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142回国会衆議院1998/05/29

厚生委員会 第15号

発言数
285
登壇者
28
会派数
6
開催日
1998/05/29

会議録

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、参議院送付、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人として国立国際医療センター研究所所長竹田美文君、日本弁護士連合会人権擁護委員会委員光石忠敬君、日本医師会常任理事小池麒一郎君、静岡県立大学者護学部教授松田正巳君、大阪府堺市環境保健局長伊藤武君、東京HIV訴訟原告団事務局長早川雅人君、以上六名の方々から御意見を承ることといたしております。  参考人の方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  最初に、参考人の皆様方から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  それでは、まず、竹田参考人にお願いいたします。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 御紹介いただきました国立国際医療センター研究所の竹田でございます。  今や感染症時代であるという認識が国内外で広がりつつあります。平成八年四月に東京で開かれました橋本首相とクリントン大統領の日米首脳会談において、コモン・アジェンダの一項目に新興・再興感染症が加えられましたし、昨年の六月にデンバーにおいて開かれましたG8におきましても、新興・再興感染症が共同声明の中に入っております。さらに今月、バーミンガムで開かれましたG8では、橋本首相の提案でマラリアなどの寄生虫疾患をG8各国が協力して制御することが決定されたところであります。  WHOの次期事務総長に選出をされておりますノルウェーの元首相ブルントラント博士は、過日、マラリアのロール・バック・ポリシーなるものを発表し、二十一世紀に向かってマラリアの制御をWHOの重要政策とすることが表明されております。  感染症は、今や一国のみのことを考えた政策ではなく、グローバルな視点に立って世界の感染症の制御を見据えた政策でなければならない時代となっております。  こうした現状に立脚して考えた場合、制定以来百年を超える伝染病予防法の改定は当然のことと考えます。私は、伝染病予防法の改定を視野に入れて設けられた基本問題検討小委員会の委員長として、一年三カ月に及ぶ議論の取りまとめ役を務めました。そして、昨年十二月、報告書を伝染病予防部会に提出いたしました。その後、伝染病予防部会での審議を経て、昨年十二月二十四日、公衆衛生審議会長より厚生大臣に提出されました意見書、「新しい時代の感染症対策について」を踏まえまして、ただいま国会で審議されております感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案が策定されました。この感染症予防新法は幾つかの画期的な内容を含んでおります。  まず第一に、本新法はすべての感染症を包括し得る法案となっており、現行の性病予防法と後天性免疫不全症候群の予防に関する法律が廃止されることになっております。現行の伝染病予防法は十一種類の法定伝染病と三種類の指定伝染病を対象としており、性病予防法と後天性免疫不全症候群の予防に関する法律あるいは既に廃止されましたらい予防法は、特定の感染症を対象としたものであります。そのことが特定された感染症に対する差別を生む大きい要因であったという患者の意見を考えた場合、新法がすべての感染症を含み得る、特定の感染症を対象としないことになっておりますことは、極めて画期的なことであります。  感染症には、感染力、罹患した場合の重篤な症状から判断して危険性が極めて高い感染症と、危険性が高くない感染症の両極の間の危険性の程度が千差万別であります。すべての感染症に対する対策のすべてを一律にすることは不可能であります。そのため、新法が果たして感染症の拡大を防ぐことができるのかと危惧する意見があります。同時に、新法は患者の人権に配慮が足らないという意見もあります。  危険性の程度に関係なく、患者の人権を尊重しなければならないのは当然であります。しかし、一方において、危険性が極めて高い感染症の拡大を防ぐためには、感染症に対する危機管理体制が万全でなくてはなりません。私は、細菌学及び感染症学の専門としての立場から、危険性の極めて高い感染症についていかなる法が必要かということを意見として申し上げたいと思います。  新法で一類感染症に分類されている感染症にペストがあります。ペストは、肺ペストの患者の吐く息の中に存在するペスト菌により感染します。中世のヨーロッパでは人口の約三分の一の四千四百万人がペストで死亡したと記録されております。こうした恐怖が原因で、数年前、インド西部のスーラトでペストが流行した際、町の人々は我先に大挙して町を逃げ出し、パニック状態になったと言われております。イギリスはインド航空の英国への乗り入れを禁止いたしました。新法が危機管理という観点からは十分でないのではないかという危惧は、こうした事実に立脚しているのであります。  さらに、もう一つ、昨年の冬、香港で発生いたしました新型インフルエンザH5N1の例を挙げます。幸い、香港当局の数百万羽と言われる鶏の焼却処分によって、新型インフルエンザは流行に至ることなく終わりました。しかし、もしH5N1が日本に上陸したと想定した場合、新法で果たして十分な対応ができたのであろうかという議論が感染症専門家の間では行われているところであります。  私は、現在、国際感染症学会の理事を務めております。先週、アメリカのボストンにおきまして第八回国際感染症学会が開かれました。その際、特にアメリカにおける危険性の高い感染症の対策について、複数のというよりも多数のアメリカの感染症専門家の意見を聞いてまいりました。共通した返事として私自身も大変驚いたことは、現在、アメリカの大学病院には感染の危険性の高い感染症のための隔離病棟のない病院はほとんどないということであります。  患者の隔離が人権の尊重という観点から問題があるという議論があります。しかし、アメリカのほとんどの感染症の専門家の考え方は、患者の人権で最も大切なことは最高の医療を受けることであるという点で一致しております。そして、患者は周辺の人々に感染症を伝染させてはならないという考えを医療従事者も患者の大多数も持っており、そのために患者を隔離することは、患者の人権の尊重の制限であっても、患者の人権の侵害ではないという考え方であるということを知りました。  患者の人権の最も大切なことが良質でかつ適切な医療を受けることであるという考えは、私自身、基本問題検討小委員会でも繰り返し表明した持論であります。この点につきましては、新法では、医療体制の整備が明文化されており、現行の伝染病予防法とはさま変わりの医療体制が施行されるものと期待しております。  新法について、感染症の危機管理と患者の人権の尊重という議論が対立しているかのごとく一般に報じられております。私は、感染症の危機管理と患者の人権の尊重とを論じる場合、どの類型の感染症について論じているのかを明確にして論じていただきたいと考えます。さもなくば、議論は混迷の度を増すばかりであります。  新法は、すべての感染症を包括し得る法律としては、感染症の危機管理と患者の人権の尊重という点においてバランスのとれたものであると私は考えます。このことを公平に、冷静に判断することが今最も必要なことであり、危険性の高い感染症を念頭に置いて感染症の危機管理の対応のために不十分であると論じたり、危険性の高くない感染症を念頭に置いて患者の人権の尊重に関して十分でないと論じることは、新法の全体像を見失うことになると私は考えます。今後は、新法の運用においても、当事者がバランス感覚を失わないような冷静な対処をしていただいてこそ、新しい時代の世界に通用する感染症対策になるものと考えます。  新興・再興感染症が世界的恐怖になっておることは、橋本・クリントン会談やG8、あるいはWHOが真剣に取り上げているように、二十一世紀の、いや、明日の世界の現実の問題であります。我が国の国民一人一人の健康を守るために、新法が一日も早く施行されることを強く望むものであります。  ありがとうございました。(拍手)

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 どうもありがとうございました。  次に、光石参考人にお願いいたします。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 御紹介いただきました光石忠敬です。  私は、日本弁護士連合会の人権擁護委員会で、感染症の患者と人権の問題の検討に携わってまいりました。それから、公衆衛生審議会伝染病予防部会の基本問題検討小委員会の委員としての論議に加わってまいりました。そういう立場で、この感染症予防・医療法案について一言意見を申し述べたいと思います。  私は、できるだけ、感染者とか感染症の患者という言葉を用いて問題を考えるように努めてまいりました。なぜなら、不幸にして抱え込んだ病原体の脅威にさらされる一人一人の人間の問題であるということこそ、この法案につき私たちが一番知恵を絞らなければならないポイント中のポイントであります。にもかかわらず、例えば、感染症対策とか感染症の蔓延防止とかいう言葉を見ておりますと、この問題の本質からひととき私たちの目をそらさせる、そういう不幸な人間から病原体を切り離してしまう、そして物事を科学的に、事務的に、もっと言えば無機的に処理し得るかのごとき錯覚を私たちに起こさせるからであります。  患者を古い畳のちり、たたけばどんどん出てくるというような古い畳のちりになぞらえて、療養所に徹底的に収容すれば日本かららいはなくなるというようなことを国会で陳述したのは医学界の権威の方々でしたけれども、そういう意見がらい予防法という強制隔離を推進する法の制定に重大な影響を与えた我々の感染症立法の歴史というものを思いますと、この私の懸念はあながち杞憂とは言えないように思います。  この法案は抜本的な見直しを必要としております。多くの基本的な問題点の中から、私は、三つのことを申し上げたいと思います。どうぞ、私の陳述の原稿はお手元にありますので、日弁連の二通の意見書と並んで御参考になさっていただきたいと思います。  第一は、この法案は、今のままでは、感染症の最重要課題の幾つかにつき、小委員会の検討とは似て非なるもの、いわば小委員会の検討という木に竹をつないだようなものとなっていて、投入された多大の税金はもとより、論議に参加された多くの方々のエネルギーや情熱のむだ遣いになりかねないということ。  第二は、この法案を、感染症の類型など骨格部分から衆知を集めて再検討し直さない限り、二十一世紀を迎えて、諸外国と手を携えて立ち向かわなければならない問題に、世界の立法の流れから乖離した、人権を粗末にする強権的な有事立法を登場させることで、世界の反面教師として恥ずかしい思いをしなければならないのではないかということ。  第三は、この法案は、公権力の行使が判断を誤った場合の救済メカニズムの点で、このままでは、憲法、国際人権自由権規約及び国連原則に違反すると思われること、この三点でございます。  さて、小委員会では、当初、感染源はすべて隔離するというのが医学の基本的な立場であって、医学でいくか人権でいくかという一医学と人権はあちら立てればこちら立たずという二律背反の関係にあるという考え方が紹介されまして、私などはカルチャーショックを受けました。なぜなら、私は、医の倫理あるいは患者の人権は、医学医療という高い人間的営みの中に内在しているべきものと考えてきたからであります。  しかし、議論が進むにつれて、一方で感染症の医学医療については素人の、他方で法や人権問題については素人の、それぞれの相互理解が深まりました。確かに、かつては、よき公衆衛生と人権の尊重は矛盾衝突するという考え方もありました。しかし、そうではなく、公衆衛生と人権の尊重は調和する、公衆衛生の目的の達成と人権の尊重は相互に補完し合うもので対立矛盾するものではないという考え方にこの小委員会は行き着いたのだと思います。患者の人権、なかんずく良質かつ適切な医療を受ける権利やインフォームド・コンセントの権利、プライバシーの権利等を尊重すべきことが確認されて、強制措置は必要最小限で均衡のとれたものでなければならぬという原則を強調する、そういう最終報告書がまとめられたのはそのあらわれだと思います。  感染者・患者に良質、適切な医療を受ける権利を初めとする人権を保障するのは、単にそれが憲法上の要請だからというだけじゃありません。よき公衆衛生は、患者に最善の医療を提供することなど、患者の人権を尊重することなしには成立しないのです。また、強制措置が必要最小限で均衡のとれたものでなければならぬという原則も憲法上当然の要請ですが、そればかりではありません。感染症をコントロールし、公衆衛生の努力を推進するという効率の要請にもこたえるものであります。  患者の権利やプライバシーの権利が守られて、適正手続が実体的にも手続的にも保障されることで、人々は、検査、治療、入院に積極的に協力することになるのです。人々の自発的な協力なしに感染症のコントロールが不可能であることは今日の公衆衛生の常識に属することであり、このことは、幾ら強調してもし過ぎることはないのです。  ところが、この法案は、まず、良質かつ適切な医療を受ける権利は、それは医療法の守備範囲であってこの法律には不要というような理屈をくっつけてでしょうけれども、規定しておりません。この法案の起案者はあちこちの法律には通じているのでしょうが、感染症のコントロールにおける最善の医療を受ける権利など患者の権利の重大性あるいは両者の不可分一体の関係がわかっていないのです。  また、この法案は、強制措置必要最小限の原則を宣言していません。そればかりか、例えば指定感染症などと、小委員会では一度も検討されたことのない類型を唐突に持ち出して堂々と規定しております。そして、国会の決議の要らない政令でさまざまな強制措置がとれるようにしてしまいました。いや、正確に言いますと、この法案は、消毒その他の措置についてはこの原則を規定しているのです。三十四条とか五十条の八項ですが、小委員会での検討の痕跡だけはとどめているという皮肉なことになっております。この法案の起案者は、不幸にして病原体を抱えて脅威にさらされている人間のことよりも、消毒される場所や物件など物の方がよほど重大だと考えたのでしょうか。そうだとすれば、何とも逆立ちした考え方だと言わなければなりません。  また例えば、この法案は、一類から四類までの感染症の病名のみを特定列挙し、分類の趣旨を何も示しておりません。一般国民はもとより、医学医療の専門家にさえも法案を理解してもらおうという姿勢を欠いているのです。もともと小委員会では、感染症の分類自体の是非、分類するとして、その順序、理念などについて相当の議論がなされました。小委員会の最終報告書は、分類の趣旨を掲げ、分類と強制措置を対応させる考え方に立って、強制措置必要最小限の原則に従い、この法案とは逆に、インフルエンザなどなじみの深い感染症から分類するとともに、病名は例示するにとどめていたのです。この点でも、小委員会の検討と、病名のみを並べるこの法案とは思想において異質であって、連続性を認めることはできません。  精神保健を初め公衆衛生法の専門家で、日本における先年の精神衛生法改正に大きな影響を与えたイギリスのゴスティンさんらが、最近アメリカで感染症立法のガイドラインを公表しています。それによりますと、まず、病名を特定した規定はできるだけ避けるべきこと、二、強制力の行使は、個々の人間が他者の健康ないしは安全に対する直接の脅威になるかどうかで決すべきこと。その場合、すべての感染症につき分類横断的に、感染の仕方、感染させ得る期間、感染の蓋然性、感染した場合の重症度、人権に対する負担の五つの要素を勘案し、最新の科学データと客観的証拠に基づき決定することを提案しています。このルールが欧米の立法の潮流と考えられます。  強制措置など公権力の行使が判断を誤ることはあり得ます。ヒューマンエラーはあり得ることです。感染症審査会のような独立かつ公正な審査機関での審査を、代理人の援助を受ける権利、誤った措置であった場合の補償を受ける権利などとともに認めなければ、憲法、国際人権自由権規約、国連の一九八八年、あらゆる形態の抑留・拘禁下にある人々を保護するための原則に違反することになります。  ところが、この法案は、今ここに述べました、原稿に書きました三つの点でこれらの小委員会の報告書と異なるものです。したがって、結論的にはそういう憲法違反等のものであると言わざるを得ないのであります。  先ほど、強制措置の行使においては人権に対する負担という要素も勘案されるべきとのガイドラインのことを申しましたが、強制入院させられることはその個人の居住・移転の自由に対する負担となります。しかし、だからそれが人権を侵害するとは限りません。負担の性質、重大さ、期間などが措置の有効性とバランスがとれているかどうかを吟味すべきだというのです。エボラ出血熱などでは人権尊重のウエートが軽くなるのはやむを得ないという考え方がありますけれども、この考え方は、人権に対する負担と人権の侵害とを混同しているのではないか。すなわち、人権に負担がかかることは人権を侵害することと考えるからそのような言い回しになるのではないかと思います。どんな感染症の患者でも人権はひとしく尊重されなければならないのです。  私たちは、らい予防法、エイズ予防法という法律がもたらした惨たんたる人権侵害の歴史、立法における壮大な失敗の歴史から何を反省し、何を学ぶかを一人一人が問われています。らい予防法の制定経過においては、先ほど申し上げたような権威とされた専門家たちの人権を軽視する意見が法制定をミスリードしたのではないかが問われています。エイズ予防法では、その制定過程で血友病患者を迫害したのではないか、資料がなぜ公開されないのかが今でも問われています。  感染症の立法においては、法案の内容自体もさることながら、制定過程の吟味、検証も欠かせません。その意味では、ささやかながら私ども小委員会の三名が本年二月に提出した上申書が、小委員会はもう解散されたはずだからというような窓口却下の理屈で今日に至るまでナシのつぶてになっているという事実を、当初に審議公開を決めた小委員会の初心の初々しさからも、またこの種の政府の審議会の審議の透明性、そしてまた責任ある者の説明責任の観点からも大変残念に思います。  加えて、小委員会の報告書が皆様方の参考資料として、皆様方の共有される資料となっていないこと、これは概略しか載っていないことを大変残念に思います。  以上です。(拍手)

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 どうもありがとうございました。  次に、小池参考人にお願いいたします。

小池麒一郎日本医師会常任理事

○小池参考人 日本医師会の小池でございます。  過去三十年間に、エボラ出血熱を初め三十種類を超す新しい感染症が出現しておりまして、我が国におきましても一昨年、腸管出血性大腸菌O157による爆発的集団発生を見たことはいまだ記憶に新しいところであります。  さて、近年航空機による交流が極めて盛んになり、世界各地の種々の感染症が潜伐期間内に空港検疫を通過し、直接生活の場に侵入するおそれがありまして、周辺への感染症拡散の危険が増大していると申せます。  さらに、食糧の自給率が著しく低下した今日、食材の海外依存度が高まっておりまして、我が国におきましては偶発的に付着した病原体が侵入する可能性というものは非常に高くなりまして、現に輸入カイワレ大根の種子に付着していたと考えられるO157の家族発生が昨年度見られております。また、渡航歴のない人々がコレラや腸チフスに罹患した例などが見られています。イギリスでの狂牛病発生時の国際的食肉紛争も思い出していただきたいのであります。  一方、我が国では国民病と言われました結核がほぼ制圧し得たこともありまして、医療関係者を含め、国全体が感染症は大体克服できたのではないかという安易な考え方を抱きがちであったのでありますが、国際交流の活発化に伴い、感染症はボーダーレスとなっていることを御理解いただきたいと思います。  例えば、昭和三十一年以降我が国では狂犬病の国内発生は見ておりませんけれども、WHOの調査では一九九五年、三万五千五百余人の方が犠牲になっておられます。最も身近なインフルエンザを例にとりましても、一昨年の冬には多くの高齢者の方が亡くなられましたし、また、本年は小中学校で学級閉鎖が多発し、中には脳炎、脳症を併発して亡くなられ、あるいは後遺症を残されたお子さんたちもいるという次第であります。さらに、結核、マラリア、MRSA等従来の感染症も、薬剤耐性という装いを新たに再登場してきております。  したがって、国境のなくなった世界じゅうの種々の感染症が我が国で発生する危険性が増大し、結核などの再興感染症も再び流行する可能性が高まっていると言って過言ではありません。  五月十九、二十日の両日、長崎市で開催されました結核予防全国大会に出席いたしましたが、偶然に某学園で七百名を超す患者が出た赤痢集団発生の状況を聴取してまいりました。病床の確保にかなりの支障が起こったとのことであります。感染症の脅威が身近にあり、ふだんから感染症に対する対応を考えておく必要があることを改めて認識した次第であります。  このような状況にありまして、国民の生命と健康を守り、安全を確保するためには、百一年前に制定された現行法では十分に対応できず、現代感染症の実態に適合した感染症対策が必要であり、新しい法律の成立が早急に望まれるものであります。  今回の法改正におきましては、症状の重症度と感染力によって一類から四類に分類され、さらに今後発生する未知の新感染症まで含まれております。  過去の関連法の反省に立ち、公衆衛生審議会伝染病予防部会基本問題検討小委員会では十八回、ワーキンググループの作業を加えますと三十回以上審議を尽くしました。第一類及び第二類の感染症罹患時に入院される患者さんの人権問題にも論議が集中したのであります。規制により守られる国民の人権、すなわち規制が適切に行使されることは他の国民の具体的人権保障につながるわけでありますが、規制を受ける国民の人権保障として、規制が最小限にとどまるよう、また規制手続の整備と乱用防止のための権利保障について配慮されています。  第二十四条には、各保健所ごとに医師以外の学識経験者も加わった感染症診査協議会が設置され、入院期間の妥当性について協議することになっており、三十日を超える長期入院に対する不服申請に対しては、第二十五条に五日以内に厚生大臣が裁決すると規定されております。  医師の立場から見ますと、手続保障に余り重きが置かれますと感染症の拡大防止に大丈夫かという懸念があったのも事実であります。しかし、法案要綱は公衆衛生審議会で全会一致で了承されたものであり、小委員会報告書の内容は現在御審議中の法案に織り込まれていると考えます。  日本医師会は、堺市O157発生時、厚生大臣と日本医師会長の連名で治療のマニュアルを全国の医師に伝達しました。また、平成九年一月には感染症危機管理対策室を設置し、厚生省、国立感染症研究所、各都道府県医師会と密接な連携を図りつつ感染症危機に対する即応体制を整えております。  感染症は予防こそ第一義であり、日常的に予防接種事業に全面的に協力いたしております。付言すれば、最近一部地域ではしかが流行しましたが、予防接種をしなかった子供がほとんどでありました。最近、我が国では、予防接種率が低下傾向にあり、特に、任意接種となったインフルエンザでは、欧米に比し著しく低率となっております。予防接種に対する再認識が必要であり、国民の健康の安全保障という認識で取り組むべきであると思います。  先ほど申しましたが、長崎での赤痢集団発生時には、入院患者の対応を初めとし、かなりの混乱があったと聞いております。特に、入院する医療機関、保健所の役割、専門家の養成など、現行伝染病予防法の規定を超えて考え直していく必要があると痛感した次第であります。  今後、感染症指定医療機関の整備、地方衛生研究所と保健所機能の強化、感染症に関する研究の推進、ワクチンの開発と安全性の確立、感染症に関する医師の再教育等、総合的、有機的な感染症対策のための体制を構築しなければならず、十分な予算措置も必要であるというふうに思います。  私は、今回の法案は、我が国感染症対策の骨格をなすものというふうに理解いたしております。今後、政省令、基本指針などで肉づけをして、我が国の感染症対策を確立していかなければならないと思っております。  感染症対策の推進に当たっては、行政、医師会、研究機関等がそれぞれの責務を果たすとともに、密接な連携を図って総合的な対策を確立する必要があると思います。  感染症についての医師の再教育につきましては、日本医師会の生涯教育の場を活用する所存であります。  以上、公衆衛生審議会の審議にかかわらせていただいた一人といたしまして、国民の生命、健康を守るため、現代に適合する感染症の新法案が速やかに成立することを期待しております。  以上です。  ありがとうございました。(拍手)

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 どうもありがとうございました。  次に、松田参考人にお願いいたします。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 静岡県立大学の松田と申します。お配りいたしました資料に基づきまして、意見を述べさせていただきたいと思います。  私の論点は四つございます。  まず第一に、この法案は、国際法との整合性に欠けていると思います。  WHOは、本年五月の世界保健総会におきまして、二十一世紀の健康戦略を採択いたしました。その主要課題は、健康と人権の一体性にございます。しかし、この法案の背景には、人権と疾病予防が対立するかのような誤解が潜まれているように思います。といいますのも、この法案の比重は、実際には予防に重点が傾き過ぎていると思うわけです。法案の趣旨、目的には人権と予防が両方含まれておりますが、具体的な項目となりますと、例えば法案の十条から十一条のようなところでは、大臣、地方自治体に予防計画は義務づけられていても、人権の擁護は十分含まれておりません。  第二に、法案は、社会防衛の思想が優先された感染症の予防法となっており、予防医学の体系から見て不十分な内容であると思います。  疾病予防の法律には、日本の場合、大きく分けて二つの流れがございます。一つは、患者さんが大変数が多かった結核の予防法であり、これは人権を尊重した法律でございます。もう一つは、廃止されたらい予防法、あるいは今回廃止されようとしているエイズ予防法のような社会防衛に基づく予防法でございます。  この二つの法律は、比べてみますと、一方は人権に配慮し、尊重した法律であり、一方は予防に配慮し、予防に重点を置いた社会防衛の法律でございます。この二つの流れの関係が、今回の法案を審議する上での資料としては十分に盛り込まれていないために、先生方の判断の誤りを導くように思われます。  私は、今回のこの感染症の予防法は、後者の流れに属し、社会防衛の思想が強く反映され、感染症の脅威を強調する余り、人々に恐怖感を植えつけると思います。すなわち、この法案は、感染症に恐怖の予防アプローチをとっており、感染者に対する差別を引き起こす可能性が高いと思います。患者さんを犯罪者扱いする場面が想定できます。  三番目に、この法案には、感染症の地球規模の性格が反映されておりません。CDC、アメリカの疾病対策予防センター関連の資料の紹介が不適切であります。  CDCは四つの戦略を立て、新興・再興感染症に対応しようとしておりますが、その第一の戦略は、柔軟なセンティネルサーベイランスであります。この疾病監視の方法は、WHOも、感染症の教科書において取り上げてございます。疫学と申しますのは、防疫、検疫の疫でございますが、その学問的基礎をなすWHOの教科書におきまして、感染症のサーベイランスはセンティネルサーベイランスとするということがはっきりと書かれております。残念ながら、我が国のサーベイランスは定点観測の仕組みをとっており、今回の法案はこの体制を維持しようとしております。  また、CDCの戦略の二では、地域住民の行動研究が中心課題と据えられておりますが、この法案の審議の資料ではそれが病理研究等に重点が置きかえられて紹介されております。このため、実験室のレベルで有効だとしても、実際の、現実の地域というフィールドでどの程度対策の効果が発揮できるかが不明であります。CDCの戦略は、住民中心の戦略を感染症対策にとっておりますが、この法案では、むしろ中心は専門家に置かれ、主体が逆転しております。  また、この法案は、各界からその実効性が疑問視されている輸入感染症の水際作戦、すなわち、国内における防疫体制、国際場面における検疫体制を温存しております。防疫と検疫は連携するだけでは不十分であり、検疫法も統合した総合的な感染症法案が必要となると思います。  また、WHOは、来年、国際保健規則を改定し、これまでの病名の方法を廃止し、症状という新しい方法を採用いたします。症状に基づく感染症対策は、病名の診断に基づく対策よりも時間的に早く、病気を固定化しない点で柔軟性に富みます。この法案では、一類から四類までの病名を挙げており、病名を挙げることによって、原因は究明できても、差別を助長し、実際の予防対策は実効性に欠けると思われます。また、来年から制定される新国際保健規則という国際法との整合性にも欠け、WHOの提唱しているEMC体制、地球規模の新興及び他の感染症の監視と対策という体制には適合しないと思われます。  このセンティネルサーベイランス、症状に基づく疾病監視体制は途上国向きであるという御意見が出されているようですが、現実には、米国でも既に取り組まれておりまして、国内向けのセンティネルサーベイランスが幾つか既に実施されております。  最後に、この法案は、我が国の感染症対策の現状に対する基本的認識に欠けていると思います。  感染症の中では、我が国では結核の罹患率が最も高いわけですが、この水準は、国際的に見まして、先進国の約十倍、我が国の感染症の水準はむしろ途上国に近く、東欧と同じ水準にございます。結核の対策は、医学的にも法的にも社会的にも、あらゆる面で最も進んだ我が国の法律でございますが、この法律にして、いまだ日本の結核対策の水準は先進国の水準に達しておりません。しかし、この法案では、あたかも日本の感染症並びに感染症対策の水準が先進国であるかのような錯覚にとらわれているように思われます。こういった意味で、我が国の感染症の現状に対する、あるいは感染症対策の現状に対する基本的認識がこの法案には欠けていると思います。  欧米諸国では、エイズの対策以来、公衆衛生法規全般の改革に取り組んでおります。この最も大きな論点は、人権と強制措置の調整にあります。WHOあるいはオックスフォード大学から出版されております世界的な公衆衛生学の出版物にもこれらの点は明記されておりますが、これら欧米諸国の情勢がこの法案では検討されておりません。  また、我が国の厚生法規全般を見ましても、老人保健法、精神保健法、母子保健法等、保健・福祉法がその主流を占めるようになっております。その中で本法案のみが予防法という名前をつけているのは、時代錯誤の感があると思われます。むしろ私は、この法案は刑法の発想で、取り締まりを目的として書かれているのではないかという印象を受けます。このような人権軽視の感染症法案が成立することは、私たちの子孫の、未来社会への責任という意味で大変憂慮する事態であると思います。  結論といたしまして、WHOが来年国際保健規則を改定し、また、先進諸国は現在、公衆衛生法規の改革を進めております。こういった中で、我が国は新興・再興感染症の対策を積極的に進めつつも、この法案の審議は慎重を期し、いたずらに採択を急ぐことなく、公衆衛生審議会の法案関係者を一新した上で、法案の再検討をすることを提言いたしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 どうもありがとうございました。  次に、伊藤参考人にお願いいたします。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 堺市環境保健局長の伊藤でございます。よろしくお願いいたします。  一昨年のO157集団下痢症に関しましては、国、大阪府を初め多くの医療機関や各自治体、各関係機関等の御支援、御協力を賜りました。厚く御礼申し上げます。  それでは、一昨年の本市におきますO157集団下痢症の経過から御説明申し上げます。  平成八年七月十三日午前十時ごろ、市立堺病院より、十二日の夜間診療で、下痢、血便を主症状とする小学校の患者十名を診察したとの通報が本市衛生部にありました。同様の情報が他の医療機関からも寄せられ、学童の集団食中毒を疑い調査を始めたところ、十三日時点で、市内三十三小学校、二百五十五名の学童の下痢患者が受診していると判明したため、十三日午後三時、私を本部長として、堺市学童集団下痢症対策本部を設置いたしました。その後、情報収集、医療体制確保、原因究明等の活動を開始したところでございます。  十四日には、本市衛生研究所において、有症者検便二十六検体中十三検体から腸管出血性大腸菌O157を検出、今回の学童集団下痢症の原因菌と断定したところでございます。  また、十五日には、市民の不安の解消を図るため、医療相談ホットラインを二十四時間体制で開設いたしました。  患者数は、その後、日を追って増加してまいりました。市の全組織を挙げて対策に取り組むべく、十六日、市長を対策本部長にしたところでございます。  また、十七日には、厚生省、大阪府、堺市によります原因究明三者連絡調整会議が発足し、あわせて医療機関確保等の支援体制もできたところでございます。  十七日ごろから、各医療機関より、溶血性尿毒症症候群の発症状況の報告が寄せられ、あわせて、血液透析等の高度医療を要する、そういう要望のため、転院の要請が相次ぐ一方で、HUS非発症の患者家族の不安も増大してまいりました。行政、医療機関ともに対応に苦慮することとなりました。  二十三日、十歳の女子児童がHUSで死亡、また意識障害の認められる重体患者がいることも各医療機関より伝えられたところでございます。  そのため、財団法人大阪府救急医療情報センターなどの全面的な協力を得まして、三次救急医療機関への転送を進めるとともに、夜間、休日の一次診療体制では、平常の医療体制に加えまして、十病院で二十四時間の診療体制を確立したところでございます。  市民の不安が増大する中で、啓発活動、広報活動、並びに公共施設の消毒、消毒液の全世帯配布、保健婦、教師による患者宅への訪問指導活動、飲用水の衛生確保の検査、無料検便等の対策を進める一方、市内各種団体によりますO157対策啓発市民会議が設立され、O157に関する正しい知識普及や正しい対応方法についての学習会の実施や運動を推進してまいったところでございます。  二十一日より開始いたしました市民への無料検便での菌陽性者に対しましては、二十七日より予防投薬等の指導を保健所で行い、七月末からは小中学生、幼稚園児の一斉検便を実施し、菌陽性者への投薬、指導を各医療機関へ依頼しました。  一方、感染するからといじめられたり、堺市民ということでホテル等の宿泊施設から断られたり、勤務先から退職を言い渡されたり、こういった人権に関する問題が発生してまいりました。そのため、人権問題対策プロジェクトチームを設置し、正しい知識の普及に努めるとともに、大阪弁護士会の御協力を得まして、電話のホットラインに弁護士による相談を開始したところでございます。  また、八月六日には、腸管出血性大腸菌感染症が指定伝染病に指定されました。  このような状況の中、重症患者にもようやく回復の兆しが見え、患者数も日を迫って減少してきましたが、八月十六日に、重体であった十二歳の女子児童が死亡いたしました。  市民生活も徐々に落ちつきを取り戻し、重症患者も九月末にはほとんど退院したことから、今回の腸管出血性大腸菌O157による集団下痢症に関しまして、二次感染のおそれも去った、そういう判断をもって十一月一日に安全宣言を行い、同日、原因究明の調査結果を発表したところでございます。  給食の再開につきましては、学校給食検討委員会において検討し、十一月十九日より再開しました。  また、十一月に補償対策室を設置いたしまして、十二月から全庁体制で補償交渉に取り組み、平成十年四月末現在、補償対象者九千百十九人のうち九千四十八人と合意が得られたところでございます。  また、平成九年二月一日に、重体で入院中の七歳女子児童が死亡し、学童集団下痢症による死亡者は三名となりました。  後遺症につきましては、堺市医師会、関係各医療機関の協力を得まして、平成九年二月から、経過観察のための検診を開始しているところでございます。  以上が一昨年のO157集団下痢症の概要であります。  このことによりまして、本市におきましては、マンパワーを集中化し機動力を確保し、組織的、広域的対応を実施するため、平成九年四月、衛生部の機構改革を行いました。  また、大規模食中毒及び感染症等の発生を未然に防止するとともに、発生時の対応のより一層迅速化、効率化を図ることを目的といたしまして、食中毒及び感染症等対策基本指針を策定したところでございます。  また、平成十年三月二十五日には、堺市議会において健康都市宣言に関する決議が全会一致で可決され、同日、それを受け、市民一人一人が健やかで生き生き暮らせる町を目指して健康都市宣言を行い、健康都市堺の実現を目指しているところでございます。  では、次に、大規模なO157集団下痢症を経験した行政といたしまして、新法に対する意見でございますが、まず、感染症の拡大防止に向けての取り組みに関してであります。  大規模で患者が重篤な集団感染が起きたときこそ、自治体として適切な対応が必要となりますが、事態が広くて深いほど、その対策を立てるための基礎である現状把握が極めて困難な状態になります。  新法では、国の責務として、感染症に関する情報の収集等の推進と、地方公共団体への技術的援助及び財政的援助の明記に加え、感染症の病原体等の検査体制の整備が提案されておりますが、大規模であるほど国の支援が必要である、このように考えております。  また、必要であれば患者等に質問し、必要な調査についての第十五条につきましては、現状把握と新たな患者発生を防ぐ責務を持つ我々自治体といたしましては当然のことと考えております。  次に、健康診断、就業規制の点についてでありますが、合理的な理由を提示し、十分な説明と同意の上で、でき得る限り強権の発動は避けるべきかと考えております。  また、場合によっては人権にかかわる新法は、細菌学の発展あるいは治療の進歩に応じて、人権に配慮した、時代に適応した柔軟な法律であってほしい、このように希望いたしております。  最後に、治療が適切になされ、元気になることが患者さんにとって最大の希望であり、人権への最高の配慮と言ってよいと思います。その意味で、医療機関や医師の任務は重大と考えております。さらに、今後国が定める基本指針、それに即して都道府県がつくる予防計画についても新法は規定しておりますが、この基本指針と予防計画に大きな期待を持っているところでございます。  ありがとうございました。(拍手)

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 どうもありがとうございました。  次に、早川参考人にお願いいたします。

早川雅人東京HIV訴訟原告団事務局長

○早川参考人 東京HIV訴訟原告団の事務局長の早川と申します。よろしくお願いします。  私たちは、裁判の和解以降、一貫してエイズ予防法の廃止と反省、謝罪を求めてまいりました。  このエイズ予防法の制定について今振り返ると、薬害エイズ事件の対応に厚生省が追われた八三年から実に五年以上もたった後でエイズ予防法は制定されるという経過をたどっています。  その制定前夜は、既に多くの血友病患者が発症し、亡くなる人も出てきていたときで、血友病患者会の役員は、厚生省に出かけて病院の受け入れ体制の整備を要請したり、登園拒否に遭った幼稚園児を復園させたりするための要請をしたり、実際に受け入れてくれる病院を探したりなど、血友病患者に降りかかった非常事態に八万手を尽くしていた時期でした。このころは、エイズ感染者のほぼ全員が血友病患者であったころです。  しかし、松本、神戸、高知と女性エイズ患者の存在が次々と明らかになり、マスコミが報道合戦を繰り広げ、国じゅうにパニックが広がりました。八七年のことです。そして、感染力もごく弱く、生活に気をつけていれば十分に防げる病気から一気に恐怖の死病となっていき、血友病患者もハイリスクグループ、感染源としてクローズアップされていきました。さらに、そのパニックと競い合うかのように、エイズについての法律の準備状況が報道され、ついには血友病患者が反対する中で制定されていったのです。  エイズ予防法は、我々にとり何の役にも立ちませんでした。この法律は、健康な人のためだけの法律だったからです。  一方で、私たちには、第六条で「感染者は、人にエイズの病原体を感染させるおそれが著しい行為をしてはならない。」という規制を負わされました。全く理解に苦しむ条文でした。というのも、私たちは千八百人に上る感染者を出すという著しい行為を国、製薬企業から受けたのですから。なのに、その責任は棚上げして、私たちに対して「感染させるおそれが著しい行為をしてはならない。」というのは、何という傲慢なのでしょうか。二千人近くに感染させておいて、感染させるおそれが著しい行為をするなというこの大きな矛盾は、血友病感染被害者の心に薬害エイズの被害の一つとして刻み込まれました。  診療忌避も多発しました。診療忌避というと聞こえはいいですが、要は医者から嫌われたわけです。エイズは来るなというわけです。とりわけ、地方の実情は悲惨でした。よりよいHIVの医療を求めて転院するなど、夢のまた夢でした。厚生省が打ち出したエイズ拠点病院構想も、病院の選定が全く進まず、まるで日本じゅうの病院がエイズを診たくないと言っているようでした。私たちは、このような状況から自分や友人や子供や夫を守ってくれるような法律が欲しかったと思っています。  さて、和解後、私たちはエイズ予防法の制定過程について明らかにしてほしいと求めてきました。それは、薬害エイズ事件の被害実態を当時どのように厚生省が認識し、どのような視点でこの法律を準備したかが知りたいからです。  八八年九月二十七日付で全国ヘモフィリア友の会が厚生省に提出した「要望書」は、現在の薬害エイズ被害者救済の原形を網羅しており、エイズ予防法案の廃案も要望されておりました。和解後の今読み返しても、全く正しい内容であります。このたび衆議院調査局によって予備的調査の報告書が出されましたが、それにも資料として添付してあり、担当者には十分にその趣旨が伝えられていたことは明らかです。血友病患者がどんどん倒れていく中で、一体厚生省は何を考えながらエイズ予防法を準備していったのでしょうか。  厚生大臣は、前回の厚生委員会で、エイズ予防法は制定当時としては適切であったとお答えになりました。しかし、それは単に、国会で審議して成立したものであるという意味にしか受け取れません。法律が適切であったかどうかは、一定期間運用され廃止される今こそ検証される重要な機会であり、十年間の重みと廃止すべき相当の理由をもって廃止されるべきだと私たちは考えます。  エイズ予防法は、新しい法律ができたから廃止しますという程度のものだったのでしょうか。  エイズ予防法は、制定以降今日まで、患者にとっては何の役にも立ちませんでした。薬の少ない一番苦労の多かったときに、この法律が予防一辺倒の行政のよりどころとなりました。  制定当時は有効な治療法がなかったという認識を持っている人がいますが、それは違います。既に国内では、現在も治療の中心であるAZTが手に入っていました。そして、各種の日和見感染症への治療も飛躍的に進んでいました。治療法はあったのです。治療法がないという認識は、エイズ予防キャンペーンでも強調され、エイズに対して偏見を助長しました。エイズ予防法は、提供されるべき治療が何もないという偏見が下地にある法律なのです。  私たちにとりエイズ予防法は、百害あって一利なしでした。有効な治療法がない状況で一刻も早く予防措置をとる必要があったという認識自体が、既に偏見だったのです。そして、次々に有効な治療法が開発されても、法律は見直されることなく、つい最近も、一番の薬は予防ですというキャンペーンが自治体によって行われ、訂正を申し入れたりしています。  私は、エイズ予防法は偏見に立脚した脆弱な法律だと確信しております。  一昨年から、感染症全般について法律の抜本的な見直しを行うという厚生省の態度は、期待を抱かせるものでした。私も、許す限り公衆衛生審議会の基本問題検討小委員会の傍聴を行い、議論の行方を見守りました。そして、患者が健康を回復する権利、医療を予防の中心に据えるなど患者の人権を意識した提言が「報告書」として答申され、方針の転換が提言されました。  しかし、新法案も明らかに、健康な人のためだけの法律として準備されていました。どう見ても、健康な人が絶対的に多数で、感染者と患者は国民のごく少数であるという前提に立つ法律であり、地域で十人単位の感染患者が発生したら破綻してしまいそうな法律です。それくらい患者の医療については何も条項がありませんでした。そして、さまざまな方の努力で法律の名前に医療がついたりしましたが、条文として次に述べる点が決定的に欠落しています。  それは、患者・感染者の人権の保護と差別禁止の条項です。これらはエイズ予防法も全く欠落しており、一番私たちが実生活の上で苦労しているところです。  まず、患者・感染者の人権の保護とは、条文に見られるようなプライバシーの保護のように限局的なものではありません。良質で適切な医療を受ける権利があるという条項であって、患者は健康を回復する権利があるという条項であります。これらについては、条文として明記していただきたいのです。この条文が未知の感染症で隔離された患者にとっては大切な命綱となります。  そして、感染症患者についての、感染症を理由として差別してはならないという最も基本的な差別禁止条項の設置であります。これが未知の感染症で隔離されていった患者が社会復帰するときに絶対に必要な命綱になります。  らい予防法とエイズ予防法の廃止の重みを受けた検証、そして反省があること、患者・感染者の医療を受ける権利の具体的な内容を法律に定めること、差別禁止の条項を加えること、この三点が盛り込まれるべきであります。  また、感染症医療の具体的な政策の中身が今後どうなっていくのかは、国会審議を傍聴していてもほとんど見えてきません。エイズ患者の医療については、やるやるとは言っても、HIV訴訟の和解があってやっと厚生省は取り組み始めたではありませんか。  まだ国会審議は不十分です。特に、当事者の意見をもっと聞くべきだと思います。衆議院厚生委員会は、薬害エイズ被害者が委員の一人として参加している、世界でも例のない国政審議の場であります。この審議において私たちの訴えが届かなければ、この日本の国のどこで私たちの声が反映されるというのでしょうか。私たちは、エイズ予防法の反省を新しい法律に生かしていただきたいのです。私たちの犠牲が次の日本に生かされてこそ、この運命のめぐり合わせを背負いつつ、誇りを持って生きていくことができるのです。  以上です。(拍手)

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。能勢和子さん。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 私は、自由民主党の能勢和子でございます。  きょうは、参考人の皆様方にはお忙しい中、この厚生委員会にお見えいただきましてありがとうございました。  皆様方の御意見を聞きながら、私も改めて感じたわけでありますけれども、感染者になりました者からいえば、感染者の人権を言うならば、私はやはり、最高の医療が受けられる、適切な医療が受けられることこそ、本当に人権が守られたことになるというふうに感じましたと同時に、また、国民の人権を言うならば、感染が早く食いとめられて、感染に対する対策ができることが、最も国民の人権を守ることになるだろうと思っております。  現在における新興感染症あるいは再興感染症等の脅威を考えますときに、この法案は一日も早く成立させて、運用させていかなければならないというふうに考えております。  そして、先ほど竹田先生からも、この新法がすべてを包括しようとしている法案であるということを聞きますときに、先ほど来出ております意見の中で、精神保健法等の問題も出ておりましたが、長期の入院の皆様というのは、本当にこれは、大変人権が重視されなければいけませんでしょうし、感染症に関しましては、むしろ早期治療がまさに急務であり、危機管理をすることの方が、まさにこれが人権であるというふうに思っております。  そこで、竹田先生にお尋ねいたします。  感染症に関しますことで、基礎医学等の専門家は、この法案で本当にきちっと危機管理ができるとお考えなんでございましょうか。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 先ほど、私の意見陳述の中で申しましたように、この法案に関しまして、基礎細菌学ないしは基礎感染症学の専門家の間にも、いろいろな意見があります。  そのいろいろな意見の中で、私先ほど申し上げましたように、議論を分けて考えていただかないといけません。すなわち、ここで、言うならば一類感染症のことを話しているのか、二類感染症のことを話しているのか、四類感染症のことを話しているのか。  一類感染症に関しては、この法案は不備であるという意見が専門家の間で非常に強いということを申しておきます。それから、四類感染症に関しましては、現行法と違いまして、入院の規定もございませんし、一般病棟で治療ができることになっております。したがいまして、本人が疾病であるということも、プライバシーの点においても差別の点においてもわからないようになっております。すなわち、先生方が例えば糖尿病で入院しておられて、その隣に四類感染症の患者が存在するというふうな感じの法になっております。そのこと自身に関しましても、専門家の間では危惧がございます。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 私も本当に、人権にだれしも重点を置くわけでありますけれども、そのことに力が行き過ぎて危機管理が不十分になってはならない、感染が蔓延する、広がっていくようなことがあってはならないというふうに思うわけであります。  そして、このたび出ました法案の中に、入院勧告制度とか七十二時間応急入院制度とか、あるいは感染症の指定医療機関等々の話が出ておりますけれども、このために大変時間が手間取ることがあって、治療をまず早期に始めなければいけないことがおくれるようなことがあってはならないと思うわけでありますが、先生、その点いかがでございましょうか。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 基本問題検討小委員会の中に、保健所の所長先生がいらっしゃいました。この保健所の所長先生の御意見としては、これでは困るという意見が非常に強くありました。すなわち、保健所長に権限を持たせていただけないのですかという意見がございました。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 わかりました。  続きまして、光石参考人にお尋ねいたしたいと思います。  先ほど、三名の名前で公衆衛生審議会長様に上申したということでありますが、三人以外の委員は、なぜ名前が載っていないのかということです。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 二月の初旬に制定要綱なるものが送られてまいりまして、実に時間的に間がなくて、とりあえず電話連絡をし合って意見を交換し合った結果、ほぼ一致した三名だけが名前を連ねたということであります。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 同じく光石参考人に、先ほど来、報告書と法案に断絶があるというふうに言っておられますけれども、先ほど言いました入院勧告制度とかあるいは七十二時間の応急入院、感染症の指定医療機関等々の問題について、具体的に、そこに乖離があるんでしょうか。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 ありがとうございます。  この法案では、七十二時間の強制入院の場合の手続保障がないです。ところが、小委員会の報告した協議会の場合は、七十二時間の強制入院の事後評価を行うとしていたんです。この点がまず違います。  それから第二点は、法案では、引き続いての強制入院について、協議会は意見を聞かれるだけの存在です。ところが、小委員会の報告書では、協議会はみずから判断ないしは評価を行うと、非常に重要な存在だったんです。  それから、法案は、七十二時間の強制入院に引き続いての強制入院についてだけ、行政のやったことを行政が審査する、そういう制度を認めていますけれども、行政が行政のことを審査するのでは、独立かつ公正な審査機関での審査を認めていないのです。  こういう点は、端的な一例ですけれども、報告書を反映していないと思っております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 私たちは、実は看護の現場にいた者でありまして、医療の現場にいた者で、私も看護部長として現場の中に働いていたわけでありますけれども、行政の関係ではむしろ、七十二時間、三日間の入院の制限といっても、患者様にとっては、受け入れる施設があることが一番、先ほど、エイズの方がなかなか受け入れられないという問題がありましたけれども、病気になって直ちにそういう指定医療機関に入れて治療を受けられるということが最も望んでいること、皆さん多分、きょうお見えのどなたにとってみても、私が病気になったときに直ちに受け入れていただく、最高の治療も受けられるということが一番大事であって、その中で専門家に治療経過を判断いただくということは大事でありますけれども、十日ごとの審査とか、あるいは三十日超えて審査というのは、本当に必要であるか。かえってこれは手間取るのではないかと思うわけでありますが、それは私の気持ちであります。  そこで、それでは光石参考人にお尋ねしますけれども、現在の伝染病予防法、エイズ予防法あるいは性病予防法の三つの法案をまとめて、今この法案を中心にやっておるわけですけれども、この新しい法案を中心に議論を進めた方がよいと思っていらっしゃいますか。過去の法案をそのまま置いた方がいいと考えていらっしゃるわけでしょうか。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 もちろん、この法案で包括的に規定することが正しいと思いますが、ただし、抜本的な見直しが必要であると申し上げました。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 続いて、小池参考人にお尋ねいたします。  先生は医療の現場にいらっしゃるわけでありますけれども、感染症対策を進めていくには、行政だけでは幾ら頑張ってみても実効はないわけでありまして、私たち現場の医療関係者の協力が不可欠であります。  現場の医療関係者の代表者として、先生は、この法案について賛成されるのか、問題があると考えられるかということをまず聞きたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

小池麒一郎日本医師会常任理事

○小池参考人 賛成であります。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 先ほど、赤痢の問題も出ておりましたけれども、私は、現在のこの法案の中でもしもっと訴えるとすれば、今の法案を順番に踏んでいって、患者等の人権尊重に配慮して入院手続云々と、こんなに時間をかけてやったときに、現在は赤痢の患者さんも少ないし、十分、七十二時間に対応し、そしてまた十日間の審査をし、あるいはまた、続けて三十日ということができるでありましょうけれども、先はどのように、一度に七百人の集団発生があった場合に、果たして、地域を超えて、あるいは国のもとにその患者さんの受け入れ等々が大丈夫だろうか。いわゆる危機管理についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。

小池麒一郎日本医師会常任理事

○小池参考人 ケース・バイ‘ケースであろうと思いますけれども、非常に重篤な第一類、あるいは第二類でも、重症のものが多発した場合には、現行の指定感染症病棟では収容できない、一部流用するという臨時の措置をとらざるを得ないということが実態であろうと思います。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 ありがとうございました。  もう一つこの法案の中で私も思いますのが、先生にお尋ねしたいのが、医療経済を考えた場合、もちろん人権が大事、感染予防が一番でありますけれども、私たちも知っておかなければならない、ここに来ていらっしゃる皆さんも頭に入れていただきたいと思いますのが、この感染症の指定医療機関になりますと、当然ベッドが常にあいている状態というのが一番理想的であります。しかし、そこには人員の確保も要ります、その他すべての整備が要るわけでありますが、そのあたりについて、この委員会でも話が出たのでありましょうか、なかったのでありましょうか。

小池麒一郎日本医師会常任理事

○小池参考人 一部審議されました。  私が考えておりましたのは、要するに安全の保障、国民の健康と生命の安全の保障という観点から見ますと、ある程度むだというものが必要なのではないかというふうに思っております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 それは私たちも、今先生申されましたように、大変なことではあるけれども、国民の健康を守るというサイドから、常に空床であること、予防医学を進めてベッドは常にあいているという状況へ持っていくのが理想でありますので、そこらも含めて、厚生省、私たちも考えなければいけないのが、常にその体制、常に万全を期していざというときには活動できる状況であり、しかも常にベッドがあいている、そのための人件費等々の医療経済のことも私たちは頭に入れておかなければいけないと思ったわけであります。  続きましてお尋ねしたいわけでありますが、感染症の一番のねらいは、予防ということに力を入れなければいけないし、もしもそれでもかかれば、いわゆる早期治療が、救命ということが一番大事であります。  一昨年でありましたが、大変老人の中に蔓延いたしましたインフルエンザがあったわけであります。これらはいわゆる予防ワクチンによって随分予防できたのではないかというふうに思うわけでありますけれども、先ほど来出ておりますいろいろなマスコミ等々の批判もあったわけでありましょう、このワクチンが製造中止になって、さあというときに間に合いませんでした。  これからは予防にも随分力を入れていかなければいけない、大きなねらいであるわけですけれども、このことについて、私は、特にインフルエンザワクチン等につきましては、厚生省、国を挙げて、あるいは国の指導のもとに推進する意味でこの委員会の中でも取り上げていただきたいと思ったわけでありますが、いかがでしょうか。

小池麒一郎日本医師会常任理事

○小池参考人 先生の御意見に全く賛成でございまして、我が国の例えばインフルエンザの予防接種率というものは、欧米に比して著しく低下しております。これは、任意接種になりましたことに伴いまして費用弁償あるいは自己責任の問題というのが大きく絡まってまいりまして、予防接種率の低下を起こしております。その結果、老人の収容施設、あるいは乳幼児の脳症、脳炎の多発という現象を見ていることは間違いありません。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 ありがとうございました。  続きまして、松田先生にお尋ねいたしたいと思います。  この基本問題小委員会はすべて公開で審議が進められたと聞いておりますけれども、先生はこの会に出席されてお聞きになられたのでしょうか、いかがでありましょうか。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 委員会そのものには出席したことはございませんが、公開された資料は拝見しております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 先ほど先生の御意見をお伺いしますと、大変人権の問題について述べられて、今回のこれは不備であるというふうなお話がございました。それでは、これからの感染対策には私は国民の健康を守るという観点も決して忘れてはならないと考えているものでありますけれども、この問題を、人権という角度だけでなくて、危機管理の視点からという点ではどのようにお考えでございましょうか。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 国民の健康を守るということと人権は矛盾することではなく、一体のものだと思います。むしろ、危険であるのは、危機管理ということが優先されて感染症に対する脅威が余りにも誇張されていくために、人々の恐怖心があおられることだと思います。これが国民の健康と人権の遊離を招く最も大きな原因ではないかと思います。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 ありがとうございました。  それでは、先生、今回の感染症の法案につきまして、従来ありました伝染病予防法、エイズ予防法、性病予防法の三法が残る方がよいとはお考えでないと思うわけですけれども、この新しい法案を中心に議論を進めて採択していったらいいというお考えでございましょうか。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 方向性といたしましては新しい法案を検討していただくことが最も望ましいと思いますが、来年度、世界の情勢は大きく変わる時期にございますので、世界の情勢を見た上で、来年以降までこの採択を延ばしていただく方がよりよいのではないかと思います。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 ありがとうございました。  続きまして、伊藤参考人にお尋ねいたします。  先ほど堺市のO157の集団感染に関係いたしまして、その感染対策につき、あるいは危機管理の観点からも大変貴重な御意見をるる聞かせていただきました。その経験から見てこの法案はいかがでありましょうか。完備であろうとお考えでしょうか、いかがでございましょうか。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 私どもの一昨年の感染症対策、この危機管理の視点という部分につきましては、我々今まで例にない大規模なものでありまして、危機管理体制のマニュアル化がされていなかったということもございますが、仮にマニュアル化されていても今回の規模に対応できたかどうか、自信はございません。  とにかく随所に混乱を来したことは確かでございまして、当時、O157に対処するための情報が少なく、治療に関する情報も十分とは言えませんでした。医療機関においても同様の不安があったとお聞きしております。  したがいまして、さきの意見でも申しましたとおり、新法での情報の収集等の推進と地方公共団体への技術的支援、援助及び財政的援助など、大規模であるほど国の支援が必要である、このように考えております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 わかりました。  続きまして、今の御報告を聞きながら、今回の堺市のO157の集団感染の経験から、感染症が実際に発生してからの対応ではなくて、いわゆる関係機関とふだんから連携、感染症の発生動向調査など、事前の対応というのが、その構築が大変大事になってくると思うわけですけれども、そのような観点から、この感染症の法案は十分に配慮されていると思えますでしょうか、いかがでしょうか。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 今回の法案の第二章、基本指針におきまして、感染症の発生予防のための施策に関する事項、感染症の蔓延防止に関する事項その他医療体制の確保、予防に関する人材の育成、啓発及び知識の普及に関する事項、これらが定められております。この対策が各市町村まで必ず浸透するよう具体的に推し進めていただきますよう期待するものでございます。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 ありがとうございました。  伊藤参考人に、最後に、国と地方公共団体の連携の問題でもし提言がございましたらこの場でお聞かせいただきたいと思います。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 先ほども申しましたように、我々の情報にかなりの不足があったということで、感染症に関する情報が集中する国立感染症研究所、こういったところと各市町村と常に日ごろから、平常時からの連携が大切か、このように考えております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 ありがとうございました。  最後になりました。早川参考人にお尋ねいたします。  私たちも、エイズのことにつきましては、医療機関に自信がなくて、今も出ましたように、次々と回しがあったというようなことを聞きますと胸の痛む思いがありますけれども、やはりそうした患者さんを受け入れるためには、もちろん医療者全体が勉強もしなければなりませんし、隅々まで、職員全体がそういう知識とか、あるいは設備がないことには受け入れられないというような状況であったわけでありますが、その差別・偏見を排除するということは、この法律の中でうたうのが大事なのか。あるいは、法律でどんなにうたっても、国民一人一人が認識しているということが重要であり、やはり普及活動というのは私たちもやっていかなければならないと思うわけであります。今の法律にも十分人権についての表現はされていると私は思っておるわけですけれども、今の説明から、この感染症の法案について、伝染病予防法、エイズ予防法、性病予防法の三法がまとまった形で、新しくこの法案を中心に議論を進めた方がいいと私は思うわけですが、そのあたりで、今るる述べられましたけれども、人権の問題だけに不満があるのか、あるいは中身すべてをしっかり見直さなければならないというお考えなんでありましょうか、お伺いいたします。

早川雅人東京HIV訴訟原告団事務局長

○早川参考人 もう一度、全般的に見直していただきたいと思っています。  私は、エイズ予防法については、やはり治療法がないとか怖い病気であるとか、それは偏った見方、つまり偏見の上で、そういうものが全般的にある雰囲気の中で立脚した法律だと思っております。  今回の新感染症法も、議論を聞いておりますと、危機管理と人権とがぶつかり合うかのような、危機管理を優先するのか、人権を優先するのかというふうな議論がされているような形を感じておりますが、あくまでも私どもの言っております患者の人権というのはぶつかり合うものではないと考えておりますから、そういう論点から、もう一度この法案を検討していただきたいと思っております。ですから、人権のところだけがこの法案の中で表現されればそれで十分かというと、私はそうではないと考えております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 私は、エイズの患者さんにしろ、人権というのは、日本であれ、世界でもいいわけですけれども、最高の医療が受けられる、最善の医療が受けられることが何よりも人権が保障されているということだろうと考えます。その医療が受けられなかったという施設においての問題はありますけれども、医療が受けられることが最大の人権の保障であり、国民にとってみれば、国がそれを蔓延することをとどめるということがまた国民に対する最高の人権を保障することになるのではないかというふうに思うわけです。私は、どちらかといえば、長期入院いたします例えば精神障害者について、これは医療よりも大変人権が優先されなければならない部分があると思いますけれども、感染症に関しては、早期治療と救命というのが何よりも、そして危機管理というのが何よりも人権の保障になるのではないかというふうに考えているわけです。  最後に、竹田先生は、このたびの基本問題小委員会の委員長としてこの法案をまとめられたわけでありますが、委員長としてこの法案に対する思い、あるいはこの法案の成立に向けての感想、こうしたことについて、やはり今、国会で審議されるまでに至ったわけでありますが、この法案、やはりよかったという思いで出していただいたと思うわけでありますが、今意見交換なんかを聞かれて、あと御意見をちょうだいしたいと思います。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 新興・再興感染症が世界の政治の舞台で語られておりまして、残念ながら学会のレベルでまだ十分にそれが議論されていないということで、感染症というものが学問の場でもう少し語られなくてはならないということであります。  したがいまして、新興・再興感染症の恐怖という問題が、先ほども参考人から話がありましたが、私どもは恐怖をあおるつもりは全くございません。しかし、今の実情からいいますと、二十一世紀に向かって、いかなる感染症が我が国に入ってくるかもしれないという担保をしておかないと、そのときになって法を考えたのでは遅いという考え方であります。  それで、基本問題検討小委員会では、決して人権の尊重と危機管理が二律背反で議論されたわけではございません。先ほど申し上げましたように、人権の議論のときには四類感染症のことを中心に議論されており、危機管理のときには一類感染症のことを議論されております。したがいまして、人権を議論するときには、何を考えているかということを分けて考えていただきたい。  もう一つ、人権とは何ぞやということになりますと、私どもは、憲法で言う基本的人権がこの健康政策における人権とは考えておりません。先ほど来お話がありますように、WHOがIHRの改定を考えておりますが、この中での人権というのは、メディカルサービスにアクセスできる権利、これが第一であります。それから第二は、差別されない権利、それからプライバシーの権利及び入院の手続保障の権利、この四つに規定されております。  この四つは報告書の中にも十分に書き込まれておりまして、先ほど参考人の先生が、要綱と大変な差があると申されましたが、私は要綱と報告書の中に差があるとは思いません。要綱の中にも、現在審議をお願いしております法律の中にも、このWHOのIHRに言われる人権は十分に含まれていると考えております。

能勢和子自由民主党

○能勢委員 どうもありがとうございました。時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 家西悟君。

家西悟民主党

○家西委員 きょうはお忙しい中、厚生委員会においでいただきまして、まことにありがとうございます。大変貴重な御意見だと思うので、時間もありませんので、質問を端的にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  私ども民主党として、今回、本法案につきまして、修正案を提出いたしました。既にごらんいただいたと思いますが、私どもの修正案について、二点にわたり、まず参考人にお尋ねいたします。  まず一点目については、私ども、らい予防法、エイズ予防法制定について、過去の反省を盛り込んだ前文を加えることを提案していますが、これについてどうお考えになっておられるでしょうか。  第二点目、医師の通知義務についてですが、医師は、都道府県知事については通知する義務を担っていますが、原案では、患者に対しては何ら通知義務を担っておりません。このことについて、国際的に判断してどうなのか、法律的に見てどうなのか、医師の立場から見てどう見るのか、患者の立場から見てどうなるのか。それぞれ、松田参考人、光石参考人、小池参考人、そして早川参考人に御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 修正を加えられるということで、二点につきましては、まず第一点の、前文に反省等々の文言を入れるということですが、これはその方がよろしいと思います。理由は、既に申し上げましたように、予防法には二つの流れの系譜がございまして、この法律が、いわゆるらい予防法、エイズ予防法の轍を踏まないということを明確にするためには、前文にそのような文言を入れられた方がよろしいかと思います。  また、第二点の通知の義務についてでありますが、これは患者の権利あるいはインフォームド・コンセント等、患者さん本人が、たとえそれが重大な疾病であっても、まずそのことを知らなければいけない。あるいは、患者さん御本人の同意なしに患者さんに関する情報をほかの方にお伝えすることは医師の本分に反することだと思いますので、まずもって患者さんにお伝えすることが優先されるべきだと思います。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 第一点、前文を加えることが必須であると思います。大賛成です。  それというのも、たった今この参考人の間でも、例えば憲法の人権保障ではないのだというような考え方とか、あるいは一類は危機管理、四類は人権というような考え方が示されておりますけれども、あるいは手続保障は十分だというような考え方が示されておりますけれども、結局過去から何も学ばないと文字づらだけで危機管理をやろうということになりまして、私が先ほど何度も申し上げましたように、人権の尊重とそれから公衆衛生の推進が調和するのだということを没却することになると思います。  それから第二点、医師の通知義務に関して、患者さんに対して説明するということも賛成です。  結局、こういう患者の権利というのは、プライバシーの権利の中に自分の情報を自分でコントロールする権利というのがございます。ですから、そういう立場からも、もう患者の人権はほかの法律に規定しているからいいというようなそんな出し惜しみをしないで、感染症において大事なことは必ず規定していただきたい、こういうふうに思います。

小池麒一郎日本医師会常任理事

○小池参考人 第一点につきまして、反対でございます。  と申しますのは、第二次世界大戦を経過しました旧枢軸国、それの憲法に反省が載っているかというと、必ずしもそうではないであろう。私は法律学者ではございませんのでよくは存じておりませんけれども、そういう反省文は前段に載っていないと思っております。  第二点に関しましては、医療法の第一条の四の第二項におきまして、医師の責務、医療法というのは非常に大きい法律でございますけれども、医師は「医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。」というふうに規定されておりまして、この規定がいろいろな現実法をカバーしているというふうに解釈いたしますので、したがって、無用な現場の混乱を避け、医師と患者の信頼関係が密接になりますように願っている立場から、必要はないというふうに思っております。

早川雅人東京HIV訴訟原告団事務局長

○早川参考人 前文に対して反省が入るということは、絶対必要なことだと思います。  先ほど、一類感染症は危機管理が優先、四類感染症は人権が優先というふうな御意見がありましたけれども、一類感染症の方であっても、それは隔離された後でも、ガラス窓の中からのぞいているということではなくて、そのガラス窓の中の患者に対していかに医療を提供するか、それが保障されていないと患者は健康を回復できないのです。ですから、健康を回復する権利、それを私は保障していただきたいし、エイズ予防法ではそれがなかったから私たちは大変な目に遭いました。ですから、そのことをきちんと前文の中で、エイズ予防法によってどういうことが起こったか、つまりそれを明らかにしていただきたいと思っております。  次に、通知義務についてですが、医療法か何かにそういうふうな、きちんと説明をするという条項は当然あるのでしょうが、私たち血友病患者にとりまして、当時、感染したという事実は患者に一切知らされず、いつの間にか検査だけが行われていて厚生省の方に通知されているという事態が実際にありました。それが何年間にもわたって続き、恋人あるいは妻に対して感染させ、実際に亡くなった方もおられます。そして、あるいは先に御主人の方が先立たれまして、残された感染してしまった奥さんが子供を育てているというふうな孤立した状況さえも生まれています。  これは、明らかにお医者さんが自分たちに感染しているよということを言ってくれなかったからです。そして、通知をしてしまったのです。そういう大切なことを通知するのであれば、まず本人にそういう大変な事態が起こっているというのを通知することは当然であります。これがエイズのときにはできなかったのですから、新しい法律では絶対に盛り込まれるべきだと思っております。

家西悟民主党

○家西委員 ただいま医療法にあるということを小池参考人からお伺いしました。それは私も知っております。しかしながら、現状として、私も被害者の一人です。血友病患者であり、HIV感染を持つ者として、少しお尋ねしたい点もあります。  医療法があり、医療法に確かにそういったものが書かれています。そして、プライバシーの保護、守秘義務というものが課せられているはずです。公務員に対しても守秘義務が課せられているはずです。しかし、いわゆるエイズパニックが起こったときの神戸事件、そして高知の事件、これというものは、どこかから漏れたんですね、マスコミに対して。そして、医師としてやらなければならないことというものは多くあったはずなんです。しかしながら、現場としては、多くの医師は現場から逃げたというか、医療忌避を行った。私も医療忌避を受けた当事者です、歯科において。  そういったことについて、やはり私は、ここで医師の責務を明確にすべきだと思っています。そして、そういったことが今後起きないようにすることが大事だと思います。書く書かないの問題じゃないと思います。しかし、実態は起こったわけですから、私は書く必要性は必然的にあるのじゃないかというふうに思っています。  このことについて、小池参考人はいかがお考えでしょう。

小池麒一郎日本医師会常任理事

○小池参考人 今先生のお話を承って、身の引き締まる思いでございます。  一つ私どもが、ずっと歴史的に見て、結核に対しても、この民族は差別をしやすい民族でありまして、現に私の先祖が、結婚したにもかかわらず離婚されて、家に帰ってきて非常に不幸な一生を送ったというファミリーヒストリーも持っております。そのようにして、例えばらい病に関しましてもそうでございました。現在はハンセン、私はらい予防法に関係した委員でございますので、それもよく熟知しております。また、エイズに関しましても、第四ルートの公表の問題につきまして、日本医師会として医療機関を最終的に公表するように同意をした人間でございます。  したがいまして、社会常識あるいはそれにつられた医師の常識というものも、時とともに改善されてくるのであろうと思っておりまして、現在の医療界は従来どおりの意識構造にはないというふうに御理解を賜りたいと思います。

家西悟民主党

○家西委員 ぜひともそうあっていただきたいし、そうあらなければならないと私は思います。そして、実態としての問題ということをいま一度お考えいただきたいと思います。そして、こういった患者が、重篤な感染症を持とうが、軽易な感染症というのでしょうか、軽い感染症、インフルエンザや四類に分類されるような感染症であろうと、一類に分類される感染症の患者であろうと、同じ人としての扱いをされるのが私は当たり前だと思います。  しかし、それがないがしろにされてしまう。重篤な感染症であったら多少人権のウエートが軽くなっても構わないという発想は、とんでもないと思います。そういったことも含めて、今後医師会として、ぜひとも二度とこういうことが起きないように全力で対応していただければ幸いです。  そして、原告の方に最後、まだ十分以上ありますけれども、早川参考人にもお聞きしたいと思います。  今回のこの法律が自分たちのためになる法律なのかというと、私は到底思えない。それよりもどういつだ法律ができれば自分たちのため、患者のためになる法律とお考えなのか、もしその辺考えがありましたら、お聞かせ願えればと思います。

早川雅人東京HIV訴訟原告団事務局長

○早川参考人 まず、お手元に配りました私の資料がございます。そこに、神戸事件の当時の新聞の切り抜き等が配付してございますけれども、まず三枚目をごらんください。四ページに「女性AIDS患者の発生について」、これは、私たちが薬害エイズ裁判の経過をたどる中で見ることができた業務局ファイルです。これは、その当時、六十二年の一月十七日に厚生省が記者発表をする際に使った資料と聞いております。  「患者の概要」といたしまして、「報告県」として「兵庫県(神戸市)」と市を特定した表現がなされており、「リスクファクター」としては「異性間性交」の後に「外国人男性等複数の男性との性的接触あり」という断り書きがしてあります。これが厚生省からまず発表された内容だと思います。  それに対応する形で、次のページですが、読売新聞から翌日の一面記事、「初の日本女性エイズ患者百人以上と“交渉”」と書いてあります。  それによりますと、中を読んでいきますと、中段にありますが、   同県保健環境部、神戸市衛生局はエイズ感染の疑いが濃くなった昨年十二月下旬から、今月上旬、意識不明に陥るまで数回にわたり筆談による聞き取り調査を行った。   それによるとこの女性は、  七年前から  ギリシャ人船員と神戸市で同居。ギリシャに渡航し、 と書かれておりまして、   その後、この女性は発病するまで、神戸の繁華街のスナックでアルバイトする一方、夜は三宮、元町周辺で売春。百人以上の男性と性交渉を持ったという。かなり詳しく、聞き取りした結果がこのようにマスコミに発表されております。そして、表の第一面が「百人以上と“交渉”」という形で書かれております。  一番下の方の段になりますが、  厚生省はわが国で初のケースであり、この女性  患者と性的交渉を持った男性を通じ、家庭にも  浸透する恐れがあるだけに、強い衝撃を受けて  いる。ということで、一刻も早くその危険のある患者は検査を受けるようにというふうな形の報道で、神戸でパニックが起こってしまったと思います。  患者の大切なプライバシーがこのような形でリークされることによってパニックが起こった。これは私は、パニックが自然に起こったというよりも、不用意な発表がこのようなパニックを巻き起こしてしまったと思います。ですから、新しい法律についても、患者のプライバシーについては十分に配慮していただきたい。  また、先ほど言いましたように、エイズについては全く治療を受けられませんでした。当初の段階では全く嫌われてしまいましたし、九三年という比較的新しい時期に至りましても、ブロック拠点病院の選定では全く選定が進まず、県によっては、病院名を非公開という形で拠点病院を受けるということが、つい最近、和解する直前まで行われておりました。それが全部公開になったのはHIV訴訟が和解に至ったからであります。その後、全部公開になりました。  エイズの医療につきましても、厚生省が本格的にエイズ治療・研究開発センターやブロック拠点病院などの新しいエイズのための医療に取り組み始めたのは、HIV訴訟が終わって、和解が済んでからです。それまでは全く厚生省として取り組んでいただけませんでした。ですから、私たちは、このエイズ予防法で何も利益はなかった、だとすれば、新しい法律については、やはり患者の医療をきちんと提供できること、それを法文の中で明記しながら、予防と医療とバランスをとった形の法律であってほしいと思います。

家西悟民主党

○家西委員 あと数分あります。患者として発言する機会はこういう場ではめったに与えられません。議員にでもならない限り、議員でなければ発言できるはずがないんですね。そして、参考人でなければ発言する機会は与えられません。  早川参考人、最後に何か言いたいことがあったら、残り時間、発言していただければと思います。

早川雅人東京HIV訴訟原告団事務局長

○早川参考人 私は、実は告知を受けたときは結婚する前でした。私は、結婚しますということを血友病の主治医の先生にお伝えに行ったときに、先生が、実は君はもう抗体陽性なんだということを言われました。もう式の日取りも決まっておりまして、全く引き返すことはできなかったんですね。妻にも慌てて言いましたけれども、もう彼女もどうすることもできない。大きな化け物の前で足がすくんでしまったウサギみたいになってしまって、二人とも何も動けなかったのです。  これは、お医者さんがきちんと、私がそういう事実があったときに、私に対してそういうことを言ってくれれば、少なくとも一人の人間は救えたのじゃないかなと思っています。そういう家族がたくさんいます。そして御遺族がたくさんいらっしゃるのです。  ですから、法律の中できちんと、医療が患者に対して正しく提供できる、患者が知らない間に、お医者さんだけ知っていて、行政だけが知っていて、その間に患者さんは治療を受ける時間を失ってしまうのです、それだけの間治療を受ける権利を害されたのです。ですから、この法律の中では、患者の治療については重点的に盛り込んでいただきたい。  当初、この法律が予防法で出てきましたけれども、予防法という形ではこの新しい時代にはもう合わないのだということを私は強く皆さんに訴えたいと思います。

家西悟民主党

○家西委員 ありがとうございました。私の質問を終わります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 山本孝史君。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 民主党の山本孝史でございます。  きょうは、参考人の先生方、お忙しい中をありがとうございました。  最初に、竹田先生にお伺いをします。  今、HIVの感染を受けられた早川さんが切々と自分の体験を踏まえてお訴えになって、こういう感染症の患者さんに対する治療というものも十分盛り込んだ法律にしてほしいんだというお話をされました。先生は小委員会の委員長としてこの報告書をおまとめになったわけですけれども、今のこのお訴えを聞かれて、きちっとそういうものがこの法律の中にあるいは委員会報告に担保されているとお考えでしょうか。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 エイズ予防法の制定の過程、その後のもろもろの議論、私は、医学界にある人間として十分に承知しております。ただいまの御質問に関しましては、十分に承知しておりますというお答えをいたします。そういたしまして、それを踏まえて、この小委員会の委員長としての役目を果たしたつもりであります。  既に、この条文で申しますと、正確に条文が出てまいりませんけれども、国の責任においてあるいは行政の責任において医療機関を指定するということは極めて画期的なことであります。  私は十歳のときに赤痢にかかりまして、疫痢にかかって、一週間意識がなかったと親が申します。そのとき私が入れられた病院は避病舎と称するところであります。村の外れに医師も看護婦も常駐しないところで、医師が一日に一回往診をするという状態で治療を受けたと申しますか、それが現在の伝染病予防法であります。  それから申しますと、今回、国があるいは行政が医療機関を担保するということは極めて画期的なものであり、当然のことながら、良質で適切な医療が提供されると思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 先生の先ほどの発言で少し気になりましたので、確認のためにもお伺いをしたいのですけれども、一類に関しては危機管理が中心に語られ、四類に関しては人権が語られたとおっしゃったので、類型を分けながら、どちらかに比重を置いて話をするということは極めて危険な議論の進め方じゃないかというふうに思うのですが。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 私が申し上げたことに関しまして大変誤解があるということを、先ほど来先生方のあるいは参考人の御意見を聞いて思いますので、再度申し上げます。  小委員会で議論がされた場で、危機管理を中心に話をするときには一類のことを想定した医系の先生方の議論があった、それから、人権を中心として議論をされた医系以外の先生あるいは医系の先生を含めて委員の先生方の議論の中には四類を想定した議論があったと申し上げたのであって、私がそう考えているとは申しておりません。  私の意見陳述で申しましたように、一類であろうが四類であろうが、患者の人権の尊重は当然のことであり、しかし、そこで言う人権というのはWHOの国際保健規則が規定する人権と私は理解しております。すなわち、メディカルサービスにアクセスできるか、差別されない権利あるいはプライバシーの権利及び入院の手続保障の権利であります。  したがいまして、その権利は十分に議論をされて、一類であろうが四類であろうが、それはきちっと議論をされて、しかも、報告書にも条文にも入っておると考えております。  ただし、一類感染症、これはかつて我が国には入っておりません。しかし、これが入ってきたときに、人権の尊重の制限が必要であると申し上げております。私は、人権の制限ということは一言も申しておりません。それを、先ほど人権に軽重があるかのごとき御意見がありましたけれども、私が申し上げておりますのは、議論の中で、隔離をすることは人権の尊重の侵害であるという議論がありましたから、私は、それは人権の尊重の侵害ではなくて人権の尊重の制限であると申し上げております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 今の御意見に対しては、光石参考人から後でお伺いをさせていただくとして、先生に引き続きもう二、三点御質問をさせていただきたいと思います。  感染症はグローバルな視点が必要であると御指摘されました。私も全く同感でございます。この点に関して、フィドラー先生という国際感染症法学の専門家の先生の御意見として、この法案は、感染症の対策と予防に関するグローバルな視点を何ら含んでいないという御指摘があるわけです。  そうしますと、先生、グローバルな視点が必要だと思っている。あるいは、全く視点が入っていないという御批判をいただいている。そういう目で見て、この法律はグローバルな視点を含んでいる法律というふうに理解をしておられますか。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 ドクター・デビッド・フィドラーにつきましては、私は個人的には存じ上げておりませんでした。しかし先週、ボストンの国際感染症学会に参りまして、感染症の専門家に聞きました。  ドクター・フィドラーは感染症の専門家ではなくて感染症の法律の専門家であります。しかも、WHOのIHRの改定に委員として現在加わっております。新聞報道によりますとコンサルタントとなっておりますけれども、これは大変誤解を生じております。WHOは、ある会議を三日間なら三日間やるときには、コンサルタントとして……(山本(孝)委員「質問にお答えいただきたいと思います」と呼ぶ)はい。質問に答えます。  そこで、私が申し上げますグローバルというのは、我が国に世界の各国から伝染病が入ってくるという視点をぜひとも考えていただきたいということであります。WHOのドクター・フィドラーを中心としたIHRの改定は、世界全体を見渡しております。したがって、症候で五種類に分けていることも十分承知しております。  しかし、これは検査能力もない、しかも症状でしか病気を規定できない発展途上国のことを視野に入れたものであります。我が国では、症状で規定しなくても病気が診断できます、断定できます。そのときに、例えば私の専門の急性下痢症で申しますと、急性下痢症のときには、WHOのIHRは、アメーバ赤痢もO157以外のすべての大腸菌の感染症も入っております。しかし、これが我が国にとって一括して特定の疾患として考える必要があると私は思っておりません。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 私の理解あるいは先生も多分そうだと思うのですが、この法律そのものは、国内に入ってきた病気、あるいは入るものをどうやって防ぐかという一種国内法的な性格を持っているわけですね。グローバルな視点と先生がおっしゃったときに、私は、これは世界の感染症の流行状況だとか今の動きがどうだとかということをしっかりと把握をするという意味合いにおいて大変必要なのではないかと。  疫学調査をするときに、病名を確定してからやっていると大変時間がかかりますよと。だから、症状で早く疫学調査というか情報収集をしないと間に合いませんよというのが世界の今の潮流です。そういう意味でいくと、今回のこの法律の中に書かれている情報収集は、その診断を確定してから病名でその報告をするという形になっている。これは世界の潮流からおくれているのではないかという意味合いで、私は、これはグローバルではないと思うのです。  国内に入ってくるだけの話であるというふうにすると全くだめなので、もっと検疫法との絡みの中できっちりとした法律をつくらないと、国際的におくれるというか、国際的な、グローバルな意味での感染症予防法になっていないのではないかという御指摘だというふうに思うのですけれども、お願いします。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 サーベイランスというのが先ほども議論になりましたけれども、本新法では、十二条から十五条にサーベイランスの方法が詳しく規定されております。これは、我が国のサーベイランスです。  一方、先生が御質問の国際的なサーベイランスは、現在、国立感染症研究所を通じて、全世界のサーベイランスのシステムが着々とできつつあります。それは当然、我が国の疾病のあるいは感染症の流行に利用するべきでありまして、これは法の問題でなくて現実に行われているということを申し上げます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 ここは多分先生と僕との理解の違いで、疫学調査というものの必要性をどうとらえるか、それを法律の中でどう書き込んでいくか。だから、この法律の性格をどうとらえるかによって考え方が違うのだと思うのですね。感染症を予防するために国内での予防法としてどうとらえるかということで、多分先生と僕と理念が違うので、ここは議論が水かけになってしまうと思うのです。  それと、先生がもう一つおっしゃった、すべての感染症を包括できる法律となったとおっしゃいました。では、なぜ結核予防法を包括しなかったのかと。別にしたのでしょうか。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 この問題につきましては、基本問題検討小委員会では議論されておりません。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 これは法律の方の部分に任されたという先生の御理解だと思います。  堺の伊藤さん、きょうは遠いところをお見えになっていただいております。ありがとうございます。  先ほど、予防計画あるいは指針に大きな期待を寄せているというお話でございました。O157の堺での集団発生に対処される折に、国はしっかりとしたその責務を果たしてくれたか。正直なところは、もっと早く対応してくれていればよかったのではないかという思いではないかと思いますが、率直な御感想をお聞かせをいただきたいと思います。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 当時、七月十三日の事件発生後、翌十四日には、厚生省の技官の派遣をしていただきました。  我々、大混乱の現場の中で、先ほども申しましたように、何をどうするかということの迷いの中で、徐々に軌道に乗っていく部分について、国の方の御指導、大阪府の方の御指導、これらが数日後の原因究明三者会議になった、このように理解しております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 国は、十分な技術的な指導あるいは助言をしてくれたかということです。的確な時期に、的確な技術的な指導助言を国はしてくれたかという意味でです。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 今から振り返りますと、当時、そういうふうに指導していただいたというふうに思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 私の質問は、的確な時期に、的確な内容の技術的指導助言をしてもらえたかということです。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 時期につきましては、事件発生当初、混乱の中でどの時期を指すかという部分もございましょうが、我々といたしまして、十三日以降、十四日に既に着任、到着していただいたということで、時期はベストであった、このように思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 大変時間が限られておりますので、若干指摘をさせていただいて、あと最後に光石先生に、今の竹田所長の御発言等も踏まえて、委員会での審議状況を振り返っていただきたいと思います。  これは、竹田先生、倉田毅国立感染症研究所の感染病理部長さんが「モダン・フィジシャン」という雑誌に投稿されておられる中で、「わが国の課題」という中に、事の発生に対して、直ちに対応することが求められているのですと。先ほどから危機管理、危機管理という言い方がありますけれども、危機管理とは一体何なんだと。どういう体制を持っていることが一番大切なのかという点ですけれども、倉田先生の御指摘は、感染症はやはり国際的な協力の中で対応していくのが一番必要なんだと、世界じゅうを走り回る専門家間の情報に敏感に反応して、緊急対応策に協力していくことが大切なんですと。あるいは、若いときから、種々の危機状況に研究者や医師をほうり込んで、敏感な感覚を育てることも重要で、そういう人を持っていないとどうしようもないのだという話なんですね。  私は、先ほどから、グローバルな視点と申し上げたのは、こういう体制をつくっていかないと、いかに日本国内法を整備してみてもというか、日本法で国内の状況をいかに整備してみても、そこに国際的な視点が欠けているものでは、何ら本当の意味での実効性のある感染症予防法というものにはならないのではないですかというのが私の意見だということを申し上げて、そういう目から見ると、この法律は余りにも日本国内だけに、水際作戦的過ぎるというか消火器作戦的過ぎるというふうに私は思うのです。  もっと書くべきものはあったはずだと。国際的な協力だとか、あるいは諸外国の状況だとか。今の日本のこの感染症対策の中で、CDC並みのことは要求はしませんけれども、あの少ない人数と予算の中で一体何ができるのだということは、ほとんどのことができないと私は思っているのです。その意味では、国のというか我々国会側の責任は大きいと思っております。  しかし、そういう目から見ると、この法律は余りにも不十分過ぎる点が多いのではないかというのが私の意見だということを申し上げて、済みません、最後の時間、光石先生に、今の竹田先生の御発言等も踏まえながら、委員会の審議での問題点を言っていただきたいと思います。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 小委員会では何度も何度も、患者の人権と並んで市民としての人権というものを、日本国憲法十三条を初めとして国際人権自由権規約、それから先ほど御紹介申し上げましたような国連原則、そういったものを根拠に何度も何度もペーパーを私は差し上げて議論したつもりでございます。したがって、憲法に定めた基本的人権というものが基軸になっているということは間違いないことだったと思います。  隔離することが何か人権尊重の侵害だというようなお考えを先ほど示されたのですが、そうではないということを冒頭に私は申し上げたつもりです。感染症のコントロールにおきましては、やはり人権への負担というものはあります。しかし、人権への負担があっても、それを、先ほど申し上げたような五つの要素、あの五つの要素でもってよく個別にバランスがとれているかどうかを考えて、必要最小限の強制措置を講じることができるのだということが、それが人権の尊重なんであります。  したがって、その人権の尊重のウエートが軽くなるというような考え方は、それは言い回しの問題も半ばあるかもしれませんけれども、私はそれは誤っているというふうに思います。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 竹田先生、先ほどの質問に戻ります。  そういう目から見て、グローバルな視点が余り入っていないのではないかという私の意見に対して、先生の御意見を伺います。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 先生の言われる意味のグローバルな視点は入っておりません。しかし、そのためには、CDCの三千人の専門家、国立感染症研究所の約百人の研究者、この差が埋まらない限り、グローバルな視点で我が国が世界に役立つ感染症対策はできないと私は思っています。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 世界に役立つ感染症対策もそうですが、百年ぶりの伝染病予防法から感染症予防法への新法への改正というならば、世界の潮流をしっかり見据えた法律案を厚生省としては出していただきたかった、そういうものをつくれというふうに小委員会としては報告書をきっちりと強調していただきたかったというのが私の意見です。  ありがとうございました。

佐藤剛男自由民主党

○佐藤(剛)委員長代理 青山二三さん。

青山二三平和・改革

○青山(二)委員 青山二三でございます。  きょうは、大変お忙しい中を参考人の皆様には本当にありがとうございます。いろいろな貴重な御意見を拝聴することができまして、大変参考になりました。短い時間でございますので、端的に質問をさせていただきたいと思いますが、ただいま早川参考人のお話をお聞きいたしまして、本当に何か胸の熱くなる思いがいたしております。  私の知り合いの方で島田恵子さんという方がおります。この方の御主人の島田照国さんは血友病患者で、非加熱製剤によりましてHIVに感染をいたしました。島田さんは、HIV感染者を取り巻く社会環境から差別と偏見をなくしたいという強い思いから、そして家族全員が姿をあらわして訴えなければ声は届かないという考えで、実名を公表しまして、現在、闘っておられます。  島田照国さんの記録が書かれておりますこの「薬害エイズを生きる」という本を読ませていただきましたけれども、この本の中に次のような実態が書かれております。  ある病院に実態を尋ねたところ、HIVの治療  を受けている人のなかには、会社に知られるの  を恐れて健康保険を使わないで自己負担で通院  を続けていたり、抗ウィルス剤治療をためらう  患者もいるという。高額な医療費負担を背負っ  てでも、適切な治療を断念してでも会社には知  られたくないという悲しいばかりの現状が実態  としてあるのだ。こうやって、適切な治療を受けることができるようにという、こういう法律をつくろうということでございますが、しかし現実の悲劇はこんなに大きいという、そういう文面を拝見いたしまして、本当に胸が痛くなるような思いでございます。  そういう意味で、本当にこの法律がそういう患者の皆さんの、感染症の皆さんの人権に配慮した法律になっているのか、そして、防止対策としては具体的にどのようなことが考えられるのかを三人の参考人の皆さんにお聞きしたいと思います。  時間の関係がございますので、まとめてお伺いをしたいと思います。光石参考人、松田参考人、早川参考人の三人の方にお願いしたいと思います。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 ありがとうございます。  最初に、人権は配慮すればいい、それは配慮は大事です。しかし配慮ではありません、尊重です。これは保護でもありません、尊重です。これは、人権を持っている人がただ人間であるというだけで尊重されなくてはいけないというのが、この日本国憲法が定めている人権の原理であります。  そういう観点に立ちますと、先ほど来、私、上申書のことを申し上げました。上申書をこの二月九日に出しましたのも、制定要綱というものが二月に公表されましたときに、小委員会の最終報告書と似て非なるものが出てきている。それは、具体的に十何点か、もうあれしましたが、十三点か四点、この点、この点、一つ一つ最終報告書で言っている水準が全部切り下げられているということを指摘いたしました。  だから、今の法案が人権を尊重した法案になっているか、私は、なっていないところが多いので抜本的な見直しが必要であるということを申し上げました。本当は一つ一つ全部御説明いたしたいのですが、先生の時間もあるでしょうから、結論だけにとどめます。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 お尋ねの点ですが、具体的な現場での判断が多少混乱するのではないかと思います。  とりわけ医師あるいは医療関係者が、医療法等に基づいて患者の権利やプライバシーあるいはインフォームド・コンセントを優先するということと、もう一方、この法律に基づいて患者のプライバシーに関する情報を行政に通知するということが課せられます。ある意味で、現場の医療従事者は、医療法と感染症予防法の二つの法律のどちらを選択するかという重大な決断を迫られると思います。  御承知のように、幾つかの感染症に関する報告は実態を大きく下回っているというふうに言われております。この法案の審議の中でも、定点観測が各都道府県において十分ではないと。その大きな理由は、現場の担当者が忙しい業務の中でこういった患者のプライバシーとその情報を行政に伝えること、その二つを同時にやらなければいけない。ある意味で、この運用は現場の医療従事者に非常に大きな負担を課すと思います。その具体的な規定がここには書かれておりませんので、ケース・バイ・ケースの恣意的な判断がなされる。うまくいけばよろしいですが、悪くいけば当事者の方にとって大変悲惨な出来事が起きかねないと思います。  そういう意味で、人権擁護の具体的な項目をこの中に盛り込んでおいた方がよろしいと思います。現在は、それがほとんど入っていないと思います。

早川雅人東京HIV訴訟原告団事務局長

○早川参考人 先ほどの、例えば保険を使わずに自費でやるということで、そういう方はたくさん存じ上げております。皆さんそれが、保険を使うことによって、何か知られてしまうんではないだろうかという不安を抱えられてそのようなことをされているのでしょうが、実際には、保険を使って大丈夫だという人たちもいるのも事実です。  しかし、そういうふうな不安が大きく残るのは、それは差別に関しての禁止規定がきちんと法律の中で盛り込まれていさえすれば、万が一プライバシーが漏れて大変な差別の被害に遭うということが起こっても、その人はその被害を回復することが必ずできると思うんです。教育で日本の国民の心を変えていく、考え方を変えていくということではなくて、まず国政できちんと、差別に対して、差別をしてはいけないんだということを法律で打ち出す、それがまさに国民の教科書となって、皆さんが、差別をしてはいけないんだ、共生していかなくちゃいけないんだという気持ちに変わっていくのだと思います。ですから、そういうふうな条項を法律の中にきちんと盛り込んでいただきたいと思います。

青山二三平和・改革

○青山(二)委員 それでは続きまして、もう一度三人の参考人の方にお伺いしたいと思います。いろいろと御意見を伺いまして、本当に私もそのとおりだと思います。  先日行われました厚生委員会でこの法案の質疑をいたしますときに、私も質問をさせていただきました。この法案の目的条項に、患者の良質かつ適切な医療を受ける権利やプライバシーの保護など、患者・感染者の人権を最大限に保障し、尊重することを明記すべきであると考えますけれども、大臣はどのような御所見でしょうかということで質問いたしましたけれども、大臣の御答弁といたしましては、人権への配慮と感染症の蔓延防止を両立していかなければならないということで、この法律で十分機能すると考える一このような御答弁でございましたので、私は大変残念に思っておりますが、いかがでしょうか。こうした大臣の答弁に対して、御意見をお伺いしたいと思います。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 先生のおっしゃる人権条項を明記しないといけないということ、それは私も大賛成であります。それから、この法律で十分機能するではないかという大臣の御答弁は、私は誤っていると思います。  実は、この審議に、先ほど来の基本問題検討小委員会の全文すら皆様方の参考資料の中に配付されていないという端的な事実、これは結局、そういうものの全文を皆さんが勉強するというチャンスが与えられていないということは大変重大なことだと思います。  それから、私どもの上申書につきましても、その全文といっても大したページ数ございませんが、そういったものが先生方に配られているんでしょうか。そして、そういう問題がなかったかのようにしてこういう審議がどんどん進んでいくということに対して、私は最大の抗議をしたい。こういう一番大事なことについて、資料もきっちり配って、それを十分に検討する機会もなしに、ただ賛成、賛成、十分に機能するであろうと。とんでもない話ではないか。  日弁連もこの問題について本当に心配しておりまして、昨年の十月に意見書を出しました。それは全文を参考資料に上げていただきました。しかし、五月一日の意見書、これは今回の法案に対するものであります。これは一番載せてほしかった。載っていないんです。その意見書をずっと読んでいただければ、この法案がいかに人権の尊重にもとるものであるかということが具体的に摘記してございます。ぜひその辺を、何もそれが私は金科玉条と申し上げるつもりはございません。しかし、そういう問題点があるんだということをぜひ銘記していただきたい、そういうふうに思います。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 お尋ねの点ですが、この法案の名前は現在、予防・医療法となっております。しかし、具体的な項目を見ますと、県レベルでは予防計画を策定するというふうに、予防に統一されております。ある意味で、頭は予防・医療でありますが、しっぽの方は予防になっているというのが現実だと思います。  具体的にこの病名分類を見ましても、私は病名分類そのものに疑問を感じますが、四類はインフルエンザ等々でありますので、ここで人権が議論になるということは、予防接種以外は余り考えられないわけです。最も大きな議論になるのは、一類のような、危機管理と人権がある意味で対立するかのような問題点が起きる場合だと思うんです。ところが、審議会等の御議論をお伺いしていると、一類では危機管理の議論が中心で、四類では人権擁護のことが随分議論されたというような言い方をされております。これは全く逆でありまして、この一類のようなところで危機管理と人権の擁護がいかにバランスがとれるか、片っ方に偏らないでいられるか、これをどういうふうに保障するか、ここが十分入っていなければ、現実に、先ほど申しましたように、現場の医療従事者がこのような重大な問題の意思決定を迫られるという大変難しい問題を背負わされるんではないかというふうに思います。そういう意味で、余りにも現場の担当者への運用面に期待感が強過ぎるというふうに思います。

早川雅人東京HIV訴訟原告団事務局長

○早川参考人 私もその御質問のときに傍聴させていただいておりましたけれども、大臣がそのような御答弁をなさったことを私も聞いておりまして、図らずも、この法律が、まさに大臣が人権と危機管理とはぶつかり合うものであるかのようなことをお認めになったような御発言であったと思っております。人権と危機管理、それがバランスがとれたものであれば、十分に前文の中に盛り込めるはずの内容であったと思います。  それは、予防と人権とが大きく充実される内容であるわけですから、なぜ大臣があのような御答弁になったのか。それは、図らずもここにいらっしゃる参考人の方々も、皆さんが人権と危機管理についてはぶつかり合うものではないと言っていらっしゃいますけれども、大臣の方では、そこに何か支障があるかのような形でそのような御答弁になったのではないかと思いまして、やはり、この法案全体に対しての認識がかなり違うのではないかというふうに感じております。以上です。

青山二三平和・改革

○青山(二)委員 それでは、光石参考人にお伺いしたいのでございますが、この法案の中の「基本理念」でございますが、この中に、「感染症の患者等の人権に配慮しつつ、」こういう文章が出てまいりますが、この配慮を尊重にしてほしい、こんな意見も随分委員の中から出ておりましたけれども、配慮そして尊重、この違いですね。どうしてこの配慮に厚生省は固執するのだろうか。言葉を一言尊重と置きかえれば相当この法律も重みを増すと思うんですけれども、どういう観点からそのように厚生省が言うのか、私はずっと質疑を聞いておりましたけれども、このあたり、いかがでございましょうか。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 人権に配慮していただくのは、先ほど申し上げましたように当たり前のことですが、法案には尊重ということをなぜ書かないのか。これは私の推測ですが、もし尊重という言葉を使いますと、この法案のどこに、先ほど来の良質かつ適切な医療を受ける権利、あるいはプライバシーの権利、あるいは自分に関する情報は秘匿してほしいという秘匿の権利、そういったものも含めて、あるいはインフォームド・コンセントも含めて、尊重と一言書いた途端に、この法案にはどこにもそういうことがないということに気がつくわけです。したがって、それは、例えば医療法で、全部守備範囲だから医療法でやればよろしい、それは医師法の問題だから医師法でやればよろしい、こういう、この法案の起案者は恐らく法律について極めてよく勉強しておられる方だというふうに思いますが、しかし、残念ながら、感染症における患者の人権がいかに大事か、自発的な協力というものなしに感染症のコントロールなんぞできないということを知らないのだというふうに私は推測いたします。

青山二三平和・改革

○青山(二)委員 ありがとうございました。  それでは、私も勉強してまいりまして、初めて恐ろしいことに気づきました。それは、明治四十一年のこの法律の題名が監獄法ということなんですね。あくまでも患者を入監せしめるのがその法律の根底にある、百年前のその法律の思想がここにあるということを私は発見いたしまして、本当に恐ろしいなというような思いがしますけれども、光石参考人、いかがでございましょうか。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 その当時のことを考えますと、患者さんというのは、例えばらいでもそうでしたけれども、そういう認定を受けた途端人間ではなくなった。そして、先ほど御紹介しましたように、強制的に、手錠をかけてでも警察官が引っ張っていって収容してしまえば日本かららいはなくなるということを当時の権威とされる方々がこの国会で陳述しているのですね。ですから、「良質かつ適切な医療」つまり最善の医療を受ける権利というものがいかに大事かということ。つまり、そういう施設に隔離されますと、ほっておかれるわけですね。ほっておかれるどころか、結婚したいと言っても、中絶ないしは優生手術を受けなければ認めないというような状況がこの日本にあった。  そういうことを考えますにつけ、先生がおっしゃるような目的規定というのが極めて大事である、それから先ほどありましたような前文というものを明記するということが極めて大事であるというふうに思います。

青山二三平和・改革

○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  時間が参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。

佐藤剛男自由民主党

○佐藤(剛)委員長代理 久保哲司君。

久保哲司自由党

○久保委員 自由党の久保哲司でございます。  今回の感染症予防法、今衆議院で審議をさせていただき、本日、六人の参考人の皆さんに御意見をお聞かせいただき、さらに審議を深めようということでお越しをいただきました一お忙しい中お越しをいただきました六人の参考人の方にまずもって、心から御礼を申し上げる次第であります。  きょうの朝、国会の方にやってくるのにタクシーに乗っていまして、その中で、何放送か全然わかりませんが、ラジオで流れていたのを聞いていましたら、こんな話をやっていました。  科学が発達し、いろいろなものが発達する中で本当に難しい時代になってきたというか、ちょっと前まで物すごいいいものやと言っておったものが新しい知見によれば最悪のものやと。フロンガスのことについてもそのときおうしゃっておられたようでありますけれども、ちょっと前までは物すごいいいものやと言っておったものが、今やオゾン層を破壊するというのでこれはもう大変な化け物やという話になっている。  今、ダイオキシン等が大阪の能勢町等を中心に話になっていますけれども、焼却場等も、それこそ最初できたときはいいものやと言っていたのが、燃やすものの中身また燃やす能力等によってこういうものが発生するというのが新たに見つかれば、それはもう極悪非道のもののようになってしまう。かつて拍手喝采だったものがそのようになってしまう。  これは時代の変化だからやむを得ないとも言えるのでしょうけれども、一方、我々自身も、世の中すべからくそういうことになるということを重々考えながら物事に対処をしていかぬといかぬのかな。  さらには、よく言われることわざのような言葉でありますけれども、十年一昔なんて言っていたものが、最近では、いろいろな流行なんというのは、もう十年一昔どころか二、三年でころころ変わる、こんな状況でもあるわけであります。  そんなことを考えますと、この伝染病予防法、今回百年目の改正だと。だから改正せないかんねんという言葉も一方にありますけれども、何で百年もほっておいたんやという感覚も物すごく強うございます。そんなことを前提に考えますと、僕は、先ほど来参考人の先生方の御意見をお聞きをさせていただいて、さらに考えなければならぬということも自分自身思いました。一方また、各先生方の質問等さまざまな角度からの質問があったわけでありますけれども、しかし基本的には、先ほど竹田参考人がおっしゃったように、あるいは今監獄法の話も出ましたけれども、そういう状況から脱するという意味で、私は今回の改正というのはある意味で当然であり、一歩前進だというふうに認識をしております。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、まず最初に、竹田参考人にちょっとお伺いをしたいのですけれども、公衆衛生審議会が昨年十二月に、「新しい時代の感染症対策について」という意見をおまとめになられました。その意見書の中で感染症の情報収集が重要だということを強くおっしゃっておられました。具体的には、感染症の情報を国民に提供し、公開し、そしてそのことによって感染症の発生なり拡大を防止していく、予防していく、これが非常に重要である。そのことに関連して、国の責務として感染症の発生、拡大防止のためには必要な情報を適時適切に国民に提供、公開していくこと。そしてまた一方、国の施設でありますけれども、国立感染症研究所あるいは国立国際医療センター等が積極的に情報収集する、そして疫学調査をやっていく、このようなことをお述べになっておられます。  私は、こういった審議会におけるそういう記述といいますか、結論を受けて、今回この法案の中に「感染症に関する情報の収集、整理、分析及び提供、」というものを国、地方公共団体の責務として位置づけられたものというふうに考えておるわけでございますけれども、公衆衛生審議会の意見書にあるように、新しい時代といいますか、グローバルな、世界からもいろいろなものが入ってくる、こういう状況の中で感染症対策をする上で、私は諸外国の情報も一刻も早く入手し、そして空港で、港でとめられるものはとめていく、こんなことが非常に重要、そういう意味ではまさに情報収集こそがある意味で一番最先端でやらなければならない仕事ではないかというふうに思います。  基本問題小委員会等で座長として御尽力をいただいた竹田先生の目から見て、今回厚生省が提案しておりますこの法案でもってそういったところは十分にカバーできるというふうにお考えなのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 結論から申しますと、できます。  まず、十二条から十五条にサーベイランスのことが細かく規定されております。御存じのように、先ほどから申しますように、グローバリゼーションのときに他の国の情報を収集しないとだめでありますが、これはWHOが積極的に収集しております。それからアメリカのCDCが積極的に収集しております。このラインはもう既に国内のインターネットにつながっております。したがって、それを整理することによって、国外の情報は、少なくともWHO、CDC、及びイギリスの機関が持っておるものは即入ります。  ただ、問題は開発途上国のものが入りません。理由は、開発途上国には、その能力がないということが言えるかどうかは別として、情報がありません。積極的にそれを我が国も援助して、そこで情報が収集できるシステムづくりを今厚生省の科学研究費をいただいて調査、実行しております。

久保哲司自由党

○久保委員 続いて竹田先生に一点だけお伺いしたいのですが、感染症類型、今回四分類に類型化されたわけでありますけれども、この類型、先ほど来議論がございますいわゆる危機管理という問題と人権という問題、どちらかに重きがあるというのではなくて、僕は、危機管理をすることによって人権を保護できるし、また人権を尊重するからこそ危機管理というものはしなければならぬ、こういう問題ではないのかな、そんなふうに思うのです。  感染症に侵された人間自体をどうのこうのじゃなくて、感染症の病原体というものを考えたら、昨年のペルーの人質事件じゃないですけれども、あそこで立てこもったゲリラをもしも解放してしまったら、逆に今度は町の中におられる何千万人という国民がいつ命の危険にさらされるかわからない、そういう意味では閉じ込めておかぬといかぬみたいな、だから病原体そのものに対するいわゆる医学という面からの物の考え方と、もう一つは、先ほど来議論が出ております、その病原体にたまたま侵された個々の国民そのものについての人権というものと、ここはちょっとニュアンスが異なるのではないのかな、そこが変にかぶさってしまうと話が余計混乱してしまうのと違うのかな、そんな思いが非常に強いのです。  今回、一類から四類まで分類されましたけれども、この一類-四類の分類というのは、現場で医療事務に従事される、また市町村も含めた行政の皆さんが従事をしていただく中で、何もかも一くくりというのではわけがわからぬ、そういう意味では分類することが必要だったのかなというふうにも思いますし、分類することによって余計にまたそれが変な差別化につながるということになればこれまた大変でございますけれども、科学的な面からいえばこの一類から四類の分類というのは本当に妥当なものだったとお考えなのかどうか、この点について御意見を承りたいと思います。

竹田美文国立国際医療センター研究所所長

○竹田参考人 結論から申しますと、妥当であります。理由は、医学ワーキンググループが十回に及ぶ議論を重ねまして、その医学ワーキンググループのコンセンサスとしてこの分類が出てまいりました。  問題は、今現在の時点で私は妥当と申します。明日どうかということはわかりません。理由は、まず、病原体は大変な勢いで今変化しております。変化の理由がわからなくて、私ども困っております。それは昨年の香港のインフルエンザで既に一般におわかりのとおりであります。一九九三年にインドで新しいコレラ菌が出ました。この新しいコレラ菌によるコレラは、従来のコレラ菌によるコレラよりも大変重要であります。幸い、私はその発見の一人として関与いたしましたけれども、こういう変化がなぜ起こるかということを早くきわめないとわかりません。そういたしますと、今四類に分類されておる感染症の中でそういう変化が起こったときにどう対処するかということも考えないといけないと思います。  しかし、御質問にお答えいたしますと、医学ワーキンググループのコンセンサスとして、現在の時点でこの分類に関しては異論はございません。

久保哲司自由党

○久保委員 次に、堺市の伊藤局長にちょっとお伺いしたいのですが、実は、堺市、私の住んでいる町の隣の町であります。堺の市役所で伊藤局長のもとで働いておる職員の方にも私の同窓生等がおるのです。また一方、私のいとこも堺市内の小学校で校長をやっていまして、昨年はO157で走り回って、お盆に会ったときには、ほんま大変やった、こんなことをおっしゃっていました。  そんな中で、今回このO157、それこそだれも知らぬような病気がある日突然ばっと降ってわいたような形で出てまいりました。堺市また大阪府等々、大変な難渋をきわめられたわけであります。  しかし、今にしてもう一回振り返って思いますと、先ほどもお話がございましたけれども、七月十三日に最初に発生した。以来、翌日には厚生省が情報収集のためということで一人の担当官を派遣、その翌日にはさらに専門家と担当官が行き、十七日の日には厚生省で大阪府、堺市ともに三者連絡会議が開かれた。かつて言われた役所仕事ということからいえば、四、五日のうちにここまで行ったというのは結構素早かったのかなとも思いますけれども、今回、まさに現場でその任に当たられた伊藤局長の目から見て、感染症対策において国や都道府県、周辺の市町村との連携で一番重要、あるいはこういうことがあったら一番よかった、もっとうまいこといったのと違うかと思われるようなことがございましたら、御意見をお聞かせいただきたい。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 O157に関しまして、私ども、大規模で患者が重篤な集団感染が起きた、こういうときこそ、我々自治体として適切な対応が必要でございます。尋常ならざる事態に対応するという状況の中では、眼前の事態、目の前のことの個別対応ということになりますけれども、そればかりでなく、いち早く現状を把握して、動員すべき人と物、組織、これらすべてを確保することが司令塔の役目だ、このように認識しております。  したがいまして、先ほども少し申し上げましたけれども、これらはすべて平常時から情報のやりとりを緊密にして、また、人の面における交流も行い、ふだんの連携が一番大事か、このように思っております。  以上です。

久保哲司自由党

○久保委員 同じく伊藤局長にもう一点だけお尋ねをしたいのですが、現場は正直大混乱だっただろうと思います。また、各政党、政治家も、自分のパフォーマンスも含めて、どうなっているのだということで乗り込んでいく、そうすれば、そんなやつの相手をするためにこれまた手がとられるという、難儀なことが重なるわけでありますけれども、そういう意味では、政治家というのはもうちょっと自重せぬといかぬのかなという部分もございます。  そんな話はちょっと横へ置いておきまして、現に休職を迫られた方がおられたり、認定された途端に、子供さんが親にあそこの子供と遊ぶなと言われていじめに遭ったりとか、これもまたある意味で人権問題かなというふうに思うわけであります。  こんなことはあってはならぬことですけれども、もしも再びO157のようなこういう集団発生が起こった場合を想定すると、今までの現行法による対処の場合と、今回この感染症予防法がもしこのまま成立をしたとすると、この新法による対応ということを考えた場合に、改善される部分はあるとお思いですか、また、評価できる点はあるとお思いですか。その点について伺いたい。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 ただいま現在、直ちにそういうことが起こったらという想定にはなるかと思いますが、当時の、八月六日法指定になった前後の状況を考えますと、当日、発生から二十六日目でありまして、患者数は、学童が六千三百九人、ほかが約二百人、入院患者が百七十三人、そういう状況の中で、八月六日以前に法改正の趣旨が新聞等で流れますと、やはり堺市全域が汚染地域になるんやないか、先ほども報告の中で申しましたような差別はそれまでございましたけれども、その指定による伝染病という言葉からそういった不安が高まるという声は毎日のように市に寄せられていたところでございます。  したがいまして、今回の法案につきまして、特に人権に対する配慮ということについて法案の基本理念になっていると認識しておりますので、今後この点について十分御議論いただきたい、このように思います。

久保哲司自由党

○久保委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 児玉健次君。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  検討小委員会が昨年十二月八日にお出しになった報告書「新しい時代の感染症対策について」、これはこの法案を審議するときに私たちの基準になるべきものだ、私はそのように考えております。極めて残念なことですが、法案要綱及び法案は、この小委員会の肝心なところから大きく隔たっております。  私たち日本共産党は、きょう修正案を提出することにして、「過去における感染症の予防に関する施策に対する深い反省の上に立ち、」ということを盛り込んだ前文を付した修正案、これを各党と真剣に協議をしたい、こういうふうに思っております。  最初に光石先生にお伺いいたします。  この小委員会報告の四ページのところ、「患者・感染者の人権の尊重」というくだりで、「たとえ患者・感染者が入院治療を要する場合でも、可能な限り個人の意思を尊重し、」云々とお書きになって、「入院命令やその実効性を確保する措置の発動を限定的なものとする」、さらに、「入院命令といった措置が発動される場合でも、明確な措置の発動基準に基づき所要の行政手続を通じたものとする。」小委員会ではこうなっているにもかかわらず、法案にはそれが全く見当たりません。  小委員会の論議の中で、この「限定的」「所要の行政手続」とは、どんなことを頭に置かれだ上で御論議なさったのかというのが第一の御質問です。  光石先生への第二の御質問は、法案の第二十四条、「各保健所に感染症の診査に関する協議会を置く。」こうなっております。三人以上の協議会で、わざわざ「その過半数は、医師のうちから任命しなければならない。」医師が医療に専念するのは当然のことですが、しかし、人権の保障という点でいえば、これはやはり法的な見識を有する方を入れる必要があるし、わざわざ医師を過半数とする必要はないだろう、こう考えておりますが、その二点について御意見をいただきたいと思います。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 質問をありがとうございます。  最終報告書の四ページの御指摘の箇所、これは随分と議論もいたしました。それで、そういう措置の発動が限定的というのは、要するに、強制措置は必要最小限で均衡のとれたものでなければいけないという原則、これを何度も何度も議論して、それがこの報告書の後ろの方に載っております。  したがいまして、医学ワーキンググループの方々も、万に一つのことなんだと。つまり、ほとんどの場合は自発的な協力が得られる。入院でも、そういう説明が医師と患者の信頼関係においてきっちりなされれば、それは大変だから、家族にもうつせないということで入院してもらえる。しかし、万に一つということで、強制措置。つまり、どうしても納得されない方が出てくるかもしれない、それは考えましょう。しかし、それについては明確な基準でやらなくてはいけない。  それは、先ほどゴスティンさんのガイドラインでも申し上げましたけれども、やはり複合的に、他者に対する実質的な脅威になるのかならないのかということをケース・バイ・ケースで判断すべきことであって、ある病気だからもうそれで直ちにというようなことは、やはり世界の立法の流れからするとおくれているというふうに思っております。  そして、所要の行政手続も、隔離されてしまっても、やはり代理人を通じて不服申し立てができるという手続が必要ですし、その場合に、どういう理由でそういうふうなことになりたのかという理由の説明も必要でしょうし、それから、入院した後でも通信、面会がどうであるというようなこともきちんと規定しないとやはり忘れられてしまうということがあって、これは報告書の最重要ポイントの一つだと私は思っております。それが、遺憾ながら、先ほど一つ一つ申し上げましたように、今回の法案は抜け落ちております。  それから、二十四条の協議会につきましても、これは実は、何か誤りがあった、ヒューマンエラーがあったというときの救済メカニズムですから、一類であろうと四類であろうと関係ないことなんです。  それで、そういう救済メカニズムをつくるについては、私どもが今持っております精神保健福祉法などを参考にしますと、精神医療審査会というのが、今十分に機能しているかどうかは別としまして、とりあえず我が国ではそういう法制度がとられている。そうしたら、少なくともそれ以上のものをこの感染症の分野でも持ち込むべきではないか。そのときに、やはり医療と法律と、それから地域といいましょうか、そういういろいろなバランスがとれた協議会でなければバランスのとれた判断ができない。単に医学、行政の関係者が寄って相談するだけの場であるならば、それはほとんど意味がない。  報告書でも、協議会につきましては二十二ページに書いておりますけれども、医師、地域の公益代表者、それから学識経験者とありまして、「なお、法律関係者等を含むべきである」、これは私ども法律家グループが主張したものでございます。当然、そういう法的見識を持つ者が入っていないと、いわゆる適正手続の保障、デュープロセスということの意味とか重大さということについては、必ずしもほかのディシプリンの方にはわかっていただけないということがあると思います。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 松田先生にお伺いいたします。  同じく小委員会の十八ページのところに、「感染症類型の再整理にあたっては、法律上の分類が新たな差別・偏見につながらないように、」と明確に指摘されております。これが論議された後でございますが、先ほども幾つかあったWHOのインターナショナル・ヘルス・レギュレーション、そのプロビジョナルドラフトという中で、感染症に対するアプローチについて非常に注目すべき内容が提起されている。  一昨日の質疑で、厚生省はこのドラフトを二月に受け取ったと答えました。それで、この国際保健規則が今新たに規定しようとしている五つの症候群と、六つ目、「その他の報告すべき症候群」、このアプローチは途上国では有効だけれども医療の進んだところでは必ずしもそうではない、こういった趣旨の答弁を一昨日厚生省はいたしましたが、この点についての松田先生の御見解をいただきたいと思います。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 私の資料にも書いてございますが、この症状に基づく疾病監視体制は、今WHOが盛んに進めております。これはアメリカでも既に取り組まれております。特に、症状に基づく疾病監視体制を支えるものがセンティネルサーベイランスということで、これは日本の定点観測のように千、二千という大きなネットワークを必要といたしません。そのかわり、百ないし百五十程度の小規模の、とりわけ日本でいいますと開業医の先生方に御協力をいただいて、臨機応変にシステムを組んでいくものです。  新興・再興感染症が生じてきたときに、疾病を特定化、病名をつけて確定診断をつけることの難しさ、それから、新しい病気が出てきたときに、大規模な監視システムにそれを追加することが手続が非常に難しいということで、米国でも新しいシステムを積極的に取り入れています。WHO等でも、これは途上国、先進国を問わず、現在の最も重要な方法論として一番注目されているところなわけです。  この症状に基づく監視体制と病名に基づく監視体制、これは両方やってもいいわけです。しかし、症状に基づくものが来年度以降、全世界の共通基盤になりますから、この共通基盤がなければ、ある意味で日本の監視体制は孤立した鎖国状態に置かれる可能性があると思います。そういった意味で、新しい動向を踏まえて監視体制を組んでいただくよう、御検討いただきたいと思います。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 中川智子さん。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  本日は、参考人の先生方、本当にありがとうございました。  まず最初に、早川参考人にお伺いいたします。  今回、エイズ予防法が廃止になってこの新法ができるわけですけれども、今までこのエイズ予防法をずっと、みずから当事者としてこの中にあられて、今回のこの新法が、早川さんたちの思い、そして悔しさ、それをきっちりと精神として盛り込まれている文言が入っているでしょうか。人権をきっちりとこれからの感染症にはうたい込んでいくということがこの文言に入っていると思われますか。もしも早川さんがエイズ予防法を廃止して新法をつくるならばどうしてもうたい込んでもらいたい文言というのをこの場でお聞かせいただければ幸いです。

早川雅人東京HIV訴訟原告団事務局長

○早川参考人 まず、この新法については、人権に配慮するという言葉はありますけれども、それは健康診断あるいは入院手続といった極めて限局的なところを指していて、今までのエイズ予防法と、新しい法律に変わったからといって、到底自分たちの状況がよくなるとは思えません。そういった意味で、自分たちは医療を忌避されてきた、拒否されてきたという経験がありますから、絶対に、お医者さんはちゃんと患者さんを診る、その条項を加えていただきたい、そう思っております。  それから通知に関しても、先ほども申し上げましたけれども、必ず患者さんにも、あなたにはそういうことが起こっている、だから行政にも伝えました、その両方をきちんと伝えていただくということが必要だと思います。  そういうことを条項に書き加えていくならば、もっとエイズ予防法についての反省、さらにはらい予防法においての苛烈な隔離の実態、そこを踏まえた反省の上に新法が立っているんだということが当然前文の中に書き加えられるべきだと思っております。  以上です。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 当然そうだと思います。今の言葉をしっかり受けとめてこの法律の中身を充実させていきたいという思いで質問させていただきました。  次に、光石参考人に伺いますけれども、意見書を読ませていただいて、そしてまたきょうのお話で本当にかなり問題だと思いました。  ところが、先日の厚生省に対する質問なんかでも、審議会などに患者・感染者、きっちり当事者を入れる、そして法律家を入れるということをどうしてしないのですかというふうに伺いましたらば、御意見をその時々にしっかり聞いて生かしているというふうに答弁があったのですが、今回の新法にいろいろお話しされた御意見が生きているかどうかということと、もう一つは、審議会なり今回の新法の中にうたわれております協議会などに法律家が入っていくことの大切さ、意味ということを例えれば幸いです。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 今回、基本問題検討小委員会では、私は別として、立派な法律家が参加しておりました。報告書も相当程度の報告書ができ上がったと思っております。  問題はその後のことではなかったか。つまり、私は小委員会が解散したという連絡を受けておりませんけれども、その後でき上がってきた制定要綱なり法案というものが余りにもその報告書とかけ離れていたということ。一体これはどこで起こったことなのかということは私にはわからないことです。  いわゆる審議会等において、こういう医療に関する場合に、患者の代表が入ってくるということは基本的に大事なことで、医療を提供する側のみならず、医療を受ける側の苦しみとか悩みとか、そういうものが直接審議に反映されてほしい。  そしてまた、法律家というのも、法律家にもいろいろございますけれども、先ほどから問題になっておりますような適正手続とかあるいは個々具体的な、代理人の援助を受ける権利とか、そういうことというのは、普通そういうトレーニングを受けていない人にはなかなかわかりにくいことなんですね。したがって、入っている方が私はいいと思っております。  以上です。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 もう一度、それに関連して、補償制度というのが今回の法律には盛り込まれていないのですが、そのことに対する危惧を、短くて結構ですから教えてください。

光石忠敬日本弁護士連合会人権擁護委員会委員

○光石参考人 補償制度がないということは、例えば、誤った場合なんかの補償制度がないということは、国際人権自由権規約九条の違反なんですね。先ほど申し上げましたけれども、今、だから、憲法及び国際人権自由権規約及び国連原則に違反しているのです。  だから、そんな恥ずかしいものを、まさかこの立派な立法府が、そのままノーチェックで通されるということがないことを、私は本当に信じております。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 ありがとうございます。  次に、松田参考人に伺いたいのですけれども、きょうのお話の中でも言われていましたように、CDCの戦略二のところで、地域住民の行動研究というのが中心にとらえられて、今後そのような方向で進むべきなのに、日本の法体系は、今回の新感染症でもいわゆる専門家中心に逆転していると。どうして日本の法律というのはそんなふうに、今回も特になんですが、その原因は何だと思われるでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

松田正巳静岡県立大学看護学部教授

○松田参考人 幾つかの原因が考えられると思います。  一つは、この法案を審議された先生方が感染症の専門家及び法曹界等の関係の方であったために、感染症のある意味で原因追求等に非常に、これは重要な点ですが、興味が割かれたのではないかと思うのです。  この法案は、本来、感染症の予防並びに医療に関する法案ですから、目的としては疫学や社会的な対策を本来は重点的に法案の趣旨に盛り込むべきであったと思います。  しかしながら、例えば、CDCの戦略の二というところで応用研究という項目があるのですが、これの紹介の仕方も、いわゆる研究室で行う病理研究等に重点が置かれているかのような紹介のされ方がされています。  しかし、実際に文をよく読みますと、最も重要なのは、新興・再興感染症は住民の行動にかかわることであると。これは、HIV・エイズは性行動にかかわりますし、食中毒、その他のO157等も我々の食習慣にかかわる問題です。  この我々住民の生活様式が変化してきたということを十分に研究者が把握できていないのが新興・再興感染症がなかなか予防できない一つの大きな原因ではないかと言われているわけです。  そういう意味で、アメリカのCDCでは、まずもって住民の行動研究をやるべきだということを非常に大きな重点研究として置いてあります。ところが、この点がほとんど触れられておりません。  それは、同時に、アメリカの対策の三番目の予防というところでも、結局、専門家あるいは医療提供側が幾ら頑張っても、一番頼りになるのは、私たち国民や住民一人一人が自覚の意識を持ってそれに十分対処することであるということで、早く情報を流した方がいいだろうというような対策が練られております。  そういう意味で、CDCの方は、過去のいろいろな失敗の経験から、施策の中心を専門家、いわゆる医療従事者側から、当事者、住民中心に移した方がいいであろうというふうな提言がされているように私には読み取れます。  これは、我が国の感染症対策においても、過去の結核及び環境衛生対策等でも成功してきたのは、専門家が頑張っただけではなく、住民が一体となって、ある意味で協力して対策に取り組んだからだと思います。  そういう意味で、残念ながら、日本の歴史的な経過も十分踏まえていないし、アメリカ等の諸外国の最新の知見もこの法案では十分取り込まれていないというふうに感じます。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 最後に一点だけお願いしたいのですが、伊藤参考人に、堺は、何だろう何だろうが、カイワレらしい、そして結局最終でカイワレだったということで、あのカイワレで落ちつきましたか。そしてまた、今もやはりカイワレというところで落ちついているかどうか。そして、堺の今の状況、二年たってO157が今堺ではどんなでしょうかというか、非常に漠然としていますけれども、先ほどのお話の中でも、やはり私は阪神・淡路大震災の後、あのO157だったので、いわゆる危機管理というか情報が、堺はラッキーだと思っているのですが、ほかの自治体も堺を教訓にして、あれと同じような体制がとれるというふうにお考えでしょうか。そのあたりをお聞かせください。カイワレともう一個。

伊藤武大阪府堺市環境保健局長

○伊藤参考人 カイワレにつきましては、先ほど申し上げました国、府、堺市、三者によります原因究明の部分での結論といたしまして、カイワレを疑わしきということでなった。ですから、我々としてはカイワレということの断定はいたしておりません。  もう一つ、最近、種子からどうかという部分もございましたけれども、あれも我々の一昨年にまでは言及されておりませんので、種子の部分についてもよく今は承知しておりません。  それと現況、O157から二年近くたった現在はどうかというお尋ねでございますが、先ほど経過報告の中でも申し上げましたように、今堺市としては健康都市を目指して、市民に日々健康で送っていただけるということを目標に運動に取り組んでおるわけでございますが、ただ、O157で残る部分といいますのは、これも先ほどの御報告の中で申しましたように、当時罹患された方の補償に関しての継続部分がございます。九千四十八人は終わりましたけれども、いまだ七十一人の方が補償交渉について決着を見ていない。これはなぜかといいますと、やはり腎機能の障害によって今でもなお通院されているとか、そういう部分での決着が、その学童については非常にお気の毒なことでありますけれども、まだ治っていない、完治していないというのが一つ。  ですから、市としても、その後遺症に関する専門家の委員、これを求めまして、来月から検討委員会をこしらえ、小学校、その次の中学校、一般、こういった段階を踏んだ中での後遺症問題についての検討をしていこうというのが現況でございます。ですから、一昨年の〇から何が残るかという部分につきましては、補償、これは主に病気のために継続して治療されている、そういった部分での後遺症について我々としてもお手伝いをしたいということで、委員会をつくっていこうと。それでよろしゅうございますか。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後三時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十二分開議

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。

松崎公昭民主党

○松崎委員 民主党の松崎公昭でございます。  大臣、大変お疲れのところ、御苦労さまでございます。  午前中は、大変いろいろな角度の参考人の方の御意見を聞かせていただきました。私も、この委員会初めての質問で、これらの問題は初めての取り扱いで、大変ショックを受けたり、いろいろ勉強をさせていただきました。竹田研究所長さん初め、今までの官僚体制あるいは日本の医療体制の中で、しっかり担ってきた方々、また、その延長線上で考える方、あるいは実際にエイズの被害者として大変御苦労をされてきた、そういう生の声、あるいは冷静な学者としての国際標準をとらえてのしっかりとした御意見を承りました。いろいろな角度から、私は、大変難しい問題であることは承知はしておりましたけれども、新感染症の問題というのは、まさに、今やグローバルな、そして、世界全体で物を考えないといけない、そういう観点で、私は、今回、本当に難しい問題だろう、そういうことを思った次第であります。  問題点として、この参考人の方から私が受けた重立った点は、やはり、WHOの世界保健宣言にもありますように、五月十一日に採択された、そういうことで、一つの大きな感染症特有の世界全体での問題から、WHOの大きな方向性、こういったものをしっかり日本でも、この法案の中にも取り入れるべきではないか、それから、予防と人権は並立すべき、また、今回の小委員会の報告書でも言っておりますように、バランスをとっていくべきだろう、それから、アメリカのCDCを中心として、住民の行動研究を極めて重く感じていくのだ、そういう御意見もございました。  さて、大臣もよくおっしゃっておりますけれども、一九九六年世界保健報告から、まさに、どの国も安全ではない、地球規模で感染症による危機に瀕している、そういう警告を受けて、今日の法案の改正もあったのではないか、そのように思っております。  もちろん、世界規模での地球変化。ですから、病原体がどんどん変わっていく、あるいは地球温暖化の問題があったり、あるいは交通機関の問題があったり、いろいろな原因でこの一九九六年のWHOのそういう発言があって、今や、世界全体が見直しをしなければならない、そういう段階だろう。もちろん、厚生省としても、今や、地球的な規模の対応が必要であるということを九年の白書にも書かれているわけであります。  また、八年の四月、平成八年には、日米の包括経済協議の中でも、新興及び再興感染症が追加をされている。それは、日本に対する大変な貢献に対する期待もあるのではないか、そんなふうに感じておる次第であります。  そこで、まず大臣にお伺いしたいのですけれども、そのWHOの、九六年以来、大臣もおっしゃっているように、どこの国も安全ではない、そういう認識のもとに、世界的な日本への役割期待もあって、その辺をどんなふうに、どのようにこの法案に生かしながら、そういう世界からの期待も、この感染症の対応というところで表現し、実行していこう、そういう考え方はどの辺に、また、法案に込められているのか、御質問いたします。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 今、委員の御質問、御指摘の中に私の答弁もほとんど含まれているのじゃないかと思うのであります。何か、私の言うべきことを全部言ってくれたような気がするのですが、百年前に比べれば、隔世の感という言葉も何か古びたぐらい、この百年の変化というのは激しいものがあると思うのであります。よくもまあ百年間変えなかったなと不思議に思うぐらい、これまでの法律でやってきたなと。  ですから、旧法と今提案しております新法を比べれば、これからの新しい対策、当然、旧法に比べて進んでおりますし、旧法の持っているところのいろいろな問題点を反省して、今回新法をつくったわけであります。患者の人権への配慮、感染症予防、感染症の拡大の防止、これを両立させるという強い決意のもとにこの法案をつくっているわけでありますので、私は、今まで日本が医療に果たしてきた役割を多くの国も高く評価しておりますから、この感染症新法によりましても、国際協力の面からも、お互い国際各機関と連携の上に、世界の中でも、病気の撲滅やらあるいは医療の協力やら、感染症対策におきましても、今後世界の一つの模範国となるように、日本は、医療面においても、また感染症対策の面においても、努力していくために、より一層汗を流すべきだと思っております。

松崎公昭民主党

○松崎委員 どうしてもそういう大枠のお答えになってしまうのだと思いますけれども、私は、もう少し、法案を含めて、国際的な貢献というか、国際感覚でこの法律を、つまり、感染症というのは、もう一国ではどうにもならない、もう世界全体の問題なんであるということと、特殊性がある、一国でどうこうできる問題ではない、ですから国際性を特に言われているわけでありまして、その辺、この法案でどういううたわれ方をしているか。  三条の三で、「国際的な連携」というのが出ています。これはまた大臣の答弁になりますけれども、しかし、これは私は、情報の収集、研究のための連携、そんなふうにしか受け取れないのですけれども、本当の国際性というものをしっかりやっていかないとだめだということはきょうも松田先生からも相当の指摘を受けているわけでありまして、その辺、法案にその国際性がないじゃないかということでお聞きをしているので、どうでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今先生がおっしゃられましたように、地球にとって感染症対策というのは日本だけの問題ではなく世界じゅうの問題であり、先進国である日本としてはそれ相応の御協力を申し上げなければいけないというのは先生のおっしゃられるとおりだと思っております。  今回の法文でいきますと、先生今御指摘いただきましたように、第三条第三項の国の責務において、「国際的な連携を確保するよう努める」というふうに明記がしてございまして、発展途上国が感染症で苦しんでいることを十分念頭に置いて、効果的な支援のあり方を工夫するなど感染症対策に係る国際協力というのをやってまいりたいと思っております。  ただ、これまでにも、実は、私どもの方からWHOに人を派遣する、職員が行っているということ、例えばそれにおいて、ポリオ根絶対策というのにWHOのWPROというマニラにある事務局が中心になってアジア地域をやっていますが、その担当者は日本人がやっておるというようなこともあります。それから、外務省さんが、技術協力という形、JICAベースでもって各国に医療援助、公衆衛生関係の援助をやっている。そこには予算としては外務省関係の予算で対応しておりますが、実は、戸山町にあります国立の国際医療センターには、あれは派遣協力課というのがありまして、そこに、ドクター数が、今ちょっと細かいことはわかりませんが、四、五十人ドクターとして置いてありまして、絶えず外国からの御要請に応じて応援に行くような体制を現にとっております。そういう意味では、法律に書いてあることもそうなんですが、今までもやってきたし、今後ますます大変重要なことだと思って今後とも頑張ってまいりたい、このように思っております。

松崎公昭民主党

○松崎委員 五月の十一日にWHOにおいて二十一世紀に向けてのヘルス・フォー・オール、これが採択をされた。これは健康の希求が基本的人権であるということで、健康と基本的人権というものをつなぎ合わせて、当然両立させながらやらなければならないというふうに言っているわけでありますけれども、これに関してどのように厚生省では受けとめて、この法案に反映させようとしたかどうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず最初に、先日WHOで採択をされました「二十一世紀のヘルス・フォー・オール」の概況をまず御説明させていただいて、その後、今回どのように反映されているのかをお答えを申し上げたいと思います。  本年五月のWHOの第五十一回世界保健総会で採択をされました「二十一世紀にすべての人に健康を!」、これを「二十一世紀のヘルス・フォー・オール」、HFAと言っていますが、とは、人々の平均寿命の伸長、それから生活の質、クオリティー・オブ・ライフの向上、健康水準の格差の是正、保健医療サービスをすべての人が利用できることなどを目的として、妊産婦及び乳幼児の死亡率の低下、感染症等の制圧など、到達目標とその達成のための方策を定めたものでございます。  そしてまた、同時に、今先生がおっしゃられました健康の希求ということの関連でございますが、これは実は同時に採択をされました世界保健宣言の中に書いてございまして、そこには、WHOの加盟国は、健康の希求が基本的人権であることを再認識し、その実行に際し、個人の尊厳、権利義務の平等及び責任の共有を確認する、こういうのが宣言に入っておるわけでございます。それで、この宣言が出されたということでございます。  ではこの法案でどのように反映されているのかというおただしでございますけれども、まず、感染症の予防に関する施策の推進をする上では、感染症の患者等の人権に配慮することはもとより重要なことだと認識をいたしております。  このため、本法案においては、まず、法案全体の考え方を示す基本理念や、国、地方公共団体、さらに国民の責務において、患者等の人権への配慮を明記しているところでございます。  また、このための手段といたしまして、この法律に基づく入院等に関する具体的な手続において、感染症の類型に応じた就業制限、入院、それから患者の意思に基づく入院を促す入院勧告制度の導入、三つ目に、七十二時間を限度とする応急的な入院、四つ目に、保健所に設置する感染症の診査に関する協議会の意見を聞いた上で、十日ごとの入院の延長、五つ目に、長期入院患者からの行政不服審査の請求に係る行政不服審査法の特例規定の設定などを法文に明記をいたしているところでございます。

松崎公昭民主党

○松崎委員 この辺の議論は今までも恐らく参議院も含めまして相当出てきたことのように思っておりますけれども、きょうの午前中の参考人の中にも、厳しく、いわゆる小委員会の報告と随分違うじゃないか、全然内容が変わっている、そういう強い御意見も含めまして、今の局長のおっしゃっている法文では、例えば二条の「人権に配慮」、これではとても弱いのだ、そういうことを含めて指摘をされているわけであります。  私もWHOの詳しい内容はわかりませんけれども、大方のことでありますけれども、この法文と比較しましても、また小委員会の指摘から見ましても、どうもその辺が非常に弱い。これは恐らく私たちの日本の歴史にも関係ある、民族にも関係あるかもしれません。あるいは、社会規制的なことで、もっと言えば、いわゆる中央官僚システム、そこまで及んでいく、どうしても官僚主義で来てしまった、この辺が、民はある程度抑えるものだというようなことで、我々に任せておけばいいのだ、そういう発想が強く出ているようでございまして、その辺がよく指摘されているらい予防法、エイズ予防法の人権無視につながっていった。  そして、前にもうちの山本議員が御指摘されましたけれども、結核予防法だけは人権を尊重してきたんだ、その辺に二つの流れがあるのじゃないか、そういうことを言っておりましたけれども、その辺で、この人権の問題というのは世界的な流れでもありますので、これはしっかりと修正をしなければいけないのではないか、あるいは、我が党の方からも出ておりますように、前文でしっかりと尊重という言葉を入れるべきではないか、そんなふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 私どもとしては、感染症の患者さん方の治療をきちっとしていく、そのことによって病気の発症、また他の人々への感染を防止をしていく、そういうためには場合によっては身柄を拘束をせざるを得ない場合も出てくるということ、そのこと自体は人権のこととかかわってくるわけでありまして、そこは先ほども先生御質問の中で御発言いただきましたように、人権とそれから患者さんの治療ということ、それをやはりバランスをとって今回は法案を調製をさせていただいたということでございます。  それで、理念だけでうたっては実はだめなんで、今回は理念のことに書くとともに、いろんな細かい、先ほど五つ挙げさせていただきましたけれども、五つ挙げさせていただいたようなことの細かい規定まで手続論として法律に書くことによって人権侵害の起きないように私どもとしては配慮したところでございます。  そして、今先生おっしゃられましたように、公衆衛生審議会の御意見と実は法文との乖離があるではないかというおただしは、先日来御意見をいただいているところでありますけれども、私どもとしては、確かに政府原案として出しているときにはそれと異なっているところはございますけれども、必ずしも全部後退というんではなくて、私どもの考え方としては、人権につきましては、先ほど言いました五つ目の長期入院者からの行政の不服審査に係る行政不服審査法の特例規定というのは、実は公衆衛生審議会の御意見の中には入っていないのであります。  しかし、これは私ども精神衛生法でやってきた経験からいきますと、やはりどうしても最後には、出してくれという患者さん、私は不法に拘禁されているんだという声がどうしても外に出て、それをお助けすることの規定が非常に重要という判断から、政府側としては、これは公衆衛生審議会のレポートにないにもかかわらずそういう規定を設けたというところで、必ずしも私どもとしては後退という意味ではなくて、御意見は御意見としていただき、その精神は、実は法律だけではなくて今後の省令だとかそれから局長通知だとかそういうものを法律全体の運用の中で、公衆衛生審議会の意見は生かしつつ、法律にどうしても書かなくてはいけないところは、さっきも申したように人権規定では必ずしも後退ではなくて、私ども政府としては前進をさせたところもある、全部というわけではない、させたところもあるということで御理解をいただきたいと思う次第であります。

松崎公昭民主党

○松崎委員 この辺はなかなか意見がかみ合わないところかもしれません。人権として守られるべきこととして、HFAにも差別されない権利でありますとか、今おっしゃっていたような適正手続の保障それからプライバシーの保護、メディカルサービス、情報、公衆衛生上のインフラ等へのアクセスができる権利、こういうようなことが言われておるわけでありまして、一つ一つ、私は法律の素人でありますので、局長さん並びにプロの皆さんがそういう説明をされますと何となくそうかなと思ってしまうわけでありますけれども、そうじゃないんじゃないか、相当の部分で抜けているんじゃないか、後退しているんじゃないか、そう思うわけであります。  例えば、プライバシーの保護の問題に関しては、おっしゃられるように、人権として守られるような形になっておるか、お答えいただきたい。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 それでは、プライバシーの保護についてお答えを申し上げます。  この件につきましては、国等が感染症情報の公表に当たって個人情報の保護に留意すべきことを定めたほか、医師、公務員等の業務上人の秘密を知り得た者は、秘密漏えいに対する罰則を設ける形でもってプライバシーの保護に当たっておるわけでございます。

松崎公昭民主党

○松崎委員 こういう人権問題は、まだまだ私どもから見ますと不足をしている、非常に後退したんではないか、そういうふうに解釈をしておるわけであります。  次に、IHR、国際保健規則、これが間もなく改定される。一昨日の児玉議員の発言にもありました。また、きょうの午前中にも随分この問題が参考人から出てまいったわけであります。この問題に関しまして御質問をさせていただきたいと思います。  ことしの二月に既にドラフトが来ていると思いますが、これはどの辺で検討作業を今しているのか。そして、多分九月までに回答を提出ということになっておるようでありますけれども、いつされる予定か。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 国際保健規則に関連しましては、本年二月に加盟国各国に対しまして、世界保健機関、WHOから送付をされました。そして、今先生がお話しされましたように、九月までに意見を提出するよう要請を受けておりまして、今厚生省において実質的な内容の検討をすることといたしております。  ただ、何分にもこの感染症法案に今取り組んでおりまして、この法案を成立させていたださましたら、早速この次に、関連する政省令とともに、この保健規則に対する検討もしていこう、このように考えております。  今後の予定といたしましては、症候群による感染症の発生動向状況の把握に関する評価を目的とした実地調査が一九九八年末まで継続をされ、そ の結果の取りまとめと解析を一九九九年の前半に実施し、その上で、二〇〇〇年一月の執行理事会に報告をし、同年五月の世界保健総会において採択をされる予定であると伺っておるところでございます。  我が国といたしましては、改正のための作業委員会にも参加をいたしまして実地調査に積極的に参加していることもあり、今年五月に行われた世界保健総会において報告された改正案に対し、支持を表明をいたしておるところでございます。

松崎公昭民主党

○松崎委員 これがいろいろ問題があるんではないかと私も思っておる次第であります。  この症候群の分類で、アメリカはCDCを中心に既にそれを取り入れているというお話でございました。先ほどから、WHOにも日本人が派遣されている、もちろん事務局長さんも十年間もいらした。ですから、こういう情報は既にこの法案をつくる前から知り得たんではないか。ですから、報告書にも「国際保健規則の改正への弾力的な対応」ということをうたわれているわけでありまして、この分類の仕方、今回の法案では、類型で病名で分類しているわけであります。しかし、どうもいろいろな御意見を聞いてみますと、それではまずいんではないか、あるいは、少なくとも両方を両立させていかなければいけないんではないか、そんなことを私は感じた次第でございます。  というのも、感染症そのものが非常にグローバルなものでありまして、たしかおとといは局長は、発展途上国のところに合わせてあるんだ、そういうことで、症候群の扱いは日本では、先進国では病名で十分なんだ、そういう御答弁があったように思います。  私は専門家ではありませんけれども、世界の中で、やはり一番おくれているかもしれませんけれども、対応力の鈍いところに合わせていかないと、これはいつどこでどういうものが入ってくるかわからないわけでありますから、その辺で、症候群の扱いというものをもう少し今から取り入れて考えていかなければならないんではないか、そんなふうに思うんでありますけれども、いかがでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今先生がおっしゃられましたように、国際保健規則の改正案では、症候群別の分類になっております。この症候群によります方式は、発熱と出血といった症状ごとにまとめられた症候群で報告するため、疾患を診断し、疾患名を特定してから報告する方式に比べると、未知の感染症の発生等を早期に把握する上で有効であるとされておりまして、先生御指摘のとおり、新法においても、未知の感染症である新感染症の規定においてこの考え方が採用をされておるわけであります。  一方、既知の感染症につきましては、先進国など一定の医療水準にある国においては診断が迅速につけられることから、あえて症候群による感染症の発生を把握する意義は薄いとされております。  このため、世界保健規則改正案においても、各症候群ごとに対応する個々の疾患についても規定する予定でありまして、疾患名を特定するといった新法の考え方と基本的に同じものである、このように認識をいたしておるところであります。

松崎公昭民主党

○松崎委員 WHOのゲナエル・ロディエ博士が述べていらっしゃいますけれども、やはり症候群アプローチでいかないと素早く対応できないのだ、そういうことで、アメリカもこの症候群を中心にしてやっていくのだ、そういうふうに書いてございます、新聞でございますけれども。コンゴのとき、エボラ出血熱が九五年に出たとき、やはり即座に現地の医者が判断できなかったことによって、はっきりした病名を確定するまでに四カ月たってしまった。その間に多数の死者が出てしまった。もしこのときにこういった症候群でもっと早く連絡があれば犠牲者の拡大を防げたのだ、そういうことを言っているわけでありまして、私は、この法案の中にそういう症候群の位置づけ、分類の位置づけもやはり同時にやるべきではなかったのか、そんなふうに思っているわけであります。  やはり途上国の能力に見合った対策でないと、症候群アプローチと同時に病名と両方を表示しながら、世界の動きの中で対応力をつけていく、それが逆に日本の役割である。途上国に対するリーダーとしても、それがこれからの日本の役割ではないか。  ですから、せっかく百年もかかって初めて直すのでありますから、新しくするわけでありますから、これは世界のリーダーとしてのチャンスなんだということでいくと、ここで世界標準、これはもうどの業界でも言われているわけでありますけれども、特に感染症の場合にはまさにグローバルスタンダードでやらなければならない。ですから、その辺、症候群アプローチに関してこの法案に盛り込むべきではないかと思うのでありますけれども、もう一度聞かせていただきたいと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今先生がおっしゃられたように、WHOが決めていらっしゃる基準に合わせるべきだという御意見だと思いますが、WHOの方でも、まだ案については、案を提示をして、これから各国の意見をお集めになられて、そしてそれについての議論を重ねられてWHOの保健規則というのが固まるものと思っております。  それからまた、国内の方の今回の伝染病予防法の見直しにおきましても、厚生省の中につくりました基本問題小委員会の中で、きょうもその委員長であります竹田先生が参考人で出ていらっしゃったと思いますが、竹田先生もこの動きについては承知をしていらっしゃるし、竹田先生もその世界の動きと合わせていくという、そして世界の対応とまるっきり違うのではなくて、世界の動きに協力できる、そしてなおかつ日本は診断学についてはもう少し進んだ面があるので診断をつけていく。  実は、今回でも、病気の病名があって、その病名に基づいてこの方は入院をさせるとか、いやこれは入院をさせずに、例えば行動制限だけにするとかというふうに細かく規定をいたしております。これを症候群だけでくくってしまって、この症候群全体は、例えば原則で入院だとか、時によって入院だとかという定め方をしてしまうのもこれまた問題があるわけでありまして、病名がわかるものは病名をつけて、その病気ごとに中身を吟味して処遇を決めていくということは決して間違っていない。そして、それは世界の流れに沿っているものであって、特に異なったことではないと私は思っております。  ただ、先生おっしゃられますように、今後WHOが議論を重ねられて国際保健規則が出てきまして、それにおいて万が一日本とまるで違う方向に流れていくということになりますれば、それはこの法には、疾患群についても五年に一回の見直しというのもありますし、また、それだけでも直らなければ、それはまたそのときに考え直さなくてはいけないとは思いますけれども、現在は、この審議会の専門の先生方も、今日本でやっていることはこのWHOの保健規則の流れに沿っているというふうに委員長が判断をされておりますので、私どももそれでいいと思います。  また、アメリカの話が出てまいりましたが、アメリカにおける感染症発生動向調査の主流につきましては、CDCが報告疾患と定めている五十二疾患の診断基準というのを明確に定めまして、この診断基準に基づいた疾患報告を中心に体制が構築をされ、各州の協力のもとに運営をされているというのがアメリカの実態でございますので、それは今現在日本がやろうとしていることと同じことだと私は思っておるところでございます。

松崎公昭民主党

○松崎委員 ということは、WHOがそういう段階になった場合に対応するというふうな受けとめ方でよろしいのでしょうか。それから、報告書の中の弾力的な対応が必要だということも今の答弁で含まれているというふうに解釈してよろしいのでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず一点目は、WHOの保健規則がきちっと成案で固まった場合、そして日本がやっていることが世界の潮流と合わないという話であれば、それは公衆衛生審議会にお諮りをして、また意見を伺って適切な対応を図ってまいりたいと思います。  二点目の質問、意味がちょっとよくわかりませんでしたので、再質問でお願いいたしたいと思います。

松崎公昭民主党

○松崎委員 しつこいようでありますけれども、結局、新興・再興感染症も、先ほど竹田先生も、香港の鳥のビールスにしても変わってくるんだとおっしゃっていました。そうなると、私は素人ですからかなりずれているかもしれませんけれども、固定的に物を考えてはだめなんだ、だから世界に共通して即座に対応できる症候群への対応も必要だし、それから、先進国である日本が病名をはっきり確定できるものは確定しても対応が非常にできる。両方をやはりこの際早目に取り入れていくのが、日本がリーダーとして、世界から注目されているこの新感染症の法案を、これは国内だけの問題じゃないんだ、WHO全体の問題でもあるし、日本のリーダーシップの問われているところなんだ、だから、そこでもう少し明確にその辺を今のうちに法案の中に入れておくべきだろう、私はそういうふうに申し上げたかったわけであります。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 そういう意味では、今回の法案でも、既存の感染症じゃなくて新感染症という項目を設けて、先生がおっしゃったように、新しい病気が出てきたときにも対応できるという仕組みをとっておるところで、その点は御理解をいただきたいと思う次第でございます。

松崎公昭民主党

○松崎委員 済みません、終わりました。  どちらにしても、きょうの午前中のいろいろな御意見、そして参議院、衆議院はまだ継続中であります。この新感染症、問題があり過ぎる、そしてまた時代的にも非常にたくさんの対応をしなければならないということでありますので、私どもは、人権問題も含めて、もっと時間をかけた審議をすべきだろうと思います。よろしくお願いします。終わります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 山本孝史君。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 自民党の理事が四人ともおられずに、自民党の議員は六人しかおられませんので、それでも質問をしろと言われれば質問をしますか。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 今招集をかけておりますので、質問をしてください。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 委員長の御指示ですから、質問をさせていただきます。  局長、まずお尋ねします。  今回の感染症予防法の制定によって、今後特別立法の必要性はないと明言をしていただけるか。新感染症であって、致死率が高くて治療法がない、そのために国民がパニックのような状況になっている、そういう状況であっても、エイズ予防法のような特別立法を行うことがないというふうに明言していただけるかどうか、お尋ねをします。(発言する者あり)

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 静粛にしてください。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  今後対策が必要となる感染症が発生した場合にも、新法により、新感染症や指定感染症の臨時緊急の対応や必要に応じた五年ごとの見直しを行うなど、感染症類型の弾力的対応が可能となっております。また、特に総合的な施策の推進が必要な感染症が発生した場合には厚生大臣が特定感染症予防指針を策定することとしておりまして、こうした対応により、現時点では特定の感染症を対象とした法律を策定する必要はないと考えております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 失礼ですが、揚げ足をとるようで申しわけありませんが、現時点において特別立法をする必要性はない、いかなる感染症が出てきてもこの立法ですべて対応できるという理解なのですかというのが私の質問です。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 いかなると言われると、さすがにちょっと、先のことまでは読み切れないのですが、今私が考えつく限りの感染症は対応できるものと思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 ここのところは大変議論でありまして、百年越しで変えるという中に、いろいろな類型を考えられて今回立法しておられるわけですから、いかなると申し上げたのは、いろいろなタイプのものが考えられるだろうが、感染力であるとか、あるいは感染経路であるとか、あるいは隔離の必要性の度合いであるとかというようなことを考え合わせて類型をしておられるわけですから、そういう意味において対応ができるはずじゃないかというふうに思うわけですね。ということは特別立法の必要性はないのじゃないかという、理論的には帰結するということなんです。  次の質問に行きます。  結核予防法を今回一本化されずに残されました。すなわち、特別立法として結核予防法が残っております。さまざまな理由がある中で結核に対する細かな対応が必要なので残したのだというお答えがありました。一方、腸管出血性大腸菌感染症はこの感染症予防法にお加えになっていて、しかも第三類、それだけを取り上げて第三類という形で特別にしておられる。その理屈としては、今回の感染症予防法に類型されておられる他の感染症と違って異なる対応が必要なので第三類というふうに規定をしているのだというお答えがありました。であるならば、感染症予防法と同様にこの腸管出血性大腸菌感染症予防法というような形で特別立法をした方がよかったのではないかという気もしないわけでもありません。  すなわち、細かな対応が必要なので結核予防法を残したのだ、細かな対応が必要なために第三類という形で特に分けているのです、そうおっしゃるならば、特別立法という考え方もあったのではないかという考え方も出てくるわけです。同じ細かな対応が必要だとする結核と腸管出血性大腸菌感染症で、一方は特別立法で残して、一方は感染症予防法に加えて別枠的に扱っておられる。これはどういうふうに御説明をいただけるのでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず、結核は今でも新登録患者が四万人を超えます。死亡者数が、平成八年二千八百五十八を数えますところの国内最大の感染症でありまして、また、日本における結核の罹患率は先進各国と比較しても高い状態にあるため、その対策について依然ゆるがせにできない状態にあります。  こうした状況を踏まえ、結核予防法においては、きめ細かな健康診断や外来医療に関する適正医療の規定等、結核対策上固有の規定があることから、引き続き独立の法体系によって結核予防を進めることにしたものでございます。  なお、昨年十二月の公衆衛生審議会の意見具申において、同趣旨の追加意見をいただいているところであります。  次に、なぜ腸管出血性大腸菌感染症が三類感染症にされたのかというお話でございますけれども、これは、公衆衛生審議会の基本問題小委員会の検討の中で、各感染症の感染力や罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な検討を行った結果、腸管出血性大腸菌感染症は就業制限の対象となる三類感染症と位置づけられたものでございます。  それで、今先生が言われましたように、これは今たった一つしかない、こういうお話でございます。だから特別扱いしてしかるべきではないかというお話でございますけれども、結核は、さっき言ったように、日本最大の感染症であり、まだ先進国よりも大変高いという状況を勘案して、これについては別枠としたということで御理解をいただきたいと思うのであります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 私の理解は、岡山から始まったあのO157の大流行というものを踏まえて、今後ともにまだ日本国内において集団発生する可能性が高いだろうという思いを持っておられて、しかも他の感染症と若干違う、就業制限等についての取り扱いが異なるのだという意味で第三類というふうにして特に置いておられる。それで、五年ごとに見直していくのだから当面第三類に置いておけばいいじゃないかということもあるのかもしれないと思うのですが、感染症の類型別にしているがために、何か違うものが出てきたときにほかのものと違う扱いをしようとすると、今度はまた、では第何類、第三類の一だとか、第二類の一だとかという形で対応していくという形は少し無理があるのではないかなという気が実はしているのです。  結核が大変だというふうに思っておられるのはよくわかる。だから結核予防法が残っていると。大変だと思う思いは、これは一類の感染症と違って、O157の場合は大流行を経験した上での話なので、ここのところは少し整理が無理があるのではないかなというか、今後運用される上で法律をかえってややこしくしていく可能性がないのかなと。したがって、この法律の組み立て方がいまいちではないかなという私の思いなんですけれども、ということでお聞きをしているわけです。  次の質問に行きます。  この法律の名称についてお尋ねをしたいのですけれども、当初予定されておりましたのは、感染症予防法でした。それが、今回は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案という名称に変更されました。ここに使われているこの「医療」という言葉についてお尋ねをさせていただきたいわけです。  「目的」の第一条に、「この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることにより、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、」というふうに書いてあります。とすれば、法律名に書かれている「医療」というのは、蔓延防止のための医療と理解をしてよろしいのでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 この法案における「医療」とは、個々の感染症の患者に対する良質かつ適切な医療の提供を通じた早期治療の積み重ねによりまして、社会全体の感染症の蔓延防止を目的としていると考えておるわけであります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 早期治療の積み重ねを通じた蔓延防止だと。そうすると、その早期治療のという部分なんです。早期治療がこの中にどの程度書いてあるのだということになるわけで、この第一条の「目的」の書き方から考えると、「感染症の発生を予防し、」というのは「感染症の予防」と書いてありますし、「及びそのまん延の防止を図り、」は、これは「感染症の患者に対する医療」ということに並列する書き方だというふうにしか私には読めない。ということは、この「医療」というのは蔓延防止のための医療、それはその前に、今局長が前段階として「早期治療の積み重ね」という言葉をどこから引っ張ってこられたのか、では、それをこの中に書いておけばいいじゃないか。それは書いていないです、そんな話は、この中には。単にここは「まん延の防止」としか書いていない。そうすると、嫌みな質問ですが、この法律名は感染症の予防及び蔓延の防止に関する法律というふうに書いた方がよほどわかりやすいのではないですか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 私は、名称はできるだけ短い方がいいと言っていたのです。こうしなければならない、ああしなければならないと言ったら、もうどんどん長くなってしまうのです。  私は、本来、感染症予防法でいいじゃないかと、予防には当然医療も含むのだと。しかし、どうしても「医療」を入れてくれという人たちがいたから、それじゃ入れましょうと。本来だったら、もうできるだけ短い方がいいと。あとは常識とか良識とか質疑の中で、人間として信頼しないとこの社会は成り立っていかないです。これもないからだめ、これも書いていないからだめ、こんなことをやっていたら、もうしゃくし定規になってしまって大変なことになる。私は、そういう面において、問い詰めたら切りがないのです、これは。もっと人間の常識というものを働かせるべきじゃないか。お互い国会議員としての質疑を尊重すべきじゃないか。その辺はそういう面にも配慮していただきたいなと思います。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 与党内でどういう協議があったか私は存じ上げませんけれども、名は体をあらわすということがありますので、ここに書いてあるものがかえって誤解を与えるようなものになっては困る。内容をしっかりあらわしている法律名でなければ困る。私、長い短いは、ちゃんとした内容をあらわしているのであれば、長くてもそれは構わないと思います、わかっていれば。  そこのところで、ここのところは私はいまいちよくわからない。この「医療」というのが一体何なんだということをしっかり押さえておかないと、法律が持っている性格が、あるいは理念が誤解をされてしまうおそれがある。そういう思いで、ただいまこの「医療」というのは何ですかというふうにお聞きをさせていただいた。早期治療の積み重ねによる蔓延の防止だと。首を振らないでください、そうさつきおっしゃったのですから。  では、第三条についてお尋ねをさせてください。「国及び地方公共団体の責務」です。  この国の責務についてお尋ねをさせていただきたいのですが、第三条、ここのところに「感染症に関する研究の推進」という言葉があります。この感染症の研究の内容ですけれども、これは感染症の予防のための医薬品の研究開発の推進あるいは感染症の治療法の研究も含まれていると理解をしてよろしいのでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 第三条の国の責務等に規定されている感染症に関する研究の中には、感染症に関する基礎的な研究だけでなく、医薬品の開発と治療法の開発も含まれるものと考えております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 それは地方公共団体にも課せられている責務だと理解していいのですね。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 研究については、国だけでなくて、地方自治体にもかかっておりますが、研究の細かい項目の中のどこが、その各研究の細かいところ全部が地方自治体にかかるのかとかいうことまでは明定されるところではありません。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 同様の質問をさせていただきますが、医薬品の研究開発の推進はこの感染症の研究の中に含まれているという御答弁なんで、そうすると、ワクチンの開発、製造あるいは提供は国の責務であるというふうに理解をしてよろしいですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 研究という中に、その供給ですか、製品を国が生産をして届ける、またはどこかに委託してその製品をつくるというところまでは入っていない。研究品を研究して、そのワクチンをつくることの研究はするというところでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 確認です。ここに、三条に書いてある感染症の研究には、感染症の治療法の研究、それから医薬品の研究開発の推進は含まれているという御答弁ですね。そうすると、ワクチンの開発、製造、提供という三段階に分けて、どこまでは国の責務ですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 ワクチンの開発が入ると思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 では、もう一度の確認ですけれども、ワクチンの製造、提供は国の責務ではないという御答弁でしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 そのように理解をいたしております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 そうすると、国の責務の中にワクチンの製造、提供が入っていないということは、治療法の単なる研究であって、治療の推進というものは国の責務ではないということですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今申し上げたのは、研究の中にはワクチンの製造というのは入っておりません。しかし、患者さんの治療のための国がやるべき責務というのは、また別途それはあるものと考えております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 そうすると、感染症の医療体制を整えるというのは国の責務でないということですね。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 国の責務の中に「感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」というふうに書いておるところであります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 であるならば、その治療に必要なワクチンの提供は国の責務なんですよね。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 ですから、先ほども言いましたように、ワクチンの製造については入っておりません。研究開発をやるということは国の責務に入っております、製造は入っておりませんと申し上げたところであります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 国営でつくることは責務じゃない。だけれども、製造して提供する、民間の企業がつくるのかもしれないけれども、それをきちっと提供するということを国は保障しているのだと。そこで、この「良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずる」のだということは、きちっとそういう必要な医薬品も確保するのだということでないと、国の責務にならないのじゃないですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 いや、法文に書いてありますのは「適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と書いてあるわけでございます。努力するようにということが書かれているということでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 これは努力義務として書いてある、だから責務じゃないのだと。だから、国の責務というふうに第三条の頭に書いておいて、中は「努めなければならない。」と努力規定にしてある。ここのところに無理がある、今の御説明を聞いていても。どこまでが一体国の責務なのかはっきりしない、そういう法律をつくってはいけないと私は思いますね。  何をしなければいけないのかということをきちっと整理をして、あるいは今の私の質問の中で、ワクチンの開発、製造、提供、一体どこまでが、何が国の責務なのか、あるいは何に国は努めるのか。努めるなんというのはだれでも言う話なんで、だからそこのところをきっちりとした整理をして、次回のときにお答えをいただきたいというふうに思います。お願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今の答弁で私は全部お答えをしていると思います。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 じゃ、済みません、記録部の皆さんに、きょうの議事録、早目に上げていただいて、精査をさせていただきたいと思います。  次の質問をさせていただきます。  感染症の指定医療機関の施設の設置基準についてお尋ねをさせていただきたいのですが、先般、厚生省の皆さんに御配慮をいただいて、大阪府の泉佐野市立の感染症センターを視察をさせていただきました。国が指定する特定感染症指定医療機関と想定をされている機関の一つでありますけれども、その場では何も申し上げなかったのですが、高度安全病床が二床ありまして、これは前室がついた部屋になっている。この前室との間が鉄の扉で閉まるようになっている。この鉄の扉に残念ながら窓がないのです。監獄に入るよりも厳しいぐらいに鉄の扉がバシャンと閉まってしまう、こちら側は。こちら側はどうなっているかというと、ガラス戸に、窓になっていまして、その外はベランダなんですね。その患者の家族はどこからその患者を見舞うかというと、実はベランダからその患者さんを見るという形になる。ベランダということはどういうことかというと、風も吹けば雨も当たるというところ。そこから患者さんに対してインターホンでお話しかけをするという施設になっておる。これはどう考えても、建物の設置基準が間違っている、あるいはこのときに、患者の人権に対する配慮が余りにもないがゆえにそういう病室の設計をしたとしか私は思えないのですね。施設そのものは大変立派な施設なんですが、あの一点だけ、どう考えても私はおかしい。  そういう意味で、恐らく患者さんの置かれている立場というものを理解しないままに設計をしておられるからこうなっているので、ベッドアイソレーターにしても、ああいう箱の中に入れられるというのは患者にとっては大変に苦しい思いだろう。そういう患者さんの立場に十分配慮したような施設設計にしていただきたい。できればお金をつけて、この泉佐野も是正をしていただきたいというふうに思っているのですが、よろしくお願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今先生が御質問になりましたのは、泉佐野市立病院の感染症病棟でございますが、これは平成六年の関西国際空港の開港と合わせて開設されたものでございます。当時の医学的知見等をもとに、入院患者の人権への配慮も加えた上で設備、構造について整備されたものでございます。  御指摘の鉄の扉につきましては、必ずしも鉄の扉である必要性はなく、病室が前室や廊下に対して陰圧を保てるような材質、構造等であれば問題ないと考えております。また、ベランダでの面会については、雨が吹きつけるような場合には、看護婦事務所にあるインターホンで面会することとされていると聞いていますが、さらに工夫の余地があるのではないかと思っております。  法案の成立した後、最新の医学的、建築学的知見をもとに、通信の自由を含めた入院患者の人権にも配慮した特定感染症指定医療機関等の設備、構造の基準を定めていくことにいたしております。したがいまして、この基準の要件を示せば、泉佐野市の方においても、最新の知見に基づくものに合わせていただけるものと十分期待をいたしておるところであります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 平成六年の関空開港に合わせてつくった四年前の話なので、四年前でも皆さんその程度の知識というか受けとめしがなかったのか。これは泉佐野市が責められる話ではなくて、国がきちっと補助金を出してやっている話なので、泉佐野に責任転嫁しないで、国の方で責任を持っていただきたいというふうに思います。  予備的調査について、この調査結果について二、三お尋ねをさせていただきたいと思います。  今回、新しく制度ができまして、初めて予備的調査をさせていただいて、いわゆるエイズ予防法の策定過程についての調査をお願いいたしました。局長の方も、当然この調査結果については目を通していただいていると理解をしておりますが、それでよろしゅうございましょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まことに申しわけない、時間がないので、全文読んでいるわけではありませんが、一部分見させていただいております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 院がやった仕事ではありますが、厚生省の担当局長がお読みいただいていないというのは大変残念だと思います。  内容は非常に充実したものでありまして、これは厚生省の皆さんの御協力もあったからという部分もありますが、調査局の皆さんは大変御尽力をいただいたというふうに私は評価をしております。  ただ、二、三点ここでお尋ねをさせていただきたいのですが、今回はエイズ予防法の策定過程に関しての、いわゆるエイズファイルの一部を公開をいただきました。全く一ページ黒塗りの部分が左側にあって、右側にその現物があるという報告書になっておりますが、今回公開された資料は、組織的に用いられた資料というふうに御判断をいただいて公開をされたのでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今回は私ども、その黒塗りの資料のうち組織的に用いられました資料については、時期にかかわらず御提出を申し上げた次第であります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 今回公開いただいたというか、公開されたのが組織的に用いられた資料だという御判断があったということですが、審議や検討等に関する情報であっても、それが組織的に用いられた資料と判断されるのであれば、今後、厚生省としては公開されるというふうに理解してよろしいでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 我々が今回考えていましたのは、情報公開法の関係の政府提案に、組織的に用いられたものは公開するという政府の考え方がありまして、私たちはそれを参考にして、今回は黒塗り資料のうち組織的に用いられたものは公開をさせていただいた、こういうことでございます。  今後については、政府全体として情報公開にどう取り組むかによって、またそのときに判断をさせていただこう、このように思っておる次第であります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 大臣、ここのところは、今局長おっしゃったように情報公開法との絡みがありますので、十分に審議をしていかなければいけないと思うのですが、図らずもこの予備的調査での厚生省の公開の度合いが情報公開法の内容そのものをあらわしているという部分もあるわけですね、組織的に用いられた資料だから公開したというふうにおっしゃっておられるので。  それで、見ていきますと、いわゆる審議会でお使いになった資料がある。今、審議会は公開で、公開ということで審議録を残さないという悪弊を今つくられつつあるようですが、審議会で使った資料は全部お出しになってきておられる、こういうふうに理解しております。  では、法制局とのやりとりの中で、法制局のための説明だということでお出しになったものは、厚生省が法制局という局に説明のためにお使いになった資料は、組織的に用いられた資料と理解してよろしいでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 私どもが法案を調製して厚生省として内閣法制局に持ち込んだものは、今回公開をさせていただいております。ただ、内閣法制局との段階で、下の方の若い法令の事務官が向こうの担当者とやるときに、少しどうなっているかわからないところを教えてくれというような、個人的に書いたもので私どもが関与していないものもあるようでございまして、それについては今回公開はいたしておりません。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 情報公開法は継続審議になるようですけれども、今回の厚生省の姿勢が情報公開法そのものを実は先取りしている部分があるのでお聞きをしているわけです。  いわゆるエイズファイルは、当時の菅厚生大臣の御指示で公開をされた、特例的に公開をされたという話になっていますけれども。大臣がお命じになれば公開される部分もかなりあるというのがあのときの実感なわけですね。今回は逆に、情報公開法で網をかけて縛っていく形になりますので、出てこない資料が逆に出てきてしまうのではないかという思いもしているわけです。  そういう意味合いも込めて、今ファイルは全部地検の方にあって、厚生省は手元にお持ちでないということも聞いておりますが、大臣、これは今の時点での話ですが、今もしこのファイルが厚生省のお手元にあるとしたら、大臣としては、情報公開のあり方について考えるためにそのファイルにお目通しをいただくということができるのか、あるいはそのお気持ちがあろうか。その中で、公開できる資料があれば、今回はエイズ予防法に関係する部分だけ公開されておりますけれども、それ以外の組織的に用いられた資料というものを公開していっていいのじゃないかと、今もし手元に資料があればという前提ですけれども、そういうお考えはおありでしょうか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 それは、どの資料を公開すべきか、公開すべきでないかというのは、専門家で検討していただきたいと思います。その基準に沿って公開する、それに合わないものは公開する必要はないということだと思います。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 それは、官僚の皆さんが、これは出してもいい、出してはいけないという御判断をされたら、それに従って大臣も行動されるという理解でしょうか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 それは国会で決めることであります、情報公開法で。国会で決めるわけでしょう。どういうものを情報公開すべきか、どういうものは公開しなくていいか、それはこれから法律で制定するわけですし、その趣旨に沿って、公開すべきものは公開する、しなくていいものはしないということ。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 情報公開法がまだ通っておりません。通っていない今の時点ではあります。資料は全部地検にあって手元にはないということではあります。しかし、もし今資料が手元にあって、そして、組織的に用いた資料というのは今回公開いただいたわけですから、全体的な資料を一度お目通しをいただいて、もし手元に資料があったら、エイズ予防法に関係しない組織的に用いられた資料は公開していいんじゃないかという御判断に大臣はお立ちになりますかという質問なんです。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず私がお答えさせていただきます。  この情報公開については、今回私どもの法案を衆議院で今御審議をいただいております。その予備的調査ということで、私どもとしては、情報公開法の考え方を参考にいたしまして、組織的に用いられたものをこのエイズ予防法に関連して出すということだけについて大臣の御了解をいただいたものでありまして、その余のことについての判断は、大臣にまだ、エイズ予防法関係は私どもの所管でしょうけれども、そのことについてはまだ大臣と意見交換しているわけではございませんし、それは大臣もこれからお考えになられることではないかと思う次第であります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 ですから、ぜひそういう姿勢で臨んでいただけるのでしょうかというのが私の質問なんです。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 私も、どれを公開すべきか公開するべきじゃないか、国会の中でも、理事会等では、公開すべきものもあるし、お互い議員同士でも、相談とか、公開しては困るという個人もいるでしょうし、第三者が判定して、これを何で公開しなくてはいけないのか、公開すべきかという議論は、個人によって違うわけです。本人に確認して、本人のプライバシーもありますから、これは確認して、情報公開するんだったらそんなことは言わないという人もいますから、それは臨機応変じゃないですか。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 いや、ちょっと議論がかみ合っていないのですが、今あれば、組織的に用いられた資料というものをお目通しをされる、あるいはお目通しをするように御指示をされて、他の資料も公開されるという姿勢をお持ちではないのかなというのが私の質問で、いや、それはまだ御判断をいただいてないとかという話じゃなくて、姿勢の問題をお聞きしたのですが、どうも議論がかみ合ってないようであります。  大変に質問時間が限られておりまして、積み残しばかりが出るので申しわけないのですが、これは質問通告をしておりませんので、小林局長、よくお聞きをいただきたいというふうに思いますが、これは、残念ながら調査の内容を読んでいただいてないということなので、ぜひお読みをいただきたい。予防法の策定過程についての調査ということなので、なぜ予防法が必要であったのかということについて聞いているわけです。  当時の法令担当者の御発言として、このエイズ予防法がなぜ必要だったのかということについて、局長の答弁は、感染したら治療法がない、あるいは、急速な拡大に対する、社会がパニックだった、だから必要だったんだという、この二点を主に挙げておられるのですが、当時の法令担当者の御発言は、エイズ予防法制定の目的は、故意の感染行為をする者があらわれた場合に、二次的感染防止のために患者周辺の追跡調査や感染のおそれのある行為に対する罰則規定が必要だけれども、法的に適用できる法律が存在しないために、こういう法律、何らかの新法が必要だったんだと。単独立法としたことの最大の理由は、予算修正に至らずに済むということだったんだというのが当時の法令担当者の御発言なんですが、これは、厚生省としてもこの御発言はお認めになるんでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今先生がお話しになりましたように、当時の担当補佐が、実はこのエイズ予防法をつくるに当たって、一つは、予算との関連が大変に問題になったということで、予算を措置するということになる。予防の実を上げるということが国民の期待におこたえすることでありますので、何とか予算をとらなくてはいけないと。ところが、時期的にはもう予算要求には間に合わないというところでどうするかという判断になって、そのときに、一つは、伝染病予防法というのは、これは緊急対策ですから、いつも、何か起きれば予備経費を使うということが従来からあるものですから、そういうことで、伝染病予防法も検討の話題には上がったと。しかし、これは人権上大変問題があるので、この道はとれないということで、私がさっき言ったように、もう一つ、この前から答弁をしておりますように、当時は、治療法がなかったとか、皆さんが大変致命率が高い病気だというふうにおっしゃっている。だから、パニックがあるから、何とか解決をしようということと相まって、エイズ立法になった、このように思っておる次第であります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 だから、単独立法としたことの最大の理由は、予算修正に至らずに済むということだったという点は認められますか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 結論としては、最終的には、伝染病予防法の特例適用を規定することによりまして、単独立法を可能とする立法技術上の解釈が見つかったので、立法形式をエイズ予防法単独立法に変更をしたということであります。  以上であります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 予算が絡んで単独立法になったんだという点は、今お認めになっているわけだけれども、残念ながら、質問時間が終了してしまいましたので、せっかくの調査といったらおかしいですけれども、調査された側なので読みたくないのかもしれませんが、ぜひ読んでいただいて、この中に出てくる法令担当者の発言が、厚生省の全体の認識だったのかというところをぜひ御確認をいただきたいわけですね。法令担当者は今もおられるわけですから、御本人からお聞きすればいいのかもしれませんけれども、ぜひこれを、厚生省の正式な回答なんだと、担当者の話ではなくて、今の局長が、ここの御答弁は正しいんだというふうにお認めをいただけるのかどうかということを、これはぜひ次回までに御確認をいただきたいということ。  それから、今回のこの廃止の仕方というのも、随分らい予防法のときと違います。あのときは、全員で黙祷をささげて、提案理由説明の中にも厚生省としての反省の言葉も盛り込んでの廃止でございましたが、今回は、そっと廃止しようという形にどうしても見えてしまう。ここのところは、いろいろ議論があります。WHOの議論もあるので、代表で行かれた原田政務次官に、ぜひこの場でもお話をお伺いさせていただきたいというのが私の思いだということを申し上げて、質問時間ですので、終わらせていただきます。  ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 旭道山和泰君。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 新党平和の旭道山です。  大臣各位、本当にお疲れと思いますけれども、私の持ち時間三十八分ありますので、答弁をよろしくお願いします。  本題に入らさせてもらいます。  本日の議題となっております感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案並びに検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の質問に入る前に、一点お聞きしたいと思います。  最近、いろいろな懇談や会合の場に出席しますと、高齢者の方から、年金の支払いが、これまでの二カ月に一度ではなく、六カ月分を一度に支払われるようになると聞いたのは本当かとよく言われます。これは事実とは全く違うことなんですけれども、よく聞いてみると、これまで年六回、年金支払いのための通知が来ていたものが、行政監察の指導などにより、ことしの六月から、年一回だけの支払い通知に変更になったことを、六カ月分とか一年分の年金が一回で支払われると誤解しているわけです。中には、通知方法が変わるが、支払いについては書かれていないので、同じように変更になると思っている人もいました。  一人だけならともかく、何人もの年金受給者の方も同じように勘違いしていますので、支払通知書を見せていただきました。もっと大きな字で、今回からこのように変わりましたとか、支払いは今までどおり二カ月に一回の支払いのままで、変わるのは通知だけというお知らせの方法にすべきだと思います。高齢者の立場に配慮した通知というのは、単に事務的なことを表現した役所的なお知らせでなく、少し工夫すればいいと思います。  今回の支払い通知の回数の変更は、この六月から実施されます。いずれ内容について誤解が減少し、浸透していくのを待つのではなく、効果的に誤解を解消する対策を考えるべきではないかと思います。よろしく答弁お願いします。

真野章社会保険庁運営部長

○真野政府委員 年金の支払通知書につきましては、年六回、支払いの都度送付をするという方式から、今年度の支払いから年一回に簡素化をするということで、私ども機会あるごとにPRに努めてきたところでございますが、最近、先生今御指摘のとおりのようなお問い合わせが私どもの業務センターや社会保険事務所の方にも寄せられてきております。  次の六月の定期支払い、これに向けまして、来月の四日から順次、支払通知書、振込通知書を各受給者の方々に送付をいたします。これには、通知は一回であるけれども、年金の支払いは従来どおり二カ月に一回、六月であれば十五日、八月は十四日、十月は十五日、十二月は十五日、二月も十五日、四月も十五日ということで、支払いの期日を明記いたしました通知書を全受給者に送らせていただきます。  実は私ども一番心配をいたしておりますのは、六月はこういうことで通知書がお手元に届きますが、八月からは通知書が着きません。したがいまして、従来通知書が来て年金を受け取るというふうに思っておられる受給者の方々に、行政簡素化の観点から年一回の通知にいたしました、しかし八月にはきちんと年金が支払われますというPRを七月から八月にかけまして私どもいろいろな手段を講じてその努力をし、年金受給者の方々に御心配をかけないようにしたいというふうに思っております。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 本当にお年寄りはわかりやすく、そういうふうにやってもらったらわかりやすいので、できれば行政的なものじゃなくて、本当に配慮をよろしくお願いします。  少し議題から外れましたけれども、本日の議題に入らせてもらいます。  今回の法案の中では、患者の人権の保護とか人権への配慮という言葉はありますが、いわゆる偏見や差別を防止する、解消のための政策的な位置づけはありません。エイズ予防法の制定の過程においても、またこれまでの多くの感染症発生時にも、患者本人はもとより、その家族まで差別的な言動によって大変つらい思いをされ、また現在も続いているというのが実態ではないかと思います。  差別意識というものは、なかなか政策では防止することは難しい問題であると思いますが、厚生省として、人権政策の確立という観点から、もっと真剣に取り組んでいくべき課題ではないでしょうか。恐らく、感染症に対する正しい知識の普及に向けて今後も努めていきたいという答弁をなさるかと思います。しかし、誤った認識により現にいろいろな偏見や差別を受けている人、またこういう偏見や差別が今後も絶対起きないということも言えないと思います。  今後、どのように偏見や差別を防ぎ、また起きてしまった偏見や差別については、人権を回復するために実効的な取り組みをどのようにしていくのか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今先生から御質問がありましたように、偏見とか差別というのは非常に起きやすい現象だと私ども思っております。特に、国民の皆さんが知らないことが起きるときに、途端にそれに対して怖いとかわからない、気持ちが悪いというようなことで、やはり人間もある意味で動物ですから、そういうところには近寄りたくないという発想が出るのは当たり前で、今先生が御指摘のように、偏見・差別というのをなくしていくというのは大変重要なことなんだけれども、物すごく難しいことでもあるということはまず御理解をいただきたいと思います。  それで、国としてまず行うべきことは、感染症患者個人個人に対して良質かつ適切な医療を提供することや、偏見や差別が生じることのないように正しい知識の普及と啓発に努めることだとまずは考えておるところでございます。その結果として、患者・感染者を受け入れる側の社会の認識も向上するのではないかなと。  本当にエイズの患者さん方でも、今は国民の皆さん方が相当理解をされるようになって私はよくなってまいったと思います。もちろんそのことは、医療が進歩して患者さんの予後も大変よくなったということも相まっているわけでありますけれども、やはり国民の皆さんに正しい知識を提供していくということが大切。この点は、この前も家西先生からもきつく言われたことだし、僕もそのとおりだと思っておるところであります。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 エイズしかり、O157もしかり、O157のときには本当に何かデマみたいなのが飛びまして、本当にそういう対処がおくれたというか、厚生省もそういうPRを本当に重点的にお願いします。  また、社会生活への復帰に対する支援について質問させていただきます。  偏見や差別の防止とともに、今後は患者・感染者が社会的生活に復帰できる環境づくりをいかに整備していくのかが重要な問題となってくると思います。感染症に対する正しい知識の普及を積極的に推進し、早期に社会生活に復帰できる体制と仕組み、偏見などによって社会復帰に対する差別が生ずることのない状況を整えていく必要があると思います。この点についての厚生省の取り組み、よろしく答弁お願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 社会復帰の問題は、入院患者さんが社会へ出て、再度お元気になって働かれるときに社会復帰ということが非常に重要になるのでありますが、実は今回この法案で扱うことになります多くの感染症、昔でいう伝染病は、特に入院をしていただくことになるわけでありますが、平均入院日数、どのぐらい入院されるかという平均入院日数というので、今まで調べたところでは、大体十四日間なんですよ。そうすると、十四日間の入院というと、実際に患者さんが社会復帰を図るというときに、私は余り障害にならないのではないかなと。  ただ、すべての病気が十四日で終わるというわけではないので、社会復帰対策はそれなりに大変重要なことだと思います。だけれども、実態の量としては大変少ないということをまず御認識いただきたいと思うのであります。  それで、社会復帰を行う際には、特に重要な役割を果たす医学医療、教育関係者に対する教育研修を強化いたしますとともに、入院をしているところの感染症指定医療機関の体制強化を図ることなどによりまして、社会復帰がよりスムーズになるように努めていきたいと思います。  もう一つ大事なことは、実は入院患者さんの通信、面会ということに対する配慮をきちっとしておくことが非常に僕は大事。そのことが、患者さんが入院をしている間に家族の人とか御親戚、お友達と話もできないとか会えないとかいうようなことは、実は社会復帰をするときのおくれになってしまうので、そういったことは特に今回は注意をしたい、このように思っているところであります。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 さっき山本先生が言ったように、病院の変なあれを、またこれからもいろいろあると思いますが、そういう対処の仕方も、厚生省、本当によろしくお願いします。  次に、医療の提供のシステムについてお聞きしたいと思います。  患者に対して良質で適切な医療を提供することは大原則です。伝染病予防法ができて百年、この一世紀の間に医学医療は格段に進歩し、また国民の健康に対する意識も著しく向上しました。さらに、交通機関、特に航空機の発展により病原体が容易に国境を越えるなど、感染症をめぐる状況も激変してきました。  先日の当委員会で大臣は、百年前の法律と今回の法律を比較すれば、今回の法律の方がすぐれていると答弁されました。もちろん、百年前の法律では実態に即した対応は困難であり、現在の伝染病予防法を改正するのは当然だと思いますが、新しい法律をつくるだけで感染症予防対策が万全であるわけではありません。  そこで、まずお聞きしたいと思います。  国内における防疫体制の中で、地域の感染症対策の中核となる施設として保健所があります。全国で約七百カ所ある保健所における感染症対策の実態について報告をお願いします。  また、医療の提供のシステム的な確保や制度的な確保については基本指針によって明確にされていると思いますが、どのような医療体制が確保されているか、あわせてお聞きしたいと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 感染症対策につきましては、これまでも全国にあります保健所が対応させていただいております。ただ、よくトラブルが起きますのは、食中毒の事件、食中毒で調べていったら、いや、これは食中毒ではなくて赤痢だったというと、担当者が実は保健所の段階で食品衛生をやっている部門と伝染病をやっている部門が分かれておるものですから、実は現場で、保健所の職員は来たけれども担当者は帰ってしまったというようなことがあっておしかりを受けております。これはよくないことなんです、はっきり言ってよくないことであります。  こういうことについては、やはり本来保健所長がしっかりして教育をしておいて、それで、食品衛生がまず最初に動いてそれでいいのです。それは事件の数がはるかに食品衛生の問題が多いから、食中毒が多いから、食品衛生部門が先に動く。動いて、それでこれはおかしいと思ったらすぐ所長に連絡をとって、次の担当者が来るまではやれることはきちっとやっておくということが非常に重要なんですけれども、そこの対応が悪いといっておしかりを受けておるというのですけれども、それは今後とも私ども必死になって注意をし、この法律が上がったときには適切に指導をしてまいりたいと思います。  ただ、心配なのは、この前も青山先生に御指摘をいただいたところでありますけれども、保健所の数が減っておりまして、それで実は大変心配をいたしております。それも各都道府県共通に減っているわけではなくて、たくさん減っている県とそうでない県があって、よくないのでありますけれども、私の方としては、この法律をきちっと施行するためには、一定数、一定の人口規模に必ず保健所が要ると私どもは認識をいたしておりまして、それに向けて対応をしてまいりたいと思います。  次に、医療の問題でありますが、今までのところは、こういう伝染病につきまして入院が必要なものにつきましては、伝染病の隔離病舎というのが各市町村単位が指定をしたものがあります。しかし、これは、医療といっても、日ごろ使っていないところなものですから、さあ赤痢の患者さんが出ました、今もちょっと北海道へ旅行に行ってあちこち帰った人が赤痢になっていて発症していますけれども、そういう人たちが入るというときに、日ごろ全然使われていない病棟に入れられるということですね。だから、ガスも水道も余り使っていないところの施設に入れられるということで、患者さん側としては余り気分のいいものではない。こういうことではいけないんだと。  感染症というのも、ほかにもたくさん感染症がある。やはりできるだけ、一般に日ごろから使っている病棟の中の一部を指定をすることによって医療を確保すべきだとして、今度の法改正では、第一種とか二種の感染症指定医療機関というのを指定をいたしまして、第一種というのは各都道府県に一カ所、それから二種というのは大体二次医療圏に一つずつ県が指定をするようにという形で、そういう中で、実際には、先生方間もなくたしか行かれると聞いていますが、国際医療センターなんかでも一般の病院の中の一画が、あれはエイズの皆さん方の病棟になっていますけれども、そういう形で対応してきちっとやっていく。そういうことを、国の基本指針、それから各都道府県がつくる予防計画の中できちっと医療の問題も明記をして、その計画に基づいて対応を図るということを今度の法律でねらっているわけであります。御理解をいただきたいと思います。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 保健所は本当に地方に密着した医療機関ですから、そういう、本当に今いろいろと減らされていてあれかもしれないですけれども、それをまた高度化というか、そういうふうに充実させてもらえれば本当に対処できると思いますので、それはよろしくお願いします。  今度、感染症専門医の実態と育成について質問させていただきます。  一般の病院などは経営の合理化が進み、感染症が発生した場合の対応について危惧する声が聞かれます。このような状況下で今後どのような医療体制を進めていくのか、お聞きしたいと思います。  また、日本におけるいわゆる感染症の専門医や研究者についてはどのような実態にあるかをお聞きしたいと思います。さらに、今後感染症に携わる専門医や研究者の育成についてどのように考えておるか、あわせてお聞きしたいと思います。  こうした専門的な研究者を育成することにより予防のためのワクチンの研究や開発に力を入れることは、国内だけじゃなく、大きな国際貢献になると思います。日本人が免疫を持たない感染症がいまだに多く発生している状況から、こうした地域の感染症の根絶に積極的に協力し、地球規模の感染症対策を考えることが重要であるかと思います。これらへの取り組みについて、これまで以上の日本の医学医療における役割が高まっていくと確信しますが、最後の点は、大臣、答弁よろしくお願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず私からお答えをさせていただきます。  まず、今回、一類だとか二類感染症のための入院施設というのは、感染症指定医療機関というシステムをつくって、そこは感染症の専門医がおる医療機関で、もともとこっちが示す要件を満足するような施設を持った医療機関を指定をしていくということで、人も設備も備わった病院を指定をする。備わっていないところには助成をしてでも整備をしていただくということで、施設、人の確保、そして入院患者の医療をきちっとやっていくということがまず大切であります。  そういたしますと、どうしても専門医が大丈夫なのかということが御質問の次になるわけでありますけれども、現在、日本感染症学会が感染症の専門医として認定した医師の数は、本年四月現在で約四百人でありまして、大変少ない数であります。ただ、このほかにも、感染症の、認定は受けていないけれども専門にしていらっしゃる方というのは相当いらっしゃいます。日本医師会の先生方に質問しますと、我々は、上の方の年の人はみんな感染症はよく知っているんだ、今の若いのが知らないだけで、私たちはよく知っている、こういうふうに言われておりまして、相当自信を持っていらっしゃる方もたくさんいるということも聞いております。  そういうことでありますが、今もう一つ言われるのは、研究者が少ないというのはそのとおりかと思うのであります。そういう意味で、今一番大事なことは、専門医の育成、それから研究者の育成ということがまず大事だろうかと思うのであります。  そういう意味で、厚生省におきましては、平成九年度より、新興・再興感染症研究事業というのを設けまして、九年度予算で十五億円新たに確保したところでございます。これによりまして研究を進めるとともに、その中の推進事業で、日本人研究者の海外派遣、それから海外専門家の日本への招聘、それから若手研究者の国立感染症研究所への研究員としての採用、外国への研究委託などを実施をいたしまして、何とか早く日本の専門医並びに研究者をふやすよう必死に努力をいたしておるところでございます。  この研究者がいなければ、先生がおっしゃったように、ワクチンを開発し、そのワクチンをたくさんの国民に提供することによって、そしてその病気というものを根本から発病しないように抑えていくということは大変に大切だというのは先生のおっしゃるとおりだと思います。  あと、国際関係の協力の話は、大臣からお答えをしていただきたいと存じます。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 御指摘のとおり、人材の育成は、大変重要というか、一番感染症予防を考える場合に大事な点の一つだと思います。  今回の法案におきましても、人材の育成はもちろん、研究の推進、そしてわけてもこれは国際協力も大事です、国際協力の推進、これは法律に明記していますから、今後、世界保健機関とか、あるいは米国のCDCですか、日本語に訳すと米国疾病研究センターだと思うのですけれども、そういう国際機関との連携も図りながら、これらの体制を整備していきたいと思います。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 本当に、日本はそういう研究者が四百人しかいないという、アメリカが五千人か六千人ですか……

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 感染症の専門医が四百、研究者の数はちょっと今わかりませんので御報告しなかったので、済みません。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 本当にアメリカはそれだけ、五千人か六千人ぐらいいる、そういうふうに聞いていますので、そのぐらいはふやせと言わないですけれども、そういう体制を整えてほしいと思います。よろしくお願いします。  インフルエンザ対策について、注意喚起と正しい情報の伝達についてまたちょっと質問させていただきます。  昨年の新型インフルエンザについては、厚生省の報告書の内容だけがひとり歩きをして、マスコミなどで取り上げられたことがあり、結果として、注意喚起というよりも、国民に対する不安を高める結果という状況が発生しました。  人口の二五%が感染し、最低でも数万人の死者が出ると警告されました。実際の感染者数、そして死亡についての報告と、迅速で、現場が役立つ的確な感染症情報の発信と、それに基づく対応についてどのように考えるか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 昨年の十月二十四日の新型インフルエンザ対策検討会の新型インフルエンザ対策報告書におきましては、新型インフルエンザが近い将来に出現が予想されることから、総合的な検討を行い、その中でも、汎流行が生じた場合の患者数等の影響についても推計を行ったところでございます。  具体的には、一九九三年に開催されました第七回ヨーロッパ・インフルエンザ会議の、全国民の二五%が罹患すると仮定して対策を講ずるべきであるという勧告に基づいて、我が国において三千二百万人の患者の発生を想定いたしております。また、死亡者数については、この患者発生数をもとに専門家が推計した数字として、三万人から四万人の超過死亡の可能性があると指摘をされております。超過死亡ですから、例えば六十歳の人が毎年大体同じように死んでいるとすると、それを超した部分だけで三万から四万という数字に想定をされるという御指摘があったわけであります。  感染症情報等の提供、公表をする場合には、こうした情報の内容、精度、前提条件等を明確にした上で情報提供、公開をしていくことが重要であると認識をいたしております。また、報道機関においても、この点を十分理解し、冷静な報道が行われるように期待をいたしたいと思うのであります。  今回の法案におきましては、実際に感染症が発生した場合、国民がいたずらに不安な状況に置かれることのないよう、国や地方公共団体が、感染症発生動向調査の結果に基づいて、国民に感染症の予防のための情報を提供することとなっております。  また、万が一新型インフルエンザが発生した場合においても十分な対応ができるよう、関係機関における情報交換を初めとする連携体制を構築しておくこととしており、こうした対応を適時的確に実施していくよう努めてまいりたいと思います。  少し補足をさせていただきますと、先ほどの検討で、国民の二五%が罹患すると想定をしてと書いてありますが、実はスペイン風邪の場合には、大正七年から九年にかけて国民の四三%が罹患したというのが恐ろしい数字としては過去にあります。そのほか逆に、香港風邪というのが昭和四十三年にありましたが、そのときの全人口に対する罹患率は〇・一四%。だから、割に騒ぎになったといっても、すごい開きがあるということはちょっと御認識をいただきたいと思います。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 マスコミが取り上げることはいいですけれども、そういう誤った情報が流れると本当に不安をかき立てますので、正しい情報を流してください。よろしくお願いします。  それとまた、高齢者対策について質問させていただきます。  ことしに入って、マスコミで報道されましたが、老人ホームなどの施設内でのインフルエンザの流行により、一、二カ月の間に多くの高齢者の方が死亡するケースをよく聞きます。例えば、ある特別養護老人ホームでは、この冬、入居者五十人のうち十三人が肺炎などで相次いで死亡した事例があります。  厚生省としては、施設内での集団発生や高齢者に対する予防についてどのように取り組んでいるか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

羽毛田信吾厚生省老人保健福祉局長

○羽毛田政府委員 特別養護老人ホーム等の高齢者施設におきますインフルエンザの発生についてお尋ねでございます。  インフルエンザの流行時におきましては、お年寄りはどうしても抵抗力が弱いということでかかりやすい、また最悪のケース、お亡くなりになられるというような痛ましい事例もどうしても起こってくるということで、私どもも、予防対策が大変重要であるというふうに考えております。  先生お挙げになりました事例等も、それぞれに特殊な事情も確かにありました。あるいは、島内の医療体制が十分でなかったとか、そういったことの個別の対策についても、それぞれ自治体とも連携をしてやっておりますけれども、全般につきまして、私どもとしては、特別養護老人ホーム等におきますインフルエンザの予防対策ということで、一つには、入所されている方あるいは職員につきまして、手洗いうがいの励行といったような基本的なところから、あるいは、嘱託医等のお医者さんにかかわっていただいておりますから、そういったお医者さん等どの連絡を密にしまして、入所者に対しましてきめ細かい健康管理をしていただくというようなことを都道府県等通じまして指導を重ねてまいっております。  さらにことしの一月には、こういった点を徹底するということで、インフルエンザについての基礎知識あるいは予防対策というようなこと、あるいは患者が発生をしました場合の対応の留意事項というようなことを、改めていわば手引書の形にいたしまして、これを全国の養護老人ホーム全部に配付して、その徹底を図るというようなことを努めてきております。  しかし、先生お挙げになったようなこともございます。したがいまして、今後とも、インフルエンザに関しまする情報の提供から、そういった流行時における対応ということにつきましても、注意喚起を含めて力を入れてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 本当に施設内というのは大変ですから、そういう医療機関との連携をマニュアルという感じでつくって、そして促進してください。お願いします。  あと、新興・再興感染症対策について御質問させていただきます。  今、新興あるいは再興感染症の問題が大きな問題となっています。法案の提案理由にもありましたが、これまで知られていない新興感染症が出現したり、将来克服されると考えられていたいわゆる再興感染症が問題になるなど、新しい形で人類に不安と脅威を与えてきております。  また、最近のペットブームにより、多種多様な動物、鳥獣、爬虫類などがペットとして輸入されています。また、国際交流の活発化に伴い、国内に持ち込まれる危険性も高まっています。  新興感染症などは、もともと日本に常在していないものですが、再興感染症を含め、今後どのような対策を講じるのか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 人類に対する脅威となっております新興・再興感染症につきましては、今回私どもが提出させていただいています感染症法案で、今後法律が成立すれば、それで対応させていただくことになるわけでありますけれども、国際的な視点に立ちましては、WHOだとかCDCと協力をして、研究の推進、専門家の養成、発生情報の共有等に努めていくことが大変大切だ、このように思っております。  特に問題になりますのは、情けないというのですか、問題になりますのは、再興感染症の方ですね。今まではほぼ対応できていたのに、またそれがぶり返してきた。  私が一番今惨めな思いをしているのは、結核の患者さんの新発生が減りどまってしまった。本来なら真っすぐ減っていってもいいようなのが、減りどまってしまったということであります。それも情けないことに、国立病院の中からも院内感染が発生したという事実であります。本当に情けなくなる思いであります。こういう、本来ならコントロールできてしかるべき病気にありながら、そういうのがまだまだ猛威を振るっているということが大変問題であります。  もう少し外を見ますと、今一番問題になっているのはマラリアであります。マラリアは、地球の温暖化によって地球が暖かくなると、マラリアの患者さんが発生する地域がもっと広がってしまう。世界じゅうどこも、今のところマラリア対策はうまくいかない。こういうのが大変情けない話だと私ども思っています。  いずれにいたしましても、こういう新興・再興感染症に対しては、日本だけで対応できるわけではない。みんな関係者が知恵を絞り、助け合って、何とか、地球全体に及ぼすこれらの病気に対して対応していくことが大変大切だと思っておるところでございます。今後ともそういうつもりで、法律は法律として国内運用をやってまいりますけれども、それ以外にも国際協力で日本の持っている、研究者は足りない、専門家は足りないのだけれども、それでももっとかわいそうな国もある、そこは日本が一生懸命助けていくということが大変大切ではないか、このように思っております。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 本当にどうもありがとうございました。  次に、昆虫による伝染病の拡大ということで、狂犬病や家畜の伝染病より、はるかに人間の生命にかかわる危険が高い昆虫についてお聞きしたいと思います。  実際には日本に常在していないものばかりですが、ハチや蚊やハエ、アリ、ダニなどの種類の中には、年間万単位で死亡例が確認されているものもあると聞いております。そのほとんどが交通機関や農作物などの中に紛れ込んで輸入国で繁殖し、地域によっては生態系を変えるほど拡大しているという事例があります。  また、ハエの種類には、蚊に卵を産みつけ、動物だけではなく人間に対しても、蚊が刺すときに同時に体内に入り込み、人間の細胞を食べて成長し、最後は皮膚を破って出てくるものもあります。このようなケースなどは全く防ぎようがないと思います。日本には常在しないからといって、これらが今後も日本に上陸してこないという保証はありません。  当然、家畜などによって運び込まれるケースもあるのではないかと思いますが、昆虫による伝染病の対策についてはどのような対策を講じているか、また今後の対応についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

小野昭雄厚生省生活衛生局長

○小野(昭)政府委員 現在国内に常在をしていない感染症に関しましては、海外からの侵入を防ぐという、いわゆる水際で防ぐということが極めて重要でございます。  そういう意味で、ペストを媒介いたしますネズミ類あるいは黄熱とかマラリアなどの感染症を媒介いたします蚊につきましては、これは航空機あるいは船舶あるいは政令で定められた港湾区域におきまして対策をとっているわけでございますが、具体的にはどういうことかと申しますと、捕獲をいたしましたネズミあるいは虫類につきまして、その種類はどういう種類かということを確定をすること、あるいは病原体を持っているのかいないのかということを調査すること等をいたしております。また、必要に応じまして、ネズミあるいはこういう昆虫類の駆除も行っているところでございます。  検疫法の一部改正によりまして、検疫感染症が拡大をいたしますと、これらの感染症につきましてもこれを媒介する動物の侵入防止策をとらなければなりませんので、そういったことに的確に対応するようにしてまいりたいと考えております。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 水際だけじゃなくて、もう日本に入ったという、シミュレーションじゃないけれども、本当にそういうのを想定して対策を講じてください。水際だけではもう無理だと思います。それをまたやってください。お願いします。  今度、医療の提供のシステム的な確保や制度的な確保については基本指針によって明確にされるということになっており、また新感染症に対する対応についても都道府県知事の裁量が多いように思います。また、厚生省と都道府県や市町村との情報のやりとりについても十分な対応ができるかと疑問を抱いています。  感染症から国民の健康、生命を守るためには、常に危機管理の視点が欠かせません。これまでを振り返りますと、エイズの問題しかり、常に行政は後手後手の対応になっています。  今回、いろいろな意味で、この法改正をするに当たり、感染症の問題に対して厚生省としてどのようなビジョンを描いているのか、最後に大臣にお聞きして、質問を終わらせていただきます。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 今回の法案は、今まで旧法においていろいろ反省すべき点が多々あった。主な点といいますのは、これは感染症予防あるいは蔓延の拡大を防ぐということから、ともすれば社会的防衛の観念が強過ぎて、患者さん自身に対する人権というものに対しての配慮が足りなかった。この面を今後は十分、人権の尊重という点からも、患者の人権と社会防衛、感染症の拡大防止、これをいかに両立していくかということに大きな重点を置いた点。  さらには、平時から、感染症が発生したらどうしようかという、研究体制とか人材の育成、国際協力、これを整えていくこと。万が一、仮に感染症が発生した場合には、これはいかに早期に、迅速にこの対策をとって、蔓延防止の体制を整備していくか。  さらには、今後、感染者に対してはいかに早期に適切な医療を施して早く社会復帰できるかという、医療を重視して感染者に対する社会復帰を促すような環境を整えていく。  こういう点に十分配慮してこの法律をつくったわけでありますので、旧法に比較すればはるかにすぐれているという点を御理解いただきまして、ぜひとも御協力いただきたいと思います。

旭道山和泰平和・改革

○旭道山委員 時間が来ましたけれども、こういうことを想定して、シミュレーションをして、本当に危機管理を強化してください。そしてまた、大変お疲れだと思いますけれども、前向きに対処してください。  本当にきょうはどうもありがとうございました。

根本匠自由民主党

○根本委員長代理 吉田幸弘君。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。  自由党を代表して、感染症関係二法に関し質問をさせていただきます。  これまで二日間、本日を含めますと約十二時間にも及ぶ厚生委員会における審議を聞かせていただきました。新しい感染症対策においては、私自身、次の点が極めて重要ではないかと考えます。  まず一つに、海外から侵入するかもしれない感染症危機について、いかに迅速かつ的確に対応することによりその発生及び蔓延を予防できるか。二つ目に、不幸にも感染症に罹患した患者さんについては、いかにその方の尊厳を損なわないようにしながら医療を提供し、かつ早期に日常生活に戻っていただけるようにするか。そして三つ目には、医療関係者や行政担当者、そしてマスコミを含めて、すべての国民が感染症患者のプライバシー保護に配慮していかなければならないという三点であります。  こうした意味では、いろいろと立場によっては不十分と見る点もあるかもしれませんが、百年間放置された伝染病予防法や、だれしもが存続を望まないエイズの存在、このエイズ予防法を一日も早く廃止をして、新しい時代の感染症対策を始めていくことがまず何よりも重要なことではないかと考えます。  そして、実施して、もし不十分な点があれば、参議院の修正のように、五年後の見直し等のいろいろな配慮をしながら、適宜、時代に即した法律を制定、実施を行うべきと考えます。  この件に関して、大臣のお考え、また御決意をお伺いいたします。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 法律というのは時代に即して改善するべきは改善していくということでなくてはいけないと思います。また、法律ですべてが解決するというとそうでもない、法律に書かれた趣旨をいかに多くの国民が理解し、運営していくか、いわゆる法律以前の道義観とか倫理観とか、あるいは常識とか良識、これに負うところが多いと思います。  しかし、今回の法律というのは、そういう、過去、法律に明記してもなかなか解決できなかった偏見とか差別の問題についてもお互いよく注意しようじゃないか、人権の面、さらには社会防衛の点、だれもが大事なわけであります。いざ感染者になれば、おれたちの人権どうしてくれるんだ。感染しない人にとってみれば、おれはうつりたくないという気持ちもあります。これをいかに両立していくか。そういう点について今まで配慮の足りない点もあったのではないかということから、今回、新法につきましてもそういう点に十分配慮する。  しかも、百年前に比べれば、医学とか医療技術、医療機器、もう格段の進歩であります。こういう点から、今まで以上にふだんからの準備、あるいはいざ有事になった場合に、感染症が発生した場合にどのような即応態勢ができるか。  そして、今や世界が狭くなりました。もう数時間で各国と行ったり来たりできてしまう。飛行機も船も、物も人の交流も頻繁に行われているわけでありますので、未知の感染症との遭遇もいろいろな場面で起こってくると思います。そういう面の対応、国際協力、こういう観点も重要でありますので、この点についても十分配慮したと。  さらに、これは五年ごとに見直すとなっていますから、法律すべて完璧なものといったら、それはいろいろな意見があります。これを認めなければあれはだめ、もう収拾つかない。百人が百人、全部の意見をまとめていくという姿勢は大事ですけれども、現時点でどういうことを考えられるかと。旧法と新法を比較していただいて、そして今後、見直し規定も入っているわけですから、新法を施行してあるいはまた正すべき点があったら見直してもらうという姿勢でいくならば、私は今回の法案というものは大方の理解は得られるではないか。ぜひとも賛成していただきまして、御協力をいただきたいと思います。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 どうもありがとうございました。  次に、感染症対策の実施面について、私の経験を踏まえて、何点かお伺いを進めてまいります。  その前に、先輩である武山委員と小林局長との一昨日の質疑の中で少しわかりにくかった点がございますので、一点確認させていただきます。  検疫所における健康診断の対応についてであります。一昨日の論議は、日ごろの検疫所における健康診断とペストのような感染症が疑われる場合の健康診断とが明確に区分、整理されていなかったように思いますが、ペストの患者と航空機の隣に乗り合わせた乗客等感染の可能性の高い方に対して、その方が検疫所の健康診断を拒否したような場合に健康診断は強制できるのかどうか、この点に関して、局長より明確に御答弁をお願いいたします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 一昨日の当委員会におきまして、武山先生から御質問いただいたところでございますが、不明確なお答えをしたことに対しておわびを申し上げたいと存じます。  今お話しのペストの関連でございますが、ペストを含め法案において検疫感染症として位置づけられた疾患、これはペスト、コレラ、黄熱、エボラ出血熱、ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱という七つの疾患ですが、これにつきましては検疫所長が必要な診察や病原体の有無に関する検査を行うことができると規定されておりまして、検疫所長が必要あると判断したにもかかわらず健康診断を拒否した場合には、強制的に健康診断を行うことができるものであります。  また、腸管出血性大腸菌感染症や細菌性赤痢を初めとする検疫感染症以外の感染症につきましては、健康診断等を強制して行う権限は検疫所長にはなく、都道府県知事との連携を図りつつ必要に応じた対応を図っていくことになるということでございます。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 ありがとうございます。  次に、私は、法案審議の中で厚生省が強調されます事前対応型の行政の確立、この件について、感染症の発生、蔓延防止、そして患者さんの人権を尊重させるという意味で極めて重要な観点であると考えております。  今回の審議の一つの論点である院内感染についても事前対応の一つの重要な課題であると思います。法律案には第五条第二項に、「病院、診療所、老人福祉施設等の施設の開設者及び管理者は、当該施設において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」このように規定されております。  感染症予防を論議する際に、患者さんと周囲の健康者との関係で、患者さんの人権尊重と周囲の健康者への蔓延防止との両立が重要との観点は再三取り上げられてきているわけでありますが、私は、医療の提供に携わる医療従事者の安全性を確保してこそ初めて良質な、適切な医療の提供が可能となる、このように考えております。  以前、B型肝炎は歯科医師の職業病とまで言われるほど深刻な状況にあったと思います。十年ほど前になりますが、私が学生のときはワクチンを打って臨床実習に臨むというような対策が行われていたと思います。歯科医師のB型肝炎の状況、また感染防止に向けての取り組みが現実今どのようになっているのか、厚生省にお尋ねをいたします。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕

谷修一厚生省健康政策局長

○谷(修)政府委員 歯科医師のB型肝炎ウイルスのまず感染状況について申し上げます。  全員を対象にした調査というのは私どもちょっと把握をしておりませんけれども、平成六年までの十五年間に研究者が約千五百人の歯医者さんを対象にして行いました調査がございます。それによりますと、いわゆるHB、B型肝炎の抗原の陽性者が三%、それから抗体の陽性者が約三九%というふうに報告をされております。三%と申しますのはそのうちの約四十七名、それから抗体について三九%というのは六百七名でございました。この研究の報告によりますと、抗体の陽性率は年齢とそれから歯科医師の臨床経験が増すにつれて上昇するということが明らかになっております。  また、御参考までにC型肝炎について申し上げますと、C型肝炎につきましては、これはちょっと数が違いますが、二百六十三名の歯科医師を対象にして行いました調査では、九名、約三・四%の方が抗体が陽性であるということが報告されております。  このような歯科医師についてのB型肝炎の感染の割合というのは、一般の方に比べてやはり高いということが報告をされておるわけでございまして、そういう意味で、歯科医療機関におきますB型肝炎に対する感染予防対策といたしまして、厚生省では平成五年度から歯科医師を対象にいたしました感染予防の講習会を実施しております。平成十年度の予算の中でも従来の講習内容の見直しを行いまして、特に歯科医師だけではなくて歯科衛生士それから歯科技工士についても受講の対象者とするということで、肝炎対策、感染予防対策についての充実を図っていきたい、今後ともそういう方向でやっていきたいと考えております。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 通告にはありませんが、今の報告をお聞きになって、大臣からお考え、御感想を伺いたいと思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 思ったほど多いなと。また、随分危険に瀕しているんだなと。この予防方法、対策、十分にとっていかなければいけないなと思っております。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 ありがとうございます。  今、一例として歯科医師とB型肝炎について取り上げましたが、本法案においては、医療従事者への感染を含め、広く院内感染の防止を図るための規定が設けられているものと思います。医療従事者の立場から見ても、安全な医療現場において医療を提供できることを強く望んでいるということは皆さん方も承知のことと思いますが、観点を変えて見てみますと、厚生省が説明するように、一九七〇年以降、少なくとも三十以上の新興感染症が出現しております。その中にはC型肝炎やエイズなど、今日の我々にとっては極めて身近なものまで含まれておるわけであります。このように、院内感染は、年々出現する感染症にその都度その都度対応していかなければならない、このような重要な課題であって、個々の医療機関の開設者にとっては、単純に医療施設を清潔にしておくということでは決して解決できないということと思います。  医療施設の管理者、特に歯科医院等の小規模の診療所の管理者にとって、院内感染の防止に取り組む義務には積極的に協力はするとしても、最近の医学的知見をどう医療現場に反映させるかなど、現実にさまざまな問題が生じております。診療所を念頭に置いて、C型肝炎やMRSAといった院内感染防止のための取り組み、また方針、そして診療報酬上の問題を含めて厚生省へお尋ねをいたします。

中西明典厚生省医薬安全局長

○中西政府委員 院内感染の防止につきましては、これは医療機関の大小を問わず極めて重要なことでありまして、厚生省といたしましては、先ほど例に挙げられましたC型肝炎等々につきまして、医療機関内における対策に関する指針を作成し、診療所を含む医療機関に対して周知徹底を図ってきたところでございます。  特に院内感染対策委員会をつくってくれ、こう申しておりますが、診療所にとってみれば若干大げさな感じがするかもしれませんが、医師、歯科医師、歯科診療所の場合であれば歯科衛生士や技工士さん、あるいは職員の方々も含めた、それこそ診療所一体となって職員の教育、健康管理、それから器具、機材の管理方法、滅菌消毒、清掃等々の徹底等につきまして、都道府県を通じ、マニュアルもつくってお願いいたしておるところでございます。  それから、特に先生お触れになりました、問題となる院内感染症の最新の知見につきましては、私どもとして、その都度医師会、歯科医師会を通じて周知してきているところでございますし、それからまた、感染症学会と協力して院内感染対策に対する講習会も開き、また、いろいろな疑問にお答えするため院内感染対策相談窓口も開き、対応に努めてきているところでございます。  まだ不十分な点もあるかと思いますが、今後ともそうした手段を通じて正しい知識の普及啓発を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。  診療報酬の問題は保険局長の方から。

高木俊明厚生省保険局長

○高木(俊)政府委員 医療保険の診療報酬上の関係について申し上げたいと思いますが、今回の診療報酬の改定で、病院につきましては、紹介率が三〇%以上の病院歯科、これにつきまして、院内感染防止対策ということで評価を行っております。  これは先生御案内のとおりでありますけれども、全身疾患によりまして免疫力が低下している患者さん、こういった患者さんが来院する機会が非常に多いというようなことから、感染対策のマニュアルの作成など、院内の感染防止対策について特に力を入れていただきたいということで、このような点数を設定をいたしました。  しかしながら、病院、それから診療所、いずれもこの感染予防対策というのは非常に重要でありまして、そういった意味で、このたびの診療報酬改定の中におきましては歯科診療所も含めて、初診料、それから再診料、これを引き上げさせていただきました。こういった中で、私どもとしては適切な感染予防対策というものに役立てていただきたい、このような考え方に立った改正を行ったところであります。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 次に、法案における基本指針及び予防計画について、これは国、都道府県において感染症危機に備えて作成するということになると思いますが、作成の意義、その内容について、厚生省にまずお伺いをいたします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今回の法改正におきましては、あらかじめ感染症の発生、拡大を防止するための対応を図る事前対応型の行政に転換していくことを重要な柱としております。  こうした考え方によりまして、感染症の発生とか拡大防止にかかわる関係者が互いに緊密な連携を図って総合的な対策を講じ、国民が安心できる感染症対策を確立するために、事前に国が基本指針を定め、そして都道府県が予防計画を策定をすることにいたしております。その内容事項につきましては、法律の第九条に基本指針が書いてあります。十条に予防計画というのが書いてあります。  これによって、例えば予防計画の場合でいきますと、各都道府県の段階で、医師会さん、歯科医師会さんというこれら医療関係者の皆さん方、それから患者さん側の関係、それから実際には市町村がどう動くかとか、そういうふうなことも日ごろから事前に計画をつくっておく。患者さんが来たときはどうするかとかいうことも含めて計画を固めるということによって、結局事前対応型にしておかないと、さあO157が出た、どうするんだ、これからばたばた本を読んでいて、どうやってプランニングしようかではこれは困るということでやっておるわけであります。  そういうことで、今回は、予防計画というのをつくるということで、また国は基本指針をつくるということで事前対応型行政にしていこう、こういうことにしているわけであります。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 次に、感染症発生動向調査が今回の法律改正において事前対応型行政への推進の中心となると考えます。このうち、いわゆる定点サーベイランスについて法定化することにより、どのような効果が期待できるのか。また、定点の選び方について、そのお考えを示していただきたく存じます。  特に、先ほど話題に出しましたMRSA等の院内感染について考えますと、一般的には新しい医院では発生しにくいとか、いろいろな要素がかかわってくると思います。医療機関の設立後の年数、新しいもの、古いもの、いろいろあるとは思いますが、バランスよく定点サーベイランスの対象にするべきではないか。それで、現実はどのようになっているのか、どのようにお考えなのか、この点について厚生省にお伺いをいたします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今回は、法律改正でそのサーベイランスというのを大変大切にしているということは先生御承知のとおりだと思います。  この定点方式によります感染症発生動向調査は昭和五十六年から予算事業化されまして、現在二十八疾患を対象として、保健所、都道府県と厚生省をコンピューターで結ぶ伝送方式で行われております。感染症の流行状況を迅速かつ正確に把握することは、感染症対策上重要な問題だと認識をしておるところでございます。  今回、同調査を法定化することに伴いまして、感染症の流行状況をより正確に把握するための単位人口当たりの定点の配置数や選考基準、例えば病床規模、標榜診療科名などですが、そういう選定基準を明確にし、法案における事前対応型行政の一つの柱であります感染症発生動向調査が迅速的確に行われるように努めてまいりたいと思います。  この情報を国民に提供することによって、例えばインフルエンザならインフルエンザというのが、患者さんが出る、開業の先生に行かれる、そしてそれが報告として上がってまいります。それを厚生省の方で集計をして発表をする。そうすると、このインフルエンザは、例えば南の方の暖かいところからとか、または北の方から広がってくるとか、またはどこか別のところから広がってくるかということが国民におわかりいただけるわけであります。そういうことによって、あの地域はインフルエンザが非常にはやっているなということを国民が御理解をできる。そういうような情報によって、国民に自分の生活とか行動とかそういうことを変容をしていただく、そういうことによってこの四類感染症を防いでいこう、こうしているわけであります。  それで、今先生がおっしゃられました、新しい医療機関と古い医療機関のバランス、特にMRSAのことも気にされて、そうおっしゃっている。今回はMRSAも四類感染症に入っておりますので、先生の御指摘の点もよく含めまして、バランスのよい定点を選択するという見地から検討してまいりたい、このように思っております。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 それでは、サーベイランスで、アクティブサーベイランスについて規定を設けた理由、またその効果について、少し詳しくお尋ね申し上げます。特に、都道府県知事は、厚生大臣に感染症に関する研究を行っている機関の職員の派遣、協力を求めることができるとされておりますが、この機関について、一体どのような機関を想定し、それらにどのような役割を期待しているのか、お考えをお示しください。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 新しい法案の第十五条に規定をされました積極的な疫学調査、これをアクティブサーベイランスと申しておりますが、この調査は、原因不明の感染症が発生した場合の原因の究明、それから、通常の受動的な発生動向調査では把握できない感染拡大状況の把握というのを目的にしたものでございます。  特に二番目の方が具体的にぴんとこないかもしれませんが、どんなものかといいますと、昨年、香港で新型のインフルエンザウイルスが出現した際があります。この際に、香港政庁は、患者が確認された病院の外来において、外来受診者を対象とする質問票による調査を実施して、人から人への感染の有無、それから周辺地域への拡大状況というのを検証をしております。こういうものがアクティブサーベイランス、いわゆる積極的疫学調査と言えると思いますが、このような積極的疫学調査の感染症対策上の意義及び必要性については、既に国際的には検証されておるところでございます。  後の御質問の、国の感染症の研究機関とはどこかというおただしでございますが、国立感染症研究所や国立国際医療センター研究所を想定をいたしておりまして、都道府県からの要請に応じて、発生状況の分析や原因究明のための疫学面、それから、高度な技術を要する検査面における協力をすることといたしておるところであります。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 以上、政府の提唱されます事前対応型行政について、本日お聞きいたしました。このような考え方は、単に感染症の問題に関してではなくて、国民の健康や安全を考える上で極めて大切な考え方だと思います。  最後になりますが、感染症対策の範囲を超えて、この事前対応型を含めて、厚生大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 今回の新法は、現行の伝染病予防法というのがどちらかといえば発生した後のことを考える法律だったと。後のことではなくて、いつ起こるかわからないんだから、ふだんから、危機管理というか病気に対する有事体制、これに対する対応をどうするかということをより重視すべきではないかという考えも取り入れて提出したわけでありますので、国と都道府県、あるいは各研究機関、いろいろ関係者との連携をふだんからとっておく。そして、もし感染症が起こらなくても、起こった場合どうするか、事前によく連携しながら予防計画等というものを考え、そして体制を充実させていかなければならないと思っております。  もちろん、もしもそういう感染症が発生した場合には、迅速に、早期に対応ができるような点を重視するのも当然でありますけれども、事前と事後、これを両面重視して、より一層、いろいろな予防なり拡大の防止、さらには人権への配慮、これを総合的に勘案しながらふだんから体制の整備を充実していこうという点で、私はかなり前進した法律ではないかなと理解しております。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 瀬古由起子さん。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  先ほど大臣は、問いただしても切りがない、もっと信頼してもらいたいというお話がございましたが、この感染症予防法の問題は、聞けば聞くほど、もっといろいろ聞きたいという内容になってきております。それで、信頼してもらいたいという問題も、やはり感染症の日本の歴史を思えばある意味では信頼できないという思いも、その点もぜひ御理解いただきたいというふうに思うのです。  さらに、きょう私、法案の中身についても幾つか質問しようと思っていたのですが、午前中、参考人質疑を聞かせていただいて、この部分はどうしても問いただしてお聞きしたいという点がございますので、予定していた質問を若干変えまして、お話を伺いたいと思っております。  まず最初に、光石参考人のお話の中で、この法案の内容は問題なんだけれども、実はこの制定過程も大変問題があるんだということを指摘されたんですね。  といいますのは、この小委員会の委員であった光石さんが、この報告書を御努力されて、ようやく皆さんで力を合わせてつくられたわけです。ところが、この法案の要綱ができて、その断絶に驚いて、三名の方が上申書なるものを出されたわけですね。これについては、実際には、何とか小委員会をもう一度開いてもらいたい、こういう御要望を出されたわけですが、実はナシのつぶてだ、返事がないと。もう小委員会は解散されたはずというような大変冷たい態度だったんだそうです。  この小委員会の審議の過程を通じて、これは国民に公開されて、かなり積極的な対応もとられて、随分多くの人たちも注目していた委員会であったわけです。そういう中で、実際には意見ありという形で出てくるというのは、もちろん中身の意見が違うというものは当然あると思うのですが、やり方の上でやはりきちんとした運営をしてもらいたいという御要望が、声がきょう出されておりました。  そういう点で、この上申書の扱いというのは今どういうようになったわけでしょうか。その経過を教えていただければと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  今先生がおっしゃられた上申書というのは、ことしの二月九日に、公衆衛生審議会伝染病予防部会に設置をされました基本問題検討小委の三名の委員の方から厚生省に出されたものでございます。このとき、先生方が見られたものというのは、私どもが小委のメンバーの先生方にお送りした感染症予防法案(仮称)制定要綱というものでありまして、実は今回出している法律の要綱とは違うもの、まだ前段階のものであったということをまず御理解をいただきたいと思うのであります。それをお読みになられて、先生方から御意見をいただいたということでございます。  そして、二月の十日に、この基本問題検討小委員会の親委員会であります公衆衛生審議会伝染病予防部会の審議の際に、当該上申書について、各委員に配付をいたしまして上申書の内容について審議をいただいたところでありますが、基本問題検討小委員会委員でもあった複数の委員から、法案制定要綱の内容と公衆衛生審議会の意見書との間に内容的な断絶はないと考えるとの発言をいただいているところでありまして、その結果、公衆衛生審議会において諮問案を了承いただいたものと考えておるところでございます。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 内容に断絶があるかないかというのは、それは意見が違うと言えば違うかもしれません。しかし、少なくとも小委員会をもう一度開いていただいて、確かに現在出されている内容ではないけれども、しかし、きょうお話を聞いたら、今の内容でも全然問題だという御意見を持ってみえるわけです。中身は問題だけれども、少なくとも手続上、上申書を出された方々に、こういう扱いをいたしますと、こういう委員会をもう一度開きますと、できたら声ももう一度聞かせていただきましょうとか、少なくともそういう常識的な対応はなさるべきじゃないかと思うんですね。聞きましたと、また上の委員会にかけて論議して問題ないと決めましたというのは、この感染症予防法の審議を本当に国民的な中でやろうという出発点からいうと、やり方の上で、民主主義という点ではいささか問題があるのではないか、その点での改善といいますか、今からでも遅くはないので、それなりの対応をしていただきたいと思うのですが、大臣、その点、いかがでしょうか。ぜひ大臣の考えを聞かせていただけませんか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 先ほども申し上げましたように、公衆衛生審議会の伝染病部会の中に基本問題検討小委員会の先生方がいらっしゃるということは御存じだと思います。  それで、そこで御議論をされて、確かに光石先生の御意見というのも私も読んでいますから知っております。それで、そういう意見があったことは審議会の先生方も皆さん御存じでありますが、最終的にはこの国会に法案を提出するということとの時間的な問題もあり、最終的には皆さん方の人数の総意でもってどうするかという御判断になろうかと思います。  確かに、先生がおっしゃるように、一部少数意見があったら、その少数意見がすべて納得されるまで審議を重ねるということにはとても無理な話だと……(瀬古委員「そんなこと言っていません。そこまで言ってないです」と呼ぶ)だから、審議会の先生方の御意見でもって、この光石先生方の上申書を読まれて、審議会の先生が読まれた結果として、先ほど申し上げたように、内容的な断絶はないと考えるという御判断をされたことで、厚生省としてはよしと判断をしたと考えておるわけであります。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 少なくとも本人が全然違うのだという、自分たちがせっかく努力して決めたこととは違うのだという意見を出しているのに、違うところでもうこれは断絶はありませんなんという扱いをしないで、では、意見を聞こうじゃないですかと、しかし最終的には意見が違うということはあるのです。  しかし、少なくとも、今回の委員会をつくって、いろいろな方々の御意見を聞こうという、そういう民主主義のルールというか基本、こういう点はやはりもっと大事にしなければならぬのじゃないか。もう聞きましたよと、審議したけれども、断絶はありませんでしたよと言って、聞かないで、もう法案を出しました、時間がありませんでしたと言えば、では、何のために審議を小委員会で一生懸命やってきたのかということだって、私は御意見が出てくるのは当然だと思うのですね。その点はどうでしょうか、小泉大臣。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 私は審議会がどういう運営をされていたのか知りませんけれども、できるだけ多くの方の意見を聞いて了解を得るのが望ましいと思っています。  国会でも、これは十分審議を尽くしたというグループがあるかと思えば、何時間やっても十分じゃないという方もおりますから、その点はどうなのかなと、うまく意思疎通を図っていただきたいと思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 もう何時間も何時間も意見を一致するまでやれと言っているわけじゃないのです。少なくとも、本人たちの意見を言う場をきちっと設ける。その点はやはり今からでも遅くはないので、このまま強引なやり方をやったら、厚生省の委員会というのはみんな結論先にありきみたいなのかというふうにやはり言われるわけですよ。意見は違っていても、きちっとルールはつくるということはやはり大事じゃないかと思うのです。その点をお願いします。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 できるだけ理解を得られるような努力は必要だと思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 何らかの措置をとっていただけませんか、大臣。もう一度、何とか返事をいただきたい、声を聞かしてほしい、自分たちの声を言いたいと言っているわけですから。ぜひ大臣にお願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず私からお答えをさせていただきます。  上申書の中身について、法律の施行段階での実施すべきものと考えられる指摘事項も含まれておりますことから、他の要望、意見書と同様に、今後は法律の実施に向けて参考にしてまいりたいということで御理解をいただきたいと思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 そんなことは聞いていないのです。きちっと答えてもらいたいのです。  これは法律上の問題か施行上の問題かなんということがあったとしても、しかし少なくとも意見があるわけですから、聞いてもらいたいと意見を出しているわけです、話したことと全然違うというふうに御本人たちは認識を持ってみえるわけですから。そういう場を、やはり聞くという姿勢は要るのじゃないですか。結論としては、違うという形になったって、同じだという感じになったって、それはあることです。しかし、少なくとも、一生懸命つくり上げたものが、全然違うものが出てきたというふうに現在でも印象を持ってみえるわけです。お返事もないと。何とかしてほしいという声を出しているのに返事も出さない。そういう扱いはいかがなものか。大臣、その辺はいかがでしょうか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 私はその審議の場に出ておりませんから、どういう運営をされたのかわからない。だから、そういう意見があるのだったら、審議会の方々はどう思っているのか、今後検討してもいいのではないかなと思っておりますが、そういう意見は国会の委員会の中でもできるわけです。意見を聞いて、委員も言えるわけですから、厚生省の意見をただすことはできるわけです。そういう中でも、補足なり、審議会の意見など不満があり疑問があるんだったら、十分ただせるんじゃないか。それが法案の審議じゃないでしょうか。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 国会でやることとそれぞれの審議会やそれぞれの委員会でやることとは、また別問題です。  ぜひ委員長、この経過について調査をしていただいて、本当にきちっとしたルールを踏んできているのか。そういう対応をぜひ御検討いただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。委員会の取り扱いとして、ぜひこの処理をきちっと調査していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 この問題は政府部内の法案立案過程の問題です。したがって、私どもはそこで成案を得た法律案の審査をしておるわけでございますので、これを前提にして十分国会議員の間で審議をいただくというのが我々の委員会の務めだ、このように思います。  ですから、その前段階で、政府の審議会で、審議委員の間でいろいろあったということは政府部内で処理されるべき問題だ、このように思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 国会で論議する場合でも一審議会の過程の中で問題があるという指摘があるわけですから、それはきちっと、本当にそうなのかという調査はぜひ検討していただきたいと思います。そのことはちょっと、御検討をぜひお願いしたいと思います。  次に質問いたしますけれども、同じく光石参考人から、公衆衛生の目的の達成と人権の尊重は相互に補完し合うもので対立矛盾するものではないという考え方に小委員会は行き着いた、このように述べておられます。人権に負担がかかることと人権の侵害を混同してはならないと。  どんな感染症の患者でも、例えば分類ということについては私たちは意見を持っていますけれども、一類と言われる患者さんも含めて人権はひとしく尊重されなければならないというのは当然だ、この点は厚生省としてはどのように受けとめてみえますでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 一般論として、この感染症を別にして考えれば、我々は、政府としては、人権の尊重というのは当然のことだと思っております。  ただ、この感染症については、感染症の発生と蔓延の防止のために入院をどうしてもお願いしなければならない患者さんがあります。これは、ある意味では御本人の意思に反することもあるわけであります。そういうときは、入れられる方については自分の行動の制限を受けたということになるわけで、そこに人権上の問題が生ずる。  そこで、患者の周りへの蔓延の防止と個人の人権ということをバランスを持って見ていくために、そこに人権の尊重という話を持ってこられると、今後蔓延の防止を図るときに、まず人権の尊重が先ではないかと言われたのでは実効対策がとれない可能性があるので、我々としては、バランスを見るために「人権に配慮」という規定を設けているということでございまして、そこについて御理解をいただきたいと思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 これは、もう既に小委員会で論議されて、本当に論議されて行き着いたという内容と今局長が言われた内容は、違うのですよ。確かに蔓延をどうするかという問題と本人の人権というのはある。  しかし、そういう中でも個人の人権というのは本当に尊重しなければならないものだ、そしてそれは何か対立するものではないんだ、そうやって人権を大事にし、よい医療をきちっと適切に行う、そういうことがむしろこの感染予防にもつながっていくんだ、こういう小委員会での論議になっているわけです。  ですから、危機管理か人権かみたいな、そんな論議、バランスをどうするかではなくて、患者さん一人一人の人権をきちっと尊重することがむしろこの感染症の対策には必要なんだ、そんなどちらかという問題、バランスという問題ではないんだということがこの小委員会の結論だということを言ってみえるわけですが、それは違うという御意見ですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 結局、一類感染症または二類感染症といって入院をしていただく必要のある患者さんがあるとします。この患者さん方にお医者さんまた行政当局が勧告をして、それで御理解をいただいて自分から入院をしていただく、そして医療をきちっと受けられる、そして治っていただく、そしてそのこと自体の積み重ねが感染の蔓延防止につながるということ、それが本当に正しいことだと思っています。  しかし、場合によっては、本人が、私は勧められても、人にその病気をうつそうが、そんなことは自分には関係ない、私は入らないと言って入院を拒否された場合のことを想定すると、そうするとどうしても人権上の制限はあるから、そこについては人権の配慮ということでもって両方のバランスを見るという法律の書き方になるということでありまして、基本は、今先生がおっしゃった、我々でも、患者さんの治療をする、そしてその治療をすることによってそれが蔓延の防止につながるということが本来一番望ましい、その点では先生とそんなに基本的に考え方が違っているわけではないと私も思っております。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 もう一点、松田正巳参考人が言われたのですが、この法案は国際法との整合性に欠けると。これは、先ほども出ておりましたように、WHOの総会の主要課題である健康と人権の一体性、こういう立場からいうと人権擁護は含まれておらない、比重が大変予防に傾いている、来年以降国際保健規約が大きく変わって、世界の流れがこういう感染症対策については大きく変わっていくのだ、そういう点ではこのまま法案を成立させると国際的にも耐えられないものになるのではないかという御発言がきょうございました。  そういう点では、先ほど出されておりましたけれども、例えば症状、症候群別に報告をする内容だとか、それから先ほど定点観測の問題が出されていましたが、これはもう国際的にはおくれている、WHOの関係でいえばそれこそセンティネルサーベイランス、こちらの方が主流になってきてむしろ日本のはおくれてきている、こういう問題があるとか、それから専門家中心でなくて住民を中心にした感染症対策が重要だ、幾つかの観点がきょう述べられたのですね。  そういう点でいうと、この感染症予防法の中身は、十分それを検討したとは思えない、実際には検討されていないと思うのですね。そういう点では、国際的に今変わろうとしている、取り組もうとしているところから大きく外れているのではないかというのがきょうの専門家の御意見だったんですけれども、その点はいかがでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今のその専門家というのは、専門家の中のある専門家の御意見だと思っております。  それで、私どもとしては、先ほど申したように、基本問題小委員会で専門家の先生方にお集まりいただき、法律家も入っていただき、そこで議論をしたわけでありまして、感染症の類型の問題についてもどうしていくのか、そこの中には、もちろん皆さん学者の世界ですから国際の動向というのは御存じなわけでありますから、全員というわけにはいきませんけれども、そういう中で御議論された答えでもってこの法案を調製しておるわけでございます。  確かに、その一人の方の御意見というのは御意見としてそれは拝聴に値することとは存じますけれども、我々としては、多くの学者の先生方が、これでよい、今我々が出した法案の考え方で行くべきということで御支持をいただき、それに沿って法律案をつくっているわけで、御理解を賜りたいと存じます。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 少なくとも、今の日本でつくられている感染症予防法については、各方面から、特に世界的なグローバルの点から見ても問題があると。小委員会の委員長さん自身が、グローバルという点からいうと実際にそうだとは言えないというお話もきょう参考人の中でお話をされました。率直に言われたんですね。そして、この問題も国際的に耐えられるのかどうかというのも論議が十分されていないという実情も、これは局長がこの前、この委員会では論議されていないということも言われたわけです。  そういう意味では、この問題は大変大きな問題をまだまだ持っているので、ぜひ十分な審議をもって、この法案の審議をされることを私は希望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 中川智子さん。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。きょうは、一昨年の堺のO157のことについて伺いたいと思います。  きょうの午前中の参考人の中で、堺からいらっしゃった保健局長さんのお話を伺っていろいろ思うところがあったんですけれども、まず事前対応型の行政にということでこの新感染症を制定するということなんですけれども、日本では、O157は、まず平成二年に浦和の幼稚園で二人が亡くなりました。そして、平成四年も佐賀で集団感染がありまして、五年にもありましたし六年にもありましたし、六年では広島の園児が一人亡くなっています。この間の御答弁のようにばたばたではなかったかもしれませんけれども、平成二年からO157というのはこの日本の中で集団感染があった。  そのことがありながらあの堺のパニックということを、厚生省はどのように考えていらっしゃるのか。平成二年の発生後の厚生省の対応がきっちりとしていれば、あのような事態は防ぐことができたのではないかという思いがいたしますけれども、厚生省の対応、そして医療、自治体への情報などきっちりしていたのかどうか、そのあたりの経過を伺いたいと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 腸管出血性大腸菌O157につきましては、平成二年当時から海外での発生例について承知をいたしておりまして、その特徴についても、感染により下痢等を引き起こした場合、時として重症化する等、一定の危険性を有するといった認識は有していたところでございます。  しらさぎ幼稚園におけるO157感染症の発生に対しましては、厚生省においては同じ平成二年に専門家会議を設置をいたしまして、その意見に基づいて、飲用井戸の衛生確保の徹底を図ったほか、食品関係営業施設等に対する監視、指導の徹底や衛生対策の徹底を指示をしておるところでございます。また、研究を推進し、迅速な検査が可能なように研究会を開催をしているところでございます。  その後の問題は、実は、埼玉の事例について、平成三年には結局お医者さんにどの程度情報が伝わっていたかということをちょっと見てみたのですが、平成三年の八月に日本医事新報に「腸管出血性大腸菌とその疾病」というのがありまして、これで私は何を調べてみましたかというと、いわゆる二次感染というものをどうとらえていたかなというところを見たわけですけれども、どうも平成三年当時はこの医事新報の雑誌によると余りはっきりしていなくて、また、本疾患の治療法のところも、現在のところ対症療法以外に特に効果的な治療法はないというのが平成三年当時であります。  それから、医師会の雑誌に載ったのも、平成三年になりますが、これについては二次感染について少し言及をされておりますけれども、どうもはっきりしないというような状況でございまして、平成三年当時こんなのがあって、それ以後余り文献が見当たらないのであります。そして、そうしたところへ堺の事件が発生をしたということでございます。  一昨年の堺における病原性大腸菌O157の大規模な集団発生に際しましては、堺市が迅速に対策本部を設置をし、厚生省や大阪府、医師会との連携を図りつつ精力的に対策に当たったため、大きな集団発生であった一方、被害については私は最小限に抑えられたものと考えているところでございます。  ただ、大きな混乱になりましたのは、実は治療方法について定説がなかった。日本の先生方は抗生物質を早期に投与した方がいいんだとおっしゃられる。また、アメリカの先生方は抗生物質は効かない、だから投与すべきではないという御意見がありました。  そういうようなことから、私どもは、これは大変ということだったんですが、何とか政府としてマニュアルをつくって医師会を教育すべきだということで、厚生大臣と日本医師会長との連名でもって合同で、この感染症の検査法とか抗菌方法の使用に関する治療マニュアルというのを平成八年八月二日に出したわけであります。そして、そのマニュアルによって事なきを、ある意味では二次感染とかいうような段階については対応できたものと思っておるわけです。  しかし、O157にかかったということで、休職を迫られたり、学校でいじめられたりした人もいたように聞いております。これは正しい知識の欠如によるものでありまして、その点については非常に残念であった、このように思っております。  堺のO157集団発生を通じて、感染症対策については迅速な対応と正しい知識の普及、それから正しい情報の提供が必要と考えておりまして、これらの教訓を踏まえて今回も法案を調製をさせていただいたというところでございます。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 局長は私の質問時間が十二分だということは全然考慮に入れてくださらない答弁で、何か思いのたけをおっしゃったようですが、結局、事前対応型の行政といっても、そういうふうに、医師会の機関誌とかいろいろなことでこういうことがあったと。では厚生省は何をしたのか。堺の前の六年間に対して、O157に対してきっちりといわゆる事前型のことをやることを、怠ったとは言いませんが、かなり怠っていたので、やはり慌てふためいたということがあると思います。  でも、これからでも遅くありませんので、事前対応型の行政にするには、どんなに小さいこともやはり危機意識を持ってやっていっていただきたいということを心からお願いしたいと思います。  O157に関連しまして、私午前中の参考人で驚いたんですが、厚生省はカイワレ犯人説、中間報告を出し、最終報告も出しました。でも、堺の保健局長さんはカイワレは犯人ではないとおっしゃっていまして、なぜでしょう。

小野昭雄厚生省生活衛生局長

○小野(昭)政府委員 カイワレ一般が問題であるのだというふうに私ども申し上げたつもりではなくて、特定の施設の特定の生産日に生産されたカイワレ大根が原因である可能性が高い、正確に申し上げればそのように表現をしたわけでございますが、一般的にはああいった事態になったことは事実でございます。  この結論につきましては、堺市が集められましたデータ、国の担当官を派遣して集めましたデータ等々を持ち帰りまして、疫学の専門家に何回もお集まりいただき御検討いただいた結果として、その結論で妥当であろうという御意見をいただきましたものですから、公表したわけでございます。  なお、堺の局長さんがおっしゃっていることにつきましては、どのような学問的な根拠に基づいておっしゃっておられるのか、私話を聞いておりませんので、承知いたしておりません。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 今回のこの新法では、保健局長とか自治体というのはかなりのウエートで権限を持つわけですね。そこと厚生省がこんなに認識の違いがあれば、非常に恐ろしいというのを素直に持ちました。  そしてまた、そのような御説明をいただいても、いまだに特定の業者のカイワレは危ない、ほかの業者のカイワレは危なくない。では、どこどこが危ないというのを発表したことがおありなのかと思いますし、私たちにその業者を選ぶ、そのような選択の権利があるとはとても思えません。カイワレはカイワレでスーパーで並んでおります。やはり、あれが最終報告として厚生省が出したままということに対しては、私は、今後の対応も含めて非常にあいまいなまま終わっているという認識を持っております。  これに関してはまた、O157はいつも次に続きますけれども、カイワレの問題だけにとどまらないというふうに思っておりますし、堺市との連携をしっかりとって、私はO157に対する厚生省と自治体の一定の見解を出すべきだと思っております。非常に無責任な形で、被害がこれだけで済んだからよかったと。でも、これだけで済んでよかったということにはならないんですね。ほかのところでも全く同じような形で被害が少なくて済むというのは、感染症そのものに対して非常に甘いというふうに思います。  それに関連しまして、あのときは菅さんがばくばくとカイワレを食べて何となく笑ってしまったんですけれども、数々の薬害の歴史の中でずっと厚生省は、科学的な根拠が証明されなければ回収などはできないと。一貫してそのように進んできたと思っております。それ自身がもう被害を拡大されたというふうな認識があるのですけれども、O157では、カイワレらしいということで、それが予防的見地から、一〇〇%証明できなくてもある程度の可能性で公表すべきだという結論で中間報告、カイワレ犯人説を出し、そして一定の終息宣言を出したんですけれども、これ自体は、私は、国民の健康を守る省として、あれ自身は、カイワレどうのこうのじゃなくて、中間的にカイワレが危なそうだと、だからばあっとお店からカイワレが回収されました。それは非常にいい判断だと思っております。ちょっとはほっとしました。でも、大臣がかわったら、やはり一〇〇%安全じゃなければ、証明できなければということではなくて、これからも安全性に問題がある場合は予防的見地で積極的に判断していくべきだと思うのです。  大臣は、堺のときはいらっしゃらなかったのですけれども、今後、本当にいっあるかわからない状況の中で、一〇〇%の科学的根拠がなければこれは判断できないということではなくて、予防的見地からそのような判断を迫られるときがあると思いますが、そのときの対応に対しては、現在的な認識はどのようにお考えでしょうか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 何事も緊急に事態が発生した場合に一〇〇%確認するのは難しいと思います。どの程度の危険性があるかということで判断していいんじゃないでしょうか。それは、一歩間違うととんでもないデマ情報になっちゃうわけです。危険性が高い、個人の判断ではできない、やはりしかるべき医学的なり専門家の判断を仰がなきゃならない場合もあるでしょう。  しかし、それが何%ならいいか。これは難しいところであって、まさに信頼と不信を招く紙一重の問題のところがあるわけですから、それはそのときの臨機応変、そして事前の体制の整備、各地方自治体とのふだんの研究、連携、協力が大事ではないかというふうに考えております。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 局長の答弁、本当に長かったので、もう一点最後に伺わせてください。  堺のO157のことですが、やはり、七十七人の児童を中心にして、いまだに機能障害とかで苦しんでいる。私の友人の子供さんも、もう本当にひどい状況があります。そして、あれはもう機能障害として目に見えて残っている。でも、いわゆる精神的にまだまだ治らない、一生本当にそれを引きずるんじゃないかという後遺症も見られます。  それで、私もいわゆる補償制度のことをちょっとしつこく質問しておりますけれども、この堺のことは、もう泣き寝入りの人は泣き寝入り。今の機能障害が残っている子たちは、もう国としては責任はあると思うか、ないと思うか、そしてまた、厚生省は、あのO157の今引き続き残っているそれらの問題に対してどのように考えているかということを伺いたいんですが。最後にお願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 突然の御質問でございますし、補償問題については、私も実際に患者さんがどうなられたということを承知しておりませんので、大変大事な問題ですので、また後刻、先生に御報告を申し上げたいと思います。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 厚生省、一度やはり堺に行って、きっちりと今の状態がどうなのかを見てきていただきたい。よろしいでしょうか。お願いいたします。要望としてお願いして、終わります。ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十四分散会

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