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142回国会衆議院1998/05/15

厚生委員会 第12号

発言数
114
登壇者
11
会派数
5
開催日
1998/05/15

会議録

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、参議院送付、社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。小泉厚生大臣。     —————————————  社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国と   の間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の   特例等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 ただいま議題となりました社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、我が国として社会保障の分野における初めての協定である社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を実施するため、厚生年金保険法を初めとする公的年金各法について、被保険者の資格、給付の支給要件及び給付の額の計算に関する特例等を設けるものであります。  以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、被保険者の資格等に関する特例であります。  ドイツから我が国に一時的に派遣された者等は、公的年金各法に関し、被保険者としないなどの特例を設けることとしております。  第二は、給付の支給要件に関する特例であります。  公的年金各法の給付の支給要件について、ドイツの年金制度に加入していた期間を我が国の年金制度に加入していた期間に算入するなどの特例を設けることとしております。  第三は、給付の額の計算に関する特例であります。  ただいま申し上げました特例により支給要件を満たした場合、我が国の年金制度に加入した期間に応じた額を支給することとしております。  最後に、施行期日でありますが、協定の効力発生の日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本孝史君。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 おはようございます。  ただいま議題になりました日独年金協定について、御質問をさせていただきたいと思います。  大変長い時間をかけて、今回の協定は日本としては初めて他の国と結ぶということになったわけですけれども、やはりなぜこのぐらい時間がかかってしまったのかということは、今後ほかの国と協定を結んでいく上において、大変いろいろな教訓なり反省なりを含んでいるのではないかと思います。  そういった意味合いで、これまでの参議院の質疑を聞いておりますと理由が主に二つあって、一つは日本側の交渉に対する体制の問題、もう一つは相手国と日本との間の年金制度の違いというところに問題があるというふうに御説明をされておられますけれども、いま一度、なぜ時間がかかってしまっているのか、その辺の理由をお聞かせいただきたいと思います。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 このドイツとの年金通算協定、昭和四十年代初めから交渉に入りまして、今日まで三十年近くかかってしまったということでございまして、私どもとしましても、もっと早く締結すべきではなかったかと反省しておりますし、おくれてしまったことにつきましては弁解の余地がないといいますか、おしかりを受けてもやむを得ないという思いでございます。  ただ、私もこの協定関係に三年ほどタッチしておりますけれども、やればやるほど、なぜこれまでできなかったのかというのが身をもってよくわかるところもございます。といいますのは、年金といいますのは、その国の歴史を反映したものですし、国民性あるいは文化、こういったものも反映したその国独特の制度になっているわけでございまして、例えばドイツの年金で申し上げますと、日本と違いまして国民皆年金でもございません。ドイツの場合は、被用者、サラリーマンのための年金ということで、自営業者は商売の手段もあるわけだから、自分で勝手にやりなさい、自分の老後は自分で面倒を見なさい、こういう態度、方針であります。日本はそれと違いまして、農家の方でも自営業者の方でも年金がある、国民皆年金、こういうことになっておるわけでございます。  それから、制度の立て方としましても、ドイツの場合は、サラリーマンの中でいわゆるホワイトカラーとブルーカラーというのは別々の制度になっておるわけでございます。日本の場合は、ホワイトカラーもブルーカラーも同じ厚生年金ということで、同じ制度でカバーされておる、こういうことでございます。  こういった点を初めとしまして、内容については非常にいろいろ違いがあるわけでございまして、通算協定を結ぶということになりますと、そういった制度をつなぎ合わせて、どういうものをその通算の対象にするのかしないのか、あるいは特例を設けるのか設けないのか、どういつだ特例を設けるのか、これは一つ一つ詰めなければいけないということで、大変膨大な作業になるわけでございます。それで、協定ですから、外交交渉ですから、協定の文言につきましても一言一句が問題になるということで、大変な労力を要したわけでございます。  そういうことで、大変な作業なんですけれども、今御指摘のございましたように、組織体制がその割には極めて不十分といいますか、今回のドイツとの交渉も、平成六年に実質スタートしたわけですけれども、当時はまだ専任者もいないということでございまして、片手間でやらざるを得なかった。平成七年以降、毎年、関係方面の御理解を得まして人をふやし、体制を整えてまいったわけでございまして、そういうことで、今回、ようやく八回の交渉の末にドイツとの合意に達したということでございます。  今回、こういう形で一つのモデルができましたし、ノウハウも得られましたので、汚名挽回というわけではございませんけれども、これからはできるだけ早く、できるだけ多くの国と協定を結んでいきたい、こういうことで努力してまいりたいと思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 確かに、年金はその国の国民性あるいは文化を反映している。制度は各国によって大変にまちまちでございますけれども、外務省の調べでも、平成十年二月現在、ドイツは二十七カ国とこの社会保障協定を結んでいる。かつて平成八年六月の委員会答弁等を見ておりますと、イギリスは三十一カ国、アメリカは十七カ国と結んでいる。先進国の中で、日本が大変おくれて九〇年代も終わりのころになってようやくドイツと一つ目を結ぶというのは、どう考えても大変時間がかかり過ぎている。  今みずからお認めになっているように、専任者もおられない、片手間でやりてきたのでなかなか遅かったというお話のとおりで、西ドイツは昭和四十二年から交渉を始めていて、もう三十年近くかかっているわけですね。五十九年七月の本院社会労働委員会で、当時の渡部恒三厚生大臣が、私が出張してでも解決に取り組みたいと御答弁されて、その年の九月に西ドイツに行かれた折に労働社会大臣と協議を再開されて、翌昭和六十年から協議が再開をされてきたわけですけれども、その後の経緯は今矢野局長が御答弁のあるとおりなんです。  平成八年六月の参議院の厚生委員会で、当時の近藤年金局長が、この六十年の協議が再開された後は、その後年一回程度のペースで協議をしてきたのだという御答弁がありまして、年一回程度のペースでやっていたのでは、それは物事は進まぬだろう。しかも、専任の方がおられない。ようやく平成七年に専任ができて、ことしの四月から年金局の企画課に国際年金企画室が省令で設置をされた。ようやく体制ができたわけですね。  人、物、金の全くない中でやれと言う方が全く無理。そういう意味で、渡部厚生大臣としては当時大変憂慮されて取り組みをされようとしたのでしょうけれども、その後の体制づくりはやはりできなかった。このあたりは真摯な反省が必要なのではないか。今度は、そういう意味で、企画室をおつくりになって専任体制をとられたわけですから、かなり進んでいくのだろうというふうに思います。  外務省さん、きょう来ていただいているのですが、外務省の方もこの年金通算協定の必要性についてはかねてから認識をされておられたと思うのですけれども、在外邦人の皆さんからの御要望の度合い、あるいはこの必要性の認識の度合い、どういうふうにお取り組みになってこられたのか、以上三点について外務省から御答弁をいただきたいと思います。

庄司隆一外務大臣官房領事移住部領事移住政策課長

○庄司説明員 国際化の時代を反映いたしまして、海外の企業等に派遣される形で海外に住まれる邦人の方々の数も年々増大してまいっております。我が国の年金制度をこのような国際化の時代に即したものとする、そしてそのための各国との年金協定の締結に向けた取り組みを進めていく、このことは、これら海外に住まれる方の強い期待にこたえるものであるととらえておりますし、同時に、各国との一層の人物交流を図る上で重要なことであると認識しております。  体制の御質問がございましたけれども、これまで外務省といたしましては、担当部局に年金協定担当官二名を新設いたしまして、対応に当たってきました。今後とも、省内関係部局が一体となって、そして同時に、厚生省とも十分連絡、協力して、関係者の期待にこたえられるよう、遺漏なきを期してまいる考えでございます。  この日独社会保障協定、御指摘のとおり、当初の接触が始まりましてから署名までにそれなりのかなりの年月がかかりました。外務省としましても、振り返って見れば、主要各国との間で、この年金協定分野におきましてはやはりおくれをとっていると率直に考えております。そういう中で、日独社会保障協定、この交渉の中で得た経験をも生かしつつ、今後他の国との間でもこの年金分野における協議に取り組んでまいりたい、こう考えております。  具体的には、当面、在留邦人も多く、また従前より接触、意見交換を行ってまいりました経緯のあるアメリカ及びイギリス、この二カ国との協定締結に向けた協議を鋭意進めてまいりたいと考えております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 重ねての御質問で恐縮ですが、今国名を挙げられましたアメリカあるいはイギリス、日本の方が一番多くおられる国の名前を挙げられたわけですけれども、アメリカ及びイギリスにおられる在外邦人の皆さんから、この年金の二重課税あるいは通算という問題についてどういう御要望が外務省なりに寄せられているのか。あるいは厚生省の方も、そういうお声をお聞きでありましたら、どういうふうに声が寄せられているのかをお聞かせいただきたいと思います。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 まず、アメリカとの交渉の経緯でございますけれども、アメリカは在留邦人が圧倒的に多いということで、日本の国益を守るためにはできるだけ早くアメリカと通算協定を結ぶ必要がある、これは言うまでもないわけでございます。アメリカとの間では昭和五十年代から話し合いを行ってきておるわけでございますけれども、特に昭和五十八年でございますけれども、アメリカ側から、交渉を打ち切りたい、こういう話が実は来たわけでございます。  といいますのは、日本人でアメリカにいらっしゃる方、アメリカ在留の日本人と、日本にいるアメリカの方、在日のアメリカの方、これを比べますと、圧倒的に在留邦人の方が多いわけですね。したがって、現在二重加入で保険料が掛け捨てになっているわけですけれども、端的に言いますと、アメリカの方がもうかっている、こういうことなわけなんです。したがいまして、二重加入を排除しますともうけが減るわけでございますので、もうやめたい、交渉は打ち切りたい、こういう話が実はございまして、中断になったわけでございます。  ところが、その後、円高でございますとか、日本の年金保険料もだんだん上がってきた、こういうことで、よくよく考えてみるとそんなにアメリカが一方的に得をしているわけでもない、こういうことでございまして、それでまた交渉をしましょう、こういう話が参りまして、実はアメリカとの間で今、具体的な日取りですとか、それから特にこれからの交渉に向けての進め方、こういった問題について協議を行っているところでございます。  それから、イギリスでございますけれども、イギリスは実は特殊な事情がございまして、平成六年までは、イギリスが外国企業を誘致する、こういう政策があったわけでございまして、そういう中で、年金保険料につきましては事業主負担分は免除する、こういう取り扱いをしておったわけです。ところが、平成六年にイギリスのこういった方針が変わりまして、事業主負担分もちゃんと保険料を納めてもらう、こういうふうに政策が変わりまして、それでイギリスの日本商工会議所の方々は、いきなり事業主負担をぽんと求められるということになりまして、これは大変だということで大きな騒ぎになったわけです。  それで、これについて早く通算協定を結んでほしい、二重適用の排除だけでもいいから早くやってくれ、こういう声もございまして、イギリスにおきましては、日本から出かけていきまして平成七年と九年の二回、年金当局者間で協議を行いました。その結果、できるだけ早くイギリスともやろうということになりまして、ことしの二月でございますけれども、政府間の最初の協議を行ったわけでございます。  そういうことで、このイギリス、アメリカ、イギリスは在留日本人の方も五万人近くいらっしゃるわけでして、アメリカに並んで日本にとって大変大きな利害が絡んでおるわけでございますので、このアメリカとイギリスについてできるだけ早く交渉を取りまとめたいということで、今後進めてまいりたいと思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 時間が長くかかっている間に相手の国の制度が変わりまして、そうすると、また時間がかかってしまう。日本の方も、五年に一回の年金再計算という時期は、年金局挙げて、あるいは厚生省挙げてのお仕事に取り組んでおられる状況の中で、なかなかこの年金協定に力を注ぐほどの時間がない。五年ごとに実は仕事がとまっているというのが日本の国の状況だったのではないかというふうに思うわけです。  今回、こういう形でようやくドイツとの間に話がまとまったわけですが、今お触れになりました点で、両方で二重課税になっているということになるわけですが、いわば日本側が掛け捨てになっている金額というのは一体幾らぐらいになるのか。ドイツですと四十億とか百億とかというオーダーで出ておりましたけれども、アメリカと日本の間の通算協定がないために、日本側の企業あるいは厚生年金加入者が掛け捨てになっている保険料というのは、一体、年間幾らぐらいの金額になるのか。世界全体で見れば、日本としては幾らの金額が掛け捨てになっているというふうに理解をすればいいのか。金額は幾らと把握しておられますか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 ドイツとの間で日本側が掛け捨てになっている金額というのは、年間、約三十億程度と見込んでおります。  それから、今お話のございましたアメリカですけれども、アメリカは、実は先般調査をしまして、現在、その調査結果の集計分析中でございます。そんなに遠くないうち、近いうちに結果が出ると思いますけれども、そういうことで、今の時点でまだ正確な金額を申し上げられない状況でございます。  それからイギリスにつきましては、現在、調査中でございます。  それで、全体で、世界じゅうでどのくらいになっているかということでございますけれども、これは、数十億単位というよりも数百億単位になるのではないか、そう見込んでおります。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 ドイツの在外邦人が二万人で、三十億という数字を出しておられるわけですけれども、アメリカは在外邦人十六万人おるわけですから、単純に言えば八倍はかかるのかな。あるいは世界的に見れば、五十万近くおられるわけですから、そういう単純な掛け算ではいかないのでしょうけれども、今数字は正確には推計しておられないようですが、何百億単位で日本の側からの掛け捨てになっている、毎年その金額が出ている。随分長い間、その金額がずっと出続けてきたということだというふうに思います。そういう意味でも早く協定を結んでいただきたいわけですね。  大臣にお伺いをしたいのですけれども、今まで大体お聞き及び、あるいは参議院の審議でも御指摘を受けておられるとおりで、大変時間がかかってきた。今回ようやく体制は整いましたし、ドイツと協定を結ぶ中でいろいろな教訓なり問題点の把握なりをしておられるわけです。  そういう意味で、先ほど事例で申し上げましたように、渡部厚生大臣はそういう機会があるごとに直接外国の担当大臣に、ぜひこういう年金協定を早く締結させてほしいということで申し入れをしておられる。大臣を先頭としての厚生省挙げての取り組みが必要なのではないかと思うわけですけれども、今どういうふうに思っておられるのか、今後どういう決意で臨んでいただけるのか、お聞かせいただきたいと思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 できるだけ多くの国と早く協定を結ぶべきだという考えには変わりありません。また、各国もそれぞれ協定を結んでいるということでありますが、これはやはり日本とヨーロッパ諸国との違い、同じアルファベットを使っている国、そして今EUになりつつあるということ、お互いヨーロッパ、国が違っても親近感とか民族性の同一性、違いますね。アメリカとイギリス、ドイツにしても、むしろイギリス出身、ドイツ出身の方がアメリカに行っているという方もたくさんおられる。そういう近さもあると思います。言語的な問題もある、文化的な問題もある、同質性の問題もある。  彼らから見れば日本というのはやはり異質、文字も違う、文化も違うということがあったと思いますけれども、お互い年金制度を持っている。また、今までの交渉の経験からいっても、厚生省としても専門家を置きまして、今までの反省を踏まえて、できるだけ多くの国とできるだけ早期に協定を結んでいきたいと思います。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 いつまでというのはなかなか難しいのでしょうが、今取り組みをしておられるイギリスあるいはアメリカの現在の進捗状況、まだ始まったばかりで、まだまだいつぐらいまでということは言えないという感じなんでしょうか。あるいは、今回の教訓もあり、イギリス、アメリカ等との必要性も考えると、かなり早いところで締結ができそうなんでしょうか。感触はどうでしょう。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 これは相手のある話でございますので、今の時点でいつまでに必ず協定を結びますということはお約束できないわけですけれども、ドイツとの間で一つのモデルができましたし、私どもも非常に貴重な経験を積ませていただきましたので、これをもとにできるだけ早く結びたい、できるだけ多くの国と結んでいきたいということで、これは一生懸命やりますし、そんなに五年も十年もかかるということは絶対あり得ない、こう思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 ひとつ頑張って取り組みをしていただきたいというふうに思いますが、素朴な疑問として、租税に対しては、二重課税を防ぐための条約を日本は四十四カ国と結んでおります。その中には韓国ですとかそれから中国、ソ連あるいはアジアの諸国も含まれているわけですね。この租税にかかわる二重課税の防止ということと、年金の二重課税の防止という問題とは内容が違うのかとは思いますが、同じようにはなかなかいけないものなんですか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 こういう多国間の協定といった場合によく引き合いに出されますのが租税、それと年金ということでございます。それで、租税につきましては、既に今委員の御指摘のございましたように多くの国と結ばれている、それに比べると年金が非常におくれているということで、性格的には似通った面が多分にあるわけでございますので、これはやはりできるだけ早く多くの国と年金について結ばなければいけない、こう思っております。  ただ、年金といいますのは、その国の歴史の発展段階に応じて制度化されてきているわけでございまして、社会保障の分野では、これは釈迦に説法でございますけれども、まず生活保護、こういった制度が最初に制度化される。それから何といいましても医療保険。それで、年金というのは一番最後に生まれているわけですね。これは日本におきましても同じような歴史的な経過をたどったわけです。  したがいまして、アジアにおきましては、まだ生活保護のない国も結構あるわけでございますし、医療保険に取り組んでいる、そういったところもあるわけで、まだ年金まで手が届かない、こういうところも少なくないわけでございます。しかし、アジアの中でも韓国につきましては既に年金制度ができておりますし、日本と協定を結ぼう、こういうお話もございますので、そういった国とはできるだけ早く結んでいきたいと思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 質問が前後して申しわけありませんが、先ほど、ドイツでは三十億円程度という推計をお示しになりましたけれども、平成六年の十一月二十八日の外務委員会で、当時の宮島年金局企画課長が、平成二年の推計として約百億円という答弁をされておられますので、まあ、換算のレートが違ってくる部分もあるでしょうし、制度が違えば金額もそのことで違ってくるのだと思いますけれども、百億と三十億、大分違うような気もしますので、全世界的に見て日本の側のこの二重課税に伴う掛け捨てが年間幾らぐらいになっているのかという推計をできるだけ早くやっていただきたいという御要望をしておきます。  それで、今回の協定の内容について二、三御質問しておきたいと思いますが、期間を原則五年というふうに限定をしておられる。最長で八年というふうにお聞きしておりますけれども、この期間限定をされておられる意味合いはどういうところにあるのでしょうか。あるいは、なぜ五年ということなんでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 今回、二重適用を排除するというのがこの協定の非常に大きな内容になっているわけでございますけれども、その場合に期間を幾らにするのかということで、私ども、いろいろ調査などをして、最終的には五年ということで合意をしたわけでございます。これは実態調査、もちろんサンプル調査でございますけれども、これによりますと、日本からドイツに派遣されている方につきましては、三年以内が二二%、それから五年未満のものが六六%、こういうことになっておりまして、過半数の方が五年以内に帰っていらっしゃる、こういう実態にございます。それから、ドイツの場合も似たような状況にあるということでございます。  それで、原則は今申し上げたとおり五年でございますけれども、これは相手国との話し合いによりまして、五年を超えてあと三年、八年まで延長できるような措置を講じようということで話し合いをしておりまして、これはもちろん、五年を超えて八年の場合も、日本から行かれる方については日本の制度に入っているということが大前提でございますし、それから、仕事上の都合で延長がやむを得ないと判断される場合に延長するということでございまして、そうして八年ということでやりますと、もう九五%の方が八年以内には日本に帰っていらっしゃるということでございますので、この五年というのは、プラス三年という措置を講ずればほとんどの方が二重適用は免除される、こういうことになろうかと思います。  それで、これはほかの国の例を見ますと、五年というのは必ずしも多数派ということではございませんで、一年とか二年とか三年とか、こういったところも決して少なくないわけでございまして、私どもとしては、五年間プラス三年の延長ということで十分御要望といいますか御要請には対応できるのではないか、こう思っている次第でございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 五年ないし八年たてば本国にお戻りになるだろうということで期間を限定しているということですけれども、共済組合、とりわけ国家公務員共済の場合には期間の限定をしておられないということで、同じ制度でありながら、片っ方は期間を設定され片っ方は期間を設定されていないというところがいまいちよくわからないのですが、これはどう考えればいいのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 公務員の場合は、五年とか八年とか期間にかかわらず、日本の制度だけでいいあるいはドイツの制度だけ入っておったらいい、こういうことになったわけでございますけれども、これはドイツの方からの強い要請でございまして、ドイツの公務員が日本に来る場合は、五年とか八年とか言わずに、ずっと二重適用しない、ドイツの制度だけ加入しておけばいい、こういうふうにしてくれという非常に強い要請があったわけでございます。それで、それとのバランス上、それでは日本の公務員も同じようにしてほしいということで話がまとまったわけです。  これは何も公務員を有利に、民間と別扱いしようとか、そういうことではもちろんございませんで、先ほど申し上げたとおり、ほぼ八年間は民間の方でも自動延長みたいに、幾つかの要件を満たせば八年まではすっと二重適用にならなくて済む、こういうことですから、事務的な便宜といいますか、そういったことも考えてこういう措置を講じたわけです。現に、八年を超えて派遣されるといったような場合、公務員の場合は八年を超えて派遣されるという事例もほとんどないのじゃないかと思うのですね。  そういうことで、形式上はおっしゃるようなことはよくわかりますけれども、実質的には先ほど来申し上げたようなことで、特段の他意はないということでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 だったら一緒にやればいいというふうに思うのですね。  時折外国に行きますと、日本の企業、商社から派遣されてきておられる、マネジメントを担当しておられるような方たちというのはかなり長期にわたって外国で滞在をして活動しておられるわけですね。そういう状態からすると、実は五年、八年で、確かに今数字をお示しいただきましたけれども、中心的な人物というのはかなり長くあちらで生活をしておられる。しかし、最終的にはやはり日本に帰ってこられるのです。  そういう意味で、日本の制度との調整というのも、期間を設けてあるということが皆さんの上にどういうふうな影響を与えてくるのかという気も若干するものですから、共済組合の方で期間設定をされないのであれば、こちらも期間設定がなくてもよかったのかな。交渉事ですから、相手のある話でございますので、今後また交渉をされる中で、実情に合わせてやっていっていただければというふうにお願いをしておきたいと思います。  それから、そもそもこの協定がいつ発効するのか。できましたけれども、いつから私たちは適用されるのでしょうかというのも大変重要なポイントだと思うのですが、協定はいつから発効すると理解してよろしいでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 この協定は批准書を交換した翌々月の初日から発効する、こういうことになっております。それで、批准書を交換するということが発効の前提になるわけでございまして、このあたりの取り扱いにつきましては、いつから実施するかということにつきましては、めどとしては来年の春ということを私どもは考えておりまして、ドイツと相談をしているところでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 来年春から協定が発効したとして、現在働いておられる方たち、もう既に外国に行っておられる方たちに、この協定はどういうふうに効力を持ってくるのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 年金が支給されますのは協定が発効してからということになるわけですけれども、協定発効前に納めた保険料あるいは協定発効前に既に事故が発生していた、それで従来の取い扱いですと年金が支給されない、こういった場合でも、保険料をこれまで納めてきた実績、それからそういう過去の事実、これは尊重する、考慮する、こういうことになっておりますので、過去のそういう実績は十分配慮されて年金受給権に結びつく場合も十分あり得るということでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 本当は個々のケースでいろいろとお尋ねをした方がわかりやすいと思うのですけれども、今学生さんで留学をされる方もたくさんおられるわけですが、日本の二十を超えた学生がドイツへ留学をして、そしてドイツで重い障害を負って身体障害者となった場合に、障害年金の適用関係はどのようになるのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 今海外にいらっしゃる日本人の方の取り扱いでございますけれども、海外にいらっしゃる方は任意加入できるということになっております。したがいまして、学生さんであろうと一般の自営業の方であろうと、ドイツに行った場合に日本の制度に任意加入できる。任意加入している場合に障害が発生した、こういった場合には当然日本の方から年金が支給される、こういうことになります。  それからまた、海外にいらっしゃっている場合に、任意加入しないという場合であっても、海外在留期間は二十五年の資格期間に算入される、いわゆる空期間と称しておりますけれども、空期間として資格期間には算入される、こういう取り扱いになっておりますので、学生さんでもそういう一般原則に従いまして年金制度上はいろいろ配慮されておるということでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 外国にいる間も空期間として算入はされるというのはいいのですけれども、保険料を納めておりませんともらえる保険金額には反映をしてきませんので、そういう意味では、保険料を日本国内にいる親族なりあるいは自分が口座をつくって払い込む、そういう制度もあるようですけれども、それをしないといけないと思うのですね。そのときに任意加入ができますということのPRが極めて不十分じゃないか、私は自分の経験からしてもそう思うのですけれども、外国に行くときにきちっと任意加入をしていきなさいよということのPRは、どういう形で、どの程度されておられて、どの程度できていると理解をしておられるのでしょうか。

真野章社会保険庁運営部長

○真野政府委員 在外邦人の方が海外におられる場合の任意加入ということにつきましては、長期出国の予定の方が、当然のことながら、市区町村におきまして海外への転出、住民票の転出という手続を行われます。そういう場合に、当該長期出国の予定の方に対して、国民年金の任意加入の制度がありますよということを市町村できちっと説明をしてほしいということを指導いたしております。  ただ、厚生年金の該当の方の場合には、今この協定でお願いをいたしておりますように、当該国において厚生年金相当制度があればそちらに入っていただく、今回、日独の間で二重賦課の調整をしようとしているわけですが、長期に出られる方が国民年金一号の該当の方なのか、二号の該当の方なのか、なかなか市町村ではわからないというところもございますが、とにかく市町村におきまして、そういう住民票を海外へお移しになるという方がおられた場合には、必ずそういう御説明をしてくださいという指導をいたしております。  また、外務省にお願いをいたしまして、現に海外に居住しておられる方のために、国民年金に加入する方法がありますというリーフレットを作成いたしまして、外務省の協力をいただきまして在外公館に配付をいたしまして、窓口に配備をしていただいている状況でございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 今後、在外邦人にも投票権が付与されるようにもなってきますので、在外邦人の皆さんがとるべき手続といいますか、そういったところ、これは外務省の御担当かと思いますけれども、しっかりとしたPRをしていただきたいというふうに思います。  残された時間で、関連しての質問で恐縮ですが、年金再計算についての質問を二、三させていただきたいと思います。  平成十一年度に予定をされているわけですけれども、現在の進捗状況、それから法案の提出の見込み等、お聞かせいただきたいと思います。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 公的年金制度は、五年に一度の財政再計算ということになっておりますし、それに合わせて制度の見直しをするということにしておるわけでございます。その年が来年ということでございますので、既に昨今の五月から年金審議会で御議論をお願いしております。  それで、昨年の暮れでございますけれども、一巡目の議論が終えたということで、年金審議会では「論点整理」を取りまとめていただいた。それから私どもは、これから合意形成に向けて国民的な御議論をお願いしたいということで、その参考のために五つの選択肢ということでお示しをしたわけでございます。その後、年金審では、今第二巡目の議論を行っていただいております。それから、有識者調査も先般実施いたしまして、実は本日、年金審でその有識者調査の報告をするということになっておるわけでございます。  こういうことを踏まえまして、ことしの九月には年金審としての御意見を取りまとめていただきたいということをお願いしております。そして、それを受けて、関係方面との調整を行いまして、来年の通常国会には法案という形で国会に審議をお願いしたい、こういうことで進めておるわけでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 年金の制度をどういう形に、いわゆるAからEの中のどういう形にするかというところと大いに関係してくるのですが、年金の保険料率についてのお尋ねをさせていただきたいのです。  平成六年改正で、年金保険料は五年ごとに二・五%ずつ上げるという形に決まりました。ただ、急激な上昇を抑えるためにということで、それまでの一四・五%を、六年の十一月に二%上げて一六・五%にして、八年の十月に〇・八五上げまして、現在が一七・三五という形になっております。  来年四月、平成十一年四月、あるいは平成十二年四月の保険料率がどうなるかということなんですね一平成六年改正でいけば、それまでの一四・五に二・五%ずつ足されてきて上がってくるという数字があるわけですけれども、実際の保険料率の設定というのは、今後どういう形で決まっていくと理解をしてよろしいのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 平成六年、前回の財政再計算におきましては、そのときの計画では、平成十一年十月から一九・五%に引き上げる、こういう計画になっておるわけでございますけれども、新たな保険料率ということになりますと、制度全体と非常に関係してくるわけでございます。今、次期制度改正の内容ということを十分再検討しているわけでございますので、次期制度改正の議論の中で新たな保険料率をどうするかということは検討していくべき課題だ、こう考えております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 制度の設計次第で保険料率は決められるというか、制度の設計と保険料率は絡んでいるということなんですが、現在の一七・三五を、当初、平成六年改正で予定していた一九・五に引き上げたとすれば、その負担増は幾らという計算になりますか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 二・五%の引き上げということになりますので、私ちょっと暗算が不得手でございまして、この場で金額が幾らということは申し上げられないのですけれども、相当な額の引き上げになるということは、これは言うまでもないことでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 大変重要な数字だと思いますので、委員会が終わるまでで結構ですので、数字の御答弁をいただければというふうに思います。  問題は、財政構造改革法の改正議論と絡んで、年金の保険料率の引き上げという金額が、今計算していただいているかもしれませんが、大変大きな金額になって出てくるだろう。恐らく四兆円を超える負担金額が出てくるのではないかと思いますけれども、大臣として、年金の再計算をしていく中で、かねての計画でいけば段階的に引き上げが予定をされている、その部分と財政構造改革絡み、あるいは景気絡み、あるいは制度改正というものもあるわけですけれども、保険料率というものについて今どういうお考えをお持ちであるか、お聞かせをいただきたいと思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 保険料率は給付と絡んでくる問題ですから、今、年金審議会でも御議論いただいているように、給付をどの程度にするか、それによって保険料をどの程度にするか、国庫負担をどのくらいにするか決まっていきますし、有識者の方々からの御意見もいろいろ聞いていますけれども、今のところ私の耳に入ってくるのは、給付の方も保険料の方もお互いある程度我慢していこうではないか、そしてこの給付と負担の均衡を図っていこうという意見が大体多いというふうに聞いております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 年金制度全体の改革に対して、有識者あるいは恐らく世間全般もそうだと思いますけれども、給付も抑える、あわせて負担の方も抑えていこうというところに大体の合意があるのではないかと思っておりますが、現在の景気回復の状況あるいは財政構造改革の状況等をお考えになって、現在政府としては総合経済対策をおまとめになっておられるわけですけれども、保険料の引き上げというのが可能な状況であるという御認識なのか、あるいはここは避けないといけないという思いでおられるのか、大臣としての御判断をお聞かせいただきたいのです。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 これは、総合経済対策あるいは景気対策とは直接関係せずに、お互いどのような年金制度を今後安定的に運営していくかという一つの制度論、そしてお互いの老後の保障、若い世代との支え合いという観点の方を重視すべきではないかと。現実の景気対策とかことしの総合経済対策とかいう問題に直接絡めるべき問題ではないと私は思っております。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 景気回復の足を引っ張ったのが、消費税もそうですが、医療費の負担増だという御指摘を受けているわけですね。  そういう意味合いで、新たに負担を求めていく、今大臣のお考えとしては、必要なものであるから、きっちりと説明をすれば、そこは負担をしていただけるだろうというお考えだったと思うのですが、いずれにしても、国民に新たな負担を求めるということが景気回復の足を引っ張っているということは事実です、その認識は異にされるのかもしれませんけれども。ということを前提にするならば、なかなかここは難しい問題があるのかなというふうに思うわけです。  そのことと年金制度の改正とは直接的に絡む話ではないと思いますけれども、当面、ここ一、二年の間の年金の制度改正あるいは保険料率の引き上げという問題につながってくる話なので、大臣としての御認識の度合いを、あるいはどういう御姿勢でお取り組みをしていこうとしておられるのかということをお聞きしたがったということでございます。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 次期制度改正の一つの大きな中身としまして、世代間の不公平を是正すべきではないか、こういう大きな問題が提起されているわけですね。このままでは若い世代はどんどん保険料が上がっていくということで、世代間で給付と負担が非常にバランスを失してしまうのではないか、不公平になるのではないか。したがいまして、こういった不公平を少しでも是正するためには、積み立てを前倒しにして、積立金の運用収入でもって将来の保険料負担を下げていくべきではないか。こういうことで保険料引き上げ計画の前倒しということが言われているわけです。もちろん、これに対しましては、足元の景気が非常に悪いということで、保険料の引き上げが消費をさらに抑制してしまうということから、行うべきではないのではないかという意見もございます。  こういった問題につきましては、有識者調査でも国民の声を、有識者の意見をもとめたわけですし、今、年金審議会でも、こういった問題について御議論をお願いしているというところでございます。

山本孝史民主党

○山本(孝)委員 ようやく日本も年金協定が一つできたということで、大変に御苦労さまでございました。先進国の仲間入りを一歩したのかと思いますけれども、大臣を先頭にアメリカ、イギリスとの交渉にぜひお取り組みをいただきたいということをお願いして、時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 福島豊君。

福島豊平和・改革

○福島委員 準備しました質問が山本議員とかなり重なりますので、先ほどからお聞きいたしておりました答弁も踏まえて御質問させていただきたいと思います。  まず、なぜ三十年もかかったかということでございますが、資料を拝見しますと、実質的に仕事をしたのは平成八年から平成九年、この一年間だったと私は思います。要するに、一年かけたら大体できるんだということをこの経過は示している。それまでは、やる気がなかったということだというふうに私は思います。(発言する者あり)助走期間という御発言もございますが、年に一回程度の交渉というのは、ごあいさつのようなものでございますね。  先ほどの局長の答弁、私は非常におもしろいと思いました。アメリカが、昭和五十年代から協議をしてきたけれども、よくよく考えてみるとアメリカは日本との間では得しておる、制度としてもうかっているから、もうやめましょうかと。これも極めて合理的な判断で、きちっと考えておるなと思いました。また、イギリスとの関係では、制度が改正になって事業主負担分が免除されなくなった、それで慌てて、何とかしてくれということで働きかけたのでしょう。  この経過を見ていますと、先ほどるる御説明ございましたが、私は、一番大切な視点が欠けていたのではないかと。一番大切な視点というのは、被保険者の年金受給権をいかに保護するのか、被保険者の保険料の負担における不利益をどうするのか、これについてだれも考えた人がいなかったということではないかというふうに思います。ですから、イギリス、アメリカは今進んでいるようでございますが、ほっておきますとまた同じようなことになるのではないかというふうに思います。  ちなみに、税金の方は四十数カ国とやっておるわけです。税金の方は、事業主さん、企業は直接に負担がかかってきますから、やはり一生懸命ですね。税制も、局長おっしゃられるように、国と国で大分違うわけですよ。違ったとしても、これだけの数字になっているというのは、それだけ働きかけが強かったということだと思います。  一般の被保険者は、働きかけようと思ってもどうしていいかよくわからない、何で払わなければいけないのかと思いながら過ごさざるを得ないというような状況になっているのだと思います。そこのところをおもんぱかって行政を進めるということが一番大切だと私は思いますが、局長の御意見をお聞きしたいと思います。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 三十年かかったということは、いろいろ申し上げたいこともあるわけですけれども、すべてこれは弁解になりますので、批判は甘んじてお受けせざるを得ないと思っております。  ただ一つだけ、先ほどドイツとの関係で申し上げるのを忘れたのですけれども、昭和五十年代初めに二重適用が一部緩和されたということで、ドイツと協定を結ぶ必要性はかなり乏しくなったのではないかということで、私どもがかなり事態を楽観したことは事実でございます。日本から派遣をされて、しかも給料は日本で払っている、こういう一時派遣者についてはドイツの方で年金を適用しない、こういう取り扱いになったわけですけれども、それによってほぼ一〇〇%近く問題が解決できるのではないかと当時見ておったわけです。  ところが、細かな話で恐縮でございますけれども、支店の場合は、日本から派遣されて給料も日本から出るということで、こういう人はほとんどドイツの制度に入る必要はなかったわけですけれども、現地法人とか営業所でドイツの会社から給料をもらう、こういう方は実は二重適用が排除されなかった。しかも、保険者間あるいは州によって取り扱いが必ずしも徹底されていなかったということもございまして、その後、ドイツでは二重適用が緩和されたといいながら、実際は結構まだ二重適用になっている方がいらっしゃる、こういうことが判明して、それで、これではいけないということで協定を結ぼうということにしたわけでございます。  それから、何しろ年金局というのは五年ごとに財政再計算で大戦争ということになるわけで、もうこれどころではないというのが実は正直なところでございます。したがいまして、六年改正が一応めどがついたということで、今度こそ本気でやろうということで、ようやく今回ドイツとの協定にこぎつけたということでございます。  体制も整えていただきましたし、これからは、おっしゃられるような御批判にはこたえられるように、しっかりやっていきたいと思っております。

福島豊平和・改革

○福島委員 よくわかりました。  それで、アメリカとイギリスとの間で今調整に入っているということでございますが、先ほど山本委員からも御指摘がございましたが、ドイツでは既にもう二十七カ国と結んでいる、英国も三十一ですか、米国は十七カ国と。それ以外にそれなりに打診をしているところというのはあるのですか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 幾つかの国から打診がございまして、アメリカ、イギリスは先ほど申し上げたとおりでございます。それからベルギー、オランダ、韓国、イタリア、カナダ、フランス、こういったところから交渉の申し出がございます。

福島豊平和・改革

○福島委員 それぞれしっかりと取り組んでいただくと、あっという間にドイツ並みになるということだというふうに私は思いますが、目標を定めるのはなかなか難しい、まさにそうなんだろうというふうに思います。  日本の仕事も山ほどあるということでございます。しかし、少なくともこの十年ぐらいの間に、一つ一年、十年で十というような、これはまあ精神的なものかもしれませんけれども、一定の目標を定めて頑張っていただけないか、このように思うわけでございますが、大臣の御所見をお聞かせください。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 相手のあることですけれども、できるだけ意欲的に早期に、なおかつ、できるだけ多くの国とこのような協定を結んでいきたいと思います。

福島豊平和・改革

○福島委員 よろしくお願いいたします。  それで、二重に負担されている保険料が一体どうなっているのかということで、先ほど山本議員から御質問がございました。数百億の単位になるのではないかと。ですから、十年、二十年という単位で考えますと、非常に大きな額になるわけですね。  先ほどのアメリカとの対比でいいますと、全体として、やはり日本は損をしているのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 これは各国の在留邦人数とそれぞれの国の在日の外国人の方、これを比べますと、海外在留の日本人の方が圧倒的に多いわけですね。例えばアメリカですと、日本人の方が約十七万五千人いらっしゃいます。ところが、アメリカ人で日本にいらっしゃる方は三万九千人ということでございます。  日本は何といいましても貿易で食べている国でございますので、海外へ仕事で行っていらっしゃる方の方が圧倒的に多いわけですね。したがいまして、この問題というのは、先ほどから御指摘のあるように、まさしく日本の国益にかかわる重大問題だ、こういう認識をしているわけでございまして、そういうことから、これまで取り組みがおくれたというのは反省しておりますし、できるだけ早く各国と結んでいきたい、こういう決意でございます。

福島豊平和・改革

○福島委員 それと、今、アメリカにつきましても、イギリスについても、どのくらいの負担をしているのかということの調査を行っているということでございますが、先ほど山本議員から御指摘のありました期限の問題。  ドイツは、公務員に関しては期限がない、そして民間に関しては期限がある、私は、これは恐らく、仲間内というと失礼ですけれども、つくる過程で、公務員で、外交官の方でも長期に出るわけですから、そういう話もやはりバックグラウンドにあったのかなというふうに想像するのです、これは単なる想像でございますけれども。  ですから、この調査の中で、どの程度在住するのかとか、そういう期間の問題というのもきちっとやはり調査をして、それを交渉に反映させる必要があるのだろうというふうに思うわけでございますが、局長はどのようにお考えでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 今の御想像は全く間違いでございますので、そういうことではございません。  これはドイツの方からまず来た話でございまして、ドイツは公務員についてはぜひ無期限でしてくれと。実はそういうバランスの問題で、それでは日本の公務員が行く場合もということで、同等な取り扱いをお願いしたということです。  それから、何よりも、実はこの問題につきましてはここまで申し上げるつもりはなかったのですけれども、あえて申し上げますと、ドイツの官吏恩給制度というのは無拠出なんですね。ドイツの公務員というのは無拠出で年金がもらえるのです。ですから、そういう方を日本に入れますと、日本にとっては不利なんですね。そういうのも実は裏にあったわけでございまして、それでドイツの申し出に応じたということでございます。  それから、調査に基づいてそれを交渉に反映させるというのは、これはもうおっしゃるとおりでございます。したがいまして、五年とか八年といった場合も、先ほど山本委員にお答え申し上げたとおり、これは調査結果に基づきまして、そういうことであればほぼ九五%、一〇〇%近く問題なかろうということで、五年ということで踏み切ったわけでございます。  したがいまして、今アメリカについては調査を一応終えて分析中でございますけれども、イギリスでも今やっているということで、こういった調査を踏まえて、それが反映できるような形でその交渉をまとめていきたい、こう思っております。

福島豊平和・改革

○福島委員 よろしくお願いします。  それから、先ほど局長の御説明がございましたが、法律施行前に不支給の裁定を受けた場合であっても、この法律が施行されれば、再度申請をして支給となるという御答弁が先ほどの一環であったかというふうに思います。ただ、こういったものができましたよ、期間の通算ということで、今まで不支給になっていた場合でも、もう一度申請をしていただければ支給されますよということについて、きちっとこれは周知をして、不利益をこうむらないようにしていただく必要があるのではないかというふうに思うわけでございますが、この点についてどのような対応をなされるのか、お聞かせいただきたいと思います。

真野章社会保険庁運営部長

○真野政府委員 御指摘のとおりでございまして、なかなか技術的な問題もございますので、内容について御説明し御理解をいただくというのは難しい面もございますし、それだけに努力する必要があるというふうに思っております。  したがいまして、まずはやはり、ドイツにおられる日本人の方、それから日本の企業に十分御説明して理解をしていただくというのが一番肝要だと思っておりますし、また、外務省や在ドイツの日本企業からも、ドイツの都市で説明をしてほしい、こういう要望がございまして、私どもとしては、外務省とも相談して、現地できちっと御説明をするというようなことで、周知徹底をしていきたいというふうに思っております。

福島豊平和・改革

○福島委員 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、障害基礎年金の給付額の案分ということについて、お尋ねをしたいと思います。  これは調査室からちょうだいいたしました資料でございますが、その十九ページには、「給付の額に関する按分計算」ということで、「給付の額に関する特例」の中の二項目として挙げられております。その規定は、「障害基礎年金等、被保険者期間等に関わらず定額が支給される給付の額は、当該定額をドイツ保険料納付期間と日本の年金制度に加入した期間とで按分した額とする。」ということになっているわけでございます。障害基礎年金の場合に、厚生年金保険の被保険者期間を二十年間、ドイツの保険料納付期間を五年間とすると、障害基礎年金を受給する場合には、定額の七十八万が二十五分の二十で案分されて六十二万四千円になるということなわけでございます。  私、これを拝見しまして、本来は定額で支給されるものですから、ドイツの保険料の納付期間がたとえあったとしても満額を支給すべきではないかというふうに思うわけでございます。この点についての考え方の御説明をいただきたいと思います。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 ここの受給額の特例措置といいますのは、従来ですと年金が支給されなかった、年金がもらえなかった、そういう方について、今回の協定によって初めて受給できる、そういった場合にこの特例を決めたということでございまして、これはあくまで、従来もらえなかった人が今回もらえるようにした。これは、ドイツ制度中の事故は日本制度中の事故ですよ、そういうふうにみなしをして日本制度からもそれなりにお支払いしましょう、こういうことで、今回の協定で初めて支給に至ったわけでございます。  その場合はどういう考え方でこの額を決めるかといいますと、それぞれが満額を支給するのではなくて、ドイツはドイツ、日本は日本、それぞれがそれぞれの国の加入期間に応じて支給しましょう、こういうことにしたわけでございます。したがいまして、日本側といたしましては、日本制度の加入期間とドイツ制度の加入期間を案分をいたしまして、日本制度の加入期間だけ、日本制度の加入期間に見合う金額を支給しましょうということで、これは、現状からしますと大変な前進、進歩ではないか、こう思っているわけでございまして、こういう方はまたドイツからもドイツ期間に応じて年金を受給できるわけでございますから、決しておかしなことではないのではないか、こう思っております。

福島豊平和・改革

○福島委員 今まで不支給であったというのは、そちらの方が問題であったわけでして、そこから大きく変わりましたから、これはこれとしていいのですという話ではないと私は思うのです。ですから、日本にずっとおり続けた場合に、本来でしたら満額でもらえる。会社の指示か何かでドイツに行くわけですね。それがために満額もらえなくなるということであれば、そこの不公平が生じると思うのです。  ドイツの加入期間から出る障害年金というのもありますよという話ですが、ですから、それと足し合わせて、満額分よりも多くなるのか少なくなるのかということがあると思うのです。少なくなるのでしたら、日本で満額受け取った場合どうなのかということを基準に、それを支給した方が公平なのではないかと私は思うのですけれども、どうでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 日本から満額年金を支給する場合と、それから、ドイツと日本両方の国からそれぞれの期間に応じて案分をして年金を受給される、それがどちらが高いか低いかということにつきましては、為替レートの問題とかいろいろございますので、これは一概に言えないと思います。

福島豊平和・改革

○福島委員 本来この障害基礎年金は、被保険者期間等にかかわらず、定額が支給されるわけですよ。かかわらずというところが大事なんだと思うのです。ですから、これは要望いたしますけれども、見直しをするということがあるのであれば、見直しをしていただきたいというふうに思います。  次の質問に参らせていただきます。  年金の申請に関してでございますが、ドイツにおる場合にはドイツで申請をするという形もできるということで、それぞれの、日本でしたら社会保険庁、そしてドイツの相当する機関が相互に連携をとって事務処理を進めていくというふうになると伺っております。いたずらにこのやりとりの間で時間が費やされてはいけないのはもちろんのことでございまして、標準的な処理期間というのはどのようになるのか、見通しをお聞かせいただきたいと思います。

真野章社会保険庁運営部長

○真野政府委員 お話のように、協定におきましては、ドイツにおられる方が日本の年金を申請する場合にドイツの保険者に申請書を出していただいてもいい、その場合にはドイツの保険者は速やかに日本の保険者に送付をする、全く逆の場合も規定をされております。  現在、この協定を受けまして、実際この実務を担当いたします日独双方の保険者間で、今先生の御指摘のようなことのないように、できるだけ早く相互に事務を進めるような、いわゆる保険者間協力並びに保険者間協定というものを詰めるべく、努力をいたしております。  御質問の標準処理期間でございますが、現在、年金の権利の確定のためのいわゆる裁定処理についての標準処理期間は、厚生年金の場合、私ども、百五日ということで公表させていただいております。  したがいまして、この協定に基づく年金の処理に当たりましても、この標準処理期間内が遵守されるように、両方で努力をしていきたいというふうに考えております。

福島豊平和・改革

○福島委員 よろしくお願いいたします。  そしてまた、不服の申し立て、裁定等につきまして、ドイツにいる場合には、日本の社会保険庁まで国際電話をかける必要があるのか、そのあたりの手続についてお聞かせをいただきたいと思います。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 この不服の申し立ての場合も、年金の受給申請の場合と全く同じでございまして、現に住んでいる国の機関を通じて申請できる、こういうことでございます。  したがいまして、ドイツに住んでいる方が日本の年金について不服がある、こういった場合は、ドイツの保険者を経由して社会保険審査官等に不服申し立てを行う、こういうことになるわけです。逆も同じでございまして、日本にいる方がドイツに不服申し立てをする場合は、日本の機関を通じてドイツに不服申し立てをできる、こういうことになるわけでございます。

福島豊平和・改革

○福島委員 若干時間が残っておりますが、以上で大体準備した質問を終わりましたので、私の質問を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 武山百合子さん。

武山百合子自由党

○武山委員 武山百合子です。自由党を代表しまして、質問いたします。  皆さん、本当にいろいろ聞かれまして、私も同じようなことを聞こうと思っておったのですけれども、重複すると思いますので、なるべくそこは避けて、他の点で質問したいと思います。  実は私、ぼうっとしておりまして、見ましたら、本当に諸外国で現実に住んでいらっしゃるたくさんの在留邦人の方々に大変朗報だと思いまして、久しぶりにグッドニュースだなと思っております。私もひょっとしたらもらえるのじゃなかろうかなと思いまして、実はいろいろ考えているところでございます。  それで、運用の面でいろいろ聞きたいと思いますけれども、例えば、ドイツに住んで六十五歳になったらもらえるという意味なんですか。それとも、五年掛けた場合、五年以降いつでももらえるという意味なんでしょうか、ちょっとその辺をお聞かせ願いたいと思います。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 今回の協定は、二重適用を排除しようというのが一つの大きなねらいでございます。従来ですと、日本の方でドイツにいらっしゃった方が、特に日本の企業からドイツに一時派遣される方、こういった方が、日本の制度に引き続き加入しなければならない、あわせてドイツの制度にも加入しなければならないということで二重負担になる、しかも、ドイツに行きまして三年とか四年とかで日本に帰っできますと、ドイツで納めた保険料が掛け捨てになってしまう。したがって、二重適用を排除しましょうというのが一つの大きなねらいでございます。  それからもう一つは、非常に長期にわたる場合で、例えば十年いらっしゃったというふうな方でドイツの制度に入っていらっしゃった、こういう方については、ドイツだけで、受給権が発生しない場合もあるわけですので、その場合は、ドイツと日本のそれぞれの加入期間を通算して、ドイツからも支給しますし、日本の加入分については、日本の支給要件に合致しておれば、日本の方からも支給しましょうということで、せっかく保険料を納めたからには、それは掛け捨てにならずに、期間通算をして受給権に結びつくようにしましょう、これが二つ目のねらいでございます。  したがいまして、今御指摘のケースにつきましては、年金というのは、あくまでそれぞれの国の支給要件に合致しなければ支給されないわけですから、六十五歳になったら自動的にもらえるかといいますと、それまで、日本ですと二十五年保険料を納めておかなければ資格要件がないわけですので、あくまでそれぞれの国の支給要件に該当するかどうか、合致するかどうかで、もらえるかどうかは決まってしまう。  その場合に、加入期間が求められている場合、日本は二十五年、ドイツの場合は五年でございます。したがって、その五年とか二十五年を計算するときに、日本の制度だけ、ドイツの制度だけで計算するのではなくて、両国の期間を通算して足し合わせて、二十五年あるか、あるいは五年あるかを計算して、それで支給するかしないかを決めましょう。そういうことで、これまでのような掛け捨てが大幅に減ってしまうということでございます。

武山百合子自由党

○武山委員 そうしますと、日本は二十五年ということですけれども、ドイツは五年以上。すなわち、トータルでドイツはどういうふうになっているのですか。ドイツの在外邦人の方々はどのように考えたらよろしいのでしょうか。日本の場合は、今、基本的には二十五年をある一定の期間ということですね。ドイツの場合は、ドイツに住んでいる在外邦人の方は、どういうふうに基本的には考えたらよろしいのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 ドイツに住んでいる在留邦人の方も、ドイツの制度に五年入っておれば、年金がもらえます。そういうことなんですけれども、実際は、二年とか三年とか、そういうことでまた日本に帰っていらっしゃる、こういう方もいらっしゃるわけですので、そういった場合は年金には結びつかないということでございます。

武山百合子自由党

○武山委員 そうしますと、今のその点で、例えば二、三年あちらの方に行って住んで、二、三年掛けた。それで、一たん日本に帰ってきて、五年に満たないから、日本でしばらく働いてまたドイツに行って、トータルで五年過ぎたら、例えば六年とか七年過ぎた場合は、三年で帰ってきてまた二、三年追加して、すぐじゃなくてもある隔年、日本に滞在してその後行っても、それはトータルで加算されるような仕組みなんでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 おっしゃるとおりでございます。  ドイツに最初三年行かれた、日本に帰ってこられた、それからしばらくしてまたドイツに行かれて、またドイツで三年納められたということであれば、ドイツはトータルで六年になりますから、これはドイツの年金はもらえます。

武山百合子自由党

○武山委員 そうしますと、日本は二十五年ですけれども、五年以上となりますと、話はちょっと飛びますけれども、今、日本で、若年層の方々が、いわゆる国民年金を払わない方がかなりふえているらしいのですね。それは、自分たちは国民年金を払っても、将来自分がもらえないのじゃないか。お互いに支え合うということで年金というのは基本的にはできているわけですけれども、自分だけを考えて、自分がもらえないのじゃないかということで納めていない。そういう状況が今発生しつつあるわけですね。  それで、それだったら、ドイツの場合、五年を過ぎていれば支給されるのじゃないかということで、若年層の方でも五年以上たてば、日本の社会保険庁に申請すれば資格は得られて支給されるという意味に解釈してよろしいのですか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 ドイツの場合は五年というのが資格期間でございますから、五年以上ドイツの制度に入って保険料を納めておれば、年金がもらえます。  ただ、それは、あくまで加入した期間に応じた金額ですから、五年しか納めていなければ五年分ですから、これは本当に微々たるもので、スズメの涙とはいいませんけれども、とても老後生活を送れるような年金額ではないわけです。したがって、資格期間と実際幾らもらうかというのはこれはまた別の話でございますので、五年間で年金がもらえる、だからこれは大いに結構だということには必ずしもつながらないわけです。  それで、日本の場合はこの資格期間が二十五年ということでございまして、これは二十歳から六十歳までの四十年というのが国民年金の加入義務の期間でございまして、四十年のうち二十五年間は制度加入しなければ年金が支給されない、こういう仕組みになっているわけでございます。

武山百合子自由党

○武山委員 五年以上ということで、期間にこだわってそれを奨励するわけではありませんけれども、中にはそういうことを考える方もいらっしゃると思うのですね。  例えば、ドイツは五年、アメリカの場合十年というのもあるのですね。それから、一年を四つのクオーターで四十クオーター、いわゆる十年ですね、それでもらえるということもあるわけです。国によって大変差があると思うのです。日本は基本的には二十五年ということですけれども、そういう差がある国が、それぞれの年金制度があってそこで行われているわけですけれども、日本の場合、例えば運用の面で、被保険者が死亡した場合、遺族年金というのがありますね。それが、例えばこういうときはどうなるのでしょうか。今のドイツと日本の場合、ドイツで支給を受ける場合の遺族年金なんというものは考えられるのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 今回の協定の基本は、お互いが、ドイツ制度にとっては日本加入期間はドイツの加入期間とみなしましょう、日本制度にとってはドイツの制度に加入していた期間は日本制度に加入していた期間としてみなしますよ、こういうことでございますから、ドイツの制度に入っていたときに日本制度の遺族年金の支給要件に該当するということになれば、日本制度から日本の加入期間に応じた遺族年金が支給されるということでございます。

武山百合子自由党

○武山委員 わかりました。ありがとうございました。  それから、今年金の話ですけれども、医療保険も二重加入の現状でもあるわけですね。将来は、医療保険も二重加入防止の対策として、これもやるべきじゃないかなと思いますけれども、視野に入れていますでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 今回は年金が協定の対象になっているわけですけれども、なぜ年金を対象にしたかといいますと、年金制度というのは非常に長期にわたる期間ですし、長期間保険料を納めなければいけない。しかも、保険料もかなり高い保険料を納めなければいけない。それから、受給資格を得るためにかなり時間がかかるということで、制度的に掛け捨てになってしまう場合が出てくる、こういうことで年金を何とか二重加入を防止しましょうということで、今回こういう協定を結んだわけです。  ところで、医療保険につきましては、これは短期の保険なんですね。医療保険というのは短期の保険で、たまには病気にかかる、けがをするということで、掛け捨てになるというようなことが余りないわけです。医療保険については、現地の制度に加入して保険料を納めてもそれなりのメリットもあるし、これについて二重適用を防止してくれという声はほとんどないわけです。したがいまして、医療につきましては今回対象にしていなかった。そういうことで、必要性の高い年金を今回対象にしたということでございます。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

武山百合子自由党

○武山委員 将来はぜひ考えていただきたいと思います。二重加入というのは状況は同じだと思いますので、ぜひ将来やっていただきたいと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 今、そういう話が外国からも来ておりませんので、今のところどうしていいか。今回は年金だけということを考えております。医療保険は対象にしておりません。

武山百合子自由党

○武山委員 揚げ足をとるわけじゃないのですけれども、外国からお話が来ていないからという発想ではなくて、ぜひ、そういうことも日本みずから、日本がどうするかという視野の中でぜひ考えていただきたいと思います。  それから、年金制度ですので、日本とドイツの年金制度の大きな相違点をちょっとお聞かせ願えればと思います。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 年金制度は、本当に歴史的な背景、国民性、そういういろいろな要素がございまして、国ごとに非常に違うわけです。  ドイツにおきましては、年金というのはビスマルクがつくった制度ということで、世界で一番早くできたわけですけれども、ドイツは、要するに被用者、サラリーマンだけを対象にしているということですね。つまり、自営業者というのは自分で、商売の道具とか手段とかあるわけですから、自分の老後は自分で考えなさいということで、サラリーマンは、六十になって例えば定年になりますと、これはもうサラリー以外に何もないと生活していけませんから、そういった方は年金で生活の面倒を見ましょう、こういう考え方なんです。しかも、ドイツの場合は、同じサラリーマンでも、いわゆるホワイトカラーとブルーカラーというのは別の制度でございまして、そういった点で同質性の高い日本とは非常に異質なんですね。それからまた、これは歴史的な経緯もございまして、炭鉱労働者の制度というのは別建てになっているわけです。  それに比べますと、日本というのは非常に同質性の高い国でございますから、農家の方も自営業の方もみんな一億国民は全部年金でカバーされます。そういう国民皆年金の制度でございますし、それから、ブルーカラーでもホワイトカラーでもみんな同じ制度のもとで一緒にやりましょうということで厚生年金は一緒にやっているわけでございまして、そういうことで非常に制度の立て方が違います。  それから、先ほど五年というお話がございましたけれども、日本は二十歳から六十歳までの四十年の間二十五年加入、これが老齢年金の支給要件でございますけれども、ドイツの場合は、これが遺族年金であろうと、障害年金であろうと、老齢年金であろうと、基本的には五年でございます。五年の資格期間ということで、その辺は受給権が早く取得できる、こういうことでそれぞれ制度の立て方、中身、細かいところも含めて随分違っております。したがって、年金通算協定を結ぶということは、それぞれの制度をつなぎ合わせるということでございますので、これがなかなか厄介な大作業を要したということでございます。

武山百合子自由党

○武山委員 その大きな相違点が、かなり溝があったものが、海外在留の邦人はアメリカが一番多いわけですけれども、それではなぜドイツが一番先だったのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 これはやはり、ドイツとの間で昭和四十年代初めから人的な交流がございまして、いろいろ社会保障関係者の間でこの年金問題などを話し合う機会があった。そういう中で、ドイツとの間が一番歴史も古いし、それから今回もそういう中でドイツとの話が一番先にまとまったということです。アメリカにつきましては、先ほど申し上げたとおり、アメリカともやろうということで進めてきたのですけれども、今の二重加入の方がアメリカにとってはプラスだ、こういうことで一度断られた経緯がございまして、そういうこともありまして、アメリカとはできるだけ早く結びたいとは思うのですけれども、おくれておるということでございます。

武山百合子自由党

○武山委員 それはちょっと詳しくお聞きしたいのですけれども、いつごろ断られたのでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 これは昭和五十八年でございます。

武山百合子自由党

○武山委員 そうしますと、昭和四十年代から高度経済成長になりましたから、高度経済成長の半ばぐらいになりますね。  それで、今まさに在留邦人は、アメリカは物すごく多いのですね。先ほどお話にも出たように、こちらの方がかなり掛け捨ての状態だと思います。それで、ぜひ今後交渉を再開していただきまして、早い時期に協定という形になっていただけたらいいかと思いますけれども、その辺は道筋がかなり明らかにできているのでしょうか。それとも全くこれからという感じなんでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 アメリカとの間は、先ほど申し上げましたとおり、当時と比べて円高が進むとか、日本の年金保険料が上がってくるとか、そういうことで、アンバランスといいますか一方的にもうかっている、こういうことでもないということで、アメリカからも、また交渉をやりましょう、こういう話がございまして、今は具体的な話し合いをどういう形で進めるのか、それからそういう協議の日時、場所をいっ設定するのかとか、そういう具体的なやり方について御相談をしている段階でございます。  これは我が方の体制も整いましたし、ドイツとの間で今回こういう協定も結ぶことができまして、いろいろモデルもできましたし、従来のようにだらだら続く、こういうことは絶対あり得ないし、そういうことはやりたくないと思っておりますし、できるだけ早い機会に協定を結びたいと思います。  しかし、イギリス等についても、これもまた早急に結ぶ必要がございまして、イギリスはことしの二月に既に政府間の第一回目の正式な交渉をやっておりますので、これからアメリカ、イギリスを最優先にできるだけ早く結ぶということで協議を続けていきたい、努力したい、こう思っております。

武山百合子自由党

○武山委員 時間になってしまいました。きょうの厚生委員会は本音の議論ができて大変よかったと思います。どうもありがとうございました。

佐藤剛男自由民主党

○佐藤(剛)委員長代理 瀬古由起子さん。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  本法案は、海外に派遣される労働者の年金の二重加入の問題、受給資格に関する問題が一定解決されるものであり、私どもは賛成するものでもございます。本法案に関連して、幾つかの質問をさせていただきます。  この法案は、日本はまだ批准していませんけれども、ILO百十八号条約、百五十七号条約による社会保障の規定、これは年金だけではございません、医療なども含めた規定なんですけれども、一つは内外人の平等待遇、二つ目は取得した権利及び取得途上の権利の保全、三つ目は国外居住者に対する支払いの確保、この三つの側面について書かれているわけですけれども、その条約の趣旨に沿って提案されたものと考えていいでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 ILO条約とこの日独協定との関係でございますけれども、今回の協定は、それぞれの年金制度につきまして、内国民待遇の付与、それから二重適用の防止、それから通算等による受給権の確立、こういったことを定めておるわけでございまして、そういう意味では、この条約というのは今回の協定と同じ趣旨に基づくものである、こういうふうに思います。  ただ、ILO条約につきましては、年金だけではございませんで、御案内のとおり幅広い社会保障の分野を含めているわけでございまして、原則について基本的な枠組みを定めた、こういうことでございます。それに対しまして、今回の協定というのは、日独両国の年金制度につきまして、二重適用の防止ですとかあるいは保険期間の通算、それから両国民の権利義務、こういったものにつきまして具体的かつ詳細に規定したものでございまして、趣旨につきましては、先ほど申し上げたとおり同じ趣旨でございますけれども、内容的にはより個別具体化したものだ、こういうふうに理解をしております。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 この条約に関する規定につきましては、日本では実質的に幾つかの取り組みもされていまして、私は、社会保障制度上の一定の前進が図られているというふうに思います。  今言われましたように、この条約自身は原則的なものを定めたというふうになっていますが、また、実際条文を読んでみますと、かなり細かい問題も出されて、具体的に、例えば医療だとか傷病手当だとか妊産給付だとか障害給付、老齢給付、遺族給付、業務災害給付、失業給付、家族給付、さらにリハビリテーションなども含めた、こういう具体的な事例も出されております。  そういう点で、幾つかのそういう内外人の平等待遇だとか権利の保全の問題なども、一定取り組んではみえると思うのですけれども、今後この条約が批准されていくといいますか、今現在、これを批准する場合に困難な条件というのはあるのでしょうか。それはいかがでしょう。

田中泰弘厚生大臣官房総務審議官

○田中(泰)政府委員 お答えいたします。  先生今御指摘の、まずILOの百十八号条約の関係でございます。年金も含めまして九つの社会保障分野で、他国民に対しまして自国民と同等の待遇を与えるということを規定したものでございます。  本条約の趣旨に沿いまして、我が国では国籍要件の撤廃など、国内法令におおむね実現されているところでございますが、細部について若干一致していないところが残っておりまして、現状ですぐというわけにいかないところでございますが、今後とも検討してまいりたいというふうに思っている次第でございます。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 批准に向けて期間など具体的なめどは立てておられるのでしょうか。その点はどのような努力が今後されていく御予定なんでしょうか。

田中泰弘厚生大臣官房総務審議官

○田中(泰)政府委員 今のILOの百十八号条約の関係で、現在問題として挙げております一つといたしまして、例えば外国人が日本に居住している場合に支給を保証するという規定がございますが、日本の国民健康保険の場合には、国内に住所を有するということで、この住所を有すると居住といったことについての概念が一致しているかどうか、こういったことについての詰めが必要だということで、外務省等とも相談を進めているということでございます。  それからまた、百五十七号条約の関係は、まさに今回の日独の通算協定と同じような流れの条約でございまして、それの基本的な条約でございますが、締約国は諸外国でもまだフィリピン、スウェーデン、スペインの三カ国ということでございまして、この百五十七号条約は、その基本的なところを決めておる条約でございます。その具体化は二国間の協定ということでございまして、今回の日独を皮切りにいたしまして、各個別に各国の間で協定を積み重ねていく、その状況を見ながらこの百五十七号条約について検討していくということになろうかと考えております。  以上でございます。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 批准の期目的なめどはつくっておられないですか。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

田中泰弘厚生大臣官房総務審議官

○田中(泰)政府委員 今の日独を初めとします協定の状況、それから諸外国の参加の状況等を踏まえながら検討ということで、今の時点では明確なめどは持っておりません。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 厚生省は、年金改革の五つの選択肢を提案しています。その中に厚生年金の廃止案も含まれているわけですけれども、例えばこのような二国間の協定が結ばれて社会保障、今回は年金の問題ですが、今後、条約に基づいて各国とのさまざまな協定なども結ばれていく可能性がございます。そういう場合に、せっかくこのような国際的な取り組みが社会保障の改善充実の方向で取り組まれているのですけれども、一方の国がどんどん社会保障の切り下げだとか年金の切り下げをやるということになりますと、国際的な信頼関係を失うということもあるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 各国とも高齢化問題というのは大変苦労しているわけでございまして、ドイツも日本に劣らずというか、日本以上に年金制度が大変だということで、ここ数年、非常にドラスチックな改正に取り組んでおります。これは、日本もドイツも年金を取り巻く基本的な状況というのは変わりないわけです。  それで、今回の協定におきましても、お互い両国で、こういう年金制度の改正が行われた場合には綿密に情報交換しましょうということにいたしておりまして、ドイツの制度が変わるあるいは日本の制度が変わる場合には、お互い情報交換をして、今の協定で問題ないのか、何らかの手直しが必要なのか、これは両国間でお互いよく御相談しましょうということにしておりますので、この協定とそれぞれの国内法の改正の問題というのは、そういう形で適切に対処していきたいと思っております。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 お互いに改定は当然あるわけですけれども、先ほど損だ得だというお話がございましたが、受給者にとっては、日本と結んだばかりに逆に大変水準が引き下がったというようなことがあってはならないと思うのですね。それはお互いにこういう国際的な協定を結ぶ中で努力して、今回の場合は年金ですけれども、年金の支給を引き上げていくといいますか、改善していく、充実していくという中でこういう国際的な協定なども結ばれていくのがふさわしいのではないかというように思うのですが、その点、大臣の御意見はいかがでしょうか。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 受給者に不利にならないように改善したということを御理解いただきたいと思います。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 そのように今度の年金改定についてもしっかりと踏まえて論議をしていただきたいというように思っております。  本法案は、現状の問題点、さまざま出されておりますけれども、その救済と改善をするという提案となっていると私も考えていますが、労働者にとって不利になる場合はないというように考えていいでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 今回の協定は、これまで二重適用になったり掛け捨てになったりといった方を救うということで、プラス面は多々ございますけれども、マイナス面は一つもございません。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 これに関連して、配偶者、子に係る国民年金についてでございますが、日本では、二十歳以上の学生の国民年金への加入が義務づけられております。世界では、学生に年金への加入を義務づけている国はないわけですね。保険料の支払いは父母が負担しているというのが、厚生省の調査の中でも明らかになっているわけです。  こういう場合に、世界でも特異な、学生への年金の掛金を義務づけるという問題点を本当に排除するためにも、保険料の免除というものを今全学生に広げるべきではないかというように私は思うのですけれども、いかがでしょうか。  きょう年金審議会が開催されているようですけれども、この学生の年金問題も審議されていると聞いております。そういう意味で、厚生省は、この学生の年金の保険料免除の問題を改善の方向で検討すべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 学生の問題につきましては、従来任意加入であったわけですけれども、障害が発生した場合にも障害年金を受給できるようにすべきではないか、こういったことがいろいろございまして、平成三年から強制適用になったということでございます。  ただ、今委員の御指摘にもございましたように、学生につきましては、所得がないにもかかわらず保険料を納めなければいけない、そのために親が、学費で非常に金がかかる時期に国民年金保険料まで負担しなければいけないということで大変だ、いろいろな声があるわけでございます。  そういうことで、今回、年金審議会におきましても、その学生の問題というのも一つの検討課題ということで取り上げておりまして、例えば仕事についてから、収入が上がるようになってから追納、出世払いの仕組みにしたらどうか、あるいは障害年金だけの保険料を納めていただいたらどうだろうかとか、いろいろな提案もあるわけでございまして、次期制度改正の一つの検討課題ということでこの問題を検討してまいりたいと思っております。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 厚生省の出した資料でも、学生の保険料の未納の理由は、保険料が高く経済的に払うのが困難だという方が五五%、こういうふうに大変大きいわけです。また日本の学生の授業料、教育費というのは世界一と言われて、父母にとっても大変大きな負担になっております。その点でも、ぜひ改善を要請したいというように思います。  我が国の社会保障の分野における、今回初めての協定に伴う本法案の提案でありますけれども、これを機会に、社会保障の分野でも日本の国が国際的にリードできる役割を大いに果たせるよう強く要請して、質問を終わります。  以上でございます。ありがとうございました。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 先刻の山本委員の質疑に関しまして、政府から答弁の申し出がありますので、これを許します。矢野年金局長。

矢野朝水厚生省年金局長

○矢野(朝)政府委員 先ほど山本委員から御質問がございました件につきまして、追加で御説明させていただきます。  平成十一年度の標準報酬の総額は、百三十四・五兆円になると見込まれております。厚生年金の保険料率が一%上がりますと、一・三兆円の保険料を新たに負担をお願いするということになります。先生御質問のように、仮に平成六年財政再計算の計画どおり現在の一七・三五%を一九・五%に引き上げた場合には、これは労使の合計でございますが、満年度ベースで二・九兆円。十月以降分だと一・四兆円、これも労使合計でございます。この負担を新たにお願いすることになります。  以上でございます。

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出、参議院送付、社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

柳沢伯夫自由民主党

○柳沢委員長 この際、御報告いたします。  去る三月三十日、調査局長に命じました後天性免疫不全症候群の予防に関する法律案策定過程に関する予備的調査につきまして、去る四月三十日、報告書が提出されましたので、御報告いたします。  なお、報告書につきましては、同日、私から議長に対し、その写しを提出いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十分散会      ————◇—————

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