農林水産委員会 第14号
- 発言数
- 218 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/04/23
会議録
○北村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、来る二十八日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○北村委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊谷市雄君。
○熊谷(市)委員 自由民主党の熊谷市雄でございます。 きょうからの質問、一番手ということになりましたが、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。 この間、島村大臣から、本委員会に提案されております貯金保険法の一部を改正する法律案についての提案理由の説明を承ったわけであります。それによりますと、一つには、組合の貯金者を保護する、貯払い停止の事態になったときに必要な保険金を支払うという、いわゆるその政府保証を行いながら貯金者というものを十分に保護をしていく、今までの一千万という制度の中では限度があったわけでありますが、それも超えて全額保護をしていく、こういうのが一つであったと思います。次いで、財務内容が非常に悪くなってきている農協や漁協、そういう組合を抱えようとして合併を行う場合に、合併の阻害要因になってくるわけでありますが、その合併農協に対して適切な資金の援助を行って信用秩序というものの維持を図っていく、経営力の弱い組合というものの支援を行う、要約するとこの二つじゃないかなというふうに思うわけであります。 そうしますと、さきに決定をしておりました金融システム改革の中での預金保険機構の一部改正、そういうものの趣旨なり内容と同じ横並びのものじゃないかな、こんなふうに思うわけでありますが、そういう理解に立ってよろしいかどうか、まず確認をしておきたいと思います。これはこの前御説明をいただきましたから、大臣の方からひとつお願いを申し上げたいと思います。
○島村国務大臣 お答えいたします。 昨年秋以降の金融機関の大型破綻等によりまして我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく低下する中で、預金者、貯金者の保護と金融システムの安定化に万全を期することが求められておるところであります。農漁協系統金融につきましても、我が国金融システムの一員として、貯金者の保護の一層の充実を通じて系統金融システムの安定化を図るために、農水産業協同組合貯金保険制度について所要の改正を行うものであります。 具体的には、農林中金または日銀からの借り入れに対する政府保証の付与、経営困難組合と合併する受け皿組合に対する劣後ローンの供与、経営困難組合の資産の直接買い取り、さらにはまた、信連等の債権回収子会社が行う資産の買い取りに対する援助などを今回の法改正の内容といたしているところであります。
○熊谷(市)委員 そうしますと、預金保険法の改正と大体同じであるというふうに理解をしてよろしゅうございますね。
○島村国務大臣 結構でございます。
○熊谷(市)委員 同列なものであるということでありますので、これを前提にして、次に、預金保険法と貯金保険法との比較の中から幾つか御質問させていただきたいと思います。 既に決定をいたしました預金保険機構の場合、これは二つの勘定がありまして、これは特例業務勘定と金融危機管理勘定、こういうふうに二つに分類をされておりまして、いわゆる十七兆円と十三兆円、こういう形の中で公的資金が投入をされる、こういうふうになったわけでありまして、具体的にこの金額が預保の場合は明示をされている。それで、今回のこの貯金保険機構の改正については、その金額というものが明示されていない、こういうふうになります。 いわゆる政府保証枠というものを設定をしておくということが非常に大事じゃないかなというふうに思うわけでありますが、この預金保険機構と同じように、貯保の場合の保証の限度額、こういうものが一体どういうふうになるのか。今、現行の制度では借入限度額というのは一千五百億というふうに決まっておるわけですが、今度の改正によってこの一千五百億というものが変わってくるのかどうなのか、この辺をひとつお伺いしたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 今回の貯金保険法の改正の趣旨は、基本的には農漁協の系統の貯金者の保護という趣旨で改正の審議をお願いしているわけでございます。 その中で、ただいまお尋ねの、責任準備金の限度額だと思いますけれども、私ども、現在、この貯金保険機構が必要な場合に借り入れる額の限度としては、千五百億円ということで設定をいたしております。 ただ、これまでの支払いの実績等を考えますと、現在の責任準備金の額は千五百四十億円ございますが、さらに加えて、毎年の保険料の収入が約二百億円ございますので、これまでの資金援助に対する支出は平成九年度で五十億円強というふうに見込まれておりますけれども、そういう現状を考えますと、現在の保険料収入あるいは現在の責任準備金で十分対応できるというふうに考えておりまして、そういう意味では、借り入れの限度額千五百億円については現在の額で十分であろうというふうに考えております。
○熊谷(市)委員 今、説明によりますと、貯保の場合と預保の場合、責任準備金そのものの状態、これを比較してみると、貯保の場合は一千三百六十二億という責任準備金、そのまま減らないで残っている。片や預保の方は、もう既に繰り出してマイナスの三千九百五十一億円という、歴然とした違いというか、非常に対照的な違いがあるわけでありますが、これのそもそもの理由というものはどんなふうにとらえておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 確かに先生今御指摘になりましたように、貯金保険機構におきましては、八年度末で千三百六十二億円、九年度の見込みが千五百四十億円程度に準備金がなろうかと思いますけれども、他方、預金保険機構の準備金につきましては、平成八年度末で既に三千九百五十億円の借り入れということになっております。 これは、これまで農漁協系統の破綻処理につきましては、従来五件の支払いの実績がございますけれども、貯金保険機構が発動する事例につきましては、基本的には、まず地元におきまして県内で自助努力が行われる、あるいは系統の組織でまずは支援措置を講ずる、その上でやむを得ない場合について必要な部分について貯金保険機構が発動するというような実態となっております。 他方、預金保険制度につきましては、昨年来の信用組合の破綻が相次いだということがございまして、実際の支援額が相当額に上っております。既に八年度の末で借り入れをせざるを得ない状況になっているということでございます。その後、拓銀等の破綻もございまして、預金保険制度における支払いというのは今後さらに増大するということが見通されているわけでございます。そういう意味で、今回、預金保険制度について特に予算措置を講じて政府保証を行った、そのための法改正を今国会で御審議いただき、成立を見たということでございます。
○熊谷(市)委員 今御説明があったように、系統機関においては相互援助制度、相援制度というものをちゃんと設立して、公的機関としての貯保とそれから民間サイドからの相援制度、この二つの守り神というか、車の両輪のような形で備えというものを十分にやっているというふうになるわけでありまして、特にこの後者の相援制度というのは、今までのいろいろな経営困難を来した農協に対する支援というものを十分にやりながら、破綻をしないような守りというものをきちんとやってきた、そういう実績も持っているわけでありますが、これは預保の場合にはそういう相互援助的なものというものはないのでしょうかね。これは、大蔵省来ておりますか、大蔵の方から御説明いただきたいと思います。
○二宮説明員 預金保険制度のもとでは、特に貯保でございますような系統の相互援助制度はございません。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、預金保険制度と預金保険制度というのは制度として別々でございますが、目的とするところは同一ということで、その中で同じような目的の預金者、貯金者の保護を図っていくということでございます。
○熊谷(市)委員 本来、こういう保険制度というのは保険料で賄っていくというのが基本原則であるというふうに思うわけであります。先ほどの責任準備金を見ても赤字の状態になっている、非常にそういう需要がそれだけ多かったというふうになると思うのでありますが、そういう状況を判断しながら、保険料率の値上げなどということはこの預保を構成する団体に対して指導なさったのかどうか。これも大蔵の方から御説明いただきたいと思います。
○二宮説明員 預保の場合は、その時々の財政状況を踏まえましてこれまで引き上げをしたことはございます。 ただ、今回の場合、先ほど経済局長が申し上げましたように、一般金融機関の破綻が相次いだ、あるいはその結果、預金保険機構の財源状況が枯渇した、そういうことから新たな補正予算の関連法案として既に提出させていただいたということでございます。
○熊谷(市)委員 考えてみますと、先ほども一番最初に、今度の貯金保険法の改正というものは全く預金保険法と同じ、同列のものだということであったわけでありますが、そうしますと、この貯金保険法というものも、もう既に預金保険法の改正の段階で、これは同列に扱って同時にこういう法案というものを出すべきじゃないか、内容は、今言ったように、こっちの方はかなり状況がひどい、こっちはまだ余裕がある、そういう背景もその判断の中にはあったと思いますが、やはり法律というものは国民にとって平等であるはずであるし、同じ金融機関である農協なり漁協だって、これは同じように、同列に考えていただくというのが私は至当であろうというふうに思います。 そういうことからして、後から思い出したようにこの貯金法の改正というものを出してくるというのは、何か農協とか漁協とかあるいはその組合員とかの立場から見ると、少し軽視されているのじゃないか、あるいはおろそかにされている、そういう印象というものを、やはり人間でありますから持つわけであります。なぜ、これは同じようなものとして同列にこの前の改正で出してこなかったのか、おくれて出した理由ですね、これをひとつ、これもやはり大蔵の方がよろしゅうございますかね、お願いします。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 今回の預金保険法の改正と、現在御審議をいただいております貯金保険法の改正、基本的には金融システムの安定化のための、特に貯金者の保護を趣旨とする改正でございます。 今回の預金保険法の改正につきましては、今国会の冒頭に提出され御審議をいただき、成立を見たというものでございまして、それは、先ほど来申し上げておりますように、預金保険機構の財源が枯渇をしている、借り入れをしているという状態にある、早急に資金手当てをする必要があり補正予算を立てる必要があるということで、補正予算関連法案として今国会の冒頭に提出をして御審議をいただいた、そして成立をさせていただいたということでございます。 貯金保険法の場合には、財源にゆとりがあって当面心配がない、平成十年度の予算としては予算措置を講ずる必要がないということで、法案としては予算非関連の法案として御審議をお願いしている、たまたま同じ国会で、予算関連法案は通常先に提出をして御審議をいただき、こちらは予算非関連ということで今の時点で御審議をいただいているということであります。そういう意味では、まさに同一の国会で御審議をいただいているというふうに考えております。
○熊谷(市)委員 先ほどの説明の中では、今の貯保の場合、責任準備金の中で十分にその操作ができる、そういうお話だったわけでありますが、現下の農協の経営だって、決して安泰というわけじゃなくて、特に早期是正措置、あるいは債務超過に陥っている農協であるとか、かなりたくさんあるということが新聞でも報道されている。 そういう事態からすれば、この法案というのは、そういう事態に備えるという性格のものであるとするならば、やはり当初からそういう扱い方を当然すべきである。一歩おくれて今回やるという形になってくると、では、さっき言ったように、政府保証の枠というのは、その状況によってその都度対応していくという形になるわけですか、その点、お伺いしたいと思います。
○熊澤政府委員 御指摘のように、今回の貯金保険法の改正でお願いしておる基本的に重要な部分は、貯金保険機構が農林中金あるいは日銀から借り入れをする場合に政府保証をし得るという点でございますが、これはまさに、この貯金保険機構のシステムが預金保険機構と同様に最終的には政府によって保証されている、そういうことによりまして、貯金者に安心感、信頼感を与える、それがひいては農協系統金融の信頼感につながる、そういう意味で、預金保険法の改正と同趣旨のものというふうに理解をしております。 ただ、先ほど来御説明しておりますが、現在の貯金保険機構の財源状況を見ますと、責任準備金が千五百四十億円、さらに保険料の収入が二百億円強ございます。他方で、支出、貯金保険機構の発動の実態が、平成九年度では五十億円ということでございます。今先生御指摘のように、今後において、経営困難な農協の合併というのが早期是正措置の導入と相まって進められているわけでございます。そういう中でも、私ども、現在各県から経営改善計画の提出の報告を受けておりますけれども、各県での系統組織の取り組みをかなり積極的に行っていただいておりますので、この貯金保険機構が発動する件数というのはそんなに数は多くないというふうに現時点では見込まれております。 そういう意味で、平成十年度の予算措置は講ずる必要がないということで、予算措置は講じないということにしたわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、仮に貯金保険機構が日銀または中金から借り入れをするような事態が生じた場合には、政府保証が付されている、そこがやはり農漁協系統の貯金者に大変大きな信頼感、安心感を与える、そういうことによって、農漁協系統の金融のシステムの安定化が図られる、そういう点に大変重要な意義と効果があるというふうに考えております。
○熊谷(市)委員 そういう趣旨は十分わかるわけですが、実際に法律というものを運用していく場合、やはり安心感を与えるというだけじゃなくて、起きた場合にはこうしますという、そのための裏づけとして、これぐらいの保証枠というものは設定しますよという、これは、預金保険法ではまさにそういう形をとったわけですね。なぜこっちはそういう形をとらないのか。内容が大丈夫だからと言ってしまえばそうですが、実態から見ると、既に自治体などにおいてはそういう経営困難な農協に対していろいろな援助というものをやっているわけですよ。金融ビッグバンの地方版というか、そういうことをもう既にやっている。地方の自治体はそういう取り組みをやって、金額にしますと二百三十八億も出している、そういう形になっているわけであります。 やはり安心感を与えるということは、同時に、そういう保証の枠というものを、数字で出すというのはいろいろ難しい面があると思います。これは数字にかわる何がしかのものをきちんと示しておくということが大事じゃないかな、こんなふうに思うわけですが、このことが一つ。 それから、今申し上げたように、地方自治体が、それぞれの実情に合わせて、地域経済と地域社会にとって非常に大事な農協に対する支援というものを積極的に行っている、こういう傾向に対して、政府としてどのように感じ取っておられるか、この二つについてお伺いしたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 まず、第一点の政府保証の枠についてでございますけれども、先生の御指摘の点は理解をしているつもりでございます。ただ、先ほど来申し上げていますように、貯金保険機構は千五百億円の借り入れができるということはもう明確になっております。他方で、現在、すでに千五百四十億円の準備金があり、その上で二百億円の保険料収入が毎年見込まれているということですので、制度の運用としては、貯金者の保護について全く心配はないというのが実態でございます。 他方で、予算措置を講ずるということにつきましては、当該年度、つまり平成十年度に貯金保険機構が具体的に借り入れをするという想定がされないと、数年先の借り入れを想定して平成十年度の予算は立てにくい、これは予算の単年度主義ということもございます。そういう意味で、平成十年度の予算の枠は設定しなかったということは御理解いただきたいと存じます。 また、第二点の地方自治体の農協の支援状況でございますけれども、確かに、農協系統の支援につきましては、農協の事業活動か、信用事業のみならず購買事業、販売事業等大変多岐にわたっている。そういうことで、そうした農協の経営が破綻を来した場合には地域経済に大きな影響を与えるので、そういったことを防止するために、地方公共団体がみずからの判断で支援をしているというふうに私ども理解をしております。 そのような意味では、そうした地方自治体の取り組みについてはそれぞれの自治体の判断にゆだねているところでございますけれども、私どもとしても、そういう支援についても十分理解はできるというふうに考えております。
○熊谷(市)委員 普通の金融機関と違って、組合の金融事業というのは、これは当然貸し付けをする場合の限度額というのは総会の議決事項になっているわけですね。それから担保物件というもの、この確保に非常に慎重を期しているという面どか、あるいは、この間破綻を来した金融・証券会社と違って簿外債務なんというのもこれはもうつくっておりませんし、有価証券なんというのも農協の場合は非常に少ない。いわゆる貯金に対する有価証券の比率、貯証率というのが六・三%。言うならば、そういうリスクというものに対する特別な考え方、それからもう一つは、損害を起こした場合には組合長以下役員が責任をとらなくちゃならない、これはもう支弁をしなくちゃならない、そういうことにもなっているので、手がたい運営をしている、そういう実態があるというふうに思います。 そういう中で、今度の早期是正措置のいわゆるBIS基準、四%の自己資本比率というものがあって、それをクリアするための努力を一生懸命やっているわけであります。今までは財務基準令というものがあって、資本と固定資産の比率のバランスをとりながら経営の健全化というものをやってきたわけでありますが、その財務基準令と今度の自己資本比率というもの、この二つを農協経営健全化のためにどのように関連づけて御指導なさるか、お伺いをしたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 本年四月からの早期是正措置の導入に向けまして、ここ二、三年、特に昨年来、系統組織それぞれ、全国段階を初め県段階でも組織を挙げて取り組んでこられたわけでございます。そのような意味でいえば、昨年来、自己資本率の改善という点では各単協の段階においてもかなり努力をされてきております。 そこで、結果といたしましては、私どもが現在県から報告を受けている状況では、いわゆる債務超過、四%未満の農協が八十八というふうに把握いたしておりますけれども、その中でも自己資本率がマイナスの農協が五十六という状況でございます。そういう意味でいえば、この早期是正措置の導入を契機に自己資本率の改善、さらには経営改善にかなり県の組織あるいは系統組織全体を挙げて取り組んでこられたというふうに考えております。 今後とも、そのような自己資本率の算定につきましても従来の財務諸表の基準に基づいて算定をするわけでございますので、私ども、適正な算定、経営の改善についてもしっかり指導してまいりたいというふうに考えております。
○熊谷(市)委員 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 以上で熊谷市雄君の質疑は終わりました。 次に、鉢呂吉雄君。
○鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。 きょうは、系統農協の貯金保険法の改正ということで、前百四十一国会に続いての法案の改正について、一時間半にわたって大臣並びに皆さんに御質問をいたしたいと思います。 まず、大臣に御質問をいたします。 現在の日本農業の現状、さまざまな課題があると思いますけれども、それらの大きな課題についてどのように認識をされておりますか。また、そのさまざまな大きな課題についてどのような方向で解決をしていこうとするのか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
○島村国務大臣 お答えいたします。 我が国農業につきましては、近年、担い手の減少あるいは高齢化の進行等の問題を抱えておりますし、また耕作放棄地の増大等の現象も見られるわけであります。また、これら農村の過疎化の進行とあわせまして、例えば平成五年の米の大凶作、あるいは逆に六、七、八、九年と四年連続の米の豊作等、自然条件の影響を受けて農村の皆さんは大変な御苦労をなさっていることもまた現実の問題であります。 これら大変厳しい状況下にある農業でありますが、その一方で、国民食糧の安定供給はもとよりでありますけれども、地域社会の維持、国土の保全、自然環境の保護などの役割を担う、我が国経済社会の発展の基礎をなす重要な産業でありまして、今後ともその健全な発展を図っていくことが国策としても最重要課題である、こう認識いたしております。 このため、まず第一に、農業を誇りを持って携わることのできる魅力ある産業として確立していくこと、第二には、国土資源の有効活用により可能な限り国内産業を維持、拡大し、国内供給力を確保すること、さらにはまた、住みやすく活力に満ちた農村地域を建設すること等を基本としつつ、必要な施策の推進に努めてまいる所存であります。 なお、二十一世紀に向けての施策の展開につきましては、現在、昨年四月以降、食料・農業・農村基本問題調査会において大変御熱心な議論を重ねていただいておるところでありまして、昨年十二月の中間取りまとめを基礎とし、本年夏をめどに新たな農政の指針をつくり上げ、今後に処していきたい、こう考えているところであります。
○鉢呂委員 今年度の農業白書は、昨年に引き続きまして食に焦点を当てて多方面から分析をしております。 私ども、三度三度食べる食糧ですから、ある面では空気や水のように問題意識を持たないという点もあるのかもわかりません。同時にまた、私ども国民それぞれ、みずから食糧をつくるというか、食べ物をつくるというよりも、むしろ非常に外部に依存をする。もちろんその外部には国内の農業者に依存するという面もあろうと思いますし、同時に、最近は海外から食糧が来る。しかも、それが流通段階やあるいは外食産業を通じて、食品産業が大変大きな形で影響してきておる。 我々も忙しいですから、コンビニに行ったり、そういう形で、あるいはおにぎりや弁当を手軽に買ってささつと食べる。きょうも昼飯なしで大臣に答弁をさせようというような話もあったようでありますけれども、そんな形で、何か食べ物が単に、潤いも何もない、そんな感じも若干あるわけであります。その点の指摘もあります。 あるいは、家庭の食事というものが非常に孤食化しているというようなことも分析をしておりまして、それはそれとして大変大きなことを提唱しておるというふうに農業白書から見られるわけであります。 ただ同時に、そのことが必ずしもきちっとした基盤に基づいたものでないということは、食糧に携わる者としてこれはわかるわけでありまして、先ほど言いましたように、海外に依存しておるとか、あるいは国内の自給力が極めて低くなっておるというようなことについて、国民の理解のもとにどうするかということをしなければならない段階に来ておるというふうに考えるわけであります。 同時に、やはりそのことは単に国民の理解があって初めてやれるということでなくて、万が一そういう食糧の危機的な状況が日本に起きた場合には大変なことになるわけでありますから、政治に携わる者がそのことをきちっと具体的に方向づけておく必要があるだろう。そういう点では、今、農政基本問題調査会で議論をしてこの夏にも方向づけるということになっておりますけれども、やはり骨太の対策をぜひつくっていただかなければならない。 これは、一つには、国内の食糧の自給力といいますか、生産力というものをいかに確保して先細りのしないような形にしておくか。そのためには、自給力を形成するためのさまざまな要素というものがあるわけであります。そのことは今大臣がおっしゃられたとおりでありまして、担い手の問題ですとか、産業としての農業をどういうふうにつくっていくかという問題だろうと思っています。 同時にまた、万が一、このような今の自給率を、一〇〇%にすることはできないわけでありますから、千二百万ヘクタールほどいわゆる農地面積が要るのに今は五百万ヘクタールということであります。日本が必要とする農地が半分以上海外にあると言ってもいいわけでありますから、その場合の海外からの輸入というものをどういうふうに安定してつくっておくのか、あるいは備蓄というものをどういうふうにしておくのか、具体的なものが必要になってくるだろうと思っています。 そこで、国内の農業の生産力の状況によって農協という組織は大きな影響を受けるというふうに思っています。大臣、農協についてのイメージあるいは農協が果たす役割というものについて、大臣の率直なお考えでよろしいですけれども、お聞かせ願いたいと思います。
○島村国務大臣 白書の具体的内容につきましては、また担当の者からお答えをさせていただきます。 私は東京生まれ東京育ち、東京選挙区の政治家として、農協にどういうイメージを抱くか。なるほど、私どもの地域にも農協があるわけでありますが、地方の農協と東京の農協といいますと、大きく違いがあるのは、東京の場合には米の問題と直接的な関係を持たない、麦も同じくであります。そういう意味では、生鮮野菜をどのように効率的に供給をするかということに尽きているわけでありますから、全く異質といえば異質の農協のイメージがあるわけであります。 一方、地方の農協につきましては、なるほど従前は、農は国の基であるというような基本に立ち、農業に対しては手厚い政治上の配慮も行き届いてきたところでありますから、それらにいささか安住していたといいましょうか、そういうようなイメージがないことはなかったと思います。 しかし、ここ十数年来、農業に対するいろいろな変化を見ましても、一つには、あれは昭和五十六、七、八、九年ごろだったでしょうか、四年連続の不作に見舞われ、また平成五年には作況七四といったひどい打撃を受け、その後は四年来の豊作ですが、いわば打撃を受ける中で、やはりこれからの農業のあり方というものを、農協を初めとしてそういう関係の方々が非常に真剣に考え始めたということに、私は大きな変化を感じています。 特に、従前は、おいしかろうがまずかろうが、ただ一方的につくったものを国に売りつけるというような時期もございましたけれども、近年、おいしいお米はより高く、破砕米の少ないものはまたより高く、米の値段にも大きく格差が設けられましたし、また同時に、私は、自主流通米の扱い高が非常にふえたこと等によりまして、昔の農協と最近の農協と比較してみて、随分大きく進歩してきたものだな、率直にそんなふうに受けとめているところであります。最近は、いろいろ話をしてみると、むしろ私たちが触発されるくらいよく先行きを考え、勉強して、日本の農業のあるべき姿を求めるというような話を聞けるようになったことは大変な変化だ、こんなふうに受けとめておるところです。 また一方では、自給率のお話もありましたけれども、我が国の穀物自給率二九%は、先進国の中でももう比較にならない全く低い数字でありますし、特に、最近生活水準が向上したこともあって米の消費が減退し、その一方では輸入飼料によらざるを得ない畜産物の消費の増大とか、あるいはまた輸入の原料に頼らざるを得ない油脂関係の需要が大きく高まるなど、いわば食糧そのものに対する国民の要求も大きく変化してきておるところでありまして、これらはやはり、将来に向かって危険な状態を一切招来しないような配慮をまさに政策の面に取り上げていく必要がある、こんなふうに考えております。
○鉢呂委員 一九四八年が新しい戦後の農協、その前の農業会ですとかいろいろあったのですけれども、戦後の発足は一九四八年で、今、私ども地元に帰れば、農協の五十周年というのに御招待されて行くわけであります、私は北海道でありますから全国的なものとは若干違うのでありますけれども。特に、農業生産主体の農協あるいは農村というのは、今、必ずしも活気がない、活気がある状態とは言えない状況であります、ずっと戦後そういうようなことも言われておったのですけれども。 大臣も先ほど言いましたけれども、魅力ある消費者対応、感覚を鋭くした農業生産というようなことも一部には見られておりますけれども、大半の専業的な農業者というのは、今、大変大きな戸惑いといいますか、どういった方向に進もうか、みずからの後継者というものは必ずなければなりませんから、そういう形では、今、自営業全般が大変な状態にあるのかもわかりませんけれども、そういうような感じでおることは事実であります。今、やはりそこに日本の農業の一番の問題点があるのではないかなというふうに私は強く思っておるわけでありまして、そういう中の農協の方向というものも、戸惑いは大変大きいということでございます。 今大臣もおっしゃられましたけれども、農業白書に、去年のものもことしのものも、例えば住専問題を含めて、農業団体なり農協に焦点を当てた書きぶりにはなっておりません。まさに二ページぐらいで、本当に簡単にこれまでの十年程度の農協の推移を書いてあるだけでありますけれども、今、戦後五十年にして、言ってみれば大きな存亡の危機、総合農協として本当に生きていくのか、あるいは広域合併というのは果たしてこれからも農家組合員にとって価値を見出していくものになるのかどうか、そういう岐路に立っているぐらいの大きなところにあるのではないかなというふうに私は思っています。 概括的に言えば、農協の純益、農水省の皆さんは、合併しておりますから、合併後のものを十年前と比較すると、これは、絶対額はふえております。しかし問題は、農協の純益が、その伸び率が大幅に低下している、あるいはマイナスになっておるというところに一つ大きなものを見なければならないだろう。十年前ほぼ四千農協ほどあったのですが、今二千農協に、ですから、半減したという意味では、合併は急速に進んでおるわけでありますけれども、特に、その中では信用事業、いわゆる金融的な事業については大変大きな陰りが見られております。 大臣も御案内のとおり、農協というのは総合農協という形で、いわゆる信用事業、保険関係の共済事業も含めて共済、この二つで農協の金目の面を引っ張ってきた。金目の面といいますか、事業の採算を合わせてきた。その利益でさまざまな営農の指導とか経済事業、販売事業、農産物の販売をするのは、必ずしもこれは農協としては利益を生まない。逆に、倉庫業を含めて赤字になるというものを牽引してきたのですけれども、ここに至ってこの信用事業がこういう状態になってきておるというところで、農協の経営自体が大変な状況になっておるのは事実であります。 それから同時に、信用事業の大幅な収益減というのは、大臣も御案内のとおり、一つは、都市農協については、今後、金融市場の自由化ということで、必ずしも利益を生み出せない状況になったということで、これは、金融のビッグバンもさらにこれからなるということで、大変な状況になるだろうと思っています。 同時にまた、いわゆる専業農業地帯の農協は、農家の負債が非常に固定化されてきておる、あるいはまた農業経営は、一見、規模拡大しておるようでありますけれども、全体的には、農業の生産力といいますか農業経営というのは衰退傾向に入っている。これはもう統計を見れば明らかでありまして、農産物の総売上高というのは十年前に比べまして減っておる。したがって、それに使う農業生産資材というものが逆に減っておるという状況ですから、農協の取り扱いというものは先細りの状況になっておるという状況であります。 そういう中で、これは自主的にやってきておるわけでありますけれども、先ほど言った広域合併というものをやってきました。同時に、ここに至って、そういう金融的な要因からさらにこれを推し進めようという機運が、機運といいますか、そうせざるを得ない。端的に言いますと、早期是正措置で資本の充実を図るということも勘案して、この合併というものが現実のものになってきておるわけであります。 実際、合併をした大型農協を見ましても、必ずしも合併のメリットが今現在の段階でも出ておらないというのも現状でありまして、同時にまた、信用事業を中心に合併がなされてきましたから、その点では、ある程度のスケールメリットというのは出やすくなるのかもわかりません。しかし同時に、農協というのは総合農協で進んできましたから、農家組合員とのさまざまなかかわり合いについて、果たして、郡単位の農協ですとか一県で数農協しかないとか一県一農協も目指そうという今の状況で、そういう信用事業以外の、必ずしもスケールメリットだけでははかり得ない、農家組合員が自主的に参画をした農協運動と言われておる状態が果たしてうまくいくのかなという大きな問題点を抱えておるというふうに思っております。 そういう点で、大臣は、私の話を踏まえて、今のこの農協のあり方、そういうものについてお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
○島村国務大臣 どのぐらいの時点をとらえたらいいのかはわかりませんが、かつての農協と申しましょうか、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのような大変な勢いと自負を持っておられた農協と比べると、最近の農協の経営というのは大変厳しい事態にさらされていて、特に、農協の幹部の方々などは私財をなげうってまでその弁済をするというふうな話も聞かないではありませんし、従前のようにそれぞれの城を構えたというような農協の形ではなくて、ある程度大規模化、効率化を図り、かつコストの低減を図るという意味においては、省庁の再編ではありませんが、従前のような城にこだわった、あるいは自分のテリトリーにこだわったというようなやり方が時代にそぐわなくなってきているのではないか、こういう面は、私たち、はたから見ていて感じておるところであります。 そして同時に、農協経営を支えてきた信用、共済事業につきましては、貯金とか貸し出しとか共済契約高なんかは小幅には伸びておりますものの、金融の自由化、国際化の進展によりまして収益は極端に低迷しているわけであります。最近は、農業全体の伸び悩みの面がそのまま農業生産資材等の販売条件等にも大きく影響してきているようにも思いますので、やはり、ある程度時代に即応した農協の経営というものを考えなければならない段階に来ていると思いますし、農林水産省としても、当然のことに、これらに対して積極的な支援とまた指導を行っていかなきゃならない、こんなふうに考えているところであります。 もともと鉢呂委員は、農協のいわば幹部として期待された人材で、大変な足跡を残されておると承知をいたしております。釈迦に説法になるかもしれませんが、むしろ私は、それはそれとして、それぞれの地域における農協の存在、農協に対する信頼というものは大変なものがあるわけでありますから、こういう農協自身の屋台骨が揺らぐようなことがあってはならない、そのためにも、より足腰の強い農協を形づくるために我々としても協力をしていかなければいけない、こう考えているところであります。
○鉢呂委員 今さまざまな問題点があるわけでありますけれども、一つは、広域合併に進むと同時に、農家組合員との接触をきちっと保つ組織的なものをつくり上げる、まあ農協法というのがあるのですけれども、それを用意しなければならないだろう。 同時に、都市型農協を含めて、いわゆる地域に開かれた農協。私は去年も、今そこに堤官房長がおられますけれども、去年かおととしもそういう論議をしたのです。農家という狭い範囲ではなくて、今も准組合員という制度はありますけれども、必ずしも准組合員が同じ形で農協運動に参画をしておりません。したがって、地域に開かれた農協というものをどういうふうに制度的にもつくっていくのか、その点が問題になってくるだろうというふうに思いますから、これは大きな流れでありますけれども、農水省としても、適切な指導といいますか、農協の組織運営に対する指導をしていただきたいものだなというふうに思うところであります。 現在の信用事業の問題点について、三つほど違いがあるだろう。 今も私言いましたけれども、一つは、都市農協的にやっていく、不良債権との関係でいえば、この運用を間違えて、端的に言えば法律にも触れるような形で貸し出しをして、それが焦げついておるという状況です。 それからもう二つのうち一つは、農業地帯で農業生産も非常に力が弱い、ずっともう十年、二十年前から不良債権を、これは組合員に対する不良債権を抱えて今日まで至っておる。端的に言いますと、例えば畜産業、肉牛ですとか養豚で、もう二十年来大きな施設投資をしたものが返せずに、そのまま農協が抱えておる。 それから三つ目でありますけれども、これは最近の農業の大きな変わり方の中で、端的に先ほど大臣も言われましたけれども、輸入が急増しておるとかあるいは米の過剰生産を含めて、いわゆる米の価格が下がっておるというようなことに起因をして不良債権化をしておる。 これは、専業農家を抱えておるという状況があります。これは、北海道、東北あるいは南九州というようなところがそれに該当するのだろうというふうに思っております。端的に言いますと、規模拡大をしてきたわけでありますけれども、今日のこのような価格の低迷で、極めて不良債権化しておる。 同時に、担保物件が農地でありますから、農地の評価が、当時取得した価格の二分の一以下になっておる、これは米作地帯で甚だしいのであります。これは、府県の大都市、中都市近郊の農地はそれほどでないところもありますけれども、それほどいわゆる非農地の価格として評価しない、純粋の農業に供する農地として評価する担保物件の評価額は大変な下落状況であります。 したがって、担保価値がなくても農業経営がきちっとやられておればそれはそれとして、借金を返済していければそれで問題ないわけでありますけれども、先ほど言ったような農業をめぐる状況で、農業の総生産額といいますかへ総収入というものも減ってきておるというところに大きな課題があるのではないか。単に農協が経営困難になっておるというところであれば、いろいろ今この貯金保険機構というものが発動できる余地もあるのですけれども、それ以外の、農協全体としては、必ずしも貯金者に迷惑をかけるような状況ではないわけでありますけれども、不良債権として大きく農協経営の悪化の原因となっておるというのが相当数農業地帯の農協に見られておる。相当数というよりも、構造的にあるというふうに考えておるわけであります。 そういう、私が今しゃべったようなこの不良債権あるいは負債ということについて、農水省と基本的な考えが一致できるのかどうか、まずそこからお伺いいたしたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、農畜産業への貸し出し、特に畜産業への貸し出しが不良債権化しているという事例、地域があることは、これは私どもも承知をいたしております。 そういう事例はございますが、例えば、私ども今回、自己資本率が〇%未満の五十六の農協につきまして、その経営悪化に至った要因を分析いたしておりますが、もちろん個々の農協で必ずしも一つの要因だけで経営困難に陥ったというわけではございません。農畜産業に対する貸し出しが不良債権化したという以外にも、先ほど先生もお話しになりましたけれども、員外あるいは企業への貸し出しが不良債権化している、あるいは全般的な経営環境、これは販売、購買等も含めてということでございますけれども、全般的な経営環境の悪化という要因が重なって経営困難に陥ったという農協もございます。 そういう意味でいえば、一部に農業に起因する経営不振、不良債権化、それが農協に影響を与えているというのもあるということは事実ですけれども、必ずしもそういうことではなくて、かなりほかの要因も見受けられるというふうに見ております。 また同時に、ことしの四月一日で約二千、千八百三十三農協でございますけれども、相当数の農協は、当然のことながら自己資本率も四%以上でございますし、また堅実、健全な経営を行っている農協も相当ある。あるいは、大部分の農協がそうであると言ってもいいかもしれませんが、他方でそういうかなり前向き、積極的な経営に取り組んでいるという農協が多数存在するということも申し上げておきたいというふうに考えております。
○鉢呂委員 私もそのことは否定しないで、冒頭そういうふうに話したつもりであります。 しかし、五十六のいわゆる経営困難農協以外の、多くの全国の農業地帯の農協には不良債権化しているものが存在しているということも事実であります。 私は、特に今自民党さんが、一般の金融機関を対象に土地の債権流動化促進を行おうということで、今回の補正予算案に乗せるべく対策を講じようという機運が盛り上がっておるというふうに聞いております。これは、不良債権化した土地は大変債権債務の関係が複雑だというようなことで、あっせん、調整を行う機関を新設したり、また、公的資金による土地の買い上げによってそれを流動化しなければ、今の金融機関の不良債権というものを動かしていくことはできないということだろうというふうに思っております。 これらをいわゆる農地にも適用する状況にあるのではないか。局長はどのぐらい調べたかわかりませんけれども、五十六の経営困難農協ばかりではなくて、今回の畜産価格の設定のときにも、農業団体からそういう強い御要請があったというふうに聞いております。農業の専業地帯の農協でそのことが極めて大きなネックになっておるというふうに考えておりまして、それらが優良な農地であるにもかかわらず、必ずしもきちっと使われておらないという事例もあるわけであります。 そういう農地の活性化といいますか、そういうものを促す施策が今必要になっておると思いますけれども、その点についてお答え願いたいと思います。
○山本(徹)政府委員 農地を流動化し、担い手を育てるということは、大変重要な課題でございまして、このために私ども、かねてから農地保有合理化法人、これによって農地を買い入れ、売り渡す事業を実施しておりますけれども、この中でも特に、先ほど来先生からもお話がございました、北海道等の離農農家からの買い入れ等も積極的に行っているところでございます。 〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
○鉢呂委員 ちょっと、それは今、負債整理資金のことを言っているのかどうかわからなかったのですけれども。 私が言っておりますのは、いわゆる担保物件としての農地がなかなか流動化しない。これはもちろん、いわゆる担保価値が下落をして、なかなかその処理だけでは当該農家の負債が処理できないというところでとどまっておる農地が相当ある、そういうふうに私ども認識しているのですけれども、それを踏まえて、その農地を流動化するための施策が新たに必要になっておるのではないかというふうに思いますけれども。
○山本(徹)政府委員 御指摘の、農協が抵当権を設定された農地の流動化でございますけれども、こういった農地も農地保有合理化法人が買い入れを行えますが、買い入れを行うに当たっては、あらかじめ抵当権を抹消していただくことにいたしております。 この理由は、もし抵当権を設定されたままでございますと、農地保有合理化法人が抱え込むことになったり、あるいは仮に担い手に売り渡すとした場合には、抵当権の実行によって農地が競落人の手に渡る可能性がございますので、担い手の経営を不安定にするといったような事情でございまして、これは一般の土地取引の原則であると思っております。 しかしながら、いずれにしても抵当権が設定された農地であるから買い入れないということではございませんで、買い入れの際にあらかじめ抵当権を抹消していただければ適正な価格で買い入れることにいたしております。
○鉢呂委員 個別の処理の方法ではなくて、例えば今農地保有合理化法人が農地を買い入れて五年後にそれを売り渡すという場合に、当時買い入れた価格と乖離を生ずるといった場合にはその差を補てんするということで、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策でその基金を今から三年ほど前に造成をして、五年度ですから、あと二年を過ぎればそれが発動されるという制度もつくっておるわけであります。 しかし、これは必ずしも差額を全部持つとか、あるいは五年後にならなければそれが見えてこないといったようなこともありますから、もっと機動的に、現下の塩漬けされた農地の流動化という視点に立って、今農地以外の一般的な土地についてもこういう制度が検討されておるわけでありますから、ここは農水省として、私は検討に値すると思うのですけれども、そういう点で聞いておるのです。
○山本(徹)政府委員 先生御指摘のウルグアイ・ラウンド対策での離農農家等からの農地の買い入れ、これは、価格が一割低落した場合にこれを補てんする仕組みがございます。これの御活用を私ども期待しておりますし、また、農地の流動化というのは担い手の育成のためにも大変重要でございますので、農地は私ども適正価格で買い上げますけれども、その際には同時に抵当権を抹消していただく、これによって農地が円滑に担い手に活用されるということになると考えておりますので、こういった合理化事業の制度の活用を期待いたしておるところでございます。
○鉢呂委員 経済局長にお聞きしますけれども、今一般的に合併の阻害要因となっておるのは何ですか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 合併の阻害要因というのは幾つか、かなりいろいろな要素があるわけでございます。合併する場合の両組合の構成員あるいは地域における農業の実態の相違、そういった一般的な要因がございます。同時に、昨今の農業を取り巻く経営環境の悪化の中で特定の農協については経営内容が悪化している、すなわち不良債権が増加している、そういうことが要因でなかなか隣接の農協が合併の相手として受けがたい、そういう事例も多々あるということも承知いたしております。
○鉢呂委員 局長今言われましたように、大きな阻害要因は不良債権がその合併する農協にあるということで、私どもも詳しい統計資料はありませんけれども、新聞等で出てくるのは必ずそういうことが阻害要因になって不良債権の償却といいますか、身ぎれいにして合併しようというところで最終的にだめになる。 北海道はとりわけ今一町一農協というのが多いので、それをさらに郡単位といいますか、そういう単位の農協合併を促進しているのですけれども、そこのところが一番大きな課題になっておることは事実であります。したがって、今そういう不良債権を処理するための制度的なものをつくる段階にあるのではないかと私は思うわけであります。 そこで、不良債権買い取り機構には、農林中金なり信連なり単協は入っておりますか、対象に。
○熊澤政府委員 今回、貯金保険法の改正を御審議いただいておりますが、その中で、合併の際に不良債権を分離するという意味で、貯金保険機構がみずから買い取る場合、さらに、県連等が県内に債権回収子会社をつくりまして、その債権回収子会社が経営困難、経営破綻を来した農協の不良債権を買い取る、それに対してさうに貯金保険機構が支援をできる、そういう法改正の内容で御審議をいただいているところでございます。
○鉢呂委員 それは違いまして、一九九三年に百六十五金融機関が共同出資で不良債権買い取り機構をつくり、五年間運用してきたわけであります。ことしまさにそれは終わるわけでありますけれども、農協系統は入っておりません。したがって、そういうものをつくる必要があると私は強く思うわけでありまして、農水省当局として、これはぜひ、そういう農業版といいますか、農協版といいますか、それをつくって未然に処理をしていく。ここに至って経営困難になって、これほど、五十六も経営困難に、〇%未満になっておるとかいうのは全国のさまざまな業態別の金融機関でもないわけでありまして、私は、先ほどの質問を聞いていまして、農水省は必ずしも危機感は強くはない。個別の話は具体的にしていきますけれども、今、むしろ農協系統の金融機関としては大きな危機的な段階にあるというふうに思うわけでありまして、その点で、農地にかかわる不良債権を処理する機関というものを農協独自につくっていかねばならないというふうに思うわけであります。 そこで、個別のことを二、三質問をしてまいります。 一つは、今回の貯金保険機構にかかわる改正案については、預金保険法とほぼ同一の改正案だというふうに先ほど局長は述べられましたけれども、さまざまな点で違いがあるという点で今御質問をさせていただきたいと思います。まず、この貯金保険機構の運営についてでありますけれども、一つ一つ聞くのは時間がかかりますので、私の方から述べながら、農水省の見解を聞きたいと思います。 預金保険機構では個別金融機関の救済をするのではない、あくまでも預金者の保護を目指したものであるという形で、今回も金融システムの法案と一緒にこの預金保険機構の改革を行って、第三者機関的な審査委員会を法律上設置をしております。ところが、貯金保険機構では、理事長、理事、同時に運営委員会というのがございまして、現在、全中の会長、全漁連の会長、信連協会の会長、農協の代表者二名、漁協の代表者一名、そのほかに日銀の理事が一人という形になっておりまして、いかにも農業団体の運営委員会、運営委員という形をとっております。今回、政府保証という形をつくるわけでありますから、まさに国の予算の投入もあり得るという点で、このような運営が果たしていいのかどうか。 それから、預金保険機構では、決定過程の透明性を確保するということで、審査基準や審査委員会の議事内容を公表して、金融機関の経営改善計画も公開するという形になっておりますけれども、貯金保険機構もこのようにするのかどうか。この二点についてまずお聞かせを願いたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 預金保険機構の審査委員会については、確かに先生御指摘のような委員の構成内容になっておるわけでございます。他方、貯金保険機構の運営委員会の審査委員については、今先生がまさにお挙げになった方々で構成をされておるわけでありまして、いわば第三者的な委員の方としては日本銀行の理事の方がお入りになっているというふうに思われます。 ただ、そういう意味で、農協系統の代表の方と漁協系統の代表の方でいえば、必ずしも相互に利益を有しているわけではありませんので、ある意味では客観的な第三者としての判断をしていただけるという立場にあるというふうに考えておりますが、さらに日銀の理事の方以外に中立的な委員の方の登用という御指摘もございます。そうした点については、今後の検討課題かというふうに考えております。 他方、この運営委員会の運営でございますけれども、これは貯金保険機構が資金援助を発動する際に審議をするわけでございますけれども、その審議の際の基準につきましては、この法案、すなわち貯金保険法におきまして、審査の判断基準としての要件が明記されております。また同時に、貯金保険機構が資金援助を発動する際には、当該発動の対象となる組合、農協の適格性の認定を都道府県知事が行うという基準、そういった仕組みにもいたしておりますので、そういう意味でいえば、きちっとしたルールのもとに運営をされるというふうに、これまでもかなり厳しい運用をしてきているわけでございますけれども、今後ともそうした運営がなされるものというふうに私どもは考えております。 他方で、運営委員会の議事概要の公表という御指摘がございました。 確かに、現在の運営委員会におきましては、貯金保険機構の支援の発動につきまして、運営委員会で議決後、公表いたしております。ただ、議事の概要については公表いたしておりません。その点については、議事の概要等の公表については、今後の検討課題というふに考えております。
○鉢呂委員 今、両方とも検討課題というふうに言いましたので、大臣、これはきちっと対応する必要があるということを言っておきます。 それからへ先般の百四十一国会でこの貯金保険法の改正案のとき、私が質問いたしました、いわゆる県信連あるいは農林中金がこの貯金保険法の対象になっておらないわけであります。これは、昔はそのことを想定しておらなかったという面があるわけでありますけれども、今日こういう金融システムの危機的状態になったときに、ひとり県信連が全く安定しておるということはあり得なかったわけでありまして、これは住専がそのことを示しておるわけであります。住専はああいう形で処理をしたから胸をなでおろしているだけでありまして、単に貯貸率が低いとか安定的な運用先にしておるということだけでは何の回答にもならないというふうに思います。 同時に、一つの県信連が経営困難に陥ったときに、その県下の農協、そしてまた貯金者というのは一挙に大変な困難に陥るわけでありますから、貯金者を最終的には保護するという形で、金融機関の困難な状況を事前に押しとどめるという意味で単協に支援をしておる、同時に信連にも支援をするという枠組みをきちっとつくっておく必要がある。私は昨年もそういうふうに質問をし、大臣は、あのときは預金保険法の検討も始まった段階だったので、その辺の状況もにらみながら検討させていただくという御答弁だったと思います。しかし、今回このことについては全く触れずの提案でありまして、私は、これは問題性が非常にあるというふうに言わざるを得ません。御答弁願います。
○島村国務大臣 お答えいたします。 農林中金または信連につきましては、その受け入れている貯金のほとんどがいわば会員農協からの再預かり貯金であるということ、また、農協の組合員からの貯金については、農協段階で貯金保険の対象となっており、保護されることから、貯金保険制度の対象とする必要はないものと考えたところであります。 一方、農林中金、信連につきましても、信用秩序の維持の観点からの経営の健全性の確保が必要であることから、金融機能安定化法に基づく自己資本注入の対象金融機関として位置づけたところであります。
○鉢呂委員 大臣はそういう公式な発言はあるのですけれども、事実上ほかの金融機関、県信連や農林中金以上に大きな金融機関がこういうスキームをつくって走り出したところであります。もちろん、貸し渋りに対する自己資本の注入、公的な資金の導入ということはそれはそれとして、信連や農林中金もできるシステムをつくりましたけれども、同時に、いわゆる経営困難に陥ったときの保険的な手当てがまさに信連、農林中金には全くないということでありますから、これはどういうふうにやっていくのですか、そういうことになった場合には。お答えください。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 基本的には、今大臣がお答え申し上げましたように、昨今の金融システムの安定化、そのための仕組みとして今国会で金融システムの安定化の法案が成立したわけでございますが、そういう中で他の一般金融機関と並んで農林中金、信連が位置づけられた、そういう意味では他の金融機関と同様の位置づけになっているというふうに考えております。 さらに、他の一般金融機関におきましても、預金保険法の対象になっておりますのは、あくまでも、銀行の救済ではございませんで、預金者の保護というのが趣旨でございます。そのような意味でいえば、この貯金保険法におきましても貯金者の保護については万全の措置がとられている、預金保険法と同様の措置がとられているというふうに理解いたしております。
○鉢呂委員 経済局長も余り理解をしておらないような答弁では困ります。 県信連が経営困難になったときにはどういうふうに補てんをするのですか。
○熊澤政府委員 基本的にはそのような事態が生じないことが好ましいわけでありまして、従来からも信連の経営につきましては、その貸出比率が一割ないし二割という状態でございますので、大部分の資金が農林中金に預け入れられている。そういう意味で、現在の状況でいえばかなり堅実な運営がなされているというふうに考えるところでございます。 仮にも先生が御指摘のような事態が生じた場合でございますけれども、もしそのような場合には、本来は系統組織全体が、これは農林中金、信連含めまして農協まで、相互扶助の精神のもとに三段階制がとられているという中でございますので、仮にも信連が経営の悪化に直面するという状況になれば、それは農協の系統組織、本来の相互扶助組織の中で支援が行われるというふうに考えられます。 また同時に、現在の農業をめぐる環境の変化、さらには金融ビッグバン、金融状況の厳しさが増す中で、現在系統組織全体として取り組んでおりますのは、農林中金と信連の統合あるいは県内の信用事業の統一化、そういったことでございます。そういった方向で今後前向きに再編整備を図っていくべきものというふうに考えられます。
○鉢呂委員 前段では、そういうことを想定しておらない、あるいは信連が健全経営だというような認識は、全く経済局長、私はそういう状況ではない。まさにそれが住専問題であった。また、県信連でも自己資本比率が四・一%という県信連も二つほどあるわけでありますし、同時にまた、自己資本比率が四%を上回っておるからといって、あるいは貯貸率が、ほとんど農林中金に行っているからといって、一たん不良債権を生んだときには、まさに自己資本で賄い切れなかった部分は貯金者に穴をあけていく、迷惑をかけていくという意味では、全くあり得る話でありまして、今の県信連が大丈夫だと胸を張って言える状況ではないし、またそのことのための保険制度というものをつくっておく必要がある。 自己資本の注入、公的資金注入だけでは、これは限定です。永続的な制度として農林中金と県信連、県漁連がまさにその枠外にあるということについて、大臣、私は十分検討しておく必要があると思います。時間が余りとれませんから、大臣も御承知の上で答弁されておるのだと思いますけれども、もう一度私は大きな検討課題であるというふうに言わざるを得ません。 もちろん、県信連がいかれたときには、単協をこの制度で補てんをすればいいことになります。しかし、単協で補てんするということは大変な労力と大変大きな困難性をいろいろ伴うわけであります。だから今、金融機関の段階で貯金者に迷惑をかけないということでぎりぎりのところで、経営破綻をさせるのだけれども、その吸収をするというような形でやっておるわけでありますから、そこは私は検討課題であるし、早急にその制度をつくらねばならないというふうに思います。 大臣であれば、答弁をいただきます。 〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
○島村国務大臣 我々は、まさに備えあれば憂いなしてございまして、不測、不慮の事態に対しても万全の態勢をつくっていくことは、これは意味のあることだと思いますので、これから勉強させていただきたいと思います。
○鉢呂委員 それから今、系統農協は相互扶助だという言われ方をいたしました。そういう形で今日まで進んでおるようであります。したがって、さまざまな不良債権の処理に系統が幾分かの支援、助成をするという形で進んできています。しかし、これも、単に相互扶助だから何か公共的な支援組織としてあるのではありません。まさに農協というのは、一組合員一票を持っておる民主的な機関でありますから、これが一定の賛意を得なければ通りていかない段階であります。 そういう意味では、今日までいろいろな破綻処理をやってきておりますけれども、多くは系統の支援をもらってやっておるわけであります。こういうことがまさに護送船団的なあり方ということで重大な時期を迎えかねない。今も方々の県段階で支援をしています、このことについても後で指摘をさせていただきますけれども。しかしこれはあくまでも資金の貸し付けであります。資金の貸し付けの果実を充てるということで、もともとはほかの農協の理解をもらう形になります。県段階、県信連、あるいは系統の県段階の連合会は単協によって成り立っておるわけでありますから、最終的には単協の、単位農協の全体の賛成が必要になってくるわけであります。 そういう意味では、無原則的な相互扶助というものに名をかりた支援がなかなかできにくくなる形があるのではないか。このことについて、経済局長、どのように考えますか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 確かに、基本的に、系統組織が本来的には農協の組合員を中心とする相互扶助の自主的な組織として発展をしてきたわけでございますし、それが現在の系統の三段階の組織として構築をされている。他方で、時代の変化、社会の変化の中で、地域社会で農協が果たす役割が増加をしてきておる。それが准組合員の増加あるいは地域社会における金融機能の強化、そういった面で発展してきていることは事実でございます。 そのような意味でいえば、農協が系統組織の中で単に扶助組織にのみ頼って経営を安易に行っていく、そういう状況にはない。極めて厳しい経営環境にある。さらには、地域の住民の方々、准組合員も含めまして、そういう方々の意向に沿ったサービスの提供が求められている、そういう時代の環境の変化の中で系統組織も事業展開をしていく必要があるということは、まさに御指摘のとおりだと思います。 そこで、系統といたしましても、そういう時代環境、社会環境の変化の中で、やはりそうした環境に対応して、組織として、信用事業を含みます総合事業体として事業展開を積極的に展開していかなければならない、そういう意識は十分持っております。現在そこで取り組んでおりますのは、やはり組織の健全化、合理化でございます。それはとりもなおさず、先ほど来申し上げましたが、事業、組織の簡素化、これは、全国段階と県段階の統合、あるいは広域合併の推進、そういったものも含まれるわけでございますけれども、そうした自助努力によりまして、農協系統組織が、組合員のみならず地域の住民の方々の信頼を得てしっかりと地元に根を張って活動していく、まさにそういう点が求められている、そういう方向での指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
○鉢呂委員 具体的に、破綻処理をした農協を例にとらせていただきます。奈良県の広陵町農協、ここはピーク時には貯金高が九百三十一億円あったわけであります。奈良県下では最大の信用事業を行う都市型の農協でありました。しかし、破綻原因を聞こうと思ったのですけれども時間がありませんから、地元出身の建設会社に対して大口の貸し出しをしたということで、経営破綻を来して多額の固定化債権を発生させました。また同時に、県下の靴下の産業も、そういう地場産業が不振に陥って、最終的に百五十八億円という欠損金を昨年の七月に出したわけであります。 この処理のスキームでありますけれども、不足する財源、結局は処理額が百五十一億円になったわけで、県下で二分の一を持つ、七十五億五千万であります。不足分を、同額でありますけれども、全国に支援を求める。先ほどありましたように、全国農協相援制度、相互援助制度というところから、今の貯金保険法と同じ、この貯金額に対しての保険料を納めておるのですけれども、その比率で、そちらの方では、全国農協相援制度では十三億七千万、そして残りの六十一億八千万を貯金保険機構から支援をするということで、保険機構の決裁、大臣の認可もいただいて、四月一日でしたか、これが決定をされておるわけであります。なぜ全国の支援が二分の一なのか、その根拠。従来、かごしま農協等、農協関係では四件発生しましたけれども、それぞれ全部二分の一であります。根拠とその基準というようなものがあるのかないのか。 それから、県内での支援七十五億五千万については、先ほど言いましたように、信連が六十億。そのうち県が五十億を資金として十年間貸し出して、その三%の金利で十五億円を十年間で生み出す。しかし、信連は六十億ですから、残り四十五億というものは、先ほど言いましたように、県下の単協あるいは組合員が責任を持つ。また、経済連、共済連が合わせて十五億持つという形のスキームをつくったようであります。 そういう意味では、県がこのような支援をするということの意味合いはどういう根拠に基づいて行っているのか。先ほど経済局長から、自主的な判断に基づいて、その農協が地域経済に大きな役割を果たしておるという観点から行ったのではないかというふうに答弁をされましたけれども、そこのところをもう一度御答弁を願います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 奈良県の広陵町のケースにつきましては、その処理スキームの概要につきまして今先生がお述べになったとおりでございます。 ただ、一点ちょっと補足して申し上げておきたいと思いますけれども、県が支援をしている内容につきましては、必ずしもこの奈良県広陵町の農協処理に直接に出指しているかというと、そこはかなり違う理由もございます。すなわち、奈良県の場合には、現在、県下一農協ということで検討を進めている最中でございますので、そうした県下一円一農協への支援資金として県の方から支援がなされているというふうに私ども承知をいたしているわけでございます。 それから、全国の段階、つまり相援の制度と貯金保険機構による支援が地元の持ち分との比率で一対一になったという点でございますが、これは必ずしも、一対一にする、あるいはすべきである、そういったルールを設けている、あるいは私どもが指導しているわけではございません。従来から、まずは経営破綻を来した農協におきまして役員が一定の負担をする、責任を負う、さらには農協自体として努力を行う。これは減資、出資の減資などが当たりますけれども、そうした減資を行う。その上で県内におきまして信連を中心といたします負担をぎりぎり最大限行う、その上で全国の相援の制度あるいは貯金保険機構の発動が行われるということでございます。 従来の例におきましては、確かに地元の負担と全国段階の負担が一対一という事例がございます。他方で、一対一でない事例もございます。それは先生御承知のとおりと思います。 それから、県の支援でございますけれども、これは先ほどお答え申し上げたと同じお答えを申し上げることになるわけでございますが、地方公共団体は、この奈良県に限らず、ほかの県におきましても支援の事例がございます。まさに農協経営が、信用事業のみならず経済事業を含めて幅広い活動を行っている、そういうことから、農協が経営破綻を来した場合には、農協の組合員、准組合員のみならず、地域の社会経済に与える影響が大変大きい、そういうことから、県自体の判断といたしまして支援を行っているというふうに理解しているところでございます。
○鉢呂委員 自主的な判断であるということでありますから。貯金保険機構というのは、まさに国は出資をしておりますけれども、単協が全員加盟して自主的に積み上げてきた保険料という形で成り立っておるわけであります。したがって、こういう事態になったときには、やはりまずは何よりも優先的に貯金保険機構というものを使うのが妥当性がある。私は、県信連とか農林中金がその不良債権を生み出す何がしかの責任、原因があるのであれば、それはそういう形もとり得ると思いますけれども、先ほど言ったような員外貸し付けのような大口の貸し付け、あるいは経営者の背任的な貸し付けによって焦げついたという場合は、なおさら地方自治体やあるいは系統の上部団体が負うということにはならない。したがって、まず何よりも、第一義的には、この貯金保険機構あるいはこの全国の相互援助制度といいますか、そういうものを使うべきであるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 確かに貯金保険機構の財源は、もちろん最終的には農家の方々が負担しているものでございます。そういう意味でいえば、資金の援助の発動については厳しいルールのもとで発動されるべきであるというふうに考えるわけでございます。現在の系統組織の三段階のシステムの中で、県の農協の連合体であります県の中央会あるいは信連、こうした県段階の団体が農協に対して指導的な立場にあるわけでございますので、一義的にはやはり地元において基本的な処理スキームを考える。その際、地方公共団体におかれましても、それに対して支援する必要があると判断された場合には支援されているということでございます。 なお、その上で、全国的に、これはまさに逆の意味でいえば、全国の農業者の方々の資金を財源として成り立っている貯金保険機構あるいは相互援助の制度としての判断としては、やはり厳格なルール、つまり県でできる対応をした上で全国で対応をする、そういうルールも、いわば厳しい運用のルールの一つとしては重要なポイントではないかというふうに考えられます。 また同時に、先生が御指摘になりました経営破綻に陥った場合の経営者の責任の追及、これは厳しくなされるべきであるというふうに考えております。 これまで貯金保険機構が発動いたしました経営破綻組合の処理のケースにおきましては、これは五件ございますが、すべて民事、刑事の訴追がなされているというのが実例でございます。また、この貯金保険機構の発動事例にかかわらず、個々の農協の破綻におきまして農協の経営者に責任があるというケースにおいては、刑事、民事の訴追がなされているという事例が多々ございますことは、先生御承知のとおりだというふうに考えます。
○鉢呂委員 大事なところでありますから、今、経済局長は、冒頭は自主的な判断でと。これは県の支援、援助ですけれども。それは、自主的な判断ではなくて、そういう形を求めるということですか。
○熊澤政府委員 破綻農協の処理のスキームに対する県の支援につきましては、これはあくまでも各県の自主的な判断でございます。私どもが指導しているわけではございません。
○鉢呂委員 そうしますと、県段階の支援がなくても貯金保険機構は保険金を支出する、あるいは資金の支援をするというふうに理解をしてよろしいですね。
○熊澤政府委員 貯金保険機構が資金援助を発動する際に各県が支援をしなければならないということは、発動の条件にはなっておりません。
○鉢呂委員 今、五十六の農協が、あるいは漁協も入れればもっと多いのですけれども、いわゆる早期是正措置で〇%。今、三区分の、いわゆる債務超過農協の債務超過額は幾らありますか。
○熊澤政府委員 私どもが現在、県の報告をもとに算定いたしましたところで、この五十六の自己資本率がマイナスの農協、いわゆる債務超過農協と申してもいいわけでありますが、その債務超過の合計は約五百億円でございます。
○鉢呂委員 今、経営困難を来して処理をしなければならないというのが新聞でも出ておりますけれども、四月現在で九道県がありまして、その県の支援額が三百四億四千万という形になっています。これは、いろいろな形はありますけれども、無利子、低利の資金あるいは補助金の交付というものを合わせて三百四億あります。そのほかかどうかわかりませんけれども、いわゆる債務超過になっている額が五百億ある。合わせて八百億という形であります。 大臣、先ほど、貯金保険機構は全く大丈夫だと。一千五百億の保険積立金、あるいは一千五百億を限度にしての日銀からの借り入れというものを可能にしているという形でありますけれども、必ずしも安全ではない。五十六の農協の経営改善についても後ほど聞きますけれども、私は必ずしも経営改善が可能ではないというふうに思っていますから、果たしてこの程度の保険料で、いわゆる政府保証をつけておりますけれども予算は計上しておりません。 私は、農水省に農協、漁協の信用事業部門の今の状況について、もう少し危機的な状況にあるのではないか、その認識をしていただきたいというふうに思いますので、大臣からの一言をお願いします。
○島村国務大臣 すべてにおいて絶対ということは言えるかどうかは別といたしまして、今までのいろんな経験あるいは実績等に基づいて検討してみると、当面まず心配はないということを私自身も再度にわたって確認したところでございまして、そこまで言われれば、それもまた危ないのではないかということまで踏み込むわけにいかないので、私はそう受けとめております。 しかし、もともと手がたい人たちがかなりいろんなケースを考え検討した結果の私に対する回答でありますから、私はそれを信じたところであります。
○鉢呂委員 次に、早期是正措置のいわゆる猶予措置の関係でありますけれども、今、三区分、債務超過に類すものが五十六農協、そのうち自主再建が二十六、合併が二十七、事業譲渡が二、解散が一であります。解散は問題なしとして、合併について、これが果たして現実性があるのかどうか、その点について御質問をいたしたいと思います。 大蔵省と農水省が、この関係の経営改善にかかわる通達を出しております。省令十五条一項では、自己資本比率の範囲を超えて確実に改善するための合理的と認められる計画を知事に提出をした場合に、行政庁に提出した場合にこのことが認められるんだということであります。確実に改善するための合理的と認められる計画、ですから、認められるということは、知事がこの改善計画は合理的だということを認めた上で提出をさせるということであります。 その場合、合併を行うんだというふうに改善計画にのせている農協が二十七あるんですけれども、確実性といいますか、合理的と認められるというのはどの状態の合併をいうのでありますか。
○熊澤政府委員 御承知のとおり、今回の経営改善計画につきましては、知事が判断をしたわけでございますが、知事が判断するに当たりまして、合併につきましては、確かに一部の計画については、既に例えば合併の予備契約が付されている、そういうようなケースもございます。 他方で、そのような有形な書類まで整っていないケースもあるというふうに承知をいたしておりますが、この経営改善計画が提出されるまでのプロセスにおきましては、それぞれ県内におきまして、農協の中央会、信連等を中心といたします系統組織が挙げて積極的に、経営困難組合、経営破綻組合の処理に取り組んできているという実態がございます。 これは、ここ数年来、特に昨年からは、この経営改善計画の提出、早期是正措置の導入を間近に控えて、系統組織を挙げて経営破綻組合の処理に取り組んできたということは、これはもう先生御承知かと思います。 もちろん、県の監督の立場にある方々もそのプロセスには参画をしているわけでございますけれども、そういう経緯を経た上で改善計画が出されているというふうに承知をいたしておりますので、私は、県知事が判断するには、合理的な判断をするに足る理由と背景があるというふうに考えております。
○鉢呂委員 同じ通達で、「増資の場合には、出資先または負債性資本調達先の意思が明確であることが必要である。」というふうに、増資の場合には明確に述べています。 ところが、合併については、昨日の日本農業新聞に大きく出ましたけれども、合併についてこういう県下の改善計画を提出をしておるという中身を見ても、合併に努力をするという書きぶりであります。これは事実かどうか、私はきょう確認をしたいのですけれども、時間がありませんからあれですけれども。 大臣、これは一年の猶予しかありません。もちろん、それがきちっとした合理的なものでないというときには、それを差し戻して事業の停止、全部停止等をやれることになっていますけれども、これは、今貯金者も見ておりますから、きちっとした対応をしなければ大混乱に陥る可能性があります。 同時に、今、五十六農協も含めて債務超過農協については、ある新聞が全国紙に出しました。きょうここで、農水省はきちっとこの五十六農協も含めて農協名を公表すべきではないかと思いますけれども、これはできますか、経済局長。
○熊澤政府委員 まず、経営困難な農協、いわゆる債務超過の農協の組合名の公表でございますが、これらの組合の処理につきましては、自主再建もございますけれども、合併ということを中心として改善を図っていく、処理を行うという組合数も多々あるわけでございまして、今後の合併の手続につきましては慎重を要するということは、先生も御承知のとおりだと思います。私どもとしては、個々の組合名の公表はできないと考えております。 それから他方で、合併の蓋然性についてのお尋ねでございますけれども、これは、先ほど御説明申し上げましたように、それぞれの県内におきまして、今回の対象となっております経営困難な組合、この経営困難な組合の処理につきましては、系統組織と県当局が相当密接な連携をとりつつ、系統組織全体としてみずから取り組んだ結果として出てきているものがほとんどでございます。そのような意味で、今回の経営改善計画、特に合併を基本として経営改善を行うというケースにつきましても、相当の蓋然性を持って合併が実現されるものというふうに理解をいたしております。 また、もしそのようなケースにおいて実現が困難な状況になるということになれば、これは確かに、改善命令、さらに経営改善計画の変更命令なり知事の命令が発せられるということになるわけでございます。
○鉢呂委員 大事なところですから再確認しますけれども、今回の合併というのは、合併を改善計画に盛り込んだところは、県が取り組んだ結果で蓋然性があるというふうに言われましたけれども、その具体的なところは何を示していますか。予備調査、予備調印をやったということですか。
○熊澤政府委員 お答えを申し上げます。 基本的には、系統の中における農協の合併でありますから、系統組織が中心となって主体的に取り組んできておるというのが実態でございます。しかしながら、当然のことながら、農協法のもとで、県が農協に対して指導監督を行う立場にございます。 今回の早期是正措置の導入につきましても、そういう視点からの県の指導監督はあるわけでございますので、そういう意味でいえば、基本的に、合併というのは、自主的な組織であります系統がみずから合併によって経営困難な組合の処理をしようということで取り組んできていることが中心ではございますが、その過程において、指導監督の立場にある県もアドバイスなり相談にあずかる、そういった経営改善計画の策定にもあずかってきたということを申し上げたわけでございます。
○鉢呂委員 それは、合併が自主的とかそういうことではありません。今回の早期是正措置によって、県を通しますけれども、国はこういう、例えば事業の停止を一部行うとか全部行うとかということを命令するわけでありますから、そういうあいまいなことでやられても、果たしてその改善計画は合理的なものかどうかということに疑いを持たせるような経済局長の答弁というのは甚だ問題があると思います。 ですから、先ほど言ったように、増資については、増資先についての極めて具体的な、調達先の意思が明らかになるとかいうことがあるわけでありますから、合併についてもきちっとした統一見解をつくって通達を出さなければ、まさに努力義務的なもので済まされておるのではないか。 局長も御案内のとおり、合併というのは極めて難しいのですよ。私が知っている北海道の、五十六の農協の、まさに合併に挙げている二つの農協、これは皆さんがはっきり言いませんから、私は言わないと思ったのですけれども、新聞に載っておるその二つの農協の、合併すべきそれぞれの農協の通常総会で、これがその方向にならなかったわけであります。特に、吸収すると思われる豊協の総会では、九時間の論議でこれが先送りになったわけであります。 こういったものも含めて、合併という形になっておるとすれば、これは、地域の皆さんは新聞を見ていますから、新聞にでかでか出ているわけですから、今の局長の御答弁は甚だ貯金者に不安感を持たせるものになるのではないか。 先ほどの奈良県下の農協でも、一気に三百億程度、貯金は流出しましたね。九百億から六百億になりました。そういったものがあるからこそきちっとした対応をしなければ困ります。大臣、御答弁をいただきます。
○熊澤政府委員 北海道における経営改善計画の提出、その報告は私どもも受けております。その中で、先生が御指摘になりました農協の合併計画の状況につきましても報告を受けております。 他方で、私どもが理解している限りでは、北海道の中央会、信連を中心といたしまして、系統組織を挙げて、今先生が御指摘になりました対象農協についての合併を促進するということで、そこの意思はかなりしっかりしたものがあるというふうに判断をし、その上で、知事が提出された経営改善計画を合理的な内容のものであるというふうに認定したというふうに私どもは報告を受けておりますので、今後一年間に、そうした農協についても、合併を中心といたしまして経営改善計画が実行されるものというふうに理解をしているところでございます。
○鉢呂委員 連合会が幾ら取りまとめに奔走しているとかいうのは、合併の最終的な決着にならぬということは局長も御案内のとおりです。これは、それぞれの単協の三分の二以上の組合員の賛成がなければできないということで、そういう農協の運営者なり指導機関が幾ら奔走してもできなかった事例は今までにも随分あることはもう御案内のとおりであります。 そういう形で、そういう指導機関の指導があるからということだけで合併という経営改善計画を認めていくというのは、私は非常に問題があるというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。
○島村国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
○鉢呂委員 したがって、きちんとした経営改善計画、とりわけ、合併についての具体的な、合理的な、認められるものというものをきちっと出すべきである、このことをお願いいたしておきます。 まだ時間がありますので、漁協関係ですね。 漁協関係については、四月一日現在、いわゆる三区分に入っているものが、全国千三百漁協の一〇%近くの百十六漁協が示されております。これは第一区分から第三区分で百十六、何らかの是正をしなければならないというところでありまして、第三区分、いわゆる債務超過に陥っている、自己資本比率がマイナスになっておるのが八十九ございます。ここも、合併が二十という形で行われてきておりまして、漁協はなおさら、漁業権があるだけに、合併というのが難しいというふうに一般的に言われておりますけれども、この漁協の合併について、その実効性について水産庁長官にお尋ねいたします。
○嶌田政府委員 今先生言われましたように、農協と同じように、漁協の合併につきましても非常に難しい問題がございます。それに加えまして、確かに漁業権の問題が一つございまして、それが合併を実行するに当たっての障害となっておるというようなこともございます。 ただ、漁業権につきましては、合併前の漁協の組合員の意向が尊重されなくなる、そのことによって合併を、言うなれば嫌がるというようなことがございますので、そのような事態を避けるために、漁協合併促進法におきまして、漁業権の行使規則の変更または廃止についての特例でございますとか、漁業権の放棄または変更に係る手続に関する特例が法律で定められておりまして、これらの特例を十分活用することによりまして、漁協合併につきましては、それが円滑に行われますように指導していきたいというふうに考えております。
○鉢呂委員 信漁連には、四%未満の信漁連も一つあるというふうに聞いております。そういう意味では、先ほど言った信連、農林中金には保険措置がないということの問題点は、やはり漁業関係にも残ってくるというふうに思います。 同時に、貸し渋りはやはり農協でも、早期是正措置の関係で大変大きいものがございます。大臣も御案内のとおり、今回のこの貯金保険法は、農協には、単独で、いわゆる公的資金で、金融システムが危機的な状況であるからという理由で、自己資本に対する公的な資金を投入できない形になっています。投入できないんです。これは、県信連、農林中金はできますけれども。やはりそこは同様に、公的資金でなくてもよろしいです、貯金保険機構からでもよろしいんですけれども、やはり、自己資本を増強するための何らかの施策というものが必要になるだろうというふうに私は思いますので、時間が来ましたので御答弁は求めませんけれども、御検討をお願いして、終わります。
○北村委員長 以上で鉢呂吉雄君の質疑は終わりました。 次に、今田保典君。
○今田委員 私は、民主党の今田保典でございます。 一昨年の十月まではこういった場におらなかったわけでありまして、私も一人の農協の組合員として、日ごろ、今日まで思っていたことを中心に質問させていただきたいわけでありますけれども、現在農協系統が取り組んでおります組織整備問題を中心に、政府にお考えをお聞きしたい、こういうことでございます。 貯金保険法は、さきの臨時国会において、経営困難な農協を含む合併等を、貯金保険機構による資金援助の対象に追加をする、さらに今回、貯金保険機構の農林中金等からの借り入れに対する政府保証の付与、あるいは、受け皿組合への劣後ローンの供与、不良債権の処理の促進を目的とした改正案が提出されておるわけです。 このような法的な手当ての必要性については、最近の金融事業をめぐる厳しさを踏まえれば私としては理解ができるところでありますが、ただ、今日の金融不安や農協経営問題は、これまでの、本来行われるべき経営の体質強化がしっかり行われていなかったのではないかというようなことが考えられるわけであります。 そこで、まずお伺いしたいのは、今日のような、農協が経営困難に至る要因について十分分析する必要があるのではないかというふうに思いますが、農林水産省として実態をどのように把握しておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 農協の場合には、御承知のとおり、信用事業のほかに経済事業等、総合的に事業を営んでいるわけでございますが、押しなべて申し上げますと、やはり農協の総資産の九割以上が信用事業であるということから、一般的には、信用事業に起因して経営困難に陥る場合が多いというふうに考えられます。 そこで、今回経営改善計画が出されました五十六農協につきまして経営悪化の要因を分析しておりますが、これは必ずしも、一つの要因だけで経営悪化に陥ったということではございません。大きな要因といたしましては、農畜産業への貸し出しが不良債権化したもの、員外への不正貸し出しによるもの、さらに、全般的な農協をめぐる経営環境の悪化によるもの、これが三つの大きな要因でございます。そのほかに、有価証券の運用の失敗、あるいは経済事業における失敗、そういったことで経営悪化に陥ったという農協もあるのが現状でございます。
○今田委員 私もそのように理解をした上で、これからも質問させていただきます。 農協経営の体質改善を図る上で、合併も一つの有効な手段であるということは私も認識をいたしておるところでありますが、農協合併については、昭和三十六年に制定された農業協同組合合併助成法に基づく税制の特例措置法等により、合併の推進に相当の成果を上げてきたというふうに認識しております。 現在へ農協系統においては広域合併を全国的に推進しており、二〇〇〇年には約五百三十の広域農協へとすべく、農協系統と都道府県が一体となって懸命の取り組みを行っていると聞いております。 そこで、最近の農協合併の進捗状況について、どのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。
○熊澤政府委員 農協系統組織におきましては、今御指摘のとおり、二〇〇〇年に約五百三十農協とすることが目標として進められております。そのうち五五%の構想につきましては実現をいたしております。平成五年四月一日で三千農協あったわけでございますが、本年の四月一日では千八百三十三農協になっておりまして、最近五年間では、千百七十九の農協が合併により減少しているという状況でございます。 〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
○今田委員 そういう状況で今進んでいらっしゃる、こういうことでありますけれども、しかし私は、農協合併がよい面ばかりではないのではないかというふうに一部考えております。 確かに、系統組織が進めておられる合併は、適正かつ能率的な事業経営を行うことのできるよう、経営基盤を強化することを目的に行われていると聞いております。しかしながら、合併により企画部門が整備され、資金運用力が強化される等の成果は上がっているようですが、生産部会の組織化やあるいは販売力の強化等、農業者の協同組織である農協に本来求められている機能の強化が十分に図られていないのではないかというふうに考えております。 合併によって農協の経営は必ずしもよくなるとは限らないのではないかという危惧を持っておるわけでありますが、農林水産省のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
○熊澤政府委員 確かに、農協の広域合併の難点の一つとして、先生御指摘のような点が言われているところは承知いたしております。 そこで、生産、販売の面でいえば、ある特産物を合併した後の広域農協全般としてブランド化して売り出すとか、他方でまた、販売量が増加するために手数料の軽減なりあるいはブランド力が上がる、そういった利点を生かして広域合併の効果を還元しているという事例も最近では出ておりますので、私どもとしては、効果の出ている農協の取り組みというものも参考にしつつ、今後とも、営農販売事業体制の充実強化、そういった方向での指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○今田委員 最近の広域合併農協を見ますと、その業務区域が幾つかの市町村にまたがり、組合員の数も一万人を超えるような超大型の農協が全国的に出現しているわけであります。現に私の地元でも数年前に合併になったわけでありますけれども、そのことによって次のような意見が地元の若い農業者から出ているということで御理解をいただきたいわけです。 こうした広域合併は、農協にとっては、資金量や事業量が増大し、経営基盤が強化されるというメリットがあると思いますけれども、農家組合員から見れば、本所が遠くなったり、今まで身近にいた役員の顔が見られなくなったり、従来からの農協と組合員との関係が非常に希薄なものになっているのではないかというふうに私も感じておるわけでありますけれども、そういった心配をされている若い農業者がおられます。 御承知のとおり、農協は農業者の相互扶助を目的とした自主的協同組織でありますから、合併による大規模化が図られる場合においても、これにより農家組合員の意思が組合の運営に反映されないようになってはならないわけであります。そういったことが考えられます。 ついては、広域合併に当たっては、農協と組合員との関係が希薄化しないよう工夫していく必要があると考えられます。これに対する取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。
○熊澤政府委員 まさに御指摘のとおり、広域合併の進展の難点が、広域化することによる農協と組合員との結びつきの希薄化という点にあろうかと思います。 そこで、農協系統もそこは十分に認識をいたしております。対応といたしまして、現在取り組んでいるものといたしましては、一つには、やはり支所をきちっと適切に配置をする。また、そうした支所の機能を上げていく。それは相談窓口の設置とか相談員を充実するとか、そういうことでございますが、同時に、農協の組織の中でいいますと、部活動がございます。これは青年部なり婦人部なり、あるいは文化活動組織、そういった部としての活動がございますので、そうした部活動を充実していく。さらには、普及センターとの連携を深めまして営農指導センターを設置する等、そうした営農指導の充実、そういった点が重要であるということで、現在、系統でも、そうした視点を中心に、組合員との関係の強化ということで取り組んでおりますので、私ども、そういった点あるいはそういった方向で指導してまいりたいというふうに考えております。
○今田委員 次に、農協の事業運営に係る取り組みの基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。 農協は、信用事業だけではなく、共済事業やあるいは農業資材の供給、農産物の販売、農業倉庫事業など、農業に直接関係するさまざまな事業を実施しておるのは私も承知をしております。これらの事業は、農家組合員に対して営農に必要な資金や生産資材を提供し、生産された農産物を販売して代金を回収するという一連のサイクルの中で行われているわけでありますが、これらの事業部門別の損益の状況を見ますと、信用事業及び共済事業は黒字であります。それ以外の事業については赤字であるというふうに私は認識しております。 言いかえれば、信用事業と共済事業で経済事業や営農指導事業を支えているという状況にあるわけであります。広域合併が進み、農協が大型化すると、事業の効率や利益を重視するというのは当然のことだと思うわけでありますが、そのことによって不採算部門である経済事業等がおろそかになるのではないかというふうに心配されます。 そこで、広域合併農協が利益の上がる信用事業や共済事業のみに力を傾注し、ほかの事業をおろそかにするようなことのないよう指導していく必要があると思うわけですが、この点についてどうでしょうか。
○熊澤政府委員 確かに、現在の農協の経営あるいはこれまでの農協の経営が信用事業あるいは共済事業の収益に大きく依存してきたということは事実でございますが、そういった中で、農協の本来の大きな使命の一つであります営農指導の部門がやや弱体化してきた、そういう批判も私ども承知をいたしているところでございます。そういう意味でいえば一先ほど来申し上げましたが、広域合併の推進の中でもそうした点が指摘をされております。 そこで、系統組織といたしましても、営農指導の充実強化ということで営農指導センターを設置する、そこに営農指導員を重点的に配置をする、そうしたことによって日常から農協の組合員のニーズをくみ上げていく、それに対応しつつ営農指導を充実強化させていこうということで、方針も決定して、取り組みにがかったところでございますので、私どもといたしましても、そうした取り組みを支援、指導してまいりたいというふうに考えております。
○今田委員 今の件でありますけれども、私も地元で見る限り、そういったものがめっきり少なくなったのですね、営農指導の部分について。 若い人は、例えば果樹でいえば、ある事業者に苗木を売るところに来ていただいて、剪定のあり方とかそういったものを指導していただいている、こういう状況でございまして、どうもその辺が、これからますますそういったことが進むのではないかという心配をされますので、ぜひこの点については十分指導していただきたい、こういうふうに思うわけであります。そういった関係で、その営農指導事業についてこれからお伺いをしたいと思っているところであります。 現在審議している農水産業協同組合貯金保険制度は、言うまでもなく、農漁協の経営破綻に対応するためであるということについては私も認識しております。しかしながら、これまで経営破綻した農協の例を見ますと、どうも農業者の相互扶助組織という本来のあり方を忘れて、不当な投資等を行ったものばかりではないかというふうに思います。逆に、地道に農業者のために事業を行っている農協が経営破綻するようなことにはなっていないと言っても過言ではないと思うわけであります。 そこで、農協事業のあり方についてお伺いしたいのですが、農協が農業者のための組織である以上、その最も基本的な事業は、まさに農業を指導する、営農指導事業ではないでしょうか、こういうふうに思うわけであります。しかしながら、広域合併の進展に伴い、営農指導への取り組みがどんどん弱体化しているように思えてなりません。 農協が地に足のついた活動を行っていくために営農指導事業への取り組みをこれまで以上に強めるべきだと考えますが、このことについて農林水産省としてどのようにお考えなのか、先ほどもいろいろ言われましたけれども、この件についてさらに突っ込んだ御回答があればお聞かせをいただきたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 農協の広域合併におきます基本的なと申しますか大きな難点の一つが、営農指導面での弱体ではないかということがこれまでも指摘されているところでございます。他方、先生御指摘のように、農協そもそもの本来の活動の中で営農指導事業がきちっと位置づけられて推進されるということが、基本的に今後の農協のあり方についても重要な点でございます。 そこで、系統組織としては、一つには、地域改良普及センターあるいは市町村との連携を強めていく、そういうことがございます。それから二つ目には、営農指導の拠点として営農センターを設置して、そこに営農指導員を集中的に確保していこう、さらには、研修とか認証制度を充実させまして、そうした営農指導員の資質の向上に取り組んでいこう、こういった方針のもとに、現在、広域化の進展の中で、こうした営農指導面での強化に取り組んでいるところでございます。 そこで、農林省といたしましても、そうした営農指導の強化、研修費用等について助成も行っております。今後ともそうした営農指導面の一層の充実強化についても適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
○今田委員 今ほどの問題については先般私もこの場で質問させていただいたのですが、やはり営農指導をする人はある程度経験のある人でないと聞く側もなかなか耳を傾けてくれないということもあると思うのです。 最近、農協の職員を見ますと、どうもサラリーマン化をして、ただ農協に勤めればいいというような傾向なのです。そういったものを目指すとすれば、ある程度の経験といいますか、地元の若い農業者から信頼されるような人でないと、やはり営農指導というのはなかなか難しいだろうというふうに思うのです。そういった面も含めましていろいろ御検討いただければ大変ありがたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。 次に、農協系統の組織整備への取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。 農協系統は西暦二〇〇〇年を目標にして組織整備を進めており、昨年のJA全国大会においても、広域合併構想の達成と組織二段の実現を柱とする組織整備の推進が改めて決議されたところと承知しております。農協系統においては現在、事業、組織の抜本的改革のため懸命の取り組みを行っているものと考えますが、二〇〇一年に向けた今後の金融システムの改革、いわゆるビッグバンの具体的スケジュールが示されたところであります。さらに昨今の金融機関の経営破綻の状況にかんがみても、あらゆる状況に耐え得る農協系統組織の確立のため組織整備を加速化することが必要となっているのではないかというふうに思います。 そこで、現在の農協系統の組織整備の取り組み状況、今後の対応方針について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○島村国務大臣 お答えいたします。 農業、農村をめぐる状況が大きく変化する中で農協系統組織がその役割を的確に果たしていくためには、やはり事業機能の一層の強化と経営の効率化、健全化を図ることが急務であります。 このため、農協系統におきましては、第一に、農協の広域合併の推進、すなわち平成十年四月十日現在一千八百三十三農協を二〇〇〇年には約五百三十農協に集約することとしております。 第二に、県連と全国連の統合の推進であります。現在、二十五の信連、二十四の経済連、三十六の共済連において二〇〇〇年までに全国連と統合する方針を決定いたしております。 第三に、人員の削減、施設の統廃合、業務執行体制の強化であります。特に、職員数につきましては、平成六年度の三十五万人体制から二〇〇〇年には三十万人体制とすることとしております。 当省といたしましても、このような系統組織の取り組みに対して積極的に指導、支援してまいる所存でありますが、あわせまして、これがある意味では広域合併ということでそれぞれの地域に細かい配慮が行き届かなくなる、こういうことが起きないように万全の指導を行っていきたい、こう考えております。
○今田委員 今の話なのですが、特に人員削減については、私も一会社員であった関係からそういう目で見るわけでありますけれども、どうも本当にあれほどの人数が必要なのかなというふうに思われる部分があるのです。 そういったものを、政府としての取り組みをせっかく今からやろうとしているわけですから、皆さんからよく農協は努力しているなと見られるようにやってもらわないとなかなか理解をしてもらえないのではないかというふうに思うわけでありまして、ぜひ取り組みをお願い申し上げたいというふうに思っておるところであります。 次に、農協の監査体制の充実についてお伺いをしたいと思います。 金融機関については基本的に公認会計士、監査法人による外部監査が義務づけられております。農協系統についても金融システムの一員であることから同様に経営健全化措置を守る必要があるという考え方から、平成八年の農協法の改正により、信用事業を行う組合に対しては農協中央会の監査が義務づけられているところであります。この四月以降に開始される事業年度から実際適用になると承知しています。 しかしながら、農協中央会の監査は外部監査とはいうものの、農協系統内部に変わりはありません。やはりそこは、農協系統内部ですし、厳格な対応はできないのではないかというふうに思われます。これまで不良債権を抱えて経営困難になっている農協についても、これまでの中央会の監査が適切に行われていれば、ここまでは深刻化しなかったのではないかと思います。このため、農協の外部監査についても、中央会監査を行うことは否定しませんが、公認会計士、監査法人による監査についても進めるべきだと思います。 せんだって、四月十九日の読売新聞でしたか、千葉の方の記事が載っておりますけれども、千葉県北農協というところで外部監査をやる、こういうふうに新聞に載っております。私は、こういう意味では非常に高い評価をするわけであります。このことによって透明性が確保されるということにもなるのではないかと思いますし、さらにそこにいろいろ苦労されてお預けになっている金についても心配する方が非常に多いわけでありますから、そういった意味で信用の向上も図られるのではないかというふうに思うわけでありますが、この点についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。 〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
○熊澤政府委員 確かに御指摘のような点もあろうと思いますし、また今後の農協の経営の中で監査が大変重要だという認識は、私どもも持っているところでございます。その上で、農協中央会に公認会計士を必置させたわけでございます。この公認会計士のノウハウを活用するということで中央会の監査機能を強化するということが当面の課題でございまして、また、中央会はこの公認会計士を活用いたしまして、場合によっては組合の監査、検査も依頼できるということもございます。 私ども、当面は中央会の監査体制の強化ということで、公認会計士の活用によりまして監査効果が確保されるように指導してまいりたいというふうに考えております。
○今田委員 今ほどの話は、特に農協合併が進むに当たって、扱う金銭についても多額の金額になるわけでありますので、やはりこういったものは前向きに取り組むべきではないかというふうに思うわけであります。そういったことで、ぜひひとつ前向きに取り組んでいただきたい、このように思います。 次に、金融ビッグバンはすべての金融機関を巻き込むものであり、農協も金融機関である以上、これと無縁というわけにはいかないのではないかというふうに思います。しかしながら、農協については、残念ながら、金融ビッグバン以前の問題があるように思えてなりません。必ずしも全国段階でマスコミでは取り上げられていませんけれども、地方紙では日常茶飯的に農協の不祥事が取り上げられております。 例えば、信用事業担当職員が貯金を着服したり、販売代金を横領したり、こういったものが数多く見られます。これまでの貯金保険制度の発動事例を見ますと、組合長みずからが横領や背任に手を染めているというのも実際あるわけであります。 また、農協は、信用事業ばかりではなく、販売事業等も行う総合事業体であることから、信用事業にかかわる職員も、必ずしも金融業務に経験や知識がある人がついているということではないようでありまして、例えばきのうまでガソリンスタンドの職員をしておった方が、あるいは販売部におった方が信用事業の窓口に座る場合も数多く見られます。これでは厳しい金融事業に対応できないばかりか、預ける側の信頼も失いかねません。 貯金保険制度の充実が貯金者保護のために必要であることは理解しますが、こうした点を考慮すれば、それ以前の段階として、農協職員のモラル向上や、あるいは金融知識のある人材の育成確保、管理体制の確立を急ぐ必要があるのではないかというふうに思いますが、この件についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○熊澤政府委員 確かに、昨今、先生御指摘のような事件が発生しているということを私ども大変遺憾に思っているところでございます。 特に信用事業につきましては、これまで信用担当者のレベルアップを図るということで、農林中金を中心に研修の強化を図ってきたところでございます。他方、同時に、農協系統組織全体といたしましても、昨年の全国大会におきまして、役員、職員の教育を強化しようということで、研修の強化、教育体系の再編といったことを柱に、経営者の養成、職員全体の能力アップに取り組むということで方針を決めているところでございます。 私ども、研修に対する助成等も行っておりますけれども、こうした農協系統組織の取り組みにつきまして、全面的なバックアップをしてまいりたいというふうに考えております。
○今田委員 先ほども言いましたけれども、信用事業を担当している職員あるいは販売代金などを扱っている職員が横領したという事件がいろいろなところで見られるわけですけれども、中身を見ますと、全くそんなことまでわからなかったのかというものなんですよね。これは中身を見ますと、全く私は、見れば見るほど信頼できない中身だなというふうに思うわけでありまして、まさしく金融に関するイロハについてなっておらぬ、こういうふうに言わざるを得ない事件でございますので、こういったものはやはりしっかりとやってもらえるように御指導あるいは教育等を含めてやっていただきたい、このように思うわけでございます。 次に、農協の高齢者介護活動についてお伺いをしたいと思います。 私も身をもって感じることでありますけれども、農村地域の高齢化問題は年々深刻化しております。国勢調査、農業センサスなどによりますと、総人口に占める六十五歳以上の高齢者人口の割合は、平成七年に一四・五%となっておりますが、平成十七年には一九・六%になるものと見込まれているのに対し、農村人口のうちの高齢者の人口の割合は平成七年度で一八・三%、約四%多いわけですね。さらに、平成十七年度には二二・六%、これまた三%多く見込まれる、こういうことであります。 このように、農村地域は、全国平均に比べると約十年も早く高齢化が進んでいるわけであります。農村の古きよき伝統で、かつては大家族の中で高齢者の面倒を見ることもできたし、高齢化がここまで進むと、もはや家庭内だけの介護では到底対応できないということになっておるのではないかというふうに思います。しかも、農村地域においては、民間の介護を行う事業体も、採算の問題から、なかなか進出しがたい状況にあります。私は、こういうときこそ、農業者の協同組織として農協がその役割を果たすべきだと考えます。 現在の農協の高齢者介護活動の取り組み状況、このことについてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○熊澤政府委員 特に高齢化が進行いたしております農村地域におきましては、そうした高齢者の介護活動における農協の果たすべき役割というのはますます重要になってきているというふうに認識をいたしております。 これまで農協系統の取り組みといたしましては、ホームヘルパーの養成あるいはデイサービスセンターの設置、これは十施設がございます。それから、ホームヘルプサービス等の公的サービスの受託、これは四十三農協で行っております。それから、農協系統の社会福祉法人による特別養護老人ホームの設置、これが十五施設ございます。またさらに、厚生連による保健福祉施設の設置ということで、これは七十施設が現在稼働しているところでございます。 そうしたことで、農協系統としても、かなり幅広くこうした高齢者問題に取り組みを始めたというところでございます。
○今田委員 農協にとっては農村が存立の礎であることは論をまたないところでありますが、高齢化への対応は、農業、農村の最重要課題の一つであることから、農協が高齢者介護活動に積極的に取り組み始めていることは、私は高く評価をしているところであります。しかしながら、最近の農協をめぐる情勢を見ますと、早期是正措置が導入され、自己資本比率が四%を満たさなければならないことに加え、金融ビッグバンへの適切な対応を迫られる等、厳しいものがあるわけであります。高齢者介護活動といえども、経営に与える影響は大変なものがある、当然考慮する必要があると考えます。 そこで、農協が高齢者介護活動を行っていく上で採算面での不安はないのかどうか、その点について御検討されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
○熊澤政府委員 確かに農協が高齢者介護活動に入っていくということは、これは地域社会の要請としては大変重要なことでございますが、他方で、先生御指摘のような採算面についてはなかなか難しいところがございます。 先ほど申し上げましたホームヘルプサービス等公的サービスを受託している四十三農協について見ますと、これは市町村からの受託収入等がございますので、ある意味では計画的に採算の合うペースで事業活動が行われているということでございますけれども、他方、組合員の無償ボランティア活動を中心とする高齢者介護活動等においてはなかなか採算性を確保するというのが難しい実情にあるということでございます。 したがいまして、今後農協がこうした活動に参加していく、展開していくということは大変重要だというふうに考えておりますけれども、そうした意味でいえば、まずは公的サービスを受託し得る体制を整える、そうしたことによってある程度きちっと採算面を確保した上で取り組むということが重要ではないかというふうに考えているところでございます。
○今田委員 そういうことで、経営者たるものはやはり採算というものはだれしも考えることでございますので、そういった面を十分これからも考慮していただきたい、このように思うわけであります。 さて、平成十二年度からは介護保険制度が実施されます。介護保険制度においては保険料に見合う介護サービスの提供が必要であり、制度あって介護なしという状況はあってはならないと考えられます。このため、農村の高齢化の状況、民間の事業体の進出が期待できないこと、農協の高齢者介護事業は農家、組合員のみならずその周りの地域住民にも開かれていること等を考えれば、まさに今こそ農協組織を挙げて、そして行政も一体となって農協による高齢者介護活動を本格化させるべき時期というふうに考えますが、このことについてまず農林水産省にお聞かせをいただきたい、このように思います。 私の地元でも、今現在田んぼに出ている人はほとんどが六十歳以上です。若い人はいません。その人が十年後あるいは十五年後に七十を過ぎるわけでございまして、それを引き継ぐ農家の方々というのはほとんどサラリーマンでございまして、いずれサラリーマンをやめて農業を引き継いでくれるという人もおられるでしょうけれども、このことについてはこれから本当に我々考えなければならぬ面があります。 特に、この介護制度もそのとおりなんですが、田んぼに、先ほど言ったように六十歳以上の方がほとんどである以上、農業機械関係もやはりそういった年齢に合った農業機械というものを改善しなければ、本当にこれからの農業というものはやっていけるのかなというふうに、常日ごろ、その田んぼ、畑を見て私は思うわけでありまして、このことも含めまして御回答いただきたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 高齢化社会が進む中で、介護保険制度につきましては御指摘のとおり平成十二年四月から導入されるということでございます。 そこで、この介護保険制度の実施に当たりましても、農協がそのサービスの提供機関として期待をされているということもございます。こうしたことで、昨年の全国の農協大会におきましても、高齢者の介護活動に本格的に取り組もうということで、ホームヘルパーの養成に加えて、介護福祉士の養成とか、あるいは特別養護老人ホームの設置、そうした施設型福祉事業実施体制の確立、さらには、厚生連によります老人医療、福祉機能の強化、あるいは在宅医療、福祉サービスの促進、そうした介護保険制度への対応を中心とした取り組みについて方針を決議いたしまして、組織全体としての本格的な取り組みを開始したというふうに承知をいたしております。 私ども、この介護活動の担当省であります厚生省とも十分に連携をとりつつ、系統組織のこうした本格的な取り組みについて支援、指導を積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。
○今田委員 私の質問、用意したものについてはこれで終わりますけれども、最後に、ちょっとこの問題とはかけ離れますけれども、せんだって、担い生育成の関係で、私質問させていただいたのです。その中で、いろいろ御回答いただいたわけでありますけれども、実は、せんだって地元に帰って、農業を何とかこれからやりたいという人とお話をさせていただきました。さらに、現在、若い人でこれから農業を一生懸命やろうという人とも会話をさせていただきました。 その中で、いろいろな助成金の出る制度があるわけでありますけれども、余りにも手続が複雑で、我々にとってはとてもとても、そういったものになれないものですから、複雑なものですから、私はやめましたと言う人が非常に多かったのですよ。もう少し、そういった手続等とか、あるいは申請する際、専門家でないわけですから、やはりもう少しわかりやすい、しかも簡単にできるような仕組み、そういったものをつくってほしいと、ぜひ農林水産省に言っていただきたいというような御要望がありましたので、最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○北村委員長 以上で今田保典君の質疑は終わりました。 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十八分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。宮地正介君。
○宮地委員 新党平和の宮地正介でございます。 きょうは、大変重要な貯金保険法の改正に関する審議でございますが、少し与野党とも委員が少な過ぎまして、委員長、もう少し緊張して重要法案の審議に当たるよう今後特段の御配慮をお願いしたい、こう思います。 私は、きょう限られた時間が三十分でございますので、大臣といろいろと議論させていただきたいな、こんな感じでおります。 私は、今回の農水産業協同組合貯金保険法の改正は非常に大事な改正である、こう考えております。それは、一つは金融ビッグバン、この四月から外為法が改正されて外為の自由化、こういう新たな段階に日本は入りました。そして、政府といたしましても、預金保険法あるいは預金の金融システム、こういう新法をつくりながら三十兆円という公的資金が導入できる仕掛けをつくりました。 これに並行して、今回、農協あるいは漁協、水産加工団体等の組合の信用事業に対しましても、新たに公的資金導入の仕掛けをつくることになるわけでございまして、今まで農林水産省あるいは都道府県知事が、単一農協、信連あるいは農林中央金庫等を指導してまいりましたけれども、今回の法律改正によって、特に四十二条の二で政府保証がきちっと組み込まれます。貯金保険機構が今後大変な経営の状況になれば、政府保証のもとに日銀あるいは農林中金から借り入れができる、事実上の公的資金導入の道を開くことになるわけでございます。 これは、先ほど申し上げたような新しい金融ビッグバンという時代とともに、また今後、農協を中心とした系統金融機関に対する指導監督、検査、監査、こういうものも一段と厳格にして国民の負託にこたえていかなくてはならない、大変重要な法案の改正である、私はこのように見ているわけでございます。 こうした流れの中において、まず、農水大臣としてどのような御決意で今後取り組んでいかれようとされるか、お伺いをしておきたいと思います。
○島村国務大臣 ビッグバンの導入ということで、まさに金融開国、日本の国民は新たな経験をするわけでございまして、これに伴ういわば社会不安あるいは先行きに対する不安というのは、我々の想像を超えるものがあろうかと思います。さはさりながら、我が国の国民は極めて堅実な生活の習慣を維持しておりまして、その一つの側面が貯蓄性向の高さではないか、私はこんなふうに考えております。 そういう意味では、なるほどビッグバンの導入ということになりますと、いろいろ自己責任原則に基づく透明性の高い金融システムを構築していくことになるのでございましょうが、少なくも現状、我々が考えますことは、当面こういうことになれるまでの間というのは、その時々に応じてやはり政策的にも、これに対する不安やあるいは無用の混乱を生じさせないための配慮というものが必要になるのだろう、こんなふうに考えております。
○宮地委員 今大臣は、無用の混乱を招かないというところに重点を置いてお話をされましたが、もうそれは当然のことであって、貯金者保護という立場からこういう仕掛けをつくった。しかし、これから農協系統の金融機関の将来に向けてどう位置づけるか、やはりここが大変重要だと私は思うのです。 国内の一般の都市銀行でさえ、外国からの金融機関の参入によりまして熾烈な金融戦争が既に始まっているわけです。ましてや一般の都市銀行等の金融界は、銀行の業務だけでない、証券、保険、これを全部相互に自由化するわけである。今回の山一証券の経営破綻によって、早速アメリカのメリルリンチが入ってきて、二千人の従業員を一括して採用して、多くの支店を買収している。こういういまだ考えられたことのないような事態が、既に我が国においても起き始めているわけです。 そういう時代に、これから農協や漁協を中心とした信用事業がそうした金融戦争に立ち向かっていく中で、今後、この新たなる構想、どういうあるべき姿にしようとしておられるのか、これは大変重要なことです。 農協というのは、農業協同組合法によって、先ほどからお話ありましたように、営農を中心とした農業者の生産性の向上等、そうした目的でつくられました。しかし今、農協の経営の実態は、五〇%は信用事業、残りの五〇%がそのほかのあらゆる経営をされているわけです。そういう中で、信用事業のところが今後どうなっていくのか、これは国民あるいは農業従事者にとっても大変重大な関心事です。 確かに、今回、二〇〇一年の三月三十一日までは、貯金者保護ということで二年前に改正をして全額保証になっております。二〇〇一年四月一日からはペイオフの時代に入ります。一千万円までしか貯金は保証されない時代に入ってくる。恐らくこれからのこの三年間に、金融業界ではありとあらゆる商品の開発が行われると思います。消費者、国民にとって安心できる商品、そしてリスクのない商品、そして利回りのある商品、こういう大変な金融競争の時代に突入していく。 そうした中で、この農協や漁協の信用事業というのをどういう位置づけにしていくのか、この点についてのお考えがあったら大臣にお伺いしておきたいと思います。
○島村国務大臣 二〇〇一年の金融ビッグバンに向けて、農協系統の金融機関においても他の金融機関と激烈な競争にさらされるわけであります。 先生もそうお考えではないかと思いますが、農協という組織の特殊性からいきますと、あくまで対象とする人たちとして農業関係者を主体に置いて、今日まで農業生産の拡大その他に大変な努力をしてきた組織であります。我々も全国を回っていて感ずることですが、仮にビッグバンの話をしても、ビッグバンなんというのは初めからわからぬ、そういう難しい話はよしてくれという人も少なくないわけでありまして、そういう方たちを対象にひたすら農業のいわば前進、発展のために努力をしてきた組織としては、ともすればこういう国際化の波にさらされることが最も不得手である、あるいは、いろいろとそれに伴う不安というのも一般の都市銀行や何かの金融機関とはおのずからかなり大きな差があるのではないか、こんなふうにも思います。 そういう意味で、農協系統金融機関といえば、あくまで組合員のための金融機関であり、かつ地域の金融機関であるということは前提としてあるでしょうが、少なくとも、組合員と地域の貯金者の信頼を得るとともに貸し付けによって農業及び地域経済社会の振興を図ることが基本だ、この基本を踏まえつつ、これからのビッグバンの時代に農協系統の金融機関がきちんとこれに対応していくことができるような指導が必要ではないのか、我々はこんなふうに考えているところであります。
○宮地委員 そこで、やはり一番大事なことは、一つは経営者の経営責任の問題。それからもう一つは、そうした新しい金融戦争の時代に突入した、農協を中心としたこうした組合の信用事業が太刀打ちできるだけの人材の確保、いわゆるノウハウ、特にソフト、この辺にどうこれから対応していくかということが私は大事だろうと思います。 特に、先ほどから議論されている三段階方式、これをもう少しチェックをしてみますと、単一農協の段階は都道府県が指導している。一般金融機関でいえば信組のようなものです。信連と農林中金は、これはいわゆる金融システム安定化法の中の枠組みに入れて、いざとなれば十三兆円の公的資金の枠の中で、東京三菱銀行のようなああいう大手と同じような扱いで対応ができる。言うなら、信連、農林中金の方は、場合によっては農林水産大臣あるいは大蔵大臣、こういう範疇で指導ができる。単一農協のところは、ここはもう都道府県のいわゆる監督、管理、検査、先ほど話も出ましたが、検査の部門についてこれから改革もしていかなければならない。いわゆる都道府県の職員が人事異動で検査部門を担当しておる。 私は、証券等取引委員会のあのメンバーをつくるときにも、専門官を入れてしっかりやらないと大変な時代になるよ、検査だって厳しくなるよ、ただ役人の異動だけではなかなかチェックは難しくなるよ、こういうアドバイスをして、あの証券等取引委員会もつくる方向になりましたけれども、まさに私は、この新たな法律改正に伴いまして、都道府県の検査体制というものももっときちっと、専門官がきちっとその中に組み込めるような道を開いていかないと、なかなか今回の山一証券の飛ばしのあの簿外債務の裏工作なんというものは普通の者では見抜けない。あれだけ特捜が入って、あれだけの裏づけ資料があって、それを今度は専門家の職員が突き合わせをしてあの飛ばしの内幕がやっとわかった。 そういうことはないにしても、やはり経営責任の問題、貯金者の大事なお金をお預かりして信用事業をする以上は、その検査もきちっとできる体制。今大体、単一農協の検査は、法律では年一回を原則としている、こうなっておりますけれども、現実は大体二年に一回ぐらい、全中が行ったり、あるいは県の検査官が行ったり、交互でやっておるというのが実態なんです。それも中身も、先ほど、全中の方には公認会計士を置いていろいろ指導している、こう言っていますが、現場の現実の検査は、やはり一般の職員がチェックしているのが実態なんです。その実態と法律の乖違をどう埋めるかが、やはり私はこの新しい時代の対応だと思うのです。 そういう意味合いにおいて、この監督の体制あるいは仕組み、こういうものももう一度ここで洗い直して、本当に農協や漁協の信用事業というものを二十一世紀に向けてきちっとひとり立ちできるような体制をつくるためにぜひこれはしっかりとした洗い直しをして、法律でできるところ、政省令でできるところ、あるいは県の条例でやるところを明確にして新たな時代に対応するべきだ、私はこう思いますが、経済局長、いかがですか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 まさに先生、実態を重々御承知の上での御指摘でございます。私ども、そういう実態についても語調をいたしているつもりでございますが、あえて一言補足させていただきますと、本省の検査につきましては、やはり人員の強化と効率化が必要だということで、私ども、これまで本省と林野庁、水産庁に分かれておりました検査体制を一本化いたしまして、官房に検査部を設けた、ことしから発足させております。そこは、人員を集約する、同時に、できるだけそういうノウハウを持った人が長く勤めるようにということで検査部長の職も設置したわけでございます。そういう意味でいえば、検査体制の強化に一歩前進したかなということを考えておるわけでございます。 他方で、県の検査体制につきましては、私どもこういう状況の中でさらに充実するようにということを重々従来から指導、要請はいたしております。現に人数としてはやや増加という状況にはございますが、先生御指摘のように、まだ十分な体制というまでには至っていないというふうに私ども承知をいたしております。 そこで、先ほど来申し上げております中央会の検査体制の強化、これは農協系統自身が取り組んでおりますので、私ども、そうした農協中央会の検査と両々相まって、県の指導体制につきましてもこれからの充実強化についてさらに指導、要請してまいりたいというふうに考えております。
○宮地委員 それからもう一つ、今回、四十二条の二で政府保証の新たな法律改正が行われるわけです。実際の予算措置、預金保険の場合には、予算書の総則のところに予算を書き込んでそれで総予算の審議の中で国会の承認をとる、こういうシステムをやったわけですが、今回あなた方農水省が考えている、今後予算的措置を必要とした場合の対応はどういうふうにされるのか、また、予算措置を必要とするその基準、条件はどういうときを想定されているのか、それを確認しておきたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のとおり、預金保険機構の場合には、今国会の補正予算で予算措置を講じて、総則のところで政府保証の枠、すなわち十兆円につきまして計上をして、補正予算関連の法案として御審議をいただいたということでございます。 他方、今回御審議をお願いしております貯金保険法につきましては、預金保険法と同様に、農漁協の貯金者に安心感、信頼感を与えるということで、この貯金保険法のシステムが最終的には政府保証があるのだ、そういう安心感を与えるという意味での政府保証ということで御審議をお願いしております。 ただ、予算の面で申し上げますと、御承知のとおり、当年度の予算総則に立てる場合でも、通常は当該年度に、政府保証の具体的な見通しがあるという場合に当該年度の予算として計上するということでございます。 そこで、貯金保険法の財源につきましては、現在千五百四十億円の積立金がございます。そのほかに毎年二百億円強の保険料の収入が見込まれております。これまでの支出実績は数億ないし平成九年度は五十億円の出資でございますので、そういう意味では財源的には心配ない。したがって、保険料が二百億円で支出が五十億円ということにさらに積立金が千五百四十億円ございますので、貯金保険機構が借り入れをする事態というのは、毎年の二百億円の保険料収入を使い、さらに準備金の千五百四十億円を完全に取りまして、その上でさらに必要な場合に借り入れるという事態を想定しておるわけでございますので、そういう意味では、現時点の財源の状況、今後の支出見込み、そういうことを考えますと、当該年度つまり平成十年度において予算の枠を立てるという状況にはないということで、具体的に平成十年度の予算には計上しないで、むしろシステムの安定化のための政府保証の付与ということで御審議をお願いしているということでございます。
○宮地委員 今経済局長のお話の内容は私も存じ上げております。問題は、だから貯金保険機構が責任準備金が約千三百億、いわゆる保険料二百億、千五百億で、これが取り崩されて、今大体毎年五十か六十億くらいを使っておる。今現在は非常に財政的には問題ない。ただ、その貯金保険機構が準備高がなくなって大変な事態になったら、予算総則の中にお願いをするというシステムは同じですね。
○熊澤政府委員 今御説明のとおりでございます。すべて保険料の収入を使い切り、それから現在の準備金を取りまし、さらにその上で貯金保険機構が農林中金あるいは日銀から借り入れるような必要が生じた場合に、借り入れの限度として政府保証の枠として予算の総則に立てまして、そこで国会の御審議、御承認を得るということでございます。
○宮地委員 水産庁長官来ていると思いますが、問題は漁業関係ですね。この漁業関係の合併が非常におくれている。これは先日、議員立法で合併の促進をする法律を通しました。問題は財政的なフォローをどうするか、特に不良債権を抱えた漁協の財政のフォロー、それによらないと合併もなかなか進まない。今回議員立法によって、農水省あるいは都道府県の勧告、指導、助言ができるようにしましたけれども、金は出さないけれども助言、勧告だけではなかなかこれは合併できません。まして海の方は漁業権の問題が絡んで陸とはまた全然違うわけで、その点、この貯金保険機構でどの程度この合併の促進に寄与できるのか確認しておきたい、こう思います。
○熊澤政府委員 私から御答弁させていただきますが、確かに漁協系統におきましては合併がなかなか進捗していないという状況にあるのは事実でございます。そこで、現在、漁協につきましては、特に規模の小さい漁協につきましては、信用事業を単独で行うというよりはむしろ県の漁連に移管してはどうかということで、既に信用事業を県漁連に移管をしているというところもございます。実態としては、そういう方面で一部進んでいくのではないかというふうに考えられます。 他方、合併に当たりまして、現実に不良債権が存在するために合併が進まないという事例もございまして、そのような場合に貯金保険機構が支援を発動した事例がこれまでも一件ございます。そういう意味でいえば、漁協の合併に当たりまして、特に不良債権の処理という視点では、まずは基本的にはそうした信漁連の対応あるいは県内の対応というのは一義的に自助努力として求められるということでございますけれども、さらにその上に必要であるという条件のもとで貯金保険機構の発動ということは考えられるというふうに考えております。
○宮地委員 そこで、将来へ特に農協系統についてどういう構想を描いているのか。合併については、二〇〇〇年までに約五百三十ぐらいに、現在の千八百余の農協を促進して五百三十ぐらいにする。将来農林中金を中心にして、いわゆる県の信連は外して、単一農協と直結させて全国五百ぐらいの単一農協の信用事業、その中心は農林中金の本店、こういうシステムを描いておられるのか。どういう構想を持ってこの信用事業、特に農協を中心とした信用事業については考えておられるのか、これを確認しておきたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 基本的には、系統組織としてはそれぞれの部門別に組織二段ということを打ち出しておりますので、全国連と県段階の農協、それも合併してかなり大型になった農協との二段というのが基本的な類型だと思いますけれども、他方で、県によっては県一円で一農協ということを目指している県がございますので、その場合には全国段階と県一本の農協との結びつきという形態もあるわけでございます。そういう意味でいえば、全国団体が県段階では支部を持ちまして、さらに県内に数農協があって全国団体と二段階になるという形態もございますので、各県の事情によって、一県一農協にするか、あるいは県内に数件の農協が存在して連合会との結びつきを直接に行うというケースもあるというふうに存じます。 いずれにしましても、系統組織全体としては将来二段階の組織に集約していこうというのが基本的な方針でございます。
○宮地委員 実際、今の合併の状況からいくと、二〇〇〇年までに五百団体程度に絞り込むのはなかなか大変かな、合併の促進とともに、やはり農協系統の信用事業の今後のきちっとしたビジョン、またその体制、機能、こういうものもこの貯金保険法の改正をきっかけにしっかり洗い直して整備拡充をしていく、そのぐらいの強い決意がないと、先ほどから申し上げているような金融戦争の時代に、切り捨てられてしまうんではないか、私はこんな感じがしているわけでございます。 特に、けさほどもいろいろ話がありましたが、不良債権を抱えた農協、単一農協が五十六団体、五百億ぐらいの不良債権を抱えておる。そのために各都道府県では、利子補給だとかあるいは補助金だとか低利の融資だとか、こういう形で相当予算に計上して大変苦労されているんですね。 こうした自治体に対して、農水省としてはどういうふうに今後フォローされようとしているのか。特に、自治省等といろいろ相談しながら、こうした農協に対してフォローしている都道府県に対して何らかの、自治省からのフォローなり、農水省からのフォローなり、こういう国としての、政府としてのフォローができないものかどうか。この点についてはどういうふうに考えておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
○熊澤政府委員 御指摘の、都道府県による県内の農協合併に対する支援でございますけれども、先ほど来申し上げておりますけれども、県としては、農協あるいは系統組織の活動が、農協の組合員のみならずかなり幅広い地域の社会経済の事業全般に影響を与える、そういう中で、経営困難な農協の破綻が与える社会経済的影響を考慮して、みずからの判断で支援をしているというふうに理解をしております。 他方、それはそれぞれの県内の地域における支援の措置でございますので、ある意味では、私どもといたしましては、そうした県レベルあるいは単協レベルの取り組みの上に立って現在の貯金保険のシステムがある、そういうシステムに対して、政府としては、あるいは国会の御審議を現在いただいているわけでございますけれども、政府の保証を付すということで国としての担保、保証を与える、そういうことでこの保険システムの強化を図っているということで御理解をいただきたいというふうに考えます。
○宮地委員 時間が参りましたので終わりますが、最初に申し上げたとおり、金融ビッグバンという新時代の中においての公的資金導入の仕掛けをつくるという新しいこの法律の改正は、私はある意味では重要な局面を迎えたと思います。それだけに、今までの延長線上でとらえるのでなくして、新たな決意で、農協、漁協等の信用事業に対しての厳格な指導監督をお願い申し上げ、質問を終わりたいと思います。
○北村委員長 以上で宮地正介君の質疑は終わりました。 次に、漆原良夫君。
○漆原委員 平和・改革の漆原でございます。 私の方からは、まず政府保証についてお尋ねしたいと思うんですが、今回、金融システム安定化法案が制度化されたのは、大型の金融機関の経営破綻が続いて、預保の責任準備金勘定が大幅な負債を負った。そこで、このままでは制度の運営に著しい支障を来すおそれがあるということで制度化されたというふうに聞いておりますが、農協、漁協系統の金融機関で、今政府保証をつけなければ貯金保険法の制度の運用に支障を来すという事態が存在するかどうか、これを確認したいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 貯金保険機構の運用面、特に財源面で申し上げますと、準備金が平成九年度で千五百四十億円ございます。さらに、そのほかに保険料の収入が二百億円強ございます。そういった意味でいえば、これまでの貯金保険機構の支出状況を考えますと、貯金保険機構の運営自体については、財源面では当面問題がないというふうに考えます。 他方、今回、この法案によりまして、貯金保険機構が農林中金等から借り入れを行う場合に政府保証を付すということの意義でございますけれども、全体の金融ビッグバンが進む、金融不安が極めて大きく増大している、そういう中で、農協系統金融機関もやはり金融機関の一員といたしましてその健全な運営を図っていく、そういう意味で貯金者に安心感と信頼感を与える、そういうことによりまして我が国の金融システム全体に寄与する、貢献をする、そういう点に大きな意義があるということでお願いをいたしているところでございます。
○漆原委員 私も、貯金者の保護というこの目的、制度そのものについて、保護について反対するわけではないんです。ただ、その具体的な必要性が果たしてあるのか、立法手続をしなければならない具体的な必要性が現在あるのかということを今問題にしておるわけであります。 国が民間の債務を保証するということは、これは最終的には国民の税金が投入されるということにつながっていくわけですから−大臣、違いますか、首を横に振っておられるけれども。最終的には、保証をするということは、税金が支出されるという可能性に道を開くわけですね。そうだとすれば、これはあくまでも例外でなければならない、私はこう思っております。 法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の第三条、政府の民間に対する保証契約を禁止しておりますね。国は原則として民間に対しては債務保証してはならないんだ、これはやはり原則なんだ。したがって、例外措置を講ずるには例外措置を講ずるだけの立法事実というんでしょうか、そういう具体的な事実がなければいけないんじゃないか、こう認識しておりますが、この認識についていかがでしょうか。
○島村国務大臣 ただいま委員のおっしゃったとおりだと私も思います。 ただ、先般、護送船団方式と言われる金融機関の中にも、例えば拓銀のように北海道を代表する金融機関がある日突然倒産というようなこともありましたし、山一証券、三洋証券あるいは徳陽銀行等々相重なって、一方でそういう不幸な事件があり、その一方ではビッグバンの導入ということで、マスコミその他の、多少過剰とも言えるくらい先行きに対する不安をあおる傾向もなきにしもあらずでございます。一般の国民の周章ろうばいぶりというのは想像を超えるものがありまして、先般、私は福井県へ行ってさましたら、何しろ金庫が売れて売れて仕方がない、こんなような話を聞くわけでございまして、銀行も信用できない、さすれば仕方がないから家にしまっておこう、こういう困った傾向もあるわけでございますから、とりあえずの緊急的措置として、そういう心配はありません、取りつけ騒ぎ等が起きないための措置として今回やむを得ざる制度の導入だったと私は考えます。 さはさりながら、こういうことがすべて当たり前ということになってしまったのでは、これはまさに法の精神に反するわけでありますから、今おっしゃったとおりに、我々は、これからも可能な限りこういうものは避けた対応をしていくのが当然である、こう思います。
○漆原委員 いや、総論はそれで僕はいいと思いますが、実際どうなんだという問題なんですよ。 きょう午前中から聞いておりましたが、熊谷委員の質問に対して、九年度の責任準備金は千五百四十億あるんだ、貸付枠が千五百億あって、保険料も二百億入ってくるから、現状で十分対応できるんだという御趣旨ですね。それから、制度の運用として、貯金者保護については全く心配はない、財政的にゆとりがある、当面心配はないので予算措置は講じなかった、こんな話だったわけなのです。 そうだとすると、今現在は、今大臣の言われた緊急措置を講ずる必要はないのじゃないか。だとすれば、将来的にあるのか。将来的に法律で例外を認めなければならない事態が発生するという具体的な事実がもしあれば教えていただきたい。
○熊澤政府委員 将来の具体的な事例について現在想定しているかということにつきましては、私どもそういう事態はむしろ想定したくない、あるいはない方がいいというふうに考えているわけでございます。ただ、昨年来の金融危機、金融不安、大型の銀行あるいは証券会社の倒産、そういう極めて危機的な金融状況の中で、これは一般銀行の預金者もあるいは農漁協系統の貯金者についても同じでございますけれども、やはり日本の金融システム全体についての不安感、信頼感の欠如がこうした金融不安を招来しているということだと思います。 日本の金融システムの中で系統金融というのは全体の資金量の一割強を占めている。他の金融機関の預金者については政府保証がある、他方、全体の一割を占める金融システムについて政府保証がないということによる貯金者の不安、ひいては預金システムの不安感の招来、そういうことを避け、日本の金融システム全体としての安定感をかち取る、日本の金融システムの安定の構築に寄与する。そういう意味で、こうした現下の金融不安の状況の中、緊急性のもとで政府保証ということをお願いしているということでございます。
○漆原委員 いや、さっき大臣は、例外を設けるということは国民のお金を、税金を支出することになるのだから例外なのだという私の説明について、そのとおりだとおっしゃっていただきましたね。だとすると、預保の方にあるから貯保の方にも欲しいのだ、これはおかしな話であって、預保の方は現実にもうパンクをして、責任準備金が取り崩されて欠損が出ている、金融不安があるからこれは何とか国としても保護しなければならないなということで例外をつくった。 しかし、貯保の方はそういうことが現在も予想されない、将来も予想されないというのであれば、なぜそういう例外をつくる必要があるのですか。それを聞きたい。
○島村国務大臣 いろいろなとらえ方があろうかと思いますが、先般来、郵貯への預金のシフトが非常に顕著でございまして、郵貯はつぶれっこない、一方の金融機関ではいろいろな事件が出てきた、やはりこの差が非常に大きく物を言ったように思います。一般の庶民感情といいましょうか、我々がふだん接する方々あるいは講演等で接する方々に伺ってみると、最近では大銀行といえども先行きどうなるかわからない、だとすれば、うっかり預金もしておけない、なけなしの財産全部すってんてんになったら大変なことだというような声は、一時随分聞かされたところであります。 そういう意味で、一般の市中の金融機関に政府のきちんとした保証がつくとすれば、農協系統の金融機関について、実際の金銭上の保証を受ける心配がないにしても、一応同じように扱っておいていただいた方がよろしいのではないか。その上で、実質的には予算計上その他をしていない、やはり農協は信頼できるのか、こういうことになるのではないのか、私はそう考えます。
○漆原委員 しつこいようですが、法律のつくり方として、必要もないのに一応与えておいた方が農協系の組合員に安心感があるという。あれですか、安心感のために今回政府保証をつけると。要するに、預保にあるから預保の方は保護される、貯保はないから、現実的に今は要らないのだけれども安心感を与えるために法律改正をする、こういうことですか。
○熊澤政府委員 これは、預金保険法の今回の改正と予算措置と対比することがいいかどうかという点はございますが、預金保険法の場合におきましても今回政府保証と政府国債合わせて三十兆円の投資をしたわけでありますけれども、この三十兆円の根拠につきましても、そういう意味では必ずしも積み上げというものではございません。やはり日本の金融システム全体が極めて大きな不安感を生じている、預金者の信頼を得られない、そういう中で金融システム不安が生じ、これが国際的にも大きな影響を与える、国際的な金融不安の一要因たるかもしれないというような状況にまで至った中で、今回、預金保険法につきましては、政府保証をし、政府の国債十兆円についても交付をし、そういう改正の内容で御審議いただき成立をさせていただいた。 他方、同時に、私どもそうした全体の日本の金融システムの安定化を議論する際には、他の一般銀行と同様に、これは全体の資金量でいえば一割以上を有しているわけでございますので、十分に日本の金融システムの一翼を担っているというふうに私ども認識をいたしておりますけれども、そうした農漁協系統の一割を超える資金量、それを持つシステムが日本の金融システム全体の中でもやはり安定した地位を得る、そこのもとでの貯金者についても十分に安心感を与える、そのこと自体が日本全体の金融システムの安定に寄与することにつながるということで、政府保証を他の金融機関の預金者と同じように与えていただきたいということで、今回の改正を御提案申し上げているところでございます。
○漆原委員 何回聞いてもよくわからぬ。僕が頭が悪いかどうか知らぬけれども、必要ないものをくっつけるという理由がまずわからないのですね。 それはともかく、今回の四十二条の二ですか、政府保証は国会の議決があって初めて発動できる、こういうことになりますね。今回は国会の議決がない。そうすると発動できませんね。仮に、万々が一緊急事態が生じたとしても、この改正法案が通ったとしても発動はできませんね。この法案だけでは発動できないと思う。国会の議決がなければ発動できないと思うのですが、その点どうですか。
○熊澤政府委員 今回改正法案として政府保証をお願いしておりますのは、まさに先生御指摘のとおり制度として政府保証をお願いしているということでございますので、具体的に予算総則の中に保証枠を計上して具体的な発動が可能になるというのは先生おっしゃるとおりでございます。 したがいまして、現在の貯金保険機構が貯金保険料の収入を使い果たし、さらに準備金を使い果たして借り入れをする場合には、実際の借り入れはできるわけでございますけれども、その際に、予算総則に付さない場合には政府の保証はつかないということでございますので、私どもは、そのような場合には、政府保証の枠をお願いしているわけでございますので、借り入れが必要となった事態においては、予算総則に計上して、それは補正予算であれ通常予算であれ直近の国会で予算総則に政府の保証枠を計上して御審議を得、承認を得る、そういう事態になるわけでございます。
○漆原委員 この法案が通っても、新たに具体的に国会の議決がないと予算措置は講じられないですね。そうすると、例えば国会で否決されたら保証できないわけですね。この枠をつくっただけでなぜ預金者に安心感を与えられるんですか。
○熊澤政府委員 この政府の保証枠が御承認いただけますと、貯金保険機構のシステム全体について、最終的には貯金保険機構の借り入れに対して政府保証がつく。それは、必ずしもすぐに政府がすべての保証枠を請け負うということではございませんで、もちろん、長期的には原則として貯金保険料の収入の引き上げによって収支を均衡させるというのがまず第一義的に考えられるわけでございますけれども、それ以上に、やはり最終的に貯金保険料の収入によって収支均衡が償わない、そういう最悪の事態には、政府としても、基本的には貯金者の保護でございますが、貯金者の保護のために政府として保証しているんだ、そこが金融システムの安定化の上で極めて重要だということでお願いをしているわけでございます。
○漆原委員 そうすると、これはある意味では精神的な条項と考えていいんですね。どうですか。
○熊澤政府委員 私どもとしては、精神的な条項ではなくて、現時点では、政府の保証し得るという、制度的には法律効果のあるお願いでございます。 それは、たまたま現時点で貯金保険機構の財源状態が借り入れの状況でないので、当該年度の予算として借り入れが予測されない状態で、これは予算の単年度主義という原則からのアプローチでございますが、当該平成十年度において貯金保険機構が日銀ないし農林中金から借り入れを想定する状況にないということで、当年度の予算には計上していないということで要求していないということでございます。しかしながら制度としては、やはり法制度として政府が保証し得ると。それは精神規定ではなくて、法的な効果のある条項として御審議をお願いしておるわけでございます。
○漆原委員 実際に発動できない法律を今つくっても僕は意味はないと思うんですよ。逆に言えば、今の預保のように、そういう事態がないことを望むんだけれども、預保のような事態に立ち入った段階で、預保と同じように保証額の金額を入れて予算措置を講じた法律案として提出すれば足りるんじゃないか。今枠組みだけつくって、しばらくいって具体的事実が発生したときに、今度は金額の問題でまた同じような議論を改めてしなくちゃならぬわけですね。そうだとしたら、金額が必要になった段階でこの法案を出されてもいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 確かに、今年度の予算においては予算計上をする状況にないということでございますが、他方、政府保証の制度的な付与につきましては、これは貯金保険法に限らず、今回改正をいただいた預金保険法についても同様でありますし、あるいはほかの政府機関におきます政府保証、これは債券の発行とかいろいろなケースがございますが、そのような場合の政府保証につきましても、通常、政府保証という制度的な機能を付与するという事例は多々ございます。 その上で、例えば債券の発行についての必要性、あるいは、これは預金保険制度についてもそういうことになると思いますが、そういう当該年度の予算に立てる状況、事由がない場合には予算には立てないということでございますので、今回政府保証をお願いをいたしましても、将来におきましては、借り入れの状況が必要な場合には当該年度の予算に計上して審議をお願いする、そうでない場合には計上しないということで、政府保証の仕組みを付与したからといって必ずしも以後毎年計上するという状況ではなく、その時々の状況によって、当該年度の予算を提出する時点の判断でお願いするということになるわけでございます。
○漆原委員 しつこいようだけれども、もう一回聞きますけれども、政府保証枠そのものも、制度枠も金額も、その必要になった段階で決めたらいいじゃないかというのが僕の考え方なんです。 それで、枠を決めただけで貯金者が安心する、安心すると言うけれども、どうなんでしょう。枠を決めたって、これ、お金は出ないんですよ、政府の保証はないんですよ、現実に国会の議決がなければ、枠を決めただけでは財政出動できませんよ、こう言った場合に、これは本当なわけでしょう、本当のことを言った場合に、貯金者は安心しますか。
○熊澤政府委員 貯金者にとっては、やはり制度と仕組みとして最終的には政府の保証があるということに大変大きな安心感があると思います。 その上で、現時点で具体的に政府の予算があるかないかということにつきましては、現在の貯金保険機構の財源の状況、運用の状況、これをきちっと貯金者に説明をすれば、確かに、現在の貯金保険機構においては預金保険機構のように借入金がない、即座に政府が政府の保証枠を立て政府国債を付与するという緊急的な財政状況にはない、むしろそのような意味では現在の貯金保険機構の運用が健全な形で運用されている、そういう意味での安心感、さらにその上に、いざ一たん不測の事態が生じた場合には政府の保証がついているんだ、そういうことによって預金者には十分信頼感、安心感が得られるというふうに考えております。
○漆原委員 時間がちょっとないので次の問題に移らしてもらいますが、劣後ローンの供与についてお尋ねします。 今回の改正案では、経営困難組合との合併によって自己資本の状況が悪化した受け皿組合に対して機構が劣後ローンの供与を設定できると。従来は、この機構が支援する場合には、都道府県知事の認定だとかあるいは委員会の議決、それから主務大臣の認可、こういうことで援助をしていたわけですね。今回政府保証がなされるということは、最終的には公的資金が投入される可能性があるわけでありますが、この劣後ローンの供与について、審査、決定のシステムの中に、今回の改正を見ても国民の声が反映される機会がないのではないか。 例えば、例の金融二法の安定化法案について見ますと、中立公正な審査機関を設けてやるとか、七人中三人が民間の人であるとか、審査基準を策定するとか、健全性確保のための計画だとか、こういういろいろな要件が出て、国民の声が、納税者の声が反映されるようになっておるんですが、本法案はどうなっておるか、また、今後どう考えるか。いかがでしょうか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 貯金保険機構が劣後ローンを発動する場合の要件でございますけれども、これは一般的に、破綻金融機関の基準についても同じようなルールがあると思いますけれども、例えば経営困難に陥った組合、これは破綻組合でございますが、それ自体は解散させること。それから、組合長や理事は退任させる。それから、事情によりますけれども、民事、刑事上の厳格な責任追及を行う。出資者、これは破綻組合でございますが、破綻組合の出資者については損失負担を行う、これは通常、出資金の減資なんかで行いますけれども、そういった厳格なルールのもとにこれまで運用されております。 今後の貯金保険機構の資金援助の発動につきましても、そうした厳格なルールの運用については従来どおり行われるということでございますし、また、貯金保険機構による資金援助につきましては、都道府県知事が当該組合の適格性の認定ということを行うことになっておりますので、そういう意味でも制度的な歯どめはかかっているということでございます。 さらに第三点目の、御指摘のございました貯金保険機構の運営委員会のメンバーでございます。確かに、基本的には農漁協の代表者が多数を占めているところでございますが、その中には日銀の理事が学識経験者としての立場から入っていただいております。また、農協の代表者と漁協の代表者が、それぞれの団体といいますか業界を代表して参画をされておりますけれども、農協の代表者の方が漁協の方についてはどちらかといえば第三者的な立場からの判断を行っていただけるというふうに考えております。 これまでの運営委員会の運用におきましては、公正な運用がなされてきたというふうに考えておりますけれども、なお、さらにより第三者的な民間人の登用ということについては、今後の検討課題とさせていただきたいというふうに考えております。
○漆原委員 今までは農漁協のある意味では内部の関係であったわけなんですが、今回は、国民の税金がそこに使われるかもしれないというシステムになるわけですから、どうかモラルハザードを起こさないように、国民の目からきちっと見えるような、そういうシステムにしていっていただきたい、こう思います。 最後にもう一点、不良債権の回収の促進についてなのですが、今回、不良債権の処理促進策として、機構が直接買い取るんだということと、それから信連の子会社が買い取る場合には資金援助を行う、こういう二つのやり方になっております。これもやはり政府保証がつくということは、買い取った不良債権の回収が不能だということであればそれは国民の負担になるわけですね。そういう意味では、買い取り債権の回収策について、今までと同じようにやっていたのではなかなか債権の回収はできないと思うのですね。安定化法案でやったように機構に権限を与えて、立入調査権とか質問権とか帳簿閲覧権とかそういう権限を与えて、あるいは罰則つきの権限を与えて、債権が少しでも多く回収できるような措置を、今回講じていないのだけれども、講ずるべきではないのかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
○熊澤政府委員 確かに、預金保険法におきましては、整理回収銀行に御指摘のように立入調査権等があるわけでございますけれども、これは、整理回収銀行が大型の金融機関の破綻も踏まえまして全国的な整理回収銀行として設立をされているという状況にございますが、他方で、貯金保険法の場合には、具体的に債権の分離の場合には、当該地域の債権がもう大部分であります。そこで、私ども、通常の場合ですと信連が債権回収会社を設立いたしまして、そこに買い取らせるというのが実態でございますが、同時に、仮に貯金保険機構が買い取る場合にも、通常は、その地域の金融事情、農業事情に精通しております信連に委託をして債権回収を行うということを想定いたしております。 そういう意味でいえば、信連は、直接指導いたしております農協が持っておる不良債権の相手方、あるいは地域の事情、金融事情については通常は、詳しい資料、状況に通じておりますので、私どもとしては、貯金保険機構はそうした信連に委託をして回収させる、そういうことを想定しているところでございます。
○漆原委員 時間がなくなりましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 以上で漆原良夫君の質疑は終わりました。 次に、菅原喜重郎君。
○菅原委員 今回の農水産業協同組合貯金保険法改正の趣旨は、貯金者の信頼を確保し、あらゆる事態に対応できるよう制度の見直しを行うこととしていることであると承知しております。 貯金者の信頼回復といえば住専問題が思い起こされます。顧みますと、住専の処理をめぐり、住専各社や銀行等関係機関の責任の明確化、農協系統を含めた金融機関のあり方について厳しい論議が行われました。最終的には、母体行が三兆五千億円、一般行が一兆八千億円の債権放棄、系統金融機関は五千三百億円の資金贈与、そして預金者保護の名のもとに、六千八百五十億円もの政府からの公的資金を投入するといった事態が生じたことは御承知のとおりであります。 そこで、住専問題について農林省としてどのように総括し、反省しているのか。この住専処理の問題では、債権買い取りの機構をつくり、有力な弁護士、公認会計士の方々がその回収に当たっているわけですが、現時点ではまだ二八%ぐらいの回収率であるとも承っているわけでありますので、ひとつ農林省としての総括と反省とをまずお伺いいたします。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 確かに、住専問題の御論議の中で、系統の貸し出し体制の不備等について強い御指摘、御論議もあったところでございます。私どもとしては、系統金融機関を指導監督するという視点からそうした経緯についても検討を行い、今後の農協系統金融の監督行政に十分反映させていくことが重要である、そういう視点から監督行政の見直しを行ったところでございます。そうした検討の一環といたしまして、農林省の検査部の統合、それによる検査体制の強化も図ったところでございます。 また他方、系統組織におきましても、そうした住専の反省とあわせまして、二〇〇一年に向けます金融ビッグバンを控えまして、事業、組織を合理化し、経営体質を強化することが重要というふうに認識をいたしまして、事業二段、特にその中では農林中金と信連の統合、あるいは県内の農協の広域化、そういったことが今後の金融事情の変化の中で大変に重要であるということで、積極的に取り組んでいるということでございます。 私どもとしても、こうした農協系統の取り組みに対して積極的に指導、支援してまいりたいというふうに考えております。
○菅原委員 以上のことを念頭に置いて質問させていただきますが、今般の貯金保険法の改正では、農林中央金庫、日本銀行からの借り入れに対し政府保証を付することとしております。政府保証を付することは、国民の税金を導入することを可能とすることにつながるわけであります。貯金保険機構はこれまで資金援助を五件行ってきておりますが、今回新たに政府保証の付与を可能とするということは、農協、漁協の中に経営の悪いものがまだまだありますから、今後、貯金保険機構の財源に支障が生ずるおそれがあるものと受け取れます。このような状況にある中で、万一貯金保険機構が安易に資金援助の発動をし、農協、漁協の保険料収入等を業務経費としていたずらに浪費することにより政府保証による国民の税金を投入するような事態に至れば、これは大変な問題であるわけでございます。 特に、不良貸し付けに対して、それを容認してきた執行責任者への刑事訴追も不十分な現行法の中では、結果として政府への不信を国民の中に増大させるばかりになるわけでございますので、所管省庁である農林水産省が貯金保険機構の十分な監督を行うべきはもちろんのことでありますので、このことに対処しての監視、監督、指導について、また十分に責任が持てるのかどうか、お伺いいたします。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 まさに先生御指摘のとおり、今回の貯金保険法の改正によりまして、貯金保険機構の機能、役割は強化されるものでございます。そのような意味では、私どもといたしましても、貯金保険機構についてこれまで以上に適正な運営が図られるべきであるというふうに考えております。そうした視点を踏まえまして、十分な監督をしてまいりたいというふうに考えております。
○菅原委員 この機構の資産買い取りについてですが、預金保険機構においては、これまでも経営破綻に陥った金融機関からの資産の買い取りが可能であったと承知しております。今回、貯金保険制度においても同様の仕組みを設けることとされたのはいかなる理由によるのか。 特に、預金保険機構に比べますと貯金保険機構の人員、体制はかなり脆弱であり、資産の買い取りを行うのに十分なものとは思えません。資産の買い取りは不良債権そのものを機構に移転するものであり、相当の能力のある者によって明確な基準に従って行わなければならないわけでありますが、機構そのものの財源を一気に悪化させるようなことになっては、とてもこの機構はもてていけない、最終的には国からの資金をまた投入するようになると思うわけでございます。 そこで、この買収後の管理、回収業務についても、金融機関並みの十分なノウハウが必要でありますので、このノウハウが果たしてどのように、現在なそうとしているのか、なっているのか。実際に資産の買収業務を行うに当たってのその体制、機構、手法、さらに買い取り後の債権等の管理、回収についてどのように対応する考えか、お伺いいたします。
○熊澤政府委員 保険機構の今回の改正による業務につきましては、経営困難組合から資産を買い取るという業務が入りますので、当然のことながら買い取った資産の管理、回収についての業務が追加されるわけでございます。 この場合に、債権の回収につきましては、地域の農業事情あるいは金融事情に明るい信連に委託をするというのが基本的な姿ではなかろうかというふうに考えておりますが、他方で、そうした買い取りの業務あるいは資金援助の発動という事態によりまして、この貯金保険機構の機能、役割は強化されるということでございます。 現在、貯金保険機構の人員体制が職員十四名、役員三名でございますけれども、この機構の人員体制の拡充を予定しておりまして、平成十年度には二名の増員をいたしまして、業務執行体制の整備、強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
○菅原委員 先ほども質問しましたように、住専の債権処理機構の中で、優秀で専門の弁護士、会計士を当たらせてもなかなか回収できない状況から見て、この買い取りには十分な対応をしていただかなければなりませんし、同時に、先ほどもまた質問いたしましたように、現行法の中では刑事的な責任追及もなかなかとれないようになっておりますので、このことについては十分な対応をしていっていただけるように、本当は私としましては、やはり刑事訴追するような法の整備ももうそろそろ考えていかなければならないんじゃないかなと思っておりますので、要望しておきます。 次に、今回の改正により、資産の買い取りについて、貯金保険機構が直接経営困難組合から買い取る方法と、信連の子会社が買い取りを行う場合に、その子会社に対して支援を行う信連に対し資金援助を行う方法の双方を新設することとされています。 この双方の措置とも、経営困難組合から資産の買い取りを行うものであり、救済合併を行う組合側から見ればその効果は全く同じであるわけで、両者の関係が判然としません。既に、農協、漁協系統においては、破綻処理の方法として、子会社を設立し、これに不良債権を譲渡した上で救済合併を行うという取り組みを開始しているところでもあります。これとは別に、わざわざ貯金保険機構の財源の状況の悪化を招くような直接買い取りを認める必要はないとの考えもあります。 そこで、今回新設される資産の買い取りのための二つの手法について、優先関係、必要性についてまずお尋ねいたします。
○熊澤政府委員 お答えを申し上げます。 確かに、今回の法改正では、貯金保険機構が直接不良資産を買い取る場合と、県信連が設立をいたしました債権回収会社による買い取りと、二つの道を開いたわけでございます。 そこで、現実には、既に五県で子会社が設立をされておりまして、債権回収はその会社を通じて行うという対応が進められているところでございます。これは、県内の合併促進に当たりまして、県の系統組織がそうした県内の債権回収会社に不良資産を移して管理をする方が有効であるということで選択をしているものでございます。 他方で、貯金保険機構による資産の買い取りという場合には、これは県信連と貯金保険機構との選択の手法にもよるわけでございますが、なかなか県信連で扱いが難しい、そういった債権について直接保険機構が買い取る場合があるのではないかというふうに考えられますが、基本的には、私どもとしては、やはり地域の実情に明るい、金融事情に精通している信連が中心となって、債権回収会社を設立し、それによって処理をするという形態が通常の形態として行われるのではないかというふうに想定をしているところでございます。
○菅原委員 そうなりますと、今度、これは次の質問にも関連しますが、四十七都道府県につくられるこういう制度は、最終的には各都道府県の信連が責任処理をするのが望ましいという、また、そうさせるようになるという、そういう想定か何かがあるわけですか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 これは、これまでの早期是正措置の導入の過程を私ども見ておりまして、各県におきます経営が破綻した組合の不良債権の処理につきまして、やはり県内で、中央会なり信連が中心となりまして処理をした上で合併を促進するというのが通常の形態でございます。現実に、既に債権回収会社を設立いたしまして、分離をして合併を進めているところももう既に五県あるわけでございますが、そういう意味でいえば、今回お願いをいたしております債権の買い取りとそれに対する資金援助につきましても、もちろん貯金保険機構が直接出動をして買い取りをするという場合がないというふうに考えているわけではございませんが、実態としては、やはり県内の金融事情に明るい信連が中心となって債権の処理が進められるのではないかというふうに考えているところでございます。
○菅原委員 今回のこの貯金保険機構の直接の資産買い取りとあわせて、資産の買い取りを行う信連の子会社に対する支援の措置を講ずるわけなのですが、私は、これだけでは不良債権の処理の促進の方策としては不十分ではないかとも思っております。といいますのは、預金保険制度におきましては、不良債権の回収のための専門の金融機関として整理回収銀行が設けられているからであります。 整理回収銀行は、これまで信用組合の破綻処理の受け皿金融機関として損失補てん等の特別な措置を講じており、さらに、本年二月の法改正によって、信用組合以外の破綻処理の受け皿となることができるなど、一層の拡充がなされたところであります。 貯金保険制度においても、整理回収銀行のように不良債権の回収促進のための特別な機関を置くことも考えられると思いますが、そのためには全国一円のものが望ましいと思っているわけでございます。信連の子会社に限定し、また援助の方式も相互援助制度を通じた間接援助に限定したことについては、どのようなことでこうなったのか、先ほどの質問とも関連しますが、お伺いします。
○熊澤政府委員 お答えを申し上げます。 先生今御指摘になりましたように、整理回収銀行の場合には、今回、機能が強化されたわけでございますけれども、一般銀行の破綻の場合にまで受け皿機関として債権の回収を行う。そういう意味でいえば、預金保険機構と並んで、整理回収専門の銀行として全国一円の機関として設立されたということでございます。 他方、農協系統の場合には、単位農協の不良債権の処理が中心でございますので、そういたしますと、極めて地域限定的、その地区に居住している方々あるいは法人に対する不良債権の回収ということになりますので、全国一本でそうした地域的な債権を回収する機関を設立するか、あるいは、私どもが現在想定しておりますように、県段階においてその地域の農業事情、金融事情に明るい債権回収機関あるいは信連が回収する方がどちらかといえばより効果的、効率的ではないか、そういう判断で、主として信連あるいは信連が設立する債権回収会社に債権の回収を行わせるという方法を選択したということでございます。
○菅原委員 今、各単協は、外から見ましても、不良債権を随分抱えているのではないかと思われます。そこで、農協の資金運用は現在どのようになっているかについて政府の考えをお伺いします。 貯金保険法は、経営困難農協の処理に当たって、今回、不良債権の処理の促進等に係る措置について改正案が提出されたのでありますが、このような法的な手当ての必要性については、最近の金融事情をめぐる厳しさを踏まえれば理解できるところでありますが、そもそも、農協の経営問題に至るのは、これまで資金運用面についてしっかりした責任、理念や指導が確立されてこなかったことが原因でないかとも私は考えております。 そこで、今日、農協の資金運用がどのように行われているのか、農林省としてはその実態をどう把握しているのか、まず、このことについてお伺いいたします。
○熊澤政府委員 農協系統の貯金量は農協段階で約六十八兆円でございますけれども、その農協の運用の状況を見ますと、組合員と組合員以外、つまり員外の貸出金が約二十兆六千億円、全体の約三割弱でございます。それから、国債等の有価証券による運用が約四兆三千億円、全体の六%でございまして、残りの六二、三%、約四十四兆円が信連に預け入れられているというのが実態でございます。 これは、先生御承知のとおり、最近の農業全体の価格の低迷等によりまして、農協の組合員あるいは地域への貸し出しが伸び悩んでいるという実態がございます。そうしたことから信連への預け金の量が増加しているということになるわけでございます。しかしながら、私ども、全体として言えば、やはり今後とも、農協段階でいえば農協の方々あるいは地域の方々の信荘を得て、できるたけ地域の振興に寄与していくということが基本であろうと思います。 さはさりとて、全体としては限界があるわけでございますので、そのような場合にはむしろ信連に預け入れ信連での健全な運用を期待する、そういう全体としてのバランスが必要であろうというふうに考えております。
○菅原委員 金融ビッグバンが騒がれている中で、私は各単協の何人かの方々と話し合ってみたのです。農協がこれからこういう経済の自由化の中で生き残れるとしたら経済連関係かそれとも金融関係か、信連の方々あるいは経済連の方々と話すと、経済連の物品販売や何かの販売関係でも十分に生き残れるというのと、どうも金融以外に生き残れないんじゃないかなど、現地は意見がばらばらです。 私としましては、全国に各農村の隅々まで組織を持っているわけでございますので、指導いかんによっては、一般金融機関並みに農協の金融機関は非常に将来明るいものがあるのだ、こう思っております。そのためには、やはり農協系統のディスクロージャー、情報公開というものがぜひ必要であり、こういうことがなされないと、殊に金融関係では農協を信頼して預金をしてくれる人が少なくなる、こう思っているわけでございますので、こういう点で、農協系統においても、金融機関である以上、情報の開示、ディスクロージャーに取り組む必要というものについて、現在の状況はどうなっているか、また、行政としてどのようにビッグバンにも対応して指導していこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 ビッグバンの進展の中で、貯金者の信頼感を得るという意味からもディスクロージャーの推進ということは大変重要でございます。現在、農協系統におきましては、平成五年の金融一括法によりまして、他の金融機関と同様、不良債権につきましてもディスクロージャーの規定を農協法に設けたところでございまして、平成五年度から段階的に開示を行ってきておりまして、既に農林中金と四十七信連、すべての信連におきまして不良債権のディスクロージャーは行われております。また農協段階におきましても、本年の四月、つまり今回の決算期から不良債権の開示を行うことにいたしております。 今後とも、農協の組合員あるいは地域の利用者のためにも、こうしたディスクロージャーの充実につきまして指導してまいりたいというふうに考えております。
○菅原委員 それでは、最後に大臣にお伺いしますが、指導責任の最高位にある大臣に、現在の信連と農林中金との組織整備の取り組み状況について、どのように御指導をし、またどのように把握しているのか、お伺いしたいと思います。
○島村国務大臣 お答えいたします。 信連と農林中金との統合につきましては、農林中金を中心とする農協系統におきまして、統合の条件、統合後の県レベルにおける組織運営のあり方等の課題について幅広い検討が重ねられておりまして、本年六月には統合の基本方針が取りまとめられる予定と承知いたしております。各都道府県信連におきましても、農林中金との統合について真剣な検討が進められ、現段階では二十五の信連において農林中金との統合を決定しているところであります。 今後は、基本方針に基づいて、統合に向けた具体的な取り組みが着実に推進されるよう、農林水産省といたしましても適切に指導、支援してまいる考えであります。
○菅原委員 以上をもって終わります。どうもありがとうございました。
○北村委員長 以上で菅原喜重郎君の質疑は終わりました。 次に、一川保夫君。
○一川委員 自由党の一川保夫でございます。 これまでのいろいろな質疑の中で、いろいろと話題が重複しがちになってまいりましたので、私の方からは、これまでの質疑の中で若干確認しておきたいということも含めて御質問をさせていただきたいと思っております。 今ほども話題になっておりますけれども、農協系統がこれからの金融ビッグバンの時代を迎えるに当たりまして、いろいろな面でその備えというものが問われる時代に突入しているわけでございます。二〇〇一年のその時期にそういう状態を迎えるということを控えまして、銀行なり証券会社、保険会社との絡み、そういったことも含めまして、これから農協系統の組織においても、金融機関としての一つの役割を担っておりますし、先ほどの大臣の答弁の中にも、農協というのは、農業者なりその地域の金融機関としての重要な役割も果たしているということでもございます。 こういう新しい非常に難しい局面を迎える状況下にあるわけでございますけれども、こういった金融ビッグバンという状態に備えて、これからの農協系統の金融機関がしっかりとその役割を果たしていくというためには、どのようにこれからその課題を乗り切っていくかということが問われているわけです。 農林水産省としましても、当然ながら農協等に対する指導というものは非常に大事になってまいりますけれども、そのあたりの基本的な考え方をまずお聞かせ願いたい、そのように思っています。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のような金融ビッグバンの進行という中で、農協系統金融も他の金融機関との競合がますます激しくなるということは御指摘のとおりでございます。 そうした中で、農協系統金融機関といたしましては、基本的にはやはり組合員のための金融機関ということでございますけれども、昨今の社会情勢の変化の中で、地域の金融機関としての役割も重要になってきているということでございます。そのために、こうした系統金融機関の特色を生かしまして、組合員と地域の貯金者の信頼を得る、そういうことによりまして、農業及び地域経済社会の振興に寄与していく、そこが基本であろうということで考えております。 そうした環境の変化に対応いたしまして、やはり系統金融機関といたしましても、組織の効率化、事業の効率化ということが求められているわけでありますので、そういう点でも、現在、系統金融機関全体として取り組んでいるところでございますので、私たちといたしましても、さきに成立を見ました農協改革二法、これは執行部門の強化等を内容といたしておりますけれども、そうした法の活用等によりまして、系統金融機関のさらなる健全な発展に十分な指導をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○一川委員 そういう流れの中で、農協という組織が新しい時代に向けてしっかりと生き残っていくためにも、その一つの大きな課題としては、今農協組織の合併問題等々がいろいろとございます。これは先ほどの議論の中でも、合併問題についての進捗状況等についてのいろいろなやりとりがございました。 私も、かねてから自分自身の地域における農協のいろいろな動きを見ておりましても、何か遅々として進まない面があって非常に歯がゆい思いをしている面もあるわけですけれども、全国的な動きを見ておりますと、若干わからないというか理解に苦しむ点は、目標に向かってほぼ一〇〇%達成しているというような県も中にあるわけですが、中には極端におくれている県もあるわけです。こういう格差がなぜつくのかということが非常に気になるわけです。 先ほどの農林水産省の答弁等によりますと、そのいろいろな阻害要因として、構成員の問題とか地域農業に対するいろいろな取り組みの問題、また、主要な原因として不良債権等々の問題があるのではないかというようなお話もございました。こういったことは農協という組織である以上ある程度想定される、そういうことでございますし、当然ながら、目標年次を掲げて目標の統合数を描く段階では、そういうことも含めていろいろな議論がされていたというふうに私は思うわけですね。 そういったことが、なぜこんなに各都道府県で合併の状況に格差が出てくるかというのは、私は、一つにはそこのリーダーの皆さん方の心構えといいますか、これからの地域に対する農業なり農村というものをこういう方向に引っ張っていくんだという強い信念を持っている、まあ俗に言うしっかりとした考え方を持ったリーダーがいるかいないか。何となく自分の役職にこだわっているようなリーダーがいるとなかなか合併が促進されていかないというのが現実にあるのではないかというふうに思うわけです。そのあたり、余りはっきりとした御答弁もなかったわけですけれども、それはいかがでしょうか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 大変答えにくい御質問かというふうにちょっと感じておるわけでございますけれども、確かに、先生御指摘のように、県によっては既に相当合併が進捗している、他方で、御指摘のように、なかなか実態として進んでいないなという状況、私ども把握をいたしているつもりでございます。 ただ、私ども言えることは、破綻農協の数につきましても、それぞれの県の事情、あるいは単に農業を取り巻く状況だけではなくて、不良債権の内容によってもかなり違ってきている。つまり、不良債権の内容、額によっては受け皿の農協を見つけるのがなかなか難しい、そういう実態もあるわけでございます。今回、私ども、債務超過になりました五十六の農協についての分析をいたしましても、必ずしも一つの要因だけではない、確かに不良債権が一つの大きな要因になっているという面もございますが、そうでない要因も重なって経営悪化を招いているというところもございます。 そういう意味でいえば、今回の早期是正措置の導入が、農協合併の促進、あるいは農協の経営内容を表に出す上でかなり一つの契機になったのではないかという面もございます。こうした早期是正措置の導入、農協の系統の取り組み、そういったことをてこにして、今後とも合併の促進を推進してまいりたいというふうに考えております。
○一川委員 確かに、今農協をリードしていく皆さん方にとって農協を取り巻くいろいろな状況が非常に厳しくなってきておる、あるいはその見通しがはっきりしないという面では、そろそろいろいろな人の力をかりて、場合によっては若い世代にそのリーダーを譲ってもいいというような、何となくそういう時期に来ているのかなという感じも一方でするわけです。しかし、今農協をリードしている皆さん方の意識改革がもう少ししっかりできないと、この農協の合併というのは順調に進んでいかないのではないかという思いを、私は現場のいろいろな動きを見ておりましてそういう感触を受けておりますので、農水省の方でも、そういう意見もあるということを念頭に置かれてこれからも対応をぜひお願いを申し上げたい、そのように思っております。 今ほどの話にもちょっと出ましたけれども、不良債権等々を抱えたような、そういう農協のこれからのあり方にもかかわるわけですけれども、最近、こういう貯金保険制度なり、一種の預金者というか貯金者を保護するというような政策、制度というものがだんだん完備されつつあるわけです。そういった制度そのものは、ある面では非常に私は必要なことだというふうに思いますけれども、一方では、農協という組織を健全な状態で運営していくその責任者の責任の問題というのは、そういうことで何か免れてしまうという危険性が出てくる可能性もあるのではないかというふうに思うわけです。 今、不良債権等々のそういった何となく表に出てくるようなものをいろいろ掘り下げてみますと、どっちかというと、やはりそこの組合長なり役員の皆さん方が、要するに本当にその地域の農業のために判断したことじゃなくて、それ以外の、割と農業にかかわりのないような部分に、いろいろ誘惑に負けたといいますか、何となくそういう方向へ流れてしまったというようなことで不良債権を抱えている農協というのは私は非常に多いんじゃないかというふうに思います。 そういう面では、こういう貯金者等を保護するような制度とはしっかりと切り離して、そういう経営者の責任問題というものをしっかりとこれからも監視していただきたいというふうに思いますけれども、このあたりに対する農水省としての、これからの指導方針も含めた決意のほどをお聞かせ願いたい、そのように思います。 〔委員長退席、赤城委員長代理着席〕
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 確かに先生御指摘のように、農協の経営が破綻するという要因といたしまして私どもが分析している中でも、不良債権、不正な貸し付けが、あるいは巨額な貸し付けが不良債権化して農協の経営が破綻に瀕したという事例が相当あるということは事実でございます。そのような場合には、やはりその農協の経営者としての責任というのは厳しく追及されるべきは当然でございます。まして、貯金保険機構、いわば半ば公的な資金、特に農協の方々から払われている資金を財源とする貯金保険機構の発動でございますので、そうした事例につきましても、特に厳格に役員の責任というのは追及されるべきだというふうに考えております。 それで、これまで貯金保険機構が資金援助を発動いたしました五件の事例がございますが、この五件の事例につきましては、これは既に御承知かと存じますけれども、基本的にはやはり民事上、刑事上の訴追がなされております。そしてまた、この五件以外でも、通常の農協が破綻した事例で経営者に責任があるという場合には、私財の提供も含めまして、刑事、民事の訴追が行われるという事例が多々あるということは御承知のとおりでございますので、そういう意味では、農協系統の中では経営者責任というのはかなり厳格にこれまで責任追及がなされているのではないかというふうに認識をいたしているところでございます。
○一川委員 その点につきましても、厳格な指導をよろしくお願いをしておきたいと思います。 さて、農協といえば、当然ながら、本来の農協の使命からしまして、地域農業の振興に対するいろいろな役割というのは最も大きいものがあるというふうに考えるわけです。きょうの午前中の質疑の中にも、地域農業に対する農協の取り組み方が最近非常に弱くなってきているというようなやりとりもございました。私も、まさしく現実はそのようになってきているというふうに思っておりますし、そういう面では非常に残念だというふうな思いと同時に、これから何とかして農協の本来の役割をさらに強めていただきたいという思いがあるわけです。 農協そのものの経営という観点に余りにも強く走り過ぎて、信用部門とか共済部門に相当、いろいろな面で精力を費やしているといいますか、スタッフもそういう面に相当力を入れざるを得ないという状況に追い込まれてきているというのが現状ではないかというふうに思うのですけれども、そうかといって、こういう状態を放置していいというものではないと私は思うのです。 ですから、やはり農協としては、その地域の組合員、農業者に対して、しっかりとした営農の指導なりまたいろいろな技術面の指導を、今こういう時期にもう一回見直しをかけてしっかりと取り組んでいくということは、私は、国民全体の理解も、しっかりと説明をしていただければ理解してもらえるというふうにも思いますので、農協の本来こうあるべきだという姿に近づけるような指導をぜひやっていただきたい、そのように思うわけです。このあたり、農水省としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○島村国務大臣 お答えいたします。 農協は、昭和二十二年に発足以来、営農指導事業、農産物の販売事業、信用事業等の各種事業の展開を通じて、農業生産力の増大と農家の経済的地位の向上に大きく貢献をしてきた、こう私は認識いたしております。 しかしながら、近年、農業をめぐる情勢は大きく変革をしつつあり、他業態との競争の激化とか金融自由化の進展、また一方では農家戸数の減少、兼業化の進展、そしてまた農業後継者の不足、高齢化等々、大変に大きな変化を来しているところであります。 こうした農業、農村をめぐる構造的な変化に対応すべく、系統組織としても事業組織体制の整備に取り組んでいるところでありますが、今御指摘がありましたように、最近、ともすれば、自分たちの基盤をしっかりしなければならない、自立のための必要に迫られてのことでもありましょうが、どうしても信用事業とか共済事業とかそちらに重点が置かれているのではないか、こんな見方もされるところであります。 今後の農協のあり方につきましては、まさに現在、食料・農業・農村基本問題調査会においていろいろな角度から御検討いただいているところでありまして、我々は、これらの議論を踏まえて、今後も農協の指導監督に当たっていきたい、こんなふうに考えております。
○一川委員 私は、これからの新しい時代に向けて農業政策を力強く展開するためにも、現場に対していろいろな面でかかわりの深い農協という組織が今後どういうふうに再生されていくかということが、これからの農政にとっても大変重要な意味を持っているというふうに思います。農業に非常に強い意欲を持っている人に限って若干農協離れをしている傾向も中にはございます。そういう面では非常に心配される傾向もございますので、そういう面にも十分注意をしていただいた農政の指導をお願いを申し上げたい、そのように思っております。 それから、私は自分自身が中山間地域的なところに生活しておるわけですけれども、そういうところで、条件が非常に不利な地域におきましては、最近、耕作放棄地等がふえてきているというのは、これは現実、いろいろなデータにも反映されてきておるわけですね。 こういった耕作放棄地といったものをだれかがしっかりと管理するということが出てくれば、当然こういうことも解消していく可能性があるわけですけれども、そういった条件が非常に厳しい地域での農業経営というのは、今、現実問題は非常に難しいわけでございます。そうかといって、後継者も育たないという中にあって、私は、やはり環境保全なり国土保全という観点からも、また、そういった地域は地域なりの特性を生かした農業というものも、当然、創意工夫を凝らせば確立する可能性もあるというふうに思います。 そういう中に、農協という組織が耕作放棄地に対して何かかかわっていって、農協という一つの組織の中で、そういう耕作放棄地というものをしっかりと農業的にうまく守っていくというやり方があってしかるべきではないかというふうに思うわけです。今、制度的にはそれに近いような制度は若干用意されているというふうには聞いておりますけれども、まだ的確にそれに対応できるような制度がないような気もいたしますので、そのあたりに対する基本的な考え方をお聞かせ願いたい、そのように思います。
○熊澤政府委員 お答えを申し上げます。 確かに、中山間地で耕作放棄地が増大しているということを、皆さん、私どもも大変心配しているわけでございます。 そういう中で、農協の果たす役割というのが求められているわけでありますが、現在の状況の中では、御承知と思いますが、例えば農協が農地保有合理化事業によって担い手への農地の集積をする、あるいはその一形態として農作業の受委託を行う、あるいは農協が出資をいたしまして農業生産法人を設立する。そういった手法によりまして農地の活用を図る、特に耕作放棄地の活用を図る、そういう事例も地域によっては出てきているという状況にございますが、まだまだ一般的なものとして普遍的になっている状況にはない。 他方で、これもまた御承知のとおり、中山間地における耕作放棄地というのは条件が悪いということもございますので、それらのすべてについて果たして農協が全面的に管理をし得るかどうかという難しさもあるというふうに考えております。 ただ、農協系統と、県あるいは市町村段階におきます農業委員会あるいは農業会議所との間で最近では連携が図られております。そうした連係プレーによりまして、今後とも、そうした耕作放棄地を含めました農業問題についての検討、事業の進展が図られていくということを私どもは期待しておりますし、さらにそうした動きに対して支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○一川委員 今ほど話題になっております、俗に言う中山間地域におけるこういった耕作放棄地というのは、平地部並みの農業を展開しようとすればなかなか難しい地域でもございます。しかし、そこの自然条件等々を生かしながら付加価値の高い農業を展開するということにしっかりと取り組む気持ちを持ち、それなりの資金力が当初用意できれば、私はまだまだそういった地域でも新しい農業が展開できる可能性はあるというふうに思います。 そういう中にあって、この耕作放棄地が増加しないように、また、今現在放棄されているところが有効に利用されるように、しっかりとそれをカバーできるような組織体として、私はやはりその地域になじんでいる農協という組織が最もふさわしいのではないかなという感じもいたしますので、そのあたりの制度的な完備についてよろしく御検討をお願い申し上げたい、そのように思っております。 それと、中山間地域のことで私はかねてからちょっと思っているわけですけれども、要するに、中山間地域に森林組合という組織もございます。森林組合の組合員とそういった地域の農協の組合員というのはほぼ同じメンバーでございまして、農林業、農業もやれば片手間で林業もやっておられるという方も非常に多いわけです。今日、農業も林業も大変重要な転換期に差しかかっているわけですが、こういう地域の方々の組織体として、この農協という組織、この森林組合という組織を合体して、お互いにうまくそれを機能させていくということが、ある面では組織のコストを下げるなり、組合員が出入りした場合、いろいろな用件を足す場合でもそこ一カ所ですべてが解決するということにも当然なり得るわけでして、そういう面では非常に利用しやすいような体制にも私はなるのではないかなということを思うわけです。 先はどのように、農協の合併すらうまくいかない、そういう現状にありながら、では農協と森林組合の合併みたいなものがうまくいくかといったときに、口で言うほど簡単なものじゃないと思います。しかし、今後の課題として、中山間地域をしっかりと振興させるという面では、これからのそういう農業に関係する団体のリーダーを育成するためにも、農協と森林組合の統合ということも含めたそういう発想でいろいろ御検討されるということは、私は非常に意義のあることだというふうに思っているわけですけれども、今現在、そういうことに対しての農林水産省としての御見解をお聞かせ願いたい、そのように思っております。 〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕
○熊澤政府委員 これは先生もう重々御承知の上での御指摘でございます。確かに、中山間地域におきましては、農業協同組合と森林組合の組合員がかなりの割合で重複しているという実態は、これはもう御指摘のとおりでございます。 そういう意味でいえば、両組合の施設あるいは人材の活用、連携の強化というのは、まさに両組合にとっての効率的な運営の上で大変重要でありますので、当面はそうした道を探るのではないかなというふうに考えられますが、先生御指摘のような森林組合と農業協同組合の合併につきましては、多々検討すべき問題もございます。今後の検討課題とさせていただきたいというふうに考えております。
○一川委員 以上で私の質問を終わらせていただきますけれども、今日、金融問題に端を発しまして、農協のあり方等々いろいろなことが今議論になってまいりました。そういう面では、先ほども言いましたように、農協の本来の目的、役割といいますか、本当にその地域の農業の振興、農村の活性化のためにこれからしっかりとした役割を果たしてもらえるような、そういうところをもう一回点検をし直して、ぜひ農政の中で、しっかりとした位置づけでその施策を強力に進めていただきたいということをお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○北村委員長 以上で一川保夫君の質疑は終わりました。 次に、中林よし子さん。
○中林委員 まず、大臣にお伺いしますけれども、農業協同組合法によりますと、「農民の協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする。」これが第一条の「目的」にあります。現在もこれは生きているのではないか、そうあるべきだというふうに思うわけですけれども、大臣は日本の農業にとっての農協の役割をどのようにお考えでしょうか。
○島村国務大臣 お答えいたします。 御指摘のとおり、まさに農業者のための相互扶助組織としての農協の存在というのは私は大変大きなものがあると思いますし、特に、昭和二十二年発足以来、まさに営農指導事業あるいは農産物の販売事業、信用事業等々、各般にわたって農村にあって大変な貢献を果たしてきた、私はそう受けとめております。 近年、他業態との競争の激化とか、あるいは金融システム改革の進展等、農協をめぐる情勢は目まぐるしく変化をいたしているところでありますが、あくまで農協は、経営体質の強化を図りながら、今後とも農業、農村の活性化等のために不可欠の存在として我々は支援もし、また指導もしていきたい、こう考えております。
○中林委員 今、昭和二十二年からというお話があったわけですけれども、実際、ではこの第一条に書いてあるような目的に沿った達成感があるかというと、むしろ逆になっているのではないかというふうに思うのですね。それは、農業生産力の増進ということがあるのですけれども、これはむしろ低下してきているし、それから農民の経済的社会的地位向上になっていないというのが現状だというふうに思うのですね。 今の農業は、先ほどから大臣も盛んにおっしゃっているわけですけれども、農民や農家戸数の減少だとか、それから高齢化だとか生産の落ち込みだとか大変厳しい状況にある。 ただ、その厳しい状況はどこから来ているのかということに対して、大臣は先ほど、ほかの委員への回答で、自然条件の影響を受けて厳しい農業情勢にある、政策的な展開じゃなくて、むしろ仕方がなかったんだと聞こえるようなことを御回答になっていたわけです。私もこの委員会で大臣とこの点では自給率の問題などで論議をさせていただいたわけですけれども、この厳しい現状をつくってきたのは、言うまでもなく、農産物の輸入自由化だとか減反だとか、それから米価の下落だとか乳価を抑えてきたとか、それから農地の企業への流動促進だとか、そういうことが今の農業の全体の厳しい状況をつくり出してきた、まさに政治の結果だ、このように思うわけです。 きょうはそこを論議するわけではないので本来の農協論に戻して考えてみても、農協の本来の目的に向かおうとすれば、いろいろな事業をやっているのだとおっしゃるのだけれども現実は信用事業に偏りがある、そうじゃなくて、今、農家や組合員が求めている農業発展、とりわけ営農指導などに力を注ぐべきではないか、それがこの農協の法律に則した本来の目的にかなうものではないかというふうに思いますけれども、もう一度大臣、どのようにお考えでしょうか。
○島村国務大臣 私が気象条件等の自然の影響を受けたと申し上げましたのは、例えば真夏日が十九日しかなくて、通常、東京の場合でいうと四十五日から九日と言われますが、そのときに十九日しかない。まさに、ほとんど雨と寒さに震えている夏であったような経験が、我々、平成五年にございます。 こんなようなときには、当然これが農産物にも影響が出まして、作況七四を記録して、急速二百六十万トンの緊急輸入を行うなど、米の供給等に大変な支障を来したわけでありますが、こういう場合に、農家がいかに一生懸命基礎づくりをし、準備の段階から稲作に取り組んでも、結果において自然条件という不可抗力、予測できない条件のために大変な思いをした、こういう意味合いをちょっととらえて申し上げたわけでありまして、私は別にそれ以外の意味合いは全く申しておるところじゃございません。 また、同時に、今御指摘がありましたように、農産物の自由化につきましても、これまた規模あるいは作業効率の全く異なる農業生産大国との比較の中で自由化をすれば、おのずから、木材ではありませんが、競争するための力という意味では大変劣るものがあるわけですから、影響があることはもう当然でございますが、それはそれとして、貿易立国を国是とする我が国からすれば、国際社会からそういうものを部分的に拒否することによって締め出されることのマイナス面の方がさらに大きいという面も指摘できるわけでありますから、これらは総合的に、まさに国際化の波として受けとめて、その中で国内的に対応するという面があるわけであります。 農協は、私はいろいろな意味で大変な貢献をしてきた。また、何といいましょうか、連鎖化、協業化を図る中で、ある意味では物品の購入その他についても大変なプラス面を生んだとは思うのですが、戦後、いわば高度成長の波に乗って日本人の生活水準そのものがいろいろ向上する過程で、農村でも、極めて限られた時間に自分のところの仕事を済ませて自分自身の時間をつくるとか、あるいは他の仕事に力を入れるとか、そういうふうな傾向も出てきて、本当ならば、三軒なら三軒が一つの農機具を使えばいいときにみんながそれぞれ持っている、また、その支払いのために大変にきゅうきゅうとしているという面もありました。これらをある意味では農協の側から誘ったという批判も私はいろいろな印刷物やテレビ等でも間々見たところでありまして、そういうような行き過ぎた面もなきにしもあらずであった。 それらを総合的に考えれば、これだけ厳しい状況に至ったときに、将来の農業のあり方はいかにあるべきか、農協はどのような立場に立ち、どのような指導力を発揮していくべきか、改めて問われているときだ、こんなふうに考えております。
○中林委員 信用事業に偏りがちな今のやり方をもっと営農計画などに振り向けるべきではないかということに対して、総合的に勘案して将来を見通してというような非常に抽象的なお答えしか聞けなかったわけですけれども、それならば具体的にお伺いをしていきたいというふうに思います。 今、政府あるいは県なども、行政が一番力を入れていることといえば、農協の広域合併だというふうに思うわけです。JAの改革ということで三カ年計画も出てきているわけですけれども、やはりその柱になっているのは信用事業の強化と広域合併ということになっていると思うのですけれども、広域合併を進めるその目的はどこにあるのでしょうか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 農協の経営を取り巻く環境は、これは信用事業のみならず、経済事業においても他業態との競争激化があるということで、そこは必ずしも信用事業だけではなくて、農協を取り巻く環境の厳しさというのは出てきているというふうに考えますが、他方で、同時に、農協が地域経済における役割を果たすということも求められているということかと思います。 そういう中でいえば、そういう厳しい環境の中で農協が信用事業、経済事業を含む総合的な事業体としての力を発揮していく、そのためにはやはり事業、組織の効率化が重要である、そういう認識が背景にあるわけでございまして、その手法の一つとして広域合併が進められているということでございます。 こうした広域合併によりまして事業能力が拡大をする、人員の削減によりまして事務が効率化する、あるいは自己資本が充実されてリスクに対する対応力が増す、さらには、広域化した場合には人材の活用あるいは人材能力の向上、そういったものが見込まれるということでございまして、そういったメリットを獲得するために広域合併を推進しているというところでございます。
○中林委員 私は、合併そのものを否定するものではありません。ただ、余りにも広域的な合併が行政主導、それから、政府も今回は力を入れていくという法改正までありました。だから、そういう意味では、この広域合併が、本来、組合員だとか農家の人、地域の人たちにとっていい結果を生まなければならないというふうに思うのですが、今までずっと合併を推進してきて、では組合員などが合併に対してどういう思いを寄せているかということでのアンケートの調査結果も発表になっております。 ここに、一九九七年七月に出されました、農協共済総合研究所の出している「JAの合併と共済事業に関する意識調査報告書」というのがあるわけですけれども、これでは、否定的イメージを持っている人が、合併の方がいいという好意的なイメージを持っている人の数を上回った回答の結果が出ております。中でも、信頼性だとか将来性の問題では否定的評価を下す人の方がむしろ年々ふえてきているということが、実はこの合併促進というものはいい方向には行っていないという一つのあかしたというふうに思うのですね。 それで、その中で、実はJA訪問回数が減った理由、だんだん行かなくなって組合員と農協との関係が希薄になってきている、その理由づけにこういうことが一番大きい理由となっております。顔見知りがいなくなったから、このように回答している人が五三・四%。それから、職員の数が減って忙しそうだから、こういう方が三六・一%。それから、対応が以前に比べて悪くなったから、これが二九・六%。家の近くの店舗がなくなったから、二七・六%。こういうようになっているわけですね。 だから、効率性を重んじ、あるいは資本力を高めるということに戦々恐々として、本来組合員が求めていることからこの広域合併そのものは遠くなっているのではないかというふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 確かに、そのアンケートでも、農協の広域合併について余り賛成でない立場の回答が多かったということは承知をいたしておりますが、これは一つには、やはり広域合併のメリットについて、私ども含めまして、系統組織が組合員の方々に浸透をなかなかできなかったという事情もございます。これは現在でも広域合併を進める場合の一つの大きなマイナス点でございまして、広域合併をするに当たっては、メリットが組合員に還元されないではないかという批判的な意見が多々出ることは、合併の場合の手続において私どもよく見受ける現象でございます。 しかしながら、昨今の農協を取り巻く環境の厳しさ、そうした中では、やはり系統組織全体として組織のスリム化、効率化を図っていかなければ、農協経営全体としてはこの厳しい世の中で生き残っていけない。そういう状況変化、環境の厳しさに対して、系統組織全体として組織二段、事業のスリム化、組織の効率化に取り組んでいるところでございますので、私ども、そうしたメリットを十分生かせるように、系統組織ともども推進をしてまいらなければならないというふうに考えているところでございます。
○中林委員 一昨年のここの委員会で、我が党の春名議員が同じような質問をして、組合員との希薄化は防いでいくというふうに経済局長は御答弁されているわけですね。それは一向に改善されなくて、むしろこの希薄化というのは広がってきているのではないかというふうに思うのです。だから、この点は、私どもは広域合併の弊害の一つだというふうに思います。 信用事業を初めとして、もっともっと経営がよくなっていく方向に、そっちの方の目的があるんだ、こういうふうにも聞こえるような今の御答弁だったと思うのですけれども、経営をよくするために信用事業あるいは共済事業を発展させていかなければならないというならば、本来、農協の信用事業のあり方そのものも問われなければならないというふうに思うのですね。 それで、これは「一九九三年私たちとJA」ということで、信用事業の基本的性格は、一般の金融機関から敬遠されがちな組合員が、お互いに貯金し合い、貸し付け合う相互金融によって、営農と生活の改善、向上を図ろうとするのがJAの信用事業である、これならばいいわけなんです。ところが、そこから逸脱している状況が今余りにも目立ってきているのではないかというふうに思うのですね。 ビッグバンに対応する、こういうことで、信用事業を拡大していくということで、一体、じゃどういうことが起きているのかということをちょっと質問したいというふうに思うのですね。 特に、自己資本比率を高めなければならないということが声高に叫ばれて、そこにいろいろな政策が集中していると思うのですが、一つは、これは北海道の酪農家の問題です。昨年暮れに四十一歳の酪農家の方が自殺をされました。物すごく痛ましいことです。この原因が、組合勘定の返済を迫られたというのですね。保証人を連れてこいというようなことで、暮れになって、この四十一歳の酪農家はもう一生懸命走り回った、だけれどもできなかったということで、ついに自殺に追い込まれるというような痛ましいことなんですよ。本来、農協はいざというときの農協だというふうに思っていた。しかも、この方は大変まじめで専業の農家なんです。これを貸し渋りと言えるのかどうかというのは一つ問題だと思いますけれども、実はこういう形で、自己資本比率を高めるということを余りにも強調するために、もっとほかの救済措置があったということを考えないでそこに追い込んだ一つの非常に痛ましい事例だというふうに私は思います。 それからさらに、これはもう局長や大臣も新聞で御存じだというふうに思うのですけれども、四月になってから離農勧告というのが新聞紙上に躍りました。これは北海道新聞の四月三日付なんですけれども、三十二戸に離農勧告、急にやめろとはと、対象者は大変困惑しているという声が紹介をされております。これによりますと、空知管内の栗沢農協、七百十八戸の組織だそうですけれども、そのうち三十二戸に離農勧告がされた。この中には、これから二十年は働く気力があった、既にことし使う肥料も買ったのに急にやめろとはということで、途方に暮れている。これは水田農家の声として紹介をされております。今から植えつけなどをやる、その直前になってこういう事態が起きるなどということは、私は本来あってはならないだろうというふうに思うのですね。 それから、職員に対して実は犠牲が押しつけられている事例も出てきております。これは、自己資本比率を高めるために農協の職員に出資を強要する。大体平均的に五万円から二十万円だということで出資を強要して、農協で働いているわけですから出資しないわけにはいかないという状況に追い込まれる。こういうしわ寄せも出てきております。 これが本当に農協の信用事業の姿なんだろうか。私はこういう犠牲を強いてまで自己資本比率を高めることに走る弊害が出てきているのではないかというふうに思うのですけれども、この点についてはどうでしょうか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 大変幅広い御質問でございますので、すべて網羅して御答弁できるかどうかよくわかりませんが、最初にお尋ねがございました農協と組合員の関係の希薄化という点でございます。 これは、先ほど申し上げましたのは、農協、特に信用事業を取り巻く環境の厳しさ、そういう中で、農協の事業、特に信用事業が生き残っていくためにはどうしたらいいか、そういう中から事業の効率化、自己資本の強化、経営内容の改善、そういうことに取り組んでいるということを申し上げたわけでございますが、他方で、先ほど来申し上げておりますように、農協自体の本来の使命であります営農指導の弱化、そうした点については私ども懸念もしておりますし、これは農協系統自身が重要な課題の一つとして取り組んでいるところでございます。 それは、一つには、先ほども申し上げましたけれども、営農センターの設置とか、あるいは支所機能の強化とか、支所においても相談員を置くとか、そうした組合員のニーズを受ける、相談を受ける、それをフィードバックしていく、そういうシステムを構築していこう、そういう点にも力を注いでいこうということで、これはJAの全国段階でも決議をして取り組んでいるところでございます。 私ども、そういう農協系統の取り組みに対しましても積極的な指導、支援はしてまいりたいというふうに考えております。 二番目にお尋ねの、自己資本率を高めることについて幾つかの事例をお示しになりました。 酪農家が自殺をされたという件について、私ども具体的な事例について承知をしているわけではございませんが、そのような事態が生じているとすれば大変遺憾なことだというふうに考えるわけでございます。 同時に、もう一つの事例で、新聞報道として、北海道の例として取り上げられた離農勧告については、私ども新聞報道は承知をいたしておりますが、この件について私どもが理解しているところでは、急にそのような話が出たということではなくて、かなり長い年月をかけて農協と農家の方々での相談があったというふうに聞いております。通常の場合でございますと、各農家が経営に非常に困ったという場合に、現在いろいろな資金がございます。負債の借りかえ資金もございます。そういう場合には、農協と地域の改良普及センター、さらには市町村、そうした方々がグループ、推進会議をつくっておりまして、経営困難に立ち至った農家の再建について、まず皆さんで相談をして、一体どういう改善計画ができるのか。これは場合によっては事業を縮小する場合もございます。あるいはどうしても立ち行かなくなった場合には、おやめいただくという場合もあるというふうに承知をいたしております。 そういうことで、通常でありますと、地域の関係の指導する立場にある方々がかなり綿密に相談に乗って、繰り返し相談を受けた上で結論を出す、あるいは資金の借りかえをする、そういう事例が多いのではないか。もちろん、私どもが見聞きする中で、そうでないような事例もございますが、かなりの例、具体的に聞いた場合には、かなりのプロセスがあるというのが通常ではないかというふうに考えております。 それから、最後にお尋ねになりました、職域にしわ寄せが来るという事例でございますけれども、これは多分今お挙げになった例というのは、経営破綻になった農協についての事例ではないかというふうに推測をされます。これは、経営破綻になった場合には、職員の方は給与の削減というのがあるかもしれませんが、もともと組合が経営破綻になった場合には、組合員自体も自助努力、すなわち出資したお金の減資、つまり価値を減ずるわけですが、減資をするのが普通でございます。また、役員についても給与のカットというのが普通でございますし、先ほど来のお話にもございますように経営責任が生じた場合には私財を提供するというような場合もございます。 それは必ずしも自己資本率の向上ということではなくて、破綻した組合の経営を改善するための措置として、単に一つの要素ではなくて、かなり大きな全体の要素を幾つか組み合わせて、破綻した農協の改善を行っていく。その際に、そうした自助努力を踏まえた上で、県内一円の支援を仰ぐ。さらには、どうしても県内として立ち行かない場合には、貯金保険機構、全国段階の支援を受ける。そういう中で系統組織全体として経営の健全化を図っているというのが現在の推進の状況ではないかというふうに考えられるところでございます。
○中林委員 局長、余りにも現状を御存じないというふうに思うのですね。 それは、各支所に営農指導の職員を置けばいいではないか、こういうお話がありましたが、現実は、支店長が一人、大体男の人がいて、あとは事務員さんが一人とか二人、これが主な支店の状況ですよ。支店長会議というのはしょっちゅうあるわけですから、行ったって、いないのですよ。だから、農家の人たちがなかなか足を運ばなくなる、組合員が足を運ばなくなる。支店というところにおいてそうなんですから。これは、いろいろな論文だとか、理論的にはそうですけれども、現状はそうなっていない。もう職員のリストラがここまで進んでいて、そういう余裕は各支店にはないということをぜひ申し上げておきたいというふうに思います。 さらに、離農勧告するに至るにはかなりの年数で論議した結果だろう、このようにおっしゃるわけですが、これは決してかなりの年数ではないというふうに思うのですね。 それはなぜかというと、自己資本比率を高める方向性というのは、今回の貯金保険法の改正、ビッグバン対応というようなことで、一昨年の十一月にもう通達が出されて、自己資本比率を高めなさい、そうでないものは改善計画や早期是正措置をとりなさい、こういう指導が実際やられている中で起きている問題だということを指摘したいというふうに思うのですね。 それは、平成八年十一月十八日に局長通達で、自己資本比率が三・五%以下の農協それから経営管理に重大な問題がある農協をいわば不良農協として選定して、経営改善計画を提出させて指導するよう各都道府県に通達が出されております。 北海道の例なんですけれども、北海道では二百三十五農協中五十五農協をリストアップした。ここで経営管理面に重大な問題がある農協とは、不良債権農家をたくさん抱えている農協だと。この不良債権農家の定義なんですけれども、十アール当たり三十万円以上の負債を持っている農家だという定義がされました。 そこで、どういう事態が起きているかどいいますと、まじめに農業をやろうとする農家が不良債権農家としてレッテルを張られる。しかも、十アール当たり三十万円という基準も、米価の下落によって水田価格が下がり、担保能力が下がった結果であります。飛び抜けて多額の借金をしているわけではありません。いわばこういう農家というのは、国の農政にまじめに従った結果なんです。にもかかわらず、住専やノンバンクヘの不良債権によって信連が弱体化し、そのツケを農協と組合員に回したのではたまったものではない、こういう声も聞かれます。 結局、政府の言うとおりに農業をやると、これが認定農家だあるいは優良農家だ、こういうことになるわけですけれども、そうなろうとすればするほど実は負債がふえていく。今度は、金融の方から不良だ、こういうふうに言われて農業ができなくなる。こんな矛盾した話はないのじゃないでしょうか。 結局、この通達によって自己資本比率三・五%という基準が一応設けられて、そこにだけ目が向いた結果として、非常にまじめに、よくやろうとしている農家を不良債権農家だと。こういうことをやったらいかぬのじゃないか、本来の農政のあり方からえらくかけ離れてしまっているのではないかというふうに思うわけですけれども、大臣、いかがですか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 今回の早期是正措置の導入の基準は、あくまでも四%、二%、自己資本率マイナス、そういう三段階に応じて改善を行うあるいは改善命令を発するというのが基本でございます。 その以前の準備段階において、それぞれの県において、経営内容の改善に対応するための準備として、県内の農協の経営を検査と申しますか、検証するという作業の過程でそのようなプロセスを経たということはございますが、他方で、知事さんあるいは地方公共団体の行政部局が農協経営の内容を分析するという場合に、農協の経営と申しますのは、個々の農家の不良債権化した部分と、それ以外の経済事業あるいは信用事業において経営が悪化した部分、いろいろあるわけでございます。そこは行政当局において経営分析をしたわけでございます。 他方で、農家が長期の固定化債権を有しているという場合に、その処理については、債務の借りかえ等もございまして、そこは、先ほど申し上げましたように、市町村なり改良普及員なり営農指導員なり、皆さん方が集まって、いろいろ相談をし、指導をし、できることなら経営を継続させるということを前提として話をするのが通常でございますが、なおそういうプロセスを経てやむを得ず離農せざるを得ないという場合も出てくるということは、事実としてあり得るというふうに考えております。
○中林委員 例えば、こういう農協の事例があるわけです。 北海道のある農協なんですけれども、正組合員約五百戸、そのうち六十戸以上が不良債権農家扱い、一三%に当たります。この中身を見ますと、負債額のりち純然たる赤字、営農貸し越し、プロパー資金ですが、これは負債総額からの割合でいうと一八%にすぎない。あとは農地取得資金だとか制度資金だとか土地改良負担金で、これが八二%を占めている。こういう農家まで不良債権農家だと。つまり、十アール当たり三十万円の負債を抱えていれば全部横並びで不良債権農家だ、こういう扱いをしているわけです。 今、局長がおっしゃったように、本当に営農の意欲もあり、そして、今後農協との間でよくよく話し合って、こういうのをある線で切り捨てるのじゃなくて、不良債権農家扱いにしないで、十分対応していっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○熊澤政府委員 私どもが一定の具体的な数字の基準を決めて、不良債権農家といった基準を設定しているということはございません。 農家の経営内容につきましては、現実には市町村段階だと思われますけれども、営農指導員、市町村の担当の方あるいは農協の相談員、そういう方々は個々の農家の経営をよく御存じであります。そういう中で、仮に債権の額が多くても、農業を担っている方が意欲があって、経営に見込みがある、そういう場合には、負債の借りかえも行われておりますし、営農の継続を前提に協議、相談が行われているというふうに私どもは承知をいたしております。
○中林委員 ただ、自己資本比率を高めるということで、北海道なども各農協に対して、国の基準は四%ですけれども、三・五%という数字を示しながらやっているわけですよ。だから、そこだけが自己目的になっていくと、たくさんの負債を抱えている農家を何とかしなければいけないということで、ゆがむ方向がこういう大量の離農勧告などという形であらわれているということは、しっかり見ておく必要があるのではないかというふうに思います。 そこで、実は負債が広がるその要因として、減反だとかそれから米の暴落で農業所得が上がらないということが大きな原因にあるというふうに思うのですね。特に、減反の増大に加えて、米価の下落あるいは乳価の下落、こういうことが農家の借金を大きくしているというふうに思うのです。 ことし、実はそれにさらに冷や水を浴びせるようなニュースが伝わっております。これは、米業界紙であります商系アドバイスによりますと、農水省と自主流通米センターの運営委員会が、今年度、米の入札の見直しに当たって値幅制限の廃止を打ち出し、五月中旬にも結論を出す、こういう報道になっております。 昨年、農水省は、従来七%だった値幅制限を一三%に拡大し、自主流通米価格が軒並み大変下落をいたしました。だから、値幅制限を広げるということが米の暴落につながる。自主流通米を買いただきの市場にほうり込んでいくようなことがあっては、ますます農家は大変になってくるというふうに思いますので、この値幅制限を廃止することはよもやないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。 今先生おっしゃられました自主流通米の価格でございますが、四月十七日の大阪の入札では平均二・七%上がっております。下がっているばかりではないことをまず申し上げたいと思います。 米の適正、円滑な流通を期するということになりますと、需給を的確に反映した価格形成が極めて重要であります。特に、昨年十一月二十日に決定をいたしました新たな米政策の中で、稲作経営安定対策というものが講じられることになったわけでございます。この稲作経営安定対策では、補てんの基準となる価格、それから当年産の価格、これについては原則として自主流通米価格形成センターの指標価格を用いるということになっております。指標価格が実際の価格、販売価格と乖離しているということになりますと、農業者が的確な補てんを受けられないということに相なるわけであります。 こういった新たな米政策を受けまして、自主流通米価格形成センターにおける指標価格が需給実勢を的確に反映して形成されることが従来にも増して重要だということは御理解いただけると思いますが、そういったことで、新たな米政策大綱におきましても、この価格形成センターのあり方について、透明、公正な入札の運営とか米の取引の場としての機能の拡充、その必要性が指摘されているわけであります。 そこで、値幅制限を含めました価格形成センターのあり方につきまして、現在、自主流通米取引に関する検討会とか自主流通米価格形成センター運営委員会で幅広い観点から検討が行われているというのが事実でございます。 今申し上げましたように、需給を的確に反映した価格形成が行われることが重要でありますので、その中で値幅制限のあり方というものは極めて重要なテーマでございます。関係者の意見も、それからただいま申し上げました検討結果も踏まえまして、適切な結論を得たいということで今考えているところであります。
○中林委員 昨年の米の下落の最大の要因は自主流通米の下落にある。上がった分もあるなどというようなことで、長官、ごまかしてはいけないと思いますよ。それで、今、農家の経営というのは本当に大変な状況になっていて、それにさらに冷や水を浴びせるような、この値幅制限を取っ払うなどというようなことがあったら絶対相ならぬということを、私は強く申し上げておきたいというふうに思います。 そこで、多額の不良債権を出して、今回五十六農協が債務超過になっているわけですけれども、この債務超過になった原因については、資金の運用が本来農業じゃないところに運用されている原因が大きいというのは、いろいろな新聞報道、実際の状況の中であるわけですけれども、本来農協の信用事業は、そういうちょっとわけのわからないような不動産会社などに資金運用してみたり、あるいは先物取引をしてみたり、そういう運用に資するものがあってはならないというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○熊澤政府委員 私ども、今回の早期是正措置の導入に伴いまして、都道府県から、五十六の農協が経営改善計画を提出したという報告を受けているわけでございます。 その内容でございますが、主たる内容として、これは一つの要因で経営不振に陥ったという、必ずしもそうではございませんが、大きな要因としては、農畜産業の貸し出しが不良債権化したもの、それから員外への不正貸し出しによるもの、全般的な経営環境の悪化によるもの、この三つが大きな要因でございますが、そのほかとして、有価証券の運用の失敗、さらに経済事業の失敗、そういった事由によりまして経営が悪化した農協というのがございます。 そういう意味でいえば、現下の経営状況の中で、要因としては、不良債権あるいは員外への貸し付けのみ、まあ報道される事例としてはそういう場合が多いわけでありますけれども、必ずしもそういうものだけではないということだけ申し上げておきたいと思います。
○中林委員 ただし、大きな何百億という損失を与える原因は、大体、不動産などへの資金運用が、バブルがはじけて回収不能になって失敗するという例が後を絶たないわけです。だから、これは当然改めるべきだというふうに思います。 自己資本比率、体力を高めるために、そういうゆがみの一方で、さらには合併という問題が出ているわけですね。先ほどからほかの委員も、合併が即体力増強につながってはいないのじゃないかという話も出て、局長も一部お認めになっていたというふうに思うのですね。 ここで、ことしの三月に発行されました、平成八年度の農業協同組合経営分析調査報告書というのを農水省がお出しになっているのですが、それを見ましても、貯貸率なども、小規模の方が四五%で特大の農協が二五・五%ということで、小規模の方がまさっているし、その他いろいろな指数が、大体において小規模の方がまさっております。それから、職員の給料も小規模の方がいいということになっておりますし、自己資本比率も小規模の方が高いということでございます。だから、今回問題になっている農協の体力、自己資本比率を高めるということも、やはり本来の農協のあり方に返るべきだというふうに思うのです。 時間が来ましたので、最後に大臣にちょっとお伺いしておきたいというふうに思うのです。 貯金者保護といえば、預金保険制度と横並びにやるのだ、こういう発想なのですけれども、あの預金保険制度は、貸し渋り対策だとか、あるいは預金者保護ということで十七兆円の公的資金を投じる道を開きました。しかし、実際には、貸し渋りなどは改善されておりません。だから、こういうことは、結局大銀行に体力をつけただけではないかというふうに思えるわけです。今回のこの法の改正でも、機構には十分財源があるのだということを、余り数字的な根拠を示さないままにおっしゃるわけですけれども、だからこそ私どもは改正の必要はないのではないかというふうに思います。 では、なぜ改正されるのだろうかと考えたときに、ビッグバンに向けて大銀行と競争するための対策であって、ほかの中小金融機関と一緒に淘汰される危険が出てくるのではないかというふうに思うのです。農漁協がその道に踏み込んでしまえば、もうからない農漁業から離れて、農民、漁民には貸さない方がいいということになって、農民から離れれば何も農協でなくてもいいということになるわけです。ですから、こういう道に行くということはみずからの首を絞めることになりはしないか。 本来、農漁協の経営を安定させるということは、農漁業を振興させる、もうそういう道しかないというふうに思っているのですけれども、いかがでしょうか。
○島村国務大臣 お答えいたします。 正直申して、我々東京の都会に住んでおりまして、しかもこういう政界に身を置いておりますと、情報というのは嫌というほどはんらんし、あらゆる情報を得るチャンスに恵まれると同時に、時には迷惑な情報のために混乱させられることもあるわけでありますが、これが農村をずっと歩いてみますと、農協とのお互いの連携関係というのでしょうか信頼関係というのでしょうか、この結びつきは意外と根強いものがあるように私は思います。 一方で、いわば市中の大銀行が預金保険機構によってある種の保証がなされ、心配がないのだという安心感を背景に持ったときに、農協には何もそういうものがないということが、農家の方々が信頼を寄せる農協に対する信頼度、安心感、そういう面において果たしてどういうふうな心理的影響をもたらすのか。やはり仕組みの上では農協も同じように政府がきちんと後ろ盾になって、何かの際には保証するのですよ、こういう安心感を背景に持たせる方が、こういう非常に難しい、しかも二〇〇一年のビッグバンに向けての対応としてはむしろ正しいのではないか、私はそう判断いたしております。
○中林委員 時間が参りましたので、終わります。
○北村委員長 以上で中林よし子さんの質疑は終わりました。 次に、前島秀行君。
○前島委員 今回の貯金保険機構に政府保証をするという法改正でありますが、一千五百億円余あると言われている貯金保険機構の資金が枯渇をして足りなくなって新たな政府保証を必要とするという事態が万が一起こったら、農村にパニックが起こるということですから、これは大変なことですよね。万々一ないだろうということを想定しながらも、やはり今日の状況だからこういうスキームをつくる。ある意味では必要であることは間違いないだろうと思いますが、問題は、そういう事態が起こらぬように農協系統金融をどうするのかというところがより大切だろうと私は思うので、農協金融の実態をどう見ておるのか、あるいは今後どういう課題があるのかというところを中心にして、二、三お聞きしたいと思っています。 その前提で、では、農協系統金融、とりわけ信用事業が今日どういう状況にあるというふうに認識しているのか。そして、ビッグバンが予測され、金利自由化が進む中で、この信用事業というのは今後どういう展望、状況にあるのか。まず、その辺の基本的な認識みたいなものを、大臣、ちょっとお聞かせ願えますか。
○島村国務大臣 冒頭お話のありましたように、私は、農協といっても東京の農協しか、具体的にある程度詳しいと言えるものはございません。しかし、私は政務次官を十五年前にいたしまして、その当時から農協の関係者との部分的なおつき合いとか交流はあったわけでありまして、地方を回って、農協と農民との関係というのは私たちが想像する以上に深いものを私は実は感ずるわけです。 そして同時に、地域の結びつきの中で、いかに大銀行といえども、地方へ行くとおよそほとんどアクセスらしいものがない、非常に不便をかこつわけでありまして、自分たちの頼りとするあるいは長い間の信頼関係を築いてきた農協自身が何の保証もなくて、一方の大銀行にはあり、郵貯の側にもこれまた確かな保証があるということになると、やはり心理的に非常に好ましくないものがあるのではないか、まず一般論として私はそんなふうに感ずるところでございます。 さて、ビッグバンに向けまして、農協系統金融機関におきましても、他の金融機関との競争がますます激化し経営環境が厳しくなることはある意味で予想されるところでありまして、このような中で、農協系統金融機関は、組合員のための金融機関であること、あるいはまた地域金融機関であることという特色を生かして組合員と地域の貯金者の信頼関係を得るとともに、貸し付けによって農業及び地域経済社会の振興を図ることがこれからの健全な農業、農村を維持するためにはやはり不可欠である、私はこんなふうに考えております。 また、このような機能を十分に発揮していくために、農協系統において、二〇〇〇年に向けて農協の広域合併及び信連と農林中金の統合を進めるなどいたしまして、経営の効率化、健全化、いわば懐の深さといいましょうか、こういうものを確立していくことが必要なのだろう、これらを我々は基本的に考えておるところであります。 そこで、農林水産省といたしましても、農協系統のこのような取り組みを積極的に支援し、農協系統金融機関がその期待される役割を果たしつつ、我が国金融システムの一員としての責任を全うできるよう指導し、かつ、これからもその業を維持していけるように我々は頑張りたいと思っております。
○前島委員 経済局長に聞きますけれども、信用事業の流れを見ると、今までは農協全体のその他の事業を補てんする役割をしてきた。しかし、八五年をピークにして、九〇年を境にして純益が減少をしてきた、この流れは間違いない。特に貯貸率の低さだとか、それぞれの事業規模の弱さだとか、あるいは不良債権の存在等々を見ると、今日の厳しい金融状況の中で信用事業というのは相当厳しい状況にある。 そして、農業総合研究所という研究機関の調査アンケート、五百の農協に聞いたら、そのうちの五%の農協は、このビッグバンにも何とか耐えてやっていける、それは自信があると答えたのはわずか五%であって、一八%の農協は、これはもう無理だ、なかなかやっていけない、こういうふうに答え、大体七割ぐらいの農協が、ほかの共済事業だとか経済事業等と組み合わせる中で何とかしのぐしかないな、こんなふうな流れだというのですね。その共済事業というのも、確かに流れとしては上向きの状況にあるけれども、信用事業の落ち込みをカバーするだけの状況にはないことは間違いないわけですね。 こういう状況の中でビッグバンが進み、自由化が進み、他の金融機関との競争にさらされるという状況の中で、農協の信用事業というのはこのままいっても大丈夫なのか、相当の改善、改革をしないとこの状況には耐えられないぞ、生き延びられないぞ。その辺の基本的な認識は、経済局長はどう思っていますか。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 まさに御指摘のとおり、現下の金融を取り巻く状況の変化が厳しさを増していること、さらには、今後の自由化、ビッグバンへ向けての進展、そういう中でいえば、農林中金、信連、農協というこの三段階の金融系統組織のあり方、対処の仕方というのは大変厳しいというのは先生も御認識のとおりでございます。 そこで、現在、これは私どももそういう取り組みを支援しているわけでございますけれども、系統組織の取り組みとしては、やはり組織の効率化がまず基本的に重要だ。それはとりもなおさず、裏腹に経営体質の強化ということを前提としているわけでありますが、その際に、経営体質の強化、事業効率を上げることというのは、農協段階と信連それから農林中金の段階ではやや対応を異にするというふうに考えられます。 と申しますのは、先ほど来申し上げておりますけれども、単協の場合には、地域の農協として、基本的にはまず組合員に対する対応、さらには地域住民に対するサービスの提供、そういった点がいわば基本的な事業でございますので、そうした点を生かして金融機関として地域に十分な信用事業としてのサービスが提供できる、そこをまず探求していくべきであろうというふうに考えられます。その際、地域における信用事業については制限もあることでありますので、そこは、資金の運用直でいえば、他の員外利用の貸し付けと信連への預け入れ、これをバランスをとって、いわばリスクの分散でございますが、バランスをとって経営をしていただきたい。 その上で、信連と中金の段階になりますと、これは基本的には組織二段ということを目指して現在進められているところでございます。その際に、選択の手法としては、信連と中金が合併をする際に、信連が県の支部になる場合、それから一方で、県の信連あるいはほかの事業部門も含めまして農協が一つになる場合、そういう二つのケースが考えられます。あるいは、もう一つ変形もございます。そういう中では、それぞれの県においてどのような形態を選ぶのが県の金融事情、今後の金融体制の推進にとってよりよいかという選択の上で十分判断をし、選択をしていただく。 そういう方向で、今後、事業と組織の効率化、さらに経営体質の強化、そういったことが図られていく必要があるというふうに考えております。
○前島委員 そうすると、組織二段という目標がありますね。とりわけ、その中での信連の位置づけといいましょうか、これは基本的に今、一つの単協、県段階ですね、信連、それから中金というその中において、それぞれの地域地域は、ある意味では信連が残ったり、あるいは信連と農協が合併をして、信連が中心になって支店的な役割を単位農協がするという事態が起こるとか、地域、実情に応じた二段の仕組みをしたらいいじゃないかという考え方なんですか。 特に、私は、信連の取り扱いといいましょうか位置づけというのが、この組織問題といいましょうか統合問題の大きな、これからの信用事業というところを見たときに大きな焦点なのかな。ある意味では、住専の経験なんかから見ると、信連の課題というのが片方でもいっぱいあるし、三つの段階を見ると、やはり信連の貯貸率の低さというのがあることも間違いないわけなんで、信連の取り扱い、信連の位置づけというのは、それぞれの地域地域でそこは任す、実情に合わすよ、こういう基本認識でいいわけですか。
○熊澤政府委員 基本的にはおっしゃるとおりでございます。 系統組織全体としては、基本的な最後の姿として、目指す姿として、組織二段ということを目標として掲げていることは事実でございますけれども、ただ、その組織二段という場合に、農林中金と県の信連が統合する場合に、その県の信連が農林中金の支部あるいは支店となってその県内の信用事業を担当する場合が一つ。さらに、他方で、県一円の単協ができた場合には、そこと農林中金との間での関係になるという場合がございます。 そういう意味でいえは、各県の事情に応じて選択をする、ただ、方向としては事業と組織の効率化を目指して組織二段の方向で検討しプロセスを進めていく、その際に、どちらかの道を選択するということは県の状況に応じて選択をしていただくということになろうかと思います。
○前島委員 組織二段の問題、イメージとしては大体わかりました。 じゃ、具体的な個別の農協の今後の方向をどう定めていくかということなんですが、信用事業、経済活動等々を見ると、今、単位農協の中で融資の比率の多いのは、やはり専業農家に対する融資の比率というのはどうしても多い。同時に、片方で、負債の固定化というのは専業農家に対する融資の部分が非常に多いという大きな傾向、流れであるということはよく言われていますね。 同時にまた、信用事業の活性化といいましょうか、それを見ますと、外に向かって地域の金融機関として発展をしていくというところに大きな活路といいましょうか、方向性を片方に見出していくという課題がある。片や、今いろいろ皆さんから指摘された農協の本来の任務というところとぶつかり合うわけですね。 農協系統金融の進むべき方向として非常に今現場で悩んでいたり、片やビッグバンという状況の中で苦しい状況に追い込まれている。そういう状況の中で、じゃ、どっちの方向を目指していくのか。そのための制度改革は具体的にどうしたらいいのかというところが今問われているし、また、逆に指導機関としてここのところをどう指導していくかというところだろうと思いますね。 したがって、地域の金融機関としての農協あるいは信用事業ということを考えてみると、やはり外に向かっていく、准組合員を正組合員化して運営にも積極的に参加していくという地域金融機関的方向を目指す、こういう方向を行くのか。 それとも、やはり本来の農協の使命である営農、農民のための機関、組織という形で進んでいくとすると、正直、今の流れから見ると、負債部分を抱えた専業農家中心の金融機関ということになってくると、経営的にはちょっと先が見えないな、競争に勝てるだろうか。ましてや、率直に言って、農協の金融機関の基礎的なノウハウと言っちゃ語弊がありますけれども、運営力とかそんなことを考えると、いわゆる競争相手であろう地域の信組あるいは信用金庫、地銀との競争で果たして勝てるのかなという苦悩が今置かれた現実だろうと思いますね。 そういう状況の中で、じゃ、農協は、農協の信用事業というのはどっちに向かっていくのか。地域金融機関としてウエートを置いていこうとするのか。いやいや、本来の農民のための機関として、農民のための金融機関として進んでいくのか。これをある程度はっきりしませんと、中途半端なことをやっては勝てっこないという認識を僕は持っているわけでありますけれども、その辺の認識と、これからの方向性というところをどういうふうにとらえているか、聞かせてほしいと思います。
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。 大変難しい問題でございます。私どもとしては、やはり農協組織である以上、農家のために、そして地域の農業、農村の振興のために、信用事業、経済事業、営農事業を含めまして、総合事業体として農業、農村の活性化のために力を発揮するというのが基本であろうというふうに考えております。 他方で、現在のように、実態として混住化が進むという状況の中では、やはり半公共的な機関として農協が果たす役割というのは大きくなっておりますし、また外部からそういう役割を果たすことが求められている。それが、信用事業でいえば地域機関としての役割であり、あるいは先ほどお話もございました、高齢化社会に対応して農協が高齢化の福祉事業で果たすべき役割が増大してきている、農協としても地域機関としてそれにこたえていくべきである、そういった面が出ているというふうに考えられるわけでございます。 しかしながら、基本的には、組合員としての農家の扶助組織、自主的な組織という側面はやはり基本的な視点として据えざるを得ない。その上で、地域の機関、地域に貢献する機関としての役割を十分に取り入れて、地域住民の信頼を得て活動を展開していくべきであろうかというふうに考えます。 大変抽象的な答えでございますけれども、他方で、現実に信用事業の部分で、地域の方々、地域の企業に対する融資について言えば、実は、員外利用制限いっぱいに資金が使用されているわけではございませんので、そういう意味では、員外利用の面においても地域に対する貸し出し余力はまだあるということでございますので、農家の方々、農村の振興にあわせて、資金面でも地域社会への寄与というのはできる状況にあるというふうに考えております。
○前島委員 私は、思い切った対策といいましょうか、基本的な方向性を出してやっていかないと必ず壁にぶつかるような気がしてなりません。 例えば、役所の方からの、この保険機構が対応した五つの例なんかを見ますと、例えば組合長関連会社への不良融資が原因でとか、あるいは組合の関連会社に対する大口貸し出しが不良債権化してしまったとか、簿外不正貸し付けに伴う多額の支出、こういうことが保険機構が出動せざるを得なかった五つの例の最大の要因ですね。私は、この農協金融の持っている体質といいましょうか、あるいは内部的な向上というところを物すごく求められていると思いますね。 先ほどから議論になっております基本的な運営能力面だとかあるいは検査体制、これは内部検査ですから限界があることは間違いない。ちゃんと外部の審査を受けるような体制の強化等々課題がいっぱいあるだろうと思います。 その内部の体制強化あるいは体質の改善等々を含めて基本的な対応をしないと、必ず大きな限界が来るのではないだろうかな、こういうことをつくづく思いますので、おくれることがないように、指導機関として農林省がしかるべき指導をちゃんと先手先手でやる、こういうことを心から期待をしまして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○北村委員長 以上で前島秀行君の質疑は終わりました。 次回は、来る二十八日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十三分散会