外務委員会 第10号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1997/05/08
会議録
○委員長(寺澤芳男君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、小山峰男君及び武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として釘宮磐君及び山本一太君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(寺澤芳男君) 次に、千九百六十三年五月二十二日に地中海漁業一般理事会の第一回特別会合(同年五月二十一日及び二十二日にローマで開催)において及び千九百七十六年七月一日に同理事会の第十三回会合(同年六月二十八日から七月二日までローマで開催)において改正された地中海漁業一般理事会協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○野間赳君 地中海漁業一般理事会協定についてまずお尋ねをいたしたいと思います。 この協定は、一九四九年、四十年余り前に作成されたものでありますが、我が国は締結をされないまま今日に至っておるわけであります。一方で、一九六九年にはICCATが設立をされまして、これに加盟をしてやってきておったと思うわけであります。地中海においてマグロ遠洋はえ縄漁業を行っておるのであります。我が国が、申し上げましたように、この協定が作成をされて四十年以上たったこの時期に正式加盟することになったのはどういうふうなことか。その理由と意義についてまずお伺いをいたしたい。
○国務大臣(池田行彦君) ただいま野間委員御指摘のとおり、四十年以上経過してこの時期になぜという御疑問が提起されるのはもっともだと考える次第でございます。しかし、御指摘もございましたけれども、地中海のマグロにつきましては、この地中海漁業一般理事会だけではなくて、ICCAT、大西洋まぐろ類保存国際委員会でございまして、これは地中海を含む大西洋全般のマグロ類を対象としたものでございます。これにつきましては我が国も従来から参画してきたところでございますけれども、近年におきましてICCATの場におきましても地中海沿岸国の間で沿岸国の利益を一層反映させるような漁業資源の管理の方向性が活発に議論されるようになってまいりました。これが一つの要因でございます。 いま一つの要因、こちらの方が直接的な要因でございますけれども、地中海漁業一般理事会におきまして従来はマグロ類を対象とする保存管理の措置を採択するということはなかったわけでございますが、一九九五年にICCATとの協力のもとで、ICCATと同様の保存管理措置を採択し、マグロ類についても資源の管理に参画するという動きが新たに出てきたわけでございます。 そのような最近の動きにかんがみまして、我が国といたしましては今後とも地中海における海洋生物資源の保存管理に積極的に参画していくためには、ICCATのみではなくて地中海漁業一般理事会にも加盟することが適当である、こういうふうに考えられるに至りましたので、今回本件協定の締結について国会の御承認を求めることとした、こういうことでございます。
○野間赳君 そういうことでありますが、ICCATの水域と対象資源が全く重複をするということになるわけでありまして、双方に加盟をするという必要性というものをもうちょっとお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(野上義二君) 今、先生御指摘のように、ICCATは地中海を含む水域を対象としているわけでございますけれども、ICCATに加盟している地中海沿岸国というのはスペイン、フランス、リビア及びモロッコの四カ国でございまして、その他大多数の地中海の沿岸国というのはこの地中海漁業一般理事会のみに加盟しておりまして、ICCATの方には加盟しておりません。 そういう意味で、先ほど大臣の方からも御説明申し上げましたように、地中海の沿岸国が自国の沿岸国としての利益を守るような動きにも出ておりますし、また地中海協定の方は、FAO、国連食糧農業機関の加盟国及び準加盟国に対しては沿岸国と同様の権利義務関係を認めておりますので、そういった意味から、我が国も沿岸国と同等の資格で地中海協定の方に入って海洋生物資源の保存管理に協力するとともに、我が国の漁業の利益を積極的に守っていくということを考えて本件協定の締結をお願いしている次第でございます。
○野間赳君 今まではそういったことでオブザーバーでの参加であったと思うわけでありますが、加入をしますと理事会構成国になりますが、なった場合のメリットというものはどういうことになりますか。また、マグロ以外の海洋資源につきましても対象となってくるわけですから、日本がどのような立場でまた姿勢で今後参画をしていくのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(野上義二君) 今、先生御指摘のように、我が国は理事会にはオブザーバーとして参加しておりましたが、先ほど御説明申し上げましたように、この地中海協定の方でもマグロの資源の保存管理というようなことが決められるに至りまして、やはり沿岸国と同様の資格でこの協定に参加していくということが我が国の利益にかなうことだと思います。 ちなみに、地中海における我が国の漁獲は基本的にはマグロでございます。年間六百トン前後でございます。他方、地中海協定の方の対象国がとっております魚類は基本的にはイワシ類とかムール貝でございますとか、そういうようなものでございまして、地中海協定が対象としております沿岸国の漁業の中では必ずしもマグロの比重は高くないということでございます。 我が国としては、先ほど申しましたように、地中海では基本的にマグロをとっているということでございます。そういった意味から、九五年にマグロの保存の措置がとられたということを踏まえまして、資源の保存とともに我が国の漁業の利益という点からこの協定にも積極的に参加していくべきだというふうに考えたわけでござい.ます。
○野間赳君 本協定に関します質問は以上で終わらせていただきます。 この際、去る五月六日、西村眞悟衆議院議員が尖閣諸島に上陸をいたしました。このことにつきましては各種報道でも取り上げられておりますが、さまざまなコメントがあります。 そこでまず、再度の確認ということになりますが、尖閣列島につきましての政府の立場について外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 尖閣諸島に対する我が国政府の立場いかんということでございますけれども、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、これはもう歴史的にも、また国際法上も疑いのないところでございます。そしてまた、現に我が国はこれを有効に支配しているというふうに私どもは認識し、そのような立場をとっているところでございます。 また、他方におきまして、我が国といたしましては日中関係全般の健全な発展という視点というものもやはり忘れてはいけないと考えております。申し上げるまでもないわけでございますけれども、日中関係というのは両国にとってのみならず、アジア太平洋あるいは国際社会全般にとっても重要な関係でございまして、私どもといたしましては尖閣諸島をめぐる事態によって日中の全般的な友好関係に好ましからざる影響があらわれるということは避けなくちゃいけないと考えております。そのような観点から、最近の事態に対しましても関係者が冷静に対処していかれることを強く希望しているところでございます。
○野間赳君 このことに関しまして、中国の主権侵犯ということで強い抗議が中国の外務省からなされておるわけでありますが、このことに対して日本はどのように対応したのか、全くそのことが報道に出てきておりません。具体的にどのような反論をなされたのか、対応をなされたのか、お尋ねをいたしておきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) まず、先ほど申し上げましたように、尖閣諸島が我が国固有の領土であるということは我が国政府として一貫してとってきた立場でございます。そして、そのことはもういろいろな機会に中国側にも伝えておりまして、例えば、昨年十一月、APECの際に開かれました日中首脳会談あるいは日中外相会談におきましても中国側に対して我が方から明確に述べてきたところでございます。 そして、今回の事態に対してどうかという点でございますけれども、六日に西村衆議院議員等が尖閣諸島に上陸したことにつきましては、同日の夕刻、北京におきまして中国外交部の唐家城副部長から我が方の佐藤駐中国大使に対しまして申し入れが行われました。先方側からは西村議員が尖閣諸島に上陸して中国の主権を侵害した、侵犯した、こういうふうに述べたわけでございますけれども、当方からは尖閣諸島の領有権に関する我が国の原則的な立場をきちんと述べました。その上で、中国が中国の主権を侵犯したということを主張するというのは日本としては受け入れられないということを明確に述べたところでございます。
○野間赳君 国内的には尖閣諸島に上陸しましたことに対して政府は遺憾であったというように述べられております。その報道を通じまして、多くの国民の皆様方は少し疑問をお持ちになられておる節がございます。なぜ日本人が我が国固有の領土である尖閣諸島に上陸をすることが遺憾であったか、こういうことでありまして、このことにつきまして外務大臣に納得のいく御説明をこの際いただきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 三つの点から申し上げたいと思います。 まず一つは、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、尖閣諸島は我が国の固有の領土であるということは歴史的にも国際法上にも疑いのないところでございますし、さらに現に我が国がこれを有効に支配しているところでございます。そういった状態にある中で今回のような行動を起こされるということは、果たしてどれだけの意味なり効果を持つんだろうか。考えようによっては我が国の領土であることをさらに明確にしようとする御意思あるいは意図をお持ちになったかもしれないんですけれども、今回の行動、行為ということが、関係といいましょうか、この地域に関心を持つ国の当局だけではなくて、その国の国民あるいは地域の住民にいろいろな影響を与えたんだと思います。そして、そのことがまた新たないろんな状況を引き起こすおそれがあるんじゃないか。そうすると、この行為の基礎にある意図とはむしろ反するような、逆行するような効果をもたらすことがあるんじゃないか。そしてまた、もしそういったような状況が出てくるならば、我が国の一貫した明確な立場にとっても必ずしも望ましいものではないという点が一つございます。 それからいま一つは、今回西村議員等が上陸した魚釣島の地域は日本国民の私有地でございまして、その土地所有者の方から政府に対しまして、これまでも無断で島への上陸だとか工作物の設置が行われたことがあって大変迷惑して心を痛めている、自分たちの所有権、そういった権利の侵害に対しては関係法令に照らして厳重に対処してもらいたい、こういった旨の要望が寄せられているところでございます。こういったことも考えなくちゃいけないと思います。 それから第三点といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、尖閣諸島に対する政府の立場は一貫しておりますし、また現に有効支配しているわけでございます。しかし、我が国とは違う立場に立ち、異なった主張をしている国もあるということでございます。しかしながら、尖閣諸島をめぐる立場の違いというものがそういった国との間の関係全般を損なうことがあってはいけない、こういう観点がございます。そして、そのことについては我が国だけではなくて、相手方の政府もやはりこのことが関係全般を損なっちゃいけないという基本的な立場に立って冷静にこれまで対応してきたところでございます。そういった中で、今回のような事態が生ずるということはやはり遺憾と言わざるを得ない、こういう政府の立場でございます。
○野間赳君 さまざまな要素を含みました微妙な問題であり、極めて難しく、慎重を期さなければならないことは十分に承知をいたしております。そして、ことしは日中友好二十五周年の年でもあり、我が国にとりまして対中国外交は大変重要なものであります。しかしながら、友好関係を保ちつつも、言うべきことはしっかりと言う姿勢が大切であると私は考えます。 最後に、今後の対中外交について外務大臣の所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(池田行彦君) 御指摘のとおり、本年は日中国交正常化二十五周年という節目の年でございます。そういったことで、大切な日中関係を一層発展する、そういうことを考えております。 先般、私も北京へ参りまして、外相会談を持ちましたほかに、江沢民国家主席また李鵬首相ともお目にかかりまして、両国関係の今後についていろいろ話し合いをしてきたわけでございますが、そういった中で、秋以降における首脳レベルの交流も含めて一層両国関係を進めていこうということで合意したところでございます。 しかし、一方におきまして、中国との間には近隣であるがゆえに、また長い交流の歴史があるがゆえに立場が違いましたり、時々利害が異なったりする問題も出てまいりますし、また幾つかの懸案もあるところでございます。しかし、そういった立場の違いなり懸案というものは粘り強くお互いに話し合いを通じて解決していこうということで、そういった立場の違いが両国関係全般に好ましからざる影響を与えることがあってはいけないということで両国の意見も一致しているわけでございますので、私どもはそういった基本的な立場に立ってまいりたいと思っております。 委員御指摘のとおり、そういった全般の関係を大切にすることは大切だけれども、言うべきことは言わなくちゃいけない、それは私どももそう考えております。そう考えておりまして、先ほど申しましたように、尖閣諸島の問題についてもそうでございますし、あるいは例えば国防の問題につきましても中国側からも我が方の防衛政策なり安全保障政策についていろいろ疑問が提起されることもございます。我々は明確に我々の意図を説明しておりますし、逆に中国側の例えば国防について透明性をさらに高めていく必要があるんじゃないかということも率直に申してきている、こういうことでございますので、委員御指摘のとおり、言うべきことは言いながら両国関係を一層進展してまいりたい、こう考える次第でございます。
○立木洋君 議題になっています協定の問題について二、三お尋ねしたいと思います。 今まで日本としては大西洋地域、また地中海地域でのマグロの漁獲についてはICCATの管理のもとで行われていたということは先ほど述べられたとおりだと私も思います。御承知のように、最近のICCATが出している資料等を見てみますと、同地域のクロマグロが絶滅寸前の危機にある、だから各国が今の量でとり続けていくならば二〇〇二年ごろに大変な状態になるだろうというふうな指摘もあります。また同時に、ワシントン条約の資料によりましても、同地域のクロマグロについてはいわゆるリストに載せるという動きもあったというふうな報道にも接しているわけです。こういう時期にこれに正式加盟するということになったわけです。 先ほど問題になりました同地域でとれるクロマグロは良質なとろですから、日本人の食卓にのせる上でも我々としても大変好ましいことであり、これは必要なことだろうという点では異議がないわけであります。ただ問題は、先ほど同僚議員からもお話がありましたが、一九五二年にこれは発効しているんですね。同地域の資源の保存管理、特に地中海の問題に関しての、それが二回にわたって改正されてきているわけですが、その時期も正式加盟しなかった。オブザーバーとして加盟したとおっしゃったのは一九九五年です。 ここでの漁獲規制が行われるというふうなことが問題になって、慌ててとは言いませんけれども、いろいろ検討されて加盟されることになったんだろうと思います。外交姿勢の問題としてはもっと早い時期から同地域の資源の保存管理にも参加して協力していくというふうな基礎の上に、同地域の問題についても協力関係をより進めていくことになるんじゃないかというふうなことを考えると、もう少し早い加盟があってもよかったんではないだろうかという懸念がどうしても残るわけであります。 ですから、同地域の現在のクロマグロの資源の状況をどういうふうに日本政府は把握しておられるのか。そういう外交姿勢、もう少し早目に加盟して同地域の資源の保存管理等にも協力していくというふうなことを沿岸諸国との間で行ってくればよかったのではないかという点についてはどのようにお考えになっているか。その二点をちょっとお尋ねいたします。簡潔で結構です。
○説明員(海野洋君) 今御質問ありました東大西洋のクロマグロの資源量でございますが、八〇年代の後半から多数の国が漁獲量を増加させました結果、資源が悪化し、低水準になっておりますけれども、適切な保存管理措置を導入すれば資源は回復可能な状況にあると考えております。
○政府委員(野上義二君) 今、立木先生の方から御質問ありましたもっと早くからという点でございますけれども、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、従来地中海一般理事会の方は、先ほど申し上げましたように、沿岸国はイワシであるとかそういったようなものを中心に漁業を行ってきたわけで、九五年に至りましてマグロの保存ということ、ICCATと同様の措置を導入するということになりましたので、そういった点で我々も、我々の主たる関心であるマグロについての措置等がとられるようになったということから、この地中海の方にも参加して協力していこうというふうに決めた次第でございます。
○立木洋君 もう少しお聞きしたいんですが、これだけで時間をとるわけにいきませんからあれですが、マグロ資源の管理の上で、地中海の最大の問題は私は便宜置籍船の問題だと思います。これは御承知のように、大西洋の側から地中海の側に産卵の時期に入ってくる、そういう時期にクロマグロを漁獲するというふうなことが事実上行われてきたわけですね。同地域では、結局地中海においては二百海里の線引きについては各国の利益がふくそうしますから、それがやられていない。だから、現実には領海十二海里にはなっているものの、その他はもう直ちに公海なんですね。そうすると、そこに未加盟のいわゆる便宜置籍船が無規制な漁獲を行うというふうなことが資源の保存の上で、マグロの保存の上では非常に大きな問題になっていると私は指摘されていると思うんです。 この問題については既にICCATからは九四年、九五年、パナマ、ホンジュラス、ベリーズなど非加盟国であっていわゆる便宜置籍船により無規制な漁獲をやっているような国に対しては改善をせよというふうな勧告が繰り返しなされたけれども、実際に改善されていない。そういうようなことがあったために、これらの国からの魚の輸入禁止措置をとるようにというような勧告まで出てきているわけです。 そういうことを考えてみますと、同地域で便宜置籍船等でやっているのは主に韓国、台湾あるいは日本だと。そして、日本では条約に加盟せず規制を受けていないパナマなど第三国の船籍を便宜上とって操業している。そして、地中海でとられた、大西洋でとられたクロマグロの場合、スペインのラスパルマス島で冷凍運搬船に積みかえて、大半は日本に輸出しているというふうな状況になっているわけです。 ですから、ICCATから同地域での便宜置籍船からの輸入はやめるべきである、禁止すべきであるという勧告が提出されているのに対して、日本政府としてはどういう対応をとっていかれるのか。また、今問題になっている便宜置籍船の問題についての将来性というか、これからどういうふうな態度をとっていかれるのか。既にICCATからはそういう勧告が出されているわけですから、そういう沿岸諸国との協力等の問題も考えに入れて、やはりそういう問題にまで十分な配慮を図った対応をこの協定に参加する場合にはやっていく必要があるんじゃないかというふうに考えるんですが、その点についてお答えいただきたいと思うんです。
○説明員(海野洋君) 我が国資本によりますカツオ・マグロ漁業の便宜置籍化、いわゆる国際機関への未加盟国、非加盟国を利用して規制を受けずに漁業を操業することでございますけれども、このようなことにつきましては、これまで漁業に関する海外の資本の投資をきちんと管理するということによりまして未然に防止しているところでございまして、ただいま御指摘のありましたような具体的な操業については私ども承知はいたしておりません。 しかしながら、国際的な資源管理の保存措置を害するような便宜置籍船による操業というのは、ICCATなどの活動も阻害するものでありますし、また昨年六月に制定されましたまぐろ資源の保存及び管理の強化に関する特別措置法の趣旨にも反するものでございますので、関係者に対しまして一層そのようなことがないように指導してまいりたいと思っております。
○立木洋君 これは一つの例ですけれども、そのようにおっしゃるならあえて言っておきたいのは、便宜置籍船というのは、ただ単に今回の漁獲の問題で問題があるということだけでなくて、いわゆる事故なんかの問題だとかタンカーなんかの問題についてもいろいろ問題があり得るというふうなことで、便宜置籍船の問題というのは新しくて古い問題で、ずっと繰り返しこの委員会でも議論になってきたことなんです。ですから、私は、便宜置籍船の問題については日本政府としてもよく考えてやらないと、同協定に参加して国際的な協力を強めていく上でやっぱり必要な対応策として考えるべき必要があるんではないかということで、あえて述べさせていただいたわけです。 一つの例を挙げますと、「日刊かつおまぐろ通信」の一九九五年十一月二十四日号によりますと、ICCATの第十四回通常会議に入る直前に、ポルトガル政府代表のリマ議長から日本の代表団に対して、日本の某商社よりポルトガルのクロマグロ合弁操業の打診があったと。ポルトガルはクロマグロの漁獲がICCATによって定められているのでそれはお断りしますというふうにして断ったと。結局合弁操業をやっても、御承知のように、クロマグロというのは統計証明制度によって管理されているわけですから、漁獲量がふえればすぐわかってしまうということになっているわけですね。ところが、日本側の某商社の担当者は統計証明など幾らでもごまかせるから任せてほしいとさえ言ったということがリマ議長の方から日本の代表団に指摘されているということが「かつおまぐろ通信」に載っているんです。これは私はやっぱり考えなければならない。 かつて日本が公海に出て乱獲をやったというふうなことが問題になった時期がありました。日本のたんぱく源として必要な魚をとっておる民族として、国際的な協力で資源を保存し、それを十分な管理のもとで公平な形でやっぱり漁業を進めていくというふうな態度が私はどうしても必要ではないだろうかというふうに考えるので、あえて「かつおまぐろ通信」の問題について引用させていただいたわけですけれども、結局この事件はリマ議長があくまでお断りしたということでおさまったということになったようであります。 この状況については掌握されてしかるべき措置を確かにとられておるんではないだろうかと善意に私は解釈いたしておりますけれども、こういう問題があるので、今後こういう点については十分に注意を払っていくべきだということを、この協定を批准するに当たってそういう考え方を十分に念頭に置いていただきたいということで、この問題での終わりになりますけれども、外務大臣に御所見をひとつ。
○国務大臣(池田行彦君) 委員御指摘のとおり、漁業資源の管理につきましては我が国として大きな関心を持たなくてはいけない、そういう立場にございます。そういった観点から国際的な条約なり取り決めにも積極的に参画しようとしておるわけでございます。 それにもかかわらず、我が国の企業等がそういった国際取り決めあるいはそういったものが目的とするところに反するような行動あるいは行為をするということは決して褒められたことではございません。控えなくてはいけないことでございますので、私どもとしてもそういったことを求めてまいりたいと思います。 とりわけ商社ということになりますと、これだけ相互依存の関係が深まっております国際経済の中で共存共栄を図っていくという立場で活動しておるところでございますので、よくそういった基本を踏まえて行動してもらいたいものと考える次第でございます。
○立木洋君 最後に、今問題になっています日韓、日中の漁業協定の問題です。この進行状況というのは一体どういうふうになっているのか。現状と、ある程度見通しが立つといいますか、ここまでは合意ができているけれども、まだこの点は合意ができていないという点ですね。それからまた、そういうふうな状況の中で、仮にいっかの時期に二百海里の全面適用、やっぱりこちらが打ち出していく、日本政府としてはそういう結論を出すというふうなことを考えているのか、何か考えているとするといつの時期に二百海里の全面適用を考えていくのか、その進捗状況とあわせて、その全面適用の時期等について最後にお尋ねしておきます。
○政府委員(加藤良三君) 中国との漁業協定交渉の方につきましては、四月二十一日と二十二日、第三回の公式協議が開催されて着実な進展が見られております。 具体的には、海洋法条約の趣旨を踏まえて、原則的に沿岸国主義にのっとった解決を目指して交渉を加速化するということ、それからもう一つは日中間で境界画定の必要な東海、東シナ海の水域については早急に境界画定を行うことは困難であるということにかんがみ、何らかの暫定的な措置を導入するという大枠の考え方を双方で確認した上で議論が行われている、こういう状況でございまして、次回の協議もできる限り早く開催いたしたいと思っております。 また、韓国との漁業協定交渉につきましては、四月三十日と今月の一日、実務者協議が開催されまして、我が方から新たな漁業協定の案文を提示して議論を行いました。考え方に一致が見られた点もありますが、調整が必要な点も見られておりまして、特に日韓間で境界画定が必要な水域に係る問題について日本側から暫定的考え方に基づく解決というのを提案しておりますけれども、韓国側は境界画定を行って問題を解決すべきであるという立場でございます。今後とも鋭意協議を続けてまいりますけれども、排他的経済水域の境界画定については現在交渉中でございます。 国内的には排他的経済水域の全面設定の手当てがなされているわけでございますが、今後、境界画定につきましては早急に合意に至ることが日本・中国、日本・韓国の間で仮に困難だということが見込まれる場合には、合意に至るまで新たな漁業協定の締結、これを差し控えるということは考えておりません。国連海洋法条約のもとでの何らかの暫定的な解決を図ることは必要だと認識しております。
○立木洋君 二百海里の全面適用の時期等は検討されているんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) これはまさに排他的経済水域の境界画定の交渉ということで、日中、日韓、国際的な次元においては行われている途中ということでございます。
○委員長(寺澤芳男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 千九百六十三年五月二十二日に地中海漁業一般理事会の第一回特別会合(同年五月二十一日及び二十二日にローマで開催)において及び千九百七十六年七月一日に同理事会の第十三回会合(同年六月二十八日から七月二日までローマで開催)において改正された地中海漁業一般理事会協定の締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(寺澤芳男君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(寺澤芳男君) 次に、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷、ブービートラップ及び他の類似の装置の使用の禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件及び過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約の追加議定書の締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。池田外務大臣。
○国務大臣(池田行彦君) ただいま議題となりました過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷、ブービートラップ及び他の類似の装置の使用の禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この議定書は、平成八年五月にジュネーブにおいて採択されたものであります。 この議定書は、地雷等の使用の制限を強化し及び地雷の移譲を制限すること等により武力紛争における文民等の一層の保護を図ることを目的とするものであります。 我が国がこの議定書を締結することは、通常兵器についての軍備管理及び軍備縮小を促進するための国際協力に寄与するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。 次に、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約の追加議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この議定書は、平成七年十月にウィーンにおいて採択されたものであります。 この議定書は、失明をもたらすレーザー兵器の使用及び移譲を禁止すること等について規定するものであります。 我が国がこの議定書を締結することは、通常兵器についての軍備管理及び軍備縮小を促進するための国際協力に寄与するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○委員長(寺澤芳男君) 以上で両件の趣旨説明の聴取は終わりました。 両件の質疑は後日に譲ることといたします。 ―――――――――――――
○委員長(寺澤芳男君) 次に、国際情勢等に関する調査のうち、在ペルー日本大使公邸占拠事件に関する件を議題とし、池田外務大臣から報告を聴取いたします。池田外務大臣。
○国務大臣(池田行彦君) 在ペルー日本大使公邸占拠事件については、昨年十二月十八日の事件発生以来、我が国は、ペルー政府と協調しつつ、テロリズムに屈することなく、人質全員の無事な解放を目指して、その解決に向けあらゆる努力を傾けてきたところでありますが、御承知のとおり、去る四月二十一日にペルー政府が電撃的な救出作戦を敢行し、事件発生より百二十七日目にして事件解決を見た次第であります。 このような長期にわたり事件が継続する中、人質の方はもとより、御家族の方々にも大変な御心痛があったことと思います。また、関係各位にも多大な御心配をおかけいたしました。 救出作戦の際に三名の方々のとうとい生命が犠牲になったことはまことに残念でありますが、フジモリ大統領の指揮のもと、大部分の人質が無事救出されたことは高く評価されるべきものと考えます。 なお、事件解決直後、橋本総理はフジモリ大統領と電話で会談し、フジモリ大統領の努力に謝意を表明したところでありますが、フジモリ大統領よりは、事前に日本政府への連絡をとらなかったにもかかわらず、ペルー政府を信じていただき感謝する旨の日本国民へのメッセージが伝えられたことを申し添えたいと思います。 今回の事件の解決に当たっては、実に多くの方々の御支援をいただいたことを忘れてはなりません。なかんずく、保証人委員会による献身的努力は特筆すべきものと考えます。保証人委員会のメンバーの方々は、不屈の精神を持って粘り強く解決の方途を探る努力を続けられ、公邸内の人質の方々にとってはもとより、公邸外の家族や関係者にとっても精神的な支えとなりました。シプリアーニ大司教を初めとする保証人委員会の方々とパレルモ教育相の真摯な取り組みがあって初めて今日の結果も可能であったと理解しています。 さらに、私は、事件発生から百二十七日間、生命の不安とさまざまな不自由な環境の中にあって、事件解決への希望を失うことなく、軽挙妄動を戒め、団結と助け合いの精神でこの困難を克服してこられた人質の方々を心からたたえたいと思います。ほかでもないその勇気と忍耐がみずからの命を救ったと申し上げたいと思います。 事件解決を受け、私は四月二十三日から二十八日までペルーを訪問し、犠牲者の遺族の方々へ弔意をあらわし、負傷された方々をお見舞いするとともに、ペルー政府及び保証人委員会等の関係者に対して謝意を表明いたしました。 フジモリ大統領との会談においては、私より、日本国民全体の謝意を表明するとともに、参議院、衆議院による感謝決議を紹介いたしました。また、経済協力の実施を含む日本、ペルー両国間の友好関係を一層促進するよう努力することを表明した次第であります。 ここで、簡単に事件の経緯について振り返ってみたいと思います。 今回の在ペルー大使公邸占拠事件は、昨年十二月十八日にリマの日本大使公邸で開催されていた天皇誕生日祝賀レセプションの際、MRTAが建物内に侵入し、公邸を占拠したことに始まります。 事件発生直後、十二月十九日から二十三日までの間、私は、現地の我が方対策本部の体制をきちんと立ち上げること、事件解決に当たり人質の安全を重視し、本件の平和的解決を目指すとの我が方の基本的考え方をペルー政府要人に伝えること、主要外交団との意見調整をすること、在留邦人、日系人等と面談すること等を目的としてペルーを訪問しました。私のペルー滞在中にこうした初動の目的はおおむね達成され、十二月二十三日夜帰国いたしました。 その後、数次にわたり人質の一部が解放されましたが、本年一月に入ってからは大規模な解放はなく、事態は膠着化するに至りました。 事件発生当初より、我が国としては、昨年十二月二十七日のG7・P8議長声明発出、一月の橋本総理のASEAN訪問の際のASEAN各国よりの支持の取りつけ及び二月のASEM外相会合議長声明発出等、国際社会の支持取りつけ等にも努力してまいりました。 また、事件発生当初より、橋本総理がフジモリ大統領と電話会談を行う等、ペルー政府と緊密な連絡をとってまいりましたが、保証人委員会設立と交渉の枠組みづくりに向けた動きが重要な時期を迎えた一月三十一日より二月二日、両首脳間の緊密な協調を再確認するため、橋本総理はカナダのトロントにおいてフジモリ大統領と首脳会談を行いました。 この首脳会談において、両首脳は、テロリズムに屈することなく、事件の平和的解決を目指すとの基本方針を再確認するとともに、ペルー政府とMRTA側との予備的対話の開始及び寺田大使のオブザーバーとしての保証人委員会への参加を決定しました。 このトロントにおける首脳会談を受けて、二月十一日、ペルー政府とMRTA側の間の一回目の予備的対話が行われました。その後三月十二日まで十回開催され、それ以降は保証人委員会とMRTA側、政府側おのおのとの間で個別協議が行われましたが、我が国としては、保証人委員会オブザーバーとしての寺田駐メキシコ大使を通じて、これらの対話をフォローするとともに種々の協力を行ってまいりました。 これらの対話の中で、いわゆるテロリストたちの出口の問題が一つの重要な問題となったため、三月十七日より二十三日まで高村外務政務次官がペルー、キューバ及びドミニカ共和国を訪問し、各国の首脳と会談を行いました。 この訪問中、フジモリ大統領との会談では、テロリズムに屈することなく、事件の平和的解決と人質の早期全面解放に向けて一層の努力を傾けるとのトロントにおける首脳会談での合意を再確認するとともに、同大統領に対し、対話の加速を要請し、理解を得ました。 また、キューバ及びドミニカ共和国においてはMRTAメンバーの受け入れにつき首脳からそれぞれ協力の約束を取りつけ、事件の平和的解決に向けての環境整備の観点から重要な前進が見られました。 このように、事件の平和的解決に向けての環境整備が少しずつ進められ、事件の解決を可能とする案が真剣に模索されていましたが、MRTAメンバー収監者の釈放問題等をめぐり両者の合意はついに見られず、さきに述べたとおり、四月二十三日、ペルー政府による救出作戦という形で事件が解決を見たわけです。 私は、フジモリ大統領との会談の中でも申し上げましたが、今回の事件を契機として、日・ペルー両国は一層かたいきずなで結ばれて、両国間の友好親善関係が今後一層進展していくに違いないと確信しています。そして、今回の事件解決への努力を進める中で、多くの国々からさまざまな協力、支援の手が差し伸べられ、国際社会が一致団結してペルー政府、日本政府及び関係者に対する連帯と支持を表明したことが今回の事件の解決を図る上で大きな力となったと感じております。 今後の課題といたしましては、まず本事件の解明を行うとともに、本事件を教訓として、反省すべき点、改善すべき点を調査、分析することが極めて重要であります。 そのために、外務省としては、四月二十三日、私のもとに事務次官を委員長とした在ペルー日本大使公邸占拠事件調査委員会を発足させ、警備の問題を初め、事実関係の究明、今後の対処策についてできるだけ早期に報告を取りまとめるよう鋭意作業を開始したところであり、六月中旬を一応の目途として報告書を公表する予定で精力的に作業を進めていく所存であります。 また、在外公館警備全般についても、今回の事件を踏まえ、その全般的な見直しを行い、警備体制の一層の強化を図っていくため、別途の委員会を二月に設置して、これまで八回の会合を重ねてきております。 なお、昨年六月のリヨン・サミットでテロリズムに関する宣言が採択されておりますが、我が国としては、今回の事件を教訓として、今後ともテロリズムと闘う国際社会と一層連携し、より一層効果的なテロ対策の実施に意を用い、テロリズムと闘っていく考えであります。 今回の事件は日本とペルーの両国にとってまことに困難な試練のときを与えましたが、私といたしましては日・ペルー関係のさらなる発展に向けて全力を傾けてまいる所存であります。そのためには、在ペルー日本国大使館の機能を一日も早く全面的に回復させ、大使館業務を軌道に戻す必要があると考えております。 また、我が国のペルーに対する経済協力は、民生向上のための社会分野での協力や、道路、港湾整備等を中心としたインフラ整備への協力等幅広い分野にわたっており、ペルーの経済発展及び貧困対策に貢献し、ペルー政府だけでなく広くペルー国民からも高い評価を受けていると認識しております。今回の事件にもかかわらず、ペルーに対し積極的に経済協力を実施するとの我が国の方針に変更はなく、今後大使館業務の早急な正常化とともに具体的な経済協力の実施を進めていきたいとも考えております。 最後に、本事件の解決に向けて、本委員会の委員の方々には、事件が発生して以来四カ月余りの長きにわたり、温かい御支援と御協力をいただきましたことに対して深甚なる感謝の意を表します。
○委員長(寺澤芳男君) 以上で報告の聴取は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時五十七分散会 ―――――・―――――