厚生委員会 第29号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1997/05/27
会議録
○町村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、参議院送付、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしております。 ただいま御出席の参考人は、川崎医療福祉大学学長江草安彦君、日本労働組合総連合会女性局長高島順子さん、社会福祉法人日本保育協会常務理事藤本勝巳君、日本保育園保健協議会会長巷野悟郎君、アメリカホームスクール協会公認「アザワイズジャパン」代表相沢恭子さん、神戸大学教授・大阪学童保育連絡協議会会長二宮厚美君、大宮市見沼学童保育指導員片山恵子さん、以上の七名の方々であります。 参考人の方々には、大変御多用中にもかかわりませず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本法律案につきまして、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いを申し上げ、本当に御多忙のところ御出席をいただきましたこと、委員一同にかわりまして委員長から御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。 次に、議事の順序について申し上げます。 最初に、参考人の皆様方から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。 なお、御発言は着席のままお願いいたします。 それでは、最初に江草安彦君から御意見をお述べいただきたいと思います。
○江草参考人 江草安彦でございます。 本日は、本委員会におきまして、児童福祉法等の一部を改正する法律案に関し、参考人として意見陳述の機会を与えられましたことを厚く御礼申し上げたいと思います。 児童福祉法等の改正案は、中央児童福祉審議会の報告を踏まえたものでございますので、今回の改正案の基本的な考え方を中心に意見を述べさせていただきたいと思いますが、私自身、社会福祉や保健医療に従事する職員の養成を行っております川崎医療福祉大学の学長を務めるとともに、障害児・者の総合施設を運営しております社会福祉法人の理事長として現場に身を置いておる者でございます。そこで、本日は、必ずしも中央児童福祉審議会の委員長としての立場にこだわらず、意見を述べさせていただきたいと思っております。 まず、審議会の報告と法案の関係について申し述べたいと思います。 昨年の三月、御承知のように、厚生省から審議会に対しまして、児童や家庭を取り巻く環境は大きく変化してきておる、児童福祉法を中心とする児童家庭福祉制度について、二十一世紀を見据えた幅広い見地から、基本的あり方について議論をしていただきたいとの御要請がありました。 そこで、当面まず取り組むべき課題といたしまして、児童の保育施策、要保護施策、母子家庭施策の三分野について、十四回にわたって活発な議論を重ねたところでございます。昨年十二月三日に審議会の報告を取りまとめました。「少子社会にふさわしい保育システムについて」「少子社会にふさわしい児童自立支援システムについて」そして「母子家庭の実態と施策の方向について」でございました。 なお、十四回の審議とともに、一部並行いたしまして二つの専門調査会を設け、専門家の意見を徴したことを御報告申し上げたいと思います。 この報告を受けて、厚生省は法律案要綱を作成され、本年二月二十一日に諮問がございました。その内容は、昨年十二月の私どもの審議会の報告に沿ったものでありましたので、二月二十六日に、おおむね諮問案どおり了承する旨の答申をさせていただきました。 今回の児童福祉法等の改正案は、審議会の議論の成果を具体化したものであり、私どもといたしましては、法案が速やかに可決成立され、児童福祉の一層の推進が図られることを願うものであります。 次に、改正の基本的な考え方について申し上げたいと思います。 児童福祉法は、戦後間もない昭和二十二年に制定されたものでありますが、この半世紀の間、児童、家庭を取り巻く環境は大きく変化しております。しかしながら、児童福祉制度の基本的な枠組みは、制定以来変わっておりません。時代の変化を踏まえた制度改革が必要となってきておるのであります。 例えば、保育所について申し上げますと、戦後間もない時代は、働かなければ食べていけない方々を対象とした施設としての色彩が濃かったわけでありますが、家族構造の変化、女性の社会進出等、利用者の方々の所得水準の向上も相まって、就労と子育ての両立支援という観点から、保育所は乳児保育や延長保育など利用者の多様なニーズに対応し、また、次代を担うお子さんにとってより質の高い保育をいかに提供するかということが大きな課題となってまいりました。 養護施設について申しますと、戦後間もない時代には、貧困、親の死亡などによるお子さんを収容保護する施設としての意味合いが強かったわけでありますが、今日では、両親のいずれかがいらっしゃる方が〇%近くを占めるような状況になっております。したがって、単に児童を保護するだけではなく、家庭環境との調整や児童のアフターケアなど、個々の児童や家庭の態様に応じ、その自立をいかに支援するかという観点が重要となっておると思います。 こうした児童や家庭を取り巻く環境の変化を踏まえ、子育てしやすい環境の整備を図るとともに、次代を担う一人一人の子供が個性豊かにたくましく、自立した社会人として生きていくことができるようにという基本的な考えのもとに、現行の児童家庭福祉制度の見直しについて、審議会は種々提言を行ったところでございます。その際、留意いたしましたことは、次の三つであります。 第一は、児童にとって最善の利益が図られるよう配慮すること、第二は、地域の実情や利用者のニーズに応じた弾力的かつ多様なサービスの提供が図られるようにすること、第三は、児童福祉に関する公的責任が後退することがないように、この三つであります。 その具体的な展開について、少し申し上げたいと思います。 まず、保育施策について申し上げます。 保育施策につきましては、第一に、市町村による入所の措置という仕組みを改め、保育に関する情報を積極的に提供し、それに基づき利用者の方が保育所を選択できるような仕組みに改めること、第二は、保育料の負担方式につきましても、現行の応能負担の仕組みから、低所得者の方々に対する配慮を行いつつ、保育コストに応じた負担方式に改めること、第三に、保育所がその利用者だけではなく、地域住民の育児相談にもこたえられるようにすることなどを提言いたしました。利用者の多様なニーズに即応した、質の高い保育サービスが提供されることを強く期待しておるのであります。 なお、放課後児童対策につきましても、大きく私たちは関心を持って議論をいたしました。女性の社会進出が進んでおる現状から、児童の健全育成を図るという観点からも、地域の実情に応じた積極的な展開が図られるよう法制化が必要であることを提言いたしました。 次に、要保護施策について申し上げます。 第一に、児童をめぐる問題が複雑、多様化している中に、実態やニーズと現行の施設機能との間にそごが見られております。施設の機能や名称の見直し、施設間の連携強化等の提言を行いました。特に教護院につきましては、利用することがマイナスであるかのごとき印象を与えるおそれがあるのが現実であります。同時に、学校教育が行われていないなどの問題も抱えております。そこで、通所形態の導入、学校教育の適用、処遇内容の改善等、その役割やあり方について見直しを行い、新しい施設として再生すべきことを提言いたしました。 第二に、児童相談所についてでございますが、入所措置等の決定に当たって、医師、弁護士、施設関係者等から成る第三者的な組織を設け、児童相談所をバックアップする仕組みが必要であることを提言いたしております。児童相談所は、児童の最善の利益を考慮した処遇決定や児童虐待への対応等、重要な役割を果たすことが期待されており、こうした仕組みを適切に活用しながら、その役割を十二分に発揮することを期待しておるのであります。 第三に、地域の中で基幹的な役割を担っている施設に、こども家庭支援センター、法案では児童家庭支援センターと申しておりますが、これを設けるなど、地域の中における児童や家庭の相談支援体制の強化を図ることを提言いたしております。地域の中で、関係者がネットワークを組み、問題の早期発見・早期対応を図っていくことが必要であると考えておるからであります。 次に、母子家庭施策について述べたいと思います。 母子家庭の実態は相当多様化しているとの認識のもとに、個々の母子家庭のニーズに即した就労等の支援や、母子寮機能強化などを提言いたしました。 なお、児童扶養手当制度について、離婚した夫から費用徴収をする仕組みの検討を行うこと等を提言いたしましたが、今回の法案には盛り込まれておりません。これにつきましては、厚生省からの御要請もございますので、養育責任との関係も含めて、幅広い見地から児童扶養手当制度のあり方について、引き続き審議会としても検討を続けてまいりたいというふうに考えております。 児童福祉法の制定に携わった松崎氏が、子供は歴史の希望であると言われたと聞いております。一人一人の児童を健やかにはぐくむことは、もとより一義的には親の責務でありますけれども、地域社会全体で温かくこれを見守り、支援していくことが今後重要ではなかろうかと思っております。冒頭申し上げましたように、今回の児童家庭福祉制度の見直しに当たって、二十一世紀を展望し、時代に合った制度を構築すべく熱心に議論を重ねてきたと考えておりますが、五十年ぶりの改正にしては不十分ではないかという御意見もあろうかと思っております。しかし、私は、ともかく新しい方向に向かってまずは第一歩を踏み出したことは、それ自体価値あることではないかと考えておるのでございます。 最後になりますが、委員の先生方におかれましては、本法案の一日も早い成立に御協力いただきますことをお願い申し上げます。児童福祉の一層の推進につき御理解と御支援をお願いして、私の発言を終わりたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○町村委員長 江草さん、どうもありがとうございました。 次に、高島順子さんにお願いいたします。
○高島参考人 私は、連合の高島でございます。 本日は、児童福祉法改正に関し意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。 江草先生同様、私も児童福祉審議会の委員をしてまいりました関係もございますし、それから、参議院の質疑の論議も議事録を読ませていただいて、私が本日申し上げるのは、お手元にピンク色の、連合が調査をいたしました「働く女性の就業と保育に関する調査報告」について説明をさせていただくということにさせていただきたいと思います。保育所に子供を預けている親の立場から、保育所に何を期待しているのかということで意見を申し上げさせていただきたいと思います。 今回、今回といいましても、これは一九九二年十二月から翌一月にかけて実施したもので、少し古いわけですけれども、私どももいろいろな調査をしておりますが、この調査をして特に思いましたことは、九十三ページ以降をちょっとあけていただきたいのですけれども、とてもたくさんの人たちが、自由記入欄に書けないぐらいたくさんのことを書いてくれています。それはやはり、いかに保育所について預けている親たちがいろいろな思いを持っているか、子供を育てながら働くということがどんなに大変なことかを訴えていることではないのかというふうにも思いますので、ぜひ目を通していただければありがたく存じます。 さて、その内容ですけれども、まず第一点として、女性が働き続ける上で一番の難関は育児、そして介護ということになるわけですけれども、この調査は、小学校三年生以下の子供を持つ母親労働者を対象にしました。そして、子供を預けながら働いている親たちの家族形態は、六四%が核家族でありました。三世代は三一%、母子世帯が三%、連合の組合員の調査ですからこういう形になってきますけれども、特に大都市圏では七五%が核世帯。ですから、保育所というのは働き続けていく上に不可欠な施設になっている。 それと同時に、保育所以外で応援を求められる人はだれですかという質問に対して、ほとんどが自分の親あるいは夫の親、兄弟姉妹という人を挙げていまして、隣人、友人、知人というのは非常に少ない実態にあるということも、育児が依然として自分の肉親または保育所に頼っているという実態が非常に強いということも、保育所に対する期待がいかに高いかということではないのかと思います。地域の保育をする力をどういうふうに育てていくかということも、同時に課題であると思います。 そして、預けている親たちの要望として、まず保育所の開所時間、閉所時間、そして親たちの労働時間という関係があります。今回調査しました人たちは、出社してから退社するまでの時間というのは平均八・五時間でありました。しかし、現在のサービス関係の職場は九時間以上とする人がとても多くなっています。これらの人たちは土曜日も日曜日も平常どおり仕事をしているという関係で、休日保育の要望が年々強まっているのもまた一つの課題であると思います。 こういうことですから、保育所の要望として、一番高いのは保育料の問題ですけれども、二番目に高いのは保育時間を延長してほしいということであります。現在は、七時から夕方六時までが通常保育で、それを過ぎたものについては特別保育として補助金がついておりますけれども、その実施率はまだ低い状況にあります。今回の均等法改正に伴いまして、労働時間関係の女子のみに対する規制が廃止されれば、今後、女子の残業時間もふえることも考えられます。こういう面からも、保育所の延長に対する期待はますます高まっていると思います。 もちろん私どもは、残業がふえたり、営業時間、特に、規制緩和の名のもとに営業時間がどんどん長くなっていくということは決して好ましいことではなくて、子供や家庭生活にとってよりゆとりのある生活ができるような社会のあり方ということについて、ぜひ国会の中でもその議論を高めていただきたいと思うところです。 三番目は、保育所の配置にかかわることですけれども、自宅を出て保育所に寄り、そして職場に行くわけですけれども、私どもの調査では、平均しますと、自宅から職場までは三十二分でありました。しかし、大都市圏では一時間が四二%、一時間以上も二一%とありますように、住宅問題とも絡みまして、家を出て保育所に寄って職場に行くまでの時間が年々長くなっている。ですから、これも、長くなれば延長保育に対する要望が余計強くなってくるということであります。それから、子供の数が減ってきていますので、保育所の統合という問題も出てきますが、自宅に近い保育所、あるいは自宅ではなくて職場のある自治体の保育所に入れるような仕組み、そういうことを考えるか、あるいは、現在の百人とか六十人という規模からもっと小さな小規模保育所がふえていくようにというふうに、保育所の配置がどうあるかということも非常に重要な課題になっています。 それから四点目は、絶対的にゼロ歳児保育が不足しています。 育児休業制度ができましたから、産休明け直後の八週間日からはなるべくならば育児休業を少しでもとった方がいいと私も思いますけれども、しかし、現実には、育児休業中の生活保障措置としては雇用保険からの二五%でありますし、生活が苦しくて、できるだけ早く職場に復帰したいという人もいます。あるいは、長く休んでいると職場の評価が低くなって、そのことがずっと後々までマイナス評価される、したがって、できるだけ早く職場に復帰したいということで、育児休業が安心して休めないという問題もあります。育児休業を利用しているのは、男性ではわずかに〇・二%という低さということもよく例に出されますけれども、スウェーデンでは四分の一男性がとっているというふうなことが言われます。男性も安心して育児休業がとれるような社会にしていく必要があるのではないかと思います。 こうしたことと相まっているわけですけれども、保育所が保育を開始するのは大体六カ月児あるいは八カ月児からになっていますから、そういうふうに預けられるようになれば、多くの人ができるだけその時期から預けて働きたいというのが現在の実態ではないかと思います。 ですから、この意味で、ゼロ歳児保育をもっと充実する必要がありますし、それから、育児休業制度を充実する必要もありますし、育児をするからといって職場の評価が悪くなるというふうなこともなくしていくという三つの方向から改善が必要ではないかと思います。 さらに、このこととも関連しますけれども、保育所は四月一日時点で新年度の入所時期になりますので、どうしても秋以降になるともう満杯で入れない。こういうことですから、人によってはなるべく四月一日に入れるように子供を産む時期も調節をしてしまう、そういうことを考えながら出産をするという人がいるのも事実ですし、待機になってしまえば共同保育だとか無認可保育所に預けるということになってくるわけです。ですから、これらの入所時期、いわゆる子供が生まれる時期を親が決めているわけではないわけでして、どの時期でも安心して入れるような仕組みを、充実をぜひ望みたいと思います。 六点目は、保育料の問題です。 保育費の負担が高過ぎる、自営業者に比べると勤労者は不公平だという不満は非常に高いものがあります。若い共稼ぎ世代の賃金では、特に都会地では家賃ということもありますから、保育料の負担を安くしてほしいという要望は切実なものがあります。 今回の法改正でこれまでの負担のシステムは変わりますけれども、大切なことは、不公平の解消とあわせて、保育料の負担額がどうなるかということ、このことが今一番注目をされている点だと思います。国の負担額は従来どおり二分の一は変わらないということは、再三これまでの委員会でも説明され、審議会でも説明されています。しかし、これは変えないとしましても、これまで五十年間続いた措置費の単価そのものが低過ぎるために、地方の超過負担が多くて、地方自治体の予算の持ち出しがないと保育料は結局高くなってしまっている。保育料の基準額はこれまで十段階となっていましたけれども、国会段階で七段階の図が示されていますけれども、コストを基準に考えれば、ゼロ歳児あるいは三歳児未満は高くなるのは当然です。 均一化を目指しながらも保育料を高くしないためには、どうしても国や地方自治体が保育所に対するお金をもっと入れないと親の負担は避けられませんし、こうした子育てに対し社会全体で支援するということがなければ、親の立場からすれば結局子供の数を減らしていくという形にはね返ってきているのではないかと思います。そういうことが昨今の少子化ということにつながってきているのではないでしょうか。 これとあわせて、ぜひ児童手当の引き上げ。所得税にあります児童扶養控除というのはもう既に意味がないのではないでしょうか。私は、こういうものも児童手当に統合すべきだと思いますし、それから、子供は社会の子というふうに考えれば、それぞれの賃金の中にあります児童に対する扶養手当も本来は一本化されて、親がどこの会社に働いていようと同じように子供に対する支援というのは整理されていくことが望ましいのではないかと思います。 これにかかわりまして、審議会の中でも延長保育に係る保育料についてはまだ結論が出ておりません。これまでの措置費の対象から補助金という形になっているわけですけれども、では今後、このことをどうするのか。先ほど申し上げましたように、営業時間が長くなっているという関係から、七時、八時までが正規の労働時間という人も出てきています。こういう人たちは、現在示されていると段階の保育料とそれのほかにもう一つ延長保育の保育料を払いなさいというふうなことになれば、とてもその負担は高くなってしまう。したがって、延長分についても公費投入はぜひとも必要であると思います。 さらに要望の中で出ていますのが、働いている途中に保育所から電話がかかってきて、子供を迎えに来てほしい、子供が熱を出していると。これではとても仕事との関係でうまくいかないという悲鳴がたくさんあります。風邪を引いた後、完全に治ったという証明書をお医者さんにもらってきなさいというふうなことですと、何日も休まなければならない。確かに子供の命にかかわる問題ですから、そういうことは実情としては非常によくわかりますけれども、せめて軽い病気のときは預かれるような措置が必要であると思います。 こうした点をいろいろ指摘しますと、保母さんの配置の問題ということも大きな課題であると思います。配置基準は昭和四十五年以来のものですけれども、私がオーストラリアに保育所を見に行きましたときに、日本の保育所の配置基準を言いましたら、日本の子供さんというのはおとなしいのですねとからかわれまして、そんな配置基準でよくできますねと言われてしまった経験を持っています。現在は、一人っ子だとか二人っ子が多くなっています。情報過多の社会で育ってきている子供の世話は、以前にも増して手間のかかるものでしょう。保母さんの配置基準をふやすことがぜひとも必要だと思います。 それからまた、お母さんを指す保母という名前は、今回の均等法改正ということからいえば早急に変えていただきたい。そして、男性も保母さんの世界にどんどん入ってきていただきたいというふうに思います。 それでは、男性が入るというふうなことになりますと、現在の保母さんの人件費にかかわってくる措置費というのは非常に低い金額になっている。例えば施設長では高卒十八年、主任保母では高卒十四年、一般保母では高卒七年程度ということですから、こうした賃金では男性はまず参入できないでしょうし、地方公務員の場合は公務員賃金がありますからいいのですけれども、社会福祉法人ではとても保母さんとして長く働くような賃金ではない。特に、保育所の運営経費というのは八割から九割が人件費ですから、保育所の経費を切り詰めるということは、結局、保母さんの賃金を安くするということにほかならない。ということは、なるべく二、三年でやめてほしい、そして、次々と初任賃金で働く人を保母さんとして雇っていくということになってしまう。これではとてもいい保育はできないでしょう。 今後、福祉職場に働く人がますますふえていきますけれども、いつまでも奉仕の精神だとか家庭の延長の仕事だからといってこれらの労働の価値を低く評価するということは、結局、私たち自身にもはね返ってくる。福祉施設に働く人たちの労働条件をよくするために、福祉職賃金体系を早急につくるべきではないかと思います。 最後に、保育所の最低基準にかかわる問題ですけれども、自分で意思表示もできない幼児の命を預かる事業が保育所ですから、最低基準はきっちりと守るべきだと思います。したがって、無認可保育所だとかそういうものがなくなるような国、地方自治体の多様な援助が必要だと思います。 そしてまた、保育所の側も、どうしても保育所の方に親たちが合わせるというのがこれまでの運営でしたけれども、もっともっと保育所の運営に父母も参加していく、それから地域社会もかかわっていく、そういう地域に開かれた保育所になっていく必要があるのではないかと思いますし、さらに、保育所に続いて学童保育についても、小学校区ごとに一つずつは設置するということが早急な課題であると考えています。 以上であります。(拍手) 〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
○佐藤(剛)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、藤本勝巳さんにお願いいたします。
○藤本参考人 私は、社会福祉法人日本保育協会の常務理事をしております藤本と申します。 日本保育協会は、主として民間保育所を会員とする団体であります。 本日は、児童福祉法等の一部を改正する法律案の御審議に際しまして、意見表明の機会を与えられました。児童家庭福祉体系の見直しにつきましては、私ども保育に関係する者にとりましても、先般の中児審の審議段階から大いに関心を持ち、また、期待をしてまいったことであります。このような機会を設けていただきましたことに深く感謝しながら、本日出席させていただきました。 本日は、時間の制約もありますので、児童福祉法改正案のうち、保育に関する部分につきまして、事項を絞りまして申し上げたいと存じます。私どもは、主として民間保育所を運営する者の立場から申し上げたい、また、日ごろ子供たちやその保護者に接している現場人の立場に立ちまして、日本保育協会を代表して簡潔に申し述べたいと存じます。 児童福祉法が制定されましてから五十年、児童や家庭を取り巻く環境は大きく変わったというふうに言われます。また、この間に、保育所をめぐる状況も、また保育所そのものも大きく変わっております。保育所利用の一般化ということが言われますが、そのことがこのことを象徴していると思います。また、保育需要の多様化と言われますように、住民の方々の保育ニーズはさまざまでございます。さらにまた、保育所には、今や、広く地域社会での子育て支援の役割、専業主婦をも視点に入れた活動が求められております。 このような状況の中で、政府で策定されましたいわゆるエンゼルプラン、さらには緊急保育対策等五か年事業に私どもは大いに期待をしております。保育所は、子育ての社会的支援のために、今までもそうでありましたけれども、これからもその中心的な役割を果たさなくちゃいけないものだというふうに受けとめております。 我が国の保育制度は、国情に合ったすぐれた制度であると私どもは考えております。そのもとで官民挙げて努力したたまものが今の保育の姿であります。保育所が全国的に満遍なく普及いたしておりますし、その数は中学校の数の二倍、小学校の数を若干下回るまでになってまいりました。また、そこで行われております保育内容も年々向上しまして、時代のさまざまなニーズにこたえて今日に至りました。世界的に見ましても、保育所の普及の度合いという点、保母さんなどの職員のレベルの高さという点、あるいは、地域を問わず一定の保育水準がどこでも確保されているということ、さらには、保育所とかその利用者に対する公的な支援体制など、総合的に見れば日本の保育はとても水準が高いと言っていいと思います。 しかしながら、私どもは、今日の段階で制度に全く問題なしとは考えておりません。現行制度の果たした役割を認めつつも、その弊害と言われるところを手直しする必要があると考えております。 児童福祉法制定当時から見ますと、保育所の利用者や保育所の果たす役割そのものが大きく変質しております。保育所利用の一般化という状況になりましたのに、保育所への入所に当たっては、制度的には市町村の一方的な措置による入所先決定ということになっております。いわば選べない、選ばれないということであります。 保育料についても問題が表面化してまいりました。一口に言って、保育料については不公平感が強いということでございます。特にサラリーマン階層には、保育料の額そのものの負担感も高く、またさらに、あの人に比べてどうかという相対的な意味での負担感と申しますか、不公平感が強いと思います。現場ではそのことがよくわかります。何とかならないのかということを会員の園長さん、保母さんからしょっちゅう聞かされております。 そこで、今回の改正案の個別の内容について、私どもの考えを申し上げたいと思います。 まず、入所方式がどうなるのかというのが我々の最大の関心事でございました。 今回の改正で、市町村は、「保護者から申込みがあったときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。」というふうにされました。これまでも保護者が希望保育所を書いた上で市町村役場に申し込むという実態はありましたけれども、利用者がみずから選択するということが法文上も明記されました。 実は、利用者の選択ということにした場合に、私どもは、保育についての公的責任がどうなるのかという点につきまして、審議会の段階で若干の懸念を持っておりました。この点につきましても、今回、市町村は、「保育所において保育しなければならない。」という形で、保育についての公的責任に関しては変わらないということがはっきりいたしまして、我々の懸念は解消されました。いわば選択と公的責任が共存した、まさに時宜にかなった改正だというふうに考えております。 次に、市町村、保育所双方に情報提供の義務が課されたことも、当然であると受けとめております。 また、保育所に、今回、保育相談が努力義務として明確化されました。先ほど小学校の数に迫るだけあると申しましたけれども、保育所に入所していない子供たちや保護者のための活動、地域での子育て支援がいわば保育所の第二の柱になったのだということを実感している次第でございます。 次に、保育料についての問題点は先ほど申し上げました。 このたび、応能負担の保育料負担方式を改めて、保育費用を徴収した場合の家計に与える影響を考慮して児童の年齢等に応じて保育料を定めるという考え方、すなわち、保育に要した費用に着目する考え方に変わりました。中央児童福祉審議会の報告で提言されているように、今後、保育料の均一化を図っていくことによって、先ほど申し上げましたような保育料についての負担感、不公平感の解消につながるものというふうに期待しております。 次に、放課後児童健全育成事業に関する事項が初めて児童福祉法に規定されることになりました。 各地で行われている事業がいわば市民権を得たものでありまして、保育所での今後の取り組みも進めやすくなるというふうに考えております。 最後に、今回改正されなかった部分について触れさせていただきます。 市町村の保育についての公的責任とこれに基づく費用支弁義務、さらには市町村が支弁した費用についての都道府県の負担義務、同様に国の負担義務、いずれも現行どおり残っております。当然のことではありますが、我々に安心感を与えるものであります。 日本保育協会は、日ごろから、子供たちや保護者の立場に立って保育を考え、民間のよさを生かして保育を提供するということに努めてまいりました。今回の法律改正は、私たちの活動を後押しする内容だというふうに思っております。 法律改正とあわせまして、具体的な施策の実施に当たって特に申し上げたいことがございます。 延長保育や乳児保育などの各種の事業や各種の基準につきまして、今後、弾力化や規制緩和を進めていただきたいということでございます。民間保育所の活力を助長し、自発性、即応性が発揮しやすいようにしていただきたいというふうに思っております。特に延長保育につきましては、日々、勤務時間が異なるという今日的なニーズに的確にこたえることや創意工夫ある運営という立場からは、基本的には、今後は保育所の自主事業とすべきというふうに思っております。保育需要や保育所の実態は、それぞれの地域でさまざまでございます。何事も全国画一に実施するのではなく、地域差を考慮した制度の弾力運用もお願いをしたいと思っております。 最後に、少子化という事態の中で、議員の諸先生におかれましては、必要な施策の樹立とそのための財政措置の確保につきまして、格段のお力添えをお願いしたいと考えております。 高齢化問題は、同時に少子化問題でもあります。高齢者の問題につきましては、社会的に支援しようじゃないかという点で今や大方の合意はできつつあるのではないかというふうに思っております。私どもといたしましては、今回の法案審議を期に、子育て問題、保育問題について国民全体の目が向いてほしいと念願しつつ、参考人としての陳述を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手)
○佐藤(剛)委員長代理 藤本勝巳さん、ありがとうございました。 次に、巷野悟郎さんにお願いいたします。
○巷野参考人 私は、小児科医でございます。毎日、青山にございますこどもの城の中の小児保健クリニックというところで診療しております。また、私の小児科臨床の経験の中で、ある時期は、女子大学の保育室の室長を長らく務めておりましたし、また、乳児院の院長もしたことがございます。そういったことから、現在、臨床をやっておりますけれども、常に考えますのは、子供の保育、育児ということでございます。 御承知のように、日本の乳児死亡率は世界最低になりまして、体の健康の問題につきましてはかなり解決されてきました。しかし、一方では、子供の育ちにおかしなところが随分と出てきておりまして、そういったことを日常の臨床の中で個々のケースについて経験しております。本当に子供を知らない母親がふえております。子供が泣くけれどもどうしたらいいのだろうか、子供が口をあくけれどもいいのだろうか、本当に、我々が新しい動物をもらったときに育て方がわからないのと同じような訴えを持つお母さんがいかに多いかであります。 そして、現在のお母さん方の第一子を産む年齢を厚生省の統計で見ますと、大体二十七歳前後になっております。恐らく子育て中でいろいろな心配をするお母さんの年齢は二十五歳から三十歳、あるいは三十五歳ぐらいのところにまで分布しております。 そういったお母さん方がいつごろ生まれたか、平均して三十年前ということで見ますと、昭和四十年代ということになります。昭和四十年代というのは、世の中も非常に落ちついてきまして、産業もどんどんと繁栄したころで、大人社会を迎えております。当時の両親、若い親は、終戦前後の生まれでございまして、自分としては子供というものを知らないままに親になっている、そして、生まれた赤ちゃんを何とか立派に育てよう、しかし子育てを知らないというようなことが昭和四十年代の若い親にあったわけです。現在、ベビー雑誌とかあるいは育児相談などが電話で行われておりますが、そういったことが始まったのもやはり昭和四十年代でございます。そのころ生まれた子供が、今、親になってきております。 それで、昭和四十年代から現在に至るまでの二十年、三十年の間に、世の中では子供がだんだんと少なくなってきた。また、育児産業がどんどんと進歩してまいりまして、布おむつから紙おむつへと移ってきている、あるいは将来に向けての早期教育が起こってくるということで、現在の母親は、子供を知らない、しかし、一方では大きな情報に惑わされているというような状態でお母さん方は育てております。 そういう中で、働いているお母さんは、保育所にお預けになる、そこで集団保育もしてもらえる、また、経験のある保母さんに見てもらえる、非常に幸せでございます。しかし、一方では家庭で、それこそ十階、二十階というマンションの高いところで外の風の音も聞かないままに育てているお母さんが非常に多くなってきておりまして、そういった方々の多くの悩みが、私どもの小児科臨床の中で、毎日私たちの目の前にあらわれてくるわけでございます。 そういったことから、家庭で育てているお母さん方に対して、育てるよい環境を私どもがつくっていく必要があるわけでして、今、厚生省で各地で育児教室などを行われて、成果を上げております。 また、保育所の方では、集団保育の中でよりよい保育を目指しておりますが、そういう中で、保育所の中でも問題がないわけではございません。それは、一つには、子供の健康というものは必ずしも平たんではございません。先ほども御意見がございましたけれども、風邪を引いたり、いろいろございます。そういったことが、今、保育園の中に要望としてどんどんと入ってきております。 そういったことで、私は、今、保育園がどうあったらいいか、子供の立場から、親の立場ではなくて、発育していく子供の立場でどういう環境が必要なのだろうか、それには保育所はどういう環境であってほしいのだろうか、あるいは家庭がどういう環境であってほしいのだろうかというようなことをちょっとまとめてみました。 これはお手元の資料の中に、二枚の紙でございますが、細かいことはこれでごらんになっていただきたいと思うのです。 今、保育園児の保健というものを見ましたときに、いろいろな問題がございます。先ほどもございました、病児保育といいましょうか、少し体の状態がよくない、しかし家で寝ているほどではない、そういう子供をどうしたらいいだろうかということを考えたときに、親の立場からいえば保育園にお預けするということもありますが、子供の立場からいえばそういったときこそ家庭で育ててほしい、そしてそれに対して社会が何か援助してほしいというのが私の小児科医としての立場でございます。 また、産休明けの子育て、生後八週間からあの小さな赤ちゃんが保育所で育てられるわけでございます。あるいは障害児保育、それから、今、全国的に問題になりますアトピー性皮膚炎とかアトピー性皮膚炎の除去食という、ある特定の食事を除くわけですが、そういったことが保育園に課せられております。最近では、アトピー性皮膚炎だけではなく、先天代謝異常という、生まれつき代謝異常を持っていて特定の食事しが食べられないというような方が保育園に入ってまいりまして、保育園での食事の中でそういったいわゆる治療食も要望されているわけでございます。そのほか、日常の薬の問題あるいは感染症の問題、保育園という集団の中で保健の立場からいろいろな問題が起こっております。 そういったことを我々は援助しなければなりませんが、それには、その次のところに書きましたが、今の保母さん方の再教育あるいは小児保健の研修会などで、知識、技術というものを高めていただくような機会を多くしていただきたいと思います。また、単に育てるだけではなくて、家庭であれば母と子の結びつきというものがございますが、保育園での保母さんと子供の心の問題などもございます。あるいは、救急法の知識なども必要かと思います。そういったことは、保母さんになるための短大その他のところでの科目の中で大いに重要視して、教育された方々が保母さんとして世の中に出ていただきたいというふうに思います。さらに、それをさかのぼれば、日本の義務教育の中で、子供あるいは大人の、人間の健康というものをしっかりと教育していただいて、そういったことが人としての常識であってほしいというふうに思います。 また、保育園と嘱託医の連携であるとか、あるいは主治医との連携というものを密にしていただきたい。私ども、日本保育園保健協議会という名前でございますが、昭和六十二年に同じような考えを持つ保育園の園医の集まりで全国保育園医連絡懇談会というものをつくりまして、毎年、園医だけで学会をしたり、あるいは保育園の保健の問題につきましていろいろ考えを述べ合ってまいりました。 しかし、園医だけでは保育園の保健の問題がなかなか解決できない面がございますので、保育園で働いている、あるいは保育園に関係する、あるいは保育園の保母さんの教育に関係する、保育園の保健に関係するあらゆる人たちが一緒になってやっていこうじゃないかということで、一昨年、平成七年四月に日本保育園保健協議会というものをつくりまして、毎年、学会をしたり機関誌を発行して、現在の保育園の中における子供たちの保健の問題について、いろいろと研究したり、保育園に助言したりということでやっております。 そういったところの情報の中からも、この保育園の保健の問題というものがこれからますます大きなことになってくる。私たちに課せられた仕事が多くなってきておりますが、今申し上げたような基本的な保育園での保健といいましょうか、医療に近づいた問題も出てくることにつきまして、各分野のそれぞれの専門の先生方のこれからの御協力をいただきたいというふうに思うわけでございます。 それからもう一つの項目ですが、子供の健康な発育ということから見たときに保育園の生活がどうあるべきかということです。 これは、今、私ども小児科医の中でいろいろ検討されていることもあるのですが、非常に夜更かしの子供が多くなってきておりまして、そういったお子さんの背景を見てみますと、産業構造といいましょうか、親の勤務といったものが大きく関係している。夜九時ごろ帰ってきて、それから一緒にふろに入る。そして、親と子供のきずなということで、それから二時間、三時間と父親と子供とで遊ぶというようなことで、夜十二時、一時に寝る子供がいかに多いかということです。それでも翌日ゆっくり寝ればよいではないかという議論がございますけれども、医学的に申し上げますと、やはり初めの乳幼児期、このころは昼と夜という生活のリズムをしっかりとつけることが将来に向けて非常に大きな健康の基礎づくりになってまいります。 最近、睡眠学者などが、夜と昼の逆転している子供がその後いろいろ精神発達の異常を起こしてくるという例なども述べておられます。そういったことから、やはり夜は寝て朝は起きる、そういった生活をしっかりと乳幼児期に習慣づけるということを考えたときに、保育所の延長保育はどうあるべきだろうか、それから、延長保育で夜九時ごろ御飯を食べる、これを夕食として食べるのか、あるいは、夕方、保育園で夕食として食べて、また九時ごろおやつとして食べるのか、そういったことは、子供の一日の生活のリズムを考えるときに大変大きなものでございます。 そういったことから、小児保健の発育から見た保育園のあり方というものをひとつ検討していきたい、また、皆さん方にいろいろな御意見をいただきたいというふうに思います。 ありがとうございました。(拍手) 〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
○町村委員長 どうもありがとうございました。 次に、相沢恭子さんにお願いいたします。
○相沢参考人 本日は、私をお招きいただき、意見を述べさせていただきますことを感謝いたします。 私は、アメリカホームスクール協会公認「アザワイズジャパン」代表、相沢恭子と申します。 今回の児童福祉法第四十四条及び四十三条の五の改正により、私たちが行っている、学校に行かない子供に家庭をベースにした教育の提供をサポートすることができなくなりはしまいかと考え、お話をさせていただきます。 不登校は、学校における体罰、いじめ、強制など、教育の中から受けるあらゆる形態の身体的、精神的な暴力、障害、虐待、放置、怠慢な扱い、不当な扱いからの被害であり、それに対しての異議申し立てであると考えます。このような子供こそ、家庭をベースに、それぞれの子供に応じた興味、ニーズに基づいた教育、真の子供の教育への権利の保障が必要だと思いますが、今回の改正案第四十四条及び四十三条の五の運用により、これを保障するためのサポートができなくなりはしまいかと不安です。 今回の改正案第四十四条に加えられた「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」につきましては、衆議院、参議院両厚生委員会で、小泉厚生大臣及び横田厚生省児童家庭局長が、不登校ということだけで対象とするものではない、家庭の養育が適切でなく、基本的生活習慣が身についていない子供を対象にすると繰り返し答弁されています。しかし、入所問題行動別という資料を見ますと、現在でも教護院には登校拒否ということで入所している子供がいます。説明では、単に登校拒否を理由ではなく、さまざまな要素が含まれている子供を入所させているとされています。 しかし、登校拒否、不登校では、家庭内暴力や閉じこもりのようなさまざまな二次症状が出てまいりますので、このような二次症状を取り上げて、不登校ということで対象にしたのではなく、家庭環境によって生活指導を要する児童に該当するから入所させるとなれば、重大な問題になると思います。子供には教育の権利があるはずなのですが、社会的には不登校という行為についての偏見がいまだに横行しているため、学校へ行かないという形で異議申し立てをした子供を追い詰め、子供はさらに傷つき、いやすどころか、閉じこもり、昼夜逆転、家庭内暴力など二次症状を起こさざるを得ないのです。 私は、一九九五年、イギリスを訪れ、家庭を基本とした教育で、学校も含め、あらゆる機会を利用して子供の学びをサポートしようという教育方法、これをホームベースドエデュケーションといいますが、この実際を見てまいりました。 イギリスでも教育は法律で義務づけられています。けれども、その義務教育とは、学校に行くことだけが義務ではありません。学校は教育を提供する一つの機関にすぎず、親が学校でその義務を果たそうと考え、登録し、登校させれば、登校させる義務が生じ、その義務を学校以外で履行しようとすれば、何の手続なしに、自由に子供の興味に沿った学びを支えていけるのです。国のカリキュラム、教員資格、テストでの確認などは必要とされてはいません。このため、平日、図書館、博物館、水族館などで楽しそうに会話を通して学んでいる多くの親子連れを見かけました。 子供たちは、あらゆる機会を通して、さまざまな人々と交流して豊かな社会生活を送っていました。町でもボランティアの体験をしたり、働く経験をしたりと、どこかに配置して何かを教え込もうというのではなく、教育が即学校という考えをとらずに、社会全体を学びの場としてとらえて、生涯教育の視点に立ってさまざまな学習方法、機会を提供し、学校以外の教育を選択した子供たちを支援していました。 そしてまた、それらの子供は学校との行き来が自由にできるようです。ホームベースドエデュケーション・サポートグループ、エデュケーションアザワイズのメンバーの幾つかの家庭を訪問し、子供たちが明るく伸びやかに、屈託がなく、自由に学んでいる姿を目の当たりにして、日本で、家庭に閉じこもらざるを得ないなど不登校のため二次症状を起こして、自己肯定できず、意欲さえも奪われてしまっている子供たちを思い、胸が痛みました。 このホームベースドェデュケーションは、欧米、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどで広く実践され、欧米では既に二十年経過しており、アメリカではハーバード、スタンフォード大学など四百七十校以上がこのホームベースドエデュケーションの子供たちを受け入れ、必ずしも高校卒業資格試験、GEDなどは必要とせず、個人の推薦、面接、レポートなど、さまざまな方法で受け入れていると聞いています。 このように、諸外国では、学校外の教育の権利が保障され、学校システムで学びたいと考えれば、それを利用できるように保障されてきています。そのことが、精神的、肉体的に、さらには学習面においても発展に貢献しているのです。 そして、当然ながら、不登校という問題も少ないのです。日本の子供たちに今必要なのは、学校教育以外の教育の権利を保障した上で、学校教育との自由な行き来であると考えました。こうすれば、子供たちが不登校ということで苦しまなくて済むのです。 一九八九年、イギリスで発行された、元教師で、BBC放送でも活躍されているパトリシア・ノックスの「アビュース オブ ケア アンド カスタディー オーダーズ アンド アンダースタンディング スクールフォービア」という本によれば、今回の児童福祉法改正案第四十四条及び四十三条の五と似たようなケースが、一九六九年、イギリスで見られたそうです。つまり、当局が、福祉と称して子供をケアに置く権限を持ち、モラルの危険にさらされた場合、親の手に負えない場合、適切な教育を受けていない場合、犯罪を犯した場合などは、子供のふさわしい発達と健康が損なわれるとして施設に措置したようです。そして、親の手に負えない場合、適切な教育を受けていない場合は、まさに学校に通っていない子供たちに当てはめられ、多くの親子が国外逃亡をしたり、自殺を図る など、悲惨な状況があったことを伝えています。 また、この書によれば、学校に行かなかったために施設に入れられた子供たちは、一日も早く家庭に戻りたいために、ただ人の言いなりになり登校するようになる、あるいは最後まで学校を拒否して自殺をするなど、重大な問題を引き起こしたことを伝えています。その後、親たちは学校以外の教育の権利を知り、入所を拒否して子供を救っていったようです。 学校以外の教育を認めないまま、今回の改正が学校に行っていない子供たちに運用され、施設収容や通所という措置が行われれば、学校に行かなければならないと親子に登校強制したり、学校に行かない、行けない自分はだめな人間だなど自己否定させる、あるいは親子を追い込むことは間違いないと考えます。 世界的に見ても、子供に対する施設収容に関して厳しい制限をする傾向にあるようです。犯罪を犯した少年は、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」という観点に立てば一番困難な状況にある子供だと思いますが、そのような子供に対して適用される一九八五年の少年法運営に関する国連最低基準規則、通称北京ルールが、これは子どもの権利条約の内実を持つものとされていますが、一条3において、あらゆる可能な資源、学校やほかの公共機関とともに、家庭、ボランティア、そのほかのコミュニティーグループを含むすべての可能な資源を最大限活用する手段をとることに十分な注意が払われなければならないとしています。その目的は、法による介入の必要を減らすために少年の福祉を増進すること及び法に抵触した少年を有効、公正かっ人間的に扱うこととされています。 そして、十七条1(b)で、少年の人身の自由に対する制限は、慎重な考慮を経なければ行うことができず、かつ、できる限り最小限のものでなければならないとして、同(c)で、人身の自由の剥奪は、少年が他人に対する暴力を伴う重大な行為を行ったこと、またはそのほかの重大な犯罪を繰り返すおそれがあることを認定した場合であって、かつ、ほかに適切な方法がない場合でなければ、これを課してはならないとし、十八条2で、事案の事情が必要としない限り、少年は親の監督から、部分的であれ完全であれ離されてはならないとし、十九条1、少年の施設収容処分は、常に最後の手段であり、かつ、その期間は必要最小限にとどめなければならないとしています。その注釈は、進歩的な犯罪学は施設収容処遇に対して非施設収容処遇の利用を提唱している、とりわけ、否定的な影響を受けやすい少年事件がこれに当たる、さらに、自由の喪失のみならず通常の社会環境からの隔離による否定効果が、少年にとってその成長段階ゆえに成人よりも顕著であることは確実であるとしています。 これは少年非行についての国連基準ですが、三条2で、福祉及びケアの手続で取り扱われているすべての少年に対して、この規則で具体化されている原理を拡大するよう努力しなければならないと規定されています。その後、一九九〇年、国連総会で採択されたリヤド・ガイドラインで、福祉、教育分野でも施設収容は最後の手段であって、かつ、子供の最善の利益が最も重要なものであるとしており、入所の判断基準を厳格に規定しています。この観点からすれば、新たに家庭環境その他の環境上の理由により施設収容対象を拡大するというのは、子どもの権利条約を初めとして、世界的な望ましい子供の支援のあり方に逆行するものであると考えます。 不登校については、これを非ないし反社会的行為とみなして措置、治療するのではなく、教育に対して第一義的な権利を有する親が子供のニーズに即した対応をとるなど、自由な関係や環境の中で子供に即したニーズをさまざまな形で援助することこそ必要ではないかと考えます。 今回の四十四条及び四十三条の五は、社会的孤立及びレッテルを既に張られ苦しむ不登校の子供たち、しかも、その苦しみゆえに二次症状を起こしている子供たちをさらに追い込み、前述した、イギリスで見られたような取り返しのつかない結果をもたらしかねないと考えます。つけ加えれば、結果として措置されなければ問題がないというのではなく、その過程でされるさまざまな調査過程でも同じ苦しみを与えるということも忘れないでいただきたく思います。 児童福祉法改正案第四十四条及び四十三条の五、そして、今回の改正には入っていませんが、養護施設も同じです。その措置対象に二次症状で苦しむ子供、家庭を基盤とした教育を行っているホームベースドェデュケーションの子供を入れないよう要望いたします。(拍手)
○町村委員長 どうもありがとうございました。 次に、二宮厚美君にお願いいたします。
○二宮参考人 神戸大学の二宮でございます。 時間が十分というふうに限られておりますので、一切の前置きを抜きにして、まず、現代日本の保育や学童保育制度に求められていることは何か、この点、三点に絞って申し上げまして、その後、それに照らして、今回の児童福祉法改正のはらむ問題点につきまして、同じく三点に限ってお話し申し上げたいと思います。 まず、保育や学童保育の制度で今何が問われているのか、この問題ですが、第一は、改正案に対する中央児童福祉審議会の答申でも指摘されておりましたように、児童の権利に関する条約の理念を踏まえること、特に保育や学童保育に関して言いますと、第十八条の条文を生かすことが大変重要であるというふうに思います。御承知のとおり、子どもの権利条約は、先ほどから何度も紹介をされておりますけれども、子供の最善の利益を保障するという視点に立ちつつ、とりわけ第十八条でわざわざ父母が働いている子供に対して条文を起こしまして、その子供たちが保育所などからケアその他の便益を受ける権利を保障するために、「すべての適当な措置をとる。」このことを締約国に義務づけております。簡単に言いますと、働く親のもとで保育や学童保育を必要とする子供たちに対して、その権利を保障するために、我が国はすべての適当な措置をとらなければならない、こういうことになります。この日本がもし国際化時代を迎えたというのであれば、子供たちに対してまずは何よりも子どもの権利条約の第十八条の視点を貫くということが肝要でありまして、この視点を欠落させた児童福祉法の改正は歴史の進歩に逆らうものだというふうに思います。 第二の問題は、子供の権利にあわせまして、特に現代日本では、さきにも高島さんからお話がございましたけれども、働く女性ないし働く母親の現実的なニーズに立脚して保育制度の充実を図ることが重要だ、こういうことです。 働く女性が必要とする子育て支援策の優先的な課題は何か。これは、こども未来財団の調査結果が九六年版の厚生白書で紹介をされておりますけれども、それによりますと、仕事と両立できる雇用制度の確立、例えば時短とか育休ですが、これが筆頭で七七・三%、次に保育所での乳児保育、延長保育など多様で利用しやすい保育サービスの提供、こういう要望が上がって、これが六一・九%であります。あとは省略をいたしますけれども、要するにこの二つが断トツに高い優先課題になっています。 御注意いただきたいのは、ここで多様で利用しやすい保育サービスの提供という課題が上がっているとはいっても、最も切実で最も多数の要望になっているのは産休明け及び乳児保育と延長保育との二つです。したがいまして、このニーズは現行の措置制度でこたえられるし、また措置制度を使って対応しなければならない、そういう課題だということでありますから、改正案にあるような措置制度の廃止の理由には全くならない、こういうふうに考えます。 このことは、さきの高島さんの紹介されました「働く母親の保育制度への要望」、これは本委員会の参考資料にも出ておりますが、ちょっとミスがあるようでありますけれども、簡単に申し上げますと、保育料負担の軽減だとか公平化、それから早朝保育・延長保育、産休明け保育、入所時期の柔軟化、施設・内容の改善と職員の増加、すなわち保母さんの増加でありますが、これがベストファイブになっています。これは、さきに紹介されたとおりです。まことにもっともな要望ばかりでありまして、これらもすべて現行の保育制度の拡充要求を物語るものではあっても、措置制度廃止の理由にはならない、こういうふうに考えます。 第三に指摘しておきたい点は、これからの子育て支援のあり方を考える際には、共働き家族の普及や社会的役割を特に重視する必要がある、こういうことです。これは、今回の改正法案の提案理由説明でも、夫婦共働き家庭の一般化という言葉、これは大変画期的な言葉だと思いますが、その言葉で強調されているとおりでありまして、夫婦共働き家庭の一般化というのは、言いかえると共働き家庭の普遍化ということでありますから、したがって、共働き家族が必要とする保育や学童保育はまさに普遍的、一般的権利として公的に保障されなければならない、こういうふうに考えられます。 しかも、夫婦共働き家庭の一般化という視点に立った保育の公的保障は、現在財政危機ではありますが、財政的に見ても、片働き家族の幼稚園保育よりも少なくとも社会的な貢献が高いという試算があります。その一例に、昨年社会経済生産性本部が発表いたしました「持続可能な福祉政策の確立に向けて」という報告書がありますけれども、これを引き合いにしたいと思います。 結論だけ申し上げますと、大卒女性を例にとって、就学前の保育所保育五年間に使用する公費の負担額、すなわち公の税金から持ち出される実質額でありますが、これは十七万円、これに対して、就学前にもし三年間幼稚園を利用して子供を育てた場合、これに要する実質公費負担分は約六十万円です。したがって、保育所保育五年間と幼稚園保育三年間を比べてみますと、保育所保育の方が差し引き四十三万円だけ安上がり、つまり節約されるという試算がなされているわけですね。要するに、共働き家庭というのは所得税だとか住民税の増税に耐えながら、片働き家族よりも公的に多く負担をして貢献している、こういうことになります。この上に学童保育を利用する共働き家族の社会的、財政的貢献を考えますと、共働き家族の生活や保育を重視することはまさに将来の二十一世紀の日本に極めて積極的な意味を持つと思います。 以上が、今保育制度に問われている課題でありますが、続けて、今回の改正案の問題点につきまして、三点に絞って申し上げたいと思います。 時間の制約がありますので、あらかじめ結論だけ申し上げておきますと、今回の改正案は、まず第一に、保育の措置制度の廃止によって公的責任を後退させようとしていること、第二に、保育料の受益者負担主義を強化しようとしていること、第三に、学童保育に対する公的責任があいまいなこと、この三点の大きな問題点を持っているというふうに考えます。 まず第一は、保育制度から措置制度を廃止するという問題点です。 厚生省は、措置制度を廃止する際の唯一ともいうべき理由として、現在の措置制度のもとでは保育所利用において選択の自由がない、こういうことを挙げておりますけれども、しかし、これは現実にも合致していないし、ほとんど私はこじつけだと思います。 なぜならば、そもそも保育所に対する選択の自由というのは、これは、すぐわかると思いますが、前提条件として、自由に選択できるほどに保育サービスの量が潤沢に提供されていることが必要ですけれども、現在ではこの前提条件が満たされ、ておりません。つまり、制度以前の課題として、昨年度当初の待機児童数が資料集によりますと約三万三千人、こういうふうに挙げられておりますけれども、これにあらわれておりますように、保育サービスが自由に選べるほどに十分に提供されているとは言えない。保育サービスの量が絶対的に不十分な状態、絶対的に足りないところでは選択の自由どころの騒ぎではないということは、例えば介護保険の導入に当たってホームヘルパーや老人福祉施設が絶対的に足りないところで何が選択の自由か、保険あって介護なしに終わるのではないか、こういう疑問がこの国会でも問題にされたとおりであります。 さらに、措置制度の廃止は、さきに指摘をいたしました保育の権利保障を後退させる危険性をはらんでいます。例えば、現在の措置制度のもとでは、御存じのとおり、第二十四条で、保育に欠ける子供に対して市町村が「保育所に入所させて保育する措置を採らなければならない。」こういうふうにされておりますが、改正案では、保育に欠ける児童に対して「保育所において保育しなければならない。」と修正されまして、私は、保育しなければならないという義務規定はそれはそれとして、今後とも尊重していただきたいと思いますけれども、新たに第二十四条に第三項をつけ加えて、市町村は保育所に入所する子供を選考できる、こういう条文が盛り込まれています。これは、例えば入所希望が一保育所に集中するとか、その他やむを得ない事由がある場合という限定がついておりますけれども、市町村の保育義務制度のいわばエスケープクローズだと思うのですね。すなわち、免責条項ないし逃げ道を与えたものとして、保育の公的保障に大きな問題点を残した、こういうふうに考えます。 第二の問題点は、保育料制度の変更です。 今回の改正案では、保育料のあり方につきまして、原則的に受益者負担の考え方が導入されました。これはさきの江草参考人が保育コストに応じた負担方式というふうに述べられたとおりでありまして、改正案は、原則的に受益者負担原理を基準にしながら、その際に家計に与える影響を考慮して保育料負担をいささか緩和する、こういう考え方を打ち出しています。この方式は原則受益者負担主義の延長線上にありますから、将来、保育サービスの商品化だとか悪名高い市場化路線だとかにつながりかねない、こういうふうに言わなければならないと思います。この路線は保育の公的保障から逸脱するというふうに考えます。 第三、最後に、学童保育の問題についてであります。 これは、片山さんから後で報告があるかと思いますが、学童保育を児童福祉法の中に位置づけてその法的地位を確立すること、このことについては評価したいと私は思います。しかし、今回の改正案は、今、学童保育の制度化で最も重要だ、最も必要だというふうに考えられている課題、例えば公立公営の学童保育に対する公的責任だとか財政保障、そして指導員の身分保障などにこたえていないという問題点を持っています。特に、現在の放課後児童健全育成事業をそのまま延長して学童保育をふやすというふうに厚生省は考えていらっしゃるようでありますけれども、これは、本法案の提案理由にありますところの「制度と実態のそごが顕著になってきております。」という指摘をそのまま地でいくような誤りだというふうに私は考えます。 なぜならば、現在の放課後児童健全育成事業は、一例を申し上げますと、一学童クラブの運営費として年間わずか二百二十三万七千円を想定しております。一けた間違っているのではないかと思うぐらい少ない額でありますけれども、このうち、仮に人件費を七割と見積もりますと、一学童クラブ当たりの指導員の人件費は年間百五十七万円程度、月々の給料に直しますとわずか十三万円であります。これで毎日二十人から三十五人ほどの子供たちの保育、つまり、極めて高度に専門的な指導の仕事が続けられるというのであれば、そう考えていらっしゃるのであれば、私は、一度厚生省の方々にその体験をしてもらいたい、かように思います。 現実にはそうはなっていないわけでありまして、最後に一例だけ申し上げますと、私は現在、大阪の吹田に住んでおりますけれども、吹田では、学童保育一カ所当たり約千六百万円の予算を組んでおります。これでも十分とは言えないのが実態でありますけれども、二百二十三万円と比較いたしますと、余りにも現実と現行制度の乖離、そごが明らかだと思います。したがって、まずこういうそごを是正していただくということを国会議員の方々に希望いたしまして、私の発言にかえたいと思います。(拍手)
○町村委員長 どうもありがとうございました。 次に、片山恵子さんにお願いいたします。
○片山参考人 埼玉県大宮市で学童保育の指導員をしております片山です。 私は、民間学童保育の現場のことをお話しさせていただきまして、今回の法制化で学童保育の困難な実態が少しでも改善されるよう意見を述べさせていただきます。 私の学童保育には、今、三十一名の子供たちが来ております。そのうち母子へ父子家庭、単親家庭の子供は十二名います。三十一名の中の十二名が単親家庭の子供です。 ここ数年、子供たちにとって学校の勉強が大変難しくなってきていて、低学年なのに一人前に、「あたし算数超苦手」というふうな生意気な言葉も使います。学校へ行って勉強嫌いになるための勉強を教わっているのじゃないかと思うほどです。先月入学したばかりで、まだまだ学校にもなれていない一年生たちにももう宿題が出されています。私のところでは、一年生は、目いっぱい遊んで、夕方、家へ帰ってから宿題をやるのは体力的に無理があるので、学校から帰ってくると、学童保育で宿題をやってから遊びます。 今、算数にしても国語にしても、スピードが速いものだから、宿題も自分の力でちょこちょこっとやればすぐ済むというものではなくて、子供たちは毎日四苦八苦しています。だから、きょう宿題ないなんて、すぐばれるようなうそをついたり、宿題をやる前からため息をついたりして、元気に宿題に向かうことができない。 今は何でも速くできることが要求されるので、子供たちは大変です。給食を食べるのに少し時間がかかる子や行動のテンポがゆっくりの子は、もう本当に、入学してわずか一カ月半なんですが、学校生活が厳しくなって、朝、涙ぐみながら、お母さん、熱をはかってというふうに言うそうです。何とか学校へ行かなくていい口実を見つけようと、一年生なのにそういうふうな頭を使うわけなんです。そのお母さんが笑いながら言うのですが、うちの子は学校には行かないで何とか学童保育だけに行ける方法はないものかと一生懸命頭をひねっていると教えてくれました。本当に、入学してまだ一カ月半なんですよ。 このように、子供たちは、小さいけれども、胸の中には結構大変なことを抱えて来ています。学校でのことや家庭でのこと、それぞれの子供たちはさまざまな思いを胸に学童保育へ毎日通ってきています。 共働き、母子、父子家庭の子供たちにとって、学童保育は、毎日自分の足でただいまと帰ってくるところです。帰ってこなければならないところなんです。遊びを中心とした健全育成活動をやっている児童館のように、きょうはちょっと遊びに行ってみようがなとか、きょうは一輪車教室があるからとか竹とんぼをつくるからとか、ちょっと行ってみるかなというようなところじゃないのです。毎日通ってこなければならないところなんです。だから、子供たちが喜んで帰ってくるように、例えば、帰ってきてそこでもまだ緊張しないといけないような場じゃなくて、帰ってくるとほっとする場に学童保育がなるように私たちは努力しております。 放課後の生活の場ですから、家庭と同じように、どういう子供であっても、いろいろな問題行動を起こす子であっても、ありのままの自分が出せる場にならないといけないというふうに考えています。だから、私たち指導員は、三十人の子供がいれば三十人一人一人を知る努力をして、この先生は自分のことをわかってくれているという信頼関係を築くことに心を砕きます。そして、子供たちの生活の場にふさわしい環境を整えています。そして、昼間我が子を見ることのできない親たちに、学童保育での子供たちの生活の様子を伝えたり、伝え合ったりしながら、働くお母さん、お父さんたちが安心して働き続けることを保障し、その子育てを励ましているのです。 資料に、「どろんこ」というお便りがありますが、これは私たちが週二回出しております。ここの「お母さんも大変だけど…」というタイトルは、お母さんが国立大学附属小学校の先生、お父さんが公立高校の先生という大変忙しい共働き家庭の子供のことを記事にしております。後で読んでみてください。 このように、私たちは毎日子供と接するのですが、毎日子供と接する指導員が、研修をし、経験を積んでずっと続けていくということが非常に大事になってくるのですが、現実は、指導員の退職が本当に後を絶たない。私のやっている大宮市でも、同じ指導員の仲間の顔を覚えているうちにもう指導員がやめてしまっている。資料の中に、「大宮市の民間学童保育指導員の経験年数」というのがありますが、二年未満の指導員が六七%を占めています。これは、雇用が不安定で、労働条件が悪くて、将来の生活の見通しが立たないからなんです。 一般的には、学童保育は午後からの仕事じゃないかと思っている方も多いかもしれませんけれども、夏休みなどの長期休業日、第二、第四土曜日がありますから、子供たちが実際に学童保育へ来ている時間は、年間千九百時間を超えています。 「見沼学童保育の収入と支出内訳」という表を見ていただきたいのですが、私は今二十年目で、労働時間は年二千時間を超えるのですが、勤続二十年目で基本給が二十一万二千二百円、ボーナスが年三カ月です。皆さんはボーナスをもらうとうれしいかもわからないけれども、私はボーナス月がすごく寂しいのです。親たちが一生懸命稼いでボーナスをくれても、私の友達で教員をやっているとか保母をやっている人に比べたら、毎月の給料にも満たない。だから、本当にボーナス月というのは複雑な思いになります。だけれども、私のこの待遇というのは全国的に見ればまだ大変いい方なんです。二十年働いてもこれだけなんですから、指導員がころころやめていってもしようがないなというふうに考えています。 ひどいのは、指導員の入れかわりが余りに激しいと、新しい指導員が来ても、どうせ、おまえなんか、すぐやめてしまうんだろうというふうな子供たちの声があるそうなんです。継続した、安定的な人間関係の中で放課後を落ちついて過ごさないといけないところで、子供たちは落ちつかずに荒れていってしまうというふうな現状があります。 でも、実際には、私みたいに二十年近く経験を積んでくると親の負担が大きくなってくるのです。経験年数一年につき二千五百円つくのですが、例えば私が二十年勤めているとしたら、年間八十四万ぐらい、百万近く父母負担がふえるわけなんです。だから、親にとっても、先生には経験を積んでほしいけれども運営が大変になるというすごく悲しい矛盾があるわけなんです。 「大宮市の学童保育の実施場所」を見てください。本当に今、施設が全然公的に保障されていないから、私のところも、親たちが民家を借りて毎月十万円の家賃を払うのです。指導員の給料のほかに毎月十万円の家賃を払うのです。大宮なんかでも、去年からやっと月一万五千円の家賃補助が出るようになったのです。そういうふうな大変な思いをしてやっている学童保育なんだけれども、子供一人当たりに畳一枚のスペースもないわけなんです。後で見取り図を見てください。歴史の希望であるはずの子供たちの実態がこういうふうな貧しい実態になっております。 親たちの方も、働くことと子育ての両立のために学童保育を選んだはずなのに、学童保育を運営しないといけないという物すごいでっかい仕事が覆いかぶさってくるわけなんです。これは、公的補助が少ないから、高い保育料を払った上に――一万五千円の保育料を払っています。母子、父子家庭は一万二千円です。そういうふうな高い保育料を払った上に、バザーなんかの事業活動で休日を返上することにもなるわけなんです。もう一回、見沼の資料を見てほしいのですが、運営費の中で、親たちが保育料のほかに八十何万もバザーで稼がないといけない、そういう大変な実態があるわけなんです。 私の学童保育で、去年、五人の母子家庭の子供たちがやめていきました。これは、今の不況でお母さんのお給料の入りぐあいが悪くなったので保育料が払えなくなったということと、せっかくの休日にバザーなんかに出たら後の一週間が仕事にならないのだというお母さん、そういう悩みから五人の子供たちがやめていったのです。この子供たちは、それまで毎日楽しく学童保育に通ってきていたのですよ。今、本当に必要な親や子供が学童保育を安心して利用できるような状況になっていない、そういうふうになっているわけなんです。本当に悔しいのですが、そういうふうな状況なんです。 それは、長いこと国が学童保育の制度をつくってこなかったことに原因があるのじゃないかなというふうに考えています。だから、私たちは今回の法制化に大きな期待を寄せていました。だけれども、法案を見ると、市町村の公的責任があいまいで、しかも、施設が公的に保障される、指導員の人件費の公的保障が拡大されるものにはなっていないのです。 今の学童保育の困難さは、法制化されるだけで一歩前進というような、そういうレベルじゃないのです。もう今すぐにでもこの困難を何とかしてほしい。今の私たちの困難が少しでも解消されるものにならないと、今回の法制化は国民の期待にこたえるものにはならないのじゃないかというふうに考えています。法文案を見ると多様かつ柔軟とか、厚生省は現在行っているそのものを認めるとかいうふうな発言をしていますが、劣悪なものが多様にいっぱいあったら困るのですよ、私たちは。この困難がこのまま続けられたら本当に困るのです。 だから、きょうは、私たち指導員の仕事の中身についても少しでも理解を深めていただきたくて、あと、実践記録なども用意しておきました。どうか、十分な審議をして、私たちの期待にこたえる法文をつくっていただきたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)
○町村委員長 どうもありがとうございました。 以上で各参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
○町村委員長 これより委員からの質疑を行います。 質疑につきましては、理事会の協議によりまして、一回の発言時間が三分以内となっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。 なお、質疑のある委員は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。また、発言の際は、所属会派及び氏名をお告げいただき、御意見をお伺いする参考人の方をできるだけ一名あるいはせいぜい二名に絞って御指名を願います。 かなり時間がオーバーしておりますので、ひとつ御協力のほどお願いいたします。 それでは、質疑のある委員の皆さん方からの挙手をお願いいたします。 それでは、住さん、どうぞ。
○住委員 本日は、お忙しいところ、参考人の皆様方には大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。 自由民主党の住でございます。 大分聞きたいこともあるのですけれども、時間の関係上、お三人の方にお尋ねをしたいと思います。 まず、江草先生にお伺いをしたいのです。 今度の法律を成立させた後になると思いますけれども、児童福祉施設の職員配置だとか設備、運営等を決める最低基準の見直しのことなんですけれども、これは、中央児童福祉審議会で御審議いただくという答弁をもう既に小泉厚生大臣からもされております。その際に、事細かに規制をするのではなくて、施設運営の自主性を高めるために規制の弾力化を図る視点というものが必要だと思うのですけれども、この点についてどうお考えになっているかということをお尋ねをしたいということが一つでございます。 それから、高島さんと二宮先生にお伺いしたいのです。 延長保育、乳児保育の充実を求める要望というのは非常に高い。御意見は我々もよく聞いております。しかし、実態として、民間よりも多くの公費が投入されている公立の方がその取り組みが悪い。保育所のあり方を考えるには利用者の立場を考えるべきだと思いますけれども、高島さん、公立のこのような取り組み状況の悪さということについてどう受けとめておられるのか、その点をお伺いをしたいと思います。 それから、二宮先生、先ほど大変詳しくお話を伺わせていただきまして、私どもも受けとめなければいけない点もあったと思いますが、措置制度のもとで公費を単純にふやせば多様な保育需要に対応できるやに聞こえましたのですけれども、今の公立の取り組みの状況の悪さということとどういう関係があるのか、その実態をどうとらえておられるのかということをお答えいただければありがたいと思います。 この三点でございます。
○町村委員長 それでは、江草さん、高島さん、二宮さん、この順序で、手短にひとつお願いいたします。
○江草参考人 最低基準の見直しということについて、お答えいたしたいと思います。 今日の最低基準は、必ずしも時代にふさわしい最低基準ではないと思っております。したがって、見直していただくことは、大変ふさわしい、必要なことだと思いますけれども、それは、ただ数量的なものではなくて、施設運営の実績を高めるということにおいて弾力的運用のできるような形でしていただきたい。 具体的に申し上げますと、職種が事細かに規定してありますけれども、それぞれの施設、それぞれの地方によって必要な職種、必要度の強い職種というものがあるわけであります。そうしたものを施設運営の責任者が選ぶことができるような形にしていただくことによりまして、最低基準の改善がより効果的なものになるのではないか、そういうふうに考えております。
○高島参考人 おっしゃられるように、公立の保育園が少ないというのは事実であります。しかし、逆に、なぜ社会福祉法人の方が多いのかということは、これは補助金事業でありますから、その補助金の額そのものが実際に必要とする金額からいえば非常に低い、しかし、先ほど私が申し上げましたように、措置費の基本が低いので、それでも民間の人たちは苦しい中で逆にやってくださっているという二重の矛盾をはらんでいる点があると思います。
○二宮参考人 自治体の取り組みが必ずしも十分に行われていない、その背景につきましての質問だったと思います。 これは、今のお答えにもかかわりますけれども、いわゆる特別保育対策事業、これは加算の補助金でやられているわけでありますが、例えば実際に乳児保育、ゼロ歳保育の数をふやすとか、各自治体では国の基準以上の保母の配置をやって既に実行しているところが多くなっておりますから、少なくとも私の大阪ではそうでございますので、要するに、自治体が自腹を切ってといいますか、余分の財源を持ち出さなければいけない。つまり、補助金が実態に合っていないという問題点がまずあるというふうに思います。 それから、いま一つは、乳児保育だとか延長保育といいますのは、多様なニーズといいますけれども、これはもうほとんど基本的ニーズというべきでありまして、したがって、措置制度の枠の中に組み入れる形で実行すれば措置費が保障されますから、そういうやり方をとるのが一番よろしいので、そうされてみたらどうかというふうに私は思います。
○町村委員長 いろいろ御意見もあろうかと思いますが、順次伺っていきたいと思います。 福島さん、どうぞ。
○福島委員 本日は、参考人の先生方、大変御苦労さまでございます。 まず、一点目は高島参考人にお聞きじたいわけでございます。 今回、保育料は応能負担から応益負担という大きな転換をすることになるわけでございます。先ほどのアンケートで、保育料が高いという意見が一番多かったと思います。この応益負担への転換というのは、例えば、所得の捕捉率の違いから現在非常に不公平感がある、特に中高所得層の人たちには不公平感があるので応益負担にした方がいいのだという説明を厚生省の方はしていると思いますけれども、この点について、私はやはり、応能負担の方がいいのじゃないか、個人的にはそのように思っております。この点についてはどのようにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。 それから、引き続きまして、藤本参考人にお聞きしたいわけでございます。 今回、措置制度から選択制の導入ということで、場所によりましては子供のとり合いになるのではないか、保育園の経営が大変厳しくなるところが出てくるのではないか、そのようなことが指摘されております。委員会の審議では、そういうこともあるかもしれませんが、その場合には保育園に頑張っていただくしかありませんというような答弁が私は厚生省の見解ではないかというふうに思っているわけでございますが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。 三点目は、巷野参考人にお聞きしたいわけでございます。 先ほど、保育の中に医学的要素が加わってきつつあるのだという御指摘であったかと思います。先ほどの最低基準の話とも関連してきますけれども、低年齢児の保育の場合に、現在の基準で医学的な要素まで含めた質の高い保育というものが果たして可能なんだろうか、先生がおっしゃられるような保育を実現するためには、いわゆる最低基準というものを見直していかなきゃいかぬのじゃないか、そのように私は感じるわけでございますが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
○町村委員長 それでは、高島さん、藤本さん、巷野さん、この順序でお願いします。
○高島参考人 保育料につきましては、先ほど申し上げましたように、連合の組合員の中にも所得税の比例での保育料金の決め方については非常に不満がありますということで、保育料の均一化の方向については私たちは基本的には賛成だという態度をとってきました。 しかし、それでは、そのときにコストを計算して現在の料金計算をすれば、例えばゼロ歳児なんかについては十五万円も二十万円にもなってしまう。これは負担できるのかということになると、それはとても負担できません。ですから、不公平感をどういうふうに解消するのかということと、それから一体幾ら保育料が払えるのかという問題に行き当たるわけです。 例えば、養護老人ホームで一人一カ月生活されても、五万円とか六万円というふうな金額ですね。それに比べて保育園が、あの表を見ていただいても、国の精算基準が五万四千円だとかいうふうになっていますから、実際に親たちが払える金額は幾らなのか、しかも、三十代よりちょっと前の親たちが払える金額は幾らなのかということを考えると、やはりかなりのお金が入らないと結局は高くなってしまうという問題があります。 審議会のときにも、私は、少数意見の方になっているのですけれども、かなりの社会的な負担がされないといけないのではないのでしょうかということで、この面で、先ほどから申し上げていますように、二分の一は結構ですけれども、二分の一の根拠が低過ぎます、だから、これをもっと親たちが安心して払えるような保育料ということに考えていただかないと、結局は入れなくなってしまいますので、この点での財政負担がどうしても必要ですということを主張してまいりました。
○藤本参考人 先生、今、いわゆる子供のとり合いになるのじゃないかという御心配の御発言だったと思いますけれども、今でも希望保育所を書いて申請するという実態もありますから、そういう意味ではある程度の選択が行われているというふうに思っております。今後は、法文上もはっきりするわけですから、まさに選択の時代というふうに思います。そういう点では、私どもは、いい意味での競争は排除すべきではないというふうに思っております。利用者にとっても保育所にとっても、両方にとっていいことじゃないかというふうに、いわば前向きに受けとめなければいけないというふうに思っております。 ただ同時に、情報提供の規定がございますけれども、誇大広告とか宣伝合戦みたいなことになっては困る、そういうことで悪貨が良貨を駆逐するというようなことにはぜひならないようにしていきたいと思っております。そういう意味での市町村の配慮も必要でございますし、保育所自身についても意識改革といいますか、そういう意識を持たなくちゃいけない、私ども保育団体としてもそういうための意識啓発活動をやっていかなくちゃいけないというふうに受けとめております。
○巷野参考人 産休明け保育ということだけで考えますと、二カ月の赤ちゃんも二歳の赤ちゃんも四歳の赤ちゃんも、子育てという面においては変わりないと思います。これは、家庭で、全く何も知らない初めてのお母さんが二カ月の赤ちゃんも育てるわけです。ですから、これは経験であるとかあるいは研修とか、そういうところで常識を高めていけばできると思います。 ただし、保育所での二カ月のお子さんと家庭のお子さんとでは違います。保育園での二カ月のお子さんというのは、集団保育、集団の中での子供であるということ、それから、委託されている子供であるということで責任があるというようなことから、そういった意味で、保育所の特徴としての保育をその辺のところで集約してやれば問題ないのではないかというふうに思いますが、一番必要なのは、やはり二カ月の赤ちゃんを育てたことのない保母さんがやるということのないように、保育所の中でうまく勤務を変えるとか、あるいは地域での組織の中でそういう専門的なものを選ぶというようなことでやれば問題ないのではないかというふうに思います。
○町村委員長 ありがとうございました。 青山さん、次に石毛さん、こういう順で。
○青山(二)委員 本日は、大変いろいろと参考になる意見をありがとうございます。 私、連合の高島さんにお伺いをしたいと思うのでございます。 今、働くお母さんたちが大変苦労しながら子育てをしておられる、そういう姿が目の当たりに浮かんでくるわけでございますけれども、これからの少子化対策を考える上では、どうしても女性が仕事と子育てを両立できるような社会づくりが一番必要になってくるのではないかと思うわけでございます。 ゼロ歳保育、延長保育、いろいろな保育のそういう体制の確立は当然でございますけれども、もう一つ考えていただきたいのは、企業の意識改革と申しましょうか、意識の変革と申しましょうか、そういうものが必要ではないかと思うわけでございます。企業の本音は、自分の会社の従業員の出産は余り歓迎しない、こんなところがあるというようなことも聞いておりますので、現場で働いておられて、そういう企業の実態とか本音などをお聞かせいただければ幸いかと思います。 と申しますのも、このまま少子化が進んでいきますのをほっておきますと、大体百年たちますと日本の人口が半分になる。そうなりますと、そのしっぺ返しを受けるのは経済活動が鈍くなった企業自体であるわけでございますのでへ本当に今、企業もいろいろと子育て支援にかかわっていくときであろうかと思うわけでございます。 それから、育児休業制度、平成四年の四月に実施されまして、今とっているのが一〇・四%、そのうち、先ほどお話がございましたけれども、男性は〇・二%しかとっていない、ですから、女性が九九・八%とっているということでございます。オーストラリアの、男性も育児休業をとっておられるという実態をごらんになってこられたようでございますが、具体的にどのような方法でそれが対策としてやられているのか、また、具体的に男性も育児休業をとれるような方策をお考えになっておられるのか、そのあたりがちょっと知りたいと思いますので、お聞かせいただきたいと思います。 それから、過日発表されました国民生活白書によりますと、子育てが楽しいと答えたお母さんたちの実態でございますが、アメリカでは七一%、韓国が五三%。それに比べて日本が何と二二%、このお母さんたちが楽しい、ですから、それ以外は余り楽しくない。ですから、いかに日本の子育て環境が厳しいかということがわかるわけでございますので、こういう実態をごらんになってどのように分析されますでしょうか。お考えがありましたらお尋ねしたいと思います。 以上でございます。
○町村委員長 三点全部、高島さんですね。 それでは、高島さん、ちょっとたくさんの質問ですが。
○高島参考人 第一点の、企業はどういうふうに考えているかという話でございます。 経団連が行いました女性の社会進出に関する調査というのですか、アンケートがあります。それで、企業の管理職が考える女性の活用を阻害する要因というテーマの答えで、女性は妊娠や出産、育児の可能性があるから使いにくいというふうに答えているのが七五%で一番高いのですね。だから、企業の管理職の人たちがこういうことは余りありがたくないというふうに考えていらっしゃるというのは非常に強い。このことが逆に言えば、いろいろな調査で出てまいりますけれども、結婚している人で子供を産んでいる人は必ずその実のお母さんがいる人たちである、そうでなければ単身で働いている女性がとても多い、結婚していても子供のいない人がとても多いというのが、特に民間の大きい会社に働く女性の実態だと思います。 ですから、子供を産むことが働き続けることにとってマイナスになっている、そういうふうな認識が非常に強いということは事実なんじゃないのでしょうか。これを変えていかないと。子育て環境のことをお話しされましたが、先ごろ、東京商工会議所が、出生率を高めるためにという提案を、四月ごろでしょうか、なさっていました。私はあれを読んで、東商の方でさえ、どういう形であれ子供が生まれることはいいことだということまで書かれていますから、かなり思想転換をされたなというふうに感心をいたしましたけれども、子供が生まれることをもっと社会全体が喜ぶような環境になっていかないと子育ては楽しいということにならないと思いますし、それから、夫婦そろって子供を育てることが楽しいというふうな社会にしていかないと、やはり子育てが女性の負担になっているということがいろいろなところで問題を起こしている。 ですから、そのためには、労働時間をもっと短くして、少なくとも六時とか七時にはうちに帰れるような生活をする、そして土日は親子で生活時間が使えるようにするというふうなことが、子育て環境をよくしていくということについては私は最大の課題ではないかというふうに思います。 それから、育児休業の取得について、例えばスウェーデンでは、最初の六カ月はお母さんですけれども、その後の二カ月でしょうか、二カ月はお父さんがとる、法律でそういうふうになっていて、もしお父さんがとらなければ、その権利をお母さんに譲るという書類を出さなければならないという仕組みをとっていることによって、結果として男性も育児休業をとらなければいけないというふうな義務づけをしている。 それでも実際には女性の方が七割方とるわけですから多いわけですけれども、しかし、かなりのところで男性がとっているというふうなことからいえば、例えば、日本の社会も十カ月目から一カ月間は男性がとるというふうなことを法律でお決めになったら、みんな真剣に考えるのじゃないでしょうか。それは義務ではなくて、そういうことも必要だというふうな議論というのでしょうか、だから、お父さんがもっと子育てを楽しめるような社会というのでしょうか、子供を育てることが楽しい、お父さんにとっても楽しいと言えるような状況をどういうふうにつくり上げていくかということがとても大事ではないかというふうに思います。 それから、育児休業の取得を高めるためにはどうしたらいいか。これは男性のことでしたけれども、やはり育児休業期間中の所得保障が二五%では私は低過ぎると思いますし、それからもう一つは、育児休業をとったり、あるいは妊娠、出産をすることによって、職場で昇進だとか配置だとか賃金について明らかに差別があります。ですから、これがなくならなければできるだけ保育園に頼ってしまう、そのことが保育園に非常に負担になっていくということは事実ですから、これも先ほどと同じように、企業の方がもっと子育てを応援する体制ということをとっていくことがとても重要であると思います。
○町村委員長 ありがとうございました。 次に、石毛さん。
○石毛委員 民主党の石毛でございます。 きょうはありがとうございました。 私は、江草先生と相沢さんに質問をさせていただきたいと思います。 今、申し上げるまでもなく、子供が置かれている状況は大変過酷なものがあると思います。いじめの問題もそうですし、それから、進路をどう決めていいかわからないというような問題もあり、それが結果的に不登校の問題になって出てきたり、あるいは高校進学しても途中で行かなくなるというような問題で出てきているというふうに思います。今回、五十年ぶりの児童福祉法の改正であったわけですけれども、そうした子供自身が置かれている状況に対して、それを子供自身がどう受けとめたらいいか、あるいはどこに相談したらいいかというような、そうした手だてが今回の児童福祉法の改正の中では余り明瞭に出てこなかったのではないかという感じがしております。 改正された法律では、児童家庭支援センターのところには、各般の問題につき、児童、母子家庭等々からの相談に応じと、ここに児童からの相談ということが一言明確にされておりますけれども、子供自身がどういうことをどこに相談できるとか、訴えることができるとかというようなことが余り具体化されていなくて、そういう点では、子どもの権利条約に規定されている意見表明権を必ずしも受けとめているというふうには言いかねるところがあるというように私は思うのですけれども、その辺についての御所見をお伺いさせていただきたい。 それと重なりまして、巷間伝えられるところによりますと、第四十四条、現法では教護院でございますけれども、教護院のこれからのあり方について、最初のころの説明では、不登校の子供さんたちを入所または通所の対象にするというような説明が流布されまして、大変大きな心配を社会的に呼んだと思います。そこで、その表現は「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を」というふうに変わってきたわけでございますけれども、この第四十四条の、教護院から児童自立支援施設への変化につきまして、先生はどのようにお受けとめになられていらっしゃるでしょうかということをお尋ねさせていただきたい。 以上の二点でございます。 それから、相沢さんにお尋ねしたいのです。 私は、この第四十四条の教護院の問題とかかわって、親に第一義的に教育権があるということをきちっと認識するようにという御主張だと受けとめましたけれども、そのことに関しまして、文部省とアザワイズジャパンの間では今までどういうお話し合いがされたことがあるのかどうかということを一点お尋ねしたいということです。 それから、もう一点は、北京ルールについて御説明くださいましたけれども、私の方でよく理解させていただけなかったところがありますので、もう一度そのことを簡便に御説明いただければと思います。要するに、拘束を最小限にするという御説明をいただきましたけれども、そこをもうちょっと御説明いただければと思います。 以上でございます。
○町村委員長 それでは、江草さん、次に相沢さんということでお願いいたします。
○江草参考人 それでは、二つの前の方から先にお答えさせていただきます。 子供自身が悩みを相談するというような、つまり意見表明権ということについて、新しいといいますか、改正案にはどうなっておるのかというお尋ねだったろうと思うのであります。 確かに、個人としての子供が積極的に相談するという機会を文章の中で探すことはなかなか難しいと思いますけれども、従来は、例えば教護院、養護施設その他児童が利用します施設で、措置という形で、一方的にとまでは申しませんけれども、ある程度一方的に利用するということになっておりました。 ところが、今回からは、支援センターあるいは地域の、つまり都道府県の児童福祉審議会で専門家がそこに部会のようなものをつくっておりまして、その方々が、子供さんの意見表明権を尊重した形で、意見を取り入れて、そして選択するという形をとるようになっております。したがいまして、私は、意見表明権というものが普遍化されたとまではまだ評価できませんけれども、いずれ普遍化する方向へ進み始めたというふうに思っております。 それから次の、従来の教護院、今度は改めまして児童自立支援施設でございますが、これと不登校のお子さんの問題でございましょうか、それについてちょっとお答えしたいと思います。 実は、教護院への不登校児の受け入共自立支援施設への不登校の子供の受け入れということについて、私たちはそれが理由で入所させるべきであるというふうな議論はいたしておりません。巷間伝えられたところがあったかもわかりません、が、審議会の議事録をごらんいただいても、それはやっておりません。 むしろ、不登校とは一体どういう意味があるのかということ、一つの現象としてとらえるのではなくて、その背景は非常に複雑ではなかろうかというふうなことから、教育あるいは福祉あるいは保健医療、こういうふうな専門家の連携の中でこの子たちが苦しんでおる実態というものをよく見きわめようではないか。そして、必要があれば受け皿として児童自立支援施設を利用することもあり得る。ただし、その場合にも、現在の状況では適当ではない。つまり、学習指導体制の充実とか専門的機能の強化とか、そうした役割やあり方全般について見直しを行いながら、児童の希望するような生活指導を提供していく新しい施設づくりを考えなければいけない。こういうふうな形で教護院改めて児童自立支援施設のあり方について意見をまとめたところでございます。 よろしゅうございましょうか。
○相沢参考人 お答えさせていただきます。 先ほどの親の教育権云々ということにつきましては、文部省の中学校課長でいらしたかと思いますが、加茂川さんとお話しした際に、親があえて学校に行かせなくてもこの条文に当てはめるものではないという御回答をいただいております。 それから、先ほどの北京ルールにつきましては、特に施設収容は可能な限り少ない手法であるべきだ、そこら辺のことをお話しさせていただいたつもりでございます。 それは、施設収容の方が成功しているという点を見出すことが非常に困難であって、しかも、特に少年の場合は否定的な効果が、自由を奪うことによって常に社会環境から隔離され、そして、そこから生じる人間関係初期に至る段階において子供たちに悪影響を及ぼすということが非常に指摘されていることから、先ほど申し上げたように、八五年に国連で採択されまして、このことはぜひ福祉、教育にまで当てはめなければならないということになっております。 それでよろしいでしょうか。
○町村委員長 瀬古さん。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。 私は、二宮さんと片山さんにお聞きしたいと思います。 先ほどお話をしていただきましたが、親の基本的なニーズ、例えば乳児や延長保育の問題などは、措置制度を廃止するのじゃなくて拡充する方向でやればやれるのだというお話でございました。この拡充という方向について、先生の方で、具体的にどのような拡充の仕方というのがあるのか、弾力的な運用の仕方があるのか、その辺、考えてみえる点がありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。 それから、厚生省は、これからは親が選ぶことができるので保育所の側が選ばれる、ですから民間活力も導入して競争すればサービスがよくなる、このように答えていますけれども、この点についてはいかがでしょうか。 それから、三つ目は、こういう過程の中で公立は身を引いてもらうという話も出まして、公立の果たす役割、この点についてはいかがでしょうか。 この三点についてお聞きしたいと思います。 片山さんについてなんですけれども、学童保育が大変ひどい状況の中で、子供たちも父母の皆さんも指導員の皆さんも頑張っているということをお聞きして、大変胸が詰まりました。せっかく制度化されても劣悪なものが多様にあっては困る、本当にそのとおりだと思います。国はもっと責任を持つべきだというように思いますが、同時に、これを実施する主体として市町村の役割があると思うのですね。 それで、今まで市町村にもいろいろな働きかけをしてみえたと思います。先ほどようやく少しの援助が出たというお話がありましたが、今回の改定によって、この市町村の役割という点は、これは市町村はもうこれでいよいよやらにやあかんなというように思っているのか、こんな程度かというように受けとめているのか、その辺、具体的に活動されていて、どのように市町村の受けとめがあるのか、その役割についてはどういうように考えてみえるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○町村委員長 それでは、二宮さん、片山さんの順でお願いします。
○二宮参考人 お答えいたします。 延長保育と乳児保育を措置制度の拡充によって対応することができるのではないか、こういうことを私も申し上げましたし、今、瀬古議員も御指摘だったわけでありますが、乳児保育につきましては、既に措置制度の枠の中にありますから、先ほど出ました乳児保育の最低基準を底上げしながら、その定員が増大するような方向で各自治体でやれる条件をつくればいい。それが、要するに現在の最低基準が低いということと、措置が費用の点で必ずしも実態に見合っていない。ですから、乳児保育は、非常に高い需要があるのでありますけれども、実際には、待機児童に見られますように放置されているということがあります。だから、乳児につきましては、要するに措置費の拡充と最低基準の底上げ、この二本で対応できると思います。 それから、延長保育につきましては、これは考え方として、つまり、保育に欠ける形態が、子供によって延長保育を必要とするほど高い子供がいるということですね。したがって、その保育に欠ける状態に即して措置制度を適用すればいいわけですから、今もう非常に古くなっておりますが、旧態依然とした八時間保育を基本にする、この原則を改革して、八時間保育の子供もいるかもしれ ないけれども、十時間保育だとか十二時間保育だとか、そういう一種の保育の型を措置制度の中に組み入れることによって十分これは対応可能だというふうに思います。 それから第二番目の、選ぶことによって各保育園が競争するのではないか、こういう話があります。実際そういうことが話としてありはしますけれども、これはハーシュマンという人が、保育に限りませんが、教育だとか環境などのサービスについて言ったことなんでありますけれども、住民がさまざまなサービスを選択するという場合に二つの形態が普通あるというふうに言われるわけですね。一つは、イグジット、英語で言うところの出口の権利、出口の選択であります。もう一つは、ボイスの選択あるいは権利です。 イグジットの権利といいますのは、この保育所はどうも気に食わないからほかのところへかわる、つまり、デパートのAデパートがいいかBデパートがいいか、それを比較考量して好ましいところを選ぶという、そういう選択です。だから、嫌だったら出口に向かって逃げ出していいよという選択の自由は市場メカニズムの中では確かにありますし、それをプレッシャーにして、先ほど百貨店の例を申し上げましたけれども、各企業だとか各営業の競争を図るという方法、これは例えば物の売買などでは考えられる形態だと思うのですね。 ところが、保育だとか教育というニーズは、そういう選択の自由が今必要なのかというと、先ほど申し上げましたように、共働き家庭が一般化したのであれば、まさにどの地域であっても必要最低限のものは必ず充足されていなければいけないということですね。見捨てられるような保育所があってはいけないということですね。 ですから、要するに、ここではボイスの権利あるいは選択が最も重要になる。つまり、住民自身が自分たちのニーズを発言するということですね。あるいは、行政に参加して自分たちの声を届けるということですね。この選択によって、保育所の内容が住民のニーズにふさわしい形で切りかえられていくとか向上していく。そのボイスの選択がすべての保育所に門戸開放されていれば、別に、この保育所が嫌だからあの保育所にかわるといったイグジットの権利を行使する必要はないので、ボイスの権利を行使すればいい。 だから、選択の自由という場合に、教育だとか保育だとか医療だとか社会サービスは、あくまでも基本はボイスの権利を保障する、そういうところに真の選択の自由があるということを私は申し上げたいと思うのです。ですから、それをむしろ活用すべきである。これが第二点目に対するお答えです。 それから第三点目、公立保育園の果たす役割。 これは、御存じのとおり、措置制度のもとでは、当初からあくまでも市町村が基本で、公立保育園を基本にしながら保育の責任をとる、あるいは保育に欠ける子供に対しては保育の措置をとる、これが出発点。ですから、措置制度のもとでは公立保育園があくまでも基本であって、民間の保育園は、要するに、過去、日本の歴史上、公立保育園というのが不足しておりましたから、したがって、公立保育園のやらなければならない課題をきちっとした委託契約に基づいて、措置委託でかわりにやっていただく、それによって公立保育園の責任の代替となる、これが措置制度の基本だったと思うのですね。 今回の措置制度の廃止は、実はそこが崩されつつある。つまり、条文の中では「保育所において保育しなければならない。」という言葉にかえられておりまして、これは公立保育園を基本にするということを外す意図でつくられた文章ではないかと私は思っております。つまり、なぜ措置という言葉を使わなかったかといったら、公立保育園を禁止する意図がある。したがって、先ほど言いましたように、それを突き詰めていけばまさに保育の商品化だとか市場化になっていくわけで、決して好ましい保育の状態が期待されない。 だから、もし措置制度がなくなったとしても、委員会では、公立保育園の役割というのは何といったって保育の公的責任のかなめなのであって、それがあって初めて民間の保育園などの水準も底上げされていく、こういう関係でぜひ御討議をいただきたいというふうに思います。そういうことです。
○片山参考人 私たちは、長年あきらめないで市役所に対して働きかけてきたのです。初めのころは余りいい顔をしてくれない。だけれども、学童保育の箇所数の広がりとともに、担当官も非常に理解を示してくれた。それで、最近になってくると、本当に皆さん方の困難な実態はよくわかる、だけれども国に上位法がないからというので、本当に何年も何年も市役所にお願いして、もうずっとそれで言われてきたのですね。 それで、何年か前に法制化の動きがあったときも、担当課の人は非常に期待したのです。法制化がなればというふうな期待をしたのですが、あのときは流れてしまって、本当はもっと早く家賃補助もつく予定だったのですが、うちの学童保育でいえば、私が指導員になって十九年目にして初めて家賃補助がついた。大宮市って一体どういうところなんだろう、怪物じゃないかなと、本当に他の市町村と比べても思うところがあったのです。だから、担当課の方たちも、今回の法制化に対しては緊張と期待、期待はどうかわからないけれども、緊張しながら見ていたのじゃないかなと思うのです。だけれども、県内のいろいろな情報を聞いていますと、おっしゃられたように、よし、これでやるぞというのじゃなくて、ああ何だ、こんなものかという受けとめ方の方が強いのじゃないかなと思うのです。 今までの放課後児童対策事業だって実施主体は市町村というふうにあったのに、何で今回の法改正で実施主体は市町村という言葉が消えたのか、私はちょっとよくわからないのですが。
○町村委員長 中川さん。
○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川でございます。 きょうはありがとうございます。 片山さんと相沢さんに伺いたいのです。 「大宮市の学童保育の実施場所」というのを見ますと、借家が一番多くて十五カ所で、空き教室というのが二カ所なんですね。割と空き教室の利用が広がってきているというふうに考えていたのですけれども、二カ所というのは事情があるのかなということと、社務所というのがどういう雰囲気のところなのか、ちょっと伺いたいなと思っています。 そして、先ほど五人やめたと。一万数千円の費用負担がどれだけ重いか、本当に胸が詰まる思いですけれども、そのやめた子供たちというのは、やはり一人で家でという状況にあるのかどうか。やめていった子供たちのその後というのはどうなのかなということと、先ほどの実施場所と関連して答えていただければいいのですが、やはり安心して子供たちが過ごせる環境状況というのは片山さん自身はどのような場所が一番ふさわしいと思われるか、そこをお聞かせください。 そして、相沢さんに、私は、不登校というのは今の学校教育の中で選べない、学校へ行くことが正しくて、行かない子はという、世間もそうですし、法律の中にもそういうものがあって、今度何か非常に不安だということ、よくわかります。家庭内暴力とか非行をなすおそれのある子というのは、やはり学校に行けないことで自分自身もいら立つ、親は毎日のように学校に行けと言う、そんな中で、もう言葉を尽くしてもわかってくれなければ暴れるというのは、私だってそうかもしれない。それが一つの非行というふうにとられるかもしれないというおそれですね。 もう一つ、昼夜逆転するような生活環境。昼間、その子たちは外に出られない、学校にみんな行っているのに外で遊べない、そういうときに昼夜逆転するのは当たり前だと思うのです。 そのようなことを含めて、不登校の子供の思い、つらさを少し聞かせていただきたいと思います。
○町村委員長 それでは、片山さん、相沢さんの順でお願いします。
○片山参考人 社務所のことなんですが、私もあれはどういうものかよくわからないのですが、薬師堂とか言って、その中に、仏様でもないのだけれども、何かいろいろなものがあるのです。今度ぜひ来てみてください。そんなに生活の場にふさわしいようなところでないことは確かです。空き教室というのは、教育委員会の壁が厚くて高くて、なかなか貸してもらえない状況になっています。 五人の子供たちがやめていったのですが、夏休みとかそういうときは長野のおばあちゃんちに頼むとか、そういうふうな工夫もしたりとか、だけれども、今その子たちが安心して生活できるような状況にはなっていないことは確かなんです。だから、四年生と、年生の兄弟がやめたのだけれども、その子たちはその下のもう一つ小さい妹なんかも連れて自転車で走り回っているというか、そういうようなことで、本当に何かあったらどうするのだろうというふうな状況なんですが、やはり保育料が高いというのは、私がかわりに払ってやるよというわけにいかないわけで、指導員もそうだし、学童保育の親の役員たちも本当に悔しい思いをしました。 そこで、子供たちが安定して生活できるためにということなんですが、できたら独立の専用施設であることにこしたことはないのですが、今の住宅事情とか土地事情からいいまして、そういうことはまずなかなか難しいかなと。だけれども、公的な施設を使うにしても、例えば台所があっておやつの準備ができるとか、ぐあいの悪いときにはちょっと横になるような畳の部屋があるとか、家庭にかわるような施設になっていないと――例えば大宮の中で今空き教室を使っているのだって、それはただ入れ物を貸してもらっているだけであって、中がきちんと生活できるような状況にはなっていないのですよ。ガスは使えないとか、トイレは遠いところに行かないといけないとか、だから、我々が生活するようなことを想像していただければいいのですが、そういうように改造されないと生活の場にふさわしいというふうにはならないのじゃないかなと考えています。
○相沢参考人 お答えさせていただきます。 より具体的におわかりになるようにと思っていじめの例をとらせていただきますけれども、例えば、いじめられたりして一日や二日休んでも周りは割に穏やかにいるのですが、それが一年、二年、三年とたっていきますと、だんだんに、教員もそうですし、友人も迎えに来たりですとか、元気にしていれば電話をかけてきたりのぞきに来たり、それから、外を出歩けば、あの子はドロップアウトだとか怠けだとか、さまざまなレッテルが張られていくわけですね。単に学校に行かなくてもレッテルが張られるわけですが、それに加えて、もっと、何もしていないのだとか怠けているのだとか非行少年だとか、そういうレッテルが張られやすくなっていくと思うのです。 それで、それを避けるために、親ももちろん何とかさせたいと思う方がまず多いでしょうから、学校行かなくてもいいわよと言いながらお弁当を毎朝用意しておくとか、お手紙をちゃんと用意しておくとか、テキストを前に置いておくとか、さまざまなプレッシャーが、目に見えないプレッシャーというか目に見えるプレッシャーというか、そういうものがあるわけですね。そうしますと、それを幾ら話しても親にわかってもらえない子供は、家庭内暴力に走ったり、あるいは、家庭内暴力に走らないために昼夜逆転をしたりして、自分をコントロールして何とか生きようとしているように見えるのです。ですから、要するに、今回の教護院送りがもっとさらにレッテル張りになってしまう。学校に行かないというレッテル、それプラス教護院送りというレッテル張りになってしまって、子供の生きる道がない。 もう一つ言わせていただくと、民主主義の国、先進諸国の中でホームベースドエデュケーションの権利のないというか、要するに教育が権利であるという、はっきりとした親側の権利として主張している国ではないのは日本ぐらいではないかと思われるのです。 と申しますのは、先ほども申し上げましたが、学校以外の教育を選ぼうとするときに届け出が必要なわけではなくて、学校を選びたいときに届け出をするのですね。ですから、それ以外の方は別に何の届け出もなく、チェックもなく、イギリスの場合は本当に天国のような穏やかな状況だったのです。そういう、お子さんたちが本当に伸びやかにいろいろな可能性を信じて学べる事態というのはとてもすばらしくて、これからの子供に未来を信じさせる意味でもぜひ必要なんじゃないか。 学校に行っていないだけでもって未来が全部閉ざされてしまって、あしたを信じられなくて、しかも今回は教護院ですから、大変な問題ですから、家庭の中に閉じこもらざるを得ないと思うのですね。あるいは、本当に壁にでもどこにでもしがみついて生きていなきゃならない。まして親がそれに同意してしまったならば、もうどうしようもなく自分の意見を聞いてもらえない状況だと思います。これは大変な恐ろしいことになると思います。先ほどイギリスの状態も申し上げましたが、同じようなことが現実にございまして、自殺した人々もいますし、親子で国外逃亡した人もいます。我々の周りにも、そういうことを真剣に考えた人も実はいるのです。 ですから、ぜひこの法案、不登校とか二次症状に苦しんでいる子供、あるいは、親が積極的にそれを支援して子供の教育を保障しようとしている者たちに当てはめないように、再度お願い申し上げたいと思います。
○町村委員長 奥山さん。
○奥山委員 自民党の奥山でございます。 藤本参考人にお尋ねをしたいのです。 一つは、民間の保育所と公立の保育所の保育単価というものを単純比較しますと、これはいろいろなとり方があると思うのですが、民間が一とすると公立は一・七かかる、こういうふうな数字が出たり、地方自治経営学会でも同じような数字が出ておるわけであります。しかしながら、一方において例えば延長保育とかこういう保育をやると、公立の方が取り組みがいつも遅いのですね。いつもおくれておりまして、夜間保育なんかもうほとんど公立はやりませんし、民間はどんどん先取的にやっておる。 こういうことから考えると、やはり効率のよい保育というものもやっていかなければならない。しかしながら、延長保育ということが先ほどから大きなニーズとなって出てきておるわけでありますが、この延長保育に対して公的な補助をやめよう、こういうふうなことが言われておるわけであります。これは、一方において、民間の保育所の比較的自由な発想をもっと生かすためには余り役所が決めた枠にとらわれないようにしよう、こういうふうなことが言われておるわけでありますが、私は、民間が自由な発想、これは大いに結構だと思いますが、それによって公的な補助制度をやめなければならないような、そんな窮屈なものであろうかというふうな疑問を抱いておるわけでありますが、この辺についてはどうかと思います。 それからもう一つ、江草先生にお尋ねします。 子育て支援センターというものがこれからは非常に大きな役割を果たしてくれると思います。これはどんどんつくっていかなければならないと思いますが、一方において、文部省の育児教育センターですか、幼児教育センターですか、とれと事実上は同じようなものになってくるわけですね。だから、ここらと一体となってこれからの施策を考えていかなければいかぬ。しかしながら、障害児を持つ母親とか、そこらの親がいろいろなところに相談する、そういう機能が今余り社会的にないのですね。だから、そういうものも含めてこういった子育て支援センターというものを充実させる必要があるかと思うのですが、この辺についてはいかがでしょうか。
○町村委員長 藤本さん、江草さんの順でお願いします。
○藤本参考人 延長保育をやめるというお話があるということでございますけれども、私どもも直接そういうお話は聞いておりません。 ただ、中央児童福祉審議会の中間報告の中では、若干それに関連すると思われるところを拝見しますと、こういうふうになっております。「公費負担の在り方」というところで、公費負担は従来どおり投入するとして、投入の方法について幾つかの考え方があり得るとした上で、一つは、大部分の利用者が利用する通常の開所時間内の保育サービス部分とこれ以外の保育時間の延長や一時保育などの部分に分け、利用者の共通の利用形態である前者の部分に公費を重点的に投入する方法、こういう公費の投入方法があるじゃないかということが言われておりますが、これは、あるいはそれをさらに進めれば、延長保育と一時保育などの公費負担を、その分は通常の保育の方に公費を投入して、いわば公費負担と保育料は裏腹ですから、通常の保育の部分の保育料を安くするようにすべきである、こういう考え方でなかろうかと思います。 いずれにしても、今、延長保育については非常に手厚い公的な補助制度がありますから、それはそれとして、私どもとしては、その他の部分の手当てがなしに一気に補助制度がなくなるということは混乱を生ずるのじゃないかと思います。中央児童福祉審議会でも御指摘されておりますように、保育料の問題とかいろいろな問題を総合的に勘案しながら段階的にやっていただきたいというふうに私どもは希望しております。
○江草参考人 お答えいたします。 まず、子育て支援ということでございますが、これは、保育所あるいは乳児院、こうしたものが保健所あるいは児童相談所あたりとタイアップしながら今日も支援をやっておるところでございます。 先生の御指摘の障害児保育について申しますと、御承知のとおり、障害者関係の三審議会がただいま合同企画分科会を設けまして種々検討しておるところでございますけれども、その中の一つに通所施設、通園施設でございますが、知的障害の方、肢体不自由の方、言葉のおくれの方、こういう方々の通園施設がございます。これが、今まではそれぞれ別々に専門性を主張していたわけでございますけれども、今後は、専門性を持つと同時に、障害児全般について相談し、場合によれば援助しよう、こういう形をとることになっております。 したがいまして、今までの縦割りを横に連ねますと、かなりの成果が上がるのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
○町村委員長 大分時間も経過してまいりました。あと一、二の方にしたいと思います。 それでは、桝屋さん。
○桝屋委員 時間もありませんので、端的にお尋ねをいたします。 巷野参考人にお尋ねをしたいと思うのです。 資料を見ておりましたら、ベビーシッター協会の会長をなさっておられる。今回の児童福祉法の改正、多様な保育に対応していくということで議論が始まったというように理解をしておるのですが、でき上がったこの法律に対しまして、ベビーシッター協会の立場から何か御意見がありましたら、ぜひお伺いしたいというように思います。 それからもう一点、相沢さんに端的にお伺いしたいのです。 私は、学校へ行っていない子供たちの問題は、正直申し上げて、児童福祉法と教育、児童福祉と教育の間でいろいろな問題がある、また、悲しい出来事もあった。しかし、今回の自立支援施設、もちろん不登校という理由で入れるものではありませんけれども、私は、不登校という理由で児童福祉の世界が一切かかわってはいけないと言うことはまた若干言い過ぎではないかと。したがって、今までの児童相談所との信頼関係、壊れた部分もあると思うのですが、現在の児童福祉、児童相談所に一言で何か御希望されるとすれば、お声があれば、最後にお聞きしたいと思います。
○町村委員長 それでは、巷野さん、相沢さんの順でお願いいたします。
○巷野参考人 子育ての多様化ということが言われてから久しいわけでございます。従来は、保育所は朝から夕方までというのがほとんどでございましたけれども、最近では、一時保育であるとか夜間保育、あるいはきょうも随分と出ました延長保育というようなことで、保育の形が随分と変わってきております。また、夜間働くお母さんもおりますし、昼間は働かないで夜間とか、いろいろ生活も変わってきて保育園の形態も変わってきている。そういう中で、やはり子供さんの子育てというものに欠ける人がいるのは、御承知のとおりでございます。 例えば、保育園が夕方六時までということで、お母さんが帰ってくるのが八時というようなことになりますと、その二時間をどうするか、今そういったことが制度的にはございますけれども、そういう形が随分とふえてきている。 そういう中で、ベビーシッターは、在宅保育ということで、社団法人となって、現在、全国百二十七カ所、百二十七社ということで北海道から沖縄まで展開しておりまして、そういう在宅保育、在宅育児といいましょうか、保育のすき間と言うと表現は悪いですけれども、そういう間を補うというところでベビーシッターが活躍しております。また、それにつきましては、厚生省の方でも大分援助してくださいまして、新しい方向へと展開しているわけでございます。 いずれにしても、ベビーシッターは、保育所という大きな委託保育、それと在宅保育、その間を補完しているというのが現状でございます。
○相沢参考人 お答えさせていただきます。 私の知る限りでは、不登校ということで施設に行きたいと本人から希望する者は一人もおりません。ですから、できれば子供が自由に伸びやかに家庭でいられるような、そういったサポートをすること、おせっかいということではなくて、本当にその子がその子でいられることを受け入れてあげるような、そういったことがまず第一に必要だと思います。
○町村委員長 あと、山本さん、それから五島さんで終わりにしましょうか。土肥さんがありましたか。それでは、あとお三方。
○山本(孝)委員 江草先生にお伺いをしたいのですが、児童虐待の問題でございます。 今回の法律改正では不十分ではないかという声も出ておりますけれども、先生のお受けとめ方、今後、児童虐待というケースをもっと減らしていくためにどういう施策が必要であるというふうにお考えか、お尋ねしたいと思います。
○江草参考人 お答え申し上げます。 児童の虐待の増加が見られるように、子供や家庭の周辺は大変複雑なものになっておりますが、これは一体なぜそうなったのだろうかということをまず考えなければ対応できないと思っております。 私は、先ほど巷野先生と、少し私の方が経験が浅いのですが、小児科医でございまして、臨床家として考えておりますと、そんな虐待という言葉が小児科の医者の世界で出始めたのは十数年来なんですね。最近は、御承知のように、虐待症候群という病名さえある。気がついてみると、レントゲンを撮ってみると骨折がいっぱいある、こういうお子さんがあるわけで、しかも、それを親がやっておる場合もあるわけですね。こういうふうなことを考えますと、私は、何か社会全体のひずみの結果ではないか、子供はまさに犠牲者だというふうな感じがしてならないわけであります。 したがって、何か制度をつくるとか仕組みをつくるとかということでは決して解決はつかないのじゃないか。今、あれこれ承知しておりますところでは六つ余りの構造改革が行われるようでございますけれども、私は、ともかく国自身が、基本的な命をどうするのか、あるいは生活をどうとらえるのかというところを相当程度考えなければ、二十一世紀の我が国が新しい児童家庭福祉を創造すると言っても言葉だけになるのじゃないか、こう思っております。これは、中児審の委員長としてでなく、私見として申し上げます。小児科医としての経験からでございます。 以上であります。
○町村委員長 五島さん。
○五島委員 民主党の五島でございます。 江草先生にお伺いしたいと思います。 今先生がお話しなさったことをちょっとお聞きしたいと思ったわけでございますが、それに関連いたしまして、今回の法案においても、教護院を自立支援という形で変えていこうということになってまいりました。先生は中児審の委員長をしておられるわけでございますが、このようになってきますと、例えば、児相等の立場における専門的なアドバイスというものは、当然、福祉行政、厚生行政として必要なわけでございましょうが、教護院のようなものの運営、あるいはそこが担うべき役割というのが、果たして厚生行政として、あるいは福祉行政としてやっていくことが適当なのか。 今日の時代の中において、今先生御指摘になりましたように、親から子供を救わなければいけないというふうな問題を含めたそういう部分については、当然、厚生行政として必要なわけでございましょうが、子供そのものの自立支援ということについては、むしろこれは文部行政の問題ではないか、そのようにも思うわけでございますが、中児審の委員長をやっておられる先生のお立場から、その辺どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○江草参考人 お答えさせていただきます。 大変冷たいような言い方ですけれども、子供の問題は、第一義的には家庭の問題である、そして地域の問題である、そしてそれは国の問題であるというふうに、拡散して話をした方がいいのじゃないか、そういうふうに思います。したがいまして、学童期あるいは生徒である場合に、学校が、これは問題のお子だから学校からは離れて福祉施設の方へというような考え方は、とるべきではないのじゃないか。 そこで、逆な発想でございますけれども、教護院におきまして、今度新しく教護院は名前が変わりますけれども、教護院におきましては、従来は教育が、半端というとちょっと言い過ぎですけれども、いわば学校から委託を受けてやっておるというような状況であった。ところが、これを、学校教育を中に取り入れまして、もっともっと深めていこう、つまり、教育と福祉の一体化、統合化というふうな形をこれからとろうとしておる、こういうふうに私は思っております。 ところが、五島委員よく御承知のように、お子さんによりましてはかなり精神的な不安定というものがあるわけでありまして、精神保健の対象としても十分考えなければいけな。そういう意味で、児童相談所が独自にこれを解決しようとするのではなくて、地域の、都道府県の児童福祉審議会の中に専門家集団を用意いたしまして、すべての子供さんがそこで協議をしてもらうというわけではございませんが、必要に応じて、専門家である医師、教育者、心理学者あるいはソーシャルワーカーという方々の協議を受けた中で最も適切な処遇を考えていく、こういうふうにすべきではないのだろうかというふうに思っています。それを今回の改正には盛ってある、こういうふうに私は理解しております。
○町村委員長 それでは、最後でよろしいでしょうか。土肥さん。
○土肥委員 無所属の土肥隆一でございます。 きょうは、児童養護ないしは教護院関係の方がいらっしゃらなくて、いきなりホームスクールの方が出てこられますと、ちょっとその辺の関係が埋まらなくなってくるわけでありますが、アメリカでもイギリスでもホームスクールというのが日常制度化されていて、しかし、パーセンテージは非常に低いというふうにも聞いております。 ホームスクール、家で教育できる家庭はいいのですね。ホームスクールもいいだろうと思うのです。私は、今後、日本の社会で検討しなければいけないと思うのですが、しかし、家にもおれない、学校にもおれない、この社会にどこにも身の置き場がない子供というのはたくさんいるわけです。しかも、単なる環境や貧困や家庭環境だけでなくて、精神的な問題も考えなければならないというようなことになりますと、今の社会に受けとめるところがないわけですね。 したがって、どうも教護院とか児童養護施設というと何か非常にマイナスイメージがありまして、しかし、実際、児童養護には今、統計で二万五千人から三万人ぐらいお子さんがいらっしゃるわけですね。教護院がなぜこんなに少ないか。千数百でございますけれども、それはまた委員会でたださなければならないと思いますが、要するに、子供をトータルに支えるシステムが日本にできていない。学校ではつまはじきにされる、家ではもうどうにもならない、親との関係もうまくいかない、どこも行くところがないという、置き場のない、おり場のない子供たちがたくさんいる。これからどんどんふえてくる。 そういうことでありまして、一つお聞きしたいのは、ホームスクールというようなシステムは、日本の家庭でどれくらい定着する可能性があるのかということを、まず相沢さんに、感想で結構です。 それからもう一つは、お医者さんの立場で江草先生にお聞きしたいのです。 やはり教護院あるいは児童養護施設を根本的に考えまして、学校教育と一体になって、本当に行き場のない子供がおれる場所を、それはあるときには施設でありましょうし、家庭と施設との通園というような形での連絡もありましょうし、施設と学校との関係もありましょうし、その辺は児童福祉審議会ではもう少し突っ込んだ議論というのはなかったのでしょうか。その辺も含めてお答えいただきたいと思います。
○町村委員長 それでは、相沢さん、江草さんという順序でお願いします。
○相沢参考人 お答えさせていただきます。 先ほど申し上げたように、アメリカは全州で法律的に可能ですし、イギリスもそうです。それから、カナダもオーストラリアもニュージーランドもそうです。 人数につきましては、ロサンゼルスでは、おととしの話ですが、年間七五%でホームスクーリングがふえているというお話です。全米では百万人とも二百万人とも言われておりまして、実はかなりの増加傾向にございます。そのために、先ほども申し上げましたように、全米の四百七十もの大学が、その子供たちをテスト以外の方式で、いろいろな方式を使って受け入れているのが現状でございます。 それから、家庭だけで教育をするわけでは実はございませんで、ホームスクーリング、ホームエデュケーションというのは、もちろん、スクール・アット・ホームといいまして家庭でカリキュラムをとってなさる方もおりますが、そういう方々は割に少なくていらっしゃいまして、世界じゅうのありとあらゆる機会を使って学んでいらっしゃいますので、夏休みですとか冬休みですとかといったときではなくて、普通の閑散とした時期に海外に連れていったりとか、いろいろな体験をさせて学ばせているのが現状でございます。 可能性につきましては、日本での可能性というのは、先ほども何回も申し上げておりますが、世界各国子供の教育の権利は認めておりまして、就学の義務は親が登録した場合に発生することになっております。日本は、残念ながら、おぎ々あと生まれたときから就学の義務が課されているような気がいたします。その点で、非常に子供たちが苦しんでいる。子供に教育の権利と言っておきながら、親には就学の義務を課されているために、家庭内でもって、おれは権利があるのだと幾ら子供が言っても、親は心配で一生懸命押そうとするという状態が小さな中にどうしても起きてしまって、そしてそのことが、先ほど申し上げたように、家庭内暴力ですとか昼夜逆転とかいったことになっていってしまう。 ですから、このことがもうちょっと熟考されまして、本当の意味での子供の教育について考えられれば日本でもかなり定着していけると思いますし、それから、家庭内だけで学ぶのではないと先ほども申し上げましたが、インターネットなどでごらんいただければ、ありとあらゆる形で子供の支援をいたしております。例えば、教員について質問したい事項があれば、手紙を書けば教員が手紙を返してきてくれるとか、それから、家庭にいる子供がカエルの解剖をしたいなと思ったときに、ビデオなどでダウンロードができてコンピューターでそれを自分で学ぶこともできます。 ありとあらゆるものがございまして、こちらに持っておりますけれども、こういった雑誌がアメリカで二十数冊、隔月刊などで出ております。しかも、それを支援する、「ホームスクールPC」というのですが、これはソフトウエアの宣伝でございますけれども、こういったものがありとあらゆるところで発売されております。 そういった支援体制こそまず必要であって、レッテル張りですとか施設収容ではなくて、枠を外して自由にしてあげることから子供はきっと学んでいくのではないかと私は思っております。
○江草参考人 お答えさせていただきたいと思います。 昔の名前の教護院でございますが、そのまま言わせていただきます。教護院と養護施設、いずれもそれぞれ設立の目的が重なり合った部分もあるわけでございますが、多少とも違うわけでございます。教護院の方は、子供の状態に応じた生活指導を行うということであり、また養護施設の方は、家庭養育の代替機能を持つものであるというふうに規定してあるわけでございますが、いずれにしても、それだけで、家庭か施設か、あるいはまた学校か施設かというふうな考え方ではない、あってはいけないというふうに思います。 先生のお言葉のとおりでございまして、身の置きどころのない子供がいるとすれば、この方々にとって、一人一人の子供にふさわしいおり場所を考えなければいけない、また、提供しなければいけないというふうに思います。その一つが、在宅であっても、おうちで暮らしている場合であっても、支援センターを設けて、あるいはまた通ってきてもらって、そういうサービスをするというふうな形をとろうと今しておるところでございます。
○町村委員長 ほかにも質疑の御希望の方、いらっしゃると思いますけれども、予定時間をかなりオーバーしてまいりましたので、これにて参考人に対する質疑を終了いたします。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 参考人の皆様方、大変お忙しい中、長時間にわたりまして貴重な御意見をいただきましたこと、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。本当にどうもありがとうございました。(拍手) 次回は、明二十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十二分散会