労働委員会 第1号
- 発言数
- 165 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1996/12/17
会議録
○委員長(勝木健司君) ただいまから労働委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十一月二十九日、朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。 —————————————
○委員長(勝木健司君) それでは、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動等に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に笹野貞子君を指名いたします。 —————————————
○委員長(勝木健司君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、労働問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(勝木健司君) 労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小山孝雄君 自民党の小山孝雄であります。 十日前に長野県の小谷村で起きました土石流災害、これについて特に労災という角度から若干の御質問をさせていただきます。 働く人々の健康と安全を守るということは、これは労働行政、中でも基準行政の一番大事な使命であり大変大事なことだと、こう思っているところであります。そしてまた、働く人たちが自分の職場で不慮の事故に遭って大けがをしたり、あるいは命を失うというようなことは本当にこれはなくさなきゃいけない。私も労働委員にならせていただいてから一年半になりますが、そのことの重大さを日々思ってきているところであります。 そういう意味におきましても、土石流で既に十三名の方々の死亡が確認され、もうお一人の捜索も鋭意続けられているというところでございますが、きょうは建設省の池谷砂防課長さん、林野庁の安井治山課長さんもおいでいただいているところでございます。よろしくひとつお願いを申し上げます。 私は、あの事故は、何かをすればあの事故は起きなかったとかということはまだ言えませんし、恐らくどのような対策をしてもあの土石流の事故そのものは、災害はあっただろうと、こう思うわけであります。 しかし、あの事故に巻き込まれて、まさに現場に行っていた方からお話を伺いますと、大変悲惨な事故であり、言うなればミキサーに巻き込まれたような死に方である、亡くなり方であったということを伺っております。そうして、亡くなられた十三名の方、そしてまた行方不明のお一人の方、その無念の思いというもの、これはしっかり自分の心に刻み込まなきゃいけないだろうと思いますし、そういう人たちの思いに立って、二度とこのような事故がないようにしていかなきゃいけない、これが労働行政に課せられた大きな使命だと、こんなふうに考えるわけであります。 そこで、最初に労働大臣にお伺いいたしますが、いわゆる山地災害危険地区というところに指定されているのが約二十万カ所もあるそうでございます。そういうところで治山事業等々に働く人たちの安全と健康を守るという労働行政の最高の立場に立たれての岡野大臣のお考え、この事故に関し、そしてまたこれからこういう事故は二度と起こしてはならないという立場に立ったとき、今どんなお考えであるか、まずお尋ねをいたします。
○国務大臣(岡野裕君) 労働委員会、委員長を初め各委員の先生には平素労働行政につきまして多角的な面から御指導をいただいておりまして、最初にお礼を申し上げます。 さて、小山先生のお話でありますが、今度の北安地域におきますところのこの災害はまことに残念無念の至極だと、こう思っております。 要するに、前回の災害を今度砂防工事によって二度とこういうことがないようにしようと、言いますならば、ここに働いている、工事に当たっている皆さんは、これから人命に影響がないようにということでおのれが体をささげて一生懸命砂防工事をやっておった。その本人御自身が十四名も災害に巻き込まれる、十三名のとうとい人命を失ったということは、労働災害防止につきまして平素全力投球でやってまいった我々労働省といたしましては、本当に残念なことだと思っております。 そういう意味合いでは、この大北地域、蒲原沢だけではなくて、先生おっしゃいますように、日本は非常に地盤の脆弱な箇所が数多くある。そして非常に急峻な、言いますならば山から一気に下ってくるというような山地が多い日本の土地環境であります。そういうような意味合いで、今回のような事故が二度と起こらぬようにという腹構えで今後も万全な労働安全を確保していくべく頑張りたい、こう存じているところであります。ひとつまた御協力をお願いいたします。
○小山孝雄君 建設省さんは鈴木技術調査室長さんですね、失礼いたしました。 建設省それから林野庁にお尋ねいたしますが、極めて単純なことですけれども、なぜこのような、災害そのものはとめられなかったかもしれませんが、たくさんの方々が一度にあのような悲惨な事故で命を失うことになったのか、そしてまた多くの方々がけがをなさる、大けがをなさる、そういう事故に巻き込まれたのか、どうお考えでありましょうか。建設省そして林野庁にお尋ねします。
○説明員(鈴木藤一郎君) なぜこのような災害が起きたのかということでございますが、私ども現在いろいろな情報は収集してございますが、現在、行方不明者が先ほど委員御指摘のようにまだ一名捜索が終わっていないというような状況でございまして、これに今全力投球をしているような状況でございます。 現段階でいろいろなことを直ちに調べたいというのはやまやまでございますが、現場の方は二次災害を何としても防ぎながら一刻も早く行方不明者の捜索をしたいというふうなことでございまして、その辺の原因等につきましてまだ十分承知していない状況でございます。
○説明員(安井正美君) 今回の災害の原因につきましては、ただいま建設省さんの方から御説明がございましたように、これまで捜索活動に全力を傾注している中でございます。今後、建設省とも協力いたしまして、専門家による土石流の原因究明を進めながら、この調査結果に基づきまして今後の安全対策等を検討してまいるというふうに考えているところでございます。
○小山孝雄君 現段階ではそのような答弁しか出ないものとは思いましたけれども、あえてお聞きいたしました。 工事をやっているのが四区間にあって、そして発注者が、建設省は松本砂防工事事務所、それから林野庁は松本営林署、それに長野県ということで大変発注者も錯綜している。そして区間も四工区に分かれている。そういうことを考えましたときに、働く人たちの安全を守るということで、政府として全体にかかわる役所というのは労働省だけなんですね。いち早く現地に基準局長は飛んだようでございますが、現地での省庁間の連絡体制というものはどうだったんでしょうか。特に、世間一般に言われます縦割り行政の弊害はなかったのか、十分な連絡体制が本当にとられたのかどうか、現時点でのごらんになってきた様子をお聞きいたします。
○政府委員(伊藤庄平君) この地区におきましては、昨年の七月の集中豪雨の後、その災害の復旧工事が多数の箇所で相当の労働者が働く形で工事が行われておりました。この地域は御案内のように地盤が脆弱であること等もございまして、そういった地盤の上で同一地域あるいは隣接して多数の工事が、しかも発注機関が異なる形で行われることから、安全対策が非常に重要な課題であるというふうに私ども考えまして、長野労働基準局それから大町の労働基準監督署、昨年の九月に安全対策会議を、発注者それから事業者、そういった方に御参集願って、安全対策要綱を策定してそれを渡し、安全対策について今後の引き締めを、要請を図ったところでございます。そういった場にも関係の発注機関にも御参加いただいて受けとめていただいたところでございます。 さらに、ことしの七月になりまして、私ども安全対策会議を開催いたしまして、土砂崩壊、重機その他の建設機械に伴う事故等の防止につきまして要請をいたしました。さらに、これは発注者の方、事業者の方の協力も得まして地区に災害防止協議会を設けまして、そこの主導で小谷地区の工事につきましての安全パトロール、こういったものも実施してまいったところでございます。幸い、この地域で一番懸念しておりました土砂崩壊等による災害は今までそういった形で発生することなく推移してきた状況でございました。
○小山孝雄君 建設省、林野庁にお尋ねしますが、複数の発注者、それから多数の建設業者による錯綜した工事、これに対して発注者としての対応はどうであったのか。さらに、元請、下請の緊急時における連絡体制はどうだったのか。さらにまた緊急時の連絡体制、今基準局長から安全対策要綱を提示して十分に働く人たちの安全を守ってくれという要請もしたというお話がありましたけれども、緊急時の連絡体制は果たして機能したのかどうか、その辺についてお尋ねいたします。
○説明員(鈴木藤一郎君) 発注者としての安全対策はどうだったのかという点と緊急時の連絡体制がどうであったのかという御質問でございます。 国の安全対策につきましては、一般的に工事中の安全管理は、建設省との契約書であります工事請負契約書及び土木工事共通仕様書、こういったものがございまして、これによって請負者が行うことを基本としております。ただ、そういうことでございますので、請負者は土木工事共通仕様書及び特記仕様書に基づきまして工事着手前に工法、安全管理などに関しまして、工法ですとか安全管理でございますが、そういったことを記述いたしました施工計画書を提出いたしまして、これを遵守して工事を実施していただくということになっております。 もちろん発注者といたしましても、名前をちょっと申し上げますが、建設省の工事安全対策ですとか、公共工事の発注における工事安全対策要綱あるいは土木工事安全施工技術指針、こういったものを提示いたしまして安全確保に努めてきたところでございます。 さらに、先ほど請負者が行うことが基本ということを申し上げましたが、請負者がそういった安全対策を講ずるための環境整備という観点から、例えば安全対策に要します費用ですとか定期的な研修、訓練等、そういった安全確保に必要な費用を工事費に計上するとか、そういったような措置を講じているところでございます。 二点目のお尋ねの連絡体制のことでございますが、これは先ほど申し上げました土木工事共通仕様書に基づきまして、蒲原沢と姫川の合流部付近の姫川本川の元請施工業者十一社によりますところの葛葉・蒲原連絡協議会を設置いたしまして、この中で降雨・出水時緊急避難体制、こういったものを整備していたと承知しております。 なお、元請、下請関係の連絡体制ですとか、今回の災害に関しましてこれらの緊急避難体制がどのように具体的に機能していたのかというような点については、先ほど申しましたとおり、現在まだ行方不明者の捜索をしているところでございまして、詳細は把握してございません。 それから、先ほどの林野庁の話と同様でございますが、もちろん建設省といたしましても、今回の土石流の重大性、しかも予想もしないような比較的少ない雨によって土石流が発生した、こういったことにかんがみまして、今後林野庁とも協力いたしまして、専門家によります土石流の発生原因究明を当然進めてまいります。この結果に基づきまして、今後の安全対策について検討を行いまして万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
○説明員(安井正美君) 治山事業におきます工事施工中の安全管理につきましては、工事請負契約に基づきまして請負者が安全衛生規則などを遵守してこれを行うこととなっているところでございます。 また、治山事業におきます国の安全対策といたしましては、各種通達によりまして営林局・署を通じまして、発注者の立場といたしまして安全衛生規則等の遵守等につきまして請負者に対しまして強く指導いたしますとともに、現場の監督員などによりまして日ごろから現地における直接指導でありますとか、あるいは労働安全衛生部門を所管する関係機関との連携を密にしながら必要に応じて安全教育あるいは安全パトロール等を実施してきているところでございます。 今回の工事現場におきます安全対策につきましては、このような安全対策に加えまして、梅雨前線豪雨災害に係る事業が大規模かつ集中的に行われるといったようなことから、他の災害復旧工事が行われておるわけでございますが、これらの工事と連携した安全確保対策の推進を図るということで、小谷地区の請負事業体及び関係行政機関から成ります小谷地区豪雨災害復旧工事労働災害防止協議会を平成八年の三月に設置いたしまして、安全パトロールや安全教育を実施するといったようなことで労働災害の防止に努めてきたところでございます。 また、当該営林署におきましても、安全対策を推進するために、同署の発注工事に係ります請負事業体に対しまして、請負事業体の安全会議というものを開催いたしまして、労働基準監督署の指導のもとに安全指導等を行ってきたというふうに聞いておるわけでございます。 次に、今回の災害時の緊急連絡体制がどのように発動したかということでございますが、現在その詳細について把握していない状態でございますので、よろしく御理解を賜りたいというふうにお願いいたします。
○小山孝雄君 お話を承れば大変万全の体制をとっておられたやにお見受けいたしますが、建設省、林野庁さんひとつお伺いしますが、十三名の方が亡くなり、一人の方が行方不明、そして八人の方が重軽傷を負われたということまではわかっておりますが、この合わせて二十二名の方の身元といいますか所属事業所、私が調べたところでは元請業者は一人もいませんね。全部下請の方々である。そしてまた非常に出稼ぎ者が多いということ、これは何を意味するのか。 元請に所属する社員の方で、従業員の方で死亡または重傷者等々はおりますか。両省。
○説明員(安井正美君) 林野庁関係の被災者の方でございますが、いずれも下請の牧野組の作業員の方々というふうに承知いたしております。この方々は、地元の糸魚川に居住する方々というふうに承知いたしているところでございます。
○説明員(鈴木藤一郎君) ちょっと突然のお尋ねでございますので若干答弁漏れるところがあろうかと存じますが、手元の資料によりますと、行方不明者は新潟県、あるいは北海道、神奈川県、秋田県、青森県、岩手県、長野県、このようなことでございます。
○小山孝雄君 所属。
○説明員(鈴木藤一郎君) それについてはちょっと手元にまだ資料がございません。
○小山孝雄君 それぐらいは持っていると思ったんですけれども、私の調べたところでは元請業者の人は一人もいませんね。そうすると、元請業者の社員の方あるいは従業員の方は現場には一人もいなかったということなんでしょうかね。 例えば、建設業法二十六条では、元請は現場に監理技術者という現場代理人、下請は主任技術者を置くことになっておりますが、それぞれちゃんと置いていたんでしょうか。両省にお尋ねします。
○説明員(鈴木藤一郎君) 断片的な情報といたしまして若干承知しているところでございますが、現場の方の建設業者関係も大変今混乱しているというような状況でございまして、こういう場できちっと御報告できるような形での確認はとれておりません。
○説明員(安井正美君) 林野庁関係の、被災された工事箇所における現場代理人の当時の具体的な行動については、現時点において把握してない状況にございますので、御理解を願いたいというふうに思います。
○小山孝雄君 大事なことですから確認して通知してください。 もし置いてないということになれば、これは建設業法違反になりますよね。そしてまた、これは一種の、いわゆる厚生省の汚職の温床になりました丸投げに相当するものかなという気もするわけで、いわゆる丸投げということがなければあの事件は成り立たないぐらいの大きな要素だと私は思いますものですから。 なぜそういうことを言うかといいますと、労災関係の角度から見ましても、新聞等々で散見するところでは工期を急がれたということ、そしてまた危険なところの、費用はどの程度であるか私わかりませんけれども、相当抑えられたのかなと。そうすると、何でもいいから仕事をしたいといういわゆる出稼ぎの人たちが多くそこの現場に行ったのかなと。この工期を急がされたということが各マスコミ等に随分登場する記事でありまして、これはちょっと大事な問題なのかなと思いますので、元請業者は現場代理人も置いてなかったのか、あるいは置いておられたけれども大事故の現場からは遠く離れていたのか、その辺わかりませんか。
○説明員(安井正美君) 現場代理人は当該工事に置いておるということになっておりますし、現に置かれておりました。ただ、先ほど申し上げましたように、当日現場代理人がどのような行動をとっておったのかということについて現在状況について把握しておりませんので、御理解を願いたいというふうに申し上げたところであります。
○小山孝雄君 重ねて要請しますが、現場代理人はどこのどなたであったのか。それが大事なことであります、所属事業所等も含めましてお知らせをいただきます。 それから、先ほど基準局長の方から、安全対策要綱等を提示して安全であることを願った、要請したということでありますけれども、実際、これも災害に遭われた身近な人たち、あるいは災害に遭ったけれども辛うじて難を逃れた人たちの言を新聞等で散見いたしますけれども、文書で要望しただけで事足れりとしたとは言いませんけれども、果たして今の労働基準監督署の監督体制でこういう山間僻地における安全対策まで十分に進められ得たのかどうか、こんな角度からお尋ねをいたします。
○政府委員(伊藤庄平君) 今御指摘ございましたように、この地区についてはとりわけ労働災害の発生を事前に防止するために相当注意をしていかなければならないということで所要の対策を数次にわたって講じてきておったわけでございます。 そういった中で、事業者等に要請しています事項、非常に多岐にわたる事項を安全対策のためにお願いしてまいりましたが、私ども、そういったものが現に実施され、安全対策として必要な措置として機能しているかどうか、そういったことを点検するために、もちろん労働基準監督官による現場の点検もございますが、こういった地域につきまして、発注者の方の協力も得て、関係事業者の地区の協議会、安全活動のための協議会を設置いたしまして、そういったところを通じます合同の安全パトロール、また建設事業の災害防止協会等にもそういった安全点検のためのパトロール等をお願いいたしまして、そういった総合的な活動でこういった安全に対する要請事項の浸透状況を確保いたしておったところでございます。 そういった意味で、この小谷地区におきまして、先ほども申し上げましたとおり、私ども一番懸念しておりました掘削現場での土砂崩壊でございますが、そういった事故等の発生はなく推移してきておったわけでございますが、ただ、今回渇水期と言われる冬季にこういった災害が起きたこと、私どもとしても深刻に受けとめて、その発生原因の徹底した科学的あるいは技術的な観点からの究明を早急に行いまして、今後の災害防止対策に新たな手だて等も真剣に考えて講じていかなければならないというふうに思っておるところでございます。
○小山孝雄君 重ねて、例えば監督官が足りなければもっとふやしたらいいでしょうし、そういったことも含めて十分な施策を進めていただきたい、こんなふうに思うわけであります。 最後にお尋ねしますが、被災者の皆さんへの労災保険の支給体制、これは十分でありますか。そしてまた事務当局が懇切丁寧に対応をするよう望むものでありますが、労災保険の支給についてお尋ねをして、私の質問を終わります。
○政府委員(伊藤庄平君) 今回不幸にして被災された方々に対します労災補償でございますが、建設工事の場合、労災保険給付につきましては元請事業場の保険関係で一括して保険給付が行われますので、今回の事例につきましてもそういった形で迅速に給付の関係の事務処理をいたすよう指示をいたしたところでございます。 とりわけ、今回出稼ぎの方が非常に多いということもございまして、出稼ぎの方の郷里の労働基準監督署、それから災害現地の労働基準監督署、連携をよくとって遺族の方々等に対します便宜を図るようにあわせて指示をいたしたところでございます。
○小山孝雄君 終わります。ありがとうございました。
○石渡清元君 この時期の一般調査ですと、どうしても綱紀粛正に触れないわけにはまいりません。 今回、厚生省初め幾つかの省庁の幹部公務員の不祥事が発生をいたしました。非常に国民の行政に対する信頼を落としておるところでございまして、過去不祥事が起こるたびにいろんなことを、綱紀粛正だとかあるいは業者等の接待を受けちゃいけない、そういったような通達が出されておりますけれども、今回のものを見ますと、何か非常にエスカレートした形の事件でございました。 そういう意味で、なぜこのような形での再発になってしまったのか。もちろん労働省は関係ないわけでありますけれども、しかし、内閣の一員として大臣の今回の事件に対する御感想をまずお伺いいたします。
○国務大臣(岡野裕君) ごく最近では、先生がおっしゃいますように、いわく大蔵省、いわく通産省、いわく厚生省、非常に連続的な形で大きな不祥事件が起こりまして、まことに国民の皆様には申しわけなく存じております。 私は、二十五年でありますが役人生活を送ってまいった。もう十六、七年も昔でありますが、どうしてこのような事件が起こるのだろうかという点については、私もなかなか原因の究明ができません。 公務員試験上級職を受ける。私は試験面接官を随分長くやっておりますけれども、やはり国のために、たとえ給料は民間と比べてどうだという問題はあっても、人生の生きがいを感ずるということで国家公務員の門戸をたたく、これで人事院の試験があり、それから希望した省庁を受けるという人間が私は圧倒的多数だと思っております。 しかし、今回のように、特に事務次官でありますとか局長、次長クラスでという点は、これは本当に一部の例外的な人間の行為ではないかな、大宗の国家公務員はこんなはずではない、いや、なかった、こう思っているんです。 そういう意味合いでは、しかし当省におきましてもかってリクルートの問題がございましたので、実はこの問題が閣議で取り上げられました、もう相当前でありますが、新聞記者会見を延ばしていただいて、すぐ局長クラス全員を私は招集いたしまして、かつてこういうこともあったよと、今回の問題は全然次元を異にするということではあるが、もう一遍自己点検をやれということを示唆し、例えば、いろいろ仕事を御理解いただくためには、多面にわたる皆様とも、政治家の諸先生もとよりのことでありますが、意見の交換もしなければならない。そのときに、コーヒーはいいが、ちょうど昼飯になっちゃった、カレーライスはどうだというような細かな具体的な問題で当該公務員自身が迷うということもあるかもしれないが、そんなものは常識で解決すべきであるということではないよと、迷っている人間がざっくばらんに相談ができるようなそういう仕組みをつくったらどうかとか等々、労働省の内部では指示していることであります。 結論的には、一部の公務員の不祥事だと思いますけれども、やはりこれを他山の石として、労働省内部においてもこういうような事件が絶対起こらないように心を引き締めてやってまいろう、こう思っている、そんな次第であります。
○石渡清元君 今、大臣の答弁の中にも七年前のリクルート事件がございました。それ以降七年間、懲戒免職処分等に値するような事項が何件ぐらい起きたのか、あるいはその後どういったような綱紀粛正措置を講じてきたか、それを御説明願いたい。
○政府委員(渡邊信君) リクルート事件が平成元年に発生をいたしました。その後、刑事訴追を受けるような収賄事件は発生をしておりませんが、遺憾ながら、そのほかの不祥事が何件か起きております。 まず、刑事訴追はありませんが収賄、供応の不祥事が五件、今日までです。それから業務上の非行、これは保険金の詐取等でございますが十八件。業務外の非行、これは飲酒運転等による交通事故等でございますが二十九件、合計五十二件でございまして、懲戒処分の内訳で申しますと、このうち免職が十一件、停職が六件、減給が十六件、戒告が十九件の五十二件というふうになっております。 労働省といたしましては、リクルート事件以後、特に綱紀の保持には努めてまいったつもりでございます。事件のすぐ後に官房長名によります通達を発しまして、金銭の授受等あるいは接待等を一切禁止するという内容の通達を発しております。 あわせまして、省内に官房長を委員長とします綱紀の保持に関する委員会をつくりまして、官房の審議官及び各局の服務担当課長、こういった者を構成メンバーにしまして委員会を設置しまして、年間何回かこの委員会を開催しまして綱紀の保持の徹底を図っております。私も現職になりまして二年目に入りましたが、就任以来数回この委員会を開催いたしまして綱紀の徹底に努めているところであります。
○石渡清元君 今、具体的な処分の関係がありましたけれども、あるいは今の綱紀の保持に関する委員会等々、これは労働省独自のものなんですか。 ということは、きのう厚生省が処分を発表いたしました。その処分の基準というのは、大体このくらいのものはこのくらいの処分というのは、他省庁との関係のある基準で処分をしているのか、あるいは今までしてきたのか、その辺はどうなんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 懲戒処分の基準等につきましては、国家公務員法等にそれぞれ大まかなことでありますが基準がありますので、その運用ということで我が省で運用してきたというふうに考えております。
○石渡清元君 別の角度からお伺いいたしますけれども、それぞれ本省には内部監査組織、労働基準局には中央労働基準監察監督官、あるいは婦人局には婦人行政監察官、職業安定局には中央職業安定監察官等々が置かれておりまして、地方支分部局にも監察監督官というのがありますけれども、これらはあくまでも事務を監察するのであって、綱紀や不祥事の防止とかそういったようなところまではその監察官というのは力が及ばないのかどうか。あるいはこの監察官はどういう方法で綱紀粛正を講じているのか。監察官は別に綱紀粛正には関係ないんですか。
○政府委員(渡邊信君) 今委員のおっしゃいましたいわゆる監察官は、業務の適正執行あるいは会計執行の適正、こういったものを監査するために置かれておりまして、直接綱紀の保持のための監察ではございません。特に、地方におきます綱紀の保持につきましては、人事の任命権者と申しますか、例えば労働基準局長あるいは職業安定課長、こういった者が服務規律の責任者として置かれているわけでございます。 先ほど申しました綱紀の保持に関する委員会は本省に置いておりまして、私ども今回いろんなことがありましてその反省にも立ちまして、地方にも、従来は人事権者が服務規律の監督権限者としても仕事をしてきたわけでありますが、新たに地方におきます綱紀粛正の体制について検討を今始めているところでございます。
○石渡清元君 何か事件、事故が起こると通達をやるんですが、一片の通達ではなかなか徹底をしないような傾向があるんですね。したがって、逆な伺い方をすれば、職員の倫理観を育成するような、あるいはそういう倫理観を確立するような、そういう方策というのはどのような形で行われているのか。
○政府委員(渡邊信君) 公務員の倫理、これは最終的にはもちろん公務員個人個人のモラルの問題であろうというふうに考えておりますが、私ども常日ごろからこの倫理観の確立ということは非常に大事なことであるというふうに考えておりまして、例えば採用時の研修時、あるいはそれ以後何年かに一度行いますが、研修時には必ずこの綱紀の保持に関する講話等、訓話等を設けるようにしておりますし、それから毎年本省に各基準局長さん、あるいは安定課長さん、あるいはいろんな課長さんを集めまして業務に関する指示を行う会議を行っておりますが、その際にも必ず綱紀粛正に関する訓示等を行うというふうにしております。 初めは少しぐらい、このぐらいはいいだろうというふうなことからだんだんと深みにはまっていくというふうなことも多いのではないかというふうに思っておりまして、最終的には個人のモラルの問題とは思っておりますが、繰り返し繰り返し倫理の確立について職員に訴えていく、こういったことが大変重要ではないかと思っておりまして、今後もそういった努力を続けていきたいというふうに思っております。
○石渡清元君 それでは次に、補助金、助成金についてお伺いいたします。 今回の厚生省の事件も巨額な補助金をめぐってのものでございました。労働省もかなり補助金、助成金のたぐいはあるわけでございまして、本省が直接所管するもの、あるいはそのほかに雇用促進事業団あるいは労働福祉事業団、障害者雇用促進協会等々、公益法人を経由して出している補助金もかなりあるわけでありまして、そういったようなチェック体制というのはどうなっているのか。 あるいは、こういう事件が出ますと補助金とか助成金をもう廃止した方がいいんじゃないか、そういう極端な意見も出ておりますけれども、そういったようなことに対する考え方を聞かせていただきたい。
○政府委員(渡邊信君) 補助金、助成金等につきましては、あくまでその適正な執行ということが肝要なことであろうというふうに思います。私ども、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づいて適正執行に努めているところでありますが、具体的に申しますと、補助金を担当する部局の予算、決算、経理担当者、この人たちだけの起案や決裁ではなくて、この方たちの起案したものについては企画担当部署でもさらにこれを審査する、その上で上司の決裁を受けるというふうに相互チェック体制といいますか、そういったものを本省では励行するようにしておりますし、今お話のありました労働福祉事業団あるいは雇用促進事業団等々の関係団体におきましても、今申しましたような複数のチェック体制ということを徹底するようにしております。 こういったことで、予算の適正執行については日ごろから意を用いているつもりでありますが、今回いろいろと補助金のいわゆる丸投げ等新聞で報じられているわけでありまして、私どもも先般、この十一日でございますが、局内の予算執行の責任者を招集いたしまして、このチェック体制、予算の適正執行の体制、手続等について問題はないのかどうか再度徹底的な点検をするように指示をいたしまして、一カ月程度でその結果の報告を官房長あてに提出するように指示をしているところでございます。
○石渡清元君 今、答弁の中で補助金の丸投げという言葉を使ったけれども、補助金というのはあくまでも当該団体に対するストレートのものであって、何か経由しての丸投げ等々という、どういう意味で使われたのか、もう一回。
○政府委員(渡邊信君) 今申しましたのは、マスコミで今報じられている事件の中でそういったことが問題になっているということでございまして、労働省でそういうことを行っているということではあくまでございません。
○石渡清元君 補助金の次は税金のむだ遣い。 これは会計検査院の発表によりますと労働省は五位にランクされているんですね。どんなようなことが一番税金のむだ遣い、内容的にどういうところが一番多かったんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 検査院からは大変遺憾なことに毎年幾つか指摘事項をいただいているわけでありますが、むだ遣いといいますか、徴収をする方も含めますと、最近検査院に指摘されている事項といたしましては、労働保険の保険料の徴収に当たりまして徴収の過不足があったというふうな件、あるいは雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったというふうな件、あるいは雇用調整助成金の支給が適正でなかったというふうな件,あるいは労働者災害補償保険の療養給付等につきましてその診療費の支払いが適正でなかった、こういったものが毎年繰り返し指摘をされているわけであります。 大変な件数を処理しておりまして、その中で起きたことだと思いますが、毎年繰り返し指摘をされていることは大変遺憾に思っておりまして、窓口における審査確認事務の徹底、適正化等指示をしながら是正に努めているところでありますが、そういった努力を続けていきたいと思っております。
○石渡清元君 今の答弁は、むだ遣いというのはいたし方ないような過誤的な部分が多いと、労働省の場合は件数が多いものだから、それが集まると相当な金額になり、必ずしもむだ遣いの内容ではないような気がするんですけれども、むだ遣いというのは、やはり綱紀粛正というよりもむしろさっき申し上げた職員の倫理観、いわゆるモラルの確立の問題ではないかと思うんです。 そういうことについてもう少し、さっき大臣もちょっとお述べになりましたけれども、普通の役所の生活の中で、だれとでも相談できたり、そういう人間関係、職場環境をつくっていきませんと、ただ何か起こると綱紀粛正だ何だというのはどうかなと思うんですけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 先ほど大臣の方から御答弁いたしましたが、できるだけ気軽にといいますか、個人で悩んだようなときにはだれかに相談できる、上司だけではなくて同僚でも相談できる、そういったことをしながら、お互いに点検をしながら倫理の確立、モラルの確立ということをしていくことが必要ではないかというふうなことは私ども大変今までの綱紀粛正の問題の中で欠けていた大きな点かなというふうに思っておりまして、大臣の御指示もいただきましたので、今そういうことも内部で検討している最中でございます。
○石渡清元君 最近、倫理法をつくったらどうかというような話題も出ておりますけれども、大臣、官僚一人一人の倫理観を確立するためにそういった倫理法をつくってというお考えについてはどのように。
○国務大臣(岡野裕君) 倫理法は一つの手段、こう思っております。 ただ、一番私が考えるのは、現下存在をする国家公務員法、人事院規則、これがずばり守られておらないということであります。先ほど先生からおしかりをいただいております。何度も通達流した、何度も注意を促した、だけれども起こるときには起こるじゃないかというおしかりであります。私は、現行国家公務員法でやはり退職金がもらえるとかボーナスがもらえるのはおかしいということで現行法を改正すべきだ、こう思っております。それはやはり倫理法ということになっても一つの手だと。 今、総務庁長官のところで全省庁に適合するような綱紀粛正案というものをつくっております。この一両日中にでき上がって、そこでひとつ我々も入って各省庁どうするか決めようと思っておりますが、問題は、官房長からるるお話をいたしましたが、通達、法律ではありません。ありませんというと言い過ぎですけれども、あって結構であります。 問題は、我々は労働行政をやっております、あるいは通産行政をやっております。そこで働く課員、係員はゲゼルシャフトであります。だけれども、長年そこで係員とし課長としてやっていればおのずと信頼関係、心と心の仲間という意識が生まれます。つまり、ゲゼルシャフトだけれどもゲマインシャフトになってきているんです。そこで上司が日常茶飯事の中で部下からどう見られているか。業者がしょっちゅう来ます、そのときの話ぶりがどうだ。たばこ君一本、こんなことをやっていると、あのくらいまではいいんだなとなります。そうじゃない、それだけじゃない。やはり職場の中で人生観を闘わせ合うというか、たたずまいはどうだという話が出るんです。マージャン行ったよ、きのう野球はジャイアンツ勝ってよかったねという話が出てくるんです。 そういうゲマインシャフト的な雰囲気の中で綱紀というような問題を以心伝心教えていくというのが、これが基本であります。課長は課長の席に座っていてはだめで、中へ割って入っていくんです。局長は各課の職員の諸君の中へ入っていくんです。そういう中で仕事の仕方も自分で把握をし、自分の仕事の方針というものも伝え、綱紀の問題もいろいろな雰囲気の中から醸し出すというのが、私の二十五年にわたる人事行政に携わってきた者の経験から出ているわけであります。 しかし、先生がおっしゃいますように、国家公務員法等々の見直し、ひいては倫理法の制定、私もひとつ参画をして意見を述べたい。そして、二度三度こういうことがないようにしっかりした公務員の、本当の公務員にその体制をつくり上げたい。一、二の者によって公務員全体がもう何というか虐げられたような、世間に顔向けができぬようになっている諸君のためにも私は頑張ってまいろう、こう思っております。よろしくまたお知恵をいただきたい。
○石渡清元君 ゲゼルシャフト、ゲマインシャフトまで引き合いに出されました。綱紀粛正はこれで終わります。 松原局長には満を持して待っていたんじゃないかと思いますが、ちょっと時間があれなので、労金問題はまた後でやりたいと思いますけれども、去年、金融犯罪がたくさん出てまいりました。そのころから労金については労働省の現状はどうなのか、将来どうなのかということを何回となく私は資料請求したり説明を聞いておったんです。ところが、どうも将来展望をどこまで考えているのかなということがいま一つぴりっと私に伝わってこなかった。非常に私は厳しい環境にどんどんなっていくと思うんです。したがって、労働金庫の意義を含めて、詳しくはまた別に機会があったらやらしていただきますけれども、現状と将来展望、一点だけお伺いをいたします。
○政府委員(松原亘子君) 労働金庫は、先生も御承知のとおり昭和二十八年に労働金庫法が成立したわけでございまして、それに基づいて設立された金融機関でございますが、これが他の金融機関と性格をちょっと異にしておりますのは、労働組合などを会員とする協同組織の金融機関であるということでございます。現在、全国に四十七ございますし、中央に労働金庫連合会というのがございますけれども、この目的は、労働組合ですとかその他労働者の団体が行う福利共済活動のための金融の円滑化を図るということが一つでございますし、それとともに勤労者の資金のニーズ、さまざまな日常の資金ニーズがございますが、そういうものにこたえて勤労者生活を金融面から支えるということを目的にいたしているわけでございます。 御指摘のとおり、金融をめぐる動きというのは非常にいろいろございます。金融の自由化という環境変化がございますし、またディスクロージャーに対する対応というものもございます。また、労働金庫、非常に率は少ないのでございますけれども、若干の不良債権も抱えております。そういうことから、検査・監督をきちんとやり、本来の目的であります勤労者福祉のための金融機関であるという目的が十分に果たされるようにしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。 今後とも、こういった大きな変化の中でこの労働金庫という労働組合、労働者のための金融機関をどう育てていくか、私どもとしても十分研究をいたしたいと思いますし、大きな金融行政の変化の中での位置づけというものをきちっとしていきたいというふうに考えているところでございます。
○石渡清元君 そろそろ時間になりましたので終わりますけれども、もう本当に五年単位で労働金庫環境というのは変わってくると思うんです。ですから、かなり早目に対策をやっていかないと、今決算的にいいからといっても、どんどん自由化とそれから金融改革、この二つでかなり厳しい状況になる可能性が十分ありますので、大いにひとつ早目早目の手当てをしていただきたい。 また次の機会に議論をさせていただきます。終わります。
○今泉昭君 平成会の今泉でございます。 さきの労働大臣の永井大臣から今度岡野大臣にかわられたわけでございますが、前労働大臣は労働組合出身者ということもございまして、労働行政に大変積極的に取り組んでいただいたというふうに私自身は見ておりますが、岡野大臣は、今のお話もございましたように二十七年間も人事問題で手腕を発揮されてきた、こういうふうにお伺いしております。労働行政の中心は人の問題であろうというふうに思います。人をどのように守り指導していくかという立場があると思うので、ぜひひとつ新大臣もその行政手腕を大いに発揮していただくことをまず期待申し上げたいと思います。 さて、まず最初にお伺いしたいのは、最近の経済情勢をめぐります雇用情勢の問題でございます。 さきの月例報告等を見まして、我が国の一般的な経済情勢もやや明るさが見えてきたという見解が出されているわけでございまして、我々はそれに大いに期待をしているわけですが、残念ながら、産業界で働く労働者の雇用というのは、必ずしも経済のそのような動きに比例して楽観的に見られないような情勢が続いているというふうに判断をしております。特に、失業者が二百二十七万人であるとか、あるいは依然として三・四%の高い失業率を保っている。しかも、恐らくこの十月の時期の三・四%なんというのは史上最高の高い失業率ではなかったかと思うわけでありまして、全体的な数字だけとらえれば、これまでの最高の三・五より幾らか下がったからという見方もあるかもしれないけれども、中身を見てみると、雇用情勢というのは一つも好転していないのではないだろうかという懸念を実は私どもは持っているわけでございます。 これまでの御説明によりますと、景気が回復するときには多少失業率が高くなるんだと、特に、働いている人たちが雇用情勢あるいは景気の好転に伴いまして自分の意思でやめて新しい仕事を探す、そのタイムラグが当然あるわけだから、その程度の高い率は心配ないというような説明がここ半年近く続いてきたというふうに私は見ているわけですが、しかしながら、依然としてこの高い失業率、大変多い失業者数というのは好転をしていかない。 しかも、専門家の見方によりましても、現在のやや好転をしている経済情勢というのは、消費税の値上げを見込んだ駆け込み受注という一面もありまして、一時的な景気の好転ではないか、来年になるとそういう流れも変わる危険性もあるというようなことも言われているわけでございまして、行政当局としてこのような雇用情勢にある実態をどのように考えていらっしゃるのか。また、これからの経済の流れを見通しながら今後の雇用情勢というのをどのように見ていらっしゃるのか、まずお聞きをしたいというふうに思います。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生から雇用失業情勢の現状に対する見方について御意見ございましたが、私ども基本的には先生御指摘のような状況ではなかろうかというふうに考えております。 明るい材料としましては、確かに景気が緩やかでありますけれども回復の動きが続いてきているという中で、有効求人倍率につきましては今回の不況期で最悪時平成七年九月に〇・六一倍まで下がりましたが、それを底にしまして、以後、傾向としては多少のでこぼこがあるものの上昇を続けてきておりまして、平成八年の十月現在で〇・七三倍まで回復はしております。この水準自体も厳しいわけですが、したがいまして、景気の緩やかな回復と動きをあわせまして有効求人倍率、求人状況は改善してきているというふうな明るい面があるということは言えるかと思います。 ただ一方で、失業者の滞留状況について見ますと、完全失業率で見た場合に、平成八年の五−六月の辺につきましては統計調査の開始以来最悪の三・五%を記録した後、やや改善はしておりますが十月現在で三・四%、これも非常に高い水準で、十月時点ではおっしゃるようにいまだかつてない状況だと、こういうことでございます。 この先行きがどうかという点につきましては、緩やかなテンポにしろ現在の景気回復の動きが続いていくとすれば、いずれ求人倍率の改善とあわせて失業率も改善していくことが期待されるわけでございますが、この経済の回復の動きが今後どうなるかによって先行きについての心配も常にある、こういう状況でございます。その点につきましては、今後の経済がどうなるかという点について私どもなかなか的確にはわからないわけでございますが、そういう心配をしながら雇用対策を進めているというのが現状であります。
○今泉昭君 そこで大臣にお聞きしたいんですが、産構審などの報告を見てみますと、我が国の経済構造を大幅に転換していかなきゃならない、そのためにはしかじかかような形での構造変革への手を打っていくんだという中で、大体二〇〇〇年ごろまでに平均二・五%程度の経済成長を実現していって我が国の経済構造の転換を図ろうではないかという流れが出てきているようでございますが、そういう流れの中でも、二〇〇〇年までの間に、特に製造業においては百二十四万からの雇用者減というのが当然視されているというような報告書まで出ているような状態であります。しかも、今後の我が国の経済のあり方を考えてみますと、大体二・五%程度の経済成長というのが構造調整を行うことによって、あるいは改革を行うことによってでき得るのかなといういろんな不安がたくさんあると私は思うんです。 これは釈迦に説法で申しわけないんですが、経済の活性化のためあるいは成長実現のためには、労働力が増大をしていくということが一つの要因でしょうし、いかにして資本ストックを増大していくか、いわば設備投資が拡大をしていくかということが二つ目の条件でしょう。さらにもう一つは、技術革新をいかに誘発していくか、この三つの柱がそろっていかなければ経済というものは順調に成長はしていかない、これは常識だろうと思うわけであります。 そういう中において、我が国の就業構造を見てみますと、どうも労働力人口というのはむしろ下がりぎみの状況の中に突入していく。いろんな先生によって見方も違いますし、人口統計の推計によっても違ってはきますけれども、ある人に言わせると、実はことしが労働力人口の最高のピークであるという方もいらしゃる。あるいは二年後にピークに来るという方もいらっしゃる。 いずれにしたって、二〇〇〇年には現在の労働力の総数、絶対数よりも下回ってくるという条件に今我が国の人口構成はなりつつあるわけでありまして、これは明らかに経済成長のマイナス要因になることは間違いのないことであります。しかも、そういう中で統計の中では失業者がふえていくということは、雇用吸収力が我が国の経済に相当なくなるということを頭に入れて考えているんではないかと思うわけであります。 そのほかの要因である設備投資にいたしましても、どちらかといえば我が国の設備投資は海外に海外にと目を向けているわけでありまして、海外投資の方が多いけれども、国内におけるところの、特に雇用吸収力があるという製造業に対する設備投資の意欲というものは大変少ない。そういう中において、今後この雇用問題をどのように取り扱っていくかというのは大変重要な問題だろうと思うわけであります。 ただいま私が申し上げましたのは、製造業におけるところの百二十四万の減少と申しましたけれども、実は大多数を占める第三次産業というのはもっと根本的に大きな雇用不安に直面するのではないだろうか。全国的に国を挙げての規制緩和の流れでありますから、規制緩和の流れの中で一番被害を受けるというか影響を受けるのは恐らく第三次産業の人たちでしょう。 そういう意味で、労働大臣、今後の中長期的な我が国の雇用政策の中心というものにどういうものを置いていかれるつもりなのか、その見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(岡野裕君) 今泉先生がおっしゃったような不安、これはイコール日本全体の不安、こういうことだと思っております。 少子・高齢化社会というものを迎えるというか、もう突入しつつある現状において、基本的にはやはり労働力不足ということが流れだと思っております。さればこそ、やはり六十五歳までは現役で働こうじゃないかとか、あるいは男女雇用均等法などという具体的手段の奥にある男女共存していく社会というようなものを我々は実現しなければ、先生のおっしゃるような不安を乗り切るというような何らの手段も出てこないのではないか、こう思っております。 たまたま現時点において景気がよくない。したがって、雇用調整助成金みたいなもので現においでいただいているところの労働者の皆さんを継続雇用にしていくというような面と、もう一つの産業の基本的な構造改革という大きな波の中で、外国にいろいろ重要な産業が出ていったとしても、付加価値の高いものを生み出す技術、そうしてその技術を身につける職業教育といいますか、能力開発というような意味合いで、通産省等の先端技術の開発、これを応用面に展開ができる技術、それを今度は我々労働省としては身につけていって、言いますならば少量・多様的な生産で日本の経済を成り立たせていき、その中でパイの分配を我々労働にも当然よこしてもらって、自分及び家族の生活の安定と将来の夢、希望を持てるような社会にしていくのが労働省の所管事項だと。そういう意味合いで、これからはいろいろな省庁と手を携えながらやっていかなければいけない、こう基本的には思っております。
○今泉昭君 今、大臣のお答えの中にございましたように、少子化の中で人口がどちらかといえば頭打ちになり、労働力が相対的に少なくなっていくという状況の中で我々が健全なる労働力を確保するためには、一つは、六十歳定年の今日の社会の一つの仕組みを、例えばもう少し長く働いていただくための労働環境なり産業環境をつくっていただくということや、あるいはまた、女性労働者が安心して働ける職場の実現ということを通じて女子労働力が進出をすることによって、我が国の経済発展のマイナス要因になりつつある労働力ということにならないような形の労働行政をぜひひとつ積極的に展開していただきたいというふうに思うわけであります。 さて、次に労働時間問題について少しお尋ねをしたいというふうに思うわけであります。 もう既に新聞紙上等で報道されておりますけれども、来年の四月一日から当然実現されるだろうというふうに思っております週四十時間労働に関しまして労働省当局は、いろいろな産業界、特に中小企業者からの強い要請等を受けながら、法改正ということは考えられなくても、二年間ほどは行政指導という形で、違反者に対しても罰則を科さないというような方向での着地点を目指しているということのニュースを私ども耳に聞くわけでございますけれども、まず、そういう流れになっているのかどうか。 ということは、前任者の永井労働大臣はこの委員会の席上で、私の質問に対してもほかの労働委員の先生方の質問に対しても、来年四月一日から完全実施を目指していくという態度には変わりありませんと、こういう御返答をいただいているわけでございまして、その点についてまずお聞きをしたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘の週四十時間労働制でございますが、来年の四月一日から中小企業を含めましてこの週四十時間労働制が全面的に実施されることになります。 私ども、こういった全面実施を控えまして、中小企業等の週四十時間労働制の達成率、これらを見てまいりますと、現時点でも三六・四%という低水準でございまして、かなり多数の事業場が来年の四月一日時点でこの四十時間制に届かないで残る可能性が非常に大きいということを懸念いたしまして、完全実施した後、早急にこの週四十時間労働制が確実に定着する形を私ども精力的につくっていかなければならない、そういった具体的な方策につきまして中央労働基準審議会の方に検討をお願いいたしておったわけでございます。 去る十二月六日、中央労働基準審議会から報告をいただきました。その報告の趣旨は、労働基準法に基づいて週四十時間労働制が四月一日から完全実施された後、これを早急に確実に定着させていくために、計画的かつ懇切丁寧な指導を精力的に展開していくことが必要である。まずそういった指導を行うことが先決であって、罰則等を適用しないという新聞報道がございますが、必ずしもそういった趣旨ではなくて、まず指導が前面に出るべきである、こういった趣旨の報告をいただいたわけでございます。 私ども、この報告に沿いまして、いろんな具体的な検討を加えまして、この週四十時間労働制を確実に定着させていくための手だてを講じてまいりたいと思っていますが、懇切丁寧な指導を計画的に精力的に展開する期間を報告では二年間と、こうしているわけでございますが、もちろんこの二年間違法状態を放置するということではなくて、今までのできるだけ早くやってくださいという奨励的、啓発的な四十時間制に向けての指導から、今度は違反状態が現にあるということを踏まえた計画的、懇切丁寧な指導に切りかえて、確実に早急な四十時間制の定着を図るための指導を展開していきたいと思っております。そういった中でもし悪質、重大な法違反があれば、これにつきましては罰則等を含めた適正な措置をとることはもちろんあるわけでございます。
○今泉昭君 言葉じりをとらえるわけじゃないんですが、今までは懇切丁寧な指導をやっていなかったのかと、こういうことになるわけですが、それは別に置きまして、四十時間の労働時間の実現をするために、現在の労働時間の実態を見てみますと、それぞれの業種によっていろんなばらつきがあるんじゃないかと思うんです。だから、猶予措置を受けているそれぞれの産業界を全部一つで論ずるわけにはいかないと思います。もう一つは、四十時間実現の前の段階であった四十四時間制というもの、これをどれだけ実現してきているのかということも当然見ながら検討していかなきゃならないと思うんです。 その前の段階である四十四時間の実現の状況を見てみましたら、一番難しいだろうと思われる中小零細と言われる一人から九人までの業種、その企業におきましてももうほとんど八割以上に近いこの労働時間の実現をなし得ているわけです。でありますから、一般的に四十時間が難しい難しいとは言っていても、四十八時間から一挙に四十時間になるわけではないわけでありまして、現在の長くて四十四時間のところが四十時間に四時間短縮するということであります。しかも、既にもう四十時間制度を実現しているというところが数多くあるわけでありますが、全体的な数からすると少ない、こういうことでありますが、これまでそういう形で大変努力をしてきた企業からしてみれば、一体これまでの努力は何だったのかと、こういうようなことにもなるわけでございます。 この問題については、私は行政指導を強化するということは実質的に猶予措置に近いと思うわけでございまして、さらに二年間の猶予措置を与えたからといって、これまで放置されていたところがはいそうですかと言って努力をするということがそう簡単には受け入れられないような実態にあるかというふうに私自身は思うわけであります。 そこで問題は、法律では四十時間というふうになっているわけであります。法律は直さないわけであります。そういうところで、四十時間をオーバーしている企業が自分のところの就業規則によってそこで働いている人たちを働かせた場合に、例えば四十三時間あるいは四十五時間となっていた場合には、時間外労働としての取り扱いは当然されないだろうと思うんですね、四十時間を超えたところに関しては。あるいはまた、時間外労働の賃金をもらえないとするならば、これは法の精神からいっても大変問題があることではないかと思うんです。法のもとに平等であるべき国民が差別を受けることにもなるわけでありまして、憲法違反にもつながる問題ではないかと思うんですが、そういう点についてはどのようにお考えでございましょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のございました四十四時間制、ほとんどの事業場が達成していることは事実でございます。これにつきましても平成六年、さらには平成七年から全面的に四十四時間制が導入されたわけでございますが、その際も、不況下にあったということもございまして、中小企業等で大変困難なことであるという訴えもございましたけれども、その後、かなり普及状況の低かった時点でございますが四十四時間制を実施いたしまして、御指摘のように現時点ではほぼ大半の事業場でこの四十四時間は守っていただいておるわけでございます。 そういった意味で、この四十時間制につきましても、私ども来年の四月一日から全面的に実施いたしまして、さらに今までと違った計画的な、懇切丁寧な指導を加えることによりまして早急な四十時間制の定着を図っていきたい、そういうふうに考えております。 御指摘のいわゆる割り増し賃金との関係でございますが、この点につきましては、法律上四十時間制が全面的に実施されますので、当然四十時間を超えて労働させた場合につきましては四十時間を超えた部分につきまして割り増し賃金を支払う義務が生じます。事業主は、それは民事上の債権として当然債務を負うことになるわけでございます。 私ども、そういった個別の、特に割り増し賃金が絡んだ事案等につきまして申告を受けましたならば、先ほどは計画的、懇切丁寧な指導と申し上げましたが、これはかなり網羅的な指導になると思いますが、そういった申告がありました場合には、再三再四にわたって払えるような状況に事業主を個別に指導していく、こういった指導を展開していく考えでございます。
○今泉昭君 ぜひひとつ、国民全部がひとしく法のもとに平等であるような行政指導を徹底して、四十時間制度の実現に指導力を発揮していただきたいというふうにお願いを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。 次に、あちこち飛ぶようで申しわけないけれども、空洞化の問題について少し触れてみたいというふうに思います。 この委員会でも過去に、我が国の産業の空洞化、それに伴う雇用情勢の問題について論議をした経過があるわけでございますが、多少円安に振れることによりまして海外進出の流れがやむかなというふうに見ていたわけでございますが、全体的な流れというのは、必ずしも多少円安に振れてもそういう方向に行くという状況にはございません。特に我が国の高コスト構造ということは、わずかばかりの円安によって解消できるものではございませんから、大きな流れというのは、まだまだ我が国の産業が海外へ海外へと転出をしていく流れになっているのではないだろうかというふうに思います。 そこで、通産の方では当然、我が国の産業面での高コスト構造の解消のためのいろんな施策を練っていると思うわけでございますが、労働行政の面でも、高コスト構造という面ではなくして、いろいろとこれからやっていただかなきゃならない面があるのではないだろうかというふうに私自身思っております。 御存じのように、産業にはいろいろなグループに分けた産業の区分けというものがございます。これは業種ではございません。今まで我が国で特に東南アジアに転出をしていった製造業のグループというのはどういうグループであったかというと、どちらかといえば組み立て産業を中心とする、優秀な機械を日本から持っていって現地の安い労働力によって品物をつくるという形の産業群が大変多かったんではないかと思うんです。私自身は、これらのグループが東南アジアに進出していっても我が国の産業自体の問題としてはそう大きな問題ではないというふうに考えておりました。 ところが、問題はその下のいわゆる底辺部分にある。一番高度な技術を開発するグループを頂点とするならば、その下を支えるのがエンジニアを中、心とする組み立て・加工産業、そしてその下を支えるのが中小企業を中心とした、いわば物づくり基盤になる技能労働者集団だっただろうというふうに私は思うわけであります。この技能労働者を軸とする製造業の基盤というのは、我が国の場合はどちらかといえば産業集積地に集中をして、これまで我が国の製造業を中心とする産業の発展に大変な寄与をしていたグループであっただろうと思うのであります。 ところが、聞くところによりますと最近は、一番下の下支えにある、三角形の底辺のところにある一番すそ野の広い、この産業基盤である金型であるとか鋳物であるとか鋳鍛であるとかというような、こういうところの産業が、南の方の安い賃金のあるところではなくして、そういう基盤を受け入れやすい地域にどうも移動をする危険性が出てきている。 特に、中国で言えば東北地方、いわゆる満州、昔の満州でございまして、ここは日本の昔のインフラが残っているような地域でございまして、技能の吸収も大変しやすい地域であったというふうに言われているわけでございます。そういうところにどうも移動せざるを得ないのではないかという流れが出てきているということに大変危険な兆候を感じるわけでございます。 もしこれらの基盤が日本から失われたとするならば、本当の意味での日本のいわゆる物づくりの空洞化というのはそこによって生まれてくるんじゃないかと思います。幾ら組み立て産業、例えば電機だとか時計だとか大量生産の組み立て産業が、深圸を中心とする、あるいは香港周辺の地域に流れていっても、日本の機械をつくる、その最低基盤を支える腕を持った技能者がつくっているところが行かなければ、日本から優秀な機械を持っていかなければそこではっくれないわけでございますから、ただ単なるエンジニアリングだけを教えておけばいいわけです。それは一定の限度があるわけですが、その基盤をつくる最低の技能というものが流出していくことになれば、これは大変なことになるだろうと思うし、そのことによって雪崩を打ったように我が国の産業の空洞化と雇用の不安というのが起こってくるんではないだろうかと思うわけであります。 そこで問題にしたいのは、そのような労働者を日本から失わさせるような我が国の環境が今、先に先に進みつつあるんではないかと思うわけです。例えば、中小企業白書なんか見てみますと、我が国で三百五十ぐらいあった産業集積地がもう既に三百を切るような状態になっているという状況もあります。そして、現在存在しているその産業集積地すらますます崩れるというような状況になっている。 具体的な一つの例を申し上げますと、大田区や品川には機械金属のいわゆる産業の集積地がありました。川崎にもありました。そこに大手企業が、これから一つの製品をつくりたい、ちょっと試作をしてくれと持っていけば、必ずどこかがすぐにつくってくれる。大手企業が注文したものをすぐできるような、いわゆる技能を持っている中小零細企業がたくさんあったわけであります。 ところが、これらのところで経営をしている、働いている人たちというのは大変労働条件的にも恵まれない労働者層が多いわけであります。工場は小さい、汚い、もうからない。そして、何かお客さんである大手からはぎりぎりぎりぎりコスト的に締められていって、そこの親方というんでしょうか、工場主、オーナーも生産意欲を失って、一つはやめていかざるを得ない。 さらには、環境が最近問題になっていますから、周りから環境で責め立てられて、とてもじゃないけれどもというわけでほかに転出しなきゃならない。さらにはまた、親のそういう姿を見ていると、子供が親の後を追ってその企業を受け継いでいこうなんという気持ちにはならないわけでございまして、親のようにはなりたくないなんて言って、全然違う仕事に行ってしまう。そういうような状況が今、日本の集積地にここかしこで生じているわけですね。 これを考えてみますと、これは一体何なんだろうかというふうにいいますと、確かに今我が国の産業を再構築するために技術の革新、技術の革新ということが盛んに言われているけれども、技術の革新に関しては大変お金も使っていただいている、脚光も浴びている、いろんな援助の体制ができている。ところが、技能というものをいかにして継承し、技能をいかにして育成していくかというところに対する焦点が大変薄いわけです、日本の場合は。技術革新の問題は通産行政かもしれない。技能の問題は、私はこの労働行政に大変重点があるんじゃないかと思うんです。技能というのは人の問題であろうと私は思っているわけですね。ですから、この技能をいかにして育て継承し、発展させていくかというところでの労働行政を大いに期待を実はしたいわけであります。 世間の目を見ましても、例えば子供の日のテレビ番組を見ましても、あるいは母の日のテレビ番組を見ましても父の日のテレビ番組を見ましても、技能を持って汗まみれになって、油まみれで働いた親とかお母さんとかが番組に呼ばれたことはないですよ。何か汚い仕事、汗まみれにやっている仕事に対しては日本全体の価値観が、ああすばらしいものだというそういう雰囲気にはないんですね。華々しい、何か格好いい活動をしているところばかりが持ち上げられる。こういう雰囲気をなくすために一体どうしたらいいか。 まあ技能検定であるとか職能訓練だとかというふうなことで労働省自体も努力をされているけれども、これらの労働者の扱い方、評価の仕方、もう少し工夫がないかと思うわけでございまして、この点についての大臣のひとつ御見解をまずお聞きしたいと思うのですが、その後ひとつ局長の方から。
○国務大臣(岡野裕君) 今泉先生のお話をずっと聞いておりましたが、質問は技能者をどう評価するか、これの育成をどうするかということだけみたいでありますが、そのとおりですか。
○今泉昭君 それ以外にもありますが。
○国務大臣(岡野裕君) 前段の方のお話の方が、私は関心が後段と同じく強いのですけれどもね。やはりこの場合、円安だけではないですね、先生がおっしゃるとおりですよ。私は、その行き先の税制あるいは規制の実態というようなものが中心になって、それで製造業がどんどん出ていくということだと思いますね。 だから、まだ言うならば国際的な大競争時代は入ったばかりで、この傾向はこれからどんどん拡大をしていくのではないか。したがって、こっちの危機は非常に大きいということだと思います。残っちゃった中小企業、技能が十分あり、あるいは技術にまで及んでいるようなそういう優秀な職員を持った下請中小企業の存在、これが本当に産業の空洞化イコール雇用の空洞化になっちゃうから、そこをどういうふうにしていくか。 この間、僕、大田区に行って見てきました。主要工場がいかれちゃった、残った中小企業がどうやって生きていくかと。あるカメラの組み立てをやっているのがマレーシアへ行っちゃった。その後そのカメラの、言いますならば、カメラというのは光が入るとすぐフィルムが真っ黒になっちゃうから役に立たない。したがって極めて密封状態をつくるようなそういう金型、これをつくっていた人が今度は病院の点滴のあのゴムの袋みたいなの、あれはゴムじゃないんだそうでありますが、これも外気やら何やらが入って汚染されたらどうなるかというので、そのカメラを精密につくるという、すき間がないという技術を今度は医療機器の方に応用をするという非常にいい職種の転換を、自分の技術を発揮する分野の転換をしていて、これぞやっぱり胸をたたいて先生に答弁ができると今思ったのであります。 そういった技術を、新しいジャンルの付加価値の大きい製品をつくる、そういうところに生かしてもらうというのが我々労働行政の雇用の分野においては一番でっかいのではないかなと。 それからかつ、そういう人はそういうふうに新しいジャンルに自分の労働力を突っ込んで、そして立派な製品をつくるわけでありますが、同時に、今度は新たにそういう技能、技術というものをそれぞれ働く皆さんにつけていただいて、この産業は衰退をしていくよというようなことであるならば、今度は発展をしていくようなそういう職場に身を置きかえる、失業なき労働移転ができるような、そういう意味合いでの技能、技術というものを身につけていただくような、そういうシステムといいますか能力開発、これの学校、実は滋賀県の八日市というところで職人大学というのを見てきました。 物すごく自分に誇りを持った、要するに畳屋さんだとか左官屋さんだとか屋根づくりの人たちが全国から三百人ぐらい集まって、それで一週間みんなで合宿して、夜もお互いに語り合って自分の技術の交流をやる。昼間はパネリストの立派な人を呼んで聞くとかというのをやっていまして、ああいうのを見、そういう皆さんがまた全国に散らばっていって誇りある仕事をやる、それが市民の皆さんから評価をされるというような雰囲気を、先生のような御質問をどんどんなさっていただいて、これを我々もPRして、これからは技能を持っている昔で言うならば職人の皆さんで支えられていく、そういう日本の産業をつくろうではないかなと。だから、今まで短期大学で二年制だったやつを四年制ぐらいまでの大学校をつくろうとかというようなことをいろいろ構想しております。 ただ、私は来たばかりなので今は余り大きなことを言いません。さあ行こう、さあ行こうとこうやってハッパ——この人だってこの間、建設大臣に負けないようにイの一番に六人連れて現地にすっ飛んでいって、二十一人、新潟の基準局と長野の基準局の皆さんの陣頭指揮を——話が先生の答弁と違っちゃった。以上であります。
○今泉昭君 大臣の気持ちは十分わかりました。私が特に重要視したがったのは人の問題にあったわけでございまして、労働移動を中心とする雇用対策とかという問題じゃなくして、いわゆる人間の持つ評価というものの、例えばドイツあたりでやっているマイスター制度の問題を中心として、日本的なやり方というものを労働行政の中でできないかどうかということを尋ねたかったわけです。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま労働大臣から基本的な考え方を申し上げたとおりでございますが、実情の認識としてはやはり先生の御指摘のとおりであるというふうに思っております。 先生御出身母体のゼンキン連合におきましても最近の調査でその辺について詳しく調査をされておりますし、そういう問題についてどう対処するかという点について、これは一面ではやはり産業政策の観点から可能な対策をきちんととる必要があるという意味では、通産省の方で次期通常国会に、地域産業集積活性化法という仮称の法律ですが、そんな法律の検討をいたしております。 あわせまして、私どもの方では、人材、人の面についてどんな支援、対策がとれるかという観点から、現在あります地域雇用開発等促進法という法律の改正を検討いたしておりまして、この辺につきまして内容をよく詰めた上で、次期通常国会でまた御審議をお願いしたいというふうに考えているところであります。
○政府委員(山中秀樹君) 先生御指摘の技能が尊重される社会をつくっていかなきゃならないと私ども重々思っております。 今、具体的に先生がおっしゃいましたように、技能検定制度、これは約十九万人か二十万人の受験生の半分ぐらいが受かりますが、そういう制度なり社内検定とか、そんないろんな形で技能が適正に評価されて、それが処遇に反映されるということに努めているところでございます。 特に高度熟練技能、これから産業の基盤となる非常に高度な技能ですが、それがなかなか後継者難ということでこれからだんだんなくなっていくんじゃないかということに私ども非常に危機感を持っておりまして、そういうものについて継承、発展を図れるような支援体制というのを特に考えていきたいというふうに思っております。
○今泉昭君 ぜひこの分野に関する取り組みにリーダーシップをとっていただきたいというふうに要望を申し上げたいんですが、ただ一つだけちょっとお聞きしたいんですが、通産の方で考えている地域産業集積活性化法案に基づきまして地域指定を何か今回二十カ所ぐらいやる腹づもりだそうですね。これに対して、労働省のいわゆる集積技能活用促進地域ですか、この地域の範囲というのは、縦割り行政のこともありまして必ずしも一致しないと思うんですが、この辺の両省との連携関係というんですか、同一指定ではないような気もするんですが、どうなんでしょうか。その辺についてちょっと。
○政府委員(征矢紀臣君) こういう問題につきましては、やはり産業所管庁と労働担当省が連携をしながらやっていくことが効率的、効果的な対策であるというふうに基本的に考えております。 したがいまして、基本的には通産省は技術の集積という観点からの対策、労働省は技能ということを重点に対策ということでございますが、両者は密接に関連しているわけでございます。したがって、この地域をどうするかという点につきましても両省で十分連携をとりまして、具体的な対象地域についてそごが出ないような形で対策を進めてまいりたいというように考えております。
○今泉昭君 その問題はひとまずこの辺で終わらせていただきまして、次に中退金関係についてちょっとお聞きをしたいというふうに思います。 行政改革の流れの中で、労働省の外郭団体も当然いろんな形での対象になる諸団体があるわけでございますが、中小企業退職金共済事業団のほかに、例えば特退共と言われている建設業あるいは林業あるいは酒ですか、等があったように思いますけれども、これらの事業団がそれぞれ統一をされていくというような話を聞いておりますが、その辺のこれまでの検討の状況というのはどういうふうになっているのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(松原亘子君) 御指摘の中小企業退職金共済事業団と建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合というこの二つの組織の合併の問題でございますけれども、昨年の閣議決定によりましてこの統合が決められたといいますか、俎上にのっているわけでございます。その閣議決定は、原則として三年以内に行うというようになっているところでございまして、そういうことから私ども、関係者の方々と今お話をさせていただいておりまして、その統合に向けての準備を進めているところでございます。 特に、建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合というのは、それぞれの業界がいわば自主的にといいますか、その業界に働く主として基幹労働者の方々を対象とした退職金制度、いわば共済制度でっくられたものでございます。中小企業退職金共済事業団の方は中小企業全般を対象にしておりますので、特に業種ですとか職種の限定はないということで制度の対象者が異なる、こういう二つの制度を統合するということでございますので、統合後におきましてもそれぞれの制度が適正に運営されるということを確保しなければいけないという点はございます。 そういうことから、今関係業界とお話をさせていただいている中で、その制度の適正な運営が確保されるようにいろいろ検討を進めているということでございまして、閣議決定に沿った方向で進めていきたいと今準備中でございます。
○今泉昭君 経済の右肩上がりの成長がとまって、これからはいろんな意味で、労働者のこれまで既得権として得てきた企業内におけるところの労働条件につきましても、大きな変革ということがいろいろうわさされるような時代になってまいりました。特に福利厚生関係、賃金以外の条件につきましては、いろんな先走った論議もありますけれども、論議が行われているような状況でございまして、特にこの退職金問題につきましては、日経連あたりは、これを企業の中に閉じ込めておくのではなくして、自由にこれが移動できるような形のものがこれから望ましいのではないかというような論議さえ聞こえてくるわけでございます。 そういう意味からすると、この中小企業の労働者に対してつくられた中小企業退職金共済法などというのは、まさしく一つの企業の中に閉じ込める問題ではない性格のものであるべきだろうと思うし、そういう一面をこれまでその役割としてきたというふうに思っているわけでありますから、もっともっと大きく拡大をし成長してきてもよかったのではないかと思うんですが、どうもこれに対しての参加の状況、加入の状況というのが、必ずしも対象となる労働者の数、企業の数に比べて多くはないような状況でございます。これについて今までいろんな意味での国からの補助も出ておりましたが、補助も減らされるというような状況にはありますけれども、もっともっと力を入れて、広く中小企業の皆さん方が参加できるような年金制度の導入ということも当然一つのポイントだろうと思うんです。 そういうような広がり方をするような指導を労働省がしていただきたいと思うわけでございますが、特にそういう点で今労働省がとっておられる施策というものがあったら教えていただきたいと思います。
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、中退金制度の加入状況、現在、企業数で見まして約四十一万企業、被共済者であります労働者でございますけれども二百八十万余りということで、全体の対象に比べますとかなり少ないというのは御指摘のとおりでございます。 今、非常に労働市場も変化をしているという中にありまして、この退職金制度につきましても、もともと退職金がどういうところからできてきたかというのは御承知のとおりでございまして、企業の中で育成した技能労働者を長期間確保したい、そういうことから退職時に一定のまとまったお金を払うということをインセンティブとして定着を図ろうということでできたものでございますが、今非常に産業構造なり職業構造が変わっていく中にあって、転職をしたいという人たちにとって、むしろこの退職金制度があることがそれを妨げているのではないかという議論もあるわけでございます。 そういうことから、退職金なりのポータビリティー化といったようなことがよく言われているわけでございます。中小企業退職金制度そのものは、中小企業であれば移動ができるという意味におきましては、企業の中に閉じ込める、先ほど御指摘のそういった性格があるというわけではないわけでございまして、御指摘のとおりでございます。 ただ、今非常に大きな変化の中にありまして、退職金制度、年金も含めまして勤労者の老後の資産といいますか、そういったものを全体どう考えるのかということは、改めていろんな環境変化の中で私ども検討しなければいけない大きなテーマではないかというふうに思っているわけでございます。その一つにやはり私どもが所管しております財形制度がございますが、この中にも財形年金制度といったようなものもございます。 そういった全体の老後の生活に対応するための資産というものを労働行政としてはどういう形で資産形成を支援していくのかというのは、この中小企業退職金という制度の狭い範囲だけではなくて、先ほど申し上げましたような財形年金ですとか、他省庁にもかかわるかもしれませんけれども、その他多くの企業年金制度など総合的に検討しなければいけないという、私ども問題意識は今現在持っているところでございます。 ただ、現在、じゃ中小企業退職金共済制度拡充のために具体的に何をやるかというふうにお尋ねになったことにつきましては、ただいまもうPRに努めるということしかないというのが現状でございますが、今後を見据えた検討をやりたいというふうに考えているところでございます。
○今泉昭君 ぜひひとつ、もっと大きな広がりになるように指導をしていただきたいと思います。 話題を変えます。新聞等の報道によりますと、今の松原局長のお話にもございましたように、いろんな意味で今、産業構造の変革あるいは行政改革、規制緩和というものの絡みの中で、労働関係のいろいろな問題が労働者に関する労働関係法にも出てくるのではないだろうかというふうに私は思っているんです。その中で、労働省では職安法を抜本的に改正するという報道が実は新聞でなされました。 新聞報道の中では細かいことは出ておりませんけれども、特に職業紹介を中心とした問題を取り上げて改正をしていきたいのだというような報道が中心でございましたけれども、労働省としては職安法の抜本的な見直しというものの柱というものはそれだけなんでしょうか。どういうことをそのほかに考えていらっしゃるか、お聞かせいただければありがたいと思います。
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のように、新聞で報道された職業安定法等の検討でございますが、これにつきましては、率直に言いまして、現時点ではまだ具体的にどういう柱がどうあるかというところまで行っておりません。職業安定法は御承知のように戦後できた法律でございますが、比較的基本的な法制の見直しということがなくて今日まで至っておるわけでございまして、そういう意味でいきますと、現状に合わなくなっている面があることも確かでございます。ただ、基本的な考え方がそんなに大きく変わるかというと、そう変えるべきでないというそういう問題もございます。 それからもう一点は、非常に世界的に経済・雇用情勢が変わる中で、ILOの九十六号条約というのがございまして、我が国は批准しているわけでございます。これは民営職業紹介等に関する条約でございますが、そういうものについて基本的に大幅な見直しをするというような流れもございまして、これは来年六月の総会でその見直しをするというような予定もございます。 そういうものも踏まえながら今後のあり方を検討しなければならない、こういうようなこともございます。いずれにいたしましても、そういう状況の変化等の中で今後どう対処するかという点につきまして、とりあえず当面、学識経験者等によります研究をまずお願いしよう、こんなところで考えているところでございます。
○今泉昭君 先ほども申し上げましたように、規制緩和や行政改革の流れの中で労働者に関するいろいろな問題が今浮上しておりますが、規制緩和というと今あたかも金科玉条のように言われて、表現は悪いけれども、みそもくそも規制緩和は善だというところばかりに焦点が当てられがちでございます。 実は私、先月、臨時国会が始まる前、十日ほど世界に名高い規制緩和と行政改革のニュージーランドに行ってきたわけでございますが、規制緩和によって泣く人がどれだけいるかということの報道が全く日本には伝わってこないわけでございまして、そういう面を考えてみますと、特に労働行政の中の取り上げ方ということは、大変慎重に取り上げなきゃならない問題がたくさんあるんじゃないだろうかというふうに思っております。 特に労働行政というのは、憲法に決められた国民が最低限度の生活をするために、また、ぎりぎりの市民としての、国民としての権利を守るための行政指導というのが大変強い面がございまして、そういう点で何か規制緩和というものの流れに押し流されないようにしていただきたいと思うわけであります。 例えば職業紹介の問題につきましても、あれほど騒がれている職業紹介が全部ネガティブリストになっちゃって、やったからといってどれだけ雇用が拡大するか、微々たるものなんです。騒がれるほどの問題じゃないのであります。とにかく規制緩和といえば何でも天下に大手を振って歩けるというような状況が大変多いわけでございまして、ぜひその点では労働行政としては注意をしていていただきたいと思うんです。 その中の一つとして出てきたのは、例えば日経連あたりは産業別最低賃金はやめるべきだということを言ってまいりました。また、伝わるところによりますと、正式な決定ではないでしょうけれども、三六協定の届け出制度なんかやめてしまえ、実はこういうような乱暴な論議まで浮上しているようなわけでございまして、労働省の労働行政というものの基本は、人の人権をいかにして守り、そこで働く労働者に被害が及ばないような行政指導というのが大変重要なわけでございますから、ぜひひとつその点に配慮をした御指導をお願いしたいと思うんです。 産業別最賃というものについて、労働省はこれは存在価値ありと思っていらっしゃるか、もう必要ないと思っていらっしゃるか、そのことだけちょりとお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 御案内のように、最低賃金につきましては、都道府県単位で地域別最低賃金を決めまして、それよりより高い水準で幾つかの業種につきまして産業別の最低賃金が定められておるわけでございます。 この産業別の最低賃金は、一つは当該業種での最低賃金に関する労働協約が二分の一以上の労働者の方を既に適用しているといったケース、あるいは公正競争の確保上必要と認められる場合、例えば労働者の方が三分の一以上の合意をもって申し出てきたようなケースは、この公正競争の必要性があるかどうかというようなことで判断されるわけでございます。 そういった上に立ちまして各地方の最低賃金審議会でその必要性が判断されるわけでございますが、現在設定されておるものは、最低賃金審議会の場におきましては全会一致という原則にのっとってその必要性が認められてきておるものでございまして、そういった意味でも、当該地域での労働市場あるいは労働条件の秩序、そういった観点から関係者が必要と認めて設定されているものが現在の姿だというふうに認識しておりますので、その必要性の意義は十分にあるというふうに理解しておるところでございます。
○今泉昭君 どうもありがとうございました。以上で終わります。
○委員長(勝木健司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(勝木健司君) ただいまから労働委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大脇雅子君 私は、去る十二月六日十時三十分、小谷村蒲原沢の土石流の災害についてお尋ねをいたしたいと思います。 私は、去る十四日、社民党の現地調査団の一員として現地を訪ねてまいりました。冒頭に、十三名の死亡者の方の御冥福をお祈りするとともに、一名の行方不明者の早期の発見を心からお祈りいたします。また、八人の負傷者の方のできる限り早期の御回復をあわせてお祈りするものでございます。 姫川の合流点の現場では千八百名規模の捜索が連夜続けられております。私は、その現場に立ち、さらに林野庁の上流側谷どめ工、高さ十一メートルの谷どめ工の工事現場の一番の上流に立ってまいりました。ここでは牧野組三名の女性の作業員の方が死亡されておりまして、笠原建設のいわゆる御冥福を祈られる祭壇が設置されておりまして、三人の方のお名前の前には、お孫さんが供えたであろう、かわいがった縫いぐるみが供えられておりましたし、お酒やビールなど、きっと作業の後飲まれたであろう、そういうことをほうふつとさせるような状況がありました。 山肌は緑褐色に何百平方メートルの大きな崩落ができておりましく山はまだ生きているような状況でありました。その中で谷どめ工は本当におもちやのように小さく見えまして、そこから眺望する深い沢は急傾斜でございまして、秒速十メートルの土石流が十四名の方の命をのんだということ。現場に立ちますと、事故は果たして予見できなかったんだろうか、そして事前の安全対策は果たしてどうだったのだろうかということを思わずにはおられませんでした。 平成七年度、長野労働基準局は長野県北部梅雨前線豪雨災害復旧関連工事安全対策要綱というものを作成しておりまして、地すべりや土石流の危険渓流地帯に対する工事の安全衛生管理について幾つかの提言をしております。さらに、平成八年度では発注機関労働災害防止連絡会議などを行われまして、長野労基局がさまざまなまた対策を提言しております。 そこで、私はまず発注機関である林野庁と建設省とに対してお尋ねをしたいのですが、過去にこうした自然の災害が起こり、地質、地形において特殊な危険性のある工事の現場において、果たして工事契約というものに対してそういった視点がどのように組み込まれていたのかどうか。一般的には工事仕様書などで検討しているということは小山先生の御質問で出ておりますので、具体的に本件の工事におきましてどういった配慮がなされていたのかということをお尋ねいたしたいと思います。
○説明員(安井正美君) 治山事業におきます工事施工中の安全管理につきましては、工事請負契約に基づいて請負者が安全衛生規則等を遵守して行うことになっているわけでございますが、国におきましても各種通達によりまして、発注者の立場といたしましてその遵守等について強く要請をし、あるいは現場監督員等による日ごろからの現地の指導等においてこれまで指導等をしてきたところでございます。 今回の工事現場におきます安全対策につきましては、これらに加えまして、これらの工事が極めて大規模かつ集中的に行われるということから、他の工事現場等とも連携いたしました安全確保対策という観点で、小谷村の小谷地区豪雨災害復旧工事労働災害防止協議会というものを平成八年三月に設置いたしまして、これによりまして共同して安全パトロールや安全教育を実施するといったようなことで労働災害の防止に努めてきたところでございます。 また、営林署につきましても、安全対策を推進するということで、特にこのような危険な災害の復旧箇所といったような観点をもかんがみまして、安全指導等を重点的に行ってきたというふうに聞いておるところでございます。
○説明員(鈴木藤一郎君) ただいま林野庁から御答弁ございましたが、建設省も同様なようなことでございますが、午前中にも当委員会で若干申し上げましたが、工事中の安全管理につきましては、建設省と工事請負者との契約書であります工事請負契約書及び土木工事共通仕様書におきまして請負者が行うということを基本としております。 そういった中で、請負者は、そういった仕様書ですとか特記仕様書などに基づきまして、工事着手前に施工方法、安全管理などに関して記述した施工計画書を作成し、提出し、これを遵守して工事をしていただいているというところでございます。 あるいは、建設省といたしましても、建設省の工事安全対策、これは平成四年一月につくったものでございます。それから公共工事の発注における工事安全対策要綱、これは平成四年七月に策定したものでございます。あるいは土木工事安全施工技術指針、これは平成五年三月でございますが、こういったものの改定等を行いまして建設工事の安全確保に努めてきたところでございます。 これらの指針あるいは共通仕様書等でございますが、この中で、いろいろな災害ということが予想されるわけでございまして、特にそういったもの全体を包含した形で対策が講じられているところでございます。
○大脇雅子君 本件工事につきまして、具体的にまず三点についてお聞きをしたいのです。 発注時期の平準化を求めるために十一月に工事が完了できるような発注体制をとるようにするということ、オリンピックのため無理な工期にならないように注意するということで、工期の確保は十分であったかどうかという点。それから、未熟練や出稼ぎ労働者が非常に多いわけですから、そういう人たちの訓練、研修はなされていたかどうかという点。それから、安全対策費用はむしろ別枠で計上すべきであるというふうに考えられましたが、本件の契約書についてはそういう点では配慮がされていたかどうか。この三点、時間がございませんので簡単にお答えいただきたいと思います。
○説明員(安井正美君) まず、工期についての御質問でございますが、私どもの最上流部の治山ダムの工期でございますが、平成八年二月から平成九年九月ということになっております。 実際の現場の工事につきましても、工事施工中の作業の安全等に配慮いたしまして、降雨時期のダム本体の工事の中止を指示しておったというふうに聞いております。八月中旬になりましてから、請負者から、資材の搬入路の作設等の工事から着手し、ダム本体の工事については九月以降に施工したいといったような工事の工程書が提出され、これを承認する形で工事が進められたというふうに聞いております。 また、具体的な工事の進捗状況でございますが、十二月五日の時点におきまして、コンクリートの打設が終了して後片づけの段階に入っていたというふうに聞いておりまして、平成九年九月を期限とする当該工事の工期そのものについて、現実の運用といたしましても無理のないものであったというふうに承知をいたしているところであります。 それから、安全に係ります経費の積算でございますけれども、これにつきましては、治山事業設計書作成要領に基づきまして、請負者が一般的に行うべき安全費用については定率により、また安全対策上重要な仮設物等につきましては個々の積み上げによりまして適切に計上するように文書によりまして指導いたしているところでございますが、今回の工事に係りますこれらの積算につきましても、このような指導に基づいて積算されたというふうに聞いているところでございます。 なお、今回の工事の施工を請け負っておりました工事現場の方々でございますけれども、いずれも地元の糸魚川市の方々というふうに聞いているところでございます。
○説明員(池谷浩君) 工期についてお答えしたいと思います。 ただいまの先生からの御質問で、十一月末もしくはオリンピック関連で工期に無理があったのではないかというような御質問がありましたが、砂防災害関連緊急事業につきましては、すべての工期が平成九年一月の完成予定としておりまして、そのうち床固め工並びに流路工の部分につきましては九割を超す整備ができておりまして、ほぼ工期どおり仕事が進んでいたと報告を受けております。 また、上流の砂防ダムにつきましては、今年六月の出水を受けまして一部手戻りが出ましたので、五十一日間の工期延長を業者の方と協議しておったということも報告を受けておりますので、工期につきましては特に無理な工期をしているとは思っておりません。 また、砂防ダム、それから流路工につきましては、特にオリンピック関連という認識を持っておりません。 以上でございます。
○説明員(鈴木藤一郎君) 未熟練工に対する訓練の関係、それから費用の見積もりの関係についてお答えいたします。 まず、未熟練工に対する訓練の関係でございますが、先ほども申し上げました土木工事共通仕様書の中に、「請負者は、土木請負工事における安全・訓練等の実施について」、この「土木請負工事における安全・訓練等の実施について」というのは通達の名前でございますが、こういったものに基づきまして、「工事着手後、作業員全員の参加により月当り、半日以上の時間を割当てて、定期的に安全に関する研修・訓練等を実施しなければならない。」ということが記載されております。本件工事においても同様でございます。 それから、「土木請負工事における安全・訓練等の実施について」という通達の中身でございますが、詳しくは時間の関係で省略いたしますが、安全・訓練活動の徹底ですとか、安全・訓練等の積算上の位置づけですとか、あるいは訓練等の実施状況の確認等々が記載されているところでございます。 なお、費用については先ほど林野庁の方からお答えのあったとおりでございまして、基本的には、現場管理費率ですとか共通仮設費率とかというそういう率計上の部分で計上する部分と、個別に積み上げる部分の二本立てで措置しているところでございます。
○大脇雅子君 通達などは承知しているわけですが、それが実際にどのように現場に適用されていたかどうかということは、さらに今後厳密に調査をしていただきたいと思います。 次に、労働省にお尋ねをいたしますが、先ほど言いました安全対策要綱とかさまざまな協議会が行われているということはありますが、私はこういった要綱が末端の業者まで徹底していたかどうかということは疑わざるを得ないわけでありまして、紙が配付されたということは聞いておりますが、実際にどのような観点で指導されたかということについてお尋ねしたいと思います。 例えば、当日は、寒波が来て雪が降って、気温がさらに緩んで雨が降って融雪があった。したがって、川の色だとか水量の減少だとか、あるいはそうしたさらさら流れる細かい土石流が発生していたということですから、例えば現場のパトロールだとか監視体制がきっちり行われていたらこの事故は事前に予知でき、予防されていたのではないか。他の沢にいた後藤組が危険を感じて工事を取りやめているという実績があるにもかかわらず、この現場では昼夜を分かたずその作業が継続されていたというふうに聞いております。 どのように監督をされていたのか、現場への立入検査はどのような状況であったのか、そして労働者の作業日報等がきちっと確保されて原因などの究明に役立つように押さえられているかどうか。三点についてお尋ねをいたします。
○政府委員(伊藤庄平君) 小谷地区、特に蒲原沢を含む小谷地区の災害復旧工事につきましては、御指摘ございましたように昨年の九月、またことしの七月に入りまして、再三にわたりまして安全対策要綱等に基づき安全対策の徹底について要請を行ったわけですが、私ども、単に文書を配付するということだけではなしに、安全対策会議ということで施工業者、また発注者の方に集まっていただいて、その場で説明しながら安全対策要綱を渡して要請をするというような形をとってまいりました。 これは七月の安全対策についての要請も同様でございまして、安全対策会議を開いて御参集願って要請する。また、七月にはさらに安全に向けての防止大会を開催して、パトロール結果に基づく注意事項を重ねて要請するといったような形で、相対しての指導に努めてきたところでございます。 また、六月の雨が多かった翌日には、施工業者に対しまして、今までの注意に関する要請を思い出していただくためにも、改めてファクスで施工業者の方に直接注意を喚起するというような要請を行っておったところでございます。 その後も、施工業者、発注者の協力も得て安全パトロールが再三行われてまいったわけでございますが、ただ、御指摘ございましたように、今回、十二月のいわば冬場の渇水期で、こういった災害について通常少ないといいますか、余り予想されない時期にこういった事故が起きたことは私ども大変重く受けとめなければならないと思っております。 先生から御指摘ございました作業日報その他の関係につきましても、またこの事故が起きた経緯につきましても、科学的、技術的な観点から今後早急に発生原因の究明等を徹底的に行いまして、今後こういった事故の再発防止をするために具体的な手だて等も含めて私ども早急に対応を考えてまいりたい、そういったことで再発防止に万全を期する体制をつくってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○大脇雅子君 公共工事ですから、そうした発注元に対する一定の義務を明記するように、労働安全衛生法の改正なども射程距離に入れながら、さらなる省庁間の事故の原因究明とさらなる安全対策の強化をお願いいたしたいと思います。 時間が参りましたので、私の質問を終わります。
○千葉景子君 きょうは女性の権利の問題などについてちょっと総括的に質問させていただきたいと思います。 労働省では、これまでもとりわけ雇用の場における女性の権利の確保やあるいは男女の平等、このような課題に積極的に取り組みを進めていただいてまいりました。ある意味ではその分野のリーダー役と言っても過言ではなかったかというふうに思います。しかし、近年、男女共同参画と申しましょうか、とりわけ男女の平等、そして女性の人権、こういう問題が大変社会的にも重要な課題となって取り上げられるようになりました。 昨年、北京で世界女性会議がございまして、行動綱領が採択をされました。もうこれは大臣には釈迦に説法でございますが、その中でも、女性のエンパワーメントあるいは男女平等のパートナーシップ、また女性の人権、こういうものが基本的な理念として取り上げられ、十二の領域、その中には雇用という問題もございますけれども、そういう分野での取り組むべき方向が示されたところでもございます。また、北京の女性会議も踏まえながら、つい先般、政府の方でも男女共同参画二〇〇〇年プラン国内行動計画、これが取りまとめをされたところでもございます。 また、少子・高齢社会の進展ということを考えてみますと、やはり女性の男性と平等な立場での就業、こういう問題がこれからの経済活力の維持あるいは税制の面でも、あるいはこれからの国民所得の発展の意味からも大変重要なポイントになってこようかというふうに思います。 そのためには、これまでも仕事と家庭生活、こういうものを両立できるような体制づくりということで育児休業制度や介護休業制度、これについて労働省でも取り組んでこられたところでございますが、もう一つやはり今重要なのは、女性が男性と平等な形で働くことができる、この環境整備を行うことも大変重要なポイントであろうと思います。 均等法の見直しもされようというところでございますが、それにちょうど軌を一にするかのように、総務庁から女性労働に関する行政監察結果というものが十二月十三日に出されておりまして、この中でも雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保、こういうことも指摘をされているところでございます。 こういう大きな流れの中にあるわけですけれども、それのトップとしてリーダーシップを発揮していただくべき労働大臣、ぜひこういう観点、世界的な流れ、そういうものも踏まえて、女性と男性の平等という問題、あるいは雇用の場における女性の権利の保障という問題に対して基本的にまずどんな御認識をお持ちであろうか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岡野裕君) 千葉先生のお話の冒頭、男女共同参画型社会というようなものを目指して労働省が中心になって努力してきた跡は認めると、我々の精いっぱいの努力を御評価いただきましたことにつきましてまずお礼を申し上げたい、こう思っております。 世界的な風潮であると同時に、これは日本のなし遂げなければならない極めて重大な責務だと、こんなふうに受けとめているわけであります。男女が性の差別をされることなく社会生活を送る、加えてまた母性としての、母性としての保護というようなものにも配慮していかなければならない。両方の要請というものを、日本の言いますならばたたずまいといいますか、国づくりといいますか、それを基本に据えていこうというのが私ども政府の考え方であります。 実は、具体的にはつい先ほどでありますが、婦人少年問題審議会の人見会長さんから、施行されて十年になる男女雇用機会均等法、これについての御建議をちょうだいいたしました。ちょうど折もよしというお言葉が別の面で先生からお話がありましたが、このお昼休みにいただいたばかりで、先生は、四点についてこの建議の中にうたってあるので大臣よろしく頼むということでございました。私は、事前に案的なものの段階におきまして一通り目を通しましたけれども、これは婦人部会を中心とする婦人少年問題審議会の皆様の御苦心といいますか御努力といいますか、その跡が鮮やかに出ているということを見ることができまして、先ほども本当にありがたい御建議をちょうだいしてと申し上げたのであります。 この意を体しまして、我々としてはできるだけ早期にこの中身を盛り込んだ制度というものを確立してまいりたい。これは男女共同参画型社会のほんの一つの柱にしかすぎませんけれども、まず口で言うよりは具体的な行動をもって示す、これが一番重要だと心得ますので、今後も頑張るつもりでありますが、またよろしく御指導をちょうだいできれば幸せであります。
○千葉景子君 この均等法の見直しにつきましては、また改めた機会にいろいろな御議論があろうかと思いますし、また委員会の場での審議もあろうかというふうに思いますので、その際に譲らせていただきたいというふうに思っております。 ただ、この男女共同参画、今、この均等法の見直しもそのほんの一つであるというお話がございました。もちろんそのとおりでございまして、そのほかにもいろいろな課題があるわけでございます。 その中で一つ、私もいつも口を酸っぱくしてお話をさせていただくものですから、もう耳にたこというところがあるかもしれませんが、意思決定の場に女性が積極的に参画をする、これもやはり大変重要なことであろうというふうに思っております。今、各省庁の管轄をされる審議会などにつきましては違った意味で人選の問題などが議論をされているところでございますが、この審議会にやはりでき得る限り女性の声を反映するということも私ども求めてまいりました。 これもつい先般、審議会の女性委員の割合について政府として発表がございました。割合は一六・一%ということでございます。徐々にこれも取り組みを続けていただいているところでございますが、一六・一%、随分少ないものだなという実感でございます。労働省においても、この部分でも努力を続けておられるところでございますけれども、労働省の管轄の審議会の実情はいかがでしょうか。 それから、私も感じているところでございますけれども、これの女性の率がなかなか上がらない問題点に、職種が指定をされていたり、あるいはいろいろな団体からの御推薦をいただいている、そういう部分がなかなか難しいという話もお聞きしているところでございますが、ちょっと実情と、これをできるだけ解消して男性、女性の声が本当に反映できるような方向にするためのお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(太田芳枝君) 現在、千葉先生がおっしゃいましたように、政府は目標値を立てて一生懸命頑張っておるところでございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、この九月三十日現在で全省庁の平均は一六・一%でございますが、労働省は二八・七%ということで、平均値よりは上を、少しだけ上を行かせていただいております。 それで、労働省の中でどうかということでございますが、これはやはり審議会によって差がございまして、婦人局の婦人少年問題審議会では四〇%ということで一番高い数値になっておりますが、平均値の二八%を切っている審議会もあるというような状況が労働省の中の状況でございます。 それから、先生の御指摘でございました各団体の推薦の委員の割合が女性少ないではないかということでございますが、労働省といたしましても、そういう委員を推薦している関係団体に対しまして、私どもの取り組みの趣旨を御理解いただき、できるだけ多くの女性の候補を推薦いただくように、政府も文書を別途お出しになりましたが、労働省といたしましても事務次官名で文書を出させていただきまして、それぞれの団体に審議会等々への女性の登用が図られますように積極的に働きかけをさせていただいているところでございます。
○千葉景子君 この審議会の部分だけ比率を上げようといってもなかなか難しい部分があることは、私も十分理解できるところでございます。社会全体あるいは均等法の見直しも含めて、社会のあらゆる部分に女性の参画が進むということと相まってこの問題も進んでいくんだろうというふうに思いますが、ぜひこれからも積極的な働きかけをお願いしておきたいというふうに思っております。 それから、先ほど男女共同参画ということを申し上げましたが、そういう際に、やはり女性が十分に能力を発揮し、そして女性の人権がきちっと保障される、そういう環境づくりが当然必要であろうというふうに思います。 そういう中で、最近非常に問題になっておりますのがセクシュアル・ハラスメントの問題であろうというふうに思います。これも世界的にも非常に法律が整備をされたり、あるいは制度が改正をされたりしているところでもございますが、なかなか日本の場合、ややもするとやゆの対象になったり、あるいは今度は逆に多少ヒステリックな部分が出たり、女性の人権としてこの問題に対処しようという冷静な環境が不十分なのではないだろうかと、そんな気もしております。 しかし、やはりこれからは、これが女性の人権侵害につながるんだというきちっとした認識、あるいはセクシュアル・ハラスメントといいましてもなかなかその概念というものも周知徹底がなされていないという部分もございます。そういうことを含めて取り組んでいく必要があろうかというふうに思いますが、現在の相談とかあるいはこのセクシュアル・ハラスメントに対する対応がどうなされているか、そして今後やはり相談事業や企業への指導なども含めてどんな取り組みを進めていく方向にあるのか、その辺についてお答えを賜りたいと思います。
○政府委員(太田芳枝君) セクシュアル・ハラスメントにつきましては、特に職場におけるセクシュアル・ハラスメントでございますが、労働省では平成五年に研究会を開催いたしまして、実態を分析し、概念整理を行ったところでございます。 ちょっと長くなりますが、引用させていただきたいんですが、そのときの概念といたしまして、「相手方の意に反した、性的な性質の言動を行い、それに対する対応によって仕事をする上で一定の不利益を与えたり、又はそれを繰り返すことによって就業環境を著しく悪化させること」ということで、要は、権限を持つ上司が部下にやるいわゆるセクシュアル・ハラスメントを対価型セクシュアル・ハラスメントというふうに言い、それからもう一つは、経済的な不利益は伴わないんですけれども、屈辱的な言葉とか敵対的な発言の繰り返しをするというようなことを環境型セクシュアル・ハラスメントというような形で分けまして、概念整理を行ったところでございます。 そして、その研究会の成果を受けましてパンフレットやビデオなどもつくりまして、企業に対してセクハラというのは非常にいろんな問題点があるんだということを啓発するということで啓発活動を行ってきておるところでございます。この問題はやはり企業の中で自主的に解決していただくことが一番いいのではないかということで、企業内の自主的解決の促進等に対する助言、指導も実施をしてきておるところでございます。 また、私どもの出先でございます労働省の婦人少年室におきましても、実際に毎年千件近くの相談が寄せられているというような実態でございます。 そして、先ほど大臣がたまたま婦人少年問題審議会の建議のことを申されましたが、セクシュアル・ハラスメントの問題も重要な課題として婦人少年問題審議会で御議論をいただいたところでございまして、その建議の中におきましても、「企業において」セクシュアル・ハラスメントを「事前に防止するよう配慮すべきであることを法律の中に盛り込むとともに、国は、事業主が配慮すべき事項について必要な指針を示すことが適当」というふうにされているところでございます。 労働省といたしましては、この建議を踏まえましていろいろと今後ともやっていくことにしたいと思いますが、具体的には、具体的なセクシュアル・ハラスメントの概念の提示とか、それから企業におけるセクシュアル・ハラスメントの予防対策ということで、来年度、予算を要求いたしまして、研究会を開催し、問題点を整理していきたいというふうに思っておるところでございます。
○千葉景子君 これも建議の中でも指摘をされているということでございますので、その趣旨も踏まえてぜひ取り組みをしていただきたいというふうに思います。 ちょっと別な問題点になりますが、国際的な関係で質問させていただきたいと思います。 労働省は国際的な活動もなかなか秘極的にやっていただいているんですが、こういう問題というのはなかなか外に見えにくいというところがございます。労働、雇用関係に関して、例えば二国間での援助とか、それから国際労働機関、ILOというものを通じてさまざまな国際貢献といいましょうか、支援を行っているということを私も承知させていただいております。 そういう中で、特にアジア地域のリーダーシップを発揮するという意味でマルチ・バイでの支援というのが、地味な活動ではございますけれども大変効果を上げ、各国にも評価をいただいていると聞いておりますけれども、ちょっとその実情についてお知らせをいただければと思います。
○政府委員(渡邊信君) 労働省の国際協力についてのお尋ねでございます。 特にマルチ・バイによる国際協力ですが、労働省ではILOを通じましてこのマルチ・バイ方式によりますアジア地域でのいろいろな協力活動を行っております。ILOは非常に長年にわたっていろんな経験、ノウハウを蓄積しておりますし、また公労使といいますか政労使の三者構成が原則で、非常に中立的な要素を持っているといったようなことで援助も各国が受け入れやすい、こういった性格を持っておりますから、労働省としましてはこのマルチ・バイ方式を積極的にこれからも活用していきたいというふうに思っております。 現在では、このILOを通じましたマルチ・バイ方式による協力の方式としまして、これは一九七四年以降日本は行ってきておりますけれども、雇用開発あるいは労使協力の推進ですとか、労働行政官の資質の向上、あるいは国際労働基準等に関するセミナーの開催、こういった事業を行っているところであります。八年度、まだまだ少ないんですが、予算が三億一千万ぐらいの規模で行っていまして、今後とも、ILOを通じたこのマルチ・バイ協力については積極的に推進をしたいというふうに考えておるところでございます。
○千葉景子君 では、時間もあれなものですから最後に一点、その国際協力といいましょうか、そういう面で。 今、ILOを通じての支援ということでございましたが、私のちょっと調査をしたところによりますと、今ILOでは児童労働に関して積極的な取り組みが始まっていると。何か略称はIPECという形で取り組まれているというふうに聞いておるところでございますけれども、この児童労働はやっぱりアジア地域でも大変深刻な問題でもあろうかというふうに思います。 そういう意味では、これから国際的な支援、マルチ・バイ方式とは限らないわけですけれども、こういう児童労働などについてのいろいろな取り組みにも日本も積極的に協力をしていくということも必要になってこようかと思いますが、そのあたりについてはいかがお考えでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) いわゆる児童労働に関します関心というものは国際的にも現在大変高まってきておりまして、本年のILOの総会におきましても児童労働の撲滅に関する決議というものが行われまして、その中で、危険で有害な作業における児童の雇用等の廃止に向けて直ちに前進する必要があるということが言われております。また、再来年ですが、九八年及び九九年のILOの総会におきましては、児童労働に関する条約の採択に向けて審議を行うということが決定されておると聞いております。 日本政府としましても、この児童労働に関する問題は大変重要な問題だというふうに思っておりまして、ILOの重要な構成国として積極的にこの問題には取り組んでいきたいと思っております。また、委員おっしゃいましたIPEC、児童労働撲滅国際計画というものが現在ドイツ等十一カ国で取り組まれております。まだ日本はこれには参加しておりませんが、こういった国際的な関心の高まりの中で、このIPECの問題についても検討をしていく必要があろうというふうに思っております。
○千葉景子君 終わります。
○吉川春子君 小谷村の土石流災害の問題について伺います。 私は十二月七日に小谷に参りましたけれども、現地は昨年、ことしと連続して土石流が発生して、災害現場に近づくとすごい災害の跡が目に飛び込んできまして、土石流の常夏地帯であることがすぐにわかります。これは天災だとか予期せぬ災害だと閣僚が今回の事件で相次いで発言しておられますが、そうではないと思います。仮に土石流は防げなかったとしても、今回のような最悪の労災は防げたし、防がなければならなかったのではないでしょうか。 平成七年九月に長野労働基準局は、長野県北部梅雨前線豪雨復旧工事の安全対策を施工業者に対して指導、長野県の土本部長あるいは建設省松本工事事務所には要請しています。ことしの七月に、発注機関に対する危険な災害復旧についての着手の見合せを要請しています。 そこで伺いますが、その上でさらに七月十五日に小谷地区労働災害防止大会を持って、合同パトロールの結果を踏まえて発注機関に対する要請を行っています。この内容は簡単に言うとどういうことだったんですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 私どもは、小谷地区の災害復旧工事に関しましては、平成七年の九月、また平成八年に入りましてから七月、こういった段階で安全対策の要綱に基づきまして指導を行いました。その中で私ども発注者の方、施工業者にお願いいたしまして、ああいった複数の請負業者で錯綜した工事が行われることにかんがみまして、協議会を地区ごとに設置していただくようにいたしました。そういった地区協議会の活動の中で安全パトロールを実施していただくということをお願いしたわけでございます。七月十五日には、こういう労働災害防止大会という形で、そういった安全パトロールの結果に基づく安全対策として御注意を願う注意事項等につきまして私ども要請を行ったわけでございます。
○吉川春子君 七月十五日には、両者に対して土石流と鉄砲水に対する対応の基準づくり等を要請していますね。労働省側としては非常にきめの細かいいろんな指導、要請をしてきているんですけれども、これが完全に実施されていたら今回の悲劇は防げたのではないかと思いますけれども、その辺はどうですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 先生御指摘のように、七月十五日の労働災害防止大会におきましては、土石流の問題あるいは鉄砲水に対する危険の問題につきまして認識を持っていただくように私どもお願いしたところでございますが、当時、この前の段階でも、雨の降った後、施工業者にファクス等で私ども注意喚起を行ったりしております。そういったふうにこの土石流の問題は、いわば雨による影響、そういった形の中で発生してくる問題として、雨の後のいろんな注意、警戒を呼びかけておったのが正直なところでございます。 十二月、そういったいわば渇水期にこういった事故が起こるということにつきまして、この七月の段階で想定したかと言われますと、その点につきましては正直なかなか予測しがたい面があったことも事実でございます。私ども、今回十二月の段階でこういった事故が起きたことを改めて非常に重く受けとめているところでございます。したがいまして、その発生原因の徹底的な究明、またそれに対応する方法につきまして、科学的技術的な手だて、そういったことについて早急に調査結果に基づいて新たな対応策も考えていかなければならないという思いをいたしているところでございます。
○吉川春子君 簡単に。要するに、労働省はこれだけきめ細かい指導をしていたけれども、それでも防ぎ得なかったかもしれないという、そういう答弁として受けとめていいですね。
○国務大臣(岡野裕君) 伊藤基準局長から我々の現地に対する指導の仕方を細かくお話を申し上げたところでございますが、今まで事故発生以来人命救出を最大の目標として作業をやってまいりました。初日にすぐ基準局長が現地に飛びましたこと、冒頭お話をしたとおりではございますけれども、これから実際の原因究明を徹底的にやらなければならないということでございます。その結果を待ちましてまた先生に御報告できるかと、こう思っております。
○吉川春子君 建設省に伺いますけれども、建設省は土木工事安全施工技術指針を各地方建設局あてに出していますね。その中で、異常気象時の対策として常に気象情報の入手に努めること、現場状況に応じてトランシーバーで対応すること、現場における伝達は無線機、トランシーバー、拡声機、サイレンを設けて、緊急時に使用できるように常時点検整備しておくことにしています。今回、このような設備がありませんでしたけれども、指針から言えば常備しておかなければならなかったということになるんじゃありませんか。
○説明員(鈴木藤一郎君) ただいまの点でございますが、土木工事安全施工技術指針、これは建設省がつくったものでございます。
○吉川春子君 その説明はいいんです。
○説明員(鈴木藤一郎君) 説明はいたしませんが、これは共通仕様書の中で工事中の安全確保というところがございまして、請負者はこの指針に基づいて、土木工事安全指針を参考にして常に工事の安全に留意し現場管理を行い災害の防止を図りなさい、こういうふうになっております。 そういうことでございまして、ただいま御質問の点は、大変恐縮でございますが、午前中の委員会からもあるいは午後も申し上げております。私どもとして、地方建設局というのがございますが、そこでわかる範囲のことは調べられるのでございますが、現場に直接連絡をとって、実態が、その運用がどうであったかというふうなことを今までのところ聞けるような状態ではございませんでした。
○吉川春子君 今のことを聞いているんじゃありません。質問に答えてください。
○説明員(鈴木藤一郎君) そういうことで、きちっとこれから調べまして、先ほどからもございますように、まず、どういうことでこの災害が起こったのか、土石流が起こったのか……
○吉川春子君 そうじやありません、聞いているのは。今回のこと聞いていません。要するに、そういう仕様書になっているわけですから、そういうことが必要だったんじゃないですかと。今回どうだったかというんじゃなくて、常時常備しておくというふうに仕様書になっているので、それが必要だった事例ではありませんかと聞いていますが、ちょっと端的に。
○説明員(鈴木藤一郎君) 先ほど申しましたように、現場の実際の安全管理につきましては、先ほど申し上げました指針を参考にして請負者の責任においてつくるということにされておりますので、そういう答弁を先ほどから申し上げているわけでございます。
○吉川春子君 参考にしてやっておく必要があったんですよ。工事責任者は、必要に応じて二名以上を構成員とする警戒班を出動させて巡回点検を実施するとか、警戒員は、気象の急変及び非常事態に注意して、工事責任者との連絡を適宜行い、周辺の状況把握に努めることとか、あるいは安全訓練の実施については仕様書に記載例まで設けて通達を出していますね。そして、その安全訓練を実施したかどうかの確認はビデオなどの記録で提出させると、そういうことも建設省はしているんですね。しかし、そういうことが今回なされていなかったということが問題なんです。 もう先に質問行きます。例えば、事故発生後の九日、建設省は土石流のセンサーをつけましたけれども、なぜ事故後につけたんですか。費用は幾らかかったんですか。
○説明員(池谷浩君) 九日の朝に現地につけましたセンサーはヘリコプターで投下したわけでございます。これは災害後に設置したセンサーでございまして、行方不明者の捜索に当たりまして二次災害防止のために、それまでずっと人間の目視でそれをやっていたんですが、土石流の監視を補完する目的で現地にセットしております。
○吉川春子君 費用は。
○説明員(池谷浩君) 費用は、まだ試作中のテストランのセンサーでございましたので、テストということで入れております。
○吉川春子君 サイレンも事故後に備えつけられたわけで、土石流の見張りとかサイレンは最低限必要であったのに、今回はそういうことすら講じられていなかったわけです。救助対策に必要というものは工事のときにも当然必要だったんですけれども、事故の起きる前にはなぜこういうものが設置されなかったんでしょうか。
○説明員(池谷浩君) 具体にどのようになっていたかというのは、きちっとこれから調べますが、私どもが今承知している範囲では、この地域の警戒安全対策については雨量で基準を一つ考えてセットしていたと。ですから、その雨量になったときに避難もしくは警戒するということでやっていたというふうに聞いておりますので、それでできていたというふうに考えております。
○吉川春子君 サイレンとか土石流の見張りとか、そういうものは最低必要だったんじゃないですか。それが救助活動には必要だからとつけたんだけれども、実際にその災害が起こる前の工事にはどうしてつけられなかったのかということを聞いています。
○説明員(池谷浩君) 実際になぜつけられなかったかというのは、先ほどから申しましたようにきちんとこれから調べたいと思いますが、一般論でいいますと、日本の土石流発生というのは大体が雨によって起こっています。ですから、雨によって土石流が発生するというのを見るんじゃなくて、発生のしばらぐ前にやはり警戒とか避難とかというのが必要になりますので、雨でぴったり土石流が起こるというんじゃなくて、起こるしばらく前の雨を一つの目安にして一般的には基準がつくられています。ですから、その雨で例えば避難をするという仕組みができていれば、それはそれなりに安全対策の一つの手法として生きてくるのではないかと、このように感じております。
○吉川春子君 サイレンなどは大してお金もかからないし、どういう理由で退避するにしろサイレンぐらいは最低必要だったと思うんですよ。それからセンサーなどもやっぱり取りつける、そして工事費の中に組み入れる、そういうことがきちっとなされていれば今回の事故も最小限の被害で済んだかもしれないというふうに言えるわけです。 私は一つ労働省にお伺いしますけれども、明らかに災害の危険があるのにその対策を講じないときに、発注者や業者に強制力を持ってどうして指導できないんですか。労働省がいろいろ方法を出している、それがしかしなかなか具体化されていなかった、これは労働安全衛生法に問題があるんでしょうか。それとも、もっと労働基準監督署がきちっと臨検をするなり、ぺ−パーで出した方針が実際に守られているかどうかということをもっとフォローしてやっておくべきではなかったんでしょうか。その点を伺います。
○政府委員(伊藤庄平君) 私どもが当地域でかねて進めてまいりました安全の確立につきましての指導につきまして、例えば警戒態勢あるいは避難態勢、そういったものについても配慮していただくよう呼びかけていたことの一つでございますが、そういったことにつきまして、例えば雨量による目安をつくる態勢等をつくって一定の作業の管理をしていただいたこと等もそういったことのあらわれであろうかと思います。 具体的にそういったセンサーをつける、あるいはサイレンをつけるといったようなことにつきましては、これは発注者あるいは施工業者の間でいろいろと御相談していただいて、工事の状況に応じた一番適切な形をとっていただくのがいいのではないかというふうに思っているところでございます。 したがいまして、現在の労働安全衛生法に基づきますと、私どもがかねて進めてまいりました安全の呼びかけも、いわば労働災害を防止するという観点から、非常に広範な観点から、私ども法令に基づかない措置もいろいろ含めて関係者にお願いをしてきておったものでございます。 したがいまして、今回御指摘のセンサー等の問題につきましては、今後、災害原因の徹底的な究明、それに対応した再発防止のための科学的、技術的な手だてを進める中で、そういったことについて何か私ども考えていかなければならない問題が出てくれば、そこから逃げるんではなくて、前向きにそういった再発防止手だては十分検討し確立していきたいと思っております。 それからもう一つ、そういった指導をした後に実行されているかどうかをきちっとチェックする体制ということでございます。私ども、限られた監督体制のもとで精いっぱいやっているつもりでございますが^体制が非常に限られておりますので、各地区ごとに施工業者、発注者の方に協力願って、地区のこういう労働災害防止のための協議会をつくっていただき、そこでかなり精力的な安全パトロールをお願いする。そういったことと相まって、お願いしている安全対策の要綱がどこまで徹底しているかを把握し、その状況に基づいて必要ならまた改めて指導すると、こういうことを進めてきたわけでございます。
○吉川春子君 この所管は大町の基準監督署ですけれども、ここの人員、それから対象事業所等、数だけでいいです、報告してください。
○政府委員(伊藤庄平君) この地域は長野県の大町労働基準監督署でございますが、ここは八人の体制でございます。それから糸魚川の監督署につきましては、これは新潟県の方になりますが、この地域の一部を管轄しておりまして、ここは七人の職員の体制で行っております。
○吉川春子君 事業所の数は。
○政府委員(伊藤庄平君) 事業所の数は、大町労働基準監督署の方が適用事業所数約五千三百事業所でございます。それから糸魚川の方が約二千百事業所でございます。
○吉川春子君 大臣、最後にお伺いします。 つまり、七人とか八人で二千百とか数千の事業所を対象にしている。七人の体制といっても監督官は三人ですよ。そして、その監督官のうちの一人は署長、一人は第一課長ということで、実際にはもう数千の事業所を一々回るというのは現場の監督官にしてみれば、職員にしてみれば大変な御苦労があると思うんです。今回きめの細かいことをいろいろ通達は出していたけれども、それを実際に臨検なりなんなりして徹底させる人員の体制にも非常に不備があったと私は思います。建設省とか林野庁はやっぱり発注者としての非常に大きな責任があると思います、これはこれで。しっかり今後調査してほしいと思うんです。 私は最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、国民の生命、安全を守る、あるいはさまざまなサービスを行う、こういうところでは行政改革イコール公務員の削減というふうにはならないと思うんですね。だから、やっぱり必要なところはきちっと公務員の数をつけるということ。それから法的な強制力が余りなかったわけですね。業者の自由に任されていたり、発注者に対して要請はするけれどもそれはやれないと、そういうようなことを含めて、今後の再発防止対策について大臣の決意を、労働省のみならず、建設省、林野庁の長官もいませんので、閣僚の代表として再発防止の決意を大臣に伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(岡野裕君) 先生おっしゃった行政改革全般の流れというものがありますが、人命にかかわるというような、言いますならば、社会的、私、規制とは言いません、規範の中にあるもの、その中に規制も出てくるわけでありますが、それど経済的な規範のもとにあるものとそれぞれ区別して考えるべきだと。一般論的には経済的規制というものは自由である。自由に任されるべきであると。それから社会的規範というものについては慎重であらねばならないという原則がありますが、個々具体的にしからばどういう対処の仕方をしていくか、これはその問題問題についての判断によると思います。 我々は、国民の皆さんから予算はこういうことだと認められた中で仕事をより能率的に運ぶわけでありますが、幸いにして、平成八年四十二名の増員が認められております。ささやかではありますが、我々は一生懸命努力をしてきたと。よって国会でも国民の皆さんからも御理解をいただいていると、これに勇を鼓しまして、今後もこういう災害が発生をしないように頑張ってまいりたいと、こう思っております。よろしくお願いいたします。
○笹野貞子君 私は、本当に幸か不幸か、大変元気のいい吉川委員の後で、いつでも心臓がどきどきいたしまして、質問がまとまるかどうか自分でも不安な気持ちで今立っております。 午前中、そして大脇委員、今の吉川委員と、蒲原沢のあの大変なことについて熱心な御討議がありましたけれども、私も発生後四日目に現地に入りまして見てまいりました。そのときちょうど民主党の皆さん方とも現地で一緒になって、お互いに頑張ろうねというエールを交わしながらいろんなところを見てまいりました。 そのとき、現場のお話を聞きますと、発生直後すぐ労働省の職員の方が来られて、熱心な陣頭指揮をとられたということを聞きまして、さすが我が労働省というふうに私は思いました。 そこで、真理は単純なところにあるという言葉がありますが、私の大変好きな言葉なので、やっぱり現場に立って見るということは本当にすべてのことを理解できる。私は、労働省の皆さん方が即現場に行って見られたというこのこと、真理は単純なところにありますので、まず現場に行ってどういうお考えを持ったのかという、そこからお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 今回の災害発生直後、労働省におきましては事務次官を本部長とする災害対策本部を設置いたしまして、私の方は直ちに現地に飛びまして、ちょうど県境で長野労働基準局、新潟労働基準局にまたがるものですから、両方の合同による合同対策本部を立ち上げまして、既に災害救助、二次災害の防止に相当配慮していただきながら進められておりましたが、そういった二次災害の問題、また今後本格的な原因究明に備えましての災害発生状況の調査、そういったことについて現場の態勢を指揮してまいったところでございます。 現場で災害状況を、既に夜半でございましたが見まして、やはり相当に急峻なところ、また急勾配の沢におきまして、あれだけ大量の土砂の中で十四名の方が行方不明になっておられる、一日も早い救助をということ、そのことでまずは思いがいっぱいでございましたが、もう一つ、やはり私どもあの地域でとりわけ安全対策について相当留意しなければならないということでいろいろな対策を積み上げてまいりました。 こういったとりわけ土石流の問題につきましては、発生という点から非常にまれであるこの冬季に、あれだけの大規模の土石流災害が起きて、我々の講じてまいりました安全対策につきまして、やはり自然の前でまだまだ足りない。徹底した原因究明を行い、我々の安全対策にはまだまだ残された課題が多いということを頭に置いて、そういった原因究明の結果に基づいて、今後新しい手だても科学的な観点、技術的な観点からむしろ意欲的に挑戦するつもりで立てていかなければならないのかなという思いをいたしたところでございます。
○笹野貞子君 私もあの現場に立ちまして、人類の発展の歴史って何だろう、そして国家は何をなすべきかという、オーバーな言い方をするとそんな気持ちで立っていました。 私たちは、憲法に国民はみんな健康で文化的という、そういう生き方を保障されているんであって、この文化的という言葉の中には安全、安心ということが多く含まれていると思います。そういう意味で、私は、一生懸命やっているにもかかわらず、私たちの安全と安心を守るために、こういう危険なところで仕事をしている人がやっぱりいるということ、そして自然の脅威というのは、本当に私たちの力を出しても出しても出し切れないぐらいその脅威というのがあるんだ。これからも私たちが憲法で保障されている安全で安心な社会というもののために労働行政というのは力いっぱいやっていっていただきたいし、私もそういう社会づくりに貢献をしたいと、そういう気持ちで現場に立ちながら、行方不明の皆さん方の一日も早い発見を祈って帰ってきた次第です。 きょうは、午前中、大変具体的なお話がありましたので、私はちょっと視点を変えまして、一般論で議論してみたいというふうに思います。 今、この監督行政を一生懸命やっているんでしょうけれども、なおかつ、年間どのぐらいの死亡事故が起きているのか、お知らせいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 最近の労働災害でございますが、休業四日以上の死傷者の数で見ますとこれは着実に減少をいたしているところでございますが、ただ、御指摘のございました死亡災害、これにつきましては、平成五年が二千二百四十五人、それから平成六年が二千三百一人、平成七年が二千四百十四人と、残念ながらこの二年、連続して死亡者数が前年を上回っているところでございます。 こういった死亡災害の中で建設業における死亡者数が、例えば平成七年では千二十一人でございまして、全産業の約四割を占めているというような状況にございます。私ども、この死亡災害の撲滅ということが労働災害の防止対策の中でも最重点でございますが、こういった状況にかんがみまして建設業をとりわけ重点業種として、業界ともまた関係省庁とも連携をとりながらこの死亡災害の撲滅のための対策を進めているところでございます。
○笹野貞子君 この二千台、これがずっとそのままここ平成三、四、五、六、七と続いているというのは、平成七年では二千四百十四人という、起きてはいけないそういう死亡事故がやはり起きる。そのためには、先ほど私は真理は単純なところにあると言いましたけれども、今の体制では、この死亡事故をどうしてもなくするためにはやっぱり違う観点から物を考えなきゃいけない。その違う観点というのは、二千台をなくするためには今の監督署の体制ではやっぱり無理が生じているのじゃないか。 先ほど小山委員から、行政改革であっても必要なときには監督署の人員をふやしてもいいという大変自民党さんの好意ある御発言がありました。私もこの二千台をどうしてもなくするためにはやっぱり今の体制ではだめなんだということの一つのあらわれじゃないかと思うんですが、そこのところ、今度の糸魚川監督署、大町監督署合わせて三人というのはこれは大変な御苦労ですので、自民党さんのそういう御指摘もこれあり、きょうの理事会で請願書の大幅増員ということの可決ということもあり、その点、大臣でも局長でもよろしいんですけれども、私のこの発案に対していかがお考えでしょうか。
○国務大臣(岡野裕君) 非常に労働行政につきまして前向きなお話をいただきまして、ありがとうございます。 私どもは、一人でも少なく、年が進むにつれてやはりこの安全が充実をしていくというような体制をつくりたいと、こう思っております。 ただ残念なことに、数字がふえているじゃないかというおしかりでございますが、言いますならば治山治水といいますのは日本の社会資本の一番の中枢部だと思います。それは、かつては都会地においては社会資本が充実をしたが、地方へ行くとそれが劣っているということでございました。それであっては一極集中になるのでいけない、日本列島全体の質の向上をあまねく図っていくべきだというような意味合いで、諸先生もおっしゃいましたが、山の奥の急峻な山道であり、あるいは川は奔流となって流れるというところまでだんだんその手を伸ばしていかなければならないというようなこともこれあって、私はまだ拝命一カ月余でありますのでつぶさな実態はわかりませんけれども、今お話を申し上げたようなこともあって、より充実をした施策を講じていかなければならないのではないかなと、こう思っております。間違っておりましたらお許しください。
○笹野貞子君 私は持ち時間が二十分しかありませんので本当に早口になりますけれども、私が現場に行ってちょっと気がかりなことがありました。 というのは、まだ発生して四日目で本当に混雑しておりまして余り質問もあれこれできませんでしたけれども、いろんな方にお話をお伺いして、こういう発言を聞きました。というのは、監督署の監督官が来ていろいろと指示をするんだけれども、非常に機械化が発達していて新しい機械がどんどん入ってきて、こうすれば安全だよとこう言われると、監督官の方もそうかなと思っちゃうようなことがあってなかなか大変なんだということなんですね。 そこで私は、監督官というのはどういう方がなるんですかとこう聞きますと、大変に優秀で頭がいい方がなるんだと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、技術とか新しい機械とか、そういう点ではどういうふうな能力を持っていらっしゃるのか。そして、もしもそれが、現場で新しい機械がどんどん入ってきてその機械に追いつけないんだよというのでしたら、私は先ほどの技能開発、今泉先生の御指摘になった能力開発ということはあってしかるべきだと思いますが、そこら辺はどのようにお考えですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 労働基準監督署の体制につきましては、労働基準監督官がまず臨検等、労働条件の履行さらには安全性の問題に対応しているわけですが、この労働基準監督官は、法律等を専門に学んできた者と技術系の分野を専攻してきた者と両者から構成をいたしております。さらにそのほかに、技官といいますか技術系の職員も採用いたしまして、そういった専門分野について対応している、こういった状況でございます。 ただ、先生御指摘のように、技術革新の進展は日進月歩でございますし、また化学物質その他につきましても新しい化学物質等がどんどん出てまいりまして、がん原性の問題のみならず、電磁波等の問題も含めましていろんな分野で健康とのかかわりというものが論議される。そういった中で労働基準監督署は現場の安全と健康を守るために臨検等の活動をいたしておるわけでございますので、その体制の強化とあわせまして、職員の方々がそういった新しい技術情報あるいは新しい知識、情報、そういったものによく触れて学んでいく体制をつくっていくことが大変重要かと思っております。 現在、労働基準監督官につきましては、任官された初年度に、監督官としての必要な知識を習得させるために約二カ月間東京の方で集中的に研修をするほか、五年目に監督官に対して、中堅の監督官といたしましてさらに必要な技術、知識の習得を図っておるところでございます。また毎年、各局でも監督官同士が情報交換等を通じまして新しい技術情報に触れるような場を設けておりまして、そういったことを通じて監督官の研修、教育に努めているところでございますが、とにかく世の中のそういった技術関係の進歩は非常に速いわけでございますので、本省自身もそういった情報の収集に努めて、いろんな広報紙等を通じて現場の監督官に伝わるような配慮とか、研修のさらなる充実とか、そういったことを十分に検討して努力してまいりたいと思っております。
○笹野貞子君 私は、監督官の任務というのはこれから非常に重大になってくるというふうに思いますので、どうぞお金に糸目をつけずにそういう技術の能力開発の方にひとつ力を出していただきたいというふうに思います。 後ほど大臣には一般論としての御決意をお伺いいたしますが、その前に、唐突ですけれども、ちょっと違った観点から質問させていただきたいというふうに思います。 今、持ち株会社制度というのが話題になっておりまして、これからそういう論議が活発になるんだろうとは思いますけれども、持ち株会社あるいは親会社、子会社というそういう仕組みの中で、憲法に保障されている労働三権の交渉相手、要するに使用者責任という問題が非常に大きく取りざたされております。 実は私もまだ考え方がまとまりませんので、きょうは私も勉強中ということで御質問させていただきますけれども、この問題が具体的になったときに、持ち株会社制度における使用者責任というものはどのような解決策があるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(松原亘子君) 持ち株会社の解禁の問題は、ことしの一月に公正取引委員会が解禁の方向を打ち出したということからいろいろな具体的議論が盛んになってきたわけでございますが、その中で連合が、労使関係上の問題がいろいろ出てくるんではないかということから懸念を表明いたしたわけでございます。 労働省といたしましては、この問題、持ち株会社の解禁の問題を御議論されておられました与党の独占禁止法改正問題プロジェクトチームからの要請を受けまして、持ち株会社の解禁に伴う労使関係上の問題点を整理し、具体的な提言までいただければというようなことも含めまして、学識経験者から成る持株会社解禁に伴う労使関係専門家会議というのをことしの四月に設けました。そこで持ち株会社解禁に伴う労使関係上の問題についてお願いをして御検討いただいていたわけでございますが、この専門家会議の報告書が今月六日に取りまとめられました。 この報告書、今先生が御指摘されました点につきまして十分検討いただいたわけでございますが、基本的な考え方としましては、現在純粋持ち株会社というのは禁止をされておりますけれども、事業持ち株会社というのは現在でもこれはあるわけでございます。そういうことで、いわゆる純粋持ち株会社と現在でもある親会社とでは、子会社の労働問題に関する関係というのは異なるところはない、同じ問題であるということから、新たな法的な問題が生ずるということはないということ。それからもう一点、さりとて現在の親子会社関係におきましても労使関係上の問題が全くないかというとそうでもございませんで、問題が生じている場合もあるわけでございます。そういうことから、持ち株会社解禁によりまして親子会社関係がさらにふえるということが十分考えられますので、そういうことから適切な対応は必要ですと、こういう基本的な考え方を示されまして、幾つかの必要な対応策を提言されたのでございます。 今、御指摘のありました使用者性の問題でございますけれども、子会社における労使関係上の問題というのは、基本的には労働者の雇用契約の当事者である子会社が責任を負うべきであるというのは当然のことでございます。ただ、親会社が子会社の労働者の労働条件について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には使用者としての責任を負うことになるということにつきまして、この報告書自体もこのことを申しておりますけれども、既に最高裁の判決なども幾つか今のようなことを示したものがございまして、ある意味ではこの点についてはほとんど考え方が定着をしてきているということだというふうに私どもも認識いたしております。 そういうことから、今おっしゃいました持ち株会社が解禁された場合の使用者性につきましては、今申し上げた基本的考え方に立って対応するということでございまして、御懸念されました労働基本権の問題がどこかに行ってしまうのではないかといったことにはならないというふうに考えているわけでございます。
○笹野貞子君 時間がありませんので、私が母体にしております連合も強くこれに懸念を持っておりまして、この論議を非常にもっともっと深めていただき、そして私たちも知恵を出しますけれども、行政側としても大いにいい知恵を出していただきたいというふうに重ねて要望いたしておきます。 それでは、最後に労働大臣、私はやっぱり日本の行政の中で労働省こそこれから生き延びる最大の行政機関だというふうに思っております。というのは、やっぱり勤労という一番重大な価値観、勤労をするためにはまず一番に生命、そして自由、雇用、そして最後には誇りを持つ勤労のあり方という、こういう重大な部分を担当しているわけですから、そういう点では今度の蒲原沢の災害を踏まえて、安全というものに対する御決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(岡野裕君) 先生がおっしゃいますように、労働省の行政がいかに重要であるかということは、私は本当言うと労働省を希望して今度労働大臣に就任をいたしました。そのときに、職員の諸君にも労働省の行政がいかに将来の日本にとって重要なものであるかというお話をいたしました、ここで繰り返すのはやめにいたしますが。ということでありますので、粉骨砕身努力をしてまいりますことをここでお話をいたしまして、答弁とさせていただきます。
○川橋幸子君 先ごろ労働大臣あて建議が行われました婦少審議会の発表されました資料を拝見してみますと、男女雇用機会均等法が十年を迎えまして見直しの節目にあるわけでございますが、日本の女子労働者ないしは雇用市場の実態をよく踏まえながら、またあるべき姿を目指しながら改正に取り組んでいかれるということで、関係者の方々の御努力に敬意を表しますとともに、労働省の方でもこれからこの建議を受けられて法案要綱をつくって、また再諮問をしてそれから次期通常国会に提案ということになるのでございましょうが、法案要綱づくりの前に当たりまして、少々お伺いさせていただきたいと思います。 この建議によりますと、国際水準に照らして国内法制を考える視点が重要であるというようなそういう御指摘があるわけでございます。労働者の保護ですとか権利ですとかいうのは人権にかかわる問題でございますが、ごく一般的には、人権というのはやはり経済の発展段階に応じてそれを保護するといいましょうか確保する、その程度もテンポも違うというようなことが言われるわけでございます。一方におきまして、私ども女性が外国に参りますと、日本は経済大国になっているのにまだ日本の女性の地位はなかなか改善されていないのですねというような指摘を受けることがあるわけです。という私の問題意識を含めまして、国際水準に照らして今回の法改正、ぜひ適切に対応していただきたい、こういう問題意識を踏まえまして質問をさせていただきたいと思います。 まず第一点は、女子の時間外労働、休日労働、深夜業の禁止、このいわば規制を廃止するかわりに、むしろ男女共通の労働時間の上限を法律上制度化して保護するという、こういうことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(太田芳枝君) 先ほども申しましたが、本日、婦人少年問題審議会から建議が大臣あて提出されたところでございます。建議におきましては、募集・採用、配置・昇進に係ります努力義務規定を禁止規定とするというようなことの均等法の強化のところ、それから今先生御指摘の、女子労働者に係る時間外・休日労働、深夜業の規制を解消することなどが盛り込まれておるところでございますが、この女子保護規定の解消につきましては、女性の職域の拡大を図り、雇用の分野における男女の均等取り扱いを一層促進する観点から御提言がなされたというふうに理解をしておるわけでございます。 働く女性が性別により差別されることなくその能力を十分発揮できるためには、男女がともに健康でバランスのとれた職業生活と家庭生活を送ることができるようにするということが重要な課題であると考えておりまして、労働時間の短縮という面はこの面からも大きな課題であると考えているところであり、また建議にもきちっと明示されているところでございます。
○川橋幸子君 滑らかな答弁を伺っているうちに、私の疑問点にお答えいただいたのかどうか私自身がよく受けとめかねておりますが、要するに、やはり生き生きと働く、今までは人間も護送船団方式だったけれども、これからは男女の性にとらわれずに、むしろ能力、努力あるいは個性、持ち味といった個人に着目して労働政策が展開される、雇用政策が展開されるということが私も望ましいと思っているのでございますけれども、日本の労働市場の場合はやっぱり終身慣行といいましょうか、そういう雇用システムの中では雇用量で調節するのじゃなくてやっぱり労働時間で調節する部分が多いかと思うんですね。 そうした場合には、何というんでしょうか、集団の中の個人同士の過当競争といいますか、ちょっと言葉が過ぎるかもわかりませんけれども、職場の中でもなかなか終身雇用の職場というのは競争が激しい。それが逆に労働時間面では、個人が自律して制限すればいいと言われましてもなかなか制限しにくいところがある。これはまだ係争中なのでございましょうけれども、電通の職員の方の大変過長な時間外労働、それが原因で過労死というようなことの判決が出たようでございます。 そのような実態から考えますと、やはり個人を守るようなそういう法制度が必要かと思いますので、労働時間の男女共通の上限をこの際設ける。それは諸外国にもあると思います。ないところもあるかもしれませんけれども、女子の保護を撤廃するかわりに男女共通の上限を設けた国が現にあるわけでございますけれども、そういう国から考えますと、日本はまさにそういう法律制度が必要なんじゃないかというのが私の考え方なんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) ただいま御指摘のあった、個人個人に着目した働き方が実現できるように、そういった過長な労働時間について是正していくべきではないかという御指摘、これは私どもかねてより進めてまいりました労働時間短縮の推進、そこに通ずる問題でございまして、そういった点をしっかり受けとめてこれからも対応してまいりたいと思います。 男女共通の残業時間の規制の問題につきましては、広くとらえれば時間外あるいは休日労働のあり方の問題かと思いますが、現在中央労働基準審議会の方でこれからの労働基準法制、新しい時代に対応した視点で見直していこうという際に、この時間外・休日労働のあり方もそういった検討課題の一つとされております。また、婦人少年問題審議会の方からもそういったことについて中央労働基準審議会の方で検討することが望ましいのではないかというような御示唆もいただいておりますので、そういった中で検討させていただきたいと思います。 この時間外労働の規制につきましては、いろんな論点があろうかと思います。割り増し率をどうするかというような問題、それから現在の目安制度による三六協定についてのいわば上限について労使で妥当なところを決めて.いただくための目安、それをどんなふうに強化なり適正なものにしていくのかというふうな観点、それから御指摘のございました恐らく一定の上限を設けてしまう、こういうふうなこと。 ただ、この上限を設けてしまう問題については、例えばある事業場におきまして需用が非常にふえた段階では、その規制のレベルによりましてはその需要をこなすために人をふやす。景気が落ちたときには今までのように労働時間で調整できないものですから、好景気のときに多数雇った分を整理する、こういった新たな雇用調整のパターンも予想される。そういったことの視点からはどう考えるのかとか、幅広い視点で恐らく議論が行われるかと思いますので、中央労働基準審議会の方で若干時間をかしていただいて議論を進めてみたいというふうに思っております。
○川橋幸子君 雇用機会均等法の改正とあわせて基準法の女子保護規定の改正がなされるということでしたら、ぜひそちらの方の御検討も急いでいただきたいと要望させていただきます。 さて、これは大臣の目にとまっておりますかどうですか、事務方は知っていらっしゃると思いますが、これは国会図書館の立法考査局が女性の諸外国の法制を集めたものでございます。ちょっと紹介させていただきますと、建前としての男女平等と現実の男女差別の残存というのは、これは諸外国においてもあると。日本でも女子差別撤廃条約の批准とともに雇用機会均等法の制定には大変十年前苦労されてやったわけでございますが、日本でもその現実と理想との間の乖離はあるけれども、諸外国においてもある。 しかし、特に一九八〇年代後半からむしろ法的平等という、これはどういうふうに読むのでしょうか、ラテン語でしょうか、デ・ジュール・イクオリティーを超えて事実上の平等、デ・ファクト・イクオリティーということがこの本の中に紹介されておりまして、欧米を中心といたします先進諸国においては事実上の平等を求めましてさまざまな法律ができているのでございます。 ナイロビの世界会議に参りまして、私ども条約を批准して男女雇用機会均等法をつくりましたよと胸を張って言ったつもりが、欧米先進国はまた先に、今度は事実上の平等を求めるようなさまざまな法律が苦心して試みられているわけですね。その中にどういう類型が入るかというと、アファーマティブアクションといいますか、ポジティブアクション、それから間接差別の禁止、セクシュアル・ハラスメントに対する対策ですとか、家族的責任に対する労働者のための政策などがこの辺に収録されているわけです。 セクシュアル・ハラスメント、先日の予算委員会では人権侵害と同じぐらいの大きな意味があるというふうに発言させていただきまして、総理もそうだと言ってくださったわけでございますけれども、セクシュアル・ハラスメントというのも、やはり人権侵害が行われることによってむしろ女性の処遇がうまくいかなかったり、昇進機会が狭められたり、そういう事実上の平等にもとるということがあるからこの範疇に入ってまいるわけでございます。 ということで、今回取り組まれる雇用機会均等法の改正につきましては、ぜひその諸外国の法制にできるだけ近づけますように御努力いただきたいと思いますが、大変労働行政に御理解がありまして活発に取り組んでおられます大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岡野裕君) 男女雇用機会均等法、これ十年経たので今回はいかに改まるべきであるかということで、三十回の会議をいただきました。その結果を建議の形で先ほど人見会長からちょうだいをしたばかりであります。内容は主たる四点によって構成されているわけで、これはやはり社会的に極めて高い評価を得られるのではないかなと私は思っております。随分貴重な御意見をいただいた、御苦心の跡が見受けられると、こう存じます。 はてさて、世界的な一般的な基準からしてどの程度にあるかというのはまだ勉強不足でありまして存じません。これからも機会があるかと存じますので、先生は労働省の大先輩でいらっしゃいますし、いろいろ外国事情にもお詳しいので教えていただき、我々は事務局を叱咤激励をいたしまして、外国に比べても恥ずかしくない日本の現実だと、現実であります、単なる書き物ではなくて現実であるというところまで持っていきたい、こう思っておりますことを申し上げまして、答えとさせていただきます。
○川橋幸子君 ありがとうございます。 ぜひ、その御決意でリーダーシップを発揮していただきまして、先進国並みのといいますか、国際化した社会の中での労働法制の大変画期的な今時期になっておりますので、御活躍くださいますようにお願い申し上げたいと思います。 さて、規制緩和の計画、規制緩和も日本が取り組まなければならない非常に大きな課題であるわけでございますけれども、人の問題も規制緩和といいましょうか、労働時間のあり方ですとかあるいは労働契約のあり方ですとか、関係審議会からの答申を経てもう現に労働省で取り組まれているところ、これから取り組むところとあるかと思います。 マスコミの論調を見ておりますと、規制緩和することによって労働者が、働く人々が生き生きと能力を発揮される、こういう規制緩和は確かに必要であるけれども、規制が緩和されることによって失業とか弱者の立場というものの保護にもとることがないように、その対策も必要ではないかというふうなことが書かれているわけでございますけれども、この辺については主要なポイントで結構でございますが、労働省としてはどのようにこれに取り組んで検討していかれるのか、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 規制緩和との関係で御指摘ございました関連の法制の問題でございますが、労働基準法制、これにつきましては私どもこれからの時代、労働者の方一人一人がより柔軟で自立した、あるいは創造的な働き方を通じて能力を存分に発揮していただく、そして評価される、そういった環境を形成していくという観点から労働時間管理あるいは労働契約のルールについていろいろ御議論を願って、見直すところは見直していこうということで検討を進めているところでございます。 労働大臣からも、来年の七月末を目途に一定の方向を出すようにという指示をいただいておりまして、そういったことで現在、中央労働基準審議会の方にも御議論をお願いいたしているところでございます。 そして、具体的には、労働時間法制について見ますれば、裁量労働制の問題等、ホワイトカラーを中心とした労働時間管理について、あるいは柔軟な働き方をしていただくための新しいルールというようなものをどう基準法上とらえていけばよろしいか。また、働き過ぎというような事態にならないようなために、年次有給休暇制度のあり方等の問題。また、労働契約法制の面で見ますと、解雇に当たって理由を明示していただく、そういったことを制度化すること。労働契約期間の上限の問題。あるいは今後、労働移動等の増加に伴って個別紛争が増加することが予想されますが、そういったことを調整していくシステムのあり方等。それから、先ほど御指摘もございました時間管理の方になりますが、時間外労働、休日労働のあり方等もその中に含まれておりますが、こういった主要なテーマについて御議論をいただくことにいたしております。 その際、単に経済的要請ということだけではなくて労働者保護の観点に立った視点から、これは全体の見直しを通じて、一つの貫かれた視点として私どもはそういったものをしっかりと持ってこういった検討を進めてまいりたいと思っております。
○川橋幸子君 大変検討事項が多うございますけれども、その中に当たりまして特に御要望申し上げたいのは、今局長の答弁の中にありました解雇に当たっての理由の明示とか、それから労働契約、個々の労働契約の中の紛争を調整するシステム、このあたりが共通な公平で透明なルールがあると、それからハンディキャップのある人は少し配慮すると、それからそのルールをめぐって紛争が生じたときには仲裁ないしは調整のシステムを持つというのがある種、規制緩和の一般的なルールかと思います。特に、解雇に当たっての理由の明示のところあたりは、社会正義に照らしてといいましょうか、その正当性というものをよく御研究いただけますように、それから個別紛争調整システムにつきましても、簡易、迅速にできるようなシステムがつくれますように御検討いただけますようにお願い申し上げまして、終わりたいと思いますが、大臣、もしお言いただけるんでしたら、よろしゅうございますか。
○国務大臣(岡野裕君) 基準局長からお話をしましたように、第一段階目は、男女雇用機会均等法との絡みで、どういうふうに基準法を手直しするか。第二段目は、来年の七月までに今基準局長がお話をしたような問題について私としては処理をいたしたい、したがって御意見を出してほしい、こういうお願いをいたしております。そういうことで真剣に取り組んでまいろうと、そんな次第であります。 これでよろしゅうございますか。
○川橋幸子君 ありがとうございます。
○委員長(勝木健司君) 本日の質疑はこの程度といたします。
○委員長(勝木健司君) これより請願の審査を行います。 第六八号男女雇用機会均等法の改正に関する請願外三十六件を議題といたします。 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一三二号労働行政拡充強化のための大幅増員に関する請願外三十一件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第六八号男女雇用機会均等法の改正に関する請願外四件は保留とすることに意見が一致いたしました。 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよ.う決定いたします。
○委員長(勝木健司君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求盲を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(勝木健司君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会をいたします。 午後二時四十六分散会 —————・—————