法務委員会 第8号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1998/04/08
会議録
○笹川委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所堀籠人事局長、竹崎経理局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――◇―――――
○笹川委員長 内閣提出、裁判所法の一部を改正する法律案及び司法試験法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。漆原良夫君。
○漆原委員 おはようございます。 平和・改革の漆原でございます。 法務省は、司法試験合格者の数を十一年から年間千人に増加しよう、近い将来、千五百人にしょうというふうに伺っておりますが、平成二年度までの司法試験の合格者というのは年間五百人程度だったわけでありますが、これを一挙に千人とか千五百人、二倍、三倍にしょうというその根拠は一体どこにあるのか、それを尋ねたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 法曹人口増加をどの程度にするかという議論は前々から続けられておりました。平成五年の七月から平成七年の二月までに、法曹養成制度等改革協議会、いわゆる改革協と言っておりますけれども、この中で小委員会が設けられまして、そこでさまざまな議論がされたわけでございます。 諸外国の法曹人口を大ざっぱに申し上げますと、アメリカは九十三万人ぐらいおります。それからイギリスが七万九千人、ドイツが十一万二千人、フランスが三万五千人と、先進各国で大体このような状況になっております。 それで、いろいろな法的ニーズを考えると、一気にふやすということは難しくても、せめてフランス、人口は日本の約半分でございますけれども、フランス並みにすべきではないかというような議論が中心にかなり行われたようでございます。 その中の意見で、年間三千人という案あるいは二千人という案、千五百人、千人と案があったわけでございます。ちなみに、三千人を年間合格させますと、現在の法曹人口約二万人でございますが、これが倍になるのには平成十七年ということ になります。二千人でございますと平成二十一年、千五百人ですと平成二十五年、現在千人の体制をお願いしているわけでございますが、これになりますと平成三十四年ということで倍になる、こういうようないろいろ議論がされたようでございます。 そこで、最終的には、いろいろな日本における需要を考えた場合に千五百人程度が相当であろうということで多数意見が取りまとめられたわけでございます。そういうことで、多数意見としては、最後の結論は年間千五百人程度増加させるべきであると。ただ、これにつきましては日弁連の方から、少数意見ではございますけれども、それは千名程度にすべきだという議論がされたわけでございます。最終的に、この改革協の意見を受けまして法曹三者で協議をしたわけでございますけれども、法曹人口をふやしていくことは現下喫緊の課題であるということから、当面、日弁連の方もいいと言っている千名程度に増加させよう、また、現在の人的、物的条件の中でふやしていける限度も千人ぐらいであるということも一致したということから行われた。 るる申し上げましたけれども、基本的には、フランス並みあるいは現在の法曹人口を倍にしていくにはどうしたらいいか、それを一気にやるか段階的にやるか、そういう数字の選択であったというふうに理解しております。
○漆原委員 下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るということのためには裁判官の数を大幅に増員すべきだということは、もうずっと一貫してこの法務委員会でも主張をされてきているわけなのですが、現実に、今回も判事補の数を二十名増員した。将来、千人ないし千五百人の体制になった場合に、訴訟促進のために裁判官の数をどのくらいに一体ふやしたらいいのか。今の二十人ぐらいの増員を一挙に、場合によっては四十人、六十人というふうな増員をする計画があるのか。全体どのくらい裁判官を増員したらいいのか、そういう計画はお持ちでしょうか。
○堀籠最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 今後、経済の国際化でありますとか情報化、規制緩和が進むに伴いまして、法的紛争を公正で透明な手続で解決する手段として、司法に対する国民の期待がますます増大し、裁判所に提起される事件数も量的に増大し、質的にも複雑困難化していくと予想されるところでございますから、法的紛争の迅速な解決を図り司法の使命を十分に果たすために、繁忙庁を中心として、裁判所の人的機構及び物的設備の充実整備を図っていく必要があるというふうには私どもも考えているところでございます。 ところで、裁判官の増員につきましては、昨日も御説明申し上げましたように、つまるところ適正迅速な裁判を実現するためのものでありますので、事件の動向等を見ながら、訴訟関係人の協力や訴訟手続、審理運営方法の改善等さまざまな方策を講じつつ増員のあり方について検討すべきものであるというふうに考えておるところでございます。 今回の司法試験改革に伴う司法修習生の増加により、いわゆる任官者の給源の制約の問題が緩和されるのではないかと思われますが、裁判官の増員のあり方、ただいま申し上げましたあり方からいたしますと、司法試験合格者の増加に比例させて裁判官の数を増加させるべきものとは必ずしも言えないのではないか。今後どの程度裁判官をふやしていく必要があるかという具体的な数字というのは、事柄の性質上、困難であるという点は御理解いただきたいと思います。 ただ、私どもといたしましては、できるだけ多くの裁判官を採用し、国民の負託にこたえていくべきであるという基本的姿勢に変わりはないという点は御理解いただきたいと思います。
○漆原委員 要するに、裁判官の増員に対しては、先のことで今は考えていない、明確な結論は出ないと。よく言えばですよ。 しかし法曹人口を、とにかく千人から千五百人にする。これは結局のところ、弁護士の数をふやすということになるのでしょうか。弁護士の数をふやすんだということが一番の眼目なのでしょうか。法務省、いかがですか。
○山崎(潮)政府委員 弁護士だけをふやす、そういうことを考えたわけではございません。法曹全体の力、それぞれ必要なところに必要な人員、そういう考えでございます。それぞれのところにいろいろな都合はもちろんあるわけでございますが、基本的にそういうことを考えたわけではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○漆原委員 全然わからないのですが。 最高裁の言い分では、要するに、合格者を二倍、三倍にしたからといって裁判官を二倍、三倍にするということにはならないのだ、こういうお答えなわけですね。その都度その都度の必要に応じてふやしていく、ふやすかどうかわからない、要するに将来の計画としては明確なものを立てられない、こう答えているわけですね。だけれども、トータルとして千人から千五百人ぐらい、二、三倍にするということですから。そうすると、裁判官はふやすかどうかわからない、一体どこをふやすのだ。司法試験合格者を二、三倍にして、一体どこをふやそうとしているのか。 本来は、裁判官が何人ぐらい日本にいるべきだ、検事が何人ぐらいいるべきだ、弁護士も何人ぐらいいるべきだ、だから全体として千人が必要だ、千五百人が必要だというふうになるのならわかるのだけれども、裁判官は幾らふやすかどうかそれは今全然わからないということになると、法曹人口全体、裁判官何人ぐらいいて、弁護士何人ぐらいいて、検事が何人ぐらいいて、その結果千人とか千五百人とかいうふうな考え方になるのが筋ではないのでしょうか。法務省、どうでしょうか。
○下稲葉国務大臣 御説のとおりだと思います。 先般、判事補二十名増員をお願いした裁判官の定員法の御審議の際にも、それに類似した御意見が出まして、私もこの席でお約束したわけでございますが、先月の三十一日に私、最高裁の長官にお会いいたしました。そして、るる衆参の法務委員会における定員法の審議の状況を最高裁の長官にお話しいたしました。言うなれば攻める方と守る方が逆さまみたいな雰囲気でというふうな状態で、普通なら私どもが増員をお願いして、御審議いただく方からなかなか厳しい御発言をいただくのだけれども、逆さまの状態でございましたというふうなこと等を長官に申し上げまして、長官のお考えも伺いました。 今、最高裁からあのような答弁いたしておられますが、毎年毎年、裁判官の増員をお願いしているのは事実でございまして、ことしは二十名の増員をお願いいたしました。 それから、検察官の増員につきましては、昨日も審議がございましたが、過去二十四、五年、検察官はなかなか応募者も少なくてとれなかった実情等々もございましたけれども、ここ数年、応募者も非常にふえてきておるわけでございまして、そういうふうなさなかで三年間で百一名の増員をお願いするというふうな形になっているわけでございます。 最高裁の肩を持つわけではございませんが、なかなか非常におかたいところでございますし、いろいろお考えになっていても、ぴしっとしたところがなかなかお話しできないようなこともあろうかと思うのでございますけれども、私どもといたしましては、そういうふうなことで法曹の強化のためにぜひひとつお願いいたしたいというふうな気持ちでございます。
○漆原委員 それでは、この問題はその辺にしておきまして、結局私は、弁護士はふえるだろう、ふえる部分はほとんど弁護士になるだろうと。 平成九年度の司法試験最終卒業者、これは七百二十名だったのですが、判事補は百二名、検事七十名、弁護士が五百四十八名、それで七六%が弁護士登録をしたというふうに数が載っておりました。そうすると、千人とか千五百人体制になりますと、年間七百六十人から千百五十人近い人が一挙に弁護士としてどばっと増加していくわけなのですが、私は、弁護士に対する需要、必要性が、一挙に二倍、三倍にするほどの必要性があるのだろうかということを非常に今疑問に思っているのです。 そこで、地裁の平成四年から平成八年京での民事、刑事事件の新受件数をちょっと調べてみたのです。破産事件を除きますけれども、若干ふえてはいるのですが、一挙に二倍、三倍にするほどの伸びはないというふうには見ておりますし、今後激増するであろうという予測も立たないと私は思っているのですが、その辺の、裁判の現在の新受件数の数から見て、弁護士を二、三倍にする必要があるのかないのか、その辺はいかがでしょうか。これは法務省、どうですか。
○山崎(潮)政府委員 ただいまの点でございますけれども、新受件数をとらえてということになりますといろいろ御意見もあろうかと思いますけれども、私、先ほどの答弁、若干足りなかったわけでございますが、まず、弁護士に対する需要というのは、法曹全体の中で占めるウエート、これはかなり大きいということでございます。すべてそれが、では弁護士の増加につながるのかということではございませんけれども、その点をちょっと申し上げたいと思います。 現在、非常に高度、複雑あるいは国際化した社会になってきております。また今後、規制緩和、これが進展してまいりますと、事後チェック型の社会になります。そういう点で、司法が果たす役割、これは大変大きなものになっていくだろうというふうに考えられますし、その中で、裁判というのはやはり中心にはもちろんあるわけでございます。やはり裁判の場で解決すべき事案もふえてくるということになろうかと思います。ですから、弁護士が活躍して、その結果、今まで対応できなかったところについて対応していくということになれば事件もふえていく、その事件の動向によって裁判官もふえる、こういうような因果関係はあるわけでございます。 ただ、弁護士の場合はもう一つ重要な役割がございまして、すべて裁判に持ち込むのが弁護士の仕事ではないはずでございまして、やはり裁判所は受け身でございます。持ってこられたものに対して応答するということでございますが、世の中それだけでは決してうまくいかないわけでございます。紛争を予防するという機能、これは弁護士が果たす役割でございます。ここは大変大きなところでございまして、裁判官、検察官とは若干違うところでございます。そこがまずポイントであろうというふうに考えております。 特に、今後の社会を考えた場合でございますが、最近さまざまな企業によるいろいろな問題が上がっているわけでございますが、これは経団連の方からも要望があるわけでございますけれども、企業というのは利潤だけを追求するという観念から、やはり公的な存在であるということで、きちっとした事前の対応もせざるを得ないし、また事後についても、ルールに従ったきちっとした対応をするということがまさに社会として求められているわけでございます。 そういう意味で、個別に事件が起こったときに弁護士を頼むということではなく、ふだんから企業内に弁護士を企業内弁護士として採用して、日々法律的な観点について検討を加えていく、こういう必要性が極めて大であるという状況にございます。これはまさに経済界からも声が上がっているわけでございます。それがまず第一点だろうと思います。 それからもう一つは、市民的な立場から考えて、昨日私もちょっとしゃべらせていただいたわけでございますけれども、大体の方々はホームドクターをお持ちであろうかと思いますけれども、ホームローヤーをお持ちの方はほぼおられない、通常の方は。しかし今後、市民生活をいろいろ考えていった場合に、昔のように、まあまあ、あるいはだれかに頼んで決着するということは必ずしもうまくいかない世の中になってくるわけでございます。そういう世の中を考えたときに、やはり法的にきちっと対応しておくということが必要になります。それも、裁判になってからでは遅いわけでございます。その前にいろいろ予防したりしなければいかぬ。そうなりますと、やはりホームローヤー的なものが当然必要になってくる。 これは、私も弁護士の実態を必ずしも把握しておりませんけれども、果たして現在の日本でそういうような役割をきちっと果たしているかと言われたとき、多分、私の想像でございますけれども、そこまではいっていないのではないか。それは、今後、そういう社会が来たときに、十分にまだこれから弁護士の業務が伸びていく余地があるということでございます。 それからもう一点は、長くなって恐縮でございますが、地方自治体でも、昨年、外部監査制度が導入されているわけでございます、まだ施行はされていないようでございますけれども。この法案、私ども法務省、合い議を受けた時点で、やはり法律家にきちっと地方自治体も見ていただきたい、こういう希望は強いわけです、だけどなかなかなり手が確保できないという状況もあったわけでございまして、今後、地方自治体においてもそういう要望は強くなる。 そういうような状況で、弁護士の活躍する場というのは、裁判所あるいは検察庁が活躍する場と全然違うフィールドを持っている、そういう意味では、弁護士がかなり必要であるというふうに理解しておるわけでございます。
○漆原委員 予防法学の観点から弁護士が必要である、活躍する場面があるという点は、私もそのとおりだろうというふうに思っています。その点についてはまた後で聞きたいと思っています。 先ほど各国の法曹人口の数と日本の法曹人口の数を比較されて、せめて日本をフランス並みに持っていきたいんだというふうにおっしゃっておられましたが、新聞でも、日本の弁護士人口というのは、アメリカの二十分の一であるとか英国の十分の一、フランスの四分の一だと、ある意味では非常に日本の弁護士は独特な、何といいますか、少数村社会みたいな、法的におくれているというふうな印象、論調が見られるんですけれども。 先ほど数を比較されましたけれども、日本には、弁護士以外に法曹関連の資格という国家試験、資格があるわけでありまして、例えば公認会計士だとか税理士、司法書士、不動産鑑定士、弁理士、土地家屋調査士、行政書士、社会保険労務士、こういう資格制度があって、公認会計士の部分を除いて、弁護士はほとんどこれは業務としてカバーできるのですが、ある意味では弁護士と重複した、競合したその個別分野において、この関連した資格を持った人がそれぞれの分野で国民に法的サービスを提供している、こういう実情なわけなんです。 アメリカ、イギリス、フランスには、弁護士以外にこの法的サービスを提供する法曹関連制度、今申し上げたような制度は果たしてあるんだろうかないんだろうか、それとも弁護士が全部これをカバーしてやっているんだろうか。その辺はお調べいただいていると思いますが、いかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 ただいま御指摘の点は、いわゆる弁護士に隣接する、隣接法律専門職、そういうあり方だろうと思いますけれども、これがまた各国、制度がそれぞればらばらでございます。これをなかなか一律に比較をするということは困難な面がございますので、正確性、必ずしも担保できないという点はちょっと御勘弁をいただきたいと思います。現段階で把握している点について申し上げます。 今の御指摘の中で、司法書士に相当する職種、これは、そういうことで資格を与えているという例はないようでございます。 あと、弁理士について申し上げますと、アメリカでは弁理士に相当する職種はあるようでございます。また税理士も、税理士に相当すると見る職種もあるようでございます。これらを合わせますと、人員は大体十万人単位の方がおられるというふうに承知をしております。 また、イギリスについてでございますけれども、やはり弁理士に相当する職種はあるというふうに理解できます。税理士に相当するという職種があるかどうかというのはちょっと不明ではっきりはいたしませんが、大体数千人単位でこういう方もおられるということです。 フランスにつきましては、弁理士あるいは税理士に相当する職種はないということでございます。 それからドイツにつきましては、弁理士あるいは税理士に相当する職種はあるということで、やはり数万人の単位でおられるというふうに一応承知をしております。
○漆原委員 私の調べたところでも大体そんなところでしょうか。公認会計士に匹敵する職種はあるようですね。司法書士はない。それから、土地家屋調査士、行政書士、社会保険労務士、これもどうもないようですね。弁理士がちょっとわからない。不動産鑑定士もちょっとわからない。こんなことなんですが、弁護士は全部、税理士もそれから公認会計士もカバーしているようなんですね。 そうだとすると、この日本と諸外国の法曹人口を比べる場合に、こういう法曹関連資格という人まで日本に加えて比較の対象にすべきじゃないのかなと。日本は弁護士だけに限って数を出しているわけですけれども、諸外国にはそういう制度がもともとないわけで、ないところを弁護士がカバーしているわけですから、そういうところも入れて計算してみたらどうかなと思ってちょっと計算してみたのです。 日本の弁護士というのは一万六千三百四十人ぐらい、それから関連資格者というのが十八万一千百八十五名、合計しますと十九万七千五百二十五人だ。これを総人口一億二千五百八十万で割ってみますと、一人当たり六百三十八。ですから、法曹有資格者が一人当たり担当する国民の数というのは六百三十八名だ。そうしますと、アメリカでは三百三人なんですね、大体アメリカの二倍程度。さっきの比較ですと、アメリカの二十分の一ぐらいになっていましたね。これが実際二分の一ぐらい。それから、イギリスでは七百三名ということですから、イギリスよりも日本の方が多い。それから、フランスは千九百七十四名ということになっておりますが、フランスに比べても日本の方が六百三十八で三倍ぐらい多いというふうな結果になるんです。 先ほど調査部長が、日本もフランス並みにしたいんだ、あるいは倍にしたいんだ、こういう諸外国との比較、法曹人口の比較という観点で千名とか千五百名とかという数が出てきたんだというふうにおっしゃっていたわけなんですが、そうだとすると、この比較の基礎とする数がちょっと違うんじゃないかなというふうに思うんですね。 私、申し上げたように、法曹資格の関連者まで含めた場合には、日本はそんなにアメリカ、イギリス、フランスに劣っていない。むしろフランスよりも三倍もすぐれた数、たくさんの数を持って法的サービスをしているという数字が出るんですが、この点は、法務省いかがですか。
○山崎(潮)政府委員 ただいま委員の御指摘の数字があろうかと思いますが、例えば、先ほど申し上げませんでしたが、フランスでも公証人の果たす役割というのはかなりあるわけでございます。今委員御指摘の中に公証人の人数、含まれているのかどうかちょっとはっきりはいたしませんけれども、それぞれいろいろな職種がございまして、必ずしも単純にその数字だけでは比較ができないんではないか。 それからもう一つは、その隣接職務のところはございますけれども、やはりその分野に非常に限られるわけでございます。それから、裁判の代理をすることはできない。いろいろ制限もあるわけでございまして、そういうような専門的なもの以外のところについては、やはり弁護士が活躍するわけでございます。 そういう点も非常に大事なポイントでございまして、そこについて、やはり法的ニーズにきちっとこたえられているかどうか、そういう法曹人口があるのかどうかという点は出てくるわけでございますので、全体の数の比較で必ずしも単純には言えないということは御理解いただきたいと思います。
○漆原委員 いや、私が何を申し上げたいかというと、法務省の方から先ほど調査部長が、フランス並みにしたいんだ、せめて法曹人口をと。それから現在の倍にしたいんだという、まず数がこのくらいだということで、アバウトな決め方をしているんじゃないかなと。フランス並みにしたいんだ、じゃ、フランスの実態はどうなんだと見ると、日本よりも――比較が正確なのかどうか。 そういう決め方をしたとおっしゃったから僕は今申し上げたので、本来は、先ほど僕が申し上げたように、裁判官が幾ら、弁護士が幾ら、検事が幾ら、このくらい必要だからこのくらい、倍にして三倍にする必要があるんだという論法で数は出てくるべきであって、それを、せめてフランス並みにしたい、そういうふうなおっしゃり方で司法試験合格者を二倍、三倍にするとおっしゃったものだから、それはちょっとやり方としては余りにラフじゃないですかということで、今比較を出したわけです。 次に移りますが、先ほど経済界の方から要請があったということを法務省がおっしゃっていましたが、本当かなと思うのですね。現在でも顧問弁護士という制度があるわけですから、一カ月たしか五万円以上でしたか、顧問料を払えば、顧問弁護士ということで優先的に企業の相談にあずかって、一般の法律相談あるいは経営に関するいろいろなアドバイスができるわけですね。そういう制度を企業が利用して、それで足りないということなんでしょうか。いかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 先ほど申し上げた点でございますが、顧問弁護士としてやるということ、これは大体、企業はいろいろ現在もやっていると思います。ただ、外部におられる方にある特定の法律問題をお願いするのと、やはり中に入って、企業は日々活動しているわけでございます。その内部にも、法的な問題点あるいはもっと細かい点でもいろいろな法的な発想を要するところは多々あるわけでございまして、そういう点について、それじゃ顧問弁護士さんがおられるからと、一々細かいことをすべて相談できる体制かというと、必ずしもそうではないだろう。もう少し社内に入って、社内の機構を十分にわかった上、その法的問題点をきちっと把握できるという者が望まれているのだというふうに私どもは理解しております。
○漆原委員 そうすると、先ほど企業内弁護士という言葉をお使いになったわけなんですが、要するに弁護士が企業に雇われるということ。企業が望んでいるのは、弁護士をもう抱え込んじゃいたい、従業員として。抱え込んじゃいたいということなんでしょうか。どうですか。
○山崎(潮)政府委員 基本的にはそういう視点だろうと思うのですが、それ以外にも、やはりこれから高度専門化していく時代に、弁護士として、法律家の中で専門家、ある種のエキスパハートとか、そういうもののパイをふやしてほしい、こういうもちろん希望もあろうかと思いますけれども、基本的にはその企業内における法的な問題点のチェック、こういうニーズだろうというふうに思います。
○漆原委員 そうすると、弁護士が会社に雇われて、給料をもらって会社の仕事をする、こういう形態を企業が望んでいるという御趣旨だと思うのですが、それは大体一社で何人ぐらい必要とされているのか。現実に企業から要望があるのかないのか。今まで要望があった企業としては、経済界としては大体一社に何人ぐらいのそういう企業内弁護士を必要としているのか。その辺の御調査はされたのでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 経団連を通じて、そこの傘下の会社すべてという形ではやっておりません。ただ、個別にいろいろヒアリングをして、何社か当たりまして、その必要性等については調査をいたしました。 具体的な数字については、きょう数字を持ってきておりませんので、細かく申し上げることはちょっとできませんけれども、何社か大手の会社を聞いております。
○漆原委員 いや、例えば上場企業の会社でそういう要請がほとんどなのか、それともほんの一部なのか。ほとんどであって、大体企業内部に三人ぐらい必要だとか五人ぐらい必要だとか、そうするとおおよその数が出てくるのですが、そういうところは御調査されていないのですか。
○山崎(潮)政府委員 経団連といろいろお話し合いもしておりますけれども、まだその具体的数字、これについては私どもも承っておりません。
○漆原委員 顧問弁護士ではだめだ、企業内弁護士にならなければ使えないんだ。企業が何で弁護士を抱え込みたいのか。これは、企業が抱え込んでしまった場合には、その弁護士資格を持った人は弁護士をやっていけませんね。今、兼職の禁止という条文が弁護士法にあるわけですから。弁護士という資格をなくして、どういうことかな、司法試験合格者という資格で入る、しかし弁護士としての資格がないから裁判にも立てない、こういうことになるのでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 弁護士として資格がないわけではございません。許可を得れば企業内でできるわけでございますし、企業の訴訟事件についても代理はあるはずでございますので、非常に限定された中でやっていくということでございまして、別に資格がなくなるわけじゃない。ただし、そういう資格、能力を社内で生かしてほしい、そういう趣旨でございます。
○漆原委員 それから、自治体の方から、先ほど監査委員などの要求があるかもしれないということなんですね。現実に我々弁護士会も、ぜひとも弁護士の職域の拡大という観点から、都道府県、市町村の顧問弁護士に積極的に弁護士を送り込むべきじゃないかとか、あるいは外部監査の委員に積極的にならせてもらいたいということを弁護士会で申し込むべきじゃないかというふうな話が、弁護士会内部であるのですね。ただ、現実にまだその要請がないのですね。 どうなんでしょうか、将来ふやした場合には確実に、確実なのかわからないのでしょうけれども、実際に都道府県や市町村から外部監査委員として弁護士を要請したいというふうな要望が法務省に来ているのでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 この問題は直接法務省に来るわけではございません。自治省の関係だろうと思いますけれども、私ども直接に聞いたわけではございません、その要望を。 ただ、自治省を通じていろいろ話し合いをしているときに、自治体としてそういう希望が多い、だけれどもなかなか先生方もお忙しいので来ていただけないという実情もあるというふうに伺っております。
○漆原委員 どうも数の出し方が私はある意味では乱暴過ぎるのではないかなという感じを、そういう疑問をぬぐえないのですね。実際の需要を確認して、弁護士、このくらいの数ということではなくて、とにかく二倍、三倍にしょうという、そっちの方がどうも先行しているように思えてならないのですね。それはそのくらいにしておきます。 ただ、弁護士の格差というのが、都市と地方によって本当に弁護士の数の格差があることはよく私もわかります。調べてみましたら、東京、大阪で、全体の六〇%の弁護士がこの東京と大阪に集まっている。私の出身地の新潟県の佐渡には、私の同期なのですが、一人しか弁護士がいないのですね。そうすると、一人頼んでしまったらもう頼めないということになってしまうので、非常に不便は確かなのです。 ただ、そこに一人しかいないということは、ある意味ではそれだけ弁護士の需要がないという、あるいは弁護士事務所を張って経営していくには経営が成り立たないという、私は主に経済事情に理由があるのだろうと思うのですね。したがって、弁護士を二、三倍ふやしたからといってそういう地域格差の問題がなくなるのではなくて、むしろほとんどの弁護士が東京、大阪に集まるだろう、格差の問題はなくならぬだろうと思うのですが、この地域格差の問題についてはいかが手当てをなされるおつもりでしょうか、法務省。
○山崎(潮)政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど来、フランスの、人口に云々ということが出ましたので、ちょっとその点、御説明させていただきたいと思います。 確かに、最初の目標として、議論の出発点として、そういうことを行ったわけでございます。確かに、今委員御指摘のように、法的需要がどのぐらいあるかというのは、かなり、これはまた調査検討というのは非常に微妙な問題ですし、時間もかかる可能性がございます。 ですから、私ども、今、千人体制と、これは日弁連の方もそこまではまあいいだろうというふうに言っておりますし、その点は、その程度のものについては当然需要があるだろうと考えられますけれども、その先どうするかという問題につきましては、確かに、法的ニーズがどうであるか、世の中がどうなっていくかといういろいろな条件を考えながらやらなければいかぬということでございますので、仮に、その千五百人問題、昨年の三者合意でも、この千名体制の検証をしながら、その法的ニーズ等がどこにあるかということを把握しながらやっていこうという態勢をとっておりますので、必ずしも、最初にそう申し上げたからそれで突っ走るという趣旨ではございません。それはやはり、ニーズのないところにやたらに人をふやしてもしようがないという問題がございますので、その点は頭に入れて行動しているつもりでございますので、御理解をいただきたいと思います。 それから、弁護士の偏在の問題でございまして、ただいま委員御指摘がございましたけれども、確かに東京、大阪に六〇%の弁護士が集中している、あるいは、昨日大臣からもお話がございましたけれども、全国の市町村単位で見ますと、弁護士がゼロか一かというところが九一、二%ございます。ただいま御指摘のように、一では十分にニーズにたえられないわけでございます。民事事件は両方が必要でございます、刑事事件は仮に可能としてもですね。そういう点で、かなりいろいろ問題があろうかと思います。 それでは、そういう法的なニーズがあるところにどういういろいろな手当てをしていくかというところでございますが、じゃ、弁護士会の方でそういう地域に行ってくれと言っても、なかなか難しいところもあろうかと思います。強制することはなかなかできない。しかし、その国民の法的ニーズにいろいろな整備をしていって弁護士の足腰を強くする、あるいは法的ニーズにきちっとこたえるような政策を立てる、そういうことを伴いながら徐々に改善していくというほかないだろうと思います。 そういう意味では、法務省も、単にその法曹人口をふやしていくというのみならず、その周りを取り巻く制度についてもきちっと対応していかなければならないと考えているところでございますし、委員御案内のように一法律扶助制度につきましても、三月に研究会の結論を出して、今後、政策として実現させようということで、鋭意やっております。 それからまた、法務省といたしましては、規制緩和計画にもいろいろ盛られておりますけれども、平成十年度中に、弁護士事務所の法人化、これについての検討の結論を出すようにということでございます。また、弁護士とその他の例えば公認会計士だとか税理士だとか司法書士、こういうものの総合事務所、専門店から総合デパートへというような発想だろうと思いますけれども、こういうものについても一定の結論を出すようにということでやっております。またさらに、弁護士に対する国民のアクセスの問題で、弁護士が現在広告を規制されておりますけれども、これを緩和していくあるいは撤廃するというような点についても検討をしているわけでございまして、私どもといたしましては、鋭意、その結論を出して、法案化する必要があればやるということで、やっているところでございます。
○漆原委員 今おっしゃった、弁護士が多くなる、その弁護士の仕事をする基盤のまず整備をするというこの発想は、私、本当に大事なことだろう、こう思います。したがって、法律扶助、それから弁護士事務所の法人化、広告規制の撤廃の問題、ぜひやっていただきたいと思います。 あるいはさらに、僕は、弁護士法二十条三項で第二事務所の禁止が書いてあるのですが、ある意味ではこれ、ゼロワン地域には、例えば、私は新潟出身ですけれども東京で事務所を持っているわけですね、何とか、知人がいっぱいいるから、だれも弁護士のいないところに第二事務所を持つて、何人かいる東京の事務所から派遣していく、こういうふうな第二事務所を持てるようになれば、それもまた一つの有効な手段になるのではないかなということも考えていますので、この辺もひとつ御検討いただければと思います。 それから、法律扶助は本当に私、やっていただきたいと思うのですね。 ついこの前なのですが、国会の許しを得てオーストラリアに私、行かさせていただきまして、向こうで、法律エード、リーガルエードの事務所に行っていろいろな話を聞かさせてもらいました。そこはちょうど、幾つかあるうちの一つだったのですが、弁護士が事務長をやっておられまして、弁護士全体の年間収入のうちリーガルエードから得る収入というのはどのくらいの割合なんだということを聞いたのです。その弁護士によって格差はあるのですけれども、平均すると年収の半分くらいがリーガルエードからの報酬なんだ、こういうことを聞いてびっくりしまして、そうであれば、これは田舎であっても、余り訴訟事件がなくても、弁護士が拡散していっても何とか生活していけるんだなと、その分また国民の皆様が安心して弁護士に相談できるような体制になるんだなということを、感心して私、聞いて帰ってまいったわけなのです。 どうか、今、研究会の最終報告も終わったと聞いていますが、財政規模の問題が、大臣、一番大事な問題だと思うのですね。ですから、ひとつ大臣に頑張ってもらって、少しでも多くの予算をとっていただいて、たくさんの人がこの法律扶助を受けられるようになることを強く望みます。それによって弁護士も地方の方に行けるということになりますから、弁護士がふえても、格差の解消の一助になるのではないかなというふうな希望も持っておりますので、どうぞひとつよろしくお願い申し上げておきたいと思います。 それから、九年十月二十八日の法曹三者協議会の合意というのがありますが、ちょっとこれに付随してお聞きしたいと思うのです。 修習期間の短縮について最高裁は、司法修習は一年間で十分なんだ、より専門的な知識とか技法というのは、その後の自己研さんとか継続教育で身につければいいではないかというのを主張されて、日弁連はびっくりしたわけですね。これは、裁判官、検察官、弁護士の志望者がともに学ぶという現在のいわゆる統一修習というのは戦後の司法の民主化による制度である、したがって短縮というのは戦前の分離修習につながる方向であり、裁判官らの官僚化をもたらすということで、大変な反発を日弁連はしたと聞いております。結局、法務省が中に入って、一年半ということで今回決着がついたようなことなんですが、どうでしょうか、法曹一元という観点から見て、これまでの統一修習をどのように評価するか、将来ともこの統一修習を維持して、分離修習にはしないということになるのかどうか、法務省、最高裁からおのおの御回答をいただきたいと思います。
○下稲葉国務大臣 お答えいたします。 統一修習の問題、結論的に言いますと、私は、これは非常に大切な問題であるし、これは維持しなければならないし、将来にわたってもそういうふうにやるべきだと思います。法曹三者の合意もあるわけでございますが、基本的に、今から法曹に加わろうという人たちが、裁判官希望者あるいは弁護士希望あるいは検察官希望者が、同じかまの飯を食って、そして前期、後期あるいは実務の修習をやっていく、そういうふうなことで相互にそれぞれの立場を理解し合う、そしてそういうような中で広い見識を身に備えるというふうなことが、立派な法曹を育てるために私は大変大事なことだ、このように思います。
○堀籠最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 統一修習は、法曹三者のいずれの道に進む者も、法曹三者のそれぞれの実務と心構えを修得し、かつ他の立場からの事件の見方を学ぶことによりまして、視野の広さを養い、物事をより客観的かつ公平に見ることができるようにするものでありまして、意義がある制度であるというふうに考えております。 このように、統一修習はへ法曹養成制度の基本であり、質の高い司法を維持し、司法制度運営における法曹三者の平等な地位を保障するための制度であり、今後の法曹養成制度のもとにおいても維持されるものというふうな認識を持っているところでございます。
○漆原委員 わかりました。 修習期間が二年から一年半に短縮される、これはそのとおりでよろしいと思いますが、先回法務省の方で、一年半になっても決して質は落とさないのだということを何回かこの委員会で答弁されておりましたので、それもそのまま私、受け取っておきたいと思います。 問題は、いかに司法修習期間を充実させることができるかということが最も大事だと思うのですね。そういう意味では、法曹人として、本当に高度な専門知識とともに、国民の立場に立った高い倫理観、そして人権感覚あるいは柔軟な思考、豊かな人間性、こういうものがこれから本当に法曹人として要求されることだと思います。 そういう観点から、この法曹三者の協議会の合意をちょっと見ましたところ、前期修習及び後期修習のあり方という点について「法曹としての識見、法曹倫理等の修得を図り得るよう、修習の内容を工夫する。」こういう一項目があります。もう一つは、配属庁における実務修習のあり方について「法が対象としている社会の実相に触れさせる機会を付与する。」大変僕はいいことだと思います。 ただ、具体的にどんなことを法務省はお考えになっているのかをお聞きしたいと思います。
○山崎(潮)政府委員 委員御指摘のとおり、修習期間が一年半になる。でも、やはりその質は落とさないできちっと教育をしていくということは当然でございます。 私ども、今回この修習の理念につきましては、従来の訴訟実務、これを中心とした課程はあるわけでございますが、これに加えまして、やはり社会の法的ニーズがどういうところにあるのか、そういうニーズに関する基本的情報を提供する、いわゆる基本六法以外にさまざまな問題点があるわけでございますので、そういうものに対する情報を与えるというのが一つの新しいポイントでございます。それとともに、今御指摘のように、法曹としての倫理、法曹倫理、これを高めるような教育をしたいと考えております。 その法曹倫理の点についてでございますが、これは、じゃどういうことをやるのか、非常に難しいところはあるわけでございます。ざっくばらんに申し上げますと、やはり少し試験が受かりやすくなったといいながら、相当に難しい試験であるということは間違いございません。ですから、どうしても試験勉強だけの人生を何年かやってくるわけでございます。 ですから、そこからまず解き放して、じゃ何をやっていいか、どういう生き方をすべきか、いわゆるそういう点で少し余裕がなかったはずでございます。まずそういうところに目を向けさせなければいかぬだろう。人間性の一種の回復、そこまで言うとちょっとオーバーかもしれませんけれども、まずそういう視点は持たさざるを得ないだろうと思います。その上で、普通の人間に戻っていただいて、それからやはり司法の役割、これが公益的なものであるということ、これを自覚させるようなことにしなければいかぬ。 それから、やはり人の財産あるいは身体、生命を預かるような仕事をするわけでございますので、通常人に求められるよりもっと高い識見とか常識が必要になってまいります。そういうことをとにかく自己で磨き上げる、人から教わる面もありますけれども、そういうふうに自覚させるような教育をしていきたいということでございまして、具体的な内容については、司法研修所の教官会議の方でカリキュラムが決められることになりますけれども、一つの例としては、高い識見を持つ諸先輩、これは法曹に限らないで、いろいろなところの生き方をしてきた方もおられますし、あるいはいろいろな事例を与えて、それをディスカッションさせたり、その起案をさせたりとか、それはさまざまな方法があろうかと思いますが、この辺は重点を置いてやりたいと考えております。 それからもう一点、現地修習におけるものでございますが、これは大きく分ければ、社会の法的ニーズがどこにあるかということを実際に知ってもらおうというのが一つでございますし、もう一点は、やはり公共的な精神を養ってもらおうというのがもう一点でございます。 前者の問題につきましては、企業あるいは研究所、地方自治体、そういうようなところにお邪魔して、どういう問題点があるかをきちっと把握してくる。あるいは個人の問題であれば、法律扶助で行っております法律相談、こういうところに参加をさせて、やはり個人として、一般市民としてどういう問題があるか、声があるか、これをきちっと把握してほしい、こういうようなことを考えております。 それから、公共的な精神につきましては、ボランティア活動あるいは手話とか点字とか、そういうようなものに対する理解を与えるとか、それぞれの実務庁で工夫をしていただきまして、今私が言ったものに限られないわけでございますけれども、やはり目を社会に向ける、こういう視点で何かを取り入れてもらう、こういうことでございます。
○漆原委員 本当に試験に合格した人は希望に燃えているわけでありますから、鉄は熱いうちに打てということで、その時期に、しっかりとした人権感覚と、社会に奉仕するのだというその意識を植えさせていただきたい、こう思います。 論文試験の合格者の決定方法についてちょっとお尋ねします。 いわゆる合格枠という制度が平成八年の論文試験から実施されたわけですが、この結果を見ますと、通常枠の最下位合格者というのは五百四十二番だったのですね。自分の力で通ったという人が、五百四十二番が最下位だった。新しくできた制度によって、丙案というプラスアルファによって合格した人が二百二十六名いた。二百二十六名のうち一番最下位の番号は千百七番だったと聞いているのですね。 通常だと五百四十三番は不合格、こうなるわけですね。しかし、優先枠で試験を受けて三年以内の人、本来落ちる人が二百二十六名合格した。その最低の人は千百七番であった。これは大変な不合理ではないのかな、法曹となる資格に初めからこういう不平等、不合理があっていいのだろうかと私は考えています。 いろいろな必要性からこの制度が設けられたわけなんですが、ただ、今七百人体制になって、三年以内の人を見ますと、二百名ぐらい受かっているわけですね。ですから、既に、五百人体制から増加した分、若い人が受かっているという観点で見ますと、千人になってくるともっと若い人が受かるだろう、こういうふうに思いますので、ぜひこの制度を一日も早くやめるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 合格枠制の問題でございますが、委員御指摘のような数字の問題がございます。 ただ、私ども、この制度は受験三回以内の者について枠を設けているわけでございますが、だれでもこれは利用できるということで、そういう意味では平等である。そのパスを使える間に受かればそのパスが有効に生きるわけでございますが、残念ながら使えなかった方はそうではないということになります。これは、全員平等に与えられるという意味では、不合理な制度かと言われると、そうではないだろうと思っております。これはかって弁護士会も合意した上で導入したものでございます。そういう意味で、その点だけはまず申し上げておきたいと思います。 ただいまございましたいろいろな意見、御指摘につきましては、確かに三者協議会でも弁護士会から強い要望がございました。本来、かつての合意でいきますと、この合格枠制については、平成十二年度の試験結果を見て、その上で存続させるか撤廃するか別途の方法をとるかということを議論しましょうということになっておりましたが、今回、いろいろ御指摘もございました。そういう点で、平成十二年度まで待つことなく、法曹三者でもう一度、すべての、いろいろな問題点、法曹選抜のあり方、広くとらえて議論をしていこうということで合意をいたしました。 そういう点では、法務省としては前向きな姿勢で臨んだということを御理解いただきたいと思います。
○漆原委員 最後に一言だけ申し上げておきたいのです。 今回、弁護士会が研修弁護士制度という案を提案したわけでございますが、この制度、法曹一元という観点から見て、司法修習終了後に全員が一定期間弁護士としての研修を行う、検事になる方も裁判官になる方も弁護士の実務を行ってもらうという案でございますけれども、これは法曹一元の一里塚として私は高く評価していいのじゃないかなという感想を持っておりますので、どうかこれに対して積極的な方向で御検討いただけますようお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○笹川委員長 達増拓也君。
○達増委員 自由党の達増拓也でございます。 本日は私、法務委員会、初めての質問でもございまして、まず本題に入る前に、あいさつがわりというのも妙でございますけれども、今国民的に非常に関心が高い一連の金融不祥事問題に対します検察の活動につきまして、一言申し上げさせていただきたいと思います。 総会屋不正利益供与事件以来、銀行、証券、さらに大蔵省、そして日銀、また政治家と、燎原の火のごとく広がっていった金融不祥事問題であります。一つ一つの事件が前代未聞というようなものだったわけでありますけれども、それが次から次に起こってまいりまして、その全貌を把握するのも困難というぐらい大変大きいことであると思います。 今、三月から四月、人事異動の季節ということもありまして、検察の活動について、報道等を見ておりますと、ひところより小休止状態のような格好にも見受けられるわけですけれども、この際、本当にこの問題については徹底的にやっていただきたいというのが国民の思いであると思います。 今まで頼ってきた政官財のトップ、中枢、そういったものが音を立てて崩れたということで、国民全体にとって非常にショックもあったわけでありますけれども、ただ同時に、日本が二十一世紀に向かって力強く前進するために必要なルールの大切さでありますとか、しかるべき地位にある人の責任の重さでありますとか、そういうものを確認し、日本の政治、経済、社会にわたりますシステム改革を進めていくためのそういう方向性を国民が確認することができた、そういう意味で非常に意義のある展開になってきていると思います。 国民の関心も非常に高まりまして、検察の活動、取り調べですとか、いろいろな細かい一つ一つのことについて報道されるようになりましたし、またそれに国民が関心を持ち、さらに報道が加わるといったことになっているわけでありますけれども、そういう社会全体の動きを見ておりますと、もう一押し頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。 もちろん、何もないところで無理に仕事をつくってやっていただくわけにはいかないわけでありまずけれども、どうもまだ、何もないわけではない、かなりのものが政治の世界にも、また官、財のところにも残っている、そういう国民の疑惑と申しましょうか、国民の疑問に対しても正面からこたえていくようにやっていただきたいと思います。 ちょうど一週間前の四月一日、参議院の予算委員会集中審議でも、自由党同僚議員の方からそういう趣旨の質問があって、一層頑張ってほしいということだったわけですけれども、こちら、衆議院の方でも、改めてそういう主張をさせていただきたいと思います。 これについて質問通告を事前にしていなかったのですけれども、もし可能であれば、政府側から決意等ちょうだいできればと思います。
○下稲葉国務大臣 検察の仕事は聖域があるわけではございませんし、法と証拠に基づいて事件を処理していくもの、このように思いますし、粛々と淡々とやってくれるものだと思いますし、私は検察を信頼いたしております。
○達増委員 ぜひ国民の期待にこたえるよう頑張っていただきたいと思います。 さて、本題に入りまして、裁判所法及び司法試験法それぞれの改正案でございますけれども、今も金融不祥事問題と絡めて述べましたように、政治、経済、社会、すべての分野で抜本的なシステム改革が今求められているのだと思います。改革が求める先にありますのは、責任ある個人が自由な自己実現を目指すことができるそういう世の中でありまして、その自由の実現のために重要なのは、個々人が責任を果たすためのルール、準則、そういう明確で透明なルールに基づいて動く世の中をつくっていくことだと思うわけであります。 その意味で、法曹の果たす役割が極めて重要なわけであります。今までの日本は、改革が必要な状態、つまり、まだまだ個人の自己責任原則でありますとか明確で透明なルールに基づいた、これは政治でも行政でも経済でもそうなんでありますけれども、そうしたことがなかなか完全に徹底していなくて、そういう日本の社会状況を反映し、法曹の果たす役割も小さく封じ込められていた点があるのだと思います。 この際、法曹ビッグバンということで、ビッグバンという言葉、大胆に規制を緩和して、今まで封じ込められていたところを大きく開放、成長させて、新しい社会づくり、牽引を担っていく、そういう意味で、法曹の分野におきましても、新しい日本社会をつくっていくために大きく飛躍してほしいと思うところでございます。 その法曹ビッグバンということで、一番わかりやすいのが法曹人口の拡大ということで、今回法改正して司法試験合格者千人体制に持っていくということなわけであります。規制緩和ということでいえば、政府の規制緩和推進委員会の方の答申では、司法試験合格者を早く千五百人にしてほしい、特に経済界の要求等を踏まえたものなわけでありますけれども、社会的なニーズとして合格者千五百人体制を早く実現してほしいという意見がある中で、まず今回は千人体制にするということなわけです。 先ほどの漆原委員の質問に答えて、政府答弁で、まずとりあえず千人体制をつくる、それ以上の千五百とかいうニーズがあるかどうかは、ます千人体制にして探っていくということなんですけれども、かなり千五百というニーズはあると見ていいと思うのですね。朝日新聞の社説にも、千五百というのが最低ラインだという指摘もありまして、その意味で、今回千人でいくというのは、その研修体制の制約といったような実務的な理由からなのかなとも思うわけですけれども、それと別に、やはり合格者数を大幅にふやすことについて何か懸念があるのかどうか、その辺についてまた改めて伺いたいと思います。 〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
○山崎(潮)政府委員 法務省の立場といたしまして、中期目標として年間千五百人ということは前々から申し上げてきております。 今回、千人ということでございますが、これは、とにかく法的需要にこたえなければならないという点で喫緊の課題であるということで、現地の受け入れ体制、指導あるいは建物、いろいろございますけれども、そういう現状の体制の中で最大限早くできるのが千人だということから、千という数字を選んだわけでございます。 ただ、これは、現在の教育システムをそのまま維持しながらということでやりました。今後、千五百人、こういう需要はいろいろ出てくることになろうかと思いますけれども、ただ、それじゃすぐにそれにこたえられるかということになりますと、今度千五百人になったときにはその教育体制を今のままできるのか、また別途の方法を考えなければならないのか、要するに教える側の体制もきちっとしなければならないということがございます。 一たん千人にして、どういうふうに多くなった人たちを教えていくかというノウハウも検証しながら、将来的にこの延長でいけるのか、別途の方法を考えざるを得ないのか、そういう点もよく検証した上でやりたいということから、中期目標としてまた議論はいたしますけれども、そういうことで将来に託している、こういうことでございます。
○達増委員 研修体制あるいは教育する際に対応できるかという問題があるとのことですけれども、ニーズが非常にあるのであれば、それに対して対応できる体制をどんどんつくっていかなければならないという考え方もあると思うのですね。 そのニーズの面についてもう少し質問しますと、この点、先ほど漆原委員も指摘していたのですが、フランス並みの法曹人口ですね。人口に対する比率をフランス並みにふやしていくべきではないか。またさらには、もっと極端にアメリカ並み。これは、フランス並みにふやすには大体四倍くらいふやさなければならないのですが、アメリカ並みの人口比にするにはざっと計算して二十倍くらいふやさなければならないということになるわけであります。これは、日本社会が今後どういう社会になっていくかという全体的な視野から考えなければならないところもあると思うのですけれども、そのような何倍もふやしていかなければならないという考え方については、政府はどう考えていらっしゃるでしょうか。
○下稲葉国務大臣 いろいろ御意見を承りました。お答えいたしたいと思います。 ニーズがあればそれに対応する私どもの準備といいますか、施設の問題なりあるいは教官の問題なり指導員の問題なり、いろいろこれは考えていかなくてはならない、このように思います。それと同時に、他面、立派な方をたくさんいただきたいというふうな側面の懸念もないわけではないわけです。 そこで、御参考に申し上げますと、平成八年度のいわゆる司法試験の出願者が二万五千四百五十四名でございまして、合格者が七百三十四名、合格率は二・八八%でございます。平成九年の出願者が二万七千百十二名でございまして、最終合格者が七百四十六名で、二・七五%。ですから、一昨年より昨年の方が厳しかった。一般職の公務員、上級職の公務員の受験者数が横並びか減少傾向だということでございますけれども、平成十年の司法試験の出願者総数は今集計中でございますが、三万名を超しているということは確実のようでございます。 したがいまして、そういうようなことから申し上げますと、一応千名体制ですが、来年は差し当たり八百名というふうな形でいきますので、質的な問題といいますか、合格率の点からいいますと、そう易しくなるわけでもないのではなかろうか。そういうふうな面では何とかいけるのではないかというふうな感じがいたします。 それから、今おっしゃいましたニーズの問題に今度はなるわけでございますが、お話しのように、国際化が大変進みます。国際比率の問題が先ほど議論されましたけれども、実際のニーズがどういうふうなことかというふうなことで議論していきますと、これは規制緩和が進み、自己責任というふうな形になりますと、私は現在の国民の感覚からいいますと、司法といいますか、法曹というものに対する見方がやはり大分離れたところにあるのじゃないかというような感じがするのですよ。先ほど政府委員からホームローヤーというふうな話も出ましたように、身近にいろいろな法律関係等々について相談できる人がいるような社会、こういうような社会に進まなければならないのじゃないか。他面、アメリカみたいな訴訟社会というのもこれはいかがなものかという気もしなくはありません。 そういうようなことからいいますと、今お話がございましたように、全国で三千二百の市区町村があってへその中でお一人も弁護士さんがいらっしゃらないところが二千八百を超しているのですね。そういうふうな状態で、そして過度に集中してきている。だから、その辺のところがらも、やはりそれは何とか、職業の自由でございますから、おれは東京だ東京だというふうなこと、それはやむを得ないのかもしれませんけれども、そういうふうなことに対する我々のアプローチの仕方というものももう少し考えていかないといけないのじゃないかな。 要するに、身近に法曹というものを感ずるような形の施策というものを、我々果たしてどういうようなことがあるか、いろいろ政府委員からも説明ございましたけれども、そういうふうな形で進めて、国民の身近に法曹というものを感ずるようになる、それに応じた法曹人口の問題なりなんなり出てくるだろう、こういうふうに思います。 そういうようなことで、とりあえず法曹三者でいろいろ議論いたしまして、将来構想としては千五百名というものを視野に入れながら、当面千名体制でやってまいりたいというふうなことで法案をお願いいたしておるというふうなことでございます。
○達増委員 国民に身近な法曹ということで、今思い出したのですけれども、ちょっと前、NHKの朝の連続ドラマで「ひまわり」という、弁護士を目指す女の子の話があって、弁護士さんを主人公にしたドラマというのはよくあったのですが、大体事件物だったりして、社会に出るに当たっていろいろな事件に巻き込まれて、法曹を志して、司法試験を受けて、それで司法修習を受けてとか、そういうところがきちっとドラマとして描かれたのはあれが初めてだったのじゃないかな。そういうものがああいう非常にポピュラーな番組枠で放送されるというのは、大分世の中の関心も、親しみの度合いも強くなってきているのかな。総理大臣を主役にしたドラマ、民放が放映したのですけれども、あれは何かさっぱり評判がよくなかったという。そういうのに比べますと、法曹に対する期待の高さの方が高いのかなと思うのですけれども。 司法試験受験者がどんどんふえて三万人になる、その中で二・七五%しか合格しない、それでも三万人が挑戦するというのは、法曹ニーズ、法律サービスを受けたいというニーズのほかに、法曹になって、法律家になって、そういうサービスを提供したい、働きたい、そういう労働する側のニーズもまたこれは非常に高いということの反映なんだと思うのですね。 私も、大学の同級生、友達等々、司法試験を目指す人たちをたくさん知っているのですけれども、一つの考え方なんですけれども、この際、司法試験合格者を五千人とか一万人とかどんどんふやしまして、他方、とりあえず司法修習者は千人とか千五百人とかいう体制でやる、そういうやり方もあるのではないかと思うわけです。 つまり、直ちに法曹への道に司法修習を経て進めないとしても、まず司法試験合格ということで、一種資格を取れば、これは就職にも有利になるでしょうし、企業の法務部ですとか、あるいは公務員になっても特に法律関係のところで活躍していくとか、社会に法律に強い人材をどんどんふやしていくに当たってかなり有効な手段じゃないかと思うわけですね。合格者を万単位出し、司法修習を受けられるのはその上から千人、千五百人、こういうことは、その修習の体制、教育の体制ができなくてもすぐできる話だと思うのですが、この点、いかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 今委員御指摘の中に、企業に就職する場合に司法試験の短答式に受かっていることが非常に箔になる、有利になるという声もいろいろ聞いたことはございます。 今後、なるべく多くの法曹を世に輩出しようということでございますけれども、今委員御指摘の考え方というのは、法曹の試験としてその性格を大きく変えていくという発想になるわけでございまして、一つのあり方として私どもも頭に入れておきたいと思いますけれども、直ちにこういうことが実現できるかどうか、いろいろな諸条件を考えなければならないし、また、そういうニーズが本当にどういうふうにあるのか、そういう調査もしなければならないだろうというふうに思いますが、御提言として頭に入れておきたいと思っております。 〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
○達増委員 政治改革とか経済構造改革とか、社会システム、あちこちの分野で大胆な改革が求められているところでありますので、法曹の分野についても大胆に取り組まれることを期待したいと思います。 次に、司法修習制度の関係の質問をさせていただきたいと思います。 司法修習体制が一種ネックとなってなかなかそう簡単に法曹人口をふやせないということで、今回も、期間短縮という措置で何とかふえる合格者に対応ということになっているわけでありますけれども、その期間短縮というのはもう恐らくこれが限界で、さらに千五百人体制とかもっと万単位まで目指していくとかを考えれば、司法修習体制についても抜本的な改革をしなければならない。 その際、一つの考え方としては、企業がよくやるアウトソーシング、外部委託、今の修習でも、司法研修所のみでやっているわけではなく、地方の裁判所とかいろいろなところでやっているわけでありますけれども、さらにこれを、大学ですとかあるいは法律予備校とか、民間のそういうきちっとした教育研修等を行えるようなところにどんどん委託していくことも考えられますし、国の方の司法修習体制を急に増加できない、あるいはするのが適当でないとかなれば、そういう民間委託という道があると思うわけですが、この点、いかがでしょう。
○山崎(潮)政府委員 ただいま委員御指摘のように、司法試験の合格者をふやしていった場合に、修習体制をどうするかという点は抜本的に考えざるを得ないだろうと思います。 一つ、アメリカでやっているロースクール方式とか、こういうのもあるわけでございます。これはまさに民間でやるという形になるわけでございますけれども、今の御指摘は、それに至らないまでもいろいろそういうことを活用したらいかがかというふうに受けとめますけれども、例えばドイツの司法修習の場合に、行政庁とかいろいろなところでそこの修習を受けてくるとか、あるいは海外、許可を受けて、日本にも時々参りますけれども、日本の裁判所、検察庁等を見て、それを単位と認定するとか、さまざまな方法は世界であるわけでございます。 今御指摘の点、将来の考え方として、大学院で一定のものを学んでくればそれは研修所でやった単位とみなすとか、そういう発想というのはこれから頭に入れていかざるを得ないものであろう。 ただ、予備校がいいかどうかということになりますと、そこは若干今のところはちゅうちょを感ずるわけでございますが、今後そういうような委託の方法とかいろいろな問題を頭に入れて修習の方法を考えていかなければならないということで、貴重な御提言として受けとめたいというふうに考えております。
○達増委員 各種法律予備校については、今現在は司法試験の受験ということに専念してやっているわけで、その意味では、法曹の研修教育には今すぐ直ちには使えないかもしれませんけれども、ただ、一たびそういう予備校にも外部委託ということになれば、民間ですから、そういう体制をすぐにも整えて、もしそういう体制、司法試験受験以上の高度な教育もできるという話になれば、また企業の法務部とかが社員をそういうところに派遣するとか、そういう新しい法律関係ビジネスの開拓にもつながるのではないかと思うので、そういう可能性も検討に値するのではないかと思います。 さて、今回、期間を短縮する一方で、新しい時代に合わせた司法修習制度にしていくということでの改正案になっているわけであります。いろいろ議論があった中で、統一修習制、法曹三つの分野、統一修習という形は維持されるわけでありますけれども、弁護士、裁判官、検事、キャリア上どの程度流動性があるのかという実態を見た場合に、それぞれの専門性がかなり現代社会のニーズとして求められている傾向もあり、それぞれ独自の修習の可能性というのはかなり根拠のある話ではないかと思うのですが、そういう中で統一修習の必要性というのがどこにあるのか。これはそもそも論ですけれども、確認したいと思います。
○山崎(潮)政府委員 統一修習の理念でございますけれども、法曹三者が司法のそれぞれの担い手として国民の負託にこたえていく、そのために、自分がどこへ行くか、そういう自己の進路にかかわらず、法曹三者はそれぞれの実務あるいはその心構えとか考え方、こういうものを修得しておく、他の立場をよく見ておくということが将来の法曹のあり方として非常に客観的に物も見られることになりますし、視野も広がってくる。そういう点が非常に大事だということから導入されているものでございます。 先ほど来私どもから申し上げておりますように、この理念は大変重要なものと受けとめておりまして、今後も継続していきたいと考えております。
○達増委員 この司法試験合格後の司法修習の話からはちょっと外れるのですけれども、法曹三者、三つの分野のそれぞれについて、実務上、経歴を重ねるにつれてより専門的な、より高度な研修に対するニーズというのが出てくると思うのですね。裁判官、弁護士、検事、それぞれ十年、二十年やっていくに従って、それなりの個別な、専門的な研修のニーズが出てくる。これについて、今現在それぞれの分野でどのようにこたえているのか、伺いたいと思います。
○原田(明)政府委員 まず、私の方から、検事の任官後の研修という点でお答えをさせていただきたいと思います。 検察・法務におきましては、ますます複雑高度化、また困難化している犯罪情勢に的確に対処をするためには、各検事の法律知識、捜査あるいは公判等、いわば専門的な実務能力の向上と、それに加えまして、一般的な教養と申しますか、社会のあり方というものに対する知識、それに対する考え方というものについての素養を涵養していくということが大変大事だろうと思います。 そういう意味で、日常の執務の中で個々の検事に対する指導を行う、これはいわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングということで、やはりある面で、それぞれの事件に対する取り組みを通じての知識あるいは能力の涵養ということが大事でございます。 それ以外に、御指摘の点に関係するわけでございますが、各検事の実務経験またはその能力に応じまして、段階を追ってかなり多様な研修を実施させていただいているところでございます。 具体的に申し上げますと、検事として任官いたしますと、当初一年間は指導期間といたします。そして、四月に任官いたしますと、約二カ月半、これは、浦安にあります総合センターにおきまして集合的な教育をするとともに、東京地方検察庁におきまして実務訓練をいたします。そのような総合的、集中的な教育を実施した上で、その後、翌年の三月までの九カ月半は、東京地方検察庁以外の、各地の比較的規模の大きい地方検察庁に配置いたしまして、まさに捜査、公判の実務を行わせまして、その中で基本的な知識、素養を身につけてもらうというふうにプログラムをつくっております。 その後も、経験年数に応じまして、検察実務一般についての知識、技能に関する各種の研修、また、特に、非常に複雑な知識を要求されます知能犯事件等の捜査、公判についての専門的な知識あるいは技能に関する研修をやらせております。 その中には、例えば脱税捜査ということになりますと、かなり専門的かつ特別な配慮が必要と申しますか、経験を積みませんと取りつきにくいという点がございます。そういう面では、例えば、そういう事件が比較的多くある庁に、いわば応援という形で若い未経験な検事を派遣いたしまして、実際の実務につかせてその能力を涵養するというようなこともございます。 それ以外に、だんだん経験を積んでまいりますと、検事はいわば職場の中で管理的な職務につく必要がございます。そういう意味では、職場管理等についての知識、技能に関する研修を実施させていただいております。 また、特に、若手の検事を対象に、最近では諸外国の大学あるいは捜査機関等への派遣をいたしまして、在外研究をしてもらうことも実施させていただいております。これは、外国法制やその運用に関する調査研究とともに、いわゆる国際感覚を涵養してもらう。そういう意味で、国際化する法務・検察のニーズに合えるような検事にぜひ育ってもらいたいということで、努力をさせていただいている次第でございます。
○堀籠最高裁判所長官代理者 裁判官の研修の関係について、御説明を申し上げます。 委員御指摘のとおり、複雑高度化する現代社会の要請にこたえて適正な裁判を行っていくためには、裁判官各自が社会の実情一般にも広く通じ、広い視野と高い識見を身につけるよう努力していく必要があると考えているところでございます。このような自己研さんの一助とするために、裁判所といたしましては、かねてから裁判官の研修制度の充実に努めてきているところでございます。 例えば、裁判外の世界で生きた社会現象に接し、裁判所を外から見る機会を与えるために、比較的若い裁判官を中心に、報道機関でありますとか民間企業等において研修を行い、あるいは行政官庁に出向させております。 また、裁判官が日本を出て異なる文化に接し、多角的に日本の裁判のあり方を見詰め直す機会を持つことも極めて有益であると考えておりまして、毎年多くの裁判官を海外に派遣しているところでございます。 また、裁判官の能力の向上のために、従来から任官後の節目節目に、司法研修所という裁判官の研修をするところがございますが、ここにおいて、実務と理論の両面における能力の向上及び裁判官に求められているもろもろの知識の修得を目的とする、一貫した合同の実務研究の機会を設けております。このほかにも、適宜研究会を開催し、法律以外の問題に関して勉強の機会も設けているところでございます。 さらに、各庁におきましても、定期的に外部講師を招くなどして、関連諸科学の研究、裁判実務に有益な知識の吸収等の機会を設けたりしております。 今後とも、裁判官の視野を広げ識見を高めるために、委員御指摘の点を踏まえて、経済や社会の実情に対する認識等を深めることができるよう、さまざまな措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
○達増委員 今のそういう研修体制へわかりました。 もう一度、司法試験合格者に対する司法修習の話に戻りますけれども、最近、経済や科学技術等の分野でかなり専門的な知識が法曹関係者にも求められる、経済事件ですとかあるいは特許訴訟ですとか。これらを踏まえて、司法試験合格直後の司法修習のあり方としても、この点を踏まえてやっていくのかどうか、質問したいと思います。
○山崎(潮)政府委員 今回審議をお願いしております新しい修習体制というものにつきましては、従来の法廷実務の修練、これに加えまして、社会の多様なニーズにこたえるために、その基本的な情報を提供して教育をしていくということが一つ の目的になっております。 具体的なカリキュラムにつきましては、最高裁判所の中で教官会議がございます。そこで決められていくことになろうかと思います。現在検討中でございますけれども、例えばでございますが、会計学だとか知的財産権だとかそういうもの、あるいは、前から問題になっております行政法、労働法とか、その周辺というか、必要となる情報、こういうものについて教えていくということももちろん考えられるわけでございます。有識者による講演だとかあるいは講義だとか、さまざまな方法はあろうかと思います。そういう視点で、現在最高裁の方でその内容を詰めているというところでございます。
○達増委員 専門的に深く教育することと、また、いろいろな専門を広く教えること、その辺のバランスは難しいとは思うんですけれども、せっかく国のお金、税金を使ってやる修習ですから、できるだけ効率的に、効果的にやっていただきたいと思います。 次に、せっかく税金を使ってやるのだからできるだけ効果的、効率的にという観点から、ちょっと私疑問に思っているのは、新しい修習のあり方として、社会の実相に触れさせる機会を付与するということになっていて、一般人、社会人として常識的なことを教えるのかなというふうに解釈しているんですけれども、自己責任の原則が重要になっていく世の中、その中でルールが重要になって、法曹も大事になっていくわけでして、社会人としての常識を身につけるということは、やはりこれは自己責任の範囲内で、たとえ学生であれ受験生であれ、これは自分の責任でやっておく話で、国に頼ってそういうことを身につけるというのはどうもおかしいんじゃないかと。またかえって、そういう世の中のことについては司法修習の中で勉強できるから、それまでは受験に専念していればいい、そういう誤った考えも導きかねないわけですし、せっかく一年六カ月に減らして効率的、効果的にやっていくということであれば、その辺どうなのかなと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 ただいま御指摘の点、自己責任でいろいろやっていくという点については、今後の社会を考えれば、私も同感できるところがございますし、そういう面もあろうかと思います。 ただ、今回新しい発想で、社会の実相に触れさせるということの内容を入れ込んだのは、今委員は、ボランティア活動とか、その辺のところを意識されているのではないかと思います。 仄聞するところによりますと、教員の試験の条件として、一定のボランティア活動をしてくることというのが導入されているようでございますが、確かに、そういう面ではわからないわけではないんです。ただ、私ども考えているのは、やはり修習生として全員同じ立場に立って、社会のニーズがどこにあるか、こういうことも見てくるということ、実際に聞くということも考えているわけでして、企業とか研究所とかあるいは法律相談に立ち会ってとか、こういうことになりますと、全くフリーの立場で個人的にやれるというものではございません。やはり修習生の身分があって、その上でそういう機会が与えられるということになりますので、おのずといろいろな問題、限度があろうかと思います。 それから、私は、ボランティア、これは大変重要なことであろうと思いますけれども、個人の資格でやる、それは当然みずからの判断でやるということはございますが、やはり修習生になって、公的な仕事にちゃんとつくんだよ、そういう意識をある程度持ちながら見ていくということもまた別途の有効性があるだろうということで、総合して、やはり修習生の立場になってからさまざまなものを教えていくということは必要であろうと考えております。
○達増委員 せっかく新しい修習のあり方ということでやるわけですから、それまでの人生の中で普通にやっていたのでは体験できないようなこととか経験できないような、そういう司法修習ならではの内容としてやっていただきたいというふうに思います。 さて次に、司法試験の問題、中身について幾つか質問をしたいと思います。 今、司法試験予備校中心の受験体制というのが隆盛といいますか全盛をきわめておりまして、極めて異様な受験環境になっている。この点、昔から指摘されているわけですけれども、なかなかいろいろな議論があるわけであります。やはり、そういう予備校で一種機械的に行うパターン暗記のようなものが効果的な試験内容になっているのではないか、一定のパターンを繰り返し練習することによって合格が可能になるような内容になっているのではないかという疑問がわくわけでありますけれども、この点、いかがでしょうか。
○但木政府委員 司法試験は、裁判官、検察官または弁護士となろうとする者にとって必要な学識と応用能力を試す試験、こういう定義がなされております。 委員御指摘のとおり、記憶中心の試験にならないようにこれまで随分工夫を重ねてまいりました。特に、合格者をふやさないで、試験の問題だけで何とか長期受験を防ぎたいという時代がございまして、この時代は本当に、司法試験の試験委員の人たちが物すごく苦吟しながら問題を考えたわけでございます。昭和六十年代からそういう努力を重ねたんですが、結局、なかなか難しゅうございました。 現在、合格者増と合格枠制の併用をしておりまして、その中でできるだけ、推理力とかあるいは応用能力というものを試すような試験を実施しておりますが、正直申しまして、非常に新しい工夫をした問題を出しますと、翌年には予備校で、その新しい問題傾向に応じたパターン化をいたしましてこれをまた教えるというようなイタチごっこの点がありまして、非常に難しい問題ですが、今後とも、できるだけ受験者のそうした応用能力、推理力、判断力というようなものを問えるような試験の工夫を重ねてまいりたい、こういうふうに思っております。
○達増委員 日本の予備校ビジネスというのは、一般大学受験等も含めて、恐らくこれは世界に冠たるものであって、輸出できないのが残念というくらい国際競争力も高いものだと思うので、そういうところと競争しながら試験問題を工夫していくのは本当に大変なことなんだとは思います。 ただ、受験生の立場から考えたときに、特に論述試験の場合に、答案の書き方ということで非常に悩むわけです。自分なりの、クリエーティブな、創造的なやり方で自由に書いていいものかどうか。大体、そうやって悩む受験生に対し、予備校は、こういうパターンで答案を書けば必勝だという、そういう必勝パターンとかをどんどんつくって流布しているわけですね。 この背景には、司法試験の、模範解答はもちろんですけれども、採点基準とかそういうのが明らかにされていないがゆえに、そういう予備校が提供する必勝パターン、答案の書き方というものが一種神話化して、これなら大丈夫だそうだとかこれじゃなきゃだめだそうだとか、それで受験生がそれに飛びついていくということもあると思うのですね。 そういう意味で、せめてその採点基準等を、ガイドライン的にでもいいのでしょうけれども、その辺を明確化することで、受験生も個人の判断、自己責任で答案を書いていけるようになると思うのですが、この点、いかがでしょう。
○但木政府委員 この点についても種々の考え方はあろうと思います。 ただ、正直申しまして、採点基準、模範解答を明らかにするということは、今まで予備校がやっていたことを、言ってみれば、公定教科書みたいなものをつくるという話になりまして、こういう採点基準なんだということを前提にして、今度は予備校がその採点基準に応じた答案のパターン化をするだろうということが予想されるところでありまして、その点については、もう長い間、司法試験の考査委員の中で論議が重ねられてきております。 情報公開化時代でございますので、そういう問題意識も持ちながら、なお何が今後の司法試験にとってよりよい方向なのか、さらに検討をいたしたいというふうに考えます。
○達増委員 私は学生時代、民法の不法行為のところの授業をサボって、予備校が出している必勝パターン集に頼って勉強して、ぶっつけで受けて不可をとったという苦い経験がありまして、結局、真剣勝負になったときには、やはりそういうパターン暗記ではなくて、自分の力が大事だということを実感として感じていますので、受験生も、そういう意味で本当に、自分の力を信じて、自分の中で答案のパターンを豊かにできるような形の勉強をどんどんしていけばいいとは思うのですけれども、受験生が得をするというか、栄冠に輝くようなそういう司法試験の体制を工夫していってほしいと思います。 さて、次に、受験資格の問題、受験回数制限の問題ですけれども、今回の法改正には取り入れられていないわけでありますが、受験回数制限の問題が議論されているわけであります。 この点、若いうちに合格させたいという気持ちから主張されているのでしょうけれども、他方、いろいろな志望動機の多様性とか受験姿勢の多様性、ある程度社会で仕事をしながら受験をしていきたいとか、いろいろな実務経験をした上で、ある程度年をとってから受験する、また、若いころ何回も挑戦してだめだったけれども、いろいろな仕事を経て、年をとって、また新たな気持ちで受験する、そういういろいろなパターンの受験する側の事情に合わせると、受験回数の制限というのは問題があるのではないかと思うわけですけれども、この点、どう考えておりますでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 委員御指摘のように、さまざまな人生があるわけでございますから、その中からいろいろチョイスを与える、多様な人材を法曹に導くということについては私も賛成でございます。 今、受験回数制限ということで言われたわけでございますけれども、これは世界各国でも結構これを設けているところが多いわけでございます。その受験の回数内で、例えば五年なら五年ということで全部使い切る、これは平等であろうかと思います。ただ、これも一律にやりますといろいろ問題がございますが、考え方でございますが、一たんそこでパスを失いましても、それから何年かしたらまた再チャレンジの方法を与えるという制度をとっているところもございますし、そういう点をクリアすれば必ずしも不合理な制度であるということには私はならないというふうに思っているわけでございます。 これは、今法務省の方としましては合格枠制というものをやっているわけでございますが、この制度を導入する時点で、やはり五回の回数制限というものも議論の対象になったわけでございます。ですから、あながちおかしなものではないというふうに私どもも考えております。 ただ、こういうものを導入するかどうかという点につきましては、法曹全体の、法曹試験のあり方という問題とも密接に絡んでまいりますので、またそういう点については、導入すべきか否かということについてはまたきちっと検討してまいりたいというふうに思っております。
○達増委員 今の日本の現状で回数制限というのがちょっと気の毒だなと思うのは、やはり何回も受けないと合格しないとか、何回も受けた方が有利だとか、そういう考え方とか、実際そういう経験をした人が多いということも理由になると思うのですね。 その意味で、試験の一部免除という考え方、これも今回の法案には入ってはいない話なんですけれども、いろいろ議論されているところで、別途、いろいろな法律関係の資格を持っている人とか法律関係の試験に既に受かっている人については司法試験の一部を免除する、そういう柔軟な受験システムになってくれば、反面その回数を制限していくこともより合理的になるのだと思います。 その意味で、例えば大学の法学部を出て法学士を持っている人であれば一部免除していいとか、あるいは各種公務員試験に合格している人、あるいは行政等、法律に深くかかわるそういう実務を一定以上経験している人、そういったいろいろな人たちに試験の一部免除を考えることはかなり合理性があるのではないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 確かに、今委員御指摘のような議論は、この法案を審議しました三者協議会のその前に改革協というのがございまして、これは四年何カ月かやったわけでございますが、その中でも議論はされたところでございます。そういう考え方があることは私ども承知しております。 ただ、これを導入していくかどうかということになりますと、大きな改革の問題でございます。それから、それでは大学を出たからほとんど全員がある一定水準に達しているのかどうか、それをどうやって判定するかとか、それから各種試験、それぞれあろうかと思いますけれども、その試験のやり方にもよるわけでございまして、単に丸をつけていく、枝を選択するもの、論文それから小論文とか、いろいろなものがございます。ですから、その質的な同一性というものがどういうふうに判断されていくのかとか、さまざま考える問題はあろうかと思います。 ただ、今後こういうような視点でいろいろ議論が起こっていくだろうということは我々も承知しているところでございまして、また検討してまいりたいと思います。
○達増委員 確かに法学士を持っているからといって法律に強いかというと必ずしもそうでないケースは多々ありまして、そういうことからも、最初の方の質問で、司法試験合格者というのを一種資格として広く与えていけば、実質的に法律に強いかという中身を確認できた上で就職等に臨むことができる。今の現状ですと、法学部を卒業しているからといって、企業の側としても、こいつは法律に強いと言えないようなところもあって、そういう問題はあるのだと思います。 筋からいえば、例えば国会議員のように立法活動に従事していて、こういう法務委員会の審議などもやり、こういうのを十年なり十五年なりやっていれば司法試験の一部を免除してもいいのではないかという考え方もあるかもしれませんけれども、それは法学部を卒業しているからといって必ずしもというのと同じで、立法府で働いているからといって必ずしもという現状があるわけでありますから、その辺はそれぞれの分野でかなりいろいろな改革を並行してやっていかないとだめな問題だとは思います。 さて、そろそろまとめに入っていきたいと思いますけれども、法曹ビッグバンと最初言いましたけれども、やはり大臣もおっしゃいましたように、一般の国民に法曹がどんどん親しまれていく必要がある。そういう法律の大衆化といいますか普及が非常に大事なのだと思うのです。 その意味で、政府、法務省さんの方で一貫してやってきている法律の言葉を簡単にしていく作業、刑法口語化とかあったわけでありますけれども、これは非常に大事なことだと思うのですけれども、現在どの程度進んでいるのか伺いたいと思います。
○森脇政府委員 私ども民事局で所管しております例えば民法でありますとか商法でありますとか民事訴訟法、こういつたいわゆる民事基本法でございますが、これは国民生活に密接に関係する法律でございますので、これらを平易でわかりやすいものにするということは非常に重要なことであるというふうに認識しておるところでございます。 私どもといたしましては、このような観点から、できるだけ早い機会に法律を平易化、口語化するという努力をしてきているところでございまして、平成八年に民事基本法の重要な柱の一つであります民事訴訟法について全面改正をいたしました際に、四百条に及ぶ全条文を平仮名、口語体の表記に改めますとともに、用語も現代的なものに改めたということをしてきたところでございます。 より国民の一人一人の方に密接に関係いたします民法典、これの第一編から第三編の部分でございますが、これは明治二十九年に制定されたものでございます。また、商法典につきましては、明治三十二年に制定されたということで、いずれも片仮名、文語体で表記されておりますほか、現在では一般になじみのない用語が使われているという部分がございます。 私どもとしては、今後、作業を急ぎまして、できるだけ早い機会に民法典及び商法典についても現代語化を実現できるように一層努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○達増委員 アメリカではインターネットを通じてあらゆる連邦法というものを検索できるようになっているということなのです、ホームページを使いながら。 これは総務庁さんが中心になってやっている行政サービス情報化の問題ですので、きょう法務委員会では質問、立ち入らないわけでありますけれども一そういう先端の情報通信技術を使った法の普及、一般への普及といったこともあるわけでありまして、本当にあらゆる手段を使って、まさにタブーなき改革という発想でこの法曹の分野の改革についても取り組んでいくべきだということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○笹川委員長 保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。 今回の裁判所法の方の司法修習期間の短縮について、最高裁及び法務省にまず総論から伺いたいと思います。 最高裁、法務省、そして弁護士会ともども、現在の認識として、法的問題が複雑化また多様化、高度化、専門化して大変以前と違ってきているという認識を持たれていることと思います。そしてまた、司法試験合格者数を一千人に増員をしょうということに伴って、この席でのほかの委員からの質問にもあったように、学力水準の低下という部分も抱え込むわけでございまして、そうなれば司法修習をより一層充実するというのが当然の流れかと思うのですが、逆にこれを短縮するという合理的な根拠、これは一体何なのかということを端的に最高裁及び法務省に伺いたいと思います。なぜ縮めるのかということ。
○山崎(潮)政府委員 短縮の理由でございますけれども、司法の機能を充実させて社会の法的ニーズにこたえる、そのために法曹人口を増加させていく、これは今回千名という体制をとっているわけでございますけれども、これは現下喫緊の課題であるというふうに私ども認識をしております。 しかし、ふやすにしてもただふやせばいいというわけにはまいらないわけでございまして、きちっとした法曹として世に送り出すということは必要になるわけでございます。 その観点から見ますと、現在の修習の中の実務修習について、これを受け入れます地方裁判所あるいは地方検察庁の受け入れ体制がほぼ限界であるという状況にございます。 この受け入れ体制と申し上げますのは、もちろんそれは建物の問題もあろうかと思いますが、教える側の問題でございます。検察庁あるいは裁判所いずれも非常に忙しい事件を抱えながら修習生を教えていくということになるわけでございます。それから、それに伴う教材的な事件がなければならないとかさまざまな問題がございまして、では、ふえたから一気に教える側もふやせられるか、なかなかそういうわけにはまいらないという問題がございます。 それから、もう少し詳しく申し上げてよろしければお話し申し上げますけれども、例をとって申し上げますと、現在東京地方裁判所における修習生の受け入れば百五十名でございます。現在は一年四カ月実務修習を行います。四カ月ずつ四つ回るわけでございますが、やはり裁判所、検察庁、この役所の方の受け入れ能力の限界がございます。 特に裁判所で申し上げますと、地方裁判所の中、民事部はたくさんございますけれども、刑事部は数が限られてきております。その部に裁判官が三人おるということになりますと、そこに三名の修習生を配属するわけでございます。いわゆるマンツーマンシステムの教育をするということになります。こちらの方が少ないわけでございますので、その数にまず限定されるということになります。そうなりますと、一回当たりで来てもらえる修習生というのは、現在の状況では約五十名に限られます。 それで、弁護士会は非常に容量が大きいわけでございますので、二つの期の修習生、一年四カ月でありますと、どうしてもどこかで四カ月ダブるわけでございますが、そのダブる部分を弁護士会にお願いしております。その分については、弁護士会の受け入れ能力が大きいものですからお願いできまして、残りの一年で裁判所の民事裁判、刑事裁判、検察と回るわけでございます。こういう形で、三班で組んで回っております。ですから、五十名掛ける三で百五十名で回っている。この状態の中で人数をふやすことはもう限界でございます。 そこで考えましたのは、やはり裁判所、検察庁の都合では、どうしても一年で実務修習を動かしていかなければもう難しいという状況にあるわけでございまして、四カ月はどうしてもカットせざるを得ない。それで、一年間でその実務修習を終わっていただければ、ダブることはないわけでございます。あと必要な実務修習は四カ所やるわけでございますから、その四カ所を一年で回るということになれば、三カ月ずつ行うということになります。三カ月ずつを四班でぐるぐる回していくということになりますと、五十掛ける四ということで二百になりまして、五十名ふやせるわけでございます。 これを、例えば大きなところ、大阪、名古屋とか、こういうことを全部積算してまいりまして、地方も、小さいところも努力していただきますと、千名体制までぎりぎり可能であるという結論に達したわけでございまして、そういう点から短縮をしたというふうに御理解いただきたいと思います。
○保坂委員 時間が短いものですから、お願いします。 そうすると、今お話を伺っていると、ふやすにしてもただふやすことはいけないんだ、何とか質を確保しながらふやしていくというと、その受け入れ体制はぱんぱんでもう容量の限度までいっているということが理由で一年半の縮小というふうに言われたと思いますが、山崎さん御自身の修習生時代を振り返って、二年間、あるいはその実務修習の期間も現状の制度だったと思うのですけれども、何かここはむだだったなとか余分だったなというところはございましたか。
○山崎(潮)政府委員 立場ではなくて、個人なものですから、大変答えにくいところはございますが、私の感想といたしましては、かなり牧歌的にゆったりしていたという感じはいたします。ですから、私としては、もう少し集中してやって終わってもできたのかなという感想はあります。ただ、その分、二年ございましたから、ゆったりできたということは間違いございません。 ただ、それで勉強したかと言われますと、必ずしもそうではないという状況でございますので、広い意味では人生の勉強はしたかもしれませんけれども、法律をすべてやったかと言われるとノーと言わざるを得ないと……。
○保坂委員 広い意味での人生の勉強というのは大変重要かと思うのですね。やはり、プログラム化された、いわば課程をこなしていくだけではなくて、果てしなく議論をしたりとか、あるいは実務家と出会う中で、そのつき合いの中でいろいろ刺激を受けるということが教育のもう一つの隠し味というところだと思います。 今の山崎さんのお話ですと、現在の法曹に対するニーズはとても複雑化して、高度化しているわけですよね。今は間に合わないわけですけれども、こういうふうに一年半に縮めなければ。しかし、ちゃんと予算の手当ても増員要求もして、裁判官も検察官もふやしていけば、やがてより充実した二年というのを復活するというお考えはありませんか。
○山崎(潮)政府委員 ただいま申し上げましたけれども、最低限二つの期がダブるということ、これ自体はどうしても避けていただかないと、そう一遍に容量が爆発的にふえるということは現実性がございませんので、やはりその点は、どうしてもそれはカットせざるを得ないだろうというふうに思います。そのほか、あと二カ月削って一年六月になっておりますけれども、この辺のところは、現在の司法研修所等の教育のあり方、これについても合理化を図ればある程度の時間的な余裕をとれまして、短縮してもその中に新しい理念も十分に入れていけるというふうに考えたわけでございまして、密度を濃くやるということでございます。十分に時間があるところで、では密度を濃くできるかと。間延びする場合もあるわけでございます。 今回の点については、相当濃密に集中してやるわけでございますが、その中で、この期間があれば十分できると、教官等の判断も含めまして、こういう選択をさせていただいたということでございます。
○保坂委員 それでは、最高裁の方に今度お聞きしたいのです。 昨年も民事裁判の判決原本の保存の問題で、なかなか最高裁は必要なところに予算要求をしないということを不思議に思って指摘をさせていただいていたのですけれども、実際の予算上の問題について伺いますけれども、現在の七百五十人体制で司法修習のために使われる予算が幾らなのか、そして現在の制度を変えないで一千人規模でこの修習を行うとしたら幾ら増額の必要があるのか、ここの点をちょっとお聞きしたいと思います。
○竹崎最高裁判所長官代理者 現在のということでございますが、平成十年度の司法修習生関係の予算について御説明いたしますと、平成十年度の司法修習生関係の予算額は総額六十五億二千五百万円ということでございます。これは七百五十人を前提とした数値でございましたので、このまま一千人体制ということになれば、単純に計算いたしますと、その三分の四倍ということになろうかと思います。
○保坂委員 裁判所予算を見ると、前年度より五億円ほど、大ざっぱですけれども、減少している。その主な理由は、説明によれば、施設費が二十億円減少をしたというふうにされているようですけれども、この二十億円、大体先ほどの三分の四というのは二十億円ちょっとになると思うのですけれども、この予算面で司法修習の充実に回すという考えはなかったのかどうかという点。 二つ聞きますね。もう一つは、先ほど法務省の方がお答えになった、とても教える側が回っていかないんだということが現実にあるのだろうと思います。としたら、裁判官や書記官など、ダイナミックに大きくふやすという堂々とした予算要求、経団連もこれは必要だというふうに言っているわけですから、これをどうして遠慮しているのか、ちゃんとやったらどうでしょうかと思うのですが、いかがでしょう。
○竹崎最高裁判所長官代理者 まず、裁判所の施設費についてお尋ねですので、御説明いたします。 平成十年度の裁判所予算は総額三千百二億二千九百万円を計上しておりまして、前年度予算三千百七億八千八百万円と比較しまして、総額で五億五千九百万円減少しております。減少の理由としては、御指摘のとおり、施設費の減によるところが大きいということでございます。 ただ、ちょっとこれは形式的な事項になるのですが、裁判所所管予算には計上されておりませんけれども、裁判所庁舎新営のために、一般会計から特別会計に十八億円繰り入れをしておりまして、これも実質的には裁判所の施設費予算ということになるわけでございまして、これを考慮いたしますと施設費予算の減は実質十億でございまして、裁判所予算総額といたしましては三千百二十億二千九百万円となりまして、平成九年度予算に比べてむしろ十二億四千百万円増加しているということになっておるわけでございます。 それからもう一点の、裁判所の人員について必要な予算要求をしていないのではないかという御指摘でございますが、私どもは毎年、事件動向あるいは給源、そういう点を考慮して、必要な人員あるいはその他の予算要求をしておるつもりでございます。
○保坂委員 法務省にお尋ねします。 先ほど大臣の答弁でも統一的な司法修習は非常に意味があるというふうにおっしゃっていましたので、そこは踏まえて、裁判官、検察官、弁護士、いずれかの道を歩んでいくという統一的な修習を確保していくということを前提にしてなのですけれども、法務省の側の今回の法曹三者の協議の中で、可塑性に富む早い時期に法曹資格を与えて法曹としての第一歩を踏み出させることが大事であるというような発言があったようなのです。これはつまり、可塑性のあるうちに、若いうちに統一修習を切り上げて、なるべく早く自前の純粋培養教育をしたいというふうにも読み取れるのですが、それは曲解でしょうか。
○山崎(潮)政府委員 私どもは、そういう言葉を申し上げたことはございます。それは、統一修習を短くして、三者それぞれ別々で研修をやればいいじゃないか、そういうことを意図したものでは全くございません。 私どもが申し上げたかったのは、なかなか権限のない状態でいろいろ教えていっても限度がある。早く自分で権限を持って、生きた事件にきちっと接して、そうやって人間をというか法曹としての力を磨き上げていく、そういう視点も重要だということを申し上げただけでございます。
○保坂委員 それでは、大事な点なのでもう一度法務省に伺いますけれども、これはいろいろ合理化して切り詰めるに切り詰めて、あちこち見ながらここだということで一年半というふうに、ここを定点として一年半、今後はずっとこれでこの制度はいくのだということなのか。最高裁の方はたしか一年という提示をされていたわけで、一年に向かうプロセスとして、激変緩和措置としてとりあえず一年半ということなのか。これによってまた全然意味が違ってくると思いますが、この点は法務省はどうでしょうか。
○山崎(潮)政府委員 議論としては、一年、一年半、二年、さまざまございました。それは議論のステップの問題でございまして、私どもは、一年六月が正しいのだということで提案をさせていただいているわけでございまして、将来一年にするワンステップだと考えたわけではございません。
○保坂委員 同じ点について最高裁にもお尋ねをしたいと思います。 今回の制度改正がまたすぐ変わるようなものでないのであればないというふうに、はっきり言っていただきたいと思います。
○堀籠最高裁判所長官代理者 ただいまの裁判所法の改正案では一年六カ月案を御審議いただいておりますが、さらに司法修習制度を改革するかどうかというのは将来の問題でありまして、それは一年六カ月の修習の結果を踏まえてやるべき問題と考えておりまして、当然に、私どもとしても、短縮すべきだというような態度をとっているものではございません。
○保坂委員 最後に、法務大臣にお尋ねをいたしますが、今までの議論を踏まえて、確かに牧歌的という言葉もありましたけれども、私も、司法修習生に招かれて教育についてのディスカッションをやってきて、そういった人たちが五年後、十年後に弁護士になって、さまざまなところで出会うということがあるわけですね。半年これを縮めますと、なかなかそういう余裕がなくなる。 しかも、一年半ということはぎりぎり切り詰めて一年半だというふうに受けとめているのですけれども、これはもう本当に、プロセスの中の一年縮める手前の一年半で、また変わるということではなくて、明らかにぎりぎり切り詰めて一年半なのかどうかということをもう一度法務大臣にお聞きしたいと思います。
○下稲葉国務大臣 委員御指摘のとおりに、私も一年半がすばらしい制度で、これで堅持すべきだ、このように思いますし、法曹三者の人たちが気持ちを合わせて、一人でも優秀な法曹を出していただくようにお願いいたしたい、このように思います。
○保坂委員 裁判官、検察官をふやしていただいて、濃密な二年間をまた復活していただくことも視野に入れることが本当の改革だと思います。おしまいです。 ――――◇―――――
○笹川委員長 次に、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。 本起草案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。 平成七年三月二十日に発生した地下鉄サリン事件、松本サリン事件等は、世間を震撼せしめた犯罪史上類例を見ない無差別大量殺傷事件であり、凶悪な集団殺人事件と言わざるを得ない犯罪であります。これらにより、無事の人々多数が、不慮の死を遂げ、死の恐怖を伴った重傷害を受け、あるいは今なおその後遺症に苦しんでおります。 このような極めて悪質な犯罪により不慮の被害を受けた被害者、その遺族の救済を図る必要は格別に大きいものがあります。その手続として、現在、オウム真理教という教団に対する破産手続が進行しているところでありますが、被害者への配当金額は著しく低額とならざるを得ない状況にあります。 本起草案は、このような状況を踏まえ、オウム真理教に対する破産申し立て事件において債権を届け出た被害者の救済を図ることの緊要性にかんがみ、その被害者への配当金額を少しでもふやすため、当該破産申し立て事件における国の債権に関する特例措置を講じようとするもので、その内容は、次のとおりであります。 第一に、オウム真理教に対する破産申し立て事件においては、国が届け出た債権のうち労働者災害補償保険法その他の法律の規定に基づき国が取得した損害賠償請求権及びオウム真理教の清算人選任申し立て事件における予納金に係る償還請求権は、国以外の者が届け出た債権のうち生命または身体を害されたことによる損害賠償請求権におくれるものとすることといたしております。 第二に、本案は、公布の日から施行するものとすることといたしております。 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。 ――――――――――――― オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○笹川委員長 この際、本件について発言の申し出がありますので、順次これを許します。北村哲男君。
○北村(哲)委員 発言を求めたいと思います。 私は、民友連の北村でございます。 ただいま委員長より本法案起草の件が提案され、かつ、提案理由の説明がなされました。本法案は、その趣旨にかんがみ、当委員会の総意によって速やかに可決されるべきであります。 本日の新聞報道によりますと、本法案の提出を歓迎する記事が目立っております。そして、国に倣って、自治体なども固定資産税を減免するなどして、これに追随するという姿勢も示しているということが報道をされております。また、被害者の会も運動が実ったという歓迎の意を表しております。 さて私、本法案の原因となっているオウム真理教が引き起こした事件は、我が国が長年培ってきた安全神話の崩壊とまで言われた世界にも例を見ないほどの前代未聞の重大事件であります。被害者や親族などにおかれましては、いまだにその傷がいえることなく、また深刻な後遺症に悩む日々が続くため、生活の基盤を失うおそれを抱いている被害者の人たちも数多いと聞いております。 本法案は、これら身体的被害者の損害賠償債権などについて、国の持つ債権を劣後させることによって被害者への配当率を向上させ、被害者の救済に何がしかの寄与を果たすことを目的とするものであって、特段の疑義を挟むものではもちろんありません。 しかし、この際、本法案の制定に当たって明らかにしておくべき事項も幾つかあると考えますので、以下六点について申し述べたいと思います。委員長におかれましては、しかるべくお取り計らいをお願いしたいと存じます。 第一点は、オウム真理教の宗教法人としての認可が取り消され、また破産の決定がなされ、現在に至っている経過について簡単な御説明をいただきたいということでございます。 続けて申します。発言ですので、一つ一つではなくてまとめて申したいと思います。 第二に、本法案のように国の債権を他者の債権に劣後させる措置をとる場合、現行法のどういう部分に抵触するというか、何ゆえにこの特別な立法が必要なのかという御説明をいただきたいと思います。 というのは、普通の債権であれば、譲りましょうということで、債権放棄で済む、私人の場合は済んでいるわけです。ですから、国の場合、わざわざ法律までつくってしなくてはいけないということは、何ゆえかということです。 第三は、少し具体的になりますけれども、配付された資料によりますと、オウム真理教破産財団の負債の部の⑥に、犯罪被害者の届け出債権三十九億六千四百万円とあります。これが本法案の目的である配当率向上の対象となる金額であります。 つまり、国の債権を通常どおり行使した場合は、この被害者の持つ債権総額三十九億六千四百万円に対して、配当率は一七・八%、配当総額は七億五百万円にしかならないものでありますが、そこで、本法案の措置を実施しますと、配当率は二〇・八%、配当総額は八億二千六百万円と増加するのであります。 そこで、この債権総額三十九億六千万円の内容、一体どういう債権があるか。被害を受けたというふうには言いまずけれども、その中身をある程度明らかにするべきだと思います。 第四は、これに関連してでございますけれども、本法案中には「生命または身体を害されたことによる損害賠償請求権」とあります。サリンによる中毒については、この治療法が確立されていないばかりか、どのような後遺症が今後発症するのかさえわかっていないというのが現状でございます。となると、今後、増悪する症例や新たに後遺症が発症する可能性も考えられます。 したがって、今の債権額の確定をどの時点で行ったのか気になるところでございます。債権額の確定の時期及び今後発生する債権についての扱いをどうされようと考えておられるのか、お聞かせ いただきたいと思います。 第五は、先般、公安調査庁は、現在は任意団体であるオウム真理教の動向に関しての見解を表明し、同教団はさまざまな分野で巨額の利益を上げているということでありました。国民感情として割り切れないのはこの点ではないかと思います。宗教団体としての実体は現在でも連綿として引き継がれていながら、法人格を失って別組織になったというだけの理由でなぜ法律関係や債権債務関係が断ち切られなければならないのか、釈然としないという点があると思います。 いわゆる法人格否認の論理というものがあります。これによって法人格の壁を破って債権者を救う法理がありますが、これとちょっと逆のような感じになるのですけれども、今のような点についてもわかりやすい説明をいただければと思います。 この点、破産した宗教法人オウム真理教と現在の任意団体であるオウム真理教及びその関連会社について、その承継関係をどのように解釈しておられるのか、触れていただきたいと思います。 最後の六点目になりますが、配付された資料によりますと、破産したオウム真理教の資産は、預金が十億千五百万円、その他として千二百万円、土地家屋すなわち不動産が一千二百万となっております。 今までの報道によると、いろいろなところに随分不動産を持っているという事件がずっとあったことを記憶しておりますけれども、その不動産がたった千二百万円というのは、当時の教団の実態として余りにも少な過ぎるのではないかという感じを受けるのですけれども、その点もし、これは破産財団の仕事ですけれども、おわかりになる範囲で教えていただければありがたいと思います。 以上で私の発言を終わりたいと存じます。
○細川(清)政府委員 北村委員の意見の表明に関して事実関係を御説明申し上げます。 まず、第一点の、宗教法人オウム真理教の解散及び破産宣告に至る経緯についてでございますが、平成七年六月三十日、東京都知事及び東京地方検察庁検事正が宗教法人の解散命令を申し立てたところ、東京地方裁判所は、同年十月三十日、宗教法人オウム真理教を解散する旨を決定し、これを不服とする同法人が即時抗告をしましたが、同年十二月十九日に即時抗告が棄却され、解散命令が確定いたしました。 これと並行いたしまして、法務省におきましては、所管省庁から債権回収の依頼を受けて種々検討をした結果、国が破産の申し立てをすることにより、オウム真理教がその財産を隠匿するのを防ぎ、被害者の方々が受けた被害の実効的な救済にも資することができる、このように考えまして、同年の十二月十一日、被害者の方々が破産宣告及び保全処分の申し立てを行ったのに引き続き、翌日の十二日に国も破産宣告及び保全処分の申し立てを行いました。 保全処分の申し立てに対しましては、同日保全処分決定がされ、破産宣告の申し立てに対しては、翌年の平成八年三月二十八日に破産宣告があり、同年の五月十日にこれが確定し、これまでに四回の債権者集会が開催され、現在、配当手続を含めて破産手続が進行中でございます。 次に、第二点の、本法案を必要とする理由でございますが、本件破産申し立て事件において債権を届け出た被害者の方々の救済を図るためには、国の届け出債権を被害者の届け出債権におくれるものとすることが必要であります。 しかしながら、国の債権を免除しあるいは効力を変更するには、財政法上、法律に基づくことを要することとされております。財政法第八条にただいま申し上げたような規定があるわけでございます。本件において国が届け出ている債権につきましては、現行法上、その効力を変更することを許す規定がございません。 このような理由から、国の届け出債権について被害者の債権におくれるものとする取り扱いをするためには、本法案のような立法措置が必要となってくるわけでございます。 次に、第三点の、犯罪被害者の届け出債権の内訳でございますが、総計三十九億六千四百万円でございますが、破産管財人の報告によりますと、地下鉄サリン事件関係が約二十一億三千七百万円、松本サリン事件関係が約七億三千四百万円、坂本弁護士・仮谷さん事件、VXガス・リンチによる殺傷事件、監禁事件などによるものが合計約十億九千三百万円とのことでございます。 次に、第四点の、犯罪被害者の届け出債権額につきましては、破産管財人の業務報告によりますと、平成十年すなわち本年の三月十五日現在で、三十九億六千四百万円であるということでございます。先ほど御指摘がございましたように、今後とも、治療費の追加分等が破産債権として届け出られる可能性がありますが、したがって、その届け出がありましたときには管財人が所定の手続を進めるということになるわけですが、現時点でその額が幾らになるかというのは、私どもでは確たることは申し上げられないわけでございます。 次に、第五点の、破産者たる宗教法人オウム真理教と現在の任意団体であるオウム真理教との関係についてでございますが、宗教法人オウム真理教は既に解散され、現在破産手続による清算が進行しておるわけでございます。破産手続におきましては、破産管財人の管理処分権は破産宣告時に破産者が有していた財産に限られるわけでございます。したがって、オウム真理教の信者のグループが破産宣告後に何らかの活動により収益を上げ財産を取得しているとしても、破産者が破産宣告時に有していた財産を利用して、破産管財人に隠れて取り出して、そういったことでない限りは破産管財人の管理処分権はこれらに及ばず、それらの財産は破産財団に含まれないということになるわけでございまして、したがいまして当然には承継されないということに法律的になると思います。 最後の第六点目でございます。破産財団の資産の状況についてでございますが、破産手続は最終的には破産財団に属する金銭以外の債権をすべて換価し、債権者に対して金銭配当を行うことを目的としておりますから、破産管財人は破産財団に属する不動産等を換価処分してこれを金銭にかえる必要があるわけでございます。本件におきましても、破産管財人の報告によりますと、本件の破産管財人はこれまでに不動産約二十物件を超えるものを処分いたしまして、したがって現在のように、御指摘のように不動産が少ないわけでございます。 このように、破産財団の資産がほとんど預貯金であって不動産が僅少であるのは、破産管財人がその職務に御努力された結果であるというふうに理解しているところでございます。 また、管財人の報告によりますと、今後とも未換価不動産をできるだけ高額で換価することに努めるとともに隠し財産の追求に努めたい、このようにおっしゃっておられますので、今後財産が増加する可能性はございますが、その増加額についても、現時点で私どもの方はつまびらかにわからないわけでございます。 以上でございます。
○北村(哲)委員 これで終わります。結構でございます。どうもありがとうございました。
○笹川委員長 それでは、達増拓也君の発言を許します。
○達増委員 自由党の達増拓也でございます。 去る三月二十日は地下鉄サリン事件からちょうど三年目でございまして、また改めて被害を受けた方々に対し思いをいたさずにはおられないわけでございます。 先ほど委員長の提案理由説明にもございましたとおり、一連のオウム真理教による事件は、「世間を震憾せしめた犯罪史上類例を見ない無差別大量殺傷事件であり、凶悪な集団殺人事件と言わざるを得ない犯罪であります。」ということで、こうした一連の犯罪に対し、我々自由党、当時新進党であったわけでございますけれども、かなり早い段階から破壊活動防止法の適用を政府に対し求めていたわけであります。しかしながら、当時の村山内閣でございましたが、村山内閣は即断せずにいたずらに日々を過ごし、ようやく昨年の一月三十一日になりまして、公安調査庁が破防法に基づくオウム真理教の解散指定請求を行っていたわけでありますけれども、それは公安審査委員会により却下されたということになったわけでございます。 その結果、その却下を受けまして、信者たちは教団組織の再建強化を本格化し、今や、一度逮捕されたオウム真理教信者のうち五五%は教団に復帰し、活発に活動を行っていると言われております。また、一昨年パソコン等五十五億円を超える売り上げを上げるなど、財産についてもかなりのものを有して活動している、そういう状況なわけでございます。 こういった状況にかんがみまして、まず、もっと早い段階で破防法による解散を行っていれば、財産の確保、これは基本的には破産手続によるわけでございますけれども、その財産確保にも効果があったのではないかという疑問がわくわけでございます。 そして第二に、破防法適用棄却以来、それを契機として教団が活動を活発化させ、かなりの財産を有している。破産手続上は別の団体ということで、その財産を強制的に押さえることはできないとなっているわけでございますけれども、実質的な連続性、その構成員ですとか活動内容ですとか、その実質的な連続性にかんがみて、被害者の皆様がやりきれない思いを抱いているということもあるわけでございます。この点、どうにかならないものかという思いを禁じ得ないわけであります。 以上、二点について指摘させていただきまして、最後、テロに対する甘さが結局今の悲劇につながっている、政府によるテロの予防、そして一たびテロが発生したときの断固たる対処、その必要性を訴えまして、私の発言を終わらせていただきます。
○細川(清)政府委員 御説明申し上げます。 まず第一点目の、オウム真理教に破壊活動防止法を適用していたならば破産財団の財産の確保ができたのではないかという点でございますが、先ほど御説明申し上げたように、現在本件については破産手続が進行中でございますが、破産手続は、裁判所から選任された管財人が破産宣告時の財産を保全して換価する処分手続でございまして、その破産管財人には否認権等により他に流出した財産を取り戻すことができるというような権限も与えられておるわけでございます。そして、平成七年十二月十二日のオウム真理教に対する破産宣告の申し立てのときに財産の保全処分も同時に申し立てておりまして、直ちにそれが認められております。こういつたことによって基本的にはオウム真理教の当時の財産はこの破産財団によって確保されているものと考えております。 そういう点を考えますと、こういった法律上の権限のある破産手続がオウム真理教に対する財産の確保という点においては最も適した手続であったというふうに私どもは考えているわけでございます。 次に、第二点目でございます。オウム真理教がパソコンの販売事業等で利益を上げていることについてでございますが、先ほど来御説明申し上げたとおり、宗教法人オウム真理教は既に解散されまして、現在破産手続が進行しておるわけでございます。 これも先ほど御説明申し上げたとおり、破産手続では、破産管財人の管理処分権は破産宣告時に破産者が有していた財産に限られるわけでありまして、その破産宣告の後にオウム真理教の信者らがつくっております団体とこの破産宣告を受けた宗教法人オウム真理教とは、財産法上は承継関係にはないということになるわけでございます。したがって、オウム真理教の信者のグループが破産宣告の後に何らかの活動によって収益を上げ財産を取得いたしましても、オウム真理教が破産宣告時に有していた財産、すなわち本来破産財団に属すべき財産を利用していたものでない限りは、破産管財人の管理処分権が及ばないということになるわけでございまして、破産管財人がその財産について請求を行うことは困難であるということになるわけでございます。 もっとも、先ほど御説明申し上げたとおり、破産管財人におかれましては、本来破産財団に属すべき財産が隠されているのではないかということを心配しておりまして、その発見にも努めつつ努力したいとおっしゃっておりますので、それも期待いたしたいというふうに考えておるわけでございます。 以上でございます。
○笹川委員長 これにて発言は終了いたしました。 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。下稲葉法務大臣。
○下稲葉国務大臣 本法律案は、オウム真理教に係る破産手続において国の債権を被害者の債権におくれるものとするものであり、平成七年三月二十日に発生した地下鉄サリン事件等において不特定または多数の者がこうむった惨禍が未曾有のものであって、破産申し立て事件において債権を届け出た被害者の救済を図ることの緊要性にかんがみ、政府としては特に異存ありません。
○笹川委員長 採決いたします。 オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しております起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○笹川委員長 起立総員。よって、そのように決しました。 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、 そのように決しました。 次回は、来る十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、 これにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会 ――――◇―――――