決算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 368 件
- 登壇者
- 38 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1997/05/26
会議録
○根本主査 これより決算委員会第二分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。 本分科会は、総理府(防衛庁・防衛施設庁)、外務省、文部省、厚生省所管、環境衛生金融公庫及び労働省所管についての審査を行うことになっております。 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。 平成六年度決算外二件及び平成七年度決算外二件中、本日は、労働省、厚生省所管、環境衛生金融公庫及び文部省所管について審査を行います。 これより労働省所管について審査を行います。 まず、概要説明を聴取いたします。岡野労働大臣。
○岡野国務大臣 労働省所管の平成六年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額及び歳出予算額とも四千四百八十九億二千五百六十四万円余であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額四千四百五十一億四千三百八十四万円余、不用額三十七億八千百八十万円余で決算を結了いたしました。 次に、特別会計の決算について申し上げます。 まず、労働保険特別会計について申し上げます。 この会計は、労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定に区分されております。 初めに、労災勘定について申し上げます。 歳入につきましては、歳入予算額二兆三千十二億四千二百九十九万円余に対しまして、収納済み歳入額二兆一千七百二億六千七百五十一万円余でありまして、差し引き一千三百九億七千五百四十七万円余の減となっております。 歳出につきましては、歳出予算額一兆四千二百四十億八千七百五十万円余、前年度繰越額二十九億四千七百三十七万円余を合わせた歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一兆二千五百五十六億四千四百十八万円余、翌年度繰越額十三億五千八百九十万円余、不用額一千七百億三千百七十九万円余で決算を結了いたしました。 次に、雇用勘定について申し上げます。 まず、歳入につきましては、歳入予算額二兆九千九百四十二億四千六百二十六万円余に対しまして、収納済み歳入額二兆五千六百六十六億三千四百八十六万円余でありまして、差し引き四千二百七十六億一千百三十九万円余の減となっております。 歳出につきましては、歳出予算額二兆九千九百四十二億四千六百二十六万円余、前年度繰越額二十五億八千六百四万円余を合わせた歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額二兆三千六百四十三億六百二十四万円余、翌年度繰越額十九億五千五十三万円余、不用額六千三百五億七千五百五十三万円余で決算を結了いたしました。 次に、徴収勘定について申し上げます。 まず、歳入につきましては、歳入予算額三兆七千百四十四億九千百十二万円余に対しまして、収納済み歳入額三兆五千五百十六億二千八百八十二万円余でありまして、差し引き一千六百二十八億六千二百三十万円余の減となっております。 歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも三兆七千百四十四億九千百十二万円余であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額三兆五千五百十一億六千七百五十六万円余、不用額一千六百三十三億二千三百五十六万円余で決算を結了いたしました。 最後に、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の石炭勘定のうち、労働省所管分の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額及び歳出予算額とも百五十八億八千四百三十九万円余であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額百三十四億一千九百二十九万円余、不用額二十四億六千五百十万円余で決算を結了いたしました。 続きまして、労働省所管の平成七年度決算について、その概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額及び歳出予算額とも五千三百八十八億一千五百六十七万円余であります。この歳出予算額に対しまして、支出済み歳出額五千三百五十五億二千百四十五万円余、不用額二十七億九千二百二十九万円余で決算を結了いたしました。 次に、特別会計の決算について申し上げます。 まず、労働保険特別会計について申し上げます。 初めに、労災勘定について申し上げます。 歳入につきましては、歳入予算額二兆一千六十八億七千二百九十七万円余に対しまして、収納済み歳入額二兆五百九十九億一千二十四万円余でありまして、差し引き四百六十九億六千二百七十二万円余の減となっております。 歳出についてでありますが、歳出予算額一兆四千四百九十二億七千六百九十八万円余、前年度繰越額十三億五千八百九十万円余を合わせた歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一兆二千八百七十二億三千六百六十四万円余、翌年度繰越額三十二億一千六百六十一万円余、不用額一千六百一億八千二百六十三万円余で決算を結了いたしました。 次に、雇用勘定についてであります。 まず、歳入につきましては、歳入予算額三兆二千八百四十九億四千六百六十六万円余に対しまして、収納済み歳入額二兆七千八億二千四百二十五万円余でありまして、差し引き五千八百四十一億二千二百四十一万円余の減となっております。 歳出についてでありますが、歳出予算額三兆二千八百四十九億四千六百六十六万円余、前年度繰越額十九億五千五十三万円余を合わせた歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額二兆六千九百三十四億九千二百四十九万円余、翌年度繰越額三十二億四千六百四十六万円余、不用額五千九百一億五千八百二十四万円余で決算を結了いたしました。 次いで、徴収勘定について申し上げます。 まず、歳入につきましては、歳入予算額三兆五千九百四十九億四千五百八十二万円余に対しまして、収納済み歳入額三兆四千七百四十六億九千三百六十四万円余でありまして、差し引き一千二百二億五千二百十七万円余の減となっております。 歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも三兆五千九百四十九億四千五百八十二万円余であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額三兆四千七百四十一億九千十四万円余、不用額一千二百七億五千五百六十七万円余で決算を結了いたしました。 最後に、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の石炭勘定のうち、労働省所管分の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額及び歳出予算額とも百六十億六千三百八十八万円余であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額百三十八億百五十五万円余、不用額二十二億六千二百三十三万円余で決算を結了いたしました。 なお、一般会計及び特別会計における主な事項につきましては、お手元に御配付申し上げた資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、御説明を省略させていただきたいと存じます。 以上をもちまして、労働省所管に属する平成六年度及び平成七年度の一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。 よろしく御審議賜りますようお願いを申し上げる次第であります。
○根本主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸田第二局長。
○諸田会計検査院説明員 平成六年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項六件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号一八七号は、労働保険の保険料の徴収額に過不足があったものであります。 検査報告番号一八八号は、雇用保険の失業給付金の支給が適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号一八九号は、雇用保険の雇用調整助成金の支給が適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号一九〇号は、雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号一九一号は、労働者災害補償保険の療養の給付に要する診療費の支払いが適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号一九二号は、職員の不正行為による損害が生じたもので、労働基準監督署の職員が、資金前渡官吏の補助者等としての旅費の支払い、小切手の作成等の事務等に従事中、旅費請求金額を水増しした支払い決議書により小切手を作成し、これを現金化するなどして前渡資金等を領得したものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 これは、冬期雇用安定奨励金の支給に関するものであります。通年雇用を促進させるため、労働者を冬期間臨時的に就労させ、かつ翌春に再雇用するなどした場合に支給する冬期雇用安定奨励金について、通年雇用化の基盤整備が進んでいると認められるのに、季節的な雇用を繰り返して毎年奨励金を受給し続けている事業主が百九事業主あり、奨励金の支給が効果的でないと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。 次に、平成七年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号二〇三号は、労働保険の保険料の徴収額に過不足があったものであります。 検査報告番号二〇四号は、雇用保険の失業等給付金の支給が適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号二〇五号は、雇用保険の雇用調整助成金の支給が適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号二〇六号は、雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号二〇七号は、労働者災害補償保険の療養の給付に要する診療費の支払いが適正に行われていなかったものであります。 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。 これは、継続雇用制度導入奨励金の支給に関するものであります。この奨励金は、継続雇用を推進し高年齢者の雇用の確保を図るため、定年の引き上げ等により高年齢者の雇用を延長して、六十一歳以上の年齢まで継続雇用する制度を導入する事業主に支給するものでありますが、継続雇用期間経過前に雇用延長見込み労働者が全員離職し、しかも、その大半の者が早期に離職しており、高年齢者の継続雇用が推進されておらず、奨励金支給の効果が十分発現していない事態が見受けられましたので、奨励金支給後の高年齢者の継続雇用の状況を奨励金の支給額に反映させるようにするとともに、その継続雇用の状況を的確に確認する措置を講ずるなどして、奨励金の支給を効果的に行うよう意見を表示したものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 これは、地方公共団体の非常勤職員に対する労働者災害補償保険の適用に関するものであります。地方公共団体の現業事業場における非常勤職員については、労働者災害補償保険が適用されるのに、労働省においてその取り扱いを周知徹底していなかったなどのため、五十九地方公共団体で保険の加入手続がとられておらず、保険料が徴収されておりませんでした。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。 以上をもって概要の説明を終わります。
○根本主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。岡野労働大臣。
○岡野国務大臣 平成六年度の決算検査報告に掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。 これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしてまいりたいと存じております。 続きまして、平成七年度の決算検査報告に掲記されております事項につきましても、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。 これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後かかる御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしてまいりたいと存じております。
○根本主査 この際、お諮りいたします。 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○根本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 平成六年度労働省所管(一般会計及び特別会計)決算に関する概要説明 労 働 省 労働省所管の平成六年度決算について、その概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額及び歳出予算額とも四、四八九億二、五六四万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額四、四五一億四、三八四万円余、不用額三七億八、一八〇万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものについて申し上げますと、雇用保険国庫負担金、職業転換対策事業費、失業対策事業費等であります。 これらの経費は、雇用保険法に基づく求職者給付等に要する費用の一部負担、高年齢者労働能力活用事業に要した費用等、緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業に要したもの等でありますが、このうち失業対策事業の実績は、事業主体数一二八箇所、事業数二二一、失業者の吸収人員一日平均二、二〇〇人となっております。 なお、不用額の主なものは、職業転換対策事業費等であります。 次に、特別会計の決算について申し上げます。 まず、労働保険特別会計について申し上げます。 この会計は、労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定に区分されております。 初めに、労災勘定について申し上げます。 歳入につきましては、歳入予算額二兆三、〇一二億四、二九九万円余に対しまして、収納済歳入額二兆一、七〇二億六、七五一万円余でありまして、差引き一、三〇九億七、五四七万円余の減となっております。 これは、保険料収入が予定より少なかったため、徴収勘定からの受入れが少なかったこと等によるものであります。 歳出につきましては、歳出予算現額一兆四、二七〇億三、四八八万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆四、二四〇億八、七五〇万円余、前年度繰越額二九億四、七三七万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額一兆二、五五六億四、四一八万円余、翌年度繰越額一三億五、八九〇万円余、不用額一、七〇〇億三、一七九万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働福祉事業に必要な経費等であります。 次に、労災勘定による事業の実績の概要について申し上げます。 保険給付の新規受給者数は、六七万四、〇〇〇人余、年金受給者数は、二〇万七、〇〇〇人余、支給額は、八、〇六九億三、一六八万円余となっております。 また、労働福祉事業に必要な経費に係る支出済歳出額は、二、二九五億二、三五六万円余となっております。 なお、不用額の主なものは、保険給付費等であります。 次に、雇用勘定について申し上げます。 まず、歳入につきましては、歳入予算額二兆九、九四二億四、六二六万円余に対しまして、収納済歳入額二兆五、六六六億三、四八六万円余でありまして、差引き四、二七六億一、一三九万円余の減となっております。 これは、失業給付金が予定より少なかったこと等により、積立金からの受入れが予定より少なかったこと等によるものであります。 歳出につきましては、歳出予算現額二兆九、九六八億三、二三〇万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額二兆九、九四二億四、六二六万円余、前年度繰越額二五億八、六〇四万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額二兆三、六四三億六二四万円余、翌年度繰越額一九億五、〇五三万円余、不用額六、三〇五億七、五五三万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものは、雇用保険法に基づく失業給付に必要な経費並びに雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業に必要な経費等であります。 次に、雇用勘定による事業の実績の概要について申し上げます。 失業給付には、求職者給付と就職促進給付がありますが、求職者給付の中心を占める一般求職者給付の月平均受給者実人員は、七七万九、〇〇〇人余、支給額は、一兆三、五八五億五、七四七万円余、また、就職促進給付の受給者数は、三二万五、〇〇〇人余、支給額は、一、二三八億八、六二九万円余となっております。 また、雇用安定事業等三事業に必要な経費に係る支出済歳出額は、四、七二九億八、五一一万円余となっております。 なお、不用額の主なものは、予備費等であります。 次に、徴収勘定について申し上げます。 まず、歳入につきましては、歳入予算額三兆七、一四四億九、一一二万円余に対しまして、収納済歳入額三兆五、五一六億二、八八二万円余でありまして、差引き一、六二八億六、二三〇万円余の減となっております。 これは、労災保険に係る保険料収入が予定より少なかったこと等によるものであります。 歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも、三兆七、一四四億九、一一二万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額三兆五、五一一億六、七五六万円余、不用額一、六三三億二、三五六万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰入れに必要な経費であります。 次に、徴収勘定に係る業務の実績の概要について申し上げます。 労災保険適用事業場数二六〇万余、労災保険適用労働者数四、七〇一万人余、雇用保険適用事業場数一八九万余、一般雇用保険適用労働者数三、三三五万人余となっております。 なお、不用額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰入れに必要な経費であります。 最後に、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の石炭勘定のうち、労働省所管分の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額及び歳出予算額とも一五八億八、四三九万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額一三四億一、九二九万円余、不用額二四億六、五一〇万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものは、炭鉱離職者緊急就労対策事業の実施等に必要な経費に充てるための炭鉱離職者等援護費等であります。 このうち炭鉱離職者緊急就労対策事業の実績は、事業数四五、年間就労人員延べ九万人余となっております。 なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者等援護対策費であります。 以上が労働省所管に属する平成六年度一般会計及び特別会計の決算の概要であります。 以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 ………………………………… 平成六年度決算労働省についての検査の概要に関する主管局長の説明 会計検査院 平成六年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項六件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号一八七号は、労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。これは、事業主が提出した保険料の算定の基礎となる賃金の支払総額が事実と相違していたことなどにより、徴収額に過不足があったものであります。 検査報告番号一八八号は、雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったものであります。これは、失業給付金の受給者が再就職しておりますのに、失業給付金のうちの基本手当を支給していたり、事実と相違した再就職年月日を基に再就職手当を支給していたりして、給付の適正を欠いていたものであります。 検査報告番号一八九号は、雇用保険の雇用調整助成金の支給が適正でなかったものであります。この助成金は、失業の予防その他雇用の安定を図るため、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用する労働者について休業、教育訓練又は出向を実施した事業主に対して、事業主が支払った休業手当、教育訓練受講日について支払った賃金又は出向労働者の賃金について負担した額の一部を助成するものでありますが、事業主が実際には休業の一部を実施していないのに出勤簿、賃金台帳を改ざんして、計画どおりに休業を実施したこととしているなど、支給要件を欠いているのに助成金を支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。 検査報告番号一九〇号は、雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったものであります。この助成金は、高年齢者等特定求職者の雇用機会の増大を図るため、特定求職者を公共職業安定所の紹介により雇用した事業主に対して、その者に支払った賃金の一部を助成するものでありますが、事業主が既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど、支給要件を欠いているのに助成金を支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。 検査報告番号一九一号は、労働者災害補償保険の療養の給付に要する診療費の支払が適正でなかったものであります。この療養の給付は、業務上の事由又は通勤により負傷又は発病した労働者に対して、医療機関において診察、薬剤の支給等を行うもので、都道府県労働基準局において医療機関からの診療費の請求内容を審査することになっておりますが、医療機関が診療費を誤って過大に算定して請求しているのに請求どおり支払っており、支払の適正を欠いていたものであります。 検査報告番号一九二号は、職員の不正行為による損害が生じたものであります。これは、鹿屋労働基準監督署において旅費の支払、小切手の作成等の事務及び労働保険料の収納事務に従事していた庶務会計係の職員が、旅費請求金額を水増しした支払決議書により小切手を作成するなどしてこれを現金化したり、事業主から現金で保険料の納付を受けた際、正規の収納手続を執らなかったりして領得したものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 これは、冬期雇用安定奨励金の支給に関するものであります。この奨励金は、積雪寒冷地において冬期に事業活動の縮小を余儀なくされる建設業等の事業主が、短期雇用特例被保険者を冬期間臨時的に就労させ、かつ翌春に再雇用するなどした場合に支給するものであります。この支給に当たり、冬期間における就労日数が五〇日以上となっていて通年雇用化の基盤整備が進んでいると認められるのに、短期雇用特例被保険者を一人も通年雇用することなく季節的な雇用を繰り返して、毎年奨励金を受給し続けている事業主が見受けられ、奨励金の支給が効果的でないと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、労働省では、平成七年三月に雇用保険法施行規則の一部を改正するなどして、短期雇用特例被保険者を通年雇用する目標数を設定し、未達成の場合は奨励金の支給額を減ずることとするなど、奨励金の支給を効果的なものとし、通年雇用をより促進させるための処置を講じたものであります。 なお、以上のほか、平成元年度決算検査報告に掲記いたしましたように、労働者災害補償保険の診療費の算定について処置を要求いたしましたが、これに対する労働省の処置状況についても掲記いたしました。 以上をもって概要の説明を終わります。 ………………………………… 平成六年度決算における会計検査院の指摘に対して労働省の採った措置 労 働 省 平成六年度の決算検査報告に掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、誠に遺憾に存じております。 これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。 ————————————— 平成七年度労働省所管(一般会計及び特別会計)決算に関する概要説明 労 働 省 労働省所管の平成七年度決算について、その概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額及び歳出予算額とも五、三八八億一、五六七万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額五、三五五億二、一四五万円余、不用額二七億九、二二九万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものについて申し上げますと、雇用保険国庫負担金、職業転換対策事業費、失業対策事業費等であります。 これらの経費は、雇用保険法に基づく求職者給付等に要する費用の一部負担、高年齢者労働能力活用事業に要した費用等、緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業に要したもの等でありますが、このうち失業対策事業の実績は、事業主体数七八箇所、事業数一九九、失業者の吸収人員一日平均一、七〇〇人となっております。 なお、不用額の主なものは、職業転換対策事業費等であります。 次に、特別会計の決算について申し上げます。 まず、労働保険特別会計について申し上げます。 この会計は、労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定に区分されております。 初めに、労災勘定について申し上げます。 歳入につきましては、歳入予算額二兆一、〇六八億七、二九七万円余に対しまして、収納済歳入額二兆五九九億一、〇二四万円余でありまして、差引き四六九億六、二七二万円余の減となっております。 これは、保険料収入が予定より少なかったこと等のため、徴収勘定からの受入れが少なかったこと等によるものであります。 歳出につきましては、歳出予算現額一兆四、五〇六億三、五八八万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆四、四九二億七、六九八万円余、前年度繰越額一三億五、八九〇万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額一兆二、八七二億三、六六四万円余、翌年度繰越額三二億一、六六一万円余、不用額一、六〇一億八、二六三万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働福祉事業に必要な経費等であります。 次に、労災勘定による事業の実績の概要について申し上げます。 保険給付の新規受給者数は、六四万五、〇〇〇人余、年金受給者数は、二〇万九、〇〇〇人余、支給額は、八、二四九億四、二六七万円余となっております。 また、労働福祉事業に必要な経費に係る支出済歳出額は、二、四〇四億三、〇三一万円余となっております。 なお、不用額の主なものは、保険給付費等であります。 次に、雇用勘定について申し上げます。 まず、歳入につきましては、歳入予算額三兆二、八四九億四、六六六万円余に対しまして、収納済歳入額二兆七、〇〇八億二、四二五万円余でありまして、差引き五、八四一億二、二四一万円余の減となっております。 これは、失業等給付金が予定より少なかったこと等により、積立金より受入が少なかったこと等によるものであります。 歳出につきましては、歳出予算現額三兆二、八六八億九、七一九万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額三兆二、八四九億四、六六六万円余、前年度繰越額一九億五、〇五三万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額二兆六、九三四億九、二四九万円余、翌年度繰越額三二億四、六四六万円余、不用額五、九〇一億五、八二四万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものは、雇用保険法に基づく失業等給付に必要な経費並びに雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業に必要な経費等であります。 次に、雇用勘定による事業の実績の概要について申し上げます。 失業等給付には、求職者給付、就職促進給付及び雇用継続給付がありますが、求職者給付の中心を占める一般求職者給付の月平均受給者実人員は、八三万六、〇〇〇人余、支給額は、一兆五、〇一一億一、七三一万円余、就職促進給付の受給者数は、三四万四、〇〇〇人余、支給額は、一、四七二億九、二七〇万円余、また、雇用継続給付の月平均受給者実人員は、三万八、〇〇〇人余、支給額は、二三五億七、七〇三万円余となっております。 また、雇用安定事業等三事業に必要な経費に係る支出済歳出額は、五、八二〇億六、四九六万円余となっております。 なお、不用額の主なものは、失業等給付金等であります。 次に、徴収勘定について申し上げます。 まず、歳入につきましては、歳入予算額三兆五、九四九億四、五八二万円余に対しまして、収納済歳入額三兆四、七四六億九、三六四万円余でありまして、差引き一、二〇二億五、二一七万円余の減となっております。 これは、雇用保険に係る保険料収入が予定より少なかったこと等によるものであります。 歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも、三兆五、九四九億四、五八二万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額三兆四、七四一億九、〇一四万円余、不用額一、二〇七億五、五六七万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰入れに必要な経費であります。 次に、徴収勘定に係る業務の実績の概要について申し上げます。 労災保険適用事業場数二六四万余、労災保険適用労働者数四、七二四万人余、雇用保険適用事業場数一九二万余、一般雇用保険適用労働者数三、三五四万人余となっております。 なお、不用額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰入れに必要な経費であります。 最後に、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の石炭勘定のうち、労働省所管分の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額及び歳出予算額とも一六〇億六、三八八万円余であります。 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額一三八億一五五万円余、不用額二二億六、二三三万円余で決算を結了いたしました。 支出済歳出額の主なものは、炭鉱離職者緊急就労対策事業の実施等に必要な経費に充てるための炭鉱離職者等援護費等であります。 このうち炭鉱離職者緊急就労対策事業の実績は、事業数四四、年間就労人員延べ七万一、〇〇〇人余となっております。 なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者等援護対策費であります。 以上が労働省所管に属する平成七年度一般会計及び特別会計の決算の概要であります。 以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 ………………………………… 平成七年度決算労働省についての検査の概要に関する主管局長の説明 会計検査院 平成七年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号二〇三号は、労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。これは、事業主が提出した保険料の算定の基礎となる賃金の支払総額が事実と相違していたことなどにより、徴収額に過不足があったものであります。 検査報告番号二〇四号は、雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったものであります。これは、失業等給付金の受給者が再就職しておりますのに、失業等給付金のうちの基本手当を支給していたり、事実と相違した再就職年月日を基に再就職手当を支給していたりして、給付の適正を欠いていたものであります。 検査報告番号二〇五号は、雇用保険の雇用調整助成金の支給が適正でなかったものであります。この助成金は、失業の予防その他雇用の安定を図るため、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用する労働者について休業、教育訓練又は出向を実施した事業主に対して、事業主が支払った休業手当、教育訓練受講日について支払った賃金又は出向労働者の賃金について負担した額の一部を助成するものでありますが、事業主が実際には休業の一部を実施していないのに出勤簿、賃金台帳を改ざんして、計画どおりに休業を実施したこととしているなど、支給要件を欠いているのに助成金を支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。 検査報告番号二〇六号は、雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったものであります。この助成金は、高年齢者等特定求職者の雇用機会の増大を図るため、特定求職者を公共職業安定所の紹介により雇用した事業主に対して、その者に支払った賃金の一部を助成するものでありますが、事業主が既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど、支給要件を欠いているのに助成金を支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。 検査報告番号二〇七号は、労働者災害補償保険の療養の給付に要する診療費の支払が適正でなかったものであります。この療養の給付は、業務上の事由又は通勤により負傷又は発病した労働者に対して、医療機関において診察、薬剤の支給等を行うもので、都道府県労働基準局において医療機関からの診療費の請求内容を審査することになっておりますが、医療機関が診療費を誤って過大に算定して請求しているのに請求どおり支払っており、支払の適正を欠いていたものであります。 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。 これは、継続雇用制度導入奨励金の支給に関するものであります。この奨励金は、継続雇用を推進し高年齢者の雇用の確保を図るため、定年の引上げ等により高年齢者の雇用を延長して、六十一歳以上の年齢まで継続雇用する制度を導入する事業主に支給するものでありますが、継続雇用期間経過前に雇用延長見込労働者が全員離職し、しかも、その大半の者が早期に離職しており、高年齢者の継続雇用が推進されておらず、奨励金支給の効果が十分発現していない事態が見受けられましたので、奨励金支給後の高年齢者の継続雇用の状況を奨励金の支給額に反映させるようにするとともに、その継続雇用の状況を的確に確認する措置を講ずるなどして、奨励金の支給を効果的に行うよう意見を表示いたしたものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 これは、地方公共団体の非常勤職員に対する労働者災害補償保険の適用に関するものであります。地方公共団体の現業事業場における非常勤職員については、労働者災害補償保険が適用されるのに、労働省においてその取扱いを周知徹底していなかったなどのため、五十九地方公共団体で保険の加入手続が執られておらず、保険料が徴収されていないと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、労働省では、八年十月に、各都道府県労働基準局に対して通達等を発し、労災保険の対象となる地方公共団体の事業場、非常勤職員の範囲等を明確に示すなどして地方公共団体の非常勤職員に対する労災保険の適用を適切に行うこととする処置を講じたものであります。 なお、以上のほか、平成元年度決算検査報告に掲記いたしましたように、労働者災害補償保険の診療費の算定について処置を要求いたしましたが、これに対する労働省の処置状況についても掲記いたしました。 以上をもって概要の説明を終わります。 ………………………………… 平成七年度決算における会計検査院の指摘に対して労働省の採った措置 労 働 省 平成七年度の決算検査報告に掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、誠に遺憾に存じております。 これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。 —————————————
○根本主査 以上をもちまして労働省所管の説明は終わりました。 —————————————
○根本主査 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池坊保子君。
○池坊分科員 新進党の池坊保子でございます。 文化人の地位向上並びに法的権利についての御見解を岡野労働大臣並びに労働省の方々にお伺いしたいと思います。 私は、文教委員会に出されました著作権法一部改正について勉強しておりましたら、芸能実演者には著作権がない、著作権がないだけでなくて労災保険もないということに気づき、愕然といたしました。私は、日本の伝統文化の一端を担っております生け花の発展、育成にきょうまで尽力してまいりました。茶道、華道は、自助努力によって、長い歴史、継続して今日まで生き続けております。 私が住んでおります京都には、すぐれた文化が数多くございます。京都のみならず、日本にはたくさんのすぐれた文化がありながら、保護されないために滅んでしまった文化があることを思うときに、私は、やはりその文化に携わっている方々の権利がきちんと法的にも確立されることが大切なのではないかと思っております。バブル崩壊後、経済が破綻して、経済だけで担っていく社会は国際社会の中で生きられないということに気づき、文化立国を目指すと言っていただいていることは大変心強いとは思いますが、それがかけ声だけで終わらないことを切に希望しております。 政府は、平成八年度の「我が国の文教施策」の中で、「文化の振興を図っていくことは、今後我が国にとって、最も重視すべき課題の一つである。」「二十一世紀に向けて新しい文化立国を目指して、」と言っていらっしゃいます。大変にいいことを言っていらっしゃるにもかかわらず、現実がそれに伴っていないのではないかと思います。政府が文化施策の充実を提唱するならば、文化一般というと大変広範にわたってしまいますので、きょうは芸能実演者に限って的を絞っていきたいと思いますけれども、実演家の権利を法的に確立することが大切であると思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○岡野国務大臣 先生お話しの京都につきましては、私は、文化、芸能関係は、かの太秦撮影所、これを見学をいたしておりますので、一番ビビッドで印象づけられております角度からお話を申し上げよう、こう思っております。 映画産業といいましても、そこに芸能関係で従事される皆さん、非常にバラエティーに富んだそれぞれの労働提供の大きな結晶だ、こう思っております。その労働提供の中には、名監督、名優というような皆さんから始まりまして、大部屋という表現が妥当かどうかは存じませんが、そういうところの皆さんからアルバイトのエキストラまで、それぞれの労働の態様があります。それで名監督といいます場合には、会社との関係は、これは労働雇用関係といいますよりは委託・請負というようなことで、会社はこの監督等の都合に合わせて撮影なら撮影をするというような実態にあるものもあろうかと思っております。 したがいまして、そういった皆さんの提供される労働の態様、つまり労働者性のいかん、これらによりまして、私ども労働基準法研究会の報告等々も相踏まえまして、先生おっしゃる労災保険というようなものも、今までもサービスを我々としては提供しており、またこれからも提供してまいりたい、これが原則だ、こう存じております。
○池坊分科員 私が申し上げるまでもなく、一九五五年ごろまでは、監督以下スタッフ、俳優とも製作会社に雇われ、ちゃんと雇用関係が行われておりましたので、労災事故の場合にも労災保険の支給が受けられました。その後、映画会社は大変低迷を続け経営不振になった、あるいは労働争議などの問題によって大量解雇がされました。そして現状はどうかと申し上げますと、専属契約、大体みんながフリーで契約を結ぶということになっておりますので、内容は一九五五年以前と同じことをしているにもかかわらず、労働保険、社会保険の保護が受けられないというのが現状でございます。製作会社の指揮監督のもとに、製作する労働状態が同じであるということをまず考えてあげていただきたいと思います。 今大臣がおっしゃいましたように、平成八年三月に労働大臣の私的諮問機関である労働基準法研究会の労働契約等法制部会が労働者性検討専門部会報告を出しております。その中で、労働者性の判断基準として、形式的には事業者であっても、一、仕事の依頼や指示を断れない、二、仕事の進め方について監督指揮を受けている、三、勤務時間が指定管理されている等々の条件を総合的に検討し、雇用関係が認められれば労災対象とするとの基準を発表されていらっしゃいます。ですけれども、これが行われていないというのが現実の動きではないかと思いますけれども、それについてはどのようにお考えでございますか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のございました芸能関係者、それから俳優あるいはそういった技術スタッフの方々の労働関係の有無の判断につきましては、私ども、形式的な契約関係にとらわれず、実態として労働関係があるかどうかという観点から判断をいたしております。そして先生御指摘のございましたように、そういった判断の参考といたすために、労働基準法研究会におきまして、とりわけこういった分野の方々に焦点を当てた研究をしていただきました。平成八年に一定の報告をいただきまして、私どもそれに基づきまして、その実態を見、労働関係があれば適切に対応しているという措置をとっております。 したがいまして、労災保険につきましても、もし事故が起きて請求があった場合には、私ども、実態関係を詳細に調査いたしまして、労働関係があるという場合にはもちろん労災保険の適用も行っていく。そういったことによりまして、労働者性の高い方々について救済の欠けることのないような対応を今後ともしてまいりたいと思っております。
○池坊分科員 それでは、これまで労災を受けられましたのは何割ぐらいの人間が受けられているか、そのような数字がおありになったら教えていただきたいと思います。 芸団協が一九九六年にまとめた調査によりますと、ステージやけいこ場で負傷した人の七割が治療費を自己負担しております。本来的には、映画、テレビすべてをひっくるめますと、九割ぐらいの人が労災を受けられずに不安を感じながら働いているというのが現状ですけれども、具体的にちょっと数字をお示しいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 大変申しわけございませんが、今、こういった俳優あるいは技術スタッフの方々等につきまして、労災の対象とした数字等につきましてデータを持ち合わせておりませんので、過去からのそういった実例等を把握いたしまして、また後ほど御報告をさせていただきたいと思います。 ただ、先生御指摘ございましたように、こういった分野の多くの方々が不安な気持ちで作業等に当たられているということは、私どもといたしましても、そういった事態は大変心配でございますし、労働者性があるのにもかかわらず、労働関係法令の適用を受けていないのではないかというような具体的な事例がもし個々にありましたら、私ども、労働基準監督署なりそういった窓口で御相談を受ける体制をとっておりますので、そういった分野に本当に遠慮なくお申し出いただければ、実情を調査いたしまして、あらかじめ労働者性があるなしの判断も含めまして、映画製作者等初め、適切なアドバイスをしてまいりたいと思っております。
○池坊分科員 労災保険給付の担当部署は、芸能界では専門的、芸術的能力発揮が特徴であり、指揮監督下の労働ではないというふうに言っております。私は、部会での報告と現場の担当者との食い違いが多少あるのだと思いますが、これから現場でも徹底して、労働者性があれば労災が出るということでございますか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のとおりでございます。こういった俳優あるいは技術関係のスタッフだからと申しまして一律に労働者性がないという判断をするのではなくて、むしろ実態をよく見て、拘束性、指揮監督の有無、そういったことを調査しまして、もし労働者性があれば、事後的にであれ労災保険を初め労働関係法令を適用していく体制をとっておりますので、第一線の方に対してもそういった趣旨が十分伝わるように私ども措置をいたしたいと思っております。
○池坊分科員 抽象的なことを言っていただいても余りわかりませんので、では具体的に伺いたいと思います。 一九八六年二月、映画製作のロケで、カメラマンが連続徹夜に近い作業後、脳梗塞で死亡いたしました。契約を結んでおりましたら、当然これは過労死ということなのだろうと思います。また一九九一年八月には、映画製作中、映画美術監督が大道具選別中に誤って落ちて頸椎を骨折し、意識はありますが生涯寝たきりという麻痺になりました。いずれも労災保険給付を申請いたしましたが、雇用労働者ではないから不支給と労働基準監督署から決定されました。 もちろん、本人と家族は不服審査を請求中でございますが、言うまでもなく、現実にまだ何もなされていないということで、事件後十年並びに五年経過したということでございます。その十年、五年の間、治療をしなければならないけれども治療費は払ってもらえない。家族並びに本人の苦しみというのは大いなるものがあるのではないかと思います。これに対して、その後どうなったかということをお聞きしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今お申し出のございました二つの事例につきまして、具体的な事例について今私詳細には承知いたしておりませんが、先生先ほど来御指摘のございました労働基準法研究会の報告におきましても、こういった方々につきまして、例えばカメラマンの方であっても、トップのカメラマンとそれのいわば補助者として従事するような人たち、こういう人たち個々について労働者性を判断する場合の判断基準、参考材料等の見方を指摘しておるわけでございまして、そういったものに即して、恐らくこの二つの事例につきましても労働者性があるかどうかの調査を行ったものと考えております。 そういったことを通じまして、カメラマンの方は監督の方と、指揮監督というよりはむしろ創造性のある仕事をするためのいろいろな相談等をするということで、指揮監督とどう違うのかというような点が最大争点になったのではなかろうかと思います。そういった点につきまして、また改めて実情を挙げてまいって、先生にも具体的な実情を報告させていただきたいと思いますが、そういった実態関係の詳細な調査の上で、労働者性がないものと判断された二つの事例ではないかというふうに推察いたしております。
○池坊分科員 では、逆に労働者性がないというのはどういう場合にそう言われるのかということをちょっと伺いたいと思います。何か抽象的におっしゃって、私、余り頭がよくないので、具体的に、現実にはどうなのかということを伺いたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 労働者性を判断する場合の大きなポイントの一つは、指揮監督下にあるかどうかというポイントでございます。 指揮監督下にあるかどうかの判断材料として、一つは、仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対して諾否の自由の有無が与えられているかどうか。こういう自由が与えられている場合については、むしろ労働者性を弱める判断材料になりますし、こういった自由を有しておらず、むしろ指揮監督下にすっかり入っているようだという場合には、労働者性があるという判断に傾いていくことになります。また、指揮監督の有無でございますが、俳優、スタッフの方が演技とか作業の細部まで指示を受けたり、場合によってはほかの分野の仕事まで手伝わされたりといったことが認められれば、これは労働者性がかなり高いという判断材料にもなってまいります。 それから、カメラマンの方とそういうチーフの技術者の場合によくあるわけでございますが、使用者の了解を得ずに補助者を自分で任意に選択できたり、あるいはそれを自由にかえたり、いろいろなことができる自由を与えられているケースがございます。こういった場合は、やはり実質的に請負に近いと見られる、労働者性を弱める方に判断が傾く可能性がございます。 それから、もう一つの面から判断いたしますのは、指揮監督とは別に、賃金関係の支払い等でございまして、賃金関係が非常に高額である場合と、あるいはその映画一本に対して幾らというふうに決められていて、実際に期間が延びたり時間が延びたりしても報酬に変動がないような場合には、やはり一つのまとまった仕事を請負的な形で出演等あるいは作業を依頼されておるというふうに見て、労働者性の判断からすると弱められるというケースがございます。 それから、補助材料といたしまして、例えば税制上等の取り扱いで、その方が事業所得としていろいろな経費等も処理されておるのか、勤労者所得として源泉徴収をされている方なのか、こういったことも補助材料として私どもは見ます。 そういったことを全体的に総合判断して、労働者性が高ければ、保護に欠けることのないように関係法令の適用を図っているところでございます。
○池坊分科員 今お話し申し上げましたカメラマンは連続徹夜に近い作業をしているのですから、自由が与えられているとは思いませんし、この監督の指揮のもとにあったと当然考えられると思うのです。にもかかわらず労災保険が受けられないというのは、どうなんでしょうか。つまり、言っていらっしゃることと現場の対応とが違うということなんだと思いますけれども。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、この労働基準法研究会でも、映画会社あるいはテレビ会社のような、映画製作会社から直接指示を受けていなくとも、監督等を通して作業上の指揮、演技上の指揮等が行われていれば、労働者性を判断する際の指揮監督があるというふうに言及もしておるわけでございまして、私どもはそれに従っておるわけでございますが、今の場合、徹夜で仕事をされたということだけで指揮監督下にすっかり入っていたというふうに判断できるかどうかとなりますと、それは、監督とそのチーフのカメラマンとが恐らく仕事の上でいろいろ相談し、仕事に燃えて一緒に共同作業的にやっているケースから、勤務時間等についての選択の自由を与えられず映画監督の指揮のままにそういった勤務状況を生んでしまったというケースまで、いろいろ考えられます。後者の場合ですと、当然労働者性ありという方に傾くケースが多いわけでございます。 先生御指摘の事案につきましては、どちらのケースであったのか、今詳細には私承知しておりませんので、もし必要であればそういった事例も取り寄せまして、よく研究し、先生にも御報告させていただきたいと思いますが、恐らくは、詳細な調査の上、そういった監督の指揮命令のままに自由を与えられずそういう勤務状況を生んだケースではないという判断が、現地で、第一線の機関でなされたものと理解いたしております。
○池坊分科員 しつこくこの問題を申し上げますのは、現場の担当者のところに参りますと、実際にはあれやこれやと、この点でだめなんだから労災保険は出せないのだということでなかなか出してもらえない人が多いというのが現実だ、そういうことをはっきりと把握していただきたいと私は思うのです。でも、今お話がございましたように、これからは労災保険が受けられるようにしていくという方針でございますね。 労働者性の判断基準として、契約した仕事について事業者の指示を拒否する自由がなく、指揮監督下で業務を遂行し、業務の時間と場所を拘束され、他人に業務をかわってもらうことができず、また労働の質と量に応じた賃金を受けている者は労働者であるというふうに部会で言っていらっしゃるのですから、このとおり現場の方でもちゃんと通達を出していただけますでしょうか。改めてもう一度伺いたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今先生御指摘のありました労働者性の判断基準は、基本的に私どもと同じ見方でございます。この問題は、かねてから労働関係法令の適用に当たってのいわば基本的課題でもございます。したがいまして、過去に相当通達も積み重ね、また解釈例規、判例等の積み重ねも出ておりますので、第一線も十分把握しているものと私どもは理解しております。 映画あるいは芸能関係の分野で働く方々への労働者性の判断に当たりましては、そういった積み重ねを生かしまして、あくまで実態に応じて労働者保護に欠けることのないように配慮しながら判断をしていく、そういう構えで今後とも対応してまいりたいと思っております。
○池坊分科員 大変心強い御答弁をいただきました。実演者の方々はこれから安心して働くことができると思います。そのように受けとめさせていただきます。 ちなみに、芸能界の労働について、フランスでは一九六九年、映画、テレビの監督まで含む芸能実演家の契約について、芸能実演家の協力を確保するいかなる契約も労働契約と推定されると労働法典で明文規定されておりますこともあわせてつけ加えさせていただきます。 また、一九九二年には、国際労働機関ILOが、社会保障のために、政府は芸能実演家を被用者とみなす可能性も考慮すべきであるとの結論を採択しております。日本も社会保障の見地から、これにのっとってこのようにされるということでございますね。
○伊藤(庄)政府委員 文化政策の見地から、そういった分野で働く方々の保護に欠けることのないようにしていかなければならないという先生のお気持ちについては、私どもも十分理解させていただきたいと思います。 ただ、フランスの場合、いわば労働者とみなして労働法典を適用するというような形、あるいは、ことしのILOの場でも議論されますが、そういった雇用労働契約ではないけれども、一種の請負その他の契約によって働く人たちの保護をどうしていくかというような課題は各国にあるようでございまして、フランスの場合はそういった形で事実上みなしておりますが、むしろほかの国々においてはこれから論議される状況にあるというふうに理解いたしております。 我が国の場合も、こういった分野で働く方々について、文化政策の見地からそういった取り扱いを検討する余地は十分あると思いますが、労働基準法関係、労働関係の法令だけで本当に十分なのか。例えば、そういったみなしをすれば、税制上の扱いも事業所得というわけにはまいらない、ほかの社会保険も全部変わってくる。いろいろな広範な分野に関連をしてまいります。そういったことまで含めて、映画製作関係者等々大きなコンセンサスが得られていくのかどうか、私ども現段階では正直把握しかねる問題もございますので、先生の御指摘につきましては、今後の検討すべき問題として受けとめさせていただきたいと思っております。
○池坊分科員 日本は先進国の中で、文化政策並びに権利保護が大変おくれていると思いますので、ぜひこれはやっていただきたいと思います。 また、後ほど報告いたしますと言っていただきましたことでは、きちんと私も報告を待っておりますので、いただきたいと思います。 それから、手間請業者と呼ばれております建設業界の個人業者を新たに労災の適用対象に広げる方針を固めたというふうに私は新聞で拝見いたしましたが、その後どうなっているかを伺いたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先ほど来先生御指摘いただきました基準法研究会は、もう一つ労働者性の判断に当たって非常に多い問題が建設分野の手間請の問題でございまして、それにつきましても、具体的な判断基準、判断材料等を示していただいております。 この点につきましても、私ども、先ほどの芸能関係者と同様、労働者性の判断に当たって参考とすべきことを地方第一線機関にも示して、こういった線に沿いまして運用をさせております。また関係の業界団体あるいは労働組合等にも、こういった考え方に基づいて常時話し合いを行い、的確な労働関係のもとで仕事ができるよう、環境形成に努めておるところでございます。
○池坊分科員 せっかく大臣にお越しをいただきましたので、全く問題が違うのですけれども、ちょっと少子化について伺いたいと思います。 先日出されました女子保護規定撤廃は、男女平等参画社会を目指していく私たちにとっては一歩前進だと思っております。女性が男性に伍して働きたいと思う人たちに選択肢を広げたと思います。 けれども、言うまでもなく、その余波は子供に、そして出産にとかかっていくのではないかと思います。百年後には人口は半分になる、六千二百万人になっていくと言われておりますし、四・五の出生率から、今は最低の一・四二となっております。それに歯どめをかけるには、この女子保護規定撤廃というのは逆の方向に行くのではないか、私は今まで二人の娘を育てて仕事をしてまいりました人間として多少気になるところでございますが、労働大臣は、今後少子化を防ぐための何か対策を講じていらっしゃるのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
○岡野国務大臣 少子化対策といいますのは、あにひとり労働省だけが頑張ってもどうなるものではありませんが、他省庁とスクラムを組みまして、少子化対策というものを労働省なりに展開をしてまいりたい、こう思っております。 そのためには、やはり職場の生活というものと家庭生活というものが両立をしなければならない。男性、女性、夫婦の間で子供を産むか産まないか、これはお二人に任せるよりほかはないのでありますが、産みたい、あるいは育てたい、こういうように労働者が思います場合には、職場生活もそれに即応した体制をとらなければいけないのではないか。 まず一つには、時短。今回四十時間ということをはっきり、ルビコンを渡るということでやりました。それによって職場生活以外の生活が時間的にも多くなるのではないか。それから、男女雇用機会均等法、衆議院でお通しを賜りました。これから参議院で始まるわけでありますが、これによりまして、男女がやはり職場生活と家庭生活を両立させる、調和をさせるというもろもろの手を打っているということでございます。 もう一つは、育児休業法によりまして、育児休暇がもらえる、あるいは育児手当がいただける、あるいは企業主についても、職場で保育的なあるいは託児的な施設が設けられるならばそれに手を差し伸べてまいろうというような、あれやこれやの手を打ちまして、他省庁ともどもに少子化対策を講じてまいりたい、かように思っているところであります。
○池坊分科員 就学前の子供を保護する人間は深夜業は勘案されるということでございますが、深夜業務というのは十時から五時ということで、例えば就学前というと、四歳、三歳、そのような子供でございます。十時まで働いていたら、帰りますのは十一時になります。これは全く私は無意味なのではないか。本来的には、就学前の子供が母親を必要とするのは、自分が夜寝るときです。それは六時であったり、健全な子供というのは七時ぐらいには寝なければならないわけですから、七時、八時であってほしいのです。だから、深夜業務が十時ということにも私は多少疑問を感じております。これから女性が働くためにも、そして子供を育てていくためにも、やはり労働省の担う役割というのは大きいのではないかと思います。 もう時間が来たようでございますから、これから私たちが安心して働ける、そして働くことが喜びであるような、そういうような社会であってほしいと願って、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○根本主査 これにて池坊保子君の質疑は終了いたしました。 次に、石井郁子君。
○石井(郁)分科員 女子差別撤廃条約に基づいて我が国で男女平等が進むことを、私は女性として、政治家として強く願っているものです。一九八六年に均等法が施行されて十一年が経過しました。今国会でその改正が日程に上ったわけですけれども、この法律の施行によって雇用の男女差別が大きく解消されてきたのかというと、そのような実感は全くわかないと思います。 そこで伺いたいのですけれども、均等法の三十三条で、婦人少年室長は事業主に対して報告の徴収を求めて、助言、指導、勧告を行えることになっていますが、企業からの報告をとった中で、募集、採用から定年、解雇に至るまでの各項目の中で、一番問題が多く、助言を行ったのはどの部分なのか。また指導した件数、勧告を行った件数をお聞きしたいと思います。
○太田(芳)政府委員 お答えいたします。 均等法では、法第十四条と三十三条で婦人少年室長が助言、指導、勧告ができることになっておるわけでございます。先生お尋ねの三十三条に基づく助言件数でございますけれども、これは平成七年度で三千二百四十八件、法施行後の累計で二万七千七百二十八件に達しているところでございます。 それで、どのような内容が多いかということでございますが、最初のうちは、やはり十一条関係の定年、退職、解雇に関するものが圧倒的でございました。最近は、やはり女性たちの就職が厳しいというようなこともございまして、募集、採用の件数がふえておること、また配置、昇進等もふえているというような状況でございます。
○石井(郁)分科員 もう少し詳しく本当はお聞きしたいのですけれども、どうなんですか、平成七年度では、均等法七条部分、募集、採用に関する件が二千五百八十八件、約七七・二%を占めているのじゃないでしょうか。そのうち、指導件数二十四件、勧告件数はなし、これはいいですか。
○太田(芳)政府委員 これまでの状況から申しますと、これは六十一年から平成七年度まででございますが、三十三条で指導件数が百三十七件、勧告件数が三件でございまして、平成七年度についての勧告はございません。
○石井(郁)分科員 均等法七条の募集、採用に関する相談件数と助言指導件数、これが他に比べて非常に高い。七七%、約八割ですね。ですから、この募集、採用での男女差別がやはり広く存在しているということじゃないか。それは、法の定めが努力義務規定であったことや、労働省の指針、ガイドラインが明らかに男女差別に当たる部分しか規定してこないことなどが原因ではないかというふうに私は考えるわけであります。 今回の法改正で、この募集、採用に係る男女差別に対しては、現行法の努力義務規定から、「男性と均等な機会を与えなければならない。」と禁止規定になりました。今回の法改正で、募集、採用に関する差別的苦情とか実態というのは、それでは確実に解決されていくでしょうか。その点、いかがですか。
○太田(芳)政府委員 募集、採用につきましては、先生御指摘のように、これまでは事業主の改善の努力が求められるという努力義務規定だったわけでございますが、今回、禁止規定化によりまして、法に違反している場合は直ちにその是正が求められることになるわけでございますので、均等確保の実現に向けて、募集、採用の禁止規定化が与える影響というのは、これは非常に大きいというふうに考えているところでございます。
○石井(郁)分科員 現行の均等法は、女子であることのみを理由とする差別を規制の対象に限定してきました。そういう中で、従来からあった世帯主とか主たる生計維持者、そういう名目による女性の社宅入居の排除などは今でも続いているわけですね。 また、均等法施行後に、大企業では相次いでコース別採用、コース別雇用管理などが導入されてきました。これは、財団法人の女性職業財団が一九九〇年の六月に調査した結果によりますと、男子では学歴に限らず九九%が総合職です。女子は三・七%です。女性の九六・二%が一般職です。これはコース別を利用した、企業のいわば男女差別と言えるのじゃないか。 だから、このような脱法的な男女差別、言いかえれば間接差別の禁止というのは、雇用における男女差別をなくしていこうという均等法の本来の使命から考えたら、私は改正案に盛り込むべきではなかったのかというふうに思いますが、いかがですか。
○太田(芳)政府委員 いわゆる間接差別につきましては、まだその定義が明確でないわけでございますが、一般的には、やはり男女共通の基準であるにもかかわらず結果的に女性が不利になるものを指しているというふうに考えております。この間接差別につきましては、勤続年数を基準とした処遇もこれに該当するというような外国の例もございますことから、どのようなケースが差別とされるのかということにつきまして、やはりまだコンセンサス形成のために慎重な議論が必要であるものというふうに考えているわけでございます。 それから、先生御指摘のコース別雇用管理制度でございますけれども、これは各コースの職務内容とか処遇が明確に定められ、各コースが男女ともに開かれているということ、また各コース内における配置、昇進が男女公平に実施されている限りにおきましては均等法上の問題はないものでございますが、労働省におきましては、このようなコース別雇用管理制度が本来の趣旨に沿った運用がされますように、「コース別雇用管理の望ましいあり方」というものをつくりまして指導に努めているところでございます。
○石井(郁)分科員 コース別採用、コース別雇用管理についてもう少しお聞きをしたいというふうに思うのですね。 募集、採用に当たって、転勤に応じられるかどうかということを要件にして総合職から女性が締め出されている。また本店採用とか支店採用を口実にして、同じ仕事をしているのに昇進、昇格で女性の差別が続いているわけです。調べてみますと、その職務に転勤は必要でない場合もあります。また総合職の全員が必ずしも転勤しているのではないという事例も見受けられるわけです。だから、女性が転勤しにくいということから、それを踏み絵にして女性を男性と違うように振り分ける、そういう目的で行われている。だから、これは実態として女性差別の隠れみのだと言わざるを得ません。 このようなコース別採用、雇用管理という言い分を無限定に合法と認めていったら、男女差別を禁ずる均等法はすべて空洞化すると言えないでしょうか。こういう場合、企業に、その職務が転勤を不可欠とするのかどうか、同じ職務でありながら本店採用とか支店採用という区分に本当に合理性があるのかどうか、労働省としても調査を行うべきだというふうに思います。実態がなくて、また合理的な理由がない場合は、積極的に指導を行うべきだというふうに私は考えますが、どうでしょうか。
○太田(芳)政府委員 コース別雇用管理制度につきましては、先ほども御紹介いたしましたように、望ましいあり方というものを示してそれに基づきまして指導をしているわけでございまして、やはりこれはコースの定義と運用方法というのは明確にしなければいけないと思うわけでございます。そして各コースの職務内容、処遇につきましてきちっと明確に定めておくということも必要でございますし、また先ほど申しましたように、各コースにおいて男女の公平な採用、選考が望ましいわけでございます。各コースの制度導入時の振り分けを、性別を基準とするわけではなくて、やはり個々人の意欲、能力に従ったものにしなければいけないということでございますし、また女性が転勤しにくいというようなこともおっしゃいましたが、コース間の転換を認める制度というのも柔軟にしろというようなことで、私どもとしては、もしおかしいような、我々の「コース別雇用管理の望ましいあり方」に反しているようなものにつきましては、指導を積極的に進めているところでございます。
○石井(郁)分科員 私も、この婦人局の通達ですか、「コース別雇用管理の望ましいあり方」というのも見せていただいておりますけれども、ここでも、コース制において総合職は男女対象だけれども一般職は女子のみ対象という例が時々見受けられる、これは望ましいとは言えないというあなた方の一定の認識はやはりあるわけですね。それは、実態がもうそうなっているからですよ。その望ましいと言えない実態はいろいろある、まずそれに対してどうされるのかということなんですよ。 一つの例で申し上げますと、コースの転換ということを言われました。いろいろその調査の結果でも、企業の中の約三五%ぐらいがそういうコースの転換が認められていないということも出ていますね。では、そういう企業に対してどういう指導をされるのですか。一般的なことを言っているということだけでずっと済むのですか。
○太田(芳)政府委員 企業の女子労働者から、例えばコース別雇用管理制度をやっておられる企業で各コース別の転換制度がないというようなことがもし御相談がありましたら、そういう企業におけるコース別雇用管理制度について調査をいたし、本当に転換制度がないならば、ぜひ転換制度を設けていただくように企業に対して助言等をさせていただいているところでございます。
○石井(郁)分科員 私は、いわゆる採用区分という形で実際に男女差別がどんどん拡大をしているのだということを、ぜひやはり実態としてつかむべきだというふうに思うのですけれども、その上で、それはもう国際的にも大変な、この間接差別を禁止するということの流れになっておりますので、それで伺うわけですが、間接差別の禁止の必要については、国連の女子差別撤廃委員会が一九九五年の一月に最終コメントを出していますね。民間企業に均等法を守らせる、昇進及び賃金の両方で女性たちが直面している間接差別をなくすための措置をとり、報告しなければならない、これは日本政府に勧告したのじゃないでしょうか。これに対してどのように報告するつもりでしょうか。
○太田(芳)政府委員 先生御指摘のものは、第十四回の女子差別撤廃委員会の日本の報告に対するコメントであるというふうに承知をしておるところでございますけれども、先ほども申しましたように、いわゆる間接差別につきましては、どのようなケースが差別なのかということにつきまして、コンセンサス形成のためにより慎重な議論が必要であるというふうに考えるわけでございます。 労働省といたしましては、まずは諸外国や判例の動向、事例の収集に努めまして、引き続き検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○石井(郁)分科員 私は、ぜひ、実態に合わせてというか、実態をよく調査されまして、大変な日本のこの賃金、昇進、昇格における男女差別が広がっているわけですから、それにやはり労働省として正面から立ち向かってほしいというふうに申し上げておきたいと思います。 さて、次の問題ですけれども、今回、均等法と労基法の改悪がセットで出されていたわけであります。女性労働者の時間外労働規制、深夜業の禁止規定の削除というのが、大きな不安とまた皆さんの怒りも引き起こしています。 労働組合が、女子保護規定の撤廃に伴って、女子労働者を守るために残業時間や深夜業について男女異なる内容の労働協約や労使協定を締結した場合、労基法上は労使対等の立場で決定したもので何ら問題はないというふうに考えるわけです。ところが、岡野労働大臣、このような協約の締結について、均等法にもとるという趣旨の答弁を行っておられますけれども、その真意についてお伺いをしたいと思うわけです。どのような場合に均等法違反になるのでしょうか。
○岡野国務大臣 労働協約の中身といえども、やはり男女雇用機会均等法の精神に基づいて締結をしていただかなければならない、これは使用者にのみ課せられた責務ではありません。そういう意味合いでは、例えば当事業場は男子職員をもってのみ構成するのだとか、したがって採用は男子のみでありますとか、女子の定年は四十五歳で男子の定年は六十歳だというような差別のある中身の労働協約、就業規則は、当然でありますが、労働協約といえども、これはあってはならないことだ、かように存じております。
○石井(郁)分科員 女子のみであるということを条件にして残業時間に男女の差異を設ける、そのことによって賃金や昇格、昇進などの処遇面で差別を行った場合、また深夜業の職務から女子を排除した場合は均等法違反になるということですか。
○岡野国務大臣 当該事業場等で超過勤務をやらなければならない職場、あるいは深夜業務もやらなければならない職場、そういう職場において、女子については深夜業はまかりならないというような協約でありますならば、この仕事場は男性のみだというようなことで、今般均等法の改正によりまして、募集、採用あるいは配置、昇進というようなものについて差別を設けてはならないという配置についての違反である、かように存じております。
○石井(郁)分科員 それでは、労使協定や労働協約で、育児とか介護などで時間外、深夜業が困難な男女労働者の場合、こういうふうにして規定をしたら問題はないというふうに理解していいですか。
○太田(芳)政府委員 女性であるとか男性であるといった基準でその労働条件に関して男女異なる定めをすることは、大臣も申されましたように、雇用の分野における男女の均等な取り扱いを求める均等法の趣旨に反するものというふうに考えますが、先生御指摘のように、個々の労働者の家族的責任とか健康というようなものに配慮した内容の労働協約や就業規則を定めることは望ましいというふうに考えております。
○石井(郁)分科員 それでは次ですけれども、やはり育児の問題が大変重大ですね。女子の時間外労働規制、深夜業禁止が撤廃されると、本当に子供がどうなるのかということであります。 それで、この点で具体的に伺うのですが、基準法の六十七条、育児時間を定めておりますけれども、「生後満一年に達しない生児を育てる女子は、」「一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」というふうになっているわけですが、この育児時間の権利、これは今回の法改悪で大変困難になる、いわばとりにくいということが予想されるわけですけれども、どのように対処していくのでしょうか。
○太田(芳)政府委員 基準法六十七条に基づく育児時間につきましては、労働者が請求した場合は、使用者はその育児時間中は当該労働者を使用してはならないという規定でございます。この規定は、現行法におきましても、時間外労働とか深夜業の規制がかかっている女性でありましても、また規制の適用除外となっている女性に対しましてもひとしく適用されているものでございますので、今回の改正によって育児時間の取得に新たな支障が生じるものというふうには私どもは考えておらないところでございます。
○石井(郁)分科員 労基法の施行規則十二条の六に、使用者にそういう「育児等に必要な時間を確保できるような配慮」ということがありますから、私は、この点ではぜひ適正に、適正というか、徹底させていただきたいというふうに思うわけです。 私は、もう一点、特に学習権の問題あるいは保育体制の充実ということで伺っておきたいわけです。 大学の夜間部に通う女性、大変多うございますね。これは二万二千四百九十五人。ほか短大とか専門学校等々にも夜間に通う女性というのは最近大変ふえています。それから職場で仕事が終わってから、英会話とかあるいは転職のためのいろいろなキャリアアップのために専門学校に通う女性たちもたくさんおられるわけであります。今回の時間外労働規制の廃止などでこうした女性たちの学習権を脅かすことにならないのかという点で、文部省と労働省あるいは婦人少年室は何か協議を行ったでしょうか。
○太田(芳)政府委員 働きながら大学、短大等に通う者、これは十八歳以上の者と思うわけでございますので、今回深夜業が解禁されるわけでございますけれども、これらの者につきましては、企業において当該労働者の学習の機会を奪うことがないように配慮されることが重要であるというふうに考えるわけでございます。 これまでも企業においては男性、女性を問わず適切な配慮がなされてきたものというふうに認識をしているところでございますし、これまで深夜業が規制されていた女子労働者につきまして新たに深夜業をさせることができるように就業規則や労働協約を変更するに当たりましては、御指摘の点も含めまして、労使間において十分話し合うことが望ましいというふうに考えております。その旨の周知徹底は図っていきたいと思っております。 そういう点で、御指摘の、文部省と協議すべきではないかというところでございますが、現段階におきましては文部省と協議する必要性はないものと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、法の施行状況につきましては的確な把握に努めていきたいというふうに思っております。
○岡野国務大臣 ちょっと補足をいたします。 先生、夜学校へ行きますのは男子も女子も同じようであります。したがいまして、同じように処遇をしようといいますのが均等法の趣旨だというふうにまず御理解を賜りたい、かように存じます。
○石井(郁)分科員 それはもう当然のことでありまして、重々承知の上でのことでありますけれども、やはり女性に教育の機会を保障するということは大変大事だという点で、それと今回の改定の問題とが非常に関連するということで言っているわけであります。 私は、御答弁で文部省と協議をしていないということが一つ大変ひっかかるわけですね。それはまた後でちょっと申し上げたいと思います。 もう一つの問題は、労基法で時短の名目のもとに変形労働時間制、フレックスタイムが導入されて、今回は女子の保護規定が廃止されるわけであります。ですから、ますますいわば学習権、学習の機会ということが本当に少なくなっていく。この学習権が狭められるということに私は大変問題意識を感じているわけで、この点は十二年前にもやはり大きな問題だったのじゃないでしょうか。そのときに設けられた労基法の施行規則十二条の六、育児を行う者等に対する配慮の規定の周知ですね。先ほどちょっと触れましたけれども、この周知を本当にどのようにしていくのかという問題です。これを重ねて伺っておきたいというふうに思います。
○太田(芳)政府委員 先生御指摘の育児時間等々の周知につきましては、やはり事業主や女子労働者に対して周知徹底を図るということで、女性労働者が働きやすい状況を確保できるように、これまでも努めてまいりましたけれども、引き続き私どもの出先機関等々を通じまして努めてまいりたいと思っております。
○石井(郁)分科員 文部省と同じように、厚生省との関係も重大なんです。先ほど育児のことも触れましたけれども、やはり、この保護規定の廃止で、保育所や学童保育所の増設、拡充が非常に大事だ。また、保育時間の延長などが行われなければ仕事を続けられないということになるわけですね。だから、今度は厚生省に対しては、女性の労働権を守るという立場から、あるいは子供の健全な育成というような立場からも、こうした対策について厚生省とどのような事前の協議をされたのでしょうか。
○太田(芳)政府委員 労働省では、平成六年に労働、厚生、文部、建設の四省庁で策定いたしましたエンゼルプランに沿いまして、厚生省も含めました関係省庁と連携を図りつつ、男性、女性の雇用環境の整備に取り組んでいるところでございます。保育所等々を初め、子供を持ちたい人たちが安心して子供を産み育てる環境の整備というようなことで、厚生省とも必要な連絡調整を適宜行っているところでございます。 女子保護規定の解禁につきましては、またその状況を見て厚生省とも協議はきちっとしていきたい、いろいろと働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。
○石井(郁)分科員 私は、今ずっと見てみますと、文部省や厚生省との協議は十分されない状況の中で、とにかく先に女子の時間外や深夜業の規制の撤廃だけがありきというのが大変問題だというふうに思うのですね。 日本の社会で女性が働き続けられる環境というのは今も大変貧困だ。さらに、その上で時間外規制だけは取っ払われるということになったら、女性にとっても子供にとってもどういう事態になるのかということは考えられるわけですから、そういう意味での協議というか、事前のそういうことが大変大事だということを強調したいというふうに思うのです。 そしてもう一点、それは、ただそのことを主張するというだけじゃなくて、私は労働省の婦人局はそういうことをするところではないのかというふうに考えているからであります。婦人局は、労働省設置法に基づいて、他の省庁との連絡調整の事務権限が法定されているのじゃないでしょうか。だから、そういう意味ではどうして積極的な協議をしないのかという点を大変不思議にも思うわけですね。その点、重ねて伺っておきたいと思います。
○太田(芳)政府委員 婦人局は、先生御指摘のように、女性の地位向上に関する連絡調整ということになっておりまして、それぞれ時代に応じた形での連絡調整というものにつきましては、それなりに一生懸命やらせていただいているつもりでございます。 今回の均等法に関しましても、女性たちの働きやすい状況をさらに進めるという観点からのものであるというふうに考えておりますし、今後とも、そういういろいろ問題が起こった場合には、各省庁ときちっと話し合い等を進めていきたいというふうに考えております。
○石井(郁)分科員 最後に、大臣に御質問したいというふうに思います。 労働時間の短縮は世界の流れであります。日本も労働時間短縮計画を閣議で決定して、国際公約にもなっているわけです。しかし、計画期間が過ぎても達成できておりません。逆に年間の実総労働時間がふえてさえいるわけですね。だから、時短を進めようとすれば、どうしても労基法三十六条を改正する、労使協定に任せるのではなくて、法的な上限規制を行うことが必要だというふうに思います。女子の労働時間規制を廃止するのではなくて、労働者が人間らしい生活を営めるように、男女共通の法的規制に踏み切るべきだというふうに思います。 こういう立場から、中央労働基準審議会に、男女共通の時間外労働、深夜業の規制の必要を諮問すべきだというふうに思いますけれども、大臣のこの点での御決意をぜひお伺いをしたいというふうに思います。
○岡野国務大臣 私どもが十年来の懸案の週四十時間労働制というものを、おかげさまで時短促進法を可決成立していただきましたこと、先ほどお話をしましたが、ルビコンをこれで渡ることができた、こう思っております。 ただ、そういうことで鋭意国民の皆さんと一緒にこの実態というものをつくりたい、こう思っておりますが、四十四時間でまいりましたものが四月一日から四十時間ということになりますと、その間でやはりとうばはどうしても超過勤務をやらなければならないという現象も起きるだろう。それから、景気の好不況によりまして、労働力の需給調整といいますものも時間外労働にかかっている面が大きゅうございます。そういうようなことで、今の時点におきまして、法的にこういった新たな、先生がおっしゃるような共通規制というものを設けるわけにまいるまい。 ただしかし、時間外労働でありますとか休日労働というもののあり方につきまして、私は、先般、中央労働基準審議会の諸先生にお諮りをいたし、またほかの案件も数多くございます。基準法ができ上がって五十年、したがって、もう一度あれやこれや見直そうということで対処をいたしているところであります。
○石井(郁)分科員 質問を終わります。ありがとうございました。
○根本主査 これにて石井郁子君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして労働省所管の質疑は終了いたしました。 —————————————
○根本主査 これより厚生省所管、環境衛生金融公庫について審査を行います。 まず、概要説明を聴取いたします。鈴木厚生政務次官。
○鈴木(俊)政府委員 平成六年度及び平成七年度の厚生省所管一般会計及び特別会計の決算の概要につきまして御説明申し上げます。 まず、平成六年度の一般会計の歳出決算額につきましては、歳出予算現額十四兆一千四百八十億二千六百七十三万円余に対し、支出済み歳出額十三兆九千七百八十四億三百七十三万円余、翌年度繰越額千二百二十一億二千四百八十三万円余、不用額四百七十四億九千八百十六万円余で決算を結了いたしました。 続きまして、平成七年度の一般会計の歳出決算額につきまして申し上げます。 歳出予算現額十五兆一千九百四十七億九千二百八十二万円余に対し、支出済み歳出額十四兆九千二百九十億七千三百三十五万円余、翌年度繰越額一千八百七十九億二百六十四万円余、不用額七百七十八億一千六百八十一万円余で決算を結了いたしました。 次に、平成六年度の特別会計の決算について申し上げます。 第一に、厚生保険特別会計につきましては、収納済み歳入額から支出済み歳出額及び翌年度繰越額を差し引いた六兆六千六百十七億四千九十九万円余については、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れ、また、事業運営安定資金及び特別保健福祉事業資金に組み入れることとして、決算を結了いたしました。 第二に、船員保険特別会計につきましては、収納済み歳入額から支出済み歳出額及び超過受入額を差し引いた六十八億四千七百六十五万円余について、この会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 第三に、国立病院特別会計につきましては、収納済み歳入額から支出済み歳出額及び翌年度繰越額を差し引いた五百三十三億六千七百二十七万円余について、この会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 第四に、国民年金特別会計につきましては、収納済み歳入額から支出済み歳出額及び超過受入額を差し引いた一兆七千百七十億九千三百六十八万円余について、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 最後に、平成七年度の特別会計の決算について申し上げます。 第一に、厚生保険特別会計につきましては、収納済み歳入額から支出済み歳出額及び翌年度繰越額を差し引いた七兆二千七百八十一億八千百四十八万円余について、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れ、また、事業運営安定資金及び特別保健福祉事業資金に組み入れることとして、決算を結了いたしました。 第二に、船員保険特別会計につきましては、収納済み歳入額から支出済み歳出額及び超過受入額を差し引いた六十七億四千十三万円余について、この会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 第三に、国立病院特別会計につきましては、収納済み歳入額から支出済み歳出額及び翌年度繰越額を差し引いた六百十六億八千五百五十六万円余について、この会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 第四に、国民年金特別会計につきましては、収納済み歳入額から支出済み歳出額及び超過受入額を差し引いた一兆八千八百七億八千六百十五万円余について、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 以上をもちまして、厚生省所管に属する平成六年度及び平成七年度の一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○根本主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸田第二局長。
○諸田会計検査院説明員 平成六年度厚生省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八十件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号四二号は、健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収額が不足していたものであります。 検査報告番号四三号は、厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号四四号は、処置料、入院時医学管理料、看護料等の診療報酬の支払いが適切でなく、これに対する国の負担が不当と認められるものであります。 検査報告番号四五号から五三号までの九件は、生活保護費負担金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号五四号から八九号までの三十六件は、老人福祉施設保護費負担金の算定において、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたものであります。 検査報告番号九〇号から一一七号までの二十八件は、児童保護費等負担金の算定において、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたものであります。 検査報告番号一一八号から一二一号までの四件は、国民健康保険の財政調整交付金が過大に交付されていたものであります。 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。 これは、在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業分)の精算に関し、活動の実績がないかまたは著しく低い常勤のホームヘルパーについて、その活動の実績を考慮することなく、一律に給料等の月額により補助対象事業費を算定している事態が見受けられましたので、厚生省に対し、是正改善の処置を要求したものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 その一は、国民健康保険の財政調整交付金の算定に関し、保健施設費の額から個人負担分等の収入額が控除されておらず、交付金が過大に交付されていましたのでこれについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。 その二は、補助事業による合併処理浄化槽の設置に関し、規模の決定が居住人員の実情を考慮して行われていなかったため、補助金が過大に交付されていましたのでこれについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。 次に、平成七年度厚生省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項百八件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号三八号は、健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収額が不足していたものであります。 検査報告番号三九号は、厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正に行われていなかったものであります。 検査報告番号四〇号は、処置料、初診料・再診料、看護料等の診療報酬の支払いが適切でなく、これに対する国の負担が不当と認められるものであります。 検査報告番号四一号から四八号までの八件は、生活保護費負担金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号四九号から八八号までの四十件は、老人福祉施設保護費負担金の算定において、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたものであります。 検査報告番号八九号から一一一号までの二十三件は、児童保護費等負担金の算定において、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたものであります。 検査報告番号一一二号は、国民健康保険の療養給付費補助金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号一一三号から一三一号までの十九件は、国民健康保険の療養給付費負担金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号一三二号から一四五号までの十四件は、国民健康保険の財政調整交付金が過大に交付されていたものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 その一は、特別養護老人ホーム等の医師の人件費の算定及び入院患者日用品費の支給等に関し、医師の人件費単価が勤務実態に即していなかったため医師の人件費が過大に支払われていたり、入院患者日用品費が入院した老人に対して支給されていないなど、経理処理が適切に行われていなかったりしておりましたのでこれについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。 その二は、国民健康保険の療養給付費負担金の交付に当たり、国民健康保険の退職被保険者等の資格の異動処理を的確に行っていなかったため、療養給付費負担金が過大に交付されておりましたのでこれについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。 その三は、療養環境加算等の診療報酬の算定に関し、医師の数が標準人員を満たしていないのに、入院環境料の療養環境加算等を算定していたため、医療費の支払いが不適正となっておりましたのでこれについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。 以上をもって概要の説明を終わります。
○根本主査 次に、会計検査院森下第五局長。
○森下会計検査院説明員 平成六年度環境衛生金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。 また、平成七年度環境衛生金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
○根本主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。鈴木厚生政務次官。
○鈴木(俊)政府委員 平成六年度及び平成七年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾にたえないところであります。 御指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正を期する所存であります。
○根本主査 この際、お諮りいたします。 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○根本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 平成六年度厚生省所管(一般会計及び特別会計)決算に関する概要説明 厚 生 省 平成六年度厚生省所管一般会計及び特別会計の決算につきまして御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算額につきましては、当初予算額一三兆六、一〇八億八、〇八六万円余でありましたが、その後、予算補正追加額三、一九七億四七二万円余、予算補正修正減少額五九〇億九、四六八万円余、予算移替増加額七五六億二、五一六万円余、前年度繰越額九五四億四、三〇九万円余、予備費使用額一、〇五四億六、七五七万円余、差引五、三七一億四、五八六万円余を増加し、歳出予算現額は一四兆一、四八〇億二、六七三万円余となりました。 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一三兆九、七八四億三七三万円余、翌年度繰越額は一、二二一億二、四八三万円余、不用額は四七四億九、八一六万円余で決算を結了いたしました。 次に、その主な事項につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一は、生活保護費であります。 生活保護費につきましては、生活保護法による生活扶助、住宅扶助、教育扶助等に要する経費として、総額一兆七三七億七、五一四万円余を支出しております。 第二は、社会福祉費であります。 老人福祉費につきましては、老人保健法に基づく老人医療の給付に必要な経費のほか、特別養護老人ホーム等の運営に要する経費として、一兆九、七六九億三、〇三六万円余を支出しております。 また、寝たきり老人等に対する在宅福祉対策として、ホームヘルプサービス事業、デイサービス事業、ショートステイ事業等に要する経費を支出しております。 児童保護費につきましては、児童福祉対策、障害児(者)対策、母子保健衛生対策に要する経費として、五、六三三億五、六六四万円余を支出しております。 さらに、児童扶養手当及び特別児童扶養手当につきましては、これらの支給に要する経費として、三、〇四一億九、七九四万円余を支出しております。 また、身体障害者の福祉対策として、「障害者の明るいくらし」促進事業、障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業、身体障害者デイサービス事業、障害者のための小規模作業所に対する助成、在宅の重度障害者に対する特別障害者手当等の支給及び身体障害者更生援護施設の運営のための経費を支出しております。 このほか、社会福祉施設整備費につきましては、特別養護老人ホーム、障害者福祉施設等の各種社会福祉施設及び地方改善施設の整備に対して一、五二二億六、三六五万円余を支出しております。 以上、社会福祉費として、総額三兆二、六六六億九、四〇七万円余を支出しております。 第三は、社会保険費であります。 国民健康保険事業につきましては、平成六年度末における保険者数は、三、四一七であり、その被保険者数は、四、二八一万余人となっております。 平成六年度におきましては、国民健康保険の医療及び事務等に要する経費として、二兆八、三三六億九、〇九一万円余を支出しております。 また、社会保険国庫負担、厚生年金保険国庫負担及び国民年金国庫負担に要する経費として、五兆三、三一五億四、四一四万円余を支出しております。 このほか、児童手当の給付及び事務に要する経費として、一〇六億二、八一三万円余を支出しております。 以上、社会保険費として、総額八兆一、八九八億六、六〇二万円余を支出しております。 第四は、保健衛生対策費であります。 原爆障害対策費につきましては、医療特別手当、健康管理手当等の支給に要する経費として、一、三八九億九、五二九万円余を支出しております。 精神保健費につきましては、精神保健法に基づく措置入院及び通院医療の公費負担に要する経費として、四一二億二、二〇八万円余を支出しております。 このほか、結核医療費として、二八四億五、六四八万円余、疾病予防及び健康づくり推進、保健所、ハンセン病予防対策、老人保健法による保健事業に要する経費等の保健衛生諸費として、一、〇六〇億四、二二五万円余を、それぞれ支出しております。 以上、保健衛生対策費として、総額六、三二六億四、九九〇万円余を支出しております。 第五は、遺族及び留守家族等援護費であります。 戦傷病者戦没者遺族等の援護対策につきましては、遺族年金等について恩給の引上げに準じて額の引上げを行ったほか、ソ連抑留中死亡者等に関する慰霊事業、戦没者追悼平和祈念館(仮称)事業、中国残留邦人等の援護事業等のための経費を支出し、遺族及び留守家族等援護費として、総額一、一八〇億六、三五三万円余を支出しております。 第六は、環境衛生施設整備費であります。 環境衛生施設の整備を推進するため、平成六年度は、廃棄物処理施設二、五八八か所、簡易水道等施設九九七か所、水道水源開発等施設五三一か所の整備に対して、環境衛生施設整備関係費として、総額四、一一一億五、三五七万円余を支出しております。 次に、特別会計の決算の概要につきまして御説明申し上げます。 第一は、厚生保険特別会計の決算であります。 厚生保険特別会計につきましては、一般会計から三兆八、九九一億二、七八四万円余を繰り入れました。 まず、健康勘定の決算額について申し上げますと、収納済歳入額八兆一、三四一億六、四八〇万円余、支出済歳出額八兆一、五六四億二、五三四万円余でありまして、差引二二二億六、〇五四万円余の不足については、事業運営安定資金から補足することとして、決算を結了いたしました。 なお、平成六年度末の事業所数は、一四四万余か所、年度平均被保険者数は、一、九六三万余人に達しております。 次に、年金勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額三四兆七、二〇五億六、七四四万円余、支出済歳出額二八兆六二七億九、九五二万円余でありまして、差引六兆六、五七七億六、七九二万円余については、この勘定の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、平成六年度末の事業所数は、一五八万余か所、年度平均被保険者数は、三、二七四万余人に達しております。 次に、制度間調整勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額九兆五、九五四億五、五五五万円余、支出済歳出額九兆五、九五四億五、五五五万円余で、決算を結了いたしました。 次に、児童手当勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額二、一二三億四、九一九万円余、支出済歳出額二、〇〇一億六、八九三万円余、翌年度繰越額一億二、二四七万円余でありまして、差引一二〇億五、七七九万円余については、二〇億五、六七七万円余をこの勘定の積立金から補足し、一四一億一、四五六万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 なお、年度平均支給対象児童数は、二一五万余人であります。 最後は、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額六、六八八億五、七〇九万円余、支出済歳出額六、五二七億一、八九九万円余、翌年度繰越額一九億六、二二八万円余でありまして、差引一四一億七、五八二万円余については、このうち、四三億九、四九五万円余については、事業運営安定資金に、三五億一、七九四万円余については、年金勘定の積立金に、一八億五、八四九万円余については、特別保健福祉事業資金に組み入れ、四四億四四三万円余については翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 第二は、船員保険特別会計の決算であります。 船員保険特別会計につきましては、一般会計から六一億九、五七八万円余を繰り入れました。 その決算額は、収納済歳入額一、一一九億二九六万円余、支出済歳出額一、〇四四億八、八九一万円余、超過受入額五億六、六三九万円余でありまして、差引六八億四、七六五万円余については、この会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、年度平均被保険者数は、一〇万余人であります。 第三は、国立病院特別会計の決算であります。 国立病院特別会計につきましては、一般会計から二、四一一億六、五〇五万円余を繰り入れました。 まず、病院勘定の決算額について申し上げますと、収納済歳入額六、一六三億一、五九〇万円余、支出済歳出額五、八五三億二、二八六万円余、翌年度繰越額一〇八億三、七〇五万円余でありまして、差引二〇一億五、五九八万円余については、この勘定の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、平成六年度の事業概況を申し上げますと、入院患者数は、一日平均二万七千余人、外来患者数は、一日平均四万七千余人であります。 次に、療養所勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額四、八七〇億二、四六〇万円余、支出済歳出額四、五〇三億三、四五四万円余、翌年度繰越額三四億七、八七六万円余でありまして、差引三三二億一、一二九万円余については、この勘定の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、平成六年度の事業概況を申し上げますと、入院患者数は、一日平均三万七千余人、外来患者数は、一日平均一万八千余人であります。 第四は、国民年金特別会計の決算であります。 国民年金特別会計につきましては、一般会計から一兆四、三六八億四、八六五万円余を繰り入れました。 まず、基礎年金勘定の決算額について申し上げますと、収納済歳入額一一兆一、三一二億二、五三九万円余、支出済歳出額九兆九、六九七億六、九一四万円余でありまして、差引一兆一、六一四億五、六二四万円余については、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 次に、国民年金勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額六兆四、九一一億七、二九二万円余、支出済歳出額五兆八、一五一億八、四四三万円余、超過受入額一、五二八億八、七四六万円余でありまして、差引五、二三一億一〇二万円余については、この勘定の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、平成六年度末の被保険者数は、三、〇九五万余人であります。 次に、福祉年金勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額二、二九二億四、八三八万円余、支出済歳出額二、〇一九億五、〇五〇万円余でありまして、差引二七二億九、七八八万円余については、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 最後は、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額一兆八、三八五億二、七九四万円余、支出済歳出額一兆八、三三二億八、九四一万円余でありまして、差引五二億三、八五三万円余については、このうち、一二億九、八五四万円余を国民年金勘定の積立金に組み入れ、三九億三、九九八万円余については、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 以上をもちまして、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ………………………………… 平成六年度決算厚生省についての検査の概要に関する主管局長の説明 会計検査院 平成六年度厚生省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八十件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号四二号は、健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもので、 (ア) 土木建築業を対象とする国民健康保険組合に加入していて日雇労働者として取り扱っている従業員を雇用している事業主、 (イ) 地方公共団体であって正規職員以外に嘱託職員等を雇用している事業主、 (ウ) 特別支給の老齢厚生年金の裁定を受け年金の額の全部を支給されている受給権者を雇用している事業主 などが制度を十分理解していなかったりなどして、保険料算定の基礎となる (ア) 日雇労働者として取り扱っている従業員、 (イ) 地方公共団体の嘱託職員等、 (ウ) 特別支給の老齢厚生年金の受給権者等 に係る被保険者資格取得届の提出を怠っていたものなどがあったのに、これに対する調査確認及び指導が十分でなかったため、保険料の徴収額が不足していたものであります。 検査報告番号四三号は、厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正でなかったもので、年金の受給権者が被保険者資格を取得した際の被保険者資格取得届の提出を事業主が怠っていたものなどがあったのに、これに対する調査確認及び指導が十分でなかったため、老齢厚生年金等及び老齢基礎年金の支給が適正を欠いたものであります。 検査報告番号四四号は、医療費に係る国の負担が不当と認められるものであります。 これは、被保険者等が医療機関で診察、治療等の診療を受けた場合、老人保健制度、医療保険制度及び公費負担制度により保険者等がその費用を医療機関に診療報酬として支払うことになっておりますが、処置料、入院時医学管理料、看護料、検査料、老人基本診療料、リハビリテーション料、注射料等について医療機関から不適正な診療報酬の請求があったのに審査点検が十分でなかったことなどのため、保険者等における医療費の支払が適切でなく、国の負担が適正を欠いたものであります。 検査報告番号四五号から五三号までの九件は、生活保護費負担金の経理が不当と認められるものであります。 この負担金は、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、資産及び能力等あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する者に対し保護を行う場合に、その実施に要する費用の一部を負担するものであります。そして、東京都世田谷区ほか八事業主体では、保護費を不適正に支給したため、国庫負担金が過大に交付されていたものであります。このうち検査報告番号四五号から五二号までの八件は、年金を受給していたり、被保護者が就労していて相当額の収入を得ていたりしているのに、被保護世帯から事実と相違した届出がなされ、これにより収入を実際の額より過小に認定して保護費の額を決定していたものであります。また、検査報告番号五三号は、被保護者に健康保険の適用があるのにないとして、同人に係る診療報酬の全額を負担し、これを医療機関に支払うこととして保護費の額を決定していたものであります。 検査報告番号五四号から八九号までの三十六件は、老人福祉施設保護費負担金の経理が不当と認められるものであります。 この負担金は、身体上又は精神上の理由等により養護を要する老人を特別養護老人ホーム等に入所させ養護した市町村(特別区を含む。)に対して費用の一部を負担するものであります。そして、北海道北見市ほか三十五事業主体では、国庫負担対象事業費の精算に当たり、入所者やその扶養義務者からの徴収金の額を過小に算定していたり、徴収金の額の集計を誤っていたりしていたため、国庫負担金が過大に精算されていたものであります。 検査報告番号九〇号から一一七号までの二十八件は、児童保護費等負担金の経理が不当と認められるものであります。 この負担金は、保育に欠ける児童を保育所に入所させ保育した市町村(特別区を含む。)に対して、その措置に要する費用の一部を負担するものであります。そして、青森県西津軽郡鯵ケ沢町ほか二十七事業主体では、国庫負担対象事業費の精算に当たり、児童の扶養義務者からの徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担金が過大に精算されていたものであります。 検査報告番号一一八号から一二一号までの四件は、国民健康保険の財政調整交付金の交付が不当と認められるものであります。 これは、呉市ほか三市村において、財政調整交付金の交付額算定の基礎となる保健施設費支出額を過大に計上したり、保険料の収納割合を事実と相違した高い割合としたり、国民健康保険直営診療施設の年間診療実日数を過大に計上したりしていたこと、及びこれに対する広島県ほか三県の審査が十分でなかったことなどのため、財政調整交付金が過大に交付されていたものであります。 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。 これは、在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業分)の精算に関するものであります。 在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業分)は、市町村が在宅の寝たきり老人等の家庭に対してホームヘルパーを派遣し、老人等の日常生活の援助などを行う場合に、その実施に要する費用の一部を補助するものであります。そして、この補助金の交付額については、老人等の家庭に対してホームヘルパーを実際に派遣しホームヘルプサービス活動を行った実績により算定することになっております。しかし、調査したところ、活動の実績が全くないか又は著しく低い常勤のホームヘルパーについて、その活動の実績を考慮することなく、一律に給料等の月額により補助対象事業費を計上していたため、補助金が過大に交付されておりました。 したがいまして、厚生省において、ホームヘルパーの活動の実績により補助金の精算を適正に行うよう都道府県及び市町村に周知徹底し、実績報告の内容の審査を十分行うよう是正改善の処置を要求いたしたものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 その一は、国民健康保険の財政調整交付金の算定に関するものであります。 国民健康保険では、各市町村が被保険者の健康の保持増進のために必要な人間ドックなどの健康診査をはじめとして各種の保健施設事業を実施しております。そして、財政調整交付金においても、保健施設事業に要した費用を普通調整交付金及び特別調整交付金の保健施設費特別交付金の算定対象経費として、交付金を算定することとなっております。 保健施設事業を実施するに当たり、人間ドックなどの受診費用について、受診者から個人負担分を徴収して国民健康保険特別会計に収納し、これに市町村の負担分を加えて医療機関に支払う場合があります。この場合に、個人から徴収する個人負担分が多額であった北海道ほか十五府県の北見市ほか三十九市町村について調査したところ、財政調整交付金の交付申請に当たり、個人負担分等収入額があるのに、その収入額を控除しないで、保健施設費を算定していたため、財政調整交付金が過大に交付されていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、厚生省では、七年十一月に各都道府県に対し通知を発し、個人負担分等の収入額の具体的な取扱いを交付申請書の様式で示すなど明確にするとともに、これを市町村に対して周知徹底させる処置を講じたものであります。 その二は、補助事業による合併処理浄化槽の設置に関するものであります。 厚生省では、合併処理浄化槽の計画的整備を実施する市町村に対し、合併処理浄化槽設置整備事業費補助金を交付しております。 この補助事業によって設置された合併処理浄化槽の規模と居住人員とについて調査しましたところ、居住人員が合併処理浄化槽の人槽の二分の一以下となっていて、かつ、設置時点から居住人員が増加していないものが約四割見受けられました。 これらについて、JIS算定基準のただし書を適用して、建物の延べ面積だけでなく居住人員の実情も考慮した規模のものを設置することとすれば良いと認められましたので、当局に見解をただしましたところ、厚生省では、七年十月に各都道府県に対して通知を発して、JISの算定基準の適用について関係機関との連絡・調整を図るとともに、合併処理浄化槽の設置者に対してその算定基準の内容を十分周知するよう、事業主体を指導するなどの処置を講じたものであります。 なお、以上のほか、平成四年度決算検査報告に掲記いたしましたように、柔道整復師の施術に係る療養費の支給について及び平成五年度決算検査報告に掲記いたしましたように、児童保護費等負担金(保育所分)の算定における児童の属する世帯の階層区分及び年金の支給に係る過誤払の防止について、それぞれ処置を要求いたしましたが、これらに対する厚生省の処置状況についても掲記いたしました。 以上をもって概要の説明を終わります。 ………………………………… 平成六年度決算検査報告に対する説明 厚 生 省 平成六年度の決算検査報告において、不当事項として指摘を受けましたものは、健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収額が不足していたもの一件、厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正でなかったもの一件、医療費に係る国の負担が不当と認められるもの一件、生活保護費負担金、老人福祉施設保護費負担金及び児童保護費等負担金の補助事業の経理が不当と認められるもの七十三件、国民健康保険の財政調整交付金の交付が不当と認められるもの四件であります。 意見を表示され又は処置を要求された事項は、在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業分)の精算がホームヘルパーの活動の実績を反映したものとなるようにすることであります。 不当事項として指摘を受けたもののうち、保険料の徴収不足については、既に徴収決定を完了し、これに基づき目下その収納に鋭意努力しているところでありますが、今後とも、適用事業主に対し、被保険者資格取得届等の適正な届出のための指導・啓発の徹底を図るとともに、実地調査等のなお一層の強化を図り、保険料の徴収不足の解消に努力いたす所存であります。 厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正でなかったとして指摘を受けたものについては、既に返還の措置を講じたところでありますが、今後とも、年金受給権者及び適用事業主に対し、被保険者資格取得届等の適正な届出のための指導・啓発の徹底を図るとともに、関係書類の審査等のなお一層の強化を図り、その支給の適正化に努力いたす所存であります。 医療費に係る国の負担が不当と認められるとして指摘を受けたものについては、既に返還の措置を講じたところでありますが、今後とも診療報酬明細書の点検、調査の充実・強化及び保険医療機関等に対する指導の積極的な実施について、都道府県に対し、指導の徹底を図り、適正な保険診療が確保されるよう努力いたす所存であります。 生活保護費負担金、老人福祉施設保護費負担金及び児童保護費等負担金の過大精算のため不当であるとの指摘を受けたものについては、既に返還の措置を講じたところでありますが、今後は、このようなことのないよう事業主体に対する指導を一層徹底し、補助事業の適正な執行に万全を期する所存であります。 国民健康保険の財政調整交付金の交付が不当と認められるとして指摘を受けたものについては、既に返還の措置を講じたところでありますが、今後とも、保険者に対し、適正な交付申請等のための指導・啓発の徹底を図るとともに、国及び都道府県においても交付申請書の審査等のなお一層の強化を図り、財政調整交付金の適正な交付に努力いたす所存であります。 意見を表示され又は処置を要求された在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業分)の精算がホームヘルパーの活動の実績を反映したものとなるようにすることについては、御指摘の趣旨を踏まえ、具体的な取扱いの基準を明確に示すなど所要の措置を講じたところであります。 ————————————— 平成六年度環境衛生金融公庫の業務の概況 環境衛生金融公庫の平成六年度の業務の概況につきまして御説明申し上げます。 環境衛生金融公庫は、公衆衛生の見地から国民の日常生活に密接な関係のある環境衛生関係の営業について、衛生水準を高め、及び近代化を促進するために必要な資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって公衆衛生の向上及び増進に資することを目的とするものであります。 平成六年度の貸付計画額は、三千六十億円を予定いたしました。 この計画に対しまして、貸付実績は、三千一億円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、九・七パーセントの減となっております。 次に貸付残高について、御説明申し上げます。 平成五年度末における貸付残高は、一兆二百九十八億九千万円余でありましたが、平成六年度中に三千一億四千万円余の貸付を行い、二千四十六億四千万円余を回収いたしましたので、平成六年度末における貸付残高は、一兆一千二百五十三億九千万円余となっております。 なお、貸付金の延滞状況につきましては、平成六年度末におきまして延滞後六カ月以上経過したものが、百七十二億一千万円余でありまして、このうち一年以上のものは、百四十五億一千万円余で総貸付金残高の一・三パーセントとなっております。 次に平成六年度の収入支出決算について御説明いたします。 まず、収入におきましては、収入済額は、六百十四億七千万円余でありまして、これを収入予算額六百三十二億円余に比較しますと、十七億二千万円余の減少となっております。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入が予定より少なかったためであります。 次に、支出におきましては、支出済額は、六百十二億九千万円余でありまして、これを支出予算現額六百七十七億円余に比較しますと、六十四億一千万円余の減少となっておりますが、これは借入金利息等が予定より減少したためであります。 最後に平成六年度における損益について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は、六百四十一億八千万円余、借入金利息、業務委託費、事務費、貸倒引当金繰入等の総損失は、六百四十一億八千万円余となりました。 この結果、利益金は生じなかったので国庫納付はありませんでした。 以上が、平成六年度における環境衛生金融公庫の業務の概況であります。 なにとぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ————————————— 平成七年度厚生省所管(一般会計及び特別会計)決算に関する概要説明 厚 生 省 平成七年度厚生省所管一般会計及び特別会計の決算につきまして御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算額につきましては、当初予算額一四兆一一四億七、五五七万円余でありましたが、その後、予算補正追加額九、七七五億八、一九一万円余、予算補正修正減少額三三四億九、六五八万円余、予算移替増加額八八六億一、〇二五万円余、前年度繰越額一、二二一億二、四八三万円余、予備費使用額二八四億九、六八三万円余、差引一兆一、八三三億一、七二四万円余を増加し、歳出予算現額は一五兆一、九四七億九、二八二万円余となりました。 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一四兆九、二九〇億七、三三五万円余、翌年度繰越額は一、八七九億二六四万円余、不用額は七七八億一、六八一万円余で決算を結了いたしました。 次に、その主な事項につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一は、生活保護費であります。 生活保護費につきましては、生活保護法による生活扶助、住宅扶助、教育扶助等に要する経費として、総額一兆一、六四五億二、八九七万円余を支出しております。 第二は、社会福祉費であります。 老人福祉費につきましては、老人保健法に基づく老人医療の給付に必要な経費のほか、特別養護老人ホーム等の運営に要する経費として、二兆二、四六〇億四四三万円余を支出しております。 また、寝たきり老人等に対する在宅福祉対策として、ホームヘルプサービス事業、デイサービス事業、ショートステイ事業等に要する経費を支出しております。 児童保護費につきましては、児童福祉対策、障害児(者)対策、母子保健衛生対策に要する経費として、五、八四二億四、七四六万円余を支出しております。 さらに、児童扶養手当及び特別児童扶養手当につきましては、これらの支給に要する経費として、三、二六四億二、六三七万円余を支出しております。 また、身体障害者の福祉対策として、「障害者の明るいくらし」促進事業、障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業、身体障害者デイサービス事業、障害者のための小規模作業所に対する助成、在宅の重度障害者に対する特別障害者手当等の支給及び身体障害者更生援護施設の運営のための経費を支出しております。 このほか、社会福祉施設整備費につきましては、特別養護老人ホーム、障害者福祉施設等の各種社会福祉施設及び地方改善施設の整備に対して二、三四九億八三三万円余を支出しております。 以上、社会福祉費として、総額三兆六、九二二億二、八三〇万円余を支出しております。 第三は、社会保険費であります。 国民健康保険事業につきましては、平成七年度末における保険者数は、三、四一五であり、その被保険者数は、四、三二四万余人となっております。 平成七年度におきましては、国民健康保険の医療及び事務等に要する経費として、二兆九、九九八億八九二万円余を支出しております。 また、社会保険国庫負担、厚生年金保険国庫負担及び国民年金国庫負担に要する経費として、五兆四、四七二億八、六六七万円余を支出しております。 このほか、児童手当の給付及び事務に要する経費として、一四三億四、七二二万円余を支出しております。 以上、社会保険費として、総額八兆四、九一四億七、九二七万円余を支出しております。 第四は、保健衛生対策費であります。 原爆障害対策費につきましては、医療特別手当、健康管理手当等の支給に要する経費として、一、四九六億九、三九四万円余を支出しております。 精神保健費につきましては、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく措置入院及び通院医療の公費負担に要する経費として、三一五億七、一四八万円余を支出しております。 このほか、結核医療費として、一六七億四二〇万円余、疾病予防及び健康づくり推進、保健所、老人保健法による保健事業に要する経費等の保健衛生諸費として、一、一四六億三、八一四万円余を、それぞれ支出しております。 以上、保健衛生対策費として、総額六、七〇二億四、八四五万円余を支出しております。 第五は、遺族及び留守家族等援護費であります。 戦傷病者戦没者遺族等の援護対策につきましては、遺族年金等について恩給の引上げに準じて額の引上げを行ったほか、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給、戦没者の遺骨収集、慰霊巡拝等の慰霊事業、中国残留邦人等の援護事業等のための経費を支出し、遺族及び留守家族等援護費として、総額一、一四四億八、九五一万円余を支出しております。 第六は、環境衛生施設整備費であります。 環境衛生施設の整備を推進するため、平成七年度は、廃棄物処理施設三、〇四六か所、簡易水道等施設一、〇八四か所、水道水源開発等施設六〇七か所の整備に対して、環境衛生施設整備関係費として、総額四、〇六二億一、九八四万円余を支出しております。 次に、特別会計の決算の概要につきまして御説明申し上げます。 第一は、厚生保険特別会計の決算であります。 厚生保険特別会計につきましては、一般会計から三兆九、三八七億八、六一三万円余を繰り入れました。 まず、健康勘定の決算額について申し上げますと、収納済歳入額八兆三、八五七億四、二一二万円余、支出済歳出額八兆四、一〇七億五、四九五万円余でありまして、差引二五〇億一、二八二万円余の不足については、事業運営安定資金から補足することとして、決算を結了いたしました。 なお、平成七年度末の事業所数は、一四六万余か所、年度平均被保険者数は、一、九八八万余人に達しております。 次に、年金勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額三八兆七〇八億四、四三二万円余、支出済歳出額三〇兆七、九四八億五、三一三万円余でありまして、差引七兆二、七五九億九、一一八万円余については、この勘定の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、平成七年度末の事業所数は、一六〇万余か所、年度平均被保険者数は、三、三二三万余人に達しております。 次に、制度間調整勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額一〇兆五、九〇九億二、八七五万円余、支出済歳出額一〇兆五、九〇九億二、八七五万円余で、決算を結了いたしました。 次に、児童手当勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額一、八一四億五、六四八万円余、支出済歳出額一、七二二億四、六六一万円余、翌年度繰越額二、〇六七万円でありまして、差引九一億八、九二〇万円余については、このうち七三億六、二六五万円余をこの勘定の積立金として積み立てることとし、一八億二、六五四万円余については、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 なお、年度平均支給対象児童数は、二〇八万余人であります。 最後は、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額七、〇三三億三、六六三万円余、支出済歳出額六、八三三億八、四七九万円余、翌年度繰越額一九億三、七九二万円余でありまして、差引一八〇億一、三九一万円余については、このうち、四五億二、四五八万円余については、事業運営安定資金に、三三億二、〇八八万円余については、年金勘定の積立金に、八、四五八万円余については、特別保健福祉事業資金に組み入れ、一〇〇億八、三八四万円余については翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 第二は、船員保険特別会計の決算であります。 船員保険特別会計につきましては、一般会計から六二億七八一万円余を繰り入れました。 その決算額は、収納済歳入額一、〇八二億九、〇三四万円余、支出済歳出額一、〇一二億五、五七九万円余、超過受入額二億九、四四一万円余でありまして、差引六七億四、〇一三万円余については、この会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、年度平均被保険者数は、一〇万余人であります。 第三は、国立病院特別会計の決算であります。 国立病院特別会計につきましては、一般会計から二、六一七億三六万円余を繰り入れました。 まず、病院勘定の決算額について申し上げますと、収納済歳入額六、四七四億六五二万円余、支出済歳出額五、八六六億四、五九九万円余、翌年度繰越額二七七億七、〇八五万円でありまして、差引三二九億八、九六八万円余については、この勘定の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、平成七年度の事業概況を申し上げますと、入院患者数は、一日平均二万九千余人、外来患者数は、一日平均五万二千余人であります。 次に、療養所勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額四、六七七億九六二万円余、支出済歳出額四、三七六億四、五七〇万円余、翌年度繰越額一三億六、八〇四万円余でありまして、差引二八六億九、五八八万円余については、この勘定の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、平成七年度の事業概況を申し上げますと、入院患者数は、一日平均三万七千余人、外来患者数は、一日平均一万八千余人であります。 第四は、国民年金特別会計の決算であります。 国民年金特別会計につきましては、一般会計から一兆五、一六六億三、九九五万円余を繰り入れました。 まず、基礎年金勘定の決算額について申し上げますと、収納済歳入額一二兆二、七四一億一、〇七二万円余、支出済歳出額一一兆七四億六、四八五万円余でありまして、差引一兆二、六六六億四、五八六万円余については、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 次に、国民年金勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額六兆六、七二九億九、三四七万円余、支出済歳出額五兆九、九四〇億三、七四〇万円余、超過受入額一、〇〇八億六、七四三万円余でありまして、差引五、七八〇億八、八六三万円余については、この勘定の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。 なお、年度平均被保険者数は、三、一〇六万余人であります。 次に、福祉年金勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額二、〇一五億一、四九七万円余、支出済歳出額一、七三八億四、六九三万円余でありまして、差引二七六億六、八〇三万円余については、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 最後は、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額一兆九、三五五億六、一五六万円余、支出済歳出額一兆九、二七一億七、七九三万円余でありまして、差引八三億八、三六二万円余については、このうち、二三億一、六五四万円余を国民年金勘定の積立金に組み入れ、六〇億六、七〇七万円余については、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 以上をもちまして、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ………………………………… 平成七年度決算厚生省についての検査の概要に関する主管局長の説明 会計検査院 平成七年度厚生省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項百八件、及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号三八号は、健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもので、 (ア) 医師、歯科医師等を対象とする国民健康保険組合に加入している従業員を使用している医療法人の事業主、 (イ) 特別支給の老齢厚生年金の裁定を受け年金の額の全部を支給されている受給権者を使用している事業主 などが制度を十分理解していなかったりなどして、保険料算定の基礎となる (ア) 医療法人に使用されている医師、歯科医師等、 (イ) 特別支給の老齢厚生年金の受給権者等 に係る被保険者資格取得届の提出を怠っていたものなどがあったのに、これに対する調査確認及び指導が十分でなかったため、保険料の徴収額が不足していたものであります。 検査報告番号三九号は、厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正でなかったもので、年金の受給権者が被保険者資格を取得した際の被保険者資格取得届の提出を事業主が怠っていたものなどがあったのに、これに対する調査確認及び指導が十分でなかったため、老齢厚生年金等及び老齢基礎年金の支給が適正を欠いていたものであります。 検査報告番号四〇号は、医療費に係る国の負担が不当と認められるものであります。 これは、被保険者等が医療機関で診察、治療等の診療を受けた場合、老人保健制度、医療保険制度及び公費負担制度により保険者等がその費用を医療機関に診療報酬として支払うことになっておりますが、処置料、初診料・再診料、看護料、入院時医学管理料、検査料、特定入院料、注射料、入院環境料等について医療機関から不適正な診療報酬の請求があったのに審査点検が十分でなかったことなどのため、保険者等における医療費の支払が適切でなく、国の負担が適正を欠いたものであります。 検査報告番号四一号から四八号までの八件は、生活保護費負担金の経理が不当と認められるものであります。 この負担金は、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、資産及び能力等あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する者に対し保護を行う場合に、その実施に要する費用の一部を負担するものであります。そして、東京都大田区ほか七事業主体では、保護費を不適正に支給したため、国庫負担金が過大に交付されていたものであります。このうち検査報告番号四六号を除く他の七件は、被保護者が年金を受給していたり、就労して相当額の収入を得ていたりしているのに、被保護世帯から事実と相違した届出がなされ、これにより収入を実際の額より過小に認定して保護費の額を決定していたものであります。また、検査報告番号四六号は、被保護者に健康保険の適用があるのにないとして、同人に係る診療報酬の全額を負担し、これを医療機関に支払うこととして保護費の額を決定していたものであります。 検査報告番号四九号から八八号までの四十件は、老人福祉施設保護費負担金の経理が不当と認められるものであります。 この負担金は、身体上又は精神上の理由等により養護を要する老人を特別養護老人ホーム等に入所させ養護した市町村(特別区を含む。)に対して費用の一部を負担するものであります。そして、秋田県秋田市ほか三十九事業主体では、国庫負担対象事業費の精算に当たり、入所者やその扶養義務者からの徴収金の額を過小に算定していたり、徴収金の額の集計を誤っていたりしていたため、国庫負担金が過大に精算されていたものであります。 検査報告番号八九号から一一一号までの二十三件は、児童保護費等負担金の経理が不当と認められるものであります。 この負担金は、保育に欠ける児童を保育所に入所させ保育した市町村(特別区を含む。)に対して、その措置に要する費用の一部を負担するものであります。そして、北海道夕張市ほか二十二事業主体では、国庫負担対象事業費の精算に当たり、児童の扶養義務者からの徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担金が過大に精算されていたものであります。 検査報告番号一一二号は、国民健康保険の療養給付費補助金の交付が不当と認められるものであります。 これは、全国土木建築国民健康保険組合において、療養給付費補助金の交付申請に当たり、補助の対象とはならない被保険者に係る医療給付費を補助の対象に含めて算定していたため、療養給付費補助金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号一一三号から一三一号までの十九件は、国民健康保険の療養給付費負担金の交付が不当と認められるものであります。 これは、登別市ほか十八市町において、療養給付費負担金の交付申請に当たり、被用者保険の保険者の負担の対象となる退職被保険者等の医療給付費は当該年度の医療給付費から控除することとなっているのに、処理を誤り、その一部を控除していなかったこと、及びこれに対する北海道ほか七県の審査が十分でなかったことなどのため、療養給付費負担金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号一三二号から一四五号までの十四件は、国民健康保険の財政調整交付金の交付が不当と認められるものであります。 これは、前橋市ほか十三市町村において、財政調整交付金の交付額の算定の基礎となる保険料の収納割合を事実と相違した高い割合としたり、国民健康保険直営診療施設の年間診療実日数を誤って算定したり、調整対象収入額を過小に算定したりしていたこと、及びこれに対する北海道ほか九県の審査が十分でなかったことなどのため、財政調整交付金が過大に交付されていたものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 その一は、特別養護老人ホーム等の医師の人件費の算定及び入院患者日用品費の支給等に関するものであります。 老人福祉施設保護費負担金は、先程申し上げましたように、特別養護老人ホーム等の費用の一部を国が負担するものでありますが、この費用の中には老人ホームに配置されている医師の人件費及び入所されている老人に対し病院等に入院した場合に支給する入院患者日用品費があります。医師の人件費について調査いたしましたところ、勤務実態等が非常勤であるのに非常勤医師に比べて三倍程度高い常勤医師の人件費単価を適用していたため、医師の人件費が過大に支弁されていた事態が見受けられました。 また、入院患者日用品費について調査いたしましたところ、入院患者日用品費が入院した老人に対して支給されていなかったり、老人ホームの経理が明確でなかったなどのため、入院患者日用品費についてその支給の有無等が確認できなかったり、支給時期が適切でなかったりしていて、適切とは認められない事態が見受けられました。 これらについて、当局の見解をただしましたところ、厚生省では、八年十一月に、各都道府県に対して通知を発して、常勤医師の人件費単価につきましては、その適用条件を明確に示して周知徹底を図るなどし、入院患者日用品費につきましては、市町村に入院患者日用品費の支給が確認できるよう審査体制を整備して審査を十分行わせるよう指導するなどの処置を講じたものであります。 その二は、国民健康保険の療養給付費負担金の交付に関するものであります。 退職者医療制度は、被用者保険の被保険者が退職して国民健康保険の被保険者となり、老人保健制度が適用になるまでの間に、厚生年金等の受給資格がある場合に適用される制度であります。療養給付費負担金は、国民健康保険の被保険者のうち、退職者医療制度の対象者を除いた一般被保険者の医療給付費を算定の基礎とし、市町村等に交付されているものであります。そして、市町村は、退職者医療制度の対象者を確認するなどに使用するため、年金保険の保険者から年金受給権者一覧表の送付を毎年受けているところであります。この年金受給権者一覧表の活用状況等を北海道ほか十七府県の百五十三市町村について調査したところ、五十一市町村は、年金受給権者一覧表から退職対象者が把握できるのにこれを活用せず、退職対象者への届出の勧奨等資格の異動についての事務を的確に処理しなかったため、一般被保険者のままでいた退職対象者に係る療養給付費負担金が過大に交付される結果となっていました。 これについて、当局の見解をただしましたところ、厚生省では、八年十月に、各都道府県に対し通知を発し、年金受給権者一覧表の活用方法を明確に示すとともに、未届出者に対し、継続的に届出の勧奨を行うよう指導し、市町村及び退職対象者に対して退職者医療制度を周知徹底させるなどの処置を講じたものであります。 その三は、療養環境加算等の診療報酬の算定に関するものであります。 入院患者に係る診療報酬の中には、病室等の療養環境に係る入院環境料があり、所定の算定要件を満たしている病院においては、療養環境加算等として所定の点数を加算できることとなっております。そして、医師、看護婦等の数が、医療法に定める標準人員を満たしていることがその算定要件の一つとなっております。 本加算の算定の適否について調査しましたところ、病院において、医師の数が標準人員を満たしていないのに療養環境加算等を算定していたため、保険者等における医療費の支払が適切でなく、国の負担が適正を欠いていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、厚生省では、八年十月に、各都道府県に対し通知を発し、医師等の充足状況を的確に把握できるよう届出書の様式を改正するとともに、届出時の審査等において医師等の充足状況を十分確認するよう指導し、併せて病院に対して算定要件を周知徹底させるなどの処置を講じたものであります。 なお、以上のほか、平成四年度決算検査報告に掲記いたしましたように、柔道整復師の施術に係る療養費の支給について及び、平成六年度決算検査報告に掲記いたしましたように、在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業分)の精算について、それぞれ処置を要求いたしましたが、これらに対する厚生省の処置状況についても掲記いたしました。 以上をもって概要の説明を終わります。 ………………………………… 平成七年度決算検査報告に対する説明 厚 生 省 平成七年度の決算検査報告において、不当事項として指摘を受けましたものは、健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収額が不足していたもの一件、厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正でなかったもの一件、医療費に係る国の負担が不当と認められるもの一件、生活保護費負担金、老人福祉施設保護費負担金及び児童保護費等負担金の補助事業の経理が不当と認められるもの七十一件、国民健康保険の療養給付費補助金、療養給付費負担金及び財政調整交付金の交付が不当と認められるもの三十四件であります。 不当事項として指摘を受けたもののうち、保険料の徴収不足については、すべて徴収決定の措置を執ることとしたところでありますが、適用事業主に対し、被保険者資格取得届等の適正な届出のための指導・啓発の徹底を図るとともに、実地調査等の的確な実施を図り、保険料の徴収不足の解消に努力いたす所存であります。厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正でなかったとして指摘を受けたものについては、既に返還の措置を講じたところでありますが、今後とも、年金受給権者及び適用事業主に対し、被保険者資格取得届等の適正な届出のための指導・啓発の徹底を図るとともに、実地調査等の的確な実施を図り、その支給の適正化に努力いたす所存であります。 医療費に係る国の負担が不当と認められるとして指摘を受けたものについては、既に返還の措置を講じたところでありますが、今後とも診療報酬明細書の点検、調査の充実・強化及び保険医療機関等に対する指導の積極的な実施について、都道府県に対し、指導の徹底を図り、適正な保険診療が確保されるよう努力いたす所存であります。 生活保護費負担金、老人福祉施設保護費負担金及び児童保護費等負担金の過大精算のため不当であるとの指摘を受けたものについては、既に返還の措置を講じたところでありますが、今後は、このようなことのないよう事業主体に対する指導を一層徹底し、補助事業の適正な執行に万全を期する所存であります。 国民健康保険の療養給付費補助金、療養給付費負担金及び財政調整交付金の交付が不当と認められるとして指摘を受けたものについては、既に返還の措置を講じたところでありますが、今後とも、保険者に対し、適正な交付申請等のための指導・啓発の徹底を図るとともに、国及び都道府県においても審査確認事務の強化を図り、適正な交付に努力いたす所存であります。 ————————————— 平成七年度環境衛生金融公庫の業務の概況 環境衛生金融公庫の平成七年度の業務の概況につきまして御説明申し上げます。 環境衛生金融公庫は、公衆衛生の見地から国民の日常生活に密接な関係のある環境衛生関係の営業について、衛生水準を高め、及び近代化を促進するために必要な資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって公衆衛生の向上及び増進に資することを目的とするものであります。 平成七年度の貸付計画額は、三千二百億円を予定いたしました。 この計画に対しまして、貸付実績は、二千五百十七億二千万円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、十六・一パーセントの減となっております。 次に貸付残高について、御説明申し上げます。 平成六年度末における貸付残高は、一兆一千二百五十三億九千万円余でありましたが、平成七年度中に二千五百十七億二千万円余の貸付を行い、二千八百四十一億五千万円余を回収いたしましたので、平成七年度末における貸付残高は、一兆九百二十九億六千万円余となっております。 なお、貸付金の延滞状況につきましては、平成七年度末におきまして延滞後六カ月以上経過したものが、二百七億五千万円余でありまして、このうち一年以上のものは、百六十七億八千万円余で総貸付金残高の一・五パーセントとなっております。 次に平成七年度の収入支出決算について御説明いたします。 まず、収入におきましては、収入済額は、六百十八億八千万円余でありまして、これを収入予算額六百二十一億八千万円余に比較しますと、三億円余の減少となっております。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入が予定より少なかったためであります。 次に、支出におきましては、支出済額は、六百十七億九千万円余でありまして、これを支出予算現額六百四十二億八千万円余に比較しますと、二十四億九千万円余の減少となっておりますが、これは借入金利息等が予定より減少したためであります。 最後に平成七年度における損益について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は、六百三十五億三千万円余、借入金利息、業務委託費、事務費、貸倒引当金繰入等の総損失は、六百三十五億三千万円余となりました。 この結果、利益金は生じなかったので国庫納付はありませんでした。 以上が、平成七年度における環境衛生金融公庫の業務の概況であります。なにとぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 —————————————
○根本主査 以上をもちまして厚生省所管、環境衛生金融公庫の説明は終わりました。 —————————————
○根本主査 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。
○松本(純)分科員 自民党の松本純でございます。よろしくお願いをいたします。 それではまず初めに、健康保険法改正の論議となったのは薬剤負担の新設でありましたが、特に、薬価基準は改正の都度引き下げられてきたにもかかわらず薬剤費が減らない理由として、薬価が下がると医療機関は高薬価品に切りかえてしまう、いわゆる高薬価品へのシフトが指摘されました。このため、一日薬価が一定額以下の場合は薬剤負担はゼロとするなどの工夫がなされたわけであります。 そこで、低薬価品の活用を推進するとした場合、すぐに考えつくのは後発品、いわゆるゼネリックなどとも言われておりますが、低薬価の後発品の活用であると思います。 そこで、御質問いたしますが、国民医療費のうち薬剤費は約八兆円と言われておりますが、先発品と後発品の市場のシェアはどのような割合になっているか、お尋ねいたします。 〔主査退席、滝主査代理着席〕
○丸山政府委員 医薬品市場の中で、先発品と後発品の市場のシェアでございます。 後発品メーカーの国際会議、平成七年に国際ゼネリック会議が開かれまして、そこに我が国の関係業界から提出した資料によりますと、生産金額ベースで我が国の後発品シェアが七%程度という資料が提出をされておるところでございます。 また、残りは基本的に先発品でございますが、その中には局方品でございますとか漢方薬等、恐らく一割強が含まれておりまして、これらにつきましては先発品と後発品の区別が困難なものでございます。したがいまして、残り八割強が基本的には先発品であろうかというふうに考えている次第でございます。
○松本(純)分科員 現在、国立病院の支出のうち、薬剤費はどれぐらいの額になりますか、お尋ねします。
○小林(秀)政府委員 平成七年度決算におきます国立病院特別会計の総支出済み額は一兆二百四十三億円でありますが、そのうち医薬品等購入費に係る支出済み額は二千三百二十八億円、二二・七%となっております。 なお、この医薬品等購入費の中には注射針、レントゲンフィルムなど医療用の消耗品が含まれておりまして、正確な医薬品のみの購入額は把握をしておりません。
○松本(純)分科員 御当局にお伺いをしたところ、この薬剤費中の先発品、後発品の使用状況はつかんでいないようでありますが、二百五円以下の記載省略などを含め、新しい制度をつくっていこうという今の時期、もっと現状を把握できるシステムづくりというものも大変大事だと思っております。今後の節約のためにも、さまざまな方法で、その実態をつかめるような手続、方法をぜひまた御検討いただきたいと思っております。 例えば、次の四品目の医薬品は現在大変繁用されており、また後発医薬品が数多く市販されているものでありますが、これらの医薬品を例にとって計算をさせていただきますと、次のような状況になります。 平成七年度の薬事工業生産動態統計年報から見た先発品と後発品の影響額等によりますと、不整脈用剤であります塩酸プロプラノロール錠十ミリグラム、生産額は二十四億三千六百八十六万円、生産数量は一億六千百五十一万錠になっています。このすべてを先発品のインデラル錠十ミリグラムを使ったとすると、薬価は二十一円八十銭ですから、生産数量と掛け合わせ三十五億二千九十六万円となります。また逆に、すべてを後発品である塩酸プロプラノロール錠十ミリグラム錠—GEを使ったとすれば、薬価は八円七十銭ですから十四億五百十五万円となり、先発品、後発品の差が二十一億一千五百八十万円となります。 同様に、血管拡張剤であります塩酸ジルチアゼム錠三十ミリグラムの生産金額が百三十四億六千二百四十二万円、生産数量は九億一千四百五十五万錠。このすべてを先発品でありますヘルベッサー錠に置きかえると、薬価が二十一円五十銭ですから百九十六億六千二百九十一万円となり、後発品、塩酸ジルチアゼム錠三十ミリグラム錠—GE、薬価八円六十銭の場合の七十八億六千五百十六万円に比べると、その差が百十七億九千七百七十四万円となります。 またさらに、酵素剤製剤でありますセラペプターゼ錠十ミリグラムの場合は、生産金額百三億二千七十七万円、生産数量は三億八千八百七万錠。このすべてを先発品のダーゼン錠十ミリグラムを使用したとすれば、薬価三十九円でありますから百五十一億三千四百九十二万円となり、すべてを後発品のセラペプターゼ錠十ミリグラム錠—GEを使うと、薬価十五円六十銭の総額は六十億五千三百九十七万円となり、その差は九十億八千九十五万円となります。 四つ目に、代謝拮抗剤、いわゆる抗がん剤でありますが、一般名フルオロウラシル錠五十ミリグラムの場合は、生産金額九十六億六千四百五十七万円、生産数量が二千八百三十三万錠になっておりまして、このすべてに5—FU錠50協和という先発品を使ったとしますと、薬価が三百七十八円九十銭ですから総額は百七億三千六百八十八万円になり、逆にすべてをルナポン錠50(沢井)を使うとすると、薬価百八十八円三十銭ですからその金額は五十三億三千五百八十五万円となり、先発品との差は五十四億百三万円となります。 以上四種類を取り上げてみても、大変大きな差が先発品と後発品の中にあることになるわけでありますが、いずれも心臓用薬、消炎剤、抗がん剤などの薬で、それぞれの先発品は大変有名なブランド品であり、ほとんどの国立病院が先発品を使用していると思います。 ですから、もしこの四品目の薬だけでも先発品から後発品に切りかえたとしたら、全体で二百八十三億九千五百五十四万二千円の削減が可能であり、薬剤費を大幅に節約できることになります。もしすべての医療機関が大部分の医薬品を後発品の使用に切りかえていったなら、八兆円の薬剤費はもとより、国立病院の二千三百二十八億円の薬剤費についてもあっという間に、半減とは言わないまでも、相当の節約ができ、薬剤負担の新設などの必要もなくなるかもしれません。 このような可能性を秘めた後発品について、基本的考えをお聞かせいただければ幸いでございます。
○高木(俊)政府委員 価格の面では今先生御指摘のような形になるわけでありますが、実際には、我が国においては後発医薬品の使用は余り進んでいないというのが実態でございます。 なぜ進まないのかということですが、薬事法上は有効性あるいは安全性等に関しては同等なものであるということで承認をされておるわけであります。にもかかわらずなかなか使用が進まない。これは、一つには薬価基準制度そのものに原因があるということがあろうと思います。 それからまた、薬を使用していらっしゃる医療機関あるいは医師の方々のビヘービアといいますか、そういったものにも原因があるというふうに言われております。例えば、医薬品を使っておるお医者さんの立場からいたしますと、やはり御自分が信頼のできる薬を使うということでありますし、また企業のサイドにおける情報の提供、そういう信頼にかかわるわけでありますがそういった問題、サービス等が充実しておるかどうかというようなこともございます。そのようなことで、なかなか進まないというふうに言われておるわけであります。 ただ、私どもとしては、保険財政あるいは国民の医療費に対する負担というようなことを考えますと、有効性、安全性等に関して同等なものであるということであるならば、やはりこの後発品の使用というものがもっと促進されてしかるべきではないかというふうに考えております。 これが薬価基準制度そのものに内在しておるという面もございますから、そういった意味では、医療保険制度の抜本的な改革を検討しておりますが、その際には、薬の価格については市場取引の実勢にゆだねるという原則に立ちまして、根本的に改めていきたい。そういった中で、我が国における薬のシェアというものは非常に高い状況でありますので、そういったものの是正ということに向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○松本(純)分科員 そこで、このようにもし後発品の使用を進めていったら大幅に薬剤費支出を節約できることがわかっているにもかかわらず、私が承知をしている限りでありますが、国立病院や大学病院はほとんど後発品を使用していない。後発品といっても厚生省が承認した医薬品なわけですから、品質的には確認されていると思うのでありますが、後発品の使用について国立病院や大学病院など大きな病院がこれを使うことをちゅうちょしてしまう理由は、大きく分けて三つあるのではないかなと思っております。 第一に、後発メーカー製品の品質は大丈夫かという問題、第二に、後発品メーカーの医療機関に対する情報提供能力が極めて低いこと、そして第三に、供給量が少ないこと等であると思います。 例えば薬事法では、製薬会社は、医薬品の副作用の情報収集、厚生大臣への報告義務が規定されておりますが、現在、年間、製薬企業からはどれぐらいの数の報告が上がってきているのか、そのうち後発メーカーからの報告はどれぐらいの割合になるのか、お尋ねをします。
○丸山政府委員 製薬企業からの副作用報告件数は、平成八年度一万六千八百三十一件でございます。 これらの中で、どの程度の割合で後発メーカーからの報告が含まれているかどうかということでございますけれども、平成八年度の報告につきまして、新薬開発メーカーの団体であります日本製薬工業協会に加盟している企業からの報告が、全体の九八%程度でございます。したがいまして、これから推定いたしますと、後発メーカーからの報告件数は二%程度あるいはそれ以下ということでございまして、後発品メーカーの生産金額に占めるシェア等から比べまして、極めて少ない状況ではないかと考えております。
○松本(純)分科員 この四月に薬剤師法が改正されて、薬剤師の患者に対する情報提供義務が課せられましたが、十分な情報を提供できないというような後発品を国立病院がもっと使用しろなどというのは無理なことだと思います。後発メーカーの副作用情報の収集や提供活動をもっと強化する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○丸山政府委員 御指摘のとおりでございまして、副作用情報の収集、提供活動につきましては、医薬品メーカーでありますれば、先発、後発を問わず、これらの活動の強化の必要があるわけでございまして、昨年の薬事法改正によりまして、医薬品の市販後調査の基準、GPMSPの遵守を後発品メーカーを含めて製造業者などに義務づけ、本年四月から施行をされているところでございます。 この医薬品の市販後調査基準におきましては、副作用情報の収集あるいは提供活動などの市販後調査を適切に行わせるために、市販後調査の社内管理実施体制の整備でありますとか職員の訓練などを製造業者などに義務づけておりまして、この市販後調査基準の遵守の強化によりまして、適切な市販後調査の確保を図るということを通じまして、副作用情報の収集あるいは提供活動の強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○松本(純)分科員 最近、医薬分業が進んできておりますが、後発品の処方せんが回ってくると一般の卸には品物がないという場合がほとんどで、保険薬局はその入手に大変苦労をしております、こんな声をたくさん聞いておるのであります。また先発品は百錠入り等の小包装が市販をされておりますが、後発品になりますと三千とか五千とかいう包装になってしまうと言われております。 このような実態を厚生省では把握をしていらっしゃいますか。
○丸山政府委員 後発品における小包装医薬品の供給体制の問題でございますけれども、従来から、小包装の医薬品の供給に円滑を欠くという指摘が中央社会保険医療協議会等においても強くなされておるところでございまして、後発品メーカーに対しまして、薬価基準収載医薬品を小包装で供給するように従来から指導をしているところでございます。 昭和五十九年には、小包装単位につきまして、カプセルですと六百錠以下の包装単位を供給することといったような指導をしておりますし、平成四年にはそれを百錠単位以下というふうに改善をしているところでございます。 さらに、都道府県の衛生部薬務主管課に、保健医療機関あるいは保険薬局からの苦情や相談を受理して、卸売業者等への小包装医薬品の供給につきましての必要な連絡調整を行う窓口を設置するといったような対応をしているところでございます。
○松本(純)分科員 薬価基準改革について、中医協は、平成七年十一月に厚生大臣に対し建議書を出していますが、「長期収載医薬品の価格設定」の項で「有効性、安全性が同等でより安価な医薬品の使用を促進し、併せて薬価基準制度の簡素合理化を図るため、一般名収載を含む新たな価格設定方式の導入等について、早急に検討を行い、平成九年度から実施すべきである。」としております。 厚生省は、数年前から、いわゆるGE収載、ゼネリック収載ということを進められておりますが、このGE収載や、中医協の建議の一般名収載を進めるべきとの趣旨は、後発品の使用を進めるということでありますか。また、違うとすれば何なのか、お尋ねをいたします。
○高木(俊)政府委員 平成七年十一月の中医協の建議でありますが、これはまさに先生御指摘のとおり、有効性あるいは安全性が同等であるという医薬品については、できるだけ安価な医薬品の使用を促進しようということが一つの考え方でございます。それからまた、薬価基準制度そのものの簡素合理化を図ろうという趣旨でございまして、そういった意味で、一般名収載を含む新たな価格設定方式の導入を検討すべきであるということと理解しておりますし、私どもとしても、この検討というものを進めていかなければいけないというふうに考えております。 ただ、このたびの医療保険制度の改革に関連いたしまして、全体的な国会の御議論等におきましても、状況はもっとテンポが速くなっているというふうに思いまして、公定価格を定めております薬価基準制度そのものを根本的にむしろ改めるべきであるという方向に今あるというふうに考えております。私どもとしては、そういった抜本的な改革というものの検討を進めておりますが、この問題についても、中医協の建議に沿った検討というものをできるだけ早く完了しなければいけないというふうに考えております。
○松本(純)分科員 アメリカでは、高い薬価のものが処方されてきても、薬局が患者の意向を聞いて低薬価の後発品にかえて調剤することが法律で認められていると聞いております。例えばアメリカのある薬局のチラシを見てみますと、あなたの薬剤費を節減してあげますというのがキャッチフレーズの一つにもなっております。しかし、我が国の場合、後発医薬品に対する医療機関の根強い不信感があり、この点を解決しない限り、今後、一般名収載やゼネリック品の活用を推進しようとしても困難であろうと思います。 アメリカでは、オレンジブックといって、後発医薬品の品質等について評価したリストがあると言われておりますが、どのようなものか、おわかりになればお示しをいただきたいと存じます。
○丸山政府委員 お尋ねのオレンジブックといいますのは、FDAが出版をしておるものでございまして、米国におきます先発品と後発品のすべての処方せん薬、医療用医薬品でございますが、これにつきまして、銘柄ごとにその治療上の同等性の有無について示したリストを掲載しているものでございます。 米国におきましては、各州ごとに医薬品の規制が異なるということから、FDAといたしまして、有効性、安全性に基づいて承認された医薬品について、治療学上の同等性を示すということで対応してまいりたいということから出版されておるというふうに聞いておるところでございます。
○松本(純)分科員 薬価基準の一般名収載が進み、医師の処方せんが一般名で記載されるようになれば、保険薬局の備蓄も随分と軽減され、医薬分業の推進にも有益であると思います。 しかし、問題は、後発品に対する信頼性の問題であります。現在、我が国には後発医薬品専門メーカーはどれぐらいの数あるのか、おわかりになればお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府委員 二百二十社程度というふうに推計をいたしております。と申しますのは、現在、薬価基準に収載されている医薬品を供給しているメーカーの数は四百六十社でございます。その中で、新医薬品を供給しているメーカー数は百五十社でございまして、残りの中で、局方品あるいは漢方製剤といったようなものを供給しているメーカー数が約九十社ということでございますので、四百六十社から、百五十社と九十社の合計二百四十社を引きますと、残る二百二十社、これがほぼ後発品メーカーに該当するだろうというふうに考えているところでございます。
○松本(純)分科員 結局、これらのメーカーの大半は薬価差益だけを売り物にして生き延びていると言われております。それが結局、医療機関の薬価差益依存体質を生み、今日の薬価基準問題を生み出しているのではないかと思うところであります。 この半年にわたって、厚生委員会の中でさまざま議論をされてきたこれからの抜本的な医療改革を進めていく中でも、二十七兆円のうち八兆円と言われている薬剤費に着目をされて、さまざまな手が打たれてきました。そして、これだという手が今見つからぬままに、暫定的に進められているところでありますが、やはり医薬分業を推進し、実際にどういった薬が使われているのか、その薬剤の内容等が公に見ることができるような状況がつくられて、そして実態を踏まえた上で二十一世紀に向けた新たな負担を考えていかなければならないことになろうと思うわけであります。 その一つとしても、いつも高い薬価にシフトされていってしまうということを抑えていく必要がありまして、その意味でも、この後発品専門のメーカーにどう今後対応していくかということもその検討の中に入れていただいて、生かしていくのか、あるいはさらにハードルを高くして全体の質を上げていくという方向に向けるのか、さまざまな方向が考えられると思いますが、どうぞさらなる御検討をぜひお願い申し上げたいと思っております。 この後発品の品質確保、情報活動の強化、そして供給の確保など、改めて後発品対策を検討しておかないと薬価基準問題は解決できないと思っておりますし、優良な後発品メーカーを育成するということも大変大事で、この対策につきまして検討していただきたいと思いますが、どのようにお考えになるのか、鈴木政務次官にお尋ねをさせていただきたいと思います。
○鈴木(俊)政府委員 優良な後発品メーカーの育成に努めるべきだということについては、同感であります。 ただ、先生も御質問の中で御指摘がございましたとおりに、後発品につきましては、医療機関から、その品質への不安でありますとか情報提供の不足、また薬価差に依存した販売姿勢の結果、安定供給がなされていないなどのことも指摘されるわけでありまして、これが後発品使用が促進されない要因になっていると認識をしております。 このため、後発品の品質確保や情報提供に関し、後発品メーカーの理解を求めるとともに、適正な指導に努め、結果として後発品に対する医療機関の信頼を得られる優良なメーカーが育成されますように、引き続き厚生省としても努めてまいりたいと思っております。
○松本(純)分科員 ありがとうございました。 政務次官におかれましても御当局におかれましても、これからが正念場だと思います、どうぞ皆様で知恵を出し、そして我々とも多くの議論を交わす中で、国民にとって最もわかりやすく、そして協力も得やすく、そしてこの日本の安定につながる、そんな医療保険体制がつくられますようぜひ御尽力を賜りたいと願い、私の質問を終わります。
○滝主査代理 これにて松本純君の質疑は終了いたしました。 次に、根本匠君。
○根本分科員 決算委員会の分科会ですので、私は、医療費の高コスト構造是正の観点から、薬剤費、医療機器の価格の問題について御質問をいたしたいと思います。 今、橋本内閣は行財政改革を初め六つの改革、これを断行するということで強力に取り組んでおります。特に今般の国会でも、医療、福祉改革の一環として介護保険法、そして健康保険法の一部改正、これも衆議院を通過したところでありますが、健保法の改正、これは当然医療保険そして医療制度の抜本改革が大前提でありますし、今財政構造改革の中で、一切の聖域なしという厳しい方針の中で財政構造改革も進められようとしております。 我が国の医療保険、私もこれは世界に冠たる保険だと思っておりまして、だれでもいつでもどこでも保険証一枚で医療が受けられる。医療へのアクセスという点では、日本の医療、これは世界の最高水準でありますし、今日の長寿社会を生んだ大きな要因だと思います。ただ、高齢化の進行によりまして、医療費は毎年六%前後増嵩しておりますし、一兆円毎年ふえる。一方で国民所得の伸びは一%ですから、どうしても医療保険、これが、今回の健保法改正の原因になったように破綻に至る状況を生んでしまう、こういう状況になっております。その意味では、医療保険あるいは医療制度の改革、これが喫緊の課題であると思います。 平成七年度の医療費は二十七・二兆円、そして三割近くの七・六兆円、これが薬剤費であります。保険制度は、需要側、供給側、どうしても過剰需要を生むという内在するメカニズムがあるわけでありますが、日本の医療も俗に薬漬け、検査漬けと言われております。私は、この医療改革を図る中で、薬剤費、医療機器のコストの削減、これを強力に進めなければならない、こう思っております。公共事業も、三年間で公共事業のコストの一〇%縮減をしようということで進められておりますし、さまざまな分野で、高コスト構造と言われる分野は高コスト是正、これが今の政治の要請でもあります。私も、薬剤費、医療機器もコスト縮減を強力に推進すべきであると思っております。 鈴木政務次官にお伺いしたいと思いますが、日本の薬剤費が高い要因をどう分析しておられるか。 国民一人当たりの薬剤費で見ますと、日本は一人当たり五・六七万円、イギリスは一・三四万、フランスは四・三九万、ドイツは三・三万、アメリカは三・二六万ということになっておりまして、日本の国民の一人当たりの薬剤費、これは諸外国に比較しても高いという統計データが出ております。 薬剤費はP掛けるQ、つまり価格掛ける量でありますから、高い要因は価格と多剤投与、あるいは重複受診による薬剤の使用量が多い。要はP掛けるQで全体の薬剤費が構成されるわけでありますから、それぞれの要因があるのだろう。もう一つは、薬価を切り下げて診療報酬の財源を生み出してまいりましたが、薬価を切り下げても全体の薬剤費は削減されない、高どまりする、こんな状況にもなっておりますが、この全体の薬剤費の高い要因をどのように分析されておられるのかをお伺いしたいと思います。
○鈴木(俊)政府委員 先生御指摘のとおりに、健康保険制度を考えますときには、医療費に占める薬剤費の割合、これが大変高いということを考えていかなければならないと思っていますが、医療費に占める薬剤費の割合が下がらない原因は、先生も今御指摘ありましたとおり、多剤投与、薬剤の使用量がふえているということが一つございます。もう一つは、医療機関において処方されます医薬品が安価な古い薬から高価な新薬へ移行するという、いわゆる高価格の新薬シフトの傾向がある。この二つがあると思っております。 これに対応していかなければならないわけでありますが、多剤使用につきましては、今回の制度改正におきまして薬剤に着目した定額負担というものを設けることになりますので、これによって薬剤使用の適正化が図られると思っております。 もう一つのいわゆる高価格新薬へのシフトの問題につきましては、今お願いしております改正案が通り次第、制度の抜本改革というものを取りまとめることになっておりますが、その中におきまして、薬価基準制度の抜本的な見直しに取り組んで適正化を図ってまいりたいと思っております。
○根本分科員 私も、日本の薬剤費全体がなぜ高いか、これは確かに薬の値段の問題とそれから薬価差の問題があると思います。 薬の値段、日本の新薬には内外価格差がある、こう言われておりまして、私も、確かに一番最初の新薬自体の価格が高くて、しかもゾロ新の値段も高いのだろうと思います。既に流通している既存薬で欧米諸国と比較するとこれは欧米並みになるわけでありますが、新薬の値段、これが高いということが一つの要因です。 もう一つは、高薬価シフトで、日本の場合、長く使われれば使われるほどどんどん薬価が下がっていきますが、効能の似たような新薬にシフトしていく。例えば十年未満の新薬と十年以上の新薬の比率、日本は五対五、これに対して西ドイツは一対九ということでありますから、日本は新薬を使用する傾向が高い。 今政務次官の御指摘のように、構造的な要因として薬価差の存在、これが新薬シフトを助長していると思います。薬価差の存在によって、言うなれば薬剤費全体が高どまるメカニズム。要は、薬は保険で見られますから、薬価というのは、全体が公共的な、公の経済の分野に属すると私は思っておりますが、最初の値段づけは完全にこれは公共料金、公定価格です。その後市場が形成されるわけでありますが、薬価差の存在によって、ある意味で余り合理的ではない市場メカニズムが作用しているのがこの薬剤費の市場の問題だろうと思います。それが全体的に薬剤費を高どまりさせる要因になっていると思っております。 観点は異なりますが、日本の薬剤市場のもう一つの特徴、これは新薬の特許切れに伴って同じ効能の後発医薬品が市場に供給される。ただ、後発医薬品はそれぞれ薬の値段が違いますから、一物三価、一物四価が成立する。しかも利用者、要は患者の選択がない。他の財の市場と違って消費者主権が、つまり患者の、最終消費者の市場が成立しない、これが薬剤費の市場構造だと思いますし、それが薬剤費全体のP掛けるQのQ、つまり量にも影響してくるのだろう、こう思っております。 鈴木政務次官からのお話にもありましたように、これから薬価基準等を含めた抜本改革に着手するわけでありますが、この点から質問をさせていただきたいと思います。 私は、現行の薬価基準を前提とすれば、制度改革の方向というのは四点ある、こう思っております。一つは、薬価は、いわば最初の値段づけは、これは公定価格でありますから、公共料金という視点に立って決定過程を透明化する。二つ目は、新薬、特にゾロ新の薬価を点検して、既存薬から価格の高い新薬へのシフトを抑制する。もう一つは、価格の安い既存薬から価格の高い新薬へのシフトを抑制するために、薬価差の解消を図る。合理的な薬価差については、医療技術料として適正に評価する。もう一点は、可能な限り包括化という道を検討していく。 私はこういう四点の方向があると思っておりますが、最近のこの動き、改革の動きが急でありまして、むしろ思い切った抜本改革として、現行の薬価基準を抜本的に見直して市場の自由な取引にゆだねるという方向が打ち出されておりまして、具体的には参照価格制、これが俎上に上っております。 参照価格制について幾つか質問をしたいわけでありますが、参照価格制はドイツで実施されております。ドイツは、外来は参照価格制、入院は包括化、入院と外来とを分けて外来に参照価格制を導入する。日本も現在、入院の慢性疾患は一部包括化を導入しておりますが、日本における参照価格制の検討の方向、今具体的にどういうイメージで考えておられるのか、これをお伺いしたいと思います。
○高木(俊)政府委員 参照価格制、いわゆるレファレンスプライスというのを日本語に訳しているわけですが、これも、言葉ではかなり幅広いあれですが、結局、医療保険で償還する限度額というものを定めているというふうに私ども考えております。 そういった中で、外来と入院というのがあるわけでありますが、外来についてはドイツ等ヨーロッパで行われている仕組みというものが参考になるというふうに思っておりまして、問題は、償還基準といいますか、これをどういうふうに決めるかというところが非常に難しいわけであります。ただ、基本は、あくまでも薬の価格というものは市場取引の実勢というものにゆだねるということを基本としてこれを決めていくという方向で考えているわけであります。 問題は入院でありますけれども、今先生御指摘のとおり、ドイツの場合は、入院については包括払いという形になっておりますので、我が国とはかなりそこら辺が違っております。我が国においても、一つの方向として包括払いなりあるいは定額払いという方向を目指すべきであるということが指摘されておりますし、そういった方向というものをこれからの改定の中で取り入れていくべきであるということは一つございます。一方しかし、全部包括払いなり定額払いというのは、我が国の医療制度の現状からしまして、急激にはそういった方向というものはなかなか難しいだろうというふうにも考えられます。 そういった中で、入院の薬代をどういうふうな格好で保険で償還すべきなのかということになるわけでありますが、現在その辺についていろいろ考え方がございまして、まだこれということで確定しているわけではございません。 いずれにしましても、外来についてドイツ等で行われておるいわゆる参照価格制という仕組みを基本に我が国も考えていく場合に、入院の薬剤費についても同じようなことで考えていくべきであり、いわゆる公定価格を定める薬価基準という形を入院についてとるということは考えておりません。今の段階は検討過程でございますので、そのようなことを念頭に置きながら検討を進めております。
○根本分科員 いろいろな諸外国の制度もあるわけでありますが、なぜその制度が成立しているのか、その本質的な条件をきちんと踏まえないと、あくまでも参考にするわけでありますが、やはりなぜその制度が成立されて、どのような理由で導入されているのか、この辺の本質的な議論の整理が非常に大事だと私は思いますから、これからもなお検討を進めていただきたいと思います。私もこの点はいろいろと取り組んでいきたいと思いますが、いろいろな手法の組み合わせなのかなと直観的には思っております。 今、市場取引の実勢にゆだねるという話がありました。まさしく参照価格制を機能させる。要は市場の取引の実勢にゆだねるというのが考え方の基本にあるわけでありますが、そうなりますと、その参照価格制、要は市場取引の実勢にゆだねるということを可能にする市場条件、これを整備しなければならないと私は思います。その意味で、市場条件、つまり市場を円滑に機能させるという意味で市場条件の整備の観点から幾つかお尋ねをしたいと思います。 参照価格制の前提は、基本的には市場取引の実勢にゆだねるということでありますから、患者が選択できる、つまり市場が成立しなければいけない、薬における消費者主権が確立されていなければいけない、これが私は基本だと思います。 その意味で、患者にいかに選択してもらうかということを考えますと、一つは、薬における適切な情報提供をどうやっていくか、情報提供のあり方。この点では薬剤師の役割が高まってくる。特にドイツは医薬分業が一〇〇%成立しております。市場メカニズムを効率的に機能させるという観点から患者が薬を選択できるようにする、その観点で薬の情報提供の仕組みやあり方をどう考えるか。もう一点は、医薬分業の推進をこれからどう考えていくのか。 市場条件の整備という観点から、薬の情報提供、もう一点は医薬分業の推進、この二点についてお尋ねをいたします。
○高木(俊)政府委員 私どももまさに先生御指摘のとおりに考えておりまして、我が国の場合、これは薬だけではありませんけれども、医療に対する情報の提供が非常に不十分であるということが指摘をされるわけであります。そういった中で、やはり適切な情報の提供の仕組みというものをきちっと整備していくことが一つ大きな前提だろうと思います。そういった中で、患者といいますか国民が適切にその情報というものをキャッチし、選択できるようなシステムを目指すべきであるというふうに考えております。 それから、医薬分業でございますけれども、これはそれぞれ各国歴史が違いますから、なかなか我が国では進まない面がございます。しかし、やはり医師と薬剤師がそれぞれ専門性というものを発揮しまして良質で適正な薬物治療を行うことが必要であり、また、そういう観点から医薬分業というものを進めていかなければいけないというふうに考えております。これまでの我が国における薬価基準のあり方とか情報提供の不十分さというようなことから、なかなか進んでいないという面もございますし、そういった面での改善を図りながら医薬分業の推進というものをさらに進めていかなきゃならない、このように考えております。
○根本分科員 もう一点、市場条件の整備の観点からお尋ねいたします。 これはいろいろな仮定の議論もあるのですが、今回薬代に一部定額負担を導入しましたけれども、患者に薬の選択のインセンティブを与える、こういう観点でいいますと、私は、これはあくまでもこれからの検討になるわけですが、インセンティブを与えるためには薬剤費の患者負担は定率負担とした方が市場としては円滑に機能しやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○高木(俊)政府委員 薬剤費に対する一部負担を今回定額でお願いしておりますが、わかりやすさ等々から考えますと定率負担がすぐれているのではないかという御指摘がございます。ただ一方、定率負担について、今回の法案の提出に当たっては全体的な関係者の理解がまだ十分得られなかったということもありまして定額負担でお願いしておるわけでありますが、今後、これをどういうふうに考えていくべきかというのは慎重に検討しなければいけないと思います。 ただ、参照価格制というようなものを導入した場合には、一定の償還基準を定めますから、それを上回る場合にはそこは患者負担という形をお願いすることになります。一方、我が国の医療制度におきましては、医療費全体に対する一部負担というのもお願いをしておりまして、そういった中での組み合わせをどう考えていくのかということではないかと思っております。 そういうことで考えますと、参照価格制のようなものを導入し、一定基準以上の額については薬代について患者の負担をお願いするということになりますと、薬について特別に取り出して、別途、例えば定率の一部負担をお願いするというようなことがいいのかどうか。その辺のところは全体的な組み合わせの中で適正なシステムを、また患者に過重な負担を与えないような仕組みを考えていかなければならない、このように考えております。
○根本分科員 私も、何を政策目的のねらいにするかということでいろいろと濃淡が変わってくると思います。福祉という観点を入れながら、市場メカニズムをどこまで、市場のインセンティブをどこまで導入していくのか、この辺はいろいろな組み合わせがあるわけであります。何を政策目的にねらうのかでそこはいろいろバリエーションが出てくると思いますが、この点も私は今後の検討課題だろうと思います。 もう一つは、先ほど、薬の場合は一物三価、四価が成立する、こう申し上げましたが、後発医薬品の問題。これも市場条件の整備という観点からの問いでありますが、市場の実勢取引にゆだねるということであれば、先発品と後発品、これが競合するということになります。先発品と後発品の競争をさせる場合、これは市場の条件というのをそれぞれイコールフッティングにしないといかぬだろう。 その意味では、後発品について三点課題があると思います。安定的な供給をいかに確保するか。あるいは品質をどう確保していくのか、これは治験承認の問題にかかわってきます。それからもう一つは情報。薬はやはり情報が基本ですから、情報のあり方の問題。これらをどのように担保していくのか、この点のお考えをお伺いしたいと思います。
○丸山政府委員 後発品が先発品と競争条件を同一にしていくという点において、先生がお話しのとおり、品質の確保の問題、また情報提供の問題、それから安定供給の問題、これが極めて重要な要素だというふうに私どもも理解をいたしております。 それぞれが条件としてそろうように整備をしていくという意味で各般の努力をしているところでございますが、まず、品質の問題について申し上げますと、これはかねてから同一性があるということで承認をされておりますので、当然ながら、最初の試験の段階、これは同一性が担保されております。生物学的同等性、吸収、代謝につきましても同等性を担保し、当然ながら、有効成分、用法・用量、効能・効果、規格、試験方法、これもすべて同一性が担保されて承認に至っているわけでございます。 最近は、それに加えまして、製造工程中における同等性、いわば溶出性試験ということが技術的に可能になってまいりまして、製品間あるいは製造ロット間の同等性を確認することができるようになってきたということで、現在、とりあえず当面、十二成分ほどの医薬品について再評価の対象に指定をいたしまして、市販された後の品質の恒常性を確保する規格試験として溶出性試験を設定いたしておりまして、先発品、後発品を問わず医薬品として適切な品質の確保に努めているということで、さらなる品質の確保に努めているところが一点ございます。 それから、第二点目は情報提供でございまして、昨年の薬事法改正によりまして医薬品の市販後調査の基準が制定をされまして、後発品メーカーも含めてこれの遵守を義務づけ、医師等への適切な情報提供が行われるように努めているところでございます。 また、三点目の安定供給につきましても、後発品の品質確保あるいは情報提供の徹底によりまして、後発医薬品に対する医療機関の信頼性が増しまして、優良な後発医薬品の使用促進が図られることによりまして安定供給が図られるものと考えているところでございます。 これらの措置によりまして、先発品と後発品の競争条件の同一性を担保してまいりたいと考えております。
○根本分科員 次に、これからの薬産業の将来ビジョンをどう描くか、日本のこれからの薬産業をどう考えていくか、こういう観点を含めてお尋ねをしたいと思います。 日本は今、薬の輸入大国。国内市場依存型の企業も非常に多い。ゾロ新をつくる能力があれば安定した経営が可能だ、こんな状況になっておりますし、一方で、日本の薬は非常に種類が多くて、外国で有用性を認められない薬も多いということも指摘されております。その意味では、私は、薬剤使用の適正化、効率化、薬剤費コストの全体の抑制、これは必要でありますが、同時に、日本における画期的新薬の開発の促進、研究開発型・高付加価値型産業としての医薬品産業の発展も必要だ、こう思います。 参照価格制の導入によって、日本の医療メーカーは、画期的新薬の開発等の世界との国際競争の中で打ちかっていく研究開発志向型メーカーと国内市場依存型のゼネリックメーカーに二極分化する可能性があると思いますが、科学技術創造立国の観点から、今、基礎研究費に、特にこの生命科学分野を含めて思い切った国費を投入しておりまして、こういう点を考えて、市場条件の整備という視点から、この参照価格制との関連でインセンティブとしての画期的新薬の取り扱いをどう考えるか、この点、お尋ねをいたします。
○高木(俊)政府委員 まさにここのところが一番大きな課題の一つだろうというふうに思っております。 保険で使ういわゆる薬代というものを節約する余り、我が国の製薬企業において画期的な新薬の開発が阻害されるということになってはいけないわけでありまして、そういった意味では、ドイツなんかの場合ですと、例えば特許期間中は、これは参照価格制から除外をして自由価格で償還をするというような取り扱いも見られますけれども、私ども、新しい仕組みというものを考える際には、この問題について十分配慮しながらその仕組みというものを考えていきたいというふうに考えております。
○根本分科員 もう一つは、今まで薬剤費の問題を取り上げてまいりました。私は、薬剤費全体を市場取引の実勢にゆだねるという基本的な方向、これは必要だろうと思います。 それからもう一つは、小さなテーマでありますが、重複受診の抑制という観点からの方策も必要だろう。最近、東京都の病院で健康手帳に記帳を義務づけて効果があったという報告がなされておりまして、これを診療報酬に新たにカウントしたと聞いておりますが、この点、どのような内容か。
○鈴木(俊)政府委員 薬の重複投与でありますとか重複受診の問題につきましては、医療費上の問題もさることながら、本人の健康保持の観点からもこれを正していかなければいけないということは本当に重要であると思います。 先生御指摘のとおり、健康手帳は、健康診査や医療の記録、そうしたものを記録しましてみずからの健康管理と適切な医療の確保に資するために交付をしているところでありますが、今後、これの積極的な活用を進めていかなければならないと思っております。 今先生からもお話がございましたけれども、本年四月から、投薬等診療に関する情報の記載が容易になりますように、様式を記録しやすいように改正をいたしましたわけであります。それともう一つは、老人診療報酬におきまして、健康手帳を活用した薬剤情報の提供については、これを診療報酬上、評価をするというようなことをいたしたわけでありまして、積極的な活用を図っているところでありますが、今後とも、さらにその方向で進めてまいりたいと思っております。
○根本分科員 それじゃ、最後に、今まで薬剤費全体の問題を取り上げてまいりましたが、もう一つは、医療機器の問題。 医療機器にも随分と内外価格差が指摘されておりまして、例えば心臓のペースメーカーも相当内外価格差がある、こういう状況、数字も出ております。この医療機器になぜ内外価格差があるのか。 特に保険というのは、これは一種の過剰需要や供給過剰を生むシステムでもありますから、保険で支弁する場合には、ここのところの医療機器等についてもやはり価格を抑制するというようなインセンティブが働くようにしなければならない、あるいは働かないのであればそれはチェックしなければいけない、こう私は思いますが、医療機器の内外価格差の現状と、どうしてそんな価格差があるのか、そしてこれからどう対応するのか、この点についてお伺いいたします。
○丸山政府委員 医療機器の内外価格差の問題につきましては、きっかけとなりましたのが昨年六月のジェトロ、日本貿易振興会が発表した「対日アクセス実態調査報告書」の中で、ペースメーカーにつきまして米国の価格の二、三倍、PTCAバルーンカテーテルにつきまして一・八倍、冠動脈ステントについて一・五倍、またEU諸国ともかなりの倍率があるといったような調査結果が報告をされました。 これにつきましては、少数事例のピックアップ調査でございますので、必ずしも全体の傾向を正確に反映しているかどうかという面がございます。また、調査内容が医療機関の購入価格でございまして、我が国の価格は保険の償還価格でR幅がついているということで、差がございます。また円安傾向になっており、最近はかなり格差の縮小も見られるという傾向もございますが、一般的な傾向として、一定の内外価格差が存在をすることは事実であろうというふうに考えられております。 この医療機器の内外価格差の原因につきましては、我が国と欧米と比べまして、我が国の場合には卸業者を介する取引が一般的でありまして、欧米の場合には製造業者が医療機関と直接取引するケースが一般的であるという流通慣行の違い。それから二点目には、機種の選定に当たりまして、価格よりも技術の新規性や高度さを重視する医師の意見が反映されやすいという点。また、第三点目といたしまして、在庫管理あるいは手術後のメンテナンス。ペースメーカーの場合は手術後半年ごとの定期点検等もございますが、こういった附帯サービスがいわばサービスメーカーから提供されているといった点で、我が国の流通慣行上の問題が指摘をされておるところでございますけれども、我が国の医療機器に関する内外価格差についての流通慣行の実態を把握いたしますために、ペースメーカーなど六種類の医療機器につきまして、現在ヒアリングあるいはアンケートによる実態調査を進めているところでございます。この六月中にはその調査結果を求め、その結果を踏まえて、公正な競争の促進、適切な価格設定が行われますように、流通改善に向けた取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。
○根本分科員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○滝主査代理 これにて根本匠君の質疑は終了いたしました。 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時三十一分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○根本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生省所管、環境衛生金融公庫について質疑を続行いたします。石井紘基君。
○石井(紘)分科員 石井紘基でございます。 厚生大臣に幾つかお伺いをしたいと思いますが、つい先般の、自民党の行政改革推進本部のまとめということで、年金福祉事業団の廃止というのがこの中に盛り込まれているわけですが、年金福祉事業団は、経営的にいいましても、現在、財投の借入残高は三十三兆六千億にも上っておる。この中で、最近の年度ごとの状況を大まかに見てみますと、例えば、平成七年は資金運用部への支払いの金額というのが約四兆、平成八年も四兆四千億、このうち借入金の利息が平成七年で一兆七千億、平成八年で一兆六千六百億。一方、財投からの借入額というのは、平成七年が三兆二千五百億、平成八年が三兆九千億、これに政府からの交付金や出資金といういわゆる補助金を加えますと、大体この財投からの借入額と返済額及び利息というのが似たり寄ったりの数字になっている。さらに、政府からの補助金の累計というのは、今日まで一兆七千六百億を超えておる。それでもまだ累積の赤字は一兆円を超しておるというような状況でありますし、また、最近の資金運用の実態を見ましても、極めて効率の悪い状況、収益が利息にも及ばないという状況になっているわけでありますから、これを見直すというか廃止をするのは当然のことであろうと思います。 さてそこで、閣議で近々基本的にこうした方向が決定をされるやに聞いているのですが、厚生大臣としても当然これを受け入れ、さらにはまた、この事業団の今後の廃止の具体的な方策についてお考えがあろうかと思いますので、そのあたりをまずお聞かせいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 今後の方策ということですが、これは、私が昨年大臣に就任早々、年金福祉事業団の事業活動、これが年金積立金の有利かつ確実な運用につながっているのか、いわゆる年金積み立てをしている方々の有利になるように運営されているのかということに疑問を持ったものですから、これについては廃止を含めて検討せよということを事務当局に指示いたしまして、それが今自民党の中でも検討されているというふうに聞いております。 現状については、局長に答弁させたいと思います。
○矢野政府委員 年金福祉事業団の事業、大まかに言って三つ大きな事業をやっておるわけでございます。一つが住宅融資等の融資事業、二つ目が大規模年金保養基地、これはグリーンピアと称しておりますけれども、保養基地の設置運営、それから三つ目が、先ほど出ました年金積立金の市場運用事業ということでございます。 それぞれにつきまして見直しの作業を進めておるわけでございまして、まず住宅融資でございますけれども、これは撤退をするというのが最終的な方針でございます。ただ、この事業につきましては、年間二十万戸を超すような住宅融資をやっておりまして、サラリーマンの住宅取得につきまして非常に大きな一定の役割を果たしておる、あるいは雇用問題等々もございまして、適切な経過措置を講じた上で最終的には撤退をしたい、こういう方向で検討を進めております。 それから、大規模年金保養基地でございますけれども、これにつきましては、現在も地元の都道府県なり民間団体に運営を委託しておるわけでございます。これにつきましては、既にこれまでの閣議決定によりまして地元への移譲を促進するということにしておるわけでございますけれども、現実問題としては地元への譲渡がうまくいっていないという現状にございます。したがいまして、これにつきましては、地元への譲渡を徹底して進める、そういう方針で対応してまいりたいと思っておりますし、一定期間内に地元で引き受けていただけない、こういう基地につきましては最終的には閉鎖するしかないんじゃないか、こういう考えでございます。 それから、三つ目の市場運用事業でございますけれども、これは、ただいま赤字が一兆円に上るというお話もございましたけれども、年金積立金につきましては、御案内のとおり、一たんすべて資金運用部に預託をする、預けるということになっておるわけでございます。その一部を年金福祉事業団が借り受けまして、民間金融機関を使って市場運用している、こういうことでございます。 そこで、その資金運用部からの借り入れというのは七年なり十年なりの長期固定金利で借り入れるということでございまして、一方、運用につきましては、これは毎年毎年が勝負でございまして、特にバブル崩壊後の低金利状況の中で、借り入れコストと実際の運用利回りとの間に格差、逆ざやが生じまして、先ほど申し上げましたような一兆円の赤字を生ずるに至っておる、こういう状況でございます。 したがいまして、これにつきましては、私どもとしましては、今の仕組みは非常に無理があるんじゃないか。一遍預けたものをまた借りてきて運用する。それで年金資金というのは長期資金でございますけれども、利払いのことを考えますと短期の運用にどうしても傾きがちだ、こういう問題もございます。したがいまして、この問題につきましては、年金特別会計が直接運用する、市場運用する、こういう新たな仕組みが必要だ、こう考えておりまして、そういった年金資金の運用のあり方自体を検討する必要があるということで、現在いろいろな形で検討を進めておるところでございます。
○石井(紘)分科員 今のお話の中で、幾つかあるのですが、まず一つは、年金特会が直接この資金運用をすべきであるというお話でしたが、厚生大臣もこのようにお考えですか。
○小泉国務大臣 年金積立金の資金の運用ですけれども、直接自主運用すべきだと考えております。
○石井(紘)分科員 今、年金資金として運用されている金額というのは二十二兆円余りあるんでしょうか、これを直接年金特会が運用するということになりますと、年金福祉事業団は一たんこれを資金運用部に対して返さなきゃならぬということになるのでしょう。それで資金運用部から年金特会へ戻すということになるんだろうと思います。そうしますと、これは今現在運用しているわけですから、それをどんなふうに引き揚げてくるのか、お考えがありますか。
○矢野政府委員 現在、今御指摘のございましたように、約二十三兆円の資金を年金福祉事業団は資金運用部から借りてきて市場運用しているわけでございます。したがいまして、年金福祉事業団を廃止する場合に、その借りてきた資金をどうするのかということが当然大きな問題になるわけでございますけれども、繰り上げ償還というようなことになりますと、実は今市場で運用しているのは、債券とか株式とか、外国の債券、株式、こういった形で運用しているわけでございまして、資金を現金で返すということになりますと、マーケットでこういった債券を売却しなければいけない、こういうことになるわけです。したがいまして、そうなるとマーケットに対して大変大きな影響を及ぼすわけでございまして、現実問題としては、そういった市場で一時期に売却して返す、こういう手法はとれない、こう思っております。 したがいまして、この年金の運用というのは、たとえ年金福祉事業団が廃止になりましても、何らかの形で継続して実施していかなければいけない、こういうことになるわけですので、その引受機関といいますか、そういったところが、現在運用している債券なり株式なりを譲り受けましてマーケットで運用していく。そして資金運用部から七年なり十年なりで資金を借りているわけですから、その返済期限が次々に参ります。そういった返済期限が来るたびに資金運用部にお返しする。こういう時間をかけた柔軟なやり方をとっていかないと、例えば株式が大暴落するとか、そういったことが当然予想されるわけですので、そういった一時期にまとめて繰り上げ償還する、こういう手法は現実問題としてはなかなかとれないのではないか、こう思っております。
○石井(紘)分科員 そうすると、直接年金特会に戻すということは資金運用部があるからできないけれども、現在運用しているものは何らかの機関でそのまま引き継いで、それは全部売り払って現金にしてというわけにはいかないと私も思いますが、何らかの機関で運用していくということですか、それとも何らかの形で年金特会として運用してもらうということですか。そうすると、資金運用部に対する利子の支払いというのがこれまた問題になってくるわけですが、これはどんなふうにお考えですか。
○小泉国務大臣 年金の自主運用については、単に年金福祉事業団とか資金運用部に借りている資金をどうするかという問題にとどまらないで、財政投融資制度全体にかかわる問題だと私は認識しております。そういう意味から、私は、大蔵大臣に対しても、財政投融資制度の根幹にかかわる問題だから、年金の自主運用について、資金運用審議会でも自主運用を含めて検討してくれということを確認し合ったわけであります。 さらに、厚生省内においても、年金自主運用検討会という識者による検討会を設けまして、将来の年金自主運用の際にどういう問題点があるか、どういう方法がいいか、その具体的な方法について今検討してもらっている状況でありまして、現在のところ、こうだという方針が決まっていない。というのは、財政投融資制度そのものの見直しがどういう方向になるか決まっていないからであります。 これは財政投融資制度の根本的なあり方と連動してくる問題です。私の考えているのは、単に二十三兆円の問題ではない、全額百兆円以上の今の年金を自主運用すべきだというふうに考えているものですから、これは財投の基本的な見直しと連動してきます。そういう点を御理解いただきまして、今のところまだ結論は出ていませんが、そういう方向で見直しすべきであるという点に立って、今大蔵省当局と折衝に入っております。
○石井(紘)分科員 厚生大臣の年来のお考えはよく理解できるわけでありますが、財投制度全体の見直しということになりますと、当面の特殊法人としての年金福祉事業団の廃止ということ、これが財投制度のあり方の転換ということと軌を一にして進まないと、事業団の廃止というものが現実的になってこない、そういう矛盾が出てくるのではないかと思うのです。 当面、事業団について個別にどうするかといった場合に、廃止する。それではどういうやり方で廃止をするかといった場合、今の厚生大臣のお考えも含めて検討をするならば、現実的には、やはりどうしても財投、資金運用部というものがひっかかってくる。もう少し言うならば、繰り上げ返済ができるかできないかというところがひっかかってくるわけでありまして、大蔵大臣、大蔵省とも検討を確認し合ったというお話でしたが、それだったら、この年金福祉事業団についての資金運用についてだけでも、当面突破口を開いて繰り上げ返済ができる、繰り上げ返済するということは、つまり全部売り払って返すということでは必ずしもなくても、直接運営を年金特会にやらせるという場合にも当然利子の問題があるわけですから、繰り上げ返済の問題になってくるだろうと思いますので、そこを、やはり繰り上げ返済というものを認めさせるということが重要なポイントになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 私は、年金福祉事業団の繰り上げ返済だけに終わらせたくないのです。平成十一年の年金の次期財政再計算期、これまでに間に合うように、年金資金の運用のあり方について懇談会において検討してもらうよう今大蔵省に話しているわけでありますので、繰り上げ返済だけということよりも、一歩進んで全体の財投改革につなげていきたいということであります。この年福事業団の一つの廃止は、はい、二十三兆円返してくれればいいですという問題ではない。全体の問題につなげていきたいと思っておりますので、一つの小さな問題にしたくない、もっと大きな全体の改革につなげたいという方向で進んでいるということを御理解いただきたいと思います。
○石井(紘)分科員 そのお考えもよくわかるのですが、年福事業団だけではなくて、例えば住宅金融公庫にしても、あるいは住都公団にしても、道路公団等々その他の特殊法人にしても、みんな同様の問題を抱えているわけでありますので、これは一つ突破口ができればおのずから右へ倣えという、その前例ができるわけでありますから、手法としては、全体の問題をお考えになりながら、まず一点突破で行けばそれが全体に波及していく、そういう手法の方がどちらかといえば現実的かなというふうに私は思うわけでございますが、何か御意見ございませんか。
○小泉国務大臣 そんな悠長な時間、情勢ではないのではないか。まず、年金の自主運用が決まったことだけで、百兆円の原資がなくなるといった場合、どうなりますか。財投そのものにつながっていきます。今、一つ一つだけの改革で済むような状況ではないと思います。一つとればいいという問題ではないと私は思う。まず、全体の自主運用をさせるという方向に突き進んだ方が大改革をさせやすいというふうに考えております。
○石井(紘)分科員 そこは、ちょっと見解のずれかと思います。 いわゆる族議員だとかと余りにも正面から大きくぶつかり合うということよりも、やはり一点突破の方が現実的ではないか、こう思っているわけですが、そこはわかりました。 それから、年金の積立金の資金運用の中でさまざまな手法がとられておるわけです。信託銀行とかあるいはLPSとか、生保とか自家運用とかという内訳があるわけですが、これは資金運用の全体の中で株式投資ということで行われているのが大体一八%ちょっとということだと聞いておりますが、今問題になっております野村証券の関係の株取引というのは、全体の中でどのぐらいあるのでしょうか。
○矢野政府委員 株式でございますけれども、今お話のございましたように、平成七年度末で約二〇%近く国内株式で運用しております。それからまた、約七%を外国株式で投資をしております。これは短期的に見ますと、株式というのは収益のぶれが非常に大きいわけですけれども、長期的に見ますと、債券を上回る収益が期待できる、こういうことで分散投資の一環として実施しておるわけでございます。 それから今、野村証券云々、こういうお話もございましたけれども、株式投資につきましては、私どもは信託銀行あるいは生命保険会社、あるいはまた投資顧問会社に委託をして売買をしております。ただ、そういう売買の過程におきまして、どこの株を幾ら買えとか売れとか、そういった個別銘柄の指図は、これは一切しておらないわけでございますし、それからまた、どこの証券会社を利用して売買しなさい、こういった指図もしていないわけでございます。そこはすべてそういう民間の運用機関に、最も収益が上がるあるいは最もコストが安い、こういったところを自主的に選択していただく、こういうことで運用しておるわけでございまして、そういう意味から、野村証券がどのくらいの割合を占めるのかとか、そういったことは、私どもの方としてはその全体像を把握する、そういうことはできない仕組みになっております。
○石井(紘)分科員 それでは、自家運用の中の、これは平成八年四月現在で二兆三千億余りですが、これは債券の取引ということで自家運用をされているようですが、この部分ではどうですか。
○矢野政府委員 インハウス、自家運用部分が、平成八年三月末現在で一兆九千八百二十五億ございます。これにつきましては、年金福祉事業団の職員が投資顧問会社からのアドバイスを受けて売買をしておるというわけでございます。 それから、そういった投資顧問会社が運用のアドバイスをするといった場合にも、例えば特定の投資顧問会社がそこの親会社の証券会社を必ず使う、こういうことにはなっていないわけでございまして、複数の証券会社の中から最もコストの安いところを選ぶ、こういうことになっておるわけでございます。これは、平成七年度の自家運用に占める各証券会社の取り扱いというのがあるわけでございますけれども、ちなみに野村証券につきましては、全体の構成比、売買高で見ますと三・九%でございます。これよりも高いところが幾つかあるわけでございまして、野村の売買高構成比が特に高いということではございません。 それから、売買高ではございませんで、有価証券の残高という点から見ますと、野村証券の比率、構成比が二一・三%ということでございまして、これは一番比率としては高い、こういうことになっております。
○石井(紘)分科員 自家運用の中で野村の占める割合が三・九%、全体の中では二一・三%ということですか。そういうことですね。わかりました。 野村証券が大変問題になっておるわけですが、最近は、野村証券との取引はまだやっているのですか、やめているのですか。
○矢野政府委員 野村証券の利用につきましては、これは自粛をするということで、現在は野村証券は利用しておりません。それからまた……(石井(紘)分科員「いつから」と呼ぶ)ことしの三月七日以降、野村証券がこの不祥事につきまして発表を行った翌日以降でございます。
○石井(紘)分科員 ということは、当然野村証券からは、直ちにその翌日引き揚げたということですか。
○矢野政府委員 野村証券にその売買の発注を見合わせるということでございまして、新しく売買をする場合に野村証券は利用しないということでございます。
○石井(紘)分科員 もう一つ。当然、銀行の取引もあるわけでしょうが、第一勧銀の方はどうですか。
○矢野政府委員 第一勧銀につきましては、インハウス運用におきまして、預貯金等の新規取引を当面見合わせるということにいたしております。
○石井(紘)分科員 じゃ、今まで預金してあるのはそのままですか。
○矢野政府委員 これまでの分はそのままでございます。
○石井(紘)分科員 それを変えるつもりはないですか。
○矢野政府委員 これは、そういう方針を変更することは、今のところ考えておりません。
○石井(紘)分科員 年金の資金というものは相当のボリュームがあるわけでありまして、当然、民間の金融機関との関係も密接なものがあるだろうと思うのです。そういう中で、ある新聞によりますと、例の岡光さんが野村証券のVIP口座のリストに名前が挙がっておるという報道がありましたが、厚生省としては、内部でこうしたVIP口座に絡む問題がないかどうかということの調査をされておりますか、おりませんか。
○中西政府委員 今お話のございました野村証券のVIPの符号につきましては、証券会社の職員の転勤の引き継ぎ時や、あるいは来店、電話などの応対に際しまして新任担当者や担当者以外の者が代理で受ける場合などに、特に留意が必要な口座に付されているというふうに聞いております。これは、大事にしなければならないという意味と、用心しなければならないという意味と両方があるようでございます。 それで、そういった厚生省職員の有する口座にいわゆるVIPの符号が付されたものがあるのかどうかということにつきまして、厚生省として野村証券に照会したところでございますが、野村証券側は、これは顧客のプライバシーにかかわることであり答えられない、こういう返答でございます。
○石井(紘)分科員 その問題、最後に厚生大臣にお伺いしたいと思うのですが、厚生省内部にそういうことがないようにといっても過去のことでありますので、あったかなかったかということについては厳重に調査をしておるのか、あるいはするおつもりがあるのか、その辺を伺いたいと思います。あなたは結構です。大臣に。
○中西政府委員 ちょっと一言だけ。 聞いておりますところによりますと、これは内部的に付した符号であるということと、それから顧客自身にあなたはVIP扱いしているとかしていないとかという情報を知らせていないということ、それから本年三月末をもってその使用を中止したというふうに聞いておりまして、どのような調査方法があるかどうか検討してみたいとは考えておりますが、実際問題として、なかなかその口座の有無ということを調査することは難しい面があるということを御承知いただきたいと思います。
○小泉国務大臣 ないと聞いております。
○石井(紘)分科員 ありがとうございました。
○根本主査 これにて石井紘基君の質疑は終了いたしました。 次に、中川正春君。
○中川(正)分科員 新進党の中川正春です。 きょうは、主に産業廃棄物の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。 厚生省の方から提出していただいた資料では、あるいはまた各自治体含めて、産業廃棄物の状況というのが非常に難しいということを通り越して大きな問題化をしてきておる、こんなふうに認識をしております。排出物そのものはリサイクルの努力等々である程度横ばいに抑えていっておるという、この努力は一つ数字の上では出てくるんだろうと思うのです。しかし、それにも増して、特に最終処分場の新規の開発というか立地ができないということ。それと、それに伴って寿命、これが非常に危機的な状況まで来ておるということ。それと同時に、現在、現存しておる最終処分場あるいは処理業者を含めて地域との信頼関係が築かれていない、こういうことから非常にトラブルの件数等々がふえてきておる。そういうことが基本になって新しい立地ができない、こういうことだろうと思うのです。そういう問題を内包しておるんだというふうに思います。 まず最初に、こういう状況に至っておること、これは基本的にそのように認識をされておるんだろうと思うのですけれども、なぜこれだけ紛争が絶えないのか、あるいはこのような状況になってきておるのかという基本的な行政としての認識、これをお伺いをしたいと思います。
○小野(昭)政府委員 廃棄物処理施設の設置をめぐりましては、今先生御指摘のございましたように、全国的に地域紛争が多発をしております。私どもが把握をしております限りにおきましても、平成四年から平成八年で、全国で約二百件弱の紛争が起こっているわけでございます。こういった紛争によりまして、最終処分場を初めとします処理施設の設置がなかなか難しくなっているという状況でございますが、その原因についてはどのように考えているかという御指摘でございます。 このように地域紛争が多発をしております背景といたしましては、処理施設がそもそも迷惑施設というふうに受けとめられていること、あるいは近年の住民の皆さんの環境意識の高まり、あるいはダイオキシン等の新たな環境リスクに対する不安感の高まり、あるいは現行の施設の設置手続におきましてあらかじめ住民に事業内容を明らかにするとか住民の皆さんの意見を聴取するといったような手続がないこと等、さまざまな要因があるものというふうに考えております。
○中川(正)分科員 そこで、現在の法体系の基本というのがあるわけでありますが、一般廃棄物については、公共、特に地方自治体の責任においてこれを処理をしていくということ、それから産業廃棄物については、原則的には排出事業者の責任において処理をしていくということ、こういう原則なんだろうと思うのですが、現在もこれについては変わりはないのか、あるいはまた、これについての問題意識はないのかということをお尋ねをしたいと思います。
○小野(昭)政府委員 一般廃棄物の処理につきましては、元来、市町村が清掃事業を実施していたという歴史的な沿革がございまして、それを踏まえまして、市町村がその処理については責任を持っているわけでございます。一方、産業廃棄物につきましては、排出事業者責任原則に基づきまして、みずからが行う、または処理業者に委託して適正に行うということを原則にいたしております。
○中川(正)分科員 一言で言うなら、私は、今の現状というのは、この基本原則そのものが問われてきておるのではなかろうか、こういうことだというふうに思っております。いわゆるコストをだれが負担するかということと、それをだれが処理をしていくか、このことは峻別されていいんだろうというふうに思うのです。 そういう意味では、産業廃棄物について、いわゆるコストを排出事業者の責任において負担をしていくという原則については、これは私はそう議論の余地のないところだろうというふうに思うのです。しかしもう一つの、事業そのものを今のような形でいわゆる民間、民間ということはどういうことかといいますと、民間でこの部分を処理をしていこうと思うとどうしても市場原理というか経済原則の中でこの仕組みをつくり上げていかなければならない、こういう前提があるわけでありますが、一つは、本当にそれが成り立っていくのかどうかということがあるだろうというふうに思うのです。そこのところをどういうふうにお考えか、お尋ねをします。
○小野(昭)政府委員 産業廃棄物の処理についてでございますが、先ほど申し上げましたように、排出事業者の責任によって行うこととされておりまして、単に市場原理にゆだねているということではなくて、その処理につきましては、廃棄物処理法に基づきます規制と行政の監視、指導によりまして適正な処理を確保していくこととしているところでございます。 また、最終処分場の確保につきましては、排出事業者が単に処理費用のみを負担すればよいというものではございませんで、処理に責任を有します者として、責任を持って、かつ民間の創意工夫や技術力を生かして質の高い施設の整備を行っていくべきものと考えております。 しかしながら、中小企業も含めまして、すべての排出事業者がみずから施設を整備するということは端的に申しまして非常に難しいということがございますので、排出事業者の適正な委託のもとに、許可を受けた業者によりまして処理をするという道も設けているところでございます。 しかしながら、委託処理につきましては適正に行われていないという例も見られるところでございまして、マニフェスト制度をすべての産業廃棄物に拡大いたしまして、排出事業者は委託処理が適正に行われたことを確認しなければならないこととする等の廃棄物処理法の改正を行いますとともに、委託基準の強化を図ることを予定しておりまして、これらによりまして適正な委託処理を確保していくこととしております。 なお、先生も御指摘がございましたが、現下の最終処分場等の施設の確保が困難な状況がございます。そういった場合につきましては、公共関与によりまして施設の整備を補完していくことも極めて重要であるというふうに認識をいたしておりまして、民間に施設整備を任せるだけではなくて、廃棄物処理センターの整備等の公共関与によります施設の整備の促進も図ってまいりたいと考えております。
○中川(正)分科員 先ほどのお答えのように、廃棄物を搬出して、それを最終処分場まで持っていく、そのシステムの中で民間の業者が果たす役割、これは一つあるだろうと思うのです。それともう一つ、その最終処分場の確保、これを社会的にどういうふうに住民の納得を得ながら確保していく施策をつくっていくか、こういう二つに分かれるのだろうと思うのですが、さっき特に私も、市場原理が働かない、あるいは市場原理だけでは立地が困難だというふうな指摘をさせていただいたのは、後者の部分、いわゆる最終処分場をどういうふうに確保していくか、こういう部分であったわけです。それに対して、公的な関与をしていく、こういう答弁をいただいたわけでありますが、今回、それが一つの法改正という形になって、先ほどの廃棄物処理センターですか、こういう仕組みづくりになった、こういうことであろうかと思うのです。 ただ、これは公的関与といいましても、保険機構をつくった、こういうふうな意味合いが強くて、現実問題、それに対して住民サイドの気持ちとして、いわゆる住民がそういう迷惑施設を受け入れていくときのコンセンサスの得ていき方、そのプロセスとしてそれが本当に有効に働いてくるかということになると、私は、これはまた別の次元の問題ではないのかな、こういうことを一つ思います。 それと同時に、今回の法改正の中で、住民サイドから見たときに一つのポイントとなる点というのは、いわゆる環境調査の義務づけ、これを一つ入れているのと、それから新規でやる場合に、あるいは増設する場合に関係住民等の意見聴取をしていくという項目、それからまたいわゆる帳票等々の公開ということ、こういうことは、そうした意味でのコンセンサスをというより、信頼関係をいかに醸成していくかということの工夫であろうか、そんなふうに解釈をしております。 厚生省として、まあこの辺で大体いけるんじゃないかというふうなお考えですか。これでは私の感覚では基本的な問題の解決にはなっていないように思えるのですが、その辺の、どうしてこれで説得できるんだという、そこのところの認識をちょっと聞かせていただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 先ほどちょっと公共関与のことを申し上げまして、私の御説明が不十分であったので、ちょっと補足をさせていただきます。 公共関与につきましては、従来からいろいろ御指摘がございまして、平成三年の廃棄物処理法の改正におきまして、廃棄物処理センター制度を創設したところでございます。したがいまして、今回の法改正におきましては、公共関与については特段の手当てをいたしているところではございませんで、従来創設いたしました制度等の適正な推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。 それから、お尋ねの設置手続の関係でございますが、今回の改正案におきましては、施設の設置手続といたしまして、まず生活環境影響調査の実施、それから住民や市町村長の意見聴取を盛り込むことといたしておりますほかに、許可要件といたしまして、従来は一律の技術上の基準に合っているかどうかということで判断をしていたわけでございますが、新たに地域の生活環境への適正な配慮がなされているかどうかという要件を加えておりまして、さらにこの要件に合致するかどうかにつきましては、生活環境影響調査の結果あるいは住民等の意見を踏まえまして、専門家の意見を聞いた上で判断するということといたしておりまして、このような手続を踏むことによりまして、従来よりも格段にきめ細かな許可の判断が可能になるものというふうに考えております。 それで、この設置手続につきましては、従来、廃棄物処理法に十分な規定が定められておりませんでした。このために、各自治体では法律を補完するために要綱等を定めて対応してきたところでございますが、今回の改正案におきましては、各自治体の要綱等の目的、内容等も踏まえながら、必要な手続を全国的共通ルールとして法定化するものでございまして、これによりまして、住民の意見を十分尊重しながら、円滑な施設の設置が可能になるものと私どもとしては考えております。
○中川(正)分科員 ということは、さっきのお言葉の中にもあったように、各自治体では指導要綱でこれはもう既にやって、一番悩んでいるところなんですね。 端的に聞きますけれども、今回法制化されたことによって、例えば地域の住民から反対運動が起こったときには認可をしないということなんですか。 それともう一つは、周辺の環境調査なんですけれども、これはいわゆる廃棄物業者のサイドが環境調査をする、こういう原則になっているわけですね。これに対して、例えば地元住民なり市町村が疑義を挟んで納得をしないという場合も十分出てきて、そういう裁判事例がもうあふれているわけでありますが、こういう現状の中で、法規定でこれだけで、この調査結果がお墨つきの調査結果であって、ほかの部分についてはどうなんだというようなことがないということは、逆に言えば、これはどうも業者寄りの法制じゃないか、こういう見方も出てくるわけであります。 その二点について、もう少し具体的に、どういう前提でこの法律の改正がなされたのかを御説明いただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 施設の設置許可に当たりまして住民の皆さんの意見を聴取することと改正法案ではいたしているところでございますが、生活環境を保全する見地からの意見を求めるというものでございまして、施設の設置に反対する意見につきましても、単に反対ということではなくて、その理由について明らかにしていただくことが必要であるというふうに考えております。明らかにしていただいた理由につきましては、先ほども答弁申し上げましたように、専門的な知識を有する者の意見も踏まえまして、生活環境保全上の観点からその妥当性を判断し、施設の許可の審査に当たって適切に反映されるものと考えております。 関係市町村からの意見聴取につきましても同様の考え方でございまして、これらにつきましても、いずれにいたしましても、生活環境保全上の見地から、専門的知識を有する方の意見を聞いた上で判断をするということになろうと思います。 それから、調査に関しましては、生活環境影響調査の内容等につきましては、いわゆる専門家の御意見も踏まえまして、その項目等を今検討しているところでございますが、これらの中身につきましては、設置許可の申請書と生活環境影響調査の調査結果につきまして、申請がありました時点で公告縦覧をすることといたしておりますし、それに対して意見が求められた場合に、今申しましたように、専門的な見地から、住民等の皆さんの疑問に対してきちんとこの施設はこたえているかどうかを審査していただくわけでございまして、私どもとしては、今までの住民の皆さんの不安におこたえできるものというふうに考えております。
○中川(正)分科員 その審査というのは法的にだれがするかという枠組みははっきりしているのですか。
○小野(昭)政府委員 都道府県知事が許可をする際に、専門的な知識を有する人の意見を踏まえて判断をするということといたしております。
○中川(正)分科員 そこのところがなかなか仕組みとしてはっきりしていないということ、ここに一つ問題点があるのだと思うのです。そこのところというのは専門的な知識を有する人ということであって、これが一つの行政的にあるいは法的に確立された委員会だとか第三者機関的に設置されたものであるとかという、その必要性というのがここで指摘をされるのではなかろうか、こういうふうに思います。 それからもう一つは、さっきの話で、大体環境調査というのは産業廃棄物業者のやる調査ですから、これは事業に対して肯定的に結果が出てくる。その前提でいろいろな環境影響調査というのはされるわけであります。それからもう一つ、関係住民の意見というのは、これは当初から出ているように迷惑施設ですから、できる限りいろいろな原因を一つ一つ分析しながら、処分場の立地に対しては反対、こういうトーンで出てくる。これはもう議論する前からはっきりしていて、この二つの要素というのがどうしてもかみ合っていかないから、現在の紛争というか問題の種を残しておるわけであります。これに対しては、この二つを持ってきても基本的な解決にはならない、こういうことなのだろうということを指摘をさせていただきたいというふうに思うのです。 そこで、先ほどの第三者機関それから専門家ということも含めて、これに対して、例えば今金融部門では金融監督庁構想というのが出ていますけれども、そうした意味でも、行政の中で検査監督機能というものがぴっちりと規定をされた、いわば住民サイドから見ても、これは第三者機関なのだな、法的に拘束力があるのだな、強制力があるのだな、こういうものを設置をしていく必要があるのではないか。もう一つは、維持管理という事業を進めていく上で、その機関が現場へ乗り込んできて検査をしていく、その検査のあり方というのも基準をはっきりしながら進めていく、これが必要なのではないか。 今はそれが行政の中に混然としていて、しかも、専門家集団の数というのがどれぐらいあるのか、保健所にどれぐらいそういう体制ができているのかというのを少し数字的に出してもらったのですが、これを見てみても、全く不十分な中でやっているということが言えるわけであります。そういう問題意識がないのか、そういうものをつくっていく気持ちがないのかということをお尋ねをしたいのと、これは担当というよりも、いわゆる政治的判断の中で、地元でも恐らくしっかりそうした問題に関与をしておられるだろうというふうに思うのですが、そういう問題意識の中から、先ほどのようなものを法の中につくり上げていく準備はないのかどうかということを、次官の方にお尋ねをしたいというふうに思います。
○鈴木(俊)政府委員 中川先生のいろいろなこの問題についての御質問を伺いまして、先生が産業廃棄物の問題について大変造詣が深くて、重要な課題を御指摘されているということを強く思ったところであります。 先生が御指摘のように、今、最終処分場をつくろうとしてもいろいろ紛争が多い、なかなかできないということを考えますと、そうした行政の検査監督機能に対する住民の信頼性を確保していくということが本当に重要なことである、そういうふうに思っております。 今回の改正等におきましても、さまざまその辺については指導監督体制を強化していくようなことをやっているわけでございますが、今後とも、立入検査等によって産業廃棄物処理による周辺への影響を未然に防止するとともに、基準に適合しない処理が行われた場合には早急に改善が図られるように、悪質な場合には直ちに行政命令を発動するなど都道府県をしっかりと指導いたしまして、そして住民の信頼確保に努めてまいりたい、そういうふうに思っています。
○中川(正)分科員 それはいわゆる行政としての第三者機関の信頼性でありますが、もう一つは、最終的にはこうした形だけでは、あるいはこれ以上の新規の立地は民間でやっていく限りは依然として難しいのじゃないかな、こういうふうに思うのです。 そんな中で、最終の処分場をはっきりと公的な機関が立地をしていくんだというような突っ込み方、ここまでいかないと、なかなか現実問題、私たち現場にいて難しいなというのが実感であります。そういうような踏み込み方、これは原子力立地なんかの行政とよく似ていまして、一番難しい部分は公的に責任を持ってやりますよと住民に言わないことには納得してもらえない。そういっても動燃はああいうていたらくですから、それでも難しいところはあるのですけれども、そういう突っ込み方というのが法的に明文化されたそこへの公共関与、これが必要だと思うのですけれども、どうでしょうか。
○小野(昭)政府委員 産業廃棄物処理につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、排出事業者の責任において適正に行うこととされているわけでございまして、最終処分場の確保につきましても、事業者の責任に基づいて行うことは原則ではございますが、先生も御指摘のように、現在の状況では施設の確保が困難なケースがございます。そのような場合に、公共関与により施設整備を促進していくことも重要というふうに認識をいたしております。 法制度との関係で申し上げますと、先ほどちょっと補足的に御説明申し上げましたが、平成三年の廃棄物処理法改正におきまして、廃棄物処理センター制度を創設いたしまして、現在のところ八県においてセンターの指定が行われておりまして、うち一県で実際に事業が開始をされておりますし、他の県におきましても計画を策定中というふうな話も聞いております。 さらに、平成四年に、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律というのがございまして、税制あるいは融資等の支援措置を設けましたほかに、大都市圏におきましてはいわゆるフェニックス計画というのを推進するなど、公共関与によります施設整備の枠組みづくりに努めてきたところでございまして、今後とも、このような枠組みを活用いたしまして、施設整備の促進を図ってまいりたいと考えております。 大変失礼いたしました。施設の供用開始をしているのは八県のうち二県。一県と申し上げましたが、間違いでございました。失礼いたしました。
○中川(正)分科員 私は、今の枠組みの中ではちょっと無理なんではなかろうかという見解です。それが法制的に明文化されて、私たちが負っていかなければならない義務をはっきりさせて、その中で取り組んでいく、これが地方自治体に対しても国の果たしていく役割としては適当なものなんだろうというふうに思っております。 そんな意見を申し上げながら、質問を終わります。 ありがとうございました。
○根本主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。 次に、桝屋敬悟君。 〔主査退席、滝主査代理着席〕
○桝屋分科員 決算委員会第二分科会、引き続き質疑を行わせていただきます新進党の桝屋敬悟でございます。 私は、本委員会で審議対象になっております平成六年度、七年度決算の中で、特に難病の方々の対策について中心的にお伺いをさせていただきたい、あるいは厚生省の取り組みをお伺いをしたい、こんなふうに思っているわけでございます。 今回の厚生委員会は予算委員会よりも長い委員会でありまして、その中でずっと政務次官の終始一貫厚生委員会で熱心に座っておられるお姿を見るにつけ、一度こういう場で議論もしたい、こんな思いもありまして、きょうは幸い大臣もいらっしゃいませんし、親しくお話ができるのではないか、こんな期待もしているわけであります。 さて、それで、今も申し上げましたように、この国会、厚生委員会は大変に長時間になりました。医療保険にしましても介護保険にしましても、ただいまの、あるいはこれからの我が国の国民生活にとりまして極めて重要な案件、これが終始熱心に議論がされたというように私は思っているわけでありますが、特に介護保険、実はあの介護保険の議論の中でも、私、大臣と随分やりとりをさせていただきました。 その中で、介護ということは、それは当然ながらお年寄りの介護を対象とした保険システムでありますが、その中で障害者の問題、特に若年の障害者の中でも難病と言われている方々、特に本日はALS、これは今回の委員会でも、ALSの患者の方が実際に厚生委員会の傍聴においでになって熱心に聞いておられましたけれども、そうした方々、あるいは筋ジス、脊髄小脳変性症、いわゆる失調症といいますか、神経難病と言われている方々の取り扱いが大変私は気になるわけであります。もちろん、あの委員会の中でも随分議論をさせていただきましたが、改めてこの決算委員会においても何点か確認をさせていただきたい、こんなふうに思っております。 本日審査対象になっております六年、七年の決算においてもそうでありますが、実は難病の方々を取り巻く環境も、ここ二、三年大きく変わってきているというように私も了知いたしております。特に障害者の施策の中で体系化されたり、あるいは医療の分野でもより充実した対策をということで、徐々にではありますが、また、ある意味では格段に取り組みが重視されているということもあるというふうに私は理解をしておるのであります。 それで、最初にお伺いしたいのは、こうした難病の方々、特に神経難病、今申し上げました筋ジスあるいは小脳変性症、ALS、こうした方々の実態というものがどのように把握されているのか、いろいろなところで議論はされておりますが、改めてこの場で、この六年、七年、あるいは最近の動向でも結構でございますが、どういう把握になっておるのか、まずこの部分をお伺いをしたいと思います。
○中西政府委員 進行性筋萎縮疾患による身体障害者につきましては、厚生省の身体障害者等の実態調査によりますと、平成三年十一月現在で、在宅の十八歳以上の者が全国で約一万二千人、同じく十八歳未満の者が約五百人と推計されております。 また、国立療養所の進行性筋萎縮症児者の委託病床に入院している者が約二千人、それから、身体障害者の療護施設等の福祉施設に約五百人が入所している、こういう実態にあると承知いたしております。 それから、その他の神経難病の患者さんで障害者の人は、これは特定疾患患者療養生活実態調査報告書の中で調査がなされておりまして、その身障手帳の所持状況もあわせて調査されております。そこから推計いたしますと、約三万人内外が身障手帳の所持者ではないかというふうに推計いたしております。進行性筋萎縮症児者につきましては、従来からそれほど数の面において大きな変動はないというふうに認識しております。
○桝屋分科員 中西審議官、ありがとうございました。 ちょっと私、聞き取れなかったのですが、筋ジスの方は、今の御説明では全体で幾らになるのでしょうか。一万二千、それから療養所へ入っておられるのが二千、それから施設が五百、さらに十八歳未満が五百ぐらいですから、一万四千ぐらいですかね。 それから、さっきの三万人というのはあれは何の数でございますか。私が知りたいのは、筋ジスの方、ALSの方、小脳変性症の方、そのくくりでどのぐらいいらっしゃるかということをお伺いしておるのでございます。これは在宅、施設、わからなくても結構でございます。
○中西政府委員 筋ジスにつきましては、在宅者と国立療養所、それから身体障害者療護施設の入所者を合わせまして、約一万二千人程度ではないかというふうに考えております。 それから、約三万人と申し上げましたのは、これは特定疾患患者の療養生活実態調査の対象になっております神経難病、筋ジスは入っておりませんが、それを除く神経難病の方々の中から、サンプル調査をしておりますので、そこからはじきますと、約三万人というふうに申し上げたわけでございます。この中で、先生御指摘のALS並びに小脳変性症の患者さんの数が約一万八千人でございます。手帳所持者はちょっと計算してみなければならないと思いますけれども、全体としては約一万八千人ぐらいです。
○小林(秀)政府委員 今、中西さんの方からは身体障害者の実態調査のお話が出てまいりましたが、私の方で把握をいたしておりますのは、神経難病患者につきましては、特定疾患治療研究事業の受給者という方がいらっしゃいまして、そっちのデータがございますので、お答えさせていただこうと思います。 神経難病患者、その受給者数によりますと、平成八年三月末現在で九万二千人という数になります。そして、ここ五年間で約六〇%増加をいたしております。 それで、神経系疾患、その合計九万二千人ですが、どんな疾患かをちょっと申し上げさせていただきますと、多発性硬化症、それから重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、ALSですね、それから脊髄小脳変性症、アミロイドーシス、パーキンソン病、それから後縦靱帯骨化症、ハンチントン舞踏病、ウィリス動脈輪閉塞症、シャイ・ドレーガー症候群、広範脊柱管狭窄症ということで、これは合わせて九万一千ちょっとになります。最も多いのはパーキンソン病でございます。 それから、平成七年度に、難病のケア・システム調査研究班におきまして、特定疾患治療研究事業の研究対象三十六疾患を対象といたしまして、介護の必要性等日常生活の状況、受療状況を調査の内容として療養生活実態調査を行っております。これによりますと、神経難病の患者の入院率は約二三%、その他の難病の方を含めて全体でいきますと一九%ですから、神経難病の方の方が入院率が高い、こんなような状況だと思います。
○桝屋分科員 ありがとうございました。 さて、そこで、そうした実態、これは今言われたようにいろいろな形で、数として一番把握しやすいのは特定疾患の事業の中で把握されるのかな、こういうふうに理解しておるのでありますが、その対策ということでございます。それで、六年、七年の決算委員会ではありますが、最近の動きとしては、障害者プランなるものができまして、難病の方もある意味ではこの障害者プランの中で一緒に処遇していこう、対策を立てていこう、こういうふうになっておるというふうに私は理解しておるのであります。しかも、最近の動きとしては、厚生省も機構を改革されまして、障害者対策を、ゴールドプランやエンゼルプランのある意味では谷間になっているような部分を本当にしっかりとやっていきましょう、こういう流れになっておるというふうに理解いたしておるのであります。 さて、そうしますと、今言われたような、確かに全体数で九万二千という数でありますから、障害者の全体の数としては大変に少ない、いわゆる希少な、数の少ない難病の方々。もちろん、この中できめ細かな対策、介護の対策やいろいろな対策が必要な方というのは、さらに数が少なくなるかもしれません。そうしますと、実際に現場の市町村や保健所あたりのサービスを展開する段階では余計数が少なくなるわけでありますから、ともすると置いていかれたり、あるいは難しい対策であるがために、数が少ないがために統一的な対策がなかなかとれない、制度の谷間で大変に苦しまれるという事例がある。それがまさに介護保険の議論の中のALSの方々のお声ではないかというようにも私は思うわけであります。 それで、具体的な対策でありますが、一つは、やはり難病でありますから、保健医療局の疾病対策課でいわゆる難病対策ということが進んでおるのかな、こういうふうに思っておるのですが、六年、七年に限らず最近のことまで含めて、特に難病対策としての姿といいますか、この最近の動向といいますか、お取り組みの状況を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木(俊)政府委員 桝屋先生、連日御苦労さまでございます。 先生からお話ございましたけれども、先般の厚生委員会でもALSの患者さんがおいでになりまして、筋ジストロフィーの皆さんや神経難病の方々が本当に苦労されておられる、また介護や看護する方も大変だという思いをいたしております。 今、一つ治療体制のお話だと思うのでありますが、国立病院や療養所におきましてはこれまでも難病対策というものに取り組んでおりまして、難病専用病床の整備を行ってまいりました。また、昭和六十一年に再編成計画を立てたわけでありますが、その中におきましても、全国八ブロックに一カ所ずつ難病についての中心的な役割を担う基幹施設というものを位置づけまして、充実強化を図ってまいりました。特に筋ジストロフィーの患者さんの問題につきましては、二十七カ所の国立療養所に専用病床を整備もしてきたところでございます。 難病でございまして、不幸にして治療法がわからないということで今後の研究成果を待たなければならない点はあるのでありますが、そうした今後の研究成果、医学の進歩というものを踏まえながら、今後とも治療体制の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
○桝屋分科員 ありがとうございます。 今政務次官の方から御説明をいただいたのは、一つは、国立病院の統廃合あるいは筋ジスの病棟あたりのお話をいただきました。これも私も関心を持っておりまして、ずっと見ておりますが、研究も相当進んでいるようでございまして、ぜひ引き続き研究をお願いしたいと思うのです。 今、たまたま筋ジスの病棟の話等が出ました。一つは、私が申し上げたかったのは、難病対策については、さっき言いましたように、障害者プランで一体的にその中で漏れなくと思ったのでありますが、障害者プランは、大臣官房の障害保健福祉部でこのプランの対応はされておられる。それで、今政務次官の方からお話のありました筋ジスの病棟等は、恐らくこれは国立病院部が対応しておられるのだろう。さらに、今私がお聞きしたかった保健医療局の疾病対策課のいわゆる難病対策というものは、特に最近地域保健法等が動き出しておりますから、いろいろな形できめ細かな対策が進んでいるのだろう、こういうふうに私は理解しております。 今申し上げたように、障害者プラン一本で体系的に今回の機構改革で取り組まれるということを期待しておったのですが、難病については、今の保健医療局はちょっと別だと。ここが本当にきちっと一体的に検討が進められるかどうかというのは、実は大変私は危惧をいたしております。順番が逆になってしまいましたけれども、その辺はどうでしょうか。 障害者プランでは、難病については、これは平成七年十二月に発表された内容でありますが、「難病を有する者に対して、関連施策としてホームヘルプサービス等適切な介護サービスの提供を推進する。」こういう一文が入っておるのです。この書き方は私はまだ甚だ不満ではあるわけでありますが、障害者プランを進める上で、保健医療局との連携は十分なされているのか。私のお尋ねは、今障害者プランについてはいよいよ審議会の議論が始まっているというように私は理解しておるのですが、そういう審議会の検討の中で難病対策、特に、局の違います保健医療局との連携はしっかりなされているのかという点をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中西政府委員 障害者プランにおきましては、基本的にはそのプランの対象者は障害者、身体障害者について言いますれば身体障害者手帳を保有している方々をそのプランの基本的な対象にしているわけでございますが、難病を有しておられる方々につきましても、もちろん障害者手帳をお持ちの方、当然症状、態様が重くなってくれば障害者手帳に結びつくものだというふうに考えております。それは先生おっしゃるとおり、その前段階から、障害者手帳を持っておられない方も含めて、その地域においては一体的に在宅サービスも含めて運用、適用を当然考えていかなければならないものだというふうに認識しておりまして、私どもとしましても、当然、障害保健福祉部と保健医療局との間できちっとした連携体制をとって、いやしくも穴があいたような状況をつくり出さないように取り組みを行ってまいりたい、かように考えております。
○桝屋分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。いやしくもよく穴があくのですよ。そこが心配でありまして……。 今、中西総務審議官が最初に言われたあの言葉がもう私はひっかかるのです。身体障害者手帳がある人はこっちですよ、ない人はこっちですよと。私がお聞きしたのは、難病対策を障害者プランの中でどうとらえるかという話でありますから、わざわざ、手帳がある人はどうですよなんというようなことを言っていただきたくない。わかっていますよ、こっちも。だから、手帳がない人については、保健医療局の方で対策もきめ細かにやっていただいているということは理解をしておるわけでありますけれども、わざわざここで言っていただくと、また私も、本当に穴があくのではないかと思ってしまうわけであります。 それで、さっき政務次官が言われた話の中で、特に筋ジスの病床あたりは、これから国立病院の統廃合の第二次計画、この統廃合については悩ましい話があるということは私もよく理解しておりますが、ぜひこの統廃合、国立病院、国立療養所も含めて、あるいは筋ジス病棟やそういうものも含めて、統廃合の大きな国の計画の推進の中で、いわゆる政策医療の部分で、地域的に、正直申し上げて数が少ないものですから、現場の保健所あるいは医療機関では、ALSと診断された方あるいは筋ジスと診断された方、小脳変性症の方、どこへどう相談していいかわからないケースが結構ありまして、たらい回しにされる。私は、各県一カ所つくれなんということは言いません。今の筋ジスの配置、施設で結構だと思いますが、しっかりとした機能を強化していただいて、言葉は適切でないかもしれませんが、神経難病センターのような、ナショナルセンターではありませんよ、地域のそれぞれのブロックごとの拠点として旗を立てていただいて、それぞれの地域で頑張っておられる関係者の方あるいは患者さんの方、家族の方が相談できるような、そういう機能もぜひお考えいただきたい。私は、これはやはり国立病院の統廃合の戦略の中に明確に位置づけていただきたいと思っておるのでありますが、この辺はいかがでありましょうか。
○小林(秀)政府委員 まず、国立病院・療養所と難病の患者さん方の関係でございますけれども、「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」というのを昭和六十年三月につくりまして、そして平成八年十一月に改定をいたしました。その中で、神経難病につきましても、国の政策医療として、国立病院・療養所が担うべき医療として位置づけております。そういう観点から、今後とも治療体制の充実をまず図ってまいりますということでございます。 その次に、今度は、その医療施設まで届かない患者さんの関係のことを今先生おただしになりましたが、実は、この平成九年度予算で、特定疾患治療研究事業の中でALS患者等の療養環境整備に関する研究というのを実施をすることにしておりまして、この中で、入院及び在宅の患者、家族の抱える問題点を把握するために医療と福祉に関する実態調査を行うとともに、具体的な対策の検討を行うことといたしております。その中には、私が承知している限りでは全国で三つのモデル地域を決めまして、そのモデル地域の中で、今先生がおっしゃられたように、難病患者さんを抱えて困っている、患者さんがどこへ行ったらいいのかとか、いろいろな問題、そういう問題全部にこたえるべく地域モデルでもってやっていこうということがこの九年度事業で考えているところでございます。 それからもう一つ、難病患者の重症患者さんに対しても、今国立療養所でもお預かりをいたしておりますけれども、それぞれの病気というのは患者さんの病状も違うわけでありまして、割に長く療養生活を必要とする筋ジスの患者さんと、それから、比較的、もう少し短い疾病期間でありますALSとは当然変わってきてしかるべきであります。そういう意味におきまして、この重症患者の今後の難病対策の中での位置づけにつきまして、今月の十三日に、公衆衛生審議会の難病対策専門部会に対して、どうしたらいいのかということを付議をしておるところでございまして、そこの検討結果、それから先ほどの調査結果とをあわせまして、今年度のなるべく早い時期に、重症難病患者の医療体制の整備についても新たな対策をまとめていきたい、このように考えておるところでございます。
○桝屋分科員 ありがとうございます。今の三つのモデル地区というのは、まだ発表ができる段階ではないのでしょうね。わかりました。結構です。 それで、一つだけお聞きしたいのは、研究事業は、それは国立病院の統廃合というところまで影響を与えるものでしょうね。当然、そういうリンクはしているのでしょう。その点はいかがですか。
○小林(秀)政府委員 国立病院の統廃合の関連の数について関係はしておりませんが、国立病院の機能としては、もう当然のごとく、それは国として、厚生省としてどうやるか。だけれども、そこは先生御理解いただきたいのは、すべての病気を国立療養所で担うということではなくて、患者さんの状態等と地域医療ともあわせてその連携の中で考えていく必要がある、こういうことで申し上げているわけです。
○桝屋分科員 今の三つの地域のモデル事業、こちらもしっかり関心を持って見てまいりたいと思いますが、時間もありません、最後に一点。 そういう、いわゆる保健医療局の取り組みと、障害者プランでは恐らく福祉の障害者施設の施策体系を見直すという作業に着手されていると思うのですが、そこはリンクしなければいかぬと思うのです。障害者の施設の見直しの中には、筋ジスのように点数払いの施設、いわゆる医療機関に併設された福祉施設というものがあるわけでありますから、その部分と今のような議論がきっちりかみ合わないと、私は本当に立派な対策にはならないと思うのですが、その辺はいかがでしょう。
○小林(秀)政府委員 先ほど中西総務審議官からもお答えがありましたように、障害保健福祉部と保健医療局とはよく連携をして現在もやっておりますし、今後とも十分連携をとってやっていくこととしております。
○桝屋分科員 今のお答えでは不十分なのです。なぜ不十分かといいますと、私は、そういうお答えだと、私がどんな発言をしたにもかかわらず、恐らく最後は、この障害者プランに書いてある「難病を有する者に対して、関連施策としてホームヘルプサービス等適切な」、この辺だけで終わりやしないかと。もちろんこれも大事ですよ、在宅サービスも。私がお聞きしたかったのは、障害者プランの施設の体系の見直しと今のような研究事業はちゃんと一体となってやっていただけるのかと。いわゆるハード物のあり方をどうするかという具体的な問題でありまして、そこまで研究していただけるかどうか、お答えいただきたいと思います。
○小林(秀)政府委員 研究をやっているということで、今の段階で研究レポートがどうなるか私たち承知しているわけではございませんけれども、研究の成果というものを踏まえて、それは障害保健福祉部ともきちんと連携をとっていくということが必要だと思っていますし、その方向へ向かっていきたいと思っています。
○桝屋分科員 ありがとうございます。限られた時間でありますけれども、政務次官、ぜひ大臣にもお伝えいただきたい。 今回の介護保険の議論の中で、多くの難病の方が、ぜひ自分たちを連れていってもらいたいと。私は、実はまだ介護保険の中に若年の障害者を入れることは反対であります。なぜ反対かならば、今私が議論したような多様な問題をしっかりと詰めて議論をしていかなければいかぬ、準備もしていかなければいかぬ。そして、それが整理できた段階では、厚生大臣もお答えになったように、将来は介護という部分で整理できる部分が必ずあるだろう。そのために障害者プランの検討がおくれてはならないし、限られた部分だけで議論してもらっては困ると思うわけでありまして、どうか、その私の思いを大臣にもお伝えいただいて、お取り組みをお願いしたい。 最後に、政務次官の御決意、所見をお伺いして終わりたいと思います。
○鈴木(俊)政府委員 特に最後の問題ですね、国立病院・療養所の再編計画というのがございます。それから一方に、障害者プランを推進していかなくてはならないという問題があります。これがそれぞればらばらに進むようなことになってはいかぬわけですから、整合性を持ってきちっと進むようにやってまいりたいと思います。
○桝屋分科員 ぜひその方向で障害者の施策、特に障害者の中でもともすると忘れられてしまう数の少ない難病の方々、これも障害者の一員としてぜひ総合的な体系を御検討いただきたい、このことをお願い申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。
○滝主査代理 これにて桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。 次に、井上義久君。
○井上(義)分科員 私は、不妊治療対策、特に体外受精等生殖医学についてお尋ねしたいと思います。 正確なデータはわかりませんけれども、不妊に悩む人は十人に一人、このように言われているわけでございます。大変残念なことですけれども、不妊イコール女性の欠陥、このような社会的風潮がまだ存在するために、女性にとっては大きな精神的な圧迫になっているわけであります。お子様は何人でしょうかとか、お子様はまだでしょうかというような何げない周囲の言葉でも、不妊に悩む当事者にとっては大変な負担になっているわけでございます。 一方、生殖医学が画期的な発展を遂げておりまして、卵管通過障害に対する治療法である体外受精、一九七八年七月にイギリスで世界初、日本では一九八三年十月に初めて体外受精児が誕生しております。一九九六年六月に発表した日本産婦人科学会のアンケート調査の結果では、一九九四年に四千五百七十六人、九三年には三千五百五十四人、この二年間だけで八千人を超す体外受精児が誕生して、一九九四年までの累計では一万四千百六十四人の赤ちゃんが体外受精によって生まれているということでございます。 ここ数年は年間四千人前後の体外受精児が誕生しているわけでございまして、成功率は二〇%弱、このように言われておりますから、二万組以上の夫婦がこの体外受精を試みられているわけでございます。体外受精には一回三十万から三十五万ぐらいの費用がかかるというふうに言われておりまして、成功率を勘案いたしますと、体外受精による妊娠、出産までの費用はおよそ二百万円ぐらいかかるということでございます。しかしながら、二万組を超える夫婦がこの体外受精を試みている。子供を産みたい、育てたいという切実な希望がこの背景にあるわけでございます。 このことにつきまして、厚生大臣として、こういう不妊に悩む夫婦、特に女性が多く存在しているということと、これまで述べましたように、我が国においてもかなり広範に体外受精が行われているという現状についてどのように認識しておられるか、まずお伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 今のお話を伺っていまして、人間社会、さまざまだなと思います。というのは、先日、何とか避妊用のピルを早く認めてくれという陳情を受けまして、普通だと妊娠してしまうからしたくないという人がいると思えば、今のように、妊娠したくてもなかなかできないという方もおられる。人間社会というのは本当に複雑な、多様な問題を抱えているなということを感じます。 お子さんのいない御夫婦にとっては、何とかお子さんを持ちたいというのは当然の気持ちだと思います。また一方、現代の医学が進みまして、薬を使うことによってむしろ一人だけじゃなくて複数のお子さんを妊娠して、これがかえって全部が亡くならなければならないという場面にも直面している。一方、医学の進歩によりまして、今までは不妊だと思われていたのが、ちゃんと正式に妊娠もできるという医学も進んでいるようであります。 しかしながら、代理母とか倫理的な問題も出ておりますので、こういう問題については医学と倫理の両面から検討しなければならない面があると思います。同時に、適切な治療と助言を得られれば不妊でも健康な妊娠ができるという方もおられると思いますので、そういう問題については適切な対応ができるような措置が必要ではないかな、そう思っております。
○井上(義)分科員 今大臣からお話がありましたように、少子化ということをどうするかということが叫ばれておるわけでございまして、一方ではいわゆる子育て支援、生まれた子供を支援して女性が産みやすい環境をつくるということと、それからもう一つは、子供をつくりたくないという傾向性も非常にあるわけでございまして、前者の方は施策によってかなりの部分は可能になると思いますけれども、後者の部分はなかなか難しいと思うわけです。その一方で、子供を産み育てたい、そういう切実な願いを持っている夫婦の方がいらっしゃるわけでございまして、この子供を産み育てたいという願いをかなえてあげるということは少子化対策の重要な施策の一つじゃないか、私はこう思うわけでございます。 実は、この質問を申し上げますのは、私の友人で、子供を産み育てたい、ところがもう何年間も子供ができなくて、相談したら、体外受精しか可能性がない、こういうことを言われて、それでやっているわけですけれども、お金が非常にかかる、なかなかうまく成功しない。先ほども言いましたけれども、大体二〇%以下なんだそうです。一回に三十万から三十五万かかりますから、必ずしも成功するとは限らない、保険も適用されないということで、何とかそういう産み育てたいという人を支援するようなことをやはり国で考えるべきじゃないか、こういう質問を受けまして、実はこの質問をするようになったわけでございます。 調べてみますと、いろいろ難しい問題がいっぱいあるのですね。難しい問題がいっぱいあるのですけれども、特にこの体外受精に関しては、先ほども大臣おっしゃっておりましたけれども、生命倫理の問題、それから保険給付といっても他の保険給付項目とのバランス等、クリアしなければいけない問題がいっぱいあるのですけれども、何らかの経済的な支援措置をそろそろ考えていい時期じゃないか。年間二万組の夫婦がこれを試みて、四千人前後の子供さんが生まれているわけでありますから、何らかの措置、経済的な支援というものを考えていい時期に来ているのじゃないか、このように思うわけですけれども、これについての所見を承りたいと思います。
○小泉国務大臣 個人に対する経済的支援というよりも、そういう希望されている方に対しての適切な指導助言の支援体制とか、あるいは医学の進歩を受けてどういう問題があるかというのを厚生科学審議会等で今後とも生命と倫理の問題で検討していただくことになっておりますけれども、そのような面での支援というのが考えられるのではないか。今ここで個人的な支援というのは、今の状況ではまだ時期が早いのではないかな、そう思っております。
○井上(義)分科員 そういうお答えが返ってくるのじゃないかと思ったのですけれども、大臣、いわゆる不妊治療、産婦人科で行われている不妊治療に対しては保険が適用されているわけです。その不妊の原因によると思いますけれども、一般的には保険が適用されているわけでありますけれども、体外受精、ここが、先ほど言いましたように倫理的な問題だとか他の保険給付とのバランスとかいろいろ問題があるようで、保険が適用されていないわけでございます。ただ、産み育てたい、欠陥があって産めないということについては同じだと私は思うわけでございまして、個人的に何か援助するというよりも、保険給付全体のバランスの中でそろそろ考えていい時期じゃないかというふうに思うわけでございます。ぜひ検討していただきたいと思います。 それから、今大臣からもお話がありましたけれども、不妊に悩む人たちのいろいろな声を聞いていますと、体外受精の経済的支援ということもあるのですけれども、もう一つは、やはり情報がなかなかない、それから相談したいけれどもどうやって相談したらいいかわからないという声が多いわけでございます。厚生省としてはいわゆる不妊専門相談センターを設置されて、現在五カ所、本年度予算でこれが十カ所にふえるそうでございますけれども、一つは全都道府県にこれを設置すべきではないかというふうに思うわけでございますし、また、都道府県に一カ所ですとなかなか身近に相談に行くというわけにいきませんから、少なくとも情報窓口は保健所単位ぐらいに、あるいは保健所にそういうある程度の情報を提供できるような職員をきちっと教育して設置をしていく、こういう体制をつくるべきではないかと思うわけでありますが、この点いかがでしょう。
○横田政府委員 不妊で悩まれる方に対しましては、身近な相談所といたしましては、従来から保健所の方におきまして相談に対応させていただいてきているところでございますけれども、御指摘いただきましたように、平成八年度から不妊専門相談センターというのを設けまして、八年度で五カ所、今年度で十カ所を予定いたしているところでございます。 私ども、保健所と不妊専門相談センターの連携を密にすることによりまして、こういった不妊関係につきましての情報の提供なり相談に応じてまいりたいと考えております。
○井上(義)分科員 それからもう一点、この不妊専門相談センターの中身の問題であります。 現在、産婦人科の医師、専門の方が一人いらっしゃって相談に応じている、こういう現状をお伺いしているわけなんですけれども、不妊という問題の持つ倫理的、また社会的な特殊状況というものを考えますと、私は、この相談センターに、産婦人科医だけではなくて、例えば看護婦さんとか助産婦さんあるいはカウンセラー、場合によっては体外受精を支援する民間グループの意見なども聞けるような体制整備を図るべきではないか、こう思っているわけです。要するに普通の不妊で、いわゆる通常の治療といいますか、通常のカウンセリングで可能なところはいいのですけれども、やはり体外受精ということになるとかなり難しい問題を含んでおりまして、そういう医学的見地からだけではなくて、カウンセリング機能というものを、しっかり中身を持っていないと対応できないのじゃないか、このように思うわけでございまして、看護婦さんや助産婦さん、カウンセラー、あるいは体外受精を支援しているような民間グループとか、そういう方々に相談できるような体制をつくるべきじゃないか。 それから、もう一つはカウンセリングですね。カウンセリングの費用について、将来こういう体制を整えるということになると、これはお金も相当かかるようになるわけでございまして、私は、不妊治療の一環としてこれは保険の給付の対象にすべきじゃないか、こういうふうに思っているわけでございますが、この辺についてはいかがでしょうか。
○横田政府委員 不妊専門相談センターの相談担当者でございますが、これは中心になるのは、先生御指摘いただきましたように、不妊治療に関する専門的知識を有する産婦人科医等でございますけれども、現在の事業におきましても、その他社会福祉あるいは心理に関しての知識を有する者等というのを加えることにいたしておりまして、医師だけではなくて、さまざまな職種の方が連携しながら相談に対応するような形を考えております。
○高木(俊)政府委員 カウンセリングの内容いかんということになるわけでありますが、そういった意味では、先ほど先生も御指摘になりましたように、不妊の原因となっている疾患、これを診断あるいは治療する、あるいは検査をする、そういった場合については、今、医療保険の適用になっているわけであります。こういった治療なり検査を行われる際に、当然のことではありますけれども、医療機関サイドは十分な説明をし、そして患者さん方の方もいろいろと御相談をするということだと思います。そういった意味では、幅広い意味でのカウンセリングというのはその中に含まれていると私は思いますけれども、ただ、それ以外の、例えば不妊がきっかけとなって生じる精神的な症状等を含めました医学的な相談、こういったものは、現在そこだけを取り出した保険の適用というのはないわけでございます。この辺のところは小児の特定疾患のカウンセリングとちょっと性格が異なるというふうに言われておりまして、この辺、医療保険の中にどのような形で取り込むべきかということは、これはかなり医学界等の専門的な御意見等も踏まえながら検討していかなきゃいけないなというふうに考えております。 ただ、私ども、方向としては、本当に不妊で悩んでいらっしゃる方々がかなり多いわけでありまして、できるだけそういった方々の支援をしていくようなことができないかどうか、こういった点について、特に少子化の時代でもありますし、考えていきたいというふうに思っております。
○井上(義)分科員 そこで、大臣、いわゆる医療技術の進歩によりまして、不妊を初めとする生殖医療の分野では、その適用範囲の問題、先ほども大臣ちょっと指摘されましたけれども例えば代理母の問題だとか、あるいは精子、卵子の提供等の問題ですとか、例えば今の日本の場合は、体外受精については法的な夫婦、婚姻関係にあるということに、これは産婦人科学会のガイドラインとして限定しているわけでございまして、女性の産みたいという権利からいいますと、これも実はおかしな話なんですけれども、そういったことも含めて、生命倫理にかかわる問題が生じているわけでございます。 諸外国では、専門の検討委員会等を設けて議論して、法律を定めて規制している国もあるわけでございます。しかしながら、我が国では、こうした重要問題であるにもかかわらず、その対応は産婦人科学会という限られた専門家集団に一元的にゆだねられて、そのガイドラインでやっている。現実だけが、先ほど言いましたように、年間四千人を上回るようなお子さんがこれによって生まれているわけでございまして、私は、国としてはやはり抜本的な対応をそろそろきちっとしなければいけないのではないかというふうに思っているわけでございます。 そういう意味で、国としてきちっと審議会なり検討委員会なりを設けて国民的なコンセンサスを醸成していく、そういう幅広い議論というものを今やっておかなければ、将来、アメリカのように、代理母、いわゆる妊娠、出産というものが商業ベースで行われるような事態になってしまっているわけでございまして、そういったことを避ける意味でも、今の段階できちっとした議論をしておくべきではないか、このように思うわけでございますが、大臣の所見を承っておきたいと思います。
○小泉国務大臣 先ほどもお話ししましたが、この不妊の問題については、医学面のみならず、倫理面あるいは法制面等にも及ぶ問題であります。科学技術がどんどん進歩発展していく、そういう中にあって、今までの常識ではちょっと考えられないような高度の医学上の発展もあるようでありますので、今年度新たに厚生省としては厚生科学審議会を設けまして、その中でも、このような医学と倫理、法制面、幅広く国民に開かれた中で議論してもらって検討していきたいと考えております。
○井上(義)分科員 次に、幼稚園、保育所の一元化の問題、いわゆる幼保一元化の問題についてお伺いしたいと思います。 昨年十二月二十日の地方分権推進委員会の第一次の勧告で、「少子化時代の到来の中で、子どもや家庭の多様なニーズに的確に応えるため、地域の実情に応じ、幼稚園・保育所の連携強化及びこれらに係る施設の総合化を図る方向で、幼稚園・保育所の施設の共用化等、弾力的な運用を確立する。」こういう趣旨の勧告が行われておるわけでございます。 この幼保一元化の問題については、文部省及び幼児教育関係者、それと厚生省及び保育関係者の間で、いわゆる神学論争ともいうべき長い議論が行われてきたわけでございます。幼稚園と保育所というのは、その目的、機能を異にするわけでありますけれども、やはり同じ就学前の幼児に対する教育、保育を行う場であり、多くの共通性を持っているにもかかわらず、多くはその制度を所管する省庁、文部省、厚生省でありますけれども、その相違による権限争いの要素が多分にあった、こう言わざるを得ないわけでございます。 私は、そういう経過を踏まえて、今回のこの地方分権推進委員会の勧告は大きく二つの意味がある。一つは、幼児教育、保育に対する社会的ニーズが大きく変化をし、現行の文部省、厚生省の硬直した制度運用ではもはや子供や家庭のニーズに的確に対応できないということ、それからもう一つは、現行の文部省、厚生省の幼児教育、保育の制度運用そのものが、地域のニーズに的確にこたえようとする地方自治体の施策実行にとっては阻害要因となっている、この二つのことを指摘したのだと私は思うのです。すなわち、現行制度は現在の社会的ニーズの変化に十分対応できていない、しかもそれに的確にこたえようとしている自治体の足を引っ張っている、こういうことを指摘したのだ、こう思うわけでございます。 具体的に、私は今、仙台に住まいしておりますけれども、仙台では保育所の入所待機児童数は五百十八名、仙台市内でこれだけまだ入れないという子供たちがいるわけです。一方、幼稚園、そのほとんどは私立幼稚園なんですけれども、百十九園あるのですけれども、うち八十三園で定員割れを起こしている。仙台市の幼稚園総体では、定員二万二千二百八十二名に対して一万八千四百六十名しか充足していない。要するに、保育所への待機者が増大している、それから幼稚園の定員割れ、これは都市部に共通する傾向であるわけでございます。 それに対して文部省では、特に幼稚園の定員割れ、経営難という問題に直面しておりますから、預かり保育事業を一部地域に導入して調査研究を始め、本格的な事業の全国化を目指しているわけですけれども、まだまだ試験的導入の域を超えていない。一方、自分の生活上、仕事をしているとかということで保育所に入れているのですけれども、要するに、幼児教育への高い関心があって、高度な教育機能を期待しているという親御さんたちもいらっしゃるわけでございます。そういう意味からいうと、幼児教育と保育というのはミスマッチに現状はなっているわけでございます。 まず大臣に、地方分権委員会の、先ほど申し上げましたように、要するに、現在の幼稚園、保育所という制度は社会的ニーズの変化に十分対応していない、しかもそれに対応しようとしている自治体の足を引っ張っている、こういう勧告について、特に地方分権の観点からこれは取り上げられたわけでありますけれども、大臣としてどのような御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 幼稚園、保育園の一元化問題については、今まで長年議論されてきたわけですが、今後、子どもたちや保護者の立場に立ってよく考える必要があると思うのです。 同じ、お子さんを預かるという面においては共通面が随分あると思います。かつては、保育園におきましても保育に欠けるというお子さんを預かるということでありましたけれども、今や保育問題一つとっても、就学前でなくて就学後の児童まで、児童問題となりますと議論されているような昨今でありますし、当然、幼稚園におきましても今や三歳児だって二歳児だって預かっているところもある、保育園も三歳児、四歳児を預かっているところもあるということを思いますと、私は、保育園あるいは幼稚園、弾力的に運営されてしかるべきじゃないかなと。要は、幼稚園経営者、保育園経営者というよりも、お子さん、保護者の利便にどのように適応していくか、そのための制度はどうあるべきかという観点から検討していいのではないかというふうに考えます。
○井上(義)分科員 大臣のおっしゃるとおりなわけでございまして、子供たち、それから保護者、そのニーズに合った仕組みを今後つくっていくべきである、基本線はそういうことだろうと思います。 これはちょっと当局にお伺いしますけれども、この勧告を受けて、文部、厚生両省の担当部局による検討会が設置をされた、このように伺っております。施設の共用化とかあるいは制度運用の弾力化を議論するということになっているようでありますけれども、今後、どのようなタイムスケジュールで、どのような事項を話し合って、いつまでに決定をするのか、案をお決めになるのか。まだ議論が緒についたばかりで具体的なことは明確にできない面もあろうかと思いますけれども、少なくとも地方自治体が住民ニーズにこたえる諸施策が円滑に講ずることができるような具体的な大胆な決定がなされないと、この検討会をつくっても意味はないと思いますので、この点についてちょっと当局から、それぞれ、文部省も来ていただいていると思いますが、よろしくお願いします。
○横田政府委員 保育所と幼稚園のあり方につきましては、昨年十二月に地方分権委員会からも勧告が出されましたし、また本年、教育改革プログラムの中でも提言されているところでございまして、これらを受けて、本年四月、厚生省、文部省両省の検討の場を設けたところでございます。これにおきまして、地方分権委員会等にも触れられておりますように、保育所、幼稚園の連携の強化なり施設の総合化ということで、当面、共用化等につきまして検討を進めまして、今年中には結論を出してまいりたいというふうに考えております。 そのほか、検討会におきましては幅広い観点から検討をすることにいたしておりまして、当面テーマに挙げておりますのは、保育所と幼稚園の実態の把握、施設の共用化のあり方、それから両方の教育や保育の内容のあり方、あるいは保母、教師の養成なり研修のあり方、それから、御指摘いただきましたように、多様なニーズに対応できる望ましい運営や施設のあり方というようなものをテーマに挙げておりまして、こういった点につきましても今後検討していくことにいたしております。 この全体のスケジュールにおきましては、教育改革プログラムとの関連もございますので、それとの関連で検討していくというふうに私ども考えております。
○土居説明員 厚生省のお答えと同じでございまして、教育改革プログラムの趣旨を踏まえまして、幅広い観点から、教育内容、保育内容、教員や保母、運営や施設などのあり方について、厚生省と協力をしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○井上(義)分科員 大臣、今、共用化等を含めた幅広い議論をして今年中に結論、こういうお話でございますけれども、共用化程度の結論でこれで終わりということでは抜本的な解決には何もならないわけでございまして、私は、この幼児教育、保育というものを、少子化時代を迎えてさらに充実させていくということは非常に重要な問題で、特に中長期的な観点に立って総合的な検討を進める必要があると思うわけです。 具体的に言いますと、先ほど大臣がおっしゃったように、子供たち、保護者のニーズに合った幼保の体制、こういうことでございまして、これは、もうちょっと具体的に言いますと、要するにより高い教育機能を備えている、しかも働く女性の保育ニーズをも兼ね備えている、こういう幼保というものが一番理想なんだと思うのですね。そのためには、一つは所管部署の問題とか、それから幼稚園の教諭、保母の資格の問題とか、あるいは入所要件のあり方の問題とか、あるいは運営費等に対する国の助成の問題とか、そういった抜本的な問題をこの際きちっと検討して結論を出さないとこういう体制はできないわけでございまして、ただ単に共用化等を進める、共用化が地方自治体でやりやすいようにという程度の結論でこれが終わるようでしたら国民のニーズには全くこたえていない、こういうことになるわけでございます。やはり両省、抜本的な取り組みを、そろそろ神学論争に終止符を打つようなきちっとした取り組みが必要であると私は思うわけでございまして、ぜひ大臣、先頭に立ってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。 大臣の御所見を承りまして、質問を終わりたいと思います。
○小泉国務大臣 基本的に、委員の指摘する問題点、同感であります。今後、子供本位、保護者本位の立場に立った共用化、連携強化、そのような点に向かった抜本的改革が必要だと思いますので、そのような方向でぜひ検討を進めてみたいと思います。
○井上(義)分科員 それでは、以上で質問を終わります。
○滝主査代理 これにて井上義久君の質疑は終了いたしました。 次に、枝野幸男君。
○枝野分科員 民主党の枝野でございます。 私は、厚生行政の中でも薬害エイズ問題に関連をして、二つのテーマについてお尋ねをさせていただきたいと思っております。 まず一点目、大変タイムリーなお話でありますが、先週の金曜日の毎日新聞が、国内献血由来の血液からHIV感染が発生をしたという記事を載せております。この事実は間違いございませんでしょうか。 〔滝主査代理退席、主査着席〕
○丸山政府委員 金曜日の報道、土曜日の報道で一連の報道がされておりますけれども、概要につきましては事実でございます。二十七日のサーベイランス委員会に報告し、評価を受けるという予定にしておるところでございます。
○枝野分科員 国内献血由来血液からの感染というのは、今では技術の上で全部はとめられないという技術的な問題は十分承知しておりますが、一つ問題があるとすれば、これがマスコミのスクープのような形で表に出たという点にあろうかと思います。こうなってしまった、マスコミのスクープという形で公表されることになったことについて、簡単で結構ですので、経緯をお話しいただけますか。
○丸山政府委員 この事案につきましては、本年の三月に確認をされまして、五月の二十七日のエイズサーベイランス委員会に報告し、評価を受けるということで、いわば資料を整理し、準備をしていたものでございます。その過程で、一度献血をされた方が二度目に献血をされた段階で抗体陽性ということで、ルックバック制度がございますので、さかのぼって最初の献血につきましてこれをPCR検査をいたしましたところ陽性ということが判明し、その血液を輸血された方をフォローして感染が確認されたということでございまして、いわばマスコミが先行したという点につきましては、エイズサーベイランス委員会への報告、あるいはサーベイランス委員会の開催が二月に一回ということで、この間資料の整備をしていたということによる面があろうかと考えております。
○枝野分科員 こういったものの公表の仕方というのは、特に被害に遭われた方のプライバシーの問題、あるいは献血者のプライバシーの問題もあろうかと思いますので、非常に難しいということは重々承知をしております。しかしながら、例えば国内献血由来でもこういった可能性はあるということは、特に献血をする方に対する警告的な意味、あるいは告知的な意味も大きいでしょうし、率直に申し上げて、エイズに関する国民の関心とかということから考えれば、やはりマスコミのスクープという形で出たということは残念なことだろうと言わざるを得ないと思います。 今後、プライバシーにも配慮しながら、そして二カ月に一遍のサーベイランス委員会しか行われないということを配慮しながらも、この手の、スクープされれば一面トップになるような話についてはむしろ先行的に、公表できることは先に出していくという方向で御検討はいただけないでしょうか。
○丸山政府委員 公表のあり方につきましては、難しい面もございますけれども、ケース・バイ・ケースで、今後とも患者の方のプライバシーにも十分配慮しながら必要な情報提供を行ってまいりたいと考えております。
○枝野分科員 それでは、もう一点、エイズと血液の問題に関してお尋ねをさせていただきたいと思います。 ことしの二月から三月にかけて、ミドリ十字がアルファ社から輸入をした、これはどの段階なんでしょうか、血液製剤への製造過程の途中の材料、これがエイズに汚染をされている可能性があるというようなことで、出荷をとめたり、あるいはその材料を使わないように封印をしたというような話がありますが、これは事実でしょうか。
○丸山政府委員 お話しのとおりでございます。 経緯を申し上げますと、本年の二月の十八日に、米国のアルファ社から血液製剤の中間体を輸入しているミドリ十字より、次のような報告がありました。 一点は、米国のアルファ社が製造したアルブミン製剤をイタリアに輸出した際に、その製造に用いた原料血漿についてHIV抗体陽性の疑いがあるとの検査結果が、英国の検査機関であります国立生物製剤基準・管理研究所、NIBSCと言っておりますが、そこで出されまして、FDAに通報があった。FDAは、この英国の管理研究所からの通報に基づきまして、アルファ社に対しましてその原料血漿に由来する中間原料ペースト、製品などの出荷の一時停止を指示いたしますとともに、FDAからアルファ社に対して中間原料ペーストなどの現状確認を行うということでございます。 また、ミドリ十字におきましては、その原料血漿を用いた原料ペースト、それからアルブミン製剤を輸入いたしましたが、原料ペーストにつきましては製造原料として保管中であり、またアルブミン製剤につきましては検定中であるため、いずれの製品も出荷されておらず、またこういった状況を踏まえて、現状のまま凍結をしたいといった申し出でございました。 ただいま申し上げましたように、ミドリ十字から、この中間原料ペースト等につきまして製造、出荷を行わず現状のまま凍結する旨の報告を受けたところでありますけれども、なお、当方といたしましては、安全性に関する十分な情報が蓄積されるまでの間は確実に製造、出荷の停止が行われることが必要であると判断いたしまして、二月の二十一日に、薬事法六十九条に基づきます立入検査を行い、ミドリ十字の同意のもとにそれらの原料ペースト等の封印を行ったというところでございます。
○枝野分科員 最後の封印のところなんですが、同意のもとにというのは、これは行政指導なんですか、行政処分なんですか。
○丸山政府委員 ミドリ十字の同意のもとに行った行政指導でございますが、申し上げますならば、もし仮に同意がなければ、薬事法の規定に基づいての措置を行うということを予定をいたしておったところでございます。
○枝野分科員 イギリスのNIBSCで、汚染の疑いと言うべきなのか、汚染の検査結果と言うべきなのか、それが出たロットの番号はわかりますか。
○丸山政府委員 報告を受けております。その中で我が国に輸入されたロットにつきましては、これはAG6208AG、それから6210、6213、6214という四種類でございます。
○枝野分科員 08、10、13、14でいいのですね。
○丸山政府委員 そのとおりでございます。
○枝野分科員 AGの6230AJというロットやAMTGの6231AGというロットが日本に入ってきているという可能性はありませんか。
○丸山政府委員 それはございません。
○枝野分科員 このもとになったイギリスのNIBSCのこの四つのロットに対する検査結果というものは、例えばミドリに立入検査をした時点などでは入手をしていましたか。あるいは、現時点では入手をしていらっしゃいますか。
○丸山政府委員 二月の十七日にNIBSCからの資料として入手をいたしております。
○枝野分科員 この四つのロットに対する検査結果の欄にはどういう記載があるのでしょうか。
○丸山政府委員 日本語でいきますと、陽性の疑いがあるというような記載でございます。(枝野分科員「英語でも」と呼ぶ)英語で言いますと、リアクティブでございます。
○枝野分科員 四種類ともということでよろしいでしょうか。
○丸山政府委員 一つはネガティブ、要するに陰性でございます。これはAG6208AGでございますが、これがネガティブでございます。残る三つがリアクティブでございます。
○枝野分科員 その後、例えばアメリカのFDA、あるいはアルファ社自身、あるいはミドリ十字自身、あるいは厚生省自身、これについて本当に汚染されているのかどうかというチェックはされましたでしょうか。
○丸山政府委員 FDAにつきましては、直接原料血漿に当たりまして検査をし、その結果、我が国に輸入されておりませんけれども、最初のAG6230AJ、これにつきましては陽性である、残る五つのロットにつきましてはネガティブ、陰性である、こういう検査結果を出しております。 我が国の場合に、製薬企業を通じまして、その原料血漿を入手し検査ができないかということを打診をしたわけでございますけれども、現在この原料血漿のサンプルが米国のアルファ社に一つずつ、一つ五cc以下でございますが、それしか残されておらないために、FDAが国外への提供を許しておらないという状況でございまして、入手は困難な状況だということを確認をいたしております。
○枝野分科員 そのFDAの検査の結果というのは、正式なルートで、あるいは非公式のルートで厚生省として入手をしておられるのか、その入手のルート。もし入手されているのだとしたら、その資料を、後日で結構ですので、事実上お出しをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○丸山政府委員 米国の担当官から口頭で確認しておりますので、その内容をお伝えいたします。
○枝野分科員 口頭だけなんですね、この手のものは。
○丸山政府委員 さようでございます。
○枝野分科員 FDAは、イギリスからの通報を受けて何らかの出荷停止とかそういった処分をとったのだろうと思うのですが、アメリカでその後行政的にどういう措置をとったかというのは把握をしておられますか。
○丸山政府委員 一たんは出荷停止をとりましたけれども、先ほどのポジティブというロット以外につきましては、一定の条件のもとに、クアランティーンと言っておりますが、使用停止を解除する、こういった措置をとっております。
○枝野分科員 日本としては、一たん立入検査をして、行政処分ではないけれども、それに限りなく近いような形で封印をしておるようですが、これについて今後どうされるのでしょうか。
○丸山政府委員 安全性が確認されるまでということで封印をいたしておりますが、その後、原料血漿につきまして入手が困難であるということで、現在封印を継続いたしております。 将来につきましては、原料血漿の入手の見込みがない現状でございますので、ミドリ十字からの申し出、仮に廃棄したいといったような申し出があれば、薬事監視員の立ち会いのもとで廃棄の事実を確認するといったような措置で対応したいと考えております。
○枝野分科員 ミドリ十字が廃棄をしたいと言ってくれればいいわけですし、こういった環境の中では言ってくれるのでしょうけれども、要するにこれからのことを考えたときに、日本ではサンプルを入手できないから、みずから厚生省がチェックをすることはできない。アメリカでの検査結果というか、それを口頭で伺って、少なくとも日本に入ってきているロットはアメリカの再検査ではクロではないということのようではありますけれども、確認をみずからする手段がない。こういう形ですと、この手のものが今後起こったときに困るのではないか。 少なくとも、出発点がイタリア、イギリスについての話ですと、これはサンプルそのものをイギリスの検査機関で見てもらって、それで、これはイタリアですか、対応しているようでありますが、こういうことをしておかないと、この手のときに困るのじゃないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○丸山政府委員 御指摘のとおりでございまして、原料血漿につきまして、我が国としてもHIV抗体の陰性を確認するといったような措置が必要だと考えております。 そのために、今後の課題でございますけれども、輸入販売業者に対しまして、血液製剤の輸入に際してその原料となった原料血漿を添付させるといったようなことで輸入をさせることはできないか、検討してまいりたいと考えております。
○枝野分科員 大臣、よろしいでしょうか。今のお話を聞いていていただいて大体筋がわかっていただいていれば、今のようにサンプルをつけてくれというような話を今後進めていくとすると、事務ベースだけでの話ではなくて、これはいわゆる貿易障壁的な問題にもかかわる問題でございますので、政治ベースでも大臣に動いていただかないと、こういった方向にもし進むとすれば、いろいろと国際通商上障壁もあり得る話かと思いますが、ぜひそういった認識を持って対応していただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 今のお話を伺っておりまして、医薬品というのは今や世界的に使われている、一国だけでは対処できないという面がかなり出てきております。今後、そのような世界的な医薬品の安全性に対して各国がどうやって協調体制をとれるか、これは政治的にも十分考えていかなければならない問題だ。ともかく、この医薬品の危機管理、安全対策の中で、日本を超えた世界的な協調体制をどうとるかという点について、十分検討しなければならない問題だと感じました。
○枝野分科員 前向きの話をそこまでにして、もうちょっと具体的な話を伺いたいのですが、イギリスで検査をした結果とアメリカのFDAが検査をした結果と、どちらもこれは、NIBSCもFDAもそれぞれの国で権威ある検査機関というか公的な施設だと思うのですけれども、そういうところで検査をした結果が二つ食い違っているということについて、厚生省としてはどういう理解をしておるのか。あるいは、その理由とか経緯とかということで、わかる範囲があったらお答えいただきたいと思います。
○丸山政府委員 これは検査法が違うという面がございますので、何種類かの検査法の中で、英国の検査法あるいはFDAの検査法、それぞれ特徴があろうかと思っております。そういった検査法の違いも含めて、今後ともこういったことを教訓にして対応してまいりたいと考えております。
○枝野分科員 例えばイギリスの検査法は、検査する試薬の名前とか会社の名前とか、そういったことでいうとどういうやり方なのか。あるいは、アメリカのFDAが30AJだけが陽性であとは陰性だったという判断をした、その検査の仕方というかそれについて、このやり方ですと、専門家だったらわかるような御説明の仕方というのはありますでしょうか。
○丸山政府委員 FDAの検査方式については問い合わせてまいりたいと思いますが、英国のNIBSCの場合は、アボットHIV1・HIV2のEIAキットを使用した抗体試験といったものでございます。
○枝野分科員 今大事なことをおっしゃっているのですが、アメリカの検査結果についてはそういった具体的なことをまだお伺いになっていないわけですね。
○丸山政府委員 現在のところ、まだ掌握いたしておりません。
○枝野分科員 こういう話なわけですね、この話は。最初、イギリスで検査をしたところによると、陽性の疑いがあるというリアクティブという検査結果が出たロットがある。そのロットは日本に入ってきているわけですね。AG6210AGだなんというのは、イギリスの公的な検査機関でアボットの方式でやったところ、リアクティブ、陽性の疑いという反応が出ている血液は、日本に入ってきているわけです。水際というか、入ったところでとめているからまだ市場に出ていないということですけれども。 それについてFDAで再検査をした結果としては、そのロットは陰性だったという結論はFDAから聞いていますというお答えをいただきましたけれども、これはまさに、それがアメリカで検査をしたら陰性だったという結論が出たとしても、二国の間で違うわけですからそれでも慎重に取り扱わなきゃならないのはもちろんですが、しかしながら、その結論、アメリカではシロだったらしいということをしっかりと確認しなければ、これは逆に、この国に実はHIVに汚染された血液がまだ入っていたんだという前提で動かなきゃならなくなるわけで、これは、アメリカ、少なくともFDAはシロだと言っているとなったら、その情報は相当はっきりたくさんつかまえて、イギリスの情報と照らし合わせて、本来だったらペーストなりなんなり自国で検査できればいいわけですけれども、だからそこのところはもうちょっと踏み込んで情報を集めて、イギリスの検査結果はこうだけれどもアメリカの検査結果はこうなんだから、少なくともクロの血液が入ってきたわけではないとそれで初めて言えるんじゃないかなと思うんですよね。 そうするとこれは、シロだったのかクロだったのか灰色だったのかということによって、少なくとも、外国から血液を入れる、輸入をするということに対する我が国としての対応というものが大分変わってくるんじゃないかと思うのですけれども、このあたり、もうちょっと情報を集めていらっしゃらないのでしょうか。
○丸山政府委員 米国における検査法については、申し上げましたとおり今後確認したいと思っておりますけれども、いずれにしましても、検査法によってリアクティブあるいはネガティブという反応が出てまいるということでございますので、私どもとしては、それらを全体としてやはり封印をして、その後の安全情報を把握しているということでございます。
○枝野分科員 いや、そこで頑張られると、余り通告のところではっきり言ってなかったのですけれども、日本の国に少なくとも、これは厚生省からいただきました平成五年の「血液製剤総則」というところに、抗体検査をして、HIVの抗体は陰性であるという血液しか材料としては使わないと日本としては決めているわけですよね。それを前提に、日本の各製剤メーカーもそういうシロの血液を入れてそれを製剤にする、もちろん、加熱をしたりなんかすればHIVに感染をすることはないわけですけれども、それでも材料から汚染されているものは使わないというルールを決めているわけです。 それで、今回の件は、そのことについて、もしかするともう一歩で覆されていたかもしれない。イギリスが気がついてくれた、イタリアが気がついてくれたから、たまたまその情報で我が国は対応できてとめられた、市場に流れる前にミドリ十字の倉庫の中でとめられたわけですけれども、これが、イタリアやイギリスの検査結果がもうちょっと遅かったりしたら、伝達が遅かったりしたら、クロか、もしかすると灰色の血液を材料に使ったものが市場に流れていたかもしれない。厚生省みずからがお決めになった血液製剤のこのルール等に反するものが市場に流れていたかもしれないわけです。 したがって、これが本当にシロだったのか、それともクロだったのか、灰色だったのか。恐らくクロともシロともみずからは確認できないでしょう。だとしたら、最大限、シロに近い灰色なのか、クロに近い灰色なのかという情報を可能な限り入手をして、なおかつ国民的な関心の高い話ですし、安全性にかかわる話ですから、どんどん厚生省から積極的に、その関係製薬メーカーに限らず、世の中に公表して、こういう状況です、ちゃんと対応して情報を集めています、水際でもこの件はとまっているんですという情報をお示しにならないと、また——私もこれ、事前の通告のところからいろいろと厚生省の方からお話を伺いながらやっているから、さすがにあの薬害エイズのときのような話とは違うだろうというふうに思っていますけれども、しかしながら、世間からはそう思ってもらえない可能性はある、何か隠しているんじゃないかと疑われる余地はあるわけですから、そこは情報をしっかり集めて、集めたものをどんどん積極的に公表するという姿勢が必要だと思うのです。現実に集めていないのだとしたら、そこはちょっと残念ながら不十分じゃないかと。 もっともっと情報を集めて、シロに近い灰色なのか、クロに近い灰色なのか、厚生省としてかなり確信を持っておっしゃれるような材料を集めて公表していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○丸山政府委員 安全性に対しては幾ら措置をとっても十分過ぎることはございませんので、御指摘のとおりでございます。 一点つけ加えますならば、米国と英国で両方とも陽性だという場合の試験法につきましては、米国でもアボットを使って陽性と出たという資料がございます。疑陽性につきましては、残念ながらその検査法が確認をされておらないというものでございます。 また、この問題となりました原料ペースト、アルブミン製剤につきましては、健康被害が発生するに至らず、水際で封じ込められたということで対応してまいったわけでございますけれども、そういうことで、これまで情報の提供というところまでは行ってこなかったわけでございますけれども、こういったような場合の情報の提供のあり方につきましても今後よく検討してまいりたいと考えております。
○枝野分科員 それでは、今後FDAなどから情報をさらに集めていただいて、集めた情報は私などのところへ出していただけますね。
○丸山政府委員 そういたしたいと思っております。
○枝野分科員 それからもう一点、戻りますが、封印している製剤を廃棄するという話です。この廃棄はルール化でなく、事実上今回の場合は行うようですけれども、先ほどのお話で、サンプルをつけてもらおうとかそういう話はありますけれども、そこは少なくとも何らかの形でルール化しないと、いろいろな社会的な圧力の中で今ミドリ十字が一応疑いのある話について、捨てません、使いますとは言えないでしょうけれども、これはあくまでも民間企業ですから、やはりルールとして、捨てるべき疑いのあるときは捨てさせるというルールが必要だと思うのです。その辺についての対応をいかがお考えになりますか。
○丸山政府委員 米国におきます検査方法等の把握も含めまして安全対策全般を整理し、また、封印中の六ロットの処置につきましてはその段階で検討してまいりたいと思いますけれども、例えば今のような廃棄ということにつきましては、いわば安全対策の経験例として今後とも活用できる事例に加えることはできるだろうと考えております。
○枝野分科員 それと、これは通告を落としているかもしれないので、確認できなければ結構なんですが、血液行政の在り方に関する懇談会というものがつくられておりますね。そういったところにこういった情報をちゃんと流しておられるのかどうか。もし流しておられないんだとしたら、あしたか何かまたあるようですけれども、きちんとこの経緯等は報告、説明を申し上げて検討の材料にしていただくようにしていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
○丸山政府委員 既に事例として検討会でも御報告をしております。また、追加する内容がありますれば、再度御報告するようにいたしたいと考えております。
○枝野分科員 これは最後に大臣にお伺いいたしたいと思いますが、新聞などでも厚生省が動き出したというようなことも書いております。こういった問題、先ほどの国内献血の場合であってもああいった事例がありますが、基本的には、血液の材料の輸入関係をどうするのか、あるいは血液製剤の製造、流通をどうやって考えていくのか、いわゆる血液事業法のあり方というところにかかわっていく問題だと思います。 これに関してはもう大臣も十分御承知だろうと思いますが、薬害エイズの被害者の皆さん方もいろいろと勉強をされて、みずからの問題として研究をされておるようでございます。私どもも政治のベースとして勉強をさせていただいているところであります。いろいろなところで幅広い関係者がおります。特に患者サイドというかそういったサイドの声を、どういった形でということは今は申し上げませんが、十分幅広い意見を参考にしながら、この血液事業のあり方あるいは血液事業法のつくり方、そういったものについて幅広く耳を傾けながら進めていくというような方針をお示しいただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 御指摘の点については、幅広く各方面の意見を聞きながら、安全性の面についても十分過ぎるぐらいの配慮が必要だと考えておりますので、各方面の意見、そして情報開示、委員会で指摘された各点を踏まえて対応していきたいと考えております。
○枝野分科員 ありがとうございました。 終わります、
○根本主査 これにて枝野幸男君の質疑は終了いたしました。 次に、岸田文雄君。
○岸田分科員 自由民主党の岸田文雄でございます。 本日、私は、スピーチセラピスト、略してSTと言わせていただきますが、STの資格化問題につきまして、多くの関係者の皆様方のお話を聞かせていただき、私も自由民主党の有志でこの問題を勉強してきた一人といたしまして、当委員会におきまして質問をさせていただきたいと存じます。 この問題は、皆様方御案内の方も多いかと思いますが、昭和三十八年から実に三十数年間にわたりまして、この資格化を求める要望が関係者の中から続いてきておるわけであります。この仕事の重要性の認識が高まり、あるいはこのSTの援助を必要としている方々が二百万人いると言われておるわけでありますが、その状況の中で、このST自体が不足しているというような声が高まる中にあって、昭和六十二年には新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会の中間報告におきまして「速やかに法制化すべき」という報告もされておるわけであります。しかしながら、結局、昭和三十八年から三十数年間にわたりましてこういった要望を受けながら、今日まで資格化が実現していないという状況にあるわけであります。 この問題につきましては、今までもたびたび、さまざまな委員会におきまして、さまざまな議員が取り上げ、指摘してきたところであります。近くは、ことし三月三日の予算委員会の分科会におきまして、きょうはちょうどこの分科会の主査をしておられますが、我が党の根本匠議員がこの問題を取り上げておるわけであります。その際の会議録も読ませていただきましたが、根本議員の質問に対しまして厚生省谷健康政策局長は、資格化の必要性は認識していると御答弁をされております。しかしながら職種内容が医療か教育か関係者の一致を見ていない、そういう状況の中で、昨年十月に懇談会を設けて検討中であるという御答弁をされているわけであります。 まず最初にお伺いしますが、この懇談会はことし四月二十四日に報告書をまとめられたと聞いておりますが、相違ございませんでしょうか。
○谷(修)政府委員 STの資格化に関する懇談会といいますか、言語及び聴覚に障害を持つ者に対して訓練等の業務を行う者(いわゆるST)の資格化に関する懇談会という名称でございますが、今お触れになりましたように、昨年の十月から十一回行われまして、最後の回を四月二十一日に行いまして、字句修正等を行った結果、四月二十四日に報告書として取りまとめられ、その日に公表をされました。
○岸田分科員 この報告書の中身についてでありますが、三月三日の予算委員会の分科会での谷局長の御答弁の中に、論点としましては、例えば医療関係職種としてこの資格化を整理するか、あるいは教育という分野まで含めた幅広い職種としてこの資格化を考えるか、こういったことが論点として考えられる。あるいは別の論点としては、医師や歯科医師の指示との関係、この辺をどう考えるか、さらには教育カリキュラムをどのように考えるか、そしてそもそもこの資格の名称をどうするか、こういったあたりが論点として考えられるという御答弁をされておるわけであります。 今申し上げた大きな四つの論点につきまして、この報告書の中身におきましてどのような結論になったか、確認させていただけますか。
○谷(修)政府委員 今お触れになりましたように、三月三日の予算委員会分科会において、根本先生の御質問に対して、幾つかの点について御答弁をさせていただいております。その際、私が申し上げましたのは、今先生お触れになりましたように、いわゆるSTの方たちのやっている業務をどういうふうに整理をするのか、それから医療関係職種として考えるのか、他の職種との関係はどういうふうにするのか、それからカリキュラムあるいは養成の問題、それから名称の問題、こういったようなことについて、その当時いろいろ議論しているということでお話をさせていただきました。 四月の末にまとめられましたこの懇談会の報告書の中では、STの業務というのを次のように整理いたしております。STの業務は、次のような行為を行うことにより、言語機能や聴覚機能などに障害を持つ者に対して、その機能を維持向上させるということで、三つございます。一つは、主として音声それから構音、音を形づくる、それから言語のそれぞれの機能または聴覚機能の向上維持のために行われる訓練。それから、訓練の実施や評価等のために必要な検査。それから、言語機能等に障害を有する者及びその家族に対して行う助言指導その他の援助といったようなことで、ST業務の範囲といいますか、STとしての資格の基本になる業務を整理しております。その中で、STの業務は、その業務中に患者の生命、身体の安全に影響する医療にかかわる業務が予定されているということから、基本的な考え方として、この懇談会の中では医療関係職種という形で整理をするということが適当ではないかという御意見でございます。 また、今申し上げたことに関連いたしますが、STの業務の中には、診療の補助として医師あるいは歯科医師の指示を要するものと、それから診療の補助に該当しないものが含まれる。それは、冒頭に申し上げました、このST業務の大きく分けて三つの業務に関係をするわけでございますが、この診療の補助に該当して医師、歯科医師の指示を要するというものと、該当しないものがある。したがって、その医師、歯科医師の指示というものを、先ほど言いましたSTの業務全体にかける、そういうことは必要ないのではないかということでございます。したがって、このことは医療関係職種とはいいながら、実際問題として、例えば教育の現場あるいは福祉の現場、そういうところで、先ほど言いました三つの業務の中の幾つかを行う際には、医師、歯科医師の指示が必要がない場合が出てくるという整理でございます。 それから、三点目でございますが、カリキュラムあるいは養成の問題でございます。 この問題につきましては、当然国家資格ということを想定しておりますので、国家試験が必要だという前提でございますが、受験資格として四年制大学に限定をするのか、そうではなくて高卒者を対象にした専門養成施設と申しますか、そういうものの卒業者も含まれることにするのかということについて、いろいろ御議論がありました。この報告書の中では、ST試験の受験資格としては高卒者を対象とした三年以上の課程を有する養成施設の卒業者とすることが適当だ。当然のことながら、これには四年制大学も含まれる。また、四年制大学の場合には、特に学部を指定しないで、これは今後決めるわけでございますが、指定科目を履修することによって受験資格を認めるということが適当なのではないかというような御意見もいただいております。 それから、カリキュラムに関係いたしましては、これは今後専門家によってカリキュラムそのものは検討していくわけでございますけれども、いわゆる基礎分野、専門分野の学科のほかに臨床実習というものが必要だろう、それから、カリキュラムの概要としては、合計の時間としては大体三千時間程度といったようなことがまとめられております。ただ、この具体的な内容をどうするかというのは、今後詰めていかなければいけないことでございます。 それから、STの、この名称でございますが、名称といたしましては、いろいろな御意見がございましたけれども、言語聴覚療法士、つまり英語のスピーチセラピストという言葉を、この懇談会の報告書で申しますと、セラピストということを表現する必要があるのかないのか。それから、スピーチというのは当然言語ということでありましょうが、言語だけでなくて聴覚にかかわる部分があるということをどういうふうに考えるかというようなことが検討されました。こういったようなことをあわせて考えた場合に、この懇談会としては、言語聴覚療法士という名称が妥当ではないかというふうな御意見でございますが、つけ加えまして、法律上の他の資格との、いろいろな名称がございますが、法制的な面も含めて検討することが必要であるというただし書きがつけられているところでございます。 今先生からお話のございました、また、三月に根本先生の御質問に対してお答えをした幾つかの項目を整理いたしますと、そのようなことだと考えております。
○岸田分科員 ありがとうございました。 今局長おっしゃいました各論点の調整は、ある意味では、言語療法士協会という団体と聴能言語士協会という二つの団体の意見の調整でもあったと思うのです。今回、今お述べいただきました四つの論点につきまして、この二つの団体はそれぞれどのような評価をされているのか、納得されているのかどうか、このあたりについてお聞かせいただけますか。
○谷(修)政府委員 一言で申し上げれば、内容について、大筋において納得、合意が得られているという理解をしております。 その過程をちょっと申しますと、この懇談会そのものは、今先生お触れになりましたこの二つの団体の代表者の方には入っていただかないで、STの資格について今までいろいろ議論されてこられた方あるいは現場の方、そういうような方に入っていただいて議論をいたしました。それで、十一回の懇談会の過程の中で、二回ずつ言語療法士協会それから聴能言語士協会の代表の方に来ていただいて、それぞれの御意見を述べていただき、かつまた懇談会の方で整理をした問題点についてさらに意見を言っていただくというような議論の進め方をいたしました。 また、あわせて、先ほど大体申しましたこの懇談会の報告書の素案というのか第一次案というのでしょうか、その中間のものを懇談会の座長の御指示に従って私どもは事務的に両団体にお示しをする、それで御意見をいただくというようなことをいたしました。 そういう意味で、この懇談会の報告書に盛られた先ほど言いましたおおよその内容については、大筋においては納得が、御理解が得られているというふうに理解をしております。
○岸田分科員 今、大筋では関係者、関係団体の調整ができたという御答弁をいただいたわけでありますが、この問題は、長年議論する中で、この資格化に当たって教育か医療かという議論があったわけであります。文部省としまして今回の懇談会の結論をどのように考えておられるか、お聞かせをいただけますでしょうか。
○寺脇説明員 今回の厚生省の懇談会報告書は、いわゆるSTの資格化の意義、業務、また資格化の具体的考え方、養成のあり方等の観点から、幅広くSTの資格化の重要性について提言がなされておるというふうに認識をいたしておりまして、医療に関する職種としてのSTの資格化については明確な指針が示されたというふうに理解をいたしております。
○岸田分科員 そうしますと、文部省としましてもこの懇談会の報告を一応尊重されるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○寺脇説明員 STという職種につきましては、従来から、医療の面で御活躍をいただいている要素と、それから盲・聾・養護学校を中心といたしまして教育の面で御活躍いただいているという二つの要素があるわけでございますけれども、今回医療の職種として整理をしていくというようなことで、文部省といたしましても、厚生省との十分な話し合い、あるいは関係者との整理を経ておるわけでございます。 その結果といたしまして医療職種としてこれをやっていくというからには、今まで実態として、STの仕事をしたいというような方が勉強する場というのは確保されておったわけでございますが、今後、これが明確に国家資格と結びつきまして、どのようなことを十分履修していると、それが国家資格を取るときにどのように役立っていくのか、そして大体これぐらいのことを勉強するにはどれぐらいの年限が必要で、カリキュラム上どのような授業時間の設定が必要なのかというようなことがさらに明確になってまいるわけでございます。 その内容につきましては厚生省と十分に、これは資格の主体は厚生省の資格でございますが、例えば看護婦は厚生省の設定する資格でございますけれども、その養成は、厚生、文部両省の十分な連携のもとに文部省が責任を持ってやってまいるというような考えで運営されておりますように、このSTにつきましても、厚生省との十分な連携のもとに、文部省がそういった養成施設の整備でございますとか内容の向上というものについて十分努力をしてまいるように、これが固まり次第、具体的に厚生省と御相談をして進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○岸田分科員 そうしますと、懇談会の報告の内容に基づいて関係者あるいは関係団体の意見の調整が図られた、なおかつ教育か医療かという問題につきましても、文部省の方もしっかり厚生省と連携してやっていくというお話でありますので、三十数年間STの資格化問題につきまして続いてまいりましたこの議論、一応一つの結論を見たのではないかという気がいたします。 そうであるならば、この法制化を急ぐべきではないかと思うわけですが、まず最初にお伺いしたいのは、これは資格法制化した場合、所管はどこになりますでしょうか。
○谷(修)政府委員 先ほど申しましたように、STを基本的には医療関係職種として整理をする、それで資格法制化をするということでございますので、厚生省の所管というふうに考えております。 なお、先ほど文部省の方からも御答弁がございましたように、養成施設、特に大学におけるカリキュラムですとか、そういうような問題もございますので、養成施設の基準ですとかあるいは教育の内容等については、文部省とも十分協議をして進めていかなきゃいけないというふうに考えております。 この点につきましては、先ほど文部省の課長さんが触れられましたように、例えば看護婦さんですとか、あるいはOTですとかPTですとか、そういったような職種についても、カリキュラムあるいは養成施設の基準などについては、従来から文部省と協議をしながらやってきているところでございます。
○岸田分科員 文部省もそのように考えてよろしゅうございますでしょうか。
○寺脇説明員 厚生省の御答弁のとおりでございます。
○岸田分科員 それでは、それ以外に、法制化を進めるに当たって問題点あるいは障害となることが考えられるような点、ございますでしょうか。
○谷(修)政府委員 先ほどの御質問にもお答えをしましたように、この懇談会を設置した後の経緯、それから関係団体との意見の調整、また懇談会でまとまりました意見の内容、そういうようなことからいって、大筋において合意は得られているということを申し上げました。 現在もう既に法案の作成といいますか、法案をつくる作業をいたしております。その法案を作成する過程において、懇談会の報告書をできるだけ忠実に法文化をしていくという作業を現在しておりますけれども、長年、先生お触れになりましたように二十年以上の経緯のある話でございますし、その過程において、やはり関係者の意見も十分聞きながらここまで進んできた話が壊れないように、あるいは後戻りしないようにやっていかなきゃいけないと思っておりますので、そういう意味で、法案を作成するという作業の中でも十分意見を聞きながらやっていかなきゃいけないというふうに考えておりまして、その点は別に、先生の御質問のように何か障害があるという意味ではないのですけれども、役所流に言う意味での慎重にという意味ではなくて、まあ変なことですが、でも、なおかつ慎重に、壊れないように進めていきたいというふうに考えております。ただ、それが先生がおっしゃった意味での障害だという意味で申し上げているわけではございません。
○岸田分科員 文部省、何かつけ加えることありますか。
○寺脇説明員 いろいろな医療にかかわる職種がございまして、資格というのがあるわけでございます。厚生省の方では、さまざまな行政分野にわたって、厚生省のさまざまな局、さまざまな課でそういう資格をおつくりになっておられます。それで、実は、その養成の方を担当いたしますのは、文部省の方では、私どもの医学教育課が一元的にすべての職種の養成についての仕事をさせていただいておるわけでございます。 そういう意味で、私どもこれから注意をいたさなければなりませんのは、さまざまなこういった職種が出てまいりましたときに、それがきちんと、よその職種と比べて合理的な養成制度であり得るのかどうか。それから職種の数がふえてまいりますと、それぞれの職種の間で複数の資格を取得なさろうというような方が出てまいりましたり、それから現にほかの職種で活躍なさっていられる方が、もう既に社会人になっておられる方が、新たにそういう職種ができるのだったらそれを取ろうというようなお考えも出てまいると思います。 そういった意味で、私どもが今考えなければなりませんのは、養成段階におきましても、よその職種との間で複数の資格取得が容易になりますようなカリキュラムを設営していく、これは文部省が考えてまいりませんとなかなかそういうふうにまいりません。複数の資格取得が可能になるようなカリキュラムの考え方というものをつくっていきますこと、それから生涯学習とか現職教育の観点に立ちまして、現に職についておられる方がその職につかれようと思ったときに、どのような学校に行かれてどのような課程を終えられればスムーズに資格を取れるのかというようなことにつきまして横断的に、また、一回社会に出られた方が学校へ戻ってこられることが容易になりますように、制度を柔軟に運用できますような考え方を進めてまいらなければならないと考えております。 それから、特にこのSTの場合には、高齢者の方々の関係の仕事もしていただくわけでございます。これらにつきましては、まだ私どもといたしましても、高齢者、高齢化社会へ対応する人材育成という考え方が、文部省としても今まで十分でなかった点がございます。 これらにつきましては、現在、文部省の中で二十一世紀医学・医療懇談会という懇談会を設けまして、さまざまな医療関係職種の人材養成が真に国民の皆さんのためになる形で行われますように考えられておるところでございます。特に、高齢者等を念頭に置きまして、介護というような時代の適切な人材養成ということにつきましては、去る二月に、この懇談会の方から、高齢化時代を見据えた報告書も出ておるところでございます。 こういった諸情勢を踏まえまして、そういう医療や介護のサービスを受けられます方々にとって最もいい形の、またそういう資格を取得することを志す方々がどのようなスタートラインからでもそこへ到達できますような養成制度というものを、厚生省と十分御相談した上でつくっていく努力をさらに進めさせていただきたいと存じます。
○岸田分科員 三十年来の議論の末にその合意事項を法律の上に具体化する、あるいは社会において具体化するということ、これはなかなか難しい部分もあるかとは存じますが、三十年以上の議論の末に関係者の合意を見たということ、大筋において合意を見たということ、これは大変大きな出来事かと存じます。これをしっかり受けとめて、ぜひ熱いうちに法制化を進めるべきではないかと思っております。細かい部分についてはまだまだ御努力をお願いしたいと思いますが、基本的にこういった状況にようやく到達したことをしっかり受けとめて、法制化をぜひ一日も急ぐべきではないかと思いますが、残念ながら通常国会が残りわずかだということ、この部分、大変心もとないわけでありますが、とりあえず厚生省あるいは文部省、それぞれの御当局におかれましては、この三十年来の議論の合意を得たということをしっかり受けとめて、重く受けとめて、前向きに努力をしていただきたいと存じます。 最後に、厚生省、文部省それぞれから、法制化に向けての心構え、思いをひとつ聞かせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと存じます。
○谷(修)政府委員 先ほど来御説明しているような経緯を踏まえ、今先生のおっしゃった趣旨に沿って法制化に向けて努力をしたいと考えております。
○寺脇説明員 この法制化の作業は、先ほどの御答弁にもございましたように、厚生省の法律ということで進められるわけでございますが、私どもとしては、政府は一体でございますので、文部省といたしましても、法制化に当たりましてでき得る限りの御協力をしてまいりますとともに、法制化ができましたらすぐ養成に取りかかれますように、養成制度の準備につきましても、法制化と並行した形で厚生省と御相談をさせていただいて、遺漏のないように準備を進めさせていただきたいと存じます。
○岸田分科員 我々議員も含めた関係者のもう一息の努力によりまして、一日も早く法制化することを期待いたしまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○根本主査 これにて岸田文雄君の質疑は終了いたしました。 次に、矢島恒夫君。
○矢島分科員 矢島恒夫でございます。 私、埼玉県の川越市というところに住んでおります。今、この川越、所沢、狭山、三芳、この四自治体にまたがる三富という地域がございますけれども、産業廃棄物の焼却場によってダイオキシン汚染、この問題が大変になっているわけです。きょうはダイオキシンのことについてお尋ねしたいと思います。 全国の一般廃棄物あるいは産業廃棄物の焼却場のダイオキシンの問題というのが毎日のように新聞等に出ているわけであります。そこで、まず最初に大臣にお尋ねしたいわけですけれども、去る四月十五日の参議院の厚生委員会で、我が党の西山登紀子議員がダイオキシンの問題を取り上げて質問いたしました。そのときに大臣がこういう御答弁をされているわけです。「母乳にも出ているということは、これは相当環境が汚染されているんだと思うんです。恐らく動植物、人間の口に入るものまでも汚染されているのではないか。かなり、このダイオキシン対策に対して対応がおくれてきたのではないかと心配しています。」こういう答弁をされていらっしゃいます。 そこで、対応がおくれてきた、こういう認識の上に立って、この問題にどう取り組もうとされているのか、決意のほどをまず最初にお聞きしたいと思います。
○小泉国務大臣 西山議員に答弁したとおりなんですが、このダイオキシンというのは大変深刻な問題だと思います。テレビ、新聞等で報道されている状況を見ましても、人体に対する影響、環境全体に対する影響、さらには動植物、非常に毒性の強い物質が我々の知らないところで拡散している。こういう点については、今までの経緯、そして現在の状況をしっかりと厚生省が把握しまして、ダイオキシン対策をどう解決するか、今後、鋭意積極的に検討していかなければならない問題だと認識しております。
○矢島分科員 ぜひそういう方向で取り組んでいただきたいわけですが、厚生省が発表いたしました一般ごみ焼却場の調査結果、これを見ますと、大変な状況だということがわかるわけであります。 調査結果で、基準八十ナノグラムのところ、兵庫県の施設ですけれども、この施設を見てみますと、九百九十ナノグラムというような数値が出されております。最近、新聞にも出ましたけれども、秋田県の焼却施設が本当は二千ナノグラムあったというようなことも出ております。新設炉の場合は〇・一ナノグラムにするということを基準として決められました。それから比べてみますと、一万倍、二万倍というとてつもない大きな数値になっているわけです。産業廃棄物の焼却場では、さらに重大な状況にあることが十分予想されるわけです。環境庁の調査では、二千二百ナノグラムを検出した施設もある、こう出ております。 地域の住民の皆さん方の要請によって、埼玉県の職員がその地域の調査を行いました。その職員が新聞にこういうことを言っております。産業廃棄物の焼却場について、「厚生省が定めた一般廃棄物並みの基準を適用すれば、ほとんど休止状態になってしまう」こういうようなことが報道されております。 そこで私は、産業廃棄物焼却場の全国的なダイオキシンの調査を直ちに行う必要があるのではないか、こう思うわけです。これは新聞報道ですけれども、これによりますと、ダイオキシンの発生抑制ということで、ごみ焼却場に設備基準を設けようという検討が厚生省でなされている。そして具体的にはというところで、ダイオキシンの測定の実施、これを施設に義務づけるという項目がございます。この対象には産業廃棄物の焼却場も含めるのか、また含めるとすればどの程度の規模の産業廃棄物焼却場まで義務づけるのか、その辺のお考えがありましたら、厚生省にお聞きしたいと思います。
○小野(昭)政府委員 厚生省におきましては、廃棄物焼却施設からのダイオキシンの排出を削減いたしますために、廃棄物処理法に基づく法的な規制を強化することといたしております。 その具体的な中身につきましては、かなり技術的な事項が多うございます。そういうことから、現在、生活環境審議会に設置をいたしました専門委員会において検討を行っていただいているところでございます。非常に検討項目が多岐にわたるものでございますから、その点、鋭意御検討を急いでいただこうと考えておりますが、今御指摘のございました濃度の測定の義務づけにつきましては、まだその結論を得るに至っておりませんが、検討事項の一つでございます。これらの規制につきましては、一般廃棄物、産業廃棄物を問わず規制の対象としたいと考えております。 なお、御指摘のすそ切りの問題がございますが、これにつきましては小さいものも現実にございますので、どのレベルから規制をするか、実効性の問題もございますし、実際の環境への負荷がどの程度かというふうなこともございますので、そういう中で、現在御検討いただいているところでございます。
○矢島分科員 ぜひ早急に取り組んでいただきたい。確かに検討項目も非常に多い、また多岐にわたる、あるいは小さい炉についてもどこをすそ切りするかというような問題等あろうかと思いますけれども、事態は非常に深刻になっておりますから、早急にひとつ取り組んでいただくことと、それから小型の炉をどこまで含めるかということは検討の中で結論を出していただくということになると思いますけれども、これから質問の中で私は実態を申し上げたいと思うのですが、小型の炉の規制というものも非常に重要な問題に今なってきている、こんなふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 次に移ります。 そこで、基準の見直しの中で、今までの〇・五ナノグラムから五ナノグラムまで、それから新設の場合には〇・一ナノグラムという基準を示されました。技術的にはそこまでダイオキシンの発生を抑制することが可能だということなんですけれども、まず一つの問題は、先ほど答弁がございましたように、ぜひ産業廃棄物の焼却場にもそうした基準をきちんと示していただきたい。それからもう一つは、やはり設備基準、これから検討をされる中身ですけれども、報道されているところによりますと、焼却炉の煙を集める最新集じん機の設置を義務づけるという項目が書かれております。もちろん産廃の焼却場も当然その対象となると思いますが、それでいいのか。それから先ほど来のすそ切りの問題ですけれども、五トンという一つの基準ですけれども、五トン以下の炉についても対象としていくのか。ひとつそのあたりについてのお考えをお聞きしたいと思います。
○小野(昭)政府委員 排ガス処理を適正化するということは、ダイオキシン対策の上において非常に重要でございまして、排ガス処理設備におきまして三百度前後の温度で合成されるということが知られております。そこで、排ガスの冷却あるいはダイオキシンの付着いたしましたばいじんの除去のための設備を設置することは当然必要なことでございます。そこで、先ほど御答弁申し上げましたように、一般廃棄物、産業廃棄物の別なく、そういった施設の設置ということは私どもとしても義務づける方向で検討したいと思っております。 それから、すそ切りの件は、どこで引くかという問題は、先ほどいろいろ問題もあるということは申し上げましたが、すそ切りをした上のレベルのものはすべてに当然のこととして適用ということになります。
○矢島分科員 例えば、すそ切りの問題にも関係してくることですけれども、私の地元の、先ほど申しました、所沢、狭山、川越、三芳、この地域の問題ですけれども、ここ十年来産業廃棄物の焼却場が次々とできたわけです。そして、十四ないし十五カ所が煙をもくもく上げているわけです。余りの悪臭とそれから煙の害に対して、住民の皆さん方が、何とか対策をとってくれという声を上げてさまざまな努力をしてまいりましたけれども、現状はほとんど改善されていないという状況にあります。 当初は野焼きというので、そのままどんどん燃していたわけです。それが違法だと指摘されたら、今度は炉をつくった。しかし、今も野焼きをやっているところも実際にはあるという実態でありますし、炉をつくったといっても、実は五トン未満の炉ですと規制がかからないので、私も実際に見てまいりましたけれども、一つの業者が一つの焼却場施設の中に、例えば四・八トンくらいの小さい炉を複数設置いたしまして、そしてふたもあけっ放しでもうもうと黒煙を上げながら稼働しているのですね。実際にその地域というのは、前にもお話あったかと思いますが、くぬぎ山という武蔵野の雑木林の中です。夜になりますと、空が赤くなるくらい燃しているわけなのですね。 環境庁のダイオキシン削減委員会の委員であります摂南大学の宮田先生が、住民の依頼によって焼却灰の中のダイオキシンの濃度を測定いたしました。その結果は、四千二百八十七TEQピコグラムというまさに恐るべき高濃度のダイオキシン類が検出されました。 今御答弁あったように、厚生省として廃棄物処理法の改正案を提出し、いろいろの基準見直しを進めているわけですけれども、私が述べました今の状況、この三富地区の状況に対して、この法案の改正によってどういう具体的な対策が可能になるのか、それを教えていただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 御指摘の埼玉県三富地域の産業廃棄物施設につきましては、今先生御指摘ございましたように、許可対象外の小規模な施設でございますので、施設の構造及び維持管理に関する基準の対象とならないということから、都道府県におきましても十分な指導が行えないという問題がございます。 このため、先ほども申し上げましたが、より小規模な施設も許可対象といたしまして、構造・維持管理基準を適用するようにすそ切りの見直しを行う、あるいは野焼き同然の処理を防止するため、許可の対象か否かにかかわらず満たすべき基準といたしまして廃棄物の焼却の方法を明確化する等の措置を考えております。これらの規制措置につきましては一定の経過措置が必要だとは考えられますが、既存の施設に対しましても基本的には適用するという方向で検討してまいりたいと考えております。
○矢島分科員 ぜひ早急にお願いしたいと思います。 私、一つお尋ねしたいのは、五トン未満の、例えば四・八トンだとかそういうものを同じ敷地の中ですぐ隣接して使うわけですね。合計しますとこれは九・六トンになりまして、合算すればこの炉はもう規制の範囲に入るわけなのですね。しかし、分けてしまっているために現在の規制の状況では、もちろんこれから規制は考えていただくとしても、現状の中ではこれを一つに合算する、同じ場所で同じ中からごみを燃しているわけですから。そういうことはお考えになったことはないのでしょうか。合算はだめなのですか。
○小野(昭)政府委員 隣接をしておりまして同一事業者が処理をしているというふうなケースでありますと、それはたまたま炉が二つということでありまして、実際の処理能力という面から見れば五トンを超えるというふうにも考えられます。 今のような、先生御指摘のございました、法である程度規制をしましても、なかなかうまくすり抜けられる方もいらっしゃることは現実でございますので、都道府県あるいは関係者の御意見を十分お伺いしまして、できるだけ抜けのない方向で、実効ある規制が図れるよう検討してまいりたいと思います。
○矢島分科員 やはりこれは脱法的な行為だろうと私は思うのです。ですから、そういう行為に対しても、きちんと規制ができるような手だてを検討し、研究していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 それから、私、もう一つの観点ということで、この産業廃棄物焼却場から出るダイオキシンの問題、これは大もとには排出者の責任という問題があるだろう。現行の廃棄物の処理法というのは九一年に多分改正されたと思われますが、それに先立って生活審議会が答申を出しております。その中に、「まず、事業活動に伴って発生する廃棄物の適正処理に要するコストは、排出事業者自身が負担しなければならないことを認識する必要がある。」こう述べているわけです。厚生省も当初、廃棄物処理法をつくるに当たってこの答申と同じ立場に立っていて、処理業者の不適正処理についての企業責任も触れていた、こういうように私は記憶しているわけです。 ところが、出てきた法案では、実はこの問題が姿を消してしまいまして、私に言わせれば、業界からの圧力によるものだということはまさに明白だと思うのです。というのは、経団連はこれに対して、事業者が適正に処理業者に委託したならば、その後の処理業者による不適正処理の責任を事業者が負うのは妥当ではないというコメントを出しているのです。大もとの排出事業者が適正なコストを負担しないと、処理業者というのは中小とか非常にいろいろな業者がおります、確かにそういう中で適正な処理ができないという事態が起きているわけでありますから。例えば、焼却処理過程で、汚染防止装置を焼却設備に設置する、こういうようなことをけちってしまう、こういう状況が生じているわけです。大体、廃棄物を焼却処理すればダイオキシンが発生するということは今や常識的なものになっていると思うのです。リサイクルに対してのインセンティブも働かない。排出業者にもダイオキシン汚染の責任というものを考える必要があるのではないかと私は思うのです。 そこで大臣にお聞きしたいのです。 産業廃棄物処理の過程でダイオキシンを発生させないということのためにも、また安易な焼却に頼るのではなくて、リサイクル化を目指すという上でも、大もとの排出事業者の責任を明確にする必要があるのではないかと思うのです。このことについて、大臣、どのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 排出事業者の責任を強化していくという視点で今回の廃棄物改正法案も提出しておりますので、基本的に、しっかりと、みずからの業務がどのように行われているのかという処理の点検、こういう点についても、今よりもさらに明確に責任を持ってもらうという方向で今後の改正を検討しておりますので、対応もその線で進めていきたいと思っております。
○矢島分科員 そこで、排出業者の責任をどうとらせるかという問題で、いろいろあると思うのです。これはそれぞれ御研究いただくということですけれども、コストの点で負担をするのかしないのかという問題についてもぜひ御検討いただきたいということと、それからもう一つは、そういう検討をしながら、実際に排出業者に対しての一定度の責任というものが明確化されるということは非常にいいことなのですが、ただ、そういうことを実際につくり上げるまでの間には一定の時間がかかるわけです。ところが、既に所沢を初めとするこの地域というのはどんどん、ぜひ大臣もお時間はないでしょうけれども見ていただくとわかると思うのですが、そばまで行くと自分がやられてしまうのじゃないかと思われるくらいのすごい煙です。 そういうところに対して、実はこういうことはお考えになったことはあるのかどうかということですが、例えばそういう公害が出てくるのを防ぐためのフィルター、そういうものを設置するとか、またダイオキシン対策もやってみようという業者がいたとします。ところがなかなか資金がない、どうしてもそこに金がかけられないというような民間業者に対する補助制度といいますか、無利子の融資制度とかいろいろあると思いますが、そういうのを御検討されたことがあるか、また現在何かそういうことでのお答えが得られるのか、よろしくお願いします。
○小野(昭)政府委員 問題意識としては、そういう点、事業者に規制を強化するということになりますと、これは御指摘のようにコストがかかる問題でございます。その資金調達につきまして無理が生じますと、設備の改善等にも支障を来しますので、融資あるいは税制等の面でどういった対応をとるべきか、検討してまいりたいと考えております。
○矢島分科員 資金調達の面で困っている業者、良心的にやろうという業者もいるわけです。ただし、中にはとんでもない業者もおりますけれども。ぜひ、そういう人たちに対して、そういう施設が設備できるような対策もあわせてお願いしたいと思います。 そこで、私今まで、実態調査、実際に産業廃棄物の焼却場も進めていってもらいたいということや、あるいは基準をきちんとつくっていただく、また小型炉の対策というような問題、非常に緊急な問題だとして取り上げてきたわけですけれども、もう一つ緊急対策として、付近住民の健康の問題、この健康被害や母乳の調査、これが非常に必要だと思うわけです。 厚生省が、昨年の十二月十九日に、母乳中のダイオキシンに係る検討会、これの提言を写しとして、日本医師会会長その他、小児科学会の会長、それぞれのところに送付したという書類ですが、その中にこういう記述もあるわけです。「母乳中のダイオキシン類の摂取が、乳児に与える影響は直ちに問題となる程度ではない。」以下、いろいろずっと書かれております。こういう認識であったわけですが、実際には大変な事態になっている。特に、この母乳汚染の問題というのは非常に重要な問題になっていると思うのです。 所沢で、市民から「母乳から出たダイオキシンが子供の体に蓄積されていくと聞きました。子供に母乳を飲ませていいのかわからなくなりました。不安な気持ちで毎日母乳を飲ませています。ミルクに切りかえないといけないでしょうか」という質問だとか、あるいは「近くに産業廃棄物の施設があります。テレビを見て、私の母乳が汚染されているのではないかと心配です。検査できないかと保健所に問い合わせたら、一件で数十万かかる、保健所では対応できないと言われました。検査できるようにならないでしょうか」こういう声が多数寄せられているわけです。 それから、テレビでダイオキシンの特集というのをやりました。そこで、母乳の調査が行われました。検査に応じたお母さん方に対して、調査結果とそれに対する専門家のアドバイスというのがそれぞれ伝えられたわけです。平均値より高濃度のお母さんには、「高濃度の方は母乳と人工乳を半々にしたほうが、乳児の健康上よりよいと考えられます。また、断乳の時期もなるべく早い方がいいでしょう。」こういうアドバイスがされています。テレビでもこういうことが報道されているわけですね。 そういう中で厚生省も、新聞報道ですけれども、昨日の報道によりますと、「母乳の汚染度 全国調査」という見出しで、全国調査を行う、そして、「高濃度のダイオキシンが検出された女性については、健康状態や乳児への影響もさらに調査する。」こういう内容が報道されております。 そこで、私は、ぜひこの調査をやっていただきたい。これが一つですけれども、同時に、どういう調査にしていくかはこれから研究されると思うのです。どういう抽出的な調査をするのか、それらは今後決めるとして、進んで検査を希望するお母さん方、やはり不安を感じて検査をしてもらいたいと願っているところのお母さん方すべてを検査対象として考えることが必要だし、また、その検査の結果、高濃度のダイオキシンが検出されたお母さんあるいはその子供、乳幼児、こういうところに対する健康診断もやっていく必要があるだろう。この検査を希望する人たち全部を対象にぜひひとつやってもらえないかということを希望しておきたいのですが、具体的な検査そのほかはまだかもしれませんが、何かありましたら。
○横田政府委員 母乳中のダイオキシンにつきましては、私ども、これまでも心身障害研究費を使いまして調査研究を行ってきております。御指摘いただいた、昨年の母乳中のダイオキシンに係る検討会におきましては、現在の知見からは直ちに問題となる程度ではないという報告をいただいておりますが、母乳の安全性を確保するということは、母子保健対策におきまして大変重要な問題であると考えております。私どもといたしましては、ちょっとマスコミに誇張されて報道された嫌いがございますけれども、母乳の安全性を確保するために、今後とも、詳細な情報収集あるいは調査研究の推進に努めてまいりたいと考えております。 ただ、先生今御指摘がございました希望者全員に検査を行うという点でございますけれども、現在、この調査を実際にやるに当たりましては、お母さん方一人一人から母乳をもらうというのもなかなかこれは大変なことでございます。また、検体の検査に一件当たり四、五十万円かかるというようなことがある上に、検査できる体制、施設、それから技術者というものも非常に限られているというようなことでございまして、現時点で、希望者どなたにでもというような状況ではございませんことを御理解いただきたいと思います。私どもといたしましては、この問題につきまして注意深い関心を持って、調査研究、情報の収集を当面進めてまいりたいというふうに考えております。
○矢島分科員 母乳中のダイオキシンに係る検討会の提言についてちょっと触れられましたが、果たしてそういう認識でいいのかということを私は指摘したわけであります。また同時に、報道は少し誇張されたと言うけれども、誇張ではなくて、ぜひひとつこの線を大いに進めてもらいたいということを希望いたします。 いずれにいたしましても、人の命と健康にかかわる問題です。そういう地域に住んでいる住民の不安というものを解消するために、国として緊急な対策、ぜひこういうものを立てていただきたいということを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○根本主査 これにて矢島恒夫君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして厚生省所管、環境衛生金融公庫の質疑は終了いたしました。 —————————————
○根本主査 これより文部省所管について審査を行います。 まず、概要説明を聴取いたします。小杉文部大臣。
○小杉国務大臣 平成六年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。 まず、文部省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額二十七億二千四百二十八万円余に対しまして、収納済み歳入額は五十三億三百九十九万円余であり、差し引き二十五億七千九百七十万円余の増加となっております。 次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額五兆四千九百九十三億六千五百万円余、前年度からの繰越額四百九十九億三千七百七十五万円余を合わせた歳出予算現額五兆五千四百九十三億二百七十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は五兆五千百八億三千六百七十三万円余であり、その差額は三百八十四億六千六百一万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は二百五十八億二千百十五万円余で、不用額は百二十六億四千四百八十六万円余であります。 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。 国立学校特別会計の収納済み歳入額は二兆六千四百六億三千六百十一万円余、支出済み歳出額は二兆五千十六億四千二万円余であり、差し引き一千三百八十九億九千六百九万円余の剰余を生じました。 この剰余金のうち、特別施設整備事業以外に係るものについては、国立学校特別会計法附則第十七項において読みかえられた同法第十二条第一項の規定により、二十五億六千五百四万円余を積立金として積み立て、残額一千二百五十億九千八百三十七万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとし、特別施設整備事業に係るものについては、同法附則第十四項の規定により、翌年度の歳入に繰り入れる九千三百六十六万円余を控除した残額百十二億三千九百万円余を特別施設整備資金に組み入れることとして、決算を結了いたしました。 次に、歳入につきましては、歳入予算額二兆四千百四十億五千二百七十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は二兆六千四百六億三千六百十一万円余であり、差し引き二千二百六十五億八千三百三十五万円余の増加となっております。 次に、歳出につきましては、歳出予算額二兆四千百四十億五千二百七十六万円余、前年度からの繰越額一千七百四十億百七十九万円余を合わせた歳出予算現額二兆五千八百八十億五千四百五十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は二兆五千十六億四千二万円余であり、その差額は八百六十四億一千四百五十二万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は三百四十億六千二百八十万円余で、不用額は五百二十三億五千百七十二万円余であります。 以上、平成六年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 平成七年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。 まず、文部省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額二十五億九千五百三十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は三十四億九千百四十万円余であり、差し引き八億九千六百四万円余の増加となっております。 次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額六兆一千五百六十八億九千九百一万円余、前年度からの繰越額二百五十八億二千百十五万円余を合わせた歳出予算現額六兆一千八百二十七億二千十七万円余に対しまして、支出済み歳出額は六兆六百四億八千六十三万円余であり、その差額は一千二百二十二億三千九百五十三万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は八百七十五億二百九十一万円余で、不用額は三百四十七億三千六百六十二万円余であります。 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。 国立学校特別会計の収納済み歳入額は二兆九千八百三十九億四千九百五十七万円余、支出済み歳出額は二兆六千九百八十二億二千五百二十九万円余であり、差し引き二千八百五十七億二千四百二十八万円余の剰余を生じました。 この剰余金のうち、特別施設整備事業以外に係るものについては、国立学校特別会計法附則第十七項において読みかえられた同法第十二条第一項の規定により、三十六億六千七百四十八万円余を積立金として積み立て、残額二千六百八億六千三百六十九万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとし、特別施設整備事業に係るものについては、同法附則第十四項の規定により、二百十一億九千三百十万円余を特別施設整備資金に組み入れることとして、決算を結了いたしました。 次に、歳入につきましては、歳入予算額二兆八千八百六十八億三千百九十三万円に対しまして、収納済み歳入額は二兆九千八百三十九億四千九百五十七万円余であり、差し引き九百七十一億一千七百六十四万円余の増加となっております。 次に、歳出につきましては、歳出予算額二兆八千八百六十八億三千百九十三万円、前年度からの繰越額三百四十億六千二百八十万円余を合わせた歳出予算現額二兆九千二百八億九千四百七十三万円余に対しまして、支出済み歳出額は二兆六千九百八十二億二千五百二十九万円余であり、その差額は二千二百二十六億六千九百四十四万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は一千四百八十六億一千六百六十万円余で、不用額は七百四十億五千二百八十四万円余であります。 以上、平成七年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○根本主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院小川第四局長。
○小川会計検査院説明員 平成六年度文部省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十七件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号五号は、電気設備工事等の施行に当たり、配管工事等の積算を誤ったため、契約額が割高になっているものであります。 検査報告番号六号から二二号までの十七件は、大学病院における診療報酬の請求に当たり、退院した患者が同一傷病により再入院した場合の入院時医学管理料等を過小に算定するなどしていて、診療報酬請求額が不足していたものであります。 検査報告番号二三号から二七号までの五件は、義務教育費国庫負担金の算定において、国庫負担の対象にならない教員に係る給与費等を国庫負担対象額に含めたり、退職手当について国家公務員の例に準じて定められたものによることなく算定したりなどしていたため、負担金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号二八号から三九号までの十二件は、公立中学校屋内運動場増築等事業等において、補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めていたり、補助金を過大に交付したりしていたものであります。 検査報告番号四〇号及び四一号の二件は、職員の不正行為による損害が生じたもので、静岡大学ほか一大学の職員十五名が、その職務に従事中、物品購入等を装って虚偽の支出負担行為書及び支出決議書を作成したり、架空の物品取得請求書を作成し物品が納品されたかのように装ったりして、支出金等を架空業者等の名義の預金口座に振り込ませるなどして領得したものであります。なお、本件損害額は、全額が補てんされております。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 これは、建築工事におけるコンクリート工の型枠費の積算に関するものであります。 山形大学ほか十七国立大学等が施行した二十七工事におきまして、建築工事のコンクリート工の型枠費の積算が適切でなかったため、積算額が過大になっておりました。このように積算額が過大になっていたのは、積算に当たり前もって示されている型枠の単価と、積算参考資料に記載されている単価とに開差がある場合の取り扱いについて通知が発せられているのに、複合単価表にその通知が明示されていなかったりしたことなどによると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、文部省では、七年十月に複合単価表の取扱要領を改正するなどの処置を講じたものであります。 次に、平成七年度文部省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十六件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号二号から三〇号までの二十九件は、大学病院における診療報酬の請求に当たり、麻酔料に対する加算を誤ったり、手術で使用した特定保険医療材料等の費用を算定していなかったりしていたため、診療報酬請求額に過不足があったものであります。 検査報告番号三一号から三四号までの四件は、義務教育費国庫負担金の算定において、教職員の標準定数を過大に算定したりなどしていたため、負担金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号三五号から三七号までの三件は、公立中学校校舎改築事業等において、補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めていたり、補助対象事業費を過大に精算したりしていたものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 その一は、小中学校クラブハウス整備事業の実施に関するものであります。 補助事業で行う小中学校クラブハウス整備事業において、地域住民の利用のニーズや近隣の同種施設等の状況を的確に把握していなかったり、運営体制の整備等利用を促進するための方策を十分講じていなかったりしたため、百九カ所のクラブハウスの利用が極めて低調となっているなど、事業の効果が十分発現しておりませんでした。これについて指摘したところ改善の処置がとられたものであります。 その二は、国立大学附属病院の入院料に係る診療報酬の請求に関するものであります。 国立大学附属病院において、都道府県知事に届け出た数以上に、重症者の療養に適した病床を整備したり、看護要員を配置したりしているのに、届け出を見直していなかったなどのため、重症者療養環境特別加算や看護料を適切に算定することができず、八大学病院で診療報酬請求額が過小となっておりました。これについて指摘したところ改善の処置がとられたものであります。 以上をもって概要の説明を終わります。
○根本主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。小杉文部大臣。
○小杉国務大臣 平成六年度及び平成七年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したところでありますが、平成六年度及び平成七年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。 指摘を受けた事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ったところであります。
○根本主査 この際、お諮りいたします。 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○根本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 平成六年度文部省所管(一般会計及び特別会計)決算に関する概要説明 文 部 省 平成六年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。 まず、文部省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額二七億二、四二八万円余に対しまして、収納済歳入額は五三億三九九万円余であり、差引き二五億七、九七〇万円余の増加となっております。 次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額五兆四、九九三億六、五〇〇万円余、前年度からの繰越額四九九億三、七七五万円余を合わせた歳出予算現額五兆五、四九三億二七五万円余に対しまして、支出済歳出額は五兆五、一〇八億三、六七三万円余であり、その差額は三八四億六、六〇一万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は二五八億二、一一五万円余で、不用額は一二六億四、四八六万円余であります。 支出済歳出額のうち主な事項は、義務教育費国庫負担金、国立学校特別会計へ繰入、科学技術振興費、文教施設費、教育振興助成費及び育英事業費であります。 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。 第一に、義務教育費国庫負担金の支出済歳出額は二兆七、二七一億五、五〇〇万円であり、これは、公立の義務教育諸学校の教職員の給与費等の二分の一を国が負担するために要した経費であります。 第二に、国立学校特別会計へ繰入の支出済歳出額は一兆四、九二六億六、六七九万円余であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源の一部を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために要した経費であります。 第三に、科学技術振興費の支出済歳出額は一、〇二九億九、五八四万円余であり、これは、科学研究費補助金、日本学術振興会補助金、文部本省所轄研究所及び文化庁研究所等に要した経費であります。 第四に、文教施設費の支出済歳出額は二、八二四億一、八二四万円であり、これは、公立の小学校、中学校、特殊教育諸学校、高等学校及び幼稚園の校舎等の整備並びに公立の学校施設等の災害復旧に必要な経費の一部を国が負担又は補助するために要した経費であります。 第五に、教育振興助成費の支出済歳出額は六、七二一億五、〇四七万円余であり、これは、生涯学習振興費、義務教育教科書費、養護学校教育費国庫負担金、学校教育振興費、私立学校助成費及び体育振興費に要した経費であります。 第六に、育英事業費の支出済歳出額は九五四億五、八四九万円余であり、これは、日本育英会に対する奨学資金の原資の貸付け、財政投融資資金の利子の補給及び事務費の一部補助のために要した経費であります。 次に、翌年度繰越額二五八億二、一一五万円余についてでありますが、その主なものは、文教施設費で、事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。 次に、不用額一二六億四、四八六万円余についてでありますが、その主なものは、義務教育費国庫負担金で、退職手当を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。 国立学校特別会計の収納済歳入額は二兆六、四〇六億三、六一一万円余、支出済歳出額は二兆五、〇一六億四、〇〇二万円余であり、差引き一、三八九億九、六〇九万円余の剰余を生じました。 この剰余金のうち、特別施設整備事業以外に係るものについては、国立学校特別会計法附則第一七項において読み替えられた同法第一二条第一項の規定により二五億六、五〇四万円余を積立金として積み立て、残額一、二五〇億九、八三七万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとし、特別施設整備事業に係るものについては、同法附則第一四項の規定により翌年度の歳入に繰り入れる九、三六六万円余を控除した残額一一二億三、九〇〇万円余を特別施設整備資金に組み入れることとして、決算を結了いたしました。 次に、歳入につきましては、歳入予算額二兆四、一四〇億五、二七六万円余に対しまして、収納済歳入額は二兆六、四〇六億三、六一一万円余であり、差引き二、二六五億八、三三五万円余の増加となっております。 次に、歳出につきましては、歳出予算額二兆四、一四〇億五、二七六万円余、前年度からの繰越額一、七四〇億一七九万円余を合わせた歳出予算現額二兆五、八八〇億五、四五五万円余に対しまして、支出済歳出額は二兆五、〇一六億四、〇〇二万円余であり、その差額は八六四億一、四五二万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は三四〇億六、二八〇万円余で、不用額は五二三億五、一七二万円余であります。 支出済歳出額のうち主な事項は、国立学校、大学附属病院、研究所、施設整備費、特別施設整備費及び船舶建造費であります。 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。 第一に、国立学校の支出済歳出額は一兆三、八六六億九、〇四六万円余であり、これは、国立学校の管理運営、研究教育等に要した経費であります。 第二に、大学附属病院の支出済歳出額は五、二七八億五、〇二五万円余であり、これは、大学附属病院の管理運営、研究教育、診療等に要した経費であります。 第三に、研究所の支出済歳出額は一、五四六億七、九六二万円余であり、これは、研究所の管理運営、学術研究等に要した経費であります。 第四に、施設整備費の支出済歳出額は三、四六三億九、八一二万円余であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の施設の整備に要した経費であります。 第五に、特別施設整備費の支出済歳出額は一三五億六、三九六万円余であり、これは、特別施設整備事業としての国立学校の施設の整備に要した経費であります。 第六に、船舶建造費の支出済歳出額は一七億四九七万円余であり、これは、国立学校における実習船の代替建造に要した経費であります。 次に、翌年度繰越額三四〇億六、二八〇万円余についてでありますが、その主なものは、施設整備費で、事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。 次に、不用額五二三億五、一七二万円余についてでありますが、その主なものは、国立学校で、退職手当を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。 以上、平成六年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。 何とぞ、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 ………………………………… 平成六年度決算文部省についての検査の概要に関する主管局長の説明 会計検査院 平成六年度文部省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十七件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号五号は、電気設備工事等の施行に当たり、配管工費等の積算を誤ったため、契約額が割高になっているもので、国立天文台大型光学赤外線望遠鏡ドーム下部等施設新営工事(その五)におきまして、配管の数量や単価を誤るなどしていたため、契約額が割高になっているものであります。 検査報告番号六号から二二号までの十七件は、大学病院における診療報酬の請求に当たり、入院時医学管理料等の請求額が不足していたもので、北海道大学ほか十六大学の二十八大学病院におきまして、退院した患者が同一傷病により再入院した場合の入院時医学管理料等を過小に算定するなどしていて、診療報酬請求額が不足していたものであります。 検査報告番号二三号から二七号までの五件は、義務教育費国庫負担金の経理が不当と認められるもので、栃木県ほか四事業主体におきまして、国庫負担の対象にならない教員に係る給与費等を含めたり、退職手当について国家公務員の例に準じて定められたところによることなく算定したりなどしていたため、国庫負担金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号二八号から三九号までの十二件は、公立学校施設整備費負担金及び補助金の経理が不当と認められるもので、福井県武生市ほか十事業主体におきまして、補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めていたり、補助金を過大に交付したりしていたため、負担金等が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号四〇号及び四一号の二件は、職員の不正行為による損害が生じたもので、静岡大学ほか一大学の職員十五名が、その職務に従事中、物品購入等を装って虚偽の支出負担行為書及び支出決議書を作成したり、架空の物品取得請求書を作成し物品が納品されたかのように装ったりして、支出金等を架空業者等の名義の預金口座に振り込ませるなどして領得したものであります。 なお、本件損害額は、全額が補てんされております。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 これは、建築工事におけるコンクリート工の型枠費の積算に関するものであります。 山形大学ほか十七国立大学等が施行した二十七工事におきまして、建築工事のコンクリート工の型枠費の積算が適切でなかったため、積算額が過大になっておりました。このように積算額が過大になっていたのは、積算に当たり前もって示されている型枠の単価と、積算参考資料に記載されている単価とに開差がある場合の取扱いについて通知が発せられているのに、複合単価表にその通知が明示されていなかったりしたことなどによると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、文部省では、七年十月に複合単価表の取扱要領を改正するなどの処置を講じたものであります。 以上をもって概要の説明を終わります。 ————————————— 平成七年度文部省所管(一般会計及び特別会計)決算に関する概要説明 文 部 省 平成七年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。 まず、文部省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額二五億九、五三六万円余に対しまして、収納済歳入額は三四億九、一四〇万円余であり、差引き八億九、六〇四万円余の増加となっております。 次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額六兆一、五六八億九、九〇一万円余、前年度からの繰越額二五八億二、一一五万円余を合わせた歳出予算現額六兆一、八二七億二、〇一七万円余に対しまして、支出済歳出額は六兆六〇四億八、〇六三万円余であり、その差額は一、二二二億三、九五三万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は八七五億二九一万円余で、不用額は三四七億三、六六二万円余であります。 支出済歳出額のうち主な事項は、義務教育費国庫負担金、国立学校特別会計へ繰入、科学技術振興費、文教施設費、教育振興助成費及び育英事業費であります。 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。 第一に、義務教育費国庫負担金の支出済歳出額は二兆七、三七九億三、四二五万円余であり、これは、公立の義務教育諸学校の教職員の給与費等の二分の一を国が負担するために要した経費であります。 第二に、国立学校特別会計へ繰入の支出済歳出額は一兆八、八八八億七、三九八万円であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源の一部を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために要した経費であります。 第三に、科学技術振興費の支出済歳出額は一、三四二億四、七二九万円余であり、これは、科学研究費補助金、日本学術振興会補助金、文部本省所轄研究所及び文化庁研究所等に要した経費であります。 第四に、文教施設費の支出済歳出額は三、一五二億二、〇五四万円余であり、これは、公立の小学校、中学校、特殊教育諸学校、高等学校及び幼稚園の校舎等の整備並びに公立の学校施設等の災害復旧に必要な経費の一部を国が負担又は補助するために要した経費であります。 第五に、教育振興助成費の支出済歳出額は七、三一〇億四、三四九万円余であり、これは、生涯学習振興費、義務教育教科書費、養護学校教育費国庫負担金、学校教育振興費、私立学校助成費及び体育振興費に要した経費であります。 第六に、育英事業費の支出済歳出額は一、〇二〇億二、四〇四万円余であり、これは、日本育英会に対する奨学資金の原資の貸付け、財政投融資資金の利子の補給及び事務費の一部補助のために要した経費であります。 次に、翌年度繰越額八七五億二九一万円余についてでありますが、その主なものは、文教施設費で、事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。 次に、不用額三四七億三、六六二万円余についてでありますが、その主なものは、義務教育費国庫負担金で、退職手当を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。 国立学校特別会計の収納済歳入額は二兆九、八三九億四、九五七万円余、支出済歳出額は二兆六、九八二億二、五二九万円余であり、差引き二、八五七億二、四二八万円余の剰余を生じました。 この剰余金のうち、特別施設整備事業以外に係るものについては、国立学校特別会計法附則第一七項において読み替えられた同法第一二条第一項の規定により三六億六、七四八万円余を積立金として積み立て、残額二、六〇八億六、三六九万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとし、特別施設整備事業に係るものについては、同法附則第一四項の規定により二一一億九、三一〇万円余を特別施設整備資金に組み入れることとして、決算を結了いたしました。 次に、歳入につきましては、歳入予算額二兆八、八六八億三、一九三万円に対しまして、収納済歳入額は二兆九、八三九億四、九五七万円余であり、差引き九七一億一、七六四万円余の増加となっております。 次に、歳出につきましては、歳出予算額二兆八、八六八億三、一九三万円、前年度からの繰越額三四〇億六、二八〇万円余を合わせた歳出予算現額二兆九、二〇八億九、四七三万円余に対しまして、支出済歳出額は二兆六、九八二億二、五二九万円余であり、その差額は二、二二六億六、九四四万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は一、四八六億一、六六〇万円余で、不用額は七四〇億五、二八四万円余であります。 支出済歳出額のうち主な事項は、国立学校、大学附属病院、研究所、施設整備費、特別施設整備費及び船舶建造費であります。 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。 第一に、国立学校の支出済歳出額は一兆四、五〇八億七、九五八万円余であり、これは、国立学校の管理運営、研究教育等に要した経費であります。 第二に、大学附属病院の支出済歳出額は五、四六六億三、四五八万円余であり、これは、大学附属病院の管理運営、研究教育、診療等に要した経費であります。 第三に、研究所の支出済歳出額は一、六八九億三、五三八万円余であり、これは、研究所の管理運営、学術研究等に要した経費であります。 第四に、施設整備費の支出済歳出額は四、四五六億四、九三二万円余であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の施設の整備に要した経費であります。 第五に、特別施設整備費の支出済歳出額は一〇八億九、三六六万円余であり、これは、特別施設整備事業としての国立学校の施設の整備に要した経費であります。 第六に、船舶建造費の支出済歳出額は一二億七、七一四万円余であり、これは、国立学校における実習船の建造に要した経費であります。 次に、翌年度繰越額一、四八六億一、六六〇万円余についてでありますが、その主なものは、施設整備費で、事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。 次に、不用額七四〇億五、二八四万円余についてでありますが、その主なものは、国立学校で、退職手当を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。 以上、平成七年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。 何とぞ、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 ………………………………… 平成七年度決算文部省についての検査の概要に関する主管局長の説明 会計検査院 平成七年度文部省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十六件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。 まず、不当事項について御説明いたします。 検査報告番号二号から三十号までの二十九件は、大学病院における診療報酬の請求に当たり、麻酔料等の請求額に過不足があったもので、北海道大学ほか二十八大学の三十一大学病院におきまして、麻酔料に対する加算を誤ったり、手術で使用した特定保険医療材料等の費用を算定していなかったりなどしたため、請求額に過不足があったものであります。 検査報告番号三一号から三四号までの四件は、義務教育費国庫負担金の経理が不当と認められるもので、埼玉県ほか三事業主体におきまして、国庫負担対象額の算定に当たり、国庫負担の対象にならない教員に係る給与費等を含めたり、その算定の基礎となる教職員定数を過大に算定したりしていたため、国庫負担金が過大に交付されていたものであります。 検査報告番号三五号から三七号までの三件は、公立学校施設整備費負担金等の経理が不当と認められるもので、大阪府ほか二事業主体におきまして、補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めていたり、補助対象事業費を過大に精算したりしていたため、負担金等が過大に交付されていたものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。 その一は、小中学校クラブハウス整備事業の実施に関するものであります。 文部省では、公立の小学校及び中学校の校舎又は屋内運動場の開放に当たり、地域住民の利用を促進するため、これらの施設にクラブハウスを整備する事業主体に対して公立学校施設整備費補助金を交付しております。 今回、小中学校クラブハウス整備事業について調査しましたところ、地域住民の利用が低調であり、事業の効果が十分発現していないものが百九箇所見受けられました。 このような事態が生じていたのは、事業主体において、事業に対する認識が十分でないこと、文部省において、クラブハウスの必要性や利用方策についての審査が十分でなかったことなどによると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、文部省では、八年十月に都道府県に通知を発するなどして、学校開放の実績やクラブハウスの利用計画等に関する資料を提出させて審査の充実を図るとともに、市町村に対し、事業の趣旨の周知徹底を図らせ、必要性の検討や利用促進のための運営体制の強化等を行わせるなどの処置を講じたものであります。 その二は、国立大学附属病院の入院料に係る診療報酬の請求に関するものであります。 東京大学医学部附属病院ほか四大学病院におきまして、重症者の特別の療養環境についての都県知事への届出が診療の実態に即したものとなっていなかったため、重症者療養環境特別加算を適切に算定することができない事態となっておりました。また、旭川医科大学医学部附属病院ほか二大学病院において、看護体制についての道府県知事への届出が看護の実態に即したものとなっていなかったため、看護料を適切に算定することができない事態となっておりました。 このような事態が生じていたのは、各大学において、重症者の療養環境の施設基準の改正により重症病床数の上限が引き上げられたのに、これに伴う届出の見直しが十分でなく、重症者数の把握も的確でなかったこと、及び看護制度の改正の趣旨の理解が十分でなかったことによるものと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、各大学では、八年四月から十一月までの間に、各都道府県知事に対して所要の変更の届出を行い、診療及び看護の実態に即した適正な診療報酬を請求するための処置を講じたものであります。 以上をもって概要の説明を終わります。 —————————————
○根本主査 以上をもちまして文部省所管の説明は終わりました。 —————————————
○根本主査 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川知雄君。
○西川(知)分科員 西川知雄でございます。 文部大臣、私は、この通常国会できょうが十二回目の質問ということでございますが、今までは予算とか五カ年計画とか、そういうことを中心に御質問をしてきましたが、それとの比較と言うとなんですけれども、一つやはり生涯の学習ということが、これは我々一般に欠けていることじゃないか、政治家も生涯学習というのをやっていかないといけないという時代になってきております。きょうは、文部省の管轄の決算の質問者は三名ということでございますので、そしてこの重要性にかんがみまして、役人の方の補足意見も結構ですが、ぜひ大臣のいろんな御所感を述べていただければ大変ありがたいというふうに思います。 本日は、今申し上げました生涯学習ということを中心として、主に放送大学のことと、それから塾についてちょっと御質問をいたしたいと思います。 私、放送大学ということについては、七年度の決算でも、放送大学の全国化の推進ということで九十二億八千万円、これが支出されているということでございますが、きょうは、その支出が本当に効果的になされているんだろうかということに関連しましていろんなことをお尋ねしたいと思います。 生涯学習振興のために最も中核的な機関というのは何かということですが、文部省は、いろんな審議会とかまた文部省から出されておりますいろんなパンフでも、放送大学、これが中核的な存在だということで、じゃ、よっぽど立派なところなんだなというふうに私思いまして、しかも私の大学のときの恩師であった民法の先生もそこの大学に行っておられるということで、ぜひ一回見に行かないといけないということで、私は、一番大きな学習センターを見に行こうということで、文京区の大塚にあります東京第二学習センターを見に行きまして、参観というとおかしいですけれども、授業も見させていただき、施設を全部見させていただいて、そしていろんな御意見も拝聴いたしました。 それで、私は非常に驚いたのですが、これで生涯学習の中核になるようなところなのかというふうに実は思ったわけです。約八千名以上の在学者がそこの東京第二学習センターというところにおられまして、また私の地元である神奈川県も約五千人以上の方がそこで学ばれておるということでございますが、何せそこは四年制の学生さんもたくさんいらっしゃるということで、一学期に約二十単位、これの面接授業をやらないといけない。百二十四単位をとらないといけないのですが、二十単位についていわゆるスクーリング、普通の大学と同じように授業を受けないといけない、こういうことになっております。合計で一学期間に二百二十五時間ぐらい受けないといけないんです。 そこで、一番大きな東京第二学習センター、これは八千人以上いらっしゃるのですが、スクーリングをできる、面接授業をできる教室はわずか五つで、それも、昔我々の時代に、団塊の世代が公立学校で勉強しておりました小さな机、そういうものがぎしっと並べられて、約三百人ぐらいしかそこの教室に入れないという状態なんです。これでは、私はきちっとした学習は絶対できないというふうに思っておるんです。 さらに、これは今のところは学習センターといって、いわゆる電波がちゃんと届いて、四年制の授業をとれるというところなんですが、そのほかはいわゆる地域学習センターと申しまして、大臣も御存じだと思いますが、そこはまだ電波が届いていないところもあって、一年単位のものしかできないということになっております。ところが、この放送大学の全国化というものが近々できますので、そうすると、地域学習センターも四年制の人がどんどん入ってくるということがこれから予想されているところで、特に京都とか大阪は、二千名以上が一年のコースで在籍しているというのが現状であるわけです。それが四年制になったら、単純に計算すれば八千人以上がその場所に押しかけるということになるわけです。 ところが、学習センターは東京の一番大きいところでも約二千七百平米、神奈川県の五千人を収容しないといけないところも二千五百平米という、本当に情けない状況になっております。そして、地域学習センター、これを平均しますと、学生一人当たり〇・四平米と、行くところがないというような、みんな来てもらっては困るというような状況にあるのが実は現状です。国立大学と私立大学と単純にその施設を比較するのは、これはちょっと酷かもしれませんが、国立大学が十四・八平米、私立では十一・七平米、ところが放送大学は〇・四平米ということになっているわけです。 しかも、図書館も私行きました。私、弁護士をずっと二十年間ぐらいやっておりました。しかもいろんな法律に携わっていましたので、図書館には三万冊の本があるというので、いろんなほかのものを見てもわからないので法律の本を見ましたら、何とこれは程度が低い、こんなのでは勉強もできないというような本しか実はなかった。これは本じゃないというふうに私は思わざるを得なかったわけです。 私、文部省のいろんな予算を見ていまして、これから国際化も進んで、いろんな日本型ビッグバンも起こって、世界の中の競争を日本はしないといけない。そのときに、人的な素材、これをやはり生涯学習の中で一生懸命つくっていかなければ日本国家は成り立たないというふうに思うんです。 私、ここに来る前に道路整備の促進の全国協議会というところから陳情書を受けまして、道路特定財源を守れというので、これだけの名刺の人が来たんです。私はそういうことをちょっと予算委員会でも申し上げましたので積極的に来られたと思うんですが、しかし、それと比べて、本当にこれからの日本が立っていくための生涯学習ということに対する予算なり経費、費用、これが今申し上げましたように全然少ない。これは大臣、文部省の責任でもあるし、文部大臣としてもしっかりと閣内でそういう声を上げていって、やらないといけないというふうに私は実は思っているところです。 そこで、これに対する一般的な所見を大臣には簡単にお尋ねいたしまして、そして、これから、そういう施設の非常な貧困さ、こういうものをどうしていくのか、そしてその図書でも、そういうノウハウをこれから得よう、そういう資源が全然ないのをどうしていくのか、また放送大学が地方に全国化をしても先生がいない、そういう状況を一体どういうふうにするつもりなのか、その辺を簡単に、大臣、御答弁願えれば幸いです。
○小杉国務大臣 人生八十年時代を迎えて、生涯教育というのは非常に重要になってきました。生涯教育の場としてはいろいろありますけれども、その中の中核的な機関として我々は放送大学を昭和五十年代後半から進めてまいりまして、今もう十数年が経たわけであります。 長年悲願でありました、この放送大学の放送エリアの全国化を図ることがいよいよことしからCS放送を通じて可能になったわけであります。従来関東地域ということであったのがやっと全国に放送される、こういうことで飛躍的に学生がふえることを期待しておりますが、今御指摘になりましたように、従来の教室というのは、例えば地域の学習センターなどは、ビデオテープで放送したのを聞きにスクーリングに来るということで、極めて面積も少ないし、教室の数も少ない、あるいは、今言われたような図書館とか人材とか、その他各般にわたってまだまだ不十分である。特に、CSによる全国化に伴いましてこれを飛躍的に増大させなければいけないということで、これから計画的に整備をしていくと同時に、既設の大学等の施設も活用させていただいて、それまではぜひそういうことでやっていきたい、こういう考えを持っております。 具体的な問題については政府委員の方から答弁をさせます。
○草原政府委員 御指摘のとおり、現在、地域学習センターの広さは平均しますと四百平米ぐらい、それで電波の届いている学習センターの方が二千八百平米ぐらいでありまして、中にはブースを待つ行列ができるといったところもないわけではございません。しかし、今後CS放送による全国化に伴いまして、まず全国の地域学習センターにおいて面接授業ができるようにということが大変大きな課題でございますので、これに取り組んでいきたいと考えております。これも数が多いわけでございますので一挙にというわけにまいりませんが、四年計画で整備を図りたいと考えております。 それに当たりましては、その学生の規模であるとか地域的なバランスであるとか、あるいはその地域の特性等々を考慮しながら、このような全科履修生を受け入れる準備を進めていきたいと考えているところでございます。
○西川(知)分科員 ぜひそういう方向で文部省もやはり頑張っていただかないと、九年度の予算で約百億円ぐらいを要求されていますが、不要な公共工事にたくさんお金を使うぐらいであれば、そういう地域の学習センターをつくって、そしてノウハウもその中に入れて、国民が、お金だけじゃない、いろんな文化とか教育もしっかりとやっていく国家にしていかなければ、日本は、国際化、そして競争社会といいましてもその中で絶対生き残ることはできないので、大臣、文部省のお役人の皆さんとその辺を肝に銘じてぜひ頑張っていただきたいというふうに私は思います。 そこで、次に塾の問題でございますが、これも生涯学習と実は関係するので、お尋ねをいたしたいと思います。 ある有名な大学、これはどこと申しませんが、ここの入試要綱を見て、私はあっと驚きました。これは経済学部の入試要綱なんですが、経済学部というと、単に経済を、理論的なものだけやっていればいいではなくて、計算が必要なんですね。数学が必要なんです。ところが、その大学の受験科目には数学はないのです。選択科目でもない。こういうような状態になっているんですね。 それから、私が弁護士の試験を受けたとき、司法試験と言いますが、これは大学の三年生か四年生になって勉強をするということで、そのころからみんな一生懸命勉強したのですが、今は、いい高等学校、中学校を出て、その中学校、高校に入るためには学校の授業だけではだめで塾に行く。そして、例えば東大に入った。 そうすると、普通は、大学に入って大学の教育とは何か、私の父も大学の教授をやっておりましたので、大学に入ったら、恋愛もし、哲学を学び、友達と語り合って、いろいろな自由な発想をする、これが大学だというふうに教えられましたので、そのとおりやってきたわけでございますが、今は、大学の入学試験があって、次のときに駒場に行きますと、駅の前でパンフが配られている。それは司法試験の予備校、受験校のパンフなわけです。そして、私の今知っている若い弁護士もそうですが、大学の授業に行ってもそんなに司法試験とか公務員試験には受からぬ、ではということで、教養学部にも、ほとんど学校の授業には行かずにその予備校に行く。その方がすぐに、ほとんど現役で司法試験は受からないのですが、そういう人たちは受かることができる。公務員試験もしかりだというのを私は聞きまして、その人たちが裁判官になったり、弁護士になったり、役人になったり、国会議員になったりしたら恐ろしい世の中になるんじゃないか、実はこういうふうに私は思っているところなんです。 しかし、それにはいろいろな理由があると思うのです。一つは、これは公立学校だけ言うと文部省には申しわけないのですが、公立学校の教育が十分でないというのが一つ大きなところではないかというふうに思います。 そして、文部省自身がいろいろなアンケート調査をされて、学習塾に関するアンケート調査をされたわけなんですが、そこでは、学習塾というのは悪くないという人もたくさんいるわけです。すなわち、学校では一人一人にわかるような授業をやってくれない、ところが、学習塾では非常に丁寧に教えてくれる、わかりやすい。また、楽しい、また行きたいという人もたくさんいるわけです。それに引きかえて、公立学校がどんなに悪いかという調査はされなかったのですけれども、公立では、私も私立、公立、国立と全部行きましたからよくわかるのですが、平均的な教育しかできませんので、十二分な、一人一人に丁寧な教育ができていないというふうに私は言わざるを得ないと思うのです。 その一つの大きな原因として、学校の先生に対する教育、研修が余り十分じゃないんじゃないかというふうに私は思わざるを得ないのです。初任研修というのは十二分にやっていらっしゃるかもしれないけれども、それだけでは十分じゃない。 それから、文部省のこれからのテーマとして挙げられている中に、生涯学習ということのほかに、国際化、情報化というものを挙げられているのです。ところが、国際化ということで、その研修制度がありまして、外国に行かれた人、これは最近の六年の数字ですが、これを見ますと、全国でたった千二百人しかいない。しかも、一カ月から三カ月の間の短期間でしかみんな行っていないということで、これでは国際化時代に対応するような教育はもちろんのこと、先生の教育だってできない。英語の先生が英語もしゃべれない、そんな状況がたくさんあって、しかも外国に行ったことがない、英語をしゃべれるようなところに行ったことがないというような人がたくさんいる。これが現状なんです。 ですから、やはりこういう研修についてはもっとお金を使うべきだ。お金は限られている。しかしながら、どういうところに配分をしないといけないか。物づくりばかり今までやってきたけれども、もっと中身の濃い、人づくりをちゃんとやっていかないといけない。しかも、その代表的なものが生涯教育であり、その生涯教育の一つとして学校の先生ももっと教育して、百聞は一見にしかずで、もっと世界を見るようにしないといけないというふうに私は思うのです。 この意見には私は小杉文部大臣も賛成していただけると思うのですが、御所見をお伺いしたいと思います。
○小杉国務大臣 今のお話、私もおおむね賛成でございます。 今言われた平成五年度学習塾等に関する実態調査、文部省が実施したものですが、学習塾に通わせている理由として「学校の授業だけでは受験勉強が十分できないから」と答えた人が、保護者では四分の一、約二五%見られるほか、「塾では一人一人ていねいに教えてくれるから」「学校の授業についていけないから」などが挙げられております。また、今御指摘になりましたように、学習塾に通ってよかったこととして「学校の授業が良く分かるようになった」という子供が約半数おります。 これは、学校の授業と学習塾との違いというのは、学校は知識だけではなくて徳育、体育その他万般にわたって教えているわけですけれども、学習塾は特定の教科の習熟あるいは上級学校の受験を目指して希望する人だけが学ぶところでありまして、司法試験のそういう予備校も、そういう司法試験合格という特定の目的に向かって集中的に教育できるものですから、したがって、基本的に塾やいわゆる予備校と学校とは同列には比較できないと思うのでございます。したがって、このアンケートの調査結果をもって、すべての子供を対象にして知徳体の調和のとれた人間形成を目指して行われている学校教育の全体に問題があるという御指摘はいかがかというふうに思います。 しかし、今お話しのとおり、学校における授業が子供たちや保護者に十分ではないと受けとめられているということについては、学校教育を預かるものとして謙虚に受けとめなければならないと考えております。 わかる授業というものを学校の基本的な役割であるというふうに考えますので、今文部省としても、一人一人の子供たちがもっと充実した教育を受けられるように、教員の指導力の向上とか、あるいは少子化で、先生の質の改善といいますか教育の質の改善ということで改善計画をやっておりますが、チームティーチング、複数の先生が教えるというようなことで、いろいろ指導方法の改善を行っておりますし、できるだけ個性に応じた指導の充実に努めているところでございます。 これからも、必要に応じてそうした個人指導や補充指導に積極的に取り組んでいって、子供たちが真の学力を身につけて、生きる力を持てるように、そういう教育を目指してやっていきたいと思っております。 今お話しの人づくりということはまことに重要でございまして、初任者研修とか、あるいは十年経験者の研修、二十年の研修ということをやっておりますが、この研修のあり方についても今文部大臣の諮問機関で鋭意検討を進めております。研修時間を長くするとか、あるいは内容面においても、今言われたように国際化、情報化あるいは高齢化に対応した内容にしていこう。例えば教員免許の際に介護経験を義務づけるというような法案も議員提案で今国会に提出されております。また、国際化に伴いまして、今おっしゃったように、アメリカとかイギリスとかカナダとか、そういったネーティブスピーカーの先生にできるだけ大勢日本に来てもらおうというJET計画、ことしは飛躍的にふやしまして五千人の外国人英語教師を日本に招く。あるいは、これはまだ数十人規模ですけれども、日本の英語教師に外国へ行っていただくREX計画もあります。そういうことを通じて、できる限り国際化に対応した教育をやっていこうというふうに考えております。 それから、情報化についても、最近コンピューターがどんどん普及しておりまして、今、計画では、小学生は二人に一台、中学、高校は一人に一台ということで、ハードの方はどんどん普及させ得るのですけれども、問題は、それを教える教員が、小中高平均で指導できる先生が一七%しかいない。これは大きな問題でありますので、そういった面のハード、ソフトの充実に努めて国際化あるいは情報化に対応していこう、こういうことで努力しております。
○西川(知)分科員 時間が余りございませんので、最後にまとめということでございますが、今、学校教育は知徳体というふうにおっしゃいました。そのとおりではあるのですが、やはり徳とか体を教える人がそういうものを持っていないとそんなことは実現できないということでございますので、文部省としても、具体的にプランを立てて、情報化、国際化の時代に対応できるような学校づくりを、また教員の教育をやっていただきたい、こういうふうに思っております。 最後に、私の娘も十二歳から実はイギリスの学校にやらせておるのですが、今もう八年間いるのですけれども、一つ驚いたことは、地域の老人とか社会の人との交流を頻繁にやっている。学校でコンサートをやって、下手なバイオリンをみんなが聞きに来て、その後お茶を飲むとか、そんなことをやっております。そういうふうに地域との交流も頻繁にやる、勉強だけじゃない、そういうような社会を文部大臣が中心となってつくっていただきたい、こういうふうに思いますので、閣内でも頑張っていただきたいと思います。
○小杉国務大臣 私が文部大臣に就任してからのキーワードはオープンということなんですね。 大体文部省とか教育委員会とか学校というのは何か閉鎖社会というような印象を持っている人が結構多いのです。そこで、私は、できるだけオープンな学校運営ということで、今言われたように学校と社会との垣根を低くして相互に連携をする。こういうことで、具体的には、例えば、免許証を持っていない社会人教員をもっともっと活用するとか、あるいは逆に学校の先生方に夏休みには企業へ行って企業の現場の職場体験をやってもらうとか、あるいはボランティア活動とか、国際交流、海外交流経験とか、そういうものをできるだけふやして、小さな子供さんだけ、そして大人というとPTAのお母さんだけにしか接触しないというのではなくて、もう少し社会と教育との交流というのを積極的にやろうというのが、今度の私の教育改革プログラムの大きなねらいの一つでもございますので、ぜひそういう姿勢で今後も頑張っていきたいと思っております。
○西川(知)分科員 終わります。
○根本主査 これにて西川知雄君の質疑は終了いたしました。 次に、辻第一君。
○辻(第)分科員 私は、古都奈良の文化財の世界遺産推薦の問題について質問いたします。時間が限られておりますので早口で申し述べますが、お許しをいただきたいと思います。 去る四月十八日の文化財保護審議会において、正倉院を含む東大寺、春日大社など六社寺群と、春日山原始林、平城宮跡の八遺産群から成る古都奈良の文化財を世界遺産に推薦することが了承されました。 八世紀に奈良の地に造営された平城京は、中国の都市をモデルにつくられたアジア的な古代都市でした。平安京に都が移された後は消滅しましたが、建物跡はそのまま地下に残り、また東部の春日大社周辺の東大寺、興福寺、春日大社などの社寺を中心に南都と呼ばれる中世都市が形成されました。平城宮跡や奈良市内の歴史的な建造物は、人々の信仰によって守られた春日山や若草山の自然とともに美しい調和を保つ景観を形成し、文字どおり、日本国民だけではなく、世界の宝というべきものであります。 この古都奈良の文化財の世界遺産登録は、地元奈良市はもとより、奈良県民、そして国民の幅広い願いであります。日本共産党も、ことし一月に奈良市を初め関係者の協力でシンポジウムを開き、また私も文化庁に実現方をお願いしてきたわけですが、文部省や文化庁、奈良市や奈良県を初め、関係の皆さんのこれまでの御努力に心からの敬意を表するものであります。 とりわけ今回の推薦では、第一に、我が国では初めて埋蔵遺跡として平城宮跡が推薦されたこと、第二に、宮内庁所管の正倉院正倉を対象に含めたこと、第三に、これも我が国では初めて文化的景観の概念が導入され、春日山原始林が推薦されたこと、第四に、元興寺のように市街地にある寺院が推薦され、その周辺が緩衝地帯として選定されていることなど、従来になかった特徴を持っています。 こうした古都奈良の文化財の世界遺産登録が実現することは、古都奈良の文化財が後世に残すべき人類のかけがえのない遺産だということを世界が認めることであり、我が国としては、この遺産を将来の世代のためにそのままの状態で残していくことを国際社会に誓うことであります。 さて、来年十二月の世界遺産委員会での登録の実現、そして古都奈良の文化財を後世に残すため、今後どのように努力していただくのか、まず文部大臣の見解をお伺いいたします。
○小杉国務大臣 今の予定では、本年七月一日までに外務省を通じてユネスコ世界遺産センターへ、今申された奈良市の地域の推薦書を提出する予定であります。この中には、国宝二十五棟、重要文化財五十三棟の建造物群が含まれておりまして、これらは文化財保護法によって国の文化財として従前から十分な保護が図られております。私も先日現場を見てまいりましたけれども、こうした貴重な文化財が世界遺産に登録されることは極めて意義があるということで、今精力的にその準備に努めているところでございます。 今後とも、文化財保護法に基づいてこれらの文化財の保存や活用に努めてまいりたいと思います。
○辻(第)分科員 今回の推薦に関して、資産の範囲について、八遺産群から成り、国宝二十五棟、重要文化財五十三棟の建造物群が含まれ、面積の合計では三千百十八・四ヘクタール、この中には歴史的環境調整地域が五百三十九ヘクタール含まれておりますが、この歴史的環境調整地域とはどのようなものか、簡明に説明をいただきたいと思います。
○小野(元)政府委員 御指摘ございました歴史的環境調整地域でございますけれども、これは世界遺産の推薦に当たりまして、推薦資産をきちんと保護するという観点から、その周辺地域におきます開発行為を規制できるような、いわゆる緩衝地帯が一つ設けられているわけでございます。バッファーゾーンでございます。このバッファーゾーンを設けておるわけでございますけれども、今回、八つの推薦資産がございますので、それらを一体のものとして古都奈良の文化財ということで推薦するために、お話ございました歴史的環境調整地というものを設定いたしまして、まさに全体としてこれらの遺産群を重層的に保護していこうということで、今回、調整地を設定しているものでございます。 なお、古都京都の文化財に関しても、同じように歴史的環境調整地域を設けてきたところでございます。
○辻(第)分科員 古都奈良の文化財を考えるとき重要なことは、古都保存法がありますが、これでは「歴史上意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し、及び形成している土地の状況」、このような歴史的風土を保存の対象としていることでも明らかなように、個々の遺跡群はもとより、それらと一体となった緩衝地帯、さらにはそれらと関連した先ほどの歴史的環境調整地域を含め、総合的に保存、保全していくことが大変重要だと考えていますが、大臣の見解を伺います。
○小杉国務大臣 ここに地図を持っておりますけれども、大体この茶色い濃い部分が登録物件でございますが、このピンクのところは調整区域、そして黄色い部分は今おっしゃられた歴史的環境調整地域ということですから、本体を守るためにはその周辺を一体として守らなければなかなかその地域の保全ということはできにくいということから、こういう調整地域というような発想で、これはユネスコの世界遺産センターの方でもそういう意向で一体として保護するという考え方でありますので、そうした形で今登録の準備をしているところであります。
○辻(第)分科員 そういう地域を総合的に保存、保全をしていくために御尽力をいただきたいと思います。 次に、世界遺産条約第五条は、遺産の保護、保全、整備について規定し、学術的及び技術的な研究調査の発展、遺産を脅かす危機に対処することを可能にする実施方法の開発、保護、保存、整備、活用のために必要な立法上、学術上、技術上、行財政上の必要な措置をとるように求めています。 先日、文化庁から、これに関して現実に行われた具体的な措置の資料をいただきました。それによりますと、文化遺産については文化財保護法の保護措置がとられており、開発からの保護措置はとられているとするとともに、国庫補助による保護措置の事例として、姫路城跡の公有化や越中五箇山相倉集落の保存修理、白川村荻町カヤ屋根のふきかえ等が例示されておりました。これらは引き続いてしっかりやっていただくとともに、当該建造物を酸性雨や大気汚染から守る、また耐震補強や火災対策など防災対策についても十分な努力をしていただきたい、まずこの一点。 文化財が、今の大気汚染だとかあるいは酸性雨、こういうことが主要な要因でしょうか、非常に損壊をしていますね。また奈良公園を初め春日山などは、殊に奈良公園は松がもう大変な被害を受けていますね、それから杉、モミなど。そういう状況を十分御理解をいただいて、十分な対応をしていただきたい。また、こうした対策だけで条約の精神を満たしていると言えるのかというふうに思うわけであります。 そこで、古都奈良の文化財を考えますときに、個々の遺産群の保護、保全、整備にとどまらず、遺産群と一体のものとして、まさに古都奈良にふさわしい古都の景観全体を守っていくことが重要ではないか、このように考えます。奈良では、一部に指定区域以外は開発は自由だなどとする動きも出ているようでありますが、とんでもないことです。大臣、関係省庁とも連携して、バッファーゾーンや歴史的環境調整地域でなければ開発は自由とか、あるいはまた高層建築群が林立するようなことがないように、世界遺産推薦にふさわしい行政を進めていただきたい。この二点について、大臣にお尋ねをいたします。
○小野(元)政府委員 まず、第一点目の問題でございますが、世界遺産に登録されますと、もちろんそれは事前の措置といたしまして、文化財保護法による十分な保護措置がとられていることが条件になっておるわけでございます。 そういうこともございまして、先生、お話もございましたように、私どもとしては、文化財保護法によります保存修理でございますとか、あるいは防災施設等の設置等につきまして国庫補助の措置を今講じてきておるところでございまして、これらについては引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。 お話ございました酸性雨でございますとか大気汚染等によります文化財の新たな傷みの問題でございます。この点につきましては、私どもも、そういったことが生じておるということで、現在、東京国立文化財研究所におきまして、環境汚染の原因となります酸性雨などによります文化財の被害の実態の調査を行っておるところでございます。そして損傷とこういった環境汚染との相関関係をきちんと把握していきますとともに、こういった調査方法とともに、総合的な修復の技法の開発を今行っておるところでございます。 また、防災関係につきましては、先般の阪神・淡路大震災の経験を踏まえまして、文化財の建造物の地震におきます安全性の確保に関する指針をつくりまして、これらについて技術的な検討を行ってきておるところでございます。 いずれにいたしましても、こういった貴重な文化遺産を保護していくことは大変大事なことだと思っておりまして、私どもとしても力を入れてきておるところでございます。 それから、お話ございました第二点目の問題でございますが、先ほど来お話しいただいておりますように、歴史的環境調整地、それから緩衝地帯、それぞれを設けまして、歴史的な風致景観と都市開発との適切な調整を図る区域としてこういった調整地域を設けておるところでございます。 お話にもございましたように、こういった歴史的環境調整地域におきましては、規制といたしましては、いわゆる古都におきます歴史的風土の保存に関する措置法に基づきます歴史的風土の保存地区というものもあるわけでございますし、それから一般の都市計画法に基づきます風致地区でございますとかあるいは高度規制地区でございますとか、そういったことで開発行為に対して許可や届け出が必要になっておるわけでございます。 いずれにいたしましても、私どもとしては、文化財に指定をされております部分を中心に積極的な保護を図っていかなければいけないと思っておるわけでございますけれども、これらを支える地域として、いわゆるバッファーゾーン、それから歴史的環境調整地域があるわけでございますので、こういったものの趣旨を踏まえながら保存に努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○辻(第)分科員 私どもが危惧する問題の一つに、奈良市内の建物の高さの問題がございます。例えばJR奈良駅周辺の再開発などによる高層ビル、あるいはその他の場所でも景観を台なしにしかねないビルがどんどん建ってきています。奈良駅周辺などに高層ビルが林立すると、せっかくの景観が台なしになってしまうわけです。既に建ち上がりつつあるビルもあるようでありますが、これが引き金になってさらに多くのビルが林立するようになっては、これは大変なことだと思うわけです。 こうした景観破壊が拡大することは古都奈良の文化財にとっても好ましいことでないことは言うまでもありません。文部省だけではなしに、建設省も世界遺産に関する関係省庁連絡会議の一員でございますから、古都奈良の文化財の推薦を踏まえて、関連の行政を適切に進めていただきたいと思うのです。きょうは建設省もお越しをいただいておると思いますが、簡明にお答えをいただけたらと思います。
○笹井説明員 奈良市におきましては、都市計画の中で市街化区域の全域に高度地区などによる高さ制限を実施しておりまして、商業地域におきましても、建築物の最高高さを原則として三十一メートル、または二十五メートルに制限しております。 御指摘のありましたJR奈良駅周辺につきましては、都市機能の強化のために計画的市街地整備の実施とあわせて、区域約八ヘクタールほどを限りまして建築物の最高限度を四十メートルとしております。その指定に際しましては、奈良市が都市景観への影響について十分検討を行った上、決定していると聞いております。
○辻(第)分科員 一体とした自然や景観というものは非常に大事でございますので、どうかひとつ景観を破壊するような建物が林立をするようなことにならないように、ぜひ十分な御対応をいただきたいと思います。 さらに問題は、その国宝などの保護、周辺環境の保全にとどまらず、日本で初めて法隆寺などが世界遺産に登録されて約三年半近くたちます。その後、文化遺産では京都や白川郷や原爆ドーム、厳島神社が指定されてきました。白川郷の問題はさきの予算委員会で我が党の瀬古議員が取り上げましたし、奈良の場合も、京都と同様に幾つかの社寺を包括して指定されております。京都でも、指定された社寺のすべてがうまくいっているとは言えない状況ではないかと思いますが、文化財の保護を、補助金等があるにしても自助努力を中心にした現在の文化財保護行政にとどまらず、資金的な面でも、また行政と世界遺産に指定された資産群を持つ社寺等との連絡などの面でも、さらに効果的な行政を進めるように努力をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○小野(元)政府委員 古都京都の文化財につきましても、お話ございましたように、これも清水寺等を中心にいたしまして十七の資産群により構成されておるわけでございます。建造物では三十八の国宝と百六十の重要文化財等があるわけでございます。私どもとしては、それらの本体につきまして、文化財保護法によりまして文化財として必要な保護が十分図られるように努力をしておるところでございます。 お話のございました自助努力の問題でございますけれども、御指摘ございましたように、重要文化財等の国の文化財をどのように後世に伝えていくかということでございます。まず第一には、その所有者の方におかれまして適切に管理して保存していただくということが原則でございます。ただし、その場合、国といたしましても、その保存修理やあるいは防災等につきまして国庫補助の制度を設けておりまして、所有者の方が管理、修理なさる場合、それに対して技術的な指導を行う、あるいは財政的な援助を行うということで、行政と所有者が連携をとりながら保護を図っていくということが私どもは大切だと思っているわけでございます。そういったこともございまして、今回奈良の文化財を世界遺産に推薦をお願いしているわけでございます。 いずれにいたしましても、そういった社寺の方々の御努力、それから教育委員会等を初めとする、あるいは私ども文化庁を初めとするそれぞれの立場から、後世にすばらしい遺産が残るように、それぞれの立場で努力をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
○辻(第)分科員 ぜひ十分な御対応をさらにお願いいたします。 次に、世界遺産センター・アジア事務所の問題について伺います。 奈良市は、ユネスコ世界文化遺産センター・アジア事務所の奈良市への誘致に積極的な姿勢を示しておられます。奈良市長の大川靖則氏と日本画家の元東京芸大学長の平山郁夫氏の座談会、これは昨年十二月に行われて、ことし三月に発行された「なら・まち・にぎわい」という冊子に掲載されたものですが、大川市長が「世界遺産センターのアジア事務所開設のことです…。」と切り出され、平山氏が「世界遺産への登録と同時に、市長さんが名乗りをあげられて、アジア地区での協力をしたいということを表明されるとこの話はどんどん進むと思いますね。」と応じられ、さらに「私はユネスコ事務局長の文化遺産担当特別顧問ですので、アジア各国で問題があると必ず相談があったり、現地に行く要請が来るのです。その体験からすると、日本にアジアの文化遺産の研究や保存のセンターができるとたいへん喜ばれるのではないでしょうか。」このように述べられています。最後に、平山氏は「市長さんが先頭に立って、まずは世界遺産登録、そして世界遺産センターのアジア事務所の設置に向かってご健闘なさることをお祈りします。」このようにおっしゃっているわけです。 私は、奈良市長のユネスコ世界遺産センター・アジア事務所を奈良市に誘致することに賛同するものであります。ぜひ誘致をしていただきたいと考えるのですが、どうお考えでしょうか。
○小杉国務大臣 アジア・太平洋地域に所在する世界遺産、これはアジアは大変長い歴史を持づておりますから、そうした世界遺産が多いわけでありますが、そうしたものに対して管理の援助や情報の収集・提供などを行う機関を日本に設置してほしいという要請がユネスコの事務局長や世界遺産センター所長から行われているということは承知しております。文化庁は、従来からも我が国のすぐれた文化財の保存修復技術を生かして、世界のすぐれた文化遺産の保存修復に関する国際協力を推進しているところでございます。 今お尋ねのアジア・太平洋地域の貴重な世界遺産の保護に関する協力を行う機関の設置につきましては、従来から関心を持っておりまして、今後とも、ユネスコに対しての情報収集に努めるとともに、関係省庁ともよく協議をしながら、設置が可能かどうか検討を進めてまいりたいと考えております。
○辻(第)分科員 重ねて申し上げたいのですが、一月に奈良新聞が「県内に設置の公算」と、三月には読売新聞で「世界遺産センター・アジア事務所、奈良市に開設有力」などの記事がございました。ユネスコにこうした事務所を設置することが具体的な流れになっているのかどうかは別として、日本の文化財保護の技術といいますか、その水準から見て、今日世界に貢献できる分野の一つであると思います。ですから、我が国としても誘致を具体的に検討していただきたいと考えるのですが、重ねて大臣の御所見を伺いたいと思います。
○小野(元)政府委員 お話のございましたユネスコの世界遺産センターのアジア事務所の件でございますが、これにつきましては、先ほど来お話が出ておるわけでございます。実は、世界遺産委員会の中でも、こういったアジア事務所といったものの性格が正式の機関というふうに言えるのかどうかという議論や、あるいは今ノルウエーに事務所が一つあるわけでございますけれども、これに対してフランスとかイタリア等から若干の疑問も出されておるということが一方であるわけでございます。 ただ、私どもといたしましては、世界遺産を保護していく、アジアの地域において日本がリーダーシップをとっていくということは大変重要なことだと思っておるわけでございまして、奈良県にそれの設置を具体的に検討してはどうかというお話でございますけれども、奈良には私どもの国立文化財研究所がございまして、特に建造物等の保存についての専門的な知識や技術を持っておるわけでございます。そういう意味で、仮に世界遺産のアジア事務所といったものがあり得るとすれば、こういった奈良の国立文化財研究所との専門的な協力関係というものも不可欠であろうというふうに思うわけでございます。 また、お話にも出ておりますように、奈良県も非常に強い関心を示していらっしゃるということでございまして、私どもとしては、世界遺産委員会の動き、それから奈良県の御意見等も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○辻(第)分科員 さらに重ねて恐縮ですが、今お話にありましたように、幸いといいますか、奈良市には奈良国立文化財研究所がございます。また奈良国立博物館、財団法人元興寺文化財研究所など、さらに奈良県下では奈良県立橿原考古学研究所など日本に名立たる研究機関がありますから、単にアジア事務所の設置にとどまらず、これらとの連携も可能であり、さらに、これら機関の拡充で名実ともにアジアにおけるセンターとなり得るものだ、このように思うわけであります。どうか積極的な御対応をいただきますようにお願いしておきます。 最後、また若干繰り返しになる部分もあるのでありますが、お尋ねいたします。 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約は、その遺産の保護、保存、整備について積極的な規定を設けています。日本がこの条約に加わることがおくれたこと自体問題だと思いますが、ともあれ、我が国でも世界遺産への登録が進んできておりますが、さきにも触れた条約第五条の規定を中心に積極的な提起をしているわけですから、現行の文化財保護法制で十分とするのではなく、もっと積極的に国内の世界遺産保護行政を展開していただきたい。あわせて、暫定リストに掲載され、まだ推薦が行われていない記載物件もありますし、その他重要な遺産もございますから、引き続き推薦に向け積極的な取り組みをお願いしたいと思います。さらに、来年十二月に古都奈良の文化財が世界遺産に首尾よく登録されるよう、今後の取り組みを強く要望いたすものであります。 重ねるようで恐縮でありますが、文部大臣の御所見を伺って終わりたいと思います。
○小杉国務大臣 私も先日、奈良平城京跡とか今御指摘になりました文化財研究所とか国立博物館等を相当精力的に見てまいりましたけれども、奈良県並びに奈良市、その周辺の市とも、こういう文化財に対しては非常に熱心なところですね。例えば県庁の建物を見ましても古都にふさわしいような形で建造しておりますし、先ほど次長からも御説明したように、いろいろな条例とか建築基準法上のいろいろな制約を設けまして、古都保存に非常に熱心だなという印象を受けております。私は、こういった日本の誇るべき文化財を何とか世界遺産に登録させたい。 最近ずっと見ていますと、どうもヨーロッパの方は非常に指定というか登録が多いのですけれども、日本を初めアジア地域は、歴史が古いし文化遺産がたくさんあるにもかかわらず、相対的に少ない。こういうことで、私は今度マヨール事務局長にも会いますけれども、もっとアジア地域にも世界遺産の登録箇所をふやせということを強く要望するつもりでおりますが、特に今回、この奈良については積極的にやっていきたいと思っております。
○辻(第)分科員 どうぞひとつよろしくお願いします。 県庁の建物の問題については評価が分かれるところで、私は異論があるわけでありますが、どうも本日はお世話になりました。ありがとうございました。
○根本主査 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。 次に、岩國哲人君。
○岩國分科員 岩國哲人でございます。太陽党を代表して、日本の学校教育等を中心に質問させていただきたいと思います。 小杉大臣におかれましても、大変お疲れのところお残りいただいて、感謝しております。特に、小杉大臣が大臣に就任され、また橋本内閣の中で教育改革が新たにつけ加えられ、大臣が精力的にこの問題に取り組んでおられることを私は大変高く評価し、またこれからの改革の実を上げていただくことに大いに期待しております。 まず最初に、小杉大臣にお伺いしたいのであります。アイヌ文化の保護について今国会で立法化されつつありますけれども、この主務官庁がなぜ文部省でないのか、その点についてお伺いしたいと思います。 私は、いわゆる少数民族と言われるアイヌの方に対しても日本の文部行政の中心である文部省が主務官庁となることこそ、そういう方たちに対する最大の義務ではないかと思います。小さいところあるいは北海道に主として住んでいらっしゃる方だから北海道開発庁でいいのだという考え方こそ間違っているし、それこそ最大の差別ではないかと私は思っております。教育の平等を訴え、そしてそれを実現し維持していかなければならない文部省が、なぜそのような差別を黙視されるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○根本主査 小野文化庁次長。
○岩國分科員 私は大臣に御意見を伺っています。
○小野(元)政府委員 少し技術的な点がございますので、私の方からまず答えさせていただきます。 アイヌ文化の振興に関する法律は先般国会で成立したわけでございますけれども、実はこの法案の主務官庁は、北海道開発庁と私ども文部省と総理府の三省の共管になっておるわけでございます。実は、アイヌ語を広めていく、あるいはアイヌ語を伝承していく、それからアイヌの民族文化等を保存していくことは私ども文化庁にとって大変重要な仕事でございまして、私どもとしては、この法律は私どもも共管官庁の一つでございまして、この法律の趣旨を体しながらきちんとした政策を行っていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。 それで、お話にございました、なぜ開発庁がメーンであるのかということでございます。一応北海道につきまして旧土人保護法がございまして、過去の経緯がいろいろあったわけでございますけれども、アイヌの方々が北海道にたくさん住んでいらっしゃることは事実でございまして、しかしながら、私どもとしては、アイヌ語の伝承あるいはアイヌ文化の伝統をきちんと保存してそれを啓発していくということに関しては、文部省・文化庁は非常に大きな役割を持っていると思いまして、主管官庁ではございませんけれども、共管官庁として積極的な対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○小杉国務大臣 今の次長の答弁のとおりでありますが、私どもは、共管の一つの官庁としてむしろ文部省が主体的な立場でその役割を果たせ、こういう御趣旨は貴重な御意見として承っておきたいと思います。 今までいろいろと過去の経緯があったようでございますので、また総合的な施策が必要だという観点から、今のような主務官庁になっているのだと思いますが、私どもとしては、気持ちとしては主務官庁といささかも変わらない、そういう取り組みを進めていきたいと思っております。
○岩國分科員 大臣のお気持ちはお気持ちとしまして、私は、依然として北海道開発庁という一つの限定された地域の行政をつかさどるようなところが、なぜこのような——アイヌの皆さんは日本各地に住んでいらっしゃいます。そしてアイヌ文化といえども日本全体にとっての一つの大切な財産であって、そのような考え方は間違っていると私は思います。また、そのようなことを許すような文部省であってはだめだと。 また、委員長に私はお願いですけれども、私が大臣に答弁をお願いするときに、勝手にそのようなほかの方が立ち上がって発言するということは、注意していただきたいと思います。大臣が指名されるならともかく、私が大臣を指定しておっても、なぜ文部省の中でそのようにかわりの方が答弁されて、そして大臣がそのとおりでございますというような、これは全く主客転倒ではないかと思います。これからの答弁についても、その点は注意していただきたいと思います。 アイヌ文化につきまして、そうした北海道開発庁という、地域が限定されたところが主務官庁になるということはおかしいということ、そして文部省・文化庁がそれほど熱意を持っておられるのだったら、共管庁ではなくて主務官庁になるべきではありませんか。それが私はアイヌの人に対する礼儀であり、そして義務であるとさえ私は思っております。単にアイヌに対してだけではなくて、日本の文化という大きな財産に対するそれが義務ではありませんか。ましてや、この行政改革の中で、北海道開発庁というところがそういう行政改革の筆頭に挙げられている。滅び行く文化を滅び行く官庁がお守りするというのはこれまたおかしな話だと思います。いつなくなるかということが問題になっている官庁に、そういうアイヌ文化を保護させるということも大変おかしいことではないでしょうかという意見をまず申し上げます。 次に、学校教育及び文教行政の中で地方分権との関連についてお伺いしたいと思います。 大臣も御承知のように、地方分権というのはもう長年の課題であり、それがいよいよ着実に第一歩を踏み出そうかというときでありますけれども、こうした新聞あるいは一般図書の再販価格、これを自由化すべきである、この点についてはいろいろなところで既に議論をされております。 結論から申し上げまして、私はこれは大変に危険なことではないかと思っております。日本の文化のいろいろな特徴そして強さがありますけれども、それは日本のどこに住んでも同じようなコストで本が読める、そして新聞が読める、それが教育を支えている大きな要素だと私は思います。 ですから、特に最近、国内における所得格差が次々と広がりつつあります。例えば東京を一〇〇とした場合に、島根、鳥取は七〇という所得。その七〇の所得でもって同じ値段の本を買うということさえもかなり負担になってきております。それがこのように再販価格が自由化されますとどういうことになるでしょう。これは科学的なシミュレーションを行ったわけではありませんけれども、仮に自由化されれば、大きなマーケット、例えば東京のようなところは、千円の図書が恐らく競争の結果八百円で手に入るかもしれない。しかし、地方の、販売部数が少ないところあるいは流通コストがかかるところは、恐らく千二百円になるでしょう。そうしますと、これから七〇の所得で一二〇の、そういう新聞あるいは図書を手に入れなければならない。 結果として起きることは、今までよりも少なく買うということになってしまいます。ですから、地方に生まれ地方に育った子供たちは、今までより本が読みにくくなる、そして両親としても子供たちに本を買いにくくなる。 私は、こうした経済的な意味の内内価格差が教育における内内格差に広がっていくことを大変懸念しております。この点について、小杉大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○小杉国務大臣 今岩國委員が言われたように、再販制度が果たしている役割というのは非常に大きなものがあろうと思います。 規制緩和と一口に言いますけれども、経済的規制はできるだけ撤廃した方がいい、しかし文化的な規制、例えば安全とか環境とか文化とか、こういう社会的な規制については必ずしも規制緩和は好ましくない、強化すべき分野もある、こういうのが私の考えでございます。 今お話しのとおり、もし再販がなくなった場合には、今はいろいろな学術書にいたしましてもほかの分野にいたしましても、非常に多種多様な書物が全国どこでも同一価格で手に入る。それが、今度は売れるものしかつくらないということになりかねません。そうすると、俗悪とかあるいは刺激的なものだけが残ってしまって、日本の文化上、非常にゆゆしき問題が起こる。 今言われたように、地域によっては高価格、そういう現象も出る、そういうことでございますので、私は、文化政策上の観点に立って、この制度が果たしている役割について何とか理解を深めるべく努力をしてまいりたいと考えております。
○岩國分科員 ありがとうございました。大臣の大変力強い御決意を伺って安心しているわけであります。 これは、決してそうした地方に住んでいる子供たちの立場からだけの発言ではなくて、大臣よくおわかりいただいていると思いますけれども、これは日本民族全体としての文化度、教育度を高めていく、守っていくためにも必要なことであると私は思います。そうした規制緩和ということがいかにも時代の潮流であるかのごとくもてはやされておりますけれども、緩和していい規制と新たにつくっていかなければならない規制、あるいはさらに強化していかなければならない規制があり、特に教育、文化、こうした点については、私はそういった点の影響が大きいだけにもっともっと慎重に考えていただきたいということをお願いいたします。 さらに、第二の点でありますけれども、地方分権の「分」は分けるというふうに書いております。私は、これをあえて文化の「文」、これからの分権というのは地方の文化を大切に守っていくこと。今までは、国境というのは高くそびえておったがゆえに、いいものも悪いものも全部国境という壁が守ってくれたわけですけれども、国際化ということが行われますと、国境の壁は低くなっていく。外国の影響をより多く受ける。したがって、いいものも悪いものも一緒になって失われていく。だからこそ、地方のそれぞれのローカルな文化というものを今まで以上に守っていかなければならない。そういう努力をしなければ残っていかない時代がやってきたと思います。 ですから、これからの文化行政におきましても、文化庁を中心にしていろいろとそうした町づくり、島根県出雲市の場合も随分お世話になってきましたけれども、そのような観点からも、地方の文化を残していくということに、予算においても、そして質的にも量的にも充実していただきたいと思います。 また、地方の教育委員のあり方についても後ほどお伺いしたいと思いますけれども、そうした教育行政の中でも、とかく地方の有力者が教育委員になってしまうとか、あるいはそういう影響を受けた人が教育委員になってしまう、そのようなことは私はいけないことだと思います。時には中央の新しい風も吹かせることが必要だと思い、平成元年、私は文部省にお願いをし、そして文部省のそうしたことに明るい方の派遣をお願いいたしました。小野次長さんにもそのときは大変お世話になりました。そして私は、そのとき文部省に小野次長さんを通じてお願いをしたのは三つの条件でした。 まず、酒の飲める人でなくてはならない。二番目に、土のにおいのする人。東京生まれ、東京育ち、決して大臣のことを申し上げているわけじゃありませんけれども、こういう方ではちょっと困るということ。そして三番目に、仕事のできる人。仕事が三番目のような話になりましたけれども、私は、やはり地方においては酒を飲み交わし、そして教育といえども文化といえどもやはり地方の人と溶け合ってほしいということで、まず酒の少々飲める人。 実際にやってこられた方は、少々どころか升々の二升ぐらい飲むような人でありました。そして土のにおいのする人。鹿児島出身で、そして岡山にも勤務されたということで、地方の現状を十分に知っておられる方でもありました。そういった点で、大変大きなインパクトを残していただきました。日本の各地で、恐らくそのようなニーズというのは広まっているだろうし、これからさらに広まるのではないかと思います。 そうした中で、私は、話が飛躍するようでありますけれども、日本の文化の中でも、外国では必ずそれぞれの国の酒とかワインとかいろいろなものが評価され、そして文化の大事な一翼を担っておりますけれども、我が国は、どうも酒を文化の重要な要素として評価する気風が少ないんじゃないかと思います。それは酒の飲み方が悪いというところにも少し原因があるような気もいたしますけれども、やはり私は、食文化、とりわけ酒の文化というのは、もっともっと学校教育の中でも、まじめな文化の対象、教育の対象として位置づけるべきではないかと思います。 例えば日本人の酒を飲む量というのは、量的にはふえておりますけれども、各県別にこれを分析いたしますと、ビールやウイスキーを飲むところと、それから日本酒を飲むところと、同じ飲むといっても中身が違います。そして、日本酒をよく飲むところで比率の高いのは、秋田、新潟、山形、富山、鳥取、島根、高知、佐賀。こういうところは、ビール、ウイスキーを余り飲まないで日本酒を飲む。そして、こういうところほど選挙の投票率が高い。酒を飲めば選挙に行きたくなるのか、選挙に行くと一杯飲みたくなるのか、この酒と投票率とは非常に相関度が強い。これは酒だけではなくて、私は日本酒を飲むところは郷土愛が強いところではないかと思います。郷土愛の強さが、結局投票率の高さに結びついておる。 そして最近、政治の問題、選挙制度の問題の中でも投票率の低下ということが非常に懸念されておりますけれども、これは冗談で申し上げますけれども、投票率を上げるためには日本酒をもっと飲むように奨励をされた方がいいのではないかと思うこともあるぐらいに、酒と投票率は非常に関係度が強い。とりわけ、今まで総理大臣になられた方は酒屋さんの関係の方が多かったというところにも、何やら酒と政治との関係があらわれているようでありますけれども、ビールやウイスキーを飲んでいるようなところは大体投票率が低い。郷土愛がとかく薄れがちであるということが言えます。 結論的に申し上げますけれども、もう少し酒というものを文化の一つとして大切にし、そして教育の中でも取り上げる。そして、日本酒を愛する。決して酒を飲めない人はだめというわけではありませんけれども、酒の文化を大切にし、酒が郷土文化の大切な先導役でもあったということを、私はしっかりと、酒を避けることなくやるべきではないかと思っております。 そのような点について、小杉大臣はお酒はどの程度お飲みになれるか存じ上げませんけれども、こうした日本の酒の文化について、そして学校教育との関係について、もし何か所感があればお聞かせいただきたいと思います。
○小杉国務大臣 私は、東京生まれの東京育ちですが、東京という土の中でまみれて育ってきた者でありまして、東京も壮大な田舎だ、その田舎者の一人だというふうにお考えいただきたいと思います。 私は、ビールも酒もウイスキーもワインも飲みますけれども、最近はどこの飲み屋さんや酒屋さんへ行っても各地のお酒を並べておりまして、確かに地方へ行きますと、そこの地酒というのは一番うまい。それから、最近はビールまで地ビールなんというのが出てきておりまして、それから食べ物についても、それぞれその地域地域の特色ある伝統的な食品もあるわけでありまして、そういうものを食べると、本当に、私なんか東京から離れると余計うまいと思うわけでございます。確かにそういった酒文化とか食文化というものをこれから大事にしていく、それがやはり地域の文化を育てる一つのよすがにもなるわけでありまして、酒を余り子供に教えるのはよくないと思うのですけれども、しかし、そういう、地域地域によって特色のあるお酒やら食べ物があるということを教えていくということは非常に必要なことであります。 また、地域において個性豊かなそういった文化を育てる、あるいは芸術を育てていくということが、すなわち日本文化の豊かな発展につながっていくという意味で、私はやはり、国民ができるだけその身近な文化に接していく、そして文化活動がその地域に根づいて活発に行われていくということが大切だということで、今後とも、それぞれの地域の伝統や文化を尊重することの大切さを教育の場でも教えていきたいと考えております。 それから、教育委員会のことを申されましたけれども、本来、教育委員会という制度は、戦後導入をされたレーマンコントロールという、素人の人たちができるだけ入って多種多様な意見を教育に反映させる、こういう趣旨で行われてきたはずなのですけれども、今御指摘のように、地域によってはその地域のボスが牛耳っているというか居座っちゃうというようなケースもなきにしもあらずということで、私は、今度の教育改革プログラムの中でも教育委員会の活性化ということを打ち出しておりまして、本来の教育委員会の趣旨を生かせるような教育委員会にしなきゃいけない。そして文部省の中でもその協力者会議というのを持ちまして、二十一世紀における地方教育の中での教育委員会のあり方について、今いろいろな角度から検討しております。 具体的な内容は、もし必要があれば申し上げますけれども、そういうことで、今後とも地域の教育委員会の活性化に向けて積極的に取り組んでいきたいと思っております。
○岩國分科員 教育委員会について質問する前に答弁をいただいたようで、大変恐縮しておりますけれども、私は、教育委員会のあり方の中で二つ。 一つは、教育長について。例えば、ある市の教育長が教育委員会によって選任された。にもかかわらず、その県庁でまた認可されないと正式に教育長としての仕事ができないというのは、地方分権の精神からいっても、また教育のあり方からいっても、なぜそこまで県というものの存在を受け入れなければならないのか。私は、まずこういった教育における規制緩和の第一歩として、県の教育長が市町村、自治体の教育長を認めるといいますか、認証するという制度を一日も早く廃止していただきたいと思います。 二番目は、私も市長として、できるだけ公平に、年齢のばらつき、あるいは地域の公平、あるいは男女格差がないように、いろんなことに留意しながら教育委員を任命さしていただきましたけれども、これからは、まず五割ぐらいは公選制というものを取り入れてみるということも、風穴として私は検討に値するのではないかと思います。 教育委員会の活性化ということを大臣はおっしゃいましたけれども、ぜひいろいろな角度から積極的に取り組み、そして具体的に実行していただきたい、そのようにお願いいたします。 次に、学校における宗教教育についてお伺いいたします。 最近、オウムの問題とか、あるいは、いわゆるこれが宗教かと思えるようないろいろな宗教団体がございますけれども、しかし、その中でも、まじめな宗教団体と、そして非常に危険な、筋の通らない宗教団体、これが一緒になって週刊誌や新聞等で取り扱われるがゆえに、宗教というのは何やら恐ろしいものだとか、宗教というのは何か社会で悪いことをしようとする人たちだとかいうふうな認識が広がっていることを、私は大変残念に思っております。どこの国でも、この宗教というものは大変神聖なものとして取り扱われ、そして長い歴史の嵐の中で、生活に密着し、そして個々の人たちからそのように大切に評価されて存続してきております。 戦後、学校教育の中で、宗教について語ることを教えることは、先生たちのタブーになってしまったような気がしております。そうした、右の説明をしても左の説明をしても、宗教について語ることそのことが否定されてしまった。これは、占領下におけるそうした日本の教育のあり方の大きな反動的な是正がなされた、それの行き過ぎであったのではないかと思いますけれども、もう戦後五十年、もっと積極的に、宗教の価値あるいは宗教と哲学はどこが違うのか、そういうことも含めて、学校の中で宗教の意義あるいは価値というものについてもっとしっかりと教えるということが必要だと私は思います。 そのような教育がなされておれば、社会に出たとき、いわゆるまやかしの、怪しげな宗教団体に汚染されることが少ないんではないか。子供たちに、これからもいろんな宗教団体が出てくると思いますけれども、社会において汚染されることがないような最低限の教育というものがなされるべきだと思います。この点について大臣はどのようなお考えをお持ちか、お教えいただきたいと思います。
○小杉国務大臣 我が国の国公立の学校では、憲法とか教育基本法で、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的な活動を行うことは禁止されております。この辺が特に戦後は強調され過ぎた嫌いなきにしもあらずですが、しかし、宗教的な情操を深める教育というのは大切であると考えております。もちろん、光の部分と影の部分、今おっしゃったように宗教にもあるわけでございますから、そういったこと、宗教に対する認識というものを深める教育は大切だと思っております。 現在、具体的には、学校の学習指導要領におきまして、小学校の「道徳」五年、六年では、「美しいものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ。」というふうに教えておりますし、中学の「道徳」では、「自然を愛し、美しいものに感動する豊かな心をもち、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めるようにする。」ということ。また、高等学校の「倫理」でも、そういった「人生における哲学、宗教、芸術のもつ意義などについて理解させ、人間としての在り方生き方を考えさせる。」などと定めているところでありますが、先ほどの御指摘のように、オウムのああいう事件を一つの反省材料として、やはり宗教に対する認識を深めるという見地からの教育はぜひ必要だ、こう考えております。
○岩國分科員 次に、幼保一体化についてお伺いいたします。 幼稚園、保育所、各地にそれは存在しております。幼稚園を私立でやって保育所を公立にするところ、あるいはその逆でやるところ、いろいろありますけれども、私がお伺いしたいと思いますのは、これからの行政改革の中で、あるいは地方行政の中で、幼稚園を扱うところは教育委員会、そして保育所は本庁の中の福祉、そういったところが扱う。窓口がお母さんにとって二つある。そして同じ建物ならともかく、階が違っておるとかあるいは別の建物であるといったようなことが多くて、向こうへ行って話を聞き、またこちらへ来て話を聞き、そして手続もまた違う。こういうことはもうこれから一体化した方がいいのではないかというふうに思います。島根県出雲市も、平成三年から幼保の窓口は一体化いたしましたし、それから隣の平田市も、平成八年から幼保の窓口は組織的に一体化しております。 こうした幼保一体化の動きというのは、三千三百市町村の中で、今どれくらい進みつつあるのか。また、こういう動きに対し、流れに対して、大臣自身のお考えはどういうお考えを持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○小杉国務大臣 ますます少子化が進行し、女性の社会進出がふえていく中で、幼児を取り巻く環境が大幅に変わってきております。保育所とか幼稚園に対する国民のニーズも変わっていく中で、従来の幼稚園と保育所のあり方がどうあるべきかということについては、私も同じような認識を持っております。ただ、それぞれの制度に長い経緯と歴史がありまして、それぞれの制度の中で整備充実に努めてきたところでありますけれども、先ほど申し上げたように、幼児がどんどん減少していく中で、地域によっては幼稚園と保育所を合築した施設も見られるようになりました。実態について、もし必要があれば、後ほど政府委員の方からお答えさせます。 それで、地方分権委員会が昨年の十二月二十日に勧告を出しまして、地域の実情に応じた両施設の共用化など弾力的な運用の確立が求められる、こういう指摘をされたわけです。先般、一月末に策定した教育改革プログラムの中でも、私どもは、幼稚園と保育所のあり方について厚生省と共同で検討するとしておりまして、これを踏まえまして、本年四月に両省間で検討会を設けまして、今、検討を進めているところでございます。今後、多様なニーズに対応できるように両施設の共用化を初め、これからの運営や施設のあり方などについて幅広い観点から検討を進めていきたいと考えております。
○岩國分科員 次に、これは決算委員会ですので、決算書に全然関係のないようなことばかり質問しては失礼かと思いますので、一つだけ。 この決算関係の書類をいただきましたけれども、これは非常に読みにくいし、またわかりにくいし、例えば職員出張費というのを見ましても、たくさんいろいろなところにあらわれてくるんですね。こういうのは、職員出張費というのは一つの項目でまとめた、そのようなもう少しわかりやすい、理解しやすい、そのようなプレゼンテーションということも考えていただきたいと思います。 この職員出張費についてお伺いしますけれども、これは今すぐ出なければ後ほど、また後日資料として出していただければ結構ですが、十年間のトレンドはどうなっているのか。 それから二番目に、いわゆる空出張ということが最近よく言われていますけれども、文部省における空出張はどれぐらいあるのか。ないとしても、目的が空の出張、つまり、必要でもないのに行ってくる。例えばいろいろなところで、大学を建てたい、短大を推進したい、誘致したい、こういう項目のもとでシンポジウム、講演会、セミナー、そういうところに呼ばれていく。先方が全部費用を負担する。したがって、この決算書類にはあらわれない。しかし、費用は使われなくても時間が使われている。そういう意味で、私はお金よりも時間の方がもっと大切ではないか。つまり時間が文部省の目的のために必ずしも使われていない、そういう意味で、目的が空の空出張、先方負担の出張、そういうものについて検査あるいは省内でお調べになったことがあるかどうか。 そして、最近、島根県庁で大変びっくりするような事件が起きております。それは、島根県が事務用品、文房具等について、年間予算の十五億円のうち約半額を年度末のある一日に集中して発注したということで、さすがの島根県人もあっとびっくりしているような事件であります。これは国の関係の補助事業等々がふえたためということでありますけれども、この中に文部省関係の事業あるいは補助事業はあったかどうか、それは文部省としてお調べになったかどうか、御答弁をお願いいたします。
○小杉国務大臣 公務員の倫理につきましては、昨年、政府全体として各省において公務員倫理規程を制定せよ、こういうことになったわけであります。これを受けまして、文部省でも、昨年十二月二十六日に倫理規程を制定、実施いたしております。そして公務員としての厳格な服務規律の保持ということは極めて重要だと思って、今後とも公務員倫理の徹底については努力をしていきたいと思っております。 具体的な事項につきましては、政府委員から答弁させます。
○佐藤(禎)政府委員 ただいま委員から御質問のありましたことにつきましては、私ども、ちょっと今手元にございませんので、後ほど、できる限り調査をいたしまして、委員に御返事をさせていただきたいと思います。
○根本主査 これにて岩國哲人君の質疑は終了いたしました。 次回は、明二十七日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十六分散会