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140回国会参議院1997/05/07

国際問題に関する調査会 第7号

発言数
37
登壇者
11
会派数
4
開催日
1997/05/07

会議録

林田悠紀夫自由民主党

○会長(林田悠紀夫君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。  国際問題に関する調査を議題といたします。  本日は、本調査会のテーマである「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」のうち、我が国の今後の経済協力について政府からの説明聴取、参考人からの意見聴取及びそれに対する質疑を行います。  本日は、参考人として、後ほど見えられる早稲田大学教授西川潤君、経済団体連合会常務理事藤原勝博君に御出席いただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたびは、御多用中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  本日は、忌憚のない御意見を伺い、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、我が国の今後の経済協力について、まず政府から二十分程度説明を聴取し、次いで西川参考人、藤原参考人からそれぞれ三十分程度順次御意見を伺った後、午後五時ごろまでを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず政府から説明を聴取いたします。畠中外務省経済協力局長。

畠中篤外務省経済協力局長

○政府委員(畠中篤君) それでは、お時間を二十分ほどちょうだいいたしまして、我が国の経済協力の現状と今後の方向について簡単に御説明させていただきたいと思います。  我が国の経済協力は、我が国にとりまして外交を実施します上での重要な手段でございます。また、国際貢献の柱でもございます。そういった意味で大変重要な任務を帯びておりますが、まずその現状につきまして、お手元にレジュメとそれから若干の資料を配付させていただいておりますので、適宜これを使いながら御説明をさせていただきたいと思います。  我が国のODAの実績につきましては、最近、九六年の実績が明らかになりました。レジュメに書いてございますが、ドルベースでは九十五億八千万ドル、円ベースでは一兆四百二十五億円、そのGNP比は〇・二一%というのが九六年の実績でございます。  お手元の資料の方の二ページ目をちょっとごらんいただきたいと思いますが、その上の方に、これまでのODAの主要国の実績と日本の実績を比較してありますグラフがございます。ここにございますように、一九九五年までは一番上が日本でございます。九一年以来、世界で一番大きな援助供与国として実績を積み重ねてきております。九五年の段階では百四十五億ドル程度の実績でございます。二番目はフランスの八十五億ドル程度、三番目がドイツ、四番目がアメリカというのが九五年までの実績でございます。その実績が先ほど申し上げましたように、九六年には日本の実績が百四十五億ドル程度から九十五億ドル程度まで下がってまいります。九六年の実績は、各国の実績がまだ出ておりませんので正確に比較はできませんけれども、大体の感じといたしましては、アメリカ、ドイツ、フランスよりちょっと大きいか、かなり近い線まで接近してきておると思います。  ここまで積み上がってまいりましたODAの実績の多くの要因は二つございまして、一つは、これまで特別のシーリングの御配慮をいただきまして予算を伸ばしてこれたことと、それからもう一つは、九五年までは一貫して円高であったということで、特にドルベースでの実績というものが高くなっております。  一ページ目のグラフをちょっとごらんいただきたいと思いますが、棒グラフが円の実績でございます。一兆三千三百五十三億円からずっと、今までの最高は九一年の一兆四千八百四十億円でございます。これをごらんいただきますとおわかりいただけると思います。円の実績では必ずしも右肩上がりでふえてきてはおりませんが、その下にDACレートというのがございまして、この間一貫して円高で推移してまいりましたので、先ほど御説明しましたように九五年まではドルベースでの表示は一貫して右肩上がりで実績を積み重ねてまいりました。  昨年九六年はこれが九十五億ドルぐらいまで下がりましたが、その大きな要因は二つございます。  一つは、ここへ来て円安に振れたということでございます。DACレートを比較いたしますと、九五年が九十四円七銭といったところから九六年は通年で百八円八十二銭まで下がっております。九七年はまだ途中でございますが、現在のレートは大体百二十五円程度までもう一段下がってきております。こういった円安の要素が一三・六%効いております。  それから、ここにお示ししました表でも、実は円ベースでも昨年は実績が下がりました。この円ベースで下がった理由は二つございまして、一つは国際開発金融機関、世銀のIDA、あるいはアジア開発銀行のADFといったようなところに対します出資、拠出が大幅に減りました。減りました理由は、実は増資交渉を各国間でしておりましたけれども、この増資交渉がもめまして一年間まとまりませんでした。そのために、本来であれば三千億円程度の出資、拠出があったものが九六年度はそれができなかった。そこのレジュメに書いてございますが、前年比で二千五百九十五億円これだけで減ったわけでございます。  もう一つの要素は、政府貸し付けの返済がふえた、円借款の返済がふえたということでございます。円借款の返済は前年に比べまして九百五十億円ぐらいふえております。そのりちのマレーシアと韓国から実は繰り上げ弁済がございました、八百億円程度。こういった開発金融機関での増資交渉のおくれ、それから繰り上げ弁済といったような円借款の返済がふえたこと、そういったことがその要因として、結果的には九五年の円ペースが一兆三千八百五十四億円でしたのが一兆四百二十五億円まで下がった。それに一三・五%の円安が加わりまして、ドルベースでは大変大きな落ち込みになったということでございます。  我が国は、現在、ODAの第五次中期目標の達成に向けて努力をしております。九三年から九七年までの実績を七百億円から七百五十億円まで積み上げるという目標でございます。資料の二ページ目の下にちょっとお示ししてございますけれども、九六年までで四年間が終わったことになります。九七年が最後の年でございます。まだ最後の年ですので努力は続けておるわけでございますが、四年間で七百億ドルの最低水準を目標といたしましても、五百億ドル程度積み上がっていますが、最後の一年間で二百億ドルを実施するという必要がございます。これは大変厳しい状況で、先ほど申し上げました円安に今振れている状況の中では、正直に申しますとほぼ達成は難しいかと思います。ただ、ここまでも目標を掲げて努力をしてきておりますので、できるだけ目標値に近い姿にするように実施を早めたりして努力をしておるところでございます。  そういったことで、これまでの五年間あるいは九六年も含めまして六年間世界一という状況かもしれませんが、今後はこの円安の中で日本のODAの絶対値も大きなグループの中の一つの国にはなりますが、九五年に見えましたようなアメリカの倍、あるいは二番目よりも六十億ドルも多いといったような状況ではなくなりつつありまして、九七年以降は円レートがどうなりますか非常にわかりませんので申し上げられませんが、可能性としては一位でなくなる可能性も排除できないような状況でございます。  特に、ODAの量を国際比較いたしますときには、絶対量の比較は、大きな国が量は出せるわけでございますけれども、経済力との関係で比較をすることがもう一つ重要なことでございます。ODAのGNP比でございますが、資料の一ページ目の一番下にお示ししてございますけれども、昨年のGNP比は〇・二一%。実は、ODAの中期目標を掲げまして努力を始めましたのが一九七八年でございます。一九七八年のGNP比は〇・二三でございました。それ以来、かなり長い間〇・三程度を上回ったりあるいは若干下回ったりというところで努力をしてまいりましたけれども、この〇・二一というGNP比は、大変にこれまで歴史上で一番低い数字に残念ながらなってしまったわけであります。  資料の五ページ目をちょっとごらんいただきたいと思いますが、その上の方に、DAC諸国、主要援助国のODA実績の対GNP比を示してございます。これは九五年の実績でございますが、日本は二十一カ国中十五位という実績でございました。仮に、ことし〇・二一というのをここへ持ってまいりますと、各国の数字がわかりませんので正確ではございませんが、アメリカの〇・一、イタリアの〇・一五の手前、十九位ということになります。そういうことで、我が国の国際貢献と申しますか、国際社会からも一番期待されている貢献でございますけれども、そういったものが最近の円安傾向に影響を受けまして、これまでのような大きな姿ではなくなりつつあるというのが現状でございます。  そういう現状ではございますけれども、現在の財政再建の中で、やはりODAについてもこの厳しい財政事情を踏まえまして、量よりも質と。量も必要ではございますけれども、質の充実を一層図っていく必要があるということで外務省も努力をしてきております。  我が国といたしましては、軍事力によります貢献ということは非常に制約があるわけでございますけれども、海外に資源、食糧、そういったものを依存しております我が国としましては、国際社会との関係できちんとした関係を維持していくことが我が国の国益にとっても大変重要なことでございます。そういった意味で、重要性については変わりはないわけでございますけれども、現在の財政再建の中で、その効率を上げ、効果を上げていくということで努力をしていきたいと考えております。  最近、二十一世紀に向けてのODA改革懇談会というものを外務大臣のもとに設置いたしまして、これまでやってまいりましたODAの抜本的な見直しということで、ゼロから見直しをして、惰性に流れているところはないか、効果を上げられるところはないか、そういったことの見直しをして、六月には中間報告を出しまして十一月には最終報告といったことで、その懇談会の報告を受けた上で、外務省といたしましてはこれから三年間ほどをかけまして、具体的に何を変えていくかというアクションプランを出していきたいと考えております。  もちろん、このアクションプランにつきましては、現在ODAを実施しております関係省庁は外務省だけではございませんので、外務省だけでできますところはそれはそれとしてきちんといたしますが、外務省だけではできないところにつきましては、各省の御協力も得ながら具体的に一つ一つできるところから変えていきたい、そう思っております。  東アジアに対しますODAの状況を若干御説明いたしますと、これまでのODAは、歴史的、地理的、政治的、経済的にも非常に密接に関係しておりますアジアを中心に量を出してきております。九五年の実績では、二国間のODA全体の約五四%がアジア向けでございます。特に、東南アジアに対しましては日本の二国間のODA全体の四分の一を出しております。この五四%といいますシェアは、お手元の四ページ目の資料に円グラフでちょっと示してございますが、この真ん中の地域別シェアというところをごらんいただきたいと思いますが、アジアが五四・五ということでございます。  ただこれは、いっとき七〇年代には八〇%程度がアジアに行っておりました。これが次第次第に八五年には六七%、九〇年には六〇%ということでシェアは少しずつ下がってきております。しかし、絶対量としては先ほど申し上げました全体のODAの伸びている中でそれほど減らさずにそのシェアが次第次第に減ってきておる。それを受けまして、アフリカあるいは中東、中南米といったところに対する、特にアフリカに対するその支援は少しずつではございますけれども、じりじりとシェアをふやしてきております。また東西冷戦時代にはありませんでしたいわゆる昔の社会主義国に対する援助も最近は出てきておりまして、それがアジアのシェアを減らしている一つの要因でもございます。  東アジアに対します経済協力は、これらの国が現在世界の成長の中心とまで言われますような開発に成功しておりますけれども、我が国のODAはそういった東アジアの成長を助ける上で大変大きな役割を果たしてきたと思います。同時に、東アジアの開発が進んだということは日本の輸出及び投資の市場を広げてきたわけでございます。また、インドシナあるいは中国、朝鮮半島といったようなところの政治的、経済的な安定、社会的な安定も支えながら、我が国の安全保障上の利益にもつながってきた、そういう面があると思っております。  今後、このアジア地域に対します援助をどういうふうに進めていくかということでございますが、今申し上げましたようなことで旧ASEANの国々はかなり経済開発が進んでまいりまして、シンガポールは日本のODAからはもう卒業をいたしました。それから、タイにつきましても円借款は出ておりますが一我が国の無償資金協力の対象からは卒業してきております。また、まだそこまでは行っておりませんけれども、インドネシアにつきましても次第次第に無償資金協力を卒業できるような水準にまで経済水準が上がりつつございます。まだいつということはわかりませんが、二十一世紀になりましたらそういったようなことも考えられるような状況までなってきております。  そういったことで、旧ASEANの中ではかなり開発が進みましたので、そういったところに対します日本の援助の内容は、当然のことでございますけれども変わってまいります。むしろ円借款から、輸銀あるいは民間資金を活用することによる開発というものが可能になりつつあると思っております。  他方、これまでアジアにありましたけれども、社会主義国であったこともあって日本の援助は余り行っておりませんでしたインドシナ諸国、ベトナム、ラオス、カンボジアといったところは、これからやはり日本のODAで開発を進めていくべき地域ではないかと思っております。さらに、バングラデシュあるいはパキスタン、インドといったような非常に大きなかつ貧困層を抱えたところがございまして、こういったところに対する援助というものはこれまでどおり無償資金協力、円借、それから技術協力を組み合わせた形で進めていく必要があると思っております。  一言で申し上げますと、アジアの開発につきましては、非常に成功したところとそれからかなりまだおくれておるところが一緒になっております。そういうことで、その国の実情に合わせて民活を利用しながらODAと組み合わせながら進めるところ、それからまだまだ無償資金協力を中心としてやっていく貧しいところ、さらには円借を組み合わせられるところ、そういった国によっての状況を踏まえながら、今までのように同じような形の援助ではなくて国情に合わせた援助をしていく必要があると思っております。  それから、それに加えまして、最近の日本での国際化を受けまして、地方公共団体あるいはボランティアの活動といったものが非常に盛んになっております。ベトナムあるいはカンボジアにもかなりのボランティアの方々が活躍しておられますし、インドネシアでも始まっております。そういったボランティア、政府そのものでない人たちの資金、それからノウハウといったものも利用していく余地が非常に出てきておると思っております。  それからもう一つは、これも非常に新しい要素でございますが、先ほど申し上げましたようなASEANの幾つかの国は、自分たちが今まで開発した、ここまで上がってきた知識と経験を踏まえながら、周辺の国を自分たちで援助を始めております。インドシナ半島にASEANの諸国が支援をしたり、あるいは研修生を受け入れたりしております。さらにアフリカの諸国から研修生を受け入れたりしております。  我が国といたしましては、こういったASEANの国々にほかの国を支援する気持ちと力が出てきたのを踏まえまして、日本もそれを奨励する形で、さらにそういった国と組み合わせながら、我々の言葉で申しますと南南協力と申しておりますけれども、南の国が南の国を助ける、そういったものを奨励していくという方向もこれから考えていく非常に意義のあるやり方だと思っております。  そういったような今後の方向性はございますけれども、我々といたしましては、今後変えていかなければいけないということで申し上げますと、質のいい援助をしていきますためには事業費を伸ばすこともさることながら、それをつくっていきます前の事前の調査、それから出しました後の事後の評価、フォローアップというものを今後これまで以上に強めていく必要があると思っております。  さらに、先ほどちょっと申し上げましたが、我が国には三つの形の援助の仕方がございます。有償資金協力、円借でございます、それから無償資金協力、これはグラントで向こうに返済義務を課さないで資金協力をいたす、それから技術協力。今までは国によってどのスキームを使うかということをいろいろ工夫してまいりましたが、それだけではなくて、この三つをうまい形で組み合わせて効果を上げていくということを今後さらにやっていく必要があると思っております。  それから、どこの国もそうでございますけれども、ODAの資金といいますか予算は厳しい状況になっておりますので、援助国の中での協力をスムーズにいたしませんと重複があったりお互いにむだが出たりいたします。そういう意味で援助国同士の協議というものを非常に強くするようになっております。これはバイの援助国のみならず、世銀とか輸銀といった大きな援助機関との協調を進めるという方向も出てきております。  それから、先ほど申し上げました南南協力といったのも新しいやり方でございます。そのほかにも新しい方向といたしましては、地球規模の問題に対応しなければいけない。環境問題が一つそうでございますが、あるいは人口の問題あるいは感染症の問題、そういったような国だけで解決できない、みんなが協力して解決しなければいけない問題というのが新しい援助ニーズとして起こってきております。こういった地球規模の課題は必ずしもアプローチが容易でございませんでして、我々のノウハウも限られておりますけれども、こういったものに対するアプローチもしていかなければいけない。こういった面での資金の手当てあるいは技術のノウハウの蓄積、そういったものも進めていかなければいけないと思っております。  そして最後に、私どもぜひこれをしなければいけないと思っておりますのは、実はおかげさまで五年間あるいは六年間世界一のODAの量を出してまいりましたので、海外での評価というのは非常に高くなっております。これは被援助国であります方が、援助してもらっているわけですから、ありがたがって大統領が出たり閣僚が出たりして、完成式とかいろいろなときには向こうの新聞とかテレビにたくさん出るようになりました。しかし、それのみならず、実は主要援助国側から日本の援助に対する評価は大変高くなっております。  それは一言で申し上げますと、実はアフリカを中心として彼らは援助を長年続けてまいりましたけれども、彼らのやり方では必ずしも開発がうまく進まなかったという反省がございます。それに対して日本の場合には、周辺のアジア諸国が頑張ったこともございますけれども、先ほど申し上げましたような成功例が幾つか出ておりまして、日本のやり方といったものをもう一度見直してみようという機運がございます。  最大の違いは何かと申しますと、日本の場合には相手国の自助努力ということを大変強く言ってまいりました。つまり、自分が開発する自覚と努力がないところに援助をしても甘やかすばかりでなかなか実績が上がらないということが、ようやくと申しますか、欧米諸国の中でも自分たちの援助のやり方の反省として受け取られるようになっております。  昨年、OECDのDACという援助委員会がございますけれども、そこで新しい開発戦略というものを二十一世紀に向けて考えてみようという検討がございました。その中でも、我が国のこれまでの援助の仕方、そういったものを踏まえた、今申し上げました途上国の自助努力を我々は助けるんだというその思想、これが言ってみますと世界的に認知をされたということでございます。ほかにもいろいろ新しい戦略について議論がございますけれども、そういったことで先進援助国の中でも日本の援助というものは大変評価されておりますが、問題は、日本の国民一人一人にそういった評価をされているということを知っていただいていないということが最大の問題でございます。これは私どもの怠慢という面もあろうかと思いますが、正直に申しましてメディアにそういうニュースを流しましても、いい方の話というのはなかなか載せていただけません。  そして援助は、正直に申しますと、途上国でいたしますのでなかなか日本でやるほど効率が上がりません。例えば経済状況が急に向こうが悪くなって途中で作業がとまってしまったり、政変で作業がとまってしまったりといったようなことでむだ遣いもたくさんございます。そういった面はたくさん新聞に出ますので、一般の国民のイメージとしては何となくODAはむだ遣いが多い、こんなにお金を出していてもという印象が強いと思いますが、その海外での評価と日本国で考えられている感じとの差をいかにして埋められるか、埋める努力をするかということがこれから我々がしなければいけない最大の課題だ、そう思っております。  ちょっと長くなりましたが、一応ここでやめさせていただきまして、あとは御質問がありましたらお答えしたいと思います。

林田悠紀夫自由民主党

○会長(林田悠紀夫君) ありがとうございました。  次に、両参考人に順次御意見をお述べいただきたいと存じます。  それでは、西川参考人からお願いいたします。西川参考人。

西川潤早稲田大学教授

○参考人(西川潤君) お時間をいただきまして三十分くらいで私のお話をさせていただきます。きょう、ちょっと風邪でのどを痛めておりまして、お聞き苦しい点は御容赦ください。  今、日本のODAの現状につきましては畠中局長から大体の概略というものを非常に明快に御説明いただいたと思います。大体そのとおりであるというふうに思います。  非常に大事なことは、ODAの予算の伸びというものがだんだん減ってきておるということは事実でございまして、八八年から九二年までODAは毎年八%の勢いで伸びました。九〇年代は、九三年から九四年が五・六%、それから九五年四%、九六年三・五%、そして九七年度予算が二%というぐあいにだんだん伸び率が減っておるということです。  今日、アメリカ経済が非常に立ち直っておる、これが財政収支の改善を基軸としておるということを見ますと、我が国の公債の状況というものが累積残高で見ますと国民総生産に近い割合になっているということからも、日本では財政収支の再建というものが非常に重要になるということはもう明らかでございます。そうしますと、やはり今後、ODAの量的拡大の時代というものは終わったというふうに考えるべきなので、これからはODAをいかに質的に改善していくか、このことが課題になるかというふうに思います。畠中局長もおっしゃいましたように、どの人もODAを質的に改善しなくちゃいけないということは皆さんおっしゃるわけなので、常識であるというふうに言ってもいいんですけれども、それではどのような形で質的に改善できるのであろうか、この点についてきょうは私の意見を述べさせていただきたいのです。  今日、日本のODAは、やはりこれはすべての国がそうなんですけれども、ODAの始まりの時期、発生の時期以来、今日まで半世紀近くの期間というものがあります。その間に、その時々の状況に応じたODAの型というものが出てまいりまして、そういうものが積み重なったものであるということでございます。  日本のODAの展開につきましてはいろんな考え方がございますけれども、一九五〇年代、いわゆる賠償協力に始まったというふうに言われております。これが六〇年代に入りまして、積極的に円借款を供与して我が国製品の市場を確保する、あるいは資源の開発を行い、そして高度成長のための天然資源を確保する、これが第二期と申しますか六〇年代の高度成長期のODAのパターンであったかと思います。この時期に今日のODA体制の基礎とも言うべき海外経済協力基金、それからJICAの前身としての海外技術協力事業団が設立されたわけでございます。  七〇年代に入りまして、この時期は石油ショックがあり、非常に大きな国際経済秩序の変動というものが起こったわけでございますけれども、この時期に日本はアメリカと競合して東南アジアに非常に積極的に海外投資を進めました。この時期に、したがってODAも海外投資を促進する形で、あるいは直接の投資のためのファイナンスあるいは民間企業が活躍するための経済インフラストラクチャーづくり、こういったことにも向けられたわけでございます。これが第三期というふうに言ってよろしいでしょう。  そして第四期が一九八〇年代。これは第二次石油ショックに続く十年間でございます。ほぼ十年間でございますけれども、この時期は日本の経常収支の非常に大きな黒字というものが累積されまして、これを黒字還流で使うということがODAの場でも言われまして、この時期にいわゆる五年間の中期計画によってODAを倍増していくという量的拡大の時期に入ったわけでございます。この時期は、第四期というふうに私は呼んでおりますけれども、貿易・投資面での市場確保、これは五〇年代の第一期以来のODAの関心事でございましたけれども、市場確保とともに、やはりこの黒字還流を外交的な利益に使うという考え方が出てまいりまして、この時期に同時にDACの場での先進国協調というものが重視されたわけでございます。  それと同時に、やはり日本のODAの中で、これまでどちらかというと片隅にあったと言えば言い過ぎかもしれませんけれども、少なくとも大きな柱にはなっていなかった人道的な関心、あるいは畠中局長がおっしゃいましたようなグローバルな問題への関心というものがだんだん出てきた、それが日本のODAにも入ってきた時期であろうかと思います。  そして、第五期が一九九〇年代でございますけれども、この時期は国際化が進み、グローバルな問題への関心あるいは安全保障問題への関心というものが強まってまいりました。特に東西冷戦体制が崩壊して以来、世界の中で民族紛争あるいは地域的な秩序の形成、そういうものが急速に進みまして、今までのグローバルな秩序というものは、それは東西冷戦体制というフレームワークの中でグローバルという問題が出てきて、そして自由世界を中心とした世界秩序ということが自明の理であったわけでございます。これがそれほど自明の理でなくなりまして、先進国間の競争も激しくなるし、それから各地で東西冷戦のおもしがとれまして民族紛争も非常にふえてきた。こういう時代にやはり安全保障的な関心が強まってきたというふうに思います。  こうした関心を背景として、一九九二年に、局長もおっしゃいましたODA大綱が制定されたわけでございまして、これが現在日本のODAの中に出てきている新しい方向であるかというふうに認識をしております。これが第五期でございます。  今日の日本のODAと言われております政府開発援助は、この第一期から第五期までの積み重ね、進展の中で出てきたいろいろな援助の事業の型が入ってきておる、積み重なってきておる、こういう形になっておるわけでございます。  この第五期に、ODA大綱が制定されると同時に、これまで政府のODA白書の中で余り強調されていなかった問題が強調されるようになりました。これが、例えば九六年度の白書でも主題になっております人間中心型発展という考え方でございます。これも日本では非常に新しい考え方でございますが、これは一九九〇年に国連開発計画の場で初めて人間開発ということが言われまして、それ以来、人間開発を進めるための人間中心型発展あるいは民衆中心型の発展、こういうことが言われるようになったわけでございます。  国連等の場で人間開発ということがなぜ言われるようになったかと申しますと、それはやはりこれまでの経済成長路線と申しますか、先進国は、先進国がたどってきたような経済成長のパターンというものを途上国に移植していけば、途上国は発展していくというふうに考えたんですね。それが、日本の援助の中でもいわゆる箱物援助と言われているように、インフラ、物をどんどんつくっていけば民間企業も行くし、経済も成長し、その恩恵が民衆の社会の下層にも及んでいくであろう、そういうふうに考えてODAを進めてきたというふうに理解しております。  このような経済成長型の、経済成長を重視する発展路線、開発路線というものは、確かにアジアの諸地域で非常に高い経済成長を生み出しました。ただその反面、これはアジアも含めまして世界各地で非常に膨大ないわゆる貧困層、今日、世界の貧困人口というものが十数億になっておるというふうによく言われておりますけれども、この貧困層の増大ですね。それから、この貧困層の増大と関連をして社会の分裂、そしてそれと同時にやはり環境の破壊、これも高成長のアジアでも至るところで環境の破壊というものはもう驚くべきものがございます。このような経済成長を進めるために必要な社会的条件あるいは環境的な条件というものがむしろ壊れてきている。そこから、八〇年代の後半からOECDの開発援助委員会の場で、あるいは国連の場でもそうですけれども、持続可能な開発ということが言われるようになりました。  持続可能な開発というのは、結局、経済成長のために−経済成長は必要です、人間の福祉を実現するために必要なんです。しかし、経済成長を進める中で、そのひずみとしての社会問題あるいは環境問題が悪化していくことは、結局、経済成長そのものに歯どめをかけてしまう。経済成長もうまく進まなくなってしまう。つまり、開発が持続可能でなくなってくるという問題ですね。そこから開発と保全というものを調和したような持続可能な開発が必要であるという考え方が出てまいりまして、これは先ほど畠中局長がおっしゃいましたDACの場での新開発戦略でも、持続可能な開発のための国内戦略を各国で二〇〇五年までにつくりましようと、そういう形で提案をされております。  ですから、そのような経済成長優先策が経済成長そのものをストップしてしまう、こういう問題点です。ここから、開発の目標というものを単なる経済成長に置くのではなくて、経済成長と同時に社会的な発展あるいは人間的な開発、この人間開発というのは教育だとか保健だとか実質所得だとか、そういうところで見るんですけれども、開発の目標というものが変わってきたということでございます。このような国際社会の場での開発目標の転換というものが我が国のODA白書でも受けとめられまして、これが九六年度白書に人間中心型の発展として非常に大きくクローズアップされてきたということでございます。  このように、これまでのODAの展開の歴史の中で、日本のODAは経済的な利益に基づくような、あるいは利益を確保するような援助だというふうな評価があったんですけれども、日本のODAそれ自体も、近年では国際社会の変化と相呼応して、だんだん変わってきておるということでございます。  このような変化というものを踏まえまして、それでは今日のODAの実施体制はどうであるかということを見ますと、これはいわゆる四省庁体制、あるいはODA予算を十九省庁が分け持って使っておる、こういう体制でございます。この体制は、先ほど申しました第二期、第三期に確立をした体制なんです。つまり高度成長期の体制なんです。  この体制の特徴というのは、ビッグプロジェクト、すなわち我が国の国益を考えたような資源開発だとか非常に大きな経済インフラでありますとか、そういうプロジェクトについては四省庁が合議をして決める。これは御承知のように大蔵省、外務省、通産省、経済企画庁、この四者が合議をして決めます。そのほかにさまざまなODAの流れがございますけれども、まず全体としてODAの予算の三分の二というものは大蔵省がコントロールして流しておる。そして、外務省が二、三割、そしてあとの十七省庁が残りをそれぞれ分け持って使っておる、そういう体制になっておるわけです。  ですから、そういう意味ではこの四省庁体制あるいは十九省庁体制と申しますのは、高度成長期に一つの目標を目指して、経済成長を進めるという目標を設定して、この方向に経済成長を誘導しようというときには非常に効率的な体制なんです。しかし、この結果、非常に多くの社会的なひずみあるいは環境的なひずみが出てきておる。それから、十九省庁による予算の流し方によってはかなりオーバーラップしていることもあるし、必ずしも有機的にこれらの予算が使われていない、こういう問題もあります。  私自身もODAのプロジェクトをいろんなところで拝見させていただいておりますけれども、かなりきちんと調査したのは四カ国でございまして、フィリピンは八五、六年にかけて調査をいたしました。それから、中国の特に山東省では、これは黄・渤海経済圏というプロジェクトを組みました。ですから、あの辺のODAプロジェクトは大体知っておるんですが、これは九二、三年にかけて調査をいたしました。それから、最近ではインドでの海外経済協力基金のプロジェクト、有償協力のプロジェクトについて調査をさせていただきました。  それから、タイヘは私はしょっちゅう行っているものですから、よく学生と行くんですけれども、行くたびにODAのプロジェクトに参加させていただきますので、この四カ国についてはある程度先生方の御関心におこたえして、私自身も実際の現場についての意見を申し上げることができるんです。  これらの現場を見てやはり一番思うのは、一つは日本のODAというものは物すごく量が多いんです。だから、特に東南アジアに主として流れていますから、これは確かにビジブルというか、確かに見た目は非常にはっきりしています。  それから、畠中局長もおっしゃったように、やっぱり非常に役に立っているところは役に立っている。明らかにこれは今までと違うと。近代化が進んでおるし、こんなに立派なインフラができた。タイのシャム湾の東海岸の臨海工業プロジェクトなんかも、私もあそこはもう開発以前のころと比べてよく知っておりますけれども、こんなにも違うかと思うぐらいODAによる基礎インフラによって民間企業が出てきて、物すごい変化というものが出てきています。ですから、かなりビジブルなことはビジブルです。  ただ、そういうところもあるんだけれども、同時にかなりばらばらな使い方と申しますか、必ずしも有機的に使われておらない。これは特に局長がおっしゃいました有償協力と無償協力、贈与、それから技術協力、この三者が有機的に使われておるかどうかというと、非常に残念ながらこの四カ国においてこれが有機的に使われている例というのはもう非常に少ない、ごく少ない。特に、山東省なんというのはみんなあるんですよ、これは有償協力も無償も、それから技術協力も。しかし、みんなばらばらでまとまっていないですね。これが有機的に使われたら現地のインパクトも強いし、それから日本とのつながりというものもずっといろんな形でつながれるんじゃないか。  とにかく日本の箱物援助というのは、箱をぽんと建てればあとは撤退してそれで終わり。それはそれで一つの考え方だし、役に立つ面もありますけれども、何か私ども見ていて日本とのつながりが全くなくなってしまう。これでいいんだろうか。その中で役に立っているものもあれば、本当に建ちざらしのものも正直に言ってこれはないわけじゃない。ですから、いろんなものがありますけれども、もう少し無償と有償とそれから技術協力というのは有機的に連携してやったらどうなんだろうと、これを私はいつも思って、局長にもよく申し上げておるんですけれども。  ですから、そういうことを考えますと、今の十九省庁体制、あるいは海外経済協力基金は有償、それからJICAが無償とそれから技術協力という体制がベストなものかどうかということをやはり考えざるを得ないわけでございます。そういう点でもう少し一元的な国際協力体制というものができないものかどうかということなんです。  確かに、こういうことを考えていきますと、もう今の四省庁体制でODAはちゃんと使っておるじゃないか、そして、別に恥ずかしくもなく使えておるじゃないかと。ちゃんとアカウンタブルなリポートも出ておりますし、経済評価の報告もずっと出ております。ですから、これでいいじゃないかという考え方も当然あるわけでございますけれども、この効率優先の体制では社会問題、環境問題は解決してこなかったというのが現実なんですね。  だから、今環境予算が非常にふえておりますけれども、この体制をそのままにして環境予算だけ使うということであれば、今、有明湾であるとかあるいは日本の中の至るところで出てきておるように、お金は使ってもかえってその現地の景観でありますとか自然でありますとか生物の多様性でありますとか、そういうものを壊すことになりかねない。  北海道の二風谷を見てごらんなさいと。あそこなんかもやはり先住民族の非常に大切な聖地だったわけだけれども、ダムをつくるということでそのような非常に貴重な人類の歴史的遺産、そういうものが台なしになってしまう。これは国内でも見られるわけですから、海外でそういうことがないかどうかというと、私自身は残念ながらそのような事例というものを随分いろいろなところで見てきておる、そういうことでございます。  そうしますと、今のODA体制というのは六、七〇年代にできましたから、そのころは国民自身が自分たちの経済的な立場を強めるためにODAを使ってくれ、資源の開発でもそれから市場確保でも使ってくれと、そういうふうに政府に期待した時代だったんでしょうね。その時代のこれは行政体制だということです。ですから今日、ODAの質的な見直しが問題になってきている時点におきましては、当然のことながらこの行政体制それ自体を見直さなければならないということでございます。  それからもう一つ重要なことは、今行革が出てきております。例えば、OECFと輸銀を統合するというのが行革の一つのやり方なんですけれども、これはOECFや輸銀の中でもしばしば笑い話になっておりまして、この両者が統合してどういう利益があるんだ、稟議書が一つ減るんだと、そういう話なんですね。一体こういうことで行革と言えるんだろうかどうだろうか。むしろ、有償協力、つまりODAを担当する海外経済協力基金とビジネスを担当する輸銀とが一緒になることによってむしろODAの経済的インタレストが強まるということは、今出てきているODAの新しい方向、すなわちODA大綱でありますとかあるいは人間中心型の発展、そういう新しい方向にむしろ逆行するのではないかということですね。ですから、私はこのような行革というのは根本的に間違った行革であるというふうに思っております。  これは、ジェトロとそれからアジア経済研究所の統合についても全く同じことが言えまして、ジェトロというのは貿易や投資をプロモートする、促進する機関なんでしょう。アジア経済研究所は通産省の外郭団体ですけれども、きちんとした基礎的な研究の実績というものをずっと積み重ねてきているわけですね。そういうものを統合して一体どういうメリットがあるんだろうかと。やはりこれももう真剣に考えざるを得ないです。  そうすると、畠中局長もおっしゃいましたけれども、これからのODAにおいては個別的なきめ細かい対応というのは必要なんです。そうすると、例えば貧困とか環境とか、分野別もそうです。それから国別についても非常に細かい対応、例えばタイとフィリピン、私はタイではODAというのは随分成功したと思っているんです。ただしかし、フィリピンでは残念ながら成功しているのは正直なところ私自身は余り見ていないんですけれども。何で国によってこんなに違うんだろうかと。それはやはりその国の社会や文化というものをよく研究していないからです。外から持ち込んだプロジェクトが現地で消化できる場合と消化できない場合がやっぱりあるんですよ。ですから、その基礎的な研究が非常に重要なんです。  ですから、これからこの国際協力の場で、経団連さんが提唱なさっている一元的協力体制というのは私も全く賛成なんで、ちょっと経団連さんとはいつもそれほど一致はしていないのであれだけれども、そこのところがきょうは非常に一致しているんですけれども、一元的な協力体制をぜひやっていただきたい。というより、むしろ海外経済協力基金と国際協力事業団とを一緒にするとか、そして外務省の外庁として海外協力庁をつくるとか国際協力庁をつくるとか、そういうふうな援助の一元的体制の中で、アジ研のようなすぐれた研究所というものをぜひこちらとそちらの研究所にくっつけて、そして基礎的な研究というものをきちんとして個別的な対応というものをやっていくべきじゃないか、このように考えております。  ですから、そういう意味で、私自身の考え方は、ODAの質的な改善のためにはやはり今の四省庁あるいは十九省庁のばらばらの協力体制というものを一元的にまとめていく。この十九省庁体制というのは、もう一つ言いかえれば官界と業界との連携体制と申しますか、大体外務省等を除く諸機関におきましては、外務省もそういうところもあるんですけれども、大部分の経済協力費というものがやはり業界団体を通じて流されている、そういうところもございます。ですから、そういう点では一体ODAで食べているのはだれかというような問題も正直なところここにはあるわけなんです。ですから、私はそういうものをまるっきりなくしてしまえということは申しませんけれども、少なくとも有償と無償と技術協力というものを一元化する体制というものは必要であろう。  今日、やはり国民が昔のように物がどんどんふえていればいい、経済成長すればいいという時代じゃないんですね。御承知のように、総理府が国民生活に関するアンケート調査を毎年実施しております。この調査に従えば、昔は物の豊かさが大事だという人が六割以上いた。しかし、もう最近ではそういう人は三割以下に減って、むしろ心の豊かさを重視するという人が四割くらいでトップに来るわけです。ですから、国民の価値観が変わってきているんだと。この国民の価値観が変わった時代に、世の中は世界全体がやはり変わってきておりますから、それに合ったような経済協力体制というものを考えることが日本のODAの質的な改善の前提になるだろう、このように考えております。  そのようなODA体制改革のために重要なことは、ODAというのがやはり行政優位型といいますか行政主導型の体制なんですね。だから、今まで国民の参加度というのは非常に少ないんです。ODA白書を見ますと、国民参加型ODAというふうに書いてありますけれども、どのくらい国民が参加しているんだろうかと。  それで、ドルベースと言わず、円ベースで四分の一ODAが減ったというのは大変なことなんですね、これは。ですから、国民の間では当然これは大変だという声が起こっていいわけなんです。ところが、日本の新聞は載せるんですけれども、大変だなんて一言も出てこないんですね。ですから、減ったという報道はあるけれども、それについてのエモーション、国民的な関心というのが非常に薄いというのが現実じゃないでしょうか。それはやはり国民が今のODAに対してそれほど乗ってきていないといいますか、参加度が少ない、その表現だと思うんです。  ですから、やはりこれからODAは量的な伸びは難しいですから、特にODAの中で新しい方向として出てきている環境とか社会問題につきましては、市民社会と言われているようにNGO、民間セクター、こういうものの参加というものが非常に重要になっております。経団連さんも環境問題とか非常に重視されていらっしゃいます、それは結構なんですけれども。さらに、一般市民がやはりふだんのライフスタイルから考えて余りむだ遣いをしないとか、それから資源を破壊しないとか一そういうことを考えていかないと、世界の中での大資源消費国である日本が次から次へとむだ遣い、資源の使い捨てというものをやっている限りにおいては、幾らODAを使っても世界の環境というものは保全されないということだろうというふうに思うんです。  そういう意味で考えますと、ODAの実施の中でも国民の参加をどのように確保していくか、これが非常に重要なんですが、この国民の参加度が非常に少ない。  それは、外務省の方でもNGOの予算がだんだんふえてきております。ふえてきているのは結構なんですが、全体のODAから見るとごくまだわずかで、諸外国と比べるとその何分の一という水準にとどまっております。その中でもODAの実施に関するNGOの参加は外務省に関しては割と進んできているし、NGOと外務省の定期的な協議というものも進んできております。しかし、ほかの省庁、十九省庁の残りの十八省庁におきましてはNGOというのは一体何だというような形で、業界団体というとすぐわかるんですけれども、NGOというと何にもわからないということで、まだまだほかの省庁での認知度が少ないです。  その典型的な事例として、一九九五年に社会開発サミットというのがございました。これは世界で、局長も今おっしゃいましたけれども、だんだん重要になってきている社会問題、環境問題、こういうものを解決するために、特に社会問題でいうとやはり貧困の増大、失業の増大、それから社会の分裂、こういうことは日本にとっても決して人ごとじゃない話なんです。経済が上向きになったときも失業は全然解消していないわけですね。ですから、これからはむしろそういうものがふえるかもしれない。そういう意味では、社会開発問題というものも日本にとって人ごとじゃないんです。  ですから、社会開発の国内戦略というものをことしの六月に提出するということで外務省でつくっていらっしゃいますけれども、日本の中でこの国内戦略を実施する体制というものができておらないわけです。各省庁の連携会議はあるんですけれども、一元的に実行していく体制、これが整備されていません。ですから、外交問題は外務省、国内問題はほかの省庁ということではなかなかこのような体制の実施というものが難しいということになりますので、この国内戦略の問題一つとりましても、外交と国内の政策との連携というものがおくれているのではないか。これをやっていかないと、国際社会に恥ずかしくないODAの質的な改善、例えばDACの場での新開発戦略の実施、こういうことを進めていくにしても、日本の中でこれを支えていく体制をいかにつくっていくか、これが課題となっていくかと思います。  私の陳述はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

林田悠紀夫自由民主党

○会長(林田悠紀夫君) ありがとうございました。  次に、藤原参考人にお願いいたします。藤原参考人。

藤原勝博経済団体連合会常務理事

○参考人(藤原勝博君) 本日はこの参議院の国際問題に関する調査会にお招きいただきまして、経済界の立場から見た我が国経済協力のあり方につきまして御説明する機会をいただきまして、大変光栄に存じます。  去る四月十五日に経団連では「政府開発援助(ODA)の改革に関するわれわれの考え」と題する意見書を発表いたしました。皆様にお届けしてあるかと存じます。私どもとしましては、昨今の行政改革あるいは財政改革という流れの中で、ODAに関する議論をタイミングよく引き起こしまして、抜本的な改革が実現できればと考えている次第でございます。  本日は、今回私どもが出しましたこの意見書を中心に、経済界の立場から日本のODA、ひいては広く経済協力に関する見解につきまして説明をさせていただきたいと存じます。  途上国の経済開発をめぐる環境は大変大きく変化しております。従来、援助というのは政府あるいは国際機関などの公的資金によって行われるものである、民間部門、民間企業は貿易あるいは投資活動を通じて途上国の経済発展に協力する、こういう考え方が支配的であったかと存じます。しかし、東アジア地域の目覚ましい経済発展でありますとか、あるいは旧社会主義国の市場経済への移行でありますとか、さらには世界的に民営化の動きが大変強くなってきております。こういう状況の中では、従来の官主導で行われてきました援助の世界にも民間企業、民間側の積極的な参画を求める声が非常に高まっていると思います。  私ども経団連で日常的に国際的な活動をしておりますと、大勢の外国のお客さん、それは官の方もございますし政治家の方もございますし、あるいは経済人もあるわけでございますが、こういう方々は口々に日本からは大変援助をもらってありがたいけれども、そういうものでなくて民間企業の直接投資を誘致したい、こういう声が非常に多く出ているところでございます。また、外国へ私どもが行きましていろいろ外国の方と議論するときも、ODAの話ももちろん出ますけれども、それにも増してといいますか、それと同時に民間企業にもっと出てきてもらい、そして投資をし技術移転をし、人材開発に協力してもらいたい、こういう声を聞くことが非常に多くなってきております。  この流れを見てみますと、まず第一に途上国に対する資金の流れ、これが主要援助国は、日本もそうでございますが、今お話ございましたけれども、いわゆる援助疲れということがよく言われます。世界全体で見ますと、この十年間、公的資金の流れは五百六十億ドルから七百億ドルということで一・三倍の伸びでございますけれども、いわゆる民間資金の流れというのは同じ十年間で三百億ドルから千七百億ドルと、五・五倍という著しい伸びを見せております。  それから二番目に強調したいのは、途上国におきましても、これまで公的資金で整備してきております発電所でありますとか道路でありますとか港湾、こういういわゆるインフラストラクチャーを、最近ではこれを民間資金を導入して整備しようといういわゆる民活インフラと言われておりますが、こういう動きがどこの国でも大変活発になってきております。これは、その国々にとりましては債務負担をこれ以上ふやしたくない、あるいは何とか累積債務を軽減したいという途上国一般の願望といいますか、政策によるものであろうと思います。  また第三に、民間部門の経済活動、事業活動を通じて、持続可能な経済発展を目指すというのをどこの国でも考えておるわけです。その場合、開発計画の策定でありますとか、市場経済化でありますとか、あるいは民営化の推進、こういう大きな転換、構造改革につきまして、日本を初めとするいわゆる先進工業国といいますか、先進国の民間企業の知識でありますとか経験あるいはアドバイスを求めておるということも事実でございます。  こうした大きな最近の環境変化に対しまして、経団連では一九九四年に「冷戦後のわが国の国際貢献と経済協力の役割」と題する提言をまとめました。この提言では、官主導のODAのあり方を見直す、また企業とかNGOあるいは学界などから成る民間部門、さらには地方自治体が最近はODAにも大変熱心に参画しておるようでございますが、こういう民間でありますとか地方自治体の役割も拡大して、そして、もちろんその主力は官、中央政府でございますが、官民連携を深めてより効果的な実効のある経済協力に改善していくよう主張したところでございます。  また、国際環境もこういうふうに変わっておりますけれども、国内でも事情は大きく変わってきていると思います。  先ほど局長からもお話がございましたけれども、援助疲れというのが少し日本でも見えてきているかと思います。行財政改革の流れの中で大変右肩上がりの伸びを見せてきましたODA予算も見直しを迫られるようになりまして、今年度の一般会計予算ではわずか二・一%という最低の伸びになりました。また、今後これがどうなるのかと心配な状況でございます。  また、消費税の引き上げ、国民一人一人の税負担意識が大変高まってきております。また、財政再建が急務と言われている中で、なぜ今途上国の支援を、これほど大きな支援をいつまでも続けていかなければならないのかという声も出始めてきているかと思います。また、ODAについての理解も、まだ大部分の方はサポートしておりますけれども、次第にこの税制あるいは財政再建の中で難しくなっているのかなと思っております。  そこで、経団連では昨年から我が国のODAのあり方についてまた再度検討してみよう、こういう新しい状況のもとでということで、会員企業はもちろんでございますが、関係省庁あるいは援助機関の関係者、さらには学者、ジャーナリストなどいろんな方をお招きいたしまして勉強し、このほどこの意見書をまとめたものでございます。  取りまとめに当たりましては、要するに限られた資金、これをいかに効率的に使い途上国を支援していくか、そういう視点から取り上げたものでございます。本当の意味で途上国に評価される援助というのはどうしたらいいのか、こういう議論を随分中でいたしまして、そしてできるだけ具体的な提案をしようということで、今回この提言をつくったわけでございます。  それでは、お手元へお配りした意見書について簡単に御説明をいたしたいと思います。  まず、意見書の前文におきましては、簡単に内外情勢の変化を述べまして、このODAの役割はしかし今後ともますます重要になっていくんだということ、それから同時に、しかしその具体的な推進体制につきましては抜本的な改革が必要であるということを訴えております。  改革の四つの基本的な方向ということで、第一が、ODAの位置づけと政策、執行それぞれの一元化による責任体制の明確化という一つのテーマを掲げております。第二番目が、政府と民間の役割分担、民間の参加拡大という方向です。それから第三が、広範な国民参加による援助の実施ということ。第四の基本方向として、この次にできます次期中期目標の量的な目標設定はこれを廃止してもらいたい、それで、効果的な援助の推進ということにむしろ意を用いるべきではないかという四つの方向を言っております。  特に、中期目標は本年が最終年を迎えるわけでございます。私どもとしましては、一たん七百億ドルとか七百五十億ドルとか、こういう量的目標が設定されますと、その数字を達成すること自体が最優先になるという傾向はどうしても避けられない。そこで、この次の中期目標はむしろその質的な改善に力を入れ、量的金額目標は設定すべきではないのではないかということを言っております。  このような四つの基本的な方向を述べました後、具体的な三つの提言を付しております。  提言の第一は、ODA推進体制の改革でございます。これはもう何度もお話が出ておりますけれども、数多くの関係省庁にまたがる大変複雑になっております推進体制を、援助政策というものを企画立案する省、それからそういう戦略、基本政策に基づいて援助を実施する、執行する機関というものの役割分担を明確にして、そしてそれぞれ一元化して遂行すべきであるということを提言しております。  特に、執行機関としては、ここに書いてございますように、私どもは海外経済協力基金、これは有償の援助をやっておるわけでございますが、それから無償とか技術協力をやっておりますJICA、さらにはODAにかかわる十九省庁のいろいろな部局で執行に当たっておるわけでございますが、そういうものを統合した、仮称でございますが、国際協力庁というものをつくって実施するというのがよろしいのではないかと提言させていただいております。それから、その下にいろいろ細かいことも案として書いてございます。  それから、大きな提言の第二でございますが、これは官と民のパートナーシップということを強く掲げました。民といいますのは、私どもとしては単に経済界だけではなくて、最近だんだんいろいろな分野で活躍を見せておりますNGOでありますとか、あるいは学界の先生方も当然入るかと思います。そういう広い民間の持っております知識でありますとか経験、ノウハウというものを、ODAの世界でもぜひこれを有効に活用すべきであるというのがポイントでございます。  具体的には、五ページでございますが、地域別、国別、あるいはテーマ別にそういう総合的な支援計画を策定する際に、民間も参画させるべきではないかということ。さらには、その二の二で書いてあります個別のプロジェクトにおきましても、それこそ企画立案の段階から実施、さらには事後評価に至る段階に、全プロセスにおいてもっとその民間の資源、民間のリソースを活用すべきではないかということを主張しておるわけでございます。  それから提言の第三でございますが、ここは質の充実ということを考えました場合には、援助をパッケージ化するということを強く主張しております。お二方、さきの局長、西川先生からもお話が出ましたけれども、いろいろな援助の形態があります。有償、無償、技術協力というものをうまく組み合わせて使うべきではないか。あるいは日本が特定国とやる二国間援助というのがございますけれども、いわゆる最近は多国間援助というものも出てきております。  それから、さらにいえばよその国の援助活動と日本の援助活動というものがパッケージになってもよろしいんじゃないかと。あるいは、国際機関の活動と日本のODAとのパッケージ、これはかなりいろいろ進んでおりますけれども、こういうものもさらに強めていくと。また、民間のいわゆる貿易・投資、技術交流等の活動とODAとの有機的な組み合わせというものが、途上国経済の本当の意味での持続的な発展に役立つのではないかということで、こういう援助のパッケージ化ということを強く強調したわけでございます。  最後に、途上国支援につきましては国民の理解と支持が基本でございます。大変大切でございますので、広報活動をより一層推進していくべきであるということも述べておるところでございます。  以上、経団連の意見書の内容を御説明いたしましたが、ODAと経済界との一般的な総論的な関係について一言述べさせていただきたいと思います。  それは、私どもがODAについて意見を申し上げますと、特にマスコミの方なんかにはすぐそういうことを聞かれるのでございますが、経済界は要するに自分の利益のために円借款のタイド化を求めているのではないか、こういう言い方をされることが大変多くございます。私どもとしては大変これを残念に思っております。  確かに円借款のアンタイド化というものは、どんどんこれは国策といいますか、国の政策でこういう方向へ進んでおりますし、世界がそういう方向へ今進んでおります。我が国企業の受注率は年々低下しておりまして、現在では二七%にまで落ちたと。何かごく最近の統計ではこれがまた三三%に若干回復したそうでございますけれども、昔に比べますと大変落ちております。  円借款のアンタイド化につきましては、もう国際的合意のもとで長い間進められてきたものでございます。経済界としても、円借款のタイド化というのを今この時点で蒸し返し主張するというのはもう難しい、そういうふうに考えております。むしろ、公平で透明な競争原理に基づいた国際的な入札制度のもとで国際競争力のある企業が受注するというのが今後の方向ではないか、その中でどうしたらいいのかということを考えていくべき、そういうふうに考えております。  また、ODA全般についてこういう議論をしますと、円借款というのは援助の約四分の一ぐらいといいますか、一つの形態にすぎないわけでございます。したがいまして、私どもとしては、そのタイド化というすぐそこへ結びつけられるのは本当に残念という気持ちを持っております。  我が国の立場としては、要するに資源小国でありますし貿易・投資立国、これはもう間違いない、これからもずっと続くことでございます。それから、国際社会にその存立を大きく依存しておるわけでございます。ODAは、したがいまして引き続き国際貢献を進める上で大変重要な柱の一つでもございますし、民間の貿易・投資活動と相まって途上国の経済発展に貢献する、ひいては我が国の国民的利益を確保するために欠くことのできない手段であるということを強く思い、また強くこの考えを支持しておるわけでございます。  時間がちょっと残っておりますので、今回の意見書に加えまして、経団連が経済協力分野でやっております活動について二、三御紹介させていただければと思います。  時々私ども、この経済協力政策に関して経団連の会員の意見を取りまとめ、意見書を出したりしております。ごく最近では、去年の秋でございますが、「官民連携による途上国への知的支援の推進を求める」という意見書を発表したことがございます。  これは諸外国から、インフラストラクチャーはODA依存というところがあるわけでございますが、その国の民間部門の活性化をしたいという要望を非常に強く受けます。それで、できるだけ民間のビジネスをやった人、人材を受け入れてそれを自分たちの工業化等に役立てたいんだという声が聞こえるものでございますから、そういうことをいろいろ議論いたしまして、私どもとしては、何とか民間企業でビジネスの活動をした人で、ある程度現役を引いた人、しかしまだ元気な方が五十代でも六十代でも今は大変多うございますので、そういう方々の活用ということでございます。  これについていろいろ政府にもお願いをし、訴えたわけでございますが、特に外務省ではこれにこたえていただきまして、我が国の技術協力予算の一環として、民間セクターアドバイザー専門家派遣ということで、今年度からわずかではございますが、全部で十五名の枠をいただきまして民間の人材の派遣を進めるということになりました。そして、案件の発掘でありますとかいうようなことに協力したいということで、現在第一弾として、カンボジアの経済復興を支援するべく、工業団地計画というのがございます。この辺に広く私どもの会員企業の中から本当にこういう会社の人であればという方を推薦していただくようにお願いをして、今その人選を進めているところでございます。  それからもう一つは、ちょっと古くなりますが、経団連では、ODA大綱を日本は今持っておるわけでございますが、この先駆けとなるかと私どもは自負しておりますが、ODA憲章というものの策定を提言したのが一九九〇年でございます。九二年にはODA大綱作成について経団連のいろいろな意見をまとめて出したこともございます。  それから、私ども、欧米諸国や世銀等の国際機関ともいろいろかなりの頻度で政策対話というものをやっております。九四年には相当大がかりにアメリカやカナダへ行きまして、いろんな政府機関でありますとか民間のシンクタンクでありますとか援助関連機関とも話し合いをしております。  この対話を契機として、経団連と世銀グループとの間で今組織的、継続的な協力関係ができるようになりました。九五年の十月それからことしの二月に、二度にわたりまして経団連と世界銀行との年次会合というものを開催いたしまして、一回目は私どもの会長それからウォルフェンソン総裁が出てきました。それで、二回目はフランク専務理事、ナンバーツーの方ですが、日本においでいただきまして、合宿をするような形でいろいろ議論をしたところでございます。  この中で、一つだけ特筆して申し上げたいことは、経団連というか私どもの事務局ではなくて日本の経済界という意味でございますが、それと世界銀行グループとの間で人事交流プログラムというものも今開始しております。  我が国の経済界のいわゆるリソースに何とかそういう国際機関でも働いてもらいたいという、これはもういろんな動きがございました。なかなか難しいのでございますが、世銀との間は、特に新しく総裁になりましたウォルフェンソンさんが民間の経験のある人材をぜひ欲しいという大変強い熱意もございましたのでうまくいきまして、もう第一回の人事交流プログラムを開始しております。日本から三名、特にこれは世銀の要望を受けまして、環境関係の仕事をやっている方を、鉄鋼連盟でありますとか電事連とかそういうところを通じて推薦してもらい、三名を世銀に出しております。それからまた、世銀の方から三名の中堅の方々が来て、日本の企業で、実際の仕事の中で日本のビジネスカルチャーというのを勉強させたいという総裁のお声で、そんなこともしております。  それから、経団連ではもう一つ、JAIDOという日本国際協力機構というものを通じていろんな経済協力活動を推進しております。JAIDOは、我が国の黒字還流策としまして、債務問題に悩む途上国の外貨獲得型の産業振興に資するもの、それを何とか推進したいということで、一九八九年に経団連が政府、OECFの支援を得まして設立しました投資会社でございます。この八年間に合計二十四カ国に対して三十九件の合弁事業への出資を行いまして、途上国への直接投資の呼び水的役割を果たしたいということで今も頑張っております。なかなかこういう開発途上国への投資プロジェクトでございますので苦闘しておるようでございますが、ますますいろんなところからJAIDOによる投資をという声をたくさん聞いております。  以上、経団連の経済協力政策に関する見解と、それから経済協力分野での活動について若干説明させていただきましたが、私どもとしましては、量的拡大から質的拡充という今転機だと思っております。長い間ODAは一方的に拡大してきている中で、当初は大変立派なことでもだんだん時間がたちますと問題点がたまってくる、あるいは非効率な側面も拡大の中で見過ごされてきているというのが現状であると思います。ここで今三つの具体的な提言を申し上げましたけれども、私どもとしては長期的視点に立って今本当の意味での抜本的改革を進めたい、こう考えております。  やはり、政府に任せきりの援助というものではなくて、経済界、学界、NGOという幅広い民間部門がもっと主体的に参画をして、民間のこの活動と政府のOPA活動というのがうまく相互に、有機的な連携と言われますが、そういう結びつきの中で日本の経済協力活動というのが世界にも評価される、こういうところへ持っていきたいと思います。  きょうはこういう大変貴重な機会をいただきありがとうございました。この参議院におきましても、いろいろ私どもの意見を聞いていただきましたけれども、この見直しについていろいろ御議論を展開していただければと強く期待しております。どうもありがとうございました。

林田悠紀夫自由民主党

○会長(林田悠紀夫君) ありがとうございました。  以上で政府からの説明聴取及び参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  前回同様多くの委員が発言を希望されると思いますので、質疑、答弁とも御発言はお一人一回五分以内で簡潔に行うよう御協力をお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 上田でございます。  きょうは外務省の畠中経済協力局長、それから批判的論陣をいつも張っておられる西川早大教授、それから経団連の藤原さんと三人お見えになったので非常に重要な調査会になったと思うんです。  三人の方に幾つか質問させていただきたいんですが、去年からことしにかけて、私もちょっと新聞を整理してみたらODAについての社説から記事から物すごく出ているんですね。いずれも非常に厳しくて、「待ったなしのODA改革」とかずらずらずらずらかなり厳しい。内容についても体制についても、大体日本の言論界が抜本的改革を共通して望んでいるという状況が明らかになったと思うんです。  一つは質の問題で、これはきょう西川先生がおっしゃいましたけれども、経済成長優先策の限界と、そういう経済成長優先策から人間開発へという方向だと思うんですね。だから、例えば円借款中心から贈与中心へということにもなりますし、質の内容としても経済インフラ中心から人間開発中心へという方向だと思うんですけれども、どうも外務省の局長のお話からは、そういう質の変換について、状況の変化に対応しようというお考えはいろいろおっしゃいました。  例えば、無償協力を卒業する国がかなりアジアにも出るとか、そういうことはおっしゃったけれども、本当に主体的に日本のODAの質的内容を、経済インフラ中心からはっきり人間開発中心へという切りかえのお話は余り聞こえなかったんです。日本の場合、経済インフラのシェアが九五年で四四・五%でしょう。DAC平均が一九・五%ですから、御存じのようなデータで二倍以上なんですね。だから、そういう質の内容の意識的な変換を外務省としてはどうお考えになっているかをまず第一点お聞きしたい。  二番目は、経団連の提言にも非常にはっきり出ているんですけれども、一つは中期目標、こういう数値目標はもうやめてくれというのがありましたね。これは新聞記事を見ていますと、日経の四月三日には「政府・与党検討」「ODA中期目標廃止」という大きな記事まで出たんだけれども、これは外務省としては、また政府としてはそういう方向に進んでいるのかどうか、これも一つお伺いしたい。  それから、経団連からは今の縦割り行政の弊害を、きょうは詳しい表もいただきましたけれども、この弊害を改善して、抜本的な改革として一元化ですね、海外協力庁ということで提案が出ているんだけれども、そのお話もきょうはなかったので、よろしかったら個人的意見でもいいですのでお伺いしたいと思います。  以上、局長については二点でございます。  西川参考人には、御存じのような状況なんですけれども、こういう御主張のような方向に抜本的な改善をやっていく上で、このまま行くと、意見はいろいろ出るけれども、どうも若干変化が生まれただけということになりかねないので、こういう時期に国会と政党に何を先生としては強く期待されていらっしゃるのか、そこを率直にお伺いしたいと思います。  それから藤原参考人には、経団連の提言を我々見まして、私は共産党なんだけれども、いや意外なところに援軍があらわれたなという感じがいたしまして、担当しているところでやっぱりそういう十九省庁体制や縦割り行政等々で苦しんでおられる点があるんだなということで、民間企業の代表としてそういう提言をされたことは非常に積極的だと受けとめたんです。  ただ、一つお伺いしたいのは、やはり経団連の場合には企業だから無理もないんですけれども、調査室からいただいた資料を見ますと、経団連の国際協力委員長の熊谷さん、この方も朝日の大きな論文で、結局これからアジアのインフラ整備、これを一番期待されているんですね。「アジア諸国では、インフラ整備の遅れが経済発展を阻害しており、今後十年間で一兆五千億ドルの需要が見込まれている」と。  これは、経団連としては当然そういうことを考えるでしょうけれども、西川教授なんかの言われる経済インフラ中心から人間開発へと、質への転換というのは世論もかなり大きいわけですけれども、そういうことは今回の提言には余り出てこないんですね。専ら民活型のインフラ整備、民と官の協力というところに重点がずっと置かれていまして、そういう人間開発への質への転換という問題意識が余り見られない。したがって、NGOについても一回ちょっと出てくるだけという状況なので、経団連はこの提言をおつくりになるのにいろんな方から御意見を聞いて勉強されたとおっしゃるんですけれども、そういう問題について討議はどうだったのか、このことも率直にお伺いしたいと思います。  以上、三人の方にお願いします。

畠中篤外務省経済協力局長

○政府委員(畠中篤君) それでは、先に御質問がありましたので、順序ですので私からお答えしたいと思います。  質の問題、中期目標の問題、それから一元化の問題というようなことだと思います。質の問題につきましては、冒頭御説明いたしましたように、私どもも大変重要なことだと思います。質と言いますときにはいろんな意味がございますけれども、効率を上げる、例えば経済インフラを実施いたしましても、それが長く使われ役に立つようにというような質の意味、それから今先生が御指摘になりましたような経済インフラから社会インフラといいますか、分野を変えていくような意味での質というお話もあるかと思います。  後者の方で申し上げますと、我が国も経済インフラを随分アジアではつくって、経済のパイを大きくすることによって、その経済のパイが大きくなった中でいろいろな社会問題も、その国が政治といいますか、予算の配分、国内資源の配分というようなことも含めて解決していく。言ってみますと、自助努力の範囲の中でもそういうことが行われることがいいなという感じがございましたけれども、西川先生の御発言の中にもありましたけれども、経済のパイだけを大きくしても、そういった弱者といいますか、取り残されていくようなところについての問題が、環境もそうですけれども、手当てされていかない場合にはある一定のところで大変大きな問題を抱えてしまうということで、社会インフラの方にもかなり配慮をしていかなければいけないということは考えております。  ただ、私どもは、開発を進めますときには、やはりその国の経済成長、経済規模が大きくなるということがなければ基本的には問題の解決にならないと思っておりますので、従来から比べますとそういう配慮をしてまいりますけれども、それでは経済インフラその他、経済の成長を促進するような方をやめて、例えば教育とか医療の面だけを重視していくかと申しますと、そういった意味では二者択一のような形での開発というものは考えておりません。  しかし、これまでの経験と反省、そういったものも踏まえまして、社会インフラのシェアをふやしていく努力をしております。そこの四ページの円グラフの中のセクター別のところには九五年段階で社会開発分野、日本は二六・七%ということになっておりますけれども、数年前と比べますと、八七年には一四・〇%、九〇年には一九・七%ということで次第次第にシェアをふやしてきております。  ここまで申し上げますとちょっと言い過ぎかもしれませんが、実は欧米の国はどちらかといいますと教育、それからそういった貧困を直接助ける、あるいは食糧を与えるといったような分野が中心でございまして、今世銀でもそうですけれども、そちらも重要ですけれども、経済全体を見ながらやっていく必要もあるということで、やはりバランスというものが重要かと思っております。  ただ、日本のこれまでの援助のやり方の中で考えますと、今後ともさらに人間的な面といいますか、社会インフラの面をふやしていく必要があると思っております。例えば、無償だけで社会インフラはしておりませんで、先ほど無償の卒業国に対しましては、経済水準がある一定のところまで来ておりますので円借を出してまいりますけれども、これまでも円借款は経済インフラが中心でございました。しかし、留学生をそれで呼ぶとか、あるいは地方の医療セクターとか環境セクターについて円借款で手当てしていくというようなことで、そういった面で国によっては道具は違いますけれども、社会セクターを重視していくように努めております。  それから、中期目標を……

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ちょっと局長、ODA大綱でも「基本理念」でまず冒頭に人道的見地から書いてあるでしょう。「項目」のところもトップは地球的規模問題の取り組みです。二番目が基礎生活分野、BHNですからね。三番目が人づくり、研究協力。インフラストラクチャーというのは四番目に出てくる。こういう表向きの政府のODA大綱というのはかなりいいものだと我々も評価しているんだけれども、書いてあることと実際やっていることとが違っているんじゃないかと思うんだな。だから抜本的に考え直すことを要請したいと思うんです。

畠中篤外務省経済協力局長

○政府委員(畠中篤君) 申しわけありません。ODAを出していきますときの考え方としては、基本的にはそこのODA大綱にはございますけれども人道的配慮、それから相互依存関係と書いてありますけれども、日本とその国の関係、あるいは国際社会との関係、いろんな意味での相互依存関係があります。実は、人道的配慮というのは非常に大きな要素でございますけれども、やはりこちらの相互依存関係の方も大変大きな要素でございまして、その人道的な問題を解決するに当たっても直接人道的な問題といいますか、医療とか今食べ物のない人を救うといったようなことだけでは長期的な意味での人道的な問題の解決にはならない。  やっぱり、さっき西川先生もおっしゃった持続的な開発といいますか、自分で解決していくようなところまでいきませんと、いつまでたっても人から食糧をもらい、お医者さんを提供され、そして生きていくということになってしまいますので、そこのところはいろんな考え方があると思いますけれども、順序のかけ方はそうかもしれませんが、ぜひ御理解いただきたいと思います。  それから、中期目標の件でございますが、量的な中期目標をつくるということにつきましては、現在の状況で正直申しまして政府としてはまだっくるかつくらないかは決めておりませんが、なかなか難しい状況だとは思います。ただ、先ほど先生がおっしゃいましたように、昨年来世論が非常にODAに対して厳しい、かつ中期目標についてももう必要ないんではないかという御提言も経団連を初めいろいろいただいております。私ども感じておりますのは、一つには今まで中期目標というものを掲げてやってきた非常に大きな効用といいますか、それは世界に対して日本は貢献する意思があるということが非常に明確に見える、そういったものがあってその役割というのは非常に大きかったと思います。  したがいまして、どんな内容の目標がふさわしいかは別にいたしまして、できれば国際社会に対して意思表示ができるような何かがあればいいなという気持ちは変わりませんが、それが量的な中期目標がふさわしいかどうかというのは現在の状況は大変苦しいかもしれません。  ただ、もう一点申し上げたいのは、実は昨年来ずっと御議論がありました環境は、冒頭申し上げましたように九五年の実績が余りにも日本が突出していた。アメリカの倍もODAを出している、一カ国で。そして五年もトップを続けている。それでこれ以上量をふやしても、それ以上余り効果的といいますか、何を訴えるのか、むしろ量より質ではないか、そういう御議論だったと思います。  しかし、ここへ来まして、九六年、九七年、円安になり、量がドルベースで減ってまいります。数年後には、先ほど申し上げましたように、可能性としては日本がトップでない状況も出てくるかと思います。また、経済力との比較ではびりの方になる可能性が出てまいります。そういった中で、やっぱり日本として国際貢献をしていく必要性をもし国民が認めていただけるとすれば、それで十分なのかなという意見は、九五年段階といいますか余りにも突出していた状況と違う状況になりますので、そこは昨年の状況というのはかなり特殊な状況であったのではないかと思っております。  それで、一元化の問題を申させていただきますが、いろんな御議論がありますし、十九省庁いろいろ予算を持っておる。コミュニケーションも悪いし、政策も一貫性がないと。私どもも実は十九省庁といろいろ話をしております。連絡もしております。しかし、今でも十分だとは思っておりません。これからもそれは続けなければいけないと思っております。  ただ一つ、実態として、若干十九省庁というのが象徴的に言われておりますが、実はこの予算の中の九割は大蔵省と文部省と外務省でございます。あとの一割でほかの省庁が技術協力をその範囲でやっております。どういう技術協力かと申しますと、例えば法務省でさえODAをやっております。警察でさえやっております。それは法律制度を相手方に教えたり、裁判制度を教えたり、あるいは警察であれば例えば交番制度を教えたり、そういったようなことを自分の予算をやりくりしながら国際化の中で自分たちの役割を果たすということでやっております。実は、大蔵省は円借款の原資になります一般会計、文部省の場合には留学生でございます。外務省の場合にはJICAとそれから無償協力、この三つが大体九割を持っております。それに対しましても、一割の省庁ともかなりきちんと議論をしていかなければいけない、そう思っております。  一元化の話に戻させていただきますと、もう先生方十分御存じのことで繰り返しになりますけれども、やはり経済協力が持っております日本にとっての意味というものが、ほかの先進国とまた違う意味を持っておると思います。一つには、海外依存度、先ほどから先生方もいろいろ御指摘になりましたけれども、アメリカあるいはフランスその他の国と比べまして、食糧、市場、エネルギー、そういったものの外との依存度は日本は全然違います。  では、外どの関係でいい関係なりスムーズな関係をつくるのにどういう手段があるかと申しますと、ODAが最大の手段でございます。例えば、アメリカもODAの量は少のうございます。それからGNP比も少のうございます。しかし、アメリカがこのぐらいだから日本もこのぐらいでいいということには、そういう意味ではならないと思います。アメリカのいろんな意味での日本と違った国際社会に対して持っておる責任といいますか、果たしておる役割、それから国際社会に依存している程度、そういったものが全然違うと思いますので、やはりODAの役割というのは大変日本にとって大きなものがあると思います。  そういったことを考えてまいりますと、ODAを使いながら、国際社会に貢献をしていきながら日本の国益というものをいかにこれで生かしていくか、維持していくかという点が非常に大きゅうございます。一言で申し上げますと、そういう意味で経済協力は日本にとって大変欧米諸国と違った意味で重要なものがございますので、若干手前みそ、外務省的になりますが、時々刻々と変化いたします国際情勢に対応して、タイムリーにかつ効果的に外交政策の重要な一環として経済協力の政策や方針が決定されるような体制というものは、どうしても維持していく必要があると思っております。  こうした観点から現状を評価してみますれば、申し上げましたように、四省庁体制あるいは十九省庁の協議の中でできるだけコミュニケーションを図るようにしておりますけれども、今後ともまだまだ改善の余地はあると思っております。  ただ、一つ気をつけないといけないと思っておりますのは、もし一元化するというときには、先ほど申し上げましたような外交政策といったようなものが反映されるような体制が必要と思います。ただ、どこまで参りましても、やはり一省庁、あるいは仮に援助庁といたしましても、すべての専門家のリクルート、育成というものはできません。やはり農水省、建設省、運輸省、いろいろなところに専門家はおられますけれども、そういったところの専門家をうまくリクルートして国際社会で活用していくという点は、やはりどこまでいっても必要かと思います。  そういったことで、援助庁をつくることによって屋上屋を重ねるような、重複をまたふやすようなことになってはいけないという感じはしております。  これが、何となく私どもが考えております一元化の考え方でございます。

西川潤早稲田大学教授

○参考人(西川潤君) 私の話の中で、国会と政党の役割、これは非常に大事なことなんですけれども、時間の関係からちょっと簡単にお話ししたところ、上田議員に御指摘いただきましてまことにありがとうございました。  ODA大綱のお話をいたしましたけれども、このODA大綱のことを調べておりまして、これは非常に日本的なユニークな考え方、協力理念だというふうに思うんです。つまり、日本の平和憲法を踏まえた平和外交といいますか、途上国の武器輸出入の動向だとか、大量殺りく兵器の開発の動向だとかあるいは軍事支出の動向など、それから環境とかあるいは人権、民主化、市場経済の動向とか、DACの場でこういうことはずっと議論されておりましたので、そういうものと日本の平和憲法の考え方を結びつけてなかなかうまい大綱だというふうに私は感じておりました。  今回いただきましたこちらの調査会でつくられました資料を拝見しまして非常にびっくりしたんですけれども、参議院の場でずっとこの対外協力についての議論をやっていらっしゃるんですね。その基本理念の考え方が随分ODAの大綱に入っているんだなということがわかりまして、私自身も認識をさらに深めさせていただいたんです。やはり国会や政党の役割というのは、そのような日本の国是にこの対外経済協力が沿っているかどうかということを絶えずチェックしていくことにあると思うんです。ですから、そういう御議論がODA大綱としてやはり新しい時代の協力理念になってきている。これは非常に大事なことだというふうに受けとめております。  私は、今のODAのシステムというものが、国民参加型と言いながら必ずしも国民参加型になっていないんじゃないかということを申し上げましたけれども、本当にODAを国民参加型としていくためには、国民がODAの考え方を十分理解しなきゃならないと思うんです。そのためには国会の場でやはり十分議論をしていただくことが必要です。今日のODA体制の一番大きな問題点というのは、私はお話の中で申し上げましたけれども、行政主導型体制だというところにあります。つまり、国民の参加が非常に限られておるというところなんです。だから、ODAが減っても国民は全然感動しなかったという事実があるんですけれども。  やはり日本のODAというものは、このあたりで理念も含めて大きな転換期にあるということは皆さん一致していらっしゃるわけですから、一つの法律と申しますか国際協力法、私は経団連の提言には九割ぐらいは賛成しているんです。経団連の提案にはなぜか国際協力庁は出てくるんですけれども、国際協力法が出てこないんですね。  ですから、やはりODA体制の一元化のためには国際協力法のような法的な理念をまず確立する。そのために国会で大いに討議をしていただく。私はODAに対してしばしば批判的なことも言いますけれども、基本的には対外経済協力は必要だと。そして、先ほど畠中さんがおっしゃったように現在のODAの役割というものは非常に大事だというふうに考えております。その議論の中で、やはり国民がそういう対外経済協力の役割について十分納得をする。そのためには国際協力法のような法律というものが必要なんじゃないかということを考えております。これも国会や政党の大きな役割ですね。  それから第三に、このODA大綱に示されているような理念を具体的に実施していくのを役所だけに任せるわけにいかないと思います。例えば、環境や人権を重視する。中国で天安門事件が起こった、政府の方では一年間で経済制裁をやめました。アメリカはずっと続けました。そのときにどういう点が人権に沿い、あるいは人権の考え方を尊重し、あるいは人権の考え方を尊重していないのか。これは、今ミャンマーの場でもあらわれているんですけれども、そのようなODAの具体的な実施がODA大綱に沿っているかどうか、これもぜひ国会の場で議論をしていただきたいことなんです。  そして、それと関連して、やはり私ども日本人にとって一番重要なのは、アジアの平和と安定の問題だと思うんです。今日、北朝鮮でやはり内政の非常に大きな問題がありまして、飢餓状況というのが生まれているわけです。その北朝鮮に対して、じゃ我々がどういう人道的な援助をしているんだろうか、これは全くゼロですね。ですから、国会議員の先生方にぜひお願いしたいんです。国会議員の中で非常に勇気のある方があの魚釣島とかああいうところに乗り込まれるわけですね。だれもいないところには大いに行っていただいても結構なんですけれども、やはり人間が飢えているところに行っていただきたい。そして、どういうことが我々にできるのか、そしてそれがアジアの平和と安定にどういうふうに貢献できるのか、そういう点も大いに議論をしていただきたいと思います。  以上でございます。

藤原勝博経済団体連合会常務理事

○参考人(藤原勝博君) アジアを初めとして世界のインフラストラクチャーに対する需要が大変大きい。一兆五千億ドルというのは大変有名な数字でございまして、世銀が積算した数字でございます。この数字はよく言われるわけでございますが、私どもの国際協力委員会の委員長であります熊谷委員長が、一兆五千億ドルと言いましたのは、これは世界全体の話でございます。そして、先生御指摘の人間開発への質への転換というところは少し不足なんじゃないかということでございますが、ちょっと言葉は、人間開発というのは私どもの意見書には全くございませんけれども、人材育成といいますか技術移転といいますか、言葉は出ているところもありますけれども、一つの主流になっておるんです、私どもの議論の。  具体的に申し上げますと、今は日本だけではとても産業活動を続けていくことはできないというグローバル経済の時代でございますから、みんな外へ出ていって仕事をする。日本国内での仕事とのリンケージを考えながら経済活動をしておる、こういうところでございます。そして、外へ行った場合に必ず問題になりますことは、そこのインフラと人材なんでございます。このインフラといいますのはとても普通の企業ベースでできるものではございません。これは相手国の公的な資金でインフラというのと、それから日本のこのODAというのはインフラ整備に大変大きな役割を果たしておりますから、それに対する期待は非常に大きいということでございます。  その中で実際に事業活動をやるときは、人材育成というのが本当に必要だということを経済界は強く感じております。そこで、自前でも皆技能者の育成でありますとか奨学金で大学に何をするとか、そういう形でやっておりますけれども、政府の技術協力あるいは無償というところで、この人材育成に関するところは大きなねらいでございますから、そこにも大いに活躍をしてもらって、この人材不足、人材育成のところに力を入れてもらいたい、これが一つの大きなポイントでございます。  それからもう一つは、このインフラ整備で民活インフラということを私ども何度も強調しておりますが、民活インフラというのはいろんな意味合いがございます。先ほど申し上げましたように、要するに開発途上国ではもう借金はできない、円借はもう借りられないけれども何とか民間の金でやってくれ、こういう資金面での、ある意味では虫がいいといいますか、なかなか難しいわけでございます。資金面での期待というのはあると思いますけれども、もっと実は大事なことは、ぽんと発電所をつくる、ぽんと港をつくるだけでは、その港、発電所は実際は動かないわけですね。そして、いろんな西側の投資が来たりしたら、電気一つにしましても、一々停電するような電気では堅実な経済活動、きちっとした産業活動はできないわけです。そうしますと、要するに発電所からきちんとした質の高い電気を継続的に送る、そのオペレーションといいますか運転といいますか、この辺に対する期待が大変大きい。  これはもうお金だけじゃなくて、まさに民活インフラ、BOTと呼んでおりますが、まずつくってオペレーションをして、ここのところは外国、例えば日本なら日本の企業にやってくれ、十年なり十五年たったらその国ヘトランスファーしてくれと。これが今はやりのといいますか、一番典型的な形でございますが、そのビルド・オペレーションの〇のところで、実に人材開発といいますか、そこのところが大変強調されているところでございます。  したがいまして、私ども先ほど日本の民間企業の人材の活用をと言ったところは、私ども今、専門家派遣ということで年間二千人になんなんとする方々が途上国へたくさん出ております。民間の方も若干おりますけれども、もっとそういう現場の、産業活動をしておるその国の要望にこたえるような人材があるわけでございますから、それをうまくマッチング、結びつけてできるだけ出したいという人材開発の面は私ども非常に強く今意識しておるところでございます。  最後に、私、人間開発という言葉の中に、この間DACで経済開発のいろんな新しい方針というのを決めたときに、いろいろ乳幼児の死亡率を削減するとか、一般教育の諸学校の教育を高めるとか、女性の役割とか、いろんなそういう議論がございました。この辺はもう本当に必要なことでございますが、経団連といいますか経済界は、それはお国としてBHNという、そういう基本的な問題はお任せする、そこまでは私ども確かに論じておりません。  しかし、持続的経済成長とか発展というのは、本当にどんがらの建物があり港が立派でもだめなわけでございます。本当にそこで商売をやる、マーケティングをし、生産をし、質のよい製品をつくる、そういうのが必要でございます。そこのところは私ども大変意識しておりますので、民間の人材活用なんということを今一生懸命言っておるわけでございます。

益田洋介平成会

○益田洋介君 まず最初に、畠中局長にお伺いしたいんです。  いただいた資料の中で非常に興味を引かれたのは、一ページ目の大きな三番目にありますODA改革、これは、二十一世紀に向けて一から見直すつもりで援助のあり方を大胆に改革していくための提言を得る、こういった趣旨で六月の中間報告、そしてことしの十一月には最終報告がまとまるんだということで、非常に楽しみにしているわけでございます。  これは質問といいますか苦言ではないんですが、この十四ページにあります改革懇談会を構成しているメンバー、十人程度ということですが、顔ぶれを見させていただいて、確かにすばらしい方々が参画をいただいているわけでございます。一つ疑問に思いましたのは、例えば実際に海外でODAの作業をするときに、特に人材面での援助あるいは金融面での援助ということですと、銀行ですとか商社の方々、それからプランニングをするコンサルタントの方も入っていないし、経団連の方もやっぱり入っていただいた方がいいんじゃないかという気もします、政治家は呼ばなくてもいいと思いますけれども。  例えばコンサルタントなんというのは、もうアジア関係は大体日本工営とパシコンが一手に引き受けてやっているわけですから、プランニングの段階での御意見もやはり拝聴なさった方がよろしいんじゃないか。商社につきましては、熊谷直彦様というのは物産の会長をされていた方で、社長になる前にロンドンの支店長をされていた。僕も滞在していたころとちょうど軌を一にするわけですけれども、非常に綿密にいろいろな、もちろん海外の経験も豊かな方で、御自分なりのしっかりしたお考えを持っていらっしゃる。こういう方にも御意見をいただいたら、余り多くなり過ぎちゃっても意見がまとまらないということもあるのかもしれないが、ちょっと偏り過ぎていて、その点が残念だなという気がいたしております。  それから、もう一問局長になんですが、常々思っておりますのは、先ほどの局長の発言の中で、国民の皆様になじんでいただいていない、よく実態を知っていただいていないというのはメディアが悪いんだという一方的な決めつけ方をされておりましたが、やはりこの辺はもう少し真摯に経済協力局自体が知恵を絞って、例えばパンフを、余り何ページにもわたっていると皆さんお読みにならないと思いますけれども、実態はこうでこういうことを目指しているんだと。例えば、ODA改革の懇談会があるなんということを知っている人は一人もいらっしゃらないんじゃないかと思いますよ、私も今初めて聞いたんですけれども。  例えば、郵便局とかそういったところへ、これは厚生大臣にお願いして御相談して、厚生大臣の方が郵便行政に関心をお持ちのようですから、郵政大臣よりも。各郵便局に置くとか定期的になさる、こういうふうなパンフを置いてありますよということは、しっかりと放送機関等を通じて言っていただくというふうな努力をされていかないと、やはりお金は出した方がいいだろうというぐらいの認識の方がかなり多いのが現実じゃないかと思いますので、この点ぜひお願いしたいと思います。メディアといいますか、広報に対するお考えを局長、お聞かせ願いたいと思います。  それから西川先生、きょういただいた資料で非常におもしろい記述がございました。これは先生が発表された「トレンド・リポート」、九五年の五月でございます。この二ページ目に、これはNGOに関してですけれども、日本の民間福祉団体は何の動きも示していなかったんだと、社会サミットが開かれる前に。七月の初めに当時の村山総理、河野外務大臣に準備の状況を尋ねたときに、初耳だと言われたと。こういうふうなおもしろい、おもしろいなんて言っちゃ失礼かもしれませんけれども、現実にあったと。だから、経済アニマルという汚名をぬぐうこともできずに孤立してしまうんじゃないだろうかと。NGOの新聞は日本政府の態度を評してトーキョー・イズ・スリーピングと書いていたと。これは実際こういうことがあったんだろうと思います。そういう実態でありますから、盛んに先生は政治家はもっと協力して討議をしろというお話でございますが、まさにそのとおりだというふうに思います。  二つ目の質問でございますけれども、民活インフラについてお伺いしたいんですが、BOTとBOOという二つの方法があると。BOTの方は最後はトランスファーするわけですけれども、BOOは当該政府にでき上がった設備を譲渡しないままでいるという状態だったし、実際に今BOOというのは現実的な対応の仕方じゃないんじゃないかと私は感じているんです。  この辺について先生の御所見をお伺いしたいのと、具体的なBOTの例として先ほど先生は、フィリピン、タイ、特にタイは何度もお出かけになっているんで大体のプロジェクトを御存じでいらっしゃるというお話でした。たしか五、六年前にある日本の建設会社がBOT方式でバンコクに高速道路を建設した、有料道路を。これは途中でとんざした。完成後何か意見の不一致があって、たしかタイ政府の提言している通行料金と。それからトランスファーの前に投下資本を回収しなければいけないわけですね、BOTのプロジェクトを計画した業者が。そうすると、通行料金が思うように許可してもらえないと期間内の回収ができなくなってしまう、そんな事件があったように思いますが、具体的にこれはどういうことだったのか。  BOTを盛んに進めなきゃいけない、民間のインフラとか活力を投入しなきゃいけないという御意見でいらっしゃるのであれば、こういう失敗がやっぱりBOT方式には伴うので、実態は一体どういうことだったか、失敗の原因はどういうことだったか、その辺について御意見があればお伺いしたいと思います。  それから、最後に藤原常務理事ですが、一つは、九六年三月に座談会を開かれている。テーマ座談会「今、なぜ民活インフラか」ということで、ここにもBOT、BOOというのが出ています。ひとつこれは技術的なことでお伺いしたいんですが、リミテッド・リコースという言葉をお使いになって、融資の返済責任を求められないと。これは、法的に若干問題があるんじゃないかというんですけれども、これは今でも使われておるポピュラーなファイナンスの方法かどうかということが一点。  それから、盛んに人材の派遣ということを強調されておりました、民間からの。私はいつも気になっているのは、青年海外協力隊、ボランティアで若い技術者の方々がこうした発展途上国に行って三年なり四年なり協力活動をして帰ってくる。エンジニアの世界というのは、その年代に三年も四年も日進月歩の技術部門から離れて協力活動をしていると、今度日本に帰ってきた場合になかなか就職先もありませんし、それから実際技術的なおくれを取り戻すのは現実的に無理だというような、こういう二点のことがあります。  ですから、これは政府が手を差し伸べるという段階までまだ討論はしておりませんが、経団連として、派遣はいいんですが、要するに受け入れの方が今度問題なわけですから、その受け入れについてどういうふうな姿勢でいらっしゃるのか、あるいはその対策を講じるというふうな意向がおありなのか。実際にこういうことが話し合われたということは聞いておりますが、その辺についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。

畠中篤外務省経済協力局長

○政府委員(畠中篤君) それでは、簡単にお答え申し上げます。  まず、私の、国民の理解を得る努力の点につきまして、若干メディアの責任のような発言であったとしましたら申しわけなかったと思います。私ども、常に海外の情報、ODAの実態をメディアに流すべく努力をしておりますけれども、なかなか記事にならない残念さがちょっと言葉に出過ぎたかもしれませんが、もちろん我々としても今後とも努力を続けていかなければいけないことだと思います。  二つございまして、一つには、情報公開をうんと進めるという面と、それから情報公開を進めても、それを知ってもらうための広報という二つの面があるかと思います。  情報公開の面につきましては、ODA白書とか年次報告とか評価報告書ということで年々充実してきておりまして、ほかの主要ドナー国に比べましても劣らないほどの情報公開はできるようになってきておると思います。今後とも努力はいたしますけれども、むしろ広報の方が問題でございます。  今までの広報の仕方に加えて何ができるか。私どもといたしましては、できるだけ予算をいただきましてテレビを通じてのPR。それから、やらなければいけないと思っておりますのは、学校教育を通じての、実態を教育の面で、教科書とかそういったところで使っていただきたいというようなこととか、先ほど先生お話しいただきましたけれども、どんなチャンネルを通じてどうしたらいいかということについて必ずしも我々も知恵が十分でございません。そういったものをいろんなところの御意見を伺いながらふやしていく努力はしなければいけないと思います。  私どもの悩みは、実は情報公開についてはきちんと説明をしていけば予算がつくわけですけれども、政府の活動についての広報につきましては、例えばテレビで広報をしたいというようなことについてはなかなか予算がつきにくい面がございまして、来年度予算でもこの点について、広報をいかに予算でふやしていけるかということを工夫しながら努力してまいりますけれども、ぜひ御支援をいただきたいと思っております。  それから、ODA懇談会のメンバーにつきましては、御指摘のように、コンサルの方とか商社の方とか、皆さんお入りいただいた方がよかったのかもしれませんけれども、実はODAのいろんなことにつきましては、例えば外務省は定期的にコンサルの皆様方と協議をする場を持っております。それから、政府といたしましても、総理の経協審議会とかいろんなところでも議論されております。  そういったこともありまして、限られた人数で限られた時間の中で効率的に議論をしていただくということもありまして、一応こういうメンバーになりましたけれども、その点についてはいろいろなお考えがあるかと思いますが、なるべく広く御意見を伺ってまいりたいと思っております。  ありがとうございました。

西川潤早稲田大学教授

○参考人(西川潤君) 益田先生御指摘の最初の日本の福祉団体の動きでございますが、社会開発サミットと申しますのは、先ほど申しましたように、貧困、失業、社会分裂をいかに世界的に克服するかということですから、日本なんかはもう典型的に貧困を克服してきた国なんです。その中でも、社会福祉関係の諸団体というのは非常に活発で、日本の特に社会福祉協議会、社協の業績というものは世界に誇り得るものだというふうに思います。  ですから、私どもは、社会開発サミットの話が出てまいりましたとき、当然、日本では社協がおやりになると思っていたんです。しかし、全然動かれなかった。それでお願いに行ったんですよ。行くつもりは全然なかったんですね。しかも、社協の方では社会開発という言葉は聞いたこともない、社会福祉と違うということでお動きにならなかった。  私どもそのとき感じましたのは、こうした業界団体と言っていいのかどうかわからないけれども、やはり厚生省が旗を振らないと日本の業界団体というのは動かないんだな、厚生省の場でNGOということが認知されていなければ日本の中の社会団体は動かないんだなと、そういうこともよくわかったんです。それでやむを得ずNGOが集まって、政府の代表団にも参加させていただいて社会開発サミットに参加したんですが、ほかの国は随分社会福祉関係の団体が社会開発問題をやっているんですね。  ですから、そういう意味でも、先ほど私は日本の中での考え方が国際社会の考え方とギャップがあるということを申し上げましたけれども、これが社会福祉の場にも典型的にあらわれている。  今、社会開発サミットは、行動計画を各国でつくりまして、そして二〇〇〇年に中間の見直しの会議をやります。ですから、もうあと三年後には日本の中でどう社会開発関係のプロジェクトを推進しているか、プログラムを推進しているか、これについてリポートしなければなりませんけれども、今のように国内体制がきちんとできていない段階ではなかなかこれが難しいんじゃないかということを私どもも恐れております。  こうしたことは、例えば国土庁についても言えることなので、これは二年前、九五年十二月ですけれども、アジア防災政策会議というものを神戸で開きました。その年の初めに、神戸の大震災のときに、やはりボランティア、NGO、社会団体、随分参加しまして、NGOの連絡会議がありまして、ぜひ防災サミットのときにはNGOの考え方をお伝えしたいということを申し入れたんです。防災政策会議が開かれる一週間前にNGOの会議を開きまして、そこでの考え方をぜひ政策会議の場にお伝えして、市民参加というものが防災のためにいかに必要であるか、それをお伝えしたい、そういうことを申し入れました。  しかし、国土庁の場では、もう会議のプログラムは決まっておる、一切NGOというのは聞いたこともない、参加する必要もないということでシャットアウト状態になってしまったんです。こういうNGOの参加のない防災というものは一体有効なのかどうか、こういうことが、実は国内ばかりじゃなくて世界的に社会問題が厳しくなっており、災害問題が厳しくなってくる状況の中ではやはり問われていると思うんです。  ですから、そういう状況に対処するためには、やはり日本の中で、省庁とNGOとの連絡体制、このいろいろなパイプ、外務省がNGOとの定期連絡協議を通じてやっていらっしゃるような体制、こういうものをつくっていくことが必要だと思います。  それから、アジア諸国、東南アジアでのBOTシステム、民活方式でございますが、タイの場合にはJICAの協力による橋をつくるプロジェクトと高速道路がBOT方式で、これは割とうまく組み合わせて随分きれいなレイアウトの高速トランジットシステムができたと思うんですね。  ただし、それでタイのバンコクの交通問題が解決したかというと、実はますます交通問題が厳しくなってきているというのが実情だと思うんです。今でも市内から空港に行くまで日中は二時間かかります。じゃ、高速道路を何のためにつくったんだと。確かに早朝とか深夜は物すごく速いんです、二十分で行きますからね。ですから、それは確かに成果はあったけれども、日中がますます混雑してきているというのが現状です。ですから、今度はバンコク市で公共トランジットシステムでモノレールとかそういうシステムが必要になってきている。だから、民活方式だけではやはり社会インフラ問題は解決できないというのがバンコクでの教訓だというふうに思います。  ですから、民活方式は民活方式で非常に重要ですし、私はこれを推進すべきだというふうに考えていますけれども、これだけで社会的な問題が解決するかと考えるとやはり間違うことがあるので、そういう意味ではODAとそれから民間セクターとのコンビネーションというものを考えていっていいんじゃないかというふうに思います。  以上でございます。

藤原勝博経済団体連合会常務理事

○参考人(藤原勝博君) 民活インフラに関連しまして、このリミテッド・リコースという言葉が座談会に出ております。まことに申しわけございませんが、これは私の言葉でございませんで、由布さんというJAIDOの社長の、専門家の言葉でございますが、私もはっきり今この言葉についてのお答えはできませんので、また調べて……

益田洋介平成会

○益田洋介君 ありがとうございます。私が気になっておりますと言ったのは、かなり片務契約ですね、これは。債権の回収を申し入れることもできない、本当にそういうふうな契約方式が存在するのかなという点が疑問だったわけです。

藤原勝博経済団体連合会常務理事

○参考人(藤原勝博君) そうですね。私どもこの民活インフラについて一番議論しておりますのは、民間会社だけではとても怖くてできない。そこで政府機関、ODAとのリンケージあるいは世銀とか国際協力機関と一緒にやる。そして、貿易保険、投資保険、これは日本政府あるいは外国の政府一緒でもよい。そういう形で保証をするといいますか安心をして、そしてその民間として最も得意な部分、単純にお金を出す部分とそれから先ほどの運転でございますね、経営といいますか、そこのところに注力をしたい。そこで、とても民間だけでは民活インフラなんというのはできるものではないというのがもうコンセンサスでございます。  そして、そのいろいろなリスクを避ける手段としていろんなものがあるんだと思いますが、私はちょっとそこは詳しく存じませんので、失礼いたします。後で調べて御連絡します。  それから、人材派遣の問題、青年協力隊の問題でございますが、実は私も「協力隊を育てる会」の理事を約十年弱、七、八年やっておりました。そして、特にそういうことの理由は、青年海外協力隊という制度を広く経済界にお知らせする役割でありますとか、青年協力隊のいろんな要望を産業界に伝える役割ということで、私は請われてそれになったわけでございます。  そこで私が勉強しましたことは二つございます。一つは青年協力隊の最近の傾向でございますが、最も求められている人は若くて大学を卒業してすぐの人ではなくて、企業である程度訓練もし実務経験のある人、これがやっぱり大変現地では求められる。しかし、日本の今の雇用形態の中で先生がおっしゃったように、三年間だけぽっと抜けていって向こうで仕事をして帰ってきたらもう古びていたとかというのでは困るわけです。  そこで、青年協力隊、JICAの方では、企業が休職制度というものを大いに使って青年協力隊に派遣をしてくれないか、こういう御希望がございました。私ども総裁においでいただいたり、いろんな方においでいただいたりして、理事会でありますとか経済協力委員会でそういうお話をしまして、まだまだ数は少ないかもわかりませんけれども、休職制度を活用していわゆる企業から二年間の休暇をもらってとか三年とかで行って、そして安心して帰ってくる、こういうことがふえております。これが一つございます。  それからもう一つは、そういう休職制度じゃなくて、みずから飛び込んでいって帰ってきた人の就職をどう考えるかということなのでございますが、私が「育てる会」のメンバーになりまして最初に聞きましたのはそのことだったのでございます。それで、経団連の理事会やなんかでも青年協力隊の隊長や総裁に来ていただいて、どうか就職を考えてくれというお話もしてもらったことがございます。  ところが、数年後はどちらかというと、その要望よりもむしろさっき申し上げた休職制度の方を一生懸命やってもらいたいと。といいますのは、わかりましたことは、そういう青年協力隊で大変おもしろい経験をされた青年は、どうも残念ながら日本へ帰ってきてからいわゆる大会社に入って歯車の一つみたいになって仕事をする、こういうことについては希望者が少なくなってきているということを聞きました。  それから、逆にそういうところでうんと仕事をするので、今度は一般の会社へ入りますと、アフリカの僻地でやった方であるからアフリカで働いてもらおうと会社は考えるわけでございますが、そういうのを嫌がると。逆に、青年時代の一時期をそういうところで過ごした後はまた都会で生活をしたいという方もいると。私がはっきり言われましたのは、就職の方は余り経済界の方で心配しないでもいいから、むしろ休職制度をできるだけ広く経団連傘下企業に普及するように言ってもらいたいと言われまして、若干でございますが私どもやっております。そして、かなりの大手企業でもこういう休職制度で青年協力隊にエンカレッジして出しているという企業も現実にございます。  以上でございます。

大脇雅子社会民主党・護憲連合

○大脇雅子君 いろいろな視点からお話を伺いまして、非常に勉強させていただきましてありがとうございました。  まず、外務省の方にお尋ねをしたいのですが、ODAの次期中期目標の策定のために二十一世紀に向けてのODA改革懇談会が設置されて、ODA改革のアクションプランが、六月に中間報告が出て十一月に策定されるということでございます。衆参両院の外務委員会に対してこれらの検討状況を中間報告等で報告していただきまして、次期中期目標達成のために国会の意思を反映させる機会を今回はしっかりと持っていただいて、国を挙げてこうしたODAのあり方について検討すべきであろうと思うわけでございます。その点どのような手続を考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。  それから、先ほど経団連の藤原参考人から非常に興味のある実態の御報告をいただいたわけですが、ODAの民活化という考え方について外務省はどのようにお考えなのかという点です。  次に、西川先生にお尋ねをいたしたいのですが、西川先生が社会開発サミットで果たされましたNGOのいわばオーガナイズというのは非常に私どもも多く学ばせていただきました。女性の場合は、北京の女性会議等でそうした活動のやり方というものが実りまして、その後国内でもそうしたところに参加したNGOの組織化が進んでおりまして、ロビー活動その他政治に対するコミットということが非常に多くなされているわけです。  西川先生のお話でありますと、国際協力庁を設けて国際協力法を制定し、援助人員はNGOの育成を兼ねてNGOとのパートナーシップを促進すべきだということを言っておられます。例えばフィリピンなんかへ行きますと、NGOすらいっかは撤退すべきで、本来的にはピープルオーガニゼーションのようなところにそのノウハウを植えつけていくべきだという議論がされているわけですが、もう少し具体的に、どういう形でNGOとのパートナーシップの組織化というものをお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。  それから、藤原先生に対しては、世銀と経団連との政策対話というものが始まっていて、人事交流について興味深い実際のお話をいただきましたが、具体的な政策対話のテーマなどは実際どのようなことが議論されているのでしょうか。それからまた、具体的なプロジェクトなんかについての協力関係というようなことも将来、展望に入れておられるのかどうか、そういった点もお尋ねいたしたいと思います。よろしくお願いします。

畠中篤外務省経済協力局長

○政府委員(畠中篤君) それでは、懇談会の中間報告のことでお答え申し上げます。御説明いたしましたように、外務大臣のもとにつくりました二十一世紀に向けての改革懇談会は、中期目標をつくるために設けたのではなくて、ODAのこれまでのやり方、そういったものを抜本的に見直していく、改革をしていくというための懇談会でございます。結果としてどういう提言になってくるかわかりませんが、中期目標自体につきましては、政府としてもどういうふうにしていくかはまだ決めてございません。ただ、この中間報告と国会との関係でございますが、できましたら機会のあるときに国会にも御報告しながら、国会の先生方の御意見も拝聴しながら改革を進めてまいりたいと思っております。  それから民活化の点でございますが、実は、民間の資金が途上国に大量に流れるようになりましたのは最近のことでございます。以前はなかったこういった民間の資金が、それも経済インフラにまで流れるようになった事態を踏まえまして、ODAだけで開発をするのではなくて、民間のそういった資金も取り入れた形で開発を考えることができるようになってきたと。これを我々といたしましては、途上国の開発を考えるときに、ODA、それから貿易・投資、そういった全体的なものをにらみながら利用しながらやっていくと。ノウハウも官にないノウハウもございますので、そういった意味で考えてはおります。  そして、最終的には、やはり途上国はODAから離れて、民間を育て、貿易・投資のもとに経済運営をしていけるようになることが重要ですので、最終目的はそこへ参るわけでございますが、そういった意味で民活というものに協力していきたい。  ただ申し上げたいのは、非常に大きな民間の資金は流れておりますけれども、実は行く先は大変限られております。恐らく、だんだんふえてはおりますけれども、ちょっと古くなりますけれども、数年前まではODAの倍から三倍ぐらいの民間資金が流れておりますが、その八割はアジアとラ米の二十カ国ぐらいに集中いたします。また、参ります分野も非常に限られた分野にしか参りません。  そういったことで、開発を進めますときには、やはりその他の非常に貧しい国に対して、民間の資金が流れないところにどうするか、あるいは民間の資金が流れても、その行かない分野をどうするか、そういったことがございますので、ODAの役割というのはやはりかなりこれからも非常に大きなものがございますが、東アジアにつきましては、先ほど御紹介がありましたように、非常に大きな経済インフラのニーズがあります。これは民間資金も利用しながらということで、まず東アジアからの民活インフラというようなことを考えておりますが、ODAの役割と民活インフラを組み合わせながらうまい形でやってまいりたい、そう思っております。

西川潤早稲田大学教授

○参考人(西川潤君) まず、NGOとのパートナーシップなんですけれども、これは、私のきょうのお話の趣旨は、ODAというのは基本的に行政主導型の体制であったと。しかし、何でも行政がやる時代ではなくなってきています。特に、国際協力の場で環境だとか社会問題、社会開発関係が重要になってきている。貧困の解決だとか失業問題だとか、そういうことが重要になってきている。行政主導型ではもう限界がはっきりあるということだと思うんです。  ですから、NGOとのパートナーシップが必要なんだけれども、私、先ほど外務省との間にいろいろなNGOチャネルができてきているということを評価しましたけれども、同時に日本の場合にはNGOに流れている予算というのがまだ非常に少ないです。今、小規模協力と草の根無償と合わせて二十億円ぐらいでしょうかね、もうちょっと行っていますか、百億円も行っているのですか。ちょっと私の資料は古かったかもしれないです、済みません。一%ぐらいなんですよね、ODAの中では。  しかし、欧米諸国から比べますと、この水準というのはまだまだ低いわけなので、それもNGOに対する補助金というものが、やはり行政が補助するという形なんです。パートナーシップの形に余りなっていないです。ところが、北欧でありますとかあるいはオランダでありますとか、ヨーロッパの幾つかの国々を見ておりますと、NGOの会議体、合議体、こうしたものにある程度予算を支出して、NGO自身がこれを運営していく、そういうやり方があります。それもパートナーシップの非常に重要な組み方だと思うんです。  ですから、日本のNGOも欧米諸国と比べると後発ですけれども、だんだん経験を積み重ね、信頼のできるNGOというものがだんだんふえてきております。外務省関係の予算、それから郵貯、ボランティア貯金の予算、こういうものを合わせまして、随分NGOも経験を積み重ねてきて、なかなかいい活動をやっているところも随分あるんですね。ですから、そういうNGO自体の運営能力というものに信頼を置いて、ある程度予算を回していくということが一つ必要だと思いますし、なかなかお上のお金を使うというのは、正直なところNGOにとっても大変なんですよ。私も駆け引きなんかも使って、とにかく何割程度は機械を買わなくちゃいけないとかいろんな条件があるんですね。  ですから、そういうところをある程度NGOが自由に使っていけるようなやり方、それをNGO、それから行政も加わってモニタリングしていけばいいわけですから、そのようなモニタリング体制というのをきちっとしておけば、それは十分使いこなしていくものだし、それからもう一つ、日本のODAの中で開発教育関係の予算がまだまだ非常に少ないです。これも近年始まりましたけれども、国民が対外経済協力の趣旨を理解し、そしてそれに参加していくためにはやはり開発教育の部分が非常に必要だと思うんです。しかし、現在の草の根無償あるいはNGO事業の予算の中で開発教育に回せる部分というのは非常に少ないです。  ですから、私自身は、やはり開発教育も大いにこれからODAの中で重視していただいて、今NGOに流れているのは百億円というお話ですので、これをやはり近い将来に二百億円ぐらい、二倍ぐらいにふやすということを考えていただいて、それでも予算の二%ですから、やはりそのような展望を持って、それから、ことしのODA白書の中で女性に関して「エンパワメント」ということが言われています。「エンパワメント」というのは、やはり社会の中でなかなか社会参加の機会が少なく、そして社会的弱者とみなされているような人たちの貧困を救うために開発のプロセスに参加していくということなんです。  ですから、今は計画の立案から実施、そしてその実行段階、そして評価、そういうところが主としてやはり現地政府との話し合いを通じて、政府からの要請を受けるという形で出てきておりますけれども、これからはもう少し我が国自体のODA大綱に関する考え方をどうやって実施していくかという、日本の側からの発意によるプロジェクトというものもふやしていく必要がある。そしてさらに、その中でNGOが立案から実行、そして評価まで参加していく仕組みというものもつくっていく必要があると思います。アフリカでも、欧米諸国の事業というものを見ておりますと、NGOが実際に参加している事業がかなり多いんですね。  ですから、これがパートナーシップなので、NGOにお金を出すだけではやはりパートナーシップにならない。やはり、日本のNGO事業というものも、ここら辺で全体のODAのリストラ体制と同様に見直していくべき時期に達しているというふうに考えております。  以上でございます。

藤原勝博経済団体連合会常務理事

○参考人(藤原勝博君) 世銀との対話というのをきちんと組織的にやるようになりましたのは九五年十月からなのでございますが、その前から世銀の方が日本においでになったときに、経団連に参りましていろいろ意見交換をしたいということはよくございました。地域の専門家でありますとかあるいは環境の専門家であるとか、そういうときには私どもは、環境委員会でありますとか情報通信委員会とか、あるいはアジア関係に関心のある方に集まっていただいて意見交換をする、そういうようなあれはあったのでございますが、九五年十月の第一回会合というのは本当に私どもびっくりした新しい試みでございました。  御存じのように、世界銀行というのは日本政府が大変にお金を出しているといいますか、出し手の一つとして重要な機関でございますが、その前は借り手だったわけです。昔は借り手だったが、今は二番目くらいですか大事な貸し手になっている。この機関は、我々にとりましては大変敷居の高い組織でございました。また、聞くところによりますと、政府部内におきましても大変敷居の高い国際機関で、大蔵省の方が中心になって交流をしておる、こういうのが長い間続いた。  ところが、九五年に新しい総裁になりまして、投資銀行をやっていた方でございますが、ウォルフェンソンさんになってから経団連へ参りまして、とにかく会長に会わせろと言うんです。これからは世銀は変わらなきゃいかぬ、そして大いに民間の知識、経験、ノウハウあるいは金も活用しなければ、世銀がメンバー国から集めた公的な資金だけでは世界の開発需要、インフラ需要、あるいはヒューマン・リソース・ディベロプメントといいますか、ベーシックニーズを満たすことはできないんだ、こういうことで大いに協力をせいということを言われまして、九五年に行ったわけでございます。  私どもの会長でありますとか、経済協力委員会、こういう問題をいろいろ議論しておる方々で行きましたら、向こうは総裁、副総裁、みんな待ち構えておりまして、それから日本政府の正式な理事とか日本政府の副総裁もおられました。総裁が冒頭、世銀の偉い人が大勢いるところで、こういう会議は確かに珍しい、今までは余り民間とこういう直接の対話なんかをすることは珍しかったけれども、私は前回東京へ行ったときに、こういうことをやるということで、日本の理事に向かいまして、あなたの上司の大蔵大臣の許可もちゃんと得てきてございますからと言ってにやっと笑って、それからいろいろ話を始めたと。私は、一つの流れというのがこういう形で変わっていくのかなということを非常に印象深く記憶しております。  そこで話しましたことは、第一回は余り具体的な問題というより世銀と民間経済界、我々は日本だけでございますから日本の経済界で今後どんなふうな話ができて、どういう協力ができるのかというのが主たるテーマでございまして、みんな勝手なことをそれぞれ言ったわけです。  一つは人事交流の問題もございました。日本は大変なお金の出し手でございますけれども、あそこには日本の方は非常に少ないわけです、働いている人は。お役所からオン・ローン・ベーシスで二年とか三年とか行っている方はかなりおると思いますが、民間の経験者なんというのは非常に少ないようでございます。民間の人が行くという場合は、国際公務員でございますからその会社をやめてこい、こういうふうになりますと、やっぱりみんな渋るといいますか、終身雇用制でございますからなかなか行きづらいというようなことがございまして、どうしたら本当にできるのかというようなことが一つの大きなテーマでございます。    〔会長退席、理事板垣正君着席〕  その結果、これは現在世銀がやっているような人の調達方法では日本からは立派な人は来てくれないということを向こうがよくわかりまして、それじゃ特別な仕組みをつくろうと。それで、総裁が大変強いイニシアチブを持ちまして、最初ですから三名だけでございましたけれども、三名ずつ交換をしようと。そして、日本から来る人は日本の企業をやめなくてもよろしい、企業から出向ベースでもよろしい、お金は全部世銀で払いますと。三年たったらまた戻ってください、そのかわり優秀な人を出してください、これが一つの条件でございました。  それからもう一つは、世銀の中堅スタッフ、将来幹部になるようなスタッフを日本の会社に突っ込んで日本式の仕事の仕方というのを体験させたい。これは日本語ができるスタッフなんというのは少ないですから大変難しいのでございますが、英語でできるような会社もあろうということで、日本の大きな会社で今三人働いてもらっております。これが一つの大きなテーマでございました。  それから一回目は、さらに環境でありますとか情報通信でありますとか、いわゆる民活インフラ、インフラストラクチャーの問題、あるいはロシアとか中近東とかラ米とか、こういう国々の問題についても随分意見交換をいたしました。ポイントは、ロシア、中近東、ラ米なんかにつきましては、日本の企業も大変こういう地域に関心を持っておるんですが、世銀は大変なお金を使って調査もし大変な情報を持っておる。日本の企業はもっとこういうものを使ってください、こういうことでございました。ですから、我々はそういう地域のいろんな調査情報についてこれから使わせてもらいましょう、こんなお話もいたしました。  それから環境でございますが、これは非常に私も印象深かったのですが、環境問題というのは世銀にとっても大問題でございます。世銀から見ますと日本の公害問題、環境問題の処理の仕方というのは大変注目をされているんだということがよくわかりました。そして、この人事交流に関係しましても、日本からバンカーは何人か世銀に来ておる。しかし、ずばり言うともうバンカーはいいから、むしろ日本の企業で電源立地でありますとか汚水、排気、NO2、SOx、これの改善を実際にやった人にぜひ世銀に来てもらいたいというようなことで、結局人事交流は環境問題と絡まって、第一回目に日本側から出したのは全部環境問題の専門家だったということでございます。  それから、ことしやりましたのは二回目でございますので、大分なれてきた。それで、せっかく集まるのであるから余り抽象論ばかりしてもしようがないというので、人事交流プログラムはもう動き出しておりましたので、これは二年ぐらい実績を見てその次だということで、今回一番力を入れましたのはさっきお話が出ました民活インフラでございます。彼らも一兆五千億に上る需要をどうやって満たしていくのか、世銀だけでは絶対できない、民間にもっとBOTとかいう形で乗り出してもらいたい。そのかわり、民間はリスクを当然心配するわけでございますから、それをどうやって世銀と組んでリスクを下げることができるか、この問題について話し合いをしましようというようなことで、日本の企業がインフラ関係でどういうような経験をしておるかとか何を考えておるか、こんな意見交換をしました。  さらに、余り抽象論ばかりやってもしようがない、日本に何か世銀がお手伝いできるようなプロジェクト、具体的な問題があれば言えということでしたので、先ほど申し上げましたけれども、カンボジアで、これは政府もいろいろ御協力いただいて、人材といいますか専門家が行ったというお話をいたしました。私ども経団連、あるいは経団連でサポートしておりますJAIDOという投資会社が、今の時点ではなかなか個別にカンボジアへ行く会社はないわけでございますが、JAIDOあたりが先に行って工業団地あたりをつくるということになると、それが呼び水になって投資もふえるんではないか、こういうことでいろいろこの問題についても議論しました。    〔理事板垣正君退席、会長着席〕  そして、それじゃどこに接点があり、どういう協力ができるかということをまたさらに詰めましようということで、この五月に日本から四、五名専門家が行きまして、さらにこの点を世銀と詰めることになっております。  それから、情報通信の問題についても随分世銀はいろんな活動をしております。それから日本の企業、経済界も大変関心を持っておりますが、この辺も一つの大きなテーマでございました。随分議論もしましたが、まだ具体的なプロジェクトまではつながっておりません。  以上でございます。

笠原潤一自由民主党

○笠原潤一君 ちょっと二、三お尋ねしたいんですが、本当は山本先生であるけれども、私は今からハイチの人が来てそれに会わなきゃならぬものですから、ちょっと申しわけないけれども山本先生にかわっていただいて、質問させていただきます。  まず畠中さん、量より質ということになるんだけれども、これはどうも抽象的で、一体どんなことをやりたいかということをちょっとお聞きしたいんです。量から質ということをまずあなたにひとつお伺いしたい。  それからもう一つは、有償です、円借款。これは円借款よりも、最近あちこちへ私も歩いてきたら無償の方が喜ばれる。これは当然ただでもらったような話ですからね。だけれども、私はチュニジアへ行ってきたんだけれども、実はあそこは千五百ドルあるからもういわゆるODAの対象にならぬということだけれども、一部無償で草の根でやろうということです。漁船か何かのそれをやりたいということだけれども。しかし、あそこの国へ行ってみて、むしろまだ無償で喜ばれるものはそういうこと以上にたくさんあるがなと思って帰ってきたんです。  ですから、選別でも千五百ドルで切ってしまうということではなしに、ODAももっと有効にやっぱり活用してやらないといけないんじゃないか、こう思いました。それからもう一つは、チュニジアは非常に治安がいいわけです。私は、俗に言うカスバみたいな中に入ってきましたが、もうそれは圧倒的な人間の群れと、活気と異国情緒と、それはもう問題にならぬくらいいいんですけれども、中へ入っても全然治安がいいものですから、大変よかったんです。  非常にそこで感じたことは、ああいう国へは余り行かないんですが、もともとあれはカルタゴの遺跡があった国です。しかしながら、北海道からわざわざ行っていらっしゃると。ただ問題は、トランスポーテーションが悪いわけですね。日本から飛行機が入っていかない、遠くを回っていかなきゃならぬということですから。そういうこともこれからODA以上に外務省も運輸省も考えて、観光客も一番やっぱり望んでいますから、そういう実質的にやれることをもっと考えてやることが私は大事だと思うんです。これが第一点です。  それからもう一つは、西川先生にお尋ねというか、今お話を聞いておりまして、どうも日本のODAというのはインフラストラクチャー専門であって、あそこの港湾を整備するここの空港を整備するということであったり、いろんなことをやるんです。それが、ある一面では役立つかもわからぬけれども、ある一面では非常に大きな環境破壊というか、そういうものもやっているんじゃないかと私は思っています。  私は、たまたま天安門事件のときに中国へ行ったんです。そして北京へ入ったんですが、北京の空港を見て驚いたことは、何と成田空港とほとんど変わらなかったんです、つくり方そのものが。いや、これはどうも何でも日本のまねばかりしているなと思いました。  あのときは廖承志さんだったか、日中友好協会の副会長さんに私がこういうことを言ったんです。いや、僕は北京に行って非常に残念だったと。それはなぜかというと、高速道路をどんどんつくっておられるけれども、北京城の城壁を破壊してみたり、いろんなものをどんどん破壊してつくっておるんじゃないかと。北京とか南京もそうですけれども、あれは世界の文化遺産ですよ、何も中国国民のものじゃないんだと。世界の文化遺産だから、こういうものを日本と同じように、日本も東京オリンピックとかなんかでむちゃくちゃ壊して、かつての「君の名は」の数寄屋橋やなんかなくなってしまって、あれで本当にいいものだろうかと。  最近ようやく新聞の社説でも、日本の農村へ行くと棚田がどんどん壊されるわけですが、こういういいものをどんどん壊していっていいんだろうかということを、私は前からも言っているんだけれども。だから、ODAとかインフラ整備とかいう名のもとにどんどん壊していくと。  私は、サイパン、テニアンへ昔行ったんだけれども、もう砂浜はなくなってしまう。文化果つるといっても、それは何というかいいものかもわからぬけれども、そういういいものがどんどん世界の中から失われていくわけです。これが本当に人間のために役立っているのだろうかと。  かつてイラン革命のときに、パーレビ国王はすばらしい近代的な住宅をつくったんです。ところが、だれも入らなかった。そして、彼は失脚したんです。それは、アメリカから膨大な金を借りてきてやって失脚したんです。これは、その民族とか文化というものを無視したやり方をしてはいけないんじゃないかと私は思うんです。  それからもう一つは、例えばサラエボは、オリンピックをやって、あんなにすばらしいきれいなところが、あっという間に破壊されたでしょう。何かといえば、あのボスニア・ヘルツェゴビナはみんな民族と文化のいろんな違いでけんかをやっているんです。  だから、そこら辺のところで、ODAというものはもっと人類に役立つようなものに使うのが本当であって、どうもインフラだけやってさえいればいいんだというんだけれども、実際チュニジアでも千五百ドルだと言うけれども、私が飛行機に乗っていたら、もう満員の連中が飛行機に乗ってきまして、みんなフランスへ出稼ぎに行くんです。ですから、一体何が幸せであるかということを本当に私はもう一度考え直さなきゃいかぬだろうと。ODAというものはそういうことに使うものであると。  NGOの問題もありますが、私もかつてNGOみたいなことをやったことがあるんだけれども、実際フィリピンへ行っても最近ようやく言われ出してきたのは、日本の青年海外協力隊もそうだし、それからNGOで中野良子さんがやっているところも、一時は農業開発やいろいろなことをやったけれども、最近は木を植えてやろうと。タイもそうです。タイでも今やっていますよ、森林運動を。  私は、きょうハイチから来ていますから言おうと思っているんですが、ハイチなんて本当に大変ひどいものです、木一本ないんですから。それでエロージョンが起こりますからね。だから、果たして我々が本当に何をやらなきゃならぬかということは、やっぱり本当のインフラをやらなきゃならぬと。  私は、中国の江西省も訪れたんですが、たまたま私は当時県会議員で、岐阜県で行ったんですが、ひどいものです。これは惨たんたるものだから、やっぱり木を植えることが大事ですよと。植林技術やそういうものをもっとどんどんやった方がいいし、そういうことにもっと思い切って投資をすべきだと。道路をつくったり高速道路をつくったり港湾や空港をつくることもいいんですよ、それは。しかし、ああいう国で本当にメンテナンスやランニングコストをどうするんですかと。今はなるほどつくればいいけれども、みんなそれで往生じているわけです、実際の話。そこら辺のことをもっとODAも選別しながら、本当にその国民に役立ついろんなことをもう少し考えてやることが大事だろう。  フィリピンは私も何度も行って知っていますけれども、例えばトラクターなんか使えないのに、トレーラーでいいのにトラクターをやってみたり、膨大ないろんな機械をやって、結局は資材倉庫の中で肥料と一緒ですから、もう本当に赤さびになってしまって、こんなものよりと言われたことも随分あるんです。ですから、決して援助をしてはいけないということじゃなくて、やらなきゃならぬでしょうけれども、もっとその国に合った適宜なことをやらないと、せっかくのものが宝の持ちぐされになってしまう、私はそう思うんです。  決して悪いとは言いません。日本はお金があるんだからやることはいいんです。やらなきゃならぬし、そういう国際貢献も大事だと思いますが、こんなことを言うと何か水を差すようですけれども、やるならもっとしっかり、本当に現地の実態調査をしてやらなきゃいかぬと思います。私は、そういう点で、いろいろと実態も見てきたし、私は私なりに自分もそういう農業関係でやってきましたからわかるんですが、やっぱり実態に合わせたことをやらないとせっかくの金が死んでしまう。金を生かすことなんです、金を生かすこと。  それからもう一つ、藤原さん、実は世銀の話ですが、世銀が一番大きな効果を発揮したのは、やっぱり日本の新幹線と愛知用水です。この愛知用水のおかげでトヨタも世界一の鉄板ができて、世界一のこれをやったのは愛知用水なんです。これは、愛知用水をつくったために膨大な投資も必要だったが、これは確かに効果があったと思う。  今度の新しい総裁は、世銀の開発資金を有効活用したいと。それはそうでしょう。私は、ポルトガルも行ってきましたが、五年前に行ったポルトガルのリスボンと今のリスボンと全然違いますよ。なぜかといえば、EUの金がどんどん入ってきています。金というのは、資金というものは必ず有効なところに使われます。それはオランダやドイツが高速道路をつくったり、デンマークも橋をつくっていますが、そんなことしか使いませんから、本来的な意味のインフラのために、あるいはいろんな経済効果があって、利益、プロフィットが入ってくるような金の使い方をしようと思えば、そういう国しか使いませんからね。私は、そういう点では、スペインもそうですけれども、ポルトガルは今どんどん金が集まってきているなと。EUの効果というのは非常に大きいなと思いました。  EUマネーが、じゃイギリスで使えるかというともう使えません、使うところがないんですよ、はっきり言って。デンマークは大きな架橋をつくっていますが、それぐらいのものです。そして、ドイツはアウトバーンもつくり過ぎちゃったし、これから何をつくるかといったってもう使いようがありませんから、そういうところへ向かうよりしようがないです、金というのは。金というのはそういうものです。  私は、その話を聞いて、世界銀行というのはもともと援助主体の銀行だったのがいつの間にか、今そういうお話になりますと、オリンピックを想起しました。ブランデージさんは純血主義だったんです、ところが今のサマランチさんというのはやりばり商業主義ですからね。いや、これはとうとう世銀もそういうことになってしまったのかなということで、ちょっと今の話を聞いてなるほどなと思って感慨にふけったんです。  その中で、僕の友人に木村陽君というのがおるんです。彼は外務省におって、ワシントンか何かの一等書記官までやって、それからすぐ世界の再開発をやりたいと言って、東大の大学院に行って土木工学をやって、これは入り直したんです。無償の借款は彼がやったんです。随分日本にもそういう人がいますから、私は世銀もそういう人をどんどん登用、重用して、例えばこれから一番大事なのは環境と。メコンの開発だって、確かにプロフィットがあるかもわかりませんけれども、それ以上に環境の破壊と。この前、外務委員会で南極の保存条約をやったわけです。なぜかと言えば、南極ですらも汚染しようとしているんですから。  本当に人間が住んでいけるところになるかなと思って、私はいつも飛行機に乗って世界を飛び歩きながら、例えばニューヨークからカナダの上を通って日本へ来ると、昔のカナダと全然違います。森林は少なくなっている。本当にこれから日本というのは、地球環境をどう守っていくかということが一番問われていると思いますから、ODAもやっぱり同じ開発のやり方でも有効なもっと世界の人類が喜ぶようなことをこれからやっていただきたいなと思っています。  三点お尋ねしながら、質問にお答えしていただいてそれを聞くのが本当だけれども、今ハイチから来ているものだから。私もハイチへ今から七、八年前に行きまして、あなたのところはもう植林以外に方法はないよ、そういう技術だったら日本は出しますよ、地方自治体だって出せますよ、そんなに大した金が要るわけじゃないしという話をしてきました。どうも向こうは何かほかのことで来ているらしいものですから、ちょっと申しわけないが、質問しながらお答えを聞いていくのが本当は一番正しいことですけれども、後でちょっとお答えをされたのを見させていただいてまた参考にさせていただきますので、その点よろしくお願いしたいと思います。  ちょっと申しわけありません、会長、そういうことでちょっとだけ中座しますので。今来て私を待っていますから、申しわけありませんが、よろしくお願いします。

山本一太自由民主党

○山本一太君 お三方から大変示唆に富んだお話をいただいてありがとうございました。  私は、自分自身JICAに勤めておりましたし、また国連開発計画、先ほど先生から出たUNDPのニューヨーク本部にも勤めて一応援助の行政に携わってまいりました。この政治の世界に入る前は援助のことをいろいろ考えていたわけなんです。  まず、畠中局長に一言お聞きしたいのですが、今、量から質への転換ということを言われているんですが、私がODAに携わってきた経験からいくと、もちろん質的転換というのは大事なんですが、これはある程度の量がないといけないというのが私の持論でして、その意味で余りODAを一遍にざつくり切って世界にちょっと誤ったメッセージを送るのはどうかなというふうに思っているんです。  今、行革それから党のプロジェクトチームの方ではODAについての方針を検討しております。これはもちろん最終的なものではないんですが、その中にもいわゆる援助の量から質への転換というのがあります。もう一つ私があれと思ったのは、国際機関に対する拠出については戦略的な観点を十分考えながらこれからやっていく、分担金のことも含めてですね。それと同時に、自発的拠出金の廃止も含めて検討するという一項が、これは案の段階というか大体そういう方向が検討されているというような情報も入ってきておりまして、いかにも何か唐突で乱暴な議論だなと思っているんです。  それについて局長はどのように考えておられるか、ちょっとコメントをいただきたいというのが質問です。西川先生がおっしゃったUNDPについては、これはもちろん自発的拠出金ですし、日本がアメリカを抜いて今最大のドナーでなかなかいいこともやっているわけで、私は自分が勤めていたから言うわけじゃないんですけれども、その点をまず一言局長からお聞きしたい。  それから西川先生のお話の中で、今、国とか国会、政治家に何を望むかという話の中で、アメリカやヨーロッパだけじゃなくて人が飢えている場所に行ってほしいというお話を伺って、私は大変感銘を受けたんです。  実は、UNDPにいたときに、私はそのときUNDPの職員としてある議員団のお供をしまして西アフリカのニジェールに行ったときに、本当に久しぶりに国会議員が来たということで、ニジェールの奥まで行ったんですけれども、大変歓待をしてくださったんです。そのときに行った先生方、名前は申し上げませんけれども、若手でなかなか御見識もあって大変尊敬できる方ばかりだったんですが、ある一人の方はその次の選挙で落ち、あと二人の方々は先回の選挙で落ちました。  すなわち、やはりODAは票になりません。ですから、ここら辺はやっぱり政治家のアカウンタビリティーというか説明する責任が不足しているということもあるかもしれませんけれども、ODAをやっている、海外援助についていろんな知識を持っているということが地元で政治的な評価につながるような雰囲気がないといけないのかなと。これは我々が努力をしなければいけないのだろうというふうに思います。  私が先生に御質問したいことはいつばいあるんですけれども、援助の一元化ということについてちょっとお聞きしたいと思うんです。  一元化については私がJICAにいたころからもいろいろ言われていまして、特に先生がおっしゃった箱物、いわゆるハードとソフトの関係ですね。以前は調査団が出るときも技協は技協、無償は無償ということで、実は連携するという話でも後追いになってしまって、何かハードをつくった後にくっつけるような形が結構多かったものですからなかなか整合性もとれなかったところがあるんです。どうも最近は事前調査の段階からかなり両者の連携というものを考えて送っているやにも聞いているんです。いずれにせよ一元化ということは確かに量の援助ということでは大切だと思うんです。  先生は、特に経団連の藤原さんもおっしゃっているんですけれども、国際協力庁ということをずっとおっしゃっている。これは、先生御存じのとおり、JICAとOECFの合併とかあるいはアジ研のようなシンクタンクをつけて国際援助庁みたいにするという話はずっと前からありました。今はほかの党に行ってしまったんですが、昔の自民党の政調会長もそんな論文を書かれたのも覚えています。これは、いろんな理由からはっきり言って今までうまくいっていないと思うんです。  畠中局長がおっしゃったように、ただ集まっただけでは効率的にならないので、援助庁をつくるのであればきちっとした機能をそこに持たせて重複を削っていくという努力は必要だと思うんです。法律的なものあるいは省庁の縦割りの問題いろいろあるんですが、私はきのうちょっと御無礼で出たり入ったりしていたものですから、もう先生の方からお話があったかもしれませんが、ここら辺のところを乗り越えて、我々も考えなきゃいけないのですけれども、本当に援助庁をつくるという流れをつくるための何かブレークスルー、先生の中でそういうお考えがあればちょっと御参考までに聞きたいなというふうに思います。  藤原さんは大変御活躍で、いろんな国際会議でもお目にかかって、大変英語は完璧で尊敬をしておるわけでございます。JAIDOのことをいろいろ聞きたいと思っていたんですが、むしろ西川先生にするはずだった質問をあえて藤原さんにお聞きしたいと思うんです。  西川先生が「論壇」の中で留学生の必要性ということをおっしゃっていまして、私も大変共感を覚えるところがあります。アメリカはやっぱりいわゆるソフトパワーという点でははるかに日本をしのぐところがありまして、それはASEANの国、この問シンガポールで藤原さんにもお目にかかりましたけれども、いわゆる途上国のパワーエリートはほとんどアメリカで教育を受けている。この間は林議員と一緒にIRIという共和党系の団体のスタッフに会ったんですけれども、モンゴルやいろいろな国の民主的な選挙を助けて民主主義をその国に根づかせるということまでやっている。これはやっぱりアメリカにしかないソフトパワーだなというふうに思ったんです。  その「論壇」の中では、西川先生はいろいろ提言されているわけです。大学にちょっと入りやすくしようとか、物価が高いからある程度それを支援する仕組みをつくろうとか、そういう話なんですが、むしろ経済界の藤原さんの方から見て、いわゆる日本の知的ソフトパワーのイニシアチブという点で、留学生受け入れとかあるいはJICAがやっている研修員受け入れとかについて、これを進めるような切り口がいわば経団連の方からあれば一言お聞きしたい。ちょっと長くなって済みませんけれども、簡単にお答えいただければと思います。

畠中篤外務省経済協力局長

○政府委員(畠中篤君) 量より質へということに関連いたしまして、質をよくするのにもある程度の量は要るという御指摘、まさにそのとおりだと思っております。  量より質へということが非常に言われまして、私どもも反論が難しかったのは、先ほど申し上げましたように九五年の実績が二番目の国よりもうんと多くてアメリカの倍という中で、これ以上量をふやすという議論はなかなかできにくかった状況はあったと思います。実はODAの量は、一般会計以外に財投予算、それから国のボンドでございますね、国際開発金融機関に対する拠出、出資に使っておりますが、そういった一般会計以外の予算を使って実は量がふえておるわけであります。  ちなみに申し上げますと、国際開発金融機関に対しますODAは、ODA全体に占めます。その比率は三〇%近くございます。それから、円借款の部分もやはり三〇%近くございます。その部分で一般会計が使われますのは一部でございますので、そういった意味では、今まで百四十五億ドル積み上げた九五年の実績の中にはそういった一般会計以外の部分が大変ございます。  ただし、質をよくしてまいりますときには一般会計が問題になってまいりまして、調査団を出す、充実させた調査をする、あるいはフォローアップをする、あるいは体制をつくっていく、スタッフをふやしていく、そういったようなものがありませんと質がよくなりません。そういった二つの意味で量はある程度要るということを考えております。  一つは、今後日本のODAの先ほど申しました全体の量が、フランスとかドイツとかそういったところと同じぐらいになってまいりましたときに、経済力がそういう国に比べて大きな国、それからアメリカに比べて国際貢献のすべが余り多くない国としては、量についてもやはりある程度出していく必要が国際社会との関係であるのではないかと。もう一つは、質をよくしていきますときには、今度は量ではございませんけれども、一般会計の予算は、これはある程度いただきませんと質をよくするすべさえも工夫できなくなるわけでございます。  そういった二つの点で、量より質といったときに量の伸びを、これから従来ほど円高でもありませんので期待することはできませんけれども、一般会計のある程度の予算をいただきながら量についても質のいいODAを出していきたいと思っております。  それから、自発的拠出金のお話ですけれども、国際金融機関は、国連の機関それから開発金融機関と両方ございますけれども、今国連の中でも重複を避けるための改革をしております。正直言いまして国連のお金の使い方についても、必ずしも合理的だったかどうかということについてはいろいろな議論がございます。  日本がおつき合いしております国の中にも、必ずしも効率のいいものばかりではないわけでございます。その改革の中で悪いものは少なくしていく、それからおっしゃいましたUNDPのような中、心的な役割を果たしているところについては、これは日本ができないようなところを国際機関が果たしている役割もありますので、そういった意味では、いいもの悪いものをきちんと見ながら国連の改革の中でめり張りをつけてやっていく必要があると思います。  一概に自発的な拠出金は全部だめということになりますと、やはり途上国の開発を進めていく幅といいますか、道具が非常に少なくなりますので、そういったことではなくて中身を見ながら、惰性で来ている部分がないわけではありませんので、そういうところについてはきちんと対応していく必要があると思っております。  ありがとうございました。

西川潤早稲田大学教授

○参考人(西川潤君) 援助の一元化ということが随分昔から指摘されながらなぜ実現しないか、それにはそれなりの理由があるだろうと、これはそのとおりなんですね。  私もたしか国際協力庁なんというのは十年以来言っているんですけれども、実際上実現しておらない、それはそれなりの理由があるだろう。これはそのとおりなので、私の見方によれば、これまでの援助行政というものが日本の高度成長期に確立した、新聞用語を使えば政官業体制といいますか、私の言葉を使えば行政優位型、行政主導型体制と言ったんだけれども、それがやはり四省庁体制、十九省庁体制あるいはODAのOECF、JICAへの分裂体制、こういうものと関連をしているだろう。このような体制それ自体が今日大きく変わりつつあるというのが私の認識でございます。そうしますと、藤原さんの言葉を使えば援助の一元化だけれども、私どもはむしろ援助の総合的な体制というものが必要になってきているというふうに考えているんですね。  ただその場合に、国際協力庁をつくるかどうか、そういうことよりは、このような援助体制の見直しの中で、どう国民がこのような議論に参加し理解し、そして新しい協力体制の方向を見出していくか、そのことが一番重要なので、今の体制のままでは実は十九省庁の力というのも十分発揮されていないと思うんです。  援助の流れの九割というものは大蔵省と外務省がコントロールしておると。じゃほかの省庁の力は十分発揮されているんだろうか。私も随分いろいろなところでいろいろな省庁の関係の技術協力を見ているんですけれども、それぞれの省庁が持っているわずかな予算で一番使いやすい予算というのは調査なんですね。だから、農林業、建設業、何業何業から絶えず調査団が来る。調査団が来てみんなノートを持っていろいろ書いているんだけれども、実は省庁は予算を持っていないからフォローアップがほとんどできておらない、一体これはどういうことなんだという苦情を私もあちらこちらの途上国で聞いたことがございます。こういうことで本当に省庁の力は発揮されているんだろうかということを考えます。  ですから、新しいシステムの議論の中で、つまり国際協力法といったような立法によって国民が議員の方々を通じましてODA行政の方向づけに参加をしていくという中で、やはり新しい体制というものができてくるのであろうというふうに考えているんです。  そのときに、これは先ほどの笠原先生の御質問とも関連をしているんですけれども、ODAが箱物でソフト面が少ない、これはそのとおりなんですけれども、箱物がだめかというとそんなことは全くないんですね。これは私は畠中さんと認識が一致しておりまして、インフラ整備というのがやはり非常に重要なんです。  ただし、これまでのようにODAの六、七割がインフラ関係、これは経済社会関係を含めましてインフラ関係だというのはやはり余り普通じゃないわけなので、ソフト面を充実していく。これは、私どもは一九八五年の外務省のODA効率化懇談会の場で提言させていただいたんですけれども、ソフトの比率を重視していくと。ソフトの比率を重視していくためには、やはりNGOなり住民の参加の要素が必要になってくるだろうというふうに見ております。  ですから、インフラの整備なんかも必要なんだけれども、じゃどういう形で使われていくんだろうか。今、日本のODAの中でインフラの重点というものがやはり経済インフラから社会インフラに動いているんですけれども、社会インフラが大都市のインフラに集中しているんです。これはロシアもそうですし、中国もそうですし、途上国の中でやはり都市化が急速に進んでおりますから、社会関係のインフラが都市化インフラに集中しています。  ところが、世界の貧困人口の七割以上というのは農村に住んでいるんです。私は、今の日本のODAの新しい方向の中で余りに都市が重視されて、農村が置き去りになっているんじゃないかという危機感を持っているんです。  この点で日本は、農業の面からいいましても、あるいはJAのような組織づくりからいいましても、地域おこしの点からいいましても、非常に膨大なノウハウを持っているんです。一体農水省のノウハウというのが本当にODAの中に生かされているんだろうか。確かに、農水省というのはすごい力強い官庁ですけれども、ODAの場では国際農林業協会とか、そういうものを通じた調査とか、ごくわずかなプロジェクトですね。それと、JICAを通じての技術協力に分裂してしまっているんですよ。これでは農水省のノウハウや知識や経験もODAの中に生かされないだろうというふうに私どもは見ているんです。  そうしますと、新しいシステムの中で、農水省なりJAなりが持っている知識や経験やノウハウというものをいかにODAの中に生かしていくか、これもパートナーシップの問題だと思うんです。日本はパートナーシップを組む経験やノウハウが非常にまだ少ない。ですから、私は、NGOをきっかけとして、そしてだんだんJAなり社協なりが参加していくような、日本の非常に力強い住民団体、業界団体等があるわけですから、それが参加していくような方向というものが必要だというふうに思っているんです。  ここで、先ほどODAの質的改善のために有償から無償へというお話が笠原議員から出たわけですけれども、私はそういうことは言っているんですけれども、ただ、有償は有償で随分使い道があるんですね。これは、無償の場合はかなりタイドの比率が多いんですけれども、有償の場合は割と受け入れ国が自分の考え方に従って使えます、お金を返していけばいいわけですから。  ですから、インドのように有償を重視して余り無償や技術はもう欲しくないという国も、これははっきりあるわけなんです。ですから、そういう個別の国のニーズというものを考えますと、有償を一概に減らして無償にシフトするかというと、やっぱりそうじゃなくて、有償と無償とのコンビネーション。それは、今のOECFとJICAのそれぞれの体制ではなかなか、恐らく考え方としてはあるのかもしれない、それから事前調査の段階であるのかもしれないけれども、実際の実行段階ではこれはできていないです、正直なところ。ですから、それを私はやはり一元的なというか、総合的なシステムの中でこれを生かしていく必要があるだろう。  そういう意味で、先ほど行革体制の中でOECFと輸銀との結びつきが間違っているんじゃないかと申し上げましたけれども、そういう点も含めて有償と無償、技術協力の一元的な考え方というものは、これは畠中さんの方にもお願いしたいんだけれども、考えていただいていいんじゃないかというふうに思います。  以上でございます。

藤原勝博経済団体連合会常務理事

○参考人(藤原勝博君) ソフトパワーといいますか、留学生の問題で経団連としてどう考えているかという御質問でございました。まことに私も残念ながら先生と同じような心配といいますか気持ちを持っておりますが、具体的にいい案もまだございませんし、余りこの分野で活発にやっているとは言えないと思います。  ただ、こういうことだけ言わせていただきたいと思うんですが、個々の企業とか業界団体とか、あるいは今のODAの制度、例えばOECFで企業が外国の技能者を呼んでやる場合に若干の、まさにODAのお金だと思いますが、そういうことで出るんだということで、いろいろ個別企業レベルでは、数は少ないんですけれども、全国各地でいろんなところで訓練や何かを引き受けている、これはあるかと思います。この全貌は、一体どのくらいの人が入ってどのくらいやっておるのか、それからOECFやなんかに全然お世話にならずに全く商売ベースで、三週間であるとか一月であるとかというふうにどんどん受け入れ、工場へ入れているというケースもございます。  しかし、こんな程度の問題では、先ほど山本さんがおっしゃったような、アメリカのようなあるいはイギリスのようなというか、本当に世界じゅうの有能な青年を引きつけて、かき集めて、そして洗脳してそれぞれ帰す。このことを考えますと、私は非常に残念ながらうまい方法がまだないし、うまくやっていないと思います。  その問題につきましては、一つは、簡単に言いますと言葉の問題だと思うんです。日本語というのはやっぱりかなり難しい言葉のようでございます。ですから外国の人に、日本語を勉強して、そして日本の大学で勉強してくれ、博士課程に入ってくれといっても、これは特別な場合を除けばかなり無理な注文だと。  残念ながら、アメリカとイギリスで使っているこの言葉を、日本が個々人も制度としてもそれを取り入れて、そしてそれを制度化しなければ外国の人はなかなか来れないというのが実情かと思います。そうすると、今の日本の高等教育制度の中で、英語できちんと授業をし、そして資格をやるような学校は幾つあるんだろうかと考えますと、もう本当に私どもが知っているのは二つか三つぐらいしかないというのが実情だと思います。  この辺を、それじゃどうしたらいいんだろうかというと、結局、今の日本の教育制度そのものが、日本人を日本語で教えるんだ、そして小学校、中学校、高校、大学とくっついていって、これは日本人の教育だけであるぞというのが基本の考え方だと思うんです。これに対して、やはり私は、アメリカ、イギリス、フランスあたりはかなり違った基本戦略を持っていると思います。  この辺は、私は今具体的な特に提言とかそういうことでまとめたものはございませんけれども、経団連としては今、これには直接関係ないんですが、日本の教育制度はこのままでいいんだろうかと。点数さえよければいい、言われたことだけで、記憶がいい方がいいという制度、そういうベースで成り立っている教育制度というのがうまくやれるかと。  それから、これからの国際競争化時代というか本当の大競争時代のときに、大量生産、大量方式なんというのはもうはやらなくなっている。人のつくっていないものをどんどんつくり出して新しいものをつくる。新しいものをつくるだけでなく新しいタイプのサービスをつくり出す、新しい制度をつくり出すなんということになりますと、もう全部出るくいは打たれて、そういう才能のあるといいますか独創的な人は若いうちから全部なぎ倒されてしまっている。  そういうシステムにしたのは経済界も私は一半の責任はあると。そういう大量に非常に均質化された若い労働力とか良質な労働力といって、そしてそういうものを期待した時期もあったと思うんです。しかし、これじゃだめだというので、やっぱり二十一世紀には、そういうのじゃなくて創造性を発揮させるような教育ということで一生懸命今それをやっています。  やっぱり高等教育機関の改善という中で、今言った外国の人も日本で教育をするんだ、そしてそういう人を通じて日本文化も流れるようにするんだということもぜひ入れることができればいいなと思っております。これからも、この問題については先生方もいろいろお考えでしょうから御相談して考えていきたいと思います。

今泉昭平成会

○今泉昭君 参考人の先生方、大変参考になるお話をありがとうございました。  最初に、藤原参考人にお聞きしたいと思うんですが、新しい時代のODAのあり方について、ハードからソフトヘとか、あるいはまた、どちらかといえばこれからは経済中心よりも人材育成中心のODAのあり方を考えていかなきゃならないというのは、きょうお三人の先生方の基本的なお話の流れであったんじゃないかというふうに思うんです。  そういう中で、人材のことが話題になりますと必ず出てくるのは、どちらかといえば、大変進んだ高度な技術者であるとか高度な能力を持っている人たちの育成をどのようにやっていくかというところにどうも目が行きがちのようでございますが、日本の経験を振り返って見ますと、確かにそれは今の時代の我が国に欠けている一面であったかもしれませんけれども、我が国の経験から考えてみますと、それだけではないんじゃないだろうかということを私自身今思い返しているところなんです。  というのは、私は労働界に三十数年間おりまして、労働組合の中で海外交流をいろんな形でやってまいりました。そういう中で、戦後の日本の、今ではもう色あせてしまいましたけれども、日本のすばらしい経済発展というのは、三種の神器の一つに数えられたいわゆる企業内の労働組合と、そこに働く労働者の優秀な均質的な労働力ということが盛んに言われた時代があったと思うのであります。  私は、それはいまだに一つもなくなっていないし今後とも必要だというふうに思っているわけなんです。実は、昭和三十年に日本に生産性本部ができまして、日本では、戦後与えられた、どちらかといえば近代的な労使関係というものの経験のなさから、その後労働界の大変多くの指導者がフルブライト資金を使って、生産性本部が窓口になりまして数多くのリーダーが実はアメリカに渡った経過がございます。恐らく数万人を数えるんじゃないかと思うんです。  アメリカの労使関係は必ずしもいいとは思っていないんですが、戦後の経験のなさという立場から、砂の中に水を吸収するような形で我々の先輩の方々が近代的な労使関係というのを学んできた。それを日本の土壌の中で、企業側の対応もよかったんでしょう、特に日本の場合の労使関係というのは情報公開、同じ情報を共有するという立場から労使が協力し合えるという中での労使関係を築いてきた。  これが、安定的な日本の経済成長を築いてきたことはもう否定のできない事実ではなかったかと思うんです。それは一部には過激な労働運動もありましたけれども、大きな流れとしてはこれが日本の経済というものを大きく育てていったことは間違いのないことではなかったかと思うんです。  そういう意味で、私は考えてみますと、今我が国がODAという形でいろんな意味で資金協力をしている国々に私どもずっと行ってみますと、どちらかといえば労使関係という意味での問題というのは想像以上に大きな問題点を含んでいる面が多いと思うんです。例えば、ある国に行けば弁護士さんであるとかあるいはまた税理士さんであるとかが、自分の手兵みたいな形でそこの工場の労働者を抱えて、その人の意のままに動くというような中で労使関係が実は続いて、それが労働争議のやっぱり大きな元凶にもなっている。それが日本から進出した企業の中でも労使関係が不安だということで大変大きな問題になった国々も実はあるわけであります。  そういう意味で、高度の技術者あるいはトップに座るような方々の人材育成、交流という機会を何とかつくらなきゃならないという話は真っ先に受け入れやすいわけで出てくるんですが、それではなくしてもっと均質的な労働事情、良好な労使関係の中でどのようにその国の安定的な経済発展に資していくかということを考えてみた場合に、我が国の労働組合が果たした役割、そこで果たしたリーダーの役割というのは決して参考にならないはずはないと思うんです。  ところが、そういう機会というのは大変少ないわけです。どちらかといえば、数少ないそれらの国々の人々を日本に呼んで工場見学をさせて、日本の労使関係の話をして帰していくというのが主流になっているというふうに私は見えてしょうがないわけです。そういう意味で、もっとすそ野の広い人材育成という面では、技術とかマネジメントとかということ以外に労使関係という意味での人材育成、そういうものについて経団連として考えられたことがあるかどうかということをひとつお聞きしたいと思うんです。  私、実は生産性本部の仕事で特に後進国のそういう教育システムの中に入れられまして、随分いろんなところに話をしに行ったこともあります。ベルリンの壁が崩壊した後、社会主義のグループの国にも行って話をしてまいりましたけれども、一様に感じることは、いわゆるトップに対する不信感というものが物すごく多いわけです。それはなぜかというと、情報が必ずしも共有されていないわけです、そこで働いている従業員と経営側との。日本の労使関係の話をすると、目からうろこが落ちたような形で、大変参考になるという形で受けてくださる機会が多いわけです。  そういう意味で、私は、もっとソフトの面で人材育成ということを考えるならば、ただ単にトップ技術者であるとかトップの方だけではなくして、中堅的な意味での人材育成という面での協力の仕方が経済界としても考えがあるのではないかというふうに期待をしているわけでございまして、もしありましたらちょっとお聞かせ願いたい。  それから、この問題は畠中局長とも関係があると思うので関連してお聞きしたいと思うんです。例えば、NGOの一環として恐らく使われていると思うんですが、連合が国際労働財団をつくっておりまして、JILAFというんでしょうか、これを中心といたしまして多少ODAの資金も使いながら国際交流を展開していると思うんです。これはもう実に微々たるものです。それらの国々から人を招待して、労使関係をいかにして、経済発展のためにどのようなことをしてやれるかということで、随分年間計画を立ててやっているようでございます。こういうものに対する評価というのを政府筋ではどういうふうに考えていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思うんです。  それから、西川先生にもお聞きしたいんですけれども、先生もおっしゃいましたように、人間中心型の発展にどう取り組むかというのが今後のODAのあり方の重要な一つの課題だというふうに言われました。これは経済中心のODAによって生ずる貧富の拡大というもの、これを何とかしてなくしていくためにはそれも必要なことではないだろうかというお話でございました。  ところが、今ODAを中心にして出している先進国というのは、どちらかといえば貧富の拡大がえらい勢いで進んでいる状況にございます。社会主義国家があのような形で崩壊をしたものですから、最低保障をいかにして守っていくか、最低水準をいかにして引き上げていくかということよりも、自由競争の中で規制をどんどん取っ払って、強い者がどんどん勝っていくというような流れが先進国の一つの大きな流れだと。日本も残念ながらせっかく培ってきた均質的な水準というものに、大きな差がこれから出てくるような危険性が大変今迫っているような気がするんです。  そういう流れの中で、これも一つの流れとは私は思っているんですが、援助する側の、全然違うような流れの中で、これから経済発展をしていく国に対してODAを人間中心でやっていくということの行き違いですね、これはどのように考えていらっしゃるのか、ちょっと考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。  以上でございます。

藤原勝博経済団体連合会常務理事

○参考人(藤原勝博君) 労使関係を中心にした協力について経団連でどうかということでございますが、私はずばりお答えする材料は持ち合わせておりませんが、二つのことが言えると思います。  一つは、これは別に経団連とは関係ございませんけれども、今、日本の産業界はどんどんいろんな外国へ行って、そこへ根をおろして生産活動をしておるわけです。そのとき日本の経営者がそこでどういう考え方でやっておるかというと、これは私は、日本的な経営もあるしアメリカ型の経営もあるし、アジア型の経営とか現地の経営とか、これは皆その現場で悩みながらやっておることだと思います。しかし、やはりそこの中でよき労使関係とかそういうことを含めました日本的経営というのは、それがうまくいくことを通じてそうやって現地にやっぱり移転されているのではないかと思います。  特別なプログラムであるとかなんとかというのはなくても、日常的な活動の中で、日本のトップはいつも現場へよく行くとかなんとかとよく言われますけれども、私はそういうことを通じて、目立たないけれども、そういう哲学といいますか仕事の仕方は幅広く今浸透していっているんではないかと思います。  それからもう一つは、経団連でもCBCCという、カウンシル・フォー・ベター・コーポレーション・シチズンシップと英語で言うのでございますが、要するに外国へ行った場合、よき企業市民たれという、そういう目的のために応援する小さな委員会といいますか協議会をつくっております。そして、経団連が事務局をやる。これは、最初はアメリカでございましたけれども、今アジアの方にもその活動を広げたりしております。そういうことで、日本のよき事業活動がそこで根づくようにという運動をしております。  それから、在外企業協会というのがございます。これは、経団連ほか日本商工会議所などがみんな協力してっくった団体でございます。ここも大きく言えば、そういう日本の企業活動がそこでスムーズにいくように、そしてそこに経営とかカルチャーとかそういうものを流していくということで、いろいろあそこも活発にやっておりますので、私はそういうことを通じて、今、先生のおっしゃったようなことは少しずつでも進んでいるんではないかなと思いました。  以上です。

畠中篤外務省経済協力局長

○政府委員(畠中篤君) 先生御指摘の国際労働財団に対する支援の評価でございますけれども、実は今、新しい開発戦略ということで先進ドナー国がいろいろ決めてまいりました戦略の中に、重要なことは個々の技術を人に伝えるだけではなくて、その社会全体の物の考え方、法制度の問題とか仕組みの問題とか、あるいは労使関係とか報道の自由とか、さらには複数政党制を導入したらどうかとか、どっちかというとそういったものを非常に重視しながらアプローチしようという考え方が出てきております。  ただし、日本はなかなかそこまでまだ、ノウハウといいますかアプローチがちょっと難しくて、そういう重要性はわかるんですが、例えば日本が手がけておりますのは、ベトナムでの法制度とかカンボジアでの民法の支援とか、それから計画のつくり方、少しずつやっていますが、まだまだ歴史が浅いことと、それからどういうアプローチをしたらいいかということについてなかなか確立していませんので、少ない面はございます。しかし、今後はやはりそういった面がさらに、笠原先生の御質問とも関係しますけれども、質を高める一つの面として出てくるのではないかと思います。  ただし、労働財団のお仕事についての私どもの支援は、額はまだ小さいかもしれませんけれども、私どもが出しております対象としては大変大きな対象と思っておりますので、先ほど申し上げましたように、今後いろんなものが積み重なっていって少しずつふやしていきたいという気持ちでおります。

西川潤早稲田大学教授

○参考人(西川潤君) 今泉先生御指摘のように、今日大きい政府の限界ということが見えて、国営企業が民営化され、市場経済というものが世界的にもう非常に進んでいるわけです。途上国でもそれは全く同じなんです。その中で、貧富の格差が南北問わず拡大してきている。じゃ、一体先進国はどう経済協力するのか、非常に鋭い御指摘だというふうに思います。  恐らく、こういう事情を背景として、先ほど話題になりました一九九五年の国連社会開発サミットというものが出てきて、貧困問題、失業問題、あるいは社会分裂問題、これは南北を問わず世界共通の問題であると。そして、南北ともにこれに取り組んでいく中で、やはり開発ということを、経済成長優先型から社会的なものを視野に入れた人間開発型に変えていこう、こういう方向が今出ているわけです。  社会開発のプロジェクト、社会活動の方の進め方につきましては、先ほどお話ししましたように、基本的にはこれは住民参加によって進めるという考え方が強まってきております。この点では私、最近インドでのOECFの植林プロジェクトを見てきたんですけれども、これは非常におもしろかったです。  なぜかといいますと、インドの林業というのは社会林業なんですね。住民参加型の林業なんです。これは、いわゆるプランテーション型の林業の生存率、植林しましたところの生存率は通常四、五割なんですけれども、社会林業の地域では七、八割、非常に高い生存率を示しているんです。これは住民がやはり日常的にケアする、ちょっと溝を掘ってやったり、溝が崩れたらこれに手入れをするとか、やはり日常のケアというのは非常に大事だと。そのために、こうした環境破壊の防止でありますとか、あるいは地域おこしに関連しましたプロジェクトでは、住民の参加というものは非常に重要だというように感じました。これはやはり社会開発の一つの考え方です。  それから日本型経営、これも今泉先生の御指摘の中で出てきたんですけれども、これも何といいますか、典型的にやはり労働者参加型のプロジェクトですね。生産現場で労働者が参加していく、その中で労働者が自分で情報を獲得し、そして自分のモチベーションを持って生産の改善に取り組んでいくというシステムです。これは、日本が世界に誇り得るシステムだというふうに思うんです。  ところが、この日本型経営を日本の企業が本当に世界のどこでも実践しておるかどうかという問題があるわけなんです。私自身もいろんなところで日本の工場を見ておりますが、非常に限られた範囲で、朝の体操とか改善提案で、役に立つもの立たないものを含めまして、何か御褒美を出すとか一応看板は出すとか、そういう何か非常に表面的なレベルでは日本型経営であるけれども、本当に従業員が現地の企業で重用されているか、あるいは現地の企業の運営に携わる形になっているかというと、これは必ずしもそうじゃないわけです。これはホワイトカラーもそうなんです。ブルーカラーばかりじゃありません。だから、日本型経営といっても表面的だということですけれども、ホワイトカラーも必ずしも重用されていないんです。  私、この間マレーシアに行きましたときに、私の大学を出た学生が六人、私の歓迎会を催してくれました。私も非常にうれしかったんです。マレーシアは御承知のように、高校生の段階から日本に学生を送りますので、日本語がぺらぺらなんです。私は半分くらいは日本企業で働いてくれているかなと思いましたら、その六人のりちで日本企業で働いていたのは一人だけでした。これは伊勢丹で働いている女の子なんですけれども、これだけ。あとの五人は全部自分で事業をしているんです。じゃ、何でこんなに日本語がうまいのに日本の企業で働かないのかと聞きましたら、私は一生通訳じゃ終わりたくないと言うんですね。やはりこれが留学生が日本に来ない原因の一つにもなっていて、非常に苦労して日本語を学び日本の文化を学んでも、日本の企業で必ずしも重用されない、これが非常に大きなネックなんですよ、留学生が来るための。  ですから、そういう意味で、私も経済界の方にお目にかかるといつもお願いしているんですけれども、もっと留学生を大切にしてくださいと、日本企業の。例えば、東京からバンコクに行くアメリカの航空会社に乗ってみますと、機長からスチュワーデスまでみんな現地人ですね。ところが、日本の会社ではスチュワーデスも外国人はいるけれどもやはり数人、それも臨時雇いが非常に多い。  ですから、そういう意味で、いつまでたっても外国人がお客様だというこの社会の風土、これが日本の国際化を阻んでいるんです。ですから、そういう意味で、私は開発教育を重視していただきたいということをお願いしたんだけれども、やはり日本がもっと世界に開く教育、開発教育、こういうものを進める中で、日本社会を開いていく、これがODAの効率的な実施のためにも必要なんじゃないかというふうに考えております。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 時間が迫っておりますので端的に伺いますが、西川参考人、今もお話がありましたが、人間中心型の発展ということでの取り組みということで、国民参加型の援助の実態かと。特に市民社会、NGOとの連携ということで強調されておりました。  先ほど補助金の話がございましたが、それと同時に、いわゆるNPOの問題ですね。非営利団体に対して、NGOも含めて法人格を与えていくという問題が、今、その法律制定ということで各党とも案を出したり、それから経団連でもこの問題はかなり熱心に取り組まれているというふうに、私、担当者の方ともお話ししたことがあるんですけれども。何よりも、こうした団体のすべてが活動しやすくなるように、やっぱりNPOの法律をつくる上では非営利の一点で法人格を与えて、行政の介入をなるべく排除して、そして情報公開によっていわば不正なんかについては防止をしていくということで、民間セクターを大いに育てるということが今、日本の社会の中で求められているというふうに非常に痛感をするんです。  いろんな動きの中で、活動分野を限定したり、あるいは許認可によって行政の、何というんですか恣意的判断がそこに入るとか、あるいは所轄官庁の監督権を強化するような形でこれをやるようになると、活動を支援するどころか逆に阻害することになりかねないということで、当該の市民団体、NGOなんかからも批判的な声も上がっているということは私も承知しておるんです。行政主導型じゃなくて国民参加型の援助を実体化するには、そういう意味ではどのようなNPOの法律ですか、そういうものが必要かということでお考えがあれば例えればと思います。  それから、藤原参考人になんですけれども、提言を大変興味深く伺いまして拝見をいたしました。それで、提言の二の二のところです。五ページなんですけれども、ちょっと具体的に細かい問題になりますが、いっぱいあったんですが幾つか限定して伺わせていただきます。事後評価の問題について触れられて、「公平・中立を担保しうる第三者によって行われるべきである」と、提言の中にはそういうことがあるんです。こういう御提言をされるということは、現状で言いますと、事後評価をめぐって、そうなっていないために例えば具体的にどんな問題が起こっているか、あるというふうに認識されているのか。その裏返しの話なんですけれども、現状への認識ということで例えればというふうに思うわけであります。  それからもう一点、御提言の七ページの情報公開に関連するところで政府の責任ということが述べられていて、「国会での予算審議等にとどまらず」ということで、国会での予算審議の問題も含めて政府の責任ということで述べられているのかなというふうに思うんです。これまで予算審議の段階では援助の実施内容等が事前には明らかにされないということで、外務省でもいろんな御理由があったんですけれども、問題になってきた点だと思うんです。  本調査会でも、これまで報告書の中で国会の関与を強めるということで経済援助の問題、経済協力の問題についてまとめてきた経過があるわけですけれども、藤原参考人として、国会の関与の評価といいますか国会の役割への期待という点でその辺のところでお考えがあれば伺いたいと思います。  それから、それとの関連で、畠中局長なんですけれども、今私が述べた二つの点なんですが、そういう提言が経団連からも出されている、そういう指摘についてどう受けとめられているか、その点を例えればと思います。

西川潤早稲田大学教授

○参考人(西川潤君) 今、笠井先生御指摘のNPOですけれども、私はNGOを主として議論いたしまして、NPOについて余り触れませんでしたけれども、御指摘のように、NGO活動の活性化のためにはNPOの社会的な認知が必要である、このように考えております。  阪神大震災をきっかけとして、日本でボランティア活動が非常に重視されまして、NPO法案が現在国会で審議されておるわけでございますけれども、これには賛否両論があります。ただ、日本のNPO、非営利団体、あるいはNGOと申しますものはアメリカなどと比べるとやはり非常に社会的認知度が低いんですね。  これは、やはり日本の社会の性格が会社社会であって、社会の中に会社があるという考え方じゃ余りありませんでした。従来、政官業が日本の経済成長を引っ張ってきたという経緯がありますので、人々のエネルギー、特に男性のエネルギーというものが会社に吸収されてしまって、余り地域社会だとかそれから家庭に向いていない、これは事実だと思うんです。だから、その中でNGOの活動度も欧米社会と比べると非常に低いし、それからNGOを通じた国民の経済協力も非常に低いという事実があるわけです。  ですから、その中でこの数年、阪神大震災をきっかけとして社会的な運動としてNPOを認知しようという空気が非常に出てきました。ですから私自身は、確かにNPO法案というのは今はかなり骨抜き的なところがございまして、監督官庁の権限が強まるばかりという批判も承知しておるんですけれども、今まで日本の中で業界団体だけなんですね、結局NPOとして認知されているのは。ですから、さっき畠中局長が、百億円NGOを通じて出ていると。日本の中だけとれば、その中でかなりの部分はやはり外郭団体を通じて出ていっているというふうに見るべきだと思うんです。ですから、これが本当のNGOと言えるかどうかという問題があります。  そういう意味で、これは男女雇用機会均等法と全く同じなんです。入五年にこれが議論されましたときに、男社会に女を取り込むだけじゃないかという批判もございました。そういう批判もあったんだけれども、実際には総合職の中で活躍している女性も随分ふえてきておる。ただ、不況の中ではまだそういうものがセットバックしているという面もございます。だから、やはりこういうものは行ったり来たりという点がございますけれども、その中で男女雇用機会均等法をきっかけとして女性の社会的活動への一つの社会的認知がなされている、これは事実だと思うんです。NPOも全く同じだと思います。  ですから、そういう意味で私は、NPOは一つのきっかけとして、それをどれだけ実体化していくかということが日本の市民社会、NPOあるいはNGOの力量を問われる問題だろうというふうに考えております。

藤原勝博経済団体連合会常務理事

○参考人(藤原勝博君) 事後評価の問題でございますけれども、事後評価は、私は今、主として外務省あるいはその実施機関でありますJICA、OECFでやられていると思います。そしてそこには、別に外務省がやるといっても外務省の人がやるだけではなくて、いろんな民間のエキスパートも呼ばれておりますし、私も一度参加したことがございます。そして、長々とレポートを書きましたけれども。  ここで言っておりますのは、そういうことのさらにもう少し先のことでございまして、当事者がやるというのは、客観性とかいろいろ努力していることは私もわかるんでございますが、やはり評価自体も一つの大きな仕事でございますので、専門家といいますか評価のプロというのもあり得ると思うんです。  特に、流通でありますとか生産、特に民間に関係する部門、民間企業が非常に関心を持っている部分なんかは、先ほど意見書で申し上げました立案とか企画段階で民間も参画させようということは、評価の方にも民間のプロにそういう機会を与えるべきではないかという考えでございます。  今のが中立性、公平性の点でおかしいというんじゃなくて、やはり当事者が評価すると限界があるんではないかということで、もっと評価自体もきちんとした業務として、大きな業務として専門家をどんどん登用して、民間人もそこに使ったらどうかという意味でございます。  それから最後の、国会での予算審議、国会の関与の仕方でございますか、この点につきましては、西川先生が国際協力庁はあるけれども国際協力法は経団連のあれにはないとおっしゃられましたけれども、私どもがこの議論をずっとしている中で、国際協力法が必要だといった議論はほとんどありませんでした。むしろそれを心配しております。国会の関与ということについては、はっきり言えば、国としての戦略でありますとか基本的な方向であるとか、大綱のようなものとか、これは私は大いに国会でもうどんどん議論していただいたらいいと思うんです。あるいは地域の問題であるとか。  ただ、問題は、個々のODA案件まで国会がいろいろな形で関与するということになれば、これはもうただでさえ今時間がかかったり、非効率的だとか迅速性が欠けているとかいろいろ言われている中で、国会の先生方もやはり皆さんそれぞれの御意見もあるし見識もありますから、これはどうだ、あれはどうだと言っていたら個別のプロジェクトは進まないんではないか、私はこういうふうに思います。そこのところは、はっきり基本的な戦略をつくるところは国会の先生に大いに議論してもらう、大きな方向づけはしていただくと。そして具体的なプロジェクトは、まさにさっき言いました執行機関、新しい国際協力庁に任せたらいいと私はこういう考え方でございます。  それからもう一つ付言させていただきますと、一番の「体制」のところで私ども言っております、援助政策を企画立案する省庁をつくってそれを一元化というのと、執行するところの一元化と、この二つはこういう意味もあるわけでございます。現状は、企画立案するところと執行のところがそう明確には分かれていないんではないかと。十九省庁あるいはその中心の三省庁でもそうでございますが、お役所の方は二年間交代ぐらいでみんなどんどんおかわりになる。しかし、経済協力案件というのは、その国にやっぱり相当何年間かいた方でなければなかなかいい案も出ない。  それで、民間の関与といいますのは、はっきり言うと、民間の人はある国に行ってもう十年もそこで仕事をして、わしはもう定年になったらもう帰らないでこの国にいる、こういう人方というのはたくさんいるわけでございます。そういう入方はどこで活用されているかというと、大使館にいろいろ助言をしたり提案をしたりして、私はそういう方は無視されているとは思いません。  そういうふうにどんどんかわる中央省庁の方と、実際に援助に携わり、これは円借がいいのか技術協力がいいのか、ここはちょっと民間の何とかを使ったらいいのではないかとか、パッケージを考えるような人、これはやっぱり一元化された執行機関の中でと。  ですから、国会の先生方で議論していただくレベルと具体的なODAプロジェクトを企画立案する省庁のレベル、それから本当にある程度そこの任された分野でいかにしたら一番効果が上がるか、どういう組み合わせがいいのか、どこで民間を使ったらどこでNGOを使ったらいいのか、この辺はやはり一元化された国際協力庁でやっていただくのが一番いいんではないか、こういう考えでございます。

畠中篤外務省経済協力局長

○政府委員(畠中篤君) それでは、簡単に申し上げますが、評価のところの第三者評価といいますか効率性を高める点につきましては、私どもも今後ともそういう機会をふやしたいと思っております。  現在も学者先生あるいは有識者の方、さらにはその相手国に評価をしてもらったり、あるいはほかの援助国に評価をしてもらったり、さらにはNGOの方に入って評価をしていただいたりしておりますけれども、そういった評価ができる件数というのは、予算と時間といろんなことがございましてまだまだ件数が少のうございます。ほとんどの部分は大使館の者が見て、そしてチェックして、ガイドラインがございますから、そういうことが多くございますけれども、質のいい援助をしていく意味でもその評価を充実させていくというのは今後の一つの課題だと思っております。

林田悠紀夫自由民主党

○会長(林田悠紀夫君) まだまだ質疑もあろうかと存じますが、予定した時間が参りましたので、政府及び参考人に対する質疑はこの程度といたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  畠中局長、西川参考人、藤原参考人、本日は大変お忙しい中、長時間御出席をいただき、貴重な御意見を賜りましてまことにありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会

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