本会議 第2号
- 発言数
- 20 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1997/10/01
会議録
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。 ————◇————— 議員請暇の件
○議長(伊藤宗一郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。 末松義規君から、十月二日から十一日まで十日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。 ————◇————— 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(伊藤宗一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。中野寛成君。 〔中野寛成君登壇〕
○中野寛成君 私は、新進党を代表して、橋本総理の所信表明演説に関連し、質問いたします。 今、我が国の現状を見るとき、国民の生命と財産と領土を守るという基本的な安全保障に対する国の責任感が希薄であると考えます。国民の不安を払拭し、期待にこたえるためには、この基本的な安全保障観を踏まえた上で、次の四つの安全保障が確立されなければなりません。 すなわち、国民の政治不信の解消、政治のリーダーシップの確立と公正透明な行政の確保などの政治的安全保障、景気回復と経済再建、国民の雇用確保と生活の安定、中小企業の活性化などの経済的安全保障、災害や凶悪事件等に対応した危機管理体制の確立、福祉のナショナルミニマムの確保、教育改革などの社会的安全保障、国連改革とその機能強化、国連の平和維持活動の積極的貢献などの国際的安全保障の四つであります。 私は、この視点に立って、以下の質問をいたします。 まず、橋本総理の政治責任についてであります。 今回の組閣における佐藤孝行氏の問題ほど、橋本総理に対する国民の不信を決定的にした問題はありません。 佐藤氏は、言うまでもなく、今日の政治倫理問題の原点となったロッキード事件で、運輸政務次官としてその職務に絡んでわいろを受け取り、有罪となった人であります。しかも、その佐藤氏は、罪を認めず、逆に激しい司法批判を繰り返してきたことは広く知られている事実であります。権力を利用して犯罪を犯し、そのことを全く反省していない人が、直接権力を行使する閣僚に任命されるなどということは、一般社会では到底許されません。歴代の自民党政権でさえ、この一線を踏み越えることはしなかったのであります。 しかるに、橋本総理は、国民の批判を承知の上で、一度過ちを犯した人はそのレッテルを一生背負っていかなければならないのかと述べ、まさに開き直って総務庁長官に任命したのであります。まさに確信犯なのであります。 しかも、これが国民世論の激しい反発に遭うと、みずから罷免することもなく、だんまりを決め込んで、党内の裏工作により佐藤氏の自発的辞任を演出するというように、責任回避の姿勢に終始したのであります。その証拠に、佐藤氏は記者会見で、総理からはやめてくれとは一度も言われていないと述べております。まさに、最高権力者としては醜態のきわみであります。 私はこのとき、総理をモデルにした自民党のポスターを思い出しました。あの剣道の面は鉄仮面に見えました。日ごろ端正な橋本総理のそのお顔は鉄面皮に見えました。まして、あのキャッチフレーズ、「私は、逃げない。」という言葉は、私は逃げて逃げて逃げまくるに読めました。 国民の強い反発の前に考えるべき善悪の区別もっかず、佐藤氏を任命した判断力の乏しさ。任命後の混乱の中で明らかになった、危機に際しての収拾力のなさ。国民の利益より自民党の党内論理を優先する政治倫理観の欠如。むしろこの際、やめるべきは総理自身だったのではないでしょうか。以前、経済は一流、政治は三流と言われた日本。今は、経済は惨たんたる三流、政治は四流、五流を通り越して橋流に成り下がってしまいました。 我が党は、橋本総理の政治責任を今後とも国会において徹底的に追及していく決意であることを表明するとともに、総理に対し、今回の問題をどのようにとらえ、その政治責任をどうとられるおつもりか、まずもってお伺いをいたします。(拍手) 次は、自民党の悪質な利権政治の問題であります。 けさ、中村喜四郎君への実刑有罪判決が下されました。まことに象徴的です。総理の見識をこの際問います。 一昨年の橋本内閣の誕生以来、自民党は、政権党として国民のための政治を行うという原点を忘れ、与党の立場を利用し、予算や公共事業の配分などを通じ、党利党略むき出しの政治を行っております。昨年は、大型プロジェクトの予算は選挙の結果を考えて配分するべきだとか、予算は自民党議員が多いところに重点的に配分するべきだなどといった議論が公然と行われ、ことしはまた、概算要求の際に、公共事業にかかわる補助金を申請する場合には申請書に小選挙区名を書き込ませるというように、ますますエスカレートしております。また、地方の選挙区においては、自民党の議員を支援しない業者に対し、公共事業の指名から外すことを示唆するということも言われております。まさに、恐怖政治の始まりです。 また、所得税法違反の罪で起訴されている石油卸商泉井被告の政治献金疑惑は、自民党幹部、主要閣僚の名前がずらりと並んでおり、政権党としての利権にまつわる献金疑惑であり、経済と国民生活を支えるエネルギーを食い物にし、国際的信頼をも損なうものであります。 総理が改革を口にするならば、まず政治不信を払拭するべきです。自民党に対し、予算や公共事業などを党利党略に利用する行動を直ちにやめさせるべきです。 我々は、ここで、石油卸商泉井被告を初め関係者の証人喚問を要求いたします。まさか総理も政治献金疑惑の解明を拒否はしないと思いますが、どうお考えでしょうか。 私ども新進党は、このたび、旧来の追いつき型システムの行き詰まり、冷戦構造崩壊後の国際情勢の変化、急速な少子・高齢社会の到来といった内外情勢の変化から制度疲労に陥っている今日の日本を仕組みから改め、二十一世紀に向け、フリー、フェア、オープン、正々堂々、公明正大な社会の創造を目指し、国民を主役とする日本再構築宣言をまとめ、発表いたしました。 我々の目指す社会は、国、地方を通じ、政府の役割を外交、防衛や市場ルールの監視、社会的安全ネットの構築などの必要最小限度のものに制限し、個人や民間の活動に余計な口出しをしない社会であります。国民一人一人が、幅広い、多様な選択肢のある中で、みずからの生き方を追求でき、フェアなルールのもとで、性や身分、財産、障害のあるなしにかかわらず、お互いがフェアな競争をする社会であります。 我が党は、規制の撤廃などによる自由な市場経済を確立する経済構造改革、経済再建と歳入歳出構造の見直しを柱とする財政構造改革、官から民へ、中央から地方への権限、財源の移譲や、事前介入型から社会的共通ルールの監視など事後的監視型の行政への質的転換などを柱とする行政改革、基礎年金、高齢者医療、介護などの主要財源を消費税をもって充て、それによって制度の安定を図る社会保障構造改革など、日本を仕組みから変える構造改革を十年計画で実現することを目指しております。 一方、総理が最重点とされている行政改革は、既に官僚や族議員などの激しい抵抗に遭っております。この一事をもってしても、橋本総理の言われる行革の実行は甚だ疑問であります。 総理が本当に我が国の現状を憂い、真剣に改革に取り組む決意であるならば、日本を仕組みから、根底から変える理念を持った構造改革に取り組むべきであります。総理の見解を伺います。 次に、当面する経済財政運営について伺います。 昨年来の政府の経済財政運営の決定的な失敗は、景気の先行き不安とこれを反映した昨今の円安、株安及び長期金利の低下に端的にあらわれております。先行きを展望しても、住宅投資と公共投資が急減し、消費が低迷する中で、これまで景気を曲がりなりにも引っ張ってきた民間設備投資と純輸出の二本柱についても、今後、趨勢として鈍化の傾向が予想されます。 本年度第一・四半期の国民所得統計速報は、前期比マイナス二・九%、年率換算で実に一一・二%という、第一次石油ショック後、一九七四年以来二十三年ぶりの大幅なマイナス成長となりました。我々新進党がかねてから危惧し、指摘しているとおりの厳しい状況が現実のものとなってきております。 先般、香港において開催されたG7においても、為替の過度の下落に対する警戒感が共同声明で表明されました。急激な円安に示されている我が国経済の先行き不安に対し、各国が我が国に課した内需拡大の催促であることは言うまでもありません。景気の現状を総理はどう認識しているか、お伺いをいたします。 政府の経済財政運営の最大の問題点は、景気に対する診断を誤り、処方せんを間違えて、まるで正反対の治療を施そうとしているところにあります。 間違った認識、すなわち、日本経済は九三年十月を底にその後緩やかな回復基調を続けており、消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動が一時的には出ても景気の回復基調は変わらないなどと間違った認識を相変わらず繰り返しております。このような認識から、政府は、平成九年度予算において、約九兆円にも上る巨額の負担を国民に強いました。その結果、せっかく姿を見せかけた景気回復の芽をこのデフレ予算が完全に摘み取ってしまったのであります。 我々新進党は、平成九年度の予算編成に際し、政府の景気認識の甘さと対応の誤りを指摘し、経済と財政の構造的な改革を断行する環境づくりのためには経済の活性化こそが大前提で、そのための大幅な減税の実施や土地流動化策、証券市場対策などを提案し、その後も繰り返し強く求めてきたところであります。しかし、政府・与党は一顧だにしませんでした。これでは、政府経済見通しの今年度実質一・九%成長の達成は到底不可能であります。それとも、この段階でもまだ一・九%の達成は可能だと言われるのか。景気は回復基調であると相変わらず強弁なさるのでしょうか。御所見を伺いたい。 景気を現状のまま放置して、いたずらに手をこまねいていることは無責任です。G7において表明した不動産の流動化等だけで内需の振興が図られるとお考えか。内外からの批判を切り抜けられるとお考えか。本年度から来年度にかけての景気回復に対する措置をどうするおつもりか。我が国が経済、財政の構造改革へのまさにその端緒につくべき初動段階での政策対応の致命的な誤りまさに橋本内閣がつくり出した政策不況であり、総理の責任は極めて重大であります。(拍手) 経済危機がさらに深刻化し、我が党がこれまで主張してきたような法人税、所得税のネット減税を含む景気対策を打たざるを得なくなった場合は、責任をとって退陣し、政権を我々に明け渡すべきです。その覚悟をお伺いいたします。 我が国経済の低迷は、内外に大きな問題を投げかけております。不況を防止し、金融機関を救済するための〇・五%という異常な超低金利の二年以上もの継続によって、本来家計に入るべき約四兆円と言われる巨額の利子所得が金融機関等の法人へと移転し、個人消費を冷え込ませ、超低金利が資金の海外流出を招いて円安を一層助長し、米国においては空前の株高要因となっております。また、東南アジアにおいては、バブルの資金源となった果ての通貨危機、経済危機となってあらわれております。 内需振興なき経済の停滞が、輸出依存、外需の突出となって貿易黒字の急増を招きました。もし仮に我が国がこのままの形で外需依存を続ければ、多大な悪影響を与え、世界経済に混迷の種までも輸出することになるでありましょう。このままでは、日米経済摩擦の再燃は必至であります。もしこれ以上の円安と経常黒字拡大が進行すればどうするか。G7の声明は日本にとって一体何を意味しているか、明確な答弁をいただきたい。 日米蔵相会議、G7で内需振興を強く要請されることを見越して、政府は慌てて不動産の流動化を言い出しました。しかし、これら土地流動化対策は、証券市場活性化のための有価証券取引税等の撤廃とともに、我が党が既に平成七年以来何度も法案を国会に提出しているものであります。そのたびに、政府・与党は審議を行わず、門前払いにしてきました。経済施策はタイミングを失っては意味がありません。しかも、土地流動化対策といっても、債権の証券化だけ、土地税制については譲渡益課税の是正だけで地価税の廃止には全く手をつけない小手先の措置だと聞きます。総理の明確な答弁を求めます。 一方で、改正外為法がいよいよ来年四月から施行されるに当たり、金融の国際化に備えるための環境整備が必要です。しかし、環境整備はいまだに整っておりません。グローバルスタンダードという観点からすれば、有価証券取引税、取引所税の撤廃は当然であります。 高い失業率の継続、消費税引き上げに伴う物価上昇、実質的な可処分所得の減少。今最も必要なことは、少なくとも二兆円規模の所得減税を実施し、消費意欲を刺激し、生産サイドへの波及効果措置を講じる一方で、あわせて、企業の投資意欲を高めるために、実効税率で一〇%程度の法人関係税の引き下げを実施すべきであります。 総理は、一昨日の所信表明演説の中で、法人税減税を検討することに言及されました。ついに我々の主張に近づきました。しかし、せっかく法人税減税を行っても、課税ベース拡大に伴う増税の範囲内での増減税同額では減税ではありません。我々は、実質四兆円減税を主張します。総理の明確な答弁を求めます。 橋本内閣の政策対応の誤りがもたらした今日の政策不況は、勤労者の生活を直撃しております。失業率は相変わらず三・四%と最悪の水準にあり、中高年の首切り、給与カット、若者の就職難、住宅や教育費、医療費や保険料の負担増による家計への一層の圧迫など、サラリーマンの悲鳴が聞こえできます。 また、競争力の弱い中小企業を中心にさまざまな弊害が発生しております。製造業を中心に空洞化が進み、脈々と受け継がれてきた物づくりの技能、技術が日ごとに失われております。さらに、全国の多くの小売商店がシャッターを閉め、商店街の歯抜け現象が進んでいます。 就業人口の七八%を占める中小企業の危機は、勤労者の雇用の危機でもあります。勤労者の雇用と生活を守り、我が国経済のかなめをなす中小企業の活性化を図るためにも、新規産業創出にねらいを絞った経済的規制の撤廃に取り組むなど、瀕死寸前の日本経済を立て直す大胆な政策を講ずべきであります。 さらに、物づくり基盤技術を振興、拡大するための基本法を制定し、製造業の生命線である物づくり基盤の再構築を図るとともに、地場中小企業の振興、意欲的後継者の育成に努めるべきです。また、小売商業を消費生活のライフラインと位置づけて、町づくり、都市政策と組み合わせ、小売商店の活性化により、中心市街地ににぎわいを取り戻す斬新な施策を実施するよう提唱します。総理の所見を求めます。 次に、総理が一年以内の期限つきで国民に公約している行政改革についてお伺いをします。 先日、総理が会長を務める行政改革会議が、一府十二省庁の中央省庁再編や内閣機能強化に関する中間報告を発表しました。しかし、行革の基本的視点を欠き、総理の行革断行くの熱意を疑わざるを得ません。 行政改革は何のために実施するか。行政が個人や民間の活動に余計な口出しをせず、国と地方の経費を大胆に削減し、深刻な赤字構造から脱却し、財政再建をなし遂げるためであります。 ところが、中間報告のどこを見ても、行政権限や人員を削減する計画は全く見当たりません。その象徴が、中央省庁を一府十二省庁に再編すると言いながら大臣の数を減らさないという、奇妙きてれつな計画になっていることであります。中央省庁再編と言うならば、国の仕事や権限をどのように削減し、国家予算や公務員をどれほど減らすことができるのか、この点をまず明らかにすべきであります。総理の見解を伺います。 中間報告でさらに奇怪なことは、二十一世紀の国の役割、機能について何らの基準もなしに中央省庁再編を大まじめに議論していることであります。 総理は、国の持つ四つの機能について見解を示したと言うかもしれません。しかし、総理がやったことは、国の行政を国家存続機能、国富拡大機能、生活保障機能、文化醸成・伝承機能の四分野に分類しただけであります。分類するだけなら子供でもできます。反省だけなら猿でもします。政治がやるべきは、どの仕事や権限をなくし、残ったものを国と地方でどう分け合うかということを具体化し、実行することであります。 例えば、特殊法人は、国の仕事を肩がわりしているという大義名分で、国の予算丸投げ先や高級官僚の天下り先となり、国民の知らないところで、年間四兆六千億円もの国家予算を補助金や出資金という形で使っています。ところが、橋本総理は、中央省庁再編で大なたを振るっているかのような派手なパフォーマンスの一方で、住宅・都市整備公団や動燃事業団、政府系金融機関などの特殊法人の改革について、結局、自民党行革推進本部の族議員や官僚の調整に専らゆだね、中央省庁による規制や地方支配の権限を温存させております。特殊法人改革こそ今回の行革最大のポイントと言われるのに、政府・与党は、これらの特殊法人の生き残り策を早々と決定し、既に十八の特殊法人について閣議決定しているのであります。 政府と自民党との立場を巧みに使い分け、国民の目をごまかす。この点においても、橋本総理の行政改革のいいかげんさが端的にあらわれております。また、地方分権の問題も、しょせんは同じことでありましょう。 私は、このままでは、十一月の最終報告は、やっぱり単なる看板のかけかえ、機構いじりにすぎない中央省庁再編案しかまとめることができないと思うものでありますが、総理の決意を伺います。 次に、新たな日米防衛協力の指針、すなわち新ガイドラインについて伺います。 冷戦の終結後、アジアの軍事情勢は多様化、複雑化しており、日本はもとより、アジア太平洋地域における日米安保体制の役割と意義は極めて重要となっております。その中で、日米安保体制を一層実効あるものにするため、これまでのガイドラインを見直すことは当然のことであります。 しかし、新ガイドラインについては、幾つかの問題点を指摘せざるを得ません。 その第一は、周辺有事に対する日本の基本的な対処方針が全く示されていないという点であります。 日本は、これまで、日本以外の有事に関しては、すべて米国など他の国任せで、みずからは極めて消極的な対応に終始してきました。PKOですら、いまだ部分的参加にとどまっております。今回の新ガイドライン策定に当たり、日本自身がどういう基本的な外交防衛方針で平和に貢献し、周辺有事に対処するのかを示す必要があります。政府の周辺有事に対する基本姿勢を伺います。 第二に、新ガイドラインは、極めてあいまい、ごまかしが多いという点であります。 まず、周辺事態の意味についてであります。周辺とは、だれが考えても地理的な言葉であります。にもかかわらず、「周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。」という説明だけでは、だれも納得しません。日本の安全に重要な影響を与える事態というなら、世界じゅうの有事で日本に影響を与えない有事はありません。周辺とはどの範囲なのか、日米安保条約で言う極東とはどう違うのか、国民が納得できるよう説明願いたい。(拍手) また、周辺事態における日本の協力を四十項目にわたり列挙していますが、この中には、米軍への弾薬、物資の補給など、これまで憲法上難しいとしてきたものを、戦闘地域と一線を画される地域ならできるとしております。一線を画すとは、何をもって一線を画すのか、現実に果たして一線を画せるのか。協力内容ではなく、戦闘地域との距離で違憲か合憲か分けられるのでしょうか。このようなあいまいな憲法解釈で、現実の事態に対応できるとは到底思われません。 さらに、いわゆる臨検の実施については、国連の経済制裁を前提としておりますが、なぜこの問題だけ国連との関係が出てくるのでしょうか。ましてや、制裁破りで武装していると思われる相手を臨検するには、武力行使も想定されますが、どうするのでしょうか。日本周辺有事では朝鮮半島有事抜きには考えられません。しかし、新ガイドラインでは、在韓国連軍や在日国連軍など国連の諸活動との関係に全く触れられておりません。なぜ日米間で国連協力の議論を避けようとするのか、総理の明確な答弁を求めます。 第三に、このガイドラインは、日米安保条約第六条の基地提供義務の範囲にとどまらず、米軍への広範な軍事オペレーション協力を含んでおり、実質上、従来の日米安保条約の義務を超えるものであります。通常の行政協定とは比較にならない極めて重要な政治文書であることは明らかであります。与党内では三党の意見が一致せず、国会承認の手続をとれば政権の枠組みが壊れることを恐れ、政府は国会承認を避けようとしております。まさに本末転倒も甚だしいと言わなければなりません。 新ガイドラインに伴う国内法整備には、今後、広範な国民のコンセンサスと協力が不可欠であります。もし法整備が実現しなければ、日米安保体制は大きく揺らぐことにもなります。したがって、新ガイドラインをきちっと国会に提出し、国民のコンセンサスを得た上で法整備を進めるという姿勢こそ政治の王道であると確信いたしますが、いかがでしょうか。(拍手) さて、最後に、私は政治家として、今日の社会のありさますなわち、いわゆる世相とそれを反映する幾つかの事件に言及したいと思います。 まず、犯罪の発生率の増加とその凶悪化であります。とりわけ銃を用いた犯罪が増加しており、その手口も大胆になりつつあります。金融機関の現金輸送車が襲撃される事件が多発していることも犯罪の凶悪化を象徴するものであります。 また、けん銃を初めとする銃器と麻薬、覚せい剤等の薬物の市民社会への浸透があります。さらに、悪質な犯罪の低年齢化の傾向が見られ、少年少女が薬物や売春に走り、あるいは集団で暴行を加えるといった事件が私たちの心を曇らせます。現在の経済政策の失敗による不況がこれに拍車をかけていることを忘れてはなりません。 国民の不安を取り除き、犯罪をめぐる新たな状況に対応するため、政治が責任を持って犯罪の防止、摘発、そして犯罪者の処罰、更生といった刑事制度全般も見直すべきであると考えますが、総理にそのお考えがありやなしや、伺いたいと存じます。 私が指摘したい第二の問題は、社会の至るところで見られる倫理の喪失であります。 身近なところでは空き缶や紙くずの投げ捨てから始まって、公共的な入札に関する談合、さらには大手証券会社の総会屋への利益供与に至るまで、それぞれの事件は固有の制度的な原因を有しながらも、それらの根底には倫理観の喪失が共通の原因として存在すると思うのであります。 私は、ここでいたずらに古い道徳への回帰を説くつもりはありません。ただ、その責任の根底は政治家にあることを指摘したいのであります。 その一つの例が、ある政党の公認候補として国民の信任を得ながら、選挙終了後に手のひらを返すように権力政党にくらがえするということは、野党にとどまるならいざ知らず、政治家みずからが、国民を裏切り、利益のための倫理なき行動の範を示しているものと言わざるを得ません。それらの議員をくわえ込んで過半数を制したと喜んでいる自民党に政治的良識を見ることはできません。 また、公選法で確定した有罪を恩赦で切り抜け、さらに収賄罪で有罪が確定した人物を行政権のかなめである大臣に任命するという橋本総理の判断は、政治が国民に示すべき倫理をみずから踏みにじるものであります。これは、日本社会の憂うべき没倫理の風潮を増幅するものであり、およそ国民に対して倫理の面で模範を示すべき民主主義の指導者にあるまじき行為と言えます。(拍手)政治家の倫理のあり方についての総理の見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 中野議員にお答えを申し上げます。 まず、佐藤孝行氏の総務庁長官任命につき、大変厳しい御批判をちょうだいをいたしました。この件に関し、国民の皆様から厳しい御批判をちょうだいをいたしましたが、政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかった、深く反省するとともに、多大な御迷惑をおかけしたことをおわびしたことであります。 今後とも、国民の皆様の声に十分に耳を傾けながら、行政改革を初め、全力を尽くすことによってみずからの責任を果たしたいと考えております。(拍手) 次に、中村議員の判決についての御質問がございました。司法の判決を重く受けとめ、政治倫理などに関する三党の確認に基づいて、政治倫理の確立に向けて、国民の信頼回復に最大限努力をしてまいりたいと考えております。 次に、予算や公共事業及び泉井被告の証人喚問など、政治不信についての御質問をいただきました。 予算の配分、執行は、その政策目的などに照らして厳正かつ公正に行われるべきものでありますし、そのとおりに行っておるものであります。 また、泉井被告の証人喚問などというお言葉を使われましたが、これは国会で本来お決めいただくべきものと理解しております。その上で私は、国民の政治不信の払拭のためには、政治家が常に自戒し、襟を正さなければならないと考えており、その意味で、明らかにしなければならないことは、適切な場において、政治家みずからの判断で明らかにされるべきものと考えております。 次に、日本を仕組みから変える理念を、新進党の御主張を踏まえながら、構造改革として御質問をいただきました。 私は、少子・高齢化、また経済のグローバル化の進んでいる予想以上のスピードの中において、どうすれば社会の活力が失われないか、国民一人一人が将来に夢や希望を抱いて、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会をつくり上げられるか、そうした視点から行政改革など六つの改革に取り組んでいるところであり、これをやり遂げてまいりたいと考えております。 次に、最近の景気動向につきまして御意見をいただきました。 足元は回復のテンポが緩やかになっておりますが、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いているものと認識しています。また、政府経済見通しの一・九%程度の成長が困難だという御指摘をいただきました。確かに厳しい状況にあります。年度後半には景気の回復傾向が見られると考えておりますことから、今後の経済情勢を見きわめることが必要だと考えております。 次に、G7で表明をした内需振興についてお尋ねがございました。 G7及び日米蔵相会談におきまして、財政構造改革と整合性を維持しながら、各般の構造改革を進めていくことを大蔵大臣から表明いたしました。具体的には、規制の撤廃や緩和、G7で表明をいたしました不動産などの証券化を初め、土地取引の活性化や土地の有効利用などについての検討を進めて、これらについて内外の御理解がいただけるよう説明に努めてまいります。 今後の景気についての御意見もいただきました。 足元は回復のテンポが緩やかになっておりますが、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いておりますし、年度後半には景気の回復傾向が見られると考えて、今後とも経済の動向を注視しながら、経済構造改革の強力な推進を初めとして、政府として責任を持って適切な運営に努めてまいります。 次に、円安と経常黒字についての御意見をいただきました。 最近の黒字拡大の一因であります消費税税率引き上げ後の輸入の減少といった、こうした一時的要因は次第に薄まっていくこと、また、景気回復に伴いまして輸入が増大すると見られることから、経常収支の黒字が大幅に拡大するとは考えにくいと思いますけれども、為替レート、原油価格、海外経済の動向等の不安定要因もありますため、推移を注意深く見守ってまいりたいと思います。 今回のG7におきましては、為替相場の過度の変動及び著しいファンダメンタルズからの乖離は望ましくない、大きな対外不均衡の再来をもたらし得るような過度の下落を避けることの重要性についての合意を得たところでありまして、我が国経済については為替相場の安定が重要であります。今後の為替相場の動向について十分注意しながら、適時適切に対処していきたいと考えております。 また、土地政策についての御意見がございました。 御指摘のとおり、我が国経済にとって土地問題への対応は重要であります。政府は、去る二月に、土地政策の目標を地価の抑制という考え方から土地の有効利用に転換した新総合土地政策推進要綱を閣議決定をいたしました。近年の土地をめぐる状況を踏まえて、土地の有効利用や土地取引の活性化を促進するための方策を広く検討してまいります。 また、有価証券取引税、取引所税についてのお尋ねがございました。 これらの税制につきましては、金融システム改革の趣旨も踏まえながら、金融・証券税制全体の中で総合的に検討してまいります。 所得税減税につきましては、現在の危機的な財政状況を考えますと、実施することはなかなか容易ではありません。また、法人課税につきましては、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げる方向で検討を行います。 次に、中小企業関連のお尋ねがございました。我が国の経済活力の源泉であります中小企業が先行きに明るい見通しを持って経済活動が行えるように、中小企業の基盤強化や創業、新事業展開支援を図っていく必要性は御指摘のとおりであり、特に、地域産業集積活性化法を中心に地域産業集積の維持発展を図ってまいりますとともに、物づくりの基盤を支える人材の育成対策、都市政策などと連携した中小小売商業活性化策による中心市街地対策などの検討を進めてまいります。 また、新規産業の創出につきましては、経済構造の変革と創造のための行動計画において、抜本的な規制緩和を、また技術開発などの施策を総合的に進めていくこととしておりまして、これらの施策を積極的に推進してまいります。 また、中央省庁再編について御議論をいただきました。 御意見にございましたとおりに、地方分権や規制緩和が重要であることは言うまでもありません。現に、近く出される地方分権推進委員会の第四次勧告をいただき次第、地方分権推進計画の策定に本格的に取り組んでまいりますし、また、規制緩和につきましては、これまでも積極的に取り組みを進めてまいりましたが、さらに、前倒しを含めて、規制の緩和と撤廃を強力に進めてまいります。 行政改革会議で検討されております中央省庁の再編というものは、こうした徹底的な規制の緩和と撤廃を断行し、民間にゆだねるべきものはゆだね、地方分権を進めていくことを大前提として、その上に立って、国の組織、人員、予算の規模をできるだけ絞り込んでいこうとするものであります。今回の中央省庁再編は、今後の新たな行政のあり方全体を展望し、国家機能のあり方の見直しと内閣機能の強化策をともにしながら、一体的に改革構想を検討しているものでありまして、十一月末までに取りまとめる成案におきまして改革の全体像を描き出すべく、私自身が会長である行政改革会議においての審議を鋭意進めてまいります。 次に、周辺有事に対する政府の基本姿勢についてのお尋ねがございました。 政府としては、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態が発生しないように、平素から外交上の努力を含めてあらゆる努力を払ってまいりますとともに、仮にそのような事態が発生した場合には、事態の拡大の抑制のために適切な措置をとる考えでありまして、こうした考え方は新たな指針にも明確にお示しをしているところであります。 次に、周辺についてのお尋ねがございました。 日本周辺地域、これは、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態が生起し得る地域でありまして、地理的にこれを一概に画することはできません。他方、極東は、日米安保条約において国際の平和と安全の維持に日米が共通の関心を有している区域で、両者は性格を異にする概念であります。 次に、米軍への弾薬、物資の補給などについてのお尋ねがございました。 後方地域支援などに関して、戦闘地域と一線を画されているか否かは、紛争及び戦闘の全般的な状況、戦闘行為を行う主体の能力、その展開状況などを総合的に勘案して判断することとなります。想定している後方地域支援の性格、内容にかんがみれば、基本的には、米国の武力の行使との一体化が生ずることはないと考えております。 次に、船舶の検査についてのお尋ねがございました。 周辺事態におきまして、日米が国連の経済制裁の実効性を確保するために船舶の検査を行うことが想定をされ、その際、日米両国政府が適切に協力することが必要とされますので、協力項目の一つとして掲げている次第でありますが、我が国として、憲法が禁ずる武力の行使に当たる行為を行わないことは言うまでもございません。 次に、国連の活動との関連についてのお尋ねがございました。 指針は、平素及び緊急事態における日米の役割の協力、調整のあり方の一般的な大枠、方向性を示すものであります。特定地域における事態を議論して策定しておりません。また、国連の活動に関する協力という観点から策定をしているものでもありません。他方、国連の活動に関する協力は、国際の平和と安全の維持のために重要なことであり、この分野でも引き続き米国と密接に協議、協力をいたします。 次に、新しい指針についての国会提出のお尋ねがございました。 新指針は、政府に、立法、予算、行政上の措置を義務づけるものではございません。旧指針同様、国会承認の対象になるものではありません。他方、今後の作業を踏まえまして新規立法あるいは現行法の改正などを行う場合には、当然のことながら国会にお諮りをし、十分御議論をいただきたいと思います。 次に、刑事制度全般の見直しについてでありますが、現行刑事制度のもとにおきましても、関係各機関におきまして各種犯罪に厳正に対処する、また、犯罪者の処罰や更生に努めているものと承知しておりますが、犯罪情勢の変化に応じてこれに的確に対応するため、法制の整備も含めて、所要の各種方策を検討してまいりたいと考えております。 最後に、再び国民との関係における政治家の倫理のあり方について厳しく御指摘をいただきました。その御指摘については、私自身、私に対するものは甘受いたします。(拍手) —————————————
○議長(伊藤宗一郎君) 森喜朗君。 〔森喜朗君登壇〕
○森喜朗君 私は、自由民主党を代表して、橋本総理の所信表明演説に対し、総理大臣及び関係閣僚に質問いたします。 我が党は、平成六年六月に、当時の日本社会党、新党さきがけ両党と新しい連立政権の樹立に関する合意事項、いわゆる三党政策合意を結んで村山連立内閣を誕生させ、その後も、平成八年一月の自社さ三党による橋本連立政権を発足させ、五五年体制では実現できなかった水俣問題や原爆被爆者援護法など、長年の懸案事項を処理し、数々の実績を上げてまいりました。 さらに、さきの通常国会においては、日米安保体制堅持に必要な駐留軍用地特別措置法や日本版ビッグバンの外為貿易管理法、商法ストックオプション法、持ち株会社解禁の独占禁止法、金融機関の指導監督を強化する金融監督庁設置法、日銀法、さらに厚生関係の健康保険法、児童福祉法、臓器移植法など、野党の協力も得て重要法案を成立させ、政府より提出された法律の成立率が九七・八%という実績を上げ、国民の期待にこたえることができたのであります。(拍手) このことは、自社さの与党三党が、常に国民の立場に立ち、開かれた民主的な協議を重ね、お互いに主張すべきことは主張するが、最終的には大局に立って、譲り合うべきときは譲り合うという相互信頼、相互協力関係にあるからだと信じております。 我が党は、今後とも自社さの連立体制を維持し、目まぐるしく変化する世界の政治、経済に迅速に対応し、我が国の政治と国民生活の安定のために、山積する課題に果敢に挑戦していく覚悟でありますが、総理は、自社さの連立与党体制をどのように考え、今後どう対応されていかれるおつもりか、まず最初にお尋ねいたしたいと思います。 総理は、所信表明演説の冒頭で、我が国のすべてのシステムを改革する六つの改革を内閣の最重要課題に掲げ、今世紀最後の三年間を集中改革期間とし、内閣を挙げて全力で取り組む決意を述べられておられます。そこで、六つの改革について、私の所見を述べ、質問いたしたいと存じます。 まず、行政改革についてでありますが、総理みずから会長を務めておられる行政改革会議の中間報告は、十一月の成案づくりに向け、引き続きこれから議論を詰めていかなければならないところもあると伺っておりますが、これまでになく深く具体的に踏み込んでまとめ上げられたものと評価しております。 この中間報告を受け、我々も党の行政改革推進本部を中心に真剣に議論を重ねているところでありますが、この行革を成功させるためには、国民の声に謙虚に耳を傾け、民意が反映されたものでなければならないということであります。 また、大切なことは、公約どおり省庁の数を半減程度にすることはもちろんのこと、いかにスリムで効率的な組織にしていくかであります。 そのスリム化のためには、具体的にどこまでが行政の範囲であり、そしてその中でどこまでが省庁の仕事であり、どこまでをエージェンシー化していくかを早く明確にしていかなければならない。また、仕事のスリム化、効率化とともに、公務員の定員のスリム化を進めなければ国民の理解は得られないと考えております。 エージェンシー職員の身分についても、公務員でなく非公務員とする必要があるかどうかなど、具体的に詰めなければならない課題が山積していると思いますが、改めて総理の決意とお考えをお聞かせ願いたいと存じます。 次に、財政構造改革についてお尋ねいたします。 我が国の財政は、危機的状況にあると言われて久しく、破綻寸前と言っても過言ではありません。 ヨーロッパでは、現在通貨統合を目指しておりますが、この前提条件としては、国、地方の財政赤字がGDPの三%以下であることを掲げ、また、米国の国、地方の財政赤字は、一九九七年には二・〇%と、GDP比三%を下回る水準と見込まれております。 一方、我が国の国、地方を合わせた財政赤字は、一九九七年度にはGDPの五・四%にも達すると見込まれるなど、G7諸国で最悪の数字となっております。 このような危機感から、政府・与党三党はさきの財政構造改革会議において、二〇〇三年までに国、地方の財政赤字を三%以下とすること、赤字公債の発行をゼロにすること等の目標を設定したわけでありますが、この目標の達成をより確実なものとするための財政構造改革の推進に関する特別措置法案が、まさに今国会で審議されようといたしております。 まず、この法案の成立及び実施に向けて、総理、大蔵大臣の御決意を伺いたいと存じます。 財政構造改革は、単なる数字合わせの議論ではなく、各種制度改革などの中身の改革を伴うものであります。財政構造改革会議においても、各歳出分野の改革の基本方針や集中改革期間における経費の量的な縮減目標について議論がなされ、この財政構造改革法案にも具体化されております。このような意味で、平成十年度予算編成は財政構造の改革を着実に実行する内容のものとしていくことが重要だと考えられますが、大蔵大臣と自治大臣の御決意を伺いたいと思います。 次に、社会保障構造改革であります。 将来にわたって、社会経済の活力を維持し、国民が安心して暮らすことができる医療、年金、福祉の社会保障制度を子や孫たちの世代に引き継いでいくために改革が急がれています。そのためには、公平、公正で効率的な社会保障制度の再構築を進めなければなりません。 医療保険制度については、さきの国会で健康保険法案の改正が行われ、患者負担や保険料負担といった形で国民に負担をお願いすることになりましたが、今後は国民の立場に立って、医療提供体制と医療保険制度の両面にわたる抜本的な改革に着手することにより、制度の維持と国民に負担をかけないようにすることが急務ではないでしょうか。 また、年金制度については、平成十一年の次期再計算に向けての世代間、制度間における公平を図るための年金制度全体の見直しの改革に着手しなければならないでしょう。 このように、社会保障制度の改革はまさに待ったなしであります。超高齢社会に向けて我が国の社会保障制度をどのような姿としていくべきなのか、また、その手順をどのように進めていくべきなのか、総理の御見解をお伺いします。 次に、経済構造改革についてお尋ねいたします。 二十一世紀の幕あけまでに三年余となった現在、次の世代に安定した平和で豊かな社会を引き継いでいくためには、高コスト構造の是正を初めとする経済構造改革は焦眉の急であります。 総理は、経済構造改革を強力に推進すると述べられておられますが、企業税制の改革、規制緩和、中心市街地の活性化への対応を含め、今後、具体的にどのように経済構造改革を進めていかれる方針か、総理の決意と御所見についてお伺いいたします。 次に、金融システム改革についてお伺いします。 バブルの発生と崩壊の過程の中で巨額な不良債権が発生し、また、新しい金融商品やサービスの開発も欧米に比べて大幅におくれをとり、我が国の金融システムは、将来を担う産業の円滑な資金調達や千二百兆円にも上る個人金融資産の有利な運用を図る上で、十分な機能を果たしているのか疑問に思われます。 総理の御指示によって開始された金融システム改革は、このような観点から、我が国の金融システムをフリー、フェア、グローバルの三原則にのっとって一挙に改革しようとするものであり、これは高く評価いたします。改革の具体的な内容が本年六月にまとまり、今後、着実な改革の推進が期待されるところでありますが、総理に本改革の今後の取り組みと決意及び日本の金融システムのあるべき姿をお伺いしたいと思います。 次に、教育改革についてであります。 教育は国づくりの基本であり、すべての社会システムの基盤をなすものと申しても過言ではありません。教育改革を六大改革の一つに位置づけた総理の御決断はまことに当を得たものであり、教育改革プログラムに基づいてさまざまな取り組みを進めている政府の努力は大いに評価いたしたいと思います。 今日の我が国の教育についてまず考えるべきは、思いやりの心、正義感や倫理観といった豊かな心を子供たちに十分はぐくんでいるかという点であります。我が国の教育が、ともすれば知育に偏り、徳育を軽んずる嫌いがあったことは否めません。立派な人づくりより優秀な人間をつくることを優先した嫌いもあります。いじめや少年犯罪の凶悪化等の憂うべき問題は、従来の教育のあり方への猛烈な反省を促していると言えます。今こそ、子供たちに豊かな心を培うため、学校のみならず、家庭や地域社会が一致協力して教育改革に取り組むことが必要であります。 また同時に、変化の激しい二十一世紀の国際社会の中で、我が国が活力ある国家として発展していくためには、個性的で創造的な人間を育てていくことも必要であります。そうした観点から、教育の徹底した見直しを進め、形式的な平等を重視する教育を個性尊重の教育へと転換していくことを基本に、制度改革にも憶することなく取り組んでいくべきでありましょう。 教育改革の成果は、必ずしも数字であらわれるものではありませんし、また、一人一人の子供たちの心の育成にもかかわることであり、長期的視野で考えていくべきものと思われます。そうした認識に立ちつつ、我々は、教育改革に思い切った努力を傾け、汗を流さなければならないと考えますが、総理の教育改革への今後の取り組みと決意をお聞かせください。 次に、当面の課題についてお伺いいたします。 まず第一に景気対策であります。 先般発表されました国民所得計算速報では、本年四−六月期の経済成長率は、消費税率引き上げの反動減の影響もあってマイナス二・九%、年率ではマイナス二・二%と、第一次オイルショック以来の大幅なマイナス成長を記録いたしました。また、本日発表されました日銀の短観では、消費税の引き上げによる影響が予想以上に出ている、しかし景気は依然として不安定な回復基調にあるとの報告でありますが、企業の業況判断から見ると、厳しい状況と認識せざるを得ません。 こうした中でも、企業収益や所得は増加を続けていること、設備投資は回復を続けていることなどもあわせて見れば、景気の回復基調は損なわれていないという政府の認識自体は間違っていないと考えられますが、最近の景気動向は楽観を許さない状況下にある、言いかえれば、景気の不透明感が漂っており、消費者や企業の自信回復につながらない状況にあるのではないかと懸念しております。今後の経済運営については、我が党といたしましても、本日、この本会議終了後直ちに党の臨時経済対策協議会を設置して、積極的な対応をいたしたいと考えております。 まず、景気の現状認識及び今後の見通しについて、総理の御見解をお伺いいたしたいと存じます。 一方で、国際的経済情勢が時々刻々と変化している中では、我が国経済が構造的諸問題を抱えていることが、いわば先行きに対する不透明感をもたらしているということは言うまでもありません。このような状況の中で、中長期的に我が国が経済活力を維持しつつ本格的高齢社会を迎えるためには、政府の掲げる六大改革を着実に実行していくことが何よりも重要であると考えますが、さきに述べたような景気動向を踏まえれば、短期的にも何らかの景気対策が必要ではないかと思われます。 本年二月以降、我が国の貿易収支黒字は増加を続けており、特に最近は、米国からも、我が国の景気動向に懸念を示し、何らかの措置が必要ではないかという問題意識を持っているとも受け取れる発言が多くなっております。 財政構造改革を推進することにかんがみれば、従来のように公共事業に依存した景気対策を実施することは難しい状況にありますが、現下の回復感を実感できない景気回復においては、まず、回復感を実感できる景気回復のための道筋を示すことによって景気の先行き不透明感を払拭し、消費者や企業マインドを奮い立たせていくことが何よりも重要であると考えます。 総理は、所信表明の中で、法人課税について、経済構造改革を進める観点から、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げる方向で検討を行い、十年度税制改正において結論を得ると述べられておられますが、国民の期待にこたえるまことに時宜にかなった見解であり、高く評価いたします。 さらには、このほかにも今後の具体的な景気刺激策として、土地税制の抜本的改革や土地の有効利用を促す規制緩和、合理化の推進など総合的、一体的な土地政策、住宅政策の展開、連結納税制度の早期導入などの企業税制の改革、今後発展が期待される情報通信分野におけるNTT改革の推進なども含めて、経済構造改革の中で特に景気浮揚効果のあるものを幅広く検討し、早急に政府で取りまとめていくべきと考えますが、総理はこうした対策の必要性についてどう考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、外交関係についてお尋ねいたします。 冷戦に終止符が打たれた今日、世界は広い意味で自由主義的市場経済政策の体制へと向かい、未曾有のボーダーレス時代を迎えております。 国家・地域間の相互依存関係はさらに深まり、利害も複雑、錯綜しておりますが、相手国との交渉、交流により平和と繁栄を維持しなければならない時代になっております。この時代の総理の国際情勢認識及び我が国外交の指針についてまずお伺いいたしたいと思います。 次に、日米関係ですが、橋本政権発足以来、総理は日米関係に最大の御努力を傾注されてこられました。基本的には日米関係は良好な状態で推移していると見られますが、最近の貿易黒字の急増に対する米国側からの不満から、一層の規制緩和を進め、内需主導の経済運営を行うこと等が求められております。 さらに、港湾、航空、NTT調達などの個別分野の交渉が今秋にかけて行われ、緊張する対米関係も予想されますが、総理の今後の日米関係の方針についてお伺いいたします。 先ごろ総理は訪中され、多大な成果を上げられました。本年は日中国交正常化二十五周年に当たり、その長い両国間の歴史に新たな一ページを加えるとともに、環境問題やエネルギー問題などを含めて両国関係を緊密で良好なアジア太平洋地域の平和と繁栄の維持に向け、さらに発展させなければなりません。十一月には李鵬総理、明年には江沢民国家主席と続いて首脳の来日が予定されておりますが、今後、将来的に日中関係をどのように進めていくおつもりか承りたいと思います。 次に、日ロ関係ですが、総理は十一月一日、二日、エリツィン大統領との非公式首脳会談を持たれると承知しておりますが、総理としては、両国間の懸案の問題解決も含め、信頼、相互利益、長期的視点との三原則を打ち出されました。 ロシアは我が国にとって重要な隣国でありますが、そのためには、まず首脳間における相互の信頼関係を築くことが重要であります。今回の会談は、デンバー・サミットに引き続いての会談となり、有意義な会談となりましょう。ただ、対ロ外交はいろいろな困難な状況が予想されますが、総理は、今後の日ロ関係をどのように発展させようとしておられますか、お考えをお聞かせください。 次に、日朝関係について伺います。 北朝鮮に渡った日本人配偶者の里帰り問題も近々実現されることになりましたが、日朝国交正常化交渉を早期に再開させ、朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOに対して積極的に取り組み、さらに四者協議を進展させることが朝鮮半島の安定化に重要ではないかと考えられます。しかしながら、北朝鮮国内の食糧問題等不安定な要因があると言われますが、我が国といたしましては、消息不明者等の問題で厳しい国内世論があります。日朝関係に関する総理の基本的なお考えをお伺いいたします。 日米安保体制は、我が国の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、アジア太平洋地域における平和と安定を維持するためにも重要な役割を果たしております。 九月二十三日、ニューヨークにおいて日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの見直しの最終報告が日米両国政府によって発表されました。これは、冷戦後の我が国の安全保障政策の考え方でもある防衛計画の大綱及び日米安保共同宣言を踏まえて作成されたものであり、日米両国政府の関係者が約一年以上にわたって集中的かつ真剣に取り組んだ成果として評価できるものであります。 また、六月の中間取りまとめを踏まえて、与党ガイドライン問題協議会では精力的な検討、協議を行ってきましたが、特に、周辺事態における対象となる協力項目である四十項目などについての協議成果を最終報告に十分に反映させていただいた点についても、与党三党としては高く評価するものであります。 ガイドラインの目的は、性格上、一般的な大枠及び方向性を示したものであり、周辺事態とは、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態であると理解しておりますが、さらに今後、両国政府に期待されることは、日本に対する武力攻撃に際しての共同作戦計画及び周辺事態に際しての相互協力計画についての検討を含む共同作業を行い、それを踏まえての共同演習・訓練を推進することであります。 また、日米両国政府は、緊急事態において関係機関の関与を得て運用される日米間の調整メカニズムを平素から構築しておく必要もあります。さらに、新たな法整備等の問題についても、国民の平和と安全を守るという観点から、ガイドラインの実効性を確保するための措置として、政府全体としての取り組みとしての検討も急がなければならない課題であると考えております。 日米安保体制は、東南アジア諸国を中心に非常に強い支持があります。一方、今回のガイドラインへの取り組みに当たり、特に中国、韓国などの近隣諸国に対して理解を得るための努力を通じて、周辺諸国との間で透明性を確保することは、アジア太平洋地域におけるより安定した安全保障環境の構築にも貢献することであります。 我が党といたしましては、今後の政府の新ガイドラインを踏まえての実効あらしめるための措置を積極的に推進するという政府の前向きな姿勢に対して全面的にバックアップしていく決意であります。(拍手) 橋本総理の、新ガイドラインを踏まえての今後の政府の方針をお聞かせください。 橋本総理は、沖縄に係る諸問題については、総理に就任以来、国政の最重要課題として全力で取り組まれ、所信表明においても、引き続き内閣の最重要課題として述べられました。 我が党は、総理の沖縄に対するこうした熱い心と気持ちを高く評価するとともに、全力で支援してまいる所存であります。(拍手) 橋本内閣になってから、沖縄米軍基地の整理、統合、縮小問題では、総理みずからのリーダーシップによって普天間飛行場の全面返還の合意など、昨年十二月の沖縄に関する特別行動委員会、いわゆるSACOの最終報告では、沖縄の施設・区域の総面積の約二一%が縮小することとなったわけであります。 今後は、いよいよ普天間飛行場代替海上ヘリポート建設の問題が重要なテーマとなります。政府は、九月二日に普天間飛行場移設対策本部を設置して精力的に取り組まれているところでありますが、今後の沖縄米軍基地の整理、統合、縮小問題の推進のポイントは県内移設が中心になります。 そこで、総理は、今後沖縄県当局及び地元の理解を得て基地問題をどのように解決されようと考えているのか、御見解をお聞かせください。 次に、沖縄振興策についてでありますが、我が党も沖縄県総合振興対策等に関する特別調査会を設置し、精力的に取り組み、航空運賃の値下げを初め具体的な成果を着実に上げております。今後の最大のテーマは、自由貿易地域あるいはフリーポート、規制緩和問題であり、これに関しては、沖縄県の主体的な取り組みの成果を政府ができるだけ尊重し、実現することが大切なことだと思います。 政府の沖縄振興策等に対する取り組みについてお聞かせください。 最後に、本年十二月に開催される気候変動枠組条約第三回締約国会議、いわゆるCOP3への取り組みの状況についてお尋ねいたします。 この京都会議は、昨年ジュネーブで開催されたCOP2において我が国が日本開催を招致したものであり、その意味で、国際的に評価される成果を上げ、会議を成功させなくては、議長国を務める我が国が外交的に大きな失点をこうむることになります。 とりわけ京都会議では、地球温暖化を防止するため、環境保全上実効ある法的拘束力を持った議定書を採択することが決まっております。議定書を採択できるかどうかは、温室効果ガスの削減数値目標が国際的合意に達し、議定書に明記することができるかにかかっていると言っても過言ではありません。 深刻な公害を克服し今日の経済成長を達成した我が国は、地球環境問題でもリーダーシップを発揮するよう、先進国、途上国の双方から大きな期待が寄せられております。 総理、議長国としての責任はもちろんですが、百年後、世界の人々から、西暦一九九七年、あのとき京都会議で日本が議定書を取りまとめてくれたから今日のすばらしい地球環境があるんだと称賛してもらえるような成果を、ぜひとも上げていただきたいと思います。(拍手) 京都会議を成功させるという総理の御決意と、そのために政府はどのような対応をしているかをお聞かせいただきたいと思います。 以上、幾つかの重要政策について質問いたしましたが、今政治が抱えている最大の課題は、何といっても六大改革、とりわけ行政改革であります。日本は、今あらゆる面で閉塞状態にあり、大胆な改革なしには明るい二十一世紀を展望できない状況にあると言っても決して過言ではありません。 思うに私は、戦後、復興の願いを胸に何もない荒れ果てた廃墟の中から立ち上がった当時の日本人が、平和を取り戻し、民主主義を手にし、深刻な中にももっと元気で、未来に対し日本の再建をやるんだという強烈な責任感を持っていたのではないかと思います。 今、少子化が各方面で言われていますが、五百兆にも達する膨大な国、地方の借金を若い世代に先送りし、年金や健康保険などさまざまな社会保障も制度存続の危機が言われているようでは、なかなか出生率の向上も望めないと思われます。今我々がやらなければならないことは、改革の痛みから逃げずに、国、地方を通じて行政をスリム化し、各種社会保障制度の維持に確実な保証を与え、国の将来についての後ろめたさや不安から希望や明るさへの道へ転換することではないかと思います。 六大改革は国民に痛みを与えるかもしれませんが、これを乗り越えれば必ず日本の将来が開けるのだという、国民に強い自信を与えることが今の政治の最大の責任であると思います。そして、その責任を着実に果たしていくことが、政治不信を払拭し、政治への信頼回復につながるものであると確信いたします。 総理、総理大臣のリーダーシップが今ほど求められているときはありません。六大改革を真に国民の納得いくものとして断行できるかどうかは、ひとえに橋本総理の双肩にかかっております。豊かで生きがいの持てる、そして平和な世界と日本をつくるため、我々の先頭に立っていただきたい。 我が党はもちろんのこと、我々連立三党は力を合わせ、一致団結して第二次橋本改造内閣を全面的にバックアップしていく決意を申し上げて、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 森議員にお答えを申し上げます。 まず冒頭、自民、社民、さきがけの連立与党体制についてのお尋ねがございました。 議員が御指摘のように、三党連立体制は開かれた民主的な協議のもとにさまざまな実績を上げてまいりました。引き続き、与党三党の協力関係を基本とし、政策によりましては各党各会派の御協力をいただきながら、政策中心の政治を進めてまいりたい、そのように考えております。 次に、行政改革についての御意見をいただきました。 簡素で効率的な行政をつくり上げるために、国の役割を根本から見直し、組織、人員、予算の規模をできるだけ絞り込む必要があることは御指摘のとおりであります。地方分権の推進とともに、一方では規制の緩和、撤廃により、官から民への流れをつくり、その上で現業の縮小と政策の企画立案部門と実施部門の分離を図るべく、独立行政法人構想の具体化をも含めまして、行政改革会議において、十一月末までに成案を得ていきたいと全力を尽くしており、ぜひとも御協力を賜りたいと考えております。 次に、財政構造改革法案に関するお尋ねがございました。 詳細は関係閣僚の答弁に譲らせていただきますけれども、この法案は、財政構造改革の当面の目標を掲げると同時に、その実現のための具体的な方策や枠組みを定めるものでございます。 財政構造改革は、議員御指摘のように、後世に残すべきものではなく、今、我々が解決をしなければなりません。将来の世代に対する我々の責任であり、改革を確実に実施していくため、速やかな法案の成立がぜひとも必要と考えており、心から御協力を願う次第であります。 次に、社会保障制度につきましては、急速な少子・高齢化の進行に伴い負担の増大が見込まれております中で、必要な給付を確実に保障する一方で、経済の発展や社会の活力を損なわないよう、給付と負担の均衡を図ると同時に、利用者の選択の拡大や民間事業者の導入なども含め、制度の効率化、合理化を進めていかなければならないと考えております。 このためにも、介護保険法案の今国会での早期成立を強く願いますとともに、医療制度の抜本改革、年金制度改革等、制度全般の改革を順次進めてまいりたいと考えております。 次に、経済構造改革につきましては、我が国の経済の内需かつ民需主導の安定成長というものを確かなものにするために、本年五月、経済構造改革に関する政府の行動計画を策定いたしましたが、これを着実に実行することは当然のこととして、規制の撤廃と緩和に力を入れながら、可能な限りの前倒し、新たな施策の追加を内容とするフォローアップを年内に行うなど、内閣を挙げて経済構造改革を強力に進めてまいります。 また、法人課税につきましても、経済構造改革を進める観点から、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げる方向で検討を行い、十年度税制改正において結論を得ることといたします。 さらに、地域経済を支える拠点としての中心市街地の空洞化に対応して、新たな環境に対応した都市機能の再構築及び商業、サービス業、都市型産業の集積、活性化のために、地域の特色を生かしながら、駐車場あるいは街路、公共施設などの都市インフラの充実、商店街のリニューアルを初めとした総合的な対策に政府を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、金融システム改革につきましては、この改革におきまして、利用者にとって魅力のある自由で公正な金融システムというものを目指しながら、先般取り決めましたスケジュールに沿って制度の整備を早急に進め、改革の早期実現に向けて全力で取り組んでまいります。この国会におきましては、金融分野における持ち株会社制度の整備を図る法案などを提出させていただきます。 次に、教育改革について御指摘がございました。 議員御指摘のように、今後、子供たちの豊かな人間性をどうやって育てていくか、また、個性を伸ばし創造性やチャレンジ精神を重視した教育に転換を図っていくか、変えていくか、そして教育における形式的な平等主義から脱却していくか。これにはさまざまな努力が必要であると存じますが、一つは、議員の御指摘のように、家庭、地域社会、学校が力を結集した心の教育の充実とともに、中高一貫教育の導入や、特色を生かした教育活動ができるよう学校に権限と責任を持たせるようにするために、地方教育行政システムの改善を図るなど柔軟で多様な教育制度を実現すること、また、使命感を持ち、平等ではなく個性を育てていき得る教員をいかに養成していけるかというシステムの問題、さらには大学の教育研究の充実などに全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。 また、景気の問題についての御指摘をいただきましたが、最近の景気動向を見ますと、足元は確かに議員御指摘のように回復テンポが緩やかにはなっておりますものの、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いていると考えております。今後の見通しにつきましては、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が収束していくこと、雇用環境や企業収益が改善されると見込まれますことから、年度後半には景気の回復傾向が見られるものと考えております。 その対策のためにもという御指摘がございました。私は、景気回復に従来のような力強さを感じることができない、これは構造的な問題のあらわれではないかと本院でも申し上げてまいりました。規制の撤廃と緩和を初めとして、経済構造改革に関する政府の行動計画の可能な限りの前倒し、新たな施策の追加も含めたフォローアップを年内に行うなど、こうした努力を全力を尽くしてまいりますし、土地の有効利用や土地取引の活性化を促進する方策も検討してまいります。今、このような取り組みを具体的にどのような形で進めていくかにつき、検討を急いでいるさなかでございます。 次に、国際情勢及び外交の指針についてお尋ねがございました。 冷戦終結後の国際社会、私が申し上げるまでもなく、相互依存の一層の深まりの中で、自国の安全と繁栄というものは、国際社会の繁栄と安定なしには実現できるものではございません。我が国は、米国、中国、韓国、ロシアなどとの関係を強化していく中で、アジア太平洋地域における地域協力、国連などを通じた国際社会共通の課題に積極的に取り組んでいこうといたしております。 次に、今後の日米経済関係に臨む方針についての御意見がございました。 幾つかの御指摘をいただきましたが、ただいま本会議場に入りましたメモにより、御指摘をいただきました問題の中でNTT調達取り決めにつきましては、日米間の協議がつい先刻決着を見たという報告が入りましたことをこの機会に御報告を申し上げます。 しかし、これ以外にも個別の二国間の経済問題はございます。これらの問題を日米双方の努力によって適切に解決をしていくと同時に、我が国自身、国内において規制緩和を含む各種の改革を強力に推進しながら、内需主導型の経済成長を図ることにより、良好な経済関係を維持してまいらなければなりません。このためにも、官の規制の問題だけではなく、民間同士における規制、いわゆる民民の規制というものについても、ぜひ私は、この機会に見直していただくことをこの場をかりてお願いを申し上げたいと思います。 次に、日中関係についてお尋ねをいただきました。 今後の中国首脳の来日の機会などをとらえながら、首脳間の対話だけではなく、安全保障対話を初めとするさまざまなレベルの対話を深めて、信頼関係をより深いものとし、さらなる日中友好関係の発展に努めていきたいと考えております。また、中国の改革・開放政策を引き続き支援する、WTO早期加盟への支持などによりまして、中国と国際社会の一層の協調を促していきたいと考えております。 また、今後の日ロ関係につきましては、十一月初めに首脳会談を予定いたしておりますが、まずエリツィン大統領との間に友人関係としての一層の強化を図りたいと考えております。このような首脳レベルを初めとする政治対話を維持強化していくこと、同時に、さまざまな分野における協力を積極的に進めていくとともに、北方領土問題を解決し、平和条約を締結して両国関係の完全な正常化を達成するため、一層の努力を傾けていきたいと考えております。 次に、日朝関係についてお尋ねをいただきました。 今後とも、第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係を正すとともに、朝鮮半島の平和と安定に資するという観点に立ち、韓国などと緊密に連携しながら対処をいたしております。 現在、日朝間では、国交正常化交渉再開や日本人配偶者の故郷訪問に関する話し合いに一定の前進が見られました。拉致疑惑の問題につきましては、引き続き真剣に対処してまいります。また、四者会合の早期実現を希望するとともに、引き続きKEDOに積極的に取り組んでいきたいと考えております。 次に、日米防衛協力のための指針についてお尋ねをいただきました。 今後、新たな指針の実効性確保の観点から、日米協力を円滑に行うための具体的諸施策や、我が国として、日本に対する武力攻撃及び周辺事態に効果的に対応できるようにするための政府としての体制の構築などが必要と考えております。九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえ、法的側面も含め、政府全体として検討してまいります。 沖縄における米軍施設・区域の整理、統合、縮小問題についての御意見をいただきました。 政府としては、繰り返し申し上げてまいりましたように、普天間飛行場の全面返還を初めとするSACO最終報告の内容を着実に実施することが沖縄県民の方々の御負担を軽減するための最も確実な道だと考えており、今後とも地元の方々の御理解と御協力をいただくべく最大限努力をいたしますとともに、その実施に向けて政府を挙げて取り組んでいきたいと思います。 また、沖縄の振興策という点につきまして御意見をちょうだいをし、その中で、沖縄県の主体的な取り組みを最大限尊重して実現することが大切だという御指摘をいただきました。幾つか御提起をいただきましたような問題につきまして、沖縄県から沖縄政策協議会に正式な提示がなされましたら、真剣に検討してまいります。 県がお考えと言われております全島フリーゾーン構想につきましては、地元産業に与える影響などから、県内でもさまざまな御意見があると聞いておりますので、十分コンセンサスを図っていただきたいと考えているところでございます。 最後に、COP3、気候変動枠組条約第三回締約国会議についての決意と対応へのお尋ねをいただきました。 我が国は、人類の将来を左右し得るような重要な会議、そう私どもはこれを受けとめておりますし、議長国としてこの会議を成功させるよう、国際的なリーダーシップの発揮に全力を尽くしてまいります。 しかし、同時に、この目標を達成するためには国民各位の御協力がなければできないことも事実でありまして、この場をかりて心からお願いを申し上げます。 同時に、非常に隔たっております各国の立場を収れんさせて国際合意の形成が進みますよう、政府一体となって、引き続き最大限努力してまいります。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣三塚博君登壇〕
○国務大臣(三塚博君) 私に対する森議員の御質問は、財政構造改革法案の意義と、その成立への決意を申し述べよということであります。 段々の演説の中で、財政構造改革が緊急の課題である旨の御指摘をちょうだいいたしました。後世にツケ回しをしないということ、明るい日本の展望を切り開くためにも、この改革はどんなことがあってもやり遂げよというその気迫ある御激励、心から感謝を申し上げるところであります。 御案内のとおり、日本財政は、待ったなしの峠に差しかかっております。これをやり遂げることなくして展望は開けません。 よって、構造改革法案は、その主たる内容は、財政構造改革の当面の目標を掲げますとともに、その実現のために量的縮減目標を明示をいたしました。同時に、必要な制度改革の内容など、構造改革のための具体的な方策や枠組みを定めるところといたしたところであります。 財政構造改革は、ただいまも申し上げましたとおり、将来の世代に対する我々の責務であり、改革を確実に実施していくために、速やかに法律案が成立してまいりますことが必要であります。格段の御鞭撻と御協力をお願いを申し上げる次第であります。 また、十年度予算編成に当たって、財政構造改革を推進するという観点から、本法案に沿いまして、将来世代に先送りをいたしませんよう重点的かつ効率的な内容となりますように、全力を尽くし取り組んでまいる所存であります。よろしく御鞭撻ください。(拍手) 〔国務大臣上杉光弘君登壇〕
○国務大臣(上杉光弘君) 地方財政の財政構造改革についてのお尋ねでございますが、国及び地方の財政赤字、対GDP比三%以下という目標の達成に向け、平成十年度地方財政計画の地方一般歳出を対前年度比マイナスを目指すなど、歳出の抑制に努めるとともに、各地方公共団体に対しましても徹底した行財政改革を強く要請するなど、地方財政の健全化に積極的に取り組んでまいります。(拍手) —————————————
○議長(伊藤宗一郎君) 菅直人君。 〔議長退席、副議長着席〕 〔菅直人君登壇〕
○菅直人君 私は、民主党を代表し、橋本首相の所信表明演説に対して、第二次橋本改造内閣の政治姿勢と当面する諸課題について質問をいたします。 本日、東京地裁において、中村喜四郎代議士に対し、あっせん収賄罪の罪で一年六カ月の実刑判決が言い渡されました。これは中村被告が自民党代議士であった当時、自民党内での影響力を使って公取委に働きかけを行い、それに対してわいろを受け取っていたとして有罪と判断されたもので、自民党としても極めて重大な責任があると考えますが、自民党総裁でもある総理は、その責任についてどうお考えですか。 また、中村代議士は、一審で有罪判決を受けた以上、議員辞職すべきと考えます。もし自発的な議員辞職が行われない場合、本院としても議員辞職を働きかけるべきと考えますが、自民党総裁としての総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、橋本総理の御自身の政治倫理に関する姿勢とその責任について伺います。 第二次橋本改造内閣の組閣に際し、総理は佐藤孝行氏を総務庁長官に任命しました。これに対し、民主党は、当日の私のコメントで、金権腐敗の象徴であるロッキード事件で有罪となった人物を閣僚に起用することは居直りと言うほかないと厳しくそのことを指摘し、糾弾しました。しかし、総理は、考えに考え抜いた末の判断であると言って、その態度を変えようとはしませんでした。 その後、世論の批判も強く、他の与党からの反発なども受けて、最終的に佐藤孝行氏が辞任するということに至ったのであります。その直後の記者会見や所信表明演説において、総理は、世論の重みに十分思いをいたさなかったとは述べておられますが、佐藤孝行氏を任命した任命権者としての責任、つまり政官業癒着の象徴であるロッキード事件で有罪判決を受けた人物を閣僚に起用したこと自体の判断が間違っていたという反省の弁は、いまだに述べられておりません。 総理は、政治汚職によって有罪判決を受けた人物が閣僚になること自体については構わないとお考えなのか、それともそういうことはあるべきでないとお考えなのか、はっきり答弁をいただきたいと思います。 今回の問題は、総理が進めようとしている行政改革の最も重要なポストである総務庁長官にそのような人物を起用したということで、行政改革自体に対する国民の不信を招いています。これから行政改革を進めるに当たって、こうした国民の総理自身に対する不信あるいは政治に対する不信にどう答えられるおつもりか、その点もお聞かせいただきたい。 さらに、この組閣の直前に、泉井事件の中心人物である泉井被告が記者会見などで、自民党の主要閣僚や党三役を名指しで、多額の献金をしていたと述べています。泉井氏の述べたことが事実であった場合、こうした金のやりとりに関し違法な行為があれば、それがたとえ刑事法制上時効にかかる場合であっても、そのことに対する政治的な責任は免れないものと考えます。 総理は、違法性があっても時効になっていれば政治責任はないとお考えになるのか、それとも逆に、たとえ時効になっていても、その行為が行われた時点で違法行為であれば政治的な責任は免れないとお考えなのか、見解をお聞かせいただきたい。 現在、民主党初め野党各党は、泉井被告の証人喚問を求めています。総理は、この証人喚問を積極的に行おうとするのか、あるいは邪魔しようとされるのか、自民党総裁としての見解を伺います。 現職閣僚中、泉井被告が献金したと述べている三塚大蔵大臣、小渕外務大臣には、そのことが事実であるのかどうか、事実とすれば、その金額と経緯について明らかにしていただきたいと思います。(拍手) 政治献金のあり方については、もともと政党助成を含む政治資金規正法の改正をした時点で、今から三年後のより厳しい見直しが合意されてきました。私たちは、本来、政治にかかる費用は個人献金、さらには政党助成で賄われることが望ましい、そうした方向に向けて民主党も努力しなければならないと考えております。今後の政治資金のあり方については、三年後の見直しを前倒しすることも含めて検討していきたいと考えますが、この点についての総理の見解も伺っておきたいと思います。 私たちは、政治腐敗の土壌を根本から直すためにも、また、今回の中村喜四郎代議士の事件の教訓からも、職務権限の有無を問わず、政治的地位を悪用した犯罪について厳しく処罰する刑法改正案を、各党の賛同を得ながらこの国会に提出していきたいと考えています。(拍手) さて、次に、行政改革について伺います。 総理自身が会長である行政改革会議が、先ごろ、中央省庁を一府十二省庁に再編する改革案をまとめました。二十二省庁を十三省庁に再編するというだけでは、いわば二十二の袋に入ったものを少し大ぶりの十三の袋に詰めかえるだけで、それ自体では改革とはとても言えません。やらなければならないことは、中央省庁の仕事を一つ一つ吟味して、地方自治体、市場あるいは市民活動の三つの分野に振り分け、そして残った仕事を中央省庁が受け持つということだと考えます。 つまり、中央省庁の仕事のうち相当部分は地方自治体に仕事も権限も財源も移す。そして、ある部分は、規制緩和を徹底的に行って、企業の自発的行動、いわば市場、つまりマーケットにゆだねる。さらには、非営利団体、NPOなどの自発的な活動とそれに対する自発的な寄附という、その分野の市民の活動にゆだねる。この地方自治体、市場、市民活動の三つの受け皿に中央省庁の仕事を大きく移し、残された外交、防衛や福祉、教育などのナショナルミニマムと言える基準づくりなどについて国が受け持つ。こうすれば、半分以上の仕事は中央省庁から他の分野に移され、残った半分以下の仕事を新たな中央省庁の再編成の中で受け持っていくということになります。こうした考え方について、総理の見解を伺いたいと思います。 今日の日本は、一言で言えば、国民主権というよりは官僚主権国家であると言えます。国民が選挙で国会議員を選び、衆議院で過半数の得票で総理大臣が決められる。その総理が政治的な指名で大臣を選ぶ。その大臣と総理が内閣を構成し、内閣が行政権を持ってそれぞれの役所をコントロールして、もともとの選び手である主権者、つまり国民のために行政を動かしていく。これが国民主権の現行憲法の仕組みであります。 しかし、現実はどうなっているでしょうか。各大臣は、多くの場合、官僚によって大部分コントロールされています。私も第一次橋本内閣で経験をいたしましたが、閣議自体も極めて形式的なものになっていて、前の日の事務次官会議で決まったことを事実上追認するだけになっている。ここに、国民主権ではなくて官僚主権の実態の姿があるのです。 この官僚主権国家をもう一度国民主権の国家に戻さなければならない。私たち民主党は、官僚主権国家から国民主権国家への民主主義革命が今必要だと考えています。そのために、この国会で三つの法案を提出することにいたしております。 その第一番目は、既に野党三党で、政府委員制度の廃止を含め、副大臣制度の導入など政治的任用の大臣補佐スタッフの拡充を提案し、国会冒頭に政府委員制度の廃止を強く求めてきました。 ——————政府・与党は、専門的な議論は政府委員によらなければならないとして、議院運営委員会で———議決がなされました。しかし、総理、専門的な知識のために政府委員が果たしてあるのでしょうか。大臣一人ですべての重要案件に目を通し、判断することは難しい。結局、判断そのものを官僚にゆだねている。逆に大臣は、官僚が用意した答弁をこの本会議や各委員会で答弁する。大臣自身が答弁し切れないところを局長がかわりに答弁する。つまり、官僚が行政を執行し、大臣は官僚の代弁者になっているのではないでしょうか。 そうした「この国のかたち」を根本的に変えていくためには、イギリスの内閣で行われているように、一人の大臣に加えて、一つの役所に三名から六名程度の副大臣をつくり、その大臣と副大臣の五、六名のチームでそれぞれの省庁をきちんとコントロールする。国会答弁も大臣と副大臣でやっていく。そうすれば、国会では、多くは与党から選ばれる大臣と副大臣で構成する内閣側と、野党が議論する。内閣対野党の議論がそのまま与党対野党の議論となっていくわけです。 現在の政府委員が中心の国会討議では、野党対官僚の議論に大半がなってしまっている。これでは、本来の内閣の責任を官僚にゆだねていると言わざるを得ません。政府委員制度の廃止と副大臣制度の創設について、総理の見解を伺いたいと思います。(拍手) 民主党は、さきの国会で提出した行政監視院法案に加え、情報公開法案をこの国会に提出を予定しております。副大臣制度は与党が内閣に責任を持っための制度、行政監視院法案は野党が国会に置かれた行政監視院を活用して行政を有効にチェックするための制度、そして、情報公開法案は国民が行政をチェックするための制度、この三つの制度を設けることで、与党、野党、国民、それぞれが官僚主権の現状を変えていくシステムをつくることが必要であると考えております。こうした点について、総理の見解を伺いたいと思います。 総理は、行政改革会議で国税庁の分離について検討を指示されたと報道されています。私は、この国税庁の分離問題は、単に大蔵省から国税庁を分離するのではなく、現在は国税と地方税をそれぞれ国の機関である国税庁とそれぞれの自治体が徴収しているのを、一本化して共同税として徴収する。そうした根本的な改革が望ましいと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。 所得税と住民税、法人税と事業税を一本化して徴収する。現在でも消費税と地方消費税は既に一本化して徴収されています。国税と地方税の一本化によって、徴税にかかる行政の作業は大変効率化されると同時に、納税者にとっても二度手間、三度手間の手続を簡便にすることになる。そして、徴収された共同税を、例えば国に三割、地方自治体に七割という形で分配する。ごうすれば、国は、これまでのように地方交付税とか補助金という形で地方に財源をばらまくことはできなくなります。逆に、地方自治体は、七割の自主財源を直接得ることによって、自主的な判断で自治体の事業を進めることができるようになる。 もちろん、裕福な自治体とそうでない自治体の財政調整については、七割の自治体財源のうちその三割程度を調整財源として確保し、自治体間の調整機関を設けることによって一定のルールで配分することで調整が可能であると考えます。共同税の方式は、ドイツでも似たような制度がとられていますが、地方分権を進める上で大変重要な改革になると思います。 財源の分権化を進めない限り、幾ら地方分権推進委員会で検討しているように機関委任事務の権限を国から地方自治体に移したとしても、本格的な地方分権は不可能だと考えます。この点についての総理の見解を伺いたいと思います。(拍手) 次に、景気の現状に関する認識と経済構造改革について伺います。 総理は、所信表明演説で、「回復に従来のような力強さを感じることができない」と景気への懸念を示されましたが、いまだに景気は緩やかに回復しているという認識のようです。しかし、この総理の認識と国民の実感は、全く正反対であると言わざるを得ません。 国民は、景気が後退局面に入ったことを肌で感じています。四月から六月期の実質国内総生産、GDPは、年率二けた、二・二%のマイナス成長を記録しました。民間信用情報機関の調べでは、ことし上半期の企業倒産は七千八百五十七件、負債総額は約六兆三千七百億円で、史上最悪のペースです。中でも、上場企業の倒産がことしは既に十社もありました。消費税率引き上げの影響はあったにせよ、下期に入っても消費の落ち込みは回復せず、住宅着工も設備投資も前年割れが続いています。長期金利は大恐慌時の米国よりも低く、平時の先進国では最低の水準という異常事態であります。国際通貨基金、IMFも、日本の経済成長予測を下方修正いたしました。 私たちは、こうした市場からの警告を謙虚に受けとめる必要があると考えます。改めて、景気の現状を総理はどのように認識されているのか、伺います。 バブル崩壊後の数年間、景気対策の名目で公共事業の追加が繰り返され、所得税等の先行減税や特別減税も実施をいたしました。しかし、この間の国、地方合わせて百五十兆円近い累積債務の拡大という犠牲に見合った成果が果たして上げられたでしょうか。公共事業の追加による総需要創出というケインズ流の財政政策も今日では有効に働かないという分析もあります。 一時的な痛みを恐れずに、思い切った規制緩和で新しい産業を創出し、一方で会計制度や税制の国際的整合化、ハーモナイゼーションを図るといった経済構造改革を断行する以外に、日本経済の足腰を強くし、再び持続的成長軌道に乗せていく道はないのではないでしょうか。特に、税制の国際的整合性の観点から、有価証券取引税の廃止と法人税率の思い切った引き下げ、各種の租税特別措置の廃止を急ぐべきと考えますが、総理並びに大蔵大臣の見解を伺います。 また、土地税制については、土地の流通課税になっている登録免許税と不動産取得税の減税や手数料化を検討すべきと考えます。総理並びに大蔵大臣の所見を伺います。 次に、金融システム改革に関連して、四大証券会社すべてと一部の大銀行の経営トップが総会屋に対する利益供与事件で逮捕され、取り調べを受けるという事態になっています。日本の証券会社、銀行は多くの顧客を相手に商売していますが、こうした一部の顧客のみに有利な取り扱いをし、大多数の顧客には不利益な取引をしているということは、商売の原則から外れ、市場の信頼性を損なうものです。 証券スキャンダル以降、大蔵省に証券取引等監視委員会をつくってこうした不公正な取引を監視することになっていましたが、その後も大手証券会社すべてで小池被告への利益供与などの不公正な取引が続けられてきました。やはり、財政と金融を分離し、米国の証券取引委員会のように十分なスタッフを持った独立性の高い監視機関として、金融ビッグバンの時代に対応できる市場監視型の行政組織を整備していく必要があると考えますが、総理はいかがお考えですか。 次に、財政構造改革と公共事業の見直しについて伺います。 政府が今国会に提出した財政構造改革法案は、当初予算について一般歳出の各分野別のキャップ、つまり上限を定めるというだけで、補正予算には何ら縛りがない、しり抜けというか枠外になっています。総理は、今回の財政構造改革法案で補正予算を法律の規制の枠外に置いたことについて、なぜ枠外にしてあるのか、枠外であって構わないとお考えなのか、枠外であるということで従来どおり補正予算が多額の金額に上ることをそのまま認めるつもりなのか、その点をまず伺いたい。加えて、財政投融資のあり方について、どのようにメスを入れるおつもりか、あわせて見解を伺いたいと思います。 財政再建のためには、工事の単価の見直しや一般競争入札の拡大などによる公共事業のコストダウンと同時に、北海道で行われている「時のアセスメント」という観点から、時代に合わなくなったむだな公共事業を見直していくシステムをつくることが不可欠であると考えます。 我が党は、さきの国会に公共事業コントロール法案を提出し、抜本的見直しのルールを提案しました。しかし、自民党の公共事業に対する考え方は、五年計画を七年に引き延ばすことはしても、一度決めた事業は何年かかってもやり続ける、見直しはしないということが大原則になっているように思います。例えば、諌早湾の干拓事業について、私は昨日、再度現地を見てまいりましたが、本当にあの諌早湾の干拓工事による農地の造成が必要なんでしょうか。それとも、一度決めたことは変えられないということなのでしょうか。総理の見解を伺います。 農水大臣にも、ぜひ現地を見て、減反や後継者難の中でも巨額の費用を使って干拓による農地の造成が本当に必要かどうか、自分の目で、自分の耳で聞いて判断していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。(拍手) また、一度開始した公共事業を途中で中止する場合は、それまでにがかった補助金の返還を求められるから自治体は中止できないのだということが従来から指摘をされてきました。この制度は、自治体の判断で事業を中止する場合は過去の補助金を返還しなくてもいいように改めるべきと考えますが、政府の見解を総理から伺いたいと思います。 次に、高齢化社会に備えた社会保障制度改革について伺います。 現在、自民党は、医療や年金の保険料について、高齢化が進むんだから仕方がないんだという形で、負担増を押しつけようとしております。私は、もっと知恵を出して、構造を変えることによって、高齢化社会はより活力のある社会にしていくことが可能であると考えます。 医療費の中身を見ると、一つは、薬の負担が医療費総額の約三割、約八兆円と、諸外国に比べて極めて大きい。もう一つは、いわゆる社会的入院の問題。本来ならば介護で十分対応できるお年寄りを病院に入れて治療するということが、医療費の高騰を招いている。 特に、薬は、個々の薬価は年々引き下げられているのに、薬剤費全体は全く変化がない。これは、従来の薬と同じような薬効の新薬が毎年認可され、同じような薬効を持つ古い薬よりも高く薬価が設定されていることに問題の根があります。本当の意味での画期的な薬が開発費用などを勘案して高い薬価に設定されるのは理解できますが、従来ある薬と薬効の面で大差のないものまで、新薬であるというだけで、認可されたときに高い薬価がつくのは、厚生省の責任のもとに中医協の議論がねじ曲げられているとしか言えません。現在の薬価の決め方を根本的に改めるべきだと考えますが、総理はいかがお考えですか。(拍手) 介護保険制度については、我が党も加わった修正案が本院を通過しています。参議院において早期にこの法案を成立させ、二〇〇〇年のスタートに向けた準備に進むべきと考えますが、総理の見解を伺います。 また、年金制度は、現在の制度のままでは現役世代の特に若年層は、自分たちの払った保険料や税金の中から年金に振り向けられる費用の方が、将来自分たちが受け取る年金よりも多くなるという逆転現象が起きると指摘されています。年金制度の世代間のバランスが崩れつつあると思いますが、総理は現状をいかに認識されていますか。 私は、老後の生活安定の一つの考え方として、リバースモーゲージの検討が必要だと思っております。つまり、ちょうど住宅ローンの逆の考え方でありまして、持ち家を担保に老後の資金の融資を受けることができる、一定の契約期間が過ぎても生きている場合は、その住宅を使い続けることができる、そして亡くなったときに、それを住宅でいわば決済をする、そういう仕組みを考える必要があると思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。 活力ある高齢化社会をつくっていくには、元気のいい高齢者が社会的に活躍できる場を提供することが重要です。しかし、都市では、通勤時間が長く、職場と生活地域が離れているために、地域では高齢者の働き場所がないというのが現状です。職住近接の町づくりを進めることで、週に何回か働くというようなフレキシブルな雇用の形態も生まれ、高齢者の雇用や市民活動など社会参加の機会が広がっていくと考えますが、総理の見解を伺います。 さらに、公的住宅を中心に、高齢者の住みやすいバリアフリーの賃貸住宅の建設を高齢化社会のインフラ整備として促進していく必要があると考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。 次に、教育改革について伺います。 先日、神戸で、中学生が小学生を殺害するという大変重い、残念な事件が発生をいたしました。私は、この事件の背景には、よりいい高校へ、よりいい大学へという学歴偏重のサラリーマン社会の価値観が子供の世界にまで圧力としてのしかかっているのではないか、このように考えております。成績のよし悪しという一つの価値観ですべてが律せられる構造に子供が押し込められているのではないか。 こうした教育の現状を変えるには、まず中学校における内申書の廃止を検討することが必要だと考えます。さらに、子供が少なくなっている現状においては、卒業試験はあっても、入学試験はなしでいずれかの高校にはすべての人が入学できるという高校全入制をとっていってはどうか。この内申書廃止と高校の全入制について、総理の見解を伺いたいと思います。 次に、日米政府間で合意された日米防衛協力の指針、新ガイドラインについて伺います。 何らのガイドラインのない状況では、その場になって超法規的な行動がとられていく可能性があることを考えると、事前に一定のガイドラインを作成しておくことは重要だと評価をいたしております。 しかし、もちろん、ガイドラインに盛り込まれるものは、現行憲法の専守防衛や非核三原則などの原則が守られたものでなければいけないということは当然であります。個々の問題についてはこの国会で十分議論をし、検討し、その上で何らかの形で国会承認という手続が必要と考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。 特に、民主党が重視をしているのは、あらゆる周辺事態に対しこのガイドラインに基づく行動がとられるのではなくて、あくまでその有事の内容によって我が国が米軍の行動を支援する、あるいは支援しないこともある、この原則を明確にしておかなければならないということであります。そのための仕組みとして、現在の日米安保条約に基づく事前協議に加えて、このガイドラインに沿っての行動をとるかどうかを話し合う日米間の協議機関をあらかじめ決めておく必要があると考えますが、いかがでしょうか。 一部で言われているような自動参戦装置にこのガイドラインがなるようなことがあっては決してならない、あくまで我が国の自主的な判断によって支援を決めるという自主判断の原則が守られなければならないと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。 次に、国連改革について伺います。 先日、国連演説で、小渕外務大臣が安保理常任理事国入りについて積極的な姿勢を示されました。しかし、今回の外務大臣の発言では、常任理事国になることで何を実現したいのかが十分見えてきません。こうした我が国の姿勢について、総理はどのようにお考えでしょうか。 また、対人地雷の全廃について、我が国が積極的に国連の場で主張し、その実現に努力すべきと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。 次に、地球温暖化問題に関する京都会議、COP3を前に、二酸化炭素排出削減数値目標について伺います。 政府は、いまだに米国政府に気兼ねをして、数値目標についてはあいまいな態度をとっております。我が国は、温暖化による被害を防ぐ意味から、米国を除く他の国々と歩調を合わせてこの問題に取り組む必要があると考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。 CO2の削減計画について、民主党としては、二〇一〇年までに先進国では一二%以上の削減をすべきであり、我が国としては二〇%の削減を目標として努力すべきと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。また、その実効性を確保するために、国際的に議論されている炭素税などの環境税の導入についてはどのようにお考えでしょうか。 最後に、民主党は九月二十八日に結党一周年を迎えました。この間に数々の議員立法を国会に提出し、その実現に向けて与党の皆さんとの政策協議も続けてきました。しかし、与党の皆さんは、結局これらの法案の成立に協力するという態度を示されませんでした。国民の目からは、そうした与党と協議をすること自体が、ある意味で政権にすり寄っているというように受けとめられたことも私たちにとっての大きな反省材料になっています。 私たち民主党は、今後、選挙によって政権交代を目指す健全で完全な野党のスタンスで臨んでいきたいと考えています。他の党に手を突っ込んで過半数を目指すような、そういうやり方はとらないということであります。来る参議院選挙、さらには次の衆議院選挙で政権交代を実現し、自由で安心できる社会を目指して頑張りたいと考えています。 以上をもって、民主党を代表しての質問とさせていただきます。(拍手) 〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 菅議員にお答えを申し上げます。 まず、中村喜四郎議員の判決についての御意見をちょうだいしました。 判決を重く受けとめ、先日、与党三党におきまして確認をいたしました政治倫理等に関する三党確認に基づいて、政治倫理の確立に向け、国民の信頼回復に最大限努めたいと考えております。 また、中村喜四郎議員の辞職勧告についてお尋ねがございました。 これは、院においてお決めをいただくべきものであり、内閣総理大臣として私が云々すべきことではありませんが、いずれにせよ、政治倫理の確立に向けての努力を怠ることはできません。 次に、政治汚職において有罪判決を受けた人物の閣僚への登用という点についての厳しい御意見をいただきました。 所信表明で申し述べましたとおり、政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかった、この点を深く反省するとともに、多大な御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げますというのが、本院においても申し上げましたとおり、私の率直な気持ちであります。 昨日、与党三党間において合意いたしました政治倫理等に関する三党確認に基づいて、汚職事件で有罪判決が確定した議員の公職就任のあり方及び立候補制限について、法制面を含め早急に検討を開始し、今国会中に結論を得、立法措置が必要なものについてはその成立を図りたい、このとおりであります。 そして、今回の一連の事態に対し、私自身の責任をも含め、その反省を胸に、謙虚に国民の皆様の声に耳を傾けながら、小里総務庁長官ともどもに、全力を挙げて行政改革を断行してまいりたいと考えております。(拍手) 次に、違法な献金が時効にかかる場合であっても政治的責任はあるのではないかという御質問がございました。 一般論でお答えすることはかえって適切ではないかもしれませんが、場合によりましては政治責任を免れ得ないケースもあると思います。いずれにせよ、政治家は、不断にみずからを戒め、常に襟を正さなければならないと考えております。 次に、泉井被告の証人喚問につきましては国会でお決めいただくことだと考えておりますが、その上で、私は、国民の政治不信の払拭のためには、政治家が常に自戒し、襟を正さなければならないと考えており、その意味で、明らかにしなければならないことは適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきものと考えております。先刻も御答弁を申し上げたことであります。 次に、今後の政治資金のあり方についてお尋ねがありました。 昨日、与党三党間で合意いたしました政治倫理等に関する三党確認に基づいて、政治資金規正法附則九条及び十条について、その趣旨を確認し、施行後の実施状況を十分に見きわめ、入念な検討を行い、今国会中の合意に努力したいと考えております。そして、その際、我が国民主政治における政党及び政治家の政治活動のあり方を検討しつつ、国民の浄財である個人寄附の拡大など、政治資金について、諸外国の政治資金制度などを参考に具体的な方途を講じてまいりたいと考えております。 次に、今度は中央省庁再編等行革についての御意見をいただきました。 確かに、御意見のとおり、地方分権あるいは規制緩和が重要だということは十分認識しておりますし、先ほども申し上げたところでありますが、近く第四次の勧告が地方分権推進委員会から出されます。これをちょうだいし次第、地方分権推進計画の作成に本格的に取り組んでまいりますし、また、規制緩和につきましては、議員御自身も内閣をともにいたしております当時、御承知のように進めてまいりましたものが既に進行いたしており、さらに大胆な取り組みをしてまいりますし、前倒しを含めて、規制の撤廃と緩和を強力に進めてまいります。 行政改革会議で検討されております中央省庁の再編は、こうした論議の上に立って行われているものでありまして、国の組織、人員、予算の規模をできるだけ絞り込んでいこうという考え方は、申し上げたとおりであります。 次に、政府委員制度の廃止、副大臣制度の創設という点についてのお尋ねがございました。 政府委員制度につきましては、従来から国務大臣を補佐する目的で任命してきておりまして、現在の委員会審査方式を前提といたしますと、ある程度の任命はやむを得ないところだと考えております。この問題は、国会の御審議のあり方とも深くかかわることでありまして、各党派間で十分御論議をいただきたいと考えます。 また、副大臣制度の創設につきましては、既に政務次官に閣僚経験者を充てるなど、こうした取り組みを行っておりますが、さらなる取り組みにつきましては、三権分立のもとにおける立法府と行政府との関係などにも十分留意をしながら検討を進めていきたいと考えます。 また、党としての御主張であります。その副大臣制度、行政監視院、情報公開制の必要性についてお尋ねがございました。 既に政務次官に閣僚経験者を起用する等、与党が内閣に十分な責任を持つ体制を工夫いたしますとともに、情報公開法案の今年度中の国会提出に向けて政府において準備を進めております。 国会が行政監視のためにどのような体制を整備されるか、これは国会みずからが御判断されるべきことでありますが、政府としても、行政監察などを通じて行政の自己改善を進めていかなければなりません。今後とも、これらの取り組みを真摯に続けてまいります。 また、国税と地方税の徴収一本化の観点から国税庁の分離問題を考えるべきである、ドイツの例を引かれながら御意見をちょうだいをいたしました。 私は、連邦制をとり、中央政府と州政府の関係が全く日本とは異なっておりますドイツの例をそのままに採用することにはなかなか問題があろうかと思います。しかし、当然のことながら、地方分権を進めていきます上で、地方の自主性と自立性を高めるために、国と地方の役割分担の見直し、補助金の整理合理化等に応じた地方財源の充実を図ることが重要であると考えております。 この国税庁のあり方につきましては、行革会議の中間報告において、「今後、真剣に検討する」とされている部分でありまして、地方自治との問題、税制の簡素化などを含めて中間報告で述べられているさまざまな問題を踏まえながら、幅広く検討してまいりたいと思います。 それから、景気の状況についての御認識がございました。 先ほど来申し上げておりますように、個人消費あるいは住宅建設では消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減も引き続き見られるなど、足元については回復テンポが緩やかになっておりますが、個人消費が緩やかな回復傾向にありますこと、設備投資も回復傾向にありますこと等から、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いていると考え、今後ともに景気の動向を注視してまいりたいと考えております。 次に、税制につきましては、有価証券取引税につき、金融システム改革の趣旨も踏まえながら、証券税制全体の中で総合的に検討してまいります。 法人税につきましては、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げる方向で検討を行います。 租税特別措置につきましては、個々の措置につき、政策目的、効果を絶えず吟味しながら、今後とも絶えず整理合理化を進めていく、そうしたものであると考えております。 次に、登録免許税と不動産取得税の減税等についてのお尋ねがございました。 本年度の税制改正におきまして、これらの税の課税標準を固定資産税評価額の一定割合に軽減する調整措置を三年間延長したところであります。平成九年度の固定資産税の評価がえに伴い評価額が下がったことと相まちまして、これらの税負担は既に相当程度軽減されていると考えておりますが、いずれにしても、土地税制につきましては、近年の土地をめぐる状況を踏まえて、土地取引の活性化などの検討の中で広く議論すべきものと考えております。 次に、証券の問題をとらえ、市場監視型の行政組織を整備すべきだという御指摘をいただきました。 既に、証券取引等監視委員会の設立などにより、事前予防的な監督行政から事後的な監視行政への転換を図ってまいりました。そして、金融監督庁の設置によりまして、民間金融機関などの検査監督権限の大蔵省からの分離を実現いたします。 さらに、財政と金融のあり方をめぐりまして、行政改革会議の中間報告において、大蔵省の金融に関する企画立案は、市場信用秩序の維持に関する企画立案に限定するとされているところでありまして、今後はこれを骨格として議論が進められていくことになると思います。 次に、財政構造改革法案と補正予算についてのお尋ねがございました。 補正予算につきましては、財政構造改革を推進していくに当たり、財政法二十九条の補正事由の趣旨を厳正に判断しながら適切に対処することとしておりますが、この法案における財政健全化の目標は、いずれも実績の数値でありますことから、補正予算に関しましても財政構造改革の趣旨は反映していると考えております。 次に、財政投融資のあり方につきましては、資金運用審議会懇談会における議論も踏まえながら改革を進めていくという基本方針のもとに、民業補完や償還確実性の観点から対象分野、事業を徹底して見直していくとともに、資金の重点的、効率的な配分を図り、スリム化を目指し、預託制度のあり方そのものを見直していきたいと考えております。 また、諌早湾の干拓事業についてお尋ねがございました。 この事業は、地元からの強い要望に沿い、優良な農地の造成による生産性の高い野菜、畜産の農業の実現、諌早湾地域の高潮、洪水等の防災対策を目的として実施しております。現に、今年の春以来の大雨等に対し防災効果が発揮されておること、御承知のとおりであります。本事業につきましては、今後とも円滑に実施していく考えであります。 次に、補助金の返還についてのお尋ねがございました。 補助金等適正化法におきましては、既に補助事業など執行済みの部分につきましては、各省各庁の長は取り消しができないとされております。この部分につきましては、地方公共団体等が補助金などの返還を求められることはなく、御指摘のような制度改正は必要がないと思います。 また、薬価についての御質問をいただきました。 医療費における薬価の割合が高い、高価な新薬が処方される傾向にありますのは、薬価基準制度のもとにおいていわゆる薬価差が生じることが大きい、御指摘のとおりに私も思います。このため、医療保険制度の抜本的な改革の中において、現行薬価基準制度を改めて、薬価差が生じない新たな枠組みを検討してまいります。 また、介護保険につきまして、これが老後の最大の不安である介護を社会的に支えるものであり、新高齢者保健福祉推進十か年戦略に引き続いて介護サービスの基盤の整備を着実に進めていく上から、平成十二年度からの実施が必要でありまして、施行に向けた市町村の準備期間を確保するためにも、今国会における法案の成立にぜひとも御協力をお願いを申し上げます。 次に、年金制度につきましては、議員から御指摘がありましたように、このまま世代間のバランスが崩れていきますと、支払う保険料と受け取る年金額の関係についての世代間の不均衡が生ずることとなります。このような点も踏まえて、平成十一年の年金制度の財政再計算に向け、給付と負担のあり方を見直しながら、将来世代の負担を過重なものとしないように制度の改革を進めてまいりたいと考えております。 また、御提言のありましたリバースモーゲージの活用、これは高齢者が保有しておられる資産を安心して活用するという観点から一つの有効な方法だと考えます。既にリバースモーゲージを活用した民間商品も開発されておりますけれども、担保不動産価格の変動あるいは担保切れのリスクなどの問題があるようでありまして、今後さらに検討をしていく必要はあると考えております。 また、町づくりにつきまして御意見がございました。 職と住のバランスのとれた都市構造を実現する、重要な観点であると考えており、都心居住の推進など諸施策の実施に努めているところであります。 一方で、本格的な高齢社会の到来を間近に控え、高齢者に配慮した町づくりは重要な課題でありまして、その視点からも、議員御指摘のような職住近接の町づくりの推進、これも大きなテーマの一つだと思います。 また、バリアフリーの賃貸住宅の整備促進につきましては、本格的な高齢化に対応して、高齢者が安全かつ快適に過ごせる住宅整備を推進することは極めて重要な課題であります。このため、公共賃貸住宅におきましてバリアフリー住宅を供給するとともに、民間賃貸住宅につきましてもバリアフリー化を誘導するなど、その整備を推進してまいります。 また、高校入試の件についての御指摘がございました。 既に御承知のように、各高等学校では、学力面だけではなく、生徒の多様な個性を評価するため、選抜方法にはさまざまな工夫が図られております。いわゆる内申書は一回の学力検査だけではわからない生徒の多面的な適性を評価できるという意義を持つ、そうしたものではありますけれども、これを用いない選抜も認められているわけであります。 なお、生徒の適性などに応じた教育を行うために、私は、全入というやり方がベストだとは考えておりません。選抜自体は必要なことではないかと思います。 それから、ガイドラインについてお尋ねがございました。 新指針及びそのもとでの作業につきましては、国会でも十分御論議をいただきたいと考えておりますが、この指針が政府に立法上、予算または行政上の措置を義務づけるものではなく、旧指針同様に、国会承認の対象になるものではございません。 また、周辺事態について自主的判断をという御意見をいただきました。 ある事態がこれに当たるかどうか、これは日米がおのおの主体的に判断をいたします。他方、日米間では密接な情報交換、政策協議が随時行われているわけでありまして、このような事態に際して、これらを一層緊密に行いながら、日米が共通の認識に到達するための努力を払うことになります。 いずれにいたしましても、日本として、米軍支援等につき、自己の判断に基づいて適切な措置をとることは当然であります。 次に、安保理常任理事国入りに関する我が国の姿勢についてのお尋ねがございました。 我が国は、国連加盟以来、財政面での貢献あるいは軍縮・不拡散、人道などの分野での活動等、グローバルな役割を積極的に果たしてまいりました。我が国としては、常任理事国となることで、その立場を安保理の決定に一層効果的に反映をさせ、世界の平和と繁栄のために責任のある役割を一層積極的に果たしていきたいと思います。 次に、対人地雷の全廃について国連の場で積極的に主張せよ、そういう御意見をいただきました。 我が国としては、既に昨年六月に、全面禁止に向けた国際的な努力を支持するという立場を発表し、昨年の国連総会で採択された全面禁止に関する決議を共同提案いたしました。今次国連総会におきましても、関係国とともに、普遍的かつ実効的な対人地雷の全面禁止に向け、最大限の努力をしてまいります。 次に、COP3を前にして、アメリカを除いて他の国との共同歩調でという御意見をいただきました。 しかし私は、日本は議長国として、現在は意見の分かれておりますアメリカ、ヨーロッパ、さらには途上国など、各国の立場を収れんさせ、いかにすれば足並みをそろえてこの会議を成功させることができるか、そうした視点からこの会議に対しての取り組みを全力でしたいと考えます。 そして、議員からは大変大きな数字を述べられましたが、実態を申しますならば、CO2の削減策、省エネ法の強化を通じて、産業部門におけるエネルギー原単位を大幅に改善をする、自動車の燃費を二〇%以上改善をする、国民生活におきましても、例えば冷房の温度は二十八度以上に、あるいは暖房の温度は二十度以下にしていただく、さらにエネルギー供給面において原子力発電所を二十基増設するなど、ぎりぎりの政策努力を積み重ねましても、CO2の排出量は、二〇一〇年時点において一九九〇年レベルに、ようやくゼロにできるかどうかというぐらいの厳しいものであります。 しかし、その中で我々は、国際的な貢献を考えれば、議長国として、そのような数字でまかり通れるものでないことぐらいは覚悟をいたしております。 それだけに、国民への御協力をもお願いを申し上げたことであり、地球温暖化防止について、意味があり、衡平で、実現可能な目標の合意、国内対策の推進に向けて、心から御協力をお願いを申し上げる次第であります。(拍手) 次に、炭素税など環境税の導入についてどう考えるかという御意見をいただきました。 税制面のあり方につきましては、環境基本法や環境基本計画の趣旨を踏まえながら、環境問題に関する総合的な政策の一つとして、国内外での議論の進展を注視しつつ、引き続き調査及び研究を進めてまいりたいと考えております。 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手) 〔国務大臣三塚博君登壇〕
○国務大臣(三塚博君) お答えを申し上げます。 献金につきましては、清和会、旧派閥でございますが、六百五十万円の献金がありました。本件は、派閥財務担当者から、適正に処理をしたとの報告を受けたところであります。 次に、税制に関するお尋ねでございますが、総理から基本的な取り組みについてのお話がありました。若干補足をさせていただきます。 有取税につきましては、金融システム改革の趣旨を踏まえながら、株式等譲渡益課税を含む証券税制全体の中で、その望ましいあり方について検討を進めてまいりたいと思います。 法人税につきましては、御案内のとおり、課税ベースの拡大、適正化を図り、それにより得られますところの財源を法人税の税率の引き下げに充てていくという方向で検討を続けてまいりたいと思います。 租税特別措置につきましては、特定の政策目的を実現するための政策手段の一つとして位置づけられておるものでありますが、個々の措置については、政策目的、効果を絶えず吟味し、今後とも、整理合理化を徹底していくことが必要であると考えております。 また、登録免許税につきましては、総理からも言われましたとおり、本年度の税制改正において、課税標準を固定資産税評価額の百分の四十に軽減する負担調整措置を三年間延長したことと、平成九年度の固定資産税の評価がえに伴い評価額が全国平均で二五%引き下げられる見込みであることとが相まちまして、既に相当程度税負担は軽減されているものと考えております。 なお、登録免許税は、登記を受けることの背後にある担税力に着目をして課税するものでございまして、実費弁償のために行政サービスの受益者から徴収する手数料とすることにはなじまないものと考えております。 以上であります。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
○国務大臣(小渕恵三君) 外務大臣といたしまして、初答弁が外交案件でありませんで、私個人にかかわることでございますが、誠実に御答弁申し上げたいと思います。 泉井氏からの献金につきましては、同窓ということもあり、過去数年にわたりまして、私に対しまして御協力をいただいてまいりましたことは事実でございます。 なお、金額等につきましては、氏本人が先般記者会見で五百万円程度か、こう言っておられますので調査いたしておりますが、その範囲内と今結果が出ておりますが、いずれにいたしましても、過去数年にわたっておりますので、さらに正確を期して調査を進めた上で、またお諮りをいたしたいと思っております。 いずれにいたしましても、すべての件につきましては、経理担当から、すべての手続は法に基づいて済ませておるという報告でございますので、念のため申し添えたいと思います。 以上、御答弁申し上げます。(拍手) 〔国務大臣島村宜伸君登壇〕
○国務大臣(島村宜伸君) 干拓事業についてのお尋ねでありますが、自給率の低い我が国の食糧の安定供給及び地域の農業振興を図るためには、生産性の高い農業経営を実現し得る優良な農地を確保することが必要であります。諌早湾干拓事業は、平たんかつ大規模な農地を造成し、意欲ある農家による生産性の高い野菜、畜産の農業を実現するための事業であります。 同時にまた、この事業は、高潮、洪水の常襲地帯である諌早湾地域の防災対策も目的としております。ことしの春以来、例年にない大雨、台風に見舞われておりますが、既に防災効果が発揮されており、地元の方々から高く評価され、例えば、本年七月十七日付で、潮受け堤防内の一市四町の代表の方から農林水産大臣あてに感謝状が寄せられておりますことを念のため申し添えます。 なお、今後とも、地元の強い要望に沿って、本事業の着実な推進に努めていく考えであります。(拍手) ————◇—————
○田野瀬良太郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○副議長(渡部恒三君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(渡部恒三君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十分散会 ————◇—————