予算委員会 第3号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1997/10/13
会議録
○松永委員長 これより会議を開きます。 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ―――――――――――――
○松永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢一郎君。
○小沢(一)委員 新進党の小沢一郎でございます。よろしくお願いいたします。 私は、昭和四十四年に初当選させていただいて以来、ことして二十八年目になるわけでございますけれども、その間ほとんど与党にあったということも原因でありますが、それと同時に、私はどうもこういう場で話をするのが苦手でございまして、そういう関係で、今まで全くと言っていいほど質疑に立ったことはありません。したがって、きょうは初めての質疑でありまして、最初に当選させてもらったときのように非常に緊張いたしております。 そういう私が、なぜあえてきょうこの場に立ったかということでございます。 今、まさに大転換の時代に遭遇していると思います。日本もその意味で、政治も行政も経済も社会も、まさに自己改革を行っていかなければならない、そういうときにあると思います。 そういう中で、国会はまさに政治の場として、旧来のようにお役所に質問をしてお役人の御説明をいただく、そういう国会、政治の場ではなくて、やはり、政府の長たる内閣総理大臣あるいはその他の閣僚の皆さんと野党の、私たまたま党首でありますが、党首と忌憚のない意見の交換、議論をする、そういう形の中から、国民の皆さんがどちらを支持するか、それを決定していく、そういう形に国会の場もしなければいけないんじゃないか。その一つのきっかけにしなければいけない、そうなればいいな、そういう思いで私はきょう立ちました。若干の時間をいただいて、総理と議論をさせていただきたいと思います。 またもう一つ、私は、政界においても総理の後輩でありますし、また人生においても後輩であります。その意味で、常日ごろ総理に対して敬意を表しているつもりであります。ただ、きょうは総理と野党の党首という立場でございますので、その意味で、私の議論の中で失礼な言があるかもしれませんけれども、それはひとつ御勘弁をお願いしたいと思います。 今申し上げましたように、日本、というよりは世界全体が歴史的な転換期に差しかかっていると思います。もちろん、日本は、そういった世界の状況、趨勢に対応していくということは当然ですけれども、それと同時に、日本自身が、やはり次の時代のために、未来のために、将来のために自己改革を行っていかなければならない、そういう転換が必要とされている時期だろう、そう思います。 そのときに、やはり国民自身もそういう意識を持って当たらなければいけないと思いますけれども、一番その意識と実行力が要求されるのは、政治家、なかんずくトップリーダーであろうと思います。やはり、リーダーの将来を予見する先見性、見識、そしてそれに基づく決断と実行、そういうことが最も今要求されている時代じゃないか、私はそのように思っております。 日本国憲法におきます内閣総理大臣、私から言うまでもなく、戦前の旧帝国憲法における内閣総理大臣よりはるかに大きな大きな権限、権力、機能を持っております。議院内閣制をとっておりますので、国会の多数派を代表する、多数派の長であるという意味で立法府もコントロールする。もちろん行政の長であり、国務大臣の任免権を持っている。また、最高裁の裁判官を、こういう言い方をすると語弊がありますけれども、任命する機能がありますので、その意味では、ある意味で司法にも影響を及ぼす。そういうような大変な立場、職責であろうと私は思います。 ですから、その意味において本当に重要でありますし、その内閣総理大臣の使命、責任、本当に重いものだと思っております。 その点を考えながら、橋本内閣の成立以来、今日に至るまで、私は後輩として橋本先生が総理になったことを喜んだ一人でもありますし、また期待もしておりました。しかし今日、橋本内閣そして総理の今までの姿勢を見ておりますと、残念ながら失望を禁じ得ないわけであります。 総理は選挙を通じて、五つの改革、後には六つの改革ということになりましたが、その中で第一に最大のテーマとして行財政改革を挙げ、国民に選挙を通じて約束をなさいました。私どもも行財政改革の必要性を認識しているものでありますが、若干あえて言わせていただければ、今政府が考えている行財政改革とはちょっとその本質を異にすると私は思っております。 行政改革、行財政改革の本質は、ただ単に中央省庁の再編、悪く言えば看板のかけかえで終わるものであってはならない。最大の問題は、いわゆる選挙の洗礼を受けることのないお役所のお役人が、中央省庁のお役人が、持っている権限、それを手放すこと、すなわち規制の撤廃、緩和、これがなくては行政改革というのは意味をなさない、そういうふうに私は思います。 そんなことを考えてみますと、今政府が行おうとしている省庁の再編にいたしましても、行政改革はその本質を見失っているんではないかなという気がいたしております。 それはそれとして棚に上げるといたしまして、まさにその中央省庁の再編、総理は選挙後、行政改革会議の長として、みずから一府十二省ですかの案をまとめられたわけであります。総理みずからがまとめた案であろうと思います。しかし、それは今や、まあ来月どのように結論を出されるのかわかりませんけれども、伝え聞くところによりますと、骨を抜くということもありますけれども、骨抜きというよりは以上に、むしろ姿形まで変わったものになってしまっているのではないだろうかというように思うわけでありまして、こういうことを考えてみますと、総理のリーダーシップといいますか、総理の、まさに火だるまになってもやり抜くんだ、そういった国民に対する決意がどこへ行ってしまったんだろうか、そういう気がいたします。 もちろん、総理一人に私は責任をかぶせようというつもりはありません。しかし、総理自身が決断して、国民に約束して実行を誓ったわけですから、もう少し、我々はもちろんですが国民にわかるように、御自身の政治生命をかけたリーダーシップというものを発揮するべきではないでしょうか。 私はそのように思っておりますし、まだ遅くありませんのでそのことを期待しておるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、この行財政改革の断行というのはまさに今色あせようとしているということが一つ。 それからもう一つは、今日の日本経済、景気対策といいますか、そのことであります。 政府は今まで、緩やかに景気は回復していると繰り返し繰り返しお話しなさっておられました。しかし最近、その言葉も訂正せざるを得ない状況になってきたようでありますし、私どもは本当に、その今までの言葉とは裏腹に、日本経済は深刻な状況にあるのではないかというふうに思っております。 我々、私自身もまた新進党としても、この経済の問題は、バブルの崩壊、そして日本経済の構造的不況だ。構造改革を実行しない限りこの不況の克服はあり得ないということを言ってきたつもりでありますけれども、結局、構造改革はなされずに、いわば従来の高度成長の中での景気循環論的な手法、あるいは言いかえれば、行政ベースといいますか、あるいは官僚任せといいますか、そういう手法の中で財政を運営してきた。それが結局、政治家の政策決定、そして積極的なリーダーシップが発揮されなかった、その点に私は、今日なおさら深刻な状況になってしまったんじゃないかというふうに考えておるわけであります。 もう一つ指摘させていただきますと、それは、まさに総理御自身の専権事項であります先般の組閣の人事であります。佐藤孝行氏の任命辞任劇がありました。私はこの経過を見て、本当に残念ながら内閣総理大臣としての資格が問われているのではないか、そういう問題ではないだろうかという感じを強く抱きました。 私は、一般の皆さんと感じは違ったかもしれませんけれども、佐藤孝行氏を任命されたときに、内閣総理大臣として、何といいますか、ある種の決意といいますか、そういうものをむしろ感じました。 もちろん、政治倫理の確立、政治家の道義観、倫理観というものが普通の人よりも高いものが求められておる、したがって、佐藤氏の任命については、これはいけない、こういう大多数の国民の世論、そういう意味での政治倫理の確立、この点については私も同感ですけれども、しかし、政治倫理という切り口とは別の意味において、国務大臣の任免権を持つ内閣総理大臣が考えに考え抜いた結果の決断である。そして、過去の過ちは、行政改革、内閣の命運をかけたこの仕事をやってもらう、それによって国民の評価を仰ぐ、こういうお考えを示されました。御本人もそうでありました。私は、これは一つの考え方であると思います。 佐藤氏の任命については、当然いろいろな議論を呼ぶということは予想されたことであります。だから、総理も考えに考え抜いて決断をされたのだと思います。そういう決断がわずか数日の間で変わってしまう、そして総理は国民に陳謝するという形をとられました。私は、この経過を見て、一国の政治を一身に預かる内閣総理大臣の決断というもの、判断というものがこんなに簡単に変わってしまうのだろうか、また、国務大臣の任免というのはそんなにいいかげんな、そんな簡単なものなのだろうかということを深刻に考えました。 我々みんな含めてですが、政治家の政治の責任は、国民の平和な暮らしを守り、命を守り、国土を守っていく、そのために政治は一体何をすればいいのか、どういう道を選択するのか、どういう政策を実行するのか。私は、それが政治の責任だと思う。そのためには、そのときの国民の意向に必ずしも沿うものでなくても、やはりこれが結果として国民のため、国のためだと思うなれば断固として実行していく。私は、それがリーダー、政治家、特にトップリーダーの責任ではないかなというふうに思っているわけであります。 橋本総理に、この佐藤氏の任命の問題に関しまして、そのお考え、責任についてお聞かせいただきたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 今、数点にわたって非常に大切な問題を党首から提起をされました。私なりに、それぞれに真剣にお答えをしてまいりたいと思います。その上で、私も、もし言葉が過ぎます部分がありましたらどうぞお許しをいただきたい、それだけ率直に私も申し上げたいと思うのであります。 大きく分けて三つの問題点を提起されました。 第一は、行政改革のあり方というものについてであります。これは、本院でも繰り返しお答えを申し上げてまいりましたように、初めに中央省庁ありきではなかったことをまず申し上げたいと思います。 私が政権を担当させていただく以前から、地方分権推進委員会が既にスタートをし、国から地方へという、その分権の流れというものはスタートをいたしておりました。そして、今日まで地方分権推進委員会からは四回にわたる勧告をいただき、その第四次勧告で、今までにいわゆる地方六団体から届けられました御要望に対しての地方分権推進委員会の御判断というものは示されております。 その上で、第四次勧告をちょうだいいたしました時点で、いわば六団体からちょうだいをする分権についての御意見、これは平均値のものである。言いかえれば、例えば政令指定都市の皆さんが出されている御要望、これは必ずしも全国市長会のものと全く同じではありません。政令市としての立場から、なおこうした部分についての分権を求めるといった御意見がございます。これは、引き続きぜひ分権推進委員会でもそうした作業を続けていただきたいというお願いを申し上げたばかりであります。 まず、国から地方自治体へという分権の流れが生まれておりました。そして、その中でも、都道府県に権限がとどまるのではなく、ある程度の行政規模を持つ自治体には市町村といえども、例えば受け皿が広域連合になりますか、あるいは一部事務組合の形をとりますか、そのほかの形があり得るか、あるいは自主的な合併、そうした受け皿を拡大し、行政能力を市町村レベルにおいて拡大していただくことによって、都道府県からできるだけ身近な行政が住民に身近なところにおりるという方向をも進めているのは御承知のとおりであります。 この流れがまず一つありますところに、規制緩和の問題を、一方では撤廃を含めまして進めてまいりました。この中には、スピードの速いもの遅いもの、それぞれ混在しておりますし、経済構造改革という視点からも、年内にこのフォローアップを終わり、同時に、既に計画しておりますもののフォローアップにとどまらず、新たな規制の緩和、撤廃というものも模索をし、でき得るものを進めるという姿勢に内閣がございます。 そしてその上で、言いかえれば官から民に移しかえていくべきもの、そして国から地方へ移しかえていくべきもの、その姿を踏まえながら、中央省庁の再編というものが初めて存在し得る。 基本的な位置づけはそのような形の中で、殊に危機というものを想定した場合に、我々は、阪神・淡路大震災を初め幾つかの危機に、その時点時点におけるマニュアルが不十分であることを痛感しながら対応してまいりました。こうした反省の上に立ちまして、危機発生時における内閣の指導力、機能というものを高める工夫をその一方で行っております。 本年に入りましても、御党を初め国会を構成する全政党の御協力をこの点についてはいただいたことを改めてお礼申し上げますけれども、例えばペルーにおける大使公邸人質事件の解決に至るまで、そうした場合のマニュアルというもりはない中で、政府なりに院の各政党の御協力をいただきながら我々はこれに取り組んでまいりました。こうした体験をも生かしながら、内閣というものがそうした場合にどのような機能を持ち得るのか、また持つべきなのか、こうしたことも今の中央省庁再編の論議の骨格にあることは、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。 中間報告は、それまでの真剣な論議のプロセスを御紹介いたしました。これから十一月末までの間、でき得る限りの努力を尽くすことによって、よりよいものを改めてお届けができるように、国民の前に提示ができるように全力を果たしてまいりたいと思います。 二番目の御意見というものは、今申し上げてまいりましたものの構造改革の部分にも非常に大きく連動してまいります。 確かに、私どもが予測いたしました以上に、先行しておりました減税に見合う税収の確保ということから行いました消費税率の引き上げ、特別減税の廃止というものが個人消費に与えた影響というものは大きなものがあったことを私は隠しません。そして、その影響からまだ回復し切れておらない。その中でも、設備投資等を中心として考えてまいりました場合に、なお緩やかながら……(発言する者あり)選挙の期間中、私は消費税の引き上げは申し上げてまいりました。そして、その中で、今それなりに回復基調にあることは確かでありますが、その足取りが決して強いものでないこともよく承知をいたしております。 そして、その中には、例えば依然として不良資産化しております土地の動きが回復をしない。今まで地価抑制を中心にしてまいりました中から土地の有効利用という方針に既に内閣が変えておりますことも、こうした状況を踏まえて努力をしようとしておる一つの方途でありますし、今後こうした分野に対して一層の努力を重ねていくことも、我々としては当然進めていかなければならないことであり、また、構造改革の中でより即効性のあるものを求めていく努力も、当然ながらいたしてまいります。 最後に、人事というものについての考え方、そして、それを通しての政治倫理というものについての御叱正をいただきました。 私自身に対する御指摘は、これは甘受をいたします。その上で、私は、世論の重みというもの、これを十分に配意しなかったという点で私自身が悔い、私自身を責めておる部分があることは繰り返し申し上げておることでありますし、この厳しい教訓というものを、国政の中での役割を全力をもって果たすことで償ってまいりたい、そのような思いでおりますことも申し添えたいと思います。
○小沢(一)委員 ただいま総理から御丁寧な御答弁をいただきました。行政改革についても総理のお考えの一端をお聞きいたしました。いずれ、十一月の終わりですか、いっぱいには政府・与党として結論を出すというように聞いておりますので、ぜひ総理の国民に向かって約束したその改革の姿がきちんとでき上がることを、私としては期待をいたしています。 また、経済対策につきましては同僚の野田さんからこの後いろいろ質疑があると思いますので、それに譲りたいと思いますけれども、私は、最後の問題に関しまして、総理が、総理自身に対する批判は甘受するという言葉がありましたけれども、むしろ、批判は批判として聞いていただくと同時に、やはり先ほど申し上げましたように、総理大臣の決断、総理大臣のリーダーシップというものをもう少し大きく重いものに考えていかなければならないのじゃないだろうかというふうに私としては思います。 そしてもう一点、世論とのことでありますけれども、もちろん、国民の世論、意見、これは尊重し大事にしなければなりません。しかし、これまた先ほど申し上げましたように、結果として最終的に国民の幸せを、国民の生命財産を守る、そのための施策をあえて国民の今現在の意向に反してでもやはりやり抜くという、私は、そういうトップリーダーとしての気概といいますか、そういう強い意思が必要なのではないかというふうに思っているわけであります。 その意味で、日本の近代史の中で、政治が、そして政治家がきちんと指導性を発揮したケースと、政治が、政治家がその責任を全うし得なかった二つのケースを、私たちは身近な歴史の中に見出せるんじゃないだろうかというふうに思っております。 最近、私、明治時代の日露戦争の前後にかかわる本を改めて読んだのですけれども、この日露戦争では、まさに日本は、旅順でも、そして満州でも、そしてまた日本海の海戦においても、陸でも海でも連戦連勝してきたわけであります。 その意味で、国民の気持ちはいやが上にも高ぶっていたわけですけれども、開戦から一年半いたしまして、日本にはもはや人的にも特に財政的にも戦争を継続する力はない、その国力の限界に達しておったということを時の指導者たちはわかっておりましたので、これは開戦と同時に、いいタイミングを見て早く講和をしなきゃいけない、その講和へのあっせんを時のアメリカ大統領ルーズベルトに頼んでおったわけであります。そして、日本海海戦で大勝利をした、それをきっかけにこの講和のあっせんを頼んで一そして日露のポーツマスの交渉に向けたルーズベルト大統領の行動が始まった、こういうことであったと聞いております。 そのときの全権委員に選ばれましたのが時の外務大臣小村寿太郎、御存じのとおりであります。 当時、小村寿太郎は、東京からアメリカ行きの船に乗るまで、官舎から東京駅、その沿道、そして東京駅から横浜、鉄道沿線、そして波止場、あらゆるところで熱狂した国民大衆の声に送られて出発した。しかし、本人も、そしてまたそれを見送る当時の元老伊藤博文を初め宰相桂太郎、みんな、どんなにこれが大変な、難しい、厳しい交渉になるかということを知っておった。 小村全権委員自身も、今はこうして国民の大変な期待の中で歓呼の声に送られて出るけれども、帰国したときはまさに非難ごうごうの中で石もて追われる、そういう立場に自分はなるだろう、そういうことを予感しておった。見送る当時のトップの指導者たちも、そういうことを予感しつつ、しかし、だれが歓迎しなくても、帰国したときには我々があんたの迎えに出る、何としても今ここで講和を成立させてくれ、そう言って送ったと伝えられております。 ポーツマスでは御存じのとおり、ロシアは文句があるならもっと戦おう、しかし日本はもはや戦う余力はない、そういう中で交渉が行われて、結果としてポーツマス条約が結ばれた。ところが、内容を知った日本国民は大変な怒りを政府と全権に向けた。東京では、大群衆がいろいろな集会を開いたと同時に、暴徒は東京市内で焼き討ちを始める、そして結局、政府は東京市に戒厳令をしかざるを得ない、そういうような状況にまで世論は沸き上がった。 また、当時の新聞、テレビもラジオもないからマスコミは新聞しかありませんが、この新聞も口々に、屈辱の条約よりも、講和よりも、国のために戦って倒れた方がいい、まだまだ国民は耐えられると、この政府の弱腰、軟弱外交を口をきわめて批判して、条約の締結を阻止しろ、こういうふうに叫んだわけですけれども、しかし、そういった国民の世論の高まりを知りつつ、たとえ国民がそう言っても、この講和を結ぶのが結果として国家のためであり、国民のためだという決断を時の指導者はみずからの責任で行った。 私は、明治のリーダーの群像に大変興味を持っておるものでありますけれども、このときの彼らの決断の仕方、対応の仕方、これもまさに明治のリーダーたちのリーダーたるゆえんではないだろうかなというふうに思っているわけであります。 しかし、その後は、逆に今度は、時の経過に従って逆のケースがありました。第一次大戦のバブル好景気が崩壊して、結局、今の日本と同じように日本経済は長い不況に入っていった。そして昭和四年、一九二九年、ウォール街の株の大暴落をきっかけとした世界恐慌で、ますます日本経済は大きな深刻な打撃を受けた。 私、東北の出身ですけれども、その当時、東北が大飢謹に見舞われた。私どもの田舎にその当時の、身売りの話から、いろいろな苦境に、生活苦に陥った国民の記録が残されておりますけれども、そういうような状況になったわけです。このときに、当時の政治はこの苦境を打開する道を見出すことができずに、結局、武力によって他国に進出する、そのことで問題の解決を図ろうとしたわけですけれども、これが惨めな敗戦につながったということは、皆おわかりの歴史の示すとおりであります。 しかし私は、この当時も、国民の気持ちの高まりあるいは世論というものは、そういう政策を多数の世論は支持しておったのではないかと思います。こんなことは政治家が本当に冷静に考えれば長く続くはずはないし、また、国際社会で受け入れられるはずのない行為であります。私は、そういう意味において、本当に、政治が結局機能しなかった、不在だったことが昭和史の悲劇を招いたのではないかなというふうに思っております。 こういう私たちのまさに身近な歴史の中に、我々は今大きな教訓を見出すことができるのじゃないだろうか。私は、今日の状況、国民の生活やら内外の状況、目に見える範囲ではその当時とは全く違いますけれども、その本質、中身ではそれと同様な、日本はまさに重大な岐路に差しかかっているのじゃないだろうか、それが今じゃないだろうかという思いをいたしております。 ですから、最初にも申し上げましたように、政治家のリーダーシップ、指導者のリーダーシップ、なかんずく最高指導者、トップリーダーの内閣総理大臣、宰相のとるべき姿勢、対応、そういうものが今まさに問われているし、国民から求められているのじゃないだろうかというふうに私は思います。 そういうことを総理御自身もぜひお考えをいただきながら、私はこのような意味において政治の指導者像というものをとらえておりますけれども、総理はどのように最高指導者として考えておられるか、忌憚ない御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 今、ポーツマス条約締結前から締結後、全権帰任に至るプロセスを振り返られながら、また、昭和初期における指導者の例示を幾つか挙げられました。確かに議員が御指摘になりましたように、国民の声に、ある場合、反しても行わなければならない施策、行わなければならない努力というものは存在をいたします。そして、それを推し進める、それは今我々の立場においても同じことであろうと存じます。 たまたま冒頭、議員が例に引かれました行政改革一つをとりましても、現在の秩序を変えようとするわけでありますから、その結果、みずからの職に影響を受ける人々から抵抗があることは当然でありますし、規制緩和をとりましても、その規制によって有利な状況を甘受し、それによって競争を排除しておられる方々があるとすれば、その方々から抵抗が出ることは当然でありますし、現に出てもおります。しかし、進めるべきものほ准めなければなりません。その思いに変わるものはないと私は思っております。
○小沢(一)委員 ただいま、総理のお考え、御決意、行政改革に関連してお話がありました。ぜひ今お話しのとおりの御決意で、行政改革について言えば来月中にはまとめるということでございますので、国民の期待どおりの、また総理が国民に約束したとおりの結果を、しょせん政治は結果責任でございますので、そういう意味で、総理の御奮闘とそういういい結果が出ることを期待いたしておきたいと思います。 それでは次に、日米関係を中心といたしまして、安全保障、特に最近、日米防衛協力の指針、新しいガイドラインの合意がなされましたので、これに関連しながら、憲法の解釈について総理の御意見を伺いたいと思います。 私は、日米同盟、その実体としての日米安保条約、そのきずな、この二国間関係は、考えられる今後の将来にわたって、日本の国策、外交政策、世界政策の優先順位の第一番に位置する大事な大事な同盟関係、政策であると思っております。そしてそれは、単に軍事的な協力関係という意味、あるいは軍事的にアメリカの支援をもらうということだけではなくして、そのことを通じて、両国の経済、文化一人間交流、あらゆる意味において日本のまさに将来の生存をかけた二国間関係である、そして、日本の安全と安定を守る最大のきずなである。私はそのように日米関係、二国間関係として理解しておりますけれども、総理はどのように御理解なさっておられるでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 私が通産大臣を村山総理のもとで拝命いたしましたとき、日米間におきましては経済問題が極めて大きなウエートを占め、その経済問題についての論議が非常に不幸な状況を生みかねないというときでありました。そして私自身の交渉も、いろいろな御批判を受けましたけれども、予想よりもはるかに多くの時間とエネルギーを必要といたしました。しかし、その問題、特に自動車並びに自動車補修部品という特定の分野をめぐっての論争の際に、私は、今でも実は議論としては日本の主張に何ら恥ずるものはなかったと考えております。 その上で、日米双方の主張を紹介しながら、日本に対する支援を、また協力を各国に要請いたします中で改めて痛感をいたしたものは、日米関係の重要さ、それは我々が我々の間で意識している以上に、この世界全体の中で占める日米関係の安定というものの重要性でありました。これは、ヨーロッパであれ、アジア太平洋地域であれ、変わるものではございませんでした。 そして、いわば経済の一分野であるその問題についての意見の相違が日米関係を決定的に傷つけることのないようにしてほしいと、我々に対する、主張の正当性を評価し、同意し、協力を惜しまないと言ってくれた国までを含めてすべてが、実は、日米関係がこれ以上悪化をすることがないようにという言葉がついておりました。 私自身、日米関係の安定というものが我が国にとって将来ともに最も大きな外交関係であることを考え、意識していたつもりでありますけれども、むしろ、私が予想した以上に、世界の中において日米関係の安定を求める声が強かった。そして、その経済の一分野における論争が全体を壊さないようにという忠告が多かった。今でもこれは私自身の心に刻み込まれております。 我々は、日米関係というものはこれからも極めて大切な関係として育てていかなければなりませんし、同時に、その基盤に日米安保条約というものが存在をしている状況も変えることはできません。同時に、それだけの関係の上にあってなおかつ一側面である経済のその特定分野の処理を誤ったとき、これが他国にまで心配をかけるような、それだけのウエートを持っている。そうした関係をお互いがこれからも注意深く維持し、発展させる努力を続けていかなければならない、私はそう考えております。
○小沢(一)委員 ただいま総理から、御自身の体験談を踏まえながら、日米関係の重要性、日本にとっての日米関係、そしてまたそれ以上に世界にとっての日米関係でもあるというお話もありました。こういう意味において、日米関係の重要性についての認識は全く総理と私も一致するところなわけでありますが、こういう大事な日米関係の中で、特に日米安保に関し、新しいガイドラインの合意がなされたということでございますので、このガイドラインの、総理として、政府としての位置づけ、そしてこの重要性についてお伺いしたいと思います。 総理は、国会の答弁でも、このガイドラインというものは、立法上、予算上あるいは行政上の措置を義務づけられるものではないというふうに言っておられますし、また、国会承認の対象事項でもない、さらに、ガイドラインの合意に当たって両国政府がサインしたわけでもなければ閣議決定したわけでもない、また二国間の取り決めというものでもない、そういうふうに、総理初め政府としてはこのガイドラインの位置づけといいますかをそういう形で表現していると思います。 そうしますと、ガイドラインに盛られている四十項目ですか、このいろいろな合意事項について、これは別にアメリカに対する義務でもないし、別に約束事でもないし、この事項を現実に実行しなくても、してもしなくても、まさにしなくても、日米関係にとって何の悪影響もなければ何でもない、そんな程度のものだというふうな、このいろいろな説明からは結論として推論しがちなんでありますけれども、そのガイドラインの位置づけについてどのように考えておられるでしょうか。そんな程度のものなんでしょうか。総理の御見解を伺いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 これは非常に大事な御指摘でありますので、正確を期するために資料に目を通しながら、きちんとしたお答えをいたしたいと思います。 まず第一に、この新たなガイドライン、これは従来、日本有事という事態を想定してつくられておりました従来からのガイドラインというものを、昨年の日米安保共同宣言の中で、お互いの役割というものを改めて踏まえながら、新たなガイドラインづくりというものを約束して進めてまいった、そのような性格のものでありまして、法的に申しますなら確かに、この指針によりまして、立法、予算ないし行政上の措置をとることを義務づけられているものではない、これは議員が御指摘になったとおりであります。 そして、その意味では、この指針によりまして日米両国の間に国際法上の権利義務関係が生じることはございませんから、指針は条約ではなく、国会の承認の対象となるものではないという点につきましても御指摘のとおりであります。 ただし、同時に、この指針のもとでの取り組み、あるいは国内における指針の実効性の担保、こうしたことを検討してまいりますと、当然のことながら、指針のもとでの日米防衛協力を効果的なものにするという観点から、政府の判断として、法律の制定あるいは改正などを行う必要性の生じる場合というものは当然あるわけであります。そして、その場合、国会で御論議をいただくことになる、これも当然のことであります。 そして、先般も、国会報告等についての御要望があるなら、具体的なことはこれは国会の方の御判断ですから、政府として国会での御議論が十分に行えるように御協力も申し上げるという意思も私は表明をいたしました。 そして、この文書というものの性格を法的に申しますなら、この新しい指針によりまして、立法、予算ないし行政上の措置をとることを義務づけられているものではない。平素及び緊急事態における日米両国の役割並びに協力及び調整のあり方につき、一般的な大枠ないし方向性に関する両国の共通の認識を示す。同時に、そのような共通の認識に基づいて今後作業を行っていくという政治的な意図を表明するため作成し、発表したものがこの指針である。性格はそのようなものになります。
○小沢(一)委員 今の総理の御答弁で、要するに、これは条約を含めて法律的な義務とか拘束力を有するものではない、また、もっと広く言っても、要するに羈絆的な効果を持つものではない、そういう御答弁だったと思います。しかし、それは両国間の共通の認識を表明したものであるし、また、それぞれの政府がそれに基づいて必要な立法措置等々、これも必要になってくるかもしれない、そういう御答弁でした。 私がお聞きいたしましたのは、そういう意味において条約的、法律的拘束力として二国間を縛るものではないというものであったとしても、二国間の信頼関係という日米の関係の中で、これは日本としても、あるいはもちろんアメリカとしてもですが、できる限り誠実にこれを実行していく、そういう意味での政治的な重要な意思の表明であり、あるいは、政策の表明というのですか、認識の表明というのですか、そういうことであろうというふうに思っておりますし、総理の答弁の結論も多分そういうことであろうというふうに解釈をいたして、議論を進めたいと思います。 この今回の日米ガイドライン、三つのケースに分類されておるわけですが、一つは、平時における協力関係、二つは、日本が直接攻撃を受けた場合の共同の作業のこと、それから三つ目が、いわゆる周辺事態と言われている日米間の軍事的な役割分担の話だと思います。一番やはり問題なのは、第三の、周辺事態の日米間の協力といった軍事作戦に関連する役割分担、それをどうするかという問題だろうと思います。 その中身に入る前に、周辺事態という言葉について、これはどういうことだということでいろいろ議論がかしましくされております。 周辺とは地理的概念ではない、そのように政府は言っておりますし、あらゆるところでそのような、私に言わせれば言いわけだと思いますけれども、言っております。これはどうしても私には解せない。どういうことなんだろうか。 日本の周辺と言った場合に、もちろんすべてが地理的要因ではないと思いますけれども、そのかなりの部分は、日本の周辺と言った場合は日本国の周辺、地理的な要素を含むというのは当たり前のことではないだろうかと思います。逆に、地理的な概念を含まないということになったらば、それは、日本国の国益あるいは日本国民の利害に関するあらゆる地域でのあらゆる問題がすべてそれに含まれるという話になってしまうわけでありまして、私は、それこそ危険な解釈であるというふうに思っております。 日本国周辺ということを素直に当たり前に解釈すれば、それは、日本の周辺の地域、そこに存在する国々、その地域を指しているというのが当然ではないでしょうか。日本の隣の国といえば、北からいえばロシア、そして韓国、北朝鮮、台湾を含む中国、フィリピン等も含まれるかもしれない。少なくともそういう地域が当然含まれるというのは当たり前のことではないでしょうか。これが含まれないとしたらどこが含まれるのか、私はそう思います。ですからそういう意味において、これがまた全部だとは言いませんけれども、少なくともそういう日本に隣接する地域、これは当然含まれるし、それであるからこそ、わざわざ日米両国の政府がこの新しいガイドラインの検討もしたわけではないか、私はそう思います。 ただもちろん、それが含まれるからといって、米国の独自の軍事行動と、日本がそれと行動をともにするかどうかということは、それは全く別の問題だと思うのです。ここのことをはっきりと明瞭に、我が国の原理原則、行動基準、行動規範というものをはっきりしていれば、こんな言葉のあやでいろいろ言いわけする必要はないんじゃないか。それは国民のためにも、あるいは近隣の諸国にとっても、私はそう思います。 こんな言葉のあやで国民を欺いて、ごまかさなければならない、こういうこと自体が、私は、まさに今日の政治の大きな問題だというふうに思います。なぜこんなことをしなければいけないのか。正直に、素直に言わなくてはいけないのではないだろうか、私はそのように考えておる次第であります。 しかし、この周辺の話をしますと、いや地理的ではない、いやそうだという議論をいつまで繰り返したってしょうがありませんので、私の考えを披瀝しておくだけにとどめまして、この周辺事態に盛り込まれている日米の共同作業、いわゆる軍事的な共同作戦に関することについて、橋本総理の日本国憲法の解釈を改めてお聞きしたいと思います。 日本国憲法は、第九条によって、武力による威嚇、武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する、こう定めております。憲法の理念と逐条の九条のこの文言とあわせて、武力の行使、いかなる場合にこれが許され、あるいはいかなる場合に許されないのか、改めて橋本総理のこの日本国憲法の武力の行使に関する考え方をお尋ねしたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 まず第一点で申し上げておきたいと存じますことは、これは、今回の指針を作成するに当たりましても、新たな指針の中における日本のすべての行為というものが、日本の憲法上の制約の範囲内で行う、こういう前提がありますことはこの指針にも明記されているとおりであります。 その上で、政府は、従来から一貫して、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使、これは我が国を防衛するために必要最小限度の範囲にとどまるべきもの、他国に加えられている武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにかかわらず実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものとして憲法上許されるものではないという立場をとっており、この憲法の解釈に改定を加えているものではありません。この点は、まず第一点で申し上げなければならないことだと思います。 そして、まさに我が国は、第二次世界大戦の後において、他民族に武器は向けない、みずからを守るときを除いて他民族に武器は向けないという方針のもとに、今日までの国際的な努力をも含めて行動をしてまいりました。今回の指針もその範囲内においてつくり上げている、この点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
○小沢(一)委員 ただいまの総理の御答弁で、ちょっと補足してお伺いしたいと思いますが、簡単に今の総理の答弁を要約すれば、日本に対して直接攻撃があった場合にのみ武力による反撃が許される、武力の行使が許される、それ以外は許されないということだったと思いますけれども、今、集団的自衛権のお話を一つ例に出されてお話しになりましたが、今日の安全保障というのは、まさに国連を中心とした国際社会での、いわゆるみんなで、集団で、国際社会の協力のもとに平和と安全を維持していこう、こういう形に少しずつであるかもしれませんけれども向いている。 そういう意味において、国連の侵略者に対する制裁活動、あるいは俗に言う平和の維持活動とか国連の平和活動と呼ばれるものがありますけれども、そういう場合においては、日本国憲法の解釈としてはどうなのかということ。 それから、たしか湾岸戦争のころだったでしょうか、武力行使と一体化の理論、論理が政府から出されました。この密接不可分の、一体となった行為、それも許されない、こういうお話がその当時からなされているのですけれども、今日、総理においてはその二点についてどうお考えか、あわせて追加してお聞きしたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 必ずしも私はこうした分野の専門的な、条約上あるいは国際法上の細かい定理までを存じているわけではありません。その上で、率直に申し上げたいと思います。 今、議員が幾つか引かれました例示の中で、国際的な平和維持活動と申しますものの中で、既に我々は、例えばゴラン高原、現時点において実行されておりますものを例示にとりますなら、引き離し部隊として現地に自衛隊を送っております。これも国際平和維持の活動の態様の一つであります。 ただ、もし議員が提起をされました国際的な平和維持あるいは国際的な平和回復と申しますものが、国際社会が紛争当事者の一方を正とし、一方を邪とし、これに対し、全く我が国と関係のない地域において、例えば国連の名のもとにおいて招集された軍事力を持つ集団が、その正邪の判定をした上で、一方の国、邪とする国に対して武力攻撃をかける、その中に我が国の自衛隊が参加をし武力行使をすることを認めるということであるなら、私はこれは問題があろうと率直に思います。
○小沢(一)委員 済みません、今の総理のお言葉は、私は、九条の「武力の行使」、武力に威嚇も含まれますが、武力の行使に関連して御質問を、総理のお考えをお聞きしているわけでございまして、ですから、国連の平和活動も、それが武力の行使の可能性あるいはそれを前提としない行動であれば、これはまた全然別問題であります。そういう可能性があるような場合においては、これは憲法では許されない。若干疑問があるというふうな表現でございましたが、それは許されないというふうに総理はお考えだと解釈してよろしいでしょうか。 あるいはもう一つ、一体化したという概念は、今なお総理、政府としてお持ちでしょうか。一体化したものもだめだという考え方をお持ちなのでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 具体的な対応をどう想定するかによって、殊にその一体化したという部分の定義については議論が分かれるところがあろうと率直に思います。 例えば、湾岸危機から湾岸戦争のころを振り返りましたときにおいて、私は後方支援は日本としてはもっと積極的にできるという立場でありましたが、内閣として当時とりました統一した見解はそのようなものではございませんでした。この点に非常に厳密な線を引きました。しかし、武力が発動をされ、その武力と一体化する場合を除いて、私は後方の支援はできると今も思っております。これが武力と一体化しない限りにおける範囲内で、その行動は可能だと思っております。
○小沢(一)委員 ですから私が申し上げておりますのは、武力行使に関して、武力の行使の可能性あるいはそれを前提とする行為は、いかに国連の、国際社会の認知された平和活動であってもそれに参加することは憲法で許されないのかどうかという点と、それから、今総理は、武力行使と一体化したものはだめだ、許されないけれども、そうでないものはいいんだ、許されるんだという表現、お答えをなさいましたけれども、私は、これは細かいことのようで決して細かいことではないと思うのです。やはり、日本国憲法とその武力の行使、これをどう考えるかという、日本の安全にとって最も大事な問題ではないだろうかということで、ちょっとしつこいようですけれどもお聞きしているわけであります。 ですから、整理いたしますと総理の答弁は、武力行使の可能性を秘めたものあるいは前提としたものというものは、国際社会の平和活動であろうが何であろうが、これは日本は一切参加も協力もしない、こういう結論でよろしいのですか。
○橋本内閣総理大臣 今、非常に厳密に私は申し上げたつもりでありましたが、もう一度申し上げさせていただきたいと存じます。 議員の引例をそのままに引かせていただきます。国連の平和維持あるいは平和回復活動、いかなる名目がつくにいたしましても、武力の紛争が行われておる両当事国の一方を正とし、一方を邪とし、その一方を正とするために支援をする実力行使を前提にする部隊に、私は、自衛隊は参加はできないと思います。 一体化しない後方支援は私は可能だと考えておりますが、従来、政府は必ずしもそういう見解になりませんでした。湾岸危機のときの例をちょっととって申し上げたのはその点であります。湾岸危機から湾岸戦争に至るプロセスの中での議論で、私は後方支援は武力行使と一体化しないでできる部分があると考えましたが、その時点で、論議は、政府部内では私の意見は少数でございました。 そういったことから考えてみましても、現在、法的にぎりぎりと議論をしていきますとこの問題は幾つかの見解が存在し得ると思いますが、少なくとも、国連の名のもとに行われる平和維持あるいは平和回復活動というものでありましても、現に武力行使が行われ、その一方の当事者を正とし、一方の当事者を邪と、そしてその正の立場のものを武力をもって支援することは私は許されないのではなかろうか、そう申し上げております。
○小沢(一)委員 ちょっと難解でなかなか私にはわかりにくいのですけれども、今総理のお話では、湾岸戦争の当時私も一緒に仕事をさせていただきましたが、その当時は、武力の行使と一体とならない範疇のものでの後方支援ということはやれるというふうに総理個人はお考えだったけれども、政府としてはそれは許されないという解釈だった。今総理は、まさに内閣総理大臣であるわけです。今はそれが内閣、総理の考え方ということでよろしいのでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 改めて、この内閣になりまして、議員が御指摘になりましたような視点からこの問題についての政府の考え方の議論を特別にいたしてはおりません。 しかし、今回のガイドラインの論議をいたします中に、米軍の行為との一体化、あるいは一体化をしない支援のあり方という論議がございまして、米軍が仮に周辺事態の中において戦闘行動を行う、その可能性は否定できないわけでありますけれども、これと一体化をする支援はできませんが、一体化しない支援は可能であるという見解が今回のガイドラインの内容を固定しております。ですから、私は、戦闘と一体化しない支援というものはあり得る、そう申し上げております。
○小沢(一)委員 ですから、総理の年来の持論でもあるということだと思いますけれども、今、一体化とみなされない、その範疇外の後方支援というのがあり得るというふうに総理がお答えになりました。これは内閣としてまだ議論しておらないという……(橋本内閣総理大臣「いや、議員の指摘をされたような想定では。ただし、ガイドラインについて……」と呼ぶ)ガイドラインは、まさにそこのところがきちんと内閣、政府として議論されなければ、いろいろ、旧来のガイドラインからかなり枠を踏み越えた、そういう内容のものが多々あるわけですね。 そうすると、総理のおっしゃる一体となっているものの範疇以外の後方支援というものがある、それは許されるのだということになりますと、それはガイドラインの協議の中ではそのようになっているとおっしゃいますけれども、それはまさに内閣として政府として、ある意味で、ある意味でというよりも完全に旧来の解釈を変えているわけですね。拡大と言って……(発言する者あり)いや、総理のおっしゃることを、言葉を私はそのまま言ったわけです。 総理は、湾岸戦争の当時、自分は今言ったように同じように考えておった、だけれども、その当時の、時の政府はそれは許されないということであった、そうおっしゃいました。しかし今はそうではなくて、ガイドラインの協議なんかの経過を踏まえながら、そういう一体化したものではない範疇の後方支援という行為があるんだ、認めているんだ、そういう御答弁があったと思います。 したがって、それはまさにかつての、当時のときと違っておるわけでございまして、その意味で、憲法の解釈の変更。僕は変更が悪いと言っているわけじゃないのです、橋本内閣としては、橋本総理大臣としてはこう考えるというのならそれで結構なんです。別に悪いと言って責めているのではなくて、ただ、そういうふうに変わったのですね、橋本内閣としてはそういう立場をとるのですねということをお聞きいたしておるわけであります。
○橋本内閣総理大臣 議員の御質問がたまたま、国連の平和活動、それが平和維持あるいは回復、そのいずれでありましてもそこから御議論になりましたので、国連のという前提を置いた議論をしていないということは事実として率直に申しました。国連のという意味での議論はしておりません、これは率直に申し上げました。 ただその上で、恐らく議員の御質問がそういう部門であろうと思いましたので、新たなガイドラインの策定に際し、日本の周辺事態というものを議論をしていきます中におきまして、戦闘と、あるいは戦闘地域と一体化をしない後方支援のあり方はあり得るのかあり得ないのかという議論をいたしまして、あり得ると、そしてそういう場合においての協力のあり方というものも論議をいたしましたと、私は正確に申し上げたつもりでありました。
○小沢(一)委員 私は、国連の平和活動と申し上げましたのは、要するに、日本が直接攻撃を受けた以外の、例えば国連の平和活動とかなんとか、いろいろもっとあるかもしれませんが、それ以外の武力の行使についてという例で国連ということは挙げただけでございます。それでもだめだという、そのお話はわかりましたけれども。今総理のお話は、結局、まさにこの新しいガイドラインがそういったいろんな問題をはらんでいる項目がいっぱいあるから、私としてはそれを重ねて質問しているわけです。 それで、総理は先ほどの答弁で、湾岸の当時は、武力行使と一体化したという論理の中で、それ以外の範疇、一体化しないという範疇の後方支援というようなものはあり得ると思っていたけれども、それは政府としてはとるところとならなかったというお話ですね。ところが、今日は、今の答弁は、新しいガイドラインの協議の経過を通じながら、言葉は別といたしまして、そういった一体化のものとそれ以外の範疇の後方支援があるというふうに総理がお話しなさったので、それは単に、先ほど言ったように、条約でもなければ何でもないそのガイドラインの中でやったんだからということでは済まされない大事な問題点だと私は思うのです。 ですから、内閣として政府としてそういう見解である、橋本総理がそうだと言えばそうなんですから、私はそれならばそれで理解いたしますが、それは旧来の解釈とは変わった、拡大したといいますか、変更ではないでしょうかということを申し上げているのです。
○大森政府委員 委員長から御指名を受けましたので、私の立場から基本的な考え方を若干説明させていただきたいと思います。 まず、先ほど来、集団的安全保障と憲法九条との関係についての御指摘がございました。 この点につきましては、我が国は、憲法の平和主義、国際協調主義の理念のもとに国連に加盟し、国連憲章には、御指摘のとおり、集団安全保障の枠組みが定められていることは、そのとおりでございます。 したがいまして、我が国としては、最高法規である憲法に反しない範囲内におきまして、憲法九十八条第二項に従い国連憲章上の責務を果たしていくということになるわけでございますが、ただ、もとより、集団的安全保障に係る措置のうち、憲法第九条によって禁じられている武力の行使または武力による威嚇に当たるような行為については、我が国としてこれを行うことは許されないということは、つとに見解を申し述べてきたとおりでございます。 そこで、次に、一体化論との関係でございますが、一体化論と申しますのは、要するに、他国の軍隊に対する補給、輸送あるいは医療等、それ自体はみずから武力を行わない行動につきまして、それが憲法九条との関係で許されない行為に当たるのかどうかということに関する理論でございます。これは、要するに、他国軍隊による武力の行使等と一体となるような行動としてこれを行うかどうかということによって判断すべきである。 これは、いわゆる湾岸危機、湾岸戦争のときにも政府は一貫して当時の法制局長官等から説明いたしたところでございまして、その後も何ら見解に相違はございません。 そこで、この一体化の理論と申しますのは、要するに、仮にみずからは武力行使を行わなくとも、他者が行う武力の行使等への関与の密接性から、我が国も武力の行使との評価を受ける場合があり得る、そういう場合に関する法的評価に関する法理の一適用でございます。 そこで、今回のガイドラインとの関係でございますが、要するに、周辺事態において実施される米軍に対する後方支援と申しますのは、戦闘地域と一線を画する場所において、我が国が米軍のために、補給、輸送、整備、医療、警備、通信、その他、それ自体としては武力の行使に該当しない行動を行うというものでございますので、基本的には米軍の戦闘行動に対して一体化は生じないというふうに考えているわけでございます。
○小沢(一)委員 専門家としての法制局長官の御説明をいただきましたけれども、私も湾岸戦争の当時、橋本総理と一緒に、さっきも申し上げましたように、いろいろ働かせていただいた一人でございます。 その当時の政府、実質的には法制局だと言ってしまえば身もふたもないですけれども、政府の見解は、いわゆる武力行使と一体となる、今補給とおっしゃいましたけれども補給であれ、あるいはあの当時、イラク、クウェートではなくて周辺国での避難民の輸送等も考えたりして、それを実施しようとしたこともありました。それから、自衛隊の補給艦を、あそこの湾内にまでは入れなくても、手前のところでやったらいいじゃないかとかいろいろな話もありましたけれども、いずれにしろ、その当時は、総理の先ほどの御答弁にもありましたように、食糧の補給であれ、油の補給であれ、医療の何であれ、武力行使と一体となる行為は認められないという政府の考え方だったと思います。 ですから、今法制局長官もおっしゃいましたけれども、相手が米軍であれあるいは何の軍であれ、武力行使という意味においてはどのケースであれ同じことですから、武力行使と一体化したものということについては同じなのですから、それが、今のガイドラインでいろいろな、かなり飛躍した、従来からの解釈でいうとなかなか解釈し切れない問題がたくさんある。そういうことがあるものですから、くどくど何度も聞いているのです。そして、これはまさに日本の国の根本、安全保障の根本にかかわる、また憲法の根本にかかわる問題だから私は聞いておるのです。 ですからそういう意味で、今法制局長官もおっしゃいましたが、武力の行使と一体となる行為、かつては、そのほとんどのものがそれに含まれるということで、許されないということになりました。今は、新ガイドラインの協議の経過を通じてかどうか知りませんけれども、先ほどの答弁では、一体とはならないそのほかの範疇の後方支援というのが存在するんだということ。まさに、湾岸のときに総理の個人的意見が政府に入れられなかったわけですけれども、今日、内閣総理大臣としての発言、そして法制局長官としての発言、それはまさに旧来の政府解釈を変えた、そういうことではないでしょうかと申し上げているのです。
○松永委員長 では、もう一回、内閣法制局長官。(発言する者あり)静粛に願います。
○大森政府委員 ただいまのお尋ねは、湾岸戦争のときと、最近のいわゆるガイドラインの検討に際してと、一体化論に関する見解が変更されたのではないかというお尋ねであろうと思いますが、私どもの基本的な考え方は何ら変わっておらないということでございます。 その一体化論に関する考え方は、当時、私どもの先輩である工藤長官でございましたが、工藤長官があらゆる機会に質問を受けまして答弁申し上げた内容をよく御検討いただければ、決して先ほど私が説明いたしましたところと変更はないはずでございます。 さらに、あの当時、いわゆる廃案になりました国連平和協力法案というものがございました。あの法案の中に盛り込まれておりますところは、まさに、後方支援活動の一部で一体化しない行為を我が国が協力として行おうという内容でございまして、それにつきましては、内閣としては、憲法に違反する内容は含まれておらないということで御提案申し上げたところでございます。御承知のとおりの経過で廃案にはなりましたけれども、あの内容自体は何ら憲法に違反する内容は含まれておらなかったということでございます。
○小沢(一)委員 憲法の範囲内というのは一体どこまでなんだということ自体がまさに問題なんですよ。みんな憲法の範囲内でやるんですよ、範囲外でできっこないんですよ。ただ、あなたの思う憲法の範囲内と私が判断する範囲内が違うというだけなんですよ。 そして今、お役所としてはちょっと僣越だと思うのですが、それは、何ら政府は変わっておりません、こういう話ですね。だが、それはちょっと僣越でありましてね。 そして、先ほど橋本総理はまさしく、あの当時はこの議論は受け入れられなかった、そうおっしゃったじゃないですか。だが、今はいろいろなガイドラインの経過の中から、そういう一体化以外の範疇の後方支援もあると。だから、あの当時なんかはいろいろ物すごく神経質にされた武器弾薬の輸送もできるとなっていますね。例えばですよ、そんな問題もあるわけです。 まあ、それはそれとして、私が言っているのは、先ほど総理が、その当時は受け入れられなかった、だけれども今はそういうことで、あると思うと。あなたもさっきは、あると思うみたいな話をなさったでしょう。だから、僕は、総理が、その当時は受け入れられなかった考え方が、今の時点においてはこういうことで橋本内閣としてはそのように憲法解釈をしておりますというんなら、それでいいんです。だから、それはその当時と変わったんでしょうということを確認しているだけなんです。悪いと言っているんじゃないんです、何も。(発言する者あり)
○橋本内閣総理大臣 いや、私、立とうとしたらおしかりを受けたものですから……。
○松永委員長 御静粛に願います。 じゃ、総理、お願いします。
○橋本内閣総理大臣 たまたま湾岸危機から湾岸戦争の話になりましたので、多少混線をいたしました。 当時、与党の幹事長として、政府の中で苦労しておりますときに支援をいただいたことをこの場でお礼を申し上げるのは適切ではないと思いますけれども、その当時の政府の中における議論というものがいかなものであったかは、議員よく御承知のとおりであります。そして今私は、繰り返し申し上げておりますこと、それは、このガイドラインの論議の中におきまして、私どもは、一体、戦闘行為と一線を画し得る後方支援というものはあり得るかあり得ないのか、そういう検討の結果、私たちはあり得ると思います、そして、それは憲法に違反することなくできる行為だと思っております。 その上で、それぞれ主体的に判断をいたします。その周辺事態でありますけれども、できるだけそこが食い違わないようにしていく努力も我々は払っていきますし、その限りにおいて、この周辺事態において支援活動が必要な場合に、それがしやすいように努力をしていきたいと考えておるということを先ほど来申し上げておるつもりなのであります。
○小沢(一)委員 ですから、総理のお考えは私もわかりました。 ただ、私が申し上げておりますのは、湾岸当時は、例えば武器弾薬の輸送などというものはもうとんでもないという感じの議論でございました。(橋本内閣総理大臣「武器弾薬どころか、水運んでも」と呼ぶ)まあ、何運んでも同じだということもありますけれども、お金を出すのはもっと悪いという議論もありますけれども、いずれにしろ、日本の国内の、政府の議論としてはそういう議論でありました。 そのことを、要するにほとんどの範囲のものが武力行使と一体化する、一体化した行為だということであの当時は政府の入れるところとならなかったと総理がおっしゃったから、私もそう思うけれども、だから、今度はそうでないものがあるとおっしゃるので、それではその当時の考え方と今とは違うんですねということを確認しているだけで、私はむしろその意味では、総理自身がそういうふうな憲法の解釈をとってそしてやっていくということ自体にけしからぬとかどうだとかこうだとかということを言うつもりは毛頭ないんです。 だから、それはそれで、その当時とは私の橋本内閣は変わったんだ、違うんだというのでいいんじゃないでしょうか。(橋本内閣総理大臣「あのころは橋本内閣じゃないんですから」と呼ぶ)いやいや、橋本内閣、政府としては違うんだ、今はそうじゃなく考えているんだ、新しい分野があるんだということでいいんじゃないでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 と申しますか、湾岸危機から湾岸戦争の時点で行われました政府部内の論議、多国籍軍というものが結成をされる、そして、まあその意味ではああした事件に遭遇したこと自体が日本として初めて判断を迫られるといったような事態の中で、論議が十分に整理され切らなかった部分があるいはあるかもしれません。 しかし今回、いずれにいたしましても、私どもガイドラインをつくります上で、今申し上げましたように、後方支援というものが全く否定されなければならないものなのか、それとも一線を画した範囲において我々がなし得ることがあるのか、そうした角度からの議論を行った上で、戦闘行動と、あるいは戦闘区域と一線を画した支援というものはなし得るという判断をいたしたということでございます。
○小沢(一)委員 どうもちょっと議論がかみ合わないんですが、私は、総理のお考えは全くそれでわかりました。 ただ、そのお考えは、今総理の答弁にもございましたようにその当時はそこまで煮詰めて議論できなかったのか、あるいはその他の事情があったのか、それは別として、今総理は、そこまできちんとした仕分けができなかったのかもしれないという趣旨のお話をなさった。それはそれでそうなのかもしれない。しかし、結果としてその当時は、今総理が思っておられる、考えておられる議論は受け入れられなかったわけですから。それが今、総理の口から、そういうことがあるんだということになったわけですから、それは明確に橋本内閣としてかつての内閣との解釈の相違ではないですか、私はそう思いますが。
○橋本内閣総理大臣 これは、その湾岸の当時の論議には、与党幹事長として党首御自身も重要な役割を果たしておられたわけであります。その上で、私は、当時の論議の足りなかった部分を今回補強したのではないだろうか、率直に申して補強したのではなかろうか、そういう考え方も成り立ち得るんだと思うのです。
○小沢(一)委員 だから、それは結構なんです。結構なんですが、そのときそこまでの議論に至らなかったとか、いろんな事情、どういう事情だったかわかりませんけれども、その当時は、今橋本総理がおっしゃった考えは政府の入れるところとならなかったわけです。それが今、いろいろ議論した結果で結構ですけれども、そういう考えに達したということですから、その当時と今の政府の考えとは違うということじゃないですか。これは明確なことじゃないですか。(発言する者あり)
○松永委員長 それでは、席に着いてください。 橋本内閣総理大臣。
○橋本内閣総理大臣 改めてもう一度申し上げ直しますけれども、当時自分自身が直接の担当者ではありませんでしたので、法制局長官に、湾岸危機から湾岸戦争に至るプロセスの中で政府が提出をいたしましたいわゆる国際平和協力法、その内容を確認いたしました。 現在のように細かい対応までがその中に論議をされ記入されておったとは存じておりませんけれども、当時においても、戦闘地域あるいは戦闘行為と一体化をしない協力はできるというのがその国際平和協力法の趣旨であったと記憶をいたしております。その限りにおいて、論理的に、その点は今日と政府の判断として変化をしておるとは私は考えておりません。 ただ、その結果として、残念ではありますが、あの法案は国会で成立を見ることができませんでした。しかし、その中に盛り込まれておりました活動というもの、これは、現行憲法の中において戦闘あるいは戦闘行為、戦闘地域と一体化をしない後方支援はあり得るという考え方によってまとめられていた法案だと思います。
○小沢(一)委員 今、平和協力法のことを引き合いに出して、総理、お話しになりました。 変わったという言葉がいけない、絶対変わっていないんだということであれば、少なくともその範囲が拡大したことだけは事実です。 例えばその当時、さっきも言いましたけれども、簡単に言えば武器弾薬の輸送なんかとんでもないという話の議論でしたけれども、今回のガイドラインでは武器弾薬の輸送というのも後方支援として認められているわけですね。だからそういう意味で、じゃ、変わったと言うのが嫌だというのなら、それは、その考え方が拡大している。体化していない範疇の考え方が非常に、僕は非常にだと思います、拡大した解釈を今政府としてはとっているという質問の仕方でもいいです、そういうことですねと。
○橋本内閣総理大臣 今、逆に法制局長官が当時の正確な説明をしてくれかけておりましたが、例えば、現に戦闘が行われているというふうなところで、そういう前線に武器弾薬を供給するようなこと、輸送をするようなこと、現に戦闘が行われているというふうなそういう前線に武器弾薬を供給する、これはその地域の問題だと私思います。 そして、そういう想定まで行われていた、議論をされていたということ自身、私は当時は違った役割を持っておりましたので十分に存じておりませんでしたけれども、議論としては、その適用の対応、細かい理屈のいかんは問わず、当時、議員から御指摘がありましたように、幾つかのケースで提起をし、幾つかのケースでこういうものならば支援として行えるのではないかという具体的なものを提起し、それがだめだった、だめだと言われたケースの中でも、今の答弁を見てみますと、そういうケースも想定された法案の形態になっておったようであります。 ただ、いずれにしても、こうした問題を十分に議論をしていなかったということは、私はこれは否定のできることではないと思うのです。それだけに、今回このガイドラインをめぐる御議論の中で、院におきましてもさまざまな御議論が既に行われてまいりましたが、政府部内においてもこのガイドラインをめぐる議論の中で、戦闘あるいは戦闘行為、戦闘地域と一体化しない後方支援、あり得るのかあり得ないのかという論議の上で、あり得るという結論を出したという事実はそのとおり、先ほどから繰り返し申し上げているところであります。
○小沢(一)委員 繰り返してまことに申しわけありませんけれども、ですから、その当時はそこまでいろいろな具体的ケースについて議論が詰め切れなかった、今そういうお話でしたね。だから、それはそれで、そういう理由だったとしても、結果としてはそういう具体的なところは政府のとるところとならなかったわけです、政府の見解としては。だから、それが今いろいろまた議論した結果、こういう行為もこういう行為も、一体化したものではない範疇のものが、こうこう、こうこう出てきたのだ、これは許されるのだ、こういう議論ですよね。
○橋本内閣総理大臣 政府だけでありましたのか、当時、与党自民党の幹事長を党首はお務めだったわけでありまして、政府・与党間におきましてもいろいろな論議があったと存じます。そして、政府として提出をいたしました法律案、当然ながら与党の御審議も得ておったろうと存じます。 そういう中で、ある意味では当時の議論、私は異なった立場で閣内の一つのパートの責任者という立場から議論をいたしておりましたけれども、その中で、今法制局長官から聞きますと、国会の私がお呼び出しを受けておらない議論の中において法制局として示しておりましたその当時の議事録を見ますと、先ほど申し上げたようなケースもありました。 ただ、いずれにいたしましても、私は、過去はどういう積み重ね、私の知らない議論もあったのかもしれませんけれども、今ガイドラインというものを考える上で、私どもは、戦闘、戦闘行為、戦闘の行われておる戦場、これと一体化をしない、その範囲における支援活動というものが可能だという結論を出し、それは繰り返し申し上げておるところです。
○小沢(一)委員 私もまさに当時自民党の幹事長として、何回も言うように総理と一緒に働かせていただきました。その当時から私自身は、憲法の解釈、許される範囲というのは法制局長官とは全く違っておりましたから、私は積極論でありました。しかし、いろいろな議論があったことは事実でございます。 しかし、何度も言いますように、さっきからも、今の答弁の中にも総理お話がありましたように、その当時は必ずしも具体的ないろいろなことまで精査するというか議論するというあれがなかった。ということで、結果的にはいろいろな、言葉は少しでもマイルドにしますが、制約があって、後方支援に対する制約がうんとあった。ところが、いろいろ今ガイドラインの検討の経過を通して、こういうもの、ここに何十項目もあるような後方支援もこれもできるという結論に至ったということは、その当時とは違った、拡大と言ってもいけないなら何と言ったらいいんでしょうか、新たなる分野を見出したということでしょうか。 私は、そういうこと以外に、時代も変わり、状況も変わり、何もみんな変わるんです、だから、変わったんだから変わったと言ってもらえばいいんです。ですから私は、変わったのがけしからぬと言っているんじゃないんです。なぜ変わったんだということをおっしゃれないのかなということが私は不思議で、ちょっとこの点は理解に苦しむのですけれども。
○橋本内閣総理大臣 これは、党首よく御理解の上で繰り返しお尋ねになりますので、私も同じことを繰り返して申し上げることになるわけですが、強いて申しますなら、その湾岸前後の当時よりもより精敏な議論をし、より精微な議論の中から問題点を整理した。あえて申し上げますなら私は、そういうことか、そういうお答えしかないのかなと思います。
○小沢(一)委員 私も、ですから、その当時の議論を余り正確に覚えているわけじゃありませんが、覚えております。 それで、私はもっともっと積極論ですから、ある意味において。ですから、国連の平和活動に対しては日本は積極的に参加し、協力しろという議論であり、我が党の結論もそうです。 ですからそういう意味において、今のこのガイドライン、だからといって私はこの項目を是認するわけではないんですけれども、そういう意味において、総理が精緻に考えた、政府内で考えられた、ガイドラインの討議の中でもっていろいろな考えが出てきた、その中に具体的な項目がいろいろ上ってきたわけでしょう。これは、湾岸戦争、たまたま我々知っているから例に出しますが、以前のときにはそういうのは上がってなかったわけでしょう、それはできないということになっていたわけですから。その意味で結局政府の見解としてはとることにならなかった、それは総理も先ほどお話しになったとおりなんですね。 それで、新しいこういった可能な分野が議論の結果見出されてきた、こういうことをおっしゃったので、いや、それはそれでまた一つの議論だから、賛成か反対かは別にして総理の御意見はわかりました、ということは、それは旧来の考え方とは変わった、あるいは拡大されて解釈されていますねということであります。
○橋本内閣総理大臣 より精敏な論議の上、ガイドラインをまとめているということであろうと思います。
○小沢(一)委員 ちょっと、何といいますか、何でそんなことを素直にお認めにならないのかということがちょっと僕は不思議でしょうがないんですけれども、精級に議論した結果いろいろな分野が出てきたわけでしょう。明確になったのであれ、何であれかんであれ、以前はそういうことはよしとされてない。避けておったにしろ何にしても、結果としてよしとされなかった議論が、いろいろな精級な検討の結果新しい分野が出てこられたわけだから、それは新しい解釈の拡大ではないですか。これはおかしいでしょうか。これはそんなに総理、.不都合でしょうか。
○橋本内閣総理大臣 憲法とのかかわりにおいては、憲法の許す範囲内という前提の中で、私は基本線が変わっていると思っておりません。その上で、従来より幅広く、あるいは精級、どういう答え方でも結構です、従来は避けておりましたような論議まで関係者の中で論議をし、想定し得るケースを想定し、それが果たして現行憲法の中において可能かどうか、そしてそれは、いわゆる戦場、戦闘行為等々と一体化をしない支援をし得るかどうか、そうした観点からの検討を加えて、問題はクリアできる、言いかえれば、戦闘あるいは戦場と一体化しない支援はあり得るという結論をまとめたということであります。
○小沢(一)委員 今の総理の御答弁の中にでも、旧来は避けておったというお話がありました。旧来避けておった議論というのは、少なくとも、憲法上許されないという表現をしたかどうかは別として、許されるということは言ってないわけですから。それが、今度のガイドラインの協議の中から、こういういろいろな新しい分野が出てきたわけですから。ですからその意味において私は、旧来の解釈というものが精緻に拡大された、精緻な議論の結果拡大されたということではないかなというふうに思うわけでございます。 この点は、何かちょっとくどいようですけれども、私、なぜこんな議論を何回も言うかというと、要するに、今日の政府といいますか、政治のやり方が、武力行使、それにつながる行為、憲法で最も大事な論点でありますこれに関連する行為等が、そのときそのときの必要性や、対米関係だ、いや何だかんだという状況の中で、明確な行動規範、行動基準、原理原則なしに、なし崩しにこうやって拡大していく、そういうやり方は本当によろしくない。私はそういう持論を持っておりますので、その意味で、ささいなように思われるかもしれませんけれども、重大な問題だと私は思うんです。 ですから、そこをはっきりと、やはり橋本内閣としてはこう考えるんだ、いろんな議論の結果こうなったんだということで私は何もおかしくないんじゃないでしょうか。それならそれで、総理の御意見として、内閣の見解として私は納得します。
○橋本内閣総理大臣 従来、これがいいことか悪いことか、そのお立場で主張されたことですから私わかりませんけれども、いわゆる六条自体というものについて、余り国会においても議論はされてこなかったんじゃないでしょうか。そして、そういう意味で、見方によってはあいまいであり、あるいは本当に拡大される危険性もあり、あるいは逆に全く、規定はありながらワークしないといったような心配を相手側に与える、アメリカ側に持たれるといったこともあったんじゃないでしょうか。 私は、昨年、本当にクリントンさんとの議論の中から、共同宣言を発出しました。その上で、このガイドラインを策定することによって、我が国のできることできないこと、これを明らかに整理をし、改めて国民の目に見ていただきたいと考えました。 そして、その中で議論をしてまいりましたその一つのポイントが、まさに先ほど議員が御指摘になり、それ自体私は認めておりますように、戦場、戦域、戦闘行為、どういう言葉を使ってもいいです、いわゆる武器を持って殺りくし合っている場と支援が必ずしも一体にならないことはあり得る、そして一線を画した支援というものはあり得る、そしてそれは、我々としてでき得る限りのことをすべき部分を含んでいる。そして、それを見える形ではっきりさせたものがこのガイドラインであり、この点については、その賛否は別として、それ自体を整とんしてお目にかけたことについては、議員にも御理解のいただけることだと思っております。 ただこれが、だから、従来の憲法の解釈を超えたか超えないか、あるいはその変更をしたのかというお尋ねになりますと、先ほど法制局長官がお答えをいたしましたような議論というもの、すなわち、かつて政府として提案し廃案になった平和協力法の中にも同じ考え方が盛り込まれている、だから変わっていないという、そうした議論が法制局からはある、これも事実であります。(発言する者あり)
○松永委員長 では、小沢さん、いいですか。質問してくれますか。 では、小沢一郎君。
○小沢(一)委員 それでは、総理も何度も答弁していただきましたので。ただ、私としては、大事な問題点ですので、納得はちょっといたしかねます。 やはり、さっきも申し上げましたとおり、日本の武力の行使、軍事行動というのは、歴史のいろいろな失敗にかんがみて、本当に日本国憲法の精神そのものを体して、そして国の内外に、私は、オープンな、明らかな考え方、それを示すべきだと思います。 私、先ほど周辺事態のことで、隣の国々もみんな含むのは当たり前じゃないかというお話をいたしましたけれども、それも武力行使の問題とごっちゃに議論されておりますから誤解を呼ぶんじゃないか、そう思うんですね。米軍の行動に、米国の単独行動に我々がどこまでもつき合わなきゃならない理由はないわけですし、それは憲法上許されるはずもないので、そういう意味において、もっと明快な考え方、憲法解釈というものを国民の前に明らかにした上で政治を行ってもらいたいというふうに思っているわけでして、こういうやり方というのは本当によろしくない、私はそのように考えております。 もう同僚の時間まで費やしてしまいましたのでやめますけれども、あとの問題についてはいろいろな問題があることだけを指摘しておきますけれども、例えばこの周辺事態についても、最も国民の皆さんにわかりやすい、じゃ、非戦闘員の救助、これはどうするのか。多分、今の解釈を類推して考えれば、何かの戦争行為、あるいはいろいろな内乱であれ何であれ、そういう事態が発生した、その中で、日本人が武装勢力に囲まれて生命の危険が危ういというような事態が仮に出来した場合に、一体、政府はどうするのか。 当然、武力の衝突あるいは武力の行使の可能性というものを、そういう武装勢力の中に救出に行く場合には予想されるわけでありますから、もしあらゆるケースにおいて武力の行使が許されないということになれば、仮に何千人の、何万人の日本人が、ある国の軍隊ないしは武装組織にとらわれたり、あるいは生命の危険にさらされたりという場合でも、それは、自衛隊を派遣して救出するということは、そこのとらわれた、あるいは生命の危険にさらされた邦人は期待できないということになるんだと思うんですね。そうではないでしょうか。 この点について、要するに、何か起きて、軍事的な騒乱が起きて、そこに居住しておった地域の日本人が、生命の危険が危うい、あるいはとらわれたと。もちろん、そういう状況の中において自衛隊で救出作業は、全部時間を使ってもいいということですので残りの時間お聞きいたします、どうなるでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 現行の法律上、我が国が非常に手足を縛られている状況にあることは、議員よく御承知のとおりであります。 先般、さまざまな御批判をいただきながら、カンボジアの状況が悪化いたしましたとき、せめてということで自衛隊機の使用を考えましたが、要するに、現地の安全確認という部分に非常な支障が現実には生じてまいりました。こうした点も、私は、今後政府として検討しておかなければならない大事なポイントの一つだと考えております。 その上で、議員が今指摘をされましたような、まあ、数万、数十万という単位で邦人が他国の軍隊にとらわれるといった事態は簡単に想定できることではございませんけれども、例えば在ペルーの日本大使公邸人質事件が発生をいたしました際にも、相手側の国の意思と我が国の救出への意思とのせめぎ合いは確かにございました。そして、我が国の場合に、こうした、民家の中からの人質の救出といったことに対しての訓練というものの練度を考えましたときにも、また相手側の政府の意思としても、日本の自衛隊を派遣するという状況でなかったことは事実関係として申し上げなければなりません。 その上で、海外におられる邦人に対するテロ等に対し、あるいは、ああいう事件が二度とあらわれては大変だと私思いますし、その意味での努力を、外交当局にも現地の関係者との情報交換等で努力を求めますけれども、そうした場合におきましても、相手国の領内に、少なくとも相手国からの要請も同意もなく、日本が、自衛隊を派遣することまずありきといったことは私はできないと思います。そうした上で、我々が何ができるかは、政府部内におきましてもさまざまな視点から、事ペルーの事件というものを一つの非常に大きな実例として検討いたしておりますけれども、これならば確実にという手法を見出せているわけでは残念ながらありません。 ただ、そう申し上げていきますと、今回のガイドラインの中に、避難民の発生をいかにして救出するか、受け入れるかといったことも考えておるわけでありますけれども、これも、具体的にこれを実行しようとしますと、まだまだ詰めていかなければならない問題点を残しております。 それだけに、そうした一つ一つの問題点を整理し、どのような問題が実行上生じ得るか、その生じ得るケースの中に法律改正を必要とするものがあるかないか、あるいは地方自治体等の協力を得べきもの、その根拠規定の整備の状況いかん、さまざまなケースを残しておりまして、今後十分議論をちょうだいもし、また我々としても考え、努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○小沢(一)委員 私がお聞きいたしましたのは、相手国の了解というそういう手続の問題、あるいは自衛隊法の整備の問題、そういう点はもちろんいろいろ法整備しなければならない点がたくさんあると思いますけれども、それを前提といたしまして、いわゆるそれらの条件がかなったケースであった場合でも、数十万が一緒になって外国に住んでいるというところはありませんけれども、数千ないし万という単位のところはあるわけですね。そういう邦人が、本当はほかの国の人でも私の論理からいうと同じなんですけれども、邦人が生命の危険に、ある国の軍隊あるいは武装組織によってさらされている、早く助けないとだめだ。しかし、可能性としては、その相手国の軍隊ないし武装勢力と衝突する可能性がある、すなわち武力行使の可能性がある。そういう場合においては、他のいろいろな条件が整ったとしても、政府の解釈としては、自衛隊を救出に派遣するということはできない、それは仕方がない、やれないんだということだと思いますが、そうですが。
○橋本内閣総理大臣 私は今、法制局長官に、現行法ではこれはできないとお答えする以外にないなと確認をしましたところ、あくまで仮定の例として述べるなら、武力を行使して日本人の生命、身体等を保護することを目的として自衛隊を派遣することは憲法上許されないものと考えるというのが従来からの政府の見解であるということでありまして、現行憲法上それはできないと考えた私の判断どおりでございました。
○小沢(一)委員 ですから、それが現在の橋本総理、内閣の旧来どおりの考えだと思いますが、橋本総理もその考えを踏襲しておられるということですね。そうすると、その生命の危険にさらされた邦人の、アメリカへ頼むとかほかへ頼むとかという方法は別として、日本人の手で救出するというすべはないわけですね、今の解釈の上では。私は、言葉は悪いですけれども、結果として見殺しにするとか見捨てるとか、言葉は悪いですけれども結果的にそんなことになってしまう、そういうことだと思いますけれども、それはこれ以上、もう時間ですし、議論いたしません。 いずれにいたしましても、その中でもう一つの問題点も、例えば船舶の検査という問題もあるのですね。 これは、国連の紛争肖事者あるいは侵略者に対する経済制裁、その一環として、陸もありますけれども、海上の封鎖を行う。この船舶の検査というのはまさに臨検と呼ばれるものでありまして、それは軍艦や軍用機でもって船舶を停止さす、あるいは調べる、疑わしいときは拿捕する、こういうことができるという国際法上の当然の常識でありますけれども、これについても、日本は船舶の検査について協力するということにこのガイドラインでなっているわけです。 船舶の検査、すなわち海上封鎖による臨検というのは、まさに軍艦、飛行機でやることで、民間の船でやるわけじゃないと思いますので、それはまさに武力の威嚇、武力の行使そのものであると思います。そしてまさに、侵略した国かあるいはいろいろな紛争を起こした国に対する制裁として行われるものでありますから、当然強制的な措置であることは当たり前のことで、そういう問題についても、日本国政府がそれを、臨検のことを、実際行動としてやるのかどうか。武力の行使にかかわるとすればやらないというお答えでしょうけれども、それじゃ一体何をするのか。協力とはどういうことか、船舶の検査、臨検に対する協力とはどういうことか。 私は、そういうものでも、本当に、このようなガイドラインという、条約でもなければ法律でもなければ何でもない、閣議決定もしなければ両国の署名もない、そういう形のものでこういった武力の行使そのもの、あるいはそのものとは言わなくてもそれに関連する行動がなし崩しに拡大されていく、そういう手法を本当に危険だと思います。 その意味において、ぜひともこれから、国会でも政府においても、明確な行動基準というもの、きちんとした安全保障政策の考え方、原理原則というものを討論の上打ち立てて、特に内閣総理大臣、政府・与党、実際の国民の生命を、暮らしを預かっているんですから、ぜひそういう観点に立って、明快な、内外ともに納得するような結論を出していただきたい、そのように考えております。 最後に、私ども新進党の宣伝も若干させていただきますけれども、我々新進党は野党であります。野党でありながら、こういった安保の議論というのは必ずしも有権者の投票行動に結びつく議論ではありません、しかし私たちは、やはり、この国の本当の安全を守る、国民の生命財産を守る、今、暮らしを守る、この安全保障政策は真剣にやらなければだめだということで、特に私も主張いたしました。党内でもいろいろな議論がありました。ありましたけれども、我々としては、日本再構築宣言の中にこの安全保障政策の原則を、結論をまとめて、国民の皆さんに問うているところであります。 その結論というのは、我が国の安全保障は日米安保体制を基軸としつつ、これは同じだと思います、それが一つです。武力の行使については、我が国が直接に攻撃を受けたときのみ最小限の反撃、武力の行使、これが許される。それ以外においては許されない。 しからば、それによって果たして本当に日本の国民の暮らし、生活の安全は保ち得るだろうか、世界の平和は、国際の平和は保ち得るだろうかということに考えをめぐらしたときに、日本国憲法の前文において、まさに諸国民の正義に信頼して、諸国民との協調によって世界の平和を守っていくんだ。 そういう観点に立った場合に、今、必ずしも国連は十分な機関でもありません。まだまだいろいろ不備な点がたくさんある。しかし、日本としては、国際社会の協調の中でしか生存できない日本としては、たとえ不備なものであっても、国連を中心とした国際社会の中でみんなで平和を守る、そして、その結果として我が国の平和を守る、そういうことが憲法の本当の理念だと私は思っておりますし、それ以外に真の意味で日本の平和を守るすべはないというふうに考えております。 ですから、そういう意味で、国連を中心とした国際社会で、まさに侵略者に対し、暴力を振るった者に対し、平和を乱す者に対し制裁行為を行う、そういう国際社会の決定がなされた場合は、日本はほかの国以上に積極的に参加し、協力する。それが私は日本の生きる道であり、正しい道であるというふうに思っておりますし、そういう結論を私ども新進党としてまとめたわけであります。 そういうような中で、簡単に国民の皆さんにもわかりやすく言えば、過去の例で取り上げますと、我々は湾岸戦争には積極的に参加もしくは協力するけれども、ベトナム戦争には、いかなるアメリカの要請があっても我々は参加はもちろん協力することはできない。もちろん安保条約上の最低義務の履行の問題はありますけれども、そういうふうに考えているのが我々の結論であります。 私はそのような考え方に立って、今後本当に、先ほど申し上げましたように、政府においても明快な議論と明快な結論を出していただいて、そして政治の運営をとり行っていただきたいと思います。このような、今のようなまさになし崩しのやり方、不明朗なままのなし崩しな行政のやり方、政治のやり方は、必ず私は国を誤らせることになると思います。 どうかそういう意味において、特に先輩でもあり、橋本内閣総理大臣におかれましては、そのことを認識の上、御尽力あられますよう期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○橋本内閣総理大臣 激励をいただきまして、ありがとうございました。 そして、今、議員からなし崩しというお言葉がありましたけれども、そういう御批判を浴びないように、このガイドラインの中間公表を行い、また国内だけではなく周辺の国々にも説明の努力をいたしております。 もちろん、これがこれから一つ一つの項目についてその実効性を上げるためには、議論を深めていかなければならない問題を多数秘めております。こうした点につきましても、御叱正をいただくべき点は御叱正をいただき、御協力をいただきますところはいただき、よりよいものに仕上げてまいりたい、そのように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○小沢(一)委員 ありがとうございました。
○松永委員長 これにて小沢君の質疑は終了いたしました。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 ――――◇――――― 午後一時開議
○松永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鳩山由紀夫君。
○鳩山(由)委員 民主党の鳩山由紀夫でございます。民主党の立場から質問をさせていただきたいと思います。 まず、冒頭申し上げたいことがございますが、この予算委員会、私は基本的な事柄についてお尋ねを申し上げたいと思っております。 橋本総理並びに小渕外務大臣に対してのみの御質問になろうかと思っておりますので、他の閣僚の皆様方、お忙しいと思いますし、あえて出席を求めるものではございません。また、政府委員の皆様方にも、それぞれお忙しいと思いますので、あえて出席をなさらなくとも構わないと思っております。 私は、実はこの席に立たせていただくことを何かやるせないというか、むなしいというか、そんな思いもいたします。 経世会に所属しておりました、その当時、橋本総理に最も早く総理になっていただきたいと願いながら、そのことを直訴を申し上げたこともございました。その橋本総理が実際に総理になられたときには、私は他の政党に所属しておりましたが、内心、心から喜んだものでございます。 しかしながら、その総理に対して私から、ある意味でなぜ私どもが自民党を離れなければならなかったのか、その原点のようなものから、すなわち政治倫理の問題からお尋ねをしなければならないということが大変にむなしさを感じるところでございます。 私は、現在、民主党という党に所属をしております。ようやく結党して一年になったばかりでございます。まだまだ欠陥だらけの政党かと思っておりますが、私は結党に当たって、政治に対して今欠けているのは何か、一つは心の問題、友愛社会の実現ということを強く訴えてまいりました。 オウム真理教の事件とか、あるいは神戸・須磨で起きた少年が少年を殺してしまうという残忍な事件、こういった事件を考えるにつけ、やはり友愛社会というものを、政治の立場から心の重要性というものをもっと認識していかなければいけない一心からそう思っております。 同時に、新たに最近起きております事件、薬害エイズの事件に始まり、「もんじゅ」の事故、あるいは住専、さらに岡光の事件、最近は中村喜四郎議員の有罪判決などがございます。このような一連の事件を見るにつけ、政官業の癒着体質きわまれり、そんな感を強くしてならないのでございます。 過去の延長線上で未来を見出すことができない。総理が今なさっておられようとしております行政改革あるいは財政再建、こういったものも、真の意味で政治家一人一人が欲を捨て、私利私欲というものから離れた高いところから仕事を行わなければ実現はおぼつかないと確信をしております。まだまだ民主党もその点において決して完璧とは言えません。ただ、他の政党の皆様方におかれても、政治家というよりも、まず人間として政治的な倫理の確立に御努力を強くお願いを申し上げたいと思っています。 総理、まず、トランスペアレンシー・インターナショナルというNGO、御存じないかと思いますが、日本の汚職の程度、世界でどのように思われているか御案内でしょうか。 このNGOの機関が出しております国別の汚職イメージ調査、一位はデンマークで、一位ということは大変清潔な、汚職度が少ないという意味でありますが、このデンマークから始まって、日本は、昨年は十七位でしたが、ことしは二十一位に後退をしています。五十二カ国中の二十一位ということ、まあ中ぐらいだからいいではないかという話があろうかと思いますが、先進国の中で極めて最下位に近い、そのような状況を総理はどのようにお考えでしょうか。 このように世界で思われている、ある意味でイメージかもしれませんが、日本のイメージがこのように思われているということ。そのことによって世界の信頼というものを失ってしまうとすれば、総理としてどのように責任をおとりになるでしょうか。お考えを伺いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 議員からそうした御指摘があると聞きまして、私もそのNGOの存在を初めて知りました。そして、二十一位であるなしにかかわらず、昨年よりも順位が下がったということ自体を私は残念に思いますし、恥ずかしくも思います。 そして、これはひとり政治家だけではないのかもしれませんが、少なくとも国民の信頼により政治をゆだねられた立場にある人間として、一層その国民の信頼にこたえるためにも、常にみずからを見詰めながら、戒め、努力をしていかなければならないと思います。 非常に率直な感想でありますが、お答えとさせていただきます。
○鳩山(由)委員 率直にお答えいただいてありがたいと思いますし、政治のリーダーシップ、特に政治倫理に対するリーダーシップをこれから積極的におとりになっていただきたい、心からお願いを申し上げたいと思います。 そこで、改めて問わなければならないこと、それは、御案内のとおり、政官業の癒着のある意味で象徴だと言われているロッキード事件、このロッキード事件で有罪となった方を総理は大臣になさった。そのように有罪の判決を受けた方を、特に汚職の問題で有罪になった方を、総理はいろいろ熟慮を重ねたとおっしゃられたけれども、総理の任命で総務庁長官、行政改革の中心的な役割をなす総務庁長官に任命された。 そのことに対していま一度お伺いしたい。任命したことが誤りだったと総理はお考えになりますか。
○橋本内閣総理大臣 これもあえて率直なお尋ねでありますので、私なりにお答えを申し上げたいと思います。 私が今本当に申し上げたいことは、所信表明で申し上げましたように、政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかった、この点を深く反省すると同時に、多大な御迷惑をおかけしたということに対してのおわびを申し上げたい、これが素直な私自身の思いであります。 その上で、確かに、国会において永年勤続議員としての表彰を受けられたこと、また、院において再度特別委員長として推挙され国政の重任に当たられたこと、こうした中で、昨年から私は、自由民主党における行政改革の本部長としてこの方に、佐藤さんに大変な御苦労をかけておりました。そして、その行政改革という手腕を今度は閣内で発揮していただきたいと、確かに私は思いました。しかし、それが世論で認められることではなかったと、今痛いほど感じております。 与党三党で、その後、こうした問題についても論議をし、合意をいたしました政治倫理等に関する三党確認、これに基づいて、政治倫理の確立に向けて国民の信頼を回復すべく最大限努めてまいりたい、そのように思います。
○鳩山(由)委員 今総理からお話がありましたが、やはり世論の重みに対して十分な配慮をいたさなかった、そのことに対する反省を述べられたわけでございます。しばしばこの問題で総理はお答えになっておりますが、世論の重みということをおっしゃるわけでありますが、先ほども小沢新進党党首から、ある意味で、もしそうであるならば断固押し通すべきではなかったか、そんなお尋ねもありました。 それでは、もし世論が、そのような配慮をしなかったら、当然のことながら、今お考えを述べておられましたが、佐藤孝行総務庁長官をそのまま任用をされていたというふうに解釈してよろしいですか。
○橋本内閣総理大臣 私が申し上げております言葉は、思ったとおりをそのままに申し上げました。永田町の論理の中で通用すること、世の中でそのとおりにいくものではないということを、今一番痛感しているのは私自身ではないかと思います。その思いの中でお答えを申し上げております。
○鳩山(由)委員 政治家により高い倫理性を求める世論の重みというものに十分配慮をいたさなかったと総理は述べておられますし、きょうもその趣旨からお述べになったわけでありますが、本来、少なくとも政治家たる者は、世論あるいは一般の国民よりも政治に対する高い倫理性を持たなければ政治は務まらないと私は思っています。 その意味で、もし総理がこれからも、世論の重み、世論の方が高い倫理性を持っているというふうに考えられて佐藤長官を辞任にされたということであるならば、総理自身がある意味で国民よりも低い倫理観しかお持ちになっておられないということではないか。もしそうだとすれば、総理たる資格がおありにならないのではないかと申し上げなければならない。 私はその思いの中で、今回、だから泉井被告に対する証人喚問の問題で、民主党は他の野党とともに予算委員会、一日欠席せざるを得なかった。 民主党という党は、議論を通じて、当然のことながら議論をしっかりと行うことによって国会を活性化し、そのことも国民の政治不信の払拭に役に立つ、そんな気持ちで努力をしてきたつもりでありますし、その意味からいえば、決して予算委員会を好んで欠席したつもりはありません。むしろおわびを申し上げなければならないと思いますが、民主党がもっと力が強くて、証人喚問に対しても実現の道をもっともっと早くつくり上げていかなければならなかった。それができなかったことで、国民の皆様方に、予算審議がおくれたということを、御迷惑をおかけしたことを素直におわびを申し上げなければならないと思う。 しかし、審議に関しておくれを私どもがつくったことは率直に認めますが、むしろその責任の大半は、証人喚問に今日まで、ようやく十一月末ということで松永予算委員長が決着を図ってくださったわけでありますが、そのときまで自民党が十分に道を開かなかったところに大きな責任があると指摘をしなければなりません。 私は、自民党が衆議院において過半数をとった、その過半数をとった途端にさまざまな事件が起きた。またぞろ、国民の皆様方から見れば、自民党がかつて来た道、また同じようなおごりの体質になってしまったのではないか、そのことを国民は疑い始めているのだと思っています。 そのようなときに、保釈の身になった泉井被告が、例えばインタビュー、記者会見あるいは雑誌などで政官界に対するさまざまな工作の話をされた。もしそれが事実であれば、大変なスキャンダルであることは間違いありません。もし事実でないとすれば、当然政治の立場からそのことをしっかりと解き明かし、解明していかなければならないことは当たり前のことだと思っています。 予算委員長が十一月末までということで決着を図っていただいたことを、大変にそれはそれでよしとしなければならないかと思いますが、実際には十一月末ということの裏には、自民党とすれば、十一月末に行うとすれば、あとは会期は短いから他の証人喚問などうやむやにできるのではないか。もう既に、自民党としては逃げ腰になっていると言わざるを得ない。 いつものごとく自民党は、政治倫理という話になりますと、例えば政治家は聖人君子ではないなどと言って逃げ腰になってしまっている。総理はポスターの中で、私は逃げないとおっしゃってくださった。大変にすばらしいことだと思う。自民党がもう既に政治倫理で逃げ腰になっているものを、どうぞ総理は自民党の総裁として逃げないでいただきたい。それとも、自民党とともにやはり逃げ腰で、この問題に対して十一月末の決着でいいと、そんな話にされようとされているのか、お伺いをしたい。 むしろ、予算委員長にも、一日も早い泉井被告に対する証人喚問の実現を改めて要請を申し上げたいと思っています。 特に、十月十日に発売になりました文芸春秋には、まさに泉井氏の手記による記事が掲載をされているわけでございます。ただ、不思議なことに、校正の段階で存在をしていた自民党のお二人の名前が消えているということ、最終段階で消えてしまっていると言われています。巨額の献金というものを、もしそれこそその方々が、皆さん方がおっしゃっているように、常に適正な処理をなさっているとおっしゃっていますが、もし適正な処理がなされていないということが判明されたとしたときに、総理はどのようなお立場から指導していただけますか。
○橋本内閣総理大臣 私は、その泉井被告の事件というものが現在裁判中であることもありまして、立ち入って申し上げる立場にはないと思います。 その上で、証人喚問、国会において御議論の上、松永委員長初め関係各位の御努力によりまして、十一月末までに行う方向というふうに伺いました。その上で私は、国民の政治不信の払拭のためには政治家が常に襟を正さなければならないということを考えており、その意味で、明らかにしなければならないことは適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきと考えておりますということを本会議でも申し上げてまいっております。 私は、その泉井被告が何カ月間かの間捜査当局の取り調べを受けておりました、またマスコミにおいてさまざまな報道がされておりますが、法に反するようなことがあれば、当局が厳正な対応をすると信じております。
○鳩山(由)委員 残念ながら、政治倫理に対してリーダーシップを発揮していただきたいと思っております私から見れば、今の総理の御答弁、十分なものだとは思っておりません。 もし、総理が世論というものに対して、自分たち自身よりも高い倫理性というものを持っているというふうにお認めになるのであれば、この泉井証人喚問に関しても世論の声をもっとしっかり聞いていただきたいし、そして、自民党の執行部あるいは閣僚の中に疑わしい方がおられるという話があって、世論の方からそうだという話があったときには、もっと真剣に聞いていただきたい。そのことを申し上げて、実は時間が十分ありませんので、景気対策の問題に移らせていただきたいと思っています。 私は、総理が今の日本の景気に対してどのようにお考えになっておるのか、お考えをぜひ聞きたい。 十月の経済企画庁の月例経済報告によれば、もう御案内だと思いますが、設備投資は回復基調で、個人消費は回復テンポが緩やかで、全体としては足元は回復テンポが緩やかで、企業の間にも景況感に慎重さが見られるけれども民需を中心として景気回復の基調は続いている、そんなふうに書かれてあります。果たしてそれが国民の景気に対する感覚とずれはないのか。どうも、私が知る限りにおいて、相当大きな開きがあると言わざるを得ない。 今の月例報告、九月と十月と変わったところは何か。よく見てみないとわからないのでありますが、九月では、個人消費は緩やかに回復している、そう言っていたものが、十月は、個人消費は、今申し上げたように回復テンポが緩やかだ。緩やかな回復から、回復が緩やかというふうに変わるぐらいである。私ども凡人には、その違いがよく読み取れていない。 政府はどのように判断しているのか。政策対応というものはまるつきり変わっていない。政策対応を読ませていただくと、 政府は、今後とも、景気の回復力を強めその持続性を確保し、中長期的な安定成長につなげていくため、適切な経済運営に努めるとともに、規制緩和をはじめとした各種経済構造改革を推進する。 これは、何カ月も同じ文言が続けられている。政府は基本的に何もやっていないのではないかと私どもは判断せざるを得ない。このような景気に対する認識のギャップというものが大変大きな混乱を、特に国民の政治に対する不信感を助長しているのではないかと指摘を申し上げなければならない。 御案内のとおり、四-六月期のGDP、年率でマイナス一一・二%と大変に落ち込んだ。第一次オイルショック以来の落ち込みだ。年間を通じてもマイナス成長ではないかという予測すら今出ている。御案内のとおり、新車、車の販売台数もことしの一月は三十五万二千台売れた。それが八月になると二十七万四千三百台。一〇%以上一年間で減ってしまっている。そして、それが上がってこない。新規の住宅着工件数も同じであって、去年の十月には百五十二万戸が、残念ながらこの八月では百三十一万戸と減ってしまっている。あるスーパーのオーナーに言わせると、ぎょっとするような落ち込みだと言われてしまっている。 このような我々の景気に対する実感。そして、政府が、回復をしている、緩やかだけれども回復基調にある、その考え方とかなり、どう考えても大きな開きがあると言わざるを得ない。 私は逆に考えて、いや、政府もあるいは日銀も本来はそのことを認識しておられるんじゃないか、景気が厳しいこともわかっておられるんじゃないか。しかしながら、ある意味で打つ手がない。したがって、だんまりを決め込んで、むしろ認識はしていないんだ、そう決め込んでおられるような気がしてならない。そうだとすれば、それは本音と建前を巧みに使い分けてしまう、ひどい言葉で言えば、二枚舌の話をここで持ち出すつもりはないのですが、二枚舌だと言わざるを得ない。 そのように景気に対して、実際総理はどのくらいの厳しい認識を持っておられるのか。認識、国民との間のギャップがあるのかないのか、お聞かせを願いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 まず第一に、今議員からも御指摘がありましたように、最近の景気動向につき、足元の回復のテンポが緩やかになっており、企業の景況感にも慎重さが見られるものの、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いているものと認識している、年度後半には景気の回復基調が見られると考えられていることから、今後の経済情勢を見きわめることが必要であるというのは、間違いなく経済企画庁として発表した考え方そのものであります。 その上で、私は、むしろ楽観をいたしておりません。日銀の短観等を見た場合にも、企業の景況感は好転しているどころかむしろ悪化いたしておりますし、確かに設備投資のように伸びておりますものはそれなりの足取りを保っておりますが、ある意味で一番端的にこの状況を示しておる数字というのは雇用失業率の状況だと思います。極めて厳しい数字が現在も継続をいたしております。 そして、そうしたことを考えましても、私はやはり、今の景気の停滞感といいましたものの中には構造改革というものがどうしても必要だということを一層強調せざるを得ない思いであります。 例えば、規制緩和の一つのあらわれとして、例示として人材派遣をとりました場合、従来のポジリストを変更したとはいいながら、その業務は必ずしも十分に拡大されたものではありません。しかし、それだけわずかな、業務がある程度追加をされただけで人材派遣業は三〇%ぐらいの伸びを示しておるはずであります。 これは失業なき労働の水平移動という視点でも見落とすことのできない数字でありまして、私は、やはり規制の撤廃、緩和というものを初めとした経済構造改革に関する政府の行動計画というものを可能な限り前倒しをしていく。また、新たな施策を追加しながら、それがどれだけの効果を上げているのか、あるいはどれだけおくれているのか、このフォローアップを年内に行うなどの態勢を、今既に指示をおろしております。 もう一つの問題点は土地でありまして、議員御承知のように、私どもは地価の抑制という方向につい先ごろまで努力を続けてまいりました。しかし、ここまで参りますと、むしろ土地をいかに動かすか、土地取引を活発化させるか、こうした視点が必要になり、既に政府はその方向にかじを切りかえております。土地の利用、土地の活性化、こうした方向をとっていくことも我々として欠くことはできません。 さらに、挙げ出せばいろいろなものがございますけれども、基本的に認識は、私は決して甘い認識をとっているつもりはございません。
○鳩山(由)委員 甘い認識を持っておられないという総理の認識は、私は支持を申し上げたいと思います。 しかしながら、私は二点、今の総理の御答弁から御質問を申し上げなければならないと思っています。 その一点は経済構造改革でございまして、経済構造改革は、私どもも、まさにやらなければならない必須の、待ったなしの仕事だと思っておりますし、時には痛みを伴うことは十分にあろうかと思っています。 ただ、問題なのは、消費マインドがなぜこんなに冷え込んでしまっているのか。むしろ、先行きの不安感というものが消費マインドを冷え込ませてしまっているのではないかと申し上げたいのでございます。 この間の通常国会で通りました、ある意味で我々からすれば場当たり的な医療保険改革で、つじつまを合わせるための、例えば本人負担を一割から二割に上げるということを行った。それなりの抜本的な改革というものが示されればそれに従ったかもしれませんが、国民から見ると、結果として、例えば九月の東京区部の物価指数、保健医療サービスの部分が二三・三%上がってしまう、前月からわずか一カ月の間で二割以上上がってしまうということ。 しかも、そこですべて姿が、全体像が示されたということであるならば、国民もその厳しさ、痛みを甘受したかもしれません。しかし、またこれから同じような、例えば薬価が上がるというような、社会保障に対する費用がかさむかもしれないとか、あるいは将来的に増税というものがまたぞろ行われるのではないかという、将来の全体像が見えてこないことからくる消費マインド、特にお年寄り、年配の方々の消費行動に今影が差しているのではないかと申し上げなければならないと思っています。 したがって、私どもとすれば、一つには、社会保障費などがずるずるといつまで上がっていくかわからないような負担増を繰り返していくということもなく、一方では、増税なき財政再建、かつて言われたことを、もう一度増税なき財政再建をさせていくという強い信念、そのためには必要な歳出というものも極力抑えるということが出てくると思っておりますが、そのような大変大きな全体像を早く国民の前に示すことが何より肝要ではないかと思っております。それが一つ。 いま一つは、先ほど総理からお話がありました経済構造改革でありますが、その実が本当に上がっているのかどうかということをお尋ねを申し上げたい。 むしろ、政府が今日まで本気で経済構造改革、特に規制緩和、総理は規制撤廃という強い御意思も何回も述べられておりますが、その強い御意思をもっと早くから規制緩和、規制撤廃に向けて示しておられたとすれば、今日のような厳しい景気の実情にはならなかったのではないかというふうに申し上げたい。 公正取引委員会の資料によりましても、むしろ日本経済に占める政府の規制分野というものの比率が上がってしまっている。これは付加価値ベースでの話でありますが、一九八九年に四〇・八%だった政府規制分野の比率が、去年は四二・三%ですから、この七年の間に一・五%もむしろ規制分野がふえてしまっているということ。 これは当然のことながら、政府が景気対策と称しながら、特に公共事業によって、規制の業種であります建設土木業というものに対して大変な後押しを行った結果だというふうにも感じているわけでありますが、そのような政府の取り組みのおくれというものが、残念ながら日本の高コスト構造というものを是正することなく、産業の活力、産業の生産性というものを低く抑え、それが今日の景気の停滞感になってしまっているのではないかというふうに思います。 どうぞ、いま一度総理から、特に経済構造改革に対する、主として規制緩和、規制撤廃に対する、規制の強い建設あるいは通信、サービス、金融、運輸、そういった業種に対して規制の撤廃を強く指導していく決意をお述べいただきたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 既に運輸省は、運輸行政の中の規制の中心であります部分について、需給規制について、これを日限を決めて撤廃する意向を明らかにいたしております。 この分野で将来問題になってまいりますものは、官の規制よりも、むしろ今の日米港湾協議等に例示をされますような民対民の、行政の介入できない部分における労使慣行といったものが問題になってくるでありましょう。こうした問題点があることも、ぜひ御理解を賜りたいと思います。 その上で、それぞれの分野における規制の見直し、それに伴う緩和、撤廃といった作業、今申し上げましたように、既に計画を立てておりますものだけではなく追加すべきものをも含めまして、年内にそのフォローアップを完了し、より加速させていく、繰り返し申し上げてきているとおりであります。
○鳩山(由)委員 重ねて、総理からの強い指導力を発揮していただきたいと願う次第であります。 アメリカのUSTRなどには、もはや日本の規制緩和は信用ならない、信じるにあたわずという言葉も返ってきているようでありますから、別に外圧を利用するというつもりではありませんが、そう言われないためにも、また、日本の内需をしっかりと拡大していくために、そしてそれが景気浮揚に大きく役立つということを信じていただきながら、高いリーダーシップ、指導性を発揮していただきたいと思っています。 私たち民主党としては、この国の経済活力を回復させて、さらに今後の日本社会というものの望むべき方向というものをしっかりと示していくような形を例えば政策誘導で示すべきだと思いますし、また、国際環境に合わせていくという、すなわち国際水準に合わせるという意味での、例えば法人税の大幅な減税を行うことが極めて今肝要ではないかと思っております。 特に、政策誘導などでは、バリアフリーの住宅をつくっていくためのリフォームに支援を行うというような、住宅と福祉の両面から見る施策とか、あるいは、地球環境問題を考えてハイブリッド車とかあるいは水素エネルギーといったものに対してもっと研究の支援を行っていくとか、あるいはデジタル化、さらに光ファイバー等、それから通信というものをうまく情報通信社会の中で融合させていく技術というものを早く確立させていくというような、日本がそれによって経済構造自体が十分に改革をされ、また、日本の未来というものが望ましい方向に導いていかれるような政策誘導を行っていただきたい。 さらに、法人税の減税の問題に関して言わせていただくならば、私どもは、現在は四九・九八%という実効税率を一〇%程度大胆に、思い切った削減をする。当然のことながら課税ベースというものを拡大していくこと、言わずもがなでありますが、各種引当金あるいは租税特別措置というものに対して、これをゼロベースで見直していくくらいの勇気を持たなければならないと思っておりますし、また、それでも足りない場合には、これは当然のことながら歳出削減ということもあわせて行っていかなければならない。そのぐらいのことを行いながら、国際環境に合わせていく、企業が活力をこれからもしっかりと見出していけるような大胆な法人税の減税というものを行うべきではないか。 当然のことながら、景気が大変厳しい現在でありますから、課税ベースの拡大ということに関しては、三年から五年ぐらいの期間をもって段階的に適正化を行っていくべきではないかというふうに申し上げてまいりたいと思っております。 また、時間が大分なくなってまいりましたが、私どもは、景気が厳しいからといって単純に財政再建の手を抜いていいとは決して申し上げません。むしろ、景気対策というものに関しても、カンフルを注入するよりも、むしろ財政再建というものを視野に入れながら、中長期的な日本の構造を改革をしていく方向に向けての、それと整合性を持つ形での景気対策でなければ意味がないと考えています。そして、その意味から申し上げれば、私は、政府が今回考えておられるいわゆる財政再建、財政構造改革の法案はかなり問題点が多いのではないかと指摘せざるを得ないのでございます。 まず第一に、これは財政再建のしり抜けのおそれがあるということでございます。すなわち、政府案では、財政再建の目標の対象に財政投融資も入っていません、地方交付税も含まれておらないわけでございます。したがって、一般歳出を幾ら抑制したとしても、財投の拡大やあるいは地方負担率の拡大ということを行うことによって、一般的な政府の財政、これは国と地方を合わせた総合的なものでありますが、それの歯どめをかけることが必ずしもできない、拡大するおそれがあるということでございます。 私どもは、一般会計歳出と財投などを含めた、国と地方も合わせた総額というものを総合的に管理しなければならないと主張をしております。 また第二に、政府案では、当初予算だけのつじつま合わせというものが、これはやろうと思えば可能だということでございます。当初予算に対して補正予算を組むことによって、最終的な決算ベースでの額を膨らませることができてしまうということでございます。 このことに関しては、米国の財政均衡法に倣って、補正予算を組む場合、本来ならば補正予算というものは組まなければ組まない方がいいものだと思っていますが、どうしても補正予算を組まなければならないときには、歳出増と見合う分の歳出の削減を行うか、あるいは国民に協力を求めて増税を行うか、その二者択一でありますが、どちらかの提案というものを政府に対してしっかりと義務づけるということが私は大事ではないかと思っております。いわゆる収支相償原則というものでありますが、こういったものを法案に明記すべきではないかと主張したいと思っています。 今申し上げたように、そもそも補正予算というのは、当初の見積もりと違うということで見通しが間違ったということであるわけですから、国民の前でしっかりとそのことは責任をとらなければならない。そして、責任をとってから補正予算というものは行わなければならないと思いますが、組む場合にも、今申し上げたような収支相償原則というものをぜひつくって、皆様方の、特に国民にとって大変大事な財政がしり抜けになったり、つじつま合わせにならないように努力を願いたいと思っています。 いま一点は、国鉄の清算事業団の長期債務の返済問題、これがどこにも触れられていないのでございます。財政赤字をGDP比三%以下にする、二〇〇三年の目標を提示されたわけでありますが、その財政赤字の計算対象の中に国鉄が含まれていないとすれば、三%などという言葉は国民に大変な誤解を与えてしまうのではないかというふうに申し上げたい。 御案内のとおり、財投の債務残高も既に十一・八兆円、確定債務合計二十四・三兆円と膨れ上がっているわけでございます。このことに対して、現在の総理として、また、その当時の責任者の一人として、どのように責任をとられるおつもりか、お聞かせを願いたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 今、数点にわたってのお尋ねがございました。 一つは、今回政府として国会にお諮りをいたしております財政構造改革法案についての御意見でございます。そして、補正予算等についてもお触れをいただいたわけでありますけれども、この法律案における財政健全化目標、これがいずれも実績の数値でありまして、補正予算につきましても財政構造改革の趣旨が反映されているということは申し上げておかなければなりません。 また、この法律案における国の財政運営の当面の方針は、一般会計だけではなく、特別会計を含むすべての歳出分野にわたる改革を進めることとしておりまして、これによって財政構造改革を強力に進めてまいりたいと考えております。 同時に、今回提案をいたしております法律の中には、第四条という規定の中で、「平成十五年度までに、一会計年度の国及び地方公共団体の財政赤字額における中央政府の貯蓄投資差額及び地方政府の貯蓄投資差額を合算した額であって、零未満のものをいう。」こういった形で、地方財政というものもこの中で全く無視しているものでないことは、ぜひ御承知おきを願いたいと思います。 御指摘の次の大きな柱でありました国鉄清算事業団の債務、これは確かに計算の対象に含まれておりませんが、いずれにいたしましても、この債務の返済の問題は財政上極めて重要な問題であるのは御指摘のとおりであります。 そして、この国鉄長期債務の処理の問題については、先送りができる状況にあるとは到底思いません。これは先送りの許されない問題だと考えておりまして、昨年十二月の閣議決定におきまして、平成十年度からその本格的処理を実施することとし、本年中にその具体的な処理策について成案を得ることを決定いたしました。このため、現在、政府・与党で構成されております財政構造改革会議の企画委員会を中心に、具体的処理方策についてあらゆる選択肢の検討を進めているところでございます。そうした状況にあることも、あわせて御報告を申し上げておきます。
○鳩山(由)委員 いろいろ申し上げたいことがございますが、ある意味で、地方財政に関しても全く無視したものではないというふうにお話がありましたが、全く無視したものではないということは、逆に言えば、十分に配慮したものでもないという言い方もできようかと思っております。また、これは大変に大事な問題でございまして、今後の議論をしっかりと、財政特の中などで議論をしていきたいと思っております。 また、これは私見ではありますし、私どもの政調の大方の意見であるわけでありますが、私は、国鉄の累積債務の処理の問題に関しては、ごまかしてわけのわからないような解決をするよりも、公然と間違いを認め反省をされた中で、一般会計で処理をされるべきではないかということを申し添えておきたいと思います。 時間がほとんどなくなりましたが、私から、外交問題に関して一、二点、手短に申し上げたいと思います。 一つは、対人地雷の問題でございます。 この問題に関しては、もはや総理も十分御理解されておることだと思っていますが、例えばCOP3の問題にしても、対人地雷の問題にしても、あるいは日米安保の問題にしても、日本の自主性というものが外交に強く求められているのではないかというふうに申し上げたい。対米追随型の外交をこのようなときに行うべきではないと強く申し上げながら、対人地雷のお話を申し上げたいと思っています。 総理は多分この本は御案内だと思っておりますが、難民を助ける会が中心となって発行された「地雷ではなく花をください」という、キャンペーン用の絵本でございます。この絵本一冊につきカンボジアの地雷原十平米が地雷からフリーになるわけでございます。国民の皆様方にもむしろよく理解をしていただきたい、対人地雷の危険性というものをよく認識していただいて、もう既にこの本のおかげで地雷が二百七十個摘出されておりますし、また、カンボジアの地雷原の、テニスコートでいえば五百十六面分といいますから、まだまだ小さいものだとは思っていますが、こういった草の根の努力で、日本でも大変な努力がなされているということを申し上げておきたいと思います。 そして、民主党はかねてから、対人地雷の全面禁止に向けて、その条約を日本政府に調印するように求めてまいったわけでございますし、このたび、ICBL、すなわち地雷禁止の国際キャンペーンというNGOさん、その代表の方が一九九七年のノーベル平和賞を受賞されるということは大変ありがたいこと、画期的なことだ、喜ばしいことだと私は思っています。 どうぞ、総理あるいは外務大臣の言葉で、特に外務大臣は、カンボジアでは地雷撤去に協力をして一方では禁止条約を認めないのは筋に合わないという、大変筋の通ったお話をされておられるわけでありますが、ぜひイエスかノーかでお答えを願いたい。留保条件なし、例外なしという中で対人地雷の全面禁止条約に日本政府として調印されますか、お聞かせを願いたいと思います。
○小渕国務大臣 お答えいたします。 イエスともノーとも今申し上げられませんで、現在の段階では、政府部内で最終的検討をいたしまして、御案内のように十二月三日が期限でございますから、それまでにははっきりした方針を打ち立ててまいりたいと思っております。 就任早々、私が申し上げましたことは、まことに率直な、素朴な私の気持ちを申し上げたことでございまして、今後政府部内で、願わくばそうした方針でまとめることができれば幸いだと思っております。
○鳩山(由)委員 イエスかノーかというお答えがいただけなかったのは甚だ残念でありますが、ある意味で小渕外務大臣の率直なお気持ちではないかと思っています。どうぞ、当初のお気持ちどおり条約に調印していただくように、特にアメリカのことを考え過ぎて大局を見誤るということがなきように、くれぐれもお願いを申し上げたいと思っています。 最後の質問を申し上げたいと思いますが、私は、このたびの新ガイドライン、それと沖縄を中心とする米軍基地の縮小問題というものは、本来リンクしてセットで考えるべき問題ではないかということを指摘を申し上げたいと思っています。 民主党は、どんなに年数がかかったとしても、他国の軍隊が常時駐留するようなことがなくとも日本やあるいは周辺の諸国に平和と安定がもたらされるような、そんな環境づくりを視野の一つに入れて努力をしてまいりたいと思っていますし、理想的には、そのためには普遍的安全保障というものの構築を目指さなければなりませんし、当然、過渡的にはまだそのような状況にはならないわけでありますから、いまだに中国や韓国の方々と本当の意味での信頼関係が醸成されていない、その信頼関係の醸成に努めて、多国間の安全保障の枠組みを構築するような努力というものを積極的に行っていくことが望まれると思っています。 当然のことながら、専守防衛の立場から、いわゆるストラテジック・インフォメーション・ウオーフェアというのでしょうか、戦略的な情報構想というものをもっと研究をされて、日本の防衛力というものに関しても努力をなさるべきことは言うまでもありません。大事なことは、未来というものをしっかりと日本が視野に入れながら現在を論ずることだと思っています。しばしば私どもは現在に追われて未来を見誤ってしまう。そうではなく、未来の理想的な姿というものを青写真として描きながら、それに近づけるために今何をやるべきか、そんな発想で日米の安保のあり方、あるいは米軍のプレゼンス、兵力あるいは基地のあり方というものを基本的に議論をしていくことが大事ではないかというふうに思っています。 当然、そうなれば、日米の防衛における協力が深化、深まっていけばいくほど、それに見合って米軍の基地の削減という問題も視野に入るはずでございます。私は、今回のガイドラインの見直しということによって、本来ならば米軍基地の縮小問題というものを十分に考える機運があるのではないかと申し上げたいのでございます。 この日米安保に関しては、アメリカ側から見ると、日本は何にもしていないじゃないか、中曽根さんに言わせると番犬呼ばわりされてまで、何で日本のために命を落とさなければならないのかというアメリカ側からのフラストレーションがある。一方は、日本側から見ると、これはアメリカの世界戦略に使われているのじゃないか。そのアメリカの世界戦略のために、日本の沖縄を中心とする基地を多く提供しなきゃならないし、また日米地位協定など片務的な協定をそのまま実行させていかなきゃならないし、また四分の三も日本政府が金を払っているではないか、そういう意味でのフラストレーションがたまってしまっている。両国の国民のフラストレーションがたまってしまっていることが、私は日米安保を不幸なものにしてしまっているのではないかと思っています。 今回のガイドラインの見直しをすることによって、私は、これはアメリカ側から見れば、極東条項というものを基本的に見直す、拡大解釈をすることができるようになったと思うでありましょうし、周辺有事のときに日本が協力をする、後方支援というものを行うことを明確にしていくわけでありますから、ある意味では、アメリカ側からはフラストレーションの解消に役立つ新ガイドラインではないかと思う。 しかし考えてみれば、日本側から見れば、基地の問題がそれによって解決の方向に行くわけでなし、日米地位協定に関しても、これをもとに変更になるという話は聞いていない。相変わらず日米安保の運用上の対米従属性という基本的な日本側のフラストレーションは、何ら解消されていないのではないか。このことはまさに、日米安保の権利義務関係を基本的に変更しないということを前提にしながら交渉を行ってきた日本政府の姿勢そのものが、みすみす大変大事な議論を落としてきてしまったのではないかと申し上げなければなりません。 私どもは、決して新ガイドラインを否定するために議論をしているつもりはありません。ただ、新ガイドラインによって米軍に対して新たな施設の提供というものを行う、また、民間の空港や港湾を米軍のために使わせるということも明記をしていくということになり、補給とか整備、輸送という後方支援活動というものも日本が周辺有事のときに行うことになるわけなんですから、それだけ日本がもし踏み込むのであれば、当然のことながら在日米軍の規模削減について踏み込んでしかるべきだと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
○久間国務大臣 基本的に考えていただきたいのですけれども、現在、このアジア太平洋地域が非常に平和に推移してきた、これは日米安保条約が機能してきたからだという、そういう状況でございまして、それを受けまして、この状態をやはり双方がそのまま持続することがいいことである、そういう前提に立って議論をしましたので、まず、これから先、やはり当分の間はこの状態を続ける、十万人の前方展開をしてもらうことがいいことだという前提でスタートいたしております。 したがいまして、そういう上に立ってその信頼関係をより向上させていく、そういうようなことでガイドラインをもう一回見直そうとしたわけでございますので、今委員が御指摘のように、最初にこれありきでスタートしたから基地の縮小等もできなかったのじゃないかというようなことにはならないのじゃないかと思います。 それと、沖縄の基地の問題につきましては、さはさりながら、そういう中でどれぐらいの縮小ができるだろうかということで、いろいろと日米間で協議をいたしまして、昨年の十二月二日にあのような形で、現在の時点で世界情勢の中でこれがやはり最大限のとれる方法であるということでSACOの最終報告をまとめさせていただいたわけでございまして、これを一歩一歩やはり確実なものにしていくことが基地の縮小につながっていく、そういうふうに確信して今それと取り組んでいるところでございますから、どうか、そういうようなところについても御理解賜りたいと思うわけでございます。
○橋本内閣総理大臣 今、2プラス2、現実に交渉責任者として参加をいたしました防衛庁長官から現実のお話を申し上げました。 その上で、私は、アジア太平洋地域、特に北東アジアにおいても、信頼醸成のための努力というものは我々は継続していくべきだと思っております。そして、そういう努力は一方で払い続けておりますけれども、ヨーロッパ正面における例えばNATOのごとく、あるいは東西二大陣営対立後のNATOの拡大の動きのような、一つの同一性、安定性というものをつくり上げられる状況に至っていないアジアの状況というものは、議員御承知のとおりであります。 そして、現実に我々は、日米安保体制というものが日本とアメリカの間のみならず、アジア太平洋地域の安定の上にも大きな役割を果たしていると認識をいたしておりますが、その上で、今後ともに一層の地域全体での信頼醸成への努力は続けてまいりたい。 先般、中国を訪問いたしましたときに、殊に安全保障関係の対話を、制服の諸君を含め、執拗に中国側に私が求めてまいりましたのも、そうした安全保障対話というものを拡大していくことで少しでも地域の中における信頼醸成を進めていきたい、そのような思いで主張してきたことも御理解をいただきたいと思います。
○鳩山(由)委員 お話は承りました。 今、防衛庁長官から十万人のプレゼンスのお話がありましたが、この十万人のプレゼンスに関して、先般、私も訪米をした折に国防関係の有識者といろいろと議論をしてまいりましたが、これはシンボルであるとか、あるいは、ある方には車のバンパーに張るステッカーのようなものだというような言われ方をして、どう見ても十万人というものがまさに適正な規模であるという、そういう確証は全然得られなかったのでございます。 そんな角度から申し上げて、また新ガイドラインというものがつくられる今、もっと日本政府として、交渉というものはギブ・アンド・テークでありますから、ギブ・アンド・ギブではないので、テークするものをしっかりと定めて、特にそれが何であるかということを見定めて行動していただきますようにくれぐれもお願いを申し上げて、残りの時間、わずかになりましたが、仙谷幹事長代理にかわりたいと思います。 ありがとうございました。
○松永委員長 この際、仙谷由人君から関連質疑の申し出があります。鳩山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。仙谷由人君。
○仙谷委員 時間の関係で端的にお伺いいたします。 小渕外務大臣、前回の我が民主党の菅代表の代表質問に対する答弁から正確を期した調査が進んで、泉井さんから幾ら受け取ったか、はっきりわかったでしょうか。
○小渕国務大臣 過去数年にさかのぼっておりますので、正確と言える数字が出たかわかりませんが、五百万円程度でございます。
○仙谷委員 それは、内訳はちゃんと出るのでしょうか。あるいは、小渕恵三政治家として、個人として受けたのか、あるいは指定団体だったのか政治団体だったのか、あるいは平成七年一月一日以降は資金管理団体だったのか、その点いかがですか。
○小渕国務大臣 今正確な資料はございませんが、直ちに調べさせてみたいと思います。
○仙谷委員 なぜこんなことをお伺いするかといいますと、前回の答弁が、私の耳で聞いておりますと、やや自信がないといいますか、ひょっとすれば、これはこんな額でおさまっていないのではないかという疑いを持たせるからでございます。つまり、泉井本人が記者会見で五百万円と言っているから、まあその範囲内なんだろう、こういうお答えでございます。そうだとすると、泉井さんが小渕外務大臣に一億円渡したとどこかで述べたといたしますと、小渕さんは一億円というふうに答えざるを得なくなるわけでございます。 現に、もう既にさる夕刊紙が、小渕さんに一億円が渡っておったということを書きました。あるいは、先ほど鳩山幹事長の方が質問の中で、今回発売された文芸春秋の中で抹消された六行という中に、小渕外務大臣に一億円渡していた、期日は申し上げられないけれども一億円渡しておったということを、現に最初の原稿では書かれておったということが明らかでございます。真実は別にして、そういうことが書かれておったということは明らかでございます。そうなりますと、これは小渕外務大臣の名誉のためにも、ぜひ明らかにしなければならないことである。 あるいは、一方では、二億七千七百万が自民党の政調会長に渡された、総務会長にも記者会見で述べたよりも十倍の金額が渡されているということがこれまた消えた六行の中に入っているということになりますと、これは大変ゆゆしいスキャンダルということになるのではないでしょうか。 委員長、そういう観点で、時間がございませんので、総理大臣の答弁をいただこうと思ったのですが、委員長におかれまして、この泉井喚問というのはぜひ必要だと、そして、今から少々申し上げますが、泉井さんが記者会見をする、あるいは雑誌に告白手記を書いた、そのもとになった備忘録というのがあるようでございます。この備忘録をぜひ本委員会に提出をさせる、つまり、議院証言法一条によって証言をさせて、備忘録を提出させるということをぜひ実行をしていただきたいと思います。
○松永委員長 今申し出の点は、理事会で協議して適切に対応したいと思います。
○仙谷委員 事は――いや、質問していないですよ。
○松永委員長 小渕外務大臣。
○小渕国務大臣 ただいま一億円云々のお話もございました。全く存ぜないことでございますが、そうした記事あるいはそうした風説が流れるゆえんのものがいかなるものであるかどうかについて、私の方でも調査いたしております。その結果によりましては、そうしたことがいかなる手段でマスメディアに流れたかということも含めまして、法的な措置を講ずべきかどうか検討させていただきたいと思います。
○仙谷委員 そこで、もう一つの、既に山崎政調会長は名誉毀損で、刑事告訴ではなくて民事事件として損害賠償請求をされました。どうも新聞を読む限りでは、この金額が、二億七千七百万が山崎さんを通って渡辺美智雄さんのところに行ったという話と山崎さんの懐に入ったという話は、私が新聞を読む限り、どうも事実と違うということを言っていらっしゃらないようでございます。つまり、宮澤内閣で建設大臣になるについて泉井さんが動いたということがうそだ、こういうふうに新聞紙上では見えます。これは訴状をいただいていないからわかりませんけれども、そういう問題が一つございます。 もし二億七千七百万が間違いのない事実だとすると、これまたゆゆしい問題でございます。といいますのは、自民党の総裁選挙、当時は自民党の総裁は総理大臣になるということがほぼ前提の選挙でございます。したがいまして、そういう選挙にこんな金が動いたということ、さらには、山崎さんが建設大臣になるについて、そのお金も何らかの効力があったのではないかと掃摩憶測を呼ぶということでございます。 さらには、この泉井スキャンダルというのは、総額大変な金額のお金が動いたということでございますから、これは我々議会の、政治家の名誉にかけてメスを入れて、むしろこの汚辱といいましょうか、この恥たる事実を晴らさなければならないと思います。そこで、先ほども申し上げましたけれども、証人喚問と、そして書類の提出、備忘録の提出ということが必要になるわけでございます。 そこで、もう一つ、総理大臣に今度はお願いしたいわけでございますが、この泉井スキャンダル、本当かどうかわからないにしましても、本当だとすれば大変ゆゆしい問題です。この問題の事実解明のために、政府として協力をされる用意はございませんか。
○橋本内閣総理大臣 現在、裁判が既に進行している、こうした事案につきまして立ち入って申し上げる立場にはありませんけれども、私は、政府として御協力できる部分がありますならば、それは当然のことながら、国政調査権等により委員会から御要望があれば御協力をするのは当然のことではないかと思います。
○仙谷委員 大変いいお答えをいただいたと思います。 実は、この泉井スキャンダルと言われている部分は事件にならなかったのですね。いわゆるさんずいの事件としては立件はできなかったという、こういう事案でございます。したがいまして、この部分について、検察庁の取り調べの結果をこの委員会に出すかどうかというのはまさに本委員会の意思、国会法百四条を行使するかどうかという意思、そして政府は、刑事訴訟法四十七条のただし書きで、その結果報告を出すかどうか、こういう問題でございます。 委員長、この点、委員長もよくおわかりだと思いますので、ぜひ善処していただきたいと思います。
○松永委員長 申し出の件は、理事会で協議して、適切に対応します。 これにて鳩山君、仙谷君の質疑は終了いたしました。 次に、岩國哲人君。
○岩國委員 太陽党の岩國哲人でございます。 きょう午前中、東京証券取引所の株価は、ことしの新安値をつけております。さきに発表されました日銀の短観では、現在の景気状況について極めて慎重な、つまり厳しい見方を示しております。緩やかな回復基調と言い出してから既に四十五カ月、しかし現実は、一部の大企業、輸出産業を除きますと不況状態と見るのが正確ではないでしょうか。景気の回復は行き詰まっているのではないでしょうか。 株式市場や金融市場にも一層の下押し圧力が加わっていると言わざるを得ません。特に八月下旬からは、欧米の市場筋からも懸念を持たれていた長期金利の二%台割れがさらに進みまして、一・七%に下落しております。長期金利の二%割れというのは欧米の経験からも極めてまれなことでありまして、一九四一年の米国国債の利回りにまでさかのぼらなければならない。それでも一・八五%はあったわけであります。 アラブの国では金利という概念を認めません。金利は常にゼロであります。アメリカを目指した日本が、今は逆にアラブに近くなっている、日本経済はむしろアラブに近くなっているというのがこの点から言えるのではないでしょうか。 倒産件数を見ましても、ことし一月から八月までで既に一万件を超えております。その倒産金額の負債総額も、累計で八兆一千三百五十一億円。このままでは、年間の負債総額が史上初の十兆円を超えるのはほぼ確実ではないかと思われます。まさに十兆円倒産時代の到来であります。 百貨店、スーパーの売上高等も五カ月連続で前年割れ、住宅の新築着工戸数も八カ月連続の前年割れ等々、ついにことしの四-六月期の国内総生産は年率換算ではマイナス一一・二%と二十三年ぶりの減少になっております。これは第一次石油ショック以来の大幅なマイナス成長であります。 二十三年前の石油ショックというのは、言ってみればこれは天災のようなもの、アラブの王様が石油の値段を上げようということで石油をストップし、エネルギー資源のない我が国を初め世界の経済国は大変迷惑いたしました。二十三年前は天災のような不況。そして二十三年後の今日は、どの国のせいにもできない、言ってみれば人災の不況、永田町発の不況だと世間では言われております。 政府が言う回復基調という景気判断は間違っていると考えますが、いかがでしょう。 この予算委員会におきましても、二月二十七日、これは太田昭宏委員に対して大蔵大臣は、四-六月期はなだらかなものにいく発射台になるだろう、そして、七月からは、まあ後半にかけて一・九%という年間成長率を目指して回復していく、このように答えておられます。 同じく予算委員会の第二分科会において、これは三月三日、田中慶秋分科員に対して三塚大蔵大臣は、経企庁だけではなくそれぞれの経済調査機関が、四月-六月は厳しい状況にあるものの七月からは緩やかな成長を見とることができる、このような答弁をなさっていらっしゃいます。 こうした、七月から回復に入る、あるいは一・九%は確実に見込める、このような見解に今でもお変わりはないか、まずその点を大蔵大臣にお伺いいたします。簡潔にお願いいたします。
○三塚国務大臣 簡潔に言います。 一・九、これは政府の成長見通しであります。ただいま諸改革を断行いたしておりますから、このラインに沿って全力を尽くして表明を確かなものにしたい、こう思っております。
○岩國委員 日本の経済の七割を占めると言われます東京の経済。東京の事業所の九割は中小企業であります。働いている人の七割は中小企業に働いております。こうした中小企業の人たちを対象に、ある信用金庫が最近調査を発表しております、九月末の発表でありますけれども。 それを見ますと、景気については年内はよくならないと見ている先が七一・五%で大半を占める。この中には、徐々に悪化しているとする先も七・四%含まれている。つまり、七割以上の中小企業の人たちが、年内は景気はよくならない、たとえ大蔵大臣が努力をするということを何カ月かけておっしゃっても、政府を信用していない。まさに政府そのものにこの不況の原因があるのではないか、このような見方がされております。大変残念なことであります。 景気予測、先ほど株式市場について申し上げましたけれども、株価が既に百円を割れ、中には五十円という額面さえ割れているものもあります。青木建設が二十九円をつけた、これはその最も特徴的な例でありますけれども、今額面を割れているのは株価だけではなくて、政府の政策そのものの額面が割れているんじゃないでしょうか。こうした点について、経済企画庁長官にもお伺いしたいと思います。 昨日のテレビ番組で、尾身長官は、政策不況という言葉をとらえて、政策不況という言葉があるなら私は大変うれしく思う、それは政策がよければ景気が上がることを意味するからだ、このようにお答えになりました。確かにそのとおりであります。としますと、今一一・二%という二十三年ぶりの減少。これは、確かに景気が下を向いているとすれば、政策は悪かったということを認められたことになります。 そして、この一・九%という、経企庁長官として、発表された予算委員会でのこの数字は、尾身長官としても一・九%は今でも堅持しておられるのか、あるいは今現在何%が政府の公式見解として頭の中に持っていらっしゃいますか。端的に数字だけお答えいただきたいと思います。
○尾身国務大臣 最近の景気動向につきましては、先ほど来お話しのとおり、四月-六月に、消費税引き上げの影響もございまして、二・九%マイナスという数字が出ました。そういう数字から見まして、今後、秋口から後にかけましては、消費あるいは設備投資あるいは輸出等々もそこそこの伸びを示すと思っておりますが、一・九%を達成することについてはかなり難しいというふうに考えております。 私ども、これから法人税の問題や、あるいは規制緩和や土地の流動化等の対策を実行いたしてまいりたいと思っております。そういう対策をしっかりすることによりまして、経済の将来に対する確信、コンフィデンスをしっかりっけることによりまして、経済を順調な回復軌道に乗せてまいりたいと考えている次第でございます。
○岩國委員 私は、言葉でなくて数字で示していただきたい。一・九という数字が出てしまった以上、今一番新しい数字は一・五なのか、一・〇なのか、〇・五なのか。今、尾身長官自身が経済の専門家として頭の中に持っておられる数字をぜひ国民にわかりやすく、端的に、あるいは幅でも結構です、一から一・二とか。もう一度答弁をお願いします。
○尾身国務大臣 現在、平成九年度、結果として何%になるかということを申し上げられる状態にありませんが、一・九%の達成そのものはかなり難しい状態になっているというふうに考えております。
○岩國委員 結局、一・九という政策的な目標を掲げながら、半年以上たって今なおその改定された数字さえも出せない。これは、民間の会社でも民間の調査機関でもまずあり得ないことであります。一・九という数字をそのまま持って突っ走って、そして日本じゅうの経済活動をその目標に向かって計画を立てさせるというのは、これは無責任なことじゃないでしょうか一経企庁というお役所が少しでもお役に立つというところであれば、役所は役に立つ所と書いてあります、こういうときこそ役に立たなければならないと私は思います。 五十年前、第二次大戦のときに大本営発表、そのときに、四五年の三月十日東京大空襲のときに、大本営発表は何と書いたか。我が方の損害は軽微なり。二十七万戸が焼けて十万人が死んでいるときに、我が方の損害は軽微なりまさに、今の二十三年ぶりの不況の中で一・九%を訂正しようとしない、このような政府の態度そのものが市場から私は不信を買っているのではないかと思います。 こうした中で、消費税の影響というものは非常に大きな要素であったと私たちは理解しております。 その消費税について大変残念なことは、最近、そうした国税庁等から発表された中に、四千三百億円の消費税が国に納められていないと。消費者が納めたはずの消費税が国に納まっていない。消費者が納めた消費税は、これは税金でありますから公金であります。公金が四千三百億円横領されている。このようなことが発表されれば、この不景気の中で余計に国民の政治に対する不信は募るわけであります。 公金横領というのは、秋田県でも北海道でも福岡でも島根県でも行われております。決してよくないことであります。空出張、空会議、今はやっているのは空消費税じゃないでしょうか。 こういうことに対して、総理として、このような公金横領というものに対してより厳しい態度をおとりになるような具体的なお考えをお立てになっているかどうか。総理あるいは大蔵大臣の方からごく簡潔に、こうした消費税における公金横領、空消費税を徹底的に追及、追徴する対策は今全力を挙げて立てられておるかどうか、簡潔にお答えしていただきたい。お願いいたします。
○薄井政府委員 実務的な点について御答弁申し上げます。 消費税につきましては導入後八年を超えましたが、その間、徴収の問題につきまして御指摘のような状況が出てきております。したがいまして、昨年来かなり手を尽くしておるところでございまして、その効果は徐々に出てきておると思いますが、御指摘の点を踏まえ、さらに一層進めていくことを国税庁の方にしっかりと伝えることにいたします。
○岩國委員 こうした四千三百億円、これは言ってみたら二カ月分ぐらいの消費税に相当するんではないかと思います。こうした消費税が完全に納められるまでは、我々国民の立場からいえば消費税を二カ月間ストップしていただきたい、四千三百億円完全に納められるまでは。そのような気持ちにもなるわけであります。 江戸時代に税金を上げて名代官と言われた代官は一人もおりません。税金を上げた代官はすべて悪代官と言われたのです。決して私は税金を上げることはすべて悪いとは思ってはおりませんが、しかしこのように、消費税は上がる、景気は下がる、所得税は上がる、株価は下がる、医療費は上がる、預金利子は下がる。預金利子は、五年間に毎年四兆円ずつ入るべき預金利子が入ってこない。国民の財布は完全に小さくなっております。出ていく方は九兆円ふえている、入ってくるものは四兆円入ってこない、合わせて十三兆円国民の財布は小さくなっております。それに比べて、大きくなった財布は政治家の財布だけではありませんか。 先ほどの質問にもありました。泉井さんは何と言っているか。そうしたことを、現に大蔵大臣も外務大臣も受け取ったということを認めていらっしゃいます。こうした消費税が上がる、医療費が上がる、公共料金が上がる、そういう中で、明らかに払わないで入ったものを認められたのは政治家の財布であります。国民の財布は小さく、政治家の財布は大きく、これでは今の不況を打開することはできないと思います。 昨年の今ごろ、これは昨年の十月十一日に日本経済新聞が一面トップに掲げた記事であります。「米経済「若返り」加速」、うらやましいことです。我々人間も一歳でも若返りたい、そういうときに経済そのものが若返った。アメリカは七年間好景気が続いております。四年間の好景気がさらに一年延びて五年、さらに一年延びて六年、さらに一年延びて今は七年目に入っています。日本はこの七年間、景気らしい景気はほとんどなかった。七年間好景気のアメリカ、七年間不景気の日本、どこに差がありますか。 不景気のときには税金を下げる、公共料金を下げる、これが世界の常識。世界の常識は日本の非常識ではありませんか。この七年間の間にアメリカの株価は三倍になっております。日本の株価はこの七年間の間に逆に下がっております。七年間に三倍になったアメリカと七年間に株価がさっぱりの国、この三倍とさっぱりの違いはどこにあるのか。それは、七年間の間に上げたのは消費税、公共料金、こうした全く間違った対策をとったのです。 昨年の十月十一日、私たちは街頭でこれを訴えておりました。我々新進党、太陽党の議員は有権者に向かって増税か減税かを訴えました。 増税は国民のお金を減らして役所の金をふやすこと、減税というのは役所の金を減らし国民の使えるお金をふやすこと。どちらが正しいか。アメリカは減税で見事に十年後若返り、七年間の好景気を続けています。減税することによって体力をつける、逆に税収はふえる、こういうことができる国は世界で二つしかありません。アメリカと日本です。 アメリカは減税によって体力をつけ、そして経済を若返らせました。日本は間違った増税という政策によって、十年後、老化を早めようとしているじゃありませんか。減税によって若返るアメリカと、増税によって老化を早める日本。私は、もう一度この時点で原点に返って、増税か減税か、どちらが日本の体力、日本の経済力にふさわしい政策なのかを総理初め担当の大臣で考えていただきたい、そのように思います。 次に、時間がなくなりましたけれども、政治に対する国民の信頼こそ民主主義の前提であると思います。この点で、佐藤総務長官の問題あるいは泉井さんとおっしゃる方の発言、このような詐欺、恐喝という評価さえあるような人から献金を受けた二人の閣僚、大臣が、権威ある神聖な本会議の席上で、数字の確認とそして適正に処理をいたしましたという御答弁だけで終わってしまったことを大変残念に思います。そこには、そういう属性の方から受け取ったということに対する反省の言葉がなかったように私は思います。 橋本総理にお伺いします。 今まで、有罪判決を二回も受けた人を大臣にした国はどこの国があったでしょうか。簡潔にお答え願います。
○橋本内閣総理大臣 私は、他国を調べておりません。我が国におきましては、永年勤続表彰等々を考えた上で私は同じようなことを考えて、おしかりを受けております。
○岩國委員 時間が終了いたしましたので、私の質疑を終わらせていただきます。御答弁ありがとうございました。
○松永委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。 次に、山本有二君。
○山本(有)委員 自由民主党は、泉井証人喚問について、今国会中に喚問することを決定いたしております。ただ私は、予算委員の一人として、正直、本当に喚問することが正しいこと、正義なのか、いまだ逡巡しているところでございます。 十月七日に深谷筆頭理事の質問の中でも明らかにされましたように、詐欺罪で逮捕、勾留されたいわば詐欺師の、世に出たい、世間に話したいという願望をそのまま受け入れて、詐欺師に神聖な国会の場を貸し与えてしまうという結果になりはしないか、さらに言えば、詐欺師の欺罔、だましの片棒を国会が担ぐのではないかという危惧を覚えるところでございます。百歩譲って、そうでないとしましても、そもそも一般論からいいまして、かなり疑問があるということは間違いがないところでございます。 そこで、内閣法制局長官、三権分立の趣旨について御質問いたします。 〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕
○大森政府委員 三権分立についてお尋ねでございますが、三権分立と申しますのは、国家の作用を立法、司法、行政の三権に分かちまして、おのおのを担当する機関を相互に分離独立させるとともに、その行使の適正を期するため相互に牽制させるという統治組織原理をいうものであると一般に言われております。 そこで、日本国憲法において見ますと、立法権は国会に、行政権は内閣に、そして司法権は裁判所にそれぞれ属することとされている。これは御存じのとおりでございますが、それとともに、この三者の間では、議院内閣制のもとにおける国会の内閣不信任議決権、あるいは内閣の自主的判断による解散権あるいは内閣の裁判官任命権、あるいは最高裁判所の違憲立法審査権等の、相互に他を抑制し均衡を保つ仕組みとなっているところでございます。
○山本(有)委員 犯罪の実体的真実追求をするという責務は恐らく法制局長官の話では司法権に、広く大きな意味での司法権に入るだろうというように思います。ただ、その実体的真実追求のために捜査という観点が必要だろうと思います。犯罪者は犯罪から逃れるために必死になっております。 したがいまして、検察庁はすぐれて技術的、専門的な知識を擁してこれを捜査するわけでございますが、そういう観点からしまして、一つの問題点の指摘がこの予算委員会の理事会にございました。百二十三国会における平成四年二月十三百の理事会での議論の中に、法務、検察当局からこういう意見が開陳されたわけでございます。 それは、まず、公訴事実またはこれに関連する質問を国会の証人喚問の場でしたときに、あたかも国会が公訴事実の存否について論じたと同様の結果を生じせしめるということでございます。少なくともマスコミや国民一般に、そのような司法の仕事を国会がやっている、やって当然のような印象を与えることは必ずしも憲法の趣旨ではないということでございます。この問題点。 さらに、偽証罪の制裁のもとに刑事被告人に証言を求めた場合、当然証人喚問するということになりますとうそをつけば偽証罪の制裁があります、当該被告人が改めて法廷で供述すべき内容を固めてしまうということになります。すなわち、法廷での自由な発言を制約してしまうということでございます。 三番目に、黙秘権の保障が法廷では完全に守られております。刑事訴訟法で、また憲法で、そして刑事訴訟法規則で、黙秘権の保障、法廷における被告人の人権、防御権、全部認められておりますが、なお国会の証人喚問の場ではそれほど十分だとは言い切れないという意見を百二十三国会における本委員会の理事会で法務、検察当局が開陳しておるわけでございます。 そのことを考えた場合に、私どもは、必ずしも、さあ政治家の倫理だというだけで証人喚問、はいはいと言うわけにはいかなかったというわけでございます。 特に本院、衆議院の議院運営委員会には議会制度協議会がございます。その協議会のもとに裁判所の意見、検察庁の意見、法務省の意見、弁護士会の意見等々を聴取して、その点、与野党の議論の中でやっと結論を得て、その結論が証人喚問是とするならばこの予算委員会で証人喚問をしよう、そういうような余裕を持った証人喚問手続があってもよかったのではないかというように私は思っておる次第でございます。 また、もう一つ、これは自民党の保利耕輔議員の問題意識でございますが、英国でかつて、トーリー党、ホイッグ党の争いの中で、しばしば少数党が証人喚問という道を開くことによって大きな歴史的損失をこうむった事実がございます。このような証人喚問を自由にいつでもできるということになりますと、多数党が有利になる、今後そういうような弊害が起こるということもあるわけでございまして、そのことからしまして、歴史に汚点を残さないというしっかりした、一つのちゅうちょを覚えながら、これを結論を得ていくという作法がこのときに必要だろう、私はそう思っております。 さて、一般論から離れまして、特にこの泉井純一という石油商の証人喚問に特定して議論をしてみたいと思っております。 まず、泉井事件というのは、贈収賄事件、それだけに限りません。詐欺罪二十四億円の被害のある犯人、被告人でございます。刑事学上、詐欺事犯というのは、行為類型は、相手を欺罔して錯誤に陥れて、それに基づいて処分行為をさせて、そしてそれらの行為が一連の因果の連鎖で結ばれることというようにされております。 ここで大事なことは、相手がだまされて泉井を信用しているということでございます。すなわち詐欺師というのは、我々から考えても、能力が大変あるから詐欺ができるわけでございます。だから、簡単に、ここで質問したからといって真実がすぱっと出てくるというような、それは甘い、甘過ぎるということでございます。 饒舌、論旨明快の徒である泉井を呼んできて、そして国会で真実が追求できて、テレビ放映をする、それがいいのかどうか。詐欺師にむしろ神聖な国会の場を貸すというような弊害になりはせぬかということも一つでございまして、私どもといたしましては、詐欺師の一連のこの種の話に手をかすことはできないということでございます。 さらに、泉井被告の特異な行動を特に挙げたいと思います。 まず、あいさつ状を書いておるんです。あいさつ状を書いております。あいさつ状。だれが、刑事被告人で身柄保釈されたときにあいさつ状を出すんですか、あいさつ状を。これが大体おかしい。それから二番目に、九月八日にホテルオークラでわざわざ記者会見する。刑事被告人が記者会見、何でするんですか。三番目に、備忘録をつくって、日記ですよ、プライバシーですよ、それを印刷して回す。これもおかしい。さらに、十一月号の文芸春秋にこれを載せて、そして堂々と、これをまたマスコミも取り上げて、スター気取りである。これもおかしい。おかしいずくめでございます。 おかしいずくめの中に、一つ私がどうしても指摘をしておきたいのがございますが、それは刑事訴訟法の九十六条一項四号のことでございます。九十六条一項四号には、いわゆる保釈中の被告人のいわば遵守義務が書かれております。つまり、保釈した人は謙虚にいなさいよ、保釈した人は世の中に迷惑をかけずに静かにいなさいよというのがこの九十六条です。 その中に「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。」つまり、事件に多少でも関係した人がおって、その人が、いや参ったな、怖いなと思うようなことをしちやいかぬよというのに、手紙は出すわ、テレビは出るわ、それで新聞は書くわ、出版物に載せるわ、このことがこの四号に反する可能性があるのですよ。 さらに五号には、被告人の住所の制限があります。被告人は、先ほど申しましたいわゆるあいさつ状というのは一体どこから出しておったかというと、あいさつ状の発信地は、大阪市北区南森町二丁目二の七の一二〇二、泉井純一で、これはあいさつ状の封筒に出ていますよ。ところが、制限住居は、大阪府豊中市緑丘一丁旦二十二番十一号ロイヤルフェルティー豊中緑丘七〇四号。全然違うじゃないですか。制限住所にいないということを明らかにしているんですよ。 検察庁、検事の請求と裁判所の職権で、保釈は取り消しになるんですよ。このあたりはしっかりしてくれないと、我々も法を守るという立場で頑張っておるわけですから、これは検事も、ホテルオークラに何日も何日も住まっているというようなことも聞くわけでございますので、制限住所を守っているかどうかぐらいはきれいにしてくださいよ。 そして、さらに我々が考えておることは、大事なことでございますが、本当に私どもにとりまして、これは、文芸春秋の泉井疑惑、これについての記事の冒頭の部分であります。記事の冒頭部分。 皆さんもよくごらんになっておるだろうと思いますが、ここに、政治的謀略ではありませんとわざわざ冒頭に書いておるのですよ。これは謀略なんですよ、はっきり言って。ばかな話なんですよ。しかも、もし謀略ならばこの時期に、九月八日にやっていない、もっと前にこの記事を出し記者会見をやっておる、こうやっているのですが、十一日に組閣がある、その三日前ですから、謀略以外の何物でもないわけでございます。そのことを私は不思議な行為だというように思います。 それから、もっと言えば、これはおかしいんだ、本当におかしいことが幾つもある。一番おかしいことは、私が本当に言いたいことは、このゲラ刷りが二枚あったと言われるところなんですよ。二枚あった。ゲラ刷り二枚。実に私はこれは不思議だと思った。それで、自民党の国対を通じまして、文芸春秋に徹底的に問い合わせをしました。それで、ジャーナリストという方に、これを書いた方にも問い合わせし、直接聞きました。そうするというと、これは、完全に一枚しかない、二枚はなかったという断言があったわけです。そうすると、だれかがもう一枚をつくって、勝手にどんどん世間に流したということなんですよ。 そうすると、この二枚六行に書いてあって削除されたというのは、先ほどの質問の中にあった外務大臣のことと我が党の執行部の重要人物と、この二人なわけでありますから、この二人にとっては大変迷惑な話でございまして、その点において、私は、この泉井さんという人の行為が、非常に不可思議な行為が多過ぎる。そして、この中身につきましても首尾一貫していない。中身も、本当に私は指摘したいことがいっぱいあります。 そういうようなことからしまして、私は、この泉井証人喚問について、自民党としまして認めましたものの、まだ遅疑逡巡があるということを御指摘しておきたいと思います。 さて、次の質問に移らしていただきます。金融不正問題についてお伺いをいたします。 金融不正問題いまだにこの金融不正の話は、証券会社、銀行の上に暗雲を投げかけております。暗雲が垂れ込めております。特に、まだまだこれから金融不正問題、将来あり得る可能性がございます。 そこで、これまでの金融機関、証券会社等々、総会屋に対する利益供与等の不祥事について、一体大蔵省はきちっとその原因を究明し、改善策をとっておったのか、まず大蔵大臣に、この不祥事についての原因の分析をお伺いいたします。
○三塚国務大臣 ただいまの御質問でございますが、今般の銀行、証券会社にかかわります一連の不祥事件は、まことにざんきの至りであります。この問題の背景には、金融機関の側の法令遵守意識の不徹底、内部管理体制の不備等が問題であったと考えられるところであります。かかる認識のもとに、先般、第一勧銀、野村証券に対し、厳正な行政処分を行ったところでございます。 今後、十分な再発防止の策定を求めたところでございまして、政府においても、罰則の強化等についての対応がまとまり、法律として今臨時会に提出されるものと思っております。また、大蔵省の検査監督のあり方については、既に事前指導的行政から事後的な監督監視行政への転換を推進いたしてきております。今回の事件を教訓といたしまして、より実効的な、厳正な検査等の確保に努めますとともに、不正があれば必ず厳正に対処される、当然対処してまいる、こういうことを進めたいと思い、行っております。 さらに、公正かつ透明な金融市場の構築を図りますために、銀行、保険会社及び証券会社等の検査回避、虚偽の報告、あるいは損失補てん等の不正、不公平な取引、ディスクロージャーの違反等、ただいま申し上げましたが、罰則の中に強化をして盛り込むということにいたしております。
○山本(有)委員 地方は非常に不況感が強いと思います。それから、これからは補正予算もありませんし、財政構造改革もしなければなりませんし、財政、公共事業に頼るわけにもいきません。それから、消費も落ち込んでおります。そんな中で、金融機関とか、日銀とか、大蔵省とか、そういったところへの不満がだんだん募ってきておることは事実でございます。 それで、産業界がこのたび、金融機関について、非常に問題が多いというか、ある種変わった指摘をしています、給料が高過ぎるんじゃないかと、金融機関の給料が。それを受けまして、大蔵省は、九日、「金融機関経営等のあり方について」という銀行局長の事務連絡の形で全銀協に告示をしています。それによりますと、他の業界よりも、役員報酬、従業員給与の引き下げを求めなければならない、これは世論がそういうようなことであるというような、こういう措置があったわけでございます。 その中身、背景は、不良債権を生み出した金融機関の経営責任がまだ十分とられていない、本当に貸し出しが鈍いならば、おまえさん方の従業員の給料を減らしてでも取引先を大事にするべきじゃないかというようなこと、それから福利厚生施設も他の業種に比べて依然高い、それからさらに法律遵守や内部管理体制が不十分なんという、そういうような世論にいわば呼応されて、銀行局がこういう従業員の給料を下げたらという異例の措置をしたわけでございます。 我が国は自由主義市場で、自由経済でありますから、従業員の給料を幾らにしようが、だれがどういう生活しようが、それは知ったこっちゃないと言えばそれまででございますが、しかし余りにもひどいというようなことから、大蔵省が思い切って銀行の給与を下げたということだろうと思いますが、この点に関し、日銀だってそうだろうと思いますよ。 日銀総裁、いわゆる日銀総裁室に何千万円もする絵がかかっていたり、ゴルフの会員権があったりというようなことは、与党の我々だって、もしそんなことをしていたら本当に申しわけ立たないなというような気持ちになってくるわけでありまして、その意味において、責任追及ということが、責任をとったかということが、今不況にあえぐ中小企業や零細企業や地方に住む人たちにとって、それをじっと見ていますから、そのことはしっかりやっていただきたいと思います。 総裁に、このいわば金融不祥事件について、考査でも明らかにならなかったわけでして、それから大和銀行のあのアメリカでの不祥事件だって、十八年間何も考査でわからなかったわけです。ですから、それから考えまして、総裁、ひとつこの原因についてお伺いさせていただきます。
○松下参考人 私どもが行っております考査についてでございますが、これは、信用秩序の維持に資するという中央銀行の役割を果たしますために実施されるものでございまして、金融機関の個々の取引の違法性のチェックとか、あるいは法令違反行為の摘発等を直接の目的として行うものではございません。 また、考査は、日本銀行と取引先金融機関との信頼関係を基礎にしまして締結されます考査約定に従って、取引先金融機関の自発的協力に基づいて行われておりますので、仮に先方に隠ぺい行為等がありました場合に、実情把握の点で一定の限界があるということは否定できないところでございます。 しかしながら、日銀の考査におきましては、リスクの顕現化を事前に防止するということを非常に重要視いたしておりまして、従来から、金融機関の内部管理体制を含むリスク管理体制全般の整備状況のチェックを厳正に行ってまいっております。また、このことは、新日銀法におきまして、考査契約を締結するということが法律に新たに定められることになりますことにも即したものであると思っております。今後、こういった面でさらに一層の重点を置いてまいる方針でございます。 また、給与の点につきましてのお話がございましたが、これは、新日本銀行法の制定の御審議の過程で、いろいろ国会におきましても御議論がございましたし、また附帯決議もございました。私どもといたしましては、そういう御議論あるいは附帯決議というものを重要に受けとめて、今後この対応を具体的に考えてまいるという考えでございます。
○山本(有)委員 大蔵大臣、日銀総裁には、くれぐれも金融機関の責任論、しっかり追及していただいて、今後このようなことのないように頑張っていただきたいと思います。 次に、警察庁にお伺いいたします。 現在の総会屋の実情、さらに犯罪の手口、方法について、一体どうなっておるか、お伺いいたします。
○佐藤(英)政府委員 株主の権利行使に関しまして企業から不正に利益を得るなどの活動を行う者を警察では総会屋といたしまして、必ずしも暴力団そのものではございませんけれども、これに準ずるものとして取り締まりの対象としてまいりました。 現在、総会屋の勢力は、商法改正直後の昭和五十八年には約千七百名把握をいたしておりましたけれども、以後減少いたしておりまして、昨年末では約千人を把握いたしております。ただ、毎年異なりますけれども、活発に活動しております者はこの中の一部でございます。 なお、約千名の総会屋のうち暴力団の勢力は、これは構成員と準構成員と二種類含まれておりますけれども、この暴力団勢力は約九十人でございます。しかし、このほかの者もかなり暴力団と実質的に何らかのつながりを有するものというぐあいに見ております。 最近の総会屋の動向についてでございますけれども、ここ数年、株主総会の会場におきます検挙事案の発生はございませんけれども、表面的にはそのように推移いたしておりますけれども、しかし、総会屋によります企業訪問等は依然として行われておりまして、これまでの検挙事例を見ますと、情報誌の購読要求、広告の掲載要求、下請の参入要求それから融資の要求などさまざまな名目で、経済取引を装いまして不当要求を執拗に行っている実態にございます。 お尋ねのいま一つの検挙でございますけれども、昨年一年間では、検挙件数二十二件、人員にいたしまして三十名でございます。本年の上半期は、検挙件数九件、検挙人員二十二名でございます。恐喝が多いのでありますけれども、商法違反、いわゆる利益供与事件で十二名を検挙いたしております。 以上でございます。
○山本(有)委員 できれば厳しい取り締まりの上に撲滅してほしいわけでありますが、実は、私の郷里高知県の宿毛市出身で、私がしばしば御指導を仰いでおりました弁護士で、岡村勲先生という方がございます。その方の奥様が十月十一日、小金井の御自宅で刺殺をされてしまいました。 岡村先生は、実は山一証券の弁護をしておったわけでございまして、山一証券に関する総会屋への利益供与事件での山一側の弁護をしておったわけでございますが、いわば、顧客相談室長がかつて刺殺されたような同じような手口で、宅配便を装い、奥様が殺された。私にとりましても大変ショックでございましたが、なお恐らくこの種の事件はまだまだ続くだろうというように思います。 それで、今回法改正をいたしまして、極めて厳しい総会屋対策を大蔵大臣、法務大臣、警察庁、とっていただいたわけでございますが、我が党のプロジェクトチーム、金融不正再発防止対策特別調査会の会長の野呂田芳成先生の御自宅にも、この夏じゅう、まとめをする段階でさんざんおどかしの電話がございました。いわば、与党としましても、命がけでつくり上げたこの不正問題に対する骨子だろうと私は思います。 それをまた今度法律にしていただいて、この国会で審議していただくわけでございますが、与野党を問わず、こういう正義の念を起こして、必ずしも票にならない案件でも、必死で与野党ともに、頑張ってやろうというようなことを真剣に我が党もやってきた。そして、私どもはそういうおどかしにもかかわらずやっているという、そんな自負心、自信が私にはあるわけでございますし、大勢の仲間の中で、こういう問題点を話し合いながら来たということに誇りを持っておるわけでございます。 ただしかし、警察庁といたしまして、私がいつも思うのは、民事事件で、困ったなと思ったとき、例えば総会屋に銀行や証券会社の総務部長がおどかされたとき、警察に一一〇番して通報する、本当に助けてくれたのかな、民事不介入という名のもとに、全然様子も聞いてくれない、話も聞いてくれない、電話にも出てくれないというような、そんなことがなかったのかな、私はそう思えてなりません。 したがって、この暴力団対策あるいは総会屋対策というのは、一様のものじゃありません。したがって、すべての上場企業の総務部長さんなんというのは全員助ける、一緒になって撲滅しようという考え方が都道府県警察そして警察庁になければ、私はできないだろうというように思います。 そこで、警察庁にもう一度、今後の取り組みの姿勢、そして銀行とどのようないわば打ち合わせをしながらやっておられるか、証券会社とどのような打ち合わせをしつつやっているのか、お伺いさせていただきたいと思います。
○佐藤(英)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、いわゆる民事問題ではないかということで警察が消極的な対応をしているのではないかという御疑問が少なからずございました。 そこで、委員御承知かと存じますけれども、昭和五十年代の半ば以降、警察におきましては、特に暴力団問題に関しましては、民事介入暴力ということでこの種の問題に対処してきたところでありますし、いわゆる暴力団対策法も、その種の行為に対して行政的措置をとるという趣旨で定められたものと理解をいたし、現在におきましても、暴力団はもちろんでございますけれども、総会屋、会社ゴロの不当な行為につきましては、厳正かつ積極的に対処してまいったところでありますし、今後ともそのように進めてまいりたいと思います。 なお、銀行との関係でございますけれども、確かに種々金融機関につきましては問題がございました。したがって、私どもといたしましても、あらゆる機会を通じまして、銀行に対し、あるいは証券会社に対し、この種の不正について適正に対処するべく毅然として遮断をする、そして、そういう決意を明らかにしていただいた場合には、警察としては全面的に保護をいたし、その摘発に当たっても、あるべき方向を目指していくという姿勢でやってまいりましたし、その姿勢については、現在も変わるものではございません。
○山本(有)委員 しっかりやっていただきたいと思います。 なお、今回の改正で不満が持たれている部分が若干あります。それは、罰金あるいは罰則がまだまだ手ぬるいというようなことを言われるわけでございます。 一九九一年に米国債の不正入札が発覚した大手証券会社ソロモン・ブラザーズの場合、アメリカでは二億九千万ドルの罰金が科され、ニューヨーク連邦銀行との取引停止期間は六十日間であったというような事実がございます。改正いたしましても、例えば詐欺的行為で不正取引行為を行った場合、日本では三年以下の懲役、三百万円以下の罰金、またはその併科。アメリカでは十年です。それから百万ドルです。というようなことから、アメリカと比べて、まだまだ弱いんじゃないかというようなことも言われております。 私も法務省に、刑事罰を、法定刑を引き上げてもっと重罰にしたらどうかということも申し上げました。しかし、今の日本の法体系、刑事罰則の体系からするとぎりぎりいっぱいだということでございまして、御努力は認めるといたしましても、まだこれで十分ではないんじゃないかというような国民の声に対して、法務大臣、どうおこたえになるか、法務大臣にお聞きいたします。
○下稲葉国務大臣 外国に比しまして刑事罰の法定刑が軽いんじゃないかという御意見でございました。 外国の事情も私も承知いたしておりますが、一概に、外国が重い、日本が軽いというわけにもまいらぬと思います。それぞれ国によって事情も異なりますし、日本の法制の中で考えなければならない、このように思いますけれども、最近におきますいろいろな銀行、証券会社等々の事件の摘発を通じて、いわゆる総会屋の活動が後を絶ってない、そして、それが我が国の経済の中枢にまで浸透しつつある状態が認められるわけでございまして、大変遺憾なことだと思います。 このような事件を通じまして感ずるわけでございますが、総会屋が会社から利益供与を受ける行為が強い非難に値することは言うまでもございませんけれども、他面、違法性を知りながらこれに応ずる会社側、特にその幹部の認識にも私は問題があるんじゃなかろうか、このように思われます。 もともとこの種の事案につきましては、刑罰法令なんか適用しなくても、みんな良心的に活動すればいいんだろうと思うのでございますけれども、現実は、現在の刑罰規定というものが十分な抑止力を果たしていなかったということは認めざるを得ないと思うのでございます。 そういうようなことでございますので、この種事案の根絶を期するために、株主の権利の行使に関する利益供与の罪及びこの利益供与を受ける罪の法定刑の引き上げや、いわゆる総会屋などによるこのような利益の供与を要求する罪、要求の段階でございますが、要求する罪の新設など、商法等の罰則を強化するための改正法案を今国会に提出したいと考えております。よろしくお願いいたします。
○山本(有)委員 今回、私もこの改正について高く評価するのは、利益要求罪を新設いただいたことでございます。要求罪というのは、要求しただけで、それで罪になるわけでありまして、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金、こういうことでございます。 私は、常々、この商法の利益供与を、贈収賄の犯罪類型の一類型でなくて、恐喝罪の犯罪類型の一類型として考えてくれ、だから、恐喝罪と同じように、おどかしたらもうそれで逮捕するということにしてくれとさんざん議論を申し込んだ経過がございましたが、法務省の方は、恐喝でなくて贈収賄という考え方がかたかったわけであります。それを、思い切って、今回の事件以降取り締まるということに主眼を置いて要求罪をつくってくれました。大変それについては感謝をするわけでございます。 ただここで、自分が要求罪をつくれと要求しておいて、逆にこんなことを言うのも問題があろうかと思いますけれども、もし要求しただけで罪になるとするならば、普通の営業行為、例えば本を買ってもらいたい、学術書であるとか、それを例えば三越の総務部へ行って、これはいい本ですからと言って買うことだけ要求したらそれで罪になるということもまたおかしな話であって、いわば構成要件のあいまい性、デュープロセスの概念からいうと、もう少し限定的に法文をつくって、ほかに総会屋以外には適用にならないというようにある程度絞りをかけておったらよかったかなと思いますが、要求という言葉だけなわけです、この法文では。 ですから、それ以外に拡大解釈しないように、ぜひ区別をしていただきたいと思いますけれども、その点についての留意はございますでしょうか、法務大臣。
○下稲葉国務大臣 いわゆる総会屋による利益受供与罪及び要求罪というのは、御承知のとおりに、株主の権利の行使に関して利益を受けたり、あるいは要求したり、そこが大きな構成要件であるわけでございます。 したがいまして、仮にこのような趣旨で総会屋が書籍の販売、勧誘の名目のもとに本を買ってくれとか云々というような形で、結果として利益の供与を受けるようなことになれば犯罪が成立することに相なると思いますけれども、通常の形で書籍の販売なり勧誘というのは趣旨が違うわけでございます。要するに、株主の権利の行使に関して要求するかどうか、直接であれ間接であれ、その辺のところで判断いたさなければならぬわけでございまして、一般的に良好な人たちの問題にまで介入するつもりはございません。 〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕
○山本(有)委員 次に、マネーロンダリングについてお伺いいたします。 例えば、バブルのときに末野興産、桃源社、いろいろな方々がいわばバブルの寵児として、非常に不正なお金を大量に得たわけでございます。そして、住専処理機構の中坊さんなんかも、それに対して債権回収を今一生懸命頑張ってやっておいでるわけでございますが、隠匿した一千二百億のうち、預金保険機構の特別調査権をもって調査すると二百億円が明らかになってきて、それは回収できた。しかし、なお一千億円わからない。一千億円もわからない。 末野さんは、もし有罪判決満額いただいても、実刑で二年、未決勾留日数をもし算入されたら一年。一年で出てきて、一千億円をもらえるんだったらだれでもやるわいと。いわば、日本というのは自由な国でありますが、自由である、そして金融ビッグバンがあるということになりますと、自由に幾ら創意工夫でやってもいい、しかしルール違反をしたときには必ずペナルティーがあるんだ、必ず、やった行為よりも以上の、いわば生涯かけても償えないぐらい厳しい制裁があるということにならなければ、フェアな国家になりません。 したがいまして、この点、マネーロンダリング、不正な金を悪者から回収するという道がまだまだ日本には十分ではないというように思います。そこで、どうかひとつ今国会で、この際、マネーロンダリングについての抜本的な法律を、法体系をつくっていただきたいと思うわけでございますが、法務省のお考えをお伺いいたします。
○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。 現在、法務当局におきましては、法制審議会の答申をいただきまして、組織的な犯罪に対処するための刑事法の整備に関しまして、今次国会への法案提出を目指しまして鋭意作業を進めているところでございます。 御指摘の組織的な犯罪に対処するためには、犯罪収益の規制が極めて有効かつ重要である、このような観点に立ちまして、犯罪収益により正常な経済活動に悪影響を与えるような行為及び犯罪収益の活用、維持を容易にするようないわゆる御指摘のマネーロンダリング行為の犯罪化に加えまして、的確に犯罪収益の剥奪を行うため、没収追徴の拡大や、そのための保全の制度を設けることを検討しているところでございます。 具体的には、刑法の没収は御承知のとおり有体物に限られているのでございますが、犯罪収益の剥奪の措置といたしましては十分とは言えない状況にあるわけでございます。実務上最も必要性が高いと考えられます預金債権その他の金銭債権を没収の対象とすることとし、あわせて追徴の範囲を財産上の利益一般に拡大するなど、没収追徴の制度の整備を行いまして、犯罪による利益を剥奪することを徹底することを検討しているのでございます。 また、この没収追徴を確実に行うための保全の制度といたしましては、裁判所が発する命令によりまして没収対象財産の処分を一時的に禁止する処分である没収保全の制度を設けますとともに、追徴の裁判の執行を確保するため、裁判所が発する命令によりまして被告人等の財産の処分を一時的に禁止する処分である追徴保全の制度を設けることを検討いたしているのでございます。 よろしく御理解賜りまして、法案提出の暁になりましたら、どうぞ慎重御審議の上、できるだけ早くそのような法律ができますように御努力させていただきたいと存じます。
○山本(有)委員 これは、日本の法律の中でも画期的な制度ができるだろうと思います。特に、民事の私権の確定にもかかわることを刑事裁判でやるわけでありますから、しかも、まあ保全という形ではありますが、したがって、これは広く国民に知らしめていただきたいと思います。悪いことをして得たものは、必ずもうそこで売り買いなしよという形で凍結されて、やがて悪者の得た利益は必ず国家が召し上げていくというような仕組みをここで徹底したんだということを広く世間に徹底していただきたいと思います。 それから、今後ますますノンバンクの倒産等々あり得るならば、金融不祥事というのはまだまだこれから続くわけでございますが、そこで、債権回収、暴力団などによる回収妨害への刑罰強化というようなことも考えていかなきゃなりません。 特に、大蔵省にお願いをしたいのは、預金保険機構、住宅金融債権管理機構あるいは整理回収銀行、これらが、大量な債権回収を、国の、ある程度半官半民で回収を、これ専一にやっているわけでございますが、ぜひすべて、預金保険機構と同じように、中坊さんの住専管理機構でも、また水野さんの整理回収銀行でも特別調査権を与えて、罰則ある形でこの回収に当たらせるという強い姿勢が必要だろうと思いますが、その点はどう考えておるか、銀行局あるいは大蔵省にお伺いいたします。
○山口政府委員 お答え申し上げます。 お尋ねの住専の債権債務の処理につきましては、御承知のように、預金保険機構に、罰則で担保された立入調査権を付与していただいております。これは、住専の処理につきましては、財政措置がとられまして、さらに回収額が財政負担の増減に直結するということから、極めて公益性が顕著であるという事情がございました。 また、もう一つ申し上げますと、住専の債務者の社会的責任は重くて、特に、弁済資力が実際にありながら財産の隠匿等を行って弁済を逃れようとする行為は、著しく公益を害するものであるという認定があったわけでございます。 他方、今先生の御指摘の点はもっともな御指摘でございますが、住専以外の債権債務の関係についてそういった罰則つきの立入調査が認められるかという点でございますけれども、一つには、財政措置をとらなければならないほどの事態にはまだ至っていないということ、それからもう一つございまして、完全に清算、消滅した住専というものとは違いまして、営業が、事業譲渡の形で違う銀行に引き継がれるわけでございます。 そうした場合に、その引き継がれた債権債務関係、それが、ずっとこういう強制調査権が及んでいくということについての、やはり取引先との関係あるいはその受け取った方の銀行との関係、いろいろ難しい法的な問題がございまして、その点も克服しませんと、なかなか難しい問題かなというふうに思っている次第でございます。
○山本(有)委員 十分検討の上、前向きに対処していただきたいと思います。 この金融不正問題についての締めくくりといたしまして、総理に、今後来るべき金融ビッグバンを実現するためにも、日本には総会屋がいるなんということを国際社会で言われないように、ひとつフェアな市場をつくるためにも頑張っていただきたいと思いますが、総理の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 ちょうど大蔵大臣在任中のロンドン・サミットにおける大蔵大臣会合の直前に、いわゆる証券不祥事、補てんの問題が表面化をし、大蔵大臣会合において、その補てんというものを説明せざるを得ない立場に立ちました。 その時点におきましても、各国の同じような立場の方々からも、我々としては信じがたい、あるいは、先ほど議員が触れておられましたけれども、むしろそういう行為によって得た利益以上のものをペナルティーとして科せばそういうのはなくなるんじゃないかと、随分いろいろ厳しい指摘を受けました。そして、責任をとって辞任をいたします前に、なぜこういう事態が起きたかを明らかに、そしてできるならその第一弾だけは自分の手でとお願いを申し上げ、証取法の改正の第一段階を国会で御審議いただきました。 今、フリー、フェア、グローバルという三つの原則をかざして金融システム改革に取り組んでおりますさなかであります。そのやさきといいますか、それにかかりましたところで、まさに今般一連の金融機関の不祥事というものが起こりました。まさに、改めて、フェアということがいかに大事な原則であるかをいや応なしに思い知らされる思いであります。 この改革を実現していきますためにも、またしなければ、我が国の金融システムは世界的な信頼をかち得る状況にあり得ないわけでありますけれども、これを実現いたしますためには、まさに自由な市場で、信頼をされ、公正、透明な取引が行われるような明確なルールを整備する、同時に、ルール違反に対しては現在以上に厳正な処分というものが行われる、そうしたことが大切だということを痛感いたしております。 金融システム改革の中で、むしろ違反事案に対しての罰則から議論をしなければならないことは大変情けないことでありますけれども、そこまでの整備をお願いすることにより信頼を回復する、この努力を怠ることはできません。
○山本(有)委員 どうもありがとうございました。 日銀総裁、どうもありがとうございました。 続きまして、我が国の社会資本整備についてお伺いさせていただきます。 公共投資が削減されます。財政も緊縮でございます。地方の景気も後退感が強うございます。このときに当たって、どういうように社会資本を整備していくかということは大変大事なことではないかというように思います。 私自身も、多くの地域の人々から御理解いただけないような事業は計画を見直しする、二番目には、工事単価を徹底的に見直して、格安に工事ができるように努力していく、三番目には、社会資本整備の比率を高くするためには、逆に、余りにも用地がかさむようなところじゃなくて、整備の効果が上がるようなところ、すなわち用地比率の低いものから優先してやっていく、さらに、公経済依存型の地域、やむを得ない中山間地域等の景気を守る、あるいは公共事業でやっと食べておるようなところというものはある程度考えていくというような、そんなやり方が必要ではないかなというように思っておるのです。 地方のこういう日本の現況をよく御理解になられて、いわば地方の代表選手と言っても過言ではない、しかも公共事業執行に当たっては大変な玄人、専門家でございます官房長官に、この点、どのようにこれから公共事業執行をやっていかれるか、ぜひお伺いさせていただきたいと思います。
○村岡国務大臣 財政緊縮の中にあって、地方の景気を後退させないように、公共事業のあり方はどうか、こういうような御質問だろうと思います。担当でございませんが、内閣の調整役として考え方を言いたいと思います。 まず、多くの人々の理解を得ていない事業は計画を見直す。これは当然でございまして、今大型のプロジェクトについては事業委員会というもので、それの決定を見てやる、凍結をするかあるいはやめるかと。しかし、それ以外の工事でも、従来指摘されましたように、県道と農道が一緒に並んでいるとか、こういうものは厳重にしていかないと、こういうふうに考えております。 工事単価を徹底的に見直す。これもそのとおりでございまして、九年、十年、十一年の三年間で一〇%以上削減をする。こういうことで努力をさせておりますけれども、もう一つ、設計方法あるいは工法の見直しということも指示をいたしております。従来、ややもいたしますと、ぜいたくで、大きくなったり、豪華でと、これは安全はちゃんと保たなければなりませんが、今の時代にはそれは必要はない。 例えば高速道路でも、田んぼでございますが、五メートルぐらいの盛り土がある。その下をくぐらせるというために五メーターあるいは五メーター五十やっておった。盛り土の数は非常に多い。しかし、それを三メーターにしてある程度のところをくぐらせれば、多量の盛り土というものは相当なくなるのじゃないか。工法の見直しもひとつして、節約していかなければならない、こんなふうに考えております。 それからもう一つ、用地比率でございますが、五〇%以上の用地比率、あるいは六〇、七〇、甚だしいのは九〇%以上まであるわけでございまして、そして少なくとも財政再建期間中はこういうのは極力、どうしても必要なところは、都会とも言われましたが、しかし用地比率の高いものは財政再建期間中はなるたけ避けまして、その部分を地方に回していく、こういうことでございます。 なおまた、公共事業、中山間地帯、こういうことでございますが、中央が景気がいいときは地方は一年後ぐらいに景気がよくなってくるかな、中央が景気が悪くなると直ちに響いてくる、こんなこともございます。今言ったような状況で、この財政再建期間中、用地比率とか、なおかつ六月三日の閣議でございますけれども、「真に整備が遅れている分野・地域への重点化を図る。」「地域経済への配慮を行うとともに国土の均衡ある発展と整備水準についての地域間の格差の是正という観点にも留意する。」と閣議決定もなっておりますので、地方へも十分配慮してやっていきたいと思います。 以上でございます。
○山本(有)委員 どうもありがとうございました。 次に、小里総務庁長官に御質問させていただきたいと思います。 この間の七日の予算委員会で、小里先生は、耳をそばだて、嗅覚鋭く国民の声を聞く、大変名文句を言われたな、こう思うのでありますが、自民党の党の意見を十分に聞いていただいて、嗅覚鋭く判断いただけば、この国土整備省に対する要求というのは大変強いものがありますし、中間報告とはちょっとずれますけれども、河川行政についてもやはり建設、国土一体でやった方がいいというようなこともございます。 その意味におきまして、中間報告から最終答申まで御苦労はあろうかと思いますが、小里長官といたしまして、この声をどうお聞きになるかということについてお伺いさせていただきたいと思います。
○小里国務大臣 国土整備を担う行政組織のあり方につきましては、今お話がございましたように、国土保全あるいは国土開発という一つの仕分けをいたしました根拠によりまして、一定の中間報告という形で報告を申し上げておりますことは御承知のとおりであります。 私どもがこの中間報告を出しました一つの背景を簡単に申し上げますと、いわゆる保全と開発という両者は最も密接な関係にある、こういう一つの原則があります。しかも、この中間報告を出しました末尾の項にも、あるいは御一読いただいたかと思うのでございますが、保全と開発は密接な関係がありますなという問題提起をすると同時に、後日その点については精査をしよう、こういうようなことが付記してありますことも御了承いただいておるかと思います。 なおまた、話がございました政党、とりわけ自民党でも相当闊達に議論をいたしておるが聞こえておるか、そして聞いているか、そういうお話でございますが、先刻も申し上げましたように、自民党のみならず、あるいは与党、野党の皆さんまで、あるいは国会内外まで及んで、いろいろな議論を十分お聞かせいただいております。それらの議論も十分注目をいたしておるところでございます。 いよいよ最終報告を来月の中下旬までにはきちんとこれを履行いたさなければなりません。どうかひとつ、自民党を初め関係者の皆様方も、意見をお聞かせいただくことは結構でございますけれども、最後の取りまとめ、そして決断については、お互いに節度を持って、そして大乗的見地から、きちんと国民の期待に沿えるよう御協力もお願い申し上げる次第でございます。
○山本(有)委員 建設大臣にお伺いいたします。 国土整備省を我々は期待しておるわけでございますが、今回の中間報告では、河川行政がいわば農林省と一緒になるというような形になっておるわけでございますが、この点についての大臣の御所見をお伺いさせていただきます。
○瓦国務大臣 山本委員にお答えをいたします。 行革会議が総理を会長といたしまして各界の有識者をもって御検討され、中間報告がなされました。また今後の問題につきましては、今総務庁長官から御答弁がございましたが、私どもも、国土の管理、保全について責任を持つ官庁といたしまして、耳目を凝らして各界の意見をよくお聞きいたしておるところであります。 よって、どういう姿、形がいいか。これは、効率的なおかつ責任が持てる体制でなければならぬわけでありまして、行政改革の目的は、簡素、効率的かつ国民本位の行政を実現する、かようなことをうたっておるわけであります。国土の適正な管理を責任を持って的確に行うということを踏まえまして、これらの議論によく注目をし、耳をそばだてて、最終結論に導くように検討してまいりたい、かように考えておるところであります。
○山本(有)委員 しっかりと建設大臣に河川行政を守っていただきたいと思います。 次に、大蔵大臣に御質問をいたします。 道路特定財源は私どものこの日本の道路を整備する大切な財源でございます。高速道路のネットワークの地図を見ますと、オランダと比べましてもドイツと比べましても、随分引けをとっておりまして、ネットワークというには寂しいものでございまして、まだまだ、網の目のようにつくらなければ、本当の意味での高速道路機能が達せられないというように思います。地方道にしましてもそうでございます。 その意味において、道路特定財源は大変大切なものであって、他に転用はできない、私はそう確信をしておるわけでございます。その点で、自動車重量税は道路特定財源、私はそういう整理を私の中でしておりますけれども、たまたま法律の中には特定財源という文言が入っておりません。したがって、この点、転用が可能でないかという議論が、これから税調を前に浮上してくる可能性もあります。 その点において、できれば大蔵大臣にこの席で、絶対に転用はしないよ、道路一本で頑張るよという御答弁をいただくと私も安心をするわけでございますが、この点、大蔵大臣にしかとお聞きさせていただきたいと思います。
○三塚国務大臣 財政構造改革推進の主管大臣といたしましては、財政再建という基本命題に忠実に沿ってやり抜かなければなりません。そういう点で、総理を中心に今日まで全体会議をやり、検討会をやり、論議の尽きることのない状況の中で、きちっととりまとめをさせていただいたところであります。 正確に申し上げますと、六月三日、「財政構造改革の推進について」という、本国会に提出をいたしております特別措置法の基本をなす綱領であります。このとりまとめに当たりまして、道路特定財源については、危機的な財政状況、受益者負担制度の基本等を踏まえまして、自動車重量税の国分の八割相当額に係る歳出面での運用について、公共投資予算が抑制される中で、引き続き国民に適切な税負担をお願いしつつ、受益者負担の観点に立った道路関係社会資本への活用など、集中改革期間における従来の取り扱い等の見直しについて総合的な観点から検討する。 要すれば、なかなかわかりにくい言い方でありますが、聖域を設けず検討をしてまいる、こういうことであります。この閣議決定の危機的な財政状況を背景といたしておるものでございまして、予算編成の過程で検討をしてまいる、この答弁が精いっぱいであります。
○山本(有)委員 精いっぱいの御苦悩のところがよく理解できました。できれば、ぜひまた私どもの道路整備への熱意も聞いていただければと思います。 次に、運輸大臣にお伺いいたします。 運輸大臣は、我が党の若手に大変人気がございます。そのゆえんは、道路整備への熱意が横溢しておりまして、田舎から出てきた国会議員は皆道路の陳情をするわけでございますが、そういう道路の専門家としての、また地方の代表者という意味においても、我々に大変親近感を覚えさせてくれる大臣でございます。その意味で、我々は頼りにする兄貴と思っておるわけでございます。 ただ、今日、識者と言われる方々から、道路財源等を広く交通機関の財源に転用してはどうか、特に運輸省からは国鉄長期債務等々の問題もあるというようなことも聞くわけでございますが、こういうような財源の転用論についてどう思われるか。いわば道路の、大変御理解深い大臣でございますから、まさか転用はないだろう、こういうようなことを期待しながら御質問をさせていただくわけでございますけれども、お願いいたします。
○藤井国務大臣 山本委員にお答えいたします。 委員御承知のことと存じますが、道路特定財源というものは、今お話にもございましたように、これまで受益者負担という観点から道路の整備の財源に充ててきたところでございます。これを、今御質問の中にありましたように、国鉄の長期債務に充てるということになりますと、受益者負担、いわば納税者の立場あるいは国民の理解が得られるかどうか、この点については慎重な検討が必要であると考えております。 いずれにいたしましても、先ほど来総理から、またただいま大蔵大臣から御答弁がありましたように、国鉄長期債務につきましては、現在、政府・与党で構成されております財政構造改革会議企画委員会におきまして議論が始まっておりますし、今年中に具体的な処理方策を立てなければならない。幅広い、今聖域なしという大蔵大臣の話がございましたように、あらゆる観点から、国民の理解と納得を得られるような処理策を見出すために、これからさらなる議論を深めていかなければならない、このように思っております。
○山本(有)委員 建設大臣にお伺いをさせていただきます。 道路整備、これからますます重要でございますが、逆に、財政も大変窮屈になってまいります。その中にありまして、高速道路の採算性とか、あるいは環境面への配慮とか等々で、高速道路を延伸させるにもなかなか難しい現実が目の前にあるわけでございますが、特に昨年の暮れに発表になりました国幹審における整備路線、これに施行命令をそろそろ出すかどうかという時期が来るだろうと思いますが、その点、財源やら採算性やら、いろいろ配慮があろうかと思います。 その中で、年内に施行命令を出すおつもりがあるかどうか。さらに、もし出した場合に、五年に一度しかないとも言われておりますし、また、出せば環境調査がまだおくれておるところなど、四国の高速道路など、これは環境調査はおくれるだろうと思いますが、そんなことを考えましたときに、施行命令をことしに出すかどうか、出した場合に、来年にももう一回出すおつもりがあるかどうか、具体的にお伺いさせていただきます。
○瓦国務大臣 お答えいたします。 委員御案内のとおり、地方におきましても、道路に対する熱意、願望は極めて強いわけでございます。また、道路整備は地域経済の活性化、加えて税収の増大にも大きな役割を果たしておるわけでありまして、財政構造改革とか経済構造改革の両立を図ってまいる、こういう面でも道路整備は必要と存じておるわけであります。 今、財源問題等々についてそれぞれ御質問がなされておりますが、いよいよ平成十年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画、この案を実は総投資額七十八兆円規模で要求いたしておるところでありまして、これを支えてまいる財源確保というものが一つ大きな問題であります。 また、今委員指摘のように、昨年末に開催されました第三十回国幹審の議を経た整備計画について、道路公団をして調査を実施させておるところでありますが、調査が完了し、なお地元の協力体制が整ったところから漸次機動的に施行命令を出す方針でございます。所要の調査等を進める公団を指導しているわけでありますが、年内にも施行命令が出せるように、また、準備の整った区間につきましては、地域の要望を踏まえてこれを実施してまいる、こういう姿勢で取り組んでおるところであります。 以上です。
○山本(有)委員 それでは、私の質問を終わります。
○松永委員長 この際、栗原博久君から関連質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。栗原博久君。
○栗原(博)委員 橋本総理におかれましては、日々、日本丸が大海原で順調に、航路を曲げないようにというような立場で頑張っておられますことに心から敬意を表します。 実は、私、昨日田舎で、九十七歳のおばあちゃんが、ちょうど私の事務所の新築祝いがございまして参りまして、橋本総理によろしく言ってくれと言っていました。また、各党の方もいろいろおっしゃいますが、日本の国が一番いい国でございますから、おばあちゃんは、この日本の、いい国の中の橋本総理が少しいじめられているから、あんた、あした行ったらよく総理を慰めてくれ、そんなことまで言われましたので、一言つけ加えさせていただきます。 さて、先ほども総理からも景気の動向についてお話がございましたが、日銀の九月の短期の業況判断によりますと、主要企業の製造業がプラス三で、非製造業がマイナス一五、そしてまた中小企業の製造業がマイナス一三で、非製造業がマイナス一八というようなことで、総理も先ほどこの景気の動向について大変厳しい御判断をされておったのでありますが、そういう中にもかかわらず、総理が金融のビッグバンあるいはまた行財政改革ということに果敢に取り組まれていることについて、重ねて私は敬意を表する次第でございます。 それでまた、景気を回復せねばならない、と同時にまた、これらの行財政改革を行う場合は、やはり景気回復に対して財政出動を伴わない中で景気の回復をせねばならぬ、そういう宿命もあるかと私は思っております。 現実的にも、私自身市況を見てみますと、株式市場におきましては、北海道拓殖銀行などのある程度の都市銀行の数行が、株価が百円前後に揺れ動いている。あるいはまた、大手の建設業におきましては、先般も東海興業が一夜にして債務超過で倒産というような状況もございましたけれども、今日のようなこういう超低金利の中にあって、社債を一〇%の利回りでもって運用しているというような、そういう中におきまして、大変懸念すべきものがあると思います。 あるいはまた、債券市場におかれましても、国債の指標銘柄の流通利回りが、長期金利でこの八月末で二%の大台を割りまして、最近では一・七八%まで落ちた。こういう一%台の長期金利になったのは、恐らく我が国においては昭和恐慌以来だと思っておるわけであります。こういう極めて厳しい中で、あるいはまた、大企業向けの銀行のスプレッド融資も一%に至ろうとしておる、こういう中におきまして、さらにまた、九八年四月から始まります銀行の早期是正措置、こういう影響もありまして、中小企業のやりくりが大変厳しくなっていると私は実は思っておるのであります。 こういう中で、こういう環境のもとで、実は先ほども私申しましたけれども、財政の出動を伴わない景気回復をどうするかということ、こういうことで橋本総理は、並びにまた三塚大蔵大臣を初めとする閣僚の皆さんは大変苦心されているということを本当に私は感ずるのでございます。こういう中におきまして、総理におかれましては、財政構造改革、行政改革も断行しながら、そしてやはり我が日本丸、永遠に不滅の日本丸を、どのようにして景気を回復するかということについての御所信をお聞きしたいと思います。 また、あわせまして、せっかく総理に質問させていただきますので、この場をおかりして、せっかくの機会でありますから、実は私の考えの中で、ちょっと総理の御見解をお聞きしたいのです。 我が国は、今、少子社会でございます。女性が一生のうちに一・四人しか子供を産まないということでございますので、健康で未来あふれる子供が日本の国にあふれる、そのためには、やはりそういう少子社会に対応する、子供を産んだ家庭に対する税制上のある程度の優遇措置、あるいはまた年金等につきましても、そういうお子さんを産んだ親御さんに対する年金の増額措置、そういうものをするならば、私は、女性は安心してある程度子供を産んでくれるのじゃなかろうかと思うのでありますが、こういうことについての御見解といいましょうか、取り組みの御意思があるかどうか、この点を一つ補足してお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○橋本内閣総理大臣 今、議員、行政改革あるいは財政構造改革、それぞれの重要性に触れられました。私は、間違いなく、今主要先進国中最悪の状況にあります危機的な財政状況、この財政構造を放置しておくことはできないし、財政赤字の拡大を招きましたなら、それがまさに経済そして国民生活の破綻につながることは避けられない状況であり、何としてもこの財政構造改革はやり遂げていかなければならない、そのように考えております。そのためにも、今国会、財政構造改革法案を提案させていただきました。 これは、申し上げるまでもなく、主要経費ごとにめり張りのきいた量的な縮減目標を規定する、そして制度改革の方向というものを定める、こうした内容でございます。そして、私どもの世代において、次の世代に対する責任としてこの財政構造改革を仕上げておくこと、言いかえれば、次の世代に負担を先送りしない財政体質というものを築くことが、豊かで安全な、また安心のできる福祉社会というものをつくっていくその土台だと私は考えております。 そういう中における経済対策あるいは行政改革にどう取り組むのかという御指摘がございました。 これは、私は、先般来申し上げてきておりますように、まさに構造改革というものを柱に立てて進めていかなければならないと思っております。今、ややもすると、新しい業をつくり出す、それが必要であり、新規事業を立ち上げることが必要であると言いながら、その新規事業そのものを行政が考えようとし、行政の誘導によって新規事業を起こそうとする。私は、その限界は既に超えており、むしろ規制をなくしていくことによって、あるいは従来との発想を変えて、構造を変えなければ、新しい産業は育ってこないのではないかと思っております。 同時に、一つの例を挙げさせていただきますが、例えば、国としては土地の有効利用、土地の活性化という方向を打ち出しておりましたけれども、つい先日御指摘を受けますまで気づかなかったことは、不動産事業者が不良資産としての土地をバブル時代に高値で手当てをし、これを売却することによってリストラを進め、企業体質を改善しようと試みた場合、その瞬間は赤字体質になります。その赤字のために、例えば自治体の公共事業の入札資格が与えられない、その入札資格を得るためにみすみす不良資産を抱える、そのような問題がございました。 現在、これは、建設、自治両大臣に大変御苦労をいただきまして、そういう優良な方向に変わろうとするための一時的な不良資産の処理で発生した赤字、これは基本的に入札資格の剥奪につながらないということを地方自治体にも御連絡をとる、そんな形で対応しておりますけれども、まだまだそういう意味では私どもが努力をしていく余地が各所に残っておるというのが実感でありまして、いかにして規制をあるいは撤廃、緩和、官が誘導するのではなく、民が創意工夫をしたときにそれに対応できるかという方向を一層模索しなければならないと思っております。 また、子育て、少子社会ということについてもお触れをいただきました。 少子化の原因というものについては、さまざまな議論があります。未婚率の上昇の影響もある、あるいは社会慣行、個人の価値観の変化等、さまざまなことが言われておりますが、国は、子育て支援という問題に対しましては、重要な課題だとして今までも考えてきましたし、平成七年度から実施をいたしておりますエンゼルプランも着実に進めていく、そういう形で、先般、子育て支援の基盤整備を目的とする児童福祉法の改正も行ってまいりました。 議員がお触れになりましたような幾つかの施策、これは、いろいろな角度で同じような御提案があると同時に、お金で子供を産ませるのかという、そういう反発も世の中にはあります。ですから、私はやはり、子育ての基盤を整備する、こうしたことを土台に考えていくのが本筋ではなかろうか、そして、安心して産み育てられる社会環境を整備するために国ができ得る限りの役割を果たしていくことが本筋ではなかろうか、そのように考えております。
○栗原(博)委員 今総理から、やはり民間のたゆまない力を発揮していただきながら景気の回復を図るというお考え、私もそのとおりだと思っています。 それで、先般、三塚大蔵大臣におかれましては、アメリカのルービン財務長官との間で、現在、円安基調の中で私どもの国の輸出が好調ということで、輸出入の経常収支が四月から六月期にはGDPの約二・五%の黒字ということで、アメリカからも警告を受けておるかと思うのでございますが、こういう中で、いかにして国内需要を高めるかという課題があるかと思います。 そういう国内需要を高めるということについて、不動産のやはり流動化を図らにやならぬ。しかし、最近、先ほど総理仰せのとおり、資産デフレというものが起きておりまして、この資産デフレに対してどのように対応するかという難題もあると思うのであります。 そこで、大臣にお聞きしたいのでありますが、今ちまたでは、法人税の大幅な引き下げをしてほしいとか、あるいはまた土地譲渡につきましては、譲渡税のある程度の見直しを、昨年も図りましたが、やってほしいとか、いろいろ話がございます。特にまたこの資産デフレにつきましては、キャピタルロスが発生しておる場合、今の税制では、例えば買いかえする場合一年間は認める、しかしながら、もう資産デフレで二分の一、半分ぐらいになったのもあるわけですから、何千万の損失分を単年度で処理するには、なかなか買いかえ資産を求める方は無理だと思うんです。 ですから、これは三年とか五年とか、そういうふうに長期にわたりましてこれを認めるというような制度もひとつお考えおき願いたいと思うのでありますが、それはきょうの御質問の御回答は抜きまして、特に土地の流動化につきまして、地価税の問題と固定資産税の問題をちょっとお聞きしたいと思うのであります。 特に地価税は、固定資産税の不足分をあかなう、要するに地価税そのものは、言うならば税収増を目的としないということでつくったわけでありまして、ところが、ずっとこの地価税は残っております。 あるいはまた、固定資産税と地価税というものが、やはり国民にとって重圧感があるわけでありまして、土地を持ったら損をする、税金が大変高い。不動産登録税とかあるいは不動産取得税のような、大変高く国民に感じるわけでありますから、そういうものが実は土地の流動化の阻害になっているんではなかろうかと思うのであります。 特に、また、固定資産税においては、昭和三十年からもう四十年間もどんどん上がっておりまして、今年度の税制改正では、負担水準を、均衡化というふうなことを目指して、課税標準額が地価公示価格の七割の八〇%まで達している土地に対しては税を引き下げるというふうな、あるいはまた、それでもまだ八〇から六〇%までの部分は据え置くというようなことであり、これは実効税率が、約〇・八%までを上限としたにすぎず、まだまだ負担感を感じているように伺うのでありますが、土地税制でどのように土地の流動化を図るかということを、ひとつ大臣にお聞きしたいと思います。 あわせまして、やはり今、住専問題がまだまだ解決が終わっておりません。不良債権を抱えて、先ほど総理からもお話がございましたとおり、資産を持っても処分すると赤字が起きるということで、それを何とかせねばならぬという総理のお考えもあるわけですが、その不良資産に対する担保の流動化ですか、これを図るためには、どうしても私は、特別目的会社、SPCの制度をやはり早く採用してほしいと思うのですが、これを含めて、ひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○三塚国務大臣 栗原議員の、景気全体の展望の中で土地政策についての対策いかんということであります。 一言、景気の問題でございますが、先ほども御質問がありましたとおり、マイナスニ・九、四半期で。それが一一・二に該当します、一年に通算をしますと。経済は生き物でございまして、瞬間的に諸要素の中で動きます。しかし、全体の統計また見通しは、雇用は徐々に上向いております。所得環境もプラスオンいたしております。それと、企業収益も、一部につらいところがございますが、全体的に見ますと、これまた押し上がっておる。 こういう諸状況の中でありますから、諸改革の断行によりまして、先ほど一・九と申し上げました政府見通し、その政策よろしきを得れば、そこにいるわけでございますから、全力を尽くしてまいる。 ただ、しかし、転ばぬ先の中で、さらに成長率を高めるべきだという趣旨かと思うのでございますが、最初の地価税の問題でありますが、本件は、八年度税制改正におきまして、税率を半減いたして軽減をいたしたところであります。所要の見直しを行ったところであり、その時点から、地価下落も相まちまして、地価税負担の導入時の五分の一という、税収が減少をいたしております。 土地をめぐる状況、地価の下落による土地資産格差が縮小の方向にあることは間違いございません。投機的な土地取引は鎮静化いたしたこと、地価税設定の基本的な役割かと思います。土地保有税、地価税、固定資産税とありますが、この負担が上昇しているという事実もあります。 こういう中で、担保不動産の流動化対策、閣議決定、本年の三月九日であったと思っておりますが、それによって全体を流動化し、有効利用していく、そして証券化ということの中で、地価の下支え、安定と言った方がよろしいのでしょうか、そういうことに取り組んでおるところであります。 そういう中で、ただいまの地価税を含めました土地税制につきましては、土地政策全体や資産課税全体の中での位置づけを明確にしながら、土地の二極化という問題近時の土地をめぐる状況としてあらわれてきておりますから、土地の有効利用に資するという観点から検討していかなければなりません。 本問題は、党税調、三党の税調そして政府税調と、こういう形になりますので、その審議を盛んにすることにより、大蔵省としても、国会論議を踏まえながら、検討すべき点は検討、研究すべき点は研究ということにさせていただきたいと思います。 それと、ただいまのSPCいわゆる特別目的会社、本件はまさに担保不動産流動化対策の決め手として取り上げておるものでございます。既に金融制度調査会答申においても、速やかな法的整備を行えということに相なっておりますので、先般ルービンさんとの対談におきましても、この問題を核に我が国の土地の流動化が進むことによって有効利用が前進をしてまいります、そういうことの中で日本経済の下支えがしっかりとしてきますので御理解を得たい、税制全体も政府税調を中心に、党の税調を中心に論議を盛んにして適切な方法で対処をしてまいりますということで申し上げ、そこまでおやりになることについてというので理解を得たところでございます。 この法律は通常国会提出を目指して整備をし、適切にこのことがその目的を達することのできるような総合的な対応策を取り入れることによって効果あらしめるものにしていかなければならぬ、このように思っております。
○栗原(博)委員 土地の流動化は、税制の面での政策誘導もまた大事だと思いますが、あわせまして、規制をいかに解くかということだと私は思うのであります。むしろ一番即効性のあるものは、規制を解くことが土地の流動化に私大きな即効性があると思います。 それで、私は実は新潟なのでございますが、やはり中央と、東京と地方の土地の規制に対する考え方が若干違うと思うのですね。今都市計画法あるいはまた農振法という法律が土地の規制の根幹をなしております、建築基準法もそうでございますが。そうしますと、東京においてはそれは細部にわたって、例えば建築基準法を見ましても、第一種、第二種あるいはまた近隣商業地域とか商業地域とか準工業、工業、またそこに容積率が五段階、六段階かぶさっています。この法律がそっくり、新潟ではおおらかな、そんなに規制をしなくてもいいところでもこの法律がかかわってくるわけですね。 ですから、私は、もっと、例えば新潟のようなところでは、工業地域のところでもいいから、隣に職住接近で住宅を認めるとか、そういうやはり新しい方向性を都市計画法の中に入れなければならないだろう。例えば、今都市計画法の新法でも、確かに今の法律であったらとてもその町が発展しないということで、都市計画法から区域を変更して、要するに都市計画法の区域から変更を求めている、過去約四、五カ所の市町村で都市計画法おさらばという地域もあるわけであります。 私は、もっと規制を緩和した中で、土地が動きやすいような、そういう方法をとっていただきたい。それが今、東京など都心部におきましては、日影制限とかあるいは容積率の問題がございます。あるいはまた、総合設計制度ですか、こういうことについても、たとえ容積率が七〇〇であっても、やはりその日影制限によって七〇〇が三五〇しか使えないというような地域もたくさんあるわけでございます。だから、もう少し実態に即したような形でこの法律の運用を図っていただきたいと思うわけでありまして、このことについて、建設大臣からひとつお聞きしたいと思います。 あわせまして、時間が実はないものですから、連動して、農振法についてお聞きしたいのでありますが、今、米の生産調整が進んでおりまして、日本には約五百万ヘクタールの農地があると思うんですが、そのうち今七十万ヘクタールぐらいの農地が生産調整されている。確かに我が国の自給率はオリジナルカロリーで四二%、穀物で三〇%でありますから、国内の日本人の胃袋を全部満たすためにはあと千二百万ヘクタールの農地が必要であります。でありますけれども、現実的に生産調整をしなきゃならぬ。 私どもの田舎においては、農振法をもっと緩和して転用を認めてくれないか、そうすればおのずから生産調整をしなくてもいい土地が出てくるということがあるわけでありまして、こういうことについて、建設大臣からは土地の規制に対するお考え、農林大臣からは農振法の弾力的な運用、どうなるかというこの二点をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○瓦国務大臣 栗原委員にお答えをいたします。 土地は、抑制的に進めたバブルの時代と変わりまして、今土地の有効利用、さらに土地の取引を活性化することは喫緊の課題であります。これは、景気を本格的に力強いものにしていく、さらには住宅、社会資本の整備を図る、これらの観点からいたしましても、委員御指摘のとおりでありまして、規制の緩和、それらを進めなきゃならぬ。 前の国会におきまして、高層住宅にかかわる容積率を最大六〇〇%まで引き上げる、また地区内の日影権の適用除外、斜線制限の緩和等を行ったわけであります。また、創設したわけでありまして、総合設計制度の改善につきましても、敷地規模が大きくなれば容積率のボーナスがつく、割り増しがつく、こういう制度を創設したわけであります。これらはさらに地方自治体の理解を得て政策的にも進め得るものと思うわけでありまして、積極的な取り組みに対しまして支援をしてまいりたい、こう考えておるわけであります。 いずれにいたしましても、土地の有効・高度利用の前提となる街路、それぞれ都市基盤を強めていくことも一方で必要でございますので、それらと相図りながら、委員御指摘のような方向で規制緩和方向を見定めてまいりたい、こう思っておるわけであります。 以上であります。
○島村国務大臣 お答えいたします。 我が省といたしましては、国民に対する食糧供給の確保を図る観点から、優良農地を確保しつつ、社会経済上必要な農業以外の土地利用に対しましても適切に対応してきているところであります。 具体的には、集団的な優良農地は農用地区域として指定し農地として保全する一方、集落周辺の農地や道路、上下水道等都市的環境が整備された区域の農地は、原則として転用を許可しております。さらに、農村の活性化のための計画的な工場等の誘致による所得機会の拡大や住宅の建設を目的とする農地転用は、農用地区域の除外や転用の許可が弾力的にできる措置を講じてきたところであります。 このような農地転用の弾力的措置につきましては、従来から地方自治体や関係機関を指導してきたところでありますが、御指摘もいただきましたことですから、改めてその趣旨の徹底を図っていきたいと考えます。 また、現在二ヘクタール以下の農地の転用許可は都道府県知事が行うこととなっておりますが、これを二倍の四ヘクタール以下にまで拡大するため、次期通常国会において所要の法律改正を行うべく準備を進めておるところでありますので、申し添えます。
○栗原(博)委員 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○松永委員長 これにて山本君、栗原君の質疑は終了いたしました。 次に、木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。私は、新ガイドラインについて質問をしたいと思います。 新ガイドラインは、昨年四月十七日の日米安保共同宣言を受けまして、七八年のガイドラインの見直しという形で策定されたものでありますが、その核心は何か。 周辺事態として、アメリカの行う軍事行動、武力行使に対して、相手に対する直接の武力行使以外のあらゆる軍事行動、軍事協力を国を挙げて行うことにある。相手の情報の提供、機雷の掃海、武器弾薬、兵員の輸送、食糧、燃料、水などあらゆる物資の提供、補給と輸送、軍用機の修理と整備、傷病兵の輸送と治療など、新ガイドラインによりますと、まさに日本の協力なしに米軍の戦争なし、そういう状況がつくられるわけであります。 我が国に対する武力攻撃のないもとで、武力攻撃のおそれもないもとで、こうした軍事協力が、憲法の平和原則にも安保条約の取り決めにも反する、我が国とアジア太平洋地域の平和と安全にとって重大な脅威となることは、新ガイドラインに対するアジア各国の反応を見ても明らかではないでしょうか。 我が党は、こうした憲法違反の日米合意の撤回、この新ガイドラインに実効性を持たせるための今後進められようとするすべての作業を直ちにきっぱりと中止することを求めるものであります。 以下、数点にわたって質問をいたします。 第一点は、米軍への軍事協力に、自衛隊だけじゃなくて国の機関、地方自治体、民間挙げて参加させる、いわば国民総動員体制をつくろうとしているという、その問題であります。 既に最近、米軍による日本の民間業者の使用は、新ガイドラインを先取りするようにさまざまな形で全国各地で展開をされています。例えば、最近の米空母コンステレーションの佐世保入港のときはどうだったか。空母から基地への乗組員の輸送、水の補給、弾薬の積みおろしはすべて日本の民間業者がやっています。強襲揚陸艦ベローウッドの鹿児島入港のときはどうだったか。入港業務の大部分を民間業者が請け負いました。実弾演習の百五十五ミリりゅう弾砲や砲弾、弾薬の北海道花咲港への陸揚げはどうだったか。民間業者が積みおろしから輸送まで取り仕切ったわけであります。さらに、北富士演習場の実弾演習のときは、兵員、弾薬などの輸送を民間業者が担当いたしました。 今は契約という形をとっておりますけれども、これが一たん有事となったら、大規模な動員が必要となります。そのときは強制的な手段が使われるのではないでしょうか。これを国民は心配しているわけであります。 そこで質問であります。 三日の参議院本会議で橋本総理は、我が党の西山登紀子議員の質問に対し、こう答弁いたしました。「周辺事態におきまして、民間事業者等の協力を罰則により強制するといった御意見がございましたが、罰則により強制することは現在検討しておりません。」こう答弁であります。将来は罰則による強制も検討対象という含みを残した答弁だと聞かざるを得ません。 改めて問います。橋本内閣のもとでは、罰則による民間事業者への協力強制はしないとはっきりと約束をしていただきたい。総理。
○松永委員長 総理の前に、細かい事実関係を言ったから、久間防衛庁長官がまず答えて、それから総理にしますから。
○木島委員 いやいや、総理の答弁があったから総理に聞いたんだ。総理が答弁を本会議でしたから、その意味内容を詰めているんですよ。防衛庁関係ないでしょう。いやいや、総理に聞いている。
○松永委員長 まず、あなたは防衛庁のことをいろいろ言ったから、具体的に答えて、それが終わってから総理大臣が答えます。 防衛庁長官。
○久間国務大臣 総理から後で答弁していただきますけれども、その前に一言だけ申し上げたいと思います。 といいますのは、今委員が御指摘されましたが、今回のガイドライン、よく読んでみていただければわかりますけれども、とにかく我が国の周辺事態で我が国の平和と安全に重要な影響がある場合に行動することにしているわけでございますから、全く何もないときにやるというわけじゃございませんので、冒頭からそのようなことを言われますと全く困るわけでございます。 それと、先ほど自衛隊がいろいろと、補給といいますか、輸送したとか、自衛隊じゃなくて民間業者がやったということでございますけれども、これらについても、日米安保条約に基づく便宜供与という形でいろいろとやっているわけでございまして、これらについては、これから先、先ほどのガイドラインを実際詰めていこうとするとどういう法整備が必要かという中でいろいろ研究しております。現在時点でという言葉を総理が使われましたために、さも将来はやるんだということを、裏返しのような話でございますけれども、私どもが事務的に詰めておりますのは、罰則の規定をしないでどういう形でそういう協力体制が築けるか、それを今鋭意詰めているところでございまして、これから先も多分そのような方向で協力ができるようにしたいというふうに思っておるところでございます。
○橋本内閣総理大臣 今防衛庁長官もお答えを申し上げましたけれども、確かに私は、周辺事態において民間事業者等の協力を罰則により強制することは現在検討していないと申し上げました。素直に申し上げたことを、なぜ将来は罰則がつくと限定されなければならないのか、その方が私にはわかりません。
○木島委員 それは詭弁です。 十月二日に我が党の西山議員が参議院で質問した、それに対する答弁として、総理は、現在法整備を検討していないという答弁なんですね。ですから、日数がたって、じゃ来年、通常国会になったときにはもう検討して、労働者に罰則つきの労働を強制する法案を出してきたら、あの答弁と食い違っていると追及されたときに、あれは現在で、十月三日のことを言りたんだ、そういうことが通用するから、私は、来年通常国会に法案を出そうとする動きがあるだけに、少なくとも橋本内閣の段階では、いつまで続くかわかりませんけれども、罰則による、強制による民間事業者への協力強制はしませんとはっきりと答弁してほしいんです。そういう安心感を与えてほしいんですよ。
○橋本内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、西山議員にお答えをしたのも同趣旨でありますが、改めて私はきちんとその紙を読み上げてみますと、政府としては、新指針の実効性を確保するとの観点から、九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえ、法的側面も含め具体的な施策について検討していく考えであるが、周辺事態においては、民間事業者等の協力を罰則により強制することは現在検討しておりません。また、政府として、新指針の実効性を確保するとの観点から、法的側面も含め具体的な施策につき検討していくに当たり、憲法を遵守すべきことは当然である、これがお答えをした内容と同一のものだと思います。 その上で、なぜこれを素直に読んでいただけないんでしょう。皆さんのお考えでは、法によって罰則を担保するような強制措置が必要だとお考えでありますか。むしろ、現在検討していないと、そのとおり私は素直に申し上げております。
○木島委員 素直に聞いているんですよ。 それじゃ、総理が十月三日に参議院本会議で答弁した「現在検討しておりません。」という「現在」というのはいつまでを指すのか、答弁してください。自分の答弁ですから、責任持ってください。
○橋本内閣総理大臣 「現在」というのは、少なくともいましばらくはカバーするものだと思います。
○木島委員 大事なことなんですね。いましばらくのことだと。私は、橋本内閣が存する限り罰則つきの労働強制は絶対しないと答弁しないところに実は大問題があると指摘をして、次の質問に違う角度から移りたいと思います。 新ガイドラインには、「後方地域支援を行うに当たって、日本は、中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。」との記載があります。 ことし七月、防衛庁が自民党国防部会に示した「法制整備の方向性」と題する文書には、二十二項目についての有事法制の整備の必要性が記述されております。私、持っています。その中の「後方地域支援(役務等)」の欄に「強制措置(罰則等)に係る立法措置及びそれに応ずる補償措置が必要」とはっきりと明記されているわけであります。 防衛庁長官に伺います。防衛庁はこんな文書をつくって自民党国防部会に示した。事実ですか。事実かどうかだけを答えてください。
○久間国務大臣 防衛庁として、そのような資料を作成して配った覚えはございません。
○木島委員 ことしの七月三日の朝日新聞の記事のコピーを私は持っております。「「指針見直し関連法制整備の方向性について」と題してまとめられたもので、防衛庁・自衛隊側が自民党幹部に非公式に示した。」という記述があります。そしてその中で、役務等の提供の場合の強制措置、罰則つきのことが指摘をされます。 それだけじゃありません。最近発行された岩波書店の「世界 ハンドブック 新ガイドラインって何だ?」そういう本の中に、これは、藤島宇内さんの論文の中にはっきりとその旨がうたわれ、その一覧表までついています。「資料1 法制整備の方向性(九七年七月、自民党国防部会に防衛庁が非公式に示したもの。ガイドライン中間報告別表=資料20=と読みあわせると興味深い)」そういう記述まで入っています。じゃ、これはうそなんですか。
○久間国務大臣 今委員が非公式とおっしゃいましたけれども、何をもって非公式というかわかりませんけれども、少なくとも、防衛庁として作成して自民党の国防部会に出したのならば私が知らないはずはないわけでございまして、自民党国防部会の皆さん方が、スタッフがいろいろと資料を準備されて皆さん方に話をされる、それはあるかもしれませんけれども、少なくとも防衛庁として作成して提出したことはございません。
○木島委員 これは大変重大な問題であります。防衛庁として、朝日新聞社あるいは岩波書店、あるいはこの文書の作成者である藤島宇内氏に対して、事実と違うということで法的措置、とるんですか。
○久間国務大臣 新聞報道等でいろいろ論じられます中身が防衛庁の現在考えることと違う場合がたびたびございます。しかし、そのたびたびごとに訴訟を起こすなんということは、これまでもやっておりません。 したがいまして、今回のも今後の推移を見ていただければわかると思いますし、先ほど総理はあのように答弁されましたが、その答弁をつくられる場合には、防衛庁としては、やはりそれに対してはそのような責任を持って答弁をしてもらうわけでございますから、そういうような正式に文書を出しているようなことがありますならば、罰則つきの検討をしておいてそういうことをしておりませんという発言を総理にさせるわけにいかぬわけでございますから、このことをもってしても、防衛庁としては出してないということはおわかりいただけることと思います。
○木島委員 これは、その文書を手にした者でなければ、とても責任ある出版物に載せられるような、そんな代物じゃないですよ。こんな文書を、防衛庁、絶対につくったことないと言うのですね。 私は、これまでも、こういう非常に憲法解釈にかかわる重大な問題が、時々内部文書が表へ出る。そうすると都合が悪いから、そんなものつくった覚えない、そういう、うやむやにして葬り去って、時間がたったら、結局は罰則つきの労働強制をやるような法整備をやる。そういうことが心配だからこそ事実をただしているんですよ。 次、じゃ違う角度からその問題について質問したいと思います。 日本の現行法体系によりますと、罰則による強制を伴う労役の強制を定めた法律は、たった一つ。災害救助法二十四条に基づく、医療、土木建築工事等関係者に対する救助業務への従事命令だけであります。それ、たった一つだと思います。それはなぜか。憲法十八条で、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」と明確に禁止されているからであります。 憲法十八条の言う「苦役」というのは労働の強制ということであって、決して苦痛の程度が非常に高いものだけを言うんじゃないのだ、労働の強制が苦役なんだというのが、実はこれは制憲議会から一貫した政府の答弁であります。そのことは、八一年二月四日の衆議院予算委員会の質疑でも明らかにされております。もうそれは一貫した答弁で、そのとおりだと思うのですね。 そこで、私は重ねて、これにかかわる問題です。政府の一貫した答弁もしてきている。もし万々が一にも、罰則つきの民間業者への労働強制をこのガイドラインを盾にしてつくろうとすれば、それはもう明確に憲法違反であり、政府がこれまでずっと五十年間とり続けてきた国会答弁をみずからじゅうりんするものだということを指摘した上で、では、さらに総理に対して質問します。 周辺事態に対して、罰則を伴う強制措置によって、民間人をして米軍の軍事行動に対する後方地域支援としての労務に従事させることは憲法十八条に反すると考えるが、総理の見解はいかがでしょうか。
○久間国務大臣 憲法の十八条に反するかどうかは法律の規定の仕方によるかと思いますけれども、今委員が御指摘になりました、国内法における現在の体系がどうなっているか、これらにつきましては、私どもも十分検討しながら作業は続けているつもりでございます。 そういうような状況の中で先ほどの総理の答弁となっているわけでございますから、ぜひ御理解いただきたいと思います。
○木島委員 単純に聞いているのですよ。 罰則つきの労務強制を、このガイドラインを受けて、周辺事態のときに日本の民間業者に迫亙そういう法律をつくり出す、それは憲法十八条違反と考えるがどうかという一点の問題。総理の憲法観を、憲法解釈をお聞きしたい。
○橋本内閣総理大臣 大変執拗にお尋ねですので、内閣法制局長官をして法律的にはお答えをさせます。 その上で、どのような作業が、これからこのガイドラインを実際に整備してまいりましたときに、法律上の問題として、あるいは現在の法律をどう改定するか、新しい立法、さまざまな対応が必要になろうと思います。そうした中で、憲法の枠内で行う作業であるということだけはもう一度申し上げた上で、法制局長官から正確に、細かく、念を入れて御答弁をさせます。
○大森政府委員 お尋ねの問題につきましては、現時点で検討しておらないということでございますので、仮定の問題にお答えをいたすのはどうかとは思いますが、あえて今私どもの頭の中で考えている一端を申し上げます。 あくまでこれは一般論でございますが、御指摘の問題は、公共の福祉の観点から私人の権利を制限し、または義務を課することがどの範囲で許されるかという問題に帰するものでございまして、そのような法制により達成される公共の福祉の具体的内容とか、あるいは制限される権利、自由の内容、性質、制限の程度等を総合考慮いたしまして、それが果たして合理性があると言えるのかどうかということを、先ほど委員御指摘の憲法十八条あるいは憲法十三条等いろいろな規定との関係で、極めて慎重に検討すべき問題であるというふうに考えている次第でございます。
○木島委員 私は、戦後五十年間、少なくとも日本の政府が、罰則つきの労働強制は憲法十八条の苦役に該当するから許されないんだ、そういう法律は憲法違反の法なんだ、そこを守ってきたことをこの場で言えないということ、橋本内閣がそれを言えないということ、そこに大変な問題があるということを私は指摘をして、時間の関係で次の質問に移ります。 第二点は、周辺事態における米軍による民間空港・港湾の使用の問題であります。 新ガイドラインは、周辺事態への協力として「必要に応じ、新たな施設・区域の提供を適時かつ適切に行う」、このことを取り決めるとともに、さらに、現存する民間空港・港湾の使用についていろいろな取り決めをしています。 まとめますと、使用場所については、米国による人員及び物資の積みおろしに必要な場所及び保管施設の確保。使用時間については、一時的使用を確保する。また、米航空機及び船舶による使用のための運用時間の延長。そして、使用目的については、非戦闘員の輸送のための使用、補給等を目的とする使用。民間空港・港湾における米航空機・船舶に対する物資武器弾薬を除く、及び燃料、油脂、潤滑油の提供、こう取り決めております。一覧表を見るとそれで全部だと思います。 要するに、これをまとめますと、周辺事態においては、米軍が必要とするすべての日本の民間空港・港湾を、そして米軍が必要とするあらゆる時間帯において、そして米軍の軍事行動のために必要なあらゆる目的達成のために、米軍に優先的かつ限定のない使用を認める、そういうことにならざるを得ないのです、ガイドラインを読み込んでいきますと。これは、法的には、民間空港・港湾の管理権をもう事実上日本でなく米軍が持つということを意味せざるを得ません。 そこで、質問を端的にいたします。 総理、現在の安保条約のもとで、民間の飛行機や船舶の使用を排除する、制限する、そういう権限を米軍は民間の空港・港湾について持っているのか、そこを質問します。
○久間国務大臣 これから先、周辺事態が起きたときに、この周辺事態というのは、先ほど申しましたように我が国の平和と安全にとって重要な影響がある場合でございますから、そういうときにどういう形で必要事項が出てくるのか、それに対してどう対応していくのか。これから先、まさに地方自治体も含めまして、どのような形でそのための体制をつくったらいいのか、それを今研究しようとしているわけでございますので、今冒頭委員がおっしゃられましたように、もう全部が全部、何でもかんでも言いなりになっていくんだというふうな、そういう前提で議論されると非常に困るわけでございますので、これから先、そういうような形でどこまで協力できるのか。 特に周辺事態の場合ですと、我が国がいわゆる攻撃されている状態の場合ですと、これは優先的にといいますか、もう民間の飛行機その他が……(木島委員「そんなことはいいから、周辺事態について聞いている。我が国が攻撃されているときには違う」と呼ぶ)だから、周辺事態の場合はそういうようなことでないわけでございますから、今委員がおっしゃったようなことにはならないケースもありますので、そういう形でどういう時間の延長が必要になってくるのか、そういうようなニーズと同時に、それに対応する対応策をいよいよこれから詰めていきたい、そういうふうに思っているわけでございますので、どうかひとつ見守っていただきたいと思います。
○木島委員 これは先ほどの質問、答弁の中にもありましたが、ガイドラインの法的性格、新ガイドラインはどういうものなんだ、非常にそれにかかわる重大なことだと思うのですね。 先ほどの本委員会での質問に答えて橋本総理は、新ガイドラインというものの法的性格は、一般的大枠、方向性を決めたものだ、今後の作業を行うための政治的意思表明をしたものだと答弁されました。そういう政治的意思表明がアメリカ政府との間で合致した、それでつくられたガイドラインだと思うのですね。 それを私、全部この一覧表、四十項目ずうっと精査するわけです。そして、ここがどこまでを政治的意思表明として民間空港・港湾の米軍の使用について記載しているかといいますと、私のさっきの結論にならざるを得ないのです。全部使うという意味じゃないのです。使える状態をつくるということに読み取らざるを得ないのです。 どこの民間空港・港湾も、どんな時間も、夜でも何でも米軍が必要なとき、そしてどんな目的のためにも、目的無限定、それをやらされたら、要するに優先使用権は米軍に与えるということですよね、本当にこれをやろうとしたら。そうすると、米軍が必要だ、有事といいますか周辺事態だから米軍が必要だ、じゃあ民間の飛行機はちょっと飛んでもらっては困るというのでストップすることにもならざるを得ないのですね。 そこで、私は聞いているのです。現行法、安保条約、地位協定体制の中で、こんな権限は今米軍は持っているのですか、そう聞いて、いるのです。持っていないのなら安保条約を変えなきゃいかぬかもしれないし、地位協定を変えなきゃいかぬかもしらぬ。持っているのならその枠内での法律をつくれば、それは形としてはできるでしょう。どっちですかと聞いているのです。 橋本内閣が来年の通常国会に、今出そうといういろいろな報道がありますね。それにかかわる重要問題ですから、きちっとした橋本政権の法見解をお聞きしたいんです。
○松永委員長 日米安保条約のことでございますから、条約上のことですから、外務省高野北米局長。
○高野政府委員 まず、周辺事態に対処するに当たりまして、既存の施設・区域のみをもってしては効果的に対処できないことがあり得ることから、米側より、我が国における新たな施設・区域の提供を我が国に対して要請越すことはあり得ることでございます。 その場合に、新たな施設・区域を提供するか否か。我が国については、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態の拡大の抑制及び事態の収拾のため、日米が効果的に対処することが我が国の平和と安全を確保する上で極めて重要であるという観点、あるいは既存の施設・区域や自衛隊施設の能力、あるいは施設・区域の提供に伴う我が方の財政等の負担や近隣への影響等について総合的に勘案し、かつ主体的に判断することでございます。 なお、現在の安全保障条約に基づきます地位協定には、今委員のお尋ねの航空交通管理の問題に関しましては、地位協定の第六条におきまして、日米両政府の当局がすべての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系について緊密に協調してこれらの発達を図るという規定がございます。 それから、同地位協定の第五条におきましては、我が国の飛行場の使用に関しまして一定の出入ができるという規定がございます。 このほか、地位協定二条におきましては、施設・区域、いわゆる基地でございますが、これの提供に関する規定がございます。 以上でございます。
○木島委員 端的に、地位協定五条で米軍には我が国の民間空港・港湾に出入権がある、そう答えていただければそれでいいのです。 米軍には、地位協定五条で、日本の民間空港・港湾に入ることができることは確かに認められています。しかし、私が一番問題だとして質問しているのは、入ることはいいでしょう、しかし、民間の飛行機、また艦船、貨物船その他、それを排除するような形で優先的に、米軍が必要と思えばそこのけそこのけという彩で入る権利を米軍は地位協定五条で持っているのか、そこがポイントなんです。わかりますね。 排他的にまた優先的に、民間に対して優先的に、民間に対して排他的に、米軍が必要なときには入る権利を地位協定五条は与えているのか、そこがポイントですから聞いているんですよ。その一点について答えてください。
○松永委員長 外務省高野北米局長、今の点をはっきりと、わかりやすく答弁してください。
○高野政府委員 先ほど申し上げました地位協定第五条に関しまして、その規定を読まさせて……(木島委員「読まなくていいです。もう私、持っていますから。ここにありますから」と呼ぶ)はい、出入することができるということが認められております。 当然のことながら、その出入の際に、日本側の関係当局との調整が行われることは当然でございます。
○木島委員 排他的、優先的権限を持っているのかという質問に対して答えられない。そして、調整を行うという答えだということは、要するに、排他的、優先的権限を米軍は持っていないということを意味するんです。(発言する者あり)いや、勝手な解釈ではないんです。 一九七一年二月二十七日、政府の統一見解というのがあるんです、この問題で。それから、一九七三年、外務省条約局とアメリカ局がこの地位協定の問題についてかなり綿密に精査した、あるんです。これを全部読んでも、排他的、優先的権限はないというのです。それはもう、法制局長官、黙っていますが、ないというのです、これは。公権解釈ですよ。そこで私は最初の質問を聞いたのです。 今の地位協定にはそんな権限、米軍はない。しかし、このガイドラインを全部精査すると、これを完璧につくろうと思ったら、どうしても民間の飛行機や艦船や貨物船その他排除しなければ、やはりやれないということになるんですね。そこで衝突が起きる。さてどうするんですかということを聞いているんです。 要するに、そういうことはやりません、民間の飛行機や艦船が優先です、管理権は全国の飛行場や港湾は国が持っていたり地方自治体が持っていたりいろいろあります、承知しています、しかしその管理権を脅かすようなことはしません、日本の政府、自治体の管理権の枠のもとでやらさせていただきます、そういう取り決めを新ガイドラインでアメリカとの間でやってきたのですか。そうじゃなくて、それを突破しようということで取り決めをしてきたのですか。はっきり答えてください。
○久間国務大臣 それを突破しようとかそういうようなことでやっているわけじゃございません。ただ、そういうような事態になったときに、周辺事態といえども我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合なんですから、そういうときにどういう形でそういう協力ができるか、それをこれから先詰めていかなきゃいけないということで先ほどからたびたび言っているわけでございまして、委員が今御指摘されましたような、そういう問題点があることも十分承知をいたしております。 そういう中で、どういう形で実効性ある体制が築けるか、それを我々としてもできる限りこれから先努力していかなきゃならない、そういうふうに思っているところでございますから、無理難題という形でえいやとやるような、そういうことをやろうと思っているわけじゃございませんので、どうぞ、まあひとつ我々の立場も理解しながら御協力していただければありがたいと思います。
○木島委員 そこで、改めて私は、周辺事態というのは何か、どういう場合かというのは本当に大事だと思うのです。私はもう当然の前提にしていますし、新ガイドラインを読めば明らかですが、周辺事態というのは日本に対する武力攻撃がないときなんですよ。それから、日本に対する武力攻撃が差し迫っている状況がないときなんです。全然日本の国が攻められるような状況がないときの概念として、周辺事態という概念をつくり出しているのですよね。それで、先日我が党の志位委員から、それはアメリカの戦略、思惑で始まってくるという指摘もしたし、アメリカというのは、ならず者国家論を立てて、もう自分の国益優先でどんどんどこへでも入っていく、それに日本は反対したこともないということも指摘をさせていただいたのです。 そういう状況であるわけですよ。日本が攻められたときじゃないのですよ。そんなときに、非常に大事な役割を果たしている日本の全国の港湾そして空港、これを全部、おい、米軍が優先権なんだ、おまえたち出ていけというような、そんな権限を与えたら間違っていると思うのですよね。それで私はいろいろ質問をしているわけであります。(発言する者あり)調整してということも聞こえてきますが、調整不能のときにどっちが権限を持つかというのが大事なところなんですよ。 調整が不能になることが大いにあり得るということで、例えば、周辺事態、こういう場合が周辺事態だったらどんな状況が発生するかについて、いろいろな例があると思うのですが、湾岸戦争のときが一つの参考になると思うのです。もう実際上調整不能になるということをそれは示していると思うのです。 いろいろ資料があるのですが、例えば「湾岸戦争砂漠の勝利」という本がありますが、これによると、あの湾岸戦争で、米空軍機が、戦闘作戦機、支援機合計千百五十九機を出しています。基地名がはっきりしているところだけでも、十の基地に配置されています。エアフォース・マガジンという本によると、アメリカ空軍だけで千三十一機が戦域に配備されているのです。大体、一つの空軍基地に配備できるのは、通常五十機から百機と言われています。したがって、周辺事態で湾岸戦争規模の動員をもしアメリカがやったときには、もう米軍基地や自衛隊基地で受け入れ切れないことは明らかです。ちなみに、現在、嘉手納基地に常駐機は八十五機です。三沢基地の常駐機は六十八機です。 そこで、さらに、湾岸戦争でどれだけ米軍機が離発着したか。九一年一月十七日から二月二十八日までの四十三日間に十万八千八十二回ですよ。一日平均二千五百十三回ですよ。これが離陸ですから、着陸はその倍ですから五千二十六回となり、最近アメリカから日本の民間空港十一について使わせろという要求が出ているやの新聞報道もありますが、仮にそれが事実として、仮に米軍が要求する十一の民間の飛行場でこれを消化しようと思ったらどうなるか。一日四百五十六回、三・一五分に一回の軍用機の発着になるのです。真夜中もそうです。仮にこの倍の二十二カ所の、嘉手納とか三沢とか自衛隊の飛行場とかも含めて、日本の民間飛行場、合わせて二十二の飛行場からこの回数離発着すれば、一日一カ所二百二十八回、六・三分に一回ですよ。完全に、これをやられたら日本の民間飛行機、排除でしょう。 同じことは港湾でも明らかだと思うのです。 米軍の戦略研究を続けてきているマイケル・クレア氏という人がいるのですが、彼が書いた本によると、湾岸戦争で派遣された米軍艦の数は百六十五隻です。横須賀を母港とする米艦船は十一隻です。佐世保には八隻です。湾岸戦争並みの周辺事態になれば、国内の米軍の港、自衛隊の軍港だけじゃなくて民間の港湾にも、米軍艦とともに、米軍艦が入るということは物資補給のための輸送船も入ってくるわけですから、民間港湾が機能麻痺することはこの数字を見てももう明々白々。あんな湾岸戦争のようなことを考えなくたって、重大な影響を与えることは明らかではないのでしょうか。 日本が攻められているわけじゃない周辺事態において、私は、間違っても米軍に民間の空港や港湾の優先的、排他的な使用をさせることを、今どうも政府の答弁はあいまいでありますが、こういう湾岸戦争の実態から見てもアメリカは要求してくるわけでありますから、これは日本国民の暮らし、そしてアジアの平和を守るためにも、そして、もしそんな事態になったら物流は全部とまるわけであります。人の移動もとまるわけでありますから、日本経済、本当に重大な、深刻な打撃を与えることは明々白々。アメリカのそういう不当な要求はきっぱりと拒絶する、民間飛行場と民間港湾の管理権は絶対に日本が守り抜くと、総理、これは日本国民の代表として堂々と答えていただきたい。
○橋本内閣総理大臣 お話は承りました。その上で、私はこの国の安定、安全を確保していく上で日米関係が極めて重要だと考えておりますし、その基盤をなす日米安全保障条約というものは非常に大切な役割を果たす条約だと考えております。そしてそれを有効に働かせるために、そしてそれが実効あらしめるためにも、私はガイドラインは必要だと判断をいたしております。 議員がるるお述べになりましたお考えは、議員のお考えとして拝聴をいたしました。
○木島委員 現行安保条約にも地位協定にもない米軍の権利をこのガイドラインを一つのステップにして拡大する、その一つのあらわれに民間港湾や飛行場をやはりさせてはならぬ。総理は最後までそれを答えませんね。きっぱりとそれは拒絶すべきだ、日本経済のためにも拒絶すべきだ、国民の生活のためにも拒絶すべきだ、そしてアジアの平和のためにも拒絶すべきだと。答えないところに非常に危険性が大きいということを、この問題でも私は指摘しておきたいと思います。 そういう全国各地の民間港湾や飛行場も現実に、これも新ガイドラインの先取りであるかのように、一斉に米艦船や飛行機が入ってきているでしょう。小樽もそうですわ。そういう状況が生まれているということを、私は警告を発したいと思うのです。 それで、では次に、これは地方自治との関係を聞きます。 先ほど言いましたように、日本の多くの民間空港や港湾の管理権者は地方自治体がなっているわけであります。地方自治体の基本的な責務は、そこの地域住民の福祉、暮らし、これを守り抜くことだと思うのです。こういう地方自治体の立場から、自治体が、主権者である住民の意思に沿って、こういう周辺事態に自分の管理する飛行場や港湾を使わせるわけにはいかぬと。いろいろな理由はあるでしょう、いかぬ、あくまでもそれは拒みたいと拒み続けた場合、橋本内閣として新しい法整備をして、そんなのだめだ、米軍の優先的、排他的使用を認める仕組みをつくって、そういう地方自治体の基本的な立場をひっくり返す、そういうお考えを持っているのか。そんな考えはさらさらありません、地方自治体の権限はきちっと守りますという立場に立つのか。 この問題での総理の現在の御見解を聞かせていただきたい。
○久間国務大臣 地方自治体との関係で、どういうふうにしていけば、いわゆる今度のガイドラインを実効あるものにするのか、まさにその辺についてもこれから先議論をしていかなければならないわけでございまして、地方自治体の意向を全く無視する形でやってしまうというような、そういうことではなくて、あくまで地方自治体が協力しやすいような、そういう状況を早くつくりたい、そういうふうに思っているところでございます。
○木島委員 聞くところによりますと、橋本総理の弟さんの高知県知事は、非核神戸方式、米艦船が核兵器を積んでいないということの証明がなければ高知の港その他には入れたくないという、そんなことを考えているということを報道でも耳にしております。管理権を持っている多くのところは自治体でありますから、もう万々が一にも、その自治体の基本的な権利を、新ガイドラインのこれからのいろいろな法制化作業に向けてじゅうりんするようなことは断じてならないということを重ねて私から要求をしておきたいと思います。 時間も差し迫っておりますから、第三点、一言だけこれは聞いておきます。 周辺事態における日本の協力についての財政問題であります。 新ガイドラインは、周辺事態において日本側がとる活動を三分類しております。一つは、日本政府が主体的に行う活動。二つは、米軍の活動に対する日本の支援。後方支援というのはこの中の重要な部分です。そして三つが、運用面における日米協力という言葉が使われております。これは英文を読みますと、ごまかした言葉でありまして、日米共同作戦、そういう問題であろうと思いますが、まあともかく三つに分類している。 これらの行動をもし本当にやろうと思ったら、それこそ莫大な、天文学的な費用がかかると考えられます。しかし、この大事な財政問題、アメリカと日本の金の配分問題、一言も新ガイドラインには書かれていない。異様な感じがします。 新ガイドラインでは、こういう日本の行う米軍への協力あるいは共同行動、これにかかる金、米軍へ日本の物資を補給するというのもあるのですから、補給するというのは日本のものを米軍にくれてやるということなのです。輸送じゃない、補給ですからね。そういう金、こういう財政負担はどのように日米両国間で合意されているのか。端的に答えてください。
○久間国務大臣 今度の本文を読んでいただければわかりますけれども、今回のガイドラインの作成に当たりましては、法律上及び予算上、行政上の義務を課すものではないということを書いておりますので、それはこれから先、必要な場合には当然予算を組んで国会の御審議を得てやるわけでございますけれども、今のところ、そのようなガイドラインをつくったからといって予算が急に膨らむというような、そういう前提によって議論をしているわけじゃございませんので、御理解賜りたいと思います。
○木島委員 終わりますが、最後に。 私が聞いているのは、ここにこうやったときに、予算措置を今義務づけられていないと。それは当たり前で、そういうことを聞いているのじゃないのです。こういう大枠をつくったときに、じゃ、米軍の行動を日本が支援する、そういう支援の金はアメリカ持ちなのか、日本持ちなのかということですよ。機雷掃海のように一緒になってやる、こういう場合はどういうふうに財政を折半するのか。ここの大枠について、これは大事なことです。これから予算措置があるかないかの話じゃない。 この根本の大事なところについて日米間で協議があるのか、あるいは、大事なことだけれども国民と国会には出せないから伏せているのか。答えてください。
○久間国務大臣 決して伏せているわけじゃございませんで、例えば、我が自衛隊が自衛隊の運用として行う分は自分の予算で従来どおりやるわけでございまして、それは別に問題ないわけでございます。 また、確かに今度の問題で、これから先ACSAをどうするかという問題は出てくるかもしれません。しかし、それについては、現在そういうボリュームがどれだけになるかというのは全く予想できないわけでございまして、周辺事態といっても、どういう事態が発生するか、それすら特定しているわけじゃございませんから、これらについて、予算上どういうふうになるということはなかなか言えないわけでございます。
○木島委員 終わります。
○松永委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。 次に、上原康助君。
○上原委員 きょうの質問者のしんがりになりましたが、かわりばえのない質問になるかもしれませんが、総理初め、きょうは、できましたら、二、三の大臣にもお尋ねをさせていただきたいと思います。 今も、新ガイドラインをめぐる疑問点あるいは懸念のことについて共産党さんの方からお尋ねがありましたが、私たち社民党は、やはり日本有事も、日本周辺事態も起こらない、平和で安定した北東アジアというか、関係、そして世界の環境づくりを積極的に進めていきたい、こういう立場で、ガイドライン問題についても与党協議でいろいろと議論をさせていただきました。 そこで、その点についてはいずれ具体的にお尋ねする機会もあるかと思いますので、積極外交を進めていく上で、今、橋本内閣は内外政策、本当に大変な御苦労をなさっておられる。重要問題が山積をいたしております。 我が国と隣国である朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮において、この四、五日、重大な変化がございました。この北朝鮮の新しい指導者が、新しい指導者というよりも、総書記に金正日氏が就任なさったということは、我が国との外交あるいはアジア外交、国際的に与える影響も大ぎいと私は思うのですね。 とりわけ日朝間の国交を早目に回復して、正常化といいますか、国交が成立をして、北東アジアの平和と安定、なかんずく、このガイドライン問題が持ち上がった背景には朝鮮半島情勢があったと思うのですね。それをいい方向に持っていくためには、やはり日本政府の果たすべき役割も大きいと思うのです。 その意味で、最近のこの動きに対して、橋本総理あるいは小渕外務大臣の御所見を聞かせていただきたいと存じます。 〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
○橋本内閣総理大臣 外務大臣から補足して御説明をいただきたいと思いますけれども、八日、金正日氏が後継者として総書記推戴ということを公表されました。これは、私、率直に申しまして、結果がどう変化をするのか、私自身では読み切れておると言える状況ではございません。我々としては、この状況は注視していかなければなりませんし、一方において、ようやく審議官級の対話まで行える状況になりました北朝鮮との関係におきまして、より健全な方向を目指しての努力というものは、当然のことながら外交上我々として続けてまいります。 その上で、私どもの間にはさまざまな課題があることも議員御承知のとおりであります。同時に、我々が、朝鮮半島全体が統一された平和なものとして存在をすることを理想といたします、これは当然のことでありますから。韓国とも緊密な連携をとりながらこれからを進めていかなければならないことも事実であります。 一方では、例えばノドン・ミサイル等の実戦配備等々、我々が確認し得ない情報も飛び交っております。それだけに、私は、韓国、中国を含めまして、いわゆる四カ国提案というものが動きそうになっては実現がなかなかしないという状況でありますけれども、やはりこの四者会談というものが早期に開かれる状態があってほしい。同時に、日本としても、原子力の脅威を取り除くという意味でも協力をしてまいりましたKEDO、これに対しての協力を積極的に取り組んでまいりたいと思いますし、こうした日本側の気持ちに北朝鮮側も建設的な対応をしてくれることを願っております。
○上原委員 もちろん、日朝間にはいろいろ解決を図らねばいかない、あるいは改善しなければいかない課題があることは、私も承知をしているつもりでございます。国民感情としてもいろんな御意見があることも、ある程度理解をしているつもりであります。 そこで、昨日のNHKの討論会で、外務大臣は、かなりこの金正日書記の総書記就任を歓迎しておられるように私は承りました。また、これを機会に、懸案であった食糧援助を、もちろん国際機関を通しての前提がありますが、積極的に、三十四億相当分ですか、やる。あるいは、これまた長い間の懸案であった日本人妻の里帰り問題も、第一次として今前進をしようとしておるやに聞いております。 そういう意味で、従来、いろんな国民感情があるにしても、どうも日本の外交というものは、扉、ドアの入り口に大きな石を置いたりあるいはかぎをかけて、やろう、やろうと言っても、なかなか相手も扉を開かないと思うんですよね、心をね。この際、この機会に、朝鮮半島の平和と安定ということが我が国にとって重要な外交課題で、どうしてもやらねばいかない、できればこの二十世紀に国交回復をやるという、正常化に持っていくという、私は壮大な外交課題だと思うんですね。 こういうことについて、KEDO問題いろいろございますが、そのほかにも、実例を挙げては申し上げませんが、こういうことに対して、小渕外交はどういうふうにおやりになろうとするのか。今総理からも御答弁ありましたが、それを基本におやりになるとは思うんですが、御所見を聞かせていただきたいと存じます。
○小渕国務大臣 総理から既に御答弁をいただいておりますけれども、私自身も、国連加盟百八十五カ国の中でただ一カ国、日本との国交が持たれていないところでございまして、そういうところがこの日本周辺に存在するということは、不正常な状況であるということは認識をいたしております。 そういった意味で、九一年に八回にわたりまして正常化交渉が持たれましたが、突如、李恩恵問題、こういうことに相なっておりますが、一方的にこの交渉が中断をいたしておりました。今回、予備会談を持ちまして、第九回目を可能な限り早い機会に開催する努力を、お互い認識をいたしております。 そうした中で、今御指摘のありましたように、国連を通じましての支援の問題もその方向に進んでおるわけでありますし、またさらに、報道によりますれば、前回、五十万トン米を提供いたしましたときにはその反応も相当の期間存在をいたしておりませんでしたが、今回は直ちに朝鮮中央通信が、国内向けということでありますけれども、我が国の対応につきまして、首相である橋本総理大臣を中心にいたしまして閣議で決定をいたしたことを報告し、かつ感謝の意が表せられておるというようなことでございますので、何らかの意味で、相手方も日本との関係を正常化する努力に向かっておるのではないかという認識をしつつ、努力を続けてまいりたい、こう考えております。
○上原委員 それで、これは私の要望でもあり、また社民党の考え方でもあると思うのですが、政府間レベルの、いわゆる国交回復に向けて、正常化に向けての、今予備会談ということでしたが、既にこれまでもなされているわけですから、これを改めて積極的に展開していただきたい。 それから、食糧援助にしましても、従来、今も御発言が後ろからありましたが、そういった国民感情もあって、米国やあるいは韓国も積極的におやりになっていることに対しても、日本は慎重であった。私は、この際そういうことを積極的におやりになっていただきたい。そのことが、朝鮮半島の平和と安定に大きく寄与することになると思うのですね。 同時に、これは、米国とも韓国とも中国とも、四カ国会談というのは私たちもぜひ成功させたい、成功させるべきだと思いますので、そういうことについて、これは総理からでもよろしゅうございますが、日本外交が、日本国の顔が見えるような、私たちの言葉で言うといわゆる積極平和外交というのか、それを展開していただいたらどうかと思うのですが、その点についての決意をお聞かせ願いたいと存じます。
○橋本内閣総理大臣 クリントン大統領、金大統領連名で四カ国会談が提唱をされましたとき、日本は、いち早くこれに対して賛成の意思を表明しました。その後、複数の国から、日本と自分の国もこれに入って、この四者ではなく、六者あるいはなお複数の会合を提起されたところもございます、といったような御議論がありました。 私は、やはり朝鮮戦争の当時の当事者として、米中両国が韓国、北朝鮮に加わり、その四カ国で話し合うことが一番成功の近道とその時点で判断をいたしました。そして、日本にとりましては、現在正常なる国交関係を持っておらない北朝鮮との間におき、その四者会談に日本が加わりたいと言うこと自体が、せっかく進もうとする四者会合の妨害になることを私は恐れました。 同時に、日本と北朝鮮の間には、北朝鮮側もさまざまた言い分をお持ちであります、我々も幾つかの課題を持っております。こうしたものを正常な外交ルートにのせて話し合える状況をつくるために一年半かかりました。そして、これから先、私は、そのルートが拡大し、より正常な国交をつくり上げるために外交上の役割が大きくなる、そういった状況をつくるために努力をいたしたいと思います。
○上原委員 今すぐ日本が四カ国会議に参加するというのはなかなか、相手側のこともありますから、いかないと思うんですが、しかし、米国や韓国、中国とよく協議、相談をしながら、朝鮮半島のいわゆる南北間の和解、平和や統一に向けての環境づくりを日本政府が積極的にお手伝いをするということは私はできると思うんですね。そういうことをぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 それで、外交問題ですので、次に、対人地雷のことについて、外務大臣あるいは総理でも結構ですが、もう少し。 先ほども民主党の鳩山幹事長さんの方からお尋ねがありましたが、今の段階でイエス、ノーを言えないという、お気持ちはわかるけれども、これは、今、十二月の国際会議に向けて署名というか、合意しないと意思表示をしているのは、わずかにアメリカと中国ですね。ロシアも、この間エリツィン大統領がフランスで、これは人道上もやりたい、こうおっしゃっているわけです。 何か我が国は非常に長い海岸線があるから、対人地雷については必要性を防衛庁や軍事問題の専門家は説いているようだが、まさか我が国に、海岸線にみんな地雷を敷設するような事態というものを想定してやるということじゃないと思うんで、私は、こういうことについて日本がもっと積極的に、やはり人権とか人道とか平和とかいうものを、アメリカやどこかの顔色をうかがうような印象を他国に与えるというのはよくないと思うのですよ。 地球温暖化条約問題だってそうなんだ。そこに、自民党さんというか、そういう今の内閣の外交姿勢なり考え方に相当温度差があるんでね。この問題については私は、積極的に日本はやはり他国と歩調を合わすべきだと思うんですが、改めて外務大臣の御所見を聞かせていただきたい。
○小渕国務大臣 先ほど鳩山委員にお答えいたしましたのは、現時点におきまして、私自身もまだ、政府部内における関係各省庁との話し合いが終結しておりませんので、大変申しわけありませんが、当委員会におきまして、現時点でイエス・オア・ノーを申し上げることはできないと申し上げたわけでございます。 お言葉でございますが、私ども、アメリカの考え方にそのままに従うということでありませんで、日本は日本として独自の考え方で対処しなければならない、そういう考えで現在取りまとめさせていただいておりますが、国内外の世論の動向もかなり、この問題につきまして、先般ノーベル賞受賞者がこの問題で誕生したというようなことにもかんがみまして、いろいろと変化をしてきておるのではないかと思っております。 私どもとしては、日本の安全ということも考慮しつつ、かつまた国際的にこの対人地雷がいろいろ人類の悲劇を起こしておるということにかんがみまして、日本としての対応につきましては、先ほども申し上げましたが、十二月三日までに結論を出さなければならないので最大の努力をしていきたいと思っております。
○上原委員 期待をいたしておりますが、これは、地雷を禁止する国際キャンペーン、ICBL、NGO団体が九七年のノーベル平和賞を受賞したということ、またその代表である、しかもアメリカの方なんですね。そういうことを考えますと、やはり日本がこれにどう対応していくかということは、国際的にも注目をされておりますので、国民の期待に沿うように、ひとつ特段の御努力を強く総理並びに外務大臣に要望を申し上げておきたいと存じます。 次に、私は余り、こういうのは不得手なのですが、景気対策について少しお尋ねをさせていただきたいと思うのです。 この予算委員会で相当議論がありましたように、最近の国民の受けている景気の状況については非常に深刻なんですね。大蔵大臣、おわかりのとおりだと思う、各関係閣僚も。これは、中央、地方を問わず大変な状況になっている。したがって、自民党さんも、与党としても、この景気対策をどうしていくかということを今真剣に検討して、二十日くらいにも一定の方向を出そうとしているように伺っておりますが、景気は、やはり消費不振から予想以上に落ち込んでいると思うのです。企業心理も非常に萎縮しておる。 そこで、ある面では、総理初め大蔵大臣、内閣全体として、非常に御苦労があると思いますね。一方では行財政改革を断行せにゃいかぬ。そして、景気対策を両立させて、日本経済を活性化させるという面では、非常にジレンマ、二律背反みたいな関係にあるので、容易でないと思うのですね。 ただ、そういう状況の中でも、やはり内需主導型の経済への構造改革をどう本当にやっていくかということが、これは中期の課題でもあり、当面の課題でもあるかと私は思うのです。要するに、もう少し、行財政改革もやりながら、ポリシーミックスを考える上で、何かの対策を考えないと、私はこの事態というものは容易でないと思うのです。 そこで、消費不振を打開するには、やはり所得税減税をやらにゃいかないのじゃないかという意見もだんだん強くなってきておりますね。特別減税が去る四月から打ち切られました。一方において、消費税は三%から五%になった。そのほかの支出も国民には多く求められておる状況であります。 そういうことで、要するに、赤字国債をなくして二〇〇三年度までにGDPの三%まで圧縮するということと同時に、国債発行をゼロにするというこの二つを、両刀を進めようとするわけですから、なかなか財政を出動させての景気対策というのがとりにくい状況に今あるかと思うのですね。だが、ここは何とか国民の期待にこたえて、政府として、あるいは与党としてやっていかにゃいかない重要な課題だと思うのですね。 こういういろいろの意見について、政府としては、当面の景気対策をどのように進めようとしておられるのか、ぜひ、国民の皆さんが少し安心感を持つように、お答えをいただければと思います。
○三塚国務大臣 せっかくの上原委員の丁寧な御質疑でありますが、ここは集中三カ年の財政構造改革を基本どおり忠実に実施することによって、二十一世紀は明るい展望に転回できることだけは確信が持てます。 確信が持てる理由は、ただいま五百二十兆という国、地方の債務がございます。五・二が平均金利というふうになりますが、仮にこれを金利計算をいたしますと二十六兆円、こういうことになります。元金は返還不能で二十六兆円、こういうことであります。これが雪だるま式になっていきますと、御案内のとおり、国家は行きどまりになりまして、大変な困難がそこに待ち受けております。 かつて総理とともに国鉄改革をやりましたときは、スケールは小そうございますが、まさに運賃収入で利払いが不可能になったところから、民営・分割化への決断をせざるを得なかったわけでございます。この轍を国家が踏みますことは、後世に対する我々の責任いかんということになります。 耐えがたきは耐えながらやり抜いていくということでお互いの知恵の結集を、そのために何があるかということで知恵を出し合いながら正常な姿にこれを導いていく。それが、旧来の陋習のしがらみにあります規制という問題について、撤廃、緩和ということに大胆に手をつけてまいりますことが、ニュービジネスのチャンスを与えることになります。 地方と中央との競合、兼ね合いの中でうまく回転をしていくということだけは、今日、橋本内閣スタート以来、行革、規制緩和を真剣にやり抜いた結果として、いわゆる民需主導型の内需が定着をしておるということだけは、数字が明確に示しておるところであります。 よく見てやってください。いわゆる経常収支は、貿易・サービス、それと現地展開をしております所得収支というのがあります。利子配当。これを合わせて経常収支というわけでありますが、これを正しく読み込んでいただければ、確実に日本経済はこの厳しい中において前進を続ける兆しがあり、それを大事に押し上げていくことによって目的が達成される、こういうことでありますので、なかなかもって、減税という特例公債を原資とせざるを得ない手法は、財政構造改革という観点からとり得ないということだけは御認識を賜りたいと思います。
○上原委員 三塚大蔵大臣のその御高説は、春の本予算審議のときから相当聞かせていただいております。また、その御心境や御主張もわからぬわけではありません。 だが、円高から円安になって、輸出依存型が、だんだんこれも冷え切るような状況にあると聞かされておりますね、車にしても。金利は超低金利だ。これからまた医療費の改正とかいろいろなものがかさむと、さらに国民の懐は寒々としていく可能性もある。 ですから、難しい数値のこととかそういうことは、時間もありませんし、挙げられませんが、やはりここで、私は、国、地方の財政赤字を二〇〇三年度までに国内総生産いわゆるGDP比三%以内にするというこの大目標は、今大蔵大臣おっしゃるように、遂行しなければいかない大きな課題だと思うのですね。 だが、これまでのいろいろな経緯を考えても、建設国債はどんどん発行して、赤字国債、いわゆるその他の国債については圧縮する、ゼロにしていくという、また、この矛盾した財政運営というのか、いろいろな面でも問題があったのではないのか。ですから、あらゆる面で総合的に節約をしながら、どう財源を見つけるかということを含めて、景気浮揚対策というものを橋本内閣でやっていただかないと、これはやはり政治も経済も生き物ですから、困る面が出てきはせぬか、懸念をいたすわけであります。 総理の御決意を聞いておきたいと思います。
○三塚国務大臣 簡明に申し上げます。あと総理から。 土地対策、流動化促進、それと税制全般を御検討いただく、こういうことの中で効果ある対策を立てていかなければならぬ、こう思っております。
○橋本内閣総理大臣 大蔵大臣、今税に触れられましたが、税制も含めましてさまざまな手法を考えていかなければならないという御指摘は、私はそのとおりだと思います。同時に、大蔵大臣からるる申し上げましたように、所得減税のような大きな財源を我々は持っているわけではなく、そのための赤字国債の発行ということだけは断じてやってはならないことだと思っております。 今後、さまざまな手法を組み合わせていきます中に、構造改革等ともあわせまして、私どもなりに一生懸命に努力をしてまいりますが、よきお知恵がありましたならぜひおかしをいただきたい、心からお願いを申し上げます。
○上原委員 これはお言葉を返すつもりではないのですが、景気対策というと、すぐ土地の流動化政策とかあるいは規制緩和。私が国土庁長官をしているときも、あのときはまだ土地規制が、もっとやりなさいという方々と、緩和すべきだということで、いつもそれは議論になるのですが、しかし私は、土地問題を流動化させるだけで今の景気の冷え込みというものがそう簡単によくなるとは思いません。 それともう一つ。赤字公債発行は、もちろん社民党も私個人も、すぐそれに結びつけてやれと言っているわけじゃありません。そこに難しさがあり、しかし、そういうことを打開するのが政治であり、内閣の行政権限者の責務だと思うのですね。そういう知恵を与党として出さねばいかないということだけ強く申し上げておきます。 〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕 次に、地球温暖化問題について若干聞いておきますが、時間がありませんので、どうも政府がおつくりになった十月六日の案というのは、EUあるいは各国から非常に不人気ですね。いろいろ意見がある。これも先ほどのこととちょっとダブるので恐縮なんだが、やはり何かアメリカの意向を強く聞きながら、こういう温暖化問題もやっているのじゃないかという印象を与えてしまっているのじゃないかと思うのですね。 六月二十三日、ニューヨーク国連本部で橋本総理がなされた国連環境特別総会における演説、なかなか御立派ですよ。こういうことを前提にするのならば、二〇一〇年五%、あるいはそれにいろいろ、何といいますか、緩和的な措置を講ずるというようなことは出ないのじゃないかと思うのですね。 やはりこの環境問題CO2問題というものは、国際的注目の中で、しかも我が国が議長国となって京都で会議が持たれる。そういう意味で、何か聞くところによると、環境庁と通産省がいろいろ意見をバッティングさせているというような報道もあるが、私はそうは思いませんが、そうは理解しませんが、ぜひ内部で調整をして、国際的な期待にこたえるようにやっていただきたい。これは、時間がありませんので、総理の御見解を聞かせていただきたいと存じます。
○橋本内閣総理大臣 これは、私は、大変申しわけありませんけれども、実態はぜひお聞きをいただきたいと思うのです。 CO2の削減策、これは、省エネ法の強化を通じて産業部門におけるエネルギー原単位を大幅に改善すること、あるいは自動車の燃費を二〇%以上改善すること。繰り返し申し上げてまいりましたけれども、国民の暮らしに直結する部分でも、冷暖房の温度をあるいは二十八度以上二十度以下とかお願いをするようなこと。そして、新たなエネルギーをどう供給するかということになりますと、新エネルギーの供給を現行の三倍にふやしましても、ようやく原子力発電所二十をつくり、CO2の量をゼロにできるかというぐらいの状況のものであります。技術的にはそうなんです。 そして、技術開発に何%を読み込むか。二%を私は積み上げました。あるいは、メタンガス、亜酸化窒素等を含めまして〇・五という、これは計測技術すら実は正確なものがありません。しかし、そういうものも含めてこれに対応しようといたしております。 先日、与党両党首がお見えくださいましたときにも、そうしたぎりぎりの数字で、しかしゼロというわけにはいかない。同時に、先進国の中におきましても相当な意見の開きがある。途上国の間におきましても、産油国と非産油国の間の意見の違いがある。そういう中で、我々ができる努力をし、これをまとめていくために、そうしたことを考えながら、これもよいお知恵があるならぜひかしていただきたい。 外交交渉ですから、手足を縛られてしまっては交渉はできませんけれども、真っ向から食い違う意見を調整していく上で、そうした意味での手法の一つとして、例えば差異化等も取り込んでおりますし、そうしたものもぜひよくごらんをいただいた上で、なおまとめるための御協力を賜りたいとお願いを申し上げたところでありまして、本院におきましても同様、お願いを申し上げます。
○上原委員 総理のお答えも理解いたします。 また、せんだって我が党の土井党首、新党さきがけの堂本党首が、この政府発表について、それぞれの両党の見解も総理にお会いをして提示をしてございますので、そういうことも含めて、なかなか容易でないと思いますね、これ。先進国あるいは発展途上国、また、排出量だってアメリカが一番多い。国が大きいですから、それは、産業、工業が発達しているから当然でしょう。日本だって少ないとは言えない。 それを調整して、まとめようということですから、容易でないということはわかるんだけれども、しかし、こういうのはやはり日本の平和貢献ですよ。国際平和貢献の一部にあると私は思うので、これを日本が積極的にやっていくということが国際的信用を高める、こういうことにつながっていくと思いますので、ぜひ特段の御努力を、これも要望申し上げておきます。 いつも時間がなくて沖縄の皆さんからおしかりを受けているんだが、あなた、何で沖縄のことをもっと言わぬかといって。そこで、残りは沖縄問題をちょっとお尋ねします。 この間も総理にもお尋ねしましたが、私は、普天間飛行場の移転問題というのは容易ならぬ事態に至っているかなという感じを持っております。その是非論について、ここで多く言いません。やはり県内移設、条件移設については限界があるというのが私の認識でもあります。 その上で、もう一度お尋ねしたいわけですが、今政府部内でもいろいろと御苦労なさって、来年一月十八日に市民投票があるので、その結果も待たにゃいかぬでしょう、それは。頭越しにはやらないと、これは総理もこの場でも、この予算委員会でも、あるいは沖縄に行かれても言明をなさったわけですから。一方、沖縄県は、二〇一五年までに基地はゼロにしてもらいたいというアクションプログラムを提示していることも御承知のとおりです。そうしますと、なかなかかみ合わないですよね、政府と沖縄側の意向というのが。 だが、同時に、この海上ヘリが、本当に移設可能なのか、どういう規模なのか、どういう概要なのかも全く公式には明らかにされていないというわけですね。だから物の言いようがないのだ、県もコメントのしようがないのだという意見があるのも御承知のとおりですね。 ですから、この間防衛庁長官かどこかで出ているのは、具体的な実施計画については今、十二月までですか、というわけにはいかないと。これは当然でしょう、実施計画まだ調査中ですから。だが、雲をつかむように、ただ、撤去可能だよ、海上にヘリポートをつくるんだよと、サイズはどのくらいのものなのか、規模はどうなのか、そういうことが政府見解として明らかにされていないところに、なおさら問題を複雑にしている面もありはしないのか。 そういうことについては政府部内ではどのように御検討しておられるか、ひとつお示しができるならやっていただきたい。
○久間国務大臣 確かに、委員御指摘のように、議論が先へ進むようにするためにはそのような概要を示さなければならないということで、今基本的調査をやっておりますので、その基本的調査が本当はきちっと出た方が一番いいわけでございますけれども、基本的調査が最終的に全部終わらなくても、ある程度の調査が進んだ段階でその概要ぐらいはお示しして、議論してもらうようなことが必要ではないかということを内部で検討しておりまして、できれば今月中にそういうことをしたいということで、今作業を進めているところでございます。
○上原委員 それは、撤去は可能なんですか。撤去可能ですか。二〇一五年までに可能にするという、撤去できるという前提がつきますか。
○久間国務大臣 本委員会でも総理からお話がございましたけれども、いつまでにということじゃございませんけれども、撤去可能な施設ということで海上施設を検討するということでこの普天間の議論に入ったというふうに理解いたしております。
○上原委員 こういうのは余り、私もこのことについてはある程度調べたり聞いたりしてはいるのですが、なかなか今おっしゃるような代物ではないと思いますよ、代物と言ったら失礼なのかもしらぬが。もっと巨大な、あるいはもう化け物と言ったらいいのかもしらぬですね。 ですから、総理、外務大臣も、近々沖縄へ行かれるのですか。もっとやはり沖縄県民の気持ちというのを一私は、沖縄を甘く見てくれとか特別扱いしてくれとは一切言いません、今後も。これまでも言ったつもりはないですね。本当に安保の痛み、あるいはこれまでの犠牲というものをわかるなら、私はもう少し、単に経済振興策をやればいいということではなくして、基地の整理縮小なり沖縄側の要求について、どう具体的に着実に、一挙にできないということは私だって知っていますよ、それをやっていただきたいと思うのですね。 ですから、十一月二十一日、この日のことについては私は言いませんが、あれほど、佐藤・ニクソン共同声明路線反対という側と、そうでない、拮抗した中でやった日を政府が式典として選んだというのは、いささか私にとってはいかがなものかと思うが、決まったことについてはとやかく言わないでおきましょう。しかし、持ち方いかんによっては逆効果になる可能性だってないとは言えませんよ、総理、官房長官、沖縄担当の鈴木長官、大臣も。 そういう意味で、この十一月二十一日のことと今後の沖縄振興策、今の基地の問題を含めて、本当に、ただSACOの決定事項を具体的に進めていく、できないものはしようがないということでは私はいかないと思うのですが、改めて総理の御決意を聞かせてください。
○橋本内閣総理大臣 まず、本土復帰二十五周年の節目に当たる年の十一月二十一日、自分はこの日取りを選んだのは気に入らぬという仰せでありますけれども、私どもは、この復帰二十五周年の式典というものを二十一世紀に向けた沖縄の発展の力強い第一歩にしていきたい、そういう願いを込めてやろうとしている式典でありまして、お祭り騒ぎをするのが目的でやろうとしているのじゃないのです。その気持ちはおわかりがいただけると思います。 同時に、振興策と基地を絡めるな。そのとおりです。そしてまた、普天間の例えば跡地というお話がよく出てきますけれども、動かさなかったら跡地の利用もくそもないんです。 そして、知事があれだけ切々と言われた言葉を私は今も覚えております。何とかして普天間という言葉だけでも、クリントン大統領に最初に会うんだから、そのときに出してくれないか、そして、町の中にどんなに危険な状態でこの基地があるのか、おまえも見て知っているじゃないか、言ってくれと言われました。そして、その声にこたえようとして一生懸命に日米両国の政府は考えてきたつもりです。 そして、沖縄県としてのアクションプログラムの年次を二〇一五年に置いておられることも存じております。その上で、いかに動かすか。どこに移せるか。いろいろな声がありますけれども、本土で、それじゃどこかの県で引き受けてやろうとおっしゃってくださった知事さんが一人でもあるでしょうか。知事会、二回、この間からありました。沖縄の問題、二回とも、私、知事会で訴えました。どこの知事さんからも御発言はありませんでした。 そうした中で、せめて一番危険性の少ない海上施設、そして、それが必要がなくなれば撤去できる、そういった道はないだろうか、本気でそう考えてまいりました。残念ながら御理解をいただけないとすれば、私には、これ以上の、率直に申し上げて、知恵はありません。しかし、それと同時に、県との間で御相談をしてきたさまざまな施策をこれからも進めていく努力というものは続けてまいりたいと心から願います。
○上原委員 終わります。時間ですから。
○松永委員長 これにて上原君の質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十七分散会