P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
142回国会衆議院1998/05/22

厚生委員会 第13号

発言数
134
登壇者
15
会派数
6
開催日
1998/05/22

会議録

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、参議院送付、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。  なお、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案につきましては、参議院で修正議決の上送付されたものでありますので、まず政府から趣旨の説明を聴取し、引き続き参議院における修正部分の趣旨について説明を聴取いたします。小泉厚生大臣。     ―――――――――――――  感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に   関する法律案  検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案について申し上げます。  明治三十年の伝染病予防法の制定以来百年が経過し、この間の医学医療の進歩、衛生水準の向上及び国民の健康・衛生意識の向上に伴い、コレラによる死者が年間十万人を超えるといった事態を見ることはなくなりました。その一方で、国内においては、一昨年にいわゆるO157感染症の流行が社会問題となり、また、世界に目を向ければ、エボラ出血熱等これまで知られなかったいわゆる新興感染症が出現し、国際交流の活発化に伴い国内に持ち込まれる危険性が高まっております。さらには、近い将来克服されると考えられてきたマラリア等が再興感染症として再び問題化するなど、感染症が新しい形で人類に脅威を与えてきております。  また、伝染病予防法は、強制的な予防措置が既に不要となっている感染症を法定伝染病として法律に位置づけている一方で、エボラ出血熱等の世界的に問題視されている危険な感染症が法の対象とされていないこと、感染症の予防措置に関し、感染症が発生した事後の対応に偏っていること、患者に対する行動制限に際し、人権尊重の観点からの体系的な手続保障規定が設けられていないこと等の点で、時代の要請にこたえることができないものとなっております。  こうした状況を踏まえ、総合的な感染症予防対策の推進と、これに伴う医療の充実を図るために、今般、この法律案を提出した次第であります。  この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、感染症の予防のための施策は、感染症の患者等の人権に配慮しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とするとともに、感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるよう必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと等を国及び地方公共団体の責務とし、また、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならないこと等を国民の責務とすることとしております。  第二に、国は感染症の予防の総合的な推進を図るための基本指針及び特に施策を推進する必要がある感染症についての特定感染症予防指針を定め、都道府県は感染症の予防のための施策の実施に関する予防計画を定めることとするとともに、所要の感染症に関する情報の収集及び公表に関する規定を整備することとしております。  第三に、この法律案による措置の対象となる感染症について、その感染力、感染した場合の重篤性等による危険性に応じて類型化することとしております。  第四に、感染症の類型に応じて、健康診断、就業制限及び入院の制度を設け、患者の人権の保護を図るための手続規定を整備するとともに、この法律案に基づく入院医療の提供体制を整備し、その入院費用について、医療保険各法による医療給付と公費の組み合わせにより負担するための規定を定めることとしております。  第五に、感染症の類型に応じて、その発生及び蔓延の防止のために感染症の病原体に汚染された場所や物件の消毒、猿その他の動物に係る輸入検疫等の必要な措置について定めることとしております。  第六に、未知の感染症であって、その感染力、感染した場合の重篤性等に基づき危険性が極めて高いと判断されるものを新感染症と位置づけ、これに迅速かつ的確に対応できるよう、国と都道府県の密接な連携のもとに、蔓延の防止のための入院等の措置を定めることとしております。  なお、性病及び後天性免疫不全症候群については、おのおのこれまで個別の法律に基づき対応してまいりましたが、これらの法律の制定以降の医学医療の進歩、これらの感染症に関する正しい知識の普及等の状況の変化を踏まえ、今後は、この法律案の中で必要な対応を図ることとし、性病予防法及び後天性免疫不全症候群の予防に関する法律についても、伝染病予防法とあわせて廃止することとしております。  次に、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案について申し上げます。  近年、海外においてはエボラ出血熱等のこれまで知られなかった感染症が出現し、国内においては生活様式の多様化に伴い感染機会が増大しており、感染症を取り巻く環境は大きく変化しております。  さらに、国際間の人や物の移動の活発化や、航空機による輸送の迅速化に伴い、外国から新たな感染症が持ち込まれる危険性が著しく増大しており、国内への感染症の侵入防止のための施策の充実及び国内における感染症対策と連携した対応が求められております。  こうした状況を踏まえ、総合的な感染症の予防対策の推進の一環として、国内に常在しない感染症の侵入を防止するため、検疫の対象となる感染症や狂犬病対策における対象動物の追加等所要の見直しを行うこととし、今般、この法律案を提出した次第であります。  この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  まず、検疫法の一部改正につきましては、検疫業務について、国内の新たな感染症対策との整合性を図り、検疫の対象となる感染症として特に危険な感染症を追加し、また、検疫所長が厚生大臣の指示に従って新感染症に対する検疫を行うことができるようにするとともに、隔離及び停留について所要の見直しを行うこととしております。  さらに、検疫所において、出入国者の求めに応じて診察や予防接種を実施するとともに、外国における感染症情報を出入国者に対し提供することとし、さらに検疫所と都道府県との連携を図ることとしております。  狂犬病予防法の一部改正につきましては、狂犬病の予防のため、輸出入検疫、狂犬病の発生時における獣医師の届け出措置の対象動物として、現行の犬に加え、猫等を追加することとしております。  これら二法案の施行日につきましては、一部の事項を除き、平成十一年四月一日としております。  以上が、二法案の提案理由及びその内容の概要でありますが、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案につきましては、参議院において修正が行われたところであります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 次に、参議院国民福祉委員会における修正案の提出者参議院議員尾辻秀久君。     ―――――――――――――  感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に   関する法律案の参議院修正     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

尾辻秀久自由民主党

○尾辻参議院議員 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案に対する参議院の修正部分につきまして、その内容を御説明申し上げます。  修正の要旨は、第一に、国及び地方公共団体の責務として、感染症の病原体等の検査能力の向上を加えるとともに、必要な施策を講ずる場合においては感染症の患者等の人権の保護に配慮しなければならないこととし、国の責務として、感染症の病原体等の検査の実施を図るための体制の整備を加えること。  第二に、四類感染症及び指定感染症の範囲について、既に知られている感染性の疾病に限定されることを明確にすること。  第三に、国が定める基本指針に定める事項として、感染症の病原体等の検査に関する事項及び感染症の患者等の人権の配慮に関する事項を位置づけること。  第四に、この法律の規定について、この法律の施行後五年を目途として、感染症の流行の状況、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展、感染症に関する知識の普及の状況その他この法律の施行の状況等を勘案しつつ検討し、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとすること。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤民一君。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 質問させていただきたいと思います。  現行の伝染病予防法は、抗生物質など感染症に対する治療方法がなかった時代に、患者を隔離することによって感染防止を図ろうとしたものであります。人類の歴史からいいまして、ペストやコレラ等が蔓延したときに、社会防衛上、隔離によって全体を守ろうとしたものでありました。伝染病予防法が制定されましてから百年以上たつ間に、医学医療は大幅に進歩いたしまして、国民の健康や衛生意識も向上いたしています。  さらに、エボラ出血熱等これまで知られていなかった新たな感染症の出現や、近い将来克服されると考えられてきました結核やマラリア等の感染症が再び人類に脅威を与えています。そのときに、こうした感染症を取り巻く状況の変化を踏まえまして、原則として入院が必要な感染力の強い感染症から、国民に対する情報の提供で対応すべき感染力の弱い感染症など一さまざまな感染症に対する施策の再構築が必要となってまいりました。  十年前、エイズの問題が起きたときに、エイズは感染力が弱いこと、感染経路が特殊であること等から、隔離を基本とする伝染病予防法を適用させるのではなくて、エイズという疾患の特殊性にかんがみて、エイズ予防法を当時制定したようであります。そうした経過から、エイズ予防法には隔離の条文がないにもかかわらず、患者さんの中には隔離の法律との誤解を持ってしまった方も大変多かったというぐあいに聞いています。  私は、その一つに、せっかく隔離から離れたエイズ予防法だったけれども、患者さん個人個人に対する医療面、個人救済というか、医療面における側面が弱かったのではないのかなと今でも思っています。  例えば、大分県の出身でございますが、HIV訴訟原告団の草伏村生氏は、エイズ予防法制定当時の状況を詩で訴えています。   私たちは、法案の反対を、十九ケ月間訴えてきた。   ・・・ハンセン病のように、血友病患者を隔離するのですか   けれど、国会議事堂の中では、   机をたたくことも、声を出すことも禁じられた   傍聴人でしかなかった。   ボロボロ泣きながら、私たちの命が、   目の前で踏みつぶされたことが、信じられなかった。 というぐあいに一九八八年十月二十七日の詩に書いています。  しかし、エイズ予防法を読んでみますと、そのような隔離ということについて一行も書いていないのでありますが、大変多くの方々がそういうぐあいに思われてきたということは、大変な、ただ誤解というには余りも悲痛なことではなかったのかというぐあいに思います。  そんな悲痛な思いを解きほぐす努力が私は不十分だったのではないのか、あるいは法の中にもっとそういう面がちゃんと盛り込まれるべきだったのではないのかというように思っておりますが、まず保健医療局長にお尋ねいたします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、エイズ予防法には隔離の条文はございません。法案の内容については、厚生省としては、国会提出以降、新聞、雑誌等を通じて国民の理解を求めるような努力を行ってまいりました。  ただ、さきの衆議院の予備的調査の中でも報告申し上げたと思いますが、実は法制定をする前のディスカッションの段階で、伝染病予防法という中にエイズを対象に加えるべきではないかという意見のあったことも事実でございまして、それが新聞等に報道をされて、そのために一部の方に誤解を持たれてしまった。  その後、厚生省が法案を出してその誤解を解くように十分努力したのか、こういうおただしだろうと思いますが、そこについては、私どもとしては精いっぱいやったつもりでありますけれども、誤解が残ったとすれば本当に残念なことだと思っております。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 そうしますと、私は、今回の新法案によっても本当にそういうことは可能なのかな、やはりパニックの状態になったときにいろいろなことが起こり得るということはちゃんと自覚しておく必要があるのではないのかというぐあいに思っています。  今回の新法案は十分に人権に配慮した法案であるというように厚生省は主張しております。私どももまた、それを要求して新法のために努力をさせていただいたわけでございますが、一方で、さまざまな立場から人権を軽視しているといった批判が出ているところであります。このような批判が出ているところを見ますと、新しい感染症が発生した場合に、エイズ予防に対してと同様の誤解が繰り返されるおそれや可能性があります。そのことを十分に留意しながら私は今度の新法案の運用に当たらなければいけないというように思っていますが、そういうような誤解を繰り返すことのないように新法案ではどのように工夫したのか、保健医療局長にお尋ねいたします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 新しい感染症が発生した場合に、それが感染力や罹患した場合の重篤性から判断した危険性が極めて高い場合には、法案の新感染症として国が都道府県知事に対して指導助言を行い、連携を図りつつ、都道府県知事が的確な対応を図ることが規定をされておるところでございます。  危険性が比較的高くなく、新感染症の定義に該当しない新感染症については、病原体の究明、確定を進めた上で、その病原体の性状に応じて、入院等の対応や消毒の措置が必要な指定感染症に指定した上で適切な対応をとる場合と、さらに危険性が低く、こうした対応も必要とせず、発生動向調査を進めるべき場合とに区分されると考えております。  いずれの場合にありましても、国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動を通じた感染症に関する正しい知識の普及に努めるべきことと規定されておりまして、患者の人権が損なわれることのないよう各般の対応を図ってまいりたいと思っております。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 患者の皆さんは、新法において、患者情報が役所や医療機関等から外部に流出して差別のもとになるのではないのかというぐあいに恐れています。こうした懸念に対しまして、新法案はどのような措置を盛り込んでいるのか、保健医療局長にお尋ねいたします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 公務員や医師につきましては、一般的な守秘義務がございまして、患者情報が不当に外部に流出することは基本的にはないと考えております。しかし、患者等のプライバシーは非常に重要なものでありますことから、国及び地方公共団体の責務として、感染症対策のための業務に当たり、感染症患者等の人権の保護に配慮するよう努めねばならない旨、また情報の公表に当たっては個人情報の保護に留意すべき旨が法文上規定をされております。  具体的には、公務員、医師等について、その職務に関して知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らした場合の罰則を規定をいたしております。また、一般の国民についても、感染症の患者等の人権が損なわれることのないようにしなければならない旨の規定を盛り込んでいるところでございます。  さらに、国の作成する基本指針に感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症患者等の人権の配慮に関する事項について定めるべきことが規定されていることから、今後、新法の施行に向けては、患者情報が外部に流出し患者の人権が損なわれることがないよう、関係者に徹底を図ってまいりたいと思っております。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 新法案においては、感染拡大防止の対応は十分に担保ができているのではないかというぐあいに考えます。そういう意味で、感染症は拡大しないということは相当考えられているというぐあいに思います。  これにかてて加えて、やはりこのエイズ予防法等においても、反省の一つとして残ったのは、患者に対して、いわゆる感染した方を治療して救うことが逆に全体の感染症予防になるのだというぐあいに、そのような発想に立った法律ですということが明確にできると私はいいというぐあいに思っています。過去においてはやはり、感染症を拡大しないために、全体を救うという社会防衛上の意味から、そのことに重点を置き過ぎて、患者さんそのものの医療に対する配慮が足りなかったというように私は思っています。  そういう意味では、今回の新法案においては一つの大きな転換をやっているというように私は思っています。エイズ予防法の場合は、医療に対する側面が弱かったから、隔離ではないのだけれども、それを払拭できなかったというぐあいに思います。今回の法案は、やはり個人をむしろ救うということの方が全体に対して感染を広げないもとなんですよ、そういう意味で私は一つの発想の転換をやった法律だというぐあいに思っているのですが、それをまた我々は目指そうとしたわけでございますけれども、そういうことが本当に徹底できればいいなと思っております。  新法案にそのような配慮が盛り込まれているのかどうか、ここについて小泉厚生大臣にお尋ねをいたします。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 衛藤議員は自民党の社会部会長としてこの問題についても深くかかわってこられたからこそ、背景なり事情なり患者さんの苦痛等をよく理解されて御質問されているのだと思います。  この本法案における入院措置の考え方、まさに衛藤議員の趣旨を反映したものでありまして、周囲への感染拡大の防止とともに、本人に良質かつ適切な医療を提供することにより本人の治癒と感染症予防につながるという、そういう考え方によるものである。そして、この考えについては、昨年十二月の公衆衛生審議会の意見においても明確に示されているところであります。  具体的には、国及び地方公共団体の責務として、感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずることを規定するほか、一定の基準を満たした医療機関を感染症指定医療機関として指定することとし、またエイズ等を対象に特定感染症予防指針を策定することにしておりますので、今議員が言われたようなことは明らかに私はされていると理解しております。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 私は、そういう意味で、全と個の調和をやはりちゃんとやっていくというのは政治の最も基本のところだというように思っております。そういう意味では、新法案に対して大きな期待をいたしているところでございます。  しかし、患者団体からは「新感染症法案に反対する緊急アピール」というものが配布をされております。私も何度も読み返しました。うなずける部分もあります。しかし、その内容が全部事実だとするならば、この新法案は問題であるとの印象を国民の皆さんも持つというぐあいに思います。この緊急アピールについて、厚生省の考え方を保健医療局長にお尋ねをいたします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 新法におきましては、感染症の蔓延防止に適切に対応できるよう、入院、消毒等の対応を規定するとともに、入院等の対応を発動する場合に際して、人権の配慮の観点から各般の手続保障の規定を設けているところでございます。  このように、新法は感染症の蔓延防止と人権保障の双方の要請とを両立させる形で規定がされているものでございまして、緊急アピールが主張する患者の人権を軽視しているといった批判には当たらないものと考えております。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 この緊急アピールの内容が、先ほど言いましたように、一部こういうとらえ方もあるのかという部分もございますけれども、やはり相当な誤解もあるのではないのかというぐあいに思うのですね。これは、そのままやはり患者さん方に出ると、この法案はとんでもない法案だということになってしまうのじゃないのかと思って私は大変心配をいたしています。  厚生省は、私どもが経験いたしましたエイズパニックのような状況を起こさないためにも、ぜひ、今まで大臣や局長が答弁しましたようなことについてちゃんと広報していくことが必要だと思います。そのようなパニックをできるだけ小さく、できればそういうパニックは起こらないように、今からもその対策を立てていかなければいけないというぐあいに私は思っています。そういう仕事は非常に重要だと思いますけれども、考え方を保健医療局長にお尋ねをいたします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 国民の皆さんに、今度の新法、本当に正しく理解を賜ることは大変大切だと思っております。そういうことから、今回、感染症対策の見直しにつきましても、公衆衛生審議会の部会や小委員会の議論を完全公開という形で行いまして、また審議会の資料も公表するなど、検討過程ができるだけ国民に明らかになるように努めてまいりました。社会部会の先生ですか、この委員会の先生もお聞きになられた、お見えになられた先生もいらっしゃいます。  緊急アピールの内容につきましては、厚生省において法案に対する広報が十分でないことが原因で法案について正確な理解をいただいていないとすれば残念でありますが、今後、法案が成立した場合には、基本指針や個別の政省令において新法の考え方を明確化するとともに、例えば解説書の作成を通じ、国民にわかりやすい形で公表していく等のさらなる努力をしてまいりたいと思います。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 次に、エイズ訴訟の和解に際しまして課題とされました各種の恒久対策について質問をいたします。  和解に際しまして、恒久対策の重立った中身は、言ってみれば、やはり私どもは医療であったと思います。それから福祉であったと思います。それから三点目は、鎮魂慰霊の措置、そして四点目が、エイズ予防法の廃止というものでございました。今、エイズ予防法の廃止から新法案という中での議論でございますので、今回は恒久対策につきまして質問をさせていただきたいと思います。  エイズ訴訟の和解及び恒久対策の推進に関しましては、与党・政府一体となって取り組みを行ってきたところであります。私も和解当時の自民党における社会部会長として最大限の努力を行ってまいりました。  和解までの動きを振り返りますと、平成七年の十月に自民党社会部会で和解への提言を出しまして、同月、当時の森井厚生大臣が国として和解の席に着くことを表明をいたしました。続いて平成八年の一月八日の三党合意を受けまして、橋本総理が和解による早期解決に全力を挙げる旨を施政方針演説で明らかにし、与党内にエイズ問題ワーキングチームが設立をされました。  平成八年二月十四日から十六日にかけまして厚生省前で行われました座り込みの際には、私も与党三党の代表として直接テントに赴きまして、要望を承り、また、それまでの私どもの努力不足について、反省と謝罪を申し上げたところでもございました。そして、エイズ問題ワーキングチームは、座り込みの最終日、二月十六日に厚生大臣あてにエイズ問題の全面解決に向けた申し入れを行いまして、これを受けて、当時の菅厚生大臣と原告団との直接の対話が行われたところでもあります。  エイズ問題ワーキングチームは、原告団の要望を十分お聞き取りをいたしまして、大変短期間でございましたけれども、三月二十七日に医療体制の整備等の恒久対策についての考え方を取りまとめました。これにつきましては、与党三党、それまでの医療面でのおくれというものを反省しながら、相当思い切った考え方を、むしろ政治主導で厚生省に提案をしたところでもございます。  そのような与党の働きかけもございまして、平成八年の三月二十九日に、各種恒久対策の充実を含めた和解確認書が原告団と締結をされまして、全面和解が成立をいたしました。  与党プロジェクトチームの提言を踏まえまして、和解の成立以降、厚生省はどのような姿勢と意気込みで恒久対策に取り組んできたのか。各種恒久対策の今日までの推進状況と今後の取り組み方針について、局長にお尋ねをいたします。  私どもは、そういう中で、この二年間の中で大きく医療体制も変わることができたということを、正直言ってほっといたしているところでございます。  報告を求めたいと思います。

中西明典厚生省医薬安全局長

○中西政府委員 被害者に対します恒久対策につきましては、与党の御提言も踏まえまして、一日も早く必要な施策を講じていくべく最大限の努力を行ってきているところでございます。  特に、恒久対策の中心となります医療の問題につきましては、例えば、平成八年五月に差額ベッド代の徴収を解消する、八年度当初から治験の対象を広げて、エイズ治療薬については拡大治験の実施を開始する、九年四月にはエイズ治療・研究開発センターを国立国際医療センターに設置する等々、おおむね和解成立後一年以内に所要の施策を講じてきたところでございます。  その他の関連施策につきましても、本年四月一日からHIVの感染者を身体障害者福祉法の対象にするなど、現在まで、和解の際に課題とされた恒久対策の相当部分につきまして必要な対応が講じられてきているものと考えておりますが、なお今後とも、原告団の皆様方の御意見を十分聞きながら、対策の実施及び改善充実に努力を図ってまいりたい、かように考えております。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 そういう意味では、本当にどうも御苦労さまでございました。そしてまた、私どもも、原告団の方とお約束した体制について、十分と言えなかったかもしれませんが、しかし、今までからすると非常に思い切った中身がなされ、そしてまた、それに応じた医療体制の整備ができてきたように思います。  もちろん、医学の進歩によって亡くなる方が激減してきたということを、正直言ってこの問題に携わった者としてよかったというぐあいに感じているところでもございます。  今まで、エイズ予防法とエイズ訴訟の和解対応を中心に新たな感染症法案についてお尋ねをしてきましたけれども、このたび、エイズ予防法はその役割を終えて、新たな感染症法の中でエイズ対策の充実が図られるものというように、私どもは期待をいたしています。  私からいたしますと、エイズ予防法は過渡期の法律であったというぐあいに思います。すなわち、隔離といった措置によって感染症の恐怖から逃れようとした伝染病予防法やらい予防法の時代を脱して、新たな状況を開くということが意図されたわけでありますけれども、医療技術の制約というか、医療面でのおくれというか、個人救済の側面が弱かったというか、そういうことのために、昨日の本会議における家西議員に対する総理の答弁のとおり、当時としてはやむを得なかったものの、今振り返ると、私たちが後悔すること、反省すべきこと、その上でおわびを申し上げることというぐあいに言われておりますが、そういうことが生じたものというふうに私には思えます。  私は、小泉大臣にもぜひそこのところをお聞きしたいわけでございます。反省や謝罪を求める声がたくさんございますが、それについての考え方について、大臣にまずお尋ねをしたいと思います。  そしてもう一つ、医療の進んだ現在、患者個人への医療を重視した、そして、かつ社会防衛とのバランスをとった新たな感染症対策が求められているというように考えますが、現行の伝染病予防法、エイズ予防法、性病予防法の三法を廃止いたしまして新法を制定するに至った基本的な考え方を、あわせて小泉大臣に最後にお尋ねしたいというように思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 百年前と今とを比べますと、これは私は、反省すべきところもあるし、また、当時としてはやむを得なかった面もあると思います。治療法もない、薬もない、何だかわからないという場合には、やはりある程度、その人に近寄らないとかあるいは隔離しなければならないという状況があったと思います。  今回、百年ぶりに改正ということでありますけれども、この問題に対して、昨日、総理が国会でも答弁されました。いろいろ、当時としてはやむを得なかったけれども、結果として、いわれなき偏見・差別を受けたというような患者・感染者のお気持ちを伺うと、今から思えば後悔や反省の念が大きい、おわびを申し上げたいという気持ちを総理は申されました。私は大変率直な答弁だと思います。  今回の法案は、そういう趣旨といいますか気持ち、過去の経緯をつぶさに調べてみてこの反省を生かしていきたい、感染症を蔓延させないということから生じた差別とか偏見とかあるいは人権侵害、このような人権面への配慮が足りなかったのではないかという点も十分配慮して、人権への配慮、同時に、委員も言われたように、患者個人を救済することが感染症防止、拡大防止につながるのだ、適切な医療の提供と、この両面を私は国の責務として考え、今回こういう法案を提出した。  この新法案は、いわば時代の変化に即している。あるいは、時代の状況に今後も的確に対応できるように、感染症危機に対する事前対応型行政という面に配慮していろいろな施策を講じなければならない。しかも、新感染症、この入院患者のためにも感染症指定医療機関の制度を設ける。エイズや性感染症等の入院措置の対象にならない感染症の患者に対しても特定感染症予防指針を策定することとしておりまして、私は、こういう対応によって、旧法よりこの新法というのはさらに大きく前進した改善措置が講じられているというふうに思いますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

衛藤晟一自由民主党

○衛藤(晟)委員 私たちは、和解に当たりましては、水俣のように長引いてはいけないという思いで懸命にみんなで努力をいたしました。  そして、今新しい感染症の法案が提出されるに当たりまして、やはり過去において、人権面の配慮、あるいは大変な差別と偏見を結果として生じてきたことは事実だったというように思います。そして、私どもみんなでこういうぐあいにして努力をしているけれども、やはり多くのそのような差別や偏見が生じる可能性あるいはパニック等が起きる可能性はあるのではないかというように思います。それはやはり感染症というものの難しさではないのかというぐあいに正直言って思っています。  とりわけ、そういう意味ではこの感染症につきましてのこの法運用に当たっては、今後そのような差別や偏見を生じないように、また、そういう誤解や恐怖感からパニック等が決して起きないように最大限の努力を今から準備をしてやらなければいけない。法運用に当たってもそのことを十分に気をつけなければいけないというぐあいに思っていますので、そのことを要望して質問を終わります。  ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 金田誠一君。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。  私の質問に当たっての問題意識をまず申し上げたいと思うわけでございます。  今般、この感染症予防法の審議に際しまして、同時に廃止されることになります伝染病予防法を読ませていただきました。実に社会防衛一辺倒といいますか、そういう法律であるなという意識を深くいたしました。エイズ予防法についても同様の観点からつくられた法律だなということも認識を新たにいたしました。  ところが一方で、廃止されないことになっております結核予防法、これについて実は今回初めて目を通させていただいたわけでございますけれども、伝染病予防法なりエイズ予防法に比べまして、観点が異なるな、立脚点が異なるなという思いを深くしたわけでございます。  伺いますと、この結核予防法の制定時、昭和二十六年から施行でございますけれども、当時、占領下の政策が色濃く反映した、そういう法律であるということを仄聞いたしました。そう言われてみればなるほどな、こういう思いを深くして、それではなぜ、こうした医療なり人権なりに立脚した法律が昭和二十六年にできているにもかかわらず、平成元年に施行された、前年に制定されたエイズ予防法がその視点を全く欠いて社会防衛一辺倒になったのか、新たな疑問も生じてきたわけでございます。  そして同時に、エイズ予防法、伝染病予防法を廃止するというのであれば、結核予防法のような医療の提供ということをメーンに据えた立法になぜならなかったのだろう、今回の感染症予防法が。  そして、この「新しい時代の感染症対策について」という答申の中でも、「基本的方向・視点」の一と二、もうメーンの部分に「個々の国民に対する感染症の予防・治療に重点をおいた対策」、二項目として「患者・感染者の人権の尊重」ということがもう最大のメーンとして答申されていたにもかかわらず、先ほど衛藤先生が紹介されましたような患者団体の抗議を受けるような立法になってしまったのか。その辺のいきさつなり経緯なりが一体どうなって今日に至ったのだろうという問題意識が実はあるわけでございます。  そういう問題意識の上に順次質問をさせていただきたい、こう思います。  まず、今回廃止されます伝染病予防法でございますが、廃止の理由は提案理由説明の中にもいろいろ挙げてございましたけれども、最も根本的な理由は、人権の尊重なり適切な医療の提供ということを伝染病予防の基本に据えるという観点が欠如している。そのほかにも、時代の流れに伴って、新たな感染症とかさまざまな要素はございます。しかし、伝染病予防法が廃止に至った根本的な理由は、社会防衛一辺倒の法律であって、人権なり医療の提供をほとんど考慮していない、そこを人権なり医療を重点に据えた法律にしなければならない。これがこの廃止に至った理由であると私は考えておりますけれども、いかがなものでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  これまで現行の伝染病予防法に基づく取り組みを進める中で、法定伝染病の患者数が非常に減ってきているということ、それから、指定伝染病制度により、指定というのは今回の指定ではなくて伝染病予防法の中の指定伝染病という制度によりまして状況の変化に応じた対応が可能であったことを背景として、今日まで伝染病予防法が-今先生がおっしゃるように人権に対する配慮が足りないということがあったということは、それは事実でございますけれども、実害の問題として出てこなかったということ。もう一つは、伝染病予防法の対象にしているのは急性感染症で、これが結核だとか精神疾患とかそういうものとは違うということから実害として出てこなかったということで、抜本的見直しが今日まで図られなかったと思っておるところでございます。  今先生がおっしゃられるように、今までありました伝染病予防法が人権への配慮が足りないということについては事実だと思います。ただ、医療については、そのときそのときの医療として行われていたと私は思うのであります。先生の感じと私とはそこが少し違うのではないかな、こんなふうに思っておるところでございます。  しかしながら、近年、新興・再興感染症の出現、それから、人権への配慮の要請、国際交流の活発化等に的確に対応する必要が出てまいりまして、今般、感染症対策の抜本的な見直しを行って、本法案を国会に提出をした次第でございます。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 旧来の伝染病予防法、百年前にできた法律ですから、百年前に人権とか医療をメーンに据えた法律をつくれなどという無理なことを私は申し上げるつもりはないわけでございますけれども、時代の推移とともに、隔離しなくても対応できる状況、画期的な医薬品の開発等々、そういう背景があって伝染病に対する対応も変わってきた。一方で、人権意識の高揚といいますか、百年前とはもう全く違う時代状況になった、そういう中での今回の伝染病予防法の廃止ということだろうと思うわけでございます。  根本的に、百年前の法律でございますから、人権を尊重して、個々の患者さんに適切な医療を提供することこそが伝染病の蔓延を防止する、あるいは、やむを得ず隔離をすることが生じたとしても、その中での人権の最大限の尊重、そして最善の医療の提供ということが当然なされなければならない、そういう法律には全くなっていないわけですね。それは時代状況の変化ということがあるわけでございますけれども、その辺の基本的な認識自体が異なるのかな。この基本的な出発点ぐらいは、まずスタートラインは一緒にしたいなという思いで冒頭質問を申し上げたのですが、局長の御答弁ですと、そのスタートラインさえ共有できないのかな。共有できているのでしょうか、局長、いま一度。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 私どもも先生とそんなに認識が離れているとは思わないのでありますけれども、伝染病予防法は百年前の法律ですから、人権に配慮という点は、その当時の認識としては非常に少なかったということ、それからもう一つ、当時の治療というのは、まだ抗生物質がない時代の話でございますから、先ほどの大臣の趣旨説明の中にもありましたように、コレラで年間十万人も死ぬという時代であったわけです。そういうことから考えると、今日としては、今日の情勢に合わせた法律をつくった方がいいのだということで今回法案を提出をしているということでございます。  ただ、では当時人権に対する配慮がなかったのかということになりますと、私は前に精神保健問題を担当をしたことがありまして、そのときに思ったのでありますけれども、特に外国と日本の精神障害者の人権問題についての違いなんかを見ていきますと、例えば平安時代のころの日本は、精神障害者を座敷牢という形で座敷の中に閉じ込めておった。ところが、ヨーロッパはそれよりもはるかにひどい処遇をしていたということを私たち勉強したわけであります。また明治の時代に精神障害者がかかわる事件等も、有名な事件があるのでありますけれども、そういうのを見ても、日本の人たちが外国の方に比べて人権思想が少ないんだ、低いんだというふうには私はさほど思っていない。ただ、当時の伝染病の怖さというものの方が非常に優位に出てきたのではないかな、こんなふうに自分では思っておるところであります。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 出発点の議論はまた機会を改めてと思います。  そこで、この百年前の法律が時代状況にそぐわなくなった、抗生物質の開発等によって、局長がおっしゃるようなコレラで十万人も死ぬという時代ではなくなったという時代状況、あるいは人権思想の普及といいますか、そういう時代状況の変化によって、本来もっと早い時点でこの法律というのは見直されるべきだった、早い時点でもし見直されていれば、エイズ予防法の制定もなかっただろう、こう思っているわけでございます。  この辺の問題点、特に大きな問題は、人権と医療が最もメーンの問題だと私は思っていますし、この公衆衛生審議会の答申の中でも、人権と医療というのが一項目、二項目目に入ってきているわけでございますけれども、こういう時代状況の変化に伴う、本来であればこの法律が見直されるべき時期、この伝染病予防法の問題点が認識された時期というのは、私は、どう甘く見ても戦後間もなくの時期にはこの法律というのはもう時代にそぐわなくなっていた、こう思うのですが、どんなものでしょう。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今、もっと早く改正されるべきではなかったかという御議論でありますけれども、当時、終戦直後というとまだ私は小学校時代でございますので、その当時のことを正確にわからないのでありますけれども、私としては、やはり伝染病予防法が、先ほど申しましたように、新しいものが出てくれば指定伝染病で対応できる等々、対応はできたということ、それから、当時厚生省としては、戦後の復興時期に厚生省としてやらなければならないいろいろな施策があった、その中での省としての優先順位というものもあったのではないかな。  そういうことを踏まえて、先ほど申しましたように、この伝染病予防法によって実際に人権侵害的な事件が言われたのかということになると、私は残念ながら、伝染病予防法における人権侵害という話については存じていないわけでありまして、確かに法文を読めば、先生がおっしゃられるとおりに、私どもも今日読めば、人権的には問題があるというのはよくわかっているわけでありますけれども、そういう意味では、戦後すぐということで、そこまでというのはちょっと難しかったのではないかな、こんなふうに思っておるところであります。  もう一つ、今回法改正をしようといった背景には、一九九六年、新興感染症、再興感染症がふえてきて、もう地球上どこも安全なところはないとWHOが述べたところでございますし、警告を発したわけでありまして、そのことが大きな引き金の一つになっているのではないかな、こんなふうに思っております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 先般、私ども勉強会を開催しまして、都立駒込病院ですかのある先生にもおいでいただいたわけでございますが、伝染病予防法ができて、強制隔離という手法がとられるようになった。その時点から、明治期でございますけれども、家族を連れていかぬでくれ、自宅で十分対応ができるというような、伝染病の隔離というものに対するさまざまな反対運動等々も頻発をしていたというようなことも伺ってはございます。そして、現実、抗生物質の発達等によって、余り強制的な措置を必要としなくなった。しかし、にもかかわらず、その法律が生きてきたということ自体が私はやはり問題だったろうと思うわけでございます。戦後間もなくの時期は、さまざま戦後の混乱があったとおっしゃるわけでございますけれども、少なくともここまで放置することはなかったろう。時代状況が落ちついて、十分成熟をして、人権、世界人権規約の批准もございますけれども、そうした状況はもう久しく前にできておったわけでございますから、少なくとも、これはどうなんでしょうか、この法律が極めて社会防衛一辺倒であって、人権あるいは医療の提供という視点を欠いているということが厚生省内で認識されたのはいつごろからなんでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 いつ転換すべきであったかということについては、やはり私の段階で今さっと言うことは、とてもお答えができない。ただ、今はやるべき時期だ、私はこのように思っております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 それじゃ、日を改めてお聞きをさせていただきたいなと思います。  抗生物質の発達等々の中でこういう法体系、体系自体の変更ですね、人権を尊重し、医療を提供し、にもかかわらず隔離しなければならないときはという状況を定めていく、こういう法体系そのものを転換していく、それが客観的に可能になった状況はいつごろからなのか。私は、少なくとも時期としては戦後、具体的に、作業できる状況はそれではいつかということもあるのですが、医学の発達、世界的な動向等々から勘案して、いつごろからこの隔離のみの法体系は変えられるべきであったか、これは宿題にさせていただきたい。ぜひ、調査もしていただいて認識を新たにした上で、正式に御答弁をいただくということでお願いしたいと思いますが、よろしいですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 また新たに御質問いただいて、それでお答えをしたいと思いますが、一点つけ加えさせていただきますと、私が保健医療局長になりましたときに、堺でO157事件というのが起きました。そのときに、私が実はO157を伝染病予防法に基づく指定伝染病にいたしました。そのときに、当時の大臣といろいろディスカッションをしまして、実は、伝染病予防法をよく読むと、隔離をしなくても指定ができるのであります。ところが、あの法律ができてから、O157の伝染病を指定するまで一度も、指定をして法定伝染病に入れても隔離をしないという選択肢が実は法律上はできることになっていながら、していなかったということがあったわけです。それでも当時、大臣と相談をいたしまして、法律にそう書いてあるのだから、O157のときには、隔離をしない、就業制限だけの形での指定伝染病にしようということで指定伝染病にし、その後のO157対策を強力にやったということだけは少し述べさせていただきたいわけです。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 そういうことなものですから、もっと早い時点で適切な医療、人権というものがメーンに据えられて、そして蔓延防止のために社会防衛措置をとらざるを得ない状況を特定をして、それの適正手続を定めていくという法体系に転換していればO157に対応できたということが、今回、伝染病予防法を廃止して新法をつくる趣旨だというふうに私は思っておるのです。その原点をぜひ共有したいなと思っておるのです。原点を共有すれば、今出されている法案がいかに不十分なものであるかという話も、お互い胸襟を開いてできるのではないかというふうに思いまして、土台の話をさせていただいている。  宿題の方は、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。よろしいですね。

佐藤剛男自由民主党

○佐藤(剛)委員長代理 宿題を受けますか。もし、時間がありますからその間に――別ですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 改めてお答えさせていただきます。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 じゃ、次に移らせていただきます。  それでは、廃止されない結核予防法の方について触れさせていただきます。  先ほども申し上げましたけれども、占領下といいますか、その意図が色濃く反映した法律であるということを仄聞をいたしました。今回、廃止されないわけでございますけれども、伝染病予防法であればこれはもう廃止しないわけにはいかない。とてももう今の時代に通用する法律ではないわけでございますから。結核予防法は、昭和二十六年の法律ですけれども、十分とは言えないまでも、視点は今回出された公衆衛生審議会の答申の視点にかなり近いものがある。立脚点は近いものがある。「目的」自体、「結核の予防及び結核患者に対する適正な医療の普及を図ることによって、結核が個人的にも社会的にも害を及ぼすことを防止し、もって公共の福祉を増進する」、極めて新しい観点から法律がつくられている。国及び地方公共団体の責務も、「結核の予防及び結核患者の適正な医療に努めなければならない。」ということで責務も規定してあって、健康診断から予防接種という医療をメーンに据えて、そして、やむを得ざるときの隔離という進め方になっておるわけでございます。  私は、この結核予防法は、今にわかに廃止しなければならないような法律ではない、公衆衛生審議会の答申の理念にかなり近い、そういう、伝染病予防法とは異質の法律である、こう解釈をしているのですが、どんなものでしょう。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 先生が御指摘のとおり、結核予防法というのは戦後にできた法律でありまして、例えば、今問題になります医療についても、強制的入院で命令入所というのがありますけれども、その医療のほかにも、外来医療に関する適正医療の規定というのも書いてあるわけでありまして、そういう意味では、先生が言われたように、伝染病予防法とは相当質の違う法律であると私も思っております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 そういう法律が昭和二十六年に既に制定をされている。私は、この時点で伝染病予防法も、この法律の制定を契機に、見直しの俎上に上がってよかったのではないかなという感想を持っておりまして先ほどの質問をさせていただいたということでございます。  そこで、次にお尋ねいたしますけれども、結核というのは今回の感染症予防法には入っておりませんで、結核予防法がそのまま生かされるということなんですが、法案には一類から四類までの類型指定ということがあるわけでございますけれども、結核自体は、この類型に入れるとすればどの類型に入りますでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 結核を法案の感染症類型の何類に位置づけるかという御質問ですが、公衆衛生審議会での審議を経ずに結論づけてお答えをすることは難しいのでありますけれども、結核予防法においては、法第二十八条に就業禁止、第二十九条に入所命令の規定が設けられており、感染症類型の中では二類感染症に相当するぐらいのものではないかな、このように考えております。  しかしながら、結核は、長期に及ぶ治療期間と治療中断時の再発率の高さから、他の二類感染症ともまた違った面もあるということも御理解いただきたいと思います。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 余り詳しくない立場で申しわけないのですが、結核にも感染性といいますか、先般資料をいただいたのですけれども、感染するものとしないものという、その区別があるやに伺っておりますが、結核にも、その二類に該当するもの、感染性とそうではないものということで、二類以外の例えば四類とか、そういうものもあるということになるのでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今度の新しい法律は、その原因であるバクテリアというのですか、病気によって分類をいたしておりますので、結核の場合には、今日でもせきをして他人にうつすとかという呼吸器感染を起こすというようなものもあります。そういうことからいきますと、やはり二類相当と考える。  しかし、実際すべての結核患者が、では二類に相当して入所させるという、入院医療になるのかということとは違うのでありまして、今回の二類でも原則入院とは書いてなくて、その症状に応じてというふうに書いてありますから、それは、実際には結核の患者さんの中にも、骨結核等で他人に全然感染させない方もいらっしゃるということも事実でありますけれども、この法律の考え方からいくと二類相当かな、こんなふうに考えております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 そこで、この結核予防法、今でも生きている、生かしておいてもいい法律なわけでございますけれども、その結核予防法の中には、例えばエイズ予防法にあるような「人権の保護に留意しなければならない。」などという規定はないわけなんです。ずっと読んでみたのですけれども、どうも見当たらない。その「人権の保護に留意しなければならない。」なんという規定がないけれども、実際は結核予防法による人権侵害というのは、寡聞にして聞かないわけでございます。  したがって、人権に留意するというふうに書けば人権が守られるというものではないだろう。要は、その法律体系がどこに立脚して、どういう観点ででき上がっているかということではないかな、私はそう思うのですけれども、どんなものでしょう。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 先生がおっしゃられましたとおり、結核予防法には人権配慮という規定は入っておりません。具体的には、今先生おっしゃられたように、結核の患者さん方で実際に人権問題で御意見を言われる方はほとんどない、私は聞いたことがないというのは事実であります。  実際には、ではどうしてかというと、実は、従業禁止とか入所命令を行う際には、結核診査会というのが各保健所ごとに置いてありまして、その診査会でもって、本当に病気でなければ実際には入所だとか就業禁止ということはやることができない、そういうシステムがあるということが、実際に、ただお題目で人権配慮と書くだけでは人権が守られるということにはなかなかなりにくい、しかし、そういう規定がなくても、そういう人権侵害が起きるような要素をなくしていくということの手だてが結核予防法にはある、私はこんなふうに思っております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 したがいまして、局長は診査会があるから云々と言いましたけれども、エイズ予防法なんというのは、強制入院の措置もないわけですし、診査会もないわけですね。そういう強制入院の措置などそもそも必要としない病気であるという法体系になっているのですが、にもかかわらず差別と偏見を生んだ。しかし、結核予防法の方では、強制入院の措置は含んでいるにもかからわず、二類相当ですね、エイズの方は四類相当。これほど病気としては違いがあるにもかかわらず、結核予防法は差別・偏見を生んでこなかったし、現在でも生かしていける法律である。エイズ予防法の方は、わずか十年で廃止せざるを得ない、極めて深刻な医療忌避とか人権侵害を生んだ。この違いを私は重視する必要があるのではないかと思っておるわけなんです。  その違いの根本は、この「目的」、「結核の予防及び結核患者に対する適正な医療の普及を図ることによって」、これがメーンなんです。「適正な医療の普及を図ることによって、結核が個人的にも社会的にも害を及ぼすことを防止し、もって公共の福祉を増進する」。医療をメーンにして、「個人的にも」というのが先に来るわけですね。それに害を及ぼすことを防止し、そして社会的にも害を及ぼすことを防止して、もって公共の福祉。この理念、目的が決定的に異なる。この違いに着目をして、私は感染症予防法というものが組み上げられるべきだったろうというふうに思うわけなんです。  このエイズ予防法と結核予防法の決定的な違い、私はそう思うわけですが、いかがですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず、先生の今の御質問の前段の話で、後天性免疫不全症候群が四類、それで、私は結核が二類相当とお話をしたのですが、それは現時点の学問で見て先生はおっしゃっていらっしゃるので、エイズ予防法の制定当時、では、今回の法案があったときにその後天性免疫不全症をどう判断したかというのは、そのときの学問によってまた判断が変わってくるのではないか。必ずしも二類、四類という、こういう比較の問題ではないのではないかということをまずちょっと申し述べさせていただきたいと思います。  次に、結核予防法で人権の配慮というような規定がなくても守れたのは、私は診査会のお話を申し上げましたけれども、もちろん先生がおっしゃられるように医療というものがきちっとしていたということも、私は大きな要因の一つであるとは思っております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 医療も完備していたということよりも、医療がメーンに据えられていたという話ではないのでしょうか。  認識の問題ですから、そういう認識をしてしまうと、後々の質問に対する答弁に支障を来すとか御配慮があるのかもしれませんけれども、これは、要は国民にとっていい法律をこの議論の場でつくり上げていくということでございますから、ぜひひとつ真摯にお答えいただければありがたい。  いま一度整理して伺いますけれども、エイズ予防法と結核予防法の違いというものは、私は、繰り返しませんが先はどのように認識をしている。エイズ予防法の目的の方は、「予防に関し必要な措置を定めることにより、エイズのまん延の防止を図り、」ですよ。国及び地方公共団体の責務も、「予防に必要な施策を講ずるとともに、教育活動等を通じてエイズに関する正しい知識の普及」ですよ。これは、結核予防法と立脚点が全く異なる。その異なる点が、結核予防法は人権差別等を生んでこなかったし、今現在も生かしておいても支障のないというか、生かしておくべき法律なんだと思いますし、エイズ予防法は廃止すべき法律になった。その決定的な分かれ目がこの立脚点の違いということはお認めいただけませんでしょうか。これは、そういうこともあるとかなんとかという話ではなくて、きちんとやはり認識を一致させておきたいなというふうに思ってございますので。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 これは、法律制定当時のことでの話になるわけですけれども、結核におけるその当時の医療、法案をつくったときの医療と、それからエイズの法案制定時の医療というものの比較で考えると、エイズの方が、法律制定時の医療という面では、大変患者さんにはお気の毒な状態ではなかったかな。逆に言うと、医療を提供することで患者さんのいわゆる社会復帰が果たせるという夢が、その当時は私はなかったのではないか。そういうことの背景というものも一つ考えておくことは大事ではないかな、このように思っております。  ただもう一つ、今度は、人権に関する条項がなくて、それで先生がおっしゃったように、今はそれはきちっとした、結核予防法に医療が書いてある、それがメーンだと先生はおっしゃられているわけですが、私は、命令入所の医療も、それから外来医療も、それから、もちろん結核の病気でない者も強制入所させるというようなことにはならないような、そういうものがいろいろあって、そういうものが総合して、人権のことについての規定がなくても患者さんの人権が守られた、このように私は思っております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 恐らく局長のおっしゃりたいことは、私と認識が違うということをおっしゃりたいのだろうなというふうにお聞きをしておりました。非常に残念に思います。この辺の認識ぐらいは、厚生行政、感染症行政のトップにある方と一致させたかったなという思いなんですけれども、その認識が違うところから出発して法案をつくられておることが、エイズ患者さんからの抗議を受けるような法律になっておる。橋本総理も真情を吐露されましたけれども、その真情が、エイズ患者さんなり、ほかの感染症の団体の方もいらっしゃいますけれども、そういう方々と必ずしも心通じ合うものになってこないという違いの原点といいますか、それは、今、局長と私との見解の違いというところから起因をしているのかなという気が実はいたしまして、残念に思うわけでございます。  次に進ませていただきますけれども、当時はエイズは四類ではなかったという御答弁が先ほどございました。今は四類という類型になってございますけれども、それでは、当時の認識では何類になっておりましたのでしょうか。エイズ予防法制定に関しての質問に次に移らせていただきますけれども、エイズ予防法を制定するに際しては、当時としては、今の基準でいうと何類だという認識でつくられたものなんでしょうか。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 エイズが当時、じゃ明確に何類であったのかということですが、何類という考え方は今回の感染症法案における整理でございまして、これを当時の認識に当てはめるということには、どうかと言われても、残念ながらお答えはできないのであります。ただし、隔離が必要という認識はなかった、このように思っております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 局長がおっしゃるものですからお尋ねをしたわけですね。四類でないというのですから、じゃ何類ですかと。四類ではないことだけははっきりしているけれども、何類かはわからない。それもまた変な話ではないですか。三類というのはO157だけですから、じゃ二類なんですか。二類は必ずしも隔離を必要としていない。二類相当という前提でというか、漠然と、おおむねそういう認識のもとにエイズ予防法が制定されたという認識でいいのでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 先生御質問の中で、二類と四類の比較は現在と過去のところが両方入っているものですから、そこのところについてのお話を申し上げたわけでございまして、私どもが、エイズが、じゃ今何類に当たるかということは、当時感染症分類というのはないわけですので、今のところは即答できかねるわけでございます。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 今は感染症分類がありますね、一類から四類まである。感染力あるいは感染経路、重症度、予防法の有効性、治療方法の有効性、これらを勘案して今の類型分類はできているわけでございますけれども、当時も、恐らく、何となく危険なようだというだけで立法をされたわけではないだろうと思います。感染力がどうであるとか、予防の効果はどうであるとか検討されて法律ができ上がった。かなり厳しい法律ですよね。結核予防法よりずっと厳しい法律ができ上がった。  こういう社会防衛的な法律をつくるに当たって、病気そのものをどのように認識していたかということは、非常に重要な判断材料になると思っておるわけでございます。即答はできないということでございますけれども、ぜひひとつお調べいただいて、お答えいただきたい。当時、感染力その他病原体の状態をどのように認識されて法律をつくったのか。それについては、これまた宿題で恐縮でございますが、投げかけをしておきたいなと思います。  そして、あわせて、その認識を裏づける文書があったと思うわけでございますけれども、それについてもぜひひとつ御提出いただきたい、こう思うわけでございます。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 わかる範囲で、次回お答えさせていただきます。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 当時、エイズウイルス、HIVウイルスがどういうものであったか、HIV・エイズがどういう病状なり感染力なり危険度を持つものであったかを裏づける文書もあわせてお示しをいただくということでよろしいでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 あわせてその際に御返答させていただきます。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 それでは、質問がちょっと前後してしまいましたけれども、エイズ予防法、今回廃止をするということでございますが、これについても、その理由についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。  私は、エイズ予防法廃止の理由は、社会防衛一辺倒である、そして、医療についての記載が全くされておらない、そして、これは非常に重要な欠陥だと思うわけでございますけれども、エイズ患者さんを危険な対象物ということで規定をしていること等が、今回エイズ予防法を廃止する理由だ、こう思っております。  例えば、第六条には、「感染者は、人にエイズの病原体を感染させるおそれが著しい行為をしてはならない。」医師は、指示に従わず、かつ、多数の者にエイズの病原体を感染させるおそれがあると認めるときは、その旨並びに氏名、住所を通知する。あるいは、病原体を感染させるおそれがあることを知り得たときは、それを通知するということで、これは結核予防法にもない。非常に危険な存在であるという前提に立って、要は、そういうことをしようとする者は通報しろという、これはもう差別を助長するそのものの法律だと私は思うわけでございますけれども、こうした差別を助長する規定を含む。さらに、社会防衛一辺倒であって、適切な医療を受けられるという条項などもない。あるいは、治療法の開発等に対する国の責務もない。本当に欠陥に満ちた法律だと思うわけでございますけれども、廃止の理由は、私はそういうことで理解しているのですが、よろしゅうございますでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 エイズ予防法の廃止についてですが、法律制定以後の医学医療の進歩、それからエイズに関する正しい知識の普及等の状況の変化を踏まえまして、感染症対策全般の見直しに合わせて廃止することにしたものでございます。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 医療の進歩と知識の普及という客観状況が前進をしたということはよくわかります。よくわかりますけれども、法律そのものに内在した欠陥ということを私は指摘をしているわけでございますが、その欠陥についてはいかがですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 エイズ予防法をどう扱うかということは、審議会の基本問題小委の中の先生方の御議論だったかと記憶をしておりますが、その中で、先生方、エイズ予防法の中でこれは残すとかどうかという、基本的に先生が今御指摘になられた、患者さんの例えば知事への報告等については、だれも残すべしという意見がなかったというふうに認識をいたしております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 その先生方の議論を聞いておるわけではございませんで、廃止をするという内閣提出法案なわけですから、提出する内閣の御所見を伺っておるわけでございます。  このエイズ予防法を廃止せざるを得ない理由として、私なりに考えますのは、社会防衛の法律であって、人権そして医療についての立脚点を全く欠いておる。さらに、このようなエイズ患者さんを危険をまき散らすものと言わんばかりの規定が六条なり七条にされておる。まさに差別・偏見を助長する法律である。そして、現実に、そういう差別・偏見を助長し、医療忌避などの取り返しのつかない人権侵害を生んだ法律である。したがって廃止するというのが私の解釈なんでございますが、廃止をするという提出者の意図を正式に述べていただきたい。  感染症予防法の提案理由説明はございました。エイズ予防法を廃止しますというだけでございまして、なぜこれを廃止しなければならないのか。私はそういう理解をしておるわけでございますけれども、提出者の内閣としてはどういう意思に基づくものなんでしょうか。もし整理をしてきちんとしたものがなければ、後日でも構いません。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 先ほどの答弁、少し間違っていましたので、修正をさせていただきます。公衆衛生審議会の伝染病予防部会の方でありまして、基本問題小委ではなかったのでありますが、そのレポートの最終報告の中で、意見として、   性病予防法及び後天性免疫不全症候群の予防  に関する法律の取扱いについては、当審議会と  しては関係者の合意形成に努めつつ、新法への  統合の方向で検討を進めることか必要であると  考える。この際、性感染症及びHIV感染症の  特性に基づいて患者発生動向調査についてさら  に具体的な検討を進めること、国、関係学会等  が協力して予防対策等に関する指針を作成する  ことを通じて施策の推進を図られたい。というふうに報告をされているところでございまして、私どもは、この報告に沿いまして新法を作成したところでございます。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 私は先ほど来、私なりのエイズ予防法を廃止せざるを得ない理由を申し上げておるわけでございますが、私が申し上げた理由につきまして、提出者としては否定をされるということでございましょうか、肯定をされるということでございましょうか。  公衆衛生審議会、ここにもございますから、その同じことが書かれているということは承知をいたしてございます。しかし、その中にはエイズ予防法そのものに対する考察は何ら入ってございません。したがって、私は、公衆衛生審議会の見解をお尋ねをしているわけではなくて、今内閣として、政府としてエイズ予防法をどのように認識をしておられたのかということをお聞きをしているわけでございます。  その過去の反省云々というに際しては、エイズ予防法が具体的に果たした役割といいますか、引き起こした問題といいますか、それらを認識した上でなければ、例えば、権利条項が人権に配慮すると書いたところで何ら配慮されないのと同じように、具体的にエイズ予防法の反省といえば何がどうしたのかという認識を共有することが私は必要だと思っての質問でございます。  ひとつ、私が問題提起した観点から、エイズ予防法の立法の立脚点なり、差別を助長する規定なり、あるいは医療や人権の規定を欠いた、少なく見ても不十分だったという観点なりから、どのように認識されておられるかということを、ぜひ取りまとめていただきたいなと。そして、改めて御披露していただきたい、お述べになっていただきたいな、こう思うのですが、お願いできませんでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 私どもは、今申し上げられることは、伝染病予防法それから性病予防法、後天性免疫不全症候群の予防法、三つを廃止して新しい法律をつくる、その方向へ向けてみんなで議論したわけでありまして、エイズ予防法についての反省とか、そういうことでの議論をしてきたわけではございませんので、これはちょっと調べようにも何もないというのが現状でございます。私どもとしては、新しい法律では、今、今日エイズ対策上必要なことについて法律で規定をしていこう、こういうことでございます。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 大臣、今にわかにこの問題点を整理して、法律にこういう欠陥があった、当時は仮に気がついた気がつかないという議論はまた別におくにして、廃止するに当たって、エイズ予防法はこういう問題がありましたということを、しかるべく提出者としてこの場で明らかにしていただくということをお願い申し上げたいと思いますけれども、どうでしょう。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 委員の御指摘、十分理解できます。改めて、整理して、後日お答えさせていただきたいと思います。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 ありがとうございます。  そこが出発点になる、その認識をぜひひとつ共有させていただきたい。そのことが我が国の感染症行政を真に国民のためのものにすることができる、こう思っておりますので、ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思うわけでございます。  そこで、あわせて、これもまた宿題になるのかなとも思うわけでございますが、局長、結核予防法が昭和二十六年でございます。今も廃止しなくてもいい法律となって、昭和二十六年の時点で既にできている。平成元年にできたエイズ予防法が、なぜ適正な医療の提供ということをメーンに据えられなかったのか。患者さんが一番求めていたのがそれなわけでございます。そして、結核予防法の冒頭に述べられておりますように、「適正な医療の普及を図ることによって、個人的にも社会的にも害を及ぼすことを防止」する、このことがまさにエイズ対策に求められていたことだろう。  私は、HIV・エイズと結核というのはかなり類似した病気だろうと。昔は結核も不治の病、かかったが最後、あとはいかに穏やかに全うするかということで対応されてきた時代もあったわけです。それが、さまざまな治療薬によって今やもう治る病気ということになった。がんだってそういう時代があったわけですね。がんと言われたら、もう不治の病という時代もあった。それとの闘いですよ、人間の歴史というのは。同じように、HIVだってそうだ。当時だって、十年前だって、もう諸外国ではさまざまな試みがされているわけでございまして、もはやこれが不治の病だなんというふうに立法に当たってよもや思ってはいなかったと思うわけでございます。  だとすれば、昭和二十六年の結核予防法があるわけですから、そして、潜伐期も長いとか病気が長期にわたるとか、エボラだとかなんとかのような急性の感染症ではないということからすると、参考にされるべきはこの結核予防法ではなかったかな。そうなれば、医療の提供というものがメーンに据えられた法律になぜならなかったのかというのが不思議でならないわけでございます。その辺の理由、解明できますか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 エイズ予防法制定当時、適正な医療というのがなぜ入らなかったのかということになるわけでありますが、当時の医療水準からして、当時の資料等を見ますと、予防に重きを置いて、エイズの感染拡大を防止しようという考え方が主流であった、このように思っております。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 結核予防法ということは当時念頭になかったと。こういう観点から法律体系をつくり上げるということと、伝染病予防法の体系からつくり上げるということでは、かなり分かれ道になるわけですね。片っ方の道を選んだということが不幸の始まりだったと私は思うわけでございます。  そして、今の提案されている法案自体も、本当に、結核予防法の路線を歩もうとするのか、伝染病予防法なりエイズ予防法の道なのかということを今問われている。どうも伝染病予防法、エイズ予防法の立脚点が生きた感染症予防法になっているのではないか、これが患者さんなどの指摘するところなんです。  当時、今となって考えてもということでも結構でございますけれども、なぜ結核予防法の道が選ばれずに社会的防衛の道を選ばれたのか。ここが私も非常に残念に実は思うわけでございますけれども、いま一度その辺のところ、当時は検討されなかったということならそういうことでも結構なんですが、知る範囲で率直なところをひとつお答えいただきたいと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 エイズ予防法制定当時、今先生がおっしゃられました結核予防法という法律があったということは事実でありますけれども、それがその作成の下敷きにならなかったのかということについては、当時の担当者らに調査を、意見を聞いてみたいと思います。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 恐らくもう時間がほとんどない状態だろうと思うわけでございますが、あわせて一つだけ、先ほどもちょっと指摘しましたけれども、エイズ予防法六条、七条、感染させるおそれがある場合に通報しろとかこういう条項があえて盛り込まれておるわけでございますけれども、結核予防法にはこういう条項はないわけなんです。結核が二類だとすれば、感染力も結構強い結核もあるわけでしょうし、空気感染でしょうか、結核の方はですね、エイズの方は空気感染ではない、感染力も非常に弱い。  なぜ結核予防法にもない条項がエイズ予防法に盛り込まれたんだろうという疑問も当然出てくるわけなんですが、その辺のところ、わかりますか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 これも今日で過去を見ているわけなんで少し正確ではないのかもしれませんけれども、結核については、エイズと違って、だれがうつしたというのが明確にできない、結核の場合には。それに比べると、この後天性免疫不全症候群の場合には、当時の新聞報道等もあって、事例もあったことからなんでしょうか、その当時、だれから感染をさせられたとかというようなことが出てくるというところの背景の違いがあるのではないかなと思っております。  そこについてもあわせて、結核予防法というのがありながらなぜそれを下敷きにして法律の作成を検討しなかったのかということとそこの中であわせて聞いてまいりたいと思います。

金田誠一民主党

○金田(誠)委員 時間になりました。大臣、いろいろやりとり聞かれて、実は立脚点の違い、特に結核予防法について、非常に評価できるのではないか、そしてこれは非常に効果を上げてきた、結核患者は激減をしてきた、その中で人権問題等々引き起こしてこなかったという非常に参考にすべき法律が昭和二十六年に既にあるという中で、エイズ予防法というものを経て、今感染症予防法を審議しているわけでございますけれども、そこに生かすべきは、エイズ予防法、伝染病予防法からは教訓、反省を生かすべきですし、結核予防法からはプラス面を取り入れるべきだ。そういう中で、患者さんの団体などから疑念を招かないような、本当に国民的な、歓迎される感染症予防法をつくりたいということでのまずは認識の一致をということで質問させていただいた次第でございます。  ひとつ今後の中で、提出者としても、この感染症予防法、どの部分が問題なのかということを含めて十分な御検討をいただきたいと御要望申し上げまして、終わります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 福島豊君。

福島豊平和・改革

○福島委員 ただいまも金田委員の方からもるる御指摘がありましたけれども、人権をいかに守っていくのかという視点はこの法案の審議に当たって基本的に大切な観点だというふうに思います。  本年は国連人権宣言五十年に当たるというふうに伺っておりますけれども、日本というのは人権に関しましては私は甚だ後進国である、さまざまな形で人権侵害というのが発生していて、しかもその事態に対して国民が深刻に注視していない、また異を唱えていないというような事態があるのではないかというふうに思います。  かつては、個人よりも家、そしてまた個人よりも社会、国家が重んじられる国であったわけでございまして、その文化的な背景というものはいまだに私は完全に払拭されていないだろうというふうに思います。そういう意味では、この立法府にあって、一つ一つ立法するに当たって、人権というものが果たしてこの法律で守られるのかということについてやはり慎重な考慮が必要であるというふうに思います。  もちろん、感染症予防法ということにおいては、感染をいかに予防するのかという視点は大切でございます。これは多数の人の人権にかかわる問題である。しかしまた、そのことによって感染症にかかった人の人権というものが甚だしく侵害されるようなことがあってはならないわけでございまして、この間のバランスをとるということが極めて大切だと私は思っております。  まずこの点について大臣にお聞きしたいわけでございますが、参議院におきまして原案が修正をされました。第三条の「人権の保護に留意しなければならない。」という文言が「人権の保護に配慮しなければならない。」ということで、より人権に意を用いたような形に修正がされたわけでございます。  しかし、この修正に対しましても、東京HIV訴訟原告団からは四月三十日に「声明」が出されまして、「感染症患者の人権保障(良質かつ適切な医療を受ける権利、患者の自己決定権の保障、差別の禁止と救済、行動制限に対する手続的保障、福祉的支援)が欠如」しているということから、十分な人権が守られるということにはならないという宣言が出されているわけでございます。  先ほども申しましたように、両者のバランスをとるということが非常に大切だというふうに申しましたが、再度、こうした声明を踏まえまして、大臣としての御見解をお聞きしたいと思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 委員は日本は人権に対して後進国だと言われましたけれども、私は必ずしもそう思っておりません。わずか八十年前、たしかベルサイユ講和会議というのは一九一九年だったと思うのです。そこで日本代表はあらゆる人種は平等であるべきだということを提案しているのですが、アメリカ、イギリスやフランスが入った会議で拒否されているのですよ。人権に対して画期的な、黄色人種である日本が、今ではあらゆる人種が平等だなんてみんな当たり前だと思っているでしょう、それをアメリカやイギリスや先進国は拒否したのですよ。わずか八十年前です。  私は、そういう意味において、日本人がそんなに人権に対して後進国だと言うのは余りにも卑下し過ぎているのではないか。私は、人権を保護するという面において、日本人も世界の先進国と同じように十分配慮しているのだ、配慮しなければならないのだという自負を持つべきではないかと思っております。  今回の法律におきましても、人権の保護と感染症の拡大の予防というこの均衡を図ることが極めて大事だというふうに思っております。

福島豊平和・改革

○福島委員 八十年前のその日本の提案というのはよくわかるわけでございますが、その後の日本のたどった道筋を見ますと、その提案が果たしてどの程度の深みで発せられたものであるのかということを私は考えざるを得ないわけでございます。  しかし、日本の国家が人権を決して軽視しているわけではない、人権を守るということにおいておくれているわけではないと自負を持つべきだ、それはそのとおりだというふうに思いますし、政治家としてはその自負の上に立って適切な行動また判断をなすべきである、そのように私は考えております。  次に、具体的な話を若干お聞きをしたいわけでございますが、まず検疫法の改正、そしてまた狂犬病予防法の改正ということでございますけれども、現在日本から海外に渡航する人は年間に一千万人を超えております。そしてまた海外から日本に来られる方も年間数百万人に上っております。その中にあって検疫機能というものを強化していくということは極めて大切な課題でございます。今回の改正においてどのような検疫機能の強化というものが図られているのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  検疫法につきましては、新興感染症を初めとした国内には常在しない感染症の海外からの侵入を防止するとともに、国内の感染症対策との連携のとれた検疫体制の整備充実を図ることを目的として、今回、一部改正案を提出させていただきました。  具体的には、検疫感染症への一類感染症の追加。と申しますのは、今の検疫法には一類感染症が入ってないのです。これの追加。それから、検疫所と保健所等の国内機関との連携の強化により、国内対策との整合性をとった水際対策の強化を図るとともに、出国者等に対する感染症予防のための情報提供や検疫所における健康診断や予防接種等の拡大を通じて、検疫機能の強化を図ることといたしております。

福島豊平和・改革

○福島委員 数年前に出された「輸入感染症」という医学書でございますが、その中にこんな指摘がございます。これはコレラの発生例についての指摘なんでございますけれども、コレラ菌の検出はどのような機関で実際になされているのか。検疫所で三十件、地方衛生研究所及び保健所で七十八件、医療機関で十六件、医療機関でまず最初に発見される場合は十六例もあると。ですから、実地に医療に携わっている者は、こういうケースがあるということは十分熟知しなさいという説明なんです。  なぜそのようなことになるかというと、例えば潜伐期という問題が一つあります。そしてまた、潜伐期ということだけではなくて、偽申告、要するに、検疫所で捕まったらかなわぬ、ひっかかってはかなわぬということで、下痢はしていませんということでにせの申告をして、そのまま出てきてしまう、そういうケースもあるんだろうというふうに思います。  近年のこうした輸入感染症でございますけれども、発生事例の中で、実際に検疫所でチェックされている部分というのは果たしてどの程度あるのか、どの程度がチェックから漏れているのか、そのような実態についての御報告をいただければと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 平成六年から八年のコレラ患者を例にとった場合、伝染病予防法による届け出は、平成六年九十名、平成七年が三百六名、平成八年が四十名なされておりますが、このうち検疫所で発見された者は、平成六年が三十一名ですから約三分の一ですか。それから平成七年が七十五名、さっきが三百六ですから、三百六の七十五ですね。それから平成八年は十六名という数字でございます。  同様に、赤痢につきましては、平成六年から八年の間に、平成六年が千四十二名、平成七年千六十二名、平成八年千二百十八名届けられておりますが、このうちで検疫所で発見された者は、平成六年三百三十七名、平成七年三百六十四名、平成八年三百五十名ということですから、約三割程度ということでございます。

福島豊平和・改革

○福島委員 ですから、入り口の部分は、やはり一生懸命頑張ってもある程度限界があるのかなという気もいたしますし、そしてまた、この三割程度というのがもう少し改善されるような仕組みに改めるべきかなとも思います。この点についてのお考えをお聞きしたいということが第一点。  それから第二点目は、先ほど、国内の感染症予防体制との連携を強化するということで、保健所ということが挙げられました。これは、実際に検疫所のデータを保健所に伝えるような仕組み。調査室からいただいた資料ですと、検疫所はわきの方に出ているわけでございまして、ここに厚生省がありますが、そして都道府県に線が引かれていて、この後に保健所があるということでして、実際、具体的に情報がどういうふうに流れていっているのか、その現状についてお聞かせいただければと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず最初に、先ほど言いました、検疫所でコレラ、赤痢の発見数の少ない話ですが、先生がおっしゃられましたように、本人が下痢をしていても、空港を出るときには、私は下痢をしていません、何の問題もありませんと言われてしまうと、今は強制的には検査をしておりません。  もちろん、飛行機の便によって、どこかで集団発生がたくさんあった、そこから帰ってくるというときには、そちらの方面から来る飛行機について検疫を強化するということの変化等は実施をいたしておりますけれども、一般的には、特にどこの便をねらってというようなことはしているわけではないわけであります。そこは、実際にその病気の重さというか病気の種類、それによっても当然対応が変わってくるものだろうと私は思っております。  最近、少し変わってまいりましたのは、私たちの世代というといけないかもしれませんけれども、厚生省の職員だとちょっと違うのですが、一般の方とすれば、何も検疫所に捕まりたくないよ、病気なら、自分のうちへ行ってから開業医の先生のところに行こうよという発想をされる方が多かったのではないかと思いますが、今の若い方は割に積極的に、検疫所というのが、捕まるとかどこかに入れられてしまうとかという意識はみんなもう持ってない。だから、検疫所というのは相談をするところだというふうに若い人は相当思っていらっしゃる方が多くて、自主的に、私は下痢をしているので診てくださいという人がだんだんふえてきているというふうには担当者から伺っておるところでございます。  私は、このまま、やはり日本の人が、自分の心配のときは何でもそこへ行けばいい。今回でも、検疫法では、停留とか何かというのは、今度は感染症指定病院に入っていただくという形に改正をいたしておりますので、従来よりも、先ほど先生から言われたように、医療ということを非常に重視して今回改正をいたしておりますので、だんだんよくなっていくのではないかと思っておるところでございます。  次に、国内との連携の話でございますが、海外における新興感染症の発生、国際間の人や物の移動の活発化や航空機による輸送の迅速化といった現状に照らしまして、国内への感染症の侵入防止のため、検疫所における感染症の把握は今後ますます重要になると考えております。  したがって、今回の検疫法の一部改正においては、検疫感染症として一類感染症を追加するとともに、海外からの侵入が最も懸念される新感染症も検疫所で把握する規定を設けるほか、国内に侵入する感染症の把握体制を強化することといたしております。  また、今回の改正において、検疫所において把握した感染症患者について各都道府県に報告する規定が新設されておりまして、国内における感染症の発生動向調査と連携強化が図られているところでございます。

福島豊平和・改革

○福島委員 後段の方の御答弁はよく理解できなかったのですけれども、しっかりとやっていただきたいと思います。  それから、これは要望ですけれども、検疫所という名前そのものが非常にいかめしいのだろうなという気が私はするのですね。健康をチェックする健康診査室とか、そういうポジティブなイメージの名前に、法律が検疫法ですからあれなんですけれども、そういう言葉を使ってもいいのじゃないかなというような思いもしておりまして、今後の課題として御検討いただければ、そのように思います。  次に、感染症の危機管理体制ということをお尋ねしたいと思います。  今回は、新感染症ということで、今まで知られていなかった感染症が発生した場合にどうするのかということについての種々の手続が定められております。厚生省が感染症健康危機管理実施要領、そしてまた、危機管理基本指針というのを平成九年度に定めておられます。新感染症の発生ということと絡んで、この危機管理体制がどういう形で発動してくるのか。  この中では、レベル3それからまたレベル4。レベル3ですと、「国内への重度の影響が想定されるか又は国内での発生が急増しており、緊急に対策を必要とする場合」、それから「国内で発生例のない感染症の散発例」、これはレベル3です。それがもうちょっと集団になるとレベル4、「非常事態」ということになると思うのですけれども、どういう形で厚生省の対応、体制が発動するのか、具体的にお教えいただきたいと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 まず、感染症の危機管理の方での話でございますけれども、危機管理では、今先生がおっしゃられましたように、レベルを0から1、2、3、4というふうに分けておりまして、4が非常事態ということで一番高いレベルにしておりまして、そのときにはどういうことをやるのか、対応をどうするのかということを書いて、これは厚生省としてきちっと整理をして持っているものでございます。そうすると、今度は、新感染症が起きたときに、ではどうするのかということとの連携ということになるわけでありますね。  それで、まず新感染症の話を申し上げたいと思いますが、医師から新感染症にかかっている疑いのある者の届け出を受けた都道府県知事が、入院や消毒等の対物措置を実施する場合には、あらかじめ当該措置の内容及び措置を実施する時期等を厚生大臣に通報し、厚生大臣と密接な連携を図った上で、地域の実情も勘案しながら当該措置を講ずることとなります。  一方、都道府県知事から通報を受けた厚生大臣は、公衆衛生審議会の意見を聞いた上で、都道府県知事に対して、新法に基づく対応が必要かどうかを含めた技術的指導及び助言を行うことになっております。さらに、都道府県知事は、講じた措置の内容及びその後の経過を逐次厚生大臣に報告をすることになっております。  それで、新感染症というのは、感染力だとかその病気の重さだとかということを詰めて、新感染症になるというのは、一類相当の重い病気ということを想定をいたしております。したがいまして、その感染症が一例なのか数例なのかということによって、先ほどの危機管理の方のレベルの話との連携が出てくる。  いずれにしても、全部厚生省の方に情報が入って、私どもの局の方に入ってくるわけでございまして、それについては厚生省が、各県で起きても、県から、起きた話も国へ全部情報が入ってきて、それで、国が全体に責任をとって危機管理対策をやっていく、こういう仕事になるわけであります。

福島豊平和・改革

○福島委員 未知の感染症の場合は、単発例ですとわからないと思うんですよ、それが感染症かどうかわかりませんから。やはり、数例、集団で発生する、そしてまた、その中で比較的短期間に死亡するような人が出てくる、それが相次ぐというような事態なんだろう、エボラ出血熱とかを踏まえるとそういう事態なんだろうと思うんですね。  今、御答弁でよくわかりませんでしたのは、都道府県知事が厚生大臣の方に報告をするというのはいいんですけれども、その報告をされた後、既に健康危機管理体制について定まっている厚生省の一定の方針があるわけですね。それが、その報告とリンクした形でどういうふうに発動してくるのか。それは、この健康危機管理体制というのは、一体だれがどういう組織体をつくるのかということまで全部きちっと定めているわけですね。大臣なり、そういうレベル4の場合には総理大臣まで入るということで体制を整えるということが書いてあるわけでして、ですから当然、新感染症、都道府県知事が現場でやるわけですけれども、国の方でどういう体制が同時にでき上がっていくのかというイメージをはっきりさせておく必要があるというふうに私は思いますが、その点、もうちょっとお答えいただけますか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 法律では、先ほどお答えを申し上げましたように、新感染症が発生すると、都道府県知事をして厚生省に入ってくる。問題は、レベル3とかレベル4というところが危険なところの対応なんですけれども、それは、いわゆる散発例なのか集団発生なのか、その病気の状態によってあるわけでして、エボラ出血熱の場合は新感染症ではなくて一類感染症なわけですけれども、そういう怖い病気が入ってきて大量発生になれば、これは当然レベル4になってくるわけで、それは、国としてはレベル4の対応できちっとやる、こういうことになるわけであります。

福島豊平和・改革

○福島委員 それで、いずれにしましても、レベル4、レベル3にしましても、国は、この基本指針を拝見をしますと、対策本部を設置するというような書き方になっておりますし、その危機管理体制の実質的な指揮者というのは、やはり私は大臣だというふうに思うんですね。新感染症が発生した場合に、国としてそういう体系を組み立てていく、そして現場では都道府県知事が指揮をとるというのはいいと思うんですよ。ただ最終的に、手足は都道府県であったとしても、頭は厚生省だ、そしてまた、なかんずく厚生大臣だということなんだろうというふうに僕は思うんです。  ですから、この新感染症の参議院の審議の中でも繰り返し指摘をされたと思うんですが、新感染症というのは一体だれが新感染症と定めるんだ。六条の七項では、「当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。」この書きぶりでは、だれが認めるのかよくわからないじゃないかという指摘があったわけでして、最終的に、私は御答弁の中でも結構だと思いますけれども、これは大臣がこういう形で、片っ方で都道府県が現場の対応をしながら、厚生省の中でも対策本部も立ち上がってくる、危機管理体制が立ち上がってくるということなわけですから、その中核になっている大臣が、最終的にこれは新感染症として対応すべきであるというような御判断をどこかで示されるということが必要だと思うんですね。新感染症というふうにすれば一類ということで扱うわけですから、結構重大な判断なわけですから、そういう意味では、なかなか都道府県の知事さんで判断しますという話にはならないんではないか。この点についての御見解をお聞きします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今回の法案では、そこは大変悩ましいところであるのであります。今回要請したのは、先生も御存じのように、都道府県知事が第一次的な判断者になる。それはなぜかというと、実際には、そういう新感染症が起きたときに、現場の消毒をするとかいろいろな対応、万が一の場合は交通遮断だとかそういうことも含めて現場の都道府県のところで対応していただくことになるわけなんで、そこは中央集権なのか地方分権なのかということもあって、それで、これは当然政府の内閣法でやっているわけですから、自治省とも話をし、そして、最終的には法律上都道府県知事が第一次的な判断者と決めて措置をとっていただく。  ただ、都道府県が、では勝手に判断できるのかということになるわけですけれども、実際には、例えば今言いましたように、新感染症が発生した場合には、まず、患者さんの措置、人に対する措置も対物措置も必ず国に連絡をしてください、国に連絡することなく勝手にこれは新感染症ですよといってぽっと病院に入れてしまう、感染症病棟に入れてしまうというようなことはしないようにしてくださいという法律の形になっております。  ということは、必ず実質的には厚生省の方に、国の方に連絡をいただいて、国の方で審議会の意見を聞いて、もちろん大臣にも御相談をして、そして実際的にはこういうふうに技術指導してまいりますという形で事が進められるということになっておるわけであります。ただ、法文上は都道府県知事が第一次判断者と定めて、そして国がそれに対する技術的指導助言を行うという形で整理をいただいております。  しかし、国家危機管理ということになりますと、厚生大臣がこれは新感染症です、こういう対応をとってほしいと言っても、知事が、それはおれはできない、こういう話になると、私はそんなことはないということを前提でこの法律を調製しているところでありますけれども、そういうことになれば、そこは私はないと今のところは思っておりますけれども、それはまた別の問題として、これは、法律は見直し規定が参議院の段階でも入っておりますので、恐らく五年を待たなくてもそれをやらざるを得ないことが起きるかもしれませんが、現在の段階では、私は都道府県は必ず厚生省と相談をし、対応をきちっととられるものと思っております。

福島豊平和・改革

○福島委員 局長の御答弁のように、きちっと連携をとりながらやらざるを得ないわけで、実態としてはそういうことになるというのは非常によくわかるんです、実態としてはそうだと。ただ、危機管理体制の中で恐らく行政として大切なことは、どこのポジションがどういう責任を持つのか、責任と権限がどうなっているのかということを明確にするということなんだろうというふうに私は思います。ですから、ここのところの書きぶりはもう少し改められてもいいんではないかというふうに私は感じているわけでございまして、これ以上御質問はもう遠慮させていただきますけれども、その意見だけ申し上げさせていただきます。  次に、情報の収集体制につきましても、サーベイランスが法制化されたということで前進がこの法律の中には盛り込まれていると私は思います。具体的に、この法律によりまして、事前対応型の行政への転換ということで、情報収集の体制というものをどういう形で充実させていくのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 感染症の発生状況等の情報収集につきましては、感染症全般を一類、二類といった感染症の類型やその特性に応じて整理し、感染症発生動向調査等として法律上位置づけることにいたしました。  具体的には、医師からの届け出による全数把握、これは第十二条です。それから、あらかじめ届け出を行う医療機関を指定した定点把握、これが第十四条です。この二種類による感染症発生動向調査を法定化することといたしております。  このほか、今回、特定の感染症が特定地域で増加している場合や原因不明の感染症が認められる場合に、積極的疫学調査を行うことといたしておりまして、感染症情報の収集体制を総合的に整備充実したものと考えておるところでございます。

福島豊平和・改革

○福島委員 確かに積極的な疫学調査ということも盛り込まれて、これは非常に大きな前進だというふうに私も評価をいたします。  ただ、現実がついてくるかどうかということが問題でございまして、平成九年の「難病対策等に関する調査」ということで総務庁の行政監察におきましては、サーベイランスの実態がどうかということで、例えばこの九ページ目でございますが、患者定点、検査定点の設定状況等について下表のとおりであると書いてありまして、「二十都道府県等中十九都道府県等が定点の設定基準数を満たしていない。」要するに、ほとんど定点の基準数を満たしていない。これは、数が減ればその情報の量が減るわけですから、精度がまた下がってくる、こういうことに当然なるわけですね。そしてまた、その収集の情報の流れですね。流れも種々滞る場合があるというようなことも報告されております。  ですから、国において、この法律を定めることによりまして大枠はできると思うんですけれども、実際に都道府県のレベル以下のところでどうこれが本当に整っていくのか。そしてまた、積極的な疫学調査をするといいましても、やはり聞きに行く人がいなきゃいかぬわけですね。調査する人がいなきゃいかぬ。そういう人的な体制というものが果たして整っているのか。その点についての現状認識というものをお聞かせいただきたいと思います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 感染症の発生動向調査につきましては、感染症予防の最も基本となる発生情報の収集のため、これまでも厚生省として力を入れて推進をしてまいりました。しかし、昨年十一月の総務庁の行政監察局の御指摘にもあるように、定点基準数の不足や適時的確な情報の収集、還元の実施という点におきまして必ずしも十分でなかったという面があると認識をいたしております。  従来は、予算補助という形でやって法律上書いていないということも、実際に多くの先生方が御参加できないということもあったんではないかと私は思っておるところであります。  このため、この法案において感染症発生動向調査を法定化することを機に、地域の医師会等の協力を得ながら必要な定点の数の充足と定点の適正な配置を行うとともに、より的確な情報の収集と国民に対する適切な情報の提供を行い、従来の問題点を改善するよう努めてまいりたい、このように思っております。

福島豊平和・改革

○福島委員 時間が参りましたので、残余の質問はまたの機会に聞かせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 佐々木洋平君。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)委員 今、感染症の問題について質問があったわけですけれども、私からも、MRSAについてお伺いしたいと思います。  これは院内感染でございまして、大変厄介な病気なわけですが、これが非常に広がっておるということを聞いておりまして、それが原因で死亡する人も非常に多くなっている。この院内感染については、アメリカでは二百万人以上も亡くなっておるということを聞いておりますが、いろいろな防止・予防対策というものを講じておるわけでございますけれども、決め手がないという現状かと思います。  そこで、MRSAの現状、すなわち発生状況、あるいは死亡数、そしてまた院内感染予防についての対策、今後どのような対策をしようとしておるのか、まずお伺いしたいと思います。

中西明典厚生省医薬安全局長

○中西政府委員 我が国のMRSA患者の発生動向につきましては、届け出ないし報告義務というのがないわけでございます。したがって患者数及び死亡者数の把握はできておりませんが、平成六年から八年にかけてこれは厚生科学研究費で院内感染の総合対策研究を行っておりまして、病院調査によりまして調査を行っておるわけでございます。その調査によりますと、院内において大規模なMRSAの集団感染といった事例の報告はございません。  そこで、MRSAなどの院内感染、確かに問題でございまして、各病院に院内感染対策委員会を設ける、その上で、職員の教育あるいは院内での発生動向の調査、抗生物質の使用の適正化等々を中心とした院内感染防止対策に取り組んでいただくということを、都道府県を通じ、あるいは、日本感染症学会と私ども協力して実施してきております院内感染対策講習会、これらを通じて各医療機関を指導する等の施策を講じてきているところでございます。  今後とも、MRSAを初めといたします院内感染につきましては、こうした講習会やあるいは院内感染対策相談窓口、これは東京と大阪に感染症学会が設けておりますが、そういった相談窓口で相談を受けつつ適正な指導を行っていくという形で正しい知識を普及啓発していく、蔓延を防止していく、そういった姿勢で取り組んでいきたい、かように考えております。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)委員 今の答弁ですとほとんどないということで、まあ確かに、MRSAは合併症ということで、仮に直接の原因で死亡をしたとしても、やはり医師は院内感染であるということを隠すということなわけだろうと思うんですね。これがもちろん病院の信用問題にもなるわけでございまして、病院では、患者の家族に全く知らせないで処理されるということが、逆に言えば対策のおくれあるいは原因になっているのではないかなと。もしそういう事態があったならば、もっと厳しい措置をしたり何かの方法を私は考えるべきだろうというふうに思います。  そこで、この法律案の第十二条に、四類感染症のうち、三疾病と省令に定めるものについて情報の収集と公表をするんだとこうありますが、このMRSAはどのような取り扱いになるのか。私は、予防対策上、患者を救済するためにもこれは徹底して公表すべきものと思いますが、いかがでしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  まず、MRSAは、今回の法案では第四類の感染症に入ります。この四類感染症は、発生動向調査を行いまして、その情報等を積極的に公表していくことにより、発生及び拡大防止を図っていくべき感染症の類型であります。具体的な発生動向調査の方法については、発生数の少ない感染症は全数を把握、それから発生の多い感染症は、定点医療機関を通じた抽出把握をすることが考えられます。そこで、MRSA感染症は、その発生数が比較的に多いことから、定点観測という定点医療機関を通じた発生状況の把握が適切と考えられますので、そうした情報が公表されることによりまして、各医療機関等において、より適切な院内感染対策が図られるものと考えております。  今後、公衆衛生審議会の意見を聞きながら、新法における具体的なMRSA感染症の取り扱い、調査結果の分析、公表等のあり方を含めた具体的な発生動向調査体制の整備に向けて検討してまいりたいと思います。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)委員 今いろいろ説明があったわけでございますけれども、この院内感染の責任といいますか、例えば治療費とか、あるいは不幸にして死亡したという場合もあるわけですけれども、その医療機関としての責任といいますか、賠償という言い方がどうかわかりませんが、いずれそういった問題はどうなのか、お伺いしたいと思います。  また、このMRSAの原因の一番の問題というのは、やはり医師の薬の不適正な使用ということにあると思います。今ちょっと説明があったのですが、この薬の使用方法について厚生省はどういう指導をしているのか、その辺もあわせてお伺いしたいと思います。  それから、やはり院内感染ですから、いろいろと患者に対して、個室に収容するとか、一般患者に比較して経費がかかるんだろうと思いますが、その場合に、その予防、防止という観点から、診療報酬でしかるべき措置をとるべきではないのかなと思いますが、その辺もあわせてお答え願いたいと思います。

谷修一厚生省健康政策局長

○谷(修)政府委員 病院の責任ということについてのお尋ねがございました。その点についてお答えをさせていただきます。  今お話がございましたように、このMRSAによる院内感染というのは、医療機関において平素からその防止のために必要な措置を講ずるということで、院内感染の予防対策についての指針等を既に出しております。  ただ、MRSAによりますこの院内感染の発生原因等につきましては個々の事例により異なりますので、その責任を医療機関だけが負うことになるかどうかということについては個々の事例によって異なってくるというふうに考えております。  しかしながら、当該医療機関におきますこのMRSAによる院内感染の防止措置が明らかに不十分であった、あるいは、その院内感染の発生について当該医療機関の過失といいますか手落ちといいますか、その結果、その責任が認められるという事例については、当然、その発生については医療機関が責任を負うべきものだというふうに考えております。

中西明典厚生省医薬安全局長

○中西政府委員 抗生物質の適正使用についてでございますが、これにつきましては、平成五年に、抗生物質の投与に当たっては原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめるよう抗生物質の添付文書において使用上の注意を改定いたしまして、医療機関、お医者さんに対して注意喚起を行ってきておるところであります。それからまた、厚生省と日本医師会とが協力いたしまして、「抗菌薬療法診療のてびき」を作成し、その中でもこういった啓発を行ってきておるところでございます。  さらに、先ほど来申し上げております院内感染対策講習会等において、抗生物質の適正使用の普及啓発をあわせて実施してきているところでございまして、そうした手段を通じて抗生物質の適正使用を医療機関の現場に徹底させていきたい、かように考えております。

高木俊明厚生省保険局長

○高木(俊)政府委員 診療報酬上の対応でありますけれども、これは院内感染防止対策の加算ということで、いわゆる入院環境料というのがございますが、一日について百六十五点ということになっておりますけれども、これに院内感染防止対策加算ということで五点を加算をいたしまして、防止対策に役立てていただきたいという対応を既に平成八年度の診療報酬の改定で講じております。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)委員 それでは次に、日本赤十字社に関する質問をいたします。  私は、今年三月の予算委員会の分科会で、日赤に対する情報公開、あるいはまたその監査体制等々の質問をいたしました、あるいはまた、懇親会などの公費支出についても指摘を申し上げたわけでございますが、後段の質問に対して、経理上大変問題がある、極めて不適切、あるいはまた、確かに批判を受けるような事実があったと認めて、一切廃止するという御答弁をされたわけでございます。  日赤は、国民の貴重な浄財や善意で事業が行われておるわけでございますから、やはり国民に対してこの事業の内容等について情報公開すべきであるというふうに思っております。  そこで、るる質問をいたしますが、この日赤に対して厚生省等の官僚がいわゆる天下りをしているわけですが、現在、何人ぐらい、そしてその天下りの最高年齢は何歳なのか、あるいはまた、社長、副社長、理事の報酬についてお伺いしたいと思います。  この退職金規程についてもお伺いしたいと思いますが、最近、幹部で退職された方の退職金を差し支えなければお示しをいただきたいと思います。

炭谷茂厚生省社会・援護局長

○炭谷政府委員 ただいまお尋ねの件でございますが、まず、国家公務員の幹部職経験者の人数でございますけれども、日本赤十字社の役員、現在六十七名いるわけでございますけれども、現在、国家公務員の幹部職の経験者の人数は三名でございます。そのうち、最高年齢の方は七十六歳でございます。三名のうち一名のみが常勤でございまして、他の二名は非常勤ということで、無報酬でございます。  役員の報酬につきましては、二名が常勤で報酬を受けているわけでございますけれども、平成九年で社長が二千七百四十七万円、副社長が二千四百六十九万円との報告を受けております。他の役員は、全員非常勤で無報酬でございます。  次に、退職金の規程でございますけれども、日本赤十字社退職一時給与金等支給規程と日本赤十字社特別退職金支給規程の二つの規程から成っておりまして、退職金は職員の勤務年数に応じて支給されております。  前回の予算委員会でも先生から御質問いただきました特別退職金とは、勧奨退職や特別の功績等に応じて、通常の退職金に加えて支給されておりますが、後者の特別の功績に応じて支給される分については、将来廃止する方向で毎年減額しているところでございます。  最近退職いたしました幹部の退職金でございますけれども、平成九年度を見ますと、幹部職員、これは本社、支部の部長相当職以上の者でございますが、十九人退職しておりますが、平均で二千七百五十七万円になっております。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)委員 先般、報道によりますと、この血液事業についてでございますけれども、これはみんな御案内のとおり、国民の善意で無償で献血された血液を製薬会社に配分し多額の収入を得ておる、平成八年、九年二年間で百億の収入を得たという報道がなされました。これは、国民の善意といいますか、そういうものが、はっきり言ってこの日赤の場合は、血液事業にしても献血に関する情報というのは開示されていないということが非常に国民の怒りを買っておると言っても過言ではないと思います。  時間がないのでどんどん行きますけれども、そこで、こういう善意の献血をもらっている国民に対して、日赤がどのように説明されておったのか、あるいは、広報が不十分だとするならば、今後どのような方法で周知していくのか、まずお伺いしたいと思います。

中西明典厚生省医薬安全局長

○中西政府委員 血液事業につきましては、先生御指摘のとおり、国民の善意の献血によって現在支えられているところでありまして、したがって、献血者を初め、国民に対して広く血液事業についての情報提供を行い、理解と協力を求めていくことが必要だというふうに考えております。  日本赤十字社におきましても、これまでも必要な情報の提供につきましては努力してきたものというふうに認識しておりますが、今後、特に血液製剤の自給率を向上していくには、国民にさらなる献血協力をお願いしていかなければならないということでもありますので、今後とも情報提供に日赤がさらに努めていくよう、私どもとしても必要な指導を行っていきたい、かように考えております。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)委員 平成八年度の献血者の人数は約六百万人でありますが、そのうち、一回採血量が四百ミリの献血が二百六十六万人、二百ミリ献血が二百十五万人いるのですね。今、四百ミリ献血の割合が年々多くなってきた。献血者の話によりますと、日赤さんの方で、四百ミリ献血を行うようにという呼びかけがあるというような話をよく聞くのですが、それが事実かどうか。  といいますのは、昔から、健康上の理由といいますか、そういうことで、医学的に採血量というのは二百ミリが大体限度であったというふうに言われておったわけですが、一時血液が非常に不足したということもあって、あるいは、四百ミリにした場合、非常にコストが安く上がるのだそうですね。そういうことで、現在四百ミリの採血が多くなってきたというふうにも言われているわけでございます。医師会や医師の皆さん方に聞きますと、これは非常に危険である、採血量はやはり体重とかいろいろな健康状態によって変わってくるので、これは非常に心配だという御指摘もございます。  どうして四百ミリが多くなったのか、その原因をお聞きしたいと思うし、医学的な判断というのもまたこれには必要だと思いますが、それについての御見解も賜りたいと思います。  もう時間が来たので、項目をばっとやりますので、簡単にお話し願いたいと思います。  それから、日赤は製薬会社に献血血液の成分を売り渡しているわけですが、過去三年間の年度ごとの売り渡し量と売却価格、販売価格をお伺いしたいと思います。  また逆に、製薬会社は日赤から購入した献血血液の成分から薬品をつくって販売しておるわけです。その売上額、過去三年間の年度ごとの数字もお伺いしたいと思います。  それから、製薬会社に売り渡す場合の販売価格の基準、これはどうやって決めているのか、お伺いしたいと思います。  それから、血液事業全体の収支を簡単に説明願いたいと思います。

中西明典厚生省医薬安全局長

○中西政府委員 まず、四百ミリリッター献血でございますが、これは六十一年四月から導入したものでございまして、欧米では四百ミリリッター以上の献血をしておるケースが多いと聞いております。  一つは、より多くの献血血液を確保するという視点があることは間違いないわけでありますが、それだけではなくて、献血血液を通じた感染の可能性をより少なくするためにも、一回当たりの採血量を多くして、より少ない献血者から献血をいただくということが望ましいという判断に立って、むしろ四百ミリリッター献血を推進しているところでございます。  健康上の問題というのは、私どもとしては特段問題はないというふうに認識しております。採血の際には、それぞれ、四百ミリリッター献血にふさわしい年齢、体重、血圧等々の採血の基準を定めておりまして、その基準に適合するかどうかを確認した上で、本人が四百ミリリッター献血を希望するかどうかを確認して実施してきているところでございます。  それから、日赤から製薬企業に対する原料血漿の提供の問題でございますが、これは、血漿分画製剤の自給を促進していくという観点から、民間の製造能力というのを日赤とあわせて活用していくという見地から、原料血漿を提供し、血漿分画製剤の製造をお願いしている、こういうものでございます。現在、日赤が提供した原料血漿の代金は、平成六年度は五十四億五百万円、平成七年度は五十三億五千六百万円、平成八年度は四十九億九千三百万円でありました。  これらの原料血漿の価格につきましては、厚生省、日赤、社団法人日本血液製剤協会の三者の合意に基づきまして、原料血漿の種類に応じ、日赤の原料血漿の提供に係るコスト、要するに、採血費用でありますとか検査費用でありますとか加工費用でありますとか、それなりのコストがかかるわけでありまして、それを勘案するとともに、国内の献血由来製剤の普及に支障を来さないようにする視点に立ちまして、血液凝固因子製剤用の原料血漿は一リッター当たり一万一千円、アルブミン・グロブリン製剤用の原料血漿は一リッター当たり一万円というふうに設定しておるところでございます。  それから、日赤の血液事業特別会計の平成七年度の収益は千三百三十八億円強、費用は千三百十五億円強でありまして、差し引きは二十二億五千百万円であります。平成八年度は、収益が千三百五十三億一千六百万円、費用は千三百二十八億三千八百万円でありまして、差し引きは二十四億七千八百万円であったという報告を受けております。  こうした収益につきましては、貸借対照表上、当年度は当期純利益として計上し、翌年度損失に備えるために積み立てるべき利益積立金や、血液事業に係る将来の設備投資等のための特別積立金として、日赤社内で積み立てているところでございます。

佐々木洋平自由党

○佐々木(洋)委員 時間が来ましたのでこれでやめますが、最後に大臣にお聞きしたがったのですが、一応要望にとどめておきます。  こういういろいろな血液事業については、やはり国民も何か割り切れない感じを持っているのだろうというふうに思います。そういう意味で、献血からその血液が病院で患者さんに使用されるまでのシステム、そういうものを日赤が一元化するとか、そういう方法もあるだろうと思いますし、また、今、国と日赤の責任と役割があいまいなんですね。ですから国民からどうなっているのだろうかという指摘をされるので、そういう意味で、国の責任というものをきちっと明確にすべきだと思うのです。そして、日赤が国の委託事業という格好で行うような仕組みを私はつくるべきであるというふうに要望申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 瀬古由起子さん。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。感染症予防法について御質問いたします。  この法案については十分慎重な審議が求められていると思います。きょう私にいただいた時間は短いので、この法案の全体にかかわる基本点だけ質問させていただきたいと思います。  この法案の出発点は、過去の感染症対策に対する国の反省が据えられているかどうか、このように私は考えます。四月の十四日の参議院の審議で我が党の西山議員が、エイズ予防法の制定は適切だったのかと質問をいたしました。これに対して小林保健医療局長は、制定当時は適切であったと答弁されていますけれども、現在も同じ認識でしょうか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 エイズ予防法制定当時につきましては、昨日総理大臣も、当時の状況から見て、やむを得なかったものだというふうに申されておりますので、私もそのように思いたいと思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 同じ日に厚生大臣は、らい予防法、エイズ予防法の過去の人権侵害について問われまして、「過去、いろいろな病気に対して、治療法が確立されていない、あるいは医学の進歩等が今日ほどではないということで、患者に対して人権を侵害したりあるいは偏見を助長したりするようなことが多々あったと思います。」このように答えておられるのですね。  大臣、患者に対して人権を侵害したり偏見を助長したりするようなことが多々生まれたというのは、らい予防法やエイズ予防法の制定にあるとお考えではないのでしょうか。いかがですか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 私は、当時として、何か法律を制定するという場合、最善の状況を考えながら判断してやったと思うのです。ところが、何年かたってみれば、当然反省すべき点も足らざる点もあったと思います。これは、差別とか偏見というのは、この世の中なくなりませんから、現在の中でも。なかなか難しい、法律だけでは解決できない面もあるということを考えますと、何年かたってみれば、あのときはどうもだめだったとか、反省すべき点があったなというのは、これからいろいろな場合もあるんじゃないか。今回の場合においても、今から考えれば反省すべき点もあったと思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 そうしますと、らい予防法やエイズ予防法が制定された、そのことがさまざまな偏見や差別を生んだというような御認識はありませんか。それはいかがでしょう、大臣。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 それは、今から考えてみれば、足らざる点もあったなと。しかし、当時はそういう考えじゃなかったんじゃないでしょうか。必要だと思ったから法律を制定されたんじゃないでしょうか。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 この点では、小林局長も小泉大臣も総理大臣も、当時は適切だというお考えだったということを確認をさせていただきます。  そうしますと、大臣は、治療法が確立されていないとか、医学の進歩等が今日ほどではない、こういういろいろな条件がその当時はまだあったというようにお話をされているわけですけれども、例えば、らい予防法についてはどうかということを質問させていただきたいと思うのです。これは、私も去年の十一月に質問させていただいたのですけれども。  らい予防法が制定されてもう九十年になります。先ほど厚生大臣は、日本は決して人権の問題では他国と比べて劣っているというものではないんだと言われましたけれども、このらい予防法の人権侵害の歴史というのはすさまじいものがあります。それこそ終生隔離という形で行われて、そして断種手術、こういうものまで行われてきたわけです。  これは実は、厚生省の幹部で療養所の課長でありまして、そして医務局長も務められた、現在、ハンセン病の救援団体であります藤楓協会、この理事長さんの大谷藤郎さんが言ってみえるわけですけれども、このらい予防法にあっては、九十年前にさかのぼって病む人の人権を侵害してきた。二度と再び社会に戻れなくさせた責任と、国家としての大きな問題を犯したというふうに指摘をされているわけですね。  そういう意味では、その当時、本当に隔離が必要だったのかどうかということについても疑問を持ってみえるわけです。人権侵害がもう九十年前からあったと。それは、まだ昔の時代だということを置いておいても、これは戦後ですけれども、一九五三年ごろ、らい予防法の改正が行われたときに、患者さんたちを中心に猛烈な反対運動が起きたわけです。その当時はどういう状態だったかといいますと、世界的には、特効薬も開発されていまして、WHOだとかいろいろな国際会議が開かれて、こういう隔離政策は間違いだということで、日本に対しても厳しい批判もされていたときだったんですね。ところが、そういう国際的な批判にもかかわらず、あえてこのらい予防法の改正のときに一層隔離を強行した、こういう改悪が行われたわけです。  こういう問題を見てみますと、やむを得なかった、その当時そういう判断をしたということが言えないのが実はこのらい予防法の内容にもあるわけです。それは、先ほどエイズ予防法の問題でも、その当時、本当にそれが必要だったのかどうかということで、随分批判があった。しかし、それを踏み越えてといいますか、強引に、実際には逆の方向で、人権を侵害する方向で進められたわけですね。そういう問題は、その当時、やむを得なかったと言えない問題が、私は、少なくともこのらい予防法に関しては言えるんじゃないか、エイズ予防法についても言えるんじゃないかと思うのですけれども、この歴史を振り返ってみれば、いかがでしょうか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 そういう歴史の経緯を踏まえて、今回改正するということになったんだと思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 ですから、歴史もいろいろあったなと、その後、その当時は正しかったけれども、やっていく中でいろいろ問題が出てきて改正するということと、初めから問題だということがわかっていたのに、あえてこの法律をつくって、さらに差別と偏見を助長したという、その歴史を振り返るという場合に、振り返り方が違うと思うんですね。  らい予防法についても、この廃止に当たって、これは小泉さんではありませんけれども、当時の厚生大臣は謝罪されたわけです。この謝罪というのは一体何だったのかという問題が問われるわけです。九十年前にさかのぼる謝罪なのか、四十年前の謝罪なのか、ちょっとおくれました、ごめんなさいという謝罪なのか、そういうことが今やはり問われているんじゃないかというように思うわけです。  そういう点では、やはり明らかに人権を侵害したり助長したというのが、今の法の制定であった。これが本当にどれだけ多くの家族や患者さんや関係者を苦しめたかということについて、はっきり言って、きちんと受けとめた上での反省がきちっとあれば、こういう形での法律は出てこなかったんじゃないかというふうに、私は率直に思うわけです。その点はいかがでしょうか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 私は、旧法よりこの新法がはるかに前進したものだと思っております。そういう経験を踏まえて、また反省を踏まえてやるべきものではないかなと。それは、人間でも国でも、過去に過ちは必ずあると思いますよ。その過ちの反省から、現状を少しでもよくしていこうということの方が前向きな対応じゃないでしょうか。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 確かに過ちはあるんですよ。しかし、二度と同じような大きな過ちを許さない、もうこういう過ちはしないんだという態度が必要だと思うのですね。そのために、私は、過去の歴史がどうだったのかというのを、本当にきちっと正確に検証するという態度が、そういう真摯な反省の姿勢がやはり大変必要ではないかというふうに思います。  はっきり言って、あの当時は、もう国際的にも批判があったにもかかわらず、その当時はやむを得なかった、その当時の知見に基づいて改正された法律だといって、厚生省の幹部はその後も言い張っているわけですね。やはり、こういう点での姿勢の問題というのは、私は大変大きな問題だというふうに思います。  これが、例えば、今度の法案になるに当たって、公衆衛生審議会ではその前の論議がされているわけです。その中でも、大変具体的な反省の歴史についてきちんと述べられているところがあります。特に、基本問題検討小委員会の報告書では、やはりこういうハンセン病やエイズ予防法の歴史、この反省が出発点だ、このように報告書は述べているわけですね。さらに、先ほどお話ありましたように、良質かつ適切な医療を受ける権利が保障されて、その権利が実効あるものになって初めて感染症対策というのは万全となる、こういう小委員会の報告が行われて、そしてこの小委員会の取りまとめた報告書が、公衆衛生審議会でも「我が国における感染症対策の方向を提示する提言として基本的に適当である」という意見をつけて厚生大臣に出されているわけです。  ところが、こういうふうに出されている意見があるにもかかわらず大変大事な部分が欠落している。反省の部分だとか一番大事な医療を受ける権利の問題、こういうものが欠落している。そういうところで小委員会の委員が三名で連名で上申書も提出して、この報告書の本質的な検討事項を著しく後退させており、随所で報告書との内容的な断絶すら感じさせる、実際に審議してきた人たちが抗議しているわけです。一体何のために審議会の小委員会を開いてきたのかと問われざるを得ない内容があるわけです。  なぜ、この小委員会で審議され、そして審議会でも確認された内容が法案として出てきたときにこんなに変わって出てきたんでしょうか。その点はいかがですか。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  まず、二月九日、基本問題小委員会の三名の先生から上申書が出ましたことは承知をいたしております。その先生方が実は上申書を書かれるベースになりましたのが、厚生省が、その法案の要綱ではなくて、制定要綱というまだ途中段階のものを各委員の先生方に私どもからお配りをいたしまして、御参考までにといってお送りをしたものに対して先生方が御意見を出されたものであるということは御承知をいただきたい。  ということは、その後、法案の制定の上でだんだん変わって今日の法律になっておりまして、その制定要綱というものはちょっと今の内容とはもう少し、人権なんかでもまだ書いていないところがありまして、そういうまだ途中段階のものでの御意見であるということをまず申し上げさせていただきたいと思うのであります。  そして、厚生省といたしましては、この基本問題小委の意見や伝染病予防部会の報告書の考え方を最大限法案に反映したものと考えておりまして、患者・感染者に対する良質かつ適切な医療の提供、患者・感染者の人権の尊重という点についても法律の条文としてはできる限りこれを盛り込んだものと考えておるところでございます。  また、この報告書の内容は、法文にならなくても、この法律を運用していく制度の実施段階のものも入っておりまして、この法の施行に向けてその報告書の内容の実現について十分検討してまいりたい、このように思っておるところであります。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 この三委員の皆さんが、この法律が最終的に案として出てきた段階で納得されたかどうかというのはわからぬでしょう。実際に納得されたわけじゃないですよ。やはり猛烈な批判を持ってみえるわけです。  そういう中で、確かに今後の運用で、ここにきちっと人権の問題、反省の問題、十分入っていなくても、今後の方向でやろうと思えばやれぬことないですよ。しかし、私が今聞いてきましたように、過去の歴史について十分反省がないようなそういう姿勢を持っていれば、きちんと法定化しなければ心配で仕方がない。また同じ歴史を繰り返すのではないか。はっきり言って信頼されていないと言うと失礼ですけれども、やはりそこまで深刻な問題をあなたたちがつくった法律がもたらしたんだ、私はそういう観点でこの法律というのは考えていくべきだと思います。  そして最後に、ぜひ、この法律を考えるに当たって、一番今までこういう中で苦労し、また差別と偏見を受けてきたこういう人たちの意見をしっかり聞いて、そしてこの法律そのものについて見直してほしい、考えてもらいたいと言われている以上は、やはり謙虚な姿勢でぜひこの法案についての見直しを図るべきだと思います。最後に伺います。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今、過去の法律の制定における反省の心から、我々としては、今回の法案において人権への配慮とか良質かつ適切な医療の提供ということを国の責務に盛り込んだわけであります。これらの趣旨を、入院の手続、感染症指定医療機関制度に、さらにはエイズ等を対象とした特定感染症予防指針というものをつくることにいたしておりまして、その中で具体化をしていこう、このように思っております。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 以上です。  終わります。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 中川智子さん。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  きょうは、九分しかありませんので、毎回質問に立ちますので、まず基本的なところからお伺いしたいと思います。  私は、一年半前に議員になったときに一つ大きく決意したことがございまして、これからは立法府に行くのだから、法律をつくるときには、その当事者である方たちの思い、痛み、それをいかに自分のものにできるかということをまず最初に心がけていこうということを決意いたしました。その人の立場になって、経験することはできなかったけれども、その経験、そしてその叫びをいかに自分自身の毛のにして法律をつくっていくか、そのような議員でありたいと思い続けております。  そこで、今回のこの法律に関しましては、HIV感染者の方、その方たちの長い間受けてきた苦しみそのものをいかに私自身が受けとめて、いい法律をつくっていくかということを心にとめながら、その方たちの言葉を私自身代弁してここに立ちたいと思っております。  私は、殺人というのは二つあると思っております。一つには命そのものが絶たれること、もう一つは社会的に殺されていくこと、この二つがあると思います。私は、HIV感染者の方、エイズの方たちは社会的にあのエイズ予防法で殺されていってしまった、このことをどう反省し、新しいこの感染症予防法に二度とそのようなことが繰り返されないような中身としてつくり上げていくこと、それが今課せられているということを痛感しています。生きていて殺されることのつらさはその当事者でなければわからない、そのように思っております。  また、らい予防法、あれができまして隔離された方たちにもお会いし、そして長島愛生園などに行きましたときに、私はあの法律によってこの人たちは社会的に殺され続けてきたということを思いました。あの長島愛生園には墓地があり、火葬場があります。死んでさえふるさとに戻れなかった。また、本名さえ名乗れなかった。本名を名乗ることができず、そしてまたふるさとで葬るお墓さえつくれなかった。このことは私は、らい予防法そのものがそのような役目を果たしてきてしまったということを痛感いたしました。  たくさんの方のお話を伺いますと、あの法律ができて、貨物列車で運ばれた、それも、夜中にだれもいないところで、まるでけもの以下の扱いで島に運ばれて、島に橋ができたのは本当に何年か前です。刑務所以上にひどい扱いを受けて抹殺されてきたということを、私たちはしっかりと心に刻んでこの法案の審議をすべきだということをお伝えしたい、訴えたいと思います。  そして、まず大臣にお伺いいたしますけれども、これは、与党で最初、この法案が出てきたときに驚いたのは、まず最初は感染症予防法でした。本当に今回これが、良質で適切な医療を受けるという医療の側に立ち、また、そのような当事者の方たちがこれまで受けてきたことの反省に立ってするならば、当然最初から患者に対する医療という言葉があってしかるべきだったのに、この名称さえもまず予防ということでした。  そして、今回参議院で修正されたところ、先ほど、八十年前に日本はこのような人権に対して前向きの姿勢だったとおっしゃいますけれども、それならなぜ修正の中にこんなにたくさん人権に配慮とかということをわざわざ入れなければいけなかったのか。最初に入ってこそ初めて、反省の上につくった法律だという認識が共通認識として得られると思いますが、私は、最初からこのように修正をたくさんかけられて参議院から送られてきたことに対して、大臣はどのように思っていらっしゃるか、そしてまた、この法律の中に、エイズ予防法、らい予防法に対する、その人たちに対しての謝罪の言葉や、また反省するという視点がどこに言葉として入っているかということをお伺いしたいと思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 今御意見のあったような問題というものを反省して今回この法案を制定したということは御理解いただけると思うのでありますが、それにしても、この偏見とか差別とかいうのは、受けた側にとっては大変深刻な問題であります。当初は法律というものはそのようなことを意図しなくても、一般国民の間にそういう意識が生まれてきて、思いも寄らない精神的、肉体的あるいは社会的な苦痛を与えるということが過去にあったわけであります。今回、そういうのを十分に配慮しながら法案を提案しているわけでありまして、先ほど金田議員でしたか、結核予防法には人権の配慮が全然ないのになぜ人権問題が起こらなかったのかという問題もありましたように、私は、法律以前に、いろいろ人間の心の不可思議さというのもあるのじゃないかと思っております。  しかし、今回、今まで言われていました、過去の反省というものをどのようにこの法律に生かしていくかということが重要だということを考え、人権の問題に対する規定や、あるいは適切な医療を提供するという国の責務ということを盛り込んでおりますので、今後、過去の足らざる点、反省すべき点というものを、この法が施行されたならば、国はもちろんでありますけれども、一般国民にも誤解されないような周知徹底、啓発活動が必要ではないかなと思っております。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 夫婦の関係でも、やはり言葉とかいろんなものを見える形で出さないとなかなかこのごろはうまくいきません。やはりそのような認識に立ってこの法律をつくるならば、私は、前文なりにきっちりと過去の反省に立ってということを入れる、そのことを決断していただきたいということを強い要望としてまず入り口でお願いしたいと思います。  厚生省にちょっと一点聞きたいのですけれども、これはちょっと質問通告してなくて申しわけないのですけれども、八八年にエイズ予防法ができたときに、附帯決議で、三年後の見直しという見直し条項が入っておりました。私は、国会審議というのは、審議の中でよりいいものにつくり上げていく、そのために修正もありますし、附帯決議というのも決して軽いものではない。この三年後の見直しというのは具体的にどう努力されたのか、それを聞かせてください。  きょうお答えいただけないんだったらば次回でも結構ですが、附帯決議の重さというのを私は確認したいし、三年後の見直しに対してどう努力し、それのためのいわゆる機関などもつくったのかどうかということをお願いします。

小林秀資厚生省保健医療局長

○小林(秀)政府委員 今答えられませんので、次回お答えさせていただきます。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 まだまだこれから長い時間かけて審議いたしますので、ごゆっくりどうぞ。  ありがとうございました。     ―――――――――――――

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十七日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会      ――――◇―――――

国会会議録検索システムで原文を見る ↗