文教委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1997/02/14
会議録
○二田委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 文教行政の基本施策に関し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小杉文部大臣。
○小杉国務大臣 第百四十回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。 国民一人一人が将来に夢や目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会をつくるためには、あらゆる社会システムの基盤である教育について、不断に改革を実行していくことが不可欠であります。その意味で、教育改革は国政の最重要課題の一つとして位置づけられるべきものであります。 ことしの年頭に当たり、総理は、行政改革、経済構造改革、財政構造改革などの五つの改革と並ぶ課題として教育改革を位置づけ、これら六つの改革を一体的にかつ時限を区切って遂行していくことを表明されました。その後、私に対し、教育改革の課題とスケジュールを報告するよう指示されました。 この指示を受け、私は、第一に教育制度における多様で柔軟な対応を進める、第二に学校の枠に閉じこもらず、外の世界に大きく目を向け、より広い視野から改革に取り組むという観点から、「教育改革プログラム」を取りまとめ、去る一月二十四日、総理に報告したところであります。 このプログラムは、五つの柱、すなわち、第一に教育制度の革新と豊かな人間性の育成、第二に社会の要請の変化への機敏な対応、第三に学校外の社会との積極的な連携、第四に留学生交流等国際化の推進、第五に教育改革の輪を広げるための経済界等との協議の場などの設定により構成されるもので、今後、文部省として取り組んでいくべき教育改革の具体的課題を取りまとめたものであります。 文部省としては、行政改革など他の改革に留意しつつ、このプログラムに基づき全力を挙げて教育改革に取り組む決意であります。それとともに、このプログラムにより、教育改革の輪が我が国社会全体に大きく広がるよう、経済界等と幅広く連携を図ってまいります。 以下、「教育改革プログラム」に掲げられている課題をも含め、主要な課題について、私の基本的な考えを申し述べます。 第一は、生涯学習社会の構築についてであります。 国民一人一人が生涯にわたり学ぶことができ、学習の成果が生かせるような生涯学習社会を築いていくことが極めて重要であります。 このため、社会人を対象としたリカレント教育や、人間形成の基礎を培う家庭教育の充実、少子・高齢社会や男女共同参画社会に対応した学習機会の充実と社会参加の促進、社会教育施設の高度化、情報化などの施策を積極的に推進してまいります。放送大学については、全国化の諸準備を着実に推進するとともに、来年度中に通信衛星を利用した全国放送の実施を図ってまいります。 また、社会教育及び学校教育を通じ、人権教育の一層の推進に努めてまいります。 さらに、「教育改革プログラム」に基づき、学校、家庭、地域社会の連携強化、青少年の学校外活動の充実、ボランティア活動の促進などについて積極的に対処してまいります。 第二は、初等中等教育の充実についてであります。 初等中等教育については、ゆとりの中で子供たちの生きる力をはぐくむため、個性を生かし、創造性や豊かな人間性をはぐくむ教育を一層重視してまいります。このため、今後は「教育改革プログラム」に基づき、中高一貫教育制度の導入、二〇〇三年度を目途とする完全学校週五日制の実施に向けた教育課程の見直し、教員の資質向上などの諸課題について、中央教育審議会を初めとする関係審議会の審議を踏まえ、積極的に対処してまいります。 いじめや登校拒否などの問題は依然として憂慮すべき状況にあり、家庭、学校、地域社会が一体となった取り組みを一層進めていく必要があると考えており、この問題の解決に最大限の努力を傾けてまいる決意であります。 また、人類の生存にとって極めて重要な課題である環境問題に対応するためには、今後、我が国社会が大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会から、省資源、省エネルギー、リサイクル型社会へと転換していくことが必要であり、そのような視点に立って環境教育についても一層の推進に努めてまいります。幼稚園教育及び特殊教育については、社会の要請等に的確に対応しつつ、その一層の振興に努めてまいります。 教育諸条件の整備については、一人一人の子供を大切にする教育を推進する観点から、教職員配置や学校施設の充実を図るとともに、義務教育教科書無償給与制度を堅持してまいります。さらに、地方分権の観点も踏まえながら、地域に根差した教育行政の推進を図るため、地方教育行政システムの改善に取り組んでまいります。 なお、昨年の病原性大腸菌O157による食中毒は、児童からも犠牲者が出るなど深刻な事態となり、学校給食の安全な実施が重要な課題となっています。学校給食に対する保護者の理解と信頼を得、子供たちが安心して学校給食を受けることができるよう、学校給食の衛生管理の徹底と施設整備の充実などに引き続き万全を期してまいります。 第三は、高等教育の充実についてであります。 高等教育については、大学審議会における検討をもとに、大学改革を積極的に推進しているところであります。今後は、さらに「教育改革プログラム」に基づき、学部、大学院を通じた教育機能の強化、教育研究環境の改善充実、大学における組織運営の活性化など、大学における改革への支援を一層充実するとともに、大学入試の改善や特にすぐれた才能を有する者を対象とする大学入学年齢制限の緩和について、中央教育審議会の審議を踏まえ、必要な措置を講じてまいります。また、大学における教育研究の活性化に資するため、大学教員の選択的任期制について、関係法令の提出準備を進めてまいります。 創造的な人材の育成を目指した理工系教育の推進や育英奨学の充実を図るとともに、昨今の学生の厳しい就職状況や新たなルールのもとで就職・採用活動が行われることになったことにかんがみ、就職指導の充実などに一層努めてまいります。 私立学校については、私立学校振興助成法の趣旨にのっとり、教育研究条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減などを図るため、学術研究基盤の強化、教育改革の推進、施設の高度化の推進などに配慮しつつ、私学助成の充実に努めてまいります。 第四は、学術研究の推進についてであります。 人類の知的創造活動である学術研究は、我が国が今後さらに発展し、国際社会において積極的役割を果たしていくために必要不可欠な営みであり、科学技術創造立国を目指す我が国にとって、その振興は極めて重要なものであります。昨年七月には科学技術基本計画が閣議決定され、研究開発推進の総合的指針や計画的な施策の展開が定められたところであります。今後、科学技術基本計画等を踏まえ、科学研究費補助金や学術研究のために活用される出資金の拡充など研究費の充実、ポストドクター等一万人支援計画の達成に向けた若手研究者の養成確保に努めてまいります。 また、老朽・狭隘化が指摘されている国立学校を初めとした研究施設設備や研究支援体制の整備など、教育研究の発展充実に資するよう研究環境の整備充実を行うとともに、コンピューターネットワークやデータベースなど学術情報基盤の整備を進めてまいります。 加えて、天文学、加速器科学、地球環境科学、生命科学などの基礎研究を重点的に推進してまいります。さらに、産学の連携協力による独創的な研究開発の推進、研究評価の充実などをあわせ、学術の振興のための総合的な施策を進めてまいります。 第五は、文化立国の創造についてであります。 文化は生活に豊かさと潤いを与えるとともに、社会や経済の活性化の原動力となるものであります。今後、我が国が活力あふれる国として一層の発展を遂げていくためには、文化に対して重点的な投資を行うとともに文化を通じた国際貢献をなし得る真の文化立国を目指していくことが必要です。 このため、十月に開場を迎える新国立劇場の整備充実を含めた芸術創造活動の基盤整備や文化のまちづくりを推進するとともに、ミュージアムプランによる美術館、博物館活動の推進、伝統文化の後継者や若手芸術家の養成、文化財登録制度の推進や史跡等の整備、活用を初めとする文化財の保護の推進に努めてまいります。 また、宗教法人制度については、法改正の趣旨を踏まえ、今後とも円滑な宗務行政の実施に努めてまいります。 さらに、文化の発展に必要不可欠な法的基盤である著作権制度については、国際的な動向や情報化の進展等社会状況の変化を踏まえながら、適時適切に整備を図ってまいります。 第六は、スポーツの振興についてであります。 国民が生涯にわたって健康で活力のある生活を享受していくためには、スポーツの振興が重要です。特に、見る人々に感動とスポーツ活動への契機を与える競技スポーツの振興は、従来にも増して大切となっています。このため、シドニー・オリンピック等を視野に入れつつ、我が国の競技力向上を図るための施設整備や選手強化事業の推進などの諸施策を進めるとともに、平成十年の長野オリンピックや日韓共催による二〇〇二年ワールドカップなど、我が国における国際競技大会の開催を支援し、スポーツを通じた諸外国との交流を進めてまいります。 また、国民の多様なスポーツニーズにこたえて、だれもが、生涯にわたって、いつでもどこでもスポーツを楽しめる環境の整備が重要な課題となっております。このため、スポーツ施設の整備充実、すぐれたスポーツ指導者の養成確保、各種スポーツ事業の推進など、諸施策の一層の充実に努めてまいります。 さらに、昨年末には、保健体育審議会に対し、生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興のあり方について御審議をお願いしたところであり、それを踏まえて、所要の施策を積極的に進めてまいりたいと考えています。 最後に、国際化、情報化への対応についてであります。 教育、学術、文化、スポーツの一層の発展と国際貢献を図るためには、これらの分野を通じた国際交流、協力の推進が重要な課題です。このため、留学生交流の積極的な推進を初め、海外子女教育、教職員・研究者交流や国際共同研究の充実、我が国のすぐれた文化の積極的な海外発信、海外の貴重な文化財の保存修復への協力などの推進に努めてまいります。また、ユネスコ、OECD等の国際機関等を通じた協力や途上国への教育協力を推進してまいります。さらに、ネーティブスピーカーの活用等による外国語教育の充実を図ってまいります。 また、情報化の進展に適切に対応するため、情報教育の推進を図るとともに、インターネットや衛星通信等を活用した教育を積極的に推進します月さらに、教育、学術、文化に関する情報提供、発信を行うための情報基盤の整備充実に努めてまいります。 以上、文教行政を担当する者として、私の所信を申し述べました。 さきにも申し上げましたとおり、教育改革は喫緊の課題であり、最大限の努力が要求されるものであります。私どもといたしましても、できる限り力を尽くしてまいりたいと考えておりますが、文教委員各位におかれましても、一層の御理解と御協力を賜るようお願いいたします。 ありがとうございました。
○二田委員長 次に、平成九年度文部省所管予算の概要につきまして説明を聴取いたします。佐田文部政務次官。
○佐田政府委員 平成九年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 二十一世紀を目前に控え、我が国が創造的で活力に満ち、文化の薫り高い国家として発展していくとともに、国民一人一人がゆとりと潤いのある生活を実感し、多様な個性を発揮できる社会を築いていくことが求められております。 このため、平成九年度予算の編成に当たりましては、厳しい財政状況のもとではありますが、中央教育審議会の答申等を踏まえた教育改革の積極的な推進を図り、いじめや登校拒否の問題、病原性大腸菌O157や薬物乱用対策等の喫緊の社会的諸課題に取り組むとともに、二十一世紀に向けた科学技術創造立国、文化・スポーツ立国を目指した基盤をつくり出し、大きな時代の変化に柔軟かつ的確に対応する文教施策を積極的に推進することができる予算の確保に努めたところであります。 文部省所管の一般会計予算額は五兆八千百九十七億六千三百万円、国立学校特別会計予算額は二兆六千八百四十八億三千九百万円となっております。 その主な内容としては、 一、人々の生涯にわたる多様な学習活動の振興に資するため、通信衛星を利用した放送大学の全国化の推進、青少年の学校外における体験活動や家庭教育の充実、社会教育施設の高度化、情報化の推進など、 二、一人一人の個性を生かし、豊かな人間性を育てるための初等中等教育の充実として、教職員配置改善計画の着実な実施やゆとりの中で生きる力の育成を目指した教育内容の改善を初め、いじめや登校拒否等の生徒指導上の諸問題に適切に対応するためのスクールカウンセラー活用調査研究委託事業の大幅拡充、公立学校施設等の耐震、防災機能の充実強化、安全で充実した学校給食の実施に向けた病原性大腸菌O157対策事業、薬物乱用対策事業等喫緊の社会的諸課題への取り組みなど、 三、個性豊かな教育研究を展開する私学への助成として、経常費助成を初め、私立学校施設の近代化、高度化のための整備を推進する利子助成制度の創設や私立大学学術フロンティア推進事業の実施など、 四、高等教育の高度化等の要請にこたえるための整備充実として、国立大学等における創造的な教育研究を推進するための大学院等の整備や教育研究経費の充実など、 五、人類の知的共有財産として社会発展の基盤を形成する学術の振興として、科学技術基本計画を踏まえたポストドクター等一万人支援計画の着実な推進や科学研究費補助金の拡充など、 六、ゆとりある質の高いスポーツの振興として、国際的な競技力の向上を図るための国立スポーツ科学センターの建設着手、いわゆるナショナルトレーニングセンターのあり方に関する調査研究の実施及び生涯スポーツの振興のためのスポーツタウン推進事業など、 七、新しい文化立国を目指した文化の振興として、新国立劇場の本年十月オープン、アーツプラン21など芸術創造活動への支援の拡充、美術館、博物館の総合的充実、若手芸術家や伝統文化の後継者等の養成確保、文化財の保存、公開活用の推進など、 八、教育、学術、文化、スポーツの国際交流、協力の推進として、留学生交流や昨年の日米首脳会談を踏まえた日米国民交流事業、ユネスコ等国際機関を通じた教育協力事業、諸外国との研究者交流や共同研究、世界的な文化遺産の保存修復に関する国際協力、新たな日韓スポーツ交流事業など、 九、情報化への対応として、情報教育の充実、インターネットや衛星通信等を活用した教育の一層の推進、文教行政各分野における情報通信ネットワーク環境の整備の推進などに関する経費であります。 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 なお、その具体の内容については、お手元に資料を配付してありますので、説明を省略させていただきたいと存じます。よろしくお願いします。
○二田委員長 以上で説明は終わりました。 次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十七分散会