大蔵委員会 第18号
- 発言数
- 10 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1998/03/24
会議録
○村上委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対する質疑は、去る二十日に既に終局いたしております。 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○村上委員長 次に、金融に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君及び日本銀行副総裁藤原作弥君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○村上委員長 それでは、まず日本銀行総裁速水優君からお願いいたします。
○速水参考人 私は、去る二十日に第二十八代の日本銀行総裁を拝命いたしました速水でございます。 四月から新しい日銀法が施行されるという、日本銀行にとりましては大きな転換期を迎えるに当たりまして、微力ながら職責の遂行に全力を尽くしてまいる覚悟でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 今、日本経済は、景気、金融システムの両面にわたりまして非常に重い課題を抱えております。中央銀行に負託されました責任には極めて大きいものがあります。日本銀行は、その責務に全力を挙げて取り組んでいかなければなりませんが、そのためにも、まず、今般の不祥事を率直に反省して、一刻も早く日本銀行内部の立て直しを果たして国民の信頼を回復することが、私に課せられた当面の最大の課題であると認識いたしております。 私の年来の持論は、中央銀行は一国経済の良心であるべきだということでございます。今般、日本銀行の職員が逮捕されるという未曾有の事態に至ったことはまことに遺憾でありまして、現在の私の立場から改めて皆様方におわびを申し上げます。 この信頼回復のために、まず、これまでの外部の方との行員の交際の実態というものをしっかり把握することが重要であるという認識に立ちまして、役員及び管理職全員、管理職以上を対象にいたしまして調査が行われてきております。現在、おおむねそのヒアリングの結果がまとまりつつある段階でございます。今後は、この結果を踏まえまして、さらなる調査が必要と認められるものにつきましては、法律の専門家をも加えて、第三者の力をおかりして調査に当たっていくことを予定いたしております。私としましては、できる限り早く調査結果を取りまとめるよう督励をしておるところでございます。 また、今回の事案に関しましては、現在進められております捜査当局の捜査や内部調査の結果を踏まえて、当事者及び関係者について、事実に即して厳正に対処していく考えでございます。 さらに、松下前総裁のもとで、服務準則、それから「日本銀行員の心得」というコードを策定いたしました。これによりまして、例えば職務上の関 係者との無償の会食については明確に禁止をいたしましたほか、職務の公正さを確保するための規則、心得を定めたところでございます。 私といたしましても、今後さらにその徹底を図りますとともに、法令の遵守が行われているかどうかという業務執行体制のあり方と法令遵守の監視という立場から、法律専門家等第三者を交えた委員会を行内に新たに設置したいと考えております。これは、アメリカなどでもコンプライアンスと称して、今銀行などが行っております遵法審査の委員会でございます。 この際、これまでの日本銀行の運営上何が問題であったかということを徹底的に洗い出して、これまでの運営手法にとらわれることなく、抜本的な改善策を講じていく所存でございます。こうした対応によりまして決別すべき過去からははっきりと決別して、名実ともに新しい日本銀行をつくり上げてまいりたいというふうに考えております。 次に、新日本銀行のもとでの政策・業務運営について一言申し述べます。 この四月からは、昨年この委員会で御審議いただきました新しい日本銀行法が施行されるわけでございます。この新しい日銀法では、二十一世紀にふさわしい中央銀行の姿として、独立性と透明性、この二つの理念が柱に据えられております。私は、新生日銀はそうした理念をそのまま具現した中央銀行でありたいというふうに考えております。 そのためには、まず、最高意思決定機関である政策委員会で自由かつ徹底した議論が重ねられていくことが重要であります。また、金融政策に関する政策委員会での議論を議事要旨や議事録といった形で公表して透明性の向上に努めていくことも、これまた重要なことだと思います。国会に対する報告につきましても、従来以上に充実させることが求められております。 日本銀行では、こうした新法の趣旨に誠実に対応していきたいと考えております。既に、その趣旨を先取りいたします形で、本年一月からは政策委員会金融政策決定会合を定期的に開催しまして、その議事要旨についても公表を開始いたしております。また、組織運営面でも、政策委員会を軸とした政策運営、業務執行体制の確立を目指しまして、四月に大幅な機構改革を予定いたしております。 次に、景気、金融システムの立て直しについてでございますが、日本銀行の使命は物価の安定と金融システムの安定を実現していくことにあると思います。 そこで、現在の日本経済に目を転じますと、戦後初めて経験すると言ってもいいような厳しい状況にあると思います。それだけに大切なことは、現在の我が国経済が抱えております問題をしっかりと把握した上で、明確な方向感を持って対処していくことが重要であると考えます。 日本経済にとって当面の最大の課題は、企業や金融機関の不良資産処理を加速させながら、景気の回復と金融システムの信認回復、この二つの課題を達成していくことではないかと思います。そして、この二つの課題は相互に密接に関連しているというふうに考えております。 景気の停滞の一つの原因は、金融システム不安の台頭をきっかけとする企業や家計の心理の後退にあると思います。また、金融機関が多額の不良債権を抱えて、金融面から景気の回復を後押しするような力がなかなか生まれてこないということに問題があったように考えます。逆に、景気の停滞が長く続くようでありますと、不動産価格が軟化を続け、企業や金融機関の不良資産処理をおくらせる要因ともなりかねません。このようなことを踏まえますと、景気の回復と金融システムの信認回復というこの二つの課題は、やはり同時に達成していかなければならないことかというふうに考えます。 そこで、まず金融システム面の動きについてでございますが、一連の金融機関破綻をきっかけに昨年秋以降に強まりました金融市場や預金者、投資家、これらの人たちの動揺というものは、最近ではかなり落ちつきを取り戻しつつあるのではないかというふうに考えられます。 この間、日本銀行では、金融機関の破綻に当たっては、預金の払い出し等に支障の生じることのないよう、必要に応じていわゆる日銀特融を実施してまいりました。また、金融調節面からも、金融市場の不安心理を抑制し、金利の安定を確保するために、潤沢な資金供給に努めてまいりました。また、二月にはいわゆる金融二法が国会で成立いたしまして、既に二十一行に対する公的資本の注入が決定されております。このように、金融機関の不良債権処理に向けての取り組みはここへ来て大きな前進が見られております。 ただ、言うまでもなく、金融システムの信認回復を真に実現するためには、金融機関自身による経営全般にわたってのリストラ、ディスクロージャーの拡充、さらに収益力の強化、こういった点についての自助努力が不可欠ではないかと考えます。私ども日本銀行としても、そうした金融機関の自助努力を促すとともに、引き続き金融システムの安定に向けて、中央銀行の立場から最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。 次に、最近の国内経済情勢でございますが、先ほど述べましたように、景気は停滞を続けており、最近では下押し圧力が強まりつつあるように見受けられます。最終需要面では、このところ設備投資の頭打ちが明確になり、個人消費、住宅投資といったものの低迷も長引いておるように思われます。また、こうした内需低迷の影響は、生産面や企業収益、雇用、所得というものにも及んできておるように思います。 問題は、これからの展開がどういうことになるかという点でございますが、金融システム安定化策の具体化、さらには特別減税の実施、こういつたものが個人消費などによい効果を与えることが期待されております。 ただ、注意しなければならないのは、最終需要に目立った回復が見込めない中で、所得形成の力の弱まりが国内需要の一層の減退につながっていく可能性も否定できないということでございます。また、アジア経済の調整の深まり、金融機関の融資姿勢の慎重化、こういつたことが景気を下振れさせかねない材料であろうかと思います。したがいまして、今後、景気に対する下押し圧力がさらに強まっていくかどうか、そのことが民間需要の一層の減退をもたらすものであるかどうか、こういった点について慎重に見きわめていく必要があろうかと考えております。 こうしたことを踏まえました上で、今後の金融政策の運営に当たりましては、政策委員会として大いに議論を重ねながら、情勢判断と政策運営に誤りなきを期してまいりたいと考えております。 最後に、以上、時間をちょうだいして日本銀行総裁就任に当たりましての所感を述べさせていただいた次第でございますが、改めて申し述べますと、中央銀行は一国の経済の良心でなければならないというふうに考えております。そうした観点に立って、私から、就任の日に役職員に対して、国民から広く信頼を得るためにも、職務に誇りを持ってみずからの良心に恥じない行動をとってもらうように求めたところでございます。日本銀行の役職員、その一人一人がそうした強い気持ちを持って、新しい日銀法のもとで、与えられた使命を果たしていくべく全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 以上でごあいさつを終わらせていただきます。(拍手)
○村上委員長 次に、日本銀行副総裁藤原作弥君にお願いいたします。
○藤原参考人 私も、去る二十日、図らずも日本銀行副総裁を拝命いたしました。微力ながら、新総裁を補佐して職責の遂行に全力を傾注する覚悟ですので、よろしくお願い申し上げます。 従来、日銀副総裁には財政金融の専門家が就任するのが慣例といいますか通例でしたけれども、私はジャーナリスト出身で、主として経済分野を担当してまいりましたものの、金融実務等につきましては全くの素人です。もちろん、これから勉強する所存です。私のような者がまず日本銀行のお役に立つとすれば、その素人である存在を玄人集団に何らかの形で反映させていくことかと考えて、悩んだ末にお引き受けしました。経済記者としては日銀ウォッチャーの一人でもありました。その体験も生かしていきたいと存じます。 今後、四月一日、日本銀行法、新しい法律の施行とともに、外為自由化をはしりとする金融ビッグバン、大改革も始まります。金融改革の時代です。金融資本市場が内外に広く広がることを考慮しますと、中央銀行の金融政策や金融業務の運営に当たりましても、国民の視点、生活者の感覚も一層必要になってくるんじゃないかと思うのです。とりわけ、高齢化社会を控えまして貯蓄手段の多様化となってきますと、単に経済は国の、企業のといったマクロ的な問題だけではなくて、ミクロの世界にも、深く生活に入り込んでくるわけです。そのためにも、私は、ジャーナリスト及び生活者の視点を日本銀行の政策判断、業務運営の参考として役立てたいと思います。 さらに、先ほど総裁からも申し上げましたけれども、改めて私の立場としましても、このほどの不祥事件については深くおわび申し上げます。 そうした金融界をめぐる一連の事件を考えましても、大蔵省や日銀など金融行政や金融政策の衝に当たるセクションを中心に、従来の組織のあり方や運営方法の抜本的な見直しが迫られており、それだけではなくて、日本銀行の場合には、行員の自己意識改革というものが本当に求められていると思います。そうした問題を抱えている日銀に、社会一般、いわゆる世間の目というものを反映させていく必要がある。同時に、日本銀行が何をやっているか、実は国民のための銀行だということを日本銀行の側からも社会に対して知らしめていくことが重要だと思います。私は、そのかけ橋として働くことができれば幸いだと思います。つまり、両面交通のコミュニケーションを密にしていくために尽力したいと考えております。 今後の政策運営、業務運営などについては、ただいま速水新日銀総裁からるる御説明申し上げたとおりですけれども、副総裁の私としましても、四月一日から施行される新日銀法の二つの理念、つまり独立性と透明性を実現していくべく総裁を補佐してまいりたいと思っております。 独立性とは、日銀法を御審議いただきましたのでもう十二分に御存じですので、釈迦に説法かと存じますけれども、政策及び業務の運営に当たり、中央銀行の主体性を発揮していくことです。しかし、それは中央銀行の独善というわけではありませんで、もちろん国の経済政策との整合性等々を考えた上でのことです。そうした前提の上に立って、特にマクロ政策としての金融政策の実施に当たっての経済情勢の分析、検討、判断、政策の運営等の過程で発揮されるのが独立性だと私は考えております。 一方、透明性につきましては、これも皆様先刻御存じのことなんですけれども、金融という言葉がクレジットと言われるとおりに、まず第一に信用、お金としての物質的な裏づけのほかに、人間の心が関与する信頼という言葉と同義語になるわけで、そこで信頼性、クレジビリティーなるものが日本銀行の金融政策や業務の運営の根幹にあるわけです。 しかし、口でクレジビリティーだとか信用性とかという言葉を申しても単なる空疎な響きしか伴いませんので、それを実際に国民の各層に理解してもらう、日本銀行の金融政策を理解してもらうこと、つまり、これも英語で恐縮ですが、いわゆるアカウンタビリティー、どういうことをしているか、どういうメカニズムになっているかということを国民にわかりやすく説明すること、説明責任だと思います。それを十二分に確保していくのが私どもの役目だと考えております。 こうした基本認識をしっかりと持って、本来の使命である物価の安定、当面は物価の安定イコール経済の安定ということにもなりますが、それと金融システムの安定、この二つの安定という大きな課題に取り組み、インフレなき持続的拡大に資していくのが二十一世紀の中央銀行、日本銀行の使命だと私なりに考えております。 今後ともよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前九時十一分散会