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141回国会衆議院1997/11/12

地方行政委員会 第3号

発言数
71
登壇者
11
会派数
5
開催日
1997/11/12

会議録

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件、特に地方分権の推進について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として地方分権推進委員会委員長諸井虔君、地方分権推進委員会委員長代理・地方行政体制等検討グループ座長堀江湛君、地方分権推進委員会委員・行政関係検討グループ座長西尾勝君及び地方分権推進委員会専門委員、補助金・税財源検討グループ座長神野直彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。皆様御承知のとおり、地方分権推進委員会はこれまでに数次にわたり勧告を出され、その御努力に深く敬意を表する次第であります。  まず、諸井参考人に地方分権推進委員会の勧告についてお述べいただきたいと思います。諸井参考人。

諸井虔地方分権推進委員会委員長

○諸井参考人 地方分権推進委員会委員長の諸井でございます。  議員の皆様には、常日ごろから地方分権の推進につきまして格別の御支援を賜りまして、まことにありがとうございます。また、本日は、私ども委員会の勧告内容等につきまして、説明の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げます。  本日は、地方分権推進委員会の第二次、第三次、第四次の勧告を中心といたしまして、その内容について御説明し、御理解を賜りたいと存じます。  まず、出席者を紹介させていただきます。  委員長代理で、地方行政体制等検討グループ座長の堀江湛杏林大学教授でございます。(拍手)  それから、委員で、行政関係検討グループ座長の西尾勝東京大学教授でございます。(拍手)  それから、専門委員で、補助金・税財源検討グループ座長の神野直彦東京大学教授でございます。(拍手)  何分よろしくお願いをいたします。  それでは、お手元にお配りをしてございます資料をごらんいただきたいと存じます。  私どもの地方分権推進委員会は、地方分権推進法に基づき、平成七年七月三日に五年間の時限機関として発足いたしましたが、昨年十二月二十日に第一次勧告を行った後、本年に入り、七月八日に第二次勧告を、九月二日に第三次勧告を、そして、去る十月九日に第四次勧告を順次行ってまいりました。  これにより、地方分権推進法に示された地方分権推進のための課題について、具体的指針を一通り勧告することができたと考えております。  また、当委員会の勧告のすべてが、政府の作成する地方分権推進計画に着実に具体化され、実施に移され得る改革案になっていると考えております。  それでは、四次にわたる勧告の概要につきまして御説明申し上げます。資料八ページ以降をごらんいただきたいと存じます。  まず第一次勧告において、明治以来の我が国の中央集権型行政システムの中核的部分を形づくってきた機関委任事務制度につきましては、第一に、国と地方公共団体とを上下・主従の関係に置いている、第二に、知事、市町村長に地方の代表者と国の地方行政機関としての二重の役割を負わせているため、知事、市町村長が地方公共団体の代表者としての役割に徹し切れていない、こういう弊害が生じておりますことから、国と地方公共団体との行政システムの関係を地方自治の本旨を基本とする対等・協力の関係に転換させるため、この際、制度そのものを廃止すべきことを勧告いたしたわけでございます。  これに伴い、地方公共団体の事務の新たな考え方として、従前の地方公共団体の事務を再編成いたしまして、新たに、これは仮称でございますが、自治事務、また同じく仮称で法定受託事務、この二つに区分することといたしまして、新たな事務区分に応じた条例制定権、地方議会の権限、監査委員の権限等の制度上の取り扱いについて、基本的な考え方を整理いたしました。  このような地方公共団体の事務の新たな考え方を踏まえて、従前の機関委任事務について、事務自体を廃止するもの及び国の直接執行事務とするものを除きまして、原則自治事務、例外法定受託事務とする方針で事務区分の整理を個別の事務ごとに行い、地方自治法別表第三、第四に掲げる五百六十一項目の機関委任事務すべての整理を第四次勧告までに終えることができたわけでございます。  その結果、従前の機関委任事務に占める自治事務と法定受託事務との割合はおおむね六対四となりました。なお、事務自体を廃止することとしたものは十一項目、国の直接執行事務としたものは二十項目となっております。  また、従前の団体委任事務につきましては、今後とも存続すべき事務は自治事務とすることといたしました。  第三次勧告においては、地方事務官制度の前提となってきた社会保険関係及び職業安定関係の機関委任事務について、基本的に国の直接執行事務とし、職員はそれぞれ厚生事務官、労働事務官とすることにより、地方事務官制度を廃止することといたしました。  次に、権限移譲の推進を取り上げております。  国から都道府県への権限移譲については、農地転用許可、保安林の指定、解除など、地域づくりに関し長年の懸案だった事項を中心に第一次勧告で取り上げましたが、さらに第四次勧告では、市町村の規模等に応じた権限移譲について検討いたしまして、二十万人以上など一定の人口規模を有する市を当該市の申し出に基づき指定することなどにより、権限をまとめて移譲することとしております。  例えば、指定都市へ移譲すべき事務としては、埋蔵文化財包蔵地域における土木工事等の届け出受理等があります。また、中核市へ移譲すべき事務としては、大気汚染の公表等があります。また、今回新たに設定した人口二十万人以上の市へ移譲すべき事務としては、公害関係の規制地域の指定や開発行為の許可等があります。そのほか、すべての市、すべての市町村へ移譲すべき事務として整理したものを含めまして、三十四件について勧告をしたわけでございます。  また、特に地方公共団体から要望の強い都市計画については、都道府県から市町村へ決定権限を大幅に移譲するとともに、国、都道府県による関与も限定することとしております。  次に、国と地方公共団体の関係についての新たなルールの問題でございますが、機関委任事務制度の廃止に伴う事務区分の再編成にあわせて、国と地方公共団体との新しい関係を確立するため、地方公共団体に対する国の関与のあり方も極力廃止、縮減する方向で見直す必要が出てまいりますので、国の関与の基本類型を一般ルール法で設定することや、公正、透明性等を確保するための国の関与の手続と係争処理の仕組みを定めることとしております。  まず、地方公共団体が担う事務に対する国の関与については、法定主義の原則、一般法主義の原則、公正・透明の原則の三つの一般原則を定めております。  また、一般法主義の原則に基づきまして一般ルール法で定めることとされる国の関与の類型を自治事務及び法定受託事務の性格に応じて設定し、事前協議に合意を要するものや緊急時等に指示ができるものを限定することとしております。  次に、国と地方公共団体の新たな関係の具体的なあり方として、第一に、地方公共団体に対する国の関与の手続ルール、第二に、地方公共団体の意見の申し出と国の応答義務、第三に、国と地方公共団体との間の係争処理の仕組み、これらについて勧告をしております。  地方公共団体に対する国の関与の手続につきましては、官と民の関係を律する行政手続法的な考え方に準じましてその調整ルールと手続を定めようとするものでありまして、第一に、国が関与等を行う際の書面交付など書面主義の原則、第二に、国による許認可等の基準の公表など手続の公正、透明性の確保、第三に、標準処理期間の設定など事務処理の迅速性の確保といった内容を、原則として一般ルール法に定めることとしております。  また、特定の地方公共団体または地方自治全般に影響を及ぼす国の施策に関し地方公共団体の意向が適切に反映されるための機会を設ける意味から、地方公共団体の意見の申し出の仕組みとこれに対する国の応答義務についても勧告いたしております。  これらにつきましては、第二次勧告で提言をしたものでございます。  国と地方公共団体の間の係争処理の仕組みにつきましては、第四次勧告において最終的に結論を得ることができました。  すなわち、国の関与に関する係争を処理する第三者機関として、国地方係争処理委員会、これも仮称でございますが、この係争処理委員会を置くこと、それから、地方公共団体は国の関与に不服がある場合に、また国は地方公共団体が是正措置要求または指示に従わない等の場合に、委員会に審査の申し出をすることができること、そして、委員会は審査の申し出を受けて勧告または調停を行うこと、委員会の勧告に従わない場合等には、地方公共団体は関与の取り消しの訴え等を、また国は是正措置要求または指示に従わないことの違法の確認の訴えを、それぞれ高等裁判所に提起することができることを提言いたしております。  次に、都道府県と市町村の新しい関係でございます。  これまでの機関委任事務制度のもとで、都道府県が市町村に対して一般的に優越的な地位にあり、市町村の事務に関与したり市町村を指導したりすることが当然であるかのような様相を呈してきたことを踏まえまして、都道府県と市町村の間において、分権型社会にふさわしい対等・協力の新たな関係を構築していくこととしております。  このため、都道府県と市町村の事務配分を見直し、機関委任事務制度を前提とする従来の後見的な監督規定を廃止するとともに、市町村に対する都道府県及び国の関与を極力縮減することとしております。  次に、国と地方公共団体の財政関係については、第二次勧告において、地方公共団体の自主性、自立性を高める観点から基本的見直しを行う必要があることを踏まえ、第一に、国庫補助負担金の整理合理化、第二に、存続する国庫補助負担金の運用、関与の改革、第三に、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保のおおむね三つの視点から、財政面における自己決定・自己責任の拡充に向けた改革方策を提言いたしました。  最初に、国と地方の経費負担のあり方と事務区分を整理する方向として、第一に、地方公共団体の担う事務に要する経費につきましては、従来どおり、当該地方公共団体が全額負担することを原則とすることとしましたが、専ら国の利害に関係のある法定受託事務などについては、国は、その負担すべき割合に応じて毎年度確実に負担することとしております。第二に、法定受託事務または法律に定めのある自治事務のうち地方公共団体が実施を義務づけられているものは、国は、そのために要する財源について必要な措置を講ずることとしております。  さらに、国庫補助負担金の整理合理化を進めるに当たり、国庫補助金または国庫負担金の区分を明確化することを求めております。  次に、国庫補助負担金の整理合理化の基本的考え方として、第一に、存続意義の薄れた事務事業及びこれに対する国庫補助負担金の廃止、第二に、同化、定着、定型化しているもの、人件費補助等の一般財源化、第三に、五年を終期とするサンセット方式やスクラップ・アンド・ビルドの原則の徹底を勧告しております。  国庫補助金については、国家補償的な性格を有するものや災害支出に関するものなどを除き、原則として廃止、縮減を図っていくほか、補助率三分の一未満のもの、零細なものなどについて原則として廃止または一般財源化を進めていくこととしております。また、国庫補助金削減計画を策定し、計画的に削減していくこととしております。  国庫負担金については、おおむね十年ごとに基本的な見直しを行うとともに、対象分野・事業についても限定することとしております。  存続する国庫補助負担金については、地方の自主的、自立的な行財政運営の確立を図る観点から、補助金等適正化法等及びその運用のあり方についての見直しを含め、その運用、関与の改革を図ることとしております。  なお、例示として百件の国庫補助負担金を取り上げ、整理合理化や運用、関与の改革等の処方せんを具体的に示したところでございます。  次に、地方税財源の充実確保として、地方税、地方交付税、地方債を取り上げております。  地方税については、地方の歳出規模と地方税収の乖離をできるだけ縮小する観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図るべきであるとしております。また、国と地方の役割分担を踏まえつつ、中長期的に国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら充実確保を図っていくべきことを勧告するとともに、当面は、国庫補助負担金の廃止、縮減を行っても引き続き当該事務の実施が必要な場合や、国から地方公共団体への事務、権限の移譲が行われた場合において、その内容、規模等を考慮しつつ、地方税等の必要な一般財源の確保を図ることとしております。  さらに、課税自主権の尊重の観点から、第一に、法定外普通税の許可制度を合意を要する事前協議とし、税源の所在及び財政需要の有無は事前協議の協議事項から除外することとすること、第二に、法定外目的税制度を創設すること、第三に、住民みずからが負担を決定する性格が強い個人市町村民税については制限税率を廃止すること等を提言いたしました。  地方交付税については、その総額の安定的確保を図るとともに、算定方法の簡素化の観点から補正係数を極力単位費用化するとともに、その算定方法について地方公共団体から意見を申し出ることができる制度を設けることとしております。また、財政再建・行革努力等を促す観点、市町村合併の支援の観点からの財政需要を反映させることの検討や、地方債の元利償還金について、地方債の実償還額等に応じ基準財政需要額に算入する措置のあり方の見直しなどを提言しております。  地方債許可制度につきましては、地方公共団体の自主性を高める観点に立って廃止し、事前協議制に移行するとともに、地方財政計画等を通じた財源措置は合意が調った地方債についてのみ行うことといたしました。ただし、赤字額や公債負担が一定水準以上の地方公共団体等については、原則、起債禁止としておりますし、特定の場合には許可を受けて発行することとしているほか、財政構造改革期間中においては、地方公共団体の歳出の抑制が求められていることから、許可制度を維持することとしております。  次に、地方行政体制の整備、確立として、第一に、地方公共団体における行政改革等の推進、第二に、市町村の自主的合併や広域行政の推進、第三に、地方議会の活性化、第四に、住民参加の拡大、多様化、第五に、公正の確保と透明性の向上、第六に、首長の多選の見直しについて、地方公共団体において自発的な取り組みを積極的に行うよう要請するとともに、国が講ずべき支援策や促進策について提言をいたしております。  行政改革等の推進については、第一に、行政改革大綱等の改定、充実、年度行政改革実施計画の策定、公表、第二に、定員管理、給与の適正化等、第三に、人事交流と人材の育成等を取り上げております。  また、市町村の自主的合併については、今まで以上に積極的に進めていただくために、第一に、大都市圏、地方中心都市とその周辺地域、過疎地域などの地域の実情に配慮した施策を実施することとし、政令市、中核市の権限の拡大、中核市の要件緩和、中核市に準ずる市の特例の創設、市となるための要件の見直し等の検討を行うこと、第二に、合併推進のための都道府県の役割として、地域の実態を反映した市町村合併のパターンの提示、先進事例の紹介等を行い、国はこのために必要な指針を策定すること、第三に、そのほか、地方交付税等による財政上の支援措置の検討、住民発議制度をより効果的なものとするための制度的工夫、旧市町村代表の合併市町村の執行機関などへの参加の仕組みの導入を提言いたしております。  地方議会の活性化として、条例による議決事件の拡大、議会事務局の充実強化、議員定数の弾力化、議会の公開の推進等を取り上げております。  住民参加の拡大、多様化として、直接請求制度の見直しの検討、住民投票制度の検討、民間のコミュニティー活動等との連携協力のための支援等を提言しております。  公正の確保と透明性の向上として、情報公開の推進、行政手続の適正化、監査機能の充実強化を提言いたしております。  首長の多選については、首長の選出に制約を加えることの憲法上の可否を十分吟味した上で、地方公共団体の選択により多選の制限を可能とする方策を含めて幅広く検討するように提言をいたしております。  それから、必置規制の問題でございますが、国が地方公共団体に対し、職員、行政機関等を設置しなければならないと義務づけている必置規制について、地方公共団体の自主組織権を制約すると同時に、行政の総合化と効率化を阻害する要因となっているとの認識に立って、必置規制は法令に根拠を置き必要最小限のものにとどめることとするとともに、職員、行政機関、施設、各種審議会等について、七十九件を具体的に取り上げ、提言をいたしております。  また、国の地方出先機関の見直しについては、地方分権の推進に伴い事務量が減少する機関、本庁と事務、補助金等の手続が重複する機関について見直しを進めることを勧告しております。  以上が地方分権推進委員会の第一次から第四次までの勧告の概要でございます。  最初にも申し上げたとおり、四次までの勧告により、地方分権推進法により示された地方分権推進のための課題について、地方分権を推進し、国と地方公共団体との新たな関係を確立するための道筋を示すことができたものと考えております。国と地方公共団体の双方が、四次にわたる勧告が示した国と地方公共団体の関係についての新たな枠組みのもとで、対等・協力の関係を築き上げる努力を続けることにより、我が国の行政のあり方は大きく変わると信じております。  今後、委員会の任務は、地方分権推進計画の実施状況の監視に中心を移すことになりますが、政府による地方分権推進計画の策定作業の間においても、これをよりよいものとするために、随時に政府に協力し、必要に応じて補足的な検討を行ってまいりたいと考えております。  以上で御説明を終わらせていただきますが、当委員会の活動に対しまして、引き続き皆様の御理解と御支援を切にお願いする次第でございます。  どうもありがとうございました。(拍手)

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 以上で諸井参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川公也君。

西川公也自由民主党

○西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。  地方分権推進委員会の諸井委員長初め参考人の方々には、これまで大変御苦労されながら第四次勧告まで取りまとめていただきまして、心から敬意を表する次第でございます。  これからこの勧告に基づいて推進計画を策定する、こういう段階に政府はなってくるわけでありますけれども、私は、その推進計画の策定の中で、解釈というのはだれも自分が有利なように解釈する部分がありまして、これから各省がいろいろ協議をしながら推進計画をつくる場合に、政府寄りの、あるいは国寄りの偏ったような計画にならないようにしてほしい、こう願っておるところでございます。  そして、今回の勧告書の取りまとめの中でも、政府は勧告全体を尊重して速やかに地方分権推進計画を作成し、法制的な検討を深めて計画を早期に着実に実施されたい、こういう御意見があったわけでありますけれども、そういう形でこれから見守っていかなければならないのかな、こう思っております。  これからの地方分権推進計画の作成に当たりまして、勧告されたわけでありまして、その計画につきまして、これから推進委員会といたしましては、実施状況の監視あるいは内閣に意見を提出するとか、そういう仕事が残っていると思います。大変御苦労されて、こんなにも膨大な量をわずか二年三カ月でまとめたということでありまして、きっと参考人の方々は、やれやれという気持ちで、一区切りついたかな、こんな気持ちでもあるかと思いますけれども、要は、これからまた大変な作業でございまして、今後、推進委員会としてはどんな形でこの課題に取り組んでいくのか、その辺のお話をまずもってお聞かせいただければと思います。

諸井虔地方分権推進委員会委員長

○諸井参考人 どうもありがとうございました。  今回の第四次の勧告によりまして、地方分権を推進するために当面必要不可欠な具体的な指針を政府に勧告するという地方分権推進委員会に課された第一の任務は一応一段落というふうに考えております。  今後の任務としては、先生おっしゃいましたように、推進計画の実施状況の監視ということに移っていくわけでございますが、政府が推進計画をつくっておられる、来年六月までということでございますが、その間も、委員会としては、これまでの勧告について、これは大分急いでつくりましたものでございますから、もう二遍チェックをして自己評価をいたしまして、積み残したことがないかということは再点検をしてまいるつもりでございます。その結果、政府による地方分権推進計画の作成作業にとって多少プラスになるのかなというようなことが出てきた場合には、適時適切にまた追加をしてまいりたいというふうに思っております。  それからまた、一方で、必ずしも地方分権というのが国民全般に浸透していると言えないような感じもございますものですから、なるべく全国各地に行きまして、この内容についても御説明に伺いますとともに、地域の皆さんからいろいろな御意見をちょうだいして、それをまた我々の今後の活動の上に反映してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

西川公也自由民主党

○西川(公)委員 今、委員長からのお話で、今後も監視をしていくし、さらに再点検もしていってくれる、こういうことでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  その中で、とりあえず入りやすいところから入っていきたいと思いますけれども、分権型の社会を実現する、こういう中で、地方が仕事を与えられて果たしてその税財源は大丈夫なのか、こういう問題が一つありますし、また、事務能力の面で、日本は長い間、明治以来、中央集権国家、こういうような形で行政の事務が流れておったわけでありますから、市町村の方々が本当に、分権で事務が入ってきてそれを受け入れる、そういう気持ちの準備ができているかというと必ずしもそうはいっていない、こういうことだろうと思うのです。  そして、今回の勧告では、国と地方の事務分担の方向性、これは示していただきましたので、大変いい形がこれからできてくるのかな、こう期待しております。  また、今回の勧告の中では、市町村の事務を人口がある程度、一定規模以上のところを対象として現実的な手法で権限の移譲をやった、小さいところには今回はいかないのだろう、こう思いますけれども、そんな中で果たして税金あるいは税源が大丈夫なのか、こういう疑問を持っています。  先ほども委員長から、地方税の問題、平成九年度で三十七兆ぐらいあるのかと思いますけれども、法定外普通税の許可制廃止、一方、法定外目的税の創設、さらには個人市町村民税の上限の撤廃、こういうことを申されました。  地方の財源を確保するのには手法は幾つもあるのかと思いますが、一つは、新しい税を市町村につくらせる、これを認めるということが一つの手法だと思います。もう一つは、税率の問題で、国税の方の税率を下げて地方税の税率を上げれば地方はよくなるわけでありますけれども、今、財政を再建しよう、こういう時期で、これはなかなかとれる手法ではないだろう、こう思います。さらに、個人市町村民税の上限撤廃ということで、財源確保のためには市町村長は上げたいわけですけれども、市町村民もそんなにお金があるわけじゃありませんし、選挙で選ばれてくる首長ですから、なかなか税率を上げるというようなことには現実の問題として対応できないのだろうと私は思うのです。  そういう中で、いろいろ検討していただいたと思いますけれども、地方の歳入をどうやって確保していこう、こういうことで考えられたのか、お聞きをしたいと思います。  また、起債の問題で、地方債が、この財政構造改革期間中は今のような許可制でありますけれども、二〇〇四年から事前協議の届け出だ、こういうことに考えられたと思います。  地方の立場からしますと、私は、長い間、栃木県庁の職員をやって、その後、栃木県議会議員を十七年ほど務めてきました。地方債を自治省が許可してくれるということは、一方では、責任を持って面倒を見てくれる、こう解釈をしておるわけです。それが、二〇〇四年から事前協議制をどうだと、こういう話になりましたけれども、本当にそれで御心配、まあ心配があるのですけれども、どのような考えに立っておられるのか、まずここからお聞かせをいただければと思います。

諸井虔地方分権推進委員会委員長

○諸井参考人 税財源の問題につきましては、我々も地方へ参りますと必ず出てくる問題でございまして、これは神野先生が担当されましたので、後から詳しくお話ししていただきたいと思います。  我々としては、今回、機関委任事務制度の撤廃とかあるいは補助金の廃止とか、いろいろ提言をしておるわけでございますが、その関与の廃止に伴う財源というものは、むしろ節約ができる面があるのだろうと思います。権限を大きく移譲してまいりますと、これはまた大きな財源が必要になってくるのだろうと思います。今回は、それほど大きなそういう権限の移譲というものはないわけでございます。  しかし、補助金の廃止をした場合にも、その事務自体は地方に残るというようなケースもございます。ですから、そういう実情に応じて地方税とかあるいは地方交付税とかの充実を図っていくというようなことで、そういう考え方を勧告として述べておるわけでございます。  具体的な税目等については、これはまた税調との関連がございますので、非常に詳細に述べるという立場ではございませんでしたが、できるだけ安定性のある、かつ偏在性の少ない、そういう税源というような、抽象的ではありますが、そういう表現でおのずから税目が浮かび上がるような形で提言をしているところでございます。  それから、地方債については、基本的には許可制度を廃止していくということでございますが、しかし、今、財政構造改革期間中であるというようなこともございますし、おっしゃるように地方公共団体にはいろいろなものがありますわけですから、できるところはなるべく自主的にマーケットで出していけるようにする、一方、やはりある程度、国がチェックをして、そして財政の内容などもチェックした上で、事前協議で認めて出していくというふうな部分も必要なのではないかというような形で勧告をしたところでございます。  必要でございましたら、神野先生にまた発言していただきます。

神野直彦地方分権推進委員会専門委員(補助金・税財源検討グループ座長)

○神野参考人 神野でございます。  委員長がただいま御説明されたことでほぼ抽象的には尽きておりますが、少し補足させていただきます。  まず、議員が御心配のように、さまざまな事務、権限がおりてきた場合に、地方の税財源は大丈夫かという御心配だろうと思います。  この点につきましては、私どもの勧告は、事務、権限の移譲が行われた場合には、必ず一般財源で、つまり地方交付税と地方税で確保していただきたいということを勧告いたしております。  それから、今委員長も御説明いたしましたように、補助金や負担金の削減が行われた場合、この二つの場合に、当面は地方の税財源を中心に一般財源を充実していただきたい、こういうふうにお願いをいたしております。しかも、中長期的には、いずれ国税と地方税の税源配分のあり方を見直す中で地方税の充実確保をお願いしているという勧告になっております。  内容につきましても、生活者重視の時代動向、これは、これまでは、御案内のとおり、地方税といいますと、どうしても固定資産税のような、財産保護的なサービスが多かったものですので、そういう税源ということを考えておりましたけれども、今後のそういう生活者にかかわるような公共サービスが出ていくということにふさわしい応益的な税金を、所得、消費、資産のバランスをとってお考えいただきたいということを方向性としてお示しいたしております。  それから、地方債についても、これは私ども、マクロ的にと申しますか、景気調整のようなマクロ的な調整の問題と、それから、地方で起債のできないような、今議員が御心配になったような場合にどうやってサポートしてあげるか、この二つの面を考慮いたしておりますので、事前協議制をとっておりますけれども、合意が調わなくても資本市場には御自由にアクセスできますが、調った場合には公的な資金の裏打ち、利用とか、それから交付税を通じての元利償還などもできるということになっておりますので、御心配いただくことはないと思います。

西川公也自由民主党

○西川(公)委員 次に、市町村合併につきましてお聞かせをいただきたいと思います。  合併をしてある程度の規模にすれば事務能力も上がってくるわけでありまして、権限の移譲というのはもっとうまくいくのだろうと思います。今回もその合併の問題につきまして、第二次勧告でしたか、発議制の問題とか、この辺にも触れてくれておったようでありますけれども、合併というのは大変難しい問題を抱えておりまして、今、郡界の変更等につきましてもなかなか難しいので、それじゃ合併でやったらどうか、こういう地方の例がございます。  もともと郡の構成というのは、何々郡、何々郡というのは、私は、川の流域で決まってきたと思うのです。川の流れで、川で物流をやっておった、それが郡になってきたと思うのです。しかし、現在は、郡等は水平、横の移動で、車の移動、こういうことで、郡といいますか、広域行政圏ができてきておりますので、過去の水運時代の郡の形成と現在の横の物流の問題とを考えますと、決して市町村あるいは郡の形成というのは時代に即応してない、こう思うのです。  しかし、合併をしたいといって住民が立ち上がるケースというのは非常に難しいわけでありまして、市町村長の顔色見い見いやりますと、大体合併なんてできるわけじゃありません。  そういうこともありまして、市町村合併の特例法、一九九五年、平成七年の四月一日に改正法が施行されました。住民発議制度、これも設けたし、合併後の町づくりへの財政支援の大幅拡充、こういうことを決めたわけですね。それをやっても、なかなか現実には改正後も関心が高まらない。これが現実の姿かと思います。  そんな中で、自治省は、県が実施します合併に関する調査あるいは指導などの事業につきましては、九六年度から、先ほど言った交付税措置の対象になっています。しかし、なかなかこれは難しい問題だと思います。  しかし、規模というものはある程度大きい方が行政体としては力がつくわけでありますので、自民党といたしましても、地方行政部会の中で小委員会を設け、きょう平林先生お見えでありますが、平林先生が委員長で今やってくれておりますけれども、相当国が指導していく形じゃないと、なかなか住民の方から持ち上がってくるというのは難しいのじゃないかと思うのです。  今回は二十万人ということで大体決めてくれましたけれども、その辺の合併問題、受け皿論、この辺は分権委員会としましてはどのような議論をされたのか、教えていただければと思います。

諸井虔地方分権推進委員会委員長

○諸井参考人 合併の問題につきましては、実は委員会としてもいろいろ悩んだところでございまして、当初のころは、合併の問題については余り委員会として触れない方がいいのではないかというふうな議論もあったわけでございます。  ただ、審議を進めてまいりますにつれて、やはり分権を進めていく場合に基礎的な自治体の規模、体力、行政力というものが充実していくことが不可欠であろうというので、委員会としては、なるべく合併の方向へ自治体が行ってくれるような、そういう勧告はしなければならぬなと。ただ、やはり地方分権推進委員会でございますから、上から合併を強制するというふうなことは、これはどうも論理矛盾になってしまうのじゃないかというふうなことで、いろいろ苦心惨たんをいたしまして、少しでも合併が進むような方向で幾つかの提言をしております。  これは堀江先生が担当しておられますので、具体的な点は、必要があれば堀江先生の方から直接……。

西川公也自由民主党

○西川(公)委員 それじゃ、堀江先生、お願いします。

堀江湛地方分権推進委員会委員長代理(地方行政体制等検討グループ座長)

○堀江参考人 堀江でございます。  ただいま委員長が御報告申し上げたことでおおむね尽きておるとは思いますが、多少細かいことに触れて御報告いたしますと、確かに、地方分権を積極的に進めなければいけない、これは私どもの大前提でございますが、一方、同時に、今二十一世紀に向けて対応できる日本の政治行政システムをどのように改めていくかということで、行政改革が大きな課題になっております。してみますと、そういった行政改革というのは、単に中央政府のみにとどまるものではなく、地方自治体においても同様に、厳しい改革への努力、それが二十一世紀における増大する行政需要に対応する上での非常に大きな課題ではなかろうかと思うわけであります。  そこで、そういった一環として、権限が大幅に移譲されるということに伴う行政体制の整備ということが問題になるわけでありまして、その一つとして市町村合併というものも自主的に、積極的に御推進いただくということが必要になろうかと思います。  そこで、そういった市町村合併に関しましては、私ども、市町村合併といいましても、政令市から、あるいはかつて市に昇格したけれども、現実にはその後の社会情勢の変化に伴って市としての行政にかなりの支障を来しているところまで、さまざまな段階がございますので、まず市町村合併の推進に当たっては、大都市圏、それから地方中心都市とその周辺地域、それから過疎地域などの地域の実情に十分配慮した施策を講じなければいけないと考えております。  この場合、市町村の規模と権限との関係が重要な位置を占めると考えられることから、国は政令市や中核市の権限の一層の拡大、そして現在、面積、人口等の規制がございます中核市の要件の緩和、ないしは広域市町村圏の中心都市などを対象とする中核市に準ずる市の特例の創設、及びこれに移譲すべき権限等について、地方分権推進計画を政府がつくるに間に合うように検討を行う、また、基準人口など市となるための要件の見直しについても幅広く検討する、こういうふうに考えております。

西川公也自由民主党

○西川(公)委員 そこで、今回勧告をされまして、私は、各省庁間の調整というのは果たしてうまくいったかというと、ここはちょっと疑問を持っているのです。  長い間、地方におりますと、各省間の指導が違うのです。例えばガソリンスタンドなんかをつくる場合に、ある住宅地域は、住宅団地を造成したところは塀の高さを一・五メートルとか一・二メートルの通しのできるものにしろ、生け垣等にしろ、こう言うのですね。住民がガソリンスタンドが欲しい、しかし消防庁の規制があって、通産省の指導は、これは二メートル以上の塀にしろ、まして風通しがないものにしろ、こういうことなんですね。ですから、現実には住民が希望してもそれはできない。こういうことがあるのです。  また、開発行為の問題ですけれども、今回、開発行為を権限移譲されたということは、私は大変すばらしいことだと思います。よくこれをのんでくれたなと思いますけれども、人口二十万以上の市へ移譲することにもなった、こういうことですね。  それで、この開発行為の問題でありますけれども、私は、人口二十万の都市に権限を認めたということが大変評価されることだと思うのです。ただ、二十万がいいか十万がいいか、これは議論のあるところだと思います。  例を申し上げますと、市街化調整区域に例えば住宅団地、工業団地をつくる場合、政令では二十ヘクタール以上は県知事の許可なんです。二十ヘクタール以上ないと市街化調整区域で開発行為はできないのです。しかし、現実には、宇都宮は人口四十三万ですけれども、例えば栃木県の足利市、小山市というのは十五万を超える前後の都市なんです。ですから、今回も二十万の枠には入りませんけれども、十万人以上の都市は、大体四十七都道府県のうち大半の県が運用で、十万以上の都市も知事が委任をすれば権限を有したことに解釈をする、こういうことでやっております。二十万以上に権限移譲するということは大変評価できます。ただ、現実の問題としましてはもう十万人で対応している、こういう姿も御理解をいただければ、こう思っているのです。  それから、市街化調整区域を今度は逆に、団地ができた、それを市街化区域と変えるときは、五十ヘクタール以上じゃないと飛び地の場合はできないのです、今の法律では。しかし、政令で、二十ヘクタールでもいいだろう、こういうふうに運用では下げている。  大体物事、こういう問題はみんな基準を下げて運用しておりますので、これは二十万人以上というのも大変結構な話でございますけれども、現実にはもっと進んでいるものですから、この辺の対応で、私は、この見直しあるいは監視、この中でもう少し下げていかれたらどうか、こう思うのですが、御所見がありましたらお伺いをしたいと思います。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 西尾でございます。  地方六団体からも、複数省庁にまたがった関与があるために利便性が損なわれている、事務の非効率性を招いているという支障例が数多く御指摘があったところでございまして、こうした各省庁による縦割り行政の弊害を是正して地域の総合行政の確保を図るということが地方分権を推進していく上で一番重要な一つの点であるという認識は持っておりました。  しかし、先生御指摘のとおり、例えば開発許可と農地転用の関係等々、密接に関連しているものについて、権限がどこまでおりているかというようなことがずれているというような例がございます。こうした問題は、都市計画制度の見直しの中でも大変大きな問題として論議されたところでございますけれども、率直に申し上げまして、複数省庁の事務の体系を一つ一つ個別法を直してそろえていくというのは大変な作業でございます。そういう問題が多々あることは存じておりますけれども、その一つ一つを取り上げて詳細な検討をしていくということは、私たちの委員会の中で十分できなかったところでございます。  しかしながら、そういった問題を一般的にまず解決しなければならないという観点に立ちまして、機関委任事務制度の廃止、そして、これに伴っておりました包括的な指揮監督権を廃止する、原則自治事務へ移行させる、そして、国による関与というものを全体的に縮小していく、こうすることによって、縦割り行政が是正されていく、県なり市町村のレベルで総合行政がやりやすくなっていくということになるはずだと考えて、そういう一般的な改革をまず提言させていただいているわけでございます。  こうした改革をしました上で、さらに個別の法制度の整備というのを政府の方でお考えいただければ大変ありがたいと私どもとしては考えているところでございます。

西川公也自由民主党

○西川(公)委員 時間が迫ってきましたので、ちょっとまとめながらお伺いをしたいと思います。  一点は、産業廃棄物の問題。  これは許可権が今度は下におりてくるわけですけれども、今までも県が、許可申請がありますと、これは許可することが前提の法律ですから、幾ら住民が反対をしても、条件整備が整っておると許可しないわけにいかないのですね。しかし、廃棄物というのは発生したところと処理するところが広域的な問題だし、施設そのものが迷惑施設でありますので、住民は受け入れません。  私は、十五年ほど前に、大変地元に近いところに廃棄物の許可が出てしまいました。県は何としても進めたいのでありますが、住民は流血の惨事をやっても入れない、こういうことで最終的には町にその施設を買い上げさせました。  それから、四年ほど前に、ちょうど私が県の議長をやっているときに、栃木市の産業廃棄物問題というのが大きな問題になりまして、テレビでどんどん放送されましたけれども、これも許可が前提ですから許可を出しました。しかし、住民は何としても通さない、交通をストップしまして。最後には県庁を占拠した。  こういうことで、私、中に入りましてこれをおさめたのでありますが、住民に近いところへ許可権者をおろしていきますと、市町村長も、住民に直接やられます、あるいは議員からもやられますので、どうしても後ずさりします。むしろこれは国に残しておった方がいい、私はこういう御意見を申し上げておきたいと思います。  それからもう一点は、特養ホームの問題であります。  この問題を下におろしますという話になりましたが、今、ただでさえお金がなくて特養ホームをつくるのに順番待ちなんです。おろしてもらっても、財源がふえることをみんな願っています。各県、大体一年に二カ所ぐらいのはずです。それを三カ所にし、四カ所にし、みんな苦労して工夫してやってきていますけれども、おろされてもこれはできません。この辺の検討はどうされたのか、最後にお伺いをして、ちょうど時間になると思いますので、よろしくお願いします。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 まず、産業廃棄物問題からでございますけれども、先生御指摘のとおりの問題があるわけでございます。  御承知のように、平成九年の法改正によりまして制度の一部見直しが行われまして、各種の問題の一部に対処するため、国の役割や責任の強化が図られているところでございます。  そこで、今後は改正法の施行状況というのを見ながら考えていかなければなりませんけれども、私どもの認識としましては、平成九年の法改正だけでは、今起こっているさまざまな問題のすべてにわたる抜本的解決には困難なのではないかというふうに認識しているところでございます。現在の機関委任事務制度のもとで全国各地で起こっております産業廃棄物をめぐる混乱は、単にこれを法定受託事務とするか、自治事務とするかという事務区分の整理では解決できない問題なのではないかということであります。  基本的な認識としましては、国の責任のもとで廃棄物の適正処理と施設の円滑な設置を可能とするような仕組みの構築に向けて、国は問題解決の前線に立って率先して解決処理に当たるなど、国の役割や責任の強化を内容とする抜本的な制度改正が遠からず避けがたいのではないかというふうに考えているところであります。  廃棄物処理行政における国と都道府県、市町村の間のそれぞれの責任分担を明確化するという方向で、この抜本的な制度改正が行われる際に基本的な見直しが行われるべきでありまして、恒久的な事務区分の整理もこれを踏まえてその時点で議論されるべきではないかというふうに考えております。今回、産業廃棄物処理に関する事務につきましては、法定受託事務として一応整理いたしましたけれども、これは当面の暫定的な整理という理解になっているわけでございます。  それから二番目の、特養ホームの問題でございますけれども、この点も、勧告をごらんいただきますと、御指摘のことがまさに問題になって議論されているわけでございます。  社会福祉施設の設置認可につきましては、国の措置費で運営されており、施設の認可は国の財政と調整を図る必要があるという御指摘が所管省からもなされていたわけでありますが、現行の社会福祉事業法の第五十七条では、都道府県知事は基準に適合すれば許可を与えなければならないというような仕組みになっておりまして、県の知事の方には裁量の余地がなく、財政問題があるので許可しないという仕組みにはなっていない、現在の法制度はそうはなっていないという問題がございます。  したがいまして、国の財政との調整等の必要性は理解できるのですけれども、もしそうであるならば、そのような法体系と改めるべきなのではないかというふうに考えるわけでありまして、今回の勧告では設置許可を自治事務といたしましたけれども、国の財政との調整等の観点から全国的な総量規制等を行う必要があるものとして、国がこれらの規制、調整の基準を明確に示す制度とする場合におきましては、設置許可に係る国の関与のあり方を別途検討する必要があるというふうに勧告で書いているところでございます。

西川公也自由民主党

○西川(公)委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 鰐淵俊之君。

鰐淵俊之新進党

○鰐淵委員 私、新進党の鰐淵俊之でございます。  きょうは、各参考人の皆様方、大変お忙しいところ御苦労さまでございます。また、第四次にわたる勧告案を精力的に出されましたこと、これまた心から敬意を表するわけであります。  私が与えられた時間は十五分でございますので、個々についての質疑や議論は時間の制約上できませんので、マクロ的な見地から若干お聞きしたい、このように思うわけでございます。  まず一つは、今回の勧告案を通じて、私どもの感想は、もちろん、諸井委員長さん、自治大臣、総理大臣の談話で、基礎自治体にできるだけ権限を移譲し、そして自立的に、しかもまたみずから決していく、こういう観点に立って地方分権を進めるべきである、まことにこれはすばらしい目的であり、理想であり、分権を考える上での哲学だ、このように私は考え、賛同するわけであります。  ただ、これまでの勧告書を見てみる限り、残念ながら、地方自治体、特に基礎自治体における権限移譲が余りにも少な過ぎるということを、端的に私はそのように印象づけられたわけであります。特に、各ランクづけによって二十万以下の市ということになりますと、非常に軽微な変更とか許可とかそういう程度の権限移譲ですから、余りにも地方分権というものにほど遠い感じが実はいたしました。  したがって、私ども、恐らく、町づくりの衝にある者は、自分たちの町は自分たちで、何とかすばらしい、快適な町をつくっていきたいと必ずや努力しているわけであります。そこにいろいろな、国、都道府県等の許認可、制約等があって、なかなか自決できないということがあるわけでございますが、現在、御案内のとおり、全国の市の数というのは六百七十ございます。二十万以上の都市というとわずか九十一市、ですから、全体の都市の中でも一三、四%ということになります。圧倒的な多くの市にはそのような権限が移譲されない。そうすると、地方分権という、最も基礎自治体で、最もマジョリティーのある市に対してそういう権限が移譲しないということは非常に私は残念なことだと思っているわけでございます。  したがって、まず一つは、概括的に、この問題について委員長さんのお考え方をひとつお聞きしたいということでございます。  二つ目は、それではこの二十万とか十万とか、あるいは政令とか中核とか分けておるわけでありますが、町づくりを進める上において一番大事なことは、先ほど西川委員さんの方からも御質問ございましたが、やはり都市計画、都市計画に基づく用途地域をどうするか、あるいは容積率をどうするか、あるいは都市計画に基づく都市計画の街路や公園やそういったものをどう配置するか、これは本当に基礎自治体にいる者が一番よく条件も知っており、一々それは許可、認可されるものではなくて、むしろ自分たちで決めていくことが一番いいわけなんであります。そのために地方議会もあるわけであります。あるいはまた区画整理もしかり、それから農地法における転用もしかりであります。これが一々都道府県の知事許可や建設省や農水省の許可、とてもこれでは真の地方分権というのはなし得ないと実は私は確信を持っておるわけであります。  そういう意味で、この二十万という区切りの中で、実は例えば十九万五千、十九万七千という都市もたくさんあります。私の市なんというのは、十九万七千でございます。連檐しているところが二万三千、合わせますと二十三万近くあるのです。しかし、その他の市に入りまして、人口一万あるいは歌志内の六千人と同じような権限しか来ない。まるで何にもないに等しいのですね。私、見て、もう唖然としてしまったのです、これではとてもだめだと。  であれば、二十万というボーダーで切ったとすれば、確かにある一定のところで切らなければいけないと思いますが、市域、市街域というのが連檐している市町村があるとすれば、合併というのは先ほど言ったようになかなかでき得ない、ですから、先ほども西川委員からお話ございましたように、私は以前にもお話し申し上げましたが、もっと積極的なインセンティブ、それをやる、最終的には住民投票というのも必要ではないかということをお話し申したはずなんでありますが、そんな形で、とりあえずは二十万以上になるため、連檐している市町村がお互いに協議して、合致して、都市計画や区画整理あるいは農地を含めて、こういった権限移譲が二十万以上になされる開発行為等はおろすべきだ、こう私は思っておるのですが、その点について、堀江参考人でしょうか、御答弁いただければと思います。

諸井虔地方分権推進委員会委員長

○諸井参考人 市町村への権限の移譲がどうも極めて少ないではないかという点でございます。  私どももやはり同じような感じを実は持っておるわけでございます。  ただ、この問題については、我々なりに地方六団体から要望をとりまして、その個々について各省庁とかなり厳しい折衝をいろいろやってまいりました。大変これは時間を要することでございまして、一方で、機関委任事務制度を廃止するとか、その他、国の関与全般を薄めていくということの方にも相当な時間を必要とする、それからまた、勧告を出した後、計画がつくられてそのまた実施を監視して、五年以内に全部実現をしなければならぬ、そういうタイムスケジュールの関係もございまして、どうもこの程度に終わったことは私も残念だと思っております。  今後も、総理からも多少そういうお話もいただいておりますものですから、どんなやり方ができるか、今委員会でも鋭意検討しているところでございます。  それから、二十万の問題につきましては、西尾先生の方の御担当でございますので、西尾先生からお願いいたします。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 私どもといたしましては、当初は、指定都市、中核市、人口二十万以上の市、人口十万以上の市、そしてすべての市、それからすべての市町村、こういう六段階を設けまして、市町村側から事務移譲、権限移譲の希望を聴取していたわけでございます。ですから、当初から二十万だけを想定していたわけではありませんで、十万以上という刻みもつくっていたわけでございます。  そこで、市町村側から出てまいりました要望で、そして県の多くも市町村におろして差し支えないだろうと言われた事務が全体で四十数項目挙がってきたわけですけれども、それについて関係各省庁と協議をして合意が成り立ったのが三十四項目という結論になっているわけです。この結論に到達する際に、人口十万以上の市に移譲してはどうかと言っておりましたものがすべて消えてしまいまして、人口十万以上では無理だ、人口二十万以上の市ならば考えられると各省側がおっしゃったので二十万以上の方になったというようなことがあって、人口十万以上というランクが一つ勧告からは消えた、そういういきさつだというふうに御理解いただきたいと思います。  そして、この二十万というのを弾力的に考えるのかということでございますが、こうした制度を設ける場合には、なかなかそれは難しいことだと思います。指定都市にしろ中核市にしろ、あるいは一般の市の要件の場合にしろ、人口が要件になっております場合には、地方自治法上、官報で公示された最近の国勢調査またはこれに準ずる全国的な人口調査の結果による人口をもって判定するということになっておりますので、人口二十万以上の市という場合には、やはり二十万になっておりませんと、一たんなりませんと、その適用は受けないということになろうかと思います。  しかし、先生御承知のとおり、今度も、県の条例によりまして、それぞれ意欲、能力のある市に事務をおろしていくことは可能でございますので、一般的な全国的な制度としての二十万以上の市に該当しませんでも、県と市の合意によりまして事務をおろすことは可能になっている、それが弾力的に使われていくことが好ましいのじゃないか、こう考えております。

鰐淵俊之新進党

○鰐淵委員 ほぼわかりましたが、帰するところ、国から地方におろす権限移譲、それから都道府県が今度は市町村におろすものとあるわけですが、なかなかこれも、国がなかなかおろし得ないと同じように、都道府県も市町村におろすということはこれまた抵抗があるわけです。したがって、理想はなかなか、分権をしようと思ってもそういうバリアがかなりあるということで苦労すると思います。  私は、基本的には、もう十万以上の都市であれば今私が申し上げたような事務はなし得ると思っています。しかも、今は行政改革をしていくというさなかで、何でもこういった事務の処理、整備を自治体、行政がやる必要がないのでありまして、今はもうコンサルタントですとかシンクタンクその他含めまして、すばらしい機関がたくさんある。そういう民間をきちっと活用すれば、これは、都市の規模によってできるできないという物の考えは、私は、官庁、特に省庁にそういうことがあるとすれば古い考え方にとらわれていると思うのでございまして、ぜひそういったことについて、今後、各先生方のまた御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。  時間でございますので、たくさんございますが、この辺で終わります。どうもありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 富田茂之君。

富田茂之新進党

○富田委員 新進党の富田茂之でございます。  参考人の先生方におかれましては、六月十二日にも当委員会に御出席いただきまして進捗状況について御説明いただいて、また今回もお忙しい中御出席いただきまして、本当にありがとうございます。  私も、持ち時間たった十五分ですので、本当に何点かしかお聞きできないと思うのですが、まず、機関委任事務の点からお尋ねしたいと思います。  委員会の勧告の中で、機関委任事務の廃止というのは本当に歴史的な成果であったのではないかなというふうに評価いたしております。先ほど委員長の方からも、国と地方との関係を抜本的に変えていくのだ、上下・主従から協力・対等の関係にシステムを変換するのだということで機関委任事務の廃止を目指したというふうに御説明ございましたけれども、その点は本当に物すごい労力だったのじゃないかなと御推察いたします。  中間的にこちらの委員会に来ていただいたとき、また、地方分権の特別委員会にも先生方に出席していただいて、各省庁から物すごい抵抗があると。法定受託事務というような枠組みももしかしたらできないのじゃないかというような時期もあったと思うのですが、そこを乗り越えられて、機関委任事務は制度として廃止するのだ、そして法定受託事務と自治事務に分けられたという、これは本当にすごい成果だと思います。  ただ、先ほど、原則自治事務、例外法定受託事務というふうに御説明ございましたけれども、法定受託事務がやはり感じとしてちょっと多過ぎるのじゃないかな、原則と例外というふうに言われるならもう少し絞り込めなかったのかなというように感じております。実務的に見て、本当に機関委任事務制度が廃止されて実務がこれまでと違った形で動くのかという懸念があると思うのですが、その点について西尾参考人にまずお聞きしたい。  それと、地方分権の特別委員会で私は西尾先生にちょっとお尋ねしたのですが、法定受託事務という概念を用いるのであれば、これはもう委任だろう、委任であるのなら委任者の方が費用全額負担が原則じゃないのかということをお尋ねしましたら、当時、西尾先生は、なかなかいろいろなことがあって難しいのだ、原則どおりいかないかもしれない、そういうことを今検討中ですというようなお答えでした。  先ほどの委員長の説明では、費用分担について、ある程度は法定受託事務に関して、参考資料の中にもございましたけれども、「国は、その負担すべき割合に応じ毎年度確実に負担」とか「国は、そのために要する財源について必要な措置を講ずる」、こういう表現で書かれていますけれども、これが本当に費用負担について原則的に本来法定受託事務は国が持つべきなのではないかということに通じる表現なのかどうか、ちょっとそこが私にはよく理解できていないのですが、その点を神野先生にお聞かせ願えればと思います。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 法定受託事務が予想以上に多くなったのではないかという御指摘でございます。  私どもも、率直に申し上げまして、当初考えていたよりも多くなったと思っております。  しかしながら、その主たる理由は、メルクマールの(7)と呼んでおりますけれども、基幹的部分は国が全部執行しておりまして、その手足的な事務だけが都道府県、市町村等に委任されているとか、あるいは市町村、都道府県を経由して上がってくるという経由事務のみが委任されている、この種の類型のもの、これが私どもが考えていた以上に非常に件数が多かったということがこの四割になった大きな原因ではないかと思います。  しかし、従来しばしば、県が担当しております事務のおおむね八割方は機関委任事務で、残りの二割方が団体事務と申しますか自治事務というべきものだという言い方がなされておりました。この観点から申しまして、県の事務の八割のうちの四割が今度は法定受託事務になるということは、〇・八掛ける〇・四ということなんですが、〇・三二という計算になります。つまり、今後は都道府県の事務の約三割が法定受託事務になり、残り七割は自治事務ということになります。これは、従来、機関委任事務が八割で自治事務が二割だった県の事務の性格を大きく変えるものになるのではないかというふうに私どもは考えております。  それから、法定受託事務と従来の機関委任事務とは基本的に違うところがあるわけでございます。  機関委任事務の場合には、地方公共団体の機関に委任するという形になっておりますので、知事に委任するとか、教育委員会に委任するとか、収用委員会に委任するとか、それぞれ機関が指定されているわけです。しかし、法定受託事務は地方公共団体に委託するものでございますので、これは教育委員会であるとか、これは知事であるとかという指定がなくなるということですね。それは、それだけ一つ縦割りの壁を少し弱める、都道府県側の裁量の余地を広げるという問題になるわけでございます。  もう少しいきますと、道路管理者としての知事に委任されているとか、港湾管理者としての知事に委任されている、海岸管理者としての知事に委任されているというような構成になっていたものが随分あります。しかし、今度はそうではありませんで、都道府県へ委託するということになりますので、そういうことの内部的な調整が今までよりはやりやすくなるはずだ、こう考えているわけです。  それから、二点目の大きな違いは、今までの機関委任事務に関しましては、地方議会の権限が限定されておりましたし、監査委員による監査の権限も限定されておりましたけれども、今後のこの法定受託事務につきましては、地方議会、監査委員の権限が原則としてすべて及ぶという考え方、条例制定権は別でございますが、及ぶという考え方にしておりますので、従来の機関委任事務とは違うものだというふうに御認識いただきたいと思います。  以上です。

神野直彦地方分権推進委員会専門委員(補助金・税財源検討グループ座長)

○神野参考人 ただいま富田先生からは大変重要な御指摘をしていただいたというふうに感じております。  分権委員会の方でもその点は議論をした点でございます。  ただ、御案内のとおり、現在は、一応、機関委任事務というような事務区分と負担の方の原則というのは分断されていて、負担区分の方は、これは国の利害ということで整理しているということになるわけですが、先生の御議論ですと、この区分を少し密接に結びつけて、今度新たに整理される法定受託事務については委任者が全額負担するようなことにして、あるいは、自治事務の中でも法律に定められている事務とか、そういう区分がございますので、それに応じた負担区分などを考えたらどうかという御指摘につながってくるのだろうと思いますが、そういういき方がとれればとりたいという議論もございました。  ただ、余り事務区分と負担区分とを厳格に結びつけるということはいかがなものかという議論もございまして、勧告としては、基本的には現在の、つまり利害の度合いに応じて負担をするという原則に立っておりますが、ただそこで、今言いましたような新たな事務区分との関係を少し整理しておこうという内容になっております。  法定受託事務につきましては、これはやや数がふえたということもございますが、全額負担しなければならないものと、それから、法定受託事務と、それから自治事務のうち法律で定めている事務、これについては負担金を出せる、そこのところについては利害でいくということを原則にしながら、ナショナルミニマムとか、それから全国的な計画的な規模ということを考慮して負担区分を明らかにしていくという原則を打ち出しております。かつ、法定受託事務と、それから自治事務のうち法律によって実施を義務づけているもの、これについては必要な財源を措置するという原則をうたいまして、そして、一応その事務区分と経費の負担区分ということの関係を明らかにしているところでございます。     〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕

富田茂之新進党

○富田委員 今の御説明はそれなりに納得はさせていただきたいと思いますが、もう一つ、「国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保」というこの項目、先ほど委員長が個別に具体的に説明してくださいましたが、委員長は、ぽろっとおっしゃったように、税調との関係があるからとおっしゃいましたが、どうも、先生方がいろいろなところで講演されているお話を聞いていると、大蔵省の方が、この部分に関しては政府税調の領域だ、委員会の方からの勧告の中に入れるべきじゃないというような、何かあったのじゃないかなと思えるような今回の勧告だったのじゃないかなというふうに私自身は感じています。  実は、西尾先生が新聞社のインタビューに答えられて、ここの部分について、  補助金では財政構造改革会議が勧告より先に財政再建計画を決め、補助金の一部を今後三年間、毎年一〇%削減していくとした。分権委は、その後も削減を続けて下さいとしかやりようがなかった。財政構造改革会議は削減の量を、我々は分権に寄与するような切り口を提示しており、両方相まって成果が上がることを期待します。というふうにインタビューに答えられていたのですが、財政構造改革会議は、制度的補助金とその他補助金という新たな概念を出して、その他補助金について削減していくというふうにしたのですが、ただ、何がその他補助金なのかについてはっきりわからないわけですね。  伝え聞くところによりますと、平成十年度の予算編成の中で、どれがそれに入るのかというのを決めていくということになると、これはまた各省庁と大蔵との折衝の中で違うというふうになっていった場合に、これは本当に財政再建計画で結局幾ら削減になるのかわからないのではないか。一〇%ずつ三年間削減していくと、大体約二七%ぐらい削減されるというふうに予想されるのですけれども、その他補助金に入らないとなったら、もう削減の対象にもならない、量もわからないわけですね。  そうすると、こういう財政構造改革会議の方に遠慮しながら、また、政府税調に遠慮しながら、委員会の方で勧告されるというのはちょっとどうなんだろう。地方の税財源というのはこの委員会に任されたのだということで、それは整合性というのは必要だと思いますが、もうちょっと踏み込んだ議論ができなかったのかなというふうに感じているのですが、その点を神野先生にお伺いして、もうちょっとで時間が来ると思いますので、終わりたいと思います。

神野直彦地方分権推進委員会専門委員(補助金・税財源検討グループ座長)

○神野参考人 ただいまの御質問は、補助金の整理合理化を含めて、地方税財源問題について具体的な踏み込みが足りないのではないかというのが第一点だろうと思います。  この点につきましては、私どもの考え方、国庫補助金と国庫負担金とを分けて、補助金についてはできるだけ廃止、縮減の対象として計画的にお願いしたいというようなことをお願いしているわけでありますが、そういう考え方を明確に打ち出しております。  そういう方針を個別具体的にするために、各省庁と折衝をいたしまして、これは法定受託事務の振り分けとやや性格が異なっておりますので、一応、事例ということで、この方針に従えばこういう方向で補助金の削減をお願いしたいという、いわばケーススタディーみたいなもので事例を挙げさせていただいております、これは各省庁と合意に達しているものについて。したがって、これを参考に、具体的に削減計画をつくり、そして削減をお願いしたいというふうに言っているところでございますので、少し具体的な方針ないしは道筋もできるだけ示すような努力をしたということでございます。  税財源については、先ほどもやや御説明いたしましたけれども、少なくとも指針としての道筋だけは示せたのではないかというふうに考えております。  最後に、構造改革会議との関係でございますが、一応私の理解では、構造改革会議も、私どもの考え方、つまり、国庫負担金と国庫補助金という二つの、広い意味での補助金の性格づけを明確にした上で削減をお願いしたいということは、これは取り入れられているのではないかというふうに理解いたしております。  ごく大ざっぱにくくりますと、その他補助金というのが、奨励補助金で、そこの奨励補助金から公共事業関係の補助金を控除したもの、制度的な補助金の方は、ほぼ負担金プラス公共事業関係の奨励的な補助金だというふうに私は理解しております。これはごく大ざっぱでございますので、細かいところにいきますと違いが出てまいりますけれども。  ただ、大ざっぱな意味で、一応取り入れられていただいているということを前提にした上で、私どもの要求している削減計画と、それから構造改革会議の方でお立てになっている削減計画が複数存在し、それが同時に実行されていくというのは事実上不可能ではないか。したがって、集中改革期間中については、財政構造改革会議の削減計画を私どもの計画として実行していただいても構いませんと。ただし、幾つか条件をプラスアルファでくっつけておりますので、総件数を加えてほしいとか、それから、集中期間が終わった後も計画について検討をしていただきたいとかというようなお願いを勧告の中でうたっております。ということで、二つ同時並行的に行われるということを回避したということでございます。

富田茂之新進党

○富田委員 時間も来ましたので、最後に、委員長を初め先生方にお願いしたいのです。  先ほど委員長も権限移譲はやはり少なかったというふうにおっしゃっていました。まだ第四次勧告で、最終勧告と銘打っておりませんので、実施状況の監視の方に委員会の主な役割というのは移っていくのでしょうけれども、先ほど委員長がおっしゃったように、総理とも相談されて、権限移譲についてもう少し踏み込んだ勧告が可能であれば、またそちらの方に御努力いただきたいということを希望いたしまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 桑原豊君。

桑原豊民主党

○桑原委員 民主党の桑原でございます。  きょうは、先生方には本当に大変御苦労さまでございます。また、この二年数カ月にわたりまして大変な御努力をされて勧告をされた。いろいろとそういった委員会が数ある中で、これほどたくさんの会議を重ね、議論を重ね、そして、ある意味ではいろいろな折衝を含めた御苦労を重ねて勧告に至った委員会はないのではないかと思うくらい、大変な御努力をされたことにまず敬意を表したい、このように思います。  そこで、最初に委員長にお聞きをしたいのです。  この分権の事業というのは、明治維新、そして戦後の改革、それに引き続く第三の改革だということで中間報告の中でも位置づけをされたわけでございますけれども、そういった内容にふさわしいものであるかどうかということを含めて、自己評価と申しますか、私は、単にこの五年間の間にこの事業が完遂するものでもないというふうに思います。そういう意味では、一つの端緒になって、大きな、本当の意味での第三の改革にかなりの年月をかけて結びつけていくものだろうというふうにも思うのですが、まず委員長には、第三の改革にふさわしい改革であったのかどうか、自己評価はどのようにされているのかということをお聞きしたいと思います。  それと、当面の五年間で一区切りがつくわけですけれども、その後どういつだ展望でこの地方分権というものがさらに大きな事業としてなし遂げられていくのか、そういった展望も含めて、おありでしたら、お考え方をお聞かせ願いたいというふうに思います。

諸井虔地方分権推進委員会委員長

○諸井参考人 ありがとうございました。  私ども、確かにおっしゃるように、相当な会議の回数あるいは省庁との折衝、自分から言うのはおかしいのですが、相当な努力はしたと思っております。  ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、この勧告を実現すればそれでもうすなわち地方分権が完成するというふうなことでは到底ありませんで、今委員おっしゃいましたように、いわば住民自治という最後のゴールへ行くための出発点を築いたということなのではないだろうか。  今までも、実は臨調、行革審以来、いろいろな報告、答申、勧告といったようなものが行われておるわけでございますが、非常に中身の立派なものもたくさんあるわけでございますが、なかなか実現に至っていない。今回は分権推進法をベースにしての勧告でございますから、これは私は、一〇〇%実現されるはずであるし、また、されないといかぬ。我々はまた、それを一〇〇%実現するということで、住民自治のゴールへ向かっての出発点を確実に築き上げるということが我々の任務であろうかというふうに考えて、そういう意味で、時間を相当かけましたけれども、この中身については一〇〇%実施できるという自信を持っておるわけでございます。  将来の展望につきましては、これは我々の任務ということでは必ずしもないのではないかと思いますが、この出発点からゴールへ向かっていくというプロセスは、結局、国民全体の世論と申しますか、あるいはまた地域の住民の方々の強い要請といいますか、そういうものがバックにほうはいと出てきて、それに基づいて国会が、あるいは政府がそういう方向へ向かってさらにさらに努力を続けていかれるという形で分権型社会、第三の改革というものが完成してくるのではないかと。我々も、そのためにやれることがあれば、微力ではございますが、できるだけのことはしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。  ありがとうございました。

桑原豊民主党

○桑原委員 委員長は行革会議のメンバーでもございますし、財政再建との関係も今いろいろ質疑が交わされたわけですけれども、私は、特に税財源の確保の問題については、単に権限が移譲されて、それをこなすために税財源がどうなるのかということではなしに、地方として自前の税源、財源を確保していく、今のように国に一たん集中されて配分をされるというやり方そのものを根本的に変えていくにはどうするのかという意味で、税財源の移譲があり、確保の問題があるというふうに思うのです。  そういう意味では、どうもその点について、先ほどもございましたが、大蔵とのいろいろな議論の中で、財政再建との絡みで何か先送りになったのではないか、そういう感もぬぐえないわけですけれども、その点、これまでの勧告の中で足らざるものの一つとして位置づけができるのではないかと私は思うのですが、その点についてもう一度積極的に踏み込んだ勧告をしていく、そういう考えはないのか、その点についてお聞きしたいと思います。

神野直彦地方分権推進委員会専門委員(補助金・税財源検討グループ座長)

○神野参考人 今お話しの中では、税源の移譲については分権委は先送りしたというお話でございましたけれども、決してそういうようなことはございません。税源移譲というような言葉は使っておりませんが、とれは、税源移譲という解釈がかなりあいまいなものですので、そういう言葉を使っていない。このことは、例えば、先ほど御質問の中で、ある国税を減税して、他方で、ある地方税を増税するというようなお話がありましたが、こういうのは、文字どおりの意味でいきますと、税源移譲とは言わないということになりますので。  地方税を充実させていくということに関して、いろいろな手法があるわけです。そこで私どもがお願いしているのは、当面は、事務、権限の移譲が行われた場合と補助金や負担金の削減が行われた場合、その場合に地方税を含む一般財源の充実をお願いしたい、そして中長期的には、国税と地方税の税源配分のあり方を見直した上で地方税を充実していただきたい、そして最終的には、歳入と歳出との乖離とよく言われておりますような状態を解消していただきたいというふうに言っているわけですから、いずれにしても、固有に使われる地方税財源が充実確保されていくということは勧告の中で明確にいたしておりますので、議員がおっしゃっているのは、もう一度勧告を出す気がないかということでありますが、現状のところでは、私の考えとしては、これで言えるところは言い尽くしているのではないかというふうに感じておりますので、当面は、これで推進計画を見守りたいというふうに考えております。

桑原豊民主党

○桑原委員 それから、これは西尾先生にお聞きすればいいのでしょうか、第三次の勧告の中で、いわゆる社会保険業務あるいは職安の業務、こういったものが国の直接執行事務になって、そこの職員の身分もそれぞれ厚生、労働事務官ということになったわけでございますけれども、従来の機関委任事務から一気に直接執行事務に変わった。  これはやはり、長い今までの歴史の中で、地方事務官制度としてある意味では定着をしてきて、地方自治の業務ともなじみながら歴史をたどってきた、そういうこともございます。  それから、今後、例えば社会保険の問題ですとか年金の問題あるいは福祉の課題、そういったものが地方の重要な課題になって、ある意味では、地方の県単位あるいはブロック単位でそういった制度を完結させていくというようなことも一つのビジョンとしてあり得るわけです。  そういう意味で、一気に法定受託事務を飛び越えて直接執行事務に変えていくというこのあり方については、私は少し疑問を持っているわけですけれども、なぜこんなふうにすぱっと切りかえをされていったのか。今までやってきた制度の中で一つの安定性というものが私はあったというふうに思うのですけれども、それをどうしてこういうふうに変えられたのか、その点について少しお聞きをしたいと思います。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

尾参考人 地方事務官制度は、先生御承知のとおり、戦後の地方自治制度におきまして、都道府県が完全自治体に変わったときに暫定的な制度として残ったものであるわけですけれども、ここでは、任命権と職務上の指揮監督権が国の主務大臣と都道府県知事に分かれて属するという非常に変則的な制度になっているわけであります。  そして、知事の指揮監督権が形骸化しておりまして、責任の所在も不明確になっているということから、かねてから問題になり続けて、長年の懸案になってきていたわけでありまして、これまでにもさまざまな改革提言が行われましたが、今残っております厚生省関係のものと労働省関係のものについては抜本的な解決に至らないで今日まで続いた、こういうことであるわけであります。  今回、この地方事務官制度の基盤になっております機関委任事務制度を全面廃止するということを私たちとしては決断いたしましたので、これに伴って地方事務官制度も根本的に見直さざるを得ないということになったわけですが、その際、従前の地方事務官が担っておりました現行の機関委任事務というものを見ますと、労働省関係について言えば、国の出先機関である、労働省の地方出先機関である公共職業安定所を指揮監督するという仕事が地方事務官が担当する機関委任事務になっているわけで、これは国の機関の中の内部管理事務であるというふうに考えられますので、やはり国が直接執行するにふさわしい仕事なのではないかと私どもは考えたわけであります。  厚生省関係のものについては、いろいろございますので一口には申し上げにくいのですけれども、社会保険として国が一元的に行っている保険制度でございまして、その財政収支について国が最後まで責任を負わなければならない。保険料を徴収するという歳入の面もそうですけれども、それがどこで適正に使われているのかという医療費の方の支出をチェックしていくという両面で、国が最終的な責任を負っていかなければならない行政であるというふうに考えまして、国の直接執行にするにふさわしいのではないか、こう考えて、我々としてはそういう結論を出したわけでございます。  しかし、お話にございましたように、年金それから医療保険等についての社会保険制度については、いずれまた抜本的な改革が論じられるのでございましょうけれども、そのときには、これを地域保険の体系にすべてを組みかえるという考え方は昔からあることはあるわけであります。そういう抜本的な制度の変更が行われた場合には、また別途の考え方があるであろうというふうに思っております。  私どもとしましては、現在までとられてきている社会保険制度と職業紹介制度というものを前提にして考えたならば、私どもが出した結論は妥当なものではないか、こういうふうに考えております。制度の根本が組みかえられるのであれば、また別途の考え方はあり得るかと思っております。  以上です。 ○桑

桑原豊民主党

○桑原委員 その制度は、今の制度を前提にすればそういうふうな帰結は一つのあり得る道かなと思いますけれども、やはり長い歴史の中で、特に地域の住民の皆さんとのいろいろな接触ですとか、あるいは将来の展望、そんなものを考えたときには、そういうものを受け入れる受け皿としても、法定受託事務というのはそういう意味では一つの考え方としてあり得るのではないかというふうに私は思いますので、その点も、余り硬直的にならずに、少し柔軟に対応すべき課題ではないかな、こういうふうに思うので、意見を申し添えさせていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、この勧告の中で、第二次だったと思いますが、先ほども御説明ございました地方自治体の行政改革について、かなり細かく勧告をされております。  内容を見ますと、私は、従来、自治省が各自治体に対して通達をして、こういった改革をやるべきだ、こういうような中身と余り変わらないような気もいたしておりますし、変わらないということよりも、むしろ、分権型社会をつくろうということで、地方の自治体の創意とか工夫、自己努力、そういうものを基本に置いてやっていこうというこの分権推進委員会の勧告の中にあっては、事詳細に自治体の方向づけをしていくようなこのあり方というのはどうも余りなじまないのじゃないのかな、そんなふうに考えるわけです。  このたぐいの話でしたら、自治体は、殊さらに言わなくても、もう毎回のように、行革のたびに、こういった項目についてはそれぞれが取り組んできているわけですから、むしろ、そうJSなしに、何か改革の違う方向というのも打ち出すべきではなかったのかな、余りにも安易に流れ過ぎたのではないかなという気がするのですが、その点についてどうお考えでしょうか。

堀江湛地方分権推進委員会委員長代理(地方行政体制等検討グループ座長)

○堀江参考人 ただいまの桑原先生の御質問でございますが、地方分権推進法にもございますとおり、地方公共団体の行政の体制の整備、確立は極めて重要な問題でございます。  しかし、同時に、地方自治と申しますのは、住民自治と団体自治がバランスのとれた形で運営されたときに初めて実現するものであろうと私自身は考えております。  そういたしますと、その市町村あるいは都道府県、自治体において論議されます政策課題の中には、実は必ずしも、住民の意向を集約するという点と、それから団体自治の責任を負われる、そういった自治体との間に常に一致するとは限らないというような問題もございます。  私どもは、地方分権推進法が掲げております地方公共団体の行政体制の整備、確立は極めて重要である、この法の趣旨に基づきまして、そういった意味での地方行政体制、これは住民自治と団体自治、両方を含めた意味での確固たる地方自治を確立していただきたい、それが地方分権の時代にふさわしい自治体のあり方である、このように考えたわけであります。  そこで、もちろん言うまでもなく、地方公共団体のこの種の改革は、団体自身の自主的な取り組み、住民の意見を葉約しながら自主的に進められるものだと考えております。このことを踏まえまして、第二次勧告において、地方行政体制の整備、確立に関する部分は、一つは、地方公共団体に対して要請する部分、もう一つは、国に対して勧告をする部分に分けて記述してあります。  第一の点でありますが、地方公共団体に要請する部分につきましては、地方行政体制の整備、確立全般にわたり、ぜひみずからの問題として十分自覚を高めていただき、そして自主的に改革をお願いしたいという部分でありますし、国に対して勧告する部分は、地方公共団体による行政体制の整備、確立の自主的な取り組みを促すという観点から、そのための援助措置といいますか、所要の措置を講ずるよう国に勧告しておるということでございます。

桑原豊民主党

○桑原委員 時間が終了しましたが、最後に一点だけお聞きしたいと思います。  この推進計画がつくられて、いよいよ法改正ということに、あるいは法整備ということになろうかと思います。私は、地方自治法という現在の地方自治の根幹をなすこの法律の改正ということになるのかもしれませんが、いわゆる機関委任事務という国の地方支配の根幹をなすものは大きく廃止をされて変更されていく、そして対等と協力の新しい関係がつくられていく、これを完全になし得るとすれば、まさに理念的には本当に大きな大改革につながっていくわけですけれども、現在の地方自治法は、それを提言していく、そういう形、内容になっていないのではないか、むしろ、こういう大改革にふさわしい、ある意味では新しい地方自治の立法化が必要ではなかろうか、そういうふうにも思うわけでございます。  むしろ、現在の地方自治法の中には、自治体のいろいろな自己改革やあるいはさまざまな試み、そういうものを縛る、事細かにいろいろな規定があって縛っていく役割も逆に果たしているのではないかというふうにも思いますので、新たな立法というものが必要ではないか、そういうふうに思うのですが、その点について最後にお聞きして、終わりたいと思います。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 先生御指摘のとおり、国と地方公共団体あるいは都道府県と市町村の間の新しい関係を構築していくに当たりましては、地方自治法につきましても、新しい関係にふさわしいものになるように根本的な見直しを図らなければならないというふうに考えるわけでありますが、私どもの委員会の勧告におきましても、地方自治法の改正に関連することは、大きくグループ分けすれば、以下の三点のカテゴリーでさまざまな改正を迫っているところでございます。  第一点は、機関委任された国の事務に係る主務大臣または都道府県知事の地方公共団体の長に対する指揮監督、職務執行命令手続など、従来の機関委任事務制度の廃止に伴う関係規定の改正をしていただきたいということが要請されているわけであります。  それから、第二番目のカテゴリーといたしまして、議会及び執行機関などの組織、運営に関する規定、これはいろいろ先生は細かな規制が現行にはあるということをおっしゃいましたが、この関係のことにつきましても、第二次勧告等でかなり踏み込んだいろいろな勧告がなされているわけであります。要するに、趣旨は、地方公共団体が多様な行政需要に的確かつ機動的に対応できるように、地方公共団体の自主性、主体性を拡充する方向で規制を緩和すべきであるという各種の勧告がなされているわけであります。  それから、三番目のカテゴリーといたしまして、国と地方公共団体、都道府県と市町村の関係についての新たなルールを設定していただきたいということで、現行地方自治法上の国と地方公共団体、都道府県と市町村の関係に関するさまざまな規定がございますが、これを全面的に再構成することを求めているわけであります。  以上、この三点ほどの事柄を全部踏まえた地方自治法改正が行われれば、現在の地方自治法の骨格はほとんどすべて面目を一新することになるのではないか、ほとんど新しい、新法に近くなるのではないかというふうに私どもは考えておりまして、それと別途に基本法というようなものが必要だというふうには私どもは考えてはいないということでございます。  以上です。

桑原豊民主党

○桑原委員 どうもありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 春名直章君。

春名直章日本共産党

○春名委員 日本共産党の春名眞章でございます。  四人の参考人の皆様方には、本当にきょうはありがとうございます。  最初に、係争処理委員会の問題について、西尾参考人にお伺いいたします。  勧告では、現行制度を尊重してああいう内容にしているわけでありますが、この勧告が出される過程で試案が出されていまして、それも読ませていただきましたが、その中で、この試案は「一定の考え方を前提にすれば、仕組みとして十分成り立ちうるものと考えている」というふうな表現が出ております。その「一定の考え方」というのはどういう内容のことを意味されているのかということが一つ。  それから、市町村と都道府県に関する係争については、国と地方との係争処理手続に準じて、現行の自治紛争調停制度の見直しを勧告するというふうになっておりますけれども、その見直しの具体的な議論、中身、分権推進委員会の中ではどのような議論があったのか、その内容をお話しいただきたいのと、その場合、流れからいいますと、国と地方の係争処理に準じて裁判の道が開かれていくということになると思われますが、そのあたりはいかがでしょうかということをまず最初にお聞かせいただきたい。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 かなり専門的な御質問で答えるのも難しいのですけれども、第一点目の方からお答えさせていただきます。  私どもの調査審議の過程におきましては、国と地方公共団体との係争について、公平中立な立場に立って判断を行う第三者機関を政府に置くことに関しまして、まず第一に、この第三者機関が国の行政機関に対して拘束力のある裁定を行うことと、内閣制度上、各大臣が主任の大臣として行政事務を分担管理しているという内閣の分担管理原則との関係、これが第一の論点であります。  第二番目は、国の行政機関が第三者機関の裁定を不服として裁判で争うという事態と、内閣の一体性の確保の原則というものとの関係いかんという論点がございます。  この二つの問題をめぐりまして、現行制度との調和の是非をめぐってさまざまな考え方が各方面から出されたところであるわけであります。  そこで、これらの点に関しまして私どもが「一定の考え方」と書きましたのは、今申し上げましたような点に関しまして、第一に、法律の定めるところにより、国と地方公共団体との間の係争処理という極めて限定された局面であるということを重要視した場合には、国の行政機関に対して裁定を行う第三者機関を政府部内に設けることは、特段、内閣の分担管理原則との抵触の問題を生じるものではないのではないかという考え方も可能である。  また、第二番目といたしまして、裁判における被告を、第三者機関ではなく、裁定における他方当事者と構成する方法、あるいは、国の行政機関が裁定に不服である場合には、裁判ではなくて閣議を経て事態の処理を図るという手続をとることによって、内閣の一体性の確保との抵触も避けられるのではないかというような考え方です。  この二点でありますが、一言で言えば、現在の内閣制度の諸原則に関するこれまでの慣習的な理解というものを若干緩める、緩和していただく、考え方を若干緩めるという前提に立てば、そういう考え方に立てば、前に考えていたような案も十分可能であると考えている、こういうことでございます。  それに対しまして、最終的に出しました制度は、現行の制度ないしはその運用の慣習というものを最大限に尊重するという立場に立って、それは変えない、一切変えないという前提に立てば、最後に勧告した案が最善の案ではないでしょうか、そういう考え方でございます。  それから第二点目の、自治紛争調停制度を見直し云々という都道府県と市町村間の係争の問題でございますけれども、中身の詳細については、十分に我が委員会としては検討をしておりません。したがいまして、「国と地方公共団体との間の係争処理手続に準じて、」という言い方にとどめているわけでございます。  ただ一点、明らかに違うと思われることは、国と地方公共団体の間の係争を処理するということになりますと、それを処理する第三者機関は、国からも地方からも公正中立な立場であるというように思われるような位置づけ、そしてその構成というものを考えなければならないわけですけれども、都道府県と市町村の間の係争を扱うという場合には、その場合には、例えば地方自治法を所管している省庁がそのような機関を設置するということでも十分都道府県と市町村から独立した立場にある機関ということになり得るのではないかというふうに考えておりまして、国と地方公共団体の場合よりも神経質に難しい制度をつくらなくてもできるのではないかという考え方をしているということでございます。  以上でございます。

春名直章日本共産党

○春名委員 続きまして、第三次勧告で米軍用地の土地の使用・収用に関する事務区分が発表されまして、それについて、西尾参考人になるのでしょうか、お伺いしたいと思います。  代理署名と公告縦覧、それから代執行は国の直接執行事務ということで勧告をされました。強制使用の審理や裁決は県収用委員会が行うということになっているのですが、新しい制度として緊急裁決制度を設けたり、あるいは、裁決却下のときには、総理大臣が取り消してかわって執行できるということも新しい制度として勧告をされているわけです。自治体の関与が極めてできない事態になると思われます。この点については、私、非常に残念な思いをしております。  この代理署名や公告縦覧に知事や市町村長を関与させたのは、戦前の土地収用が事業認定それから裁決も国が一元的に行うことになっていまして、そのためにいろいろな住民の財産権の侵害ということが大きな問題になって、その戦前の軍国主義の反省に立って、憲法で財産権を保障するということやあるいは地方自治の本旨ということがうたわれまして、その精神に沿って、事業認定は国、裁決権は地方、こういう仕組みがつくられてきたというふうに理解をしています。こうした経過あるいは精神は非常に重要だと考えますが、どういう御議論になったのかということをお聞きしたい。  同時に、ヒアリングでは、沖縄県知事から、県や市町村が関与できる仕組みを残してほしいとの意見が出されまして、文書によりますと、「この意見は、県内の基地所在二十五市町村のうち回答のあった十六市町村をはじめ各団体の意見を反映したものであり、県民の総意である。」というふうに言われたというふうに報道されています。  勧告では、この事務を引き続き地方の事務にすることは知事や市町村長の立場を困難なものにする、非常に国と住民との板挟みになって苦労されているということで、これを解決しなければいかぬということが述べられているわけなんですが、その板挟みになって苦労された当の自治体の皆さんが、それでも関与するところを残していただきたいということを総意として言っておられるというのは非常に重要じゃないかなと私は思っているのですね。ですから、地方自治という観点から見ても、この新しい勧告の中身は大きな問題を持っていると私は感じているわけであります。  勧告の中でも、「地域社会や住民生活にとっても大きな影響をもたらすものでもある」とも言っておられます。なぜ自治体が関与する仕組みが考えられなかったのか、その点の議論がどうだったのかということをぜひお願いしたいと思います。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 質問は二問に分かれていたかと思いますが、後半で言われたことの方が審議の手続に関することございますので、そちらの方から先に答えさせていただきたいと思います。  第三次勧告の調査審議に当たりましては、お話がございましたように、沖縄県知事にも委員会にお越しいただきまして、沖縄県内の状況、委員会の考え方等について直接意見交換をさせていただいたわけであります。  その際、県内の駐留軍基地関係市町村の多くが国の直接執行事務とすることに反対であるとの御説明がございました。関係市町村のみならず、さまざまな団体から意見を聞いたということをおっしゃっておられまして、正式の名称はちょっと確かではありませんが、地主連合会でしょうか、を除いてそれ以外のほとんどすべての団体は直接執行事務とすることに反対であるという御説明がございまして、何らかの形で自治体が関与できる仕組みとしてほしいとの御意見が述べられたわけでございます。  これに対しまして、その場におりました委員会の側の諸委員からは、知事や市町村長を国の機関としての立場と地域住民の代表としての立場という二律背反の困難な立場に置く現行の制度については根本的な疑問があるとの意見が述べられたわけであります。  最終的には、財産権の保護を考慮すべきであるという沖縄県の御主張に十分配慮いたしながら勧告の結論を得たところでございます。  もちろん、これは非常に難しい問題でありまして、委員会としては慎重審議をしてきたところでございますけれども、結論的には、先生おっしゃいましたように、物件調書への署名押印の代理、裁決申請書等の公告縦覧、土地等の引き渡しの代執行というこの三つの問題につきましては、国と地方公共団体の役割分担を明確にするという観点から国の直接執行事務とすることが適切ではないか、こう判断したわけであります。  それに対しまして、財産権の保護という点で最も重要な点は、土地収用委員会による使用・収用の裁決という事務でございます。この点こそが財産権の保護の上では一番重要な点でございます。  そこで、この土地収用に関する公正中立の第三者機関として都道府県に設けられております収用委員会が行う土地の使用・収用裁決等の事務は、強制的に使用・収用される土地等の使用期間や補償金額等について決定するという仕事でございまして、土地収用法等他の制度とのバランス上も地域の実情に通じた機関によって処理することが土地所有者の財産権の保護に最も資する方法ではないかというふうに考えまして、この部分につきましては都道府県の法定受託事務としたということでございます。  ですから、御質問の趣旨からいいますと、財産権の保護というところをどう考えたのかということでございますが、その根幹的な部分は土地収用委員会による収用裁決にこそあるというふうに理解したと。その他のものにつきましては、ほとんど地方公共団体の長には裁量の余地のない、一定の場合においては必ず署名押印をしなければならないとか、公告縦覧をしなければならないとか、代執行をしなければならないというふうに定められておりまして、国のいわば手足として使われているにすぎない事務である、ここを地方公共団体にゆだねることが財産権の保護につながるというふうには私どもは認識しなかったということでございます。

春名直章日本共産党

○春名委員 その説明はよくわかりましたが、質問ではありませんのであれですけれども、緊急裁決申請ができるようにするとか新しい制度もできて、最終的には首相の判断ということが優先されるような仕組みがあるということを二言ちょっと言っておきたいと思います。  それで、次の質問といいますか御意見をお聞きしたいと思いますが、神野参考人になると思いますけれども、関与の縮小・廃止戦略ということと、それから事務事業の権限移譲といいますか、その二つの戦略があって、今度の分権推進委員会の基本戦略は関与の縮小、廃止の戦略でやってきて、だから事務事業が増加するわけではないので、地方政府の財源を増加させる必要性はその意味では低いということも論文などでお書きになっていることを読ませていただきました。  その点と、先ほどから議論になっているのですが、中間報告では、「地方税については、基本的に、地方における歳出規模と地方税収の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、」「その充実確保を図っていくべきである。」ということが重要な改革の中身として提案をされているわけであります。  先ほどの御説明の中で、権限が移譲するときにはそれにふさわしい財源保障をするということも、手だてをとっていくようにしなさいというふうに言っていて、中長期的には配分のあり方を見直す、最終的にはその乖離をなくしていく、これが大事なんだというふうにおっしゃるわけですけれども、第三の改革ということで努力をされてきて、私は、その中で一番大きな問題になっているそういう乖離の問題が、この勧告の中でもそういう意味では先送りされているような印象をやはり受けてしまいます。  そういう点では、地方の歳出と地方税収の乖離の問題をどう解決していくのか。この第四次までの勧告でもなかなかそこに、メスと言うたらいかぬですけれども、入り切れていないので、本当にいけるのかという心配ということを感じるわけなんですが、そこら辺の御認識といいますか、もう一度、同じ答えになるかもしれませんが、どうでしょうか。

神野直彦地方分権推進委員会専門委員(補助金・税財源検討グループ座長)

○神野参考人 私のつたない雑文がお目にとまったようで恐縮でございますが、最初にお断りしておきますが、中間報告で打ち出しました、仕事の方は地方が七割やっていて国は三割しかやっていない、つまり歳出の方は地方が七割やっている、ところが、歳入面を見ると地方税が三割で国税が七割になっている、これを少し格差を是正すべきだという方向性は一貫しておりまして、第二次勧告でも、基本的に、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、地方税の充実確保を図っていくべきだということをきちっとうたっておりますので、この点は一貫いたしております。  私が説明しましたのは、仕事の方は既に七割やっている、したがって、これ以上仕事がふえてくるということは余り想定できない、しかし、国から地方に仕事が移譲された場合には必ず一般財源でその財源を確保してほしいということは勧告できちっとうたっている、そうなってくると、我々が関与縮小だと言っているのは、仕事の量は変わらないのだけれども、財源の中身が、これまで特定補助金、交付税、地方税、それから地方債、この四つの財源で行われていたわけですが、このうち、国からの関与の大きい特定補助金を縮小して、そして地方税なり交付税なり、地方が自由に使える財源をふやそう、こういうことであって、財源面での関与をなくしていくのだということを御説明したのであって、収入と歳出との格差を是正するという方針は一貫しているということを重ねて説明したつもりでございますので、そのように御理解いただければと思います。

春名直章日本共産党

○春名委員 一貫しているという説明は理解いたしました。  それで、それとのかかわりにちょっとなるかと思いますけれども、堀江参考人になると思いますけれども、この関与を縮小、廃止していく、それで事務事業は実態としては余りふえないということになりますと、私たちは一貫して言っているのですが、行政体制の確立という点では市町村合併をもっと推進しなければいけないということが提案でされているわけなんですけれども、その前提になっているのは、私の理解では、事務事業もふえるし、権限も移譲されていくから、今の自治体で大丈夫なのか。受け皿論ではないというお話もあるのですけれども。それで、強固な自治体にしなければいけない、合併も推進しなければいけないというふうに私は理解していたのですけれども、こういう今の関与を縮小、廃止する戦略ということになりますと、市町村合併を推進するという根拠が私は非常に薄いのじゃないかなと思っているのです。  本当に、自己判断能力といいますか自己責任をつける、そういう能力をつけていくということでいえば、そういう能力を地方団体がつけていけるような勧告はいろいろもっとできるのじゃないかなという印象を持っているのです。もちろん、地方議会を強化しようとかいうのはありますけれども、ただ、地方自治体の合併ということがかなり前面に出ているような印象があるのですね。だから、その根拠が、私は、この関与の縮小・廃止戦略ということを言った場合に薄いような気がします。その整合性をどのように考えたらよいのか、そこら辺の御意見をお伺いしたいと思います。

堀江湛地方分権推進委員会委員長代理(地方行政体制等検討グループ座長)

○堀江参考人 ただいまの春名先生の御質問でございますけれども、現状認識につきましては、先生と私、全く同感でございます。  ただ、問題は、では今後日本の地方自治がどういう方向に向かうべきかという点につきましては、残念ながらちょっと先生とお考えを異にしております。  確かに、御指摘のように、機関委任事務が廃止されました。余りその数字の根拠は明確じゃございませんが、知事の仕事の八割が機関委任事務であった、それが三二%になったわけでありますから、そうすると、差し引き五〇%、この機関委任事務で中央政府との折衝の仕事が減った、こういうことになりましょうし、市町村の場合ですと、四割でございますと言われておりましたから、したがって、そのうちの大体一六%がそのまま法定受託事務で残る、いずれも確かに仕事の量は本来だったら減るはずだろうということになります。  なりますが、例えば、都道府県等々におきましても政令市ができる、当然、政令市には新しい必要な公務員が雇用されるということになりますが、では、県の方のそれに対応した新規採用の抑制とか配置転換が行われているかといったような問題等々も考え合わせますときに、やはり地方行政体制が今のままでいいのだろうかという問題を考えざるを得ないわけであります。殊に、二十一世紀に向かいまして、例えば高齢者福祉あるいは廃棄物処理等々をめぐりまして、地方行政が非常に量、質ともに変わっていくのだろうと思いますので、それを一つの視野に入れながら、今後の地方自治を考えていく必要があろうかと思います。  したがって、私どもが市町村合併を促進してほしい、こういうふうに地方自治体にお願いしております趣旨は、単に簡素効率化という側面だけでなく、つまり、我々の行動半径といいますか、物流あるいは人間的交流の範囲の拡大、そして、今後の廃棄物処理等々に典型的に見られるようなそういった行政需要の増大というものに対応できるような、そういった意味での市町村合併もあわせてお進めいただきたいとお願いしている次第でございます。

春名直章日本共産党

○春名委員 どうもありがとうございました。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 畠山健治郎君。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 一昨年七月以来二年三カ月、精力的に審議をされまして、四次にわたる指針勧告を行った委員長初め委員の皆さん方に心から敬意を表したいと存じます。  ことしはちょうど地方自治法施行から五十年、記念すべき年に、機関委任事務の廃止など懸案事項でありました制度改革に大きく道筋をつけていただいたことは、私も地方自治にかかわってきた者の一人として感無量のものがございます。しかし、地方分権はいまだ制度設計の具体的な提示がされたにすぎないというふうに思います。これを着実に実現していくことは、国会と行政府に課せられた極めて大きな責任であろうかと思います。  そうした立場から、指針勧告の内容について幾つかお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  まず、委員長にお尋ねいたしたいと思います。  地方分権の具体的な推進方策として、基本的には、二つのアプローチといいますか課題があると思います。  その一つは、申し上げるまでもなく、地方分権推進法で示された課題、つまり、国の関与の廃止、中央政府と自治体の対等・協力関係の確立てあり、この点では、一連の勧告は幾つかの問題点を残しながらも大きな成果を上げられたと評価をしております。  しかし、もう一つの基本的なアプローチないしは課題という点では、多くの問題が残されておると思います。第四次指針勧告を総理に手交した際に、総理は、権限強化についても審議願いたいというように申されたと聞き及んでおります。そうた権限強化、それに見合う具体的な地方税財源の拡充、あるいは分権推進委員会が最初に示した基本理念でもあります住民の自己決定権を保障する具体策、これらは地方分権にとって欠かせない課題であろうかと思います。  幸い、諸井委員長は、第四次勧告の談話において、今後策定される推進計画の監視とあわせて、必要に応じて補足的な検討を行ってまいります、こうおっしゃっておるようでございますので、そうであるならば、ぜひひとつこれらの問題につきまして第五次の勧告をも考慮していただきたいものだというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

諸井虔地方分権推進委員会委員長

○諸井参考人 ありがとうございました。  一つは、今お話しのように、総理から、権限移譲の問題についてさらに何か検討してくれというふうなお話をいただいております。  ただ、我々としては、自治体から要請をとってそれを各省庁にぶつけて、それで仕事としては一応仕上げておるわけでございます。ですから、この先ということになると、いわば蒸し返しのような話になりかねない点がございます。ただ、我々も、先ほど来申し上げておるように、権限移譲については必ずしも十分と思っておりません。何かいい工夫がないだろうかということを今鋭意検討しているところでございます。  したがいまして、第五次勧告ということを今ここでお約束するわけにはまいりませんが、なお、先ほどもちょっと申し上げたように、政府が推進計画をつくっている間に、我々も非常に大急ぎで仕事をしていた関係から、何か落ちがないのかという点はやはりもう一遍よくチェックしてみたいと思います。その辺、具体的に出てきた段階で対応を考えてまいりたいと思っております。  それから、財源の問題、住民の自己決定権の問題については、先ほど来神野先生あるいは堀江先生が申し上げておるように、我々としては一応、今回の勧告でこの点について言うべきことは言ったというふうに考えております。なお、もちろんこれからいろいろ問題が出てくればその時点で考えさせていただきますが、今の時点ではそういうことでひとつ御勘弁を願いたいと思います。  ありがとうございました。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 次に、中央政府と自治体の対等・協力関係を保障するために設置されました国地方係争処理機関の権限について、西尾先生にお尋ねいたしたいと思います。  設置される係争処理委員会を経て、これまで閉ざされていた行政機関訴訟の道が自治体に開かれたことは、まず評価したいというふうに思います。しかし、係争処理委員会の機能として当初示された裁定権が勧告権に取ってかわられるまでには多くの紆余曲折があったことは周知の事実でございます。そこで、各省庁とのやりとりを含めて、どのような点が論点となったのかをお尋ねいたしたいと思います。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 先ほど春名先生からの御質問にもお答えしたことと関連しているかと思いますけれども、委員会が試案で示しました第三者機関による裁定制度につきましては、当初、この機関が法的拘束力を有する裁定を行うとした場合、行政事務を主任の大臣が分担管理するという我が国の内閣制度に適合するのかという疑問がかなりの省庁から出されたということであります。  これに対し、委員会としましては、国の行政機関が裁定に不服がある場合には内閣総理大臣に裁定の取り消しを求めることができるという新たな試案を提示いたしましたけれども、この二番目の案につきましては、内閣総理大臣がその判断を閣議にかけることから、実際上機能しないことになるのではないかという懸念がかなりのところから示されたということでございます。  そのために、このたび勧告いたしました係争処理機関につきましては、これらの指摘も十分に踏まえまして、さらには現行の法制度や行政の運営の慣行、慣習というものとの調和ということを最大限に尊重して考えるとこういう仕組みが最適なのではないかという考え方で、最後の勧告をさせていただいたということでございます。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 係争処理委員会の対象事案となるものは一般ルール法に規定されたものを除いたものとされており、自治体の条例の個々の内容については個別法に基づき中央政府は関与することができるとされておりますが、具体的にはどのようなことを想定していらっしゃるでしょうか。  また、自治事務、法定受託事務と明確に区分されておる以上、条例内容に対する中央政府の関与は極めて自己抑制されるべきものと考えますが、いかがでしょうか。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 先生が最初におっしゃいました、一般ルール法で定める関与はこの適用外だというふうには、私ども、勧告で申し上げておりません。一般ルール法で定める関与のうち、報告徴収とか単なる助言は係争処理委員会で扱う関与から外すということは申し上げておりますが、一般ルール法で定める是正措置要求とか指示とかいったものはすべて係争処理委員会が扱う関与の中に入っておりますので、そこはちょっとおっしゃったことが正確でなかったかというふうに考えております。  それから、自治体の条例の個々の内容について個別法に基づき中央政府は関与することができるというような一般原則を、私ども、勧告で述べたはずはございません。  しかし、おっしゃいますように、性質上、条例で定める事項について国が関与をするというケースは現行法でも幾つかあるわけでございます。そのことについてお尋ねなのだと思いますので、少し細かなことになりますが、御説明させていただきたいと思います。  例えば法定外普通税の創設につきましては、国税との調整等の観点から現行制度は国の許可に係らしめられているわけでありますが、地方税の課税要件等は租税法律主義の原則から条例で定めるべきこととされておりますように、ある事項が国の関与の対象とされているかどうかということは、その事項が条例事項であると否とを問わず、その趣旨、目的に応じてその必要性が判断されるべきものというふうに考えられるわけであります。  その場合、法律が条例の規定に判断をゆだねた趣旨からいたしますと、行政権限に対する関与以上にこのような場合についての関与は抑制的であるべきことは、先生御指摘のとおりだと考えま・す。また、例外的に関与が認められる場合でありましても、個々具体の条例に対する直接的な関与は、地方公共団体の自主立法権の保障という趣旨から適当ではないというふうに考えております。  そこで、これは具体的な例でありますが、第四次勧告におきましても、国民健康保険法第十二条に基づく市町村の条例の都道府県知事への協議という制度が現行法ではあるのでありますが、この都道府県知事への協議というものを廃止いたしまして、条例で定めるべき内容を協議するというふうに改めていただきたいという勧告をしているというのは、そういう趣旨でございます。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 同じく係争処理委員会に関する質問でございますが、試案段階では自治体の条例等の違法審査も対象事案とされておりましたが、第四次勧告では削除されております。この点についての説明は、勧告本文の十七ページに若干述べられておりますが、さらに詳しく御説明いただきたいと思います。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 勧告本文で述べておりますように、「条例の違法審査の制度は、」地方分権の推進によりまして地方公共団体の条例制定権が拡大していくという状況の中で、「国と地方公共団体の立法権限の衝突を調整する制度として重要な意義を有する」というふうに私たち委員会としては考えているわけであります。  しかしながら、政府部内からは、抽象的規範統制訴訟という全く新しい訴訟制度を創設することになるので、くれぐれも極めて慎重な検討を望みたいというお声が非常に多かったということがございます。また、国の方からそういう御意見があったというのみならず、今度は、新聞の論調等の言論界、学界などからは、逆に、この制度は自治権を侵害する制度になるのではないかという懸念が示されているわけでございまして、そういう意味で、各方面の共通理解は得られていないというふうに判断したわけでございます。  そこで、今回は、勧告事項とはせず、中長期的な課題として真剣に各方面で議論されるべき問題ではないかという提示をしたということでございます。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 ただいまの答弁とダブる面もあるいはあるかもしれませんが、勧告本文に言う「一般の関与の場合とは異なった観点からの法制度上の検討を経る必要もあるため、中長期的な課題として、今後さらに検討が深められることを望む」、こう書かれておりますが、これは具体的にどのような意味でしょうか。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 先ほどの御質問に対しまして、この条例の違法審査という制度を設けた場合には、それは抽象的規範統制訴訟という全く新しい制度になるという言葉を使ったわけでございますけれども、もう少し別の言い方をしますと、具体的な利益侵害を前提としない訴訟制度を新たにつくるという話になるわけでありまして、そういう訴訟制度が我が国の司法制度のもとで一体許されるのかどうか、許容されるのかどうかという根本問題がまずあるということでございます。それが、そこで述べております「一般の関与の場合とは異なった観点からの法制度上の検討」というポイントでございます。具体的な利益侵害を前提としない訴訟制度というものを果たして設けていいのかどうかという根本問題がある、そのことを言っております。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 係争処理委員会問題についての最後の一点でございますが、行政組織法上の位置づけについて、勧告では、その性格上、「内閣の外部に、独立した機関として置かれることが望ましい」としながらも、「国家行政組織法上の機関として、府又は省に置くこととしても差し支えない」というふうにしておりますけれども、強いて言えば推進委員会の真意はどちらでございましょうか。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 これは勧告に書いておりますとおりでありますというふうにお答えするのが一番簡単なのでございますけれども、第三者機関の組織上の位置づけにつきましては三通りの方法があり得るわけです。  第一番目には、内閣の外部に独立した機関として置くということ、第二の方策は、内閣に直属する機関として置くというやり方、第三番目は、国家行政組織法上の機関として府または省に置くというやり方でございます。  第三者機関が国と地方公共団体の間に立って中立公平な立場から審査するというその本来の性格に着目すれば、理念的には、国の行政権から独立した機関がより望ましいというふうに考えられるわけですけれども、現実には、憲法上の機関以外にこのような機関は存在していないわけです。そして、全く今までそういうものを設けた例はないわけでございます。  そこで、このような現実認識に立ちまして勧告をするという立場に立ちますと、内閣に直属する機関として置くという第二の方策が最も望ましい方策だということになりますが、しかし、そうでなくても差し支えありません、第三の方法でも構いませんと申し上げているとおりであります。  これが我が委員会の真意でございます。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 次に、地方事務官制度についてお尋ねいたしたいと思います。  特に社会保険関係事務の問題についてでありますが、機関委任事務制度を廃止する以上、地方事務官制度にかかわって事務のあり方も当然変更するのが必要であることは申し上げるまでもございません。しかし、その場合であっても、年金は中央政府の責任だとして、その具体的な事務執行イコール中央政府と考えるのは少し早計ではないかと思われます。  一例を国民年金適用促進事務にとって見てみれば明らかなようだと思います。全国の社会保険事務所の数は市町村の数の一割にも満たない三百七しかありません。他方、国民年金加入率はどんどん低下をしてまいりまして、今八三%程度、未加入者が二百万人になんなんとしている状況にあります。こうした事態にある国民年金の状況に対して社会保険事務が十分対応できるとはとても考えられません。結局は市町村の協力が必要になるはずだと思います。  これと関連して、地方事務官の職員数と住民サービスとの関係についてであります。  中央政府の事務とすることで約一万数千人の地方事務官は国の総定員法の枠内に入るわけでありますから、高齢化社会の事務量の増大に対応した職員数の確保はかなり困難となるのは当然かと思います。そうなれば、社会保険事務所数の少なさと相まって、地方分権の意図する住民の利便性とは逆行しかねないのではないだろうかと考えます。こうした点を考慮すれば、少なくとも法定受託事務とすることが妥当ではないかと考えますが、いかがでしょうか。  いま一点、「過去五十年にわたって継続してきたことに鑑み、これを廃止するに当たり、職員の処遇等について十分な配慮が必要である。」というふうに書き込まれておりますが、この具体的な意味はどんなことでございましょうか。

西尾勝地方分権推進委員会委員(行政関係検討グループ座長)

○西尾参考人 社会保険関係の地方事務官が従事することとされている事務につきましては、第一には、国が保険者として経営責任を負い、不断の経営努力を行うことが不可欠な事務であるということ、第二番目に、全国規模の事業体として効率的な事業運営を確保するためには一体的な事務処理による運営が要請されているということ、以上、主として二点から、国の直接執行とすることが適切であるというふうに判断をしたわけであります。  なお、国民年金関係事務等が社会保険事務所で十分対応できるかというお話がございました。現在、市町村長の機関委任事務とされております国民年金関係事務につきましては、できる限り市町村の事務負担の軽減を図った上で、住民の利便を考えまして、届け出の受理等の窓口事務に限り引き続き市町村で行うこととしておりまして、その点はすべて社会保険事務所に委託してしまおうというわけではありませんということを申し上げておきたいと思います。  なお、今後職員がこれで定員削減の中に入っていくことによって云々ということをおっしゃったわけでございますけれども、今後、高齢化社会が進展する中で住民サービスの維持、向上をいかに図っていくかは経営主体であるところの国が担うべき課題であるというふうに私どもは考える次第でございます。  最後に、勧告の中で、「職員の処遇等について十分な配慮が必要」と書いているところの文言の意味をお聞きになりましたけれども、職員の勤務条件、勤務地等について、職員に無用の不安と混乱を与えることがないように、使用者としての政府が十分配慮すべき旨を述べたものというふうに御理解いただければいいかと思います。  極めて具体的な例で申しますと、地方事務官の方は国家公務員でございますが、県庁で仕事をしてこられたわけでございますので、県の職員住宅等に入居していらっしゃるという方々もいらっしゃるわけでありまして、これを直ちに職員住宅から出ていただくということが果たして妥当か等々、こういう勤務条件、勤務地等の問題について配慮が必要であろうという趣旨でございます。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 委員の皆さんには本当に御苦労、御難儀をおかけいたしておりますが、今後とも、勧告の点検あるいは推進計画の監視、そして、地方への啓発活動に一層御努力していただきますようにお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。

加藤卓二自由民主党

○加藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十一分散会

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