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139回国会参議院1996/12/17

文教委員会 第1号

発言数
105
登壇者
12
会派数
6
開催日
1996/12/17

会議録

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十一月二十七日、三重野栄子さんが委員を辞任され、その補欠として志苫裕さんが選任されました。  また、去る十一月二十八日、志苫裕さんが委員を辞任され、その補欠として梶原敬義さんが選任されました。     —————————————

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に日本放送協会専務理事齊藤暁さんを参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 次に、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小杉文部大臣。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) このたび政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国の著作権制度については、これまでも逐次改正をお願いしその充実を図ってまいりましたが、近年の著作権をめぐる国際的な動向の変化や情報化の進展などの社会状況の変化には目をみけるものがあり、新しい文化立国を目指して内外への積極的な貢献を進めるべき立場にある我が国としては、その文化を支える法的基盤である著作権制度の一層の改善を進めていく必要があると考えているところであります。  このたびの改正は、このような内外の情勢の変化及び我が国の占める国際的地位にかんがみ、著作権制度のさらなる充実を図るため所要の措置を講ずるものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一は、写真の著作物の保護期間に係る特例を廃止することであります。  現行の著作権法では、写真の著作物の保護期間については、他の著作物と異なり、公表後五十年まで存続することとされているところでありますが、最近は、国際的にもこれを著作者の死後五十年までとする国が先進諸国の大勢となってきていること等を考慮し、写真の著作物の保護期間に係る特例を廃止し、著作者の死後五十年までとするものであります。  第二は、民事上の救済規定及び罰則規定の整備を行うことであります。  近年の情報化の進展等社会経済情勢の急速な変化により、著作権に関する法的紛争の多様化、複雑化が進んできており、著作権法においても特許法など他の知的所有権法制との整合性を図りつつ、著作権の実効的な保護をより一層充実することが民事、刑事の両面にわたって求められております。このため、著作権法におきましても、著作権等を侵害する行為によって生じた損害の額を計算するため必要な書類について、当事者の申し立てにより裁判所が当事者に対しその提出を命ずることができる旨の規定を設けることとするとともに、罰金額の上限を引き上げることとするものであります。  第三は、著作隣接権の保護対象を遡及的に拡大することであります。  世界貿易機関の加盟国に係る実演、レコード及び放送については、平成六年の著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律により、我が国に著作隣接権制度が導入された昭和四十六年一月一日目降に行われたものが著作隣接権による保護の対象とされたところであります。しかしながら、その後、先進諸国において五十年前に行われた実演等までを保護する国が多数を占める状況となっており、我が国としても、国際的な協調を図る観点から、我が国及び世界貿易機関の加盟国に係る実演、レコード及び放送について、他の諸国と同様に五十年前に行われたものまでを著作隣接権の保護対象に加えることとするものであります。  なお、これに伴い、旧法において保護されていた演奏歌唱及び録音物の著作隣接権による保護期間に関して現行法で定められている経過措置についても、所要の見直しをすることとしております。  最後に、施行期日等についてであります。  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概略であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

馳浩自由民主党

○馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳浩と申します。よろしくお願いいたします。  まず、大臣に御質問を申し上げますが、元来、著作権問題というのは、著作物の著作権とその利用者の保護を調和させ、もって文化の発展に寄与することを目的とした文教問題であります。しかしながら、今日においてこの著作権問題は大きく様相を変えておるということであります。  一つには、外交問題化しておるということが挙げられます。例えば中国の音楽CDの海賊版製作によりまして、著作権侵害により米中関係が極めて悪化しており、日本もアジアの違法コピーには手をやいております。あるいは二つ目として、通商問題化しておるということが挙げられます。著作権問題は次の時代のリーディング産業となる情報通信産業とも深くかかわっております。著作権を保護すればするほど通信サービスのコスト高を招き、ひいては通信機器技術の普及がおくれることになります。これでは日本の経済成長、ひいては産業構造の転換は図られないということになると思います。  こういう観点も踏まえまして、日本のあるべき国家戦略というグローバルな視点で、一貫性をもってこの著作権の問題に対処しなければならないと考えます。大臣は、この著作権問題をさまざまな政治問題がある中でどう位置づけていかれるのか、またどのような基本姿勢で一貫してこの問題に対処していかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 御指摘のとおり、今日における著作権問題は、従来からの文化の問題としての側面に加えまして外交問題あるいは通商問題としての側面を持つに至っております。その重要性がますます増しているものと認識しております。  そのような中で、国際的な制度の調和を推進していくことが必要であり、我が国はWIPO、世界知的所有権機構というんでしょうか、そのWIPOにおける新条約作成にも積極的に対応するとともに、今御指摘のあったアジアにおける違法コピー問題にも対応し、これらの地域における著作権制度の整備を推進するために国際協力事業を積極的に実施しております。  また、技術の発達に適切に対応するために、権利保護の充実を図る一方で、著作物の円滑な利用への配慮をしていくことが必要であります。このために権利情報を集中的に管理する機構を設立するなど、円滑な著作物の利用を図るためのシステムの構築に向けて検討を進めるとともに、関係者の努力を支援しているところであります。  今後も内外の情勢の変化を踏まえて、権利者の保護と円滑な利用との調和に留意しながら、著作権制度のさらなる充実を図っていくため適宜必要な措置を講じていきたいと思っております。

馳浩自由民主党

○馳浩君 確かに、適宜必要な措置を今後とも引き続き行っていただきたいと思います。  そこで、今大臣のお話にもありましたように、十二月二日から二十日までの間に、ジュネーブにおきまして著作権及び著作隣接権問題に関する外交会議が開かれております。この会議に関しまして、日本としても並行的に対応していかなければいけない問題があると思いますので、幾つか質問をさせていただきます。  現在この会議におきましてま、以下の三つの新条約について審議がされております。  一つには著作権新条約として著作権の基本的国際規約であるベルヌ条約関連問題、二つ目に著作隣接権の新条約として実演家とレコード製作者の著作隣接権関連の問題、三つ目といたしましてデータベース関連の新条約と、これはいずれも日本の著作権の根幹にかかわる重要事項を扱っていると言えると思います。  そこで、これが二十日まで審議されておるという状況ですが、これが採択、批准されるとなれば、日本の著作権法も資料によりますと十六項目にわたり法改正が必要となるということであります。そこで、今回の会議で以上三点の主な新条約についての審議がなされておるようでありますが、どのような点が争点となっているのかということを、日本にとって重大な影響を及ぼすものに限り解説をしていただきたいと思います。あわせて、その争点に対して日本としての姿勢、それから将来的な採択の見通しも教えていただきたいと思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 先生御指摘ございましたように、今WIPOの中で新しく三つの条約が検討されておるわけでございます。お話しございましたように、まず第一点は、著作権関係のベルヌ条約の上乗せ部分といいますか、ベルヌ条約の関連で改正、上積みする部分の条約が一つでございます。それからもう一つは、実演家やレコード製作者の権利の保護についての著作隣接権関係の新条約でございます。それから三番目が、編集物やデータベース関係の新条約、この三つの条約が事務局長の案というような形で提案されまして、議論されておるところでございます。  実はこれらの条約の案につきましては、先生も御承知のように、現在世界各国、ベルヌ条約あるいはローマ条約、万国著作権条約等々そういった条約をそれぞれ適用しておるわけでございますけれども、国によってさまざまに適用関係が違うわけでございます。そういったこともございまして、実は今回の原案につきましては各国さまざまな意見を出しておるわけでございます。そういう意味で意見がいろいろ分かれておるわけでございます。  この外交会議におきましていろんな意見があるわけでございますけれども、私ども日本として大きな関連を持っておる部分ということにつきましては、例えば幾つか申し上げますと、一時的な蓄積といったようなものも複製に含めるべきかどうかという点、それから輸入権といったようなものを認めるかどうか、それから実演家の方々にとってのいわゆる人格権を導入するかどうかという点、さらには実演家の権利が及ぶ対象といたしましてレコードのみにするか、あるいはこれを視聴覚固定物とするかという意見。それから、レコードレンタル等につきましては日本とスイスしか現在こういった制度がないわけでございますが、こういったものについて三年以内には廃止するというような原案が出ておるわけでございますけれども、それにどう対応するか、こういったような点が主な意見の分かれておる点ではないかと思うのでございます。  我が国といたしましては、著作物の公正な利用に留意する必要があるということを基本的に考えながら、権利者、著作者等の権利、利益を確保するという基本的な立場に立ちまして、また一方で国際的な動向も踏まえながら、個々の論点につきましてそれぞれ対応しておるところでございます。特にレコードレンタルの問題につきましては、事務局案が仮にそのまま通ったということになりますと国内の関係者に多大な影響を与えるというようなこともございまして、政府としては事務局案に反対ということでさまざまな提案を行っておるところでございます。  私ども文化庁といたしましては、現地との連絡もとりつつ適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

馳浩自由民主党

○馳浩君 非常に重要な問題であると思いますので、適宜連絡をとりながら日本にとって不利益とならないように、まさしくこれは文化の問題であり外交問題であり通商問題でありますので、こういうふうに申し上げてよいかわかりませんが、日本にとって有利なやはり法体系が整備されますように、そして最終的に日本として採択されますようにお願いをまず申し上げておきます。  続きまして、著作権法の法体系について質問させていただきます。  御承知のように著作権法は、著作権を一つ一つ規定する限定列挙主義を採用しております。しかし、これでは新たな著作権が審議されるごとに法改正をしなければなりません。つまり、法改正がおくれる危険性をいつも含んでいると言えます。これでは、今後進展著しいボーダーレスな情報社会に対応できなくなると考えます。  そこで、日本がとっている限定列挙主義を、既存の著作権規定も存続させながら、新たに包括規定を設ける例示列挙主義に変更してはいかがかと提案いたしますが、ちなみにドイツにおきましては一九六五年から限定列挙主義から例示列挙主義に変更しておりますが、これに関しての文化庁のお考えをお聞かせください。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 先生お話しございましたように、著作権をめぐる制度と申しますのは、デジタル化でございますとか、ネットワーク化あるいはマルチメディアの進展ということで非常に社会、経済の状況が大きく変化をしておるわけでございます。こういった大きな変化に適切に対応して法制度がおくれをとらないように、常にそういったタイムリーな改正といったことを行う必要があることはもう先生の御指摘のとおりでございます。  そういった観点から、私どもといたしましてはこの臨時国会に、期間も短いわけでございますけれども法改正をお願いしているわけでございますが、そういった時々の必要性あるいはデジタル化等の進展に伴う改正につきましては、その都度適切な対応をしていこうというのが現在の考え方であるわけでございます。  お話しございましたドイツのように包括的な規定を置きまして一括して対応できるようにしてはどうかという意見、この御意見もごもっともだと思うのでございますけれども、実は私ども日本がとっております、個別の権利を限定列挙して明確にしておくという法律制度にとりましては、権利の内容が明確になる、個別の対応がしやすいというようなこともございまして今の著作権法はそういう制度をとっておるわけでございます。直ちにドイツのような包括規定を設けるということについては、今の日本の制度、さらにその都度必要に応じて適時適切に改正をしていくということの方が、より権利者あるいは利用者にとって権利内容が明確になってわかりやすいということがあるわけでございます。  そういった点を踏まえつつ、著作権審議会等でも常に時々適切に改正の御提言をいただいて、その都度対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

馳浩自由民主党

○馳浩君 御説明はわかりました。個別的な事例に対応できやすいということでありますが、この著作権法の改正というのはほぼ二年から三年に一回ずつ行われている状況ですね。それを考えたときに、また今回この場で法改正について議論をし合って、きょう恐らく通ると思いますけれども、今WIPOで審議されておるこれが通りますれば、来年か再来年には恐らくまたこの議論の中において著作権法の改正について改めて議論をし法改正をし直さなければけないわけです。  そういう意味では、小野次長のおっしゃることは十分よくわかるのですが、常に個別の対応ができやすいような連絡を密にとりながらやっていただきたいということと同時に、包括的な例示列挙主義、ドイツがとっておる方策についてももう少し研究して日本でもとることができれば、煩雑な法改正を二年や三年に一回ずつ進めなければいけないということをしなくてもよろしくなるのではないかと思いますので、その点も今後の検討課題としていただきますよりこ、これまお願いを申し上げます。  続きまして、WIPOでの審議の具体的な課題にちょっと戻らさせていただきたいと思います。  今現在、WIPOで議論されているものの一つとして著作隣接権に当たる商業的貸与権があります。検討されている内容を見ますと、要は、レコード製作者を例にするならば、レコード製作者にレコードの貸与につき五十年の許諾権を付与するとの内容であります。一方、日本国内の現行制度では、レコード製作者に一年の貸与許諾権を付与し、残り四十九年間は報酬請求権を認めております。これは、ガット・ウルグアイ・ラウンドでも例外的に認められた制度であります。  もし今WIPOで、先ほど申しましたレコード製作者にレコードの貸与につき五十年の許諾権を付与するというこの内容が採択されたとするならば、日本国内のレコード、CDのレンタル業にどのような法的かつ経済的な影響を与えるのか。また、日本としてこれに対して賛否の態度をどういうふうにとるのかということを明らかにしていただきたいと思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 先生お話しございましたように、WIPOの新しい条約の中の二番目の実演家、レコード製作者の条約でございますけれども、お話しございましたように議長草案ということで五十年間の貸与権というものが仮に認められた場合に、これは実は我が国にとりましては大変大きな打撃を受けることになると思うのでございます。  お話にもございましたように、我が国は商業用レコードの貸与、いわゆるレコードレンタルにつきましては一年間の許諾権、四十九年間の報酬請求権を与えておるわけでございます。実はこの制度につきましては、平成六年のTRIPS協定におきましても、レコードのレンタルが権利者の排他的複製権を著しく侵害させていないということを条件として現行制度を維持することが認められておるわけでございます。  これについて、今回の新条約の中で、お話しございましたように五十年の貸与許諾権を認めるということになりますと、実演家やレコード製作者が許諾をしないということになりますと、洋盤のCDのレンタルが今行われておりますけれども、仮にレコード会社が許諾しないということになりますと、それはレンタルができなくなるわけでございます。そういう意味で、CDレンタル業者の方々にとっては非常に大きな影響を及ぼすものでございます。  私ども文化庁といたしましては、この問題について最大の努力をしなければいけないということで、先般、文化部長を急速WIPOの会議に派遣をいたしまして、現在、日本の従来とっておるこの制度の意義、それから日本の考え方、こういったものについて鋭意折衝を続けて、理解を求める努力を続けておるところでございます。

馳浩自由民主党

○馳浩君 国際的な取り決めでありますから、日本もそれに従うのは当然といえば当然なのではありますが、ただし日本として、業界であったりあるいは利用者の方々の便宜というものをお考えになって対応をしていただきたいということを、これもまたお願いを申し上げておきます。  続きまして、先ほども小野次長が申されましたが、輸入権の創設も同様に議論されているということであります。国内消尽権との違いを踏まえて、創設された場合の問題点を説明していただきたいと思います。また、これに対し日本としてどういう態度をとられるのか、これについてもお教え願いたいと思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) お話しございました輸入権の問題でございますけれども、輸入権と申しますのは、著作物の複製物等をほかの国から輸入することを著作者が許諾することができる権利でございます。言いかえますと、複製物をほかの国から輸入することを拒否することができるという権利でございます。  そういった意味で、WIPOの条約におきましてはこの輸入権の創設が論議されておるわけでございますけれども、この輸入権を認めるかどうかということにつきましては、一方でこういった輸入権を認めますと権利者にとっては大変大きな利益になるわけでございますけれども、商品の流通でございますとか通商でございますとか、そういった観点から見ますると極めて大きな影響を与えるということになりますので、権利の保護には大きな利益になるわけでございますけれども、通商あるいは商品の流通という観点から慎重に対処すべき点もあるわけでございます。  お話しございました国内消尽の頒布権という問題でございますけれども、これも著作者が許諾することによりまして著作物の原作品あるいは複製物が販売された場合に、例えば日本国内で販売されたときには日本国内でのみ著作者の頒布権が消滅するということでございまして、そういう意味で輸入権と非常に効果において似ておるわけでございます。  いずれにしても、これは権利の保護にとっては大変役割が大きいわけですけれども、一方で、商品流通や通商といった面では非常に大きな影響があるということで、この点については私どもは慎重に対応すべきだというふうに考えておるわけでございます。

馳浩自由民主党

○馳浩君 これは、日本としてというよりも、先進国と途上国との対立の一番の論点になっていると思います。途上国としましては、合法的に輸出盤をつくったとしても、輸入権というものを先進国に発動されたら要は輸出できなくなるわけですね。それは、経済的に途上国に対する打撃というのは大きいものがあると思いますので、やっぱりその点も勘案しながら進めていただきたいと私は思います。  続きまして、次の質問に移りたいと思います。これは写真についての質問であります。  今回のWIPOでも議論され、今回の法改正の目玉の一つでもあります写真の著作物の保護期間を著作者の死後五十年にするということは、これは写真家の悲願でありました。これに関して私も大賛成ですが、まだ未解決の問題が残されています。というのは、既に保護されなくなった昭和三十一年以前公表の写真の保護についてです。写真家にとって写真というのは作品であり、著作権法に照らすならば財産でもあるわけですよ。この財産を保護するかどうかという問題になってくるとも思います。  私は、これらの写真も含めて保護すべきであると考えております。つまり、遡及的保護をこれら写真にも拡大すべきと考えております。今回、レコード等を五十年遡及保護するわけですから、同様に写真も五十年の遡及保護、つまりさかのぼって保護をすることも一案と考えますが、この点についていかに考えておられるか。  ちなみに、今回の法改正をするときにいろいろと関係団体に意見聴取をしたと思いますが、この点に関しまして写真家協会の皆さん方から意見聴取をしたのかどうかということもあわせてお答えをいただきたいと思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) この法案を国会にお願いする前に、写真家協会の方ともお話をしたわけでございます。実は、今回、死後五十年ということにいたすことにつきましては、写真家協会の長年の御要望がございました。結果として、保護期間が長くなるということで、私どもとしては御賛同いただいたというふうに考えておるわけでございます。  ただ、写真家協会がさらに御要望なさっておられますのは、旧法著作権時代に保護期間が公表後十年という大変短い期間が設定されておりまして、これは当時の時点におきまして写真についての氏名表示率が非常に低かったとか、あるいは条約上もほかの著作権と写真については違った取り扱いがなされておったというような過去の経緯もいろいろあったわけでございますけれども、いずれにいたしましても十年という大変短い期間であったわけでございます。  これについては、昭和四十二年にその十年を十三年に延長いたしました。そして、昭和四十六年に新しい法律、現行の著作権法に移行したわけでございます。そういったこともございまして、先生のお話にございましたように、三十一年までに公表された写真は、たとえその写真家の方がまだ元気で活躍していらっしゃる方であっても、既に保護期間を満了して切れてしまっておるという状況があるわけでございます。  写真家協会の御要望といたしましては、そういったものについても、まだ現に活躍している人もたくさんいるんだから、ぜひそれは保護を復活させてほしいという御要望がございました。  この点につきましては、実はいろいろ問題があるわけでございますけれども、利用者の側、あるいは出版でございますとか放送でございますとか、さまざまな利用者の側から申しますと、既に保護が切れているものをさかのぼって保護を復活させるということになりますと、利用関係に大変重大な影響を与えるわけでございます。既に著作権フリーということでデータベースが構築されているようなものが、一つ一つチエックをしてそれをひっくり返さなければいけないということでございまして、利用関係に大変大きな影響を与えるということで、利用者関係の反対も非常に強いという点がございます。  それから、今回法案の中でお願いしてございます著作隣接権について、一部例外的に過去のものを復活させるということがあるわけでございますけれども、これは旧法時代の内外無差別という観点からやむを得ず行われる例外的な措置であるわけでございます。一方で、仮に写真のように全部を復活させるということになりますと、その議論と全く同じには私は議論ができないと思うのでございます。私どもの著作権審議会の中でも、旧法時代に保護期間が切れました写真の著作物について保護を復活させることにつきましては反対意見が大勢であったということもございまして、今回の法律にはその部分は入れていないわけでございます。  ただ、写真家協会の御要望等もございますので、私どもとしては、WIPOにおきます新しい条約、それから国際的な動向、その他の条件等さまざまなものを検討しながら、そういった御要望の点も含めて引き続き検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

馳浩自由民主党

○馳浩君 大変詳しい説明をありがとうございます。  小野次長の今の説明でちょっと疑問に思う点を幾つか。  利用者の観点から非常に反対が多いということですが、利用者というのは大体だれなんだということになると思います。どのような方々の反対があるのかという点と、私は先ほども申しましたが、やはり写真家というのは存在としては重要な文化財と申し上げては申しわけありませんが、写真家の技術というものはそれは一つの大変な修練でもって身につけられた技術をもって作品を生み出されるわけですから、存在そのものが文化財だと私は思いますし、もっと日本が文化先進国として発達していくのならば、それは利用者の観点ではなくやはり作品を生み出す創作者の観点からの法体系の整備というものが必要ではないかという、まずこの一点を私は主張したいと思います。  それから、以上の観点、小野さんが今申されましたように、国際的な協調をとるための極めて例外的な措置であり、例外をこれ以上拡大したくないという一つの意見がありました。これも理解できますが、しかし写真家に対する不当な差別も無視できないところでありまして、私としては、法的安定性と写真家の権利、利益を調整するために以下の提案をしたいと思います。  すなわち、著作物たる写真の保護期間を著作者の生存中及び死後五十年として、既に保護されなくなった写真でもせめて存命中、生きていらっしゃる写真家の写真だけでも保護すべきであると考えます。これによりまして、今回の異例の遡及的保護は必要最小限に抑えられると思いますし、写真の保護も実名のある著作物一般の保護期間と同様なものになり、著作物中写真のみを不当に差別することも回避できると思います。  これは今ここでお答えくださいというわけにはいかない問題ではありますが、まずひとつ私の提案に対してどうお考えかということと、あわせて、これ以上のお答えは難しいかもしれませんが、ぜひ誠意を持ってお答えをいただきたいと思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 利用者といたしましては放送局それから出版関係等があるわけでございます。実は、著作権審議会で今回の報告をいただく前に広く関係者の意見を聞かせていただいたことがございます。その中で、放送とかそれから有線放送関係の団体等からは、一たん切れた著作物の保護を復活させるということについては反対だという明確な意思をいただいておるわけでございます。  一方で、お話にもございましたように、写真の保護期間が過去において十年と大変短かったということが実はこの問題の発端になっておるわけでございます。  その時点から、私どもとしても、ほかの著作権が延びた時点で写真についても同じような延長ということを図っておればよりよかったと思うのでございますけれども、現在の時点で考えますと、既に切れてしまったものを復活させるというのは非常に難しい点があるわけでございます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、写真家協会の御要望につきましては、そのお考えについて、お気持ちというのは非常によくわかるわけでございまして、私どもとしても今後誠意を持って努力して検討していきたいというふうに思っておるところでございます。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 馳委員からるる御指摘がありまして、確かに日本写真家協会の方々にとっては、旧法時代に保護期間が切れた写真の著作物の著作権もこの際遡及して復活してくれ、こういうお話なんですが、しかし考えてみますと、従来と比べますと、この前、著作権を死後五十年というふうに大幅に延長したという経緯もありますし、また今回の著作隣接権の保護対象の遡及的拡大というのはなかなか同列に論ずるのが難しい状況になっているわけです。  しかし、これは今、小野次長から説明したように、既に著作権が切れた写真がデータベースの中に相当組み込まれていたり、あるいは放送局のいろいろなライブラリーの中にストックされていたり、それを今まで自由に使い放題使っていた、それを今から有料にするということになると、今度は今までの利用者は既得権をどうしてくれるんだと、こういうことで、必ずこの問題では著作者というか創作者と利用者との利害の衝突ということがあるわけでして、その辺で我々も苦慮しているわけなんです。  ただ、私たちとしては、やっぱり写真家の人たちのお立場とかお気持ちもよく理解できるので、また今WIPOで盛んに、これからの新しいマルチメディアがどんどん進んでいくわけですから、その中で著作物をどう保護していくか、こういう問題についてはまだまだ国際的にもいろんな議論が展開をされつつあるわけでありますし、私たちとしてもいろいろな関係者の調整もしなきゃいけませんので、そういった今後の写真家の著作権保護のあり方については、今御提案もありましたけれども、そういうことも踏まえましていろいろと検討してまいりたいということできようのところはひとつとどめておきたいと思いますので、よろしく御理解いただきたいと思います。

馳浩自由民主党

○馳浩君 御丁寧に御答弁をしただきましてありがとうございます。ただ私は、大臣も申されましたが、利害の衝突という問題ではないということは明確にしておきたいと思います。  これは、利用者にとっては新たにお金を払わなきゃいけないのかなと、大変煩雑な事務的なこともありますし、そう申されますが、創作者にとってみますれば自分が生み出した作品というものは、確かに私は財産というふうな言い方をしましたけれども、まさしくそれこそ日本として保護するべき重要な文化財だというふうな考え方を私は持っていただきたいと思います。  これは利害関係で私も申しておるのではなくて、そういう点を日本として守るかどうかという姿勢になってくると思いますので、その点はまた御理解いただきまして、この課題というものをお忘れなく、今後引き続きどういうふうにして保護していってあげたらいいのだろうかという観点で検討を続けていっていただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。  著作権法の附貝にある二つの「当分の間」について質問します。  まず、昭和五十九年制定の附則五条の二についての問題です。  一般の人がコンビニにあるコピー機で文献を複写する場合、本来は使用料を著作権者に支払わなければなりません。しかし、利用者の混乱を恐れて一般の人の文献複写は著作権の集中的処理機構が設立されるまで、当分の間使用料を支払う必要はないとなりました。これを規定したのが附則五条の二であります。  現在、この処理を集中的に行う日本複写権センターが平成三年に設立され、その業務も軌道に乗りつつあるということでありまして、今ここと複写利用契約を結んでいる企業は平成七年現在で二千百五十四社、そして使用料の支払いが一億七千万円あるということでありまして、順調な動きをしておるということであります。  ということは、著作権保護の観点から早くこの附則を廃止して、一般企業あるいは町のコンビニ屋さんにおいても同センターと早く利用契約を結ばせていくべきではないかと思います。その一方策として、期限を切って、例えば三年後には廃止するという策を打ち出すべきと考えますが、いかがでしょうか。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 御指摘ございました附則五条の二、早く廃止すべきではないかと、ごもっともな御意見でございます。  ただ、この点につきましては、五十九年の著作権法改正の時点で既にコピー機等があったわけでございますけれども、こういった複写の分野におきます集中的な権利処理体制が整っていないということで、お話がございましたように附則五条の二を規定したわけでございます。  仮にこの条項を削るというための条件でございますけれども、やはりいろいろな条件整備がなされるということが私は前提ではないかと思うのでございます。  まず一つは、お話のございました日本複写権センターが既に平成四年から事業を開始しております。複写に関する権利を関係団体からいろんな受託をしておるわけでございますけれども、これをもっともっと広げてまいりまして、例えば管理著作物の範囲を新聞などへも拡大していく、幅広い多くの人からこれらについて管理をする、そういう状況になるというのが一つあると思うのでございます。  それからもう一つは、このセンターがあらゆる自動複写機等について個別の利用者と許諾契約を行うというのはなかなか難しいわけでございます。そういう意味では、いわゆるコピー機を提出している業界の方々の協力を得て新たな使用料を徴収できるようなシステム、こういったものをつくっていく、こういったことも必要ではないかと思うのでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては複写権センターに対して指導や支援をいたしまして、できるだけ多くのそういった権利をここで処理していただくような条件づくりをしていくということが必要ではないかと思うのでございます。  そういう意味で、こういう条件整備に向けて関係者の方々の御努力を期待するとともに、私どもとしてもそれを支援し、それらがうまく適切に対処できるということになりますれば、附則五条の二を廃止するということはできるのではないかと思っているところでございます。

馳浩自由民主党

○馳浩君 まさしく私のお願いというか期待したとおりのお答えで、早く条件整備を進めて保護されるようにお願いを申し上げます。  続きまして、附則十四条について質問いたします。  これも、本来著作権の演奏権の侵害となる音楽著作物を吹き込んだレコードを勝手に流す行為が、附則十四条により当分の間ダンスホール等での演奏を除いて自由となっている問題であります。「当分の間」というのはよく附則に出てまいるのですが、既に二十五年経過しております。これも廃止すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) この附則十四条の方も、御指摘ございましたように「当分の間」ということでございます。これは、この現行法ができました時点でこういったレコードやCD等を再生するという場合に、音楽喫茶やダンスホールなどの特定の利用形態以外のところについては当分の間演奏権が働かない、自由にそういったものを流してもいいということになっておるわけでございます。  御指摘ございましたように、「当分の間」という規定でございまして、この規定はそもそも経過的な措置でございますので、私どもとしても、近年特に著作権保護憲識が高まっておるということもございます、それから有線音楽放送などが普及してきたということもございまして、いわゆるレコード、CD等の再生演奏がそういう意味では少なくなっておるということで、社会的な影響というものもこの法律が立法された当時に比べましたら軽くなっておるというふうに考えておるわけでございます。  そういったことを踏まえまして、著作権審議会におきましていろいろ御検討いただいたわけでございますけれども、審議会の第一小委員会、平成八年九月、ことしの九月に経過報告をいただいておるわけでございますが、現時点においては附則十四条の廃止によりまして影響を受ける利用者団体の理解がまだまだ不十分である、もっともっとさらに広報活動をきちんとしていくことが必要だというのが一つでございます。  それからもう一つは、廃止後の円滑な権利処理ルールを整備していくという意味で、その点での具体的な対策が必要である、こういったことを審議会でも御指摘をいただいておるわけでございまして、私どもとしては、その審議会の第一小委員会の報告を受けとめながら、しかしながらできるだけ早期にこういった条件を整備して廃止する方向に向けて今後とも積極的に対応してまいりたいと思うのでございます。  いずれにいたしましても、例えば百貨店でございますとか銀行でございますとか、幅広くこういったものを利用されておる方々に理解を求めて、そして合理的な使用料の徴収システムを築いていくということ、先ほどの五条の二とやや似ているのでございますけれども、そういった条件整備を進めていくということも必要だと思っておりまして、この点につきましても検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

馳浩自由民主党

○馳浩君 よろしくお願いいたします。  次に、マルチメディア時代への対応ということでの質問をさせていただきます。  マルチメディア時代を迎えて、メディアごとに著作権、著作隣接権を個別にクリアしていては手続が煩雑になりコスト高になりかねません。そこで、通産省は知的財産研究所の報告にもあるように、権利の集中処理システムであるデジタル情報センター構想を推進しています。この点、文化庁も著作権審議会マルチメディア小委員会を通じて同様な機構の設立を提唱しておられます。両機構の違いというものを明らかにしてください。  さらに、既に発表されておる通産省の提案についてどう考えておられるのか、わかりやすく言えば、通産省で文化庁と同じようなことをしようとしているんですか、違いがあれば教えていただきたいということであります。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) お話がございました通産省のデジタル情報センター構想の関係でございますけれども、これは既存の著作物についての権利情報と、それから権利そのものも集中的に管理する機関といたしまして権利の集中管理体制をつくるべきだという御提案をいただいております。それは、著作物のデジタル化やデジタル化しました著作物の利用許諾の仲介を行う機構としてそういったものを提唱するということでございます。  お話しございましたように、私ども文化庁の著作権審議会におきましてもマルチメディア小委員会が平成五年に提唱しておるわけでございますけれども、著作権権利情報集中機構、JCISと言っておりますけれども、これを提言いたしております。これは通産省の御提言と違いますところは、こちらのJCISの方は権利情報を一つの窓口で提供するためのシステムでございまして、権利情報をきちんとしていくことで最終的には権利を集中的に管理できるような、うまく円滑な利用ができるようなそういったものを目指したいということを考えておるわけでございます。  私どものマルチメディア小委員会におきましては、こういった権利の所在情報をきちんと把握をしていく、そうなれば利用者が権利者を探す手間が省けるわけでございます。そして許諾手続の簡素化にもつながっていくということで、とりあえずこの著作権権利情報集中機構をつくりたいということで今さまざまな研究をさせていただいておるところでございます。  いずれにいたしましても、こういったシステムをつくる、そして権利の集中管理の制度全体のあり方を検討していくということが私ども必要だと考えておりまして、JCISの設立に向けた調査研究、あるいはさらに一歩進んで集中管理制度全体のあり方についても検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

馳浩自由民主党

○馳浩君 通産省と十分連携をとりながらぜひ進めていただきたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林久美子平成会

○林久美子君 平成会の林久美子こと但馬久美でございます。  きょうはNHKさんも、そしてまた公取さんも来ていただきまして、本当にお忙しいところありがとうございます。  では、質問させていただきます。  馳議員と少しダブりますけれども、また違った角度からお答え願いたいと思っております。  まず、文部大臣にお尋ねいたします。  著作隣接権の前回の改正は平成六年の十二月十四日で、一九七一年の一月一日から五十年間、実演したものを保護すると改正し、その発効日が平成八年の一月一日でありました。しかし、その後の米国やEC、それからまたWTO、世界貿易機構ですね、それへの提訴、そしてそれに関連しての橋本総理の発言等があり、諸外国の慣例に従って五十年の遡及改正を行おうとしております。  なぜこんなに急がれるのか、その理由をお聞かせください。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 今御指摘のように、平成六年の法改正において、WTO加盟国に係る実演レコード及び放送については、現行法の施行日以降、つまり昭和四十六年の一月一日以降に行われた実演等を保護の対象としたところでありますが、他の先進諸国においては、五十年前までに行われた実演等を保護する国が大勢を占めるということになっております。  これは解釈の違いがあるわけですが、米国及びECは、我が国の条約解釈が不適切であるということで現在WTOに提訴しているという状況で一あって、一刻も早い法改正を求めております。現時点においてもなおWTOへの提訴が取り下げられておらず、早急な対応が求められている、こういうことで、平成六年の法改正が本年一月一日から施行されたばかりではありますけれども、こうした国際的調和を進めるために、他の先進諸国と同様に五十年前のものまで保護対象を拡大する法改正を早急に行う必要があると考えております。  この分野は非常に日進月歩で事態が進んでいる分野でありますので、御指摘のように、法改正をしてことしから実際に施行されたにもかかわらずまた法改正、何回も何回もおかしいではないかという御趣旨だと思いますが、私は一面やむを得ない点があると。むしろ、そういう国際的な状況とか国内の状況をにらみ合わせて適時適切にやっていくことが必要であり、また、今回に限らず、これから以降もそういった事態が起こり得るということを御理解いただきたいと思うんです。

林久美子平成会

○林久美子君 この点はもうきょう通ってしまうということですので。  でも、やはり国際調和をとるためにはそういう法改正も必要でありますけれども、今現在割とアメリカとかそういうところからの逆に突き上げで動いていく部分というのがよく見えるんですね。そういう部分で少し質問させていただいたんですけれども、やはりこういうところをちょっと細かくまた見ていきたいと思っております。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) ちょっと。これは決して外圧に屈して決めたということではなくて、そういう世界の情勢とかあるいは周囲の状況を見きわめた上で、我が国として必要だということで主体的に判断をしたんだというふうに御理解いただきたいと思います。

林久美子平成会

○林久美子君 どうもありがとうございます。  それでは、文化庁次長にお伺いいたします。  今回の法改正の施行日はいつになるのか。改正案では「公布の日から起算して三月を超えない」ことになっておりますが、前回の改正では一年以上発効期間をとっております。なぜ三カ月以内なのか、この合理的根拠はどこにあるのかお知らせください。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 今回、法改正を臨時国会でお願いしておりまして、そしてもしお認めいただきますれば、三カ月以内に政令で定める日から施行するということでございまして、一応三カ月以内ということを決めさせていただいております。  これは、確かに御指摘ございましたように、過去に著作権法の改正、さまざまな施行期日がございました。四カ月でございますとか六カ月、八カ月、七カ月、一年、五カ月、さまざまなものがあるわけでございますが、三カ月というのは確かに非常に短うございます。  この点は、大臣からも御答弁申し上げましたように、著作隣接権の保護対象となっておりますWTO加盟国に係りますレコード等の対象範囲を今回拡大したわけでございますけれども、先進国がほとんど五十年まで遡及的拡大しておるという中で、現実に日本の中でいわゆる廉価盤のCD等が売られておる状況があるわけでございます。こういった点について、アメリカやECからWTO提訴、そして速やかなる法改正をしてほしいという御要望もいただいておるわけでございまして、こういった国際的調和を図るという観点、そして日本が著作権の先進国の一員として、条約解釈上の問題は別にいたしまして、政策判断として今回五十年前までさかのぼるということを決めたわけでございます。  そういったものを臨時国会で、非常に期間の短い国会にお願いしておりますこと自体が速やかな施行をしたいという気持ちがあるわけでございまして、速やかにお認めをいただきますれば、私どもとしては三カ月以内にできるだけ早い機会に施行したいと思っております。  ただし、これは新しく制度が変わるわけでございますので、当然その改正内容をいろんな方に周知をしていく、円滑な秩序を築いていくために皆様方に御理解をいただくという期間も必要でございますので、そのためこ一定の期間が必要ですから一応三カ月ということを考えておるところでございます。

林久美子平成会

○林久美子君 じゃ、ちょっと確認させていただきますけれども、廉価盤のCDを製造している業者の方々は在庫を抱えて発効日の行方について大変心配しています。その発効日までに製造したものは販売できるのでしょうか。また、この不況時で中小業者の倒産のないようにしてあげたいと思いますし、またこの廉価盤のCDのファンの方、またあらゆる消費者の方々を考慮していただきたいと思っておりますけれども、どうお考えでしょうか。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) お話しございました廉価盤のCDは、現在適法に発行されておるわけでございます。これに対して、アメリカ等はこの法律が改正されれば一定の期間を置いた後にはもう売れなくしてほしい、在庫についても売ることを禁止してほしいという御要請もあったわけでございます。この点につきましては、私どもとしては、現行法上合法的に作製されているものをこの法改正があったからといって将来売れなくするというのは、やはり著作権の原則あるいは民事法の原則からいって無理だということでその点はお断りをしておるわけでございます。  そういう意味におきまして、この法律がお認めいただきまして施行された後になりましても、現在在庫でお持ちになっております廉価盤CDは、新しくそれをプレスするということはできなくなりますけれども、今持っていらっしゃるものについては引き続き販売するということはできるものでございます。

林久美子平成会

○林久美子君 その点に関してぜひよろしくお願いいたします。  ちょっと観点を変えてお伺いいたします。  私は、アーチストなくしてレコード会社や消費者が存在するわけはないと思います。すぐれた実演者がいて初めてレコード会社やまたファンが生まれてくると思います。また、生計のために副業、アルバイトに明け暮れては、すぐれたアーチストが生まれません。私はこのようなことを思い合わせて、もっときちっとアーチストを保護してあげるべきだと思います。今後、そういうアーチストに対して文部大臣としてはどういうお考えをお持ちでしょうか、お聞かせください。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 二十一世紀に向けて我が国の芸術水準を高めていくためには、今御指摘のように、次代を担うアーチストを育成していくということは極めて重要だと思います。  文化庁でもアーチストの支援としていろいろなことをやっているんですが、例えば芸術団体が行う人材養成事業に対する支援とかあるいは若手芸術家に海外での研修機会を提供する芸術家在研、正確に言うと芸術家在外研修事業というのを年に七十八人ほど派遣しておりますし、また若手芸術家に国内での研修機会を提供する芸術インターンシップという制度もあります。これは年に六十四人ほど実施しておりまして、いろいろな形でそういった事業をやっております。  今後とも、芸術、文化の振興を図る上で重要な役割を果たすアーチストの育成のために施策を一層充実してまいりたいと思っております。

林久美子平成会

○林久美子君 どうぞよろしくお願い申し上げます。  私も舞台を踏んできた人間といたしまして、まだまだ隠れた本当にすばらしいアーチストがたくさんいるということで、私もまたそういう意味では本当に力になっていきたいと思っておりますので、またお世話になりますけれどもよろしくお願いいたします。  著作隣接権は、実演者が生存しても五十年たてばその権利保護はなくなってしまいます。著作権審議会では、著作隣接権の保護期間の七十年説も検討していると漏れ聞いております。この点とあわせて、他の著作権と同様、実演者の死後の権利保護についてどのように検討されているのか。これは先ほどの話とちょっとダブっておりますけれども、お聞かせください。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 著作権につきましては、個人が例えば原則としてある創作物をつくられてその権利を持たれるということでございますから、その死後五十年ということが当然考えられるわけでございますけれども、著作隣接権につきましては、これは実演家はもちろん個人もいらっしゃいますけれども団体の方もたくさんいらっしゃるわけでございます、それからレコード製作者等の権利等もございますので、これをすべていわゆる自然人の死後何年というふうに決めるのは私は非常に難しいと思うのでございます。  先生お話しございました、著作権自体を五十年を七十年に検討するということもどうなのかということでございます。  この点につきましても、先進国ではECにおきましてその保護期間を七十年にまで延長するためのディレクティブというのが採択されておるわけでございます。先進国では七十年というところもかなりふえてきておるわけでございます。私どもといたしましても、実はこの著作権全体を五十年を七十年にすることについてもさまざまな検討を続けてまいりました。今後も続けていきたいと思うのでございます。  それは、やはり権利を保護するという関係で権利者の権利をできるだけ長くするというのも一つの大事な考え方でございますし、一方でそれを利用する方々の立場といいますか利用者側のことも考えなければいけないわけでございまして、この問題についてはそれぞれのお立場の御意見を聞いた上で慎重に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

林久美子平成会

○林久美子君 廉価盤のCDの人気の秘密は、文字どおり価格の安さにあると思います。なぜレコード協会所属の販売店のCDが高いのか。内外価格差もあります。これはどのような理由によるものか、まず文化庁の御意見を伺いたいと思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) お話しございましたいわゆる今回隣接権で問題になっております廉価盤CDは、著作隣接権関係の料金をもお払いになっていないから安いことが一つあるのでございますが、その問題は置いておきまして、一般的にCDの外国のものと日本のものということでお答えをさせていただきたいと思います。  まず一つは、例えば洋盤の関係でございますけれども、同じCDで輸入盤と国内生産のものと価格が大きく違うではないかという御指摘はよくいただくわけでございます。  この点は、まず一つは、同じ曲が中身でございますけれども、国内生産盤をつくる場合には生産数が少ないという点がございます。もちろん日本語圏を対象にして発売するものと、例えば英語、フランス語、ドイツ語等で書いてあるものは世界全般に売るということを前提に考えておりますから、まず一つは生産の数が少ないというのがございます。それから二つ目は、特に日本語の訳をつける、あるいは歌詞カードをつけたり解説書をつける、こういったことは一般の輸入盤にはない付加価値がついておるわけでございまして、そういった意味で実は価格差が出ておるというのは事実でございます。  経済企画庁の調査によりますと、昨年の十一月時点でのCDの価格が、東京が一〇〇といたしますればニューヨークは六一だというふうに聞いておるところでございます。  ただ、この点につきましては、我が国のCDはアルバムの数からいきましても発売件数自体はアメリカの三倍、約一万五千点発売されておるわけでございまして、そういう意味で多種多様なCDが現在日本のレコード会社からは出されているということも事実だろうと思うのでございます。

林久美子平成会

○林久美子君 どうもありがとうございました。  この点について、公正取引委員会はこの実態調査をおやりになっていらっしゃると思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

和泉澤衞公正取引委員会経済取引局取引部企画課長

○説明員(和泉澤衞君) 公正取引委員会では、現在、再販売価格維持の適用除外が認められる著作物、これには書籍、雑誌、新聞、音楽用CDなどございますけれども、その取り扱いこつきまして幅広い観点から総合的な検討を行っているところでございます。  その一環といたしまして、各品目ごとに流通実態調査を行っております。昨年の七月にその流通実態調査報告書を公表しているところでございます。  今お尋ねの点につきましては、レコード盤あるいは音楽用CDの流通実態調査報告書におきまして、これは通産省さんが平成六年六月に公表してございますけれども、消費財に関する内外価格調査といったところの資料に基づきまして、我が国の音楽用CDの価格でございますけれども、米国に比べまして一割から三割程度高い水準、またヨーロッパ、欧州に比べまして、品目によって若干の差異はございますけれども、一割から二割程度高い水準にあるということが報告されているところでございます。

林久美子平成会

○林久美子君 どうもありがとうございました。  さらに公取さんにお伺いいたしますけれども、音楽用CDの独禁法の除外の再販、この見直しについては現在どのように進んでいるのかお聞かせください。

和泉澤衞公正取引委員会経済取引局取引部企画課長

○説明員(和泉澤衞君) ただいまお尋ねの再販適用除外が認められる著作物の取り扱いということにつきましては、公正取引委員会は平成四年の四月に、その取り扱いを明確化するためには法的安定性の観点から見まして立法措置によることが妥当であるという見解を公表いたしまして、幅広い観点から総合的な検討に着手したわけでございます。  その一環といたしまして、学識経験者から成ります再販問題検討小委員会といったところで、主に理論的側面から検討をお願いしまして、昨年七月にその中間報告というものが公表されております。この中間報告公表の後に国民各層から非常に多数の意見が寄せられたところでございます。現在、関係業界からヒアリングや意見聴取を行いまして、また関係業界の取引慣行、取引実態なども踏まえまして、この問題に関する論点というのを整理しているところでございます。  今後、それらの論点を中心といたしまして、学識経験者から成ります政府規制等と競争政策に関する研究会というところにおきまして御検討をいただくことにしてございます。その検討結果を踏まえまして、公正取引委員会として精力的に検討を行いまして、平成十年三月末までに公正取引委員会としてのこの取り扱いの結論というのを得る予定でございます。

林久美子平成会

○林久美子君 どうもありがとうございました。  それでは、写真の著作物の取り扱い、この別扱いの理由についてお伺いいたします。  写真の皆さんは、他の著作物、いわゆる文芸、学術、美術、音楽と同様に保護期間の遡及を認めていただきたいと要望されています。もうこれは先ほど質問が出ておりますけれども。この点、なぜ写真についてはコースが長く別扱いにされてきたのか、文化庁の御意見をお聞きいたしたいと思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 先ほど来のの問題で御質問をいただいているわけでございますけれども、ほかの著作物、例えば書籍等と違ってなぜ写真が異なる取り扱いだったのかという御質問でございます。  現行の著作物の保護期間につきましては、写真につきまして特に従来から保護期間が短かったという経緯があるわけでございます。  それらの理由といたしましては、かつてやはり著作者名の表示を欠く例が多かった。最近は氏名表示率が非常に高くなっておりますけれども、かつては著作者名の表示を欠く場合が非常に多かった。そして、その写真の著作物をなかなか特定することが難しかったという点がございます。それから、世界各国におきましても、写真の著作物の保護期間というのは公表時をもとに起算するというのが多数であったという状況がございます。それから条約上も、例えばベルヌ条約でございますと創作後二十五年、万国著作権条約上は十年の保護期間で足りるというふうにされていたということもございます。こういった過去の経緯等がございまして、従来、一般の著作物と違って公表後五十年までというふうにされておったところでございます。

林久美子平成会

○林久美子君 ありがとうございました。  写真も私いろいろ見せていただいたんですけれども、本当に最近随分芸術的に変わってきている部分というのがあるんですね。それで、この間の写真集を見せていただいて、やはりその中には本当に心ある、そしてまた、その写した側の生命というか魂というか、そういうものを本当に描写されている。それはもう、絵画と比べるものではないと思いますけれども、でもそれぐらいのやはり貴重価値、そしてまた文化遺産であると思いますので、写真の芸術性というものに対してもう少し意識を持っていただきたいということをお願いしたいと思います。  それでは、きょうはお忙しいところNHKさんに来ていただいておりまして、ソフトの製作や流通についての著作権の取り扱いにどう取り組まれているのかをお尋ねいたします。  来年の秋には第二国立劇場がオープンいたし、こけら落としにオペラ忠臣蔵が上演されると聞いております。町は通称オペラシティーと呼ばれて、国がオペラ振興に積極的に取り組んでいただくことは大変うれしく思っております。直接オペラに触れることができない方々には、NHKなどの放送でその普及に努めていかれることと思います。  ただ、特にオペラの著作権の問題は、出演者が多く難しい問題が山積していると聞いております。  そこで、NHKにお尋ねいたしますが、この秋にCSデジタル放送がスタートしました。国民の皆様がこの芸術文化を初めとするさまざまな番組に接する機会をいただいたということは本当に喜ばしいことでございます。しかし、CSデジタル放送などが健全に発展していくためには、良質なソフトの流通は欠かせません。言うなればCS放送界はもうのどから手が出るほど良質なソフトが欲しいわけです。  そこで、オペラの普及やCS放送の育成を含めて、ソフトの製作や流通のために著作権についてどのように取り組んでおられるか、お伺いしたいと思います。

齋藤暁日本放送協会専務理事

○参考人(齋藤暁君) 私どもNHKは、今さまざまな分野の放送をしておりますけれども、全体の調和とバランスをとりながら放送をしているという現状でございます。今お話しのオペラを含むクラシック番組等につきましても、広くクラシックファンの方々の御要望におこたえすると同時に、芸術文化の向上発展に資するという意味で、随時すぐれた演奏等につきましては番組で取り上げさせていただいているということでございます。  今、CSデジタルとの関連でお尋ねでございますが、CSデジタルの普及に伴ってNHKにいろいろなソフトをぜひ提供してほしいというお話は随分最近ふえております。これにどういうふうに対応するかということを今慎重に検討はしておりますけれども、基本的に二点、私どもとして今考えながら慎重に対応しているというのが現状でございます。  一点は、平成九年度から私どもは総合テレビで二十四時間放送を予定しております。そういう意味ではNHKみずからがソフトをきちっと確保するという必要がございます。それからもう一点は、本格的な多チャンネル時代を迎えようとしている中で、良質なソフトをめぐるいわゆる獲得戦争、ソフトの獲得戦争が非常に激しくなってきております。そういう中で、NHKとしても自前のソフトを確保しておく必要がある、こういう二点からCSへのソフト提供については今慎重に判断をしようとしております。  ただ、NHKとして、受信料を財源としながらNHKが製作したソフトそのものは、国民の財産という一面がございますから、そういう意味では社会還元という意味合いで、こういったCSデジタルチャネルの事業展開の推移を見守りながら、我々としては今後さらに検討を続けたいというふうに思っております。  それから、オペラ等のソフトの著作権に関連してですが、新たに著作権が施行後五十年間さかのぼるということですから、私どもが放送に関してこれに対応する年数が今から約倍になるという意味ではいろんな影響がございます。ございますが、オペラの上演の録音、録画した放送番組等について、まず実演者にリピートの放送料あるいは商業用レコードの二次使用料を払う、あるいはレコードの製作者に商業用レコードの二次使用料をさらに支払うということが新たに生じてまいります。ただ、実演者にリピートの放送料を支払うといっても、実際にVTR等が広く普及してきたのはここ三十年ぐらいの話でございますから、いわゆる適用範囲が拡大されたからといって急に私どもの負担がふえたりということはございません。  それから、レコード等の二次使用に関しては、いわゆるブランケット契約といいまして一括してこれはレコード協会等に払っておりますので、拡大したことですぐ著作権料の負担がふえるということはございません。  オペラ等のビッグイベントの放送については、こういった著作権法の規定とは別に、個々のケースでさまざまな放送に関しての権利関係を個々の契約でクリアにして放送しておりますので、そういった意味では今回の法改正が直接いろんな形でどう影響するかというのはすぐには申し上げにくいところがございます。

林久美子平成会

○林久美子君 もう時間が参りましたので、どうぞ、NHKさんは本当にすばらしいオペラのそういうビデオテープを所蔵していらっしゃいますし、もっと民間といい流通をなさって国民にいいものを見せてあげてください。どうぞよろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。

山本正和社会民主党・護憲連合

○山本正和君 十年ぶりに文教委員会で質問をさせてもらうわけでありますが、達人の文部大臣がお見えでございますので、ひとつ初めに、著作権法、このことについての私の考え方を申し上げて、大臣の御見解をまず承っておきたいと思います。  たしか、これは昭和三十年代の後半から四十年代にかけまして、当時、佐野文一郎さんが著作権課長で苦労されて、後の文化庁長官、事務次官になった人ですけれども、随分苦労だったと。それは、我が国にいわゆる著作権ということについての考え方がしっかりなかった、なかったという言い方はおかしいが、希薄であったということで、大変な苦労をされたということは聞いておるわけです。その後もずっと続いてたび重なる著作権法の改正がされてきまして、今度の法改正はかなり芸術家の方たち、製作者の方たちのお気持ちを満足するところまでは来たと思いますが、まだいろんな問題点が残っている。  そこで、私が思うのは、これは本来今のこういう世の中であれば、本当に自分の心も体も尽くして一生懸命いろいろなものをつくった、しかもそれは芸術の分野である、あるいはまた日本の文化に大きく貢献するものであるというようなものであっても、営利ということのために使おうとしたらいろんな使い方ができる。そうすると、著作者の意思を無視した形でやられた場合にどうなるのか、またその人たちを保護することによって文化というものをきちんと発展させていきたい、こういう趣旨から著作権法というものが我が国でも議論されて生まれてきた。また、世界各国もそういう歴史だろうというふうに思うんですが、どうでしょう、私の認識と大臣の御認識といかがなものかと思いまして、ちょっとまずお尋ねしたいと思います。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 先生御指摘のとおり、従来どうも著作権あるいは特許権というような知的所有権に対する意識というのが必ずしも高くはなかったと思います。今、国際的にも、WTOにおきましてもあるいはその他の外交の場におきましても、これが一つの大きな外交問題であり貿易問題ともなってきておりまして、アメリカあるいはヨーロッパなどと比べて、日本はまだまだそういう著作権保護の意識というものが希薄であったというふうに私は率直に申さざるを得ないと思います。  これからマルチメディアの分野がどんどん発展していくにつれて、そうしてせっかく苦労された実演者とか創作者とかそういう方々の権利を守っていくということは非常に重要であると思いますし、今ちょうどその過渡期だと思っております。今回の改正あるいは前回の改正を通じまして、かなりそういった面の進歩は見られたというふうに考えております。

山本正和社会民主党・護憲連合

○山本正和君 そこで、文化庁の方にお伺いしますが、実演家及びレコード製作者の権利の保護に関する条約というのが今議論されておる。この条約案が国際的にどういうような格好で大体いつごろ、聞くところによると来年六月までだめだというような話もあるし、かなり進んでいるという話もありますが、この状況はどうでしょうか。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、今WIPOで三つの新しい条約案が検討されておるわけでございます。この条約がいつまでに作成されるかということについては、これはそれぞれ各国の意見がございまして、議長を中心にそれらの意見が取りまとめられて条約案がつくられるという過程で、今まさにその審議が行われている段階でございますので、いつとはなかなか申し上げられないわけでございます。  私ども文化庁といたしましては、先ほど来お話が出ておりますように、実演家等の権利の保護について、この新しい条約の中で望ましい方向に行くように、私どもとしても担当官を派遣して今鋭意努力をしておるところでございます。

山本正和社会民主党・護憲連合

○山本正和君 いや、努力していただいているのは私も聞いておるんですが、条約の見通し、困難かもしれぬけれども、でも遅くとも、まあ大体国際的に言われておるのは、私の方で六月にはというのは聞いておるんですが、その辺はどうですか。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 遅くとも六月ごろになればいいと私どもも思っておりますし、そうなるのではないかという気持ちも正直に言って持っておるのでございますが、いずれにいたしましても、各国が意見を出し合うということになりますので、確定的なことは申し上げられないことは御理解いただきたいと思います。

山本正和社会民主党・護憲連合

○山本正和君 そこで、実は橋本総理が森繁さんとお会いになったり、また音楽議員連盟が櫻内会長初め皆さんがいろいろとこの種の問題を議論して御苦労いただいているわけですが、どうも先ほどの馳委員、林委員の御答弁の中にもあったんですが、ちょっと印象として国際条約待ちというふうな懸念がしてならないんです。ですから、やっぱり我が国としても、特にこの場合は実演家の方々の権利の問題ですが、そういう観点から、国内法を我が国はどんどん準備していきます、やっていきますよというふうなことがあれば大変心強いんですけれども、その辺についてはいかがでございますか。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 先生御指摘ございました、実演家の方々の恐らく映画等の二次利用に関する権利の問題を御指摘だと思うのでございます。  お話にもございましたように、森繁先生たちが総理にも御陳情されました。その中身としては、現在WIPOで検討されております隣接権関連条約の中で、映画に固定された実演についてもその後の利用やあるいは改変等について実演家に権利を与えてほしいということで御陳情いただいたわけでございます。  これに対して総理の方も、映画が円滑に利用される中で実演家の方々の権利が適切に保護される仕組み、こういったものについてはWIPOでも検討されているようなので、我が国としてどういう貢献ができるか、それぞれの省庁に検討してほしいというふうに考えているということをおっしゃったわけでございます。  私どもといたしましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、WIPOの新条約の中で日本としての意見を今申し上げておるところでございますが、先生御指摘ございました、それはそれとして置いておいて日本が単独で直ちに国内法改正を検討してはどうかという点でございますけれども、やはりこれは、映画会社、映画監督、それから実演家等それぞれのお立場があるわけでございまして、そういった方々の円滑な関係といいますか適切な関係を見出していく、そういった中で実演家等の権利をさらに今よりももっと進んだものにしていくという方向で私ども文化庁としては考えていかなければいけないと思っておるわけでございます。  現時点におきまして、私どもとしてはマルチメディア小委員会、著作権審議会の中で御検討いただいているわけでございまして、それらの問題を含め引き続き私どもとしては検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

山本正和社会民主党・護憲連合

○山本正和君 今の次長の御答弁で私まちょっと気になるわけなんです。というのは、確かに各関係団体との利害調節ということは行政機関としてはやらざるを得ないわけですけれども、その軸足をどこに置くかということがあるんです。  ですから、冒頭に私の方から見解を申し上げて大臣からもお答えいただいたような立場、要するに、正直に言いますけれども、最近のテレビを見ておって、民間のテレビですよ、私はもう腹が立って仕方ないんです。あれはもう日本人がだめになるという気がして仕方ないんです。むちゃくちゃなものが随分ありますね、いい部分もありますけれども。結局、どうしてもああいうことをやれば、マスメディアというのは視聴者中心、利益中心になりますからね。それをどこでストップをかけるかといったら、やっぱりこれはストップをかける行政の立場というのがあると思うんです。  ですから、今のこの条約の議論も国際的にもそういう議論をされていると思うけれども、やっぱり国内で考えるときに、今の利害調節の中でも特に芸術家のあるいは製作者の心を大事にしながら取り組んでいくんだ、こういう立場でこれはやっていただきたいと思いますが、大臣ひとつ。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 利害関係者はたくさんあるわけですけれども、やはり同じテーブルに並んだ場合には力の強弱というのはあると思うんです。私は、その力の弱い側の人というものをかなり配慮しながら調整していかないと、どうしても力の強い者が勝つ、こういうことになっては困るので、そういう軸足というかスタンスでいくべきだと思っております。この点は、審議会においても十分そういったことを踏まえてやっていただきたいなと希望しております。  それから、テレビ等の社会に与える影響、これは非常に大きいものがあります。先日も、私はマスメディアの方々とお会いしたときに、特に子供、教育の面でもマスメディアの役割というものを十分自覚してやってほしい、こういう要望をいたしておきました。どうぞよろしくお願いいたします。

山本正和社会民主党・護憲連合

○山本正和君 ぜひひとつ大臣のそういう御決意でお取り組みをいただきたいと思います。  実は、写真の問題も先ほどから文化庁の見解をずっと聞いておりますが、今日こうなっていたという経緯については理解できるわけです。しかし現実問題として、遡及するということを含めた検討、これをどうしても検討の課題にきちんと位置つけてやっていただく必要があると私は思うんです。いろんな経過があって今日こうなっていますということについてはよくわかるんです。しかし課題として、遡及の問題というものをこれはもう無視して議論ということにはやっぱりならぬだろうと、要するに作品の尊重という著作権の趣旨からいって。  したがって、これは当然検討されるものと考えますが、その点いかがですか、文化庁の方は。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 先ほど来御論議いただいているわけでございますけれども、写真の問題につきましては、確かに過去において保護期間が製作後十年ということで大変短かったということが今回の議論の根っこになっていると思うのでございます。  そういったことも十分踏まえながら、先生御指摘いただきましたように、私どもも今後国際的な動向にも配慮しながら、写真家協会の御意見にも十分耳を傾けながら検討してまいりたいということを申し上げているわけでございますが、その検討の中には先生御指摘いただきましたように、今回は遡及できないわけでございますけれども、当然将来そういった遡及の問題も含めて誠意を持って検討していくということで私どもは今の立場を申し上げたいと思うのでございます。

山本正和社会民主党・護憲連合

○山本正和君 それでは私は時間が来たので終わりますが、大臣にちょっと法律とは離れますがお願いをしておきたいのは、本日の文教の理事会で請願の採択をみんなで議論したわけでありますが、義務教育費の国庫負担というのは我が国教育の基本であると、それで各党全会一致で堅持を強く要請しておりますし、これから予算の確定に入りますが、大臣、ひとつ何としてもこの問題は頑張り抜いていただきますように要望いたしまして、もし御決意があれば一言お聞きして終わりたいと思います。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 危機的な財政状況の中で聖域は設けない、こういう政府の方針でありますが、今申されたとおり職員の配置改善計画、これはもう計画に沿って着々と進んでおりますし、これはやはり国の礎ともなるべき教員の問題でありますので、私どもは一生懸命、この制度の根幹については堅持をするように努力をしたいと思っております。

山本正和社会民主党・護憲連合

○山本正和君 ありがとうございました。終わります。

阿部幸代日本共産党

○阿部幸代君 私も写真の著作物について遡及保護措置がとられるべきではないかと思いますので、幾つか質問します。  同一人のとりわけ現在活躍中の写真家の写真であっても、一九五七年一月一日より前の写真の著作権がないというのは大変な矛盾です。そして、この矛盾の発端というのが一八九九年、明治三十二年制定の旧著作権法時代の保護期間が発行後十年であり、この法が一九七〇年、新法制定まで七十年近く続いたところにあります。途中一九六七年に暫定延長措置が士二年にとられましたが、遅きに過ぎたわけです、ほぼ七十年間もたってしまったわけです。  旧著作権法がベルヌ条約加盟を機に制定されたことを思えば、せめてこの条約がうたう保護期間二十五年が諸外国並みにもつと早く日本でも実施されていれば今日の矛盾は生まれなかっただろう、こういう写真家の指摘は理解できるんじゃないでしょうか。余り難しく答えないで素直にお答えいただきたいと思います。大臣。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 過去のいろいろ経過がありまして、今直ちに要望にこたえ得ないという点があると思いますが、先ほど来申し上げているようにいろいろな状況がありますので、ぜひ過去の経緯そして現状を御理解いただきたいと思います。

阿部幸代日本共産党

○阿部幸代君 一九五六年以前の写真がいわば著作権の命が切れているわけなんですけれども、ちなみに写真の著作権の保護期間が一九五六年に世界ではどうだったかと調べてみますと、十年というのは旧ソ連とかいわゆる東欧諸国なんです、あとはほとんど二十年とか二十五年とか五十年とか、永久というものもありました、五六年時点で。ですから、日本はいわば世界の最低基準に合わせてそれが戦後長く続けられたということなんです。この歴史事実をやはり重く受けとめて、写真家たちの要望にこたえていくべきだというふうに思います。  次に移りますが、写真の筆頭ユーザーである出版界と写真家との間では、実は旧法を機械的に当てはめずに、保護期間が切れたものでも印税などが支払われてきているんだそうです。外国人の作品についても同様だそうです。しかし、このことをもって、だから遡及措置の必要がないということは言えないわけです。  というのは、良識的な慣行にはそれ相応の背景、理由があって、写真集の写真の場合、コピーでは不鮮明で使用にたえない。そのために、実際には出版社が写真家に写真原稿の依頼に来るんだそうです。つまり、フィルムから現像してオリジナルな写真をつくって写真集に使うんだそうです。ところが、デジタルカメラの使用はこうした従来の慣行を不要なものにしてしまいます。つまり、フィルムから現像しなくてもいわばコピーで済んでしまうわけなんです。ニューメディアの新しいユーザーたちに今までの出版界のような良識を期待することはできないだろう、こういう切迫感からも遡及措置をという声が強く出ているんですね。これも理解できるんです。  これも難しく考えないで素直にお答えいただきたいと思うんですが、大臣。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 過去の経過の中で、一回権利が消滅した写真を今度は直ちに有料にするということについてま、その写真をデータベースの中に組み込んだりあるいはライブラリーの中に置いてあったり、もういろいろ利用関係に大変な混乱を起こすということで、復活をさせるということについてはやはりもう少し私は時間がかかるんではないかということをひとつ理解していただきたいと思います。それから、著作権審議会なんかも復活に対しては反対意見の方が大勢を占めている、こういう現状であります。  しかしそうはいっても、いろいろ私どもも広く意見を徴し、また世界の動向等も勘案しながらできるだけいい方向にいきたい、こう考えております。

阿部幸代日本共産党

○阿部幸代君 東京都に写真美術館というのがあります。ぜひ大臣に見ていただきたいなというふうに思うんですけれども、最近行きましたところ、世界的なフォトジャーナリストであり第二次大戦中の沖縄の写真とか水俣病の写真とかで有名な、日本に大変縁の深いユージン・スミス氏の写真展が行われていました。彼の言葉に、「カメラはものを見、かつ考える人間のための道具である。人間の支配を受けず、また人間の力を借りないで写された写真を、私はまだ見たことがないのだ。」、これは一九六二年、アサヒカメラ誌上で掲載された氏の言葉ですが、写真という著作物の価値の大きさを語っていると思います。  その価値を認めるからこそ、著作者の死後五十年という保護期間が今回の法改正でしたためられようとしているのだと思うんですけれども、外国の写真家からへ日本では写真の著作権が一九五七一年一月一日より前の写真にはない、こういう矛盾を指摘され、トラブルが起こったらどうするんでしょうか。  要するに、問題は政治的決断の問題だと思うんです。レコードについて遡及措置という政治的決断ができたわけですから、写真の著作権の問題についてもその遡及措置の政治的決断をするかどうか、このことがやっぱり問われているのだと思うんです。デジタル化、ネットワーク時代の写真の著作物の著作権保護のさまざまな検討の中に遡及措置を盛り込むという決意を改めて大臣にお願いしたいんです。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 文部大臣がすべて権力を振るえるという体制の日本ではありませんで、やっぱり著作権審議会等のさまざまな各分野の識見をよく聞きながら協議をして結論を出していく、こういう手だてを今までとっております。  今御指摘のように、デジタル時代を迎えまして、オリジナルの重要さというものはより一層よく理解できます。そういった御意見等も幅広く私ども吸収をして、著作権審議会で十分に国際的な動向も踏まえた検討が行われていくべきものだというふうに考えております。

阿部幸代日本共産党

○阿部幸代君 ぜひ、遡及保護措置についてもできるだけ早くとっていただきたいということの念を押して、次の質問に入ります。  私は映画が大好きなんです、写真も好きですが。日本映画の振興のためにも、俳優さんたちなど芸能関係者の権利の確立を願う立場から質問いたします。  十一月十一日だったと思いますが、協同組合日本俳優連合の皆さんが、文化立国の基礎をつくる国際条約の締結を目指して国会内で集会を開き、総理にも直接代表が要請をしています。私も、この集会に参加をして、俳優さんたちの生の声を聞き勉強させていただきました。中でも一番印象に残ったのは、河原こじきって御存じ、こういうふうにある女優さんがおっしゃったんです。私にマイクが向けられましてびっくりしてしまったんです。俳優さんたちが人間として認められていないんだということをこの方はおっしゃりたかったんですね。労働災害も認められないほど俳優の権利が未確立だということをおっしゃりたかったんです。  映画、テレビ、舞台などの製作現場における芸能関係者の労働災害事故の深刻さは、十二月十二日の朝日新聞紙上でも紹介されています。映画製作のロケでカメラマンが連続徹夜に近い作業後に脳梗塞で死亡しても、また映画製作中、映画美術監督が大道具選別中に墜落して頸椎骨折、意識はあるが全身麻痺、生涯寝たきりとなっても労災保険が給付されないそうです。今係争中です。  雇用労働者でないから全部不支給というのが労働基準監督署の決定であり、芸能界では専門的、芸術的な能力発揮が特徴であり指揮監督下の労働ではないといって労働者性を認めず、労働保険全部不支給というのが労災保険給付担当部署の決定だそうです。  こうした労働行政を改め、俳優、スタッフ等芸能関係者の労働者性を認めて、労災保険の適用を広げることを文化行政としても働きかけていくべきではないでしょうか。大臣に伺います。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 労働災害についての社会保障の問題については、一義的には労働省の所管の問題なんですが、今御指摘のような問題もあって、私どもとしてもやはり実演家の身分が保障されるということは文化政策上も大事なことだと思いますから、この点は労働省ともよく相談したいと思いますし、また当該関係者の方々も労働行政に対するそういった要求もやっていただきたいと思う次第でございます。

阿部幸代日本共産党

○阿部幸代君 私は、芸能関係者の未権利状態の一つとして、俳優さんたちに映画の再利用報酬も二次使用料も支払われないという、この問題をとらえています。  日本映画が、九三年度ですが、年間ビデオカセットとして二百二十二億円も販売され、NHK衛星放送で百本以上も放映されているというのに、俳優さんに一円も支払われない。これは庶民の感覚でいうと非常識なんです。文化立国の名において一日も早く是正されるべきだと思うんです。  そのためには、日本俳優連合の要求である映画界や興業界と公平な契約が結べるように、契約の立場でもいいんです、ただし公平な契約が結べるように、一方が不利にされていますから、俳優の名誉、声望が守られる人格権を認め、現行著作権法の第九十一条第二項、第九十二条第二項二号ロ、これを撤廃するか、そうでなければ精神的、独創的な表現としての演技という著作の著作者という旧法の著作権思想をよみがえらせて、俳優を著作者とはっきり認定するべきではないでしょうか。これもデジタル化、ネットワーク時代の人権問題として前向きの検討をぜひお願いしたいんですが、大臣、どうでしょうか。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) お話しございました映画等におきます実演家等の権利の保護の問題でございます。これは、先生のお話にもございましたように、映画会社と実演家との間の具体的な契約になるわけでございますけれども、現実の問題として実演家の方が立場が弱いといいますか、映画会社の方で二次使用料まで含めて契約をしてほしいということを仮に実演家が申されたとすれば、そういうことをおっしゃるのであれば今回の御出演は結構でございますということで断られてしまう可能性もあるわけでございます。  そういったこともございまして、実は文化庁におきましては、実演家と映画製作者との適正な関係のあり方につきまして、平成四年に二次利用に関する調査研究協議会も設けてきたわけでございます。約二十回いろいろ協議をしたわけでございますが、結果といたしましては、双方の意見に大きな隔たりがございましてまとまるに至っていないわけでございます。  そういったことも踏まえまして、私どもといたしましては、先般来お話がございますように、総理に対する御陳情もあったわけでございますけれども、映画に固定された実演につきまして、その後の利用等について実演家に権利が与えられるように、文化庁といたしましてはWIPOの中で積極的な立場に立って対応しておるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういう国際的な動き、さらには国の中におきましては著作権審議会における御検討、そういったものを踏まえながら適切な形で実演家の権利が守られますように私どもとしても検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

阿部幸代日本共産党

○阿部幸代君 終わります。

伊藤基隆民主党・新緑風会

○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤であります。  まず、著作隣接権の問題が出てまいりまして、新聞その他でいろいろな報道がされてまいりましたし、私のところにも直接関係する方々からの情報提供等もございました。皆さんのところにも行っているんじゃないかと思っております。  その中で、日本で売られているいわゆる複製CDの問題でございますが、一九五〇年代や六〇年代の隣接権が保護されていない時期のレコードをそのままコピーしてCD化し、駅の構内や街頭のワゴンセールで売っているという状況が言われております。言われているどころか、実は私もそれを買って聞いております。  また、放送の分野で、十二月十三日の日経新聞に出たニュースでありますが、香港の放送局からの報告で、アジアの海賊版の市場は年間三億八千万米ドルを超えているというようなことが言われております。さらに、アメリカ・ニューヨークのメトロポリタンオペラ劇場で、昭和三十年代のNHKイタリア歌劇東京公演のライブビデオ海賊版が売られていると。その他、昨今著作権にかかわる新聞記事を見ますと、アメリカではほとんど隣接権が守られていない、近年の映像や音源を隣接者に無許可でこれを商品化しているというニュースが伝えられております。  すべてがどういう状況になっているかについて私は直接見ていないわけでありますけれども、アメリカ国内での隣接権の法的な保護の現状と、守られていないというそれらの新聞、ニュース等は果たして真実なのかどうか、その辺についてお聞きしたいし、日本側に隣接権のあるものがアメリカでの扱いはどうなっているのか、これは数少ないとは思いますけれども、その状況についてお聞かせいただきたいと思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) お話しございましたように、アメリカ等で昔のNHKのオペラの放送等がいわゆる海賊版として出ているのではないかというお話でございます。  この点につきましては、私どもの方がNHKにお話を聞いたところでは、一時そういうことがあったのは確かでございますけれども、NHKとしてはアメリカの業者に対して抗議文を送ったりそれから現実に現地の業者と直接交渉をして、一応九四年の暮れに合意をしたというふうに承っております。  この業者がつくった海賊版ビデオは現在販売されていないようでございますけれども、昨年の秋にはまた別の海賊版ビデオも出ておるというようなこともあって、現在交渉を進めておるというふうに聞いておるところでございます。  我が国の著作権法上、実演やレコード等について著作隣接権で保護しておるわけでございますけれども、今回、WTOに加盟いたしました。そして、WTO加盟国にかかわるものにつきましてはTRIPS協定にのっとりまして著作隣接権利の保護の対象としておるところでございます。  したがいまして、お話しございました、今日本の中で駅頭なんかで売られております廉価盤CDについては、著作隣接権について現在のところは処理がなされておりませんので、そういったものを、この法律をお認めいただきますれば、施行後は新しくつくるということはできなくなるわけでございまして、そういう意味で我が国も先進国並みに五十年の遡及的拡大ということを図ろうとしておるわけでございます。  一方、アメリカにおきましても、WTOの関係でございますから、日本で保護しておるものについてはTRIPS協定に基づきまして保護しなければいけないということになるわけでございます。したがいまして、先ほどもございました海賊版ビデオ等があれば、それは明らかに適正なものではないわけでございますから、個別の対応でそういったことをやめさせる交渉等をNHKも行われたということでございます。

伊藤基隆民主党・新緑風会

○伊藤基隆君 知的財産にかかわる権利を守るということは当然のことでありまして、アメリカの現状はかなり乱暴な状況になっているのではないかというふうに私は思っておりますけれども、とりあえずの処理はされているような御答弁が今ありました。  ただ、アメリカは著作隣接権についての保護の姿勢を基本的に持っているといいながらも、今回、アメリカレコード業界が通商代表部に訴え出てWTOに提訴してきた。これが一九九六年二月、橋本総理が日米首脳会談の後で改正について記者会見で約束をしている。先ほど大臣は、外圧によるものではないということを答弁の中で申しておりました。私も、確かにそういう姿勢は日本もきちんとあるというふうに思います。  ただ、WTO提訴、これに対する対応からして、多分に著作物あるいは隣接権というものの保護というよりは、そこから生まれる、派生するといいましょうか、つくられてくる商品、ビジネスを守るという姿勢が色濃くうかがわれるわけであります。私は、ビジネスも当然にして重要と思いますが、ビジネス優先の中で判断される、いわゆる貿易摩擦的に判断されるということについては著作権及び著作隣接権にとって大変不幸なのではないか。そのことに対する文化庁の基本的な姿勢をお聞きしたいというふうに思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 今回、臨時国会にこの改正法案をお願いしているということの基本的な考え方といたしましては、確かに実態上の問題といたしましてアメリカやECがWTOに提訴しておるということがあるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、大臣からも先ほど申し上げましたように、五十年に遡及的拡大を図るという、平成八年一月一日に施行になったばかりの法律をこの臨時国会で改正させていただくということは大変心苦しいわけでございます。しかしながら、我が国も著作権の先進国の一員としてアジア等に対して著作権思想の普及等でも国際協力を行っておるわけでございます。  そういう中で、単にビジネスの問題ということではなくて、著作隣接権をきちんと五十年、先進国として築いていくんだという姿勢を明らかにする意味で、条約解釈の問題とは別個に政策判断として五十年にさかのぼるという措置を今回とらせていただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘ございましたように、単なるビジネスの問題ではなくて、著作権問題というのは写真家の権利もございますし実演家の権利もございます。そういった権利者といいますか、個々の努力しておられる芸術家の方々の権利をきちんと守っていくということを私どもとしては基本に据えてまいりたいと思うわけでございます。

伊藤基隆民主党・新緑風会

○伊藤基隆君 先ほど、この法が改正された後、その間に商品化されたものに対しては遡及適用しないということが答弁の中にありました。ぜひそのことの具体的な措置をお聞かせいただきたいというふうに思っております。  さらに、先まどの答弁の中で、通産省はデジタル情報センター構想、すなわち利用仲介という思想で考えておるけれども、文化庁の立場としては著作権権利情報集中機構、すなわち権利の集中管理ということで考えておられると。これはかなり違いがあるというふうに思っております。今の答弁との関連において、権利の集中管理というものを早急にシステムとして確立されて、基本的な姿勢を貫いていただきたいというふうに思うところであります。  そこで、写真の問題について多くの方が触れられました。私も同様の認識を持っておりまして、旧著作権法のもとで他の著作物と比べてかなり低い位置に置かれていたと言わざるを得ないというふうに思っております。データベースに入っているものについては利用者の利益を損なう場合があるのでというような答弁もありましたけれども、やはり受くべき利益は製作者の側にあるということをきちんと認識していただきたいというふうに思います。馳委員の質問への答弁で、真剣に検討するといり答弁がされました。山本委員の質問に対しては、協会と協議し検討すると答弁の変更が行われておりまして、私は協会と協議しながら検討するということを強く求めたいというふうに思います。  そこで、実は四十五年四月二十八日、参議院文教委員会で著作権法案に対する附帯決議というものがありまして、これについて、「写真の著作権の保護期間の問題、映画の著作権の帰属問題、レコードによる音楽の演奏権の及ぶ範囲、応用美術の保護問題、著作隣接権の保護期間の延長及び実演家の人格権の保護問題等について、」、これは先ほども質問の中で出ましたね、「早急に検討を加え、速やかに制度の改善を図ること。」。「早急に検討を加え、速やかに制度の改善を図ること。」というのが二十六年かかっている。早急とは二十六年、四半世紀です。ですから、私は真剣な検討、協会と協議しながらということについてぜひもう少し早急の時間を縮めてもらいたいというふうに思っております。  さらに、附帯決議は、「本法の実施にあたっては、著作権者と利用者との間に十分な協議が行なわれるよう配慮するとともに、文化庁長官の裁定による著作物の利用についても、著作権者の立場を十分尊重した運用を行なうこと。」となっております。したがいまして、写真の遡及の問題についてこの精神にのっとってやる考えがあるかどうか、皆さんとの答弁と重ねてお聞かせいただきたいというふうに思います。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) この著作権保護につきましては、御指摘ございました四十五年の附帯決議もいただいております。お話しございましたように、写真の著作権の保護期間の問題ということが四十五年の時点で挙げられておるわけでございますけれども、私どもとしては四十五年の時点では、この時点の議論の中では写真だけが公表時を起算するというのは問題だということも、そういう御意見が強かったというふうに認識をしておるわけでございます。  しかしながら、遅きに失したというおしかりもちょうだいしておりますけれども、いずれにいたしましても、写真家協会の長年の御要望でございました製作後五十年というものから死後五十年という著作権の原則に今回変えるための法改正をお願いしたわけでございます。その中で、先ほど来御答弁申し上げておりますように、さはさりながら過去に十年と非常に短かったことがあったために、十年で切れてしまった、昭和三十一年以前のものについてはもう切れておるということがございまして、それらについても十分検討してほしいという御要請を何度も私どもちょうだいしたところでございます。  先ほど来それぞれの先生方に御答弁申し上げておりますけれども、それはそれぞれの御答弁において私どもの気持ちが違うということでは全くございませんで、私どもとしては写真家協会の御要請を十分受けとめまして真剣に検討したい。ただしその条件といたしましては、WIPOにおきます新しい条約の検討もございます、それから国際的な動向等もございます、それから我が国独自の考えももちろん加えていく必要があるかもしれません。そういったものを踏まえて、いずれにいたしましても、御要望の趣旨を重く受けとめまして真剣に検討してまいりたいということを御答弁させていただきたいと思うところでございます。

伊藤基隆民主党・新緑風会

○伊藤基隆君 時間がないので、申しわけございません、郵政省を呼んでおりますので、ちょっとお聞きしたいと思います。  今回の法改正が放送事業者に与える影響についてお答えいただきます。

佐々木英治郵政省放送行政局放送政策課長

○説明員(佐々木英治君) 御説明をさせていただきます。  放送につきましては、伊藤先生よく御案内のとおり、国民に広く普及した基幹的なメディアでございまして、高い公共性を有しております。今般、多チャンネル化ということが言われておりますが、この放送が果たす社会的役割というのは非常に高まっていくものというふうに考えておるところでございます。そうした意味で、今後、放送のさらなる発展を図るという観点からは、円滑な放送ソフトの製作、流通関係の整備ということを通して放送ソフトの充実を図っていくということが非常に重要だというふうに認識をしております。  しかしながら、一方、良質な放送ソフトを製作するというためには、著作権等の適切な保護によりましてソフトの製作に関与する方に創作へのインセンティブを付与するということも非常に重要だというふうに考えております。私ども郵政省といたしましては、権利の適切な保護とソフトの円滑な流通ということの調和を図りつつ検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後、著作権処理のあり方につきましては、権利の適切な保護とあわせまして、権利処理の窓口の一元化ですとかあるいは権利処理のルールの確立ということを通しまして、こういう権利処理の円滑化が促進されることを期待しているところでございまして、文部省の方ともよく相談していきたいと考えております。  以上でございます。

伊藤基隆民主党・新緑風会

○伊藤基隆君 どうもありがとうございました。

堂本暁子新党さきがけ

○堂本暁子君 私は、写真であれ絵画であれ、自分の表現というものを守ること、著作権というものは基本的な人権のものだろうというふうに思っております。きょう、るる御説明のあったレコードその他については、国際的な事情もあり例外と考えてほしいということについては理解できません。なぜなら、権利というのはあくまでも平等で公正であることが原則でございまして、権利に例外というのはないはずです。何か議論が本末転倒しているのではないかというふうに思います。当事者はそれは理解できないと思います。  私も三十年間映像の製作者をしていましたから、自分の映像の著作権が侵害されて裁判になったこととかそういうこともないわけではございません。そういったときに当事者というのはやはり自分の子供を奪われたような感覚を持つもので、これは理解しろと言われても、どんなに歴史的な経緯があるとかそういう理屈を言われてもやはり理解できない。逆に、番組の製作者としては、テレビ局におりましたから、音楽であれ写真であれ何であれ、調査部の著作権課というところに電話をして、それなりのお礼をお払いするための伝票を書くということが私どもの日常的な作業でもございました。  その二つの点から考えて、どう考えても著作権とそれから利用者の利害が対立するというような考え方はおかしい。やはりあくまでも基本的に著作権というのは守られるということが原則であって、利用する側の事情というのは対応しなければいけないものだと思います。  特にカメラマンは個人の方が多いわけですし、大NHKだとか民放だとかがそれに反対するというのは、自分たちの権利は守れ、そして人の権利は守らないというのま筋が通らないというふうに私は思っているので、おかしいと思います。  ここに「下町今昔物語」という、写真集なんですが、田沼武能さんの写真集があります。子供を撮ることで大変有名な方ですけれども、これは東京の江戸百景と書いてありますが、もう今すっかり失われてしまった東京の写真がいっぱい入っているわけです。  この黄色いのは、御本人が張ってくださった分は全部著作権が切れている。これはだれでもが使えてしまう。テレビだろうが映画だろうが使える。これは大変おかしいと思うんです。亡くなっていてもおかしいと思いますけれども、御本人、きょうそこに傍聴にいらしています。そういった生きた方がこういう貴重な写真の何ら支払いも受けない、権利も持てない、これはどう考えてもおかしい。ですから、理解することができません。やはりあくまでも権利というのは守られるべきものだというふうに思います。  もう同じ質問を繰り返す気はございません、きょう何度も同じお答えが出ましたので。むしろ、これから前向きに御検討くださるということですけれども、その場合に、法的に保護期間が過ぎたものに関して法律改正までの間大臣としては何か道義的に保障をしていただくことができないかどうか、その辺のところを伺いたいと存じます。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) 今、私ども検討することをお約束しているわけでございますけれども、そもそもこういった著作権はそういった権利でございますから、法律の原則といたしまして、一度権利が消滅したものにつきましてはそれを復活させるというのは非常に例外的な場合に限らなければならないと思うのでございます。  そういったこともございまして、写真家協会の御要望は気持ちとしてはよくわかるのでございますけれども、一度権利が消滅したものについてそれを再度復活するということになりますれば、利用関係に大変大きな影響を与えることになるわけでございます。そういった意味もございまして、私どもとしては、著作権審議会の中でも反対意見が非常に強い、それから放送局等が非常に反対だということを申し上げているわけでございます。  ただ、それは先生お話しございましたように著作権が著作者に権利があることは事実でございますけれども、その権利をうまく行使していただいて、利用者の方も当然あるわけでございますから、利用関係といったものもやはり私ども行政としては十分考えていかなければいけない一つの要素だと思うのでございます。それは、利用者の権利と利害と著作権が必ずしも対立するということではないと私は思うのでございます。

堂本暁子新党さきがけ

○堂本暁子君 もう結構です、そこから先はもう同じ答えだから。何か道義的にできるかということだけ伺っていて、同じ答えはもう結構です。

小野元之文化庁次長

○政府委員(小野元之君) いずれにいたしましても、これは法律の世界の話でございますから、法律上権利が復活していないものにつきまして実行上それを復活させるような措置はとれない。それが今の法治主義の原則だと私は思っております。

堂本暁子新党さきがけ

○堂本暁子君 ここで議論する気もないし、今までと同じお答えを何度も繰り返していただく気もありません。完全に見解が違うということだけははっきり申し上げておきます。  私も放送局に三十年いました。放送局には調査部というところがあって、全部著作権のリストはあるわけですよ。NHKだってどこだってそうです。そこで私たちの権利は物すごく守られる。だけれども、個人と大NHKと人民放とどうやってけんかするんですか。みんな泣き寝入りしているんですよ、個人は。そうでしょう。どっちを守るんですか。それは利用者の方だって言い分はあるでしょう。だけれどもNHKはお金がある、民放だってもうけているんです、放送局だって。  じゃ、個人は、こういう写真を撮った方はどうやって収入を得ていくんですか。それは法律でおかしいと、だったら日本は堂々と法律は直せばいいんですよ、法的にだめだとおっしゃるのであれば。だから皆さんはおっしゃっているでしょう、遅いと。そんなこと、今の理屈なんか聞こうと思って私は申し上げたんじゃない。はっきりそこのところを、一刻も早く一年以内にやりますとかそういう答弁をしてくださるのならわかりますけれども、そんなことを今聞く気はありません。  ただ、はっきりとそういった権利というのは、例えばアメリカとかヨーロッパとか、そういうところとも私たちはいっぱい交渉をしました。どれだけ向こうの方が権利意識が強いことか、著作権が守られていることか。それから比較したら日本のいろんな、それこそ音楽にしたって写真にしたって全然権利は守られていませんよ。それは私の三十年間の経験ではっきりそう申し上げます。それは文化庁の次長がそういう仕事をなすったことがないかもしれないけれども、三十年間そういう仕事をしてきた人間としては、外国から比較したら、フランスのカメラマン、日本のカメラマン、それはもう全然違います。  カメラマンが自分でカメラを、私だってカメラを持ってさんざん写真を撮りました。自分のそういったものが侵害されたときには本当に悔しいものですよ。いまだに忘れられない、そういったものがばんとよそに出されたときに。それはあくまでも権利の侵害なんです。自分の持っている技量とか経験とかすべてを侵害されたときに、例えば犯罪で侵害された場合にはちゃんと守られるわけでしょう。どうしてちゃんと著作権が守られないのか。日本の国の法律の方がおかしいです。今まで全部の委員がそうおっしゃったでしょう。そういうことで申し上げているのであって、法律的に認められないものを復活できない、そんな理屈を今伺おうと思ったわけでは全然ございません。  あと、これは大臣に伺いますが、一つの理由は、大変に日本はこういった権利意識が低い、その低さというのはそれだけ個人のそういった作品を守るということの教育が子供のときからきちっとされていないのではないかと思いますけれども、その辺についてはいかがお考えでしょうか。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) その前に、今、堂本委員が指摘されたこと、実物の写真集を持ってこられまた御本人もおられるという状況の中で本当によくわかるんですが、先ほど政府委員が申し上げたとおりいろいろ困難性があります。しかし、その著作権を守る、そういう原点だけは私どもしっかり胸に置いて今後対処していきたいと思っております。特に、いろんな関係者の中で弱い立場の者に対する配慮というのは特に私は必要かと思って、そういうスタンスで今後努力をしたいと思います。  それから、教科書においては既に中学校の技術・家庭科あるいは高等学校の公民科の現代社会、あるいは政治・経済の教科書において取り上げられておりますが、平成八年度、本年度から中学校の生徒向けにわかりやすい著作権保護ということについての資料を作成し、配付して、著作権の保護憲識の向上に資したいと思っております。これは、この資料は今年度内に完成しますので、早速配付をしたいと思っております。

堂本暁子新党さきがけ

○堂本暁子君 ではちょっと趣を変えまして、学校では今コンピューターをどんどん導入していますけれども、インターネットに親しむ環境をつくるために、こねっと・プランというのが実施されています。  文部大臣もこのプランのスタートをさせたというふうに伺っておりますけれども、ある学校で子供たちがインターネットを始めたところ、その地区の個人情報保護条例に抵触するとして教育委員会からやめるように言われた。インターネットはもう今本当に国際的にも国内的にもどんどん広がっていますし、子供たちにとってもこれからどんどん情報を得る一つの手段だと思っています。現場と国の方針が違っているのではないか、国と地方との協力体制をどうやってこれからおつくりになるおつもりか、伺いたいと思います。

小杉隆自由民主党文部大臣

○国務大臣(小杉隆君) 御指摘の点については、その地区、これは東京都内の二十三区の一つの区ですけれども、個人のプライバシーを守る条例ができておりまして、インターネットで出すことがその条例に抵触する、こういうことで今区の教育委員会で調整を続けているところですが、これからインターネットがどんどん普及してまいりますと、プライバシーとインターネットとをどう調整していくのか、こういう問題は必ず起こります。  今、全国の自治体の中でもう千くらいの自治体でこういう条例ができておりまして、これが今御指摘のようなこねっと・プランなんかを普及していく場合にプライバシーの侵害に当たるんじゃないか、こういうようなことがたびたび起こってくる可能性があります。  これについては、私はやっぱり一義的にはその自治体がどう判断するかにかかっていると思うんですが、文部省としても、今後のマルチメディアの進展に伴う情報とプライバシーの保護とをどう調整していくのか、これは難しい課題ではありますが、それぞれのケースも分析をしながら、これからひとつ一層勉強していきたいと思っております。

堂本暁子新党さきがけ

○堂本暁子君 どうもありがとうございました。

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。-別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  著作権法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) これより請願の審査を行います。  第一号小・中・高校三十人学級の早期実現と生徒急減期特別助成など私学助成の大幅増額に関する請願外二百八件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一五号訪問教育の高等部早期設置に関する請願外十八件、第三二号義務教育諸学校の学校事務職員・栄養職員に対する義務教育費国庫負担制度の維持に関する請願外一件及び第一九九号義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願外十九件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一号小・中・高校三十人学級の早期実現と生徒急減期特別助成など私学助成の大幅増額に関する請願外百六十七件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 次に、国政調査及び継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、従来どおり教育、文化及び学術に関する調査を行うこととし、今期国会閉会中も継続して調査を行うため、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清水嘉与子自由民主党

○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会      —————・—————

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