予算委員会 第8号
- 発言数
- 289 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1997/03/12
会議録
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 証人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 予算の執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題について、来る三月二十一日午前九時三十分に、株式会社託正代表齋藤衛君を証人として出頭を求め、その証言を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、証言を求める事項の通知その他の手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(大河原太一郎君) 次に、院外における証人証言要求についてお諮りいたします。 予算の執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題について、委員を派遣し、参議院議員友部達夫君を証人として来る三月二十一日午後二時に、その現在場所において証言を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、証言を求める事項の通知その他の諸手続及び派遣委員の人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
○委員長(大河原太一郎君) 次に、院外における証人出頭要求についてお諮りいたします。 予算の執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題について、委員を派遣し、年金会オレンジ共済組合専務理事友部百男君を証人として来る三月二十一日午後二時に警視庁に出頭を求め、証言を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、証言を求める事項の通知その他の諸手続及び派遣委員の人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(大河原太一郎君) この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。近岡科学技術庁長官。
○国務大臣(近岡理一郎君) 三月十一日午前十時六分、動燃事業団東海再処理施設のアスファルト固化処理施設において火災が発生いたしました。この火災は十時二十二分に消火したと報告を受けましたが、その後放射性物質が施設内に拡散したため、施設内の作業員に微量ではあるが体内被曝があったことが確認されました。 さらに、同日二十時四分ごろ、同じ施設で爆発が発生して、窓などを破損し、放射性物質が施設外に放出された。施設周辺の放射線モニタリングの結果によると、一時的にわずかに上昇が見られたが、それ以降は通常の変動の範囲内であった。 このような火災、爆発事故が発生し、地域住民を初め国民の方々に不安を与えたことはまことに遺憾であり、また事故後の通報、連絡に関し、動燃から従事者の被曝の状況等について迅速かつ正確な情報を伝達すべきところ、対応に不十分な点があったことは非常に遺憾であります。 このため、けさ、動燃事業団近藤理事長を呼び、早期の事態の収束及び原因究明に万全を期するとともに、地元住民等の不安、不信を払拭するために真剣に取り組むように指示をいたしました。 今後、科学技術庁としては、事故の原因の徹底的な究明と再発防止のための万全の対策を講ずる方針でございます。このため、当庁に本事故に関する調査委員会を設置し、できる限り早期にこれらの解明を進めてまいりたいと存じます。また、この委員会は公開で行い、調査の状況を最大限に国民の方々に公開してまいりたい、このように存じます。 —————————————
○委員長(大河原太一郎君) 平成九年度一般会計予算、平成九年度特別会計予算、平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き、総括質疑を行います。市川一朗君。
○市川一朗君 ただいま政府から御報告がありました茨城県東海村で起きた事故につきまして、事故の概要等はただいまの御報告である程度は理解できましたが、動燃の立場でいきますと、「もんじゅ」の事故がありまして、その際、安全管理を徹底するということを誓ったばかりでのまた事故でございます。 国民の立場で見ますと、どうなっているんだろうという不安が大変あるわけでございますが、動燃の立場で「もんじゅ」の事故の教訓が生かされていないのではないかという国民の不安に対しまして、政府側の御回答をお願いしたいと思います。
○政府委員(池田要君) お答え申し上げます。 動燃事業団におきましては、「もんじゅ」の事故以来、施設におきましてトラブル、事故等を経験しましたときには直ちにその結果について公表するということで科学技術庁からも指導してきたところでございますし、事業団としてもそういう努力をしてきたところでございます。 しかしながら、今回、昨日の段階でございますけれども、午前中に、この再処理施設の運転に伴って生じます低レベルの放射性廃液をアスファルトで固化します処理施設におきまして火災が発生いたしました。このときにはまだその火災の状況というものも、大臣から先ほど御紹介ございましたように十数分で消火しましたし、また従業員その他に放射性物質を取り込む等のことはないと考えておりましたので、若干その辺の事情を見きわめるために事業団が時間を費やしてしまったということは残念でございます。この点は地元茨城県からも私どもからも事業団に対しては、その辺の事態の見きわめ、それから速やかなる公表についてのこれまでの指導ぶりに対して十分こたえてくれなかったということにつきましては非常に残念に思っております。 この事故につきまして、火災が起きましたこと、それからその後同じ施設におきまして爆発ということが起きましたことにつきましては、残念ながらまだ原因はわかっておりません。この辺につきましては、昨日の段階で私どもからも五名の専門家を派遣してございますし、動燃事業団と力を合わせまして事態の把握に努めておるところでございます。 今後、事態の収束を見ながら、原因究明につきましては、先ほど大臣からも御指摘ございましたように、専門家を動員いたしまして速やかにその原因につきましての見きわめをしたいと考えてございます。
○市川一朗君 私も政治家の一人として、国会議員として、いたずらに国民に不安を醸し出すような質問をしたくはないんですが、やはりこういう事故がたび重なりますと大変危険といいますか、危険性の問題についての国民の不安というのが高まりますので……。 各紙いろいろ取り上げておりますが、その中で、今の御答弁でも低レベル云々というお話がございましたが、高レベル放射能の固まりといってもいい再処理工場施設の中で、低レベルの放射能を扱う部分で起きた事故というのは不幸中の幸いであった、しかし低レベルとはいえ周辺への影響が心配だというような学者、評論家のコメントが各紙に載っているんですが、この辺についてもう少しわかりやすく説明してください。
○政府委員(池田要君) お答え申し上げます。 再処理工場におきましては、発電所から出ました使用済み燃料を処理いたしますためにその中の燃料を酸等を使いまして溶かし出す、こういった化学的な処理を行う部門がございます。 したがいまして、この施設の日常の運転に伴いまして廃液のたぐいが出てまいります。例えば床をぬらしましたものをふき取りましたもの、そういったものでございますとか、あるいは溶媒が古くなったもの、こういったものが、比較的放射能の低い廃棄物が出てまいるわけでございます。これをこの施設におきましては濃縮いたしまして、アスファルトで固化をしてドラム缶等に収納して管理するということを行っているところでございます。 先ほど御指摘ございましたように、使用済み燃料そのものは非常に高い放射能を持っておりますし、その中には核分裂生成物が入っているわけでございますけれども、ここで扱っております放射性物質は、運転管理に伴って出てまいります比較的放射能レベルの低い廃液を扱っているということを御理解いただきたいと思います。
○市川一朗君 先ほどの答弁の中でも、動燃がというような話が科学技術庁からありまして、科学技術庁どうなっているんだ、動燃どうなっているんだという不安、直接的にはそうなりますが、しかし国民の立場で見ますと、一体政府はどうなっているんだ、それから日本の国は大丈夫なのかというようなそういう不安が出てくると思います。 ここは政府の立場で国民にしっかりとした御答弁をいただくにはやはり総理にお聞きする以外にはないと思いますが、総理、ひとつお願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) こうした事故が起こり、その事態処理の中で必要以上に国民に不安を感じさせるような状況が生まれましたことを、この場をかりておわび申し上げます。 その上で、先ほど科学技術庁長官から全体の状況並びに今後国としてとろうとしております対応について御報告を申し上げました。 私は、この中で一番問題だと思いますのは、本当に不幸中の幸いという言葉が今一番当たるかと思いますが、本当の大事に至らずに済んだ、しかもその低レベル放射性物質を扱う部分ということで比較的危険度の少ない場所で起きた、これは本当にある意味では不幸中の幸いと言えるのかもしれないと思います。 ただ、午前中に一回、そしてそのときには微量ではあっても体内被曝が十名の方に及んでいた、そして同じ施設で夜間に入りましてから再び爆発が起きた、一体この間のチェック体制はどうだったのか、連絡体制はどうだったのか、こうした点にも問題があろうと存じます。 同時に、何といいましても私はここで一番遺憾だと存じますのは、動燃事業団「もんじゅ」の事故で、まず第一に通報のおくれと同時に、事故そのものを隠ぺいしようとした。そのために大変厳しい世間からの御批判を浴びましたけれども、それ以上に、原子力行政に対する信頼というものを大きく損ないました。それ以来今日まで、その痛手を取り返すために関係者は随分努力をしてきたはずであります。にもかかわらず、今回、事故後の通報、連絡に対して、動燃から従事者の被曝の状況などについて迅速にそして正確に情報を伝達しなければなりませんのに、科学技術庁に対する連絡においてもこれが十分に行われたという状況ではありません。これは私は非常に遺憾なことだと思います。 そして、科学技術庁は、先ほど御報告を申し上げましたように直ちに事故調査委員会を発足させる、そして国民の不安を取り除くためにもこの審議は全部公開で行うという意思を今御報告申し上げました。これがそのとおりに守られることを私は心から願いますし、そうした努力をすることによって、今回の事故並びにその後の対応の中で国民の中に生じております不安を少しでも早く取り除く努力をしてまいりたい、おわびとともに、そのような意思を持っておりますことを御報告申し上げます。
○市川一朗君 事故は起きてしまったわけですから、反省をするとすれば情報の公開その他、そういった問題についてしっかりとした体制をつくっていただきたい。 それから、こういうのが起きますと、一動燃の問題、科学技術庁の問題というより何か政府全体の危機管理の問題じゃないかなという感じがしますが、その辺、国民の不安に十分こたえるように、私、後でまた質問させていただきますけれども、これからきっちりとした体制をとっていただきたいということを要望いたしまして、次の予定した質問に移らせていただきます。 まず、文部大臣にお尋ねしますが、今国会の補正予算の審議の際に、当予算委員会で同僚の石田美栄委員が学校教育における中高一貫教育制の問題を取り上げました。文部大臣は慎重な御答弁だつたような印象もありましたけれども、中高一貫教育制の問題も視野に入れまして、改めて私は、六三三制そのものについて文部大臣はどう評価しておられるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(小杉隆君) 戦後の五十年間、六三三四制度のもとで、私は、日本の国民がひとしく教育の機会を与えられた、そういう教育の機会均等ということと、それから国民全体の学力水準を高めたということには相当寄与したと思っております。その結果として戦後の日本の社会経済の発展があったというふうに認識をしております。しかし、一方において、いじめ、受験競争の激化あるいは登校拒否、こういったマイナス面も出てきております。 そこで、私どもとしては、今日までの六三三制の評価をしつつも、今の制度の中でやはり見直すべき点も多々あるんではないか、余りにも画一性の中で個性を育てる教育がおろそかにされてきたんではないか。そういう反省の上に立って、中央教育審議会で、現在の六三三四制度を基本としながらも、その中で中高一貫教育というような新しい一つの試みをやってみたらどうか、つまり今までの単線型の画一的な教育制度の中にもう少し複線型、つまり中高一貫教育とかそういった新しいタイプも導入してもいいのではないかということで現在検討を進めているところであります。
○市川一朗君 六三三制の前は、ちょうど六三三制はこれで五十年になるんですが、私も小学校四年生だったので、文部大臣の方がもう少し上ですからもっと詳しくわかっていると思いますが、あの前は小学校を卒業すると中等学校へ行くんです、行かない人は高等小学校へ行く、そうでない人は社会人として就職する。何かあの機会に大人として遇されたんじゃないかと思うんです。満十二歳でそうなるわけです。 昔は数えですから、十四歳とか十五歳、歴史小説を読みますと、大体十四歳ぐらいが元服なんです。毛利元就も次男でおくれたといって十五歳で元服です。私は曹洞宗の檀家なんですが、道元さんが十四歳で得度しているとか、大体そのころに大人として扱ってきたんです。アメリカでも十二歳というのにこだわっているわけです。それがどうも六三三制の採用のときに、小学校の延長線みたいになったんじゃないかなというのをちょっと感じていたわけです。 先ほどの答弁で、そういったことも含めて検討するというニュアンスも若干承ったんですが、総理、この問題は、総理が盛んに言われておられます、私も同感している面で、五十年前に導入された諸システムがそのまま残ってきて、それがいろいろ問題になっているという一つの代表例じゃないでしょうか。いじめの問題なんかは、六三三制のまさにあのときできた新制中学で起きている事件なんです。 総理の基本的な考え方を改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、まさに小学校の二年で敗戦でございましたから、そこまでがいわゆる国民学校、そしてちょうど小学校在学中が、教科書を含めまして非常に混乱を重ね、カリキュラムの編成がしばしば変わるという時期でございました。それだけに、恐らく当時、親はそうしたことも考えながら中高一貫の私学というものを選んで私に受けさせたのではないかと、後になってそう思います。 そして、自分の子供たちを、一番下の子供だけ小学校の四年にかわります時点で東京に連れてまいりましたけれども、上の子供たちは全都市立の小学校、中学校、そして県立の高等学校へという道を歩ませました。一人その中で中高一貫の私学を選んだ者がおります。そして、その子供たちを見ておりまして、私はどれもそれなりにみんな一生懸命な教育をしていただいていると思います。 その上で一番感じますのは、中高一貫の場合に、間に高校受験というものが入らないだけ、よりゆとりのある中学、高校という時代を過ごせるのではないだろうか。大学受験というものの持つ重みは、これはどの場合にでも同じでございましたけれども、中高一貫の教育を受けました一人と他の子供たちの場合を見ておりまして、学生生活におけるゆとり、そしてそのゆとりの中で、自分のクラスだけではなく同学年あるいは上級生、下級生、例えばクラブ活動等を通じてのつながりを深める、そういうチャンスはやはり中高一貫の私学に学んだ子供が一番多く持てたような感じがいたします。 それだけに、私は中高一貫教育というものを、自分自身もその中で育ちましたし見ておりまして、非常に望ましいものだと思いますけれども、それだけが私はすべてではないと思います。そして、むしろいろいろな形態があり得てもいいのではないかと。 先ほど尋常小学校、高等小学校あるいは中学、古いといいますか敗戦以前のシステムについて幾つかの仕組みがあったということを例示に引かれながらの御質問でありましたが、私はこれからの日本の教育というものも単線ではなくて複線あるいは複々線の部分があってよいのではないか、そのような感じを持っております。
○市川一朗君 五十年前に導入されたままできょうまでずっと来ているというのはいっぱいあるんですけれども、もう一つ、厳密に言えば少し違うんですが、中央省庁も似たようなものですね。そう言っていいかと思うんです。 現在労働省、建設省、自治省と最後三つ並んでいるでしょう。あれは戦後内務省が解体されてできた順序で、あれを見ただけで自治省で終わっているというのはよくわかるんです。逆に前を見ますと、運輸省、郵政省、これは逓信省が分かれた。それから通産省、農林省、これは農商務省が分かれた。大体細分化の方向でずっと来ていて、それで内務省が解体されて一気に警察庁も入れて四つになって、そこでとまっているというのが一つの流れだと思うんです。行政改革は単に数合わせじゃない、数を減らすだけじゃだめだという意見はいろいろありますが、しかしそれにしてもやっぱり細分化し過ぎなんじゃないかなという感じを私などは持つわけです。 それと、さっきの事故ですね、どうも官邸ともうまくいっていないんじゃないかという感じが新聞等でも出ておりますが、ああいう危機管理の問題なんかも、結局、官房長官、たくさん集めないと会議が動かない、始まらない、しかし集めるとたくさん集まり過ぎるからなかなか今度は動きが悪いということでいらいらすることが多いんじゃないかと思いますが、この際、そういう観点も含めて考えてみたらどうかなと思いますが、官房長官、いかがですか。
○国務大臣(梶山静六君) どちらに偏っていいかという問題がありますが、細分化をすれば分化をしたなりのまとめは難しくなる。統合すれば統合したで細部にわたる専門家の分野がおくれる。どちらにしても、絶えずこれを繰り返さないと私はうまくいかないと思うので、集中をすればその後は必ず分化をしなきゃならない。分化をして、それが進めばさらに集約をしなきゃならない。この反復をするゆとりがあるのかどうなのか。あるいはそれが硬直化してなかなか直せない状態になつている。これがむしろ一番問題ではないかと思うので、どちらかが絶対ということではない。 その点、むしろアメリカのように大統領選挙が終わればすぐ全部が変わるという、考えてみるとこれほど信頼の置けないものはないなと思いながら、変革をする可能性に極めて恵まれている。その意味でアメリカというものはしたたかな強さがあるのではないかと思います。私たちの体制はどちらかというと変えることの大変難しい体制になってしまったという、そういうことの今実感を持って毎日毎日を見ているんですが、大きくすればいいのかな、小さくすればいいのかなというのは絶えず心の中で迷う問題であります。
○市川一朗君 危機管理の責任者としては、大事な問題は慎重に御発言するというのもまた危機管理の一つだと思いますので、慎重な御答弁、どうもありがとうございました。 亀井建設大臣、もともと警察庁出身で今、建設大臣、旧内務省でしょう。それから、建設省と同じ建物で仕事もある程度ダブっている運輸省で政務次官と大臣もやられましたね。今のような問題、実感としてどう考えておられますか。
○国務大臣(亀井静香君) 委員御指摘のように、戦前は警察を中心に自治、建設、労働、厚生等が一つのあれでやっておったわけですが、GHQの占領政策ということもあったと思いますけれども、そういう中で分化をしていった。 私は、総理の今度の行革の基本的な考え方として、国家機能別にこれを再編成されるということがあるべき姿ではないかと思います。そういう意味では、二重投資を交通行政で避けるという面からも、また国土保全という面で建設省とあるいは農林省等がきっちりとかみ合っていくという面からも、私はやはりこの際思い切ってそのあたりを統合して新しい組織をつくっていくべきだと、このように考えております。
○市川一朗君 私は戦前のような内務省がいいとは思っていませんけれども、小泉厚生大臣、厚生大臣として郵政省の話もいろいろ言っておられます。厚生省と郵政省を一本化するのがいいかどうか、その辺はいろいろ議論があると思いますが、この辺についての国務大臣としての御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 国務大臣として橋本内閣の行政改革、これを進めていかなきゃならない。地方に任せるものは地方に任せていこう、民間に任せていくものは民間に任せていこう、そして新しい時代の変化に対応した行政機構を整備していこうというのが橋本内閣の方針でありますから、その方針に沿って私も進めていきたいと思っております。
○市川一朗君 中央省庁の再編の前に、やはり行政事務のスリム化という問題を今国民が大きく求めていると思いますけれども、その辺で中央省庁再編問題だけでお聞きするというのは行革担当の大臣にはあるいはちょっと物足りない質問かもしれませんが、武藤総務庁長官、いかがでございますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 現在の行政機構に対しての反省という点では、もう阪神・淡路大震災のときといい、確かに縦割り行政という欠陥がいろいろと指摘をされました。 これは、今御指摘のように、私はやっぱり細分化し過ぎている、結果的に細分化していることと縦割り行政というのはある程度関連性があると思っております。 そういう点において行政の機構をスリム化していくということは当然の話でありますし、今中央省庁の統廃合だけというお話でございますが、必ずしも私はそれだけではこれからの新しい日本の行政機構はでき上がらないと思っております。 今私ども一生懸命やっております規制緩和の問題も国が関与し過ぎているものはやっぱりやめていくべきだと。今、小泉大臣からも話のありましたように、要は民間でやれることまでどうも行政がやっているんじゃなかろうか、あるいは地方でやれることをどうも国が関与し過ぎているんじゃなかろうか、いろいろと規制をやって、国民から見るとかえって不便だということもいろいろあるんじゃないかと思います。 そういう面からいって、とにかく規制も思い切って緩和というか必要でないものはやめていく。そして、仕事をやめていくことは結果的に定量的にも人も減っていくということになるんじゃないか。これは国から地方に行けば同じことでございます。もちろん地方がまた大きく膨れ上がっちゃ困るわけでございますけれども、国、地方を通じて、要は組織のために人があるんじゃなくて、仕事のために組織があり、人があるんだと。どうも今の日本の役所というのは、長いこれは伝統だと思うんですけれども、結局、組織というのがあって、組織があるから仕事をしなきゃいけない、仕事をしなきゃいけないから人を置かなきゃいけないということになってきているんじゃないか。 今度の行政改革というのは、要は国民のために国家のためにどういう仕事をしなきゃいけないのか、それは国がやらなきゃいけないのか地方がやらなきやいけないのか、あるいは民間でもいいのか、こういう仕分けをしまして、そしてその仕事の上に組織をつくっていく、そしてそのために人が必要になってくる。こういう考え方でやっていきますと、本当にスリムでしかも非常に効率のよい、国民サイドに立った行政機構が私はでき上がってくるんじゃないかと。最終的の中央省庁の再編という形、新しい中央省庁の組織をつくっていくのは、そういうところから私は最終的にでき上がっていくものではなかろうかと、こう考えております。
○市川一朗君 中央省庁の再編を中心として行政改革に取り組んだのは、戦後では昭和二十六年ころの吉田内閣だったと思うんですね。九月にサンフランシスコ講和条約が締結されて独立国家として出発した際に、あのときは政令諮問委員会というのが設置されて、まず行き過ぎた占領政策の諸法令を再検討したわけです。あわせて行政機構改革にも着手した。あのときは、絶対多数の与党に支えられた、しかも吉田ワンマン内閣と言われた人の強力なリーダーシップでやられたんですが、必ずしも十分な成果は得られなかったと思います。 当時の担当大臣は厚生大臣兼行政管理庁長官橋本龍伍先生でございました。私はあのとき、いろいろ調べてみますがよくわかりませんが、基本的には行政改革のキーポイントである国民各界各層の理解が得られていなかった、そのプロセスが不十分だったんじゃないかという感じがします。 今回総理が六つの改革に取り組んでおられる熱意はこの委員会を通じて、きょう五日目ですが、もう非常に私もひしと感じます。しかし、これからいざやるとなると、具体的内容の問題をどうやって実現までたどりつけるかというと、やっぱり国民の本当の理解を得られないといけないんじゃないかと思います。大変失礼ですが、私にはその実現へのプロセスというのがいま一つ見えないように思います。 総理は十分決意を持っておられますが、決意だけではなかなか実行、実現は難しいんじゃないかと思います。改めてその点を含めまして総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私自身、六つの改革を言い出しました時点で、本当にどれだけ国民に御理解がいただけるだろうか。しかし、それでもやらなければならない。この五十年間の日本というものをここまで仕上げてきたそれぞれのシステムが逆に今は足かせになってきている。そして、新しい時代に向かおうとするときに、先ほど来御論議にありますような危機管理といった一つの視点だけでもそうですが、いろいろな意味で我々の手足を縛ってしまっている。この状況を何としても抜けなければならないという思いでこれをスタートさせました。 そして、今マスコミの皆さんのされる各種の世論調査を拝見していても、できないと思っておられる方が国民の中に非常にたくさんおられるということも存じております。また、私たちの非常に身近なところで伺う話の中にも、手を広げ過ぎたんではないか、どれか一つだけを絞り込んだらどうだというような御意見を下さる方もあります。 しかし、実はシステムが行き詰まったときというのは、すべての面が同様の問題を抱えておりまして、どれか一つだけを改正すればそれで終わりになるという性格のものではございません。それだけにお互いが入り組んでおりますし、先ほどから御論議をいただいております中央省庁、これには当然のことながら、まず地方分権の推進という視点で分権推進委の作業をどこまで反映できるか、そしてまた行革委の御論議の中から官民の役割の分担の見直し、さらには規制緩和といったものをどこまでここに前提として置けるか、それによってどれだけ中央省庁がスリム化されるかということは決まってくるわけであります。 今それぞれの審議会が作業をしていただいているものを受けながら、行革会議の中で中央省庁のあり方というものの図面を十一月の末までに書き上げようといたしておりますが、確かにそのプロセスの進行中には国民に御理解をいただくといっても、これだけを申し上げればわかっていただけるというようなものではありませんだけに時間も必要でありましょう。 しかし、少なくとも中央省庁の組織再編、そして二十一世紀におけるそのあり方というものを考えますとき、私は私なりに、国家存続の機能であり、国の富をふやす機能であり、国民生活の安全、安定というものを求める機能であり、さらに教育、文化の機能、私なりに四つに分けておりますけれども、私は何もこれだけに固執するつもりはありませんが、それぞれにいろいろな御意見をお持ちの方々があります。それを集大成して、少なくとも十一月の末に成案として世に問える状況にまで何としても持ってまいりたい。 そして、そのプロセスにおきましては、いろいろな御議論をできるだけ私たちは前広にちょうだいをしながら、それを生かしていきたい、そのような気持ちでおりますことを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
○市川一朗君 改革は行政改革に限らず必ず痛みを伴うものでありますので、なかなか具体の話になると大変難しい問題がいっぱいあると思いますが、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。 次に、財政改革に触れたいと思います。 マーストリヒト条約の財政状態に係る経済収れん条件、その充足の状況につきまして、再三答弁の中では出てまいっておりますが、改めてサミット参加国のイギリス、フランス、ドイツ、イタリアの状況をお願いします。
○政府委員(小村武君) マーストリヒト条約における通貨統合への参加条件としての財政上の条件でございますが、一九九七年ベースで国、地方を通じた単年度の財政収支の対GDP比をフローベースで原則として三%、債務残高のGDP比が原則として六〇%を超えないことを挙げております。 昨年十一月にEU委員会が発表いたしました御指摘の加盟国の一九九七年における見通しでございますが、まずフローベースの財政赤字の対GDP比でございますが、イギリスは三・五、ドイツが二・九、フランスが三・〇、イタリアが三・三。債務残高の対GDP比でございますが、イギリスが五七、ドイツが六一・九、フランスが五八・一、イタリアが一二二・三でございます。ちなみに、我が国における平成九年度における財政状況は、フローベースでは五・四、債務残高ベースでは九一・二でございます。
○市川一朗君 日本の状況が非常に悪いわけですが、一月二十日の参議院本会議で総理は、八年度末、国、地方を合わせて長期債務四百四十二兆円になるというような御発言もされておられますが、今の数字はこの四百四十二兆円との関係ではどうなりますか。
○政府委員(小村武君) 今申し上げた数字は基本的には国民経済計算上の数字を一般政府ベースで計算したものでございます。したがいまして、若干そのベースは異なると思います。
○市川一朗君 この長期債務の計算の仕方で識者の方からよく隠れ借金という指摘がありまして、私の試算では四百四十二兆円プラス四十三兆円とするなら四百八十五兆円になるんじゃないかという感じもあるんですが、このいろんな計算の中で隠れ借金みたいなものは計算上は入るんでしょうか入ってないんでしょうか。
○政府委員(小村武君) ただいま申し上げた数字の中に、いわゆる隠れ借金と称するもの、代表的には国鉄清算事業団の債務二十八兆円、実質的には二十兆と言われておりますが、こういった数字は入っておりません。したがいまして、私ども国の長期債務残高と申し上げるときには国、地方を通じて四百七十六兆円と申し上げておりますが、このほかにいわゆる隠れ借金と申しますか、そういったものについては四十五兆円、九年度ベースでございます。
○市川一朗君 見方の違いかもしれませんが、実態は発表されている数字よりももっと悪いということにもなるわけであります。 財政事情がこういうふうに悪くなりました。一時赤字国債を発行しないで済むような状況になりましたね。それが平成六年度以降はまた再び赤字国債を発行せざるを得ない状態になったんですが、にもかかわらず毎年度、平成八年度もそうですが、補正予算で国債を大幅に増額しているわけです。 それで今回、平成九年度の当初予算の説明では、これこれこうやってきちっとやりました、財政構造改革元年ですと言いますが、補正予算と組み合わせますと、当初予算での説明というのはどうも単なるつじつま合わせじゃないかという印象を国民は持っているんですよ。その辺、どうでしょうか。
○政府委員(小村武君) 御指摘のように、平成六年からまた補正の段階で赤字公債を発行するようになりました。私どもとしては当初予算においてその時点におけるあらゆるデータを基礎といたしまして最善の予算を組むわけでございますが、経済情勢の変化に伴う税収の減、あるいは六年度、七年度におきましては阪神・淡路大震災のような予期せざる大震災が発生する、こういったことによりまして補正予算を組まざるを得ないということでございます。 六年、七年はそういうことで結果的には赤字公債の増発もいたしましたが、先般御可決をいただきました八年度補正予算におきましては、緊急防災対策等における建設公債の増発はいたしましたが、赤字公債は減額をしております。これは税収の増があった分については他の歳出需要に充てないで赤字公債の減額を図ったということでございます。
○市川一朗君 財政のプロといいますか責任官庁としての大蔵省、わずか三年でこんな最悪の財政状態になったというのは、今の御答弁でもうかがえますけれども、要するに、歳入見積もりに誤算があったのか歳出に問題があったのか、あるいは両方だったのかというようなことで、国民がどうも釈然としないですよ。こんなパンフレットを配られて財政危機ですと言われても、何か危機になったのを喜んでいるんじゃないかと。まあ、そんなつもりじゃないでしょう。訴えているんでしょうけれども、しかし危機状態をつくったのはどこなのというような疑問があるんですよ。もう一度御答弁ください。
○政府委員(小村武君) 財政赤字が拡大をしてきた。世界的には高齢化の現象に伴う社会保障給付の増大、これが大きな要因でございます。それから、我が国におきましては、バブルの崩壊後経済成長が伸びなくなり、それに伴う税収の減、あるいは累次の景気対策を講じたということによりまして今日の財政状況に相なったということでございます。
○市川一朗君 平成九年度予算というのは今国会で今審議しているわけですが、同時に平成八年度補正予算も提出したわけですね。それで、大蔵大臣、補正は前の年の話だ、財政構造改革元年は平成九年度からだ、だから前の年の話じゃないんだ、平成九年度だよというような論法はどうも詭弁ではないかという印象があるんですよ、国民の側から。私の郷里の大先輩である政治家としての大蔵大臣ですから詭弁は弄していないと思いますけれども、それは詭弁じゃないんだというような意味も含めまして御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 旧来の陋習を破り、天下の公論に決すべしという五カ条の御誓文の有名な条項がございます。過ぎ去ったことの分析と反省は必要でありますが、それを問うてみても戻りません。 ちなみに、六、七、八、主計局長は数字上の中でそういうことでありますが、政治というもので考えてみますと、全く完璧であったということにはなりませんし、またこれしかやむを得ないのであるという範晴に入る措置であると理解をしつつ、過去を追うことではなく、やはり二十一世紀はすぐそこにありますから、それを目指して今日の財政危機をどう乗り越えていくのかということであろうと思います。 よって、平成九年度の予算編成は全力を尽くして改革元年にふさわしいものにいたしました。四兆三千億円の赤字公債の減、公債依存度を二八%から二一%に下げる努力、さらに各歳出におきましてもめり張りをつけたことも事実であります。その額は小さいですけれども廃止をするということ、いわゆる公民館の問題などもそうであります。以下幾つかあるわけでありますが、額が小さいといって事柄の重大性は、実は任務の終わったものはこの際やめますという決心のあらわれと受けとめていただけますれば、この改革に向かう当初予算としての性格が明らかに見てとれるのではないでしょうか。 もちろん八年度補正予算も主計局長の言うとおりであります。言うなれば、災害対策を重点ににらみながら本件についても赤字公債の発行を抑え込んで取り組んでいくという手法を講じているという点であります。これも、元年に向けてのスクート台の第二ランナーという形で取り組ませていただいたところであります。
○市川一朗君 経済企画庁長官、平成九年度予算で大幅な国民の負担増が起こる、実質九兆円という計算もあるわけですが、この数年景気の下支え役だった個人消費にとってはこの額が非常に大きいと思うんですよ。増加の二年分ぐらいだと私は思いますけれどもね。 それで、企画庁は年度後半には景気上昇するという政府見通しを出していますから頑張っていますけれども、私は危ないんじゃないかなと思っております。このままでいくと平成九年度も景気対策のための補正予算が必要となるような経済状況が出てくるおそれはありませんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 平成九年度につきましては、過日の経済見通しでもお示しをいたしておりますが、消費税等々の影響これあり、四月−六月につきましては、かつてタクシーが値上げいたしますと一時期タクシーの需要なり乗車率が落ちます例を見ましても、主力につきましては確かに御懸念のような問題があるということは、経済見通しの中でも私どももつくるときからその感じはいたしておりますのはもう正直なところであります。 御存じのように、一連の経済構造改革に関連いたします規制の緩和等々が今いろいろ起きてきておりまして、タクシーにつきましても新聞紙上でごらんのとおり、その他につきましてもいろいろな経済構造改革に伴います規制の緩和がずっと出てくることになっております。これは、消費者にとりましては問題は先行きというところでありますし、また個人の所得というものを見ましても大体一%ずつぐらい、下支えというものにつきましては、雇用におきます所得面においても確実なものが出ております。 その他個人消費に出てきますものでいきますれば、ここのところ、この数カ月間、正確にはこの一年間ぐらい住宅に物すごい勢いでとられております分だけ個人消費に当たりましては少し違っているところがあるかなと思わないところもないわけではありませんけれども、基本といたしましては、今申し上げたようなことが確実に出てまいりますと年度後半から景気観が変わってくると思っておりますので、そのような形にならないで個人消費がきっちり伸びていくであろうと予想いたしております。
○市川一朗君 大蔵大臣、不景気の中で財政再建をやるというのは非常に難しいんじゃないかと思うんですが、行政改革とか財政再建というのは、江戸時代の三大改革を持ち出すまでもなく、いわゆるデフレ政策でもあるわけですよね。 こういう状況の中で、財政構造改革元年と言ったからもう平成九年度は補正予算は組まないんだと頑張らざるを得ないような状況もあると思いますが、しかし一方で経済状況が非常に落ち込んでいくときに財政再建なんて言ったんじゃ国民のマインドはますます落ち込んで、消費も控えられ、設備投資も控えられて、逆に税収が減ってくる、こういう難しい問題があるんですよね。この辺含めますと、先ほど過去は問わないんだ、これからなんだと言いますが、まさにこれからなんですが、いかがですか。
○国務大臣(三塚博君) 不景気という言葉に象徴される内容、人それぞれによって違うのではないかと思います。辛抱の哲学というのもあります。我慢の哲学と言った福沢諭吉先生もおられます。 こういうことなどを考えてみますと、国家が当面する危機、経済危機も危機に入ります。果たして今日経済危機なのかどうかということであります。それは、経済のファンダメンタルズが極めて脆弱であったときそれが言われるのではないでしょうか。戦後五十年、営々として築き上げてきました日本経済、私はその基本は底がたいものがあるし、力強いものがあると見ております。そういう点を考えてみますと、その力強さを表に引き出す、経済活動全体に引き出す。財政によってすべてが行われてきた今日までのある意味でもたれ合い、自己責任という基本から離れてそれは政府がやること、お国がやることということで来たのではないだろうかという節もあります。 こう考えできますと、経済の底がたさ、国民総所得に見ましても世界でトップレベルのGDPであり国民所得であります。千二百兆の個人資産を預貯金として持っておる底がたさもあるわけでございますから、そういう点を考えてみますと、この際民間活力の活用というものを引き出していかなければなりませんし、国民各位の自立的な責任の奮起をいただかなければならぬ時期に来たのではないでしょうか。あなた任せで、財政で、政府でおやりくださいということは、経済大国日本、世界の両横綱に入るわけでございますから、それから考えてみますと、やはりこの際思い切った形でつらさは耐える、辛抱していく。 日本の法律体制、経済体制、社会保障体制、完璧でございます。そういう中で、年全体制、医療体制を含めて健全な社会保障体制をつくるために国会があるわけでありましょうし、論議はそこから起こされていかなければならぬと思っております。 それと、もう一つ大事なポイントは、八年度二・五%の成長は確実、確定と見て間違いがございません。その延長線上に九年度があるわけです。経企庁長官が言われますとおり、消費の底がたさも出てまいりました。四−六は消費税二%アップによって若干後退をするというのは毎回申し上げてきておるところでございますが、次の四半期に向けては緩やかな成長の中で一・九は確実に達成できるであろうということになりますと、この見通しに立って、またぞろ赤字公債を発行しましたりそういうことでそこを切り抜けるということでありますと、この決心は何なのだろうか。 まして、市川議員が冒頭、マーストリヒト条約の参加条件として、ユーロ発行の条件として言われた財政、フローとストックという問題もあります。後塵を拝しておる我が日本でありますから、これに対しても世界の経済国家としてのきっちりとしたものをつくり上げる、こういうことではな いでしょうか。
○市川一朗君 経済企画庁長官、大蔵大臣の今御答弁にもありましたけれども、要はこの四月からいろいろ変わるんですよね。消費税が上がる、その他で変わるんですよ、環境が。一たん経済見通しを出して予算を組んだ以上、そこで余りぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ答弁したんじゃ予算を修正しなきゃいけなくなるから大変だということで、そういう気持ちも若干入って頑張っているんじゃないかなと思うくらい、そう甘いものじゃないと私も思うし、みんなも思っているんですよ。 しかし、本気で改革をやるなら、この総理の熱意を本当に実現するならばもっと、本当はこういう状況なんだ、場合によってはひどいかもしれないと。さっき大蔵大臣が辛抱という言葉を使いましたけれども、要するにいろんなことを訴えて、そして理解を求めてやるというのでなきゃだめじゃないですか。何か何回聞いても同じことの繰り返しの答弁で、景気は大丈夫です景気は大丈夫ですと言っても国民は信用しませんよ。もう一度どうぞ。
○国務大臣(麻生太郎君) 長い間の役所の習慣としては、そちらも長いこと御経験がおありだからよくおわかりだと思いますが、何となくぐあいの悪いところはなるべく隠しておこう、臭い物にはふたというのは、これはある程度習性としてはおありになるんだと思いますし、私どもも民間におりましたので似たような経験がないわけじゃありませんからよくわかるところではあります。 いろんな面で見まして、私ども数字をやる立場におりますので数字の面から申し上げれば、過去の経験則から申し上げて、経企庁の予測は当たらぬということでいろいろ評判の悪いところもありましたが、少なくとも今年度、平成八年度が始まりますときに二・五%という数字を申し上げて、民間のすべての予測で二%を超しているところはほとんどありませんで、でたらめな数字じゃないかと当時随分御批判もあったそうですが、結果としては二・五%に相なります。結果として予想どおり出たという点は認めていただかなきゃいかぬところだと思うんですね。それが一つございます。 また、その他いろんな消費の面につきましても駆け込み需要等々いろいろ御批判もありますところでありますが、例えば有効求人倍率も、平成六年度〇・六四、七年度につきましても〇・六四でしたけれども、八年度につきましては〇・七三まで上がってきておりますし、一月に入りましても〇・七六という、そういった上がっております数字とか、また一人当たりの現金給与所得につきましてもずっとこのところ平均して確実に上がってきておるという数字もございます。 いろいろその他百貨店の売り上げとか乗用車の販売台数などというものが、乗用車に至ってはもう十月以降ずっと一一%、一二%、一一%、一月に至っては実に一五%まで、一月に入ったら確実に下がると言われながらも一月は逆に一五・四%まで上がってくるというような、数字はいずれもそういった数字を追っております。 私どもとしては、全部が全部いいなんて申し上げるつもりは全くありません。そういった数字から見ましても、四月に入ったらそれは間違いなくある程度の数字は落ちますでしょうけれども、全体として経済構造改革、規制緩和などによりまして先行きはこういった方向になるとなれば、気分的にも確実にそういった方向で動いてくると思っておりますので、御心配になっておるところ、私ども全くそんな気はないなんて言うつもりはありませんけれども、総じて底がたいものは感じておるというところが率直なところであります。
○市川一朗君 見通し論議はこの辺にいたします。 やはり財政改革をなし遂げるためには、総理は一生懸命やっている、各大臣は一生懸命やっていないというわけじゃないんですが、各大臣も含めて総力を挙げなきゃいけないと思うんです。 例えば平成九年度の予算編成過程で見る限りは、各大臣、御就任は昨年の十一月七日ですよね、ほとんど予算編成では意見が取り入れられてないんじゃないでしょうか。余り意見がなかったというわけじゃないでしょう。その辺どうなっているのかなという感じがするんですが、財政構造改革を行う以上はしっかりと取り組まなきゃいけない。 基本的なことまでいろいろメスを入れるとなるとやっぱり大蔵省だけではできないと思いますよ。それから、官邸が何ぼ頑張ってもだめです。各省で各大臣がリーダーシップをとってやらなきゃいけないと思うんですが、そういう国民の懸念を吹っ飛ばすような元気な御答弁を各大臣からお願いしたいと思います。 まず、各省庁別で予算の一番多いのは厚生省ですが、十四兆超えていますね。それで、補助金でも社会保障関係費八兆一千八百億円、もう四〇・九%、四割超えていますから、これは日本の財政構造を考える場合に厚生省所管の問題をどうするかでほとんどもう勝負は半分ぐらい決まるんですね。 こういう状況に関してどうでしょうか、国民の負担増による解決策というだけでは極めて限界があるので、厚生大臣、どういうふうな考え方を持っておられますか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 昨年十一月七日に就任して以来、厚生省としての最大の課題、介護保険制度の導入、医療保険制度の改革等、これからの社会保障制度の根幹にかかわる問題の改革に向けて着実に推進していこうというやさきに、あの不祥事の土石流に見舞われたわけであります。 しかし、そういう中にもかかわらず、厚生省職員全省一丸となって昨年の臨時国会に介護保険制度の法案を提出することができた。また、今国会において、それぞれ御意見があると思いますが、医療保険の法案も出すことができた。さらに、これからの財政投融資制度の根幹にかかわる厚生年金の年金資金の運用についても根本的な問題提起を大蔵省に今投げかけております。 そして、確かに予算の中で、国債の利払い費、地方に行く金を除けば、社会保障関係の予算に一番国民の税金が使われているということで、歳出に聖域なしという橋本内閣の方針であるとまずどこに切り込むか。歳出に切り込まなきゃいかぬ、今歳出を削減せよというのは国会の大合唱であります。そういう中で切り込まなきゃならないのはどこか。一番大きな額からいうと税金の一番多く使われているところを切り込まなきゃならないとなると、社会保障関係の予算と公共事業であります。これを切り込んだって限度がある。そういうことで、全体的な財政構造改革に取り組まなきゃならないというのが橋本内閣の方針であります。 これから概算要求基準、十年度予算編成に向かって始まっていきます。十一月に就任した際には、もう恐らく六月、七月、八月で大方のレールは敷かれているんです。しかし、そういう限られた中でも改革を推進していこう、さらにはこれから十年度予算に向けて概算要求基準、あらゆる行政、財政、経済、金融制度を改革していこうという橋本総理の方針のもとに社会保障制度の構造改革も大方針の一つに掲げられておりますので、その点を考えながら、今後橋本内閣の方針、火の玉となって行財政改革に取り組むという方向に沿って厚生行政も見直していきたいと思っております。
○市川一朗君 私は、介護問題、医療問題は、サビス水準といいますか福祉水準が下がったのではやっぱり問題だと思いますよ。二十一世紀の日本というのはそこを今よりもより上げていかなきゃいけない。しかし、歳出カットだというそれだけの考え方でそういうものを下げていくということじゃいけないと思うんです。非常に厳しい選択の中で、基本的にはサービス水準については、福祉水準については今よりもよくなる方向で努力するんだというしっかりとした御答弁がないと国民も不安だと思いますが、もう一度お願いします。
○国務大臣(小泉純一郎君) 福祉水準を向上させていくということは大事であります。同時に、それでは税負担を上げてもいいのか、社会保険料負担を上げてもいいのか、これまた嫌という反応がある。取り組んでまいります。 ただただ社会福祉水準を上げて税金をどんどんふやしていくかというと、これまた経済の活力が失われる。経済成長の成果をいかに福祉の充実に向けていくかということを考えますと、福祉予算だけふやせば、あとの負担をふやしていけばいいという問題でもない。そこが実に難しいところです。総論では全部最初は切り込めと言います。各論全部反対です。その衝に当たる大臣の立場も御理解いただきたいと思います。
○市川一朗君 二十一世紀の政治の一番基本にかかわる問題だと思いますから、大臣一人に苦労させるつもりはありませんが、そういうふうにしっかりお願いします。 それから、二番目は省庁別では文部省なんですね。補助金では三番目のようなんですが、どうなんでしょうか。義務教育負担費が中心になると思いますが、少子化の流れからすればその辺はある程度減っていくのかなと思います。しかし、大学なんかでも新しい設備、機械は入ってくるが置くところがないとかいろんな苦情が私どもに入っていますけれども、文部大臣はどんな考え方を予算については持っておられますか。
○国務大臣(小杉隆君) 新しい時代に対応する創造的あるいは個性的な人材を養成していくために、文教予算というのはいわば未来に対する先行投資という位置づけが必要だと私は思います。したがって、文教予算と申しましても、私の所管する教育のみならず、学術、文化、スポーツ全般にわたって財政をどう改革していくかということは大変真剣に取り組んだところであります。 具体的には例えば、先ほど大蔵大臣からもちょっと例が挙げられましたけれども、公民館、こういう箱物についてはもうやめよう、こういうことで切りましたし、また育英資金、これは教員になる人には返還免除という制度がありましたけれども、これもやめて、むしろ大学院とか博士課程、修士課程の人の上積みを図ろうと、こういうふうなめり張りのきいた予算編成に努めたところであります。 今御指摘の六兆円の文教予算の中で最大の義務教育費国庫負担金、これは三兆円、半分になるわけですけれども、ここの席でも再々申し上げているように、これは戦後の義務教育というものの考え方、憲法以下教育基本法その他の法律で規定されておりまして、具体的には義務教育費国庫負担法ということで二分の一国が責任を持つ、こういうことでやってきたわけであります。しかし、これも聖域というわけにはいかないということの中で、今まで累次にわたって、例えば旅費、教材費あるいは恩給費、共済費、こういうものをどんどん切り込んでやってきております。 少子化の中で教員の自然減ということもありますけれども、一方においていじめ対策とかあるいは新しい時代に対応した教育ということで需要もふえているわけでありまして、そういう中で、私たちは限られた財政の中でより一層めり張りのきいた予算というものを心がけて努力したいと思っております。
○市川一朗君 三番目は建設省ですが、建設省だけじゃないですね、公共事業をやっている省庁はまだありますが、七割は建設省ですから。建設大臣、例えば公共投資重点化枠、自民党の政調会長代理のときもやられたんじゃないかと思いますがね。こういう立場で見てみますとよくわかりませんね。そういった問題も含めていろいろ見直す点があるんじゃないかと思います。
○国務大臣(亀井静香君) いわゆる公共事業を初め社会資本の整備については二つの面が私はあると思います。 橋本内閣は今まさに財政再建という歴史的な課題に挑戦を始めておるわけでありますが、しかし財政再建は単年度の収支均衡ということだけで達成することができないことは委員御承知のとおりであります。長期的に経済の活性化を図ることがなければ、現に五百兆円の借銭があることは厳然たる事実でありますから、やはり経済の活性化が基本であると私は思います。その場合、社会資本整備が先進諸国に比べて半分程度という、こういう状況で果たして経済がコストの面その他を含めて活性化していくであろうかという基本的な問題があろうかと私は思います。 もう一つは、社会資本整備は単年度で完結するものではありません。場合によっては多世代間にわたって着実に長期にわたって整備をしなければならない性格があります。そういう意味では建設国債は後世にツケは残しますけれども、しかし道路にいたしましても港湾にいたしましても飛行場にいたしましても、これは子々孫々に対して欠くべからざるそうした社会資本整備をしていくわけでありますから、ただ単なる借金ではない。場合によっては多世代間においてそうしたものを長期間にわたって負担していくということは、私は当然あってしかるべきであろうと思います。 この二点を外して、社会資本整備に切り込んでいけば財政再建ができるという議論には私は絶対にくみするつもりはございません。 本年度予算編成につきまして、私どもが大蔵当局に要求しましたのが青天井で認められたわけではございませんから、めり張りをつけろと言われましても我々の努力には限度がございます。しかし、その中で、総理から御指示もございまして、高速道路の整備あるいは都市の再開発を含めて市街地の整備、これは耐震的な面も考慮いたしましたそういう問題、あるいは下水道等、それから電線の地中化、これは事業量を倍にいたしました。そういう形でめり張りをつけ、一方ダム建設につきましては、四つのダムを建設省において、これは従来も投資をいたしておりまして、今まで投資をしたのがもったいないなという感慨はございましたけれども、思い切ってこれも中止をする、そういう面でめり張りはできる限りつけてきたつもりでございます。 今後も、生活関連枠等いろいろな知恵が与党等からも出てまいってきておる状況の中ではございますけれども、新年度予算につきましても、委員御指摘のような観点からのめり張りをつけていくべきだと、このように考えております。
○市川一朗君 建設大臣、公共事業は不必要だとは言っていないという声が強いんですよ、今の時期にやるべきだということはわかっている。ただ、むだな公共事業は不必要だと、こういう声は非常に強いです。それは建設省だけじゃないですね、関係各省みんな含めての問題なんです。じゃ、むだであるかむだでないかという国民の関心にこたえるためにはどうしても個別の事業になってしまうわけです。 ところが、補正予算の審議のときにもありましたように、一々個別のことをやっていられたんじゃ時間もかかるし、かなわぬよと。これもまあ私もわかることはわかるわけです。そうすると、その辺でどうやって国民にわかってもらえるかという努力がちょっと足りないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(亀井静香君) 従来箇所別の資料についても出せという強い御要請もございました。私どもといたしましては別にそうした箇所づけ等を恣意的にやるつもりはございません。国民の目から見られて厳正公平に必要なところにつけられていくという形が見えてくれた方が我々にも都合がいいわけであります。 ただ、それには、何度も申し上げますように、国会の立法権の行使という過程の中でどこまでそうした個々具体的な御審議をいただけるのか、これは予算委員会の期間の問題もあるでしょうし、分科会という形の中では、個別の問題について非常に具体的な御審議をいただいておることは委員御承知のとおりであろうかと私は思います。私どもとしては、できるだけ個別の問題についても立法府の御意見をいただきたい。しかし、そこは、技術的、時間的な立法権の権限行使の配分の問題も、私の言うことじゃございませんけれども、あろうかなと、このように私は思うわけでございます。 一方で、やはり行政権を基本的には御信頼いただくという、立法権と行政権の関係も必要じゃないか。ちょっと駄弁を弄しますが、例えば法律にいたしましても、国会でもちろん御審議をいただき議決をいただくわけでございますが、その場合、政令、規則等については御承知のように行政府にゆだねられる。政令の細かいところまで出ないと法律について審議をしないという御意見もございますけれども、実際はそこは行政権にゆだねようという面もあるんではないかなと思いますが、そういう全体の絡みの中で、我々としてはこれはできるだけオープンにしていきたいということは、委員の御指摘のとおりでございます。
○市川一朗君 大蔵省にお尋ねしますが、予算の編成手続で、概算要求を八月三十一日までに出すことになっていますね。あれは今のコンピューターの時代ですと早過ぎるんじゃないですか。もつと時間を各省に与えて、大臣以下いろいろ議論しないと。六月までかかるんですよ、通常国会が。こういう時代ですから、構造改革元年と言う以上はそういう手続もいろいろ見直した方がいいんじゃないかと思いますが、どうですか。
○政府委員(小村武君) 概算要求を八月三十一日までに出していただくというのは、これは予決令で定めておりますが、物理的な作業量から申し上げますと、近年、予算の仕上がりもできるだけ早くということで、私ども担当者は九月一日から査定作業に入ります。大変タイトな日程で、しかも少人数で査定をいたしますので、事務の合理化には努めてまいりますが、関係省庁には夏場働いていただいて大変御迷惑をかけておりますけれども、やはりきちっとした予算をつくるためには所要の時間をいただきたいと考えております。
○市川一朗君 八月三十一日までに出せというのはどうも大蔵省至上主義みたいな感じがするんですが、あれが決まったのは何年ですか、予決令を決めたのは。
○政府委員(小村武君) 新しい財政法、会計法のもとで予決令が新しくまた制定をされたわけでございますが、ちょっと改正のときの時点は正確に把握しておりません。
○市川一朗君 大体でいいです。
○政府委員(小村武君) この予決令が最初にでき上がったのは昭和二十二年でございます。恐らくこのときから入っていたと思います。
○市川一朗君 そろばんの時代ですよね。我々がタイガー計算器を回したのが昭和三十年代半ばですからね。今はコンピューターですから、二十二年から同じというのもね。そういうことじゃ構造改革にならないと思いますが、まあなかなか難しい問題いろいろあると思いますが。 最後に、三月九日付の一部新聞に報道されていた問題について、公正取引委員会にお尋ねしたいと思いますが、来ておられますか。1新聞記事でございますが、関西土木業界で談合組織を仕切ってきた方が、「近畿地区で昨年来発注された公共事業について、総合建設会社などによる談合で落札業者や価格が決められたとして独占禁止法違反容疑で公正取引委員会に申告していたことが分かった。公取委はこれを受理、強い関心をもって情報収集を始めたとみられる。」という報道がありますが、事実関係はいかがでございますか。
○政府委員(根來泰周君) 御理解いただいておりますように、私どもが申告を受理したかあるいはその後どうしたかということについては、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申しますと、私どもは、独占禁止法違反あるいは独占禁止法に抵触するような情報の収集に努めまして、そしてそれから端緒を得ましたときには厳正公平に審査、処理をいたしているところでございます。 お話しのような件も、評価を特別加えるわけではございませんけれども、もしその情報ということでありますれば先ほど申し上げたような流れに従って処理するものと考えております。
○市川一朗君 委員長、一般論としては、公正取引委員会が受理したか受理しないかも公表はできないわけですか。
○政府委員(根來泰周君) 従来からそれは申し上げかねるわけでございます。 といいますのは、いろいろ御協力いただく方もおりますので、そういうことについて公表すれば、そういう人にも御迷惑がかかるということで申し上げないことにいたしております。御理解いただきたいと思います。
○市川一朗君 建設大臣も三月七日の記者会見でこういう関係について、同じ事実かどうかわかりませんが発言されておられるという報道がありますが、事実関係はいかがでしょうか。
○国務大臣(亀井静香君) この件につきましては徹底調査を命じております。
○市川一朗君 建設業界の問題ですから、建設業の監督官庁である建設大臣として、また公共事業の大宗を担っている建設大臣としてこういった問題についてはいろいろと考えている面もあると思いますけれども、もう一度改めてそういう監督官庁という立場で今の問題についての考え方をお聞きして、私の質問は終わりたいと思います。
○国務大臣(亀井静香君) 一部マスコミに報道されました内容の真偽について、それだけでは確信を持つわけにはまいりません。しかし、一応権威のあるマスコミが報道いたしておりますので、私どもとしては徹底的に調査をするということで既に始めております。
○市川一朗君 終わります。
○委員長(大河原太一郎君) 以上で市川一朗君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大河原太一郎君) 次に、小山孝雄君の質疑を行います。小山孝雄君。
○小山孝雄君 自民党の小山孝雄であります。 教科書問題に絞って御質問を申し上げます。 まず最初に、文部省にお尋ねいたしますが、新年度の中学校教科書にかかわる総予算、そしてそのうち社会科の歴史教科書にかかわる予算及び出版七会社の採択部数とそのおのおのの予算、これについてお尋ねをいたします。
○政府委員(辻村哲夫君) お答えを申し上げます。 平成九年度予算案におきます義務教育教科用図書購入費は全体で四百三十五億円でございます。このうち中学校の歴史的分野の教科書に係ります予算につきましては、総採択部数約百五十万冊に定価を掛け合わせまして試算いたしました定価総額は約十億円というふうになってございます。 それから、各発行者の関連でございますが、歴史的分野でございますが、東京書籍四億余、大阪書籍一億九千万余、教育出版一億八千万、日本書籍一億三千万、日本文教出版三千五百万、清水書院三千四百万、帝国書院一千九百万、計十億という数字になってございます。
○小山孝雄君 という現状でございますが、教科書をつくるに当たりましては、前年の八月に見本本というのができます。そしてそれが六カ月ぐらいの間を置いて供給本ということになるわけであります。その間に訂正等々があるようでございますが、今回の中学校教科書のこの見本本から供給本に至るまでの間でどれだけの訂正申請が出たのか、そのうち社会科の歴史教科書においてはどれほどあったのか、明らかにしてください。
○政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生御指摘のとおり、検定を経た教科書の記述につきましても、誤記、誤植あるいは資料の更新等によりまして検定後訂正ということが行われるわけでございます。 お尋ねの今回改訂されました中学校歴史教科書につきまして、見本本が作成された後に訂正申請がありましたものは七社からありましたが、そのうち訂正をいたしました箇所数は申請ベースで五百七十二カ所でございます。ただ、若干補足を申し上げますと、この中身には資料の更新等もございますが、平仮名の表記を漢字に改める、あるいはルビを付す等の表記上の訂正をしたものもございますが、そうしたものもすべてカウントして五百七十二件ということでございます。
○小山孝雄君 その中には、既にマスコミ等でも取り上げられまして、また先輩議員もこの委員会で取り上げたわけでございますが、東京書籍、これは一番発行部数の多い会社であります。六十二万冊弱出ております。そこに支払われる予算額が四億一千二百万という発表でありましたが、その東京書籍の二百六十四ページの写真とキャプションが変わったということであります。文部省にその新しい教科書はないのかということでお聞きしましたら、まだないということでありましたが、私は手に入れてみました。 検定を合格されたものと、そしてその後こう変わりましたという両方を御参考に資料を皆さんにお配りしておりますのでごらんいただきたいと思いますが、なぜ変わったのか、どうして変わったのか、検定規則十三条の何の理由によるのか、それから教科書会社からはどういう訂正申請があったのか、お答えください。
○政府委員(辻村哲夫君) お尋ねの箇所は東京書籍二百六十四ページでございますが、これは中学校の歴史教科書のうちの歴史の窓という箇所がございまして、朝鮮人強制連行を扱っている箇所でございます。 二つ写真があるわけでございますが、一つは一九四〇年ごろの写真でございまして、トラックに乗った人々と警察官らが整列した様子が写されておりまして、「トラックで連行される人々」とのキャプションが付されているものでございます。これが平成七年度の検定において許容されたものでございます。もう一つの写真でございますが、これは走行直前のトラックに人々が乗っている写真でございまして、これが訂正後のものでございます。 変更の経緯でございますけれども、この二つの写真はいずれも同じ岩波書店の「グラフィック・レポート 清算されない昭和」という書物から転載されたものでございます。これは、出版社からの訂正申請がございまして、私どもこれを許容したものでございますが、発行者の申請理由は、検定合格後、この前の写真については公的機関の関与が強調され過ぎているという印象を与えるということで、写真を差しかえるとともにキャプションに年号を入れて時期を明確にしたいという、そういう訂正申請があったものでございます。 いずれの写真も同時期のものでございまして、刊行されている出典も明らかな図書からの転載でございまして、検定において許容されるものでございます。私ども、発行者の意向を尊重いたしまして昨年の十月に訂正申請を承認したものでございますが、その理由といたしましては資料の更新ということでございます。
○小山孝雄君 公的機関の関与が強過ぎるからという理由だったということですが、その経緯の一つとして私どもは、新聞、これはたしか産経でありましたが、間違いじゃないかという指摘をした。そうしたら、確かに不適切かもしれないと専門家のどなたかが答えたと、こういう記事もありましたけれども、教科書会社はマスコミから指摘をされたから訂正したんでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) 検定後、半年くらいの間、印刷に回すまでの時間があるわけでございますが、その間に出版社において種々検討されたということでございますが、その直接的な経緯がマスコミ云々ということにつきましては私ども承知をいたしておりません。
○小山孝雄君 この写真の所有者が岩波書店の本に載っていたということですが、本当のもとの所有者は札幌大学の桑原真人教授であります。その方に直接電話を入れてお聞きいたしましたが、訂正後のこの写真もその前の写真も昭和十四年、五年のころのこういう文章の中に使うのはふさわしくないと、こういうことを申しておりましたが、どうですか。
○政府委員(辻村哲夫君) 先生のお尋ねは、強制連行というキャプションのもとに、このときの写真が、強制連行は御案内のとおり官あっせんあるいは徴用という形で行われているわけでございますが、その前の募集の段階も含めて強制連行として位置づけることはいかがかというお尋ねかと理解するわけでございます。 さまざまな意見があろうかと思いますが、一般的に強制連行は国家的な動員計画のもとで人々の労務動員が行われたわけでございまして、募集という段階におきましても、これは決してまさに任意の応募ということではなく、国家の動員計画のもとにおいての動員ということで自由意思ではなかったという評価が学説等におきましては一般的に行われているわけでございます。 そのような学説状況を踏まえまして、教科書検定審議会におきましては、この強制連行というもとにおきましても、この募集段階の写真につきましてもこれを許容したという経緯でございます。
○小山孝雄君 訂正前の写真、このキャプションには「連行」と、こう書いてあります。 大臣、連行というのはこのページでいきましたら強制連行ですよ。強制連行、昭和十四年、五年のころにはまだそんなあれはないです。法令上もそのような法令はとり行われていないわけであります。 労働省、来ておりますか。——国家総動員体制下における徴用に至るまでの経緯を明らかにしていただきます。この国家総動員法の所管はかつては厚生省の労務局、それを引き継いだのが安定局ということで、その点を明らかにしていただきます。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいまお尋ねの件でございますが、徴用と申しますのは、昭和十三年に制定されました国家総動員法第四条に基づきます国民徴用令、これにより実施された勤労動員であるというふうに承知いたしております。 募集、官あっせんにつきましては詳細は明らかではございませんが、国民徴用令第二条におきまして、「徴用ハ特別ノ事由アル場合ノ外職業紹介所ノ職業紹介其ノ他募集ノ方法二依リ所要ノ人員ヲ得ラレザル場合二限リ之ヲ行フモノトス」というふうにされていることから、徴用の前段階として文書、募集人などによる募集や、あるいは職業紹介所の職業紹介による官あっせんが行われ、それでも必要な労働者が集められない場合に徴用が行われたものというふうに考えております。 実際の朝鮮半島への国民徴用令の適用等の経緯につきましては、私どもの調べた限りにおきましては、募集については昭和十四年九月に、また官あっせんについては昭和十七年三月に、さらに徴用につきましては昭和十九年三月に開始されたというふうに承知いたしております。
○小山孝雄君 今お答えいただきましたように募集、官あっせん、そして徴用並びに朝鮮半島地域への徴用令の適用は昭和十九年と、こういう御説明でございますが、明らかにこの写真は「昭和十四年」と、こう書いてありますので、実際に写真の所有者にお聞きしましたところ、そのとおりでございました。 こういったページに訂正後のこの写真もふさわしくないと私は思いますが、いかがですか。
○政府委員(辻村哲夫君) 先ほどもお答えしたとおりでございますが、強制連行の中には、先ほど申しましたように、募集の段階も含めましてこれを評価するというのが学界に広く行き渡っているところでございます。 例えば、ここに国史大辞典を持っておりますが、募集、官あっせん、徴用など、それぞれ形式は異なっていても、すべて国家の動員計画により強制的に動員した点では相違なかったというような、歴史辞典等にも載せられているところでございまして、私どもはこうした学界の動向を踏まえた検定を行っているということでございます。
○小山孝雄君 学説が定着していると、こういうお話ですが、私どもはとてもそう思わないわけであります、いろんな意見があるということであると思いますが。 もう一度お尋ねをいたしますが、この訂正理由は何だったんでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) 先ほど申し上げましたように、二つの写真があるわけでございますが、一つの写真につきましては、公的関与を強く印象づけるということで別の資料に差しかえをしたというのが申請者側の申請理由でございまして、私どもがそれを許容したいということでございます。
○小山孝雄君 検定規則十三条の中のどの理由ですか。
○政府委員(辻村哲夫君) 十三条にございます資料の更新ということでございます。
○小山孝雄君 お配りしております資料をごらんいただきたいと思いますが、この「朝鮮人強制連行」という見出しが入って、写真が入って、その下の段の真ん中辺に「警察官や役人が土足で家に上がり、寝ている男を家から連れ出すこともありました。抵抗する者は木刀でなぐりつけ、泣きさけびながらトラックに追いすがる妻子を上からけりつけたともいわれます。」と、わずかこのページの中でこれだけのことが書かれております。 外政審議室にお尋ねいたしますが、つぶさに政府資料等々、平成四年、五年当時、お調べいただいたようでございますが、こういうことが日常茶飯行われていたんでしょうか。
○政府委員(平林博君) 内閣外政審議室長の平林でございます。 今の強制連行につきましてでございますが、私の方で調査いたしましたのはいわゆる従軍慰安婦の関係でございますが、従軍慰安婦に関する限りは強制連行を直接示すような政府資料というものは発見されませんでした。その他、先生の今御指摘の問題、朝鮮人の強制労働等につきましては我々が行った調査の対象外でございますので、答弁は関係省庁にゆだねたいと思います。
○小山孝雄君 この訂正はまだまだたくさん指摘したいところがあるのでございます。 例えば、具体的な例を申し上げますと、今のは東京書籍であります。もう一つ、日本書籍。フランクリン・ルーズベルト大統領の死んだ年が間違っていたり、ヒトラーの暗殺計画が間違っていたり、まさに第二次世界大戦の学習に欠かせない二人の人物に関する記述が間違っている。こういったことがたくさんあるわけで、そういったのが合わせまして五百数十カ所という御発表でありました。 そこで、文部大臣にお尋ねいたしますが、教科書は一字一句間違っちゃいかぬとは言いませんけれども、しかしそれだからこそ、六カ月間の訂正期間、見る期間を置いて印刷に入るんだと思います。いろんな国民の声、今特に父兄の声が、大変教科書に目が向いております。そうしたいろんな各界各層からの声を吸い上げて正確に検定に反映させていくその努力を望みたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小杉隆君) 教科書につきましてはさまざまな御意見とか御要望が寄せられております。その都度説明を行っておりますが、その際、教科書発行者にも連絡をするようにしておりますし、それから教科書に対する信頼を高めるということは御指摘のとおり大事なことでありますので、私ども、いろいろな意見、要望というものを、必要と認められるものについては教科書の審議会にもその内容を紹介し、参考に資しているところでございます。
○小山孝雄君 国民の声を、そうしたいろんな批判を吸い上げる。言うなれば、教科書目安箱的な制度を役所としてきっちり制定する気はありませんか。
○国務大臣(小杉隆君) 今直ちに目安箱というようなものをつくるという気はありませんが、今御答弁したように、さまざまな方法によってそういう意見を伝達する、そしてできるだけ透明性を高める、そういう努力は今後とも続けていきたいと思っております。
○小山孝雄君 文部省組織令第三十三条、教科書課の事務をつかさどる内容が書いてございますけれども、この中の項目にきっちりと加えて対処いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) ただいま大臣からお答えいたしましたのに補足いたしまして御説明申し上げますが、ただいまの先生の御指摘も踏まえまして、寄せられた意見、要望、これまではどちらかと申しますと、発行者の方にこれを伝えるという形であったわけでございますが、私どもがその意見を承りまして、それをこれからは教科用図書検定調査審議会の方にきちっとお伝えし、検定の参考に資していただく、そういう方向で検討をさせていただきたいというふうに思います。
○小山孝雄君 ぜひその方向でお願いを申し上げます。 次に、国内の教科書同様、また世界諸国での日本に関する記述も正確でなければならないと思います。 外務省にお尋ねいたしますが、海外での日本に関する教科書記述についての資料収集とその対応策についてお尋ねいたします。
○政府委員(加藤良三君) 諸外国で使用されている教科書における我が国に関する記述につき、外務省としては昭和三十三年以降、国際教育情報センターを通じて関連資料の収集、研究を行っておりまして、平成七年度では二十九カ国、一国際機関についてこれを行っております。 それから、対応でございますが、教科書作成関係者を含む教育関係者の日本についての正確な理解を期するため、資料を外国語で作成して配付するということを行っており、またこういう関係者を日本に招聴するという努力もあわせて同センターを通じて行っております。
○小山孝雄君 お隣の韓国でも今年度、この三月から新学期が始まっているようでございますけれども、歴史教科書に、あそこは国定教科書でありますから一つであります、慰安婦の問題について記述が入ったと、こう聞いておりますが、外務省は手に入れていらっしゃいますか。
○政府委員(加藤良三君) 九七年三月から使用される韓国の中学校それから高校用の国定歴史教科書、いわゆる従軍慰安婦に関しまして、これは日本語の翻訳でございますけれども、次のような記述があると承知いたしております。 まず、中学校の教科書でございますが、「女性までも挺身隊という名でひいていかれ、日本軍の慰、安婦として犠牲にもなった。」。次は高等学校の教科書でございますが、「女性たちまで挺身隊という名でひいていかれ、日本軍の慰安婦として犠牲にもなった。」。以上でございます。
○小山孝雄君 私が調べて皆様に配付したのと同じでございますけれども、ここではもうまさに挺身隊というのと慰安婦とイコールに受け取られるわけであります。外政審議室にお尋ねしますが、そういう制度でありましたか、調査した結果。
○政府委員(平林博君) 慰安婦と女子挺身隊とは全く異なるものでございます。女子挺身隊の方は日本の制度として存在しましたが、慰安婦というものは政府ないし軍の制度として存在したということでは、法令に基づく制度ということでございますが、ないのではないかと理解しております。 韓国の教科書に今外務省から紹介しましたような記述がございまして、そういう記述にあったような例があるいは当時あったかもしれませんが、今申し上げましたように、女子挺身隊と慰安婦が混同され、これが一般化された形で読む人に受け取られるということがないようにというふうに考えたいと思います。
○小山孝雄君 今御答弁ありましたように全く別のものでありまして、こういったことが混同して韓国の少国民に教えられるということは、これは問題だと思います。外務大臣、この訂正方を申し入れいたしますか。
○政府委員(加藤良三君) 韓国との関係におきましては、今御指摘のような問題もあるわけでございますが、これを全体として未来志向の関係に持っていくという点をも踏まえまして、いろいろな分野において非常に緊密な対話というものが行われている状況にございます。そのような視点を踏まえて、御指摘の問題につきましても、我が方の考え方というものは韓国の方にも周知させるように努力しているつもりでございます。
○小山孝雄君 努力しているつもりって、この問題について訂正を申し入れしないんですか。
○政府委員(加藤良三君) 従軍慰安婦問題に関する我が国の調査結果とか認識というものについては韓国側に外交ルートを通じて通報してきているということでございまして、このような対話というものを今後も引き続き行ってまいりたいと考えております。
○小山孝雄君 外務省組織令第二十四条三項には何と書いてありますか。
○政府委員(加藤良三君) まことに申しわけございません。ちょっと組織令を手元に持っておりません。
○小山孝雄君 「外国の教育資料等における日本に関する事項の調査及び是正に関すること。」と、こう明記されております。間違いないですか。
○政府委員(加藤良三君) 今読み上げていただきましたところ、確認はできませんけれども、そのようなことかと存じます。
○小山孝雄君 外務大臣、海外広報課の事務として明記されております。訂正まで入っておりますから、きっちりと申し入れをするようにお願いを申し上げます。いかがですか。
○国務大臣(池田行彦君) 私どもといたしましても、海外のそういう教科書等に関する情報等につきまして収集に努めておりまして、また我が国といたしましてそういった記述が正しいものになるようにいろいろな場で話し合いをしている次第でございまして、そういったところで今後とも適切に対応してまいりたいと思います。
○小山孝雄君 ちゃんとした法令にもこうやってあるわけですから、訂正まで、収集するだけじゃだめですよ。それに基づいて、かつてはちよんまげを結った、そして日本刀を腰に差した侍が家電の山に埋もれて生活しているような、そんな記述もあったわけでありますから、きっちりとこの組織令の業務を守って訂正申し入れまでしていただきたいと思います。 もう一度お答えください。
○国務大臣(池田行彦君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、私どもとして果たすべき役割を適切に果たしてまいりたい、こう考える次第でございます。
○小山孝雄君 重ねて要請しておきます。 そこで、先ほど外政審議室長から答弁もございましたが、もう一度お尋ねをいたします。 一月三十日の本委員会で、片山委員の質問に対しまして、政府のこれまでの慰安婦問題に関する調査では慰安婦の強制連行はなかったという答弁をされましたけれども、もう一度外政審議室に確認をいたします。
○政府委員(平林博君) お答え申し上げてきておりますのは、政府の発見した資料の中に軍や官憲による慰安婦の強制連行を直接示すような記述は見出せなかった、こういうことでございまして、その点は確認させていただきます。
○小山孝雄君 そうしますと、ジャーナリストの櫻井よしこさんに社団法人神奈川人権センターというところから抗議がありまして、櫻井さんが、強制連行の事実はなかった、また慰安婦として働いていた人たちに対する同性としての同情の念を本当にあらわしながら、事実はなかったということを私は思いますということを言論活動で申されたら、そこに神奈川人権センターが抗議を申し入れて二つの講演会が中止されたという事実が報じられております。 人権センターがそういう申し入れをするとはいかがなものかと思いますが、これはまさしく人権に関する問題だ、言論封圧だと私は思いますが、これは人権問題でありますので法務大臣に所感をお尋ねいたします。
○国務大臣(松浦功君) お答えを申し上げます。 事実関係がどういうことであったか私どもにも十分確認されておりませんので、十分調査をいたします。その上で、人権擁護という観点から措置すべき問題があるとすれば、当然のこととして法務省として活動することにいたします。
○委員長(大河原太一郎君) 小山孝雄君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 —————・————— 午後一時二分開会
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成九年度一般会計予算、平成九年度特別会計予算、平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、小山孝雄君の質疑を行います。小山孝雄君。
○小山孝雄君 さきに戻りまして、再び外務省にお尋ねいたします。 韓国の教科書の訂正の申し入れの問題、韓国政府がまとめました従軍慰安婦実態調査中間報告の中にはっきりと、「このような女性動員の趣旨は基本的に慰安婦調達とは性格を異にするものと思料される。」「女子勤労挺身隊と慰安婦は基本的に関係がなく、また、国民学生勤労挺身隊も慰安婦とは無関係である。」と、このように記述されております。 そういうことで、韓国政府の認めるところでもありますので、教科書に正しくお書きいただくように訂正の申し入れをなさっていただきますよう再度お尋ねをいたします。
○国務大臣(池田行彦君) 今、委員御指摘の韓国側の調査というのは一九九二年七月の調査報告書だと思いますが、この報告書はかなり長いものでございまして、いろいろなことが書いてございます。こういうふうに見られるとか、こういうふうに推定されるとか、そういう記述があちらこちらあるわけでございます。 ただ、そういった中で、勤労挺身隊と慰安婦の関係につきましては、これは「無関係である。」ということを記述しております。しかし、その「無関係である。」というところに続きまして、「但し、都市や日本の工場で韓国女性を詐術的方法や人狩りの手法または工場管理者の協力で慰安婦にひつばられていったケースがあったものと見られる。」という記述もあるところでございます。また、その後に続けて、「またこの中にもともと女子勤労挺身隊員や国民学校挺身隊員であった人が含まれていた可能性はある。」ということでございますが、こういったふうな記述というものが韓国側の報告書の内容になっている。 いずれにいたしましても、そういったことも踏まえまして、先ほど御答弁申し上げましたように、適切に対応してまいりたい、こう考える次第でございます。
○小山孝雄君 ケースがあったとかあるいは可能性があるということとそうだというのとは別でありますので、その点も十分踏まえて韓国政府と折衝を願いたいと思うわけでございます。 次に進みますが、外政審議室にお尋ねいたします。 先ほど慰安婦の強制連行はなかった、政府の資料から見出せなかったということを御答弁になりましたけれども、どうしてそういうことを平成五年八月四日の調査結果を報告するときに記入しなかったんでしょうか、あるいは発表しなかったんでしょうか。それどころか、報告書には「業者らが或いは甘言を弄し、或いは畏怖させる等の形で本人たちの意向に反して集めるケースが数多く、更に、官憲等が直接これに加担する等のケースもみられた。」と、ここまで書いております。それはなぜですか。
○政府委員(平林博君) 平成五年八月の調査結果におきましては、個々の出典とか参考にした文献、証言等を個別に言及しておりません。実態として、今まで申し上げましたように、政府の発見した資料の中には強制連行を直接示す記述は見当たらなかったのでございますが、その他各種の証言集における記述でございますとか韓国における証言聴取とか、その他種々総合的にやった調査の結果に基づきまして全体として判断した結果、一定の強制性を認めた上であのような文言になったということでございます。
○小山孝雄君 全体としてというのでは本当によろしくない。例えば、午前中、本委員会に入る前に科技庁長官から東海村の動燃の事業所での爆発事故の経緯説明がありましたけれども、こうしたことは一つ一つ真相を常に明らかにして進んでいくということが大事だと思います。 再び外政審議室長にお尋ねしますが、政府の報告書の中で、調査資料の中で強制連行があったと判断したもとの資料は何でしょうか。
○政府委員(平林博君) 政府の発見しました資料の中からは軍ないし官憲による強制連行の記述、そういうものはございませんでした。 今申し上げておりますのは、ほかの証言、資料等も含めまして総合的に強制的な要素があったということを申し上げている次第でございます。
○小山孝雄君 ここに報告書の写しを持っております。私がここに持っておりますので、どれがどれで、どれが公開されて、どれが非公開なのか、明らかにしてください。
○政府委員(平林博君) 今、先生のお持ちの資料の中には、日本の関係省庁、それから国立国会図書館、アメリカの国立公文書館等のほかに、関係者からの聞き取り先、あるいは参考としたその他の国の内外の文書及び出版物が並べられておると思うんですが、このうち公開していないものは関係者からの聞き取りだけでございまして、その他はすべて公開をしている次第でございます。
○小山孝雄君 参考とした国内外の文書は全部公開でしょうか。
○政府委員(平林博君) 原則として今おっしゃったとおりでございますが、韓国の太平洋戦争犠牲者遺族会というのがございますが、ここの資料だけは内部資料だということで渡されておりますので、これは例外的に非公開ということになっております。
○小山孝雄君 そうしますと、我が日本国の各行政機関、それから国立国会図書館、国立公文書館、そして米国国立公文書館から出たものは全部公開されている。そこには強制連行を直接示す資料はなかったということが確認された。 そうすると、残りは関係者からの聞き取り調査です。すなわち、元従軍慰安婦を中心とした関係者からの聞き取り調査は明らかにされていない。それから、参考文献の中に太平洋戦争犠牲者遺族会等韓国の遺族会がまとめた元慰安婦の証言集、これが非公開ということですね。
○政府委員(平林博君) そのとおりでございます。
○小山孝雄君 その証言集の裏づけはとっておりますか。
○政府委員(平林博君) お答え申し上げます。 個々の証言を裏づける調査を行ったかという御趣旨でございましたら、それは行っておりません。個々の方々、これは元従軍慰安婦もおりますし、元慰安婦もおりますし、それから軍人さんたちのあれもございますが、それの証言を得た上で個々の裏づけ調査をしたということはございません。
○小山孝雄君 そうしますと、公開されていない資料、そして個々の裏づけ調査をしていない資料で政府は平成五年八月四日の決定を行った、こういうことになりますか。
○政府委員(平林博君) 結論としてそのとおりでございますが、全体を子細に検討して、総合的に判断した結果ということでございます。
○小山孝雄君 そういうことですから、当時この調査に当たった、政府の方針に携わった方々が今いろんなところで疑問を呈しておられる、こういうことだと思います。既に公表されているものでも研究者が、例えば秦郁彦千葉大教授だとか西岡力東京基督教大学助教授の詳細な調査、検証が行われていて、既に公にされている証言集等についてはほとんど信憲性がないということが立証されているわけであります。 例えば、今発売されている文芸春秋誌上には先ほど申し上げました櫻井よしこさんのレポート、あるいは産経新聞の先週の日曜日だったでしょうかインタビュー記事、例えば当時の石原信雄官房副長官が、韓国における政府の聞き取り調査が決め手になったことを認めた上で、「最後まで迷いました。第三者でなく本人の話ですから不利な事は言わない、自分に有利なように言う可能性もあるわけです。それを判断材料として採用するしかないというのは……」と述べているわけであります。 また、当時の外政審議室長も、今どこかの大使に行っていますが、「そのまま信ずるか否かと言われれば疑問はあります」と証言しております。さらにまた、聞き取り調査に行った当時の外政審議室の審議官田中耕太郎さんは、調査が終わった日にソウルでの記者会見で、証言をした慰安婦の方々の「記憶があいまいな部分もあり、証言の内容をいちいち詳細には詰めない。自然体でまるごと受けとめる」という記者会見をしたのも日本のマスコミにきっちり出ているわけであります。 こうした経緯があるわけでございますけれども、やはりここで大きな疑問が残るわけでございまして、そうした資料をもとにああいう決定をしたんですかという疑問はまだまだ残るわけであります。 官房長官、お尋ねいたしますけれども、そうした経緯があって河野長官のときにあの決定がなされたわけでありますけれども、そうすると、あの時代、軍や警察に身を置いて国のために身命を賭した方々の名誉というのは一体どうなるのかという問題も残るわけでございます。官房長官、御所感をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(梶山静六君) いわゆる従軍慰安婦問題に関する官房長官談話につきましては、当時政府として全力を挙げて誠実に調査した結果を全体的に取りまとめたものと認識をいたしておりますし、その判断をもととし、それを踏襲して現在に至っているわけであります。 委員の御指摘を伺いながら、またさまざまな報道や資料を改めて拝見いたしますと、この問題の難しさを改めて感ずるわけであります。
○小山孝雄君 そういう経過があって、そしてことしの中学校の教科書に従軍慰安婦のことが記述されている。お配りのとおりであります。 文部大臣にお尋ねいたしますが、従軍慰安婦、政府の調査では「いわゆる」という言葉をつけているわけですけれども、何もつけないで従軍慰安婦という言葉が載っております。これはどういう意味でしょうか。
○国務大臣(小杉隆君) 厳密に言いますと、七冊の教科書のうち単に慰安婦と表現しているのが三冊、従軍慰安婦と言っているのが三冊、そういう言葉を使わずに慰安施設と使っているのが一冊、こういう内訳でございます。 私どもは、今政府の調査の報告の話がありましたが、そこでも使われておりますし、また各事典におきましても使われておりますし、マスコミ等でも流布されていると、そういうことを考えましてこういう記述になったと理解しております。
○小山孝雄君 これはもう一度検定に当たって精査をしていただきたい、こう思うわけであります。 時間がなくなりました。政府の調査資料をここに持ってきておりますが、約二メートルに及びます。二百八十点、二千ぺ−ジ、全部目を通してみました。そのことも一つ一つ精査したかったのでありますが、時間がなくなりましたので、資料をお配りしておりますが、思われているようなことだけじゃないということがその資料の中からきっちりと読み取れて、たくさんの資料が出てきております。その審議はまた後日に譲りたいと思います。 最後に、総理にお尋ねいたします。大変口幅ったいことを申すようでございますけれども、一国の総理の決断というものは本当に重いものだと思います。そして、その時代その時代、今生きている人たちだけじゃなく、過去の日本国国民そしてこれから日本国国民になる未来の人たちすべてに、そのときの最高トップの決断というのは影響を及ぼすものだと思います。 そういう意味で、総理の就任一周年に当たっての、一日たりとも一瞬たりとも心の休まる日はなかった、ときはなかったとお話しになられましたけれども、本当に重く受けとめております。そうしたことも踏まえて、この問題に対する御所感を伺って、終わりにいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確認を申し上げるというのは大変失礼な言い方かもしれませんが、私は慰安婦問題というものが女性の名誉と尊厳を傷つけるこの上ないものであるということについてはどなたも認識は同じだと思います。 その上で、私なりに申し上げさせていただきますならば、私どもは歴史の重みというものは常に背負っていかなければなりません。そして、その中でまた次の世代に伝えていくべき責任というものもあると思います。 問題は、例えば幾つのころにどの程度まで知ってもらえばよいのか、またその国の歴史として知っておいてもらわなければならないことはどうなのか、今そのような思いを、議員の御質問をまた政府側の答弁を聞きながら感じておりました。
○委員長(大河原太一郎君) 以上で小山孝雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(大河原太一郎君) 次に、武見敬三君の質疑を行います。武見敬三君。
○武見敬三君 本日は、医療改革に関連した御質問をさせていただきたいと思います。 医療改革に当たりましては、その最初の入り口論として患者負担の引き上げというものが出てきたことは、我が国の財政の窮乏した状態下にあって、またさらに我が国の保険構造の赤字状態にあって、ある一定の不可避性を持っていたということが言えなくもないわけでありますが、それにしてもこれだけが突出して議論される状態が最初に出てきたというのは、私は国民にとって大変医療改革をわかりにくくしているという認識を持たざるを得ないと考えているわけであります。 しかしながら、この患者負担をどうしても国民の皆さんに御理解していただかなければならないということでこれを実施しなければならなくなってきているわけでありますが、それにしても基本的にどうしても私は理解ができない点がありますので、その点幾つかお尋ねをいたします。 まず、外来の薬剤について新たにその負担が患者に求められることになっております。これは例えば政管健保にしても、今度患者負担は一割から二割になるわけでありますが、この二割というものの中には、その患者にかかった医療費、すなわち薬剤の代金も含めて二割の御負担をいただくということになっているわけであります。しかし、今回これに加えて外来薬剤一種類につき一日十五円の御負担を患者さんにしていただくという話になっております。 そうなりますと、かつてこうした診療報酬とか保険の問題を議論したときに、一物二価というのがいいか悪いかという議論があったということを記憶しているわけでありますけれども、今回はそれをはるかに通り越しておりまして、一物二回価格あるいは一物二重価格というふうな聞いたこともないような負担の仕方を実際国民の皆さんにお願いすることになってしまっている。一体これをどういうふうに国民の皆様方にわかりやすく御説明されるのか、まずこの点について厚生大臣にお尋ねしたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) このたびの薬剤の一部負担をお願いしている考え方でありますけれども、これはまず我が国の医療保険の中で、医療費に占める中で薬剤の使用が非常に多いという問題がございます。この薬剤の使用の適正化を図っていくということがやはり緊急の課題であるというふうに考えておるわけであります。そういった中で、薬剤の適正化を進めるいろんな方策があるわけでありますが、それは薬価基準そのもののあり方を見直すということがもちろんベースとしてございますし、また一方、薬剤に対するコスト意識というものを持っていただいて、そして適正化を図っていくという面もございます。 今回まずお願いしておりますのは、現在医療費全体に対するいわゆる定率の一部負担というのがございますけれども、それに加えまして特に薬剤に着目した御負担をお願いするということでございます。従来の一部負担に加えて別途薬剤の負担をお願いするという意味では従来の負担に上乗せする形になっておるわけであります。医療費に対する患者の一部負担のあり方、いろんなやり方があろうと思いますけれども、私どもとしては今回こういう形でお願いをすることが適当であろうというふうに考えたわけであります。 それは一つには、かなり技術論にもなりますけれども、お年寄りについては、従来一部負担については定額負担でございます。このたびの改正をお願いしておりますのも、お年寄りにつきましては一回につき五百円、四回までということで定額負担をお願いすることにしておるわけであります。一方、若人については委員御指摘のとおり定率負担という形になっておるわけであります。 今回の薬剤の一部負担をお願いする場合に、お年寄りもそれから若人もひとしく御負担していただくということを考えた場合に、このような定額の薬剤の一部負担ということをお願いすることがお年寄りそれからまた若人も含めた公平なシステムになる、このような考え方でお願いしておるわけでございます。
○武見敬三君 残念なことに、今のコスト意識を患者さんに持っていただくためというような説明の仕方等々を通じても、この一物に関して上乗せ価格というふうにおっしゃいましたけれども、事実上二回、実際には負担をお願いするという内容を十分に説明しているようには私には思えません。 それから、二つ目の原則にかかわる問題といたしましては、これは従来厚生省では医療事務の簡素化ということを原理原則にしているということを私は伺っているわけでありますが、この外来薬剤一種類につき一日十五円という、そういう事務量というものが一体どの程度より深刻な医療事務の煩雑化を招くのか、それをどう認識しながら医療事務の簡素化原則というのを堅持しようとしておられるのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 今度薬剤の一部負担を新たにお願いするわけでありますから、そういった意味で従来に比べますとその分が事務の増になる、これは避けられないわけであります。この医療事務はできるだけ軽減をし、そして医療機関ができるだけ診療の方に時間を割いていただくようなシステムが好ましいことは、これはもう申すまでもないわけであります。 そういった意味で、今回薬剤の一部負担をお願いするに当たっても医療事務のできるだけの合理化、簡素化の工夫というものはやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますし、従来に比べますとその分は若干ふえますけれども、できるだけ医療事務が煩雑化しないような、例えばレセプトの記載の仕方あるいは様式も含めまして簡素化の工夫というものについて努力をしていきたいというふうに考えております。
○武見敬三君 簡素化については努力をしていきたいという意向と現実のこうした外来薬剤一種類につき一日十五円をかけるという新しい負担の付加方式というものが明確に矛盾しているということは事実であって、これをいかに解決するかという回答にはなっておりません。したがいまして、この方法については、厚生大臣、もう一度よく御検討の上、こうした経済の原理原則にもとらず、また医療事務の簡素化の原則にももとらない、そういう方式をぜひ御検討いただきたいと思います。 さて、医療というものを包括的に全体を眺めてみたときに、第一には自分の健康は自分で守るという個人がまず存在をする、そしてそのためには、さらにその自覚した個人に対してきちんと健康情報というものが伝えられるという意味で健康教育というものが求められる、そしてさらには健康管理及び病気の早期発見を目的とした健康診断というものがそこにつながってくるように思います。その上で早期治療、そしてリハビリ、社会復帰というふうに医療というものは大きく流れができているんだろうと思います。 この点、特に健康教育や健康診断というものは、これをきちんと充実しておくことで中長期的に医療費というものを抑える効果を持つということが予見できるわけでありますから、従来医療費というと支出支出と言われておりましたけれども、むしろ健康投資としてこの部分については理解できるものと思います。したがいまして、今後医療改革を議論するときに、健康投資の分野というものをいかに効率的にしかも効果的に充実して行うかということは、国民の健康を二十一世紀において守る上で私は非常に重要な課題だと思いまして、これから以下の質問をさせていただきます。 まず、労働安全衛生法に基づく健康診断と健康保険法に基づく健康診断の内容というのが一体どういうふうに異なってくるのか。安衛法に基づく健康診断についてまず労働大臣からお話を伺いたいと思います。そして、その次に厚生大臣に健康保険法に基づく健康診断についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岡野裕君) 武見先生、先ほど自分の身は自分で守ると、こういうお話がありました。ただ、そういう皆さんを雇用主ということで自分の事業場に抱え込む、そしてその皆さんから労働の提供をいただくという場合は、事業主として雇用者が健康であるように事前に予防措置をしなければならない、こういう義務があります。 つまり、労災によるところの疾病の防止、あるいは労災によるところの傷害の事前防止ということは企業主の義務であります。したがって、それの具体的な手段として、事業主には年一遍の定期健康診断というものをやらなければならない。しかも、これは事業主の義務でありますので、その健康診断の結果は事業主の方に、個人のプライバシーということもありましょうけれども、企業主の方に提示をされる。その中に異常だという所見がありますならば、産業医と相談をして、労働のいろいろな意味での軽減を図って雇用主としての義務を果たしてまいると、こういうふうな建前に相なっております。
○政府委員(高木俊明君) 健康保険法に基づきます健康診断等でございますけれども、これは第一義的には被保険者それから被扶養者、いわゆる家族でありますが、この健康の保持増進、これは委員御指摘のとおり非常に重要であります。そういった意味で、健康保険法上いわゆる保健事業と呼んでおりますが、こういった保健事業の実施ということを推進していくということが規定されておるわけであります。 内容的には、健康教育に始まりまして、健康相談あるいは健康診査、いわゆる健康診断でありますが、そういった事業というものをそれぞれ健康保険法に基づいて実施しておるわけであります。また、疾病保険でございますから、こういうような事業を推進することで被保険者あるいは家族が健康に過ごす、そのために保険給付それ自体も適正化されていく、ひいては保険財政の安定にも資する、そういった面もございます。その辺のところを総合的に制度としては考えた上でこのような事業を実施するということになっているというふうに考えております。
○武見敬三君 ただいま御説明を伺いましたけれども、現実には安衛法に基づく健診と健保法に基づく健診が非常に重複してわかりにくくしているという問題が私はあるように思います。 それから、安衛法の十三条に基づいて企業は産業医を配置するということで、先ほど労働大臣からの御答弁をいただいたとおりでございますが、この安衛法に基づく場合には、産業医の協力を得て、健康診断の結果に基づいては事後措置が産業医から事業主に対して勧告されるなど一つの完結した形ができておりますが、健保法二十三条に基づく健診、この場合には、例えば組合健保などの保険者というものが事後措置についての責任を負う形になっているだけであって、事後措置等についての医師の役割等全く明文化されていないという問題点があるように思われるわけでありますけれども、この点については厚生大臣、どうお考えになりますか。
○政府委員(高木俊明君) 健康保険法の中には、労働安全衛生法のように明確な産業医というような形の位置づけというものがございませんけれども、健康保険法による健康管理というものについては、これはいわゆる通常の、特に産業に伴う健康の問題というようなことではありませんから、一般的な医師あるいは保健婦等々による健康の管理というものを前提としてできておるというふうに考えております。 そういった意味では、こういった健診等をやりまして問題がある方等については、それぞれ事後指導という点で医師あるいは保健婦にお願いしてそういう指導というものをやっておる、そういうふうな実態になっておるわけでございます。
○武見敬三君 ただ残念ながら、実態としては、その事後措置というものが、こうした医学的な判断というものを十分に反映した形で、治療が必要な場合に医療機関に渡されるというふうにはどうもなっていないようでありまして、事実上は医療機関に丸投げというような状態がかなりあるようでございます。したがって、法的にもこの問題点というものはやはり明確にしておく必要があるだろうと思います。 その次は、健康診断の一つの大きな目的は健康の管理ということでありますが、そうなるとやはり時系列的にその本人の健康データというものをいかに一元的に管理しておくかということが非常に重要になります。しかし、安衛法さらには健保法というふうに二つの法律で、労働省、厚生省と二つの省がそれぞれ管轄しつつ健康診断が行われているときに、こうした健康データの一元化というものがきちんとなされているのであろうか、またそれによって健康管理というものがきちんとできるようなそういう情報システムになっているのかどうか、この点について厚生大臣にお聞きしたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 一元的な管理という内容でありますけれども、これまで健康管理を行うに当たりまして健診のデータ等に基づいて指導しているという、そういうふうな実態でやっております。 そういった意味からしますと、それぞれ過去の健康状態との比較等々が重要になってまいりますから、そういった意味で過去のデータというものを記録しながら、そういったものを当然被保険者なりにも示しながら健康管理というものをやっておるのが現在の健康保険の保健事業の進め方ということになっております。
○武見敬三君 ところで、幾ら医学医療が進歩しても、実際にはまた新しい病気がその中から、生活環境や職場環境が変わることによって出てきてしまう。言うなれば人類とこうした病気というのはイタチごっこのような感じにあるわけであります。それだけに、人間というものと生活環境、職場環境というものを結びつけながら医学的に問題点を把握する産業医というものの存在はこれから引き続き極めて重要だと思います。 そこで、産業医大の卒業生についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、これは通常九年間産業医として職務を行う義務が課せられるわけでありますが、この卒業生が職域健康管理目的で産業医として地方自治体に就職した場合には、修学資金の返済義務が生じてしまうということなんですね。何で産業医として仕事をするにもかかわらず、地方自治体でやる場合にはこのような形で返済義務が生じてしまうのか、なぜであるのか、労働大臣、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました産業医大の修学資金でございますが、卒業後産業医等としての職務に所要の期間従事していただきますとその返還が免除されるわけでございますが、地方自治体等に就職されて活動される場合、この事業が労災保険事業の一環として行われておりますために、労災保険の適用のない範囲であるということで今までこの免除対象とはならない仕組みとなってきておるわけでございます。 御指摘いただきました点、私ども実情をよく調べてみたいと思いますが、勤労者の方の健康、その増進等にいろいろ実態として御活躍いただいている、そういった側面があれば、御指摘の趣旨も踏まえて関係方面とも話し合いをして検討してみたいというふうに考えておるところでございます。
○武見敬三君 この財源の性格によって卒業後の職場についてある一定の限界が指定される、しかも公務員がその中では対象外になってしまうみたいなことがもし事実だとすると、これはやっぱりおかしな話で、ぜひこれを是正していただくために考えていただきたいと思います。 それからその次、この安衛法に基づく事業主が行う一般健診につきましては、組合がこれを事業主から受託して実施してよいことになっております。そして、その費用相当額は事業主から支払いを受ける必要があります。しかし、従来、健康保険料の五%以上を保健事業に支出する義務規定、これは若干修正されたようでありますが、そういう規定がありまして、健保組合などが実際に有する事業主というのは、健保法に基づく組合健保の健康診断に依存する傾向になってしまいまして、この労働安全法に基づく産業保健上の健康管理義務というものを怠るような、そういう傾向が残念ながらあるようだということであります。 そういうふうな状況を考えてみると、この健保法という一つの法律が安衛法という他の法律を倫理的に侵食しているという法律上の問題点が出てくるように思うわけでありますが、この点について労働大臣、現場を考えながらどういうふうにお考えになるでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘の点でございますが、労働安全衛生法におきましては、労働者が健康保険の健康診断を受診した場合に、その結果を事業主の方へ提出する、それに基づいて必要な措置を、先ほどの安全衛生法に基づく健康診断と同様、事業主は産業医の方等と相談しながら就業上の必要な措置を講ずべきこととなっておるわけでございます。 そういった意味で、健康保険による健康診断が実施された場合におきましても、そういった調整の仕組みがあることによりまして労働安全衛生法上の問題は生じないものと考えております。
○武見敬三君 それでは、そういう問題が生じる具体的例をこれからお尋ねしたいと思います。 総合健保を指導していると考えられている任意団体、東京都総合健康保険組合協議会、これは一体何でしょうか。それから次に、東京都総合組合保健施設振興協会、これは一体何をしている団体であるのか。厚生大臣、御説明をお願いします。
○政府委員(高木俊明君) まず、東京都総合健康保険組合協議会でございます。東総協というふうに略して呼ばせていただきますが、これは東京都内に本部を持っております総合健康保険組合、いわゆる健康保険組合の一種でありますが、総合健康保険組合、これを会員とします協議会ということであります。. どういうことをやっているかと申しますと、それぞれの組合の職員の研修等のそういった事業というものをここが共同して実施するという形が一つございます。それからまた、総合健康保険組合関係の各種調査あるいは研究事業、そういったものもやっておりますし、またそれぞれ総合健康保険組合内部の機関紙、こういったものを発行する、こういうような仕事をやっております。ただ、これはいわゆる任意団体の格好でやっておるわけでございます。 それから、もう一つの東京都総合組合保健施設振興協会、便宜東振協というふうに呼ばせていただきますと、これは東京都が認可いたしました社団法人でございまして、総合健康保険組合を会員といたしまして、共同していわゆる保健事業を主として実施しておる、そういった公益法人でございます。
○武見敬三君 この東振協については、実質的には総合健保組合でやる健診事業の受託をしてやっているというような話を聞いておるわけでありますが、東振協の健康管理共同事業特別会計、七十三億八千万円の収入源の内訳を説明してください。
○政府委員(高木俊明君) 東振協の健康管理共同事業特別会計で七十三億八千万円を収入として計上がなされております。これは平成七年度でございます。 この主な収入の内訳でございますけれども、一つがいわゆる健診事業に伴う収入、これが七十三億円となっております。それからまた、いわゆる保健婦さん等による健診後の事後指導、これに対しまして国庫補助を行っておりますが、この国庫補助収入が五千九百万円ございます。 それからまた、東振協自体が健診事業をやっておりまして、そのために必要な機械等を持っておるわけでありますけれども、こういった検査機器等の整備、購入するためにこれまで積立金を積み立ててきておりまして、この積立金を取りましたことに伴う収入、あるいはまた積立金の利子収入、こういったものを合わせまして約二千万円ということでございます。
○武見敬三君 この東振協が実際に医療機関に対して健診をさらに委託している。そして、その際には事務処理料金を設定していて収入源としているということでありますが、この事務処理料金の設定基準は一体何なのか、それから、その収入というのはどの程度のものであるのか、これを教えてください。
○政府委員(高木俊明君) 東振協が総合健康保険組合から健康診断の委託を受けまして、そしてそのデータというものをさらにまた各組合にフィードバックするというふうな事業、これを健診事業としてやっておりますが、その中で東振協自体がみずから検査施設を持って実施している部門と、それからまた医療機関等に対しまして健康診断を委託いたしまして実施している。これは、個別の総合健康保険組合が実施するのを共同で請け負う形で東振協がやっておるわけでございます。 そういった中で、各医療機関に対して東振協がさらに健康診断を委託し、そしてそれに伴うデータというものを東振協の方で整理してフィードバックする、こういった形のものがあるわけでありますが、この医療機関に委託しているケースにつきまして、医療機関サイドから東振協の行っている事務処理の費用というものをいただいておるわけであります。 この事務処理の料金の設定なのでありますが、これは電算処理を行っておりまして、そういった意味で東振協が電算処理を委託するに必要な実費相当分、こういったもの、それからまた当然東振協の職員の人件費等々がございます。東振協はこれに伴うコストというものがかかるわけでありまして、それをベースにして事務処理料というものを計算しているというふうに聞いております。 また、その事務処理料のトータルでございますけれども、平成七年度を見てみますと約六億四千万円という収入が計上されてございます。
○武見敬三君 実際には、この東振協が指定する健診データ登録用紙というのを用いることがその契約内容でももう明らかになっていて、こうした事務処理というものは医療機関側で実際にはほとんど整備されている。そういう状況下で、こうした東振協自体の医療事務の負担という内容は極めて軽減されていて、事実上加工済みのデータを二度打ちして料金を請求しているのではないかということまで言われているわけでありますが、そういう実態はございませんね。
○政府委員(高木俊明君) さらに私どもとしても、詳細に東振協に状況をきちっと聞かないと確定的なことは申し上げられないわけでありますが、私どもが今回の委員の御質問の関係でいろいろ聞きましたところ、また実物を見ましたところ、既にでき上がったデータを二度打ちしているような、そういった形にはなっておりませんが、これらの委託の仕方等々につきましてもさらに調査をする必要があるかなというふうに考えております。
○武見敬三君 実際に東振協と医療機関と総合健保組合との間で健康診査契約書というのが結ばれている。前文には「健康保険法第二十三条に基づき企画した簡易成人病予防健康診査及び成人病予防健康診査の実施について、」ということが明記されているわけであります。 しかしながら、実際には相当数の総合健保組合というのは事業主からの委託を受けて健診を実施していると言われております。だとすると、むしろ明文化されるべきは、安衛法六十六条に基づく健診を受託して実施するという内容でなきゃいけないはずなんですけれども、この点について、こういう記述になっているのは一体どうしてでありましょうか。
○政府委員(高木俊明君) 個別の記述の方はちょっと手元にございませんが、この東振協が受けておりますのは、総合健康保険組合の健康診断を委託されてやっておるわけでございまして、そういった意味では健康保険組合の健診事業ということでやっておるというふうに理解しております。
○武見敬三君 ただ、実際には、八十五の総合健保組合が加盟しているわけでありますが、かなり事業主からの受託という形で健診事業をやっているわけであります。その実態というものはわかりませんか。
○政府委員(高木俊明君) 事業主からの委託ということの実態ということでありますが、私どもとしては健保組合からの委託の実態ということで把握しておりますので、そういった中身については掌握しておりません。
○武見敬三君 しかし、これは大問題でして、実際には事業主が委託している場合に、各健保組合に対して費用相当額を支払わなきゃいかぬということになっておるわけなんですね。ところが、今ここでは実名は挙げませんけれども、実際に健保組合の中にはこういう支払いを行わずに問題になっているところが幾つもあるんですよ。こういう事実ということを実際に御存じないんですか、厚生省は。
○政府委員(高木俊明君) 私どもとしても、御指摘を踏まえてさらに調査をしてみたいと思っております。
○武見敬三君 こういうことはやはりきちんきちんと整備していきませんと、これから医療改革の中でどうやって効率的な健診というものを体系的に行うかということを考えるときに、一つ一つ整備していかなきゃならない大事な問題ですから、これはぜひ修正すべく御検討いただきたい。 それから、これは実際よく考えてみますと、安衛法で事業主責任で健康診断が行われるはずのものが、これがまず総合健保組合に委託されている、総合健保組合からさらに東振協に委託されている、そして東振協からさらに実施医療機関へ委託されている。事実上、これは三回も委託されながら実際に健診事業が行われているというのはどう見たって不自然なんですね。こういうことが実際に安衛法と健保法というものの関係を複雑かつわかりにくくしているわけですから、こういう点、法律をきちんと整備していくことが極めて重要だろうと思います。 それから、実際にこういう東振協というのが必要なのかどうか。健保組合が、むしろ自分たちの組合員が仕事をしている職場環境等の個別の事情に対応して直接医療機関と契約をし、健診内容についてもそれに対応して内容を整備するということの方がはるかに好ましいわけであって、なぜ一々それは十把一からげに東振協でやらなきゃいかぬのか。この点については極めて疑問の残るところでありますので、このこと自体もやはり考えていただきたい。 それからその次に、税引き後の利益、東振協九千万円余ということでありますけれども、実際に医療機関に丸投げしているような状態があるように思われるわけであります。東振協が医療機関から中間マージンを取っているというようなことはあるんでしょうか。
○政府委員(高木俊明君) 先ほど申し上げました事務処理手数料ということで医療機関から取っておるというのは聞いておりますが、中間マージンということではないというふうに思っております。
○武見敬三君 ここ数年間、毎年この東振協の資産が増加しております。現在、平成八年度で十三億三千六百万円ほどあるわけでありますが、保険財政の赤字の是正というものが急務であって、医療保険改革の中の特に入り口でこれを真剣に私どもが議論して、法案として通そうという努力をしているわけであります。こういうときに、平成三年度から健診事業を通じて毎年何と一億円余りもこの東振協が資産をふやしているんですよ。 医療保険そのものが実際に財政赤字で困っているときに、中間に入っている組織が一億円ずつこうやって資産をふやしているということはどう見たって不健全でしょうが。こういうことをいつまでもやっていいわけがない。こういうことを直していくということが極めて重要な行政改革の一環でもあって、なぜ実際に今まで一億円ずつも積み立てができたのか、そして何のための積み立てなのか、まずそれを御説明ください。
○政府委員(高木俊明君) 現在、平成八年度で積立金として十三億三千万円余の積み立てを行っておりますが、その内訳としましては、一つにはいわゆる高額療養費制度というのをやっておりますが、その際の高額療養費のつなぎ資金の貸付事業、そのための会員の出資金、そういったものを積み立てている面もございますし、それからまた、ただいま委員御指摘のとおり、健診事業に伴う収益、剰余金というものを積み立てて今日までこれだけの額になっておると、こういうことでございます。
○武見敬三君 今の御説明だけで、定期的にこのように一億円も積み立てられることの根拠をきちんと説明できたとはとても思えません。これを考えたときに、この健保法と安衛法という二つの法律に基づく健診事業というものの今の行政のあり方に問題があるように私は思うわけであります。 特に、事業主の責任であるとかあるいは総合健保等、健保組合のような保険者の責任、さらにその役割というのをこれからきちんともっと明確にして整理していかなければこういう問題の解決にはならないと思うんですね。 こういうことを考えながら、やはりこの東振協のような存在もこれからきちんと整理していく必要があるというふうに思うわけでありますけれども、これは行政改革全般にもかかわる問題でもあり、それぞれ所轄の大臣の方々にお伺いしたいと思いますので、総理大臣、厚生大臣、さらに労働大臣に御所見をいただき、さらにその後、総務庁長官にも御感想をいただきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今のお話を伺っていまして、労働安全衛生法だろうが健康保険法だろうが、健康診断が必要なのは労働者に変わりないんですよ、労働省だろうが厚生省だろうが。健康診断だって、どこのお医者さんが診ようが大体診断項目なんてそんな変わるものじゃない、結構重複しているんじゃないか。 そういう点も含めまして、今の問題、指摘されたのは大事な点だと思いますから、これは整理す べきところは整理していかなきゃいかぬ。そして、今の東振協の問題につきましても、適正な執行がされているのか、問題点ほどこか、再度調査して改善すべき点は改善していきたいと思います。
○国務大臣(岡野裕君) 先生のお話、私がその方向で検討してまいる点について、二つ気がついている問題があります。 労働省所管の健康診断は、これは使用者の義務であります。ところが、厚生省所管の健康診断は、これは任意であります。その点が非常に法的な性格が異なる。それが先生のお話だと、義務であるものが任意の方にだんだん実態としては行っていると。そうだとすると、使用者の健康診断の義務というやつは、これはもう一遍よく実態について考え直してみなければならないと、こう思っております。 それからもう一つの差異は、一つは厚生省所管の健康診断は、これは個人のプライバシーを守らなければなりません。しかしながら、労働省所管の健康診断は事業主の義務でありますので、結果は、個々の職員の身体状況、これが事業主に全部わかるわけであります。したがって、両者はその点ではっきり区分けができておらなければならない。それが現実どうなっておるか等々をもう一遍調べてみたいと、こう思っております。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、ちょうど労働大臣が最後に述べられた、もう一回調べてみたいと言われたことを私も申し上げたいと思っておりました。 というのは、労働安全衛生法ができましたころ、衆議院の社会労働委員会のメンバーとしてこの議論に加わった私は一人であります。そして、果たして現在の産業医学というものがそれだけ独立したものかどうか、一般の医師の範囲とどう違うんだというのは結構そのころ問題になりました。 ただ、その当時、労働安全衛生という思想がまだ必ずしも定着をしておらなかったために、それぞれの職場における職域環境の中で発生しやすい疾病というものがどこまでとらえられるかということも逆に議論のポイントでありました。 そして、その先からたしか私は産業医大が生まれたと思うんです。実は産業医大は私も見せていただいたことがありますが、非常にそのころ私は興味を引かれる研究をしておられるという印象を持っておりました。 きょう、その御質問をいただくということで、改めて事務方から資料をとってみますと、労働安全衛生法における定期健診の一般健診項目と政管健保等の一般健診項目にそれほど差異がありません。大変脱線するようでありますけれども、当時エックス線技師等の被曝の問題、こうしたもののチェックというのは労働安全衛生法による定期健診でないと把握ができないのではないかという議論があったことを記憶いたしております。 それだけに、どこでこれが一緒にこんなにごちゃごちゃになっちゃったんだろうと。そして、労働大臣が申し上げましたように任意と義務というものの差がいつの間にか逆さになっている、これは確かにチェックをする必要のあることだと、私もそのように感じました。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもの方では、一般論としてということになりますけれども、公益法人についてはそれぞれ所管の省庁でやっていただくわけでございますが、少なくとも我々、特殊法人と同じように公益法人に対してもいろいろ疑問を呈せられていることがございますので、特殊法人並びに公益法人の見直しということをやっていこうということになっております。今御指摘のそのような団体も含めて私ども対象にしていきたいと思っております。
○武見敬三君 大変心強い御答弁を各大臣からいただいて、質問のしがいがあったというふうに思います。 実際には、この東振協なんかも御多分に漏れず、常勤の三人の理事というのはいわゆる厚生省の天下りなわけですね。この人たちが実際には総合健保組合の中で渡り歩きながら退職金ももらうとか、実はいろいろ不透明な話もその中から出てきているわけであります。この点についての御質問もいろいろしつこくさせていただこうと思ったわけでありますが、実際に時間も余りありません、聞きたいことは山ほどあるんですけれども。 そのことを厚生省の説明に来た役人に実際にいろいろと聞きましたら、東振協の説明資料を持ってきた。そうしたら、天下りの三人の理事については学識経験理事という名称で入ってきているわけですよ。何で学識経験理事なのか。元公務員ということでありますから、これは言うなれば行政経験理事と書けばよくわかるわけですね。それを学識経験理事と書いてある。そういう後ろめたさを感じながらやるということは一体どういうことか。もし本当に行政経験が豊かに生きる職場であれば、正々堂々とこれは行政経験理事というふうに書いてやればいい。そういうふうに実際に中身をきちんと表立てて、オープンにして堂々とやればいいんですよ、こういうことを。 さらにお聞きしたいのは、この三人の常勤の役員、この年収とそれから退職金制度がどうなっているのか。それから、こういう天下り先の人事管理は一体どこでやっているんですか。これをお聞きしたい。
○政府委員(高木俊明君) 東振協の御指摘の三名のいわゆる職員、これは社会保険出身の職員ということになるわけでありますが、年収については約一千二百万円から一千四百万円というふうに聞いております。それからまた、退職金についてはそれぞれ東振協の退職規程を準用するというふうに聞いております。
○武見敬三君 人事管理の方は答えていないんですが。
○政府委員(高木俊明君) ここに行っている方はいわゆるOBでありますから、そういった意味ではOBとしてそれぞれの職場のシステムの中で当然人事管理が行われているというふうに思っております。
○武見敬三君 明らかに世間の目はそうではないと思っているわけでありまして、どこかできちんと人事管理をしているんだったらそのことも全部明らかにして、それで正しく堂々とやっていただいた方が国民の方は理解すべきところは理解するわけですよ。こういうことをこそこそ隠れながら、行政経験理事を学識経験理事みたいに丸め込みながらやっているような状態というのは役人の皆さん方も恥ずべきことだというふうに思ってもらわなきゃいかぬ。 現に総理、厚生大臣初め、まさに火だるまになって大きな改革をやろうというときに、お役人がついてこなかったらこんなことはできませんよ。したがって、こういうことはお役人の方もきちんと日本のために将来をどうするかという本当の志を持ってやっていただきたいということを私は切に願います。 そして、最後に伺いたいことは、昨今、社会保障構造改革などを議論されているときに、個人の自立支援ということが非常に強く言われてきております。これは一つの方法として、価値観として正しいと思います。しかしながら、私は二十一世紀の日本の社会の中でも守るべき日本の家族というものがあるんだろうと思います。この守るべき日本の家族というのは何かということを考えなきゃいけません。それをまた支援するための社会的な措置というのもこういう社会保障制度の構造改革の中で考えなきゃいけないわけです。 人間おぎやあと生まれるときには、おやじ、おふくろ、二人いるわけであります。そして、生きていくためにはやっぱり家族というものは必要なのであります。したがって、私は過去の封建的な家社会に戻そうとかそんなことを言っているんじゃないですよ。それから、女性の自立だとかそういうことの重要性も十分に理解しています。それでもなおかつ二十一世紀の日本の社会の中で守るべき家族というものがあるということを基本認識として持たなきゃいけません。そして、その家族というものと個人の自由というものをどういうふうに組み合わせながら日本の国の基本的な形をつくり上げていくのかということが私は今問われていると思うんですね。 したがって、この点について最後に総理の御所見をいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、大変我が意を得たりという気持ちと現実に方向が相当変化しつつあるなという気持ちと双方の気持ちを持って今のお話を拝聴しておりました。 と申しますのは、私ども国会に議席を得、そして厚生大臣をさせていただきますころまでは、家族というものを単位に考えるというのは社会保障の中では当たり前だったわけであります。ところが、そのプロセスの中でまず年金について個人の年金権、妻の年金権というものが議論をされるようになり、それとともに高度経済成長時代の間にいわゆる核家族化というものが進行し、世代間同居の姿がどんどん減り始めておりました。それでもなおかつ、当時、社会保障あるいは福祉行政を考える者は、せめてスープの冷めない距離ということで家族というものをとらえておりました。 先日も御答弁を申し上げたと思いますが、そういう中で世代間同居というものを随分私どもは議論をいたしましたが、必ずしもその方向は当時受け入れられませんでした。しかし、私は、家族という一つの国民生活の基礎単位というものの重要性はこれから先も本当に変わらないと思います。 その上で、少子化の進行、あるいは高齢世帯、高齢単身者の世帯、こうしたものがだんだんだんだんふえてくる。さらに、女性の社会進出の中で、家庭にかわる子供たちに対する環境づくりをということを私は先般御答弁申し上げた記憶がございますけれども、言いかえれば、これまで家族という単位の中でとらえられてき、吸収されておりました介護あるいは育児、そうしたものをどうやって社会にあるいは地域単位にとらえていくのか、その仕組みが今問題になり、その中で介護保険制度を御審議いただこうという考え方を私どもは国会にもお示ししているわけであります。 私どもは、その意味では世帯という言葉と家族という言葉は多少分けて考えなきゃならないと思うんですけれども、その家族というものを支えていけるような、そうした住みなれた環境の中で家族が暮らしていける方向へという視点から、介護にいたしましても子育ての支援にいたしましても、やはり自立ということは基本です。その上で組み立てていくべき支援の仕組みだ、そのように私はとらえます。
○武見敬三君 ありがとうございました。
○委員長(大河原太一郎君) 以上で武見敬三君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大河原太一郎君) 次に、牛嶋正君の質疑を行います。牛嶋正君。
○牛嶋正君 平成会の牛嶋でございます。 きょうは社会保障制度と財政の関係について御質問をさせていただきたいと思います。 衣食足りて礼節を知るという言葉がございます。我が国は、戦後目覚ましい経済発展によって一九八〇年代の半ばごろ衣食足りての状況に達し、これから礼節を知る状態に向かおうとしたとき不幸にしてバブルが発生し、その方向が見失われてしまったと考えます。そういうふうに考えますと、現在の日本経済の元気のない状態がよく理解できるのではないかと思います。 さらに、この言葉をかりて社会保障制度の目標を表現するといたしますと、これまでの目標は社会で最も恵まれない人々の生活水準を少しでも高め、衣食足りての状態まで引き上げていくことが目指されてきたのではないかと思います。この考え方の基本は弱者救済でありました。 これに対して二十一世紀の社会保障制度の目指す新しい目標は、社会的弱者も含めてだれもが礼節を知る状態の中で日常生活が送れる社会を構築することを目指していかなければならないと思います。言いかえれば、だれもが自分の生き方を大切にできるようなそういう自立支援、そこに重点を置いた社会保障制度が私は新しい目標ではないかというふうに思うわけであります。 こういった視点に立ちまして、まず総理に御質問をさせていただきたいと思います。 今私が申しました二十一世紀の社会保障制度の新しい目標を実現していくためには、現行の社会保障制度を見直し、医療、福祉、年金のそれぞれの枠組みを抜本的に改革しなければなりません。しかし、一方では高齢化の進展とともに社会コストの増大は続いてまいります。だといたしますと、国民負担率の上昇は避けられないというふうに思うわけであります。したがって、国民負担率に一定の枠をはめるといたしますと非常に厳しい財政運営が求められると思います。 この点について、まず総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今手元にあります数字を見ておりますと、一番古いものとして、国民負担率、対国民所得比でありますけれども、昭和四十五年の数字がございます。この昭和四十五年時点におきまして国民負担は二四・三でありました。そして、それを構成するもの、社会保障負担のみを見ますと、当時の率は五・四%でございます。平成九年度予想される数字、今ここにあります数字、当初見込みでありますが、国民負担率は三八・二になっておりまして、社会保障負担が一三・八であります。これを見ますと、年々における国民負担率の上昇というものが、現実に歩んできた軌跡が見えるであろうと存じます。 私は、その国民負担率のあり方というもの、それは最終的には国民が必要とされる公共支出の水準と表裏をなす。それだけにその受益と負担のバランスを眺めながら国民的な選択が行われるべき性格のものと申し上げなければなりますまい。その上で、これから先を見通しました場合に、高齢化の進展などに伴いまして国民負担率は間違いなく長期的にある程度上昇せざるを得ない、そうした宿命を持っております。 ただ問題は、仮に現在の仕組みをそのままに推計いたしました場合には、産構審等でも出ておりますが、経済審等でも出ておりますような非常に大きな国民負担率というものの上昇を覚悟しなければなりません。果たしてそんな状況にいけるのか。経済の発展にいたしましても、あるいは社会の活力という視点から見ましても、これは極力その上昇を抑えていく必要というものは我々はどうしても意識の中に残さなければならないと思います。 その上で、その選択の範囲内において、いわばベストミックスという言い方がこの場合正しいかどうかわかりませんけれども、我々にはそのベストミックスを、言いかえればその結果としての国民負担率の上昇をどの程度で食いとめるべきかというそうしたポイントを見出す責任があるのではないでしょうか。
○牛嶋正君 国民負担率につきましては、今まで振り返ってみますと、こういう意見がございました。高齢化がピークに達しても我が国におきましてはできれば五〇%以下に抑えるべきであると。ある意味ではこの考え方というのはコンセンサスを得ていたんではないかと思っております。 それに対しまして総理は四五%程度というふうな数字をお出しになったというふうに私は記憶しております。この四五%の考え方、どのような財政運営を念頭に置いてこの数字が出てまいりましたのか、そのあたり御説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 四五%という数字、できればその辺でとめたいということを申し上げましたのは実は私が別に初めて申し上げたものではございません。 御承知のように、第二次臨時行政改革推進審議会の議論の中に、高齢化がピークに達する時点においても国民負担率が五〇%を超えることは避けなきゃならない、そのためにも二十一世紀初頭には四〇%台のできるだけ前半で、できれば四五%ぐらいを目指すべきだということを提起されました。そして、私はこれは非常にバランスのとれた数字という受けとめをその当時からいたしました。 そして、国民負担率をこの範囲に食いとめようといたしますならば、当然ながら現行の制度すべての分野をそのままにしておくことはできません。それだけの改革の努力を必要とするわけでありますけれども、我々はそれだけの努力をする価値があるとその当時から考えてきたものでございます。
○牛嶋正君 総理は、財政運営につきまして、今の国民負担率四五%と、それともう一つは財政再建というのを挙げておられるわけです。この二つの目標は、総理も言っておられるように、歳出削減で財政再建を図るのならば、私はこの二つの目的を同時に達成することはできると、こういうふうに思います。 ただ、今私が申しました二十一世紀の社会保障制度の新しい目標の実現というもう一つの目標をここに加えてまいりますと、この三つの目標を同時に達成するというのは非常に難しいのではないかと私は思っております。経済の状況によりましてはこの三つの目標の間に優先順位をつけることも考えなければならないのではないかと思っておりますが、どの目標が優先順位として上がってくるのか、この点について総理のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど御答弁をする中で、せき込みました途端に一つ忘れてしまいました。大変申しわけありませんでした。いわば社会的な弱者救済という視点からの社会保障、今日までのその姿というものを自立支援という形に変えていくべきではないかという御意見に対してお答えをすべきであったと思います。その点を落としましたのは大変申しわけありません。 そうして、その上で、その三つを同時に進めることは難しい、優先順位をつけろという御主張ですけれども、私はあえてこれは優先順位のつけようはないと思います。 というのは、大変粗い言い方になりますけれども、間違いなくこれから先の社会保障というもののあり方が家庭というものの機能の一部を、先ほど他の議員にお答えをいたしておりましたように、介護あるいは子育て支援といった視点で、自立を土台にした上で地域社会の連帯あるいは社会的な支援という方向にシフトしていかなければならない。この改革は我々は現実のものとして一方では進めていかなきゃなりません。同時に、我が国の財政構造が非常に悪化をしておること、既に何回か議員からも御指摘をいただいておりますように、我々はこれも進めていかなければならないわけであります。そして、その中において社会保障の仕組みそのものも当然ながら社会的弱者救済という視点からの姿とは違った形のものを組み立てていかざるを得ません。 そうした中で、その時々で私はやはり優先順位は生じるかもしれないと思います。それを否定はいたしません。しかし、目標としてはそれぞれが全部同時に進んでいかなければならないものでありまして、私はあえてこの三つに優先順位をつけるというよりも、その三つともの重要性を認識した上で、その時々の情勢に応じ、社会情勢に応じながら、あるいは経済情勢に応じながらどの部分を先行させるかといった範囲での調整をしていくものじゃないだろうか。むしろ我々は三つを両立させるような努力をしていくことが今求められているのではなかろうか、私はそのように思います。
○牛嶋正君 私もそう思いました。ですから、ちょっと私なりの試算を行ってまいりました。総理のお手元にもその資料は行っていると思います。 私は、今申し上げてまいりましたように、新しい社会保障制度の目標を実現するということをまず掲げました。そのために、社会保障関係費の伸び率を過去五年間の医療費の伸び率の平均値六%をもとにいたしまして、それに高齢化の進展を加味いたしまして一〇%と今一応想定をさせていただきました。 そして二番目に、社会保障関係費とその他歳出額の比率を二〇対八〇、そしてその他の歳出額の伸びについては、今後の財政運営と関連するわけでございますが、一応〇%から六%まで七段階で想定をさせていただきました。その上で、成長率に関しましては、左の表にありますように、四つのケースを想定いたしまして、歳出の伸びと関連づけて国民負担率を算出させていただいたわけでございます。 ベースは平成七年度の決算ベースを用いまして計算させていただいたわけですが、国民負担率につきましては一応赤字国債分を含めまして三九・五%と想定いたしました。 十年後の数値を計算したのが「推計結果」でございます。これを見ていただきますとわかりますけれども、経済の成長率というのは非常に重要なのでございます。これはもう総理も御承知だと思いますが、国民負担率を考える場合にはこれが非常に重要な意味を持ってまいります。例えば、一番左の列を見ていただきますと、名目成長率一・三%、これは社会保障関係費を除く歳出の伸び率をゼロにいたしましても、負担率は四五%になってしまうわけであります。 私は、このことから考えまして、総理が今おっしゃいました三つの目標を同時に実現していくためにもう一つ経済の活性化ということが大前提になるんではないか、こんなふうに思っております。 財政再建とそれから経済の活性化につきましてはこの前いろいろ御議論させていただいたわけですけれども、こういうふうに二十一世紀の新しい社会保障制度の目標を実現しようといたしますと、それこそ経済の活性化というのが非常に重要な意味を持ってくるわけです。ですから、もう一度財政再建とそれから経済の活性化を同時実現させていかなければ、総理がおっしゃるように三つの目標を実現することはできないのではないか、こんなふうに思っているわけでございます。 この点につきまして、私の非常に簡単な計数ですけれども、これに基づきましてちょっと御意見を賜りたいと思います一〇国務大臣(橋本龍太郎君) 議員が一定の前提を明示された上で分析をされましたこの数字を拝見しながら、改めてこうした状況が想定できる中で今我々がやらなければならないそれは、まさに経済の活力を取り戻す、そして新たな産業を生み出していく、そういった努力であろうと思いますし、その意味では、現在の我が国の仕組みを変えていく努力、そして世界の潮流を先取りできるような経済社会システムをつくることの必要性を一層感じます。 私自身六つの改革を同時並行といつも申し上げておりますけれども、その中で教育改革を追加した理由につきましても、科学技術、研究開発といったものの重要性ということとともに、均質で平等性の教育から個性とみずからテーマを探し出すような教育、こういうことに将来の人材養成という夢を重ねて申し上げてまいりましたけれども、当然のことながら、その一方で進めております規制緩和等による経済の活力を取り戻す努力も並行して行われなければならないことは当然でございます。 その意味におきまして、私は、今の議員の国民負担率に対する推計と、そしてそこから導き出されました財政構造改革、社会保障構造改革を考えるならば、同時に経済の活力を取り戻すための経済構造改革も必要という御主張には全く異論がありません。
○牛嶋正君 先ほど総理は、国民負担率は民間の経済活力に対しまして抑制的な効果が働かないようにできるだけ低く抑えるべきだということですが、同時に国民負担率の中身についても考えていかなければならないと、こんなふうに思います。 民間の企業や個人の経済活動にできるだけニュートラルな税ということになりますと、これは間接税ということになろうかと思いますが、そうなってまいりますと、国民負担率の中身を考えてくるに当たりましては、当然二十一世紀の税制というものも関連してくるわけですが、この中身についてどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、この御質問にもし本当に正確に答えるとするならば、その時代その時代の国民の究極的な選択に係るものというお答えをすべきなのかとも思いますが、今中立的な税、間接税を中心に考えるべきだという御指摘の上でお尋ねをいただきましたので、その線上にあえて私の考えをそろえてみたいと存じます。 消費税導入の論議の以前から、直間比率の是正ということは我が国の税制を議論する上で非常に強く打ち出された一つの論点でございました。同時に、法人税の議論に代表されるように、課税ベースを拡大しながら、すそ野を拡大しながら全体を少しでも抑えていく、そういった考え方があったことも御記憶のとおりであります。 そして同時に、税と組み合わせて国民負担率として社会保障、社会保険の仕組みを考えます場合に、その負担と受ける利益と申しましょうか給付が対応しやすい社会保障の世界においてどこまで保険料で対応すべきなのか、あるいは一般財源をつぎ込むべきなのかという論議が並行して今日までも参りました。その議論を現在示しておりますのが年金あるいは医療の世界における国庫負担部分の数字にあらわれるのかもしれないと思います。 その意味では、必ずしも我々は今までそうした点を整理し切らないままに、どの分野についてもできるだけ、大変失礼な言い方ですけれども、国民に耳ざわりよく受けとめていただける言い方はないか、そんな思いで議論したのかもしれないと思います。 これは自責の念を込めて私はそう思うんですけれども、それだけにここから先、一つは中立的な税と議員からも御指摘のありました間接税というものの役割、すなわち直間比率の見直しという一つの作業、同時に負担と給付をもう一度見直しをする中で、まさに自立支援という視点にふさわしい社会保障の仕組みをつくり上げること、これも同時並行として我々は考えていくべきことではなかろうか、そのように思います。
○牛嶋正君 今、総理がおっしゃいましたように、国民負担率の中身を考える場合には、税の仕組みと、ほかに税か保険かということになろうかと思います。しかし、この二つの財源調達方法というのはいずれも強制性を伴うものでございます。したがって、できるだけ公正そして公平でなければ社会保障制度もあるいは租税制度も維持することは私はできないというふうに思っております。 この公平とか公正ですが、これは税率を決めたりあるいは保険料を決めたりするときの公平とか公正の問題がありますけれども、同時に考えなければならないのは、徴収段階での不公正が入ってきた場合にこれは非常に問題で、幾ら税率とか保険料が公平にあるいは公正に決められても、その税の徴収の段階で不公正が入ってくるということは問題であります。最近滞納者が増大をしているというふうなことがいろいろな数字で読み取れるわけでありまして、私はこの点について非常に懸念を持っているわけであります。 まず、平成六年度の道府県税及び市町村税の徴収率、これは現年課税分とそれから滞納繰越分を含めたものでございますけれども、道府県税が九五・二%、そして市町村税が九三・五%になっております。問題はこれがバブル以降ずっと低下してきているということでございます。 そこで、自治省にお尋ねしたいんですけれども、この低下の原因をどのように分析されているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(湊和夫君) 近年の地方税の徴収率の状況について御説明を申し上げます。 今御指摘ございましたように、地方税の徴収率、過去二十年さかのぼってみましても、市町村税、道府県税、大体九六%から九七%の間ぐらいで推移してきたのがかつての状態でございました。平成元年あるいは二年ごろをピークにいたしまして、その徴収率がやや低下をしてきておる。その数字については今御指摘あったとおりでございます。 その理由でございますけれども、税目的に見ますと、土地関係税、固定資産税、不動産取得税、都市計画税、こういったものが入っておりますが、こういった税目、それから法人、個人の所得課税、これらの税についての低下が目立っておる。中心的なものはこういうものでございます。それから、地域的に見ますと、大都市地域の徴収率低下が目立つ。恐らくこれは今申し上げました税収の地域的な状況にもかかわっていると思っております。 こうした税目等から見まして、近年の経済動向といったものがこういった税収の徴収率の低下に反映してきているものというふうに見ておるところでございます。
○牛嶋正君 先ほど申しましたように、税率が公平に決められても、徴収の段階でこういうふうな不公正が入ってまいりますとやっぱり納税意識に悪い影響を与える、このことがまた税の徴収を難しくするというふうな悪循環も考えられるわけでございますが、この点について自治省はどのようにお考えでございましょうか。
○政府委員(湊和夫君) 徴収率の問題は、単に収入が減っているということにとどまりませんで、課税の公平という観点からも大変重要な課題であるというふうに認識をしておりますし、都道府県、市町村でもそういう認識のもとにお取り組みをいただいているというふうには考えております。 それで、今御指摘ございましたように、悪循環にというお話しございましたが、先ほど申し上げました徴収率低下が顕著に見られております税目のうち、例えば法人課税等について言いますと、特に最近の徴収率の低下の要因は、現年課税分は既に過去の徴収率、例えば九九%近くの現年課税率は達成できているわけでございますけれども、この数年来なかなか徴収が容易でなかった滞納分の徴収率がかってに比べてかなり低いということが影響した結果、全体として徴収率の低下が見られておるというようなことでございます。こういった滞納分の処理、自治体は今これに重点的にお取り組みをいただいているのが現状でもございます。
○牛嶋正君 国税についても、法人税それから消費税について滞納が増加しているというふうに聞いておりますけれども、この国税の滞納状況について御説明をいただけるでしょうか。
○政府委員(堀田隆夫君) お答え申し上げます。 国税全体の徴収決定済み額に占めます収納済み額の割合ということで申し上げますと、平成元年度は九五・二%でございましたけれども、二年度九四・四、三年度九二・八、四年度が九〇・四、五年度九〇・二、六年度は九〇・三、七年度は九〇・八ということで、ここのところ低下をしております。 その要因でございますが、何と申しましてもいわゆるバブルの崩壊によりまして先生おっしゃいました滞納整理中のものの割合が増加しているということがございますけれども、国税の場合にはそれに加えましてさらに大きな要因といたしまして、相続税について金銭納付の例外として認められております物納申請に係る処理未済が増加しているという要因があるわけでございます。 私どもといたしましては、そういった状況に対応いたしまして、全体の滞納の未然防止あるいは一たん滞納になりましたものの滞納整理、さらにはただいま申し上げました物納につきましての処理体制の充実等によります一層の処理促進ということで努めさせていただいておるところでございまして、今後とも一層努力をしていかなければいけないと思っているところでございます。
○牛嶋正君 次に、厚生省にお尋ねしたいんですけれども、国民健康保険の保険税の収納率はどんなふうになっておりますか。
○政府委員(高木俊明君) 国民健康保険の保険料の収納率でありますが、平成七年度で見ますと九三・三二ということでございます。平成六年度は九三・二七でございますから、ここ数年若干ずつ下がってまいりましたが、平成七年度は若干でありますが少し持ち直しておる状況でございます。
○牛嶋正君 今平均でございますが、恐らく市町村によって随分と格差があると思うんですけれども、一番低いところはどれぐらいなのか、教えていただけますか。
○政府委員(高木俊明君) 収納率で見ますとかなり格差がございますが、市と町村、それぞれもかなり違っておりまして、これは少し幅を持ってくくっておりますので申しわけありませんが、例えば八五%未満というようなところも二、三ございます。その辺のところは下限の方が今ちょっと持ち合わせの数字がございませんけれども、そんなような状況の保険者もございます。
○牛嶋正君 保険税あるいは保険料の場合は排除の論理が働くわけですね。ですから、収納率の低下はそのまま保険事業が縮小していくということになってくると思います。そういたしますと、皆保険という公的保険の前提条件というのが崩れるんじゃないか。今おっしゃいました八三%なんというような収納率で公的保険の成立といいますか、その条件を満たしているんでしょうか。
○政府委員(高木俊明君) 医療保険、国民健康保険、これは強制加入でございます。そういった中で、保険料の納付とそれから保険給付というのはこれは裏腹の関係になりますけれども、ただ特別な事情があってどうしても保険料を納められないというケースもございますし、それからまた特別な事情はないけれども保険料を滞納しているという場合があるわけでありまして、問題は後者の方だと思います。 そういった意味で、支払いについて、特別な事情がないにもかかわらず保険料を滞納している、そういったケースについてはいろんな手段を使いまして滞納を解消するように努力をしておるわけであります。ただ、保険給付につきましては滞納しているということで直ちに保険給付を行わないという形にはなっていないわけであります。
○牛嶋正君 こんなことを考えますと、私は、公的保険制度が存立していくための条件としては、被保険者のリスクができるだけ同程度であるということが条件になるんじゃないかというふうに思いますけれども、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(高木俊明君) そういった意味では、病気にかかるという点についてはそれぞれのリスクを負っておるわけでありまして、ただそれがやはり予測しがたい場合等々もございますし、また人によってかなりそこは違う。それぞれそういったいろんなリスクを持っておる方々がいわゆる保険という形で、相扶共済の形でやっておるわけでありますから、これは申すまでもなくそういった意味でリスクについてはそれぞれが異にしている、また異にしているからこそ保険制度が成り立っておるというふうに考えております。
○牛嶋正君 異にしておりますけれども、病気にかかる確率というふうなものはみんな一緒だと思うんですね。 ところが、今度導入されようとされております介護保険制度の場合、これはもう明らかに第一号の被保険者と第二号の被保険者では、寝たきりになる、要介護状態に陥るリスクというのは全く違うわけですね。こういうリスクの異なる被保険者を一緒に一つの介護保険制度にするという場合、先ほどの公的介護保険が存立する条件、そこから著しく乖離するのではないか。そういうふうに考えますと、介護保険制度というのに対しまして私はかなりの懸念を持つことになります。 例えば、第二号の被保険者、これは今の国民健康保険の支払いに上乗せされるということでございますけれども、しかし、先ほど数字が挙がりましたように、今でも国民健康保険の収納率が低いわけでございます。それが、この介護保険制度が導入された場合にますます収納率の低下を懸念しなければならない。だとしますと、このことが公的保険制度そのものを根底から危うくするものではないかというふうな危惧を持っておりますが、この点について厚生省はどのようにお考えですか。
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えをさせていただきます。 まず、先生御指摘のございましたいわば介護という保険事故のリスクの問題でございます。これにつきましては、先生御指摘のとおり、確かに今回の介護保険を御提案申し上げております中に、第一号被保険者、第二号被保険者という形で、六十五歳以上の方とそれから四十歳から六十四歳までのいわば現役世代の方々とをそれぞれ第一号、第二号という形で被保険者にいたしております。その間に介護リスクの相違はございます。当然六十五歳以上になりますと著しく介護リスクが上がってくるということはございますけれども、保険制度ということで考えました場合に、いわゆる民間保険と違いまして、やっぱり社会保険という形でやっておりますときにはそこにいろいろな考えがあって、まさに相扶共済という中で助け合うという要素が当然あるわけであります。 そういう意味から申し上げますと、第一号の被保険者はみずからも負担に任じ、みずからの介護リスクに備えるという要素。それから、第二号の被保険者につきましては、高齢化に伴う要介護状態といういわば限定的なリスクに備えると同時に、やはり世代間扶養、いわば老親を社会的に扶養していくという観点からする保険料負担、あるいは家族という立場から介護が必要となる人を負っていくというような立場からしますと、そういった立場でその負担に任じていただく。そういう負担に任じていただきますよって立つ基盤がそれぞれにあるということは社会保険としてあっていいことではないか。そういうことをもろもろやることによりまして、それぞれ無理のない負担の形の中で負担をし合えるということが出ていくのではないかなというふうに思っております。 それからもう一点、保険料のことについての徴収の問題がございました。これにつきましては、私どもとしても、今申し上げましたように第二号、第一号の被保険者それぞれが負っていただく。あるいは第一号被保険者の保険料につきましては所得段階別というような形でできるだけ無理のない形での負担をお願いする。あるいは保険料だけによりますというとなかなか保険料が多くて負担に任じにくいということもございますから公費を半分入れるというような工夫をしている。これもまさに社会保険であればこその工夫としてやれることではないかなというふうに思っております。 そうしたこととして事実関係で申し上げれば、先ほど国民健康保険がございましたけれども、これもそれぞれ市町村による差異はございますけれども、年齢の高い層につきましては徴収率は非常に高うございまして、七十歳以上をとりますというと今九九%の国保の保険料徴収になっているということも、むしろそういう保険料徴収という意味では高齢者の方々は非常にいわばまじめにやっていただいているという実態もございますこともひとつお含みおきをいただければというふうに思います。
○牛嶋正君 私は、これからの国民負担率がふえていく中で、いずれは税か保険かでそれを見ていかなければならないわけですが、保険が持っている制度的なメリット、よさというのはあるわけですね。ですから、恐らく国民負担率の中で保険が受け持たなければならない部分というのはこれからもあるはずです。それだけに、介護保険制度が導入されることによって、私だけかもしれませんけれども、こういった収納率が落ちることで公的保険制度そのものの信頼をなくしてしまうというふうなことがあってはならない。これが私の危惧であればいいんですけれども、その点は厚生省、もう一度私に説明してください、大丈夫だというふうなことで。
○政府委員(羽毛田信吾君) 私どもとして、今お話しのような介護保険ができることによって医療保険なりの保険料の徴収率が落ちるというような事態については避けなければならないというふうに思っております。 そういう面では、まず事実関係といたしまして、介護保険ができることによりまして、従来医療保険で負っていた部分で介護保険に負担として移ってくる部分がございますから、そういう意味では介護保険ができることによって全体が全部純増になるということではございません。そういう意味での差し引きはございます。 それと同時に、介護保険ができることによりましての負担につきましては、できるだけその徴収が落ちないようにということで、第二号被保険者の保険料の徴収につきましては、現在の医療保険の保険者のそれぞれの仕組みにのっとりまして徴収をしていただくという形で、徴収がしやすいようにという工夫をいたしております。 さらにその上で、それでもやはり保険料の徴収におきまして、介護保険ができることによって第二号被保険者の徴収率が落ちるというような場合がございましたらば、それぞれの個別の被保険者が努力をしてもなおかつそういう落ちる部分についてはそれなりのまた財政面での支援というようなことをも考えながらやっていくという二重、三重の仕掛けに一応しながら考えておるところでございます。
○牛嶋正君 私は、市町村がそれぞれの地域で高齢者の多様なニーズに十分にこたえられるような介護サービスの供給体制を確立することができたら、今後の地方行政の展開に非常に自信を得て、地方分権の推進に大きく寄与するものと、こんなふうに考えております。 しかし、反対の場合、地方分権の推進に悪い影響が起こってくるのではないか、こんなふうに思っております。それだけに私はこの新しい介護システムの確立というのは非常に慎重に進めていかなければならないと思っておりますが、自治大臣、これについてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(白川勝彦君) 介護保険が導入される際に、市町村、特に町村の町村長さんたちがいろんな意味で不安を持たれたのは御案内のとおりでございます。しかし、与党三党等の間でこの間の調整がなされて、おかげさまで最終的には合意をいただいて今の法案となったわけでございます。 ただ、私は、この介護保険を中心として福祉のサービスというのは、身近な市町村が本当の意味での質の高い福祉サービスができるということだと思っております。そういう面では、この介護保険を初めとして、良質な福祉サービスをどうやったらやれるかというようなものが住民からも声が上がって、町村合併の大きな契機になればと、こう思っているところでもございます。
○牛嶋正君 それに関連するんですが、市町村大丈夫かという気がするわけです。 と申しますのは、今まで国民健康保険事業を見ておりましても、かなりの行政能力をそちらに集中しなければならなかった、そしてまあ何とかやってきたということなんですね。今まで何とかやってきたから介護保険制度もうまくいくだろうというふうなお考えが一方であると思いますが、国保の場合は医療サービスの供給は一応コマーシャルベースで、民間の診療所とか病院、あるいは公的な病院もありますけれども、それにゆだねられているわけです。 しかし、今度の介護保険につきましては、保険事業の維持と同時に、今おっしゃいましたように、良質な介護サービスを供給していかなければならない。そうしますと、国民健康保険事業が何とかいけたからということでは私はうまくいかないんではないかと。そして、よく言われますように、保険あってサービスなしというふうなことになりますと、私は地方分権どころか地方自治の後退になってしまうんじゃないかと、こんなふうに思いますけれども、もう一度自治大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(白川勝彦君) おっしゃるような問題点はあろうかと思います。しかし、私は、市町村合併のことを随分この国会でも聞かれておりますけれども、やはり合併をしなければならない、また一方ではこれは私たちの仕事である、市町村にしっかりとした仕事なり権限があって初めて合併という機運なりあるいは合併の契機になるんだと、こう思っております。 そういう面で、これは市町村が自主的に決めるべき問題でありますが、住民の期待にこたえるためにはこれでいいのかという議論が住民からも、また実施主体からも出てくることがあり得ると当然思っておりますし、そういうことをまた自治省としては法的にもあるいは財政的にも支援するような何かのこれから新しい体制を考えていきたいと、こういうふうに考えております。
○牛嶋正君 今国民健康保険の保険者数を見ますと、全国で三千二百五十二団体。これは一市町村一保険事業ということになっておりまして、ほとんど統合が進んでおりません。 医療保険制度の改革論では必ず財政基盤を強化するために統合という議論が出るんです。国民健康保険については二つ一部事務組合がございますけれども、これはもうずっと長い間二つで来ているわけです。 なぜ統合が進まないのか、この点について厚生省にお尋ねしたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 国民健康保険のいわゆる保険者、これは市町村ということで原則でき上がっているわけであります。先生御指摘のとおり事務組合でやっておりますのがニカ所ございますが、これはかなり古い沿革的なものがございまして、そのほかはそれぞれの市町村がやっております。 これは国民健康保険事業というものが今できております仕組みでありますけれども、そういった中で、一つには、二分の一国費が入っておりまして、そのうち一〇%分についていわゆる財政調整等をやっております。そういった意味での制度の仕組みとしても、各市町村が独立してやっていけるようなそういった財政構造をつくっておるというのが一つございます。 ただ、そういった中でも、高齢化が非常に進んでおるというようなことで、町村の中には非常に厳しい運営を強いられている保険者もございますけれども、制度全体の仕組みとしてそれぞれの市町村が保険者として実施できるような形をつくっておるということがやはり大きな原因だと思います。
○牛嶋正君 そういった保険事業そのものについては財政調整で何とかやっていけると思うんですが、先ほどから言っておりますように、介護システムの確立というのはむしろ良質の介護サービスの供給体制をつくっていくことにあると思うんです。その場合に、今のような小さな町村でこういった地域住民のニーズに合った非常に幅の広いメニューの介護サービスを提供できるのかという問題があります。 今の国民健康保険にそのまま介護保険制度を導入しても、私は供給体制の方の確立はおぼつかないんじゃないかというふうに思っておりますが、この点について厚生省はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生お話しのとおり、介護保険と同時に介護サービス基盤をどう整えるかということが大事な点でございます。 その点につきまして、今市町村だけではなかなか十分なことができないではないかという御指摘でございますけれども、この介護保険法案におきましても、介護サービスの基盤の整備のうちで施設整備等のいわゆる広域的に推進する必要があるものにつきましては、都道府県が策定をいたします計画にのっとりまして広域単位で施設整備を進めるというようなことを、あるいは人材確保などにつきましては都道府県が相当乗り出してやっていただくというような形で、いわば重層的に支えていくという仕組みをとっております。 また、そうしたことの具体的なあらわれとして、現在でもいわゆる事務組合、さらに仕掛けでいえば広域連合というようなことを通じてそういったことをさらに推進していくということを考えたいというふうに思っておりますし、保険財政の話につきまして言えば、介護保険自体の中に市町村間で財政調整を行う、広域的な対応を行うという仕組みも今回提案させていただいておるところでございます。
○牛嶋正君 私はそこが問題だと思うんです。重層的になんておっしゃるわけですけれども、それだとすると、せっかくそれぞれの地域で介護サービスの体制ができても、それは地方分権の立場からいいますと、府県とか国が手を差し伸べているわけですから、私は、先ほども申しましたように、この介護サービスの供給体制をてこにして地方分権を進めなければならないというふうに考えているわけですが、その部分は私は後退だと思うんですね。むしろ、先ほどから出ておりますように、ヘルプサービスあるいはホームヘルプサービス、デイサービス、リハビリテーションサービスあるいはショートステイ、こういったものを供給していくに当たりましてどれぐらいの人口のベースが必要なのか、そういうところからもう一度基礎的な地方自治体の規模、そういうものも考えていくべきだと思います。 これにつきまして総理大臣に最後にお聞きしたい、地方分権の問題と非常に絡んでおりますので御意見を賜りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今事務方から重層的にという言葉を答弁に使い、それに対して、それでは結局焦点がぼけてしまう、言いかえれば地方分権と一体背離しないのかという御指摘をいただきました。私は、率直に申してそういう危険性が全く排除し切れるばかりではないと思います。逆にその部分に対して民間の介護サービスというものがどういうネットワークを組んでくれるか、まさにこれがもう一つのかぎになるという思いを持ちながら議員の御質問を伺っておりました。 私の記憶いたします限り、この問題についての審議会の議論の中でも、官がすべてを行うことはできない、国であれ地方公共団体であれすべてはできない。一方、既に民間の介護サービスというものが相当程度に発達している地域がある。果たして、その民間介護サービスというものが例えば過疎地域でありますとか行政サービスがおくれがちな部分をカバーし得るのかどうかが一つの大きな論点であったように思います。そして、その組み立ていかんによってそれには対応し得るというのが一つの方向づけであったように私は記憶をいたしております。 その場合におきましても、当然のことながら、本来的に最も住民に身近な地方公共団体、すなわち市町村ができ得る部分を早く確定していくということが必要でありますし、その場合に、今の行政単位でそれぞれの市町村がすべてそれだけの内容を含めてできるかといえば問題があることも間違いありません。 そうした中で、合併の問題あるいは一部事務組合の問題、広域連合の問題、あらゆる手法を講じながら、一方ではそうした懸念を払拭していく努力をする。同時に、民間介護サービスというものをいかに生かして使っていくか、すべてのかぎはここにあるような感じがいたします。
○牛嶋正君 終わらせていただきます。
○委員長(大河原太一郎君) 以上で牛嶋正君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大河原太一郎君) 次に、小島慶三君の質疑を行います。小島慶三君。
○小島慶三君 私は、橋本総理が主張し推進しておられる六つの改革についてはもう全幅的な賛意を表するものでございます。最初にこれを申し上げておきます。 しかし、これはなかなか難しい局面をたくさん持っておると私は思っております。確かに、日経の調査にもありますように、国民の六〇%は財政改革を支持しております。それから、経済同友会も及ばずながら先般の総会で市場主義宣言というのをいたしまして、総理の言われる官から民へ、中央から地方へということを自己責任を持って推進するということを宣言しております。またさらに、この間神戸で全国大会があったんですが、全国大会のアピールでもその趣旨の決議を表明しております。そういう意味では、前と違って財界その他もこの際やっぱり全力を挙げて支援しなければどうしようもない、もうこの内閣で改革をやってもらいたいという支持をしているかというふうに思います。 ただ、この間ある財界人と話しましたら、あなた、これは「坂の上の雲」だなと。司馬遼太郎の「坂の上の雲」という話を出して、それだけ難しい。それから、それだけ身を挺して日本の国難を救った人たちに対する大変な評価でもあったと。 総理も火だるまになっておやりになるということでございますので、いろいろ難しい問題が次から次と出てまいりまして、けさも動燃のああいうふうなことが起こったりいたしましたけれども、決して勇猛心をくじかれることなく推進をぜひお願いしたいというふうに思っております。 それから、これは補正予算から今度の予算につながる私の物の見方でございますが、私は補正予算は反対という立場を貫きました。今度の予算についても、必ずしも全幅に賛成しがたい、物足りないという意識を持っております。この点につきましては後でお伺いしたいと思います。 初めに、国際的にはマーストリヒト条約というものに対して、日本もそれでいくということを言っておるわけであります。ただ、赤字三%、それから公債依存率六〇%以下というのは、これはかなり厳しい目標である。今の平成九年の予算からスタートしますとかなり難しいというふうに私は思っておりますけれども、この点は事務当局の方でも結構ですから、どういう手順で、どういうスケジュールで、どのようにしてこの条約に対する参加を表明していくのか、これをまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(小村武君) このたび閣議決定を見ました我が国の財政健全化目標でございますが、二〇〇五年までに国及び地方の財政赤字の対GDP比を三%以下とするということ、その後速やかに公的債務残高のGDP比が上昇しない財政体質を構築するということでございます。 先生御指摘のように、マーストリヒト条約は一九九七年ベースで三%ということを目標にしておりまして、時点はずれますが、基本とするところはGDP比三%以下とすることによって将来公的債務残高の対GDP比率が上昇しないようにと、こういう基本的な思想はマーストリヒト条約と同様の思想に乗っかって目標を立てているところでございます。
○小島慶三君 プロセスとかチャンネルの御説明は全然なかったんですけれども、これはかなり私はきつい目標だと思っております。その前提になるものは一体何かということになりますと、恐らく経済成長率をかなり高目に見ているということがあるんではないかと思うのでございます。 それで、これは経済企画庁の方にお伺いいたしますけれども、経済企画庁の方で言っておられる中長期の三・五%の成長率、これは果たして可能であろうかということを私は非常に懸念しております。人口の成長率が日本はストップいたしております。それから、技術の進歩率というものもかなり落ちてきております。バブル以降落ちてきている。それからもう一つは、空洞化ということが進んでおります。それからさらに、CO2の排出率についても日本は厳しい目標を持っております。そういうことをいろいろ考えますと、果たして三・五%なんという成長は可能なのか。私の計算ですと大体一%前後という計算にしかなりません。 企画庁の方にお伺いしたいのは、三・五%という数字はどういう人口成長率、貯蓄率、それから資本係数によって推定されたのか、この辺をお伺いしたい。事務局で結構です。
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘にございました四つの問題点、いわゆる成長率の鈍化、それから技術革新の停滞、それと環境問題、加えて産業の空洞化という四つの点から経済成長率が一%台にとどまるのではないかという御指摘があっておりました。 中でも、三番目にお挙げになりました産業の空洞化にも関係するところでありますが、私どもも、今のままの状況、いわゆる構造改革に何も手をつけずに今のままに放置すれば一%台に落ちるということになることを覚悟せねばならぬと思っております。したがいまして、そういう状況から抜け出るためにいわゆる財政構造改革、経済構造改革、一連の改革をやっていくことにしなければ今御指摘にありました一%台に落ちるであろうと思っております。 構造改革をすることによりまして、ちなみに九〇年から九五年までの六年間の間にいろいろな規制の緩和をいたしました結果、七兆九千億のGDPの伸びを押し上げて、それが年率約一・六%押し上げた分になりましたけれども、そういう例もありますので、今私どもとしては経済構造改革を、主に六つ挙げておりますけれども、そういうものをやっていくことによって経済構造改革というものに基づく成長を押し上げる。 そのもとは何かといえば、三番目に御指摘のありましたいろいろな改革をやることによって高コスト構造というものが平らになる、高コスト構造が避けられる。すなわち、産業が海外に出ていかず、出ていく必要がなくなるわけでありますので、そういう意味で一連の改革をすることによって高コスト構造を引き下げて、結果として産業の対外競争力の維持向上を果たせることになって、結果としてGDPという面において影響が出てくるということに、大まかに申し上げるとそういう筋書きであります。 細部にわたりましては、坂本局長の方から御説明申し上げます。
○政府委員(坂本導聰君) 大臣から御答弁申し上げましたが、今申し上げましたような諸要素を長期多部門モデルで相互連関させて動かしてはじいた結果、五カ年間で実質三・〇、名目三・五という成長が可能である。ただし、大臣からお答えがありましたように、経済構造改革が前提でございます。
○小島慶三君 せっかくの経済企画庁でありますから、もう少し計数的に精密なお答えがいただきたかったんですけれども、抽象論であれば三・五にも四・四にも四・五にも幾らにでもなると思います。そういうものでなくて、例えばどういう貯蓄率でどういう資本係数でそれが想定されたのかということを私は伺ったわけであります。残念でありますが、次に進みます。 それで、これは昔ケインズがイギリスの経済というのは一%の成長にもたえない、長期の成長にもたえないということを言ったことがございます。その後サッチャーの改革が出てきたわけでありますが、イギリスでもそういう成熟期の成長停滞というのはあったと思いますけれども、それを引き上げる、大きさを望んで引き上げるということが果たして財政運営の基本的態度としていいのかどうか、私はその辺にちょっと疑問を持っております。低成長なら低成長で、それをじっくりと実のあるものにするのがやはり財政ではないかと思うのでございます。この辺はむしろ総理にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いつぞや議員からなぜ自分が補正予算に賛成できないかというお話を伺いましたときのことを今思い起こしながら伺っておりました。 私は本当に、バブルの崩壊後の経済の著しい低迷の中で、政府として累次にわたる経済対策を講じ、そしてその下支え効果というものがあって我が国の最近の経済というものが回復の動きを続けてきた、そしてテンポは緩やかではあるけれども民間需要が堅調に推移してきた、この事実は私はそのとおりだと思うんです。ただし、こうした対策が急速に我が国の財政を悪化させる一つの要因となったということも我々は同時に考える必要があると思います。 従来ややもすると、ちょっと景気が怪しいとすぐ補正予算、殊に財政出動を求める声がありました。それは日本国内だけではなく、国際経済という視点から海外からもそうした努力を求められたことがございます。日本は今日までそうした声にこたえてきた。そして、一定の水準を経済の面において維持してきたかわりに今日の財政状況を来した。 そうなりますと、これは我々はまさに、例えば規制緩和でありますとか科学技術研究開発投資の中から新しい仕事の分野をつくり出すことでその対策というものを考えなければならない時代に既に入っているんだと思います。そういう中で我々は次第次第に民間需要を中心とした自律的な回復の軌道にこの国の経済を持っていかなければならない。 私は、議員が冒頭補正の話に触れられながら今の質問を私に向けられましたのは、それだけの厳しい状況というものを自分の胸の中にしっかりとおさめながら、できるだけそうした新たな分野で、景気対策を今までのような安易な財政出動に頼るのではなくて、むしろ新たな仕事をつくり出す、雇用をつくり出すぐらいのつもりで経済運営に挑め、そのためにも規制緩和等積極的に行うべきものは行い、さらに新たな技術開発、研究投資といった分野に思い切って目を向けていけという御忠告と受けとめました。
○小島慶三君 ありがとうございました。 それから、今後の財政の持っていき方についていろいろ世論はやかましいわけでありますが、先般日本にやってきましたソマーズさん、それからその前に行われた蔵相会議、これにおきましても日本はもっと内需拡大政策をとれということが注文になってきている。それに対して大蔵大臣から内需拡大政策をとりますという御返事があったというふうに我々漏れ承っております。 しかし、この内需拡大政策をやるということは、これは景気刺激政策をとるということと裏腹であろうと思います。今どんな景気刺激策が果たしてとれるのであろうか、私は大変疑問に思っております。この前の予算委員会のときにもその前のときにも、私は今の超低金利政策、こういったものを早く転換しないと後で手の打ちようがなくなるということを日銀総裁にも申し上げたんですけれども、お聞き入れいただけませんでした。 したがって、今では景気刺激策をとるといっても金利面からとることはできないだろうと思います。それから、金融緩和政策というものも、これも今の金融のいろいろ抱えている問題点からすると、必ずしもそういう形で問題が解決するとは思わない。そうしますと、どういう手段で内需拡大政策をおやりになるんですか、これをお伺いしたいと思います。大蔵大臣にお願いします。
○国務大臣(三塚博君) お答えしますが、サマーズさんとの会談から申し上げます。 私からは、我が日本の今後の経済財政運営は五つの諸改革、国民精神を原点に人間として、国民としてという意味で教育改革がございますと合わせて六改革を説明申し上げ、その緒についておりますと。外為法、フロントランナーかくかくしかじか、以下、大蔵改革かくかくしかじか、経済システム改革、コスト構造改革に向けて二十一世紀に対応できる経済構造に大転換を図るべく全力を尽くしておるところと、大体そういう意味のことを報告申し上げました。 彼は、その前段で申されましたことは、外需による黒字がたまって、またぞろ日米経済戦争、貿易戦争になることに懸念があるという意味のことを言っておりました。これはレートの問題であります。為替レートの問題が百二十五円を超えていきますとそういう形になるだろうと言われております。私もそうかな、こう思って、上限はそこが上限であります、そんなことの背景に対しまして、率直に諸改革を断行することによりまして取り組みますと、内需拡大という意味のことを言っておりました。それはやる気はございません、ただいまやることはかくかくしかじかと申し上げました。 報道は、小島先生の見られましたのは、一紙だけそれをオーケーしたと書いておりますが、よその各紙は書いておりません。ですから、その程度にしておきます。 ベルリンのG7蔵相会談においてルービン財務長官それからサマーズ副長官、スタッフが四人おるところでよくバイの会談をいたして同様の説明を申し上げ、我が国の改革が前進するように見守ってほしい、こう申し上げております。そのためにはG7の会議が成功することが必要と、こういうことを申し上げました。 長くなりますからこの辺でとどめさせていただきますが、同時に、私が橋本首相の基本方針を体しましてやっております経済財政政策は、まさに諸改革を断行することから始めていかなければならない、財政の出動の時期ではない、明確に申し上げますとそれが前提にあります。改革を断行していく。そして来年度予算編成に入るわけでございますから、そのために六月までスタートを切ることに十分間に合うように、聖域のない歳出の見直し、そして抑制、機能を果たしたものには廃止、頑張っておるものにはさらに活力、民活を加えたことで取り進められるような知恵もお互いが出し合おうではないかと、こういうことになっております。 どうぞ先生、御認識を変えてやってください。国会答弁はただいま申し上げたことで一貫して衆議院から参議院まで変わっておりませんので、よろしくお願いします。
○小島慶三君 ありがとうございました。ぜひそういう一貫した姿勢でお願いをいたします。 それで、さっき日経の世論調査の話を申しましたけれども、日経の世論調査、財政改革を優先的にやれというのが六〇%、それから景気対策を優先しろというのは二六%ございました。この程度であればいいと思いますが、これが四〇になり五〇になるということになりますと非常に政府も苦労されると思います。 しかし、今のお話のように勇断を持って、勇猛心を持って財政当局がおやりになるなら大変私は結構だと思っております。問題は時間との戦いということがあると思うんですね。鉄は熱いうちに打てとこの間、沓掛さんかだれかの話がありましたが、確かにこれは先送り先送りしてまあまあまあまあとやっていたのではとてもこの改革はできないと私は思います。ですから、時間を争うというような気持ちで、むしろ先送りより前倒しという形の改革路線の推進ということが私は望ましいというふうに思っております。 さて、これもきょうの新聞に載っておったんですけれども、公共事業の長期計画を減額するという記事が日経にきょう載っておりました。これは、私は大変重要なことだと思うんですけれども、例えば公共投資については、公共事業を一年延ばすというんですか、目標を先に延ばす。それからウルグアイ・ラウンドについても、農業農村整備事業を二兆五千億の減額、これをやる。それから医療関係についても抜本的な見直しをやる。文教予算については教職員に支払う給与などへの補助金をカットする。それから約一万人の整理をするというふうに、かなり具体的にそういうことが総理の指針として示されたということが書いてあるんです。 私はこれを見てちょっとびっくりというか唖然というかしたんですけれども、こういうふうなお考え、総理、お持ちでございましょうか。また、そういうお示しをなさいましたでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいまの記事をけさ私も読みまして、ここにおります私以外に私がいるんだろうか、そしてそのどこか別にいる私はその記事を報道された社の方に果たしてそのようなお話でもしたのだろうか。よくキツネにつままれたという形容詞がございますが、まさにキツネにつままれたような感じで、私が考えていると称することを初めて紙の上で私はけさ拝読をいたしました。
○小島慶三君 安心しました。 もう一つ私が今度の予算に賛成できないという理由の一つには、一方では国民負担の増加、一方ではまだ公債の依存度がそれほど目立って減らないというふうなこと。それから、総理が聖域なしということでやっておられるいろんな部門の切り込みというものがかなり私は不足ではないかというふうなことで賛成しないと申し上げてきたんです。この記事のとおりであれば、これは何か山崎政調会長あたりは一〇%の削減をする意向であるということがこれに書いてあるんですけれども、そういう方向で今度の予算のもう一遍の見直しということがいただけるならば、実行段階でも結構ですけれども、私はそういう方向はひとつ大いにやっていただきたいとは思っております。 もともと私が今度の予算について私案として出しましたのは、一律各省五%の支出カットということを申し上げました。それから、公共事業を中心とする各部門のカット、これも提言をいたした。だから、そういうことがございますので、こういうふうな形で思い切っていろんな局面に見直されるというなら、私は大変結構でございます。 それで一番問題は、私そういったふうな局面でいろいろ見ていきますと、公共事業というものの考え方が一つあると思っているんです。この新聞では公共事業に対して増加しろ、あるいは減らせという議論は半々であるということが出ております。日経の調査ですね。だから、恐らくこれは両論あるんだと思います。 私は、この前、沓掛先生の御質問の中にありましたように、公共事業というのは二つの面があると。一つは需要効果である、それから一つは生産力効果である、そういうものを両方見て議論しなければいけないというお話がありました。私もそのとおりだと実は思います。 ただ、現実の問題として公共事業による乗数効果というのは確かに減ってきております。これは大蔵省のデータですけれども、かつては乗数効果は二・四七であった。それが今は一・三一に下がっているということで、あるいは最近はもうちょっと下がっているかと思いますけれども。それで、そういうふうになってきたからこの前の三年間、四年間の補正予算が実らなかった、成長につながらなかった、公共事業の何十兆という支出が成長につながらなかったということがあると。. じゃ、どうしてそうなるんだろうかといろいろ考えてみると、一つは従来の公共事業をやっておったときと比べて産業構造が変わってきております。重化学工業から加工型とかサービス型とか、そういう構造になってきている、これが一つ。それからもう一つは、地価が上がってきている、これが一つ。それから三番目には、やはり内外のコスト差というものが響いているかと思うんですが、これは輸入の弾性値をかなり変える要因になっています。だから、国内の需要にならないで海外の需要になったということが一つあると思うんです。確かにそういう点で最近は公共事業の効果というものが薄らいできておりますので、これは私は大幅に見直す必要があるというふうに思っておるわけです。 それで、いろんな実態的な公共事業の面を見ましても、例えば河川の三面張りとか、河川の直線化であるとか、あるいは海岸の過剰なテトラポットであるとか、それから完成しても車の通らないトンネルであるとか、あるいは目的のはっきりしないダムであるとか、そういうふうに見直すべき点がもう随所にあると思うのでございます。ですから、公共事業一般論とは別に、そういう個別のプロジェクトを十分にじっくりと議論をして見直すという必要があるかと思うのでございます。 これは各省にまたがりますし、また大きな資源配分の問題でもございますので、これもひとつ恐縮ですが、総理からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、議員が指摘をされたことを全面的に否定するものではございません。確かに、公共投資の乗数効果というものが昔に比べますと長期的に多少低下が見られる、これは御指摘のとおりだと思います。そして今後、社会資本の整備が我が国の中で進めば進むほど、その効果が少しずつ下がっていくということも、これは事実としてそのとおりだと思うんです。 ただ、それでは我が国が今後公共投資を必要としないかと、これは極論でありますけれども、必要としないかといえば我々はまだ社会資本整備というものに対して努力をしなければならない部分を持っております。そして、本格的な高齢化社会というものの到来を控えて、今のうちにできるだけの整備をしておくべき、そう思われるものも当然のことながらございます。 そして、それは俗に言われるような巨大プロジェクトだ、やれ箱物だという話とは別に、国民の暮らしの質を守るという意味からも、生活の環境の質を変えるという意味で必要とする投資があることは議員も決して私は否定されないと思うんです。言いかえれば、国民が真に豊かさを実感できると、そういった視点から本当に必要な公共投資というものを重点的、効率的に進めていく、そうした姿勢が必要だというその御指摘は私はそのとおりだと思います。 同時に、その公共事業を施行するに当たって、当然のことながら投資効果が少しでも早く発現いたしますように工期の短縮を図って効率的な施行を担保する、そうした努力を必要とすることもまた御指摘のとおりであります。平成九年度予算につきましても、例えば道路なら道路の中を見ていただきますと、高規格幹線道路が思い切って延びているといったことにお気づきをいただけると思うのでありますが、そうした集中的に投資を行う、事業箇所をできるだけ大幅に絞り込む、そして投資効果の観点から事業の見直しを行う、そうした努力を進めていることも御理解がいただけると思うのであります。 それと同時に、もう一つの視点で、ややもいたしますと公共投資あるいは公共事業が大変何かよくないという議論がこのごろ極端に出ております。そしてその中で、余り論じられておりませんのが雇用率について、これがどの程度の影響を果たしたかという視点でございましょう。今日なお失業率三・三、我が国としてはかつてない高水準の失業者を抱えているわけであります。一時期よりは多少緩和されたといいますものの、なおこれが厳しい状況であることは間違いがありません。 そして、公共事業における雇用の創出効果というものは議員もよく御承知のとおりでありまして、必ずしもこれが私は望ましいことばかりだとは決して申し上げるつもりはありませんけれども、現在の雇用情勢の中において、ここで吸収している労働人口というもの、雇用者数というもの、これはやはり考えの中の一つのポイントとしてとらえておくべき部分だと思います。 そうしたことを考えてまいりますと、私どもはこれからむしろ財政構造全体を見直していく中で公共事業というものもそれこそ聖域としない、そうした中できちんとした位置づけを改めてしていく。しかし、それは公共事業だけを取り上げて悪者扱いをするということではありません。これからの日本に必要な公共事業というものはやはり存在するわけでありますし、そうしたことも頭の中に置きながら、歳出全体を見直す努力の一環として、当然のことながら公共事業もその中の範疇にある、今私はそう申し上げてお答えにかえたいと思います。
○小島慶三君 ありがとうございました。私は、今の総理の公共事業に対する御見解に全く賛成でございます。 それで、やはり我々が公共事業等を考える場合に考えなきゃならぬのは、一つは効率化ということ、どれだけ効率的にそれが行われるか。それからもう一つは、民間投資に連動するのかしないのか、これが一つだろうと思うんです。それから三番目には、やっぱり環境の問題です。公共事業は単なる環境破壊になるという話も随分聞いております。実は私個人のことでございますが、全国に三十三の小島塾というのを持っておりまして、ここからいろんな話が来るんですが、公共事業に関する問題が非常に多いんですね。だから、この点はやっぱりいろいろ考えてみなければならないと思っておりますけれども、そういうことをいろいろチェックする。しかも、総理のお話のように、その全体のシェアの中でこれを検討するということが大変重要かと思っております。 私は、今のような財政状況になってまいりまして、これから大いにこの変革が行われるわけでありますが、この中で、ニューフィスカルポリシーというか、新しい財政プランというか、新しい資源配分というか、そういうことが非常に大きな意味を持っていると思うのでございます。だから、ぜひこの点はひとつ今後いろいろ推進をしていただきたいというふうに思います。 それから、これはちょっと角度が違うのでございますが、聖域なしの見方の中で一つ私が気になっておりますのはODAの問題でございます。これは外務大臣に教えていただきたいと思うんです。 日本は、対外的な問題として防衛というのはまた非常に重要であり、第二の冷戦とも言われる時期に今来ていると思うんですね。だから、防衛に関しては私は余り削れということは言わないのでありますが、一面、ODAというものについては、果たして日本がこれだけのウエートを持ってODAの仕事をやっていくべきなのか、やっていっていいのか。日本は、世界の最高レベルの負担を持っておりますから、こういうことで果たしていいのか。アメリカよりも大きいというふうなODA負担というものは果たしてこれでいいのか。これは少し見直していただきたいなという感じがするわけであります。 そういう素人論でございますが、この点をひとつ外務大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) まず、我が国のODAがそんなに大きいか、そしてまた現在聖域になっているかという点から申し上げたいと存じますけれども、確かにここのところ、先進諸国のいわゆる援助疲れという現象の中で我が国は着実に実行してまいりましたので、実額、絶対額においては現在世界で一番大きくなっております。 しかし、これを例えばGNP比で見ますと、我が国の場合は〇・三を切って〇・二八ぐらいだと思いましたけれども、これはG7の諸国の中で、たしか米国、イタリアは〇・一台でございますけれども、あとの諸国は、フランス、カナダあたりは〇・五とか〇・四台でございますし、ドイツ、イギリスあたりも我が国よりも上を行っているわけでございまして、それだけの費用負担をしているわけでございます。それから、委員も御高承のことでございますが、指数を見る場合に、贈与の比率がどうだ、グラントエレメントがどうだという見方がございますが、それで見ますと、OECD加盟国の中で我が国は一番最下位にランクされる。つまり、これは円借款あたりがODAの中で大きな比率を占めている、こういうこともあるわけでございますね。 そういった意味で、確かに大きいものではあるが、それが果たして過大なものであるかどうかはいろいろ見方があるということが一つございます。 最近、日本の財政状況の中でODAにつきましても極力圧縮に努めてきたのは御高承のとおりでございます。今お諮りしております予算の中でもいろいろやりまして、昨年は三・五%であったのを防衛費と並び二・一%というふうに抑えてきたのは委員御高承のとおりでございます。ところが、私も二・一だと思っていまして、今ポケットにたまたまありました、あのしぶちんの大蔵省作成の経済指標を見ていましたら、主要経費別の中でODA関係、経済協力費が一・六%になっておるのでございます。 御承知のとおり、一般会計全体の伸びが三・〇%、一般歳出が一・五でございます。そういった中の丁六でございます。確かに、公共事業の一・三よりは高うございますが、防衛費の二・一、あるいは社会福祉や文教・科学技術も、義務的経費があるとはいえ、これは一・八とかなんとかODAよりも上を行っている。決して聖域という扱いにはなっていないというのは御理解いただきたいと思います。それにいたしましても、私ども、将来に向かってこの面でもむだを省き、しっかりやっていかなくちゃいけないと思います。 しかしながら、やはり我が国としてODAというのは大切なものでございます。世界の安定や繁栄に貢献していくという上で、最近PKOとかいろいろございますし、外交努力もしなくてはなりませんけれども、平和立国を目指す我が国からいたしますと、ODAの面での世界の安定あるいは繁栄への努力も必要だと思います。それから、我が国の国益にも資するところだと思います。我が国は貿易立国、世界経済の網の目の中で生きていくしかない国柄でございますし、グローバリゼーションがこれだけ進む中で、ODAを通じて開発途上国が一つ一つテークオフし、そこに新たなマーケットができていくことが我が国にとりましても大切なことだと思います。そういったことだと思います。 しかし、私も決してODA万能とは思いません。そういった経済の面でも、例えば民間の直接投資であるとか、あるいは資本市場を通ずる開発途上国自体や開発途上国のいろんな企業の資本調達というのも大切だと思いますし、さらに言いますと、開発途上国の産品に対して我が国のマーケット、市場がいかに開かれているか、そのマーケットアクセスというものも大切だと思います。 そんなこともいろいろ考えながらやってまいりますけれども、ODAの重要性というものは依然としてあるということはひとつ御理解賜りたいと存じます。
○小島慶三君 ありがとうございました。 もう少し私もODAを勉強したいと思っておりますけれども、ODAというものは果たして相手国の正常な政治経済運営にプラスになっているのかどうかというふうな疑問がいろいろ聞かれるわけでございます。 例えば環境破壊。非常に大きな環境破壊になっているような日本のODA予算であるとか、向こうの独裁的な政府の支援にしかならないとか、悪いことを言う人がいろいろいるわけでございまして、こういう点はやっぱり批判を受けないように日本としては考える必要があるかと思います。せっかく金を出して批判されたのでは何にもならないというふうに思います。今、外務大臣からるるお話のございましたようなODAの効果といったようなものについても、私もこれからもうちょっと勉強するつもりでありますが、何しろ世界の財政力からして、今先進国に比べて第七位か第八位でございましょうから、それに身分相応なというか、そういうふうな予算を組んでも決しておかしくはないというふうに私は思っております。 後追いになりますけれども、これを申し上げておきたいと思います。 それから、私は、行財政改革についての非常に思い上がった私案というのを幾つか持っておるんですけれども、これはちょっと時間がないと思いますので次の集中審議のときに回させていただきたいと思うんですが、筋だけ申しますとこういうことでございます。 一つは、今後の財政改革の進め方として、最初に平成九年ありきということだと思いますので、これは政府の方でも、さっき新聞に誤報として出たようないろんな動きもあるようでございますから、これを私は十分に頼りにしたいと思っております。ただ、私どもは民主党とポツでつながっておりますので民主党の立場も申し上げますと、民主党としてはぜひ今の予算から三兆円ほどの切り込みをお願いしたい、あるいは四兆円でしたか切り込みをお願いしたい。修正という形でお願いしたはずでありますが、これはちょっと成功いたしませんで衆議院を通ってしまいました。 参議院でもどう考えるかという問題がありますけれども、これは、私がさっき申し上げましたような今年度予算についての私の私案から申しますと、一律五%のカットで約四十兆の支出の二兆ぐらいになりますかね。それから、医療費については薬価の引き下げというふうなことで、ODAはちょっと計算しませんでしたけれども、これで二兆ぐらい下げられる。そうすると、公共事業で一兆ということで、三兆ぐらいのカットは何とかお願いできないものかということでございました。 しかし、これをもう二遍私どもがここで要求しましてもちょっとごまめの歯ぎしりのようなものでございますから、これはそういう希望があるということで今後の検討をお願いしたいし、それから実行予算が組まれてから後の削減ということもいろいろ私どもは大変関心を持っておりますので、そういうものは早目にお示しいただけばそれなりのことはあるというふうに思っておりますのですが、これをちょっと申し上げておきたいと思います。 ことしの予算はそういうことであれしたいんですけれども、次の来年度予算までには、私はできれば財政投融資、特殊法人の支出についての意見というのをぜひ申し上げたいと思っております。 私がかつて松永安左衛門の下におりましたときに電力の再編成というものをやりまして、国営事業から公益事業、民間企業になりました。それで九分割をいたしまして、恐らく戦後の改革でも一番これはメリットがあったんではないか。もちろん一方では三倍の値上げをいたしましたから、松永は、おれは殺されてもいいと言ってやったんですけれども、三倍の値上げをしたからあれができたんです。それによって七千七百億の電源開発をやり、そして今の電気のこういった事情ができ上がったと思っております。 そういう意味において私は民営化信者でございます。これはかつてサッチャーがやった改革路線の一番の柱でもございましたし、この民営化の線というのをできるだけ特殊法人の整理についても取り入れたい。何しろ今の特殊法人のウエートの大きさというのは、八十八法人、そして政府からの金だけでも、一般会計からだけでも四十数兆、特別会計、補助金、いろいろなものを加えると大変な金額でございます。殊に特別会計に通ずる者から見ますと、全体で三百五十六兆という運用資金を持ってやっておられます。これは私は資本主義なんというものじゃないと思うんです。官僚資本主義だと思うんです。官僚がそれだけの金を壟断するという形になっているのが今の財投ではないか。 非常に厳しい生意気なことを申しますけれども、これは徹底的に廃止するものと、それから民営化するものと、それから統合するものと、それから存続するものと、四つの区分に分けてぜひひとつ整理を断行していただきたいというふうに思うのでございます。これはあるいはもう総理のスケジュールの中に入っているかもしれませんが、こういった財投の改革についてはどのような手順でお考えか、もしお聞かせいただければありがたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 財政投融資のあり方というものは今までもしばしば本院を初め議論されてきたところです。 ちょうど私が大蔵大臣在任中にも、郵貯の新たな商品設定に対し民間金融機関が結束して反対という動きの出たときがありました。そのとき私は率直に民間金融機関の皆さんに、問題は、確かにあなた方のおっしゃることはわかるんだけれども、例えば市街地再開発のように長期間を要し低利で固定した資金が必要な仕事を民間金融機関は一体どれぐらいの条件なら応じてくれるんですかということをお尋ねしました。 ここでその中身をお答えとして申し上げることは控えますけれども、財投によって行っておりますこうした事業の状況に比べて到底引き合うものではないお返事がその当時返ってまいりました。そしてそのとき、それではやはり財投の原資を確保する努力を我々政府としてはしないわけにいきませんよということを申し上げたのですが、まさに御議論のありますように、財投というものは我々はこれからも議論をしていかなければなりません。 そして、その入り口というところが何だとなりますと、これは郵貯であり簡易保険であり、現時点におきましてはまだ年金の積立金もございます。私は、この郵便貯金、簡易保険を含めましてこれが国民の暮らしの中に非常に定着してきた制度であること、殊に地方の例えば過疎地でありますとかそうしたところにおきましても、大都市の真ん中におけると同じサービスが享受できるという非常に身近な性格を持っていることも認めます。 しかし同時に、民間にできることは民間にゆだねるべきだという議論があることも事実でありますし、今行政改革というテーマを掲げましてから、民でできることは民へという声は一層強くなっておることもまた事実です。これは、この事業だけに限りません。いずれにしても、国そして民間の役割分担の中でどこまでを考えるべきか、これは我々も一生懸命に考え、議論をいたすことでありますが、国会におかれても十分な御論議をいただかなければならない問題の一つだと私は思います。 また、その出口として特殊法人、あるいは殊に今の議員の御論議からいくなら政府系の金融機関というものの問題が指摘をされたと思います。私は、その政府系の金融機関が行っている政策金融というものが非常に大切なものであるということを痛感いたしましたのは、阪神・淡路大震災の復旧から復興にかけての初動の時点での資金の手当てでございました。しかし、実はその部分もむしろ民間の方がその後の対応は早かったという実感も持っております。ですから、政策的な意義が非常に高い、しかし収益性は低い、そして投資回収期間が非常に長くなるような事業というものに、民間金融だけでは対応できないこうした部分に長期の資金を供給するかという課題は一つあると私は思っております。そして、財政投融資というものの役割はまさにこういう部分にあるんじゃないでしょうか。 そして同時に、これは前回、村山内閣時代に特殊法人を議論いたしましたとき、政府系金融機関を民営化するという場合の、もちろん利点もございますけれども問題点。それは、当然のことながら民営化されれば収益性を高めなきゃならない。そうすると、それは当然ながら株主への利益の還元ということになるわけでありますが、同時に政府系金融機関という立場を失います、民間になるということから。資金調達コストが全然上がってくる。そうすると、今の特殊法人として生存しております政策金融機関と全く違うものになってしまうんではないかという点でございました。 私は、いずれにいたしましても、こうした問題点があることを十分にお互いに認識した上で、こうした問題を新たな政策課題ととらえながら、政策の必要性の薄くなったもの、あるいは民間金融機関として十分対応できるという部分については除外していく、こうした視点で出口の部分も見ていかなければならないと思います。そして、その入りと出を考えます以上、その中間点である資金運用のあり方というものを当然議論していく必要がある課題と、そのように現在考えております。
○小島慶三君 大変御丁寧なお答えで、ありがとうございました。 この特殊法人の整理という問題を私は第二のステップと名づけておりますけれども、平成九年が第一のステップであれば、これは第二のステップということで、政府機関の整理の前にぜひおやりをいただきたいというふうに思うんです。 最後の第三ステップ、これは平成十一年の予算に絡んでくると私は思うんですけれども、この第三ステップについては、世間でもういろんな案が出ております。これも新聞の引用によりますと、総理はエージェンシー案というものをお考えいただいているということで、これはたしかサッチャーが一九八八年にやりましたやつだと思うんです。私は、できればこのエージェンシーということでなくて、これだと役所の出先にすぎないということで場合によっては水膨れの危険もありますし、これもできるだけエージェンシー化でなくて民営化ということが望ましいと思うのでございますが、もう時間もございませんので、これを最後の御質問にしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先日、他の議員からこの問題について御質問をいただきましたとき、ちょうど昭和五十六年の春にサッチャー政権が行政改革を始めました。日本も土光臨調と言われる第二臨調が動きました直後、各国の行政改革に対する調査に参りましたときの経験をお話し申し上げたことがございます。 と申しますのは、その時点で私、イギリスは後のエージェンシー化という方向を考えていたと思います。ところが、イギリス側と議論をいたしまして、イギリス側が非常に私に執拗に質問してきましたのは、実は日本の特殊法人だったわけです。彼らは非常に特殊法人の仕組みに関心を持っておりました。 そして、やはり慣習法、不文法の国、必ずしも成文法だけではない。私はエージェンシー化というものをイギリスらしいやり方だなと後に思いましたけれども、まさに公務員である。公務員でありながら企画立案部門、政策立案部門と執行部門を分離する。そしてその執行部門の方に対して業績でありますとか収支等の目標を求める。そして財務管理、人事管理などの面でそのかわり大幅に裁量権を渡す。そしてその能率をよくさせる。非常に彼ららしい発想だと私は思います。 ただ、それぞれの国がそれぞれの国の制度を持っておるわけでありますから、必ずしも慣習法であり不文法の世界を持たない日本、いわば成文法の国である日本がこれをそのまま移しかえてうまくいくかというなら私は問題はあると思います。ただ、こうした非常に大胆な発想というもの、これは検討の価値がある、そして十分私は検討に値するものだと、そうは考えております。 ただ、その時点ではイギリス側はむしろこの構想よりも日本の特殊法人というものに非常に関心を示しまして、その次に参りましたときには、国鉄の分割・民営ということに対して、できないという議論を向こうは真剣にいたしました。後でわかりましたのは、日本のように地域で分割するのではない。イギリスが当時考えておりましたのは線区別の案だったようでありまして、それだけに収支採算性がどうやってもバランスしない。結局そのままになったようでありますけれども、発想の違いというのはそれぞれやはりその国の歴史の中にあると思います。 ですから、私はこれは参考になる意見だと本当に思います。発想として十分勉強する価値があると思っていますが、それをそのまま移すことで日本がうまくいくとは必ずしも限らない、それは御指摘のとおりだと思います。
○小島慶三君 終わります。
○委員長(大河原太一郎君) 以上で小島慶三君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(大河原太一郎君) 次に、阿部正俊君の質疑を行います。阿部正俊君。
○阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。 私できょうは最後のようでございます。最後といいますのはどうも余り有利な条件じゃございませんで、朝から皆さんお疲れでございましょうし、どうもおまえ早く終われというふうなお顔が見えそうな気もしますのですけれども、これから財政再建と社会保障の問題について触れさせていただきます。まさに辛抱する時代がこれからじゃないかと思いますので、きょうの予算委員会もどうかひとつ最後の時間まで御辛抱をいただきたいということをお願い申し上げておきます。 その前に、先ほど有力閣僚の方から、質問をもっとわかりやすく要領よくやれと、こういう御指摘をいただきました。きょう私の質問も全閣僚というわけにいきませんのであらかじめ申し上げておきますが、総理とそれから大蔵大臣と厚生大臣、最後に通産大臣と科学技術庁長官に御質問申し上げますが、その他の閣僚の方々もできますれば、おめめはともかくお耳だけはどうかひとつおかしいただきまして、御関心を持っていただければなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 きょう私、御質問申し上げますが、議事録を見ますと、ちょうど一年前この参議院の予算委員会でほぼ同じようなテーマ、財政再建と社会保障の問題について総理以下に質疑をさせていただいたことを覚えております。まさに当時はいわゆる住専国会でございまして、今議事録を見ますと、参議院予算委員会で私やりましたのが四月二十三日でございました。いろんな事情で、補正予算、暫定予算でおくれた結果だと思いますけれども、ちょうど本予算でございました。そこで私が、余り触れられてなかったんじゃないかと思いますけれども、あえて住専ではなくて財政再建問題に触れさせていただいたつもりでございました。 議事録を拝見してみますと、そのときに現橋本総理から、財政についてもいろんな方々から意見を聞かなきゃいかぬということがあるので、必ずしも一つの審議会等々にこだわらずに、一まとめにした審議会というふうなことあたりを通じて論議を始めていきたいというふうなお話があったようでございます。はっきり覚えております。 それからちょうど一年たちました。状況が大きく変わってきているし、具体的な目標についても徐々に明らかになってきているんじゃないかなというふうに思います。始める前に、橋本総理のこの一年間のいわば取り組んでこられました、あるいは火だるまになってもやり遂げるというふうな御決意まで、私、かつてそばにおつき合いさせていただいた者からしますと悲壮とも思える言葉すら吐かれて取り組まれておるんじゃないかなと思います。 この一年間を振り返りまして、総理としての考えというものを最初にお聞かせいただければ幸いに思います。お願いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員の御質問を伺いながら、改めて昨年の四月二十三日の議事録を振り返っておりました。 そのとき、議員から、各省から独立をした財政再建委員会というようなものを考えてはどうかという御指摘をいただきました。そして、それに対して私は、むしろ関係する審議会が幾つもあるので、その審議会の壁を越えて議論をしてもらうことを工夫したいというお答えを申し上げました。 その後、これまで社会保障、文教あるいは農水、地方自治関係、それぞれの審議会と財政制度審議会の間で懇談の機会が設けられて、それぞれの立場から財政構造改革などの問題についての有意義な意見交換が行われているというのは、私は、ちょうど議員にお答えを申し上げたそのお約束は果たしてきたと、今振り返っても思います。 しかし同時に、改めてそのやりとりを振り返りましたとき、その時点でそれぞれに山積している課題一つずつには目が行きながら、全体を束ねて考えるというだけのゆとりが当時の私にはなかったな、改めてそのように思います。そして今、政府、与党一体になりまして財政構造改革会議をスタートさせ、その中でかんかんがくがくの論議を交わしております中で、なぜもっと早くこういうものを考えなかったかなという思いがしないではありません。 しかし、次年度予算編成を考えますときに、この夏に行われる概算要求がそのスタートにならなければならない。そのためには概算要求のルールをつくること自体が非常に大きな課題であり、同時に財政構造改革の二段目のダッシュに向かう。そう考えますと、それほどの時間の余裕があるわけではありません。それだけに、我々も全力を尽くしますけれども、院におかれましてもぜひ党派の壁を越えたこの国の将来に向けての御協力を賜りたい、心から願う次第であります。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 それで、総理、財政構造改革には痛みを伴うということをよく言われます。そのとおりだろうと思います。予算の削減あるいは伸びの抑制というものが必然だろうと思いますけれども、特に一般会計の中で大きな位置を占める公共事業と社会保障というものがどうしても中心になるだろうと思うのでございますが、それの状況といいましょうか、簡単に政府委員の方から御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(小村武君) 平成九年度におきます一般歳出に占める公共事業関係費及び社会保障関係費の予算額とシェアを申し上げますと、公共事業関係費は八兆六千百六十二億円、一般歳出に占める割合は一九・七%、社会保障関係費は十四兆五千五百一億円で三三・二%、約三分の一を占めております。
○阿部正俊君 というぐあいに大変大きなウエートを占めるわけでございますけれども、そうした公共事業と社会保障の改革というのはどうしても必然だろうと思うのでございます。 これについて国民に痛みとなるということを訴えることが必要だと思うんですけれども、この辺について、財政改革の当面の責任者である大蔵大臣、どんなふうな訴え方をされますか。もう一度お願い申し上げます。
○国務大臣(三塚博君) その前に、阿部議員、一点、先ほどの小島議員との関係でサマーズさんの会談のところ、確認をする意味で、三十秒ぐらいですからお許しください。委員長、よろしく。
○委員長(大河原太一郎君) はい。
○国務大臣(三塚博君) 先ほどサマーズ副長官との会談についての答弁で若干不明確で誤解を生じ得る可能性があるものがありましたので、ここに明確にさせていただきたいと存じます。 百二十五円というレベルについては、二月四日、G7の直前に百二十五円近くまで行ったという事実を述べただけでございまして、先般の副長官との会談におきまして為替の特定レベルについて話し合ったわけではございませんので、念のため確認をさせていただくということであります。 それでは、阿部議員にお答えを申し上げますが、平成九年度における公共事業予算については、現下の景気情勢、我が国の財政事情や社会経済事情、社会資本の整備水準等を総合的に考えることといたし、七年ぶりに前年度と実質的に同水準と抑制的なものにとどめたところでございます。しかし、内容は重点的、効率的な配分ということになりました。 さらに、社会保障関係費でございますが、医療保険制度改革を行い、医療保険制度の安定的運営を図るとともに、二十一世紀において効率的かつ適切な医療を提供できますようにいたしますため、構造改革の第一歩を踏み出したところであります。今回の医療保険改革の速やかな実現がぜひとも必要であると考えるところであります。 こうした結果、平成九年度予算におきましては四・三兆に上る公債減額を実現するなど、財政赤字の縮減の第一歩を踏み出すことができました。なお、公債残額が二百五十四兆円に上っており、その元利払いが財政の圧迫要因でありますことは御承知のとおりであります。 こんな点を踏まえまして、構造改革、五改革がありますが、財政構造改革に全力を尽くすということであります。 具体的には政府・与党の財政構造改革会議におきまして審議を行っておるところでありまして、この会議の議論を踏まえながら、社会保障関係及び文教・科学費、公共事業関係、あらゆる歳出の全般的な見直しを進めるということであります。そのために概算要求段階から一層厳しい抑制に取り組むなど歳出削減に努力してまいる所存と、こういうことであります。
○阿部正俊君 政治家の一年生でございますので、大大先輩に申し上げるのは失礼でございますけれども、どうも国民という立場からしますと、ああやっぱりしんどいんだな、我々は我慢していかなきゃいかぬのだなというふうな気持ちは、ちょっと今の答弁じゃ起きないんじゃないかなという気がします。皆さん、どうでしょうか。(「そうだ、そのとおりだ」と呼ぶ者あり)そう思います。 だから、総理、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、痛みを伴うといいますのは、やはりプラスの、そこを通り越せばさらにいいことがあるから痛みに耐えられるんじゃないですか。痛みに耐えるというのは、痛いから我慢しろというのじゃだめだと思うんです。 何のためにやるのか、財政再建。将来の日本の国、私は子供たちだと思いますけれども、昔、長嶋茂雄がジャイアンツをやめるときに、ジャイアンツは不滅だと言いましたけれども、日本の国というものの将来を考えますと、子孫に美田を買わず、南洲さんが言ったものがありますけれども、借金だけ残して自分たちが今食べているというのが現実だと思うんです。 これから先どうするかとなりますと、ここを越えればこういうふうなことでやるんだよ、もっと人のためにやるとかあるいは新しい次元を目指していくんだよというふうな理念を持った財政改革であるべきだというふうに私は思います。これは数字だけではなくて、私はいわば情感の問題ではないかというふうに思います。 そういう意味で、総理の、将来の、未来の国民、未来の子供たち、総理もお子さん五人でございまして、お孫さんも御誕生され大変おめでとうございます。お孫さんどころかその子供さんたちが払う借金でございます。そういうふうな視点からの訴えるお言葉をちょうだいしたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変難しい切り口の御質問ですけれども、どこまでできるか私なりにやってみたいと思います。 というのは、九年度予算をまず実は見ていただきたい。そうすると、国債費という項目があります。ここには十六兆八千億円というお金が計上されています。そして、その国債費というのは、あなた方の世代、あるいはもっと先までかもしれない子供や孫の時代からいわば借金をしている、その国債の元利払い、むしろ利払いなんです。今国の税収というのは五十七兆八千億円と見込まれていますけれども、この状況の中で、既にせっかく国民からいただいた税金のうち約三割に近いものがその借金の元利払いになっちゃっているんです。だけれども、我々はそんな状態をこれ以上続けちゃいけないと本当に思うんです。 そして、そこで長々とした説明をする気はないけれども、少なくともことしの予算、国債費を除く歳出を皆さんからちょうだいできる税収などの範囲でとめましたけれども、それでも実はまだあと十六兆七千億円借金をふやさざるを得なかったんです。そうすると、借金の額はなおふえちゃうんです。 そして、今逆にこのままの仕組みを全く変えないで残していくとすると、経済審議会という審議会が、二〇二五年には、皆さんが払ってくれる国税、地方税、そして社会保険の保険料、これを足すと皆さんの収入の半分を上回る、そして財政赤字という借金の分まで加えれば、皆さんから収入の七割以上を負担してもらっても今以上に中身をよくすることができないんですと。しかし、そんなことをやって本当にいいんだろうか。しかも、そのときには日本の経済はめちゃくちゃになっていますから、皆さんに背負ってもらう借金だけではなくて国際収支も大変な赤字になる。双子の赤字という言葉がかつてアメリカに対して使われたけれども、その双子の赤字を我々は抱えちゃうんですと。 だけれども、今責任を持つ大人の世代の我々が本当にそんなことをやることが許されるだろうか。少なくとも、君たちにバトンを渡すときにこれ以上借金をふやした姿でこの国を我々は渡したくない。そのために今みんなに協力を求めている。しかも、財政構造改革というのはまさに負担の話なんだから、ここから明るい話を引っ張り出せと。 言いかえれば、将来税金は安くなるだろうとか保険料は減るだろうとか、そんな甘い話はできないけれども、財政構造改革をやっていこうとすれば、それに合わせて経済の構造も変える、産業の構造も変わる。そうすればそこに新しい仕事も生まれてくる。新しい夢を追うチャンスもふえてくる。その厳しい財政の中でも、私たちは将来に向けての我々の財産にもなる科学技術、研究開発に対する投資はできるだけ行って、一方では規制緩和を進める。そしてそこに新しい仕事が生まれてくるチャンスをつくっていく。そして君たちが夢を追っかけられるような、夢を追っかけるだけじゃなくて、実現可能性のあるようなそんな国にしてバトンを渡すから、今はみんな力をかしてちょうだい、私でありましたらそのように申し上げると思います。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 国債というのは、建設国債にしろいわゆる赤字国債にしろ、言ってみれば六十年年賦の借金という形になっているはずでございますが、それは六十年後の子供たちの増税といいましょうか、税を担保にした借金だということになるわけでございます。したがって、結局払うのは、失礼ながら私も含めまして、今三百何十兆円という国の借金の大半の部分は私どもではなくてここにいない子供たちが払うことになるんではないか、こう思うわけですね。だから、それに対してどういう展望ある国を語りかけるのか、こういう姿になりますよということを私は政治の原点として申し上げにゃいかぬのじゃないかなと。大変だから何とかしょうやじゃなくて、将来のここにいない子供たちに対してどういうふうに言えるか、私はそういう政治であってほしいものだなと、こんなふうに思います。 そういう意味で、私は、いわばここにいる人は聞きませんから、未来の日本国民へのメッセージというものを、一度総理にそんな機会をつくっていただきまして、語る機会を、テレビ演説その他でやっていただく機会をぜひつくっていただきたい。 そういう未来があるからこそ私どもが耐えられるんではないでしょうか。私どものお互いの利害調整の中から新しい建設というのはどうもなかなか生まれにくいんではないのか、未来があるから耐えられるというふうな発想で語っていくことがこれから必要なのじゃないかなと。 非常に抽象的な話でございますけれども、こんなふうに思っておりますので、総理もできましたら一言お願いしたいし、あるいは今でなくて結構でございます、将来そういうことをぜひ大蔵大臣ともども御相談いただいて、未来の国民に対するメッセージというものを私は伝えてもらいたいものだなと、こんなふうに思いますけれども、何かお答えございましたら一言お願いできればと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員とは随分長い交友になります。そして、世代間同居を何とかして復活しようとした時期、あるいは世代間同居に対する志向がまだまだこの国で強かったが既に核家族化が進行していた時期からいつの間にか随分長い時間が過ぎました。 その当時我々が考えていた基礎的な数字は今すっかり変わりました。高齢化のピークにおいて、それこそ六十五歳以上人口が二〇に達するか達しないかで大激論をしていた時期がついこの間あったわけでありますから、今六十五歳以上人口の占めるウエートを考えると全く状況は変わっております。しかも、少子化の特殊出生率の数字も当時議論をしていたころの数字とは大幅に変化をいたしましたし、しかも悪化をいたしました。それだけに状況が厳しいことは言うまでもありません。 しかし、私は、今申し上げたような状況の中で、高齢化がピークになる時代においても本当に国民負担率、その時代の皆さんの収入から半分以上税金や保険料を徴収しないで済むぎりぎりまでは持っていきたいと思います。 議員からは明るい展望と言われました。現在の国民負担率が三八%前後にあることを考えれば、ピーク時における五〇%に満たないという数字自体が負担をふやしていただかなければならないということであり、明るいものではないのかもしれません。しかし、現在を放置すればその状況は全く負担のできるものではない。国民負担率が七〇%を超えるという状況になるわけでありますから、せめてそこまで悪化をさせないためにも五〇%以内の国民負担率でピーク時においても済むように、今ぎりぎりの目標として我々はそれだけのことはやりたい、私はそう思います。
○阿部正俊君 あるいはちょっと言葉足らずだったかもしれませんけれども、私は明るい展望という言葉よりも、そういう意味では負担が減るとか、あるいはいわゆる懐がふえるとか、あるいは取られる分が減るとかいうことを申し上げているつもりはないんです。 将来への歩みというものを示すこと、つまりもうちょっと負担を出してもいいかもしれません、あるいは懐が小さくならざるを得ないかもしれません、それでもいいと僕は思うんです。でも、ただ我慢するというだけじゃなくてやはり展望を持っていきたいな、そういう意味でございますので、どうかそういうふうにお受け取りいただければなと、こんなふうに思います。 そういう意味で申しますと、いわゆる厚生行政の一環としてエンゼルプランというふうな話があるとか、いわゆる少子化対策というようなものが行われていますけれども、私は、少子化対策の一番の眼目は、どうも借金を残さないことが一番大事な少子化対策になるんじゃないかなという気もするわけでございます。 片や百億、二百億、三百億ということを追加してやっても、数兆円の借金をまた別途回すのでは、これは本当に少子化対策なのかなという気も正直するわけなんで、私は、そういう意味でも財政再建というのは、ただ単なる日本の経済をあるいは財政を均衡させるというだけではなくて、日本の未来がかかった対応すべき一つの重大課題なのではないのかな、こんなふうに思います。 そういう中で、一番のウエートを占めます社会保障の中で、きょうは特に医療保険の問題をちょっと取り上げさせていただきますので、ぜひ厚生大臣、よろしくお願い申し上げます。 私も厚生省に三十年間勤めさせていただきました。働かせていただきましたが、そういう立場からしますと、何だおまえと言われるかもしれませんけれども、できるだけ客観的な立場からちょっとお尋ね申し上げてみたいと思います。 一つは、今回改正案が提案されていますが、言ってみれば財政対策だと思います。でも、財政対策だけで済むわけではないだろう、むしろ医療保険制度全体がある意味での社会の変化と相当ずれてきているというのがやはり現実にあるのではないのかなと思いますので、まず議論の始まる前に、一番初めに、今回の財政対策法案として出ている改正案と、医療保険全体の改正といいましょうか改革といいましょうか、というものの関係について、一言大臣から御答弁いただければと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) きょうは阿部議員から大事な点を指摘していただきまして、感銘深く伺っていました。 この財政状況は大変深刻な状況であります。医療保険制度を安定的に運営していかなきゃならない。今回の医療保険制度改革におきましても、経済の動向がどうあれ今後医療費はますますふえていきます。今若い世代よりも高齢者の医療費は五倍近くかかっております。そういう中において、これからますます高齢者がふえる、その医療改革をどうやって進めていくかという中で、今回は総合的な改革の中で段階的にまず喫緊の財政を安定させていこうということで、高齢者に今までの負担よりも多く御負担をいただくという形で具体的な案を出しているわけであります。 もちろん、これだけでいいとは思っておりません。多くの方々が言われているように、単なる財政安定対策でなくて構造改革をせよと。例えば診療報酬改定はどうなのか、薬価基準はどうなのか、あるいは医療提供体制はどうなのか、こういう問題に踏み込めと、当然であります。 今与党内でも協議していただきまして、この三月末までに一つの基本的な構造改革案を出したいということで今精力的に取り組んでいただいておりますが、厚生省としても今回出している改定案は、いかに抜本的な構造改革の案が出ても、これ以下の負担はあり得ない、私は最小限度の患者に負担をお願いする案だと思っております。構造改革が出る前にこの案を引っ込めたとしても、構造改革案が出たとしても、今の程度の御負担はお願いしなきゃ医療財政は安定しません。 口では言います、孫子の代にツケを残すなと。そう言っていながら、現実にはこれをカットしちやいかぬ、あれをカットしちやいかぬという声が多いのも事実であります。医療保険なんか典型的な例であります。じゃ、今これを放置する、だれが負担するんですか。となると、結局また若い世代により多くの保険料を負担していただかなきゃならない。あるいは、何もやるなと言ったらまた赤字国債、また若い人が赤字国債で面倒見なきゃならないというぎりぎりの選択でまずは今回の案を提起したわけでありまして、これからは我々は避けて通れない。どうやって、給付と医療サービスの負担を税で面倒見る場合、社会保険料で若い人に負担してもらう場合、企業にどれだけ負担してもらうか、さらに実際の患者に負担してもらうか。 そういう中でむだを省いていくためには、医師の皆さんにも協力いただく、それから製薬会社にも協力いただく、いろいろ各方面の御意見をいただいて、できるだけ安定的に医療保険財政を運営していきたいということで今回改革案を出したわけでありまして、その点総合的に見ながらこの医療保険改革を進めていかないと、単なる医療保険だけの問題で済まされない問題が橋本内閣の私は課題だと思います。御理解いただきたいと思います。
○阿部正俊君 そのとおりだと思います。ありがとうございました。 それで、日本においては医療というものと医療保険というのは非常に裏表みたいに今まで考えられ過ぎてきたような嫌いが私は感じられます。したがって、それは医療保険だけが医療のすべてではないという意味で、最近、医療経済研究機構というところが国民総医療支出というふうな概念を出してまいりました。国民医療費はその中の一部でございますけれども、その辺の国民医療費と国民総医療支出との関係と概要について、簡単に政府委員の方からひとつお答え願いたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 最近、国民総医療支出という概念で医療経済研究機構、これは財団法人でありますが、ここが発表しております。 これは、一つには検診とか人間ドックとかそういった予防あるいは健康管理の費用、それからまた正常分娩とかあるいは歯科の自由診療分、それからまた特別な療養環境の部屋に入るとかそういったことに伴う費用、こういったものが現在は国民医療費といった場合には入れておりません。まず、こういったものも医療にかかる費用ということで入れるべきであるというのが一つございます。 それからまた、医療機関の運営費に対する補助金等が出ているわけでありますけれども、こういった医療機関に対する公的な助成、この部分も国民医療費の中には入っていないわけでありますが、こういったものも入れるべきである。 それから三点目には、医療保険制度を動かす上におけるいわゆる事務費というものがかかるわけでありますが、こういった事務費についてもやはりこれは医療制度を動かすコストとして入れるべきであるということで、こういった三つの分野についても従来の国民医療費に新たにプラスすべきである。 こういうような考え方でありまして、従来の国民医療費というような観点で計算したものに対しまして大体二〇%から二五%ぐらいふえるであろう、このような計算をしているわけであります。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 つまり、どっちかというと今までの国民総生産から見ると小さかった医療費というのは医療保険でほぼ一〇〇%賄ってきたと思うんです。これから先どうするのかというのは、医療保険というのはいろんな意味でやはりある種の統制経済でございます。それですべてをカバーしていくのが日本の将来にとって本当にいいのかどうなのかということを、あるいは今までタブーだったかもしれません、でもそろそろ私は考えていかなければいかぬことじゃないかな、こんなふうな気がするわけです。 昨年のこの予算委員会の議事録で振り返ってみますと、総理はこういうことを言っておられます。私もそれと似たようなことを御主張申し上げたんですが、それにお答えいただきまして、総理のお言葉ですが、「例えば今の医療保険の仕組みが保険診療と自由診療の二者択一になっている。この考え方を本当に捨ててもらいたい。基礎部分は公費で、その上にそれぞれの自己責任による選択で私保険、民間保険を組み合わせることを私はもう認めてもいいということを数年前から言い続けてまいりました。」、こんなふうな御発言がございます。 この中で「公費」というのは、これはいわゆる国庫負担だけではなくて保険というものを含めてのことだと思うんですね。コストとして払うんじゃなくて、だれかが払ってくれる分、こういうことだと思うんですけれども、それから見ますと、どうも今の日本というのはまだまだ今回の財政対策も含めまして医療保険と医療というのが一体になった形で全部賄うという前提に立って物を考えているのではないかな、この辺そろそろ考え方を変えていくべきじゃないかな、こんなふうな気がします。 医療全体のコスト、政府委員が今言われたように、医療全体というのは国民医療費、保険で賄っている部分に加えて二割なり三割が膨らんでいるわけです。これから先どういうふうな方向に持っていこうとしているのか、その辺の基本的な方向性といいましょうか、高齢化も進みます、全体が膨らむのか減らすのか、どういうふうに保険が対応するのか、その辺の関係について、大臣、あるいは補足的にあれば政府委員からでも結構でございますので、御答弁いただければと思います。
○政府委員(高木俊明君) まさに委員御指摘のとおり、これから医療費全体が膨らんでまいります。そういった中で、どこの部分を公的な医療保険で負担し、どこから先をそれぞれ私的な負担なりというふうな形でいくのか、これはまさに公的医療保険の守備範囲をどういうふうにしていくのかということと全く裏腹の関係に立つわけでございます。 全部を公的な医療保険の中で賄っていくということになれば、これはやはり国民負担という面では相当大きくなりますし、そこら辺の兼ね合い、それから医療の高度化あるいは国民生活の向上との関係における医療の水準、こういったものとの関係で考えていかなきゃならない問題でありますし、今後この辺のところを国民的な合意を得ながら考えていかなきゃならない課題だというふうに考えております。
○阿部正俊君 それで、例えば同じ医療でも、純粋な意味での医術といいましょうか、医療の医療たるゆえんのところですね。同時に、例えばお薬だとか、あるいは入院した場合のお部屋とか、ルームサービスといいましょうかというような部分があるわけですね。あるいはお食事も当然とりますというような部分とか、あるいはある種のアメニティーアメニティーというのは何か日本ではぜいたくと訳されているようでございますが、違うと思うんです。やはり医療というのは、一つの満足といいましょうか快適性といいましょうか、というものが前提でなきゃいかぬ。その辺については日本は必ずしも世界一流とはちょっと私は言いにくいんじゃないかなと。 大臣、もしよろしければ、今四つの分野に分けましたけれども、その辺について、日本の医術の水準といいましょうか、どんなふうな域にあるのか、それをこれから減らしていくのかふやしていくのか、こういうのを含めてお伺いしておかなければいかぬかなと思いますので、いかがでございましょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 医療は基本的には統制経済です。これ全部自由化はできない。貧富の格差、富める者もそうでない者も適切な医療を受けるというこの権利は保障しなきゃならない。そういう点で統制経済でありますができるだけ自由裁量の分を認めていこうじゃないかという方針で今やっています。 特に今言われた病院の部屋ですね、これは今まできつく、差額の部屋をやるのはもう一割か二割しかできませんよと。それをもうちょっとふやしていいじゃないかと、基本的にはある程度病院経営を考えて。よりいい部屋を望む人もふえてきます。部屋は満室だけれども、高い部屋ならあいていますよと。高い部屋でも入りたいという人にはある程度そういうのを認めてもいいじゃないかと。その分をふやしていったり、基本的にはできるだけ公平にという部分は大事でありますが、同時に、自由裁量的な、もっとよりよい高度のサービスを要求したい、快適さを要求したいという人に対してもそれを提供できるような自由裁量はある程度病院にも認めていいんじゃないかと、そういう方向で進めていきたいと思います。
○阿部正俊君 ありがとうございます。そのとおりではないかなと。その辺相当踏み込んでこれからあり方を考えていきませんと基本的に対応できないんじゃないかなという気がします。 さて、それで一面、今度保険の原点みたいなことを考えてみたいと思うのでございます。 今、科学技術庁長官はちょっとお留守でございますが、私、山形でございます。山形の最土地方に戸沢村という村がございます。近岡先生のお地元でございます。最上川の船下りのいわば起点でございます。できれば一度おいでいただきたいと思いますけれども、そこの船下りのところに大きな塔が建っているんです。何と書いてあるか。国民健康保険発祥の地と書いてあるんです。誇りに思っています。 最土地方は非常に貧しいところです、どっちかというと。近岡先生には大変失礼かもしれませんけれども、そんなに豊かなところじゃありません。そういう中でみんなでお金を出し合いながら、いざというときの医療のために始まったのがいわば組合方式の国民健康保険なんです。今の国民健康保険といいますのは、どっちかといいますと何かお役所の責任みたいになっていますけれども、そうではなくて、お互い助け合って、お互い出し合って、お互いが使うというのが保険の原点でございます。 したがって、そこのところをもう一度思い出してみる必要があるんじゃないか。出す人も受ける人も同じ人。ところが、どうしてか戦後ここしばらく出すのはほかの人、受けるのは私みたいな感覚がどうも国民の中に定着しつつあったんじゃないのかな。これは私らも、あるいは厚生省の役人も責任あるのかもしれませんけれども、どうもその辺をもう一度思い返していただく必要があるんじゃないかな。だれか出す人がいるからこそ受けられるのでございますので、そういう意味で保険の原点というものを私は大事にしたいな。 そういう意味で、私の地元の戸沢村にある大きな塔ですけれども、国民健康保険発祥の地と。そこに実は石の碑がありまして、相扶共済と書いてございます。相扶けともに済むといいましょうか生活する相扶共済、その精神というのはこれからの日本の社会の大事な精神じゃないかな、私はこんなふうに思います。 それだけで終わっちゃってはあれですけれども、どうもそれからすると、私は老人医療というのは保険というのになじみにくいんじゃないかと。これはもう質問しませんから言いますけれども、医療費の高さにしたって普通の人の何倍もかかります。これはそうすると別建てにして、むしろ将来的には介護保険なんかと一緒にして別な仕掛けで構成するというのが保険の思想とはちょっと違った形で本来のあり方なのではないかなという気がしますけれども、こういうふうな考え方について、老人医療についての将来のあり方といいましょうか方向性なりについて御意見がございましたら、厚生大臣、お聞かせいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 保険のあり方、まさに相扶共済だと思うのであります。当然保険に入る方は給付を期待して入るんですけれども、それでは医療保険の場合も、自分は保険を掛けているんだけれども、病気にならなかったら損したと思うでしょうか。保険を掛けても、むしろお医者さんに診てもらったことのない人の方が幸せなわけですね。自分はもう負担しただけ、一切医者に診てもらわない、しかし保険は万が一の場合には掛けてもらう、その気持ちがなかったら保険制度は成り立たないわけであります。 今回の医療保険の問題につきましても、基本的には私は、税がいいか保険がいいかという考え方がいろいろ議論されていますけれども、保険制度を基本にして、年金にしても医療にしても介護にしてもやっていきたい、またその方が国民の理解が得られるんじゃないか。 考えようによっては、社会保険というのは一つの目的税的な考え方ですね。この自分の出す保険というのは強制的だから仕方ないんだけれども、しかしこの医療保険だけに使われるよということであります。消費税を導入するときも目的税なんという議論がありましたけれども、これはもう消費税を目的税にしたら消費税ばかり上がっちゃうからとんでもないという反対がありました。しかし、考えようによっては、保険というのは、自分の払う保険料は目的税、保険だけに使われる、医療だけに使われる、年金だけに使われる、介護だけに使われるということになれば、全体の税、どこに使われる税よりもより理解が得やすいんじゃないかということで、私は今後とも日本の社会保障制度というのは社会保険方式を基本にした方が国民の理解が得やすいと思っております。
○阿部正俊君 時間もなくなってきましたので、非常に中途半端でございますが、もう一つ大事な点は、今の保険というのは一つの枠があるものですから、どうしても自由な医療ということからするとがんじがらめな診療行為みたいなことになりがちなんですね。一定期間になったら金減るよとか、あるいはこれやっちゃいかぬよとか何とかかんとかになっちゃうんですね。 医療というのは本来自由な信頼関係に基づいてやっていくものでしょうから、一方で保険保険の論理というのはある。その接点の組み合わせ方というのはやはり相当工夫を要するところじゃないかな。大臣がおっしゃったように、一面、全部フリーマーケットでいいというわけではございません。同時に、かといってみんなともかく形式的な平等だけを追求していいわけでもないだろう。より豊かな社会の医療のあり方というのを考えながら、自由な医療、豊かな医療ということを考えながら、保険の一定範囲というのを前提にして組み合わせていく。この辺のことにぜひ知恵を出していただきたいものだな、これから先率直な議論をしていただきたいなと思っていることを申し上げておきたいと思います。 そういう意味で、最後に、この辺の問題については本当に多様性の時代あるいは選択の時代と言われます。そういう中で、戦後やってきた医療保険の一律制というものをそろそろ反省しながら、いい医療をどうやって確保していくのかということについての総理の御見解というものをお聞かせいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 直接のお答えになりにくいんですけれども、先ほどから議員と閣僚あるいは政府委員の論議を聞きながら、この問題はやっぱり本当に難しいなと思うんです。 先ほども引用されましたように、私は個人的に以前から保険医療と自由診療の間に当然のことながら私保険の組み合わせがあっていいじゃないかということを言ってきました。しかし、空気は必ずしもそうなりません。何かの工夫が必要だということは今随分広がってきたと思います。そしてもう一つ、この医療の議論をし、また老人医療に議員が論議を広げられた時点で、予防というものを医療保険の中でどこまで取り込むのかということを一つ我々は考えなければならないと思います。 従来から日本の医療保険制度というものの持つ一つの宿命として、病気になってから治すときだけ役に立つ、しかし例えば半健康状態の方がその半健康状態から疾病状態に移らないように、いわば予防医学の分野といいますか健康管理の分野で努力をする部分に保険の給付がほとんど使えないというのは、これは一つの問題点としてありました。 こうした問題をこれからどう仕組みの中で考えていくんだろう。あるいは、先ほど国保発祥の地のお話がございましたけれども、まさにそうした時代から皆保険に移ったとき、我々の先輩は国民皆保険というすばらしい仕組みをつくられたと思いますけれども、一つ問題であったのは、診療報酬体系というものに対していわば救貧思想の時代につくられた国民健康保険の点数表、それがベースとしてそのまま動いたたためにドクターズフィーとホスピタルフィーというものの概念が全く入らなかった。見かけの医療費と医師の所得とは現実に違う、技術評価というものが入らない。そういうスタートを切りましたために、その後いろいろな工夫をしても必ずしも技術評価というものがうまくいかないという問題を生じました。 先ほど厚生大臣から、これは何だ、統制経済方式だという言葉がありましたが、まさにその統制経済方式であるがために、通常でありましたらばなかなか普通に恩恵に浴しがたい新たな医療技術というものが比較的安易に医療のシステムの中に取り入れられていき、その恩恵に浴せるようになった。こうしたシステムの中には非常によさがあるわけですけれども、問題もあります。 そうすると、議員が今提起をされましたような論点、まさに未来を考えながら、未来の子供たちの世代に夢を与える、冒頭言われました、そうした中で仕組みを用意していく、その場合には現行の制度よりある程度幅の広い視点から我々は問題をとらえなければならないと思います。そのような例示のつもりでドクターズフィー、ホスピタルフィーといったようなところまで広げて、必ずしも議員の意に沿わなかった答えかもしれませんが、私は、夢を持たせるとすればそれだけの幅を持ってこの問題は取り組む必要がある、そのように感じております。
○阿部正俊君 ありがとうございました。大体時間が参りましたので、いろいろ失礼な言葉を使ったかもしれませんけれども、特に大蔵大臣、お許しください。思う心は一緒のつもりでございますので御勘弁いただきたいと思うのでございます。 最後に、けさ方一言触れられましたけれども、国民が大変心配しております動燃の再処理工場の火災と爆発事故について、一日たちましたのでその後の状況等々についてお聞きしたいと思うのでございます。 と申しますのは、原子力政策といいますのは、結果として小さかった大きかったということではなくて、その信頼というものをどういうふうに維持するかというのが非常に大事ではないかなという気がしますので、あえて、まだ一日しかたっていませんけれども、今回の事故の概要と今後の対応、それから動燃の原子力発電所だけではなくて一般の原発にも、廃棄物の固化装置というんですか、あるようでございますけれども、この辺は大丈夫なのかどうなのか、そこの点検は必要なのかどうなのかというあたりについて、科学技術庁長官と通産大臣にちょっと御発言をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。
○政府委員(池田要君) お答え申し上げます。 動燃事業団のアスファルト固化処理施設でございますけれども、昨日の午前中にアスファルト固化処理施設におきまして火災を発生いたしました。このときに従業員の一部に微量ではございますけれども放射性物質を吸入するということが生じました。これがけさまでの間に、そのときに建物の中におったためにその疑いのある者についてはすべて全身を放射線を調べるような検査をいたしてきてございまして、これまでに三十名ほどの従業員の中に微量の放射性物質が取り込まれているということが確認されてございます。ただ、これは法律で定めます基準値の三けた下というようなレベルでございました。一番大きい人でもそういう状態でございました。これが最新の状況でございます。 その後、昨夜八時の段階でこれが爆発をしたわけでございますけれども、そのために窓が破れ、あるいは一時ドアの一部が壊れる等のことがございました。施設の外にも一部放射性物質が漏れた次第でございますが、これにつきましては十一時までの段階にすべて従業員が現場を確認してございまして、それ以降煙も火もないということも確かめてございます。周辺に放射性物質が一部漏れましたところは囲いをつくり、それなりの管理をできるようにしてございます。 なお、この間に敷地の周辺に置いてございます放射線をはかります観測装置ではいずれも放射線の測定値に異常はないということも確かめてございますから、周辺に対する放射性物質の影響は今のところないということを確認している次第でございます。
○国務大臣(佐藤信二君) 通産省といたしましては、本事故に関しましては科技庁並びに動燃事業団の今後の調査というものを注視してまいりますが、当省としては、電力会社の原子力発電所が同様なこうした固化処理施設というものを持っているところもございますので、今朝、原子力発電安全管理課長から各電力会社の安全担当部長の方に電話でもって、そうした施設についてアスファルト固化装置を中心にまず火災等の事故予防の観点から徹底した点検を行えと、それからまた事故時の通報、連絡についてもあわせて再点検するようにと、こういうふうに電力業界の方に指示をしたところでございます。 以上です。
○阿部正俊君 終わります。 ありがとうございました。
○委員長(大河原太一郎君) 以上で阿部正俊君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五分散会