予算委員会 第9号
- 発言数
- 42 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1996/04/18
会議録
○委員長(井上裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 資料の提出要求に関する件についてお諮りいたします。 平成八年度総予算三案の審査のため、住宅金融専門会社問題について、日本住宅金融株式会社代表取締役社長丹羽進君、株式会社住宅ローンサービス代表取締役社長井上時男君、株式会社住総取締役社長山本弘君、総合住金株式会社代表取締役社長大槻章雄君、第一住宅金融株式会社取締役社長山仲靖朗君、地銀生保住宅ローン株式会社代表取締役社長坂齊春彦君、日本ハウジングローン株式会社代表取締役會田稜三君に対し、 一、第一次再建計画と第二次再建計画の全文 二、貸付審査基準 三、個別債権者(借入金融機関)のリスト 四、個別担保物件(融資額上位十社)についての 概要(融資額、抵当権設定額、順位、その他権利関係を含む)及び適用分類とその根拠 以上の文書を本委員会に提出するよう議長を経由して要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、その手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(井上裕君) 平成八年度一般会計予算、平成八年度特別会計予算、平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、総括質疑を行います。一井淳治君。
○一井淳治君 総理及び関係の大臣におかれましては、沖縄における基地の返還等、そして日米間の共同文書の取りまとめなどに大変御努力を賜ったことに対して敬意を表したいと存じます。また、御多忙の日程を縫いましてこの予算委員会の審議に御協力賜っていることに対して感謝を申し上げたいと存じます。 我々は、二十一世紀に向けて、新たな日米協力を軸にいたしましてアジアの平和と繁栄を目指して前進しようとしているわけであります。これまでの憲法解釈に従い、そして中国、北朝鮮、ロシアとも友好関係が前進するようにしながら、また国民全体の理解と協力を求めながら我が国の安全とアジアの平和と発展のために御努力をいただきたいと思うのでございます。 特に、ガイドラインの見直しの開始に当たりましては、昨日来幾つかの報道もございましたけれども、近隣諸国との関係に十分御配慮をいただきながら、憲法及び関係法令に従って御検討を進めていただきたいと存じます。 基地の返還などについては、沖縄県民の怒りをお忘れにならないで、粘り強い御努力を継続してぜひとも目的を達成していただきたい、そのように考えるのでございますけれども、総理のお考えを伺いたいと存じます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 冒頭、外交日程のために予算委員会の審議等、時間の調整など大変御苦労をかけましたこと、お礼を申し上げます。 今、一井議員から御質問をいただきました、昨日クリントン大統領との間で署名をいたしました日米安全保障共同宣言におきましては、二十一世紀に向けて日米安保体制というものが、我が国の安全だけではなく、同時にアジア太平洋地域の平和と安定のために引き続き果たしていく重要な役割というものに思いをいたしながら、日米間の安全保障面での協力を促進していく旨を明らかにいたしております。 こうした考え方の中で、我が国といたしましては、共同宣言にも述べられておりますとおりに、中国との協力のさらなる深化、そしてロシアの改革プロセスヘの支援、同時に朝鮮半島の安定のための努力を米国とも緊密に協力をいたしながら引き続き行ってまいりたいと考えております。 そうした観点から、先日クリントン大統領と金泳三韓国大統領との間で呼びかけの行われました韓国、北朝鮮、中国、アメリカの四カ国による前提のない対話というものが現実のものとなり、朝鮮半島に真の平和がよみがえるきっかけがそこから生まれればと、今心から願っております。 同時に、日米防衛協力のための指針につきましては、新防衛大綱の策定を踏まえまして、今日のアジア太平洋地域の安全保障情勢のもとに、日米両国の間の緊密な防衛協力関係というものを増進していくために指針の見直しを共同宣言で表明をいたしました。 見直しの内容につきましては、これは具体的にはまさにこれからの検討を待つわけでありますが、いずれにいたしましても、我が国の憲法上許されないとされている事項について従来の政府の見解を変更する状況ではございません。 また、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならない、その基本理念につきましては新防衛大綱の中でも改めて確認をいたしておるところでございます。 また、議員からお触れをいただきました今後の基地の整理、統合、縮小というものにつき、特に沖縄県民の心というものに思いをいたしながら努力していくべきだという御指摘は、そのとおり私も感じております。 本日、クリントン大統領夫妻を主賓として行いました午さん会の終わりに、短時間ではありましたが、大田沖縄県知事とクリントン大統領と話を いただく機会もつくることができました。そして、これはお二人、真剣にまた非常に友好裏に話し合っておられましたが、その際にも知事の方から、今回公表されました沖縄県における基地の整理、統合、縮小の方向につき、普天間基地の全面返還を初めとした努力に謝意を表されるとともに、なお一層の努力を要請しておられました。 私どもとして、今回特別行動委員会の中間報告に盛り込まれ、発表されております措置を確実に実現していくことに全力を尽くしたいと考えております。これは国だけの力でできることではございません。県にも御協力をいただかなければなりませんし、また衆参両院の先輩、同僚各位の御協力をも陰に陽にいただかなければ、計画が書かれただけに終わる可能性がないとは言えないことでありますから、この実現のために我々としても全力を尽くして努力してまいりたいと考えております。 そして十六日には、政府が一丸となってこれに取り組む、そしてその中には県からの御協力もいただきながら、そうした決意を込めて閣議決定を行わせていただきました。どうかこれからの作業によろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
○一井淳治君 ありがとうございました。今後、日米間におきましては、例えば全面的核実験禁止条約の交渉の促進など、地球規模での協力とかさまざまな課題がございますけれども、一層御努力賜るようお願い申し上げたいと存じます。 次に、景気対策について伺います。 今景気が回復方向に向かっていることは間違いないと思いますけれども、しかし民需主導の自律的回復軌道に乗っているかといえばとてもそんな状況ではありませんで、公共投資の大量発注によって何とかしてもたせているという状況だろうと思います。何とか民需を活性化して民需主導の経済に移行していくということが非常に大切だろうと思いますけれども、そういう方向に持っていくために経済企画庁はどのような御努力をなさるのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(田中秀征君) 今の情勢は一井先生おっしゃるとおりだと私どもも認識しております。政府主導から民間主導に早い機会に移行させることが課題であるということは常々申し上げてきたところでありますが、これは楽観論、悲観論、いろんな御意見がございます。それは承知しておりますけれども、私は、金融の緩和基調が維持されて為替相場が安定的に推移していくとした上で申し上げますと、現在のところ設備投資も上向いてきまして生産も増加していると。こういう状況を大事にしていけば、民需主導の景気回復というのは順調に移行していくように持っていくことができるというふうに思います。 もちろん、そのための課題は幾つか申し上げているところですが、やはり予算を切れ目なく着実に執行していくということ。次には、住専の処理に早期に具体的なあるいは本格的な第一着手を行って、日本経済の不透明感というのはここから出ているというところがありますので、不良債権問題の展望を切り開いていくこと。そして第三には、これも最も重要なことでありますけれども、構造改革を進めていくこと。 規制緩和の見直しを行ったところですが、一つ一つの項目について着実に早期に具体化していって、新しい企業や新しい産業のための活躍を促していくと、そのことによって民間主導の景気回復に持っていけるというふうに信じているところであります。
○一井淳治君 生産設備も余っておりますし、投資をしてももうかる可能性がない、環境が悪いというようなことがあると思いますけれども、やはり自由主義経済ですから、経営者といいますか、資本家の方々が積極的に投資をしていくということは、何といいましても今の景気を上向きにしていく基本だと思うわけです。 ところが、経営者の人たちは、もたれ合いといいましょうか、政府が悪いんだというふうなことを言われまして、これは規制緩和が進まないこともあるのかもしれませんが、やはりいろんなダイナミックな方法を、経済企画庁には人材が多いわけですから、さらにお考えいただきたいというふうにお願いを申し上げます。 次に、中小企業対策でございますけれども、現在さまざまな対策を講じてくださいまして、大企業に近い方の中小企業には相当の政策が行き渡っていると思います。下の方と言ったら失礼ですけれども、家族労働などに依存しております小規模企業の方にはなかなか予算や政策が浸透していないと思うわけであります。特に、開業率が非常に低くなっているということは我が国経済の発展のためにも問題があると思いますし、不況の影響も小規模企業に非常に強い影響をもたらしているわけであります。 規制緩和あるいは輸入の自由化の関係でも、例えばお酒の小売業が大変厳しい環境に置かれつつあるようでありますけれども、そういった小規模企業にもさまざまな政府の施策が及んでいくように中小企業対策に特段の御配慮を賜りたいと思うわけでございますが、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 我が国の中小企業の中で八割を占めますのが小規模企業でございまして、先生今御指摘のとおり大変厳しい状況であることは認識をいたしております。 とりあえず、まず今私どものやらせていただいていますことをちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、従来から商工会とか商工会議所を通じまして、小規模企業の経営の改善のための指導及び無担保無保証融資、都道府県を通じた設備近代化のための無利子貸し付け、中小小売商業の活性化のための商店街等の基盤整備、個店の魅力向上への支援などを行ってまいっております。 平成八年度の予算案においても、小規模企業の技術力向上の視点も含めた経営指導の実施、小規模企業者の創業を支援するための中小企業設備近代化資金制度の拡充、二十一世紀に対応し得る質の高い商業基盤施設整備への支援、空き店舗対策などの小規模企業の経済環境変化への適応を支援するための施策の充実に努めております。一応こういうような施策を講じております。 ただいま具体的にお酒の小売の問題が出ました。また、今よくマスコミ等で言われておりますのが、規制緩和によるものとしてはガソリンスタンドの問題等がございます。それぞれが規制緩和の中で、製造業に関しては結構いい部分はございますが、当然大店法の規制緩和なんかも含めて小売業にはまた厳しい環境がある。 それから、経済企画庁長官も今申しましたが、いわゆる経済の中で、設備投資の中で、従来は景気回復をするときというのは中小企業が先に設備投資が立ち上がってそれから大企業へと行くんですが、それも現在のところ中小企業の設備投資が非常に悪い。それから、先生今御指摘いただきましたように、起業、仕事を起こすような政策は講じているんですけれども、まだそれが具体的に見えてこないというのがございます。 一つ一つの基本認識はしっかり持っておりまして、十分にこれに対応するように今現実をしっかりと見据える形で作業をいたしておりますが、今後どもよろしく御指摘と御指導をお願い申し上げます。
○一井淳治君 せんだって中小企業白書の原案のようなものを拝見させていただきましたけれども、どうか十分な検討をいただきまして、平成九年度に向けて立派な小規模企業対策を立ててくださるよう要望いたします。 次に、国土庁にお伺いいたしますが、バブルによる土地の高騰が続く中で、昭和六十二年でしたか、緊急土地対策要綱を閣議決定いたしました。平成元年には土地基本法が成立し、また平成三年には総合土地政策推進要綱というものが閣議決定された経過がございます。これは土地の高騰が国民生活や産業に対して非常にマイナスを生じてくるから適切な対策が必要であったということであろうと思いますけれども、土地というものについて国としてどのような見方をしておられるのか、地価の上昇というものに対して国はどのような政策を当時展開なさったかということについてお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(鈴木和美君) 先生御指摘の土地の問題につきましては、従来から土地は現在及び将来における国民のための限られた貴重な資源であるという認識が一つであります。二つ目には、国民の諸活動にとって不可欠の基盤であること。三つ目は、その利用が他の土地の利用と密接な関係を有するものであること。四つ目に、その価値が主として人口及び産業の動向や土地利用の動向、社会資本の整備状況その他の社会的、経済的条件により変動するものであること。したがいまして、公共の利害に関係する特性を持った重要な資源であると、こういう認識に立っておるところでございます。 そのため、今御指摘のございました土地基本法におきましても、土地については四つの理念、つまり公共の福祉の優先、適正な利用及び計画に従った利用、三つ目に投機的な取引の抑制、四つ目に価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担という四つの基本理念が掲げられておりますので、現在までこれらの理念を踏まえまして総合的な土地対策を推進しているところでございます。
○一井淳治君 ところで、銀行の業務につきましては銀行法がございまして、その第一条には銀行の設置目的等が書かれております。 本件の住専の問題を見ますと、銀行が株主になり、また経営者を送り込むなどして住専というものをつくって、その住専が、あるいは銀行自身もそうですけれども、土地の投機にうつつを抜かしたりあるいは銀行自体が住専にあやふやな取引先を紹介して口きき料を取ったというふうなこともあるようであります。 そういったふうな業務、バブルの中で行った姿というものは、銀行の公共性あるいは銀行業務の健全かつ適切な運営という観点から見た場合、どのように評価したらいいのかということにつきましてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(久保亘君) 銀行の公共性、社会的責任ということについては、他の企業に比して一段と重いものがあることについてしばしば御説明を申し上げてまいりました。住専問題に関して申し上げますならば、住専の設立の当初からいわゆる母体行と呼ばれる金融機関、銀行がこれにかかわり、出資し、そして役員を送り、その経営にも支配的に参画してきたという経緯がございます。 もとより一住宅金融専門の会社が生まれてきました当初は、これは国民の需要にこたえるものであったと考えております。その後、母体行は住専との関係をどのように動かしていったのか、そして住宅金融専門会社が本来の会社の設立の目的から次第にその事業内容を変えていったのではないか、いろいろな問題がございまして、今日深刻な不良債権の処理を迫られるに至ったのであります。 そのような立場を踏まえた上で、母体行という呼び方をいたしております銀行に大変大きな責任があり、この責任に伴って処理スキームにおいても、金融機関にはそれぞれの債権の放棄、融資、基金の拠出などの同意を求め、その同意ができました上で処理スキームがつくられてきたわけでありますが、これだけでこの責任が完結するかということになりますと、両院の御審議におきましても厳しい御意見がたくさんございました。これらの御意見も踏まえた上で私どもといたしましても、金融機関に対してこの問題解決のためのさらなる負担を含めた責任のとり方をみずから決せられるよう、そして政府との間にも十分な協議と合意が得られるよう申しているところでございます。 そういうことを通じて、今御指摘がございました金融機関の持つ公共性にこたえなければならないと考えているところでございます。
○一井淳治君 次に、いわゆる母体行責任についてお伺いさせていただきたいと思います。 株式会社は商法上、株主有限責任として定められていることはもう当たり前のことでありますけれども、経済的あるいは社会的に見た場合に、子会社というものは親会社の信用によって活動し成長しているわけでありますし、そういった現実の上に立って、子会社を整理する場合には親会社が子会社の面倒を見て、これは自分の権威もありますから面倒を見ながら処理をするというのが普通であると思います。 株主有限責任の発生につきましては、歴史的に見ますと、大塚久雄教授の「株式会社発生史論」というのを私ども学生時代によく読みましたけれども、本来は出資者は無限責任であった。十七世紀に設立した東インド会社のころから、遠距離貿易とか鉱山業のように多額の資本を要して非常にリスクの高い業務分野で株主有限責任が例外的に認められた。そして、それがまた資本主義の発展のために非常に大きな役割を果たしたようでありますけれども、しかしやはりこの株主有限責任というのは法律上の仕組みであって、あくまでこれは例外たるべきものであると思います。 これまで金融機関がどのように子会社の整理をしてきたかということを考えてみますと、金融機関がノンバンクなどの関連会社を処理する場合には、これは一つあるいは二つの金融機関が一つの子会社を持っておってそれを整理するという場合が大部分でありますけれども、母体行が責任を持って子会社の整理をしているというのが普通であったと思います。 ところで、本件ではその普通の姿がとれなかったということですけれども、それはどういう事情があったんでしょうか。
○政府委員(西村吉正君) ただいま子会社、親会社という御指摘がございましたけれども、金融機関、特に銀行とノンバンクの関係、親と子の関係というものはさまざまな形がございます。 いわゆる直系のノンバンクと言われます非常に結びつきの強いケースについて考えますと、ただいま一井委員御指摘のように、ノンバンクの経営問題に対しましては母体行が最大限の支援を行って再建を図るというような方法がとられることが多うございました。ただ、それもいろいろでございまして、いわゆる修正母体行方式という考え方がとられるものや、債権額に比例した損失分担という考え方、いわゆるプロラタ方式に基づいて法的処理が行われた例もございました。いずれも直系ノンバンク、親と子の関係が非常に明確である場合ということでございます。 さて、今回の住専問題でございますが、確かに資本の関係、人的な関係、母体行と住専の間には密接な関係があるわけでございますけれども、この場合の母体と申しましても多いものは九十に上る母体が一つの住専にございまして、七つの住専それぞれ性格の違いがございます。このようなものを全体としてどのような親と子の関係にあるものとしてとらえていくかという点については、必ずしもいわゆる直系ノンバンク、一対一の関係にあるものと全く同じ方式ということでは律し切れないものがあろうかと存じます。 住専問題は本来当事者間で解決すべき問題であり、直系ノンバンクの場合にはそういう当事者間の話し合いで解決をされてきたわけでございます。この複雑に権利関係が絡み合った住専問題につきましては、関係当事者間の話し合いだけでは解決を図り得ない状況になっておりましたので、このまま放置することが日本経済にとって非常に大きな影響を及ぼし、ひいては預金者保護にも遺憾な点が生ずるおそれなしとしないということで今回の処理方策を御提案申し上げている次第でございます。
○一井淳治君 親会社、子会社の関係が一対一のような場合は、過去の歴史を見ますと、ほとんどすべて親会社、親の金融機関が責任をとって処理していると思います。ただ、本件の場合は親会社が非常に多いものだから親会社としての責任感が薄れたということもありますし、また非常に金額が大きくなりまして、親会社の中には中小のものが、これを親会社が負担してしまったら自分が倒産してしまう危険性もあったゆえに親会社も逃げ腰になっている、そのためにこういうことになったのではなかろうか。 やはり、本質は株主であり、そして経営者を出しているものが社会的、経済的には責任をとるのが当たり前であると。特に日本経済を揺るがすぐらい大変な迷惑をかけているわけですから、ただ単に株主に迷惑をかけたとかいうだけでは済まないわけですから、私は母体行にはっきりとした責任というものを感じてもらうことがやはりこの問題の解決にはどうしても必要であると思うわけでございます。 次に、政治の対応といいましょうか、政治の責務ということについて述べさせていただきたいと思います。 私は、やはり政治というものは官主導ではなくて政治主導でいかなくちゃならないと。そのために政治がさまざまな時代の要求に対して速やかに反応していくだけのシステムやノウハウをつくっていかなくちゃならないと思っております。バブルが起き上がり、また消えていく中で、私どもは何とか土地の高騰を下げたいと思いまして国会内でもたびたび質問等いたしました。懸命に論戦を展開したんですけれども、なかなか答えてもらえないで厚いコンクリートを相手にするような状況があったと思います。しかし、そういった中でも、他の野党の方々と力を合わせまして土地基本法を野党の議員立法として提出したということで、一定の責任は果たしたのではなかろうかと思います。 ところで、衆議院の予算委員会で参考人の質疑が行われましたけれども、二月十六日に元銀行局長の土田参考人が述べておられます。その中で次のように言っておられるわけであります。ノンバンク問題の重要性を訴えかけて、自民党の会議の中で説明したけれども、規制強化について消極論が多くて思うようにならなかった、残念に思っているということを言っておられるわけであります。 私は、この土田参考人のお話だけでは、当時どういう課題があって、土田参考人がどういつだことを言おうとしているのかわからないものですから、その点をまずお尋ねしたいと思います。
○政府委員(西村吉正君) ノンバンクは預金を直接受け入れておりません金融機関でございますので、預金者保護という観点からの厳しい規制や監督のもとにある銀行と比べますと、緩い規制や監督が行われてきたところでございます。 しかしながら、平成二年から三年当時、地価の高騰への対応が議論される中におきまして、規制が緩いノンバンクを経由する大量の資金が土地融資に流れるということが問題視されたことがございます。このような問題意識を受けまして、当時ノンバンクのあり方及び当局の指導監督のあり方、すなわち銀行と規制の仕方が違っていいのかどうかというような点について議論が高まりました。 平成三年に議員立法によりまして、土地関連融資の実態把握のための規定の新設等を含めます貸金業規制法の改正、強化が行われたわけでございます。また、平成四年、翌年には同様に議員立法によりまして、当局がノンバンクから徴求いたします報告の範囲を若干拡大いたしまして、土地に係る融資に加え、株式等に係る融資についても報告を徴求できることとする内容を盛り込みました貸金業規制法の再改正が行われました。 以上のように、平成三年、平成四年とこの貸金業規制法の改正という形でノンバンクに対する監督の仕方について議員立法による修正があったわけでございます。 これら二度にわたる貸金業規制法の改正の過程におきましては、当時の与党を含めまして、各方面におきましてノンバンクに対する規制強化の是非に関しさまざまな議論がなされていた模様でございます。一方において土地融資というものを問題にする立場からこれを強化すべきであるという議論もございましたし、他方において経済活動の活性化を維持すべきであるという観点からの慎重論もございました。 当時の様子を土田参考人がお述べになったものと理解をいたしております。
○一井淳治君 大蔵省設置法を見ますと、八十七号に「金融制度の調査、企画及び立案をすること。」が大蔵省の業務となっております。また、九十七号を見ますと、「貸金業を営む者を登録し、これを監督すること。」がやはり大蔵省の仕事になっているわけでございます。 今のお話によりますと、ノンバンクに対する規制がかなり進んだという御説明があったわけでありますけれども、依然として業務改善命令とか解散命令とか、そういったものを出す権限はないと。特に住専七社に対してはそういった権限が全くなかったわけであります。 二、三日前の新聞を見ますと、大手のノンバンクのアポロリース、これは負債が五千億円ですね。この種のものがまだ相当あると、これはまた日本経済に深刻な影響を与えてくる、金融不安につながっていくというようなことがありますから、やはり大蔵省の強い監督、最終的には業務改善命令が出せるというようなものを、規制緩和の今の御時世にこういう質問をするのはちょっとおかしいのかもしれませんけれども、しかし日本の経済がこれだけがたがたするような事態ですから。 それで、今おっしゃった議員立法程度でいいのかどうか、大蔵省のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(西村吉正君) ノンバンクは預金受け入れ金融機関でございませんところから、銀行とはまた違った規制、監督の仕方が行われてきたところでございます。 世界的に見まして、金融機関の監督の主たる対象をどこに置くかということで、私の理解では大きく二つに分かれるような気がいたします。フランスとかスイスにおきましては、お金を貸すということについて社会的な責任を認めるという考え方がございます。日本やアメリカにおきましては、預金を受け入れる、お金を預かるという点について規制、監督の対象にするという流れがございます。 このノンバンクの取り扱いと銀行の取り扱いをどのようにするかということは、お金を預かるという点に重点を置くか、お金を貸すという点に重点を置くかという見方の違いを反映してきているように思います。現在、日本におきましては預金者の保護という観点を重点にいたしまして、お金を預かる金融機関に対する行政が行われているわけでございますけれども、こういう中において、ノンバンク問題というのは、お金を貸すという点について社会的な役割、規制の対象としてのあり方をどのように考えるか、こういう問題であろうかと存じます。 今後、金融行政のあり方を考える上で、このノンバンク問題というのも一つの大きな課題だと考えております。
○一井淳治君 預金者保護だけで賄えるものかどうかということは、今回の住専は七社を整理してしまえば一応済むわけなんですけれども、しかしそれでよかったのかということをやはり引き続き考え続けていただきたいと思います。金融機関からノンバンクにお金が集まっていることは間違いないわけです、普通の人がノンバンクにお金を出すことはまずないわけですから。そうすると、金融制度に影響しできますし、長期的に見ますと一千万円を超えるものについては果たして保証がもらえるかどうかという問題が出てくるわけですから、引き続いて頭の中に入れて忘れないようにお願いしたいと思います。 次に、大蔵省がなさっておられます監督や監査に際して資産内容、経営内容の審査をやられるわけでありますけれども、どうも大蔵省のそれは甘いんじゃないかと思います。その点について御意見をお聞きしたいわけであります。 例えば、日本住宅金融の例をとりますと、これは平成四年三月三十一日の決算を一つの基準として考えてまいりますと、大蔵省は住専に対する第一次立入調査をやられました。平成三年十二月三十一日、この決算の少し前の調査基準におきまして調査をしておられます。 それを見ますと、経常利益が四十億円は計上可能だろうということをはっきりと活字に書いておられます。そして、この日住金が実際に平成四年三月三十一日に決算したのは七億七千百万円で経常利益を決算しております。ところが、三和銀行の整理案というものがその後出てまいりました。これも同じく平成四年三月三十一日の決算を見ているわけですけれども、三和銀行整理案によりますと四千八百三十二億円の大幅な債務超過。これはもう破産原因ですね。破産原因があるということが書かれているわけです。 どれが正しいのかということですけれども、今の住専の状態から見れば、この三和銀行の整理案の見方が一番正しいんじゃないかと思うわけです。そうすると、第一次立入調査の大蔵省の監査は非常に甘かったということになってくると思います。 また、今回の太平洋銀行に対する問題ですけれども、日銀の考査でこういう問題がはっきり出てきて、それで整理しょうというふうになったんです。それまで定期的な監査を大蔵省はやっておられましたけれども、それをつかんでおられなかったということもありまして、その辺の資産内容の監督、監査が少し甘いんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(西村吉正君) 決算そのものにつきましては、上場会社におきましては有価証券報告書等の証券取引法上の開示書類を提出していただくことになるわけでございます。開示書類の中心となる財務諸表については公認会計士による監査が行われておりまして、その真実性の担保は、第一義的には公認会計士の監査証明によってなされる仕組みになっていると理解をいたしております。 これとは別途、私どもの金融検査というものがどのような役割を果たすべきであるかという問題がまたあるわけでございます。日住金、ノンバンクとか住専につきましては一般的な調査権限しかございませんで、それ以上の監督指導を行うというところまでは手が及ばないわけでございます。そういう制約はありつつも、平成三年秋から四年にかけまして立入調査の中で経営の実態を把握し、私どもの行政の及ぶ範囲におきましてその改善に努めてまいったところでございます。 なお、一般的に申しまして、日銀の考査及び大蔵省の銀行検査、それぞれ時期を調整いたしまして、できるだけ効率的に両者が切れ目なく検査、考査を行うようにいたしております。太平洋銀行につきましては、そういうローテーションの中で最新時点ということに関しましては、日本銀行の考査が近い時点で行われた、こういうことでございます。
○一井淳治君 太平洋銀行も半年のうちに急に資産内容が悪くなったんじゃなくて、相当前からずっと引こずっているわけですね。ですから、今のお話は理由にならないと思います。 それから、日住金の場合も、わざわざ立入調査をしているわけですから、立入調査をしてしっかりとした資産内容を把握しなかったら立入調査の意味がないわけです。特に三和銀行の整理案というのは、これは大蔵省、お出しになったらどうですか。私がお願いしても、あるいはこの委員会でもお願いをしたら、国政調査権としてではないですけれども、三和銀行の了解がないから出せないと言うんですが、三和銀行の了解をとって出していただいたらいいと思うんですよ。出していただいた上でそういうお話をいただいたら私も納得できますけれども、都合の悪いものは出さないでおいて、それでそんなことを言われたってね。立入調査をやったら、天下の大蔵省の立入調査ですから、間違いなくそれに基づいてしっかりとした方針が出るものを今後はやっていただきたいと思います。 それからもう一つ、決算書類がどうもなかなかこの真相に合致しないという問題がございます。これにつきましてはいろんな原因があると思うんです。これも幾つかの原因の一つになっておるんじゃないかと思うんですが、大蔵省には一方には銀行局がございます、もう一方には主税局、国税庁がありまして、そちらの方は法人税を徴収しようとしているわけです。ですから、余り厳しい決算にして税収がなくなったら困るということがあります。それも私わかるんですよ。 しかし、今の法人税法の三十三条を見ますと、資産の評価を落とすということは貸付金では認めてもらえないということがあります。それから、貸し倒れについては債権償却特別規定というものがあります。規定はちゃんとあるんですけれども、現実にはこれが機能しないというようなこともあると思うんで、これ税収が上がらなくなったら困るというのは私もよくわかりますが、そろそろこのあたりでもうちょっと細かい配慮が要るんじゃないかと思いますけれども、一応御意見を伺いたいと思います。
○政府委員(若林勝三君) お答え申し上げます。 法人が持っております資産の評価がえをして評価損を計上した場合には、その評価損の額は法人税法上原則として損金の額に算入しないこととされておることは、委員今御指摘のとおりでございます。ただし、一定の要件を満たす場合には例外的に評価損として損金の額に算入することが認められておりますけれども、貸付金とか売掛金等の債権はこの評価損の計上が認められておる対象から除かれておるところでございます。このため、これらの債権の価値が減少したとしても、その減少した部分を評価損として損金の額に算入するということは認められないわけでございます。 ただ、貸付金、売掛金等の債権については、これらの債権の相当部分について回収が困難であるといった一定の事情がある場合には、部分的な貸し倒れという考え方で債権償却特別勘定を設定することによりまして、回収不能と見込まれる部分の金額について損金の額に算入することができることになっておるわけでございます。その債権償却特別勘定の設定につきましては、その不良債権の中身、そういったものを十分に審査して、適正に認めるものは認めるということで対応しているところでございます。
○一井淳治君 これは非常に難しい課題でありますけれども、貸借対照表をつくる第一線の現場の人が税金との関係で非常に苦しい選択を迫られるわけです。やはり真実に沿う、実態に沿う財務諸表がつくれないと、金融関係もそうですし、会社の経理がうまぐいかないわけですから、弾力的に実態に沿うことを主にしながら、そういう方向に進むように現場の方も協力いただくように要望だけさせていただきたいと思います。 次に、大蔵省は平成二年三月に総量規制の通達をお出しになりました。これに住専が対象から外れておったものですから、農協系は員外利用の規制も緩和されておったものですから、農林系の預金が住専に流れていったということは繰り返し述べられておるところでございます。これについて信連からは半期ごとの貸付限度額の報告が大蔵省に出されておりました。また、実績については四半期ごとに報告が出ておったわけであります。これによって資金の流れが把握されておったということは、土田参考人が衆議院でおっしゃっておられるところでございます。他方、住専からは三カ月ごとでしょうか、定期的に融資先状況などの営業の報告がなされておったわけであります。 そういたしますと、大蔵省は住専の経営がだんだん悪くなっていくということに気がついておられたわけでありましょうが、この農林系預金がだんだんふえていっている、住専はだんだん危なくなっているということが認識されておったと思うわけです。 質問の第一点は、こういった届け出といいましょうか、報告はどういう目的でなされておったのかということをまずお伺いいたします。
○政府委員(西村吉正君) まず、信連の状況に関する報告でございますが、系統金融機関の監督につきましては、私どももその一端を担ってはおりますが、一義的には農林水産省において行っておられるところでございます。私どもも農水省を通じましてその資料につきましても拝見をしていたと、こういうことでございます。趣旨等につきましてはむしろ農水省からお答えすべきものと存じます。 なお、住専からの報告は、日本住宅金融を皮切りに昭和四十六年から四十七年にかけまして住専四社が相次いで設立されまして、その行政上の所管が都道府県知事から大蔵大臣に移されました際に、大蔵省として業務の概要を把握するため、概括的な計数報告を定期的に徴求するというようにしたものでございます。
○一井淳治君 今農水省というお言葉が出たわけなんですけれども、少なくとも大蔵省は全体がわかっておったわけですね。そして、農林系が危なくなるかもしれぬということは当然気がつくと思うんですけれども、農水省に対してそういう報告をしていなかったんじゃないでしょうか。
○政府委員(西村吉正君) 報告という意味は、住専から受け取った報告を農水省にお知らせをしていなかったという点の御指摘だといたしますならば、私どもは住専に関する行政という立場かち必要な書類をとっていたわけでございますけれども、その結果を他の業種を監督しておられる行政庁に対してすべてごらんに入れるかどうかということについては、なかなかまた問題もあろうかと存じます。当然、住専の借り手という意味では他の業種もあるわけでございますが、その所管をしておられる省庁にも徴求したデータをすべてごらんに入れるということにはまた別の問題もあろうかと存じます。
○一井淳治君 届け出や報告を出すということは行政を信頼して出すわけですから、出した者は何か危ないことがあったら教えてもらえるという、悪く言えばもたれ合い、よく言えば信頼によって、何か自分が許してもらっているという気持ちを持っているわけですね。ですから、ちゃんとこういうふうに届け出しておるんだから、大変な金額を動かしておるんだから、大蔵省、農水省はわかってくれていると。だから、何か大変なことが起これば何か指導があるだろうという期待を持っているわけです。 ところが、大蔵省は自分の系列の住専が大事だから、その住専の秘密を農水省に渡さないとすれば、農林関係は本当にかなわないことになってくると思うんです。ですから、情報の独占というのは非常に困ったことでありまして、やはり重要な情報は流していただいて経済的な破綻が起こらないようにしていただきたいと思います。 ところで、そういうふうな届け出や報告があったわけですけれども、結局大蔵省の方は放置されたわけですね。一方では住専が危なくなっているのがわかっている、それで農林系の預金はどんどん住専に流れていっている、ほっておいたら住専に融資をした農林系はもう本当に大変な目に遭うんだけれども、今言ったように大蔵省は農水省に対しても自分の大蔵省の範囲内の秘密だということで知らせない。結局ほったらかしてしまったから農林系は今大変な目に遭わされたと、そうなるわけですね。ちょっとこれは勝手な推理かもしれませんが。
○政府委員(西村吉正君) まず、私どもが行政の立場から受け取りました報告、資料につきましてどの程度公開すべきであるか。むしろ、他省庁ということもございますが、それを一般の方々の判断の素材にどの程度提供すべきかという問題は別途あろうかと存じます。私どもといたしましては、できるだけ情報を公開するという必要性を認めながらも、他方におきまして個別の民間会社の内部情報でございますので、おのずからその公開というものについては限度があろうかと、こう考えているわけでございます。 ところで、住専の経営状況につきまして私どもが把握をしておきながら放置しておいたのではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、住専を含みますノンバンクにつきましては、法律上の制度といたしましてはその資料を徴求するということ以上はなかなか難しゅうございまして、例えば業務の改善を命令するというような権限は銀行に対するものと違いまして与えられておりません。 これは、企業に対してどの程度の規制を行政として行うべきかという点につきまして、やはり預金受け入れ金融機関である銀行と、預金を受け入れていないノンバンクとの間には差を設けるべきであるという現行の制度に基づくものでございますので、それはそれとして十分な理由があると存ずるわけでございます。 しかしながら、そういう枠組みの中ではございますけれども、昭和六十年以来地価が上昇していく中で、私どもとしても、住専を含みますノンバンクというものが土地融資というものに対して大きな役割を果たしているのではないかという観点から、間接的ではございますが、預金受け入れ金融機関ほど直接的ではございませんが、総量規制以前の段階からできる限りの努力はしてまいったと考えております。
○一井淳治君 土地というものは戦後二度ばかり値上がりしておりますけれども、いずれも急速に上がってはまた急速に下がるという経過をたどっております。国土庁長官は、昭和五十八年当時の水準に土地の値段を下げるんだということを言っておったわけです。土地が政府の方針として下げられているわけですから、非常に危険な状態に陥っているということは間違いないんですね。 そういった場合にも、今おっしゃったように情報を受けるだけであって何ら制限も規制もできないと。それではいけないから、今申し上げたように大蔵省としては何らかの措置をしなくちゃいけないんじゃないかということをさっき質問したわけでありまして、そういったことも念頭に置いてよくお考えいただきたいと思います。 次に、住専の役員に対する民事責任の問題について御質問申し上げたいと思います。 商法二百六十六条、これは取締役の会社に対する責任、そして二百五十四条ノ三、これは取締役の忠実義務の規定でございますけれども、そういう規定によりまして責任追及されるんだということは衆議院でもあるいは参議院でも予算委員会で論議され、そういう責任が追及されるんだということがはっきりしておるわけであります。 とにかく、貸出先といいますか、住専が貸し出しをした業者に対する請求、これは保証人に対する請求もあるでしょうし、担保権の実行もあるでしょうし、あるいは隠匿した財産の探査ということもあるでしょうけれども、徹底的な追及をしていただきたい、そういうふうに思います。 次に、住専の役員に対する請求でありますけれども、仮に貸し出しの審査や担保の評価が非常に放漫で将来回収不能になるおそれが続出するというような状態を放置しておったような場合には取締役に責任があるのかどうか、二百六十六条、二百五十四条ノ三の責任があるのかどうかということを法務省にお伺いしたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) ただいま御指摘になりました商法二百五十四条ノ三の規定、いわゆる忠実義務というものを定めた規定でございますが、この規定は民法の委任に関します受任者の善管注意義務を商法の場面において明確にしたものと考えられておりまして、取締役は、社会通念上、取締役たる地位にある者に通常要求される注意をもって会社のためにその職務を行わなければならないという趣旨であるとされております。そして、取締役がこの忠実義務に違反したことによって会社に損害を与えたという場合には、御指摘の商法二百六十六条一項五号の規定によって会社に対して損害賠償責任を負うという規定になっているわけでございます。 御質問の場合について申し上げますと、御指摘の貸出審査あるいは担保評価ということを取締役自身が行っている、あるいは取締役が実質的にこれに関与しているという場合には、その取締役の忠実義務自体の問題になるわけでございますし、もし従業員が行っているという場合におきましては、従業員に対する監督義務の解怠ということについて御指摘の忠実義務違反の問題になると考えられます。 いずれにいたしましても、個別の場合においてそういう義務違反あるいは損害賠償責任の対象になるかということは、それぞれの事案ごとに個別に判断されるべき問題であると考えます。
○一井淳治君 大蔵省の第一次立入調査結果のレポートを見ますと、非常に放漫な審査が行われているわけでありまして、まず私は役員は責任があると思いますけれども、それは今後十分検討いただきたいと思います。 そして、役員が責任を負うと、役員に損害賠償責任があることを前提とした場合に、ただ単に退職金の返還とかいうんではなくて、その役員の持っている全財産に対して民事責任を追及するというふうにすべきであると思いますし、また違法行為を行った従業員も含めてその点に対しては厳しく請求すべきであると思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(西村吉正君) 巨額の不良債権を抱えまして整理のやむなきに至りました住専各社の経営者につきましては、その経営責任を徹底的に追及すべきという点については委員の御指摘のとおりであろうかと存じます。 ただ、経営者の責任問題という場合に、法律的な責任という以前の問題もあろうかと存じますが、そのような点につきましては、まず本人が第一義的に適切に判断すべき事柄であろうと考えます。 仮に違法な行為があった場合はどうかということになりますと、住専に対して損害を与えていたことが明らかになった場合には、住専処理機構が住専から譲り受けました損害賠償請求権を適切に行使することによりましてその責任を厳格に追及していく、こういうことになろうかと存じます。 具体的にどのようなことを追及していくかということは、そのような枠組みの中で適切に実行されていくと考えております。
○一井淳治君 私が質問したいのは、退職金の返還だけではいけない、それほど大きな責任があるわけですから全財産を提供した責任でないといけない、責任をとらにゃいかぬと。その点はどうですか。
○政府委員(西村吉正君) これはその責任の内容、程度に応じて異なってくるものであろうかと存じます。道義的な責任という場合に、それをどのような方法で当事者が表現していくかという問題もありましょうし、法律的な責任、違法な行為があったという場合には、これは退職金とかそういうことにとどまらず、その責任に応じた対応がなされるべきことは当然であろうかと考えます。
○一井淳治君 次に、粉飾決算による配当の問題について質問いたします。 粉飾であったかどうかということは、これはまた将来の検討課題になると思います。これは仮定の問題でありますけれども、関根委員が商法二百八十五条ノ四による貸し金額の貸借対照表における記載数字について御質問なさいました。関根委員は銀行について御質問なさったんですが、住専について言うならば、担保が非常に少なくて回収が明らかに不能であるという場合にはこの金額をそれだけカットしなくちゃいけない、現実に回収可能な金額に縮減しなくちゃいけないというのが商法二百八十五条ノ四でございます。 そういうことを前提としたならば、日住金や第一住宅金融、これは一部、二部の上場でありますが、私調べたんですけれども、平成四年三月期に配当しているわけです、中間配当でありますけれども。もし、きちんとした正しい整理、正しい財務諸表をつくり、貸借対照表をつくっておったならば、これは恐らく粉飾決算による配当というふうになると思うんです。そういう事実があれば返してもらわないかぬ、違法に配当した金額は返還してもらわないかぬ、役員については損害賠償義務、受け取った株主については商法二百九十条によって返還してもらわなくちゃいけないと思うわけでございますけれども、それでいいのかどうか、法務省の御意見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 今、委員も御指摘になられましたように、個別の御指摘の事案において商法二百八十五条ノ四の規定の違反があったかどうかということは、これは個別の事情によることでございます。一般論として申し上げますと、商法二百九十条一項におきましていわゆる配当可能利益というものを規定しておりますが、その配当可能利益がないのにもかかわらず利益を計上して配当を行ったという場合にはいわゆる違法な配当とされておりまして、そのような違法な利益配当をするという配当議案を総会に提出した取締役は、商法二百六十六条一項一号によって違法に配当した額について会社に弁済の責任を負うというふうに規定されているところであります。 また、この場合に、違法な配当を受けた株主は、不当利得としてこれを会社に対して返還する義務があるというのが一般的な解釈であると承知しております。
○一井淳治君 この問題に関連しては、公認会計士が有価証券報告書で監査報告を出しているんですけれども、これもいいかげんじゃなかったかという、将来の監督の問題があります。もう一つは、インサイダー取引の問題も出てくるようであります。その辺についても、将来、整理が進んでいく中で大蔵省としてもいろいろと御注意をいただきたいと思います。 最後にお願いでございますけれども、住専問題の処理に当たりましては、現実に国民の強い御批判があるわけでございます。税金からの支出は極力少なくなるように努力して国民の負担が軽減される方向が国民の期待に沿うことであると思いますし、また情報公開透明性を十分確保すること、厳重に債権回収を図ること、刑事上、民事上、その他の責任を厳しく追及すること、そういったことを今後強力に実現していくことが国民の声にこたえ国民の理解を得るために必要であると思いますけれども、簡単で結構でございますけれども、総理の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) この問題が御論議をいただくようになりましてから、両院におきましてさまざまな資料の御要求がございました。そして、政府といたしましては、この決定に至るプロセスの中で十分に情報開示を行っていなかったという点を認めながら、国会に対しましてもかってない大量の資料を御提出申し上げるなど、今回の処理策にでき得る限りの御理解をいただくべく最大限の努力をしてまいったつもりでございます。 議員から今も御要望がございましたが、今後におきましても、必要な資料の御要求がございました場合に、提出できるものは当然のことながら提出いたすように努めてまいることでありますし、また今後、予算及び法律案が成立をいたしました後には、透明性の確保にも十分心を配りながら強力な債権回収を進めていく。そして、現在以上の損失が発生をしないように極力努力を続けてまいるとともに、今幾つが御指摘のありましたようなものを含め、法的な問題が生じました場合には、これは民事、刑事、いずれの場合でありましても厳格に法律上の責任追及を行っていくということでございます。 政府としては、これからも引き続き、国会の場を初めとするあらゆる機会を通じまして、この住専問題の処理方策に対しまして国民の御理解を深めていただきますようにさらに努力を進めてまいりますとともに、議員から今御指摘がありましたように、極力損失額を減少させていくよう全力を尽くしてまいりたいと思います。
○一井淳治君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(井上裕君) 以上で一井淳治君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十五分散会