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140回国会衆議院1997/05/14

法務委員会 第7号

発言数
149
登壇者
23
会派数
5
開催日
1997/05/14

会議録

八代英太自由民主党

○八代委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八代英太自由民主党

○八代委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————

八代英太自由民主党

○八代委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。漆原良夫君。

漆原良夫新進党

○漆原委員 おはようございます。新進党の漆原でございます。  私の方からは、選択的夫婦別姓制度の導入と非嫡出子の差別撤廃に関して質問させていただきます。  法制審議会は、一九九一年一月以来、民法改正について審議を重ねまして、一九九六年二月、選択的夫婦別姓制度の導入と非嫡出子の相続分差別を撤廃することなどを内容とする民法の一部を改正する法律案要綱を答申いたしました。  しかし、その後、政府はこの答申に基づく民法改正案をいまだ国会に上程されておりませんが、法務省といたしましては、この答申に基づく民法改正案を今国会に上程するおつもりがあるかどうか、あるいは、いっその法案を提出されるおつもりなのか、その辺をお伺いしたいと思います。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 極めて基本的な問題で、国民生活にかかわる重要な問題でございます。そういう意味で、国民各層及び関係各方面の意見が非常に分かれておるということが現実でございますので、国民の皆様の御理解を得ることができる状況で改正法案を国会に提出するのが最も適当だろうと思っておる次第でございます。

漆原良夫新進党

○漆原委員 憲法は、十三条で個人の尊厳、十四条で法のもとの平等を規定しており、さらに二十四条で、家族法は、「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」と重ねて規定しております。ところが、民法七百五十条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」として、夫婦同姓を強制しております。  氏名は個の表象でありまして、個人の人格の尊重、個人の人格の重要な一部でありまして、憲法十三条で保障する人格権の一内容を構成すると考えられます。この点に関しましては、最高裁で昭和六十三年二月十六日付の判決がございまして、一部引用しますと、「氏名は、」「人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成するものというべきである」というふうに判示しておりまして、判例評釈でも、この判決は、「氏名権を人格権の派生的な権利であることを認知し、かつ、正確に呼称することをもその氏名人格権の一内容をなすものとした点において、画期的な意義を有する判決である」というふうに判例評釈をされておるわけでございます。  したがって、自分の意思に反して氏名を変更されることを強制されないという権利、これも人格権たる氏名権の内容として、私は、憲法十三条に保障されている権利と言えるのではないか、こう考えます。  また、実際、一九九四年の厚生省の人口動態統計では、改姓をしたのは九七・四%が妻の方である。したがって、同姓を強制することによる不利益というのは、ほとんどの場合が女性が受けているというのが現実だと思います。  このような法的権利性の観点、事実上の問題の観点から考えまして、夫婦同姓を強制するこの民法の七百五十条というのは、憲法の十三条、十四条、そして二十四条に抵触するおそれがあると私は考えるものでありますが、大臣の御見解はいかがでございましょうか。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 お答え申し上げます。  民法の現在の規定は、婚姻は当事者の自由な意思によるものとしている上、夫婦が夫の氏を名乗るか、あるいは妻の氏を称するか、それは自由でございまして、対等な選択肢として用意しておりますから、御指摘のような憲法違反というような観点から眺めまして、そういうことには当たらないのではないかというふうに私どもは考えております。

漆原良夫新進党

○漆原委員 憲法違反には当たらないというふうに大臣はお考えだ、こういうことでございますね。  先ほどの最高裁の判例を私が申し上げましたが、氏名権というのは人格権の一内容であるということを最高の判例は表示しているわけでございます。この最高の判例にかんがみても憲法違反のおそれは全くなしとするお考えでございましょうか。それとも、憲法違反のおそれ、明確な憲法違反ではないが、あるいは何らかの改正を要請される状態であるというふうにお考えでございましょうか。その辺の大臣のお考えをお聞きします。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 ただいま御指摘をいただきました昭和六十三年二月十六日の最高裁の判示、これは、自己の氏名を正確に表示することが極めて大切であるということを判示したものであるということについては十分認識をいたしておりますけれども、そのことと夫婦の一方が婚姻に際して氏を改めるかどうかという問題とはおのずから別の問題だと考えております。したがって、全く憲法違反のおそれはないというふうに理解をいたしておりますので、どうこうということを、措置をとる方向では考えておりません。

漆原良夫新進党

○漆原委員 大臣の見解をそのままお伺いしておきます。  それでは、条約関連でちょっとお尋ねしたいのですが、国際人権規約の二十三条、これはこう規定をしております。「婚姻に係る配偶者の権利及び責任の平等」をこの条文は保障しております。また、女子差別撤廃条約の十六条の一項(g)という項目は、「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」を保障しております。また、一九九〇年七月二十四日に採択されました国際人権規約委員会の、先ほど申しました二十三条に関する一般意見がございます。この一般意見では、「各々の配偶者が各自の原家族名を使用する権利(使用し続ける権利)を保留する権利、又は平等な立場で新しい家族名を両配偶者が共同で選択するという権利が各国政府により保障されるべきものである」と述べられております。  まず第一点は、夫婦同姓を強制する我が国の制度は、我が国が批准したこれらの条約に違反するのではないかと考えます。また、この制度を改正しないでこのまま放置しておくということは、憲法九十八条二項で規定しております条約遵守義務に違反するのではないかというふうに考えますが、この二点について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 その問題につきましては、極めて専門的な問題になりますので、政府委員の方から答弁させます。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 御指摘の人権B規約、女子差別撤廃条約の規定があるわけでございますが、この条約の関係につきましても、我が国憲法上の問題についてただいま大臣が御答弁申し上げましたとおり、我が国においては、両性の自由な合意による婚姻ということが確保されておりますし、婚姻に際してどちらの氏を選ぶかということは全く対等の関係で規定をされているという観点から、条約そのものに違反するものではないというふうに考えておるところでございます。

漆原良夫新進党

○漆原委員 この女子差別撤廃条約、先ほど申し上げました十六条第一項の(g)という点ですね。これに「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択をする権利を含む。)」こういうふうに氏名についても規定されておるわけですが、この点はいかがでございましょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 まさに夫及び妻に同一の権利が認められるということが要請されているものと存じます。そういう意味で、我が国の民法は、ただいま申しましたように、どちらの氏を選ぶかということは双方の合意によって自由に定めることができる、その間に差別を設けておらないということでございますので、この規定に抵触するものではないというふうに理解しております。

漆原良夫新進党

○漆原委員 そうすると、この条約に全く抵触するものではないというふうな御見解と聞いてよろしいですか。抵触する可能性があるというお答えもあるだろうし、抵触しないというお答えもあるだろうし、抵触するというお答えもあると思うのですが、この法文上抵触すると解釈する余地は全くないというふうにお聞きしていいのでしょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 立法政策の問題としてどちらが適当であるかという問題は別にいたしまして、条約に抵触するかどうかという観点からは、法務省といたしましては、この条約に抵触するものではないという考え方を持っているわけでございます。もちろん、考え方によっては、その条約に抵触するという御意見をお持ちの方はおられるかもしれませんけれども、法務省としては、そういう懸念はないというふうに考えているところでございます。

漆原良夫新進党

○漆原委員 そうですか。もう一回だけ確認しますが、先ほど申し上げました国際人権規約委員会の二十三条に関する一般意見で、おのおのの配偶者が各自の原家族名を使用する権利あるいは使用し続ける権利を留保する権利ですね、これを各国政府は保障するべきである、この意見についてはいかがでございましょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 その意見の詳細、突然の御質問で、今直ちに思い起こしませんが、人権B規約二十三条を見ましても、この条約自体にそういうことが規定されているということではないと思います。したがって、二十三条に抵触するということはないものと考えております。

漆原良夫新進党

○漆原委員 この問題につきましてはそういう見解としてお伺いしておきますが、今申し上げた一般意見書というのをぜひお調べいただいて、また後日改めてお聞かせいただきたいと思います。  その次に移ります。  非嫡出子の相続分差別についてお尋ねしますが、民法九百条四号ただし書き前段は、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一」とすると規定しております。この規定の立法趣旨というのは、私が受験時代に学んだことを思い起こしますと、法律婚主義を維持し担保するために、法律婚主義に違反した婚姻に不利益を課するのだ、こういうふうに学生時代教わったわけでございます。しかし、法律婚主義に違反したというのは親であって、決して生まれてくる非嫡出子自身には責任がないわけでありまして、どうすることもできないわけでございます。  このような差別は、憲法十四条で規定されている社会的身分による差別ではないのか。したがって、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とするというこの条文は、憲法十三条、二十四条の精神に反するとともに、法のもとの平等を定めた十四条に明確に違反するのではないかと私は考えるものでございますが、大臣の所見はいかがでございましょうか。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の二分の一と定めた民法九百条の規定は、法律上の家族関係の保護という観点から合理性を持つものであって、嫡出子でない子を不合理に差別するというような考え方からできておるものではないというふうに考えております。

漆原良夫新進党

○漆原委員 確かに、私が教わったころの解釈と今の最高の解釈とはちょっと違ってきているようですね。それはともかく、そういうふうにお聞きしておきます。  この問題について、裁判所の動向を調べてみましたので、お聞きいただきたいと思います。  東京高等裁判所は、平成五年六月二十三日に、「当裁判所は、民法九百条四号但書前段の規定は、憲法十四条一項の規定に違反し、無効であると解する。」という違憲判決を出しているわけでございます。その後、最高裁は、平成七年七月五日に、今度は合憲という解釈をいたしました。これは、十五名の裁判官のうち十名が合憲、それから違憲とする者は五名、こういうことでございます。  しかし、ここで重要なことは、合憲とした十名の裁判官のうち四名の方が、民法改正による相続分同等化を求める補足意見を述べておられるということですね。したがって、この四名と違憲とする人の五名を加えますと、差別の撤廃を求める意見の方が多数意見になるという結果になるわけでございます。  その補足意見を御紹介しますと、こんなふうになっております。  ある法律の規定について、制定当時においては合理的理由があったが、その後の時の経過とともに対象とする事柄をめぐる諸事情が変化し、その合理性が疑問とされる事態の生じることは、あり得るところである。このような事態に対処するには、当該法規を改廃し、あるいは新法を制定するなど、国会の立法作用によるのが本来の姿であり、また、それが望ましくもあることは多言を要しない。本件規定も制定以来半世紀を経る間、非嫡出子をめぐる諸事情に変容が生じ、子の権利をより重視する観点からその合理性を疑問とする立場の生じていることは、理解し得るところである。しかしながら、これに対処するには、立法によって本件規定を改正する方法によることが至当である。 こういうふうに補足意見がありまして、全体としては嫡出、非嫡出の差別を撤廃すべきだという意見の方が最高裁も多かったというふうに私は理解しておりますが、こういう裁判所の動向に対して、法務大臣のお考えを、御感想をお尋ねしたいと思います。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 最高裁の判決の中で、五人が違憲だと言い、十人は合憲だと言っておるわけでございますが、憲法違反でないことだけは間違いない最高裁の判示だと思います。その四名の方がおっしゃっておられるのは立法政策、補足意見の問題でございまして、それをどうするかはこれからの問題ではなかろうかというふうに考えております。

漆原良夫新進党

○漆原委員 お答えしにくい質問でございましたかと思います。  条約関係を調べてみますと、国際人権規約第二条第一項、そして子どもの人権規約第二条第一項は、いずれも出生による差別を禁止しております。国際人権規約委員会は、一九九三年、国際人権規約の実施状況に関する第三回日本政府報告書に関しまして、非嫡出子の相続分差別をなくするように日本政府に法改正を要請しているというところでございますが、御紹介をしていきたいと思います。こういう内容になっております。  「当委員会は、婚外子に関する差別的な法規定に対して、特に懸念を有するものである。」「婚外子の相続権上の差別は、規約第二十六条と矛盾するものである。」この規約二十六条というのは、性別、出生による差別を設けてはならないという規定でございます。  こういう条約を基本に考えますと、非嫡出子の相続分に差別を認めております我が国の制度というのはやはりこの条約に違反するのではないか、あるいはそれを放置するのは、先ほど申しましたように、憲法九十八条二項に言うところの条約遵守義務に違反するのではないかというふうに考えるのですが、大臣の所見はいかがでございましょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 委員御指摘の、いわゆる国連人権B規約、それから児童の権利条約にその趣旨の規定があるわけでございますし、また人権B規約に関して規約人権委員会のコメントがあるということも私ども承知をいたしております。しかしながら、これらの条約は、我が国の憲法の趣旨と同様に、要するに、不合理な差別を禁じているものであるというふうに考えられます。したがって、今大臣から我が国の憲法の関係で申し上げましたように、我が国の制度は一つの合理性を持った区別ということでございますので、これらの規約に抵触するということではないというふうに考えております。  また、児童の権利条約の批准の際に、この問題については国会で大変御議論いただいたわけでございますけれども、その際にも、この児童の権利条約の趣旨、それからこの規定ぶりに照らして、この条約に違反するということではないということを私ども従前から答弁させていただいております。  また、人権B規約につきましても、その条約制定の過程におけるさまざまな議論を通じて見ますと、いわゆる相続権の問題がこの条約に抵触するということではないというふうに理解をしているところでございます。

漆原良夫新進党

○漆原委員 先ほど御紹介いたしました国際人権規約委員会から日本政府に対してのコメントでございます。ここに、「当委員会は、婚外子に関する差別的な法規定に対して、特に懸念を有する」、それから「婚外子の相続権上の差別」、これは明らかに二分の一のことを指していると思うのですが、「婚外子の相続権上の差別は、規約第二十六条と矛盾するものである。」というこの人権規約委員会のコメントに対して、政府はどのような御見解をお持ちでございましょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 御案内のとおり、条約の解釈権限はそれぞれの政府が持っているわけでございまして、いわゆる規約人権委員会というのは、これの機関として加盟国を拘束する効力を持っているものではないということは御理解いただいているかと思います。  ただ、人権委員会のお考えとしてそういうコメントがされているということでございますが、これは、私どもとしては、条約そのものに違反するということではない、ただしかし、そういう条約の趣旨を踏まえて、立法政策の問題としてどうあるべきかという観点から検討されるべき問題である、立法政策の問題について今まさにいろいろの議論がされているということであるというふうに理解をいたしております。

漆原良夫新進党

○漆原委員 人権規約の二十六条を読み上げます。「すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。」この人権規約二十六条に、婚外子の相続権上の差別は矛盾するというふうにコメントされているわけです。これについてはどんなふうにお考えでしょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 そういう考え方もあるというふうに理解を受けとめているところであります。

漆原良夫新進党

○漆原委員 そういう考え方もあるが、それは当方の、日本国政府の考えとは違うという御見解とお聞きしてよろしいのですか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 結論的にはそういうことでございます。

漆原良夫新進党

○漆原委員 お答えしにくいのじゃないかと御推察して、この辺でやめておきます。  諸外国の例をちょっとお聞きしたいのですが、婚姻の成立要件としまして、我が国と同様に全面的に夫婦同姓を強制する国というのは、日本のほかにどこがあるのでしょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 私どもが調査して承知している範囲では、我が国以外で夫婦同姓を強制している国は、インド、タイ、トルコがあるというふうに承知しております。ただ、これらの国では、妻が夫の氏を称するというふうにされている。その点で、我が国とは基本的に違うということでございます。

漆原良夫新進党

○漆原委員 それでは、相続分について嫡出子と非嫡出子を全く同等として扱っている国、おわかりでしたらお答えいただければと思います。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 現在では、世界の多くの国が、嫡出である子と嫡出でない子の相続分の差別を廃止しているというのが現状でございます。  質問に対して逆になりますが、いわゆる先進諸国の中で両者の相続上の地位に差を設けている国としては、フランスとドイツの例を承知している程度でございます。

漆原良夫新進党

○漆原委員 最後に少し別なことを。  法務大臣の所信表明に、法律扶助のことについてお述べになっておられます。「法律扶助制度は、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために極めて重要なものであります」というふうにお述べいただいているのですけれども、私は、長年弁護士をやっておりまして、費用がなくて裁判できないという人がいっぱいいまして、大変つらい思いをしてきたわけですが、大臣の所信をお聞かせいただいて本当に心強い思いをいたしました。  ただ、憲法の三十二条では、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」裁判以外で処罰されたり権利関係を確定することはないんだという条文なんですが、大臣の所信表明はさらにそれを一歩も二歩も三歩も突っ込んで、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するための法律扶助制度なんだというふうな所信になっておるのです。法務大臣の、裁判を受ける国民の権利を実質的に保障するというのは、一体どのようなお考えからこういうお言葉になったのか、その辺をお尋ねしたいと思うのです。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 法律扶助制度が重要なことは十分理解をいたしております。ただし、いずれにいたしましても、何らか財源対策というものが裏に必ずついてまいります。最大限の努力をしてまいるということはお約束できると思いますが、いつ、どうなるというようなことを申し上げられる段階ではないというふうに考えております。

漆原良夫新進党

○漆原委員 財源対策の問題でございますが、財源対策としてはどういうものにかかる財源を国が実質的に保障するというふうにお考えなのか。その辺はいかがでございましょうか。

大藤敏法務省人権擁護局長

○大藤政府委員 現在、法律扶助制度は、財団法人法律扶助協会が主体になって運用しているものでございまして、そこに国から補助金を交付いたしております。その補助金の使途は、事件を遂行する際に必要な費用の立てかえということになっておりまして、これは民事訴訟事件についての立てかえということでございます。

漆原良夫新進党

○漆原委員 この問題に関しましてまた改めて後日お伺いをすることにしまして、きょうは本当にいろいろお答えをいただきまして、いろいろと質問させていただきまして、大変ありがとうございました。  以上でございます。

八代英太自由民主党

○八代委員長 続いて、鴨下一郎君。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 新進党の鴨下一郎でございます。  先般の秋田県知事選挙で最大の争点となったのが食糧費の問題でありまして、言ってみれば、事件に深く絡んでいました前県庁幹部が選挙戦に敗れました。これは、ある意味で県民の怒りが選挙に示されて、審判が下されたというようなことなのだろうと思いますが、これを踏まえまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、秋田県それから北海道、東京都、福岡県など、さまざまな自治体に空出張や食糧費の流用など公金の不正支出が相次いでいます。これらの事件について法務省はどのような見解をお持ちであるかということで質問させていただきたいと思います。  まず一つは、北海道庁の裏金の問題であります。北海道では、二十億円を超える巨額裏金問題を起こし、告発されました。さらに、旅行命令簿など支出関係文書約二十六万件と一般文書約四千四百冊の公文書が紛失したというふうに言われています。紛失理由としては、保管場所などの移転などで不注意に破棄した、保存期間を誤って処分したなどを挙げていますが、裏金問題の証拠隠してはないかという疑いについて、故意に行った事実は認められなかった、こういうふうに否定していますが、この北海道庁の裏金問題につきまして、事実関係とその捜査の現状についてお聞かせをいただきたいと思います。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの件につきましては、札幌地方検察庁におきまして二回にわたりまして業務上横領、詐欺等による告発を受けまして、現在所要の捜査を進めているものと承知いたしております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 所要の捜査を進めているということなのですが、実際には、例えば、これは告発されたのが平成八年三月十一日札幌地検、それからもう一つが平成八年七月三十日、同様に札幌地検でございますけれども、これらについての捜査状況というのはどういうような進展があるのかというので、答えられる範囲で結構ですからお答えいただきたいと思います。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 現在どういう状況にあるかということに関しまして、法務当局からお答え申し上げるのは差し控えさせていただきたいのでございますが、ただいま委員から御指摘ございましたように、相当広範囲かつ多数の方々が関与しているというような状況で、鋭意捜査を進めているものというふうに考えております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 捜査を進めているのですね。  それからもう一つ、次に、今度は東京都の監査局の問題であります。  東京都では、監査委員らが航空運賃の差額を利用して旅費を水増ししていた事件が報道されています。当時の監査委員らは、平成五年と六年の二回、全国都道府県監査委員会が行った欧州と北米の視察旅行に参加、ビジネスクラスの座席利用を知りながら旅行会社にファーストクラスの見積書を作成させ、航空運賃の差額約百九十五万円を着服した、こういうようなことになっていますけれども、この東京都の事件についても、事実関係そして現状をお知らせいただきたいと思います。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お尋ねの件につきましては、東京地方検察庁におきまして、同じく平成八年と九年の二回にわたりまして、いずれも業務上横領による告発を受けておりまして、現在所要の捜査を進めているものと承知しております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 これも平成八年の三月十二日というようなことで、告発から約一年以上経過しているのですが、その捜査中であるけれども、捜査終了のめどというのはいつごろというふうに考えられるのでしょうか。そして、秋田県は、言ってみれば選挙があってある程度国民の怒りがそれに反映されたということなのですが、東京都の場合も近々選挙があります。こういうようなことも含めて、こういう事件については検察の捜査と、それから、言ってみれば一般市民、国民の怒りがどういうような形で何に反映されるかというのはいろいろと議論されなければいけないことなのだろうと思いますが、一年もたってしまいますと、一体どこでどういう問題があったのかというのは記憶のかなたにもうみんな行ってしまうわけです。ですから、捜査は敏速にやらなければいけないと思うのですが、この東京都に関してはどのような状況なのか、もう一度お答えいただきたい。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 本件につきましても、現在捜査を継続中ということでございまして、現在どういう段階にあるのかという点に対してお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。  また、ただいま委員いつごろまでにということでございますが、確かに御指摘のように一般国民の方々の関心もやはり大変高いことでございますので、可及的速やかに処理すべきものというふうに考えておりますが、やはりこのような事件についての捜査につきましては、かなり綿密な、なおかつ多数の関係者の調べも必要というようなことで時間が経過しているものと考えております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 それは、要するに捜査をしているということですね。そして、それを継続して鋭意努力をしているということなのだろうと思いますけれども、どうですか。もう一度確認します。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 お答えが足りなかったかもしれませんが、鋭意捜査を継続中というふうに理解しております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 それからもう一つの話ですが、福岡県の、これは一九九四年度から九六年度上半期までで、福岡県全庁の空出張による不正支出の総額は五十六億円。これらは職員に支給されたり、一部は裏金の雑献金としてプールされ、慶弔費や懇親会、中央官庁への手土産、接待などに使われている、こういうようなことで報道はされているのですが、これは告発されていないのですが、こういうようなことについては検察としてはどういうふうにお考えになっているか、お聞かせいただきたい。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 ただいま御指摘の福岡県職員による不正経理等の事犯につきまして報道がなされたことは、検察当局としても承知していると存じます。本件につきましては、告発がなされていないものでございますが、一般論として申し上げますれば、刑事訴訟法上、告発がなされていない場合にも捜査を進めることは可能であるわけでございますし、検察当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対処してまいるものと考えております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 ということは、福岡県のこの例については、自主的な捜査をするということになるのですか。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 法務当局として、この件について、検察、どういう状況にあるかということについてお答えを差し控えさせていただきたいと存じますが、検察当局として、繰り返しになりますが、諸般の状況から刑事事件として取り上げるべきものがあると判断された場合には、法と証拠に基づいて対処してまいるものと思います。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 どうも、靴の底から足をかいているような、何か、なかなか難しい話なんだろうと思いますけれども、これは検察の立場としてはそうなんだろうと思いますけれども、国民から見れば、このような、言ってみれば公金の不正支出に関してはだれが正していくのかというようなことについて、みんな、ある種欲求不満の状態になっているわけでありますので、ぜひその辺のことを検察当局も意識していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  一般的な話ですが、こういうような一連の公金の不正支出等の事案については、検察側は慎重で、その責任を問うような形の例はなかなかないようだ、こういうふうに刑法学者なんかも言っているようです。この原因については、実行者の特定が刑事責任を問う前提であるわけで、組織ぐるみの不正の場合、突出した個人的不正が見つからない限り起訴を見送るというようなことなんだろう、こういうふうにいろいろな学者は言っているようですけれども、例えば、今回の一連の事件のような組織的な事例で、検察は、その職員が受ける懲戒処分などの不利益を考えて起訴しない嫌いがあるというふうな指摘もありますが、この辺はどうなんでしょうか。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 大変に抽象的なお答えになってしまって恐縮でございますけれども、従来から、検察当局といたしましては、いかなる事件であるかを問わず、厳正、公平な捜査処理を行うという立場で職務を果たしてきたものと承知しております。御指摘の事犯につきましても、刑事事件として取り上げ、そして裁判に付すべきものと考えた場合には、そのような処理を行ってまいるものというふうに考えております。  なお、この種の事犯につきまして、まさに委員御指摘のように、大きな立場から厳しい目があるということにつきましては、当然として、法務当局あるいは検察当局としてもさまざまな観点から検討してまいらなければならないものというふうに考えております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 再度伺いたいのですが、言ってみれば、こういう公費不正流用というのは構造的な不正事件ですね。全体的な金額は非常に大きくなってくるんだけれども、一人一人については非常に軽微だというようなことで、一つ一つ洗っていくと起訴するほどの事案はなかなか見つからない、こういうようなことで、なかなか難しい点があることは理解しているのですが、ただ、今答弁の中でもおっしゃったように、こういうふうに国民的な不満、そして各自治体、行政に対する不信、こういうようなものを正していくというような観点においては、これをどういうふうに対処していくか、重要なことなんだろうと思います。  大臣、お伺いしたいのですが、この辺の国民的な不満をどういうふうに検察はとらえて、そしてなおかつ法務大臣としてどうお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 私も役人の経験のある者の一人として、まことに情けないことだと思っております。  今、刑事局長から御答弁を申し上げましたように、刑罰法規に触れるような事案があれば、これは絶対に逃がさないで取り締まっていくという方向を保っていかなければいけないものだと私も思っております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 先ほど具体的な例を挙げたことは、すべてもう大体一年以上経過しているのですね。そうすると、再三申し上げますけれども、国民の怒りも多少時間とともに薄れていってしまう。でも、少しずつ少しずつそういうものが蓄積していって大変ないろんな、すべての問題に対しての不満になって、結果的に、例えば税金に対しての納税意欲だとか何かに対してモラルの低下とか、そういうようなことで重大な問題が起こってくる可能性がありますので、検察はある意味で国民の熱い期待を背負っているということを意識して、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、もう一つの仲なんですが、これは全く別の問題です。今日本人が、亡くなる方が年間に大体九十万人、そしてその中で、病死それから自然死が多くを占めるわけですけれども、いわゆる異常死体と言われているものが一五%ぐらいあると言われています。九十万人のうちの一五%です。その中で、さらにその死因を明確にするために解剖を必要とするような異常死体がそれの約三分の一、三〇%ぐらいあるというふうに言われています。  これは警察庁に伺いたいのですが、例えば異常死体があった、そしてそれを解剖するか否かはだれがどのように判断して、そして解剖に至るまでのプロセス、この辺についてのことを伺いたいというふうに思います。

松尾好將警察庁刑事局捜査第一課長

○松尾説明員 死体につきましては、いろいろな形で発見をされるわけでありますが、その死因が犯罪によるものか否かが判然としない死体につきましては、各都道府県警察におきましては、法医学等の所要の研修を受けた専門的知識を有する検視官が検視によりまして犯罪性の有無を慎重に判断をしているところであります。  また、検視の結果、解剖しなければ犯罪性の有無が判断できないというような場合につきましては、その状況によりまして、刑事訴訟法に基づく解剖を行ったり、あるいは死体解剖保存法に基づく解剖をお願いしているところであります。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 いわゆるその死体解剖保存法の手続に基づく解剖というのは、一口に言うと行政解剖なんだろうと思いますけれども、このときの判断をしているのは、現場ではどういうような方がその判断をしているということになっていますか。

松尾好將警察庁刑事局捜査第一課長

○松尾説明員 それは、先ほども申し上げましたように、専門的知識を有する刑事調査官、厳密に言いますと検視官の判断によって行っているということであります。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 そこへ医師は立ち会わないのですか。

松尾好將警察庁刑事局捜査第一課長

○松尾説明員 当然、検案医師が立ち会うということになっております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 その検視官と医師の間でどういうような検討がなされて、結果的にいわゆる承諾解剖をするというようなことになるんでしょうか。

松尾好將警察庁刑事局捜査第一課長

○松尾説明員 犯罪死か否かということの判断はその刑事調査官が行いますが、死因が何かということについては、やはり立ち会いの検案医師の意見を参考にして行っているということでございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 その検案医師が、本当に専門的な知識を有する医師なのか、それとも一般的な、言ってみれば地域の先生方なのか、その辺のことについてわかりますか。

松尾好將警察庁刑事局捜査第一課長

○松尾説明員 各都道府県警察におきましては、その警察署ごとに検案医師、いわゆる警察医と称しまして、検案する医師を本部長から委嘱をしておりまして、その方が専門的にその検案をやっているということでございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 私は、二十年ぐらい前の経験なものですから、余り今はどうなっているかというのは定かではありませんけれども、私も医者だったものですから、救急病院なんかに当直しておりますと、警察から電話があって、多少死因の明らかでない遺体があるから検案してくれ、こういうような話で、夜中起こされて目こすりながら行くんですね。そうすると、確かに専門の検視の警察の方がいらして、これは先生そんなに問題ないからと言って、ああそうかと言って検案書を書くわけです。私はそれからずっと二十年間思っていて、どうもこういう形で、専門でない医師が立ち会うということによって、本来だったら解剖してしかるべき、死因を突きとめるべき問題が、そこで検案書を書くことによってもう既に火葬に付されてしまう、こういうようなことになって、もしかするといろいろな意味で犯罪だとか何かにかかわるものを多少見逃しているケースがないだろうか、常にどこかに頭に引っかかっていたんですが、このことについて警察は万全を期しているというふうにお答えになるでしょうけれども、その辺の問題について、問題意識がありましたらお答えいただきたい。

松尾好將警察庁刑事局捜査第一課長

○松尾説明員 私どもといたしましては、犯罪性の有無の判断に誤りがないように、特に刑事調査官、検死官につきましては、毎年任用する前に一定の教養を行いまして、これは一つ決まった大学がございまして、そこに入れまして研修をするというようなことで、この専門的知識の涵養というか、それに努めているところであります。  また、先ほど御指摘のありましたように、医者ならどなたでもいいということではなしに、本部長がそれぞれ委嘱した検案医師という方に専門的に検視の立ち会いをいただいているということで、私どもは誤診のないような運用をいたしているところであります。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 それで、例えば、検案して解剖が必要だというようなことになったときに、現実にはなかなか、言ってみれば解剖をする医師、それからそういう施設について、東京二十三区なんかは監察医務院がありますからあれですけれども、それ以外の地方では必ずしも十分でないというような話も聞いているんです。  これは厚生省へ伺いたいんですが、この承諾解剖はどのような施設で、どのような方が執刀してやっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

尾嵜新平厚生省健康政策局医事課長

○尾嵜説明員 場所につきましては、大体大学病院で行っていただいているというケースが多いと聞いております。もちろん解剖いたしますのは医者でございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 解剖を大学病院でやるのは当たり前なんです。例えば、検案して死因をもう少し明らかにしたいために解剖したいけれども、実際にはなかなかその辺のところがうまくいかないで、うまくいかないというのは、施設が十分でなかったり、それから医師が足らなかったりというようなことでちゅうちょして、まあこれはいいだろう、こういうような判断になってしまうということがあるというふうに私は聞いているんですが、このことを問題にしているんです。ですから、実際に、施設とそれからマンパワー、解剖をしていく専門の医師が足りないんじゃないか、このことについて厚生省、もう一度お伺いしたいと思います。

尾嵜新平厚生省健康政策局医事課長

○尾嵜説明員 今先生御指摘のとおり、医学部卒業生で、法医学あるいは病理の分野に進むという方が少ないというのは事実でございます。  それと、死体解剖保存法の第二条に基づきます死体解剖の資格認定医の認定件数でございますけれども、平成四年九月までの累計では、六千六百四十四件でございます。おおよそ毎年百件から二百件という方々が認定を受けておるという状況でございまして、この数字が十分とは言えないにいたしましても、毎年、若干の差はございますけれども、今申し上げました数字で認定がされておるということでございます。  それと、一点つけ加えますと、医師の卒後臨床研修という制度がございますが、そういった中で、臨床研修を行っていただく病院、臨床研修指定病院と申しておりますが、そこでは剖検をある程度の率でやっていただくということと同時に、私どもの方では、そういった資格を持った医師を常勤で確保していただくようにというふうな指導をしているというのが現状でございます。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 警察に伺いたいんですが、監察医制度のある地域はいいんでしょうけれども、それ以外のところの場合に、例えば検案をして解剖したいなというふうなケースのときに、施設が十分でない、マンパワーが十分でないというようなことで、本来は解剖すべき部分をしてないというようなことというのはないんですか。

松尾好將警察庁刑事局捜査第一課長

○松尾説明員 先ほども申し上げましたように、犯罪性の有無が判断できない場合は、やはりどうしても解剖するということになります。そうした場合は、私の経験を申し上げますと、例えば自分の県にそういう施設がない場合は、やはりそこのある県、例えば隣接県のそういう施設にお願いをして解剖するということをやっているところであります。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 はっきりおっしゃらないんですけれども、現実にはなかなか皆さんそれぞれ現場で御苦労なさっているんだろうというふうに思います。私は、きょうのこの質問は、どちらかというとそういう現場の御苦労をどういうふうに解消していったらいいのか、それから誤診のケースがあって、犯罪にかかわっているようなものを見逃さないための万全の制度をどういうふうにつくるべきかというような話なんですね。  これは法務省の方に伺っていきたいんですが、結果的に、例えば承諾解剖の後に犯罪の要件があるというようなことが疑われた場合には、これは司法解剖になるわけですね。私は、その司法解剖になっていくケースで結果的にシロだったという、こういうことはやれやれよかったなということなんですが、解剖をしないで火葬されちゃったケースの中にもしクロがあったら、これは困った話だなというふうに考えているわけです。  実際に、例えば行政解剖一つとってみても、それぞれの地域によって随分地域的な格差がある。それから、例えば、私は驚いたんですけれども、ある地域では解剖をしたときの費用の負担も遺族が負担をしている、行政解剖の負担をですよ。  そういうようなことも含めまして、これは厚生省が制度を整えるのがいいのか、それとも法務省なのか、警察なのか。この辺のところを今回の質問を伺っていく中で、この三つの省庁が重なって、そのちょうどはざまのところに解剖があるんだろうなというふうにつくづく思ったわけであります。例えば、二十三区で行われているような監察医制度を法務省、厚生省それから警察、それの、言ってみれば、相互乗り入れ可能な制度にうまくやっていく方法というのはないのかなというふうに今考えているわけです。  これは、もう時間がありませんから、法務大臣にお伺いしたいのですが、司法解剖に至るケースはまあよかったなというようなこと、よかったなといいますのは、結果的にそういうプロセスをきちんと踏めたということなのですが、そうでない犯罪に起因したような死体を見落とすことのないような枠組みをどういうふうに整えていくかというのは法務省当局もいろいろと御尽力いただかなければいけないのだろうと思いますが、その辺についての御所見を伺いたいと思います。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 まず、手続的な面がございますので、私の方からお答えさせていただきたいと存じます。  ただいま委員御指摘のとおり、人の死が犯罪による場合に、そのことが明らかにされないということは重大なことでございます。そういう意味から、刑事訴訟法に基づきまして、犯罪の疑いがあるということになりますと、検察官が検視をしなければならないと定めております。そして検察官は場合によっては検察事務官あるいは司法警察員にその処分をさせるということでございますが、実際におきましては、警察からその都度検察官に連絡がございます。夜間でございますと、東京、大阪等大きなところでは検察官が宿直しておりまして、私も経験がございますが、こういう死体が発見されました、そしてこれについてはこういう状況ですということで、その措置について相談していただくことになっておりまして、まず、犯罪に関係があるといった場合には司法解剖の手続をとらせていただきます。それ以外の場合でも、検視で済む場合はそれでいいわけでございますが、問題があるという場合には、一応行政解剖の措置をとっていただけないでしょうかということでお願いする場合が相当ございます。  いずれにいたしましても、検察としてもその点については関心を深めてまいらなければならないと思いますし、御指摘のような観点から、今後とも連絡を密にいたしまして、万が一にもそのような犯罪による死体がそのことが解明されないままに放置されてしまうということのないように今後とも努力をしなければならない、そのように考えております。

鴨下一郎新進党

○鴨下委員 これから犯罪も非常に複雑多岐にわたってくると思いますので、最後に残された死体がその網にかからずにそのまま葬り去られる、こういうようなことのないように、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。  以上で終わります。

八代英太自由民主党

○八代委員長 続きまして、坂上富男君。

坂上富男民主党

○坂上委員 坂上富男ですが、質問をさせていただきます。  まず、防衛庁に御質問いたします。沖縄米軍用地強制使用裁決申請却下に対する裁決に関する質問でございます。  裁決書を見てみますると、本当に防衛庁としては大変ずさんな手続をして却下になったということは率直に言って指摘せざるを得ないと思うのでございます。石原という人の土地である、そしてこれを強制使用させていただきたい、こういう申し立てでございます。しかし、この石原さんは昭和六十一年九月十九日に亡くなっているのですね。しかし、この亡くなった人の登記は、死んでからの六十二年三月三十日に所有権の登記がなされているのですね。だとすると、死亡した人の名前で登記がなされるということでございまして、これは法律の専門家でなくたって、普通人だっておかしいと思うのは当たり前なんですが、そういうようなことで強制使用の申請がなされているのですね。いわゆる、甲だと思った人がもうとっくの昔に死んでいる、そして乙という人の名前で登記がしてあるのに、死んだ人がまだ生きたまま登記をしておるというような形の申し立てなんですね。これは却下になるのは当たり前だろうと私は思うのです。  そこで、私たちはこれを当事者違いの申し立て、こう言っておるわけでございます。こういうのは裁判では文句なしに却下になっておるわけでございます。補正なんかききません。補正というのは同一性を害しない程度において補正する場合は許されるのでございますが、こうやって実態的に同一性を保持されないで補正などということはできるはずはないわけでございます。これは法律の常識でございます。  そこで防衛庁、まず二つお聞きをしたいのですが、これは建設大臣に不服の申し立てをするのですか、それとももう一遍やり直すのですか、それとももうそのまま、これは何分の一だからそう大した影響がないからということでやめるのか、三つの選択があるわけでございますが、どちらをされるのか、これがまず一点でございます。  それから、これは更新の期間が切れたのだろうと思うのです。したがって、その前はこの人の部分はどういう使用の仕方をしていたのか。いわゆる甲という人だと思ったら乙の人が実態だった、どうも乙という人の土地として使用してきたのか、やはり死亡した人の名前で使用してきたのか、これも前は一体どうだったのでございますか、ちょっと御答弁を。

小竹秀雄防衛施設庁施設部施設取得第一課長

○小竹説明員 御説明いたします。  二点ございましたが、一点につきまして、建設大臣に、どう扱うかということですが、今回、駐留軍用地特措法の手続については、隠れた権利者に意見提出の機会を与える趣旨の裁決申請書の公告縦覧が適正に行われていること、収用委員会の審理に参加の機会を与えることによって適正な補償を確保されることなどから、その権利保護が図られているものと考えております。  今般の沖縄県収用委員会の一部却下の裁決につきましては、今後、起業者たる那覇防衛施設局長が、沖縄県収用委員会の裁決の取り消しを求め、速やかに建設大臣に審査請求をしたいと考えております。  それからもう一点、どういう経緯であったかという御質問だと思いますが、土地でございますが、嘉手納飛行場内の一坪共有、これは面積五百九十平米ございますが、昭和六十一年七月に売買を原因として、今御指摘がありましたように昭和六十二年三月三十日、持ち分の一部、これは千四十四分の一でございますが、移転登記がなされたため、那覇防衛施設局は、新たに登記名義人となった一坪共有地主石原正一氏について、住所地の静岡県清水に、登記簿上の氏名、住所を記載した住民票交付を依頼したところでございます。  その結果、同市から、石原正一は死亡している旨の記載された昭和六十二年十月十二日付の住民票の除籍の交付を受けたものであり、このため那覇防衛施設局はこの石原正一の法定相続人を調査し、今回の手続の対象としたものでございます。そういう経緯でございます。

坂上富男民主党

○坂上委員 よく質問を聞いて答えなさいよ。いいですか、間違った人に申し立てをした、これが今回の状況です。したがって、その前、その期間が満了する前のときは間違った人を相手にして使用していたのか、別の人、真の人を相手にしていたのか、その質問だけなんです。だから、甲でやったのか乙でやったのかということだけ聞いているのだから、それをぴたっと答えてくれればいいのですよ。今までどおり間違っていた人にずっと強制使用をしていたのか、それだけのこと。

小竹秀雄防衛施設庁施設部施設取得第一課長

○小竹説明員 その以前につきましては、共有登記がされる前は、以前の一坪共有地所有者は一個人でございましたので、その方に対して駐留軍用地特措法の適用をしたところでございます。

坂上富男民主党

○坂上委員 そうすると、前の所有者はその真実の所有者で、その人から強制使用させてもらっておったと。しかし、その途中において名義が変わったものだから、今回期限が切れたものだから、間違った手続になってしまった、こういうことですな。わかりました。それはそれでいいでしょう。  さてそこで、防衛庁、建設大臣に申し立てをするというのですね、近々。これは一体、本当に自信があるの。いや、まだ答えなくたっていいから。あなたのその自信をこれから聞きますから、理論的に。  法務省、これは当事者違いのこういうようなものに救済したような法律ありますか、判例は、先例は。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 御質問の事例につきましては、委員からあらかじめ御指摘をいただいて調査をいたしましたが、御指摘のような事例についての裁判例としては見当たりません。いずれの結論になっているものも見当たらないということでございます。

坂上富男民主党

○坂上委員 じゃ、もう一遍、別の角度から聞きましょう。同姓同名の別人が所有する土地について収用裁決の登記がなされた場合、その登記の効力はどうなりますか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 御質問は一般論としての御質問かと思うわけでございますが、要するに収用裁決に基づく登記がされた場合に、その登記の効力ということになりますと、結局のところ、収用裁決の効力の問題に帰する、一般的に申し上げればそういうことであろうと思っております。収用裁決そのものが有効か無効かということにかかわる問題であろうというふうに考えます。

坂上富男民主党

○坂上委員 防衛庁、今法務省から答弁ありますとおり、当事者違いで裁判上救済された事案というのは、先例というのはないのですよ。判例というのはないのですよ。建設大臣と話がついたの、これ。こんなの出したって通らないのじゃないですか。  そこで、まず建設省にお聞きをしますが、建設省、これは不服申し立てが出てきますと、どういう審査をやるんですか。

初谷雄一建設省建設経済局総務課長

○初谷説明員 仮に不服申し立てが出てまいりますと、行政不服審査法、それから米軍駐留軍用地特措法で適用いたします土地収用法の規定に従いまして厳正に審査をするということに相なります。

坂上富男民主党

○坂上委員 建設省、厳正にばかりやったってだめなんだよ。事実と法律に基づいて的確な、建設省といえども処置をやるの。ただもう大ざっぱにいわゆる建設の考え方でばたばたとやられたんじゃ困るんだよ。今言ったように、防衛庁は不服申し立てを出すと言うんだ。しかし、それについては、私は大変勇気のある主張をやるものだと思って今聞いてはいるんだけれども、どうも判例を聞いたって、法務省や法律の専門家はこんな救済をしたなんという事例はどうもないんじゃなかろうかと思われるんですよ。我々でも、間違った人を相手にして裁判所に出せば、これは却下ですわ。補正なんて許されないです。ちゃんとやはり補正は許されないということは沖縄の収用委員会で判断しているのですね。  したがって、これなんか補正をするものでもないし、全く当事者違いなんだ、よって却下だ、こう言っているわけだ。それで、これを受けたところの建設大臣はやはり事実と法に基づいて判断するんだろうと私は思うのですが、どうですか。

初谷雄一建設省建設経済局総務課長

○初谷説明員 審査請求がまだ出ておりませんので、事実関係がどういうものであるか、あるいは事実関係に基づいてどういう法律的な判断をするか、そこまで私どもいっておりませんが、いずれにいたしましても、仮に審査請求が出てまいりましたら、事実関係に照らしまして、また先ほど申し上げました関係の法規に照らしまして、厳正に処理をいたしたい、いたすことになるだろうというふうに考えております。

坂上富男民主党

○坂上委員 もう一つ聞きますが、これは建設省、もし沖縄の収用委員会の裁定が間違っていたとすると、破棄差し戻しですか。沖縄がもう一遍やることになるのですか。それから、多分これは、建設大臣は、今の答弁どおりとすれば、事実と法律に基づいて適用すれば、同じくやはり不服申し立てを却下されるのだろうと私は思うのですが、そこで、私はこの建設大臣の裁決方法はわからないのですが、審査方法はわからないのですが、間違っておった場合は破棄差し戻しということになるのですか。それから、正しければそのまま却下、こういうことになるのでしょうか。それはどうですか。

初谷雄一建設省建設経済局総務課長

○初谷説明員 行政不服審査法に基づいて処理するということに相なるわけでございますが、審査請求が理由がないときは審査請求を棄却する、逆に審査請求が理由があるときは裁決で当該処分の全部、一部を取り消す、こういうことになっておりますので……(坂上委員「だから取り消してどうなるんです」と呼ぶ)仮に取り消した場合には、裁決は関係行政庁を拘束するということになっております。

坂上富男民主党

○坂上委員 だから、その取り消し方を聞いているのですよ。取り消して破棄差し戻しをするの、それともあなたたちは自判、みずから判断しちゃうの、どっちなんです。それを聞いているのです。

初谷雄一建設省建設経済局総務課長

○初谷説明員 まだ審査請求が出ておりませんので、事実関係についてもあれですが、審査請求が出てまいりまして、審査請求が理由があるときは取り消すということでございます。

坂上富男民主党

○坂上委員 何かちょっとわかっていないようだね。あなた方が破棄自判できる場合は破棄自判するのでしょう、きっと。それで、これだけではだめだという場合は差し戻してもう一遍審査し直す、こう私は思われるのです。これはそこまで御準備ないからそういう答弁だろうと私は思うのでございますが。  そこで、それに関連をいたしまして、内閣法制局にお聞きをいたしますが、まことに幼稚な質問になっているのですが、私は、民主党としては特措法、造反をいたしまして賛成しなかったたった一人、衆議院では私一人なんですが、なぜかといいますと、大変ずさんな行為がいっぱいあり過ぎるのですね。  そこで、内閣法制局、この特措法、今言ったように建設大臣に申し立てをすれば特措法の適用があって使用できるというのですね、それまでは。しかし、今建設省言ったように、却下をした、却下をした場合は、今度は行政訴訟、裁判所に申し立てをすることが多分できるのだろうと思うのです。しかし、また破棄自判をして、沖縄の収用委員会に差し戻した場合、それはもうもちろん特措法によって使用できるのだろうと思うのです。却下されて行政訴訟をした場合、棄却して行政訴訟をした場合、これは使用が許されるのですか。あるいは、もう却下になればそれで終わりになるのですか、この特措法というのは。

宮崎礼壹内閣法制局第二部長

○宮崎政府委員 裁決に対する抗告訴訟の場合は、行政事件訴訟法の十条二項というのがありますので、もとの処分、収用委員会のもとの却下裁決に対する司法救済の申し立てをする道もあるということの場合は、建設大臣の判断に対する抗告訴訟は理由が限定されているというふうに思います。  いずれにしましても、特措法の新しい十五条一項一号は、明文で解決をいたしまして、収用委員会が裁決の申請を却下した場合の暫定使用の終期につきましては、十五条の一項一号によりまして、審査請求がないときは、審査請求することができる期間の末日まで経過すれば終了する、審査請求があったときは、これに対し建設大臣による却下または棄却の裁決があった日というふうになっておりますので、行政訴訟の場合に、仮に抗告訴訟の提起があったといたしましても、そのことだけによって暫定使用が当然にさらに継続するということにはなっておりません。

坂上富男民主党

○坂上委員 当たり前だろうと思います。  そこで、防衛庁、私は、やはり建設大臣に不服申し立てをして救済されるということは、ちょっと私の考え方からしても出てこないし、法務局をお調べをして本日の答弁を聞いても、もう当事者違いのものは却下なんですよ。それが何か許されるという理屈はどこにあるの。私は、これはすぐ取り下げをして、どうしても強制収用して使用したいならば、再度早く申し立てをすべきなのではなかろうかと思いますよ。これを意地張っちゃって、大変遺憾であるとか、談話を聞いていると。そして、今度は建設大臣に不服を申し立てる。本当に間違ったのだろうかと思って、私もない頭を絞っていろいろ研究してみた。だけれども、これはやはりあなたたちの主張が通るとは到底思えない。きょう、今の民事局長さんのお話を聞いても、私はやはりそうなのではなかろうかと思っていますが、法務省以上に法的知識があなたたちはあるの、失礼だけれども。どうですか。

小竹秀雄防衛施設庁施設部施設取得第一課長

○小竹説明員 御答弁いたします。  現在、那覇防衛施設局において却下理由等詳細に検討しているところでございますが、私どもとしましては、那覇防衛施設局から速やかに建設大臣に審査請求をしたいと考えております。

坂上富男民主党

○坂上委員 皆さんの主張が通るのか通らぬか、少し見守りたいと思いますが、やはり国政を預かる立場といたしまして、どうもちょっと遺憾ではなかろうかという感じはするのでございますが、ひとつさらに検討していただきたいな、私はこう思っております。  時間がありませんのでちょっと急ぎますが、今度は、この問題は、実は私たちの先輩であります嶋崎先生が随分一生懸命御努力をいただいている事件でございますが、日本海で行方不明になりました、それで北朝鮮で生存しているということが確認されたと言われております寺越武志さんの死亡認定にかかわる問題があるのでございますが、その点についてまず御質問をいたします。  海上保安庁、寺越さんとほか二名の方が、戸籍の上では、昭和三十八年、石川県沖合で行方不明となって、死亡したということで、戸籍法の八十九条によってその届けがなされている、こういうことでございます。したがって、戸籍が抹消になっておる。しかしながら、その後いろいろの連絡から見ると、北朝鮮で寺越さんは生存されているというような情報が入り、またこれは確度が極めて高くて、寺越さんのお母様は北朝鮮に行かれまして寺越武志さんとお会いになっておる、こういうようなことが写真入りで報じられているわけでございますが、この事実関係を簡単にひとつお話しください。

島坂治朗海上保安庁警備救難部救難課長

○島坂説明員 お答えいたします。  寺越武志さんほか二名の乗り組みました漁船「清丸」は、昭和三十八年五月十一日午後五時三十分ごろから六時三十分ごろまで石川県の福浦港に入港していたというのを確認されておったわけですが、その後行方不明になったということでございます。翌日の十二日午前八時三十分ごろ、付近の漁船が福浦港の沖合におきましてこの「清丸」の船体を、これは一部が破損して水船になった状態でございましたけれども、これを発見いたしまして、その後十五日まで海上保安庁の巡視艇、地元の漁船等で捜索いたしましたが、乗組員の発見に至らなかったという事件でございます。  その後、昭和四十年の三月五日に寺越さんのお父さんから死亡認定願が提出されまして、これを受けました第九管区海上保安本部では、「清丸」の損傷状況でありますとか乗組員の捜索の状況、あるいは当時の関係者からの事情聴取等を行いまして、その結果、判断をいたしまして、同年の五月二十五日に死亡認定を行いまして、戸籍法八十九条に基づき石川県の富来町長に報告をした、こういうことでございます。

坂上富男民主党

○坂上委員 私は、この八十九条を読みますと、水難、火災その他事変によって死亡した者がある場合は、取り調べをした官公庁は死亡地の市町村長に死亡の報告をする、こう書いてあるのですね。だけれども、死体の確認ができなかったのでしょう。しかし一死亡したというふうな認定をなさったそうでございますが、別に私はこれについて是非を云々するわけではありません。  そこで、これによりますと、このお母様が第九管区海上保安庁の方に参られまして、間違いなく北朝鮮で武志さんは生きております、ついては戸籍の回復をしていただきたい、こういう要請がなされておるそうでございますが、これに対する御見解をひとつお願いをしたい。  また、北朝鮮で生きていることはこれによってもほぼ間違いないようですし、手紙のやりとりから見ても間違いないようでございます。あとお二人の方、これも死亡ということになっておるのでございますが、北朝鮮に生存はされておったようでございますが、その後どうなったのか、これもひとつ御答弁いただきたいと思います。簡単にどうぞ。

島坂治朗海上保安庁警備救難部救難課長

○島坂説明員 海上保安庁といたしましては、死亡認定取り消し願の提出がございましたら、事実関係等を調査いたしまして、当時の死亡認定の判断を変更すべき事由があることが確認できれば取り消しを行いたい、かように考えております。

坂上富男民主党

○坂上委員 そうすると、死亡報告書を撤回をするという形になる、こういうわけですね。そういたしますと、法務省、手続はどうなるのですか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 海上保安庁から本籍地の市町村長に対して死亡報告取り消しの通知がされれば、その通知に基づいて戸籍を回復する手続をすることになります。

坂上富男民主党

○坂上委員 これは海上保安庁でも警察でも結構でございますが、武志さんは生きていることはもうほぼ九九%確実のようでございます。ほかのお二人の方はどうなったのですか。おじさんたちはどうなったかおわかりですか。海上保安庁、答弁してください。わからぬならわからぬでいいです。

島坂治朗海上保安庁警備救難部救難課長

○島坂説明員 その後、関係者の方からいろいろお話を伺ったりしておりますけれども、残りのお二人の方については、死亡されたのではないかなというようなお話を仄聞しております。

坂上富男民主党

○坂上委員 海上保安庁、これは死亡の時期が違うのでしょう。北朝鮮に生存されておって、そして今日まで途中に亡くなられた、こういう話じゃないですか。

島坂治朗海上保安庁警備救難部救難課長

○島坂説明員 正確な事実関係については、現在のところ海上保安庁としては把握いたしておりません。

坂上富男民主党

○坂上委員 これは、武志さんのお母さんのお話によりますと、北朝鮮へ行って武志さんにお会いをなさった。それからいろいろの手紙等によって、二人の方は遭難で死亡したのでなくして北朝鮮に行かれた、そして北朝鮮で生存されておった、しかし途中に亡くなられた、そして現在三人のうち生きているのが武志さんだけである。こういうようなことが確実な情報なのじゃないですか。これは皆さんの方は調査をしていないのですか。大変証人もおられるわけでございますから、海上保安庁は事実上間違った死亡認定手続をしているわけですよ。しかしこれは、その後は死亡なさってはいるということがあっても、少なくとも武志さんが生きているわけだから、もうちょっと海上保安庁、的確な調査をしなければいかないと思うのですが、どうですか、これは。簡単でいいですよ。

島坂治朗海上保安庁警備救難部救難課長

○島坂説明員 ほかの二名の方につきましても、当時それぞれの御親族から死亡の認定の申請がございましたので、それを受けまして死亡認定したものでございますので、その取り扱いにつきましても、取り消しの申請がございますれば、武志さんの場合と同様に、可能な限りの調査をしまして、検討したいというふうに考えております。

坂上富男民主党

○坂上委員 法務省、答弁どうなりましょうか。そうした何か取り消しとか撤回という通知がありますと、戸籍は回復するのでございますか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、海上保安庁から死亡報告取り消しの通知があれば、それに従って回復の手続をするということでございます。

坂上富男民主党

○坂上委員 ぜひお願いをしたいというふうに希望されておるようでございます。  それからいま一つ、一時帰国ということを武志さんは希望されているようですが、この問題はどういうふうになりますか。外務省あるいは法務省、どういう御答弁になりましょう。

別所浩郎外務省アジア局北東アジア課長

○別所説明員 御本人が北朝鮮で生存しておられて、一時帰国を希望しているということが確認された場合には、外務省といたしましても、御本人や御家族の意向がかなっためにいかなる方法が効果的か探りながら、関係省庁とも相談しながら努力してまいりたいと思っております。

坂上富男民主党

○坂上委員 最後ですが、いわゆる拉致をされたと言われておる人が七件で十人おられるというのですが、これらの人たちの戸籍はどうなっておるか。どこか御答弁いただけますか。何か、生存のままになっておるのか、何かしかるべき手続がなされておるのか。これはわかりませんか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 戸籍というお尋ねでございましたが、突然の御質問でございまして、個々どうなっているか、今承知をいたしておりません。

坂上富男民主党

○坂上委員 警察はわからない。警察はおられない。来ていない。じゃ、ありがとうございました。  なお、法務省の人員増と行財政改革についての御質問と、国際人権B規約選択議定書の批准、こういう質問を申し上げる予定でございましたが、時間がはるかに超過しておるもので、せっかく来ていただいて大変申しわけありませんでした。お許しください。ありがとうございました。

八代英太自由民主党

○八代委員長 続きまして、正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 私は、ここ二、三年、特に最近非常に話題になっております自動車損害賠償保障法に基づく自賠責、それが被害者、特に死亡した人に対して非常に厳しい適用の仕方で、保険金が支払われない、したがって本来法の制定の目的の相当大きな部分を占めたと思われる被害者救済に役立っていないではないかという問題について、少し問題提起の意味も含めて質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、最近載りました、五月二日のある週刊誌に載った「「死人に口なし」か、飲酒ひき逃げても死亡保険金ゼロの怪」というのがございます。  これはあらかじめ質問通告をしておりましたが、二十四歳の女性がスクーターに乗って、通勤をしておったと思われるのですが、ワンボックスカーに接触して、転倒してひかれるということになった事故のようであります。ところが、このひきました運転手はそのまま逃げてしまって、それで自分の報告義務の責任を果たそうとしなかった。後ろにすぐついておりました別のドライバーが追跡をいたしまして、そして一一九番にも通報をするということをやった事件のようであります。  それによりますと、これは五十四歳の土木作業員だったようですが、事故を起こす二時間ほど前までビールやしょうちゅうなどかなりの量の酒類を飲んでおり、少し仮眠してから仕事に向かう途中だった。だから、二時間前まで飲んでおったのですから、寝ておったと言っても非常に短い時間で、酒酔い運転ということにもなるわけですが、この結果、報告義務違反で、その点では道交法違反で八カ月の実刑を受けたそうですが、業務上過失については起訴もされておらない。飲酒運転についても別に起訴もされておらないということで、結局ひかれ損。だから、ひかれた方が過失一〇〇%だということになって、一文もお金が出ないということになったと報道されておるのですね。  私は、警察でも法務省でもよろしいが、こういうことは非常におかしなことじゃないですか。酒を飲んで、そして接触して人を殺して、おまけに逃げておって、何か記事によりますと、追跡されて、ちゃんと警察へ自首するように、あるいは介護するようにという説得を受けてもそのまま逃げてしまって、後で警察が捜査して、やっと取っ捕まったというような事案で、被害者が全部悪いというようなことにどうしてなるのでしょうか。

大和田優警察庁交通局交通指導課長

○大和田説明員 御質問の交通事故は、平成七年四月二十二日午前六時二十分ころ、東京都町田市野津田町千四十七番地先の通称鎌倉街道上を鶴川駅方向から袋橋交差点方向に進行中の普通貨物自動車が、同車を左後方から追い抜こうとした原動機付自転車と接触し、転倒した原動機付自転車の運転者を轢過して死亡させた事故であります。  警視庁におきましては、事故発生現場及び車両等の実況見分、目撃者からの事情聴取など所要の捜査を行いまして、平成七年五月八日、普通貨物自動車の運転者を通常逮捕し、同月十日、業務上過失致死罪、安全運転義務違反、救護措置義務及び報告義務違反として東京地方検察庁八王子支部に送致したとの報告を受けております。  飲酒の関係でございますけれども、警視庁では、被疑者の供述に基づきまして一緒に飲酒したとされる関係者から事情聴取するなど所要の捜査を行いましたが、飲酒運転を立件するだけの十分な証拠が得られなかったという報告を受けております。

正森成二日本共産党

○正森委員 検察庁に伺いたいと思います。  逃げ回って、それで追跡されてもなおかつ逃げたわけですから、普通飲酒運転のときにはすぐ風船を膨らませて調べるとかいうようないろいろなことができますが、それができなかった。しかし、少なくとも一緒に飲んでおった者などの供述で一ビールやらしょうちゅうを相当飲んでおったということが出ているわけですね。そうしますと、私どもの通常経験でも、飲んでおるときは、本人が幾ら直進しておったと言いましても、ハンドルが乱れてジグザグになることは幾らでもあるのですよ。だから、そうだとすると、スクーターが通るときに少し動いただけで、それを避けようと思って、例えば左へハンドルを切ればそれでバランスを崩すということは大いにあり得ることなので、それについて、その死んだ人が過失一〇〇%で、それで酒酔い運転も起訴されなければ業務上過失も全く起訴されない。  一体、その点は不起訴にしたのでしょうが、嫌疑なしにしたのか、あるいは嫌疑はあるけれども起訴猶予にしたのか。ひき逃げしたのですから、道交法違反では実刑八カ月になっているのですから、情状酌量の余地が全然ないはずであります。しかもそういう処理が、後で質問しますが、自算会と言うのですが、自動車損害賠償の額について算定をする、それが法律で決まっておりますが、そういうところに影響して、死亡した者が過失一〇〇%、そうしたら一文も出ないということになるのですね。  ですから、私も弁護士で検察の修習は四カ月しかしておりませんが、検察官としては、ひき逃げで道交法違反、報告義務でやればそれで刑事責任は問える。業務上過失致死とかあるいは飲酒運転というのでやろうと思えばやはりそれなりに証拠を固めねばいけませんから、そこまでやれば手間がかかるということで手を抜いたのかもしれませんが、それが一人の女性とその家族に損害賠償上重大な責任を負わせている。自賠責が払われなければ一般の民間の保険も払われませんからね。そういうことになっているのです。  何かおっしゃることがあれば、言ってください。

原田明夫法務省刑事局長

○原田政府委員 検察官の処理に関することでございますので、その点についてお答え申し上げたいと存じます。  先ほど警察当局から御答弁ございましたような経過で送致されたことはそのとおりでございます。ただ、まず飲酒運転の件でございますが、これはもう委員御承知のとおり、やはり裁判で飲酒運転として有罪ということになるためにはそれなりの証拠を確定いたさなければならないわけですが、この件は、残念ながら、事故後逃走して相当時間がたってから犯人が認知されたということでございまして、その点の捜査ができなかったということで、これは断念せざるを得なかったというふうに承知しております。  なお、業務上過失致死の点につきましても、この事件は警察当局において逮捕した上送致されたものということで、検察官もそれなりの捜査をやったと存じます。しかしながら、やはり刑事事件で有罪にするというためには合理的な疑いのないところまで立証しなければならないということで、これまた公判請求、起訴を断念したという状況のようでございます。  ただ、そういう意味で、不起訴になった事案についてどういう事由であったかということまで明らかにするのは私どもとして避けたいのでございますが、いずれにいたしましても、そのような状況のもとにおける不起訴でございますので、それなりの検討はなされたというふうに考えております。  なお、逃走事犯といいますか、事故後逃走して救護措置をとらなかったということだけで公判請求をして実刑になったということ自体は、私どもとしては、この事件に対する検察の取り組み方がそのようなものであったというふうに考えておるのでございまして、これは他の事例から申し上げましても、処理としてはやはり異例な強い処理であったというふうに考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 逃走したということについて、道交法違反で立件したというのは、相当気合いを入れて捜査したという意味の御答弁だと思います。それを否定するわけではありません。  しかし、冷静に第三者として考えますと、そもそも自分に責任が一〇〇%あるか相手にあるかは別として、一人の人間が接触してひっくり返って結果として死んでいるわけですから、それでなおかつ逃げだというのは、その心理の中に、自分が飲酒しておって、自分が飲酒運転でやられる、しかも業務上過失についても下手したら有罪になる、だからできたら逃げろ、こうなった心理状態ではないかと疑える非常に高い蓋然性があるのです。それが後で追跡されて、わかっているのになおかつ逃げた。そうしたらその間に、もちろん二日も三日も、二週間たったそうですから、酒飲んだのは消えてしまっているから、幾ら供述しても公判では立証できないということになるとすれば、これは被害者にとっては、つまり死んだ人にとっては、もう非情な問題だと思うのです。  あともう一つ、五月七日付のある新聞の夕刊に、別の事件でやはり死亡者が泣き寝入りになったというものが載っておりますが、時間の関係でこれを省略して、個別の事件を聞くのが目的ではなしに制度そのもののあり方を聞きたいと思っておりましたので、次に、運輸省に聞かせていただきたいと思います。  運輸省は自賠責の所管官庁でありまして、今も言いましたように、損害額等については自動車保険料率算定会というところがやっているようです。通称自算会、こういうように言われているようであります。私はきょうは、自算会の人を呼ぼうと思うと参考人手続をとらなければなりませんので、運輸省に来ていただきましたので、運輸省としては答えにくい点があるかもしれませんが、私どもが知っているところでは、自算会は、「有無責・重過失減額適用の執務参考資料」というのをつくっているようであります。いわばマニュアルです。これは「会外秘」と書いてありますが、本件の質問にも要りますし、運輸省を通じて見せていただいたわけです。だから、そのすべてをここで申し上げようとは思いませんが、これを見ましても、刑事事件の立証責任といいますか、合理的な疑いを挟まないまで立証しなければ有罪にできない、これは刑事事件としては当然の原則でありますが、そこまで必ずしもやらなくてもいいと書いてあるのです。  その部分を読みますと、いろいろな意味で過失相殺をやるのですが、「いずれも法令に違反した行為であり、それが原因となって事故が発生した蓋然性が極めて高く、過失の存在が強く推定されることから必ずしも事故発生との因果関係の存否について、厳密に立証ができない場合でも、修正要素として掛酌している現行実務を踏襲している。」つまり、刑事事件では有罪まで持っていけないかもしれないけれども、過失相殺の判断としては十分にこれは採用していいのだという原則がここには書いてあるのです。  それで、今問題にしましたケースについて、このマニュアルではどういうぐあいになっているかという点を見てみましたら、これが適切に当てはまるべき事例であるかどうかはちょっとわかりませんが、ここに、やはり追い越し等でスクーターが接触した、そういう例のことが書いてある。その中で、つまりA車、B車となっておりまして、A車というのは死亡した方です、それからB車というのはぶち当たった方でありますが、B車に酒酔い運転がある場合、あるいはその他いろいろと、いずれかの項目がある場合には減額なしに支払うことができるというように書いてある。別の例のこともありますが、それは言いません。  だから、そういう点から見て、運輸省に伺いたいのですが、こういう損害率の算定をする場合には、やはりこの法律が、被害を受けて死亡した、自分にも過失があった場合もあるでしょうけれども、そういう場合を救済するものだということを考えて、運用については、このマニュアルの初めに、刑事の有罪、無罪とはまた違うのだというように自分でも書いているのですから、そういう立場でやるようにやはり考慮する必要があるのじゃないですか。

柴田耕介運輸省自動車交通局保障課長

○柴田説明員 お答え申し上げます。  自算会は、保険会社からの委託を受けまして、損害の調査、そして査定という行為をしております。  それで、先生御指摘のように、刑事における取り扱いそのものというのを、被害、加害の場合の過失の割合、そういうものを算定する際にそれに固執すべきであるということはございません。ただし、実際の実務上は、刑事における取り扱いがかなり裁判例におきましてもウエートを置いて見られておるのではないか、こういう気はいたしております。ただし、実態的に、わかる範囲でできるだけの調査をするというのは非常に重要なことだと思っております。  私どもとしても、自賠責につきましては、自動車事故による被害者、これを救済するというために挙証責任の転換を行いまして加害者の損害賠償責任を担保するという制度でございますので、しっかりとした調査が行われていくように指導していきたいというふうに考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 大蔵省、来ていただいていると思いますが、来ておられますか。大蔵省の管轄ではないかと思いますが、自賠責の保険料がこの五月一日から平均七・七%値下げになりますね。それから、あわせて伺いたいと思いますが、この自賠責の特会から一般会計等に昭和五十八年に一回、それから平成六年と七年にそれぞれ一回ずつ、最近の二回を例にとりますと、計一兆七百十億円国庫に繰り入れをされておりますね。その事実について、確認と答弁をしてください。

高橋毅大蔵省銀行局保険部保険第二課長

○高橋説明員 委員御質問の、二点ございましたですけれども、私は、大蔵省で保険、損害保険を担当しておりますので、前者の方の御質問についてお答えさせていただきたいと思います。  保険料の引き下げについての事実関係ということでございますが、自賠責保険の保険料については、事故率の低下等から、平成九年度の損害率は一二四・〇%と、平成五年四月の前回料率改定時に見込んでおりました損害率、これは一三九・七でございましたが、これよりも低下すると見込まれること、それから、自賠責保険に係る運用益については契約者に還元することが適当であるという考え方から、本年五月一日より、委員御指摘のとおり、平均七・七%引き下げを実施いたしましたところでございます。

柴田耕介運輸省自動車交通局保障課長

○柴田説明員 お答え申し上げます。  昭和五十八年に自動車損害賠償特別会計の保険勘定から二千五百億円、これが一般会計に繰り入れられております。これは返済されております。さらに、平成六年度それから平成七年度、これはそれぞれ財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律という法律に基づきまして、平成六年には七千八百億円、平成七年には二千九百十億円、計一兆七百十億円、これが一般会計の方に繰り入れられております。

正森成二日本共産党

○正森委員 今お聞きになったとおりなんですね。私は何も、国務大臣として法務大臣も管轄以外ですが聞いていただきたいと思いますが、自賠責の保険料を高くしろ、高くしろと言っているのではありません。けれども、七・七%下がる、しかもそれだけでなしに、黒字であるからということで平成六年、七年だけで一兆七百十億円も国庫に入れられている。それはつまり、お金が十分に残っておるからということで入れているのです。ところが、本来の目的である被害者は、何か刑事事件とほぼ同じような扱いを自算会がして、本来、考えてみたら十分にしんしゃくしてあげるべきであるにもかかわらず、自分の方が過失一〇〇%だというように安易にされて、私の見ているところでは、ここに書いてあるマニュアルにも反するような厳しいやり方で金を払われていない。その結果、黒字になって金があるが、財政危機だと言って国庫へ取り上げるというようなことでは、これは全く自賠責の目的を達していないというように言わなきゃならないと思うのですね。  もう時間が参ったようですから、ほかにいろいろ申し上げたいと思っておりましたが、検察庁、警察庁も省略しますが、最後に、法務大臣に、両方とも法務省は直接の責任がない、今の処理だけは別ですよ、七・七%引き下げについても、あるいは国庫繰り入れについても法務省の責任でないということはよく存じておりますが、国務大臣としてこういう点には、被害者として泣き寝入りをした、不合理だと思うのは当然ではないかということについて一言お答え願って、質問を終わらせていただきます。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 先生御主張の点は、十分胸に畳みます。所管の問題ではございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

正森成二日本共産党

○正森委員 終わります。

横内正明自由民主党

○横内委員長代理 保坂展人君。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  きょうは、ごみの問題について伺ってみたいと思います。  ごみというと、これは今日の本当に深刻な問題なわけですけれども、一方で、岐阜で昨年あった町長の襲撃事件というような、大変アンダーグラウンドな非常に怖い事件が解決をされていないということも思い起こします。  実は、ごみといいましてもこの東京のごみについてなんです。先日、五月八日、日比谷公会堂で、三多摩の日の出町につくられている、私も三多摩の狛江というところに住んでいて、私の家から出るごみも含めてということで人ごとではないということでお聞きしたいと思いますけれども、そのごみ処分場、これが満杯になるということから二つ目のごみ処分場をつくらなければならないということをめぐって、日の出町在住の住民の方々、及び環境問題としてこの問題にかかわっておられる市民運動の方たちと、第二処分場をめぐって収用委員会が開かれて、その論戦の火ぶたが切られたわけなんです。その場で語られたこと、これは新聞等にも小さく出ているんですが、大変驚くべきことが語られたということをお話をしたいと思うのです。  その驚くべきことというのは、若干背景説明をしなければいけないのですけれども、この第一処分場、つまり現在ある処分場の形というのは、谷にゴムシートを張って、そこにごみだとかプラスチックだとか灰を入れていくという形をとっているのですが、この処分場のシートが破れているのではないかという指摘があるわけですね。例えば、九三年五月の日本環境学会の調査だと、それぞれ高濃度の塩素イオンだとかDCP分解菌だとか、亜鉛だとかマンガンその他検出されているということで、これに関しての情報を、住民として生活環境にかかわる情報であるということで、この情報の開示を求めたいという、これを裁判所に求めるという訴えがあったわけですね。  これが、東京地方裁判所の八王子支部で三月八日に仮処分決定ということで、これは、絵本作家で田島征三さんという方がいらっしゃいますが、その連れ合いの方で田島喜代恵さんという方が、その決定を受けて、裁判所の決定もあるのでその情報を見せていただきましょうということで行ったところ、これは開示ができないということになったわけです。そして、それらを受けて、間接強制という形で、では情報の開示をするようにという手続をとられて、裁判所がこういった指示をして、この処分組合に対して、一日十五万円を払いなさいという間接強制のいわば罰金といいますか、金額の支払いが始まったわけです。これがおととしの五月のことなのです。七月に、十五万円をずっと払い続けられているので、これでは足らないようだということで、百万円に増額したいという訴えを起こしたようですが、裁判所の方は三十万円が相当ということで、三十万円という支払いが始まったわけです。ここに新聞記事を持ってきましたけれども、東京新聞の二年前の七月十三日の夕刊ですが、罰金がついに一千万円を超したという記事がここにございます。  現在はどうなっているかということなのですけれども、三月の上旬現在で一億九千万円を超えているという事実があるわけですね。つまり、一日三十万円ですから、一カ月で九百万円、一年という期間をはかれば大体一億と少しです。つまり、このままこの間接強制の支払いが続けられていけば、これは概算ですけれども、年末で二億五千万円、そして来年の春には三億円という巨額に及んでいくだろうというふうに思うのです。  まず司法当局に伺いたいのですけれども、間接強制というのは一体どういう性格のお金なのか。東京新聞のこの記事を見ますと、強制金の支払いは住民の銀行口座にプールされている、処分組合は強制金の返還を求めることはできない、こういうふうに書いてあるのですが、そのとおりなのか。いわゆる供託金というようなものとは違って、間接強制というのは支払いきりのものなのかということも含めて答弁を願いたいと思います。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕

石垣君雄最高裁判所事務総局民事局長

○石垣最高裁判所長官代理者 まず仮処分における間接強制というものについて説明させていただきます。  大体趣旨は今委員からお話のあったところと同様でございますが、仮処分におきまして債務者に対して一定の行為をすること、これを作為と言います、あるいはしないこと、これを不作為と言っておりますが、そういうことが命じられ、債務者が任意にその命令に従わない場合に、執行裁判所が履行の遅延の期間に応じて一定額の金銭を支払うことを命じるものである、こう言われております。これは、仮処分において命じられた行為が、金銭債務や不動産の明け渡し債務のように直接その行為自体の強制的実現を図ることができるものではない場合、また、建物収去の債務のように第三者がかわってすることのできるものでない場合、こういうできるものは代替的と言っておりますが、そういう代替的でない場合に、債務者に対して心理的に強制を与えることによって間接的に債務の実現を図る強制執行の一つの手段である、こういうことを言われております。  それで、今この間接強制金が返還されることがあるのかないのかというお話でございます。これは具体的な事件に関することでございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、実は、一般論としても、この点を論じた裁判例とか文献等が見当たらない、難しい問題でございます。ただ、債権者が、債権者といいますと仮処分を申し立てた方となりますが、本案訴訟で、本訴訟の方で敗訴したような場合などには、既に支払われた間接強制金の返還を求めることができる、そういう解釈もあり得ようと思っております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 そうすると、今お答えいただいたように、こういう情報ですから、強制的に出せということをするのではなくて、金銭を一定の額でペナルティーとして支払うことによって心理的な圧迫を課して、そして裁判所の決定に従わせるというふうに理解をしたいと思います。  ちょっと記憶にあるのは、静岡の暴力団のビル明け渡しというか、これをめぐって出る出ないという騒ぎがあって、住民から出てほしいという動きがあったと思うのですが、このときにたしか間接強制の仕組みが適用されて、一日百万円ということで、これは即日、あきらめて出たようですね。  そうすると、このように二年にわたって二億円近い金が払われるということによって、お金を払えば裁判所の決定に従わなくていいというような事態というのは当局として予想されたのかどうか、あるいはこれは問題があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。個別の事例じゃなくて、一般論としてお答えいただいてもいいです。

石垣君雄最高裁判所事務総局民事局長

○石垣最高裁判所長官代理者 一般論としてということでの御質問ではございますが、司法当局として、なかなか申し上げにくい問題ではございます。  ただ、裁判所が決定を出すということは、当然その履行を期待して出される、これは間違いのないところだと思いますが、例えば本案訴訟とかいろいろなまた争いの手段ということがございますので、それ以上のことを申し上げるのはいかがかと存じます。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 この処分組合の性格なんですけれども、正式に言えば、東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合という長い名前なんですね。この処分組合というのは、東京都の多摩地区の二十六市と一町からのゴミを最終的に引き受ける一部事務組合という地方自治法で定められた特別地方公共団体であるというふうな、つまり公共団体ですね。公共団体の財源は税金であるわけだろうと思うのですが、自治省にちょっとお尋ねをしたいのですけれども、この間接強制金の財源というのは、この処分組合の中で一体どこから出ているものなのか、そして際限なく何億円と膨らんでいくものを支出することがどうして可能なのかというあたりについて伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。

松浦正敬自治省行政局行政課長

○松浦説明員 組合の間接強制金の支払いの財源というお話でございますけれども、私どもはその財源につきまして承知をしておりませんけれども、一部事務組合の財源というのは、一般的には、当該の構成をしております地方公共団体が負担金を支出いたしまして、その負担金を財源としまして一般的な事業をやっていくということになっておりますので、恐らくその負担金等がもとになりまして財源になっているであろうというふうに考えております。  それから、間接強制金を支払い続けていることについてどういうふうに考えているかということでございますけれども、具体的な、しかも係争中の事案でございますので、コメントにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、この水質検査データの開示については係争中の事案ということでございますが、間接強制金の支払いというものも、先ほど先生御指摘がありましたように、係争過程の中で、関連法規、法令の規定に基づきましてとられた対応であろうというふうに承知をいたしております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 九六年の三月には、当時の菅厚生大臣が、この処分場の汚水漏れを住民とともに調査せよと都知事と二十七市町あてに通知をしているそうなんですが、調査をされていない。知る権利あるいは情報公開の問題に関しては、特に、漠然とした情報じゃなくて、まさにその地域に住んでいる、そしてまた、その水源であるところの日の出というようなところでごみのシートが切れているかどうかというのは基本的な問題だと思うんですけれども、これはもう一度自治省に伺いたいのです。  生活とか健康とか、そしてあるいは生命にかかわる環境情報ということに対して、やはり、先ほど同僚議員の質問にもありましたけれども、地方自治体で空出張だとかいろいろなことがあって、情報公開ということが非常に声が高まっていると思うんですけれども、その情報公開の中でも一番最優先されなければいけないのが生活や健康の情報だと思うんですね。このことに関して自治省はどういうふうにお考えになっているのか、お願いします。

松浦正敬自治省行政局行政課長

○松浦説明員 地方公共団体の情報公開でございますけれども、現在、各地方公共団体におきまして、それぞれ情報公開条例などを制定いたしまして、その制度化が図られているということでございます。  一般論として申し上げますと、先ほど先生がおっしゃいました、そうした住民の生命とかあるいは生活にかかわる情報の開示というふうな問題も含めまして、この情報公開の問題というのは、地方公共団体の行政の透明性というものを向上させていくためには大変重要なことであろうというふうに認識をいたしております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 暴力団ですらという言い方は適切かどうかわかりませんが、一日であきらめる。しかし、公共団体、つまり財源が二十六市や一町に及ぶというふうになると、どんどんどんどん負担させていけばいいのかということ。これは住民たちの健康、安全にもかかわる問題なんですね。ですから、こういうことが放置されてはならないということを指摘して、ちょっと次の話題に移りたいと思います。  本日の新聞で、東京地検の方で、野村証券のいわゆる総会屋系一族に対しての利益提供及び商法の利益供与ですか、これの容疑で強制捜査ということで各紙見出しに出ております。先日、私も大蔵委員会の参考人質疑で酒巻前社長に、どういうことだったのかということをいろいろ質疑を申し上げたんですけれども、日本の市場の弾力化、規制緩和ということが今言われております。しかし、こうした事件を見ていけばいくほど、日本の企業社会に本当にルールはあるのか、不透明さと、信頼をどんどん損ねていく行為が続発している現状があると思います。特に味の素の、元警察官という人脈を使ってというふうに伝えられていますけれども、本当に乱脈な経費の使いぶりと総会屋とのつき合い、あるいは高島屋でもそういった問題が出ました。総会屋というのは日本の企業社会にもう切っても切れないものなのかどうか。  こういう中で、一点伺いたいと思うんですけれども、商法の四百九十七条、利益供与の罪というか、罰則そのものが六カ月以下の懲役あるいは三十万円以下の罰金というふうにあるんです。これはやはりペナルティーとして余りにも軽過ぎやしないか。先ほどの処分組合が一日分なんですね、これは。この点についていかがでしょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 御指摘のいわゆる利益供与罪は、昭和五十六年の商法改正で新しくつくられた規定でございますが、その法定刑を定めるに当たりましては、商法四百九十四条に規定しているいわゆる総会荒らし等に関する贈収賄罪、これとの比較を考慮いたしまして、この要件がいろいろの観点から違うわけですが、何よりも大きいのは、商法四百九十四条では不正の請託ということが要件になっている。それに対して、この利益供与罪についてはそういうことを要件としないということで、適用範囲が広くなる、要件が軽減されているということが重要でございますが、そういうことから、その比較で、四百九十四条は一年以下または五十万円以下の罰金ということになっているのに比べて法定刑を軽減する、こういうことを主たる理由として定められたものというふうに承知しております。  そういうことで、この法定刑が低いのではないかという御指摘でございますが、しかし、この規定が厳正、適正に適用、運用されるということでございますれば、あわせて、こういう事犯は御案内のとおり新聞報道等マスメディアによって大きく公表される、そのことによる社会的制裁ということとも相まちまして相当な効果を期待することができるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。  ただ、今後とも、御指摘の観点を含めて商法の観点からも重大な関心を持ってまいりたいと思っております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 今おっしゃったいわゆる総会屋に対する罰則そのものも一年以下、五十万円というのも、これはもう全く軽いんじゃないかと思うんですね。  ことしもまた六月の末に各社横並びで株主総会が行われるということになろうかと思います。各社横並びで株主総会があるということ自体が、日本に総会屋が存在する、民主的で公正で透明な株主総会というものがどうも行われないということをそれこそ国際的に示しているという事態だと思います。これに関してぜひ法務省の方で、やはり国際社会で信頼性を担保するためには、みずからに厳しく企業社会が、もちろん自己責任の確立ということを毎回言われますけれども、つい四年ぐらい前の証券スキャンダルでもたびたび繰り返されたその言葉が、またこうして信頼を失墜するということが起きているわけですから、これは法務省として強い決意で、こういった企業の社会的ルールの確立ということについて法改正も含めて臨むのかどうかということをお聞きしたいと思います。

濱崎恭生法務省民事局長

○濱崎政府委員 会社は株主のためにあるということでございますから、株主の利益が十分に保護されるということ、その最も中心的なものである株主総会が活性化されるということ、大変大事なことであると思っております。  そういう観点から、法制度としては、ただいま御指摘のありました利益供与の禁止といったこと、その他必要な法改正ということをしてまいってきているわけでございますが、しかしながら、なお総会が形骸化しているその一つの重要な原因として総会屋というものがあるということはまことに残念なことであるというふうに思っております。  ただ、法律の規定を幾ら厳重にいたしましても、それが守っていただかなければということで、違法、不正な行為に対しては、民事上、場合によっては刑事上の責任を適正に追及していただくということが大切なことではないか。それと同時に、さらに商法の趣旨、会社法制の趣旨といったものの周知徹底を図って、そういった観点から自主的なルールづくりというものをしていただくということが大切である。そういう観点からのできる限りの努力をしたいと思っておりますし、また、先ほども申しましたように、会社法制のあり方という観点からも今後とも重大な関心を持って対応してまいりたいというふうに考えています。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 この半年、そういうことが、お役所のスキャンダルから政治家からそして企業と、毎日のようにこういうニュースが載るわけですね。子供たちにとっては、それこそ、お父さんが働いている会社、何か悪いことやっているんじゃないかというようなことをやはり言われる。未来の世代が本当に希望が持てなくなるという段階にだんだん入ってきているんじゃなかろうかと思います。  最後に、法務大臣に今の点について御決意を伺って、おしまいにしたいと思います。

松浦功自由民主党法務大臣

○松浦国務大臣 全く御主張の問題については同感でございます。  今後、日本国民のために法務行政がどうあるべきかということを基礎に置いて、十分研究をしてまいりたいと思っております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 終わります。

八代英太自由民主党

○八代委員長 次回は、来る十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十分散会

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