運輸委員会 第2号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1997/02/18
会議録
○委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。 運輸事情等に関する調査を議題といたします。 まず、運輸行政の基本施策に関し、運輸大臣から所信を聴取いたします。古賀運輸大臣。
○国務大臣(古賀誠君) 第百四十回国会に臨み、当面の運輸行政の諸問題に関し所信を述べ、委員各位の御理解と御支援を賜りたいと思います。 まず、喫緊の課題でありますロシア船籍タンカー・ナホトカ号の海難・流出油災害への対応について申し上げます。 一月二日に島根県隠岐島沖で発生したナホトカ号の海難・流出油災害につきましては、広い範囲の海岸に漂着し、漁業や観光への影響が懸念されております。これまで、私を本部長とする政府の災害対策本部において、応急対策として海上保安庁や港湾建設局等の船艇、航空機等による流出油の監視、防除作業等を実施してまいりましたが、引き続き関係省庁と一体となり、地方公共団体や民間ボランティア等とも連携しつつ被害の拡大防止に努めてまいります。被害対策、再発防止対策等につきましても、関係閣僚会議等を活用し、政府一体となった取り組みを行ってまいります。運輸省としては、さらに、事故原因の究明に努めるとともに、海難事故及び海洋汚染の未然防止のため、旗国による船舶検査の徹底及び外国船舶の監督の強化を各国政府に対して求めるほか、監視、取り締まり等を充実強化してまいります。 さて、近時の我が国経済社会の置かれた状況を見ますと、グローバル化、ボーダーレス化のさらなる進展の中で、産業構造の著しい変化、急速な人口の高齢化、財政状況の深刻化などに伴う諸問題が山積しております。 運輸省としては、このような状況を踏まえ、安全の確保を基本としつつ、二十一世紀に向け、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と、安定的で質の高い運輸サービスの提供を目指し、以下のとおり所要の施策を積極的に展開してまいる所存でございます。 まず第一に、行政改革、経済構造改革の要請や国民のニーズの多様化等に対応して、みずからの行政や規制のあり方について抜本的に見直してまいります。 運輸省は、昨年十二月、自由競争の促進により経済活動の一層の効率化、活性化を図るため、人流、物流の全事業分野において原則として目標期限を定めて、これまでの運輸行政の根幹をなしてきた需給調整規制を廃止し、あわせて、このために必要な環境または条件を整備するとともに、利用者保護、安全確保等の観点から必要な措置を講ずる方針を決定いたしました。この点につきましては、今後運輸政策審議会などの場で具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。また、この間の当面の措置としても、参入規制や運賃規制についてできる限り弾力的な取り扱いを行い、事業者の自主的な経営を通じ利用者の利便の増進に努めてまいります。 経済構造改革を実現する上で特に重要な物流分野につきましては、高コスト構造を是正し、円滑な物流を確保するため、規制緩和の一層の推進や幹線物流におけるモーダルシフトの推進、流通効率化対応物流施設の整備、情報化の推進等により物流の効率化を図ってまいります。そのほか、内航海運における船腹調整事業の計画的解消に向けての債務保証制度の創設等所要の環境整備、テクノスーパーライナーの事業化に向けての検討、外航海運における国際船舶制度の拡充、造船業における高度情報化技術の導入など、運輸産業の活性化や国際競争力の維持、向上のための制度面、技術面における整備を図ってまいります。 さらに、特殊法人に関しましては、既定の閣議決定を踏まえ、運輸関係施設の効率的な整備等を推進する観点から、鉄道整備基金と船舶整備公団を統合し運輸施設整備事業団を設立するなど、合理化を進めてまいります。 地方分権につきましても、従来より関係地方公共団体との密接な連携のもと地域の実情に対応した運輸行政を行ってきたところでありますが、今後とも地方分権推進委員会の勧告等を踏まえ、適切に対処してまいります。 第二に、厳しい財政的な制約の中で、投資の重点化、建設コストの縮減を図った効率的、効果的な運輸関係社会資本整備に一層努めてまいります。 鉄道につきましては、整備新幹線について、昨年十二月二十五日の政府・与党合意に基づき、現在着工している三線五区間の着実な整備を進めるとともに、未着工区間については、整備区間ごとに、収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意等の基本条件が整えられていることを確認した上で適切に対処してまいります。また、幹線鉄道の高速化等を推進してまいります。 次に、港湾につきましては、昨年十二月に閣議決定された本年度を初年度とする第九次港湾整備五カ年計画に基づき、国際ハブ港湾における大水深コンテナターミナルの整備、災害に強い港湾システムの構築、廃棄物海面処分場の整備等を最重点課題として推進してまいります。さらに、入出港手続の簡素化や情報化を推進するなど、港湾利用の効率化に努めてまいります。なお、阪神・淡路大震災により被災した神戸港につきましては、本年三月に全面復旧が見込まれますが、今後とも耐震強化岸壁の整備等復興に努めてまいります。 海岸につきましても、昨年十二月に閣議決定された第六次海岸事業五カ年計画に基づき、安全で、自然と共生し、利用され親しまれる海岸を創造してまいります。 空港につきましては、同月に閣議決定された第七次空港整備五カ年計画に基づき、国際ハブ空港を初めとする大都市圏における拠点空港の整備を最優先課題として推進してまいります。特に、成田空港については、成田空港問題円卓会議の結論を最大限尊重し、総合的な地域との共生策を積極的に講じるとともに、この五カ年計画内の平行滑走路等の完成を目標に、あくまで話し合いによって進めてまいる所存であります。関西国際空港につきましては、本年度から上下主体分離方式により二期事業に着工したところであり、積極的に整備を推進してまいります。また、地域拠点空港、地方空港等についても、新たな整備方式を創設することなどによりその整備を推進してまいります。さらに、航空交通容量の拡大を図るため、平成十一年度の打ち上げを目指しております運輸多目的衛星を中核とした次世代の航空保安システムの整備に取り組んでまいります。 第三に、ゆとりと優しさを実感できる社会に向けての諸施策を推進してまいります。 まず、高齢者、障害者の方々が安全かつ円滑に移動できるよう鉄道駅におけるエレベーター、エスカレーターの整備や超低床ノンステップバスの導入を初めとする各種の高齢者・障害者対策等を強力に推進してまいります。 また、大都市圏における通勤・通学混雑の緩和を図るため、新線建設や複々線化等を推進するとともに、企業の労使代表等による協議会等を通じてのオフピーク通勤の推進などの施策の一層の充実を図ってまいります。 地域住民の日常生活を支える地域交通の安全確保、維持整備につきましては、オムニバスタウン構想の推進等バス交通の活性化対策に取り組むとともに、地方鉄道、地方バス、離島航路及び離島航空に対する助成等を行ってまいります。 なお、沖縄振興につきましては、空港、港湾、観光等の振興策に関して、沖縄政策協議会の各プロジェクトチームでの検討等を踏まえ、沖縄県及び関係各省庁と緊密に連携をとりつつ積極的に推進してまいります。特に、本土と那覇との間の航空運賃については、航空機燃料税の軽減とあわせ空港使用料の特例措置を講ずることにより引き下げることとしております。 また、ゆとりある生活や地域の活性化にとって観光の果たす役割が重要であることから、旅の総合見本市の開催や観光基盤施設の整備に取り組むほか、連続休暇の普及等に努めてまいります。さらに、我が国に対する理解の増進と地域の活性化を図るため、国際的に低水準にある訪日外国人観光客の増加を図るとともに、多様な地域への来訪を促進するための施策を推進してまいります。 環境問題への対応につきましては、まず、地球温暖化問題への対応方策として、自動車の燃費改善を推進するとともに、公共交通機関の利用の促進、モーダルシフトの推進等により環境への負荷が少なくエネルギー効率のよい交通体系の形成を図るほか、観測・監視・予測体制を一層整備してまいります。また、NOx対策など地域的環境問題につきましては、トラック、バス等に対する使用車種規制を的確に実施するとともに、低公害車の普及、共同輸配送等を促進してまいります。 第四に、経済社会の国際的相互依存関係の高まりに伴う、国際運輸サービスに関する調整や協力体制の確立に取り組んでまいります。 特に、目覚ましい成長を遂げつつあるアジア諸国との間においては、APEC、東アジア運輸フォーラム等の場における多国間政策対話を推進してまいります。 このほか、二国間の運輸ハイレベル協議、運輸技術協力等を通じて的確な国際運輸行政の推進を図ってまいります。 国際協力につきましては、開発途上国の実情を十分に把握しつつ、鉄道、港湾、航空等の運輸関係社会資本整備、人材養成や環境保全に関する協力を引き続き推進してまいります。 日米航空関係については、先般、次官級での意見交換を行ったところであり、日米間の大幅な不平等の是正を前提としたより自由で新しいフレームワークをつくるべく粘り強く努力してまいります。このほか、WTOにおける海運交渉の成功、日米間の港運問題の解決、造船協定の早期発効に向け、引き続き努力してまいります。 第五に、次世代に向けた技術開発の推進と運輸行政の基本である交通安全の確保に取り組んでまいります。 技術開発につきましては、本年四月から山梨実験線で走行試験を開始するリニアモーターカーを初め、先進安全自動車、メガフロート、次世代の舶用エンジン等の研究開発などを進めてまいります。さらに、運輸分野における技術の創出、高度化に資するため、公募型の基礎研究推進制度を創設し研究を進めてまいります。 交通安全対策につきましては、引き続き、交通安全施設の整備、輸送機器の安全性の確保、適切な運行の確保、被害者救済対策の充実等に努めてまいります。自動車の検査・登録制度については、ユーザーによる申請の増加などに対応し、業務体制の充実に努めてまいります。また、航空機検査制度について、民間事業者または外国が行う検査の活用等を図った新しい検査制度を本年秋から施行するとともに、船舶検査制度について、船舶検査証書等の有効期間の延長を図るなど、検査制度の合理化にも努めてまいります。 海上保安業務につきましては、国連海洋法条約批准に伴う新たな海洋秩序の形成に対応して、巡視船、航空機の増強等を推進するとともに、海洋調査の充実強化に努めてまいります。また、けん銃、麻薬等の密輸入、不法入国等に的確に対応するほか、航行安全対策の推進、航路標識の整備等に努めてまいります。 気象業務につきましても、引き続き、気象観測・予報、地震・火山観測等の業務の充実に取り組んでまいります。 最後に、国鉄改革の総仕上げとしては、国鉄清算事業団の長期債務等の処理及びJR各社の完全民営化の実現への取り組みが重要な課題として残されております。 まず、国鉄長期債務等の処理が緊急の課題であるとの認識に基づき、昨年十二月の閣議決定において、その本格的処理を平成十年度より実施することとし、平成九年中に具体的処理方策についての成案を得ることとしたところであります。今後、本格的処理策を早急に策定し実施に移せるよう、最大限の努力を行ってまいります。この間、最終的な国民負担の増加を防止する観点から、平成九年度においては、臨時、異例の措置として事業団の借入見込み額約三兆円に相当する有利子債務を無利子化するなど、金利負担軽減措置を講ずることとしております。また、事業団が保有する土地については、全力を挙げて早期処分を図るとともに、残るJR株式についても早期売却を推進してまいります。 また、JR北海道、JR四国及びJR九州につきましては、経営安定基金の運用益の確保等によりその経営基盤の強化を図るとともに、JR貨物につきましては、完全民営化に向けた検討を着実に進めてまいります。 以上、運輸行政をめぐる課題は山積しておりますが、私といたしましては、長期的展望に立ち、また、国民の行政に対する信頼を確保しつつ、全力を挙げて諸課題の解決に取り組んでまいる所存でございます。これらは申すまでもなく、委員各位の深い御理解と御協力を必要とする問題ばかりであります。終わりに当たりまして、重ねて委員各位の御支援、御指導をお願い申し上げる次第でございます。
○委員長(直嶋正行君) 次に、平成九年度運輸省関係予算に関し、説明を聴取いたします。衛藤運輸政務次官。
○政府委員(衛藤晟一君) 運輸省所管の平成九年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計予算でございますが、歳出予算額として九千五百三十五億三千二百万円を計上しております。 次に、特別会計予算でございますが、自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては七千七十一億四千六百万円、自動車検査登録特別会計につきましては四百九十三億九千九百万円、港湾整備特別会計につきましては四千九百十九億三千七百万円、空港整備特別会計につきましては四千七百八十二億千四百万円をそれぞれ歳出予算額として計上しております。 また、財政投融資計画中には、当省関係の公団等分として一兆二千二百八十四億円が予定されております。 以下、主要な事項につきまして御説明申し上げます。 まず、鉄道の整備につきまして申し上げます。 整備新幹線の建設につきましては、昨年十二月の政府・与党合意に基づき、三線五区間の着実な整備を進めるとともに、未着工区間については、整備区間ごとに、収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意等の基本条件が整えられていることを確認した上で適切に対処してまいります。 地下高速鉄道、ニュータウン鉄道等の都市鉄道の整備及び幹線鉄道の活性化等につきましては、必要な助成を行い、整備を推進してまいります。 国鉄長期債務等の問題につきましては、その本格的処理の実施が緊急の課題となっていることから、これを平成十年度より実施することとし、本年中に成案を得るべく具体的処理方策の検討を進めるとともに、平成九年度においては、臨時、異例の措置として、事業団の借入見込み額約三兆円に相当する有利子債務を無利子化する等、金利負担軽減措置を講ずることとしております。 次に、港湾及び海岸の整備につきまして申し上げます。 港湾整備事業につきましては、グローバル化時代への対応、高コスト構造の是正、生活大国づくりに資するために、国際競争力強化のための大水深かつ高規格な国際海上コンテナターミナルの整備、物流コスト削減のためのコンテナターミナルの拠点的整備、切迫する廃棄物問題に対応するための廃棄物海面処分場の整備事業を最重点施策として推進することとしております。 海岸事業につきましては、高潮、津波及び海岸侵食の脅威から国土を保全するとともに、自然環境と調和し、また市民に親しまれる海辺を創造するため、海岸保全施設、海岸環境の整備等を推進することとしております。 また、投資の重点化、既存ストックの有効活用、他の施策、事業との連携などの施策を講じ、効率的、効果的な港湾及び海岸の整備を推進するとともに情報化を推進するなど、港湾の効率的な利用を促進することとしております。 次に、空港の整備につきまして申し上げます。 航空ネットワーク形成の拠点となる大都市圏拠点空港について、引き続き、新東京国際空港の整備及び東京国際空港沖合展開事業の推進を図るとともに、新三大空港プロジェクトとして、関西国際空港の二期事業、中部新国際空港及び首都圏空港の事業を推進することとしております。 また、航空ネットワークの充実を図るため、地域拠点空港、地方空港等の整備を推進するとともに、あわせて、周辺環境対策及び航空路施設の整備等を推進することとしております。 なお、沖縄振興の推進の観点から、空港使用料の特例措置等により本土と那覇の間の航空運賃を引き下げることとしており、所要の財源措置を講じております。 以上、鉄道、港湾、空港等の運輸省関係社会資本の整備につきまして申し上げましたが、これらの施設を整備する公共事業全般につきましては、我が国の経済構造改革に資する分野等に投資を重点化するとともに、建設コスト縮減のための行動計画を策定することとする等、効率的、効果的実施に努めることとしております。 次に、地域における公共交通の維持整備につきまして申し上げます。 地域住民の生活に不可欠な地方バスの運行の確保及びバス交通の活性化を図るとともに、中小民鉄の近代化等を図るため、これらに要する経費の一部を補助することとしております。 また、離島住民の生活に不可欠な離島航路の整備・近代化を図るため、離島航路事業の欠損の一部及び船舶の建造費用の一部につきまして補助することとしております。 さらに、離島航空輸送の確保を図るため、離島航空機購入費用の一部につきまして補助することとしております。 次に、海運、造船及び船員雇用対策につきまして申し上げます。 海運対策につきましては、貿易物資等の安定輸送体制の整備を図るため、国際船舶制度を初めとする外航海運の国際競争力の強化等のための諸施策を推進するとともに、外航船舶その他の施設の整備に必要な資金について日本開発銀行からの融資を行うこととしております。さらに、船舶整備公団により、離島航路を含む国内旅客船及び内航貨物船の共有建造等を行うこととしております。 造船対策につきましては、船舶技術の高度化等を図るため、メガフロートの研究開発事業等に対する支援を推進するとともに、船舶輸出を行うために必要な日本輸出入銀行からの融資を行うこととしております。さらに、高度情報化技術の導入等により、魅力ある造船・舶用工業へ向けた産業基盤の整備を図るとともに、我が国が昨年批准した造船協定の円滑な履行を図ることとしております。 船員雇用対策につきましては、減船に伴う漁業離職者等に対する職業転換給付金の支給や離職高齢船員の活用対策等の施策を推進することとしております。 次に、人に優しい交通の実現、観光の振興、国際協力及び貨物流通対策につきまして申し上げます。 高齢者や障害者の方々が交通施設を円滑に利用できるようにするため特に整備が急がれている、鉄道駅における障害者対応型のエレベーター等の整備を促進するため、必要な経費の一部を補助することとしております。 また、観光交流の拡大及び観光の振興を図るため、外国人観光客の来訪を促進するための国際観光振興会による効果的な誘客・宣伝活動等の実施、観光基盤施設の整備を推進することとしております。 次に、国際社会への貢献につきましては、開発途上国における交通基盤の整備、人材養成、環境保全、輸送安全への協力等、運輸分野における国際協力を推進することとしております。 さらに、貨物流通対策につきましては、日本開発銀行等からの所要の融資等を行うほか、物流効率化の一層の推進に必要な調査を行うこととしております。 次に、運輸関係の技術開発の推進につきまして申し上げます。 二十一世紀に向けてより高度な運輸サービスを提供するため、リニアモーターカー、メガフロート、次世代の舶用エンジン等の技術開発の推進に必要な経費の一部を補助するほか、運輸分野における技術の創出、高度化に資するため、基礎的研究の推進制度を整備することとしております。 次に、海上保安体制の充実強化につきまして申し上げます。 国連海洋法条約批准に伴う排他的経済水域の設定等による監視取り締まり水域の拡大等、新たな海洋秩序の形成などに対応して、我が国の権益の確保と警備救難体制の強化を図るため、船艇、航空機の整備、海洋調査の充実強化等を推進するとともに、船舶の交通安全と運航能率の向上を図るため航路標識の整備を推進することとしております。 次に、気象業務体制の充実強化につきまして申し上げます。 台風、集中豪雨雪等の観測予報体制を強化するため、静止気象衛星及び観測予報施設の整備を推進するとともに、地震・火山対策として監視体制の強化を図ることとしております。また、地球環境問題に的確に対応するため、気候変動対策の強化を図ることとしております。 以上申し述べましたほかにも、踏切保安設備の整備等、運輸行政の要請である交通安全対策を初め、各般にわたる施策を推進するため必要な予算を計上しております。 以上をもちまして、運輸省所管の平成九年度予算につきましての説明を終わります。
○委員長(直嶋正行君) 以上で運輸行政の基本施策に関する運輸大臣の所信並びに平成九年度運輸省関係予算に関する説明の聴取は終わりました。 —————————————
○委員長(直嶋正行君) 次に、先般実施されました議員派遣について、議員団に副団長として参加いたしました私から便宜、調査の概要を御報告いたします。 ロシアのタンカー・ナホトカ号による重油流出事故の被害状況等の実情調査のため、去る一月三十日、本院から十二名の議員団が福井、石川の両県に派遣されました。 派遣議員は、団長真島一男君、狩野安君、亀谷博昭君、清水達雄君、二木秀夫君、三浦一水君、常田享詳君、長谷川道郎君、渡辺四郎君、中尾則幸君、西山登紀子君、そして私、直嶋正行の十二名であります。また、鹿熊安正君、松村龍二君、加藤修一君、清水澄子君、末広真樹子君、芦尾長司君の六名が現地参加されました。なお、今回の実情調査は、衆議院の議員団と合同で行われました。 以下、調査の概要について御説明申し上げます。 調査団はまず、福井県に入り、三国町に設けられた海上保安庁の現地対策本部を訪れ、指揮に当たっている職員を激励しました。 次に、海上保安庁、水産庁及び環境庁の担当者から事故の概要及び講じた施策についての説明と、県、市町村、漁業団体、観光業団体等からの要望を聴取いたしました。 同県への重油の漂着は、日を追って増加し、今は沿岸すべての市町村に及んでおり、大きな被害が生じております。漂着した地域においては、岩ノリ、アワビ、サザエ等が汚染され、採貝藻漁業、定置網漁業等が深刻な被害を受けております。一方、深い海に生息するズワイガニ、甘エビ等は汚染を免れておりますが、油回収作業のため出漁回数が減少し、水揚げ高が大きく減っているとのことでありました。 旅館や民宿では、予約のキャンセルが相次ぎ、新たな予約申し込みが激減しております。国定公園を抱えるこの地域では、漁業とともに観光業が基幹産業となっており、地元では両産業への悪影響が広く地域経済全体に波及することを憂慮しておりました。 次に、福井港において回収重油の一時保管ピットとドラム缶集積場を視察した後、三国町において船首部の着底現場を視察いたしました。 海岸の無数の岩は、今なお付着した重油で光っており、あたりには刺激臭が漂っておりましたが、粉雪が舞う中で自衛隊員が油まみれになりながら除去作業を行っておりました。 海を望むやや小高いところに、ボランティア現地受付本部のテントが幾つか張られておりました。寒風が吹き込むテントの中では、若者を中心に幅広い年齢層の人たちが救援物資の仕分け作業などに従事しておりましたので、労をねぎらい、激励いたしました。連日、油回収作業に懸命に取り組んでいるこの人たちに報いるためにも、施設の改善、交通費の負担軽減等の支援策の必要性を感じた次第です。 福井県を視察した後、石川県に入りました。 同県では、まず、加賀市塩屋海岸において、回収した油まじりの砂の山を視察いたしました。大量の油まじりの砂については、地元自治体としては焼却を望んでいるものの、船主が契約している保険会社は費用がかかり過ぎるとして反対し、話し合いは難航しております。一日も早くもとの白砂青松の海岸に復旧することを願わずにはおられませんでした。 次に、県当局からの被害の概況説明と県、市町村、漁業団体、観光団体等からの要望を聴取いたしました。また、大きな被害を受けたものの、今回の調査で視察できなかった珠洲市等能登地方の市町村について、テレビモニターによって被害や回収作業の実態を見るとともに、首長等と意見を交換し、要望を聴取いたしました。 同県においては、加賀地方から能登地方の外浦に至る沿岸の全市町村の海岸に浮流油の漂着が見られ、漁業においては、採貝藻漁業、定置網漁業、底びき網漁業等が被害を受けております。観光業においても予約の取り消しが出る事態が生じております。 作業に従事する地元の人たちの疲労は極限状態に達しているとのことであります。他県でも同様ですが、無理を押して作業に加わっている高齢者も多く、ボランティアを含め既に死者が出ており、早急な対策が必要と思われます。 両県において受けた要望は多岐にわたりましたが、その内容は別途作成した報告書に掲載しておりますので、御参照いただきたいと存じます。これらの要望につきましては、関係委員会等において十分検討の上対応する必要があります。 派遣議員団は、今回の現地調査等を踏まえて、二月五日、緊急措置として次の六項目について申し入れを行うこととし、これを議長に報告した後、衆参合同で内閣総理大臣及び運輸大臣に申し入れを行いました。 その内容は、一、船首部から重油を速やかに抜き取るとともに、船体後部の現状を速やかに把握し、漏出油に対する万全の措置を講ずること、二、重油流出事故による損失補償を円滑かつ速やかに実現するため、賠償手続や内容等の相談窓口を一元化すること、三、重油防除及び水産・観光業等の被害に対する適切な支援措置を講じ、あわせて風評被害の防止措置を講ずること、四、重油回収に従事する地域住民、ボランティア等に対し、その健康の管理及び負担軽減等のための支援措置を講ずること、五、流出油による海域及び沿岸域の環境汚染実態調査及び生態系全般にわたる総合的影響調査を速やかに実施すること、六、事故原因の究明及び被害状況の把握を速やかに行うことの六項目であります。 以上が調査等の概要でありますが、最後に、事故発生以来昼夜兼行で重油回収作業に携わってこられた関係機関の職員、地元住民、ボランティアなどの方々に心から敬意を表しますとともに、不幸にも回収作業が原因で亡くなられた方々に衷心より哀悼の意を表します。また、御多忙中にもかかわらず本議員団の調査に際し格別の御協力を賜りました関係者の方々に心から感謝申し上げまして報告を終わります。 この際、お諮りいたします。 ロシアのタンカー・ナホトカ号による重油流出事故の被害状況等の実情調査のための議員派遣につきましては、既に議院運営委員会に報告書が提出されておりますが、本委員会におきましても、便宜これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十二分散会 —————・—————