農林水産委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1998/03/10
会議録
○北村委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 この際、島村農林水産大臣から、農林水産業の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣島村宜伸君。
○島村国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し上げます。 農林水産業は、国民生活に不可欠な食料の安定供給を初め、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保護といった多面的かつ公益的な機能を有しております。また、食品産業は、国民に対し安全で良質な食料を安定的に供給し、豊かな食生活を支えるという点で、農林水産業とともに重要な役割を担っております。さらに、農山漁村は、生産、生活の場であるほか、地域文化をはぐくみ、国民に対して緑と潤いに満ちた空間を提供しております。我が国が真に豊かな国となるためには、こうした役割を担う農林水産業及び食品産業の健全な発展と、活力ある農山漁村の建設が欠かせないと確信しております。 二十一世紀におきましては、人口、食料、環境、エネルギーの問題が、人類共通の、地球的規模での課題となると予想されております。こうした中で、国内生産体制の強化、農山漁村の活性化等に向け、各般の農林水産施策を着実に推進するとともに、OECD農業大臣会合を初めとする国際的な場において、食料安全保障や、農業の持つ多面的機能等についての我が国の考え方を積極的に主張してまいる所存であります。 以下、平成十年度における主要な農林水産施策について申し上げます。 まず、農業及び食品産業の振興と農村の活性化についてであります。 第一は、新たな農政の指針の策定についてであります。 現在、社会情勢の変化や国際化の進展に対応し、農政についての抜本的改革が強く求められております。このため、食料・農業・農村基本問題調査会において、各界各層の代表者により、食料、農業及び農村に係る基本的な政策の改革についての幅広い議論が行われております。本調査会における議論を十分踏まえながら、我が国農業及び食品産業並びに農村の発展と、国民生活の向上を図るとの観点に立ち、新たな農政の指針をつくり上げてまいる所存であります。 第二は、新たな米政策の推進についてであります。 四年連続の豊作による米の大幅な需給緩和を背景として、自主流通米価格が急激に低下するなど、稲作経営は極めて厳しい状況に直面しております。こうした状況に対応するため、昨年十一月に、新たな米政策大綱を決定いたしました。稲作・転作一体となった望ましい水田営農の確立を図るとともに、我が国の稲作経営の将来展望を切り開くため、本大綱に即し、生産調整推進対策、稲作経営安定対策、計画流通制度の運営改善を総合的に推進してまいります。 第三は、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進についてであります。 本対策につきましては、公共事業の対策期間を二年間延長するとともに、新しい国際環境に対応し得る農業経営の確立や地域特性の活用により資するよう、事業内容の見直しを行ったところであります。その一環として、新たに、棚田地域等の保全対策、認定農業者の経営体質を強化するための低利融資、中高年齢者の就農を支援するための無利子融資を実施いたします。残された対策期間内に本対策が着実に推進されるよう、全力を尽くす考えであります。 第四は、農業経営の体質強化についてであります。 経営感覚にすぐれた農業経営が生産の相当部分を占める農業構造を実現するため、認定農業者等に対する支援を強化いたします。また、新規就農者対策や農山漁村の女性対策を推進してまいります。 第五は、地域の状況に即した農業・農村の活性化についてであります。 中山間地域の活性化のための支援措置を講じるとともに、遊休農地・耕作放棄地対策を推進してまいります。 また、都市に比べて立ちおくれている農村の生活環境の整備、良村高齢者対策の総合的な展開を図ってまいります。 第六は、農業生産基盤の整備と生産・流通対策についてであります。 圃場整備事業等の農業生産基盤の整備を促進するとともに、農業構造改善事業を推進してまいります。また、主要作目の生産・流通対策の強化と、優良な種子・種苗の開発・普及を図ってまいります。さらに、環境保全型農業を総合的に推進してまいります。 第七は、食品の加工・流通・消費対策についてであります。 HACCP方式の導入促進等により、食品の安全・品質管理対策を総合的に実施し、食品産業の活性化を図ってまいります。また、生鮮食品等の流通の効率化、食品の規格・表示の適正化、健康的で豊かな食生活の推進に努めてまいります。 第八は、研究開発・普及の推進についてであります。 基礎研究を充実するとともに、国立試験研究機関の研究成果を活用した先端産業技術の開発を推進してまいります。また、技術・経営の普及指導を進めてまいります。 第九は、国際協力の推進と地球環境保全対策の充実についてであります。 開発途上国における食料・農業生産の持続的拡大に向けた技術協力を行うとともに、地球温暖化の防止に取り組んでまいります。 なお、インドネシアに対する食糧支援につきましては、これを早期に具体化すべく、検討を急いでいるところであります。 次に、緑豊かな森林・山村の整備と、林業・木材産業の振興についてであります。 森林は、緑と水の源泉であり、清浄な空気の供給等の機能も有し、地球環境の保全や豊かな国民生活の実現に重要な役割を果たしております。また、近年、こうした森林・林業に対する国民の要請は、一層多様化・高度化しております。一方、森林・林業等を取り巻く情勢は、木材価格の低迷による林業生産活動の停滞など、依然として厳しい状況にあります。 こうした状況のもと、国有林野を管理経営する国有林野事業につきましては、極めて厳しい財務状況にあり、このままではその使命を果たしていくことが困難となるおそれがあります。このため、公益的機能を重視した森林整備への転換、組織・要員の徹底した合理化、独立採算制の見直し、累積債務の本格的処理を柱とした抜本的改革の実現に全力を挙げて取り組む所存であります。 また、我が国の森林資源の整備は、造成の段階から質的充実の段階に移行しております。このため、市町村の役割を強化して、地域の実情に応じた多様な森林の整備を着実に推進するとともに、間伐の重点的な実施、国産材の需要の拡大及び安定的な供給体制の整備を図ってまいります。 次に、新たな海洋秩序のもとにおける水産資源管理の徹底と漁業の振興、漁村の活性化についてであります。 我が国漁業は、水産物の安定供給や地域における経済社会の発展に大きく寄与しております。 しかしながら、近年の我が国漁業を取り巻く情勢は、国際的な規制強化、資源状況の悪化による生産の減少、担い手の減少・高齢化など、厳しい状況にあります。 一方、国連海洋法条約の発効に伴う排他的経済水域の設定と、漁獲可能量制度、いわゆるTAC制度の導入により、我が国漁業は大きな節目の時期を迎えております。 このような状況のもと、我が国周辺水域における水産資源の適切な維持管理を図るため、中国及び韓国との間で新たな漁業協定の締結に向けて協議を進めてまいりました。その結果、日中間では新協定の署名を行いましたが、韓国との間では合意に至りませんでした。 このため、先般、政府といたしましては、早急に新たな協定を締結することが必要であるとの認識のもと、その期限を明確にするため、韓国政府に対し現行協定を終了させるという意思を通告したところであります。終了通告後一年間は現行協定が有効であることから、今後とも漁業交渉妥結のために鋭意努力する考えであります。 なお、関係漁業者の悲願であった北方四島周辺水域での安全操業につきましては、三年近くにわたる協議の結果、先般、日ロ間で協定の署名を行ったところであります。 このほか、TAC管理体制を整備するとともに、複数の魚種を対象とした新たな資源管理の展開やつくり育てる漁業の振興を図ってまいります。 また、合併の促進等を通じて漁協系統の経営基盤を強化するほか、漁業生産基盤や漁村の生活環境の整備を着実に進めてまいります。 以上のような農林水産施策を展開するため、平成十年度の農林水産予算の編成に際しましては、十分に意を用いたところであります。 また、施策の展開に必要な法制の整備につきましては、今後、当委員会の場におきまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 以上、所信の一端を申し上げました。 農林水産施策は、国民生活に密着したものであります。私は、国民の皆様の御期待にこたえ得るよう、農林水産業及び食品産業の健全な発展と活力ある農山漁村の建設を目指して、農林水産施策の推進に全力を傾注する所存であります。 委員各位におかれましては、農林水産行政の推進のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○北村委員長 次に、平成十年度農林水産関係予算について説明を聴取いたします。農林水産政務次官岸本光造君。
○岸本政府委員 平成十年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。 平成十年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係省庁計上分を含めて、三兆三千七百五十六億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆七千四百三十九億円、非公共事業のうちの一般事業費が一兆三千六百二十六億円、主要食糧関係費が二千六百九十一億円であります。 平成十年度の農林水産予算については、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の見直し、新たな米政策の実施、国有林野事業の抜本的改革という三つの大きな政策課題に対応するとともに、二十一世紀に向けて、我が国農林水産業の体質強化と魅力ある農山漁村の建設を図るために必要な予算を計上したところであります。 まず、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の見直しであります。 ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策については、財政構造改革の観点から、公共事業の対策期間を二年延長するとともに、これまでの実績の検証等を踏まえ、新しい国際環境に対応し得る農業経営の確立や地域特性の活用により資するよう、事業内容の見直しを行ったところであります。 平成十年度は、こうした見直しを踏まえて、残された対策期間内に事業の着実な推進を図るため、大区画圃場整備等の農業生産基盤の整備等に要する経費として公共事業に七百七十億円、ライスセンター等の経営近代化施設整備や農地流動化対策、新規就農対策等に要する経費として非公共事業に九百五十五億円、合計千七百二十五億円を計上しております。 次は、新たな米政策の推進であります。 四年連続の豊作により自主流通米価格が急激に低下するなど、稲作経営は極めて厳しい状況に直面しています。こうした状況に対応するため、昨年十一月に決定した新たな米政策大綱に即し、米需給安定対策、稲作経営安定対策等を一体的に推進することとしており、これらの新たな米政策への円滑な移行と適切な運営を図るために必要な予算を計上しております。 次は、国有林野事業の抜本的改革であります。 我が国の森林面積の三割を占める国有林が国土の保全等の公益的機能を十分に発揮し得るよう、国有林野事業の健全な運営の確保を図ることが必要であります。 このため、国有林は国民共通の財産であるという認識のもとで、国有林野の管理経営を公益的機能を重視したものに転換することとし、公益林の適切な管理等のための経費を一般会計から繰り入れます。さらに、組織・要員の徹底した合理化を行います。 また、約三兆八千億円の累積債務のうち約一兆円について国有林野事業特別会計で返済することとし、債務累積防止のため一般会計から全額利子補給を行うとともに、約二兆八千億円を一般会計に承継することとします。 引き続き、このほかの予算の重点事項について御説明します。 第一は、農業経営体質の強化であります。 経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営を確立するため、認定農業者に対する系統資金を活用した低利資金、中高年齢者の就農を支援する無利子資金を創設するとともに、担い生育成に資する農業農村整備事業を重点的に推進する等担い手の経営基盤の強化を図ります。 第二は、地域の状況に即した農業・農村の活性化であります。 中山間地域の棚田等の有効利用及び保全に資するため、農地及び関連施設の緊急整備とあわせ保全活動を支援する棚田地域等保全対策を創設します。 また、遊休農地・耕作放棄地対策の充実を図るとともに、農協の高齢者介護活動の強化等により農村高齢者対策の充実を図ります。 第三は、農業生産基盤の整備と生産・流通対策の充実強化等であります。 基幹水利施設の更新対策の充実等地域の諸課題に対応した農業農村整備事業を推進するとともに、麦・大豆を基幹とした輪作体系の確立、肉用牛等の生産の組織化等主要作目の生産・流通対策を強化します。 また、優良な種子・種苗の開発・普及を推進するとともに、施肥・防除技術の開発・普及等による環境保全型農業の総合的な推進を図ります。 さらに、食品の安全性対策の強化を図るほか、広域農道、卸売市場等の整備等による農林水産物の物流効率化対策の強化を図ります。 このほか、イネ・ゲノム研究の推進等農林水産関連分野の技術開発を推進するとともに、サブ・サハラ地域における食糧増産に向けた総合的な支援等、国際的な食料安定供給のための支援を強化します。 第四は、緑豊かな森林・山村の整備と林業・木材産業の活性化であります。 森林法の改正等による市町村の役割強化等を通じて、流域を単位とした森林整備目標の実現に向けた森林整備を展開するとともに、間伐総合対策の強化を図ります。 また、森林整備のための金融措置を充実するほか、防災対策の強化を図ります。 さらに、木材の需要拡大を図るため、新たな木材利用の技術開発等を推進します。 第五は、新海洋秩序のもとでの活力ある水産業・漁村の形成であります。 資源管理の徹底とつくり育てる漁業の一層の推進を図るため、漁協系統組織を中心とした漁獲可能量管理体制を整備するとともに、複合的な資源管理型漁業を推進します。 また、合併漁協に対する支援策の強化等により漁協系統の経営基盤の強化を図るほか、水産物の流通・加工・消費対策の充実を図ります。 次に、特別会計については、食糧管理特別会計について一般会計から調整勘定等へ所要額を繰り入れるとともに、その他の特別会計についてもそれぞれ所要の予算を計上しております。 最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等の借り入れ等総額五千四十四億円を予定しております。 これをもちまして、平成十年度農林水産予算の概要の説明を終わります。 何とぞ、適切な御審議をお願い申し上げます。
○北村委員長 以上で説明は終わりました。 次回は、明十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十時五十一分散会