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140回国会衆議院1997/02/07

予算委員会 第9号

発言数
208
登壇者
38
会派数
2
開催日
1997/02/07

会議録

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 これより会議を開きます。  平成九年度一般会計予算、平成九年度特別会計予算、平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 まず、今内閣が直面しておられますペルー事件、あるいは油の流出事件、あるいは行革を初め、もう大変な課題の山積しておる中、野党といえども、野党として、一生懸命努力をしておられる内閣の皆さんに敬意を表します。しかしながら、野党は野党でありまして、やはりただすべきことはたださなけりゃならぬという立場から、敬意を表しつつも若干の疑問の点を質問させていただきます。  まず私は、今の景気動向と内閣の姿勢についてお伺いをいたしますが、八〇年代の日本の経済と九〇年代の日本の経済は、これは午前中と夕方のような景気の動向ではないかと考えるわけであります。  そういう意味において、今回総理が決意を秘められた行革、財政再建等々五つの計画、これを達成しようと火だるまとなってやるというふうに決意を表明されたわけでありますが、我が党もまた、この夕暮れの日本経済において、果たして今それを、消費税を引き上げたり、あるいは法人税、所得税等を減税をするのを停止したりする時期であるのか、それよりも消費、景気を上げて、そして二十一世紀の初年度ぐらいにしっかりした計画を国民の理解を得てやろうではないかと言っておるのが我が党であろうと思うわけであります。  これは私、経済企画庁の元次官であった赤羽隆夫君の「日本経済 探偵術」という本を読みましても、これはどちらも日本の経済のことを考えてやっておるのであって、いたずらに十八兆円とかなんとかの問題ばかり我が党を攻撃をせずに、やはりどの路線がええのかということで論戦を張らなければならぬのではなかろうか、私はこう考えておるわけであります。  そういう意味で、よく各閣僚が、アメリカやイギリスやニュージーランド、また我が党でも細川元総理がニュージーランドの例を挙げられますが、この三国がよみがえった時期の当時のそれぞれの国の経済の状況と、それから今の日本の経済の状況とではどちらが非常に難しい時代であったのか。総理の見識をお聞きをし、そうして、これから日本経済を再建しようという、行革を初め五つの問題に対する御決意をまずお聞きいたしたいと思います。よろしくお願いします。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 前提として置かれた、対話の成立する議論をと言われる点は、私も同様に思います。そして、そのような思いの中でどの道を選ぶかということについての御論議と承りました。  そこでまず、アメリカ、イギリス、ニュージーランドと例を引かれましたので、わかります範囲でお答えを申し上げますが、アメリカは、八〇年代におきまして、経常収支とともに財政収支が悪化をするいわゆる双子の赤字と言われる状態になりました。そして、公債依存度が八三年度に二五・七%に達する。そして、国の長期政府債務残高の対GDP比が九〇年代の初頭にはほぼ六〇%に達したと言われております。  また、七〇年代におけるイギリスということでありますが、これは物価上昇とともに失業率の増加が一斉に起こる、いわゆるスタグフレーションに見舞われた。そして経済が沈滞をした。英国病というような言葉がそのころあったことを思い出しております。財政再建、財政改革に着手いたしましたサッチャー政権が成立をするその前の年である七八年、公債依存度は一六・三%でありまして、長期政府債務残高の対GDP比は四〇%に達しておりました。  ニュージーランドの場合は、一つは、七三年に英国がEUに加盟をした、そしてそのために英連邦内で存在しておりました特恵関税が廃止をされた、こうしたことから不況が慢性化をしたと聞いております。そして、八四年に公債依存度が二一・八%、長期政府債務残高のGDP対比も四〇%台となった。  こうした状況の中で、各国それぞれに強力に財政構造改革、さらに行政改革に取り組まれたと聞いております。  今の日本の経済状況をこれら三国の当時の状況に対比して見ますと、インフレ率あるいは失業率はいずれも日本はまだ低水準であります。また、国際収支も黒字であるという点は大きな違いなのかもしれません。  しかし、逆に、こうした改革に取り組もうとした時点の三国と日本を対比いたしましたとき、一番大きな違いは、高齢・少子化社会というものが現実になってきている。また、高度の情報通信の発展等によります世界の一体化がはるかに進んでいる。そして、危機的な財政状況の問題、そして加えて、企業が国を選ぶ時代になったという中から産業の空洞化というものも、特に製造業を中心として大きな課題になってきております。その意味では、これら三国の経験は我々にとって非常に参考とすべきものではありますが、その処方せんをそのまま日本に移しかえてそれで事足れりという状況ではない、私はそのように考えております。  そうした流れの中で、我々が一日も早く本当に活力のある社会を取り戻していく。そのためには、行政、財政構造、経済構造、金融のシステム、教育、教育はその基盤になるわけでありますから、こうした改革を我々としては、一時期大変つらい時期がありましても、同時並行で進めていかなければあすを切り開くことができない。逆に、これを一体的に進めていくことができれば、私は、中長期的に必ず経済発展の基盤というものが構築される、また着実な経済成長が期待できる状況を再びつくり出すことができると考えております。  私の範囲内で申し上げますと、それぞれの国の当時抱えておりました状況はそのようなものであったと承知をいたしております。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 次に、大蔵大臣にお伺いをいたしますが、大蔵大臣は私と同期生でありまして、がしかし、なかなかに貫禄があって、やり手であるから、質問者を威圧をしたように、何やらわかったようなわからぬような答弁でもやむを得ず納得をしておるというふうに見受けられるのであります。  それで、大蔵大臣にお伺いしたいのは、今の景気動向をどう思われるか。経済のファンダメンタルズからいって大丈夫だと、それだけでいつも片づけられるが、大蔵大臣が言われる経済のファンダメンタルズというのはどういうものであるのか。そうして、それに立脚をすれば、今の景気をどう見ておるのかということをお伺いいたしたいのと、それから、金融機関全体の不良債権、これは大蔵省から資料ももらっておりますが、やや改善をしておるけれども、けさの朝日新聞、特殊法人の不良債権は一兆四千六百億円に、会計検査院の調べでは一年で一五%増になっておるのですね。けさの新聞だから質問通告は出しておりませんが、これに対する感想をお聞きしたいと思います。どうぞひとつ。

三塚博自由民主党大蔵大臣

○三塚国務大臣 経企庁長官経験者の愛野さん、愛野さんの方が私より貫禄がありまして、会社のオーナーでもありますし、経済の実態も肌身で感じられておると思います。私も政治家の一人として、中小企業、一次産業等からもいろいろな要望、また時に御陳情をいただくわけですが、懇談をし、耳を傾けております。  あなたの体で感ずる経済観を言えということでありますが、象徴的なのは、大阪商人の方々、中小企業のメッカのようなところで頑張っておるわけでありますが、ごあいさつが、どなたか紹介されましたが、海江田さんでしたかね、もうかりまっか、あきまへんわと。ぽつぽつという答えをするときが、まさに経済が明るいときでありますと。よくても、普通のときはあきまへんと。大阪の方の御陳情がありました折に経済の話を聞くのですが、ぽつぽつですなと、こういうことであります。金融については、しっかりひとつ政府支えてくださいよ、こういうこと。しかし、金融は、自律的な解決、自己責任の中で行われることでございます。  全体的な経済とすれば、経企庁の発表というのが基調になっておる。ほぼ、肌で感ずるものと経企庁の指摘が一致しているな。きょう月例報告がありましたから経企庁長官に聞いてやってください。その辺、詳細なところが出ます。そういう中で、これから実体経済の、地域の声を大事にしながら、経企庁の基本的な、これは政府の景気見通しでありますから、これを大事にしながら対応していかなければなりません。  金融の問題については詳しく読んでおりませんが、金融機関それぞれ全力を尽くしましてリストラに励み、不良債権の解消に努力をいたしております。その努力をしっかりと大蔵省として支えておるというのも現況でございます。そういう中で、一説に言われるような、また外信が伝えているような金融不安というのは、成熟した我が国経済社会の中には、努力がきっちりと進む限り、またそれをサポートする、当然のことですから、こういうことの中で取り組んでいきますならば、日一日、日進月歩の中で取り組まれることではないでしょうか。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 民間の金融機関のリストラというのは民間の努力であって、まあ政府の努力もあろうが、また施策の誘導もあろうが、これは民間の血の出るような努力ですよ。がしかし、この特殊法人の一年で一五%増の不良債権というのは、やはりこれは政府の責任であると私は考えるわけですよ。そういう意味で、この特殊法人に対する今後の考え方、これをお聞かせ願いたいと思います。

三塚博自由民主党大蔵大臣

○三塚国務大臣 段々の御論議がある中で、愛野議員からも特殊法人のあり方、御指摘がありました。  財投が、特殊法人八十七のうち三十六団体、特殊法人に財投資金を供与をいたしておるわけでございますが、これはあくまでも民業補完という原則を踏まえてやれと、またやりますと、こういうことになっておりますし、住都公団のお話も論議にありました。そういうことで、住都公団もリストラをしていくという建設大臣及び建設省の皆さんの決心の中で前進をしていくだろう、こういうことでありますし、建設省所管だけに限りませんで、各省所管の中でそれに取り組むことは当たり前であります。例えば住宅金融公庫等について、もう民間住宅会社、また金融機関もこれだけきっちりとしてきているわけですから、民業補完の第一線からまず撤退をして民間に任したらどうですかという声もございます。  限られた時間ですから一々申し上げません。個人としても、大蔵大臣としても、民業の補完という大原則を踏まえていかなければならない時代に来ました。民間に高い信用力、信頼を置きまして、それで頑張っていただく、こういうことでございます。  さっき三十六と言いましたが、八十七のうちの三十九特殊法人であります。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 この特殊法人については私もいろいろ意見を持っておりますが、時間がありませんので、経済企画庁長官にお伺いをいたします。  今日の経済の現況は、これは月例報告等々を出され、あるいは日銀の短観等を見ても、ややちょっとほのぼのとした明かりが見えておるというような報告でありますが、現況として、消費税の値上げ前の駆け込み景気とかそういったものが支えておるのであって、むしろ今度は、新年度に入ってくると一体どういうふうになるのか。  消費税を値上げする場合に経済の成長率を閣議了解を受けられたと思うが、その閣議了解を受けられたパーセントを達成し得る自信があるのかどうかですね。ここ三年ばかりの経済の成長率は、日本の経済の実力よりも落ちておると私は思っておりますが、経済企画庁長官、どうですか。

麻生太郎自由民主党経済企画庁長官

○麻生国務大臣 質問、三つに分かれるんだと思いますが、過去三年間というお話から最初にさしていただきますと、過去三年間、日本の経済、基本的には九五年の中ごろに、いわゆる一ドルが七十九円、八十円になった時期がこの九五年なんですが、このときから景気の回復に足踏みが見られるということになっております。  そして、とうした中で公定歩合の引き下げやらいろいろ経済対策等々の政府の対応が見られて、九五年後半から円が百円、七十円台から、いわゆる二けた台から三けた台になって、少し景気に明るいような兆しが見え始めたのが九五年の後半からでありまして、それまで〇・二%、〇・五%という成長率からいわゆる二%台になったというのがこの年であります。  夏ごろには例のO157という騒ぎがあったりなんかしたところもありましたけれども、在庫調整等々幾つかのものはありましたけれども、基本的にはそういったものを乗り越えて、少しずつではありますけれども確実に景気が回復をしておるというのが実際でありまして、本年度、来月三月で平成八年度の経済成長が最終的に出ますが、経済企画庁が当初申し上げました二・五%という数字はほぼ達成ということでありまして、アメリカの景気はほぼ二・五%ということになっておりますので、ほぼ同じ経済成長率が達成できるということになっております。  次に、消費税の引き上げによって物価に与える影響、また経済成長に及ぼす影響いかんということでありますが、平成九年度の経済見通しにおきましては、消費税が二%上がることによりまして物価に与えます影響というものは、消費税のかからない非課税の部分もありましたり、全部が全部二%乗るわけではありませんので、消費者物価の水準は約一・五%ぐらい引き上げることになり、それが結果として経済成長率の足を引っ張る部分というのは、約〇・九%程度引き下げるということになろうと思っております。  また、そういったものに対して、では、経済見通しを達成する自信があるかというお話でありましたけれども、今申し上げたような足を引っ張る部分があることは確かであります。したがって、そういったものが平成九年度の前半には間違いなく足を引っ張る影響が出てまいりますので、いろいろそのテンポを緩やかに落とすことは間違いないとは思いますが、しかしその後、当面の金融基調は緩和しておるところとか、また、いわゆる規制緩和などの構造改革がいろいろ具体的にこの三月になったら出されることになりますので、そういったものを受けまして、企業等におきましては活力を生み出して、基本的には自律的回復が期待を大いにされるところでもありますので、結果として一・九%の平成九年度の経済成長は達成できるものと思っております。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、今経済企画庁長官が言われた達成をするためには、民間の企業として、中長期的な日本の経済の展望というものがなかなかわからないのです。新産業、ニューメディアの時代が来るとかなんとかいっても、本当に新しい産業が展開できるようなことになるのかどうか。そして、財政再建に政府が一生懸命やってもらうのはいいが、そのために、やはり再び増税や緊縮予算をとらなければならぬことが来るのではないかという不安感も、これは民間の中小企業にあると思うのですね。現に、法人税、所得税等も減税ストップ、やったわけですから。でありますから、今後、消費税の増税は少なくとも近未来においてはやらないのかどうか、そして大蔵大臣が考えられる中長期的展望を教えていただきたい。

三塚博自由民主党大蔵大臣

○三塚国務大臣 税は、国民の理解と合意がございませんと前に進みません。今回の二%アップにつきましても、六年度決定以来二カ年余、理解を求めるべく、先行減税を行い、また特別減税を行い、経済の基礎をつくり上げながら、上がった後もなおかつ日本の経済は安定的な成長をたどっていかなければならない。それは、内需、民活、この辺が基本になるだろうということで、総理提唱の六つの改革が一斉にこれを同時発進をして、成果を上げていくことで日本経済のリストラを進め、その民間活力によって、これからは公経済も小さな政府という感じになりますかね、まず民需を中心として、民間活力を中心とした形で取り進めていくことが我が国経済にとって極めて重要な事柄、これが橋本首相の方針でありまして、私も全く同感でありますから、そんなことで取り進んでおります。  近未来、消費税についてどうするのかということで御質問でありますが、医療改革も、片や合意を得ながら、国民の皆さんの理解を得ながら取り組まれるということでありますから、その辺の総合判断の中で、最終的に国民合意がそうなるであろうと思っておりまして、先々のことをここで断言するほど十分なデータを持ち合わせませんし、そういう点でまず日本の経済体質を変えて、世界の競争力に耐え得る経済体に取り進めていかなければならない、こういうことであります。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 財政再建を国民も待望をしておる。しかし、やはり増税や負担がふえるのではないかということも考えておるわけでありますから、言うなれば小さな政府を目指して、それからまた中央と地方の分権、こういったもの、規制緩和というものを本当に積極的に進める場合に、やはりこの政官癒着というおそれを国民に抱かせないようにやってもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。それは総務庁長官にちょっと、質問通告を出しておりませんでしたが、お願いします。

武藤嘉文自由民主党総務庁長官・大蔵大臣臨時代理

○武藤国務大臣 今お話のありましたように、きのうも数字も出ておりました。本当に公的債務が国と地方と合わせると五百兆以上になっている、隠れ借金も加えて。大変な状況だろうと私は思います。本当に日本の国が破産一歩手前と言ってもいいくらいの状況ではなかろうかと思います。  そういう面において、一方、今お話のありましたように、バブルの崩壊後、民間の企業は本当に血の出るようなリストラをずっとやっていただいてきておるわけでございます。もちろん政府の方も本当はやりたかったのでございますが、あのときに政府も一緒になってリストラをやったら大変なことになってしまったのではなかろうか。やはり少しでも不況を小さい形でおさめていくという点からいけば、あのころにあのような借金をせざるを得なかったのも私は理解はできると思うのでございます。先生も御理解いただけると思うんです。  しかし、その結果、現実にこういう状態になってきた。こうなった以上は、やはり小さい政府を目指していかなければいけない。そして、国民の皆さんにぜひ、財政を再建するんだから、今御指摘ございましたが、将来はある程度の御負担をこれはお願いをしなければならぬ場合が私はあると思います。そうしないと、行政がスムーズにいかない。  そういうときに、政府の方が一向にリストラをやっていない、おまえたち何だ、大きな顔をして踏ん反り返っているじゃないかと言われるようなことのないように、やはり政府自身が小さな政府になり、そして今のお話のありましたように癒着というようなことを言われないように、本当に国民の全体への奉仕者という気持ちで一人一人の公務員が一生懸命努力をする、こういう形になれば、私は、どうしても御負担を願わなければならないときにはそのようなことに対しても御理解がいただけるのではないか。  そういう面において、思い切って行政改革を進めていかなければいけない。小さな政府を目指さなければいけない。そのためには規制緩和もやらなきゃならない。あるいは、できるだけ、役所のやってきた仕事で民間にお願いできるようなものは思い切ってこの際民間の方にお願いをしたらいいんじゃないか。それから、今お話のありましたように、地方の時代と言われているわけでもございますし、できるだけ、何も中央でやらなくてもいい仕事は地方にお願いをするというような形で進めていくことと、それからやはり、これからはそういうリストラを思い切ってやると同時に、片一方、縦割り行政の弊害も言われているわけでございます。  今度のナホトカ号の問題で、重油の流出事故がございました。あれを見ていても、多少縦割り行政の欠陥が出ているところが私はあるような気がいたします。一生懸命対策本部をつくってやっていただいておりますけれども、それぞれ役所役所の命令系統が違うと、やはりその命令系統に従ってそれぞれ動いておられます。一丸となってやれるというところに多少問題が私はあるのではなかろうかな。  こういう点から考えると、総理がおっしゃっているように、新しい二十一世紀においては、四つのフレームに分けて中央の役所の組織を再編成していくということも、これまた大変必要ではないか。これらのことを総合的にやっていくと、国民の皆様方が、よし、それじゃわかった、国もそういう努力をしているのなら、おれたちも、国の財政再建、国が一日も早く健全な財政の中で、そして、希望と明るさを持った二十一世紀へ日本が生きていけるように、ひとつ国民も頑張ろうじゃないか、こうおっしゃっていただけるのじゃなかろうか、私はそう思っておりまして、そのような方向に努力すべきだと思っております。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 時間も限られておりますから、順番を変更して、歴史教育についての私の危惧を、ちょっと文部大臣と外務大臣に。  けさの新聞にもついておりましたが、「慰安婦めぐる発言問題 自社あいまい決着 社民及び腰」なんて書いてあるのですね。これは新聞が、私が言っているのじゃないわけですから、「社民及び腰」というのはどういう意味かわからぬが。  ただ、私の息子は三十九歳で、経済企画庁長官のJCの後輩です、青年会議所の。そうしますと、二十一世紀が確実に戦後生まれの時代になってきた場合に、もうこれは、この慰安婦の問題というのは村山内閣のときに出てきたのですよ。大体、私は昭和三年生まれですが、慰安婦なんて知らない。実際発言しておられる方も、実戦の経験者は江藤先生、梶山先生もたしか陸軍士官学校生徒であったろうと思う。島村君は、これはもうそれこそ戦争のことは何にも知らない。今でもそうなんですよ。  そうすると、戦後生まればかりの時代になったときに、交戦国の歴史は、日本が侵略者であり、帝国主義であり、植民地主義であるという教育をやっておる。日本はGHQの時代があったものだから、何やらこれはもう、ちょっと私が悪うございましたというような歴史教育ばかりをやっておる。こういう現実を息子に話してみますと、全然想像つきませんよ。第一、慰安婦なんというのがどういうものなのか。今は不倫とかなんとかというのはあるが、慰安婦なんというのはないわけだから。  それで、こういう時代になって、他国からこういう補償をしろ等々言われても、これはもう我々全然知らぬのに、父ちゃん、じいちゃんの悪いことをやった部分を日本の政府が補償しなくちゃならぬのか。これはもう全く、要求する方もそれから頭を下げる方も、いわゆる戦争を知らない時代になるのですよ。そういうときに備えて、どういうふうにするのかというのは、私は、息子がもう今三十九歳で、現役ですよ、事業をやっておるのですが。この時代になると、これはアジア太平洋地域は仲よくせにゃいかぬのに、かえって不仲になるのじゃないか、わかりやすく言えば。  やはり教育現場で、もう反省は歴代総理が何人でもやっておる。もう反省よりも前向き志向の、やはり平和な国であればこそ先進国もまた後進国も豊かになっていくんだ、平和と仲間意識こそ大切なんだというような、そうして経済発展のためにそれぞれ力を合わせていこうというような教育を目指していってもらいたいと思いますが、文部大臣、いかがですか。

小杉隆自由民主党文部大臣

○小杉国務大臣 今先生がおっしゃったように、戦争を知らない子供たちがこれからの二十一世紀を背負うわけでありまして、この子供たちに歴史教育、どう教えていくか、これは非常に重要なことだと思っております。私どもは、過去の歴史につきましては、昨日来からもお話がありますように、光の部分もあれば影の部分もある、そういったことを一つ一つ、客観的あるいは学問的成果に基づいて、事実は事実として教えていく、こういう姿勢が必要だと思っております。  教科書の検定制度についてはもう釈迦に説法ですから申し上げませんが、歴史的な事象とか事実というものは執筆者、発行者の判断にゆだねられておりまして、それを専門家から成る検定審議会で検定基準に基づいてこれを検定する、こういう仕組みになっておりまして、特に近隣アジア諸国との間の近現代史の取り扱いについては、昭和五十七年に官房長官談話に基づいて教科書検定基準に加えられた事項があります。それは、近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていること、こういういわゆる近隣諸国条項が加えられております。  さらに、今御指摘のような慰安婦というようなことにつきましては、平成五年の八月に政府が慰安婦関係調査結果というものを発表いたしまして、内外の文献、あるいはいろいろな人の聞き取り調査、あるいは米国公文書館等にも出かけていろいろな事実を調査した、その結果に基づいて、私どもは検定が行われていると考えております。また、ちょっとこれから先は余り質問されていませんけれども、中学生が果たして判断できるかどうかという御質問もよく出るのですけれども、マスコミ等でもかなり幅広く社会的に報道されて、認識が深まっている。そういったことから、今のこういう状況になっているということを御理解いただきたいと思います。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 私は、もう戦後五十年以上たった今日においては、やはり日本も反省をしておるのだから、これは国際会議等で、もう第二次世界大戦の恩讐はお互いに忘れて、前向き志向の考え方でいこうじゃないかという提案を、敗戦国たる日本から何らかの国際機構でやってもらうことはできないのかどうか。そうしなければ、今戦争なんというのはあってないのですよ。これは、今子供たちが戦争と思っているのは内戦ですね。多国籍軍がばっと行くというようなのは、民主主義を守るための二国間の戦争があったくらいのものだが、あと世界じゅう展開しておるのは、あれは戦争じゃなくて内紛ですよ、内戦。  そういうことを考えると、二十一世紀は、恐らくはもう本当に平和な地球となってくる、むしろ経済の競争が過酷になってくる時代であろうと思いますが、外務大臣、どうですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 今日におきましては、年間に千数百万人の方々が海外へお出になります。また海外からも大勢の方々がおいでになります。文字どおり人、物、金あるいは情報、あらゆるものが国際間、この地球上を飛び回る本当のグローバリゼーションの時代でございます。そういった世の中でございますので、我が国自身のきょうからあすを考えました場合にも、やはり世界の安定と繁栄を抜きにしてはあり得ない、こういう時代でございます。  それは、今委員がおっしゃいました我々の子供たちの世代が中心になって担う二十一世紀になりますならば、なお一層そういった状況は進んでくるのだ、こう思います。そういった中でございますので、国際的な交流、それをしっかりと心の上でも支えていく、そういう状況をつくらなければならない、こう思います。とりわけアジア太平洋地域は我々にとっても最も近く、最もかかわりの深い地域でございますので、その間の、事柄の上で、あるいは物、金、情報といった上だけではなくて、気持ちの上、心の上での交流もきちんとやっていかなければいけないと思います。  そういったことを考えてまいります場合に、確かに未来を志向しながらともに手を携えていくということは大切でございますけれども、しかし同時に、やはり過去の歴史の重みというものも我々忘れてならないのだ、このようにも考える次第でございます。そして、もう半世紀以上たったからいいんだよという考え方も、確かにそれはあると思います。しかし、御承知のとおり、苦痛を与えた方は容易にそういうことを忘れることはできても、苦痛を受けた方はなかなかそれを忘れることはできないということ、これは国際間の話でなくてもよくあることでございます。  そういうことを考えますと、やはりアジア太平洋地域の国々の方々を初めとして世界の方々がどういうお気持ちになっているかな、それもよく見ながら我々は対応していくべきだと思います。確かにアジアの方々の中でも、もういつまでも過去にとらわれるな、もう将来を見ながらやっていこうよ、こうおっしゃってくださる方もございます。しかし、それがすべてであるとか、あるいはそれが大多数であるとはまだ言い切れないと思います。  私どもは、やはりこれまでの歴史というものをトータルでしっかりと受けとめましてやっていかなくちゃいかぬ。それは必ずしも、時に自虐的という言葉を使われる方がございますけれども、余りにも一つの局面ばかりを取り上げて云々するというのは私は適切ではないと思いますけれども、全体の歴史をよく踏まえた上で、そしてとりわけ近隣の諸国の方々に苦痛を与えたということがあるならば、そのことの重みはしっかりと受けとめて、そしてまた将来に向かってアジア太平洋地域、さらには世界全体を支えていく上で我々が果たさなくちゃいけない役割と責任というものもしっかり持ちながら、我々日本の国民は進んでいくべきものじゃないかな、このように考えておる次第でございます。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 積極的に、できるだけ過去の恩讐は忘れないように、あらゆる機会に外務大臣はひとつ表明をしてもらいたいと思います。  時間がありませんから、整備新幹線についてちょっとお聞きをいたします。  運輸大臣にお聞きをいたしますが、この整備新幹線は政府・与党三党の合意に基づいてこれから着工順位を決定していくということなのか、そして、大体ほとんど全部これは調査費か何かつくというのか、お伺いをしておきたいと思います。

古賀誠自由民主党運輸大臣

○古賀国務大臣 先生も私も九州でございまして、よく九州は一つということで、まず九州の発展は高速交通の体系を整備することにあるということで、整備新幹線の問題、空港の問題、高速道路の問題等、先生には私も大変御指導をいただいてまいっております。  先生おっしゃっておりますこの整備新幹線は、御承知のとおり、九州のみならず我が国の国土の均衡ある発展ということで考えてみますと、二十一世紀の高速交通体系の中で極めて公共的な施設だと僕は思っております。まず、安全で正確でございます。大量輸送がきく、しかも地域の方々には大変期待も大きいし、また活性につながるということで、私は強力に推進していくべきだというふうに思っております。  今お話ありましたように、未着工区間の着工につきましては、政府・与党間で昨年の十二月二十五日に合意を見ております。これは、まず収支の採算性の問題、そしてJRの貸付料等の負担の問題、それから用地確保の見通し、同時に並行在来線の経営分離に対する地方公共団体の合意、JRの合意、こういった基本条件を確認した上で適切に対処する、こういうことで私も前向きに進めてまいりたい、こういう決意でございます。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 私は、二十一世紀に何でもかんでも積み残しということじゃいかぬから、まず太平洋岸の鹿児島から青森まではできるだけ早く今の政府に新幹線を通してもらいたい、こう思っておるのですよ。そういう意味じゃ、長崎新幹線ほか地方の新幹線は後回しでもいいんじゃないかと思っているわけです。がしかし、新幹線に反対じゃありません。  ただ、今のお話のように、言うなれば採算性あるいは地元合意、財源の合意、これが基準だという大臣の答弁でありました。  そこで、建設大臣は豪快なる発言を自民党の組織委員長時分にされて、昨年の五月十七日、熊本市体育館で開かれた鹿児島新幹線では「東海道新幹線は、地元負担なしで大きな利益を享受している。財政力の弱い後発の地域に負担を強いるわけにはいかない。責任者の一人として、早期全線整備に努力していく」とエールを送られた。それは、まず太平洋岸を真っ先にやるということで、大歓迎の発言です。  それからさらに、佐賀県で、八月十六日、自民党の佐賀県政経セミナーで、この佐賀県は長崎新幹線にも賛成であるが、長崎本線も並行在来線じゃなくて守ってもらいたいということですよ。これも、「在来線は心配要らない。JR九州の経営問題が深刻なことは十分知っている。整備新幹線の基本スキームを今つくらせているが、佐賀、長崎、熊本など財政力が弱い所や、JR九州のように経営力が極端に落ちるところは、負担を思い切り減らす。きっちりとやる。在来線は日常生活に欠くべからざるもので、従来以上に活性化することが大事。」在来線は従来以上に活性化することが大事だということですよ。私が目の黒いうちはそのような在来線分離のようなことは絶対にさせない。「安心いただきたい。二律背反ではない。新幹線と在来線、両方やればいい。」こう発言をしておられる。まことに豪快で、しかも歓迎すべき発言でありますな。それは今もお変わりありませんか。

亀井静香自由民主党建設大臣

○亀井国務大臣 今も考え方に全然変わりはございません。  委員、私に御質問されましたのは、一つは、細川内閣におきまして、我々自由民主党が政府との間で、宮澤政権下でございますけれども、合意をいたしました整備新幹線を着々と整備をしていくという基本合意がありましたけれども、残念ながら野党に転落いたしまして、細川政権がそれをひっくり返す、凍結の処置を御承知のようにとりました。  おかげさまで十カ月で村山政権の中に自由民主党も加わったわけでございます。私は運輸大臣を拝命いたしました。私は、国民に対してきっちりと公約をしていることについて、そのことが客観的に不可能になれば、これは国民も許してくれますけれども、そういう状況がない限りは誠実に公約は履行すべきだ、そういう観点から、また私自身の信念もございましたけれども、凍結を解除いたしまして、二年前に一部着工を事実上いたしました。大蔵省はあれは着工じゃないと言って、私は着工だと言ったのですが、事実上、御承知のように着工いたしまして、そうして、平成八年度中に基本スキームをつくって、九年度から本格的にこれに着手をしていくという方向を当時の三大臣の間において合意をいたしたわけでございます。  そうした中で、現在、古賀運輸大臣が全力を挙げてそういう路線の中で今取り組んでいただいておるわけでありますが、基本的な立場を申し上げますと、私は、交通網の整備は国家的、長期的な観点から取り組んでいくべきであって、現在東京と大阪が日本列島の繁栄の中心であるから、そのあたりだけの交通網を整備すればいいというものではない。  具体的に申し上げますと、例えば北海道新幹線要らぬのじゃないかという論がありますが、社会主義統制経済のソ連とつき合っておった日本と、自由主義経済ロシアと日本とのつき合いの中では、東京経由じゃなくて北海道、東北がロシアとの窓口になってきます一玄関になってきます。また、この地球の中で一番発展をする可能性があるのは……(発言する者あり)日本海もあるけれども、一番発展の可能性があるのは東南アジアと言われております。あるいは韓国であり、台湾であり、中国であるかもしれません。そことの窓口は、これは九州であります。だから、そういう意味では、我が国がどこが繁栄をしていくか、発展をしていくかというのは時代とともに変わっていくわけであります。そういう中で、そうした交通網の整備は、きっちりと日本列島全体について先見性を持って着実にやっていく必要がある。  長崎ルートにつきましては、長い間自由民主党が公約をしておった路線であります。それにつきまして私は、信なくば立たずであります。長崎ルートにつきましても、私はきっちりと、そうした必要性があるわけでありますから、これはやっていくべきだ、このように考えております。  以上でございます。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 今のお話は、信なくば云々で、これはもう自分の信念に変わりはないということでありますから、これは、長崎新幹線もつくる、それから長崎本線もますます活性化するというふうに受け取っていいですね。

亀井静香自由民主党建設大臣

○亀井国務大臣 在来線につきましても、その地域の方々の生活にとって、また経済にとって大変大きな役割を果たしておるわけであります。ただ、これは地域によっていろいろ事情が違います。そういう中で、例えば第三セクターでやるとかいろいろ知恵を出しながら、もっともっとこれを活用していく方向を考えるべきだ、このように私は考えております。これは、活性化するという方向については間違いがございません。

愛野興一郎新進党

○愛野委員 質問を残しましたが、また質問の機会を得てやらせていただきたいと思います。  それじゃどうもありがとうございました。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 これにて愛野君の質疑は終了いたしました。     —————————————

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 この際、お諮りいたします。  最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 次に、北側一雄君。

北側一雄新進党

○北側委員 新進党の北側一雄でございます。  きょうは日銀の総裁にいらっしゃっていただいております。早朝からありがとうございます。便宜上、日銀の総裁に対する質問からさせていただきまして、終わりましたら退席していただいて結構でございますので。  金融制度改革、今橋本総理のリーダーシップのもとで進められようとしております。東京ビッグバン構想というふうに言われておるわけでございますが、日銀総裁、一つは、昨年の暮れ以来提唱されておりますこの東京ビッグバン構想、金融制度改革、これは、欧米並みの金融制度、金融の自由化をあらゆる場面で進めていこう、こういう改革でございます。大変なボリュームのある内容でございますが、この橋本総理の今やろうとしておられる金融制度改革について、日銀総裁としてどのような御感想をお持ちなのか。これが一点。  もう一点は、ちょっと私が心配しておることがございまして、それは、今国会で外為法の改正が提案をされると聞いております。実施は来年からということでございますが、私は決してこの外為法の改正そのものに反対ではございません。むしろ時期が遅過ぎたのだろうというふうに思いますが、この外為法の改正がなされますと、我が国の企業や個人は、これまでの為銀主義だとかそれから事前許可、届け出主義、こうしたことに拘束されないで、自由かつ機動的に、外国の金融機関とかそれから外国の企業なんかと直接非常に取引がしやすくなるということになってまいります。また、日本の国内の投資家から見ますと、自分の金融資産、これをどう運用するかというふうに考えておるわけですが、その運用の手段の選択肢が広がってくるということになります。我が国の金融機関の商品だけではなくて、外国の金融機関が提供するような幅広い商品についてアプローチがしやすくなるということになってまいります。これはもう勢いそのようになってくると思います。  今でさえ日本の金融資産は一つは外国債の購入だとかいうふうに非常に流れているわけでございまして、今の日本の、ある意味では異常なまでの超低金利の状況下の中で、そういう環境のもとでこの外為の自由化、抜本的な自由化を進めてしまうと、日本の金融資産がますます海外の方に流れてしまうのではないのか、そんな不安があるわけでございます。また、投資家から見まして、海外の金融市場と比べまして日本の金融市場の方に何か制度上不利な点があれば、逆にやはり外国の市場の方にどんどん流れていく要因になってまいります。  というふうに、この外国為替管理法の改正、抜本的な自由化、これはいいことだと思いますが、これを進めていくということは、順序といいますか、ほかの諸制度の改革がおくれてしまったら、日本の金融の、また市場の空洞化を招くのではないかという心配をしております。  この外為の自由化が今国会にかかりまして、そして来年には実施されるというふうな環境のもとで、金融制度改革との関連をどのように総裁が考えておられるか、御答弁、御意見をぜひ聞かせていただきたいと思います。

松下康雄日本銀行総裁

○松下参考人 ただいま金融、経済の市場化、国際化が一段と進んでおります中で、効率的で柔軟な金融市場、金融システムをつくり上げていくということが非常に重要な課題でございます。いわゆる日本版ビッグバン構想と申しますものは、自由と透明性と国際性というこの三つの基本的な理念のもとに、東京市場をそういう意味で自由で活力のあるグローバルな市場としようとする構想でございますので、私、その点でまことに当を得たものであると受けとめております。  私どもといたしましても、こういった基本原則にのっとりまして、早期に具体策がまとめられて、そして実現に移されていくということを強く期待をいたしますとともに、また日本銀行といたしましても、中央銀行の立場から、できる限りの貢献を果たしてまいりたいと存じております。  そこで、御質問の外為法の見直しの意義、効果いかんということでございますけれども、私どもも、外為法の見直し自体、我が国の金融・資本市場の改革を進めてまいります上で大変重要なステップであると考えております。  ただ、もしもこの際に、外為法の見直しの進行に比べまして、このほかのいろいろな規制緩和が非常に時期がおくれるというようなことがありますとすれば、これは場合によりまして、国内の市場で行われるべき金融取引が海外のマーケットに移っていくというような可能性もそれは否定できないところではございます。したがいまして、このビッグバンの理念というものに即して東京の市場を早期に自由で魅力のあるグローバルマーケットとしていくことが大事な点でございまして、そのためには、全体としての改革の整合性が損なわれないように関係者の全員が努力をして、一つ一つの規制緩和措置をできる限り早く実現していくべきものと思っております。  ただ、その際、外為法の見直しにつきましては、それが資本の流出入に影響を与えるといったことよりも、むしろ今申し上げましたような金融取引の場を自由に柔軟に選べるようになるという点が大きな影響でございます。したがいまして、重要な点は、やはり東京市場自体を自由で魅力あるマーケットとしていくということでございまして、そのためには一つ一つの規制緩和措置をできる限り早く実施していくことが大事でございますけれども、これは、いわば東京市場の空洞化を防止をし、活力のある世界の三大市場の一つに名実ともにつくり上げていくための必要な前提条件でございますので、そのほかの規制緩和等の措置を急ぐということで、全体の効果を発揮させることが大事であろうと思っております。

北側一雄新進党

○北側委員 総理、今の日銀総裁のお話でございますが、私もこの外為の自由化、トップランナーというふうに今政府はおっしゃっておられますけれども、それはよくわかるのですが、やはりほかの金融制度改革、商品の規制緩和であったり、垣根を低くしていく、なくしていくという問題であれ、またさまざまな自由化、金融制度改革のメニューがあるわけでございますが、やはりこの外為の自由化を先行すると、一方では我が国の市場の空洞化の問題がやはり心配、懸念されるわけでございまして、これはまた後でしっかりと議論させていただきたいと思っておりますけれども、この金融制度改革については、二〇〇一年から実施をするというふうにおっしゃっているわけでございますが、これは、やはりできるだけ早く進めないといけないという点、それと特に、幾つかのメニューのうち、このメニューについては外為の自由化と極めて深く関連していくものだから、これは早くしていこうというふうなスケジュール化といいますか、そういうものが非常に大事なんじゃないかというふうに思います。いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 今、日銀総裁からもお答えがありましたけれども、私はへまさに外為制度の抜本的改革というものを、金融システム改革の中でのフロントランナーという位置づけをいたしました。そして、この例えば外為法の改正というものの結果としては、企業あるいは個人、これは自由に海外預金あるいはクロスボーダーの証券取引などを行うようなことができるようになる。多様な商品やサービスの中から幅の広い選択をすることが可能になる。同時に、ここが一番大事なことなんですけれども、各金融機関も、みずからの創意工夫というものを生かした、顧客のニーズに合致した、より多様な金融サービスというものを提供ずることは可能になるわけでありまして、ビジネスチャンスは拡大するはずであります。  しかし逆に、各金融機関が今度は今までのように規制に安住した経営体制を改めなかった場合は、これはもう全くどうしようもないわけでありまして、今後一層、みずからの特色を生かして、お客さんのニーズに合った経営というものを、その中で多様な金融商品、サービスというものを提供するということが求められるというのは当然であります。  私は、金融機関というものはこうした問題意識を持っていただいて、みずからの経営戦略の見直しあるいは経営の合理化、効率化というものに真剣に取り組んでいただくというのが、まず前提条件として必要なことだと思います。  そして、そういう努力がなされないということであれば、まさにあなたの言われたような問題を生ずる危険性はあるわけですけれども、その危険を恐れて、それでは全部がそろうまで待っていられるか。私はそういう状況ではないと思います。  同時に、この金融システム改革について大蔵大臣と法務大臣に私が指示を出しましたときに、私なりに思いつく問題点は、全部列記したペーパーとしてお二人にこれを渡しました。そして、今できるだけ前倒しをするというのは私も賛成です。できるだけ早くやりたいと思います。  ただ、例えば商法の改正といったものがございます、この中には。そうすると、実は、今まで私どもは、こうした基本法的な、根拠法的な性格を持つ民法とか商法とかいう大法律の改正というもの、法制審等の議論が随分慎重な議論を要するものであることも意識をいたしております。法務大臣の方でこれは御努力をいただいている部分ですけれども、全体をできるだけ早く持っていく努力をするということは当然のことだと思います。

北側一雄新進党

○北側委員 またこの問題は後で議論させていただきたいと思いますが、いずれにしても、今総理がおっしゃったように、各金融機関の努力が大事なんだ、魅力ある商品つくらないといけないよ、それは全くそのとおりでございます。とともに、そういう魅力ある商品をつくれるための環境、制度、そういうものが整っていないといけないんじゃないか。こういう金融制度改革を早くしてあげないと、土俵、外為のお金が自由に海外、日本との間を動き回れるというそういう制度はできても、規制緩和、この金融の自由化がいち早く進められていかないと、やはり空洞化を招くという危険、おそれがあるわけでございまして、そういう問題点があるということを指摘しておきたいと思います。  日銀総裁、どうもありがとうございました。  それでは、金融制度改革の問題はちょっと後の方に質疑をさせていただくことにいたしまして、先に証券会社にかかわる問題について御質問をさせていただきたいと思います。  この証券会社というのは、最初に申し上げますが、野村証券のことでございます。  私、野村証券の関係者の方と何度もお会いをしてお話を聞かせていただきました。私自身が直接聞かせていただきました。その話というのが、一つは、いわゆるVIP口座というのが野村証券に今あるという話。もう一つは、取引の中に証取法の違反の疑いがあるような事実があるのではないかという話。こういう話を野村証券の関係者の方から、何度もお会いいたしまして、かなり具体的な事実のお話を聞きました。まあ、内部告発というふうに言っていいのかどうかわかりませんけれども。  そこで、委員長、ちょっときょう委員の皆様のお手元にも配りましたが、けさの朝刊、朝日新聞、産経新聞、読売新聞、それぞれコピーでございますけれども、資料として配らせていただきました。よろしいでしょうか。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 結構です、どうぞ。もう既に配っておりますから。

北側一雄新進党

○北側委員 では、またこれを使いながら少しさせていただきたいと思います。  私、その野村証券のある関係者の方と、いろいろなお話を聞いたわけでございますけれども、単にお話を聞いただけではなくて、ある資料も見せていただきました。それは、ある時点での、ある顧客の顧客勘定元帳の実物だったのです。インプットしたものでございますけれども、実物でございました。そのものを見せていただきました。その元帳というのは、株だとか転換社債だとか国債だとか、このような有価証券のその顧客の銘柄別の残高明細が、ずっと一覧が出ておったわけでございます。  その元帳でございますが、ちょっとその元帳の話をまずさせていただきたいのですけれども、その元帳には、上の方に顧客の属性というのがいろいろと記載されていました。もちろんお名前、御住所、電話番号等々ですね。  その中の顧客の属性のところで、私が見せてもらったやつですよ、一つは、その方の職業欄のところに、ちゃんとお名前が書いてあるのですけれどもそれは言いません、職業欄のところに官公庁役員管理職というふうに書いてあるのです。そして、その横にさらに、国の名前は言いませんけれども、某国の大使とございます。そして、その国のある都市の名前が書いてあって、そこに在住しているというふうに書いてあったわけでございます。  顧客の属性の管理項目の欄には、VIPというふうに書いてございました。VIPと書いて、その横に特別管理客というふうに書いてあったわけでございます。VIP・特別管理客。  さらに、その顧客の属性のところにその方の口座番号が書いてあるのですけれども、その横に、それを野村証券のどこで取り扱っているのかという番号が書いてあるのです。その番号は本社の、それはその野村の私がお会いした関係者から聞いた話ですよ、野村の本社の公共法人部という意味だそうでございます。本社の公共法人部が扱っている顧客の個人口座だということでございます。  それが大体顧客の属性でございます。属性欄に書いてあるわけですね。  その下の方には、一つは株式の欄としていろいろな銘柄が書いてあって、数量等、預かり日とかずっと書いております。記載されております。株式です。  それで、もう一つはCBです。  CBというのは、御存じのように転換社債でございます。その転換社債につきまして、十六銘柄記載がされております。十六銘柄のうちの十五銘柄は新発債、新たに発行された転換社債でございます。この十五銘柄の新発債について取引が、一九八六年から八九年、昭和六十一年から平成元年でございますが、この四年間でこの十五銘柄の転換社債を取得をされておるように記載がなされております。  御承知のように、この一九八六年から八九年というのはバブルの真っ盛りでございまして、CB、転換社債というのは非常にうまみのある有価証券であったことはよく御承知のことだと思います。例えば、この私が見た元帳の中にもある銘柄でトヨタ自動車がありましたけれども、これは十日後に、これは額面百万です。十日後に上場の初値がつくわけですが、百四十万。十日後に四割時価が上がるというふうなことでございまして、非常にこの転換社債というのが、当時うまみのあった、有利性が高い商品であったわけでございます。この有利性の非常にあるCB、転換社債をこの顧客の方は八六年から八九年まで十五銘柄、そして、その数量も頻度も非常に高いわけでございます。  この方は、先ほど申し上げましたように官公庁役員管理職と書いてあって、某国大使。ですから、当時現職の外務官僚でいらっしゃいます。お名前、住所、電話番号、いろいろ書いていましたけれども、御本人であることは間違いないんでしょう。実際、きょうの新聞を見ますと、御本人のコメントも出ておりまして、そういう取引をしていたことはお認めになっているようでございます。  それで、もうちょっと付言いたしますと、この方は昭和六十三年の秋から、一九八八年の秋から在外勤務につかれております。ですから、先ほどの私の話ですけれども、その八六年から八九年、昭和六十一年から平成元年に十五銘柄の新発債を取引されておられるわけでございますが、そのうちの半分、八銘柄については、在外勤務中に取引をなされておるという事実がその元帳からわかるわけでございます。  まずお聞きいたしますが、国家公務員の有価証券の取引について、もちろん、持っちゃいけないとかそんな規制はできないわけでございますが、国家公務員が有価証券取引をやる場合に、何らかの内規があるのかどうか。あれば教えてください。

長野厖士大蔵省証券局長

○長野政府委員 お答えを申し上げます。  国家公務員の金融取引に関しましては、特に株式取引に関連いたしまして、職務に関連して株式取引上有利になる可能性のある職員あるいは特殊な立場にある職員、端的に申し上げますとこの私がそれに直接該当いたしますけれども、そういった者につきましては、株式の売買はしない等その職務に応じた対応がございます。

北側一雄新進党

○北側委員 官房長官、内閣全体として、何か通知とかいろいろしていませんでしょうかね。

菊池光興総務庁人事局長

○菊池政府委員 今証券局長からお答えございましたけれども、国家公務員全般につきましての事実、私からお答え申し上げます。  国家公務員の有価証券の取引についての内規といたしましては、昭和六十三年十二月の官房長官通知におきまして、未公開株の譲り受け、これは自粛する、こういうことになっております。それから、平成七年九月の申し合わせで、国家公務員の株式の取引、こういうことについてございます。  中身につきましては、未公開株の取引についての件と、それから平成七年九月の申し合わせによりますと、いやしくも国民の疑惑や不信を招くことのないよう、株式の取引について職員に対し周知徹底を図るということ、それから、インサイダー取引規制の具体的内容について改めて職員に周知徹底を図るということ、それから、自己の所属します部局が所管する企業の株式については取引の自粛等適切な措置を講ずる、こういうことを言っております。それから、株式の取引について疑惑や不信を国民から招くおそれがある場合には、必要に応じて適切な措置をとる、中止等をさせる、こういうようなことの趣旨の申し合わせが行われておるところでございます。

北側一雄新進党

○北側委員 今のお話のとおりでございますが、昭和六十三年の十二月十六日、一九八八年ですね、閣議決定で「官庁綱紀の粛正について」という決定をされておられます。そして、それに基づいて内閣官房長官通知が各官庁に出ておるわけでございます。  その中で、今お話ございましたように、未公開株式の譲り受けというふうに例示をしておるのですが、そうしたものに「特に留意されたい。」というふうに書かれておるわけでございまして、これは決して未公開株式の譲り受けたけのことを言っているわけではなくて、そういうやはり有利性の高い商品については気をつけなさいよというふうに言っている趣旨であると私は思います。  また、平成七年には事務次官会議の申し合わせで、株式の取引に当たっては、いやしくも国民の疑惑や不信を招くことのないよう職員に対して周知徹底を図ることというふうに申し合わせがなされておるわけでございます。  そこで、外務大臣、これはきょうの新聞を見てもわかるとおり、御本人も、そういう取引があったこと自体はお認めのようでございます。この八六年から八九年というバブルの真っ盛りのころに、野村証券の中に口座があって、頻繁に転換社債の取引をなされた、その転換社債というのは非常にうまみがあるものである。そういうことを考えますと、これは私は、やはりきちんと調査をしていただくべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

原口幸市外務大臣官房長

○原口政府委員 大臣からお答えする前に、ちょっと事実関係をお話しした方がよろしいと思いますのでお話しさせていただきますが、多分先生がおっしゃっていることはこのことであろうというような事例につきましては、既に当省を退職した元外務省の事務職員から十日ほど前に報告を受けております。  この元職員によりますと、同人は、当省への報告に先立つ数日前に新聞記者から、ある証券会社、ここは、あると言う必要もないと思いますが、野村証券のいわゆるVIP口座の取引者の中にこの元職員の名前が含まれているということを聞いたわけでございまして、この元職員はそのような特別な口座には思い当たる節がなかったので、驚いて早速その証券会社に照会したところ、いわゆるVIP口座とは、同社がその職員に対して特に丁重な対応を心がけるように指示している顧客の取引を指しているものであり、その顧客にそれ以上の特別な恩恵を与えるといったものではないという説明を受けた由であります。  このVIP口座とは、その証券会社が内部的に独自に言いならわしているものの由でありまして、元職員は、新聞記者より指摘されるまでみずからがそのような口座の取引者に分類されているということは全く知らなかったと述べております。  この職員によりますと、当省在勤中に亡父の遺産の運用について長年つき合いのあったこの証券会社に相談したところ、新発の転換社債がよいと勧められたのでこの購入をしたわけでありますが、その後株式への転換も行わずそのまま現在まで保持しているというのが実情のようでございまして、先ほど先生、転換社債というのは大変有利なものだというお話がありましたけれども、全然その有利性についてこの元職員は承知していませんでした。  なお、念のため、当省より当該の証券会社にも照会しましたところ、この元職員の説明と全く同趣旨の説明を受けたところでございます。

北側一雄新進党

○北側委員 この口座は、先ほど申し上げましたように、野村証券の本社の公共法人部というところに口座がつくられております。公共法人部というのはどういうところの口座が開かれるのかといいましたら、財団法人だとか社団法人だとか政府関係の特殊法人だとか、それから、かつて政府の機関だったといいますか国営だったNTTとかJRとかも経過上そういうのが入っているみたいですね。そういうところが入っているわけでございまして、全くの個人がこの公共法人部に口座をつくっているということは、極めて何かふさわしくないというふうに私は聞いております。  それともう一つ。結果として現時点で得したのかどうかということが問題なんじゃありません。当時はバブルの真っ盛りで、このCBと言われるものは極めてうまみがあったことは、それは皆さんだれも否定されませんでしょう、バブルの崩壊前は。それを、一人の個人が、一人の現職の官僚が、バブルの真っ盛りの間に十五銘柄も新発債を、それも百万円一つとかそんなんじゃありませんよ。それなりの数量のものを、そういうようなものを取得をされておられるわけでございまして、これはやはり私は見過ごせないというふうに思うわけでございます。  外務大臣、いかがですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 先ほど、事実関係については官房長から御答弁申し上げたとおりでございますが、一点、法人部門が担当していたという点についてでございますが、それについては、けさほど新聞報道がありましたので、外務省において念のためにその証券会社に確認したところ、たまたま当時相談した人が法人部所属であったために法人部に口座ができたということです。そのようなことは間々あることであるというふうなことであるというふうに承知しております。  事実関係はそういうことでございますけれども、先ほど官房長から答弁したとおりの事実関係であり、そして国家公務員のこういった証券類の取引に関する法律上の、あるいは公務員としてのその取り扱いにつきましては、証券局長並びに人事局長から答弁のあったとおりでございます。その両方をあわせてみまして、私は特に問題になるような線は全くないんだと思います。したがいまして、この件につきましてどうこうと外務大臣として申し上げることはございません。  強いて申し上げますならば、委員先ほど、ある証券会社の個人の勘定元帳をごらんになったというお話がございましたが、それが果たして本当なのか、本物なのかどうなのか、私も承知しませんので、そのことについてあえてコメントすべきではないかもしれませんけれども、もしそういうものが本人の承諾も得ないままに見られておる、第三者に見られておるとするならば、それは一体どういう資格でごらんになったんだろうか。あるいは、それを開示した野村証券の関係者と言われる方の行動は一体どうなんだろうか。そこのところにこそ私はむしろよく考えてみなくちゃいけない、調べてみなくちゃいかぬところがあるんじゃないかという感じがいたします。

北側一雄新進党

○北側委員 先ほどから私申し上げておりますが、外務大臣の今の話だったら、何の問題もないよという御認識なんですね。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 委員がおっしゃっているのが、先ほど官房長が御答弁した件であるのかどうなのかははっきりわかりません。(発言する者あり)

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 お静かにお願いします。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 わかりませんけれども、恐らくそれであろうということで官房長から答弁したわけでございますが、その官房長が答弁いたしました件についてのこれまで我が方で聴取した事実関係というものは、法律あるいは国家公務員として遵守すべきルールにもとるところは特にない、このように認識している次第でございます。

北側一雄新進党

○北側委員 だから今の大臣の御答弁は、官房長を初め、事情を聴取、聞いた話を前提とするならば、この取引については問題ないよという御認識なわけでしょう。そういうことでしょう。もう一遍確認します。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 私は、委員が御指摘になっている案件が一体何か存じません、具体的におっしゃいませんから。しかし、あるいはこれなのかなということで官房長が事情を聞きました案件であるならば、その聴取した内容、そして一方におけるいろいろな法律あるいは公務員の守るべきルールに照らし合わせて、特に問題になるところはない、こう考える次第でございます。

北側一雄新進党

○北側委員 先ほどの官房長の御答弁だとか今の大臣の御答弁を踏まえますと、事実関係としては、野村証券の本店の公共法人部に当時の現職の外務官僚が口座を持っていたこと、そして、あのCB、転換社債の取引をなされていたこと、あのバブル時、ということは事実の確認をされているということですね。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 それは、たまたまそういうふうな話が御本人から官房長の方にあったということでございますので、そういうことで申し上げたわけでございますが、本来、格段の、特別の問題がない案件についてあれこれ申し上げるということは個人のプライバシーにかかわるものでございまして、ここまで御答弁申し上げていることも、あるいは御本人が了承されないような問題があり得るんだ、御答弁申し上げているということが。私はそう思います。そして、私どもがお伺いした限りにおいては、特に法律やルールにもとるところは見当たらない、こう思う次第でございます。

北側一雄新進党

○北側委員 外務大臣、私がまず今聞いているのは、評価の問題は後にしまして、御本人から話があって、野村証券の本社の公共法人部に口座が確かにありました、そこで有価証券の取引をしていました、転換社債の取引をしていました、それは間違いないという話でしょう、事実としては。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 それは、委員が御指摘される御本人かどうか私は存じません。委員が一体だれのことをおっしゃっているのかわかりませんし、またどういうニュースソースで得られたかも知りませんし、そして、仮に先ほど委員がおっしゃったようなルートで情報を得られたのならば、そのことにこそ私は問題があり得るんじゃないかと思っている次第でございまして、したがいまして、私どもの方では、たまたま新聞記者が接触してきたので、実はこういうことがありましたというので、官房長のところへ、むしろみずから進んで念のために話が来た、それを御答弁した次第でございますから、あえてこれ以上のことを申し上げるのはむしろプライバシーの侵害になり得るんだと思います。(発言する者あり)

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 速記を起こしてください。  それでは申し上げますが、ただいま与野党の理事間で協議をしていただきました。  今までの質問に対しては、さまざまな問題があると提起されましたので、その取り扱いについては理事会で後刻協議をいたし、北側委員には他の質問で続行していただくようにお願いいたします。  北側一雄君。

北側一雄新進党

○北側委員 それでは、また改めてこの問題については、その理事会の協議を踏まえた上で、やらせていただきたいと思います。  さて、じゃ、別の問題に移らせていただきますが、オリンピックスポーツという会社がございました。愛知県の会社なんです。これも証券に関する話なんですけれども、このオリンピックスポーツという会社は店頭登録会社なんです。愛知県の岡崎市に本社がございまして、スポーツ用品の売却等をやられていたようでございます。  この会社が昨年倒産をいたしました。これ、和議申請があったかと思うんですが、裁判所の方にいつ和議申請があったのか、裁判所、いらっしゃったら、お答えを。

石垣君雄最高裁判所事務総局民事局長

○石垣最高裁判所長官代理者 委員お尋ねの株式会社オリンピックスポーツにつきまして、名古屋地裁の岡崎支部に和議申請の申し立てがされましたのは、昨年、平成八年九月十七日でございます。

北側一雄新進党

○北側委員 和議申請があったのが九月十七日。  証券局の方、これ、店頭登録会社でございますが、この株式の取引が停止をされたのはいつでございますか。

長野厖士大蔵省証券局長

○長野政府委員 オリンピックスポーツ社の株式の店頭登録市場における売買は、九月二十日金曜日の立ち会い開始時より停止されたと承知しております。

北側一雄新進党

○北側委員 総理、これは、大蔵大臣もちょっと聞いておいていただきたいんですが、去年の九月の十七日に和議申請を裁判所に出しているんですね。もう和議というのは倒産の一つですから。そして、実際にこの店頭登録株式が取引停止、取引所の取引が一時停止されているのは三日後の九月二十日なんです、金曜日で。そうすると、十七日、十八日、十九日、この三日間は通常どおりの店頭株、オリンピックスポーツの店頭株の取引がなされたということなんですね。  証券局にお聞きいたしますが、こういう倒産の和議であれ、破産であれ、会社更生であれ、それを裁判所に申請をした場合には、取引所に対してそういう事実があったことを通知して、取引所の方は取引を一時停止するという取り扱いにならないとおかしいと思うのですが、どうですか。

長野厖士大蔵省証券局長

○長野政府委員 店頭市場を管理いたします日本証券業協会の規則によりますと、「発行会社の経営に重大な影響を与える事項等が生じた場合には、遅滞なく日本証券業協会に報告しなければならない」となっておりまして、御指摘の和議手続というのは、当然この重大な事項に当たると考えます。

北側一雄新進党

○北側委員 証券局長、今の御答弁はこういうことでしょう。和議申請をしたら遅滞なくすぐに取引所に通知しなさいよというふうに規則で決まっています、こういう話ですね。

長野厖士大蔵省証券局長

○長野政府委員 仰せのとおりでございます。

北側一雄新進党

○北側委員 先ほどの話では、九月十七日に和議申請したんですが、実際取引停止になったのは二十日だったんですね。証券局、これ何かいきさつは、経過、聞かれていますか。

長野厖士大蔵省証券局長

○長野政府委員 私どもが今日まで聴取しておるところによりますと、オリンピックスポーツ社は、十七日、御指摘のとおり和議申請をいたしました。遅滞なく報告する義務がございますけれども、その義務の履行が十九日の夕刻、幹事証券を経由して証券業協会に報告をされた、二日おくれておるということでございます。

北側一雄新進党

○北側委員 今の証券局長のお話は、要するに、取引所への通知がおくれたという話でございます。  大蔵大臣、これは二つちょっと問題があるんですね。  一つは、このオリンピックスポーツの店頭株の取引高の推移を調べてみました、そうしたら、この和議申請を出した日、この日は四万八千株の取引がなされているんですね。翌日、十八日は一万八千株、十九日は三万株が取引をされております。十七日は四万八千株。ところが、その和議申請の前ですけれども、その前の週を見ますと、例えば九日が五千株、十日が六千株、十一日が一千株、十二日が四千株、十三日が一万五千株と、この和議申請を出してから実際取引停止になるまでの三日間の方が断然このオリンピックスポーツ株の取引が数が多いということがわかるわけでございます。  これは、私やはり、この和議申請後、取引が停止される間のこの取引というのに証取法上の違反の疑いがないのかどうか、これはやはり一度調べてみる必要があるというふうに思うわけでございます。  SEC、来られていますか。この点、もちろん個別論の話はできないのはよくわかっておりますので、一般論としてで結構でございますが、こうした件について、御感想といいますか、御関心があるかどうか、ぜひ。

若林勝三大蔵省証券取引等監視委員会事務局長

○若林政府委員 お答えさせていただきます。  証券取引等監視委員会といたしましては、日ごろからいろいろな情報収集に努めておるわけでございまして、そういう情報を分析して、証取法違反の疑いがあるというようなことにつきましては予断なく調査をするということで、取引の公正を害するというような悪質な行為があれば厳正に対処するということで対応してまいったわけでございます。こういった姿勢については、今後とももちろん変わることはございません。  ただ、今御指摘の点について若干触れさせていただきますと、これも一般論ではございますけれども、和議申請の申し立てといいますのは、インサイダー取引規制における重要事実に該当いたすわけでございます。したがいまして、仮に、そうした事実を知ってその会社の関係者などが、そういった事実を公表される前に当該株式を売買するということになれば、インサイダー規制に違反する疑いがあるということは言えるかと思うわけであります。  いずれにいたしましても、こういった情報を常に収集に努めて、厳正な対応をしてまいりたいと思っております。

北側一雄新進党

○北側委員 今の御答弁は、和議申請後の取引停止前の取引で、その社内の人がそうした取引をしたならばインサイダーの疑いがあるというお話をされました。また、そういうインサイダー取引かというふうな報道もなされておりますので、ぜひしっかりと調査をしていただきたいと思うわけでございますが、一方で、この問題というのはもう一つ、これは制度上の問題が私はあるのではないかと思っているのです。  裁判所、和議申請が出まして、実際保全処分がなされましたのはいつでしょうか。

石垣君雄最高裁判所事務総局民事局長

○石垣最高裁判所長官代理者 保全処分が発令されましたのは九月十九日でございます。したがいまして、和議申し立ての二日後ということになります。

北側一雄新進党

○北側委員 こういう和議申請を裁判所に出して、その債務者、倒産する会社の財産を保全をしないといけません。その保全処分がなされたのが十九日であったわけでございます。  私は、このオリンピックスポーツの会社の顧問弁護士さんともお話を聞かせていただきましたら、一応の一つの理屈がありまして、保全処分がなされない前に自分たちが倒産しましたよということを世間に公表してしまったら、その会社の財産が、一遍に何か債権者がばあっと押し寄せてきて非常に混乱を来す、財産が保全できない。だから、公表というのは、やはりこれは保全処分がされないとできないよというふうな話をなされているのです。これは、私は一理あると思います、一理。債権者保護という観点から考えますと、非常に一理ある話であるなというふうに思うのです。  証券局にもう一度お聞きいたしますが、今、このオリンピックスポーツも店頭登録株なんですが、こうした店頭登録株というのが、ここ数年、極めて増加をしておるというふうに思いますけれども、その状況を御報告いだだけますか。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕

長野厖士大蔵省証券局長

○長野政府委員 お答え申し上げます。  登録銘柄数と売買数で申し上げるのが適切かと存じますけれども、店頭登録銘柄数は、各年末で、平成三年末四百三十、四年末四百三十六、五年末四百七十七、六年末五百六十八、七年末六百七十八、八年末七百六十二ということで、逐次増加いたしております。  なお、売買代金につきましては、平成三年から四年にかけましてはバブルの影響がございますので、平成三年五兆円が平成四年には一兆強の売買高になっておりますが、平成五年は二兆八千余、平成六年は五兆三千余、平成七年は五兆八千余、平成八年は五兆八千余という形で、売買高も近年高まっております。

北側一雄新進党

○北側委員 店頭登録という制度がつくられて、今の御報告にありましたように、非常に店頭登録したいという会社が多いし、また実際、店頭登録されてくる企業がどんどんふえてきておるわけでございます。ベンチャー企業とか、そういう意味では一部上場、二部上場とは違うけれども、中小の企業だけれども自分のところは店頭登録するんだというふうなことで頑張っている企業がたくさん今ふえてきておるわけです。このこと自体は非常にいいことである。間接金融ではなく直接金融を、資本を取得をしていくということでございまして、これはいいことでございますが、ふえてきておる。  ただ、一方では、こういう店頭登録をされておられるような企業の場合に、まあ比較論ですが、上場会社に比べましたら、やはりこの店頭株式というのは、一つは、投資家から見るとリスクが大きいわけでございます。また、こういう店頭登録会社の場合は、このオリンピックスポーツの例でわかりますとおり、典型的なように、倒産することも上場会社に比べますと非常に、非常にといいますか多いだろうというふうに容易に想像がつくわけでございます。  そういうふうに考えますと、制度として一和議なり破産なり会社更生なり申請する、倒産しますよという時点と保全処分というのがやはりできるだけ近くなきゃいけませんし、そうしないと、一方で債権者の保護ができない。また、和議申請等がなされた場合にはできるだけ早く取引が停止をされないと、一般投資家が大変な不測の損害をこうむってしまう、こういう問題があるわけでございます。私もこれは制度的に、先ほど証券局長は、申請したらすぐに取引所に通知をするんだというふうに内規があるんだとおっしゃっておるけれども、現実には、たまたまこれは岡崎支部という支部だったこともあったかもしれませんけれども、保全処分がおくれてしまったわけです、二日も。その間も通常どおり取引されているわけですね。  だから、会社の債権者をどう保護するかという問題と投資家をどう保護するのかという問題の調整をどうするかという問題。私は、この店頭登録会社というのがふえているという実情を見るならば、ここは何か制度上考える必要があるのじゃないかと思うのですけれども、裁判所の方、いかがですか。私は、一部上場は当たり前ですけれども、二部上場も当たり前ですが、この種の店頭登録会社の場合に、そういう破産、和議、会社更生等の申請があった場合には速やかに保全処分をするような、そういう通知といいますか、そういうのを各裁判所にすべきじゃないでしょうかね。

石垣君雄最高裁判所事務総局民事局長

○石垣最高裁判所長官代理者 制度論のことにつきましてはこの場で裁判所からとやかく申し上げるのは差し控えたいと思いますが、具体的な事件処理に当たりまして適正迅速な処理を行うことが必要であるということは、委員御指摘のとおりだと思っております。  ただ、一般論として申し上げますと、各裁判所におきまして、大型倒産事件の申し立てがありました場合でも、可能な限り、適正迅速な処理を行うことができる体制をとっているというふうに考えております。  ただ、今話題になっております和議の保全処分について申し上げますと、本当にその和議条件、これはまあ弁済の条件でございますが、その弁済計画を履行する意図がないのに保全処分を得て時間稼ぎをしたり、あるいは、債権者の追及を免れると和議の申し立てを取り下げてしまうというような、乱用的な申し立てもあるという指摘もあるわけでございます。そういたしますと、裁判所としては、保全処分を発する際に慎重な検討が必要になるという事情もございまして、ある程度の時間が必要になるという状況にあることも事実でございます。

長野厖士大蔵省証券局長

○長野政府委員 ただいまの御答弁に若干補足させていただきますと、証券取引の面では、保全処分ということとかかわりなく、和議の申請が出たら直ちに証券市場における取引が停止されるべきであろうと存じますし、そのような定めになっております。その報告が実は発行体からおくれておった、結果としては保全処分が出た後に証券業協会の方に報告が出たということでございますから、これを保全処分の出る以前にも遅滞なく報告をしていただくような方向を、これからいろいろなことを考えていかなければならないのではなかろうかと考えております。

北側一雄新進党

○北側委員 ですから、一般投資家のことを考えれば、当然、今証券局長の答弁のとおりなんですが、その会社の債権者の立場を考えると、保全処分がなされる前にその倒産があったことが一般に公表されてしまいますと、これは非常に混乱を来して、財産保全ができなくなってしまって、会社債権者に損害を与えてしまうのではないかという心配があるわけです。それは裁判所、よくわかるでしょう、そういう問題点があること自体は。どうですか。  証券局長の答弁は、一般投資家の保護を考えたら、和議申請したらすぐに取引所に通知するのは当たり前の話だというお話なんですね。それはそのとおりだと思います。だけれども、その破産した会社の債権者の保護ということを考えると、やはり保全処分がなされないと債権者の保護が十分できないわけなんですね。だから、それを考えたら、リスクの多いこうした店頭登録株が今ふえているわけですから、そういう意味では一般投資家の保護も必要、一方で債権者の保護も必要という調整をしないといけない。だから、倒産の申請があった場合には、できるだけ早く保全処分が出るようなことをしていかないと、これ、両方が矛盾してしまうわけなんですね。それは裁判所、よく理解できるでしょう。

石垣君雄最高裁判所事務総局民事局長

○石垣最高裁判所長官代理者 今委員が御指摘になったところは、そのとおりだろうと存じます。

北側一雄新進党

○北側委員 大蔵大臣、ちょっと今やりとりしていましたけれども、これ、制度上問題があるんです。裁判所と証券局との間で、今の問題についてぜひ一遍調整をしてもらう必要があると私は思います。場合によっては、最高裁判所の方が各裁判所に対して、こういう店頭登録株会社の場合には、そういう倒産申請があった場合にはできるだけ早く保全処分を出しなさいよとか、また、本庁の方に行けば大体早くなることが多いわけですから、そちらの方に持っていくように指導するとか、そうしたようなことをしていかないと、この種の、今のオリンピックスポーツのような問題は、私はこれからも出てくると思います。証券局長、言っている意味、わかるでしょう。ぜひこれは検討していただきたいと思います。  いずれにしましても、この件についてはインサイダー取引の疑いがあるというふうなことも一部では言われておりますし、その辺はぜひSECもしっかりと調査をしていただきたいと思います。  それでは、金融制度改革の問題にもう一度立ち返りまして御質問をさせていただきます。  まず、冒頭の外為の自由化の問題と金融制度改革の問題にもう一度立ち返らせていただきますが、総理、当委員会でこれまでも議論に出ておりましたけれども、少なくとも有価証券取引税の問題、これは欧米の市場ではどんどん廃止の方向に進んでいるわけですね。それを考えますと、外為の自由化はやったけれども有価証券取引税は日本の証券市場では残っているということであれば、投資家からすれば税金もコストですから、これは海外に行きやすい要因になるわけでございます。どうせ有価証券取引税についていずれ撤廃の方向で行かざるを得ないならば、私は、もうこの段階で本当に、総理、大蔵大臣がやはり政治判断をしていかないといけないというふうに思うのですね。その方向性について、考え方について打ち出すということをするべきだと思いますが、総理、いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 先般来、大蔵大臣が何遍も御答弁を申し上げておりますように、有価証券取引税という名前ではございませんけれども、例えばロンドンにおいても類似の税制が存在することは、議員はよく御承知のとおりであります。  今後、証券税制全体を考えていく中、税制改革の中で考える、大蔵大臣はそのように御答弁を申し上げておったと記憶をいたしますが、私も同様の気持ちを持っております。

三塚博自由民主党大蔵大臣

○三塚国務大臣 重ねて御質問ですが、総理閣下申されたとおり、全く同じです。

北側一雄新進党

○北側委員 今後検討するのはいいのですけれども、外為の自由化はもうスケジュールに入っているのですよ。今国会、法案が出てくるわけですね。来年からやりましようという話になっているわけです。一方では有価証券取引税についての方向性も、例えば撤廃の方向で検討をすべきじゃないかとか、撤廃も含めて検討すべきじゃないかとか、やはりそういうふうな方向性を出していかないといけないと思うのです。どうですか。

三塚博自由民主党大蔵大臣

○三塚国務大臣 ですから、証券市場税制全体をどう見ていくか、また、ビッグバンが二〇〇一年を最終年として取り組んでいくわけですから、そういう諸状況の中を全体的に勘案をしながら取り組むということになると思うのです。  ただいまは、予算案を提出をしまして審議をお願いをしておるわけですね。税制改正法案も御提示を申し上げておるわけですね。まず年度内成立に向けてぜひともお願いしたいというのは政府の側です。切れ目のない予算執行が日本経済の基本をさらによりよいものに構築をしていただけることでありますし、万般の問題が、そのことによって確かな前進の基本になるだろう。税制またしかりであります。この税制も、住宅税制だけではなく、進んでおるわけでございますから、この御審議もお願いを申し上げる。  常会が六月で終わるわけでございますが、それまでの間の国会論議を十二分に踏まえて、また、国会論議と並行して、国民の中に御意見があります。また、株式市場からのメッセージもあります。総合的な判断の中で、本件は、常会後の税制調査会、与党三党の税制調査会、ひそかに御勉強いただいておることは承っておりますが、政府の立場からいたしますと、ただいま全力を尽くして予算、そして関係法案の成立の御審議をお願いを申し上げているということであります。

北側一雄新進党

○北側委員 総理、金融制度改革のスケジュールの問題なんですが、昨年、経済審議会の行動計画委員会金融ワーキンググループが十月十七日に「わが国金融システムの活性化のために」という報告をなされました。総理の東京ビッグバン構想というのは、かなりこれをもとにされておられる部分が多いわけでございます。こちらの方は、一つ一つの自由化のメニューの問題について、これは何年度からやりましょう、これは何年度からやりましようというふうに実施時期についての目途をきちんと掲げているわけなんですね。  この金融制度改革、たくさんのメニューがございます。私は、そうしたスケジュールについても、今すぐしろとは言いませんけれども、できるだけ早い段階でこのそれぞれのメニューについて、これについてはいつからやりますよ、これについてはこうしますよと、この辺のスケジュールについてやはり公表をすべきであると思いますが、いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 近い機会にできるだけ御趣旨に沿うようにいたします。

北側一雄新進党

○北側委員 ぜひそのようにお願いを申し上げます。  次に、この金融制度改革というものが進めば進むほど、各金融機関の競争が極めて激化をしてくるわけでございます。そういう意味では、先ほど総理も冒頭おっしゃっていましたけれども、各金融機関の努力といいますか、魅力ある商品を提供していく、そういう努力をしないところはどんどん経営が困難になってくるということが出てくるわけでございます。  金融の自由化というのは、そういう意味では一面、弱肉強食ですか、という側面があるわけでございまして、単にその経営が困難になるだけではなくて、この金融自由化をどんどん進めていく過程の中で金融機関の破綻の問題がやはり出てくるかもしれない。そういうことも当然想定して考えていかなければいけない。特に、破綻があったからといって、私は、金融機関の預金者については、これは保護をしていかねばならないと思います、当面は。  そういう意味で、今そうした制度や仕組みが十分整っているのかということですね。昨年、金融三法が成立をいたしましたが、私は、あれではまだ不十分なのではないかというふうに心配をしております。  現在、預金保険機構の残高といいますか、平成九年三月、平成八年度末の見通しですけれども、この預金保険機構にはどの程度お金が残るのか、その見通しについて御報告ください。

山口公生大蔵省銀行局長

○山口政府委員 お答え申し上げます。  預金保険機構の責任準備金という形で積み立てられているお金でございますが、これは年度末でしか出ませんので、申し上げますと、八年の三月末で三千八百六十五億円でございます。その後若干の出入り、つまり収入がありまして、また支出もございました。今度来ます三月末がどれくらいになるかははっきりわかりませんけれども、それと余り変わらない、あるいは若干多いかなというような感じの数字になるかと思います。

北側一雄新進党

○北側委員 私が事前に聞いている話と少し違うのですけれども、木津信は今年度内に処理をしていくというか、預金保険機構から拠出をするんでしょう。木津信に対しては、これは一兆円程度の拠出をするのではないのですか。

山口公生大蔵省銀行局長

○山口政府委員 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、木津信の処理がもし年度内に行われるということになりますと、一兆円程度あるいはそれ弱の支出、つまり金銭贈与というのが行われるわけです。そうしますと、四千六百億円の保険料収入があった一方、これまでに決定された今年度の金銭贈与が三千百億円でございますので、今後木津信の預金者保護のための支出というのがありますと、一時的に借り入れによる対応、五千億程度の対応が見込まれる。ただ、借り入れがあるからといって問題になるわけではありません。その後五年間、いわゆる七倍の保険料収入というのを見込んでおりますので、一時的な借り入れで対応する、こんな形になろうかと思います。

北側一雄新進党

○北側委員 大臣、今の御答弁でわかるとおり、木津信用金庫が整理回収銀行に移行して、資金援助を約一兆円くらいするという話なんですね、今の御答弁は。これが年度内に行われるのでしょう。そうしますと、預金保険機構の残高というのは全くゼロになるのですね、その時点で。ただ、今おっしゃったように、日銀から五千億程度の借り入れをして何とかやっていくんだ、マイナスになる分、この五千億を日銀から借り入れする。ただ、一方で保険料の引き上げをいたしましたから、またふえてきますよ。毎年四千六百億程度ですか、保険料として入ってくる。それがあるから何とか大丈夫なんじゃないかという話なんです。  大臣、いいですか。本年度末では残高はゼロになるのです。借り入れを五千億しないと賄えないのです、木津信の処理については。そういう状況なんです。だから日銀への借金ができるわけなんです、預金保険機構は。ただ、これから、一年もう過ぎましたのであと四年間、毎年四千六百億だから、約二兆弱の保険料が向こう四年間で入ってくる。それで何とか賄えるのではないかという話を先ほど銀行局長はしているわけなんですよ。だけれども、この四年間で二兆なんです、二兆。  一方で金融の自由化をどんどん進めていくわけですね。金融制度改革をする、規制緩和をする、していくわけですね。新たな金融商品がどんどん出てくるような環境をつくっていく。各金融機関の淘汰が起こってくるのは必然なわけですね。そうすると、やはりこの金融制度改革を安定して進めていくためにも、これは進めなければいけない、進めていくためにも、金融機関の破綻があった場合の預金者の保護について、やはりシステムをしっかりとつくっていかないといけないと思うのです。いかがですか。

三塚博自由民主党大蔵大臣

○三塚国務大臣 ただいまの段階については、銀行局長が言われましたとおり、預金保険機構を駆使し預金者保護に徹する、こういうことですから、木津の例を言われましたが、不足につきましては日銀融資によりまして補てんをします。最終的には、期間内に二・七兆の積立金が出ます。三年後見直し条項がございますが、七倍の保険料で十二分かどうかという問題がありますが、十二分という前提でこれに取り組んでおりますから、そういたしますと、二・七兆。一兆だという想定でお話をされ、何となく銀行局長もそれらしいことを言っておりますから、それとすれば一・七兆残りますね、こういうことであります。  言わんとするところは、北側さん、さらに全金融機関の問題の体制を、こういうことを言われております。予算委員会で前段御質問にもお答えを申し上げておりますとおり、不良債権が着実に減少をいたしております。こういう作業の進め方があります。同時に、金融機関はそれなりのリストラを、ここを乗り切るためには頑張らなければならぬという督励も私どもはすることを、また意識もそういうことでありますものですから、両々相まちまして健全な経営体に立ち返っていただく。  ビッグバンは、まさに金融システムの完成に向けて、グローバルな形、そして多彩な商品を提供することによりまして、預金者にまた利用者にメリットを与えるわけでございますから、そういう許認可の撤廃による制度をロンドン・ビッグバン並みにつくり上げていこう、こういうことでありますから、そのことが一歩一歩、フロントランナーである外為法の改正、それによるいろいろなこともありますが、結果的には我が国の経済に貢献するでありましょうし、円の価値が正しく見詰められることによりまして、基軸通貨としての円が、日本が世界経済の中でそれなりに役目を果たしていけますということであろうかと思います。  そういう点で、結論的に言いますと、金融機関みずからの厳しいリストラ、頑張り、そういうことで取り組んでいただいておるということであります。それを督励する、頑張れ、こういうことで取り組んでいくことがただいまの段階で大事であります。

北側一雄新進党

○北側委員 総理、これは去年の国会、住専国会でも、また金融三法の議論でも議論になったのですが、私もそのときに主張させていただいたのは、あの金融三法というのは、信用組合とその他の金融機関とを区別しています。信用組合の破綻の場合は、最終的には公的資金の導入ということが予定をされております。でも、その他の金融機関の場合にはそれはございません。一方、住専には公的資金導入。ところが、その他のノンバンクの破綻については、あの国会では公的資金の導入はあり得ないという御答弁を、当時久保大臣でしたけれども、再三されておられました。  私は、そういう区別の根拠というのがないのではないのかということをそのとき主張させていただいたわけでございますが、私は、その区別の根拠というのは、やはり預金者保護、預金者がいるのかいないのか、この区別しかないと思います、合理的な区別というのは。その意味では、信用組合もその他の預金者のいる金融機関も、区別をするのはおかしいわけであって、預金者保護ということを考えるならば、あの金融三法では不十分な問題があるのではないのか。  そして、特に、その後、昨年の十一月に総理が東京ビッグバン構想を打ち上げられて、そしてたくさんのメニューの金融制度改革、自由化を進めていこうと今されている。そういう新しい要素が出てきたわけでございますし、また一方では、株価の問題を考えたら、あの当時に比べると低迷をしておるわけですね。そういう状況を考えましたら、私は、やはり原理原則に戻りまして、昨年の議論でございますけれども、信用組合とその他の金融機関を区別するようなスキームというか枠組みというのは、これは見直しをする必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 昨年、大変激しい議論がありましたことを私自身もよく記憶をいたしております。そして、これ以上まさか出さないだろうなという、住専ばかりではない、他のケースも想定されるが、これ以上公金は支出しないだろうなと、しばしば御党の皆様からも御確認をいただきました。そして、そういう状況の中でいわゆる金融三法を我々は成立させていただき、現在この体制のもとにあります。  先ほど来委員が御指摘になっておられるように、金融の自由化が進めば進むほど利用者利便は向上をする、同時に、金融機関相互の競争は活発化する、そして、その経営を取り巻く環境というものはそれだけ厳しさを増すということは、私もそのとおりだと思います。また、それを一度も否定したことはありません。  そして、昨年、金融三法が成立を通常国会でいたしましたので、金融機関の健全性確保のいろいろな施策というものが整備をされますとともに、二十一世紀を迎えるまでの間、預金の全額を保護し得るなどの仕組みが、枠組みが整備をされました。我々は、当然のことながら、政府として、この制度整備を踏まえて、金融機関の経営問題に対しては、預金者の保護を図りながら、そのときそのときの状況を見て適切に対応していきたいと思います。  当然のことながら、この金融システム改革を進めていきますには、不良債権の早期処理を同時に進めていく必要もありまして、金融システムの安定には細心の注意を払っていくべきだ、それは私どももそのとおりに思います。

北側一雄新進党

○北側委員 私の質問に直接は今お答えになられておられないように思うのですが、金融三法は、信用組合について公的資金導入を最終的に予定しておる、ところがその他の金融機関はそうでない、これの見直しは今必要でないというふうに総理はお考えだということですね。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 昨年、本院の、委員もたしか御質問に立たれ、大変すばらしい御質問をいただいたように覚えております。そして、まさかこれ以上公金の支出はないだろうなと、繰り返し繰り返し念を押されました。そして、私どもは、この三法の体制で全力を尽くしてまいりますと。いろいろなケースをおっしゃいました。議員ばかりではございません。いろいろな御質問者がいろいろなケースをおっしゃいました。その中で、信用組合を除く部分について公金の支出はいたしませんということを申し上げてきたことも事実であります。そして、今我々は、この三法の中で最善の努力をしていこう、そう申し上げております。

北側一雄新進党

○北側委員 私が申し上げたのは、ノンバンクと住専とを区別するのは何でなんだと私もあのとき申し上げたのですね。信用組合とその他の金融機関とを区別するのもおかしいよ、私は、議事録を読んでいただければわかりますが、そのように申し上げているのです。  それでは、次の問題に移らせていただきます。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 北側さんの議論はそうでした。それは私もそのとおり覚えています。

北側一雄新進党

○北側委員 そうですね。  総理、金融制度改革を推し進めていきますと、金融の自由化がどんどん進んでまいりますと、私、一方で忘れてはならないといいますか、しっかりと銘記をしなければいけない、また制度上も確保していかなければいけないと思っておりますのは、一つは、リスク管理の問題なんです。これは、金融の自由化がされるということは、リスクがどんどんふえてくるという話でございます。  このリスク管理という意味は、一方では各金融機関の社内でのリスク管理をしっかりやりましようという話でしょう。もう一つは外部からのリスク管理を、検査、これをやはりしっかりやっていかないといけないんだということだと私は思うのです、外部検査を。  それともう一つは、不公正取引。これに対して、金融の自由化が進められるということは、不公正取引の防止、そのチェック、それをしっかりとしていく必要がある、もし不公正取引があれば厳しく罰していく。  こういうリスク管理の問題と不公正取引の防止、この問題が非常に大事になってくると思うのです、金融の自由化が進めば。そういう認識でよろしいでしょうか。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 皮肉ととらないでください。私、本当にその点大事だと思うのです。社内の、本来、顧客のために機密を守られるべき書類があなたの目に触れるというような事態が起きているというのは、私、本当に問題だと思うのです。内部管理という意味でですよ。ごらんになったことがいい悪いじゃないのです。むしろ、お客に関する情報が外部に流出するような社内体制というのは、一体どこに問題があるんだろう。  そして、そのお客さんの投資を万全の責任を持って運営していく、そうした責任に対するリスクの、まさにリスク管理です。あるいは、内部の犯罪とまで言うことは言い過ぎでしょう、犯罪ではなくて、取引者の例えば事務のミスによって顧客に損失を生じるようなケース、さまざまなケースというのがこれは私、想定されると思います。  また、それを社内において監査できる体制というものをきちんととるとともに、外部からの監査、監視機能といいますか、監査、検査、双方の体制、これは非常に大事なことだと思います。  同時に、でき得れば、私は、例えば証券取引所あるいは証券業協会といった、自主管理の面で十分な機能を発揮してもらう体制が維持されることが、官の監査、検査というもの以上に大事なことではないかと思います。  まさに証券不祥事の際、私、通達というやつで本当に悩まされまして、その通達のできるだけ多くの部分を、あのとき証取法を直していただきました機会に、証券業協会あるいは取引所の自主規制のルールに移しかえて、むしろ逆に、どうしても必要なものは法律そのものに取り込むという形をとりました。やはり私は、自主的な業界自身、協会あるいは取引所、こうしたところの機能を充足しておくことも大事だと思っております。

北側一雄新進党

○北側委員 外部からの、各金融機関、これは証券も含めて広い意味での金融機関ですけれども、検査機能を私は強化しなければいけないと思います。そういうお話だと思います。また、不公正取引の防止についても、その防止ができるような一チェック機能を強化しないといけない。  そこで、例えばSECなんですけれども、日本の証券取引等監視委員会、例の九一年の証券不祥事の後に、その反省に立ってできたものであることはもう総理が一番よく御存じの話でございますが、この日本の証券取引等監視委員会は、例えばアメリカなんかと比べると、その人員、規模、組織、極めて小さいわけなんですね。ちょっと具体的な数字を出しますと、アメリカの場合は人員が二千八百三十五名いるんですね。これは単純に比較できないのかもしれません。二千八百三十五名。日本の場合は今二百名強ですね。十分の一弱、もっと小さいですか、二千八百三十五対約二百ですから。  私は、この金融制度改革を進めていく、一方でこういう検査機能、また不公正取引に対するチェック機能の強化をしていくためには、一つは、この日本の証券取引等監視委員会や、また今検討されております大蔵省改革での金融検査監督庁ですか、金融検査、こうした機能というのは、単に移せばいいんだという話じゃないと思うんです。やっぱりこの金融の自由化の流れの中では強化をしていかなければいけない。規制の緩和をすればするほど例えば公取は強化しなければいけないのと同様でして、やっぱり金融の自由化を進めれば進めるほど、それも今進めようとしているのは大変な抜本的な改革をしていこうとしているわけですから、そういう意味では、こうした検査機能、外部検査機能、また不公正取引のチェックをするための機能を強化していくために、金融検査監督庁やまた日本の証券取引等監視委員会等について、私は機能強化を検討すべきじゃないのかというように思いますが、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 私は、今議員が述べられたことに基本的に異論はありません。その上で、現在の証券取引等監視委員会とSECを単純に比較されて数字の大小を言われることには多少異論があります。  それは、免許制で会社の設立を認めている日本、言いかえれば、証券業という企業がスタートする時点で免許という非常に厳しいチェックを受け、それなりの安心感を与えてスタートをさせられる。届け出でしたか登録でしたか忘れましたが、非常に手続的に簡単に証券業を営むことのできるアメリカと、もともとの制度自体には大きな違いがございます。  それだけに、免許制のもとにおける監視機能と、登録あるいは届け出によって企業をスタートさせることのできるアメリカの仕組み、監視体制との間には、おのずから私は、それだけの開きはあっても問題が生じるものではない。むしろ、その当時私はそういう議論を申し上げてまいりました。そして、独立機関というお話がありましたものも、緩い形の大蔵大臣の監督下に置くことによって、国際的に整合性を持った説明のできる体制とともに、監視、検査というものがある程度強制力を持ちますだけに、大蔵大臣の直接の指揮命令という形をとらない組織図をかきました。  今後、当然のことながら、金融システム改革が進み、より規制が緩和され、それぞれの企業が行動の自由を拡大し、その中で独自の行動を大きくすればするほど、チェックすべき機能というのは、当然のことながら非常に重要になってまいります。将来において、証券取引等監視委員会にいたしましても、仮称でありますけれども、今金融検査監督庁という名称をつけております新たな金融機関に対するチェック機能にいたしましても、その流れの中でその機能を強化していく必要があることは、私御指摘のとおりだと思います。

北側一雄新進党

○北側委員 ぜひこれも、この検査・監督機能の機能強化について、私は具体的に検討していただきたいと思う。どのようにして強化していくのか、人員をふやすのか。そこもぜひ検討して、単に強化をするというだけではなくて、実際、金融の自由化の問題と検査・監督機能の強化の問題は両方必要なわけですから、ぜひ具体的に検討をお願いを申し上げます。  金融の自由化の問題と、もう一つ、公的金融制度の問題についてお聞きをいたします。  総理、今回の金融制度改革のメニューの中には、日本の公的金融制度をどうしていくのかということについて、これはメニューに入っておらないのですね。総理、この点はどうお考えになられますか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 確かに、今回の金融システム改革、一義的なものとして公的金融を取り上げておるわけではありません。建前から申し上げますなら、政府系の金融機関というものが行っております政策金融というものは、金融という手法によって政策を遂行する仕組み、そして政策的な意義が高く、政府による公的な関与が求められている分野のうちで、民間金融のみでは適切に対応することが困難な分野に長期の資金を供給しております。これは公式の答えです。  それは建前としてまず申し上げましたけれども、当然のことながら、実はこの金融システム改革を進めていく中で、民間金融で対応できる、そうした分野はどんどん広がるはずです。そして、当然ながら、そういう分野が出てくれば公的金融の役割はそれだけ減少いたします。当然、政策金融そのものが、役割が変わるわけでありますから、変化は当然のことでありましょう。  そして、そういう切り口が一つと、それからまさに特殊法人の見直しという考え方からの切り口が一つ。  官と民の役割分担という視点から、いろいろな切り口は当然この中にはあるわけでありまして、私は、金融システム改革が進む中で民間金融の機能というものが強化拡充されていけば、嫌だと言ったって政府系金融機関の役割、守備範囲、さらにその財源をどこから供給しているのかまでを含め、私どもは検討が進んでいくものになると思っています。

北側一雄新進党

○北側委員 私が申し上げたいのは、日本の金融資産、よく一千二百兆と言われておりますね。でも、郵貯二百二十三兆ですか現在、というふうに、その半分ぐらいはこの公的金融制度の方に流れている金だと言われております。一方で、民間の方は、金融制度改革で自由化がどんどん進められて淘汰がなされていく、激しく競争がなされていく中で、公的金融制度の方はこのままでいいわけは決してないわけでございます。  私は、今回のこの金融制度改革のメニューの中に、やはり日本の、ほかの国ではちょっと見られない公的金融のシェアの大きさ、これはとても民業の補完なんて言えない実態になっているわけですよ。ここの改革を、見直しを、やはり総理がリーダーシップを発揮してやっていくべきではないか。また期限を、二〇〇一年とおっしゃっていますと同じように、期限を区切ってこの問題について方向性を明示すべきなのではないか。私はそのように思うのですが、総理の御答弁の前に厚生大臣、ぜひこの点、どうお考えかお聞かせ願いたいと思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 私は、抜本的な金融制度改革にするためには、特に今回、世界に通用する自由で活力ある金融制度改革を目指すならば、政府の大きな金融機関である郵貯、簡保、それと財政投融資制度、これに大胆なメスを入れるべきだと思います。そうすることによって、金融制度改革と財政構造改革と財政再建と行政改革が全部一体的に結びついていく大改革につながる。これに手をつけない限り、国鉄清算事業団のあの債務も増税で賄うのか国債増発で賄うのか利用者負担で賄うのか、これがことしじゅうに最大の問題になる。  その前に、旧国鉄の債務も国民の財産なのです。であるならば、国家の財産である郵政三事業等、まずその方から財政再建に資する法はないのかということを考えると、国家の財産で一番金目になる国営関連企業は何かというと、郵政三事業であり、住都公団だと思います。この売却益を考えるならばかなりの部分増税を阻止できるのじゃないか、国債発行を削減できるのじゃないかと思います。これは大改革ですから、ぜひとも検討いただきたい。

北側一雄新進党

○北側委員 総理、国務大臣である厚生大臣が今のようなお話をされておるわけでございますが、やはり片手落ちだと思うのですね。この公的金融制度、日本の公的金融というものを、郵政三事業が中心でしょうけれども、これをじゃどう見直していくのかということについても、総理のこの東京ビッグバン構想の中にやはり一つ明確に位置づけていかないといけないと思うのです。いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 私は、小泉大臣の政治家としての信念、そしてその見識、尊敬もしておりますし、お互いに議論をこの問題で闘わしたこともございます。そして私は、小泉大臣がその御自分の信念を語られることを何ら拘束しておりません。  まずその点だけ申し上げた上で、今の委員の御質問にお答えしたいと思いますけれども、私は金融システムの問題と政策金融の、必ずしも同時、全部が重なって位置づけることがいいとは思いません。当然ながら政策金融というのは政策遂行という目的を持ったものでありますから、私はおのずから切り口の違いがあると思います。  その上で、私はあえて先ほど官と民との役割分担ということも申し上げておりますし、民間金融機関の役割が拡大し、その機能が充足されれば、当然それだけ政策金融の受け持つ範囲は狭まってよくなる、当然ながら特殊法人そのものの存廃も含めて見直しの対象となるということも申し上げております。  どういう切り口から手をつけていくか、それはいろいろなやり方がありましょう。ただ、財投というものに問題意識を持っていないと思われるのであれば、私は大変心外ですし、むしろ、民間金融機関が長期で低利で資金の固定するような地域再開発等にももっと積極的に乗り出してほしいという交渉を、私は大蔵大臣当時にしたこともあります。残念ながら、公的政策金融機関の提供できるような条件は我々では無理だということで、その話は私は断念をいたしましたけれども、今後ともに私は、そうした役回りをできるだけ民間金融機関が積極的に受けとめていただくことによって、公的金融の役割というものをより補完的な立場に持っていこうとすることに全く異論はありません。

北側一雄新進党

○北側委員 終わります。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 これにて北側君の質疑は終了いたしました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後二時開議

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  最高裁判所涌井総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 質疑を続行いたします。保岡興治君。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 総理は、ペルーの公館の人質事件あるいは新年になってASEANの歴訪、引き続き国会と、何か長いお風邪を召して大変だというふうに伺っていましたが、きょうは大変お元気そうで安心をいたしました。  きょうは、日本の二十一世紀を目指しての国づくりの基本について、総理や関係閣僚の皆さんに私の日ごろ考えておることをお尋ね申し上げたいと思います。  総理はかねて今の時代を第三の大転換期だと言われておりますけれども、確かに世界は二世紀ぶりに、産業革命以来、情報革命というすさまじい変化、社会の大きな変動を呼んでいる。そして、それが東西冷戦構造も壊して、初めて地球が自由と民主主義と市場原理という一つの理念で覆われていく壮大なドラマが始まっている、それが二十一世紀の地球の歴史だ、こう言われている。また逆なことで言えば、大競争、メガコンペティション時代がこれからの世界だ、こういうふうに言われているわけでありますが、我が国は、幕藩体制を打ち壊して、あるいはそれが通用しなくなって新しい近代国家の道を歩み始めた明治維新、それに、神国日本といって世界を相手に戦って敗れて、本当に焼け野原から民主国家、豊かな日本を築いてきた戦後の五十年の国づくり、そして今また総理の言われる第三の転換期に差しかかっている。  それは、明治以来の官主導で進めてきた、そして仲よく、和の精神をもってみんなで整然と国を発展させてきた歴史が、世界の大競争の中で、この仲のいい、お互いに助け合っていくという意味で歩調を合わせている体制というものは競争に向かない、解き放たなければならない。これからは国民の創意工夫を本当に信頼して、自由な競い合いの中にあすの日本のエネルギーを求めていこう。そういう官主導を改めて新しい日本の国づくりを始める大変な時代に遭遇している、そういうふうに私は認識しているわけでありますが、こういう歴史的な大転換期には、社会の変化というものを、国の方向というものをよく見ておかなければならぬ。そういった意味では一これから二十一世紀を目指す我が国は公正な競争社会を基本とする、そういった国づくりではないかと思います。  このように、国づくりを進めるときは、やはり私たちは百年の国家大計という大きな方向づけがどうしても必要だ。そこで、公正な競争社会に基本的に求められる大切な要素を考えて、幾つかの質問をしていきたいと思います。  そこでまず第一は、総理もことしの年頭の記者会見で新たに加えられました教育改革についてであります。  総理は、このたびの施政方針の中で、平等性、均質性を重視した学校教育を、個々人の多様な能力の開発と、創造性、チャレンジ精神を重視した生涯教育の視点に立った教育に転換する改革が必要であると述べておられるわけです。既に始まっている二十一世紀の大競争時代を生き抜くためには、二十一世紀の日本が力強い活力を有する国として存在し続けるためには、まさにこのような能力と見識が必要であると私も思います。  しかし、また一方で、山崎拓政調会長が代表質問で触れて、総理も御答弁いただいているように、このような能力や見識に加えて、今の日本に、そして二十一世紀の日本にどうしても必要なのは、豊かな心、高い倫理性、道徳性、人間性ではないかということに改めて注目をしたいと思います。  今日の日本は、政界、官界、経済界、宗教団体を初めいろんなスキャンダルが一気に噴き出してきている。また、学校の現場でも、子供のいじめや薬物使用あるいは殺人、そういったことが頻繁に起こっている。そしてまた、大和銀行の虚偽報告事件とか住友商事の詐欺事件だとか、国際的にも日本が外国で大失態、大チョンボをしてしまうというような事件も起こっていて、本当に、戦後の繁栄の歩みが順調な時代には隠れていた問題が一気に噴き出してきているような様相を示しているわけでございます。まだまだこれは続いていくんじゃないか、もう世も末だ、何もかも大変な時代なんだ、国民はそう思っているような社会的な風潮も生まれています。  そこで、私は、豊かになって滅びる国の歴史、本当に世界の歴史の中では幾らもあったわけですが、そういう危険が日本に忍び寄っているのではないか、豊かさを求める余りに、金や物欲に支配されて、人間としての大切な心や人としての道筋、倫理、道徳の希薄な社会になっているのではないかということを非常に心配します。  アジアの留学生が帰るときに、日本人は本当に嫌になってしまったとか、それからいろんな調査の報告では、親をどんなことがあっても面倒見なきゃならないと思っている高校生の率が、中国は七割、それからアメリカは五割、日本は二割弱であるというようなことにも、何か本当に、日本の社会にこういった道徳性、倫理性というものが崩壊しているんじゃないか、崩壊していくんじゃないか、そういう兆候が見てとれるわけです。  そこで、私は文部大臣にまずお伺いしたいと思いますけれども、どうしてこういう社会になってきたのか、やはり根本的に戦後の五十年を考えてみる必要があると思うんです。教育の所管大臣としてお伺いしたいと思います。

小杉隆自由民主党文部大臣

○小杉国務大臣 戦後の五十年は、あの戦災によって廃墟と化した国土からいかにして欧米先進国に追いつき追い越すか、こういうキャッチアップの時代が続いてきたと思います。そして、まず物質的な豊かさというものを追求する余り、すべてそれが一つの基本になってまいりました。確かに物質的な豊かさあるいは経済の繁栄というものを手にいたしましたけれども、今私たちは、御指摘のとおり心の豊かさを求める時代に入ったと思っております。  戦後の教育、キャッチアップの時代の中で、いい会社に入るためにいい大学に入る、いい大学へ入るためにはいい高校へ進む、そして中学、小学校と、そういうことで、とにかく知識を偏重する風潮が非常に盛んになりまして、心の豊かさを育てるという面の教育がややおろそかにされてきたというふうに考えております。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 私も大臣と同じように、例えばGHQが教育勅語や修身教育を廃止した、これは戦前の国家主義の教育の反動でそういうことになってきたんじゃないかと思うんですが、教職員や教育界に広く、上からの価値観の強制を嫌って、やっぱりあつものに懲りてなますを吹くたぐい、そういった、道徳教育にしっかりした教育体制が得られなかった、五十年、いろいろ努力してきたが。そういうことも一つの大きな原因じゃないかと思います。  また一方で、大臣がまさに指摘されたように、全体主義に対する反動で自由放任、公徳心を失って自己中心になってしまう風潮が戦後の五十年を支配していないだろうか。あるいは、今おっしゃった貧しさの反動として、豊かになりたいが高じて、物欲に本当に支配されるような世の中の風潮が生まれたんじゃないか。  そういう社会の五十年の歩みの反省に立って、道徳教育というものは一体どうしたらいいか。私は教育改革の最大の、国づくりの基本として、特に競争社会になっていく中では戦後失った倫理観とか道徳観、こういった日本人の心をここで取り戻さないと、日本の二十一世紀の国は基本的に滅びていく道を歩む可能性がある。そこで、教育改革の中で私は最大の中心に据えてもらいたいという気持ちがあって質問しているんですが、大臣のお答えを願います。

小杉隆自由民主党文部大臣

○小杉国務大臣 このたびの教育改革プログラムにおきましても、「豊かな人間性の育成」ということを一つの大きな柱として位置づけております。  それで、戦後の教育の中でも、道徳教育ということで週一時間の授業が行われてまいったのであります。しかし、私ども、道徳教育について平成五年に本格的な調査をやりました。残念ながら、例えば年間の授業時数三十五時間のところ、小学校は三十三時間しかやっていない、また中学校においては二十九時間と、規定の時間数が守られていないということとか、それからもう一つ、時間数だけではなくて道徳教育の内容全体についても、道徳教育では四つの視点、つまり自分自身を大事にするということ、そして他人に対する思いやり、そしてさらに自然に対するいたわり、あるいはもう少し広げて社会とか国とか、そういうものに対する気持ち、そういうものを育てなければいけない、こういうことになっているのですが、項目全体にわたって本当に調和のとれた道徳教育が行われてきたかどうか、非常に疑問であります。  私どもは、今、道徳教育のあり方について教育課程審議会で、今までの反省の上に立ってどうしたらいいのか、それを考えていただいて、道徳教育についてはさらに充実をしてまいりたいと思います。  ちなみに、一昨日発表になったアメリカのクリントンの一般教書の中でも、十項目の教育改革の中で、人格教育の促進、よき市民、そして秩序と規律を守る市民をつくる、こういうようなことも掲げておりますので、私ども日本としてもこういう点は大いに力を入れていきたいと思います。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 昨年の中教審の答申にもあらわれているのですが、教育の根本問題は、やはり豊かになりたいという、そういうことの延長線上で、いい大学、いい就職をしたいというようなことから、非常に知識偏重の偏差値中心の詰め込み主義になっている、これが教育をゆがめているんだという根本の大問題があるわけです。  そこで、私は、道徳教育を充実していく今の小杉大臣の方針を実現していくためには、もう大胆にこれは政治で方向づけなきゃならないと思います。確かに、教育課程審議会で検討いただいているということでありますが、私は、行政レベル、審議会レベルじゃなくて、やはり政治的に、思い切って、ゆとりのある、「教育内容を厳選する」となっていますが、これをびしつと方向づける政治的な決断が必要だろう、そういうやはり方向づけが必要だろうと思うのですが、いかがでしょうか。  そして、その時間によっていろいろなことが、道徳教育に関連して思い切ったことができると思いますが、そういういろいろな規制緩和をして、学校に多様性を求めていくとすれば、思い切ったそういう可能性、余裕がないとそこに工夫が生まれない、私はそう思いますが、いかがでしょうか。

小杉隆自由民主党文部大臣

○小杉国務大臣 子供の教育を考える場合に、学校教育の果たす役割は非常に大きいのですが、私は、学校だけではなかなか限界がある、やはり家庭、社会との連携ということが非常に大事だと思うのです。子供というのは大人の社会の反映だと言われておりますように、大人社会全体が物質主義、知識偏重、経済優先という形であってはいけない、やはり社会全体がもっとそういった方面に価値観、心の豊かさを求める、そういう風潮をつくるということが大事だと思います。  そこで、今度の教育改革プログラムでも、教育改革を進めていく場合に、ただ学校内のことだけに限定するのではなくて、学校外との提携、連携ということを非常に大切にしております。したがって、例えば週五日制を実行するというのも、できるだけ子供に、親子の触れ合いとか、あるいは休日を利用していろいろな社会奉仕のボランティア活動とか、あるいは環境の、いろいろな自然との触れ合い、こういうものを通じて豊かな人間性を育てていくということで、私はやはりこの機会に、せっかく橋本内閣で一つの大きな柱として取り上げた教育改革というものは、これは国民全体で考えていただきたい。  そして、そういう場を教育の場でも積極的に、例えば学校外から特別の非常勤講師なども来ていただいて、そういう立派な実践活動を報告していただくとか、子供さんが積極的にそういう社会体験に参加できる場をもっとふやすとか、さまざまな工夫が私は必要だと思っております。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 本当にそういう体験学習とか校外活動、ボーイスカウトとかボランティアとか、いろいろなものに子供を参加させる機会をふやしていって、自分で実践しながら徳性を身につけていくということが、これがもう非常に大事だと思います。  しかし、私は、学校教育の中に、今質問のときに申し上げたのですが、かなり思い切った教科内容の厳選が必要で、余裕をそこにつくらなきゃいかぬ、これは政治的な方向づけがぜひ必要だと。これはやはり任せておかないで、よく内閣で検討していただいて、道徳教育を非常に重要な柱にするその可能性については、一緒に我々政治家も党やその他の活動で考えていかなきゃならないと思いますが、ぜひそういう方向を、クリントン大統領じゃないけれども、二〇%も一遍に教育関係の予算をふやして思い切った教育の政策を打ち出しました。ああいうふうに政治というのはダイナミックに、次の国をつくる基本的な方向については役所に任せないで政治がきちっと方向づけて、そして案を持ってきてから、それで本当に大丈夫かどうかということをよく見きわめてさらなる政治のリーダーシップを発揮する、そういう方向づけが必要だと考えております。  そこで、最後に総理にお伺いをしたいのでございますけれども、戦後の日本が歴史の中で一番失ったものは、それは日本人の心だと言う人もいるぐらいでございます。二十一世紀に向かって、明治維新、戦後、総理の言われるように新しい二十一世紀の国づくりをするかじ取り役、最高責任者として、本当に国民から見れば大変な時代だけれども、大変な問題がたくさん一気に噴き出してきているけれども、それを越えて新しい国づくりをしていくのだと。それが一種の物欲文化というのか、物欲に根拠を置く競争社会というものが一つの、人によってはこの競争社会を特色づけるわけです。  そういう中で、本当にこれをこの機会に今度の国づくりの基本に据えられなければ、あすの日本がどこかでおかしくなる最大の要因、国の崩壊する最大の要因になるのではないかと思いますので、総理にぜひそういう観点に立って、今申し上げたように諸外国の例にもいろいろありますから、思い切った方向づけをしていただきたい、そのように思いますが、いかがでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 今議員の御意見を拝聴しながら、幾つか考えさせられたことがございます。  確かに、今私は、行政の仕組みを初め六つの分野についてこの時期に思い切って変革をし、その中から新しいものを生み出さなければこの国のあすはない、そう思い詰めて、皆さんにそうした思いを訴えてまいりました。  確かに大競争時代という言い方もできる。また、東西冷戦構造が崩壊した後に民主主義と市場経済という共通の原理に向けてほとんどの人々が動き始めた時代、言いかえれば、基本的な価値観に変化がないがために、ややもすると、逆に、協調の部分よりもその中での対立部分が強調されやすい社会、世界を例にとればまさにそういうことも私は言えると思います。そういう大きな変化をしつつある中で、流れはやはり私は、世界の平和と繁栄、安定というものに向けて各国が努力し出している時代だと思います。  そして、その中に我々がおくれをとらないようにしていくとするなら、やはり私は、例えば中央政府で例をとりますならば、規制の緩和あるいは地方分権、官から民への移しかえといった努力を進める中で国民の創意工夫に期待をする、大きな希望をかける、そうした姿をつくり出していかなければなりません。そして、その根本をなすものが教育であるということも、私は議員の御指摘のとおりだと思います。  そして、その教育の中に、私はその道徳という言葉が必ずしもイメージするものとぴたりと合うかどうか多少実は疑問があるのですけれども、少なくとも、公正さを追求する、弱い者へのいたわりの気持ちを持つ、先輩に対する礼を守る、そういう普遍的な人間の価値とでもいいましょうか、そうしたものを持ちながらまさに創造性とか国際性とかいうものをこれから育っていく諸君に持ってもらう、より高い社会性あるいは倫理観というものを持ってもらう、そういう姿を、それがすべてこの道徳という一言で包み切れるのかどうか、実はちょっと異質の部分もあるような気がします。しかし、やはりそうしたすべてをひっくるめた豊かな人間性というものを持った子供たちが育ってもらうような、そうした教育の方向に向けなければならない。  そうして、その点では議員も御異論がなかったわけでありますけれども、文部大臣も触れましたように、それは学校という施設だけでできることでは私はないと思います。  やはり、一つは友達、そして家族の触れ合い、さらに地域社会が子供たちにどんな環境をつくり出してやっていただけるのか。それはボランティアでももちろん結構です。スポーツの活動でももちろん結構です。そうした地域社会の活動というものが相まって、私は、効果を上げ得るものになる。願わくはそのような方向に地域社会が動いていただけるような、国としても施策も考えていかなければならない、そのように思います。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 私は、道徳教育というのはもともと難しいと思う。今総理も言われたように、道徳という言葉で言っていいのかと言われましたけれども、別な言葉で言えば豊かな人間性とかいろいろな言い方ができると思うのです。そういったいわば心というのでしょうか、心の問題、そういうものはなかなか教育が難しい。型どおり徳目にしてみんなが唱和してやればいいのじゃないかと言う人もいるが、それもどこかで決めてやるわけにはいかない難しさがあると思うのです。  しかし、間違いなく言えることは、多様な道徳教育についてのあり方を供給する、その多様性というのが出てくれば選択の自由が出てくるので、そこから本当の道徳教育が生まれるのかもしれない。だから、学校教育におけるいろいろな意味での規制緩和、多様性を求める動きは、道徳教育にも結びついて非常に重要な側面を持っているのではないかというふうに考えておりますので、ぜひ思い切った教育改革に挑んでいただきたいと思います。  そこで、次に、二十一世紀の国づくりの基本として、司法改革についてお伺いをいたしたいと思います。  先日の我が党の山崎拓政調会長の代表質問にあるとおり、今、我々は規制緩和や地方分権等の諸改革を進めて、国民主導の創意工夫や自己責任に未来を託して、新たな国づくりを進めようとしている、先ほどから申し上げているとおりです。こうした流れは、競争社会という競争の側面を非常に生み出すだけじゃなくて、インターネットなどに代表される情報化などによって、国際化の波にも大変促進されていくという一面がございます。  確かに、肥大化した行政による指導や規制は通用がしなくなってくると、そこで紛争や問題が生じたらその解決は司法に期待されることになって、司法による解決機能は、国を問わずあらゆる地域や問題においてさらに強く求められるような時代になるのではないかというふうに思います。  平成七年の十二月十四日に行政改革委員会が「規制緩和の推進に関する意見」、第一次答申であろうと思いますが、「光り輝く国をめざして」というものを内閣総理大臣に提出しております。この中においても、   規制緩和が進み自己責任の原則が徹底する社  会では、意見の対立は、行政によってよりも、  むしろ司法によって解決されることが原則とな  る。その意味で、司法は規制緩和後の世界の基  本インフラと言える。 という認識を示しているとおりでございます。  同じような趣旨で、我々は経済ルールの守り手である公正取引委員会の充実強化に既に着手している。要するに、行政はスリム化するけれども、新しい司法、ルールをきちっとやって、この自由競争社会を規律する司法の面の充実強化をしなければならない。これは充実強化の側面で、行政改革とは逆なわけでございます。  そこで、法務大臣にお伺いをしたいのでありますが、二十一世紀の社会における司法の役割についてどのように認識しておられるか、お伺いしたいと思います。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 御指摘のとおり、二十一世紀の社会というものは現在に比べて本当に大きく変化するのではないかと思います。その変化に伴って、社会経済活動の円滑化と公正を確保するために、司法の場で、法的なルールに従って紛争を速やかに解決する必要性は現在より一層強まってくると思います。また、紛争の発生を予防することも極めて重要でございます。さらに、時代の変化に即応した刑事罰則の適正な運用によって、国家の基本である安全を維持していく、秩序ある経済活動を確保するということは絶対に必要だと思います。  これは端的に幾つかの例を申し上げたにすぎません。あらゆる面において、非常に司法全体にわたって考えていかなければならない問題が多いと思います。  そういう意味で、大体先生のお考えになっておられることは理解できるような気がいたしますけれども、二十一世紀の社会においては、今日よりずっと司法の果たすべき役割というものは重要性を帯びてくるということだけは確信を持って言い切れると思います。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 けさもテレビを見ておりましたら、大阪信用組合の事件で、もう本当にたくさんの段ボールが持ち出されて、捜査当局の手に渡っているテレビでございます。このところ、そういう絵はしょっちゅう見せられている。  要するに、今までは大蔵省や検査一監督をする機関がいろいろ調整していけばよかったような問題が、もうどうにもならなくなって破綻して、ルールによって処理せざるを得ない。これは昨年の住専の、国の支出をどうするかというときも、法的な解決か、行政による、みんなで話し合って迅速に結論を出した方がいいかという、本当にそういう問題の提起でもあったわけです。  このように、やはり司法が迅速的確にこたえられる体制をつくっていないと、どうしても今まで行政に頼ったような傾向を残していかざるを得ないというようなことになる。本当に、今までは行政がやっていた部分を、書類の山に埋まって、捜査当局の人は半年かかって、昨年七月にこの大阪信組の捜査も始まったのですが、半年かかってやっと強制捜査に踏み切れる。このところのいろいろな関連の経済事犯はみんな半年ぐらいかかっております。  こういうようなことを考えても、司法にだんだんいろいろな意味での社会の規律をゆだねる、国民がそこに救済を求める、あるいは規律を求める要素は日増しに強くなっていると思われるのでございます。  そこで、一番大きく方向づけをしなければならないことは、やはり司法の担い手である裁判官、検察官、弁護士を含む法曹人口の大幅な増員と、新しい司法への期待に対応できるような司法制度の容量の拡大だと思いますが、この点についての法務大臣の所見をお伺いしたいと思います。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 全く先生御指摘のとおり、法曹人口をふやしていかないと、なかなか事態の解決が図れないということになろうと思います。その意味で、十分関係方面と連絡をしつつ、増強を図るべく最大限の努力をいたしたい、こう思っております。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 まず私は、検察官についてどうかという観点から少しお伺いしたいと思うのでございます。  今、司法はこれからの社会に非常に重要になっていくというお話をしましたけれども、戦後、実は司法の関係の充実強化ということが、行政のサービスの拡大に比べて非常に、むしろ予算面でもシェアがどんどん落ちて、終戦直後間もないころは〇・九%ぐらい国家財政で占めていた司法関係の予算が、今ではその半分以下の〇・四%に落ちてしまっているというようなことで、相対的に行政サービスの方が優位に立って、司法のサービスはおろそかにされて、おろそかというか押し込められてきているという傾向があります。  例えば、今の状況では、法曹資格のある検事が担当する事件の割合が、実は昭和四十三年には六一・七%あったのが、昭和六十年の統計で、十七年間で実は三六・七%に下がっている。法曹資格のない副検事や検察事務官により処理されているというような状況にありますし、明治二十三年に、弁護士の数は千三百四十五人、検察官は四百八十一人。それが平成八年は、弁護士は十二倍になって一万五千九百七十二人、検察官は一千二百八人で二・五倍にしかなっていない。弁護士の数に比べて、検察官の数は圧倒的に伸びが少のうございます。  このように、単なる事件が今でも大変になってもう忙しい検察官、事件もどんどんふえて書類の山に埋もれている検察官、こういったこともありますが、これからは、各役所やいろいろなところで法務官、法律の専門家の相談を要するようなことが出てまいりますし、外国との交流でもそういうことが頻繁に、かつかなり広い部分で出てくるだろう。そういった関係の役割などを考えてみると、検察官は思い切って増員をしなければならないと思うのでございますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 検察官の状況を踏まえたお尋ねでございまして、大変恐縮でございますが、とりあえず事務当局から基本的な考え方についてお答え申し上げたいと存じます。  ただいま委員御指摘のとおり、新しい時代を考えますと、司法全体のあり方、なかんずく刑事司法のあり方ということにつきましても、私ども真剣に取り組んでいかなければならない課題であると存じております。  特に検察の体制につきましても、ただいま御指摘のとおり、さまざまな問題点、特に人的な面も含めましてあろうかと思います。しかしながら、この状況につきましては、さまざまな原因とその事情によってつくられてきたという側面がございます。しかしながら、先ほどからの委員御指摘のような状況を踏まえまして、新しい時代を踏まえまして犯罪の情勢にもさまざまな変化が生じてまいりましょうし、また国全体が取り組んでいこうという社会全体の動きの中で、司法の果たすべき役割の一翼を担っていくという立場から検察の充実も図っていかなきゃならないだろうと思います。  そのような状況を踏まえまして、実は委員も先刻御承知でございますが、本年度でございますが、昨年の予算では検事三十五人、そしてまた、ただいま御審議を願っております予算では、検事三十四人の増員が政府予算という形で計上されまして御審議を願っている次第でございます。このことは、数的に見ればどうかという点がございますけれども、実は何十年にもわたってなかなか実現されなかったことが、このような形で実は実現されてきたわけでございます。  その背景は、委員も先刻御承知でございますが、実は検事には定員がなかなか埋まらないという実情が長い間続いておりました。しかし、それにつきましても、法曹養成計画全般の見直し、特に司法試験改革というようなことが着実に実行されてまいりまして、国会の御理解も得られてまいりました。そのような中で、実は検察官の希望者も着実にふえてまいりました。ただいま御審議願っている予算が認められましたら、この春に卒業する司法修習生の中から検察官に任官する希望をされる方々はほぼ、その中で厳選した上で採用できる見通しというふうになってまいりました。このことは、私どもにとってみれば大変な変化であろうと考えております。  そのようなことを踏まえて、今後とも多方面の御理解を得ながら、厳しい行財政改革のもとでございますが、その中で各方面の理解を得て進めてまいりたいと考えております。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 それでは、裁判官の中長期的な大幅な増員の必要性について、最高裁からお伺いしたいと思います。

涌井紀夫最高裁判所事務総局総務局長

○涌井最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘がございましたような社会状況の変化を受けまして、これから裁判所に提起されてまいります事件というのは、数の面でも、またその内容といいますか質の面でもますます重いといいますか、増大してくるだろうと考えております。したがいまして、国民の司法に対する期待というのは今後ますます大きくなってくるだろう。我々としては、こういう国民の期待に的確にこたえていく必要があるだろうと思っております。  そのためには、やはり裁判の運営のあり方自体を今まで以上に国民の利用しやすいものにしていくという努力が必要かと思いますが、それとあわせまして、やはり委員御指摘のございましたような裁判官の人員問題も含めまして、司法全体の人的体制あるいは物的体制の充実を図っていく必要があるだろうと思っています。そういう観点に立ちまして、今後とも裁判官の必要な人員の確保に努力してまいりたい、かように考えております。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 例えば地裁へ提訴される民事・行政訴訟の提起数ですね、これと裁判官の数を比較しますと、昭和二十三年のころに比べて裁判官の数は約一・七倍になっている。ところが、今申し上げた訴訟の提起数は五倍にもなっている。刑事事件もまた、いろいろな複雑広範、国際的、経済事犯と、もう飛躍的に事件の数やボリュームがふえてきている。こういった事実。  それから、このような中で、裁判官が非常に大変四苦八苦して事件を処理している姿が浮かび上がってくるわけです。実は、昨年の五月に日弁連で、一九九〇年までにおやめになった裁判官八十数名に対してアンケート調査をして、約六十名近い方が回答してくださった。それによると、実はもう大変裁判官が過酷な状態になっていて、毎日自宅に書類を持って帰って、夜遅くまで、子供さんや奥さんが寝た後に起案をする。そしてまた、土日も返上してやっている裁判官がかなりいる。そして、大体件数も二百件ないし三百件ぐらい都会では持って、毎月入ってくる件数と処理する件数に追われて、多いときは赤字だ、たくさん処理できたときは黒字だといって、事件処理を中心にやはり能力を認められるというようなこともありますので、非常にそのことに腐心をされて、頑張って一生懸命になっている姿もある。  したがって、もう役所と家庭とを行ったり来たりするだけで、とてもPTAとか市民の地域活動とか、そういったいろいろなことなどに触れる機会も参加する機会もほとんどない。こういうような忙し過ぎる裁判官というのは、社会常識というんでしょうか、社会の実感を持つ機会が少ない裁判官がキャリアシステムの中でつくられていく、これは裁判の判断にも極めて重大な影響を与えてくるというような側面もあるわけでございます。  これから裁判官を養成していくのに、任官者が毎年五十名ぐらいずつふえるといいなという弁護士会の、十年間で五百名ぐらいふえる、五百名で一体どれだけお金がかかるのか、五百名一遍にふやせば五百億ぐらいかかるんだと。私は、それで日本の裁判の一番基礎になる裁判官の数が確保されるならば、行政のサービスを縮小していく中で充実強化を求められる裁判所等の司法関係の充実は、むしろ積極的に図っていっていい、それだけお金をかけてもいい金額ではないだろうかということを強く思ったりいたします。  私は、裁判所の予算のことを先ほどお話ししましたけれども、やはり裁判所や司法関係というのは、予算陳情もなかなか関係者がバックアップするということがないので、当事者だけで一生懸命努力されているところがあるのですが、最近では、日弁連のシンポジウムで弁護士側から、検察官、弁護士をもっとふやしてほしいという、また自分たちももっとふえなければ国民の身近な利用しやすい司法が維持できないという声が一斉に上がって、今申し上げたように、またそれぞれ法務省や裁判所からお話があったように、司法修習生の数を思い切ってふやしていこうという流れも生まれつつあります。  こういった中で、私は、やはり考えなきゃならないことは、これだけ行政から司法へという新しい時代には、司法関係者だけに予算を任せておくんじゃなくて、やはり政治的に、政治がそういう時代の変化を大きくとらえる方向づけをして、先ほどから言っておられるようなニーズを、本当にきちっと国が未来に向かって競争社会のルールを得るという意味で、それを守る人を得るという意味で確保していくことが大事なのではないかと思います。  そういった意味で、最後に一言、総理に決意を述べていただければありがたいのでございますが。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 私は、議員の今の御論議を全く否定するものではありません。むしろ、司法の機能の一層の充実強化を図っていかなければなりません。と同時に、私は、必ずしも訴訟社会になっていく日本というものがいいことばかりだとは思いません。むしろ、ある意味では、その中間における第三者調停のような仕組みというものもあわせて考えていく必要があろうかと思います。  今の司法の体制を強化していくために努力をしていくということは、全く異論がありません。そう対処していきたいと思います。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 今、余り司法のことをとんとんと言い過ぎたものですから、総理にそういう印象を与えてしまったのかなと思いましたが、私は、司法体制がしっかり整っているということが、実は世の中が安定して、秩序が生まれていって、そういった本当に落ちついた社会が実現する。国家の最後のとりでだし、今まで行政が重視されたのに比べて、これから思い切った司法の充実が国内的にも国際的にも必要で、実は、関係諸国やアジアの国々と新しい世界に広がる法の秩序のあり方について、例えばアジ研などで、いろいろ諸外国から研修生を集めて、その人たちが同窓会をつくって、実は各国の法務関係の主要な地位を占めておられる。そういった努力などを含めて、これから司法というものの世界の中における重要性、我が国における重要性の体制をとっておけば、決して司法社会にはならない。司法で何でも解決する社会ではない。そういうことが備えられていることがこれからの自由な競争社会に必要だということをお話し申し上げたつもりでございます。  それから次に、論点を移しまして、実は国づくりの基本のもう一つについてお伺いしたいと思います。  今我々が進めようとしている地方分権、規制緩和は、実は、地方も主体性を持って、持てる条件、すなわち自然的、文化的、歴史的なさまざまな特色を創意工夫を凝らして生かすことによって、お互いによりよいものを求めて競い合って発展する、いわばそこに、地域間、都市間にいい意味での競争が生まれることを期待しているわけです。その競争によって地方の力を引き出していって、地方の特色を生かした発展が手にできる、多様な価値を持つ文化や経済社会が生まれてくる、それが二十一世紀の日本の国の力になるだろうという大きな理想がここにあるわけでございます。  そこで、このような地域間競争、都市間競争が国全体の一つの基本となって進んでいく中で、私は、戦後、政策的、人為的につくられた地域格差を残したままでいいのかどうかということを、本当に地方の議員として痛切に感じております。やはり競争社会の公正さは、基本的には、機会均等というものがまず一番重要なことだろうと思うのでございます。  そういった意味で、戦後の日本は、官主導のもとに政官一体になって和の精神で仲よく協調して、本当に世界が奇跡と言った戦後の繁栄を手にしてきたわけでありますけれども、その過程で、官庁を初めすべての分野の中枢機能が東京に集中する。さまざまな公共投資も効率性、経済的合理性を基準に投資をしていく。いかにこれを投資すれば日本が豊かになるかということを非常に大事にしてきた。その結果が、太平洋ベルと一軸、東京一極というような国土形成になって、今度の五全総を準備する、一昨年発表になった二十一世紀へ向けての国のグランドデザインにも、国土構造のゆがみがあるということを指摘しているわけでございます。  このような地域格差の解消、地域の将来の可能性を引き出す基礎的なインフラ整備というものは、やはり国土政策の中で基本に据えることがとても大事であって、私は、市場原理にゆだねていい部分と、これからは行政が積極的に介入し、支えてあげなきゃならない部分があるのではないかというふうに考えております。そういった意味では、むしろ投資のおくれている地方の基本的なインフラをどうするかということのしっかりした政策を政府も持って、地方分権とか規制緩和を進めていくことがやはり本当に大事なのではないかと思います。  そういった意味で、私はその典型的な例が整備新幹線についてあると思います。  私は、そういうことを踏まえて質問したいんですが、残念ながら、中央のマスコミや経済学者の一部には、整備新幹線は大変むだ遣いであるというような御批判があるわけでございます。しかし、私としては、確信を持って、将来の日本、地域に役立つものと考えております。  まず、新幹線は百キロから八百キロで主として利用されますが、百キロまでは車、八百キロ以上は飛行機というような役割の分担がきちっとできている。しかも、キロ当たりの建設費は高速道路に比して格段に安いのでございます。そして、単位輸送量当たりのCO2排出量は自家用車の八分の一、飛行機の五分の一、エネルギーの消費量は自家用車の五分の一、飛行機の三分の一にすぎません。要するに、これから非常に大事な、地球に優しい、また省エネルギーの高速鉄道へのシフト、これは世界的な傾向にもなっているわけでございます。  特に、新幹線は、時速二百七十キロの大量高速輸送機関でありますし、開業以来死亡事故がゼロという安全性にも非常にすぐれている交通機関として評価されていますし、人口、産業の集積、観光開発、生活環境の整備、自治体の税収増など、新幹線が沿線地域にもたらす効果も非常に大きいものがあって、地域の発展を支えていく基本的なインフラではないかと思います。  例えば、九州新幹線の場合ですが、博多から東は、高速道路も新幹線も二十年も前に既にできております。その西は、九州縦貫道は昨年やっと鹿児島市までつながったばかりでございますし、西回り、東回りの高速道路は整備中、半島の南の方へはまだ構想の段階を出ていないというようなことで、新幹線すらまだまだ何年先になるのだろうかというような状況で、完全にまだ見えていないところもあるわけでございます。他の路線についても同じことが言えるんじゃないかと思います。  博多を境に、これだけ東西で国土政策に差をつける何らかの合理的な理由があるのか。九州は、アジア時代を目の前にして、本当に九州の発展の可能性ということを考えていかなきゃならないが、この新幹線は本当に必要ないのか。私たちは、長年の努力に対して、今本当に、なお一層このことについてはきちっとした考えを持っていかなければならないと思っております。  新幹線建設を推進するに当たっては、沿線の知事さんを先頭に、もう何十年にも及ぶ悲願達成のための涙ぐましい陳情活動もやってきましたし、このような意欲や粘り強さというのは、この地域の発展のある意味での基本的なエネルギーでもあるわけです。  今度の九年度予算で、整備新幹線の新しいスキームができました。財政の苦しい事情の中で、総理初め皆様方の御理解を得て、国鉄の長期債務を考えて、時間短縮効果や経済効果を厳しく吟味の上で、採算が確実に合う区間に大きく絞り込んで、予算規模を見ても、全体計画五兆二千億を一兆二千億に縮小しております。九年度の予算も、公共事業関係費全体の十兆円の〇・三%の三百四十億円にとどめています。  JRも地元も負担に積極的で、むしろJRは新幹線を将来の経営の柱にしようとすら考えている状況であります。新幹線は、東海道新幹線を初めどの路線も、当初は採算を心配して反対も強かったものを、時の関係者の英断で建設に着手してここまで進めてきました。その結果が重要な、日本の新しい時代を担っていく、世界に誇る高速鉄道として今活躍しているのではないかと思うのであります。  そこで、五全総の理念に沿って、真にそれに沿う形での新幹線の建設について、今後も着実に建設を進めていくために私たちも努力をしたいと思いますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 この新全総に関連いたしまして、計画部会の調査検討報告によりますと、長期的な国土軸の形成など、今後の国土づくりを進めるに際しては、広域的な地域間の連携などを通じて地域の自立を促進することを重要な課題としております。そして、こうした地域間の連携や交流の促進のためには、交通基盤の整備が引き続き必要というか、重要とされております。  他方で、整備新幹線につきましては、昨年の末、議員も御承知のように、政府・与党での合意が成立をいたしました。その合意にありますように、整備新幹線の未着工区間につきましては、収支採算性の見通し、JRの貸付料などの負担、並行在来線の分離についての地方公共団体の同意、JRの同意等基本条件が整えられていることを確認した上で、その取り扱いを厳正に判断してまいりたいと思います。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 ありがとうございました。  採算性やいろいろな点を、今総理が触れられたように、きちっと押さえて進めていくということはとても大事だと思います。そういう中でも、確実に新幹線の将来というものを私たちは求め続けてまいりたいと思います。  そこで、最後に国土庁長官にお伺いしたいと思いますが、これから地方分権が進んでいくよ、地域間競争や都市間競争が生まれるよ、こういう社会において、地方に必要な基本的なインフラというものが整備されないと、いい意味で国土全体が調和をして日本のあすの力になっていかないということが言えるというふうに先ほど申し上げたわけですが、それが新全総、五全総でどのように準備されているか、お伺いをしたいと思います。

伊藤公介自由民主党国土庁長官

○伊藤国務大臣 五全総に当たります全国総合開発計画は、間もなくことしの六月、七月を目途にして、策定の準備が進められております。この中では、今保岡委員からも御指摘をいただきましたように、東京を中心とした大都市と地方とをどうバランスをとっていくか、これは歴代の内閣が取り組まれてきた課題でもございます。  そこで、今までは一極一軸、そういう国土形成でありましたけれども、今後は多軸型の国土形成に転換していこう、北東国土軸あるいは日本海国土軸、また西日本国土軸、そして太平洋新国土軸というような多軸型の国土形成に転換をしていく。そのそれぞれの軸をまた多極的に、それぞれの都市が連携できるような国土政策を進めていこうということで、特に今御指摘をいただきました新幹線の問題も、当然のことながら新しい総合開発計画の中に位置づけられています。  しかし、問題は、今総理からも御指摘をいただきましたように、採算がとれるか、あるいは地域の合意はどうか、あるいはJRのそれに対する協力はどうかということを勘案しながら、かつて東京−大阪を五百十五キロ、あの東京オリンピックのころに日本人の民族の夢を結んでくれた新幹線、そういう意味では、地方にとっては皆さんが大変大きな期待をかけていただいているわけでありますが、行財政改革というこうした困難なときにいろいろなことを勘案しながら、しかしその夢に向けてしっかり取り組ませていただきたいと思っております。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 私は、今度の行政改革がどんどん進めていかれる中で、行政が撤退をしていかなければならない部分は、既に市場原理が働ける、そういう体制、条件を持って自然に経済が振興していける地域からは手を引けばいい。しかし、将来の可能性を持って、本当に市場原理だけではますま す条件が悪いところの差ができていくような、そういうところにこそ行政の、政府の責任はこれから重くなってくるのじゃないか。そういう意味では、私は、むしろ国土庁長官が所管しておられる総合調整とか、それから離島とかあるいは山間僻地、こういう地域の国土政策を全体を含めて担っておられる国土庁の役割は、非常にこれからの行政を担う責任を象徴しているような役所だと思うのです。  そういった意味で、実は、市場ベースに合わない森林の問題とか、食糧危機がやがて二、三十年後には訪れると言われています。こういった食糧をどうして確保したらいいかという基本的な国づくり、こういったことには政治がもっともっと勉強し、介入し、そして案を得て方向づけをきちっとする、そういうことが大事だというふうに思っています。  そういった意味で、私は時間があればもう少し質問したかったのですけれども、例えば、若干残した離島の定期航空路の問題で、規制緩和で航空会社は路線を選べるんだよ、こういうふうになっていくわけですね。そうすると、実は採算の合わないところから撤退しないと競争ができない、相手に負けてしまう。したがって、不採算路線というのはどんどん切り捨てられていくわけです。しかし、離島の人こそ、山間僻地の人こそ本当に飛行機が欲しい。例えば、情報革命の中で、情報のインフラが欲しい。しかし、市場に合わないので設備は公的にやらないとできない。こういうところは、やはり私は国が責任を持って……

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 保岡君、時間が超過していますので。

保岡興治自由民主党

○保岡委員 はい。責任を持って対応していくことが大切だと思います。  そういった意味で、長官が、おくれたこういう地域について温かい気持ちを持って政府の責任を果たしていっていただけますように、また政府全体としてもそういった観点を大切にしていただければと思う次第でございます。   以上です。ありがとうございました。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 これにて保岡君の質疑は終了いたしました。   次に、尾身幸次君。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 私は、経済の問題を中心といたしまして、総理がおっしゃっておられます六つの改革についてお伺いをさせていただきます。  平成四年度にバブルが崩壊をいたしました。その後大きな不況が来たわけでありますが、この景気対策の中で、政府はずっと、ほぼ五年間にわたりまして公共事業の積み増しをいたしました。国の予算ベースで、私の計算では五十八兆円ぐらいの公共事業投資が投入されたわけでございます。従来の我が国の経済の体質からいいますと、これだけの期間にこれだけの規模の公共投資が追加をされますと、そして景気の刺激策が実行されますと、順調に景気が回復をして景気回復過程に乗るというのが従来のパターンの日本経済であったように思います。  しかし、今回の場合にはそうなっておりません。つまり、財政出動による需要の増大というものが生産とかあるいは企業の設備投資を刺激して景気を回復させるという、従来のケインズ流のパターンが通用しなくなっているような経済情勢にあるというふうに考えているわけでございます。  その原因は何かということでありますが、これは我が国の経済が今や従来とは違ったパターンになってきている。公共事業を行ってお金を支出する、そうするとそこで事業が行われて新たな所得が生まれる、その所得を得た人がテレビや自動車を買う、そしてテレビや自動車が売れれば、そのテレビや自動車の会社が生産をまたふやして、そこで働く人や下請の中小企業は利益を得てまたそのお金を使うというパターンになっていたわけでありますが、最近に至っては、いわゆる経済の空洞化という現象の中で、テレビやその他の製造業を中心として、需要がふえても国内で生産をしないで、むしろアジアとか中国とかそういうところで生産を増大させてしまう。したがって、雇用の増大とか、あるいは下請中小企業の仕事がふえるといういいサイクルに回ってこないような実情になってきた。俗に言う空洞化現象であります。  そして、そういうことからいいますと、いわば日本経済はざるから水が漏れるような形でいい循環が遮断されてしまっておりまして、この点が最大の我が国経済の現在の問題であるというふうに考えております。もとより、ここ数年来の経済のいわゆるグローバル化という中で、従来非常にプラスであった我が国の経済システムやあるいは慣行というものがむしろ障害になってきていることも一つの原因であろうかと思います。  そこで、橋本総理は、このいわゆる経済の活性化を図るために違う方法をとっていこう、こういうことを考えられたと思うわけであります。  今日までの予算委員会の議論を聞いておりますと、新進党を中心とする議論は、この実情に対して、むしろ減税をして景気を刺激をしていくという従来パターンの処方せんで経済の回復を図っていくという考え方のようであります。しかし、今のこのやり方というものは、現在の日本経済の実情から見てどうも合わない。むしろ、アメリカのレーガンがその後半期でやりましたような、新規産業の育成とか、あるいは技術の開発とか、あるいは規制緩和の徹底的な推進というような構造改革をして、回り道ではあるけれども、日本経済の体質を変えるということをやらなきゃいけない。そしてまた、かつてのイギリスのサッチャーも同じようなことをやりました。私は、橋本内閣の六つの改革というものは、そういう方向で問題を解決し日本経済の再生を図る、こういうことを考えていると思うわけであります。  そこで、しかし、そのこと自体がまだ必ずしも国民の皆様に十分に理解を得ていないというような感じもするわけでございまして、最初に、総理御自身から、この六つの改革につきましての基本的な考え方、御決意のほどをお伺いをさしていただきたいと考えている次第でございます。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 私は、よくこの六つの改革というものを同時並行で進めていく必要性を訴えてまいりました。そして、夢を見、その夢を追うチャンスがあり、実現する可能性がある、同時に、挫折してもそれに屈することのない、そうした社会が欲しい、個人が欲しい、そう申してまいりました。  今議員からいろいろな角度からの御意見がありましたが、その改革という中で、経済構造というものをちょっと例にとって申し上げてみたいと思います。多少時間をお許しいただきたいと思うのであります。  やはりこれを考えましたとき、私どもは、我が国の高コスト構造をどう是正するかというのが一つの大きなテーマだと思います。そして、そのためには規制の撤廃、緩和を行う。行政はそれによって身軽になり、行政改革が進む。経済構造改革を進めるためには、まずやはり規制の撤廃、緩和という行政改革が必要だと思っております。  同時にまた、社会保障の、あるいは社会保険の負担が余りにも過重になりますと、企業が国を選ぶ時代に入って、日本から産業が逃げ出してしまう。そうしたことを考えていきますと、社会保障構造改革というものは、二十一世紀に向けて効率的で安定した社会保障制度の構築を目指すわけでありますが、その際の必要な条件の一つというものが、まさに経済活動と両立し得ることであり、ここは経済構造改革と密接に関連を持つわけであります。  同じようにもう一つの柱、それは新規の産業の育成ということになるわけでありますが、この新規の産業の育成を図りますためにも実は規制の緩和、撤廃は必要でありますし、それ以上に、科学技術に対して投資をし、その研究開発の中から新しい事業の芽をつくり出していき、それを育て上げていくという必要が生じます。技術とともに人材が必要になります。  今よく多くの方々から言われること、それは、我が国は応用技術は上手だけれども独自の技術がなかなか生まれてこない、あるいは、ベンチャービジネスが育たないということを言われます。それは逆に、平均性、均質性というものを重視してきた、あるいは重視し過ぎた我が国の教育にも問題はないだろうか。むしろ、個性あるいは能力というものに着目した教育、多様性、弾力性のある教育制度というものを考えなければならないのではないだろうか。教育改革も実はここで関連を持ってきます。もともと教育というのはすべてのもとでありますから、当然のことでありますが。  同時に、財政の基盤が経済にあることもこれは当然でありますから、財政構造を直していこうとすれば、経済構造改革などによって中長期的な経済基盤の発展を確保する、そうした努力が必ず必要になります。  そして、金融システム改革の目標の重要な一つの柱というのは、成長性のある新規産業に資金が流れていく、その道を確保すること。国民の資産の安定的な運用を図るとともに、この目的も欠かせません。  こうして考えてまいりますと、今私が申し上げております六つの改革というのは、いずれも絡み合い、目的があり、必要不可欠であると同時に、経済という視点から見ましても、どれ一つを落とすこともできないわけであります。  そうした思いを持ってこうした課題に取り組んでいきますが、この中に危険性が全くないかといえば、問題が起こり得る部分があることは間違いありません。財政構造を直そう、財政改革をしようと言っておりますときにどこまで科学技術に投資ができるのか、バッティングを起こす可能性は皆無ではないのです。しかし、それは調整ができます。そして、我々としては、この国の将来を考えますときに、こうした手順をきちんと合わせて進めていく努力を何としても欠くことができない、ぜひ御協力を賜りたい、そのように考えております。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 大変に難しい課題でありますが、今総理がおっしゃるように、この六つの改革を立体的、総合的に、かつ同時並行的に進めていって問題を解決しなければならない、そういう状況だと思うわけでございまして、私どももこの線に沿って全力でやっていかなきゃならないという思いがいたします。  そこで、まず、経済構造改革に絞って少し質問をさせていただきます。  この問題につきましては、昨年の十二月に、経済構造の変革と創造のためのプログラムということで閣議決定をされました。おおむね政府全体の考え方が明らかになったと思うわけでございますが、この個別の内容について、少し関係の大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  最初に、研究開発と新規産業の問題につきまして、科学技術庁長官も兼務しておられる通産大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほどから申し上げております企業の海外展開、いわゆる空洞化という現象が非常に深刻でございまして、通産省の調査では、これからの五年間で百二十万人ほどの雇用機会が製造業の分野で減少するのではないかというような予想もなされているわけでございます。もとより、海外に企業が進出すること自体が悪いというわけではありません。むしろ、こういう状況に対応して、国内でそれにかわるべき新規産業、ベンチャービジネスが雇用を確保できるような体制になればあるいは歓迎すべきかもしれません。  アメリカの場合でも、一九九〇年から九四年までの間に、製造業で百二万人ほどの雇用が減少した一方で、情報産業では百二十五万人の雇用増加があったというふうに言われているわけでございます。しかし、我が国の場合は、ここ五年ほどの期間でとってみますと、製造業の減少が五十万人ございました。その間に、同じく情報産業の方も雇用が百万入減少しているわけでございまして、雇用の増大があったのは、建設業で百万人増大したというような現状であります。  そういうことから考えますと、我が国におきまして、新しい雇用機会を提供するようなベンチャーを育てるように、そういう新規産業が育ちやすい環境をつくることが必要である。そういう意味で、今般政府が提案をしておりますいわゆるエンゼル税制などは、まことに適切なものだと考えているわけでございます。  それと同時に、今年度の予算におきましても、研究開発投資の予算、大変に財政事情厳しい折でありますが、大きな増大の原案を出していただきまして、科学技術関係、広い意味での分類で科学技術関係だけをとってみますと、昨年度の二兆八千億円から三兆円に増加をしておりまして、一般歳出の伸び平均一・五%という中で六・八%という高い伸びが見込まれているわけでございます。しかしながら、この研究開発分野につきましては、資金の額をふやしただけではなかなか問題が解決できません。本当にニーズに適したような研究開発をやっていただくこと、それからまた、いわゆる競争原理が働くような形で研究開発を活性化していただくということが大変大事であります。そしてまた、産官学の連携とか、あるいは兼業規制の緩和というような制度上の見直しも不可欠でございます。  そういう問題につきまして、通産大臣に、科学技術庁長官も兼務でございますが、どういうふうにこれからやっていかれるか、お伺いをさせていただきたいと思います。

佐藤信二自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 大変この道に御造詣の深い尾身先生からの御質問でありますし、今御意見の中に大体私の答えも入っているような気がいたしますが、若干重複するところもお許しを得て説明させていただきます。  まず、経済構造改革の基本的な考え方、これはもう既に総理からお話しになりました。今のお話のように、これからの日本の産業において、今二〇〇一年に百二十万、実は雇用の機会を失うと言われましたが、我々が聞いているのは百二十四万でございます。そういうことで、これからやはり新しい産業というもの、これをつくり出すことによって良質な雇用を確保して、そしていわゆる産業の空洞化というものの懸念を払拭するということで、大変これからの研究開発が重要だというふうな認識を持っております。  今言われたそういうような認識に基づいて、構造改革の変革と創造のためのプログラムにおきまして、大きく二つの方策をお示ししました。第一に、産業分野ごとに異なるニーズを抽出し、規制緩和、研究開発等の推進によりその改善を図っていくということ。第二に、新規産業の創出にとって共通の業種横断的な課題である資金、人材、技術などの観点から対応していく。  こういうことで、具体的に何を言うかというと、まず情報通信関連分野とか新製造技術関連分野、バイオテクノロジー関連分野ということで、これから成長が期待される十五の分野について、関係省庁と連携して総合的にそういうことを集中的にする、こういうことでございます。今お話にございましたように、その中のいわゆるベンチャー、新しい企業の創出するベンチャーというものに関してはエンゼル税制というものを導入して、こうしてベンチャー産業が育つようにということを考えております。  と言いながら、やはり一番大事なものは、物をつくるという、物づくりというものに力を入れていかなければいけないということで、この研究開発の推進ということでございますが、これは尾身委員が中心となってつくられた科学技術基本計画、これに基づきまして新産業の創出の社会的、経済的ニーズに対応した研究及び基礎研究を推進する、こういうことだと思いますが、今私が申しました、尾身委員が非常に御熱心だったこの基本計画、このもとは、日本学術会議の伊藤正男先生、会長が戦略研究ということを二、三年前から提唱されて、これがもとになってこうした計画をおつくりになったというふうに思っております。  この中の計画に示された、新たな研究開発システムの構築のための制度改革及び政府研究機関投資の拡充に努めるということで、具体的には、政府として国の研究者が民間等の研究活動に参画するための兼業許可のための規定の整備、こういうことが一つございます。二番目には国立試験研究機関等の研究者に対する任期制の導入、そして三番目には国と民間の共同研究、委託研究に係る規定の整備、四番目が厳正な評価の実施というふうな、制度改革のための施策を推進する。  そしてまた、御指摘のように、そういうことで平成九年度の予算におきましては、極めて厳しい財政下ではございましたが、科学技術関係経費については対前年度比六・八%増、一般会計の科学技術振興費については一一・九%増というものを確保しているところでございます。特に、競争的資金の拡充を初めとする創造的、基礎的研究の強化など、重点的、効率的にこうした資金配分に努めてまいりたい、かように考えております。よろしく御指導お願いいたします。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 日本経済の活性化のために非常に大きな分野は、情報通信分野であると考えております。先ほど、ここ五年ばかりの間に雇用が減少しているという話を申し上げましたけれども、新しい雇用を創出する期待をされている分野であるというふうに考えております。しかしながら、情報産業分野におきましては、実を言いますと、非常にこの分野におけるがんじがらめの規制があったために、アメリカに比べて十年間ぐらいおくれちゃったというふうに言われておりまして、いわば我が国の状況というのは現在非常に憂うるべき状態になっているのも事実であります。  そこで、この分野を活性化させていく、そしてこの分野の活性化によって日本経済全体を改革していくということが大変大きな政策課題であるというふうに考えております。特にNTTにつきましては、我が国の基幹的な通信事業者として力があるわけでございまして、これを国際通信の分野に、この大競争の中に参加をさせる、そのために従来からあった制約を外して広い分野の事業に進出させることが非常に重要であるというふうに感じているわけでございまして、そして、そういう中で、国際競争の風にさらすことがNTT自身の活性化とかあるいは効率化にも寄与すると考えております。  その意味におきまして、昨年末に郵政省とかNTT、関係者の合意によりましてNTTの再編成が決定をしたことはまことに重要な意味を持つというふうに考えている次第でございますし、私は、この点におきます橋本総理御自身のリーダーシップというものに大変高い敬意を表する次第でございます。  この再編成の概要につきましては、持ち株会社のもとに長距離通信会社一社と東西二つの地域通信会社に分けるという構想でございます。私は、この決定は、欧米諸国におきます情報通信の制度改革、電気通信会社の大型合併などの情報通信分野におきます国際競争が激化している中で、我が国が世界の潮流に乗りおくれない、乗りおくれることは許されないという意味で極めて重要なことであるというふうに考えております。そして、NTTは我が国最大のいわばフラッグカンパニーとして、体制を早く整えて国際社会に進出をして、我が国全体の情報通信の活性化に大きな役割を果たすべきであるというふうに考えているわけでございます。  そこで、このNTTの再編成問題というのは、現在関係方面で詳細について詰めているところでございますが、何としても今国会でこれを実現をすることが喫緊の課題であるというふうに考えます。  この際、何が一番大事かということでありますけれども、新しい、再編成されたNTTという組織が、機動的、弾力的に意思決定をし、また事業展開をしていけるような体制をつくることが一番大事だというふうに考えております。そして、そのためにはNTTに対します政府の規制やコントロールというものをできるだけ少なくいたしまして、余り手足を縛られないで、弾力的に機動的に活動できる体制をつくることが必要であるというふうに考えております。  また、同時に、政府がNTTの株をたくさん保有していることが将来アメリカなどで事業展開をする際に障害になる恐れもありまして、NTT株の売却というのはできるだけこれを促進する必要があるというふうに考えております。  そこで、今国会のNTTの再編成に向けましての総理御自身の御決意というものをお伺いをさせていただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 今振り返ってみまして、電電公社の経営形態を改める時点で、我々はもう少し先を見越した対応をしておくべきであったという反省をまず第一に申し上げなければなりません。  当時、流れの中で、実は、私自身が分割の案をつくった時期もございました。また、研究機能を特殊法人の形で残しその他を分割する案、いろんな案を当時つくったわけでありますけれども、結局のところ議論の決着を見るに至らない、郵政省と電電公社の中に合意点を必ずしも見出すことができないままに、そのままの形でNTTに移行させたわけであります。そして、それ以来、根本からの十分な戦略的な話し合いがなされないままに、いたずらに時間が経過をいたしました。  その間に、国際情報通信の世界というものが大きく変化をしてきた、これは、今議員が御指摘のとおりであります。そして、情報通信産業というものがまさに二十一世紀の基幹産業と世界の各国において位置づけられる。それぞれが国際競争力の強化を図るなど、規制緩和というものが行われる状態になりました。今、我が国にとりましても事情は全く同じでありまして、今、情報通信分野の規制緩和というものを積極的に進め、事業者間の活発な競争を通じてこの情報通信産業そのものを活性化していくと同時に、国際競争力の向上を図るということが非常に大切な課題になっております。  そのために、NTTの再編成、国際通信業務への進出、このほかの分野におきましても電気通信事業に係る規制緩和というものを積極的に進めながら、マルチメディア社会というものに対応した法体系そのものの整備、また諸制度の見直しを進めていきたいと我々は考えているところであります。  そしてその場合に、今議員から政府保有株式の問題を提起をされました、適切な売却を進めていかなければならないと考えております点は、御指摘のとおりであります。そして、NTTを再編成する趣旨、それはまさに競争環境の整備と、NTTの機動性の確保を通じてNTTをより活力のある事業体として国際競争力を高めようという考えに基づいております。  私どもとしては、今国会における所要の法改正をお願いしてまいりたいと考えておりまして、関係当局にその作業を急がせているさなかでございます。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 基本的なお考え、大変明確にお話しをいただきまして、ありがとうございました。  ただ、このNTTの再編成を、ただいま総理がおっしゃいましたような趣旨を生かして実現をするためには、幾つかの技術的な問題といいますか解決しなければならない問題がございます。  一つは、純粋持ち株会社を解禁するための独禁法の九条の問題でありますし、さらに、資産譲渡益についての非課税を確保しなきゃならない、あるいは、再編された四社の間の法人課税の損益通算のような措置も必要であろうと言われているわけでございます。  これらにつきましては、今政府部内で調整が進んでいると聞いているわけでございますが、機動的かつ弾力的な事業展開が国際的に可能になるような体制をとり、そしてまた税制面でも、NTT自体それからNTTの株主に、この再編成におきまして不当な負担を与えることがないような措置が私は不可欠であるというふうに考えているわけでございまして、この点につきましても、総理のリーダーシップでぜひ早急に解決をしていただき、妥当な結論を出していただきまして、この再編成をしっかりと実現をしていただきたいとお願いをいたしますので、その点についての総理のお考えをお伺いさせていただきます。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 今、議員からも触れられましたように、独禁法の問題を初め前提が幾つかあることは御指摘のとおりです。また、その再編成によって現在の株主の方々に不当な損害をかけるようなことを、これは国としてもするわけにはまいりません。当然、そうした点については、我々は注意を十分に払っていこうと思っております。  同時に、特に、そうした隘路から物を考えるのではなくて、私は、再編成をいたします前におきましても、できるだけ早い時期に国際通信業務への進出を可能にできるように、そうした体制を、言いかえれば国際競争に対して機動的に対応できるように、そうした法改正もお願いをしていかなければならない、そんなことも考えておりまして、いずれにいたしましても、郵政当局またNTT両者の話し合いの中からの結論をできるだけ早く法律の形で御審議をいただけるように督促してまいります。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 今、情報通信分野の規制緩和というお話が総理からもございました。  郵政大臣及び総務庁長官にお伺いをさせていただきたいと思っておりますが、マルチメディアの方向に進むのが全体の情報通信分野の方向でございますけれども、しかし、その中には、今までの我が国の慣行とかあるいは制度その他において、情報通信社会になったら変わらなければならない、あるいは対応していかなければならない規制とか、そういうものが幾つかございます。例えて言えば、学校教育におきまして遠隔教育を正式に認めるというような問題とか、あるいは医療面においても遠隔診療を認める、そういうような問題もございますし、あるいは納税面におきます電子申告制、あるいは保存資料のペーパーレス化というような問題点がございます。電子マネーの問題もございます。  そういう各種の制度、慣行あるいは諸規制というものを、徐々に情報通信社会、高度情報化社会に向かって直していかなければならない。あるいは自由化していかなければならない。それによって社会全体の効率化が実現されるというふうに考えているわけでございますが、この点につきまして郵政大臣のお考えをお伺いさせていただきます。

堀之内久男自由民主党郵政大臣

○堀之内国務大臣 尾身先生の御指摘のとおりでございますが、もう何といっても尾身先生はこの方面のベテランでございますから、釈迦に説法のような気がいたしますが、情報通信が飛躍的な発展をしてまいりました。そのために、現行法体系がこの高度な情報通信の利用を想定していなかったというので、実現困難な場合もたまたま出てきたわけであります。  先ほど御指摘いただきました遠隔教育あるいは遠隔医療、また裁判におきましても遠隔証言というように、いろいろな分野においてそうした支障を来しておりますが、このマルチメディア社会に対応するためには、情報通信を活用した新たなビジネスやサービスがタイムリーに実現できるような仕組みや法制度を整備することが最も重要だと思っております。  このような観点から、政府におきましては、総理大臣を本部長として、高度情報通信社会推進本部を中心にいたしまして、先ほど御指摘になりましたような問題を、それぞれの省で法体系あるいはまた制度の整備について検討に積極的に取り組んでおるところでございます。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 この点につきましては、総務庁長官、規制緩和全般を担当しておられますので、こういう点についてもぜひ前向きに進めていただきたいと思いますので、一言。

武藤嘉文自由民主党総務庁長官・大蔵大臣臨時代理

○武藤国務大臣 今の遠隔医療、遠隔教育につきましては、それぞれ今度の、この間の中間公表でも三月の規制緩和の改定計画の中に入っているというふうに承知をいたしております。その実施の中身といいますか、いつからどう実施をするとかその辺のところがまだ詰まっていないようでございますけれども、三月末の改定計画までにその辺は具体的にきちんとするように事務方で詰めるようにいたしております。  それから、もう一つ私どもの所管で申し上げますれば、行政の手続の簡素化、これはやはりマルチメディア時代、当然必要だと思います。今までいろいろと国民の皆さんが申請される場合、届け出をされる場合、大変手続が厄介であったわけでございまして、来週私どもで申請負担軽減対策というようなことで閣議で御決定をいただきたいということで、とりあえずいろいろ証明を交付をしてもらいたいというような形で申請をされる場合、あるいはいろいろの法律に基づいてどうしても届け出をしなきゃならない場合、これを電子化、ペーパーレス化できるように、何とか平成十年度中には実現できるようにという形で具体的に来週の閣議でお願いをいたそう、こう思っております。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 電気通信事業に関する規制につきましてもお伺いをさせていただきたいと思いますが、最初に郵政大臣にお伺いをして、後で総理から一言お願いをしたいと思っております。  世界の自由な潮流を踏まえまして、NTTも含めまして電気通信事業者が闊達に事業を行い得るような環境を整備するために、私が思いつくことだけでも幾つかございます。  一つは、新規参入に関するいわゆる需給調整規制の撤廃、あるいはサービスや料金に関する規制の緩和、情報通信分野における自由な商品設計というような問題もございます。それから、公正な電気通信回線の接続ルールを決めていかなきゃならない、そういう問題もございます。  それから、やや長期の課題になるかもしれませんが、徐々にCATVによりますインターネットの活用というような問題が出てきてまいりまして、通信と放送の融合が急速に進展すると見られるわけでございまして、そういう面での制度や規制というものも、極めて進んでくる技術進歩の中で対応していかなければならない。規制があるために、技術が進み、世界的な活発ないろいろなビジネス活動が行われる中で、我が国の企業だけが取り残されてしまう、我が国社会だけが取り残されてしまうということは厳に避けなければならないわけでございまして、こういう面につきましてもできるだけの規制緩和をし、自由活発な、そして弾力的な情報通信社会における企業活動ができるような、そういう体制をぜひとっていただきたいと思います。  郵政大臣に一言。

堀之内久男自由民主党郵政大臣

○堀之内国務大臣 郵政省といたしましては、競争の促進を通じまして情報通信産業を活性化していくことが重要な政策課題であることはもう当然でありますが、このために規制緩和の推進、接続政策の推進、NTTの再編成の実施を三位一体とする第二次情報通信改革の早期実現に向けて鋭意取り組んでおるところであります。  最近でも、昨年十月、国内専用線の利用の完全自由化、そして昨年十二月には移動体通信料金の認可制の廃止等、サービスや料金の規制緩和措置を講じておるところであります。  さらに、ただいま御指摘ありました第一種通信事業への新規参入を一層促進するための需給調整の廃止、電気通信事業者間の相互接続を推進するための接続ルールの策定等については、今通常国会に所要の法律案を提出すべく現在検討を進めておるところであります。  さらに、技術革新の急速な進展に伴う通信と放送の融合を踏まえ、マルチメディア社会に対応した法体系を整備していくことも重要な政策課題であり、先ほど御答弁申し上げたとおりでありますが、引き続き検討を進めていく所存であります。  そして、先ほど武藤長官から御答弁がありましたが、郵政省といたしましても、昨年三月の規制緩和推進に盛り込まれました措置を着実に実施するとともに、本年三月末に予定されている本計画の再改定に向けても、内外の意見、要望を踏まえて積極的に規制緩和に取り組んでまいりたいと思っております。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 今郵政大臣から一連の対応について御説明を申し上げましたけれども、御指摘を受けましたポイントとして、特に接続、これは非常に大事なポイントであり、この点は何としてもきちんとしたルールをつくっておかなければならない。同時に、非常に技術革新の速度の速い世界でありますから、できる限り法規制は簡略なものにしておく、そして弾力的に新たな技術に対応できる素地を残した体系を考えていかなければならない、今そのように議員の御意見を承りながら感じておりました。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 先ほどの経済構造改革に戻りますけれども、この経済構造改革の一つは高エネルギー構造の改革ということでございます。それに関しまして、我が国の物流コストが非常に高いということが言われているわけでございまして、運輸大臣にお伺いをさせていただきますが、港湾の例を挙げますと、我が国の国際港湾インフラの稼働率は、アジアの諸国に比べまして低いと言われております。  例えば、我が国で取扱量が随一の神戸港でございますが、量は世界で六位ということになっておりますが、面積当たりの取扱量という形で見ますと、競争相手のアジア諸国に比べまして、大体二分の一から三分の一ぐらいの水準になっていると言われております。これは、規制の存在が非効率を生み、高コストを生み、高コストなるがゆえにユーザーが減り、また効率が下がってくるという悪循環に陥っているように思うわけでございます。  もちろん、この分野で規制以外、荷役にかかわる労使協定などの存在も影響しておりますけれども、日本の港はこのままではどんどん国際競争力を失ってしまうのではないかというふうに危惧されるわけであります。港の問題に限らず、物流全般のコスト低減のためにこの分野でどのような対策を講じられるおつもりか、運輸大臣にお伺いをさせていただきます。

古賀誠自由民主党運輸大臣

○古賀国務大臣 先生御指摘いただきました物流全般のコストの低減についてでございますけれども、運輸省といたしましては、従前から、この高コスト構造是正のための物流の充実、高度化の観点から積極的に取り組んでまいっているところでございます。  一例を挙げますと、港湾、空港等物流インフラの整備、民活法等を活用いたしました物流拠点の整備、海運、鉄道へのモーダルシフトの推進、地域内物流の効率化等々でございますが、先生も触れていただきましたように、今回、昨年十二月に閣議決定されました経済構造の変革と創造のためのプログラムにおきまして、物流関連施策の総合的な推進に関する基本的な考え方、また具体的な実施の手順等から成る総合物流施策大綱を策定することを決定をなされているところであります。  運輸省といたしましては、通産省初め関係省庁と今後綿密な連携のもとに本年度中にこの大綱を策定をいたしまして、先生の御提言の、物流コスト低減等のための施策を強力に推進してまいりたい、そして経済構造改革の期待にこたえていきたい、このように考えているところでございます。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 経済構造改革はいろんな分野に関係がございまして、労働省政策の方も大変に大きな関係を持っているわけでございます。  そういう中で、労働の需給のミスマッチを回避するという観点も含めまして、人材移動の円滑化という意味で、有料職業紹介事業制度の見直しとか、あるいは派遣事業制度の見直しとか、労働基準法の弾力的な運用というような問題も、我が国経済活動の活性化のために大変大事な課題になるわけでございますが、この点につきまして、労働大臣から簡潔にお考えをお伺いをさせていただきたいと思います。

岡野裕自由民主党労働大臣

○岡野国務大臣 尾身先生のお話は、今置かれました産業構造改革、この中で、我々労働省といたしましては、大幅な規制緩和をやりまして、その効果を労使双方に提供申し上げようという考えであります。  お話がありましたまず第一点の職業紹介制度、これにつきましては、関係審議会からの答申をいただきまして、これは規則で実行可能でございますので四月一日から実施をいたしたい。  それから、人材派遣法、労働者派遣法、これは施行十年に相なります。先生がおっしゃいますように、適所に適材を紹介をする、あるいは適材に適所はこんなところがあるという意味合いで、ミスマッチの解消に非常に大きな効果を持つのではないか、こう考えまして、今、関係審議会、これは中央職業安定審議会でありますが、これにこの一月二十八日を第一回としてお諮りを申し上げている、そんな次第であります。  なお、労働を提供してくれる諸君のためには、やはり柔軟な、そしてかつは自律的な判断で労働を提供し、それでやりがいのある仕事をしていただこうと。そのためには、五十年たった現下の労働基準法、いかがなものかというような観点に立ちまして、あるいは裁量労働制あるいは一斉休憩などというような労働時間管理、そしてまた一年間の労働契約でなければならないと、「女工哀史」以来の伝統を持つ判断の中から出てきましたが、現下の中でいかがなものかというようなことで、これまた七月までに御答申をいただきたいというようなことで御審議を煩わせている、そんな次第であります。よろしくお願いいたします。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 金融システムの改革の問題に関連をいたしまして、実は大蔵大臣に伺いたいと思ったのでございますが、G7の会議のため御出張中でございます。そこで、橋本総理が大臣クラスの政務次官をということで御就任をいただいた中村正三郎政務次官に、大臣にかわりまして質問をさせていただきます。  この金融システムの改革、具体的に言いますと、株式の手数料の完全自由化とかあるいは有取税の撤廃とか証券業の免許制の見直しといった措置、あるいは金融商品につきましても、金融商品の自由な設定を弾力的に認めるというような問題も含めまして、ビッグバンをやるということになっているわけでございますが、大蔵省事務当局の話ですと二〇〇一年にやるというふうに言われております。私は、今の非常に激動する経済社会の中でいかにも遅過ぎるのではないかという感じも持っているわけでございますが、ひとつ、政治家としての政務次官のお考えも含めまして、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

中村正三郎自由民主党大蔵政務次官

○中村(正)政府委員 金融システム改革についてでございますが、委員御高承のとおり、昨年十一月十一日に橋本総理より、内閣の最重要課題の一つとして新金融システム改革に全力を挙げて取り組むようにという御指示がございました。  これには、二〇〇一年までに完成すること、それからフリー、フェア、グローバルという三つの理念に立ってやるということ、そして、結果としてニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際的な金融市場として復権するようにということでございまして、この指示を受けましてから、大蔵省といたしましては五つの審議会に即座に諮問をいたしております。証券取引審議会、企業会計審議会、金融制度調査会、保険審議会、外国為替審議会でございます。そして、この審議会で精力的に審議をいただいておりますが、大体すべての審議会がことしの六月までには報告を取りまとめるというような方向で審議をいただいております。  この結論が出ましたならば、大蔵省といたしましては、即座にこの結論を実行に移すように精力的に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。ですから、この改革の御指示は、遅くとも二〇〇一年に完成という御指示をいただいているんですが、それは二〇〇一年までにやればいいというのでなくて、この結論が出ましたら、できるものから即時実施をしていくという考えで取り組んでいこうと思っております。  その中で、御高承のとおり、為銀主義の廃止、外国為替の自由化については、既に審議会の審議が終了いたしましたので、今国会に法律を提出すべく今鋭意努力をしているところでございます。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 最後に、財政問題と社会保障制度改革についてお伺いをさせていただきます。  時間がございませんので簡潔に質問をさせていただきますが、今、財政の事情は、きょうの読売新聞にも出ているような状況の中で、隠れ借金も含めますと、国と地方と合わせた債務の残高がGDPの一〇〇%を超えてしまっている、五百二十一兆円にもなっているというような状況でございます。  そこで、社会保障の給付費、具体的には社会保険料とか税負担でありますが、平成七年度の数字で、医療が二十四兆円、年金三十四兆円、福祉関係が七兆円ということでございまして、合計六十五兆円になっております。国民所得に対する比率が一七・五%ということになっております。  しかも、問題は、この社会保障給付費が年率大体、高齢化が進む中で毎年六%という高い率で伸びるわけでございまして、国民所得の伸びがここ数年一%強ぐらいでありまして、その間に大きなギャップがあります。このままの状態で進むと国民所得に対してどういうような比率になっていくのか、簡単に、簡潔に厚生省事務当局からお伺いをさせていただきたいと思います。

中西明典厚生大臣官房総務審議官

○中西政府委員 お答え申し上げます。  昨年十一月、厚生省より社会保障の給付と負担の見通しについて公表したところでございますが、先ほど先生お触れになりました対国民所得比の割合は、今後高齢化の進展に伴い増加いたしまして、現行制度のもとで介護保険制度を導入したとした場合の試算では、平成三十七年度、二〇二五年度でございますが、年金は約一五%、それから医療は、国民所得の伸び率が高いケースにおいては約一〇%、低いケースにおいては約一六%、それから福祉等は約五%となりまして、合計では三〇から三六%程度になるものと見込まれております。  したがって、平成七年度に比べますと、対国民所得比で二二から一九%程度上昇するものと考えております。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 今のお話で伺いますと、今一七・五%のものが、このままいくとさらにプラスで一三%から一九%ぐらいになる、こういうことになっているわけでございます。     〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕  そうすると、実は今の状態で続けますと、国民負担率というのが三七%でありますから、そのうちの一七・五%部分が仮に一三%ふえても、もうそれだけで五〇%にいってしまうわけであります。ですから、今の三七%プラス、いや、今三八%ですが、それにミニマムの一三%を足せば、もう五一%になる。大きい方の数字で言えば、さらにそれに六%加えるというようなことでございます。  さらに、今の財政赤字が、国民所得対比で見ると八・五%ぐらいに相当をいたします。それを追加をいたしますと、もうそれだけで相当高い水準になってまいります。その数字は大体、隠れ借金も含めた数字を考えますれば、今の五〇%から五六%という数字にさらに八%をつけ加えますので、五八%から六四%ぐらいになる。  そして、実は人口の見通しが最近変わりました。これが大変なことでございまして、生産年齢人口は四%減る、三百十五万人減る、高齢者は二%、七十万人ふえるということでございまして、その生産年齢人口と高齢者の比率が変わってくる新しい推計を入れると、実は、この数字はさらに、私がヤマカンでといいますか、これは厚生省で計算してありませんから、五%ぐらいふえるとすると、何と隠れ借金も入れて、制度改正をしないでこのままでいったら、六三から六九%ぐらいの水準に国民負担率が上がってくるという非常に厳しい状況であります。  我々があんなふうになりたくないと思っているスウェーデンの水準にまで上がってくるということでございまして、私は、このことをどうしても解決をするために社会保障構造改革を進めなきゃならない。  そして、特にその中で、先ほどのお話のとおり、医療、年金、福祉関係が非常に大きくふえてくるということでございます。ですから、今度政府が提案をいたします医療保険制度の大改革というのはその一番の第一歩でございまして、こういう状態のもとで、薬価の問題とか、あるいは診療体制を変えるとかいうことで、四つの解決策しかありません。  一つは、医療費を節減すること、もう一つは、患者の負担を引き上げること、あるいは第三は、保険料を引き上げること、第四は、税負担を引き上げること、この四つのいずれかでしか解決できないわけであります。ですから、構造改革というのは、医療費の節減あるいは患者負担の引き上げとか保険料の引き上げとか、いずれにしてもお金の問題でありますから、どの政党が政府になっても、政権をとっても、この方法しかない。  そういう中で、今度の医療保険改革は第一段階として考えておられるわけでございますが、これにつきまして、厚生大臣の御意見をお伺いをさせていただきたいど思います。

小泉純一郎自由民主党厚生大臣

○小泉国務大臣 御承知のように、今の制度を前提にしていく限り、国民負担率はとても四〇%台にはおさまらない。そして、この社会保障制度改革と財政構造改革というのは密接に結びついておりまして、今のままの制度を前提にして国民負担率をできるだけ低く抑えていくとなると、社会保障関係のほかの費用を大幅に削減しなきゃならない。それはもたないということで、一切の聖域なしということであらゆる面を見直そうというのがこの橋本内閣の大きな課題の一つだと思います。  そういう中で、今回の医療保険改革というのは、二十一世紀に向かって、医療提供体制と医療保険制度の改革、この両面を総合的にかつ段階的に実施していこうという第一歩だと思います。与党内で医療保険制度改革協議会というものを設けて、一年以内に、この両面に向かった、診療報酬体系、薬価基準等含めた構造的改革の結論を出すとしています。私どもは、その与党内の検討状況をあわせて見ながら、この積極的な構造改革に厚生省としても取り組んでいきたいと思います。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 時間がございませんので、私は細かいことは説明できないのでありますけれども、この第一段階の医療保険制度の改革というものが、実は、これから後に続いてくるであろう社会保障改革の行く末を決める大変大事な問題であると考えております。  もとより、ある意味でいいまして、国民の皆様に苦い薬を飲んでいただくわけでありますから、政治的に大変難しい状況であることはわかりますけれども、しかし、この苦い薬を飲んで健康体を回復する以外にあしたの日本の繁栄はない、そういうことだと思っている次第でございまして、ぜひこれは党派を超えて、また立場を超えて協力をして解決していかなければならない課題であるというふうに考えております。  この点につきまして総理のお考えをお伺いをいたしまして、時間でございます、私の質問を終わりにさせていただきます。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 二十一世紀に向けて、医療の提供体制及び医療保険制度の両面かち、改革を総合的かつ段階的に進めていかなければならない、これは議員が今御指摘になったとおりであります。このためにも、老人医療制度のあり方、あるいは診療報酬体系の見直し、薬剤使用の適正化、さらには医療提供体制の見直しなどについて、早急に着手するなどの抜本的な改革に取り組んでいかなければなりません。  しかし、そのためにも、やはり現行の医療保険制度の財政の安定を確保する、これが喫緊の課題であります。平成九年度に、世代間の負担の公平、薬剤の適正化等の観点から、給付と負担の見直しなどの制度改正を実施することにしているわけでありまして、今国会での早期成立を心からお願いを申し上げたいと思います。

尾身幸次自由民主党

○尾身委員 質問を終わります。ありがとうございました。

中川秀直自由民主党

○中川(秀)委員長代理 これにて尾身君の質疑は終了いたしました。  次に、栗本慎一郎君。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 自由民主党の栗本慎一郎であります。  三点ほどにわたりまして御質問申し上げたいのですが、まず第一に、教科書と教育問題について、総理並びに文部大臣に御質問申し上げたいと思います。  最初に、橋本総理へお伺いしたいことがございますけれども、それは、いわゆる歴史観あるいは歴史認識の一致あるいは検討という問題であります。  この歴史観の一致なり検討なりが近年非常に問題とされております。これは、国内の政治的なグループあるいは政党間のみならず、国際的に今問題として取り上げられているというふうに理解されるわけですけれども、そもそもこの点に関しまして、私は政治家でありますが、まだ学者でもございまして、学問におきまして、最初西洋経済史というところからスタートいたしまして、広い意味の歴史でございます。  近隣の例を出しますとまた大きくそれ自体の問題になりますので、一般的な例として取り上げさせていただきたいのがございます。  例えば東ヨーロッパ、これは私の学問の経済人類学という学問で出てきたところでございますけれども、ルーマニアという国がございます。ルーマニアの西部は英語ではトランシルバニアと呼ばれまして、この地域はどういうことで我々の歴史にとって有名といいますか認識されているかといいますと、サラセン帝国が西ヨーロッパに侵入していくときに、この地域を大体主戦場としてハンガリー人及びオーストリア人と戦いました。もちろんルーマニアの方々とも戦ったわけです。したがいまして、歴史家の一部ではこれは大体共通の認識でありますが、例えば一平方キロメートル当たりにどれだけの人々の血が戦争によって流されたかというようなことを考えると、この地域が世界で一番、非常に悲惨な経験を得たんじゃないかというふうに言われているところでございます。  この地に、近世ルーマニア人にブラド・ツェペシュという貴族が、これは実在の人物であります。ルーマニアでは救国の英雄でありまして、すなわち、ハンガリーの圧制と、さらに東からのトルコ、ルーマニア人から見ますと侵略に対する、抵抗する解放の英雄である。実在の公爵であります。したがいまして、ルーマニアの教科書では救国の英雄として取り扱われておりますし、その居城等は非常に誇るべき観光等の目玉という形になっているわけです。  ところが、ハンガリー人から見ますと、これは自分たちの支配に抵抗した反逆者であるということでありまして、このブラド・ツェペシュ公が非常に激しく戦ったときに敵兵の血等にまみれた、顔面にかかった血をなめたとかなめないとかいうような、これはもう俗説であります、歴史の確認の範囲ではありませんけれども、といったところから、これは吸血鬼であるというふうに他民族であるところの隣接の民族からは話が出ている。  そしてまた、近年映画等で有名であります吸血伯爵ドラキュラというのは、実はここから出てきた話でございます。これは、ルーマニアの方々にとって極めて遺憾な、けしからぬ話でありますし、また、これが映画、演劇等でも有名になりましたのもハンガリー人の作家及び演劇関係者が広めたんだというような、御承知だと思いますけれども、二十世紀のハリウッドは、ハンガリーからの移住者が非常に中心となってつくっていったというようなことがあるわけでございます。  これは一つのわかりやすい例でありますけれども、こういったことは、戦争を介しまして関係がある程度存在した、あった、近隣である、近接しているところの諸国においては非常にしばしばあるところでございまして、国家なり共同体なりの間でこれがどうだというふうに統一をしていくというふうなことは、そもそも政治においても、あるいは学問においてもなじまないのではないか。特に学問においては、政府がこう決めた、Aだと決めたと言っても、学者あるいは一般の国民がそうではないというふうに考えている例は多々あるわけであります。  こういったことが私は非常に慎重に考えられなきゃならないと思うのですけれども、そもそもそれが可能であるかのような議論がなされている。また、それが、後にちょっとお伺いいたします教科書の問題にも流れ込んでいくというふうに思うのでありますけれども、総理に、基本的な、そうした歴史観の検討なり一致なり歴史認識の共通化なりというのが一体どの程度可能なのか、あるいはそもそもどう必要なのかということについて御質問申し上げたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党内閣総理大臣

○橋本内閣総理大臣 大変難しい実例からのお問い合わせでありますが、私、本当に、歴史観というのは本来一般的には個々人それぞれに違うものがあると思います。また、一つの歴史でありましても、研究が進むにつれて新たな事実が発見されて、変化しつつ新しい解釈を迎える。まさに現代日本の古代史がそういうプロセスをたどっております。  そういう意味では、私は、本来はそれぞれ個々人の問題だと思いますけれども、国という立場で次の世代にその国の歴史というものを引き継いでいこうとするとき、やはり客観的な事実、まあ神代の時代、神話の時代は別ですけれども、例証の可能な、文献等の残っております時代に入ってくれば、当然ながら客観的な事実に即した大きな流れはきちんと伝えられていかなければならないと思います。その上で、その大きな流れというものを客観的な事実に即して教えられた子供たちが、自分の目で自分の国の歴史なりあるいは地域の歴史なりというものをみずから考えていけるような能力を付与することができれば、これにこしたことはないという思いがいたします。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 ありがとうございました。  では、文部大臣にひとつお伺い申し上げたいんですが、教科書の問題であります。もちろんここでは歴史の教科書についてでございます。  教科書は、今日、検定される教科書、国定教科書ではない。そこで、いわゆる従軍慰安婦ないしは慰安婦に関する記述があることが多々問題にされているわけでありますけれども、私は、これは今国会でも衆参両院通じまして削除せよという要求も、要求といいますか申し入れもあったというふうに思いますけれども、実は、文部大臣、お聞きいただきたいんですが、教科書が歴史学上の極めて少数意見を多数意見に配慮せず書いているとか、あるいは五つある説のうち一つだけを書いているというふうなことはたくさんあるわけであります。  一つまたわかりやすい例、短くいたしますけれども、囲い込み運動というのがある。世界史の教科書に書いてあります。  エンクロージャームーブメント。この書き方というのは、それがイギリスにおいて十五世紀から十七世紀、全国的に行われて、それで全国のあれが変わった。農地等が牧羊地に供用されて、農民が土地を失って、都市に行って、だからそれが産業予備軍になって、そこで都市工業の、そこまで書いていませんが、資本の原始的蓄積に資することになった大変重要な、農民は零細農と富裕に分かれた。エンクロージャームーブメント。  そこまで、産業予備軍まで書いてあるんですね。資本の原始的蓄積というのはいわゆる唯物史観のあれであります。さすがにそこは書いてない。けれども、それはもうみんな書いてありまして、まあ、皆様方秀才でありますから、よく御存じだと思いますが。  ところが、これは西洋経済史、私がやっております。イギリスのことですね。確かにエンクロージャームーブメントはあったけれども、一、二の州でありまして、全国的なものじゃなかった。日本では、例えば農村に水争いがあったけれども、全部でやっていたというふうには言えないのと同じようで、またそれが構造変化に、基本的なものになったなんということは、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学に行って話すとびっくりするわけであります。それはどこの国のことだと。あなたの国のことだと言うと、どこの教科書に書いてあると。  これは、簡単に言いますと、それを信奉している説の人がいないとは言わない、今でもいないとは言いませんけれども、全く定説ではないし、まあ議論して、多分もう議論も行われていないんですね。しかし、教科書には書いてある。それで、私は歴史家の端くれといたしまして、これを削れという運動はしておりません。  すなわち、教科書というものは重要な教材であるけれども、重要な教材の一つであって、それこそ今日言われているように、社会的なさまざまな諸関係についてとか、社会とのかかわりとか、そういったものを通じて教育全般が行われるのであって、そういう意味でこの検定教科書というのを考えている。だから、これは聖域じゃないんだというふうに思うんですね。ですから、ほかのものも含めまして、そのうちの一つとして、主要な教材の一つであるというふうに考えることができないか、まだそういうふうにお考えかどうか、ちょっとお聞き申し上げたいと思います。

小杉隆自由民主党文部大臣

○小杉国務大臣 先日来、日本の教科書検定制度の仕組みについてはお話ししてまいりました。  特定の歴史的事実について教科書にどのように記述をするか、これは基本的には執筆者や発行者の判断にゆだねられているものでありまして、制度上、文部省としてその内容まで指導するということはないということになっております。  それで、何点かお尋ねがあったので端的にお話ししますが、先ほど囲い込み運動のことがありましたけれども、教科書の検定は、先日来申し上げているように、専門家から成る審議会において、検定基準に基づいて客観的、学問的な成果や資料に照らして適切に行われている。いろいろな学説がある場合には、またそれがいわゆる定説になっていないというものは教科書には載せていないはずでありますし、私どもは、学界における議論の推移というものを、その変化というものを十分監視しながら、そして執筆者がそういう学説に合った内容を適切に書いていただく、こういうことで、そういう方向に検定制度が適切に行われるように指導してまいりたいと思っております。  とりあえずそれだけ……。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 定説をお書きだというふうに言われますと、これは時間が非常に限られておりますので突っ込めませんけれども、私は近世史の専門家じゃありませんので判断する立場にございませんが一他方で各学者の学説を評価するという仕事をやってまいりました、自分の専門以外に。これが私と朝日新聞のマスコミでの唯一の共通点でありまして、大学ランキングというのを、あるいは大学評価をやってまいりました。その中で申し上げますけれども、戦争においていわゆる従軍慰安婦があったというのが学界における定説となっているとは言えないと思います。異論がございます。  ですから、これに関して、そこに立ち入るとまた非常に問題がありますが、私の質問の基本的趣旨は、教科書も諸般の非常に重要な教材のうちの一つ、もちろん一番重要かもしれませんが、である。ほかのことも含めて今教育が行われてきている。介護実習の問題も、これは教員の免許のあれでありますけれども、そうしたことを考えなきゃいけないと言っている。こんな教科書はないわけです。  ですから、それは非常に重要なものであるけれども、いろいろなものの一つであるのだから、例えば、先行きの問題として、教科書の無償配付というふうなもの、国が買い上げてそれを生徒諸君に配っているから問題で、そういったところで今非常に矛盾した、背反したことになっているんじゃないかと思っております。検定の中身に関しましても、定説とおっしゃられましたので、定説を反映できる検定の委員会等の構成になっているかどうか。私は学者が非常に少ないというふうに考えておりますけれども、その辺を改めて御検討いただきますことを御要望申し上げて、非常に重要な問題でありますけれども、ほかのことに移らせていただきます。恐縮でございます。

小杉隆自由民主党文部大臣

○小杉国務大臣 学校教育では教科書の位置づけはどうなっているかといいますと、学校教育法で、学校においては教科書を使えということになっております。そして、そのほかに副読本というようなものも使えるということです。  それからもう一つは、検定審議会の委員についてのお尋ねがちょっとありましたけれども、これは、学識経験者とか教育関係者の中から、学界とかあるいは教育界に非常に視野の広い方、そして総合的、専門的な見地から客観的に判断できる方を我々としては審議会の委員に委嘱しているわけでありまして、今後ともこの人選については私どもは慎重に配慮してやっていきたい、こう考えております。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 今後も、非常に重大な問題でありますので注視をしていきたいと思いますが、総理への質問との連係で申し上げますと、こうした歴史認識等の問題、非常に議論がある問題を、教科書を舞台にしてやるな、教科書を舞台にしてやるべきじゃないんじゃないか。これは、議論はしなければいけない。しかし、異論、反論等々がある中で、ある考えが教科書にぽんと載ってということは、また歴史教育でやれというふうに官房長官談話等も過去出ておりますけれども、歴史教育というのは別に小学校、中学校だけではない、大学の研究も含めて、かなり高度にやりとりできるところも含めて教育でございますので、そうした意味で問題はあるんじゃないかということを申し上げさせていただきまして、恐れ入ります、外務大臣への質問に変えさせていただきます。  それは、尖閣諸島に関する問題であります。  言うまでもなく、尖閣諸島は明らかな日本の領土であるというふうに私及び多くの国民は認識している。事実であると思います。明治以来、古賀氏という一族が居住いたしまして、いわゆる古賀村を形成し、今日の石垣市、かつては石垣村でありますけれども、正式に認知された住所もあるわけであります。また、それに先立って、明治十八年以来、沖縄県は何度も実地調査を行いまして、これについて外国からの異論も一度もあったということはございません。今の住所ができましたのは明治二十九年のことであります、沖縄県八重山郡石垣村ということで。明治時代、明治四十年には開墾地面積が六十余町歩、住民が九十九戸二百四十八人に及んでおります。私自身の選挙区に、伊豆諸島に青ケ島村という、小さいけれども大切な村がございますけれども、それほど変わらない面積、人口である。  ですから、何となく我々日本人は、岩礁がちょっと大きくなったような島かなみたいな意識を持っている者が多いと思いますけれども、そうではない。開墾が行われ、五つの島があり、一つは国有地と認識されている、そういうものである。そして漁業、それから、当時は許されておりました剥製業等が行われて、かなり繁栄したところで、もちろん土地の所有者もおいでになられる。これは、昭和十五年に戦争が激化いたしまして、古賀氏一族がそれを避けて引き揚げまして、その後、米軍が一部軍用地にしましたときも、その賃借料も払っている。もちろん日本及び日本国民に対してであります。  さらに重要なことは、大正九年には、当時の中華民国からの漁民の難破船からの難民、その意味の難民が漂着いたしまして、これについて、日本国及び日本国民が非常に親切にしてくれたという感謝状も当時の中華民国から出ている。そしてまた、一九七〇年の教科書でありますけれども、この一九七〇年段階の中華民国の教科書、地理の教科書に、はっきりこの尖閣諸島は日本に入っている。ところが、七一年になりますと向こうに入ってしまうのですね。これはなぜかということは、ここの問題ではないと思います。それは石油の存在が確認されたからだと言う人もおりますけれども、そのことは問題ではない。ここの問題ではない。これが、昨年九月に一人の方の犠牲者も出るような、いわばここに入ってこられるという形が行われた。  これは余り報じられておりませんが、現実のところを調査いたしますと、運輸省及び警察庁の側で、警備という言葉になるのかわかりませんが、一応、危ないですよというので船をお出しになって、海面が見えないぐらいにかなり、一隻、二隻行ったんじゃない、というところに突入というか来られて、このままではぶつかってしまうから、銃器があればこれはもう攻撃じゃないかというふうなことになったので離れた、こういうことになっている。  このことについて、やはりきちんとした日本国からの、そうした主張をされている、これは香港及び中華民国及び中国本土も含めてだと思いますけれども、ということについて、どうも私どもに明瞭な態度が見えない。外務大臣に、ひとつその辺のことをお伺い申し上げたいと思います。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 尖閣諸島は、歴史的にも、また国際法上も我が国の領土であることに何の異論も、疑いもないところでございます。我が国固有の領土でございます。そして我が国といたしましては、そのことについて、必要な際にはその立場を明確にしているところでございます。至近の例で申しますと、昨年十一月にマニラで行われましたAPECの際に、日中の間の首脳会談並びに外相会談が行われましたけれども、その際も、我が国の立場は明確に中国に申しているところでございます。  ただ、委員も御承知だと存じますけれども、中国あるいは台湾も、我が国とは異なる立場、独自の立場を主張しているということがございます。しかし、我が国としては、先ほど申しましたように、我が国の固有の領土である、こういったことには一点の疑念もない、こう考えている次第でございます。  ただ、この問題についてはそういうことでございますけれども、一方におきまして、近隣諸国との関係は大切でございます。とりわけ中国と我が国との関係というのは、その相互の国にとってのみならず、アジア太平洋地域全体あるいは国際社会全体にとっても重要な関係でございますので、尖閣諸島をめぐる問題がそれぞれの国民の間の感情を非常に刺激し、エスカレートしていって全体の両国関係をおかしくするようなことがあっては、これはどちらにとっても好ましいことではない、こう考えておりますので、基本的な立場をしっかり守りながら、この尖閣諸島をめぐる問題については冷静に対処していく、こういうことでこれまでやってきた次第でございます。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 ペルーの問題でも大変お忙しいところで、本当に外務大臣の御苦労に関しまして常日ごろから感謝を申し上げているところでこのようなことを御質問申し上げて、大変御苦労でございますが、今のお話はよくわかります。その問題だけじゃなく、総合的にやるのだと。  しかし、同時にもう一つ、近隣諸国というふうに総合的に考えますと、領土の問題で論争のあります問題は、日本海の竹島もある。ここで現実には、もはや実効的に隣国が、そこに居住はしておりませんけれども支配という格好があるのじゃないか。これに対して、もちろん言論で結構であります、きちんとやはり議論をしていないのじゃないか、申し入れていないのじゃないかというふうなことがあってこの尖閣列島の問題があるというふうに、一般には理解されざるを得ないところであります。  これはもしこちらの誤解でありましたら、今後ともいろいろこちらも御協力いたしますので御指導賜りたいのですが、この尖閣諸島に関しまして、北小島というところがございます。この九月の段階のことは非常に報道されまして、我々も関心を持って見ておりましたのでいろいろ知っておりますけれども、一部にその後の行動もあって、灯台が民間の団体によって設置されていて、これの位置づけがどうなのかというようなこともあるわけですけれども、これが外国人の手によって侵入され、壊されたのではないかというようなことも伝えられているわけでございます。そのような事実は外務省としては確認されているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

平林博内閣外政審議室長

○平林政府委員 外務省にかわってお答え申し上げます。  第三国の人間によって壊されたという事実はございませんで、自然の関係で多少灯台の灯が一たん中断したことがあるようでございますが、今は灯はついているというふうに理解しております。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 これは、現場に行ったわけではありませんので、だれが壊したのか、自然で壊れたのか、これは私は確認のしようがございませんが、北小島の灯台部が明らかに人の手によって壊されたのではないかという、ないかということでありますから、今後の捜査、確認も必要かもしれませんが、というような告訴状が沖縄県警に出されております。被告訴人は外国人、氏名不詳ということになっております。これは外国人であるかどうかは私はわからない。ここでどうこう言えないと思いますけれども、出ているわけであります。  これは事実であれば極めて重大なことでありますので、そうしたことが既成事実となって、これは侵入ということになるのでしょうけれども、今後もそのようなことがどんどん累増するようなことのないように、大変関心を持っているわけであります。ここでは今はっきりと自然によって壊されたとおっしゃっているのですけれども、そういう告訴状が出ている。これはどちらであれ、ちょっと明確に御調査いただいて、来週の半ばぐらいまでにぜひとも一応御報告賜りたいと思います。そのように自然によって壊されたというふうにどうして確認できたのかというようなことであります。これはお願いを申し上げて、この件に関しましては質問を終わります。  続きまして、非常に時間が短いので、どんどん展開しているようで恐縮でございますけれども、自治大臣に、東京都の都区制度に関しまして御質問を申し上げたいと思っております。  これは東京の都区制度、都というのは東京都、区というのは品川区とか世田谷区という区でございます。他方に特別区という言葉がございますので、都区制度と特区というのが少し混同することもたまにございますが、御承知のように、この東京二十三区、これは特別区でございますが、約八百万人の日本国民が住んでおります。私もその一員でございます。日本国民の約六%に当たるかなり大きな人口である。  この特別区は、例えば私の品川区等でも区議会がございまして、区議会は県議会や市議会と同じように公選されて議会を構成しております。また、区長さんはこれまた公選で、市長や県知事と同じように公選されている。都民の意識としては、どこどこの市長さん、どこどこの県知事さんというのと全く意識が違わないわけであります。  ところが、現実には、二十三区に住みます東京都民にとりましては、自治体というのは国があって自治体があって住民がそこにいるわけですけれども、東京都民、区民の自治体というのは何かというと、東京都しかないわけですね。東京都しかない。いきなり東京都になる。東京都というのは、今度は、ここに二十三区以外の選出の先生もおられますけれども、多摩とかそういった郡がございまして、そこも含めた、もちろん日本最大の自治体でありますし、また世界最大の自治体でもある。その一部が八百万人に対しまして自治体として機能しておる。非常に不明確な不自然な形になっておるわけです。  じゃ、区議会とか区役所というのがありますね。一体何をやっているんだというと、さまざまな問題に関しまして、東京都から、これはやっていいよ、これはやりなさいよ、しかしここのところはだめですよというふうな限定をつけられた委任を受けて行政をしている。ですから、世田谷区なんか八十万人前後ございまして、失礼ながら一部の県よりも人口としては大きかったりするわけでありますけれども、あれができない、これができないという形になっております。  非常にたくさんございますけれども、一番わかりやすく言いますと、区が借金をして何かの事業をしょう、区債を発行しようというふうな場合に、市とかいう場合には知事の許可で、つまりその府県内でいわば処理されて、わざわざ自治大臣、今質問申し上げています大臣の決裁を仰がなくてもいいという形になっております。ところが、これは世田谷区でも品川区でも、何かそういうことをやれば自治大臣へということになります。現実には非常に難しいので、なかなかといいますか、ほとんどそういったことが行われないということになる。  例えば、区が大学をつくろうというと、まずその話が、大学はだれがつくるのだ、市立大学というのはありますけれども、区立大学はもちろんありません。区立女性大学とか区立婦人大学というのはございますけれども、これは大学として認可されるものではないので、現実にはそういったことはできないから企画もされない。けれども、東京都の、あるいは区民の実際の行政に対するさまざまな要求やいろいろなことをやっていくということの中にはそれがあるわけです。  現在のところは法的にそれができないという格好になっているわけなんですが、これに関しまして、長くなりまして恐縮でございますが、東京都の都民、区民の方では、長年、これをほかの全国のどこの地域とも同じように通常の二層の自治構造にしていただきたい。二層というのは、都道府県があってその下に市町村がある。市町村でまず身近なことをやって、都道府県で比較的中規模に大きなことをやって、しかも地方分権という流れの中であれば、そこで外交や防衛や教育等にかかわるもの以外はやっていくのだ。課税権まで、そこまで出せという議論が進んでいるのはもちろん御存じだと思いますが、これができない。この二層のものにしていけというふうに長年議論としてなっております。  これに関しまして、既に要望等もいろいろ出てきておるわけでございますけれども、自治大臣として、まず一般的に御見解を賜りたいと思います。

白川勝彦自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○白川国務大臣 栗本委員御指摘のとおり、特別区という制度が、大変他の基礎的地方公共団体と言われる市町村と似ているようなところがありますが、法律的には明確に市町村と同じように基礎的地方公共団体と位置づけられていないことは事実でございます。そういうことを含めて、今、東京都、特別区の関係者の皆様方が、基礎的地方公共団体として明確に位置づけてほしいという要望をしていることは承知しておりますし、そのことはまた当然のことだろうと自治省としても考えております。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 ありがとうございます。  既にさまざまな議論の中で、これも御承知のとおり、国と都と区で連絡調整会議というのを設置してやってきております。また、これまでの自治大臣でも、野中自治大臣、深谷自治大臣等、大変御理解のある発言をされ、国としての御指導もいい方向で賜っているわけでありますが、その中で、平成十二年の四月一日にそうした改正を実施していくのだということがあちこちで言われて、大臣としての発言等もあったりしたわけでございますが、それでよろしゅうございますでしょうか。

白川勝彦自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○白川国務大臣 都区制度の改革につきましては、東京都及び特別区において、平成十二年四月に改革を実施するということで合意していると承知しております。自治省といたしましても、関係者の合意や制度改革に必要な環境整備の状況を踏まえて、平成十二年四月に制度改革を実現することをめどといたしております。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 平成十二年といいますと、もう目前であります。そこで、実際に実施をしていくということであれば、法改正は地方自治法の改正でございますけれども、つまり、東京の二十三区をそれぞれ基礎的な地方公共団体として位置づけるということであります。もちろん、そこで区という名前をそのまま存続すれば、大阪にも区がございます、川崎市にも区がございます。これが基礎的な地方公共団体であって、それが区という名前を持っているということであれば、法律の条文上の整合性をどうするのか。  これは白川大臣も法律の専門家でありますから、そうする方向で努力が全然ゼロだということじゃないということは私もよくわかっておりますが、それにしても、実際にその仕事もしていく。実施ということは、実際に仕事もしていくんだ。具体的には、清掃事業等もやっていく、ほかにも多々ございますけれども。そういうことであれば、平成十二年四月一日の実施だと平成十年ごろ、つまり来年の法改正でもこれは間に合うというような見解も地方行政委員会等で一部出ているようでございますけれども、他方で、ことしは平成九年であります。間に合うから、間に合うぎりぎりでやればいいということでいいのかどうか。あるいは、平成九年でも、一定の条件が整ってくるならば、これはそうした実態を踏まえた上で、よい時期というのが十年でなく九年ということがもしあれば、別にその何年ということにこだわらず、条件が整っていった場合には諸般の問題をクリアすればいいのではないだろうかというふうに私どもは強くこいねがっているわけでありますけれども、そのあたりに関しまして、大臣の御見解を賜りたいと思います。

白川勝彦自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○白川国務大臣 この問題については、栗本委員を初め東京都選出の我が党の議員の先生からもいろいろとお話を聞いてまいりました。また、関係の区長さんたちも何度も大臣室に見えられまして、都区制度改革の実現というものに今大変強い熱意を持って取り組んでおられるということを、私も大臣就任以来感じております。  そこで、大事な問題でございますので、いろいろと事務当局とも昨夜来詰めまして、こういうふうに私どもは考え、取り進めてまいりたい、こう思っております。  都区制度改革は、関係者が、平成十二年四月実現に向けて諸課題の解決のために鋭意努力しているところであります。自治省といたしましては、条件整備が達成されることを期待し、条件整備が達成されることを前提に、都区制度改革の実現のため、地方自治法の一部改正が早期にスムーズに行われるよう、関係法令の改正等を含めてこれまで以上に一層努力してまいる、こういう覚悟でございます。

栗本慎一郎自由民主党

○栗本委員 ありがとうございました。  もとよりこの問題は、国、自治省だけではなく、東京都及び現在は東京都に所属している、そして、一部業務と機能の委託を受けているという格好になっております特別区が、諸般の問題に関しても総合的に合意をし、また努力をしなければならないことであることはよくわかっております。国会だけの問題でないのはよくわかっておりますけれども、私ども東京の都民を代表しております議員も、一生懸命この点に関しまして調整のための努力をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

中川秀直自由民主党

○中川(秀)委員長代理 これにて栗本君の質疑は終了いたしました。  次に、平沢勝栄君。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。このような機会を与えていただきまして、心からお礼申し上げます。  きょうの新聞によりますと、予算委員会、居眠りが多いそうでございますけれども、これから大事な質問をさせていただきますので、大臣の方はもちろん、委員の方も絶対に居眠りしないで聞いていただきたいということをまずお願いしたいと思います。  まず、これからオレンジ共済について質問させていただきますけれども、オレンジ共済は、警視庁の生活安全部というところがやっているわけでございます。私もかつてそこに勤めていたわけでございますけれども、大変に体制の弱いところですけれども、私は本当によくやっているという感じがしております。捜査員の御苦労に心から拍手を送りますとともに、きょうこれからいろいろと質問させていただきますけれども、これは警視庁からいただいた情報では全くございませんで、私自身が直接足で稼いだ情報だということを、まず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。  そこで、オレンジ共済についてでございますけれども、今国民の皆さん方は、このオレンジ共済について大変に関心が高いだけではなくて、どうなっているんだろうという政治不信も極めて高くなっておりまして、いわば、怒りもピークに達しつつある。それに対して政治家の方からきちんとした説明がなされていない、こういうことでございまして、私も選挙区が東京でございますので、毎日自分の選挙区に帰っているわけでございますが、きのうも、夜遅くまで地元のいろいろな会合を歩いておりますと、このオレンジ共済というのはどうなっているんだ、関係者がいろいろなことを言っているんだけれども、これはうそじゃないのか、こういう質問がいろいろと出るわけでございます。  したがいまして、この問題は、本院としてもぜひ徹底的に究明するとともに、被害者もたくさんおられるわけですから、被害者の対策をどうするかということを考えていかなければならないということで私は考えております。  いずれにしましても、いろいろな政治家の問題がございましたけれども、今回のこの問題は、選挙制度そのもの、それから政治への信頼そのもの、ひいては民主主義の根幹にかかわる問題ということで、ぜひ徹底した解明をこれからも続けていきたいということで考えております。  そこで、国民の皆さんが今一番考えていることは、このオレンジ共済の金が政治家に渡っていたのかいないのか、あるいは、友部議員が比例の十三位にランクされたときに金が動いたのか動かなかったのか、この辺を一番知りたがっているわけでございますけれども、これについて、今のところ何らはっきりした説明がなされていないわけでございます。  新進党のプロジェクトチームは、金の授受は一切なかったという調査結果を出されております。そして、細川元総理も、おととい成田で記者会見されまして、選挙の前にも後にも金銭の授受は一切なかったということを言っておられます。  しかし国民の方々は、いろいろな今までの報道から、あるいは今までの関係者の証言から、本当だろうかという疑問を持っているということをまずわかっていただいて、そうした疑問に答える努力というのをぜひ関係者の方々にはやっていただきたいと思います。  それで、もし金の授受がなかったとするならば、なぜ友部議員が十三位にランクされたのか、この辺についてきちんとした説明がなされなければならない。可能性としては幾つかあるだろうと思います。  一つは、人材がいなかったという可能性もある。だから上げなきゃならなかった。だけれども、こんなばかなことはないはずで、新進党さん、いっぱい人材がおられるわけですから、人材がいなかったという説明は、一つ理論的には可能だけれども、そんなことはあり得ないと私は思います。  それからもう一つの可能性として、友部議員がこういう議員だということを全く知らなかったということも可能性としては考えられる。しかし、ちょっと調べればすぐわかるはずです。かつて、  一九七四年にも同じようなことを起こしているし、関係者等から聞けばすぐわかるはずです。企業だって、だれか人を採用するときには、ある程度は調べます。全く知らなかったという説明、これも私の方からすれば納得できない。  それからもう一つの説明として、党でコンテストをやったけれども、このコンテストが全く形式的だったということもあり得ますけれども、これも国民に対して納得できる説明にはならないだろうと思うのです。どんな企業でも、商品を売るときにはきちんとした品質管理をして国民の皆さんに売るわけです。そして、そこにもし欠陥があればそれなりの責任をとる。比例代表というのは、言うまでもなく党として自信を持って推薦する、そのためにランクを並べているわけですよ。そこにもし、一切きちんとしたバックグラウンド調査もしなかった、形式的な審査でやりましたということであれば、その欠陥商品を国民に売りつけたその責任はどうなるかという問題になってくるわけです。この辺についてもきちんとした説明がなされていないわけです。  それで、今、国民の皆さん方は、金が動いたんじゃないかという疑問を持っている。そして、マスコミもそういう観点からいろいろな報道がなされている。  例えば、井上前参議院議員はマスコミにこう言っています。過去の選挙で泡沫候補に近い友部議員が十三位と聞いたとき、裏で金が動いたと思った、こういうことを言っております。それから、これも新聞に報道されていることですけれども、新進党の選対関係者の話として、えたいの知れない男と反対論も出ていたが、有力議員が強引に押し込んだ、こういう記事も出ています。こういう記事が周囲の証言と合っているわけでございます。したがって、うさん臭い人物かもしれないけれども十三位にランクせざるを得なかったんじゃないか、それは何だという疑問を国民の皆さんは持っておられるわけでございます。  そこで、私は、これから本論に入らせていただきます。いろいろある中の一つ、細川さんが昨年の六月二十五日、オレンジの関係者と会食しておられるわけですけれども、そのときの問題について、これからちょっと質問させていただきたいと思います。  この会食については、昨年の十一月二十三日の毎日新聞が詳しく報道しております。この報道は、私が独自に調べたところ、大体合っておりますけれども、この新聞の中で細川さんと初村さんがコメントしておられますけれども、このコメントについては、とても私の調査から見てみると納得できないという感じがしております。したがいまして、この問題について、今から質問させていただきます。  この会食は、昨年の六月二十五日の夕方、中央区のある一流ホテルの鉄板焼きの料理屋で開かれたものでございます。出席者は、オレンジ共済側から、オレンジ共済専務理事の友部百男容疑者、そしてオレンジ共済理事の大久保維曙容疑者、そして細川元総理、そして初村前衆議院議員、この四人でございます。オレンジ関係者約二十人が出迎える中でこの四人が、オレンジ関係者とは別の個室で会食を持ったわけでございますけれども、警察当局に聞きますけれども、この事実を把握しておりますか。

泉幸伸警察庁生活安全局長

○泉政府委員 今御指摘のような報道がなされておることは承知しております。また、事実関係を十分解明すべきであるという御指摘も受けているところであります。  現在、本件詐欺事件は、約二千六百人の一般市民から八十億を超える金銭をだまし取ったという大型詐欺事件であります。六名の被疑者を逮捕して捜査中であります。当該事件捜査において、その使途先の解明というのは非常に枢要なポイントでございます。そのような観点で、使途先の解明ということで事実関係の調査はしております。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 ここからが大事なことなんですけれども、この会合がなぜ開かれたかということなんですけれども、私が関係者から直接聞いたところでは、細川さんサイドからこの会合を開いてくれという要求があったということなんです。細川さんサイドの方から、近々衆議院の総選挙がある、ついては金を用意してくれないか、五千万ほど用意してくれないか、こういう話があったということなんです。それで、オレンジ側としては、五千万というのは無理だけれども、差し当たって、じゃ、三千万用意いたしましょうということでこの日の会合が開かれた、こういうことで私は聞いております。  そして、百男容疑者は、本来なら細川元総理は来なくてもいいんですけれども、今まで百男容疑者は人を介して政治家に金を配っていた、ところが人を介して金を配っていると猫ばばされる可能性もある、その形跡もあった、したがって今回はその当の政治家に直接渡したい、こういうことでこの会合を持ったという、そういう話があるんですけれども、この点について警察は把握していますか。

泉幸伸警察庁生活安全局長

○泉政府委員 先ほども申し上げましたとおり、ただいま御指摘の事実につきましては、それがどのような実態であったのか、仮にそういう状況があるとすれば、詐欺事件の資金の使途先に関係するもので、現在捜査中でございます。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 この会合の席上、三千万円が渡されるわけなんですけれども、この三千万円について、細川元総理は毎日新聞の記事の中でこのように発言しております。  私は用事があって一足先に帰った。しばらくして初村さんから「もらった紙袋に二千万 か、三千万円入っているがどうしようか」と電話があった。「どういう意味の金だ」と 聞いたところ「よく分からない」というので「お返ししてください」と指示した。 こういう細川元総理の発言が毎日新聞に出ておりますけれども、これが私の調査とかなり食い違っております。  会食は、先ほど申し上げましたように四人で行われたわけでございます。そこで、鉄板焼きですから、そこにシェフがいるわけです。そのシェフを、出ていってくださいということを言って人払いしているのです。そこで、私の方が聞いたところでは、このお金を百男容疑者が細川元総理に直接渡した、そして、細川元総理は立ち上がってありがとうございますと言ったという、こういう話がございます。  そこで、もし本当に受け取っていないなら、きちんとした説明をしなければならない。そして、本当に問題がない、話し合いだけと細川さんがおとといの記者会見で言っていますけれども、単に熱帯魚の話とか何かだったら、なぜシェフを人払いしなければならないのか。普通、人払いをするということは、何らか密談あるいはその行為を見られては困るから人払いをするわけなんです。なぜ人払いしなければならなかったか、この辺も含めてきちんとした説明が必要だろうと思います。  そして、この三千万円の金については、初村さんは四カ月間手元に置いておいたということを言っております。しかも、この問題が報道されて、オレンジ共済の疑惑が報道された後、慌てて返したという感じがいたします。  そこで、この三千万円のお金なんですけれども、オレンジ側の関係者が、初村さんの方から返すということで、直接長崎空港まで取りに行って返してもらっているのです。そして、そのときに返してもらったお金というのが、初村さんはそのまま四カ月手元に置いておいたと言っていますけれども、オレンジの関係者の話では、そのとき返してもらったお金は最初に渡したのと帯封が全然違う、そういう話もございます。  そこで、警察当局に聞きたいのですけれども、この初村さんが四カ月手元に置いておいたという三千万円、これはだれがどういう形で保管していたのか、そして使ったのか使わなかったのか、この辺の調べはやっているのかどうか、それをちょっと警察当局に聞きたいと思います。     〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕

泉幸伸警察庁生活安全局長

○泉政府委員 具体的詳細事実を御指摘しての御質問でございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在、このオレンジ共済にかかわる詐欺事件につきましては、その資金の使途先の解明ということを捜査の一環として行っております。その中で、現時点において捜査上どのような事実が認定し、あるいはできていないかということは、捜査中にかかわる事実でございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 いずれにしましても、オレンジ共済の関係者が初村前議員側からの連絡で長崎空港までお金を取りに行っているわけですから、行ったのはだれで、これは私の方は直接聞いていますけれども、だれで、その人物について直接事情聴取、これは警察にぜひお願いしたいと思います。  そこで、国税と自治省に聞きたいのですけれども、このお金を四カ月間手元に置いておいたということを言っていますけれども、いずれにしましても、一体、この三千万円の金は受け取ったわけですけれども、このような形で受け取ったということは所得税法あるいは政治資金規正法上どうなるのか、これを国税と自治省に聞きたいと思います。

堀田隆夫国税庁次長

○堀田政府委員 御指摘のように個別にわたる事項につきましては具体的に答弁することを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論で申し上げます。  政治家個人が政治資金を受けた場合の課税関係でございますけれども、政治家個人が提供を受けた政治資金につきましては、所得税の課税上、雑所得の収入として取り扱うということになっておりまして、この雑所得の金額は一年間の収入金額から必要経費の額を差し引いて計算するということになっておりますので、その政治資金収入から政治活動のために使った金額を控除して計算する。控除して残額がある場合には、それに課税されるということになるわけでございます。  ただ、以上は資金を受け取った、受領した場合ということでございまして、預かり金ということでございますればただいまの雑所得の収入金額には含まれないことになりますので、課税関係は生じないということになります。  この場合、預かり金であるのかどうかということにつきましては、事実関係を確認の上判断するということになります。

牧之内隆久自治省行政局選挙部長

○牧之内政府委員 あくまでも一般論でございますが、一たん寄附として収受したものであれば、たとえ後に返却した場合でありましても寄附を受領したことになります。  また、献金の額が政治資金規正法で認めた額の範囲内であるかどうかということにつきましては、寄附をした側あるいはそれを受領した側によりましていろいろと内容が異なっておりますので、個々具体の事例でないとお答えできません。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 関係者の話を聞いてみますと、総選挙の直前に細川さんは、新進党の旧日本新党の関係者に陣中見舞いというか金を渡しているということなのですけれども、もちろんこれがこのときの金という保証は全くないのですけれども、いずれにしましても、こういった点も含めて、細川さんにはきちんとした国民にわかるような説明をしてもらいたいということをお願いいたしたいと思います。  それから、続けてこのときの会食について質問させていただきますと、これは先ほど申し上げましたように、ある一流ホテルの鉄板焼き屋でやられた会食でございますけれども、このときの料金、一食幾らだと思いますか。一人頭、二十万円ですよ。二万円じゃなくて二十万円ですよ。一人ですよ。  細川さんがおととい記者会見でこういうことを言っている。おとといの記者会見で、そのときひたすら肉を食べワインを飲んでさっさと帰ったと。これは二十万円の食事だから、ワインを飲んで肉を食べるのも当たり前だと思いますよ、これはおいしかったと思いますよ。私はどういう食事かわかりませんけれども。  いずれにしましても、これが二十万円。そして私が関係者から聞いたところによりますと、細川さんは、この食事が終わって帰られたときに、お土産をもらって帰られている。このお土産が関係者の話によりますと約三十五万円。高級ワインと牛肉、その値段は約三十五万円です。  食事代が二十万円、一人ですよ。そしてお土産が三十五万円。まあこれについてどう思うかというのは、聞きたいのですけれども、だれに聞いていいかわからないからそれはやめますけれども、細川さんはかつて総理のときに、たしか赤坂の料亭政治打破ということを言っておられたのです。それは、赤坂の料亭は密室だ、そして料金が高いということも入っていたのだと思うのです。しかし、その細川さんが、こういう詐欺師の人たちとホテルの密室でこれだけ高い食事をして、そしてお土産をもらって帰ったと言われているんです。これはどうですか。料亭政治打破と言っていた方がこんなことをしている。これは私は、余りにもおかしいんじゃないかなという感じがしております。  この友部百男容疑者、ホテルでもいろいろと問題を起こした、いわばホテルでもアンウエルカム、歓迎せざる客だった、そういう方なんです。もちろん、暴力団との関係もいろいろとうわさされている。そういう方と一国の元総理が、ホテルの個室でこうした食事の接待にあって、お土産をもらって帰ってきたということが言われている。これはどう思われますか。余りにおかしいんじゃないですか。これについてきちんとした説明を細川さんは、当院ではもちろんのこと、国民の皆さん方の前でしていただきたいということを強くお願いしたいと私は思います。  しかしながら、細川さんは、友部議員が逮捕された二十九日、こうしたことについては何ら説明しないまま、カナダの知的障害者のスポーツ大会というところに行かれて、そして五日に帰国されて、そしてマスコミに捕まって、そこで記者会見しているわけです。そのマスコミの会見に対して、日本に残ったからといって今まで以上に申し上げることはない、こういうことを言っておられるわけですけれども、国民の皆さんは今細川さんから聞きたいことがいっぱいあるわけですよ。それを何ら説明しないで、二十九日にカナダに行かれた。これはどうでしょうか。石川県の市長が重油の騒ぎの最中に外国に行っていた、あるいは石川県の町村議長会が重油の最中に外国に行ったということで世論の指弾を浴びたわけです。これだって、それ以上に私は重大な問題だと思うんです。  じゃ、厚生省に聞きますけれども、知的障害者のスポーツ大会というのは、これはどんな大会なんですか。それで、細川さんは公的な資格で、ステータスで行ったんですか、それとも私的なステータスで行ったんですか、ちょっと答えてください。

中西明典厚生大臣官房総務審議官

○中西政府委員 今議員御指摘のスペシャルオリンピックとは、一九六八年に設立されたアメリカのスペシャルオリンピックス財団という民間団体が開催しております知的障害者の国際的なスポーツ大会であると承知しております。この大会は、夏季、冬季、それぞれ四年に一度開催されておりまして、本年二月二日から八日まで、カナダのトロント市等において冬季大会が開催中であるということでございます。  民間団体のスポーツ競技大会でございますので、恐らくは私的に参加されたんじゃないかというふうに推測しております。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 もちろん、この知的障害者のスポーツ大会も大事な大会だと私は思います。しかし、今これだけ国民の関心が高まっているときに、優先順位からしたらどっちが大事かということは細川さんだってわからなきゃならない。そういった観点からしても、私は、今回の、二十九日からカナダに行かれたこの細川さんの外遊は大変に遺憾だという感じがしております。  そこで、次の質問に入らせていただきますけれども、新聞報道で、参議院の石井一二議員の応援にオレンジマネーの八百万円が支払われたんじゃないかという、こういう疑惑が報じられております。名簿で友部議員を上位にするために、選対の委員でもあります石井議員に何らかの応援をしたいということで、オレンジ側が八百万の費用を負担して、そして派遣したということのようでございます。  自治省に聞きたいんですけれども、こうしたタレントによる候補者個人への応援、これに実費を超えるこうした報酬が支払われた場合には、これは当然のことながら公選法に触れる疑いがあると思いますけれども、自治省どうですか。

牧之内隆久自治省行政局選挙部長

○牧之内政府委員 私どもは具体的な事実関係につきましての調査権限を有しておりませんので、具体の事案につきましてのお答えはできかねるところでございますが、一般論として申し上げますと、公職選挙法におきましては、選挙運動に従事する者に対しまして報酬を支給できますのは、選挙運動のために使用する事務員、それからいわゆるウグイス嬢、車上運動員に限られておりまして、またその数も、その額も一定の額の範囲内でなければならないとされているところでございます。  これら以外の選挙運動者に対しまして、当選を得もしくは得しめまたは得しめない目的をもちまして金銭等の供与をしたときは、供与をした者あるいはまた供与を受けた者、双方とも公職選挙法第二百二十一条に違反し処罰されることとなっております。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 今自治省の方から、法に触れる疑いがあるということなんで、当然のことながら、警察当局はこの問題について徹底した捜査をやると思いますけれども、警察当局いかがですか。

泉幸伸警察庁生活安全局長

○泉政府委員 御指摘のような報道がなされていることは承知しております。  いずれにしましても、先ほど来御答弁申し上げております詐欺事件の資金の使途に関係するものであります。警察は、証拠に基づきまして、どのような事実があったかというものを認定していく立場にございます。そのような過程において、法律に違反する犯罪事実を認知すれば、適正に対処することは当然でございます。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 警察としてそこまでしか答弁できないのは当然だろうと思いますけれども、ぜひ徹底した捜査をお願いしたいと思います。  そこで、今後の捜査の進め方について、ちょっと最後にお聞きしたいと思いますけれども、報道によりますと、この事件は、今詐欺事件として警察が着手したわけですけれども、今後、政界工作解明の問題が出てきたということで、東京地検も専従班をつくってやっているということのようでございます。そこで、法務省、検察当局に聞きたいんですけれども、どういう体制でやっているのかということ、そして詐欺事件で警察が入って、当然警察が政界工作の方もやったっておかしくないわけで、詐欺事件は警察、残りは検察ということはないと思いますけれども、この辺、検察はどういうふうに考えているのか、その辺も含めて検察にお聞きしたいと思います。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お尋ねの事件につきましては、検察当局におきまして、警察当局から詐欺事件の送致を受けまして、警察当局と緊密な連携を図りながら、現在事案の解明に向けて鋭意捜査を行っているところでございます。  今後ともそのための努力を続けるわけでございますが、一部報道、御指摘のような報道があったことは承知しておりますけれども、いわば、検察庁といたしましては、第一次的な捜査機関である警察当局からその捜査の結果としての事件送致を受けましたので、ただ、事件が大変多数の関係者を含むものでございますから、通常検察としては他の事件もあわせてということもあり得るわけでございますけれども、この事件に関しましては、特別な機動班ということで、ある程度専従させて捜査いたしませんと警察当局との連携がうまくいかないという状況があるのだろうと思います。そういう状況から、警察当局と緊密な連絡をとって、現在鋭意捜査を進めているものと考えております。  なお、どういう体制で、どういう形でということは、捜査体制の中身でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。  また、最後にお尋ねになりました、何かこの事件について、ある部分については検察がみずからすべてやるとかというような立場についてのお尋ねでございました。  これは、委員のお立場として、御懸念ないし御心配といいますか、広い立場からのお尋ねであり、どのような形で捜査をしていくかということ自体についてもお答えは差し控えなければいけないのでございますけれども、せっかくの御懸念でございますので、今後とも検察当局といたしましては、警察当局と緊密な連絡をとりながら、相補いつつ適正な捜査を進めてまいるものだろうと考えております。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 国家公安委員長、一言ありますか、今の問題について。

白川勝彦自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○白川国務大臣 直接聞いたわけではありませんが、私は新聞を見まして、東京地検が新進党に捜査協力の要請をしたという文書は、国家公安委員長として余り素直に受け取れない記事でございました。これは毎日新聞でございますが。  そして私は、この問題について、警察庁の幹部でございますけれども、例えば詐欺だ、おどしだのたぐいは警察の仕事、しかし政治家が絡むような話は東京地検というようなのは、別にどこかで決めているわけでもないよと、今回の事件はあくまでも多額の事件であり、多数の善良な市民から多額の金を詐取したという事件であるから、それがどういう方々に及ぼうとも、国民は事案の全容解明を求めているのだから、警察当局としても引き続き捜査を徹底してやってください、そのことを国民は期待しているということを国家公安委員長の立場から申し上げておきました。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 今国家公安委員長からありましたけれども、検察庁が新進に捜査協力を要請したというコピーを私もここに、手元にあるのですけれども、もし本当に疑惑があればそんなことは要請しなくてもやればいいわけで、こういう捜査協力要請というのは、私も長年捜査をやってきましたけれども経験ないことなので、ちょっとどういう趣旨のものなのか、教えてください。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 御指摘の報道がなされたことは承知しております。この報道におきまして、東京地方検察庁の検察官が協力を要請したという記載につきましては、実は、小沢一郎衆議院議員の告訴に係る名誉毀損事件が告訴されたのでございます。その過程で、その手続に関与されました弁護士さんを通じまして、東京地検の検察官とは、当然のことでございますが、告訴をいただきますとそれの背景事情等も含めてやはり捜査には御協力いただかなきゃならないわけで、その点について、よろしくお願いしますという趣旨のことが話されたということでございまして、この事件について特段の手続がなされたということではないと考えておりますので、その点はどうぞ、せっかくのお尋ねでございますので、誤解のないようによろしくお願いいたします。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 検察と警察、お互いに協力関係にあるわけですから、ぜひ相協力して徹底した実態の解明に当たっていただきたいということをお願いしたいと思います。  最後に、もう時間がなくなりましたけれども、被害者の救済の問題について若干触れさせていただきたいと思います。  今回のオレンジ共済の被害者は約二千六百名に及ぶ、その被害者は九州の方にも多いということが言われているわけですけれども、被害者の方何人かからもお聞きしましたけれども、本当に困っておられるわけでございまして、被害者の方の救済ということもこれから考えていかなければならない。  そのためには、警察は、当然のことながら不明金の使途というのは詐欺事件の立件のために絶対に必要ですからやると思いますけれども、同時に、関係者が金を万が一の場合隠している可能性があるわけですから、それをもし隠しているということになれば、きちんとした使途を解明すれば、その隠している金を被害者の救済に少しでも充てることができるわけです。その意味で、警察当局は今後、使途の徹底した解明をお願いいたしたいと思います。  時間がないですから、あとはもう質問しませんけれども、あと同時に、今回の件で、いずれにしましても細川さん、それから初村さん、そして都議会の新渡さん、ちょっと時間がないからきょうは質問できませんでしたけれども、いろいろ名前が出ているわけです。こういった方々は、この場、それから国民に対してきちんとした説明をする必要があるだろうと思います。と同時に、こうした被害者の方々に、個人として、あるいは党として何ができるのか、そういったことも私はやるべきではないかなという感じがしております。  おととい、細川さんが帰ってこられた記者会見で、被害者の方へのおわびというのは一言もないのです。被害者の方だって怒っているはずです、これ。やはり二千六百人の方が、これだけなけなしの金を持っていかれたのです。そして細川さんは、そうした金で接待を受けたことは間違いないのですから。ですから、細川さんは、そうした被害者に対するおわびの言葉、これがあってしかるべきだと思いますけれども、ぜひ今後、細川さんの良心に期待したいということをお願いいたしたいと思います。  いずれにしましても、細川さん、初村さん、それから新渡都議会議員、この三名については、今後当委員会でも場合によっては事情聴取とかいろいろな形でやっていただきたいということをお願いいたしたいと思います。話をいろいろ聞いていただきたいということをお願いしたいと思います。  それから最後に、この事件、大変な事件なので、今後この事件について法務省あるいは警察庁、徹底的に事態の解明に当たると思いますけれども、その辺の決意について、法務大臣と国家公安委員長にお聞きしたいと思います。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 非常に重大な事件でございますので、法と証拠に基づいて厳正な捜査を続行するということをかたくお約束を申し上げておきます。

白川勝彦自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○白川国務大臣 本件は、何度も申し上げておりますが、多額の全員を多数の善良な市民から言うならばだまし取ったという悪質な事案でございますから、今委員がお触れになったように、入りは大体押さえておるわけでございますが、出の部分についても全容が解明されなければならないものと私は承知をいたしております。  そして、我が日本警察は、そのことを淡々とやり、予断もなく、一方ではまた偏見もなく全容を解明する中で、法律に違反する事実があれば、そこに法を適用して厳正に対処するものと承知しております。

平沢勝栄自由民主党

○平沢委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

深谷隆司自由民主党

○深谷委員長 これにて平沢君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る十日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会

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