員 現在、薬物の濫用は大変厳しい状況にございまして、ことしの一月に警察庁では第三次覚せい剤濫用期にあるということを宣言申し上げたところでございます。  我が国で濫用されております覚せい剤等の濫用薬物でございますが、ほとんどすべては海外から密輸入されたものでございまして、その仕出し地でありますとか方法はさまざまでございます。  具体的に申しますと、暴力団関連の薬物の犯罪組織が、洋上取引でありますとか貨物船のコンテナ隠匿、コンテナ内に仮装隠匿とかの方法によって大量の覚せい剤を密輸入するケースがございますが、そのほかに、日本人や外国人の旅行者が航空機で入国する際に、コカイン、大麻樹脂等の薬物を旅行かばん等に隠匿したり、飲み込んだり、体内に挿入するなどの方法で密輸するケースがございます。  前者の大量の覚せい剤の密輸のケースにつきましては、そのほとんどが中国の南部から出ているものでございますが、後者のケースにつきましては、運び屋の国籍でありますとか出発地もさまざまでございます。  昨年の検挙事例から見ますと、ドイツ人がタイから大麻樹脂約二・三キログラムをスーツケースに隠匿して密輸したケースでございますとか、日本人がやはりタイから乾燥大麻六・二キロを荷物に隠匿をいたしまして密輸したケースでありますとか、コロンビア人がコロンビアからコカイン一・一キロを飲み込んで密輸したケース等がございます。また現在、不法滞在等のイラン人が国内各地で各種の薬物を密売しているのでありますけれども、これらのイラン人が国際宅急便等で薬物を密輸入するというケースも多発しておるところでございます。  対策でございますけれども、このような状況を踏まえまして、警察といたしましては、まず国内におきましては監視体制及び情報交換の強化を図るために、入管、税関、海上保安庁等をメンバーとしました地域レベルの水際対策連絡協議会というようなものを協力して開催するということをいたしております。関係機関との連携を図っているところでございます。  最後でございますが、さらに国際的な対策が必要でございまして、この点では関係各国の取り締まり機関との協力をさらに一層強化していくということが大変重要でございまして、捜査官を派遣するとか、ICPOのルートを使って情報交換をさらに活発化させるとか、協力体制の一層の強化に努めておるところでございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 特にこの問題、厚生省さんのデータなども見せていただきまして、私は本当に非常に深刻に考えるのは、中学生、高校生の中でこういう薬物がかなり広く行き渡っている、急速に広まっているということが明らかになってきているわけであります。  そういう意味で、ぜひとも国内に持ち込まれないように、水際での対策というのは非常に重要になってまいります。法務省また警察、海上保安庁、それに厚生省と、いろいろの広い行政省庁にわたる課題ではあると思いますけれども、連携よく協力しまして、この問題は本当に、国内の治安の維持という意味で今非常に重要な課題になってきていると思いますので、ぜひとも鋭意努力をしていただきたいというふうに思うわけであります。  次に、ちょっと話が変わるのですが、先ほど北村先生の方からも言及があったのですけれども、難民の認定についてお伺いしたいというふうに思います。  我が国での難民の認定というのは、毎年数十人から数百人の認定の申請があるのに対しまして、九〇年代に入ってからは、認定される難民はわずかに一名か二名にとどまっているわけであります。  聞くところによりますと、カナダとかイギリスでは年間数千人以上あるいは一万人以上の難民が認定されているというふうに聞いております。もちろん、国際社会における立場であるとか国内の事情とか、いろいろと違う点も多いことはわかりますけれども、それをもってしてもやはり認定される人数というのが非常に少ないし、また申請者数に対する認定の比率というのも非常に低いというふうに思われます。  また、先ほどもちょっと質疑の中で言及がありましたが、認定されない人の中には、国連の難民高等弁務官事務所が、本国に帰れば迫害されるおそれがあるというようなことを認めて、違う国、第三国へ出国させているケースもあるというふうに聞いております。  どうもこうした実態を見てみますと、日本政府、我が国は、もちろんこの条約に違反しているどうのこうのという結論をつけるのは拙速かもしれませんが、この難民条約の締約国といたしまして、趣旨を十分尊重していない、また、こうした本当に困っている難民の方に非人道的な対応をしているのではないかという批判も多いわけでありますけれども、その辺につきまして、ぜひ大臣からお考えを伺いたいというふうに思います。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 先ほども北村委員からその辺の御指摘があったわけでございますが、委員御指摘のように、外国の例を見てみますと、一九九六年の数字でも、ドイツなどは、十五万人の申請がございまして二万四千人ぐらい条約難民として受け入れているような状態もございます。しかし、少ないところは、アイルランドでは千百七十九名申請いたしまして二人しか認定していない。これは、難民とのかかわりに関する歴史的な経緯だとか、あるいは地理的な問題等々いろいろありまして、必ずしも外国と比べるというのはどうかなと思う点もないわけではないと思います。  さはさりながら、先ほど来のお話にございましたように、五十七年に我が国について難民条約及び同議定書が発効して以来、今日まで来ているわけでございます。御指摘のような数字で、ここ数年認定されたのは一人というふうなことでございますが、いろいろ検討いたしまして、先ほどお話がございましたように、少なくとも未処理の件数というものを少なくしよう、今、三月末で三百三十二名未処理の方が残っておられるというふうなことです。  そういうふうな状態が残っておるし、片やオーバーステイとかいうふうな、なかなか矛盾したおかしな話があるわけでございますから、そういうようなことのないようにひとつ入管局も、先般の予算の審議等々で二十二名の増員を認めていただいたこと等々で私ども強化に努めておるわけでございますが、できるだけ速やかにこの認定の仕事を進めようではないかというふうなことを、入管局長初め幹部に話しております。  この問題について、いろいろ細かい問題はございますけれども、方向としてはそんな形で対処してまいりたい、このように思います。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 先ほど集団密航のお話についてもちょっと伺ったのですが、あわせて考えてみますと、いろいろ密航の方の取り締まりには御努力されているということはよくわかりますけれども、一方で、現実にはどんどん違法な形で国内に外国から入ってこられて滞在している中で、本当に困っている難民の方が、本国で迫害を受けたりというような形で申請すると、認められずに追い返されてしまう。どうも、いかにもちょっと不合理なような感じがいたします。  もちろんいろいろな判断基準があるし、これについてはこの場でいろいろ、私も必ずしも十分承知してはいませんけれども、どうも余りに難民の方の認定の考え方が厳し過ぎるのではないかというふうに感じますし、実際にこれだけ国際化されてきて、もう国内でも、これは合法、非合法は別にして、外国人の方が実際に暮らして働いている中で、余りに難民認定だけ厳格な基準を設けるということの現実的な意味合いというのがちょっと変わっているのではないのかなというのが率直な感じであります。  その意味で、一方では取り締まりを強化しろ、一方ではもっと緩くしろというような、何かちょっと矛盾した言い方かもしれませんけれども、どうも法務省のその辺の考え方も、今日の社会の現実と法解釈、法運用の問題がちょっと乖離してきてしまっているのではないのかなというような感じを持っているということを申し上げたいと思います。

下稲葉耕吉自由民主党法務大臣

○下稲葉国務大臣 お話しのように、オーバーステイで不法入国している人は二十八万人ぐらいでございますし、私は、これはひとつ厳格に、法を厳正に適用してやるべきだと思います。  それから、難民認定で今申し上げました数字の実態は、いろいろ調査なりあるいは国際的な等々もあってなかなか認定が難しい人の数字というものがそういうふうになっているわけでございます。  しかし、これはやはり今お話しのとおりに、お一人お一人の人権にかかわることでございますし、生活にもかかわることでございます。だから、そういうふうな目線で早急にその問題について、お一人お一人審査させていただきまして、結論を出させていただきたいというふうなことで努めてまいります。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 難民の認定の手続につきまして、先ほど北村委員の方から非常に細かく詳しい質疑がありましたので省略させていただきますが、一つだけ。  北村委員も話されましたけれども、難民の認定を仮に受けられた場合でも、その後日本の国内で安定して生活するというのは非常に困難な状況があるのだと。インドシナからの難民に対しましては一定の措置がいろいろ講じられてきましたけれども、この条約難民についてはほとんど公的な支援というのが受けられない現状だというふうに聞いております。  もちろん、先ほどの答弁の中でも、これは法務省だけの問題ではなくて他省庁いろいろなところにまたがるのだ。教育の問題であれば文部省だし、社会福祉の問題であれば厚生省なのでしょう。仕事の問題は労働省というようなことなのかもしれませんが、ただ、私の率直な感じといたしまして、先ほど、難民の認定というのは毎年一人か二人なわけでありますから、一人か二人しか認定しないわけですから、その認定した人に対しては、もっと手厚い支援があってもいいのではないのかなと。わずか一人か二人しか認定しない、しかもそれは、せっかくそこまでいっても後はほったらかしというのは、ちょっと余りにも政府として無責任なような感じがいたします。  これは法務省だけで対応できることではないと思いますが、認定するのは法務省が窓口になってやるわけでございますので、その辺、法務省としてぜひ他省庁と協力していただきまして、適切な支援措置がとられるように配慮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

竹中繁雄法務省入国管理局長

○竹中政府委員 先ほども申しましたように、法務省だけに限られることになっていないわけでございますけれども、各省の御協力も得ながら、できることはやっていきたいと考えております。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 この難民の問題につきまして、どうも日本は国際社会から見ると非人道的というのでしょうか、余りにも冷た過ぎるのではないかという評価がやはりあるのではないかというふうに思います。これから国際社会の中で我が国としても積極的な役割を果たしていくという意味でも、この難民の問題についてももっとオープンな、また柔軟な考え方で取り組まなければいけないのではないかというふうに思うわけであります。  いろいろと、社会の構成であるとか地理的な条件について先ほど大臣もおっしゃいました。必ずしも欧米と一律に比較できるものではないかもしれません。結果の数はそういう意味では比較は難しいのかもしれませんけれども、ただ、いろいろなそういう手続あるいは対応、そういったものというのはもっと欧米諸国にも見習う点があるのではないかというふうに思うわけでありまして、ぜひとももう少し前向きな対応をこれからお願いしたいということを要望したいというふうに思います。  最後に、本件とは直接は関係ないのでありますけれども、実は、成年後見制度について若干お伺いしたいというふうに思います。  現在は、禁治産あるいは準禁治産の制度及びそれに基づきます後見、保佐といった制度というのが、かなり長いこと、民法制定以来、基本的な事項については余り大きな変更が加えられることなく制度があるのですけれども、どうも現在の社会では必ずしも十分に機能しない制度になってしまっているのではないかというふうに思います。このことは、いろいろ法務省の中でもそういう御意見があるというふうに伺っておりますし、法制審でもそういうような議論が始まっているというふうに伺っております。  特に今の禁治産、準禁治産の制度を見てみますと、これはやはり一律に行為能力というのですか、それをかなり広く制限してしまうために、日常生活に必要な法律行為、それに対する判断まで制限がされてしまう点であるとか、今、この禁治産という言葉が何か必要以上に制限色の強いような用語になっているというようなことであるとか、今戸籍に記載するものですから、どうしても社会的な偏見があって難しい。  もう一つは、今いろいろな介護施設などで、実際に、入っていらっしゃる高齢者の方々の財産を保護するという意味で、介護施設の責任者に申し立て権がないというようなこともいろいろな関係者からは伺って、そういう指摘があるというのを伺っております。  これから特に高齢化社会が進展していくということを考えると、どうも今のこの禁治産、準禁治産制度というのは、高齢者の方々が、本当はそういう制度がある程度必要なのに実は使いにくい制度、実際は使い得ない制度になっているのではないかというふうに思います。そういう意味で、この制度の見直し、充実というのが今必要なわけであります。  もちろんこれは個人の権利、権限を制限することでありますので、それは非常に慎重な議論が必要でありますでしょうし、やはりそういう制度を導入する際には、できる限り利用される人、いわゆる高齢者の方などの場合は、あらゆることについて判断能力が完全ではないにしても、通常のことは普通に判断できるというようなケースが多いわけでありまして、そこでは基本的には自己決定というのを最大限に尊重する、それが、今言われておりますノーマライゼーションがやはり基本になると思いますので、そういう観点が必要であるというふうに思うわけであります。  私、この間、ちょっと法務省の方から伺いましたら、平成七年ごろから検討が進められまして、ちょうど昨年の九月に、これは成年後見問題研究会、法制審の中の部会の中に設置されている研究会だというふうに伺いましたけれども、報告書が出されました。  基本的には、これからこうした検討を進めて、民法の改正につながっていくものになるのかというふうに思いますけれども、今の審議の状況、それから今後の方針、それからスケジュール、あるいはどういう制度にしていくのか、そういった基本的なお考えがあれば、ひとつお聞かせいただければというふうに思います。     〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

森脇勝法務省民事局長

○森脇政府委員 大変幅広い御質問でございますが、今までの経過を申しますと、今委員御指摘になりましたとおり、現在の民法で規定しております禁治産、準禁治産の制度につきましては、余りにもいわば能力が害されている部分が非常に大きい人だけを対象にしている、しかもそれの取り扱い方が画一的であるといったような面で使いにくい制度であるといったような批判もございます。また、社会の変化として、高齢化社会、あるいは従来よりも一層障害者保護に厚くするといった考え方の台頭という部分もございます。それから、委員御指摘になりました自己決定権のできる限りの尊重の理念というようなものもございます。  こういった観点から、現在のままでの成年後見制度では不十分ではないかというところから、私ども、これは法制審議会とは別に、法務省民事局内に研究会をつくりまして、平成七年七月以降約二年間にわたって、諸外国の制度、あるいは福祉関係者らの意見といったものを聴取するという形で研究会を進めてまいりました。昨年の九月にこれの一応の検討の取りまとめということをいたしまして、報告書として公開したところでございます。  また、それとほぼ時期を同じくいたしまして、今度は法制審議会の民法部会のもとに成年後見小委員会を設置していただきまして、そこで昨年の十月以降審議を重ねてきたところでございますが、これは何分にも国民の多くの方々に影響を及ぼす制度の改変でございますので、国民の方々の意見を広く聞くべきではないかという意見になりまして、本年の四月十四日に、この小委員会において現時点まで検討した結果を取りまとめた要綱試案というものを民法部会の方で御了承いただきまして、これを関係各界にお配りしまして意見を求めているというのが現在までの状況でございます。  ここの中では、現時点までの研究の成果といたしまして、改正の方向を明らかにできるものは明らかにする、また、こういう制度はどうかといった提案のものにつきましては、その旨を明らかにするという形で整理してございまして、今委員が御指摘になりました戸籍の問題でありますとか、日常生活の不便がこないかといったような問題、あるいは成年後見に付する場合の申し立て権者の問題、いろいろな各種の問題をこの中で取り扱っているところでございます。  今後の予定でございますが、今後は、関係各界の意見を得ました上で、これを踏まえてさらに小委員会において議論をしていただきまして、できますれば、平成十一年の通常国会、次期通常国会に民法改正法案という形で提出てきますように、これから鋭意審議、検討を進めてまいりたいというように考えておるところでございます。

上田勇平和・改革

○上田(勇)委員 この成年後見の話については、私は実は、介護施設を運営されている方から、日常的には別にそんなに判断能力が落ちているというようなことではなくても、いざそういう何か取引の契約とかになったときには、やはりどうしても記憶力が落ちていたり、若干判断があいまいになっている、やはり年とともにそういう方もおられて、高齢者が持っている財産が不当に損なわれているというような話もありまして、そういう場合に、一切高齢者の人に判断をさせないということではなくて、かわって適切な助言や、部分的にかわって判断できるような、例えば弁護士さんであるとか、法的にも知識のある方がそういう代行をできることが、実は高齢者の方々の権利を守っていくという意味でも重要なのだというお話を伺いました。  もう一方で、やはり高齢者の方々から、実はいろいろとそういう必要性を感じるものの、今の制度でいってしまうと、全く通常の仕事もできなくなるし、何か全部逆に巻き上げられてしまうみたいな感じがするというようなこともありまして、そういった意味で、来年の通常国会ということでありますが、それまで本当に、一方で高齢者の方々のちゃんとした権利が守られるもので、なおかつ有効に使えるような制度になるように、ぜひ御検討いただければというふうに思います。ひとつその辺、法務省の方にもよろしくお願いしたいというふうに思います。  それで、時間がちょっと早いですけれども、予定していた質疑が終わりましたので、これで終わらせていただきます。

笹川堯自由民主党

○笹川委員長 次回は、来る二十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三分散会      ――――◇―――――

国会会議録検索システムで原文を見る ↗