本会議 第2号
- 発言数
- 21 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1997/10/02
会議録
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日) 去る九月二十九日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。田村秀昭君。 〔田村秀昭君登壇、拍手〕
○田村秀昭君 私は、平成会を代表して、我が国が直面する数多くの課題について、橋本総理及び関係閣僚に対し質問をいたします。 まず、橋本総理の政治に対する基本的姿勢について質問いたします。 先日、橋本総理は、今回の臨時国会の開会に当たり所信を表明されました。しかし、総理の演説は自画自賛であって、その内容は抽象的かつ総論的であり、国民の心を揺さぶり、二十一世紀に向かって先頭に立って改革をなし遂げていくという気概は全く伝わってこないのであります。 具体的に申し上げれば、総理の演説で、検討するが二カ所、努力するが六カ所もあるということは、重要な事項はすべて逃げの姿勢に徹するということでありまして、役人言葉で検討する、努力するとはやらないということと同義なのであります。 最近の世論調査の結果を見ましても大半が自民党政権では改革はできないとしており、先般の行政改革会議の中間報告に対する評価も厳しいものがあります。旧来のシステムに安住して既得権益の擁護に奔走する自民党内閣及び自民党には改革はできないと、国民は直観的に感じ取っているのであります。改革の原動力は国民そのものであり、国民の政治に対する信頼であります。その政治に対する国民の信頼を失ってどうして改革ができるでしょうか。 国民の政治に対する信頼を失ったその元凶は、橋本総理を初めとする自民党内閣と、理念なき野合にすぎない自民、社民、さきがけの連立政権にあると言わざるを得ないのであります。 橋本総裁率いる自民党で三役が留任することの決まった九月十一日には株式市場の日経平均は四百二十二円、そして翌十二日、橋本改造内閣が発足した日には日経平均は三百十六円下げとなり、両日で七百三十八円もの大幅下げとなったのであります。これは、日本の株式市場が橋本政権では経済の立て直しも改革もできないと不信任状を突きつけたことと全く同じなのであります。総理の御答弁を求めます。 政治に対する信頼という観点から、最近の事例を取り上げて二つの質問をいたします。 まず第一に、今回の自民党役員人事で加藤紘一幹事長、山崎政務調査会長、森総務会長が留任されましたが、幹事長は共和疑惑、政務調査会長と総務会長は泉井事件との関連を取りざたされており、これらについて国民は疑惑のまなざしをもって行く末を見守っているのであって、決して納得しているわけではありません。 さらに加えて、今回の内閣閣僚人事で、ロッキード事件で有罪が確定した佐藤代議士を国務大臣総務庁長官に任命し、国民の大反対の声とマスコミによるバッシングともいえる攻撃に辞任を求めるという大醜態を演じたことは記憶に新しいところであります。世論の動向を見定めたかのように、社民党は反対の立場を表明しましたが、実はこの就任は三党合意のもとでの決定であったのではないでしょうか。そうでなければ、なぜ社民党は組閣の段階で反対しなかったのか、疑問であります。結局、国民世論の動向に格好をつけたにすぎないと思わざるを得ません。佐藤長官が辞任したからといって、任命権者である橋本総理の責任は逃れられるものではありませんし、不明をわびるの一言で済むような問題ではないはずであります。 そのような意味でも、今回の橋本内閣は、倫理観の欠如した政治不信増幅内閣以外の何物でもないと言わざるを得ないのであります。総理の御見解を賜りたいと思います。 第二は、政府及び自民党の改革に対する取り組みの姿勢の問題であります。 本年九月十三日付朝日新聞の報道によれば、終戦記念日の八月十五日に当時の梶山官房長官が橋本総理に辞意を伝えられたのでありますが、そこで、「私はおひまをいただくが、加藤君や山崎君に任せていたら、有事法制や行革は全部参議院選後にずるずる先送りだ。龍ちゃん、あんたの政権が大変になるんだよ」と説いたが、総理は耳をふさいで「聞こえないよ」と言われたとされています。 自民党の内部から見ても、事ほどさように、火だるまになっても改革をやり遂げるという総理の言葉とは反対に、なし崩し的に問題を先送りする方向に走りつつあるのではないのですか。六大改革は単なる仮面にすぎないのではないですか。総理の御見解を伺います。 次に、喫緊の課題である橋本内閣の経済政策について質問をいたします。 先日、経済企画庁が発表した統計によりますと、本年四月から六月期の国内総生産、GDPは実質で前期比二・九%減で、年率に換算してマイナス一一・二%と、第一次石油危機直後の昭和四十九年一月から三月期の三・四%減以来二十三年ぶりの落ち込みであります。これは大変なことであります。 経済企画庁は、駆け込み需要の反動減は四月から六月期に大半が出た、七月から九月期は再びプラスに戻ると、景気の回復基調に変化がないことを強調しておりますが、景気回復の好材料は何ら見当たらないのであります。消費税の五%への引き上げ、二兆円の特別減税の打ち切り、九月からの医療費の負担増、社会保険料率の引き上げなど可処分所得が減少する中で、個人消費が拡大するどころではありません。国民は重税感と過重負担感にあえいでいるというのが実態であります。 また、企業にとっても設備投資は一・五%減、住宅投資は一一・五%減と不況感と閉塞感にさいなまれているのであります。民間調査会社の調査によりますと、本年一月から八月までの負債総額の累計は八兆千三百五十一億円にも達し、既に昨年の年間総額を上回っており、一月から八月までの倒産件数も一万四百四十六件と十一年ぶりに一万件を突破しているのであります。 個人消費も伸びず、民間投資も低迷し、企業の倒産が続出している状況は、まさに日本経済は危機的状況を呈していると言わざるを得ません。私どもは、第百四十回国会でも消費税の三%据え置き、特別減税の継続を行い、個人消費の拡大を図り、経済をしかるべきレベル以上に成長させるべきであると提唱してまいりましたが、経済の現状は回復傾向にあり、案ずるに及ばないとの答弁でありました。個人消費と民間投資の主導による三ないし四%の自律的経済成長を実現することにより、まずは税収を回復させ、行政改革の成果と相まって財政再建を推進すべきであります。米国の例を見ましても、しかるべきレベル以上に経済が成長していなければ改革などできるものではありません。 さらに言うならば、日本経済をこのように危機的状況に陥れている根底にあるものは、政治を初めとする行政、経済システムヘの信頼の欠如であると考えられます。 経済学者ケインズは、経済を安定させ、繁栄させる最も基本的条件は確信の状態である、確信の状態とは、国家や社会が安定し、政治に信頼があり、確かな経済設計が存在することである、政治が弱体であり混乱する国家で、経済だけが発展するなどということはあり得ないと述べております。 これらの指摘を踏まえて、今このように危機的状況にある日本経済を今後どのようにかじ取りしていかれる御所存なのか、橋本総理の御答弁を求めます。 次に、橋本総理の提唱された六つの改革について質問をいたします。 行政改革につきましては、先般、行政改革会議の中間報告がなされ、一府十二省庁に再編することが提案されましたが、国民の大半は、看板のかけかえであって、政府の仕事をどう減らすかの筋道が見えておらず評価できないと厳しく指摘しております。 行政改革の目的は、単なる省庁の数減らしや経費の削減だけではなく、官による規制と介入を撤廃して、中央集権から地方主権へと仕組みを改革して、自由で秩序ある自立的な社会を創造することにあります。 国は、外交、安全保障、危機管理、基礎的社会保障など、国家と国民生活の根底にかかわる分野を担当すべきであり、中央と地方の役割分担を明確にした上で、目標達成の期限を定めて中央省庁の再編を図りつつ、あわせて公務員数を大胆に削減する必要があります。それに伴って生じてくる雇用の問題は、改革に伴って必然的に発生する問題であり、新規産業等の雇用の創出によって賄う必要があります。 見ばえのよい絵を描くだけではなく、改革はコストなしには実行できないものであることを国民に対して明確に説明する必要があると考えますが、総理の御見解を伺います。 財政構造改革につきましては、平成九年度を財政構造改革元年と位置づけて平成九年度予算が編成されましたが、予算の実態は財政構造改革とはほど遠く、国債発行額の四兆三千億円の削減にしましても、歳出削減努力によるものではなく、消費税引き上げと特別減税の取りやめ、各種保険料の引き上げ等の実質的増税によるものであったのであります。さらに、財政構造改革五原則が示され、各種長期計画の見直しがなされておりますが、公共投資は三年間、ウルグアイ・ラウンド対策費は二年間、総額を変えずに延長したにすぎません。また、財政投融資問題には全く手をつけておりませんし、二十八兆円にも達する旧国鉄債務の処理についても何ら言及されておらず、これで財政構造が改革できるとは到底考えられません。総理の御見解を伺います。 社会保障構造改革につきましては、世界でも類を見ない超少子・高齢社会を迎え、二〇〇八年からは人口の減少が始まると予測される中で、いかにして社会の活力を維持しながら国民生活を守っていくかが課題とされております。 その中でも中核をなすものは年金制度と医療制度でありますが、年金制度につきましては一九九九年まで年金審議会の取りまとめを待つのみで、何らの措置もとられない現行の計画では、早晩、財政破綻を来すことは明らかであります。 また、医療制度につきましては、現存の十分なる医療資源の効率的利用をゆがめている医療保険制度そのものを見直すべきところ、先般公表された医療保険改革案は、被保険者たる国民に大幅負担増を求めるだけであって、改革の名にも値しないと言わざるを得ません。 また、政府の提唱する介護保険制度につきましても、安易に保険制度方式を導入し、現役世代に過度の負担を求めることとなっているのみならず、介護の質の低下が懸念されるところであります。これらについて総理の御見解を伺います。 経済構造改革につきましては、「経済構造の変革と創造のための行動計画」が決定されましたが、内容は総論的で実態が伴わず、二十一世紀に向けて我が国の経済が活力ある姿に転換するとは到底考えられません。 先ほども申し上げましたが、ケインズの提唱するところの国家の政治、経済システムを確信の状態にすることが先決でありますが、次に、小さな政府とすることによって経済への政治の関与を縮小し、直接税の大幅減税と規制緩和、公共料金の引き下げ等によって、まず民間市場経済をサプライサイドから活性化する必要があると考えますが、総理の御見解を伺います。 金融システム改革につきましては、フリー、フェアでグローバルな金融市場を目指すことに異論はありませんが、まず改革以前の問題として、フェアという観点から、今回の第一勧銀及び野村、山一、日興、大和の四大証券の不祥事について、監督官庁である大蔵省の責任についてどう考えて処置されたのか、大蔵大臣に質問いたします。 次に、金融市場をフリー、フェアでグローバルなものに改革するということは、従来の護送船団方式を排して全くの国際的自由競争にさらすということでありますが、不良債権の処理に関連して経営破綻に陥る銀行、証券、保険業も出てくることとなりましょうが、預金者の保護に配慮しながら、従来、ともすればなおざりにされてきた経営者の自己責任の原則を前面に押し出して、金融業界の体質を抜本的に改善する決意を持っておられるのか、総理にお尋ねをいたします。 最後に、教育改革についてでありますが、私は第百四十回国会参議院予算委員会でも申し上げましたが、自虐的で虚偽に満ちあふれた中学校の歴史教科書を採用しておいて、どうして青少年が日本はすばらしい国であると誇りを持ち、正しい価値観を持つことができるでしょうか。どうして将来に夢や希望を抱き、創造性とチャレンジ精神を持った青少年が育成できるのでしょうか。総理の御見解を承ります。 以上、六つの改革についておのおの問題点を指摘してまいりましたが、総理の提唱される六つの改革は人気取りを目標にした単なる思いつきにすぎず、十年後、二十年後の日本をどの方向に導いていくのかという基本理念が全く欠落しており、国家像を描き切れていないと言わざるを得ません。我が新進党の提唱する「日本再構築宣言」に言う国家像をぜひとも御一読賜りますよう願うものであります。 次に、日米防衛協力の指針の見直しを含めて、防衛にかかわる基本的問題について質問をいたします。 私見ですが、私はかねてより、防衛庁を国防省に、自衛隊を国防軍に、統合幕僚会議議長及び陸海空三幕僚長を認証官にと主張してまいりました。第百三十六回国会参議院本会議でも橋本総理に質問をいたしましたが、防衛庁が総理府の外局として位置づけられている現行制度はすぐれたものであり特段の支障はない、自衛隊は憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ないなど制約を課せられており通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものであるが国際法上は軍隊である、自衛隊の名前も国民の中に十分定着しており変更する必要はない、さらに、認証官については考慮すべき問題点はあるものの取り扱いを変えるということは考えていないとのことでありました。 私は、このような答弁が国際社会で通用するとは到底思えませんし、現状は、自民党政権が国家存立の基礎である防衛庁、自衛隊をないがしろにして既存のシステムの微調整を繰り返してきた負の遺産であると考えております。 防衛庁を国防省にとの問題については、行政改革会議の中間報告では両論併記とされ、委員の中には、国防省に変更すると周辺諸国は日本が軍事大国化するとの懸念を抱くこととなる等の意見があったと承っておりますが、国家存立の基礎である安全保障、防衛の問題をなぜ卑屈なまでに周辺諸国の反応をうかがいつつ決めなければならないのでしょうか。世界じゅうあるいは周辺諸国の中に、国防省を設置せず軍隊を保有していない国があるのならば御教示いただきたいと存じます。 次に、実務的な観点から省への格上げの必要性を述べさせていただきます。 防衛庁はいわゆる大臣庁ではありますが、防衛庁長官は内閣法に言ういわゆる主任の大臣ではないことから、所管の法律案の制定、改廃について閣議の開催を求める閣議請求権を有していないのであります。さらに、防衛庁の所掌事務は量的にも極めて膨大であり、総理府を経由して事務処理を行うという非効率性はぜひとも改善する必要があります。また、自衛隊の行動については、緊急時には閣議に諮ることなく内閣総理大臣が直接指揮できるように内閣法を改正する必要があります。現行制度で特段の支障がなかったとのことでありますが、それは、平和な時代が続き、幸いにして瞬時を争うような総理大臣の決断が求められることがなかったからであります。再度、総理の明快なる御答弁を求めます。 次に、自衛隊を国防軍にとの問題でありますが、私は名前のことだけを申し上げているのではありません。外敵と戦いを交えることを任務とするものは軍隊であり、組織を整え、有事法制を整備して、名実ともに軍隊として認知すべきであると申し上げているのであります。憲法上は軍隊ではないが国際法上は軍隊であるとか、戦車、艦艇、戦闘機を備えていながら軍隊ではありませんと詭弁を弄するからこそ、周辺諸国が疑惑のまなざしをもって我が国を見ることになるのだと考えられます。 侵略戦争は行わないが、我が国に対して急迫不正の侵害があった場合には自衛戦争は辞さないことと、そのため軍隊を常備し、その最高指揮官は内閣総理大臣であること及び日本国国民はすべて国防の義務を負うことを憲法なり安全保障基本法に明示すべきであると考えるものであります。総理の御答弁を求めます。 次に、統幕議長及び陸海空三幕僚長を認証官にする問題でありますが、国務大臣、最高裁判所判事、検事総長、特命全権大使が認証官であって、命をかけて国を守る自衛隊員の最高位に位置する統幕議長等をなぜ認証官にすることができないのでしょうか。事務次官等が認証官になっていないとのことでありますが、事務次官は省庁内の事務を統括するのであって、自衛隊の行動は防衛庁長官の命を受けて幕僚長が執行するのであります。つまり、統幕議長等は事務次官とは本質的にその職責が異なるのでありまして、なぜ自衛隊員に誇りと地位を与えることになる認証官制度を統幕議長等に適用しようとはされないのか、総理の御答弁を求めます。 次に、日米防衛協力の指針の見直しと関連事項について、四つ質問をいたします。 日米防衛協力の指針の見直しについては先日の2プラス2会議によって終了したと承っておりますが、今後は同指針に基づく共同作戦計画及び相互協力計画等をぜひとも実効あるものにしていただきたいと、まずは強く念願するものであります。 まず第一に、日米防衛協力の指針は、本来的に考えてみますと、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」の項は、日米安全保障条約第五条に基づく具体的行動の枠組みを定めるものであって、何らの疑念を挟む余地はありませんが、「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力」、いわゆる周辺事態における協力につきましては、合衆国軍隊に対する基地提供義務のみが要求されている第六条の範囲を超えるものでありまして、原則的には同条約第六条を改正して、合衆国軍隊が日本国において施設及び区域を使用することが許されるものとし、日本国は必要に応じて所要の支援を行うものとすると明記すべきであります。 このような観点からしますと、政府が主張し、かつ同「指針の目的」並びに「基本的な前提及び考え方」に示されている条約ではなくてあくまでガイドラインであるというのは詭弁でありまして、既存のシステムの微調整によってなし崩し的に物事を処理しようとする本来の姿勢のあらわれ以外の何物でもないのであります。 誤解を招かぬために申し上げておきますが、私は、いわゆる周辺事態において日本は協力すべきでないと申し上げているのでは全くないのでありまして、正々堂々と条約を改正して協力すべきであると申し上げているのであります。しかしながら、条約改正に至るためには、時間的制約もあり、困難であるということであれば、同指針を是認することにやぶさかではありませんが、少なくとも、我々が主張している国会承認の対象とすることが前提であります。総理の御見解を伺います。 第二に、周辺事態につきましては、地理的範囲を特定する概念ではないことを明記したとのことであり、至極当然の結果であり、評価するものでありますが、それにしても、今回留任した加藤幹事長が訪中時に、中国軍の近代化は日本にとって何ら脅威ではないし、台湾海峡は周辺には含まれないと述べたと報道されておりますが、もし事実であるとすれば大きく国益を傷つけたと言わざるを得ないと考えております。 一国の政権政党の幹事長で、しかも過去に防衛庁長官を務めた人物が、中国軍の近代化は日本にとって脅威とはならないとはいかなる認識に基づくのか、周辺事態には台湾海峡を含まないとはどのような戦略的思考に基づくのか、全く理解できないところであります。総理の本件に関する御見解と国益に関する考え方についてお聞かせください。 第三に、私は、将来の日米防衛協力関係は真の同盟のあるべき姿を追求して、主体性を持ちつつ米国と協力すべきであるし、それがひいては日米関係を盤石なものとし、アジア太平洋地域の平和と安定に寄与するものであると確信しております。しかし、そのためには、自衛隊に新鋭装備を与えるだけではなく、それを十分に機能させるに足る予算と関連する法制を整備する必要があります。 九年度予算で、防衛関係費は対前年度伸び一・九八%で四兆九千四百十四億円と査定されましたが、そのうち四三%は人件・糧食費、三七%は国庫債務負担行為、いわゆるツケ払いの歳出化経費で、残る二〇%の九千八百六十二億が一般物件費で、そのうちの五四%が日米特別協定に基づく基地対策経費となっているのであります。 つまり、自衛隊が部隊の維持運営に使える経費は防衛予算全体の八%にすぎないのであります。これで部隊は装備品を購入し、整備、修理を行い、燃料を購入して訓練を行い、しかも部隊の光熱水道料から隊員の医療費までを賄わねばならないのであります。したがいまして、部隊の訓練の質と量はここ数年来著しく低下しているのみならず、それに起因すると思われる事故も発生しております。 さらに、部隊によってはワープロ、パソコンから防虫クリーム、手袋などに至るまで隊員が私費で購入しているのが実情でありまして、隊員が自腹を切って部隊の装備品を調えている国などは聞いたこともありません。これはまさに政治の責任そのものなのであります。 これらの自衛隊の実情について、総理及び防衛庁長官はどのように認識しておられるのか伺います。 第四に、北朝鮮が最近日本海側にノドン一号を再度配備したと伝えられておりますし、中国は東風31型というアメリカ西海岸に到達し得る核弾頭装備の移動式大陸間弾道弾を配備しつつあることは御案内のとおりであります。これらのミサイルがもし日本に指向された場合には、今の自衛隊の装備では全く防御し得ないことを多くの国民は知らされていないのではないでしょうか。これらのミサイル攻撃から国民の生命、財産を守るため、私は、米国が開発中の戦域ミサイル防衛、TMD構想に早急に参画すべきであると考えるものであります。さらに本構想は極めて高精度の先端技術を適用しており、参画することによってより高度の技術を持つ防衛基盤が育成されるのであります。 例えば、市ケ谷に置いた銃が三十七キロ離れた立川の自衛隊に置いた十円玉を今の技術では一発で射抜くと仮定いたしますと、このTMDに参画することによって、市ケ谷から三百七十キロ離れた名古屋城のしゃちほこの目玉に置いた十円玉を一発で射抜くことになるのであります。このような精度の高い、しかも完全にミサイル防衛に徹した防御の兵器であります。 ぜひ防衛庁長官、調査費で調査研究をされていると聞いておりますが、いつまでもされないで、できるだけ早くこの開発計画に参画されることについて御意見を賜りたいと思います。 本年九月十九日から航空自衛隊が実施している航空総隊総合演習は、当初、沖縄那覇基地を中心とした空域で実施する計画であったものを、沖縄周辺での訓練は中国を刺激すると判断したため、三沢基地を中心とした東方訓練空域に変更したと報道されておりますが、どのような理由で変更されたのですか、防衛庁長官の御答弁をお願いいたします。 最後に、外交問題について質問をいたします。 北朝鮮問題でありますが、日本人妻の里帰り交渉は行われているものの、日本人拉致疑惑問題については何らの進展が見られていないと承っております。このような状態で、小渕外務大臣は、人道的見地から北朝鮮に対する米支援も考慮すると発言されたかのごとく報道されていますし、政府は既に七万トンの政府保有米を国連を通じて支援することを決定したとも報道されています。 もしもそれが事実であるとすれば、日本の国益を損なうことは甚だしいものがあると言わざるを得ません。日本人を日本国内で拉致するということは、我が国の主権侵害以外の何物でもありません。主権を侵害されておきながら米を無償提供するほどのお人よしは、全世界を探しても見当たらないのではないでしょうか。 第百四十回国会参議院外務委員会でも、当時の池田外務大臣は、拉致問題については難しいところもあるが真剣に対処してまいりたいと答弁されておりますが、どのように真剣に対処してこられたのか、外務大臣にお伺いいたします。 私は、我が国が直面する数多くの課題について質問をいたしてまいりましたが、今の日本はとても国家としての体をなしていないと強く感じている次第であります。江藤淳先生が申しておられるように、今の日本は、普通の国どころか変な国ですらなく、国とは言えない奇妙な実体が国ごっこをしているにすぎないと思われるのであります。 国家が国家として、国として存続するためには、国内治安を維持するための警察と、国外からの侵略に対処するための軍隊を具備することが不可欠の要件であります。私は、自衛隊を軍隊として正しく認知して危機に備えるとともに、必要とする場合には、政治のコントロールのもと、粛々と行動できるようにしておくことが国家としての最小限の条件であろうと思うものであります。 二十一世紀を迎えるに当たって、我が新進党の「日本再構築宣言」で述べておりますように、我が国が一日も早くグローバリゼーションに対応でき、政治、経済、軍事、社会、文化、スポーツ等のあらゆる分野でバランスのとれた国家となることを心から切望して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 田村議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず冒頭、株式市場の反応、自由民主党三役人事、また佐藤孝行氏の問題などを例に挙げられながら、国民の政治不信について強いお問いかけがございました。この点のついては、私は、その批判を甘受し、おわびを申し上げたところでありますが、今後ともに国民の皆様の声に十分耳を傾けながら、行政改革を初めとする政策課題に全力を尽くしていくことにより、また政治倫理等に関する三党確認に基づいて政治倫理の確立に向け、国民の信頼の回復に最大限努力していきたいと考えております。 次に、六大改革の先送りという御批判をいただきました。 しかし、少子・高齢化や経済のグローバル化が予想された以上のスピードで進んでおります中において、今改革をしなければ社会の活力が失われてしまう、そんな思いからこの改革を内閣の最重要課題として一生懸命に取り組んでまいりました。そして、これからが正念場でありますだけに、議員各位、国民各位の御協力を心からお願い申し上げ、御理解を賜りたいと願っております。 次に、今後の日本経済のかじ取りについての御意見をいただきました。 最近の景気動向を見ますと、足元は回復のテンポが緩やかになっておりますものの、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いており、年度後半には景気の回復傾向が見られると考えております。今後ともに経済の動向を注視し、経済構造改革の強力な推進を初めとして適切な経済運営に努めてまいります。 次に、行政改革についてのお尋ねがございました。 議員の御意見にもありましたように、地方分権や規制の撤廃、緩和がそれに先行していくことは当然のことであります。近く提出されます地方分権推進委員会の第四次勧告をいただき次第、地方分権推進計画の作成に本格的に取り組んでまいりますし、また規制緩和につきましては、これまでも歴代の政府が一生懸命取り組んできたところでありますけれども、さらに前倒しを含めて規制の緩和と撤廃に強力に努力していきたいと考えております。 行政改革会議の検討は、まさにこうした徹底的な規制の撤廃と緩和を断行していくこと、民間にゆだねるべきはゆだね、地方分権を進めていくということが大前提になって、その上での中央省庁再編であり、国の組織、人員、予算の規模をできる限り絞り込んでいこうといたしております。 議員も御指摘になりましたように、こうした努力には摩擦や痛みが伴うことは当然であり、こうした中で、それを乗り越えながら、個人の尊厳と幸福、自由で公平な社会を築いていきたいと考えております。 次に、財政構造改革についての幾つかの御指摘をいただきました。 今世紀中の三年間を集中改革期間とし、この間、一切の聖域なしで歳出の改革と縮減を進めることとして財政構造改革法案を提出させていただいております。財政構造改革は将来の世代に対する我々の責務でありますし、改革を着実に実施していかなければなりません。 なお、財政投融資につきましては、民業補完や償還確実性の原則を徹底しながらスリム化を目指すとともに、預託制度のあり方を見直してまいりたいと考えております。 次に、年金、医療、介護についてのお尋ねがございました。 介護保険法案につきましては、無理のない保険料の負担によりまして、現在家族に重い負担となっている介護を社会全体で支えながら、総合的に介護サービスが利用できる仕組みを創設するとともに、社会的入院の解消等医療の効率化にも資するものといたしております。 また、医療につきましては、安定した医療保険制度を築き上げていくという観点から、医療提供体制と医療保険制度の両面につき国民的観点に立った抜本的な改革を進めてまいります。 さらに、年金につきましては、将来の負担を見据えて抜本的な改革を行ってまいりますために、国民的な御議論を十分尽くしていただくことが重要であり、改革を平成十一年より早めるのには困難な面があると考えております。 また、経済の活力を回復する、その点についての御指摘もございました。 本院で申し上げましたように、私は、景気回復に従来のような力強さを感じられない、これは構造的な問題のあらわれではないかととらえております。規制の撤廃と緩和を初めとして、経済構造改革に関する政府の行動計画の可能な限りの前倒しと同時に、新たな施策の追加も含めたフォローアップを年内に行うなど、内閣を挙げて経済構造改革を強力に進めてまいります。 法人課税につきましても、経済構造改革を進める観点から、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げる方向で検討を行い、十年度税制改正において結論を得ることといたします。 公共料金につきましては、従来から物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取り扱ってまいりましたが、さらに、参入規制の緩和による競争環境の整備などを通じ、一層の低廉化を図ってまいります。 次に、金融業界の自己責任原則についてのお尋ねがございました。 今回の金融システム改革につきまして、御指摘のように、ディスクロージャーの徹底、ルール違反への処分の積極的な発動によって預金者、投資家の保護を図りながら、個別の金融機関や経営者に対しては自由と同時に自己責任を求めることが基本方針であります。 また、金融機関の不良債権を速やかに処理をしていくとともに改革を進めてまいることになりますので、個々の金融機関ではなく、金融システム全体の安定には細心の注意を図りつつ進めていく必要があると考えております。 また、教育について、前回に引き続き教科書の問題を御提起になりました。 次代を担う青少年に対する歴史教育が重要であり、事実をもとに国際理解と国際協調の観点からバランスのとれた指導を行うことは必要なこと、御指摘のとおりであります。教科書はこのような観点を踏まえて作成されていると考えております。国際社会を生きる青少年が国際理解と国際協調の観点を踏まえた歴史理解を持つことの必要性は極めて高いものであり、こうした青少年の育成に努めてまいります。 次に、防衛庁を国防省にせよという御指摘をいただきました。 周辺諸国の国防担当組織などのあり方、あるいは防衛庁を国防省とする、我が国周辺の国々と対比してどうかというお尋ねでありますが、それぞれの国情に応じて所要の国防担当組織、軍隊組織を保有していると考えます。防衛庁を国防省とすることにつきましては、行革会議の中間報告におきまして、省に昇格すべきという御意見、現状どおり庁とすべきという二つの意見がありましたことから両論併記となっており、今後の議論を見守りたい、また続けたいと思います。 次に、自衛隊を軍隊として認知しろという御意見をいただきました。 防衛庁、自衛隊は我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つという任務を有する組織であり、この任務を果たすために必要な体制及び法制の骨格は整備されております。また自衛隊は、憲法上保有し得る実力につき制約があるなど、通常の観念による軍隊とは異なる、私どもはそのように理解をいたしております。 また、自衛戦争を辞さないなどの点を憲法等に明記しろというお話でありました。 しかし、憲法は国家固有の自衛権を否定はしておりません。我が国は、これに必要な最小限度の実力組織として内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛隊を保有しております。また、国民の国を守る気概の重要性はもとより明らかなことであり、これを憲法に明示するという必要性はないと思います。 また、いわゆる安全保障基本法の制定につきましては、国会を初めさまざまな御意見がございます。その御論議を踏まえ、可否を検討していきたいと思います。 また、統幕議長や幕僚長をなぜ認証官としないのか、再びお尋ねがございました。 この点につきましては、以前にもお答えをいたしましたが、認証官となっていない政務次官、事務次官等との均衡あるいは職務の性質など考慮すべき点もありますことから、現在のところこれまでの取り扱いを変える考え方を持っておりません。 次に、新たなガイドラインについて、日米安保条約第六条を改正すべきであるという御指摘をいただきました。 しかし、周辺事態における協力には、憲法の範囲内で日本が主体的に実施する活動における協力が含まれておりますが、立法上、予算上、行政上の措置を義務づけるものではなくへ旧指針同様、国会の承認の対象となる性格のものではないと考えております。 次に、中国における加藤幹事長の発言についてのお尋ねがございました。中国は、改革・開放政策のもとに経済建設のために安定した国際関係を必要としており、軍事力の近代化が漸進的に進むと考えます。また、新しい指針は日米間で特定の国や地域における事態を議論し策定したものではございません。 次に、防衛関係費の厳しい状況をどう認識しているかという御指摘をいただきました。 平成九年度防衛関係費につきましては、かなり厳しいものであることを認識しておりますが、最小限必要な事業は盛り込んだものと考えております。 なお、個々の自衛隊の実情につきましては防衛庁長官からお答えをいたすことといたします。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣三塚博君登壇、拍手)
○国務大臣(三塚博君) 一連の不祥事件に対する大蔵省の責任いかんという御質疑でございます。 第一勧業銀行、四大証券の不祥事件がございました。今回の一連の問題については、遺憾という言葉では表現されない強い思いを抱いておるところでございます。大蔵省といたしましては、不正があれば必ず摘発をされるという、また厳正に処分をされるということが極めて重要なことと存じます。 先般、第一勧銀、野村証券等に対し厳正な処分を行ったところであります。時あたかも金融システム大改革が先行いたしております。これらの改革をきっちりと仕上げることなど、今回の事件の教訓を生かしてまいらなければなりません。特に、罰則の問題が論議になっておるところでありまして、その強化等を図る所存でございます。(拍手) 〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
○国務大臣(久間章生君) 自衛隊の部隊の装備品の購入についてのお尋ねがございましたが、先ほど総理からも御答弁がございましたように、平成九年度防衛関係費につきましては、必要最小限な事業を盛り込んだものと考えているところでありまして、部隊等において使用する事務用品または訓練用品等の物品につきましても、所要の整備を進めているところでございます。 今後とも個々の隊員に過分の負担をかけないように、必要な施策を進めてまいりたいと考えております。 また、先ほど来国の戦域ミサイル防衛構想に対する日本の参画についてのお尋ねがございましたが、今日の国際社会におきましては、大量破壊兵器とその運搬手段となります弾道ミサイルの拡散が進みまして、また、現実に我が国の周辺には弾道ミサイルを保有する国が存在しており、このような状況のもとで弾道ミサイル防衛の問題についてどう考えるかということは、今後の我が国の防衛政策上大きな課題と認識いたしております。 しかしながら、弾道ミサイル防衛の必要性や効果について論じますためには、弾道ミサイルの脅威、弾道ミサイル防衛システムの具体的な内容、その技術的実現可能性等、多岐にわたる問題について十分な検討を行うことが必要であります。このため、現在、弾道ミサイル防衛に関する多くの知見を有する米国の協力を得つつ、日米共同で研究を進めるなど所要の検討を行っているところでありまして、かかる検討の成果を踏まえ、今後適切に対処してまいりたいと考えております。 なお、戦域ミサイル防衛構想に係る我が国防衛基盤の育成についてのお尋ねもございましたが、防衛庁としては、先ほど言いましたように、弾道ミサイル防衛の問題についてどう考えるかということは防衛政策上の大きな課題と認識しており、弾道ミサイル防衛についてのその技術的な実現可能性、有用性等について議員御指摘の点も含め総合的見地から検討を十分に行い、かかる検討の成果を踏まえ、今後適切に対処してまいりたいと考えております。 なお、最後になりますが、平成九年度航空総隊総合演習についてのお尋ねがございましたが、御指摘の報道は同演習の一環として行う日米共同訓練についてのものと思われますけれども、同訓練については当初から沖縄周辺訓練空域における実施を計画しておらず、右報道のような事実はございません。 以上でございます。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 北朝鮮による拉致の疑いが持たれておる事件についてのお尋ねでございますが、捜査当局におきまして所要の捜査が進められていると承知いたしておりますが、外務省といたしましても関係機関と連携を密にしながら関連情報をさらに収集してまいりたいと思っております。 また、八月に行われました日朝国交正常化交渉再開のための予備会談や九月に行われた日朝赤十字連絡協議会の場におきましてもこの問題をきちんと取り上げてはおりますが、残念ながら、まだ今日の段階、この問題についての先行きにつきましては結論を得ておらないことは残念であります。 今後とも、我が国国民の安全にかかわる重要な問題であるとの認識に立ちまして、問題の解決のため効果的な方法を考え、真剣に対処してまいりたいと思っております。(拍手) —————————————
○議長(斎藤十朗君) 真鍋賢二君。 〔真鍋賢二君登壇、拍手〕
○真鍋賢二君 私は、自由民主党を代表して、先日の橋本総理大臣の所信表明演説に対しまして、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。 冒頭、率直に申し上げねばならないのは、総理初め我が党は、閣僚人事をめぐり厳しい試練に立たされたことであります。 橋本総理は、六大改革断行等への大きな期待と支持により自民党総裁に無競争で再選され、先月十一日、第二次橋本改造内閣が発足しましたが、前総務庁長官の任命をめぐる問題で、政治倫理に厳しい世論の動向を読み誤り、国政の混乱を招きました。 前総務庁長官の入閣、辞任の問題について、総理は任命権者としてその責任を痛感され、先月二十二日、国民に向けて率直、謙虚に不明を認めて、おわびの記者会見をされました。総理のみならず、我が党もこれを真摯に反省し、出直す決意であります。 行政改革の原点、原動力は、それを主導する政治家の高い倫理性であり、閣僚への大きな信頼感があってこそ国民の支持を結集することが可能となり、幾多の困難を乗り越えていくことができるのであります。今回の問題は、このような政治倫理の確立がいかに大切か、時代、国民がそれを厳しく要求していることを明確に示しており、与党のトップレベルで真剣な協議がなされています。 参議院の自民党が今回の問責決議の件について積極的な姿勢を示したのは、厳しい国民の世論を受けとめて、政治倫理の確立が政治の基本であることを強く認識したからであります。 今、国民の間では、政治の信頼回復、行革の断行、特に景気の回復に政治が全力を挙げるべきとの声がほうはいと沸き起こっております。閉塞状態にある今日の社会状況を一新し、未来に明るい展望を切り開くことが切望されています。参議院はこれにこたえるべく全力を挙げて国会審議に取り組む決意であります。 総理が提唱されている六大改革は、明治維新、戦後の改革に並ぶ一大難事業であり、総理が懸命に取り組んでこられたのを国民は十分に承知しております。総理は、さきに新総務庁長官に大震災の復興に手腕を発揮された小里氏を起用され、行革を断行する決意を新たにされました。 総理は、このような事態の推移の中で、政治倫理、政治改革の問題をどのように認識し、対応されようとしているのか、国民に御説明いただき、また、新しい体制で再スタートするに当たり、六大改革、特に行政改革断行に取り組む決意を改めて具体的にお示しいただきたいのであります。 次に、昨年一月に橋本政権が発足してからこの一年九カ月を振り返りますと、内外において、住専問題、金融・証券不祥事、公務員の汚職事件、ペルー日本大使公邸テロ事件等の大事件が発生いたしました。 総理はこのような難局を乗り切りながら、行政改革、財政構造改革、金融ビッグバン等六大改革に着々と手を打ってこられました。また、外交・防衛面におきましても、日米新時代を切り開く共同宣言による沖縄基地の返還、日米防衛協力の推進や中国との友好関係に大きな前進が見られました。 総理は、二十一世紀の世界の中の日本のあり方を真剣に見据えて、内外の重要課題に真正面から取り組み、強いリーダーシップを発揮してこられたのであります。この結果、昨秋の総選挙を初め、各レベルの地方選挙において大きな成果をおさめることができましたが、自民党としても、さらに謙虚に身を引き締めて、国民の負託に最大限こたえていかなければならないと考えております。 我が国が戦後最大の岐路に差しかかっているとき、国政の最高責任者としてこの一年九カ月間の政治を振り返り、いかなる思いをお持ちか、また山積する内外の重要課題に対応するため、先見性を持った決断と責任の政治が期待されますが、総理は今後どのようにリーダーシップを発揮されていかれるのか、御見解をあわせてお伺いいたしたいと存じます。 この臨時国会は、財政構造改革法案を初め、介護保険法案、市民活動促進法案、スポーツくじ法案等重要法案の審議がメジロ押しであります。特に、集中改革期間の初年度を来年に控えて、財政再建の問題と行政改革を密接に関連づけて十分審議していくことが重要でありますが、財政構造改革と社会保障改革については後ほど質問する同僚議員に譲り、私はまず、六大改革のうち、目下最大の論議を呼んでいる行政改革について質問いたします。 今、我が国に求められているのは、外圧によらない政治主導による国家の改革であり、これこそが新世紀へ向けての日本の展望を切り開く唯一の道であります。 行政改革、すなわち中央省庁の大幅な再編統合が当面の最大問題であるかの様相を呈しておりますが、単なる数合わせ的な省庁再編に終わっては真の行政改革とはほど遠いものとなりましょう。 省庁再編は確かに橋本行革を特徴づけるものではあるものの、それと並行的に、対応力に富み、簡素で効率的ないわゆる小さな政府を目指さねばなりません。経済的規制の原則自由化や官庁業務のスリム化、さらに地方分権による権限移譲等をセットで徹底的に推進してこそ、我が国の生き残りをかけた日本全体のシステム大転換へのチャレンジとなるのであります。 そのためには、この諸改革推進の前提として、二十一世紀の日本の目指すべき姿を明確に描くことが必要であります。その俯瞰的立場から、新たな役割を担うにふさわしい国家機能や中央省庁のあり方を具体的に示して、初めて国民のエネルギーを結集し、行革の大きな風を巻き起こすことができるのです。 そこで、行政改革の推進について、去る九月三日、行政改革会議より公表された中間報告を中心として伺ってまいりたいと存じます。 同報告では、中央省庁の再編構想を初め、内閣機能強化策、独立行政法人制度など、効率的で簡素、透明性の高い行政を実現するための方策が盛り込まれており、取りまとめに当たられた橋本総理を初め、委員の皆様に敬意を表するとともに、いよいよ行革の実行段階が近づいたことに対し、大変意を強くするものであります。 同報告では、故司馬遼太郎氏の語る「この国のかたち」の再構築が行革の理念、目標であると高らかに宣言されておりますが、明治以来の流れをくむ中央集権的な官僚行政から、地方分権、民営化による小さな政府へと大転換を図るために、より一層の国民の理解と協力が得られるよう、ここで橋本行革のその理念と目標を改めて総理にお尋ねいたします。 ある識者は、二〇二〇年の我が国の姿を未来予測し、三つのシナリオを提示しております。それによれば、第一のシナリオは、政治の腐敗や治安の乱れが広がり、国は財政破綻、国際的地位の低下などを招くというシナリオ、第二は、情報通信分野での進歩が牽引役となって、日本経済が活況を呈するという理想的なシナリオ、第三は、世界規模での大変動の中で、変革への気概を持たない日本が国際的には孤立化の道をたどるとともに、国内的には経済の停滞、生活水準の緩やかな低下傾向、すなわち静かに衰退していくシナリオとなっております。 もし、六大改革が中途半端に終わり、特に今次行革が日本独特のなあなあのなれ合い体質の中で進められ、形ばかりの省庁再編で終わるようなことになれば、じり貧の静かな衰退に向かって進んでいくことになりかねません。堺屋太一氏も、「平成三十年」という連載小説の中の「何もしなかった日本」という第一章で、じり貧になる厳しい姿を述べています。 そこで、こうした見方があることも踏まえ、行政改革を初め一連の改革の推進、断行により、我が国が選択すべきどのような具体的なシナリオが描けるのか、これを明確に打ち出すときと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。 さて、既に行革についての論議は行革会議と並行して与党にその場を移し、中間報告をベースとして検討を始めております。我々は、責任ある政党政治、国民の代表としての立場からこれを十分検討してまいりますが、既に郵政三事業、公共事業担当の扱い等々、大きな論議を巻き起こしております。 特に、郵政事業の取り扱いについては、郵便局の果たしている役割を国民、利用者、特に地方の視点、高齢者の視点を十分踏まえて判断することが重要であります。その中で、郵貯、簡保の民営化についてはその影響を十分に検討し、あわせて国営事業のままで改革していく対案も作成し、両論のメリット・デメリットをよく比較検討すべきであります。 我々としては、あくまでも同報告を今後の論議のたたき台とみなしており、最終報告の取りまとめに当たっては、その設置、委員の選任に国会が全く関与していない政府の諮問機関の意見が与党の意見に優先するようなことになれば、議院内閣制のもとでは望ましくない結果を招くと考えております。この点については、今後の政府・与党協議の行方を左右する大変重要な問題でもありますので、中間報告の位置づけとあわせ、総理の御所見を伺いたいと存じます。 行政改革会議においては、我が党の公約でも示されたところの国家機能の四分類を出発点として検討を開始し、集中審議を経て、現行の中央政府を大くくりに再編、一府十二省庁体制への転換を打ち出しております。この大枠については、公約を実現するためにも不退転の決意を持って成功に導かねばならない責務を負っております。 しかし、この中間報告は省庁再編の骨格を示すにとどまっており、官の活動領域の範囲縮小や省庁の所掌事務、内部部局の削減をどうするかといった具体的な内容については今後の議論にゆだねられた格好となっております。特に、行政改革について、政治、行政、民間ともども痛みを分から合うという立場で議員定数の削減や公務員数の削減について重大な決意を持って臨むべきであります。 しかしながら、この具体論にこそ痛みを伴う行革の難しさもあるだけに、今後より激化する官僚や利害関係者の抵抗を排し、ここにいかに切り込んでいくかに今次行革の成否がかかっていると言っても過言ではありません。 そこで、行革会議の最終報告取りまとめに向けて、この点にどう取り組まれるのか、その基本方針を総理と総務庁長官に伺いたいと存じます。 次に、外交・防衛問題に関連してお尋ねしたいと思います。 去る九月二十三日、ニューヨークにおいて開かれた日米安全保障協議委員会で、新たな日米防衛協力のための指針が了承されました。この指針は、冷戦終結後のアジア太平洋地域の平和の基盤を強化し、より効果的に日本の防衛と安全に資するとともに、日米両国の利益にかなうものであります。これによって日本の外交、防衛の基軸である日米関係が一層強化されたことは、まことに慶賀にたえません。 この指針の了承によって、政府は、指針に盛られた諸機能が効果的に果たせるよう、速やかに法体系の整備に努力することになりました。とりわけ日本周辺有事の事態に対処するためには、新たに四十項目に上る活動を機能させることが求められております。この法制化に当たっては、それぞれに合憲性について国論を二分するような賛否の論議が巻き起こることが予想されるのであります。 橋本総理、周辺有事に際して、米軍の活動を支援する法案を制定するに当たっては、国民の理解と支持を得るため、細心の注意が求められるのであります。憲法の精神に照らし、疑義が生じては国民の協力は得られません。この作業に当たって、総理は憲法の精神を遵守されることと確信しておりますが、まず総理の信念と決意を承りたいと存じます。 次に、周辺有事の際、指針には「後方地域支援を行うに当たって、日本は、中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。」と明記されております。これを可能にするためには、現行法に規定された諸権限や機能を一時的に棚上げし、米軍の後方地域支援に優先的に協力することが求められます。また、民間の能力を活用するためには私権の制限や民間人の協力も問題となりましょう。しかも、地方公共団体や民間には特定がなく、求められるすべてが対象となります。国民の理解と協力なくしてこのような機能が活用されるとは到底考えられないのであります。 私は、尊敬していた政治的恩師から、できることとできないことを峻別し、できないことはできないと明言し、無用の期待を持たせてはならないのが政治の要請であると教えられました。総理、勇気を持ってできることとできないこととを明示するのが、国民の信頼を保ち、米国との信義を貫く道ではないでしょうか。この問題に臨む総理の見解をお聞かせ願いたいと存じます。 次に、周辺有事の認定の問題についてお伺いいたします。 指針によると、「日米両国政府は、個々の事態の状況について共通の認識に到達した場合に、各々の行う活動を効果的に調整する。」としております。両国政府の事態に対する共通の認識への到達が周辺有事の認定になると判断されるのであります。周辺有事の認定に際しては、日本の国家の主体性を貫くと同時に、国民が納得する手続が必要であります。 新ガイドラインに基づいて制定される有事法体系は、一たび制定されれば、有事の認定と同時に自動的に効力を発揮し始めると考えられます。国民の権利義務に重大な影響のある権限の発動は、国民の意思を代表する国会の何らかの関与が必要になると思われます。認定のあり方について、総理の腹蔵のない御所見を承り、あわせて防衛庁長官の方針を伺いたいと存じます。次に、中国問題ですが、総理は、去る九月四日から四日間にわたって中国を訪問され、江沢民主席や李鵬総理など多数の中国首脳と会談され、日中間の相互理解と友好関係の増進に大きな成果を上げられました。この御努力に深甚なる敬意を表するものであります。 アジア太平洋地域の平和と繁栄のかぎは、日本と中国と米国の三国の関係が良好に保たれるか否かにかかっております。 国交正常化以来二十五年、日本と中国の関係は着実に発展し、政治、経済、文化など両国民の交流は飛躍的に増加しております。しかしながら、両国の国民感情は歴史認識や台湾問題などをめぐって食い違いが見られ、必ずしも満足のいくものではありませんでした。 総理は、中国訪問に際し、実に率直に話し合われ、特に不幸な歴史の発端となった瀋陽の地に勇気を持って足を運ばれ、直接語りかける真摯な態度によって両国民の間のわだかまりを和らげる一助とされました。総理は、対話と協力の日中新時代の幕あけを念じ、相互理解の重要性を説かれ、共感を喚起されたのであります。日中国交正常化二十五周年を記念するにふさわしい、まことに意義のある訪中でありましたが、まず総理の中国訪問の印象をお聞かせ願いたいと存じます。 総理の中国訪問に際しては、新ガイドラインの周辺有事に中台関係が入るか否かに中国側の関心が集中していました。新指針了承後も中国から警戒の念が一掃されたとは言えません。新ガイドラインが有効に機能するためにも、中国の理解を得ることは極めて重要であります。橋本総理は、新指針について、透明性の確保の重要性について言及されました。近隣諸国、とりわけ中国に対し、理解を得るためいかなる方策をとられるのか、総理及び外務大臣に抱負をお伺いしたいと存じます。 次に、北朝鮮問題ですが、中距離弾道ミサイル「ノドン」の実戦配備や金正日氏の総書記就任の報が伝えられる一方、民衆の未曾有の飢餓が伝えられる等、その実情は厚いなぞと疑惑のかなたにあります。日本人妻の所在と消息の確認、その里帰り問題の解決、とりわけ日本人拉致疑惑の真相の解明については、政府に、国連人権委員会において真相解明のための調査委員会の設置を行うよう強く要請いたしました。 しかしながら、いまだに確たる進展はありません。国連や米国などから我が国に対し、北朝鮮への人道的な食糧援助の要請もあり、複雑な国民感情にかんがみ、憂慮しているところであります。交渉の進展状況はどうなっているのか、外務大臣にお尋ねいたします。 次に、教育改革について伺います。 最近の青少年犯罪の凶悪化、発生件数の激増など、我が国の青少年の心の荒廃はまことに憂慮にたえません。橋本総理は、教育改革を提唱され、教育改革プログラムの第一に心の教育を挙げられました。古来、国家百年の計は人を育てるにあると言われます。我が国が二十一世紀にわたってより自由な活力を維持するためには、家庭や学校や社会が協力して心の教育に取り組むことが急務であります。 橋本総理、教育改革に臨む決意と所信の一端をお示しくださるようお願いいたします。 終わりに当たり一言申し上げます。 参議院は今年五十周年を迎えました。我が国の先行きが不透明になっている今日、国民は、参議院が長期的な展望のもと、独自の立場から透徹した論議を進め、国家の進路に誤りなきを期すことを強く望んでおります。このために、我々は参議院改革の具体化に真剣に取り組んでおります。来年は参議院選挙の年であり、我々は国民の期待にこたえるべく、さらに使命に徹する決意であります。 最後に、総理、かってない内外の難局を乗り切るため、我々も最大限の力を尽くしますので、一層のリーダーシップを発揮し、時代の要請にこたえられることを希求して質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 真鍋議員にお答えを申し上げます。 まず、政治倫理、政治改革とともに六大改革にどう取り組むのか、その決意をただされました。 所信表明で申し上げましたように、政治により高い倫理性を求めるその世論の重みに十分思いをいたさなかったこと、これを深く反省するとともに、多大な御迷惑をおかけしたことをおわびする、これが私の率直な気持ちであります。この間、参議院から与党をも含め大変厳しい御指摘をいただきましたことは私の心に刻み込まれております。与党三党間で合意をいたしました政治倫理などに関する三党確認に基づいて政治倫理の確立などに向け最大限努力をしていくと同時に、行政改革を初めとする六大改革に全力を挙げて取り組んでまいることによりその責めを果たしたいと思います。 次に、この一年九カ月間を振り返って今後の決意ということを問われました。 率直に申しまして、あっという間に一年九カ月が過ぎた、しかしその折々、あるいは住専、参議院に特に党派を超えて御協力をいただいたペルーの日本大使公邸人質事件、あるいは沖縄に係る問題、さまざまな問題が日々続いておりました中で本当にあっという間に過ぎたという思いがいたします。 しかし、同時にそれは我が国を取り巻いている環境、例えば少子・高齢化あるいは経済のグローバル化といった課題に一瞬たりとも手を休められる余裕があるということでは全くありません。この時期に国政を預かる者の責任の重さに思いをいたしながら、さまざまな意見にも謙虚に耳を傾け、議論をした上で全力を挙げて実現に努力をしてまいりたい、改めてそのような思いであります。 次に、行政改革の理念というものについてお尋ねがございました。 議員からの御意見のとおり、まさに地方分権あるいは規制の撤廃と緩和の推進といった官民の役割分担見直しというものはその前提にあるべきものでありまして、現に近く出される地方分権推進委員会の第四次勧告をいただき次第、地方分権推進計画の策定に本格的に取り組んでまいりますし、また、規制緩和につきましては歴代の内閣が大胆に取り組んでまいりましたけれども、さらに前倒しを含めて規制の緩和と撤廃に全力を挙げていかなければなりません。 こうしたものを前提にし、その上に立って中央省庁の再編を断行しようといたしております。このためには摩擦や痛みも起こります。しかし、それを乗り越えていってこそ将来が開ける、そのような思いでこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。 そして、三つのシナリオを述べられながら我が国の将来像についてのお尋ねがございました。 私は常々、少子・高齢化や経済のグローバル化の進む中においてどうずれば社会の活力が失われずに済むのか、同時に国民一人一人が将来に夢や希望を持ちながら創造性とチャレンジ精神を生かして存分に発揮していくことができるかということを申し上げてまいりました。そして、この思いがこの六つの大きな改革に取り組んだ原点であります。 徹底的な規制の緩和、撤廃、そして官から民へ、中央から地方へと考え方を転換しながら、個人と個人の尊厳と幸福に道を開いていける、重きを置ける、自由で公正な社会を築いていくために、ぜひとも院の御協力をもお願いを申し上げたいと思います。 次に、行政改革会議の中間報告についてのお尋ねがございました。 中間報告は、行政改革会議のこれまでの真剣な検討の成案をまとめたものであります。同時に、まだこれから検討すべき事項も多数残されておりまして、さらに審議を進めてまいります。昨日も行ったところでありますが、今回の中間報告を骨格としながら、強い決意を持って行政改革を進めてまいりたいと思います。 先般、この中間報告を与党にお示しをし、与党においての御議論も既に始まっております。私としては、政府・与党間の協議の場が設けられたことでもあり、与党での議論につきましても、建設的なものについては真摯に受けとめてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、こうした真剣なプロセスの中から、政府・与党のコンセンサスを見、将来に向けて本当に望ましい行政改革の姿をつくり出していきたい、その気持ちに変わりはございません。 次に、行政改革会議の最終報告に向けた取り組みにつきましてさまざまな例示を挙げてお問いかけをいただきました。 しかし、先ほど申し上げましたように、徹底的な規制の緩和と撤廃を断行し、民間にゆだねるべきはゆだねる、地方にゆだねるべきは分権を進める、これがすべての前提でありまして、その上に立って国の組織、人員等をできる限り絞り込んでまいりたいと考えております。 次に、去る九月二十三日にまとまりました日米防衛協力のための指針につきましての御指摘がございました。 憲法の精神に照らし、疑義が生じては国民の信頼、理解は得られないという御指摘でありますが、この日本のすべての行為が日本国憲法の制約の範囲内で行われることは指針に明記したとおりでございます。 次に、周辺事態に際しての対応についての御意見をいただきました。そして、できることできないことを明示するといった御指摘もちょうだいいたしたところであります。 この新しい指針におきましては、後方地域支援を行うに当たりまして、日本は中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する旨を記されております。政府としては、その時々において適用のある国内法令に従って、主体的な判断に基づき、適切な支援を行ってまいりたいと考えております。 次に、周辺有事の認定について御意見をちょうだいいたしました。 この周辺有事を認定いたしますについて、ある事態が周辺事態に該当するかどうかにつきましては日米両国がそれぞれ主体的に判断をいたすことになります。周辺事態におきまして日米協力を行うに当たりましては、政府としてしかるべき手続が必要と考えておりますが、具体的な手続につきましては今後真剣に検討してまいりたいと考えております。 次に、訪中についてのお尋ねをいただきました。 私は、これから行われます中国の首脳の訪日をも含めまして、日中国交正常化二十五周年に際して、中国政府、日本政府の首脳同士の間ばかりではなく、各般に日中関係の対話が行われることが最も望ましいことだと考えております。今回もそのような思いの中から、日中関係から国際情勢、さらには地球規模の問題に至る幅広い問題についての意見交換を行ってまいりました。その中で、両国関係の発展を確認いたしますとともに、これまでの発展を確認するのみではなく、将来に向けて地域や世界に貢献する対話と協力の関係を強化していく、その基礎を築くことができたものと考えております。 次に、新たなガイドラインについての透明性の確保、近隣諸国に対してどうするのかという御指摘をいただきました。 当然のことながら、私どもとしては、関心を有する諸国に対し透明性を確保していくことの重要性を認識しておりまして、ニューヨークでの外相会談などにおきまして、中国、韓国を含む各国に対し説明を重ねてまいりました。さらに、韓国には既に説明のため担当者を派遣いたしたところでありますし、中国につきましても、できるだけ早期にしかるべき人間を派遣し、重ねて説明を行う予定であり、その日程を調整中であります。 最後に、教育改革についての御指摘をちょうだいいたしました。 私どもは、教育における形式的な平等主義から脱却をしなければなりません。そして、子供たちに生命を尊重する心や思いやり、あるいは倫理観や正義感などの豊かな人間性を育成するとともに、個性を伸ばして、創造性やチャレンジ精神を重視した教育へと転換を図らなければなりません。 このためには、家庭、地域社会、学校が力を結集した心の教育を充実すると同時に、特色を生かした学校教育活動ができますように、学校それ自身に権限と責任を持たせる地方教育行政システムに改善していくこと、使命感を持ち、子供たちの個性を育てることができるような先生をより多く養成するためのシステム、こうしたものに対して全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
○国務大臣(小里貞利君) いよいよ目前に迫りつつある行革会議の最終報告に向けて、いわば基本的要請を多面にわたりまして御提言をいただきました。 中でも、官の活動領域の範囲縮小あるいは省庁の所掌事務、そしてまた内部部局の削減などを思い切って進めなければならないという提言と同時にお尋ねでございましたが、ただいま総理大臣からお答え申し上げました基本方針を手がたく堅持しながら、これを私も進めてまいるつもりでございます。 まさに青天のへきれきという感を持ちつつ総務庁長官、行革担当大臣をお受けいたしましたが、重大な、限りなく大きな仕事をいただいたという厳粛な思いを日々いたしておるところであります。しかしながら、今後、行革会議会長代理として会長たる総理大臣を助け、中間報告を基準に政党、とりわけ与党とのコンセンサスづくりに最大限の努力を傾けてまいる決意でございます。 なおまた、お話がございましたように、中間報告において結論を得ていない諸問題につきましては、十分議論を尽くし、十一月末の成案に向けて謙虚に、不退転の決意で対処してまいる決意でございます。(拍手) 〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
○国務大臣(久間章生君) 周辺事態の認定のあり方についてのお尋ねでございますけれども、これは先ほど総理がお答えになりましたように、ある事態が周辺事態に該当するか否かにつきましては、日米両国政府がおのおの主体的に判断するものであります。 他方で、日米両国政府間においては、安全保障協議委員会等種々のレベルにおいて密接な情報交換、政策協議が随時行われており、周辺事態と考えられるような事態が発生している場合には、これらが一層緊密に行われ、このような事態について共通の認識に到達するための努力が払われることになります。 なお、その場合の手続についてでございますけれども、先ほど総理がお答えになりましたように、周辺事態において日米協力を行うに当たりましては政府としてしかるべき手続が必要と考えておりますけれども、これらの具体的な手続につきましては、今後、真剣に検討してまいりたいと思います。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 日米ガイドラインの問題につきましては、ただいま総理から御答弁のあったとおりでございます。 このガイドラインは、あくまで我が国の安全保障を担保するものでございますが、他国におきましていささかの懸念も生じさせてはいけないということで、外相といたしましても全力を挙げてその理解を求めていきたいと思っております。 先般も、国連総会におきまして、各国の外相等にこの問題につきましても御説明を申し上げているところでございますが、念には念を入れてさらに努力をいたしていきたいと思っております。 次に、北朝鮮在住の日本人の配偶者の件でございますが、八月に行われました日朝国交正常化交渉再開のための予備会談におきまして、人道的見地から本人の意向を尊重した日本人配偶者の故郷訪問の早期実現が必要であるとの認識で北朝鮮側と一致いたしました。 また、九月に行われた日朝赤十字連絡協議会第一回会合におきましても、故郷訪問に関し、日朝双方の赤十字間で具体的な合意が達成され、現在、第一回訪問の準備が着々と行われております。政府といたしましても、今後とも故郷訪問の早期実現に取り組んでまいりたいと思っております。 次に、北朝鮮による拉致の疑いが持たれております事件につきましてでありますが、捜査当局におきまして所要の捜査が進められておることは先ほど申し上げたとおりでございます。外務省としても、関係機関と連携しながら関連情報の収集にさらに努めてまいりたいと思っております。予備会談や日朝赤十字連絡協議会の場におきましてもこの問題を取り上げてまいっております。 また、今般、自民党及び社民党、さきがけ両党から申し入れを受けました件につきましては、先般国連に参りました折、私から国連関係者に対しましても、この問題につきましてお取り上げいただけるかどうかということにつきまして強く申し上げてまいったところであります。いずれにいたしましても、本件につきまして、我が国国民の安全にかかわる重要な問題であるとの認識に立ちまして、さらに努力をいたしてまいりたいと思っております。 なお、外相就任以前でございましたが、日本のテレビ、メディア等につきましても、この問題につきまして肉親の方々が登場されましてお訴えをされておりました。切々たるそのお話をお聞きしながら、もしこの問題が事実といたしますれば、私は、この拉致問題、これはまさにこれこそ人道的な問題である、このような認識をいたしております。 いろいろのチャンネルを通じまして、なかなか困難な問題ではあろうかと思いますけれども、外務大臣になりました以上全力で努力をいたしますことをお誓いいたしたいと思います。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。 —————・—————
○議長(斎藤十朗君) この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。 議員吉田之久君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。 つきましては、院議をもって同君の永年の功労を表彰することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。 同君に対する表彰文を朗読いたします。 〔吉田之久君起立〕 議員吉田之久君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します 〔拍手〕 —————————————
○議長(斎藤十朗君) 井上吉夫君から発言を求められました。発言を許します。井上吉夫君。 〔井上吉夫君登壇、拍手〕
○井上吉夫君 皆様のお許しをいただき、私は、本院議員一同を代表して、ただいま永年在職のゆえをもって表彰されました吉田之久君に対しまして、一言お祝いの言葉を申し上げます。 吉田君は、昭和四十二年の第三十一回衆議院議員総選挙において初当選され、以来、七回の当選を数え、十九年二カ月の長きにわたり衆議院議員として御活躍をされてきました。その後、平成四年の参議院奈良県選出議員補欠選挙に当選されて本院議員に転じ、平成七年に当選を重ね、このたび国会議員として在職二十五年に達せられたのであります。 この間に、君は、衆参両議院の予算委員会、内閣委員会、さらには地方行政委員会などを主な舞台として強力な論陣を張られるとともに、衆議院においては沖縄及び北方問題に関する特別委員長として、また本院においても、現在、懲罰委員長の重職を担われているなど、我が国議会政治の発展のために多大の貢献をされてきたのであります。 他方、党にあっては、民社党国会対策委員長としての御活躍ぶりは記憶に新しいところでありますが、参議院に転じられた以後も、民社党参議院議員会長、平成会副会長等を経て、現在も平成会会長代行として、常に枢要の職を務められるなど、我が国民主政治の発展のために力を尽くしてこられたのであります。 ここに、我々議員一同は、君の二十五年の御功績に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、本日、はえある表彰を受けられましたことに対し、心から祝意を表する次第であります。 大競争時代の到来や少子・高齢化の急激な進展等により、我が国の内外をめぐる情勢は以前に増して厳しいものがあります。二十一世紀を目前に控え、我が国の平和と繁栄を次代の子孫たちに引き継いでいくためには、経済構造、行財政、社会保障等々各般にわたる改革を推進していかなければなりません。それだけに国会の果たすべき責務は重く、とりわけ五十周年を迎えた参議院は、国民の負託にこたえて、抑制、均衡、補完という参議院本来の機能を踏まえ、さらに独自性を発揮し、熟慮、熟考の府として新たなる参議院の歴史を築き上げていかなければなりません。 どうか、吉田君におかれましては、この上とも健康に御留意され、豊かな政治経験を踏まえて、今後とも、参議院の権威高揚と我が国議会制民主主義の発展のため、なお一層の御尽力を賜りますように切にお願い申し上げまして、簡単ではございますが、お祝いの言葉といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 吉田之久君から発言を求められました。発言を許します。吉田之久君。 〔吉田之久君登壇、拍手〕
○吉田之久君 お許しを得まして、一言御礼申し上げたいと存じます。 ただいまは、在職二十五年のゆえをもちまして、院議をもって表彰を賜り、さらにその上、井上吉夫先生より身に余る御祝辞をちょうだいし、感謝で胸がいっぱいでございます。 思えば、昭和四十二年春、私は奈良全県一区の衆議院選挙に初当選以来七期十九年余り、当時の民社党の代議士として働かせていただいてまいりました。 また、平成四年、新坂参議院議員急逝による補欠選挙で奈良県選挙区から参議院に当選させていただき、平成七年の通常選挙を経て今日に至っている次第でありますが、ここに両院を通じて二十五年にわたり国会議員を務めさせていただきましたことで今日この光栄に浴しましたことは感無量であります。 これもひとえに長年にわたって温かい御交誼を賜りました先輩、同僚議員各位のおかげであり、また今日まで微力な私を支援してくださった奈良県民の皆様と全国の数多くの友人各位の御温情のたまものでございまして、この機会に改めて厚く厚く御礼を申し上げます。 しかも、ことしは参議院創設五十年を記念する年でありますが、たまたま本院で五十一人目の表彰を賜りましたことは感激のきわみであります。 時あたかも第百四十一回臨時国会が開催され、政治倫理はもとより、行政改革や日米安保条約の今後の運用が厳しく問われる重要な時期でありますだけに、ひしひしと迫る責任の重さに身の引き締まるものがあります。 顧みて、激動の戦中戦後を必死の思いで生きてきた一人の人間として、この歴史ある日本を誇り高く後世に伝えるために、さらに粉骨砕身努力することをお誓いいたします。 何とぞ今後とも皆様方の変わりませぬ御指導、御鞭撻をひたすらお願い申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。 本日はまことにありがとうございました。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十七分散会 —————・—————