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140回国会衆議院1997/02/28

商工委員会 第3号

発言数
88
登壇者
13
会派数
6
開催日
1997/02/28

会議録

武部勤自由民主党

○武部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、工業標準化法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田勇君。

上田勇新進党

○上田(勇)委員 新進党の上田勇でございます。本日は、工業標準化法の改正法案につきまして、何点かにわたりまして質問をさせていただきます。  まず初めに、この基準・認証制度の最近の国際的な流れを見てみますと、九五年の一月にWTOのTBT協定が発効いたしまして、その後、APECでも基準・適合性小委員会の会合などが数次にわたって行われるなど、また、日本とEUの間では相互承認の協議もこれまで行われてまいりましたし、特に九六年の六月にはリヨン・サミットでもこの問題が取り上げられまして、経済コミュニケの中でもそうしたことが明記されたわけであります。  こういうことを考えますと、近年の各国のそれぞれの基準・認証制度の国際化、共通化あるいは相互承認、こうした流れは明らかなのではないかというふうに思うわけでありますが、我が国といたしましても、貿易立国、貿易に大きく依存するという立場から見ますと、こうした動きに対しては積極的な対応をしていくことが重要ではないかというふうに考える次第でございます。  今回提出されているこの法案もそうした流れの一環ではないかというふうに思うわけでありますが、まず初めに、こうした国際的な動向に対しまして、政府としてどのように考えているのか、またどのように対応していくのか、基本方針につきまして、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

佐藤信二自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 上田委員にお答えいたします。  今御指摘のように、近年、この標準化制度をめぐる環境は大きく変化してまいりました。御指摘のように、制度の国際整合化が強く求められているところでございます。  まず、WTOの貿易の技術的障害に関する協定、いわゆるTBT協定でございますが、これの成立によって、国際規格を基礎とした国家規格や技術基準の制定が義務づけられ、国際規格の重大性、重要性が増してまいりました。また、規格との適合性を評価する手続についても、国際ルールの活用が義務づけられるとともに、国際貿易円滑化の観点から、相互承認、これの実現等がサミット等ハイレベルの政府間協議でも議題となっております。そうした状況の中で、工業標準化法の改正により工業標準化制度の国際整合化を進めることが極めて重要だ、かように考えております。  以上です。

上田勇新進党

○上田(勇)委員 今回提出されております改正案、こうした国際的な動向を踏まえまして、いずれもそれに向けての必要な措置だというふうに考えますので、基本的には今回のこの改正案、支持する立場でございますが、そうした中で、ちょっとこれから法案の内容につきまして何点か御質問をさせていただきます。  まず、従来は、このJIS制度の認定業務は国に限って行っていたわけでありまして、検査業務が民間に開放されていました。今回の改正によりまして、この認定業務も国の内外の民間機関についても開放していこうという改正であります。従来、検査機関というのは、資料によりますと国内では十六の公益法人が指定されていた、また海外でも幾つかの機関が、七つとか八つとかというふうにお話を聞きましたが、そうした機関が認定、承認されていたわけであります。  今回、認定業務まで民間に開放するということであるわけでありますが、当然のことながら、これは国内また海外からのそうした要請を踏まえてのことであるというふうに思うわけでありますけれども、今回のこの認定業務の民間開放によりまして、どのような機関から申請があるのだろうか。もちろん、これは申請が出ないと正式にはわからないかもしれませんが、こういう措置をとる上でどのような機関を想定して今回の改正を行ったのか、これまでのいろいろな要請だとか協議とかの経過も踏まえまして、その点をお伺いしたいと思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、どのような機関が認定機関になるかということでございますが、先生御指摘のように、これはやってみないとなかなかわからないわけでございますけれども、先ほど大臣から答弁がありましたように、近年、WTOのTBT協定というようなことで世界の認証のルールというのが一つの決まった形になってきておりまして、内外のそういう認証を行う機関というのが日本でも近年活躍をするようになってきております。それから、先生御指摘の、前回、昭和五十五年に法律を改正いたしまして、検査をする段階で民間の検査機関にいろいろお願いをするというようなことで、こういう民間の検査機関も日本で十六機関あるわけでございますけれども、そういう機関でありますとか、それから、三つ目の流れは、ISOの9000という、1つの品質システムをチェックする仕組みが世界的にできておりまして、現在、日本でも内外含めまして二十のこういう認証を行う機関が活躍をしております。  したがいまして、こういう各種の機関が一つの候補として挙がってくるわけでございまして、その中からこの法律で決める要件にどういうところが合うかというのが、その最終的なチェックをすべきポイントになると思います。

上田勇新進党

○上田(勇)委員 JISが鉱工業品の基準・認証制度でありますけれども、我が国ではもう一つ重要な基準認証制度に、加工食品とか木材製品等を対象といたしました日本農林規格、JASの制度があります。きょうはちょっと農水省の方にも御出席をお願いしているのですが、これは二つ代表的な基準・認証制度であると思いますので、若干ちょっとその比較をさせていただきます。  もちろんこのJISとJASというのは、JISが製造業者というか工場の認定をするものでありますし、JASは製品の認定というのを前提としているという構成上の違いもあるというふうに思いますし、また対象となる製品の性質も異なるので、単純な比較は難しいことは承知の上で若干ちょっと比較をさせていただきますと、JAS制度においても、製造業者が制度を実質的に実効あるような活用をしていくという上では、製造業者、いわゆる工場の承認認定制度、これを活用することが重要になってくるわけであります。そういう意味では、その制度のこの部分につきましては考え方がJIS制度とも共通しているのではないかという意味でちょっと比較をしてみたいのです。  今回の改正を踏まえますと、JASでは、承認認定の権限というのは、現行法では農林水産大臣に限られております。JISでは、今回の改正で、国の内外、民間の機関にも開放された。またもう一つは、JASにおいては、外国製造業者、工場の承認認定手続の中で重要な役割を果たしている登録格付機関というのがあるのですが、これが国内の機関に限られております。また一方、JISでは、これに相当するそういった機関はありませんが、認定手続のすべてのプロセスを海外機関に開放するような形になっております。  そこで、以上の二点、JASにおいては、認定の権限を国に限っていること、それから認定手続の一定部分を国内の機関に限定していることがあるのですが、今回、このJISの方の法律が改正されることを踏まえまして、JASの制度についても同様に改正するお考えがあるのか、それともそのようにすることが不適切なのか、そのあたりを、ちょっと理由も含めまして、農水省の方の見解を伺いたいというふうに思います。

村上秀徳農林水産省食品流通局品質課長

○村上説明員 先生御指摘のように、JAS制度の場合は、物資の製造業者は、その製品ごとにJASマークを表示するためには検査を受けるという形になっておるわけでございます。その検査につきましては、民間の検査機関を活用して、いわゆる登録格付機関という形で民間の能力を相当活用しているところであるのは御案内のとおりでございます。  今先生御指摘になりました承認認定、認定工場の認定の権限、現在、大臣に限られているわけでございます。これを民間機関に認めるかどうかという問題でございますけれども、いわゆる工業製品の場合と、それから毎日消費者が口にする食品の場合と、品質の安定というような観点からいきますと、消費者の関心も多少違いがあるめではないかというふうに考えますし、それから審査能力、こういう工場の品質管理、工場の能力についての審査能力を有する民間認証機関が実際にあるかどうかというようなこと、いろいろ考慮すべき問題が多くあるのではないかというふうに思っております。  それから、外国については、工場については外国も承認工場として、あるいは認定工場として開放しているわけでございますが、その格付機関、いわゆるJASマークをつけられるかどうかの製品を検査する部分につきましては、先生御指摘のとおり、日本国内の法人に限っている、機関に限っているところでございます。これは、認定工場の場合と同じように、食品なりあるいは木材のその品質の維持というようなことで、相当いろいろな要素を考慮しなければ難しい問題があるのではないか、一概に、JISの場合に外国に開放したから食品も同じようにできるかということは、単純にはまいらないのではないかというふうに考えているところでございます。

上田勇新進党

○上田(勇)委員 もちろん、取り扱う製品が食品という意味で特殊性があるということを前提にしましても、JASの中には、木材製品であるとか農業資材であるとか、鉱工業品にも近いものもかなり多く含まれていると思うのです。  ちょっと今の御説明で、これは所管省庁が異なっても、やはり同じ日本の国の基準・認証制度であるわけですから、一定の相互の整合性というのが、今回はJISの方ではその機関の中に民間の営利企業なんかも含まれるということでもありますし、そういうところから見ると、ちょっと今の御説明だけでは、特に外国の政府や機関に納得してもらえるのかなというのが本当のところを言うと心配であります。  国際化が必要と言っており、これから各種のこうした基準・認証制度についての国際交渉なども行われていくということを予想するときに、やはり日本政府としての基本的な考え方というのでしょうか、思想的なところというのは、関係省庁、もう少しよく協議された上で整理をしていただくべきではないかというふうに思うわけであります。その点、ぜひ御要望をさせていただきまして、次の点に移らせていただきたいと思います。  今回の改正法案の中で、第七十条から七十六条にかけまして、一部懲役刑も含む詳細な罰則規定が違反項目ごとにかなり細かく書かれております。そのほかにも、いわゆる指定の取り消しとかという処分の規定もほかの条文でそれぞれのことについて書かれているのですが、その上に、さらにこうした罰則規定を設けております。  この罰則規定を設けている目的というのでしょうか理由というのでしょうか、それは何なのか、ちょっとお答えをいただければというふうに思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 工業標準化法の目的でございますけれども、これは、必要な鉱工業品に関してある一種の技術的な取り決めを規格として決めるわけでございますけれども、国が必要な規格を決めるということで、利用する人たちも非常に多いわけでございます。一方、その規格の中で、特に必要と認められるものにつきましては、JISマーク品ということでその規格に適合していることを国が保証するという制度が今までの工業標準化法の骨格になっておりました。  それから、今回、JISマーク品以外、いわゆる指定品目以外のものにつきましても試験事業者という制度を設けまして、指定品目以外のものにつきましても、自己宣言をする場合に、その業者が適格な技術能力を持っているか、持っていないか、そういったことを国が一つの保証をする、そういう制度でございます。  したがいまして、こういう制度に基づいて規格それから認証を受けた商品を利用する場合に、利用者が一つの保証、ちゃんと国がある規格に合っていることを保証している、そういうマークをめどに物の取引をやるわけでございまして、任意規格ではございますけれども、そういうしっかりした制度のもとに事柄が動くという仕組みでございますから、ある指定をされた製造業者あるいは認定機関、そういった組織が非常に不正なことをした場合には、それを罰則でもってそういうことが起こらないように担保をするという体系でございまして、先生御指摘のような条文がそこに設けられているわけでございます。

上田勇新進党

○上田(勇)委員 これはもともと改正前から罰則規定があるのですが、率直な感じとして、いわゆる行政処分的な指定の取り消しとかがある上にこういう罰則規定、しかも、非常に部分的でありますが、結構重い刑も含めて書いているというのは、何かちょっと重過ぎるのじゃないのかなという感じがするのです。  さらに見てみると、ここに書かれているこの罰則規定というのは、海外の製造業者や認定機関には適用されていないのですね。法律を読みますと、ほとんど国内の機関や企業。業務内容であるとか権限、あるいはこの制度を活用することによって得られるメリットなどもほとんど同じじゃないかと思うのですが、国内の機関には罰則の適用があって海外の機関には罰則が適用されないというのは、ちょっとこれは、いささか法律上不公平があるのではないかと思うのですが、この点についての御見解を伺いたいというふうに思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 先生御指摘のとおり、罰則ということに関しまして、日本の国内と海外を分けて体系ができているわけでございますけれども、指定という言葉と承認という言葉を分けて例えば認定機関というのを区別をする、それから製造業者も指定と承認ということで分けているわけでございますけれども、国内と外国をそういう格好で分ける理由は、外国の場合には日本の刑法の体系が適用できない、域外適用できない、そういう問題がございます。  そういたしますと、外国の場合、どうやってこの法律の体系を担保するかということが問題でございますけれども、外国でいろいろ問題が起こる場合には、日本国政府として、まず請求をする、いろいろ要請をいたしまして、それでも問題が解決しない場合には取り消しを行う、そういう二段構えで問題が起こらないようにするという体系になっております。  さらに、それでも外国でJISマークを打つとか、試験事業者が標章を打ちました証明書を持って日本に商品が入ってくる場合には、輸入段階で輸入業者に関して販売をやっているところをチェックして、それに国内の罰則を適用する、そういう体系になっていまして、国内と国外というのはそういう意味では法制的には若干違いますけれども、システムを維持するということに関しましては同じ効果を持つというふうに考えております。

上田勇新進党

○上田(勇)委員 もちろん日本の国内の法律が海外にある機関や企業に適用できないというのはそのとおりだと思うのですが、ただし、この法律の中には、いわゆる指定の取り消しであるとか認定の取り消しという処分も、それぞれ国内の機関や企業に対しても、あるいは海外の機関や企業に対しても設けられているわけでございますね。今御説明にもあったとおりなんですが、こういった取り消しとかという処分が行われたときの社会的な影響を考えると、これはやはり国内の機関の方がむしろ大きいのじゃないかと思うのですね。  というのは、国内の機関あるいは企業でJISの指定が取り消されたということであれば、これは取引先だとかほかの業界なども皆さん御承知になるし、非常に信用が失墜する重大なことになるのではないかというふうに思いますが、海外の機関でいえばそれほど、それに比べると比較的少ないのじゃないかと思うわけであります。  そうすると、そういった社会的制裁の社会的な影響の度合いというのは、国内機関の方がむしろ海外の機関に比べて大きい。こうしたことを考えて、海外の機関には罰則規定がなくて適正な運用が確保される、ところが、日本の機関にはあえて罰則規定まで設ける必要性というのは本当にあるのだろうか。海外の機関がそういう適用がなくてもできるのであれば、国内の機関や企業についてもそうした罰則規定というのはこの際廃止するべきじゃないかと思うのですが、その辺は御見解いかがでしょうか。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 先生御指摘の点、論理的にはあり得ると思うのですけれども、先ほど申し上げましたように、このJISの法律というのは、規格を決めましてその規格に合うことを一部分の商品については国が保証をするということで、非常に広範にその取引が行われているということでございまして、そういう意味でその体系を乱す事柄が起こった場合には非常に影響が大きい。  そういうことで、どうしてもその体系を維持するために、その担保をするために罰則ということでこの仕組みを維持してきたわけでございますけれども、先ほど先生から御指摘のあったような、ある一つの矛盾のようなものが起こるのは、一つは国際性ということでございまして、一国の罰則、いわゆる刑法の体系がほかの国には及ばないわけでございまして、WTOの議論というのはそういうものを踏まえてやはり域外適用、各国同じルールでやっていこうじゃないかという考え方でございまして、そうなりますと、おのずと日本の国内と外国というのは全く同じ体系にはできない。  それを最もうまく現時点で維持できる仕組みというのは、先ほど申し上げましたように、外国には問題があれば要請をして、さらにそれでもうまく事態が解決しない場合には取り消しを行う、さらに問題があれば輸入のところで対処をするという体系が今現在の考え得る一番ベストの体系ではないかというふうに考えまして、今回のような案になっているわけでございます。

上田勇新進党

○上田(勇)委員 もちろん、国内法と国際的な関係ということで、当然国内への法律の適用と海外への適用というのは違うというのはわかるのですが、そうすると、つまり今度のこの法律改正が実は何か非常に中途半端な部分を含んでしまったんじゃないのかなという感じがするのですね。  というのは、民間に開放する、内外無差別といいながら、やはり国がこの基準を管理するがゆえに罰則をもって担保しなければいけないというような規定がある。一方でそれは、国際化の流れの中で海外の機関や企業の参画も促すというと、今度は法律の域外適用の問題が出てきて同等には扱えないという、何かちょっと難しいというのでしょうか、理解しにくい状況になってしまっているんじゃないかというふうに思います。  それで、この法律で、これは罰則の問題なんですが、あえて先ほど国内についても海外と同等に罰則を取りやめたらどうかということも御提案したのですが、その場合に、ちょっと私、通産省さんから伺っている中では、今まで余りこの罰則というのが適用されるまでの事態というのは起きてこなかった。これは当然行政の手続的な法律なので、実際そこまでいくというのは余りないのかもしれないのですが、そういうことかもしれませんけれども、このことというのは、その本質というのは非常に国民の権利にかかわる重大な問題だと思うのですね。  国内の法でありながら、海外の機関や企業に比べて国内の機関や企業が不利益な取り扱いを受けているということも想定されるのですが、本当にこれは罰則のこうした規定がなければ国内においてもこの工業標準化法の適正な運用が図られないというふうにお考えなんでしょうか。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 先生御指摘の点は国際化ということで常に問題になる点でございますけれども、我々長年にわたってこの法律を運用してきたわけでございますけれども、やはり罰則の担保があるということは、システムをうまく維持する上で非常に必要なことだと思っております。  したがいまして、若干そこは非対称的になるわけでございますけれども、海外に関しては検査とかチェック、そういったことを十分行うことによって、一番大切なのはシステムをうまく運用していくということでございますので、そういう努力をしてまいりたいというふうに考えております。

上田勇新進党

○上田(勇)委員 あと何点かお聞きしたいことがあったのですが、時間が参りましたので……。  ちょっとその点、内外無差別ということでありますけれども、逆に国内の方が厳しく規制されるというのも、これは国民の権利にかかわることであると思いますので、これからいろいろとこういう状況というのが国際化の中で想定されると思うのですが、ひとつ検討課題としてまた御検討いただければというふうに思います。  いずれにしましても、これからの貿易交渉、外国との交渉などで基準・認証という制度が重要な論点になってくるというふうに思いますので、こうした制度を所管されておられます関係省庁におかれましては、もうそういった動向は十分御承知だと思いますので、ぜひとも国内の産業や企業の育成に役立つような制度の運用をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

武部勤自由民主党

○武部委員長 ありがとうございました。  次に、達増拓也君。

達増拓也新進党

○達増委員 新進党の達増拓也でございます。  通産省を中心に政府でまとめられました経済構造の変革と創造のためのプログラム、この中に標準化制度の改革ということが書かれてありまして、今私たちが取り扱っております工業標準化法の改正案というものも政府の経済構造改革の一環であると認識しております。政府の方からちょうだいしておりました資料の方にも、これは経済構造改革関連などで極力早期の制定が必要というふうに伺っておりました。  この経済構造改革でありますけれども、橋本内閣の六つの改革のうちの一つということで、政府は非常に力を入れて取り組むということを聞いているわけでございます。  ただ、構造改革と聞いて思い出しますのは、前川レポ一トというのが日米貿易摩擦華やかなりしころあったわけですけれども、いいことはたくさん書いてあったわけですけれども、あれで日本経済構造へどう変わったのか、結局成果がさっぱり出てこなかったわけであります。新前川レポートという続編も書かれましたけれども、いずれにせよ、構造改革、構造改革ということはうたわれたわけでありますが、何の成果も得られなかった。  そもそも、国際社会で構造改革といいますと、大体、発展途上国がIMFですとか世界銀行からお金を借りるときに、国の経済構造がまるでなっていないので、国際水準の最低限を満たさないと金は貸せないというときに構造改革、構造改革というのでありまして、一国の政府が構造改革をやるというと、大体発展途上国のことが思い浮かぶわけであります。  アメリカ、ヨーロッパ等でも構造改革ということは実際にはやるわけでありますけれども、その際は、例えばEUの統合のためですとか、あるいは双子の赤字解消のためですとか、まず明確な国家目標があってそのための構造改革ということで、したがって、その目標が達成されたかどうかということでその成果も明らかになるわけであります。  我が国の場合でありましたら、例えば公共部門を二十兆円削減し、その分十八兆円の減税を行う、そういうことを可能にするような強力な民間部門をつくっていくですとか、あるいは地方公共団体を三百に再編し、その一つ一つが十分な自主財源を確保できるようなそういう強い地方経済をつくるといった、そういう明確な国家目標というのがあって構造改革プログラムというのであれば、政府の意気込みというのも伝わってくるわけでありますけれども、残念ながら、今回のこの経済構造の変革と創造のためのプログラム、一体どういう国家目標のためにこれを行うのか、何を目指して行うのかというところがいま一つ不明確であると考えます。  今の政府の経済構造改革というものがかつての前川リポートのようなただのプログラムに終わらないことを祈るわけでございますけれども、その点についての政府の決意について伺いたいと思います。

佐藤信二自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 達増委員にお答えいたします。  近年、高度情報化社会、この進展によって世界の一体化というものが進んでまいりました。その現象として我が国においても産業の空洞化、こういうものが進んでまいり、また一方では少子・高齢化、こういうことで経済活力が停滞、こうした懸念が出たわけです。今、国家目標と言われたけれども、こうした環境の変化によってこのままでは日本という国が二十一世紀になって世界の中でどういうふうに位置づけられるだろうか、まさにやはり一から出直さなければいけないだろう、実はこの危機感から今度申しているわけでございます。  こうして今の時代に抜本的な経済構造改革を速やかにやらないといけない、こういうことになるわけですが、具体的には一体どうするのだろう、こういうことになるわけでございまして、今御指摘のように、昨年の十二月に閣議でもって経済構造の変革と創造のためのプログラムというものをつくったわけですが、この中において二つの柱があると私は思うのです。  一つは、今のような産業の空洞化ということを防ぐためには、やはり国際的に同じような条件にして、そこでもって新しい産業というものを目指さなければいけない。そのためには徹底した規制緩和というのが一つの柱だし、もう一つは、高コスト構造というもの、これをやはり世界的な水準に持っていく、こういうことになるわけでございます。  そこで、きょう、今お願いをしております工業標準化法、この改正というのは、まさに標準化制度の改革を含めて、ほかと同じようにだんだんに近づけていく、実はこういうねらいで、そこにおいて新規産業の創出というもの、これを見出していこう、こういうことでございます。  そこで、本プログラムの基本的な考え方はそうでしたが、具体的には、この内容を充実してその実現に向けた行動計画というものをことしの春までにつくっていこう、そして一応二〇〇一年というものを目標に置いている、かようなことでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。

達増拓也新進党

○達増委員 この経済構造の変革と創造のためのプログラム、新進党が掲げております改革ビジョンを実現するために取り組まなければならない課題についてかなり広くカバーしておりまして、これの実現のためにはぜひ一生懸命政府の方にも頑張っていただかなければならないというふうに考えておりました。また、大臣おっしゃられたような、今の日本の現状に対する危機感というもの、私も共有するものでございますので、経済構造改革についてはそうした観点からも取り組んでいく必要があると考えます。  さて、工業標準化法改正案についてでございますけれども、今いわゆる大競争時代ということで、アメリカ、ヨーロッパ、日本、さらにはアジア諸国といった新興工業国も含めまして世界の経済競争、一層激化するであろうというふうに見られでいるわけであります。  特に経済、産業を支える科学技術分野でもやはり大競争時代に突入すると思われるわけでありますが、アメリカも、クリントン政権のもとで情報スーパーハイウエー構想、あるいは「国益のための科学」というレポートも出されております。ヨーロッパにおいても、今まで科学技術白書を出さなかったような国が出すようになったり、科学技術に関して国家的に取り組む新しいいろいろな委員会をつくるなどなど、国際的な科学技術競争ということに関して、かなり政府が技術の世界に関与していくということが目立ってきていると思います。  テクノナショナリズムという言葉もございます。また、テクノグローバリズムという言葉もございます。しかし、国際社会というのはまさにその中間、インターナショナルでございまして、テクノナショナリズムに徹して我が道を行くというわけにもいかず、またテクノグローバリズムに完全に自分を合わせて日本の国際競争力を失っていくようなことがあってもいけない。そういう中で、この標準化の問題といいますのは、我が国にとって今非常に重要な課題であるというふうに考えます。  さて、具体的な問題に行くに当たって、まず一番最初にちょっと身近なところから行ってみたいと思います。  標準化政策というのは、伝統的にはまず中小企業対策という側面も持っていると理解しております。中小企業が安心して生産に励むことができるように、中小企業の声を反映して国家規格を決めていくということが一方にあるわけでありますが、他方で、規格の国際化が現在のように進んでいきますと、国家規格というものを国際規格の方に合わせていかなければならないという情勢になっているわけであります。  このように、国の規格を決めるに当たって、国内の中小企業の意見を広く聞いていかなければならないという側面と、世界の標準の方に合わせていかなければならないという、この二律背反をどのように克服していくかというところが、国家の技術政策として非常に手腕が問われるところであると考えますが、この点、政府がいかなる戦略に基づき、いかなる施策を講じるのかについて伺いたいと思います。  また関連いたしまして、中小企業の中でも特に地方の中小建設会社でございますが、先ほど上田委員への答弁の中にも出てきたISO9000あるいはISO14000とかいったものが、将来公共事業に適用されるかもしれない。これは大変だ、新聞や雑誌でも何か盛んにISO9000だ、14000だということで取り上げられているけれども、これは家族の延長でやっているような地方の中小建設会社ではなかなか何のことだかよくわからないということもあって、ブームとパニックの間で悩んでいるということを聞いております。この点、地方中小建設会社の不安にどのようにこたえていくのか、これについても政府の考えを伺いたいと思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えいたします。  まず、国際化と中小企業の経営に及ぼす国際規格の整合化の問題の二律背反的な性格の点でございますけれども、今現在、日本の中には八千ほどのJIS規格がございまして、そのうち二千ほどの規格が国際規格に対応している。そういう二千規格の日本のJIS規格を国際規格に合わす作業を昨年度から三年計画でやっているわけでございますけれども、そういう国際規格に対応する国内規格が国際規格に合うということは、ビジネスを行う場合に国際的なマーケットでいろいろ企業戦略を立てられるという側面がございまして、そういう意味で、日本のこのJIS規格でありますとか認証の制度を国際的な仕組みに合わすということは、世界を見て中小企業もビジネスを組み立てられるということでございまして、アメリカの小さい企業がまさに合成功しているのは、そういう側面が幾つかあるかと思います。  片や、なかなかそういうことができない企業もございまして、そこは一つの調整問題として我々慎重に検討しなければいけないところでございますけれども、こういう国際規格の整合化の過程では、非常に広く、パンフレットをつくるというようなことでPRをするとか、国際規格の意義を説くPRをやりながら、慎重に、中小企業の方にも検討の場に加わっていただいて、意見をくみ上げるような格好でやっていくということで今進めております。  それから、二番目の御質問のISO9000の中小企業の取得の問題でございますけれども、このISOの9000というのは、近年世界的に広がりを見せていますISOのもとでの一つの企業の中の品質システムに関する認証の仕組みでございまして、世界的な取引を行う場合にはISOの9000の取得というのが往々にして要求されるわけでございますけれども、このISOの9000の取得を行う場合に、やはり企業の中の各種の社内規程類を文章化するとか、文章化するために数人の人が要るということで、資金的な負担もあるわけでございます。  ただ、このISOの9000の問題というのは任意の生産者と購入者との間の問題でございますので、必要がない方はやらなくてもいいわけですけれども、そういう必要性がある場合には、このISOの9000を取得することによって、その組織の中での仕組みがルールとして位置づけられるとか、第三者に非常に信用があるというようなことで、一方でニーズもあるわけでございます。  そこで、資金面とか人材面でISOの9000というのがなかなか取得できない中小企業に対しましては、中小企業大学校でありますとか、各県にあります公設試で必要なセミナーのようなものを行うというようなこととか、平成九年度の予算でお願いをしているわけでありますけれども、各種の中小企業のコンサルタントにISO9000の相談をした場合に補助金が出るような仕組みで、ISOの9000取得を必要な中小企業に広げていくということを考えております。

鈴木藤一郎建設大臣官房技術調査室長

○鈴木説明員 ただいまのお尋ねの、建設省に関連する部分についてお答えいたします。  建設省におきましては、公共工事の品質確保は重要な課題、こういう認識のもとに、公共工事の品質確保はいかにあるべきかということにつきまして、学識経験者等にお願いいたしまして、委員会を組織して検討をやってまいりました。その結果が出たわけでございますが、その中で、品質確保のための施策の一つとして、御指摘の9000シリーズというものについて公共工事への適用について検討すべき、このような提言がなされました。この提言を踏まえまして、私どもは検討を進めております。  具体的には、平成八年度には、建設省直轄工事等におきまして、実際の工事にISO9000シリーズによる品質管理手法を適用した場合に、その効果ですとかあるいは課題、そういったものがどういうことがあるかということを発注者、受注者がお互いに洗い出しをするということを目的といたしまして、ISO9000シリーズ適用パイロット工事、こういったものを行っております。具体的にそういったことで検討を実施しているところでございます。引き続き平成九年度におきましても、さらに規模の大きな工事についてこういった試行を実施してまいりたいと考えているところでございます。  それでは、試行の上で、その先の取り扱いをどうするかということになるわけでございますが、西暦二〇〇〇年以降、比較的規模の大きな工事について適用を視野に入れているところでございます。建設業界におけるISO9000シリーズの認証取得の動向、あるいはパイロット工事の実施状況等を整理、分析いたしまして、鋭意さらに検討を進めてまいりたいと考えております。  今後ともこの検討結果につきましては順次公表いたしますし、それから、適用の際にはその範囲、時期等についてあらかじめ十分広報を行ってまいりたい、このような考え方でございます。よろしくお願いいたします。

達増拓也新進党

○達増委員 技術をめぐる国際的な大変動の中で中小企業が取り残されることのないように、政府の方でも配慮をしていかなければならないと思います。  次に、国家の観点から、ISOを中心とする国際標準化活動が現在発展しているわけでありますけれども、その中で、国家規格を国際規格に整合化させていかなければならないという情勢になってきているわけでありますが、政府として、我が国の産業が国際競争力の点で不利にならないようにするため、いかなる戦略を有しているのか、伺いたいと思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えいたします。  国際的な標準化活動が日本の戦略としてどういう位置づけになるかというお尋ねでございますけれども、今ISO、IECという国際的な標準機関がございまして、日本も一九五〇年代の最初からこの国際機関のメンバーになりまして種々の活動を行っているわけでございますけれども、距離的に非常に遠いというハンディーもございまして、日本の国際機関での活動のレベルというのは、ヨーロッパの主要な国、アメリカ等に比べてまだ水準が低いというのが現実ではございますけれども、ここ近年、非常に積極的に日本の産業界の方々もこういう場に参加をするようになりまして、常任理事国になっているとか、各専門委員会、分科会でも日本のウエートが日々高まっているのが現状でございます。  ただ、達増先生今御指摘のように、国際的な技術戦略の中で、こういう標準化戦略というのは非常に重要でございまして、標準をうまく制すれば世界のマーケットを制するというようなことで、さらなるISO、IECでの活躍が期待されるわけでございますけれども、我々、昨年の十二月に、日本の標準化制度のあり方ということで国際標準化活動のあり方について有識者から意見を取りまとめていただきまして、そこでは三つの方法があるのではなかろうかという取りまとめがなされております。  一番目は、非常に主体的、能動的な国際標準化活動を行っていくということで、今申し上げましたISO、IECの活動のレベルをさらに上げていく、そういう支援策をいかにやっていくかという点でございます。  それから二番目は、国際規格の案をいかにこういう場に提案をするかということで、この点につきましては、先進国だけじゃなくて、アジアの国々とも国際規格を提案すべく各種の共同作業をやっているわけですが、そういうアクティビティーを強化していく、そういうことでございます。  それから三番目は、今の話のコロラリー、系になるわけでございますけれども、特に、APECの地域の中で国際的な規格の提案をやっていく、そういう点が提言されたところでございまして、我々政府といたしましても、このような答申の提言を踏まえまして、今後とも積極的な国際標準化活動をやっていく所存でございます。

達増拓也新進党

○達増委員 ただいまの答弁の中で、我が国はISOに参加しているけれども、なかなか欧米に比べて参加の度合いがいま一つである。確かに、私の手元の資料によりましても、幹事国を引き受けている数ですとか会議出席者の数ですとか、やはり欧米の国々に比べて大分見劣りするところがあるというふうに思うわけであります。  今のところについて、今後取り組んでいかなければならない課題と理解されていることはわかったのですけれども、具体的にその主体的、能動的なISOへの参加を高めるための施策というのを、いかなるものを講じていくのか、伺いたいのです。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 このISO、IECでの国際的な活躍のレベルを上げるということは一朝一夕にはなかなかいかないわけでございまして、一番重要な点は、日本の、特に民間企業にどういう意識を持っていただくかということが非常に重要でございまして、そのためには実際にISO、IECの場で日本サイドから具体的な規格、国際規格にすべき提案をしていくということと各種の委員会に参加をしていくということが非常に重要でございまして、特に国際的な規格の提案に関しましては、我々、工業標準調査会の仕組みをより国際的な提案をするのを容易にするように改めようということで、今回の法律改正の中でも、十二条によります民間からの規格の提案をより容易にいたしまして、それをISO、IECの方にファストトラックでつないでいく、そういう施策を考えております。

達増拓也新進党

○達増委員 民間の力をどんどん活用していくというのはまさに今回の法改正の趣旨の一つでもありますし、そういったことが必要というのはわかるのでありますが、日本における標準化の発達の歴史を見ていきますと、諸外国に比べ、かなり国家主導で標準化というのが発達してきている経緯があるわけですね。そういう中で、急に民間に頑張れ、頑張れということを言ってもなかなか大変だと思うのですけれども、何かそこで具体的な施策等があれば伺いたいのです。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 先生御指摘のとおり、歴史的に日本の経済全体がそうでございますけれども、国の役割というのが経済活動の中では非常に大きかったわけです。ただ、今現在の単なる規格の数の比較でございますけれども、JIS規格の数は約八千ございますけれども、有力な民間団体の規格の数というのは五千ほどあるということが言われておりまして、そういう意味では、民間サイドの規格の作成能力というのは非常に大きくなってきている。  それから、片や今グローバリゼーションの時代でございまして、国際的な規格の提案も、先ほど申し上げましたように、日本一国でやる必要もありますけれども、各国共同して行うということで、日本の多くの企業もいろいろな国際的な場で組織に参加しながら提案をしていくということでございまして、日本国政府としてできる事柄は、やはりそういう規格づくりの仕組みをより民間に使いやすいように変えていくということと、非常に必要な規格につきましては、ある資金的な援助を行うことによりまして規格の原案をつくり、それを国際的な場に提案をしていくということが必要かと思われます。

達増拓也新進党

○達増委員 時間になってまいりましたので締めさせていただきたいと思いますけれども、八〇年代の終わりごろ、既にそのころに、日本の国際政治学者で薬師寺泰造教授という方が「テクノヘゲモニー」という本を書いておられまして、やはり国際社会、特に経済分野での競争における技術の重要性というものが当時から言われていたわけであります。  そうしたところから考えて、今回の標準化の改革、標準化法改正というのは、遅きに失するの感がなきにしもあらずなわけでありますけれども、今後一層激化していくと思われる国際的な技術競争を考えれば、ぜひ政府には標準化政策、そういう国際的な技術政策について、国際的な面も考慮しながら、しっかり取り組んでいっていただきたいと思います。  ありがとうございました。

武部勤自由民主党

○武部委員長 次に、末松義規君。

末松義規民主党

○末松委員 民主党の末松義規でございます。  先ほどから議論を興味深く拝聴させていただいておりますが、工業標準化、JIS制度の改正ということでございますが、現行のJIS制度のもとで、このままいったら何が問題なのか。何か必要性というのは漠然とこの言葉によって説明されている感じがするのですが、現状のままだと、私たちの国民生活の中でどういうことがどういうふうに困るのかということを、具体的にちょっと語っていただければと思います。

佐藤壮郎通商産業省工業技術院長

○佐藤(壮)政府委員 先ほどの御議論にもございましたように、標準化制度をめぐる現在の環境というのは非常に大きく変化しているわけでございます。例えば、情報技術等、技術革新の著しい分野では、国際標準化を含む標準化戦略の重要性が飛躍的に増大しているわけでございます。また、WTOの貿易の技術的障害に関する協定の成立を契機として、規格制定と認証制度の両面について、国際ルールや国際規格の活用が強く要請されているわけでございます。また、サミット等におきましても、相互承認の実現が議題として取り上げられているわけでございます。  こうした環境変化は、我が国の規格制定体制のより一層の効率化、認証制度の国際整合化を強く要請しているものでございまして、現行の制度では適切な対応が困難ではないかというふうに認識しております。  このような状況のもとで、民間能力の活用という観点から、従来国のみが行っていたJISマーク制度に関する審査体制につきまして、国際ルールに基づいて、民間認定機関を積極的に導入して審査体制の充実を図るとともに、適正な試験データの利用を促進するために、国際的に定着している試験事業者認定制度の導入が必要と考えているわけでございます。今般、このような考えに基づきまして、工業標準化法の改正を提案するに至ったものでございます。

末松義規民主党

○末松委員 ちょっと御説明を聞いていると、非常に高度な内容のことを言っておられることはよくわかるのですが、この委員会もやはり議事録は国民に読まれるわけですから、どういうふうに国民生活上困るのかというような点を、できればちょっと御説明をいただきたいと思ったのですが。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えいたします。  ただいま院長から説明がありましたように、国際ルールに合わすということが非常にポイントでございます。  日常的な国民生活で具体的な例は何かというお尋ねでございますけれども、中小企業の方が自分たちがつくったある商品をヨーロッパに輸出しようとするときに、ISO、IECのガイドというのがございまして、これがWTOのルールになっているわけですが、そういうガイドに基づかない管理の仕方をしてつくった商品というのは、EUの方に輸出をしても、それは受け取れないという問題が具体的な例として起こっておりまして、これはいわゆるCEマーキングの問題ということで、政府ベースでも今各種の議論をしているわけですが、そういう例が一つございます。  それからもう一点は、先ほど達増先生の御議論にもありましたけれども、日本の企業が国際的な視野でビジネスをやっていこうということになりますと、やはり企業の戦略として国際規格をうまくつくれるような仕組みにならないと、日本のルールではなかなか活躍ができない。  そこで、自分たちである商品を設計いたしましても、それは常にヨーロッパの主要な企業がつくった規格でありますとか、アメリカの体系の中で物を売らなければいけない。こういうことではなくて、やはり民間企業の、日本からのいいアイデアをできるだけ国際的なルールにしておいて、その中で日本のマーケティングをやりたい。そうするためには、規格をつくる段階で、日本の民間の企業から各種の提案があったものをより早くISO、IECに提案をつないでいける仕組みをやらなければいけない、こういう具体的な御要望がたくさんございます。  後者の点につきましては、十二条の二項、民間からの提案の手続というのを簡素化することによって、よりスムーズに民間企業のニーズを国際機関につなぐ、そういう具体的な例がございます。

末松義規民主党

○末松委員 そういうふうに言っていただければ、非常にわかりやすいわけですね。そうすると、日本の企業にこの広報を徹底して、企業がすぐにわかる、そして、規格というものが国際的な企業戦略の上でいかに重要かということが非常にわかるわけです。  そういう中で、今御指摘にもございました、政府が民間の企業のそういった規格に対するニーズ、これを速やかにしかも公平にすぐ吸い取って、それを今度は政府がISOとかIEC、そちらの方に国際規格化する。つまり、そういうルートがきちんとスムーズに行われているかどうか、それが問題になってくるわけですね。  そういうときに、実際にそういうふうな体制というものが、通産省を中心として、あるいは政府の中でとられているのか。特に民間人の活用、先ほどの議員の御質問にもありましたが、繰り返し述べますが、すぐにそういう規格のニーズを政府が吸って、それを国際規格化していく、そういうふうなシステムがとられているのかどうか、それをお聞きしたいと思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えいたします。  今ISO、IECの中に個々の規格の案を検討する幾つかの技術委員会、さらにその下の分科会というのがございまして、数にしますと約千十一だったと思いますけれども、現在、TC、SCというのがございまして、そこで具体的な規格の検討をしているわけですが、そこのメンバー、日本代表で出ている人たちは大部分が日本の民間の企業の人でございまして、一部大学の先生方もいらっしゃいますけれども、そういうことで、日本の企業の多くの意見というのは、国際的な議論の場では反映される。  それから、先生御指摘の、では日本の中でそういうのがうまくスムーズにつながっていくかという手続的なことでございますけれども、日本の、我々工業標準調査会がISO、IECの一つの代表になっているわけですけれども、常任理事国ということになっておりまして、そういう重要なことについては日本国として常に強い意見が言えるとか、近年、そういう技術委員会の事務局をやる数も非常にふえてきまして、徐々にそういう流れがスムーズにいくようになっているというふうに理解しております。

末松義規民主党

○末松委員 では、体制は徐々に進んでいくであろうという御認識が示されました。  この改正の中で、JISマークの民間認証というのと試験事業者制度の整備、これで民間活力を活用していくことは規制緩和の観点からも非常にいいし、ユーザーの観点からも非常に望ましいと思うのですけれども、例えば国内においてこの規格に合う技術レベルというものがそれで維持できるのか、それについてはいかがお考えですか。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 先生お尋ねの、民間の認定機関でありますとか試験事業者制度を導入してそのアクティビティーを民間に移した場合に、果たして日本のレベルが維持できるか、国がやっていたレベルは維持できるかというお尋ねでございますけれども、今申し上げました制度を変えるのは、大臣、それから院長がお答えしましたように、WTOのTBT協定で決められたそういうガイドに基づいてこういう認定機関とか試験事業者を認定をしていこうということでございます。  そのガイドの内容でございますけれども、認定に必要な技術力でありますとか試験能力を厳正にチェックをしなければいけないとか各種の業務規程が定まっていなければいけないというようなこと、それから手続が非常にわかりやすいものでなければいけないといういわゆる技術的な能力、そういったものを保証するのがその核心でございまして、その点に関して国際的な共通のルールをつくろうということでございますので、今現在の法律の案として提案させていただいています民間認定機関とか試験事業者の制度、こういったものを導入することによって適切な技術水準の確保ができるというふうに考えております。

末松義規民主党

○末松委員 じゃ、国内はいいとして海外はいかがですか。この辺は通産省のお役人の方が海外まで行ってそこをチェックしてくるというような体制にはするんでしょうか。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 海外の認定機関とか検査機関も同じようにできるのか、それから試験事業者も同じような監督ができるかということでございますけれども、国内も海外もそういう技術レベルを維持するためのチェックの仕組みというのは全く同じでございまして、ISOのガイドの六十五番とかガイドの二十五番、そういったものをベースに厳正なチェックをして、検査機関とか認定機関、試験事業者を指定するわけでございまして、そういう意味では、海外についても同じようなレベルでできるというふうに考えております。

末松義規民主党

○末松委員 そこで、技術レベルが保持されたとして、例えば、これはあってはならないことかもしれませんが、認定された製品が欠陥があってそれで海外から訴訟が起こった、おかしいじゃないかということで。その場合、この認定をしたという責任、その意味において我が日本政府に対してその責任が及ぶということがございますか。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えいたします。  我々工業標準化の体系で行っていることは、一つは規格を決め、一つはその規格に合うことを認証しているわけでございますけれども、JIS規格自身は、取引の円滑化とか使用の合理化という観点から製造物の製造、販売に関して必要な基準を決めるわけでございます。  先生御指摘の、海外でそういう物をつくった場合に製造物に欠陥があってそこで何ちかの訴訟が起こったという問題でございますけれども、これはJIS規格との適合とか不適合と、そういう商品の欠陥があるかないかという判断とは必ずしも一致する問題じゃないわけでございまして、我々、そういう問題が起こった場合には、民事の問題としてそういう問題は解決していくのがいいのではないかというふうに考えております。ただ、今回の法律改正によりまして、国は民間機関を指定いたしまして、指定された民間機関を工業標準化法に基づいて国として監督をする業務を行うことになるわけですから、こういう業務を適切に行っているかどうか、そういう点に関しては国の責任が問われるということになると思います。

末松義規民主党

○末松委員 次に、ちょっと御質問さしていただきます。  この国際標準規格を整備することとか、あるいは相手国との規格の相互承認を推進するということは、確かに貿易障害を少なくして自由貿易の推進には役立つという重要な意義を有すると思われるわけですけれども、EUでこれは非常に盛んであると聞きます。先ほど、この規格を制すればビジネスを制するというお話も承りました。私もそこに非常に強い関心を持っておりましたが、達増議員がお聞きになられましたので私の方は遠慮させていただきますが、その中で、答申がある、そしてAPECでこの国際規格化をするように努力するんだという御回答もございました。  このAPECについてなんですけれども、私も、EUが大きなボディーとしてこれを標準化を進める、非常に当然の成り行きだと思います。日本もAPECの中でもっともっとそれをやっていかなきゃいけないと思います。その観点からちょっと幾つかお聞きいたしますが、今APECの国際標準規格の推進状況というのはいかがなものでしょうか。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 APECのアクティビティーでございますけれども、一九九四年十一月にボゴールで各国の首脳が集まりまして、二〇一〇年、二〇二〇年に先進国、発展途上国が域内の貿易とか投資に関して自由化を行うというターゲットをつくったわけでございますけれども、こういうターゲットを満足させるためには幾つか重要なことがありますが、その中の一つが基準・認証ということで、今御審議いただいているこういう標準化の問題でございます。  それで、その基準・認証に関しましては、一九九五年以降基準・適合性小委員会というのが貿易・投資委員会の下に設けられまして、それ以降議論が続いているわけですが、四つの分野に分けて検討が進んでおります。一番目は規格の整合化に関する問題、二番目は相互承認に関する問題、三番目は技術的なインフラを特に発展途上国に対して整備をしていこうという問題、それから四番目は透明性を増すためにどういう施策をやったらいいかという四つの分野について検討が進んでおりまして、各国それぞれの必要な項目について検討が進んでいる段階でございます。

末松義規民主党

○末松委員 この状況に対しまして、通産省としましてこのJIS規格を普及していこうという形での御意思といいますか、その努力をされるおつもりでございますか、要するにJIS規格の普及に対して。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 JIS規格は、鉱工業品に関する技術的な取り決めを決めた非常に広範な規格の体系でございまして、その規格が非常にいろいろなところで引用されているわけですが、国際規格に規格自身をできるだけ合わせて整合的なものにしていくということになりますと、国際的な規格に合ったJIS規格の体系ができるわけですが、それを国内のいろいろなところで整合的に使っていけば、日本のいろいろな制度に非常に透明度が増すということでございます。  具体的には今の工業標準化法の二十六条、新しい法律では六十七条になるわけですけれども、国とか地方公共団体が強制法規で基準を決めるとき、それから公共調達で物を買うルールを決めるときにはJIS規格をできるだけ引用するということで、そういうことがスムーズに進んでいきますと重複する検査がなくなるわけでございますし、外国から見れば、国際規格に整合化した規格の体系がプールされていまして、そこからすべてが決まっていくということで、非常に日本の中の透明度が増すという効果がございまして、我々そういう観点かちJIS規格の普及をぜひ進めていきたいというふうに考えております。

末松義規民主党

○末松委員 そういう普及されることは非常に望ましいことだと思いますけれども、先ほどコメントの中に途上国の問題、APECの中で審議されているという話がございました。日本のようにレベルの高い規格水準をそういう途上国に対して求めていくような場合に、逆にその途上国の方から反発を招くような、これはひょっとして考え過ぎかもしれませんが、そういうことはないでしょうか。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 発展途上国への普及の点についてお答え申し上げます。  今現在、JIS規格について進めていることは、国際規格との整合性ということをできるだけ増していくということをやっておりまして、そういう国際規格、すなわちISO、IECの体系の中で相互に使える仕組みを発展途上国にも普及していくということに関しては、発展途上国としても同じような考え方で行っていくということで、そこは問題はないのではないかというふうに思います。  ただ、先ほどのAPECの議論でもございますけれども、発展途上国の場合、やはり技術水準でありますとか、適合性を評価する能力というのは先進国に比べて必ずしも高くないという点がございますので、そういう点に関して各種の技術援助、そういったことを行いながら、できるだけJISの体系、それは国際規格に合った体系にしていくというのが一番いいやり方ではないかというふうに考えております。

末松義規民主党

○末松委員 ちょっと問題を国内の方に移しまして、先ほどから御指摘があります強制法規の問題でございますが、この標準化をスムーズに推進していこうという中で、やはり強制法規というものは非常に問題になりやすい、障害になりやすいところでございます。さまざまな、品質の確保とかあるいは安全性とかいう面で強制法規の存在理由は十分にあるわけですけれども、それを規格という言葉に置き直してみると、例えばJISのようなそういう共通にかなり普及された規格がキーステーションとなって、そのJISの規格の中にさまざまな強制法規の内容が組み入れられて、それをみんなが引用していくという、そういうキーステーションみたいなものをつくった方が私はいいのだと思うんですね。望ましいと思うのです。  そうした場合、やはり今の日本の行政、この縦割りの行政で、ある省が自分の省の許可がないとだめだとか言ったら、これはどんどんおさまりがっかなくなってしまいます。そういった意味で、この各省庁との協力体制をしっかりとつくることがまずもって重要なことと考えます。そういった意味で、まずちょっとこれは大臣の方にお伺いしたいのですけれども、各省庁との間で十分な連携体制、これがまさしく日本の規格化を進めるにはもう一番のポイントだと思うので、大臣のその点に対する御決意をぜひちょっとお伺いしたいと思います。

佐藤信二自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 今御指摘のように、今現在、工業標準化法は十省庁の共管の法律でございます。そういうことで、これからもやはり関係省庁と十分な連携を図りながら法律の運用、今までも行ってまいりましたが、今後も行ってまいりたい、かように思います。  具体的には、必要に応じて規格の原案作成委員会への他省庁の参加を要請する、それと同時に、日本工業標準調査会の部会として他省庁の職員を委嘱する、そういうことによって関係省庁との密接な連携というもの、これを図りながら規格の制定をしております。  現在、我が国の事業環境をより効率的で国際的にもより魅力的なものにするため、まだそういうものが強く求められている、こういう中においては、国際的に整合性のとれたJIS制度の整備は大きな課題という認識を持っております。今後とも、今おっしゃるように各省庁との一層の連携強化に努めて、そして新たな制度の効率的運用、これを図ってまいりたいと思います。

末松義規民主党

○末松委員 今の大臣の御決意に沿ってこの規格化というものがもっともっと推進されることが、日本経済の本当に大きな発展の基盤になるかと思います。  私も知っている企業から聞けば、鋼材一つとっても、さまざまな省庁がさまざまな観点からさまざまな規制といいますか、あるいは強制法規の観点でやるので、一つの企業から見たらとても障害に見える、いろいろな障害に見えて、それにマンパワーを費やさなきゃいけない、そういう経済不合理があっていいのかという非常に悲痛な叫びも来ております。  その意味で、先ほど大臣にお願いした、本当に各省庁のタコつぼを脱するような、通産省の今普及しているJISならJIS、そういったキーのところを中心に、一つ認証されればすべてがオーケーになるような、そういう便利な体制をぜひつくっていただきたいということを強く要請いたしまして、時間もなくなりましたので、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

武部勤自由民主党

○武部委員長 ありがとうございました。  次に、吉井英勝君。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 私は、JIS表示を許可しているのを見てみますと、中小企業が多いように思うのですね。それは、JIS製品をつくっているということでユーザーの方から安心、信頼が得られる、そういうことにつながっているように思うわけです。  そこで、資本金別、従業員別に見てJIS表示はどのように許可されているのか、初めに実態についてお聞かせいただきたいと思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えいたします。  今お尋ねのJIS表示許可企業の中小企業性の問題でございますけれども、従業員が三百人以下で資本金が一億円以下の企業は一万百四十二、一億円から十億円未満が九百十四、十億円以上が二百十六でございまして、三百人以下の表示工場が一万一千二百七十二ございます。  それから、三百人から千人の間の従業員でございますけれども、一億円以下の資本金が三百二十二、一億円から十億円未満が四百三十四、十億円以上が二百四十一でございまして、三百人から千人の間の企業の数が九百九十七でございます。  それから、千人以上の従業員の企業でございますけれども、一億円以下の資本金が二百六十五、一億円から十億円未満が百四、十億円以上が六百五でございまして、合計九百七十四ということでございます。  なお、中小企業比率は八九・五%ということでございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 今のお話を聞かせていただきまして、大体九割が中小企業の方でJIS表示許可を受けている。JISマークというのが、表示許可を受けた業者とそれからユーザーの双方にとってそれぞれにメリットがあるというふうに思うわけです。今のお答えも伺って特にその感を深めました。  ところで、部門別に見たときにJIS表示許可件数の多いのは、どの分野、どの部門が一番多くて、大体何件ぐらいになるのか、それも聞かせていただきたいと思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 JISの部門というのは十九の部門に分かれておりまして、多い部門を挙げますと、土木及び建築が八千五百九十四、これは許可件数でございます。なお、これは平成七年度末の数字でございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 今のお話を聞きまして、土木、建築の部門が一番多くて、五五%ぐらいですね。やはりこれが公共施設それから個人住宅にかかわってくる分野でありますし、私は、そういう点で、使用する建材がJIS規格に合った品質が保証されているということが、やはり公共建物が長く、ずっと存在するという点でも、個人住宅においても非常にそれは安心、信頼にかかわる問題で、大事な問題だというふうに思っているわけです。  ところで、そういう点では、コンクリートの場合などもJIS認定工場というのをやはり指定しているというふうに思うのですが、これは生コンその他でちゃんとJIS認定工場というふうに指定しているわけですね。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 十九条の二項に認定をする基準がございまして、製造装置でありますとか検査装置、検査の方法、それから品質管理のやり方、その他必要な技術的生産条件に合えばJIS工場として指定をするということで、生コンに関しましてもその要件に合ったものを指定工場にしております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 それで、建物の問題なんですが、九五年六月に有名な韓国の百貨店が、粗悪なコンクリートを使用していたために一瞬にして倒壊して、それで多数の死傷者を出したということは非常に記憶に新しいところですが、この点で、阪神大震災のときにも、地震で壊れたビルや橋梁を調べてみると、一つの問題は、耐震設計上の問題がありました。同時に、JIS規格の強度を予定して使用したはずのコンクリートが手抜きされていたり、JIS基準を満たしていないものもあったということが随分出てまいりました。  韓国のデパートの方なども、これは報道によっても、日本のJIS規格に照らせばとても合わないようなものが使われていて、ぱらぱら崩れていったというのが紹介されております。それから、阪神大震災の後、九五年四月の読売新聞の専門家の方たちの座談会の中でも紹介されておりましたけれども、例えば、新日本建築家協会都市災害特別委員の井上さんという人は、阪神大震災のときのコンクリートの問題を調べまして、施工不良を一口で言うと、コンクリートの強度不足が最大の原因であった、生コンの品質管理をゼネコンは全くやっていない、コンクリート強度に最も影響するのは水なんだが、水が多過ぎて、つまりセメントの量をけちって、シャブコンと言われるものになっていたりした。それから、砂とか石、水、セメントを吟味して最小限の水で練って打ち込むのが望ましいのだが、設計事務所もゼネコンもそこまで詳しい知識がなくなってきている、最近は技術の空洞化が起こっているというふうな指摘もそこでは言っておりました。  同じ読売の「倒壊」というシリーズの中でも、東急工建という会社の社長で、この人は長年東京都の建築局におった専門家なんですが、コンクリートはすかすかになっている、これはもう基準を云々する以前の問題だ。セメントの水が多過ぎたりよく練っていなかったりした問題などを指摘しているのですね。ですから私は、韓国とか阪神大震災のあの経験に照らしてみても、JIS規格を本当に保障させるということは非常に大事な問題だというふうに思っております。  そういう点では、JIS規格を保障するために、ダンピング競争で、セメントの量を減らして、そしてコンクリートをつくるときの砂利や砂の質と量を落としたり、水をたくさん使う水増し、さっき言ったシャブコンですね、それからまたコンクリートミキサー車の過積載による品質低下、この問題で、あるところではもう夏場など、コンクリートを打ちに行くと、ほとんど沸騰に近い状態になっていて、基準の強度がなかなか出にくくなっているものも出ているという問題なども専門家の間では指摘されております。  ですから、このJIS基準を定め、JIS基準を保障しないものについては、やはりこれはきちんと規制をしたり、あるいは指導したりして、不当廉売による品質の悪化を防止することに取り組んでいくということが非常に大事になってくるのではないかというふうに思うわけです。また、ある意味で、そのために業者を指導して生コンクリートの協同組合をつくらせて、ダンピング防止とJIS規格厳守をやるように努力をしてきていらっしゃるように思うのですが、この点はどういう取り組みをしていらっしゃるのですか。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 今お尋ねの生コンクリートの各種の不正な行為の問題でございます。  工業標準化法の体系で考えていきますと、二十一条の二によりまして、昭和五十五年以降、検査機関によるフォローアップの検査の制度が導入されているわけでございますけれども、特に問題があるとか非常にクレームの多い業種というものにつきましては、毎年官報に公示をすることによって指定検査機関による検査をやっているわけでございます、従来、生コンというのは、先生御指摘のように非常に問題がありまして、毎年一回必要な生コンの検査をしていくということで、平成二年、三年ごろはそういうことを随分やったわけでございますけれども、今現在は三年に一度行うというふうに、そのときの品質のぐあいを見ながら公示検査というのをやっているわけでございます。  こういうことで、問題があれば、今度は国の職員が立入検査をいたしまして、先生御指摘のセメントを十分入れないとか各種の問題は、社内の作業標準に通常問題があるわけでございまして、そういう点に関して改善をするように指導して、現在に至っておるわけでございます。したがいまして、こういう工事検査それから立入検査をすることによって、JISの表示工場の表示をできるだけ適切なものにしていくということをやっております。  それから、協同組合の問題でございますけれども、これは中小企業の構造改善を行うということで各地域に協同組合を設けまして、その協同組合を核に品質の改善を図るということで、中小企業近代化促進法の体系の中で各種の施策を展開しているというふうに理解しております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 それで、今も少しおっしゃったように、現場の通産局などに行きますと、実はこれを担当される職員の方が本当に少ない。なかなか対応し切れていない。これは協同組合の企業の幹部の方からも、あるいは実際生コンを扱って働いている人たちの方からも聞いているのですよ。ですから、そういう点では体制もやはり強めていかなければいけないんじゃないかなと私は率直に感じております。  実は、阪神大震災があった後、これは「世界」という雑誌の九五年六月号で「マンションはなぜ倒壊したか」という論文を書いた中で、須賀好富さんという近大教授が、今もありました認定工場とそうでないアウトの工場があるわけですが、「ゼネコンが始めから工事費を安くするためにアウトサイダーに直接発注することもある。結果はアウト。しかし建築主や工事監理者の目をごまかすため表面上は認定工場をダミーに使って、書類等を作っている場合もあるが、言語道断である。」実は、こういう状況が少なからず見られるわけなんです。  私は、この工業標準化法、JIS法というのは非常に大事な法律だというふうに思っているのです。それだけに、せっかくつくっているこの法律が、それによってせっかく認定して、中小業者の皆さんだったらその一人一人は力がないだろうから、協同組合をつくりてみずからもきちんと品質保証をするようにやりなさいとせっかく国が保障している中で、いろいろ私も調べてみますと、これは協同組合の幹部の方からのお話を聞いたり、また運輸一般関西生コン支部の人の話やら、それから専門の研究者からも聞いているのですが、中小の生コン業者がJIS工場の許可を受けて、国の指導で協同組合をつくり努力しているのに、大手のセメント業者などが販売競争の面からアウトサイダーの業者にもどんどん安く大量販売をやって、JIS規格を満たさないような業者の事実上の後押しをやっている場合がある。  それからまた、これは私も昔調べて随分追及したことがあるのですが、暴力団系列の生コン業者が、都市計画法とか農地法とか全部無視して勝手に工場をつくってしまって、JIS規格無視、ダンピングで売り込みを図っていく。ところが、建設業者の方は、安ければいいというのがありますから、それで使ってしまう。そうすると、当座はいけるのですが、結局、今「世界」の雑誌で御紹介したような、後で問題を起こすということが発生しております。  そこで、このJIS規格の厳格な遵守によって、公共財産とかそれから個人の財産が守られるということに法律改正を提案して、所管する大臣として、私はこれは厳格に当たってほしい。そうでないと、せっかくの法律が生きてこないじゃないか、こういう思いがあるのです。この点では、ひとつ大臣の決意を伺っておきたいと思います。

佐藤信二自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 今、吉井委員の、体験的というか、そうした業界に対する調査研究、私も非常に同感な点が多いのです。今御指摘のように、せっかく法改正しても、それが国民生活に、あるいはまた業界にとって悪くなると困る、こうしたことは当然でございます。  そこで、これは言うまでもなく、やはり中小企業者が一体どういうふうに今まで使っているか、どういうふうに今後なるかというのが一番の問題になると思うのですが、一応このJIS規格というものは、一つはやはり製品の設計、製造等を行う際の基礎的な技術情報を幅広く提供する機能を持って、中小企業者の事業活動に多大に貢献してまいってきた。また、このJISマークというものがついていることによって、中小企業者の製品に大変信頼性を向上させるというようなことでもって、非常に有効に機能してきたと思うのです。  そこで、今度の法律改正によっては、この認定機関が拡大されて、試験事業者制度が整備される、これに伴って中小企業者が円滑にJIS制度を活用することが可能となって、その製品により一層の信頼性というものを付与し得る、こういうふうになってくる。これを通じて、今言われるような中小企業者の事業環境の改善が図られる、このことに大いに期待しているわけでございます。  そういうことで、先ほどから説明がございましたように、今回の改正というか、このJIS規格全体、ゼロベースに立って八千というものを見直していくというその際にも、こうした中小企業者の意見というものを十分反映して、中小企業者の技術水準の向上に資する規格等、中小企業者にとって有益な国家規格、これの整備に努めるというのが私の所存でございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 そういうのに努めていただくとともに、特に具体の例として挙げました生コンの関係など、こういう公共財産、それから個人財産にかかわるものについてはやはり厳格にこれが遵守されるように、そういう点はひとつ大臣しっかり指導の面も、緩和の面もおっしゃいましたが、指導の面もしっかりやっていただきたいと思うのですが、その点はいいですね。  そうしたら、時間も大分たってまいりましたので、最後に二点だけ伺っておきたいと思います。  国の認証のときでさえ、アウトの業者が問題を起こしていることがあるのですが、民間機関が認証することに道を開くからには、今度は公正に行われる保証と、それから将来、手数料等の高騰で中小業者が困らないような、困るような事態が起こらないようにさせる必要があると思うのです。この点は事務方の方から、そういう点ではどう進めるのかを伺っておきたい。これが一点です。  もう一つ、大臣の方に伺っておきたいのは、企業が社内の環境管理システムを構築する際の手順を定めたISO14001の認証を取得するのに、約一年の準備期間と、平均すると数百万の費用がかかり、中小企業にとって大きな負担だったという報道もありました。  今JISの認定手数料は二十六万三百円なんですね。これと比べても、中小企業にとって、国際標準化とかハーモナイゼーションの時代だからといっても、ちょっとこれは、数百万というのは負担が大きいので、既に三重県とか滋賀県など、自治体でも支援に乗り出す動きがあるようですが、中小業者とそれから国民生活に役立つ制度とこれがなっていくように、その指定とか運用の面で、国としての配慮とか支援がやはり必要だと思うのですね。その点で、国として責任をどう貫いていくのか、そういう支援とか配慮について大臣のお考えや決意を伺っておきたい。この二点を伺って、時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 今回新たな法律改正の点として、民間の認定機関を設けるわけでございますけれども、その認定機関が従来の国の認定業務と比較してちゃんと仕事を行えるかどうかというお尋ねでございます。  この認定機関というのは、WTOのTBT協定に基づく国際的なガイドに基づいて認定をしていくわけでございまして、このガイドに基づいて認定をしていきますと、技術的な能力があるかどうか、経理的な基礎がちゃんとしているかどうか、それから公平性、利害者からの圧力を排除できるかどうか、それから各種の兼業に関する規制、その認定機関と認定される両者が深い関係があるかどうか等でございますけれども、こういうこと。それから適正な業務の運営ができるかどうかということで、苦情の処理の手順でありますとか、内部監査がちゃんとできるかどうか、それから必要な権限と責任を明確化した業務規程がちゃんとできているかどうか、それから記録の保持ができているかどうか、こういった点をチェックをいたしまして認定機関を指定するわけでございますけれども、こういう点というのは我々今現在国がやっている考え方とも同じでございまして、民間の認定機関というのが国に代行する業務を行った場合も同じような適正な審査ができるというふうに考えております。  なお、必要な場合は、我々はこういう認定機関に対して立入調査を行うとか報告の聴取を行いまして、各種の改善を行うという所存でございます。

佐藤信二自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 今のISO9000シリーズ、これの取得に関してでございますが、平成七年度より中小企業大学校等を通じて研修、講習会というのを実施しております。そして来年度より、この中小企業のISO9000シリーズ、認証の取得に当たっては、コンサルティングの費用、こういうものの助成というものを考えております。以上です。

小川元自由民主党

○小川委員長代理 次に、横光克彦君。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 横光克彦でございます。質問させていただきます。  今多くの同僚議員が取り上げましたように、私もISO9000シリーズ取得への取り組みについてちょっとお伺いしたいと思います。  国際化の時代になって、中小企業の皆様方にとりましても非常に大きな波が押し寄せているわけでございます。平成七年度の中小企業白書に実はこのようなデータが出ているのです。「ISO9000シリーズ規格に対する中小製造業者の関心」これは約半数の製造業者が関心を持っている、こういうデータが出ております。そしてまた、そういった関心がありながら、実際に既に取得しているのは一・五%と、ほんのまだわずかしかないわけですね。関心の高さとは裏腹に、中小製造業者においてISO9000シリーズ規格を取得しようという動きはまだまだ少ないわけでございます。  この理由として、社内体制の問題、これが取り上げられておりますし、また資金面の問題、人材の問題、このために非常に取得に取り組めないとする企業が多いわけですね。私は、これはすべていわゆるコストにかかわる問題だと思うのですね。社内体制も資金も人材も、すべてつまるところはコストにかかわる問題、その上に事務の複雑性により期間を非常に要する、こういった諸問題でなかなか取得には取り組んでいないという現状でございます。必要性は非常に皆さん今差し迫っているわけですね。とりわけ、JISが信頼されると同じように、ISOも今や取引にとっては非常に信頼されるかどうかという大きな問題点になっておる。  そこで、私ももう一度お聞きしたいのですが、ISO取得に当たっての国の財政的な支援体制をいま一度お聞かせください。     〔小川委員長代理退席、委員長着席〕

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えいたします。  先ほど大臣の方から御答弁ありましたように、ISO9000の特に中小企業に対する普及ということで、中小企業大学校でありますとか公設試験研究所を通じて研修とか講習会を実施するということ、それから平成九年度からISO9000の認証を取得するために専門家のアドバイスを受ける費用の一部を補てんする制度というのを予算としてお願いをいたしております。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 中小企業支援対策というのは数多く行われているわけですが、今相談するところには予算をこれからというようなお話でしたが、もっと財政的な支援ということで、今ある支援対策のどこかをこういった部門に運用することができないかという思いがしているのですが、その点はどうでしょうか。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えをいたします。  先ほど先生から御指摘ありました中小企業白書で、現在ISO9000の中小企業の各種の問題点とか苦労している点が記述されているわけですが、今現在中小企業にも広がりつつありまして、当面今現在の、先ほど申し上げましたようなこういう施策をやりながら様子を見ていくのが一番いいのではないかというふうに思っております。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 私は先ほど言いましたように、やはりこういった時代の趨勢で、取得したことによって取引の確保が安定したとか、そういった実例も数多く出始めておりますし、あるいはまた親企業から、取得したらという指導なりいわば圧力なり、そういったことも現実に行われつつある。そういった中では、自分たちは望むのだが、資金面で非常に厳しいという現状であろうと思う。この資格を取るには、企業によって差があるでしょうが、大体どれくらいお金が必要なのか、また期間がかかるのか、ちょっとお知らせください。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 先生御指摘のように、期間とか費用はその認定機関それから取得をしようとする企業ごとに異なるわけでございますけれども、我々が調べた結果によりますと、平均的には二百万円程度、それから期間は通常半年以上かかるということが言われております。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 やはり中小製造業者にとってはかなりの金額だと私は思うのですね。このISOというのは確かに民間が自主的に取り組む問題であるということはわかっているのですが、さりとてそれを民間業者だけにお任せしていていいのか、何らかのこういった必要状況が迫ったときには国としてもやらなければならないのではないかという気がするわけです。そういった民間業者が主体的に取り組むということがわかっていながら、イギリスやドイツ等ではそれでも先ほどのコンサルティング料等の補助なんかをやっているわけです。  とりわけ私は、そういったことに取り組もうとする人たちの入り口、これは非常にややこしい話ですからコンサルタントにまず行くと思うのです。そこにかかる費用くらいは、意欲というものを認めて国が何らかのサポートをする、こういう必要があろうかと思いますが、いま一度さっきの予算のことと関連して、せめてコンサルティング体制をつくり、そこの費用だけはサポートするというようなお考えはないのか、いま一度お聞かせください。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 このISOの9000シリーズは、これを取得することによりまして、その企業の組織の責任関係を明確にすることによりまして製造物責任へ対応するのに役立つとか、それから、物を買ってもらう企業との関係で、第三者の審査をこの9000シリーズを取得することによって得られるわけで、そういう意味で非常に中小企業にとってもメリットがあるわけですが、先生御指摘のように、費用の面とかその技術的な能力で非常に難しいということでございまして、コンサルタントの方に各種のアドバイスを受けるわけですが、それに関しましては、平成九年度の予算要求貧国が三分の一、都道府県が三分の一、企業の自己負担が三分の一ということで、今予算案としてお願いしている段階でございます。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 ぜひとも本当にこれは積極的に取り組んでいただきたいと思います。中小企業の基盤強化、そしてまた、国際化の波の中での近代化、活性化、非常に大事だと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、今回の法改正でございますが、現行のJIS規格制度、今の規格の内容が、この激しい技術革新の中で十分にそれを踏まえた内容であるのか、あるいはそれに耐えられる内容であるのかという声、あるいはJIS規格そのものが古くて使われてないのではないかという声、さらに、これは昭和二十四年にできた法律であり、これだけ激しい時代の流れの中で製品そのものがもうなくなってしまっている、あるいはあっても極めて少なくなっている、そういった状態でありながらも国家規格として維持する必要があるのか、いろいろな諸問題が出ております。  そういったことに対処する意味でも今度の法改正に取り組むわけでございましょうが、JISの見直しについては、平成九年度から三年をかけて、ゼロベースからの見直し作業に入ると聞いております。これは私は大変大きな意義があると思っております。  法改正の前提となるのが規格でございますし、新しい制度を生かすためにも、さらにこのJISの国際化につながる意味からも、どうか適切かつ機動的な、さらに抜本的な見直しを進めるべきであると考えておりますが、このことに関しまして、大臣のお気持ちをお聞かせください。

佐藤信二自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 今御指摘のように、このJIS規格は、これまでも製品の技術水準や需要の変化に応じて不断の見直しというものは実施してまいりました。これまでに制定されたのが一万三千件ございましたが、既に約五千件というものは廃止をしております。必要に応じて随時これの改正を行っていく、こういう考え方でございます。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 このJISの見直しは産業活動への影響が非常に大きいわけで、どうか大臣の指揮のもとに万全な対応をお願いしたいと思います。  また、二十一世紀を目前にして、環境保全あるいはリサイクルや省エネ、さらに福祉ですね、いわゆる高齢者社会に向けて優しい製品づくり、こういった社会的要請あるいは消費者の視点に立った規格づくりなど、新しい規格制定に対するニーズがこれから多くなるだろうと予想されているわけでございます。  そこで、今後の規格制定のあり方について、通産省の基本的な取り組み方針をお聞かせください。

佐藤壮郎通商産業省工業技術院長

○佐藤(壮)政府委員 お答え申し上げます。  今後のJIS規格の制定に当たりましては、今御指摘のように、リサイクル等の環境保全、あるいは高齢者福祉、あるいは消費者保護を重点的分野と認識しておりまして、この点につきましては、第八次工業標準化推進長期計画においても明らかにされているところでございます。  このような観点から、これまで既にリサイクル原料として利用されるものについて、規格の改善等、整備を行ってきたところでございます。さらに、JISマークの表示対象品目のうち、リサイクル原料を使用する製品につきましては、その特性を積極的にアピールするために、JISマークにその旨の表示を行うことを検討中でございます。これにより、リサイクル原料を使用する製品等の普及促進を図ってまいる所存でございます。  また、高齢者福祉、消費者保護の観点から、将来の規格化を目指した調査研究の充実にも努めてございまして、例えば、このための中核的研究施設として、平成七年十月には「くらしとJISセンター」というのを筑波に新設する等の対応を行っております。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 先ほどからもお話が出ておりますが、JISマークの認定を行うことを民間機関に開放するわけですが、やはりとても大事なことは、それぞれの審査のレベルに差異が生じないこと、これはもっともなことでございますが、これからどれぐらいの機関が認定されるか、二十か三十ぐらいになるのでしょうか、そこで、Aのところに行けば簡単だけれどもBに行けばなかなか難しいとか、そういったことはあってはならないわけで、同じ体制がぜひ必要なわけでございます。  さらに、認定に当たって万が一にも審査機関の恣意が入り込むこと等の不正のないよう、いわゆるそでの下とかというようなこと、これは本当に気をつけなければいけないことなんですね。簡単なようで非常に難しい問題です。そういった意味で、先ほど大臣からも、そういった認定をする際には、国際的な共通のルールにのっとって、技術能力あるいは試験能力等をかんがみて決めるというお話がございましたが、厳重に公正に私はやっていただきたい、そう思います。  最後に、一つお聞きしたいのですが、自己適合表示の導入を今回やるわけですが、私は、これは中小企業者、また外国の製造業者にとっても非常に意義のあることだと思っております。この自己適合表示の導入ということは、試験業者の証明書に新たに現行のJISマークとは違う、特別の標章が付されるわけですね。これはいわゆるロゴマークみたいなものでしょうが、これを早く決めて、広く国民に周知徹底してPRする必要があろうかと思いますが、これに対しての取り組み状況をお聞かせください。

田中正躬通商産業省工業技術院標準部長

○田中(正)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の試験事業者の制度というのは、自己認証を行うために非常に重要な制度でございまして、証明書に先生御指摘のロゴマークを張って信用力を付与するということでございます。この制度は日本に必ずしも定着してなかった制度でございますので、関係者に周知徹底を図り、できるだけ早くロゴマークを確定いたしまして、この法律は公布の日から起算して六カ月を経過した日から施行することになっておりますけれども、標章につきましてはできるだけ早急に検討を開始いたしまして、円滑な制度の立ち上げに努めてまいりたいと思っております。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 終わります。ありがとうございました。

武部勤自由民主党

○武部委員長 次に、前田武志君。

前田武志太陽党

○前田(武)委員 太陽党の前田武志でございます。  グローバリゼーション、ハーモナイゼーションといった中でのこの工業標準化法の必然性というものは、今までの同僚議員の議論の中で浮かび上がってまいったわけでございますが、大分日も暮れてからの太陽の出番でございます。私は、この工業標準化といいますか、こういう規格の標準化というものが、世界戦略的な意味においてかなり大きな意味を持っているのだという、今までの議論にもあったわけですが、そういった観点から多少質疑をしてみたいと思います。  ISO、IECの常任理事国になっているということもお聞きしております。そして、何か、百八十五のISOの委員会、事務局が百七十人、IECは八十八委員会あって事務局が百名、こういうことですが、こういった委員会に、日本は、たしか二十九とか十とかなんとかいう数字はどこかで見たような気がするのです。それは結構でございますが、こういう委員会において、日本は欧米諸国に比較してどの程度の存在で委員会に加わっているのか、そしてまた、事務局に何人日本から出ておって、これは欧米との比較で、国際規格関係の委員会における、あるいは事務局におけるどの程度のシェアなのか、そこをまずお聞きしたいと思います。概数でいいですよ。

佐藤壮郎通商産業省工業技術院長

○佐藤(壮)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘のとおり、ISO、IECは約千の規格審議委員会がございまして、活発な国際規格活動を行っているところでございます。特に近年、TBT協定の発効等で標準化活動への認識の高まりがございまして、さらにその重要性を増しているところでございます。  我が国の国際標準化活動は、例えばISO、IECにおける幹事国の引き受け数でございますけれども、例えば幹事国の引き受け数で申し上げますと四十一でございまして、欧米諸国の三分の一から四分の一程度でございます。それから、国際規格提案件数も、ある意味では各国に比べましてかなり少ない。それから、事務局への日本人の派遣の人数は一人でございます。  ということでございまして、率直に申しまして、我が国が世界経済に占める比重を考えますと、必ずしも十分な活動を行っているとは言えないという認識でございます。

前田武志太陽党

○前田(武)委員 よく言われる例として、マイクロソフトウィンテルというのですか、今、コンピューターの一番中心になる演算システムというのですか、そういったところがマイクロソフトとインテル、これの連携で、コンピューターのほとんどがこれで実際上は占められている。デファクトスタンダードというか、結果として、実質的にこれがスタンダードになってしまっている。  そういったことに対して、今問題になっているJISであるとかISOとかいうのは、公的なスタンダードになってくると思います。事実上、こういう世界の製品のほとんどを支配する標準というものは、とりもなおさず、これを持っているところが世界を制覇するわけでございますから、公的なスタンダードにおいても、その国のかなりの戦略的な規格みたいなものを世界規格として採用させることができるなら、それを通じて相当の支配力を占めることになると思うのですね。  我が国の国家目標というのが、科学技術創造立国、こういうふうに言われているわけでございます。地球環境時代に、その地球環境の保全というようなことも、こういった科学技術の成果の中から、新しいそういうシステム等も、方法論も出てくるのだろうと思うのですが、こういったものが具体的にエンドユーザーであったりそういうのに享受されるように伝わっていく、そういう成果を国民に、あるいは世界の人々に享受してもらう伝達手段として、やはりこういった標準化システムというのは非常に大きな意味を持っている、こういうふうに思うわけでございます。  そしてまた、そういう過程で、裏返して言えば、産業政策なんかにおいて、日本の国の持っているそういう生産技術あるいは科学技術の成果、そういったものをいかに世界的な標準として入れていくかということが、これはとりもなおさず、日本のこれからの外交政策であったり産業政策を実現していく非常に大きな手段にもなっていくのだろう、こういうふうに思うわけでございます。  そういう観点からいうと、今お答えいただいたISOですか、一人しかいないというのは、ちょっと、余りにもこれは、大きな国際戦略を掲げている割には実態は全く伴っていないのではないのかなという感じすらするわけでございます。そういった意味において、後ほど大臣にも含めて答えていただきたいのですが、この面でのおくれというものは今後非常に大きな意味を持ってまいりますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  さらに多少申し上げれば、先ほど来、APECだとかいろいろ、アジアとの関係も出ておりました。こういう工業製品、あるいはその設計の考え方であったり、そういったものの基本というのは、やはりその国々の文化というようなものが背景になっているはずでございます。ということになると、標準化を通じて支配的な標準に持ち込んだその背景にある文化、それがまた工業製品等、あるいはそれの設計等のシステムを通じて世界にどんどん浸透していくということにもなりかねない。  西洋文明、東洋文明、あるいは西洋文化、東洋文化とよく言われますが、少なくとも日本はアジアの代表選手として、東洋文化、東洋文明といいますか、そういったものの代表選手であるわけでございますから、単に日本のことのみならず、これからの二十一世紀というのは、どうやら西洋文化ではどうもこれは突破できない、東洋文化というものも大いに見直して、これが一つの次の時代の価値観の非常に大きな主流になるのではないか、こう言われるぐらいでございますから、一般の人々が使うほとんどの製品の中に実はこの基準というものがかかわってくる、そういうことでもございますので、こういった観点からも、私は、日本のこの面でのアジア等に対する責任というのも非常に重いだろう、こういうふうに思います。  特に、日本の場合には、技術開発と標準化という関係においては、いい製品をいろいろと苦労して開発する、しかし、その開発したものがまず日本の中で標準化されて、そしてそれが世界の標準になるというふうに、まじめにこつこつ積み上げてはいくわけですが、どうも欧米流は、戦略的に物事を見て、まずシステムを考えて、その中でそのシステムを世界の標準として採用させてしまう、それに基づいて、いろいろな各国の工業製品なんというのもそれに付随させるような、そういう戦略的なやり方をとっているようにも思う次第でございます。  そこで、これは最後に大臣に質問でございますが、今申し上げたような私の観点から、この工業標準化というものを、単にJIS、それからISOですか、そういった具体的な問題点も踏まえた上で国家戦略としてどういうように受けとめてやっていこうとされているのか、大臣の御所見を伺って、終わります。

佐藤信二自由民主党通商産業大臣

○佐藤国務大臣 前田委員の御説、御指摘、もっともだと思います。  言うまでもなく、経済活動のボーダーレス化、これが著しく進展し、国際標準を制する者がマーケットを制する、こう言われている状況の中で、我が国としては、国際標準化活動をいかに戦略的に展開していくかという視点は極めて重要だ、こんな認識を持っております。  特に、国際標準化機関に対する先端技術分野を中心とした規格案の積極的な提案をしていかなければいけません。このための技術開発政策と標準政策の連携強化ということが重要な課題と思っております。例えば、今般の平成八年度の補正予算、この中に、国際規格提案を目指した技術開発に対する支援措置を二十億計上するなど、所要の措置を講じております。  国際標準化活動を戦略的に展開するためには、産業界との一層の連携強化が重要であるという認識もございます。産業界のニーズを踏まえて積極的に対応していく、こういうふうな考え方でございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。

前田武志太陽党

○前田(武)委員 終わります。

武部勤自由民主党

○武部委員長 御苦労さまでした。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る三月五日水曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十一分散会

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