法務委員会 第3号
- 発言数
- 163 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1997/11/13
会議録
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○清水嘉与子君 法務大臣、私どもの委員会で初めて御答弁いただきまして、ありがとうございます。 私もなれない法務委員会でいろいろ勉強させていただいておりますけれども、日本はいろいろ事件はあるにしても割合に治安のいい安心な国というふうに自負していたわけでございますが、先日ちょうだいいたしました犯罪白書を拝見いたしますと、刑法犯の認知件数が年々ふえていると。そして、平成八年にはもう百八十一万件だというようなことを伺いまして、もう大変ショックを受けているわけでございます。しかし、これでも先進国に比べればまだ日本は非常に少ないんだということでございますけれども、どの国でもやはりこの治安問題は大変大きな問題であるということの再確認をしたわけでございます。 きょう、私はその中でも特に少年非行の問題に焦点を当てて少しお伺いしたいというふうに思っております。 まず、警察の方から、我が国の少年非行の現状について簡単に御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○説明員(勝浦敏行君) 最近の少年非行情勢につきましては、少年人口の急激な減少にもかかわらず、刑法犯少年の補導員が増加傾向を示しておりますほか、高校生による覚せい剤の乱用や遊ぶ金欲しさの性非行につきましては、昨年既に過去最悪の数を記録いたしております。 また、凶悪化の傾向も顕著でありまして、昨年、過去十年間で最悪の数を記録いたしました刑法犯の補導人員につきましても、本年は九月末までに昨年一年間の数字を大幅に上回る急増を示すなど、極めて深刻な状況にあると考えております。 さらに、その特徴といたしましては、この数年、高校生による非行の増加が際立っておりましたが、本年は中学生による非行が急増傾向にありまして、低年齢化の進行が懸念されているところでございます。 これに加えまして、これまで一度も検挙されたことのない少年による強盗や恐喝の増加に見られますように、いわばどこにでもいる少年が重大な非行に及ぶ傾向がうかがえるところでございます。
○清水嘉与子君 今、少年非行が非常に凶悪化している、または低年齢化している、そしてまた初犯の少年がふえているというようなお話を伺ったわけでございます。非常に経済的には豊かになり、そして教育の機会もふえて、また子供の数も減っているわけですから、それなりに大事にされている子供たちだろうというふうに思いますけれども、そういう中で非行を行う少年がだんだんふえてきているということを大変憂慮するわけでございます。 こんな傾向、これから少子社会を迎えて一体どうなるのかということを心配するわけでございますけれども、大臣、国の治安、法秩序を守る責任者ということで、大変御経験のある大臣でございます。この傾向について御所見をちょうだいしたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) ただいま清水先生から御指摘がございましたとおり、最近の少年非行、なかんずく少年犯罪の凶悪化、これはもう大変憂慮すべき事態であると認識いたしております。
○清水嘉与子君 いろいろこれから取り組みをしなきゃいけないんだろうと思いますけれども、なかなか難しい問題であろうというふうに思います。 ことしの前半と言いましょうか、社会の関心というのはその中でも特に神戸の例の児童殺害事件というところにあったんではないかというふうに思うんです。十四歳の少年が引き起こしたこの事件、単なる特異な事件なんだろうか。特異な事件というふうになっておりますけれども、いろいろ学校の先生や何かから伺ってみますと、本当にどこでどういう事件があるかわからないような、教育していても恐ろしいような現場もあるということを聞きますと、本当に大変なことではないかというふうに思っているわけでございます。 そこで、ちょっとこの神戸の児童殺害事件の問題についてお伺いしたいんですが、簡単で結構でございます。事件の経過と結果について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。 お尋ねの事件につきましては、平成九年六月二十八日に兵庫県警察におきまして、男の子に対する殺人及び死体損壊遺棄事件で少年を逮捕いたしまして、神戸地方検察庁におきまして、翌二十九日、この事件の送致を受けて少年を勾留いたしました。さらに、七月十五日でございますが、同じく兵庫県警察におきまして、女の子四名に対する傷害、暴行、殺人及び殺人未遂の各事件で少年を再び逮捕いたしまして、翌十六日、神戸地方検察庁において送致を受けて少年を勾留いたしました。その後、所要の捜査を遂げました上、七月二十五日、これらの事件を一括して神戸家庭裁判所に送致いたしたわけでございます。 そして、神戸家庭裁判所におきましては、同少年に対しましていわゆる観護措置をとりまして、途中、鑑定のためにこの少年を留置し、その鑑定結果をも踏まえまして十月十七日に医療少年院に送致するという決定がなされたものと承知しております。
○清水嘉与子君 この一連の流れの中で、異例なことだというふうに伺っておりますけれども、裁判所の方からその結果といいましょうか、その決定の要旨というものが発表されたわけでございます。少年法の精神からいいますといささか戸惑いもあるわけでございますけれども、こんなに関心の大きな事件でございます。国民に何らかの情報公開が必要ではないかという気もいたすわけでございます。 これも前例になかったということでございますが、これがまた一つの前例にこれからなっていくのかなという気もするわけでございますけれども、この審判結果の公開に踏み切ったということにつきまして、裁判所の方の御見解をお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 少年法は、少年の情操を保護し、ひいてはその健全な更生を図るため、審判を非公開といたしまして、さらに記録等の閲覧、謄写につきましても、家庭裁判所の許可を要することとされているわけでございます。 しかしながら、他方におきまして、少年事件に関しましても社会の高い関心を集める事件では情報をできるだけ開示してほしいと要請があるわけでございまして、各家庭裁判所におきましても、そういった取材の目的でございますとか事案の性質から判断いたしまして相当と考える場合には、少年の更生の妨げにならない範囲におきまして決定の主文など審判に関する情報を報道機関に公表してきているところでございます。その場合におきまして、決定の主文だけではその理由を正しく理解いただくことが十分でないという場合におきましては、正確な報道をいただくという観点から決定の要旨を公表することになるわけでございます。 今回の事件に関しまして神戸家庭裁判所は、司法記者クラブに所属している報道機関に対しまして、「社会の注目を集めた事件であり、正確な報道のための資料提供の観点から、少年事件の秘密性及び審判の非公開性の原則に抵触しない限度で決定要旨を公表した」とのコメントを付しまして、決定要旨を書面にいたしまして提供した次第でございます。この考え方は、私が申し上げた趣旨に沿うものと考えているところでございます。 以上でございます。
○清水嘉与子君 わかりました。慎重の上にも慎重にまたよろしくお願いしたいと思います。 次に、少年院での処遇の問題なのでございますけれども、少年院に収容される期間というのが、これは矯正局長の通知だったんでしょうか、これまでは二年、延長しても一年という通知が出されていたということでございますけれども、それがこの九月になって改正されたということがございます。 少年院の収容期間の実態は一体どうなっているんでしょうか。そして、今までのこの通知では現状として困るような問題があって改正されたのかどうか、この改正された趣旨をちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(東條伸一郎君) 少年院の法定収容期間につきましては、少年院法第十一条にその規定がございます。少年院長は在院者が二十歳に達したときは原則として退院させなければならないと定めておりますが、送致後一年を経過しない場合には送致のときから一年間に限り収容を継続できる、つまり、二十歳直前で送致をされた人間については一年間延長できる、こういう規定がございます。 さらに、例外的ではございますけれども、在院者の心身に著しい故障があり、または犯罪的傾向がまだ矯正されていないため少年院から退院させるのに不適当な少年につきましては最長二十三歳まで、それからさらに、二十三歳に達する在院者の精神に著しい故障があり公共の福祉のため少年院から退院させるのが不適当である少年につきましては最長二十六歳まで、それぞれ少年院長の申請に基づき裁判所の決定をもって収容を継続することができる、こういうことに法律上なっております。 今お尋ねの少年院の処遇でございますが、少年院送致決定につきましては家庭裁判所の方で処遇勧告というものをいただくことになっております。そして、その中に短期処遇という勧告をいただいた者とそれ以外の少年がございますが、私どもは短期処遇と長期処遇というふうに分けて一応処遇いたしております。 短期処遇は、さらにこれを細かく分けますと、一般短期処遇と特修短期処遇というふうに区別されております。一般短期処遇の少年といいますのは早期の改善の可能性が大きい少年、特修短期処遇というのはさらに早期改善の可能性が大きくて開放処遇に適する少年だと。それから長期処遇というのは、短期処遇になじまない、そういう方法では処遇できない少年ということでございます。 お尋ねの現在までの平均在院期間でございますが、今申し上げました一般短期処遇というのは大体平均約五カ月、それから特修短期処遇でございますと約二カ月半、それから長期処遇になりますと約一年強というのが平均在院期間になっております。今まで調べましたといいますか、昭和五十年以降の最長の収容期間というのは、後ほど申し上げますが、三年十一カ月という期間を収容した記録が残っております。 それから、今回私どもの少年院の収容期間についての局長通達というものを改正した趣旨でございますが、先ほど来少年犯罪の現況等についての御答弁もありましたし、それから、具体的には神戸における痛ましい事件というものもございました。対象になる少年の問題性が非常に難しくなっているという認識をかねがね私ども持っておりまして、従来の長期処遇の少年につきまして、一応二年をめどとし、延長しても一年という、世上いわゆる三年でやるのかというお話がございました。 そういうことを考えまして、むしろ、より柔軟に個別の少年の問題に対応した収容期間を考えようということで、今回の通達の改正は、長期処遇の収容期間につきましては、一応今までどおり原則として二年ということにいたしましたけれども、その少年の問題性に応じてこれを超える収容期間を当初から設定してみてもよろしい。それからさらに、収容期間の延長につきましても、一年を限度とするというようなことの制約を取り払いまして、少年院長の具体的な判断に基づきましてさらに柔軟に延長期間を定めることができる、このように通達を出したわけでございます。 以上でございます。
○清水嘉与子君 今お伺いしますと、平均の入院というんでしょうか入所期間というのがその通知で出しているよりもずっと短いということでございますから、この通知によってこの収容期間が長くなるというようなことではない、やっぱり個別に対処するんだという理解でよろしいわけですね。 ところで、この少年は医療少年院に収容されるということでございますけれども、医療少年院の方もやはりこの通知が今まで効いていたのかというふうに思うのですが、そうでしょうか。 そうしますと、医療少年院の方は、先ほどの御説明では、特例的に例外的に、まだその状態が退院できるという状況にならない限り延長して二十六歳まではいられるという御説明だったかと思いますけれども、そうしますと、仮に二十六歳になりまして、今、小さな子供たちは精神的に障害があるのかどうかなかなか判断できないかと思いますが、二十六歳くらいになりますとある程度はっきりしてきて、やっぱり出すにはちょっとというようなこともあろうかと思いますね。 しかし、とにかく二十六歳になれば出さなきゃいけないという時期が来るわけでございますが、そういうときに私が心配しておりますのは、保護観察だけでなくて、一般の医療にどうつなげていくのかというやっぱり問題があるんじゃないかと思いますが、その仕組みは今どんなふうになっているのでしょうか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(東條伸一郎君) 医療少年院につきましては、今お尋ねがございましたように、それぞれ医師を配置いたしまして全力を挙げて少年の治療、それから教育ということに力を尽くしてまいりますが、万が一、二十六歳になりましてもその治療が完了しないといいますかそういうような事態になった場合に、どのように一般社会における医療とつなげていくのかというお尋ねであろうかと思います。 それで、先生御承知のように、これらのさらに問題を持つ在院者を退院させる場合につきましては、現在の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、従来は精神保健法と言っておりましたが、この法律の二十六条で、私どもの施設の長が都道府県知事に通報することになっております。通報を受けました都道府県知事がその指定をしました指名医二人にその問題の対象者につきまして診断をしていただきまして、診断の結果、そのまま放置いたしますと、私は検察官でございますので申し上げますと、自傷他害のおそれがあると、要するに精神病のゆえにみずからを傷つけあるいは他人に迷惑を及ぼすおそれがあるということになりますと、これは措置入院ということに同じ法律の第二十九条で決まっておるわけでございます。 これは公的な措置でございますけれども、それ以外に私どもといたしましては、少年院の処遇の中で、保護者その他受け入れ先となる人々との連絡を密にいたしまして、こういう公的な措置をとらなくてもさらに治療が必要であるということであれば、保護者その他にお願いをして、同意入院といいますか、そういう形でさらに治療を続けてもらうということを極力努力しているわけでございます。 以上でございます。
○清水嘉与子君 ありがとうございました。 この神戸の事件の決定要旨を拝見いたしますと、この少年の保護とか処遇に関しまして非常に細かい心配りがされている要旨だなというふうに拝見するんです。例えば、熟練した精神科医による臨床判定あるいは週一回の検診だとか、あるいは熟練した心理判定員によります定期的な心理判定でありますとか、あるいは一対一の人間関係の中で愛情をふんだんに与える環境でありますとか、そういったコメントがついているわけでございます。 これに対応する措置をこの医療少年院でしていただかなきゃいけないわけでございますけれども、私たち今まで幾つかの施設を拝見させていただきましたけれども、大変きつい定員事情の中でもう本当にきゅうきゅうとしてやっていらっしゃる事情を拝見しまして、こういう人が一人送られてきたら、本当にこれ大変なんだなという気がしてしようがないわけでございます。またその辺について、特に精神が安定するまでぜひよろしくお願いするしかないのかなというふうに思います。 ちょっと時間もなくなりますので次に行きたいと思いますけれども、この少年法の問題なんです。 少年法の改正ということが家庭裁判所の審判のあり方を中心にこれまでも随分検討されてきたというふうに伺っております。検討されてきたけれども、なかなか改正されなかったということでございますが、昨日の新聞でも、少年審判制度について法曹三者が意見交換を行っていよいよ正式に協議が始まるんだみたいなことが書いてございましたが、一体、検討検討が、法務省の検討が割と長いですよね、本当にこれ進められるのかどうか、大臣にまず御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 神戸の事件が起きまして、少年法の問題がにわかに報道で取りざたされておりますけれども、少年法自身は先生御承知のとおり昭和二十三年、まだ日本が占領下にできた法律でございます。 それで、その内容がそのままでいいだろうかというふうなことにつきましてはいろいろ議論のあったところでございまして、ちょうど二十年前に法制審議会でも御議論いただきまして、一応の中間報告みたいなものをいただきました。ただ、残念ながら、その中間報告の内容を法制化することにつきましては、今、先生御指摘になりましたような関係者間の話し合いがつきませんで今日に至っているというふうなことで、大変残念なことでございます。 最近は特に平成五年の、山形でございましたか、いわゆるマット死事件の審判に見られますように、家庭裁判所の決定とその他の裁判所の決定が食い違っているというふうなこと等々でいろいろ問題になってきているということでございまして、要するに、現行少年審判制度における事実認定のあり方が問題になっているわけでございます。 そこで法務省といたしましては、昨年の十一月から最高裁判所、それから日弁連、法曹三者でお話し合いをいたしまして、十一回続けてきたと承知いたしております。そういうような中で大体話し合いが煮詰まりまして、ひとつ今申し上げましたような方向で進もうじゃないかということが去る十一日に決まりまして、近く十九日に日弁連では理事会をお開きになるというふうなことでございます。 そういうようなことで精力的に進めてまいりたいと思いますが、私自身の考え方を申し上げますと、やはり大変少年法のいわゆる事実認定のあり方について問題があるんじゃないだろうか。 一、二具体的に申し上げますと、一つは、家庭裁判所の裁判官お一人で審判に当たられるという問題がございます。普通の殺人事件の否認事件ぐらいになりますと、もちろん当然複数の裁判官で数年かけておやりになるわけです。だから、それが一人でいいかどうか、難しい事件については。 それから、今申し上げましたように、審判の期間というのが、身柄を拘束されている期間というのは四週間ということになっておりますが、その期間がそれで妥当であるのかどうかという問題がございます。 それから、今、事件は警察、検察で家庭裁判所に送るわけでございますけれども、事件についての立ち会いというものは検察官には認められておりません。したがいまして、家裁の裁判官が検察官の仕事と裁判官の仕事をおやりになるというふうなことでございます。片や子供、少年の方には付添人という形で弁護士の方々のお立ち会いというものが認められておる等々、ほかにもないわけじゃございませんけれども、そういうふうないろいろな問題を抱えているわけでございます。 基本的に少年の保護育成という考え方は、私はこれはいいと思うんです。いいと思いますが、そういうふうな問題を抱えておりますので、やはり今申し上げましたような形で法務省といたしましても精力的に取り組んでまいりたい、このように思います。
○清水嘉与子君 今、具体的にお話を伺いました。私どももこういった事件を介してでないとなかなか少年法にどんな問題があるのかということがわからないわけでございますけれども、今おっしゃった問題、随分前から問題になっているというふうに伺っておりますし、やっぱりこういった問題を国会の場でもぜひ審議させていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしく作業を続けていただきたいというふうに思います。 最後に、時間がなくなりましたものでもう一つの問題なんですが、私が関心持っておりますのは成年後見制の問題なんです。これも法務省で検討が随分進んでいるというふうに伺っておりますけれども、法律を提出するにはまだその時期じゃないということでございます。 今のたしか禁治産者、準禁治産者の制度があるわけでございますが、これは世の中に有効に機能しているとはちょっと思いにくいような気もいたしますし、これから高齢社会に向かってどうしてもこの制度をきちんとしておかなければ大変困るんじゃないか。もうほとんどの人が使うような制度になろうかと思いますもので、このことについてどんな検討がこれから進められるのか教えていただきたいと思います。それを最後の質問にしたいと思います。
○政府委員(森脇勝君) 現在民法で設けられております禁治産、準禁治産の制度については、今、先生御指摘のとおりの批判があるということは私ども十分承知しておるところでございます。 これを何とか利用しやすい制度に整備すべきではないかという社会的な要請の高まりを受けまして、法務大臣の諮問機関であります法制審議会の民法部会におきまして、平成七年の六月に、次期の検討課題は成年後見問題とするということをお決めいただきまして、さらに、その審議に資するための機関として、この問題につきまして民事局内に研究会を設置するということを決めていただきました。 それから約二年間かけまして、この研究会におきまして調査、研究を行いました。この中では、関係諸団体からの意見聴取でありますとか、諸外国の立法の実態調査等を行いまして、その結果をこのたび報告書の形でとりまとめまして公表したところでございます。 これを受けまして、法制審議会の民法部会のもとに福祉関係者等の一般有識者の参加を得た成年後見小委員会を新たに設置していただきまして、この十月から成年後見制度に関する本格的な調査、審議を開始したというところでございます。 今後の予定でございますが、法制審議会の民法部会では、この成年後見制度の国民生活との密接なかかわりを重視いたしまして、平成十年春ごろを目途として要綱試案を公表して、関係各界に意見照会を行いまして、国民各層の御意見を幅広くお聞きした上で、平成十一年の通常国会に民法改正法等の提出をできるようにということで鋭意調査、審議を進めているところでございます。
○清水嘉与子君 ありがとうございました。
○釜本邦茂君 自由民主党の釜本でございます。 まず、下稲葉先生、法務大臣御就任おめでとうございます。私、参議院議員とならせていただきまして三年目に入りますが、二年間、議院運営委員長のもとで大変御指導を賜りましてありがとうございました。その大臣を前に、きょうこうして質問させていただきますこと、大変喜びにたえないところでございます。 しかし、私自身喜んでいるばかりにはいかない。今、現実についてお伺いしなきゃいけないことが多々ございます。 私、四十歳まで現役生活を続けておりました。その後、私のライフワークとしまして、青少年の健全育成、そしてまたスポーツの振興ということで取り組んでまいったわけでございますが、本当に間もなく二十一世紀を迎える中で、将来我が日本を本当に元気のある国にしていくためには、さまざまな問題点があり、それを変えていかなきゃいけない、改革していかなきゃいけないということは、もうそれぞれ諸先生方御存じのことと思います。 しかるに、現在のこのありさまを見ますと、本当に毎日のごとく凶悪犯罪、また善良な国民をあざむくようなアンフェアな出来事が毎日のように報道されているわけでございます。私、諸先生方と一緒に、九月、十一月、二度にわたって法務委員会の視察をさせていただきました。その中で、秋田の法務局から始まり、東日本人管センター、農芸学院に行ったわけでございますが、そういった中で、本当にさまざまな問題が山積みされているということを知ったわけです。 本日は、特に私自身が一番関心のある青少年の薬物問題に絞り質問させていただきたい、かように思います。薬物に手を染めるというようなことは、本当に国家が滅びるというように言われてきたわけでございますけれども、今、この青少年の薬物使用の実態についてお伺いしたい、かように思います。
○政府委員(原田明夫君) お尋ねの薬物事犯の検察庁における受理人員という観点からまず御説明させていただきたいと思いますが、依然として高い水準で推移いたしておりまして、特に薬物事犯の中で大半を占める覚せい剤事犯の受理人員は、平成七年以降急増いたしております。平成八年には約二万七千人、前年に比べ約三千五百人、これは前年比一四・五%に当たりますが、大幅な増加になっているわけでございます。 委員御承知と存じますが、戦後、昭和二十年代の後半に、いわゆるヒロポンということで覚せい剤が大変広まった時期がございます。これは昭和三十年代の前半にはほぼ収束状態に入ることができたという経験を持っておりますが、今回、その後徐々に広がりました覚せい剤は、依然として高水準を続けているということで、収束の方法が現在見当たらないというような状況でございます。 内容的に見ましても、大量の密輸入事犯が後を絶ちません。現在日本国内で消費されている覚せい剤のほとんどは海外で生産されたものと考えられております。外国人による密売事犯が増加しております上、その密売事犯の手段、方法もますます隠密化、巧妙化していると認められます。また、この種事犯の大半がいわゆる組織暴力団の資金獲得の手段として敢行され、さらに、覚せい剤が若年層を含む一般市民にまで浸透している状況が認められておりまして、今後の動向には極めて厳戒を要するものというふうに考えております。
○釜本邦茂君 本当にこれから日本を背負っていく、そういった若者がそういう薬物を使用するとというようなことはゆゆしき問題であろうかというぐあいに思います。 先ほど清水先生の質問にもありましたように、少年の犯罪というものが年々ふえて凶悪になっていくといった中で、薬物を使用するというようなことは、もう本当に本人の体がむしばまれ、本人にとどまるだけであれば、これはもう仕方のないと言えば語弊があるでしょうけれども、青少年たちがその物を手に入れるために、やはり親の財布から一枚抜いたり、また盗みをしたり、あるいはおどし、恐喝したり、ひったくりをしたりというような、本当に他人の安全というものを脅かすという第二、第三の犯罪を生むというようになろうかというぐあいに思います。 そういった中で、少年にかかわる薬物犯罪に対して、法務省がどのようにお取り組みをなされているんでしょうか、お聞かせいただきたい、かように思います。
○政府委員(原田明夫君) まさに御指摘の点は、この覚せい剤を中心とする薬物事犯の問題の中で核心とも言うべきところで、私どもといたしましても、まさに委員が御指摘いただきましたように、特に覚せい剤につきましては、ハードドラッグと言われておりますヘロインとかモルヒネとか、そういうものより、ある面では安全と申しますか、害は少ないんだというような誤った認識が広まっているのでございますけれども、実際は、この覚せい剤によって、これを常用することから来る脳に対する器質上の変化ということを考えましたり、また、しばらく常用を続けた者がやめた後何年かたって、フラッシュバックと言っておりますけれども、その影響が出てまいる。 そして、ただいま委員が御指摘になりましたように、その薬物を入手するために、他人に害を加えると申しますか、影響を与えていくという面があるほかに、まさにその薬物の影響下にあって他人に対する危害を加えていく。世間を聳動した事件の中にもそういう影響が認められたケースもございます。 そういうことからいたしますと、将来を考える上でまさに御指摘のとおりこの問題はゆゆしき問題。特に、最近ございますのは、中学生、高校生の間にこの覚せい剤の使用が広まっている。私ども聞きますとびっくりするような、いわば一般の子女の中にこういうものが広がっている事態を大変重く見なきゃならないと思います。 そういう状況で、若い人たちを中心にそういう薬物の被害と申しますか、これの及ぼす影響が大変だということを知らしめるということのほかに、それに対してはやはり適正な処分というものを考えてまいらなければなりません。また、そういうことを利用して利得を得たりあるいは組織を伸ばしていくというような勢力があるということにも目を向けなければなりません。そういう意味では、私ども法務省のみならず、政府全体として大きな立場から取り組んでいく問題ということで、さまざまな努力を続けさせていただいているわけでございます。 法務省といたしましては、事件の適正な処理のほか、そのような状況をつくるさまざまな事犯に対する厳正な処分という面、またそれぞれの関係機関における処遇の充実ということでございますけれども、それ以外に関係省庁さまざまな形で相協力いたしまして、対策を練り、それを現実に移していくということに現在最善の努力を続けさせていただいているところでございます。 しかし、そういうことをやっていても現実にまだ届いていないということを私どもも深刻に受けとめていかなければならないと思うわけでございまして、ただいまのような御指摘を踏まえて、今後とも努力を傾注してまいりたいと考えております。
○釜本邦茂君 ありがとうございます。 私、この問題について、本当に法務省だけじゃなく、やはり非常に若年層といいましょうかそういうところに浸透していくということであるとすれば、やはり横の、文部省の関係だとか、そしてまた世間に薬物というものがどれだけ害になるのかといったPRというものを積極的にやっていただきたい、かようにお願いするところでございます。 それでは、そういった薬物を使用した青少年たちの少年院や刑務所における覚せい剤の薬物事犯関係者の収容状況というのは今一体どういうようになっておりますでしょうか。
○政府委員(東條伸一郎君) お答え申し上げます。 平成八年の少年院の新収容者は四千二百八名でございます。そのうち麻薬及び向精神薬取締法違反、覚せい剤取締法違反の者が合わせて四百四十九名でございまして、比率といたしましては一〇・六%ということになっております。これを五年前と比較いたしますと、人員、割合とも増加いたしております。五年前より、人員にいたしまして百十九人、比率にいたしまして二・九ポイントということでございます。これは収容された罪名を基準といたしておりますので、収容者の中でさらに覚せい剤あるいはシンナーその他のいわゆる毒劇物というものの使用経験を調べますともちろんもっと比率は高くなる、こういうことでございます。 それから次に刑務所でございますが、刑務所の新受刑者は、平成八年でございますが、二万二千四百二十三名でございます。そのうち麻薬及び向精神薬取締法違反あるいは覚せい剤取締法違反の者が合わせて六千六百六十九名でございまして、比率としては二九・八%。これも五年前と比較いたしますと、少年と同様に、人員にいたしまして五百二人、比率にいたしまして〇・五ポイント増加している、こういうことでございまして、今刑事局長から答弁申し上げましたように、私どもいわば刑事司法のどん詰まりにおりますが、そこで受けております収容者の状況から見ましても、薬物汚染というものは着実に広がりつつあるというふうに認識しております。
○釜本邦茂君 今お聞きしましたけれども、収容状況というものと、しかしまだ下に潜っているといいましょうか、実態というものに開きがあるというように思います。そういう意味で、薬物というものをこれからどう取り扱うというんでしょうか、阻止することを懸命にやっていただかなきゃいけないというぐあいに思うわけでございますけれども、今お話を聞きました少年院や刑務所における薬物事犯関係者に対して、その矯正教育といいましょうか、処遇というものをどう実施されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(東條伸一郎君) 先日、委員にも少年院を御視察いただきましたけれども、少年院の処遇というのは、いわば少年の持ちます問題を具体的にとらえまして、それぞれ個別に処遇していくというのを基本にいたしております。 そして、薬物乱用少年に対しましては、これを一つの集団に編成いたしまして、薬物乱用防止教育といたしまして、当たり前でございますけれども、ビデオ等の視聴覚教材による指導、作文指導、それからグループ討議、心理劇、あるいは医師の講話等を行いまして、綿密な指導計画のもとにこれを実施して薬害の恐ろしさを認識させる、それから規範意識を涵養させるということで教育をいたしております。 こういう子供たちに対しては、やはり基本的には規則正しい日課のもとに生活指導とか保健体育というものを実施して、基本から心身をつくり直すという形の教育を実施しているところでございます。 それから、行刑施設におきましては、これは受刑者全員を対象といたしました薬害に関する啓発活動を行っておりますほか、特に薬物事犯者に対しましては、やはり映画、ビデオ等による視聴覚指導とかグループ討議あるいは作文指導、講話などによって薬物乱用の恐ろしさというものを認識させるとともに、自立心を養成してみずから薬物乱用を断ち切れるようにいろいろと指導を行っているところでございます。 それから、やはり後遺症という問題もございますので、薬害の後遺症を持つ者に対しましては、それぞれ医療施設その他の専門施設に収容するなどいたしまして必要な措置を講じているところでございます。
○釜本邦茂君 少年院また刑務所における収容者の対応の御苦労はわかりました。 では、社会復帰した後の覚せい剤やシンナー等の薬物事犯者に対して、保護観察を初め保護行政活動をどのように実施し、またどのような効果を得ているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(本江威憙君) 薬物事犯については、薬物事犯を犯して、私どもが行っております保護観察に付されておりますのが昨年十二月末現在で覚せい剤については約一二%、シンナー等の乱用者が約一〇%を占めております。 これらの保護観察に当たりましては、薬物事犯を犯す者の持っております特性に着眼いたしまして保護観察を行っております。これは保護観察官と保護司が共同してあるいは単独で行っているわけでありますが、まず何といっても、これらの事犯を犯す者の中には、薬物を乱用することの弊害といいますか、害毒といいますか、恐ろしさを十分に認識していない者が大変多うございますので、まずその恐ろしさについてしっかりと教育するということを一つの重点目標にしております。 先ほど矯正局長の方から、ビデオを見せたり等のお話がありましたけれども、刑務所や少年院を経ずに家庭裁判所の決定等によって保護観察に回る者がございますので、それらの者に対してもやはり先ほどと同じように薬物の恐ろしさを十分に教育することに心がけております。 それからもう一点は、刑務所等を出てまいりましても、また昔の悪い仲間たちが再び近づいてくる、そういう環境の中からどのようにして手を切って社会復帰を果たすかというような悩み等を持っておりますので、その辺についても具体的な指導を与え、また援助をしていっているということでございます。 また、私ども、保護観察の場合には社会内処遇でございますので、やはり家族、親族に対してこの種事犯についての十分な理解をさせる。そしてまた、同居して監視をする時間も長いわけですから、どういう点に注意して生活をしていったらいいかという家族に対する指導等も行っております。それらの薬物事犯特有の指導についての効果を上げるために、保護観察官みずから、あるいは保護司さんに対しても定期的に研修等を行っております。 それらの手を尽くしてなおかつ成績不良の場合には、家庭裁判所へ通告したり、あるいは場合によっては、少年院を仮退院してきた者などについては戻し収容ということでもう一度少年院に入れるというような手続に移る場合もございます。 そのような手を尽くしまして、効果という点を先ほど議員がおっしゃいましたけれども、昨年、この薬物事犯で保護観察になった者のうち、約四三%が成績良好ということで保護観察を終了しております。良好とまでいかなくても普通というので終了した者は約三九%でございまして、合わせて八一%の者が無事保護観察を終了している、こういうことでございまして、保護観察もそれなりの効果を上げているというように考えております。 ただ、先ほどからお話がありましたとおり、この薬物事犯そのものが増加の傾向にあることについては大変憂慮しているところでございます。
○釜本邦茂君 保護観察官、保護司の方々の御尽力で八〇%強よくなっているというようなことでございます。しかし、本当にそういった薬物使用者が年々増加していくというような中では、このイタチごっこの状況というものがまだまだ続くんだというぐあいに思います。 先般、秋田で人権擁護の方のお話も聞きました。人的にまだまだ非常に数が足りないというようなこともお聞きしましたし、また東日本人管センターの職員の皆さん方の本当に昼夜を問わずの御努力、そういった中で、やはり何といっても絶対数というものが足りないんだというお声も聞いたわけでございますけれども、やはりこれから日本の国を支える青少年の健全育成のために、私自身は今までとってきたきねづかといいましょうか、スポーツを通して頑張りたいというように思います。特に、薬物犯罪については重要な問題であり、法務省として積極的に取り組んでいただきたいということを思います。 こういった一連の質疑の中で、法務大臣の所感をお聞かせ願いたい、かように思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 法務省といたしまして、大変問題になっている薬物事犯、特に少年の中にまでこのような事犯が入り込んできているということは大変憂慮しているわけでございまして、担当の局長からるるそれぞれの対策を申し上げました。検察庁における少年事件の適正な処理の問題でございますとか、あるいは少年の福祉を害する周辺の大人たちに対する厳正な態度だとか、あるいは少年院における薬物乱用防止教育の充実でございますとか、あるいは非行少年の更生に必要な保護機能の充実等々申し述べたわけでございます。 法務省としては、重要な問題でもございますので、もう精いっぱい取り組んでまいりたい、このようなつもりで努力いたしますが、大きな立場から申し上げますと、まず、こういうふうな覚せい剤なりなんなりに一番手をつけているのが何といっても暴力団です。暴力団の資金源になっていることも事実です。それがだんだん暴力団同士の中から社会に浸透して、今や子供までもむしばんでいるというふうな状態でございます。 ちょうど平成二年でございましたか、国連の麻薬総会というのがございまして、私はたまたま日本政府代表として行かせていただきまして、国連総会で演説させていただき、各国の担当者とも交流を深めてまいったところであります。そういうふうなことを背景といたしまして、政府といたしましても、マネーロンダリングだとかコントロールドデリバリーだとか、そういうふうな麻薬の流通面を何とか押さえようという法律をつくったわけでございます。 その際もつくづく感じたわけでございますが、法務省だけじゃだめだ、警察庁ももちろんそうです。厚生省もそうです。文部省はやはり教育の問題かんでもらわなきゃいかぬ。大蔵省も税関だ何だかんだといろいろございます。海上保安庁、運輸省等々もございます。その程度かなと思ったら、今度は郵政省もおれのところもある、郵便で送ってくるのがあるというふうな議論がございまして、役所の中でもそういうふうにたくさんの関係機関がございますから、それがやはり目的に向けて一致するような形でやらなくちゃならないということで、いろいろ協議を進めているところもございます。 それと同時に、今たまたま先生おっしゃいましたように、私はスポーツだとかそういうふうなものの果たす役割というのは大変多いと思います。芸能人の方々もこういうふうな問題に真剣に取り組んでいただいて、全国各地でキャンペーンに参加していただいておるというふうな実態等々もあるわけでございます。アメリカ等におきましては、非常に古い話でございますが、年間百億ドル以上を麻薬対策のために費やしている。もう百二十億ドルを超しているかもしれません。それほど真剣に取り組んでいるわけです。 私どもは、やはり将来の日本を背負って立つ子供たちのために、最大限の努力を総力を挙げてやるというのが我々の責務ではなかろうか、このように思っております。
○釜本邦茂君 ありがとうございます。 こういった非常に国際化が進んでいく中で、今、日本が抱える問題というものは本当に大きなものがたくさんあろうかと思います。そういった中で、この薬物のみならず、もっと違った意味での諸問題があるということを踏まえて、私も期待にこたえられるように一生懸命頑張っていきたい、こう思いまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○円より子君 平成会の円より子です。私の持ち時間四十分の中で、きょうは死刑制度と民法改正について質問をしたいと思います。 まず、皆様御存じだと思いますけれども、この参議院の法務委員会というのは、かなり死刑制度について真剣な議論が以前より行われてまいりました。まず、一九五六年にこの参議院法務委員会で、当時の高田なほ子委員長自身が加わって、羽仁五郎さん、市川房枝さんというような方々が提案者になって死刑制度廃止の法案を議員立法で出していらしゃいます。そして、この委員会で極めて真剣な議論が行われ、二日間にわたって公聴会も行われたということを聞いております。 それで、日本では一九七四年には、その九年前に諮問がなされたこの死刑制度について法制審議会で答申もなされております。ただ、このときの答申である改正刑法草案では、凶悪犯が後を絶たない犯罪情勢及び国民の大多数がその存置を希望している現状に留意するとともに、他方で死刑の適用はなるべく制限していくのが望ましいという考え方から、死刑を定める罪を縮減した上で死刑制度を存置することとされております。 そして、世界的な潮流でいいますと、国連で一九八九年に死刑廃止条約を採択、発効しておりますが、このとき日本は反対をしております。このときの反対は二十六カ国だったんですが、そのうちの日本は一つだったわけです。 さて、今、一九九七年九月現在の統計によりますと、世界百九十三カ国中、死刑廃止国は九十九カ国、存置国の九十四カ国を上回っているというのがアムネスティなどの調べで出ておりますが、国際社会の潮流は死刑制度を持たないでどうやって犯罪を防止するか、その模索中ではないかと思います。 私は、残虐に殺害された被害者、そしてその親族、友人、知人たちの苦しみというのは大変よくわかりますし、その残虐な犯罪は知人、友人、親族でなくてももちろん許せないと思います。しかし、死刑によってそういった御親族や友人、知人の方たちの気持ちがいやされるものなのでしょうか。その辺が甚だ疑問といいますか、それだけで済むのかどうかという思いをしております。 被害者遺族給付金制度というものもできまして、少しはその被害者の親族の気持ちもいやされるような方向に向かっているとは思いますけれども、カウンセリング等遺族への支援体制の拡充も含めて、いま一度この死刑制度というものを国民に広く情報を出し、そして知恵を出し合って議論を深めるべき時期に来ているのではないかという観点からきょうは質問をしたいと思います。 ことしの八月一日に四人の方が死刑執行されたということを新聞記事やアムネスティの出したインターネットのリスト等で知っておりますけれども、この件について、なぜ四人同時に執行が行われたのか。 このところ二十年間ほどの我が国の死刑執行を見ておりますと、死刑執行数が毎年一人か二人で推移していた時期と、執行数が全くなくゼロだった時期と、そして九三年の三月に三人が同時執行されてからは半年に一回ごとに同時処刑が続くというこの三段階に分かれているように思うんですけれども、このところ九三年の三月以降、なぜ半年ごとぐらいに複数の同時処刑が行われているのか。その同時処刑について、例えば今まで時期がばらばらだった時期の法務省当局の説明では、一人一人の心情の安定を大切にしているからというような御説明があったように思われますが、こういった説明をみずから否定するものではないかと思うのですが、まずこれについてお伺いしたいと思います。
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。 個々の死刑の執行がなされたかどうかにつきましては公表していないところでございまして、お尋ねの点につきましても直接お答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。 一般論ということで申し上げますれば、死刑執行に関しましては、個々の事案について関係記録を精査いたしまして、刑の執行停止、再審、非常上告の事由あるいは恩赦を相当とする情状の存在しないことなどが確認されました上、慎重かっ適正に対処しているものと考えております。
○円より子君 今までの議事録を見ましても、大抵そのように個々の事情により公表できないというふうにおっしゃっているんですけれども、この四人の場合に限らずほかのときも、同時執行のときにそうなんですが、それぞれ死刑確定から執行までの時期が随分ばらばらなんですね。この八月一日のときには、一人は八八年の十月、一人は八九年の十二月、九〇年四月は一人です。その一つのところが二人なんですが、それぞれ死刑確定からばらばらの時期なんですけれども、再審請求がされていないときには執行がされるというふうに聞いておりますけれども、執行する基準というのは一体何なのでしょうか。
○政府委員(原田明夫君) 死刑判決の執行でございますが、刑が確定いたしました後に関係検察庁の長から死刑執行に関する上申を法務省において受け取りまして、確定記録を取り寄せまして関係部局で記録等内容を十分精査いたしました上、刑の執行停止、委員御指摘のような再審の状況、非常上告の事由、あるいは恩赦を相当とする情状の有無等につきまして慎重に検討、審査してまいりまして、それらの事由ないし情状が存在しないことが確認された場合に初めて死刑執行命令が発せられることとされているのでございます。 そういう意味で、個々の具体的なケースにつきまして死刑判決の確定から執行までの期間につきましてはなかなか一概には申せない事情があることを御理解賜りたいと存じます。
○円より子君 死刑のみが例外的に法務大臣に執行の上申をし法務大臣の執行命令が必要とされておりますね。これは刑事訴訟法の規定ですが、執行手続を慎重にするためだけでなく、生命の尊厳に対する冒涜や回復しがたい生命の損失等があってはならないというような立場から、死刑が確定しても、その執行を免れさせるために恩赦の可能性など、高度に判断することが法務大臣に課されているからだと思うんです。八月一日に死刑執行された方のお一人は家族内の殺人でございましたし、単純殺人というふうにも言われておりますし、その後自殺をしてそれが未遂に終わったときに捕まって、自分自身も死刑ということをもう覚悟していた方ですけれども、そういった人に本当に死刑執行する必要性があるのかどうか。 やはり法務大臣がサインなさるときに、確かにいろいろ慎重な手続の後の上中でしょうから、十分審議されたとは思っても随分ためらわれるのではないかとか、いろいろあると思うんですが、そのあたり本当に慎重だというふうに確信なさって今までの法務大臣はなさっているんでしょうか。
○政府委員(原田明夫君) 法務大臣の命令により執行するという大変重い刑罰の執行でございまして、これは私ども法務大臣を補佐する事務当局の者といたしましては、誠心誠意事案の検討から始まりまして法務大臣に必要な書類の検討を済ませまして、それについて御報告申し上げて最終的な決断をいただくということでございまして、その任に当たられる法務大臣の心情を考えますときに、とてもその状況について、慎重さについて問題にするような余地は全くないというふうに考えております。
○円より子君 先ほどお話しになりましたけれども、今回の件もすべて含めて死刑執行したことについては新聞等で国民に向けての発表はしていらっしゃらないということですね。
○政府委員(原田明夫君) 死刑の執行についての公表問題でかねていろいろ論議のあるところでございます。 実際問題といたしまして、過去の事例を見てみましても、法務省としてそのことを公表していないわけでございますけれども、実際は、死刑の執行が行われましてから、これは遺族の方々、遺族と申しますか家族の方々に御連絡が行くなどしてそのことは徐々にわかってまいるということもございまして、実際問題として、委員御指摘のように、報道で相当詳細に、どういう事件であったというようなことから始まりまして、場合によってはその残された家族の方々のコメントまで付した、あるいは被害者のコメントまで付したというような場合もございますけれども、そういうような形で報道されていることは事実でございまして、その状況については、私は、誤った報道と申しますか、事実が違ったという点はないと思います。 ただ、この点につきましてもその都度さまざまな観点から検討がなされてきたことを私は承知しておるのでございますが、例えば明治以前は死刑は公開処刑というようなことが行われておりまして、私は、ある面でこれは見せしめと申しますか、そのことをさらすことによって一般の国民の方々に対する予防効果ということも考えられていたのではないだろうかと思います。 その後、明治時代になりましてそういうことが行われなくなりまして、ただ当初は裁判所の門でございますとか、あるいはその他関係の箇所に高札を立ててそのことを知らしめるというようなことが行われた時期もあるようでございます。その後、それも廃止されまして、その事実について官報に公示を出す、そういう時代もあったようでございますが、昭和の初年以降はそのようなことも行われなくなってきた。 これは一つには、私どもといたしましては、さまざまな状況から判断いたしまして、刑自体の執行の純粋化と申しますか、刑は刑として確定したらそれを執行することはやられるわけでございますが、その執行の状況について、さらに追い打ちをかけてその者をさらすとか、あるいは関係者に予測の心理的あるいは実際上の不安感と申しますか、あるいはさまざまな影響があるということを考えて、刑の執行の純化の過程であったと考えているわけでございます。 そういう点で、先ほど申し上げましたように、実際にそのことが報道されるかどうかは別論でございますが、法務省として刑の執行を改めて刑の確定以外の場でそのことを明らかにしていくということについては慎重になされてきたものというふうに考えているわけでございます。 〔委員長退席、理事大森礼子君着席〕
○円より子君 何も死刑を廃止していないから後進国とか、廃止したから先進国ということは私もないと思います。今まで死刑廃止をしてきた国々というのは、犯罪類型を広く持っていたために廃止されたということは承知しておりますし、日本ではかなり死刑制度というのは寛大なもので、適用範囲も限定されてきたこともわかっております。 そこで、それでもなおかつ余りにも情報が少ないことで、議論を深めるのがちょっと難しいのではないかというところで、いろいろこれから御質問させていただきたいんです。 まず、執行される本人にはいつ告知されるんでしょうか。それから、告知はだれがするんでしょうか。
○政府委員(東條伸一郎君) 現在の死刑執行の手順でございますが、執行の当日に本人に、これは監獄の長であると思いますが、告知することといたしております。それから、希望のある者につきましては宗教教護を施した上、関係法令に基づきまして検察官等の立ち会いをいただいて執行を行うことといたしております。 〔理事大森礼子君退席、委員長着席〕
○円より子君 告知後、家族に会って最後の別れ等ができるんでしょうか。
○政府委員(東條伸一郎君) 先ほど申し上げましたように、確定者に対する告知は執行の当日に執行に先立ち行うことといたしておりまして、現在では執行前に家族と面会するというようなことはいたしておりません。
○円より子君 何十年も拘置されていたりの間、死刑確定者というのは執行があるかもしれないというかなり不安等の中で毎日生活していると思うんです。それでも覚悟はできていたとしても、執行の告知をされれば動揺があると思うんですが、だれかカウンセリングのような形ででも落ちつかせるようなことはしていらっしゃるんですか。
○政府委員(東條伸一郎君) 今お尋ねのように、家族その他親しい人々に対する事前の通知あるいはその人々との面会というのもかつては行われたこともあるようでございます。それをいたさなくなった経緯もいろいろ調べましてございますが、今、委員御指摘のように、死刑の判決を受けて確定をした確定者の心情といいますか、これはこういう席で私から申し上げるのもあれですが、大変難しい、微妙に揺れ動くものだと聞いております。私自身はもちろん行刑の現場にいたことはございませんので、間接的に聞いたわけでございますけれども。 それから、御家族あるいは親しい人々に対して事前に通知をして、事前にいわばこの世の別れというものをしてもらう機会を与えるかどうかということも、これまたもちろんケース・バイ・ケースでございますけれども、一般的に言えば御家族等に対する影響といいますか、それから確定者本人に対する影響というものを考えますと、これはなかなか一律にそういうふうにするということも難しいような状況にあるようでございます。そこで、現在の取り扱いは、先ほど申し上げましたように、死刑執行の当日に本人に告知するという扱いをしております。 死刑の確定者に対しましては、もちろん日ごろから心情の安定といいますか、そういうものにつきまして行刑の職員が心を砕きましていろいろと接していることはもちろんですし、そのほかにボランティアでございます教誨師の方々あるいは篤志面接委員の方々の御協力を得て、私の口から言うのもおかしいわけですけれども、死に向かう心構えを整えてもらうということの日ごろのいろいろな形での働きかけというのは矯正当局としてもしているつもりでございます。しかし、それ以上に今上手な方策があるかといえば、なかなか現在のところはそれがないために、むしろいわば即物的でございますけれども、その日の朝本人に告知するというやり方で実行しているというのが事実でございます。
○円より子君 いろいろ配慮はなさっているけれども、今の御答弁聞きますと、やはり御答弁自体もしにくいというような、これはたとえ犯罪を犯した人にあっても死刑執行というのはかかわる方々も余りいい気持ちのものではないというのはその御答弁からもよくわかります。しかし、刑法十一条には「死刑は、監獄内において、絞首して執行する。」となっておりますし、監獄法の七十一条には「死刑ノ執行ハ監獄内ノ刑場二於テ之ヲ為ス」とありまして、これは絞首刑という形に、なっていますよね。 私、告知する人も執行に立ち会う人も本当につらい、担当だから仕方がないといえばそうでしょうけれども、つらいと思うんです。その日もずっとその後も決して気持ちのいいものではないと思うんですね。 この絞首刑というのは瞬間で死に至るものなんですか。
○政府委員(原田明夫君) そのように承知しております。
○円より子君 なぜこういったことを聞くかといいますと、死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する決議等も出されておりますね、国連の方で八四年に。もちろんその前に先ほど言いましたように死刑廃止の決議等もいろいろ出ておりますけれども、もし行っている国でも最小限の苦痛にすべきと明記されているんですけれども、本当に明治以来絞首刑でいいのか、そういった研究はなされてきたんでしょうか。
○政府委員(原田明夫君) 最高裁判所はたびたび死刑がその執行方法を含めて憲法に違反しないと判示しておりまして、現段階におきまして、死刑の執行方法について見直すべき事由があるとは考えておりません。 先ほど、絞首によりまして即時死に至るという点について、私そのように承知していると申し上げました。これは、意識を失うという点でございまして、やはり死の確認にはそれなりに医者も立ち会っておりまして、十分な確認をさせていただいているのが実情だということです。
○円より子君 法務省から法務統計月報というのが出ておりますが、平成二年の十二月までは、「受刑者の入出所事由別人員」の欄には入所、出所と並んで死刑執行の項目がございました。これが平成三年一月からすっぽり項目が抜けてしまったんですけれども、この抜けた時期は死刑執行がゼロでした。しかしまた、先ほど申しましたように、平成五年、九三年からは復活しているわけですけれども、年報には書かれておりますが、なぜ月報からこの項目を抜いたのでしょうか。そしてまた、死刑執行が行われているのにこの項目を復帰させないのはなぜなのか。どうも情報をおくらせているように思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(山崎潮君) お答え申し上げます。 法務統計月報につきましては、法務行政におきます月単位の業務状況等に応じた適時適切な企画立案等に資するために月ごとの傾向を速報するという性質を持っているものでございまして、死刑執行者の数につきましてはその月ごとの傾向を速報する必要はないという判断をいたしまして、法務統計月報には登載しないことにしたものでございます。
○円より子君 個別のものではありませんし、少しでも議論を深めていくためにはそういった情報もまた必要ではないかと私は思いますので、月報にまた復帰させていただきたい。その検討をお願いしたいと思います。 さて、死刑に関する世論調査の最新のものは平成六年九月の総理府のものですけれども、この調査の中で、数字がきちんと書いてあるところに、そういった数字を分析して政府のコメントがこういうふうに書いてあります。どんな場合でも死刑は廃止すべきと答えた者が一三・六%、場合によっては死刑もやむを得ないと答えた者が七三・八%となっていますと。やはり、今まだまだ死刑は廃止というよりも存置の人の方が多いというふうに書かれているんですね。 しかし、数字をきちんと見ますと、死刑もやむを得ないと答えた千五百六十人のうち、状況が変われば将来的には死刑を廃止してもよいと答えた人が三九・六%いるんですが、このことについてはコメントがないんです。これは全体の二九・二%に当たりまして、どんな場合でも死刑は廃止と答えた一三・六%の人と、今の将来的には状況が変われば廃止でもいいという二九・二%の人を足すと、全体で四二・八%になりまして、将来も絶対廃止してはいけないと答えた絶対的死刑存置論者といいますか、その三九・四%と拮抗しているわけですね。そうすると、きちんと数字を見ていきますと、世論調査だけでは決められるものではないかもしれませんが、死刑についていろいろ考えなきゃいけないなというような様相にどうも我が国でもなってきているのではないかと思います。 それでもう一つ、死刑があった方がいいという方たちは凶悪犯罪の増加を防げるという考えがあるんだと思います。今言ったこの総理府の調査でも、死刑はあった方がいいという、ここに将来的には廃止した方がというものも含めての人たちの中では、八八・二%が死刑がなくなると凶悪な犯罪がふえると答えています。しかし、これはどうも複数回答でして、存置論者でも、六五・六%は一概に言えない、四四・二%はわからないと、迷っているわけです。当然だと思います。私なんかもやっぱり迷いますから、だれでも本当にそうなのかということは出てくると思います。 この点について、死刑廃止国と存置国で、先ほど言いました九十九カ国と九十四カ国で、凶悪犯罪の増加傾向等についてどういうようになっているのか、法務省は各国の事情等を調査していらっしゃるんでしょうか。もしあれば教えていただきたいんです。
○政府委員(原田明夫君) 死刑を廃止あるいは事実上執行していない国とそうでない国における凶悪犯罪の状況というのは、それ自体を相関関係をもって調べた研究というのは、私、つまびらかにしておりません。 ただ、そういう観点から何らかの研究がなされることが、何といいますか、今委員御指摘のように、必要性があるのかなという気もいたしますが、やっぱりなかなか難しいようでございまして、凶悪犯罪の実情そのものもそれぞれの国によって違いますし、また廃止された後と前の状況、それだけで比べていくというのは難しい面もあるやに聞いております。ただ、その点については関心を持ってまいりたいと思います。 なお、今世論調査の件について触れていただきましたので、若干それについて敷衍させていただいてよろしゅうございますでしょうか。 確かに世論調査の読み方はいろいろあるわけでございますが、平成六年の世論調査につきましては、総理府におきまして、この問題についてどういうふうな問いかけをしたら今の実態に合うだろうかということで専門家の方々の意見をいろいろお聞きになった上でああいう設問にされたというふうに聞いております。 そして、現在、少なくともここもう十数年でございましょうか、私どもの記憶に新しい限りにおきましても、死刑の確定判決自体が極めて限られた場合に、しかも、当時新聞で読みましても、その事実自体から見て相当絞り込まれたものについて初めて確定しているという状況がうかがわれるわけでございます。 そういうことを前提に、最近の状況を見た上での設問ということで、結局、死刑廃止、即時廃止ということになりますと、どんな場合でも死刑を廃止すべきであるということが一つの設問として当然あるんだろうと思います。それから、死刑は存置という中にも、やむを得ないという考え方が当然だと、いろいろあると思います。そして、現在の状況から考えればやむを得ないというところでくくるということが一つの考え方としては十分あるんじゃなかろうかということで、恐らくこういう設問になり、また、その設問の読み方も、ただいま委員御指摘のような形で紹介されたんではなかろうかと考えるので、付言させていただきました。
○円より子君 世論調査の仕方というのは本当にいろいろ難しいと思いますけれども、例えば、アメリカでもやはり死刑がありますけれども、ここでのアンケートで、例えばこういうのがあります。第一級の殺人罪に対して、やはり死刑は執行すべきという支持者は七五%なんですが、もう一つの項目で、しかし、保釈なしの終身刑というのがあった場合はどうですかというと、死刑執行支持者が五一%に減っているんですね。それからもう一つ、さらに、保釈なしの終身刑の上に、犯罪一を犯した人に対して労働をさせてその労働から得る収入を被害者の家族の救済に充てるというようなシナリオを提示しますと、今度はまた、死刑執行の支持者が三分の一に減っている。 こういったこともございまして、世論調査のあり方、それからまた、十分な議論をするためにもどこまで公表すべきかというようなこともすべて入れて、法制審でもう一度また死刑制度について検討するよう指示していただくとか、そのようなことについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 先ほどからいろいろ先生の御意見を承っておりまして、死刑の執行というのは大変重いものでございます。 もともと死刑の判決に至りますまでには、日本は三審制度でございますから裁判も慎重に行われる。それから、法定刑の中で死刑の規定がありますものの中で裁判官が死刑を選択するというものにつきまして、若干私、昔検討したことがあるんですが、殺人だとかあるいは強盗殺人等々凶悪犯罪についての死刑の判決というのは一%ございません。それほど裁判官というものは厳格に事案を見て、死刑の判決をなさる場合にはなされると。 これは、もっとも二度と命は返ってこないわけでございますから、間違いがあってはいけないというふうなことを大前提としながらも、死刑の判決というものは、裁判所でもそういうふうに慎重になされているというのがまず現実でございます。 そこで、今度は私ども裁判所の決定に基づいて行刑の立場から見ますれば、これもおっしゃるように慎重に考えなくちゃならぬということはもう大前提でございます。お話しのように、国民世論を十分尊重しなければならないということと同時に、他面やはり社会の正義を実現するというふうな要請もあるわけでございますから、その辺のところから私自身は現行の制度はやむを得ないものだ、このように思いますし、将来についてどうかと言われますと、今ここでそういたしますとかいたしませんとかということはちょっと控えさせていただきたいと思います。
○円より子君 死刑判決は一%ほどでかなり慎重にしているとおっしゃいましたが、そこでちょっと裁判所に一言、もう時間が少ないのでお聞きしたいんです。 例えば、死刑確定判決が出てから再審で無罪になった方が最近四人ぐらいいらっしゃいましたけれども、そういった件について、量刑の上で間違った判断が出ることだってあると思うんですけれども、裁判官の方々は、やはり自分が確定判決を出した人が死刑執行されたとかというとやはり複雑な思いをされると思うんですね。 それから、世論調査で確かにまだ存置派がいるとしても、それは実際に、残虐な行為をしたからそれに対しては本当にまゆをひその心痛んでも、またその場で死刑を見たとしたらやはりその人たちも死刑について考えるんじゃないかと思うんですが、裁判所等ではこの死刑制度についての議論、研究等はなされてきたんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 死刑制度をどうするかということは極めて重要な立法政策の問題でございまして、裁判官の立場で具体的な事件を離れてその当否を論ずるというのは相当ではないという認識が一般的かと思われます。 そのような次第でございまして、裁判官といたしましては、具体的な事件に法を適用し適正妥当な判断を下す過程で、当事者の主張に対して判断を示すという形で死刑が憲法に適合するかどうかであるとか、あるいは当該事件の量刑として死刑を科するのが相当かどうかというようなことにつきまして、必要な範囲で判断なり見解なりを示しているというのが実情だと存じております。
○円より子君 そういうお答えしか裁判所としてはおできにならないと思います。 とにかく、もう少し死刑制度については、先ほども申しましたように、広く国民の側に情報を提供して議論を深めていけるように裁判所も法務省も御努力いただきたいと思います。 さて、死刑制度の方から少し離れまして民法改正についてお伺いしたいと思います。 大臣にぜひこの件について御意見を伺いたいんですが、御存じのように大臣の諮問機関である法制審議会は、一九九一年の一月以来この民法改正について審議を重ねて、各界各層の意見を聞いた上で昨年の二月、選択的別姓の導入、また非嫡出子の相続分差別解消等を内容とする民法の一部を改正する法律案要綱を法務大臣に答申、発表をなさいました。 ところが、一年半以上たった今もなお国会に上程される兆しがないんですけれども、この件については、現行民法というのは同姓使用を義務づける夫婦同姓強制主義というものと、また非嫡出子の法定相続分を嫡出子の二分の一とするいわゆる婚外差別の制度をとっておりまして、明治民法の制定時以降、日本国憲法とそれに連動した民法の大改正後も温存されてきたわけです。しかしその後、職場や地域でさまざまな分野への女性の進出やまた人々のライフスタイル、価値観の変化、また国際化の進展等に伴って制度の不合理性が出てきて、それで見直しが論じられてきたと思います。 そこで、法務大臣が諮問して見直しを審議してくれるようにといって出された法制審議会の権威というのは余りないものなのか。それから、各界の御意見をいろいろ聞かれて答申がなされたと思うんですけれども、なぜいまだ上程されないのか。法務省としては、大臣の諮問機関で答申されたこの要綱案をぜひ上程され、審議されるように今後も努力してくださるのかどうかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 先生御説明のとおりでございまして、法制審から答申をいただいたということも承知しておりますし、私もその内容を承知いたしております。 事柄は日本のこういうふうな身分法に関する大切な問題でございますし、それからお一人お一人の家庭、個人に影響することでもございますので慎重の上にも慎重を期した方がいいんじゃないだろうかというふうなことで、法制審の答申に加えまして、そういうふうにお願いいたしまして世論調査等をやっていただいた経緯がございます。 そういうふうな経緯を踏まえてみますと、結論的に申し上げまして、いわゆる選択的夫婦別姓制度の採用についてはまだ国民の大多数の御賛同を得るに至っていないという結論になったわけでございます。法制審の先生たちもこれは御立派な先生方がおそろいでございますけれども、やはりお一人お一人の人間、それから家族、家庭にかかわり合いのあることでもございますので、今申し上げましたような方法をとったわけでございます。 やはり、家族の一体感がなくなるとか、あるいは結婚のあかしとしてそれは同姓の方がいいんだとか、あるいは日本の文化だとか伝統だからそれはそのままでいいんだというふうな意見も非常に強うございますし、片やもう世界の潮流じゃないか、しかも少子・高齢化社会で特に婦人が社会進出している際に夫婦別姓でもいいんじゃないかというふうな御議論があることも十分承知いたしております。 そういうふうな中で、まだ国民の大多数のコンセンサスを得ていないんじゃないだろうかなというふうな感じがいたしておりますし、したがいまして、法務省といたしましては現在のところ提案する段階にまで至っていないという判断をいたしております。
○円より子君 確かに慎重に議論しなきゃいけなような問題だと思います。そして、大臣がおっしゃったように一人一人の家庭に影響する問題だと思いますけれども、例えば別姓に関しては同じ姓を名乗りたい人はそのままでもいいわけですし、それぞれの姓を名乗りたい人に選択の道を開くということであって別にそれほど多くの家庭に影響しないものだと思います。 また、法務大臣が諮問機関である法制審にこの問題について協議してほしいということをおっしゃった時代よりも、世論調査ではずっと選択制の別姓使用を容認する答えがふえているわけです。ですから、世の中は少しずつ容認の方向に変わってきているのに国会と行政だけが後退しているのかなというふうに私は思いますし、昨年の二月に答申されたときの法務大臣は、今の世の中の潮流がそのようになってきていて、そしてそういった改正の方向での答申を受けたことを大変うれしく思うとおっしゃいました。つまり、そうすると行政の継続ということは全く無視されているのかというふうに思うんですね。 そしてまた、もう一つの嫡出子と非嫡出子の相続については、一九九三年十一月の規約人権委員会で非嫡出子の相続差別を撤廃するよう勧告を受けておりまして、外務省は何度か政府報告書を出しておりますけれども、そこで今民法改正の要綱をまとめて出しているところですと言っておりますけれども何も進んでいない。これも随分でたらめを言っているような、信義にもとるような形になってしまうのではないかということもありますし、この今の流れを踏まえて、ぜひとも今後国会で審議されるような方向で法務省もまたこの閣法を出していただけるよう御努力いただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○魚住裕一郎君 平成会の魚住裕一郎でございます。二、三の点につきまして御質問をさせていただきたいと存じます。 ここ二、三日のニュースを見ますと、中国の李鵬首相が来られて、いろいろ周りにほほ笑みかけて、そして日中友好のために一生懸命やっておられる姿が見られます。外務省のブリーフによりますと、日中二国間関係のもとで要人往来というのは非常に大事だ、年内にも国防部長とかそういう方も日本に出したいというような話も伝わってきております。 そしてまた、きょう院内を歩いておりましたら、たまたま知っている中華全国青年連合会の方が訪日団を率いて国会見学をされていた。廊下ではったり会いまして、やあやあというふうになったのであります。一方で、要人の往来というのは非常に大事だ、しかしながら日中の友好を考えた場合、二十一世紀さらにその先と考えるとやはり若者の交流というのが非常に大事ではないか。 そういう観点から、本年五月二日、松浦先生が法務大臣のときに決算委員会で留学生そして就学生の問題を取り上げさせていただきました。その決算委員会では松浦法務大臣御自身のお言葉の中で、特に入国審査の関係では、身元保証人制度の廃止、あるいは在留資格に関する提出書類についての簡素化、こういうものをやってきましたという御答弁がございました。また、留学生十万人計画もございましたので、「文部省あるいは外務省からの御要請があれば、」「具体的に不正なものとのかかわりを分離できるということを前提に十分検討してまいるということはお約束できると思います。」と、このような御答弁がございました。 もちろん大臣はおかわりになったわけでございますけれども、この御答弁の中にございました、就学生あるいは留学生に関してさらに積極的に受け入れていこうという点についての文部省あるいは外務省からの御要請というものはあったんでしょうかどうなんでしょうか、御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(伊集院明夫君) 文部省、外務省ともこの留学生、就学生受け入れの問題についてはいろいろな機会に意見を交換しております。 最近では、特に文部省からの要請が非常に強いこともあって、専修学校の専門課程を出た方についての就職を認めてほしい、これが就学生、留学生が日本に来やすいインセンティブを増すというようなお話があって、我々としてもそういう措置をとったことがございます。
○魚住裕一郎君 確かにそういう面もあろうかと思いますが、この入国管理についてもうちょっとハードルを低くできないかというような趣旨での御要請というのはあったんでしょうか。
○政府委員(伊集院明夫君) 私ども最近、ただいま先生から御指摘がありましたように、身元保証人制度の廃止、これは従来から文部省、外務省に限らず何とか廃止できないかという御意見がありましたので、これを受けて身元保証人制度を廃止しておりますし、また手続の簡素化という要請も従来からございましたので、これも実施したというようなことでございます。
○魚住裕一郎君 いや、それはもう松浦大臣が御みずから答弁されていますから、私はその後のことを聞いているのであって、その後の御要請はあったのかどうかをちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(伊集院明夫君) その後、非常に具体的な形でこういうことをしてくれという要請は受けておりません。
○魚住裕一郎君 就学あるいは留学、この入国管理に関していろいろハードルがある、その中の一つが身元保証とかそういうことがあったというふうに聞いておりますが、一つは滞在経費の支弁能力の問題もあろうかというふうに思います。日本に入ってくるために、日本円にして三百万円の残高証明が必要だよと。一方、諸外国はどうかといえば、アメリカとかは大体二百五十万ですか、そういう状況になっている。何ゆえ日本の場合は三百万なのか教えていただけますか。
○政府委員(伊集院明夫君) 残高証明書でございますけれども、これは不法就労等を目的として留学、就学の在留資格で入国してくる者が少なくないという状況がございますことから、適正な出入国管理行政を確保するために生活費用支弁能力を立証する資料としてその提出を求めているところでございます。 三百万円と先生おっしゃいましたけれども、これは留学、就学でいらっしゃる場所によって生活費も若干違いますので、一律に三百万円ということでは必ずしもございません。
○魚住裕一郎君 また、入学も大体年二回ぐらいでやっているようなんですが、先般、院の派遣で欧州に行かせていただきましたけれども、各国では随時入学というんですか、常に我が国の言葉を学んでもらう人はどんどん来ていただこうというような姿勢でいろんな入管の手続も簡便にし、かつ学校でも随時勉強していただくというシステムになっているというふうに思うわけであります。日本の場合は年二回、アメリカの場合は年四回だというふうに聞いておるんですが、この辺の緩和の方向というのはどうなっておるんでしょうか。
○政府委員(伊集院明夫君) 今は四月期と十月期ということでやっておりますけれども、非常に要望が多ければ、それは検討は可能でございます。
○魚住裕一郎君 今の要望というのは、要するに日本語学校側の要望なのか、あるいは留学生、就学生の要望ということなんでしょうか。
○政府委員(伊集院明夫君) もしこういう必要があるとすれば、学校側もそういうコースを設ける、日本に来ようとする学生の方もそういう要望があるという、双方ということでなかろうかと思います。
○魚住裕一郎君 先ほど法務省の方から、ここ数年間の各国・地域の就学を目的とした外国人の新規入国者推移の数を出していただいておりますが、急速に総合計も減ってきているというのが印象でございます。 一時、中国からは昭和六十三年に二万八千余の人が入ってきているのに、現在は二千五百六十七、平成八年です。これに対して韓国は平成八年においては四千七、台湾も七百二十一名入ってきております。台湾は大体人口二千百万くらいですか、そしてまた韓国は四千万くらい、それに比して中国は十二億あるいは十三億というふうに言われている中で、中国の今後の経済発展等を考えた場合、やはりもう少しこの点も配慮していくべきではないか。ましていわんや日中友好を促進するという立場であれば、やはり不正は不正としてきちっと対処する、これが法治国家でありますが、学びたいという人はどんどん入ってきていただく、これが私は大事ではないかなと思いますが、大臣の御所見をいただければというふうに思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 日本だけひとりよがりで生活できるわけじゃございませんし、国際的な交流というのは積極的に推進しなくちゃなりません。特に、今お話しの留学生、就学生につきましても、私どもとしてはできるだけ円滑な受け入れができるように細かく気を使うべきだと、このように思います。
○魚住裕一郎君 ちょっと話題は変わりますけれども、この間、月曜日ですか、新聞を見ておりましたら、「定期借家権」という記事が載っておりました。これは、九五年六月に規制緩和推進計画の一環として定期借家権の導入の検討を始めた、そして民事局内に研究会を設けて云々というような記事が載っております。そこにおける議論、特に今年内に検討結果を出すというような記事になっておりますが、今の進捗状況を簡潔にお教えいただきたいと存じます。
○政府委員(森脇勝君) 御指摘の点に関しましては、政府の規制緩和推進計画におきまして、良好な借地借家の供給促進を図るため、いわゆる定期借家権を含め検討すると、こういうことにされております。私どもでは平成七年七月から研究会を設けまして、法制審議会での調査、審議に資するために幅広い観点からの、特に定期借家権の問題を中心として検討を行ってきているところでございまして、本年六月に中間的な取りまとめ状況を公表いたしまして関係各界に意見照会を行い、現在はその意見照会の結果を集約中という段階にございます。
○魚住裕一郎君 この定期借家権そのものでは良好な賃貸住宅の供給がふえると私はとても思えないのでありますが、今の月曜日の新聞だけじゃなくてその前にも随分いろんなところで、政府・与党筋で定期借家権というふうに全面広告のような新聞記事も出ております。 ただ一方で、やっぱり一千五百万とも言われる賃借世帯。大昔、明治、大正時代、小作争議であるとかあるいは借地の争議がいろいろあった。その上で、正当事由という形で、もちろん戦前の状況あるいは戦後の非常に家屋が少ない時代等を含めて、司法部が一生懸命それの利益バランスを図ってきた、そういうものがありながら、一方的に定期借家権をつくろうという動きが出てきております。 翻ってみたら、本年、ストックオプションが制定されました。商法学会ではなかなかこれは認めがたいところだという、法制審議会を通していたらいつまでたっても通らないんではないかというようなところから、いきなり議員立法化されたような私は印象を持っております。 これについても、声がでかいところは建設省筋というふうに私は思わざるを得ないんですが、やはり住宅弱者というんでしょうか、高齢者であるとかあるいは母子家庭であるとか低所得者、しっかりその辺も踏まえた議論をぜひしていただきたいというふうに考えております。 今のは意見表明でございます。 ちょっと話題をかえまして、先般、十月の末に新聞を読んでおりましたら、住宅金融債権管理機構の中坊公平社長の感謝状というのが出ておりました。これは日本司法書士会連合会に対するものでありまして、一連の旧住専の担保物件の移転登記に伴う司法書士の報酬を減額した、司法書士会の協力で登記費用が約六十億円節約できたと、それに対しての感謝状ということでございます。もちろん、司法書士自体民間でございますから、大変膨大な量もあると思いますし、献身的に一生懸命やっていただいたと、それを受けての話だと思います。 これに関連してではございますが、何か平成十年度の概算要求重点事項の中で登記に関して、登記手数料を大幅値上げする、そういうようなことが出ておりました。登記簿の謄本、抄本、八百円を千円にする、閲覧も四百円から二五%アップして五百円にするというような御提案のようでございますが、これはどうしてこういうような御提案をなされるかお教えいただけますか、簡潔に。
○政府委員(森脇勝君) 登記の手数料につきましては、「物価ノ状況登記簿ノ謄本ノ交付等二要スル実費其他一切ノ事情ヲ考慮」して定めることとなっておるところでございますが、公共料金でございますので、おおむね三年ごとに見直すこととされているところでございます。平成五年一月一日の手数料の改定以来、経費の削減に努めるなどいたしまして、その改定を現在まで見合わせてきたところでございます。 しかし、このような努力にもかかわらず、登記事務のコンピューター化の進展に伴いまして、コンピューター化に要する経費は毎年大幅に増加しております。今後、さらに行政情報化を推進し、申請者等の負担軽減を図り、国民のニーズにこたえる質の高い行政サービスを提供していくためには、登記事務のコンピューター化を一層推進する必要がございます。 しかも、これを早期に完成させまして、さらにはオンラインによる登記情報の提供等の諸施策を講じていく必要がありますが、現行手数料のもとでは、これらの諸施策はなし得ない状況にございます。 このような事情から、平成十年四月一日から、先生今おっしゃいましたとおりの値上げを内容とする登記手数料の改定を行うものとして概算要求を組んでいるところでございます。
○魚住裕一郎君 ちょっと意味不明なところがあったんですが、物価の高騰という言葉がございましたが、きのうかおとといの新聞では、物価は下がっているんじゃないですか。
○政府委員(森脇勝君) 私が申しましたのは、手数料がどのように定められるかという規定上から申し上げたわけですが、今申し上げました事項のうち、登記簿の謄本等の交付に要する実費その他の一切の事情を考慮する、この点から値上げの必要が出てきたという趣旨でございます。
○魚住裕一郎君 国民あるいは利用者に負担を求めるわけですから、その一切の事情、余り細かくできませんが、どういう項目がありますか。
○政府委員(森脇勝君) ただいま御説明申し上げましたとおり、これの中の大きな部分を占めておりますのは、登記事務のコンピューター化のための費用でございます。
○魚住裕一郎君 そのコンピューター化に関連して、昭和六十三年五月十九日、不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案に対する附帯決議というのが参議院の当委員会でございます。その中に、第五項「登記情報システムへの移行のための経費は、過度に登記手数料に依存することなく、その額の適正を期すること。」、こういうふうに載っているわけでございますが、今の法務省の御答弁とこの附帯決議の関係はどのように考えたらいいんでしょうか、お教えいただきたいと思います。
○政府委員(森脇勝君) 過度に利用者に負担をかけることがないようにという配慮のもとに行っておるところでございますが、実はこの登記のコンピューター化の事務は、全国五十の法務局、地方法務局中、現在コンピューターの移行作業を行っている庁は三十八庁でございます。これを、目標としております平成十六年までに全部のコンピューター化を完了するというためには、早期に五十庁全部で移行作業を開始する必要があるという状況にございまして、現在バックアップセンターが設置されておりません十二の庁について今年度及び来年度の予算でバックアップセンターを設置する、こういう予定にいたしております。そういたしますと、全国で一斉にコンピューター化の作業が開始できる、こういう体制が整うわけでございます。 こういったところから、従来にも増してこのための費用がふえるという実情にあることを御理解いただきたいというふうに考えます。
○魚住裕一郎君 その説明は、コンピューター化するについて費用はかかるよと、これは当然だと思いますが、あえて我が参議院のこの委員会で、附帯決議で「登記手数料に依存することなく」と明言をしているんです。そことの整合性がよくわからない。もう一度教えてください。
○政府委員(森脇勝君) 今、コンピューター化の費用がかさむという点を申し上げました。 さらに、この費用といたしまして、人件費、物件費、登記情報システムの実施経費、施設整備費、こういったものがかかるわけでございまして、すべてがコンピューターのための経費ではございませんが、こういった状況で、現在の手数料収入では到底その予定を達し得ない状況になってきたというところでございます。
○魚住裕一郎君 それは確かに幾らあっても足りないよという状況かもしれませんけれども、二五%アップするということは過度じゃないんですか。どうなんですか。
○政府委員(森脇勝君) これは原価計算の上できちんとなしておるところでございますが、二五%のアップという点だけとらえますと、従来の値上げも、その前は六百円から八百円にという形でございました。そういう何%という比率からいいますと、従前の比率より小さいということにはなるわけですが、問題は、その間の値上げをここ五年間控えてきたという点も参照していただきまして、御理解いただきたいというふうに思っております。
○魚住裕一郎君 コンピューター化については、今若干局長の方からお話がございましたけれども、規模であるとか費用とか、また後で個別にお教えいただきたいというふうに思います。 ところで、登記手数料の関係では登記手数料令というのがあります。その第七条で免除というのがあります。「国又は地方公共団体の職員が、職務上請求する場合には、手数料を納めることを要しない。」。もちろん、国、地方公共団体そのものもあるでしょうけれども、例えば私の持っているこのコピーでは、住宅・都市整備公団だとかそういうところもこれに当たっているということでございまして、多分、仕事柄大変膨大な数の謄本、抄本の請求がなされているのだろうというふうに思いますが、ここ数年で結構でございますけれども、要するに無料の謄本申請受件数をお教えいただけますか。
○政府委員(森脇勝君) ここ数年の数値でございますが、発行しておる謄抄本数はおおむね八千万通から九千万通程度でございます。その九割が有料、すなわち一割が料金を徴収できない団体からの請求ということになっております。
○魚住裕一郎君 また後で具体的な数字を割合ではなくて教えていただきたいんですが、この一割なら一割で結構ですが、それが有料になったらどのぐらいの手数料収益というんでしょうか、登記特別会計に入るという形になるんですか。
○政府委員(森脇勝君) 約九十億というふうに考えております。
○魚住裕一郎君 そうすると、今度この手数料アップでどのぐらいの額が見込まれているんですか、アップ幅。
○政府委員(森脇勝君) 年間で二百四十億と見込んでおります。
○魚住裕一郎君 この無料に関して、昔のといいますか十年ぐらい前の民事行政審議会答申というのがございます。その中に、答申の第六の四というところで、今の無料の申請について、これはもう有料とするのが相当であるというような答申が出ております。 その答申の説明の中で、「受益者負担の原則に立つ登記特別会計制度の下では、登記情報の公開の経費は、登記手数料収入によって賄われている。この建前の下では予算配分の問題という根拠はなくなるし、国及び地方公共団体並びに公団等の特殊法人による登記情報の利用は公益性をもち、官公庁間の協力関係は維持すべきものとしても、そのコストをすべて一般利用者の負担に帰することは不合理であって、国等にも相応の負担を求めるのが合理的である。」というような説明がなされております。 十年たって、なぜこれをそのまま維持して、かつ二五%アップに踏み切ろうとされるのか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(森脇勝君) 官公署等からの請求につきましては、他の官公署による各種の公的制度の利用の場合と同様に、その請求の公益性、官公署の相互協力関係等を根拠として手数料を無料とするという取り扱いが行われてきたところでございます。 その後、これを受益者負担の原則に立つ手数料制の導入ということになりますと、これが受益者の方にかかっていく部分がある、それも確かに一理ある論理ではないかというふうに考えられるわけでございますが、こうしたものを公的な運営として設置し維持しているという関係から申しますと、一種のこれもコスト的なものというふうに考えられる部分もあるのではないかというふうに考えられるところでございます。 そして、その後の努力でございますが、今申しましたとおり、これは公的制度の相互協力という関係になっております関係で、従来の制度を改めるという形のものが非常に難しゅうございまして実現していないところでございますが、今後とも、この点については機会あるごとに関係者に対する説明等をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○魚住裕一郎君 無料を有料にするだけでもこのアップ率というのは随分下がると思うんですね。これは政令で決まっているわけでしょうから、話だけじゃなくてどんどん取り組んでいただきたいというふうに思います。この問題については予算にも係ることでございますので、引き続きまた後日質問をさせていただきたいというふうに思います。 また登記に関連して、法務局ですか、登記所のいわゆる統廃合が今問題となっておりますけれども、これはどういう趣旨で行われようとしているのか、簡潔にお教えいただけますか。
○政府委員(森脇勝君) 法務局の組織はその発足の当初からかなり分散化した機構になっております。昭和三十年代には二千庁を超える法務局、支局、出張所の数がございましたが、現在ではこれを九百六十にまで統合してきておるところでございます。ところが、それでもなお職員数が六人以下の比較的小規模の庁がおおむね半数を占めるといった分散型の組織になっております。 これは住民の方には近くに登記所があるという便利さはあるわけですが、非常に小規模でありますために、出張所では原則として登記しかできないという実情になっておりまして、法務局で行っております他の戸籍、国籍、訟務、人権といった民事行政サービス部門はその出張所では行えない、こういうことになっているのが現状でございます。 一つは、組織を統合することによって総合的なサービス基地であります支局にできるだけ高めていく努力の対象としてこの統廃合が挙げられておるところでございます。また、現在登記事務のコンピューター化というものを推進いたしております。これもある程度まとまるということによってその効率が高められるという面がございます。 さらに、登記所の事務のうち乙号事務と言っておりますが、謄本あるいは抄本を発行する事務等におきましてはかなり機械的な作業もございます。そういうものはできるだけ民間委託を利用することによって合理化、効率化を図るという努力がなされておるところでございますが、統廃合を進めることによりまして、その人員、要するに乙号事務について一人分の人をあてがうことのできる事務量を創出することができる、こういったようなメリットがございまして、そういった種々の観点から、この統廃合を進めることが今後の法務行政を充実させ、サービスを向上させる基本になるものだというふうに考えておるところでございます。
○魚住裕一郎君 私の持ち時間を全部使って御答弁いただきまして、ほとんどこの点は入り口だけで終わってしまうわけでございますけれども、登記所というのはやはり利用者は国民であり、企業である、またその専門職である司法書士であるとか、あるいは土地家屋調査士、税理士。昔、簡易裁判所の統廃合という問題がございましたけれども、これはある意味では弁護士業務の中でどちらが便利かみたいな話の部分がございますが、この登記所に付随する利用者というのは土地に密着している、地域に密着しているということもございます。また、地域の振興の問題もある。さらに地方分権ということも言われている。 そんな中で、ぜひ住民への説明会もしっかりしてもらいたいし、地元の商工会あるいは地方議会の同意とか、そういうところまで配慮した上で対処をしていただきたい。この御要望を申し上げまして、きょうの質問は終わります。
○千葉景子君 下稲葉法務大臣、御苦労さまでございます。 これまでも法務委員会などで御一緒に議論をさせていただいてきた、こういう経過もございますので、委員会での議論もぜひ十分踏まえていただきましての御奮闘を心からお願いをする次第でございます。 さて、既に各委員の皆さんからいろいろな課題の質問がございました。私もそれぞれ大変関心を持たせていただいている課題ばかりでございまして、それぞれのやりとりをお聞きしながら一言申し上げたいという部分もございますけれども、それについてはまた別の機会に譲らせていただきまして、また違う課題を何点か御質問させていただきたいというふうに思います。 まず、きょうは冒頭、外国人登録法の問題につきまして御質問をさせていただきたいと思います。 実は、この外国人登録法は何回かいろいろな改正作業がなされてまいりましたが、前回は一九九二年に改正が行われました。その議論を詳細に申し上げる必要はないかと思いますけれども、その際、この参議院の法務委員会でも六項目の附帯決議が付されております。その第一点目が、「本邦在留の外国人に対する行政の在り方にかかわる内外の諸情勢の推移を踏まえ、外国人登録制度の目的を明確にするとともに、外国人の人権を尊重して諸制度の在り方について検討し、その結果に基づいて、この法律の施行後五年を経た後の速やかな時期までに適切な措置を講ずること。」、こういうことになっております。 この改正案が施行されましたのが一九九三年の一月八日でございます。一九九三年一月八日から五年を経た後の速やかな時期に適切な措置をということでございますので、いわば措置を講ずるためのいろいろな手だてをしていかなければいけない時期がそろそろ近づいてきているんではないかというふうに思っているところでございます。 そこで、法務省の方でもこの趣旨を踏まえて十分な御検討など開始をされていらっしゃることだと確信しているところでございますけれども、その検討の状況などについてお聞きをしたいと思います。 その際、若干私なりの考え方を付言させていただきますと、外国人登録法というのはそもそもが約半世紀前、外国人登録令というところに基礎を発しております。そういう時代背景をとらまえてでしょうか、外国人登録制度というのは、外国人をむしろ危険なものと言っては少し言い過ぎかもしれませんけれども、管理の対象にするということが基本的な考え方に流れてまいりました。体、こういう考え方が今の時代に本当に合致するものかどうか、こういう点が改めて問題になろうかというふうに思っております。 外国人登録制度の目的をもう一度明確にせよと附帯決議でも言われているところでございますので、こういう点などが今回の論議の大変重要なポイントになるのではないかというふうに思っております。 また、この間のいろいろな情勢の推移ということを考えてみますと、例えば、やはり国際化というのが非常に急速に進展をしてきております。あるいは、人権尊重という大きな課題も国際社会の常識ということになっておろうかというふうに思いますし、また地域を見ましても、外国人の皆さんに対する公務員への採用とかあるいは地方参政権の問題などが論議をされている、こういう時代背景もございます。 そういうことを考えますと、この制度目的を含め、やはり適切な措置というのは小手先でちょっと字句を変えるとかそういうことではなくて、抜本的な見直し、場合によっては外国人登録法というのを一たんやめて新しい理念に基づいた法整備を行う、このくらいのやはり時期あるいは状況になっておるのではないかというふうに思っております。 こんなことも踏まえていただきながら、今どういう検討状況にあるのか、あるいはどういう基本的な考え方にお立ちになって議論を進められているのか、その点について大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 先生お話しのとおりに、平成四年の外国人登録法の一部を改正する法律案の審議に際しまして御紹介されました附帯決議があったことも、私も十分承知いたしております。ちょうど来年の一月八日が五年になるわけでございますし、五年を経過して速やかに云々というふうなことになっておるわけでございます。 法務省といたしましては、現在までに四回、有識者からまず意見をお伺いしょうというふうなことで始めておりまして、第一回が三月五日、それから五月二十八日、七月二十八日、九月十八日というふうに伺っております。第五回を年内にもう一遍行うというふうなことで準備を進めているわけでございますが、大学の先生から御意見を承るとか、あるいはいわゆる外国人の有識者と申しますか、韓国の方、アメリカの方あるいは中国の方等々から今意見を伺いながら検討している最中でございます。 したがいまして、正直申し上げまして、今、先生から一つの方向をお話しいただいたわけでございますが、私どものところでは現在の段階でこういうふうな方向に進もうというところまでまだ至っておりません。 そのような有識者からいろいろ御意見を承りながら、そして私ども自身の勉強の中身を加えながらできるだけ早く一つの方向を見出して、そしてまた御相談なり法案の提出なり、そういうふうな方向へ進むのではないだろうかな、このように思いますが、現在のところ、今検討をそのように、年内五回をやるわけでございますけれども、進めている段階でございます。
○千葉景子君 ぜひ、この改正議論のときのさまざまなやりとりなども改めて振り返っていただきまして議論を進めていただきたいというふうに思っております。 この作業を進めるに当たって、先ほど、成年後見制度の問題で清水理事の質疑の際、要綱試案を発表されて国民各層の意見を十分に聴取されたいというお話もございましたが、この外国人登録法の改正問題につきましても、やはり幅広く国民の意見を聞き、そしてそれを反映させていく。こういうことが、今後それを地域の中で運用し、そして日本の者あるいは外国人の方が地域社会の中で本当にともに生きていくという環境をつくるためには重要なことであろうというふうに思うわけです。 そういう意味では、今まだ作業中でというお話でございますけれども、今後その論議の過程の中で、例えば中間的な議論が進んだあたりで情報をきちっと提示いただいて、あるいは考え方をお示しいただき、そして幅広い意見を聴取する。そしてそれを議論の場に反映させて最終的なまとめを行っていく。例えば自治体などもいろいろな関係を持ちますし、地域住民あるいは外国人当事者に当たる方々、いろいろな関係する方もおいでだと思いますので、そういうプロセスといいますか、それが大変私は重要であろうかというふうに思っているところでございます。 先ほどほかの課題ではありますけれども、そういうオープンな姿勢をお持ちであるようでございますので、ぜひこの問題におきましてもそういう機会を適切な時期を見ながら、といってももう五年はすぐでございますのでそう遠からぬ時期ではないかというふうに私は思いますが、こういうプロセスをきちっと踏まえていただきたいものだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 御説のとおりだろうと思います。 検討が進みまして内容がある程度までまとまった段階で、改正案の骨子等を公表するなどして検討してまいりたい、このように思います。
○千葉景子君 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。 ところで、この外国人の問題につきましては、ちょっと前になりますけれども、外国人の在留に関する行政監察の結果もことし三月に出されております。 そういう意味ではいろいろな問題点が指摘をされているわけでございますが、その中で一つ、この附帯決議の六項目目に、「法改正により指紋押なつを必要としなくなった者の指紋原紙については、これを速やかに廃棄すること。また、それらの者の外国人登録原票の指紋部分については、今回の法改正の趣旨を踏まえ、今後の措置を速やかに検討すること。」というふうになっております。 自治体などでも廃棄の作業が相当進んだというようなことも漏れ聞いているところでございますが、この問題について実情はいかがでしょうか。
○政府委員(伊集院明夫君) 平成四年の外国人登録法改正で署名等による同一人性確認に移行した特別永住者等の指紋原紙、それから書きかえ済み旧外国人登録原票の指紋部分の措置についてでございますけれども、これらの方々の指紋原紙はすべて廃棄を完了しております。 また、書きかえ済み旧外国人登録原票は、市区町村において指紋抹消がなされないまま入国管理局に送付されてきましたものについては、私どもで指紋抹消の措置をとっております。それからさらに、マイクロ化して保存、保管している書きかえ済みの旧外国人登録原票のうちの指紋部分が残っているものにつきましては、順次これを抹消する作業を行っているというところでございます。
○千葉景子君 今、順次ということで作業中ということにお聞きをいたしますけれども、いろいろマイクロ化されておりますので大変だとは思いますけれども、これがスムーズに最終まで早期に終了されますようにぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。 それでは次に、先ほどちょっとお触れがございましたけれども、成年後見制度の問題についてお尋ねしたいと思います。 今急速な高齢化が進行しておりますけれども、これが国民生活に対していろいろな影響を及ぼしていることはもうだれもが感じているところでございます。そういう中で、やはり高齢社会にふさわしいいろいろなシステムの整備、制度化、そういうものが今緊急の課題になっておろうかというふうに思います。それにプラスして、さらに少子化という問題もございますので、より大変複雑あるいは難しい問題になっているのかもしれません。 その中で、高齢者の財産の管理という問題が今大変取りざたされているところでございます。何らかの形でそれをサポートする、支援するような制度が必要なのではないか、こういうことでございます。 いわゆる寝たきりになられたりあるいはアルツハイマーなどによってぼけ症状などを起こされている、こういう場合もございます。そういう意味では、今非常に急がれる問題ではないかというふうに思っております。それが成年後見制度の検討ということにつながっているのではないかと思うんです。 既に、地域では社協の協力などのもとに高齢者のために財産保全や管理をするサービス、こういうものも実施されている、こういうケースもございますけれども、いわゆる全国的なといいましょうか、法的な制度というのはまだ十分に措置されていないというのが実情ではないかと思います。 現行では禁治産、準禁治産の制度がございますが、これが本当にこれからの新しい社会に適切に対応できる制度かどうか、こういう問題もあろうかというふうに思いますので、この成年後見制度につきまして今いろいろな作業が進められているということでございますけれども、何点かお聞きしたいと思っております。 まず、現行の禁治産、そしてそれに伴う後見、それから準禁治産とそれに対して保佐がつくというこの制度の、利用というのは変な言い方ですけ肥れども、例えば申請こういうものが今どういう状況になってきているのか。それから、その中で例えば高齢者の方に対する適用のようなものがふえているのか、あるいはどういう実情にあるのか、ちょっとお知らせをいただきたいというふうに思っております。
○政府委員(森脇勝君) 禁治産、準禁治産宣告の申し立て・認容件数の推移でございますが、これにつきましては司法統計年報が一応ございますが、これには宣告取り消しの件数も含んでおるということをあらかじめ御承知おきいただいて件数を申し上げたいと思います。 これによりますと、禁治産宣告等につきましては、昭和六十一年度における申し立て件数が九百八十八件、認容件数が六百五十二件でありまして、平成七年度における申し立て件数は二千八件、認容件数が千三百十五件ということでございます。したがいまして、十年間でほぼ倍増しているという傾向でございます。それから準禁治産宣告につきましては、昭和六十一年度における申し立て件数が五百六十二件、認容件数が二百十九件、平成七年度における申し立て件数が六百九十一件、認容件数が二百四十八件。こちらの方は横ばいないし若干ふえているといった数字でございます。 そのうち、痴呆性の高齢者がどのぐらいを占めているかということなんですが、これについては統計がございません。ただ、最高裁判所で実施しました実態調査がございまして、これは平成七年度についてでございますが、全国の家庭裁判所で申し立てが認容されて終局した事件の件数、これは禁治産、準禁治産合わせてでございますが千三百五十九件ございます。このうち、老人性痴呆に該当する器質性脳障害を原因とする者、これが二百八十九件でございます。したがいまして二一・三%ということになります。先ほどの、ここ十年間で禁治産宣告については約二倍に、それから準禁治産宣告については横ばいないしは微増ということを考えますと、この二百八十九件という数字はかなりふえてきた結果ではないかと、こういうふうに推測するところでございます。
○千葉景子君 そういう意味では、これがとりわけ御高齢の方を対象に考えられた制度ではないのですけれども、やはり大変ふえているということが言えようかと思うんです。ただ、これは制度としてはこういうものしかございませんので、やむなくこれを利用されるというケースもあるかと思うんですが、こういう禁治産、準禁治産宣告という形をとることによる何か問題点とか、あるいは今の状況に余りそぐわない問題点とか、そういうのは出てきているんでしょうか。その点どうでしょうか。
○政府委員(森脇勝君) 研究会におきましても、あるいはそのほかの外部の記述によりましても、この禁治産、準禁治産を痴呆性高齢者に適用しにくい場面という点につきましてはいろいろの点が指摘されておるところでございます。 例えば、痴呆性高齢者の判断能力あるいは保護の必要性というものには非常にバラエティーがあるわけでございますが、民法で準備しているのは禁治産、準禁治産という二つの類型であると。しかも、その保護の態様というのは全く異なったものが規定されているということでございまして、その判断能力の程度あるいは保護の必要性というものにマッチしていないという点があるのではないかということが指摘されております。 さらに、心神喪失と心神耗弱という要件を課しているわけですが、これが重く厳格であるために、高齢者には必ずしも適切でないというような点がございますし、さらに福祉事務所の長等に申し立て権がないという点が支障を来しているというような見解もございます。 さらに、夫婦の場合に、一方が禁治産、準禁治産の宣告を受けますと、その後見人、保佐人となるのは配偶者でございますが、高齢者の場合にはその配偶者の方も高齢になっておりますので、果たしてそれが適切な選任なのかどうかという意味で、後見人あるいは保佐人の制限、あるいは人数であるとか、自然人に限られているという解釈がとられているようでございますが、そういった点についても使いにくい制度という指摘がなされておるところでございます。
○千葉景子君 今御指摘にもございましたように、これまでの制度ではやはり十分に対応し切れない部分が出てきているというのは確かなところだろうというふうに思います。 ただ、今後検討を進めていただく上で、もう既にこの辺は研究会の中間発表で指摘をされているところでございますけれども、やはりお年寄り、高齢者の場合には、でき得る限り残存している能力を生かして、社会の中でできるだけ自立した生活ができるようなことを念頭に置いていただくことは当然でございましょうし、それから、やはりどうもこれまでの禁治産、準禁治産というのが、言葉もともかく戸籍への登録とかプライバシーにかかわる、こういうことも大変指摘をされているところでもございます。そういう面も念頭に置きながら適切な制度というものを検討していただきたいものだというふうに思います。 それから、今ちょっと触れられたんですけれども、これまでの後見制度などが家族中心、親族中心という制度でした。そうなりますと、今、高齢者のまた親族も高齢化しているとか、あるいは核家族化やあるいは単身家族がふえて身近になかなかそういう近親者がいないというような状況も起こっております。あるいは少子化というものもそれにプラスをされてくるだろうというふうに思います。そういう意味ではどういう体制でサポートするのかということも重要な問題である。 それから、これまでが知的な障害を中心にしておりますので、高齢者の場合には、例えば寝たきりで、自分でいろんなことをやりたいけれども銀行へ行くのも郵便局へ行くのも自分では行けないとか、あるいはだれかといろんな財産上の話をしたいけれども自分で歩いていく状況にないとか、そういうことで非常に困難を来しているというケースも多いかと思うんです。そういう意味では、知的な問題ばかりではなくて、そういう身体的な障害などにも何か適用できるような方向も視野に置いておかなきゃいけないのかな、こんな気もいたします。 これらの問題点を踏まえながら、これから急がれることでもありましょうから、ぜひ取り組みをしていただきたいというふうに思います。ちょっと大臣、御決意のほどだけ。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 高齢化が進むに従いまして、今、先生御指摘のように、大変重要な問題が出てきているということでございまして、民事局長から答弁いたしましたように、法務省といたしましても二年間にわたりましてその問題を検討してまいりました。それを公表すると同時に、法制審議会の民法部会の中で、福祉関係等の一般の有識者を加えました成年後見小委員会を設けて本格的な検討を開始したところでございます。来年の春ごろに大体試案をまとめてみたいというふうな方向でやっているわけでございまして、まとまれば国会へお願いするというふうな段取りになろうかと思います。 禁治産者、準禁治産者との兼ね合いといいますか問題等々もありますし、だから、成年後見制度につきまして、やはり本人の保護という現行制度の理念と、それから、自己決定の尊重といいますか残存能力の活用、障害を持った方々も地域や社会で普通の方々と同じように生活できるような環境をつくるということが基本だろう、そういうふうに思います。痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等々の方々にとって利用しやすい柔軟かつ弾力的な制度を検討するように、各種の福祉施設、そういうふうなところとの連携もやっぱり視野に入れまして鋭意検討を進めてまいりたい、このように思います。
○千葉景子君 ところで、ちょっと話はがらっと変わってしまって恐縮なのでございますけれども、実は私も先般の視察の一員に加えさせていただきまして、少年院なども見学をさせていただいてまいりました。いろいろな体制の問題等、お聞きしたいことはたくさんあるのでございますけれども、きょうはちょっと違う観点でございます。 ちょうど少年院の中でお魚を飼っておられました、その入っている少年たちが。それによって、やっぱり生き物が命を得て、そしてそれを大切にしながら、今の大切さとかあるいは情操に非常に寄与しているというお話も伺ったところでございます。 何かお魚が死んじゃったときには大変嘆き悲しんだというか、大変寂しい思いをした少年たちも多かった、こういう話を聞きまして、動物、いわゆるペットなど、そういういろんな寄与もしておりますし、今、成年後見の話をしましたけれども、高齢者とかあるいは単身で暮らしていらっしゃる皆さんにとっても、身近な話し相手というか、気持ちを和らげる、そういう対象としても非常に役割を果たしているというふうに思うわけです。 ただ一方で、飼うはいいけれども、嫌になるとペットを捨ててしまうとか、それから、突然何か何百匹も大を飼ったりして周りが非常にいろいろ迷惑もかかっている、あるいはもうそれが手に負えなくなってどうにもならなくなってしまう、こういうケースなどもあって、片方ではプラス面があると同時に、余り野放図な対応をしますとこれが逆効果になっているということもあろうかと思うんです。 私、こういう問題というのはどうしたものかと考えて、動物の保護及び管理に関する法律というのが昔議員立法で出されて、そしてこれが総理府の管轄であるということを初めて知ったわけなんでございます。本来はモラルの問題ではあろうかというふうに思うんですけれども、やはりこういうものに対してもう少し啓蒙していただくとか、あるいは自治体などの対応について指導いただくとか、そういうことができないものかと思うんです。 御商売をするにも特に規制はないようですし、あるいは登録をするとかそういうことも必ずしも全部義務づけられているというわけではありませんので、大変難しい問題かなというふうに思うんですけれども、せっかくいい面も今指摘をされているわけですから、適切にあるいはプラスの方向にこの動物の飼育がなされるような指導もいただきたいと思うんです。いかがでしょうか総理府、何かこれだけでお越しいただいて大変恐縮ですけれども。
○説明員(山崎日出男君) お答えいたします。 総理府といたしましては、動物の愛護を通しまして、命あるものを慈しむ心をはぐくむとか、あるいは生命尊重、友愛、平和の情操の涵養に資する、こういったことを目的として、動物の保護及び管理に関する法律があるわけでございますけれども、この法律の趣旨を徹底いたすために、この第三条で定められております動物愛護週間、これは九月二十日から二十六日でございますけれども、この動物愛護週間におきましては、地方公共団体あるいは動物愛護団体と協力いたしまして、適切な啓発事業を実施したりあるいはポスター等を作成しているところでございます。 そのほか、動物の適正飼養につきまして訴えるリーフレットでありますとかあるいはパンフレットの作成等を行っているところでございます。さらに平成七年度からは、愛護と適正な飼養にはまず飼い主の意識改革からと、これが重要だという観点から、飼い主に対しまして、動物の適正なしつけ方を理解させるための適正飼養教本の作成等を行っているところでございます。 今後とも関係省庁あるいは地方公共団体、動物愛護団体と連携協力しながら適切な普及啓発に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
○千葉景子君 ありがとうございました。 またこれは私もいろいろ知恵を絞ってみますので、よろしくお願いをしたいと思います。 最後になりますが、今、登記・供託業務のエージェンシー化というのが若干問題になっております。きょうは簡単で結構でございますが、どうも私もこれよくわからないんですが、これが人員とかあるいはコストの面とか国民サービス、いろんな面から本当に適切なものなのかどうかよくわかりません。 法務省としては、いろいろな観点から考えてどんなお考えを持っておられるのか。あるいはこういう問題点がある、そういうことがございましたらちょっと御指摘いただきまして、私の質問の最後にしたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 法務局のエージェンシー化ということがいろいろ議論されているのは御承知のとおりでございます。 私自身の考えを申し上げますと、行革にはこれは積極的に協力しなくちゃいけないという立場でございます。行革というのはどういうことかというと、やはり国民の皆様たちの役に立つかどうか、そしてそれが国の政策として一番いい方法をとらなくちゃならぬ、こういうふうに思うんです。 登記の問題でございますが、私、考えがちょっと古いのかもしれませんけれども、国家というのは統帥権と国民と国土と私ども習った記憶があるんです。そういうふうなことからいいますと、国民というのは国籍であり戸籍、これでぴしっと管理しているわけです。国土というのは登記ですよ。これを国家の仕事から外したらどういうことになるんだろうかという認識が私の基本にございます。 さりとて、行革には積極的にやらなくちゃいけない。その側面から見てみますと、これは行革が言われる前から、昭和三十年代から、民事局長から話がございましたように、二千ぐらいあった法務局の出先を現在九百七十ぐらい、もっともっとやろうと。魚住先生から御指摘ございましたように、まさしくそれはもう国民に密着している、地元の人たちに密着していることでございますので、そういうふうなものを統合するということは大変難しいといいますか、苦しいというか努力を要するところで、お話がございましたように地元の人たちの御協力を得てやらなくちゃならないということです。それについても登記業務のコンピューター化なり合理化をどんどん進めながら、もう前からやっているわけですから、私はそういうような形で進めるべきである、このように思います。
○千葉景子君 終わります。
○照屋寛徳君 下稲葉法務大臣、本当に御苦労さまでございます。ぜひ法務行政、また司法行政全般について御奮闘、御活躍を期待いたしております。 私は、冒頭、民法改正問題をお聞きしたいのでございますが、先ほど円委員からも御質問がございました。私ども、去る第百四十回通常国会に社会民主党とさきがけ共同で民法改正の議員立法を提出したのでありますが、残念なことに全く審議がなされないまま廃案になってしまいました。もう申し上げるまでもなく、一九九六年、平成八年二月に選択的夫婦別姓の導入あるいは非嫡出子の相続差別の解消などを内容とする法制審の答申が出たわけでございます。 一方で、我が国は一九八五年に女子差別撤廃条約を、また一九九四年には子どもの権利条約を批准しておりまして、これら二つの条約は、締約国に対して、夫婦が姓の選択において同一の権利を持つこと、また両親が婚姻しているかどうかを問わず子の権利は同一であること、子供に対するあらゆる差別を禁止し、子供に最善の利益を確保する制度をつくることなどを求めておるのであります。 私は、明治憲法制定時に定められた夫婦同姓強制主義あるいはいわゆる婚外子差別の制度というのは、現在では既に制度的な合理性を失っておる、したがって法制審答申の内容、趣旨で速やかに民法改正が図られるべきだというふうに考えておるのであります。 選択的夫婦別姓制度の導入についても、さまざまな価値観による新しいライフスタイル、価値観の尊重、これを基礎としているわけでございますし、いわゆる婚外子差別の制度については、子供は親を選べないわけでありますから、相続の点で差別があってはならないというふうに思う次第であります。 昨日、那覇地方裁判所で非嫡出子二名の者が嫡出子二名を相手に平等な相続分を求めて訴えておりました非嫡出子相続差別裁判で原告の主張が退けられました。内容は、一九九五年七月の最高裁大法廷の判決に沿った内容のようでございますが、この非嫡出子の相続差別の問題については、やっぱり立法府の責任として私は速やかに解消を図られなければならない。そのためには、法制審答申に沿った民法改正が一日も早く実現をされるべきだというふうに思っておる次第でございます。 先ほど円委員の質問に大臣は、国民お一人お一人にかかわることであるとか、あるいは国民大多数のコンセンサスが得られていないのではないか、こういうふうなことなどを指摘しておりました。私は、やはり法制審で長期間をかけて専門的な立場で議論されて答申を得たわけでありますし、この法制審答申を受けて国民のコンセンサスづくりというのは一体どれぐらいの時間をかけてどのような手法でやるのか、これも定かではないのではないかというふうに考えておりまして、いま一度下稲葉大臣の民法改正に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 繰り返して申し上げますが、法制審の御答申をいただいたのはもう御承知のとおりでございまして、それと同時にやはり国民の一人一人あるいは家庭、社会、いろいろ関係の深い問題でもございますので、総理府で世論調査をやっていただきました。前の世論調査もあったわけでございますが、幾らか中身が変わってきているというのは、別姓賛成の比率が前回の調べよりふえているというふうな事実がございますし、それから年の若い人ほど別姓に賛成だというふうな調査結果になっているのも私は承知いたしております。 しかしながら、全体として見てみますと、まだ別姓反対の方の方がそのような世論調査の結果では多数を占めているというふうな段階で、少数意見である別姓賛成の人の意見を取り入れて法律改正をやる、そこまで私どもとしては踏み切れない。やはり、国民の世論というふうなものを十分に見据えながら検討しなくちゃならないなというふうなことでございます。 最近のちょっと目に映った報道なんかでも、「新妻 八割が夫婦同姓派」というふうな、これは十月二日の東京新聞でございますけれども、「一体感・結婚のあかし」とかという見出しで出ているような報道もなされておりますし、もう少しその辺のところを踏まえてひとつ検討させていただきたいというのが偽らざる心境でございます。
○照屋寛徳君 次に、死刑制度について幾つか質問をさせていただきたいと思います。 私自身は死刑制度を廃止すべきであるというふうな考え方に立っておるわけであります。 さて、具体的に質問を申し上げますが、現在、確定をした死刑囚は何名おられるのか。そのうち再審を申し立てている者は何名か。また、一審で死刑を宣告され、控訴、上告している者は何名おられるか、お伺いをいたします。
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。 平成八年十二月末日現在、死刑確定者は五十一人でございます。そのうち、再審を申し立てている者は、同日現在十六人とされております。また、一審で死刑を宣告されまして控訴している者の数は十五人でございます。上告している者の数は十七人となっております。
○照屋寛徳君 死刑制度をめぐっては国民各層にさまざまな御意見があるということは私も承知をしているわけであります。同時に、諸外国においても死刑制度について非常に大きな変化があるやに思うわけでありますが、昨今の諸外国における死刑制度の動向等について、法務省で掌握された範囲でお聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。 第二次世界大戦後、ヨーロッパ諸国を中心といたしまして死刑を廃止する国がふえてまいったことが指摘されております。死刑に関します国際連合の事務総長の報告によりますと、一九九五年十二月におきまして次のような状況となっております。 まず、死刑を存置している国または地域という数え方でいきますと、九十カ国または地域とされており、また、すべての犯罪につきまして死刑を廃止している国または地域としては五十八カ国または地域が挙げられております。さらに、通常犯罪、これは例えば非常事態的なものを除いたということでございますが、通常犯罪についての死刑廃止国または地域は十四カ国または地域。それから、死刑制度そのものは持っておるのでございますが、事実上死刑を執行していない、事実上の廃止国または地域としては三十カ国が挙げられております。 しかしながら、このようなことで死刑制度を廃止している国も相当な数に上っておるわけでございますが、他方で、一たん死刑を廃止したもののその後復活された国があるほか、アメリカでも順次各州によって死刑が復活されております。最近、一九九四年には例えばカンザス州、一九九五年にはニューヨーク州がそれぞれ死刑を復活させておるなど、死刑廃止が一般的な国際的な傾向になるかどうかという点についてはさまざまな見方があるのではなかろうかと存じます。 ただ、いずれにいたしましても、死刑制度に関する国際的な動向には今後とも注意を払っていく必要がございまして、死刑制度の存廃につきましては、国民一般の考え方にも十分配慮しつつ、今後とも慎重に検討すべき問題であろうと考えられております。
○照屋寛徳君 具体的な死刑の執行をめぐる問題については先ほどさまざまな論議がございました。被害者や遺族に対する配慮、あるいはまた死刑囚に対するさまざまな配慮、あるいはまた刑の執行という大きな目的からの問題等、さまざまあるだろうということは承知するわけでありますが、今、我が国における死刑囚の現状あるいは諸外国における制度の動向等をお伺いしたわけでありますが、それらを踏まえて大臣の死刑制度についての御所見を賜りたいというふうに思っております。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 死刑制度の存廃につきましてはいろいろな意見があるというのは承知いたしております。国民世論の動向を十分見分けなければならないという反面、またやはり法秩序の維持と申しますか社会正義を実現していく、そういうふうな観点からも慎重に検討しなければならない問題だと思います。 現在のところ、先ほど来お話が出ておりますが、国民の大方は死刑もやむを得ないと考えている方が多いという現実もあるわけでございますし、法務大臣といたしましては、罪責から著しく重大な凶悪事犯を犯した者に対しまして死刑を科することはやむを得ないのではなかろうか、今直ちに全面的に廃止というわけにはいかないのではなかろうか、このように私は思います。
○照屋寛徳君 それでは、死刑制度をめぐっては今後もまた掘り下げた議論を展開してみたいというふうに思っておりまして、きょうのところはこの程度におさめておきたいと思います。 ところで、総会屋への利益供与をめぐる事件が多発をしております。四大証券会社にとどまらず、さまざまな業種、企業に発展しているのが今日の現状ではなかろうか、こういうふうに認識をするわけであります。もう毎日のように何か事件が摘発をされる、それがマスコミをにぎわす、こういうことで、いつ、どの企業をめぐって事件が起こったのか、そのこともなかなか覚えられないぐらい多発をしておるわけであります。 特に四大証券会社の不祥事に見られるように、日本の証券・金融制度を揺るがすようなやみの世界である総会屋との癒着、これはもう許しがたい犯罪だというふうに私は思いますし、厳しく断罪をされなければならないというふうに考えておる次第でございます。 そこで、商法第四百九十七条違反、いわゆる利益供与あるいは受供与の事件の受理状況、あるいはまた起訴の状況、起訴事実の概要等についてお教えいただきたいと思います。
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。 御指摘ございましたように、昭和五十六年の商法改正で、いわゆる利益供与すること、またそれを受ける罪が新設されたのでございますが、検察当局におきまして受理した利益供与、受供与事件につきまして当局が把握している限りにおいてお答え申し上げますと、受理した件数は合計三十件でございます。そのうち二十六件につきましては起訴がなされており、その余は四件ということでございますが、現在、なお捜査継続中ということでございます。これらの事件で起訴された被告人の延べ人数は十一月十二日現在で二百名に上りました。 これらの事件の公訴事実の概要でございますが、それぞれにおいて異なるものでございます。特に御指摘の最近のケースにつきましては、これから検察官が証拠に基づきまして法廷で立証していくべきものでございますので、その詳しい内容について申し上げることは差し控えたいのでございますが、基本的には、会社の関係者が総会屋等に対しまして、株主総会における議事の円滑な進行に対する協力への謝礼などの趣旨で現金とか商品券、有価証券取引上の利益、あるいは金融上の利益等各種の利益を供与した、またそれを受けたというものがほとんどでございます。 このうち、御参考までに起訴に係る供与額が多額、便宜上一億円を超えるような事件を挙げてみますと、平成九年八月に大阪地方裁判所で会社関係者について判決が言い渡されました高島屋事件では、八回にわたり一億六千万円を供与したという事実が認定されております。また、平成九年六月に東京地方検察庁が東京地方裁判所に起訴いたしました野村証券事件の公訴事実は、七回にわたりまして有価証券取引上の利益約四千九百七十万円相当及び現金三億二千万円を供与したというものでございます。また、平成九年六月から七月にかけまして東京地方検察庁が東京地方裁判所に起訴いたしました第一勧業銀行の公訴事実は、五十二回にわたり百十七億八千二百万円、これは貸し付けによる金融の利益でございますが、その利益を供与したというものでございます。平成九年十月に東京地方検察庁が東京地方裁判所に起訴いたしました山一証券事件の公訴事実は、三十二回にわたり有価証券取引上の利益約一億七百万円相当を供与したというものでございます。 概要についてお話し申し上げました。
○照屋寛徳君 これらの総会屋への利益供与をめぐる事件の多発、これを受けて法務省としてはどのような対策をとられようとしているのか、その点お教えください。
○政府委員(原田明夫君) 最近におきます御指摘のような相次ぐ事件の摘発によりまして、会社の運営の健全性を著しく害するいわゆる総会屋の活動が依然として後を絶っていないということがわかってまいりました。しかも、我が国経済の中枢まで浸透しつつあるという極めて遺憾な事態が明らかになってきております。 法務省といたしましては、このような事態の根絶を図るとともに、株式会社の運営の健全性を確保するために利益供与・受供与罪の法定刑を引き上げること、あるいは利益供与を要求された段階でその要求自体を新たな罪とすると。その段階でいわば要求を受けた会社側としては捜査当局に訴えることができることになるわけですが、そのような利益供与要求罪を設けること、あるいは脅迫して利益を要求する場合にはこれは恐喝罪が成立するわけでございますが、恐喝に至らない、いわば法律上畏怖というところまで行かない、困惑をさせるようなということで法律上は威迫を伴うとされておりますが、威迫を伴うような利益の受供与すること、あるいはそれを要求することにつきまして新たな罪とするというような内容を含みます商法等改正法案を今国会に提出させていただきました。 先般、衆議院本会議において可決されまして参議院へ送付されたところでございまして、いずれ当委員会におきましても御審議を賜りたくお願いさせていただきたいと存じます。 また、それ以外にこの種の犯罪が、委員もお触れになりましたが、単に総会屋ということでなくて、広くいわばやみの世界、そういうものがある、いわゆる組織的な犯罪に対処するという側面があるわけでございまして、そのためには別途さまざまな観点から法整備を図ってまいらなければならないと考えております。 そういう観点で、本年九月十日に法制審議会の答申を受けまして、できるだけ早く今国会にも法案提出をすべく鋭意作業中でございますが、その中に、内容の一部といたしまして、反社会的な勢力の正常な経済活動への侵入を阻止することなどを主要な目的といたしまして、犯罪によって得た収益について適正な規制を行うため、これを例えば隠匿、収受する、いわゆるマネーロンダリング行為を処罰する規定の新設とか、犯罪によって得た利益の没収、追徴制度を充実するというような観点、これはすなわち犯罪をペイさせないという観点から取り組んでまいりたいということでございますが、そのような制度を盛り込んだ新たな法案を現在検討中でございまして、これによりましても総会屋対策としての効果が期待できるものと考えております。 次に、法執行面について申し上げますと、申し上げるまでもなく、検察当局におきましては、今後とも、警察当局等他の関係機関と協力をいたしまして総会屋等による犯罪に対しては厳正に対処すべきものと考えております。 その他、本年九月五日に開催されました総会屋対策のための関係閣僚会議における申し合わせを受けまして、九月八日、日本弁護士連合会に対しまして、総会屋問題につきまして一層積極的に対応してもらいたい旨の要請を行いました。これに対しまして、九月二十五日、日本弁護士連合会から積極的な対応をするという旨の回答を受けまして、その旨をまた関係業界を所管する省庁を通じまして、日弁連もこのような対応をしようとしていますということを周知していただくようお願いさせていただいているところでございます。
○照屋寛徳君 総会屋で時間を食われてしまいました。 下稲葉法務大臣、今、沖縄で総理大臣以上に下稲葉法務大臣に注目が集まっております。と申し上げますのは、先般も直接お会いをして要請申し上げましたけれども、琉球の琉という文字が子の名に使用できないという事態が起こりました。 御承知のように、四百年から五百年琉球王朝が続きましたし、一九四五年から一九七二年まで琉球政府でございました。私は琉球大学の卒業生でございます。そのほか琉球銀行というのもありまして、この琉球銀行のキャッチコピーが「なが〜いおつきあい」でありますが、私ども沖縄県民にとっては琉球の琉の字はこれ以上に長い長いおつき合いでございます。 ところが、残念ながらこの琉の字が常用漢字表にも人名用のため特に認められる漢字表にも入っていない、こういうことで、現に子供の名前に琉の字を使用した出生届が不受理になって、その後子の名前が未定のまま今申請をされておる、こういう事態でございます。 私ども県民からすると、琉球の琉の字は常用平易な文字だというふうに考えておりますし、県民、国民から親しまれ認知をされておる、こういうふうに思うわけであります。それで、今大きな県民的な関心になっておりますこの琉の文字を人名用の漢字に追加することについて、大臣のお考えをお教えいただきたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 琉球の琉の文字につきまして、それが人名漢字に入っていない、だから名前をつけられない、何とかそれをつけられるようにしてくれたらどうかというふうなお話でございました。 私自身も、どういうふうな経緯で琉球の琉という字が人名漢字から落ちたか疑問に思うぐらいでございます。特に、沖縄の県民の皆様方には歴史的にも古い、何といいますか、お使いになっていた言葉でもあるし、日常生活の面においても格別親しみのある漢字、文字じゃなかろうかということで、私自身もその心情は十分理解しているつもりでございます。 先般お見えになりまして、私の気持ちは申し上げたつもりでございます。ところが、その報道を見ますと、「「琉」問題で法相にかみつく」なんという見出しで出ているので、いささか私も心外なんですけれども、私は誠心誠意お答えしてきたつもりなんです。 それはともかくといたしまして、お話がございましたが、今、この問題については那覇の家庭裁判所に具体的に事件が係属中でありまして、そう長くない間に裁判所の判断が出るんじゃないかと思います。私は、御要望の取り扱いにつきましては、その辺のところを踏まえまして早急に結論を出したい、このように思います。
○照屋寛徳君 家裁に係属しているということは私も承知をしておりますが、かつて昭和四十八年でしたでしょうか、悠々自適の悠の字が当用漢字表にないのに命名をして、そのことが家事審判になって裁判所で認められた、後に当用漢字表にも加えられたということを知っております。 しかしながら、やっぱりその審判の結果を受けておりますと、個々の判断になるものですから、全国連合戸籍事務協議会も法務大臣に要請するやに聞いておりますし、それから那覇市長は出生届を不受理にしたけれども、意見としては那覇市長も法務省にぜひ琉の字が人名漢字に使用できるように要請をしております。それから県知事もそういうふうにやっておるわけでございまして、ぜひとも、この那覇の家庭裁判所の判断も大事でございますけれども、法務大臣として積極的にそして速やかに人名漢字表に追加できるように、そういう御決意というか御決断を再度お伺いしたいなというふうに思っております。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 先ほど申し上げましたように、家裁の判断その他もろもろのことを総合的に検討いたしまして、早急に結論を出したい、このように思います。
○照屋寛徳君 百二十九万県民にかわりましてぜひ早目に実現できるようにお願い申し上げまして、もっとたくさん質問通告してございましたが、時間がありませんのでこの辺で終わります。
○橋本敦君 日本人妻の帰国問題が大きな関心を呼んでおりますが、それとの関係で日本人拉致事件、この問題もまたいよいよ重大な問題として国民各層から大きな関心が寄せられるようになりました。この日本人拉致問題については、昨日も横田めぐみさんの御両親の写真入りの新聞が出まして、「失跡から二十年 めぐみはどこに」、「両親、心が揺れる」ということで、めぐみさんがバレエの発表会で着たドレスを手にするお母さんの姿も写真に出ました。私ども一様に心の痛む思いでありました。 この日本人拉致問題については、私は、九年前の昭和六十三年三月二十六日の予算委員会、ここで取り上げまして、以来九年、今この問題は新たに横田さんの問題も発覚をいたしまして、各党もこぞってこの問題を解決すべきだという超党派の大きな運動にもなり、御家族の会も結成されるという状況になってきました。 ところが、与党三党の代表団がお行きになりました会談で、予想されたこととはいえ、朝鮮側が全くのでっち上げた、こういうことを言っていることが大きく報道されました。この問題について、改めて私は日本の姿勢をきちっとしておく必要があるということを痛感いたしました。 そこで警察庁に伺いますが、六十二年、予算委員会で私が質問したときにも、梶山国家公安委員長は、これは北朝鮮による拉致の疑いが濃厚だと答弁をされ、警察庁の当時の警備局長も、拉致された疑いがあるとはっきり申されて、北朝鮮工作員が上部から独身日本人男性と日本人女性を北朝鮮へ連れてくるようにという指示を受けていたということを承知している、ここまではっきりおっしゃっているわけであります。 その後、横田さんの事件を受けて、警察庁は全部で七件十人、こういった疑惑事件があるということを明確に答弁され今日に至っているわけでありますが、これが全くのでっち上げ事件などということは、私はそんなことは到底許されることではない。 まず警察庁に伺いますが、こうした一連の事件については、でっち上げ事件どころか、客観的な資料、捜査、証言等を集めて明白に北朝鮮のかかわった疑惑があると今日も思っていらっしゃるに違いないと思いますが、いかがですか。まず確認をさせていただきます。
○説明員(米村敏朗君) お答えいたします。 現在の日朝の政党間の交渉内容の詳細については私ども承知をしておりませんけれども、いずれにいたしましても、警察といたしましては、これまで国内の各種の捜査あるいは韓国当局を含む関係機関との情報交換の結果等々、それらを総合的に検討いたしました結果、北朝鮮による拉致の疑いがある事件といたしまして七件十人であるというふうに判断をいたしております。 なお、拉致が未遂であったと思われるものについては一件二名でございまして、現時点においてこれを変更する意思は全くございません。
○橋本敦君 単なる疑惑というどころか、例えば久米裕さんの事件については、これは捜査の中で未遂に終わったんですが、連行しようとした朝鮮人が逮捕をされて明白に自白をしているという事実も報道されている。一方、原敕晁さんの事件は、韓国の裁判所が判決文に拉致の詳細を記録して、事実として認定しているということもある。これは御承知ですか。
○説明員(米村敏朗君) 承知をしております。
○橋本敦君 したがって、でっち上げ事件などということは、私は日本の主権を守る上からいってもこれは到底許されない言い方だと、こう思っております。 法務省刑事局長に伺いますけれども、これらの事件のうち富山における拉致未遂事件ということで五十三年八月十五日に発生した事件は送検をされまして、これが受理されて処分は不起訴処分となっておりますが、多くの証拠物が遺留されておったことは明白だと思います。間違いありませんか。
○政府委員(原田明夫君) 遺留品が何点かあったというふうに承知しております。
○橋本敦君 それらの遺留品は、例えばゴム製の猿ぐつわといい布袋といい、当時の新聞に大きく報道されておりますが、製造元がどれもこれは日本国内とは考えられない、不明のものだという報道もあり、北朝鮮の拉致事件にかかわるものだという重要な証拠資料の一つだと思いますが、どう判断されておりますか。
○政府委員(原田明夫君) 具体的な事件の証拠物とその事件とのかかわりということでございますので、法務当局からその点について直接お答え申し上げることは差し控えたいと思いますが、委員御指摘の点はそのように考えられるものだろうと思います。
○橋本敦君 したがって、送検された件についても単なるでっち上げ事件とは言えない、具体的な疑惑をもって解明すべき事件だということになると思うんですね。 私は、この問題についてはまさに日本の主権と日本国民の生命、安全にかかわる重大な事件であると思います。橋本首相も北朝鮮との国交回復その他の問題については、我が方に日本人拉致事件という問題があるということをしばしば御指摘になったこともございました。 そこで法務大臣に伺いたいのですが、この問題については、でっち上げ事件などというのは向こうの言い分でありますから、我が方としては重要な事件として慎重な捜査を遂げる、そういう性質の事件である、そう私は思いますが、大臣の御認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 御説のとおりでございます。
○橋本敦君 それで刑事局長、この記録でございますが、これが廃棄処分にされているということでございます。しかし、時効は完成していない事件だと私は見てよいと思うんですが、時効の点はいかがですか。
○政府委員(原田明夫君) まず、本件の記録の廃棄の点については現存しております。 なお、時効の点は、当時昭和六十年七月十九日の段階で、本件につきましては富山地方検察庁高岡支部におきまして、被疑者不詳のまま逮捕監禁致傷の罪名で送致されたもののようでございます。逮捕監禁の法定刑は、十年以下の懲役ということでございますので公訴時効は七年と定められております。本件につきましては、一般的には公訴時効は既に完成したということで不起訴処分に付せられたものでございます。 もっとも、今後犯人が判明いたしまして、その犯人が海外にいるということになりますれば、その間の時効の進行は停止いたしますために、その段階では公訴時効の完成の有無が改めて検討されるべきことになるだろうと思います。
○橋本敦君 理論的にはそのとおりであります。だから、国外逃亡ということになれば時効中断ということで新たな事件再起の捜査が必要ですね。これらの証拠物件が処分されてしまっているという問題については、今後の捜査の支障の有無についてどうお考えですか。
○政府委員(原田明夫君) 一般的にはその事件に関して証拠物は重要でございますが、先ほど申し上げましたようないきさつで不起訴処分になった後廃棄されたということのようでございますので、その点については事件解明について遺憾であると言わざるを得ないと思います。 しかし、当時、実は昭和六十年にこの事件が不起訴になった後、六十二年にさまざまな事象が生じました。その中には大韓航空機事件等もあったと思われます。そういう状況を踏まえまして、検察官はこの記録についてはなお保存すべきであると判断いたしまして、その後現在も保存して持っているものでございます。 そういう状況でございますので、その記録に基づきまして、将来もし必要があれば慎重な捜査を関係当局とも協力いたしましてやれるものと考えております。
○橋本敦君 わかりました。法務大臣も毅然とした御答弁をなさいましたが、今後の捜査の進展によってはやっぱり重要な問題になってくる。 そこで、こういった資料や書類は刑事訴訟法の規定によりまして公判前に開示するということは一定の要件が要りますね。私は、今日これほど国際的な問題になり、多くの関心を集め、そして被害者の皆さんの切実な願いがある。こういう状況の中で、あの法文にいう公益上の必要があって、そして公表していただいて、これを検討するということの必要も出てきておるんじゃないかというように思いますが、それらについて検討していただけますかどうですか。いかがですか。
○政府委員(原田明夫君) ただいまお尋ねのように、刑事訴訟法四十七条によりますと、訴訟に関する記録は公判の開廷前にはこれを公にしてはならないと規定いたしまして、なお、公益上の必要によって公開し得る場合があることを定めておるのはそのとおりでございます。 ただ、訴訟関係記録の公判以外での非公開の原則は、その書類等によります関係者に対する影響とかさまざまな点を考えなきゃなりません。特に、本件につきまして、検察官におきましても将来においてなお捜査続行の必要ありと考えて、警察当局とも協議しながら今後相談してまいることになるわけでございます。 そういう中で、捜査上の問題点がどこにあるかとか、どこまで捜査当局が把握しているかというようなことにつきましては、捜査の必要上秘匿してまいらなければかえってうまくいかないという場合もあるのでございまして、御家族の皆さんとかマスコミの皆さん方、関心があることと思いますが、一般的に公開することについてはなお問題があるんではないだろうかと現在では考えております。
○橋本敦君 状況によっては検討していただくということもあり得ないわけじゃないんじゃないですか、せっかくの規定があるんですから。
○政府委員(原田明夫君) 一般的に、この四十七条ただし書きによる公益、それと捜査の必要性、また関係者に及ぼします影響等を勘案して、その状況につきまして個別に判断してまいることになるだろうと考えます。
○橋本敦君 きょうは時間が短いので以上で終わりますが、最後に、外務省から来ていただいておりますので。 今後この件の解明については外務省としても努力していただかなくちゃなりません。そういう外務省の御方針が変わらずあるのかどうかということが一点と、家族の皆さんにいろんな情報があれば定期的にもあるいは適宜にもお知らせしていただいて、家族の皆さんにもそれなりの安心感が持てるように御尽力を外務省に対してもお願いしておきたいと思いますが、いかがですか。
○説明員(佐々江賢一郎君) 北朝鮮による拉致の疑いが持たれている事件につきましては、先ほど述べられましたような七件十名等の判断を捜査当局においてされているわけでございますが、そのような判断を踏まえまして、本件につきましては従来より北朝鮮との交渉の場で取り上げてきております。 八月に行われました日朝国交正常化交渉再開のための予備会談や、九月に行われました日朝赤十字連絡協議会等の場におきましてしっかりと問題を提起してきているところであります。 〔委員長退席、理事大森礼子君着席〕 また、今般も与党訪朝団においてしっかりと取り上げてきたというふうなことを間接的に聞き及んでいる次第であります。また、外務省としましても、先般、国連に小渕大臣が参りました際に、国連の協力も要請しておるということであります。 本件につきましては、外務省としては引き続き、国民の生命にかかわる重大な問題である、主として北朝鮮の真剣な対応を求めていく、問題の解決のために最大限の努力を払いたいというふうに考えております。それから、いま一つの点でございます御家族の方々への御連絡、報告でございます。きょう、横田めぐみさんの御両親も見えておられます。 この件につきましては、私どもとしても御家族の方々の切々たる悲痛なお気持ちについては十分理解しているつもりでございます。先般も、小渕大臣のところに御家族の方々がいらっしゃっていただきまして、お話をお伺いしたところであります。 したがいまして、我が方としても、この問題で北朝鮮に対して真剣な対応を求め交渉を行っていくつもりでありますけれども、同時に、可能な限りその状況を御家族の方々等に御連絡するよう努力したい、こういうふうに思っております。
○橋本敦君 ありがとうございました。次の議題がありますので、外務省、警察庁はこれで御退席いただいて結構でございます。御足労かけました。 それでは、次の問題に移りますが、いよいよ行政改革会議でいわゆる外庁化問題を含めて議論が進んでまいりました。 供託制度、そして登記、この独立行政法人化の問題でございます。 土地登記、建物の登記制度というのは、百余年の歴史があって、国民からそれなりに大きな信頼を得てきた非常に重大な行政だと私は思っております。そして、公正、中立の立場で厳正に執行するということは、まさに国の責任、国の業務として行うというところに国民の信頼性が確保される重大な根幹があると思うんですね。 〔理事大森礼子君退席、委員長着席〕 このため、不動産取引の安全性を確保するということはもちろんですが、国民から高い信頼を寄せられてそれが進んでいく、そしてそのことが国民の権利義務、あるいは取引の安全にかかわる重要な権利関係に公平かつ適正に作用するという意味で、私はこの問題は極めて重大だと思います。 そういう意味で、私はこのエージェンシー化には反対でありますが、これまでの経過の中で法務省も意見を提出されたりしております。法務省の基本的な見解をまず伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(森脇勝君) 私どもの考え方も先生御指摘の点にございまして、国民の重要な財産である不動産について権利関係を確定する機能を持つ不動産登記、それから自然人と同様に経済活動の主体になり得る会社法人等の商業法人登記、この両者は経済の言ってみれば基盤をなすものである。こういう重要な事項を登記官という専門的な官職に指定された者が公平、中立、厳正に行ってきた。この体制、それから、それに従って営々と現在までの登記を築いてきたということが国民の登記に対する深い信頼の礎になっているというふうに考えておるところでございます。 したがいまして、こういった業務、特に登記の審査部門の業務は公権力の行使でございまして、準司法的な判断だというふうにされておるところでございまして、これを独立行政法人で行うということには適さない種類の仕事である、業務であるというように考えておるところでございます。
○橋本敦君 非常に明確な御答弁をいただきました。 法務局の仕事を考えてみますと、今言った登記、供託以外に例えば戸籍、人権、訟務など、こういった民事にかかわる業務に広くかかわっているわけでございます。いずれも国民の権利義務関係や、しかも法的権利の公正な執行ということで、政府が責任を負う部門が重要に重なり合っているわけですね。そういうわけですから、聞いてみますと、これまで職員の研修も一体となって人事行政の中でも行われてきた、こう聞いております。 そういうわけですから、登記・供託部門だけを切り離してしまう、これだけをエージェンシー化するということになりますと、残る法務局業務の執行体制との連携性、国民の声を聞いてそれを生かしていくという総合的な施策の立案にそれ自体も影響を及ぼすという可能性もある。こういった面からの御検討はいかがですか。
○政府委員(森脇勝君) 先生御指摘いただきましたとおり、法務局の業務は、登記、供託のほかに戸籍、国籍、訟務、人権という、これぞまさに国の仕事という部分を同時に行っておるところでございます。そして、法務局職員の約八割が登記に従事している職員でございます。今申しました登記、供託以外の重要な国の事務というのは、直接的には二割の職員で賄っているという部分でございます。 ただ、先ほども申し上げましたとおり、非常に分散化された組織でございますので、そういった重要な仕事について登記の方から応援をもらう、そういった体制で成り立っておるという部分もございます。 そして、今、そうした法務局という一つの組織の中でこれだけの事務が賄われておるわけでございますが、そのうちの八割を擁している登記及び供託の部分が別個の独立行政法人になるということになりますと、残りの事務の運営というのが著しく困難になるという面がございますし、財政面、施設面、それから御指摘いただきました人材育成面、それらの点にとって新たなむだが生じるのではないか。あるいは、総合性を持って民事法務行政サービスに努めておる法務局の姿が現在の国民の信頼感を獲得するもとになっていたと思われるわけですが、その高い信頼を得てきた基礎が失われるのではないかということを危惧しておるところでございまして、行政改革会議に対してもこのような問題点を指摘しているところでございます。
○橋本敦君 それに関連をして、簡単にお答えいただきたいんですが、「規制緩和に関する論点公開(第六次)」という関係書類を見ますと、いわゆる行政書士の業務に関連をして述べられている中で、「行政書士による業務独占の例外として、司法書士、税理士等の類似の職種による業務がある」と。これらの職種に対しても、これは検討して、業務独占規定、これを必要に応じて見直すべきだ、こういう意見もあるんですね。 しかし、司法書士の皆さんは、法務行政を国の責任として行う上で重要な役割を果たされておる。そのことは司法書士法第一条に、登記手続の円滑な実施に資する資格のある人たちの業務として、「国民の権利の保全に寄与する」、それがまさに司法書士の皆さんの責務だ、任務だということを明確に書いているわけですね。 だから、そういう意味で、司法書士の皆さんの仕事についても、私はいわゆる職務の独占化を規制緩和するということに、エージェンシー化と重ねてこれまで広げていくということも、ここにも重大な問題があると思うんですが、法務局のお仕事との関係で、司法書士の業務独占の見直し問題についてはいかがお考えか、簡潔にお答えいただけますでしょうか。
○政府委員(森脇勝君) まず最初に、先生御指摘の「規制緩和に関する論点公開(第六次)」でございますが、ここで取り上げておりますのは、「行政書士による書類作成業務独占の廃止」という表題のもとに書かれている議論でございまして、ここで司法書士というものが出てくるから、直ちにそれが行政改革委員会規制緩和小委員会の検討対象になるという記載ではないというふうに受け取っておるところでございます。 そして、司法書士の業務と申しますのは、「登記又は供託に関する手続について代理すること。」というものでございまして、登記、供託に関する業務といいますのは、極めて専門的で高度の法律的知識を要するものであるというふうに考えられますので、司法書士以外の者が当該業務を行う、代理するということになりますと、依頼者の保護にも欠ける事態が生ずるのではないかというふうに考えられるところでございまして、私どもとしては、司法書士については業務独占規定を廃止するのは相当ではないというふうに考えておるところでございます。
○橋本敦君 最後にお伺いいたしますが、この問題で先ほど大臣も、国家の基本は国土と人であるということをお話しいただきまして大臣のお考えも明確になったわけでありますが、国土はまさに不動産登記、あるいは人は戸籍、国籍、こういう関係で、法務局あるいは法務省の仕事はそういう意味ではまさに国の行政として大事な問題だということをおっしゃいました。 そこで、今、民事局長がいろいろお述べになったような見解も私は当然だと思うんですが、今度のこの問題について、行政改革はなるほど必要だ、必要だけれども、この問題については、責任を持って国民の信頼にこたえ、あるいは権利の保全と公正な行政の執行を国の責任で行うという意味で、法務局としてはこのエージェンシー化という問題については簡単には賛成できないということだと私は思うんですが、大臣の明確な御見解を伺って、きょうの質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 行政改革会議でエージェンシー化の問題で議論されているのは承知いたしておりますし、いよいよ大詰めの段階に来ていると認識いたしております。 そこで、るる民事局長から説明いたさせましたが、やはり法務省の仕事は、一口で言いますと法秩序の維持と国民の権利の保全でございます。だから、その点につきましては国そのものの仕事だと私は痛感いたしております。そういうような気持ちで仕事を進めてまいりたい、このように思います。
○橋本敦君 時間がまいりましたので終わります。
○委員長(風間昶君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時五十二分散会 —————・—————