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140回国会衆議院1997/05/16

外務委員会 第14号

発言数
118
登壇者
13
会派数
4
開催日
1997/05/16

会議録

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 これより会議を開きます。  包括的核実験禁止条約の締結について承認を求めるの件及び可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍晋三君。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 まず、包括的核実験禁止条約について質問させていただきたいと思います。  本条約は、昭和三十八年に発効いたしました部分的核実験禁止条約を補完する、すべての核実験を禁止するというまさに画期的なものである、このように思います。昭和五十二年に我が国がオーストラリアそしてカナダ等と一緒に包括的核実験禁止決議を提案し、そして採択がされて以来、この動きが急速に強まってきたわけでございまして、まさに我が国がこの問題についてはイニシアチブをとってきた、このように思う次第でございます。  御承知のように、我が国は唯一の被爆国であります。ということは、当然歴史的な、ある意味では使命をも帯びていることではないか、このようにも思う次第であります。特に外務大臣は、その被爆の地域であります広島の御出身でございます。外務大臣のそういう見地から、この条約に対します評価、そして意義についてお話を伺いたいと思います。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 安倍委員、御指摘いただきましたとおり、私は広島県出身でございます。というだけではなくて、実は、原爆投下の二週間ぐらい前まで、あの原爆ドームの真っ正面、川向かいに、現在はいわゆる平和公園になっている場所でございますが、そこへ住んでおりまして、私自身は直前に疎開しましたので現在こうしておりますけれども、当時の国民学校の同級生はほとんど犠牲になり、また、私自身の親族も多数犠牲になったというようなことでございまして、核兵器のもたらす惨禍がいかに悲惨なものであるかということは、子供のころより身にしみて承知しておるものでございます。  そしてまた、日本国民全体が、核のない、核兵器のない世界を目指して努力しなくちゃいけない、こういう気持ちでこれまでも努力したわけでございまして、ただいま委員も御指摘になりましたように、国際社会におきましても、我が国は核兵器のない世界を目指して運動を進めていく、その中心的な、指導的な役割を担ってきたわけでございます。  そして、御指摘のように、昭和三十八年には部分的核実験禁止条約が締結されたわけでございますが、今回、CTBTということで、地下核実験も含めたすべての核実験を禁止するという条約が締結されるに至りましたことは、このような国際社会全体としての核兵器のない世界を目指した運動にとって非常に大きな一歩である、マイルストーンであると考える次第でございまして、大変重要な成果である、こういうふうに考えておる次第でございます。  もとより、これですべてが成ったとは到底言えません。今後とも一歩一歩着実にそういった目標に向かって努力をしていかなくてはならぬもの、このように考えている次第でございます。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 ただいま大臣からも、これですべてが成ったわけではないというお話がございました。残念ながらインドは、ジュネーブの軍縮会議また国連総会、両方で一貫して反対を表明しているわけでございます。インドが反対をいたしますと、残念ながらこの条約は発効をしないわけでございます。テレビ、新聞等で既にそのインドの主張は報道されているわけでございますが、外務省が把握をしているインドの真の反対の理由、あるいは、果たしてインドが賛成に転じる可能性があるのかどうか、また、我が国はインドを賛成さ せるためにどういう役割を果たしていくべきか、この点についてお伺いをしたいと思います。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 インドは、この条約の交渉過程におきまして、この条約中に核実験禁止という義務と核兵器国が時間的枠組みを付して核廃絶を行うべき義務とが結びつけられるべきであるということを主張しまして、このような時間的枠組みを付しました核廃絶とのリンクがないのであれば、自国の安全保障上、核兵器保有のオプションを放棄するわけにはいかないということを主張いたしまして、この主張が入れられなかったというのが一番の反対の理由でございます。  さらに、こういう自国の反対にもかかわらず、すなわちインドの反対にもかかわらず、インドの批准というものが条約の発効要件とされているということの理由も、CTBTに反対するもう一つの重要な理由でございました。  我が国といたしましては、より多くの国がこの条約を批准することによって核実験禁止に対する国際社会の総意を示していく、我が国がまず今この御承認をお願いしているのもその一環でございますけれども、まずそういう総意を示していくこととか、ASEAN地域フォーラム等の場を通じましてインドとその他の国々との間の信頼醸成を進めて、安全保障上の懸念をできる限り少なくする、さらに二国間対話という形において粘り強く批准を呼びかけていきたい、このように考えております。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 例えば、イランについては、ジュネーブの軍縮会議において採択に反対をしていたようでありますが、国連総会においては賛成に転じたわけでありまして、まさに反対から賛成に変わった国もこのようにあるわけであります。イランがどうして軍縮会議においては反対をし、そして国連総会においては賛成に転じたのか、その経緯にどういうことがあったのか。これはある意味では今後、まだ署名に反対をしている国に対して我が国が働きかける方法も示唆をしているのではないかと思うわけでありますが、イランが賛成に転じたその経緯について御説明いただきたいと思います。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 実は、イランは基本的にはインドと同じような考え方をしておりまして、条約の交渉過程においてインドと行動をともにした。その意味で、昨年の八月でございますけれども、八月の軍縮会議の過程においては結果的にコンセンサスが成立しないような形で行動したということでございますけれども、その数週間後の国連総会におきましては、言われたとおり、賛成票を投じたわけでございます。  残念ながら、イランがなぜ、本心どのような理由で反対から賛成に回ったかということについては発表はしておりませんけれども、少なくともイランとしては、国際社会の総意というものがCTBTを成立させるべきだということを言っているということで賛成することにした、こういうことを言っております。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 その経緯についてもう少し、詳細については、ぜひとも調べる努力をしていただきたい、このように思う次第であります。  当然、インドがそういう態度でございますから、パキスタンも、インドとパキスタンの関係を考えれば連動して、残念ながら、今やはり反対を表明しております。  しかし、インド、パキスタンと同じように、北朝鮮も今署名をするということにはなっていないわけであります。北朝鮮がなぜ署名をしないということになっているのか。署名をしないということは、将来核を開発するという意思を残しているということにも通じるわけであります。御承知のように今までは北朝鮮の核疑惑が存在をし、そして、その解消のために日米韓または世界各国が協力をして、今、よりよき方向に導く努力をしているわけでございます。この包括的核実験禁止条約についても署名を拒否しているというのは大きな問題であると私は思いますが、そのことにつきまして、どうして署名をしないのか、お伺いをしたいと思います。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 北朝鮮は、昨年の六月の末に軍縮会議への加盟も認められました。その意味で、昨年の七月から八月にかけて行われました軍縮会議にも出席したわけでございます。  しかしながら、北朝鮮はその間、CTBTについて明示的にその立場を明らかにしませんでした。さらに、国連総会におきましてこのCTBTの採択についての決議が付されましたけれども、北朝鮮はこの採択の際に欠席をしておったということでございまして、それ以降も、これまでのところ、明示的にCTBTに対する立場を明らかにしたことはないということでございます。その意味で、私たちとしても、北朝鮮の真意というものについて、なかなか把握するに至っていない、こういうことでございます。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 北朝鮮についてほかにも質問をしたいことがあるわけでございますが、その前に、当然、このCTBTに加盟をしないということは、先ほども申し上げましたように、将来の核開発あるいは既に持っている核の精度を高めるということにも結びついてくるわけでございます。  実際に核を所有しているのではないか、そういう疑惑のある国について、外務省はどれくらい把握をしておられるのか、ここでお伺いをしたいと思います。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 我が国政府といたしましては、いわゆる五つの核兵器国以外に核を保有している国があるのかないのか、あるとすれば具体的にどの国かについて確定的なことを述べるのは残念ながら困難でございますけれども、一般的に敷居国と呼ばれておりますのは、インド、パキスタン及びイスラエルの三カ国でございます。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 先ほど申し上げました、北朝鮮がこの条約に署名をするという意思について、極めて大きな問題があるということでございますが、これは我が国の安全保障にとっても大変大きな意味もあるのではないか、こういうように思うわけでございます。  この北朝鮮に関しまして、きょうの読売新聞の一面に、北朝鮮の日本人妻の里帰りを容認するという記事が出ておりました。これについて、今まで四十年間、北朝鮮は一貫してこのことを認めてこない、極めて非人道的な態度に終始をしてきたわけでございます。これはある意味では大きな転換にもなってくる、これが事実であれば、我が国が毅然とした態度をとってきた成果である、こういうふうに私は思うわけでございます。  そういう観点から、我が国もこれからいろいろな人道上の問題を抱えているわけでありますから、一貫した、毅然とした態度がこういう譲歩を引き出すことができるのではないかという教訓にもなってくるのではないかと思うわけでございます。  まず、このことが事実であるかどうか、そして、もし事実であればどの程度の規模であるかどうか、そしてまた、規模等にもよるのでしょうけれども、それによって、食糧援助について我が国は事実上今凍結をしたような形になっているわけでありますが、その政策を変更するということになってくるのかどうかについて、三点、お伺いをしたいと思います。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 まず、いわゆる日本人妻の件につきましては、従来から我が国といたしましては、日本人妻の方々との間の音信だとか、あるいは一時帰国だとか、そういったことは当然認められてしかるべきだということで、いろいろな機会に北朝鮮に対する働きかけをしてまいったわけでございます。そして、ここ数年間、公式の表立っての直接の交渉という場はない形になっておるわけでございますけれども、しかし我々といたしまして、我々なりにそういった状況の中でもいろいろな努力を傾ける、そういうことはやっておるわけでございます。  そうしてまた、この日本人妻の問題以外にも、我々として、北朝鮮に従来とは違った姿勢と申しましょうか、その対応を求めなくてはならない問題も幾つかございます。そういった問題につきましても、北朝鮮側の姿勢の変化を期待しつつ、それを引き出すための直接あるいは間接の、我々なりの努力はしてきたということは御答弁させていただきたいと思います。  しかしながら、現段階において、それではそれが現実のものになるか、実現するかどうかという点につきましては、何分北朝鮮側の判断により決まることでございますので、私どもといたしましても、今確たる方向について御答弁を申し上げ得るような段階には至っておりませんけれども、なお引き続き、ねばり強く真剣に努力はしてまいりたい、こう思います。  それからまた、委員が御指摘になりました、いわゆる人道的な見地からの食糧支援との関連でございますが、この点については、私ども、現在のような北朝鮮との関係ではございますが、人道的な観点から緊急に支援をすること、必要があればそれに応ずるということはあり得るわけで、一昨年、昨年も御承知のとおり、そういうことをしてきたわけでございます。  ことしも国連機関WFPあるいはDHAあたりからアピールが出され、そして韓国、米国を初め幾つかの国がそれに応じていることは御承知のとおりでございますが、我が国といたしましてこれにどういうふうに対応していくかはまだ慎重に検討中でございます。  その背景には、御指摘のように、人道的な観点からというならば、我が国としても北朝鮮に適切な対応を求めなくてはいけないという問題がある、日本人妻の問題もそうでございますし、また行方不明になっておられる方々の消息、どうなっておるのか、それにかかわる疑惑の問題等々もあるわけでございますね。それと食糧の支援が直接リンクするというわけではございませんけれども、やはり我が国国民の気持ちとして、これはそういったような問題が放置されたままで、一方において緊急人道支援と言われても釈然としないのは、これは当然のことでございますので、その辺で環境の整備がされるということ、そのために北朝鮮側のいわば対応なり姿勢なりの変化というものが望まれるというのは、そういった意味の関連というものは、これは否定できないんだと思います。  そういったことでございますので、いろいろその他の観点も総合的に勘案しながら、これからどう対応するかを見きわめ、検討を続けてまいりたい、こう思っております。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 ただいまの質問は通告をしていなかったわけでございますが、こうした着実な前進に対する外務大臣初め外務省の御努力に対して、本当に敬意を表する次第でございます。  この日本人妻以外に、ただいま大臣もお触れになったわけでございますが、政府が公式に認めているだけで七件十人の日本人が拉致をされているわけでございます。私は、十人だけではない、もっと多くの人数が恐らく拉致をされているんだ、こういうふうに思います。  最近の報道によりますと、我が国以外で、レバノンで一九七八年に数名の女性が拉致をされた。しかし、当時は国交がなかったレバノンが努力をした成果として、一年数カ月後にはその人たちがレバノンに戻ってきた、取り戻すことに成功したという報道もございます。  もしこれが事実とすれば、我が国も今国交がないわけでございますが、あらゆる手段を使って、例えば食糧問題等の人道援助も絡めていくのは私は当然であると思っております。少女を初め、我が国政府が当然守らなければいけない人命と人権がまさに侵害をされてしまったわけでありますが、これに対して政府が何もできない、これは国家としての義務を放棄しているに等しい、このように思うわけであります。そういう意味では、あらゆる手段、人道問題とはいえ食糧援助の問題が絡んでくるのは私は当然ではないか、こんなようにも思うわけであります。  このレバノンの件について、外務省が承知をしておられるかどうか、わかる範囲でお答えをいただきたいと思います。

登誠一郎外務省中近東アフリカ局長

○登政府委員 まず初めに、この件につきましては、私どももレバノンの新聞報道によりまして承知しております。その事実は、ただいま安倍先生の方から御指摘のあったとおりでございますので、ここで改めて詳細を繰り返す必要はないかと存じます。  この事件が報道されましたのは一九七九年でございまして、この事件が起きたのはその前年の七八年、今から十九年前でございます。その当時、レバノンは内戦で大変な混乱状況にございまして、私ども、この新聞報道以外の点はよく承知しておりません。  最近になりまして、改めてこの件につきましてレバノン側に照会を行っているところでございますけれども、レバノン外務省の説明によりましても、この事件は既に二十年近く前の件でございまして、その間にレバノンの内戦によってレバノン外務省も再三移転して、外交文書も紛失してしまっているということから、よくわからないけれども日本側がこの問題を重視していることはよく理解するので、できる限り調べてみようというふうにレバノン側は言っておりますので、今、外務省といたしましても、レバノン側の調査の結果を待っている、そういう状況でございます。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 この拉致疑惑については、もう既に随分前から世の中ではそういううわさはありました。また、私の父の支援者のお嬢さん、有本恵子さんという方も実は拉致をされているわけであります。そのことは早くから知っていたわけでございますが、残念ながら、今までマスコミもこのことは取り上げてこなかったというのも事実でございますし、また政府全体としても正面から取り上げてこなかったのもそれは事実であると私は思います。  特に私は、マスコミの態度は大きな問題であったと思います。例えば、五月十日の毎日新聞で記者が北朝鮮の参事官に対して質問をしているわけであります。いろいろな質問をしているのですけれども、その質問は、食糧不足の現状とか、各国の反応はどうなんだと、日本の態度は慎重だけれども、それに対して怒りはないか、まさにごまをするというか、北朝鮮の宦官のごとくごまをする態度に終始一貫をして、我が国の問題については全く質問をしないという態度に終始一貫してきたというのが、私は、残念ながら日本の多くのマスコミの態度であった、このように思うわけでございます。しかし、やっと今、政府も本格的にこの問題に対して取り組んできたわけでございます。  その拉致疑惑の中の一つでありますが、原敕晁さんという方、中華料理店の店員だった方が、一九八〇年六月に北朝鮮の工作員によって拉致をされたわけでございます。なぜその拉致がわかったかというと、辛光洙という北朝鮮のスパイが原敕晁さんに成りかわって、そのパスポートを使って韓国に潜入をして、そして韓国で逮捕されたわけであります。  そして裁判になって、その裁判の中で、自分は原敕晁氏という男に成りかわっていたということを述べているわけであります。そしてそのときに、だれに成りかわろうかという謀議を実は大阪でやったというわけであります。その謀議にかかわっていた人が、これは北朝鮮系の商工団体の会長さんと理事長さんであります。三人で謀議をした結果、身寄りのない人をさらって、そのかわりに入れかわらせてスパイを送り込もうという謀議をしたわけであります。  原敕晁さんは、実際はお兄さんがおられるわけでありますが、戸籍上はいろいろな家族の事情で、たまたま天涯孤独のような戸籍になっていたわけであります。しかも、運の悪いことに、その原敕晁さんが働いておりましたのもその理事長さんが経営をしている中華料理屋であったわけでございます。そして、ある日忽然と原さんは消えて、そしてその後、この辛光洙が成りかわって日本に入国をしてきたというわけであります。  そして、そのことはすべて韓国の裁判の記録には出ております。しかし、現在この中華料理店もそのままあります。そして、そのときの理事長、かつての会長も、堂々と日本でそのまま暮らしを続けているわけであります。裁判の記録にそのように厳然たる事実があるのに、私は、日本の警察はどうしているんだと、これは強い憤りと疑問を感じるわけであります。この問題について、警察が知っている範囲でお話をしていただきたいと思います。

米村敏朗警察庁警備局外事課長

○米村説明員 お答えいたします。  先生御指摘の事件は、昭和六十年六月に韓国当局によって発表されたいわゆる辛光洙事件というものでございます。  日本人拉致という極めて重要な問題でありまして、当時、警察庁といたしましては、国際刑事警察機構、ICPOを通じるなど、関係資料の収集も含めて韓国当局と所要の情報交換、あるいは国内における捜査を行ったところであります。その結果、御指摘の大阪府居住の日本人男性につきましては、昭和五十五年六月、北朝鮮からの指示を受けた北朝鮮工作員によって宮崎県の海岸に連れ出され、工作船によって北朝鮮に拉致された可能性が極めて高いというふうに判断をいたしております。  今申し上げましたとおり、これまで本事件につきましては、韓国当局との情報交換を含め所要の捜査を実施しているところであり、これにつきまして法務、検察当局等の関係機関とも適宜必要な協議あるいは検討を行っております。しかしながら、公開捜査に絡むいろいろな各種の問題等がございまして、本事件に関しまして、日本国内関係者に対する強制捜査の実施には至っていないという現状でございます。  以上でございます。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 辛光洙は、パスポートあるいは免許証の偽造を行っておりまして、公文書偽造、我が国の国内の罪も犯しているわけでございますから、当然私は韓国に対して、今刑務所に入っているその辛光洙に対して取り調べを行いたいという意思を伝えてもらいたい、このように思うわけであります。  このときの謀議の中で、身寄りのない人を探そうということで意思を決定したわけであります。たまたまこの原敕晁さんにはお兄さんがいた、また、成りかわったスパイが韓国で捕まったということで表に出たわけでございますが、私は、恐らく原さん以外にも何人もこのように、本当に天涯孤独であればわからないわけでありますから、連れ去られた日本人が確実にいる、ある意味では確信もいたしております。  もちろん、ただいま申し上げましたように、この商工団体の会長、理事長はかかわったとはいえ、日本にたくさんあるそうした団体の人たちがすべて悪いとは私は申し上げません。たまたま、この二人がそういうことにかかわったということであります。立派な人もたくさんおられるということも、つけ加えておきたいと思うわけでございます。  ただいま申し上げましたように、これはぜひとも警察として全力を挙げて韓国に対してそういう働きかけをしていただきたいと思うわけでございますし、また、外務省も当然外交当局として協力をしていただきたい、こういうように思うわけであります。  現在のところ、こうした拉致作戦というのは一段落をしたようでございますが、特に私の地元は下関でございまして、日本のラジオよりも平壌放送の方がよく聞こえるぐらいなのですが、いまだにこの平壌放送の中で、ある時間になりますと番号を言うのですね。朝鮮語で五、四、八、九、六と番号をずっと言うのですね。これは、我が国の国内に潜入しているスパイに対して、乱数表に基づいた暗号を堂々と平壌放送で送っているわけでございます。これはある意味では、極めて日本に対して敵対的な行動を堂々としているわけでございますが、この事実を警察庁または外務省は把握をしているのかどうか、お伺いしたいと思います。

米村敏朗警察庁警備局外事課長

○米村説明員 お答えいたします。  御指摘のような内容の報道等がなされているということは十分承知をしております。警察といたしましては、公共の安全と秩序の維持という警察責務を果たすために、この種の諜報通信に係る情報の収集、分析、整理等は行っているところでございますが、その具体的内容につきましては、捜査上の制約、あるいは法令上の制約という観点から、御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 できれば、もちろん解読できているのかどうかということはこの場ではお伺いをしないわけでございますが、そうすべく努力をしていただきたいと思うわけでございますし、もしそれがいわゆる謀略的な暗号であるのであれば、外務省当局として正式に抗議も申し入れていただきたいと思う次第であります。  これは通告した質問の中になかったわけでございますが、現在のところ、七件十名ということになっております。これは最近人数がふえたわけでございますが、さらにふえる可能性があるのかどうか。あるいは、断定はできないけれどもその疑いがあるという、もし人数がわかっていれば、件数がわかっていれば教えていただきたいと思います。

米村敏朗警察庁警備局外事課長

○米村説明員 御指摘の点については、警察としても十分関心を持って見ているところでございます。ただ、警察といたしましては、これまでの捜査の結果を総合的にかつ慎重に検討した結果、北朝鮮による拉致の疑いがあるという意味で判断しているのは七件十人ということでございますが、それ以外のものにつきましても重大な関心を持って引き続き捜査を行っているということでございます。

安倍晋三自由民主党

○安倍(晋)委員 拉致された人たちの家族の皆さんは、娘あるいは息子の無事な帰国を一日千秋の思いで今待っているわけであります。その御両親も、当然今まで日本の国民として税金を納めて、そして我が国の国民であることを誇りに思って今日まで来ております。  しかし、政府が、そのお嬢さん、息子さんたちが拉致をされて、これを取り戻すことができないというのは、本当にこれはまさに、国の威信と、そして我が国が安全を守ることができる、国民の生命と財産を守ることができるという、国民の政府に対するまさにクレジビリティーの問題にもかかわってくる、このようにも思うわけでございますから、全力を挙げて警察庁、そして外務省でこの問題に取り組んでいただきたいと思う次第でございます。  時間が参りますので、これで私の質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 次に、東祥三君。

東祥三新進党

○東委員 おはようございます。  本日は、二つの条約の質疑をさせていただきますが、その前に、在ペルー日本大使館人質事件に関連して、青木大使の辞任問題について、外務大臣に幾つか質問させていただきたいと思います。  辞任問題に関して、私は、しっくりいきません。理解することができないので、外務大臣にいろいろ教えていただきたいと思います。日本国のあり方あるいは日本の責任のとり方、そういう問題にかかわってくる重要な問題なのだろうと私は思います。とりわけこの在ペルー日本大使館人質事件に関する全貌、何で起こったのか、警備が不十分だったのか、あるいはまた警備の改善の点において種々の提案ができるのかどうなのか、そういったことも含めた上での調査目的を持つ調査委員会が外務省のもとに設置されており、その調査結果が出ないにもかかわらず、青木大使の辞任表明を外務大臣が受領された。その判断は一体何だったのか。さらにまた、調査結果が出る以前にそのような決断をしてしまったことによって、調査結果の方向性をもう政治的に色づけしてしまったことになるのではないのか。諸外国とのかかわり合いの中でも、この点について御質問させていただきたい、このように思います。  具体的に質問させていただきますが、長年国のためにやってきたつもりの青木大使がマスコミなどにたたかれ、あるいはまた記者会見におけるたばこを吸っているあの態度が悪いだとか、そういう角度でのいろいろな批判というのは多々ありました。それと、今回起こった事件の本質とは全く別の視点からの種々の議論があったと思います。批判があったと思います。そういう中で、御自身が辞意を表明したという事実もありました。  その気持ちは私もよく理解できます。国のために、また人質事件が発覚したときに、私自身だけで人質はいいではないか、全員解放したらどうなんだということも言われている大使でございました。大使に対して個人的にどうこうという、そういう思いではなくて、客観的な形でこの問題を分析しておく価値があるのだろう、そういう視点で質問させていただきます。  青木大使の辞表を受けたときの政府、外務大臣の判断の背景には一体何があったのか、まずこの点について外務大臣から御所見を伺いたいと思います。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 今回の事件につきましては、当然のこととしていろいろな事実関係をよく検証しなくてはいけない、そういったことで、外務省内に事務次官をヘッドとする調査委員会を設け、今その作業を進めておるところでございます。そうして、責任の有無等につきましても、やはり調査の結果を見て判断すべきであるという御指摘は、私どももそのように考えております。  他方、それに先立ち青木大使に在ペルー駐箚の職を離れていただいた、これは一体どういうことかということでございますけれども、これは、先般青木大使が参考人として出席されました参議院の外務委員会の場でも、私、申し上げたところでございますけれども、青木大使の方から、責任を痛感しているということ、それから調査委員会の結果を待たずその職を辞したいという強いお気持ちが繰り返し表明されました。  私どもといたしましても、いろいろな観点からこの問題は考えなくてはいけない、そういうふうに思っておったわけでございますけれども、参議院の外務委員会でも申し上げましたように、青木大使御自身の強いお気持ちも酌みながら、いろいろな観点から熟慮して、この際、在ペルー大使の職は解くことにした、こういうことでございまして、この事件に関する責任の有無については調査委員会の結論を待って判断すべきだという点は、そのとおりに考えております。したがいまして、今回は、そういったいわゆる責任問題と直結してペルー国駐箚を解いたということではないということは、明確に申し上げておきたいと思います。

東祥三新進党

○東委員 一見何となくわかるんですけれども、青木大使が、辞任したい、今回の事件が起きたことに対し自分自身責任を痛感する、したがってやめさせてもらいたい、それに対して大臣は、いろいろなその気持ちも酌みながら、いろいろな観点から熟慮してそれを受領したというふうに言っているわけですが、よくわからないわけですね。  つまり、辞任する理由として一つしか言っていないわけですね、青木大使は。自分自身はこの事件が起きた責任を、結果の責任を感じて、そしてやめたいと。じゃ、それに対して外務大臣はそうだとお認めになったから受領されたんですか。それとも、いろいろな観点からとおっしゃっていますけれども、何ですか、いろいろな観点というのは。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 いろいろな観点から熟慮して、この際ペルー国駐箚は解くということが適切である、そう判断したということでございます。  いろいろな観点は何か、これを言い出しますと、それは文字どおりいろいろあるわけでございますし、必ずしも公の場で申し上げることが妥当かどうかということもよく考えなくてはいけないと思います。  あえて一、二申し上げますと、何と申しましても青木大使は、四カ月を超える長期間にわたりましてあのようないわば極限的な状況の中に置かれておられたわけでございます。そして、解放される際に傷も負っておられます。そういった心身ともに非常に厳しい状況にあられる、それはああいう方でございますから、極めて、何といいましょうか、きちんとした対応はしておられますけれども、やはりその心身の疲れというものはこれは否定できないものだと思います。そういったことを考えるならば、まずしばらく休養していただくということが、やはり当然考えなくてはいけない道であろうということが一つございます。  それから、ペルー国駐箚としての大使のお仕事を続けるということは一体どうであろうか。それはもとより、ペルー国政府あるいはペルー国の国民、あるいは在留邦人とかあるいは日系人の方々、いろいろなこれまでの大使の活動ぶりを評価されて、ぜひ引き続きやってほしいという希望あるいは御要望が寄せられていることもありますけれども、しかし他方でまた別の見方をする方もないとは申せませんし、またそういった気持ちが現実にあるといたしましても、現実に仕事を継続される場合に本当にどうだろうかと。それはいろいろあるんだと思います。御本人としても、いわば従来に変わらず、あるいは従来にも増してきちんと取り組みたいという意欲はおありでございましょうし、そういうことが可能になるような条件もあるいはあるかもしれませんけれども、逆の条件というか状況というものもあるんだと思いますね、お仕事との関係において。  そういったこと等々を文字どおりいろいろな観点から熟慮いたしまして、やはりここのところはペルー駐箚は解くということが適切である、こう判断したということでございます。

東祥三新進党

○東委員 ペルーに戻す、戻さないというのは別に今判断しなくてもいいことでありまして、外務大臣はおっしゃることはできないと言っているわけですけれども、当然常識的に考えても、あれだけペルー国内で名前が出、顔が出、そして在ペルーの日本大使館の特命全権大使であられる青木大使が他のペルーの人々の注目の的になることは当然ですから、それは、今この事件が終わり、日本に帰国しており、そして、その最終的な調査結果が出た後、送り出すのか送り出さないのかという判断は十分その段階でもできるはずです。それで、そのときに、もし送り出してしまうと命自身が当然ねらわれる対象になるだろう、今まで以上に顕在化するわけですから。だから、そういう意味でペルー大使には派遣しないと。十分説明のいく形での説明というのはできるんだろうと思う。  問題は、日本のあいまいもことした責任のとり方というのはあるわけですね、これはそれがいい悪いということを論じているのではなくて。そういう責任のとり方をした場合、強いた場合、なぜそういうふうになったのかということを、外務大臣のお言葉あるいは橋本総理の話を聞いていたって全く私には理解できない、頭が悪いからだと思うんですけれども。その辺をぜひ解明していただきたいということを申し上げているわけです。  具体的に言います。橋本総理は十三日の会見で「ペルー側は彼の留任を望んでいたね。しかし、青木君にそれを許すようなマスコミ論調ではなかった」と語り、世論に押されて辞任、解任、解任じゃないというふうにおっしゃるかわかりませんが、世論に押されて解任したようであります。責任が明確だったからというより、批判があったからではないのか。当初橋本総理は、十三日、「前からマスコミがいろいろ書く前に、自分の進退については私に言っていた。ただ、人の運命をオモチャにすべきではない」、読売の夕刊ですね。しかし、マスコミの批判に屈して、まさに彼の運命をある意味で遊び飽きたゲームのようにぽいと捨ててしまったんじゃないのかというふうに、僕にはそういう印象をもたらすわけです。  この国のリーダーというのは一体だれなんですかと。また在外公館、兼館も含めると百八十ぐらいあるんでしょうか。それを管轄している外務大臣の責任というのは一体どういうところにあるのか。そういう問題意識で私はきょう質問させていただいているわけです。  十三日、橋本総理は、どういう状況にせよ事件発生という事実があり、人質が捕らえられ、犠牲者を出した、結果責任だが、解任はやむを得なかった、結果責任というのは私にはどうも納得いきません。もしそうであるとするなら、どこに一体責任があったかを明確にしない限り、結局この事件から何も私たちは学ぶことができないのではないのか、このように思います。  もう一度、外務大臣、なぜ辞任表明を受領されたんですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 先ほども明確に御答弁申し上げました。責任の有無等につきましては調査委員会の調査の結果を待って判断すべきである、そう考えておりますと御答弁したつもりでございます。  そして一方、今回、青木大使にペルー駐箚という職を離れてもらうという決定をいたしましたのは、先ほども御答弁しましたように、一つには、青木大使御自身が調査委員会の結果を待たずに、それが出る前にもその職を離れたいという強い気持ちを表明された。そういったお気持ちを酌むということが一つはございます。  しかし、それよりも、いろいろな観点から熟慮してと申し上げた。それで、その中身についても先ほどちょっと申しましたけれども、一番大きいのは、やはり大使御自身の心身の状態、それは幾らお元気な方でございましても、長期間にわたりあれだけの極限状態であられたわけでございますから、やはりそこはしばらくは休養していただくというのが、人事を預かる者として当然考えなくちゃいけない、配慮しなくちゃいけない要素であるということは御理解いただけると思います。  それからまた同時に、ペルー大使の職務、これも事件が解決し、またその間ある程度滞っておりましたものを含めて進めなくてはなりません。あるいは大使館機能の再建というものもやらなくてはいけません。そういったことを進めるためには、やはり大使の仕事、役割というものは大きいわけでございまして、それをどなたにやっていただいたらいいだろうか。  青木大使は、もとよりこれまでも十分なその仕事をしておられましたし、先ほど申しましたように、ペルー政府あるいはペルー国民、日系人等々からも引き続きという要望のあることは事実でございますが、他方においてそれ以外の思いもないとは言い切れないし、また、私はあえて申しませんでしたけれども、先ほど委員の方が挙げられたようなおそれということをおもんぱからなくちゃならないということもあるかもしれません。  そのほかにも、やはり今回のような大変な状況の中であのような経験を強いられた人物が引き続き仕事をするということが、我が国の外交のために、あるいは両国関係のためにいいのか悪いのか。それはプラスの要素もございましたけれども、申しましたように、しかしながら十分な活動を難しくするような条件、状況もそれは当然あり得るわけでございます。  そういったことを総合的に勘案しながら、責任をとれということではなくて、この際はペルー駐箚の任は、職は解くということが適当であると判断した、こういうことでございますので、明確だと存じます。  それから、先ほど橋本総理の言葉を引用されましたけれども、その点については、いわゆるマスコミのぶら下がりと称される形での言葉を報道がいろいろされている、それを引用されたのだと思います。私ども、それ以外に適切な総理自身の言葉というものをあらわしたものはないと承知しておりますけれども、それはそれで委員がそれを引用されるのはやむを得ないとは考えるわけでございますけれども、そういった中にあらわれました言葉のごく一部を取り上げて、だからこうじゃないかとおっしゃるのは、やはり事の実相に必ずしも一致するとは限らないという点もあると思います。  決してマスコミがどうこうしたから人事をやるということではない。一義的には私が人事権者でございます。もとより閣議了解人事でございまして、きょう正式に閣議でペルー駐箚を解くことについて了解を得たところでございますけれども、まず一義的に人事を考える私といたしましては、先ほど申しましたように、責任問題と直接つながることではなくて、いろいろな点から総合的に勘案し、熟慮した結果決めたというふうに御理解いただきたい、こう思うわけでございます。

東祥三新進党

○東委員 大臣の言われる、記者さんのぶら下がりによる片言隻句をとらえてそれだけで言うというのは、それはよくない、私もそう思います。だから、その片言隻句しか公表されていないわけですから、それ以外にも実質的な、本質的なものがあるのじゃないですか、それをどうぞお述べくださいという場にもここは変化することはできるわけです。  しかし、そういう場を提供させていただいても、それはいろいろな観点からですと。いろいろな観点というのは二つ言われているわけです。一つは、青木大使に十分な休養を上げたい、それは別にペルー大使、これを解かなくても十分休養を与えられるではありませんか。ペルー大使館の再建という側面を考えたとしても、いろいろな在外公館の中で、何カ月間も大使が赴任されていない例というのはたくさんあるじゃないですか。  調査結果が六月中旬に、何を具体的にやられ、どういう報告をされるのかもよくわかりませんけれども、六月の中旬に調査結果が出るというそのときまで十分待ったって、ちっともおかしなことではないではありませんか。だから、いろいろな観点、いろいろな観点と言ったとしても、一つ一つ言ってくだされば、ああなるほどということがあるならば、私は別に、この質問はすぐ取りやめさせていただきます。しかし、それがわからないから質問させていただいているわけです。外国の人だってわかりませんよ。外国の方がわからないから僕は質問しているのではなくて、私自身が、外務大臣がどういう判断をされているのか、それがよくわからないから御質問させていただいているわけです。  きょうの閣議で決められた。閣議で、閣議のメンバーの方々からどういうお話があったのですか。なぜ外務大臣受領されたのですか、こういう質問は出なかったのですか。それで、もしそういう質問が出たとしたら、どういうふうにお答えになったのですか。それに対して閣議メンバーの方々はなるほどと納得されたのですか。いかがですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 閣議では、青木大使のペルー駐箚を解くということについて了承されたわけでございます。特に異論、疑問はございません。  そうして、人事というものは当然のことでございまして、その仕事に一体だれが適切であるか、またどういうタイミングでやるのがいいのか、それはいろいろな角度から検討して、総合的に判断して決められるものでございまして、これは一般に、なぜそうなのかということを一つ一つ箇条書きにして説明をする性格のものじゃないと思います。  今回の人事は特殊、特別なものだからとおっしゃるのは、それはわからないではございませんけれども、その点につきましては先ほど来申しておりますように、青木大使御自身の心情を酌むという点もある。それから、いろいろな観点から熟慮したといういろいろな観点の中には、青木大使の心身のお疲れ、それをまずいやしていただかなくてはいけないという配慮があるということを申し上げました。それからさらに、ペルー大使の仕事を、仕事の現在の状況、それをどういう方がどういう形で進めていくのが適切であるかといろいろ考えていった。  そういった中で、青木大使にぜひ続けてやってほしいという声がある。それは仕事を進めていく上でプラスの面かもしれないけれども、そうではない、ああいった経験を綴られた方が続けて仕事をやられることはなかなか御本人にとっても難しいであろうということも、これは、それを具体的に説明しなくても、そういうことはあり得るのだということは常識的に御理解いただけるのじゃないかと思います。  そしてさらに、場合によっては、あれだけ耳目を集めた、関心の的になった事件の中の、また関心の中心になられた人物がこれからその地において引き続き仕事をする場合にどういうことが考え得るか、どういう可能性を考えなくちゃいけないかという点については、委員自身が一つ先ほどおっしゃったのじゃないかと私は、あえて私の口からは申しませんけれども、そういったこともそれは当然ワン・オブ・ザ・コンシダレーションズでございましょう。そういったこともいろいろ考えている。  それからその休養の期間、いや、もうちょっと待ってもいいじゃないかとおっしゃいますけれども、それはどの程度になるかはこれからの休養されておられる状況を見なくちゃいけない。今どのくらいの期間になるかは確定的に申し上げるわけにまいりません。  それと同時に、また、今は公使を新たに任命しまして、それをシャルジェ・ダフェールということで仕事の中心になってやってもらっていますけれども、しかし、その後、青木さんが帰ってくるのか、あるいはほかの人になるのか、大使が。そのいかんによって、やはり向こうの大使館機能の再建なりその他の仕事の執行によってもいろいろな違いというものは出てき得るのだと思います。  非常にそういったところは、具体的にどちらがどうなのだということは明確には説明はし尽くせないと思いますけれども、仕事というのはやはり人と人との間で行われるものでございますから、その先の見通しがどうなのかということもやはり影響はするということは御理解いただきたいと思います。  そういったことでもございますし、我々としても後任のペルー駐箚の大使、いろいろな観点から考えまして、現在のような状況の中であのポストの仕事を最も適当に進めていく方を選んでまいりたい、こう考えているわけでございますので、どうか、事は人事のことでございますので、余り明快に因数分解いたしまして、これこれこういうことでこうでございます、したがって答えはこれでございますと説明し尽くせないというところは、ひとつ御了承賜りたいと思います。

東祥三新進党

○東委員 辞任を受理することを決定されたのはいつですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 青木大使が解放されましてから、早い段階から御本人のお気持ちは表明されておりました。もっとも、明確に表明されましたのは、帰国されて橋本総理に会われたときに、自分の進退は政府にゆだねる、御一任するという言葉があったわけでございますけれども、その後あれは九日でございましたか、金曜日は。その日にまたお目にかかりましたときに、青木大使の方から私に対して重ねてそのようなお気持ちの表明があった。それを踏まえて、それまでもいろいろ考えてはおりましたけれども、さらに熟慮いたしましてそういった判断をしたわけでございます。それを十三日に参議院の外務委員会で表明させていただいたわけでございます。

東祥三新進党

○東委員 辞任表明が公表されたのは五月十三日の参議院の外務委員会だったと今御報告があったとおりだと思うのですが、その前日の十二日の時点で、橋本総理はペルー政府からの親書を政府の会合で紹介していますね。その親書の中には、青木大使に留任してもらいたい、そういう要請が書かれていたと。これを発表した上で、九日に池田外務大臣に表明されていたその辞意、これを受けるか受けないかというその判断はまだなかったのじゃないですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 我が国の人事は我が国の判断で決めることでございます。もとより、御承知のとおり大使の大事につきましては、アグレマンという形でその相手国政府の了承が必要とされることでございますが、しかし、あくまで人事は我が国の政府の判断で決められるわけでございます。  ペルー政府が、あるいは先ほども申しましたようにペルーの国民なり日系人なりが、青木大使のこれまでの活動ぶりについていろいろな評価をされ、またいろいろな気持ちなりあるいは要望なり希望なりをお持ちになっていることは、それはそれといたしまして、私どもは、あくまで我が国政府の判断として決めたことでございます。

東祥三新進党

○東委員 私が質問していることは、九日に辞意表明を池田外務大臣に伝える。しかし、そのとき何も判断していない。十二日の段階で、ペルー・フジモリ大統領から親書が届き、その親書の内容を公表する、ぜひ留任してもらいたいというペルーのフジモリ大統領からのそういう要請があった。橋本政権はそのときにおいてはまだ青木大使に辞任してもらうかどうかという判断をしていなかったのじゃないですか、こういうことをお聞きしているのです。  そして、十四日の段階になって一変するわけですね。だから、まず事実経過を教えていただきたいのですが、十三日の段階においては決めていなかったのじゃないですか、どうですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 十三日の午前十時過ぎに参議院の外務委員会で明確に申し上げたところでございます。  それから、フジモリ大統領からのお話というのも、それはペルー政府も、先ほど申しましたように人事の性格についてはよく御存じでございますから、それは今委員がおっしゃいましたような、ストレートにこれを残してくれとかいやどうしてくれというようなことは、おっしゃるはずはないわけでございまして、そこのところは、これまでの青木大使の活動ぶりなど、またとりわけ今回の長期にわたる拘禁状態の中での対処ぶり等々、そういったものの評価も踏まえてでございましょう。続いて青木大使が仕事をされるならば、それはペルー政府も何といいましょうか、歓迎するというか、そういったものであるというような、今正確ではございませんが、大体そういったニュアンスの表現であるわけでございます。事柄は親書でございますから、ストレートに書いてあったそのままの表現を使うわけにいきませんけれども、ニュアンスからいえばそういったことでございますですね。  したがいまして、ペルー政府もそういうことはよく心得ておられる、私どもも、先ほど申しましたように、人事の決定をするのは我が国政府の判断であるということはよく承知しておりますですね。  ただ、親書を発表した段階で、親書がこういうことがございましたということを公にした段階で判断していなかったのじゃないかという御質問に答えろということでございますから、答えさせていただきますけれども、判断していなかったということをお認めするわけではございません。

東祥三新進党

○東委員 十二日の段階では辞任表明を受理するということは決めていなかったということですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 決めていなかったということではないと申し上げたわけでございます。

東祥三新進党

○東委員 いつの時点で決めたのですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 そこまで申し上げてお答えするのは、必ずしも適切ではないと思います。(東委員「何で適切じゃないんですか」と呼ぶ)委員の御質問ではございますけれども、それは政府としてのいろいろな判断の過程について時系列的にいつ何ときということまでお求めになるのはいささか、何と申しましょうか、大事について判断する立場に対する御配慮をお願いしたいな、こういう気持ちでございます。

東祥三新進党

○東委員 ただ個人的な興味だけではなくて、ペルー人質事件の問題、さらにまたその後のこの問題に対しての日本政府の取り組み方、またその調査結果も出ていない段階での青木大使の辞任、その受領の問題、私は、これは日本国内のみならず内外における重要な外交案件なんだろうというふうにとらえているのです。  そういう視点から質問させていただいていて、外務大臣からそれなりの説得力のある説明が出てくるならば、ああ日本というのはこういう国なのか、ちゃんと理に乗っかった上で動いているんだなという宣伝にもなりますし、日本の国のあり方、日本の国の行政における責任のとり方、こういったものを世界に発信する最高のチャンスなのではないのかと私は思うのです。  ただ、外務大臣のお話を聞いている限り、ますます何が何だかさっぱりわからなくなって、いろいろな観点からこういう決断をしたんです、その決断の内容に関してはこちらから立ち入ることじゃありませんと。でも、現実にごうごうたるマスコミの批判の中で、あの青木大使が記者会見に臨まれ、そしてまたそれに対してのいろいろな批判記事が出て、そして最終的に池田外務大臣初め政府の首脳の方々が何らかの判断をして、そして今やめさせておいた方がいいな、こういう決断をされたんじゃないですか。  だから、私はそれを聞いているわけです。マスコミからあれほどたたかれなかったならば、今この時点においては辞任をたとえ表明したとしても辞任表明は受けなかった、そういうふうに言えばいいじゃないですか。それ以外に何かあるとするならば、その部分を説明してくださいと私は申し上げているわけです。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 そういうふうに言えばいいじゃないですかとおっしゃいましても、そうじゃないのでございますから、そういうふうには申し上げられないわけでございます。  先ほどから明快に申し上げましたように、まず今回、ペルー駐箚を解くという人事をいたしましたのは、この事件の責任問題と直結したものではないと申し上げました。これはよろしゅうございますね、申し上げました。  それから二つ目に、人事というものは、もとより大使の人事でございますから、新たに就任します場合は、相手国のアグレマンを求めることが必要でございますが、まずその人事を決定するのは我が国政府の権限であり、責任であるわけでございますので、それは我が国の責任による判断でございます。  それから、なぜそういう判断をしたかという点につきましては、人事のことでございますから、箇条書き的に個々の要因を一々御説明することは難しいということは御理解賜りたいと思います。  しかし、いろいろ申しますならば、一つは、青木大使の強いお気持ちというものを酌んだという面もある。しかし、一番中心的なのは、いろいろな観点から熟慮した結果と申しまして、いろいろな観点からとは何かといえば、それは一つは、青木大使の心身の状況というものをおもんばかり、まずはしばらくは休養していただくということが必要であろうということ。  二つ目には、そうは言いながら、在ペルー大使館の機能をきちんと進めていかなくてはいけないということがございます。それをどなたにやっていただくのが適切かということを考えなくてはいけないということ。その場合には、もちろん青木大使に続けていただくということの方が適切であるという条件も、状況も一方においてはあるでしょう。しかし他方においては、そうではない、青木大使ではなかなかやりにくい面があるだろうという条件、状況もこれはあるわけでございますね。そういったことを総合勘案していく。  そしてまた、さらに言うならば、外務省として、もし青木さんに引いていただくならば、後どういう体制がとれるだろか、当面はシャルジェ・ダフェールということで今対応しておりますけれども、どういう人材があるかもいろいろ念頭に置きながら、また、そういった方がどの時点でアベイラブルになるかということもいろいろ考えながら判断しておるわけでございますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。  それから、一つだけ明確に申しておきますけれども、先ほど委員がおっしゃった、マスコミのいろいろ批判の中でやめざるを得なかったのではないかという点につきましては、それはそうではないと先ほども明確に申し上げました。  マスコミあるいは国民の皆様方の本件についてのお考え、あるいは青木大使についてのいろいろな評価というものもいろいろな見方がございますし、時によっていろいろな、かなりの振幅を持って考え方やお気持ちが表明されたり、あるいはとりわけ報道されたりしているということも委員御承知のとおりでございますから、大事について、そういったものと同じ波長で同じように揺れて決まるというようなことがあってはならないわけでございますし、そういうことではないということは明確に申し上げておきます。

東祥三新進党

○東委員 青木大使が開催したナショナルデーのレセプションは、世界じゅうの日本大使館で毎年開かれている主要な外交行事であります。そのことは、外務省、外務大臣はもちろんのこと、総理大臣も承知していることであります。在外公館のある国の中で危険度が一番高い国にランクされたペルーにおいては、そのようなレセプションを開催することに関し、事前に外務省本省は特段の指示をしておりません。  青木大使は、今回の事件が起きた、そのことに対し、大使としてじくじたるもの、また、こういう事件が起きてしまった、申しわけない、その気持ちは人一倍強い方だろうと僕は推察します。そして、そのことに対して、外務大臣に辞意を表明した。それはよくわかる、しかし、自分自身が自責の念に駆られてそういう言葉を吐く前に、今調査委員会で徹底的に調査している、そのときが来るまで待ってもらいたい、もしあなたがそういう気持ちを感じるとするならば、百八十前後の在外公館を束ねている外務大臣の私だって同じ気持ちだ、多分こういう会話がなされているのだろうと僕は推察します。  そういう状況の中で、青木大使が日本に帰ってくる。大変お疲れさまでした、休んでください、また将来のことは、先のことはもうちょっと考えましょうということなのではないですか。しかし、それが突然、マスコミのいろいろな集中砲火の中で、これはただ単に通常の人事とは全然違う次元で考えざるを得なくなった。多分そういうところまで外務大臣、お考えになったのではないのですか。どうもおかしい。理解できない。  僕は、僕はと自分自身で感想を述べても意味がないわけですが、青木大使という人が本当にすばらしい人であるといろいろな方々からも聞いておりますが、今回の百三十日前後に及ぶ人質監禁状況によって、心身ともにもう疲労の極致で、次の闘いに挑むという気力がなくなるとは思えません。解決したのですから。  問題は、日本に帰ってきたときに、日本政府も外務大臣も、今回の問題に対して適切なる処置、適切なる調査、またその調査結果に対して、日本が欠けている部分をどのように補充していったらいいのか、そういう真正面からの切り口の議論というものがほとんど具体化していない中で、多くのよく理解できない方々が彼の態度を見、また彼の姿を見て、いろいろなところで批判的な集中砲火を浴びせて、そして政府として何らかの決断をしなくてはいけなくなってとられたのではないのか、このように僕は推察します。  休養が必要だとするならば十分休んでください、ペルー大使館の再建が必要であるとするならば、今すぐだれか送ったとしてもできるわけではありませんから。当然、今回起こった事件の調査結果を踏まえた上で、そしてどういう体制で臨むのか、そういうものができない限り、ペルーの大使館の再建というのはできないだろうというふうに僕は推察します。  その間、外務大臣として、外務大臣ですよ、日本国の外交を預かる外務大臣という、そういう責務にある池田外相がどのようなことを判断して、本当に受領したのか。僕にはまだ、今までいろいろなことを言ってくれていますけれども、全然響いてこない。外務省で、大使で、そういう個人的にはいろいろなことを言われているのかわかりませんけれども、まさに外交問題として俎上に上っている問題ですよ。  その問題に対して、議員にも他の人々にもちゃんとわかりやすく説明しない限り、外務省というのはどういうふうになっているのだろう、日本政府というのはどういうふうになっているのだろう、こういうふうに思います。いかがですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げておりますけれども、余り繰り返しはもう申し上げません。繰り返しても理解できない、納得できないとおっしゃるわけでございますから。  だけれども、あえて誤解を恐れずに単純化して申しますと、これからのペルーの大使としての仕事を進めていただくにはどなたがいいだろうかと考えた場合に、青木大使に続けていただくよりも、他の人にそれを担当していただくことが適切である、こういうふうに判断した、その結果でございます、単純化して言えば。

東祥三新進党

○東委員 六月の中旬に調査委員会の報告書が出るというふうに、この外務委員会でも外務大臣もおっしゃっているわけですが、どういう形で報告が出てくるのでしょうか、外務大臣として、それをもとにして、この外務委員会を通じて活発な議論をされることを希望されておられますか。  まず、いつごろ出るのか、そして調査内容というのはどういうものが出てくるのか、そしてその取り扱い方について、外務大臣のお立場として言いづらいこともあるかわかりませんけれども、これだけの重要な問題ですから、ぜひ外務委員会において徹底的な議論をする必要があるのだろうというふうに思うのですが、この三点についていかがですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 まず時期につきましては、六月の中旬をめどに取りまとめたい、こう考え、今作業を進めているところでございます。  それから、当然のこととして、調査の対象そしてまた報告書の内容になる事柄という点につきましては、まずこの事件がこういうふうに起きてしまった、これについて、いろいろな要因があろうと思いますが、そういった要因の分析、それからまた、この事件の処理に当たっての対応ぶりがどうであったかということもいろいろ調べています。そういったことを解析した上で、それを踏まえて、将来に向かっていろいろ、まず再発防止を心がけなくちゃいけない、そのためにどういうふうな措置を講ずるべきか、対策を評価すべきかということも考えなくてはいけないと存じます。  それは、まずペルー大使館独自のものもございましょうけれども、それだけではなくて、在外公館全般についての対策のあり方についても考えていかなくちゃいけないと思います。それと同時に、先ほども申しましたけれども、この事件にかかわる事実関係を踏まえた上で、責任の有無も含めてその問題も考えていかなくちゃいけない、こう考えているわけでございます。  ただ、六月の半ばに取りまとめる段階で、今申し上げましたような事柄の中のすべてについて最終的なものができるかどうかは、特に将来に向かっての対策などについては、外務省としての考えが出たとしましても、さらに他の角度からもいろいろ検討を要するようなものもありましょうから、ある意味では、事柄によっては中間的な性格になるものもあり得るかと思います。  それから次に、国会、とりわけ外務委員会との関係をどう考えるかという点でございますが、私どもは当然のこととして、その調査結果がまとまりますならば、それを国会にも御報告したいと思っておりますし、それを踏まえて国会の御判断でいろいろ御審議をされるということは、これは私どもの方からそれは困るということを申し上げるような筋合いじゃないと思いますし、とりわけ将来に向かってのいろいろな対策を講じていく、再発防止な力あるいは不幸にして類似の事態が起きた場合にどういうふうに対処するかについて、いろいろ考え、対策を講じなくてはいけないということはあると思います。  そういったことにつきましては、予算面その他でも国会にまた配慮しなくてはならないようなことも当然出てくるわけでございますので、そういった観点も踏まえながら、私どもとしては、国会の方のいろいろな御判断を待ちながら適切に対応してまいりたい、こう思います。

東祥三新進党

○東委員 一九七九年に在イラン・アメリカ大使館占拠事件がありました。ぜひ教えていただきたいのですけれども、このアメリカ大使館占拠事件後のアメリカのとった処理、ここでも議会のもとで調査委員会がつくられたと思うのですが、その調査委員会がつくられたのか、その調査委員会で議論された内容はどういうものだったのか、調査期間はどれぐらいだったのか、その調査期間の後、何か法改正なるものが出てきたのかどうなのか、この点について、参考までに御答弁願いたいのですが。

折田正樹外務省北米局長

○折田政府委員 在イラン米大使館占拠事件が解決いたしましたのは一九八一年でございます。私どもはアメリカ側に照会をいたしました。アメリカ側の説明によりますと、この事件において政府部内で行政的、刑事的責任を問われた者はいなかった、それから当時の大使、警備責任者が責任を問われて解任されたという事実もないということでございます。  それから、今委員、責任調査委員会というお話をされましたが、アメリカは、この一九八一年からかなり後のことでございますが、一九八六年に外交警備及び反テロ法というものを制定いたしまして、その中で責任調査委員会を設立しております。  一九八一年の在イラン米大使館占拠事件の当時には、こういう委員会はございませんでした。そして、この委員会でございますが、これは議会に置かれているのではなくて、政府に置かれている委員会でございます。委員五名で構成されておりまして、四名は国務長官、一名はCIA長官が指名するということになっておりまして、委員会は、重大な損害、生命の損失、相当な資産の破壊等に関する事実関係を調査し、事案が警備に関連する度合い、警備システム及び手続が適正であったかどうか等に関し報告をするということになっておりまして、個人に関する勧告については、委員会が服務規範、法令等に照らして必要に応じ適切な調査または懲戒措置をとるように勧告する、それで、責任委員会の報告書は原則非公開である、こういう説明を受けております。  そして、当時、議会でどのような議論が行われたかということでございますが、ちょっと私の記憶で恐縮でございますけれども、このイランの事件というのは、パーレビ国王がたしか治療か何かの目的でアメリカに入ることをアメリカが認めたことを、イラン側が、これは米国政府がパーレビ国王の亡命を認めたのではないだろうかということで、それがきっかけとなってこういう事件が起きたということでございまして、当時、議会で議論されていたのは、警備的な観点からの議論というよりも、むしろ政治的な議論であったのではないか、これは私の記憶でございますが、そういう気がいたします。  以上でございます。

東祥三新進党

○東委員 ありがとうございます。  早くその調査結果が出るのを待っております。そして、それが出た後、また委員長にお願いいたしまして、この外務委員会での取り扱いについていろいろ討議させていただきたいと思います。  ペルー問題はこれぐらいにして、次に、CTBTに入らさせていただきます。  外務大臣、CTBTというのは、頭の整理の問題ですけれども、二つの視点があると思うのです。核軍縮を志向しているものなのか、あるいは核管理を志向しているものなのか、それとも両方なのか、外務大臣はどのように頭を整理されているのでしょうか。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 条約の前文の中にも規定しておりますとおり、この条約自身は、まさに核軍縮という側面と核不拡散という両方の側面を有している条約である、このように考えられます。

東祥三新進党

○東委員 両方の視点を包含している条約であり、そういう意味では、今回、本条約に対し日本が批准していくというのは極めて意義深いものであり、また評価できるものであると私は思っております。  しかし、もう既にこの委員会での議員の方々からも発言がありましたけれども、インドの反対の姿勢に変化が起きない限り、この条約の発効の見通しがつかないのも事実であります。  先日の通常兵器条約、いわゆる地雷、その議定書の質疑で、オタワ・プロセスの推進の必要性に対する大臣の所見いかんとの我が党の議員の質問に対して、大臣は、なるべく多くの国が、できるならばすべての国が全面禁止ということに賛同するということでなくては実効が確保されないのではないのか、このようにお述べになっております。さらに、オタワ・プロセスには今の段階では参加できないと答弁しております。  それでは、本条約の実効性はどうなのかといえば、今述べましたように、インドが反対の姿勢を覆さない限り発効の見通しがないわけです。すなわち、実効性がないのではないのか、このように言えると思います。  軍縮条約あるいは核の管理という分野で、同じようにコンセンサスが得られていないものに対して、一方においては、CTBTには積極的であって、他方においてオタワ・プロセスにおいては消極的である、こういうスタンスをとること自体がおかしいのではないのか。論理的なそういう疑問が出てくるのですが、日本政府としての姿勢をお伺いしたいと思います。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 地雷関係につきまして、私たちが申しておりますのは、できます条約が有効なものであるためには、地雷の使用でありますとか地雷の生産でありますとか地雷の移転をやっているような国々が条約の交渉に参加する、そういう交渉に参加することによってそれらの国々を取り込んでいくということをしなければ、地雷問題の根本的な解決にはつながらないのではないか、そういう考え方があるものですから、そういう使用、移転、生産をやっている国々が入っておって、かつ従来から軍縮についての条約交渉をやっております軍縮会議で交渉というものを進めるということにすればどうであるか、こういうことを言っているわけでございます。  まさに、CTBTにおきましても、インドを含めまして、立場を必ずしも同じくしていない国々がたくさんあったわけでございますけれども、軍縮会議の場におきまして、交渉を長期にわたって行いまして、それで、最終的にはインドは軍縮会議のコンセンサスには参加しなかったわけでございますけれども、非常に多くの国々の賛同を得るという結果になった、こういうことでございます。  そういう観点から申しますと、地雷問題の交渉について我が国の対応と申しますのは、CTBTについての交渉に対する我が国の立場と同じものである、このように考えております。  さらに、今御指摘がございましたけれども、大臣及び私の方からもたびたび申し上げておりますけれども、我が国自身としてオタワ・プロセスに消極的であるということはございませんので、対人地雷の全面禁止に向けた政治的なモメンタムを高めるという観点から、オタワ・プロセスは貴重なものであると考えてきておりまして、関連会合に我が国としてはずっと参加してきている、こういう状況でございます。

東祥三新進党

○東委員 広島に投下された原爆は二十キロトンであったと言われております。今現在、百八十カ国以上の国がNPTに加盟しており、監視の目が極めて厳しい現在、ひそかに核開発を行おうとする国があったとしても、大気中で核実験を行うことは難しい。当然、より探知されにくい地下での実験となるのだろうと推察します。核開発を考える者あるいは国は、より小さな爆発による実験を目指して、国際社会はより小さな爆発でも見逃さない体制をとるのは当然だろう、このように思います。  本条約では、四種の監視施設によってどの程度の規模の核爆発まで探知することを目指しているのか、お聞きしたいと思います。  また、核実験はどの程度小さな規模でその目的を果たすことができると考えられているのかについても、お伺いしたいと思います。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 この条約におきましては、今御指摘がございましたとおり、条約が発効するまでの間に地震、放射性核種、水中音波それから微気圧振動という四つの種類の監視技術を用いた国際監視制度を確立するということにされておりますけれども、将来完成するに至ります監視制度の技術的な要件については、今後、包括的核実験禁止条約機関準備委員会において検討されていくということになろうと考えますので、現時点で具体的に申し上げることは困難でございます。  それから、第二の点につきましては、これはいろいろな意味での核実験というものがあろうと思いますので、その規模はいろいろな規模のものが考えられる。もしやりたい国がやろうと思えば、目的に従った形でのいろいろな実験をやるということが考えられるかと思います。

東祥三新進党

○東委員 インド、パキスタンはともにNPTに未加盟でありますし、本条約には署名すらしておりません。したがって、仮に両国が核実験を行って核兵器を保有することになっても、国際法上連法であると非難することはできないのだろう、このように残念ながら思わざるを得ません。  この点について政府の御見解を聞きたいと同時に、こういうインド、パキスタンに対して、本条約に署名し、また批准させるそのバーゲニングパワーを日本というのは持っているのか、持ってないとするならば、どういうふうにすればインド、パキスタンを説得させていくことができるのか。どのように外務大臣お考えでしょうか。前者はよろしいですけれども、後者は外務大臣。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 最初の御質問でございますけれども、これは委員がもう言われましたとおり、仮にNPTもしくはCTBTの当事国でない国が核実験を行ったといたしましても、条約の当事国でない国は条約に拘束されることはございませんので、直ちに国際法違反の問題が発生することはないと私たちも認識しております。  しかしながら、同時に、NPTは国際社会の大多数である百八十六カ国が締結しているという状況でございますし、CTBTも現時点で百四十四カ国が署名しているということにかんがみますれば、核実験を行うべきではないという明確な認識が国際社会に広く共有されている、このように考えます。  そういう意味で、インドやパキスタン等の国が核実験を行うという場合には、非常に強い国際的批判にさらされることは間違いないものであると考えております。

東祥三新進党

○東委員 一昨年十二月、アメリカの報道紙は、米国の偵察衛星がつかんだ情報として、インドが二回目の実験を準備していると報じました。これを受けるように昨年二月には、パキスタンの外相は、自国の情報機関の分析に基づいて、インドが準備していたのは核融合による核実験だったと指摘しました。  常にインドの核保有に対して神経をとがらせているパキスタンは、インドが核実験を再開すれば後を追うおそれがあります。幸い、現在まで両国にそれらしい動きはないようでありますが、インド、パキスタンの核開発状況及び核の保有についてまず政府はどのように見ているのか、この点についてお伺いさせていただきたいと思います。  そしてまた、仮に両国が核実験を行い核兵器を保有することになった場合、国際社会はそれに対して何らかの制裁を行うことができるのかどうなのか。あるいはまた、日本としてそういう状況になったときにどのようにされようとするのか、この点についてお伺いしたいと思います。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 いろいろな報道等がございますけれども、インド及びパキスタンの核開発及び核の保有状況につきましては、必ずしもこれを裏づける客観的事実は十分明らかにされておりません。その意味で、我が方としてはコメントを差し控えたいと考えております。  いずれにいたしましても、インド及びパキスタン政府は、従来から、核開発能力は有しておるけれどもあえて核兵器の製造は行わないできたとか、核実験を行ういかなる計画も有しておらず、平和的な核利用を行っているという趣旨の発言を行ってきたと承知しております。  いずれにしましても、いろいろな機会をとらえて、我が方の考え方、懸念を両国政府に従来からも伝えてきましたし、今後とも必要な働きかけをやっていきたいと考えております。  仮に、両国いずれかの国が核兵器を保有した場合に、これは先ほど申しましたとおり、直ちに国際法に違反することにはなりませんけれども、国際的に制裁措置がとられるべきか否かというようなことにつきましては、やはり個別具体的な状況に即して判断されることになろうかと思いますので、現時点において一般的に申し述べることは困難であるかと考えます。

東祥三新進党

○東委員 あと時間が四分ほどしかなくなってしまいましたので、済みません、CTBTに関してはこれぐらいにさせていただいて、プラスチック爆薬条約の方に移らせていただきます。  本条約についての外務省作成の説明書には「我が国は、国際的なテロリズムの防止に高い関心を有しており、」云々と書かれておりますが、現内閣の行動を見ておりますと、関心はあったとしても、行動が余り伴っていないのではないのか、このように思わざるを得ません。  現に、ペルー事件への対応には全く主体性が見えなかったと私は判断しております。我が国政府に対して武力突入についての事前連絡がなかったことは、ペルー政府さえ我が国の主体性の欠如を認識していたことを示しているのではないのか、このように思っております。  我が国政府が持っている関心は、高い関心どころか低い関心ではないのかとの疑念を持たざるを得ません。国連総会やサミットで早期締結が呼びかけられている本条約を、六年以上も経ないと国会に提出できない我が国政府のどこに国際テロ防止に対する高い関心があるのか、このように言わざるを得ません。外務大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 ただいまの御発言は、御質問というよりも、東委員としての政府の姿勢に対する評価の表明であるというふうに受け取らせていただきます。したがいまして、答弁というよりも、政府としては主体性を持ってテロに対処していく、そういう姿勢でやっていく。これまでもやってまいりましたし、これからもそういった方針であるということを申し上げさせていただきます。

東祥三新進党

○東委員 外務大臣のお気持ちは理解しました。  ただ、一つ訂正があります。私の名前はヒガシではなくてアズマでございます。どうぞよろしくお願いします。  本条約は、いわゆるテロ防止関連条約の一つであると思っております。ところで、テロ防止関連条約にはこれを含めてほかに幾つあるのでしょうか。時間がないので僕が言いますが、十一あると思います。十一のうち、まだ日本が批准していない条約というのは幾つあるのでしょうか。

齋藤正樹外務大臣官房領事移住部長

○齋藤政府委員 テロ関連条約の中で日本がまだ批准していない条約は、今お諮りしております可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約を含めまして四本でございます。残る三本は、いわゆる空港テロ議定書、シージャック防止条約、大陸棚プラットホーム議定書の三本でございます。

東祥三新進党

○東委員 今説明がありましたとおり、本条約を除けばまだ三つの条約に加盟していないわけです、外務大臣。外務大臣が一生懸命日本政府はテロ対策に取り組んでいると言ったとしても、まだおくれちゃっているのですね。この点についてどうですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 個々の条約につきまして、その内容をよく検討し、我が国としてそれにどの段階でどういうふうに対応していくか、適切に判断した上で、これから国会へお諮りするなりなんなり、検討してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、テロの絶滅に対して、国際社会の大きな流れというものを大切にしながら、我が国もその中で積極的に対応していく、対処していくという基本方針に変わりはないところでございます。

東祥三新進党

○東委員 もう時間がありませんので、外務大臣、一つ提案がございますが、国際会議において、特にテロ問題に関しては日本は一生懸命国際会議における宣言には参加しているのですけれども、前回の委員会においても私は申し述べさせていただいておりますが、日本国としてテロ対策問題に関してのちゃんとしたスタンスを内外に、日本独自の宣言としてつくられた方がいいんじゃないのか、このように私は思っているのです。  外務省の中にでもそのような委員会を設置されるなり、既存の局でも構わないわけですが、そこで日本独自の、独自といいますか国際社会に普遍的な一つの原理原則としてあるものを踏まえた上で、日本として発信されたらどうなのか、このように思います。これをもって終わらせていただきますが、外務大臣、御所見いかがですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 政府としての方針は、早くは昭和五十三年にハイジャック等との関連において基本方針を決定し、内外に宣明した次第でございます。それ以降、G7、サミットほかのいろいろな国際的な場におきまして、国際社会としてのテロに対処していく宣言なり合意などは何度もできたわけでございますが、その都度、日本といたしましては対処方針を明確にし、そういった中に積極的に参加し、また役割を果たしてきたところでございます。また、将来に向かっても、政府としても、我が国自身のあり方としても、また国際社会における共同行動においても、そういった姿勢で臨みたいと存じます。  今の東委員の御提言につきましては、貴重な御提言として受け取らせていただきます。

東祥三新進党

○東委員 ぜひお願いします。五十三年のハイジャック等に対する対処方針、そういうものも全部踏まえた上で言わせていただいているわけです。今回の問題を通しても、まだまだテロに対しての意識それ自体が極めて希薄だ、そういうことも踏まえた上で、ぜひよろしくお願いします。  三分超えてしまいました。どうもありがとうございました。

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 次に、前原誠司君。

前原誠司民主党

○前原委員 民主党の前原でございます。  まずCTBTにつきまして二間質問をさせていただきたいと思います。  アメリカのペニャ・エネルギー長官は、未臨界実験につきまして、貯蔵核兵器の安全性と信頼性を確保するためには不可欠な実験であり、環境への影響はないと指摘をしまして、CTBTにも抵触をしないと述べておられるそうであります。アメリカは以前より、核爆発を伴わない実験は核実験ではないとしておりますけれども、プルトニウムなどの放射性物質を使用するために、インドなどからは実質的な核実験であるという批判を受けているところであります。  未臨界実験は本条約上の核爆発に当たらないとの認識にコンセンサスは得られているのかどうか、また、未臨界実験を認めることが非核兵器国の核開発を容易にすることにつながらないのかどうか、政府の御所見をお伺いします。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 今述べられましたいわゆる未臨界実験と申しますのは未臨界高性能爆薬実験ということだと思いますけれども、核分裂性物質を高性能の爆薬により爆縮はさせますけれども、核分裂連鎖反応が持続しない未臨界の状態で反応がとどまる実験であるとされておりまして、この条約に言う核爆発に該当しないというのが国際社会の共通した理解または認識であると考えております。  実際に条約交渉の過程において、未臨界実験が核爆発に該当するということでこれを行えば条約に違反することになるという主張は、交渉中も、さらに条約が成立しました後の交渉後もどこからもなされていない、このように承知しております。  さらに、この実験は今言われましたとおり、新たな兵器の開発ではなくて、既存の核弾頭の安全性と信頼性の確保に資するということで行われるものと承知しておりますので、こういう意味で、実験自身がこの条約の禁止の対象となっていないということが核開発を容易にするということにはつながらない、このように思っております。

前原誠司民主党

○前原委員 次に、まだCTBTについて質問をいたします。  本条約の第八条には、この条約の発効の十年後に締約国会議を開催して「締約国の要請に基づき平和的目的のための地下における核爆発の実施を認める可能性について検討する。」と規定をされております。この条文は中国が従来より条約に盛り込むことを主張していたものでありますが、中国の軍縮大使は、中国には未開発の広大な土地があって、そこに資源が埋まっている可能性が高い、しかし中国には調査、発掘する資金も技術もない、将来、発掘などの技術に応用できる可能性があると述べて、平和的核爆発に固執する理由を述べているわけであります。  昨年六月の報道におきましては、核兵器国がこの条文を条約に盛り込むことを合意したことに関して、次のように報じております。この条文は、中国の顔を立てる意味で盛り込まれたものである、非核国である日本、カナダ、ニュージーランドは平和的核爆発に強く反対をして、特に我が国は被爆国の立場から、禁止対象に抜け穴や例外は認められない、平和的核爆発を条約に盛り込まないようにするのは日本にとって重要な問題であるとしていますし、私も以前、外務委員会に所属をしていたときには、そういう発言を政府も述べておられたと記憶をしております。  この報道の真偽はいかがかということと、なぜ我が国がこの条約に第八条を盛り込むことに、言ってみれば妥協したと受け取られる行動をとったのか、お伺いをしたいと思います。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 いわゆる核爆発のスコープという問題、すなわち禁止されるべき対象が何であるべきかということについては、我が国は交渉中、一貫して、あらゆる例外が認められるべきではない、すべての核爆発が禁止されるべきであるということを主張してきておりました。その他の多くの国々が、やはり同じような立場をとっていたわけでございます。他方、中国が正面から、平和的核爆発というものを条約の例外とすべきであるということを主張していたことも事実でございます。  その意味で、いろいろと交渉が行われてきたわけでございますけれども、その交渉の最終結果が、今言われましたとおり、八条の一項というものになったわけでございます。  この八条の一項の該当部分をちょっと読ませていただきますと、「検討会議は、締約国の要請に基づき平和的目的のための地下における核爆発の実施を認める可能性について検討する。」こういうことになっております。その後でございますが、「検討会議は、コンセンサス方式により当該地下における核爆発を認めることができることを決定する場合には、この条約の適当な改正であって当該地下における核爆発によって軍事上の利益が生ずることを排除するものを締約国に勧告するために遅滞なく作業を開始する。」となっております。  すなわち、まず、検討会議におきましてコンセンサスで決定をしなければならない。仮にコンセンサスによって平和的核爆発の実施を認めるという決定を行いましたとしても、今度は条約七条の改正手続によって条約の改正が必要となります。この条約の改正は七条を見ていただきますとわかると思いますけれども、改正につきましては一カ国でも反対票を投じないこと、さらに、締約国の過半数が賛成することが必要となっております。  こういうことから考えますと、まず検討会議におけるコンセンサス、それから改正手続における一カ国も反対票がないということを考えてみますと、平和的核爆発を行い得る可能性は将来にわたって閉ざされている、このように考えてよいと思っております。  そういう意味で、我が国としても、条約の早期成立という観点から、第八条の規定を受け入れることにしたということでございます。

前原誠司民主党

○前原委員 ということは、今の河村審議官のお答えでありますと、十年後に検討会議あるいはそれの後の全体の会議においてそういうテーマが出てきたときにおきましては、一カ国でも反対をすればそれは成立をしないということ。ということは、今まで日本は例外を認めないということを主張してきたわけですから、そういうことになったときには日本としては反対をするということで当然理解をしてよろしいわけですね。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 我が国の従来からの主張にかんがみまして、このようなコンセンサスにいわゆる入るというようなことはとても考えられません。

前原誠司民主党

○前原委員 ありがとうございました。  それでは、可塑性爆薬条約に移らせていただきます。  この条約の設立の契機となったというのが、昭和六十三年十二月に発生をしたパンナム機の爆破事件だということをお伺いしました。スーツケースに入れられたラジオの中にセットされたプラスチック爆弾が爆破をしたという事件でございました。  空港におきましては荷物及び乗客に対して厳しいチェック体制が求められておりますけれども、国際航空郵便が旅客機によっても輸送されることを考えると、各国の郵政局による郵便物のチェック体制のあり方についても厳しく見直されるべきではないかと思います。  現に、「条約の締結により我が国が負うこととなる義務」というところに、「可塑性爆薬を製造することを禁止し及び防止するために必要かつ効果的な措置をとること。」「領域への又は領域からの識別措置がとられていない可塑性爆薬の移動を禁止し及び防止するために必要かつ効果的な措置をとること。」ということが書かれております。  テロなんというのは、要は勝手にこういう爆弾をつくるわけでありまして、識別認識をつけるということについては望むべくもないわけですね。では、そういったものをいかにチェックするかということは極めて難しいけれども、今後、テロに毅然と対応していくということを考えれば、こういう国際郵便というものについてのチェック体制というものも考えていかなければいけないことだと私は思います。  何か調べていただいたところによりますと、シート型のプラスチック爆弾というものがもう製造されているということを考えれば、小包だけではなくて封書等も含めてすべての郵便物について、この条約というものを我が国が締結するのであれば、厳しいチェック体制を確立しなければいけないということでありますけれども、この条約の締結というものを受けて、この締結により我が国が負うことになる義務というものを果たす上で、郵政省はどういうふうに取り組みをしようとされているのか、お伺いをしたいと思います。

安住透郵政省郵務局国際課長

○安住説明員 各国の郵政当局における郵便物のチェック体制と郵政省の取り組みについての御質問でございます。  国際郵便では、小包だけでなく封書等も含めまして、万国郵便連合、UPUの場における多国間の枠組みにより、爆発物等の禁制品に指定されたものを互いに引き受けることがないようにしているところではございますが、さらに、郵便を利用したテロ行為への対策等について検討する作業部会を設置し、加盟国間の協力関係の強化に努めているところではございます。  一方、我が国におきましても、従来から全国の郵便局におきまして、危険物在中の疑いのある郵便物について、差出人に内容物の種類及び性質につき申告を求め、必要があれば郵便物の開示を求め、これに応じない場合は引き受けを断ることとしております。また、全国の郵便局に金属探知器を配備して、疑わしいと思われる郵便物の引き受け検査を行っているところでありますが、さらに今後も一層適切な検査を行うべく努めてまいりたいと考えているところではございます。

前原誠司民主党

○前原委員 我々、外国に行ったり外国から帰ってくるときに荷物の検査を受けるわけでありますけれども、もしそういうものを人が持って入らずとも、郵便などで送られたり送ったりする場合においては同等のチェックをやはりすべきだと思いますけれども、すべての郵便物に対してそういうチェックが行われているのかどうか。国際郵便あるいは海外から来る郵便について、不審物だけチェックをしているのかどうか。何か聞くところによると、不審物しかそういうチェックをしていないということでありますけれども、少なくとも国の外に出たりあるいは外から国に入ってくるものについては、すべてチェックをする体制というものをとるべきであると思うのですけれども、その点はいかがですか。現状等をお話ししていただけますか。

安住透郵政省郵務局国際課長

○安住説明員 国際郵便の検査においては、税関当局とも協力の上行っております。具体的検査の方法については犯罪防止のため申し上げられないところでございますが、郵政省におきましては、今後ともさらに一層適切な検査体制を行っていきたいと考えております。

前原誠司民主党

○前原委員 ぜひ、この条約を締結する以上はそういう義務が生じるわけでありますから、よろしくお願いを申し上げます。  次の質問に移らせていただきます。  外務大臣にお伺いをしたいと思うわけでありますけれども、日米防衛協力の指針の見直しについて御質問をさせていただきたいと思います。  今、中間報告に向けて政府部内で懸命の作業をしていただいているものだと認識をしておりますけれども、まずこのガイドラインの見直しをする上でどういう方針で臨むのかといったところが私は非常に重要だと思うのです。  私が思いますのに、アメリカの世界戦略というかアジア戦略というものは当然あって、そしてその位置づけの中で、自国でやることについては自国でやる、しかしそれでできないことあるいはやってほしいものについて各国に要請をするというところは出てくると思います。  きょうの毎日新聞に千五十九の要望項目があるというような記事も載っておりましたし、それは平成六年ですか、朝鮮半島の緊張のときの経済封鎖のときにそういう要望が出て、整理されたのが千五十九というふうに私も伺っておりますけれども、ガイドラインの見直しにおいては、アメリカの世界戦略なりアジア戦略の中で日本にやってほしいものを、ただ単にできるできないという判断の中で処理をすべき問題ではないと私は思っています。  日本がどういう安全保障体制を築いて、そしてそれについてある方向性を持って、そして日本についてはできるものとできないもの、あるいはやるべきものとやるべきでないもの、そういうことをきっちり明確にした上でアメリカの要望と突き合わせて検討するということでなければいけないと思います。  そういう意味で、きょうの新聞をまだ私もすべて詳しく読んだわけではございませんけれども、ガイドラインに臨む基本方針として、ただ単にアメリカから言われたものをできるできないという整理をするのじゃないのだということをちょっと確認させていただきたいと思いますが、その点について外務大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 当然のことといたしまして、ガイドラインは日米の防衛協力をやっていく、これは日米安保体制に基づいて両国が共同して我が国の安全を確保していくわけでございますし、あるいは極東の地域の安定、安全を確保するために米軍が行動する、それに対して日本は基地を提供するほかにいろいろな協力をする、こういう枠組みになっておるわけでございます。  そういった条約上規定されている役割を果たしていく上において日米が協力する、これは当然、条約の両当事者でございます両者の合意によって決まるものでございますので、一方的に一方の当事者であるアメリカが、こんなものが必要だどうだと言われて、日本がこれは結構でございます、この辺はちょっとというふうなやり方ではない。当然、日本は日本としてこの日米協力がこの分野でこういった形で必要だなということを自主的に判断し、また米国では米国としていろいろなお考えもございましょう。そういったものをお互いに突き合わせながら、共同の意思として決定していく、こういうものだと思います。

前原誠司民主党

○前原委員 そういう前提でやっていただいているということは大変頼もしいことでありますが、それを前提としてまた質問に移らせていただきます。  法律というものは確かに重要なものであって、法治国家としてそれを守るということは必要なことだと思うのです。ただ、防衛協力の具体的な中身というものを、まず憲法ありき、あるいは集団的自衛権の行使をしないということありき、それにおいて枠を決めてしまうのはいかがなものかということを私は思っているわけです。  確かに、政府の方針としては、憲法の範囲の中で集団的に自衛権の行使はしないという前提でそれを行うということを言われております。ただ、昭和五十三年に決められたガイドラインというものが、一項、二項については、指針は決まっているけれども、それから先の法的な整備というのは進んでいない。三項のいわゆる周辺の有事のことについては指針すらもきっちり決まっていないということを考えると、それはグレーゾーンというものに対する考え方をどうするかという整理が、昭和五十三年からこの二十年近くできなかったというところにあると私は思うわけです。となると、まず法律でできるできないというところを考えてしまうと、法制局の立場になると、グレーゾーンというのは文章で書くと、それはできるできないというふうなところ両方にかかってくる問題だから、どうしても疑義があるということになってしまって、結局はそれはやらないということで決まってしまうケースが出てくるのではないかという危惧を私はしているのです。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕  したがって、今の政府の方針に盾を突くつもりはございませんけれども、まずはグレーゾーンの問題も含めて、日本として安全保障をきっちりと義務として遂行する上で大切なものかどうかという観点から具体的な物事については判断をして、そして、大切だけれども、では法的に照らしてどうなのかといったところの議論をするべきだと私は思うのです。つまり、法ありきじゃなくて、日本として何をすべきかであって、その後に法律としてどう照らし合わせていくかという順序で議論をすべきだと私は思いますけれども、その点、大臣ちょっと簡単に御答弁いただけますか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 今回の作業では、五十三年に決めましたガイドラインのうちのいわゆる第一項、第二項につきましても、その後の情勢の変化等々を踏まえながら、見直すべきところは見直します。  しかし、それ以外に、委員御指摘のとおり、いわゆる第三項について整備されていない部分が非常に多うございますので、これをきちんと決めていく。その際に、どういうふうにやっていくかということでございますけれども、やはり両方あるのでございましょうね。事実行為として、事実の問題として、一体どのような行動、どのような協力が必要かということをもちろん検討しなくてはいけない。しかし、一方において、それが法の枠組みとの関係でどうかというのも当然検討しなくてはいけないと思います。それで、どちらが先にあるかという点につきましては、まあ先、後というよりも、両方調整してやるという話なのかなと思います。  ただ、同じ法律といいましても、憲法とそのほかの下部法令との関係は、これはまたおのずから別のものがあると思います。それは政治論として言えば、憲法といえどもそれは改正は可能なのでございますから同じかもしれませんけれども、しかし、そこにはおのずから違いがある。  特に、現在橋本内閣におきましては、このガイドラインの作業を進めるに当たりましても、現行憲法のもとで認められたもの、そういった枠内でやるのだ。そうしてまた、憲法の解釈についても、これはあるいは委員、お考えが同一でないかもしれませんけれども、集団的自衛権の行使の問題等、これまで歴代政府がとってまいりました基本的な解釈についてはこれを維持してやるという、そういった意味では、この憲法にかかわる大きな枠はございます、法律の面からも。  しかし、それ以外の下部法令の関係につきましては、これはいろいろ作業を進めていく中で、もし、現行の法令ではできないけれどもこういった日米協力はやるべきだということが結論を得られるならば、また国会にお諮りして法律を変えるなりなんなり、もとより憲法の枠内の改正でなくちゃいかぬわけでございますけれども、そういうことはあり得るということを申し上げたいと思います。

前原誠司民主党

○前原委員 今の御答弁ですと、集団的自衛権の今までの政府見解というものの解釈は変更しない、そういうことでよろしゅうございますですね。  ただ、私はこれは非常に問題があると思っているのは、広義の意味で集団的自衛権というものを考えたときに、同盟関係にある二国の片方が第三国から戦争をしかけられたりあるいは侵略を受けた場合については、同盟国がみずから侵略を受けたもの、あるいは攻められたものとして応援をする、あるいは対処をする、こういうことになると思うわけですね。  集団的自衛権の行使はしないと言いながらも、じゃ、日本とアメリカで同盟関係を結んでいて、そして武力行使の一体化になるようなことはやらないと言いながらも、一たんそういう第三国との交戦状態になったときに、アメリカに対して日米安保条約に基づいて基地を提供している、相手は、僕はこれは集団的自衛権の行使を日本がしていると必ずみなすと思うのですね。  基地の提供というのはそれはすごく大きな意味を持つことです。地理的に考えて、もしアジアのどこかの国で戦争が起きたときに、アメリカがそれに対して行く。そしてそれに対して日本が、遠く離れたアメリカではなくて日本というアジアの、しかも紛争状態にある地域と極めて近い地域に基地を貸しているということ自体が、私は広義にとらえた場合には、これはもう集団的自衛権の行使になると思うのですよ。  ただ、今まで、日本は憲法の第九条というものがあってそれで集団的自衛権の行使はしないという中で、しかし現実的な政治の流れの中で、つまり冷戦という意味ですけれども、日米安保条約を結んできているという、非常にゆがんだ意味での集団的自衛権の解釈を私はしてきていると思うのです。  例えば集団的自衛権の解釈をどういうふうにその武力の一体化までいっているかというと、憲法九条で、武力の行使は行わない、そしてもし自国が攻撃された場合においては必要最小限度の武力の行使を行う、しかしそうでない場合については武力の行使とかあるいは武力の威嚇というものは行わない、こういうことになっているわけですね。ですから、その中で武力の行使、武力の威嚇を行えということで、集団的自衛権は一体何なのかというところで武力行使との一体化という議論が出てきているわけであります。  その一体化自体が、今までの政府見解の中で、じゃ明確に決められているのかどうかといえば、私は政府の今までの答弁を見ても、平成二年の湾岸の危機のときの法制局長官の答弁を見ても、今までの政府見解、統一見解ではなくて、どの委員会か忘れましたけれども、その話された委員会の中での武力行使との一体化の基準が示されているしかないのですよね。極めてそこら辺はあいまいなわけです。  そういう今までの政府見解の変遷とかを見たときに、じゃ、武力行使との一体化というもの自体も明確に決まっていないけれども集団的自衛権の政府見解というものは変えません、解釈を変えませんと言われても、それ自体は逆にきっちり固まったものとして政府は持っているのかどうかといったところは私は極めて疑問なんですね。  何を言いたいかと申しますと、具体的な事例がこれからガイドラインの見直して出てくると思いますけれども、そういう具体的な事例で、例えば文言として書いたときに、例えば公海上における機雷掃海ということを言ったときに、これは多分どちらにもとれる話になると思うのですよ。  例えば公海上でも、日本に近い公海あるいは紛争地域に近い公海と分かれます。そして戦闘状態であるかどうかといったところでも判断が分かれる。つまり、公海上における機雷掃海というのは、そういう文章の今までの判断からするとグレーゾーンで、だめになるかもしれないというようなことで、政府内のいわゆる調整の中で、政治の場で議論をすることすら与えてもらえないというような状況になるのを私は非常に危惧をしているわけです。  機雷掃海とかあるいは武器や弾薬の日本の領域内での補給というふうなものについては、これは実際に物事が起こったときには私はやはりやるべき話になってくるのではないかと思うわけです。それを、法律の解釈だけで、法制局が難色を示すから中間報告でもそういうものが落ちてくるということについて、非常に危惧を持っているわけです。  いまだ具体的な中間報告を出される前ですから具体的なお話はされないと思いますけれども、そういった幅広い、一番初めに御質問したように法律ありきじゃなくて、日本にとって何が必要なのかという観点から、まず国会に中間報告を、あらあらのものでもいいから出してもらって、そしてその法律の解釈も含めて政治的な議論というものをしてもらうというような方向で、中間報告をできるだけ広い範囲で僕は出してもらいたいと思います。  その点について、ちょっと大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 具体的な事柄、これがどうだこうだということは、委員も御指摘になりましたような今の段階でございますので、控えさせていただきますけれども、私どもも国会での御議論も、なるべく今回の作業、透明性を持ってということでございますから、抽象論あるいは法律論に終始するということでなくて、やはり現実に日米防衛協力をどういうふうに進めるのかというある程度の具体性を持って御議論いただくことが必要がな、こう思います。  それと、もう一点申し上げたいところは、もとより事実として一体どういう協力を行うことが適当であるかということを考えていくわけでございますが、その場合に、やはり法律的な観点からいってこれはできないというものもあると思いますですね。しかし、すべてそれだけでやるわけじゃない。逆に、法律あるいは憲法の枠内においてできるものがあっても、それをすべてやるんだというわけじゃない。逆の意味でのすき間もあるということもある。いずれにしても、そういうことで、法的な枠組みと実際のニーズというものと、それをあわせ御判断いただけるような形にしたいと思います。

前原誠司民主党

○前原委員 もう時間が来ましたので終わらせていただきますけれども、一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。  先般、十名ぐらいの若手の議員でキッシンジャー博士にお会いをする機会がありまして、外務委員長も御一緒だったのですけれども、そのときにキッシンジャー博士がどういうことをおっしゃっていたかといいますと、ガイドラインについては細かいことを書くべきじゃないとおっしゃったのですね。前提条件として、私は少数派の意見だけれどもとおっしゃったのです。  私は考え方が違うのですけれども、ある意味でわかるのは、平時において、何も起こっていない状況において考えるということと、それから、実際何かが起きたときに、具体的に本当に必要性が出てきたときに考えることというのは、随分考え方というか、出る結論には私は乖離があると思います。  余り平時の何もないときにきっちりした法律論に基づいて何かの結論を出すということ、拙速は、急ぐなという意味で私は解釈をしまして、そういう意味で、ある程度ガイドラインについては幅広い議論ができて、そしてフレキシブルな対応ができるようなものにもしていくべきではないかということで、できるだけそういう議論を政治の場に提供していただけるような中間報告になることを要望して、質問を終わらせていただきます。

福田康夫自由民主党

○福田委員長代理 松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 包括的核実験禁止ということ は、唯一の原爆被爆国として歓迎できるものですが、これで済ませてはならないんじゃないか、核兵器廃絶に向けて飛躍をつくり出すことが重要ではないかと私は思います。  包括的核実験禁止条約についてでありますが、前文で、「すべての核爆発を停止することは、核兵器の開発及び質的な改善を抑制し並びに高度な新型の核兵器の開発を終了させる」と書いてあります。核実験をやめさせることは重要でありますけれども、この条約が目指すところは、今の前文で読みましたように、核兵器の開発と質的な強化、あるいは高度な新型核兵器の開発を防ぐということにあると私は思います。すると、今ある核兵器をなくすことを目指すものではない、一言で言えばそういうことになると思いますが、いかがでしょう。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 もとよりこのCTBTは万能ではございませんで、今おっしゃるように基本的にすべての核実験を禁止しよう、そのことを通じて、おっしゃられるような新しい核兵器が開発されるというようなことを抑えていく、そういった効果があるわけでございますが、他方において、現在既にこの世界に存在する核兵器というものが、それでは直接このCTBTによってなくなるのか、あるいは削減されるのかと申しますと、そちらの方はまた別途の措置が必要である、また現実に、そのような核兵器の大幅な削減を図っていくためのいろいろな努力も続けられているということは、委員御承知のとおりでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この条約が、もちろん実験だけの問題ですが、その方向がどうかということを問題にしているわけですが、核兵器の質の問題でいいますと、アメリカはこれまでの核実験で、核兵器の質的強化、あるいは新型核兵器をつくり出すデータをすべて持っている唯一の国だと言えると思います。現在の核保有国の中で、条約に基づく核実験禁止によって手痛い打撃とならない国はアメリカだけということになるのではないかと私は思いますが、その実態を外務大臣、どう見ていらっしゃるでしょう。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 アメリカは、このCTBTの成立を受けて自国の核兵器の問題についてどういうぐあいに考えるかということを、かなり前から明らかにしております。九五年の五月に、ストックパイル・スチュワードシップ及びマネジメント計画というものを発表しております。  日本語であえて訳しますれば、保有核兵器の管理運営計画というようなことかと思いますけれども、この管理運営計画において述べておりますのは、この計画は、核実験がなく、新兵器の開発及び製造もない時代の米国の核兵器保有の安全性及び信頼性を維持するための統合された技術的計画である、このように言っておるということでございますので、アメリカは、自国の核兵器の安全性及び信頼性という観点からいろいろなことを考えているということが言えるかと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 アメリカは、やはり自国のことをかなり強く考えていると思います。アメリカは非常に強烈な核兵器を確保、開発する言動を繰り返しておりまして、この条約では脱退条項がありますが、クリントン大統領は、九五年八月十一日の大統領声明で、必要な場合には条約から脱退することを表明しています。外務省からいただきましたクリントン大統領の発表によりますと、米国の核抑止力の安全性及び信頼性がもはや確保されなくなった場合、必要な核実験を実施するため、全面核実験禁止のもとで大統領が議会と協議しつつ、自国の至高の利益に対する権利を履行する条件を特定していると。  世界で唯一の強力な核兵器保有国であるアメリカを追い抜いて、アメリカを凌駕する核兵器をこれから保有できる国などはあり得ないことだと私は思います。にもかかわらず、アメリカが必要と判断すれば必要な核実験を実施するという表明を行う、この大統領の発表はそういうことでありますが、アメリカの独占的な核優位を確保し続けるという自国の利益最優先の、いわば手前勝手な態度ではないだろうかと私は考えますが、外務大臣、いかがお考えでしょう。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 今述べられましたとおり、クリントン大統領が発表しました声明と申しますのは、この条約の第九条の二におきます脱退条項、すなわち、「この条約の対象である事項に関係する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。」という規定を踏まえたものであると考えられます。この同じような条項は、これも委員御存じのとおり、核不拡散条約にも存在している条項でございます。  そういう条項がある中で、アメリカが核抑止の安全性と信頼性が確認されなくなった事態というものをどういう意味で言っておるのかということについては必ずしも明らかではございませんけれども、一般論として申しますれば、どの国にとりましても、自国の安全保障を確保するということは極めて重要な利益であるということでございますので、まさに至高の利益を危うくしているというような状況には、自国の安全保障上の利益を考慮していろいろな判断をするということが考えられるかと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 ですから、これがやはり核兵器を世界じゅうからなくしていくという方向のものでないということですね。  私は、アメリカは物理的爆発を伴わない方法で強力な核兵器の開発、保有を確保しようとしているということを指摘をしたいと思います。コンピューターのハード、ソフト両面の技術進歩で核実験のシミュレーションが容易になったので、言うまでもなくこの点では、過去の実験データを豊富に持っているアメリカが断然優位に立っております。  さらにいわゆる未臨界実験、これは核分裂性物質を超臨界に爆縮する技術の効果を検討する目的で行われるもので、実際の核分裂性物質は使われないので核爆発は伴いませんけれども、核兵器の軽量化、小型化、あるいは新型核兵器の開発を可能にするものであります。  包括的核実験禁止は、核兵器をなくしていく方向、廃絶と結びつけてこそ意義があるというふうに私、先ほど来述べてきましたけれども、アメリカはこれが条約に書かれてないということで、シミュレーションだとか未臨界実験を進めて、核兵器存続と強化が自由にできるようになっております。  これはやはり包括的核実験禁止条約の趣旨とは違うのではないだろうか、自国アメリカだけはそういう形の開発ができるようなものというのは、この条約の趣旨と違うのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 私は、今御指摘の未臨界実験の目的というのは、既存の核兵器の安全性なり信頼性を高めるという、そういう観点からのものというふうに承知しております。また、そういったこともあり、CTBTにおきましては、未臨界の実験は禁止の対象になっているわけではございませんこともあります。そういったことで、必ずしも、米国がそのような実験をすることができるということがこの条約の趣旨と合致しないという委員の御主張は当たらないんじゃないかと思いますが。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 アメリカは開発可能なんですね。私は、日本政府としては、唯一の被爆国ですから、やはり核兵器の廃絶を求めるという立場ですべて対処をすべきではないか。包括的核実験禁止条約が締結されたわけですから、これを、いよいよ核兵器廃絶を日本外交の緊急課題として位置づけて、国連その他で私はイニシアチブを発揮すべきではないかと思うわけです。  ところで、昨年の七月八日、国際司法裁判所は、核兵器の使用や核兵器による威嚇を一般的には違法とした勧告的意見を示したことは御存じのとおりです。第五十一回国連総会では、この勧告的意見を踏まえて、決議、国際司法裁判所の勧告意見を賛成百十五、反対二十二、棄権三十二で採択をいたしました。それは核兵器の開発、生産、実験、配備、貯蔵、移転、威嚇、使用を禁止し、その廃絶を準備する核兵器協定の早期締結のための多国間交渉を一九九七年に開始することを求めたものであります。交渉開始を求めた決議に日本は棄権をしたわけです。なぜ棄権しなければならないのか。これを推進する、核兵器の廃絶協定の交渉を開始する、そのことについてまでなぜ棄権しなければならなかったのでしょうか。御説明をいただきたい。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 御指摘のICJの勧告に関連する決議案につきましては、全体として我が国は棄権をいたしました。  その前に、個別の条項についての投票がございました。  主文の第三項は、核軍縮努力を誠実に継続し、交渉を妥結する義務が存在するとの国際司法裁判所の全員一致の意見に関するパラグラフでございましたけれども、ここにつきましては、核不拡散条約第六条の趣旨に沿うものでございますので、我が国としても賛成をした次第でございます。  それから、主文の第四項、これが今御説明にございました核兵器全面禁止条約交渉の一九九七年中の開始を要請するものでございますけれども、この内容につきましては、アメリカやロシア、その他核兵器国を含む関係国との十分な検討とか調整がなされていないままこのような要請が行われているわけでございまして、こういう要請は少なくとも現実的な方策にはなり得ない、我が国としては、実現可能な具体的な軍縮措置を着実に積み重ねていくべきという立場から、こういう対立を助長するようなパラグラフについては棄権することといたしました。その意味で、決議案全体につきましても棄権をした、こういうことでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 核兵器を廃絶する協定の締結交渉を開始することにまで賛成できないというのは、唯一の被爆国である日本の国民の願いにやはり反するのではないか。大臣も広島だと思うのですが、広島選出の参議院議員で、今度IPUへ行かれて、やはり開始すべきだということを発言されていました。私は見識のあるものだと思いましたけれども、今の立場でいきますと、政府の立場でいくと、アメリカがやると言わない限り、先ほど私、詳細にお話ししましたように、アメリカは、必要な場合にはこの条約から脱退するということも、それからシミュレーションその他で開発するということも保留しているわけです。  アメリカがそういうことであれば、もう核兵器の廃絶交渉をやらないというのでは、日本は済まないのではないか。大臣、一体どういう状態になったら、日本は核兵器の廃絶協定の交渉に賛成するということになるんでしょう。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 核兵器のない世界を目指して私どももこれまでも努力してまいりましたし、これからもその努力は粘り強く続けなくちゃいけないわけでございますけれども、やはりそれは、一方において世界の現実というものも踏まえながら一歩一歩ということで進まなくてはいけないんじゃないのかな。そういった意味で、今回も、今CTBTについて御審議をちょうだいしておるわけでございますが、この後には、例のカットオフ条約につきましてそれが進展を見るように努力をしてまいりたい、こう考えております。  また、そのほか、昨年も京都で年末にいろいろ我が国主催で会合等を開きました。いろいろなことで進めてまいりたいと思いますし、今御指摘の、棄権をしたという件につきましては、先ほど政府委員からも説明しましたようないろいろな状況というものを踏まえて、今の段階ではこれはまだ十分にその状況が固まっていないんじゃないかなということで棄権という選択をしたわけでございますが、いずれにしましても、今後とも、現実を踏まえながら着実にその努力を重ねていくという方針でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 現実を踏まえながらと言うと聞こえはいいのですけれども、アメリカはこの核兵器の廃絶という方向へ踏み出さないで、先ほど来言ったように、未臨界実験などでやはり存続、強化を図っているという状況であります。やはり核兵器廃絶についての国際的な世論を大きくして、そういう中で初めてこれが実現するのではないか。  大臣は現実を踏まえてとおっしゃいましたが、アメリカが賛成するというような状況にならない限りは、日本は核兵器の廃絶のための交渉を開始するという態度にはならぬというのが今の日本の政府の態度でしょうか。重ねて伺います。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 私どもは、もとより米国とは非常に緊密な関係を有しております。とりわけ我が国の安全保障という観点から申しますと、日米安保条約ということでいわば同盟関係にあるわけでございます。  そういうことを踏まえて我々はいろいろ判断もし、行動もしていくわけでございますが、しかしながら、そうは申しましても、いかに緊密な関係にあると申しましても、米国は米国、日本は日本という別個の主権国家でございますから、それぞれの問題につきまして、みずからの判断で行動するということは当然のことでございます。しかし、これだけ緊密な関係にあり、また基本的に利害も一致する部分が多い両国でございますから、結果としてその判断が一致することは多いということは当然のことだと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、安保条約がある限りは核兵器の廃絶交渉を進めるということにはならないのですか。私は、一応別だとおっしゃいました、だけれども、今の御答弁を伺っていますと、やはり安保条約を基礎にお話しになりました、それとの関係があるからという趣旨に受け取れます。やはり安保条約がこの核兵器廃絶交渉を開始するという、日本の態度をそういうふうに決められない一つの条件になっているのですか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 核廃絶の話だけではなくて、いろいろな問題について、日本は日本として判断いたしますし、米国は米国としてその方針を決められることがあろうと思います。そういった際に、一般的に申しましても、両国は利害が一致し、あるいは立場が類似しているケースが多うございますから、国際場裏でも同一の行動をとることが多いということはまず一つございます。  二つ目には、とりわけ安全保障の面では、安保体制ということでいわば同盟関係にあるわけでございますので、文字どおり条約の形でもその両国の利害が一致しているということでございますので、とりわけいろいろなそういう安全保障面での判断なり決定に際しましては、両国間で緊密な協議が行えることは多い、その結果として同一の行動をとるということが多いということは申し上げられると思います。  しかし、それも決して一方的に、だから米国の言い分をのむということじゃございませんで、これは我々としての考え方も言い、そしてアメリカもアメリカとしての考え方を述べる、そういった中で基本的に利害、立場が一致する面が多いわけでございますから、その間にそごがないことが多うございましょうけれども、場合によっては、判断にいろいろある程度の差があること、そのときは話し合いの過程を通じ、我が方が考えを述べる中に、アメリカもそれもそうだと納得して同じ方向に来るということもありましょうし、また逆のケースもあろう、いろいろなことであろうと思います。  そういったことでございますので、核の問題につきましても、それぞれの判断はあるわけでございますが、また同時に、お互いの考え方というものもいろいろ照らし合わせながら参考にするということもあろうかと思います。  しかし、決して、先ほど委員がおっしゃいましたように、米国がある判断をする限り日本はそれ以外の判断はできないんだということがあるわけじゃない。それは安保体制があるからといっても、そういうふうな非常にかたい拘束力はもとより、影響力が働くとまでは考えなくてもよろしいんじゃないかと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 安保の問題を持ち出されたのは大臣なんですよ。だからお聞きしたんですよね。 私は、このままでいったら、いつどういう状況になったらば、核兵器の廃絶の交渉に賛成ということになるのかということを聞いたわけです。  確かに、アメリカと日本が態度を変えている場合もあります。例えば、この間ここで御質問しましたように、エルサレムの問題などは、アメリカは拒否権を使って完全に孤立。私は、やはり国際世論というものは非常に大きな役割を果たすようになってきた。そういう点でいえば、核兵器の廃絶という方向に日本が踏み切るということは、とにかく交渉を開始しようというふうに踏み切ることは、核兵器の廃絶の方向に世界の世論を持っていく上で非常に重要だと思うんですよ。  それで、どういう状況になったらできるのか、すると大臣は安保の問題を持ち出されたから、それで、安保がある限りはだめなのか、こう聞いたわけですよ。そうでないというならば、最初の質問に戻って、どういう状況になったら日本は核兵器の廃絶の交渉に踏み出しますか、この問いにお答えいただきたい。

河村武和外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官

○河村政府委員 御存じのように、一九九五年の五月に、核不拡散条約の延長会議が開催されまして、延長が決定されました。その際に、同時に、今後の核軍縮に向けての原則と目標というものが採択されまして、そこでいわゆる核軍縮の道筋についての広範な合意が成立したわけでございます。  その第一番はCTBTを妥結すること、その第二番目がカットオフ条約を行う、そういうのが核軍縮に向けての道筋であるという合意でございました。  今お諮りしております包括的核実験禁止条約はまさにその合意を受けて成立して、核実験禁止という、その長い世界の期待にこたえることになったわけでございますけれども、我が国といたしましては、まさに原則と目標に掲げられております第二番目の目標、すなわちカットオフ条約の交渉を早期に開始するということが、核兵器のない世界を目指すための重要な一歩であると考えておりますので、そのために、軍縮会議で現在鋭意努力しているということでございます。  それからさらに、現在ジュネーブの軍縮会議においては、将来の核軍縮を話し合うためのいろいろなことが議論されておりますけれども、我が国は、こういう核軍縮を話し合うための特別調整者、スペシャルコーディネーターというものを設置してはどうかという提案を現在行っているところでございます。  さらに、これも御存じかと思いますけれども、これまで過去三回の国連総会におきまして、核廃絶を訴える国連総会決議を我が国は主導してきておるという状況でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 大臣、私は、日本政府の態度、やはり国際情勢に相当おくれていると思うんですよ。核兵器の廃絶を求める国際世論は、アメリカ国内でも非常に強くなってきているというのが国際情勢の特徴であります。  一九九四年にアメリカの核兵器部隊司令部の最高司令官を退役したジョージ・バトラー将軍、昨年末に、アメリカ政府の核抑止政策に終止符を打ち、核兵器廃絶を実現すべきだということを主張いたしました。また、元NATO軍司令官であったアンドリュー・グッドバスター将軍は、九四年からワシントンの軍事、外交問題のシンクタンクであるヘンリー・ティムソン・センターが発足させた研究プロジェクトの運営委員会の座長として、四段階方式による廃絶への計画を示しました。九六年十二月五日には、この両氏を初めとするアメリカ、イギリス、ロシアなど十七カ国の元軍の最高幹部六十氏が核廃絶についての声明を出しました。日本では、元自衛隊統幕事務局長の左近充尚敏氏や元自衛隊北部方面隊総監の志方俊之氏も入っております。  そこでは、核拡散、テロリズム、新たな核軍拡競争の危険は、核兵器のない世界を必要としている、我々はこの機会を逃してはならない、これにかわる代案はないと述べております。外務大臣、核兵器のない世界を必要としているというこの主張に同意すべきじゃないですか。あなたは、それを本当に今そういう時期になってきているというふうには思いませんか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 核兵器のない世界を目指して努力をするということは、我が国政府が一貫して表明して、またそれを実現するために着実な努力を積み重ねてきたところです。先ほど来政府側から御答弁しておりますように、累次にわたる国連における決議もそうでございますし、そのほか、今回の条約にしてもあるいは次なるカットオフ条約にいたしましても、我が国は積極的にそれを実現すべく努力してまいりたい、こう思っております。  そういった意味で、委員の御主張される核兵器のない世界を目指すという点で、我が国政府の方針そしてそれのあらわれとしての努力は、決して国際社会の趨勢からしておくれているということはないと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 やはりそういう方向にもっとはっきり踏み出さないと、この条約では、先ほど来申しましたように、必ずしもそういう方向に向かってないんだと思います。  最後に一つ質問したいのですが、沖縄返還時の核密約について、私も本会議で質問をいたしました。その後、NHKとか読売など、密約についてアメリカの公文書にそれがあるということの報道も相次いでおります。  本会議での総理の答弁は、密約はないんだというふうな答弁を基礎にしているわけですけれども、日本政府が否定をしても、アメリカ政府が密約がある、公文書に幾つも載っているわけですから、密約があると思って行動するということは、これは日本政府がないと言っても、何らアメリカ政府の行動を制約しないと思いますが、いかがでしょうか。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 その点は、もう政府が終始一貫して申し上げておりますとおり、密約はないのでございます。  それで、おっしゃる報道等で密約の当事者の一人であると言われておる佐藤元総理も含めまして、歴代の総理あるいは外務大臣が明白に一貫して御答弁申し上げておるとおり、そういうものはございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私、密約がないという答弁は十分承知をしているのです。承知をしていますが、日本政府がそう言ったからといって、密約があると思って、アメリカの公文書に幾つも出ているのですから、思ってやるアメリカ政府の行動は制約できないのではないかということを御質問しているわけです。

池田行彦自由民主党外務大臣

○池田国務大臣 密約はないわけでございまして、いずれにいたしましても、我が国政府は非核三原則は守っていくわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 結局、やはりお答えにならない、答えられないということですよ。それは国際法上、日本政府が幾ら国会でそのことを何遍、百万遍強調してもアメリカ政府を拘束することにはならない。私は、私ども言いましたように、これははっきりと、日本政府はそれを認めない、密約を認めないという立場をアメリカ政府に通告をし、そしてそのことを認めさせるということが必要だということを申し上げまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、包括的核実験禁止条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――

逢沢一郎自由民主党

○逢沢委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十二分散会

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